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1980-04-10 第91回国会 参議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十日(木曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  四月八日     辞任         補欠選任      中村 利次君     藤井 恒男君  四月九日     辞任         補欠選任      下田 京子君     立木  洋君  四月十日     辞任         補欠選任      秦野  章君     前田 勲男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         石破 二朗君     理 事                 稲嶺 一郎君                 戸叶  武君                 渋谷 邦彦君     委 員                 浅野  拡君                 岩動 道行君                 亀長 友義君                 嶋崎  均君                 前田 勲男君                 町村 金五君                 小野  明君                 田中寿美子君                 藤田  進君                 立木  洋君                 藤井 恒男君                 田  英夫君    国務大臣        外 務 大 臣  大来佐武郎君    政府委員        外務大臣官房審        議官       山田 中正君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    千葉 一夫君        外務省経済局長  手島れい志君        外務省国際連合        局長       賀陽 治憲君    事務局側        常任委員会専門        員        山本 義彰君    説明員        外務省中近東ア        フリカ局外務参        事官       堤  功一君        厚生省薬務局審        議官       山田 幸孝君        農林水産省農蚕        園芸局審議官   志村  純君        農林水産省畜産        局食肉鶏卵課長  京谷 昭夫君        食糧庁管理部長  石川  弘君        通商産業省通商        政策局総務課長  新井 市彦君        通商産業省通商        政策局国際経済        部通商関税課長  内村 俊一君        通商産業省機械        情報産業局総務        課長       杉山  弘君        工業技術院標準        部標準課長    小野 雅文君        運輸省自動車局        整備部公害防止        課長       金田幸二郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更  に関する第四確認書締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定ジュネーブ議  定書(千九百七十九年)の締結について承認を  求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六  条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定  の締結について承認を求めるの件(内閣提出、  衆議院送付) ○貿易技術的障害に関する協定締結について  承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○民間航空機貿易に関する協定締結について承  認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○政府調達に関する協定締結について承認を求  めるの件(内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に  関する協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に  関する協定締結について承認を求めるの件  (内閣提出衆議院送付) ○関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に  関する協定議定書締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○輸入許可手続に関する協定締結について承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 石破二朗

    委員長石破二朗君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  一昨八日、中村利次君が委員辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。     —————————————
  3. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 前回に引き続き、関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更に関する第四確認書締結について承認を求めるの件外九件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 小野明

    小野明君 昨日からきょうの新聞報道によりますというと、先般アメリカが一方的に発表をいたしました、日本に何ら相談もなく独自な発表でありますが、イラン制裁問題につきまして、マンスフィールド大使からも外務省要請があったようであります。さらに、ワシントンでも日本を初め西欧諸国に対して、イラン制裁について友好国に対して圧力的な要請があったと、こういう報道がされているわけであります。  そこで、これはまあ新聞報道でありますから、日本に対してマンスフィールド大使要請もあるいはワシントンにおける要請もこれは同様の内容であろうと思いますが、いかなる要請があったのか、外務大臣、この席で明らかにしていただきたいと思います。
  5. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) マンスフィールド大使から外務次官に対する申し入れと、それからワシントンにおける当方大使に対する国務省申し入れといいますか、ブリーフィング、内容は大体同じでございます。第一には、アメリカが今度とることにいたした措置についての説明があったわけでございまして、それから従来日本側協力を感謝するというあいさつ、それからアメリカのとりました措置に対して今後友好国協力を期待するという申し入れがございました。そのほか、でき得れば友好国大使の帰還といいますか、こういう措置がとられれば、それは望ましいと思うという、大体そういった趣旨のことでございます。
  6. 小野明

    小野明君 まあ、アメリカ日本に何ら通告なく、大統領選挙あるいは国内事情を配慮しての、それを踏まえての要請でありますが、いま大臣の御説明によりますと非常に抽象論でありましてね、いかなる具体的な内容を持っておるのかが明らかでございません。  で、きのうの官房長官記者会見によりましても、いろいろ言ってきているという発表をされておるわけです。これは外務大臣、いま少し具体的に説明をいただきたいと思うんですが、新聞報道によりましても、アメリカの今回の措置同調してもらいたいと、さらに、新たな信用供与を控えてもらいたい、あるいはイラン駐在大使召還をせよと、外交機関縮小あるいは最終的にイランとの断交という問題までも示唆をしておるんだと具体的に報道されているわけですよ。こういう報道機関発表がされておって、この国会の場で、この外務委員会大臣がその内容を具体的に言われないというのは一体どういうことですか。
  7. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) ただいまはまず最初に申し上げましたので、御質問に応じて申し上げようということでございますし、それから私がいま申しました中に、そのアメリカのとった措置同調してほしいと、とった措置の中にいま小野委員が言われたことがみんな入っておるわけでございまして、この一月の国連安保理事会においてアメリカ発案者になりました対イラン経済制裁措置、これは安保理事会十五カ国のうちの十カ国が賛成いたしましたけれども、ソ連がビトーを行使いたしまして否決された案がございます。その案を今度はアメリカ独自で実行するということでございまして、その中に新規クレジットの停止の問題とか輸出の制限とか大使館縮小とか、これは全部入っておるわけでございまして、その内容についての協力方を求められておるということでございまして、大きな筋は先ほど申し上げましたが、また御質問に応じてお答えいたしたいと思います。
  8. 小野明

    小野明君 いま一点、非常に重大な問題は、最後に私が申し上げたイラン駐在大使召還大使館機構縮小、さらにイランとの断交をも今後の事態の推移に応じてやってもらいたいと、こういう件は入っているわけですか。
  9. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは状態によってはということでございますから、いますぐどうという問題ではないと思います。
  10. 小野明

    小野明君 そうすると、それが含まれておるのは事実ですね。
  11. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 状況によってはという形で含まれております。
  12. 小野明

    小野明君 これらのアメリカ要請につきましては、いま大臣が御説明になりましたように、去る一月の国連安保理事会否決をされている問題でもあります。さらに日本に何ら事前相談もなく独自にアメリカ発表したイランに対する断交を含む制裁措置である。この要請に対して大臣はどのように対応しようとするのか、方針をお伺いしたいと思います。
  13. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 事前連絡の件でございますが、今回の措置につきましては事前連絡がございませんでしたが、それより大分前にいろいろな連絡の中で、アメリカとしては平和的、かつ交渉によって人質解放を求めると。特に国連ワルトハイム事務総長のあっせんもございまして、まず人質を学生の手から革命委員会の手に移す、そういうことについて忍耐強い交渉を進めている、それからイラン側反応についてもある程度期待を持てるということでございまして、ただ、これがどうしてもうまくいかない場合には次の措置をとらなければならなくなるかもしれぬという趣旨連絡は以前からあったわけでございますし、私がワシントンバンス長官に会った場合にも、この問題についてアメリカとしてはできるだけ手を尽くすけれども、しかしどうしてもうまくいかないという場合には、アメリカ人忍耐の限度があるのだという発言をいたしておったわけでございまして、今回の措置はその措置の前に連絡がございませんでしたが、そういう事前的な連絡はあったわけでございます。
  14. 小野明

    小野明君 それは、いまお話しになりましたのは事情経過説明みたいなものでありますが、昨夜の報道によりますと、このアメリカイラン制裁日本同調拒否をしましてもイラン原油はとまるんだと、それは日本である、一番影響を受けるのは日本である、こういうカーター国務省のスポークスマンが恫喝とも言えるような発表をしていますね。これを聞きますと、日本に対する脅迫的な言辞といいますか、同調を強制するという印象を受けますが、これについてどうお考えになるのか。私がお聞きしておりますのは、こういう脅迫的な要請、これらに対してどう日本は対応しようとされるのか、それをお尋ねしておるわけです。
  15. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) カーター大統領声明の一番最後部分に言っておりますことは、今日私が指令した措置は現在必要なものである、これらの措置人質の早急な解放をもたらさない場合には他の行動が必要となるかもしれない、まあ、カーター声明最後部分になるわけでございまして、その内容がどういうものかはいろいろ新聞報道などがございますけれども、正式の発表はまだ何もないわけでございます。したがって、それに対する日本政府としての正式の対応ということも、いまの段階で明らかにするというか、検討を明確に考えることはできない段階でございます。そういう問題を含め、さらにこれは単に日本だけの問題ではありませんで、西欧諸国も同じような連絡を受けておりまして、日本立場としては特に西欧諸国反応あるいは相互の連絡も十分にとった上でこれに対処する方策を決めていかなければならないという現段階でございますので、いまの段階ではまだいまお尋ねのような具体的に日本政府がどう対応するかということを申し上げられる段階ではないわけでございます。
  16. 小野明

    小野明君 いま大臣が御答弁なさったことは西欧諸国とも連携をとりながら対処したいということでございまして、私がお尋ねをしておりますのは、こういう具体的な提示がアメリカからあっておる。これにどう対応するのか。その手続論じゃないわけです。手続もまあ一つかもしれません。イラン人質事件は、私もこれは国際法違反であり遺憾なことである、こう思います。しかし、それにしても今回のこの具体的なアメリカ提案というのは、これは日本自主性を私は著しく損ずるというか、国益に反する結果を招きかねない、こういう重大な内容を含みますだけに、この際大臣としては何かきょう、報道によりますと協議もあるようですが、大臣としてはどういう御見解をお持ちなのか、大臣のお考えを伺っておるのです。
  17. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 大臣としての見解は昨日外務大臣談話ということで発表いたしたわけでございまして、大体三つばかりございまして、従来の国連調査委員会その他の努力にもかかわらず、このような事態に立ち至ったことは残念であるということが第一でございます。それから第二には、わが国としては、イランが重大な国際法違反を継続し、人質解放見通しが立っていない状況のもとで、カーター大統領が今回のような措置をとらざるを得なくなった事情は理解するところであるというのが第二点でございます。第三点は、わが国としては、今後とも米国及び他の友好諸国と緊密な連絡を保ちつつ、人質解放を含めた事態早期解決のために努力していく所存である。この三つ見解を昨日発表いたしたわけでございます。
  18. 小野明

    小野明君 このイラン制裁については、カーター大統領すでにスケジュールを出しておりまして、経済制裁断行、さらに次は海路妨害あるいは港湾封鎖と、こういうスケジュールがありますね。それで、次にこの戦術が港湾封鎖とかあるいは海路妨害、こういうふうにエスカレートしていくと見られておるのかどうか、それが一つ。  いま一つは、どうせこれは総理外務大臣アメリカに行かれた際に態度決断を迫られるといいますか、聞かれる問題でもありますが、一体同調するのかどうか、アメリカ提案同調するのかどうか。どうせこれは聞かれる問題ですよ。態度を決めておかなきゃいかぬ。そこで、第二点としては、いま大臣が言われました、この事情については理解をすると、こういう考えは今回のアメリカ提案同調すると、こう受け取ってもよろしいんですか。そういうことですか。
  19. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 理解するということは、その気持ちを理解するという、この長い間のいろいろな交渉の経緯によってこういう措置をとることになった気持ちなり背景は理解すると、しかし、とるべき対策について全部同調するということを意味しているわけではございません。
  20. 小野明

    小野明君 そうしますと、先ほど申し上げましたように、事前日本にも何ら連絡はない、しかも安保理事会では否決をされている問題である。私は、日本国益を守るためには、この際、日本の自主的な外交というものを打ち立てるためにも同調はできないと、こういう態度を明確にすべきときが来ているのではないかと思う。いまの大臣の御答弁では、同調をするともしないともどっちかわからない。一体どちらの方針なんですか。
  21. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは、具体的な政策内容によるわけでございまして、具体的なある面については日本同調できる面もあるし、ある面についてはできない面もあると思いますので、その辺をやはり諸外国の情勢及び日本国内各省立場、その他各方面の御意見、それから当然に国会におけるいろいろな御意見もあるわけでございまして、そういう内外の情勢を踏まえて判断していくということになろうと存じております。
  22. 小野明

    小野明君 イラン政府はすでに、同調をすれば同調国に対しては石油の輸出をとめる、こういう態度発表していますね。そうすると、同調できる面もあれば、同調できない面もある。イラン政府にしてみれば、それはできる面があれば同調したと、こういうふうに受け取られると思うんですが、いまのような大臣のぬえ的な答弁では一同調するのかしないのか、これははっきりしない。一体何が同調でき、それでは何が同調できないのか。これだけ具体的な提案があっておるんですから、もう大臣の御見解も固まっておるんじゃないかと思うんですが、この際、御見解をいただきたい。
  23. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはまだその段階ではないと思っておるわけでございますし、日本政府部内、総理とのいろいろな相談もいたさなければならないし、それからヨーロッパ各国動きについても情報をいま鋭意とりつつあるわけでございますが、ちょうどイースターの休み等もございますし、またヨーロッパ各国も単独で意思決定するよりもECの国々が相談して決めたいという動きを示しておりますので、この問題については余り日本だけが早急な方針を決めるということは避けたい、やっぱり慎重に情勢を把握しながら検討していくということでまいりたいと考えているわけでございます。
  24. 小野明

    小野明君 次に、人質問題が現行のままであれば、総理訪来の時期までにはなかなかこれは決着がつきかねているのではないかと、こう思われるわけです。アメリカカーター・プランに従って、そうした場合に、この制裁措置をエスカレートさせるのかどうか、港湾封鎖海上封鎖等まで進むのかどうか、その辺の見通しはどうお持ちですか。
  25. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) そういうところまで早急に行くとは私どもは考えておりません。今後の、そういう主としてこの前の安保理に出ました案に沿ったような対策での効果を見た上でということになるのではないかと想像いたすわけでございまして、これは次のステップが早急にとられるということではないだろうと思っております。
  26. 小野明

    小野明君 次に、外務大臣総理と一緒に訪米をされるわけですが、その際決断を迫られる問題といたしましては、私はオリンピック問題があると思うんです。このオリンピック参加にかかわる問題についてアメリカから私は同調を求められると思うんですが、態度決定を迫られると思うんですが、これについて大臣の御見解はいかがですか。
  27. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは二月一日に政府見解発表いたしておりまして、現在までその立場からは変わっておらないわけでございます。
  28. 小野明

    小野明君 オリンピック参加にかかわる問題は従来のとおり変わっていないと、こういう御答弁ですが、そういうあいまいなことではなくて、アメリカ側からどうなんだと、こう詰められると思いますが、そのとき大臣はどう返事をなさるおつもりですか。
  29. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) モスクワ・オリンピック参加エントリー最終期限が五月二十四日でございまして、それまでの決定政府でなくてJOCがやると、そういう立場でございますので、五月二十四日最終エントリーまでにはとにかくいずれにしても決めなければならないわけでございます。しかし、それまでに最終的な態度JOCが決めるかどうかはまだわからない。今月末の段階では、二月一日の政府考え方、これの状況と変わらないだろうと考えておるわけでございます。
  30. 小野明

    小野明君 そうしますと、オリンピック参加問題については今回の訪米では態度決定を迫られるということはない、さらにこれは政治がかかわる問題ではない、JOCが決める問題だ、こういうことで切り抜けていくといいますか、そういう態度で臨むということですか。
  31. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これも政府全体——オリンピック担当大臣文部大臣でございますし、外務大臣一存でいかないことでございますが、大体の方向としては、とりあえずの訪米に際しての問題はいま小野委員お話しになったことだろうと思います。
  32. 小野明

    小野明君 オリンピック問題はJOCあるいはIOCが決めるべき問題であるとはいうものの、政府としても担当大臣がおられることをいまお話しになりました。日本国内世論は変わりつつある、あるいは国際世論も変わりつつあると私は見ています。外務大臣はどうごらんになっておられますか。
  33. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは各国情勢によっていろいろでございまして、すでに参加を決めたところもございますし、不参加を決めたところもございますし、主要国はぎりぎりまで決定を保留するという態度のように見ております。
  34. 小野明

    小野明君 次に、訪米された際に見解を詰められる問題は、この前からも私が質問をいたしておりますが、防衛庁中期業務見積もり、これは自民党内では、先回大臣訪米された際にブラウン国防長官からこれについては評価をすると言われた、それを受けて、中期業務見積もりを一年短縮するという意向与党内ではいろいろ議論されておるようであります。この問題についても米側から態度決定を迫られると思うのですが、大臣はどうこれに対処されるおつもりですか。
  35. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) この点につきましては日本政府の内部でもあるいは政府与党でもいろいろな検討が行われておるわけでございますが、五月一日までに具体的な内容について日本側が何か回答するとか提案するとかいう段階にはなっておらないだろうと思います。恐らくこの問題は昭和五十六年度の予算編成の全過程を通じて政府意思がだんだん固められていく、どういう方向にいくのかいまから予測はできませんけれども、そういう性質の問題でございまして、今回の訪米に際して具体的な話し合いに入るということはないだろうと思っております。
  36. 小野明

    小野明君 どうも大臣大臣の御見解を承りますと、今回の総理訪米についてイラン制裁への同調の問題、あるいはオリンピック参加拒否への同調問題、あるいは防衛庁中期業務見積もりの問題、非常にあいまいといいますか、そう強い要請はないだろう、こういうふうな見通しのようでございますが、私はそうではないと思うのです。もっと厳しい要求がされるのではないか、ですからもっと突き詰めた態度決定を迫られる、こう見ています。それに大臣、いまの大臣の御答弁は、どうもそれでくぐり抜けてこられるのかどうか。そういうことには相ならぬのではないかと思います。もっとひとつ大臣明確な御答弁をいただきたいと思うのです。
  37. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) いまの三つの問題の点につきまして、第一のイラン問題はお説のようにある税度詰めていかなければならないと思います。ただ、オリンピック防衛の問題は、先ほど申し上げましたように、オリンピックはまだデッドラインに来ておりませんし、それから防衛の問題は、日本の国の大きな方針に関する問題でございまして国内でもいろいろ議論を尽くさなければならない問題でございますからそう短期間に結論を出すということは無理ではないか、そういう事情についてアメリカ当局者は少なくとも理解しておると思っております。
  38. 小野明

    小野明君 それから、これは訪米にかかわる問題ではありませんが、若干トーンダウンをしたようですが、財界には、日本でも徴兵制云々、あるいは財界武器輸出論というのがございますが、この武器輸出論の高まり、この風潮について大臣の御見解はいかがですか。
  39. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 私はこれも政府全体として相談しなければならない問題ではあると思いますが、私の意見といたしましては、そういう問題は軽々に取り上げるべきでないという意向でございます。
  40. 小野明

    小野明君 次に、法案の問題に入りたいと思いますが、東京ラウンド関係スタンダード協力について二、三問お尋ねしたいと思います。  スタンダード協定貿易技術的障害に関する協定というのが結ばれました。これは通産省ですが、JISマークの表示できる工場が指定できるようになっております。実際にはこれはどの程度申請があるものと見ておられるか。また、わが国同種産業にどの程度影響ありや、これはもう時間がありませんから、通産、一括してお尋ねしておきます。  次、厚生ですが、これはアメリカもECも従来から薬品、化学品、この市場に進出の意欲が非常にございます。これについても開放しなければならぬ。また手続国内法で決めました。この実施状況は一体どうなるのか。これによってわが国の薬品あるいは化学品産業、これに与える影響はいかがなものか、通産、厚生、続いてひとつ御答弁願います。
  41. 小野雅文

    説明員小野雅文君) JISマークの表示を外国に認めるのにつきましては、法律改正、工業標準化法の改正をやりまして三月三十一日に国会で可決していただいております。まだ法律が公布になっておりませんので、はっきりした数字はわかりませんが、私どもの方でジェトロ等を通じていろいろ調べた限りでは全体で六十余りあるのではないだろうかというふうに考えております。ただし、この六十工場は大部分が発展途上国でございまして、したがって、技術的水準等がまだ十分でないところもありますし、日本向けの輸出比率が非常に少ない工場等もございますので、現実に私どもの方に申請をしてこられる工場というのはそのうちのごく一部ではないかというふうに考えております。当面、今年度では大体三工場くらいかというふうに一応考えております。  それからそれに対する影響でございますけれども、一応、工場数が非常に少ないのではないかということと、それからもう一つは、日本の各企業の国際競争力が非常についておりますので、余り大きな影響は受けないのではないかというふうに考えております。
  42. 山田幸孝

    説明員山田幸孝君) スタンダード・コードの問題に関しまして医薬品等についてのその実施状況を最初にお答え申し上げます。  医薬品などに関する国際規格といたしましては世界保健機構で定めております国際薬局方というのがございます。この国際薬局方は主として発展途上国を対象として制定されておりますので、わが国日本薬局方を制定する際にこれを参考にするということはいたしますが、全面的にこれを取り入れて日本薬局方を定めていくということはなかなかむずかしいというふうに考えております。それから、事前公示などの手続でございますが、これまでのところ医薬品などにつきましてはまだ実施するような事例はございませんでした。しかし、今後該当するような規格基準の制定あるいは変更などがございました場合には、人の生命あるいは健康にかかわる緊急の問題でない限り閣議決定あるいはスタンダード協定趣旨に沿いまして取り扱ってまいりたいというふうに考えております。  それから、もう一つの問題でございますが、閣議決定内容実施した場合の国内産業に与える影響でございますが、医薬品等につきましては従来から国産品と輸入品とを特に差別して扱ってきておるわけではございませんので、閣議決定内容実施いたしましても国内産業に対して特段影響が出てくるというふうには考えておりません。
  43. 戸叶武

    戸叶武君 この間の質問に続いて、目下険悪な状態を醸し出している中東問題の成り行きについて、政府見通し並びに見解を求めます。  政府は、米国がイランと断絶して以来、特に経済断交協力を正式に求めてきておりますが、その内容報道によってまちまちな憶測がなされておりますし、いままでの答弁を見てもはっきりしない点があるのでありますが、政府としてはこれに対してどのような決断を下すつもりでおりますか。
  44. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの御質問につきましては、先ほどの小野委員の御質問にお答えした趣旨でございますが、まあ、第一には、アメリカ提案内容をさらに検討する。第二には、日本国益立場からの判断を考える。それから第三には、他の国々、特に西欧諸国との協議、連絡を進める。それからまた、一方ではイラン国内情勢反応というものも検討する。こういうような立場に基づいて日本の対応策を考えてまいるということになるかと存じます。
  45. 戸叶武

    戸叶武君 政府では第一に、新たな信用供与はしない。第二に、イランの原油輸入は昨年十一月の事件が発生した時点から上回らないというようなかなり具体的な回答もなしているかのように報ぜられている向きもありますが、このようなことはないのですか、あるのですか。
  46. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) いまの御指摘の二つの点は、すでに日本政府が従来から実行しておることでございます。その継続になるわけでございます。
  47. 戸叶武

    戸叶武君 それに対してのアメリカ側反応なり、回答は具体的にはどういうふうに出ておりますか。
  48. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) せんだって、マンスフィールド大使が高島次官を尋ねましたときに、これまでの日本側措置には謝意を表するということを申しておるわけでございます。
  49. 戸叶武

    戸叶武君 日米関係においてマンスフィールド大使のなしつつある役割りはパイプの仕事だと思います。あの人は老練な人で、正直にアメリカにおける動きを伝え、押しつけるようなことはしないでそれを日本に伝えて、その日本側意向というものをまたアメリカ側に伝えるという役割りをしているが、ややもすればマンスフィールドの伝達というものをマンスフィールドが押しつけているかのような印象を国民に与えるような受けとめ方をしている向きも政府並びに与党の中にいままでしばしばあるのですが、それはマンスフィールドのとっている忠実なパイプとしての役割りの評価を誤らしめる原因にもなっているのですが、そういう関係は大来さんは彼とも親しい間ですが、どういうふうに受けとめておりますか。
  50. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) マンスフィールド大使は、ただいまお話ございましたように、正確に双方の意見をそれぞれ伝えるということを公平な立場でやっておられると私ども評価しておるわけでございまして、今回もアメリカ政府の指示に基づいてアメリカ側見解を伝えるために外務次官に会ったというふうに理解しておるわけでございます。
  51. 戸叶武

    戸叶武君 イランアメリカ側の強硬態度に対して、これまた強硬な態度で反撃を試みております。その要点は、アメリカがイラク、エジプトの両政権を米国の手先にしているという非難もその一つでありますが、これはイランの革命体制は超大国に屈しないことにあるという声明を出しております。米ソ両大国の覇権主義的な支配には屈しないということをそれは意味しているのでありますが、アメリカ大統領選挙を前にしてカーターさんの周囲における人々が焦りに焦って非常に押しつけがましい言動に出ていることが、イランの状態を急激に悪化させている原因の一つでもあると思うんですが、それは日本に対する——先ほど小野君が質問した点でも明らかなように、日本アメリカの属国ではないんです。アメリカにパートナーシップを発揮して協力を誓っておりまするけれども、それは軍事的協力を意味しておらないのであります。大使イランから引き揚げるなどということもよけいなことであります。日本の事主権に属することであって、このようなことは非礼な態度で、軽々率々に大国といえども他国に対して指図すべきものではないんです。そういう言動、日本に対してすらはなはだ非礼な態度を行っている傍若無人ぶりというものが、ことごとく他国に対するところのプライドを傷つけて問題を悪化させているのは、大統領選挙ということに目標を置いて国内向けの扇動的なアピールが多いから、こういう結果を招いているのではないかと思うのですが、日本はよき意味のパートナーなりとするならば、やはりそういう点にも言及していく、事外交上の問題が国内大統領選挙を意識してのアピールにならないように、どうも日本もそのような傾きが大平内閣にはありますから余り大きなことは言えないでしょうが、そういう点はやはりしっかりと言っておかなけりゃ、日本あたりが言っておかないと、ますますアメリカは世界から、善意でやったとしても悪意に受けとめられるような結果を招くおそれがあると思うんですが、外務大臣は遠慮深い方だから率直には物を言えないかもしれませんが、そういうことはたまには言っておりますか。
  52. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) せんだって、三月の半ばにワシントンに参りまして、バンス長官と長時間話し合ったわけでございますが、その中で私の方からもいまのような点につきましては相当率直に申しました。やはりイランとの関係を維持するということはいわゆる西側の世界にとっても非常に重要なことではないか。人質の問題についてのアメリカ国民の苦悩といいますか、これはよくわかるけれども、しかし、イラン問題、中東問題については長期的な立場からの判断が必要だと思うということは率直に申したわけでございます。これに対してのお答えは、そういう点は自分らにもよくわかるが、同時にアメリカの国民の忍耐力にも限度があるという点も承知してほしいというようなやりとりがございました。西側の諸国もシュミット首相の訪米などで、そういう立場意見も率直に伝えておるようでございます。私どもとしてもできるだけの努力をその点についてはやってまいってきておるつもりでございます。
  53. 戸叶武

    戸叶武君 このような世界に重要な関係を持つところのアメリカ大統領の言動というものが、私たちから見れば他人の立場に配慮を置かない軽率な言動によって、どれだけアメリカの威信の損失を招いているかわからないと思うのであります。こういうことをやっぱりはっきり言わないと、相手はわからないで長い間の習性からそういうことを言っても平気な習性を生んでいるのですが、いまこそアメリカがソ連の国際的孤立をねらっている面があるにしても、逆にアメリカの言動がソ連と同様、それ以上に孤立化する危険性をもはらんでいるという事実をみずからが認識しなければ、アメリカ外交的なテクニックによっては人心を動かすことはできないと思うんです。そういう点で最近は大来外務大臣がいま言われたように、フランスのジスカールデスタンなりあるいはドイツの指導者なりも率直なことを言い、アメリカに全面的に相応じているイギリスですらも苦い顔をしている面があると思うのであります。そのことを知らないでこれからアメリカ外交というものが大統領選挙に勝ちさえすればいいというようなスタンドプレーでいっては、これはこういう軽率な言動を外交上においてまき散らして混乱を招くような大統領を、われわれの大統領としては選べないというような反撃が私はアメリカの中からも出てくると思うんです。いまほかに並んでいる候補者も大したこれはという人はいない。非常に大統領選挙日本と同じように金がかかる。それがメジャーやあるいは軍需産業やそれに飛行機会社、方々のところからの援助をも受けるあるいは大規模な農業を行っている人々からも援助を受けるという、こういう民主主義政治の中においてでも非常な弱点がある。それがいま始まったことではないんですが、カーターさんのこのときに露呈してきたと思うんです。アメリカ自身が、私はこれは大統領選挙そのものに問題があるんじゃないか。カーターそのものの軽率な言動と周囲の権謀術策屋のテクニックの過剰、こういうことからも来ているんじゃないかという、もっと本質的な私は掘り下げが行われるような事態がいま現に私は誘発されつつあると思うんですが、大来さんはよその国のことはうっかり言えない、日本の国のことも余りうっかり言えないような状態でしょうが、どういうふうに見ておりますか。これはアメリカだけでなく、民主主義国家と言われる国々、日本においてもそうです。選挙に金がかかる。べらぼうな金をいやいやながらも総裁になるためにはつくらなけりゃならない。自分の意思に反して、軍備充実の名によって国防を大切にしなけりゃならぬという形において憲法を無視しても、その体制に従っていかざるを得ないというような危機が内在しておるのです。アメリカにも日本にも同じような病根が、共通な病根がいま横たわっておりますが、日本のことはいいですが、アメリカのことはどう見ておりますか。
  54. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) この点はいろいろアメリカ及び西欧社会でも本質的な問題としての議論があるわけでございまして、そのガバナビリティー・オブ・デモクラシー——民主主義における政治という問題について、早急に物事は決められない、あるいは世論、多数の人たちの考え方、あるいは人気というようなものによって政策が大きく影響される。いろいろな悩みというか、いわゆる民主的な社会、特に投票によって議会制度に基づいてやる社会の悩みはあると思うのでございますが、同時に、こういう民主的なプロセスというのは一つの軌道修正能力を持っている。どこの国でも必ずしも間違いなしには済まないわけでございますが、それをいろいろな議論を通じて修正していく能力をある程度示していることは、これはやっぱりアメリカのデモクラシーの一つの基本的な力であるかと思うのでございます。まあ、選挙が余りにも大きな要素を占める、ことに、アメリカの伝統で非常な各州のプライマリーその他のプロセスを通りまして、ほとんど一年間選挙が続いているような状態は、これはデモクラティックなプロセスとしても余りに行き過ぎじゃないかという意見もございました。なかなかこの歴史的な制度を急には変えられないというような点はございますが、基本的には、能率がある程度悪くてもそういう民主的なプロセスを持つということは人間の社会としてはむしろ望ましいことではないかと考えるわけでございます。
  55. 戸叶武

    戸叶武君 第三次世界戦争ということはすぐ私たちは考えられないにしても、戦争と戦争の谷間の時代の暗さがいま国際情勢の中に横溢しているのは事実であります。ガスが充満して、そこに火を投ずれば爆発するような空気が至るところに私はでき上がってきておると思うのですが、それで、いま戦争はできないけれども、ファシズムが事実上台頭してきているというこの現実を前にして、正確な情報、事実はどうなんだということがキャッチされないと現状分析というものはきわめて困難だと思います。日本外務省はこの情報において正確さがないというところにおいては、はなはだ不名誉な話だが、有名であります。  そこで、新聞報道等を見ましても、最近においてやはり不可解な報道というものが幾つか入ってきております。たとえば最近のイランとイラクの態度であります。イランのバニサドル大統領は、八日夜の国営放送において、米国の報復に対する対抗のために国民の団結を訴え、一に団結のためのイスラム戦線の結成、二に革命思想の一体化のための努力、三に治安と社会秩序の再建、こういうことを演説の中で述べております。これは明らかにイランの中における内部情勢においても複雑多岐なものがあるし、ほかからの働きかけもあるということを警戒しての一つの戦時態勢というか、戦線の統一を要望するところのアピールと思われますが、現在イランにおける国内的な不安と国外からの不安というのは、アメリカからの制裁イラン側が指摘する手先としてのエジプトとイラクというような具体的な指摘、そういうものにおいては何か心当たりのあるものが、正確なところの情報外務省に入っているかどうか、お聞きしたいと思います。
  56. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) イラクとアメリカがお互いに協力してイランに圧力を加えておることにつき、何か情報があるかという御質問と存じますが、そのような情報は来ておりません。
  57. 戸叶武

    戸叶武君 情報は来ておらないでは済まないです。どのような情報をキャッチしておりますか、それが外務省の努力です。来ておりませんという官僚的な公式的な答弁ではいただけません。
  58. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) これはイラクとイラン独自の問題である、といったような結論を出させるような情報に接しております。
  59. 戸叶武

    戸叶武君 それで結構だと思います。  それぞれの国々は、いろんな憶測が生まれているけれども、その国の立場を、統一ある立場をつくるための努力をしている、しかし、それがお互いに相互理解を欠いているというのが現状だと思います。これに対して、アラブではアラブとしての一つの会議も持たれているようでありますが、このむずかしいイラン問題あるいはイラクの問題、エジプト、アラブの問題——エジプト、アラブの責任者がいまアメリカを訪ねましたが、この複雑多岐な中東情勢の中に、日本が簡単に正確な情報もキャッチできない状態で突っ込むことはできないという慎重さが外務省には必要だと思いますが、いまアメリカ自身もそこから足を抜くことができない状態にあるところのエジプト、イランとの話し合い、アメリカも加わっての調整というものは見通しはどのようなものでしょうか。
  60. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) エジプトとアメリカとは、御存じのとおり中東和平問題につきまして種々関係もあり、またいろいろと協議もしておることは御存じのとおりでございます。現にサダト・エジプト大統領がその問題でアメリカを訪問していることも御案内のことかと思います。当然その場におきましてイランの問題についてのいろんな意見交換もあるであろうと推察されます。ただし、これはまだ会談が行われたばかりでございますので、その内容につきましてはまだ何も入っておりません。
  61. 戸叶武

    戸叶武君 中東問題で一番むずかしい点は、エジプトとイスラエルは宗教、民族、いろいろな立場において異なるものがあるが、いずれにしても、批判は別として、近代国家としての形式を整えつつある国だと思うのであります。したがって、私は余り非常識なことはできない立場にあってみずから自制を行っていると思いますが、そのエジプトなりイスラエルのリーダーですらも中東問題に対しての決め手というものはなかなか得られないで、むしろ突き上げられるような形になっておるのでありますが、内面的にはやはり革命を絶叫するのは簡単であるが、建設というものはむずかしいものだということを建設途上の発展途上国においてもわかってきているんですが、それが幾多の因縁や感情によって今日の錯綜した状態を生んでおり、特にイランとイラクあたりはもっと調整が可能だと思われるところにおいても一触即発と見られるようなところまで問題がホットになってきておるのですけれども、直ちにイランとイラクとの間に衝突が起きる、小さなトラブルは起きておりますが、大規模衝突が起きるという懸念はないかどうか、その点はどうでしょか。
  62. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) 基本的には非常にやはり危険な方向に向かいつつありますが、委員御指摘のとおり、いますぐに大規模な衝突になるという徴候はまだキャッチいたしておりません。
  63. 戸叶武

    戸叶武君 奇々怪々の話としてうやむやに半分聞いておりますけれども、パキスタンの軍部の中にある国が金で軍閥を買収してクーデターを起こさせ、それによってペルシャに進攻し、アフガンを脅かそうという企てがなされたというようなまことしやかな報道もなされておりましたが、これは未然に鎮圧されたという形で聞いておりますけれども、韓国におけるところのあの大統領に対するテロでも何か不可思議な、戦争ではないが、戦争以上に不気味な一つの権謀術策が暗やみで行われておるのは事実です。こういうときに正確な情報ということはなかなか困難だと思いますが、裁判すらも何か茶番狂言のようで、日本の裁判もその向きはありますが、どれを信じたらいいかわからないような戸惑いを国民が抱かさせられておると思いますが、あのいまパキスタンとペルシャ、アフガンへの問題及びインドとパキスタンとの疑心暗鬼、そういう問題に対してはどのように見ておられますか。
  64. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) クーデター説につきましては私どもも聞いておりますが、その内容については不明な点が多々あることは御指摘のとおりでございます。ただし現地のパキスタン軍の兵力その他から見まして、またソ連の軍事介入の実態等から見ましてパキスタン軍がイランあるいはアフガニスタン進攻ということはまず常識では考えられないのではないかと存じます。
  65. 戸叶武

    戸叶武君 もっと具体化された現実の問題として、西ドイツの人々に会うごとに、日本が、西ドイツだけでなくトルコの今日のインフレ、窮状を救ってくれないかという訴えを、積極的な訴えを随所において私たちも聞いておりますが、きょうの新聞を見ると、トルコに対しても日本の西ドイツに次ぐ援助がなされたように受けとめられるのですが、それはどういう根拠の上に立って積極的にトルコ援助をなしたのか、それを承りたいと思います。
  66. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) けさ報道されておりますことは私ども承知いたしております。現在は政府部内で結論を出すべく詰めておる段階でございます。  なお、何ゆえこういう援助を行うかという御質問でございますが、すでに昨年援助を行っておりまして、にもかかわらずトルコの経済情勢はなかなか改まらないと、こういうことで同国の重要性その他から言いまして、やはりわれわれとしましては他の友好諸国協力してこの国に対する援助を続けねばならないと、そういう判断でやっておるわけでございます。
  67. 戸叶武

    戸叶武君 この国に対する援助をしなければならないという昨年の決断であっても、その根拠はいかなる根拠の上に立ってなされたのでしょうか。
  68. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) トルコの戦略的重要性がまず挙げられますが、これはヨーロッパ諸国はNATOに入っておりまして、トルコももちろん御案内のとおりその一員でございます。ヨーロッパ諸国はやはりそういった戦略的な観点からの援助が一つあると思います。他方、トルコは御存じのとおりきわめてヨーロッパ諸国と経済関係が深い国でございまして、特にドイツにおきましては多くの出かせぎ移民等も行っておりまして、これがドイツの経済の相当部分を支えておるわけでございます。したがいまして、トルコとしては、同国との歴史的関係もあり、音頭を取ってこれを援助をしておるわけでございまして、戦略のほかにそういう経済的な観点がございます。日本としましてはそれとは別個に二つの面がございまして、一つはやはり自由諸国の協調ということでございます。日本はもとよりNATOの一員ではございませんし、またトルコとの直接の経済関係はそれほどはございませんが、しかしその協調ということが一つ必要であると、もう一つ日本は中近東に対しましてやっぱり独自の利害関係を有しておりますけれども、トルコのおかれました政治的あるいは地政学的な位置から言いましてこの国が非常な混乱に陥るということは中近東全般に対する日本国益をも害するおそれがあると、そういう判断に立っておる次第でございます。
  69. 戸叶武

    戸叶武君 その西ドイツのトルコ援助には千葉さんが言われたようなはっきりとした大義名分が立っております。一つは戦略的なNATOの一員としての立場からそれを助けなけりゃならないということ。二にはトルコがあれだけの優秀な民族であるが、資源的にまた近代工業においても見るべきものがない。結局六、七十万の海外への出かせぎが出ている。その大部分が西ドイツへ吸収されている。トルコが混乱するならば西ドイツの国内からもその数十万の人々の混乱を招くおそれがある。これは一つの西ドイツとしての大義名分であると思います。日本立場もいま千葉さんが説明されましたが、私は数年前にイスタンブールを訪ねましたときに、やはり自民党の西村さんがトルコのケマル・パシャの共和国をつくり上げた記念に招かれて来ているんだというアタチュルクを追慕する記念会に出席したのだという話をホテルで聞いたのでありますが、何といってもアラブにおける近代国家建設へのイギリス帝国主義打倒の火ぶたを切ったのはケマル・パシャの青年トルコ党だと思います。そうしてイギリスに追従するところの王様をマルタ島にまで追放して共和国をつくったアタチュルクの勇断というものはアラブにおける一つの革命のきっかけをつくったとも見られるのですが、いまトルコとパキスタンとに対する西の援助とソ連の援助というのは、ソ連もあれほどトルコとの戦い以後悪い関係にあったが、トルコの窮状を見るに忍びないという形で借款に応じてトルコを親ソ的にし、トルコとダーダネルス海峡を押さえなければ地中海、インド洋に出ていけない、レッドシー、スエズ運河も通過できないという形でここに力を入れたところがあります。そういう関係で、トルコ自体がトルコのダーダネルス問題は、外務省の先輩の芦田さんがあそこにいて博士論文を書いて以来ずいぶんこれは問題の土地であります。あのときの状況とはいま違っていますが、現にスエズ運河はいざというときには、ソ連との間に事が起こるというような場合においては、スエズ運河の両岸の要衝にはソ連の軍事的な拠点が築かれてきてしまったのは事実であります。イギリスも責任を持っていない、アメリカもうかつにしている。いろんな意味においてこのスエズ運河というものの機能が場合によっては果たせなくなるような危険というものが起きているので、それでパナマ運河の問題も新しい話題となり、あるいはジブラルタルにおけるところの黒人国家がつくられたということにおいて、ローデシア問題だけでなく、ここでもまた大変なことになるというふうに気づいていろんな企てがなされておりますが、すべてどろなわ式であって、長期的展望の上に立っての防衛体制というものはみずからがおろそかにしておったと思うんです。そういう点において、日本にだけ過度な日本憲法を無視して軍事的な協力要請したり、日本の再軍備体制をつくることが必要であるかのような示唆を与えるということはおこがましい話であって、日本みずからはいままでやった朝鮮におけるアメリカの軍事行動の失敗、ベトナムにおける失敗、そういうものに巻き込まれないで国の基本方針を変えないでいるから、このイランあるいはアフガンにおける火がついたような状態の中にあっても戦争の方向へ持っていかないで、もっと話し合いによって難問題を解決するために働かなければならないという使命感が持ち得るし、また他の国にもそのことを説き得る立場にあるんだと思いますが、その堅持している立場外務大臣は有効にお使いになっておると思いますか、どうですか。日本外務省は周囲の事情をずっとながめていて、おもむろに慎重に対処しようという構えでいかれるのか。いま行動を起こすべきじゃないという考えに重点を置くのか、どこに重点を置くのか、外務省のへそのありかを少しお教え願いたいと思います。
  70. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) まあ私どもも外交問題を扱って感じますことは、やっぱり外交の重要な機能としては、そのときどきに変転する世界のいろいろな問題に適切に対応していかなければならないという点かと思いますし、同時にこの外交についての大きな方向というものを持っていくというか考えていくということが必要だと思うわけでございますが、同時にこの外交の世界で、こうあることが望ましいということと、こうなるだろうという客観的な判断等がございますので、ことに日本のような資源小国といいますか、世界各国との関係で経済を立てておるということ、この平和憲法のもとに最小限の防衛力によって国を維持していくというような立場にございます場合には、やはり外の世界がどう動いていくかということの情勢についての冷静な判断、その動いていく方向が必ずしもわれわれが望ましいというような方向に動くとは限りませんが、そういう情勢の判断の上に立って、まあいろいろな事態に弾力的に対応していくことが特に日本外交では必要だと思います。  そういう意味で、御指摘のように情報のキャッチというのはさらに一層努力してまいらなければならないと思うわけでございますけれども、まあ一つには役所の情報というのは、やはりうわさだけで情報にするわけにいかない、かなり確度の高い情報をつかまなければいけないということで、まあその点から慎重さを要請されるということもございますし、また、ビジネスの情報ということになりますと、これはまあ商売をしている人たちの方が早くキャッチするというような点もあるわけでございますが、いまのようなことで、特に政治面あるいは外交面あるいは軍事面等についての情報をできるだけ的確につかまえていくということ、さらにその分析をしていくということは外務省としてさらに今後も努力していかなければならない面だと考えておるわけでございます。
  71. 戸叶武

    戸叶武君 今度は一転して卑近な具体的問題からもう二、三質問いたします。  いまアメリカとの間でトラブルを醸しているところの自動車問題に関しては通産省、恐らくは外務省の人も主要な人々がアメリカに行ってアメリカ側と細かい折衝をやっておる最中であり、明日は現地から帰ってくるということでありますが、やはり自動車産業が日本において伸びたのは、ヨーロッパの人はかなり冷静に観察しております。やはりわれわれがウサギ小屋に住まいをしているような日本人というふうに言ったのは表現が少しえげつないけれども、やはり日本人の困苦窮乏をいとわないで発明、発見、改良、それから勤勉、そういう努力によって西欧諸国が怠慢な状態にあったときに、日本が省エネルギーの時代の波に乗るような、それに適するような小型自動車をつくり上げたということは、やはり驚異に値するものだというふうに一応は——半分は日本のやり方に対して意見はあるようですけれども、一応率直に認めておりますが、アメリカ側では何でも貿易の不均衡の原因は日本側にあるんだと、いいところはみんなおれによこせ、返せと、おれらがそういうにしてやったんだからというような高飛車と思われる形ですべて——豊葦原の瑞穂の国と言われていた日本人に米が食えないように締めつけてきたのはアメリカさんじゃないかとお百姓さんは嘆いておりますが、米だけじゃなく何でも、自動車であろうが何でも、とにかくアメリカのために日本は犠牲になれというようなやり方でくるのは、これは明らかに覇権主義です。言葉で覇権主義とか帝国主義とかと言われるといやかもしれないけれども、手前勝手な話です。そういう形で、自動車の問題でも日本の業者すらいろんなそろばんをはじいてみても、これじゃやっていけない、政府の方では、やっていけないと言ったってアメリカが無理押しするんだからやっぱり忍ばなくちゃならないぞと言って、がまんしろ、がまんしろというふうになだめているが、アメリカのバンス国務長官でも堪忍にも限界があるというふうに、日本の国民の中にもアメリカ人以上にやっぱりプライドがあるので、私はやはり大変なこれがアメリカに対する反感をつくり上げる芽になる危険性があると思うんです。アメリカの失業者をなくさせるためにアメリカへ持っていって自動車をつくる、じゃあアメリカがうまくいっているときにそれをアメリカがやったか。私は岸さんがアメリカに行って、最初に行って、ダレスさん兄弟にねじふせられている情景を見て、アメリカもいいところあるが悪いところもずいぶんあるなあということを私は見させられたのですが、自分たちに都合のいいところしか絶対に拍手しないんです。国会においても、ニューヨークにおける日本人会の集会においても、恐ろしく手前勝手な国だということをこのときにつくづく感じたんだが、まあアメリカ自身がおごっている最中だからこれは仕方がないんだろうというふうに半分あきらめもありましたけれども、やっぱりアメリカ自身が気がつかない前にアメリカに対する反米感情というものはアメリカ自身が巻き散らしているんじゃないかということを、日本もそういう過去において失敗をやっているだけにつくづく思わさせられる節があるんですが、自動車問題なんかでもその一つです。米の問題だってそうです。米の問題は、農林省の方に直接聞いてもいわゆるダンピングじゃない、いろんな立場説明したらアメリカの方でわかってくれたようだと。大体私はわからないはずはないと思いますが、自動車問題でも、日本自身がやはり言うべきことを言わなければ、アメリカではやはり金持ちのだんなさんと同じで苦労が足りないからわかってくれないんじゃないかと思いますけれども、どうです、あしたの晩の最終成約を持って現地に行っている人が帰ってこない前には見通しは立てられませんか。大臣はいま報告はできませんか。
  72. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) この自動車問題は、先般私ワシントンに参りましたときにも、バンス国務長官及びアスキュー貿易通商代表からもいろいろ話が出たわけでございます。いまアメリカにもいろいろな意見がございまして、必ずしも一本にまとまっているわけじゃございませんし、新聞の論調などでも、これはそもそもアメリカの自動車工業が大型から小型に転換していくタイミングなり経営上の判断を誤ったためにこういうことになっているんだと、そしてこれはアメリカ自動車工業の怠慢であるという批判も、かなり強くそういう意見も一方において出ておりまして、政府の方としては、日本車の輸入制限はやらない、これは政府方針だということを、これもアスキュー代表が言っておったわけでございます。他方しかし、そういう状況のもとで日本側の自動車メーカー、特に日産、トヨタの米国への投資を希望すると、その一つの理由は、そのことがアメリカの自動車工業の目を覚ます、競争によって改善するという点にもなる、まあいろいろ意見がございますが、この点については私どもとしては、できることなら、長期的に見て製品ばかり輸出するというわけにいかない面がアメリカでもヨーロッパでもあるわけでございますから、日本の企業がだんだん現地に行って先方と利益を分かちながら社会にアクセプトされる、受け入れられるという行き方が今後の日本の経済の発展としては一般論として必要だと考えるけれども、今度の自動車問題については、やはり最後的には経営者が独自の自分の判断によるべきものじゃなかろうかというような議論をしてまいったわけでございます。今度の会議で通産から行かれた方々が帰ってこられれば、またその後の状況も多少明らかになるかと思うのでございますが、これはいますぐどうということにはならない問題ではないかと考えております。
  73. 戸叶武

    戸叶武君 もう一つは、サウジアラビアとLPGの長期契約が日本四社で年間百万トン輸入が決まったということですが、サウジがこれだけに踏み切るのには、サウジ自身も王家が非常に国際的にアラブ諸国においては不安定な状態に導かれているので、いろいろな形において、その延命策においても相手を刺激しないということに重点を置いていろいろな工作をなされてきているようでしたが、よくここまで踏み切ったと思いますが、その経緯はいかなる経緯によってここまでこぎつけてきたんでしょうか。
  74. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) これはサウジアラビアにおきますところのメタノールプロジェクト及びいわゆるペトケミプロジェクトについての御質問かと察せられますが、これらにつきましては非常に長い年月をかけてようやく最近御指摘のとおり最終段階に向かって進みつつある次第でございます。この間は種々の考慮が払われたわけでございますけれども、結局、御指摘のとおり、今後油がなくなった後の時代に備えて国づくりを進めていくこれらの国々との協力をやっていかなくちゃいけないというのが基本的な考え方でこれが具体化されつつあると、そういうことかと存じます。
  75. 戸叶武

    戸叶武君 そういう報道と間髪を入れずに今度はロンドン情報として、サウジ原油低価格の秘密という形で、王族がリベートを取っているという形において、イランのシャーの行動を思わせるような暴露記事が報道されてきておりますが、これは日本とサウジアラビアの接近ということに対して何か水をぶっかけるような一つの企てがどこかにおいてなされているのかと思いますが、これはどういう経緯からこういうふうな報道がなされているんでしょうか。
  76. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) サウジの内情につきましては、そのような報道があるということも耳にいたしておりますけれども、われわれとしましては十分にそのような問題についての材料を有しておりませんので、何とも申し上げかねる次第でございます。
  77. 戸叶武

    戸叶武君 私たちがサウジアラビアを訪ねたのは二月の末ごろでありますが、そのころ王族の秘密会合がなされておったのは事実であります。王族は三千人とも言われ、一万人とも言われておりますけれども、それはやはりアラブ諸国におけるいろんなあらしが吹きまくる中において、過激派と言われる方面にも身の安全を願ってか資金カンパも行っているという状態で、多角的な形で金持ちけんかせずで安穏を求めていたサウジアラビアとして、この辺でやはり八方美人的でなく自分たちも踏み切らなければならないという考え方のもとにそういう具体的な行動を起こしたのかどうか、それを知りたいんですが、それは憶測程度でそれ以上の確証というのは得られないかと思いますが、千葉さんはどのように見ておりますか。
  78. 千葉一夫

    政府委員(千葉一夫君) 私どもはやはりさっき言いましたように、いつまでも油があるのではないという認識に立って国づくりを進めていくというサウジアラビアの基本的な方針がその根底にあると思っております。
  79. 戸叶武

    戸叶武君 やはりエジプトに行きまして、国会の議長もエジプトの大学の総長として国際的な学者でありますが、エジプト自体がやはり中東全体の平和、安穏ということに対してどれほど苦労をしているかということを各方面の人と会うことができて知り得たのでありますが、サウジアラビアがやはりエジプトの背後にはあって、そうしてアラビア全体の調和と繁栄、平和を願っているというような悲願を抱いているのは事実だということがあるところまでわかってき、その上に立っての捨て身の外交がイスラエルともなされたものと私たちは測定しておりますが、いま一番むずかしい刃渡りのような外交が中東においてなされておりますが、見通しとして、部分的なトラブルは起きても大規模戦争へ持っていかないという自制力がアラブ全体の自制力からも、私はやがて生まれるんじゃないかという期待を持っております。アメリカなりソ連なりもやはり力の外交の限界というものはいままでの経験で知らないはずはないんで、知らなくともやはり外交を揺すぶっていく上においては非常な決断で事をやっているように見せかけて揺すぶり作戦をやって、それに乗っかってしまうのがおっちょこちょいで、そのことを知って私はソ連なりアメリカも刃渡りの外交をやっていると思うんですが、いま最終的に、小野さんも心配していましたけれども、このテンションに乗って、そうして一部のアメリカにおいても良識ある人とは思えないが、やはり大統領選挙前における先導政治家の権謀術策に陥って、このどさくさに軍備でも拡充しなけりゃチャンスがないぞとばかりにファシストの台頭は目に余るものがあるのでありますが、その中にはばくち打ちであろうがごろつきであろうが何でもいい、これが国のためになるんだと言えばそこに大義名分が立つかのような粉飾をして、そうして政治を汚いものにさせておりますが、まあ日本のことは外務大臣はうっかり言えないでしょうが、私は問題は外交防衛の基本的なやはり責任者である内閣総理大臣なり外務大臣というのはよほどふんどしを締めていかないとえらい緩ふん外交によって私はとんでもないところへ吹っ飛ばされる危険性があると思うんですが、大丈夫ですか、大平さんをいまごろアメリカへやって。
  80. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの御注意はよく承りますが、日本としてもいろいろな世界の情勢の中で外交方針を決めていかなければならないわけでございまして、その自主的な立場もこれはやはり国民的な背景のもとにいろいろ考えられてきておるわけでございますし、また相対的な日本発言権なり経済力というものも世界の中で大きくなってきておりますので、この自主的な判断に基づいて行動する、決意するということでまいるべきだと思いますし、そういう立場を踏まえていれば大丈夫だろうと思います。
  81. 戸叶武

    戸叶武君 それでは時間がありませんので質問を打ち切ることにしますが、アメリカで最も危機が深刻なのは私はインフレーションを食いとめることであり失業者を救済することだと思いまして、戦争をやるなどという冒険政策アメリカでもソ連でもできないと思うんです。その手に乗らないで、日本自体のやはり危険なのはいまの物価の値上がりと働く人々の生活に対する絶望感です。これがなくなってしまうとえらいことになると思いますから、外務大臣は単なる外務大臣としてでなくエコノミストとして著名な方ですから、その方にもいまから心してやはり対処していかれんことを期待して私の質問を終わります。
  82. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      —————・—————    午後一時十四分開会
  83. 石破二朗

    委員長石破二朗君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更に関する第四確認書締結について承認を求めるの件外九件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。    〔委員長退席、理事稲嶺一郎君着席〕
  84. 田中寿美子

    田中寿美子君 外務大臣お尋ねいたしますが、きょう正午、総理大臣初め重要閣僚が、アメリカイランに対する制裁日本にも同調するようにという幾つかの要請がありましたことについて、どのように対応するかということの協議をなさったと思うんですが、何か結論が出ましたか、方向が何か出されましたか、お聞かせいただきたいと思います。
  85. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 正午からの会議で、いままでかかりまして、当委員会をお待たせいたしまして申しわけございません。  きょうの会合は、私から、アメリカ側の従来の申し入れ内容、それから現在までに入りましたイラン、ヨーロッパの主要国等の状況、概要を話しまして、もう時間がいっぱいになりましたので、この会合をさらに引き続きやろうと、まだ、次回いつということは決まりませんでしたが、引き続きやっていくと。閣僚としては、総理官房長官、大蔵、通産、外務、企画庁長官と、そういう顔ぶれでございまして、また、協議の内容によっては、必要な閣僚も含めて随時協議をしていこうということでございました。まだ対策というところまではきょうは入りませんで、状況報告ということで終わったわけでございます。
  86. 田中寿美子

    田中寿美子君 新聞などで拝見いたしますと、相当厳しいさまざまな要求が出されているというふうに伺っております。  それで、午前中の小野委員質問に対してのお答えでは、日本政府アメリカイラン制裁要求に対して同調する部分もあるし、同調できない部分もあるというようなあいまいなお返事であったと思うんですが、そうしますと、そういうようなことに関しては、単に状況報告だけで、まだ全然方向は出されていないということでございますか。
  87. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは午前中申し上げたわけでございますが、内外の情勢を踏まえて慎重に行動しなきゃならない、早急なリアクションといいますか、対応は避けなきゃならないという意味で、まだ方向を打ち出すという段階には来ておらないわけでございます。
  88. 田中寿美子

    田中寿美子君 日本の非常に苦しい立場政府態度にもあらわれていると思うのですけれども、アメリカの非常に強硬なイランに対する断交のあのやり方ですね、これは西欧諸国反応を見ましても、たとえばフランスの外務大臣などは、カーター大統領の周辺に人物がいないのではないかと、あのように絶えず揺れ動いているのに、おつき合いしかねるというようなことまで酷評しているように報道されておりました。まあ多分、選挙を意識してのカーター大統領イラン対策のはっきりしないことに対するいらいら、それを人気挽回のために、こういう強硬手段をいまの段階になってとったんではないかというふうに私たちも想像しますけれども、しかし今度のようなやり方は、うまく人気に結びつくかどうか、むしろこれは怪しいのではないか。だから、先ほどのフランスの外務大臣は、カーターの人気がこれでむしろ下がっていくということになって、共和党のリーダー、タカ派の大統領が出たのでは、これまた困ると、どちらもおつき合いしかねるというようなことすら言っているわけなんですが、このようなアメリカ反応、全くこれは政治的な国内向けのつもりであったのが、事実上こういうことを友好国に呼びかけてまいりますと、どういうことになるかわからない。たとえば一番困らせられるのは日本だと思いますけれども、もし制裁同調しない場合には、友好国同調しなくともイランから石油は買えないだろうという意味は、海上封鎖を意味しているんだと思うのですけれども、そのようなことをする。たとえばペルシャ湾の封鎖をするというような事態になった場合、日本は、それでもやっぱり同調するという立場に立つんですか。
  89. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) フランスの外務大臣がいまおっしゃったようなことを発言したかどうか、私が聞いておりますのは、ポニアトウスキーというフランス政府の顧問の発言ではないかと思いますが、いずれにしても批判的な意見ももちろんございますが、たしか外務大臣発言ではなかったと存じます。  海上封鎖の御質問もございましたが、いまの現状ではアメリカカーター大統領声明に盛られたような国交断絶を含む幾つかの措置発表をしておるわけでございまして、その大統領の声明の中では、われわれは米国が今般とる措置及び今後必要となり得べき追加的措置について同盟友邦諸国と引き続き協議していくということをうたっておりますのと、それから先ほど午前中にも申しましたが、最後部分で、これらの措置人質の早急な解放をもたらさない場合には他の行動が必要となるかもしれないという言い方をしておるわけでございまして、他の必要な措置というのはどういう内容かということは何らまだ正式な発表はございません。で、これが海上封鎖であるかどうかはわれわれにもわからないわけでございますが、しかしそこまでいくと非常に重大な結果になるということはアメリカ側も十分承知しておると思いますので、現在の段階でのアメリカ立場といいますか、政策は、できるだけ友好諸国、特に日欧の工業国諸国に協力を求める、それによって経済面での圧力を強める、それが人質問題の解決にも何らかの糸口にならないか、そういう方向でいきたいというのが現在の立場かと存じます。  で、もし日欧側から十分な協力を得られない、効果的な経済措置も行い得ないという場合に他の措置が必要になるかもしれぬというような大体の姿勢であろうかと存じます。
  90. 田中寿美子

    田中寿美子君 アメリカ側から同盟国が協調しなくて効果が上げられなかった場合に他の措置を使うかもしれないという意味は、つまりいまの海上封鎖なんかにつながっていくのではないかと思いますけれども、それら経済的な制裁だけでなくて政治的な制裁も要求してきているというふうに報道されておりますね。それはどうお思いになりますか。政治的制裁というと、公館、大使館縮小だとかそれから大使召還だとかということも含むことだろうと思いますが、そういうことは要求があるのですか、そして、もしそれがあった場合に日本政府はどうなさるのですか。
  91. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) アメリカのとる措置の中に、ことしの一月の安保理事会に出されました米国案、対イラン経済制裁ですか、それの経済制裁決議案というのがございまして、これは午前も申しましたが、十対五でございましたけれどもソ連のビトーで否決になったという案でございます。その中にいろいろな具体的な措置が書かれておって、これをアメリカとしては実行するのだという立場でございます。  で、外交官の問題については、大使館縮小というようなことがその決議案には出ておるわけでございますが、今回はその大使召還ということをやってもらえないかという部分がございます。ですから、その面が政治的な問題、それからさらに、これはいつかわからないわけですが、将来どうしても情勢が改善しない場合には国交断絶ということも含めて各国協力を得たいという部分もございます。
  92. 田中寿美子

    田中寿美子君 そのような要求に日本政府は応じるべきだと思っていらっしゃいますか、外務大臣
  93. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 今後は、先ほど申しましたようにいろいろ内外の情勢を把握していかなければならないと思いますが、現状におきましていまのような外交上の措置日本としてはきわめて困難だろうというふうに判断しております。
  94. 田中寿美子

    田中寿美子君 私は、そのような措置をとったら日本イランの関係というものは非常に悪くなるし、それからそもそもイランにおけるアメリカ大使館人質事件の解決にはならないですね。今回のようなアメリカ側の強硬な断交措置に対して、もし軍事行動にまでも及ぶようなことになったら、イランの方では人質をみんな殺してしまうというようなことまで言っているわけですから、その解決にはならない。何のためにそのような方法をとったのかということは全く理解しがたいんですね。これはカーター大統領の非常に稚拙な外交ではないかというふうに私は思います。  で、午前中御説明があったと思いますけれども、経済制裁の問題で同調できる部分というのはどういうことを意味していらっしゃいますか。
  95. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはもうすでに日本としても実行しておるわけでございますが、たとえばイランからの石油輸入量を人質事件の前の量を超えない範囲に抑える、こういうことはすでにやってきておりますし、今後も続けるべきことかと思います。
  96. 田中寿美子

    田中寿美子君 たとえば新しく信用供与しないとか、それから貿易をふやさないとか、いままでよりはふやさないとか、それから石油の購入量を事件前以上にはふやさないとかというようなことが今回の制裁への同調ということになるかどうか、私はそれを同調としてアメリカが納得するかどうかはわからないと思います。大変いまアメリカ日本に対して恫喝的な態度をとっているというふうに思いますが、その点に関して日本イランから石油を大量に買っているという問題だけでなくて、やっぱりイスラム圏諸国あるいはアラブの産油国なんかも一連の関連がありますので、簡単にアメリカ同調するべきでないということは政府も判断していらっしゃるはずだと思いますが、もう少しその辺を毅然とした態度をとっていただきたいと思います。  それから、三井の石化プラントの方は、あれはあくまで除外しておくということでございますか。
  97. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 日本政府のたてまえとしては、石油化学の問題は継続するという従来の方針をいまのところは続けておるわけでございます。
  98. 田中寿美子

    田中寿美子君 いままで御説明のあったようなことは、アメリカの要求している経済制裁にはとても合わないというふうに思うんですが、それで切り抜けられると思っていらっしゃるかどうか、それは私むしろ日本立場を積極的に説明され、アメリカのとった政策は間違っているということを指摘されるべきではないかというふうに思っております。どちらにも自分の方とはうまくやろうとしているんだというふうに思わせるいわゆる玉虫色の政策なんということは、今回の場合あり得ないというふうに思います。人質事件の問題は、急にこういうふうにしなくたってこれまで五カ月もかかっていることですから、もうしばらくアメリカが待っていればよかった。しかし、それがカーター大統領の判断では自分の人気と関係して、この際こういう強硬手段をとるべきだという判断をしたこと自体は私大変これ問題で、日本としても友好国であるならばその辺をきちんと忠告してあげるべきだというふうに思います。  それで、私はただ非常に心配するのは、いま日米経済摩擦の問題がたくさんある。それを、今回アメリカイラン制裁同調しなかったら、そっちの方で、日本アメリカの間に懸案になっている幾つかの経済摩擦の問題の方で日本を困らせるぞ、あるいはダンピングの対象として非難されているようなこと、あるいは日本アメリカ貿易の方で今度は制裁を加えるぞと言わんばかりの態度をとられたのではこれは重大な問題だと思いますが、その辺の見通しはどう思っていらっしゃいますでしょうか。
  99. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはこれから日本のとる措置とも関連してくるわけですし、アメリカ側がどの程度の措置日本なりヨーロッパがとればそれを協力と感ずるか感じないかということにもかかわるわけでございまして、いまの段階でどういうはね返りがあるかということはちょっと予測しかねるわけでございます。
  100. 田中寿美子

    田中寿美子君 日本アメリカの間の貿易上の摩擦の問題をこの際持ち出されてくるという心配はありませんか。
  101. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) それはいまの情勢によってはあると思います。
  102. 田中寿美子

    田中寿美子君 多分にあると思います。ですから、この辺も、この日米間の経済摩擦の問題も非常にアメリカの側の勝手な言い分がたくさんあるように思いますので、その点でもそれに引っかけられるからイランに対する制裁をというようなことにならないようにお願いしたいと思いますが、それいかがなんですか。
  103. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) けさも申し上げたわけでございますが、私もバンス長官にはいまのような問題、中東の問題を含めていろいろ話してまいったわけでございます。それに対して、これは朝申したことでございますが、バンス長官は——中東の問題を含めて長期的な見地から対応すべきだということを言ったわけでございますが——それは自分たちもよくわかるけれども、アメリカ人忍耐心にも限度があるからという発言を、これは三月半ばの段階でございましたが、言っておりまして、ヨーロッパ諸国からも同様な意見アメリカ側に再三伝えてあると思います。しかし、今後もそういう努力は続けるべきだと思います。
  104. 田中寿美子

    田中寿美子君 私、東京ラウンドのダンピング防止協定の問題、それから補助金・相殺措置協定の問題に入っていきたいと思いますけれども、東京ラウンドで合意された部分、特にダンピング防止協定というのは、ダンピングされた輸入品によって国内の産業が損害をこうむったときに認められる特別の関税について決めてあるわけなんですね。それからもう一つ、相殺関税は補助金つきの輸入品によって国内産業が損害をこうむったときに認められる特別の関税、また補助金によって貿易の流れがゆがめられたというときに認められる国際的な補助金の協定だと思うのですが、これは外務省説明によりますと、これでわが国のメリットがたくさんあるというふうに書いてありますね。それで、つまり各国によるダンピング防止税の乱用が防止される、各国の相殺関税乱用が防止される、そして公正な競争と貿易の安定的な拡大が期待されるというふうに説明をしていらっしゃるわけなんですけれども、どうも日米間の貿易の点では対米貿易のアンバランスがひどいからアメリカの側が非常にいらいらしている、これは想像できることなんですけれども、たとえば例をアクリル繊維の問題にとってみますと、ことしの三月六日にアメリカの国際貿易委員会がこれはダンピングだという判定をしましたですね。これをダンピングだと判定した根拠として東京ラウンドの後七九年新通商協定法というのをつくって、それによって判定したわけですね。まだほかに半導体だとかカラーテレビだとか鉄鋼などが提訴されている。その新通商協定法というのは東京ラウンドに見合って成立したものであって、貿易をより開放して自由にするということのためにあるはずなものなんですけれども、どうもこれで見ておりますとダンピング防止協定を乱用しないはずなのに、むしろ厳しく日本に対して当たっているような感じがするので、これは東京ラウンドの精神に反しているというふうにお考えにはならないでしょうか。    〔理事稲嶺一郎君退席、委員長着席〕
  105. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 最近行われましたアクリルの対米輸出についてのダンピングの認定でございますが、実は昨年の十月、アメリカの財務省によりましてダンピングありという認定はすでに行われておったわけでございます。その後先ほど先生がおっしゃいましたように、三月の六日に米国の通商委員会によって被害があるという認定が出されたわけでございます。私どもはこの案件が米国内で係争中の間、日本側アメリカ側要請を入れて輸出自主規制などをやっておる関係もあり、損害があるはずがないじゃないかというようなことを申し入れてきておったわけでございます。その後、それにもかかわらずこのような被害がありという認定が出されましたので、現在、実を言うと、どういうふうな根拠によって損害があるというふうに認定したのかということを問い合わせ中でございます。新しいコードは、アメリカの一九七九年の通商協定法におきましてもこれを守るんだということが書いてございますし、またそのコードに従いまして米国の反ダンピング法も改正をされ、まあ従来は単にダンピングで損害があればダンピング裁定をしていいということになっておりましたのを、このたびは実質的な損害でなければいけないというふうに損害の定義を——定義と申しますか、損害が実際的で実質的でなければいけないというような強化された形になっております。その観点からどういうふうな判断で実質的な損害があったのかということは、ただいま問い合わせ中でございます。  他方、新しく成立をいたしておりますダンピング法によりますと、ダンピングコードに基づいてできました委員会におきまして、これは従来は問題があった場合の協議の機関にすぎなかったわけでございますが、今後はその場で調停なり何なり紛争の解決にもその役割りを与えたということになっております。したがいまして、アクリルの問題については、私どもはこれからアメリカから納得のいく説明が得られない場合は、このコードによってできました委員会に問題を出すことも考えられますし、やっぱりその意味から申しましても、全体としてアメリカの反ダンピング法の運用は乱用を抑えるという方向に変わってきたというふうに認識をいたしております。
  106. 田中寿美子

    田中寿美子君 ちょっと私いま聞き取れませんでしたけれども、ダンピング防止協定ができた後、アメリカのその防止協定の適用の仕方はこれまでよりも厳しくしたのですか、甘くしたのですか。つまり、ダンピングというものを甘くすれば次々これはダンピングだというふうに判定することになるわけなんですがね。それはどうなっているのですか。
  107. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) アメリカの産業に対しますダンピングの被害の認定におきましては、従来はアメリカの法律では単に被害があればよかったわけでございますけれども、今後はその被害が実質的な被害でなければならないという定義ができてきましたので、したがって容易に反ダンピング措置をとることができなくなってきた、つまりダンピングに対する反ダンピング法の乱用を防止できる方向に改善されたというふうに認識しております。
  108. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでしたら、国際貿易委員会ですか、その委員会の委員五人が全部アクリルに関してはダンピングだというふうな判定をしているわけですが、それは実質的被害、損害があったということによって判定したということになりますか。
  109. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 判定自体を行いました場合には、当然新しいアメリカ国内法に基づきまして実質的な損害があったというふうに判定したものだと考えます。ただし、どういうふうにしてそういう判定が行われたかということについては、まだ私どもは承知をしておらないわけでございます。
  110. 田中寿美子

    田中寿美子君 ですから、ダンピング防止協定ができ、それに基づいた新通商協定法ができても、東京ラウンドの精神に反して保護主義が支配しているような感じがするわけなんで、それならこんなもの、ダンピング防止協定なんかつくったって余り意味がないのではないかなというふうに私は素人で考えるわけなんですがね。  それで、自動車の問題ですが、日本車の対米輸出というのは七九年度百十四万台、八〇年度はそれよりふえておりますかしらね。そして、アメリカからの車は二万台と、非常に少ない。そこでアンバランスがある。アメリカの言い分によれば、このために失業者がふえたり、一時帰休二十万人が出ているというような言い方をしていますね。それで、そのために工場をアメリカに進出させよという要求があって、この問題に関しては折り合いがついたのですか。それとも何かアメリカは、この問題に関してはもう話がわかった、将来日本の工場進出の見込みがあるというふうに思っているのかどうか。そして、日本側がそういう方向アメリカと合意をしてきているのかどうか。それを伺いたい。
  111. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) ちょっと恐縮ですが、田中先生のお声が十分聞き取れなかったのですけれども、大体のことでお答え申し上げますから、足りなかったらまた言っていただいてあれですけれども、自動車問題で日本の対米輸出が急速にふえた、二月にはアメリカのシェアの二二%に達した。まあ日本から昨年は二百万台も乗用車を輸入したのに日本は二万台しか輸入しない、そういうようないろんなことが言われておりますし、また失業者が自動車産業で二十万台ですか、というようなことにもなっておる。ただこの点につきましては、午前中もちょっと申し上げましたように、その原因は日本車の進出ではなくて、アメリカの自動車工業が大型から小型に切りかえるのがおくれたためなんだ、それはアメリカの自動車工業の怠慢によるものだ、それからエネルギーの消費の節約、それから消費者が自動車を買うための負担等からいって、日本車の輸入を抑えることはかえってアメリカの消費者の利益なりエネルギー政策に反するんだと、こういう意見も一方アメリカの中にいろいろございまして、自動車工業の一部、あるいはユナイテッド・オートモービル・ワーカーズ、この前、日本に参りましたフレーザー、こういうような人たちからは日本の乗用車の急速な進出による被害ということがいろいろ言われてまいったわけですけれども、必ずしもアメリカ国内の物の見方はいま申しましたようにいろんな意見がございまして、一つにまとまっておらないわけでございます。  それから、日本からの車の輸入規制を行うべきだ、あるいは日本側に自主的な輸出規制を求めるべきだということ、そういうことを言っている人もありますが、アメリカ政府としては、それはやらないということを、先般私参りましたときもアスキュー通商代表が明言しておったわけでございまして、ただ自由競争を害さないで、それからアメリカの雇用機会を余り失わないで済ませるのは、日本の自動車メーカーがアメリカに来て工場を建てることだ、これはかなり広い範囲でアメリカ政府の内部、議会、それから自動車業界にもある。これに対しても自動車業界の一部には、いや、自分たちも小型車に大幅に転換するからやっていけるんだという見方もあるわけでございまして、必ずしも統一した一つ意見ということにはまだアメリカ国内でなっていないように思います。
  112. 田中寿美子

    田中寿美子君 私も、企業の側は保護主義でいくけれども、しかし政府の方としては、いまのアメリカのインフレ対策には安い日本の自動車を輸入する方がいいと考えている向きもあるように理解していますけれども、その自動車の工場をアメリカで建てるということに関しては、日本の企業の中では、通産省の方でも問題がちゃんとまだ煮詰まっていないようですけれども、向こうで建てるということになったら問題がありますでしょう。たとえば、一番困るのは労使関係なんじゃないかなと、日本の労働組合のあり方とアメリカの労働組合、労使のあり方はまるで違う状況なんですが、そういうままで工場を建てて日本は困るというふうに思っているのではないのですか、その辺どうですか。
  113. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) それは日本の自動車メーカーはその点を心配している点もございます。
  114. 田中寿美子

    田中寿美子君 そうですね。
  115. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) アメリカ側はそういうことを言うけれども、たとえばフォルクスワーゲンがアメリカに来てそういう条件のもとで成立しているじゃないか、あるいはその他の分野に日本の企業もいろいろ来ているけれども、ちゃんと利益を上げてやっているじゃないかというような反論みたいなものがございますけれども、日本のメーカーの言い分といいますかには、その点も含まれているように存じます。
  116. 田中寿美子

    田中寿美子君 アメリカが車を輸入せよという向こうからの要請がありますね。それで、その場合に日本の車検がうるさいとかあるいは公害対策のいろいろの規定がうるさいとか、そういうものを十二項目にわたって緩和せよという要求があったというふうに私は新聞で拝見しましたけれども、そのことを日本が非関税障壁をかけているんだというふうに言っていると言われておりますけれども、それはどうお考えですか。非関税障壁と呼ぶのは妥当じゃないと思いますけれども、どうお思いになりますか。
  117. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 自動車をも含めまして検査の規格ですとかその手続ですとかは、本来生産の効率の向上あるいは消費者の利益の増大あるいは生命とか環境とかの保護等の目的のために重要なものでございますけれども、また他方、同時にそれが直接あるいは間接的に国際貿易の障害となり得るということは、これは国際的に認識されているところであろうと思います。そういうことを踏まえました上で、このたび規格に関するコードをほかの諸国とも協力してつくり上げてきたわけでございます。したがいまして、日本が持っております規格なり検査の手続というものが日本の置かれておりますたとえばその環境問題ということから必要であるという範囲におきましては、これは日本として当然守っていかなければならないところでございますし、またコード上もそれが認められておるわけでございます。ただ、それを具体的にどの項目についてどういうふうに適用するかということにつきまして、もし意図しないことでありましても国際貿易の阻害要因になっており、かつそれが日本独自の環境なり生命の保護に違反しないというものである場合には、それは先方からの申し入れに応じまして話し合いを行っていくということは一向に差し支えないことであろうというふうに考えております。日米間におきましても昨年来から米国のいろいろな要請を受けまして、日本の検査問題について話し合いを行ってきておりますけれども、これも今回御審議願っておりますコードの趣旨に沿ったものであるというふうに考えております。
  118. 田中寿美子

    田中寿美子君 ですから、日本が自動車に関していろいろと規制を持っているものの、大部分は別に関税障壁、非関税障壁と呼ぶべき筋合いのものではないというふうに判断してよろしいですね。
  119. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) そのもの自体は、先ほど申し上げましたように、日本事情に応じてつくってあるものでございますから、それをそのままガットないしはコードで言っている関税障壁の貿易を阻害するためにつくっているものでないということははっきり申し上げることができます。
  120. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでは小型トラックのことですけれども、これはこの間ニュースで見ておりまして、現在四%の課税がある。しかし、これは低過ぎるので年内に八%に引き上げる、やがて三、四年後には二五%まで引き上げるということをアメリカ側が要求してきているというふうに伺いましたけれども、これはどういうことですか。
  121. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 現在米国の関税の制度によりますと 部品には四%の税金を課しております。それから、完成したトラックについては現在もうすでに二五%の関税をかけておるわけでございます。米国の財務省は、従来トラックのキャブシャシー、つまりトラックの荷台のないものはトラックの部品として部品に分類いたしまして、したがって四%の関税を課してきていたわけでございます。ところが昨年の十月十七日にこの分類を見直す作業を開始いたしまして、現在財務省で検討を行っているようでございます。日本といたしましては、従来ともキャブシャシーというものは四%の部品として分類をされてきておりまして、かなりの台数を日本からアメリカ輸出し、現地で完成したトラックに組み立てて販売をしておるわけでございますが、この分類を変更いたしましてトラックのキャブシャシーを完成車ということにするということは、米国の国内法上四%の部品というふうに確立された貿易慣行ということになっておるので、それが明確に誤りと判断されない限り、より高率の関税を賦課するために変更してはならないということが米国国内法にもございますし、その点を指摘するとともに、ガットの上から申しましてもガットの二十八条に関税譲許の修正についての手続を定めておるわけですが、この再分類ということを理由としてそれに伴って譲許税率の一方的な変更を認めることはできない、また、さらに貿易政策上から申しましても従来四%で出しておりましたものをキャブシャシーに二五%の関税を課されるということになりますと、大きな貿易阻害効果を持つものでございますから、そういう点を米側に示しまして現在の分類を維持すべきであるというふうに主張をいたしております。
  122. 田中寿美子

    田中寿美子君 何年間のうちですか、五年以内に二五%に引き上げるということに関してアメリカ側から通知があって、日本側もそれを受け入れたかのように報道されておりましたが、いまのお話ですと関税率の修正に関してはガットのコードでそう簡単にはいかないということなんですね。  次々といろんな問題を持ち出されているわけですが、お米ですが、日本の過剰米の輸出についてアメリカの生産者団体からクレームがつけられた、これはダンピングだ、トン当たり二十九万円で農民から買い上げた米を六万円で輸出している、しかもその輸出先が韓国だとかインドネシアだとかそれからペルーですか、アメリカのお得意先である、日本はダンピングをしているというようなこと、あるいはこれは補助金・相殺関税協定の条項に当てはまるのではないかというふうなことを言われて、そしてアメリカの業者がアメリカの通商代表部に提訴しているということでございますね。これは先般アメリカの議員が見えたときに大臣にも話があったのかと思いますけれども、この問題についてはどういうふうに日本側は解釈をしていらっしゃいますか。またどのように向こうにおっしゃっておりますか。
  123. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 日本の過剰米の輸出につきましては、私どもはこれは関係国からの要請に基づく援助的な性格を持つ輸出であるというふうに認識をいたしております。ただ、その輸出に当たりましてはFAOで決められております余剰農産物の処理原則とか、あるいはガットなどの国際的なルールに従って米の伝統的な輸出国の貿易に悪い影響を及ぼさないように留意をしてきておるわけでございます。しかし、他方日本の米の輸出について従来ほとんど輸出がなかったものが急に出てきたというふうなこともありまして、その見通しが不明確だ、そのためにまた米の国際市場に不安定要因を与えておるというようなことをアメリカ側では心配をしておりまして、また特に韓国、インドネシア等に、先生が御指摘になりましたアメリカとしての輸出関心があるところに日本政府の援助のもとで米を出すというのは、アメリカの商業的な輸出に支障を来すのではないかという懸念を表明をしておるわけでございます。われわれはアメリカ側に対しましては韓国、インドネシア等の国々の経済、食糧事情というものにかんがみて、これらの国に対して食糧援助を行うということは不当ではないということを指摘するとともに、日本としても国際貿易にひずみを与える形で輸出をするつもりはないということを明らかにして、アメリカ側に対して理解を求めているところでございます。
  124. 田中寿美子

    田中寿美子君 農作物の価格保証制度はダンピングの理由にならない、あるいは相殺関税とみなす、の対象にはならないということだと思いますね。それで、今後いまの過剰米は要請があって、それぞれの国に売り出したのだと、日本としては飼料として売るよりは、トン当たり六万円ならずっといいということで売ったんだと思うのですが、そういう意味で今後日本の中にある米の二重価格とか食管制度の問題と、これとは別に関係ないですね。
  125. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 米の輸出に関連して申し上げますと、今度のコードでは一次産品、これは農産物の輸出につきまして、この輸出補助金が禁止されている条件が実は二つございます。その一つは、従来の国際貿易の中におけるシェアと申しますか、自分の持ち分をふやすようなかっこうで出してはいけないと、それからもう一つは、どこか特定の市場におきます国際価格を大幅に安くして出してはいけない、そういうようなことは差し控えるようにということになっておるわけでございますけれども、今回の私どもの米の輸出はこのどちらにも該当しないというふうに考えております。そのほか国内の補助金につきましては、これは国内でその補助金が経済上、社会上あるいは地域政策上いろいろな理由で使われていることは、これは各国とも共通でございまして、この国内における政策としての補助金の供与につきましてはこれを禁止するという規定はございませんし、またそれをむしろそういうふうに使われているということを積極的にこの中で認めておるわけでございます。
  126. 田中寿美子

    田中寿美子君 お話を聞いておりますと、アメリカの側はアメリカの側でこれは当然東京ラウンドの精神に基づいてやっているんだと、日本の方も貿易上のやっていることは一つも東京ラウンドの約束にひっかかっていないと。私、前回問題にしました途上国の方のこの東京ラウンドに関する非常にたくさんの批判も含めて、何だか東京ラウンドのこのすべての協定が余り意味がないような気がしてしまうわけですよね。外務省は全部メリットがあるというふうに書いていらっしゃる、そして貿易の開放がどんどん進みますというふうに書いてあるけれども、それぞれの国が自分の主張を主張しておりまして、一つもひっかからないということに何だか非常に不可解な感じもするわけなんです。  それで、時間があれですから、政府調達協定のことをちょっと伺っておきます。これも日本アメリカとの間で一番問題になっているのは電電調達の問題だと思うんですね。それで、これの解決の見通しはいかがでしょうね。先日、大臣は大平さんが行かれる前に電電調達の問題がめどがつくとは思われないというふうにおっしゃったと思いますが、これはどういう見通しでございますか。
  127. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 先生御承知のとおり、昨年の六月の日米共同発表の枠組み、手順の中ではことしいっぱいのうちに合意に達することを目的として話し合いをしようということでございます。その共同発表の以降、四回にわたって専門家レベルの協議を行ってきましたほかに、去る三月には安川代表も訪米されました折にUSTRのアスキューと意見の交換を行っておるわけでございます。そのときの話し合いに基づきまして、この件は引き続き冷静に両国間で話し合いを続けて、事務的に決着をつけようということで意見が一致しておるわけでございます。  今後の交渉見通しあるいはタイミングの問題についての御質問でございますけれども、私どもとしては日米間で合理的な解決が図られる限り、解決は早いにこしたことはないというふうに考えておりますけれども、そうかと言って特定のタイムリミットをつけまして、そのときまでに是が非でも解決をしなければならないというふうには考えておらないわけでございます。今後とも関係省庁あるいは電電公社という方々と密接に協議をしながら、何とか日米双方にとって納得のいく解決を図っていきたいというふうに考えております。
  128. 田中寿美子

    田中寿美子君 電電の中枢的な機器というのはこれは戦略的な物質ですから、そんなに簡単に日本の側も譲ることはできないものだろうと思います。ですから、牛場代表が日本は過剰反応をしているのではないかというふうに言われているようで、問題の仕方そのものも問題があるのかもしれません。  私は最後大臣に、それで日本アメリカは絶えず経済摩擦があるわけで、日本輸出超過なわけなんですけれども、一体こういう状態は今後八五年くらいまでの間の見通しですけどね、もっと緩和されていくものであるだろうかどうだろうかということ、まあ専門家でいらっしゃいますのでその見通しを伺いたいし、そして日米間の摩擦というものが少なくなっていくとすれば、どういう形でそうなるのだろうかというようなこと、それから東京ラウンドの私がさっき申しましたように、どれもこれもどの国もそれぞれ自分の国の立場に立って主張するわけなんですが、東京ラウンドの一番のメリットはどこにあるというふうにお思いになりますか、それをお伺いしたいと思います。
  129. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 日米貿易のアンバランスは数年前からやや傾向的なものになりまして、その幅の大小はありますけれども、大体日本がかなり大幅な輸出超過になることで、そういう意味では構造的なということも言われておるのでございますが、一つには、特に工業製品についての生産性の上昇率がアメリカは非常に低い、日本はかなり高い、次々にいろんな工業製品について日本が競争力を持つようになってきておるということが一つあるように思います。それは為替レートを通じてある程度は調整されるわけでございますけれども、しかし為替レートは全般的な貿易や金融の情勢を反映いたしますから、個々の産業の競争力でだんだん日本が強くなってきているという点が一つ、それからもう一つは、日本貿易の地域的な構造から申しまして、中近東に対して非常に大きな入超になるわけでございます。ことに今度のように油がまた値段が倍になりましたので、日本の輸入の大体半分は石油代だ、その石油の八割は中近東から参るわけで、中近東がそれだけ日本からの輸入をふやしてくれれば、地域的なアンバランスにはならないんですが、それはまあ向こうの方のそんなに買う物はないということになりまして、結局日本が経常収支のバランスを図ろうとすると、アメリカ、ヨーロッパあるいは東南アジア等にかなり大きな輸出超過にならないと全体のバランスがとれない。それに対してアメリカにしてもヨーロッパにしても日本が大きな輸出超過を持つことには、国際収支を多角的にバランスは考えるべきだという理屈はそれぞれわかっておると思いますけれども、現実にバイラテラルなたとえば日米間に大きなアンバランスがあると、従来もいろいろ摩擦を生じてきておるわけでございます。ですからそういう面での貿易の対米輸出超過というのは絶えず日米間の貿易上の摩擦として起こってくる可能性は将来もあるだろうと思います。過去においてもいろいろあったわけでありますが、まあどうにか両方の政府当局の努力によって余り大事に至らないでこれまで消しとめてきておるわけですし、今後もそういうことを繰り返していくことになるかとも思いますが、一つには、日本の輸入の中で石油が非常に大きいということ、この点に関連してやはり石油の輸入をもう少し節約すると。これは私ども外交立場からいっても、中東地域に非常に大きなエネルギーの供給を依存しておるということが外交を非常に困難なものにしておる——先ほど来の議論もございましたが、という点もあって、さらに一層石油の節約を図る。同時に石油以外のエネルギーに一日も早く転換していけるような政策を促進すると。そのことは、もし石油のかわりに石炭をかなり輸入して使うとなると、これは輸入相手先は中東ではございませんで中国とオーストラリアとアメリカとカナダ、これが主たる対日石炭供給源になる。それはまた日米の貿易のアンバランスの是正、日本貿易の地域的なアンバランスを緩和するということにもなりますので、これはまあ多少時間がかかる迂遠な方法ではございますが、日本の石油節約とエネルギー源の転換というのは日米貿易摩擦を避ける上にもできるだけ早く進めていかなければならないというように思いますが、その間はやっぱり時折貿易上の摩擦は起こり得る。  さらにもう一つつけ加えますと、やはり先端的な工業分野での日米間の競争が相当強くなってきておりますので、たとえばIC、通信機関係など、そういう面でございますが、これもしかし日本としてもできるだけいろいろな面での対米輸入をふやすというようなことで、お互いに貿易を縮めることではなくて双方に拡大することによってアンバランスを少しでも小さくするということでいかなければならないのじゃないかというふうに考えます。  それから最後に東京ラウンドのメリットについてのお尋ねでございましたが、先ほど来、お米の問題やら自動車、電電、いろいろ問題があることは事実でございます。ただ、たとえば政府調達にしても、アメリカは従来バイ・アメリカン・アクトというものがあったわけでございますが、この東京ラウンドの交渉でその大部分を廃止したわけでございまして、これはアメリカ側としても相当思い切った、政府調達に対する海外からの供給に道を開く、門戸を開放するという意味になるわけでございまして、具体的には絶えず問題が起こるということは避けがたい、それを東京ラウンドが不十分ではございますけれどもそういう貿易上の紛争をルールに従って一つずつ片づけていくそのルールの枠組みを提供しているという意味のメリットがあると思います。  アクリルの問題につきましても、この前ワシントンでアスキュー通商代表と一般的な意味で話をしまして、アメリカの通商法の結果かえっていろいろダンピングが恣意的に適用されては困るんだということを私どもの方からも申したわけでございますが、これについてはルールがあることでもあるし、われわれ通商代表部の方にもし具体的なケースがあったら何でも日本側から申し出てくれ、われわれもそういうことの内容は自分たちとしてもできるだけ避けたいと思っているからという答えでございましたが、まあ相互に貿易問題についてはいろいろな不満がある、アメリカ側には日本に対して、先ほどのスタンダード問題等についてもいろいろ不満があるし、日本側もいろいろ不満があるわけでございますが、これはやっぱり一つずつ話し合いで片づける、その話し合いで片づける一つの枠組みが東京ラウンドではないか。それからもう一つは、ほうっておけばすぐ個別産業の主張が出てきて輸入制限、保護主義的になりやすい条件を、東京ラウンドで各国政府が縛られていて、安易に保護貿易になってはいけないということをすでに頭にとめておかなきゃならない、考えなきゃならないという意味の大きな効果もあるように思います。
  130. 田中寿美子

    田中寿美子君 一言要望。  最初に問題にいたしましたイランに対する制裁の問題で日本政府がどういう立場をとるかということについて、外務大臣には大きな発言権がおありになると思いますので、前回もおっしゃいましたように、日本は平和と建設で世界に貢献したいとおっしゃっている、その立場から、アメリカがさらに軍事行動にまでもいくようなことがないように、日本立場をはっきりと主張していただく方向に御発言願いたいと思います。  終わります。
  131. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 本題に入ります前に、アメリカイランの国交断絶に伴う日本の対応について先回に引き続き改めてお尋ねを若干申し上げたい、こう思います。  事態は時々刻々激しく動いてくるのであるまいかという印象を受けるわけでございます。伝えられるところによりますと、日本時間にして今朝でございますが、バンス国務長官が大河原大使を含む主要各国二十五カ国の外交官を招いて今回の非常措置に対する事情説明が行われたと。ただ説明だけに終わったのかどうなのかという問題もございましょう。あるいはもっと、当然のことながら、同盟国としてのアメリカに対する協調というものを強く求められたという感じがするわけであります。それに絡んで、先ほど何人かの閣僚の方々がお集まりになっての御協議の場が持たれたと。伺っておりますと単なる状況報告にとどまった。それはそうかもしれません。わずかな時間でこうもしようああもしよう、こういう決断日本として対応していこうというその決着はなかなかつきかねることは重々わかります。しかし、いま申し上げたように事態が相当激しく動いているそのような状況の中で、日本としてももちろん慎重ということは何回も何回も言葉を重ねて大来さんはおっしゃっておられるとおり、私もそうは思いますけれども、しかし、これとこれは譲れないけれども、これとこれについてはもうやはり日米の友好のきずなというものを失わしめないためにも妥協せざるを得ないであろう等々の何らかの試案というものが、あるいは願望というものがもう出始まってよろしいのではないだろうか。先回もお伺いし、今回また再びお伺いして、先ほど来からの質疑を通して聞いておりますと、これでいいのかな、人ごとならずとも大変心配になる、そういう印象をやはり受けるわけでございます。恐らく大来さん御自身としては、外交の最高責任者として、私ならばいま腹の中ではこうしたいと思うんだがなあでもいいと私は思うんです。断定は私は求めませんよ、それは大平さんもいることでございますから。それでいろいろとここで発言されたことはもう直ちに世界各国反応するわけですから、言っていいことと言って悪いこともその辺は私もわきまえているつもりですけれども、私としてはこうしたいという、ここだけは譲れないという、そういった話も恐らく午後の会議ではちらちらと出たのではあるまいかな。状況報告ならばもう一昨日あたりからずっと新聞にも出ております。恐らくその範囲を多く出ないものであるとするならば、状況報告というものは何ら意味を持たない。あるいはもっとそれを踏まえた上で、むしろ外務省に入ってきた公電を中心にして私はこう思うという、何かそこでやりとりがあったのではあるまいか。それで各国の先ほど伺っておりますと、主要国反応についても報告をなされた。それを具体的にどういう反応があったのか。まずその問題からお尋ねをしてまいりたいというふうに思います。
  132. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはまあ目下のところヨーロッパではドイツ、フランス、イギリス、イタリア等からの大使館を通じる情報でございます。一つには、イースターの祭りがございまして、休日がございます。たとえば西ドイツでシュミット首相はまだ休みから帰ってきてないようでございますが、各国政府もそういうことで余り具体的な反応が出てない。それからもう一つは、きょうでございますが、十日、リスボンでカウンスル・オブ・ユーロップ、ヨーロッパの各国の外相が集まりますので、その際EC各国の外相も大部分来るので、このときに相談をしようと思っておるというような返事が多いわけでございます。ただ、まあそれぞれの国で事務的には内容検討を始めておるようでございまして、そういう意味で最高首脳部まで通した意見というのはまだどこも決まっていないというのが実情のようであります。
  133. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 まあそうしますと、いまヨーロッパの動きについてはそういう趣旨の御発言があったんだろうと思うんですが、したがって、日本としてもかねがね大来さんがお述べになっておられますように、西側の同盟諸国の動きが一体どうなんであるのか、反応はどうなんであるのかということをもちろん考慮に入れながら行動するということになろうかと思うのでありますけれども、しかし、いままでずっと伝えられてきたもろもろの情報というものを私なりに整理してみましても、これはまずアメリカに対する反応が非常に悪い。悪いということは同調できないというそういう空気が非常に強いのではないか。確かにそれぞれの事情があって最高首脳まで交えたそれぞれの国の施策というものが決まってないこともわからぬわけではございませんけれども、しかし、事態はもう急変しているという、そういう中で全く話し合いがそれぞれの国の最高首脳でなされていないということは考えられない。そんな感じもいたしますし、そうした中でやはり何となく微妙な動きの中に、とてもアメリカの強硬な方向というものについてはついていけない、こんなふうに判断するのが非常に妥当性を持ったものではないのかな。いずれにしてもこれはいまおっしゃったようにリスボンで開かれるそうした外相会議というものの結論を待つのか。それとも直接日本がイギリスなり、あるいは西ドイツなり、あるいはフランスなり、イタリアあたりの首脳陣と会って、それぞれの話し合いがもう進んでいるのか、どうなのか。その点はどうなんですか。
  134. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは今週末から来週にかけてだんだんいろいろな考え方も出てまいるかと思いますが、日本側としてもさらに特にヨーロッパ各国との接触を密接にして、相互に情報を交換しながら、ある意味では共通した対応策を考えていくと、できるだけ共通した対応策を考えていくということでまいりたいと考えております。
  135. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 共通した考え方に立って対応する、それが一体何なのかということはいまここでなかなかわかりにくい。日本日本としての立場がありますので、それは共通点というものはそう大きなものではない。そういう感じもいたします。事情が違うわけですから。  そこで、先ほどいろいろ御答弁を伺っておりましてふと思いついたことは、少なくともいままでの御答弁を全体的に整理して感じますことは、日本としては端的に言えば、アメリカの求めには応じられないという結論になりはしないかと、こういう感じがしてならないのです。しかし、大変いい表現だなと思って午前中から私感心して聞いていたのですけれども、同調する面もあれば同調できない面もある。しかし、それを詰めていきますと、どうも同調できない面の方が大勢を占めるのではなかろうかというふうに感じられてならないのですけれども、いかがでしょうか。
  136. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 先ほどお触れになりましたワシントンにおける各国大使へのブリーフィングがバンス国務長官からあったわけでございますが、いまの問題のお答えになるかどうかわかりませんが、そのバンス長官よりカーター大統領発表した対イラン措置を敷衍する形で大統領声明発出に至る経緯、事態の分析及び今後の見通しにつき説明があり、米国のとった措置をさらに有効なものとするためには友好国協力がぜひとも必要であるので、米国がかかる措置をとるに至ったやむを得ない事情を理解の上、支持と協力をお願いしたい、バンス長官各国大使に対してそういう発言をしたということでございまして、これは日本だけでございませんで、友好国全体に対してそういう要請アメリカが行っているということでございますから、当然日本日本自身の国益を十分に考えた上での、いまのどういう面で協力できるか、どういう面では無理かということを整理してみなければならない。ただそれはやはりほかの国の出方もございますことですから、日本だけが余り突っ走るということは避けなければならないというふうに考えるわけでございます。
  137. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かに日本を含む西欧同盟諸国に対して同じような要求がなされていることはわれわれ知っております。ただ、日本の場合と西欧の場合においては、受けるダメージというものがそれぞれ違いがぼくはあるんではないだろうかと。日本の方は前々から、アメリカの経済がくしゃみをすれば日本の経済はかぜを引くというふうにまで言われた大変緊密な関係の中で、今日までそういう状態が持続されてきているということ、まあヨーロッパも大変近い国でございますから、そういう関係性というものをもちろん保ってきたとは思いますけれども、しかし、いま置かれている日本国内事情というものとヨーロッパの国内事情というものはそれぞれやっぱり違いがある。その違いがある中で果たして共同歩調というものがとり得るものであるかどうか、その点についてはどう御判断になっておりますか。
  138. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは各国情勢判断、それからまあ西側の協力関係、それからアフガニスタンの問題などを含めた世界情勢、こういういろんな要素の上で判断をしなきゃならない。イランだけとってみれば、国によってその影響は大分違うわけですし、ただいまお話しのように日本は石油の依存度でも大体一〇%強と、西独も石油輸入の中でイランが大体一二%。しかし、全体のエネルギーの中で日本の方が石油依存度が高いものですから、そういう意味では一番大きな影響を受ける国だと申してもよろしいかと思います。  ただ、まあこれはたてまえからすれば、この大使館の占領と人質というような国際法の無視が行われている。そのアメリカ大使館ということから言えば、アメリカイランの二国間の問題でございますけれども、しかし、大使館をほしいままに占領する、大使館員を人質にとるということは国際秩序全般にかかわる問題でございまして、これは日本にとりましても、ヨーロッパ各国にとりましても、その他ソ連にとっても、世界の国にとっても大きな問題になってまいりますので、そういう立場では、やはりこの人質解放が行われない限りは、イランはどうしても国際的に批判を受ける立場にある、日本としてもその批判をしなければならない立場にあると考えるわけです。
  139. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それはそのとおりだと私は思うんです。ただし、残念なことには、申し上げるまでもございませんけれども、いまイラン国に対しては国際法なんというのはもう通用しない状況になっているんじゃないかと思いますけれども、いまお述べになったとおり、国際秩序を回復するあるいは維持するためにはイランは非難されてもやむを得ないと、こうなりました場合に、やはり何らかの日本としてもその制裁措置といいますか、いまの御発言から関連して申し上げると、アメリカ同調してせざるを得ないという論法になりませんでしょうか。
  140. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはまあ先ほども申し上げましたように、同調できる面とできない面とあるということで、一〇〇%のイエスかノーということではないと思います。
  141. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その辺が大変言うべくしてわからないような点なんですけれども、仮に同調できないという点は——今度逆に聞きましょう。先ほどは同調できる点は何ですかって聞きましたから、同調できない点はどういう点がありますか。
  142. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはまだ将来検討しなきゃわかりませんが、たとえば外交を断絶するというようなことは多分同調できないだろうと思います。
  143. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 当然ここ一両日来しきりに問題になっていた和田大使の引き揚げだとか、そういうことは将来においても全く考えられない、このように理解してよろしゅうございますか。
  144. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) まあ先ほど来申し上げておりますように、政府全体の方針はまだ検討が始まった段階でございますので、これはやっぱり大きな国の政策の基本にかかわる問題で、総理を初め関係閣僚との話し合いが十分につきませんうちは、確定的なことは何も申し上げられないと  いうことだと思います。
  145. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それでもう一遍ちょっと振り出しに戻りまして、今回強硬な措置アメリカがとらざるを得なかった。まあ大平さんの言葉をかりるまでもなく、心情的には理解できると。せっぱ詰まった、思い詰めたあるいはもう手詰まりの状態のままこれは突っ込んだという、そういう感じもするわけです。  そこでね、先回は食糧品と医療品については除外するという、そういう当初の考え方であったようです、カーター大統領気持ちの中にも。今回その食糧、医療品を含めてますね。そうすると、そうしたまず第一段としてねらったその効果というものはどこに置かれているんだろうかと。もういまもイランの状態はあえて申し上げる必要はないと思います。インフレがどんどん高進している。日用品も底をついてきている。もう日常生活に大変なパニック状態が恐らく近い将来起こり得る危険性というものが十分考えられる。そういったことにさらに追い打ちをかけるようなかっこうとして、まあ経済封鎖といいますか、そういったものの強硬手段に訴えたと。外務省としてこのアメリカ側がとった反人道的とも言えるかもしれない、——それは人質も反人道的でございますけれども、こうした報復措置について、どういう見通しを持ちながら、あるいはあとどのくらいの期間が経過すればギブアップするであろうと、あるいは解決の道を求めて話し合いということがイラン側からも出ることを期待しながらこういうことの挙に出たのかどうなのか、その辺の背景だとか経過についてどのように一体分析されているのでしょうか。
  146. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 米国側としては、とにかく従来もう五カ月以上になるわけでございますが、ことに最近この数週間については、イラン側にもできるだけの譲歩をして、話し合いで人質の返還あるいは人質の学生から革命委員会への移管というものの実現に努力していたと思われます。あるときは希望を持たせ、あるときは逆転するということを何度か繰り返して、まあ一昨日でしたか、やはり学生の手に置くのだというホメイニ師の指示といいますか、というものが出た、もうこれ以上はどうにも忍耐の限度を超えるというような立場になったのではないかと想像されるわけでございます。  アメリカアメリカ自身の国内の世論というものもございましょうし、いろいろ政治的な国内政治の問題もあると思います。ですから、現在の措置がはっきりした人質問題解決の見通しを持って下されたのかどうか必ずしも明らかではない。しかし非常にアメリカにとってとるべき政策の幅が狭まってしまった。特に国内の世論というものから考えて、選択の幅が狭まったという形でああいう決定がされたのではないかと想像しております。
  147. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いま申し上げたように、全部にお答えいただけなかったのですけれども、アメリカとしては、いまのイランの経済情勢国内の経済情勢というものを十分頭の中に入れながら、国交断絶という経済封鎖を含めた思い切った措置をとった。しかしそれでは、ちょうどざるの中に水を入れるような状況ではあるまいかという不安感がぬぐい切れない。そこで、やはり同盟国の協調を呼びかける、そして同盟国もそれにならって経済封鎖をすれば、これは完全にもう、かつて日本がABCDラインでもって経済封鎖をされて、ゴムを求め、油。求めて太平洋戦争へ突入した、まあ状況内容は、それは違うかもしれません。しかし、置かれている現在の状況というものは非常に近似している。ですから、非常に、そういう面で危険をはらんだアメリカ側の同盟国に対する呼びかけではないだろうか。ですから、繰り返すようで大変恐縮でございますけれども、同調できない面については、先ほど一つだけおっしゃった。それは大使の引き揚げ、いわゆる大使館の引き揚げですね。これはできない。それじゃ、ほかのものは同調できるのかという今度は反語が出てくるわけです。何らかの形で経済的な制裁を加える。いわゆる貿易量を減らすとか、具体的なそういう面でそういうふうなことをするのか。先ほどもちょっと出ましたけれども、石化プロジェクトの問題についても、アメリカ側からもう相当強い要求がいま出ているわけでしょう。現在の計画をスローダウンしてくれと、ところが、イラン側は、強力にこれを推進してくれと言う、もう二律背反する要求が両国から出ているわけです。こういう問題は、現実に対応しなければならないものとして迫っているわけですね。これはもう慎重にとか、あるいはヨーロッパの同盟諸国の動きを見て対応するという問題とは違うだろうと思う。日本独自の判断でもってこれは処理しなければならない。そういう一つの経済的なかかわり合いがあるわけです。それは常にわれわれの頭の中に、油、油、油というものがありますから、非常にやりにくい面はわかるんです。恐らく大来さんとしても、平重盛の心境ではなかろうかという感じがするのですけれども、そんな悠長なことを言っておれないわけです、はっきり申し上げて。その辺をどう御判断になって、さらに、いま私一歩突き進んだ問いかけとして申し上げたわけですが、この辺についてはどんな御判断をもって、これから閣僚会議も開かれる、当然、大来さん御自身としての決意を込めた発想というものをそこで開陳されるはずであろう。そのニュアンスぐらいは、若干でもやはりこの委員会においてお述べいただくことが妥当ではなかろうかと、こう思うんですよ。
  148. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 現在のアメリカ立場としては、事実上イランとの間にはすでに石油の輸入をしない、イラン側は対米輸出をストップするという措置がとられておりますし、貿易上も最小限の貿易になってきておるわけでございます。イランの経済については、その状態でいろいろ問題が出ておるようでございますが、一つには、かなり低い生活水準にも耐え得るという面もあるように思いますし、宗教上の問題もいろいろあるかと思いますが、アメリカとしては、すでに自分自身はもう貿易を最小限に詰めてしまっているので、そういう措置の効果を上げるためには友好諸国が共同して手を打ってもらうことがぜひとも必要だということがさっきのバンス長官発言にもあるわけでございまして、いまの段階では、そういうことを期待しておるという状況にあると思います。先ほどもちょっと申しましたが、カーター大統領声明の一番最後のところに、これらの措置人質の早急な解放をもたらさない場合には、他の行動が必要となるかもしれない、これは、その内容はよくわからないわけでございますが、そういう状況のもとで、わが国としても対応策を考えていかなければならない状況でございます。まあ問題は重大でございますし、余り安易な考えは許されないという感じでございますので、ちょっと矛盾するようですけれども、慎重にできるだけ早くその対応策を考えなければいかぬという心境でございます。
  149. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 言いづらいでしょうね。なかなかいま言いづらそうにおっしゃっておられましたけれども、ただ、やはりこの辺われわれ国民としても理解を深め、一つ動きに十分事態の推移というものを認識をしなければならない、こういう面があるわけでございますので、いたずらに不安感を助長するような、そういう方向というものは好ましくないということで、いまここで再々にわたってお伺いをしているわけでございます。ただ、この同盟国の効果が上がらない、効果を上げるためには同盟国の協調が必要である、この線は恐らくアメリカとしては崩れないであろう。あるいは二十何カ国ある中で二、三カ国、あるいは数カ国同調する国はあるかもしれない。しかし、願わくば、この同盟国全体が同調してもらいたい。ですから同調する方向へ向くのか、同調しない方向に向くのかということで、これは大分変わってくる。ただ、途中で私触れましたけれども、全体の空気としては、同調しがたいというような空気の方が強いのではあるまいかということになった場合に、これはいろんなことを想定しながら日本としても対応策を考えなければならぬということについて、いま重ねて触れているわけでございますが、もし同調しない、そうすると、振り上げたこぶしのおろし方がわからない。思い余って、何回かここでも問題になりましたペルシャ湾の封鎖、日本はやるならやってみなさいと、同調しなくとも結構ですよと、こういうことを言っているのですから、油はとめますよと、どっちを向いても、これは日本立場としてはきわめて思わしくない、そういう状態にいま置かれているのではないだろうか。したがって、重大な反省を求めるために、アメリカ側に対して、どういう今度日本として言い分があるのか、それで向こうの考え方を変えさせることができるのか、これが一つあります。  それが一つと、もう一つは、イランを含め中東地域に対して今後も友好関係を強力に維持するためには、今回のアメリカ側同調を求められたことには応ずるわけにはいかないという一線を引いて、従来どおりの関係を持続さしていくかどうか、この二点に私はやっぱりしぼられてくるのではないだろうかというふうに思えてならないわけですね。いろいろと情勢は変わりますから、一概に断定的にこうだ、ああだというふうに言えない面があるかもしれませんけれども、大体二者択一の選択を迫られるのではないだろうか。そうなった場合に、一体日本としてはどういう道を選ばなければならないのかということですね。もう大平さんも行かれる直前です。時々刻々時間が経過しているわけです。必ずこの問題は言われるに違いない。日本として堂々たる展望に立った主張というものがやはり開陳されてしかるべきであるという、われわれはそういう考え方を持つがゆえに、あえてこのことの政府考え方をただしたいということで申し上げているわけです。いかがでしょう。
  150. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) いまの渋谷委員のおっしゃった二つの選択のほかに、第三の選択もあり得るわけでございまして、これはあくまでもイランに対して人質の早期解放を求める、その方法はないかということを、さらに一層国際的な努力をするというのが、第三の可能性であろうかと思います。
  151. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 確かにおっしゃるとおりだと思います。さて、そこで、日本として人質解放に向けての何らかの対応というものが現状において考えられますか。日本の役割りですね。人質解放のためにどんなことが想定できますか。
  152. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはいろいろ検討してみなければならない問題ですし、日本として単独にできるのか、あるいは国際的な協力によるのか、国連を通ずるのか、いろんな選択があると思いますが、こういう事態でございますから、先ほど言われた第一のチョイス、第二のチョイスともに好ましくないチョイスであるとすれば、あらゆる可能性を通じて第三のチョイスを探求すると、努力するということが一つの行き方ではないかと思います。
  153. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 先回、私申し上げました、もし可能であるならば、日本が直接介入して両者の話し合いの場を持たせることも一つの解決への方法ではなかろうか。できるかできないかわかりません。あるいはまた有力な国に話かけをしながら、そして、その国を通じてイランに呼びかけをし、アメリカに呼びかけをして何とか話し合いの場を持ってもらいながら、できるだけ早い時期に人質解放を大前提として、正常な方向へ動くような、そういう仕掛けができないかどうか。この点については重ねて私ここで確認をしておきたいと思います。
  154. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) ただいまの御意見も含めていろいろな可能性を探求してまいりたいと思います。
  155. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もうこれ以上なかなか結論が出ないと思います、はっきり申し上げて。結論はまた求めることもいかがなものかと思う気持ちもないではございません。しかし、ただ御要望申し上げておきたいことは、先日も私お伺いしました、まだ検討段階です、検討、慎重、それも結構でございましょう。しかし、もう事態がどんどん時々刻々に激しく揺れ動いている中で、一体いつの時点で検討が終わって、いつの時点で日本の対応策というものができ上がっていくのか。あととにかく大平さん訪米まで約十八日か十九日です。この間にまとまる可能性というものはあるんでしょうか。ぜひまとめていただきたいのです。
  156. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 事態も刻々動いておりますし、それに対応する行き方もそのときどきの段階検討してまいらなければならないわけでございますし、回答全部一〇〇%いついつまでにということもむずかしい。積み残しも相当あるんじゃないか、より最終的な判断を先に延ばした方がいいという問題も中にはあるんじゃないかと思いますので、しかし、それにしてもあんまりずるずるとじんぜん日を送ることができない問題であることは事実でございますので、状況に応じながら必要な判断なり対策を決めていくということになると思いますし、またその段階に応じて当委員会にも申し上げるということでまいりたいと存じます。
  157. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 この問題の締めくくりとして申し上げておきたいのは、従来からも安保ただ乗り論であるとか、あるいはややもすると日米経済摩擦が起こってくる、そうしたいろんな背景の中で、同じ同盟国の中でも日本に対する風当たりが最も強いのではないだろうか。大平さん、大来さんが今度いらっしゃるときにも、それは外交辞令や何かでもって話し合うときには口角あわを飛ばして話し合うようなことはないにいたしましても、相当陰にこもった強烈な要求というものが今回出てくるのではあるまいか。それに対してはもう十二分な対応というものは当然のことながら考えてもらわなければならない。これが一点。  それからもう一つは、ゆめゆめアメリカがペルシャ湾の海上封鎖をすると、軍事専門家に言わしめると、もう機雷を敷設すれば一日でこれは完璧にできるというふうに言われているそうであります。これは日本は完全に首の根を締められるのと同じ効果を持つわけでございますので、もうそういう愚かな行動というものについては断じてやってもらっては困るという、これはやはり日本政府として強硬な主張を展開してもらいたい。  また一人質問題については、先ほど大来さんのお気持ちを示す御発言として述べられたとおり、何らかの検討をされているそれを煮詰めて、一日も早く人質解放へ向けての解決策というものが講じられるように、これからも不断の努力をしていただきたい。  この三点まとめて所信をひとつお述べになっていただきたい。
  158. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) こういう事態がむずかしい事態であるだけに、やはり直接顔を合わせて話し合うということ、首脳同士の間での話し合いが行われるということはきわめて重要だと思いますので、この五月一日たまたま総理訪米をすることになっておりますのは、むしろ積極的にそういう話し合い、相当突っ込んだ話し合いをするいい機会だと、そういう機会として活用すべきだというふうに私考えるわけでございます。  第二点の海上封鎖、これは何とかして避けてもらいたいということは、日本の従来からの立場から申しましても当然のことだと思います。ただその際、それではそういう対策を用いないで効果のあるような対策日本としてももっと協力してくれという話が当然出てまいると思うのでございまして、この点についてさらに検討してみなきゃならぬという問題が日本側としてはあるかと思います。これは第三点も含むわけでございますが、そういう可能性の探求にできるだけの努力をすると。これは必ずしも日本一国というよりも、幾つかの国が一緒になるとか、あるいは国連というような問題を含めるということで考えた方がより効果的かもしれないと思いますが、大体いまの三つの点につきましては、そういうことで考えてまいりたいと思います。
  159. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それでは東京ラウンドについて若干お尋ねをしたいと思います。  先回も総論的に触れたわけでございますが、貿易の自由化拡大によって諸国民に与える生活水準の向上あるいは福祉の改善というものに大いなる貢献がなされるであろうと、その面においては大変理想的な取り決めではなかろうか、こう判断をしているわけであります。ただ、これが具体的に運用という段階になった場合に、事ほどさように理想だけは貫けない。現実にさまざま横たわっている問題の処理というものにどのように一体取り組みながら、まずその解消に努めつつ、今回の東京ラウンドの精神に基づく一つ方向性、ルールというものの確立に日本がひとつ大いなる役割りを果たしていくことができればなあと、私自身もそういう大いなる期待を持っておるわけでございます。  さて、その中で、運用という面について今後摩擦のない状況の中で円滑に取り運ぶことができるものかどうかという点について、これは総体的にこれからの展望を踏まえてお述べをいただければありがたいなと思いますね。
  160. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 通商上の問題は今後も次々に摩擦を生ずるだろうと思います。ただ、その摩擦をできるだけ合理的に話し合いで解決していくということの一つの重要な手がかりとして東京ラウンドが活用されるということでまいるのではないかと考えております。
  161. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 うまいぐあいにスムーズにこの運用というものがどうでしょうか、取り運ぶことができるようなお見通しをお持ちになっておられますか。
  162. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 必ずしもスムーズにはいかないと思いますけれども、こういう取り決めがない場合よりはよほどその話し合いがやりいいと思うんです。
  163. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そこで、いま問題になっている中身について重複するところはできるだけ避けたいと思っているのですけれども、一応触れざるを得ない面がありますので申し上げてみたいと思うんです。  この自動車の関係については先ほども質疑応答を伺っておりまして、アメリカ側にもそれは言い分があるかもしれないけれども、日本にも言い分がある、こういったことで何かワシントンでの会談がうまくいかずに、今度改めて東京で協議をすることになったやに先ほどの報道では伝えられておりますけれども、まずここら辺の経過はどうなっているんですかね。これは通産省の方がわかるかな。
  164. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) 日米自動車問題につきましての日本側アメリカ側との協議は、七日から三日間にわたりまして現地で行われております。ただ、私どもいままでの段階で特に重要だと考えております三日目の総括的な取りまとめの全体会議の模様は承知をいたしておりませんし、当然のことながら当方からの出張者がまだ帰ってきておりませんので、その詳細な内容についてはいまここで申し上げることは差し控えたいと思います。ただ、全体的には先生御指摘のような失敗というふうには私ども考えておりませんで、むしろ、若干詰めの残った問題があることも事実のようでございますが、これにつきましてはまた引き続いて米国側から専門家が来日をし、詰めが行われるというふうに承知をいたしております。
  165. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そうしますと、全面的な合意は得られなかったけれども、その残された詰めの問題について改めて東京で協議をした上で何とか双方妥協点に達するという話し合いをしようと、こういうふうに理解しておいてよろしゅいございますか。
  166. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) また東京で話し合いが行われました場合に、そこで完全に双方合意ということになるかどうかの見通しをいま私申し上げるわけにまいりませんが、多分その段階で残された若干の問題についての詰めが行われるということだというふうに考えておりますので、まず双方とも大体この程度かというような段階に到達できるものだというふうに期待しております。
  167. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今回の大変象徴的な問題点とされたのがアメリカ国内における雇用関係の問題の解消という、その一助にというねらいがあったんだろうと思うんですけれども、それともう一つは、この省エネルギーの時代においてできるだけ燃費を食わない車というので、日本のトヨタにしても日産にしても大変な脚光を浴びているわけですけれども、そういう背景と経過の中でいまトヨタあるいは日産の工場をアメリカにと、すでにフォルクスワーゲンが進出していることはわれわれも知っておりますけれども、ただ、トヨタと日産についてはこれは大変な抵抗を示しましたね。よって来るいろんな伝えられる話を整理してみますと、トヨタ、日産の工場をアメリカへ持っていった場合に大変コストの高い車が生産される、むしろ日本国内で生産されたコストの安いものを売った方が企業としてははるかに利益が上がる、端的に申し上げれば、そういう判断のもとにトヨタも日産も大変アメリカ側意向に対して渋ったと、で、今度それに対して政府レベルでもって介入して、それで何とかひとつアメリカ側への進出を図れと、何か非常に奇異に感ずるんですよね。やはり自由貿易の中でそうした問題が政府交渉においていろんな取り決めが行われ、そしていろんな商行為というものが行われるなら別でしょうけれども、あくまでも企業者間ベースにおいて取引が行われる場合に果たしていかがなものであろうかと。ゼネラル・モータースのエステス社長あたりもこの点に触れて、そんな政府が介在して云々すべき問題じゃない、あくまでも企業者間においてこれは話し合いをしながら解決を図る筋合いのものであろう、それが今回の東京ラウンドの精神にも合致するわけです、はっきり申し上げると。だから、こういった点について一体日本政府としてはどういう判断をお持ちになっていらっしゃるのかということをまずここでお尋ねをしておきたいというふうに思うわけです。
  168. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) ただいま先生から御指摘ございましたように、自動車産業の対米進出につきまして政府として企業を強制するとか説得するとかという性格のものでない、最終的には企業の判断にまつべきものであるという点については、われわれも全くそのとおりというふうに承知をしております。ただ、アメリカ側がこの件についていかなる考え方を持っているのかというようなことは私どもから企業サイドに十分連絡する必要もございますし、また企業サイドといたしましても、今後ずうっといまのように完成車を日本から輸出をするという体制でいき得るものかどうか、むしろ中長期的にはやはり、米国に限りませんが、資本進出といったことも当然考えてしかるべきものであろう、そういう点から各企業として一体いかなる計画をお持ちなのかといったような点につきまして双方の意見交換をしているというのが実情だと思っております。
  169. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そのとおりだと思うんですね。ただ、いま為替レートの問題もございましょうし、また最近イラン問題に端を発して円高ドル安の傾向がまた見え始めてくるということで非常に為替相場が動いている。それから今度は一方、アメリカ国内を見ればイラフレが高進している、失業者はどんどんふえている。そういう状況の中でやはり企業者は企業としての採算というものを十分やはり考慮せざるを得ない、そういうふうな考え方に立つのはこれは当然だと私は思うんですね。ですから、これはいま言われたように、いたずらに行政府が介入するのではなくして、あくまでも企業者の立場に任せる、こういったことが望ましいのじゃないかということが一つ。  ただ、確かにいまアメリカが輸入している日本を初めとする外国車と言うんですね、今度逆に言うと。シェアの全体を見ますと日本の車がやはり圧倒的に多いですね。そういったことが今後の傾向として、かつての福田さんの言葉じゃないけれども、貿易秩序を乱すようないわゆる集中豪雨的な輸出というものをやったんではこれはやっぱり大変混乱を起こすだろうと、だからその辺の問題についてのアドバイスなりということはぼくは必要であろうというふうに思いますけれども、ただ反面考えると、いまアメリカでは需要が非常に強いわけでしょう、ですから、いまの生産量を考えてみても、トヨタあるいは日産にしてもあるいは本田にしても十分現状を維持していく限りにおいては、結構自由貿易の一翼を担った推進というものが今後も図れる状況に置かれて進められているのではないだろうかと、こんなふうにぼくは判断しているんですが、その点どうですかね。今後の先行きというものを見ながら現状このまま維持していくことが望ましいか、それともやはり資本の進出ということもあわして考えなければならない、一体そういう場合の時期はいつごろが適当だという場合もあるだろうと思うんですね。これは日本の実情というものもあり、アメリカの経済事情というものもいろいろあるわけですから、その辺をせっかちにまたやりますといろんなトラブルが起こることになりはしまいか、こう思うんですが、その辺通産省としてはどんな御判断をお持ち  になっていらっしゃるのか。
  170. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) ただいま私どもが承知しておりますアメリカ政府意向は、先生御指摘のように日本車の販売台数がアメリカで増加し、シェアが増加しておりますが、それにつきましてアメリカ側で輸入制限をいたしますとか、日本からの輸出を抑制するとかということにつきましては、公式見解では希望しないという態度でございました。当面は資本進出の可能性を検討し、その実現に向かって努力をしてくれないかということと、もう一つは、アメリカ製の自動車の日本への輸入拡大につきまして幾つかのアメリカ側の希望する措置がございますが、その措置の実現に努力をしてくれないかということでございます。先生御指摘の日本からの輸出が最近非常にふえているのではないかと、それについて抑えたらどうかという御質問趣旨……
  171. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いや、抑えたらじゃないんです。
  172. 杉山弘

    説明員(杉山弘君) その点につきましては、集中豪雨的な輸出につきましては従来自粛すべきであるというポジションを通産省としてはずっととってきておりますし、本ポジションにつきましては現在も全く変わっておりません。ただ現実の問題として、いまお答えいたしたようにアメリカ政府がそういった問題について手を触れるということにつきましては希望いたしておりませんので、いま私どもとしても輸出の問題について何らかの対策をとるということは直接的には考えておりません。むしろ投資の問題については、先ほど申し上げましたように、企業と十分意見交換の機会を持っておりますし、そういう面から何らかの円滑化のための対策がとれないかという点を模索すると同時に、一方では輸入拡大のための措置日本側として実施すべきものがあるかどうかという点の検討をあわせて進めておりまして、むしろ当面はこの二点がわれわれとしてとるべき対象になるのではないかというふうに考えております。
  173. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 もう一つの問題は、いまアメリカからもアメリカ製の車を買ってくれと。これにはいろいろ問題がございますな。日本の道路事情というものをまず考えに入れなきゃならぬ。燃費は食う。省エネ時代において本当は好ましくない御要求ではなかろうかと。その辺も話し合いでできるだけ——輸入制限をするとまたこの東京ラウンドの精神に反するという二律背反するようなものがありますので、この辺をどうアジャストしていくかという問題も当然将来起こるであろうと思う。  それからもう一方は、いま日本から特にアメリカが対象になっているわけですけれども、コストの面でいわゆる何かというといままで日本はすぐダンピングしているんじゃないかということで強烈に意地悪をされたといいましょうかね、これはスチールの場合もそうですし、カラーテレビはしばらく前にそういうことをやった事実は実際あるわけですよね。それから繊維関係においてもずいぶん痛めつけられた歴史的な経過があるわけです。そういったことは忘れたころにまたひょこひょこっとこう出てくるわけね。これもずっと委員会でも問題にされてまいりましたように、大統領選挙だとか上下両院議員の選挙なんというと、これは日本の選挙風土と全く同じですから、もう突き上げてくるとそれをやっぱり取り上げざるを得ない、日本は何やっているんだと、こういうような繰り返しが今日までもずっと尾を引いてきたような感じがしてならない。そうすると、牛場さんの言葉じゃないけれども、日本はやっぱり思い切ったときにこうだという主張をやはり貫くべきだと。これはやっぱり私は一理あると思うんですよ。それは何だか妥協するんでもない、妥協しないんでもない、こちらの立場を貫けるんでもない、そうでもないんだと。そういうことをいみじくも牛場さんはくみ取って、思い切ってやるべきときにはもう貫けというぐらいのやはり姿勢が必要であろうと言われたことはもっともだと私は思うんですね。だから、そういう面で将来、自動車が象徴的に言われているんですけれども、どちらかというと東京ラウンドの精神に大変もとるようなそういう方向がいま残念ながら現実としては起こっているわけですよ。そういった問題が、先ほど外務大臣がおっしゃったようにこの一つの枠組みができたので、アメリカとしてもできるだけこのルールに乗っかったそういう方向をたどるという見通しができますか。
  174. 新井市彦

    説明員(新井市彦君) 先生御指摘のように日米関係につきましては、必ずしも摩擦がなしに済むというわけにはまいらないと思います。これは日米関係非常に貿易額も多うございますし、密接な関係があるということでございまして、重要なことは摩擦が起きた場合に、それを早く処理をするということでございます。それで、その場合に今回の東京ラウンドの合意によりまして一つのフレームワークができたわけでございますので、これを活用して摩擦を解消していくということが大事なことではないかというふうに考えております。
  175. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 なかなか将来というものをいま予測するわけにいかない。短期、中期、長期の展望に立ってもなかなかそれはむずかしい問題だとは思うのですけれども、いまおっしゃったような方向に向かってともかく解消に努めていただくことが、これは当然のことだろうと私は思うんです。ただ、先ほど若干触れましたように思いもかけないとこにひょこっといろんなクレームをつけられてくるというのがいままでの、どちらかというと日本の場合もあったかもしれないけれども、アメリカ側のその言い分ではなかったろうかと。特にスチール関係なんかについてもそうだと思うんですね。これは一ころダンピングじゃないかということでずいぶんたたかれましたね。実際おかしいと思うんですね。おととしわが党の矢野書記長が団長になって訪米いたしました。当時の大統領、モンデール副大統領等に会って、それでその一環としてシカゴを視察した。それで団員の中にはスチールの専門家がいるわけです。それである著名な工場へ行ったときに、まあとにかく設備は悪いし、悪い設備ですから当然そこで生産されるであろう鋼材というものは品質が悪い。おまけに人件費が高い。端的に言えば、そうならざるを得ないわけですね。日本の方ははるかにすぐれている。しかもコストは安い。だからダンピングじゃないかというこの指摘は当たらぬじゃないかということで、向こうの企業経営者の方をたしなめたという一幕があったことをわれわれは伝え聞いているのですけれども、そういうような非常に何というのかな、不合理な主張というものに対しては、これはもうダンピングではないんだと。やっぱりそれなりのよって来る日本の実情というものや要因あるいは条件というものがいろいろあるわけですから、そういったことが常に出るというには、日本としてやっぱり弱いんじゃないのかなと。  それで一つここで確認しておきたいのは、この中ずうっと書いてあるのを見ましても、ダンピングと認定されるときの条件は一体何だというと、国内で販売されている価格よりも安く輸出された場合にダンピングとみなされるというふうにここには書いてあるのですけれども、その判定の基準はどこにあるんですか。
  176. 内村俊一

    説明員(内村俊一君) ダンピングと認定されて、かつアンチダンピング関税が課せられるには二つの要件がございますが、一つは公正価格以下で売られているということでございます。これは輸出国の国内販売価格よりも安いということでございますが、輸出国の国内販売価格と申しますのは、輸出価格に相当するレベルの販売価格ということになっております。したがいまして、通常でございますと卸売の段階でございますが、その卸売にもいろいろございますので、国内の販売価格のどれをもって輸出価格の販売レベルに相当するかという点は個々のケースごとに相当争いになるところでございます。  それから、被害の問題でございますが、被害につきましては今度アメリカの通商協定法によりまして従来の規定であります単なる被害から、国際コードに従いまして実質的な被害という表現に変わっております。実質的な被害がなければいけないということでございます。これはダンピングによって実質的な被害が出る、こういう二つの要件になっております。
  177. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 今回の非関税措置の軽減——撤廃とまではいかなかったけれども、軽減というものは着実に行われると見てよろしいんでしょうか。まだ残されているでしょう、課徴金制度だとか、国によってさまざまな非関税措置というものが実際にあるわけですし、そういったものが今回の東京ラウンドの諸協定締結によって軽減措置方向へ向いていくという状況に置かれているのかどうなのか。そうでないとすれば相変わらず同じようなことが、せっかくこれはできても繰り返しまた同じようなことが行われているということも考えられますね。この点はどうなってますか。
  178. 内村俊一

    説明員(内村俊一君) 今度のMTN交渉によりまして、たとえば関税評価の問題につきましては、従来アメリカの四〇二A条という非常に不合理な関税評価制度がございまして、こういう制度は廃止されることになっております。これは関税評価コードが八一年の一月から実施されることになっておりますので、その時点までにはアメリカでも廃止することを約束しております。また、先ほど申し上げましたように、ダンピングについての規定も若干そう安易に発動できないように改正されております。  それからまた、補助金・相殺関税というのがございますが、この補助金・相殺関税につきまして、従来アメリカでは補助金を交付したという事実がありますと相殺関税を課せられるということでございまして、それによってアメリカの産業が被害を受けたかどうかということは、特別の場合を除きまして調査は必要がないということになっておったわけでございますが、この点につきましでも国際コードに従いまして被害の調査をやって、被害がそうない場合には相殺関税を課さないというふうになっておりまして、これはすでにことしの一月から施行されております。そういうことで、MTNの成果につきましてはアメリカも誠実に履行していくものと期待しておるものでございます。
  179. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 そこで重ねて確認をしておきたいと思うのですけれども、いまとかく日米間において問題視されるであろうと思われる自動車、スチールあるいはテレビ、あるいは電子計算機あたりも入りましょうか、カメラ等々、これは全く現状においてはダンピングなんというそしりを受けるような状況ではないと判断してよろしゅうございますか。
  180. 内村俊一

    説明員(内村俊一君) 私ども知っている限りではダンピングの事実はないというように考えております。
  181. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 したがいまして、少なくともこの種のいま挙げた品目について将来にわたっても現状が維持されていく限りにおいては、もちろん価格の変動は当然あるわけですから、その状況によっても違ってくると思いますけれども、まずそういうようなことから摩擦の起きるという危険性はないと判断してよろしゅうございますか。それはいま申し上げた、限定した種目をみんな言ってくださいよ。自動車だけでなくて自動車、スチール、テレビ等々。
  182. 新井市彦

    説明員(新井市彦君) 御指摘の点につきましては、私どもとしてはダンピングというふうには考えておりませんけれども、ただこれはダンピングの提訴といいますか、そういったことをアメリカ側が提起するということまでは阻止できないわけでございまして、先ほど申し上げましたようにそういった場合に早目に双方で話し合いをして解決を図るということが大事かというふうに考えております。
  183. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 次に、これもまた日米間においてしょっちゅう問題視されてきた農産物の問題、これに若干触れさせていただきたいと思います。特に際立った問題はオレンジを中心とする果実あるいは牛肉等がこれからもいろいろ問題になるであろろうと思います。米の問題はまた最後に触れたいと思いますけれども、今度逆の立場になるわけですね。今度はこちらが買わなきゃならない。かつては牛場・ストラウス会談においても大変厳しい要求を突きつけられて、オレンジにしても牛肉にしてもなぜ買えないんだ、そういう一幕がございました。日本としては国内における農業者を保護育成するという立場もありますので、その辺のバランスを十分考えながら、輸入を別に制限するわけではないでしょうけれども、ある一定の制限というものを加えながら輸入をしなければならない。これについても輸入の制限ということの枠組みをつくってしまいますと、またぞろ東京ラウンドの精神に反するのではないかというそしりを受ける可能性も出やしまいかということの心配の点もあるんですね。一九八〇年、ことしからオレンジについても牛肉についても増加する一方でございますね。これは将来ともに数量的には伸びていくという状況に置かれているのかどうなのかという、まずそうした点からお尋ねをしてまいりたいと思います。
  184. 志村純

    説明員(志村純君) オレンジについてまずお答えいたします。  MTN交渉の一環として日米間で農産物交渉、その中で特にオレンジについて長い交渉が行われたわけでございますが、その結果はすでに御承知のとおりと思いますが、生鮮オレンジ、これを現在一九七九年は四万五千トンでございますが、これを段階的にふやして一九八三年度までふやしていく、こういう約束になっております。そこから先のことは数量的な約束は何にもしてありません。
  185. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 その場合国内における果樹栽培者との競合というものは当然考えられるだろうと思うんですね。輸入もしなければならない、一方においては国内における果樹栽培者も保護していかなきゃならぬという側面を持っているわけでございます。ただ、私からあえて申し上げるまでもなく、専門家の皆さん方ですから、篤と認識をされている問題としてはミカンがとれ過ぎてとれ過ぎてどうにもならぬという場合に、アメリカからもオレンジが入ってくる、こうした調整というものは将来どのように考えられていくのかどうか、ちょうど何年前だったでしょうか、数年前ぐらいになるんでしょうか、豊作貧乏の典型的なものとして愛媛県ではとにかくスコップですくってただでいいから持っていってくれ、でなければ処分ができない、中には自殺者まで出た、こういう悲しい出来事まで実は過去においてあったわけです。将来こういったことが十二分に考えられるわけですね。ミカンの産地といえば言うまでもなく松山あるいは和歌山だとか静岡だというふうになるわけですけれども、その辺の競合を通じて日本の果樹栽培者に対する保護というものはどんなふうにお考えになっていかれるおつもりでございますか。
  186. 志村純

    説明員(志村純君) ただいま渋谷先生御指摘の点は一私たちも交渉の過程において十分念頭に置いて努力したつもりでございますが、合意の内容といたしましては、確かに八三年度までにオレンジの数量はふやしますけれども、このふやし方は一年間のべつ幕なしにふやすのではなくて、柑橘類の出回りの少ない時期、これをオフシーズンと呼んでおりますが、具体的には六月、七月、八月でございます。この三カ月を中心に輸入をふやしていくと、そういう取り決めをしております。そういうような形でミカンが生産されて市場に出回り始めるのは九月ごろからでございますが、それが大体ピークを過ぎるころには、大体四、五月ごろまでには温州ミカンにしろそれからアマナツカンとかそういったいわゆる晩柑類でございますね、そういったものも大体四、五月ごろまでに流通の出荷のピークが過ぎますので、そのあと六、七、八の三カ月に主に入るような形で輸入をふやすと、そういう取り決めをしております。これはいま輸入のふやし方について申し上げたわけでございますが、もちろん国産の柑橘のできふできがあるわけでございまして、温州ミカンの場合は御承知のように表年それから裏年というような関係で数量がかなり年ごとに変動がございます。そういうようなこともありますので、われわれといたしましては今後生産、流通、加工、各般につきましていま言ったようなことを十分念頭に置きながら国内対策を進めていきたいと、このように考えております。
  187. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 おっしゃっていることは、いろいろいただいた資料の中できちんと説明されておりますので、われわれとしても十分理解をしているつもりなんですが、ただ、一九七八年度から、オレンジに例をとりますと、一九八三年までにはオレンジが急速にふえるんですね。これは確かに品不足のとき、そういう時期をねらってというのはわかるのですけれども、この調子でいきますとアメリカ側としても恐らくもっと買ってくれもっと買ってくれと、こういうような要求というものが当然なされてくるであろうと、そういう予測のもとに立って国内の果樹栽培の方々に対しての保護というものを十二分に考えていかなくちゃならぬ。いまもおっしゃった加工というものについても十分配慮していきたい。それででき過ぎたものについてもかん詰めにするとかジュースにするとか、それもわかりますよ。ところがジュース類も多いんですよね。年々歳々ふえていくわけだ。それからいまオレンジとジュース類を挙げたんですけれども、最近カリフォルニア産の桜桃だとかそういうものがどんどん入ってきてます。そうすると今度山形のサクランボとの競合という問題も出てくる。これは非常にまたおいしいものです。しかも値段がわりあいに安い。こうなった場合に、日本のそういったものは売れ行きが全く落ちてしまうというようなそういう問題も出てくるだろうし、やっぱり貿易の自由化ということを大前提において考えてみた場合に、それは国内事情がありますから輸入はほどほどにしてくれというわけにもいかない、ある程度やはり国民の消費生活に見合うような受け入れというものをやらなければならない。しかし常に抱えている問題は、一方において国内の農業者に対しての保護というものが十二分になされるかどうかというこの問題が非常に心配であるまいかということで、農林水産省としては十二分にその計画なり今後の見通しというものをお立てになった上でこういうような方向というものに踏み切ったのであろうというふうに思いたいのですけれども、しかし先ほど私が例として申し上げたように、とてつもない豊作貧乏なんかで痛めつけられてどうしようもこうしようもないと、運賃をかけたって、そんなに売れないんですから運賃かけただけ損だということになった場合一体どうするのか。あのときは何にも対応策がなかったんです、はっきり申し上げて。かわいそうな悲惨な状況に追い込まれた。二度とそういうことを繰り返してもらいたくないという思いからいまもそういうことを申し上げているわけです。  牛肉の場合にしたって、肉牛の場合にしたって同じことが言えると思うんですね。確かに農業中央会ですかの酪農部会の意見書というものを私見せていただきました。日本国内においての生産量に足りない分についてはそれはもう大いに輸入してもらって結構だという、そういう提言もなされております。恐らくそういう提言に見合った輸入というものが今後行われれば一番合理的に、貿易の障害にもならない円滑な取り決めのもとに進められていくのかなあという感じを受けるのですけれども、牛肉について考えてみた場合、その辺の見通しはどうでございましょうか。
  188. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) 牛肉につきましても、先般のMTN交渉の中で、わが国に対する主要な輸出国でございます豪州及びアメリカとの間で一連の合意をしておるわけでございます。内容が二つございまして、わが国の将来の牛肉輸入量の見通しといたしまして一九八二年度に総量が十三万五千トンになるであろう、こういう共通の見通し、数値について合意をしているのが第一点でございます。それから第二点が、穀物で飼育されましたいわゆる高級牛肉と呼ばれる品質の牛肉につきまして、一九七八年度から一九八三年度までの間に一万四千トンの輸入拡大を行うことが可能である、こういう二点の内容につきまして共通の見通しを持つという合意をしておるわけでございます。  牛肉の輸入につきましては御承知のとおり、私どもの基本的な考え方としては国内で生産する量が最近の需要の状況に不足する事態がございまして、その不足を輸入で補っていくという考え方のもとで、国内の生産対策なりあるいは輸入の調整をしておるつもりでございまして、そういった考え方をもとにして八二年度あるいは一九八三年度の見通しを得まして、それをベースにしてこの数量の見通しを合意したわけでございます。この考え方に従いまして最近の状況を申し上げますと、当初予定をしておりましたよりも国内生産が必ずしも伸びていない、それから需要は比較的順調に伸びておるという状況で、かなりの量を実は七九年度、中間年次でございます五十四年度におきましても輸入をしておる実情でございます。そういう状況からいたしますと、MTN交渉の中で年次を切っておりますけれども、八二年度あるいは八三年度に見通しております数値は国内の需給の実勢から見ましてもそう無理のない形で実行できるのではなかろうか、そのことによって国内生産者に対して非常に負担をおかけするというふうなことはないというふうに考えておりますが、いずれにしましてもそういった事態が起こらぬように十分心してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  189. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 問題の一つは価格の問題だと思うんですね。これはしばしば恐らく農林水産委員会でも議論の対象になった問題点だろうとぼくは思うんです。安く入ってくる牛肉をなぜ高く売られなけりゃならないのかという問題、これは消費者にとってみればいい品物を安く買えるということは消費生活安定の上で大変好ましいことには違いないのですけれども、そういったことがこれからどんどん量が拡大されることによって保証されていかないのかどうなのか。もう一つ一方の問題では、畜産業者に対するそうなった場合の影響というものは当然連動して起こってくるであろうという問題が一点。それからさっきの果実の問題にしましても、関税率が今度下がるわけです。引き下げられるでしょう。すると、その引き下がった分だけ本当は安く入ってこなければならぬ。その場合にやっぱり国内の果樹裁培者に対して影響を与えはしまいか。価格の点でどんな調整というものが考えられていくのか。消費生活を安定させる一方において、また問題があるというこの背反した問題をどのように整理をしていくことが一番好ましいのか。そしてまた、その好ましい方向にそれぞれ行政指導なさっておられるのだろうとぼくは思うんです。その辺あたりを伺っておきたいと思いますね。
  190. 京谷昭夫

    説明員(京谷昭夫君) 牛肉の輸入につきましては、御承知のとおり輸入割り当てを行う際にその大部分を畜産振興事業団に割り当てを行いまして、畜産振興事業団を通じまして輸入を行っておるわけでございます。この過程、この仕組みは、御承知のとおり、国内産の牛肉について価格安定制度を持っておりまして、この価格安定制度とリンクした形で畜産振興事業団を通じる輸入牛肉の操作を行っておるわけでございます。具体的には、毎年度畜産物価格安定法の規定によりまして国内産牛肉について決めております安定価格、一定の帯の価格帯が決められておるわけでございますが、国内産牛肉がこの安定帯の中に安定をしていくと、そのこととリングをして輸入牛肉が適切な価格水準で放出されるような操作をしておるわけでございます。したがいまして、その輸入価格と国内で販売される価格との間に若干の差が生じまして、その分は御承知のとおり畜産振興事業団の差益という形で吸収をされておりまして、これが畜産振興事業団を通じました畜産振興のための一連の対策、あるいは食肉の流通、消費の改善のための対策を講ずる際の財源にも使われておるわけですが、いずれにしましても、そういった仕組みを通じまして輸入されました牛肉の国内販売価格というものが国内の生産者に悪影響を与えない、あるいはまた消費者に対しましてより適切な価格で流通が図られるように、この価格安定制度及びこれとリンクをしました畜産振興事業団の輸入操作をやっておるわけでございます。今後とも私どもとしてはこの仕組みを通じて国内生産と調整のとれました輸入の操作をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  191. 志村純

    説明員(志村純君) 果実関係について若干補足して御答弁をさせていただきたいと思います。  まず、関税でございますが、確かに今度の東京ラウンドで生鮮の果実、加工品あるいは干したもの、こういったものについて若干のものについて関税の引き下げをしておりますが、これは御承知のように八年間の期間で段階的に下げていくと、こういうものでございます。なおオレンジについては、これは関税はいじっておりません。今後輸入品もかなりふえてくるわけでございますが、われわれといたしましては、一方で生産者の不測の被害を回避するということ、これは至上命令でございますが、同時に消費者へのサービスということも私らの仕事の大きな仕事になっておるわけでございます。いろいろ品目別には問題があるわけでございますが、オレンジについてあるいは日本の温州ミカンを例にして申し上げますと、輸入の方については先ほど申し上げましたような仕方で、非出回り期に集中して輸入をするというとり方をしたいと思っております。それからオレンジジュースにつきましては、これを直接市中に出回らせるということではなくて、国産の温州ミカンの果汁とブレンドして、これはブレンドは義務でございますが、そういう形で衝撃をやわらげるという仕組みをとっております。それはそれとして、先ほど申しましたように国産の温州ミカンには年によってできふできがありまして価格が年によって非常に上下するという特徴がありますので、そういったことも考えまして、私ども関係の団体で中央果実基金という基金がございますが、ここに今回の東京ラウンドの合意も考慮に入れて、万一柑橘類あるいは夏果実、こういったものに不測の事態が発生した場合には緊急に措置がとれるようにということで、五十四年度に十五億円の金をこの基金に貯金してございます。これを弾力的に使いまして、先ほど言われましたようなでき過ぎたような場合には迅速に対応してまいりたいと、このように考えております。
  192. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 持ち時間がもうなくなりましたが、最後一つだけ米について。  きょうからあしたにかけて日米間において話し合いが持たれることになっておるはずでございます。先ほども同僚議員の方から米の問題が出されましたけれども、本日、明日にかけて日米間において合意が得られるような方向での話し合いがなされる見込みがあるのかどうなのか、それを概括で結構ですから、もう細かいところまで触れる時間がありませんので、きょう、あすに開かれる問題点、そしてまた十分に理解を求められるかどうか、そしてさらに、将来にわたって日本立場というものを十分に理解された上で、あるいは東南アジア地域に対する米の輸出というものは引き続き可能であるかどうか、この点をまとめて御答弁いただいて私の質問を終わることにいたします。
  193. 石川弘

    説明員(石川弘君) 今明日にかけまして日米の協議をいたすわけでございますが、これは御承知のとおり、わが国の過剰処理の一環といたしまして、工業用、それから輸出用、それから最悪の場合には飼料用という形で処理をする計画をいたしておったわけでございますけれども、実は当初私どもが予想いたしておりました以上に米に対する需要というものが大きく出てまいりまして、特に発展途上国等からは単なる商業上の問題以上に借款援助的な性格も含めて需要が非常に強くなってきたわけでございます。結果といたしまして、五十四年度に当初私どもが予想しておりました以上に米が出てまいりまして、そのことがやはり伝統的な米の輸出国でございます米国の商業的な活動に非常に大きな影響があるんだという主張がアメリカから強く出されているわけでございます。私どもこれは御説明をいたしますプロセスでもお話をしておるわけでございますが、これは恒常的に日本政府が米を今後とも非常に長い期間にわたって輸出をし続けるということではございませんで、あくまでも過剰処理の一環、したがいまして、国内でかなり強烈な生産調整をいたしておりますので、その後においてはこういう過剰というのはむしろつくり出さないというのが基本的な立場でございまして、したがいましてこれを恒常化して将来の何と申しますか、米輸出を継続させるというような意味でやっていることではないということをまず理解をしていただく。  それから、この問題はやはり片側に米が不足をしておりまして、非常にそのことがそれぞれの国で問題となっているような需要国があるわけでございますので、そのような国の立場ということもわが国として当然考えて行動せざるを得ないということも十分理解をしていただくと、そういうこともやりますわけでございますけれども、そのプロセスではわれわれも伝統的な米輸出国に悪影響を与えないようにということで、これは御承知のようなFAOで決められております余剰農産物の処理原則というものがございますので、これに従って適格の手続をやって、十分相手国の理解も得て行動をするというのが基本的立場でございます。こういうことをアメリカ政府の方にも十分説明をいたしまして、その理解を得ました上で何とかこういう形で処理ができるようにということで努力してまいるつもりでございます。
  194. 立木洋

    立木洋君 大臣、先日イラン問題に関するカーター米大統領の発言ですね、外交関係の断絶やあるいは輸出の全面的な禁止、こういう制裁措置については同調すべきではないということを私は主張いたしました。またもう一点は、こうした事態がさらに危険な状況に進んでいく可能性が全くないわけではないので、こういう点についてはアメリカ側に対してもう大臣はきちっと日本立場を申し述べるべきであるという点を、前回、私の方で述べて、大臣の御答弁をいただいたわけですが、きょうのいろいろな議論の進展の中で、同調する点もあるし同調できない点もあるというお話です。その点最初に確認しておきたいんですが、つまり、いまアメリカが提起してきている問題について全面的には同調できるというようには考えていないというふうに理解していいですか。
  195. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 先ほどもお答えしましたように、できる面もあり、できない面もあるだろうということでございます。
  196. 立木洋

    立木洋君 ですから、それは全面的には同調するものではないというふうに理解していいわけですね、全部同調するわけじゃないんですから。
  197. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 一〇〇%ではないだろうということです。
  198. 立木洋

    立木洋君 それではちょっと別の角度からお伺いしたいんですが、このカーター制裁発言がなされ、その後のアメリカの行動についてイラン政府はどういう反応を示しておるか、正式に把握している点をお答えいただきたい。
  199. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 堤参事官から……。
  200. 堤功一

    説明員(堤功一君) バニサドル大統領の声明ないしは革命評議会の声明という形で出ておりますが、それは、今回のカーター大統領がとった措置イラン国民の団結を進めるための好機会である、そういうような比較的強硬な反応を示しております。
  201. 立木洋

    立木洋君 その情報はどういう形で入手された情報ですか。
  202. 堤功一

    説明員(堤功一君) これはイランの国営放送が政府関係の声明として放送しているところでございます。
  203. 立木洋

    立木洋君 日本とのかかわり合いで、あるいはイランの石油相なんかが記者会見で述べておる点、それはどういうふうに把握していますか。
  204. 堤功一

    説明員(堤功一君) 石油大臣記者会見におきまして大きく分けて二つの点を強調したと思いますが、第一点は先ほど申し上げました革命評議会の見解と同様でありまして、今回のカーター大統領措置イラン国民の団結を固めるいい機会であるという趣旨でございましたが、第二点として、米国に追随してイランに敵対する国に対してはイランもそれ相応の措置をとるであろう、すなわち石油の供給を断つことも含めて措置をとるであろうということを示唆いたしました。この二点が主要点であったと了解しております。
  205. 立木洋

    立木洋君 イランの石油相の内容を見てみれば、日本イランの友人でありたいと願うならその道はいまや開かれている、しかしもし帝国主義の奴隷になろうというならそれは自由だという趣旨のことも述べられている、まあ表現のあれがあるでしょうが。こういうようなイラン政府あるいはイラン閣僚等々の声明については、外務大臣、どういうふうな御見解をお持ちでしょうか。
  206. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) イランの現在置かれている状況下でそういう発言もあり得ると考えています。
  207. 立木洋

    立木洋君 それは現在の状況下でそういう発言があり得るというのはどういう意味でしょうか。それはアメリカに申し述べたと同じように理解できるということですか。どういう意味なんです。
  208. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) そのほかに——いまのイランから言えばそのほかの言いようが現在のところはないのではないかという客観的なまあ評価といいますか見方といいますか、そういう意味で申し上げたんです。
  209. 立木洋

    立木洋君 そうすると、イラン政府がとっておるそういう何といいますか態度というのは、現状下では当然イランとしてはそういう立場をとるであろうという認識の仕方で、というふうに受けとめていいわけですか。
  210. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) どういうことが望ましいかといえば、一日も早く国際社会のためにイラン人質解放するということだろうと思いますが、それが早急にできない国内事情があるように従来の経過から見受けられるわけでございまして、そういう国内事情があればいまのような声明が出てくる背景があるというふうに解釈するわけです。
  211. 立木洋

    立木洋君 それではこの問題が起こってから、さっき私は情報の入手源を、源を聞いたんですが、イラン政府と接触をされましたでしょうか、このカーター発言の後。つまり、和田大使が現地でイランの閣僚と接触するだとか、あるいはこちらに来ておるサーレフホ駐日イラン大使外務省の幹部が接触されるだとか、何らかの方法でイラン側日本政府は接触されましたでしょうか。
  212. 堤功一

    説明員(堤功一君) カーター声明以来イラン政府との間に接触はございません。本件人質事件につきましては比較的頻繁にイラン政府側と接触をしておりますけれども、私の了解しておりますところでは、一番最後の接触は六日に行われておりますので、声明後はまだ行われていないと了解しております。
  213. 立木洋

    立木洋君 大臣、そのまだ接触してないというのは、まだというのは、これはあれでしょうかね、大臣お尋ねしたいんですが、これから接触する可能性があるという意味なのか、あるいは和田大使に接触せよというふうな指示を与えるような可能性があるのか、あるいは日本に駐留しておるイラン大使外務省の幹部が会うというふうな可能性があるのか、そういう可能性は全く必要でないというふうにお考えになっているのか、その辺はどうでしょうか。
  214. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 必要もあるし可能性もあると考えていますが、その前に日本側考え方をもう少しまとめておく必要があると思っております。
  215. 立木洋

    立木洋君 それはあれでしょうか、大平さんや大来さんが訪米される前に行う可能性というふうに理解していいでしょうか。
  216. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 両大使を通じる接触はその前にもあり得ると思います。
  217. 立木洋

    立木洋君 そうすると、これはしかるべき政府の関係者の間で、つまり大使という、より高いレベルで接触する可能性というのも考えているというふうに理解していいでしょうか、その後は。
  218. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) より高いといいますか、大使と両方の政府のしかるべきレベルの人と会うということだと思いますが……。
  219. 立木洋

    立木洋君 結局、先ほどのお話でも出ておりました、人質解放については何らかの努力をしていきたいという趣旨のことを述べられたわけですね。これは、どういうふうな努力をするのかということは、いろいろな方法があり得るだろうというさっきの御答弁だったわけですけれども、これは日本側が、アメリカが行っている今度の制裁措置に対してどういう態度をとるかということについてのある程度の見通しも立て、そしてその後でイラン側意向、つまり日本政府態度イラン側に伝えるという接触の仕方なのか、あるいは、ある程度状況判断——日本政府としてはこういうふうに考えるという一定のものを持ちながらも、イラン政府の要望を聞いて、考え方を聞いた上で、さらに日本政府としての対応を再検討するという接触の仕方なのか、そこらあたりの接触の考え方というのはどういうふうに理解しておいたらいいでしょうか。
  220. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これは午前からの答弁の中で申し上げておりますけれども、この問題については特にヨーロッパの主要国相談することが望ましい、そういうことをある程度踏まえた上に必要があればイラン側との接触も考えることがいいんじゃないかと思っております。
  221. 立木洋

    立木洋君 いつもこの外務委員会で、いままでも問題になってきたことなんですけれども、世界の流れや国際的な情勢の進展等々を考慮に入れるということは、これは一面必要なことだと思いますけれども、しかし日本としては、日本の自主的な判断、考え方というのがやっぱりきちっとあった上でやらないと、いろいろ周りに引きずり回されるというふうな可能性もあり得るわけですから、そういう意味では、イランはやっぱり当事国ですし、今後友好関係はやはり維持していきたいという先日の外務大臣発言もあったわけですから、これは、イランとの接触ということはやっぱりヨーロッパ諸国との接触ということとは違った意味を私は持つだろうと思うんです、今回は当事国としてイランとの関係はですね。だから、その点は十分に考えた対応の仕方をしていただきたいというふうに思いますし、それから、この同調する内容の問題についてはもう午前中から何回か同僚議員が聞いて、もうそれについては、お答えが当然しにくいということもあるのでこれ以上お尋ねしませんけれども、先ほど言われた一〇〇%同調するという意味ではないということを踏まえて、改めてこうしたアメリカのやり方には同調しないという態度をはっきりさして、さらに危険な方向に進展していくようなことにならないように、日本政府としてもきちっとした対応をとってほしいということを最後に前回とあわせて重ねて要望しておいて、この問題についての質問は終わって、次に、議題になっている条約の問題、協定の問題に移りたいと思います。その点で、最後大臣のお考えを一言お聞きしておきたいと思うのですけれども。
  222. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 一〇〇%同調するとは限らないという点と、同調可能な面については同調考えるということ、これは先ほどから申し上げているとおりです。
  223. 立木洋

    立木洋君 私の方ではこういうやり方に同調するなという主張であるので、十分にお考えに入れていただきたいと思うんです。  さて、今回この関税に関する協定、これにかかわる十本の内容が問題になっているわけですが、まず最初に、先ほど午前中も若干問題になりましたけれども、東京ラウンドの結果についての評価といいますか、今後の日本貿易のあり方を踏まえたお考えというのを最初に聞かしていただきたいんですけれどもね。この問題は自由な貿易というふうなことで、体制的にそれが、ガットが一九四七年に発足して、今回の東京ラウンドが七回目の交渉、非常に長期間にわたった交渉だったわけですけれども、これはそれまでのガットに関するケネディ・ラウンドまでの経過とは違って、やはり先進諸国の経済成長やアメリカの経済進出によって、あるいは戦争政策によってドル危機が招かれたというふうなこともあって、一九七一年のアメリカの新政策でガット体制が重大な事態に直面せざるを得なかったという経過を踏まえてのことだったと思うんですね。ですから、その後一時的には保護貿易主義的な傾向が若干出てきて、そうなってはならないということで世界貿易の自由なあり方、さらには新しい貿易のルールを確立するという方向を目指して東京ラウンドが開かれてきたと思うんですけれども、そういう経過を踏まえて、先ほど日米貿易関係がどうなるかという問題でも若干大臣のお答えがありましたが、今後の日本貿易の進むべき方向との関連においてこの東京ラウンドをどういうふうに評価されているのか、最初にそれをお伺いしたいんです。
  224. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 日本の経済構造と申しますか、あるいは資源の賦存の状態も含めまして、あるいは人口の大きさ、生活水準の高さ、いろいろなものを考えてみますと、将来とも日本はかなり高い貿易依存度が必要になる。もちろん生活水準を下げるつもりならば自給度を高める可能性もいろいろあると思います。たとえば動物性たん白の摂取量を減らすということになればえさの輸入も減らすことができる。昭和の初期のような生活水準ということになれば自給度も高くなる。エネルギーの消費も、余り自動車に乗らない、相当な距離も足で歩くという決意になれば、エネルギー輸入依存度を相当減らすこともできると思いますが、しかし、ここまで達成した日本人の生活水準、食生活の水準、栄養の水準——この栄養の水準が日本の死亡率の低下と寿命の長さに非常に影響しておるわけでございますが、こういう点を後戻りしたくないということであれば、やはり日本の経済は将来も世界貿易に大きく依存する構造を持たざるを得ないんじゃないか。そういう点から言えば、東京ラウンドが自由貿易を基本にいたしまして、相互にできるだけ貿易の障壁を減らそうという大きな方向は、日本の将来あるいは日本国民の将来の生活水準という点からも利益が一致する面が多いというふうに考えております。
  225. 立木洋

    立木洋君 いまおっしゃった点で幾つか賛成できない点もありますけれども、もちろん私たちも何も保護貿易主義を主張しているわけではないわけで、いまの世界経済の中でどのようにやっぱり対等、平等、平等互恵といいますか、それぞれの国が利益を分かち合いながら協力していけるような貿易関係の発展でなければならないということは私は当然だと思うんですね。しかし、いままで往々にすればやっぱり自由な貿易ということで、先進国といいますか、そういう国の利益が重視されるという傾向に流れがちであったということも、これは反省しなければならない点としてあるわけですから、だから、そういうことから考えて、今回の東京ラウンドの交渉が以前のようにガットの、つまり関税の一括引き下げですかがやられたようなケネディ・ラウンドと違って、いろいろな意味での枠組みの問題が問題にされてきた。これが今後の世界貿易にとって実際にはプラスに働いていくのか、あるいはどういうふうな働き方をするのか、まだ未知数なのか、そこらあたりの大臣の御判断はいかがでしょう。
  226. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 私も世界貿易というのが完全な自由経済と申しますか、自由放任、レッセ・フェール的な形でいくとは思いませんし、いろいろな形での協定とか、単なるプライスメカニズムだけによらない取り決めというものも現に行われているわけでございますし、各国国内経済政策においても農産物等についてそういう点が考慮されておるわけでございますから、私はやっぱり世界経済の将来というのは、自由と計画の望ましい結合ということが将来の方向として考えられるべきじゃないかと。この計画も余りに、何といいますか、市場における競争というものを無視しますと、各国民が価格が高くて質の悪いものを消費する形になり、生活水準の向上にマイナスに響くという面も出てまいると思いますので、いまのこの自由と計画の最適結合といいますか、そういう種類のものを目指すべきであろうと考えるわけでございます。
  227. 立木洋

    立木洋君 今度の東京ラウンドが非常に六年有余もかかったという経過、このことの中には、一つアメリカが主導的に進めてきたあのケネディ・ラウンドの時代とは違っていろいろな問題が出てきておる。当然アメリカ自身も反省しなければならない点があるにもかかわらず、事実上アメリカは、自国としては外国に輸出する場合自由な貿易の拡大がどんどんできるような状態を確立したいと願いながら、自分の国にとってやっぱり保護貿易主義的な方向を特に打ち出したから、こういうことがやっぱり今度の東京ラウンドを長引かしてきた一つ内容にもなっただろうと思いますし、多かれ少なかれそういう矛盾というのがそれぞれ存在し、ジレンマとしてあるわけで、今後の問題というのは、そういう意味では、私はただ単なるこの先進諸国間のあり方だけの問題として世界の貿易を見ていくんではなくて、やっぱり開発途上国とのかかわり合いが非常に重要になってくるのではないだろうかと。で、東京ラウンドの場合も、東京宣言では「開発途上国の特定の貿易問題を考慮しつつ、すべての参加国の貿易問題を衡平な方法で解決するための協調的な努力がなされなければならない。」というふうに発展途上国の問題にも触れられているわけですね。それからまた「開発途上国の国際貿易にとっての追加的利益を確保すること。」、このことがまた交渉目的としても明記されているわけですね。こういうようないわゆる当初目的とした内容が実際には東京ラウンドが終わった結果としてはどういうふうになっているのか、大臣の御判断はいかがですか。
  228. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) これはただいま読み上げられたとおりの基本的な考え方でございまして、ケネディ・ラウンドの際に比べて東京ラウンドの方がより多く開発途上国の利益というものに考慮を払われたと思いますし、途上国の発言権もその間にかなりふえておるように思います。ただ、それじゃ開発途上国の主張が全部通ったかというと、それはなかなかそうはいかない。ガマニ・コレアUNCTAD事務局長も報告書の中で言っておりますような、幾つかの点で不満だという途上国としての不満というものも挙げられておるわけでございますが、これまた先進国内の政治、社会の情勢もございまして、途上国で安くできればすべて途上国が市場を開放するかといいますと、やはり農業、中小企業などの分野で、それによって先進国の社会にも相当大きな影響があるわけでございます。大きな方向としてできるだけ途上国が有利に生産できるものは先進国が市場を開放すべきでございますし、それが世界経済の調和的な発展の方向だと思うのでございますが、やはりこの途上国の要求が一歩ずつ国際貿易のルールの中に取り入れられていくという意味で、必ずしも全部満足いくわけにはいきませんけれども、そういう意味での前進は今度の東京ラウンドにも見られると言っていいのじゃないかと思います。
  229. 立木洋

    立木洋君 いまおっしゃったように、確かに全然無視されたということではもちろんございませんけれども、経過を見てみますと、あの東京宣言が出されて直後の大変ないわゆる石油危機ですか、エネルギー危機が起こって、そういうことからやはり東京ラウンドの経過を見てみますと、先進国間の問題、ですから、アメリカやECや日本の間での問題という交渉がやはり前面に出て、開発途上国の問題というのがやはりなおざりにされてきたというふうな感じがどうしてもぬぐえないわけですよ。で、私今後の貿易のあり方で先ほど特にお伺いしたのですけれども、開発途上国の問題、特に日本としてはエネルギーや資源の不足しておるといいますか、外国に多く依存するというふうな状況の国として、開発途上国との今後の平等互恵の正常な協力関係のあり方というのは非常に重要になっているのではないかと思いますけれども、この点については大臣はどのようにお考えになっておいででしょうか。
  230. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 私も全くその同意見といいますか、開発途上国の利益というものが将来の国際経済秩序の中でできるだけ大きく認められていくようにしなければならない。そのためには、一つはやはり途上国の生産物が次第に競争力を持ってくるということが一つの条件でございますし、先進国は国内で相当つらい事情があっても、構造調整、調整政策を取り入れて、自分たちより貧しい国々でできる生産物が品質的にも価格の上でも国内生産物より有利であるという場合には、一時にということはむずかしいですけれども、逐次市場を開放していく政策をとるべきだ。それはそういう輸入品と競争関係にある国内生産者にとっては確かに苦痛を伴うことでございますが、一般の消費者にとっては、より安くよりいいものが手に入るという大きな利益があるわけでございますから、開発途上国の生産物に対してできるだけ国内市場を開放していくという努力が今後必要だろうと存じます。
  231. 立木洋

    立木洋君 それでは分けてお尋ねしたいんですが、先日も問題になりましたが、一つは、開発途上国が、一部の要求は受け入れられて、決議の内容でも盛り込まれていますけれども、特にその途上国として不満だという点はどういう点なのか。それからその不満だということについて、日本政府としてはどういうふうな対応を今後考えているのか、その点お尋ねしたいと思います。
  232. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 先ほど大臣が申されました発展途上国のMTNの結果に対する不満の点につきまして、UNCTADのコレアという事務局長が車報告を出しております。その報告は大きく分けまして三つばかりございます。そのうちの一つが、発展途上国に対する優遇措置が不十分であるということでございまして、第二番目が、ガットでの承認手続に疑問があるということを申しております。それから第三番目に言っておりますことは、発展途上国をねらい撃ちにした保護主義が今後ふえるのではないかというようなことが中心になっているようでございます。  まあ最初の発展途上国に対する優遇措置につきましては、これも大臣から御説明がありましたように、先進国としては最大の努力をしてまいりまして、できる限り発展途上国の関心のある品目についてこの関税の引き下げなどを行うように努力してきたことでございますけれども、ただ、日本におきましても種々のむずかしい問題がございまして、まあこれは中小企業等の生産している品物とぶつかるために関税の引き下げが十分できなかったとか、あるいは農産品につきましても、国内的な困難のために十分彼らの要望を満たすことができなかったというような点がございます。しかし、先進国側といたしましては、たとえば発展途上国の関心を持っております熱帯産品につきましては、これはまあ東京ラウンドの優先的な交渉事項の一つといたしまして、本年一月の一般的な関税の引き下げの時期を待たず、すでに三年前に実施に移してきたという努力をしておるわけでございます。  そのほか、発展途上国が種々のコードに入ります際に、このコードの中において発展途上国として完全には守れない義務というのもあり得るわけでございまして、これについては一部その実施の時期をずらしますとか、あるいは一部はまあ先進国等よりも緩い条件でのコードの適用を認めますとか、あるいは先進国の方がそのコードの適用に際しまして、まあ発展途上国の利益を考慮に入れる、あるいは発展途上国に対して技術援助を与えるというような規定を盛り込んだわけでございます。しかしながら、この点につきましても、発展途上国の方がまあ当初期待いたしていたところまで必ずしもいけなかったという点がある可能性というのはあるかと思います。  それから肝第二の点でございますけれども、ガットあるいは最後貿易交渉委員会での採択の手続に疑問があるのではないかと。あるいはこれはむしろその直接に交渉内容から申しますと、発展途上国が全体の成果について不満であるにもかかわらず、先進国だけで見切発車をしたのではないかということになるのかとも思いますけれども、この点につきましては、われわれとしましては、東京ラウンドの成果は、多数の途上国を含んでおるガットの全体の総意として、去年の十一月のガットの総会で満場一致で了承をされておるわけでございますし、また現在まで発展途上国の中でも、たとえばアルゼンチンとかブラジル、インド、インドネシア、香港などという二十二の国、これらの国は従来ともガットの活動の中で非常に重要な、しかも活発な役割りを果たしている国でございますが、これらの国がこのMTNの中の一部のコードにつきましてはこれを受諾している国もありますし、またすでに受諾の意思を表明している分野も、ございます。  まあこういうようなことがございますし、それから最後に、今後発展途上国をねらい撃ちにした保護主義がふえるのではないかというコレア事務局長のコメントにつきましては、これは恐らく今回MTNの一環として交渉をいたしましたセーフガード・コード、つまり緊急時に輸入を制限をする措置の大要につきまして交渉がまとまちなかったと、こういうことがその背景にあるのではないかと思います。このセーフガードの交渉段階におきまして、一部の先進国の方から特に選択的適用の必要性ということが主張されまして、発展途上国の方としてこれを見ますと、自分たちだけがねらい撃ちにされるのではあるまいかという危惧を持ったことは容易に想像される点でございます。したがってこの選択的適用の問題については、発展途上国側はこれに反対いたしまして、従来どおり無差別にセーフガード措置を発動すべきであるという主張をしておったわけでございます。それが結局現在までのところ関係国の間で合意ができなくて、積み残しということになったわけでございます。したがって、こういったことを今後とも発展途上国がねらい撃ちされるのではないかという心配をしているところではないかと思うわけでございます。  で、今後、どういうふうに対処するかということになりますが、発展途上国の関心のある保護主義の動きにつきましては、これはガットの中でも優先的に今後検討をしていくべき分野の一つということに決められまして、ガットの中にあります貿易開発委員会の中において引き続き検討を続けていこうということになっておりますし、さらに今後とも発展途上国が、ガットでこのたびできました種々のコードにも発展途上国自身がそのコードに参加しなくても、そのコードに基づいてつくられました委員会の活動にはオブザーバーの資格として参画をするということが認められることになっております。これも発展途上国の方の要望に基づいてそういうオブザーバーの資格として参加することができるということを決めたわけでございますが、これも発展途上国が現在においてはまだ諸規定の実施ぶりがわからないからこの協定に入るかどうかということについて確信が持てないとか、あるいは今後発展途上国側として受諾した場合に権利義務がどういうふうにバランスするかというものについてもまだはっきりしないから時間をかけて検討したい、あるいは国内の準備の体制を整えるために時間を要すると、まあいろいろな事情があると思いますけれども、いずれにしましても発展途上国側もこの委員会の活動に関心を持って参画をするということを希望をしておるわけでございますので、われわれといたしましても彼らがオブザーバーとして参加し、その活動を理解することによって、今後この新しくできましたMTNのパッケージにできるだけ広く参画をして、そうして協力して新しい体制を発展させていきたいと、そういうふうに考えております。
  233. 立木洋

    立木洋君 結局いま言われた途上国からの輸入に対する先進国の保護措置に対する検討、これ小委員会で今後引き続いて検討していくということですし、またそのセーフガードの交渉継続のための委員会もこれは設置されて、まあ実際には積み残しされて引き続いて検討していきましょうという内容で、問題はこれからの検討に実際にはかかってくると思うんですね。だからそういう意味では、こういう委員会が設置されたということ自身がこれで打ち切って一方的に押しつけたという形ではなくて、引き続いて検討していこうということは、これはいいことですけれども、問題はこれからの交渉内容にやっぱりかかってくるだろうと思うんです。  それで大臣、開発途上国の要望というのは、私はただ単なる今度のこの東京ラウンド、ガット等々の貿易上あらわれてきた不満だとか要求ということではなくて、やっぱり根本的に言うならばUNCTAD以来いろいろ議論されています貧富の差をどうなくしていくのか、それから国際的な経済のあり方、これをどうしていくのか、南北問題等々、あるいは最も彼らが問題にしている一次産品についての共通基金の問題をどういうふうにしていくのかというふうな全般的な問題にかかっておると思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  234. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 世界経済秩序が、過去の秩序は先進国に基本的には有利になっておるという考え方が途上国の間に強くありまして、そういうことを背景にしてUNCTADがかつて生まれ、まあいまでも活動しているわけですし、さらに七〇年代に入りましては一九七四年の新国際経済秩序というのが国連の決議として生まれてまいったわけでございまして、その後もいろんな場で、南側といいますか、発展途上国の方から見た世界経済秩序ということは、国連の場その他の場でいろいろ論議されてきておりますし、また、この東京ラウンドでも必ずしも十分ではないけれども、少しずつそういう主張が取り入れられていると、それから来年は国連の場でグローバル・ネゴシエーションというものが行われて南北問題の話し合いをさらに進めるというようなことでいろいろな場面が出てまいりましたし、また南側としては、このOPECという産油国の力を利用といいますか、と結びついて途上国の立場発言を強めようという動きも従来行われてきておるわけでございまして、南北問題との関連での国際貿易なり国際経済秩序というのは今後もいろいろな進展が行われていくのではないかと思います。
  235. 立木洋

    立木洋君 IMFで調べた内容を見てみますとね、経常収支がどうなっているのかという点で、先進国の場合には一九七四年がマイナス百三十三億SDRになっているんですね。これが一九七八年には百二十三億になって、つまり改善額二百五十六億という形に改善されているわけですよ。産油国の問題はいつも問題になりますけれども、これはちょうど石油危機があったという状況のもとでしたが、一九七四年には四百四億、これが一九七八年には、四百四億が今度四十三億になっているんですね。これマイナス三百六十一億ですよ。  それから、これはドルで計算した非産油途上国の場合には一九七四年がマイナス二百四十五億ドル、七八年がマイナス三百四十億ドルと、こういう状況ですね。先進国の場合にはあの石油ショックがあってからこのわずかの期間の間に大変な改善がされたと、これは私が故意に出した数字ではなくて、もうここにIMFで調べてということで出してあるわけですから。ところが、やっぱり産油国の場合、それから特に非産油国の場合には大変な状態になっておるということが出されているわけですね。ところが、またさらに開発途上国全体、これは外務省の経済局が出している資料によりましても、開発途上国全体では一九七〇年から七五年の間、実質では七六%の伸びを示したけれども、これは主として産油国だ、これは二二七%増だと。ですから後発開発途上国というんですか、これの収入が逆に二二%減少しておると、大変な状態になっている。これはもう私が言うまでもなく大臣が、その開発途上国の貿易条件ですね、一次産品に依存せざるを得ないような、そういう開発途上国の貿易の条件やいろいろなあり方等々が大変困難であるということは、もう申すまでもないことだと思うんですが、現実にはこうなっているわけですよ。  こうなると、やはりどうしてもこれに対する改善を求める声というのは強まらざるを得ないということは私は当然の論理としてあり得るのではないだろうか。UNCTADの総会が開かれてからもうすでに十五年もたっているわけですが、結局それまでの間、事実上貧富の差を縮めていく、また貿易を通じいろいろの面を通じてそういう状態をつくり出していくということがやられながらも、現実にはどんどん差が開いていくという状態になっているという現実があるわけで、この点を相当よく考えたこれからのあり方をしないといけないのではないかと思うのですが、大臣その点いかがでしょうか。
  236. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) この途上国の経済を改善する場合に、まあ途上国の中でもいろいろな分化が起こってまいりまして、先ほどの立木委員の数字の中でも産油国はかなり急速に所得が上がっていくと、それからもう一つのグループは、いわゆる最近では中進国とか新規工業化国とか言われているような、比較的工業化が急速に発展して輸出も伸びている、所得も伸びているという国々、他方非常に貧しい後発開発途上国と言われるグループでは経済が停滞しているというような途上国の中のいろいろなグループによって違いが相当出ておることは事実でございます。途上国全体として見れば先進国の経済成長率を上回っているということは、過去十年ぐらいについて言えると思いますが、いまのように途上国の中で貧しい国の経済が停滞的だということは非常に問題でございまして、これはまあ必ずしも貿易だけで解決しない。国内でもある程度所得の移転が社会保障的に行われているわけでございまして、生活保護法とかそういうものもございますが、国際的にやはり贈与ないし低利の借款による所得の移転を広げることも同時に必要だと、ことに最も所得の低い国々についてはそういう対策も必要だと思います。
  237. 立木洋

    立木洋君 この問題だけでやりとりしてしまったらこれで全部終わってしまうので、最後お尋ねしなければならないことがあるのであれですが、大臣もおわかりでしょうけれども、七十七カ国グループなんかが出しておるアルーシャ計画なんかも当然お読みになっておられるだろうと思います。しかし、開発途上国との関係の問題について一般的にはこれはきわめて肯定的な積極的ないつも御発言をいただくんですが、具体的な問題になるとやっぱり先進国グループに類した立場からの対応の仕方になり、どうしてもそれぞれの分野ではいろいろと不満が日本にも出されてくるというふうなこともあるので、そういう点今後ともぜひ改善に努めていただきたい。その開発途上国との関係の重要性については、大臣先ほどよくわかっておるというお話でしたのでこれ以上この問題については質問をいたしませんけれども、その点特に要望しておきたいと思うんです。  それから次に、スタンダード協定の問題なんですが、これまでアメリカやECなどから日本の規格認証に関してどういうような要望が出されてきたのか最初にお尋ねしたいんですが。局長、もう時間がないので簡単におっしゃってください。
  238. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 現在までにスタンダード関係につきまして外国から要望がありました代表的な事例といたしましては、電気用品の規格の策定に当たって、外国人の有識者の意見を反映させるため、規格作成委員会に外国有識者の参加をも認めてほしい、それから電気用品、医薬品、自動車等の検査に当たっては外国の検査機関で行った検査結果を受け入れてほしい、自動車排ガス基準や一部JAS規格——これは製材、合板でございますが——の基準が厳し過ぎるので緩和してほしい、それからJISマークの表示を外国品にも認めてほしい、といったようなことがございます。
  239. 立木洋

    立木洋君 排ガスの五十三年規制について、外国車についての適用の延期措置を当面とっている。つまり排ガスは、五十三年規制は五十六年一月から適用、騒音は五十四年規制は五十六年四月より適用ということになっていますが、これはアメリカの要望にこたえてそういう措置をとったわけですか、外国の要望にこたえて。アメリカやECなどの要望にこたえてそういう措置とったんですか。
  240. 金田幸二郎

    説明員金田幸二郎君) いま先生御指摘のございました五十三年度排出ガス規制の決定に際しまして、外国から外国車の事情を考慮してほしいという要望がございましたわけでございまして、これに対しましていろいろと技術水準でございますとかやはり外国ということになりますと情報伝達の問題でもなかなか国内のようにうまくいかない、少し時間がかかるといったような問題、そういうような要素も考慮いたしまして関係省庁とも慎重に検討いたしまして、いま先生のおっしゃったような方向でもって措置いたしたわけでございます。
  241. 立木洋

    立木洋君 この協定の前文に、「自国の輸出品の品質を確保するため、人、動物若しくは植物の生命、健康若しくは生育を保護し若しくは環境の保全を図るため」云々ということがありますが、こういうようなことに該当する要望、要求というのがいまの状況から見て今後どんどん出されてくるというふうにお考えなんでしょうかどうなんでしょうか。
  242. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 日本の規格問題について現在までの外国からの主要な要望につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。今度の技術的障害に関する協定につきまして、このような例外と申しますか、一定の条件は十分各国ともこれを尊重してよろしいという規定ができておりますので、現在この協定が成立したということを契機といたしまして特別な外国からの要求がふえてくるということは考えてはおりません。
  243. 立木洋

    立木洋君 前文にはいま述べたような規定が書かれてあるわけですね。だけれども、この二条の五項ですかのところに、つまりそういう規格だとかなんかの問題ですね。これが「他の締約国の貿易に著しい影響を及ぼすおそれのあるときは、締約国は、次の措置をとる。」云々というのがありますね。そして、それが二条五項の一、二、三、四、五とこうなって、四と五のところの強制規格、任意規格のところには、「要請があった場合にその意見について討議し、また、書面による意見及び討議の結果を考慮する。」と。次の五のところも、「書面による意見及び討議の結果を考慮する。」ということになっているわけですね。そうすると、たとえば日本では排ガス規制が厳し過ぎる、これを緩和してもらわぬと困るというふうなことを言ってくる場合、これは日本側としては考慮せざるを得ないということになるわけですね。一方では、そういう点は人だとか健康だとか環境保全だとかというふうに当然やらなければならないと一面では言いながら、一面ではそういうふうに言ってきた場合には「考慮する。」この「考慮する。」というのはどういうニュアンスなんですか、意味なんですか。
  244. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 「考慮」という字について特別な定義がこの中で定められているわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、規格につきましてはそれぞれの国の事情を考慮してよいということになっておるわけでございます。ただし、国際的に共通な規格がある場合にはできるだけこれに従うようにという規定も別途書いてございますし、また各国が独自で決めております規格がその規格を定めたときの目的、趣旨に反しまして貿易上の障害になり得るということもまああるわけでございますから、そういうときには、ほかの国からそういったものとして申し入れがあった場合には、その申し入れを真剣に検討をするという趣旨でございます。ただ、ここの真剣に検討すると申しましても、当然そのときにはここの協定の前文に書いてございます、先ほど先生がお読みになりましたところが当然かかってくるわけでございますし、それから先生が御指摘になりました二条の五項の次の二条の六というのがございますが、この六にも、安全上、健康上、環境の保全その他については、二条の五に定める措置のうち必要と認めるものを省略することができるというようなことも書いてございまして、日本実施している規格が、日本の置かれた状況にかんがみまして、合理的に説明できるものであるということであればこの変更を外国から強制されるということはございません。
  245. 立木洋

    立木洋君 この「考慮する。」というのは、ただ単に考えるという意味じゃなくて、場合によっては配慮するといいますか、計算に組み入れるといいますか、相当真剣に考えなければならないものになるだろうと思うんですね。こういうようなことが前文で規定された、一方では妨げられるわけではないと、各国で行われるこうした事情については。ということが前文で認められておりながら、事実上こうした文章が根拠にされて、日本のいろいろな規格が厳しいじゃないか、もっと緩和せぬとこれはだめだというふうな要求がどんどん来るような、そういうふうな点については、十分に対応していかないと私は困るだろうと思うんですよ。その点どうでしょうか。
  246. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 当然外国の方から協議の申し入れがありましたときは、日本側としてもこれを受けなければならないわけでございますけれども、これはあくまでこの協定の枠内としての協議、すなわち前文に書いてあること、及びいま申し上げました二条六ということも踏まえましてこの協議に応ずるということになります。
  247. 立木洋

    立木洋君 そういうふうにお答えになるだろうと思いますけれども、これは何といいますか、変な言い方すれば玉虫色みたいなものなんですよね。一方ではそういうことが認められておきながら、一方ではそういうことを真剣に考えなければならないということにもなるわけですから、何を基準にしてどこでけじめをつけるかということは、これからのこの協定を運用していく場合の日本外交姿勢のあり方といいますか、これはやっぱりきちっとしておかないと私はいけないだろうということを述べて、次の補助金の問題にかかわって若干お尋ねしたいんです。  これも読んでみますと、ガットの十六条の「補助金」というところですね、前の場合でいいますと、これは、「補助金で、直接又は間接に自国の領域からの産品の輸出を増加させ又は自国の領域への産品の輸入を減少させる」ような補助金の問題として規定があるわけですね。しかし、これらの内容をずっと見てみますと、これはつまり、いろいろな問題について他国に通告するだとか、あるいは他の国と討議をするだとか、そういうことが義務づけられているのが私はこのガットの十六条だと思うんですよ。ところが、今度のこの協定内容第八条を見ますと、これは先ほどの同僚議員の質問に対して局長が答えたのは、私は一面だけ答えていると思うんですが、補助金の問題では、「署名国は、補助金が社会政策上及び経済政策上の重要な目的を達成するため政府によって交付されていることを認める。」と、だから、そういう意味では補助金というのは正当に認められて問題ございませんという言い方を一方ではしたのです。それだけしかしてないんですよ、あなたが先ほど答えたのは。ところが一方では、「署名国は、また、補助金が他の署名国の利益に悪影響を及ぼすことのあることを認める。」ということも述べているわけですね。そうすると、ここであるのは、補助金というのはこれは大変な問題になってくるわけで、一つ一つ簡単に答えていただきたいのですが、わが国がいま本協定で言っておる、いわゆる直接的な輸出補助金というものはありますか。
  248. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 直接的な輸出補助金はこのコードで禁止されておるわけでございますけれども……
  249. 立木洋

    立木洋君 いや、もうあるかないかだけで結構です。
  250. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 日本が現在持っておる補助金でこれに該当するものはございません。
  251. 立木洋

    立木洋君 そうしたら、直接輸出補助金以外の、つまり間接的にというふうに外国からみなされ得るようなそういう補助金というのはありますか。
  252. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 一般的なその国内の補助金につきましては、これはこのコードでも、先生御指摘のとおり、認められておるものでございますから……
  253. 立木洋

    立木洋君 いや、ありますかないですかということだけなんです。
  254. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 国内で補助金を出している例はたくさんございます。
  255. 立木洋

    立木洋君 つまり、そういう国内で補助金出しており、それがアメリカ側から問題にされた補助金というのはどういう補助金ですか。いわゆる直接輸出補助金ではなくて、どういうものが問題にされていますか。
  256. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 特にアメリカから特定の補助金を明示してこの廃止等を求められている例はございません。
  257. 立木洋

    立木洋君 いや、局長、それは困るんですよ。大蔵委員会で、政府が、ありますと答えている。「アメリカ側が問題にしておりますのは、一つは円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法による融資その他でございます。」「それからジェトロの活動、これが実質的に補助金的効果を生むのじゃないか、こういうことでございます。それから市場開拓準備金なんかについても問題になることがございます。」、承知してないですか。
  258. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) これらの補助金の存在ということは、これはアメリカ側も承知しておるところでございますし、われわれも承知しているところでございます。  先生の御指摘になりましたうちで、一つ円高の方につきましてはこれはたしか四月一日以降廃止になっておりますので、そのほかの点につきましては、これは補助金の問題として取り上げているよりも、むしろ国内で出している補助金が輸出の方にどういう影響を与えているかという方からの問題の提起でございまして、したがって、その関連でアメリカの方におきまして相殺関税の対象として提訴が行われて、それをめぐっての議論があるということでございます。
  259. 立木洋

    立木洋君 いや、局長、話をややっこしくするからあなただめなんですよ。私が言っているのは、つまり問題は、アメリカ側が問題にしてきておることがありますかと。だから私は、これがけしからぬだとか、いかぬだとかいう意味で言っているのではないんですよ。アメリカが問題にしてきているのは何かという意味です。あなたはそうではなくて、これが正当なんだということを説明しようとするから話がおかしくなるんですよ。端的に答えていただいたらいいわけです。だから、これは問題になっているということなんですね。  それからこの補助金については、つまり輸出振興につながるものばかりではなくて、全く輸出にかかわりない補助金も日本国内にはあるわけですよね。ところが、ここで問題にされてくるのは、私は、この協定の十一条のところに、一方では、「署名国が輸出補助金以外の補助金を交付する権利を制限する意図を有しない。」と1項にちゃんと書いてあります。書いてありながらその2のところでは、「輸出補助金以外の補助金につき、特に、それらが正常な競争を行うための条件に悪影響を及ぼす場合においては、」云々ということがあって、「署名国は、輸出補助金以外の補助金の交付によってこれらのことを生じさせることのないよう努める。」ということも一方では書いてあるわけですね。つまり、ここは輸出補助金ではない補助金のことなんですよ。ここで言う、つまり「正常な競争を行うための条件に悪影響を及ぼす」というのはどういう場合でしょうか。
  260. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 具体的なことがちょっと思い浮かびませんけれども、たとえば国内で多額の補助金を出すことによって国内品の価格が非常に安く生産し得るというようなことになった場合には、これが対外的にそれが直接輸出に結びついていなくても、輸出価格が下がることによって、外国から見ました場合には、その貿易にひずみが生ずるというような主張をすることが考えられるかと思います。
  261. 立木洋

    立木洋君 つまりガットのあれで見ますと、先ほど言いました十六条で見ますと、直接または間接に自国の領域からの産品の輸出を増加させ、ということが一方ですよね。それからもう一方は、また自国の領域への産品の輸入を減少させるもの、こう言っているわけです。これは前のガットの十六条の規定は義務規定じゃなかった。つまり討論、他国との討議等々が義務化されておったけれども、今回の場合はここではこれらのことを生じさせないように努めなければならないということが義務化されるわけですね。そうしますと、たとえばこういうことが起こらないかと思いますよね。あのね局長ね、いまアメリカから大変な飼料が日本に輸入されています。いま農家の人たちがいわゆる飼料米、えさ米の開発を各県でやっています。そしてこれはえ米が開発されてどんどんどんどん飼料がこのえさ米によって日本内で自給されていくような状態ができて、アメリカ日本輸出しておる、つまり飼料が大幅に減少しなければならないというふうな状況になると、ここで言う悪影響を及ぼすというようなことには、これはとられかねない問題にはならぬですか。
  262. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 御承知のように、いまえさ米としての過剰米の処理というものは、これは外国からの輸入を減らすことを目的として実施しているものではない、全く別な観点からやっていることでございます。これがここのこのコードで言います補助金というものに該当するかどうか、実はこのコードで補助金というものの具体的な定義というのがございませんので、よくわからないわけでございますが、場合によりましたらこれは補助金の一種であるということで話が出てくることを全く可能性を阻害するということはできないと思います。しかしながら、それは日本側実施している措置、目的、その他を十分説明をして、相手側の理解を求めるように努力するつもりでございますし、またこのコード自体に書いてありますことも、たとえば製品といいますか、一次産品以外の輸出補助金は明らかにこれはコード上禁止をしておるわけでございますが、そのほかの輸出補助金以外の補助金につきましては、署名国の義務としては輸出補助金以外の補助金の交付によって生じる、これらのことを生じさせることのないように努めるという努力の義務になっておるわけでございます。  それから先ほどガットの十六条では、「討議しなければならない。」ということだけではないかという御指摘でございましたけれども、まさにそのとおりでございますが、ただ要請を受けたときは、「その補助を制限する可能性について他の関係締約国又は締約国団と討議しなければならない。」というふうな書き方になっておりますので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
  263. 立木洋

    立木洋君 つまりいま言った努めるという、まあ努力だと言うけれども、これは問題——たとえばいま減反やっていますよね。さっきえさ米のことを言った。これは補助金と事情が違いますと言った。輸出を促進するための補助ではもちろんない。何もそういうことを私は言っているわけじゃないんですよ。小麦の問題だって、いま転作奨励金で小麦をどんどんどんどんつくるという話になっているでしょう、奨励金出して、減反をして。そうしたら今度小麦は自給率をどんどんどんどん高めていって、結果的にアメリカから輸入する小麦が減るというふうなことになった場合に、アメリカ側から、あなた努めてもらわぬと困る、努めてないではないかと言われる可能性があるんですよ、この条項でいけば。いやそんなことは絶対アメリカ側は言いませんなんていうようなことにならない、この協定からいえば言ってくる可能性があるんですよ、これは、えさ米だって小麦だって。つまり日本で農作物の自給率を高めていけば。そうしたらアメリカからいま持ってきて日本の食糧事情を変えてそしてやって、いままでの慣行的な状態から一歩アメリカ輸出状況が後退するような事情になってきた場合に、日本、これは困るではないか、悪影響を及ぼしている、そういうことが起こらないように努めてもらわぬと困るじゃないかと言ってくる可能性があるんじゃないですか。私はそういうことを聞いているんですよ。
  264. 手島れい志

    政府委員手島れい志君) 先生御指摘のように、いまこの条項に言及することによって先方から申し出がないということを私は保証することはできません。それはあり得るとは思いますけれども、しかしここで書いてありますことはあくまでそれに努めるということでございますので、そのこと自体、すぐそれが簡単に実現できないからといってこの協定に違反したということにはならないというふうに考えます。
  265. 立木洋

    立木洋君 違反したとか違反しないだとかということを私は全く聞いてないんです、それは、全然。だからこの問題、この条文のこれは運用上というのは相当きちっとしてやらないとやっぱりいけないものになるということなんですよ。これは先ほど言いました排ガス規制なんかの問題だってちゃんとやってもらわぬと困るじゃないか、こんなことでは貿易に悪影響を及ぼすというふうなことを言ってくる可能性があるわけですよ、これだって。それから、こちらの補助金の問題だって、補助金をつけていると、これ明確じゃないんですからね、どこまで輸出にかかわるかかかわらないかということを、これ文章ずっと読んでいったらどこでけじめがあるのか明確じゃないんですよ。そうしてくると、いわゆる国内的な政策の上で補助金を出すということは一般的に認めておるんです。これに何ら異議を差しはさむものではないと一方では書いてあるけれども、一方ではそれについてきちっと文句をつけることができる条項もあるんですよ。これは違反だという意味じゃないんですよ。文句をつける条項もある。だからそういう点はこれは非常に問題のある点だろうと私は思うんです。  以上、もう私はこれ以上時間がありませんから言うことはできませんけれども、最後大臣、先ほど開発途上国の問題であれしましたけれども、いま申し上げましたこの貿易技術的障害に関する協定の問題、それからいまの補助金の相殺の問題ですね、ここに述べられている点、いま私が述べた点は、大臣ずっとお聞きいただいたと思いますけれども、こういう非常に重要な問題点を私は含んでおるということを言わざるを得ないと思うんです。そういうことは十分に踏まえて対応してもらわなければ大変な事態になる。私たちはもちろんこの内容が以上のような点があり、きわめて問題がある点として賛成できませんけれども、賛成できないという立場ではありますが、政府として対応する場合にはきちっとしてやってもらわないと困るということだけは言っておきたいと思うので、その点最後大臣の御所見を伺って私の質問を終わります。
  266. 大来佐武郎

    国務大臣(大来佐武郎君) 御指摘の点につきましては、国内産業の保護、農業、中小企業等を含めての問題等と自由化による利益と、双方の場合を考えていかなければなりませんし、国内におきましても生産者の保護と消費者の利益ということとを考えていかなければなりませんので、実際の運営につきましてはやはりそれぞれ政府が総合的な立場から相談をすることでもございますし、特に農産物については各国の例等を見ましても必ずしも完全に自由貿易という形になっていない点もございますので、御指摘のような点は協定の施行に当たって他のいろいろな面との関係を調整して当たっていくべきだと考えます。     —————————————
  267. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 委員異動について御報告をいたします。  本日、秦野章君が委員辞任され、その補決として前田勲男君が選任されました。     —————————————
  268. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更に関する第四確認書締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  269. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定のジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  270. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  271. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、貿易技術的障害に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  272. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、民間航空機貿易に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  273. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、政府調達に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  274. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  275. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  276. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定議定書締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  277. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、輸入許可手続に関する協定締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  278. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、十件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  279. 石破二朗

    委員長石破二朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十五分散会