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1980-03-06 第91回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月六日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主 査 藤田 義光君      稻村左近四郎君    近藤 元次君       村田敬次郎君    小川 国彦君       兒玉 末男君    高沢 寅男君       中村  茂君    野坂 浩賢君       渡部 行雄君    坂井 弘一君       柴田  弘君    山田 英介君       岩佐 恵美君    辻  第一君       藤田 スミ君    小沢 貞孝君       木下敬之助君    兼務 中村 重光君 兼務 馬場  昇君    兼務 広瀬 秀吉君 兼務 村山 喜一君    兼務 沖本 泰幸君 兼務 玉城 栄一君    兼務 榊  利夫君 兼務 山原健二郎君    兼務 小渕 正義君 兼務 米沢  隆君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君  出席政府委員         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸大臣官房会         計課長     熊代  健君         運輸大臣官房観         光部長     上田  浩君         運輸省海運局長 妹尾 弘人君         運輸省船舶局長 謝敷 宗登君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松本  操君         海上保安庁長官 真島  健君  分科員外出席者         防衛庁装備局航         空機課長    藤井 一夫君         環境庁大気保全         局交通公害対策         室長      加藤 三郎君         国土庁計画・調         整局総合交通課         長       増田 卓爾君         大蔵省主計局主         計官      尾崎  護君         水産庁振興部沖         合課長     尾島 雄一君         水産庁漁港部建         設課長     木村 茂雄君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         建設省計画局地         域計画官    沢井 広之君         自治大臣官房企         画官      米山 市郎君         消防庁危険物規         制課長     小池 次雄君         会計検査院事務         総局第三局運輸         検査課長    梅原 義信君         会計検査院事務         総局第三局上席         調査官     飯郷 輝元君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉武 秀夫君         日本国有鉄道常         務理事     加賀山朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     半谷 哲夫君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   藤田 雅弘君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  大塚  茂君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     高沢 寅男君   坂井 弘一君     山田 英介君   安藤  巖君     辻  第一君   小沢 貞孝君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     小川 国彦君   山田 英介君     柴田  弘君   辻  第一君     藤田 スミ君   木下敬之助君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     上原 康助君   柴田  弘君     坂井 弘一君   藤田 スミ君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   上原 康助君     中村  茂君   岩佐 恵美君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   中村  茂君     土井たか子君 同日  辞任         補欠選任   土井たか子君     渡部 行雄君 同日  辞任         補欠選任   渡部 行雄君     兒玉 末男君 同日  第一分科員村山喜一君、第二分科員中村重光  君、広瀬秀吉君、玉城栄一君、第三分科員小渕  正義君、米沢隆君、第四分科員馬場昇君、沖本  泰幸君、榊利夫君及び山原健二郎君が本分科兼  務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算  (運輸省所管)      ————◇—————
  2. 藤田義光

    藤田主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算運輸省所管について、前日に引き続き質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  3. 中村重光

    中村(重)分科員 長崎県の対馬を中心して、もちろん対馬だけではなくて、韓国の底びき漁船領海侵犯、あるいは公海上において、何しろ底びきは夜の操業なもので、わが方は昼だということで、シイラづけというのが対馬では中心的な漁業になっております。イカがつれる。それが浮きを切られるんですね。その損害というのが大変大きいのですが、漁具被害だけでもって二千三百万円ぐらいいかれる。それで漁業ができないんですよ。年間一億六千万ぐらいやられる。ところが、これに対する補償措置というのは、韓国との交渉をやるのですけれども政府同士交渉ではなくて、大日本水産会、向こうは大韓民国漁業協同組合中央会。もうさっぱりわからないんですね。夜、切るものですから、加害者の確認ができない。それで結局どうにもならないで、弱い零細漁民は泣き寝入りというのが今日までの現状なんです。もちろん、海上保安庁巡視艇であるとか水産庁監視船というのが、最近は監視も増強しておられて、そういう事態に至らないように誠意を持ってやっておられるということは、私は評価したいと思うのです。しかしそれにもかかわらず、やってくるんですね。今度は、上対馬というところがあるのですが、ここの方にこれからまた底びき船がやってくる。アマダイの漁獲期に入ってくる。そこでまたやられることは、これは例年のことで、はっきりしているわけです。これは対策をなお一層講じてもらいたい。同時に、いま申し上げたような状況ですから、やはり政府も積極的に、そういう事態に立ち至らないようにすることと、それから被害に対する補償の問題、また国内的には、全くこちらは被害者なんですから、零細漁民ですので、これに対する補助であるとか低利長期融資であるとかいう助成措置を講じてやられる必要があるだろう、こう私は思います。それらの点に対して、時間がございませんから簡潔に、今後の対策についてひとつお答えをいただきたい。
  4. 真島健

    真島政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、対馬海域では、韓国漁船専管水域領海等侵犯が非常に多い。さらに公海上でもシイラづけの被害が多いということは聞いております。私どもも、五十二年以降、領海法その他の施行に伴いまして、特にこの辺は重点と考えまして、従来三隻ぐらいでございました巡視艇を、三十メートルという、非常に高速の性能の高い巡視艇六隻にかえるというようなことで取り締まり能力を倍加をいたしまして、鋭意取り締まりを実施しておりました。その結果、五十二年には、私どもが確認しました韓国侵犯漁船は五百八十一隻、これが、私ども取り締まりの効果もあったと思いますが、五十四年には二百六十隻足らずというふうになっておりまして、検挙も、五十一年、五十二年ころは六杯か十杯程度でございましたのを五十四年には十四杯というふうに、極力効率的な巡視艇の運用によって取り締まりを厳重にしておるところでございます。私、一カ月半くらい前に対馬に視察に参りましたが、そのときも韓国漁船二杯が厳原の保安部検挙をされてとまっておったというようなことで、ことしに入ってますますその態勢を強めてまいりたい、このように考えております。  補償その他の問題につきましては、これは私どもというよりは、むしろ水産庁長崎県あるいは地元漁協というようなところと私どもも緊密に御連絡をとりながら具体的な措置を進めてまいったらよろしいのか、このように考えております。簡単でございますが……。
  5. 尾島雄一

    尾島説明員 韓国周辺の海路につきましては、先生御指摘のとおり、従来しばしば韓国漁船がシイラづけ漁具それからタコつぼ漁具被害を与えておりまして、被害額にいたしますと、五十三年が、シイラづけ漁業では約二千万円、タコつぼ漁業で約一千四百万円、五十四年、昨年はシイラづけ二千二百万円、タコつぼが一千二百万円、合計いたしまして年間で三千四百万円程度被害を与えているわけでございますが、韓国漁船操業によって日本漁船漁具被害があった場合には、日韓漁業協定に基づきまして民間漁業取り決めの精神で、実は民間ルートを通じて、先ほど先生おっしゃいましたように実施いたしておるわけでございますが、加害者がはっきりしないということで、なかなか困難なところでございます。長崎県から実はいろいろなことで事情聴取もいたしておりますが、これにつきましては、県の方向としては、今後とも必要があれば、国の長期低利資金がございます。漁業経営維持安定資金というのがございます。これを活用することによって、被害を受けた漁業者経営実態等も調査の上、そういう措置をとっていきたいというぐあいに考えておりますので、水産庁といたしましても、そのようなことに対して必要な措置を講じてまいるように努力いたしたい、こういうぐあいに考えております。
  6. 中村重光

    中村(重)分科員 いま渡辺前農林大臣も見えておりましたが、先般、現職のときに長崎原爆記念式典出席をしたことがある。そのときだったと思うのですが、離島まで出向いていろいろな実情を調査したというようなことも実はあったわけです。何しろ、水産庁海上保安庁、農水省挙げて県当局と一緒になって大変な努力をしておられるということを先ほど申し上げた、その成果は上がっているわけです。私は、あえて韓国のことについて誹謗、強い非難といったようなことは申し上げませんが、何しろ離島というのは水産生命線であるということですから、最大限の努力をしていただく。また、水産庁も、七カ年間という非常に短い期間です。もっと長期利子補給もやっておるわけですから、五%ということになるのでしょうけれども、それをもっと引き下げた長期低利融資——何しろ切られてしまってどうにもならないわけです。立ち上がることもできないですよ。それで倒産をして、日雇いに行っているという漁民もおるという、全く深刻な問題です。ですから、なお一層ひとつ努力をしてほしいということを申し上げておきます。  次に、航路補助の問題についてお尋ねをするのですが、航路が百十二補助航路、これに対して二十六億の助成が実はなされたわけですが、この五十五年度は九航路ふえるわけでしょうから百二十一航路になりましたが、これに対して補助金が一億だけ増額されて二十七億ということになっているようです。差し引き計算的に言えば、一航路平均ではむしろ減額されることになるわけですね。御承知のとおり、油は物すごく上がっているわけです。キロリットル当たり四万円ということになってくると、この百二十一航路で三十万キロリットルくらい使いますから、そうすると、航路業者にとっては百二十億程度負担というか、大きな赤字になるということになる。といって、運賃をじゃんじゃん上げられたのでは、離島にとっては生産マイナス運賃消費者にとっては消費物資プラス運賃ということになるわけですから、本土との生活水準という面においては、文化の面、経済面生活の面においてもさらに拡大をしていくということになる。したがって、いろいろな措置を講じていかなければならないのですが、私は、航路業者のための助成ということよりも、需要者のための助成というのがこの制度でもあるという受けとめ方をしているわけですが、ただいま申し上げましたような数字では、マイナスということになるわけであります。聞きますと、運賃も近く認可になる。ところが、対馬航路九州郵船が運航しているわけですが、二二%の運賃値上げだと言われている。一方、九州商船その他は一七%の値上げだということです。これはいずれも離島ではあるわけですが、対馬などの状態というのは、本土から非常に遠いだけに、ただいま申し上げましたような事情というものはさらに深刻であるわけです。したがって、航路に対するところの助成措置といったようなこと、あるいは利便、文化的な面等々から、ジェットフェリー問題等を強化していくということでなければいけないというように考えるわけです。  また、油の問題にいたしましても、A重油B重油を使うわけですから、税金で言えば目的税ということもあるわけですから、こういったことに対して何か価格をできるだけ引き下げていくというような方法も全く考えられないではないというように私は思うのです。  それから、空路の問題もそうなんですが、運賃が非常に割り高なんです。今回の値上げにいたしましても、通行税であるとか、あるいは整合性を持たせるためにできるだけ抑えていくというようなことも配慮されておるというように伺うのですが、それらの点に対して今後どう措置していこうとしておられるのか。  それから、便数にいたしましても、対馬長崎が一便なんです。福岡対馬は五便ですが、これを遠からず一便ふやして六便にする、また長崎も現在の一便を二便にするということを言われておるわけですが、いつごろからこれをおやりになるのか。  ただいま申し上げました航路運賃であるとか航路補助の問題、それから空路の航空運賃問題便数をふやす問題等々、ひとつお答えをいただきたい。
  7. 妹尾弘人

    妹尾政府委員 離島航路補助に関しましては、先生おっしゃいましたとおり、今年度は、新規の九航路を含めまして二十七億二千万ということでございまして、毎年の予算の推移を見ますと、昭和五十一年度十三億でございましたのが、年々ふえまして、来年度は二十七億、こういう金額になって逐次充実されていると思います。離島航路補助は、離島住民生活の最低限を守るものだ、こういう認識で航路補助あるいは新船の建造といった予算を毎年確保いたしておりまして、今後とも住民生活を守るために離島航路充実を図っていきたい、かように考えております。  離島航路補助に関する基本的な考え方としましてはいま申し上げたようなことでございますが、何分にも過疎地が多くございまして乗客が少ないというようなことから、どうしても航路経営赤字になってまいりまして、特に最近の燃料費高騰というようなことで、ある程度運賃値上げはやむを得ないと考えておりますが、去年の三月以降最近における燃料費高騰というのは非常に大きな幅でございまして、約二倍半、二五〇%というような値上がりをしております。これは離島に限らず他の航路につきましても、やはり二〇%前後の運賃値上げはやむを得ないということでございます。もちろん離島につきましては、住民生活というようなことも考えまして、できるだけ低額に抑えるということはいたしておりますが、ある程度運賃値上げというものはやむを得ない、かように考えておりますが、今後とも航路充実ということは考えていきたい、かように考えております。
  8. 松本操

    松本(操)政府委員 航空運賃に関連してお答え申し上げます。  一般的に申し上げまして、遺憾ながら離島路線というのはコスト高でございますので、どちらかというと、運賃を高くしないと採算的には困るという面がございます。しかし、現実にはすでに離島路線というものが離島住民の足になっているということがございますので、そこら辺を十分に勘案したつもりでございまして、具体的な数字でちょっと申し上げますと、今回の運賃改定は平均的には二三・八%上げたわけでございますが、離島につきましては大体二〇%というところをめどに置きまして、したがってそこで何がしかの差をつけたっもりでございます。それから最大の値上げ率も、一般路線につきましては三五%を限度として調整をとるということをしたわけでございますけれども離島につきましては三〇%を最高限度とする、現実には三〇%まで上がったものはございませんが、そういうふうな調整を十分したっもりではございますけれども路線別にとってみますと、いま例に出てまいりました福岡壱岐あたりは、賃率から言いましてやや高い方に属しております。しかし、これなども米子隠岐、出雲−隠岐といったような類似の路線と比べますと、むしろやや低目になっておるという面もございます。この離島路線ができましたときの経緯もありまして、実は賃率がまちまちになっている、全体的にながめますとやはり遠距離逓減の形にはなっておるわけでございますが、その中に多少のでこぼこがあるというのが実態でございます。これを、今回の運賃改正に当たりましてもなるべくなめらかな形にしようという努力はできる限りしたつもりでございますけれども、残念ながら一回だけの運賃調整ということで、全部理想的な形まではいけなかったという点はひとつお許しいただきたいと思うのでございます。  このように努力をしました一方、さらに別途国会の方で御審議を経るわけでございますけれども離島路線にかかる通行税の減免の問題が恐らく可能になってまいるかと思います。そういたしますと、私どもの心づもりといたしましては、大体この五月ごろにできないかなと思っておりますが、通行税を一〇%から五%へ落としますと、これとの関連で現行の改定いたしました運賃が約四・五%下がります。そういう面からも、離島の足というものについてのささやかな配慮が追加的にできるのではないだろうか、このように思っております。  それから、長崎県内離島航路につきまして、現在たしか十三便飛んでおるわけでございます。これを十八から二十ぐらいにしてほしい、便数をふやしてほしいという強い御希望がございます。五十五年から六年にかけましてまず十八便あたりを目途に増便をしていきたい、こう思っておりますが、どの路線にどの程度便数を張りつけていくかというふうなことは、なお県の方ともよく御相談をしながら、離島住民の方の御希望に一番沿えるような形で便数割り振り等を検討してまいりたい、このように考えております。
  9. 中村重光

    中村(重)分科員 きょうは委員会できちっと確認する意味でお尋ねをしたわけです。電話その他で趣旨紹介していますから、博多‐対馬間を遠からず五便を六便にする、長崎対馬間をいま一便を九月ごろには二便にするといったような具体的な話もあるんだから、具体的に質問したんだから、そう用心深くお答えにならないで、わかっていることはずばりお答えになったらどうなんですか。朝一番から余り大きな声を出したらまずいと思って私はきわめてソフトに質問しているわけです。  飛行機が飛ぶようになった経緯、そのことも私は否定はしないんです。しないんですけれども、あそこは今度は全日空から近距離航空に切りかえようということなんですね。近距離航空というのはジェットを持たない。ところがジェットを飛ばすためにいま滑走路の延長をやっている。にもかかわらずそれに逆行するようなことをなぜにやらなければならないのか、そのことが問題点の一つなんです。それから、本当に離島住民実態を考えるならばそういう範囲の狭い——近距離航空というのは飛ばす範囲が狭いんだから、その中で会社経営をやるということになってくると、勢い今度は運賃の引き上げをやらなければならない。そういうことになるのですよ。お答えでは配慮をしておると言いながら、現実には逆の結果になるような方向を推進しておる、こう申し上げなければならない。これは、政府政府側としてのあるいは会社会社側としてのいろいろ言い分があるかもしれない。しかし、私がいま指摘していることも、これは皆さんも肯定できる面があるだろう、そういうことを申し上げざるを得ないのです。ですから、遠くなればなるほど航路にしても空路にしてもその運賃は高くなっていくんだという機械的なことではなくて、全体の中でそういう置かれているところの住民実態ということを考えて、できるだけ負担を軽くしていく、そういうことが政治であり行政であるんじゃないですか。そこらあたりがどうも、電灯料金なんかの原価主義といったようなことと同じように、たとえば同じところを百億の補償金を出しても十億の補償金を出しても、会社が別の場合、それも原価、こうなるのです、余りにも原価主義ということが機械的に扱われて、そして不公平、不合理な政治行政がまかり通っておるということを指摘しなければならない。もう少し明確にひとつお答えになってください。時間がありませんから簡潔に。
  10. 松本操

    松本(操)政府委員 まず、増便の点について私が正確にお答えできませんでしたのは、私が承知をしておってお答えしないわけではないので、十八便をふやすということにつきましては私ども十分承知をしております。そうしろとも言っております。しかし、どの路線に何便ということにつきましては、地元からいろいろ御要望がありまして、それらを黙って足しますと実は十八でおさまらないようでございます。したがって、早急に会社の方で地元の方と、いま先生幾つかの例をお挙げになりましたけれども、それらのうちどこを優先的にどういうふうにしていくかというようなことを大至急詰めろということを私どもの方から指示をしておるわけでございますので、早急にどこをどうするという具体案を詰めてまた地元の方と御相談できるようにさせたい、こう思っております。  それから運賃上げ方につきましては、確かにおっしゃいますように、福岡壱岐賃率で五十四円三十銭ぐらいでございますから、やや高いかもしれません。しかし米子隠岐は同じような距離でございますが五十七円六十五銭でこっちの方が高くなっている。そういう多少のでこぼこが出てきてしまっている。このでこぼこを直すために上げ幅をいろいろ操作をしたりということでなるべく滑らかな形で、近間のところは賃率が高く、遠いところは賃率が下がるという形をやろうということで努力をしてきておるわけでございます。一回の調整でできなかったことは事実でございますけれども、その形に向かって今後とも努力をしていくというふうなことで御了承いただきたいと思います。
  11. 中村重光

    中村(重)分科員 もう議論する時間の余裕がないのです。  次に、身障者に対する運賃割引の問題、これはひとつ大臣からお答えになってもらいたい。いつも言っていることだし、大臣も私と同じような考え方だろうと思うのです。  まず国鉄運賃割引問題ですね。これは普通運賃というのは割引をするんですが、新幹線特急急行料金割引の対象にならないのですね。これが問題です。これはもう十年、二十年前ぐらいから同じことなんです。そうではなくて、本当に温かい気持ちがあるならば新幹線にも特急にも急行にも割引で乗れるようにする。それから第一種の場合は、介護人がついていた場合はこの割引率が変わってくるのですよ。介護人がつかなければ上がってくるというんです。それは介護人にも割引をするんだから二人分まけるのだから結果的には同じになるんだということですけれども、これも機械的過ぎるのですね。ですから実情に即して、身体障害者、不自由な人ほど早く目的地に着いてゆっくりしたい気持ちなんだから、もっと温かい気持ちを持ってこの割引を思い切っておやりになる、国鉄経営赤字だから公費負担をして国鉄に負担をさせないように、そういうことでないといけないんじゃないでしょうか。それから船の運賃の問題でもそうなんです。通達をお出しになっている。それは国鉄に準じなさい、こう言っている。そのために、ただであったのが二分の一に後退しているというところだってあるんですよ。どうもそこらが機械的過ぎるんだな。そういう点に対してひとつお答えをいただきたい。  それから、きょうは国鉄から常務理事がお見えだと思いますが、いまの運賃の問題もそうなんですが、新幹線の問題。なかなか巨額な建設費がかかる。その上にこれは無理をやりますと財政的な問題もありますが、もう最近は新幹線というのは珍しい時代は去った、乗客は減ってきた、赤字になる、新幹線が走ることによって在来線も赤字になる、そして間引きされる、住民新幹線を使う必要がないにもかかわらず新幹線を使わなければいけない、それだけ大きな負担になる、こういうことですから、具体的には長崎−博多間の新幹線ということ、私はこれは頭から反対はしないのですけれども、その前にやらなければならぬことは複線化だと思う。ともかく複線化を強力に推進をする、私はバランスのとれた行政でなければならない、こう考えます。それらの点に対してひとつお答えをいただきたい。
  12. 山地進

    ○山地政府委員 身障者の点につきましてまずお答えをいたします。福祉の問題というのは社会の各層において相協力しなければできないという精神は私どもも存じておりますけれども、国鉄の現在の財政状況から考えまして国鉄の再建の点からどう考えたらいいかということにつきましては、昨年末の閣議了解におきまして、公共負担一般について、今後国鉄の公共負担をどう考えたらいいかということについて各省間で協議をする、十分検討をいたしましてこの点については考えていく、検討していくということで現在来ておるわけでございます。従来先生がおっしゃったようないろいろな制度があったということは事実でございますが、これを一体だれの負担でやるのかということにつきまして、政策当局の方からそういうことを負担したらどうかという国会の御決議もございますので、その点も踏まえまして今後検討していきたいと思います。  それから新幹線長崎‐博多間の問題でございますが、現在複線というのが肥前山口までできております。それから電化は長崎本線全線についてできておるわけでございますが、そういった複線というようなことができているにもかかわらず旅客の増加が一向にない、かつ貨物の方はむしろ減少しているというのが現状でございます。私どもの認識といたしましては、長崎本線というのは地域内の輸送機関であろうかというふうに考えておるわけでございます。先生のおっしゃるような新幹線というのは、むしろ地域間、全国をネットワークで結ぶという点で従来この在来線の部分的な複線とかあるいは電化という問題と別の視点から検討されているということが現状かと思いますので、その点について若干申し上げておきます。
  13. 中村重光

    中村(重)分科員 大臣ちょっとお答えを。ともかく新幹線をそう簡単にできないし、また新幹線が運行するようになっても私が申し上げましたような実情があるわけだから、長崎‐博多間ぐらいは電化をやっているんだから複線化をやる、それをまず最優先していくということが本当じゃありませんか。  それからだれが、国鉄が負担するのか、公費負担という形になるのか、ともかく身障者に対して十年も二十年も前のやり方を依然として改めていない、これが政治だということには、正しい生きた行政、温かい行政だということにはならないのじゃありませんか。これは心身障害者基本法というのを私どもが議員立法で成立させたのも、ともかく行政側がどうも実情に即したやり方をしない、これじゃだめだというので議員立法で基本法もつくったわけだから、その趣旨も生かして、私が指摘したようなことは当然おやりになる必要がある。大臣からどうです。
  14. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 身障者の割引対策については、公的助成等も含めて前進を図ってまいりたいと思います。なお、五月時点において飛行機の身障者の割引も前進させたいと考えております。(中村(重)分科員「複線化は」と呼ぶ)国鉄とよく相談して進めたいと思っております。
  15. 中村重光

    中村(重)分科員 きょうはもう時間がないから、協力してやめます。
  16. 藤田義光

    藤田主査 以上で中村重光君の質疑は終了いたしました。     〔藤田主査退席、近藤(元)主査代理着席〕
  17. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 次に、玉城栄一君。
  18. 玉城栄一

    玉城分科員 最初に航空局の方にお伺いしたいのですが、空港は第一種、第二種、第三種、いろいろありますけれども、一般的に空港の安全確保ということについてどういうふうにやっておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  19. 松本操

    松本(操)政府委員 おっしゃいますように、空港種別がいろいろございますが、いずれにもせよ航空機が安全に離発着できて旅客なり貨物なりの積みおろし、積み込みが十分安全かつ円滑にできるということが大事なことでございますので、飛行機の上げおろしにつきましては、主として管制保安の面から私どもの方の職員が直接その衝に当たるか、あるいは一定のルールを決めまして、われわれの決めたルールに従って関係のパイロットがそのルールを守ることによって安全を保つ、こういうことになります。  それから地上におりてからの地面の移動につきましても、大きな空港におきましては私どもの方の職員が直接コントロールすることもございます。その他の空港につきましては、やはり航空局として定めましたルールに従ってやることになっておるわけでございまして、ちなみにこのルールは、すべての航空機、つまり日本航空の飛行機であろうと外国の航空機であろうと、あるいは民間のものであろうとそうでないものであろうと、そういうことは隔てがないわけでございます。およそ航空機の安全の確保という点から同じような考え方、同じようなルールを適用して安全の確保を図っている、こういうぐあいになっております。
  20. 玉城栄一

    玉城分科員 そこでまた今度具体的に伺いたいのですが、沖繩県の那覇空港ですね。この那覇空港につきましては、いま局長さんがお答えになられたとおり、いろいろなルール等御説明があったわけですけれども、そういうことに照らして安全性という問題で別に問題はないのかどうか、その辺を伺いたいと思います。
  21. 松本操

    松本(操)政府委員 那覇空港が返還になりました時点において、あの空港は御案内のように民間空港として返還されたわけではございますが、当時は米軍もまだ残っておりましたし、自衛隊の存在もあったわけでございます。このように異なった機種が出入りをするということは、それなりにむずかしさがあることは否定できません。そこで、航空局が管轄する範囲というものはきちっと決まっております。その航空局が管轄する範囲の中における航空機の扱われ方というものにつきましては、先ほど御説明申し上げましたようなルールをさらに細かにブレークダウンいたしまして、それによってどこの所属の航空機であろうとも一様に取り扱う、こういうことにしてあるわけでございます。  外側の方、つまり飛行場の範囲の外側の方になってまいりますと、これは航空局が直接にどうしろこうしろと言える立場にあるわけではございませんけれども、そこからの影響が航空局が管轄しております空港の中に及んでくるというふうなことがございますとこれは問題でございますので、そういう点に関しては私ども十分な注意を払って、関係の向きに必要の都度いろいろと申し入れをするなりあるいは御相談をするなりという形で運用をしてまいってきておるわけでございます。
  22. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、これは局長さんも御存じのとおり、那覇空港につきましては自衛隊も使用しておるわけですね。そういうことで、離着陸の飛行機の回数が一日大体二百回前後でしょうか、相当な数でありますし、また人の出入りも相当な数に上っているわけです。そういうことで非常に不安があるという指摘があるわけですが、実は全運輸省労働組合沖繩支部の航空黒書というもので、たしか五十一年の六月だったと思うのですが、那覇空港の現状は非常に危険である、弾薬庫などと同居しているというような指摘がされていたわけですが、そういうことをお聞きになっていらっしゃるかどうか、この点を伺いたいと思います。
  23. 松本操

    松本(操)政府委員 いまお話しのございました全運輸の方でまとめております、もうすでに何回か出ておりますが、俗称航空黒番と呼ばれておりますが、この中にいろいろと組合の側から見た問題点が指摘してございます。したがって、これは私は十分承知をしておりますし、これが出ますたびに組合の方とそこに載っておりますテーマをもとに十分な話し合いをいたしまして、私どもの方で何か改善すべき点がありとするならば、できるだけ速やかに実現できるように取り組んでまいっております。あるいは十分な相互の意思の疎通を欠くがゆえに多少の誤解に基づいて議論がなされているというふうな場合については、十分な意思の疎通を図るということをいままでしてきておるわけでございます。
  24. 玉城栄一

    玉城分科員 そういう指摘等もございまして、非常に危険があるのではないか、また過去の、復帰前の米軍機の事故等あるいはこれまでの航空自衛隊機の事故等、あわせてやはり危険であるという指摘がされておるわけですね。そこで、那覇空港の区域内に自衛隊に関する諸施設があるのかないのか、その点御存じだったら伺いたいと思いますが。
  25. 松本操

    松本(操)政府委員 私どもが管轄しております那覇空港の区域の中に自衛隊の諸施設はもちろんございます。これは格納庫とか整備場とか、そういったようなものがあるわけでございます。純粋軍事目的のための施設、いわゆる基地的な施設、こういったようなものは私の承知しております限りにおいては、運輸省が管轄いたします空港の区域の外側でございます。私どもの方と直接の関係を持つような形にはなっておりません。ただ、実際問題として、自衛隊の航空機は素手で空に上がるだけではございませんで、必要により武器を携行せざるを得ない場合もございましょう。したがって、そういうような場合にどこでどういうふうな武器の取り扱いをするかというふうな点につきましては、那覇空港が復帰いたしましたごく初期の段階で、私どもと防衛庁との間で詳細な協定を結びました。たしか六重か七重くらいの安全度を担保した形でこういった武器の取り扱いについての協定を結んで、それによって安全の確保を図ってきているというのが実情でございます。
  26. 玉城栄一

    玉城分科員 いま六重ないし七重の安全度の担保とおっしゃいましたけれども、ちょっと内容をわかりやすく御説明願いたいと思います。
  27. 松本操

    松本(操)政府委員 やや具体的に申し上げますと、アーミング、ディアーミングと自衛隊は呼ぶのだそうでございますが、たとえば戦闘機の場合ですと、機関銃も積んでおりましょうし、場合によっては空対空のミサイルを積んでスクランブルに上がるということもございましょう。これは私ども軍事の専門家でないのでよくわからない面もございますけれども、これを飛行機に取りつけた状態で滑走路を走って上がるわけでございます。ですから、滑走路を走っている最中にこれがすっこ抜けて飛んでいってしまうことになるとえらいことになるわけでございますが、私が六重、七重と申し上げましたのは、どこそこで信管を抜く、どこそこで安全装置を外す、最後に足が完全に入ってしまわなければ発射しようと思っても発射できないというふうなハード的な面とソフト的な面を重ねて非常に細かな安全対策ができておるようでございます。そのステップを数えていきますと、ちょっといま正確に覚えておりませんが、六段階か七段階になって、いよいよ最後に空中に上がってしまわなければ幾らボタンを押しても弾が出ていかないというふうな形になっていると承知いたしております。
  28. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、航空自衛隊の戦闘機、ジェット機が飛ぶ際に、おっしゃいました弾丸の安全装置を外すとか外さないとかという作業が、いわゆる民間ジャンボ機とかトライスターとかそういう民間航空機が離発着する滑走路あるいは誘導路地域で行われているというふうに言われているわけですね。ですから、そこの安全性ということからしまして非常に不安がありますことは、そういうことが本当に安全であるのかどうかということがみんな納得ができないわけですね。航空局とされては、それは大丈夫であるということは責任を持っておっしゃれるということなのかどうか、その辺をもう少し伺いたいのです。
  29. 松本操

    松本(操)政府委員 たまたま話題がアーミング、ディアーミング、つまり武器をつけて自衛隊の航空機が離発着する場合のその前後の取り扱いの問題になったわけでございますが、先ほど申し上げましたように、アーミング、ディアーミングを実施する場所というのをきちっと決めてございます。これはおっしゃいますように滑走路を使うのではございませんで、滑走路を外れたところで、しかも、万が一にも安全装置が外れて弾がすっ飛んでいっても海の方へ抜けてしまう、あるいは自衛隊の基地の方へ向いて飛んでいってしまうというふうな場所、方向でというふうなことを細かに決めてあるわけでございまして、この協定ができましてからもうかなりの年月がたつわけでございますけれども、故障その他によってトラブルが起こったという報告を私は受けておりませんし、厳密にこの手続は守られているものと私は考えております。したがいまして、現時点において判断いたしますならば、今後なおさらに改良、改善すべき点は大いにその方向で改善を重ねるにいたしましても、基本的な考え方として、民間機と自衛隊機とが七、三くらいの比率で使われるわけでございますけれども、それに伴う安全性の確保という点については相当程度以上に手当てができているというふうに私は考えております。
  30. 玉城栄一

    玉城分科員 ちょっと変わりますが、那覇の飛行場の施設区域内には、たとえば自衛隊の弾薬庫であるとか、あるいは空対空ミサイルの保管場所であるとか、あるいは地対空といいますか、そういうミサイル、およそいま申し上げたようなものに類するものはないというふうに了解してよろしゅうございますか。
  31. 松本操

    松本(操)政府委員 私が承知しております限りにおいては、那覇空港の私どもが管轄する区域の中に、おっしゃいましたようなものは常時存在していることはない、つまり飛行機につけてとことこと出てくれば別でございますけれども、保管する場所というものは存在していない、こういうふうに理解しております。
  32. 玉城栄一

    玉城分科員 そうしますと、那覇飛行場区域周辺には常時保管していると当然予想されるわけですね。その周辺のどういうところに置かれているかということについては御存じであるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  33. 松本操

    松本(操)政府委員 これは私どもとしては、空港の領域の中に直接的な危険をもたらすおそれがないことというところまでが最大の関心事でございます。どこにどんなものが置いてあるというところまでの調査をするとか、報告を求めるとかいうことはいたしておりません。しかし、少なくともわが方が管轄いたします区域の中にはないというふうに理解をしておるわけでございます。
  34. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、先々月の二十五日にミサイルのサイドワインダーといいますか、これの事故が起きたわけですが、その件は御存じでいらっしゃるわけですか。何か防衛庁の方から御報告を受けていらっしゃるかどうかですね。
  35. 松本操

    松本(操)政府委員 本件につきましては、防衛庁の方から報告を受けております。
  36. 玉城栄一

    玉城分科員 簡単でよろしゅうございますから、防衛庁の方からちょっと御報告をいただきたいと思います。
  37. 藤井一夫

    ○藤井説明員 事故の概要について申し上げます。  事故は、本年一月二十五日午前八時五十分ごろ、那覇の基地にあります航空自衛隊の南西航空団第八十三航空隊整備群装備隊武器小隊が、そこにあります弾薬作業所におきまして、サイドワインダーのロケットモーターを点検しておりましたところ、突然ロケットモーターが燃焼した、こういう事故でございます。この事故によりまして、作業中の隊員一名が死亡し、三名が負傷したというものでございます。
  38. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで、大臣に伺いたいのですが、大体お聞きになられましたとおり、沖繩唯一の本土−沖繩間を結ぶ飛行場あるいは外国の飛行機も離発着しておりますけれども、事故も非常にありまして、今回だけではなくてこれまでもあったわけですね。そういうことで、たとえばスクランブル態勢の回数の資料もありますし、それから消防緊急出動の回数等も数字的に私持っておりますが、非常に危険ではないかと心配をされておるわけです。ですから、これは民間空港としてこれでいいのかどうか、果たしてこれが正常であるのかどうか、その辺大臣のお感じを承りたいのです。
  39. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 民間の飛行機と共用しておるということについては、非常に危険も多いことでないかというふうに感じられるわけでございます。しかしながら、現状においてはやむを得ないものもあると思いますので、事故を起こさないように十分警戒態勢をとってもらいたい、かように考えております。
  40. 玉城栄一

    玉城分科員 危険も大きい、しかしやむを得ない、しかし事故を起こさないようにしたい、そういうことですが、飛行場には民間の飛行機、自衛隊機もそうですが、人の出入りが相当あるわけですね。ですから、危険が大きいという御認識が大臣にあるならば、これはこのままではいけないと思うのです。現に先ほども事故の御報告がありましたけれども運輸省とされては安全の確保という点についてもっと具体的に検討していただかないと、御存じのとおり、沖繩県はいま観光が県の経済の柱となっておりまして、どんどん盛んになってきておるわけですね。ですからそういう中で、先ほどの事故等もありますし、こういう危険も大きいということからしますと、この飛行場の安全性の確保ということについては、運輸大臣とさてももっと真剣に考えていただかないと——もう少し大臣の突っ込んだ考え方をお聞きしたいのですが。
  41. 松本操

    松本(操)政府委員 大臣、非常に包括的にお答え申し上げましたので、大臣のおっしゃいましたことの中に含まれております実態的な点を私からちょっと御説明申し上げたいと思います。  まず、せんだって起こりました事故でございますが、ただいま防衛庁の方からも御報告がございましたように、空港の敷地の外側でございます。鉄筋コンクリートの建物の中で起こったもののようでございまして、現実にまた、何らありません。しかし、そういうことではございましたけれども、おっしゃいますように、そういったようなものを安全か危険か、こう二つに分けて考えれば、やはり危険性のあるものと認識するのが妥当であろう。  そこで私どもは、その事故の後で私どもの方の局の飛行場部長から防衛庁の担当の装備局長に対しまして、ミサイル等爆薬類の取り扱いについて今後さらに慎重な配慮をしてほしいということ。あるいは空港の外で発生した事故であっても、これが仮に民間航空に影響を及ぼすということがあると大変なことでございますので、その場合の情報の処理なりあるいは善後策なりについて緊密に連絡をとるようにしてほしいということ。たまたま事案は那覇について起こったわけでございますが、そのほかにも、大臣お答え申し上げましたように、幾つかの空港があるわけでございます。そういった空港についても同様の趣旨の徹底を図ってもらいたいということを強く申し入れをしたわけでございます。  そういうふうな形で、大臣お答え申しました趣旨は、安全の確保ということにいろいろ努力を払ってまいりたい、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  42. 玉城栄一

    玉城分科員 そこで大臣、私はやはりこういう状態は好ましくないと思うのですね。ですから、本来民間の空港として安全性が確保されていく、乗客等も皆安心して乗れる、今後はそういう正常な状態に、やはり何らか本来のあるべき姿に戻していただけるような努力をしていただくということは当然必要だと思うのです。その点、大臣のお考えを承りたいわけです。
  43. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 飛行場使用についての軍民分離は望ましいことでございますけれども日本の現在の航空界の事情からいきまして早々にできるものではないので、いま申し上げましたように、安全の確保に努力をしてまいりたい、かように思っております。
  44. 玉城栄一

    玉城分科員 この点、もうこれ以上申し上げてもなんですが、いずれにしても、那覇空港の安全性というものが本来あるべき正常な状態に戻されることを強く要請して、次にお伺いしたいのですが、あの飛行場には三つのターミナルが雑居といいますか、本土と沖繩間の、国内線のターミナル、それから一方は、国際線のターミナルもあるわけです。一方は、県内各離島を結ぶターミナルもあるわけですね。あの飛行場は三つのターミナルがありまして、不便きわまりないです。これは早急に何とかしていただかないと——その辺、運輸省はどのように考えていらっしゃるのでしょうか。
  45. 松本操

    松本(操)政府委員 おっしゃいますように、那覇空港が大きくなっていく経過の中でそういうふうなことになってしまっておる。現在、三つの空港ターミナルの間の連絡についていろいろと取り計らっておりますが、しかし基本的には、ああいったばらばらのビルでない方がいいのは当然のことでございます。したがって、この問題については、前々からいろいろと地元の方との御議論をしてまいったという経緯もございます。私どもとしても、ひとつ何とか集約的な形にできるような方向でこれから積極的に検討をしてまいりたい、このように考えております。
  46. 玉城栄一

    玉城分科員 集約的にしていきたい、積極的に検討していきたいということですが、何かめどを持たれて、いっごろ大体どういう規模のものをつくられるとか、そういうものは何もないわけですか。
  47. 松本操

    松本(操)政府委員 現在のところ、私どもは主滑走路を三千メートルにして、かつてフライング・タイガーのオーバーランとか、そういったような問題もございましたので、そういう面から、まず滑走路の安全の確保ということを最大の眼目にしたい、こう考えております。それを一方で推し進めながら、ターミナルの集約問題について検討をこれからしてまいろう、こういうことでございます。  申しわけございませんが、いまの時点でいつまでにということははっきりと申し上げられる段階にまでは詰められておりませんが、なるべく早く答えを出して、また地元とのすり合わせなどにも入っていきたい、こう考えております。
  48. 玉城栄一

    玉城分科員 これも航空局の方もよく御存じのとおりでありますので、早急に集約した形のターミナルがつくられるように要請をしておきたいのです。  それからもう一点は、これは自動車局の方になりますが、六十二年に国体の沖繩開催がいまのところ予定をされているわけですね。御存じのとおり、交通状況の心配がいまの段階から予想されておるわけです。したがって、そういう六十二年、国体が開催されるということについて、運輸省とされても当然重大な関心を持たれながら、こういう交通問題をどう解決されるかということを、すでに地元では議論があるわけですね。その点について、自動車局の方になろうかと思いますが、お考えがありましたら伺いたいと思います。
  49. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いまの件につきましては、私どもまだ正式には何も聞いていないのでございますけれども、バス輸送の整備に当たりましては、どれだけの需要があるのか、あるいは輸送経路はどうなのかというような問題について検討をしなければならないわけでございます。したがいまして、国体の会場の位置、観客の予想人員など具体的な計画が固まる段階におきましては、当省といたしましても、沖繩総合事務局を通じまして県等関係機関と連絡をとりながら、適切な対策を講じてまいりたいと考えております。
  50. 玉城栄一

    玉城分科員 以上で終わります。
  51. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で玉城栄一君の質疑は終了いたしました。     〔近藤(元)主査代理退席、兒玉主査代理着席〕
  52. 兒玉末男

    兒玉主査代理 次に、辻第一君。
  53. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は、奈良県下のタクシー労働者の問題について質問をいたします。  奈良県のハイ・タク台数は約千二百、労働者数は約千五百七十名という状況であります。大手の近鉄タクシー及び近鉄系列を除きますと、一社十台余りの零細企業であります。業界は家父長的、主従関係的な前近代的な経営が行われ、労働者の労働条件は大変劣悪であります。労働基準法などの法違反は枚挙にいとまがないほどであります。非常に長い間にわたってこのような状態が継続してきたことは、国の許認可の事業であるハイ・タク業の労働者の労働条件が劣悪であるというこのような状態は、行政の責任が少なしとは言えない、いや、責任が重大であるというふうに思うものであります。一般的な監督、指導、さらに勧告に対しても、無視をされることが多い。そのため実効が上がりにくい。こういう問題があっても、また、労使間の問題であるというような点があるにしても、さらに国の出先機関の深刻な人員不足があるにしても、実効のある強力な監督、指導、処置を行うべきであるというふうに考えるわけであります。労働者の生活と権利を守り、輸送の安全を確保するために、政府の一層の努力を強く要求をするものであります。  次に、その個々の具体的な問題点を示しまして、対策お尋ねをいたします。  労働基準法はもとより、いわゆる二・九通達でハイタク労働者などの労働時間などの改善基準を定めておるとのことでありますが、奈良県ではなはだしくこれに反していることが多い。  まず就業規則でありますが、ないところがたくさんあります。またあっても実際とは違う、あるいは金庫へしまってしまいまして従業員に見せていない、こういうところがあるわけであります。労働時間について見てみますと、超長時間労働であります。労働基準法は月間労働時間を二百八時間としています。タクシー労働者の時間外労働については、二・九通達では季節的繁忙または地域的な特殊事情でも年百五十時間、一日二時間以内とされているわけであります。ところが奈良県では、一カ月の総労働時間が平均二百九十時間と言われています。中川タクシーというところでは三百二十時間から三百五十時間、郡山交通というところでは四百時間も働く労働者がおるわけであります。これは反面、低賃金の反映でもあるわけでありますが、この状況をどのように考え、どのような具体的な対策を講ぜられるのか、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  54. 兒玉末男

    兒玉主査代理 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  55. 兒玉末男

    兒玉主査代理 速記を始めて。
  56. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それではちょっとそこを抜かして次へ行きます。  不良タイヤ、つるつるのタイヤを使用しているというようなところがあったり、ブレーキが故障してもなかなか修理をしない、また車の消毒はほとんどしていない、健康診断は……
  57. 兒玉末男

    兒玉主査代理 労働省、だめだよ、時間におくれちゃ。おくれちゃいかぬですよ。
  58. 辻第一

    ○辻(第)分科員 どうしましょう。
  59. 兒玉末男

    兒玉主査代理 また一番もとに戻って……。
  60. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それでは一番初めからやり直したいと思います。  私は、奈良県下のタクシー労働者の問題について質問をいたします。  奈良県のハイタク台数は約千二百台、労働者約千五百七十名、大手の近鉄タクシー及び近鉄系列を除くと、一社十台平均の零細企業であります。業界は、家父長的、主従関係的な前近代的な経営が行われています。労働者の労働条件は大変劣悪であり、労働基準法などの法違反は枚挙にいとまがないというような状態であります。国の許認可の事業であるハイタク業の労働者の労働条件が大変ひどいということは行政の責任も少なしとはしない、いや責任は重大であるというふうに思うわけであります。一般的な監督、指導、さらに勧告に対しても業者が無視をする、こういうことが多い。そのため実効がなかなか上がりにくいという問題があっても、また、このような問題が労使間の問題であるとしても、出先機関が大変深刻な人員不足であるというようなことがあるにしても、実効のある強力な監督、指導、処置を行って、労働者の生活と権利を守り、輸送の安全を確保すべきものであると強く訴えるものであります。その個々の具体的な問題点を示して対策お尋ねいたします。  労働基準法はもとより、いわゆる二・九週遅でハイタク労働者などの労働時間等の改善基準を定めているとのことでありますが、奈良県でははなはだしくこれに反していることが多い。  まず、就業規則ですが、ないところが多いのです。あっても実際とは違う、あるいは金庫にしまっておいて従業員に見せたこともない、こういうところもたくさんあります。労働時間については超長時間労働であります。労働基準法は月間労働時間を二百八時間としています。また、タクシー労働者の時間外労働については、二・九通達では季節的繁忙または地域的特殊事情でも年百五十時間、一日二時間以内とされているわけであります。ところが奈良では、一カ月の総労働時間が平均二百九十時間と言われています。中川タクシーでは三百二十から三百五十時間、郡山交通というところでは四百時間以上も働く労働者がいるわけです。これは逆に言えば低賃金の反映でもあるわけでありますが、このような状況をどう考え、どのような具体的な対策を講ぜられるのか、お尋ねをしたいと思います。
  61. 岡部晃三

    ○岡部説明員 先生御指摘のように、自動車運転者の労働条件というのは従来から非常に問題があり、乱れているところでございます。特にタクシー関係を見ますと、その労働時間の管理の面あるいは賃金の問題につきまして、いろいろな苦情申告が提起されておるという状況でございます。奈良県下においてどういうことであるかということを私どもの労働基準監督機関が指導監督をいたしたところによりますと、たとえば昭和五十三年度におきましては、奈良県におけるタクシーにつきまして、労働時間関係の法違反率が六〇%、休日関係で一〇%、割り増し賃金の関係で二四%の違反率というものを数えております。そこで、このような全国的に自動車運転者の問題がございますので、お話にございましたように、昭和四十二年のいわゆる二・九通達を改正いたしまして、新しい通達を昨年未発出したところでございます。これの厳正な適用によりまして、自動車運転者の労働条件の改善ということに基準監督機関挙げて今後取り組みたいというふうに考えております。
  62. 辻第一

    ○辻(第)分科員 その対策なんですが、このような状態が具体的に改善される見通しについてお尋ねをしたいと思います。
  63. 岡部晃三

    ○岡部説明員 このたびの新しい通達におきまして、たとえば労働時間でどのようにしようとしているか、具体的に申し上げますと、拘束時間という概念をわれわれ用いまして、一日の拘束時間を十三時間以内に抑える、これは二週間平均ということでございますが、これは、国際基準と申しますか、昨年六月ILOが採択いたしました百五十三号条約に基づいた国際的な平均的な数値でございますが、残業を含めてそれ以下に抑えるようにということで対処をいたしてまいりたいというふうに考えております。それからまた、何よりも自動車運転者の問題は人命にかかわるということでございます。居眠り運転、過労運転が事故の大宗を占めるというふうに伺っております。したがいまして、休息期間と申しますか、連続した眠ることのできる休息期間というものを必ず毎日八時間は確保するようにというふうなことも基準に加えておるわけでございます。これらの基準の適用を通じまして、そのような基本的な労働条件が守られるようにというふうに配慮いたしてまいりたいと考えております。
  64. 辻第一

    ○辻(第)分科員 次に、賃金問題ですが、まず歩合制です。  タクシー業界全体に歩合制が歴史的な現実でありますが、歩合制の採用の場合、二・九通達では賃金の六〇%以上の保障給制度を定めているわけでありますが、この点では県下全経営者で皆無に近い。基本給、皆勤手当、無事故手当など、こういうものを合わせても一万八千円から七万円程度、多くは三万円から五万円程度がいわゆる保障された給与ということであります。タクシーの安全を確保する必要から各種の通達が各省から出されているのですが、特に歩合給の刺激性が交通事故を誘発するとの判断で二・九通達でも厳しく累進歩合、積算歩合を禁止することを目指しております。  ところが、奈良県では現在も累進、積算歩合が多く存在しています。郡山交通というところの例では特にはなはだしいわけです。基本給月額が八千円です。欠勤しますと、一カ月が三十日の月は一日休みますとこの八千円の三十分の一がまた減額されます。皆勤手当も一万円です。これも一カ月が三十日ありますと、三十日全部勤めて一万円です。こういう状態です。歩合給で見てみますと、月間の水揚げが、三十六万円以下が二〇%、三十六万から四十八万円以下が二三%、四十八万から五十九万円以下が三一%、五十九万から七十  一万円以下が四〇%、七十一万円以上が四二%、こういうぐあいになっておるわけであります。これをちょっと見てみますと、四十八万から五十九万円までが三一%で五十九万から七十一万円までが四〇%、ここで九%と段違いに上がっているわけであります。こうなりますと、たとえば五十八万円のところは三一%で、ここのところは十八万円になるわけです。丁ランク上がって五十九万円になりますと四〇%ですから二十三万六千円になって、水揚げはわずか一万円しか違わないのに五万六千円の差がある。こうなりますと、労働者はやはり五十九万円以上の水揚げをしたいということになって、朝の七時から終電車の十二時ぐらいまで働くのがあたりまえという状況になっております。休憩時間は二時間平均。このような大変な賃金の状況を放置しておいてよいのか、どのような実効のある対策をとられるのか、お尋ねをしたいわけですが、いま課長は、今度の新しい通達も含めていろいろやっていくようにおっしゃっておりますけれども、もう二・九通達が出てから十何年になるわけでありますが、ずっとこういうことが続けられてきた。法律をちょっとつくった、あるいは通達を出しただけでは解決しない問題が奈良県には満ちてきておるということでありますので、具体的にどのように対策をするのかということをお尋ねしたい。
  65. 岡部晃三

    ○岡部説明員 実はこの累進歩合給制度の廃止の問題につきましては、旧二・九通達におきましても一つの重点でございました。奈良県下におきまして、私ども、たとえば昨年におきましては四件のこの違反につきまして監督指導を行っております。そのうち三社につきましては昨年度是正が見られたという報告に接しておりますが、まだ残念ながら一社につきましては是正が行われていないというふうなことのようでございます。いま先生が述べられましたような金額とパーセンテージによりますところの制度といいますのは、これはどうも累進歩合制度に該当するのではないかという疑いが強いわけでございますが、いずれにいたしましても、累進歩合制度の廃止ということは今度の通達のまた重点でもございます。また、先ほどの六割の保障給の確保ということも、これも重点でございます。その辺につきましては執行の適正を期してまいりたいというふうに考えております。
  66. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それから、休日や休憩が明示をされず保障されていない、また有給休暇も実際上は圧縮されているというのか、大変制限をされているという状況です。さらに残業や深夜など各種の割り増し賃金が完全に支給されていないところがある。たとえば壷坂観光では七名の労働者が三百六十万円余りの請求訴訟を奈良地裁で現在行っているわけでありますが、このような割り増し賃金を十分支給しないというような問題についてはどのように対処をされるのか、お尋ねをいたします。
  67. 岡部晃三

    ○岡部説明員 賃金面で、たとえば割り増し賃金等が支払われていないという事案がまた幾つか生じているという報告にも接しております。お尋ねの壷坂観光の事案につきましては、割り増し賃金の算定基礎賃金の解釈に関しまして現在民事訴訟が進行中でございます。したがいまして、ここでその訴訟の内容につきましてコメントすることは差し控えたいと思いますが、一般論といたしまして、この割り増し賃金の算定基礎賃金というのは、個人的な属性に基づかない賃金はすべて基礎とするというふうなことでございます。この問題につきましては、家族手当、通勤手当が定額で支給されているということつきましての解釈をめぐってのことでございますが、これににつきましては訴訟の進行を待ちたいというふうに考えております。
  68. 辻第一

    ○辻(第)分科員 次に、不良タイヤの使用、大変つるつるしているのでももうちょっとそれで走れとか、あるいはブレーキが故障しても修理はもうちょっと待ってくれとか、こういう状態があるところがあるわけですね。また、車の消毒は全くしていない、健康診断も年一回やればいい方だ、やってないところが多い。このように、車両の管理や衛生の問題が無視されている状態が数々あるわけであります。道路運送車両法に基づく整備責任者がいないというふうな例もあります。また、陸運に届け出されていた運行管理者が亡くなって三年以上も実在者として登録をされている。それも組合の指摘でその事実がわかって抹消した、こういうふうな無法な状態が続いているわけであります。これは認可した基準に基づいて免許資格の洗い直しなども考えるべきではないかというふうに私は思うわけですが、これに対してどういうふうなお考えか、運輸省にお聞きをしたいと思います。
  69. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いまお話しのありましたタイヤとかブレーキの問題、要するにタクシーの運行の安全の確保につきましては、各事業者が整備管理者を事業所ごとに選任いたしまして、整備管理を適確に行うことになっておるわけでございます。私どもといたしましては、事業者に対します監査あるいは整備管理者の研修等、あらゆる機会をとらえまして適正に行われるよう指導しているところでございます。  なお、奈良地区につきましての監査は、五十一年から五十四年までの間で六十八件実施いたしております。これに伴います行政処分の状況につきましては、四十五年以降で、車両の使用停止処分が五件、文書警告が二百四件という状況になっています。それで、いま問題とされております事業者につきましては、最近も特に実態を点検いたしまして措置をさせつつあるわけでございまして、ついこの間の三月四日におきましても、陸運事務所におきまして何社かを呼び出しまして事情聴取を実施し、指導を継続しているところであります。
  70. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私はいま、免許資格の洗い直しなども考えるべきではないかというふうにお尋ねをしたわけでありますが、その点はどうでしょう。
  71. 飯島篤

    ○飯島政府委員 当面の問題といたしましては、いま申し上げたように是正措置について指導を強化してまいりたいというふうに考えております。
  72. 辻第一

    ○辻(第)分科員 いまおっしゃいましたが、運輸省が昭和四十五年から五十四年までの十年間に行ったタクシーの行政処分件数というのは、使用停止が私が聞いたのは四件だったのですがいま五件と言われました。警告は二百四件ということであります。この使用停止五件の理由は何なのか。また、警告は二百四件もあるわけですが、その警告の主な理由は何なのか、お尋ねをします。そして、長期にわたってこのような状態が続いてきた、それからいろいろ指導し、勧告し、監督されておってもそのことが改善されないということが続いてきたように私は思うわけですが、そのような現状に比べてこの使用停止五件というのは余りにも少ない。実際は実効が上がることをやっていらっしゃらないのではないかというように思うわけですが、この点についてどのようにお考えになっているのか、この二つをお尋ねしたいと思います。
  73. 飯島篤

    ○飯島政府委員 まず最初の車両使用停止処分五件の内容でございますが、四十五年は二件でございまして、一つは事業計画変更の届け出をしなかった。それからもう一つは運転者の不足及び指導監督不足の運転者の使用という理由ででございます。それから四十七年の一件は車庫の無認可の廃止等でございます。五十二年の一件は無認可の増車などであります。五十四年の十二月の一件は無免許運転者の使用でございます。なお、いま申し上げた理由は主たる理由で、その他監査の際に摘発できました違反事項についてもあわせて考慮いたしております。それから、文書警告二百四件の中で主なものは、乗務記録の記載の不適切、過労防止に対する配慮不十分、定期健康診断の不徹底、定期点検記録簿の不備というようなものでございます。  また最後に、実効が上がっていないではないかというお話がございましたが、私どもとしても今後引き続きさらに強力に指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  74. 辻第一

    ○辻(第)分科員 私は、この五件というのは余りにも少な過ぎるというふうに思うわけですが、その点についてはどのようにお考えですか。
  75. 飯島篤

    ○飯島政府委員 タクシーの監督は陸運局ないしは陸運事務所に任せてありますので、申しわけありませんがもう一つ実態を把握していないわけでございます。大阪などに比べて少ないのではないかというお話があったようでございますが、そういうことのないように陸運局を通じまして陸運事務所を指導してまいりたいと考えております。
  76. 辻第一

    ○辻(第)分科員 昨年十月二十九日の運賃改定に際し、大阪陸運局長は奈良県タクシー協会服部会長に対して通達を出されております。その中に「良質かつ効率的なタクシー輸送を確保することとし、下記の諸措置を講ずるとともに、運転者の労働条件の改善及び経営の改善に努めるよう関係事業者に徹底されたい」云々とあります。この中には、運転者の労働条件の改善が明記されています。また運輸省は、昨年九月の六大都市の運賃値上げの際の原価査定では人件費の値上げがほとんどであると自交総連との交渉で答えていらっしゃるわけでございます。このように、昨年の運賃値上げは労働者の労働条件の改善がかなり重点として言われているわけであります。  ところが、奈良県で見てみますと、中川タクシーや高田交通、さらには大手の近鉄タクシーまでが、昨年十二月分から料金値上げに伴い一方的にスライドダウンを行うことで賃金の事実上の引き下げを行っている。これはまた、値上げをいたしますと必ずそのときにはお客が減るわけであります。お客が減ってもとへ戻るのが大体一年以上はかかるというのがこれまでの状態だそうです。こういうことも含めて、賃金が事実上下がるということになっているわけであります。これでは労働条件の改善どころか、労働条件の改悪になっているというのが現状であります。このような状態をどのように考えていらっしゃるのか、どのように対処されるのか、これは運輸大臣にお聞きをいたしたいと思います。
  77. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 およそ企業の経営に必要なのは、労使の協調、労使の信頼でございます。いまいろいろお話を承りましたが、非常に労働条件の劣悪化その他いろいろな諸問題、労働基準法の違反等もあるようであります。こういう問題について、労働条件の改善について、陸運事務所等を通じまして十分指導してまいりたい、かように存じております。
  78. 辻第一

    ○辻(第)分科員 それはそういうことなんですが、去年値上げするときに労働条件を改善すると言って値上げを認可しているわけですね。ところが実際は逆に現実に賃下げになっているというような状況があるわけです。この点についてどのようにお考えになり、どのようにされるのかということをお尋ねしたいわけです。
  79. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 早速調査をいたしまして、十分指導いたしたいと思います。
  80. 飯島篤

    ○飯島政府委員 ちょっと補足させていただきますが、奈良県の問題につきましては、いまお話にありましたように、陸運局長運賃値上げに際しまして通達を出したわけでございます。それに基づきまして協会の方から改善計画が出されております。また、いまの労働条件の問題につきましては、ことしの三月三十一日までに報告を出すことになっておりますので、その結果を見てまた判断をいたしたいというふうに考えております。
  81. 辻第一

    ○辻(第)分科員 以上のように、現在奈良県のタクシー労働者の労働条件は深刻な状況であります。タクシー労働者の生活と権利を守る上でも、また安全にして快適な輸送を確保する点からも深刻な状態だと思うわけです。奈良県の業界が前近代的な体質、そして地元の出先機関がいろいろと監督され、指導され、勧告をされてもなかなかまともに受け取らない、無視をされるというような状態が続いてきたというふうに思うわけです。そして、奈良県は全国で一、二を争う人口急増地帯であります。それに比べて出先機関というのは人員がふえていない。そういう状態です。法務局なんかもそうですが、あるいは国立病院もそうなんですが、深刻な人員不足の状態があります。こういう問題があるにせよ、一刻も早く改善すべき重大な状況になっているというふうに思います。運輸省や労働省は直ちにこれまで以上に必要にして十分な対策を講じて、その責任を果たされることを強く要求をして私の質問を終わります。
  82. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で辻第一君の質疑は終了いたしました。  次に、高沢寅男君。
  83. 高沢寅男

    高沢分科員 御苦労さまでございます。  きょう、私、池袋駅の改造の問題についてお尋ねをしたいわけでありますが、これは主に国鉄総裁を初めとして国鉄の皆さんにお尋ねすることになると思います。運輸大臣には若干の御質問がありますけれどもそれほどありませんので、あと大臣は何か途中で退席される御予定があるそうでございますが、それは結構でございます。大臣には初めの方でお尋ねいたします。  そこで、まず第一でございますが、一月二十一日に国鉄の当局が国鉄の池袋駅の改造計画を発表された。三月から着工するというふうに発表されたわけです。しかし、これに対して地元の豊島区の区議会、こちらの方から待ったがかかっておる、こういうふうに私聞いているわけです。豊島の区議会では、今回の国鉄当局が発表された改造案ではマンモス駅としての池袋駅がいま抱えている問題点は何ら解決されない、こういうことから、国鉄当局に対する要望書を区議会で全会一致で決定をされた、こういうことになっているわけです。その区議会が国鉄に対する要望書を決定されたのはこの二月二十五日です。この経過、いきさつ、あるいはその要望書の内容、こういうものについて高木総裁は御存じかどうか、それをまずお聞きをいたしたいと思います。
  84. 高木文雄

    ○高木説明員 池袋は東京の中でも実は非常に混雑をいたしておりまして、かねがね、何か改良を考えませんと、もしものことがあってもいけないということで心配をいたしておったわけでございますが、御存じのように東北・上越新幹線の埼玉県内におきます反対運動といいますか、用地取得に関するいろいろな問題が発生をいたしましたことと関連いたしまして、大宮と赤羽の間に新しく通勤新線を設けることにいたしました。それで、新幹線によってある程度埼玉県の住民の方々に御迷惑がかかりますけれども、一面、通勤新線をつくるということによって多少はサービスもいたしますということでそういうことを決めました。それに関連しまして、その通勤新線を赤羽から池袋まで入れてこようというか、現在のいわゆる赤羽線をそのまま大宮まで延ばしていくというか、そういう形で計画を立てることになりましたものですから、そこでかねがね問題でありました池袋駅の改良問題もこの際一挙に取り組もうということにいたしたわけでございます。そんな関係もありまして、必ずしも十分地元の関係者の方々とよく御相談をした上でということでなしに、もちろん多少の御連絡はしてありますけれども、そう十分練りに練って案をつくったということでなしに池袋駅の改良を表向きにせざるを得なくなったというか、逆にそれを、ややまだ練れておりませんけれども明らかにすると同時に、それをきっかけとして地元の方々ととっくり御相談をいろいろむしろ始めようということで、他の例に比べれば、いわゆる根回しといいますか、地元への御説明といいますか、そういうものがいささかおくれているというか、十分できない形のままですぽんと大きな活字になったというわけでございまして、その意味で、私詳しくわかりませんが、あるいは地元の方々にいろいろの意味でショックになっているかもしれないと思います。ただ、いま具体的に区からどういうお申し出を受けたか、それをいまうちの方でどういうように受けとめようとしているかということにつきましては、担当常務理事から回答させます。
  85. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 今回計画を発表いたしました私どもの方の池袋駅改良の骨子をちょっと申し上げますと、いま一番混雑しております国鉄の池袋の中で一番問題なのは、ホームが二面ございますけれども、そのうちの山手外回りのホームの反対側に赤羽線が着発しているということで、この一つのホームで山手線と赤羽線を扱うということが混雑の一つの原因になっております。それからもう一つは、やはり乗降、乗りかえされるお客さんが階段をおりて下のコンコースに入られる、このコンコースが非常に狭いということがございます。このコンコースにつきましても、大分前、昭和三十年代にすでに中央通路を、地下鉄四号線が入りましてずいぶん拡張強化したわけでございます。そして、その後八号線が入って南側にコンコースができたということで、北と中央と南と、設備的にはずいぶん強化されてきたわけでございますけれども、乗降人員が相当ふえてきているということで、それで今回この下のコンコースも大幅に広げる。それからもう一点は、北側の連絡地下道がございますけれども、これはいま切符を買って中にお入りになるという設備になっておりまして、切符のない方は通れない、利用できない状況になっております。今回これを広げまして、この東西間の自由通路にも使えるという形に直すという形にいたしたわけでございます。  それで、ただいま総裁が申し上げましたように、とにかく山手、赤羽線関係のこの設備が非常に狭隘であるということで、赤羽線の専用のホームを一つ山手線の内側につくりまして、ここに赤羽線を着発させるということにいたしまして、ホーム上の混雑緩和を図るということにいたしているわけでございます。そういうようなことで、国鉄のお客さんを取り扱う設備を強化するということを主体にして今回計画を決め、一日も早く実施したいということにしたわけでございます。いろいろ前から御要望が出ている点は私ども承知しておりますし、また、最近になりまして区議会の方からまた申し入れがございましたことも承知いたしております。それで、今回私どもの方はうちの設備を強化いたしておりますけれども、そのほかに、この池袋地区には営団地下鉄、西武、東武と、私鉄等が絡んでおりますから、お互いに協調して全体の設備をさらによくしていかなければいけない問題を残しているわけでございますが、これにつきましては、ことしの二月でございますけれども、東京都、豊島区、営団地下鉄、国鉄という四者で、将来、今後さらにどうやっていったらいいんだろうかということについて協議するという会合を持ちまして、懇談会と称しておりますけれども、そこでお互いに意見交換しながら今後の計画をまとめていきたいということをやり出している次第でございます。それがある程度方向がつきますればまた、東武、西武両私鉄、当然これは重要な関係があるわけでありますから、各社とも御相談した上でその実施についての検討をいたしていきたいというふうに考えております。たしかきょうもまた区議会の方から皆さんお見えになるということで、担当課長を残して私来ておりますけれども、お話を承っていると思います。そういうことでございまして、いままでもずいぶんいろいろ投資をしてきておりますけれども、今後もこういった池袋についての大きな投資を伴うわけでございますが、国鉄自身、いまの財政事情、工事資金等なかなかつらい面もございまして、今後実施する面においても、東武、西武、営団地下鉄との費用の負担についても十分相談していかなければいけないというふうに考えている次第でございます。
  86. 高沢寅男

    高沢分科員 大臣の御都合がありますからここで大臣にひとつお尋ねをいたしたいと思います。  いま御説明もありましたが、池袋駅というのは非常に特別な性格を持っていると思います。国鉄の赤羽線、山手線、それから東武の東上線、西武池袋線、それから地下鉄は丸ノ内線に有楽町線と、六つの線がここに集中しております。さらにはその駅の上にかぶさるように百貨店が三つありますね。それから地下コンコースには商店街がこれまた二つあるというような駅でございまして、非常に利用者の数も多い。こういうふうな総合的な性格を持った池袋駅、これは、国鉄がもちろん中心になるわけですが、もう国鉄当局だけでどうこうということのできない性格じゃないのか、こう思うわけなんです。そういたしますと、この池袋駅をいわば安全で、そして便利で、そして非常に快適な駅にしていくという場合に、そういうことを進めるためには、それらの関係する各企業なり団体なりというふうなもの全体が一体となって進めなければいかぬ、こう思うわけですが、この点の基本的なあり方について運輸大臣のお考えをここでひとつお聞きしたいと思います。
  87. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 私も最近池袋駅へ行っておりませんので実情はよくわかりませんけれども、御指摘のように非常に多数の人たちが出入りをする非常に大きな場所だと存じますので、いまお話しのように、関係者の方々とも十分協議をするように国鉄とも相談してまいりたいと存じます。
  88. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの運輸大臣の、それぞれの関係者とよく協議するよう、こういうお答えがあったわけです。そうなってまいりますと、先ほど半谷さんから、四者の懇談会が二月スタートしておる、こういう御説明があったわけですが、私はむしろ四者の懇談会をさらに、当然東武、西武鉄道、百貨店、あるいはまた池袋駅の安全性の問題については地元の消防なり警察なり、そういう関係者も非常な不安を抱いておるというふうに聞いておりますが、それらの全体に広げた懇談会といいますか、そういう協議機関を早急に設けて、そこでどういうふうにこの駅をよりよい駅にしていくか、こういう御相談を早速開始されるのがいいんではないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  89. 高木文雄

    ○高木説明員 御指摘のとおりでございます。いま国鉄と営団と東京都と豊島区というふうに申しましたけれども、その場合に、東京都、豊島区の方からいろいろユーザーのお立場でもお話を承ることになりましょうし、それからいろいろな都市計画とかなんとかいうこととの関連で東京都なり豊島区なりに何がしかの御負担の問題というのが起こってくると思います。そういうこともありまして、主としてその経費を分担しなければならないのが四者になります。そのほかに関係の、あそこでいろいろ仕事をしていらっしゃる大きな私鉄あるいはデパート、さらには中小商工業者の団体といったようなところにも、皆それぞれ受益者であると同時に負担者になっていただかなければならないという関係もありますので、いまの四者である程度打ち合わせをしました後でどんどん外縁を広げていって、皆さんにも御相談をするという体制をとらせることにいたしたいというふうに考えます。
  90. 高沢寅男

    高沢分科員 いま総裁のお考えは示されたわけですが、ここで私ちょっと意地悪く勘ぐって考えますと、とりあえず四者の協議ということで、この間発表された国鉄当局の駅改造計画、つまり赤羽線増強に関連するその部分はもうこれでスタートしておいて、それから後、もっと広げた改造計画はこれから私鉄関係とか百貨店関係と御相談をして、それはいわば第二弾でというふうなことになってきますと、第二弾というのがこれまたいつになるかわけわからぬ、第一弾の方だけ先にスタートというようなことになっては、今度地元ではそれは困るということが非常に出てくるんじゃないか、こう思うのです。いま区議会の問題を申し上げましたが、実は過去、昭和四十八年の七月に豊島の区議会の意見書として、池袋駅のコンコースが非常に狭い、危ないということからそれをひとつ何とか改造してもらいたいということを国鉄の当局へ出された。当時国鉄の当局では、そういう問題はわかってはいるが、いままだ改造する時期ではないので、いずれ改造するときはそういう問題を取り入れてやりますよというふうに四十八年当時はお答えになった、こういうことなんです。ところがさっき言った二月二十一日に発表されたそれで見ると、少しもそういう地元の要望が反映されていないということで、区議会が大変硬化して、これはけしからぬということで今回の要望書決議になった、こういうふうに聞いておるわけです。その辺も、いま言いました当面発表された計画でスタートだということではなくて、そこで一足二足足踏みをしても、その間にそういう関係する各団体や企業と十分御相談になって、これならば地元としても納得できるというもので着手されるということが必要じゃなかろうかと思いますが、重ねて総裁のお考えをお聞きしたいと思います。
  91. 高木文雄

    ○高木説明員 よくわかりました。かねがねあそこは非常にむずかしいところでございます。関係者が非常に多いし、鉄道が多いし、むずかしいところでございます。したがいまして、あるいはわれわれのやり方に何らかの御不満を残したということは、申しわけありませんが十分あり得ることでございまして、それをそういうことがないようにしながらやってまいりたいと思います。ただ、物すごい膨大な事業になってきまして、したがって物すごく金がかかるという問題もありまして、それをどういうふうな手順でどういう順番でやったらいいかということについては今後も研究していかなければならぬと思いますけれども、ある部分だけつまみ食いをして見切り発車ということにはいたさないように指導してまいりたいと思います。
  92. 高沢寅男

    高沢分科員 私は、この池袋駅の改造を考える場合の最大のポイントは、やはり安全対策ということだと思います。先ほど運輸大臣、最近余り池袋に行ったことがないというお答えでしたが、実は私は住んでいる場所の関係、あるいは池袋駅が私の選挙区の中であるということで、いつもあの駅を利用させていただいている乗客の一人です。ふだんでも大変に込んでいまして、あの地下コンコースは非常に人が錯綜しておる、ホームも込んでおる。そして、ことに朝の通勤ラッシュのときはいつも綱を張って乗客どめをしなければさばけないというふうな現状にあるわけで、ふだんでも、仮にその中でだれか階段で転んだらどうなるかというふうな問題が非常にあると思います。ましてや、もし万一、いわゆる地震であるとかあるいは地下商店街から火災が出るとかいうふうな場合になったらどういうパニック状態が起きるか、非常に憂慮すべき状態にあるのが池袋駅だと思います。  そこでこの対策をとるには安全対策というものを最大に考える。そういたしますと、今度国鉄の計画で発表された地下コンコースの拡大あるいは北の通路の問題も先ほど御説明ありましたが、中央通路とかあるいは南側通路の拡張の問題、それから通路と通路との連絡が実は非常に悪いのです。そういう問題とか、あるいはもし火災を考えればスプリンクラーの設備、もし地震で電気がとまって真っ暗になったらどうなる、これを考えればいろいろな予備的な発電設備も必要になりましょうし、あるいは地下のコンコースに非常に人が詰まっている、それと外への出入り口が非常に狭いのですね、あの駅は。これも、もし何かあってわっと殺到するというふうな状態になったら大変です。それらの全体、改造されるところに目を配って、それで改造計画というものをやっていただきたい、こう実は思うわけです。いま総裁、しかし大変財源がかかる、おっしゃることもそのとおりだと思いますが、東京の地下駅を改造される、地下駅をつくられる際にかなり大きな、総工費の中で約三分の一が防災対策に向けられたという前例も聞いておりますし、池袋駅もそういう取り組みをされてしかるべき駅ではないかと私は思いますが、そのことについてのお考えをまたひとつお聞きしたいと思います。
  93. 高木文雄

    ○高木説明員 全国で、乗降のお客が大変多くて、それに比べて駅設備が不十分だというところは必ずしも池袋に限りませんけれども、しかし、そういう意味で一番困っているところはどこかな、順番に挙げてみろと言えばすぐ池袋というのは私どもの頭に浮かんでくるような状態でございます。それだけ現時点ではお客様に御迷惑をかけているということだと思います。いろいろな事情で全体計画が立てにくいのでおくれてきたわけでございますから、東京周辺のそうした設備に投じます金の中では、ほとんど最優先に今回の池袋駅の改良に金を向けてまいりたいというふうに思っております。その際、安全の問題につきましては、このごろはかなり消防庁その他からいろいろ御注文がつくわけでございまして、この点については東京駅と同じような水準で、金に関係なくやらざるを得ないことになろうと思います。したがって、かなりそういう点を十分配慮した計画になろうかと思います。  ただ、なかなかややこしいのは、通路一本つくりましてもお客さんの流れが変わる。お客さんの流れが変われば、その場所、場所の商業関係が動いて、いままでこっちの方がにぎやかだったのが向こうに移るということがありますので、なかなかややこしいわけでございまして、そこらは十分合意を得た上でやりませんと、お客さんにとっては便利になったけれども、そこでお仕事をしていらっしゃる方から見ると、お客さんがいままでと違った流れ方になってしまったというような問題がありますから、その辺も含めてよく御相談をしながらやってまいります。  安全の問題は第一のことであり、かつ、率直に言って、ああいう形で綱を張ったり大勢人が出てやらなければならぬということ自体、もうすでに設備が不十分だということを意味しているわけでありますから、そういうことを今回ぜひ解決するようなつもりで計画を立て、実行をいたしたいと思っております。
  94. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 補足して御説明申し上げたいと思いますが、いま先生御指摘のありました消防法あるいは建築基準法に基づきます安全対策、これは東京地下駅でも経験いたしておりますし、これらについてはその対策を十分にとるということも計画いたしております。  そういう設備のほかに、今回の私どもの方の計画の中で南口の地下通路と中央の地下通路、これはラッチの中ではありますけれども大幅に広げまして両方を連結いたします。ですから、これは切符を持たないとツーツーにならないのですけれども、切符を持ったお客さんである限りは、南口と中央地下道の間が入りますとツーツーでありますからどちらにも出られるという形であります。いろいろ地元の方々から、切符のないお客さんのためにも、南の通路と中央地下道について、いま中央と北はつながっておりますけれども、ああいうつなぎ方をぜひやれという御要望が出ているのは承知しております。それらは先ほど申し上げました懇談会の中で、今後各社とも影響するところは非常に大きいものですから、費用負担を含めて御相談してやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、今回やります南口の地下通路と中央地下通路をつなげるということは、安全対策上も非常にプラスに作用するんじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  95. 高沢寅男

    高沢分科員 実はきょうこの質問で私が期待いたしましたことは、とにかく見切り発車はしないということで、十分関係の各方面と協議をして、そして地元がこれならと納得できるような改造計画でスタートするというお答えを期待していたわけですが、総裁からそういうお答えをいただきまして私は大変結構だ、こう思っております。  それで、そういうふうな協議をしていただく場合に、先ほど来話の出ている私鉄関係であるとか営団地下鉄、都、区、さらにまた百貨店とか地下商店街、いろいろあろうかと思う。あるいは消防、警察、これもまたあろうかと思います。同時に、私の承知しているところでは、池袋の駅で働いている人たちあるいは利用者あるいはまた周辺の住民の人たちで「池袋駅の改造を考える会」というふうなものも実はあるわけです。これも前から大変熱心に、池袋駅を本当に安全な快適な駅にするにはどうしたらいいかということも研究をされてきておるということを私は承知しております。私はその代表の人たちと一緒に国鉄の本社へお伺いしてこの問題でお話し合いをした。実は二回そういうこともやってきているという経緯がございますが、これらも、総裁の言われた十分関係方面と協議する、その意見を十分聞いていただくということの中に含めていただければ大変いいのじゃないか、こう実は思っているわけであります。  それで、国鉄当局としては早く着工して早く仕上げたい、こういうお気持ちは当然あろうかと思いますが、しかし、それには何よりも地元が納得して協力することが一番早く仕上がるための前提でありますので、先ほどお答えがありました、十分地元とここで協議をして、そして地元のこれならというところでスタートをするという、この総裁のお答えをもう一度、だめ押しの形で大変恐縮ですが、再確認をさせていただいてこの質問を終わりたいと思いますが、総裁、もう一度お願いします。
  96. 高木文雄

    ○高木説明員 冒頭に申し上げましたように、通勤新線との関係でいささか早目にすぱっと構想を出さざるを得ないことになっていますから、いままで熱心にお申し出のあった方々からごらんになりますと、われわれが前々から一生懸命言っているのに何だ、こういう印象を与えたということは申しわけないと思います。ですが、とにかく相当な大事業でございますし、いまいよいよこれに取り組もうというわけでございますから、後々に憂いを残して、しまったということが起こってはいけないわけでございますので、別にどなたということでなしに、広く、関心をお持ちの方の御意見があれば謙虚に承って、そしてまた他の方々にもそれを御披露しながらやっていく、メンバーに加わっていただくメーンの方々にそれをよく御披露しながらやっていくということで臨みますので、まさにおっしゃるとおりにいたしますというお約束をさせていただきます。
  97. 高沢寅男

    高沢分科員 どうもありがとうございました。  以上で私の質問を終わります。大変御苦労さまでした。
  98. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で高沢寅男君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  99. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 休憩前に引き続いて会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。米沢隆君。
  100. 米沢隆

    米沢分科員 私は、例の地方ローカル線の廃止に関連しまして、関係当局の所見をただしたいと存じます。  まず自治省、建設省、国土庁の皆さんにお伺いします。  地方鉄道が、地方の産業、経済、文化の開発や地域経済の基盤整備、地域間格差の是正等に果たしてきた歴史的な役割りは大変大きいものがございます。また、国土の適正利用という観点からも、将来に向けてもっと地方線の育成助長を図らねばならぬという時代的要請は、大きくなりこそすれ決して小さくはならないと私たちは考えております。  近年は、御承知のとおり、自治省の新広域市町村圏、国土庁の定住圏、建設省の地方生活圏構想等々、八〇年代の地方振興計画の策定がなされて、政府を挙げて地方の時代の到来を合唱しておるその折から、あなた方の構想の中でも、地方線を含む地方の交通体系の強化は大きな柱であったはずでございます。にもかかわりませず、地方赤字線切り捨て法案が閣議で決定されたということは、この法案にあなた方の大臣は介意された、こういうことでございまして、まさに時代に逆行するものだと言わねばならぬと思います。そういう意味では、切り捨てていいという発想は、どうも皆さんの行政目標を達成する意味では一貫性を欠くものであり、いつから地方ローカル線は要らないという結論になったのか、御説明をいただきたい。
  101. 米山市郎

    ○米山説明員 国鉄の、再建問題につきましては、政府として昨年末の閣議了解におきまして、国民的課題として受けとめ、そのため三十五万人体制の実現を初めとする国鉄の内部努力とあわせて、地方交通線対策を進めることがきわめて重要な問題だということとされたわけでございまして、この方針のもとに今回の法案が決定をされたわけでございます。  しかし、地方交通線対策は、地域の振興整備に責任のある地方公共団体にとりまして大変重要な問題でございますので、その具体的な推進に当たりましては、地域の交通事情住民の足の確保等につきまして、あらかじめ地域住民と地方公共団体の十分な理解を得た上で対処すべきものと考えておりまして、自治省といたしましても、その旨を強く運輸省に申し述べているところでございます。
  102. 沢井広之

    ○沢井説明員 地方生活圏構想と申しますのは、地方における都市と周辺の農山漁村を一体の生活の場としてとらえまして、地域の住民が都市の利便と周辺におきます豊かな自然とをあわせて享受できるというような条件を整備しようというものでございます。したがいまして、地方生活圏におきます交通網というのは重要な施設でございます。それで、今回の地方交通線につきましては、これがバス輸送等、より効率的な公共輸送へ転換が図られるということでございますので、地域の特性に応じた交通体系の整備が図られるということでありますならば、私どもの地方生活圏における交通機能はこれまでどおり保持されるというふうに考えております。
  103. 増田卓爾

    ○増田説明員 先生承知のとおり、三全総におきましては、交通におけるナショナルミニマムを確保するということを基本にいたしまして、地域の実情に応じました合理的な交通体系の整備を図ること、それが地方定住の推進に当たって欠くことができないものであるというふうに考えておるわけでございます。  国鉄ローカル線の存廃という問題は、地域の交通に確かに大きなかかわり合いを持つものでございます。先ほど来御説明がありましたが、国鉄経営再建というのは重要な事柄でございます。私どもは、これらの具体的な執行に当たりまして、いま申し上げました交通におけるナショナルミニマムを確保するという趣旨に基づきまして、定住構想の推進に差し支えないように十分対応してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  104. 米沢隆

    米沢分科員 いまの説明を聞いておりますと、皆さんの構想を推進していくためには、確かに地方交通線は大事な問題だ、こうおつしゃりながらも、実際はこの問題を余り深刻に受けとめていらっしゃらない。いつから皆さんは運輸省や国鉄の官僚になったのか、どうも私たちは不満でなりません。国民的な課題といいますけれども、地方ローカル線を削られる住民にとっては、何も国民的課題ではないと思うのです。これは国鉄の課題であり運輸省の課題であって、決して皆さんの省庁の課題でもなければ、地方住民の、特に地方ローカル線を消される連中の課題ではない、私はそう思いますね。そういう意味で、皆さんが挙げておられる構想を推進していくためには、このローカル線の廃止というのは、いま説明をされた以上に大変大きな課題を持つものだ。もう少しまじめに運輸省あるいは国鉄当局に、智さんの立場から、それこそ国民の課題としてもっと注文をつけてもらいたい、そう思います。——帰って結構です。  次に国鉄総裁と運輸大臣お尋ねします。  国鉄財政の深刻な破局の様相が浮き彫りにされる中で、赤字ローカル線をバス転換できる見切り発車条項を含む国鉄再建法案が国会に提出されたわけでありますが、今回の赤字ローカル線対策は、六十年度三十五万人体制を初めとする合理化推進の最後の切り札だと言われております。しかし、ここで改めて強調しなければならぬことは、この段階に至るまですでに過去四回にわたる再建計画が出され、特に五十二年当時、私は運輸委員会におりましたけれども、五十四年度に収支とんとんにするというあなた方の意気込みを買って、それならば国鉄にも一端の当事者能力を与えねばならぬ、そういうことから、私ども運賃値上げの法定制の緩和に賛成した経緯もありました。にもかかわりませず、すでにほとんどの再建計画が計画未達成に終わってしまって、とうとう今回は赤字ローカル線廃止、こう来ておるわけですね。私は今日の再建法案に反対するゆえんは、それは単なる鉄道への愛着とか、鉄道のかわりにバス運行が確保されるのであれば切り捨てられると考えるのは誤解であるという、そういう誤解をしているのではないのです。国鉄再建が叫ばれてからすでに十数年になりながら、一向に自立再建ができずに、ローカル線本来の役割りと機能を堕落せしめた国鉄の無策、運輸省の無策、そこを私は非常に残念だったと思うのであります。そういう意味で、運輸大臣、国鉄総裁に所感を求めたいと思います。
  105. 山地進

    ○山地政府委員 国鉄の収支が悪化いたしましたのは、昭和三十九年に償却後で赤になり、昭和四十六年に償却前で赤になったわけでございます。国鉄再建はその後、先生のおっしゃるように四回にわたり再建の計画がなされたわけでございますが、その中に、御指摘になったように、二年間で収支とんとんにするというような非常にドラスチックな案もあったわけでございます。ところが、ことごとくがその達成を見る間もなく、一年もすればそれが崩壊するというような繰り返しがあったわけでございまして、それが昭和五十二年の十二月の閣議了解では、これは五十三、五十四年度の間に対策を樹立するということで、国鉄再建に一つの時間を与えながら現実的な対策というものを講ずるということに方向が変わってきたわけでございます。その間、この基本方針に基づきまして昨年国鉄の再建の基本構想案を国鉄自身でつくった。いままでの再建というものはほとんど上から与えられた再建というのが多かったわけでございますが、今回のは国鉄自身が自分の方の合理化というものをどういうふうにやるかということを真剣に取り上げて再建の基本構想案というものをつくり、それをベースにいたしまして、政府の方で今回の昨年末の閣議了解というものをつくり、その中で、国鉄の経営改善というものを前提にいたしまして助成ということで国鉄の再建をやろうということになったわけでございます。  今回の再建というのは、従来のいま先生のおっしゃったような二年間というような短期的なことではとても直るようなものではないという認識に立ちまして、六十年度までに国鉄の再建の基盤を確立する、その後可及的速やかに収支を回復するということに、かなり長期的な視野で国鉄の問題に取り組む。その中で三十五万人体制あるいは長年国鉄の再建の中で叫ばれながら実現できなかったローカル線対策というものを織り込んで、トータルの形でこの国鉄の再建を図ろう、こういうふうになっているわけでございます。
  106. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま御指摘がございましたように過去の経過とは変わってきておるわけでございまして、その点まことに申しわけないと思っております。ただ、実は五十二年の段階で運賃法定主義を緩和する法律を衆議院でお通しいただきますときに、衆議院の運輸委員会で附帯決議がございます。いろいろときめ細かい御注文というか御指導というか、御指摘をいただいたわけでございます。このときの附帯決議が骨になりまして五十二年の十二月の閣議了解になったわけでございます。五十二年の十二月の閣議了解というのは、まさしく国鉄の意思を相当中心にしたものでございます。そこで何が決められましたかというと、いままでのような短期間の再建計画ではなくて、少しゆっくり物を考えなさいということでやったわけでございます。その結果、約二年間の余裕をいただきましていろいろと勉強いたしました。その結果が昨年の七月二月に運輸大臣に御提出申し上げた基本構想案でございます。それに基づいて昨年の十二月二十九日に閣議了解があったわけでございまして、ずいぶん何度もいろいろな道のりを経てまいりましたけれども、現在の私ども考え方というのは、五十二年の段階で衆参の運輸委員会で御指摘を受けたことが骨になっておるわけでございますので、その意味では、私どもは、あのときにいろいろ根本問題にお触れいただいて御注意いただいたことについては大変深く感銘をいたしております。そしてその線に沿って今日までやってきておるというつもりでございまして、確かに過去のことを言っても仕方ありませんけれども、過去の計画にはいささか短兵急なるものがあり過ぎて現実性がなかったということでございます。今回はその意味でやや計画が長期でありますけれども長期であるだけに実現可能なものということで、これを最後の再建案として取り組みたいというのが私ども考え方でございます。
  107. 米沢隆

    米沢分科員 国鉄の財政再建のために赤字ローカル線の廃止という問題が長年俎上に上ってきたことは私も承知いたしております。もともと赤字ローカル線が過疎地を走っておるわけでありますから、採算も悪いし、ゆえに収支係数も悪いのは事実であります。しかし、そういうところに手をつける前に、当局はどれだけ本当に長年指摘をされてきた合理化努力をやってきたのであろうか、私は疑問に思えて仕方がありません。  収支係数は悪いけれども赤字の絶対額から見ますと、高木総裁が本にも書いておられますように、幹線系をとったら、絶対額だったら全然問題にならぬぐらい幹線系の方が多いわけです。一番赤字の多い東海道本線、五十三年度で千三百五十八億、山陽本線で八百三十億、鹿児島本線で六百十億、函館本線五百五十三億、山陰本線四百十三億、おっしゃるようにこの一位から三位、トータル二千七百九十八億の赤字ですよ。これは赤字ローカル線のトータルに匹敵しますね。また、四十八年以降確かにローカル線よりも幹線系の赤字の方が急増しておる、これも事実ですね。国鉄のこの五十三年度の収支を見ましても、地方幹線系の赤字が大半を占めて、ローカル線は全赤字の約三分の一だ、こう言われる。確かにそうだ。しかもAB線だけなら、五十二年度までの完成線、たった〇・三%にすぎない。在来線と新幹線を、東京‐博多間のいわゆる従業員収入で比べてみますと、在来線は新幹線の五倍の人間を使っておって、新幹線の六割しか収入を上げていない。これを見ても、在来線やローカル線でも近代化が必要であるにもかかわらず放置されてきたという事実がここにある、私はそう思うのです。監査報告によりましても、黒字線はたった六線です。それも、山手線、総武本線の特にラッシュ時の乗車効率なんというのは、五十年十二月の資料しか持っておりませんが、二二三%、二八〇%、これだけ押し込んでやっと黒字なんだ。逆に、先ほど言いました赤字の東海道本線、山陽本線、東京付近、大阪付近のあのラッシュ時の.乗車効率なんというのは二七〇%、二二二%、これだけ押し込んでも赤字なんだ。だから、これは乗車する人が多いとか少ないという問題じゃないのです。ローカル線は確かに乗車する人が少ない、したがって赤字だ。東海道本線、山陽本線なんか、乗車する人が定員の二倍以上に押し込んだにもかかわらず赤字なんでしょう。そういう意味では、乗車する人が多いとか少ないとかという問題ではなくて、赤字そのものは皆さん方が合理化しなかったがゆえに国鉄全体の体質になっていると私は思うのです。そういう意味では、赤字ローカル線だけやり玉に上げる、そんな理由はどこにもない。このいままでの国鉄の体質、合理化を忌避する体質、何となく合理化をしない体質、今回そんな体質は果たして改まったのですか、総裁。
  108. 高木文雄

    ○高木説明員 今度の国会に御提出いたしております再建法案の考え方は、まさにいま先生が御指摘になったとおりのことをやろうとしておるわけでございます。幹線につきましては職員の数を減らす、つまり経費を減らすということでございます。ところがローカル線については、もうすでに相当人を減らしてきております。無人駅とか委託駅とかということで大変御迷惑をかけてきておるわけでございます。言ってみれば、ローカル線についてはもう合理化といいますか、人を減らすこと、経費を減らすことによって赤字を減らすことはできない状態になってきておるわけでございますので、幹線につきましては経費を減らすことを主体にして合理化といいますか赤字を減らさせていただく。ローカル線につきましてはもうその道がありませんから、もう少し基本的に輸送システムを変えさせていただく。つまりコストの少ない、鉄道輸送でなくてバス輸送の方に変えさせていただくというふうに、全国の線区を二つに分けて赤字を減らす方法、手段を変えておるわけでございます。大筋としては、先生のいま指摘されておることをそのままやらしていただきたいというふうなことになっております。
  109. 米沢隆

    米沢分科員 私が指摘したことをこれからやろうと、こう言う。私が指摘したことは、皆さんがいままでやろうといって計画してきたものばかりだ。それをやっていない。したがって、いま総裁がそう言われてもにわかに信じられない、そんなのは。いつも裏切られてきたわけですからね。そういう意味で私は、赤字ローカル線をやり玉に上げる前に、赤字ローカル線は三〇%赤字だと言うけれども、七〇%の幹線系をなぜやらぬのですか、運輸大臣答えてください。
  110. 山地進

    ○山地政府委員 いま先生の御指摘のとおり、赤字のうちの七〇%が幹線系でございますが、私どもの考えとしては、収支係数が幹線の方は一二五でございます。一三五ということは、三五を収入の増加あるいは経費の削減によって到達可能であるということでございまして、いま総裁の申し上げたとおり、今回の国鉄再建についてという閣議了解で国鉄の再建、経営改善の方向というのが出ているわけでございますが、その中で、幹線について非常なる合理化をやろうと考えているわけでございます。三十五万人体制で七万四千人、現在の四十二万から三十五万人になる、七万四千人が合理化されるわけでございますが、その合理化の一万人がローカルでございまして、その他が幹線部門の合理化ということに結びつくわけでございますので、そういうことで今回の再建については幹線部門について相当のウエートがかかっている。これは列車の合理化あるいは旅客列車自身の合理化ということも含まれておりますし、貨物列車の合理化も含まれております。いずれも幹線系について大幅な合理化を考えているというふうに御理解いただきたいと思います。
  111. 米沢隆

    米沢分科員 皆さんがつくられたこの国鉄再建構想、これによりますと、六十年度の姿は五百億の黒字だ、こういう形になっておるわけです。しかし中身を読みますと、いわゆる年金負担、これは特定純損失という形で別枠になっておる。新幹線赤字、これも別枠だという。こんなのみんなひっくるめたら何も黒字じゃなくて、六十年になっても現在の赤字と全然変わらない。そういう意味では、結論から言いますと、結局地方ローカル線を廃止して新幹線ができるという、ただそれだけのことだな。年金負担はそれは仕方がないかもしれません。しかしこの結論を見ますと、どうも地方ローカル線をなくしてただ新幹線の肩がわりをしただけだ。そういう形の再建工作なんですよ、今度のは。そういう意味では、ローカル線を捨てて新幹線をとった、こう言われても仕方がないと私は思うのですね。その理由を述べてほしいと思います。
  112. 山地進

    ○山地政府委員 新幹線を除きましたのは、六十年度という特殊の年度から考えますと、新幹線の開業早々であろうかと思います。新幹線自身、東北、上越というのは十年間でとらえますと、これは収支が償う。たとえ五年度まで赤字が出てもその赤字というものを返し得るだけの能力がある、こういう意味で非常に臨時的なファクターがあるから六十年度の計算から除いたということだろうと思います。  それからもう一つ、ローカル線について非常に少ないというようなことでございますけれども、やはり二千五百億という赤字が毎年累増するわけでございまして、国鉄の合理化につきましては、経営の再建という立場から申しますと、ローカル線も含めて全体的な合理化ということを進めざるを得ないというふうに考えております。
  113. 米沢隆

    米沢分科員 何か新幹線が将来は採算が立つような話ですけれども、私はそう考えませんね。新幹線、それならいつ黒字になるのですか。御承知のとおり、東海道に新幹線ができたら在来線はだめになりましたね。トータルでは収支係数はほとんどとんとんになっているわけですね。逆にマイナスになっているかもしれない。そういう意味では東北新幹線をつくる、上越新幹線をつくっても、従来の東北本線、信越線あるいは上越線、在来線との計算をしたら、在来線プラス新しくつくられた新幹線、その収支はいつ回復するのですか、百年先ですか。
  114. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもも、その点非常に重大な問題としていろいろ作業をしたり勉強したりしております。かつては、大体十年以内に東北新幹線、上越新幹線含めて、そしてその地域の在来線を含めて確実に黒字になるということを予想しておりました。しかしその後、道路が大変早いスピードで整備されてまいりました。飛行場も整備されてまいりました。私どもの工事がうまく進捗いたしませんために工事費が増高してまいりました。そういう関係で、東北新幹線、上越新幹線をいまから十年余り前に計画しました当時とは収支採算の模様が変わってきております。五年とか十年とかいう期間でとんとんになるということは困難だと思っております。最近の数字はまだ正確にははじけておりませんけれども、東北新幹線の場合にも大体五年以上かかるであろう、十年以内には黒字になるであろうという大ざっぱな見当はついておりますけれども、十年近くかかるであろう。上越新幹線の場合は、十年を若干上回る期間を経過しないと在来線とあわせての収支が償えないのではないかというふうに懸念をいたしておるわけでございます。
  115. 米沢隆

    米沢分科員 大変楽観的な予想でありますけれども、私はその話もまた裏切られるのではないかと思います。  そこで、ローカル線の赤字が大変やり玉に上がっているわけでありますが、もっと国鉄自身として努力してもらわねばならぬことがたくさんあります。一つは、昭和五十三年度の職員の取り扱いの誤りによる運転事故、阻害件数、大小合わせて百八十五件もあります。これは新聞で、いわゆるたるみ事故だとかうっかり事故だとたたかれるやつです。酒飲んで運転する、徹夜でマージャンして運転する、そして事故を起こす、こういうたぐいのやつが百八十五件もあるんだ。一体これはどれだけの損害になると思いますか。  それから、違法ストライキをやって、五十年以降五十四年まで、国鉄の試算でも九百六十七億、一千億の赤字をつくっておるのですよ。公共割引、五十三年で八百十二億。これはそれぞれの理由があるかもしらぬけれども、その他の省庁でめんどう見てもらわなければいかぬ部分だ。そういうものを皆さんが払っている。そして今度の予算委員会で問題になりました鉄道病院、四千万の収入を上げるのに支出四億使っている。こういう、皆さん自身でやらねばならぬことをやっていただければ地方ローカル線は犠牲になることがないのですよ。なるにしてもかなり後になるということになるのじゃありませんか。  大体、たるみ事故で出している赤字はどれだけだと推算しているのですか。
  116. 高木文雄

    ○高木説明員 たるみ事故ということをしばしば御指摘になりますが、たるみ事故の中にはいろいろなものがあるわけでございまして、たとえば、非常に不注意で途中駅をとまらずに行ったというような場合とか、それから脱線とかいうことにまでつながったというようないろいろな種類のものがございます。これらのものにつきましてそれぞれ幾らの金額の損害であるかということについては、率直に言って計算しておりません。たとえば、復旧に要します経費その他につきましては経常経費の中で処理をいたしております。保線なら保線の職員が、事故がありました場合はそっちの方を重点的にいたすわけでございます。それによって特に人手がふえたとか、そういう形では計算されておりません。実際はそういう事故があればそれを復旧するために金がかかるわけでございますけれども、もろもろの機材等、常備機材をそっちに回すというかっこうになっておりますので、その部分で幾ら損害がふえたかということの計算はいたしてないわけでございます。  その他、いろいろなトラブルがありますけれども、いまどのトラブルで何千万円、どのトラブルで何億円ということの計算はいたしておりません。
  117. 米沢隆

    米沢分科員 民間だったらこんなのは信じられないことですよ。事故を起こしてその損害はどれだけだという計算もしてない。それだけ原価主義がいいかげんだということだと私は思いますね。いわゆるたるみ事故、人身事故を起こしたらこれは補償しなければいけません。その間ダイヤは乱れますから利益が失われますね。修繕費も膨大なものになりますね。復旧のための人件費、ものすごく食いますね。時間外もやりますね。こういうものを計算したら、この百八十五件の事故なんというのは相当の金額になっていると私は思いますよ。では、そいうのをなくすために訓練をしよう。あの三河島事件以来、枠内訓練というのを皆さんやられましたね。しかし結果的にはいまほとんどやられていません。あるいはまた運転関係業務適性考査、これを労使協定を結んでやろうとした。そして具体的には非適性者を出して、そういう人は配転させた。それも労使の荒廃からやられていませんよね。確かにたるみ事故をなくそうとして努力をされていると言いますけれども、実際はいままで決めたことまでやっていないのですよ。これで事故はちゃんと起こすのですよ。その事故はまた物すごい赤字をつくるのですよ。そういういろいろな意味で、赤字ローカル線をやる前に、皆さんが姿勢を正してやらねばならぬことがある。そんなことは、やることをやってからやってもらいたいと私は思います。  これで質問を終わります。
  118. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で米沢隆君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  119. 坂井弘一

    坂井分科員 関西新国際空港は国の必要性から建設されるものでありまして、そういう意味ではあくまでもナショナルプロジェクトの位置づけをすべきであると私は考えます。最近ややもすると、成田空港と違いまして、この関西新空港は関西のためにつくるのじゃないか、そういう宣伝が政府筋からきわめて高らかに出されてきておる。ということになりますと、どうもそういう考え方では、建設費につきましても地元負担を応分に求めよう、あるいはまた地域整備計画に対する国の取り組みが非常に消極的である、こういう形になってあらわれてきているのではないか。冒頭申しましたように、あくまでもナショナルプロジェクトであるという位置づけのもとに積極的な姿勢というものを、当然国の必要性ということを基本にしながら、かつまた近畿の地盤浮上に資する、こういう考え方で進めるべきではないか、このように実は私は考えるわけでございます。そういう基本的な考え方を踏まえながら、幾つかの問題につきまして具体的にお尋ねをしてまいりたいと思いますので、お答えは率直に簡明にお願いをいしたたいと思います。  そこで、先日の予算委員会で松木航空局長の御答弁がございました。いわゆる空港本体計画及び環境影響調査、この結果については三月末をめどにして最終の詰めを行いたい、こういう御答弁であったと思います。運輸大臣お尋ねいたしますが、この二つの計画については若干おくれる、大体めどとしては若干おくれまして、関係府県つまり大阪、兵庫、和歌山県に提示する時期、それは六月ないし七月ごろ、こんなところだと見てよろしゅうございますか。及び、地域整備大綱については、それよりもまたややおくれる、こういう感じでしょうか。
  120. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 工法問題等もございますし、環境問題、地域整備について地元の御理解を得なければならないといういろいろな問題がございますので、いささか決定が延びるのではないかと思います。その点の詰めを事務当局が行っておりますので、航空局長からお答えいたします。
  121. 松本操

    松本(操)政府委員 いま大臣お答え申し上げましたように、細部の詰めを審議会を通して鋭意やっておるわけでございますが、いまの時点で御質問に対し相当の正確さで何月ごろというふうにお答え申し上げるのは、正直な話ちょっと自信がございませんが、夏ごろにはというふうにお考えいただいてもいいんじゃないかというふうには思っております。私どもとしても、おくらせたくないという気持ちは非常に強く持っておるわけでございますけれども、事柄の性質上、詰めるものは詰め、整える資料は整えなければならないという面もございますので、当初の意気込みほどには作業が進んでいないということもございますので、五、六月というふうに当初申し上げておりましたのが、どうおくれてもまあ夏ごろにはというぐらいの感じで何とか仕上げたい、こう思っております。
  122. 坂井弘一

    坂井分科員 そういたしますと、夏ごろということになりますと、地域整備大綱、これもあわせて三位一体、三本一緒にお出しになる、大体そういうようなところでしょうか。
  123. 松本操

    松本(操)政府委員 私どもとしては地元の強い御要望も承っておりますので、できる限りいわゆる地元のおっしゃる三位一体の形をとりたい。ただ、これは最近ずっとお断り申し上げておるように、地域計画につきましては、やはり関係省庁との詰めというものもある程度きちっとしておかなければなりませんので、一緒に出したいと思いつつも多少はおくれるというぐらいの感覚にあるいはなるかもしれない、こういうことでございます。
  124. 坂井弘一

    坂井分科員 そうしますと、この建設工法、つまり埋め立てか浮体か、このことについては審議会の答申が三月いっぱいで何とか得られるのじゃないか、こういう予想のようでございますが、これも若干おくれる、しかしいまの三つの計画、これが夏ごろというその夏以前に、少なくとも府県に提示する前に、埋め立てか浮体かについては決まる。五月、六月くらいの段階には発表できますか。
  125. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほどもお断り申し上げましたように、五月か六月かというぎりぎりのラインでのお答えが非常にいたしかねる状態にあるわけでございます。小委員会の方の作業もすでに五回の会合を重ねましたが、しかしまだ委員の御意見を伺いますと、もう少し調べてみる必要があるのじゃないかという御意見もかなり強うございます。鋭意努力はいたしますけれども、夏ごろにというその前に、ともかく審議会としてのまとまった御意見はちょうだいしなければならない、こういうふうな段階になろうかと思います。
  126. 坂井弘一

    坂井分科員 ですから、それが明らかになるのは、空港基本計画が府県に提示されるという段階で初めて浮体か埋め立てかがわかるということですか。そうじゃなくて、少なくともこの計画が府県に提示される以前に建設工法については明らかになる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  127. 松本操

    松本(操)政府委員 審議会の方からどういう形で答申がいただけるかというのはいまのところ予測しかねる面がございますが、しかし少なくとも審議会で調査検討、審議をなさった結論というものが何ふかの形でまとまって出てくる、それを踏まえて、先生おっしゃいます空港計画というものがまとまっていくわけでございます。その事前の段階で、とりょうによりましては物の考え方がかなりはっきりしてくるということはあるかもしれません。
  128. 坂井弘一

    坂井分科員 環境アセスメントそれから地域整備大綱、それの内容をいよいよ夏ごろに府県に提示されまして、府県においてはその可否判断をしなければならぬということで寄り寄り作業が始まる。住民の意見も聞かなければいかぬ。府県からの可否判断を求めるめどとしては、当初は十一月ごろ、これはどだい無理だろう。夏に提示して秋にその可否判断ということは時間的に非常に短い。したがって、十一月の府県からの可否回答、これは先になりますね。どういうように予想、腹づもりをされておりますか。
  129. 松本操

    松本(操)政府委員 これは私ども従来から府県の判断をいつまでにいただきたいというふうなことを積極的に申し上げたことはないわけでございますが、先ほど来述べておりますように、当初は五、六月にもというふうな気持ちがございました。そういたしますと、一方、先生御案内のように、来年度の予算というのは大体年末に政府原案がまとまってまいります。その時点に、その地元の方の意見がもし固まっておれば、これは政府原案の議論の過程に非常に強く反映させることができる、こういうふうなことを私どもが言ったというのではなくて、そういうからくりを踏まえて、十一月ごろにはとか、十二月早々にはとかいうような話が主として地元の方から言われていたことは私も承知はしておるわけでございますが、しかし、これは非常に大事な問題をお決めいただくわけでございますので、こちらの方からいつまでに返事をいただきたいとかなんとかいうふうなたぐいのものでは恐らくなかろうかと思います。私どもとしては、できる限り精緻な、十分説明のつく案を提示することに努力をする、地元の方はまたそれを受けて、おっしゃいますようにいろいろと内部的な調査検討もなさると思いますけれども、できることならなるべく短い期間で合意に達することができればいいな、この程度のことでございますので、十一月だ十二月だとか、いや来年の三月だとか、そういうふうな期日を挙げていろいろと論ずるというふうな考えはいまのところ持っておりません。
  130. 坂井弘一

    坂井分科員 いずれにしろ夏ごろに出されるであろう三つの計画案、運輸省の方からいつまでにということは言われないわけですね。しかし、できるだけ早い方が好ましいであろう、こういうことですね。それはそれで一応了といたしました。  それで、環境アセスメント、これは提示されましても事前の計画段階のものでありまして、いよいよ着工だということになりますと、事業アセスメントといいますか、もう一度やる。たとえば、アクセス等も踏まえて重ねてアセスメントをやる必要があるであろうと思うのです。つまり、平たく言いますと、アセスメントというのは二回行うということになりますか。それはどうでしょうか、簡明にお答えいただきたい。
  131. 松本操

    松本(操)政府委員 現在しておりますアセスメントは、空港計画案を詰めていくのに不可欠なものというふうに理解をしておるわけで、それによって計画案が固まり、次の段階といたしまして、合意が成り立てばそれをもとに今度は具体的な絵がかかれていくわけでございますので、現実にどこにどういうふうな作業をするかというその作業のありよう、規模等にもよるかと思いますが、先生のおっしゃるようなその工事、その作業に限った形での何らかの環境上の事前調査というものが必要になってくるケースはあり得るというふうに思います。
  132. 坂井弘一

    坂井分科員 ケースはあり得ると思いますね。やらなければならぬだろうと思うのですね。つまり、計画段階のものをプレアセスメントという位置づけをすれば、いよいよ実施段階では本格的なこの実施に対応するアセスメントをやる必要があるだろう。もしこれを事業アセスメントというように位置づけをすれば、この事業アセスメントで地元がどうも好ましくない、こういう結果が仮に出た場合に、これはもうすでに可否判断では可としておりながらも、建設段階の事業アセスメントでは好ましくない影響が出てきた、こういう場合には、たとえば土取りの場所を変更するとか、その他そういう一定の何らかの変更、そういうものによって事業アセスメントの結果を何とか満足させていこう、こういうふうな作業になりますか。それはいかがでしょう。
  133. 松本操

    松本(操)政府委員 いま土取りの例をお出しになったわけでございますが、工法そのものがまだ確定しておりませんので、仮定の上の仮定のお話のようになって恐縮でございますが、仮に土取りということが具体的な問題になってくるといたしました場合、一般論的に土取りというものをどう処理するかという環境事前評価は、計画案をつくりますまでに行われていなければおかしいと思います。  しからば具体的にどこそこの土をどうやって取るか、こういう議論が出ました場合には、環境事前評価のときに決めました一つのルール、合意に至りました枠組みがあるわけでございますから、これをはみ出さないということが絶対の要件に恐らくなりましょう。その枠の中で具体的に作業をするのにどうするかという点についての詰めといいますか事前評価といいますか、これが必要になるであろうと先ほど私はお答えしたわけでございまして、したがって、その場合の評価のありようということは、むしろ逆に作業のありようを詰めることによって、最初に基本計画をつくりますときに合意のできた枠組みをはみ出さないという形で具体的な問題を詰めていくというのが大筋になろうかと思います。  どうやってみてもそれができないということがあるのかどうか、これはちょっと私いまこの時点で予測をもって云々しかねるわけでございますが、しかし、最初の事前評価で大きな枠組みというのが合意されるのであれば、その合意の枠の中で個々具体的な作業が行われるように、さらに詰めた評価をするという必要はございましょうし、その結果、ぐあいが悪いところがあれば、むしろやり方をいろいろと工夫をしていくというふうなことで同じ方向に行くようにするということが必要ではないかと思います。
  134. 坂井弘一

    坂井分科員 この問題は余りあれしても答えが出ないかと思います、まだ予測の段階ですから一ね。  ただ、土取りのありようを検討する中で、計画段階で一応合意しているわけですから、その枠を外すわけにはいかぬという考えもよくわかる。わかるけれども、たとえば土取りの候補地を一切変更しないということがちょっと無理なような事態が生ずるかもわからぬ、そんなようなことを実はちょっと危惧するわけです。このことについては、まだ先の段階ですからこれ以上の踏み込んだ議論は避けたいと思います。  運輸大臣どうですか、この間の御答弁では、この事業主体はどうも公団は無理だろう、第三セクター方式に大体もう傾斜したような感じを大臣おっしゃったと思うのですが、腹づもりはやはりそういうことなんですか。
  135. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 この空港は、日本の代表的な空港にもなり、また、地元にも御理解のいただける、役に立つ、しかも地元と協調できる空港をつくらなければならないということでございますので、この建設の主体あるいは建設後の運営その他につきましても、地元とよく御相談を申し上げまして考えていきたいと思っております。  この間、第三セクターのような考え方もありますという御答弁を申し上げたわけでございますが、なおさらに検討を続けてまいりたいと思います。
  136. 坂井弘一

    坂井分科員 これは地元負担等々の問題も絡んでまいりますので、慎重に御検討いただきたいと思います。  それから、具体的に、先ほども出ました土取りの候補地の問題なんです。運輸省は、いま調査段階で、和泉高城山系と淡路島に十数カ所候補地の一応調査をやっているようですが、この場所は一切明らかにいたしませんね。もちろんされるおつもりもないと思う。そこで、まず既定の作業として十数カ所の候補地を選んだ。和歌山県下では二カ所お選びになっておりますな。一カ所は、和歌山市加太の深山、大川両地区にまたがる高森山から北側の四国山周辺約二百ヘクタール、いま一つは、那賀郡岩出町根来周辺の国有林約二百ヘクタール、これが十数カ所のうちの二カ所の候補地として上がっている。もっとも、埋め立て工法になる場合においては、最低約五億立方メートルの土砂を必要とする。そのうち約二億立方メートルを和歌山県下における二つの候補地から土砂を得よう、こういう計画のようでございます。いま指摘しましたこと間違いございませんか。
  137. 松本操

    松本(操)政府委員 工法の検討の一環としての埋め立て工法の検討のためには、どうしてもどろをどうするかという議論が入らないわけにはまいりませんので、そういう意味で、どういうところに土取り場として適当なところがあるのだろうか、もしそこを土取り場とした場合に、公害問題を踏まえて可能であろうかどうであろうかというふうな点についての調査をしたことは事実でございますが、いま先生おっしゃいますように、十何カ所すべてがあくまで調査の対象のみでございます。具体化するということを前提としての調査ということではございません。土取りということを具体化する場合には、さらにもっと詰めなければならない。そうではなくて、土取りというものを観念的に押さえました場合に、わりあいに奥地の場合もございましょうし、わりあいに海岸に近いところもございましょうし、それらについて周辺に広場があるところもあれば広場のないところもある。そういうふうなもので、一体考え方が可能かどうかということを詰めるための調査の段階としてしたわけでございますので、具体的にたとえば和歌山県に何カ所かの土取り場が候補地としてあるというふうな考え方は私どもいまのところ全く持っていないわけでございます。
  138. 坂井弘一

    坂井分科員 ただし、これは運輸省から打診されたものでしょうか、あるいは県でしょうか、市の方からでしょうか。こういうところがどうだろうか。
  139. 松本操

    松本(操)政府委員 私どもの方から県の方に、貴県における土取り場としてこういうところはいかがと言って打診したということはございません。県と内々いろいろな御相談をしなければならないことはございます。そういう場合に、土取り場としてどういう議論が成り立つのかどうかというふうなことを調査という枠組みの中でいたしたことはあるわけでございますけれども、これは埋め立てということを前提とし、どこそことどこそこからどろを取るということを前提とした上で具体的に打診をしたというふうなものでは全くございません。
  140. 坂井弘一

    坂井分科員 これはどちらかからどうとかということをいま言っても、それがどうこうという話にはならぬだろうと思うのです。ただ、和歌山県の市議会の特別委員会では、すでに県の方から打診があった。これは事務ルートでの打診であって、水面下の話である。しかしながら、非公式、水面下だけれども、これは事実であるということでもってかなり大きな問題になっておるわけであります。  最終候補地といいますか、先ほど申しました場所の北側の六十五ヘクタール、これは和歌山市が五十四年度から三カ年計画で約七億五千万円の事業費をもってっくる森林公園、これが百六十ヘクタール、この場所が含まれているわけですね。すでに森林公園には、いま言いましたように予算も国の方からついて事業が始まっておるわけです。この森林公園に至ります取りつけ道路、西脇‐美山線約六キロ、この調査設計費二千八百万円、これを計上して事業を進めておる。こういう森林公園にすでに事業が決定している場所が、候補地としてここの場所はどうだろうかというようなことが市議会あたりに公式に、非公式だとは言うけれども、つまりそういう公式の議会の場でもって確かに打診のあったことは事実である。こういうことで、そしてさらに、これに話がいろんな意味で広がってまいりまして、つまりここに一つの利権を求めようとかいう、そういうまことにおもしろくない動きが起こりつつある。こういうあり方が一体どうだろうか。実は私、非常に危惧するわけです。  農林水産省、お越しいただいていると思いますけれども、いまの場所はそういう場所ですね。こういうところが候補地となることは好ましいですか、好ましくありませんか。
  141. 松本操

    松本(操)政府委員 冒頭先生もおっしゃいましたように、土取り場というのはえてして生臭い話に走りやすいものでございます。候補すらまだ定かになっていない時点で、具体的に場所の名前が口の端に上るということは、私ども最も恐れてきたわけでございます。したがって、先ほど来るる御説明申し上げましたように、具体的な土取り場という概念で御相談をしたことはないわけでございますけれども、どういういきさつがございましたか私も必ずしもつまびらかでございませんが、新聞等によりまして、いまおっしゃいましたようなことが和歌山県会で話題に上ったということを私も承知をしまして、非常に実は困惑をしておるわけでございます。ましてや、そこがおっしゃるように森林公園の予定計画地であるということであるとするならば、仮に土を取るのには最もふさわしいところであるとしても、それは物理的に土が取れるということだけでございまして、社会的な条件その他から言って、ふさわしいという判断をするのはむしろ適当でないような気が私としてもいたします。したがって、今後ともこういったような問題が軽率に人の口の端にのることがないように、さらに一段と心がけてまいりたい、このように思います。
  142. 坂井弘一

    坂井分科員 基本的な考え方は私も全く同感です。毅然としてやっていただきたいと思います。これは地元の利害とかなんとかを超えた問題でして、この計画前の段階において、事務レベルでもってそういうようなお互いに打診をし合うということは、これは私は必ずしも否定しません。必要でしょう。でしょうけれども、いま言ったようなそういう地域というようなことになると、まさに松本航空局長のいまの御答弁はきわめて良識を踏まえた御答弁だと、私は最大の敬意を表します。そういう事業の行われるところが土取りの候補地、そんなことで、仮に非公式だったとしても内々で、県段階であろうともそういうことの打診をし合うなんということは不見識きわまる話だと私は思っております。  時間が余りございませんものですから、はしょりまして飛びますが、騒音問題は非常に大きいですね。何といいましても、加太の上空が昨年二回の調査で七十六ホンも出した。それで飛行ルートはいま大体一ないし三キロ沖合い、こういうことになっておりますけれども、これをぐっと沖へ出されますか。この飛行ルートの沖出し、これは地元も県も非常に強い要請がございます。及び夜間飛行、これもちょっと無理みたいなことのようですけれども、つまり昼間の三十分か一時間おきの実地試験飛行では、この騒音は実感として得られない。二十四時間空港ですから夜間飛行もやるべきだ。これはやはり県民感情、とりわけ騒音公害に悩む住民の気持ちからすれば当然だと思うのですけれども、しかし、技術的にかなりむずかしいようですね。一つ大きな問題は、飛行経路、これをうんと沖出しをして、そうして地域住民に騒音公害の被害を与えない、これはお約束いただけますか。
  143. 松本操

    松本(操)政府委員 まず前段の飛行コースの問題につきましては、現在審議会の方でも部会においていろいろと御議論を願っております。私どもも昨年二回の実地飛行調査をいたしまして、確かにおっしゃいますように、幾つかの地点において七十を超える騒音を記録いたしております。それはそれなりの理屈はあったわけではございますけれども、しかし、これを一つの計画として固めていくまでには、地元のそういう強い御要望を十分にしんしゃくをいたしまして、可能な限り是正の措置がとれるような方向で今後詰めていくようにいたしたい。御案内のように、飛行機の出発、進入の経路というのは、前後に非常に長い空域が要るものでございますから、片っ方だけを曲げるというふうな器用なことはなかなかしにくい。したがって、全体的な枠組みの中で動かさなければならない、そういう制約はございますけれども、できるだけの努力をしていくようにしたい、このように思っております。  夜間飛行につきましては、現在、これは海の上で、無線施設その他何にも置きようがございません。やはり目で見て飛ぶ、つまり有視界飛行で飛ばないわけにはいかないわけであります。でございますから、夜も飛んで耳をならしていただくということでの夜間飛行ということになりますと、航空の安全上非常にむずかしい問題があるというふうに私ども思います。これも地元の強い御希望のあることは重々承知しておりますので、どこまでできるか、そのものずばりでなくても類似のものができるということぐらいはできないだろうかというふうなことをも含めまして今後もう少し詰めていきたい、このように考えております。
  144. 坂井弘一

    坂井分科員 時間が参るようでございますので、最後にこのアクセスの構想につきまして道路、それから鉄軌道、いろいろ具体的な要望も県からもあり、出先においてはその辺の内々の折衝といいますか、打診というのでしょうか、そういうことが行われているようでございます。このことにつきましても、いまの段階では明らかにするわけにはいかぬだろうと思いますが、ただ、空港本体の計画が心臓部とすれば、こういう幹線的なアクセスについてはこれは血管みたいなものですから、これを抜きにして地域整備計画を立てろと言う方がこれまたどだい無理でして、そういう意味では私は、むしろ思い切って、アクセス等については国の基本的な考えはこれとこれとこれだ、鉄道、道路あるいは海上、こういう構想がある、これを一つの計画案として地元において一むしろ積極姿勢がこういう場合には大事じゃなかろうか、こう思います。あえて御提言だけを申し上げておきたい。  時間が参りましたので一言だけ運輸大臣にお伺いしたいと思うのですが、奄美群島の例の航空路問題につきまして、現在あの各島々に航空路が開設されまして、本土との交通機関としてだけでなくて経済、文化的な交流が離島振興に非常に役立つということでございますが、ただ、この関係者の長年の悲願でありました東亜国内航空が計画しております鹿児島‐大阪線への全日空との相互乗り入れ、いわゆるダブルトラック、このことについて運輸省がこの相互乗り入れをかなり前向きに検討を進めてこられてきたようでございますが、どうでしょうか、この実現の見通し。ダブルトラックというそうした離島振興のための強い要請に対しまして大体計画が詰まってきたんじゃないかと思いますので、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  145. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 御要望も非常に強いものがございますので、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  146. 坂井弘一

    坂井分科員 終わります。
  147. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で坂井君の質疑は終了いたしました。  次に、小川国彦君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として新東京国際空港公団総裁大塚茂君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。     〔近藤(元)主査代理退席、兒玉主査代理     着席〕
  148. 兒玉末男

    兒玉主査代理 小川君。
  149. 小川国彦

    小川(国)分科員 私は、成田空港の重要な問題として、パイプラインの問題について大臣並びに総裁に質問いたしたいと思います。  最初に地崎運輸大臣に伺いたいと思いますが、暫定輸送の期限切れの時期はいつかということについて、大臣は御承知しておりましょうか。
  150. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 五十六年の三月までと承知しております。
  151. 小川国彦

    小川(国)分科員 これについては、昭和五十年八月二十九日の閣議決定におきまして「新東京国際空港への航空燃料輸送については、暫定的に鉄道輸送によるものとし、鹿島港を経由するものについての期間は、当該輸送開始後三年以内とする。」こういう決定がございますが、このことも御承知でございましょうか。
  152. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 承知しております。
  153. 小川国彦

    小川(国)分科員 そういたしますと、大臣は、この五十年の閣議決定は生きている、こういうふうに理解しておりますか。
  154. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 生きておると存じます。
  155. 小川国彦

    小川(国)分科員 生きている限りはこれは守らなければならない。当然そういうふうに御判断されますか。
  156. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 守るべきだと存じております。
  157. 小川国彦

    小川(国)分科員 次に、公団総裁に伺いたいと思いますが、公団総裁はこれまでの国会の中におきまして、五十四年の三月二十二日参議院におきまして、「お約束の、暫定輸送開始後三年、すなわち五十六年の三月までに工事を完成させるということで全力を傾注しておるところでございます。」ということで、五十六年三月を明確に約束されました。それから、同じく五十三年の六月六日衆議院におきまして、五十三年の七月に着工し、三十二カ月、二年八カ月をもって五十六年三月に完成ということをやはり大塚総裁が明言をされました。さらにそれを裏づけますように、空港公団の増村パイプライン担当の理事も、二十四時間体制で取り組んでこれを仕上げる、これは五十四年六月一日の衆議院におきまして。それからさらに、五十四年の三月十六日の同じく衆議院におきまして、増村パイプライン担当理事は、その期間までに仕上げる、これは五十六年三月三十一日までに仕上げる、貨車輸送は変わっていく、いわばやめる、こういう発言をいたしております。五十四年三月十六日、衆議院におきまして、期限内に終わる、こういうふうに答弁しております。こういうふうに公団総裁とパイプライン担当理事が衆参両院のいろいろな場において五十六年三月までに本格パイプラインを完成して暫定輸送はやめますということを明言してきておりますが、この衆参両院での約束というものは当然果たされるというふうに理解しておりますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  158. 大塚茂

    ○大塚参考人 先ほど大臣から御答弁ございましたように、閣議決定のあることを重々承知をいたしておりますし、当然五十六年三月までに完成をさせなければいかぬ、そういう決意と意気込みで目下の工事に全力を傾注しておるところでございます。
  159. 小川国彦

    小川(国)分科員 努力を傾注しているということでは済まないと思うのですね。衆参両院に対して何回も、私が拾い上げただけでもかなりな回数にわたってそういうことを明言してきている。それから、輸送に当たっての沿線の関係自治体、千葉県、茨城県、関係の市町村とそれぞれ覚書を交わしてきている。それからまた資材置き場からパイプラインの地主あるいは占用期限の問題、あらゆる面において五十六年三月ということを約束したいろいろな覚書なり公文書なりを出してきている。これは天下周知の公的な約束であります。したがって、いまさら努力するというような形では言い逃れできない厳粛な事実があると思うのですが、そういう事実は総裁として認識なすっておりますか。
  160. 大塚茂

    ○大塚参考人 おっしゃられますような約束をしておりますことをよく承知をいたしております。したがって、どうしてもこの約束は果たさなければいかぬということで全力を挙げておる次第でございます。
  161. 小川国彦

    小川(国)分科員 それだけの約束でございますから、それが果たせないときには総裁としての当然責任が存在するということも御自覚であろうと思うのです。  そこで、私は次に、そういうような状況に置かれている政府なり公団の立場において、いま成田市土屋に石油ターミナルタンクの貨車おろし施設の建設に取り組まれております。これが現在三基あるわけでございますけれども、さらにもう一基建設に取りかかっておりますが、この四基目の申請はいつ出されたのか、また着工予定日はいつか、完成予定日は、工事費は幾らか、この点についてまずお伺いしたい。
  162. 大塚茂

    ○大塚参考人 土屋のターミナルの改造は、タンク一基ということではなしに、むしろ主眼は荷おろし施設の拡張といいますか、増設といいますか、これが主眼でございまして、その中にはタンク一基も含まれておるわけでございます。これは、実は昨年の七月二十日に消防法による許可の申請を出しまして、八月十五日ごろから着工したいという予定でございましたが、許可の方がいろいろおくれたというようなこともございまして、着工が十一月になって、今日に及んでおるという状況でございます。
  163. 小川国彦

    小川(国)分科員 完成見込みはいつにお考えになっておりますか。
  164. 大塚茂

    ○大塚参考人 完成見込みは、最初三月二十九日と予定しておりました。申請書にはたしかそんなところでございますが、着工がおくれましたので延びて、大体七月になるんじゃないかというふうに考えております。
  165. 小川国彦

    小川(国)分科員 これは七月中には完了するというふうにお約束できるものですか。
  166. 大塚茂

    ○大塚参考人 七月中に工事の方は完了する予定でございます。大体間違いないと思っております。
  167. 小川国彦

    小川(国)分科員 工事が完了して、それが供用開始されるのはいつでございますか。
  168. 大塚茂

    ○大塚参考人 ブラッシングに約一カ月要りますので、八月末ないし九月初めから使えるようになると考えております。
  169. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうしますと、八月末か九月初めに供用する。遅い時期にいけば九月に供用開始する。そうすると、七カ月したらこの施設は使用を禁止するわけでございますね。それに要する予算というのはいま幾らかかるわけでございますか、この建設に要する費用。
  170. 大塚茂

    ○大塚参考人 全部入れまして約六億一千万円でございます。
  171. 小川国彦

    小川(国)分科員 六億一千万円をかけたこの貨車の積みおろし施設は、この九月に供用開始して、来年の三月で使用を終える、こういうことになるわけでございますね。
  172. 大塚茂

    ○大塚参考人 そういう予定でございます。
  173. 小川国彦

    小川(国)分科員 その後の使用はお考えになっていないのですか。
  174. 大塚茂

    ○大塚参考人 いまのところ考えておりません。
  175. 小川国彦

    小川(国)分科員 そうすると、暫定パイプラインの期限が三月三十一日でございますから、これの終了時点においてこのものは当然用途を終わる、こういうことになりますね。そうしますと、当然地主との約束に基づいて、地主から要請があって協議が調った場合はこれを撤去しなければなりません。撤去する場合の費用はどのくらいお考えになっていらっしゃいますか。
  176. 大塚茂

    ○大塚参考人 賃貸借契約によりまして、原状復帰について協議をするということに、御承知のとおりなっております。その協議によってどの程度の原状復帰をやるか。地上の施設を撤去するだけでいいのか、もともとのたんぼにまで原状復帰をするということにするのか、いろいろ段階があると思いますので、それぞれの段階によって原状復帰の費用も異なってくると思いますが、いまの段階ではそれらについて正確な算定はいたしておりません。
  177. 小川国彦

    小川(国)分科員 常識的にたんぼに返すことは考えてないと思う。更地に返すことを考えていると思う。そうすると、いまございます三基のタンク、建設中のタンク、それから荷おろし施設、これを来年の三月三十一日に返還をするということになりますれば、もう完成時期から撤去の計画を立てなければならないし、予算も組まなければならないと思うのです。そういう予算の検討についてはいつごろお始めになるわけでございますか。
  178. 大塚茂

    ○大塚参考人 来年度予算編成までには考えなければいかぬというふうに考えております。
  179. 小川国彦

    小川(国)分科員 そういたしますと、九月に完成してそして今度半年後の契約解消時点を目指して撤去の予算を五十六年度予算で組み始める、こういうことになりますと、六億一千万かけた施設をつくりました、半年後に今度は撤去です、こういうことになるわけでございますが、これは重大な国損ではないかというふうに考えますが、運輸大臣、こういうような空港公団の施設の取り組み方について、大臣はどういうふうに御判断をなさいますか。
  180. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 このただいま問題になっている点についてよく説明を聞いておりませんので、これから説明を聞きまして判断をいたしたいと思います。
  181. 小川国彦

    小川(国)分科員 何ですか大臣。いま私がずっと質問してきた事態は、説明をされなくても、大臣の頭脳で判断されなければならない事態でございましょう。六億一千万円という金をかけて、まだ三割程度しかできてない。これから仕上げて、供用開始が九月で、そして来年の三月にはその土地を地主に返さなければならない事態になって、しかもその使用は来年の三月で終わるというわけですよ。そういうようなものを大臣の判断として、これが国の予算の使い方としてむだ遣いではないのかという判断は生まれないのかどうかです。   それからさらに、私はまだ触れておりませんが、具体的に果たしてこのタンクが必要かどうかという根拠についてもきわめてあいまであるわけです。その点に大臣は、大臣としての判断が下せないのですか。この程度の判断を一国の大臣ができなければ困るのです。
  182. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 燃料輸送についての対策のために考えられたことだと存じますので、内容については総裁から答弁させます。
  183. 大塚茂

    ○大塚参考人 このタンクの改造といいますのは、単に収支面からだけを考えてやったわけではございませんで、成田開港いたしまして、それまで非常にたくさんの新規乗り入れとかあるいは増便要求というものが各国からあったのでございますが、それらに対して燃料の制約で応じ得ないという状況にあるということは、成田が日本の表玄関として開港したのに非常に問題であるという点がございまして、何とか燃料の増量を図りたいということが一つ大きくあります。そのほか、現在の設備で七列車をさばいておるわけでございますが、これが時間的に非常に窮屈でございまして、一便おくれた列車が起こりますと、その次、次に影響をして、深夜作業等非常に困難な作業をやらないといけないとかというような事柄、あるいは深夜の貨車の入れかえ等によって付近の方々に及ぼす騒音の問題、あるいは深夜便ということになりますとどうしても相当の危険等もありますので、運転の安全という面からいいましても、できるだけ設備を増設をいたしまして深夜便をなくするかあるいは少なくするというような措置を講じる必要がある、そういうことを考えまして、ただ収支面でもそれでは全然成り立たぬのかといいますと、大体私どもは……
  184. 小川国彦

    小川(国)分科員 いや、もうわかりました。いいです、その辺で。  総裁の答弁はもうでたらめですね。長々とやっているんですが、あなたの方では昨年の十一月にいろいろな燃料の必要度が高まってきたということで、従来五千キロリットルを五千五百キロリットルに増便した。このために貨車輸送についても国鉄当局に無理な要求をした。反対した労働組合に対して、ストライキまで行った労働組合に対しては書記長を解雇するようなことまで国鉄にやらした。そういうことをやって無理に国鉄に輸送の増量計画を押しつけているのですね。現実に成田の燃料輸送の実態調査を私どもの方でいたしましたところが、五十四年の十一月において運休が二日、十二月には運休の日が四日、それから五十五年の一月になりますと運休が六日、五十五年二月になりますと五日、そしてことしの一月、二月を見ても七万キロから九万キロの燃料列車を運休させているんです。燃料輸送の増強が必要だからということで車両の増加計画まで国鉄に無理強いをさせて、ストライキの反対を押し切ってまでやらせている。現実にこういう運休の事態まで起こっている。増量の必要性というのはこういう面からも考えられないですね。そういうふうにして見ると、このタンクの建設は非常にむだではないか。  それからもう一つ、そのタンクの建設にあわせて化け物がつくられているというのですね。その化け物は何かといったら、従来貨車からタンクヘの集油管、油を集めて貨車からタンクヘ持っていくのは十六Bで四十ミリメートルの直径で長さ二百五十七メートル、十八両編成の列車で運んでいた。ところが今回は九十Bというやつで二千三百ミリメートル。ですから従来四センチの管で運んでいた配管を二メートル三一十センチですから、私調べてまいりましたが、人間が入って楽に通れるような大きな管を長さ三百メートルで、二十二両編成のものを受け入れられる、いわゆる千三百五十キロリットルの今度つくるタンクと同量が入るだけの配管をしているのです。地元ではこれをお化けと言っているのです。なぜかといったら、貨車からタンクヘ運ぶのは、従来四センチのパイプで済んでいたわけなんです。それを二メートル三十センチものこんな大きな管にかえているのです。言うならば、四基目のタンクに五基目のタンクも増設工事でやっているんじゃないか。一体来年の三月で打ち切られる暫定輸送のために、何で、こんな配管設備をしなければならないか、これは明らかに五基目のタンクじゃないか、こういうふうに言われているわけなんですね。しかしこれをタンクだということになると、皆さんの方はタンクのそばには保有空地というのですか、三百メートルの、長さの管であれば、その先三百メートルの空地を消防法上置かなければならない。その用地を買わなければならない。ですから、きょう自治省の方来ていて時間があればただしたいのですが、これはタンクじゃなくて配管だ——貨車からタンクヘ送る配管が二千三百ミリなんというのは、恐らく見たことないと思うのですね。こんなどでかい管です。それをあわせてつくっておる。こういうことは、これが両方合わせて六億一千万ということだそうでございますが、大臣、これ、ガソリン、燃料の増量を必要とする根拠があいまいで、運んでくる列車が在来は月二日しか休まなかった、それが四日も六日も休みをとるというほど燃料輸送が下がってきている。下がってきているのにこのタンクをつくって半年でそれは使用を終わるというのですね。これはやはりどう考えても国の予算のむだ遣いじゃないか。  大臣、これは一度現地へ行って検討して、予算使うばかりが大臣じゃないですから、節約してもらうのも大臣ですから、現地に行ってこれを確かめて、大臣の判断でいかがすべきかということを、少なくともそれだけは大臣の職務としてやっていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  185. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 半年間で六億余りのお金が使われるということは大変むだ遣いのような感じがいたします。ただし、空港の機能を発揮させるための所要の施設を行ったとすればやむを得ないものだと存じますが、先生おっしゃるように、私も近く体が少しあきましたら現地を見てまいりたい、かように存じております。
  186. 小川国彦

    小川(国)分科員 体があきましたらでは困るので、大臣、六億という予算は国民にとってみれば血税です。地元の市町村の幹部の人も住民の人も、これは大変な予算のむだ遣いじゃないかという声が高まっているわけです。ですから今国会、しかもこの予算がどんどん使われてきてしまってからでは意味がないわけで、国会審議のできるだけ早い時期に参るということをひとつはっきり約束していただきたいと思います。
  187. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 できるだけ早い機会に視察いたします。
  188. 小川国彦

    小川(国)分科員 あわせて会計検査院にお伺いをしたいと思うのですが、会計検査院は諸官公庁のこうした予算の執行について厳しく会計検査の仕事をしてきておられると思うのですが、いまお話しのように閣議決定という非常に重い性格のものです。成田空港の決定がされましたのも閣議決定で、十四年の歳月もかけて今日まで大変な犠牲を払ってやってきた。それはなぜか。閣議決定ということがあるからです。今度は、五十六年の三月でやめるという閣議決定は同じ比重の重みを持っていると思う。それを考えるならば、これは政府の責任でも来年の三月三十一日で暫定輸送は当然やめなければならないでしょう。しかるに、九月から供用開始して半年後にやめるというのに、六億一千万の工事を続行させるということは会計検査上いかがか、こういう判断があるべきだと思います。現在工事は三割程度と私どもの判断で思えるわけですが、大臣が現地に行っていただくこともいま約束を得ましたが、会計検査院として国の予算のむだ遣いを改めさせるという役所の立場から、この問題についてどういう見解をお持ちになるか、承りたいと思います。
  189. 飯郷輝元

    飯郷会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいま先生のお話承っておりまして、私どもも旧来から、成田の空港公団の建設につきましては慎重に十分なる調査、検討を行うように努めてまいったわけでございます。そしてまた施設の増設その他につきましては、その投下するところの費用とその効用等につきましてむだの生じないようにというふうに、検査の都度を通じましてわれわれの意見も申し述べてまいってきております。  今回で申しますと、来週から実は空港公団の工事現場につきまして約一週間の予定で検査することになっております。その際に、ただいま先生のお話しの内容もよく踏まえまして十分に調査、検討して結論を出したい、こう考えております。  以上でございます。
  190. 小川国彦

    小川(国)分科員 それからさらにもう一つ、この問題の供用開始に致命的な問題点がございます。これについてお伺いいたしますが、この改修を行って仮に九月から供用を開始しました場合、現在十八両の輸送について改修後は何両輸送にしようとお考えになっておられますか。
  191. 大塚茂

    ○大塚参考人 これは今後とも航空需要の伸び方等とにらみ合わせまして、輸送当局あるいは地元関係者と協議の上でどれぐらいにするかということを決めたいと思っておりますが、私どもとしては、できることなら鹿島方面からの五列車は全部十九両にしたい、かように考えております。
  192. 小川国彦

    小川(国)分科員 最大限二十二両という御計画、今度の延長の中には二十二両まで計画がお立ちになっているんじゃないですか。
  193. 大塚茂

    ○大塚参考人 最初私どもとしてはできることなら二十二両までという計画をいたしましたが、その後関係機関と詰めました結果、増結は十九両が限度であるというようなことがはっきりいたしましたので、着工前に十九両に計画を変更いたしております。
  194. 小川国彦

    小川(国)分科員 その点については、貨車輸送を担当する国鉄当局と協議はなさっておりますか。
  195. 大塚茂

    ○大塚参考人 協議をいたしました結果、十九両までということになったわけでございます。
  196. 小川国彦

    小川(国)分科員 その沿線輸送の中において、ポイントの切りかえ、いろいろな構造の改善、そういったものも必要になろうかと言われておりますが、その点についても御協議なすっておりますか。
  197. 大塚茂

    ○大塚参考人 詳細な打ち合わせの内容まで私実は承知いたしておりませんが、結局国鉄としてはその事実を踏まえて今後のダイヤ編成にお考えをいただけるものというふうに考えております。
  198. 小川国彦

    小川(国)分科員 それではその点は今後の問題として、私ども伺っている事実と若干違っておりますが、最後に本格パイプラインの完成見通しについて、当然国会の内外で約束をされてきたことなので、工事は順調に進展しているものと思いますが、大臣として一月二十四日千葉県知事に会った際、どういうことをお約束されましたか。
  199. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 いろいろ用地問題等難航しておりましたが、ほとんど解決して全面着工できるようになりましたので、御期待に沿うように完成をいたしますというお話をしております。
  200. 小川国彦

    小川(国)分科員 その完成をいたしますということをお約束をされたわけでございますか。
  201. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのとおりでございます。
  202. 小川国彦

    小川(国)分科員 私ども現実にパイプラインの現地についていろいろ研究調査をしている方々のお話を伺っても、総額で一千四十億円、そのうち五十三年度までの実施済み額というのは百九十五億円、それから五十四年度の実施見込み額が三百六十七億円、五十五年度の実施予定額が四百七十八億円、いわば実施見込み額と実施予定額が八百四十五億円ということで、一千四十億円のうち八百四十五億円がいずれもまだ工事中というような状況で、五十六年三月ぎりぎりには完成をしないで、まあ一説にはもう二、三年かかるのではないかというような見方もされているのです。  重ねて伺いますけれども大臣は来年の三月までについて、大臣政治責任をかけてもこの従来の閣議決定を守り、本格パイプラインを完成させるということを確約できますか。
  203. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 非常に工法その他を聞きますと複雑な工事でございます。しかしながら先般公団にも参りまして内容説明等受けておりまして、突貫工事をもってしても完成するように指示をしておりますので、でき上がりますことを期待をしております。
  204. 小川国彦

    小川(国)分科員 以上、暫定輸送の問題、それから本格パイプラインの問題について、大臣、総裁からそれぞれ実態を伺いましたけれども、これらは単に国会の中での発言ではなくて、あらゆる県、地方自治体それから関係住民、関係機関、それを含めての国の約束であり、そしてそれについては国が約束してきた事柄は守られるし、守られない場合には政府なり公団としても重大な政治責任があるということをお考えの上で約束を履行されるように要望したいと思います。  最後に、重ねて申し上げますが、先ほど申し上げました予算の執行上の問題については早急に取り組まれることを大臣に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  205. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 承知いたしました。
  206. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で小川国彦君の質疑は終了いたしました。  次に、山原健二郎君。
  207. 山原健二郎

    ○山原分科員 今回の国鉄再建に伴ういわゆる地方ローカル線の廃止対象の路線の問題について伺います。  新聞によりますと、八十八線区が廃止対象になっておりまして、私は四国ですが、中国、四国で八線区が廃止の対象と報道されております。四国では三つの路線が廃止対象になるということで、ところによりましては全くハチの巣をつついたような状態が起こっておるわけです。  大臣もよく御承知だと思いますけれども、一応四国の路線の地図を簡単に書いてきましたので、手渡しをいたしまして、見ていただきながら答弁していただきたいのです。  各線ともそれぞれの理由があって敷設されておるわけですから、それぞれのところにいろいろな要請が出ておると思います。その一つの特徴として、そこに出ております予土線の問題について最初に質問をいたしたいのです。  予土線というのは愛媛県の宇和島から高知の窪川をつなぐ線でございますが、この経過を見ますと、大正十一年に路線が予定されまして、それから実に半世紀にわたる運動を展開をしてまいりまして、その間、途中でダム建設などがありましたために路線の変更などがあったため施工を中止するというようないろいろな事態を踏まえながら、昭和四十九年三月、ちょうど本年で六年になるわけでございますが、やっと開通をいたしまして、国鉄当局も祝賀列車を走らすというような事態を迎えたのです。  それからわずか六年、今回廃止対象になるということで、町村長を初め愛媛、高知の沿線の町村はしばしば集会を開き、あるいは青年団は自動車を連ねて県庁に廃止反対の要請をするというようなことが起こっておるわけでございます。  まず最初に、地図を見ていただきましても、もともと四国というところは非常に不遇な状態に置かれておりまして、循環鉄道もないわけですね。循環鉄道の構想はありましても遅々として進んでおりません。その中でいま予土線はようやく内回りの循環線の性格を持っております。たとえば高松‐高知間の土讃線が、台風常襲県でありますから土砂崩れで不通になりましても、この線がやっと一本支えるというような状態であるわけでございまして、その意味では四国唯一の循環線とも言える性格を持っておると思うのです。言うならば内回り循環線と知事などは呼んでおりますけれども、そういう性格を持っておると思いますが、この認識につきまして最初に伺いたいのであります。  地図を見ていただいてもおわかりのように、まさに四国の内回り循環線の役割りを持った路線ではないかと私は思いますが、この点について運輸大臣の御認識のほどを伺いたいのであります。
  208. 山地進

    ○山地政府委員 いまお手渡しいただきました地図を拝見いたしますと、形状として循環をしているということは明らかに私どもといたしましても理解できるところでございます。ただ、この線の従来の建設経過等を調べてみますと、国鉄において建設していたものを今度は公団が引き継いで建設をして最後につながったという経緯がございますけれども、その過程において循環線であるということを明示してこの建設を進めたのだというような文書というか、そういったことが明確には私どもの手元にはございません。ただ、こうやって拝見いたしましても、明らかに循環線であるという形状についてはよく理解しております。
  209. 山原健二郎

    ○山原分科員 いま御説明がありましたように、私も確かに最初この路線が認可されましたときに、循環線と言えば中村‐宿毛‐宇和島へ出る循環、それから高知市から室戸の方を通って徳島につながる循環が考えられておったと思うのです。いまおっしゃったように、現実問題としては循環線の性格を持っておるということでございますが、大臣、私はぜひ、これはもう現実の問題として循環線の性格を持っておるといういまの御説明を御了承いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  210. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 ただいま国会に国鉄再建法案を提出しておるわけでございますが、これに対しても特定地方交通線の問題は、この法案の審議の過程において国会でいろいろ御議論いただく、そして政令で決められましてから地方協議会のようなものをつくっていただいて、地元の方々のいろいろな御意見等を承りまして方針を決めてまいりたいと思いますので、先生の御発言の循環線というような問題に対しても十分配慮していかなければならない、かように考えております。
  211. 山原健二郎

    ○山原分科員 そういうお話でございますので、そういう性格を持っておるという点、国鉄の方はいかがでしょうか。この点一言伺っておきたいのです。
  212. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 いま山地鉄監局長から御答弁ございましたように、確かにこの線は線形といたしまして愛媛地区と高知地区を結んでおる線でございまして、その意味では循環線の性格を持っている線と思います。ただ輸送量自体はきわめて少ない線区でございまして、これらの問題につきましては、いま大臣の御答弁もございましたような線で今後検討してまいることになろうかと思います。
  213. 山原健二郎

    ○山原分科員 この点はぜひ現実の問題として御認識をいただきたいということを強く要請をいたします。  それから、ただいまお話のありました乗客の問題ですが、実はここは高等学校が二つ、正確には三つですが、ございまして、大体通学、通勤の時間帯には六両編成で走っておりますけれども、一一〇%の乗客率ということになっております。したがって、たとえばバスにかえるといたしましても道路が、もちろん国道がそばを通っておりますけれども、新聞などには国道ではなく酷道という字が使われたりするぐらいでございまして、改修率が二七%あるいは二〇%というような状態でございまして、とうていバスに代替するというようなことは不可能だというのが地元の町村の考え方でございます。  そんな点から考えましても、簡単にバスに転換できるような状態ではないと思うのでございますが、この点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  214. 山地進

    ○山地政府委員 先ほど大臣から御答弁ございましたように、何が特定地方交通線に該当するのかということは今後政令で決めてまいるわけでございまして、各省それぞれいろいろ御意見がございますでしょうし、また各方面においていろいろな御議論があろうかと思います。そういうものを踏まえて政令で決めるわけでございますので、いまの段階で特定の路線についてどうだというふうなことは申し上げる段階でないと思うのでございますが、ただ、いまおっしゃったような並行道路が非常に整備されてない、つまりバスに転換することが適切でないのではないかというような御議論は、十分述べられるチャンスというのは今後あると思うのです。私どもの中でいろいろな議論をしておる段階でも、バスに転換するのに適切な路線は一体どんなものだろうかという場合に、やはり道路の状況が悪いということについては配慮するということは考えなければいけないのではないかということでございます。今後この点につきましては関係各省、特に建設省ともいろいろお話をしながら、どういったことで基準をつくっていくのかということを考えてまいりたい、かように考えております。
  215. 山原健二郎

    ○山原分科員 この路線についての赤字額というのを出されておりますが、収入が年間二億何がしですね。そして支出が十二億。差し引き年間十億円の赤字だというような数字が出されているようです。ところが沿線の自治体にとりましては、果たしてそんな赤字が出るのか。大体ほとんど無人駅でございまして、職員は高知県分が大体十五名から十八名ではなかろうかというふうに考えますと、赤字と言っておられるけれども、その赤字の原因は別にあるのじゃなかろうか。たとえば、九十九億円の工事費がかかっておりますが、その中にたとえば財政投融資の利息分も含まれているのではなかろうかとか、あるいは、国鉄が勝手に収支予算を立てまして、それに実収がどれぐらいあるか、それに満たない場合に赤字だと言うのではなかろうかとか、いわゆる揣摩憶測が出まして、実際に赤字と言われるものの基礎になる数字は一体何なのか、どういうところから赤字になるのかという疑念が出ておるわけでございます。これは説明できるのでしょうか。
  216. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 個々の線区の数字につきまして具体的に計算の過程はございますが、いろいろな経費、その線区につきまして固有の経費と、さらにその線区と他の線区と共通する経費とか、いろいろなものがございましてその計算形式は非常に複雑なものでございまして、中央でその全部を完全に把握するということは大変むずかしゅうございます。大ざっぱに申し上げますと、大体いま御指摘のとおり収入は約二億、一億九千万でございまして、経費が約十二億四千万ほど五十三年度の実績といたしましてかかっております。差し引き約十億五千万の赤字が発生しておるわけでございます。このうち資本的な経費は約一五%程度の一億七千万程度でございまして、あとは直接的なものが全部でございます。特に駅等がかなり無人化等が進んでおりますが、やはり鉄道の設備の特徴といたしまして、保守その他のためにはかなり見回り要員その他も配置しておりますので、そういった要員の費用が織り込まれておりますので、いま申し上げたような数字になるわけでございます。
  217. 山原健二郎

    ○山原分科員 この問題は、計数を出すのは、われわれ素人にもわかりませんし、市町村長にもわからないというようなことで、たとえば第三セクターとかいろいろな問題が出るとしても、個々の計算というのはかなりしっかりしておかないと、赤字の基礎もわからないでこのかわりをやるなんということはできないわけですから、そういう意味でもこの点が一つの疑問点になっております。  いまの説明で、これ以上時間をかけるわけにいきませんが、もう一つの問題は、今度の法案の中身と言われております地域の合意、二年間協議が成立しなければいわゆる見切り発車——見切り廃車といいますか、そういった点が非常に大きくクローズアップされまして不安を呼んでおるわけでございます。国鉄のいわゆる公共性の問題、あるいは住民生活の問題、あるいは地域の将来の発展の展望というような点から考えますと、これはあくまでも地域の自治体あるいは住民の意思が反映され、またそこで合意に達するということなくして勝手に打ち切るなどということは全く許しがたいことだと思うのでございますが、そういう強行をやるのかという点を伺っておきたいのです。
  218. 山地進

    ○山地政府委員 まず、住民の方々の御反対ということにつきましては私どももよく理解できるわけでございますが、今回の地方交通線対策が出てきた非常に基本的な問題といたしまして、効率的な輸送体系というのはどういうものだろうか、単にローカル線は赤字だからあるいは国鉄のお荷物になるから切るということだけではございませんで、それにかわる輸送機関というものが現在の道路の発展状況から見まして、現在の予土線については道路状況ということについて先生の御指摘がございましたけれども、一般的に言いますと、道路がこれだけ発達してまいりますとほかの代替輸送というのはできる。そうすると、効率的な輸送ができるということが前提でローカル線の方をそちらに肩がわりしていただきたい、その方が国民経済的にも有利であるということから出発しておるわけでございます。  そこで、その協議会がどんなことをやるかといいますと、国と地方と学識経験者も集まって、それじゃどういうのが効率的な輸送体系になるんだ、国鉄がなくなったときにはどうやったらいいんだろうかということについて御協議をいただく場になっておるわけでございます。そこで恐らく住民の方々の御意見も反映できるだろう。それじゃ二年ということでいいのか、私どもは二年で何が何でも打ち切るということではございませんで、私としては、二年の間皆さんとお話を続けていただければ十分な成果が得られるし、皆さんの満足が得られる結果が出るんじゃないだろうかというふうに期待をしておるわけでございます。しかも、二年たって結論が出ない場合においては、国鉄が協議の状況から考えて、これはまとまる方向にいま行っているんだろうか、あともう少しやればまとまるかどうか、これはとてもまとまらないとか、そういったことについて国鉄自身が判断をして、そして運輸大臣に廃止申請をする。廃止申請をするときには、民間の方はあるいは自分でやるということも含めて輸送計画を立てて大臣に申請すると同時に、関係の知事にそれを通知し、関係の知事が、そういう代替輸送計画というのはやはり地元の実情に沿わないということがございましたら、運輸大臣に意見を述べられる機会も設けてございますので、二年たったらいわゆる見切り発車というようなことを私どもは考えてございませんので、十分手を尽くした二年だというふうに考えております。
  219. 山原健二郎

    ○山原分科員 この前哨としてことしの十月のダイヤ改正というのが廃止への第一歩になるのではないかということでございますが、十月のダイヤ改正につきましてはいつごろ立案をされて、それが立案された場合には地元地域に対して了承を求めるという行為が行われるのかどうか、この点伺っておきます。
  220. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 十月のダイヤ改正につきましては、かなり大きな規模の改正でございますので、かなり時間がかかります。昨年の初めころから作業を開始しておりまして、大体、案がまとまりまして発表できるのがことしのもう三カ月くらいたったころではないかというふうに考えております。
  221. 山原健二郎

    ○山原分科員 その際、立案された場合に地元町村あるいは県知事等の意見を十分参酌する、あるいは納得していただくとかいうような、そういうことは行われるわけですか。
  222. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 今回のダイヤ改正は、ただいまお話のあるような線区に特定してやるとかいうことではございませんで、去年あたりからずっとダイヤ改正の作業をやっておりますが、その作業の過程におきまして、従前からいろいろありますような懸案も含めて十分検討しながら進めておりますので、発表の際に御了解を得るとか、そういうことはやっておりません。従前から、五十三年のときも同じでございますが、その過程においていろいろな懸案をできる限りにおいて取り込んでいくというようなやり方で作業を進めております。
  223. 山原健二郎

    ○山原分科員 この予土線の場合は廃止なんですね。それからもう一つ、大臣の前に地図を出しておりますが、阿佐線というのがございます。これは徳島県と高知県を結ぶ循環鉄道の一環でありますけれども、その中で後免駅、それから安芸という駅、赤線でカケカケを書いてあるのですが、これは土佐電鉄という電車が走っておったところであります。これを買収しまして、買収のときには地元の人々もずいぶん協力をいたしました。そして買収を済ませて、つまり電車の路線がなくなったわけです。そのときには、もう来年からでも鉄道が入るんだということできたわけでございますが、それ以来全く音さたなしで、後免‐奈半利のこの線につきまして、四十四・一キロのうち現在十九キロ、四四%でありますが、すでに鉄道敷設の準備ができております。ちょうど万里の長城のように途中はとぎれておりますけれども、すでにできているのですが、依然としてこれは使われておりません。そうしますと、循環鉄道の一環であり、しかもかつて電車が走っておったところ、それがなくなってもうすでに長い期間を費やしているわけでございますが、これは当然復元の路線ではないかということなんです。したがって、とりあえず後免から奈半利までは汽車の線路を敷きまして動かすべきではないかというふうに考えます。また、地元の人たちの要求もそこにあるわけなんです。実は、この電車をなくしましたために現在バスその他を使っておりますが、たとえば高知市から安芸まで行く場合に、これは去年の計数でありますけれども、汽車を使えば三百五十円であったのが現在は大体五千円必要とする、こういう状態です。学生の通学費を見ましても、電車が通っておりました場合のように汽車が走っておるとするならば、一カ月の定期が九千二百六十円でございますが、バスに乗りますと、何と三万三千七百五十円という数字が出ておりまして、三・六四倍という状態になりまして、通学もできない、通勤もできないというようなことが起こっておるのです。せっかくありました電車の路線をなくしたためにこれほど住民に対して不便利あるいは不利益をもたらしておるということを考えますと、これは復元線として第一に再現をすべきものではなかろうかと思うのでございます。また、一般の住民から見ましても、まさに線路が敷けるように工事はできておりますが、それが遊休施設になっておるという状態にありまして、これはいつまであの建造物を遊ばせておくのかというような意見が出るのも当然のことでございます。これらについては何らかのお考えがございますか。
  224. 山地進

    ○山地政府委員 いま御指摘のありました阿佐線につきましては、AB線の一つとして鉄建公団において、部分的ではございますけれども、建設が進められてきたわけでございます。ところで、先ほど来御議論のございますローカル線対策、これは国鉄自身としてのお荷物でもあり、効率的な輸送の一環としてほかにシフトするという考え方で現在進んでおるわけでございまして、片方でそういった効率的な輸送への転換を図っていく段階においてさらにAB線をつくるのがいいかどうかという議論が非常に強く起こっておることは、先生承知のとおりでございます。私どもといたしましても、こういったAB線の建設については、在来線のローカル線対策と矛盾しない形で行いたいと考えておるわけでございまして、法律におきましても、完成後、特定地方交通線に該当するような路線については、これは第三セクターで運営をしてもらうというような構成になっておるわけでございます。したがいまして、この阿佐線について線路を敷くということがぜひ必要である場合におきましては、第三セクターということで、その明確な事業主体というものをいかなるものにするかということについては、またこれも御議論があろうかと思いますけれども、そういう形で建設を進めるという道は残されているというふうに御理解いただきたいと思います。
  225. 山原健二郎

    ○山原分科員 この路線は、五十年の国勢調査によりましても、通勤、通学だけでも、通勤が五千九百七十一名、通学が千四百三十九名という数字が出ておりまして、一般乗客を除いても大体一定の経営は成立するのではなかろうかというような見解もあるわけです。  それから、いまおっしゃいましたように、路線を敷くならば第三セクターだというようなお話でございますけれども、これなども実は住民にとつてみますと、鉄道ができるものだ、国鉄が入るものだということで路線の買収に応じて、相当の犠牲も払ってきたわけですが、それがいまになって第三セクターと言われても全くわかりませんし、そういうことにされると困るということが一つ。だから、いままでどおりこの路線はさらに延長してほしいという声があるということを申し上げておきたい。  それから、たとえば宿毛線の場合もそうでございますけれども、ずっと鉄道を敷設する工事が続いているわけですが、それが遊んでおる。一定の区間ができたならば、そこは何らかの形で使用するという方法があるのじゃないかということも考えられますが、そんなことについては何かお考えを持っているのでしょうか。
  226. 山地進

    ○山地政府委員 すでに投資してできたものについてどうするのだという御議論だと思いますが、そういったことで九〇%もできているものについて、もう鉄道はやめたというのはもったいないじゃないかという御議論がかなりございます。ただ、その場合の御議論というのは、鉄道としてこの施設をどうやったら利用できるかという角度の御議論が非常に多いわけでございます。いまの先生の御指摘のように、できたものをどうやって利用するかということについては、まだそこまで研究は進んでおりませんが、できたものをそのまま廃物化するということは非常にむだな投資になるわけでございますので、それらについては、今後その利用について、もし鉄道も敷かないということになった場合はどういうふうに利用したらいいかについてさらに検討したいと思います。ただし、鉄道じゃない場合に、それを道路として使ったらどうだという議論はもちろんございます。その場合には、ただ幅が狭いということが一つの欠点かと思いますが、そういうものの利用の一環といたしまして、道路として使ったらどうだという議論があることはございます。
  227. 山原健二郎

    ○山原分科員 時間もありませんから、いま申しましたように、それぞれの路線はそれぞれの歴史的経過があってつくられたものでございますし、またそれは一定の地域の発展に貢献もしておりますし、役割りも果たしておる。まだ鉄道の任務が終わったわけではありません。したがって、この問題については当然慎重な態度がとられなければならぬと思いますし、国鉄の再建の問題につきましても私どもは一定の見解を持っておりますから、そういう意味で、ただ収支の面だけで路線を廃止するなどということではなくて、やはり公共交通機関としての国鉄の役割り、国鉄法の第一条の任務をしっかりと踏まえてやってほしいということが第一点です。  それからもう一つは、やはり地域住民の声、自治体の声というものは十分に反映をして考えてほしいというふうに思うわけでございまして、最後にこの点についての大臣の御見解を伺いまして私の質問を終わりたいと思います。
  228. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 国鉄の公共的使命というものは十分理解をしなければならないわけでございます。しかしながら、反面、国鉄は六兆円からの多額の負債を抱え、今年もまた一兆円からの赤字を出すというような状態でございます。やはりこれは、国民の税金をむやみやたらにつぎ込んでいくということも財政再建の上からいきましていささか問題がございますので、このたびの国鉄再建法案を通じて国鉄の合理化、体質改善、そして黒字転換を図るということに進んでまいりたいと思うので、その点を十分御理解をいただきまして、国鉄の使命の万全を期してまいりたい、かように考えます。
  229. 山原健二郎

    ○山原分科員 この赤字の問題はわからぬわけではありませんけれども赤字と言えば、たとえば東海道線、山陽線だって地方路線に匹敵する赤字を抱えているわけです。そういう点から、とにかく出ておる声は弱い者いじめをするなという声なんです。大臣も北海道の出身ですから一番よくおわかりだと思いますが、そういう点で対処してほしいということを申し上げまして、質問を終わります。
  230. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で山原健二郎君の質疑は終了いたしました。  次に、木下敬之助君。
  231. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 民社党の大分出身の木下敬之助であります。よろしくお願いいたします。  交通体系は、地域の振興や過疎対策、観光資源の活用を図るなど、地域の産業経済及び地域住民生活の基盤をなすものであり、地域社会の発展と表裏一体の関係として交通体系の整備は重要な意義を有しており、その改善が進められなければならないことは言うまでもありません。  九州地方の基幹的交通体系について見ますと、新幹線鉄道は北九州市‐福岡市間が営業されており、福岡市‐鹿児島市間及び福岡市‐長崎市間については整備計画路線となっております。高速自動車道についても、南北を結ぶ九州縦貫自動車道は、福岡県、熊本県ですでに供用されており、宮崎、鹿児島両県でも一部で供用を見ている状況にあります。東西を結ぶ九州横断自動車道は長崎県と佐賀県で工事が進められているものの、大分県では一部用地買収に着手している程度で、全線開通にはなお相当の期間を要するものと思われます。  このように九州地方の交通体系の整備は、西九州地域はかなり進みつつありますが、これに比べ東九州地域は大きく立ちおくれており、九州地方の均衡ある発展を導くには東九州地域の交通体系の整備を特に急ぐ必要があります。  また、最近地方バス運行確保の問題及び国鉄地方通線の切り捨て問題が、地域住民生活の足を確保する上から大きな課題となっています。  これより運輸省に関連する事項について、質問及び要望をいたしたいと思います。  まず、地方バス対策についてであります。  過疎地域における路線バスは、深刻な過疎現象に加え、近年の自家用車の普及により、利用者が大幅に減少し、過疎地を抱えるバス事業者の大半は経営が著しく悪化しています。このため、バス事業者としては企業内の合理化を進めるとともに、不採算路線を休止、廃止もしくは減便することにより、経営体質の改善を図ってきています。しかしながら、利用者側から見たこのようなサービスの低下が自家用車利用に拍車をかけ、さらに利用者が減少する、それが減便、路線休廃止につながるというような悪循環となっているのであります。そこで、自家用車を利用できる者はまあよいとしても、考えなければならぬのは自家用車を利用できない老人や児童、生徒のことであります。  これまで、このような過疎地住民の足を確保するため、地方バス路線運行維持対策要綱に基づいて助成がなされ、曲がりなりにも最低限の路線の維持が図られてきたわけでありますが、このたびの昭和五十五年度予算折衝の中で、いわゆる第三種生活路線に対する助成については、継続はするけれども年間に限るということになったと伺っております。これは、過疎地域の住民の足の確保について国は手を引くということ、何人かの者が利用していようとも、国はそんな赤字過疎路線は切り捨てるということの表明であると言えるのではないかと考えております。  八〇年代は地方の時代とか地方定住を進めるとか言ってはおりますが、地方住民の通学等の生活路線を一律に切り捨てることは、これらの目標に逆行するものではないでしょうか。  現在の平均乗車密度の算定方式が収入面から見た輸送量ベースでなされているために、たとえ平均乗車密度が五人未満の路線であったとしても、学校統合等に伴う通学用に多数の小学生が定期券で利用している場合もあり、実際には相当多人数が利用しているということが考えられ、一律的な助成廃止は非常に大きな問題をはらんでいると考えます。  私は、次の点について質問して、運輸当局の御意見を伺いたいと存じます。  まず一点として、地方バス補助制度のうち、第三種生活路線の国庫補助は、五十五年度から通学等社会的に必要な路線でも一律に三年間限度とするよう改めるのはどのような考え方からなされるのでしょうか。とりあえずこれをお聞きいたしたいと思います。
  232. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いま先生御指摘のように、バスに対します輸送需要は年々減っております。これがバス事業の経営に大きな影響を与えておるわけでございます。いま御質問の三種生活路線でございますが、平均乗車密度が五人未満と極端に少ない、五十二年度の実態調査によりますと、収支率は四〇%くらいにしかならないということでございまして、路線バス事業として運行を維持していくことは非常に困難な路線でございます。したがいまして、こういった路線につきましては、輸送需要を喚起いたしましてバス事業として存続し得るような条件、そして二種路線に格上げしていくというような方法とか、市町村が代替バス等を運行するとかいうような対応が必要となるものであるというふうに考えております。  三種の生活路線に対する助成につきましては、こういった考え方から代替交通手段等の整備が図られるまでの間の措置として、従前、五十年度から五十四年度までの間経過的に補助を行ってきたものでございます。五十五年度の予算案におきましては、第三種路線についての対応措置が進まないということもありますので、この際ひとまず補助制度といたしましては五年間延長する、ただし路線ごとにつきましては三年間補助を行うということにいたしたものでございます。
  233. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 個別にいろいろな事情があるので、個別のものをよく調べながらやっていただきたいというのが希望でありますが、どうしても廃止せざるを得ないような場合に、地域住民の足を確保するためにはどのような対策を考えておられるのか、お聞かせ願いたい。
  234. 飯島篤

    ○飯島政府委員 この問題は地域社会の問題といたしまして、当該路線補助対象期間内に当該地域の実情に応じた措置が講じられることを期待いたしまして、また国としても適切に対応してまいりたいということでございます。方策といたしましては、市町村が廃止路線代替バスを運行するというようなこと、あるいは路線事業者がデマンド・バス・システムを導入するなどいたしまして、既存の路線の活用を図ってバスサービスを確保する、あるいは付近に公的機関が、たとえばスクールバスを持っているような場合はその活用を図っていくとか、いろいろな方法が考えられるのではないかと思っております。  なお、廃止路線代替バスに対します助成につきましては、御案内のとおり地方バス補助制度の一環として、車両購入費、初度開設費及び運行費について所用の補助を行ってきておるところでございますが、五十五年度は運行費補助の単価を引き上げております。今後ともこの補助充実について努めていきたいと考えております。
  235. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 国鉄ローカル線の補助の約一千億というのに比べてみますと、バスに対する補助は小さ過ぎるのではないかと考えられますが、過疎地域における交通問題はその地域にとって死活の問題であることを踏まえて、今後の対策の十分な検討をお願いいたしたいと思います。  次に、国鉄地方交通線についてお聞きいたしたいと思います。  政府は、日本国有鉄道経営荷建促進特別措置法案を今国会へ上程されましたが、それによりますと、地方交通線について約四千キロを合理化と特別運賃の段階的設定を行い、約五千キロは地方協議会の選択に基づいてバス輸送または第三セクター、民間事業者へ転換を図るが、当面、昭和六十年度までの間は輸送密度二千人未満の路線約四千キロについて転換を図ることになっております。  大分県関係では、宮原線がバス輸送等の転換の対象となることが考えられますが、地方交通線の沿線町村はいずれも過疎地域であり、地域住民生活交通手段として地域に密着したものでありまして、今後定住構想の確立を目指す上からも、その維持と運行の確保はぜひとも必要なものであります。  私は、国鉄再建に絡む地方交通線問題については、まず国鉄自身が徹底した経常合理化の努力をすることが必要であると考えます。  そこで私は、運輸御当局の見解をお聞きいたしたいのですが、一に、国鉄の経営改善計画を明らかにしていただきたい。二点として、地方交通線の廃止等について、それぞれの線区の特殊事情はどう考慮して処理するつもりか。  こういったものについてお聞きいたしたいと思います。
  236. 山地進

    ○山地政府委員 第一点の、国鉄の改善計画ということでございますが、これは後ほどあるいは必要があれば国鉄の方から現在考えていることを追加していただきたいと思います。と申しますのは、この法律で、国鉄が経営改善計画を立てて、それを確実に実施するということを一つの柱にいたしております。したがって、国鉄が今後、この法律が施行された場合に経営改善計画というものを提出してくるわけでございますので、それの現在における考えというのは総減等からお聞きいただきたいと思います。  それから二番目の、それぞれの地区の特殊事情をどう考慮するかということでございますが、現在地方交通線というのはどんなものかとか、あるいは特定地方交通線、つまり転換しなければならない地方交通線とはどんなものかということにつきましては、法律において政令で定める基準ということで、それの基準に該当するものが特定地方交通線になるわけでございます。特定地方交通線の場合の基準は一体どんなものかということにつきましては、今後国会の議論なりあるいは各省間の折衝なりで決めてまいるわけでございますので、いま直ちにこういうものが特殊事情を考慮する項目になるよというふうなことをはっきり申し上げる段階ではございません。  ところで、どんなものがそういう特殊事情になるのかということの一例で、われわれの間でいろいろな議論をしているときに出てくるのは、並行パスがないとかそういったものが特殊事情になるかというふうに考えております。と申しますのは、この政策というのが、バス等、道路の発展ということについてやはり効率的な輸送体系、いま先生のおっしゃった過疎バスの問題もございますから、そういった、地方にどういう効率的な体系がいいのか、一般的に考えてローカル線をより効率的な輸送に転換したいということでございますので、道路がないというような場合は、そういった効率的な体系に移りにくいという意味で、特殊事情の一つかと思います。
  237. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 それでは合理化と再建計画について、国鉄の方からもよろしくお願いいたします。
  238. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 今回の法律の中にも織り込まれておりますように、経営改善計画を国鉄は策定して運輸大臣に提出し、その承認を得る形になっております。現在鋭意その作業をいろいろ進めているところでございまして、これは国鉄の全分野にわたりまして合理化をしていくということでございます。特に三十五万人体制を六十年度までに実現していくということを昨年の七月の段階で公表したところでございますが、そのために、これは常業の分野は無論のこと、あらゆる分野についてまず省力体制をとるということが一つと、もう一つは、あらゆる努力を払って増収努力をしていく。特に客貨両面にわたりましてきめの細かいいろいろな対策を立てまして、収入の確保、さらに不用地の有効活用その他によります関連利用収入の拡大、不用資産の売却等、あらゆる分野について収入をふやす、この二面でやってまいりたいというふうに考えます。
  239. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 それでは次に在来線の増強対策についてであります。  御案内のとおり日豊本線は東九州地域における幹線輸送機関でございますが、複線化の状況は、九州域内の個別路線では鹿児島本線六八・二%、長崎線三六・五%であり、日豊本線については二一・九%と全国平均にも満たないような状況であります。ところで、昨年七月、国鉄が国鉄再建の基本構想案を発表して以来、線増工事についてはきわめて厳しい状況となっていますが、日豊本線を複線化し、輸送力の増強を図り、地域の均衡ある発展を促進することが合理化にも増して急務であると考えておりますが、私は、日豊本線大分以北の複線化について一体何年度に完成する計画になっておるのか。この日豊本線の複線化に関する御計画をお聞かせいただきたい。
  240. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 日豊本線の線増の現在の状況をまず御説明申し上げたいと思います。  日豊本線小倉−大分間百三十三キロございますが、ここを複線化するということで工事を進めてまいりました。現在複線化されている区間は、百三十三キロのうち百一・一キロで、この小倉−大分の間で複線化率ということをとりますと、七六%というふうになっております。現在工事を進めておりますのは今津から豊前長洲まで十・九キロ、それから少し先に行きまして豊後豊岡と亀川の問、三・七キロございますが、ここで工事を進めております。それから、その間にあります立石‐中山香、この間五・二キロございます。それから杵築‐豊後豊岡問十二・一キロ、ここにつきましては現在用地買収を進めておるという状況でございます。このうちの豊岡‐電川間三・七キロは昨年十二月新線に切りかえまして、その後在来線の方の工事を進めておりまして、本年七月には複線化がされるという状況にございます。  私ども全国で何カ所かいまこういったような複線化工事を進めているわけでございますが、この地域につきましては道路事情等を考えましてもわりあい都市交通線的な性格もありますし、都市間的な性格もありますし、重点的に考えているわけでございますけれども、何といたしましても現在の財政事情予算事情からいきまして、投資の額というものが非常に厳しい条件にございます。したがいまして、その予算事情を見ながら鋭意これを進めている状況でありまして、今後もこの予算事情をにらみ合わせながら極力進めていきたいというふうに考えております。
  241. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 予算事情の大変よかった時代に相当の工事が日本じゅうで進んでいる中で、どういうわけか一番いまの苦しい時期に工事が行われるようになってしまった大分の交通事情としまして、予算事情があるのはわかりますけれども、こういった問題はやはり格差というものをなくすという方向で考えていただかないと、そこに住んでおる住民の納得というものは得られないものであります。どうかこの点を今後ともお考えいただいて、できるだけ早急にやっていただきたいと考えております。  いま一問、最後になります。四国新幹線につきまして要望いたしたいと考えております。  本州、四国、九州を直線的に連絡する四国新幹線の建設は、西日本地域における交通体系上の基幹動脈として均衡ある国土の開発を図る上からきわめて重要であり、近畿圏と四国、九州地方との経済的、社会的交流を活発化し、産業、文化の発展と住民生活の向上に大きく寄与するなど、その波及効果ははかり知れないものがあります。また、現在本州四国間が三本の架橋ルートで結ばれようとしており、北海道本州間が青函トンネルで結ばれるなど、わが国の四つの大きな島、北海道、本州、四国、九州が有機的に結ばれていく中で、四国九州間だけがいまだに海上ルートに頼らざるを得ない状況にあるわけであります。将来の交通体系を考えるとき、ぜひとも豊予海峡部分の海底トンネルを実現し、ひいては四国新幹線の実現を図っていただきたいものだと考えておりますが、この四国新幹線の豊予海峡部分の海底トンネルの調査はどのように進めておられるのか、お答えいただきたいと思います。
  242. 山地進

    ○山地政府委員 四国新幹線は四十八年の基本計画で決定した十二線の一つでございまして、現在、御承知のとおり整備五線という整備計画のできている五線について五兆円以上になる、あるいは現在の額にすると十兆円くらいになるかもしれません。そういったものの財源についてどうやってやっていくのか、昔の新幹線ですと国鉄が借金でできたのだけれども、整備五線くらいになりますととても国鉄が借金でやるわけにいかない。従来方式でない形でやらなければいけない。公共事業的な考え方というようなことで、財源というものについて現在苦慮している段階でございます。したがいまして、その基本計画の決まっている十二線についてはこれをどうやって推進していくかということについては、整備五線の方の決着を見ない段階でいかんとも申し上げにくいわけでございますが、豊予海峡のトンネルにつきましては、長期的にこの十二線にかかるにしても、トンネル部分というのはさらに時間のかかる問題でございます。現在鉄建公団が地形、地質等に関する調査を行っているわけでございまして、これまでに地質調査あるいはボーリング調査、弾性波調査等を行って、どんな地層になっているかというようなことを海底部について研究をしているわけでございます。今後こういった調査につきましてどういうふうに進めるかにつきましては、もとに戻って基本計画をどうするのかということとの関連において検討してまいりたい、かように考えております。
  243. 木下敬之助

    ○木下(敬)分科員 先ほども申しましたが、日本の高度成長等で、大変いい時代にどんどん進んだところと、そのとき計画はあったけれどもおくれてしまったところとが大分格差が出ておる中で、見られてもよくわかるとおりに、九州の一部が大変おくれておると考えております。どうかこういった点、原点に返って均衡のとれた発展を目指すということで、今後とも御検討いただきたいと思います。  少し時間が余りましたけれども、一応これで終わらしていただきます。
  244. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で木下敬之助君の質疑は終了いたしました。  次に、村山喜一君。     〔兒玉主査代理退席、近藤(元)主査代理着席〕
  245. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私は、きょうは具体的な問題も織りまぜながら、運輸大臣並びに国鉄総裁にお尋ねをしてまいりたいと思うのです。  国鉄再建の問題が始まりまして、五十二年十二月二十九日に閣議了解としまして国鉄再建の方針が決まったわけでありますが、今度は五十四年十二月二十九日にローカル線のバスあるいは第三セクターあるいは民営への移管を含む、そういうきわめて大きな内容の変化をもたらすような決定が閣議でなされました。そこで私は、運輸大臣がそれに対してどういうような考え方をお持ちであるのかということで、ここに衆議院の運輸委員会で所信表明をされたものを、新聞を持ってきているわけですが、この中で大臣は、国鉄再建は国民的課題で、決意を新たにして取り組んでいくのだという所信の表明をなさっておいでになります。  私が大臣お尋ねをいたしたい第一点は、従来から国鉄の再建という問題は、総合的な交通政策の中において陸海空すべての交通の位置づけというものを図らない限りは私は不可能じゃないだろうかと考えておる一人なのですが、そういうような意味において総合交通政策というものが所信表明の中にどの程度あらわれているだろうかというのを見てみましたが、それぞれの分野における、航空は航空、海運は海運あるいは民鉄に対する何はどう、国鉄に対するものはどうだということは出されているけれども、総合的な体系として描かれた交通政策というものは御提示になっていらっしゃらない。一体これはどうしたんだろうか、それが第一点のお尋ねをしたい点でございます。  それから、読んでおりますると、新経済社会七カ年計画というものを基軸にして推進をしていくのだと出しておいでになりますが、新経済社会七カ年計画というのは、収入面において租税負担率を引き上げるという点が、御案内のように一般消費税の導入を中心にいたしまして崩れてまいりました。だから財源の見通しがつかない形の中でこれを推進をしようとしていらっしゃるのは一体何だろう。財源の見通しがないのに果たしてそれが推進できるだろうか、この点を、これは感じとして持ったわけであります。  それと同時に、私はやはりこの際、さきに総合的な交通政策とも関係があるわけでありますが、整備新幹線の問題は、依然として赤字が出ているにもかかわらず進めようとしていらっしゃるようであります。われわれのところに新幹線を早くつくってくれと、私は鹿児島ですが、市町村長やあるいは地元の人たちが見えるのです。そのときには、私は、あなたは何で来ましたか、飛行機で来ましたと言われたら、じゃあ資格はありませんねとはっきり言うんですよ。やはりそれぐらい政治家も決断をするところはしなければ、国鉄の再建というのは、それと並行して走ったら在来線は赤字になることは目に見えておるのです。そのことを考えなければならない段階の中で、なお何らかの形で、国鉄が引き受けなければ公共負担の中であるいは一般財源の中でそういうものが可能であるかのごとく、また整備を新幹線は進めていくんだというような発言をなさっていらっしゃるわけですが、そういうような形の中で果たして総合的な交通政策というものが打ち立てられるのであろうか、私はそのことを懸念をしておるわけでありますが、大臣の御所見がおありになりまするならばお答えをいただきたいです。
  246. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 総合交通体系につきましては、自動車の発達その他いろいろエネルギー情勢の変化、いろいろな問題がございますので、その点を十分勘案しながら今後検討してまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、新幹線のことについてお触れになりましたが、新幹線整備五線については、十七関係都道府県の方々から非常に強い御要望がございますけれども、いま先生承知のように、日本の財政上の理由から考えましても軽々にこれを実施するというような内容のものではございません。今後とも十分今後の財政状態を考えながら検討してまいりたい、かように存じております。
  247. 村山喜一

    村山(喜)分科員 大臣もなかなか答えにくいだろうと思うのですが、政治的な形としてまとまったものだからそういう説明をせざるを得ないと思うのですが、私は、やはりそこら辺はできる見通しがあるのであれば結構ですけれども、国鉄の赤字も六兆を超える。しかも赤字国債に頼らなければならない財政状況の中にありまして、可能性の夢をいつまでも追いかける、そういう形の政治がまかり通る中では国鉄の再建もむずかしいのじゃなかろうかと考える一人です。  そこで、国鉄の再建の問題は、国鉄自身の経営努力と、それからいま申し上げました交通政策の実現、それに政府助成、この三位一体がなければ国鉄の再建というのは生まれてこないだろうと私は思うのですが、貨物の問題でございます。運輸省からもらいました資料を見ておりましたら、今度の国鉄再建法案の中身の説明だろうと思うのでございますが、「(閣議了解)の概要」という表をいただきました。「三十五万人体制」、そうして「鉄道特性を発揮し得る分野(幹線約一万三千キロ)」、この中身を見てみると、「合理化の徹底貨物赤字の解消 増収努力 資産処分」、そういう内容が入っておるのです。それから、その下の欄に「鉄道特性を発揮し難い分野(地方交通線約九千キロ)」、この中身は一体何だろうかと思って見ると、「合理化 特別運賃 六十年度まで約四千キロを転換」、これだけ書いてありますね。  そこで私はお尋ねしたいのは、貨物の赤字が今日の国鉄の大半を占めている。そういたすならば、いま現実には貨物の取り扱いの少ないところは駅の集約化を図っておりますね。それは単に幹線だけじゃありません。いわゆる地方交通線と言われるところもやられているわけですね。そういうようなものはこの「(閣議了解)の概要」の中には入れてないわけでありますが、とするならばそれは当然従来からやってきたものを推進をするということでやられているのでありましょうか。この点は鉄監局長にお聞きをしてもよろしゅうございますが、それにあわせて、具体的にことしの十月のダイヤ改正にあわせて貨物の方から先行発車をして、そうして第一段としてはそれをやってのける、第二段としてローカル線の分については転換をしていく、こういう発想の仕方が当局にあるのではないか、国鉄本社にあるのではないだろうか。だから大阪城じゃありませんが、外堀を埋めてそうして第二段として落としていくんだ、こういう形で地方は受けとめざるを得ないのですが、そういうふうに考えるのはひがみでしょうか。
  248. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもの立て直しの問題が起こってまいりましたのはかなり古い時期からでございます。今度はかなりいろいろ整理をし、位置づけをしておりますけれども、従来から言われておりましたのは二つの違う面から言われておりまして、一つ問題になっておりましたのが貨物の問題であったわけでございます。別の角度からまた地方交通線の問題はかねがね議論があったわけでございます。  貨物の問題は五十一年の一月ごろの閣議了解だったと思いますが、かなり問題意識を持って貨物のコストを下げろということが決まっておりまして、そこで、わかりましたということで私どもがいたしておりますことは、五十三年の十月と五十五年の十月と二回に分けてコストダウンを図ることにいたしております。それで、五十三年の十月と五十五年の十月で最高活況時の大体七割ぐらいに輸送力を落とす、一番たくさん貨物を運ばしていただきました時代に比べましていま六割六分ぐらいにお客さんが減っております。しかし列車の方は昔どおりというか、大体九七%ぐらいで走っておりますから赤字になるのはあたりまえということでございます。これを最盛期の七割ぐらいに落とそうということでやっておりまして、その半分、第一段階は一昨年の十月にやらしていただきました。第二段階をこの十月にやらしていただきたいと思っております。そうしますとピーク時に比べまして輸送力が七割ぐらいで輸送量が六割六分ぐらいになりますから、まあまあかなり能率がよくなってくるというふうに思っております。  いろいろ計画を立てておりますが、この場合にどうもうまくいかないのは地方交通線に所在する貨物駅の統合の問題でございまして、これはごもっともなことだと思っております。貨物の扱い量が減ってまいりましたので貨物駅をやめさせていただいて、隣の駅での扱いに集めさせていただきたいと申すわけですが、それはわかった、わかったがしかしそれは線区全体をやめる前ぶれではないのかということをしきりに言われておるわけでございまして、率直に言いまして地方交通線という概念と重なっている地区においては実はうまく進行していないということで、私どもちょっと、この十月までにどれだけできるかなということでいま焦っておるわけでございます。本来両方は関係ない話でスタートしてきたわけですけれども、しかし、事実問題としてはそういうことになりはしないか、こういうことを言われるとやはりそれは否定できないわけでございますので、決していま御指摘のように前ぶれのつもりでやってないのですけれども、結果としてはそうなるじゃないかと言われればそういう面があることは確かでございます。いずれにいたしましても地域の住民の方々にとっては重要な問題でございますから、私どもとしては貨物と旅客と分けた場合の貨物の赤字が余り大きいので、これを早く減らしていただきたいと思いますけれども、しかしそこは、もし余り地元の方の御了解が得られないままで推し進めたのでは、私どもが考えております地方交通線のバス転換問題も後々うまくいかなくなる心配もありますから、繰り返しお願いには出ておりますが、同時にまたよくこの機会に全体としての御理解を深めるということをお願いしながら進めなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  249. 村山喜一

    村山(喜)分科員 わかりました。  私も、貨物の取扱駅の集約化、五十五年度にいまある千四百六を千にするあるいはヤードの拠点化、百九十六を百五十にするんだ、こういうふうに承っている。ちょうど鹿児島の管理局長が参りまして、こういうふうに貨物の合理化をやりたいということで私の方にも資料をもらいました。見てみますると、県内五カ所ですが、その中で三カ所私の選挙区なんです。これは困ったなと思いまして、一体横持ち経費やらそういうようなのはどうなるの、それからどれだけ省エネルギーの上から見ていいのかという話なども聞いたんですが、それは吉松に拠点として貨物の集約を図るんだあるいは川内に図る。その吉松はいま操車場がございまして貨物の入れかえをやっておるわけですが、一体それはヤードの拠点として残すのだろうか。ヤードをパスになるかもしれないというような話がある。そういう中で聞いてみると、フロントの改造等でターミナルの機能を整備をするんだという話でございますから、それは結構だとは思うのでございますが、では、ヤード駅として吉松は残していくつもりだということがはっきりしているんだろうかということを聞かれるわけであります。それから荷主組合というのができまして、私ここに陳情書も持ってきておりますが、確かにいままで国鉄を利用していなかった、そこで今後はわれわれ全力を挙げて荷を集める、そして取引の相手にも貨車送りを承知をさせてもらうように努力をしますということの請願書が来ているわけでございます。これは国鉄本社にも陳情に行ったと言っておりました。ところが、私がこの貨物の取扱駅が廃止になるだろうという話を聞いたのはちょうど総選挙のさなかでございました。それで、困ったなということで、私は貨物の取り扱い廃止は駅がさびれることになるし、大変なことになるから、ひとつ荷主の皆さんとも協力し合って国鉄に荷を集めるような運動をする中でやろうじゃありませんかという演説をしたんですよ。大臣、そうして見てみると、肥薩線の栗野、山野線の大口、それから宮之城線の宮之城、こういうような駅が貨物から外れる、こういうことになっていま大騒ぎをしているという状況にございますが、私が一つ聞きたいのは、そういう事情にあること、貨車送りは駅始発で出しているのが一日一車もないような状態に立ち至っているぞということを、事前にこういう状況だから協力をしなさいよ、そうでなければ廃止をせざるを得ませんよという予告をし、協力を求める努力をいままでしておいでになったのだろうか。荷が逃げるのはそのまま放置をして、そして国鉄の労働組合が荷主組合をつくって呼びかけをするというような形に今日立ち至っているわけですが、そういう経営努力というものを貨物についてはされたのだろうか、私はそれを伺いたいのであります。
  250. 高木文雄

    ○高木説明員 まことに問題の焦点を御指摘になっておるわけでございまして、私どもも胸にこたえるものがあるわけでございます。  なぜ貨物が減ってきたかといいますと、いろいろな事情がございます。道路が整備されたとかトラック業者のサービスが向上したとか、いろいろなことがございます。しかしやはり基本は、どうも十年くらい前から私どもの輸送そのものが不安定になったということによる点が多いようでございます。不安定というのは、ストのようなものもありますけれども、それ以外の点でも予定の時期に物が必ずしも着かないというようなサービスダウンがあったわけでございます。それではいかぬということで、安定輸送ということをやかましく言いまして、だんだんいま立ち直りつつある現状でございます。そういうことで、荷主さんに胸を張って、うまいぐあいに運ばせていただきますよということを申し上げられるような雰囲気でない時期が不幸にして続いたものですから、御指摘のように各方面のオピニオンリーダーの方にお願いをして、どうも貨物が減ってまいりましたよ、何とかひとつお客さんを集めていただけませんかという呼びかけをするような雰囲気になっていなかったわけでありまして、少しは改善されてまいりましたからお願いいたしますよというようなことが言える雰囲気になってきたのはごく最近のことでございます。そういう意味で私どものお願いといいますか、呼びかけが十分でなかったということも事実でございます。ただ、考えてみますと、いまの貨物の赤字がなぜ起きてくるかということにつきましては、サービスがよくないためにお客さんが減ったということもありますが、どうもいまの貨物輸送の仕方がまずいわけでございまして、たとえば、百キロなり二百キロなりを運ぶ間に何カ所もヤードでつなぎかえをしなければならない、あるいは長い編成のものが一駅一駅とまっては一貨車一貨車を切り離していかなければならない、これではどうしてもコストがかかるわけでございます。もともと貨物輸送というものはドア・ツー・ドアのサービスができないわけでございまして、両端は取り扱い業者にお願いをして、荷主さんのところから駅まで、駅から荷受け人のところまではトラックで送らなければならないわけでございますので、中継ぎ場所を少なくいたしまして、それによって中間コストを落とす、反面において早く安定して物が着くようにする、多少両端の横持ち経費はふえるかもしれませんけれども、それによってサービスを改善するということがよろしいのではないかということを基本にいたしまして、いまのヤードを減らすとかあるいは取扱駅を減らすとかいうことで、一面サービスダウンになりますけれども、大きな目で見れば決してサービスダウンばかりでなくて、プラスになる面もあるという形で貨物輸送方の変更を計画いたしました。その具体的な実現の一部を五十三年に、第二段を五十五年の十月にというふうに考えておるわけでございます。  いま御指摘のように、もっとわれわれに早く相談してくれたらいいのにということは大変胸にこたえるわけでございます。だんだんそういう姿勢にはさせるように指導してまいります。いままでのところ、そういうことで足らざる点がありましたことは、この機会におわび申し上げたいと存じます。
  251. 村山喜一

    村山(喜)分科員 鉄監局長、具体的にお答えができればさっき個所名を申し上げたのをお答えいただきたいのです。この席で答えることができなければ結構です。  そこで、時間の関係がありますので、最後に一つだけお尋ねをしておきたいと思いますのは、「地方交通線の基準」という資料をいただいたわけですが、一番最後に図表がありまして、地方交通線でくくってあるのが輸送密度八千人を中心にして考えてあるわけですね。  そこで私がお尋ねしたいのは、この採算分岐点というのは万単位であるのか、八千名というラインはどういうラインを示しているのだろうか、中小民鉄並みが八千名程度になるのではなかろうかという話も聞きますが、どうでございますか。
  252. 山地進

    ○山地政府委員 いま御指摘のございました中小私鉄の収支を見てみますと、八千人前後が損益の分岐点になっております。中小私鉄と国鉄とどちらが合理的な経営をしているのかということについては、いろいろ御議論があろうかと思いますけれども、ローカル線について、短い路線については中小私鉄並みの経営を前提として考えると、八千人ということが一つの基準として考えられるのではないだろうか。その点につきましては、中小私鉄というのが、東京では私鉄が安くて田舎へ行くと私鉄が高いというような運賃の格差の点もございますけれども、中小私鉄の合理化の程度あるいは運賃の水準というものを前提といたしますと、八千人ということが一つの基準になるということで、これは五十三年から五十四年にかけまして、ローカル線の対策の小委員会というのでいろいろ御研究いただいた席でだんだんこのことが明らかになってきたわけでございますが、そういうものを採用いたしまして、現在八千人ということを一つの考えと思っておるわけでございます。
  253. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そこで、大臣にこれはお聞きしたいのですが、これは法案との関係もあるのですが、とりあえず六十年までには二千人未満、四千キロを転換をするという考え方ですね。いまお話がありますように中小民鉄の経営をもってしても八千名が採算分岐だ、二千名以下だったらこれをバスに転換をするあるいは第三セクターに任せるあるいは民鉄に任せるといったって、それは採算がとれるはずがございませんね。だとするならば、いま過疎バス等に対する赤字助成の道がございますが、そういうようなものをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。これはもう二年したらあるいは三年したら、協議が調わない場合には見切り発車ですよ、あとはそういうふうに頭の中で描いておりますのでどうぞ地方ではおやりください、こういうふうに突き放そうとしていらっしゃるのでしょうか。その点を大臣からお答えをいただいて、そして鉄監局長は吉松のヤードの問題だけをお答えください。それで終わりたいと思います。
  254. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 先生御指摘のように、二千人以下の路線は、どういう形で引き受けてもなかなか経営は成り立たないのではないかということでございます。私もそのように考えます。しかし、二千人以下の地方線をこのまま国鉄が維持いたしますならば、施設その他も非常に大きいわけでございまして、赤字の累積が大きくなるわけでございますから、できるだけ赤字負担を少なくするという意味においてバス路線への転換等を図ろう、そしていまのお話のようにバスでもなかなか収支がむずかしいと思いますので、過疎バス対策等を通じまして地元住民の足を確保するという体制をとってまいりたい、かように存じます。
  255. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 先ほどの吉松のことでございますが、この吉松につきましては、貨物設備は高床ホームを低床化するとか、あるいは舗装設備をやるということで能力の向上を図りたいというふうに考えております。それから、ヤード機能とおっしゃいましたのは、車両の入れかえその他のことだと思いますが、これはいま検討しておりまして、これをどうするかということは、貨物駅は残りますけれども、そういう形で検討しております。
  256. 村山喜一

    村山(喜)分科員 わかりました。  終わります。
  257. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で村山君の質疑は終了いたしました。  次に、山田英介君。
  258. 山田英介

    山田(英)分科員 昭和四十年以降、国鉄は通勤通学輸送力の増強を強力に推進をしてこられたと言われるわけでございますが、輸送需要の増加によりまして、混雑率は依然として緩和をされておりません。それは東京、大阪付近の主要線区における混雑状況を見ても明らかなことでございます。新経済社会七カ年計画によりますと、交通体系の充実に当たり「今後の環境、エネルギー、空間等の制約の強まりを考慮して都市、特に大都市における旅客輸送、とりわけ通勤通学輸送の分野における大量公共輸送機関の活用を積極的に図る」とこうなっております。ところが、昭和五十三年度の国鉄の設備投資額を見てみますと、総額一兆二百九十五億円のうち、大都市圏輸送への投資額は九百三十二億円ということで全体の九%、新幹線の三千四百五十一億円の三四%と比較をして、きわめて低く抑えられているのではないかというふうに思うわけでございます。しかも、これは昭和四十九年から一けたがずっと続いているという状況でございます。五十四年度、五十五年度の割合はどうなっておりますか。もっと大都市圏輸送の分野における設備投資額を増大をすべきだというように思うわけでございますが、大臣の御所見を伺います。
  259. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 十年前から見まして大都市圏輸送の支出は、大体倍以上になっております。五十五年度の予算もたしか千百六十億ぐらいだと思いますが、大都市圏輸送に対して積極的に施策を行ってまいりたい、かように考えております。
  260. 山田英介

    山田(英)分科員 国鉄の再建基本構想案の中で、経営の重点化として、都市間それから大都市圏の旅客輸送及び大量・定型貨物輸送を省エネルギー、安全性、大量性等の面で今後とも鉄道特性を発揮し得る分野であるというふうに位置づけをなされまして、国鉄はこれらを中心に公共輸送機関としての役割りを果たすため効率的輸送システムの形成を図るとともに輸送サービスを充実強化することを指向する、こうあるわけでございます。私はこの都市間旅客輸送、大都市圏の旅客輸送、そして大量・定型貨物輸送の各部門における年次別の整備計画を早急に策定をして、これを着実に実施すべきであると考えるわけでございますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  261. 加賀山朝雄

    ○加賀山説明員 御指摘のとおり国鉄の投資につきましては、現在年間約一兆円の規模でやっておりまして、今回の再建基本構想の段階におきましても、今後引き続いて一兆円の規模は維持していきたいということを申し上げておきます。  確かに東北新幹線の工事費がここ数年間大きくかかっておりますが、これももう五十五年で山を越えると思いますので、その後におきましては在来線のいま御指摘の大都市並びに幹線あるいは大量・定型貨物といった国鉄の特性のある分野の増強あるいは改善とさらに経営体質の改善という面に重点を置いて、さらに振りかえを相当やらなければならないということを考えております。
  262. 山田英介

    山田(英)分科員 あわせまして、新幹線については、その輸送力が高度成長期の輸送需要の増大に対応いたしまして大変増強が図られてきたところでございます。最近に至り輸送力と輸送量の乖離が急速に進んできているということが指摘をされております。この輸送量の減少に伴う見直しとか調整が今後必要であろうかと私は考えるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  263. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 新幹線の輸送量が一ころに比べるといろいろな意味で減少しておるということは事実でございます。そこでわれわれといたしましては、新幹線の中でもたとえば東海道線の中のひかりとこだま、あるいは山陽線と東海道線というふうにパターン別にいろいろ変化が変わっておりますので、その辺を考慮いたしまして、今回のことしのダイヤ改正におきましても、いろいろその辺を勘案した施策で大体一万キロぐらい全体として列車キロを落としていくということを計画しております。
  264. 山田英介

    山田(英)分科員 次に私は、地元の埼玉県における通勤通学輸送の実態につきまして、大臣も総裁もいらっしゃいますので、ぜひお聞き取りいただきたいし、またその対策につきまして何点かお尋ねをしたいと思うわけでございます。  政治、経済、情報、文化等の東京一点集中が東京大都市圏を際限なく外延的に拡大させてきている。東京に隣接する埼玉県に住宅、工場、商店等の相次ぐ立地が見られたわけでございます。急激な都市化をもたらしたわけでございます。埼玉の人口は、昭和三十五年から五十年までの十五年の間に二百四十三万から四百八十二万へと約二倍に激増してございます。その増加率は全国一でございます。その後も増加をし続けまして、五十四年十二月一日現在ではすでに五百三十三万人余り、東京への通勤通学者数も昭和五十年で六十九万、現在七十五万人へと増加をしているわけでございます。埼玉県の主要な国有鉄道は東北本線、高崎線、京浜東北線さらに武蔵野線などがあるわけでございますが、いま申し上げましたような推移の中で、各沿線の開発に伴う爆発的な人口急増による輸送需要の増大に輸送力が追いつかないわけです。大変な混雑率になっているわけでございます。区間によっては混雑率が定員の二倍以上に達して、各線の輸送力はすでに限界に立ち至っているところでございます。  そこで私は、まず国鉄の高崎線でございますけれども、通勤通学輸送ラッシュ一時間で宮原と大宮の区間をとりますと、輸送力は昭和四十六年が一万四千四百十人、これが五十三年になりますと一万六千六十人とやや増強をされてきております。しかし、輸送量が三万九百二十人から三万八千四百人へと増大をいたしましたために、混雑率は二一五%から二三九%へと大きくはね上がっているわけでございます。定員の約二・五倍の混雑で、実際乗ってみるとわかるわけでございますが、殺人的という言葉がぴったりするわけでございます。昭和四十九年、東京北鉄道管理局長が所管の各線区の現状と問題点を分析されて、まず第一に取り上げられる問題としてはこの通勤通学輸送であると指摘をされております。特に東北、高崎線の中距離電車輸送については、大宮‐赤羽間が一線を共通して使用する形態をとっているために、同線の輸送能力は特に厳しい状態にあり、現行以上に電車本数を増加することはほとんど不可能な事態に立ち至っているというのが管理局長さんのお話でございます。その後高崎線については昭和五十二年十月のダイヤ改正時に一本運転本数が増加をされておりますけれども事態の打開には立ち至っておりません。  そこで私は、高崎線の輸送力増強策の一つとして計画をなさっていらっしゃいます通勤新線への旅客列車の乗り入れをぜひ実現をしていただきたいと要望を申し上げたいわけでございますが、見通しはいかがなものでございましょうか。
  265. 高木文雄

    ○高木説明員 昨年の暮れに、東北・上越新幹線に沿いまして通勤新線を設ける、大宮と赤羽の間に通勤新線を新しくつくるという計画を決めたのでございます。それは主として東北・上越新幹線の大宮と赤羽間の用地問題に関連して起こってきたわけでございますが、いま御指摘のありましたように大宮と赤羽の間はパイプが細いので現状の設備をもってしては打開の道がなかなか見つからないという悩みをかねがね持っておりましたものですから、今回の新幹線に沿って通勤新線をつくりますということは、直接には言ってみれば新幹線の用地問題に関連して起こってきた問題ではございますが、結果としてはかねがねの悩みを解決するのに役立つということでございまして、東北新幹線に沿って通勤新線ができますれば、かねがねの懸案事項はかなりの程度解決が可能であるというふうに考えております。そして、これは単に大宮と赤羽をつなぐだけではなくて、さらに池袋まで延ばすということにしておりますから、御用向きによりましては途中で乗りかえの必要は起こりますけれども、それにしても全体としての輸送量はふえることができますので、東北・上越新幹線の用地問題と同時並行的にこの問題が、用地として埼玉県の方々に御提供いただければ大宮と高崎の間、大宮と小山の間の方々の交通の利便の増大にも同時にお役に立つものと考えております。
  266. 山田英介

    山田(英)分科員 この際関連してお尋ねをしておきたいのでございますが、通勤新線及び東北、上越両新幹線について開業をいつに予定なさっていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思います。
  267. 高木文雄

    ○高木説明員 これはかねてから、五十五年中には何とか工事を終わりまして、そしてならし運転等の期間を見ましても五十六年十月には開業をいたしたいというふうに申しておるわけでございまして、いまもその気持ちは変えておりません。ただ、私どもが幾らやりますと申しましても、現実にはレールを敷く用地を提供していただかないことには何ともできないわけでございまして、いま何とかお願いをしたいということで担当職員は日夜各方面にお願いに出ているところでございます。まさにここ数カ月の間にこの問題がうまく御理解がいただけるかどうかということが問題の分かれ目でございまして、いまでも私は何とか五十六年十月時点での開業を強く念願をいたしておりますけれども、私どもの力というよりはむしろ御理解を得られるかどうか、例の成田空港のようなことになってもまずいものですから、何とか御理解を得てこれを予定どおりに完成いたしたいと強く念願はいたしておりますが、とにかく残念ながらどうしても数多くの方に立ち退いていただかなければ通れないものですから、いつと約束せいと言われてもその意味ではちょっとお約束ができかねる、残念でございますけれどもそういう状態でございます。
  268. 山田英介

    山田(英)分科員 次に、東北本線でございますけれども、同じく通勤通学輸送ラッシュ一時間で東大宮‐大宮区間をとりますと、輸送力は昭和四十六年の一万四千八百五十人のままで、五十三年まで全く増強されておりません。ところが輸送量の方は三万二千六百十人からはね上がりまして三万六千八百人へ増大をしているわけでございます。混雑率は二二〇%から二四八%へとはね上がっております。定員の約二・五倍という混雑。  そこで、東北本線の輸送力の増強を図るためには大宮駅以南の貨物線の活用が考えられると思うわけでございます。すなわち、大宮以南の貨物線への旅客列車の乗り入れを実施をして事態の打開をこの際図るべきではないか。特に殺人的なラッシュの状況がございます。今日まで見るべき施策もとられてこなかったということ、埼玉県からも毎年熱心に要望がなされているという事実、国鉄の再建に当たって最もその特性を発揮すべきであるという通勤通学輸送の分野でございます。しかも、これは重要でございますので大臣も総裁もぜひ心におとどめおきをいただきたいのでございますが、この大宮以南の貨物線については、通勤通学のラッシュ一時間、この時間帯には現在貨物列車は一本も走っていない、こういう事実がございます。国鉄武蔵野線を利用できる貨物輸送という条件も加わります。ですからやる気になれば大宮以南の貨物線への東北本線の旅客列車の乗り入れというのは実現可能な課題ではないだろうかというふうに強く思っておるわけでございます。真に国民の立場に立たれたそういう取り組みを私はこの際強くお願いをしておきたいのでございますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  269. 高木文雄

    ○高木説明員 前々からの問題でございます。そしてそれは決して不可能ではないという問題だと思います。ただ、いろいろなことで、線路と線路をつなぐ問題とか、つまり走ります車両を一時つないでおきます留置線といいますか車両基地といいますか、そういった問題とかいろいろな問題がありまして、いまのままであの貨物線を使って東北線を入れてくるということについては、金もかかりますし能率も余りよくないということで、いままでのところ踏み切るまでにいっていないわけでございまして、私どもの腹づもりといたしましては、何はともあれ新幹線を通させていただくことと、それに関連して通勤新線を走らすことによりまして、大宮‐赤羽間のパイプを太くすることをしゃにむに急いでやりたいと思っております。また、なおそうすると上越線の方が余力が多少とも出てきます。通勤新線の方に言ってみれば移せるわけでございますので、大宮‐赤羽間をもう少し東北線サイドに使い得る可能性も生まれてくるわけでございまして、その場合に工事をどうするかということと並行してどういうダイヤを組むかということを考えながら通勤新線のできぐあいと見合いながらこうした問題にも取り組んでいかなければならないかなということでございますが、何はともあれいま問題はこの大宮‐赤羽間の新幹線並びに通勤新線問題が焦眉の急でございますので、いまはそっちに全力を傾けておるということで、いま御指摘の点は全然頭の中にないわけではないということで御理解いただきたいと思います。
  270. 山田英介

    山田(英)分科員 総裁の御答弁でございますが、いろいろ大変な時期に差しかかっておりまして御苦労さまでございます。  重ねてお願いをしておきたいのでございますが、要するに埼玉の通勤通学輸送のシステムといいますか、構図というものは、いわゆる通勤通学の輸送力を増強されますと非常に便利になるものでございますから、さらにまた人口がふえてきて、早晩その整備、増強された輸送力がまた限界に近づいてくる、この繰り返しでもって推移してきているわけでございます。ですから総裁のお話の中に、何はともあれ通勤新線だ、そういう一つの効果がどう出てくるかということをまず踏まえて、それから検討しようじゃないかという趣旨だろうかと思うわけでございますけれども、そういうような意味合いから、短期的にはそういうことだろうかと思うわけでございますが、中期的、五年ぐらいの間にはそういう一つの輸送力の増強と輸送量の増大のイタチごっこみたいなものに終止符を打つためにも、中期的ぐらいにこの東北本線の旅客列車の貨物線への乗り入れ、これをひとつ総裁ぜひとも御検討をお願いしたいと思うわけでございますけれども、もう一度恐れ入りますが御答弁をお願いしたいと思います。
  271. 高木文雄

    ○高木説明員 東京周辺の通勤対策というのは、追っかけっこになっておりまして、どうも各方面とも御迷惑をおかけいたしているのを申しわけなく思っております。その場合に他の地域と比べまして埼玉県の場合には私鉄の普及率といいますか、ネットワークが乏しいわけでありますので、その意味で国鉄に御期待いただく面が多いことはよくわかっております。したがって、いま御指摘の点についても、先ほども申しましたように決して頭の片すみにあるということじゃなくて、もう少しウエートを置いた問題として考えておるわけでございますけれども、何はともあれ物事を順番に片づけていかなければならないという意味で、きょうは余りバラ色のお答えはできませんけれども、しかし十分に私どもの全国の仕事の中でもかなりウエートの高い問題として考えておるということのお答えできょうのところはお許しいただきたいと思います。
  272. 山田英介

    山田(英)分科員 次に国鉄関係でもう一路線、武蔵野線につきましてお伺いをしたいと思います。  南流山‐新松戸区間で混雑率が五十二年度一〇三%、五十三年度がはね上がりまして一七三%でございました。沿線の爆発的な開発と人口の増加を示しておるわけでございます。他の路線と武蔵野線を比較いたしますと、ラッシュ一時間で東北本線の運転本数が九本ございます。高崎線で十本です。ところが武蔵野線は、わずか四本しかないわけでございます。しかも他の路線の車両編成はほとんど全部十五両編成ということでございますが、武蔵野線はすべて六両編成、きわめて短いわけでございます。私は、本年十月のダイヤ改正時におきまして、この武蔵野線の輸送力増強のために運転本数の増加、それから車両編成の長大化をぜひこの際実現をしていただきたいと心からお願い申し上げたいわけでございますが、いかがでしょうか。
  273. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 武蔵野線の沿線は人口が非常に増加して混雑してきておることは御指摘のとおりでございます。この線はもう御承知のように貨物線にふさわしいような線形あるいは信号設備、その他ありますので、それと旅客とを入れておりますので、現在本数が少ないという実態にはあります。  それから旅客の設備といたしまして、ホームが六両設備でいっぱいでございますので、これを直ちに八両にするということは現状ではむずかしいわけなんですが、そういった御利用のお客様の実態に照らして、われわれとしても何とか増発をできないかということで目下検討をしております。
  274. 山田英介

    山田(英)分科員 武蔵野線の混雑等はよく御認識をいただいているようで非常に安心しておるわけでございますが、検討されていらっしゃるということでございますが、本年十月のダイヤ改正時に武蔵野線の運転本数の増加、もう一つは車両編成の長大化、これを図るという方向で御検討いただいているというように理解をしてよろしゅうございますでしょうか。
  275. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいま御説明いたしましたように、編成長の増大はこれはホームの関係でむずかしいわけでございます。しかし、一本でも二本でも増発をするということができれば全体として余力ができますし、混雑緩和ができますものですから、そういった方向で何とかしたいというふうに考えております。
  276. 山田英介

    山田(英)分科員 大変くどいようで失礼でございますが、そういたしますと、本年十月のダイヤ改正時におきまして運転本数は増加をしていただく方向で検討していただいている、こう理解してよろしゅうございますか。
  277. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいま検討中の段階でございますものですから、はっきり結果がどうであるということは申し上げかねますが、大体そういった方向で検討しておるということは申し上げられます。
  278. 山田英介

    山田(英)分科員 大変ありがとうございます。  武蔵野線沿線の住民の皆さんも非常に暗いニュースが多い世相の中で、仮に一本でも二本でもこれがふやしていただけそうだということになりますと、その喜びは非常に大きいのじゃないかと思いまして、御答弁に感謝を申し上げます。  次に、先ほど総裁のお話にもございました民鉄線でございますが、この複々線工事を鉄建公団が受託施行いたしました場合の補助金についてひとつ要望しておきたいのでございますが、地方自治体の負担分が相当多額となりまして地方財政を圧迫をしております。現行補助制度は四十七年五月十八日付、大蔵、運輸、建設の三省によります覚書に基づいて鉄建公団が民鉄線の複々線工事を立てかえ施行し、完成後譲渡、代金の支払いは二十五年間で、その際、鉄建公団の資金調達利率と国が定めた基準金利との差を国と地方公共団体が折半して補助する、補助期間が二十五年というものでございます。  たとえば埼玉県では、対象工事が東武伊勢崎線と東武東上線の二つございます。地方負担分は約百二十一億円ということで非常に県財政を圧迫しているという実態でございます。かかる実情にかんがみまして、国の負担割合を大幅に引き上げていただきたい、また地方公共団体の負担分に対する財源措置をぜひとも講じていただきたい、こう思うわけでございますけれども、この点いかがでございましょうか。
  279. 山地進

    ○山地政府委員 いま御指摘のございましたように、この制度というのは四十七年以来続いておりまして、その対象工事全部で申しますと、現在は十一社で十三路線をしております。もうすでに完成いたしましたのが五社で八路線。この制度というのは大都市における交通の整備という点におきまして非常にメリットのある制度だろうと私ども思っております。鉄建公団で対象工事にしていまのような補助制度というものを導入した。その後、先生のおっしゃるように地方財政の問題というのがあるわけでございますけれども、これは国と地方、いずれも財政問題というのは非常に大きな問題になってきまして、地方と国との財政配分については私どもの方の権限外でございますけれども、私どもといたしましては国の助成と地方の助成というもので今日まで築き上げた実績というものを今後も続けていただきたい、かように考えております。
  280. 山田英介

    山田(英)分科員 最後に一問。  都市高速鉄道七号線についてでございますが、昭和四十七年三月一日、都市交通審議会答申路線でございまして、目黒から浦和市の東部間の路線でございます。すでに岩槻市を初めといたしまして関係十市町では、昭和四十四年の四月に通勤通学輸送の緩和と各地に発生する交通渋滞の解消を願いまして七号線誘致期成同盟会を結成し、県と力を合わせながら真剣に取り組んできておるところでございます。  私がお伺いしたいのは、都市高速鉄道七号線の事業認可を早急にお願いをしたいということでございます。とともに、七号線の都内区間及び埼玉県内の答申区間を早急に着工していただきたい。また、答申区間以北をせめて埼玉県岩槻市を通過する東武野田線まで計画路線を延伸をしていただきたい。この三点をぜひともこの際要望しておきたいと思うわけでございますが、簡単にひとつ、時間がございませんので。
  281. 山地進

    ○山地政府委員 営団が免許申請を出しておりますのは桐ケ丘‐目黒間でございまして、これについては、赤羽地区におけるいろいろの問題がございまして免許に至ってないのは、先生の御承知のとおりでございます。営団としては、現在、東京都内のいろいろ問題点を整備いたしまして建設できるように目下準備をしているわけでございます。  それから埼玉の方の延伸につきましては、まだ事業主体がどうなるのかという基本的な問題がまずありまして、この問題を解決してさらにその上に七号線の延伸をどうやって進めるのかということになろうと思います。
  282. 山田英介

    山田(英)分科員 埼玉でもひとつがんばりますので、よろしくお願いします。どうもありがとうございました。  質疑を終わります。
  283. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で山田君の質疑は終了いたしました。  次に、中村茂君の質疑に入るのでありますが、同君の質疑に際し、参考人として日本鉄道建設公団理事藤田雅弘君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  中村君。
  284. 中村茂

    中村(茂)分科員 私は、二つの課題について御質問を申し上げたいと思います。  まず一つは、昨年国鉄山口線にSLを復活して非常に評判がよいようでございますが、ことし五十五年度はこのSLの復活というか、運転計画というか、どのように御計画なさっているか、お伺いをいたしたいと思います。
  285. 高木文雄

    ○高木説明員 SLというのは、単に思い出といいますか、なつかしみといいますか、そういうことだけではなくて、近代産業の発展過程においてスチームエンジンというものが非常に重要な役割りを果たしたわけでございますので、そういう科学技術知識の保存、普及という意味におきましても、何とか実際に走らすことができないものかということをかねがね考えておったわけでございまして、その意味で数年前にそういうことを申しましたところ、全国からぜひうちで、うちの線路で走らせてくれという要望が出てまいりまして、その数が大体十五カ所ないし二十カ所に及んだわけでございまして、そのうちどこで実施するかということで大変困ったわけでございますけれども、何はともあれ現在国鉄は赤字でございますので、それを国鉄自身がいたすのはいかがかということで、でき得れば地方の御熱心な方々がお呼びいただいてそれを実施をしていただく、それをわれわれはわれわれのできる範囲内でお手伝いをするということにしたいと思ったわけでございます。  ところが、現実にそういうことでありましても、実際やってみた場合に一体どういうふうな問題があるか、あるいはどういう採算になるかということが、どこかで実際やってみなければわからないということになってまいりまして、そこで十五カ所ないし二十カ所の御要請が強かった地域の中から、条件が整っておるところでまず私の方でやってみましょうというところでいたしたのでございますが、国鉄自身がやるにつきましては、どっちへ転んでもまた赤字をふやすということにならないようにということを念頭に置きましていろいろ研究しました結果、経費も少なくて済みますし、かなりのお客さんに乗っていただける可能性があるということから、山口線を選んだわけでございます。  その後の経過を見ますと、昨年は半年しか運行いたしませんでしたけれども、おかげさまで、もろもろの経費を償うに足るだけの収入を上げることができましたので、山口線自体の問題としては私どもとしてはまあ失敗ではなかったということになっておりますが、しかしこれは珍しいからお客さんが乗ってくださったということもあるわけでございまして、わずか半年の運行では、今後どうなっていくかということは十分見当がつきません。なお数年山口線でやってみたいというふうに思っております。     〔近藤(元)主査代理退席、主査着席〕  その余の地域の御要請につきましては、各地域で、地元の方で経営をお考えいただいて、そして私どもの方がそれにお手伝いをしてやってきました。それで相当程度採算的な面での危険負担地元でしていただいてでもやるということでございますればいろいろ研究してみたいと思いますが、しかし、走れる蒸気機関車がいまたしか六両ぐらいしかございませんし、あとは走れなくなってしまっております。それから設備的にいろいろ問題がございます。そういうことで、各地で大変御熱心ではございますが、なおまだその中でどれも軌道に乗ってそういうところまで来ていないわけでございまして、どうかひとつ地元で篤と御研究いただきまして御提案を願えればというふうに思っております。
  286. 中村茂

    中村(茂)分科員 山口線は試行だというお話ですが、実は国鉄の小海線にSLを復活させる運動が非常に強く起きているわけでございます。昨年の十二月七日に、私もこの地域にできております国鉄小海線にSLを走らせる会、この代表八名とともに運輸省鉄道監督局と国鉄本社を訪れまして、小海線にSLを復活させていただきたいと、この小海線にSLを走らせることを願っている一万八千人の署名を添えまして陳情したわけでございますが、この陳情が高木総裁のお手元に届いたでしょうか。
  287. 高木文雄

    ○高木説明員 承っております。
  288. 中村茂

    中村(茂)分科員 私は、国鉄の小海線にSLを走らせるという環境というか、若干の条件を含めまして、素人ではありますけれども、非常に有望ではないかというふうに私自身思っているわけであります。  申し上げるまでもなく、小海線というのは信越線の小諸から中央線の小淵沢に通じている線路でございますけれども、千曲川の流れに沿って山並みをずっと上っていきます。その中で浅間山、八ケ岳の景観というものは非常にすばらしいものがあります。しかもこの小海線の通っているところで国鉄の中では日本一の標高地点を通過しているというふうにも言われております。その両側に広がっております高原は、一度通った者は決して忘れることができないようなすばらしい景観を呈しております。東京の上野から信越線で出て小諸に行って、小諸から、小海線でSLを走らせていただくということになれば、それに乗って、先ほど申し上げました景観のすばらしいところを通って小淵沢、中央線に乗って東京の新宿に帰ってくる。いわば一日の東京からのコースとしては非常にいいコースであります。軽井沢という避暑地が小諸にあるわけでありますけれども、小諸から立つのではなくて、軽井沢からこういうものを通すということになれば、夏は避暑地として国鉄の利用客も非常に多い地点でもありますから、軽井沢から出発させることなどを考えていただければ、なおこの効果が数倍してくるのではないか。  ここに私パネルを持ってきたわけでありますけれども、これは私が写真を撮ったものです。それをお願いしてこういう大きなパネルにしたわけでありますけれども、これは小海線でSLが外される前に走っているところでございます。これをそこのところにおきますから、これを見ながらひとつ納得のできる答弁をしていただきたいと思うのです。
  289. 高木文雄

    ○高木説明員 いま御同様な御提案が各地から出ております。率直に言って私ども大変評判がいいので、ある意味では喜んでおりますけれども、ある意味では、すでに走れる車両の数にも限度がございますので、どういうふうにしてよろしいかということで思いあぐんでいるという現状でございます。いずれにいたしましても、私どもとしましては、私どもが直営で経営いたしますのはこれ以上の地点ではいかがかということで、山口線に限定したいというふうに考えておるわけでございます。また山口線につきましても、果たして何年続けてやっていかれるか十分な見当はつけておりません。なお一、二年やってみますと全体の問題がはっきりしてまいりますので、その辺で見当をつけたいと思っております。その他の地域につきましては、数日前でしたかの新聞に出ておりますが、本年の秋に北海道におきまして、北海道に鉄道ができまして百年のお祝いがございますので、北海道で初めて鉄道が走りました小樽と札幌の間で臨時的に走らせることを考えたいということを札幌、小樽からお申し出がありました。何とかそれを実現しようということでいま具体案を立てておるところでございますけれども、その場合にも原則的には札幌地区の方々に全体のデザインをしていただきまして、その範囲内で私どもお手伝いできることをお手伝いしようか。それは期間は一週間ぐらいであると思いますが、そういう計画がいま進められております。  そうした形で何かの記念事業としてきわめて短期間に行うということであれば、今持っておりますかま——かまというのは蒸気機関車のことでございますが、かまの数が少なくてもかなりいろいろなことができるかなということで、そういうことをことしやってみたいと思っておりますが、一体その場合でも経営責任といいますか、採算がとれるかとれないか、そしてうまくとれなかった場合にどうするかという問題で、あるルールをつくらなければいけないというふうに考えておるわけでございます。小海線につきましても、非常に早い時期から御熱心にお申し出があることはよく承知をいたしております。そうした運行についての仕組みをいろいろ関係地域の方々で御研究いただきまして、言ってみれば、私どもにえらく経済的に負担にならないという目安をつけていただきますことを最優先のこととして御計画いただきたいというふうに思います。
  290. 中村茂

    中村(茂)分科員 総裁のSLに対するお考え、大体わかりましたが、もう少し細かく聞いておきたいというふうに思うのです。  直営でやることは山口線だけぐらいにして、あとはその地元の皆さんと研究して採算などを考えてやりたいということですが、持っているものは国鉄のもので、その上にSLを走らせるというわけですが、そうなっていきますと、何かその部分だけ委託するというか、その部分だけ請け負ってやるというか、それでたとえて言えば人件費などを出すとか、計算の方法はいろいろあるでしょうけれども、ちょっと漠然としていてわからないのですけれども、そこら辺のところをもう少しお考えをお聞きしたいというふうに思うのです。
  291. 高木文雄

    ○高木説明員 山口線でやりました結果、キロ当たり運行経費がどれぐらいかかるかということがだんだん出てきたわけでございます。それから修繕費がどれぐらいかかるかというようなことも出てきたわけでございます。ですから、たとえばある期間これを走らしたい、幾ら持てばおまえの方はやってくれるかというようなことを言われましたときに、具体的に、ではこのくらいの御負担を願えればそれはできますというようなことの計算の基礎がだんだん固まってまいりましたから、何といいますか、これをやることによってどれほどの経済的な誘発利益があるかというようなことをお考えになりながら、私どもの方の条件もおくみ取りいただきながら計画を立てていただいたらいいんじゃないか。まだしかしきょうだだいまの段階では、たとえば例を小海線にとって、幾ら負担すればやってくれるか、それは幾らなんだと聞かれても、お答えいたしかねます。いま山口線でいろいろなところでどのぐらい金がかかってということを計算いたしましたりしております。山口線の場合には、実はこれに乗るために在来線の方に乗っていただける収入の増加というものがあったものですから、総体としては赤字にならずに済んだということでございますけれども、どこでやってもうまく採算がとれるかどうか、まだよくわからないわけでございまして、きょうだだいまの段階ではちょっとお値段を申し上げかねますけれども、われわれもそれを詰めておきますから、地元の方で一体どのくらいの腹構えといいますか御覚悟でおやりになるのか、そちらの方でも少し計算をやってみていただきたいなという感じがいたしております。  それと同時に、いま他の地域からもかなり熱心にお申し出がありまして、ちょっと競争になる関係が起こるかもしれませんので、その点もお含みおき願いたいと思います。
  292. 中村茂

    中村(茂)分科員 それでは、先ほど申し上げましたように、地元の皆さんもSLを走らせる会というものまで自主的につくっているわけですけれども、非常に熱心に誘致運動をしているわけでございますので、私もいま総裁からお話しになった趣旨を地元によく話しまして、先ほどいろいろお話しになった点をできるだけ研究させていただきたい、こういうふうに思うわけでございますが、その際にはいろいろとまた御協力をお願いいたしたい、こういうふうに思います。
  293. 高木文雄

    ○高木説明員 その場合に一つお願いしておかなければなりませんのは、SLを走らすことはよろしいのでございますけれども、実は非常に大ぜいの方が集まってきて、交通整理に汗を流すという問題があるようでございます。それで、山口県の場合にも、そうした交通の問題、警備の問題というのは一切県庁の方が責任を持って処理をしていただいておるわけでございまして、そういう意味で県レベルでどこまでおやりいただけるのかということについてもいろいろ御検討おき願いたいということが一つ。それから小海線ではちょっと前、SLが盛んに走っていた時代に問題がありまして、それは何かというと、煙が出るものですから、煙の結果高原野菜が被害を受けるということで、盛んに損害賠償問題が起こったことがありまして、私どもとしては確かに高原野菜の多いような地域で煙を出すということがどういうことになるのかというのが悩みの種でございます。ですから、走らしたいという方もございますけれども、走られては困るという方もありまして、私どもとして強い御要請があってそれに応じたところが、今度は損害を起こしたというので賠償をしなくちゃならぬということではとてもたまらないということがありますので、いまは事情も違っておると思いますけれども、過去においてはそういうこともありまして、ちょっと頭を悩ましておるということを申し添えておきます。  それからもう一つ、小海線につきましては特にちょっと技術的な問題がありますのは、先ほどお話がありましたように、日本で一番高いところを走るわけです。そのことは何かといいますと、勾配がきついということでございます。したがって、いまの条件で勾配のきついところを、言ってみれば昔のように活力がある蒸気機関車じゃなくて、少し古くなっている蒸気機関車でうまく坂を登れるかどうかという問題もあるわけでございまして、いま一般的にお答えしたわけでございますが、小海線の地理的条件からいってどういう条件があるかということはまず私どもの方で調べさせておきますから、そうした問題が残っておりますことも一つ頭に置いていただきたいということを追加してお答えさせていただきたいと思います。
  294. 中村茂

    中村(茂)分科員 大臣、これをよく見て、大臣もひとつ感想を……。御協力ください。北海道かなと思ったらだめですよ。
  295. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 大変景色のいいところで、感心して見させていただいております。
  296. 中村茂

    中村(茂)分科員 次の問題に入りたいと思いますが、今度は鉄建公団の関係に参ります。  実は、上越新幹線の大清水トンネルの坑内火災事故について若干お伺いいたしますが、この事故は昭和五十四年三月二十日の午後九時四十分ごろ発生したのであります。この事故について私が昨年の六月一日に開かれました建設委員会におきまして、主として日本鉄道建設公団のその当時の川島総裁に質問をいたしました。そのときの質問で明確でなかった点及び回答が保留になっていた点について、もう時間がございませんから、一括個条書き的に御質問をして、一括お答え願いたいというふうに思います。  その一つは、この事故は五十四年の一月二十五日に二十二・五キロの大トンネルが開通して、このトンネル工事に使用したドリルジャンボ、掘削機の解体作業中に火花から引火したと思われると、その当時はそういうお答えでございましたけれども、その後調査によって事故の原因は何であったか、お尋ねいたします。  二つとして、この事故の死亡者は十六名でしたが、元請の前田建設株式会社の従業員が三名、下請の渡辺工業株式会社の従業員が十三名でございました。このような場合の災害事故の補償について、下請であるからといっても元請が責任を持つべきではないかということを強く主張しておきましたけれども、実際の労災補償についてどのようになったのか、お尋ねいたします。  三つとして、この事故の当日に労働基準監督局長と同署長並びに前橋検察庁の検事正が連れ立って視察した、その直後にこの事故が起きた、こういう問題でございました。実際にその後の措置がどうなっているのか、その当時強く質問しておいたわけでありますけれども、これは私の手落ちで、権限外になるかとも思いますから、答えられなければまた別の機会にこの点を明らかにしておきたいと私は思いますが、感想なりあったらお聞かせ願いたいというふうに思います。  これだけの大きな事故でありましたから、全体的に見て公団並びに請負会社のペナルティーはどうなっているのか、明確な御答弁がございませんでしたので、一括して明らかにしていただきたいというふうに思います。
  297. 藤田雅弘

    藤田参考人 お答え申し上げます。  第一点の、原因についてどうかというお尋ねでございましたが、原因の究明につきましては、関係機関、警察、消防署等の現場検証も終わりまして、私どもといたしましては、二月六日付の新聞報道で、工事請負業者の前田建設工業株式会社と下請の株式会社渡辺工業が前橋地方検察庁に書類送検されたということを承知しておるわけでございまして、これら関係機関によりまして原因の詳細は判明するのではないか、かように考えております。  次に、遺族の方々に対する補償のことでございますが、当時、先生からもいろいろ御指摘ございましたように、遺族の方々に対しまして相応の補償が行われ、納得いく措置を講ずるようにと私どもも前田建設工業、請負業者に指導をしておりまして、昨年それぞれ話し合いの結果、円満に解決したという報告を受けておりますことをお答えいたします。  それから第三点につきましては、どうも私ども、そういう事実——午前中そういう方々が御視察いただいたということは承っておりますが、それについての感想その他についてはちょっと私ども述べるあれもございませんので、しかも実際作業をそのときはしてなかったようでございますので、そういう点についてまでの配慮ができたかどうか、しかも非常に短時間に通過をなさったようでございますので、ということを申し述べて、お答えにかえさせていただきます。  四番目のペナルティーにつきましては、私どもは鉄道建設公団の当時の新潟の建設局長を即日厳重注意をいたしております。それから、請負業者の前田建設工業に対しましては、私どもの工事について六カ月間の資格停止を行っております。
  298. 中村茂

    中村(茂)分科員 ありがとうございました。
  299. 藤田義光

    藤田主査 以上で中村茂君の質疑は終了いたしました。  次に、藤田スミ君。
  300. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、関西新国際空港の問題についてお尋ねをしたいと思います。  きのうの委員会で、大臣は、空港基本計画、環境アセスメント、周辺整備計画大綱の三つを地元の府県に提示する時期としては、当初五、六月ごろというふうに考えていたけれども、若干おくれそうだということをお答えになったそうですが、そういうことですね。
  301. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのとおりでございます。
  302. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それでは、五十六年着工、六十三年開港という運輸省の希望はというのですか、見込みというのですか、それは変化をしたというふうに判断をしてよいのでしょうか。
  303. 松本操

    松本(操)政府委員 五十六年に着手をし、六十年代の早い時期に運用開始をしたいというこの考え方は、先生いま希望とおっしゃいましたが、希望とおとりいただいてもいいわけでございまして、私どものもくろみ、腹づもりとしては、いまのところまだそれを撤収してしまうというところまでは行っておりません。
  304. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 そうすると、いま工法並びに財源問題についても大変複雑な条件が出てきているのではないかと私は考えているのですけれども、そういう提示がおくれて、なおかつその希望というのですか、そういう計画、段取りを変えておられないとしたら、地元へのこの提示をされた後の検討期間がそこで縮められるのじゃないかという危惧がございますが、その点で、政府としてはその回答を急がせることなく、十分に地元のこの検討期間を保証していただけるというふうに要望したいわけですけれども、この点についてはどうでしょうか。
  305. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほどもお答えしたわけでございますが、地元に提示しますときに、いつまでに御返事を賜りたいというふうに期限を切るというふうな性格のものではなかろうと思っております。したがって、私どもの方が用意いたします提示案そのもののでき、ふできということもございましょうけれども、私どもとしては全力を挙げて、わかりゃすい、御納得のいくようなものをつくって提示をする、それによって地元の方でいろいろと御検討いただいて、最終的に合意を見る、こういうことでございますので、私が先ほど基本的な願望と申しますか、もくろみというか、変えてはおりませんと申しましたのは、相手方に対する検討の期間を短くして、何が何でもそのスケジュールに合わせようというふうな発想では毛頭ございませんので、多少おくれるということは認めざるを得ない状況でございますが、しからば、私どもの方で用意する資料というものはできるだけ念の入ったものにするということによって、地元の方の御審議の役にも立つようにしたい。したがって、結論的に、延びなければいいがな、こういうふうに思っておる、こういうことでございます。
  306. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 よくわかりました。地元の検討期間を十分確保していただけるように私からも強く要望しておきたいと思います。  空港が建設できるかどうか、特にこれは財政問題と関連をいたしまして、危ぶむ見方があると言ってはこちらの解釈になるでしょうが、朝日新聞が「離陸できるか関西新空港」というタイトルで連載の記事を載せております。きょうの記事には空港の収支試算を述べているわけですけれども、こうした試算というのは当然運輸省として検討しているはずだと私は思うわけです。しかし試算を公表したことは聞いておりませんが、これは早く公表するべきではないかと考えますが、どうでしょうか。
  307. 松本操

    松本(操)政府委員 おっしゃるとおりだと思いますが、ただ、現在は工法についての結論すら出ていない段階でございます。工法そのものはやはりこの空港建設費の中で相当部分を占めるわけでございますので、これがはっきりいたしません時点において総額幾らかかるのかということが高い精度で出しがたい、そういうことでございますから、かつて非常に大ざっぱに一兆三千億かかるとすればという、細かいこと抜きにして数字だけを押さえまして、はじいてみるなどしたことはございますけれども、しかしこれは十分に説得力のある数字でもございませんし、したがって、現在のところではまだそういった数字を皆さんにごらんに供するような段階まで立ち至っていないというふうに御理解いただきたいと思います。
  308. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 しかし、もう試算の基礎資料としてはこういうふうな航空審の部会へ提出された参考資料もあるわけですね。ここには非常に丁寧に航空輸送の需要だとか離着回数だとか就航機材だとか、従業員はどうなるとか、あるいは利用者はどうなるとかいうようなこともはっきり出ておりますし、それから建設費についても、雑駁な計算であっても一応の計算があるわけですから、私はそこに離着陸や必要経費などを加えていけば、当然もう何ケースかの計算はされていてしかるべきだというふうに考えるわけです。  そこで、質問を続けたいと思いますが、この記事を見ましても、莫大な借金を前提にして、その返済が終わるのは、従業員の人件費並びに必要経費を除いたとしても開港後四十五年かかるというしろものだ、こう書いているわけです。そして結局、空港収支は企業会計としては成り立たない、むしろそれを無理にやろうと思えば政治的決断しかないというふうに結んでおります。結局、採算が成り立つようにしようと思えば、ここで問題になるのは借入金をどれだけ抑えて出資金を高めていくか、ここが一つのかぎになるのではないかと思いますが、運輸省は一般会計の繰り入れをしてでも出資金を確保するというお考えなのか。現実にその一般会計からの繰り入れについては可能だというふうに見通しを持っておられるのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  309. 松本操

    松本(操)政府委員 私はその記事を読んだわけでございますけれども、先ほど来お答え申し上げておりますように、空港建設費がもう少し正確な見方をして一体幾らかかるのか、それからさらに、空港というものはつくってしまえば終わりというわけではございませんので、維持管理費というものがかかるわけでございます。要するにランニングコストでしょうか、そういうものを入れて勘定いたしませんと、先の返済計画などというものを軽々しく論ずることはできないのではないか。  そこで、利子のつかない金をたくさん投入することができればそれだけ後の回しが楽になるということは常識でございますけれども、現下の財政状況等を踏まえた場合に、どこまでの率でそういった出資金的なものを出すことができるのかどうかというふうなことは運輸省ひとりで決め得るものではございませんので、財政当局を含めた関係省庁との協議なり、あるいはさらに地元関係府県とのお話し合いを通して答えが固まっていくのではないか、こういうふうに思います。現時点で御質問にすかっとお答えができないのは大変残念でございますが、いまのところは、先ほどもちょっと触れましたように、幾つかの仮定を置いた計算をやり始めておるという段階でございまして、これは間違いなく借りられるからこういうふうにするとか、そういった詰め切れたところまでの話にはなっていない、こう御理解いただきたいと思います。
  310. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 きのうのこの委員会分科会大臣は、関西新国際空港というのはあくまで国の責任で建設をしていくのだというふうに答えておられるわけです。これは国が全額負担をするという意味なのかどうか、もう一度お答え願いたいと思います。
  311. 松本操

    松本(操)政府委員 大臣しばしばそういうお答えを申し上げているわけでございますが、国の責任においてというのは、国が一から十まで全部のことを一つ残らずやる、あるいはその国というのはどこだという議論もございますけれども、もう少し狭くして、運輸省が一から十まで全部やるんですというふうな趣旨でお答え申し上げているわけではないわけでございます。国にとって基幹空港の一つであることは間違いのないことでございますので、したがって計画を立案し、しかるべく手順を決めというふうなところは、国が責任を持って処置をしていく。  ただ、それの実行に当たって、どこがどういうふうに金を出すか、どこがどういうふうに分担をしていくかというふうなこともよろしくやってくれというのではなくて、国が責任を持って参画していくわけでございますけれども、全体の計画が国の責任と参画によって行われていく、こういう趣旨でございまして、資金の面、その他を含めてすみからすみまで国が全部やるということではない、こう御理解いただきたいと思います。
  312. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 どうも含みのある言葉に聞こえるわけです。はっきり言ってほしいのです。そうすると、地元の府県への負担も求めると先ほどの御答弁の中でもそのことは言っておられましたけれども地元の府県に負担を求めるという基本的なお考えなのかどうかということを明確にお答え願いたいと思います。
  313. 松本操

    松本(操)政府委員 基本的な考え方かという御質問に対しては、私、基本的な考え方でございますとお答えするのはいささか越権であろうと思います。  四十九年の八月に、前の関西部会の答申が出ました時点で、建議がついております。その建議の中には、公団等を設ける場合、地方公共団体もそれぞれ負担能力に応じた出資をすること、ということが建議として出ておるわけです。このことは、もうすでに四十九年以来のことでございますから、広く知れていることでございます。そういう考え方もあるということは、きのうきょうのことではないわけでございますが、ただ、それをあくまで貫くのか、応分のというのをどういうふうに理解するのかというあたりになりますと、先ほど申し上げましたように、関係省庁はもちろんのこと、当事者である関係府県との間に十分のお話し合いができない限りは構想の域を出ない、こういうことでございますので、そういう基本方針であるとかそういうふうに決めたとかいうことではございません。
  314. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 基本方針ではないけれども地元負担というのは建議にもあるので、それは十分考えの中に入っているというふうに聞きましたが、そうですか。
  315. 松本操

    松本(操)政府委員 資金の調達に関する考え方の中の一つとして……(藤田(ス)分科員「一つじゃないですよ」と呼ぶ)一つとしてなんです。一つとしてと私が申し上げますのは、たとえば成田の公団の場合には国だけしか出資をいたしておりません。ですから、公団という名前を仮につけるといたしました場合に、国の出資のみという形もあり得るわけでございますし、あるいはこれにさらに関係地方自治体の出資というのが加わる、こういう形もあり得るわけでございます。ですから、これ一本にしぼって議論を煮詰めているということではないのでございまして、この点はぜひ御理解いただきたいと思います。
  316. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 きのうの大阪府議会で、大阪府の知事は、新空港は国の責任と負担で建設すべきだ、つまり、地元負担については否定的な発言をしておられるわけです。それから、御承知かと思いますが、例の関経連の日向会長、この方も、私企業が空港の事業主体へ出資をすることは絶対反対だと発言をされた上に、企業としてはもうかる見込みもないところへ出資などできるものかというふうに述べておられるわけですね。先ほど、地元負担については考え方の一つだと言われましたが、そうしたら、その考え方というのは現実非常に不可能な拒否の答えがもうしきりに出てきているわけです。運輸省が示しておられないにもかかわらず、もうそういうふうな状態が出てきているわけですね。これについてはどういうふうにお考えですか。
  317. 松本操

    松本(操)政府委員 先生おっしゃるような状況がちらちらしておることは私も十分承知をしておるわけでございますが、こういう例を引いて適当かどうかは存じませんけれども、この関西空港計画そのものが、私どもの方で運輸審議会に諮問したのが四十六年でございますが、その諮問をする前から、関西空港絶対反対という御意見が実は地元のあちらこちらにちらほらあったというふうな経緯も私、承知をしております。  ともかく、これから詰めたお話し合いをしてまいります過程で、私どもの言い分を御納得いただけるか、それとも、やはり私どもの言い方がついに納得を得られないかというのは、これからの議論の過程で決まっていく問題ではないか、こう考えます。
  318. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 絶対反対がちらほらではなしに、泉州はどこの議会もみんな反対を決議しておりますし、大阪府議会も反対決議そのままになっているわけです。この泉州の地元の自治体の財政状況というのは非常に深刻ですし、大阪府も財政再建計画をことし立てまして、これからいよいよ財政危機をどう脱皮していくかということで、相当公共事業に対してもしわ寄せが出てきているわけなんです。もともとこの空港というのは、その経緯からしましても、それから日本の西玄関だといみじくも大臣が言われましたようにその性格だとか機能からしましても、現行法を見てみましても、国が出資をする空港であって、どうして地元がその出資をしなければならないのかということでは、地元の方としては非常に意外な御発言に聞こえるわけなんですがね。  一体、運輸省は、地元から拒否されたら、それでは別の考え方をとっていかれるというふうに理解をしていいのでしょうか、それとも、地元負担がなければできないのだ、資金調達できないのだというふうに考えておられるのか。
  319. 松本操

    松本(操)政府委員 繰り返しお答え申しておりますように、資金の問題は運輸省がひとりで決められる問題でもございません。財政当局の御意向なども十分に伺って決めなければならない問題でございますので、いまここで軽々に私の方から結論めいたことをお答えすべきでないと思います。私どもとしては、先ほどお答えしましたように、どうしても地方公共団体から出資してもらわねばならぬとか、もらうべきであるとかいうことをいま主張しているわけでもございません。考え方の一つとしてあり得るということを申し上げているわけでございますので、今後の話し合いの中で、やはりそれはのめませんね、こういうことになるかもしれません。空港計画そのものについてはわかった、しかし資金計画についてはまたおのずから別の考え方ですな、こういうことになるかもしれません。そういう場合に、しからばこの空港計画を根っこからあきらめてしまうのか、あるいはまた何らか別途の方法を考えるのかというのは、いまから答えを用意しておくというのには私はいささか早過ぎるような気がいたします。現に、まだそこまでの詰めというものを私どもはしておりませんので、残念ながら、いまの御質問に明快に御返事するということは、ひとつ御勘弁いただきたいと思います。
  320. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 私は、考え方の一つであっても、それはもうぜひ撤回されるべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。  次に、周辺整備計画についてお伺いをいたしますけれども、国は近く周辺整備計画大綱というのを提示されるということなんですが、地元の問題としては、一体特別な財源措置を示していただけるのかどうかということが、これは可否判断をする上でもいわば自治体にとっては死活問題にかかわってくるわけですから、大変な問題になるわけです。  そこでお尋ねをいたしますが、まず最初にお聞きしたいのは、泉州の地域の周辺整備の考え方として、成田の空港を前例として考えておられるのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  321. 松本操

    松本(操)政府委員 非常にむずかしい御質問でございますので、私の答えもおのずから慎重にならざるを得ないのでございますけれども、関西国際空港と成田の空港とは、やはり私は基本的に違う面があるように思います。いずれも日本の玄関たり得る空港である、あるいは関東地区、関西地区の基幹空港であるという点において何ら変わりはございませんが、成田空港が内陸空港として、現にそこに生活の行われておった土地を買収し、したがって、空港から出ますと、すぐそこに道路があり、その道路を歩いていけばだれかの家に入っていくという形の成田空港と、初めから公害のない空港ということを標榜し、その上にまた、海上五キロというところに何らかの方法で空港をつくろうという形でスタートいたしております関西空港との場合には、同じ地域整備計画と申しましても、それは少し違いがあるのではないだろうか。ただ、同じような点といたしましては、たとえばアクセスの例を取り上げますと、空港が何がしかの活動をする場合に、当然そこに出入りをする人たちがあるわけでございますし、そのためのアクセスというものを考えなければならない。それが海を渡って内陸部に入ってまいりますと、当然そのアクセスの手段そのものがまた何がしかの影響というものを周辺地域に与えてくるわけでございますので、そういう点についての基本的な物の考え方というのは、空港を設置しようとする側においてはっきりした考え方というものをお示しできなければいけないのではないか、こう思うのです。  それに対して、空港がそこに存在するがゆえに、沿岸部の地域に何がしかの変化が起こる。それが長年の間に町の形を変えていくというふうなことも大いにあろうかと思いますが、この部分については、むしろ御迷惑なのを何とか取り下げましてということではなくて、空港がそこにあるのを積極的に活用していくという、むしろ市町村の側の創意と工夫というのが根っこになって議論が高められていき、それを国がどこまで援助申し上げていくか、御協力申し上げていくか、こういうふうな発想で全体がかたまっていくのではないだろうか。ですから、私の説明が十分であったかどうかはわかりませんが、少し違いがあるのではないかというふうに私自身は考えておるわけでございます。
  322. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 考え方としては、沖合い五キロにつくる空港だから、初めから公害のないことを前提にした空港だから、成田のような内陸部で設置した空港とおのずとその措置の仕方は違ってくる、こういうことですね。それからもう一つは、だからたとえば成田の特別措置を見ますと、騒音に関する迷惑料という形で周辺の農業振興にもかなり力を入れた財政援助がされているわけですが、こういうものは泉州沖については、つまり成田で迷惑のかかっている農地は海なんだから、それも省ける。その上で沿岸部の問題について周辺整備について考えていきたい、こういうことなんですね。
  323. 松本操

    松本(操)政府委員 あるいは荒っぽい考え方かもしれませんけれども、大体おっしゃいましたようなことであろうかと思うのです。直接的にたとえば成田の問題にいま適用になっております騒音防止の特別措置法、これなども騒音の及ぶ範囲によってコンターを引いて、それを一つのベースにいたしまして、土地割りあるいは土地の有効利用というようなことを図っていく、これなども恐らく七十というコンターでかきますと、全部海の上に入ってしまうだろうと思います。したがって、別の考え方を持ってこなければならない、そのためには、空港がそこにあって御迷惑をかけるという考え方よりは、むしろ空港がそこにあるのをいかに活用していくかという、地元のバイタリティーを国の方でどこまで御協力申し上げていくかということであろうかと思いますが、ただ、関西地区全体の計画というものは国としても当然あるわけでございます。その全体の計画の中に空港が入ってくるというのは客観的事実でございますので、私の申し上げているのは、国としては何か出てきたらめんどう見るというだけでどちらかといえば逃げ回るということを申し上げているのでは全然ないのでございます。
  324. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 それじゃもう一回具体的に聞きますが、たとえばアクセス、これは空港に欠かせないものなんです。そのアクセスに関連して地域の交通網を整備していかなければならない。地元ではそういう問題が必然起こってくるわけです。こういうものについては、一体周辺整備計画の中でどういう位置づけをしていかれるつもりなのか。  それから、時間がないからはしょりますけれども、空港従業員だとか家族だとか、この調査によりましても十二万人の人口がふえるのだ、こうなっているわけです。経済企画庁の調査をした内容を見ますと、千人に対して社会資本は六十一億かかる、こうなっているのです。そうすると、空港の従業員並びに家族による人口増の予想は大体十二万から十八万というふうな数も出ておりますので、これを置きかえてみましたら、ざっと七千億から一兆円というふうな数字がはじかれてくるわけです。いま大阪は人口急増で、本当に財政が大変な状態になっておりますし、学校は建てていかなければならない、下水道は整備しなければならない、医療機関は置いていかなければならないということで、私は何もかも国でという意味じゃありませんけれども、そういう条件整備に対して、国は基本的にはどこまで責任を持っていくというふうに考えておられるのか、この点についてお示し願いたいと思います。
  325. 松本操

    松本(操)政府委員 いま御質問の、全容につきましては運輸省が単独でお答え申し上げる問題ではなかろうかと思います。関係省庁の間で十分に議論を詰めた上でお答えをすべきが筋かと思いますが、私どものいま考え方の中にあるものだけをお答えいたしますと、アクセスのごときものは、空港の側からまさに影響を及ぼしているわけでございます。客観的な事実としてとらえ得るものでございます。こういうものについては、アクセスをどのように処置をしていくのか、根幹となる運輸、交通体系をどのように見ようとしていくのか、それが地域にどのような影響を及ぼそうとしていくのかというふうな点についての大綱ははっきりと地元にお示ししなければならないだろうし、その中でも、とりわけいろいろな原因の派生的効果のもとになるものにつきましては、財政的にも一体どうするのかというあたりについての考え方をやはり明らかにしなければいかぬだろう、こう思います。  また、後の方で例示的におっしゃいました空港従業員の問題になりますと、おっしゃいますように、恐らく十二万とかあるいはそういった数字が出てまいりましょう。ただ、これをどの沿岸部のどの市が受け取ろうとするのか、全然そういうのは要らない、こうおっしゃるのか、あるいはどこかの市がとりわけそういうものについて強い興味を示されるのか、いろいろあろうかと思います。それが、私が先ほど来申し上げております地元の創意工夫に国としては積極的に協力をしていくと  いう意味でございますので、その点はそういうふうに御理解いただきたいと思います。
  326. 藤田スミ

    藤田(ス)分科員 残念ですが、時間がありませんから、もう質問をやめたいと思いますが、とにかく原因者は運輸省なんですよ。空港設置という原因をつくることによって人口急増も出てくるわけです。これに対して地元の創意を出せ、つまり人がふえた分、地元がそれを活用して、どうバイタリティーを発揮していくかということにあるのだと言われましても、人口急増で、いやと言うほど財政的な面では困難をしている地元の自治体としては、国の方がその人口急増に対してはどこまで措置をするのかということを示してくださらないと、その投げたボールを受けるところはありませんよ。私は、計画の大綱を示されるのは結構だと思いますが、その裏づけになる財源問題について一体どういうふうに考えるのかということもあわせてぜひお示しいただきたいということを申し添えまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  327. 藤田義光

    藤田主査 以上で藤田スミさんの質疑は終了いたしました。   次に、沖本泰幸君。
  328. 沖本泰幸

    沖本分科員 運輸大臣もいらっしゃいますから、話の中身は聞いておいていただきたいと思うのですが、主として地元めいたことになるのですけれども、これは十年来の問題でございまして、大阪の外環状線について主に質問をしたいと思うのです。  新しく線をつくれというような要求は、いま赤字財政再建計画なり、あるいは人減らしをやって財政を立て直す、あるいは国鉄を健全な経営に持っていく、こういうことで国民がひとしく注視もし、心配もしておる、関係当局は非常にこの問題に真剣に取っ組んでいらっしゃるところでもあるし、最近は、赤字ローカル線についても二年間で答えが出なければ廃止する、こういうふうな方針も打ち出されて、いろいろと再建についての内容を御検討になっていらっしゃる、そういうときに、大阪の外環状線はどうなっているのだ、つくりなさいという方向のお話を持ち込むということはあまり好ましいことではないわけですけれども、太平洋ベルト地帯、あるいは東京に次いで大阪、関東に次ぐ関西圏あるいは中部、こういう地域の、先ほどもお話がありましたいわゆる人口急増地帯、こういう地域の中での交通の問題ということは、これはもうほかの面と変えた考えを持っていただかなければなりません。  それで、この外環状線は、いまから十年前、万博には本当は完成して走っておるということが基本だったわけです。ところが、いわゆる第三期長期計画そのものが、赤字だということで練り直しということからこの問題は後回しになってきたわけで、そのことについては、代々の総裁は、質問する都度、必ずやりますから待ってくれということで、ずっと総裁がかわるたびにやるということをおっしゃるわけです。やるけれども待てということで、地元の人たちは国鉄債も約九億買って、みんなこの沿線に当たるような市はできるのを待っておるというような現状でもあるわけです。こういう事態になってきて、それで赤字だということで延び延びになっておるということになれば、これは一体やるのかやらないのかということも問題になってきますし、一体いつまで待てばいいんでしょうかということにもなってきますし、その辺がどうなるのだろうか、再建計画も出している今日の現状において、果たして国鉄は金のかかることに手を染められるのだろうかどうだろうかということが一番心配になってきますから、この際ですから、おやりになるのかならないのか、おつくりになるのか、つくらないのか。つくらないならつくらないではっきりしていただければ、またほかの方法を皆地元の方も考えますし、おやりになるならおやりになるで、どういうふうな規模でやっていくから、地元の沿線の各市なり大阪府なり、大阪市なり、それぞれの地域はこういう協力をできたらやってもらいたいとか、ここまでは国が持つとかあるいは国鉄が持ちますから、ここからは地元が考えなさいというふうな進み方になっていくと思うのですけれども、一向にどうなるのかわけがわからないというふうな現状ということでございますから、その辺の経過について、結論的に、大阪の外環状線はおつくりになるのか、ならないのか、その辺からお答えいただきたいと思うのです。
  329. 高木文雄

    ○高木説明員 端的に申し上げて、やらしていただきたいと思っております。確かに赤字ではございますけれども、私どもの使命として今後やらなければならぬ問題の一つに、大都市圏の旅客輸送の確保ということがあるわけでございます。それで、先ほど来各地域の問題が出ておりますけれども、大阪付近ではやはりこの問題は非常に大きな問題でございます。よく言われますのは、福知山線の複線電化の問題、それから京都を中心とする山陰線の複線電化問題、それから片町線の強化の問題、それと、全部、どれがウエートが高いということではなしに、外環状の現在貨車に使わしていただいておりますのを旅客輸送に転換する問題というのは、近畿圏、特に大阪を中心とした大きな問題でございまして、これはいろいろの条件が整いまするならばぜひやらしていただきたいというふうな考えは変わらないわけでございます。  ただ、ほかの線が、山陰線もおくればせながら手をつけることに決まりましたし、福知山線もぼつぼつではありますけれども比較的進んでおるのに、どうしてこれがうまくいかないかといいますと、大変責任逃れのようで恐縮でございますけれども、何しろあれだけの既成市街地の中の問題でございますから、都市側でよほどいろいろ計画を練っていただかなければいけませんし、それから、仮に計画が決まりました後でも都市側の負担ということが多いわけでございますし、もう一つ非常に条件がまずいのは、都市の数が非常に多い。多くの都市の間をずっと通っていかなければいけない。したがって、それによってそれが便利になりましても、都市ごとに受益の程度が違いますものですから、各都市間の足並みが必ずしもなかなかそろってこないという問題があって、おくれおくれになっているわけでございますが、基本的に、やる気があるのかないのかと言われれば、間違いなく大いにやる気がありますというのが正式のお答えでございます。
  330. 沖本泰幸

    沖本分科員 万博はもう終わって跡地をどうするこうするというところから整備が整っていって、跡を利用する計画がきちっと整っているわけですね。その間に総裁が何代もかわられたわけです。それで、蒸し返すようですけれども、その都度総裁に私は毎年質問をやっているのですけれども、毎年同じような答えばかり繰り返したのでは、これはまるでお茶濁しみたいなかっこうになりますし、そういう面もあるわけです。総裁としてもぜひともやるのだというお答えですけれども、それじゃどういう青写真でおやりになるのか。何年ぐらいの計画で、いまは金がないからどうだ、あるいはどういう点が整っていないから、あるいはどういう点が話し合いができていないから、どの点とどの点を詰めていけば、あるいはなおかつ、各沿線の自治体なり何なりがこういう面を応じてくれれば、あるいはここがネックになっているんだ、この辺の話がつけばこうするとかああするとか、それさえつけばということもありますし、そういうことも含めて何年計画で、やるとすればできることにもなるし、概算としてこのぐらいの金は現在としては要るだろうというふうなものが、あるところでは明らかにされていらっしゃるのかもわかりませんけれども、私たちの聞くところではまだまだそういう点が整っていらっしゃらないというふうに聞こえるわけです。  それでこの場所は、やはり国民がいろいろ疑問に思うことを細かく分科会でいろいろ伺っていくという立場からしてみますと、関西の人たちが、一体あそこはどうなるんだろうか。先ほどの御質問にもいろいろあったわけですけれども、最近は、関西の新空港ができればそこからの交通機関、新大阪の駅までどう結んでいくか、大阪府がそれを担当するとか民間でやるとか、モノレールを敷くとかいろいろな構想が出ているわけです。そういう交通機関と、外環状線というものの在来からの計画がいろいろあるわけですけれども、それとの役割りはどういう関係になっていくんだろうかというふうなことも、関西の人たちにとってみれば非常に興味のあるところでもあるわけです。  それから、国鉄は一つの経営体ですから経営面からもいろいろお考えにならなければならないと思いますけれども、一番つくってほしいといった根本原因は、外から来るそれぞれの国鉄なり私鉄なりの線が、みんな大阪の中心をくぐって相手方の方へ抜けていかなければならぬということになるので、大阪の中心部で交通が錯綜してしまう。そこへ人口が集中してくるからお客さんの混雑が起こってくるわけです。大分大阪の中心部に、都心に向かって乗り入れをしてきてはおりますけれども、それでも大阪市なり何なりの交通機関を経て乗りかえていかなければ行けない。それを外側からつないでいくともっと簡単に行けるし、新大阪の方にも短時間で行けるんじゃないか。大阪の環状線だけではさばき切れない問題も起こってきている。経営面から見ても、経営は悪くなって赤字になるのではなくてむしろ黒字も考えられるような線でもあるというようなものがあるのでぜひともという点と、それから、城東貨物線自体が戦前から交通をよぎってしまうような形で盛り土でできている。それも一日のうち余り通らない。貨車が走っているのを見たことがないというような状態のところが、この都市の発展に大きなネックになってきている。それを高架にしてもらってちゃんとしてもらえれば風が通る、交通の渋滞がなくなっていくという、そういういろいろなものをも含めるから、沿線各市が、もう一日も早くやってもらいたい、やっていただかないということは大阪の経済を非常に抑えているということにもなるわけです。  そういう向きもありますし、また、以前の磯崎総裁の当時の構想からいくと、滋賀県の彦根からあの辺一帯を大阪のベッドタウン的なものに考える。そうすると「こだま」を利用すれば彦根ぐらいから大阪までだと約三十分そこそこで到着する、新幹線のそういう働き方も考えてみる必要があるんだというようなお話もしていらっしゃいましたけれども、それにしても、新大阪へ着いたお客さんが早く目的地へ行ける面でも利用価値が出てくるという点もあるわけです、十分御承知のところだと思うのですけれども。  ですから、そういう面も考えていただいて、総裁がこれはやりたいところなんだというふうにお答えになるのなら、少なくともそういう計画を住民にある程度大枠でわかるような形でお示しいただくことが大事じゃないか、こう考えるわけですけれども、その辺はいかがでございますか。
  331. 高木文雄

    ○高木説明員 私も非常に詳しいことは存じませんけれども、私が報告を受けているところでは、一番の難点は、この機会にあそこの土の部分をとって連続立体交差にするということによって、あの線のために全く町が分断されてしまっているのをこの機会に両側を便利になるようにしたい。それからまた、道路交通をそれによって抜本的に改善するようにしたいというお気持ちが関係市町村には非常に強いようでございまして、あの線を利用して遠方から市内に入ってきたいという利用客の方のお立場とはまた全く別に、都市部の改善のためにああしてほしい、こうしてほしいという御要請が非常に強いように聞いております。ただ、現実にそれをやるということになると、もう途方もない金になりますものですから、そう言われても無理なんですね。ある部分は盛り土高架をスラブ高架にかえるということ、あるいは連続立体交差にするということは言い出しましたけれども、あっちもこっちもというわけにはなかなかいきませんというふうに申し上げているわけでして、そのお話は一年前、二年前と比べますと、各関係の都市側にもある程度理解が専門家の間では広がってきたように思います。  しかし、各都市の御担当の方にしてみますと、それは弱腰ではないのか、自分の家の目の前はどろをとって立体にしてくれればメリットが非常に大きいのにということになってまいりますものですから、いまごくごく素案のようなものをきわめて非公式な形で、余り表に出ない形で、われわれの方の担当者が関係市町村の関係者にお示ししているのに対して、関係市町村の方々は、そんなに本当に国鉄が言うほどばかばかしく金がかかるものなんだろうかというふうなことについて、また別途専門家の意見を聞いてみるというようなことをいろいろやってくださっているようでありまして、その結果、なるほど国鉄が言っているのも無理もないな、なるほどかなり金がかかるんだなということがだんだん各市の御担当の方にわかってきておるようでございます。     〔主査退席、近藤(元)主査代理着席〕 そのことのために、昨年のこの機会に私から申し上げたかあるいは担当の理事から申し上げたか忘れましたが、技術屋の集まりの研究会を設けました。そして現実に会合もいたしておりますということを申し述べたと思いますが、その後また一年たったわけでございますけれども、その間に技術委員会はさらに三回ですか四回ですか、開かれておりまして、だんだんと自治体の職員とわれわれの職員との間に共通の理解というか判断というか、認識、そういうものになってきたようでございます。しかし、通るだけでしたらどうということはありませんですけれども、町づくりということに関連するものですから物すごい大ぜいの方々に関係してくる。そうすると、その住民の一人一人の方々とわれわれの職員が接触するわけにもいかないから、それぞれの地域の市の方あるいは町のお役所の方に市の中の取りまとめはどうしてもお願いをしなければならぬものですから、その意味で、いま市の方に対して私ども考え方を理解をしていただくことを一生懸命やっているわけでございます。しかし、何分あれだけの長い線を皆さんがわかったと言っていただくにはまだまだ時間がかかるかと思いますが、まず共通の認識を、住民の方との間ではなくて、関係の市町村の御担当の方との間の共通の認識をいま一生懸命つくりつつあるということでございまして、大変時間がかかって恐縮でございますが、私どもはあくまで、さていよいよやるかやらぬかということになるとまた金の問題が出てきますが、いまの段階はその前の、とにかく計画を早くつくるということについて馬力をかけてやらしておる次第でございます。
  332. 沖本泰幸

    沖本分科員 この問題は、初め昭和二十七年に話が持ち上がって、三十五年に促進連盟ができて、四十六年の都市交通審議会の答申で新大阪‐杉本間を新設すべきだ、こういうことになっているわけですから、話が起こって現在に至るまでには大変な日数を要しておるということになるわけです。単純にみんなが一番気にして怒っておるのは、圧力がかかって政治路線になるとすぐできて赤字でも走らすのに、この辺がどうしても納得がいかぬというのが、この線をつくってほしい人たちの一番大きな疑問なんですね。この外環状線よりずっと後から話が持ち上がってすぐ線ができている、赤字線でも走らせている、どういうわけなのだというのが私たちが聞く声なんです。  いま総裁のお話を伺ってみますと、両方とも専門家を集めて話し合いをやっているのだ。それはやるつもりだからやっているのだということになるのでしょうけれども、そういうことになりますと、大阪府や各沿線側の方から国鉄の方へお願いしてやっていただくような形でいくものなのでしょうか、あるいは両方相まって話し合いを進めているのでしょうか。たとえて言うと、いわゆる交通停滞するので立体交差させるための問題ですと、もうとうにできているわけです、私鉄の立体交差にしても国鉄の立体交差にしても。いわゆる山陰線の鳥取の駅ですか、あそこはすぐ高架化したわけでしょう。駅前と駅裏との間が、とにかく交通が通らないのでぐるっと回らなければならないから、そこを通れるようにすれば町の発展に非常に大きな役割りを果たしてくるということで、とんとんといって、五カ年計画の中で建設省、国の方が九割まで費用を見て、国鉄は一割見たらよかったはずなんです。そういう部類にも入らないのかということにもなるわけです。先ほど総裁もお認めになっている交通停滞という意味からいっても非常に大きな問題になっているわけです。ただ、全線を高架にしてしまって、それでスラブ化してくるということになると金が膨大に要るからむずかしいのだということもあるわけですけれども、それは計画を打ち出していただいて、地元と真剣に話し合いをしていけばもっと進むのではないかという面があると思うのです。余りにも放任し過ぎたのではありませんかということで、国鉄の方もまあまあということで、まあまあがこの辺まで来たということになるのではないかと思いますし、その体裁のことは言いませんけれども、余りにもみっともないことではないでしょうか。  また、勘ぐってみれば、いわゆるむだ遣いをなくすというためにいろいろな合理化をやっていらっしゃる。そして関西支社というものをなくした。関西支社がなくなったと同時に外環状線もなくなったのじゃないかという考え方もありますし、国鉄の方は関西の方なんか余り考えなくてもいいのじゃないかというふうなお考えでいらっしゃるのではないだろうか。中央集権からいくとそういうことにもなりますし、総武線はとんとんといったのになぜ外環状線だけがすんなりいかないのだろうか、いわゆる冷や飯食わされた関西の連中が目をむいて怒っているということにも当たるわけですから、その辺はどうなるのでしょうか。
  333. 高木文雄

    ○高木説明員 いろいろ事情があったと思います。国鉄側に悪い点がいろいろあったと思います。特に大都市の通勤問題を全国的に取り上げることにいたしたいということになってまいりましたのは私が参りました前後からでございまして、現に大蔵省の方から大都市通勤線をつくります場合には三割の補助金をいただくようになりましたが、その三割の補助金をいただくことになりましたのはまだ三年か四年前のことでございます。私どももそういうことを大いに主張し、運輸省もそれをお認めいただいて、大蔵省から補助金が出るようになりましたのがまだ三、四年前でございますから、その辺から政府全体として大都市通勤線のために力を入れるという姿勢に変わってきたわけでございますので、その前と今日とでは大変意気込みが違っているつもりでございますけれども、非常に厄介な問題でございますのは、大阪の場合の非常な特殊事情といたしまして、通る場所が非常に多くの市にまたがっておるという関係がございます。  先ほど御指摘になりました鳥取の高架の問題を考えますと、これは十数年も前になりますが、知事と市長が非常に力を入れてやられたわけでございますけれども、この場合には、かなり長い高架でございますが一市でございます。その後、相前後して大きな高架事業が進みましたのが浜松と静岡でございますけれども、これらも一つの市でございますものですから、一つの市で御決心になれば、大変大きな御負担もお持ちになるということでできたわけですが、大阪の外環状線は、非常に厄介な問題は、大変多くの市にまたがるものでございます。そしてわれわれの方は一本の線路でございますので、ある市だけがよくわかったということではできないわけでございまして、全部つながっているものですから、全部の市が同一歩調をとって進んでいってくださらないと、向こうは高架が上がったけれどもこちらはもとのままというかっこうでは、上がったり下がったりで走れないものでございますから、その点が非常に難点なのでございます。いま単に市ではなくて府にもお願いをいたしまして、府にいろいろごあっせんを願って、各市の足並みをそろえながらやっておるわけでございます。一例を申させていただきますと、私どもの方としては、できれば都市計画と一緒にやって、必要な用地の生み出しも市側でお骨折りいただきたいと考えますけれども、ある市は、わかりました、それしか方法がございますまいということで、都市計画事業として土地を生み出すことの計画を進めてくださるが、隣の市は、私の市はとてもそこまでは力が及びませんということで、直接買収といいますか、そういう形でやってもらえないかということで、必ずしも各市間の足並みがなかなかうまいぐあいにそろわないわけでございます。私どもも職員を督励いたしまして、また府に御協力いただきまして、各市間がだんだん歩調をそろえながら事柄を進めていただけるようにお願いをしてまいりたいと思いますし、かなりそういうことについての理解は各市の御担当の方々の間で深まってきておりまして、各市の足並みはだんだんとそろいつつあるということでございます。どうも、私も毎回ここで沖本先生から御指摘を受けるのは大変つらいわけなんでございますが、決して忘れているわけではなくて、折に触れてそういう指導をいたしておりますから、牛の歩みでございますが、とにかく少しずつ前に向かって進んでいるということだけはひとつお認めいただきたいと思っております。
  334. 沖本泰幸

    沖本分科員 時間が来たわけですけれども、どこに駅を置くかとか、いまお話があった、どこを高架にするとかしないとかいう、いろいろな細かな問題はあると思いますけれども地元の方では、各市と府とがタイアップして推進するための会合を皆持っているはずなんですから、そこへ率直におっしゃっていただいて、お互いが検討していただければ済むと思います。やはり各個撃破でなしに、一つのプールの中へ問題を出していただいて、みんなが考えるような方向で前進させていただきたいと思いますし、ある程度青写真を出していただくことの方が、住民の方も各自治体の方へ話も持っていくはずでございますし、こういう財政の非常に行き詰まった時代ですから、より強い話で進めていただかないとなかなかむずかしいわけです。万博当時ならとんとんといっているわけです。その辺はやはり国鉄が責任を感じていただくということも大事だと思うのです。大臣も、いま申し上げたとおりですから、ひとつ力を入れていただきたいことをお願いしまして、時間が来ましたからこれで終わります。
  335. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で沖本君の質疑は終了いたしました。  次に、広瀬秀吉君。
  336. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 与えられた時間が三十分でございますから、国鉄経営の基本問題等についてはきょうは触れないことにいたします。それなりに私は私なりの所見を持っているわけでありますが、きょうは足尾線の問題について焦点をしぼって質問をいたします。  国鉄当局が地方線対策として、残す路線を、大体地方線九千キロのうち四千キロを残して五千キロは大体廃線に持っていく、バス転換というようなことで構想を立てられたようであります。そこで、輸送密度一日一キロ二千人という数字を出しておられるようでありますが、足尾線に対して、足尾線を廃止する方の側に入れた理由を簡潔に質問します。まずどういう理由であるか。
  337. 山地進

    ○山地政府委員 どの線を廃止するかということは、今回の法律で、政令で定める基準によりまして国鉄が選定するということになっております。したがいまして、非常に端的に言いますと、政令が決まってない段階で足尾線を廃止するというふうに決めたというふうに言えないかと思います。ただ、従来の議論の中で二千人未満というようなことを申し上げておりますので、それについて該当するかどうかというような腹づもりみたいなことはやったことがございます。ただし、二千人でもバスに転換することが困難な路線というような考え方が別途あろうかと思いますので、今後そういう検討を経まして、政令で定める基準ができてから足尾線がどうなるかということが決定する、かように御理解いただきたいと思います。
  338. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 もう法律が通ってそれが決定されるような政令に任されたらおしまいだということがあるわけで、国民の立場において、やはり早目に、どういう考えであるかということをただしておかないと、国鉄はやはり国民の足を守るというナショナルミニマムとしての立場が依然としてあるだろうと私は思うのです。その線区が赤字であるというだけの理由でこれを廃止をしてしまうというようなことでは、国鉄の名をもはや返上してもいいのじゃないかとすら思うわけであります。  そこで、足尾線は御承知のように一九一二年に民営鉄道として発足をして、一九一八年に国鉄に移管をされ、ちょうど六十二年、足尾の銅山とともに、そしてまた足尾町とともに生き続けてきた線区であることは御承知のとおりだと思います。なるほど、最近の乗車人員等につきましても、これは皆さんが考えて、恐らく政令にはそういうようなものを出してくるのだろうと思いますが、現在旅客でいいますと、普通の旅客が一日当たり八百五十三人、定期が二千百三十八人、両者を合わせまして二千九百九十一人というようなことが五十三年の一日当たり平均ということに、私の調べたところではなっておるわけであります。  そこで、私が最も疑問に思うのは、今度の国鉄経営再建促進特別措置法案を拝見をいたしまして、一体貨物輸送をどうこの中では考えておるのか。この法案の中に出てくる文字等を見ましても、バスへの転換ということは随所に出てくるのですけれども、それでは一体貨物をみんなトラックに転換するのかという点については、政令によって定める基準だということで逃げたきり、何も言ってない。  足尾線の現状を最近の私の調べた数字で申しますと、貨物輸送が、これも確かに、赤字か黒字かということで言えば、これも赤字の原因になっていることはよく承知いたしておるのですけれども、五十四年一月から六月、できるだけ最近のものをとったわけですけれども、一月が、発一万三千百トン、着一万三千九百トン、飛ばして六月、発一万三千八百トン、着一万八千トン、合わせて三万一千八百トン、こういうようなことになっておるわけであります。それで、入ってくるものは大体重油その他が若干、主たるものは銅鉱石であります。足尾には、いまでも世界的にも非常に高度の技術として評価をされている足尾の製錬所があるわけであります。そこへ銅鉱石が主として入ってくるわけであります。そしてそれが今度は製錬されて銅になり、そしてその銅の生産量が、大体出荷量が月三千五百トン、そういうことであります。そして、大体その三倍と言われております濃硫酸が生産をされて、これが出荷されるわけであります。そのほか、水がらみなんという独特な言葉を使っておりますが、砕石のような、鉱滓のようなものなんかがどんどん工事原料や何かとして、もてていく、こういうような現況にあるわけなんです。こういうものを総体的に考えていかなければ、単に赤字だから切るというようなことになっては大変なことになるのじゃないか、そういうように思うのですが、その貨物輸送に対する足尾線に対してどういう考えを持っておられるのか、そのことをお聞きしたいわけです。
  339. 高木文雄

    ○高木説明員 ただいま運輸省から御答弁ございましたように、どういう線区についてバスへの転換を考えるかということは今後の問題でございます。国会での御審議をいろいろ承りまして、またいろいろ法案についての御意見を承りまして、それを受けて政令案をつくる材料を私ども運輸省に提供するということになろうかと思います。その場合に、旅客輸送につきましては輸送人員ということにウエートを置いて、いまの一日二千人ということが一つの目安になっておるわけでございますが、貨物については今日までどう考えてきたかと申しますと、率直にいって勉強不十分であるわけでございまして、したがいまして、いま世の中で伝えられております二千人という数字、これはまた事実、閣議了解その他で決めていただくときにお願いいたしました前提となった数字でございますけれども、その数字の方の定め方に比べまして、貨物の方の勉強が十分できてないということを率直に認めざるを得ないというふうに思っております。ところが、旅客の場合にはかなり全国的な一定の基準というものをつくれると思いますけれども、貨物は、どういう貨物であるのか、着と発の関係はどうなっているのか、季節の波動はあるのかないのか、そしてそれが非常にたくさんの荷主さんのところから出てくるのか、特定の荷主さんからぼこっと出てくるのかという問題、それから、昔はかなり私の方に寄せていただいたものがどうして今日減ってしまったか、言ってみれば私の方がサービスが悪かったという点もあろうと思います。しかし、ある面から言うと、余りにも細かく品目別に採算をとってみて、これはトラックの方がいい、これは始末がつかぬから貨車に載っけろというふうに、企業側も、全体としてその企業の出入りの貨物それぞれについてごらんになったというよりはそういうことでいかれたと思いますので、私はこの機会にそういった荷姿、荷物、企業側の採算、うちの採算、いろいろ考えてもう少しきめ細かな勉強をいたしてみたいと思っております。
  340. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 総裁に答弁をいただく前に、国鉄に大蔵省から回られて、つい最近再任をされたことに対して心から祝意を表して、いまこういう問題が議論されているように、国鉄もこれから非常に大変な問題でありますから、ひとつ御健康で大いにがんばっていただきたいとまず申し上げておくつもりだったのですが、監督局からでもよかったわけですけれども、いま総裁も率直に、貨物の問題については、政令の中に盛り込むどういう基準というようなことについては、われわれもいまのところまだ頭に浮かんでいない、不勉強であるということも認められました。  そこで、ちょっと足尾の状況というのを申し上げますと、すでに御案内のように、足尾は昭和四十八年までいわゆる採掘部門、銅鉱の採掘をあの足尾の山でやっておったわけですが、だんだん貧鉱になってきたということで、危険も伴うし、もうこれ以上採掘は続けられないということで、四十八年三月一日に閉山ということになって製錬部門だけが残った、こういうことなんです。それで、当時七百名ぐらいの人たちが足尾のその採掘部門からやめざるを得ないということになって足尾の町を去っていったということで、その前には大体九千六百からの足尾の人口があったわけでありますが、それが現在では六千二百二十人に減っているというように、非常に過疎の町になっているということです。  古河も、古河市兵衛以来百年余にわたって操業を続けた会社ですから、社有地等を町に提供するとか、それからまた新しい足尾町振興のためのいろいろな観光開発の投資をするとかいうような約束をされて、土地などは提供をしておりましたが、いま現に新しい町づくりとしてこの製錬事業を、内陸での製錬というのは海岸地帯と違って非常に不採算の面もあるじゃないかということに対しては技術的な面でそれを克服して、足尾の自溶製錬という方式は世界でも冠たるもので、かつてフィンランドが世界で一番そういう技術がすぐれておったというのだけれども、それをしのぐような技術も開発したというようなことです。公害をできるだけ出さないように、そして効率的にということで、海岸地帯から銅鉱石を国鉄によって運んできている、それを製錬をして出していくということでも、それほどほかの製錬所にひけをとらないような競争力もつけてきたというようなことで、これだけは残すということでずっとやってきて、現在その古河関係の従業員が六百十名と言われております。これを家族まで含めますと優に二千を超えるだろう、こういうことになっておるわけでございます。  もし今度そういうようなことで国鉄の足尾線が廃線になっていくというようなことになれば、これはいま六千のものが三分の一になる。その古河鉱業の従業員、労働者だけでも職を失ってそういうことになっていくということにもなりかねない。そうすれば町の商店なんかも成り立たない。学校もいまの規模を減らして、特に高等学校なんかもう廃校にならざるを得ないだろう。高等学校もいまあるわけです。三百何人かの生徒がいるんですけれども、そういうものもなくなってしまうじゃないか。そうなりますれば恐らく人口二千ちょっとぐらいの、もはや人間が一つの自治体をつくって機能していくというようなことにはならないんじゃないか。足尾閉山以来、再建計画を立てて、観光開発をしよう。それから地場産業を誘致し育成をしていこう。その上に水が非常にきれいである、周りの景色もきれいである、そして温泉も出るというようなことで、身体障害者などのリハビリの場としても何か活用してもらうというようなことで、いま埼玉県から双愛病院という四百床を持つ大病院が移転の工事を始めている、こういうような状況にもあるわけなんです。そして、この足尾の過疎を何とかしたいというようなことで、建設省も日足トンネルというような道路で日光と非常に短時間で結ぶようにやったというような、あらゆる努力をしながら再建計画を立てて、必死になって足尾の再建を新しい時代に向けて図ろうとしている。そういうやさきにこの計画が示されたということで、足尾町、この間も足尾の町民大会があって私も行ってきたのでありますが、八百三十何人集まりまして、これはほとんど各戸から皆一名ずつ来たと言っていいくらいのそういうことでありましたが、今日までの町を挙げての再建計画、あるいはまた県も全力を挙げて応援をしている。また国もそういう点で日足トンネルの建設等についても協力をした。これは過疎地帯であることは間違いないのでありますから、過疎振興法等による過疎対策というようなことも講じられている、そういう一連のものが、今度こういうことで足尾線をもう撤廃ですよということになったらすべて烏有に帰する、もう全く望みなき足尾になってしまう。それだけではありません。もちろんこれは桐生から足尾銅山に至る四十六キロ、旅客はそのうち四十二・六キロですか、そういう線でありますが、その間に桐生を含めて一市五町というその沿線の人たち、ずっと山合いの里でありますが、十六万と言われておりますこの沿線の人たちの生活に及ぼす影響というものは大変なものだ。国が一方において過疎振興というようなことでやりながら、一層こういう措置を通じて徹底的な過疎への追い込みをかけるというようなことはひとり根本的に考え直していただかなければならないのじゃないか、こういうように思うのです。これは政治家としての地崎運輸大臣から、そういう問題に対してどうお考えになっておるのか、お聞きしておきたいと思います。
  341. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 本国会に提出いたしました再建法案につきましては、これからいろいろ国会において御審議をいただくわけでございます。そして政令案等についてもいろいろ御意見を承るわけでございますが、政令で指定いたしますこの特別の地方線は、地方の協議会等をつくりまして、地元の自治体あるいは国あるいは学識経験者、こういう方々に御参加していただきまして、二年間かけていろいろ御相談申し上げるということになっておるわけでございます。その間において、いま先生のお話のような御意見も出てくると思います。十分地元の方々と御協議申し上げまして、そしてこの問題を推進してまいりたい、かように考えております。
  342. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 大臣政治家として答えていただきたいのは、いまおっしゃったことはわかりますよ、そのことは承知の上で私質問したつもりなんです。このことが見切り発車と世に言われる言葉で、法案の中身も一年が二年になっただけで見切り発車をするんです。対策協議会をつくればそれはもう廃止につながるんですということなんですよね。そうなったらもはや手のつけられない状態になりますよというので、いま過疎の問題に一層拍車をかける、一方において国として過疎振興ということをやっておる、そういうようなことの矛盾は、一体国務大臣として、これは運輸大臣だけじゃなしに国務大臣として、そういう行政府運輸省の所管事項を離れて、内閣の一員としてどういうようにお考えですかということをお聞きしている。
  343. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 過疎対策は重要な施策の一つでございます。したがって、いま申し上げましたように、御協議申し上げていく段階におきましていろいろ御意見等承って対策を講じてまいりたい、かように存じております。
  344. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 じゃ、しばらく質問を別なことにしますが、先ほど申し上げたように、貨物輸送の問題については非常に不勉強であるという総裁の言葉だったのですが、原料鉱石が月平均約一万二千トンぐらい、重油その他が二千トン、計一万四千トンぐらいになります。それから足尾から出ていくものは濃硫酸が大体一万トン、砕石やその他、これは水がらみなどと言っておりますが、これが五千トン程度、計一万五千トン。約三万トン程度は、先ほども数字を申し上げたように三万一千トンを超えるときもずいぶんあるのですが、輸送需要としてはもっと鉱石も運び込みたいということがあるのですけれども、若干の波動がある。しかし、製錬所の火をとめるわけにいきませんから、これは銅鉱石もほとんどコンスタントにちゃんと入るわけです。それから濃硫酸も、貯蔵の余りできない性質のものですから、これもできたらどんどん運び出すというようなことです。特にこの濃硫酸の問題これも近間はほんのわずか、濃硫酸のうちの五%程度は近間にやるということで、トラック輸送でやるものがあります。そのほかの行き先は大体新潟であるとか福島であるとか、そのほか関東の諸地域というようなことで、平均的に輸送距離は二百キロを超えるというようなものであります。しかもこれは専用の、三十トンも積めるようなタンク車で輸送をされておる。そういうものを古河鉱業では百六十両ばかり持っておるわけです。それを使って、国鉄を利用して輸送をしているんですけれども、これが一体普通の貨物のように安易にトラックに転換をするというようなことでいけるものかどうかという点では、全く自信がない。そしてまた、仮にタンクローリーのような形で路面輸送に転換をしたとするならば、これは二百キロからの輸送をする場合に、もし衝突をして濃硫酸が流出をしたというようなことにでもなったらこれは大変なことになるではないか。そういうようなことで、会社側もとてもそういうことでは自信が持てない。それからまた、沿線の特に人口稠密地帯の道路を通ろうなんという場合には、これは恐らくもう大変な反対で、とても輸送にはならないだろうというようなことも当然予想されるわけであります。  ですから、そういうことを考えていくならば、これは結論を早く言ってしまって申しわけないのですが、とりあえず、そういうものの転換がどうなるだろうか。そのことについて、国鉄当局としてあるいは運輸省としてどのようなお考えを持っておられるのか、これをまず聞いておきたいと思います。
  345. 山地進

    ○山地政府委員 広瀬先生、いろいろ交通のことについてお詳しいので余りくどくど申し上げるのはいかがかと思いますが、地方交通線というのは、地方的な交通であるという観念がまず基本にあったかと思うのでございます。そうすると、旅客についてはローカルの需要というものにこたえるという点がございまして、より効率的なローカル輸送とは何かということが一つ原点にありましてバス輸送ということがあったわけでございます。  ところが、貨物につきましては、先生がおっしゃいましたように二百キロを超えるとか三百キロを超えるとか、こういう貨物が国鉄のお得意さんになるわけでございまして、むしろローカル輸送という観点がないわけでございます。そうすると、そういったローカル輸送のないものについて国鉄が合理化し得る余地は何だろうかというと、細々としたものを集めて、支流から本流に集まってくるという集め方に非常に合理的な方法はないかというのが一つの、いろいろ御意見はあるかと思いますが、貨物集約化であったわけであります。ところがそういった細々じゃないようなものがある。これが足尾銅山みたいな大手の荷主、この問題を一体どうするのかということになるかと思います。この点につきましては、私どもとしては、鉄道輸送ということをある程度考えるという場合は、むしろ専用線という形で、第三セクターなりあるいは大手の荷主の方で積極的にそれを維持するというようなお考えをある種期待しているのが現状でございます。
  346. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 国鉄からはありませんか。
  347. 高木文雄

    ○高木説明員 この問題については、足尾における産業の状況と申しますか、足尾銅山が全体としてどういう産業活動の状態であり、そしてどういうふうな輸送の形になっておるかというようなことをもう少し個別に詰めてみます。今度のローカル線問題を扱います上での大変いい勉強の材料になると思いますから、もう少し個別、具体的に詰めた上で申し上げた方がよろしいかと思います。先ほどもちょっと不勉強だと申し上げたのは、ある意味では大変無責任な答弁でございますけれども、ある意味では率直に申し上げまして、もう少し商品ごとに、地域ごとに、企業ごとに個別事情を勉強してみたいというふうに考えておりますので、恐縮でございますがもうしばらく時間をおかしいただきたいと考えます。
  348. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 余り時間をかすわけにいかないのです。というのは、この法案がもうすでに国会に提案をされている。そして見切り発車という条項がある。そしてもう対策協議会をつくらなければならぬ。つくると、あと二年たてばなくなってしまう、こういうことですから。総裁は首を振っていますけれども、その間に幾らかジグザグはあるにしても、運輸大臣ががんばったかどうかは知りませんけれども大筋はそういうことで法のたてまえがなっているとするならば、やはりいまのうちに勉強しておかなければならぬ、こういう特殊な事情にあるところにおいては。この法案のたてまえも、旅客に重点を置いて、バス転換の方が有利なところはこういうところですということを言っているけれども、トラック転換が有利であるというようなことは一言も言ってない。貨物のことはほとんどその中では意識になかったようであります。したがって、そういう貨物で、もうトラックに転換することが困難である。もしそれでも無理をして転換をし、旅客の面はバス輸送にかえてしまうということになって線路を外せば、百年続いた足尾銅山が足尾の町から消えてなくなる。そうすれば足尾の町はもう二千人程度のまさにゴーストタウン的な死の町に化してしまうだろう、そういうものになる。国の今度の措置で過疎を徹底的に促進をして、足尾の町をつぶしてしまう、殺してしまうということになりかねない。やや不穏当な言葉かもしれぬけれども、そういう危機感を、今日足尾の住民はもちろん沿線の一市五町の人たちも持っておるわけです。自民党の長谷川代議士の選挙区にも関係のある問題だ。この間大会があったら、この足尾線がなくなるんだったら私は国会議員をやめますという大演説をぶっておられるわけなんです。そういうように非常に問題がありますから、少なくとも足尾線は安心してください、これは国の責任として、やはり旅客と貨物と両面から考えて、この貨物の面でどうにも転換のしようがない、転換をすればもう足尾を完全につぶすことになるし、再建の道をすべて封じてしまうということになるから、それで線路を残すならば、旅客も同時に、いろいろ合理化の手だてはあるでしょうから、そういうものもあわせながらやはり足尾は当面残しますというようなことをここで言ってもらわぬと、もう戦々恐々としてどうしようもなくなるというような大変な状況に足尾の町を筆頭にして沿線はあるわけですから、地元の人たちが、関係住民たちが安心できるような方向で、足尾は五千キロの中に入れません、こう言ってもらわないとやはり引き下がるわけにはいかぬ、こういうことなのですよ。いかがですか。
  349. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 ただいま国鉄総裁がお答えを申し上げましたように、貨物のことに対してはまだ不勉強であるというような御答弁を申し上げたわけでございますが、先生御指摘の貨物の問題は不勉強であって十分検討しなければならないと思いますので、その点についてこれから検討をして、転換困難であるかどうかというような判断も下してまいりたい、かように存じております。
  350. 広瀬秀吉

    広瀬分科員 まあ、いずれ法案がかかったらまたもう一度徹底的にやらしていただきます。きょうは時間がありませんので、これはやめます。
  351. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で広瀬君の質疑は終了いたしました。  次に、小渕正義君。
  352. 小渕正義

    小渕(正)分科員 私は、現在国家的プロジェクトとして大きな関心を呼んでいる関西新空港問題について御質問申し上げたいと思います。  というのは、御承知のように成田空港開港までに多額の経費を使い、しかも多年の期日を要しながらやっと開港したわけでありますが、いまだにたくさんの問題を抱えておるわけであります。少なくとも今回行われようとしているナショナルプロジェクトであるこの関西新空港問題については成田の二の舞をやらしてはいけない、そのように実は考えておるわけであります。したがいまして、そういう立場からまず御質問申し上げますが、実は四十九年の航空審議会の中で、新空港建設の基本問題についていろいろと論議されたわけでありまして、その答申案が出されておるわけでありますが、要するに、昭和三十九年のジェット機乗り入れ以来大阪国際空港が深刻な騒音問題を発生し、空港の存廃問題にまで発展するに至った、したがって航空審議会で、大阪国際空港の抜本的な騒音対策として、同空港にかわって受け持つ能力を備えた新しい空港を建設する必要がある、こういうことで新しい新国際空港の関西空港の問題が出たと思うわけであります。したがって、大阪国際空港は新空港が十分機能を発揮する時点で廃止することを前提として取り扱われることになったということが、実はこの航空審議会で出された答申の中でも言われておるわけでありますが、この考え方は現在でも変わりはないのかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  353. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 新国際空港発足に当たりまして、現空港廃止を含めて検討をするということは現在も生きております。しかしこの検討につきましては、地元の市町村の住民の御討議を経て結論を出していきたい、かように存じております。
  354. 小渕正義

    小渕(正)分科員 航空審議会の出されたものを読み上げてみましょうか。「大阪国際空港の抜本的な騒音対策として このためには、大阪国際空港の機能を代わって受け持つ能力を備えた新しい空港を建設する必要がある。したがって、大阪国際空港は、これまでに述べた現状等にかんがみ、新空港の機能が十分に発揮されるようになった時点で、廃止することを前提としている。」このように航空審議会の答申の中には出ているわけですね。したがって、当然これから考えられることは、新しい空港が建設された際には従来の大阪国際空港を廃止する、こういうことの前提の中で計画は立てられておる、こういうようにわれわれは理解するわけですが、それがいまの答弁では、その時点で御相談する、こういうようなお話でありました。その点はどういった経緯からそのようになったのですか。
  355. 松本操

    松本(操)政府委員 航空審議会の四十九年の答申が出ましたときに、廃止を前提としてという日本語としては多少わかりにくい面があっていろいろ議論があったことは事実でございます。いま先生がお読みになりましたとおり素直に読んでくれればいいのだというのが答申をお書きになった審議会の方の意向でございます。つまり、現空港の騒音問題等々に対して新しい空港というものはその機能をすっかり取ってかわるだけの能力を持っていなければいけない、少しでも残っていないと困るのだとか、部分的に残っていないと困るのだとかそういうことではないので、なくなってしまってもいい、こういうことで新しい空港を考える、そしてその新しい空港が動くようになったときに現空港というものをどうするかということはそのときに決めなければならぬ問題ではないか。私どもの方は答申そのものとはまた別個に、それより一年早うございましたけれども、四十八年の時点で、先生も御案内と思いますが、現空港の周りの十一市の団体でできております通称十一市協に対して、この空港の取り扱い方というものは現空港を廃止するということを含めて検討をいたします、その検討に当たっては、地元の御意見を十分に承って結論を出します、こういうことを申し上げ、それは一貫してそのままの姿勢を貫いてきておるわけでございます。したがって、先生が新空港ができるということは現空港が消えてなくなるということと完全に一致しているというふうに仰せられますのは、私どもの理解とは多少食い違いがあるわけでございまして、廃止を前提としてということは、廃止してしまうんだということではなくて、廃止をしても困らない能力を持たせるのであるというふうに私どもはその答申を一貫して理解してきている経緯がございます。
  356. 小渕正義

    小渕(正)分科員 日本語というのはいろいろとりょうによって便利なもので、われわれは直接関係者じゃないですから、こういう答申案の文面を素直に理解して、それによって判断していくわけです。そういう意味で、私はこの文章を読んで、廃止を前提として当然計画されるべきであると思う。そういうことになっておるわけですから、いまの言葉ではそういうことも含めて計画を立てるのだということですけれども、そういう点で若干ニュアンスの違いがあります。しかし、廃止する可能性は十分あるということで理解していいわけですね。
  357. 松本操

    松本(操)政府委員 機能をかわって受け持つ能力のあるものとしなければならないという基本的な考え方には、私どもは異論がなくこれを尊重しておりますが、先生おっしゃいますように、議論が詰まった結果現空港が廃止になるということもあり得るというふうに理解をしているわけでございます。
  358. 小渕正義

    小渕(正)分科員 そのような経緯から、新空港は、需要の緊急性にかんがみ、その規模はさしあたり空港の最小の単位のものとして早急に建設に着手すべしと航空審議会は主張しておりますが、要するにここで言われていることは、「規模については、航空輸送需要が再検討されている現在、海上の国際空港としての最小の単位となる滑走路一組……」いろいろこう書いておりますけれども、要するに、大阪国際空港が現在の規模で十分その機能を果たし得るものとして、とりあえず緊急性にかんがみてそういったものを早急につくるべきである、このように航空審議会で出されているというふうに私どもはこの文書から理解するわけですが、その点は間違いないですか。
  359. 松本操

    松本(操)政府委員 四十九年に答申が出ました時点では、いろいろと環境問題その他詰めるべき点は詰めなければならないが、しかし、新空港を急いでつくるべきであるという意見が審議会の委員の中で非常に強うございました。そこで、大きな空港というふうなことを考えるのではなくて、最低限の空港、つまり二本の滑走路を持った最低限の空港というのを一つのユニットとして考えるべきではないか。したがって、現在の泉州沖の位置に決まります以前に、播磨灘あるいは神戸沖、いろいろなところで空港のありようをチェックしておりますが、いずれも滑走路クロス、パラレル二本を持った単位という形で検討を続けてきておるわけでございますので、そのときの答申の趣旨は、急いで最低限のものをつくるということにあったというふうに理解をしております。
  360. 小渕正義

    小渕(正)分科員 要するに、緊急性を考え、かわるべき機能を十分発揮する最低限のものを持ったものを早くっくるべきである、こういうことでは間違いないわけですね。どうも航空局長の答弁を聞いておると、これは四十九年だということに何か意味を持たせたようなことが感じられるのですが、別にそのことについては何もないですね。
  361. 松本操

    松本(操)政府委員 特段の意味があって申し上げておるわけではございませんが、何せ答申が出てから六年たっているのもまた事実でございます。いまから振り返って、そのときの答申が出てくるときの考え方がこうであったというふうな当時からの私どもの理解を御説明しただけでございます。
  362. 小渕正義

    小渕(正)分科員 われわれもそのような理解の中で、したがってこの答申で盛られたものとしては最低現在の機能を発揮するものとしての新しい空港建設ということになるわけでありましょうから、そういう意味でこの中にも能力的なものが出ておりましたが、大体十五万から十六万回の離着陸能力を持つ空港として計画として考えられているというふうに私はこの答申の内容から理解するわけですが、その点については間違いないですね。
  363. 松本操

    松本(操)政府委員 滑走路を二本持った最低限のユニットということで当時考えられる一般式を使いまして、事細かに詰めているわけではございませんが、空港の能力は十五、六万回程度であろう、こういうふうにはじいておるわけでございます。
  364. 小渕正義

    小渕(正)分科員 そういう判断からいたしますと、現在この問題が航空審議会でいろいろ論議されておる。その場合における空港のあるべき姿として二十五、六万ですか、そういう形の議論がされているというふうに私ども聞いておるわけでありますが、その点にはどのような関連からこういつた問題が出てきたのか、その点をお尋ねします。
  365. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほどお答えいたしましたように、答申の時点では二本のクロス、パラレルを持った滑走路を最小のユニットとし、一般的な算定方法によって十五、六万回という数字をはじき、これが緊急に整備されるべき空港としてはさしあたり数字ではないか、ここでとまっておるわけでございます。その後私どもとして二つの面から研究をいたしました。一つは、環境アセスメントをいたします場合に、もしこの空港がそれ以上の能力があるのだとするならば、いずれはそういう能力を発揮する可能性というのが出てまいります。そういたしますと、答申が十五、六万であったということのみをもって十五、六万回で環境アセスメントを終わらせておくというのは実情に適さないのではないか。したがって、一体この空港をフルに使うとすればどの程度の能力まで持ち得るものかという点について、その後もう少し詰めた検討をいたしました結果、現在一般に言われているように、二十五、六万回、こういう数字が出てきた、こういうことでございます。
  366. 小渕正義

    小渕(正)分科員 いまの御答弁ですけれども、この航空審議会の中では、もちろんこれは四十九年のものですけれども、やはり将来的なものについては経済成長がある限り航空輸送量は依然として伸び、空港不足を来したときこれに対処する方法として一応そういうことを想定され、新空港の沖にもう一つの単位をつくるか、または他の地点に別の空港をつくればよいことであるけれども、こんな問題は時点を異にする問題だから改めて検討さるべきであるということで、何はともあれ十五、六万回の能力を持つ空港を緊急につくれということがこの答申の中での主体だと思うのです。だから、そういった現在審議を進められておるのは、要するに四十九年の航空審議会の答申をもとにしてやられておるわけでしょう。ということになるならば、当然そういう問題はまた別の時点で考えればいいということを言っているわけでありますが、ここらあたりについての運輸省の判断として、そこまで将来性を考えて新しいそういう問題を審議会に提起した、こういうことで考えていいですか。
  367. 松本操

    松本(操)政府委員 先生まさにおっしゃいましたように、その時点における審議会の答申のありようは、緊急に最小ユニットの十五、六万回の能力を持つ空港をつくるべきである、それから先のことは、ごらんいただけばわかりますように、将来の輸送需要がどうなるかというようなことは審議会では実は突っ込んでおりません。したがって、これから先のことは、この答申の議論とは別個の問題であるというふうにして切り離して、とめてしまったわけでございます。私どもは、この基本的な考え方を根っこに置きましてその後研究を続けてきておるわけで、実施のための具体的な研究を続けてまいった過程で、新しくつくるとかなんとかということではなくて、二本の並行滑走路を持っております空港を目いっぱい使うということの可能性、それから、その後、風向きその他の調査も細かなデータが出てまいりましたので、そういうものを前提にして詰めてまいりました結果、基本的な考え方は別に動かす必要はなさそうだ、これから先はよくわからぬといって思考を中断してしまいました部分について、その後の私どもの検討によって二十五、六万回が可能である、こういうふうな結論まで到達した、こういうことでございます。
  368. 小渕正義

    小渕(正)分科員 要するに、関西地区における航空輸送需要の増加に対処するためという一つのテーマの中では、今後の国民所得水準の向上、国際交流の活発化、いろいろこういう問題を考えながら、現在のところ、経済情勢の見通し全般についての見直しを求められているので、航空輸送需要の予測も定量的な把握がむずかしい、しかしいずれにしても大阪国際空港をめぐる諸情勢の緊迫や、新しい空港の建設には相当の期間を要することを考えれば、需要の予測のためにいたずらに時日を空費することを避け、制約を受けない新空港は早急に建設されるべきである、こういうふうにもうはっきり出ているわけですよ。その中でいま航空局長が言うのは、新しいそういう予測を含めた中で現在審議会で議論している、こういうことになるわけです。だから、そういう可能性を考えて現在やっているわけですか。答申の筋道からいきますればそういうこともいろいろ考えられるけれども、緊急的にはまずそういう機能にかわるべきものを早くつくるべきであるということをはっきり言っておるわけでありまして、そういう中でそれを中心にして作業を進めるべきである、それが当然だと思うのです。もちろん新しくつくるからにはもっと大きいものがいいだろうし、将来性を予測するということもこれは必要でしょう。しかし、そういうことでいたずらに時日を費やすよりも、緊急性の問題としてこれだけはっきり審議会が出しておるわけですから、それを中心にしてもっと議論を進めるべきじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  369. 松本操

    松本(操)政府委員 緊急に整備さるべきとした審議会の四十九年の答申、そのときの数字になりました十五、六万回、これについては私どももその後別にこれを動かそうというふうなことをしているわけではございません。ただ、せっかくつくる空港を一体どの程度まで使えるのかという見通しを、緊急にという審議会の答申ではございましたけれども、しかし、固定観測点一つ建てるのに実は三年もかかってしまったというふうな経緯を踏まえて、その間にいろいろ私どもなりに勉強してまいりました過程で、この空港をそう大規模にいじくるということではなくて、多少エプロンの面積を広げるとかそういうふうなことを付加しますと二十五、六万回の能力を持つ、そしてまた一方、これも先ほど申し上げましたように、環境評価をする場合に、十五、六万と答申で言っているのだから十五、六万で終わりだ、それから先はふえるかもしらぬけれども事前評価がしてありませんというのでは、これはいささか無責任ではないか、やはり環境評価は目いっぱい状況が悪化したことを想定して考えておくべきではないかという考え方の両方から、この二十五、六万回という数字を出し、その数字に基づく評価をしたわけでございまして、したがって、いま直ちに二十五、六万回を目標とし、それをつくるためにどうこうという直接的な議論にいま陥って、それでおくれているというふうなことは全くないわけでございます。
  370. 小渕正義

    小渕(正)分科員 航空局長のお話では、一応そういうことも頭に置いてみた程度だということですね。しかしながら、十五万か十六万程度でつくるのがどうだという問題と、二十六万か二十七万の能力を持つのはどうだという、これはいろいろと建設の場合における大きな違いが出てくると私は思うのですね。ただ頭に描いたというだけじゃなしに、そういった点を考えるなら、まずもって答申案どおりの規模のものを早くどうつくればいいかということを中心にして議論されるべきが至当だと私は思うわけであります。  ただ、答弁の中で一つ先ほどから問題を感ずるのは、伊丹空港もまた一応最終的には廃止を前提とするけれども、新しい空港ができ上がった時点で考えてみますということを言っているわけですね。しかも今度は、いまの新しい空港建設のところではもう機能を十分発揮し、なお将来予測まで考えたそういう中での議論がされておるような感じがするわけですよ。そういう意味では場合によっては伊丹空港を生かすかどうか、また、新しい空港の将来予測も考えて二十六万回か二十八万回というものをつくるべきかどうかという議論に戻ってくるわけです。そこらあたりを考えると、少なくとも国民の立場から見ますれば、できるだけ効率よく、経費がたくさんかからないで、しかも地域の緊急的な要請にこたえるものを早くつくることがまず中心でなければならぬと私は思うのです。ですから、そういう意味では、いまのような二十六万回のことをどうだこうだということまで頭に入れて議論をしながら、いまのお話を聞くと、伊丹空港は一応廃止を前提としているけれどもどうするかわからぬ、そこらあたりがどうしても釈然としない感じがするわけであります。したがって、はっきり伊丹空港を廃止する、将来予測を考えてこの際二十六万か二十八万でやるんだということならまだ話はわかりますよ。そこのところはそうじゃない。また伊丹空港についても、最終的にはでき上がってから相談して決めましょう、どちらにもとれるようなやり方の中でやられている、こういうことですか。
  371. 松本操

    松本(操)政府委員 私の御説明が行き届かないのかもしれませんけれども、十五、六万回の空港を急いでつくるべきであろうというのが四十九年の答申の趣旨であったわけで、その方向努力はしたものの、答申が期待したような早さでは実はこの空港ができてこなかったのも事実でございます。そこで、いろいろ時間がたっているその間に、しからば答申が言うように、新しい空港としてまた沖合いにもう一つやったらいいじゃないかというような考え方をどうしてもとらなければいかぬのかどうか、この空港を目いっぱい使うとすれば、どの程度のことでどの程度のものができるのかというふうなことを検討していく過程において、そう大きく動かさなくても二十五、六万回が可能である、そうなったとすれば、環境アセスメントはそういう数字でやっておくべきではないか、こういう過程をわりあい素直にたどってきておるわけでございまして、したがって、需要との対応等についてぎしぎし詰めていって、これだけの数字が必要だから何としてでもこの数字にしようというふうな議論から発展してきたというものではないという点については御理解いただきたいと思うのでございます。
  372. 小渕正義

    小渕(正)分科員 少なくとも貴重な国家財政、膨大なお金を使ってやる以上は当然いろいろ慎重に検討されるべきだと思いますが、ただ、私いま感ずるわけですが、もし伊丹空港を活用すると考えるならば、おのずから結果としては先ほどの二十七万も二十八万もという議論はもう対象から外してもいいわけですね。そういうことにならぬのですか。もちろん、それも活用し、またこっちにも大きいものをつくろうということだったら好ましいことかもしれませんけれども、それでは膨大なお金を使うし、せっかくの国の財政の中でそういうむだといいますか、そういうことがあってはいけないので、そういう意味でちょっと感じたわけですが、要するに伊丹空港は場合によっては廃止しないでまだ使うこともあり得るという可能性もあるということに理解していいですか。
  373. 松本操

    松本(操)政府委員 伊丹空港については、先ほど来申し上げておりますように廃止を含めて検討をする、その検討に当たっては地元の意向を十分に尊重いたします。こういうことでございますから、私どもの方から結論めいたことを申すべき立場にはないので、御意見を承ってそれに従います。こういうことでございます。
  374. 小渕正義

    小渕(正)分科員 ただはっきりしたいのは、貴重なお金を使うわけでありますし、しかも地域の要望にこたえるためには急がなくてはいけないわけでありますから、そういう意味で、ああだこうだ将来的なことを余り予測するよりも、この答申案を尊重した形でもっと早急に作業を進められることを、特に私は当然運輸行政当局でやるべきじゃないかということを申し上げるわけであります。その点について運輸大臣、いかがですか。
  375. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 航空局長からいろいろ御答弁申し上げましたような考え方で推進をしていかなければならぬわけでございますが、最近の航空は大衆交通になってまいりまして、地方のローカル空港からも大阪あるいは羽田に対する乗り入れの規模が非常に多くなってきておるわけでございます。したがいまして、そういうものを勘案して対処をしてまいりたいと考えております。
  376. 小渕正義

    小渕(正)分科員 あと一つ。先日二月十六日の予算委員会で同僚の岡田議員からもこの問題を質問された際に、現在埋め立てか浮体かということでいろいろ工法が検討されておる。その中で、もし埋め立てをやるとする際は土砂をどこから持ってくるかとか、そういう問題に対する質問のときに、そういう場所はどこかわからぬからと、こういう答弁を航空局長はされておるわけですね。しかし、この問題を考えた際に、どこの土をどこまで、どういう形で運ぶかということは建設と無関係じゃない、これは必ずついてくる問題であります。ところが、そういうことは抜きにして、ただ埋め立てが可能かどうかという議論だけ。これは単なる机上のプランにすぎぬと私は思います。一番大事な、いかに環境を壊さないで、そして地域の要請にいかにこたえていくかということを考えるならば、それに付随して、埋め立てする場合にどこからどういうものを持ってきて、どういうような形にするかということは切り離せぬ問題であります。しかし、それは全然どこに行くかまだわかっていないので何とも言えないということでは、単に机の上で観念的な議論をしておるだけではないか、こういうことになると私は思います。そういう意味では、少なくとも埋め立ての議論をする際にはそういうことも含めた中での議論をしないことには、われわれ素人から考えてみましても、単なる机の上の観念的な議論をしておるのではないか。ただ埋め立ての技術的なものがどうだこうだというだけの議論をしておったのではまた成田の二の舞になるのではないか、私はそういう懸念を非常に持つものであります。したがいまして、その点に対してはどういうようにお考えですか。
  377. 松本操

    松本(操)政府委員 まさに先生おっしゃるとおりでございまして、埋め立てということである以上、何億立米というどろが動くわけでございます。ですから、どこからどろをどういうふうにして持ってきて、その後始末をどうするのかということがはっきりいたしませんことには、具体的な計画というものは出てこないわけです。  ただ、非常に困ったことに、どろはただで動くわけではございませんので、だれかの持ち山からどろを持ってくるということに当然なりましょう。そういたしますと、いまの段階で何々町の裏山から何立米持ってきますということを言った途端に、その山はだれかが買い占めるということにもなりかねませんし、非常に混乱を招いてしまうことになるわけでございます。そこで具体的にここということを申し上げることは何とぞ差し控えさせていただきたいが、しかし模式的に、こういう山、ああいう山というものを私どもは勉強いたしました。こういう形の山、たとえば三百メートルの高さのこういう植生の山を高さ百メートルまで平らに削る、この山は海岸線から何キロ後にあるということを前提にしてシミュレートしてまいりますと、大体これだけの金をかけて、ああしてこうしてこうすればこれだけの金でどろが持ってこられる、こういうことになるわけです。ただその場合に、具体的には、最後に決まりましたときに、そこにお住みの方のところに行き、あるいはそこの地権者のところに行き、かくかくしかじかの価格でこの山を買い取りたいがいかがか、これは詰めなければならない、これはおっしゃるとおりでございますが、それをいまのうちから表に出せないというところに悩みがあるということだけでございまして、決していいかげんに頭の中で考えているというわけではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  378. 小渕正義

    小渕(正)分科員 時間がありませんので、もう多く申しませんが、いずれにしても、いま現在審議会で検討されている中身を見ますと、これから一番大事な問題は、そういう地域の環境を壊さないで、建設公害を起こさないでどういう形でつくるかということが一番大事な問題でありますが、そういう問題がどちらかというとまだ伏せられて、ただ技術的な問題だけでやられているようでありますが、そういう技術的な問題なら技術的にわかりますけれども、その中に必ず予算的な比、大体こういう場合には幾らかかるというお金の問題が絡むわけでありますから、そういうお金の問題が絡むということになると、やはりいま私が申し上げましたような環境アセスメント、そういう環境との関係の中で議論せぬことには本当の議論にはならぬと思います。これは、時間がありませんので大臣に後からお答えいただきますが、ただそういった技術的な、観念的な議論だけ先行しないで、これからもっともっとそういう周辺の環境汚染との関係といったものを十分慎重に絡ませた中での議論がされるということを特にお願いしておきたいと思います。そうしないことには、せっかくのこれが私はまた成田の二の舞になるのじゃないかと思うのです。そういう責任をではどこがとるのか。何年もたったときにはもう大臣がかわっておった、そういうことでは済まされないと私は思いますので、そういう意味でのそこらあたりの非常に慎重なる御検討をお願いしておきたいと思います。  それとあわせまして、大臣がせっかくおられるのでお願いしたいのですが、今度航空運賃値上げ大臣が三月一日に認可されましたね。これは大臣が審議会に諮問をして、答申を受けて、そして大臣がこれを認可されたわけですね。ところが私、新聞報道で見ますと、大臣はこの認可をする前に、自民党政調会の交通部会には諮問されたように報道されておりました。それはどういうことですか。諮問じゃないでしょうけれども、一応自民党政調会の交通部会の方の了承を得ていよいよ三月一日実施だということで新聞に報道されておりました。  だから、これは政党政治と言われるのですけれども、これが法案として出てくるのならまだいいわけです。しかし、もしも自民党の政調交通部会でこれはまだだめだと言われた場合、大臣はどういう立場になられたのですか、その点をお尋ねします。
  379. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 関西新空港の問題につきましては、環境の問題あるいは地域整備の問題等十分配慮して進めていかなければならぬと思いますので、工法も含めて慎重に対処いたしたいと思うわけでございます。  なお、いまの航空運賃値上げの問題でございますが、内容が詰まってまいりましたので自由民主党の政調会に報告をさせていただいたという範囲でございます。
  380. 小渕正義

    小渕(正)分科員 これは大臣の権限で認可されるわけですね。だから、諮問じゃなくて、こういうことでやりたい、やるということの報告かどうか知りませんけれども、そういうことであるならば、少なくとも運輸行政の中として、各政党にも当然そういうことについてのあれがあってしかるべきじゃないかと私は思いますよ。これがまた国会の審議で最終的結論を出すなら何もそういうことは言いません。少なくとも大臣の権限の中で決裁、認可していくような問題で、一政党だけにそういうことでいろいろするということは、やはりこれはちょっとおかしいのじゃないか。少なくともそういうより円滑な運輸行政をやろうとするからには、私はそういうことは、従来の国会でそれが慣行として何もおかしくないと思われておるかもしれませんが、われわれが見た場合にはそれでは余りにもおかしい、かように考えますので、その点、これからの大臣行政上の参考までに私としての意見を申し上げて、終わりたいと思います。  以上です。
  381. 近藤元次

    ○近藤(元)主査代理 以上で小渕正義君の質疑は終了いたしました。  次に、馬場昇君。
  382. 馬場昇

    馬場分科員 私は、離島振興法に基づく離島振興計画事業について、これが離島だから目が届かないというわけではないでしょうけれども、その事業に、監督とか指導に多くの問題があるということを日ごろ感じておるわけでございますが、きょうはその中で一、二の具体例を申し上げまして、大臣並びに担当者の答弁を得たいと思います。  まず第一点は、熊本県天草郡栖本町というところで栖本港改修工事というのが現在行われておるのですが、そこの一番大切な堤防のコンクリートの強度が不足しておる、こういう問題でございます。     〔近藤(元)主査代理退席、兒玉主査代理着席〕  まず最初に聞いておきたいのは、この栖本港改修工事は離島振興法に基づく工事だと思いますが、その総予算、国の補助率並びに事業の内容等について簡単に御説明を願いたいと思います。
  383. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 栖本港につきましての港湾整備事業の実績をまず申し上げたいと思いますけれども昭和四十年度から昭和五十四年度に至る間、合計事業費で約八億二千万ということでございます。これに対します国費が、合計いたしまして約七億三千万ということでございます。いま投資はいろいろ入ってございますけれども、防波堤につきましては、当初は十割の国費でございましたが、途中から九割五分ということに変わっております。そのほかの投資もございますものですから、全体といたしましては、いま申し上げましたように約八億二千万に対して七億三千万の国費が入っているという状況でございます。
  384. 馬場昇

    馬場分科員 五十二年度分の工事について工事費は幾らでございますか。
  385. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 五十二年度につきましては、事業費一億四千万円でございます。国費が一億三千三百万円でございます。
  386. 馬場昇

    馬場分科員 この栖本港の堤防の防波堤のコンクリートの強度は幾らだというぐあいに指示してありますか。
  387. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 私の方から指示するという事項ではございませんけれども、実はこの防波堤につきましては途中で断面が変わっております。昭和五十一年度までは四角いマッシブなコンクリートブロックを使っておりましたが、五十二年度から、水深が深くなりましたものですから、これを中が抜けております中空のブロックを使っているわけでございます。  そこで、設計に用います強度といたしましては、五十一年度までは百六十キログラム・パー・スクエアセンチ、五十二年度からは二百十というのが設計上妥当な値であるというふうに思われるわけでございます。
  388. 馬場昇

    馬場分科員 二百十キロが妥当な強度だ、こういうぐあいに指示してあるそうでございますが、この五十二年度工事に防波堤の強度が不足しておるということが問題になっているのですけれども、この事実を御存じでございますか。
  389. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 そのように承知しております。
  390. 馬場昇

    馬場分科員 幾らになっておりますか。
  391. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 百六十キロでございます。
  392. 馬場昇

    馬場分科員 指示が二百十キロ、私が第四港湾局に聞いたところからの情報として知っておりますのは、第四港湾局は二百二十キロ指示してある、こういうことを言っておるのです。港湾局の方では二百十キロと言われるわけでございますが、実際に強度は百六十キロだった、こういうことでございますが、質問の本題に入ります前に、念のために、二百十キロで工事した工事費と百六十キロで工事した工事費はどのくらいの差が出ますか。
  393. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ちょっと時間をかけて計算しないと、すぐには出ない数字だと思います。
  394. 馬場昇

    馬場分科員 私も専門家じゃございませんけれども、実は数千万、千万単位ぐらいの差が出るんじゃなかろうか、こういうぐあいに考えるわけでございます。これは後でも結構ですから、ぜひ資料として私の方にお示しいただきたいと思いますが、どうですか。
  395. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 後ほど御説明に上がりたいと思います。
  396. 馬場昇

    馬場分科員 大臣にお軒ねしたいのですが、まず、運輸省の港湾局のこの堤防は命にかかわる問題ですからね、これは二百十キロの強度でやりなさいというのに、事実百六十キロの強度しかなかった、こういう点について大臣はいかがお考えでございますか。
  397. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 大変遺憾なことだと存じます。
  398. 馬場昇

    馬場分科員 ではどうしますか。
  399. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 工事担当局を通じて指示をいたしたいと思います。
  400. 馬場昇

    馬場分科員 どういう指示をなさるのですか。
  401. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 これを改修あるいはつくりかえるような指示をさせなきゃならぬと思います。
  402. 馬場昇

    馬場分科員 会計検査院にお尋ねしたいと思うのですが、いま昭和五十二年度の工事につきまして運輸省当局に質問をしたのですけれども、おたくの方では会計検査をなさっておりますかどうか、なさっておられたらその結果がどうなっているか、お知らせいただきたいと思います。
  403. 梅原義信

    ○梅原会計検査院説明員 五十三年に検査をいたしまして、五十二年度に施工しました栖本港の防波堤工事では、防波堤の本体となります鉄筋構造物に使用しますコンクリートの圧縮強度が二百十キログラム.パー.スクエアセンチメートルで設計すべきであるのに、百六十キログラム・パー・スクエアセンチメートルで設計し契約しています。これは構造物の耐久性を十分確保できないのではないか、こういう趣旨の照会を運輸省の第四港湾建設局にいたしました。  ところが運輸省では、本件で使用したコンクリートは、最高二百十キログラム・パー・スクエアセンチメートル、それから最低が百七十五キログラム・パー・スクエアセンチメートル、平均で百九十キログラム・パー・スクエアセンチメートルとなっており、これによりますと、構造物の強度につきましては応力的に差し支えはない、こういう回答が参りました。そこで本院としましては、特に問題としては取り上げておりません。
  404. 馬場昇

    馬場分科員 ちょっと答弁を聞き漏らしたのですけれども運輸省は先ほど二百十キロで指示してあると言ったのですが、おたくの照会にはちょっと違ったように答えたというぐあいにいま言われましたが、もう一回答えてください。
  405. 梅原義信

    ○梅原会計検査院説明員 仕様書では百六十キログラム・パー・スクエアセンチメートルと示しております。それで、実際の強度を試験した成績は、最高が二百十キログラム・パー・スクエアセンチメートル、最低が百七十五キログラム・パー・スクエアセンチメートル、平均で約百九十キログラム・パー・スクエアセンチメートル。これによりますと、構造物の強度につきましては応力的に支障はない、こういうような回答が参っております。
  406. 馬場昇

    馬場分科員 さっき港湾局長は、百六十キロであったと私にお答えになったのですが、会計検査院に対しては百九十だとお答えになったということでございますが、これは違うのですが、どういうことになるのですか。
  407. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 ちょっと先ほどのことを念のために申し上げておきたいと思いますけれども、二百十キロというのを私どもが指示をするということではございませんで、この設計の過程におきまして、設計に当たった会社が、これは二百十キロが妥当であるということでございます。直接私どもが指示するという数字ではございません。そしてこの契約の場合に、先ほど検査院からも申されましたけれども、百六十キロということで契約がなされているわけであります。  そして、二百九キロとか百七十五キロとか、あるいは平均百九十キロという数字のお話がございましたけれども、これは先ほどの会計検査院からの御指摘に基づきまして、実際にそれではこの工事に使われたコンクリートがどういう強度であったかということを、御指摘の後に第四港湾建設局において調べたわけでございます。したがいまして、百六十キログラムを設計強度としてつくられたコンクリートでございますけれども、実際にそれがテストされた記録をとりますと、最高、最低及び平均が、先ほど検査院から申されましたような数字に実績がなっているということでございます。
  408. 馬場昇

    馬場分科員 二百十キロが適当であると言ったその会社というのは、どこですか。
  409. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 私が確認しているわけではございませんが、株式会社日本港湾コンサルタントであるそうでございます。
  410. 馬場昇

    馬場分科員 ちょっともとに戻りますけれども、では、一〇〇%近い補助金を出す運輸省がこういう堤防をつくるときに、強度が幾ら必要だ、どういう波が来る、それから船を守るとかあるいは人家を守るとか、そういうときに、幾らだということを全然指示しないのですか。コンサルタントが二百十キロ必要だと言えば、そのままになるのですか。
  411. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 補助金を交付するに当たりまして、いろいろな面から、私ども港湾管理者の考えておりますことをチェックするわけでございます。しかし、これは非常にたくさんな件数がございます。したがいまして、私どもは重点を置きまして、こういうところ、こういうところというふうに押さえて審査をしていくのが実情でございます。  ただいまのような場合、断面が変わりましてセルラーブロックというものに変わった、それの安定計算はどうかというようなことにつきましては、断面が変わりましたものですから、当然それが大丈夫であるかというチェックは行われたと思いますけれども、その中のコンクリートの圧縮応力がどうなっているかとかあるいは鉄筋の太さがどうであるかというところまで一々審査をするというのは通常ないことでございまして、一般的な常識でコンクリートが打たれているあるいは設計されているということであれば、一々それを審査して確かめるということは、実情として、していない、できないというような問題でございます。
  412. 馬場昇

    馬場分科員 では、補助金は、何キロというのに対して出してあるのか。これは多分、申請が来ると思う。申請には、何キロと言ってきてあると思うのですが、その一〇〇%近い補助金は、何キロで出してあるのですか。会計検査院は、どうやって強度を調べられたのですか。
  413. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 先ほども申したことでございますけれども、一々の工事につきまして、これは何キログラムの設計強度であるということに基づいて補助金を出しているわけでございませんで、補助目的を達するに足る構造物であるということに基づいて補助金は出すわけでございます。したがいまして、この工事につきましては百六十キロ、この工事に対しては百九十キロというようなことを一々押さえまして支出をするという性質のものではないわけでございます。
  414. 馬場昇

    馬場分科員 申請はどういう強度で申請してきているのですか。補助金なんかの申請の場合、強度はついていないのですか。
  415. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 一般にそういうことはついていないと思います。
  416. 梅原義信

    ○梅原会計検査院説明員 圧縮強度の試験成績を見まして、それで回答をすることが正しいというふうに考えております。回答で言っている数値は正しい。圧縮強度につきましては、報告が正しいというふうにいたしております。
  417. 馬場昇

    馬場分科員 あなたの発音がちょっとわからないのですけれども、あなた方が直接強度なんかを調べられたのですか、どうですかと聞いているのです。
  418. 梅原義信

    ○梅原会計検査院説明員 これは四週強度でございまして、二十八日間の養生をやった上で圧縮の試験をするわけでございまして、それは私たちには見ることはできませんので、その成績を確認しております。
  419. 馬場昇

    馬場分科員 では書類確認だけですね。
  420. 梅原義信

    ○梅原会計検査院説明員 さようでございます。
  421. 馬場昇

    馬場分科員 大臣、防波堤というのは、これは本当に人命にもかかわるような大切なものですよ。それに対して補助金運輸省から九五%とか一〇〇%出す。そういうときに、その工事の強度なんかを指導しない。これは非常におかしいと思うのですよ。大体、こういうところは何かこう来る、だから強度はこれだけだ、この強度の範囲内において堤防をつくりなさい、そのことを指導するのが監督官庁の当然の義務だろうと私は思うのです。そうして、運輸省はほとんど指導なんかはしていない。会計検査院はそういうものから持ってきた数字をまるのみにして、これは問題ない。こういうことではお話にならないと私は思うのですよ。だからこそ、こういう離島とかいろいろへんぴなところの事業、たくさんの問題を実は起こしているのです。いまの答弁というのは全然了解できないのです。こういうものに対して強度も指示しない、そして十割近くも補助を出す。大臣、こういう行政がいいと思われますか。
  422. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 一々のケースについて何キロという指示はしないということはさっき明確に申し上げました。ただ一般的に、港湾工事をやるときに、こういうようなことで設計をしなさいという指導はしているわけでございます。したがいまして、この場合には設計基準というものを持っておりまして、それを参考として設計をしなさいというような形での指導をしているわけでございます。したがいまして、これは、個々の設計のやり方でどういう数値が出ましょうとも、その設計の方法にのっとってやればよろしいということでございます。そういう指導を全般的にやっているということを、ちょっと抜けておりますので申し添えさせていただきます。
  423. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 お話を承っておりますと、この設計は外注しておるようでございますが、外注する際に恐らく港湾局では設計基準というものを示しておると思うわけでございます。その範囲内で設計されたものを取り上げて補助金の申請をするというような作業を続けているものだと存じます。
  424. 馬場昇

    馬場分科員 私が聞いたところによりますと、これは第四港湾局が、おたくの下関にあります第四港湾局ですよ、それがここの堤防は二百二十の強度にしなさいということをきちんと指導しておるのです。さっき大臣は、一般の指導基準は二百十キロと言われましたが、第四は二百二十ということを指導しておりまして、担当官に実は確かめてございます。ところが、実際に行われておりますのは百六十キロで請負に渡してあるのです。そこに差があるのです。だからここで、その設計を役場の担当課長がミスを犯した、これはもう責任問題だという問題が地元で起こっているのです。ところが会計検査院が、これはどういうことがあったか知りませんけれども、問題がないと言った、だから責任はもうないんだ、こういうようなかっこうになっているわけでございます。  だから、すべて国の指導というのが二百十キロとか二百二十キロ、それに基づいて十割、九割五分の補助金が出ているわけです。ところが、実際は百六十キロで地元業者に請け負わせてあるのです。そこに差額も出ておるわけです。それで指導とも違っているわけです。非常に大きい問題、そうして堤防という大切な問題、人命にもかかわる問題で多くの問題を抱えておるわけでございますが、これは余り時間がございませんのでこの間のいきさつをまとめて言いますけれども、幾らの設計基準であったのか、実際幾ら行われたのか、申請はどういうかっこうで来たのか、補助金は二百二十で計算して出ているのか、百六十で出ているのか、百六十はどこで間違いを起こしたのか、そうして、こういうことは問題にならないのか、こういうことについていま言ったのですけれども、まだ十分議論できませんけれども、このことについてはぜひ十分調査をして、先ほど大臣が言われました、間違いがあればやり直させるというようなこともおっしゃったわけでございますから、この問のいきさつを、後でも結構でございますから、私の方にお知らせいただきたいと思うのですが、いかがでありますか。
  425. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 大変時間がなくてお答えを申し上げるのは申しわけございませんけれども、一連の順序というのはすでに私ども押さえておりまして、たとえば第四港湾局が二百二十というような指示を与えたということはないと私は思っておりますけれども、この点はいまのお話でございますから、つけ加えて調査しなければいけません。  簡単に流れを申し上げますと、単純なミスがございまして、設計基準強度を二百十と、私どもの基準では百八十からという幅がございますけれども、この場合その代表的なものとして、コンサルタントも二百十ということを言っておりますので、二百十が妥当だろうと最初に申し上げたわけでございますけれども、そういうものがありまして、ただ、それを契約に出す段階で、前年度まで百六十キロであったというところで単純なミスが起こりまして、工事に出す場合には百六十という数字が使われたということが事実だと思います。  それから、そういうような形で請負に出されたということが発見をされて、それで実際に行われた工事のコンクリートの強度はどうであるかということを事後におきまして調べた。その結果が、先ほどお話しのございましたように百九十キロであった。これは実際に打たれたコンクリートにつきまして、それでは強度は大丈夫かというチェックを行った。これは大丈夫である、先ほど検査院から申されたとおりでございます。  ただ、耐久性というような問題が一方にございます。これは単なる設計の応力度だけではございません。そういうような問題につきまして、心配が残るわけでございますけれども、これはこの防波堤が築造されました地域のいろいろな状況等を考えまして、そうしてまた、耐久性に対する知見というのは、非常にまだ私どもの行き届かない点も多いわけでございますけれども、とにかく総合的に考えまして、少なくとも相当長期間耐久性で問題を生ずることはないだろう。つまり途中でそういうミスはございましたけれども、総合的に判断いたしまして、これは強度的には問題ないことは確認されたし、少なくとも相当長期間にわたりまして耐久性でも問題がないだろう、したがいまして、この防波堤につきましての補助目的は達成されているというような判断をいたしまして、私どもも会計検査院に御回答申し上げたというのが一連の経過でございます。
  426. 馬場昇

    馬場分科員 私はもう少し詳しく知っているのです。ところが全く、いま局長の答弁を聞いておりますと、あなたはこのことをもみ隠すというための理屈づけをいま私に答弁しているのです。会計検査院の検査も非常にずさんです。  だから、私は会計検査院に申し上げておきますけれども、十年間やっているわけですからね。この間何回会計検査をしたのか。そしてこの五十二年度分を具体的に、さっきお聞きしましたけれどもよくわかりませんでしたので、こうこういうぐあいに検査をしたらこうだった、そして運輸省に問い合わせたらこういう回答が来たと、そういう具体的なことをお示しいただきたいと思うのです。それから港湾局についても、ぜひそのいきさつをもう少し詳しく書いて私の方に届けていただきたい。この資料の提出を最後に二つ要求しておきますが、いかがですか。
  427. 鮫島泰佑

    ○鮫島政府委員 会計検査の分を含めまして、私の方でまとめまして、先生のところに御説明に上がりたいと思います。
  428. 梅原義信

    ○梅原会計検査院説明員 いま港湾局長の方から御答弁のありましたように、一緒にやりたいと思います。
  429. 馬場昇

    馬場分科員 大臣、ちょっと席を外されましたが、これは大臣にもぜひ、とにかく離島のこういう問題というのには往々にして、やはり監督が不十分だったとか、地元の人たちの経験不十分だとか、いろいろあるわけです。こういう点については、ぜひ十分注意してやっていただきたいということを伝えておいていただきたいと思うのです。  あと最後に、時間ももう参りましたけれども水産庁お尋ねをしたいのです。  実は、これもまた天草の離島振興対策事業ですが、天草郡大矢野町に鷺の浦漁港整備事業というのが行われておるのです。実はこの事業内容は、防波堤を二百五十メートルつくって船だまりをつくる、これが五十二年度から五カ年計画で、五十七年完成で総工費四億九千万円で事業が行われておるのです。五十三年度まで百六十メートルまで来たわけですが、五十四年度の工事は、工費が六千七百十万円で行われておるのです。ところが、これが昨年十一月十七日の午後、五十四年度分の工事の先につくった百六十メートルの堤防が突然ぶくぶくと四十メートル沈んでしまった。大変な問題です。できている、もう水中工事もやって、その上に堤防をつくって、そのつくりつつある堤防が四十メートル沈んでしまったわけです。このことについて、まとめて聞きますが、水産庁は事実を知っておられるのかどうかということと、現在このことを水産庁と県と町で原因調査を行われておるようでございますが、その原因調査がどうなっておるのかということ。もう一つは、ここの地元零細漁民は、昭和三十年ごろから船だまりの漁港をつくってくれ、そして非常に待ち望んでおった工事が行われておったわけでございますが、ここはクルマエビの養殖とかその他零細漁業をやっておられるわけでございます。だから一日も早く原因を究明していただきたいということと、そしてこのことによって地元漁民に余り迷惑がかからないように、それからやはり地方財政も非常に苦しゅうございますから、そういう点で地方財政に圧迫がかからないように、一日も早く対処をしていただきたいということをお願いしながら、質問をまとめていたしましたので、もう時間がございませんので、簡単でいいですから答弁してください。
  430. 木村茂雄

    ○木村説明員 まず最初に、このような事故を起こしたことにつきまして、まことに申しわけなく存じておるものでございます。  この事実は、私の方は十一月二十日に連絡がございまして、知っております。  事故の状況につきましては、先ほど先生が申されましたように、熊本県の鷺の浦漁港におきまして、五十四年度町営事業として実施しておりました防波堤が、五十四年十一月十七日に延長四十メートルにわたりまして破壊したものでございます。破壊した区間の防波堤は基礎地盤が軟弱であるために、深層混合処理工法、これはセメント系硬化材によりまして軟弱地盤を固めて改良する工法でございますが、これにより基礎地盤を改良いたしまして、その上にブロックを載せ、場所打ちコンクリートをする、こういう工事でございまして、五十三年度までに地盤改良及び捨て石マウンドを完了いたしまして、ブロックを三段仮置きいたしましたところ、十一月十七日、方塊が沈下し、事故発生した、こういう状況でございます。  なお、事故発生と同時に工事を中止いたしまして、直ちに現地の実態を調査いたしましたが、事故の直接原因と目されるものは、現在のところ特定できなくて、さらに技術的究明を続けているところでございます。  今後の対策といたしましては、できるだけ早急に事故原因の解明に努めまして、その結果を踏まえまして、熊本県及び大矢野町とも協議の上、対策を検討いたしたい。先生のおっしゃいましたことにつきましても十分検討の課題にしてまいりたいと存ずるものでございます。  以上でございます。
  431. 馬場昇

    馬場分科員 終わります。
  432. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で馬場昇君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田弘君。
  433. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 大臣が中座されましたので、最初に大臣に御質問しようと思っておりましたが、すぐお帰りになるそうですので、これは、いずれにしましても後回しにしまして、私は、名古屋市を中心といたします中京圏の鉄道網の整備にしぼりまして質問をいたすわけでありますが、まず最初に、運輸省当局にお尋ねをしていきたい、このように思います。  それは名古屋市の地下鉄の建設の問題であります。御承知のように名古屋市の都市交通は、道路網の整備あるいは鉄道網の未発達によりまして、もともと自動車主導型と言われております。昭和五十二年度に運輸省が編さんをいたしました都市交通年報によりましても、鉄道と自動車との交通量の分担比率というのはほぼ三対七である。この数値は、東京都区部あるいは大阪市内の同様の比率と比べまして逆になっておるわけでございます。ですから、すでに運輸省当局も御案内だと思いますが、地下鉄の整備というものが緊急課題の名古屋市都市交通の大きな問題となっておるわけであります。  それで、現在、名古屋市におきましては、都市交通審議会の答申によりまして、百三十キロ、八路線の地下鉄建設を進めておるわけでございますが、現在、この答申を基礎として、四路線五十一・五キロが営業しているのにすぎないわけであります。つまり計画の四〇%であるということであります。それで、今後この名古屋市の地下鉄建設の推進ということにつきまして、まず運輸省当局はどのような御見解のもとに進められていくのか、御答弁をいただきたい、このように思います。
  434. 山地進

    ○山地政府委員 名古屋の都市交通の状況については、いま御指摘のように、都市交通審議会の答申が出てから鋭意必要な整備をしておりまして、新線以外のものを含めますと、約二百四十キロの答申のうち百四十キロが開業もしくは工事中になっているわけでございまして、今後の計画路線の実現に当たりましては、環境問題あるいは事業者の財政問題、それから路線の採算性、それから国の財政状況等、いろいろの事情を勘案しながらこれに対処していきたい、かように考えております。
  435. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 それで、私は、具体的に六号線の計画、七号線の計画につきまして運輸当局の方針をお聞きしたいと思いますが、昭和五十年十月の国勢調査、このデータをもとにいたしまして、すでに名古屋市の交通局におきましては交通需要の予測を行いまして、今後の建設計画の検討をいたしました結果、需要予測あるいは収支面の両方から見まして、次に建設をするのは六号線が最もすぐれた効果がある、そしてそれに続いて七号線が必要である、こういうような結論を得ておるわけであります。これに基づいて事前に運輸省に対して説明を続けてまいりました。現在、名古屋市交通局の方の言い分を聞きますと、運輸省当局からこの六号線に関してはおおむね評価を得ている、そういうようなことでございます。ですから、いわゆる地方鉄道法によるまず事業の認可、これに対して名古屋市といたしましてもできるだけ早くお願いをしたい、こういうことであります。それにはまず申請について運輸省当局に受け付けていただかなければならぬ、こういうことでありますが、まずこの建設順位の問題、六号線か七号線かの問題、その評価を運輸省はどう考えてみえるか。  それからいま一つは、この六号線は運輸当局としても名古屋市の方からその申請が出れば直ちに受け入れられる用意があるのかどうか、まずこの二点をお伺いをしたい。
  436. 山地進

    ○山地政府委員 六号線と七号線の計画、われわれも存じ上げておるわけでございますが、特に六号線については、名古屋市の方から、次の着工路線としてこれをやりたいというふうなお話を私どもとしても伺っておりまして、免許申請が出た段階でこれに対しては前向きに対処しなければならないかな、かように考えておるわけでございます。  七号線については、私どもとの関係におきましては、まだそれほどお話が深度化されてはいませんで、今後具体的にお話を承った後において免許申請があればまたこれも考えなければいけないことだ、かように考えております。
  437. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そうしますと六号線が優先順位、こういうふうに理解をいたします。  それで、具体的に名古屋市は、一昨日の名古屋市議会の本会議におきまして、議員の質問に答える形で名古屋市の交通局長は、この六号線の事業認可の申請についてはこの三月末、遅くとも五十五年度の新年度早々に出したい、できれば三月末、こういうふうに答弁をしているというふうに仄聞をいたします。そういうような申請を受け付けられる、そのように理解してよろしいですか。
  438. 山地進

    ○山地政府委員 ただいま申し上げたとおり、六号線の申請があればこれは前向きに私どもとしても検討したい、こういうふうに考えております。
  439. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 では、そういうふうに三月末あるいは遅くとも四月早々に受け付けていただける、このように理解しておきます。  それで、具体的に地方鉄道法を見てまいりますと、この十二条に、その「免許ニハ工事施行ノ認可ヲ申請スヘキ期限ヲ附ス」と、このようにあります。それからもう一つ、一項には線路予測図ですとか、あるいは建設費の概算書、あるいは運送営業上の収支概算書等々の書類、あるいは図面を提出して運輸大臣の認可を受くとありますね。ですから、すでに名古屋市とこういった問題については事前協議を運輸省当局はされている、こういうふうに理解をいたしております。この点が一つと。それから一番初めに申しました「免許ニハ工事施行ノ認可ヲ申請スヘキ期限ヲ附ス」、こうなっておりますね。ですから、当然この事業の免許の認可がおりれば、工事施行の認可というのは今度はその次の段階になってきます。だからその工事施行の認可を申請すべき期限についてはどのようなお話し合いが名古屋市との間になされてきましたか、これをひとつ……。
  440. 山地進

    ○山地政府委員 ただいまの段階は申請に至る前の段階でございまして、工事施行の認可というような問題、これは実際上工事を実施される方が実際にそこまで持ってくるだけの具体的な計画なりあるいは地元との調整なり、そういうものが済んでいるかどうかということに一にかかってくるわけでございます。現在のところ、申請をお受けするのがいつかということでお待ちしていたわけでございまして、かつ、私どもの方の申請が認可になりますのにも相当の時日がかかるものでございますから、それから後になります工事施行認可の条件の方はまだ思い至っていない段階でございますので、さよう御理解いただきたいと思います。
  441. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 ちょっと先走り過ぎたようですので質問を変えますが、では、この六号線、申請を受けられまして、要するに事業免許ですが、これをおろされるのは大体一年ぐらい、このように理解してよろしいですか。
  442. 山地進

    ○山地政府委員 実際の手続、個々具体的なケースによりましてそれぞれ違ってくるので、これも具体的な申請を待ってどのくらいということを申し上げなければいけないかとも思うのでございますが、事実上の問題といたしまして運輸審議会の審査というようなものもございますので、もう少しその点については私どもの方で研究してからお答えした方がしっかりできるかと思います。
  443. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 では、次は三号線の問題でお聞きします。  これは運輸省当局に感謝を申し上げますが、お  かげさまでこの一月二十九日に工事施行の認可をおろしていただきました。名古屋市も新年度予算に工事費として、浄心‐上小田井間でありますが、約三十億の予算計上をしております。これは当然運輸省からの補助金もいただいてということになりますが、一日も早く工事開始が待たれるところでありますが、この辺はどうでしょうか。
  444. 山地進

    ○山地政府委員 工事施行の認可を一月二十九日に行ったわけでございまして、今後は鉄道事業者である名古屋市が道路管理者あるいは河川管理者等といろいろ御協議いただいて、近く工事が可能なところから着手していくというふうに私どもとしては承っております。
  445. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 地下鉄の問題は以上で終わります。  ありがとうございました。  運輸大臣お帰りになりましたので、簡単に質問をいたしますが、まず、名古屋市を中心とする中京圏の鉄道網の整備という問題につきまして、御承知のように中京圏は、首都圏、京阪神圏に次ぐ人口の集積度を有しております。しかし、交通体系を見てみますと、先ほども申しましたように、交通網の基幹をなす鉄道の整備というのはきわめて三大都市圏の中で低い状態であります。それで、大臣も御承知のように、昭和四十七年三月の都市交通審議会の答申、名古屋圏における旅客輸送力の整備増強に関する基本的な計画でございますが、この答申をもとに中京圏における鉄道網の整備が行われておるわけでありますが、現在その計画の進捗の度合いというのは決して関係住民にとっては満足すべきものではない状態であります。この答申に沿って今後中京圏の鉄道網の整備計画の推進というものを運輸省当局として、しかもその最高の責任者である運輸大臣として、今後どのように対処されて計画の実現を図っていかれるのか、見通しあるいは決意ということについて大臣からお伺いをしていきたい、このように思います。
  446. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 中京圏の交通体制につきましては、十分関心を持って対処してまいりたいと思います。
  447. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 関心を持って対処していただけるということは、私がいま申しましたように、三大都市圏の中で一番おくれている、だから何とかひとつ東京、大阪並みに鉄道網の整備を引き上げていく、こういうお考えのもとに進めていただく、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  448. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのとおりでございます。
  449. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 それでは、ぜひひとつお願いをいたします。  次は国鉄の問題で、きょうは総裁もお越しいただいていると思いますので、お聞きしたいと思います。  先ほども私は都市交通年報について御質問をいたしましたが、現在、この年報によりますと、中京圏の国鉄、私鉄、そして地下鉄の鉄道の総延長は合計八百キロであります。このうち国鉄はその三四%の二百七十三キロの営業キロ数を有しております。ところが、輸送人員のシェアといいますか比率を見てまいりますと、営業キロ数は三四%になっておりますが、輸送人員はわずか一八・五%、こういうことで、名古屋市を中心とした都市交通に果たす国鉄の役割りというものは、まだまだいまだしの感があるということをこのデータがよく物語っているわけでございます。それで、この問題にはいろいろと関係住民からも声が出ておるわけでありますが、もっと国鉄の運行本数をふやしていただきたい、あるいはまた始発、終発時刻の配慮をしていただきたい、あるいはまた他の鉄道路線との接続の改善をしていただきたい、こういうような要望が非常に強いわけであります。私もいろいろとこれを考えたわけでありますが、運行本数の問題あるいは始発、終発時刻の配慮という問題につきましては、なかなか一朝一夕にいかない問題もあるかと思いますが、この中で他の鉄道路線との接続という問題については、やはり一考の余地があるような気もいたします。このような点も含めまして、こういった関係住民の声をどう反映をされて、中京圏における国鉄の機能向上というものをお考えになっているのか、ひとつ御所信を承りたい、このように思います。
  450. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 中京圏の通勤輸送その他都市交通につきまして、東京、大阪に次いで大きな集積であるということはわれわれも十分承知しております。ただ、いまお示しになりました数字が、東京、大阪に比べて国鉄のウエートがわりに低いではないかということは、やはり東京、大阪は国電区間を持っておるというようなことで、かなりフリクエンシーの高い線を持っておるし、東海道線を初めとして複々線となっている。大阪もやや似たようなかっこうになっている。しかし、名古屋の場合には複線で対処しておるために、貨物なり中長距離なりと一緒に都市交通をやっておるという点が一つあることは否めません。そのために、並行の名鉄なり近鉄なりに比べフリクエンシーが少ないということもあります。ただ逆に、国鉄に御乗車になられるお客様は、ちょっと足が長いと申しますか、人キロの方はもう少し高くなっておりまして、それなりのわれわれの使命は、短距離よりも若干距離の長いところ、そういうようなところでかなり果たしておるのではないかという感じはいたします。  それで、いままで需要の実態に応じましてかなりわれわれとしても力をつけてきたつもりでございますが、そういったようなことがありますものですから、先刻おっしゃいました接続の問題その他につきましても、まだ東京、大阪と比べて若干悪いという点があるかもしれませんが、今後とも努力をしていきたい、かように考えます。
  451. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 ぜひひとつ改善のための努力をよろしくお願いいたします。  私は、次の問題といたしまして、具体的に国鉄の機能向上ということにつきましてお伺いをしていきたいわけでありますが、最近愛知県当局を中心にいたしまして、国鉄の既設路線でありますところの東海道本線、中央本線、そして現在建設中の瀬戸線、この三線を利用した環状線構想が提案をされております。これは一つの大きな要望として上がっておるわけであります。もうちょっと申しますと、この三つの線を、一つは枇杷島駅付近で結ぶ、いま一つは勝川駅付近で結んで、金山を頂点とする線を結んだ環状線ルートであります。これをぜひともひとつ今後実現をしていただきたい、こういう要望があります。  それからもう一つは、貨物専用線の旅客輸送への利用で、これを具体的に申しますと、西名古屋港線を笹島から延長いたしまして、名古屋市が現在計画をいたしております地下鉄八号線と水主町駅付近で結んで、海の玄関である名古屋港、空の玄関である名古屋空港を直結する南北ルートであります。これをぜひとも実現をするために御検討いただけないか、こういうようなことでございますが、これは国鉄の機能向上に大きく資するところがあるのではないか、私はこのように考えております。こういった問題につきまして、国鉄当局として今後前向きに御検討されるお考えはあるのかどうか、どのように対処していただけるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  452. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 ただいま御質問のありました瀬戸線と中央本線、それに東海道線を結びました環状ルートにつきましては、地元名古屋の方でそのような御希望があるということは承っております。先生承知だと思いますが、瀬戸線は、いま鉄道建設公団の方で建設線として瀬戸から稲沢まで建設中でございます。これはもちろん建設線で、そういう結び方になっておりますから、ただいま御提案の環状ルートになる形にはなっていないわけでございます。いまの中央線の勝川から分かれまして稲沢方向へ向かうということで、環状ルートにするためには、名古屋から出まして勝川から回り込まないと入れないということでございますので、現在の建設線の計画としては、そういった環状ルートということは考慮いたしておりませんので、そういう形にはなっていないわけでございます。  ただ、線路のつなぎぐあいを見ますと、いま御提案のありましたように、勝川付近で短絡ルートをつくって環状ルートを構成するということは、物理的な問題としては可能性のある問題だというふうに考えます。しかし、中央線そのものの使命というものももちろんございまして、一番列車回数のふえてくる名古屋に近づいたところで列車が環状方向に曲がってしまうということは、その奥の方向に対する輸送という問題もまた出てくるわけでございますし、また、こういう形で結ぶということにつきましても、現段階では建設公団が建設している線でございますから、国鉄の方からこれについていまの段階でどうこうするということは、ちょっと言いにくい問題でもございますし、まあいろいろ問題があるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、都市交通問題でありますから、今後の問題として、地元からそういう御要望が出ているということであれば、技術的な検討をするということはわれわれとしても考えていきたいというふうに考えております。  それから、西名港線を旅客に利用できないかということでありますが、これも現地でそのようなお話が出ておるということは聞いております。ただ、西名港線というのはいま貨物専用につくられて使われている線でございまして、これに旅客を乗り入れて、しかも八号線と連絡直通運輸するということになりますと、一つには技術的な問題として相当に勉強しなければならない問題がたくさんあると思います。それからもう一つは、やはりここに電車を入れてくるということになると、その電車の管理といいますか経営といいますか、それをどういうふうにするのか、その辺のソフトの面での詰めも必要かと思います。これも、現在あります線がさらに有効に使われるという方向で検討するということであれば、われわれとしても十分それに対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  453. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 そうしますと、今後十分検討をするに値する課題である、こういうふうに国鉄当局としても考えていらっ、しゃる、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  454. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 確かにそういうことでありますが、もう一つ問題は、やはりこの地域の計画、都市交通全般の問題としてこの名古屋市の交通問題がどう推移していくかということも、一つの大きな背景として今後問題にするといいますか、こういうものを検討していく上における一つの条件になると思います。
  455. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 それでは最後に、時間が五分になりましたので、中央新幹線の問題について簡単にお尋ねしておきます。  この中央新幹線、現在の調査でありますが、中部山岳地帯の地形、地質の調査、こういうことにいまこの調査はとまっております。今後、やはり中央新幹線の重要性ということからいいまして、調査を全線にわたって行うように促進をしていく必要はないのかどうか、これをお伺いをしたい、このように思います。
  456. 山地進

    ○山地政府委員 中央新幹線の調査は、まだ整備五線の後の計画路線でございますので、中央新幹線につきまして特に中央山岳部について調査をいたしましたのは、ほかの場所と違って非常に技術的にむずかしい問題が絡んでいるという点からこの調査が始められたわけでございます。現在まだ調査が一応中間報告という形で、三つのルートの提示といいますか、三つのルートの可能性を技術的に中間報告したわけでございますが、その調査をさらに深度化し、今後どういうルートが現実的にいいのかということの資料にするのに研究がまだ要るというふうに判断をしております。それをさらに地域を広げるということにつきましては、先ほどの整備新幹線の見通しをつけた後に一体こういうものをどう考えていくのかということになろうかと思いますので、今後さらに慎重に検討したいと思います。
  457. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 じゃもう一つ。リニアモーター方式の採用ということです。先日、テレビで、宮崎でしたか、実験線の放映をしておりましたが、このリニアモーター方式の実用化の目途というのはどのようにお考えになっているか。それから二つ目には、このリニアモーター方式、果たして中央新幹線に採用されるのかどうか、その可能性、この問題についてお伺いをしたいと思います。
  458. 高木文雄

    ○高木説明員 リニアモーターカー・システムというのは、御存じのとおり世界でも全く新しいシステムでございます。ドイツを初めとして、よその国でも研究しておったわけでございますが、現在では日本が一番進んでいるというふうに考えております。それだけに、まだまだ未開発といいますか、実用の問題の前に研究の問題としていろいろ検討しなければならない問題があるわけでございまして、簡単に申しますと、原理的には十分走れる。実験室でいろいろ研究しましたり、あるいは机の上で計算しましたりしたとおり走れるということはわかってきたわけでございますが、これを実用につなげるには、まだ一段と中間段階における勉強がいろいろ要るというふうに私は理解をいたしております。そこで、われわれとしては、世界に誇るべき技術でございますし、それから国鉄自体といたしましても絶えず新しい技術を探し求めていくという姿勢が必要だと思いますので、今後もこの研究をいろいろな面において進めてまいりたいというふうには思っておりますが、何分、先ほど来申しておりますように未開発の分野でございますから、私ども事務屋にはなかなかわからぬ点がございますし、技術屋の諸君にもいろいろ勉強してもらっておりますが、技術屋のフィールドでもまだまだいろいろ問題があるということであります。現段階で実用可能かどうかというふうにずばりお尋ねをいただきましても、ちょっとまだ確たる御返事をいたし得ない状況でございます。  これをいわゆる中央新幹線に適用し得るかどうかという問題でございますが、との問題も前段の説明、御回答でおわかりいただきますように、まだまだ実用可能性を含めての技術研究が進んでおりませんので、これを中央新幹線の場合に採用できるかどうかということについては、その可能性の見当をつけますのに、やはりもう一つ先の段階の問題で判断をしなければならないというふうに思っております。ただ、そうは申しましても、東海道新幹線の施設ももう十五年使ってまいりまして、部分的にだんだんくたびれてきている部分もございますし、いずれはいまのままでいいというわけにいかないわけでございます。そこで東海道新幹線、第二新幹線ということをいずれの日にかは提案しなければいけないわけでございますし、それとの関連でリニアモーターの研究も、一応別個の問題でございますけれども、同時並行的に進めていくつもりでございます。どうもはっきりした御答弁ができませんのはきわめて残念でございますが、何分これは新しい技術でございますので、まだその程度しかわかっていないということで御理解をいただきたいと思います。
  459. 柴田弘

    柴田(弘)分科員 時間が参りましたので、終わります。
  460. 兒玉末男

    兒玉主査代理 以上で柴田弘君の質疑は終了いたしました。  次に、榊利夫君。
  461. 榊利夫

    ○榊分科員 遅くなりましたので、私の方もなるべく手短に質問申し上げますので、答弁側も簡潔に、要を得た答弁をお願いしたいと思います。  まず一番目は、横須賀線の品鶴線への乗り入れの問題でございますが、この計画はどのように現一時点でなっているか、御答弁をお願いします。
  462. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 東海道線の増強工事、大分長いこと工事に時間をかけたわけでございますが、昨年十月に貨物別線といわれる新しい貨物ルートに貨物列車を移しまして、その後工事を進めておりまして、ことしの十月にはこの品鶴線に横須賀線を乗り入れるということが実施できる見込みをつけたということでございます。したがいまして、この十月から横須賀線と湘南電車が分離して輸送できるという状況になるということでございます。
  463. 榊利夫

    ○榊分科員 運輸大臣お尋ねいたしますけれども、在来の貨物線が品鶴線でありますけれども、この在来の貨物線に別の旅客線が全面的に乗り入れを行う、横須賀線の路線がすっかり変わってしまうわけであります。新駅も建設するという予定になっておりますけれども、これだけの工事は運輸省令で定める重要な工事で、当然新線建設と同じく運輸大臣の許可または認可を受けて行われる事業だと思いますけれども、認可を受けてやっているものでしょうね。
  464. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 これは計画実施に入ります段階に運輸大臣の御承認をいただいております。
  465. 榊利夫

    ○榊分科員 要するに、横須賀線の全面乗り入れ、これは新線建設に準ずるくらい重要な工事だと思います。当然のことながら、在来の貨物列車に加えまして旅客列車がラッシュ時には三分間隔で、毎時間上下合わせると四十本運行されるというふうに言われております。しかもこれは新幹線と並行しているわけでございます。上下、下が品鶴線、上が新幹線、ないしは左右に並んで走っている。こういう状態のもとで全面的に横須賀線が品鶴線に乗り入れた場合にどういう環境上の影響が出てぐるか、調査をやられたでしょうか。
  466. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 その点につきましては、この品鶴線に電車乗り入れということが計画されました段階で、国鉄と地元の品川区長さんとの間で、この横須賀線が品鶴線に乗り入れるということにつきましていろいろ出てまいります問題点について検討し、その対策を立てるということで、両者でその結果を覚書として交換いたしまして、それによって対策をとるということをいたしたわけでございます。現在それにつきまして、その対策を実施を終わったものもありますし、実施中のものもあるという状況であります。
  467. 榊利夫

    ○榊分科員 ちょっとピントが質問の趣旨と合っていないのです。私は、環境影響調査をおやりになったかどうかということを聞いているのです。
  468. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 この覚書を交換する段階では、当然そういうものを含めて区の方と打ち合わせしたと思います。
  469. 榊利夫

    ○榊分科員 いや、打ち合わせたんじゃなくて、環境アセスメントをおやりになったかどうかということを聞いているのです。
  470. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 その当時細かいどういうことをやったかということは現在しかと覚えておりませんけれども、この覚書の中にいろいろ対策を立てておりますから、それを立てるからには、横須賀線が品鶴線に入ることによって及ぼす影響というものを当然調査、考慮した上で決めたものだと思います。
  471. 榊利夫

    ○榊分科員 もしできましたら環境庁にお尋ねいたしますが、当然地域住民の方は、この横須賀線の乗り入れで交通あるいは騒音その他生活環境の悪化、これが起こるんじゃないかと大変心配をされております。環境庁としてはこの環境問題についてどういうふうにお考えなのか、お尋ねいたします。
  472. 加藤三郎

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のとおり、新幹線鉄道以外のいわゆる在来鉄道の騒音、振動に関しましては、ただいまのところ新幹線鉄道にかかわります環境基準あるいは指針に対応するような基準の設定はやってございません。しかしながら、環境庁といたしましては、昭和五十年度から鉄道の騒音、振動に関します実態調査等を進めてきておりまして、昭和五十五年度からは特に新線等に適用可能な技術の内容、あるいはその効果でありますとかあるいは開発の可能性でありますとか、その測定評価方法の確立でありますとか、そういったものに関します調査を実施する予定でございます。これらの調査を踏まえまして、できるだけ速やかに在来鉄道の騒音、振動にかかわります適切な指針等の策定を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
  473. 榊利夫

    ○榊分科員 在来ではなくて、在来線プラス横須賀線の乗り入れ、これから起こってくる生活環境上の問題、これについての住民の不安、これについてどうお考えか、こういうことです。
  474. 加藤三郎

    ○加藤説明員 いま先生御指摘の品鶴線につきまして、またそれ以外の在来線にいたしましても、基準等があるなしにかかわりませず沿線の生活環境の保全に万全を期することが基本であると私ども考えております。
  475. 榊利夫

    ○榊分科員 万全を期する、当然のことであると思います。しかし、私どもが知る限りにおいては、この乗り入れに伴う環境影響の調査、これは国鉄当局はおやりになっていらっしゃらない、ここに重要な問題があるわけであります。どういうふうな影響が住民生活に出てくるのか、これは深刻な問題です。しかも、今日まだこの乗り入れが行われていない段階でも、貨物線プラス新幹線、これによる地元住民の方々のいろいろな御苦労、大変なものがあるのです。私はテープにも入れておいたんですけれども、ここは持ってくる場でありませんのでお聞き願えないのは残念でありますけれども、たとえば鉄粉が飛んできて自動車やトタン屋根が二年間でだめになってしまう。夜もしゅうっと変な音が聞こえたりしてびっくりして起きる。あるいは土地や家屋を売ってもうどこかへ逃げていきたい、しかし値段も安いし売れもしない。アパートもうるさいのでせいぜい学生さんしか入れない。親戚の者に泊まっていけども言えないし、実際に泊まっていく親戚もいない。中小業者には公害対策で非常に厳しいんだけれども、国鉄さんはそういう点、許されていいんだろうか、国鉄さん横暴じゃないか。やはり公害などにつきましては原因者が負担してほしい、こういう切々たる訴え、声があるわけであります。現状でもそういう状態、それに加えて先ほど申しましたように横須賀線がまるまる入り込んでくるわけですから、これはもう新線ができるのと同じです。それについて全面的な環境影響調査、はやりの言葉で言えば環境アセスメント、これをやられてないということは地元住民の方々は納得されないと思うのです。国鉄の方はいかがでございましょうか。
  476. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 品鶴線の列車の運行状況が横須賀線が入ることによって変わるわけでございますけれども、これを列車回数ということで見ますと、実はいままでは貨物の専用でございまして、貨物列車だけが走っていたわけでございます。今度横須賀線が入り出すということは、この通っておりました貨物線の貨物列車の大部分を武蔵野線ないしは臨海部の大井埠頭に至る線、京葉線の方に移しまして、大幅に貨物列車をこの品鶴線から外しまして、そのあと横須賀線が入ってくる、こういうことになるわけでございまして、複線の列車の運転本数としては、従来よりも列車回数がふえるということはなくなるわけでございます。そういう状況でありますから、いま先生、環境影響評価ということをおっしゃいまして、私どもの方もいまあちこちで起きておりますいろいろな問題に取り組んでいるわけでありますけれども、この品鶴線につきましては、従来そのような形で貨物列車が昼夜を問わず走っておりましたものを間引きまして、大部分の貨物列車を外しまして横須賀線を入れてくるということでこの横須賀線の品鶴線乗り入れが実施されるわけでございますので、その点を考えながら先ほどの品川区長さんとのいろいろ対策というものもとられたというふうに感じております。
  477. 榊利夫

    ○榊分科員 いや、ふえないんじゃないのです。やはりふえるのです。それで毎時間三分おきぐらいでラッシュのときは通るわけですから、上下合わせると四十本ぐらいになるわけです、一時間に。しかも、夜は通らないと思っておったのだが、夜は夜でまた貨物が通るということがこれまでの説明であります。  いまの地元との約束でありますけれども、時間がないので省きますが、昭和四十七年に東京二区選出の五人の衆議院議員、これは超党派ですが、この五人の衆議院議員も関与いたしまして、地元から運輸省、国鉄に申し入れていた三条件というものがあります。二度目は昭和五十年に、いまおっしゃった品川区が国鉄側と取り決めた覚書がございます。当初の三条件というのは、五つの踏切の立体交差、国鉄が西大井駅をつくる、公害、環境被害の防止をやる。その後、この条件が薄められまして、いわゆる新三条件になったわけでございます。これについては大変地元に不満があるのですけれども、その薄められた三条件でさえ果たされていないのが現状であります。五つの踏切の立体交差、これは目鼻が立っているのは二つきりであります。軌道工作物の改良工事などもさほど進んでおりません。地元ではもっともっと防音装置等々も欲しい、いろいろあります。そういう現状についてはどうお考えでしょうか。十月から乗り入れとおっしゃっておりますけれども、実際は進んでないじゃありませんか。
  478. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 いま先生御指摘のありました三点、私どもの方も鋭意この対策を進めているわけでございます。踏切五カ所、そのうちの二つの踏切につきましては現在工事を進めておりまして、この五十五年九月、横須賀線が乗り入れられるまでには完成させる予定でいま進めているわけであります。まだ三つ残るわけでありますが、この三つの踏切の立体交差化につきましては、国鉄だけではできませんで、道路管理者側であります東京都、品川区の方といろいろ協議を進めているわけでございますけれども、この協議が現在のところまだまとまりませんので工事にかかれない状況にあります。しかし、これも今後早く協議をまとめまして立体交差化を実現いたしたいというふうに考えておる次第でございます。  それからまだいろいろ対策があるのですが、御指摘のありましたあと二点ございます。一点は新駅の設置でありますが、この品鶴線上に二カ所新駅の設置の御要望がありまして、一カ所につきましては、これは鹿島田というところでありますが、工事は実施したわけでありますが、品川南部地区につきましては、国鉄としてはこの駅設置を認めておりますけれども地元の方々との間の条件が調わないということで現在工事はできていないという状況でございます。  それから軌道とか工作物につきまして、レールの重量化、五十キロを六十キロにする。あるいはまくら木をPC化する。ロングレールを取り入れる。道床の改良をする。それから鉄げたのRC化、これは鉄げたですと騒音が非常に高いものですから、品鶴線の鉄げたをコンクリートげたにかえるということで五カ所お約束しておりますけれども、現在までのところ七カ所実施いたしておりまして、軌道工作物に対する対策はほぼ実施したというふうに考えております。
  479. 榊利夫

    ○榊分科員 ということですと、何か条件が満たされて、もう十月にやれるという判断のようでございますけれども実態は全然そうでないわけでありまして、駅もない、あかずの踏切が続々と生まれる、あるいは振動、騒音、ロングレール化もまだである、防音壁も飛び飛びである。私は現地調査いたしましたけれども、それが実態でございます。したがって、住民の方々からもいろいろな不安や怒りの声が出てくる。御紹介できないのは残念であります。しかも、十月乗り入れの発表ということは、実は地域住民への説明はないのです。テレビや何かではやられているかもしれませんけれども、地域住民に対する説明はないのです。だから、そういう状況のもとで、品川区の品鶴線特別委員会でも十月乗り入れば反対だという態度を二月十二日現在で表明しております。保守系の地方議員さんからさえ、もう国鉄とはつき合い切れないという声があるのも事実であります。そういう地元の不安や怒り、これを無視するおつもりというものはないと思うのですけれども、本当に真剣に考えていただきたい。この点についてはどうお考えでしょう。
  480. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 私ども工事を実施する場合、まず何よりも大事なことは、地域の方々とのお話し合い、御理解を得るということがすべての前提になるわけでございます。したがいまして、今回いろいろ対策をとってきておりますが、その間にいろいろな御要望もあり、またこちらも御説明申し上げ、地元の御要望を一〇〇%全部実施するという結果にはもちろんなってないと思いますが、いろいろお話し合いの結果出てきた結論に基づいてやっているわけでありまして、根底にはやはり地元の御理解を得ることが大事だということで終始しているつもりでございます。  今回の横須賀線乗り入れにつきましても、現地機関ではそれなりに地元品川区等にいろいろ御説明はしているはずでございますけれども、もし足らざる点があるとするならば、早速現地を指導いたしまして、よく御理解をいただくようにいたしたいと思います。
  481. 榊利夫

    ○榊分科員 先ほどの説明の中で、乗り入れても総数は貨物列車が走っていたときよりもふえないということでございました。それはそうだというふうに確言できますね、ふえないのだと。
  482. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 これは複線に入り得る列車回数というものが大体決まっております。といってもはっきり数字的にぴしゃっとしたものでありませんけれども、ほぼ限度というものは見当がつくわけでありますが、従来走っておりました貨物列車の回数というものが大体それに近い状況で走っておりますから、そういう意味では従来よりふえないと申し上げたわけであります。ただ、先ほど先生がおっしゃいましたように、ラッシュ時に一時間伺本入る、あるいはある時間帯をとってということになりますと、その部分ではあるいは回数がふえるということはもちろん出てくるかと思います。また、今後の横須賀線の輸送力をどこまでつけるかという問題が残るわけでありますが、現在考えられる段階では、まずまず従来の貨物列車回数までの運転で済まされるのではないかというふうに考えております。
  483. 榊利夫

    ○榊分科員 時間が大変流れましたのであれですが、この問題で最後に、いまの御説明を聞きましても、やはり地元住民の声をよく聞いていただきたいと思うのです。公害防止その他、地元の方々との約束を果たし、そうでなければ、十月乗り入れ案をしゃにむにやるというようなことじゃなくて、延期してでもやはり地元の方々の要望に沿うような、そういう態度をとっていただきたい。私は、そういう態度というものが、運輸行政にもまた国鉄にも求められているのじゃないかと思うのです。これはぜひ運輸大臣、または国鉄総裁、責任ある方の御答弁を、お考えをお伺いしたいと思います。つまり、住民との対応。
  484. 高木文雄

    ○高木説明員 あの地区の問題は、もともといろいろな問題がございまして、東海道新幹線の騒音問題等もございますし、ほかにも実はいろいろ問題があるわけでございます。したがいまして、いろいろな意味で住民の方々にいろいろな角度で御迷惑をかけている点があると思います。しかしまたこれは、横須賀線あるいは東海道線の藤沢から以西の方々への長い間のお約束を果たさなければならぬということにも迫られておるわけでありまして、十分地元の方々に御理解を得まして、何とか円滑にやれるようにさしていただきたいとお願いをいたしたいと思います。至らざる点があるのではないかという点を、いまもお話を承りながら感じた次第でございますので、鋭意取り組んでまいりたい、このように思います。
  485. 榊利夫

    ○榊分科員 次の問題に移りたいと思います。品鶴線につきましてはもっともっとお尋ねしたいし、また要望したいこともございますけれども、繰り返して、約束は守っていただきたい。また、約束が守れなければ、無理やりに一方的に乗り入れ強行する、そういう態度はとらないようにしてもらいたい。重ねて要望しておきたいと思います。  次の問題ですが、羽田の防音工事の問題で質問いたします。  御存じのように、五十四年度から四室、五室の、いわゆる全室防音工事が実施され始めております。運輸省の指定した工法でその際設計いたしましても、助成限度額をオーバーしてしまって足が出るという問題があるわけです。特に、すべての工法というよりも、C工法に特にそのようでございますけれども、そのために工事室を少なくしたり工事をストップしたりという状況もあります。原材料の値上げですね。決めたときはそのときの価格でやられているのですが、その後の物価の値上がりです。あるいは東京の物価高、原材料費が全国平均よりも高いとか、あるいは家の作り、窓が多い作りであるとか、羽田地域は古い家が多いものですから、いろいろ理由があると思いますけれども、いずれにいたしましても、大田区の調査によりますと、特にC工法の場合、設計五十九件のうち三十一件、はるかに五〇%を超えておりますけれども、これが限度額をオーバーしております。こういう点では、早急に限度額を実態に合った額に引き上げるべきだ、こう思うのでございますけれども、どういうふうにお考えでございましょうか。
  486. 松本操

    松本(操)政府委員 全室防音を実施することになりましたので、したがって、それに対していままでと違った新しい工法が出てまいりました。その中に、いまお話の中に出てまいりましたいわゆるC工法というのがございます。一室か五室か等により、あるいは木造かコンクリートかといったようなことによって細かな額が決まっておるわけでございます。実際に作業が始まりましたところ、C工法で予定をいたしておりましたものが五十九件あったわけでございます。これは第二期の発注分でございます。五十九件のうち限度額をオーバーするということで保留なさったものが三二%、十九件あったわけでございます。この十九件のオーバー分というのは、最小が十四万三千円、最高が四十六万円、平均三十六万八千円でございました。ですから、この狂いというものは、もともとC工法の根っこになっております数字が、一室の木造といったごく簡単なものは百万ぐらいでございますからなにでございますけれども、五室の工事になりますと二百六十万あたり限度額、これに比べての三十六万でございますから非常に大きく狂っていたということではないと思いますけれども、しかし現実にはそういう点で問題が生じておることは承知をいたしております。     〔兒玉主査代理退席、主査着席〕 新年度からこれを改定していきたいということで、ただC工法の限度額につきまして十分検討した上で実態に即したものを当てはめることができるようにしていきたいと、いま鋭意勉強しておるところでございます。
  487. 榊利夫

    ○榊分科員 そうすると新年度から研究の上改定される、こういうように理解してよろしいわけですね。  時間が参りましたので一言だけお尋ねをいたしますけれども、できたら運輸大臣、ぜひ答えてください。  羽田の沖合い移転です。現在運輸省側の案が出まして、その案をめぐっていろいろ論議がされているわけでございますけれども、これについて政府のやつは試案として出されているわけで、試案はあくまでも試案であって、いろいろそれを練り上げていく過程では地元の声をお聞き願いたいと思うのです。声はいろいろあるわけでございます。たとえばB滑走路は一メートルも動かないけれども、これは初めの約束とも違うし、もっと沖合いに動かしてくれ、あるいはC、D滑走路にしても、もう少し時計の回る方向へ少し首を振ってくれないかとか、いろいろ要望が出ております。そういう要望につきましても、いまの政府試案を最終絶対案ということじゃなくて、地元の要求があれば真剣にそれを耳に入れる、そういう態度でこれからも進んでいっていただきたい、こう思うわけでございますけれども、基本姿勢についてだけ考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  488. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 羽田沖合い展開につきましては、いろいろ地元住民の方々と御相談しておるようでございますが、その内容につきましては航空局長から答弁させます。
  489. 松本操

    松本(操)政府委員 いま具体的に例がございましたように、実は地元の御注文はいわゆる三者協議会というところを通じて十分に承っております。ただ、先生も御案内と思いますが、あそこは空域的にあるいはその他いろいろな面で、滑走路の向きをどっちへ向けるか、長さをどうするかという大変制約の多いところでございます。私どもがおととしの十二月に出しました案はまたわれわれなりにずいぶん頭をひねったつもりではございますけれども、しかしこれでどうにもならぬというようなことを申す気は毛頭ございません。十分に御意見を承ったわけでございますので、今度は私どもの方で頭をもう一度ひねり直さなければならぬのじゃないか、こう考えております。ただ、空港周辺の都市計画的なもの、いま埋め立て地で空き地になっているところへどんなものが建つのだろうか、そういうふうなこともその際あわせて考えなければいかぬのじゃないだろうかという気がいたしますので、ここらは地元の大田区、品川区とは別に、東京都の方にもいろいろと御意見を伺いながら、できるだけみんなが納得できるような形のものをつくるという方向努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  490. 藤田義光

    藤田主査 以上で榊利夫君の質疑は終了いたしました。  次に、渡部行雄君の質疑を許します。
  491. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 まず最初に国鉄当局に対してお伺いいたします。磐越西線のダイヤの不合理性と住民サービスの欠如と申しますか、こういう一つの問題についてお尋ねいたします。  まず第一番に、乗り継ぎ列車の発着時刻に大変不便がありまして、住民サービスの上からももっと配慮ができないものかどうか、こういう点についてであります。そこで、たとえば具体的に申し上げますと、これは磐越西線の郡山から若松に向かって発車する際の郡山発時刻と、東北本線の上下の列車の着時刻を比べて考えた場合、たとえば朝の六時八分発の列車に対して、東北本線の上りはその後の六時二十三分に特急が着くというふうになっております。朝というのはなかなか大事な時間でありまして、ここで会津若松行きの方を六時二十七分発にすればこの特急と磐越西線の列車とが連結する、こういう一つの問題がある。これはさらにずっと例を挙げれば数え切れないほどありますので、二、三ここで例を挙げて、あとは事務的な問題ですから、後で個所を指定をしてそちらにお知らせ、連絡したいと思います。  それからもう一つは、たとえば十二時四十分発の急行との問題でございますが、これは上り特急が十二時二十九分、そして上りの鈍行が十二時四十八分、さらに上りの急行が十二時四十三分、こういうふうになって、この十二時四十分発を十二時五十分ぐらいにすればこれらの連係が非常にスムーズにいくのではないか。あるいは、これがむずかしい場合は、福島発の鈍行十一時二十九分発のを十一時九分ぐらいにしてやれば、松川駅交換で全部ここに連結する、こういうふうになるわけであります。  そういう問題が幾つもございまして、中にはこの発着の時間が東北本線と磐越西線の両方が同じであるという例もございます。これを一つ例をとってみますと、今度は逆に会津若松方面から郡山に向かっての上り列車ですが、これが郡山行きで十八時三十一分に着くわけでございます。ところが特急は十八時三十一分に上りが発車することになって、ここで同じ時間に発着が行われるというのは余りにも親切さがないのではないか、こういう例がその他あるわけでございます。  あるいはまたその時間帯にいたしましても、たとえば郡山発の磐越西線の列車に例をとれば、十四時五十分から十五時五十分までの一時間に四本も出ておる。ところが十五時五十分から十九時十九分までにはわずかに二本しか出ていない。しかもこれは二本とも鈍行である、こういう例。さらには、十九時十五分から十九時三十四分までのわずか二十分の間に三本の列車が出ておる。こういうように非常に均衡がとれていない、あるいはある時間に集中するということで、なかなか不便を住民は感じておるわけであります。  一体、こういうものについて、この次のダイヤ改正には十分配慮して、これらの問題解決にどう対処しようとしておられるのか、まずその辺についてお伺いいたします。
  492. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 ただいま先生から具体的に御指摘がありました。東北本線対磐越西線という意味でいろいろなダイヤの御指摘があったわけですが、郡山を中心にいたしまして、ほかに磐越東線あるいは水郡線という線が単線でいずれも出ております。これに対してどういう接続を全体としてとるかというのは非常にむずかしい問題が絡んでおります。車両あるいは要員その他、列車が特急列車であるとかローカル列車であるとか、それぞれの使命がござ、いまして、その辺を勘案しながら、われわれとしてはいろいろ勉強しながらやっておるつもりでございますが、先ほど御指摘のありましたような朝早い時刻の列車について一部そういうものがございます。ただ、昼間帯におきましては、東北本線が大体特急急行で数十本というオーダーでありますので、その辺の時間は、若干の待ち合わせの違いはございますけれども、必ずしも接続がとれない列車ばかりではなくて、とれる列車も入っております。これらの問題は、郡山に限らず接続という問題は非常にわれわれにとっても重要な問題でございますので、いろいろな地元の御要望あるいはわれわれの中の意見等々を聞きまして、ダイヤ改正のたびに極力それに取り入れるようにいたしておりますので、今後もそういう努力を続けていきたいと思いますが、ただいまのようないろいろな設備上、それからそのほかの制約要件もあるということについては御理解をいただきたいと思います。
  493. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 この問題は、乗る方の客の側にしてみると、やはり特急を利用する場合は特急を利用しただけの時間の節約というものを期待するわけです。ところが実際に急行で行って特急に乗りかえようとして、その待ち合い時間が二十分以上になると、急行の直通に比べた場合にちっともメリットがないわけです。それなら初めから急行の直通を入れてもらった方がいいということになるわけです。いまの交通は言うまでもなく時間との戦いでございますから、その点はせめても二十分以上の待ち合いをしなくても済むように今後十分配慮していただきたい。この点についてひとつ御所見をお伺いいたします。
  494. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 設備上の問題その他の問題と申し上げましたが、いろいろ問題があるということは言いわけめいた話になりますけれども、しかし御指摘のような点も十分配慮して極力いろいろな点で改善に努めたいと思います。
  495. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 それで次に、特急「あいづ」がいま一往復通っているわけですが、これは前よりも不便になったのです。というのは、会津若松発とそれから帰りの上野発の時間が非常に狭まったために、東京に来て用を足すにはどうしても一泊しなければならないという事態になっておるわけです。ですから、これを本当に効率的に利用させるために特急「あいづ」を二往復にしてはどうか。もしどうしても採算上できないというならば一往復でも、会津若松発車を今度は喜多方駅発車にして、これを朝の七時前後に時間を組む、そして今度は帰りの上野発下り列車は午後五時前後に組んで、終着駅は喜多方まで延ばす。こうすれば客もふえるし、また利用する側も一日で東京の用を足すことができるわけです。そういう利便を常に考えて住民サービスに力を入れていただければ、国鉄に対しても住民は十分理解していくのではないか。この点についてどう考えておられるか、お聞かせいただきます。
  496. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 東京の日帰りの問題でございますが、現在「ばんだい」二号という会津若松発八時三十分、上野着十三時七分というので行きますと、下りの「ばんだい」七号というので帰りがございますが、その間東京でのビジネスタイムが三時間ぐらいになってしまうということで非常に短いということは事実でございます。この列車につきましては、五十三年の十月前には七時二十四分発ということで一時間ばかり早かったので、その間に四時間の時間がとれたわけでございますが、磐越西線の路盤の改修強化のためにどうしても保守の間合いが一時間ぐらい要るということで、五十三年の十月に、これは全国的に線路の保守のための機械による保守間合いをとるということの一環でございますが、そういうことでやむなく八時半とせざるを得なかったわけでございます。そこで、それでは三時間ではちょっと短いではないかということになりますが、前の方にはなかなかむずかしいのでございますけれども、上野発十九時の「ひばり」二十九号というのがございますが、これで行きますと郡山二十一時四十分、それから二十二時二分のローカルでございますが、会津若松二十三時三十二分というのがございます。かなり遅くなりますが、この辺までの時間、あるいは急行で十八時三十六分「あづま」一号というのがありますが、この辺までの時間であれば五時間半ぐらいとれます。ただ、そうしますと乗りかえということになるわけですが、いま十七時前後の時間帯というのはちょうど上野で通勤時間に入りますので、朝と違って全く一本も入っていないというわけではございませんけれども、東北本線それ自身かなり多目的に使っておりますので、その時間に入れるのがなかなか困難でございます。まことに申しわけありませんが、そういったようなことでやっていただければもうちょっと時間がとれるのじゃないかと考えております。
  497. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは改正前は十七時上野発で間に合ったのが、いまは十六時三十三分ですか、その特急を利用しないとこの急行には連係できなくなったのです。ですからすべてが悪くなっている。特急で行って今度は鈍行を待つようなことでは何のために特急を利用しているのかわからなくなってしまうのですよ。そういう住民の不便を考えれば、線路は何も普通の道路のように歩行者と自転車と自動車が一緒になって通るようなものじゃありませんから、路線の上を走るのですから、ラッシュであっても私はそのくらいの考慮はできると思いますが、いかがでしょう。
  498. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 その辺は、いまのところ東北本線の中のダイヤをいじるのは非常に困難であるとわれわれは理解しております。
  499. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 いますぐ変えることは確かに困難ですが、この次のダイヤ改正のときに十分考慮する、そのくらいの誠意はないですか。
  500. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 まだその辺が今後の問題として十分勉強を詰めておりません。これから極力勉強はしてみたいと思いますが、直ちにということでいきますとなかなか困難でございますので、十分勉強をしてみたいと思います。
  501. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 非常に時間がありませんから、もっとすっきりした答弁をしていただきたいですよ。勉強をするということは一体どういうことを意味しているのですか。そういうあいまいな言葉でなくて、前向きにやってみますとかなんとか言わないと、ただ勉強されたってそれがどうはね返ってくるかわかりませんよ。そういう不誠実な答弁でない答弁をしてください。
  502. 吉武秀夫

    ○吉武説明員 東北につきましてはいずれ新幹線の開業も想定されておりますので、その際には全面的ないろいろな見直しの機会があると思いますから、その中においてどういうふうにするかを考えてみたいと思います。
  503. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 時間がありませんからはしょりますが、磐越西線の複線化ということが長い間懸案になって大分陳情等が行われてきたわけですが、その兆しが全然見えません。これは今後一体どうするおつもりなのか、その辺についてお伺いいたします。
  504. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 磐越西線の複線化についての御要望がずいぶん前から出ていることは承知いたしておりますし、私も現地にいたこともありまして磐越西線の状況はよく承知しているわけでございますが、やはり複線化するということになりますとそれなりの輸送需要、それなりの列車回数が見込まれなければいけないわけでございます。地元の御希望としてはぜひ複線というお気持ちのあるのはよくわかるのでありますが、昨今の輸送量を見ておりましても、残念ながら旅客、貨物ともふえるというよりむしろ減る傾向にあるという状況にございまして、現在の状況下で複線化の計画をいつから実施するということは具体的に立てられない状況だということでございます。今後鉄道利用がどのような形に変わってまいりますか、磐越西線をもっと御利用いただきまして、単線ではとても賄えないという状況が出てくれば当然複線化を考えなければいけないと思います。また、特に東北新幹線の接続という問題もございまして、そういう面からも会津若松中心に御要望が強いことは承知しているのでありますが、東北新幹線ができますと東京‐郡山間が非常に時間短縮されるわけでございます。その結果、会津若松に対しましても、非常に時間的なサービスとしては格段のものになるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  505. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 次に、今度は運輸大臣にお伺いいたしますが、野岩線の早期開通の問題についてでありますが、これは前森山運輸大臣が、当時の鉄建公団の副総裁川島さんがおり、あるいは鉄監局長がおる前で公約された。野岩線は必ず通す、こういう言明をされたのですが、これについて、大臣は引き継ぎがなされておるのかどうか、また今後の対策とその進め方、そして五十五年度の予算では工事費はどの程度期待しておるのか、これは五十四年度の予算と対比してどうなっているかを明らかにしていただきたいと思います。
  506. 山地進

    ○山地政府委員 会灘滝ノ原から今市間が野岩線でございまして、現在会津滝ノ原から下野川治間というのが工事実施計画ができておるわけでございます。この今市に至る線というのが東武と並行いたしまして、その調整ということで非常に手間取っていたわけでございますが、前大臣のときに、それらの点につきましても一応新藤原で接続するということで現地の方で意見が一致したというふうに承っておるわけでございます。  ところで、森山大臣が皆様のいる前で、野岩線というものについてこれは通すというふうにおっしゃられたかと思いますが、現在私どもといたしましては、地方交通線につきまして対策というものを広く国鉄再建の法律に盛り込みまして、現在対策を検討中でございますが、それとAB線というものの新しい建設というものを一体どういうふうに調整したらいいんだろうか。少なくとも私どもとしては在来線の転換ということを考てておりますので、AB線についてもこの方針と矛盾しないような形で実行しなければならないというふうに考えておるわけでございます。その場合には、野岩線のみではございませんで、全体的に第三セクターあるいは私鉄というようなことで鉄道を維持するということが一つの方法かと考えております。私ども承知しておる限りにおきましても、野岩線において第三セクター等の御検討も進められているやに聞いておりますので、その場合には本年つきました百五十億のうちから工事費をつけるということになろうかと思います。
  507. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 野岩線のことにつきましては前大臣からいろいろお話を受けておりますが、この野岩線については第三セクター方式を御検討願いたいということを申し上げて、現在いろいろ御相談をしておるところでございます。
  508. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは第三セクターに移管することが決まらないうちは手をつけないということでしょうか。それとも、いま現在工事をどんどん進めて、そして第三セクターに移行を図りたいということなのか、その辺五十四年度の工事費と五十五年度の工事費をどう考えておるか、その対比の中ではっきりさしてください。
  509. 山地進

    ○山地政府委員 野岩線につきましては、たしかことしの予算で十一億ぐらいの予算がついたかと思います。ことしのAB線の予算というのは、御承知のとおり昨年の四百億が百五十億に減少されたわけでございまして、今回の予算を通す段階におきましていろいろ御相談いたしましたのは、先ほど申し上げましたように、地方交通線対策ということと矛盾しないような形でやりたい、したがって、特定地方交通線、廃止になるような路線については、第三セクターに移行するということが明らかであるものについては今後予算をつけていくという考え方でこの予算をつくってあるわけでございまして、いま先生のおっしゃるお言葉によれば、第三セクターに移行するものについて予算をつけていきたい、かように考えております。
  510. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これは大臣がかわるとこうも変わるものかと私は驚いたのですが、予算上明らかに物すごい。四百億から百五十億に減額されておるという、こういうことでは、九十年間に及ぶ住民の陳情というものを踏みにじったことになるのではないか、こういうふうに思えてならないのです。しかも、今日の国鉄の路線対策というのは、新幹線とかそういう幹線にだけ力を入れて、ローカル線はほとんど力を入れていない。だから、言ってみれば、人間の血管にたとえると、大動脈とか静脈とか、そういうものには力を入れるが、毛細血管は全然構わない。ここにもう老化現象が起きて、そして動脈硬化になっていく。これでは幹線だって十分に機能を発揮できませんよ。ローカル線が十分に機能を発揮してこそ、幹線がスムーズにその成果をおさめることができるので、私はその対策が逆じゃないか、そういうふうに考えられて仕方ないのですが、これは赤字というものが理由ではありますものの、これからの石油事情等を考慮すれば、やがて交通体系全体が変わるのじゃないか。そういう長期の見通しに立って、今日この交通問題、特に国鉄問題というものを考えていかないと、将来百年の悔いを残すことになるのではないか、こういうふうに思われます。これに対する御見解をお願いいたします。  時間があと何分もありません。そこで、全部最後までのことを言いますから、それにそれぞれ答えてください。  それからもう一つは、会津地区における列車運行を確保するための対策はどのようにされておるのか。今度の豪雪の中で、日中線あるいは只見線、こういうのがほとんど不通になってしまった。盤越西線でさえ一日は完全不通、大体三日間不通と言ってもいいくらいの状況であったわけです。こういうものに対する責任というものはどう感じておられるのか。  それから最後に、ローカル線といまの一番大事な定住圏構想との関連をどのように考えておられるのか。大、平総理は田園都市というようなことを言っておりますけれども、ローカル線を皆切ってしまって、しかもこれを第三セクターに任せるとは言いながら、地方自治体が主導権を握るのではなくて、実態としては民間業者が握っていく、こういう中で本当に国鉄とそういうローカル線との関係をスムーズに運用できるのかどうか、この辺に対してひとつお答えを願い、さらに新幹線がいまどんどんと工事を進められておりますが、大宮以南についてはその後どういうふうにこれが進んでおるのか、そして営業開始の時期はいつごろに見ておるのか、この辺をお聞かせ願って私の質問を終りたいと思います。
  511. 山地進

    ○山地政府委員 ローカル線の部分について私よりお答えいたします。  ローカル線の問題につきまして、先生が人間の体にたとえて、毛細管というのですか、血管の先の方が切れればもとの方もだめになるというお話でございますが、ローカル線対策の基本に私どもが立てておりますことは二つのことがございます。  一つは、効率的な輸送体系ということから考えて、ローカルの地方交通線については、バスの方がより効率的な運行ができる。エネルギー的にいいましても、二千人以下でございますと、国鉄もディーゼルで走っておりますから、ガソリンの消費量からいいますとバスの方が少なくて済む。少なくとも国鉄の方が一・六倍から一・九倍くらいの消費量になろうかと思います。そういう点も考えまして、道路の発展状況、これだけ道路が発展してまいりますと、国鉄よりもより効率的な輸送体系というものはバスというものがあるのではないだろうかということが一つ入っているわけでございます。これは定住圏構想におきましても、そこの地点における効率的な輸送体系は何かという点を考えましても、定住圏構想の推進ということから矛盾しないのではないだろうか、かように考えておるわけでございます。  それからもう一つ、ローカル線対策を推進する理由といいますのは収支係数、これは国鉄の方の合理化の問題として、収支係数がローカル線の九千キロで四四五、つまり四・四倍に運賃を上げてもやっと国鉄の収支が償うかどうかということでございます。それに対しまして、幹線の方は一二五、つまり三割五分だけ経費の節減ないしは収入を上げるということによって国鉄の合理化ができる。私どもとしては、都市間と大都市圏というものについて国鉄の使命があるというふうに考えておりましてこれを推進しておるので、この点について御理解をいただきたいと思います。
  512. 半谷哲夫

    ○半谷説明員 雪害対策の問題で御質問がございました。  会津地区、特に只見線が雪害が多いところでございまして、特に只見線についての御質問かと思いますが、実は只見線も只見から小出方はわりあい雪に対して強いのでありますが、手前の方が弱いということで、特に会津川口から只見間が弱いということでございますが、これは電源開発用につくられたせいで買収したときの経緯もありまして、また地形的にも非常に急峻だということがありまして、この雪害を根本的に受けないようにするには、恐らく線路をつけかえてトンネルにでもしない限りはむずかしいのではないかということで、なかなか基本的な対策をとるのはむずかしいところでございます。それで国鉄としましては、なだれ防止用の斜面に対する工作物をつくっての対策というものに金を投じてきておりまして、五十四年度におきましても只見線に三億以上の金をつぎ込んでおるという状況でございます。非常な多雪地帯でありますけれども、こういった対策をとりながら列車の運行を確保するようにしていきたいと考えておるわけでございます。  それから、東北新幹線の開業といいますか、進みぐあいについての御質問がございました。現在、五十五年度中に大部分の工事をやり上げまして、五十六年度中、五十六年秋には何とか開業にこぎつけたいという目標を持ちまして進めているわけでございます。ただ御承知のように、大宮以南におきましていろいろ地域の方々の御納得がまだ一〇〇%得られないという状況にありまして、その辺が今後の工程を確保するために非常に危ぶまれる点ではありますけれども、私どもとしましては、当初の目標を持ちましていま一生懸命進めているというのが実情でございます。開業の時期等細かい具体的な点につきましては、今後の工事の進捗状況を見ながら具体的に決めていくことになると思います。
  513. 渡部行雄

    渡部(行)分科員 これで終わります。どうもありがとうございました。
  514. 藤田義光

    藤田主査 以上で渡部行雄君の質疑は終了いたしました。  次に、岩佐恵美さん。
  515. 岩佐恵美

    岩佐分科員 手小荷物の問題についてお伺いしていきたいと思いますけれども、手小荷物の配達は生活の中に密着していて、大変私どもにとって必要不可欠なことでございますけれども、この大都市東京の中で戸別に荷物が配達されない地域があり、そこの住民は大変な不便をこうむっている、そういう実態がございます。  初めに、調布市内に残っている未配達地域について、これはもう基本的には問題が解決して、あと残っているのは詰めだけだというふうに伺っておりますけれども、具体的に実際にいつごろ始まるのか、お答えをいただきたいと思います。
  516. 山地進

    ○山地政府委員 調布市の配達問題は、いま御指摘になられましたように、国鉄と京王帝都、小田急との間で大筋の合意を得て、現在各社の受け持ち区域の細分化、どこがどれを持つんだということにつきましてかなり具体的な詰めをやっておりまして、私そこまでは聞いておるのでございますが、いつごろまでにそういうことが完成するのかということについては実は聞いてこなかったのですが、その進みぐあいから見ますと、そう時間をとらないで決め得る段階に来ている、かように考えております。
  517. 岩佐恵美

    岩佐分科員 先ほど申し上げましたように、大都市東京の幾つかの都市の中で、へんぴなところで未配達区域というのはあるわけですけれども、市全体が未配達区域であるところというのは多摩市と檜原村、小笠原村というようなところなわけです。多摩市の場合には現在人口十一万、そして将来多摩ニュータウンがどんどん大きくなりますから四十万都市になるわけでございますが、この多摩市が全市未配達である。私が住んでおりますのは多摩市のお隣の日野市でございますが、この日野市の私が住んでおる団地の地続きの団地で百草団地というところがあるのです。この団地は多摩市側と日野市側と両方あるわけですね。道路を隔てて多摩市側の団地に入っている住民は、自分の家まで荷物を届けてもらえないというような、大変不便な状況にあるわけです。この住民の荷物というのは、京王線の聖蹟桜ケ丘というところの駅に駅どめになるわけですね。そこまで取りに行かなければいけない。取りに行っても、実はマイカーがない人がタクシーに載せようと思っても、タクシー乗り場のところに立て看板がありまして、汚れた荷物は載せないでくださいと書いてあるわけですね。ですから自家用車を持っていない方は、この荷物の問題では本当にいやな思いをしている。せっかく好意で送ってもらった荷物を、何でこんなの送ってくるの、だろうかというような気持ちにさえなるのだというような住民からの訴えがあるわけです。地元の方々もずいぶん長い間これを問題にして、一体いつになったら解決するんだろうかと言っておられるわけですけれども、私はこれは当然のことだと思います。  私自身も一昨年の三月以降、京王本社そして国鉄、東京都に働きかけました。また運輸省とも、一昨年の四月、七月それから昨年の八月と交渉しましたし、また一昨年の七月には直接当時の運輸大臣にもお会いしてお話をするということもありました。また、参議院の運輸委員会で内藤功議員が質問して、それからも一年半たっているという実態であります。この内藤質問に対します答弁の中で、多摩市とそれから関係の鉄道事業者の間でもって具体的に協議をして円満解決を図る、そういうような指導を続けていきたいというお話があったわけですけれども、この点についてどのような指導をされたのか、また協議はどのような組み合わせで、いつ行われて、しかもその内容はどうだったのかということを御答弁いただきたいと思います。
  518. 山地進

    ○山地政府委員 多摩市に対しましては、私どもの方から、これは地域の問題でもございますので多摩市が中心になってこれを推進していただきたいということを申し上げたところ、多摩市としてはやはりこれは重大な問題だと受けとめていただきまして、それでは東京都も交えまして、国鉄、京王帝都、小田急の各社も集めまして会議をしようということで、五十三年の八月、多摩市が主宰をいたしまして打合会を行い、問題点を出し合って、この点については先生はすでにいろいろと御承知の点だろうと思います。その後、五十四年に至りまして、多摩市を抜きまして、実際の問題に当たる国鉄と京王帝都と小田急の三者が集まって、この問題についてどう対処したらいいか、何が問題であるかということについて昨年二回ばかり会議をし、さらにことし三月、今月中でございますが会合を持ちたい、こういうことを伺っております。
  519. 岩佐恵美

    岩佐分科員 そうすると、協議会は一度開かれた、あと事業者間だけの協議というか話し合いが二回、そしてこれからやるということでございますけれども、それでは、もう一年半もたっているわけですし、協議会自体は一度しか開かれていない、ほとんど進んでいない状態じゃないか、こう理解せざるを得ないわけでございます。私もいろいろと国鉄だとか京王だとか小田急だとか聞いてみると、みんなそれぞれ責任を転嫁するわけですね。国鉄は用地がないとか、いや離れているとか、あるいは京王、小田急も、私たちは人間を運ぶのが主体であって、荷物は鉄道では運ばないんだ、いわゆるトラックでやっている、それだったら国鉄だってやろうと思えばできるんだみたいなそういう話も出されて、三者三様あちこち向いていてなかなかまとまりそうな気配がないわけですね。この問題については運輸省が本当に本腰を入れて、強力に行政指導をしていただきたい。私が大臣にお願いしてからもずいぶんたっているわけですから、この点どうかということを大臣からも本当は途中で御意見を伺いたい。  いままで話したことは非常に深刻な状況であるわけですね、大都市の中で全然荷物が自分の家まで来ないわけですから。大きな荷物から小さい物もあるでしょうけれども、大体鉄道貨物で送ってくるのは大きい物が多いわけですね。しかも十一万都市、将来四十万都市になるという事態の中で、どういうふうに考えておられるか、このことをお答えいただきたいと思います。
  520. 山地進

    ○山地政府委員 手小荷物の問題、多摩地区が問題を非常に先鋭な形で提起をして、われわれとしてもこの問題にどういうふうに対処したらいいか非常に頭を痛めているわけでございます。元来、いまも先生御指摘になりましたように、鉄道事業というものと手小荷物の運搬というものとどういう関係があるのか、恐らく長い歴史のある問題でございますから、こういう世の中になったからこうだというようなことをしゃくし定規に申し上げるつもりはないわけでございますけれども、こういったニーズがあったところには一般的にどういうふうに対応したらいいのだろうかというアプローチがまずあるはずだと思います。そういたしますと、鉄道業者ということをまず最初から念頭に置くのがいいのかどうか。現在の運搬の状況というのを見ると、郵便の小包、これは六キロまででございます。それからいろいろな赤帽とか便利屋さんとかいうものが出てきまして、これは自分の家から相手の家まで届けるというようなのが、これはコマーシャルにも成り立つということも片方では出てきているわけです。しかも国鉄の運賃とか、そういうものから比べると安いというようになってきている。ところが、これもやはり重量制限というのが十キロ。そうすると、重い荷物を運んでいるのは国鉄ということになって、そういう意味では、そういう限りのニーズにはかなりこたえなければならないという面も確かにあるわけでございますけれども、私鉄はすでに貨物営業というのは全廃しております。  そうすると、考えられますのは、地域住民に対して、旅客を運んでいるということの付帯的サービスとしてそういうものをやる義務があるんじゃないだろうかという御議論も片方では出てくる。それが京王帝都と小田急が現在も、貨車で運んでいるのではなくてトラックで運送業者と契約してやってきているゆえんだろうと思いますので、それぞれ国鉄の方としても赤字に悩んでおるものでございますからなかなか出足が悪いということでございますが、調布市の例に見られますように、配達区域について協定もできるということでございますので、各社それぞれ好んでやりたくないという事情と、片方では手小荷物についてはかなりそういう運搬業者の手でもとられてきているということもございますので、今後私どもとしても各社の財政状況というものも念頭に置きながらこの問題については対処してまいりたい、かように考えております。
  521. 岩佐恵美

    岩佐分科員 ちょっと大臣のお考えも……。
  522. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 私余りよく事情承知しておりませんが、ただいまの鉄監局長の御答弁で御理解を願いたいと思います。
  523. 岩佐恵美

    岩佐分科員 一般論としてそういう非常に深刻な事態があるわけですね。大臣に聞いていただいているのは、つまり現在十一万都市で、多摩ニュータウンの住民がどんどんふえていって、同じ団地でも、市が違っているというだけで日野市は配達されるけれども、多摩市は配達されない。しかも、その十一万都市が将来四十万になるわけですね。そういうところの手小荷物の問題が解決されてない、住民が大変苦しんでいる、そういう実態大臣としてどう考えられ、またどういうふうに御理解を示していただけるかという点を、政治姿勢みたいなものをお伺いしたいということでございます。
  524. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 段々の御説明で非常に大変な問題だということを承知いたしましたので、先ほど来鉄監局長お答え申し上げておりますような御相談をしながら解決に進んでもらいたいと期待しております。
  525. 岩佐恵美

    岩佐分科員 東京都の南多摩新都市開発本部というのがございますけれども、こことは話し合っておられますでしょうか。
  526. 山地進

    ○山地政府委員 申しわけございません。そことの話については私どもいまのところ聞いておりません。
  527. 岩佐恵美

    岩佐分科員 この手小荷物問題、実は多摩市が中心になっていて、協議も多摩市を入れて鉄道事業者がやっておられるわけですけれども、多摩ニュータウンの一部に三千戸余り松が谷、鹿島という団地が入っていて、この団地は八王子市に所属するわけですね。ですから、確かに多摩市が大部分だし、多摩市が代表してやっているということはそれはそれでいいんですけれども、やはり八王子市も絡むということになると、もう少し大きく東京都の問題になってくるというふうに言えるわけです。それで、私どもはあるいは住民の方々は、東京都ともいろいろ交渉をしているという経過があるわけです。  この東京都の南多摩開発本部は、もし働きかけがあれば同本部の力で、ニュータウンの団地の土地内に、もし土地が必要であるならば私どもの方は提供することは——それは有償か無償かということはまた後の相談になると思いますけれども、そういうことの用意があるのだということまで言っているわけです。やはり東京都を交えて運輸省が軸になって話し合いを進めていかれる、このことが解決を早めるという意味で一番大きな役割りを果たしていくのじゃないかと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
  528. 山地進

    ○山地政府委員 いろいろのこういった問題に対処するときに、荷さばき所というのですか、荷物をどこかに集めてそれを集中的に輸送するということが一つのやり方だろうと思います。そういう点で、東京都がそういうふうなお考えを持っておるということは今後この問題を考えていく場合に非常に有意義なことだろうと思います。私どもも多摩市に最初お願いをしてこういう協議会をするときにもたしか東京都をお呼びして、東京都の方も参画していただいておったのでありますが、いまは三者で、まずはどっちの方向へ向いているのかという方向調整するということが非常に大事だろうと思って三者がやっておるわけでございますが、今後そういう方向が打ち出された場合には、多摩市あるいは東京都の方とも具体的な御相談に入れるか、かように考えております。
  529. 岩佐恵美

    岩佐分科員 私も東京都の交渉に一回参加したことがあるのですけれども、やはり開発本部は自分の問題として自覚をしているというふうなことを言っておりますし、そういう点ではぜひ実現をしていただきたいと思います。私ども希望とすれば、この問題はもうずいぶん長く放置されているわけですから一刻も早く実現してもらいたいと思うのですが、年内にでも一定の話し合いを詰めてめどを立てるという御努力をいただけないかどうか、ぜひそうしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  530. 山地進

    ○山地政府委員 こういうことを進めるのに時間を限ってやるというのは非常に有力な方法だと思います。私も宿題をしようということは勉強しなければならないことでございますので、そういう意味から、こういう人たちにぜひ時間を限って物事を考えてもらって、ことしじゅうにどういうふうなことができるかということを結論を得るように私なりに努力してみたいと思います。
  531. 岩佐恵美

    岩佐分科員 大変前向きな御回答でありがとうございました。一定のめどができるということは大変重要なことなので、住民の方々もこれですごく喜ぶと思います。  もう一つ、これは全然別の問題なんですが、実は私、視力障害者の方から陳情をされたのです。目の見えない方がバスに乗る場合に、行き先表示、そのバスがどこへ行くのかわからないわけですね。もし行き先の放送がバスについていたら本当に便利なんだ、どんなにか自分たちが社会に安心して出ていけるかわからないということで、何とかその実現をしてもらえないだろうかという陳情というか、訴えを受けたことがあります。これは、私どももどういうふうな方法があるんだろうかということで私どもなりにいろいろ考えてみたのですけれども、テープを取りつけて行き先案内を流す、ただし運転者に新しい負担が加わると、いまワンマンバスで運転者自身が非常にいろいろなことに神経を配らなければならないということで安全運転のぎりぎりのところに来ているという実態ですから、運転者に負担がかからない方法でテープを流して行き先表示をするというようなことをぜひ実現をしていただきたい。来年は国際障害者年でございます。障害者が本当に安心して働ける、あるいは安心して社会に出られる、こういう条件を社会としてもつくろうじゃないかということで国際的にも確認され、また日本としても行動計画をいま準備をして取り組んでいる問題だとも思いますので、ぜひこの点実現をお願いしたいと思います。
  532. 熊代健

    熊代政府委員 質問の御通告を受けてなかったので自動車局が参っておりませんが、いま言われた点、私からよく伝えて、できるだけ検討をしてもらうようにいたします。
  533. 岩佐恵美

    岩佐分科員 終わります。
  534. 藤田義光

    藤田主査 以上で岩佐恵美さんの質疑は終了いたしました。  地崎運輸大臣を初め、政府委員、説明員、まことに長時間真剣な審議、御苦労さんでございました。  以上をもちまして昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算運輸省所管についての質疑を終了いたしました。  次回は、明三月七日午前十時から開会し、郵政省及び国土庁所管について審査を行います。  本日は、これにて散会いたします。     午後九時三十六分散会