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1980-03-07 第91回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月七日(金曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 始関 伊平君       片岡 清一君    澁谷 直藏君       田中 龍夫君    渡辺美智雄君       阿部 助哉君    伊賀 定盛君       川口 大助君    八木  昇君       池田 克也君    草野  威君       伏屋 修治君    津川 武一君       藤原ひろ子君    渡辺  貢君    兼務 田畑政一郎君 兼務 岩佐 恵美君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業大臣官         房会計課長   石井 賢吾君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         通商産業省機械         情報産業局長  栗原 昭平君         通商産業省生活         産業局長    児玉 清隆君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君         中小企業庁長官 左近友三郎君  分科員外出席者         科学技術庁計画         局計画課長   今村陽次郎君         大蔵省主計局主         計官      角谷 正彦君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   杉戸 大作君         水産庁振興部開         発課長     本間 昭郎君         通商産業大臣官         房参事官    福原 元一君         中小企業庁計画         部振興課長   横田 捷宏君         消防庁危険物規         制課長     小池 次雄君         参  考  人         (石油公団理         事)      佐藤淳一郎君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   八木  昇君     伊賀 定盛君   池田 克也君     草野  威君   瀬崎 博義君     渡辺  貢君 同日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     後藤  茂君   草野  威君     伏屋 修治君   渡辺  貢君     三浦  久君 同日  辞任         補欠選任   後藤  茂君     川口 大助君   三浦  久君     藤原ひろ子君 同日  辞任         補欠選任   藤原ひろ子君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     津川 武一君 同日  第二分科員岩佐恵美君及び第五分科員田畑政一  郎君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  (通商産業省所管)      ————◇—————
  2. 始関伊平

    始関主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算通商産業省所管について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊賀定盛君。
  3. 伊賀定盛

    伊賀分科員 最初に通産省にお伺いしますが、第二次エネルギー危機が叫ばれるに当たりまして国内資源重要性が見直されるわけであります。わけても私が申し上げたいのは地下資源の問題でございますが、御承知のとおり地下資源掘削ということになりますと大量の鉱滓が出てまいります。したがって、鉱滓処理現状と今後の処理方針等について伺いたいと思います。
  4. 福原元一

    福原説明員 鉱滓処理現状と今後の対策につきましてお答えいたします。  現在、わが国の金属鉱山におきます鉱滓堆積場の数は全国で四百九十七ございます。そのうち、現在使用中の堆積場は五十八でございます。五十四年度中に処理されました鉱滓量は約五百万立方メートル、そのうち堆積場に廃棄されましたものは三百二十万立方メートル、鉱内に還元されました量が約九十万立方メートル、そのほか骨材等といたしまして有効利用しておりますものが約百万立方メートルということでございまして、先生おっしゃいましたとおり、今後地下資源を採掘してまいりますと当然鉱滓がふえてまいります。これの処理当たりましては、堆積場の増強ということも当然でございますが、さらに鉱内への還元量の増加あるいは骨材等有効利用というものの推進等中心となって考えられますが、さらに選鉱技術改善というようなことによりまして鉱滓量の発生を少なくするというようなことも考えられるかと思います。
  5. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そこで、それに関連いたしまして、兵庫県の養父郡に三菱明延鉱業所というのがあることはもう御承知のとおりです。これは大同年間というのですからもう数百年ずっと続いているわけでありますが、それだけに、いま鉱滓処理につきましてはお話しの鉱内に埋めていくとかあるいは大きいものはそれぞれ骨材等に使うとかするわけでありますが、一種の微粒子といいますか、非常に細かいものにつきましてはどうにもならぬわけであります。私も地元であるものですから何回か現地等も見てきたわけでありますが、谷谷にこう積み上げましてもう満杯であります。もちろん渓谷の多いところですから谷はたくさんありますけれども、やはりいざということがありますから、下流の人家等の了解を得なければなかなか新しい鉱滓処理場をつくるということが困難な状況であります。現地で聞いてみますと、大体あと四、五年しますともう鉱滓処理場がないという現状でありまして、ですから、これが処置できなければ鉱石は出るけれども採鉱を休止せざるを得ない、こういう現状であります。お話しのとおり、鉱滓処理等につきまして先年通産省から約四千万ほどの補助等を受けて鋭意現地でいろいろと研究はしておりますけれども、なかなか見るべき成果が上がっておりません。処理場を新しくつくるとしますと、約五十億ほどかかるそうであります。これは営業方針でもありましょうけれども、最近は三菱でありながら独立採算でありまして、全額三菱の出資でありますけれども、いわば中小企業であります。これを県に持ってきますと、いやいや、県はもう中小企業対策で手いっぱいでございまして、ああした大企業は国の仕事でございますからと言って、県は見向きもせぬわけじゃありません、県の工業試験場等でいろいろ努力はしておりますけれども、これまた見るべき成果が上がっておりません。国の方に聞いてみますと、国の方は工業技術院でありますか、そのあたりで基礎的な研究はするけれども、応用その他についてはもう企業でやってもらう以外にはございませんと国の方はおっしゃいます。  そうしますと、御承知のとおり一昨年から一昨昨年あたり、もうこの明延鉱業所も閉鎖せざるを得ないというようなところに来まして、国、県も十分な手だてがないものですから、所在の大屋町ではわずかな財政事情の中で五千万からの緊急融資等措置して今日まで来ておるわけでありますから、単独で五十億の新しいダムをつくるということはまず困難と見なければなりません。確かに私企業の利益ということにはなりますけれども、ああいう農村僻地でありますから、いわばこれは地域産業として大きな意味を持っておるわけであります。しかもそれが三年や五年でなしに何百年という歴史があるものであります。ですから、この鉱山がもし閉鎖するということになりますともう大屋町は壊滅状態になるということで、これは保守も革新も町を挙げてこの鉱山維持継続に全力を傾けておるわけでありますが、これらについて、今後そうした鉱滓処理について国はもっと積極的に処置すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  6. 福原元一

    福原説明員 明延鉱山につきまして、堆積場がもうあと数年分しか余地がないということは私どもも聞いております。堆積場余地あと数年分しかないけれども埋蔵鉱量あと十数年以上掘るだけの量があるということであって、今後堆積場の問題が明延鉱山の延命に非常に大きな影響を与えるということも私ども承知しております。  そこで堆積場の問題でございますが、一つには、堆積場を新しくつくるということが地元とのお話し合いがなかなか進まないということで、これは非常に困難であるという現状も私ども承知しておりますが、これにつきましてはまだ今後五年間ございますので、企業地元と十分お話し合いの上で何らかの解決策をお求めいただくように私ども企業を指導してまいりたいと思います。  一方、鉱滓利用につきましては、先ほど申し上げましたように、鉱内の掘り跡の充てん用として還元する量をふやす、それから鉱滓粒度につきまして、粗いものはそのままセメント用として売れるわけでございますから、そういう粒度の粗いものはそういう骨材として、セメント用として販売する量をふやす。先生ただいま一番問題にしておられますのは、さらに粒度の細かいものがこれはなかなかセメント用としても売れないということで、山が非常にその処置に困っておるということだろうと思いますが、これにつきましては、通産省公害資源研究所におきましても基礎研究といたしまして先生おっしゃいましたような研究を続けておったこともございますし、かたがた、さらに重要技術工業化試験補助金というのが工業技術院にございまして、これを利用いたしまして企業研究開発に対しまして補助するという制度がございまして、実績も四、五件ございますので、企業がそのような研究をするということにつきましては、私ども積極的にバックアップをしてまいりたい、このように考えております。
  7. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そこでさらにお尋ねしますが、国が直接できるとすれば、補助ないしは無利子もしくは低利融資あるいは利子補給等々が考えられるわけでありますが、それらについての方針、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、地域としても重大な問題でありますから、たとえば県あたりが、何か聞きますと秋田県がかなり先進的な立場でおやりだそうであります。ですから、県あたり地域一緒になって、あるいは鉱山会社一緒になって何らかの措置を講じようとする場合に、国としてそれらに対する何らかの措置があるのかどうかお尋ねします。
  8. 福原元一

    福原説明員 秋田県に秋田県パイプ流送鉱業公社というのがございまして、これが秋田県の鉱山から出ますスライム日本海まで持ってきてこれを流出させるという事業をやっておりますが、かたがたスライム有効利用として軽量骨材をつくるというような研究をしたいということがございまして、これに対しまして五十一年度に、先ほど申し上げました工業技術院補助金を交付した経緯がございます。このような計画が実際に兵庫県の方にございましたら、私どもお話を承った上で、御協力できるものは御協力させていただきたいと思っております。
  9. 伊賀定盛

    伊賀分科員 国として、利子補給とかあるいは融資の具体的な、現在の法規の中で何か措置しておるものがありますか。
  10. 福原元一

    福原説明員 堆積場建設につきましては、公害防止事業団あるいは日本開発銀行中小企業金融公庫等特利による融資制度というものがございますので、明延鉱業が新しく堆積場をつくるというようなことであれば、この辺の融資制度を御活用いただきたいと思っております。  一方、軽量骨材その他製品につきまして、製品についての価格差補給というようなことはできかねるところでございますけれども、現在つくりました骨材技術的にはほぼ可能であるけれどもコストは非常に高いというような問題点があると私ども聞いておりますが、コスト引き下げ等に関する研究開発というようなことでありましたら、先ほど来申し上げております補助金等によって御協力できるのではないかというように考えております。
  11. 伊賀定盛

    伊賀分科員 そこで水産庁にお伺いしたいと思いますが、明延現地でいろいろ研究を進めておるわけでありますが、骨材として、どう言うのですか、鉄骨を組み上げまして板のようなものを張りつけていくのですね、いまの建築というのは。そうすると、それにはなるんだそうですけれども、軽い方がいいそうでありまして、軽くしますと今度は強度が合わなくなる。重いんだそうであります。一定の重さがあれば強度は維持できる。そこで考えられるのが魚礁にしたらどうか、こういうことが考えられるわけでありますが、御承知のとおり、二百海里問題等漁場はだんだん狭くなってきておりまして、今日日本漁業危機が叫ばれておるわけであります。魚族保護あるいは漁場維持進展というような意味で、こうした一種の廃物に等しいわけでありますが、魚礁等利用する方法はないのか、ないしは魚礁現状と将来の構想等について伺いたいと思います。
  12. 本間昭郎

    本間説明員 鉱滓魚礁骨材として活用するに当たりまして、まず第一に水産生物に対して無害であるかどうかといったような問題。それから、従来から使われてきておりますコンクリート等のように十分耐久力のある魚礁構造をつくれるか。三つ目には経済的に安価であるか。こういった魚礁として必要な機能とか条件を確保する可能性があるかどうかというのをまず確める必要があるのではないかというふうに考えます。  現在、国が行っております魚礁研究開発中身といたしましては、沿岸漁場整備開発事業の中に直轄調査というのがございまして、これに基づきまして水産工学研究所中心にしまして研究を実施しているわけでございます。この中身といたしましては、一つ魚礁漁場をつくる上で基本的に必要な構造部材強度あるいは安定性、こういったものに関する設計指針をつくるといったような面、それからもう一つ魚礁計画配置に関する指針づくり、さらには魚礁の効果を明らかにするための調査研究、こういった中身調査研究を実施しておりまして、いわゆる物性研究、新しい素材それ自身開発研究というのは実施してないわけでございます。  そういうことで、新しい素材による魚礁開発につきましては、その魚礁の形状であるとかあるいは利用する素材、これにつきまして国が示す構造設計指針に基づきまして、新しい魚礁開発する魚礁メーカー自身が、そういった設計指針に適合するかどうかということについて実証試験等を通じて開発をしているという形でございます。そのような形で現在開発されております魚礁は、国の審査を経て約七十機種ぐらいございます。
  13. 伊賀定盛

    伊賀分科員 御承知のとおり日本四方海でございますから、これは素人考えですけれども、いろいろな廃棄物利用等を推し進めることによって日本海全体を大々的に魚礁で取り巻いて、そして将来の日本漁業というものを維持発展していく大々的な魚礁による日本漁業振興というようなことを、ひとつこの際思い切って計画を立てていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  14. 本間昭郎

    本間説明員 魚礁によります漁場開発につきましては、五十一年度に発足いたしました沿岸漁場整備開発事業によりまして三つ区分を設けて実施しております。これは規模による区分でございますが、並み型魚礁設置事業、これは大体二千五百空立米以下、一カ所当たり規模でございます。それから大型魚礁設置事業、これは大体一カ所二千五百空立米を基準にしております。それからもっと規模の大きい人工礁漁場整備、これは一カ所三万空立米以上、こういうような規模のものでございます。これによりまして進めておりまして、昭和五十四年度におきましては、全国で五百九十四カ所で造成事業を実施しております。  これに対します国の助成措置といたしましては、並み型魚礁では十分の五、大型魚礁では十分の六、人工礁魚場では十分の七という高率補助を適用しておりまして、さらに漁業協同組合等の負担につきましては、漁場整備資金という融資制度も併用してございます。ざらに、市町村とか県が実施する規模の大きい魚礁につきましては高率起債措置、九五%の起債措置を適用しておるという形でございます。いずれにしましても、沿岸漁業振興という立場から魚礁設置事業重要性ということはわれわれも十分認識しておりまして、今後とも二百海里時代に対応して積極的に進めてまいりたいと考えております。
  15. 伊賀定盛

    伊賀分科員 それをひとつよろしくお願いしたいと思います。  最後に、エネルギー庁にお伺いしたいと思うのですが、これまた、エネルギー危機から新しく国内資源という意味水力発電所というものが見直されなければならないと思うのでありますが、これらについてのこれからの方針について具体的にお伺いしたいと思うのです。
  16. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 一般水力の課題といたしましては、現在経済的に有利な地点が減少しつつございます。そういうことと、また初期投資が多いことから初期原価割り高であるという点がございますが、とにかく石油火力への依存度を低減するためには非常に貴重な国産の、しかも循環エネルギーでございます水力開発というものは積極的に推進いたしてまいらなければならないと考えております。こういう事情でございますから、五十五年度からは従来の調査に加えましてさらに具体的な開発計画策定のための調査を実施いたしたいと考えておりますし、また中小水力開発に対します補助金制度を新たに設けまして、それを活用いたしたいとも考えております。また、開発銀行からの融資あるいは電源立地促進対策交付金改善等も図りまして、これにより推進策を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  17. 伊賀定盛

    伊賀分科員 従来から、一番安いのが火力でそれから原子力で、水力が一番高いのだ、こういうふうに言われてきたわけでありますが、原子力にしてもそれは七十数%の操業度一定生産費計算されてきたと聞いていますが、現状から言いますと実際は三〇%以下しか操業できていない。それから火力発電にしましても一バレルが二ドルとか三ドルとかいう当時のあの計算でいきますと、水力が一番高いということになっていたそうでございますが、最近石油の急速な値上がりがありますが、最近のそうした原子力火力水力生産費等についての統計等はつくっておりませんか。
  18. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 電源別に見ました発電生産費でございますが、これにつきましては非常に計算がめんどうでございます。ただ、一つモデル的なケースを想定いたしましてその生産費について計算いたしてみますと、これはいま御指摘のように操業率についていろいろな仮定を設けるわけでございますが、おおむね七割操業というふうに考えますと、やはり原子力が一番安いということになっております。そして石油火力は一キロワット当たりが十一円ぐらいというふうに五十四年度で考えられておりましたが、これはただいま御指摘のように油の値段が高くなりましたので、現時点においてはさらに高くなっていると思います。それから水力でございますが、これはどうしても建設単価が高いということがございまして、それで同じ時点におきましてモデル計算をいたしますと十五円六十銭ぐらいの計算になります。初期投資が高いということから発電生産費も高いということになっています。なお、ちょっとつけ加えさせていただきますならば、原子力操業率は七〇%までいっておりませんで、現在の操業率は五十数%というような操業率でございます。
  19. 伊賀定盛

  20. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 原子力単価は、同じ時点で想定いたしますと七円六十銭ぐらいというような計算になっております。
  21. 伊賀定盛

    伊賀分科員 これはいつの計算ですか。
  22. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 このモデル計算をいたしましたのは、おおむね五十四年度の半ばぐらいの時点におきましてモデル的な計算をしたものでございまして、対象となる設備は五十四年度に運転開始するものを一応念頭に置いてモデル計算をした数字でございます。
  23. 伊賀定盛

    伊賀分科員 私は、勘ですけれども、どうもこの数字はおかしいと思いますが、さらにひとつ御検討いただいて、国内資源水力等にもっと力を入れていただきたいと思います。  もう時間が迫ってまいりましたので、それに関連いたしまして、私の選挙区というのは兵庫県、と言いますと表日本を想像するわけですが、私は日本海側でありまして、昔から弁当を忘れてもかさを忘れるなと言うほど雨量の多いところであります。御承知かどうか知りませんが、円山川という、ああいう山岳地帯には珍しい豊かな川が流れておるわけでありますが、これに、御承知かどうか知りませんが、松宮構想などというものもいまから二十年ほど前にあったわけでありますが、それをそのままと考えてはおりませんが、ただいま申し上げますとおり、エネルギーの見直しというようなところから、私は円山川上流等水力発電というようなものができぬものだろうかと考えておるわけでありますが、どんなものでしょうか。
  24. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 円山川水系につきましては、かつて行いました包蔵水力調査の一環として調査を行ったことがございます。昭和三十一年度から三十四年度に調査を実施いたしました。また、昭和四十年度においても円山川市川総合開発計画調査を実施したところでございます。当時の調査によりますならば、円山川水系は、ほかの水力地点に比べて経済性に問題があるということのほかに、さらに分水に伴います立地が困難であるというような理由によりまして、現在までのところでは開発計画を進める段階まで至っておりません。しかし先生指摘のように、新たなるエネルギー情勢の展開がございましたし、当省といたしましては、昭和五十五年度から先ほどお答えいたしましたように水力開発計画策定調査を実施する予定になっておりますが、新たな事態のもとで先生の御指摘地点につきましても今後再検討してみたいというふうに考えております。
  25. 伊賀定盛

    伊賀分科員 それで私は先年北朝鮮に行ったのです。そうしましたら、北朝鮮日本海側黄海側両方に水が流れています。これを全部谷と谷をトンネルで抜きまして、たとえば日本海側に注ぐ川は全部たとえば百メートルレベル、二百メートルレベルトンネルで完全に抜いたと言うのです。そして多いところと少ないところの調整をしたり、あるいは水力に使ったり、灌漑用水に使ったり、あるいは洪水調整に使ったりというようなことをやっておるわけです。  私は、一昨年でありましたか、建設委員をしておりましたときに沖繩に行ったのですが、沖繩もやはり水が少ないところですからやっておりますね。ですから、いま日本技術をもってすれば、それは人間の通るトンネルをつくるのは大変かもしれません、しかし水の通るトンネルをつくるぐらいのことは、そう大したお金もかからないと思うのです。ですから、思い切ってこの際、日本太平洋側日本海側それぞれあるわけですが、これを青森から山口県まで全部トンネルで水をつないでいく。太平洋側も全部トンネルでつないでいく。そうして今度は太平洋日本海をもう一遍トンネルでつなぐことによって、おっしゃる日本包蔵水力を一〇〇%利用するというような構想をひとつお立てになる必要があると思うのですが、いかがでしょう。
  26. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 大変勇壮な御構想でございますが、私どもまだそこまで十分勉強いたしておりませんけれども、ただいまの先生のお考えも今後の勉強の中でどういうような可能性があるかにつきまして勉強させていただきたいと思います。
  27. 伊賀定盛

    伊賀分科員 もう時間が参りましたので終わりますが、水というものは、水を治める者は人を治めると言われておるとおりでありまして、ただいま申し上げました水を一〇〇%人間のために使うというような大きな構想、あわせて円山川の今後の水力発電等についてもどうぞ格段の御配慮をお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  28. 始関伊平

    始関主査 これにて伊賀定盛君の質疑は終了いたしました。  次に、草野威君。
  29. 草野威

    草野分科員 私はローカルエネルギーの問題について若干お伺いをしたいと思います。  最近の石油価格の高騰また供給量の確保困難、こういう情勢の中で、省エネルギー、代替エネルギー開発、これは言うまでもなくきわめて緊要な問題であると思います。そういう中で政府が新年度において計画をされております地域エネルギー開発利用に関する問題につきまして、まず初めに若干伺いたいと思います。  これを拝見いたしますと、調査の対象となるローカルエネルギー源としまして、太陽熱、地熱、風力その他の自然エネルギー、またごみ等の廃棄物エネルギー、こういうものが対象となっているわけでございますけれども、政府は、どちらかというと現在まで余り顧みられなかったエネルギーといいますか、この中には「必ずしも乗りにくかったエネルギー資源」、こういうふうに出ておりますけれども、このようなローカルエネルギー開発に対してどのような面について特に期待を持たれているのか、まずこれが一点です。  それから二点目は、この制度中身といたしまして、特に十八都道府県に選定をしているわけでございますけれども、なぜ十八都道府県にだけ選定をされたのか、その理由はどういうことでございましょうか。  それから第三点といたしまして、「政府は地方自治体に対して特に指導的役割りを期待している」、このようになっておりますけれども、そこで国の果たすべき役割についてはどのようにお考えになっているのか、まずこの三点についてお伺いしたいと思います。
  30. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 いま御指摘のローカルエネルギーにつきましては、私どもは代替エネルギー開発一つの柱という基本的な考え方を持っているわけでございます。  そこで、いまお尋ねのどういうポイントでローカルエネルギーをとらまえていくかということにつきましては、先生も御指摘ございましたように太陽熱あるいは地熱、中小水力、風力、バイオマス、こういったようないわゆる自然エネルギーの関係、それから廃熱、廃棄物エネルギーなどの関係、こういった点に主眼を置いてローカルエネルギー開発を推進していきたい、こういうふうに基本的に考えております。  そこで、具体的にローカルエネルギー開発をどういう点で進めるかという点につきましては、ローカル性ということから考えますと、その地域を最もよく実態把握しておられます地方自治体が中心になって開発を進めていただくのが適当ではないかということでございまして、御指摘の十八都道府県に対しまして、私どもの原案といたしましては補助金を付するという考え方で進めておるわけでございます。  二番目にお尋ねの、十八都道府県に対してどういう基準で選んだかということでございますけれども、私ども立場といたしまして、こういった基本的な考え方を都道府県の方々に十分御説明して希望を拝聴いたしまして、十八都道府県を選定いたした次第でございます。  それから国の役割りでございますが、このローカルエネルギー開発につきまして地方自治体が主役を担っていただくということでございますけれども、やはりそこに一つの大きなガイドライン的なものを考えなくちゃいかぬと思います。一つの国の統一方針と申しましょうか統一基準と申しましょうか、そういった考え方のもとで都道府県の方々がその地域の実態に応じた開発をしていく、その総括版的なものを国が一応の基準として作成してみたらどうだろうか、こういう考え方を持って進めさせていただきたいと現在考えておる次第でございます。
  31. 草野威

    草野分科員 次に、厚生省の方に伺いたいのですけれども、このローカルエネルギーの中の廃棄物でございますけれども、最近の生活水準の向上に伴いまして一般廃棄物また下水汚泥、こういうものの排出量が非常に増大の傾向にあるわけでございますけれども、これらの余熱利用がもう一歩という感じがするわけでございます。大小取りまぜてで結構でございますけれども、廃棄物の焼却施設の数と余熱利用をしている個所、これは現在全国でどれくらいありますか。
  32. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  現在焼却施設の数は全国で約千九百でございます。そのうち余熱を利用いたしておりますのは、三百トン以上の施設つきましては廃熱ボイラーを設けることになっておりまして、その数は約二十七でございます。そのほか、温水、蒸気などを含めますと、千九百のうちの大半の施設がそのような余熱利用の施設を持っております。
  33. 草野威

    草野分科員 いま特に発電についてお答えがなかったわけでございますけれども発電している工場が二十五カ所ということで、全体から見ると非常に少ないという感じがするわけでございます。  そこで、科学技術庁にお伺いしたいわけでございますけれども、特に焼却発電によるエネルギー利用につきまして、先般も資源調査会から非常に有益な報告があったわけでございますけれども、私どももこの廃棄物の焼却発電利用につきましてはこれからも積極的に推進をしていくべきではないか、このように感じているわけでございます。これからの方針というか考え方についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  34. 今村陽次郎

    ○今村説明員 いま御指摘の点につきまして、わが国のエネルギー事情を考えますと、あらゆる可能性を追求して省資源、省エネルギーエネルギーの生産に努力する必要があります。そういう立場から申し上げますと、わが国の一般廃棄物の排出量は相当な量に達しております。したがいまして、それをその地域社会に役に立つような形で、特に物質あるいはエネルギーの再循環の中に持ち込む、そういう方法をぜひ進めていくべきだと考えます。  また、この考え方には、たとえば環境浄化の問題とか地域の福祉の増大とか、いろいろな副次的な評価もございます。こういう観点で、いま先生のおっしゃいました、資源調査会で一月二十九日、レポートが科技庁長官あてに提出されたわけでございますが、科技庁といたしましては、科技庁長官から関係機関の長に、その施策の中に生かしていただきたいというようなお願いをする、あるいは事務レベルで説明会を行うというようなことで、その推進方に努力いたしております。
  35. 草野威

    草野分科員 この報告によりますと、これは五十年度の実績として、一般廃棄物、下水汚泥、これは全部で三千四百万トンとか、また内蔵するエネルギー石油換算で五百万キロリットルであるとか、また発電電力量の換算で七十八億キロワット時であるとか、こういうような数字も報告されておるわけでございまして、これらの中にありますように、家庭用の使用電力のかなりの部分といいますか、約一〇%ぐらいを占めるだろう、こういうようなことも言われておるわけでございます。  したがって、われわれは、この廃棄物の発電に対しましては非常に期待をかけておるわけでございますけれども、このローカルエネルギーシステムの一環として今後拡大推進していくためには、いろいろな問題があるかと思います。当面する問題としてどういうものがありますか、具体的にひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  36. 今村陽次郎

    ○今村説明員 いろいろな問題があるわけでございますが、たとえば、廃棄物からの発電という問題に関して考えてみますと、まず第一点は、発生電力の安定化というような問題。これは特に大規模な施設の場合に、自家消費以外の余剰電力を電気事業者等に買っていただくという前提から考えますと、まず第一に重要なことだと思います。  それから第二としましては、そういう新しい技術なり施設を運転するための技術者の養成というような問題が重要かと思われます。  それから第三番目には、やはり電力の売買という点を考えますと、適正な売電価格の設定というようなことが問題だと思います。
  37. 草野威

    草野分科員 いま、技術者の確保であるとか発生電力の安定化、売電価格の問題、こういうことが出たわけでございますけれども、特に技術者の確保という問題では、中小都市の場合が大きな問題になっていくのではないかと思いますし、これをどうするかということ。それから売電価格の問題でございますけれども、やはり一定のルールづくりがこれから必要になっていくと思います。現在どのような価格で売られているか。全国で何カ所もないわけでございまして、三円とか五円何がしで売られておりますけれども、これからこれをどういう方向で決めていくか、一つのルールづくりが必要ではないかと思いますが、これらについての通産省の考え方を伺いたいと思います。  それからもう一つは、これに伴いまして電気事業法の改正ということも当然必要になってくると思いますけれども、これらを含めて考え方を聞かせていただきたいと思います。
  38. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 ごみ焼却発電は、従来のものは、どちらかと申しますと所内の動力を賄うことを中心としておりまして、外部の電力系統へ送電するのは、余剰電力が生じたようなときにそういうことが起こったようでございます。  そういうような事情でございますから、通常のケースでは送電されます電力は出力にかなりの変動がございます。したがいまして、電気事業者としては余り好ましい品質のものとは言えないというような事情がございまして、それらの電力の単価につきましては、そういう事情があってそれなりの単価になっているような状況のようでございます。しかし、最近東京都の葛飾清掃工場のように、計画段階から発電プラントとして設計して、安定した電力を得ることができるというようなごみ発電にありましては、それは電力系統への送電が非常に容易になってまいります。  したがいまして、計画の段階からごみを発電有効利用することを前提といたしましたものについては、やはりそれなりの価格設定の方式が考えられていいのではないかと思います。葛飾清掃工場の電力の購入価格についての例を聞いてみますと、近傍の火力発電の燃料費に比べて葛飾清掃工場での発電原価というものにつきましてメリットがあるわけでございますが、そのメリットを清掃工場の方と電力会社の方で折半するような考え方で購入価格を決めているというような話を聞きましたが、そういうのも一つの方法であろうかというふうに考えるわけでございます。  なお、電気事業法上の問題につきましては、現在自家発電設備として電気事業者に電気を供給する場合には、電気事業法の手続は要しないというふうにされているわけでございますが、何か規定上いろいろ問題がございましたら、またその点について少し勉強させていただきたいと思います。
  39. 草野威

    草野分科員 いまの売電価格の問題でございますけれども、葛飾方式につきまして御説明がございました。これから全国にこういうことが普及されていくということを仮定した場合に、やはり価格の設定方式というのは葛飾のような考え方でいくのが一つの基準である、こういうようなことでございますか。
  40. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 売電の単価につきましては、原則としましては当事者間の話し合いによりまして、契約により設定されるものでございますが、そこで双方にメリットがあるような単価の決め方というのも一つの方向を示唆しているのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても価格、単価につきましては、契約によって決められることになろうかと思います。
  41. 草野威

    草野分科員 技術者の確保の問題につきましてはどうでしょうか。
  42. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 御指摘のように、燃料資源の有効利用を進めるということは、当省といたしましても十分認識をしているところでございまして、エネルギーの使用の合理化に関する法律が制定されたわけでございますが、その精神にのっとりまして、工場、事業場におけるエネルギーの使用の合理化のための努力を一層進めてまいるための必要な指導助言というものは行ってまいりたいというふうに考えております。燃料資源の有効利用につきましては、ごみ焼却場に限りませず、あらゆる工場等で努力していくべきものと考えておるわけでございまして、通産省といたしましても、そういう燃料資源の有効利用につきまして、必要に応じ所要の措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  43. 草野威

    草野分科員 このローカルエネルギー開発という問題は、これから非常に重要な役割を持ってくるのではないかと思います。したがって、単に地方自治体にだけ任すのではなくて、やはり国として果たすべき役割りも非常に大きいと考えますので、こういう問題について何点か伺ったわけでございます。  次に、厚生省に伺いたいわけでございますけれども、一般廃棄物の焼却施設に対する補助率の問題でございますが、現在四分の一とか、また特別の地域では二分の一とか、それから基準単価といたしまして新年度から千二百七十五万円、こういうふうなことも伺っておりますが、この補助率の問題につきまして、やはり現在のこの四分の一、二分の一という補助率を三分の二まで引き上げてもらいたい、これは地方自治体からも強い要望でございますが、まずこの点についてはいかがでしょうか。
  44. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  御指摘のように、現在、四分の一と、それから公防計画地域につきましては二分の一のかさ上げ措置がございます。三分の二までのかさ上げというお話でございますが、これは廃棄物全体、それから他の公共事業等とのバランス等もいろいろございますので、関係当局とも協議しまして検討させていただきたいと思います。
  45. 草野威

    草野分科員 他の都市施設を見ましても、ほとんどが、この廃棄物の焼却施設に比べますと、かなり補助率がよくなっているわけでございますので、これはぜひともひとつ検討していただきたいと思うわけでございます。  それからもう一つは、基準単価のことでございますけれども、新年度から約千二百七十五万円ということになっているわけでございますが、たとえば、横浜の新保土ケ谷工場、ここは日量千二百トン焼却可能な工場でございます。この建設費を見ますと、約二百三十億円かかることになっております。したがって、一トン当たりに直しますと約二千万円近くになるわけでございます。したがって、この基準単価の千二百七十五万円、前年より若干引き上げになったわけでございますけれども、この基準単価についても見直しをすべきではないか、このように考えるわけでございますが、いかがでしょうか。
  46. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 基準単価につきましても、毎年、物価スライドで上げていただいておるわけでございます。これにつきまして、発電施設等を含めることになりますと、大体五%程度、全体事業費がアップするのでございます。先生の御指摘のような点を含めまして、今後前向きにひとつ検討させていただきたいと思います。
  47. 草野威

    草野分科員 発電設備という話がございましたけれども、余熱利用の設備につきまして自家用発電とあわせて売電を目的とする大型な発電設備、タービン発電機また送電の付帯設備、こういうものは現在、補助対象になってないと思いますが、こういう点についてはいかがでしょうか。
  48. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 現在、ごみの焼却処理施設につきましては、これは売電をも含めまして焼却施設に付設いたします新規のものにつきましては、これは対象にいたしております。それから、既設の施設に付設する場合は、これは対象になっておりません。
  49. 草野威

    草野分科員 既設工場のもので新設する場合には対象になってないということですね。そうですね。やはりこれもこれからのエネルギー政策を推進するという点からいって、やはり補助の対象にすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  50. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 そのように一度検討させていただきます。
  51. 草野威

    草野分科員 大臣に伺いたいと思います。  きょうはローカルエネルギーの中でも特に廃棄物の問題について何点か伺ったわけでございますが、私が大臣に伺いたいことは、これらの廃棄物の処理のこれからの方向ということについて大臣のお考え方を伺いたいと思います。  たとえば、工業技術院で現在開発中のスターダスト80、こういう機械がございます。これは横浜で現在、試運転中でございますけれどもあと二、三年で実用化のめどがついているようでございますけれども、このスターダスト80という機械による廃棄物の再資源化、こういう方向が一つあると思います。  また、現在、廃棄物の焼却を行っておりますけれども、これも時代の趨勢として、これからは単なる焼却だけではなくて、この焼却によって発電または別の熱の供給、こういうことが非常に重要視されてくると思います。  それからもう一つは、これは西ドイツだとか米国の例でございますけれども、廃棄物や汚泥と石炭の混焼による事業処理、こういう形もあると思います。廃棄物、下水汚泥等の処理当たりまして、これからはどういうところに重点を置いて進めていくべきであるか。これは単なる廃棄物の処理ということではなくて、やはりエネルギー対策の一環として今後の方向は非常に重要になってくると思いますので、大臣のお考えを伺いたいと思います。
  52. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のように代替エネルギーをこれから進めていかなければ、油の将来の需給関係から見まして、日本の経済情勢に大変危険な状況を招くのは申すまでもないと思いますけれども、その際、代替エネルギーの主なものとしては、ただいま原子力とかあるいはLNGとか石炭とか考えておりますが、それだけでよろしいかといいますと、お話しのようないろいろなローカルエナジーと申しますか、あるいは太陽熱とか地熱とか、自然エナジーのようなものをあわして、それを補完的な意味で加味していかなければならぬことは大変必要なことだと心得ておりまして、その中でもいまお話のございました廃棄物の焼却によって、本来そのまま捨て去るはずのものが再利用されて発電にかわるということでありますれば、これは願ってもないことでありますから、その廃棄物の量に見合うような観点で発電というものをしていくのが大変好ましいことだと思います。また、自治体が主体になりまして、それに国が信用を与えていくというふうな形態で進めていくのが一番よろしいんじゃないかと思います。  お話しのごみ焼却の中で、石炭混焼等いろいろの種類があるようですが、いずれを重点に置くかという問題に関しましては、私まだつまびらかに比較検討しておりませんので何とも言えませんけれども、しかし、余り選択せずに必要なものはどんどん地方自治体の方でつくっていかれたらいいんじゃないかというふうに私は考えます。
  53. 草野威

    草野分科員 これは地方自治体任せだけでも、ちょっとしようがない問題だと思うのですね。これにもございますように、小規模でかつ地方分散型のローカルエネルギーシステムを確立する、こういうようになっておりますけれども、やはりこのローカルエネルギーシステムを確立するに当たって一つ必要なことは、調整機関をどうするかという問題があると思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
  54. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 やはり電気の質が違うような点もございますので、事前に建設の段階からいろいろ調整をとるとかいうような形を講じまして、ごみ焼却発電につきましてもできるだけ発展するような方向を今後も考えさせていただきたいと思います。
  55. 草野威

    草野分科員 どうもそれはちょっと答えにならないんですけれどもね。やはりローカルエネルギーと一口に言いましてもいろいろな種類があるわけですね。こういうものを単に地方自治体任せだけでは、これは将来大きな混乱のもとだと私は思うのですね。政府がこのように地域エネルギーを積極的に開発するという方針であれば、その調整機関をどうするかということも非常に重要な問題になってくると思いますので、ぜひこの点はひとっこれからも検討していただきたいと思います。  時間でございますので、最後にもう一点だけ。  一般廃棄物と同時に、産業廃棄物の処理をどうするかという問題でございますが、これも新しい視点に立った処理方法を検討すべきではないか、このように考えるわけでございます。  具体的な例として、最近古タイヤ等の処理がセメント工場で大量に使用されている。しかも公害問題も発生していない、こういうようなことも伺っておりますけれども、そういうことで、産業廃棄物は年間に二億数千万トン発生しているわけでございますけれども、これを公害問題なしにこれからも処理していく方向を、やはりエネルギー問題とあわせて検討すべきでないかと思いますが、最後にこの点について伺って、終わりにしたいと思います。
  56. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 私ども立場からいたしますと、やはりローカルエネルギーという問題、これは代替エネルギーの一環といたしましてとらまえるという姿勢で新規施策をやっていきたいと思うわけでございますが、先ほど御質問の調整機関等の問題も大変大事な問題でございまして、何分にもローカルエネルギー開発を五十五年度から重点的にやらしていただきたいというふうに考えておりますので、その一環といたしまして、固定資産等の問題も検討してみたいと思うわけでございますが、いま御指摘の産業廃棄物の問題につきましては、これは産業廃棄物の処理の問題という観点と、それから産業廃棄物をいかにエネルギー化するかという問題と二つあろうかと思います。  そこで、いま御指摘の古タイヤの問題等につきましてはある程度その利害得失が判明いたしておりますけれども、産業廃棄物全体としてエネルギー化するための技術開発の問題あるいは公害防止上の問題等々あろうかと思いますので、そういう点を踏まえまして、十分なる調整を行わしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  57. 草野威

    草野分科員 以上で終わります。
  58. 始関伊平

    始関主査 これにて草野威君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺貢君。
  59. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 産業問題中心に御質問をさせていただきたいと思います。  わが国の経済を見ますと、一方ではビッグビジネスと言われている大企業、一方では数百万と言われる中小企業によって、いわゆる経済の二重構造という形で日本の産業が構成されているわけでありますけれども、こうした中でこの五十一カ月間、中小企業の倒産は一千件を連続して超えて、昨年の十二月などは一千五百件に達しているわけであります。こうした現状を見た場合に、中小企業に対する振興策は、これからの日本経済の発展の上にとっても、あるいは直面をしています財政の再建の上でも税収を高める立場からも大変重要だと思うわけでございますが、その点についてまずお尋ねをいたしたいと思います。
  60. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり日本におきましては中小企業が経済の中の非常に大きな部分を占めておりまして、事業所数で言えば九九%以上でございますし、従業員にしても八〇%。それから製造工業で言いますと、実はその出荷額の半分以上が中小企業に占められておるわけでございまして、それからまた経年変化を見ましても、最近は中小企業の方がふえておる状態でございます。ということは、やはりこれからの日本の経済というものが、ことにいわゆる知識集約化と申しますか、高加工度化というような形になってまいりますと、ますます中小企業の分野は広がるし、またそのウエートは高まるというふうに考えております。  そういうふうに中小企業というのは日本経済に非常に重要な地位を占めておりますが、先生の御指摘のように、倒産件数にもあらわれるように、中小企業というのはやはり大企業に比べて格差がございます。したがいまして、今後この中小企業振興に努めまして、大企業に比べて不利な点をわれわれが政策的に補正をしていって、そして中小企業の発展を図ることがやはり日本経済の発展を図る上の必須の要件であるというふうに考えているわけでございます。
  61. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そこで、特に日本中小企業の発展の歴史を振り返ってみましても、資本主義の発展の過程の中で、とりわけ産地という形で形成されている、そういう発展経過をかなりたどっているわけであります。産地ということになりますと、その地域におけるさまざまな人的な諸関係や社会的な関係もつくられてまいりますし、あるいはそれを一つの軸にしながら文化圏も形成をされる。しかも資本主義の土台を構築するということで、とりわけ中小企業の中における産地地場産業と言われる問題が企業問題でも大変大きな課題を占めているというふうに思います。  今日、それぞれの産地も大変な努力をされているわけでありますけれども、たとえば貿易為替の変動などによって大変大きな打撃を受けるという事態が多いわけでありますが、特に一昨年から昨年にかけての円高の影響は産地を直撃いたしておりますが、こうした中で昨年の五月に産地振興のための特別臨時措置法が策定をされたということでございますが、その趣旨について御説明をいただきたい。
  62. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま御指摘のありましたように中小企業というものは産地を形成しておる場合が非常に多うございまして、またそれが中小企業の存立に非常に役に立っておる点もございます。ところが、いま御指摘になりましたように、石油ショック以来の不況、それから円高というような点で非常な打撃をこうむったわけでございます。それに対しまして緊急対策といたしまして、円高対策法等制定いたしまして緊急融資その他を実施したわけでございます。これはあくまで緊急対策でございまして、こういう国際的な事態の変化に即応して将来の活路を求めるためには、やはり抜本的な将来のしっかりしたビジョンに基づいた各産地ごとの対策が必要であるということで、昨年の国会におきまして産地対策法を制定していただいたわけでございまして、今後は各産地ごとの特殊性を生かして中小企業の産地の活路を開拓していきたいというふうに考えているわけでございます。
  63. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そういう法律が成立を見ているわけでありますけれども、たとえば昨年十二月に東京ラウンドが終結をいたしました。この東京ラウンドの結果、すぐに輸入関税の税制面にも大きなはね返りがございます。三千六百品目くらいが検討されて八〇%くらいが関税の引き下げ対象品目になっているというふうに言われておりますけれども、たとえばそうした産地の中でも、これは埼玉の川口でありますが、全国的にも鋳物の町として知られております。鋳物の町で小さいからそういう影響はないんじゃないだろうかということがあろうかと思うのですけれども、たとえば鋳鉄管を見ますと、品目の指定がありまして、現在は基準税率が七・五%、実行税率が六%でございますが、最終譲許税率が四・九%。そうした中小企業のつくる製品——直管ですね、これは久保田鉄工であるとか日本鋳鉄管、いわゆる大手でございますけれども、異形管という変形的なもの、これはほとんど中小企業の手の作業によらなければできません。そうしたものがある意味では関税の引き下げによって輸入の外圧を受けざるを得ないという点でこの臨時措置法に基づく作業の進行というのはきわめて重大でありますし、急がなければならないのではないかと思っておりますが、現在までに指定された産地の数はどのくらいに上っておりましょうか。
  64. 左近友三郎

    ○左近政府委員 五十四年度におきまして七十七の産地を指定いたしております。
  65. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 これは五十四年度の指定でございますけれども、さらに五十五年度というふうに拡大をしていく計画、お考えはございますか。
  66. 左近友三郎

    ○左近政府委員 五十四年度はとりあえず七十七を指定したわけでございますが、五十五年度につきましてはこれを拡大していきたいと考えておりまして、予算的には百十産地ぐらい指定できる準備をいたしております。
  67. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 七十幾つかの産地指定の中に鋳物の生産地として有名な川口の指定がございますね。川口の鋳物産業は江戸時代からの長い歴史を持っているわけでありますが、事業所の数においても全国の一六%、生産額は年間約六百億円前後でございますし、これも全国の一二、三%を占めております。従業員もほぼ一二、三%というふうに、鋳物産業の中でも比較的高い占有率といいましょうかシェアを占めているわけなんですが、この産地指定を受けた後で通産省中小企業庁の指導をいただきながら、あるいは県の協力をいただきながらビジョンの作成をやっているわけです。この点についてはすでに中小企業庁での指導があろうかと思いますけれども、たとえば川口のそうしたビジョンの作成、振興計画について現在どの程度まで進行しているか、お聞かせいただきたいと思います。
  68. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この産地法によりますれば、まず県が各産地ごとに振興ビジョンをつくりまして、それを参考にして各産地の中核になる組合が振興計画をつくるわけでございます。川口の鋳物に関しましては五十四年度に指定されまして、県の振興ビジョンが策定されましたのが五十四年の十二月十九日になっております。それから、それに基づいて組合が振興計画をつくりまして、それを承認いたしましたのが五十五年一月十二日ということに相なっております。ですから、川口の鋳物については一応振興計画ができ上がったということになっております。
  69. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そういう御答弁でございますけれども、これは県でほぼつくり上げたビジョンでございますが、このビジョンの策定と、それから具体的な振興計画をつくっていく過程の中でも、とりわけそうした産地中小企業の場合にはなかなか自力で十分にできないという隘路もございまして、いろいろ行政の協力などもいただかなければならないというのが現状でございまして、昨年の商工委員会でもそうした点で附帯決議がされていると思うわけでございますが、特にこの振興計画の策定等に当たっては産地の実情に即して十分弾力的な運用や指導が必要じゃないか、こういうふうな附帯決議もされているわけです。  そうした点で、確かにそれは現地の協同組合、県が協力してつくるわけでございますけれども、そうした弾力的な運用という面から、あるいは全国的な視野に立って、中小企業庁としての御指導のポイントと申しましょうか、そういう点についてお聞かせいただきたいと思います。
  70. 左近友三郎

    ○左近政府委員 この法律的な組織はいま申し上げましたようなことで県がビジョンをつくり、組合が振興計画をつくるわけでございますが、この計画はその産地の今後の進路を明らかにするということでございますので、このつくり方については組合だけではなかなかやりにくいという点もございます。これについては県が協力する、また県に対して国も協力するという形で実施してまいりたいと思っております。  また、産地振興という局面をとらえた理由は、むしろ業種一般ではなくて同じ業種でも産地ごとの特色を生かすという点が主体でございますので、おっしゃいますようにその特徴のとらえ方その他はわれわれも一律じゃなくて弾力的にやってまいりたいと考えておりますが、予算的にもそれぞれこういう計画をつくるに当たって補助をするということで補助をいたしておるわけでございます。今後は予算的な補助だけじゃなくて、将来のビジョン作成についてのいろいろな実態面の援助も弾力的にやっていかなければならぬと思っております。
  71. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 その振興計画の中で幾つかの問題があろうかと思うのです。たとえば販路の拡大ですね。これは十分な資力もございませんので、そういう点では国や地方自治体が協力するという面もございましょう。それから新製品技術的な開発の問題です。たとえば鋳物産業などを見た場合に、いわゆる砂ですね、これは非常に少なくなってくる、良質のものが枯渇しつつあるということで、砂の再生利用という問題がある意味ではかなりの大きな課題になっております。そういう点でも、今度の振興計画の中にはコールド・ボックスという新しい技術開発を進めていこう、こういう計画もございます。しかし、砂の再生処理という技術も新しい開発でございますから、かなりの努力が必要なのではないだろうかと考えられますし、産地の場合に比較的高年齢層です。そういう意味で、人材の育成であるとかあるいはそういう新しい開発や合理化に伴う指導層の育成などが必要だと思うのです。  こうした販路の開発あるいは新製品技術の開拓であるとか技術経営者の養成など、こうした問題についてそれぞれ産地から振興計画等出されていると思うのですけれども、全体を通じてこうしたものに対する取り組みの方向といいましょうか、共通してこうした問題に真剣に取り組んでいると考えておりますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  72. 左近友三郎

    ○左近政府委員 産地対策の基本は、ちょうど御指摘になりましたが新製品開発あるいは技術開発あるいは新しい市場の開発というような点が中心になってまいります。したがいまして、五十四年度につきましては、組合がこの振興計画に基づきましてそういう事業をやる場合には、一組合当たり一千万円の補助を出すことにしております。それから五十五年度以降はさらに御指摘のような人材養成も問題であるということで、二年目に人材養成に対しても補助金を組合に出そうと考えております。  こういうことで、まず産地対策の組合に対する補助金中心にやりまして、これがまたある程度地につきますと、またほかの一般的な中小企業対策による援助にも引き継いでいきたいというふうに考えております。
  73. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 そういう努力の過程で産地の発展も考えられるというふうに思います。  もう一つ中小企業の問題で大きな点がございます。それは、原料高の製品安ということがよく言われておりまして、たとえば川口などでも銑鉄は大企業が供給しているわけですけれども昭和五十年に比べて現在の供給価格は約六〇%ぐらい上がっている。それからコークスなども同様です。地元の方ではブラジル銑を輸入するというふうな努力がされておりますが、こういう原料高の問題。もう一つ製品安と言われておりまして、原料は高くなってきているけれどもなかなか製品単価が上がらないということで、昨年も三月、九月と二回にわたって、ユーザーとの関係でも製品単価の引き上げの交渉などもされているわけです。これは直接今度の産地法には関係がないと思うのですけれども、そうした努力といいましょうか、こういう点を含めてやはり指導が必要なんではないだろうかというふうに考えるわけです。  埼玉の場合には、川口と並んでもう一つ秩父の絹人絹織物業も大きな産地を占めておりまして、同じような努力がされて、特に染色の新しい技術開発ということでチーズ染色機などの開発に努力をしたい、こういうふうな意向が示されております。いままでの座布団、夜具だけでなくてインテリアなどにも進出をしたいという意欲がございますので、こうした産地の発展のために一層の御指導や御援助を賜りたいと思いますが、この点について通産大臣の御見解を賜りたいと思うのです。
  74. 左近友三郎

    ○左近政府委員 秩父の絹人絹織物につきましても産地指定になりまして、振興計画も一月に承認されておりますが、その内容は、いまの染色の技術開発とかあるいは需要動向調査ということで、新しいものに出ていこうという意欲に満ちた計画でございますので、これは補助金を交付するとともにさらにいろいろな面でも応援をしてまいりたいというように思います。  それから、原材料高の問題でございますが、これについては所管の局長からちょっと御説明させていただきます。
  75. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 ただいま御指摘の鋳物関係でございますけれども、お話のございましたように、この一年を見ましてもかなり原料が高騰しております。鉄くずにつきましては三五%、あるいはコークスについても一〇%近くというような原材料高の状況でございまして、対しまして製品の方は、お話しのようにほぼ横ばいというのがいままでの状況でございます。ただ、最近のこういったコストの上昇に対しまして、鋳物業界としてもこのままではどうにもやっていけないということで、ユーザーに対しまして実情を御説明して鋭意価格の引き上げをお願いしておる、こういう段階だと聞いております。私どもとしてはこういった交渉の経過を見守っておるところでございますが、今後、先ほど来お話のございます産地振興法その他中小企業のいろいろな施策もございますので、そういった点も活用させていただきまして、鋳物業界の安定に私どもとしてもお力添えをしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  76. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 産地振興法の趣旨をよく体しまして、できるだけのお力添えをしたい、そういうふうに考えております。
  77. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 以上、すでに指定された産地の問題についてのお尋ねをいたしたわけでありますけれども、同時に五十五年度も先ほどの御答弁のように百を超える新しい産地をさらに指定したいというふうな御意向が示されております。たとえば埼玉の場合にはこのほか川口の機械、約千社余りございますけれども、年間の総生産量も約一千億円を超えております。上尾の機械、小川、都幾川の建具について県の単独の指定をしまして、そうした産地振興を図ろう、こういうふうな努力もされております。また行田、羽生などの被服縫製、所沢の織物など、われわれから見ると幾つかそういう歴史的な地場産業産地というものがございますけれども、こうしたこれからの指定や振興について、産地法に基づく振興策、同時に産地法だけではなくて、そこまで指定はできないけれども、たとえば地場産業振興のための特別な方法を考える必要があるのじゃないかということで、全国約五、六百の地場産業を洗い直しされていらっしゃるというふうなお話も聞いているわけでございますが、これからの見通し等について、たとえば県単でやったものを積極的に今後の指定の検討の対象に挙げていく、あるいは産地全体の振興策といいましょうか特別の措置を考えるとか、そういうふうな御検討はございましょうか。
  78. 左近友三郎

    ○左近政府委員 先ほども申しましたように、中小企業振興というものは地場産業の振興中心に今後やっていく必要があるということでございます。また、地方の時代というようなことで言われておりますので、そういう点を中心に進めてまいりたいと思っておりますが、地場産業というのは大きく分けますと、産地を形成して相当輸出もしあるいは国内のマーケットも持っておる大きなものが産地でございまして、これについては産地法で措置をするということで今後も指定をしていきたいと思っております。しかし、産地を形成するに至らないけれども、今後それを育成していけば地方の中核的な産業になる、雇用も吸収できるというようなものにつきましては、これをいわば狭い意味での地場産業ということとして推進していきたいということでございます。  ただ、これについては全国いろいろなものがございます。それからまた、この実態はむしろ自治体の方がよく把握しておられますので、われわれといたしましては五十五年度からとりあえず自治体に対しましていろいろな調査をしていただくということで、これに対する助成金を合計三億くらい用意をしております。これによりまして各地方で地場産業の実態をまず把握して、それに伴ってそれに対する振興策を今後考えていこうということで、今後はこういう地域に密着した産業を育成していくというのを中小企業政策の一つの大きな柱にしていきたいというように考えているわけでございます。
  79. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 最後にもう一言お尋ねしたいと思うのですけれども、特に人口急増の都市圏の場合に大型店舗の進出が非常に多いわけでありまして、こうした中でいままで地元の流通を担ってきている小売店との矛盾がかなり広がっている、そういう点で大店法の問題あるいは商調法の問題など、もっと充実したものにしなければならないというふうに私ども考えております。  埼玉の実態を見ましても、たとえば消費購買力の伸びが全県で八%前後、こうした中で大型店舗の場合には一五、六%というふうに言われております。高いところは二〇%を超えているわけですけれども、そういうふうな点から既存の小売店の売り上げの伸びというのはほんのわずかという現状でもございますので、こうした点での一層の充実をお願いいたしたいと思います。  それからそうした小売店と、もう一つは飲食店の問題で、これはたとえばキング・タイガー、フジヤさんなんかの進出で地元の飲食店と矛盾が拡大する。この点については大店法などの関係ではなくて、分野法の問題だと思うのですけれども、分野法の適用が可能かどうかという点について伺いたいと思います。
  80. 左近友三郎

    ○左近政府委員 中小小売商業につきましては、確かに現在全国的に大規模店舗の進出についていろいろ問題が起きておる、また中小小売店が迷惑をこうむっている点がございます。これは一つにはやはり大店法の厳格な施行によってそういう問題を調整していくということでございますが、他方、やはり中小小売店自身もそれに対抗して伸びられるだけの合理化努力をしていただかなければならない。そのためには、われわれがやはり大いに応援しなければいけないということで、商店街の形成その他いろいろな面で各般の助成策を現在講じております。  それから、飲食店の問題でございますが、これは分野調整法の適用になるわけでございます。現在実は御指摘の件につきましてもわれわれも聞き及んでおりますが、これは主務大臣ということで農林大臣、厚生大臣というようなところがこの問題についていろいろ検討していただいておりますので、これについての問題解決に努力をしていただくようにいまお願いしているところでございます。
  81. 渡辺貢

    渡辺(貢)分科員 時間でございますので、ひとつ通産大臣、長官の一層の御努力を要請して、質問を終わりたいと思います。
  82. 始関伊平

    始関主査 これにて渡辺貢君の質疑は終了いたしました。  次に、川口大助君。
  83. 川口大助

    川口分科員 大臣に伺いますが、何か政府では電力料金の値上げの実施、これは会社の要望どおり四月一日に実施させる、こういう腹をお決めになったというふうに言われておるわけですが、過去の経緯にかんがみますと、大体認可から実施までの事務的な日程を考えますと、十日ぐらいかかっておるのであります。ですから、少なくとも十日前には認可を出さなければ四月一日の実施は困難だと思うのでありますが、大体いつごろ、どのくらいで認可をなされるか、準備がどの程度までお進みになっておるか、まず伺いたいと思います。
  84. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のように、またいまお話がございましたように、八電力からの申請では四月一日から実施したいという御希望でございます。私どもといたしましては、いままで公聴会あるいは監査等諸般の手続を終えまして、各方面の意見を十分踏まえた上で慎重にいま査定をしておる最中でございます。長い間、三年、四年ぐらいになりますか、電力料金を抑えておりますし、また最近のイラン問題等以後、御承知のような油の上昇で、どうしても幾ら経営の合理化をしてもいまの油の状況では、会社の経営が非常に危ういという、そのために料金改定をしてもらいたいという申請でございまして、そうではありましたけれども、従来からの約束がございましたから、三月いっぱいまでは約束どおり値上げはいたしませんぞということできておりますので、できますれば四月一日の申請に御希望に沿えるようにと思っていま鋭意査定中でございますが、それでは四月一日に確実に実施できるようになるかといいますと、まだ必ずそうなりますとは断言できない状況かと存じております。
  85. 川口大助

    川口分科員 何か新聞によれば中間査定で平均五四%前後の数字が見込まれるというふうに発表になっておりますが、これはどうなんですか。
  86. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のように、電力料金は電気事業法で原価主義ということになっておりまして、原価主義というのは、原価の中に含まれておる各要素を厳密に査定をいたしまして、その積み重ねた結果が答えとして出てくるわけでございます。いまその各要素の査定をしている最中でございますので、その査定が済みませんと結論が出てまいりません。それでございますから、ただいまのところは、どのくらいアップになるかという点に関しましては、まだお話しできる段階になっておりません。
  87. 川口大助

    川口分科員 新聞には、大体中間査定五四%。そこで、これまた新聞でありますが、自民党としては参議院選挙を意識して、とても五〇%以上では勝てない、そこで大体政治判断で四八%ぐらいにしたいというようなことが書かれておりますが、これについては、大臣、どうお考えになっておりますか。
  88. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 先ほどもお話しございましたように、まだ査定の結果が出ておりませんので、その結果を見まして、それからの判断にいたしたいと思います。
  89. 川口大助

    川口分科員 そこで、要望を申し上げておきますが、私は大臣とは中学の同窓でありますし選挙区も同じでありますから気安くひとつ申し上げますが、大臣はたしか選挙期間中は、私は大平内閣のかじ取りである、こう自認して、それを選挙民に訴えてきておるわけです。どういうかじ取りだか私はよく見ておるわけでありますが、大変いまの世の中は物価が高騰しておりまして、特に大平内閣が現在取り扱っておる公共料金、今回の議会でも問題になっている公共料金の数は大変多いのでありますし、特にこの電気料金につきましては、大体電気料金が一〇%値上がりをすると物価に約〇・二%ぐらいのはね返りがある、こう言われておりまするので大変県民も心配しておる。また企業でも、特に秋田の場合は、御承知のとおり三菱、同和の亜鉛工場も抱えておりまして、ほとんどこれは電気でありますから、そういう意味でも大変心配しておるわけでありますから、自民党の政治判断四八%も結構でありますが、私はこの電力各八社も恐らく政治判断で申請したと思うのですよ。北海道電力は三八%ぐらいにもかかわらず八社が六十何%、東北電力に至っては七一%の申請ですが、一月に各社の社長会議を持ったのはこれは事実なんです。どういう話をしたか、どういう談合があったかは別にいたしましても、その会合の後に大幅な申請を各社がこぞってしているわけでありますから、私はやはり、八社としまして、いまの大平内閣ならこの程度の大幅申請をしても大丈夫だという政治判断の上で出されたのではないか、また参議院選挙も承知しているわけですから、参議院選挙を意識した大幅申請じゃないかというようなことも推察されるわけであります。通産大臣の腕の見せどころはここなんでありまして、場合によっては佐々木大臣ならばこのぐらいの申請は認めてくれるだろうと甘く見ているかもしらぬわけでありますから、どうかひとつ県民、国民の実態を考えながら誤らないかじ取り、国民のためのかじ取りのために御精進願いたいと要望をしておきます。  ついでに一つ要望でありますが、実は東北電力の例で、大変具体的なお話で恐縮でありますが、いま秋田では能代の火力建設もうわさになっておりまするのであえて申し上げるわけでありますが、実は秋田飯島火力四号機の建設に当たって、地元の業者は大変な苦労をしたわけですよ。なぜかというと、直接指名を受けようとしても、力がないから指名はだめだ、こう言っておりながら、実際は下請をしてその仕事をなし遂げておるわけです。特にひどい場合は、川崎重工が元請になってやっておったそうでありますが、その入札価格が約六千五百万くらい。それがどういうわけか東北発電工業に下請され、それが大阪動力という会社が中に入って、そして地元業者がこれの仕事をするのにその額が大体三千五百万くらいだ、こういうわけであります。一体これでできるのかという心配があるわけでありますが、でき上がったそうであります。でありますから、原価の計算は、原価主義と言われるが、果たしてこの三千五百万が原価なのか、請負額六千五百万が原価なのか、そこらのところはよくわかりませんが、そういうことでは地元の業者も困るし、東北電力としても正常な電気事業の推進が困ると思うのです。しかも、この間に一つ下請が入るたびごとに、手形が一カ月延びているわけであります。しかも秋田県の場合は、金利が非常に高い。ですから、賃金は現金払いの立てかえ払いであります。そういうことで、大変苦労してやっておるわけであります。どうか、この実態もひとつ十分お調べの上、秋田県だけに限らず、電力事業等につきましては地元の業者、零細企業について特段の御配慮をお願いしたい、こう思うわけですが、ちょっとお考えだけ……。
  90. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私は、その事実は全然存じてないのでございますけれども、しかし、地元の業者の利益を守るということは、あなたも私も同じ意見でございまして、できるだけそういうふうに努めたいと思います。
  91. 川口大助

    川口分科員 そこで問題を変えますが、実はエネルギー自給と地域整備ということで大臣の考えを聞きたいのです。  大臣は、いまスウェーデンでエコロジカル実験村ということで大学で研究なさっているのを御存じですか。
  92. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 エコロジーと申しますと、生物の生態循環の問題だろうと思いますけれども、それとエネルギーの関係ということになりますと、いまの生物学的なエネルギーの問題かと存じますが、そうでございましょうか。そうであれば存じております。
  93. 川口大助

    川口分科員 それで大臣、御承知のとおり、いまブラジルではアルコール自動車、こういうものの開発に一生懸命です。当初は、サトウキビからアルコールをとったそうでありますが、最近はサトウキビでなしに芋の一種であるマンジョカというものからとって、できればアルコール専用自動車にしたいという開発を進めておるそうであります。  一方国内でも、個人的ないろいろな研究が進んでおりまして、この前新聞でありましたが、ユーカリ油からのアルコールあるいはミカンからもアルコールがとれるわけでありますが、そういうことでエネルギーの自給というものについては、時間の関係上いろいろ申し上げませんが、とにかく真剣に取り組んでいかなくちゃいけない時代に入った、こう思っているのです。  いま政府は、御承知のとおり地方の時代だ、こう言っておるわけでありますが、私は、エネルギーの自給の体制と地域開発地域振興地域整備というものが一体になって、今後まず自給体制というものを確立していく必要があるのじゃないか、こんなふうに実は考えているわけであります。これは農作物等の関係もございますので、先ごろ農林水産大臣にもいろいろお聞きをしたのでありますが、いままでの日本は、どちらかというと案外手軽に、しかも安い化石燃料、油が手に入っておりますから、化石文明というものが非常に発展してきておるわけであります。ですから、どうしてもそこに固執しがちになりますし、やはりそういうものを夢見るというのは当然でありますが、いま申し上げましたとおり、世界は、すでに化石燃料からの依存度を何とか変えまして、再生可能燃料への転換というふうなものが大きく考えられておるというふうに思うわけであります。でありますので、いま通産のお考えは、どちらかというとまだ化石燃料に依存する体制が強くなっておりまして、日本の場合の再生可能燃料への転換という意欲は少ないのじゃないかと思うのでありますが、大臣、この点いかがでしょうか。
  94. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 代替エネルギーをどうするかという問題、また、地域振興とそれをどう結びつけるかという二つの問題のようでございますが、油は御承知のとおり、大体もうだんだん限界に近づいてまいりますので、それにかわるものといたしましては、原子力とか、石炭とか、LNGなど、お話しのような化石的な燃料から今後そういった主体にかわっていくものと思います。  それだけでよろしいかと申しますと、私どもは必ずしもそう考えておらぬのでありまして、それの補完的なものといたしまして、自然エネルギーと申しますか、太陽とか地熱、中小の水力、あるいは風力とか、先ほどもお話ございましたバイオマス、こういうものの活用ということと、それから廃熱あるいは廃棄物エネルギー発電をするというローカルエネルギーと申しますか、こういうのを一つの補完的なものとして考えていくべきだ。  お話のございました、地域とのコンビネーションを考えた場合には、その地域地域でいま申しましたようなものがそれぞれコンバインされてまいりまして、たとえば秋田県で申しますと地熱などが非常に有望でございますし、地熱は御承知のように、発電ばかりじゃなしに農業あるいは漁業と申しては語弊がありますけれども、魚の人工培養と申しますか等、あるいは乾燥等に役立ちますし、あるいはビニールハウス用とか、いろんな面で農業開発には非常に役立ち得るものでございますから、総合開発の一環として地熱を活用するとか、あるいは他県でも大分このごろは盛んになってまいりました廃棄物の発電化といったような問題は大変重要なことだと思います。  それから、お話のございましたバイオマスのことでございますけれども、これはお話のように、ブラジルがただいま大変盛んになってまいりまして、アルコールは二割くらい自動車に使えるということでございますから、これからぜひとも大きな問題として取り上げなければいかぬと思います。日本のサトウキビ等ももちろんですけれども、最近インドネシアの方からいろいろ話がございまして、タピオカ等のアルコール化というものは考えられぬだろうかというお話を持ってみえました。そういう点を伺いまして、世界の全地域的な意味でそういう問題を考えてみたいということで進めております。  お話のように、そういう自然エネルギーなりあるいはローカルエネルギーなり等をこれから進めるということは大変重要なことですけれども、ただ、それが主力であってということになりますと大分先の問題になりますので、しばらくの間の補完的な意味しか持ってないのじゃないかということで考えております。
  95. 川口大助

    川口分科員 それはそのとおりです。先のことです。技術はなかなか一朝一夕にして開発されるとは思わないのであります。しかし、いまたまたま地熱のお話もありましたが、私、書いた本で見たわけでありますが、やっぱり地熱も、これは大変結構なようには思うし、確かにエネルギーはあると思いますが、地殻変動が起きて大きな災害を伴うような憂いもある。あるいは水力発電所のような場合も、余り大型なダムをつくりますと、その水圧によって地殻変動が起こる。それが山崩れか何かの災害を及ぼす。何げなくやっておるけれども、本当は大変危険なものだというふうな警告さえ発している人もあるわけであります。ですから、私はそれをやめろというわけじゃない、確かに、やっぱりそれに依存していかなければならぬわけでありますが、その一方においていわゆるソフトエネルギーというもの、これにもっともっと積極的に、時間がかかればかかるほど少し早目に取り組んでいく姿勢が必要ではないか、こう思うのです。そのためには、いま大臣もいろいろ申されましたが、日本人の価値観と意識、こういうものも場合によっては変革が必要じゃないか、私はこう思うのです。  と申しますのは、いままでわれわれが学校で習ったことば、日本は人的資源だけは十分だけれども資源小国であるのだ、したがって外国のエネルギー、資源を輸入して工業製品を製造し、それを外国に輸出する加工貿易国として進まなければならないのだというふうな、いわば工業優先的な、しかもエネルギー外国依存のような思想でわれわれは教育を受けてきたような感じがするのです。  ところが、いまのような状態になってまいりますと、日本の気候、風土に合致したエネルギー資源というものが日本に存在するのだ、まずその日本に存在しているエネルギーから日本独自の文明を生み出していく、こういう考え方に考えを若干直していかないと、いまのように地域開発的なエネルギー開発創造といっても、私はなかなかその気になっていかないのではないかと思うのですよ。ですから、いま一億二千万の、しかもこれが三十七万平方キロの島国におる、この日本の島国の中の資源を使って生きてみせる、生きていくのだ、こういうふうな考え方、その技術開発技術発展が世界に貢献をするという形の中で日本の存在意識というものを高めていくというふうな考え方が必要じゃないか。つまり、価値観の変更あるいはエネルギーに対する考え方なり日本の自衛という立場からも、日本が自立できる体制に持っていく、そういう思想的な変革も必要なのじゃないか、私はこう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  96. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 大変高邁なお考えで私も賛成でございます。付加して申し上げるまでもないと思いますけれども、先ほど申しました太陽熱とか風力とか地熱等のみならず、たとえば長い将来を考えますと、核融合のように海水を利用するとかあるいは水素エネルギーを使うとか、これは原料は水でございますから、ということになりますれば日本は世界で最も恵まれたエネルギー国になるわけでございますから、そういう点を目指して勉強すべきだと思っております。     〔主査退席、片岡主査代理着席〕
  97. 川口大助

    川口分科員 ありがとうございました。ぜひひとつそういう立場でがんばっていただきたいと思います。いままでの延長線上に現時点をとらえるのではなしに、やはり一つの価値観が変わったという次元の中から新しいエネルギー開発というものを求めていっていただきたいと思うのであります。  そこで、若干次元が低い話になりますが、御承知かどうかわかりませんが、現在、和歌山県の那智勝浦に都会の雑音を逃れて三十代の若者四世帯が自営の生活をしておるわけです。これは水車で電気を起こして、もちろん蓄電池は持っておりませんから、できた電気をそのまま使っておるわけです。あるいは家畜のふん尿によって、メタンガスを使って暖房をやる、木炭をたいておる、こういういろいろな形で、いま日本でも実際にそういうふうな動きが起きているわけでありますから、今後予算の中でも若干自治体に対する配慮があるようでありますが、これは私はまだ単なるペーパープランにすぎないと思うのですよ。ですから、どういうふうな配分をなさるかわかりませんが、いま実際実験をやっておる県があるとすれば、具体的に言うと秋田県はやっているわけです、そういうやっているような県には、均一配分ではなしにひとつ重点的な配分をして大いにこういうものを促進するというふうなことをやっていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  98. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 そうしたいと思います。
  99. 川口大助

    川口分科員 ありがとうございました。  いま秋田県では、御承知と思いますが、雪温度差による一つの実験、これは仁賀保高原でやっております。それからソーラーハウス、これは建築の関係でありますが、それにビニールハウス、それに果樹地帯では風力による一つの実験もやっておりまするし、また堆肥熱による温床栽培等もやっているわけであります。どうかひとつそういうことでありますので……。  特にまたお願いしたいのは、自治体を経由する形態の補助になるかと思うのでありますが、お聞きしますと、二千万円で、一千万円が国、一千万円は地方自治体の負担というふうな話に聞いておるわけであります。そういうことだけではなしに、民間でやっているような場合はストレートに、非常に規模が小さいでしょうがストレートにそこに国の一つ研究補助をする、救いの手を伸べる、こういうふうなこともやっていただきたいと思うのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  100. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 いま先生指摘のとおり、私どもの基本的な考え方は、自治体を通してそういう仕事を推進したいと思っておるわけでございます。具体的にいろいろな地方のそういう方面に興味をお持ちの方が一生懸命勉強されまして、そういう御努力をされていることもよく承知いたしておりますし、ときどき私のところにも、自分はいまこういう研究をしているから援助してくれないかというふうなお手紙もちょうだいいたしております。そういう方々の御熱意に対しましては大変敬意を表しておるわけでございますけれども、いまの予算の仕組みでダイレクトにそういう方々に対して補助をすることはなかなか困難であろうかと思うわけでございます。何らかの方法でできるだけそういう方々をエンカレッジするような方策は考えてみたいと思いますが、ダイレクトの補助はいまのところちょっとむずかしいかという気がいたしております。
  101. 川口大助

    川口分科員 大臣、最後ですが、やはり事務担当者になるといろいろな制約があると思うのですよ。しかし、法律に抵触しない程度の援助、助成というのは大臣の御判断でできると思うのですよ。ですから、いま担当者の答弁もありまして気持ちの上ではわかるわけでありますが、ひとつ大臣から、任せておけ、秋田県のことも心配するな、こういう御答弁を聞いて終わりたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  102. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 ぽんと胸をたたきだいところでございますけれども、やはり国の金でございますので扱いは慎重にいたしたいと思います。しかし、御希望に沿えるように検討してみます。
  103. 川口大助

    川口分科員 終わります。
  104. 片岡清一

    ○片岡主査代理 これにて川口大助君の質疑は終了いたしました。  次に、藤原ひろ子君。
  105. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 昭和四十九年の五月に伝統的工芸品産業の振興に関する法律というのが全党一致してつくられましてからもう早くも六年がたとうとしているわけでございます。政府としてもこの法律が成立いたしまして以来いろいろな施策を行ってきていらっしゃるわけですけれども、いままでにどのようなことをおやりになったのか、この要点を答えていただきたい。  同時に、いま申しましたように、施行されてからもう六年もたつのですから、私はこの辺で振興対策と伝産法そのものの見直しが必要なんじゃないかと思います。そういう時期が到来しているのではないか、こういうふうに思うのですけれども、この点もあわせてお答えいただけたら大変ありがたいわけですが、よろしくお願いいたします。
  106. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 いま御指摘のように、伝産法は制定以来五年を経過したわけでございますが、指定もおかげさまで百十七品目指定をいたしております。それから法律の第三条によりますところの認定も百三件ということで、大変順調に経過をしているわけでございますが、いま御質問のございました振興対策の内容でございますが、これは滑り出しましてから逐次追加になりまして、現在では六本の政策の柱が立っております。  まず第一は、伝統的工芸品産業の後継者育成ということで、これはやはり後継者の問題が伝統的産業には特に重要でございますので、これに対する抜本的な補助を行っております。  それからもう一つは、地方の伝統的技術の保存とか、あるいは資料の整備等をねらいにいたしまして伝産会館というものをその地域地域でつくっていく、この建設助成が第二の柱でございます。  それから第三番目でございますが、いろいろ伝産の振興を行いますには設備資金あるいは長期運転資金が必要でございますが、それのパイプといたしまして中小企業金融公庫並びに国民金融公庫、それから共同事業等になりますと中小企業振興事業団というところで、国によりますところの資金の低利融資というものを創設し、これを活用しておるということが第三番目の柱でございます。  それから第四でございますが、これはいわゆる税制でございますけれども、伝統的工芸品の産業を振興するために協同組合等が事業を企画いたしますと、その企画するために準備金を持つわけでございますが、そういった振興準備金、それから共同施設につきましてはその設備の償却が必要になってまいりますが、これについても特別償却の税制措置といった、いわば施設をつくるため、それを使うための税制という手当てが第四番目の柱でございます。  それから第五でございますが、こういった伝産の振興を行います舞台回しの中心機関といたしまして、伝統的工芸品産業振興協会というのがつくられておりますが、これに対しまして振興事業に対する補助を行うということが第五番目の柱でございます。  最後の第六番目の柱でございますが、この協会が特に消費者に十分伝産品を理解していただく、そして各地方地方の特色のある地域産業として長く歴史的に保存されてきたものを十分勉強する、あるいはそれに対するニーズを掘り起こすという意味におきまして、伝統的工芸品センターというものを東京につくっております。これに対する開設費に対しまして、大幅な助成を特に五十四年度において実施をいたしております。  以上申し上げましたのが大体の振興施策の経過でございますが、これをどういうふうに評価し、かつ現在のところ法律改正、見直しというものが必要かどうかという第二の御質問の点でございますが、私どもとしましては、いま申し上げましたような施策の積み重ねがほぼ順調に現在推移をいたしておりまして、逐次その効果も上がってきております。一例で申し上げますと、地域産業の中核といたしまして雇用の造出その他にも相当裨益しているという点、それから特に現在その事業に携わっている方々が非常に働きがいを感じておられる、たとえば伝統工芸士というようなことで認定をいたしまして、それによって誇りと励みを非常に感じておられるというような効果が逐次定着しつつございます。それから組織化も、伝統工芸品に指定されまして、産地として打って一丸となって組織化が逐次進みつつあるという段階ではなかろうかと思っております。  一例でございますが、そういうことがございますので、今後におきましても、いま定着しつつあるものをさらに振興いたしましてこれを拡大するということでやっていけば、なお実り多いものになるのではないかと思っておりまして、現行法で特に法律的にこうしなければいけない、こういう点について不十分であるというような点は、いまのところは私どもも考えておりません。したがいまして、現行の法律の枠の中でさらにその質を濃密にしていく、あるいは補助金の額をふやしていく、そういうところに大いに力を入れていきたい、このように考えております。
  107. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 それでは、現行法で振興し拡大するというお気持ちですが、ぜひとも振興し、拡大していただきたいという点できょうは御質問を申し上げたいというふうに思うわけなんです。  そこで、全国には、この法律に基づきまして伝統工芸品としての指定を受けているのは、いま百十七というふうにおっしゃったわけですけれども、私は京都の出身でございますが、京都ではこの品目のうち十四を占めているわけですね。そうすると、大変大きなものを占めておりまして、これが振興するか衰退するかということが京都の地場産業の発展、盛衰を左右するというふうな非常に大切な産業となっているわけなんです。  中でも絹織物なんですけれども、西陣と丹後だけでも直接の関係者は、四万人を超えるというふうに言われる方々が従事していらっしゃいます。そして間接的にこういった織物業に関係していらっしゃる方は相当数に上るという状態であるわけなんですね。  私は昨年もこの分科会でこの振興対策について質問をさせていただいたわけですけれども、そのときに、絹織物に対する輸入の規制ですね、これが二国間協定を通じて行われるようになったけれども、それと引きかえに商社の手によって輸入絹糸が激増をしているというふうな指摘とともに、この輸入絹糸を織物業者に直接売り渡す、つまり実需者渡しですね、これをぜひふやしていただきたい、この質問をしたわけです。ここに繰り返しませんけれども、商社がぬれ手にアワのようなぼろもうけをやっているということを試算いたしまして質問させていただいたのですが、とにかくこの実需者渡しの制度を設けていただきたいということを強く要望をいたしました。  おかげさまで皆様方の御努力によって、結果的には五十三年度に七千五百俵ですか、実需者渡しということになったわけなんですね。この点については今度五十四年度はこれをどうされるのか、それからまたその後ですね、今後の展望の点についても、実需者渡しをふやしていくのかどうか。私は全量実需者渡しをしていただきたい、こういうふうに思っているのですけれども、そういった展望をお聞かせいただきたいと思います。
  108. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 先生御存じのように、生糸の一元化輸入制度というものがございまして、糸高製品安ということに苦しむきらいがございますので、そういったことの起こらないようにということで、競争力強化という観点から、絹織物業者に対しまして国内の実需者割り当てというものを創設いたしたわけでございまして、その前にはもちろん生糸の実需者割り当てがございましたけれども、さらに五十三年度から、いま御指摘の絹糸についても実需者制度を導入いたしました。いまお話もございましたように、数量割り当ては五十三年度で七千五百俵でございましたけれども、五十四年度におきましては、これを一万五百俵というふうに大幅に拡大をいたしたわけでございます。  それから、その取り扱いにつきまして今後の展望という御指摘でございますが、現在のところ大体絹糸の輸入量全体に対しまして、五十三年度で言いますと五分の一程度が実需者割り当てということでございましたが、これを五十四年度には飛躍的にふやしまして三分の一まで比率を上げていったというのが私どもの努力でございますが、今後もそういった努力をもちろん続けていくつもりでございます。ただこれは、全般的な輸入に携わるいわゆる輸入商社との長年にわたる関係とかいろいろございまして、一朝一夕に全部実需者というわけにはなかなかまいりませんけれども、逐次、いま申し上げましたような実績でおくみ取りいただけますように、改善できるところまでは改善していこうという気持ちで私ども対処してまいりたい、このように考えております。
  109. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 輸入絹糸の取り扱いについては、せっかく政府が絹織物の輸入規制をして、日本の和装産業を守ろう、こういう立場に立つのであれば、輸入絹糸につきましてもこれで商社がぼろもうけをするということにならないような対策を何としても強化しなければならない。いまのお答えでは、まだいままでの慣習とかおつき合いみたいなものがあって一遍にはそうならない。努力をしていらっしゃる様子はうかがえるわけですが、本当に早く全量渡しのような状態が来るように御努力を重ねていただきたいと強くお願いしたいと思うわけです。  確かに、現在は円安というようなこともありまして、昨年までのようなぼろもうけはしていないかもしれない、こういうふうに私も理解いたしております。しかし、この問題に対する基本的な考え方としては、先ほど申しましたように、商社がこれによって高利潤を得て織物業者が高い商品を買わざるを得ない、大もとのところでそういうことが起きないように最善の努力をすべきだというふうに思うわけです。再度通産省としての御見解をお聞きしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  110. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 いま御指摘、御提言のありましたような趣旨は私どもも十分頭に置きまして、今後できるだけの改善、それから特に一番問題になりますのは絹糸を使います機屋さんたちでございますので、私どももそういった人たちの意見も十分くみ取りながら対処してまいりたいと思っております。
  111. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 私は、伝統的工芸品の産業と他の一般の産業と基本的な相違点があるというふうに思うのです。相違点といいますのは伝統産業固有の特徴ですね、こういうことを踏まえて私は振興対策を考える必要があるというふうに思うのです。こういう点から私は伝産法の見直しも必要じゃないかという意見を持っているわけですけれども、こういう相違点、一般の産業と伝統的な工芸品の産業との違いにつきまして通産省はどのような御見解を持っていらっしゃいますでしょうか。
  112. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 あるいは私見にわたるかもわかりませんが、いま御指摘の点に若干触れますと、まず第一に、伝統的工芸品産業と申しますのは日用性が非常に高い、しかも長い歴史的な試練に生き抜いてきた、これはその過程においてそれに携わった人たちの努力のたまものでございますけれども、長くその地域に保存されて受け継がれてきておるというものでございまして、それを支えてまいりました技術、技法というものの伝承性が非常に高い、したがいまして、これは私どもとして民族の宝として今後も十分大事にしていかなければいけないだろうということがまず第一でございます。  それから第二に、消費者のこれに対する理解というものを深めていかなければならないだろうという感じがいたします。普通のマーケット商品でございますと、その便利性だけでどんどん浸透していくとか売れていくということがございますけれども、こういった隠れた、その地域地域のあれというのは中央のマーケットその他でもなかなか日の目を見ない場合がございます。それに対する理解を全国的に広めていく必要がある、そういう点でわれわれとしては非常に重点を置かなければならないだろうと思っております。  第三には、中小零細性が非常に強い。これは一般の中小企業もそうでございますけれども、特に伝統的な工芸品というのは余り大がかりな設備で量産するというものではございませんので、企業単位が非常に零細規模である。それから産地性が非常に高いということが第三番目でございます。  それから第四番目でございますが、これはたまたまかあるいは構造的なその商品の性格によるか定かでございませんが、最近非常に材料の入手難という問題が起こってきております。この点につきましても、新しい時代に新しく出てきました商品と違いまして、古い商品についてはかけがえのない原材料というものがございまして、それがなかなか近代機構の中でスムーズに入ってこなくなってきておるきらいがございまして、そういった点が非常にございます。  それからもう一つは、歴史的に非常に貴重であるということは、裏を返しますと若干古めかしいということもございまして、ここに雇用される人あるいは親の職業としてこれを熱意を持って受け継ごうといういわゆる後継者の問題あるいは従業員の確保の問題、この点につきましても古いだけによっぽど理解をしていただき、かつ振興策をやりませんとなかなか受け継がれない、かつ人が集まらないという問題があります。  以上、大体四つ五つの問題が特性かと思います。
  113. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 おっしゃったとおりだと私も理解をしているわけです。  それに加えまして、伝統的工芸産業品を製造いたしますにつきまして、振興のためには一般的な構造改善ではなくて独自のやり方が必要だ。非常に前近代的と思われるようなものを残さざるを得ない。たとえば織物につきましても西陣織とかああいう付加価値の高いもの、つづれ織りなどというものは指先のつめをのこぎりのようにしてくしでかいてやらなければならない。それから能衣装などでも皆手機なんですね。それはがちゃんがちゃんと大量にできるような近代的な構造を持った機織りの機械にはかえていけないというふうなものも持っているわけですが、そこのところを大切にしながら振興対策をしていかなければならないと思うのですね。  そうすると、いままでの政府の振興対策にしましても、まだまだ不十分ながらも普及事業だとか、いまおっしゃいましたような後継者養成であるとか研修であるとか、そういうものには大変熱を入れてこられた、そういう中で救われてきているわけですけれども、どうしてこれを維持していくのかという点になりますと、まだまだ余り適切な方策は見当たらないというふうに思うのですね。この点について政府としてはどのような対策をとられたのか、こういった非常に前近代的な手工業的なものを大切に残していかなければならない、そういうものに対してどんな対策をとられたか、ちょっと時間がありませんので簡単にお答えいただきたいと思います。
  114. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 やはり働く方々の環境整備が一番重要だろうということで、一番最新に展開しました施策は作業所の近代化ということでございます。これは非常に古く保存されている町並み、その沿道に古い作業所がございまして、それだけではそこを訪れる観光客も非常に不便であるとかあるいは働く人たちも非常にあれということで、作業所を環境的にもう少しつくり直す必要がある、そういった抜本策が必要だということでございまして、これにつきましては従来はいわゆる設備の助成の対象にまだ入れていなかったわけでございますが、福利厚生施設等々とあわせまして作業場の助成というものを新しく五十四年度から認めることにいたしております。  それからもう一つ非常に大きな問題は、先ほどちょっと触れましたけれども、やはり地方で実直にやっておられる方々が埋もれるという形でなくて、本当に中央でも理解されるということが必要だろうということで、伝産会館の一番集約型といたしまして、伝産協会の施設として青山に伝産センターというものを設けたわけでございますが、これは私も見に参りましたけれども、非常にりっぱなものでございまして、外人の観光客ももちろん参りますけれども、東京都に上京してまいりますいわゆる修学旅行の生徒その他も見に参りまして、そこで実際に実演もやるというようなかっこうで、やっている人もそれからこれを理解する人も、非常に前進した形でこれが実るような形にしております。  それから、やはり技術研修あるいは保存ということが非常に大事でございますので、これにつきましても私どもとしては従来以上に力を入れていきたい。  その三つぐらいが最近の新しいあれでございます。
  115. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 京都の伝産品の中で圧倒的な比重を占めているのが西陣織なんですね。この西陣織の中でも西陣の帯なんですけれども、これの生産量が昭和五十年に八百六十二万六千本であったものが、昭和五十三年には六百四十三万一千本にと七四・五%に減っているわけなんですね。  それから京友禅という染め物も京都では非常に有名なんですけれども、これも昭和五十年に一千百四十九万五千反でしたのが、その生産量が五十三年には八百七十二万反にと七五・八%に減っているわけなんですね。これはいまいろいろ国民の衣服に対するニーズが影響しているということも否定することはできませんけれども、総理府から統計をいただきましたものによりますと、大変生活が苦しくなっているということも反映をしている。そのときに切り詰めるのは何かといいますと、被服費なんですね。その中でも特に、和装費というのが低く抑えられているという傾向がある。衣服足りて礼節を知る、こう言われますけれども、もう衣服はなかなか足らない状態が起こって、特に和装品などはぜいたく品だなどと言われる。伝統着物がぜいたくだというふうな部類に入りかねないような状態が出ているのですね。大変な姿だと思うのですけれども、こういう中で、いまおっしゃったとおり、この西陣織や京友禅に携わっている人たちから見ますと、将来の振興も大事だけれども、いまどうするのか、もっと減反しなさい、こういうふうに言われる中で、いまをどう生きるかということが大変重要な問題になっているわけですね。  そこで、私は三年前にこの分科会で質問しましたのですが、その際に、伝統産業の世界で働く人人のために経営安定基金の問題に触れて御質問をしたわけですが、これを何とか先ほどお述べになりました展望の中に入れていただく必要がある。いまこそそれが必要だということを再度強調したいと思うのです。  いま不況に見舞われた場合に、どのようにして自分たちの生活を守り伝統産業を守るのかということが、常に従事しておられる方々の念頭にはあるわけなんですね。伝産法の提案の趣旨説明の中にもありますけれども、伝統産業というのは一度崩壊してしまうともうその再興はきわめて困難だ、こういうふうにうたっておられるとおりなんですね。したがって、この伝統産業を何としても崩壊させないためにも、関係業界が経営安定基金の制度をつくって、何としてもその自助努力をやっていきたい、こういう御熱意も現にあるわけですね。そういう場合は、そこに拠出する基金については損金算入の扱いにして免税措置をしていただきたい、これを強く望んでいらっしゃるわけなんです。  そこで、三年前にもこの点を申し上げたわけですけれども、生活産業局長さんも、当時の通産大臣も、一遍検討してみたい、こうお答えをいただいたのですけれども、もう三年たつわけです。現在これが一体どうなっているのか。進んでいるのかどうか、時間がありませんので簡単にお答えをいただきたい。詳しい資料などはまた後ほど部屋にでも届けていただいたら結構でございます。
  116. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 いまおっしゃいました市場安定基金の問題は、私どもも、地元の自衛体制として非常に熱心に皆さん方やっておられるということで、そういった例がほかにも幾つかございますけれども、特に西陣関係で自助努力としてその中核的な柱としてやっておられますので、これが非常に健全な形で発展することを願っておりますし、今後も私どもできるだけの援助はしてまいりたい、このように考えております。全体として振興施策は、損金算入の税の問題はちょっと後ほど中小企業庁の方から触れていただきますけれども、全般的にやはり税だけの問題でなくて産地自身の市場安定策というものを大きく考えていかなければいけないだろう。その中で、こういった市場安定基金ということで皆さん方の自助努力の一つのあれとして位置づけていかなければいけませんし、税の問題そのものになりますと、いろいろ税務当局あるいは税理論の問題もございまして、若干補足して説明いただきますけれども、私どもとしては、それも含めまして、全体としての地域の市場安定施策というものに力点を置いていきたい、このように考えております。  なお、税の点について若干補足していただきます。
  117. 横田捷宏

    ○横田説明員 基金に対する税の問題につきまして補足的に御説明申し上げます。  現在の租税特別措置法の中では、特定の基金に対する負担金をいたしました際に、これを損金算入するという特例の制度があるわけでございますが、その要件といたしましては、たとえば商品の価格変動による異常な損失の補てん、こういったような事態に対処いたしまして、特定の要件を満たす公益法人等が一定の基準でその事業を実施する場合に認めるという形に定まっておるわけでございます。  まずこういう制度の活用がいま先生指摘の事例に対してできるのかどうか、現行制度上ある制度の活用が可能かどうか、それがまず第一の問題だと思います。それが困難な事情があります際に、それではどうするかということかと存じます。
  118. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 いまではなかなかすぐにできないということは、私どももいろいろお話を聞いたり研究したりする中で理解をしているわけですけれども、しかし、やはり通産省がこういった伝統産業を守る、後継者づくりとか市場安定のためにいろいろしていただく、そのこととともに、いまの機織りに従事している方々、織り元の人たち、こういう人たちをどうしてこの不況から救っていくか、先々の問題と同時にいまの問題ですね、この問題のために、やはりこういった自主的にお金も出して自助努力をやりましょう、こう言っている人たちが、せっかく出したけれどもがっぽり税金を取られてしまうというのでは難儀なことなんですから、いまの点ではなかなかむずかしい点もまだありますが、通産省が大蔵省に対していろいろ強く要望していただくことが大蔵省も動かすことになるのではないか。また地元の方々も強い要望をなさると思いますが、まず通産省がその気になっていただきたいということを私は心からお願いをするわけです。いまの協業化とか共同化とか、そういう余地のある業界ももちろんあると思うのですけれども、近代化の余地がある場合はそれを進めていくということができるかもわかりませんが、そうでない限界に来ているというところでは崩壊につながりかねないという状況がありますので、ぜひこの点をお願いをしたい。  最後に、こういった問題に対して簡単に通産大臣としての御決意を聞いて私は終わりたい、こういうふうに思います。
  119. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 租税特別措置法に対する改正の問題ですけれども、これは御承知のように毎秋に、わが党の税調で各省からヒヤリングした上で決めてまいります。それと相応いたしまして、大蔵省の調査会で進めてまいるものでございますから、ぜひその折に勉強させていただきたいと思います。
  120. 藤原ひろ子

    ○藤原分科員 どうもありがとうございました。
  121. 片岡清一

    ○片岡主査代理 これにて藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  122. 片岡清一

    ○片岡主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  通商産業省所管について質疑を続行いたします。田畑政一郎君。
  123. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 きょうは繊維製品特に最初は絹織物のことについてお伺いします。  私の出身は福井県でございますが、福井県にもちりめんの工場がございまして、この産地には約三千台の機械があったわけでございますが、いまは二千五百台ほど、約五百台減ったわけです。なおその中で約四十軒、三百台が運転を休止しておるというような状況でございまして、大変な不況と申しますか、そういう状況にあるわけでございます。これというのも絹織物のいわゆる輸入品というものがどんどん入ってくる、そのために売れ行きが非常におもしろくないということに相なっておるわけでございます。  まず最初に、この輸入管理体制というのはいかがなっておるのかという概要についてお伺いしたいと思います。
  124. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  絹織物の輸入につきましては、秩序ある輸入を確保するために、私どもの方に入ってまいります主要供給国でありますところの中国、韓国、それと五十一年度から二国間協定を締結する仕組みにいたしております。それによりまして毎年度の輸入数量を取り決めるという形が第一でございます。  この中国、韓国が輸入の大宗でございますけれども、そのほかの国もまた最近ふえてきておりまして、特に近年絹織物生産と日本への輸出増加が著しいのは香港、台湾でございます。したがいまして、この二国とも数量協定を締結すべく両地域に対しまして現在申し入れを行っている段階でございまして、台湾とは昨年の十一月に交渉を開始いたしております。  それから第三番目に、これらの二国間協定のしり抜けになりますような、いわゆる第三国経由の輸入とかあるいは第三国で擬装加工するものがございますので、こういうものの輸入、いわゆる青竹と俗称しておりますが、これを防止いたしますために輸入貿易管理令上の措置をとっておるわけでございます。  以上でございます。
  125. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 ただいまお話がございましたように中華人民共和国と大韓民国との間には二国間協定があるということでございますが、手元にあります資料を見ますと、一九七七年、いまから三年前ほどから台湾、香港またシンガポール、こういう国々からの輸入が急速に拡大をしておるという数量が出ておるわけでございます。こういうことになりますと、幾ら中国と韓国との間に二国間協定が結ばれておりましてもしり抜けみたいなものでございまして、それぞれいま言いました台湾、香港などを経由してわが国に入ってくれば同じことになってしまうというような状況でございます。そういう関係で結局ちりめんなどの業界は非常に市況が悪化をいたしまして、産地始まって以来のピンチに見舞われておるということで、私どもの方に苦情が参っておるわけでございます。したがいまして、いま私が挙げました台湾、香港、シンガポールなどのそういう国々に対してこれからどういうふうにやっていくのか、言うならば、いままでやりましたような二国間協定を結ぼうとしておるのかどうか、結ぼうとしておるならば、いわゆるその進展状況というのはどうなっておるのかということが問題になるかと思うのでございます。  それから、先ほどもお話がございましたように、どうも聞いてみますると、国内で加工された生糸が一たん台湾や香港に流れまして、そしてまた織物になって返ってくるということもございまして、一体こういうものについてはどういうふうに考えていったらいいのかということがあるわけでございます。また、輸入業者は一体こういう事態に対しましてどのような対策をとろうとしておるのか、これに対して通産省として何か輸入業者の指導をやったのかどうかということもこの際お伺いいたしまして、ひとつこれからうまくやっていただきたい、こう思うわけでございます。
  126. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 いま先生指摘のような第三国経由輸入とかあるいは第三国の加工輸入等につきましてはおのおの事前許可制、これは輸入管理の面では一番強い措置でございますが、それを適用しましてその管理というものを行っておるわけでございます。さらに本年二月十五日以降におきまして、原産地を偽った輸入を防止することが緊急に必要であるという認識に立ちまして、全地域からの絹織物の輸入につきまして原産地証明書の添付を義務づけるということをいたしているわけでございます。  以上がごく近々の状況でございますが、特に台湾、香港等につきましては、五十年の十一月から事前確認制というものによりまして絹織物の輸入管理を実施しておりましたが、その中で特に台湾、香港等に昨今問題がございますので、これについては二国間交渉まで格上げをして強化しようということで、五十四年の九月から事前確認制というものを厳重に適用するということで、昨年十一月からすでに台湾との交渉を精力的に始めておるわけでございます。  それから、いま先生の第二の点でございますが、いわゆる輸入業者がどういうふうに対応し、これに対する指導を政府としてはどうやっているかという点でございますが、輸入業者についても、相当糸の保税輸出というものは農林省と協力して厳しく審査、指導しているわけでございますけれども、別途、私どもはやはり商社対策として、日本の国に入ってきますものが秩序ある輸入でないと市場撹乱を起こしまして後々絹全体の日本の需要というものを乱してしまうということもありまして、整然たる輸入というものが特に絹織物について必要であるということを機会あるごとに輸入商社にも私どもとして説明をし、指導しているわけでございます。したがいまして最近は輸入商社も、世界の情勢は非常に激動しておりますので、それに対応して、輸入のあり方というものについてそれぞれ慎重な態度にだんだんなりつつございます。もう一つは、やはり日本が輸入しております韓国あるいは台湾、香港等もそうでございますが、昨今のエネルギー情勢の変化その他からいたしまして、以前のような非常に競争力の強い状況というものが若干ずつ変わってきつつある、そういうわが国にとっては若干絹の輸入秩序を維持するためにはプラスになるような要因も重なってきておりまして、そういう点で結論から申しますと、私どもの輸入業者の指導というものも実質的に展開しておりまして、その効果が上がっておるのではないかというふうに考えております。それは一つの徴憑として申し上げますと、昨年の十二月、一月の輸入の実績から見ますと、いずれも前年実績の九〇%を割っておるというような段階にきております。それから昨年の一年間の絹織物の輸入の水準でございますが、これも対前年比で見まして一〇〇%を切りまして九〇%台になっておる、いわば鎮静化の方向に来ておるということでございます。
  127. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 ただいま御説明がございまして、通産省としても一定の努力をされておることは認められるわけでございますが、何せ現地におきましては依然として大変な不況感が強うございますので、早急に何らかの精神的なあるいは実質的な救済策を確立してもらいたい、こういうような意向が強いわけでございます。したがいまして、いまお話しのございました台湾、香港、こういうところに対する二国間協定を早急に締結していただきたいと思います。大体見通しはいつごろになりますか、相手があることですから。
  128. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 実は昨年の十一月に、お互い立場を譲れない面がございまして物別れになりまして、それ以降対峙したままでございましたが、昨日からまた第二回目の交渉を再開いたしておりまして、これも私どもは一歩も譲れない最後の線もございまして、国際交渉でございますので大変むずかしいのですが、何とか折り合いのつくものならお互いの立場を尊重して、いま先生指摘のように産地の窮状を救うために、この辺まではぎりぎりやむを得ないけれどもこれ以上は困るというような線を向こうがのんでくれれば何とか早く妥結して、そして早く二国間協定ベースに乗っけたい、このように考えております。  ただ、これも交渉事でございますので、どうしても相手が乗ってこない、それだけのまない、非常に法外に高い数字を言ってまいりますと、こちらもそう妥協できないのでということで楽観は許しませんが、最善の努力をやりたい、このように考えております。
  129. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いまほど事務当局からいろいろと詳しい御説明がございましたが、この際、この問題は業界も大変苦労しておりますので、大臣といたしましても責任ある御答弁を賜りたいと思います。
  130. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 絹織物の輸入に関しましては、これまで中国あるいは韓国との二国間協定を初めといたしまして対外的な配慮を払いながら、問題のあるような輸入に対しましては実効ある措置を講じてきたつもりでございます。今後とも輸入監視に努めまして、秩序ある輸入が確保されるように万全を期していきたい、こういうふうに考えております。
  131. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 ひとつ強く要望をいたしておきます。  続きまして、設備の共同廃棄事業についてお伺いいたしたいと思うのであります。これもまた私の出身県の福井県は合繊織物の大産地で、この設備共同廃棄事業といったものは、通産省としましても非常な努力を払って今日まで進められてまいりましたし、また整毛機械などは本年から開始をされることに相なっておるわけでございますが、これの今日までの進展状況というのは概括してどのようになっておるのか、またその進展状況に伴いましていろいろうまくいっておる、いっていないところがあると思うのでございますが、そういったことについて、どういうわけでそうなっておるのかということを概括的にお伺いしたいと思います。
  132. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 中小繊維工業の過剰設備を解消するということで、いまお話にございましたような設備の共同廃棄事業昭和五十二年度から中小企業振興事業団の設備共同廃棄事業融資によりまして展開をいたしておるわけでございます。その対象は、いま御指摘ございました絹織物の製造業等を中心にいたしまして十八業種に及んでおるわけでございます。  この十八業種につきまして、当初の廃棄計画、いわゆる地方の指導会議というのが各業種別にございますが、そこで了承を得ました設備の共同廃棄計画、それの達成状況を見てまいりますと、まずいい方でございますが、これはくつ下の製造業あるいは輸出の縫製品製造業、それからメリヤス製造業、それからエンブロイダリーレース製造業あるいは編みレースの製造業、こういったものは当初の計画どおり廃棄事業を完了いたしております。その結果、業況も最近好転をいたしておりまして、設備共同廃棄事業が効果をあらわしておるということが一応言えようかと思います。  他方、いま申し上げましたようなのと逆に、設備共同廃棄事業がどうも思わしくないというものがございます。それは、全般的には円滑な進捗をしておるわけでございますけれども事業計画の最終年度が五十四年度までということで切られておりますところの綿スフ織物業、それから化合繊の長繊維織物製造業、さらに撚糸製造業、この三つが特に事業の進捗状況が必ずしも思わしくないという現状でございまして、現在、同業界におきまして五十四年度の廃棄事業の確定等を急いでおる段階と承知をいたしております。  それからさらにつけ加えて御指摘のございました、どういう理由でどうもうまくいかないのかということでございますが、大きく分けまして二つあるかと思います。一つは、どうもこの制度を始めました五十二年度以降の景気の変化というものが設備廃棄の実施に対しまして影響をしておる、と申しますのは、やはり当初の景況は非常に悪かったわけでございますが、その後若干いいときもございまして、やはり景気の波というものがございまして、そこで廃棄する人のいわゆる廃棄マインドと言いますか、そういった共同廃棄に対して若干消極的な面も出てきたきらいがございます。それからもう一つは、やはりいろいろ制度上もう少し手直しをしてもらいたいというような若干の要望もございますけれども、それについては私ども十分PRをしまして、こういった共同廃棄事業というものは他に例を見ないくらい非常に恩典の強い制度であるから、これ以上さらに条件を緩和するとか、そういうようなことはなかなか実現がむずかしいのだから、いまの制度で十分やれるものを精力的に展開してくれというようなことで説明をし指導をいたしておる段階でございます。
  133. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 いまほど御説明ございましたように、綿スフとか化合繊、撚糸、こういったものが大体四〇%台から六〇%台までしか目標を達成していない、こういう結果が出ているわけでございます。御指摘がございましたように、合繊なんかを見ますと景気がいいわけですね。とても設備を廃棄するどころか、まだ少しぐらい機能のいい織機を入れかえしまして織った方が得だというような好況が続いておるわけでございまして、これは通産省の責任ではないと私は思うのでございます。  ただ共同廃棄事業というのは、非常に短期的戦略のもとにつくられているものではないのであって、日本の繊維産業を長期的に継続し守っていくためにはどうするかというところが基本になってこの計画がなされていると思うのでございます。たとえば化合繊繊維などを見ましても、長期にわたって今日の好況を維持できるかどうかということを見ますと、過剰であるということは否めない事実でございます。ただいま電気料の値上げ、石油の値上げあるいはインフレの高進といったいろいろな要素が景気上にはらんでおるわけでございます。そういたしますと、恐らくことしの秋ごろから繊維業界にも大きなかげりが来るのではないかと地元では思われているわけでございます。そういう点を考えますと、ここでたとえば化合繊にいたしますと、約四七%余りの実績をもちましてここ二、三年を推移するならば、業界が非常に大きな混乱に陥るかもしれない要素をはらんでいるのではないかと思うのでございます。まして考えてみれば、この辺でさらにこの共同廃棄事業を延長いたしまして、そうしてかねてから通商産業省が考えておられるように、長期戦略に基づいて機械を減らしていくということの目的を達成することが非常に必要なのじゃないかというふうに思われるわけでございますが、こうした点はどう思っていらっしゃるかについてお伺いしたいと思います。
  134. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 振興事業団の融資制度を活用して設備共同廃棄事業を行うことは、御指摘のとおり長期構造的な対策ということでやっておるわけでございます。したがいまして、いま申し上げましたように計画年度が今年度限りということになっております三業種、これについては思わしくないわけでございますが、この三つにつきましては実施主体の方で、端的に言いますと、綿スフについては綿スフ工業組合連合会、いわゆる綿工連、それから日絹連と称します化合繊長繊維織物の連合会、その二つについては事業実施期間を昭和五十五年度まで一年間延長したい旨の連絡を私ども事務当局は受けております。ただ、それはまだ正式のあれというわけではございませんで、内内の意見表明と申しますか役所側の意向を打診してきたような段階でございます。私どもといたしましては、これを受けまして現在のところ日絹連と綿工連の方から事情聴取を行っている段階でございまして、この事業の所期の成果が実現されるように、今後どうやって指導し、かつ業界が自主努力をしたらいいかということについての詰めを行っている段階でございます。  また補足でございますが、撚糸についても、現在撚糸の実施主体の内部で、団体の内部で検討をやっておる段階でございまして、まだ役所の方に意思表明は来ておりません。
  135. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 そうすると、重ねて聞きますが、そうした話し合いといいますか、正式なルートに乗ってくれば共同廃棄事業について延長を考えてもいいという前向きの姿勢でございますか、どうですか。
  136. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 いまちょうど年度末の月に入っているわけでございますが、今年度三月三十一日まで最大限の努力をする、これはもうもちろん大前提になりますが、さらにそれでは所期の成果を上げるには時間的な余裕がどうしてもないということも現実にございますので、私どもはそういった事実を十分踏まえまして必要な措置をとり、必要な指導をしてまいりたいと考えております。
  137. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 さらに第三点といたしまして、繊維工業構造改善事業についてお伺いをしたいわけでございます。  これは異業種間の組み合わせというものを出されまして、アパレル産業とかなんとかいろいろなことを言われたわけでございますけれども、結果的には、私の承っておるところでは余り成績が上がらなかった、余り希望者がなかったというか、そういうことに終わったように聞いております。今回そうした構造改善事業をさらに延長されるわけでございます。すなわち、前回の不評といいますか結果を踏まえて、今回の場合には何らか多少改善を加えられたわけでございますが、今回の場合には十分いける、こういう自信がおありかどうかをお伺いしたいと思います。  あわせて、時間がございませんので大臣から、そうした共同廃棄事業の延長並びに構改事業等に対する御所見を最後にお伺いしたいと思います。
  138. 児玉清隆

    ○児玉(清)政府委員 構造改善事業の進捗状況は省略いたしますが、先生指摘のように廃止期限を五年間延長いたしたわけでございます。しかし、実はまだ出だしの段階でございますので、見るべき実績は出てきておりませんが、お話しございましたように、今度の法律改正でいわゆる制度改正というものが行われまして、要件につきまして相当緩和をしているわけでございます。その点で、いままでのように異業種間の連携ということの前さばきといたしまして、同業種間いわゆる親機、子機というような関係でのグルーピングを前提とした構造改善事業も広く認めていこうということに相なっております。そういったことが現地に非常に浸透いたしまして歓迎されると思いますが、そういうことになりますと、私どもがねらっております非常に広い範囲にわたる構造改善の効果が十分に上がっていくのではなかろうかと考えております。そういたしまして、五年間延長したところの成果を十分踏まえて、各産地自身の活力というものがまた回復するのではなかろうかと考えておりまして、せっかくの法律改正でございますので、これを十分生かして指導をしてまいりたい、事務当局としてはこのように考えております。
  139. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 中小の繊維工業におきます設備共同廃棄事業の実施期間を延長するかどうかという問題ですが、この延長につきましては関係業界でただいま検討中だということでございますから、その結果を踏まえまして、今後適時適切な指導等を行ってまいりたいと考えるわけでございます。  二段目の繊維工業の構造改善臨時措置法に基づく構造改善事業につきましても、御指摘の点をよく踏まえまして、今後とも強力に実施してまいりたいと思っております。
  140. 田畑政一郎

    ○田畑分科員 終わります。
  141. 片岡清一

    ○片岡主査代理 これにて田畑政一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、伏屋修治君。
  142. 伏屋修治

    伏屋分科員 私は、三十分という限られた時間でございますので、主としてLPガス、都市ガスの保安を何点かにわたって質問をしてまいりたいと思います。  まず最初に、最近のいわゆるLPガス、都市ガスの事故についての件数、またその状況等について、おわかりの範囲で結構でございますが、御答弁願いたいと思います。
  143. 福原元一

    福原説明員 LPガスの事故の現状につきまして御報告申し上げます。  ここ二、三年の事故件数は、年間五百ないし六百件でございます。
  144. 伏屋修治

    伏屋分科員 これはどちらですか。LPガスですか、都市ガスですか、両方聞いておるわけです。
  145. 福原元一

    福原説明員 LPガスでございます。
  146. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 都市ガスについて御報告いたします。  いま先生の御質問のうち、ガス漏洩があったものと、それが供給支障等の事故となったものとちょっと件数が違うわけでございますが、五十三年におきまして供給支障等のいわゆる事故となった件数は、供給設備全体で六十一件でございます。
  147. 伏屋修治

    伏屋分科員 その状況等はどういう状況ですか。その主たるものを言っていただきたいと思います。
  148. 福原元一

    福原説明員 LPガスの事故について御説明を申し上げます。  五十三年度の実績で事故件数は五百七十件でございますが、その大部分の四百二十六件が消費者の不注意によるものでございまして、その他消費者の不注意も関係しているが、販売店の保守サービスが徹底していれば防げたと思えるであろうというものが十六件、販売店の処置に欠陥があったと思われるものが二十一件、その他が三十数件、原因不明というものが七十数件ございます。
  149. 伏屋修治

    伏屋分科員 いまLPガスの事故状況と件数とお話がございましたけれども、後ほどその資料をいただきたいと思います。その主たる代表的な状況等わかりましたら……。
  150. 福原元一

    福原説明員 では後ほど御報告いたします。
  151. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 都市ガスにつきましては、五十三年の消費機器にかかる事故百二十七件のうち、生ガスの放出によるものと不完全燃焼によるものというふうにいろいろ分かれるわけでございますが、やはり大きな要素といたしましては、長時間使用によります不完全燃焼が二十件、それから屋内におきますゴム管等にかかるものが十八件、それから器具の誤操作等によるものが十六件というようなものが主な原因でございます。
  152. 伏屋修治

    伏屋分科員 いま件数についてはお聞きいたしたわけでございますが、それが人命にまで及ぶような、そういう事故の状況等ありましたら、聞かしていただきたいと思います。
  153. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 都市ガスの方を御報告をさせていただきます。  ただいまの百二十七件の事故がございましたうち、人身被害といたしまして死亡にまで至りましたものが八十九人ございます。
  154. 伏屋修治

    伏屋分科員 場所等わかりましたら……。
  155. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 場所等につきましては、ちょっとただいまではつまびらかにいたしておりません。
  156. 福原元一

    福原説明員 LPガスにつきましては、申しわけございませんが本日資料を持ってまいりませんでしたので、後ほど先ほどの御報告と一緒にお届けいたします。
  157. 伏屋修治

    伏屋分科員 私の手元にある資料だけを見ましても、都市ガスは昭和三十八年一月、東京深川でガス爆発を起こしておりますね。それからまた同じ年の六月に神田の地下鉄工事の大爆発があります。それから本郷真砂坂の爆発、大阪天六で起きたガス爆発。それから一番最近のものは、お忘れになっておるのかどうか何にも言われなかったのですが、昨年の藤枝市のガス事故が人命に及んでいるわけですね。そういうようなことが局長の頭の中にないはずはないと思うのです。だから、どこの地で人命に及んだかという模様を私は聞いたわけでございます。そういうような甘い認識では非常に困る、私はそういうことをまず注意を喚起したいと思います。  次の問題に参りますが、そのLPガスとそれから都市ガスの全国利用者の比率は一体どういうような状況になっておりますか。
  158. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 現在、都市ガスの需要家数は、昭和五十三年末で見ますと約千五百万軒ございます。一方、LPガスの需要家数は約千九百万軒でございまして、比率といたしましては都市ガスが四、LPガスが六くらいの割合になっております。
  159. 伏屋修治

    伏屋分科員 六対四というような比率でございますが、最近に至りまして大規模地震対策特別措置法というものが立法化されまして、大規模地震に備えるという面で避難場所、避難経路等々、あるいはいろいろな面で非常に細かく配慮された法律ができております。一朝こういうような大規模地震が起こったときに、こういうLPガス、都市ガスが第二次災害を起こさないということは断言できない。そういう面から考えましても、その取り扱い、保安面ということについてはもう日々厳重な保安教育も必要だろうと思いますし、またそういう保安の規則というものも厳重な規則があってしかるべきだと思いますが、保安面についてLPガスはどういう規制をされ、そしてまたどういうような保安教育を担当者にされておるのか、あるいは都市ガスはその規制はどうなのか、そのあたりをお答えいただきたいと思います。
  160. 福原元一

    福原説明員 LPガス設備の調査並びに点検、改善の状況について申し上げます。  LPガスの設備につきましては、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律、いわゆる液化石油ガス法がございますが、これの規定によりまして販売事業者が定期的に、これは二年に一回以上ということになっておりますが、調査、点検を行って消費者に改善すべき個所があればこれを通知する、そして改善を進めるということになっております。現在、これをさらに一層徹底させるために、昭和五十三年七月から三カ年計画全国のLPガス販売事業者に対しまして設備の総点検事業を行っておるところでございまして、対象戸数は先ほど申し上げました約千九百万戸でございます。第二年目に当たります今日現在の実施率は五四%、ちょうど半分を超えたというところでございます。
  161. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 都市ガスに関しましては、まず平常時におきましてはガス導管につきまして、ガス事業法に基づきまして高圧導管の設置等につきましてその工事計画通商産業大臣の認可にしからしめておりますし、また導管の材料、構造、接合方法等につきまして事前審査を行っておるわけでございます。また、工事の工程ごとには使用前検査というものを行いまして、それに合格したものでなければガス導管として使用できないことといたしておるわけでございます。さらに、使用開始後におきましても高圧導管につきましては定期検査を実施しておりますし、またガスが各家庭の元栓までに至るすべての導管につきましてはガス事業者に対して三年に一度以上漏洩検査を行うことを義務づける等を行っているところでございます。  また、地震対策といたしましては、それぞれまた別個の対策を講じてございます。
  162. 伏屋修治

    伏屋分科員 大体わかりました。  次に、都市ガスの導管についてちょっとお尋ねしたいと思います。  導管についていまちょっと触れられましたけれども、どういうような材質を使ってみえるのか、あるいは導管の総延長キロ数はどれぐらいあるのか、あるいは導管は地下でどのように組み合わされているのか、またその埋設状況は地表からどれぐらいの位置に埋設されておるのか、その辺について……。
  163. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 まず、都市ガスの地下埋設導管の延べ延長距離でございますが、五十三年十二月末時点において、都市ガス事業者用として道路に並行して敷設してありますガス導管の総延長は、約十三万三千四百キロメートルでございます。     〔片岡主査代理退席、主査着席〕 そしてその材質は、鋼管及び鋳鉄管が大部分でございまして、全国の計で申し上げますと、十三万三千四百キロメートルのうち鋼管が八万七千九百キロメートル、鋳鉄管が四万三千七百キロメートル程度でございまして、それ以外のものは約二千キロメートルということになっているわけでございます。  それから導管の埋設状況につきましては、ガス事業者がガス導管を埋設するに際しては、道路法の規定に従って道路の占有許可を受けた後実施するわけでございますが、許可の条件といたしまして、工事実施上やむを得ない場合を除きますと、ガス導管は一・二メートル以上の深さに敷設することとされているわけでございます。  それから導管のいろいな防災対策的な面につきましては、導管の耐久性が問題になるわけでござますが、耐久性につきましては、防食措置を施す、あるいは使用材料を考慮する、さらには路面荷重、土圧荷重等に対する強度、それから継ぎ手の種類並びにほかの工事に対する導管の防護方法等勘案して技術基準を定めておりまして、その技術基準に従ってやってもらうことになっております。したがいまして、そういう技術基準に従いますと、通常の使用状況にありましては十分な耐久性を有するものと思っております。
  164. 伏屋修治

    伏屋分科員 大体わかりましたが、耐用年数を大体何年と見ておられますか。
  165. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 いま申し上げましたように、現在ガス事業において埋設されております導管は約十三万キロメートルでございますが、その大部分が鋼管及び鋳鉄管でございます。まず鋼管でございますが、鋼管の耐用年数につきましては、鋳鉄管に比べて耐食性が問題になるわけでございますけれども、現在防食対策は十分にとられておりますので、強度上問題が出ることは少ないわけでございますが、長期間の使用に十分耐えるものと考えております。また、鋳鉄管の耐用年数につきましては、埋設した環境によって相当異なりますので一概に何年と言うのは困難でございますけれども、鋳鉄管は耐食性にすぐれておりますので、埋設環境が普通の場所に設置されているものにつきましては、五十年以上埋設されているものでありましても新設の管と比較して強度等の変化はほとんど認められていないというような状況でございます。
  166. 伏屋修治

    伏屋分科員 そのガス管の耐用年数は土壌の質とかいろいろなことによって一概に言えないということでございますが、一番耐えられる導管で五十年ということでございます。現在十三万三千四百キロという非常に長い導管が地下に埋設されておるわけですけれども、老朽導管はそのうちのどれくらいの割合を占めておるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。——制約された三十分という時間ですので、てきぱきと答えていただきたいと思うのですが、その中で私の地元、岐阜市の状況だけを少し触れておきたいと思います。  岐阜市は人口四十万という規模の都市でございますけれども、老朽化していく導管をかえていく作業が三年間で一万二百七十六メートル、十キロという勘定になります。しかもその岐阜市の中で、埋設導管の延べのメートルを言いますと五十三万メートルあるのです。そして三年間で約一万メートルの交換しかできないというのです。それが限度だというわけですね。そうすると、五十三万メートルのこれが年々老朽化していくわけです。そういう老朽管の交換ということになってまいりますと、百年かかっても五十三万メートルの管の交換はできないことになるわけですね。しかもこれは人口四十万という規模の中のガスの地下埋設管の状況と交換状況です。  ということになると、大都市である東京、大阪あたりのガスの埋設管の状況、そういうことから考えてまいりますと、耐用年数を超えた老朽導管が非常に多いと思います。そういう老朽導管の取りかえ作業の物理的な時間は非常に限られておるということですね。そういうことで私は尋ねたわけでございます。
  167. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 先ほどの御質問の年代別に老朽度がどうであろうかということでございますが、これは全体を調べておるわけではございませんが、東京瓦斯の例を見ますと、導管の延長キロ数で申しますと、明治、大正時代に設けられましたものが百六十キロメートルです。それから昭和の二十年までのものが千九百六十五キロメートル、昭和二十一年以降が三万二千五百五十三キロメートルという状況になっているわけでございます。  それから、いま岐阜市におきます例を御指摘になったわけでございますが、東京瓦斯におきましては年間大体百四十キロメートルくらい取りかえておるということでございます。  それから導管の取りかえでございますが、これにつきましては漏洩等のあります場合は当然取りかえたりするわけでございますが、そのほかに、万全を期すためにガス導管の材質とか接合方法、埋設環境、埋設年代、そういったものを勘案いたしまして順次取りかえを進めるよう現在ガス事業者を指導している、そういう状況でございます。
  168. 伏屋修治

    伏屋分科員 岐阜市と比べると東京の方はかなりの交換の進捗状況であると思いますけれども、それにしましてもかなりの時間がかかると思います。明治、大正、あるいは第二次世界大戦終結までの導管は、いろいろな環境が変わった中で老朽化しておるということは事実であります。そういうことからしましても、地中にガスが漏れておるということはもう否めない事、実だと私は思います。そういうガス漏れの件数等は年間どれくらいあるのか、これは都市ガスですが。
  169. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 昭和五十三年におきます導管のガス漏洩件数は、折損とか接合部が抜け出したとか、そういう多量のガス漏洩がある件数につきましては七十件ほどございます。その他少量のガス漏洩というものは非常に件数が多うございまして、約一万三千件ございます。
  170. 伏屋修治

    伏屋分科員 そのガス漏れの主たる原因は何によるものですか。
  171. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 先ほど申しましたガス導管の延長が約十三万キロメーターあるわけでございますし、また需要家数は約千五百万戸ございますが、ガス漏れの原因としましては、ガス栓までの屋内管を含んだものからの漏洩が大部分でございまして、需要家数、千二百戸当たり一件ぐらいの割合でございます。また、ガス事業者一社当たりにいたしますと五十一件ぐらいの発生率というような状況でございます。
  172. 伏屋修治

    伏屋分科員 私は、家の引き込み線のガス漏れを聞いておるのではなくて、主たる導管の地中にガスが漏れておる件数、それが年間どれぐらいあるかと尋ねておるわけです。
  173. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 導管等につきましては五十三年度六十一件ございますが、その内訳といたしましては、ほかにいろいろ行われております工事によるものが十九件ぐらい、暴風雨その他そういう気象条件によりますものが十三件ぐらい、それから導管の工事に伴いますものが十二件、こういうものが主な原因でございます。
  174. 伏屋修治

    伏屋分科員 私の手元にある資料を見ましても、岐阜市のことを申し上げるわけですけれども、岐阜市の中でもガス漏れ件数は非常に多いわけです。その内訳というのは、やはり地盤の沈下というようなものもありますし、また交通量の激化によっての地表からの圧力、あるいは下水、電気工事等によってガス管に触れて漏れたというようなものもあるわけでございます。また、酸性の土壌による鋳鉄管等の腐食、そういうものによってのガス漏れ等もあるように聞いておるわけでございますが、もう少しそのあたりの原因を明確にしてそれに対処していかないと、事故が起こってから後追いの対策を立てるというようなことが余りにも多過ぎるように思います。そういう面からも、事故の事前の保安というものに関しまして厳重なるチェックをするためにも、そういう要因というものをしっかりと把握しておかなければならない、このように私は思うわけでございます。そういう面でガス漏れの件数とその主たる原因を私は聞いたわけでございます。  ガス漏れが現実に地中にあるということは事実でございますが、いま現実にそれをどのようにして探知しておるのか、その辺も聞きたいと思います。
  175. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 ガス事業者がガス漏れを認知するために漏洩検査を行っておるわけでございますが、この漏洩検査は圧力が高いものにつきましては一年に一回以上行っております。その方法といたしましては、導管の路線上に五メートル間隔に深さ五十センチほどの穴を掘りまして、その穴に管を立てまして一分間経過した後、あるいは吸引を行いました後にガス検知器またはにおいによりまして漏洩の有無を検査するという方法をとっておるわけでございます。これにつきましてはいろいろな細かい基準が設けられてそれが告示されておりまして、その方法に従ってやっているところでございます。  それから、ガス導管が劣化して漏洩につながります原因といたしましては、先生指摘のような酸性土壌もあるでしょうが、いろいろな要素がございます。そのほかに交通量が激化して振動があるとか、あるいはほかの工事による埋め戻しが不十分であるとか、導管に予想外の荷重が加わって導管の継ぎ手部分が劣化するとか、そういうような例がたくさんあるわけでございます。  そのための対策といたしまして、当省といたしましては口径の小さい普通鋳鉄管は、どちらかというと靱性にすぐれましたダクタイル鋳鉄管に入れかえるとかあるいは機械的接合の可撓性を持たせるような材質のものに取りかえるとか、あるいは検査の頻度を高めるとか、いま御指摘のような漏洩検査を十分にするとか、いろいろな新しい継ぎ手の開発あるいはガス漏洩検知装置等の技術開発を行うというような方法を講ずるようガス事業者を指導しておりまして、そういう漏洩の減少に努力をいたしておるところでございます。
  176. 伏屋修治

    伏屋分科員 いまお話を聞いてみますと、大体五メートル置きに五十センチの深さに穴を掘ってそこに管を突っ込み、そして人間の臭覚によってガス漏れを探知するというようなやり方と聞きましたけれども、延べにして十三万キロの導管にガス漏れ事故の防止のためにいまのような作業をやっておったならば、いつまでたっても非常に危険な状態の中で多くの方々が生活をしなければいけない。これだけ科学のいろいろな面での技術も進歩しております。そういう面でガス漏れ検知の研究というのは進んでおるのですか。
  177. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 ただいまお答えした中にもガス漏洩検知装置等について触れましたが、やはりガス漏洩検知装置は現在の水準では十分でないと思います。こういう検知装置あるいは警報装置というものをさらに開発しなければならないわけでございますが、これらにつきましては国といたしましてもできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  178. 伏屋修治

    伏屋分科員 現在各家庭にガス漏れ報知器というのがありますね。「みはり」とかなんとかいう商品名で売られておるようでありますが、このガス漏れ報知器というのはLP、都市両方にわたると思います。現在のガス漏れ報知器というのはガス漏れを知らせるだけであってガスカットをする作用はしておらない。だから身体障害者とか耳の聞こえない方とかあるいは寝たきりで起き上がれないという御老人のところで幾ら「みはり」が役に立ってぶうぶう鳴ってみたところでガスをカットするという手段はないわけです。  そういう面からも、前にもいわゆる地震のときに石油コンロというのは非常に危険だ、二次災害の危険な要因になるということから非常に厳しいチェックをして、震度どれだけで自然に火元が消えるというようなことをPRいたしましたけれども、そういう面でのガス爆発は、LPのガス爆発もけさの新聞にも出ておりましたし毎日のように爆発事故がありますが、その爆発事故の件数を考えあわせていくと、そういうような爆発を未然に防ぐPRというのは余りにも足らないのではないか。ガス漏れ報知器というものの内容をもう少しよくして、知らせると同時にガスカットできるようなものをもっと普及させなければいけない、こういうように思いますが、どうですか。
  179. 福原元一

    福原説明員 ガス漏れ警報器につきましては、先生おっしゃいますように保安対策上非常に有効なものであるということで、液化石油ガス保安法の第二種液化石油ガス器具に指定してございます。一定技術的信頼性を確保するとともに、これの普及を図るということで、消費者にリースをするリース会社に現在開銀融資を行っておるわけでございます。現在この警報器の普及率は大体二六%でございます。  次に、ただいま先生から御提案のございました、これに遮断器を備えなければ意味がないではないかということでございます。いわゆるガスもれ警報遮断装置でございますが、これは保安上非常に大きな効果が当然期待されるわけでございますので、昭和五十四年度から高圧ガス保安協会の附属研究所において現在鋭意研究を進めさせております。年間約一千万円の補助金を交付しておるわけでございますが、一般メーカーにおきましてもその試作の段階に入っておると聞いておりますので、これらの検定あるいは技術の向上という方面につきましても指導してまいりたい、かように考えております。
  180. 伏屋修治

    伏屋分科員 時間が来ましたので、あとは書面で私の方へ出していただきたいと思います。  申し上げますと、LPガスと都市ガスが供給区域を変更して、そして都市ガスが拡張するというような場合の地元におけるいろいろなトラブルがあると思います。私も聞いておりますし、私の地元の方でも裁判ざたになっておるようなトラブルもございます。そういうトラブルに対して行管庁が通産省へ何か勧告をしたということも聞いております。だから、そういうトラブルがあったときにどのような処置をとり、どういうような結果になったかという事例を含めて、私の方へ出していただきたいと思います。  それからオイルスラッジの問題をきょう取り上げようと思いましたが、時間がありませんでしたので、オイルスラッジがどのようなところにどれぐらいの量、累積されておるのか、そしてその処理はいまどのようにしておるのか、そしてそのスラッジの再利用が現在考えられておるかどうかということです。  最後に、そのスラッジが産業用燃料に使われるというような民間人のアイデアがあったときに通産省はそれを受け入れる体制があるかどうかという問題。  いまちょっと口早に申し上げましたが、それだけのことを書面で回答をいただきたい、こういうふうに思います。
  181. 福原元一

    福原説明員 後ほどお届けいたします。
  182. 伏屋修治

    伏屋分科員 終わります。
  183. 始関伊平

    始関主査 これにて伏屋修治君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美君。
  184. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私は、きょうは大店法の問題についてお伺いをしていきたいと思います。  最近の大型小売店舗の特徴の一つとして、店舗面積が一万数千平米級、しかも相当数収容可能な大型の駐車場を持つ巨大なショッピングセンター形式のものがずいぶんふえてきています。大駐車場の威力というのは、たとえば八王子にある西武百貨店よりも、八王子よりさらに地方に行きます福生にあります西友ストアーの方が売り上げが大きいというような結果をもたらして、駐車場の威力というのは大変なものだということを八王子の西武の関係者自体が言っておられる。  これらの巨大な大型店は、出店計画の説明書を見ると、カーショッピング時代に対応することをうたっている。それから地域コミュニティー性を持たせるということ、また小売店舗のほか、飲食だとかレジャーだとか、そういう施設を含んでいる。こういうものがふえてきていて、いわゆるアメリカ型のショッピングセンターというふうに言えると思います。  それで出店予定地は、現在あるいは近い将来、人口の相当数の増加が見込まれるという地域が大体ねらわれるといいますか出店予定地になるようで、その地域には広大な土地がまだ残っているというところです。ですから、こういう地域では住民もまだまだ定着はしていないし、道路も整備はされていない。あるいは区画整理事業も進んでいないし、もちろんのこと、上下水道など都市施設の普及もおくれた地域だということが言えると思います。  たとえば府中市の住吉町に計画されている府中のショッピングセンターの場合には、出店予定者はダイエーですが、店舗面積約一万八千平米、そして駐車場は一千台収容できて、予定される商圏は多摩ニュータウンを含んで、中央高速道路による利用者も見込んでいるという膨大なものであります。ここは小売店舗だけでなくて、同一敷地内にスポーツプラザだとか文化センター、そして学生ハイツなども予定されているというふうに聞いております。  また、八王子市楢原に出店計画されていて、昨年十月に三条申請がずでに出されている忠実屋楢原店は、店舗面積で一万四千平米、駐車場は約五百台。これは従来の例から見ると、一日の車の出入りというのは二千台から三千五百台になるだろうと見られているものです。  このようなタイプの大型店は、地域社会を変える多大な力を持っているというふうに私は思います。もちろん、中小売店の方々が深刻な状況に置かれるということはもうはっきりしています。私のところにも商店の奥さんたちがよく陳情に来られますけれども、昔は働けば非常に自分たちの暮らしがよくなるということで希望に満ちて働いていたけれども、最近は働いてもなかなか大変なんだ、何かこう将来に希望が持てない、それが子供にもはね返っていって深刻な状況なんですという訴えが出されています。いつ倒産するかわからないという状況で、きょうはこの八王子の楢原の問題について伺っていきたいというふうに思っておりますけれども、忠実屋が出店計画をしているこの楢原のすぐ近所に、昨年の十月に多摩ショッピングセンターというのが出店をしました。それによって、昨年の十月からもう小売店が四軒も倒産しているという状況が発生をしています。  それから、こういう大型店の出店が中小業者に与える影響のほかに、もう一つ見落としてはいけない側面として、地域生活者に与える影響があると思います。この問題については、たとえば交通渋滞の問題、そして下水道問題、あるいは買い物の選択が、いままでは自分の好きな小売店で買っていて、それはそれなりにいろいろな便利があったけれども、そういうところがつぶれていってしまったり、さびれてしまうと、どうしても大型店に頼らざるを得ないというような状況に置かれていくわけで、消費者にとっての選択の幅も非常に狭まってくる、そういうことが言えるのじゃないかと思います。  それから、もう一つ重要な問題として子供の教育の問題があります。スーパーができると万引きがふえます、家に帰ってこない、そういうような状況の中で、これは町田市の例でございますけれども、お母さんたちがスーパーに対して万引き防止を何とかしてほしいという陳情をしたところ、スーパー側から、万引き防止のための監視員を置くとそれだけ金がかかる、子供たちが万引きした方が安上がりなので置く気はない、こういうような回答が返ってくる。  そういう意味で、大型店の出店というのは地域社会にとっても深刻な状況だ、そういうふうに私は思うわけですけれども、まず最初に、私が質問をする前に、こうした状況について大臣として政治的姿勢でどうお考えになるか、お考えをいただきたいと思います。
  185. 神谷和男

    ○神谷政府委員 ただいま御指摘のように、大規模店舗が大ショッピングセンターという形で、スポーツ施設であるとかあるいは集会施設であるとか、その他もろもろのものを含めて設置される傾向がある、これは御指摘のとおりだというふうに考えております。さらに、これが町づくりと申しますか周辺の市町村の態様あるいは環境といったものに一定の影響を与える、これもまさに御指摘のとおりだろうというふうに考えておるわけでございまして、これらの問題につきましては、私どもの方では、周辺の中小小売業に与える影響との調整を行うための大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律という形での調整を行っておりますし、その他、都市計画法あるいは関係市町村の条例その他によって、総合的にそれらの施設が調和して地元に迎えられるような形の努力がなされておるものと了解をいたしております。単なる商業問題だけではなくして、大規模施設を町の中でどのように受け入れ、あるいははめ込んでいくか、こういう問題の一環といたしまして、私どもも今後努力いたしてまいりたいと思いますが、各方面と協力をしながら進めていく必要があろうかと考えております。
  186. 岩佐恵美

    岩佐分科員 具体的に八王子の楢原の忠実屋支店の例について伺っていきたいと思いますけれども、この予定商圏というのは、地理的な特徴で、いわゆる街道沿いに歴史的に発達してきた商業地域を見込んでいるわけです。その奥行きは最も深いところで十二キロに及んでいます。予定商圏に含まれている五日市町を見ると、商業統計によれば小売業者は三百六十一軒ですけれども、そのうち三百三十軒が集中している、いわゆる旧五日市地区の大半がすっぽりと取り込まれるというような状況になっているわけです。  こうした状況の中で、商調協でこの巨大店舗計画を論議される。そうした場合に、従来だったら三キロ圏とかあるいは五キロ圏ということで規制してやっていくわけですけれども、これではカバーできないという状況がこの楢原の点では具体的に出てきているというふうに思うわけです。ですから、こういう具体的な地理的条件を見る、あるいは歴史的な商業の発展経過を見るというふうなことで実際に検討していかなければならない、そういうことが必要だというふうに思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  187. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、大店法におきましては、大規模小売店舗が出店の計画がございます場合には、出店地の商工会議所あるいは商工会の意見を聞きながら調整を行っていく、こういうことになっておるわけでございますし、これらの商工会、商工会議所等はそれらの意見をまとめるに当たりまして、ただいま御指摘のような商調協という形で小売業者あるいは消費者、さらには学識経験者等の方々に参画いただいて地元の議論を取りまとめるわけでございますが、出店予定地の商工会、商工会議所以外の地域、その他の隣接する商工会あるいは商工会議所でございましても、商圏の範囲内に人口の相当部分が含まれる商工会、商工会議所に関しましては、私どもといたしましては、地元の商工会あるいは商工会議所と  一緒になりまして、俗称といいますか一般的に広域商調協と称しておりますが、このような形で隣接商工会あるいは商工会議所の意見というものもできるだけ組み込むようにいたしておるわけでございます。  ただ、ただいま御指摘のように、その場合、一定の範囲というものを半径三キロあるいは半径五キロというような形でとっておりまして、大体そのような形で十分影響を受ける市町村の意見は反映できると考えておるわけでございますが、それから外れるものでも、地形あるいは歴史的経緯その他で特別な影響を受けるような地域が他にございます場合には、それらの商工会、商工会議所が地元の商工会に申し出るというような形でそれらの意見を商調協の中で聞いておくということは、いわゆる特別なケースとして考えられることでもあり、またそのように行われておると承知しております。
  188. 岩佐恵美

    岩佐分科員 いま言われました広域商調協を持つ場合に、行政人口の五〇%以上に影響を与える場合という、そういう基準があるようでございますけれども、この五日市の場合のように、小売店舗の大半を商圏に取り込まれるというようなとき、住民の消費生活に及ぼす影響は甚大であるということから、広域商調協を持つというふうなことが必要なんじゃないかというふうに思いますけれども、この点いかがでしょうか。
  189. 神谷和男

    ○神谷政府委員 広域商調協と申しますのは、私ども通達で、全般的に商調協の運営あるいは周辺の中小小売業者等への影響をできるだけ商工会議所の意見の中に反映させるために指導しながら進めておる一つの歴史的組織でございますので、広域商調協と申しますのも、その中で、このような場合にはこういう形でやったらよかろう、これを広域商調協と称する、こういうふうに定義づけておるだけでございますので、現実に周辺の商工会議所あるいは商工会地域で相当の影響を及ぼすものがあれば、それはそれらの商工会あるいは商工会議所が出店地の商工会あるいは商工会議所に申し出て、いろいろ意見を反映してもらう、こういう現実的な形で進めていっていただくことで十分であり、かつまた、効果を上げ得るのではないかと考えております。
  190. 岩佐恵美

    岩佐分科員 次に、出店予定地周辺の道路事情についてですけれども、八王子の例で言えば、秋川街道、陣馬街道、そして通称オリンピック道路などがいまでも慢性的な交通渋滞になっています。西東京バス利用者の話では、朝晩のラッシュ時に物すごく時間がかかる。通常だったら二十分のところが、夕方だと一時間半ぐらいかかるということで悲鳴を上げているわけです。それから、バス会社も定時運行できないので走らせたくないという意見や、あるいはバスの労働組合も問題にしている。そういう深刻な状況があります。  住民の中には、車公害から生活環境を守る会というのができたり、あるいは従来もダンプ公害に反対する住民運動があるわけです。最近、その忠実屋の出店の話を聞いた住民がオリンピック道路の交通公害を心配する住民組織というのをつくりました。それほど深刻な問題であるわけですよ。また、元八王子連合町会、これは三十二町会でできているわけですが、ここの方々は、いまでも交通渋帯で消防車や救急車が自由に走れないのに、この上交通量をふやされるというようなことは財産権、生存権の侵害だということで、忠実屋出店反対を決議をしておられます。現実に、出店予定地に近い二つの交差点は、道路構造令、政令ですか、による許容限度いっぱいという現状であるわけです。  こうした問題の解決のためには、交通渋滞が仕入れや運搬、配達等の商業活動を妨げる、あるいは店舗や商店に火災が起きた場合、消防活動に支障を来すことがあるかないか、あるいは一般住民にどういう影響を与えるのか、当然商調協で専門的な予測も立てて十分審議していく必要があると思います。現状では忠実屋は自分の方に都合のいいような調査を出してきている。これではだめだと思うのですね。ぜひ住民参加のアセスメントづくりを商調協でさせるべきではないか。この点はいかがでございましょうか。
  191. 神谷和男

    ○神谷政府委員 この種の問題、特に大型店舗、先ほど先生指摘のように大ショッピングセンター的なものが各地にぼつぼつ出てきておりますので、周辺に与える影響、特に交通問題といったようなものはしばしば問題になりまして、この問題と商調協の問題、さらには、敷衍いたしますと、大店法の適用の問題、これが問題になるケースが多いわけでございますが、まず、法律論的に申し上げますと、大店法は、いわゆる大規模店舗が進出することによって周辺の中小小売業に与える影響、中小企業保護の観点、流通の近代化、合理化の観点、これらを調整し、過大な影響を与えることを回避しつつ流通の合理化を進めていく、こういう観点からできておる法律でございますので、いわゆる都市計画問題あるいは交通問題その他を扱った法律ではないということになっておるわけでございます。現実問題として、またこのような影響が出てくるということが商工委員会等でもしばしばいままで指摘され、議論されてきたわけでございます。  現実にどのような運用状況になっておるかと申し上げますれば、やはり交通問題一般というものは、都市計画あるいは交通関係の法令あるいは地元コミュニティーとしてそれにどう取り組んでいくかという問題でございまして、ショッピングセンターはいかぬが大集会場はいいとか、そういう問題ではございませんので、これは商調法で取り上げるべき問題ではないわけでございます。  しかし、大ショッピングセンターができることによって地元にそのような影響が起きますれば、地元公共団体といたしましては、いろいろな法令に基づくものあるいは基づかない事実上の行政指導等で、それらの計画者との調整あるいは指導、対話等が当然行われると思いますので、私どもは、それらのものを商調協の調整の範囲内で十分念頭に置きながら進めていく、こういう形の運営になろうかと思います。  もちろん、ただいま例に挙げられました中で、交通問題が種々の関連から、あるいは地元の還境の急激な変化がこれまた種々の関連から、周辺の中小小売業の事業活動に著しい影響を与える、こういうことになれば、この問題は、本法の真正面から取り扱うべき問題ということで取り上げます。周辺の問題につきましては、一方が独走して、周辺のことを構わぬで進むということではなくして、他の動き等も配慮し、念頭に置きながら進めていく、こういうことになろうかと思います。
  192. 岩佐恵美

    岩佐分科員 いまの道路事情の問題というのは、町づくりあるいは都市計画との関係ということに当然なっていくわけでございますので、大店舗出店と都市計画との整合性、これを図っていく必要があると思います。  それから青少年の非行化のおそれ、それから人づくりの関係、これも先ほど申し上げたように、非常に大きな問題があります。  こうした問題に、いま言われたみたいに関係市町村、もちろん関係するでしょうし、あるいは関係の行政機関、そういうところも関係してくる。そして警察だとか、消防だとか、そういうところもいろんな関連が出てくる。だけれども、そういうところは自分のところの問題だということで積極的に策を持って規制をしたり対策を講じたり、あるいは指導をしたりということではないわけですね。ですから、だれかが声をかけてやらなければならないということになると思います。そういう意味では、商調協の特別委員である通産局がその役割りを果たすのが一番いいのではないかというふうに思いますし、またそういうことだったら、地方公共団体の方も非常に動きやすいというようなことがあると思います。その点はいかがでしょうか。
  193. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように通産局の特別委員と申しますものは、いわゆる直接影響を受ける利害関係者であるとかあるいは一般的な学識経験者であるということを越えて、関連するもろもろの問題の調整役を果たす、あるいは法律の考え方というものを的確に議論の中に反映させるべくアドバイスをし、場合により誘導していく、こういう役割りを担っておると思います。また、地方公共団体を代表する特別委員的なものも、同様の働きを期待されておるわけでございまして、通産局がこれらの委員あるいは地方公共団体等と連絡をとりながら、地元で大きな問題になっており、かつこの商調法そのものが正面から取り上げるべき問題でないものに関しましても、もろもろの状況をウォッチしながら、事実上の審議の進め方の調整その他は十分アドバイスをしていく必要があろうと考えております。
  194. 岩佐恵美

    岩佐分科員 それから、査定に当たりまして、市長とかあるいは知事からの意見の中で、いま言われた道路事情の問題とか、都市計画との整合性の問題、あるいは非常に車が込んで環境問題が——いわゆる人体に対する有害ガスの問題ですね、そういう環境問題等が大きなファクターとして指摘をされて出てきた場合に、通産省は、それを判断の中で重要な問題だということで、ぜひしていただきたいし、またそうしていただく必要があるのではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  195. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のような問題が、地方公共団体、市町村等の正式の意見という形で出てまいりました場合には、厳格に申し上げますと非常にむずかしい問題が起きるわけでございます。はっきり申し上げますと、単に交通が込むからということだけで、この大店法で勧告しあるいは命令するということは、私はこの法律を執行する行政府としては行き過ぎであるというふうに考えます。やはりわれわれ、あくまで法律に基づいて行う行政でありますので、そこまでは参りませんが、実際問題といたしまして、そういう意見が出てくる前に、事実上やはり地方公共団体の方々とは、通産局その他はいつも意見交換を行っておりますので、実際に地方公共団体としての交通政策あるいはその他もろもろの政策という形で、並行的に、あるいは別途計画者あるいはその他の関係者と話し合いを進めてもらう、あるいは指導を進めてもらう、こういう形で物事を処理していくという形になろうか、このように考えております。
  196. 岩佐恵美

    岩佐分科員 確認のためにちょっと事実関係を伺っておきたいと思いますけれども、三条申請後八カ月以上たったからといって、出店者が地元との話し合い調整のために時間がかかって五条申請がおくれてしまう、そういうことがあると思いますけれども、その場合に、三条申請はもう無効になるんだということはないわけですね。つまり、三条申請出したから、早く話し合いが済まないとまた振り出しに戻っちゃうから、早くしなければだめなんだみたいな、そういう論理はないわけですね。
  197. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、八カ月を目安にして、できるだけ事前商調協と称されているものの審議をまとめるように指導はいたしておりますが、そのとき結論が出ないからといって、法律上の三条届け出が無効になる、あるいは五条が出てこないから無効になるということはございません。
  198. 岩佐恵美

    岩佐分科員 最後に、先ほど大胆に、論議の前にちょっと申し上げてしまったわけですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。  この八王子の楢原の出店問題というのは大変大きな問題で、地元の方々にとっては深刻な問題であります。たとえば八王子市全体の商店会が八王子市に対して、大型店出店を凍結すべきだというような凍結宣言というものを出している。こういう背景には、やはり忠実屋の出店に反対する方々の大きな運動があるわけでございます。きょうもここに商店の方々が、仕事があるにもかかわらず、一生懸命国会にまで傍聴にお見えになっている、そういう状況があります。  それから一方、先ほどるる申し上げましたように、地域社会にとっても交通渋滞、これは通勤者に物すごい影響があるし、この楢原の問題はちょっと特殊事情だというふうに思います。それから子供たちに与える影響、そういうことから見まして、大型店が無謀に出ていくということは、ほんとによくない問題であるというふうに思います。ですから、これは商調協が十分論議をすべきだと思うし、また通産省もそういうことで力をかしていただきたいし、そういう方向で、ぜひ取り組んでいただきたい。このことを最後に大臣にお願いし、政治姿勢のほどをお伺いして、終わりたいと思います。
  199. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 先ほど来るるお話ございましたが、大店法は、担当者からも御説明ございましたように、消費者の利益の保護というものに配慮しつつ、大型店の企業活動を調整して、周辺の中小小売業の事業機会を適正に確保するというのが目的でできた法律でございますので、その趣旨に沿うように出店調整を行うべきだと思います。  他方、お話がございましたように、交通問題とか都市計画の問題は、やはり担当官から申しましたように、本来は別の法体系に属して解決すべき問題でございますけれども、いまのお話と相関連する問題でございますから、商調協等で問題を取り上げる際には、やはり両方相関連させつつ調整を図っていくという行き方の方がいいんじゃなかろうかと私は思います。
  200. 岩佐恵美

    岩佐分科員 終わります。
  201. 始関伊平

    始関主査 これにて岩佐恵美君の質疑は終了いたしました。  これより津川武一君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として石油公団理佐藤淳一郎君が御出席になっております。  なお、参考人の御意見は、分科員からの質疑に対する答弁をもって聴取することといたします。津川武一君。
  202. 津川武一

    津川分科員 私たちは開発に対して次のように考えております。一つは公害のない開発、二つ目には安全な、危険のない開発三つ目には地元の雇用をふやすような開発、そういうものを求めておるわけです。  そこで、きょう、工業技術院資源エネルギー庁、消防庁、石油公団から参考人の方が見えておりますが、どなたでもいいですが、これから質問することに皆さんで協議されて、一番答えやすい、物がわかるような方に答えていただきたいと思います。  そこで、石油国家備蓄基地の第一号として注目されておるのがむつ小川原、ここを石油国家備蓄建設予定地として予定をしておりますが、その予定地内に活断層があるかもしれないという、二人の地質学者の教授によってその活断層の存在の可能性指摘されております。マスコミの一部が少々センセーショナルに報道していたのではないかとも思われるきらいもありますが、国民に基地建設の安全性の面で大きな不安と関心を抱かせておるのも事実でございます。  二人の教授のうち藤田至則教授は、ここにも持ってまいりましたが、いまから二十年以上も前にこのむつ小川原の問題の土地を調査しております。論文「青森県下北半島南部の地質と地下水」という本も出しております。もう一人の弘前大学の宮城一男教授も、青森県のその付近の地質にはかなり詳しい学者でございます。これらの学者が過去の調査の実績とデータをもとに、その活断層の存在の可能性指摘したのでございます。  このことが起こってから、私はこの二人の学者に会って話を聞いてみました。二人の学者はマスコミの一部に出し抜かれたと少々困惑している様子もございましたが、お二人によりますと、石油公団の技術者らから活断層は存在しないと判断したすべての資料をみせてもらい、活断層の有無を論議できればよいというのでありました。そうすることによってあるかないかをはっきりさせればそれなりに一つ意味がある。そこで、私は、むつ小川原の地域開発については、住民と学者、専門家の意見、それらの人たちの参加を十分尊重し、その人たちの意見を保障する民主的な手続を踏んで行う等を基本として進めなければならないと主張してまいりました。  そこで質問に入っていきますが、石油公団としては藤田教授たちに活断層が存在する可能性の根拠を確かめるために会ったということ、二人の学者が発表してから石油公団でこの二人の学者に会ったということを聞いておりますが、藤田教授たちが公団側の技術者と意見を交換し、活断層の存在の有無を一緒に協議したい、論議したいと要望している点については、一緒に論議する、話し合いをする、これが実現したとは聞いておりません。私は、ぜひ当事者間で相互の調査、実績のデータを交換し合って話し合いをする、ディスカッションをする必要があると思います。まだそれをやっていないとすればどうしてやっていないのか。これからやるつもりがあるのか。ぜひやるべきだと思いますが、いつごろおやりになるつもりか、この点をお答え願います。
  203. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 藤田、宮城両先生にはそういう御指摘をいただきました直後、直ちに石油公団の担当者を現地に派遣させまして、直接先生方の御指摘の点をお伺いいたしました。それで、両先生の御意見は承ったわけでございますが、いま御指摘の特に藤田先生には、われわれの方としてもりっぱな基地をつくらなければいかぬのでひとつお話し合いをいたしましょうということになっておりますが、なかなか藤田先生の御都合もかみ合いませんので、おっしゃいましたようにまだそういうことにはなっておりませんけれども、できるだけ早い機会に先生の方と公団との間で専門的な、何と言っても地下構造の問題でございますので、専門家同士で話し合うのが一番穏当であろうということで、私どもはそういうふうに考えております。
  204. 津川武一

    津川分科員 私もそのことで進めていく必要があると思っていま質問しているわけでございますが、それは公団の方が主導権をとっておやりになりますか。それからまた、いつごろ計画を立てているか。藤田教授一人か、宮城教授も一緒にするか、ここいらも明らかにしていただきます。
  205. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 これは公団の方で主催といいますか、公団の方で仲をとりましてやりたいと思います。  それから時期につきましては、先生の御都合を伺っておりますので、いずれ近いうちに御返事いただけると思います。  それから両先生にするかどうか、これは藤田先生にお伺いしまして、私の方としてはどちらでも結構だと思っております。
  206. 津川武一

    津川分科員 その次の質問ですが、活断層が存在するかもしれないという問題は安全性にかかわる重大な問題でございます。したがって、この問題が解決されない限り、また民主的に行うという観点からしても、活断層が存在するという疑念、問題提起を放置して、無視してごり押しは許されないと思います。活断層が存在しないという判断の根拠になったすべての調査、見解の資料を公表すべきだと思うわけです。これは私だとか藤田教授だとかが要請すれば公表すべきだと思います。これが一つ。  もっと進んで、積極的に公団から、第三者が判断できるようなかっこうで発表すべきだと思いますが、この二点について伺わしていただきます。
  207. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 この地区におきます調査は四十四年ごろからいろいろな機関が調査をいたしておりまして、われわれはその調査結果を踏まえてこの地区に対する活断層の見解を持っておるわけでございます。  資料の公開につきましては、石油公団も二回ぐらいやっておりますが、われわれに関する限り、少なくとも一先生の御指示に基づいて説明しろと言われれば御説明する用意はございます。  それから、一般的に公開するかどうかという問題でございますけれども、地下構造の非常に特殊な問題でございますので、やはりこれは専門家同士でディスカスする。特にこの辺の地区について何と言っても相当長期にわたり御関心を持っているのは両先生でございますので、その辺も含めまして、両先生と御相談してどうするかということをひとつ検討させていただくというふうにお願いしたいと思います。
  208. 津川武一

    津川分科員 もともとむつ小川原開発のときに公聴会をやっていないのです。だから問題があるのだね、公聴会をやって一般に公開するという点がありますので。両教授に渡すと言えば、それはわかりました。  もう一つ地域の市町村だとか、いろいろな方たちがこれからもまた要求することがあると思います。青森県の知事は大丈夫なんだからと言って、そんなものはいまごろ公開する必要はないと言って木で鼻をくくったような態度なんです。そんな態度はおとりにならないでしょうね。
  209. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 当面は藤田先生中心にして、少なくともわれわれ石油公団のやったことに関するものにつきましては率直にお示ししまして十分に討議を尽くしたい、こう思っております。
  210. 津川武一

    津川分科員 この中で実際上問題になってきているのは、昭和四十八年度に実施したむつ小川原地区の地質調査、これはボーリング十一本です。二つ目には五十二年度にやりましたむつ小川原地域弥栄平地区地質調査、これは弾性波長の探査でございますが、二本やっております。五十三年度にむつ小川原地域基礎地盤調査、十二本やっています。ほかに東北開発などが五本やっております。それから四つ目には、五十四年度にむつ小川原地区地質調査、二十九本のボーリングをやっておりますが、これは皆いまの要求すれば発表するものに含まれておりますね。
  211. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 このうち、少なくとも石油公団の実施いたしました地質調査につきましては藤田先生にも十分に御説明したいと思いますが、そのほかの、われわれの機関じゃなくて別の機関がおやりになったものにつきましては、私からちょっと約束はできませんので、その点はひとつ御勘弁をいただきたいと思います。
  212. 津川武一

    津川分科員 そこでそのほかのものは、通産省、ひとつ公開するように指導できますか、させることができますか。
  213. 志賀学

    ○志賀政府委員 いま先生指摘調査の中には、県とかその他民間の企業とかいろいろございます。したがいまして、私どもとしても各機関の意向を聞きませんとここで何とも申し上げることはできません。
  214. 津川武一

    津川分科員 そこで、通産省としては公表できるように、そういう一般でなくいま話されたような人たちに、こういうふうに聞いてみなければわからぬではなく、積極的に指導する気持ちはありますか。指導してほしいのです。
  215. 志賀学

    ○志賀政府委員 ただいま先生からそういう御要望があったということは伝えるようにいたします。
  216. 津川武一

    津川分科員 三番目に、石油公団が五十四年二月に出した「陸上石油備蓄基地基本計画策定業務報告書」、これはむつ小川原地区のものですが、これでは「収集調査資料から判断するとむつ小川原地区には活断層はない」、このように断定しております。一方、私が昨年九十国会で十二月十一日に提出した「むつ小川原石油国家備蓄基地建設予定地区内に発見された活断層問題に関する質問主意書」、これに対する政府の答弁書では「石油備蓄基地建設予定地区内には有意活断層は存在せず、基地の建設に支障を及ぼすような問題はないものと判断されている。」皆さんの公団の業務報告には活断層はない、私の質問主意書に対する答弁書には有意活断層はない、差が出てきたわけであります。  そこで地質調査所に、有意活断層の定義は一体何なのか、地質学的に言えばどんな活断層なのか、これをまず伺わしていただきます。
  217. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 有意活断層とはどんなものかという御質問でございますが、活断層を活動度から判断いたしましていろいろクラス分けをする場合がございますが、その際に、土地を利用する等に当たりまして特に対処しなければならないような影響が予想されるような活断層について有意活断層と称したのではないかと判断しております。
  218. 津川武一

    津川分科員 それはだれが見つけた言葉なんです、ないかと思われるというのは。そこで非常に問題が起きてきたんです、あなたの方のその答弁から。一体、日本に地質学的に有意活断層というのはあるのかないのか。この言葉は地質学のどこにあるのか。何か意図的に使った——陸上石油備蓄基地基本計画策定業務報告書、あれでは活断層はないと言っている。今度私が活断層があるんじゃないかと言ったら有意活断層だと言う。これでは、いまの、ないかと思う、かと思うということでは問題にならぬ。だからやっぱり不安がある。私は早く問題を解決さしてほしいんです。あれだけ出た問題だから、ここでがちゃがちゃ言っている。あるならある、ないならない、安全なら安全、気をつけなければならぬ、こういうことも決まらなければならないのです。そのとき、かと思いますと言われると、また混乱させるのです。もう一回はっきりさしてください。
  219. 志賀学

    ○志賀政府委員 質問主意書の答弁に関することでございますので私からお答えさしていただきますが、公団のいたしました報告書では確かに活断層はないというふうに書いてございます。ただ、その報告書と申しますのは、結局、備蓄基地をつくることが適当かどうか、要するにフィージビリティースタディーとしてこれをしているわけでございます。この場合に活断層はないという意味でございますけれども、この場合、一口に活断層と申しましても、これは活動の程度に非常に差がございます。私必ずしも専門家じゃございませんけれども、Aランク、Bランク、Cランクというようなクラス分けもあるというふうに聞いておりますけれども、いずれにいたしましても、タンクの築造上対処しなければならないような活動度の大きなものはない、こういう意味で、したがってタンク建設という可能性という面から言えば問題はないという意味で活断層はないというふうな表現をした。  それに対して、質問主意書に対しまして御答弁申し上げる場合は、この点をむしろ明らかにすべきだろうという意味で「有意」という言葉をあえてつけましてお答えした次第でございます。
  220. 津川武一

    津川分科員 ぼくは質問主意書を出して、しまったと思っているんです、正直なところ。有意活断層がないという返事が来たものだからもっと混乱してしまってね。これは学界にあるのかないのか、だれがつくったのか。あのあれでは活断層はない、こっちには有意活断層はない、これの統一的な見解をつくって速やかに私に渡してほしいんです。そうでないと進まないのです。大臣、こんな調子でまだ混乱しているんですよ。これははっきりとせなければならない。皆さんの報告書の中にある活断層がないということと、私の質問主意書に対する答弁の中にある有意活断層はないということは同じなのか違うのか、有意活断層という言葉があるのかないのか、この点を学問的にも行政的にもぜひ速やかに私の方にはっきりさしていただきたい。いまここでできますか。できればはっきりさせて、できなかったら、これはここで争ってもしようがないから、後刻皆さんで協議してはっきりさせていただいても、どちらでもいいです。
  221. 志賀学

    ○志賀政府委員 質問主意書に対するお答えとそれからフィージビリティースタディーでの情報とございますけれども、私どもとしては、その意味、趣旨は同じというふうに考えているわけでございます。要するに、タンクを建設するに支障を与えるようなそういう活断層はないという意味で、両方ともそういう意味で述べられておるというふうに理解いたしております。
  222. 津川武一

    津川分科員 そうなれば、有意でない活断層もあるわけですか。
  223. 志賀学

    ○志賀政府委員 はい。先ほど申し上げましたように、活動度の程度にかなり差がございます。たとえばAランクで申しますと、千年で十メートルから一メートルの運動をする、そういうようなものがAランクであるとか、あるいは千年の間に一メートルないし十センチの移動をするものがBランクであるとか、あるいはCランクで申しますと千年に十センチないし一センチというような移動をする、こういったようないろいろなクラスがあるわけでございます。たとえばこういうCランクの活断層といったような場合は、これは通常の工法でそこにタンクを建設をしても問題がない、したがって特段の支障はないというふうに私どもとしては理解をしておるわけでございまして、もちろんその実際の工事に当たって地質条件なりなんなりに適合した形での工事はこれは当然公団としてしていくと思いますけれども、いずれにいたしましてもその活動の程度によっては支障がない、そういう意味で活断層はないというふうに理解してもいいというケースがあるわけでございます。  要するに、フィージビリティースタディーというのはそこにタンクを建設するのが適当かどうかという報告書でございますから、そういう意味合いで活断層がない、したがってそれをもう少し明確に言えば有意な活断層はない、こういうことで私どもとしては理解をしておるわけでございます。
  224. 津川武一

    津川分科員 いずれにしても専門の本にない言葉が出てきたものだから、こういう言葉は撤回するのか、活動性に関して学者の間で意見がある、そういう言葉であるなら話がわかるけれども、その点は藤田教授と公団が話をするときはこの問題を解決してほしいのです。有意という言葉を使うか使わないか、私はこういう言葉はいけないと思っているし、またこんがらがらせてしまうだけだと思いますので、この点は藤田教授と皆さんたちが会うときに、両者で協議して具体的に私に報告してほしいと思います。  その次、私に対する答弁書では、藤田教授たちの指摘後「再度、石油公団等関係機関において、土木工学、地質学等の専門家の意見を聴取したところ、当該地区内には有意活断層は存在せず」と言っております。その結果またひっかかる。そういう土木工学、地質学者等の専門家の意見を聴取したら「有意活断層」はない、こういう私に対する答弁なんです。  そこで、この私に対する答弁の中に地質調査所の専門家の意見が含まれておりましたか。報告書を策定した土木工学、地質学者の専門家以外からの意見を聞いたか、聞いたとすればそれはどなたか、この二点を答えていただきます。
  225. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 昨年の十一月にむつ小川原の件につきまして専門家の打ち合わせをするという連絡を受けておりまして、地質調査所の地震地質課長を参加させております。その際、地質調査所におきましては独自の調査はみずからはやっておりませんけれども石油公団の調査資料並びにいままでありますいろいろな文献等から判断しますと、特に影響の大きい活断層はないと推定されるという趣旨の意見を述べておるわけでございます。
  226. 津川武一

    津川分科員 有意活断層でやっていたら少し時間がなくなりましたので今度は進みますが、そこで活断層の有無の判断は公団に関係ある専門家の措置にゆだねられるだけでは不十分なので、先ほど言った藤田教授たちもしくは心配しておる人たちも立ち会ってもう一回、あるのかどうかを検査する必要がある。もう一つには、地質をはぐときにこの人たちが申し入れたら同時に一緒調査すべきだと思いますが、この考えはおありでございましょうか。
  227. 佐藤淳一郎

    ○佐藤参考人 雪が解けましたら地盤の整備の工事が始まりますが、その段階で地表をいじりますので、そのときに特に藤田先生にお立ち会い願って確認していただくことは、御希望があれば私は差し支えないと思います。
  228. 津川武一

    津川分科員 次に、石油公団の施設設置について、消防法で設置許可申請書を設置者は市町村に提出しなければならなくなっておりまして、二月の二十六日にあそこの広域の消防長である野辺地の町長に提出しておりますが、そこで消防庁、危険物の規則に関する規則第二十条の二、第二項第一号は、基礎及び地盤が基準に適合するものとして「地盤は、岩盤の断層、切土及び盛土にまたがるもの等すべりを生ずるおそれのあるものでないこと。」と言っております。この「岩盤の断層」とは活断層のことだと考えていいのでございましょうか。またその場合、有意の活断層ならだめで有意でない活断層ならばいいというふうに考えているのでしょうか、お答え願います。
  229. 小池次雄

    ○小池説明員 この件につきましては、県を通じまして野辺地の消防本部とも連携をとり、いま先生おっしゃっておるように先般申請があったわけでございます。青森県からもこのことにつきまして説明に参りまして、県において地質等々における先生方の専門委員を御委嘱いたしまして、県におきましても、この問題につきましては重要な問題であるというような意味から三月いっぱいに一応のレポートをまとめるというようなことでございます。  それから質問の趣旨でございますが、そこに本当にタンクを設置して危ないようなものであるということになれば、これは問題点が残るということを言わざるを得ない。ただ、この問題につきましては、それぞれの先生方のレポート等を見ながら県も対応し、われわれ消防庁もその面に関心を持っておるというような段階でございます。
  230. 津川武一

    津川分科員 もう一つお尋ねします。  ここの二十条にある「岩盤の断層」というのは活断層のことなのかどうか、具体的に聞きたいのです。  もう一つは、消防庁として活断層の有無がいま問題にされて、これからやってみるわけですね。この意見がまだ決まらないうちは安全性が一〇〇%と言えなくなりますが、いま問題になっているのだから、やると言うのでありますから、それがわかってから認可すべきだと思うのです。この二点をお答え願います。
  231. 小池次雄

    ○小池説明員 すべりが起きるおそれがあるというようなことが判断されますならば、きわめてこれは問題点がありますのでゆゆしき問題であり、また許可というものはそう簡単にはできないというような感じがするわけでございます。そういう点は現地におきましても、県におきましても、それが本当にタンクの設置に対して危ないようなものであるかどうかというような判断は、それぞれの専門家の先生方のレポート等を見ながら判断さしていただかざるを得ないというようなことでございます。
  232. 津川武一

    津川分科員 それで結構ですが、聞いていることは、「岩盤の断層」というのは活断層のことなのか、活断層を含んでいるのかと具体的に聞いているのです。  したがって、もう一つは、問題が活断層になっているわけだから、これがいま公団がおやりになってくださると言うのだから、その結論の出るまで認可すべきでない、この二点なんです。
  233. 小池次雄

    ○小池説明員 活断層が歴然たるものがあってもちろん相当危険性があるということになれば、設置というものは不可能に相なるであろうという点も考えられます。
  234. 津川武一

    津川分科員 いま共同で話し合いされるというのですから、それまでは認可を出しませんか。
  235. 小池次雄

    ○小池説明員 この点につきましてはもう少し時間をかしていただきたいと思います。
  236. 津川武一

    津川分科員 これで終わりますが、消防庁、やはりせっかく話し合いをやると言うんだから、その話し合いがついてから認可すべきだと思うのですが、この点お答えできますか。それで終わります。
  237. 小池次雄

    ○小池説明員 十分に通産省サイド、石油公団あるいは県、市町村とも連携を持ちながら対応してまいりたい、このように思います。
  238. 津川武一

    津川分科員 終わります。
  239. 始関伊平

    始関主査 これにて津川武一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算通商産業省所管についての質疑は終了いたしました。  これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。  この際、一言ごあいさつ申し上げます。  分科員各位の特段の御協力によりまして、本分科会の議事を無事終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。  これにて散会いたします。     午後三時一分散会