○佐藤昭夫君
わが国のいわゆる黒字問題をとらえてのアメリカからの強い要請はあった、しかし、
わが国の自主的な
措置としてこういう方向をとるんだという答弁でありますけれ
ども、そこで、実際にこの黒字なるものをどういうふうに把握をするのかということの
一つの判断資料として、衆議院の
大蔵委員会に
大蔵省、通産省から「日米投資
関係資料」という、こういうものが出されております。
これを私、ちょっと見てみたんですけれ
ども、ここで掲げられております数字、
一つは
わが国における米国を母国とする外資系企業の売上高は七七年度七兆五千四百八十億円、一方、
日本企業で北アメリカに進出している現地企業の売上高は七七年度で十一兆九千二百七十八億円、こういう数字を並べて、いかにも
日本がいま急速にアメリカに進出しているんだということを浮き出させる数字が挙げられているわけであります。しかし、この数字を分析をいたしますと、大変な矛盾があると思うんです。
最初の、
わが国におけるアメリカを母国籍とする外資系企業のこの売上高、これをどういうふうに
調査をしたかといえば、通産省の外資系企業動向
調査という、そこから引用をされておるわけですけれ
ども、「本
調査の対象企業は、我が
国内に存在する外資比率二五%以上の会社であつて、外資が経営参加を目的として株式を取得しているもの」という形でとる。一方、
日本の企業が北米に進出をしておるその現地企業の売上高、これをはじき出してくる根拠は、「本
調査の対象企業は、本社企業の出資比率が二五%以上のものの他、二五%以下であっても、役員の派遣、製造抜術の提携、その他永続的な経済
関係の樹立のいずれかがともなうもの」だということで、把握をする対象が全く範囲の違うものを、ここから数字を拾い上げて、いかにもいま
日本がアメリカへがあっと進出していることを印象づけようかとするような、こういう資料が出されておるということは、これは非常にずさんな資料だということでは済まない問題だと思いますし、同時に、この数字、企業の中には当然商業系が含まれておることと思いますけれ
ども、たとえば私この種本になっておるこれから拾い出して数字を出してみたら、製造業について言いますと、
わが国におけるアメリカ系企業がどれだけの売上高を持っているかというと、製造業について言えば五兆七千三百十五億四千二百万、
日本の企業でアメリカへ進出をしておるこれについて同様の製造業の数字を拾い出してみますと一兆七千百九十八億五千五百万、これは私がかってに出した数字じゃなくて、ここへ出てきますから、こういうことになる。
明らかに、この数字をとれば、
わが国におけるアメリカの製造業系列の企業の売上高がうんと多いという、この全く際立った逆の数字の対比になるということは明瞭だと思うんですけれ
ども、
一つは、なぜこんな資料でおつくりになったこれで、いわゆる黒字云々をどう把握するかという問題についての適切な資料とお考えになっているかどうか、まずその点お伺いしたい。