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竹本分科員 私は、経済問題もそうでございますけれ
ども、特に
外交の問題においては
情報を集めるということが一番大事だと思います。
一つの哲学、ビジョンがなければならない、そしていよいよ実行となれば勇気がなければなりませんけれ
ども、その間に
情報という大きな
役割りがあると思うのですが、ビジョンがあっても
情報がなければ困るし、
情報があって決断を下しても勇気がなければ困ります。
きょうは、特に
情報の問題について一口だけ申し上げますが、この資料を拝見して一番驚くことは、いまもアフガニスタンの問題について
大臣は、
関心を持っていると言われました。私のところで調べてみたら、この資料に
情勢を注目しておるというのが幾つぐらいあるかというと二十四カ所あるのですよ。注目、注目、注目とね。確かに
情勢は注目をしなければなりませんから、注目することは大事でございますが、どういう
方向から注目をするか、また注目した結果どういう
方向に行くであろうという
一つの判断を持っているかということが大事だと私は思うのです。たとえばニュース映画を撮るにしても、ただ漫然と自然現象を写せばいいというものではなくて、
一つの問題意識があり、
一つの構想があって、そこからニュース映画を撮る。すべて社会の視角外をつかむつかみ方というものは、そういう意味においてはっきりした
一つの立場があり、その立場から注目をする、あるいは少なくとも注目した立場から
一つの結論をサゼストしながら
一つの問題を出す、そういう意味の注目でなければ、単なる物理学的注目では意味をなさぬ、
政治的注目でなければならぬと思うのです。ところが、ここにある二十四の項目は、注目、注目と書いてあるけれ
ども、相当好意を持って読んでみても、どっちへ向けていこうという
考えのもとに問題をとらえておるかという問題意識がわれわれにはっきり映ってこない。これは重大な問題であります。
私は、イデオロギーを持って、一方に偏った
考え方で世の中を断ち切れとは言いません。しかし、
日本の
外交の基本的な立場というものがなければならぬ。その基本的立場、基本的
方向というものに即して注目をしなければならぬと思うのだけれ
ども、そういう意味の問題意識や
政治的な意図はほとんど読み取りにくい。冷静に中立的であると言えば非常にりっぱでもあります。しかしながら、
政治というものは、そう簡単に物理学的な中立性なんということは意味をなさない。
一つの
方向がなければいかぬ。そういう意味で私はこの注目に注目するわけですが、
外務省が
一つの
方向を出される場合には、どこが問題か、
国民に何を訴えようとするのか、そういう問題意識を持って資料を出すようにしていただきたい。それに対する
大臣のお
考えが
一つ。
それに関連して
証拠を挙げますけれ
ども、たとえばSALTIIの問題等がいろいろ書いてあります。十三ページに「米ソ
関係が大きく変化する可能性は少なく、基本的には競争
関係とともに現在のデタント追求路線が継続されるものと
考えられる。」と書いてある。しかしながら、これは現実の事実には余り合ってない。私は最近ケナンさんの論文をちょっと読みましたけれ
ども、
一つの高い
見識に貫かれておって、大いに敬意を払います。しかしながら、そういうものにも敬意を払うけれ
ども、同町に、厳しい現実の動きというものを見た場合に、この認識は当たらなかったということではないか。可能性は少なくて、デタント追求ができる。追求してほしいと思いますし、ケナンさんが訴えておられるように、われわれもタカ派的な
考え方だけでなくて、いろいろと反省もし、考慮もしなければならぬと思いますけれ
ども、少なくともこの認識は余り当たってはいない。
それから、四十ページはアフガニスタンの問題だ。「当面は現在のような反
政府側のゲリラ活動が続くものとみられる。」この「ゲリラ活動が続く」ということは当たっておる。しかしながら、ゲリラ活動がより広く広がろうということは全然書いてない。同時に、これは十二月二十何日かに出たとかいって書いてありますが、その翌日ぐらいにアフガニスタンに
ソ連軍が侵入したのでありますけれ
ども、
ソ連は侵入する日に侵入したのではない。その前に、たとえば道路をつくる。これは私の知り合いがずっと前にサゼスチョンしてくれた記憶があるのですが、いたずらにと言うと語弊があるけれ
ども、とにかくどんどん道路ができ始めた、あるいはまた軍事顧問団が入り始めたとい
うその徴候を見たときに、やはり
ソ連の動きというものをある程度
外務省の鋭い感覚でつかまなければいかぬ。それも全然つかまれていないで、ただ反
政府ゲリラの活動が続くものと見られると書いてある。続くだけではなくて、発展する、発展する結果
ソ連が入ってくるかもしれぬ。これは後ろへ向いた予言者の立場で言うわけではありませんけれ
ども、しかし、そのころすでに道路はどんどんできておるし、軍事顧問団は入っておるということは間違いないんだ。そういうことに対する問題のとらえ方が全然ない。要するに、そういう意味で余りに中立的な立場を
考える。一応ごもっともな
理由もあるのだけれ
ども、それにしても問題意識がなさ過ぎるのではないかと思いますが、いかがでございますか。