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1980-03-08 第91回国会 衆議院 予算委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月八日(土曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 田村  元君   理事 小此木彦三郎君 理事 瓦   力君   理事 小宮山重四郎君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君    理事 寺前  巖君 理事 小沢 貞孝君       相沢 英之君    荒舩清十郎君      稻村佐近四郎君    越智 伊平君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       金子 一平君    倉成  正君       小山 長規君    近藤 元次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    田中 龍夫君       根本龍太郎君    橋本龍太郎君       福家 俊一君    藤尾 正行君       藤田 義光君    松澤 雄藏君       村山 達雄君    阿部 助哉君       稲葉 誠一君    大原  亨君       川崎 寛治君    兒玉 末男君       中村  茂君    野坂 浩賢君       安井 吉典君    横路 孝弘君       池田 克也君    岡本 富夫君       草川 昭三君    坂井 弘一君       正木 良明君    井上  敦君       工藤  晃君    田中美智子君       津川 武一君    則武 真一君       山原健二郎君    大内 啓伍君       岡田 正勝君    中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         法 務 大 臣 倉石 忠雄君         外 務 大 臣 大来佐武郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 谷垣 專一君         厚 生 大 臣 野呂 恭一君         農林水産大臣  武藤 嘉文君         通商産業大臣  佐々木義武君         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         労 働 大 臣 藤波 孝生君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      伊東 正義君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小渕 恵三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 細田 吉藏君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  清水  汪君         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         内閣総理大臣官         房同和対策室長 小島 弘仲君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁経理局長 渡邊 伊助君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         防衛施設庁長官 玉木 清司君         防衛施設庁労務         部長      伊藤 参午君         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         科学技術庁研究         調整局長    勝谷  保君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁土地局長 山岡 一男君         法務省刑事局長 前田  宏君         公安調査庁次長 西本 昌基君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済局長 手島れい志君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君         大蔵大臣官房審         議官      水野  繁君         大蔵省主計局長 田中  敬君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省体育局長 柳川 覺治君         厚生省公衆衛生         局長      大谷 藤郎君         厚生省環境衛生         局長      榊  孝悌君         厚生省社会局長 山下 眞臣君         厚生省保険局長 石野 清治君         厚生省年金局長 木暮 保成君         厚生省援護局長 松田  正君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産省食品         流通局長    森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省貿易         局長      花岡 宗助君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         通商産業省生活         産業局長    児玉 清隆君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         郵政省郵務局長 江上 貞利君         郵政省経理局長 守住 有信君         労働省労働基準         局長      吉本  実君         労働省労働基準         局安全衛生部長 津澤 健一君         労働省職業安定         局長      関  英夫君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省住宅局長 関口  洋君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君         自治省税務局長 石原 信雄君         消防庁長官   近藤 隆之君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    吹田 徳雄君         参  考  人         (石油公団総         裁)      徳永 久次君         参  考  人         (石油公団理         事)      佐藤淳一郎君         参  考  人         (日本銀行副総         裁)      澄田  智君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ――――――――――――― 委員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     越智 伊平君   小山 長規君     近藤 元次君   八木  昇君     中村  茂君   矢野 絢也君     池田 克也君   辻  第一君     田中美智子君   中路 雅弘君     山原健二郎君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     相沢 英之君   近藤 元次君     小山 長規君   中村  茂君     八木  昇君   池田 克也君     矢野 絢也君   田中美智子君     則武 真一君   山原健二郎君     津川 武一君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     江崎 真澄君   津川 武一君     井上  敦君   則武 真一君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   井上  敦君     不破 哲三君     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、締めくくり総括質疑を行います。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 質問の前に、いま新聞を読みましたら、昨日の大出質問におけるK・ハマダという人、その人が東京地検特捜部では浜田幸一議員だということで、同氏を参考人として事情聴取をした模様と書いてあります。そのとおりでしょうか。
  4. 前田宏

    前田(宏)政府委員 従来から、いわゆる捜査中と申しますか、広い意味での捜査中にどういう人に来ていただいてお尋ねをしたかということは、お答えを差し控えさせていただくということで御了承いただいているように理解しておりますので、お尋ねの件につきましても同様で御了承いただきたいと思います。
  5. 安井吉典

    安井委員 検察当局としてはそうかもしれませんが、ただ自由民主党という立場で、もしもこのK・ハマダ浜田幸一氏であったとすれば、自由民主党の要職にある方であります。新聞の報道によれば、党内でそのことをどうするかということで相談をしているとも伝えられていますが、総裁としての大平さんのこの問題についてのお考えをこの際伺っておきたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 ロッキード事件の公判における証拠に関連して問題になりましたことにつきましては、きのう来法務当局が本委員会で明らかにいたしましたとおりでございまして、私もそのことを伺っておる次第でございます。  それで、自由民主党といたしましては、この問題に直接取り組む契機を見出していないわけでございまして、今日の段階におきましてこの問題をどのように取り扱ってまいるかということにつきましては、まだ一つの決まった判断を持っておりません。今後この問題の推移を見なければならぬと思っております。
  7. 安井吉典

    安井委員 どの新聞を見ても、あるいは国民世論も、この問題をめぐってきわめて大きな打撃を受けて、こんな事態を許していいのかどうかということについて世論は沸き立っている状況ではないかと思います。それだけに、この問題は早急に真相を明らかにして、総理としての対応をあるいは総裁としての対応を要求しておきたいと思います。  さらにまた、国会としても、これはわれわれ仲間の国会議員の重大な問題として関心を持たざるを得ません。このことを指摘して、きょうは締めくくり質問として、とりあえず分科会等で最終的にここで処理してくれと言われている諸問題についてお尋ねを続けます。  その第一は、同和対策であります。  一昨年同和対策特別措置法の三年延長が可決されたそのときの附帯決議項目の実行については、この国会におきましても、わが党は、飛鳥田委員長の本会議質問から始まって、この委員会のさまざまな機会をとらえて、政府に対しその確認を迫ってきたところであります。  この法律審議の際に、当時の稻村総理府総務長官は、三年延長というのはそれで打ち切りという意味ではないということを答弁されています。また、この委員会の各分科会におきましても、労働大臣文部大臣あるいは通産大臣等答弁を聞いておりますが、差別問題を解決するというのはきわめて重大な問題であり、特に労働とか教育などの問題は、もうこれで仕事が終わりということはないわけなので、永遠に追求すべき課題だというような御答弁もある。実質的に残った事業を遂行すれば相当時間がかかるが、それはどうしてもやらなければいけないという言明もあり、各大臣大変熱意を示されているように思いました。小渕総務長官も、この法律の総合的な改正決議趣旨を踏まえて検討するというような意味の御答弁のようであります。  そこで、総理確認をいたしたいわけであります。  この三年の時限立法は刻々終期が迫りつつあるわけでありますが、この三項目、とりわけ法の総合的改正について積極的に取り組むという御意向をこの際明確にしていただきたいと思います。どうですか。
  8. 小渕恵三

    小渕国務大臣 ただいま委員お尋ねの点につきましては、法律延長する過程におきまして、本院におきます附帯決議項目の第一の項目の第二点かと存じます。  その附帯決議は、要は、その法の改正も含めて検討せよということですが、その前段には、実態調査その他を十分図れ、こういうことでございます。政府といたしましては、そうしたことを含めまして大変な宿題をちょうだいをいたしておるわけでございますので、お説のようなこと全体を含めまして、その解決のためにいま全力を尽くしておるところでございまして、法の改正検討せよ、こうなっておりますので、そのとおりと理解をいたしておる次第でございます。
  9. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 同和対策事業特別措置法延長の際の附帯決議につきましては、いま総務長官からお話がございましたとおり、その趣旨を尊重いたしまして関係施策の一層の推進に努めておるところでございます。  同和問題の早期解決のための今後の施策方向等につきましては、この附帯決議を踏まえまして政府部内で鋭意検討を進めてまいりたいと思います。
  10. 安井吉典

    安井委員 その附帯決議の中には「法の総合的改正」という言葉もあるわけですが、いまの御答弁の中にはそれも含まれるわけですね。
  11. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 附帯決議全部を踏まえての-上で、推進したいと思っております。
  12. 安井吉典

    安井委員 次に、原発事故に対する防災計画の問題であります。  アメリカのスリーマイル島の事故を他山の石として原発防災対策を進めるべきだと思いますが、これも分科会においてかなり詰められておりますが、総理のお考えを聞いてくれ、こういうことであります。原発事故に対する防災対策を、総理はいつの時点で国民にお示しになるおつもりなのか、また、原発事故のとき、周辺住民避難計画避難訓練についてどのように実施するおつもりなのか、そのことを伺います。
  13. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 原子力の開発、利用に当たりましては、申すまでもなく安全性の確保に万全を期しながら、その推進を図っておるところでございます。  御指摘原子力発電所等事故時の緊急対策につきましては、万が一にもそうした事故が発生することのないよう、安全規制に万全を期しておるところでございます。しかしながら、仮に事故が発生し、外部に放射能の影響が及ぶおそれがあるような場合には、災害対策基本法により、迅速かつ適切な応急対策を講ずることにいたしております。  また、先般の米国スリーマイルアイランド事故における経験を教訓といたしまして、今後緊急連絡通報体制、緊急時医療体制整備等防災体制の一層の充実を図ることといたしております。  また、防災対策にさらに万全を期するため、現在原子力安全委員会において所要の検討をいただいておりまして、その結果がまとまり次第、これを十分尊重し、防災対策の一層の充実整備を図ってまいる所存でございます。
  14. 安井吉典

    安井委員 原子力安全委員長はおいでですね。   この前の分科会における石野委員質問に対して、三カ月後には成案を得たいというお答えがあったそうでありますが、そのとおりですね。
  15. 吹田徳雄

    吹田説明員 原子力発電所等周辺防災対策専門部会におきましては、事故グループ環境グループ医療グループ基本グループに分けて検討を行ってきております。それで、部会長を初め専門委員の方々も、防災対策充実が急務であるとの認識のもとに、できる限り速やかに審議を進めておりますが、何分にも原子力防災に関しまして検討すべき事項は非常に多岐にわたっております。それで、私たち安全委員会といたしましても、この専門部会には終始担当の安全委員が出席しておりまして、その詳しい審議過程、その結論に至るいろいろなプロセスをよく傍聴してまいっております。今後さらに努力を重ねまして、できるだけ早く検討の結果を取りまとめていただきまして、各機関防災対策の一層の充実整備に役立ててまいりたいと思っております。  御質問の、先日石野委員お答えいたしました二、三カ月でございますが、安全委員会といたしましても、いま申し上げましたように非常にこれを重視しておりまして、結論をできるだけ早く、たとえば二、三カ月以内に得られるよう、専門委員会先生方にお願いしているところでございます。
  16. 安井吉典

    安井委員 総理、これは地震の問題もありますけれども、地震についてもかなりいろいろ検討が進んでいるそうですが、それどころではないという問題もあるわけです。いま二、三カ月以内に鋭意検討を急ぐという話でありますが、これは一日も早く防災計画国民に示して安心をしてもらう、こういうことでなければならぬと思うのですが、どうですか。
  17. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 督励してまいりたいと考えます。
  18. 安井吉典

    安井委員 次は、学校給食の問題であります。  各家庭では、現にパンも食べますけれども、やはり米飯が中心であるということではないかと思うのです。ところが、学校ではパン食だけというのではおかしいわけで、学校給食もやはり家庭と同じように、米食が主流になるということでなければならぬと思うし、それと米食の普及というのは、農業政策課題とも合致すると思います。  そういうようなことで、谷垣文部大臣は大変御熱心に取り組んでおられるとお聞きするわけでありますが、ただ、それを普及するためには、御飯の場合にはやはり栄養的にもおかずがたくさん必要になってくるし、そういう調製施設増加が必要になってくる、それからもう一つ調理員増加も同時に必要になってくる、こういう二つの措置補助金とか交付税の中で措置されなければ、幾ら口米飯給食米飯給食と言ったって、そう進むものではないのではないかと思います。  ところが、調べてみますと、調理貝配置基準等は、昭和三十五年にできたのがいままでそのまま使われていて、したがって、実際はそれじゃ間に合わなくなって、自治体では超過負担を強いながら悩んでいる、とにかくやっている、大ぜいの人を基準以上に置いているというような状態のようであります。調理員の人は女の人が多いものですから、子供が弄んで食べてくれるならという気持ちで、過重労働をがまんをして、そのために過労に陥って病気になっている人もふえているという話もあります。ですから、米飯給食を強めるというこの機会に、まず文部省基準の全面的な見直しがこの際必要ではないかと思いますが、どうですか。
  19. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 お答えいたします。  学校給食、ことに米飯の導入を五十一年から始めまして、五十六年度に週二日の実施を目途にやっておることは御存じのとおりでございます。施設設備の方の補助は、毎年若干単価の改善をいたしておりまして、五十五年度は、五十四年度に比しまして六億四千万増の四十七億五千万の予算を計上してやることができるようになっております。それから、学校給食用の米の、六〇%の大幅値引き、これは五十四年度からのことでございますが、五十五年度も引き続いて六〇%の値引きをいたしたい、かように考えております。  それから、いま御要望がございました学校給食調理員の定員の基準は、残念ながらまだその基準を改めるというところには行っておりません。ただ、文部省が決めました一つ基準は、実績的に見ますと大体到達をしておる。ある場所によりましては、先生の御指摘のように、若干それ以上に伸びているところがあると思いますが、これは施設設備拡充を少しやって、何とかやっていきたいということで、御指摘のような調理員の増のところまでは参りませんでした。ただ、米飯給食に関しましての調理員を、地方交付税算定基準の場合に、計算の中に週二日二人分の積算を入れるということにいたしております。  それからなお、栄養職員、これは職員になりますが、栄養職員増加は、五十五年度において約四百名ほど増加をしてまいりたい、かような考え方で進んでまいりたいと思っております。
  20. 安井吉典

    安井委員 長くこの問題だけに時間をとる余裕はきょうはないのですけれども、施設拡充が必要ですが、やはり仕事をするのは人ですからね。現実にはこれ以上の、現在の基準以上の人がいて、自治体が持ち出しでやっていると思うのです。そういう実態があるし、あるいは過重労働に陥っているという状況であります。三十五年の基準が二十年もたって同じでいるというようなことはあり得ないと思うのですよ。やはりこれは前向きに御検討願わなければならぬ問題ではないかと思うのですが、新しい課題としてお取り組み願えませんか。
  21. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 なかなか増員の問題が厳しい現状でございますので、先ほどお話しいたしましたように、施設の増設の問題とそれから米飯という特につけ加えました問題における週二日二人分の積算ということでやっておるわけでありますが、しかし、御指摘の問題につきましては、今後の学校給食全体の問題とも考えまして検討を続けていかなければならぬ問題だというふうには考えておるわけであります。
  22. 安井吉典

    安井委員 やはり安全でおいしく栄養のある楽しい学校給食の実現のために、さらに検討と御努力を願いたいと思います。  もう一つ、ソーラーシステムの住宅の問題について、ちょっと時間があれば建設やあるいは通産等の皆さんと議論をしたいことがたくさんあるわけでありますが、時間が十分ありませんので、ただ税金の問題を、もっと政府は積極的に取り組むべきではないかという一点についてお尋ねをいたしたいと思います。  仙台で私の知っている大学の教授がソーラーハウスを建てたわけですね。これは自治大臣に特に聞いていただきたいわけですが、ところが、集熱板や貯熱槽その他で二百三十万もかかったそうです。それもさることながら、その建物を建てる場合には、そういう大きなパネルを受けるための建物をしっかり建てなければいかぬわけですから、鉄骨でコンクリートの基礎、こういうことになるわけです。ですから、普通のそういうソーラーシステムのパネルを上に載せない建物なら、法務省の土地家屋の基準では、不動産取得税にしても十二万九千円ぐらいで済むと思っていたところが、今度は市の査定で不動産取得税が三十一万三千円もぽんときてびっくりして、これは大変だというので私のところに言ってまいりました。  つまり、ソーラーシステムを普及する普及すると言いながら、お金を貸すぐらいなところまでは考えておられることは間違いありませんけれども、肝心の税対策については何らないということで、これはやった人は政府の指導に従ってやったけれども、税金がどかっと来てびっくり、こういう状況が現にあるようですね。通産省で調べてもらったアメリカやその他の資料によっても、もうほとんど税金をただにするなんというような――これはデモンストレーションの施設に対してですかね。いずれにしてもかなり税対策について配慮があるわけです。日本はまるでゼロだというのはどうしても私どは割り切れない思いでありますが、不動産取得税、固定資産税、これが一番取りつきの問題だと思うのですが、どうでしょうか。
  23. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御質問のソーラーハウスにつきましては、まだその具体的な概念あるいは省エネ効果等を含めました制度的な位置づけが必ずしも明確でありませんので、いま直ちにどうこうと確定的なことは申し上げかねるのですけれども、今後このソーラーハウスがどんどん普及すると思いまするので、またそれは大変いいことですから、制度的な位置づけあるいは国としての税財政上の扱いをどうするのかということ等をあわせまして、地方税においての減免措置、これについては前向きに検討してまいりたいと、かように考え七おります。
  24. 安井吉典

    安井委員 総理、これはこれから非常に重大な問題になってくると思うのですね。これは税金だけの問題じゃなしに、もう少し建設あるいは通産等の諸施策にいたしましても、積極的な取り組みが必要ではないかと思いますが、どうでしょう。
  25. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 総合的に検討いたします。
  26. 安井吉典

    安井委員 次に、リムパックの問題について触れたいと思います。  この前の補正予算の総括質問の際に、私は、答弁がなかなか思うようにいっていないような感じを受けたものですから、政府としての統一的な見解を示せ、こういうことにしてあったはずでありますが、この際、防衛庁長官から伺いたいと思います。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
  27. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答え申し上げます。  前の委員会において、リムパックについての統一見解を示せという安井先生の御意見でございました。政府部内の関係方面とも十分協議をいたしまして、有権的な解釈というようなものについて申し上げます。  自衛隊が外国との間において訓練を行うことができることの法的な根拠は、防衛庁設置法第五条第二十一号でございます。すなわち、同号は「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」と規定しておりまして、この所掌事務の遂行に必要な範囲内のものであれば、外国との間において訓練を行うことが可能であると解しております。  もとより、自衛隊は、憲法及び自衛隊法に従いまして、わが国を防衛することを任務としておるのでありますから、その任務の遂行に必要な範囲を超える訓練まで行うことは、これはできません。たとえばわが国は、憲法上いわゆる集団的自衛権の行使は認められておりませんから、自衛隊がそれを前提として訓練を行うことは許されないところであり、また、自衛のための必要最小限度を超えるものであってはならないわけでありまして、わが国が保有することの許されていない兵器、たとえばICBMあるいは長距離戦略爆撃機、こういった兵器を自衛隊が使用して訓練を行うことも、これは許されないところでございます。  二番目に、自衛隊が外国との間において訓練を行うか否かにつきましては、前に申し上げたような観点から、まずその訓練が所掌事務の遂行に必要な範囲内のものであるかどうかを、当該訓練の目的等から総合的に判断しなければなりませんが、これによって法的に可能であったといたしましても、さらに当該外国との間で訓練を行うことが政策的に妥当であるかどうか、及びもう一つ、その訓練を行うことによる教育訓練上の効果がどの程度であるか、こういうことを慎重に検討した上で、ケース・バイ・ケースで判断する、こういうことでございます。
  28. 安井吉典

    安井委員 いまの御見解ではちっとも進んでいないように思うのですがね。足踏みをしておられて、したがって、きわめて歯どめのない形で、どこの国とでもやれる、そういう御見解のように伺うわけであります。その点については後で詳しく触れたいと思いますが、その前に、このリムパックはハワイ周辺の中部太平洋でいまたけなわに行われているときだと思います、二月の二十六日から三月の十八日だというから。ところが、ニュースも何もないわけですよ。一体何をやっているのか音さたなし。米韓チームスピリットにしても、これはテレビやなんかが入って写真に出てくるのですけれども、これだけ大驚ぎをして出ていったリムパックについては音さたなし。完全な秘密訓練なんですかね、どうですか。
  29. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 具体的な問題でございますので、政府委員から答弁させていただきます。
  30. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答え申し上げます。  アメリカの基本方針といたしましては、この種の訓練過去六回、その訓練実施中に一々経過を公表したことがございません。しかしながら今回は日本側は、日本国民の御理解並びに国会審議の経緯等にもかんがみまして、アメリカ側に特にお願いをいたしまして、アメリカの基地であるところのハワイへ三月九日、明日でございますか、日本記者団約二十名出発をいたしまして、可能な限りリムパックの概要のブリーフィングあるいは訓練の一部を見学さしていただく、たとえばPMRF、誘導武器評価施設でございますが、これを使用しての訓練等を見学させていただく、あるいは米海軍関係者のインタビューというようなことを計画いたしておりますので、いずれこれらの報道関係者からのニュースが入ってくるであろう、決して秘密訓練ということで私どももひた隠しに隠しておるわけではございません。
  31. 安井吉典

    安井委員 それは全貌を見せるのですか、記者には。
  32. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 訓練の内容につきましては、主催国であるアメリカが報道を統一的に行っておるわけでございまして、昨年の臨時国会以来たびたびお答えいたしておりますように、アメリカ側の戦術訓練にかかわる部分はアメリカ側の秘密事項でございますので、この部分は発表されないであろう、したがいまして全部はお見せすることにはいかないだろう、かように考えております。
  33. 安井吉典

    安井委員 憲法で認めていない集団自衛権の行使にかかわるような演習はしないとか、先ほどの防衛庁長官のお話にもありましたけれども、しかしこれは本当にそうなのかどうか検証する方法がないのですね、大事なところは見せないということですから。そういうところにまず問題があるように思います。  それから、二月の二十四日にリムパック80についての公表文があります。私もいただきましたけれども、この防衛庁の発表は、これを読む限り、日本とアメリカだけで別にやっていますというふうな印象は全然ないのですよ、このどちらの文章一を読んでも。そうでしょう。「リムパック80は、“太平洋周辺”諸国による一連の主要な艦隊訓練の七回目のものである。」ということで、「米国、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド及び日本五か国の艦艇四十一隻、航空機二百機、人員二万名が参加して実施される。」何も日本が別だという扱いになっていませんよ、みんな五カ国合計で示されているのですよ、中を読んでみたら。そして各司令官がずっと名前が出ていて、最後に「日本が海上自衛隊第五十一護衛隊司令吉岡勉一佐である。」と司令官の名前も並んでいて、アメリカと日本が別にやるのですとあなた方がいままで御答弁をされてたようなことがどこにあるのですか。そう思いますが、どうですか。
  34. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  この公表文に関連をいたしまして現地で記者会見があったようでございます。また今度日本の記者団が参りますと、恐らく同様趣旨の記者会見があろうかと思いますが、その質疑応答の中におきまして、日本はほかの国と一緒に組むのかというような質問があって、もっぱらアメリカと組むものである、こういう回答があったやに承知をいたしております。したがいまして、補足説明の中で説明をされたと了解をしております。
  35. 安井吉典

    安井委員 その補足説明は私どもには渡っていません。これははっきり言っておきますよ。私のところには来ていません。  アメリカ以外の航空機とも互いに標的交流をするということもこの前御報告があったわけでありますが、政府の法解釈ではどこの国とでもこれはやれるわけですからね、そうすると標的交流というのは、日本と豪州、日本とニュージーランド、日本とカナダというそれぞれ別なものも考えられている、アメリカとのほかに参加している国々の一つ一つと交流は行われる、こういうことですか。
  36. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 まず、公表文についてお尋ねがございましたので、ちょっと一カ所だけ、その後の新しい資料に基づきまして訂正をさせていただきますと、二月二十四日発表の時点におきましては、アメリカの参加艦艇二十七隻でございましたが、これがその後変更になりまして二十九隻となっておりますので、艦艇数四十三隻となっておりますことをこの席で追加説明をさせていただきます。航空機及び兵員は同じでございます。  それから、この訓練の内容につきましては、たびたび御報告を申し上げておりますように、日本はアメリカと共同訓練を行うことを念頭に置いて、アメリカ艦隊と組んで訓練を行います。しかしながらANZUS諸国、ニュージーランド、オーストラリアはまた別にアメリカと組むようでございまして、ある段階では、この対抗形式ということを申し上げておりますが、対抗形式の形になっておりますので、いわゆる目標としてそれぞれ協力をし合う、こういう形はあろうかと思いますが、日本対カナダ、日本対オーストラリア、こういうような個別的な訓練はないと承知いたしております。
  37. 安井吉典

    安井委員 標的交流というのはどうですか。
  38. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 たとえば航空機でございますが、参加二百機のうちほとんど大部分、約百六十機がアメリカの航空機でございます。したがいまして、目標となります航空機の大部分はアメリカであろうと存じます。また、たとえば対潜水艦捜索訓練でございますけれども、これもほとんどアメリカで、オーストラリアが一隻だけ潜水艦を提供いたしておりますので、オーストラリアの潜水艦が目標になることもあり得ますけれども、ほとんどの場合アメリカの潜水艦あるいはアメリカの航空機が目標になろうかと存じます。
  39. 安井吉典

    安井委員 先ほどのどこの国とでもやれるそういう仕組みからすれば、いまのやつだって、ニュージーランドと日本がやっても差し支えないわけでしょう。豪州とやっても差し支えないわけでしょう。どこの国とやっても差し支えないわけですよね。そういうのが五カ国集まって、日本のほかに四つ集まって、どこの国ともやってもいいというのが集まって一緒にやれば、これは集団自衛権の行使に似たかっこうになっちゃうわけですよ。だから私は、どこの国とやっても差し支えないという法律解釈は、これは非常に恐ろしい解釈ではないか、そう思うわけであります。そこで私どもは、御承知のように日米安保条約があることによって日本は危険に陥れられるおそれがあるという、そういう基本的な立場を持っていますけれども、しかし、いまあるこの条約の中においても、あなた方が考えているような歯どめのない合同訓練をどんどんやられちゃ困ると思う。そういう中で私は、この設置法の第五条二十一号の規定で可能というこのことによって、法律的には世界のどこの国とでも訓練ができるということ、これはもう非常に大変なことになるのではないかと思います。  もっともこの間の答弁の中に、これは私はそういうふうに聞いておったわけでありますが、法的にはそうだけれどもしかし実際には、リムパックを除きアメリカ以外の外国との訓練はあり得ないという言明をなすったようにも思うのですが、どうですか。
  40. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  法律論としての問題といたしてまずお答えいたしますと、五条の二十一号では、外国の軍隊と訓練をすることはこの法の趣旨に反しないであろう、可能であろうというふうに御答弁を申し上げましたが、ほかの国と、リムパック以外の国とやらないということは申し上げなかったと存じます。  また、実際の問題といたしまして、過去において、これは遠洋航海あるいは先方からの親善訪問の機会の話ではございますけれども、カナダそれからチリ、アルゼンチンの三国の艦艇とそれぞれ対潜共同訓練等を実施した実績がございます。
  41. 安井吉典

    安井委員 だから心配なんですね。先ほど長官がおっしゃったようなそういう見解の程度では、勝手に運用されるおそれがあるのではないかと思います。特に政府、とりわけ制服の方はできる限りフリーハンドでいたいというのはわからないわけではありませんけれども、しかし国民の方は、もっとしっかり歯どめがないと困る、こう思うのは当然だと思います。  私は私なりにこの合同訓練のあり方について四つのパターンを考えてみた。第一は相手国の選択の問題、第二番目は合同訓練の目的や態様の問題、第三番目は合同訓練の時期や場所の問題、それから第四番目は国内手続の問題、こういうふうに考えてみますと、まず第一に相手国の選択の問題でありますけれども、先ほどのような御見解ではきわめて国民は不安ではないかと思います。少なくとも紛争中の当事国の一方と訓練をやるようなことはあってはいけないということ、あるいは分裂国家の一方との訓練も同様に私はやるべきではないと思う。これは訓練とか演習とかいいましても、選択をされた一つの国と対立関係のあるほかの国が刺激されるわけですから、そういうことで紛争に巻き込まれるおそれがあるわけですよ。どうでしょうか。
  42. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  さきに私が申し上げた原則というのは、一応いまおっしゃいました四つのことについても皆入っておるつもりでございます。幾つも幾つも、集団的自衛権は認められておらないから、あるいは使う兵器とか、それからさらに政策的に考えるとか、いろいろなことで、やや抽象的かもしれませんが、そういうものが総合判断されると、ただいまおっしゃった四つの項目について、そういうことを考えながらやるということでございまして、これをより明確にせよというような御趣旨かと思うのでございますが、ただいまお話がございましたたとえば紛争当事国とか分裂国家、これはどこをそういうふうにするかという解釈の問題は別といたしまして、そのようないろいろ問題のあるようなところについてはもちろん十分慎重でなければいけませんし、どちらかといいますとそれは消極的に考えるべきである、私はかように思っておる次第でございます。
  43. 安井吉典

    安井委員 私はもうそういうところとはやらないというふうにはっきり言っていただきたいのですがね。  この前の場合でも、韓国と訓練をやることについては、法的には可能だが、現在はやるつもりはないというような発言であったと思います。ところが、ただそれだけの発言ででも、朝鮮民主主義人民共和国の方は猛烈な反発を示しています。ですから、この前の韓国との問題についても、この際もう一度はっきりしていただきたいと思います。
  44. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答え申し上げます。  私が先ほど申し上げましたとおり、いま憲法上いわゆる集団的自衛権の行使、これが認められておりませんので、チームスピリットのような韓国の防衛を目的として行われる訓練につきましては、これはもう当然参加できない、これは言うまでもありません。また、一般的な共同訓練につきましても、具体的な問題にもなっておりませんし、ただいま私どもはする考えはございません。
  45. 安井吉典

    安井委員 それでは、もう少し日本の周辺の国を挙げてみますが、中国とはどうなんですか、あるいはフィリピン、台湾、ソ連。どこの国ともできるというそういう解釈に立てば、ちょっとおかしいかもしれません、私の質問は。しかしそういうことになるわけですよ。どうですか。
  46. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  ソ連、中国、台湾等は考えておりません。先ほど申し上げました幾つかの条件から考えまして、これは合同演習をする考えはございません。
  47. 安井吉典

    安井委員 フィリピンも言いました。
  48. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  一般的には、その名前をお挙げになりましたような国、特にフィリピン、ASEANとか非同盟諸国であるとか、あるいはその他の自由圏諸国とやるかどうか、たとえばさっき申し上げましたアルゼンチン、チリ、南米の諸国、こういうような国とやるかどうかにつきましては、先ほど長官がお答え申し上げましたような趣旨、すなわち政策判断として妥当かどうかあるいは教育訓練上の効果が期待できるかどうか、こういうような点で判断をすることになろうかと思います。戦術技量向上のためならば法律的には可能でございますけれども、これはそのときそのときの情勢によってケース・バイ・ケースで判断する。また、これらの国に対して練習艦隊が訪問をいたしましたとき、あるいは先方から練習艦隊が訪日をした場合、友好親善のために艦隊運動等の訓練をやることがあるかということであれば、これはあり得ると存じますけれども、現在のところ具体的な計画はございません。
  49. 安井吉典

    安井委員 そうしますと、これはいまの御答弁の中で、あり得ないというものとあり得るかもしれないというのと二種類あるようですね。おかしいんじゃないですか。どうですか。
  50. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 先ほど申し上げましたような一般原則の上に立ちまして政策判断をする結果、あり得る国とあり得ない国というのが当然出てまいるであろうと存じます。
  51. 安井吉典

    安井委員 その政策判断というのが問題になってくると思うのですけれども、そのあと、第二、第三の私の挙げた問題についてお答えを願いたいわけでありますが、第二番目に私は合同訓練の目的や態様の問題を言ったわけですが、それはかなり先ほどの政府見解の中で言われているように思いますけれども、もう一つ、核装備、核使用、この核は戦術核も含むわけですが、それを使用しての訓練への参加は絶対に許さるべきではないと思いますが、どうですか。
  52. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 さように考えております。核兵器につきましてはもちろん、これは私ども共同訓練なり合同演習するという考えはございません。
  53. 安井吉典

    安井委員 それは戦術核も含みますね。
  54. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 さようでございます。
  55. 安井吉典

    安井委員 さらに第三に合同訓練の時期と場所の問題でありますが、その時点における国際情勢を慎重に判断する必要があるわけで、そういう意味で、私は今度のリムパックは全く許すべからざるものだと思います。いままでリムパックには参加したらどうだという誘いがあったということもこの間お話がありましたけれども、それまでは参加しないで、なぜ今度参加したのですか。これはいまの国際情勢の微妙な変化の中で、いままでは出なかったやつが今度は出たのだというふうにほかの国々はみんな勘ぐっていますよ。ですから、そういう国際情勢の動きを全く無視してといいますか、あるいはそれを意識して参加をするということになれば、これはアメリカの大きな戦略に振り回された参加だ、こう言われてもしようがないわけですね。すなわち、中部太平洋を横断するシーレーンの防衛はアメリカ一カ国ではできないから海洋集団防衛が必要になってくるし、例のスイング作戦で米軍がペルシャ湾に向かったというような場合を想定すれば、日本に積極的に参加協力をしてくれという申し入れも現にあるわけですよ。ことしのリムパックは、とりわけアフガンで米ソの対立が続いて、したがって、ソ連の海軍を念頭に置いた訓練だということは、一般的な見方で間違いないわけなんですからね。ですから、そういうような疑いのあるものの中に参加をするということ、もうそれだけでも専守防衛だとかそういう日本の防衛や平和の基本原則を逸脱した参加だ、こう言われてもしようがないのではないかと思います。その時点がどうなのかということを十分に考慮に入れた上での政策決定でなければならぬと思うわけですが、この点はどうですか。
  56. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 おっしゃいますように、時期、場所等についても先ほどの原則の中で十分考えなければならぬと思いますが、今回の問題につきましては、過去の経緯その他もあるようでございますので、政府委員から一応答弁させたいと思います。
  57. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  リムパック80の決定は、アフガン情勢が発生いたします以前、昨年の三月にアメリカ側からこれに参加をしてはどうか。と申しますのは、これも再々申し上げておりますけれども、艦隊レベルの訓練をさせてほしいというこちらの要望に対して、リムパック80の機会に参加してはどうかという要請がございました。十月十六日に決定をして回答をしておるわけでございまして、その後アフガン情勢その他が緊迫化しておるわけでございまして、この訓練は、昭和四十六年以来すでにおおむね二年に一回、戦術技量の向上を目的として参加艦艇の能力テストを行うという目的を明確にした上でアメリカが実施をしてきたところでございまして、最近の国際情勢と関係を持って判断をし参加をしたものという性格ではございません。
  58. 安井吉典

    安井委員 アメリカの意図は明白なんですよ。そしてまた国際情勢が、当初去年の十月ですか、秋ごろ政府が決めたときとずっと変わってきたわけですね。それだけに慎重でなければいけないんで、取り消して、また考え直しましたと言ったらそれでいいわけですよ。ですから、たとえ将来、合同訓練に参加するなどという問題が起きるという場合があっても、そのタイミングを十分に考えたものでなければならないということを一つ申し上げておきたいし、それから、ハワイ沖は別に専守防衛の日本の自衛隊の守るべき地域でも何でもないわけですよ。たとえ外国と演習するといったって、自衛隊の専守防衛の地域外は困るのではないかと私は思うのですね。自衛隊の中では、豪州の大陸でどかんと大砲を撃ったらいいというような話もあると聞きますけれども、あくまでも自衛隊の専守防衛区域に限るということを原則にすれば、そんな心配もないし、海外派兵につながるというような心配もないわけですよ。どうでしょう、あくまでもそういうところに限るという原則をお立てになっては。
  59. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 場所の問題につきましては、これも再三御答弁申し上げておりますが、ハワイにおいてこれを行います理由は、昭和五十一年以来、ハワイ派遣訓練を毎年実施をしてきたところであり、それの延長としての充実強化であるということ。それから、ハワイにはそのほかの場所にないすぐれた訓練施設がございます。先ほど申し上げました誘導武器評価施設等、こういう的確な訓練結果が評定される施設等がございまして、ハワイ沖が適当ということで場所を選定をしておるわけでございます。  場所その他不適当なところについては行かない方がいいではないかということにつきましては、たとえばこれも再々申し上げておりますカンガルー、これは1、2、3と三回やっておりますが、これはオーストラリアの北東海岸及びその沖合い海域ということで、オーストラリア防衛を目的として行われておるものである、チームスピリット78、79、80、いずれも韓国において、韓国防衛のために北からの攻撃に備えて訓練をする、こういう場所はやはり適当でなかろうと存じます。訓練は従来、アメリカと八十四回やっておりますけれども、事情の許す限り、また財政上の事情もございますので、日本の領域内もしくはその近辺海域で訓練を行っておるところでございますが、より一層の戦術技量向上を期するためにハワイ派遣訓練をお認めいただいておるわけでございます。
  60. 安井吉典

    安井委員 それでは私どもが本質的に持っている疑念を晴らしてもらうような答弁になっていないと思います。  それからもう一つ、私は国内手続の問題ということをさっき申し上げたわけでありますが、今度のリムパックの派遣も、国会の私たちが何も知らないうちにどんどん進められてしまっている。既成事実をどんどん積み重ねることで、結果を聞いてみんなびっくり仰天、こういうことではやはり困ると思うのですね。今度特別委員会国会の中にできるわけでありますけれども、私はやはりそういうようないろいろ問題のあるようなことは事前に報告をする、相談をするというそういう習慣をつけていただきたい。たかが訓練ではないかと、こう言われるかもしらぬけれども、しかし、世界の戦争の歴史を振り返りましても、訓練とか演習が戦争に移っていったという例が実に多いわけですよ。ですから、そういう国内的な手続を踏まないというようなことでは、歯どめのない軍事提携の中にのめり込んでいくおそれがある、こういう心配がありますが、この点どうですか。
  61. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 手続の問題につきましては、この演習の問題は、私ども防衛庁長官の権限でございますけれども、政府部内としましては十分の相談をいたしてやらせていただいたわけでございます。国会の中でいろいろな御心配があるということで、先ごろ来国会の中でいろいろ御議論があるわけでございますし、ただいまの御質問にもございましたように、今後防衛関係の特別委員会もできるというようなこともあるわけでございますが、あらかじめ国会と相談をして決めるという性格のものでないように私どもとしては理解しておりますので、さようにやらせていただきたい、かように存じておる次第でございます。
  62. 安井吉典

    安井委員 総理に伺いますが、私たちは基本的には日米安保条約をなくさなければならないという主張であります。しかし、今日の現状の中では、この条約体制におけるさまざまな問題点をとりあえず解決をしていくということでなければならぬと思います。そういうことで、私はかなりバックしたような姿勢でこのリムパックの問題なりさらにまたこれから起こるべき問題について取り上げてきたつもりでありますが、いままでの御答弁の中では、このリムパック参加あるいは広く外国との軍事訓練、そういうようなことで憲法やあるいは政策的にも認められない集団安保にのめり込んでしまうおそれがあるというようなこと、あるいはまた海外派兵への端緒を開くおそれがあるというようなこと、あるいはまた国民的なコンセンサスもなしにどんどん既成事実を自衛隊がつくっていく、それを国会が後追いをしていくというような、こういう状況にはがまんができないというようなこと、こういうような状態が続けば、ますます安保体制に対する疑問を私ども深めざるを得ないわけであります。少なくも、いまの段階でこういうさまざまな疑念が解消できるような措置政府として進めるべきではないか。とりわけ、私が最後に申し上げましたような、国会との間のコンセンサスだけでもせめてやるべきじゃないですか、そのことについて総理のお考えを伺います。
  63. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 冒頭に政府部内で慎重に協議いたしました統一見解を申し上げたわけでございます。  憲法、自衛隊法等の制約の中で、自衛隊に許された所掌事務の中でやり得ることでございますならば、この訓練の正当を期する意味でこういう機会を持ってしかるべきであるという結論に達したわけでございまして、いままでの安保条約の運営並びに自衛隊法の運用の上から申しまして、私どもは歯どめを外したものとは決して考えていないわけでございます。したがって対国会の関係におきましても、政府の責任においてやらせていただいて支障がないものと判断してまいったわけでございます。  しかし問題は、いろいろ御指摘をいただきましたけれども、国会政府との間には意思の疎通が十分なければならぬわけでございますので、今後この種の問題につきましての意思の疎通につきましては十分配慮してまいりたいと思います。
  64. 安井吉典

    安井委員 きょうのいろいろな論破の中でも、私どもは満足できるようなお答えだとは思いません。いずれにしても、いま行われつつあるリムパックのそういう状態に対して私どもはあくまで反対だという態度を明確にして、時間の関係もありますので次の問題に移ります。  もう一つ伺いたいのは、公安調査庁とレポ船の関係でありますが、国会でも、いままでほかの委員会でもやっておりますけれども、余り中身に深く入った議論がありませんので、きょうちょっと伺っておきたいと思うのですが、根室市の清水一巳船主は、国内情勢をソ連の国境警備隊に流し、その引きかえにソ連の言う領海内操業を認めてもらったというわけですね。こういうことで、その清水という人は豪奢な生活をして、一億円を超す銀行預金を持っているそうです。レポ船というのは、自分の金もうけのためには手段を選ばず、国を売る行為だということにもなるし、仲間の漁民に対する背信行為でもあるわけです、みんな守ってやっているんですからね。それに対してそういうことが言えると思います。あるいはまた北方領土の返還の運動にも水を差すというか、逆なでするような仕打ちにもなるわけであります。ところが、警察はこの人を逮捕したわけでありますけれども、検察に送ってこの人は釈放されてしまった。  そこで私は、まず警察当局と検察当局に伺いたいわけでありますが、警察側としては、この逮捕したのは間違ったと思っているのですか。それから検察当局としてはなぜ処分保留のまま釈放したのか、今後起訴するつもりはないのか、それを伺います。
  65. 鈴木貞敏

    ○鈴木(貞)政府委員 お答えいたします。  いまのいわゆるレポ船の今回の検挙につきましては、警察としては結論的に間違ったとは思っておりません。それぞれ関税法、検疫法違反容疑で捜査しまして検察庁に送致したということでございます。
  66. 前田宏

    前田(宏)政府委員 ただいま警察庁の方からお答えがございましたように、別に間違った捜査というふうには私どもも考えていないわけでございます。  その前に、釈放ということで何か罪の嫌疑がないというふうに御理解いただいたとすれば、そういうことではございませんで、逮捕勾留した事実はすでに御案内のとおり関税法違反あるいは検疫法違反ということでございますが、先ほども委員が御指摘になりましたように、いろいろの背景事情もあるわけでございます。まあ御指摘のように操業で大変もうけているとか、または操業自体が法令に違反しておるとかいうような問題が背後にもあるわけでございますので、技術的に言えばいわゆる余罪というような形にもなろうかと思いますが、そういう点をなお補充的に捜査をする必要がある、その上で一括処理をするのが適当であろう、こういうことで、とりあえず身柄だけは釈放した、こういうふうに御理解賜りたいわけでございます。
  67. 安井吉典

    安井委員 ところが、これは実に不可思議ないろいろな問題があるわけです。このレポ船に情報を流して、そのかわりにソ連側の情報を求めていたと言われている旭川地方公安調査局の船山第二課長は、一月三十一日に釧路地検で事情聴取を受けた後、一日置いて二月二日に自殺をしている。それだけではなくて、釧路地方公安調査局の蠇崎第二課長、それから函館地方公安調査局の菅原第一課長、この二人も相前後して釧路地検での事情聴取を受けているわけです。この三人とも釧路の公安調査局の課長を相前後して勤めていた人であります。この三人とも釧路に着いてから清水と接触をしています。ところが、函館や旭川へ転任してから後も、清水の方が赴任地の函館や旭川を訪ねる形で接触をしているわけです。昨年だけでも船山、菅原という人は数回会っているし、釧路の蠇崎課長は約十回ぐらい清水と会っている。清水はそのたびにソ連側の指示に従って、ソ連の方から指示を受けているわけですから、右翼や北方領土返還運動などの情報を要求する、三人はそれに応じて口頭やあるいはコピーあるいは部内資料等の提供をする、こういうような状況があり、この清水という人は根室から旭川や函館までわざわざ出かけていったというところに私はなお問題があるし、その三人の課長は、こうして清水につながっておけばいつか利用できるだろうというような考え方があったのではないかと思います。だから資料提供をしていたんでしょうね。そのたびに清水はスナックや小料理屋でそれらの課長に酒食のもてなしをしているようです。清水の方がもてなしをしているようですね。  この清水という人は、四十三年ごろから、つまり十数年にわたってこの公安調査庁との接触があるわけです。それでレポ船をやってきているわけです。レポ船の方は、五十二年には一隻、五十三年は五隻、五十四年は七隻に増加をしている。魚がレポ船をやることによってもうかるということなものですから、そういうことになって、それだけソ連への情報提供が進んでいったというわけです。つまり公安調査官の方は情報を与える。それによって魚がとれる。しかし、ソ連からの情報も来るかもしれませんけれども、それはごくわずかなものではないか、こういうふうなことになっているようであります。この事実は間違いないと思うのですが、どうでしょうか。  あわせて警察側に伺いたいのは、このレポ船についての捜査をいつごろから始めてきたのか。知らないということはないと思いますよ。これはずっと前からあった問題ですね。いつごろからこのレポ船問題の捜査を始めているのか、警察側から伺います。
  68. 鈴木貞敏

    ○鈴木(貞)政府委員 お答えいたします。  いわゆるレポ船につきましてはいろいろ風評があるわけでございますが、警察としましては、そういう風評等に基づきましていろいろの情報収集もやっているわけでございますが、今回のこの清水等のいわゆるレポ船事件につきましては昨年の秋ごろから捜査を始めた、こういうふうに現地から聞いておる次第でございます。
  69. 安井吉典

    安井委員 もう一つ伺います。  公安調査官とレポ船との間の接触があるということは警察は当然知っていたと思いますが、どうですか。
  70. 鈴木貞敏

    ○鈴木(貞)政府委員 今回の捜査によりまして、清水等の供述その他押収資料等から、そういう公安調査庁関係の作成の資料ではなかろうかというふうなものが出てきたわけでございますが、それにつきましては警察としましても、この書類がどういう性格のものであるか、そういった点につきまして詳細に公安調査庁当局にも照会し、捜査をしたわけでございますが、これはいわゆる秘文書ではない、そういうことでもとより国家公務員法違反には該当しない、こういう結論に達しているわけでございます。
  71. 安井吉典

    安井委員 私はそれを聞いているのじゃないのですよ。レポ船と公安調査庁は接触がありたということを知らなかったのかということです。
  72. 鈴木貞敏

    ○鈴木(貞)政府委員 そういう意味で、いまのお話のように、接触しておった事実はそういう点からうかがわれるということでございます。
  73. 安井吉典

    安井委員 破防法二十九条には、警察と公安調査庁とは情報または資料の交換をする義務があると書いてあるのですよ。できるじゃないですよ、義務があるのですよ、両方は。そういうような中で、公安調査庁に伺いますけれども、警察に対してどういう連絡を従来ずっととっていましたか。
  74. 西本昌基

    ○西本政府委員 お答えいたします。  破防法二十九条によりますと、おっしゃるとおり公安調査庁と警察庁及び都道府県警察とは情報を交換しなければならないという規定がございまして、義務規定になっております。したがいまして、個々の事件に関しあるいは情報を収集した場合に、定期あるいは不定期に情報は交換いたしております。
  75. 安井吉典

    安井委員 それはいつごろからですか。
  76. 西本昌基

    ○西本政府委員 お答えいたします。  情報交換一般についてでございますが、それは破防法が制定された当時から情報交換……
  77. 安井吉典

    安井委員 この問題ですよ。この問題は破防法の制定当時からあったの、レポ船。
  78. 西本昌基

    ○西本政府委員 お答えいたします。これは漁船が拿捕される回数が多くなったころからでございます。
  79. 安井吉典

    安井委員 これは私だけじゃなしに北海道あるいは地元で、基本的な疑問、疑惑がここに一つあるのです。いまのその辺が怪しいわけなんですけれども、警察が清水船主をつかまえた。そして釧路地検において地検と警察と公安調査庁との合同会議をやっているわけですね。そのとき公安の課長が三人呼ばれているわけです。その場において、これは釈放、起訴は後回しというようなことが決まったということについて、こう言われているわけですよ。検察が清水を逮捕しながら起訴しなかったというのは、この清水が公安調査庁に資料をもらって、それをソ連に流して、そしてソ連から情報を取っていたというその事実を清水が警察ではっきり言っているわけですから、もしもこれが逮捕されて公判になった場合には、公判廷において公安調査庁の活動が清水の自白によって明確になるわけですよ。公判の中でソ連との諜報活動がはっきり出てくるわけですよ。公判を維持できないというような言い方をされているのは、実は、これは逆説的な言い方かもしれませんけれども、そういう公安調査庁の活動が表に出てくるのを恐れて清水の起訴をためらっているのではないか。ここなんですよ、問題は。検察の方どうですか。
  80. 前田宏

    前田(宏)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、とりあえず処分保留ということで釈放しましたのはもつ。ばら捜査上の技術的な問題でございまして、いま御指摘のような特段の理由があるわけではございません。
  81. 安井吉典

    安井委員 この三者の会談というのが非常に怪しい。その中でいろいろなものが決まったのではないか。表の国会の場ではそんなようなことを言われるけれども、私はそのような疑念が非常に大きく残っているということを一つ指摘しておきたいわけであります。  公安調査庁の調査活動へのさまざまな制限があります。たとえば破防法の四十五条では、公安調査官が職権を乱用して人をして義務のないことを行わせたときは、三年以下の懲役あるいは禁錮に処す、こういうことになっています。清水船主に対するレポ提供の依頼というのは、これは本人の義務じゃないでしょう。いまのような形で情報を収集するというやり方は、この破防法の四十五条違反じゃないですか。どうですか。
  82. 西本昌基

    ○西本政府委員 お答えいたします。  公安調査官の調査は、御存じのように任意調査しか認められていないわけでございます。したがいまして、公然資料などを協力者に渡しましてそれ以上の情報を取るということは、時によってやむを得ない場合もあるかと思います。おっしゃるような強要には当たらない、このように考えております。
  83. 安井吉典

    安井委員 そのレポ船というのは、暴力的な破壊活動を行うというおそれがあるから調べているのでしょう。何のためにレポ船を調べているのですか、公安調査庁は。
  84. 西本昌基

    ○西本政府委員 お答えいたします。  公安調査官は、破防法による規制に関しまして必要な調査、すなわち破防法の四条、五条、七条に該当する疑いのある団体の動向を調査しているわけでございます。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 そして破防法の、先ほど四条と申しましたが、四条の一項一号には、同法にいう「暴力主義的破壊活動」といたしまして刑法の八十一条、八十二条、八十七条、八十八条を挙げております。そして刑法の八十一条と申しますのは外患誘致でございます。八十二条は外患援助でございます。そういう関係で、日本国内の団体に対する外国からの働きかけ、並びにそれに関連する内外情勢についても調査いたしているわけでございます。
  85. 安井吉典

    安井委員 では、この人は何のためなんですか。レポ船というのは犯罪行為だと思っていないのですか。
  86. 西本昌基

    ○西本政府委員 いま申しましたように、国内の団体に対する外国からの……
  87. 安井吉典

    安井委員 レポ船は犯罪行為を犯しているかどうかということを聞いているのです。警察はそう言ったでしょう。
  88. 西本昌基

    ○西本政府委員 公安調査庁は地域住民広くから情報を収集しておりまして、その情報を提供する人の中に漁業関係者がいるかどうか、それは私どもの方では関知しないところでございます。(安井委員「警察は犯罪行為だと言っているでしょう」と呼ぶ)私のところは関知しないところでございまして、地域住民広くから情報を収集しておりますので、その中に漁業関係者がいるかもわかりません。
  89. 安井吉典

    安井委員 これは、私もちょっと時間がなくなりましたけれども、ソ連の情報を集めていたのですか。
  90. 西本昌基

    ○西本政府委員 特定の外国の名前を申し上げることはできませんけれども、先ほど申しましたように外患誘致、外患援助、これに対する関係で取り調べをいたしますので、そういう関係で調査していた次第でございます。
  91. 安井吉典

    安井委員 外患誘致は、これはソ連が犯罪人じゃないのでしょう。ソ連から武力の攻撃を受けさせるようにしたのが外患誘致罪なのですから、それをしようとしているのはこのレポ船だという、そういう疑惑でレポ船に大体あなた方は接触しなければいかぬじゃないですか。あくまでこれは犯罪人だという――単なる一般の人じゃないでしょう。そんなものは北海道に住んでいる人はみんなわかっていますよ。その犯罪人をそのまま利用して、本来の任務を逸脱した情報活動を私はやっていたと言わざるを得ないのですね。どうですか。もう一度伺います。
  92. 西本昌基

    ○西本政府委員 私の方は先ほど答弁したとおりでございますが、外患誘致と申しますのは、刑法の規定によりますと「外国二通謀シテ日本国二対シ武カヲ行使スルニ至ラシメタル者ハ死刑二処ス」という規定がございます。その関係でこちらは調査をしていた次第でございます。
  93. 安井吉典

    安井委員 だれがそのおそれがあったのですか。レポ船の人はそのおそれがあるから、その人を調べていたのでしょう。
  94. 西本昌基

    ○西本政府委員 レポ船の船主にそのおそれがあったというのではなくて、刑法八十一条の、外国に通謀して日本国に対し武力を行使するおそれが国内の団体にあることもあり得ますので、その意味におきまして調査していた次第でございます。
  95. 安井吉典

    安井委員 その人を調べてみてわかるのですか。これはちょっと時間がなくなりましたから、これでやめざるを得ないわけでありますけれども、別な機会に譲りますが、公安調査庁の任務から逸脱しているのですよ、情報活動は。こじつけてやっておりますけれども、その問題が一つありますし、当然いま私たちは、日本製のCIAができていて、それがだんだん大きくなっていくような、そういうおそれを持っているわけです。  いずれにしても、職員を自殺に追い込むような危険な仕事を要求することはやめてほしいということ、それからレポ船を利用するというやり方はやめるべきだということ、レポ船を根絶するような努力をこそやるべきだと思います。総理に最後に伺って終わります。
  96. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 公安調査庁といたしましては、その任務に必要な調査を許された範囲においてやっておったものと思いますけれども、本件につきましては、御指摘の点もございますので、なお慎重に対処いたします。
  97. 田村元

    田村委員長 これにて安井君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、寺前巖君。
  98. 寺前巖

    ○寺前委員 私は最初に、K・ハマダの百五十万ドルに上る借用証が六日のロッキード裁判で小佐野ルート公判で検察側から出された。この問題について総理並びに法務大臣、関係者にお聞きをしたいというふうに思います。  まず第一に、K・ハマダという男は一体何者だということ、これははっきりさせなければいけないのじゃないでしょうか。日本人なのか、日本人でないのか。その者の住所は一体わからぬのか。職業は一体どういう人なのか、きちんとしないことには公判でも維持することができないのじゃないでしょうか。私は、特定し得ない状況にK・ハマダというのがあるのか、それとも特定し得る状況に現在あるのか、最初にお聞きをしたいと思います。
  99. 前田宏

    前田(宏)政府委員 お尋ねのことにつきましては、昨日来御説明申し上げておりますように、一昨日検察官におきまして、すでに御案内のような冒頭陳述の補充訂正が行われたということでございまして、その冒頭陳述の補充訂正書におきましては、K・ハマダという名の人物だということが記載されておるわけでございまして、それ以外のことには全く触れていないわけでございます。
  100. 寺前巖

    ○寺前委員 特定し得るのかし得ないのか、日本人として住所もわからぬというままで置いておくのか。四億五千万までの借金でしょう、百五十万ドルといったら。そんなものをだれかわからぬ人間に貸しているということはあり得ぬ話でしょう。十円や二十円を貸すというのだったら、それはだれだったかな、K・ハマダという男がおったなということになるかもしれない。だけれども、われわれ四億五千万円というそんな借金をしたこともないから見当つかぬのだけれども、こういう莫大なお金になったら、わからぬでも通用していくのでしょうか。世の中そんなものでは通用しないと思いますよ。しかも、米司法当局がサンズホテルのカジノから押収したK・ハマダに対する個人別貸付勘定元帳カードなるものがあるのでしょう。補助元帳がある。二十万ドル支払い受領証が。受領証だからちゃんとサインがあるのでしょう。そうした特定をすることは可能でしょう。だから、特定することをすらもできないのだというのか、それとも特定し得ているのか、そんなことはあたりまえのことじゃありませんか。重ねて聞きます。
  101. 前田宏

    前田(宏)政府委員 昨日も申し上げましたように、一昨日の冒頭陳述の補充訂正で述べております事実と申しますのは、小佐野被告人が起訴されております公訴事実、これは議院証言法違反のいわゆる偽証という事実でございまして、その事実の中にいわゆる二十万ドルの受領ということがあるわけでございます。その受領があったかなかったかということが当面の裁判での対象でございまして、その授受の事実を裏づける事実、つまり間接的な事実ということで、一昨日の冒頭陳述の補充訂正でそういう間接的な事実のあったことを述べておるわけでございまして、その間接的な事実さえ立証できれば検察としてはよろしいわけでございます。  したがいまして、その大もとになる事実関係がどこまで必要かということは、もっぱらいま申しましたような観点から出てくるわけでございますので、それ以上の内容にわたってのことはさしあたっては必要ないということでございます。
  102. 寺前巖

    ○寺前委員 何で必要ないの。その金を間違いなくその人に渡した、何で渡したんだろうか、そこのところは一つの争点になるところでしょうな。そうすると、その相手というのが何者かわからぬでは、確実にいったのかどうか、そこの一番争いになるところが明確にならぬじゃありませんか。だから特定し得るのか、し得ないのか。特定し得るか、得ないのかということをまずはっきりしなさいよ。
  103. 前田宏

    前田(宏)政府委員 お答えの前提でございますが、K・ハマダという人に二十万ドルを渡したということは、そういう事実関係ではないわけでございまして、二十万ドルというものを被告人小佐野氏がホテルに払ったということでございますので、そのまたさらにもとになる債務ということでございます。その債務があったかなかったかということは、先ほど御指摘のような証拠があればそれで立証し得る、そういう性質のものでございます。
  104. 寺前巖

    ○寺前委員 私の聞いているのにちっとも答弁にならぬじゃないか。特定し得るのか、し得ないのかと言っているんだ。特定し得るのでしょう。得ないのですか。きちんとしなかったら証拠能力を持たぬじゃないですか。だから特定し得るのだなと聞いているんだよ。
  105. 前田宏

    前田(宏)政府委員 同じようなお答えになって恐縮かと思いますけれども、先ほど来申しておりますように、この事件の事実の立証という面からいきますと、K・ハマダという形での特定ということでさしあたっては十分であろう、こういうことでございます。
  106. 寺前巖

    ○寺前委員 K・ハマダで特定だということにならぬじゃないか。どこの人間で、どこの国籍の者で、何の仕事をしている人間だ、それに対して立てかえ払いしたんだ、その人間ということが明確にならなんだら証拠能力にならぬじゃないか。だから特定し縛るのかと聞いているだけなんだ。当然のことだよ。特定し得なかったら証拠能力を持たぬでしょう、どうです。
  107. 前田宏

    前田(宏)政府委員 先ほど来も申しておりますように、いわば間接事実のまた間接ということでございまして、そういう意味では、私どもとしては特定している。その点につきまして、委員が、証拠能力があるかどうかというような御指摘も受けたわけでございますが、それは、昨日申しましたように今後の立証の問題でございますので、現段階では、先ほど来申し上げておるようなことで足りると私どもとしては理解しておるわけでございます。
  108. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合がありますからこれでやめますけれども、きちっと特定し得るものは特定をきちっとしないことには、そんなものは公判で役に立たぬことになるじゃないですか。私は、この際に、新聞も全部書いてあって、国民が――そういうことをきちっとしないようなことでは、これは責任ある政府ということにはならない。  そこで聞きますけれども、時効を別として、この案件は何らかの犯罪となるべき性格を持っているものではないのか、時効というものを除いたら。時効があるから犯罪にはならないという問題はあるにしても、時効という問題を除いたら、この問題は犯罪の性格を持つところのものではないのか、どうです。
  109. 前田宏

    前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、当面の問題は、二十万ドルを小佐野被告人が受領したかどうかというところにあるわけでございまして、その限度で検察当局といたしましては事実関係を詰めているわけでございまして、御指摘のような観点からは十分な検討がなされていないわけでございます。
  110. 寺前巖

    ○寺前委員 大蔵省に聞きます。  この債権に関する制限というのが外為法の三十条にあります。この事件の当時は四十八年のことですから、原則禁止になっているはずです。とすると、この外為法の三十条によって、時効を別とするならば、K・ハマダなる者とサンズホテルとの間の債権は、これは違反行為にはなるのではないでしょうか、いかがなものでしょう。
  111. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 外為管理法の三十条の三号に関連してまいります。
  112. 寺前巖

    ○寺前委員 違反だ……。
  113. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 違反であるかどうか、事実関係を承知いたしておりませんので、そういう御指摘のようなケースの場合には違反になりますが、三十条三号でございます。
  114. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、この報道でなされているとおりに、あるいはこれが時効を別とするならば、今度は小佐野の場合には外国為替管理令第十三条違反になるのではないでしょうか、保証したという問題は。いかがなんですか。
  115. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 法律の条文では、同じく三十条でございます。
  116. 寺前巖

    ○寺前委員 小佐野……。
  117. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 いまの御指摘の点は、法律では三十条でございます。
  118. 寺前巖

    ○寺前委員 いずれにしても、該当するということであったら、三年以下の懲役に当たる性格のものになる。  そこで、私は総理に聞きたいと思うのです。K・ハマダなる男は、新聞紙上でももう明確に浜田代議士だという報道をしております。四億五千万円もの賭博をやって借金をつくっているという事実が出されているわけであります。これは代議士として、新聞で報道されているような事実だとするならば、これは道義的にはやはり大きな問題だろう。さらに、いま大蔵省の説明にあったように、時効を別とするならば、犯罪行為に該当する要因を持っている。そういう性格のものだ。犯罪行為をやるというような事態の借金なんだ。これはゆゆしき問題だと思います、道義的に見ても、あるいは政治的に見ても。こういうような行為をやっている。四億五千万円からの借金ですから、これをどういうふうに――私たちが考える場合には、返したのだろうかと思いますよ。返したのか、返さないのか。返さないで済むというのだったら、どこかの新聞に書かれているように、政商のかばん持ちに陥るという要素はそこにあるというふうに番われても仕方がない。私は、ここに政治の腐敗が生まれる根源がある。ですから総理が、総裁としても、この問題について積極的に機関で正式に調査をされて、国民の前に疑点を全部解明せいということは当然だといって一斉に各紙が報道したのは当然だろうと私は思うのです。  先ほどの総理の話を聞いていたら、直接取り組む契機を見出し得ないのでというようなことを言っておられました。直接取り組む契機を見出せないという問題じゃないじゃないですか。今まで何回も自民党の議員の人々の名前が出てきた、自民党の幹部の皆さんの名前が出てきた。今度これほど、賭博という問題と犯罪という性格を持っているものと、統一的に出てきている事件の問題としても、一つの重要な契機じゃありませんか。この際に、正式の機関において本人から聴取をして、党として受けとめるという態度をとるべきではないんだろうか、そういう気は毛頭ないのかどうか。私は、総裁としての、あるいは政府をつくっている与党としてのこの責任を果たされることがきわめて重要だと思うのです。総理答弁を求めます。
  119. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 浜田君の――K・ハマダという者が特定された者かどうかという点は、いまお話がございましたようにまだ特定されていないようでございます。けれども、わが党の浜田幸一君にかかわりがありはしないかということで本人に事情を聞いてみたわけでございます。本人はこれを全面的に否定されておるわけでございます。したがって、いずれの面からもいまこれに取り組む契機が、先ほど申しましたようにいま私にはつかめていないわけでございますので、問題がもう少しはっきりしてまいりますと、党としてもこれをせんさくしなければならぬと思いますけれども、いま手がかりが全然つかめていないということを正直に申し上げたわけです。
  120. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合で次へいきますが、本当にまじめにこういう問題について取り組んでいただくことを重ねて要求しておきます。  次に、石油国家備蓄について質問をいたします。  委員長、説明の都合で関係する大臣にこの資料を渡したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  121. 田村元

    田村委員長 はい、どうぞ。
  122. 寺前巖

    ○寺前委員 最初に通産大臣にお聞きをしたいと思います。  五十三年九月から石油の国家備蓄というのがなされるようになりました。一千万キロリットル、二千万キロリットル、三千万キロリットルというふうに備蓄する方向はどんどん拡大していこうという態度を今日までとってこられました。IEAとの関連性において、日本が備蓄を始めていくということに対して、国民は石油がなくなったら大変だということで、めんどうを見てくれているんだなという善意を持ちます。しかし、産油国の側からすれば、こうやって連盟を組んで、そしてわしらに対抗してくるという印象を受けるでしょう。最初の段階は民間備蓄でした。それが国家的に備蓄活動を開始するということになってくると、産油国との関係というのは微妙になってくるというふうに思うわけです。そこで、この国家備蓄というものがスムーズに産油国との間において進んでいく見通しを持っているのかどうか、これをお聞きをしたい。  また国内問題としては、国家が備蓄基地をつくるんだということになってくると、ここはどうだ、あそこはどうだということで投機的に土地を買い占めて売りつけてくるという諸君たちが生まれてくるだろう。国家がそういう投機分子に利益を与えるということで石油基地をつくっていくということをするならば、これは国民のとうとい税金です、許されることではないと思うのです。ですから、国家が石油備蓄基地をつくる場合に投機の対象とさせないんだ、そういう態度を毅然としてお持ちなのかどうか。二点について御答弁いただきたい。
  123. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 石油の備蓄問題でございますけれども、ほとんど全量を海外に依存し、輸入に仰ぎ、また備蓄水準も欧米等に比較いたしましてまだまだ低水準でございます。ですから、わが国といたしましては、緊急時に備えまして石油の備蓄の増強を図ることは大変急務なことと心得ております。このたびのイラン問題発生以来の日本の状況考えましても、日本が備蓄を百日余り持っておったということがどれほど経済の安定、民生の向上に役立ったかわからぬと考えております。今後も備蓄の増強はしなければいかぬと思っておりますけれども、反面いま御指摘ございましたように、国際の石油情勢に悪影響を及ぼすようなことがあればこれまた容易ならぬことでございますので、そういう点には十分配慮を加える必要もあると思います。  そこで、IEAの割り当て輸入量が決まっておるから、輸入の上限が決まっておるので、備蓄は国内的に見てなかなかむずかしいのじゃなかろうかというお話でございますけれども、これは当然節約をして、その分は備蓄に回すというふうないろいろなことがあろうかと思います。したがいまして、対外的な配慮ももちろん必要でございますけれども、国内的にも備蓄を積み増ししていくためにはどうしたらよろしいかという問題も、これから大いに検討しなければならぬ問題だと思います。しかし、いずれにいたしましても、わが国で備蓄を増していかなければならぬというこの必要性だけはよくおわかりのことと存じます。  それから、新聞で一部ございましたけれども、OPEC等で、備蓄をする場合には供給しないというような条件をつけ始めたという報道が載っておりましたけれども、これはまだ私どもには公式には入っておりません。したがいまして、現在の段階では従来の方針どおり進めてまいりたいというふうに考えてございます。  第二段目の問題でございますけれども、基地の土地等の売買と申しますか、取得に関しまして投機的な分子等がはびこった場合にはどうするかという問題でございますけれども、これは当然申すまでもなしに公正な取引で、公正な価格でやるべきものだ、それに対しましては十分慎重な、厳格な考慮を払っていきたいというふうに考えてございます。
  124. 寺前巖

    ○寺前委員 具体的にお聞きをしたいと思うのです。  ことしの二月一日に、石油公団が石油備蓄基地の調査対象地点として鹿児島県の種子島から十数キロ西にあります馬毛島というところを対象といたしました。全国四カ所の対象地点の一つであります。国が一体この島のどこを買うんだろうか。調べてみましたら、百万坪ほどを馬毛島開発株式会社というところが握っているところを買うようだ。島全体は一体どうなっているんだろうかと見ると、島全体もどうもこの会社が握っているようだというふうに私は判断をいたしたのですが、石油公団、間違いございませんか。
  125. 徳永久次

    ○徳永参考人 土地の所有権関係の正確なところはまだつかんではおりません。しかし、いま先生指摘のような話は大体聞いております。
  126. 寺前巖

    ○寺前委員 そこで、馬毛島開発株式会社というのはどういう会社なんだろうかと私は調べてみました。まず、電話帳を繰ってみると、その会社の電話が書いてない。電話局に聞いてみました。わからぬと言う。登記台帳によって調べてみると、港区新橋五丁目一の二と書いてあるから、そこに行ってみました。平和相互銀行のお隣のビルでした。そこには、平和相互銀行と非常に関連の深い太平洋クラブその他いろんな会社の看板がありましたけれども、その住所のところに看板がありません。エレベーターに乗って八階まで行かれたらどうですかとおっしゃったものですから、八階へ行きました。エレベーターをおりた右の戸をあけたところに事務所のような部屋があって、馬毛島開発はどこですかと聞いたら、ここですとびっくりしたような顔をして言います。十人ぐらい、座れる事務机と会議室、ロッカー、黒板のほか何にもない。これはきのうのことです。黒板には、九州への日航便の予定時刻が書いてあるのみ。そして、だれか責任者の方はと聞いてみると、ここはいつもだれもおりません、現地に行っておりますと答える。現地はと聞くと、九州だ。御用があったら、昼過ぎになると女性が来ますが、私は何もわかりません。これが本社のある会社の姿であります。ここが握っている土地を国が買うのかな、いいのかなと私は率直に思いました。  そこで、それではこの会社の事業目的は一体どういうことになっているんだろうかと調べてみると、レジャーを中心とする会社だということが、馬毛島開発株式会社の、四十九年ごろに住民に対して、私どもはこういうことをやりますという馬毛島開発事業計画書の中に書いてあるわけであります。この四ぺ-ジ、五ぺ-ジのところに、どういう土地利用計画を考えているか、農住地区とレクリエーション地区と西側地区という三つ、A、B、Cに分けて、そしてA地区というところにはここで農業をやってもらい、B地区というところでレクリエーションをやってもらい、そしてC地区というところは青少年のキャンプ場として適地であるというようなことが書いてあるわけです。そういう事業を進める、主としてレクリエーションの会社であるということがそこに出てくるわけであります。そして現実にどんどん土地買い占めをやっている。  私は、国家が基地をつくるというんだったならば、自薦他薦いっぱい推薦が出てきただろうと思うのです。そういうたくさんの推薦の中からよりによって四つまでにしぼられてきている。しぼられてきたこの四つの中の一つになっている島の所有者が、わけのわからないようなレクリエーションを宣伝として土地を買い占めているというところに白羽の矢を立てているということについて、石油公団として気がつかないんだろうか、不思議でかなわないわけです。一体石油公団としておかしいという姿を今日まで感じられたことはなかったのかどうか。よくよくしぼられたんだから、お聞きをしたいと思うのです。
  127. 徳永久次

    ○徳永参考人 私どもは土地を買いますときには、本件のようなケース、県からお買いするということにいたしております。また、調査候補地として決められまして、いま私どもは調査にかかった段階で、本当にそこを決めるかどうかわかりませんけれども、調査地点として選びました前提には県からの御推薦もあって、あらかたの様子は承知いたしております。しかし、本当に立地的にあるいは経済的に適地であるかということは、これは調べなければ場所が特定できませんので、いま専門のコンサルタントにお願いして、また、私どもの職員も参加いたしまして調査しておる段階でございます。その調査が済みました先におきましても県を通してしか買いません。そういう手順になっております。
  128. 寺前巖

    ○寺前委員 県を通じて買うにしても、よりによって四カ所に選定されてきた地点、そこの土地の所有者は先ほど言った会社、本社に行っても実態がわからないようなところ、うさん臭いと思わなかったのかどうか。これは、県を県をと言っておっても、まず選定するに当たって、あらかじめそこぐらいまでは知っておかなければいけないことじゃないんでしょうか。  ところで、それでは馬毛島開発株式会社、あそこで何の仕事をしているのでしょうか。計画書をつくっていることは私も確認しました。また、土地を買い占めていることも知っている。だけれども、レジャー施設をやることを目的としているようだけれども何もやられていません。何もしないでおいて、四十九年に設立されて今日まで一体どんなもうけができたんでしょうか。もうけもないのに、土地を買い占める金だけは動いてくる。とすると、どこかがその金を出さなかったらできない仕事じゃありませんか。どこがその仕事をやっているんだろうか。私は、お買いになった土地を調べてみました。抵当権が入っている。ばっと見ると、そこには平和相互銀行の名前。平和相互銀行の抵当権がちゃんと入っている。二十一億円、抵当権として入っているのが出ている。ははあ、平和相互銀行かな。これはもう一回調べ直して、この馬毛島開発というのはどういう諸君たちの手でつくられている会社だろうかと見直してみました。見直すと、そこにはいろいろな会社の名前が、株を持っている姿の中に出てくるわけですが、株を持っている諸君たちがほとんど同じ住所なんです。港区新橋五丁目二番十号総武都市開発株式会社、港区新橋五丁目二番十号株式会社太平洋クラブ、港区新橋五丁目二番十号総武通商。これはどんな会社なんだろうか。私は素人だから知りません。一つずつの会社を調べてみると、これは皆、平和相互銀行とのつながりの深い会社です。社長さんたちのお名前を聞いてみても、小宮山さん関連の一連の名前が出てきます。そうすると、なるほどそういう銀行が裏についているから、だから土地を買うことができるんだな、そう言わざるを得ないと思うのです。私は気になり出しました。  沖繩県の与那国町においても、問題になりました大光相互銀行が、ここに日新総合開発なりあるいは双栄産業という名前でもって、その相互銀行と関係の深い諸君たちが土地を買い占めに入っているという報道が去年の八月になされている。そこで言われている話は、やはり石油備蓄基地として売るという話です。いろいろな相互銀行が裏について、こうやって土地を買い占めて国家に売ろうという策動をしているんだな、平和相互銀行というのもまたこの地でそうやって土地を一手に買い占めるのをこの会社を通じてやらしているんだなというふうなことをますます強く感じたものであります。  しかも、単にそれだけではありません。今度はこの馬毛島開発株式会社の社長さんときわめて密接な親戚関係になるところの藤井丙午さん、太平洋クラブの前の会長であり九州石油の会長さんなどをやってこられたようです。これは小宮山さん一家とは御親戚のようでございますが、島からほとんどの人を買収してほうり出すことができるようになった段階に、馬毛島石油備蓄基地推進準備委員会なるものをアジア石油の長谷川隆太郎社長さんと一緒になって、そして積極的にこれを石油備蓄基地として国家に買わそうという運動をされました。十一月段階には石油公団の方に、私たちが窓口になるからぜひやってくれという陳情を総裁のところに陳情書として持っていかれているはずです。総裁、間違いございませんか。
  129. 徳永久次

    ○徳永参考人 陳情書は石油公団に多くの都市から参っております。馬毛島もお話しのような形で推進委員会の名前で陳情書も参っております。
  130. 寺前巖

    ○寺前委員 平和相互銀行が馬毛島開発株式会社に金を貸して、そして平和相互銀行といえば小宮山さんのファミリーだと言われています。そしてその関係者である藤井丙午さんらを動かして、の舞台にこれを買わそうという動きが示されてきたということについて、いま総裁も言われたとおりです。  そこで、五十四年の一月には馬毛島石油備蓄基地建設計画試案なるものが出されました。私は、ここにその書類を持っています。そして、さらに七月段階になると、それが単に推進準備委質会だけではなくして、今度は馬毛島の所属する西之表市とあるいは新日鉄の関係者であります稲山さんが責任者になっている在団法人日本立地センター、新日鉄やアジア石油やら一緒になって備蓄基地推進準備委員会が中心になる地域開発効果調査報告書なるものを出してきました。私は、これを読んで、いよいよもって、この島でうまい汁を吸おうということを政界や財界を巻き込んでやっているなということを強く感ずるようになったものであります。  なぜかというと、私はその島の住民に聞いてみました。この島からほとんどの人がおらなくなる事態がつくられる。この馬毛島開発株式会社が島に乗り込んだ時期には四十九戸、人口百五十九名であった。ところが、いまでは四世帯だけが残っておって、この五月になったら無人島になってしまう。ここで生活ができないから離れていっただけではない。金をもらって、この金を契機として出ていこうという気にさせた。悪い言葉で言えばほうり出してしまうために金を使ったんだ。そういう事態をこの銀行の裏づけによってなされてきたわけでありますけれども、この地域開発効果の姿を見ると、安く買って高く国家に売りつけようという姿を見ることができるわけであります。  現地の人たちが何ぼで売ったか、あるいはまた国土利用計画法に基づいて土地の取引の値段が県の指導下にありますから、したがって、何ぼの値段でやるかという届け出がしてあります。その届け出の数字を使ったりして調べてみると、大体何ぼくらいでこの土地を買っているか想像することができます。先ほど説明をしました農住地域とレジャー地域で買ったお金、宅地は平米百五十円として計算されますし、畑や原野の方は百四十円、山林、保安林、雑種地、ため池などは百三十円として平均計算をされております。そのほか牧場などについては百四十円の計算です。  事実上売られている面積の総数をこの値段で計算してみると、ざっとその農住地域とレクリエーション地域の土地買収は六億二千万円近くになります。国家に売ろうとしている地域については百七円で計算を届け出されていますから、したがって、約百万坪を計算すると三億円余りのお金になります。もともとそこには地上権を設定するときに二億円余り、三億近くのお金を最初に入れて、毎年八百万円前後の借地料を払っていますから、そのお金を入れても三億円余り。合計で六億から七億近くのお金を国家が備蓄基地として予定しようという地域には注いでいることになります。家屋の補償料も二億前後でしょう。ここから人々をほうり出すために、そういう補償金のほかに二千万円というお金を一世帯当たりに配りました。そのお金は七億余りになるでしょう。事務所を設け人を雇っておった費用、そういうものを総合すると二十二億から二十五億ぐらいになるだろう。裏のいろいろなお金を使ったとしても三十億にはならないと思うけれども、まあ莫大なお金です。     〔委員長退席、小此木委員長代理着席〕 それだけのお金を使うには銀行が、先ほども言ったようにちゃんと抵当権、抵当を取っておるわけです。その金を貸したわけです。これが売れなかったときには銀行はどうなるのだ。大変な問題だと言わなければなりません。そこで、政財界を動かして必死になって売りつけ活動をやったということは想像つくじゃありませんか。  ところで、市を巻き込んで地域開発効果調査報告書なるものを発表しました。この中にちゃんと何ぼで売ることが腹案にあるかということが出てくるわけであります。すなわち、一体税としては何ぼくらい見込むことができるだろうか、開発の効果としての位置づけですから、一定の想定をこの中から見ることができるのであります。  調査報告書の中にはこう書かれています。「土地の評価額の大小は市税収入を大きく左右するが、馬毛島備蓄基地の土地代は取得費のほかに造成費、護津費用などを加えて坪当り約四万円と仮定し、評価額は西之表市の最近の例から土地代の五〇%、坪二万円と仮定した。」市を含めて四万円として坪当たり仮定しているわけであります。そこから護岸の費用と造成費を引く。何ぼ護岸費を見込んでいるかといえば、その後にこう書かれています。用地造成費は五十六億円、護岸費は十八億円。両方足すと七十四億円になりますから、したがって国が百万坪の土地を買うとすれば、坪四万円として四百億円。そこから造成費と護岸費を引いてごらんなさい。三百二十六億円、まあ三百億円余りの金、そういう金で買ってくれることを片一方で仮定をする。島全体は何ぼで買うたか。私の試算では二十五億円までだろうというふうに見ることができます。二十五億円で島全体を買って、その一部分ではあるけれども、そこを三百数十億円で売ろうとしている。この島全体が先ほどから説明するようにこの会社が一手に握ってきているとするなら、しかも平和相互銀行がその抵当権で金を貸していることは明白、これほど投機的な活動をやった銀行、これほど投機的な活動をやっている会社はないじゃありませんか。島民にレジャー基地をつくるのだと言ってこうやって土地を巻き上げて、こういうふうにして国家に売りつけている。はい、いい土地ですから買わしていただきましょうと単純に言えないのじゃないでしょうか。  投機の対象にしないと先ほど通産大臣はおっしゃいました。適正な値段で買うのだ。値段だけで私は済まないだろうと思うのです。本当に投機の対象にしておったところが四つの対象地域の一つになってきているのだ、政財界までがそこに巻き込まれておったのだという事実がこうやって明確に歴史的な経過から明らかになってきた以上、私は、そのことを知らないでここを引き続き調査をしていますのじゃと言ったって通用しなかろうと思うのです。  石油公団、御存じでしょうか。こういう仮定の上に高く売りつけようとしているんだということがこの書類の中から見ることができる。あなたも新日鉄に関係ある方だろうと思うのです、もとは。とすると、新日鉄の諸君たちが昨年の一月に乗り込んできて、ここはいいところですよという説明会までやっている。その諸君たちが、こうやって何ぼで売りつけようとしているかという資料にまで一緒になって参画している。アジア石油もあります。馬毛島開発株式会社もあります。それらが全部で準備委員会をつくってきている。高く売りつけようとしているのだということがあなたの認識の中にあるのかどうか。国民の金、国家の財政をそんなものに使われるようなことをしては大変だ。そんな想定をしているならば断じて許すことができない。あなたは言い切れますか。
  131. 徳永久次

    ○徳永参考人 先ほど来申し上げましたように、石油公団は県からお買いしますが、県が本件を申請なさる場合に、正確な数字はわかっておりませんけれども、取得した会社が土地所有者から買い取った値段は県はよく御存じのようでございます。したがいまして、そういうものを基準にし、いまお話しございました金利がどうだとかいろいろなことがございましょうけれども、県は別途、御案内のように国土利用法の形において土地価格について厳正な指導の責任をお持ちの役所でございます。したがいまして、県が会社からお買いになるときには、どこから見てもおかしくない値段でお買い上げになるものというふうに私ども理解もいたしておりますし、県もそのつもりでいらっしゃるというふうに聞いておりますので、お話しのような懸念は私はないものと確信いたしております。  それから、この際、新日鉄の名前が出ましたので、よけいなことでございますけれども釈明させていただきます。  稲山さんはコンサルタント協会の会長でございますが、これは全産業界がコンサルタント会社というものをつくっておかないと、国際的にも国内的にも不便な場合がある。たとえば世銀が融資するあるいは産油国の融資があるという場合に、第三者のコンサルタントをベースにしなければ、受注したいという人だけの値段だけでは信用しないということもあって、産業界がこぞってそういうものをつくろうということになりまして、稲山さんはかつがれて会長職をしておられるだけでございまして、実際上、協会の資金をどうするかとかというようなことには御関係はしておられると思いますけれども、年一回の総会くらいには多分お出でございましょうが、協会がどこかに頼まれて調査をする、それの専門的な事項等そういうものには一切関与しておられない、そういうお立場であると思いますし、関係があるような言い方では、私は稲山さんに対して御迷惑も至極だというふうに思います。  また、私自身も新日鉄におりましたということの援用がございましたけれども、私はいま御案内のごとく政府機関の責任者でございます。したがいまして、またその会社におります前、役人生活も長うございまして、公務員が物のけじめをどうやってしなければならないかということは十分心得ておるつもりでございますので、御懸念のようなことは相愛だと存じますし、またそういうふうにおっしゃられることすら心外であるということをあえて申し上げたいと思います。
  132. 寺前巖

    ○寺前委員 そんなことを言っているのじゃない。そういうような馬毛島開発株式会社というものか土地を買い占めて安く――安くというのはおかしいですが、住民には金をばらまいてほうり出す。そうしたらもう住民から意見が出てこないから、ですから公害運動が起こらないから、今度はいい所ですよと言うて高く国に売りつける。売りつける過程の中においてどんどん、最初は平和相互銀行が金を貸す程度であったけれども、そこに政財界まで巻き込んでくる広がりが出てきているんだよ、広がりが出てきたところのその機関が、地域開発をやったらどんな効果が出てくるかという調査報告を出すところまで来てるんだ。その報告書の中を読むと、高く売りつけるということがちゃんと仮定として書いてありますよと。だから石油公団の総裁は、そういうふうに事実はその島を握っているのがそこの会社であって、それが何を考えているのかということを知ったら、うかつにそんなところを指定しているだけでも問題だ。まして、県が県がと言うけれども、その県に対して、その立場を知った上で、県との間の関係をきちんとしなんだらいけませんよということを私は指摘しているんです。その自覚を持ってもらわなかったならば、先ほど通産大臣は、投機の対象にはさせない、こう言っても、それは言葉だけになってしまって、実践的にやはりそういうものの立場を確立されなかったら、だめだということを私は指摘をしているわけです。  それにしても大蔵大臣、平和相互銀行が、私がさきに言ったように、看板もないようなおかしな、うさん臭い、言うたら失礼かしらない、そこにはいろんな会社の名前が出てきますから、持ち株見たら。これまた平和相互銀行と関連の深いそういう会社が株を持っていることが法務局へ行ったらわかります。  さて、その会社に平和相互銀行が金を貸して、その会社が何にも事業をやってない。ただあの投機でうまい汁が吸えぬだろうかという方向だけを追求している。こんな活動を平和相互銀行がやっているけれども、こんなことをやらしておいたら大変なことになると思いませんか。このまま放置しておいてよろしいか。ぼくの言うことが信用ならぬというんで、そうならなかったら私は幸いだと。こんな活動が事実だとすれば、ほっとくわけにいかない相互銀行の活動じゃないでしょうか。サラリーマンには、七時までどうぞお金を入れてくださいよと言って宣伝しているサラリーマン対象の金融の会社でしょう。預託者に対して責任ある銀行活動、相互銀行活動じゃないんじゃないでしょうか、そういうやり方というのは。どういうふうにお感じになりますかお答えをいただきたいと思います。
  133. 竹下登

    ○竹下国務大臣 金融機関に対しまして、土地に関連する融資は徐々に減らしてもらいたい、そういういわゆる行政指導をいたして今日に来ております。個別案件についてはお答えを差し控えさしていただきます。
  134. 寺前巖

    ○寺前委員 こういうような活動を引き続きやっておるということを、これが事実だとしたら大変だというふうにお思いになりませんか。私はあえて聞きたいんです。このまま続けさしたら大光相銀と同じようなことが次々と広がっていく、そういう心配をお持ちになりませんか。事実とすれば私は大変だとお思いになるだろうと思うのですが、いかがなものでしょう。
  135. 竹下登

    ○竹下国務大臣 寺前さんの演説を聞いて、私の感想を述べるというわけにもいかぬだろうと思います。一般論として、金融機関に対して土地関係に関する融資は減らすように指導しておる、こういうことであります。
  136. 寺前巖

    ○寺前委員 答えるわけにいかぬというわけにいかぬじゃないですか。一般的にはそういう指導を前からやってきた。前からやってきただけでは済まない事態が生まれているのと違うかと。大光相銀のあの与那国島の話を、先ほど私は報道の面からお話をしました。ここにも具体的に平和相互銀行という銀行が、預託者に対しては晩七時まで安心してお預けくださいと宣伝をしておる。ところが、こうやって抵当権までちゃんと明確になっている以上は、貸しておったという事実は明確。しかも、その会社がそういう姿のものである。これほど明確になってきたら、そういうやり方をしておったら心配だということすらも考えないのですか。心配だと、そんなやり方は。だからそれは調査をしてみなければならないなということをお感じになりませんかな。私は、そのぐらいの責任は大蔵大臣、持たなんだらうそだと思いますよ。一般論だけでは済ますわけにいきません。どうです。
  137. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いま御指摘のようなことがあるとしたら好ましくないから、したがって金融機関に対しては土地関連融資に対して指導して今日まで来ておると、こういうことであります。いまの個別案件は、大蔵省自体として調べておるのかいないのか、それも私、存じませんので、ここでお答えするわけにはまいりません。
  138. 寺前巖

    ○寺前委員 担当局はどうなんですか。大変だという事態の認識、持っていますか。
  139. 米里恕

    ○米里政府委員 お話しの平和相互銀行と馬毛島開発株式会社の関係でございますが、平和相互銀行から馬毛島開発株式会社に融資の事実があるということは認められます。いま大蔵大臣からお話がございましたように、具体的には個別事項にわたりますので私どもとしてはお答えできませんが、私どもが承知しております限りでは、本件の融資につきましては、当初はレジャー施設建設関連資金として融資が開始された、中途からその石油備蓄基地関連の問題が起こってきたというように聞いております。  なお、この融資につきましては、担保はしかるべき担保を適正に徴しておりますので、貸出金の回収という観点からは特に問題がないというふうに承知しております。  で、実態が果たして最初から先生がお話しのように投機思惑資金として融資されたものかどうかということを判定いたしますことはなかなかいろいろな見方があろうかと思いますけれども、もし先生のおっしゃるような投機思惑資金というものが一般論として貸し出されるということになりますと、これは金融機関の社会性、公共性という観点から見て問題がございますので、今後ともそういうことがございませんように十分指導してまいりたい、かように考えております。
  140. 寺前巖

    ○寺前委員 そういう種類のものだと思うのです。  ところで、この島を全体として買い占めるに当たって、いま大蔵省自身も言いましたように、当初はレジャー基地として国民に言い、そして、国土利用計画法に基づいて鹿児島県の方に事前指導を求めに行っている。その段階でも、鹿児島県の方からは農地を買いなさんなやとちゃんと注意も受けている。それは、指導文書が五十一年の十二月に出ていますが、その指導文書の中からもうかがうことができるわけです。しかも、石油基地を前提としてこの計画に取り組むことはやめなさいという指導まであるのです。ちゃんと五十一年十二月十五日、知事名でこの会社の社長に出しているんですから、もともといわく因縁があるわけです。おかしいなということを県からも指摘を受けているわけです。  ところで、農地法の関係があって、土地が買えないにもかかわらず事実上は買ってしまったわけです。事実上買ってしまったということは、五十二年、五十三年それぞれ所管の一千万円以上の同額所得者の名前が税務署から発表されていますが、五十二年の中から十三名、その島の人が高額所得者として名前が出てくるわけです。五十三年度分からは十九名出てくるのですから、全部買ってしまっているという事実はこの数字自身の中からもうかがうことができるわけです。  そこで、農政局の方からこれが果たして適切に指導されて買われているものかどうか。買うておるのか、買うておったらえらいこっちゃ。調査が五十三年になされています、県を通じ、市を通じ。そして、市長さんからどうだというあれに対して、ここの社長から、実はという形で、農地は買うわけにはいかないので、あれは金を貸してやりますんだというごまかしの報告を出しています。あれは貸してやるんだということになるのです。二カ年間利子は一〇%で貸しますんじゃ、こういう報告書が出ているのです。さあ、三十数名の人々に対して何千万円という金を貸しているんだということで果たして通用するのでしょうか。  金を貸しているとするならば、これは出資法に基づいてちゃんと届け出をやらなければいけないことになるのではないでしょうか。インチキな報告をすると、後々形式は全部そろえなければならぬことになるはずなんですが、いかがなものでしょうか、関係局の御説明をいただきたいと思うのです。
  141. 米里恕

    ○米里政府委員 御指摘の、農地を担保にして金を貸し付けるというような方法をとったのかどうかということを調べましたが、馬毛島開発は一時御指摘のような方式をとろうかと考えたこともあったようでございますが、その後取りやめまして、農地は現在一切取得していないというふうに了解しております。
  142. 寺前巖

    ○寺前委員 だから、個別の契約だけはやって取得していないという形式をつくったということじゃありませんか。そして、今度は税務署の分野で言うならば、それじゃ一体それだけの高額の所得はどこから出てきたのだ。売った土地以外に何にもない。きわめて明確なんです。そこで、それだけの収入ができるのならあそこの島から出ていくことは一つも理由がないのだから、とことん調べたら矛盾は明確になるしろものであります。  いまもお話の中にありましたが、レジャー基地にするということで島民をだまして土地を買い占めていったのですから、だんだん石油基地の方向が出てきたものですから、島民の中からも文句を言い出す人々が出てきました。その一人が西井さんというお方ですが、冗談じゃない、話が違うじゃないかと言って裁判に問題を持ち出してきました。話が違うと怒り出すのはあたりまえだろうと思うのです。この方は途中でお亡くなりになって、示談で話は解決されて、何億円かの金で和解をされたことになりますが、その和解の席上に出てきたのがまた平和相互銀行の融資の課長さんであるというのですから――貸し付けの課長というのですか。ですから、これまたおかしな話ではありますけれども、そういうふうにだましてぼろもうけをやろうということで今日まで進んできたわけであります。そうすると、私が先ほどから説明してきているように、投機をねらって今日まで活動が展開されて、住民をだましてしまった。  さて、値段については、べらぼうなもうけはさせないということについて、通産大臣もおっしゃったし、公団の総裁も、県が適正な、買ったときの値段その他で決めるのだということをおっしゃった。値段についてはもうごまかすことができぬように県が握っているのですからというお話でしょう。しかし、私はそれだけでは済まないと思うのです。ペテンにかけてほうり出したという事実が歴史の事実として住民の中に残っているのだから。とすると、この住民の感情を逆なでにして、ここを国家備蓄基地にするというわけには国家としてはいかないのじゃないだろうか。いまのまま、ともかく調査が終わったら、はい、立地条件は非常に結構でございましたということで、そのままするわけにいかない。関係の住民の意見に明確に答えなければならない。納得もないままに、そのまま進めるわけにいかないのじゃないでしょうか。本来的には私は、もう歴史的にこういう条件になってきておったのだから、さっさとやめてしかるべき性格だと思うのですけれども、今後、この国家備蓄基地としての土地を買い占める過程における取り扱いをどういうふうにするつもりですか。
  143. 徳永久次

    ○徳永参考人 先ほど来申し上げておりますけれども、いま馬毛島は石油備蓄基地の候補地点として調査に入ったという段階でございまして、決めたということでもございません。  それから、いま、一部住民の反対もあってというお話がございますが、私どもこれまで承知いたしておりますのは、地元の市町村からはたびたび公団にお越しいただいた――私、必ずしも会っておりませんけれども、お越しいただいたということでございまして、県、市議会等においてももちろん議決もされておるということで、市町村全体としては賛成という形で、だからこそまた県もお取り上げになっておるというふうに了解いたしております。しかし、お話しのように、一部、御不満の方といいますか、あるいは御意見のおありの方がありますれば、それはそれなりに、県なり町村におきまして、また公団といたしましても、仮に決めるという場合になりましたら極力御理解を得るような努力がなされる、そういうものと考えております。
  144. 寺前巖

    ○寺前委員 ペテンにかけてほうり出したということ自身を念頭に置かれなかったら事は重大ですよということを私は指摘している。  五十一年二月七日、実はこれはまだ石油の国家備蓄法という法律が通っていないときですが、このときに私のところに一通の投書が来ているのです。何かというと、これに関係する人からの投書なんです。要するに、石油備蓄法という法律ができて、馬毛島開発という会社がこの土地を買い占めに入っているのだ。三気造園の社長である星均、この星均という人は、富士霊園をつくるというて、静岡県で公有地の払い下げをやることを通じて賄賂を使って、そして刑罰に処せられた人です。この人はもともとここへ入っておったわけですが、この三気造園の社長である星均と平和相互銀行のオーナー小宮山氏がここで土地を買い占めることをねらっているのだ。そして、この土地は初め星氏が買い取って、後に借入金利息が支払えないということで小宮山氏を抱き込んだものなんです。石油備蓄法案が成立してきた。これからは国家的な備蓄をやってもらうのだということで、政界の陰の実力者と言われる矢次一夫氏を操り、さらに石油開発公団、通産省、鹿児島県知事などをこの線で動かし、着々と土地売却計画を進めています。そして、この売却がうまくいったときには星氏や小宮山氏連名で、使途は任せるということで八十五億を矢次一夫氏に渡すという念書まで書かれたいきさつがありますということを、私のところへ投書に書いてきているくらいです。  私はこの人がどういう人物なのか、いろいろ探しました。やっと会うことができまして、いまはもうこの分野から足を洗っておられますけれども、本当にこの人が言っておった方向に話が客観的に進んでいる。だから、私は、国家が備蓄基地を投資の対象にしなさんなよということを最初にやかましく言った。私があえてそのことを最後まで言いたいのは、政財界がこれに巻き込まれてしまったということが言われないようにするためには、ペテンにかけてまでほうり出した土地から手を引くことがきわめて大事だというふうに思うわけであります。  通産大臣、最後に聞きたいと思うのです。最初にあなたは投機の対象にはさせないんだということをおっしゃいました。具体的に一つずつの事実について――絶対に投機の対象としてもうけ仕事の分野にさせないんだぞ、この島の問題についてもとことんその観点で貫いていくんだ、住民をペテンにかけてほうり出してうまい汁を吸ったということが言われないようにするんだということで十分調査をさせるんだという態度をおとりになるのかどうか、最後に聞きたいと思います。
  145. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 先ほどもいろいろお話ございましたように、まだ調査の段階でありまして、別にここが立地として決まったわけでも何でもございません。ただ、いよいよ立地として決まった場合には土地の買収等の問題が起こるわけでございまして、その際は私どもといたしましては、御指摘のようなことがないように厳正に検討を加えまして、適当な価格で取得するよう細心の注意を払っていきたいと存じます、仮に立地と決まった場合には。
  146. 寺前巖

    ○寺前委員 時間の都合で次へいきます。  昨日総理は、三党と自民党との合意された予算修正については報告を受け承知している、十分に尊重する、修正権の問題については意見として承るという態度を表明しておられました。私はちょっと念のために聞いておきたいと思うのです。  合意書の中に、「中高年齢者雇用開発給付金の期間指定の基準の緩和については、関係審議会に諮り、指定期間の延長に努める。」とあるけれども、私はこれは当然のことだと思うのです。これは所管は労働省なんでしょうか、新聞で見ると百五十三億円ということが出ているのですけれども、労働省はこういうことは考えていなかったのか、ここで指摘を受けて初めて知ったのか、ちょっと念のために開いておきたいと思うのです。
  147. 関英夫

    ○関(英)政府委員 御指摘の中高年齢者雇用開発給付金の制度につきましては、ことしの六月七日でその指定の期限が切れることになっておりますが、この制度は特に雇用失業情勢が厳しい、そういった時期におきます緊急特例の措置でございます。そういった制度の目的からいたしまして、その発動の基準につきましても中央職業安定審議会に諮った上で定めた指定基準に従って実施することになっております。  ことしの六月八日以降再度指定してこの制度を発動するかどうかにつきましては、今後雇用失業情勢がどのように推移していくか、そういったこ一とにかかわりますので、いまの時点で正確に申し上げるわけにはいきませんが、最近の雇用失業情勢から見ますと、昨年のこの制度の発動時点から見まして大分改善されてまいりましたので、現行指定基準でいけば発動されないことになる、こういう可能性が非常に強いものでございます。  ただ、昨年末の予算編成の時点におきまして、私どもといたしましては昨年の十月時点くらいの雇用失業情勢しかわかっておりませんので、本年に入りましてどのように推移していくか見きわめがたい状況のもとにおきまして、これが発動された場合の用意としてただいまお話のありました百五十三億円を含めまして所要の経費を計上しておりました。  ただ、これが具体的に発動するかどうかはやはり今後中央職業安定審議会に諮っていくわけでございますが、先ほど先生指摘のように、与党からの回答で、その指定基準の緩和について審議会に諮った上で継続するように努める、こういうことを回答になったと承っておりますので、そのことを含めて十分誠意を持って対処していきたいと考えております。
  148. 寺前巖

    ○寺前委員 次に、建設省だと思うのですが、ちょっとお聞きしたいと思います。  昨年、公民両党と自民党との間の修正に対する合意がありますが、その文章の中に「住宅宅地関連公共施設整備促進事業の増額については、経済情勢等に応じ、必要が生ずれば、機動的に対処する。」それに要する費用として百億円、また「住宅金融公庫の戸数の追加については経済情勢等に応じ、弾力的に対処する。その際、五万戸の追加が検討されたことに留意する。」というのがありましたけれども、これについてはどういうふうに実行されたのか、お聞きをしたいと思うのです。
  149. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えをします。  ただいま先生お話しの五十四年度予算につきまして民社党及び公明党から修正の御要求があり、それに対しまして自民党としての回答を文書で示されました経緯につきましては、政府といたしましても承知をいたしております。このような経緯を踏まえまして住宅宅地関連公共施設整備促進事業の施行に当たったのでありますが、当初予算は六百億でございますが、その枠内で事業主体の要望には十分対応ができた次第でございます。  また、住宅金融公庫におきましては無抽せんによりまする貸し付けを貫くということを念頭に置いて事業を実施してまいった次第でございまして、第一回の受付におきましては、御承知のように金利の引き上げがございましたけれども、これを引き上げ前の金利の特例受け付けを二カ月間実施をいたしました。また、第二回、第三回のそれぞれの受け付けを実施いたしたわけでございますが、それぞれにおきまして無抽せんの貸し付けを貫いて実施をいたしまして、国民の要望には十分におこたえできたものというふうに私どもは考えております。(寺前委員「だからやってないということだな」と呼ぶ)やってないと申しますよりは、その趣旨に沿いまして私ども誠意を持って……(寺前委員「追加をやってないということだな」と呼ぶ)形式的な追加はいたしておりませんけれども、誠意を持ってこれに当たってまいったつもりでございます。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、私はここで気になるのです。去年の「必要が生ずれば、機動的に対処する。」「弾力的に対処する。」という結果が、数字としては百億円の修正をやったとか、五万戸の追加をやったとか言っておっても、それはそのときの話であって、結果として必要がありませんでしたという処理になったという事実が、昨年の中から明確になってきているわけです。  とすると、ことしの文章にも、それを想定するといろいろひっかかる内容がたくさん出てくる。「特定疾患治療研究の対象疾患の拡大については、専門家の意見を聴いて、検討する。」「老人ホーム入所者の費用徴収については、今後の実施状況を見極めながら、引き続き費用負担の適正化に配慮する。」そうすると、これは専門家の意見を聞いて、どう言うかわからぬということになる。あるいは老人ホームの入所者の費用徴収についてば、実施状況を、まず実施をさして見きわめた上で適正化に配慮する。前提が常についているということがここには出てくるわけですが、そんな前提を抜きにしてやりますというふうに厚生大臣はおっしゃいますか。
  151. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 二つの問題に対しまする自民党の回答内容につきましては、今後誠意を持って検討を進め、適切に対処する所存でございます。
  152. 寺前巖

    ○寺前委員 私の質問に答えていない。去年のように必要に応じてとかなんとかいろいろな前提が全部ついておるから、前提があったならば、誠実にやると言うたって、その前提は抜きにしますということは言わないわけでしょう。  では、次にいきますよ。「中小企業信用保険公庫出資については、同公庫の保険金支払の状況等を勘案し、必要に応じ所要の追加を行うことを検討する。」必要に応じて検討する、必要がなければやらない、こういうことですか。去年の言葉から言うたらそういうことになるが、どうなんですか。
  153. 左近友三郎

    ○左近政府委員 中小企業信用保険の仕組みをちょっと申し上げますと、府県にございます……(寺前委員「それはいいよ、必要に応じて検討するということ」と呼ぶ)保険事故がどのようになるか、一応予算上予定をしておりますけれども、仮に不景気になりまして保険事故が多発いたしますと出資が必要になります。その場合に誠意を持って対応するということでございます。
  154. 寺前巖

    ○寺前委員 「電気料金の改訂が行われる場合には、低所得層の負担増に配意して電気税の免税点を見直す必要があると考えているので、今後料金改訂の状況をみながら対処するつもりである。」そして新聞には百五十億円、こう出てくる。そうすると、この百五十億円が修正の金額だということになってくると、これは電気料金の改定が前提になかったら百五十億円ということが結果として出てこないことになるのですが、そういう理解で間違いございませんね。
  155. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私の方は、公党間の申し合わせでございますから、誠意を持って実現に努力をしたい。ただ、私の方は、ここにありますように電気料金そのものの値上げが前提であることはこれははっきりしておりますから、その値上げがあればそれに応じて少なくとも免税点の引き上げをやる、こういうことですから、金額は、これは料金が決まらなければはじきようがありませんから、ここにも程度と書いてあるわけです。
  156. 寺前巖

    ○寺前委員 ですから、百五十億の修正というのは料金が上がらぬことには出てこない金額だということで、おっしゃる意味はわかります。  文部大臣、四十人学級について「概ね三年後に、各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討する。」文部大臣と大蔵大臣の間に交わされた覚書がありますね。その中に「財政再建期間中は、教職員改善増は極力抑制する。特に児童生徒数の増加に伴う教職員の自然増が見込まれる昭和五十七年度までの間は、厳しく抑制する。」そうすると、三年後というと五十七年度ですよね。そうすると五十七年度までは厳しく抑制するということのこの指導方針に対しては、この約束というのは三年後各般の状況を勘案し検討するのだから、それまでの間は従来どおりの問題についてチェックを受けたものでないという解釈をされるのですか。
  157. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 お答えをいたします。  委員がお申しになりましたように、三党に対しまして自民党から、およそ三年後に諸般の状況を勘案してその後におきます計画を検討する、こういうことは承知をいたしております。これは誠意を持ってそういう趣旨に応じてやっていかなければならぬわけでありますが、これは三年後の見直しということでございます。いまは私たちの方は十二年の計画で前の三年、確かなのは五十五年度の計画を確かにしておるわけでございまして、それを進めてまいる、こういうことに相なるのだと思います。
  158. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、これは大変なものだなということを私は言わざるを得ないわけです。  まだ時間がありますね。-では、私は防衛庁長官一つだけ聞きます。  今度のリムパック、第三国を含めて演習をやるということが、十二月十日の参議院の内閣委員会でこういうふうに政府委員答弁しております。「同一海面でほかの艦艇も訓練をやっておりますので、そういう意味ではターゲットサービスのような形でお互いにターゲットをサービスし合うというようなことはあるんだろうと思います。」第三国が演習に入るだろうということをこうやって認める発言をされておる。そうすると、従来第三国を含めるところの訓練については、これは「日米安保条約の精神なり、あるいは政治的な立場から見ると」不適当であります、ということを四十七年四月十三日の内閣委員会で久保防衛局長は言っておるのです。日米安保条約の精神、政治的な立場から、それは第三国を含めることは不適当だと言っておる。  それでは防衛庁長官、安保条約の精神なり政治的な立場から不適当だと言っておったものを、今度は第三国を含める訓練が起こるということを認めるということは、一体どこが変わったのか。従来の見解を根本的に変えてしまっているではないか。御説明いただきたい。
  159. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 リムパック参加につきまして先ほど安井委員に対しまして私どもの有権的な解釈を申し上げたところでございますが、今回の参加につきましては在来の方針と変わっておりません。変わっておらないということだけ申し上げますが、なお詳細につきましては政府委員からお答えをさしていただきたいと思います。
  160. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が中途半端でやるのはよくないですから、しかるべき委員会の方で引き続きやるということで、これで終わりたいと思います。
  161. 田村元

    田村委員長 これにて寺前君の質疑は終了いたしました。  午後一時五十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後、零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十一分開議
  162. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のためおくれてまいりますので、出席になるまで、委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。大内啓伍君。
  163. 大内啓伍

    ○大内委員 本論の質問に先立ちまして、いわゆるK・ハマダ問題についてお伺いをいたします。  ロサンゼルス空港におけるクラッター氏から小佐野氏に渡されたと言われる二十万ドルの問題は、言うまでもなくロッキード事件の核心に触れる一つの問題であります。同時に、小佐野氏の国会証言が偽証になるかどうかを決定する重要な問題でもございます。そういうお金が仮にK・ハマダと称される、ちまたにおいては自民党の現役の国民運動本部長である浜田氏に、それもギャンブルの弁済の一部として支払われたということになりますと、これは個人の政治家の倫理としてはもとよりのこと、政治の道義あるいは政党のモラルにも発展するゆゆしき問題であると思うのであります。私は具体的にいろいろお伺いをする前に、総理がこの事件をどのように受けとめておられるか、まず御所見を伺いたいと思っております。
  164. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 法務当局からこの事件についての報告はあらまし承っておりますが、この報告の中で、新聞報道にございますように、K・ハマダなる者が浜田幸一議員であるとか、あるいはK・ハマダのサンズホテルに対する債務が賭博で負けたことによって生じたものであるとかいうような事実は承っていないわけでございます。浜田幸一君も、本件については全面的に否定をされておるわけでございます。そういう状況でございますので、この問題について私の判断を求められましても、いまそれだけの事実を伺っておるにすぎませんということしかまだ申し上げようがないことを御了承いただきたいと思います。
  165. 大内啓伍

    ○大内委員 マスコミ等でも報じられておりますし、私自身も若干の確認をいたしておりますけれども、昨日は大平総理を含めましてこの問題についてのいろいろな協議も行われたやに聞いております。そうした中で、実はきょうの新聞において自民党の幹事長は、この浜田氏を更迭するのではないかという問題につきまして、「現在も将来にわたっても、辞めろということはないのか」、こういう浜田氏の幹事長に対する質問に対して「そうだ」と答えたと言われております。もしこれが事実であるとすれば、まだ事態の解明も十分でない段階において、党のかなめにある幹事長がこのような言動をとられるということは、きわめて重要であると思うのであります。一体こういう事実関係はあったのでしょうか、ないのでしょうか。これはどなたにお伺いすればいいのでしょう。総理も含まれていたというお話を仄聞いたしておりますし、これは自足党の総裁の問題でもあろうかと思いますので、この辺についてはどのようにお考えになっておりましょうか。
  166. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 この事件につきまして知り得ておりますることは、いま御答弁申し上げたとおりで、それ以上のことは伺っていないわけでございます。すなわち、K・ハマダという人間がまだ特定されたとは聞いていないわけでございます。浜田幸一君自体も否定されておるということでございます。ただ浜田君といたしましては、先ほど私お目にかかりましたが、こういう新聞に書かれているような事実を肯定しているわけではないけれども、いままでの立場は変わりませんけれども、党に御迷惑をかけてはならぬと存じますということで、国民運動本部長辞任の意思を表明されまして、私も彼の意向を尊重いたしまして辞表を受理いたしたところでございます。
  167. 大内啓伍

    ○大内委員 辞任された段階で余りこの問題を深追いするのもどうかと思いますけれども、推測では恐らく今度の事件の重大性を浜田氏が受けとめられまして、そしてみずから辞意を表明されたものとして、この点についてはあえて御答弁を求めません。  そこで、法務省当局にお伺いをいたしますが、このサンズホテルにおけるギャンブルにおいて、ギャンブルをやります場合にはいわゆるマーカーと称するギャンブルの借用証が必要だと思うのでございます。恐らくこれは検察当局においても確認をされたと思いますが、もちろんこれはサインを必要とするものでございます。このサインについては確認をされておられますか。
  168. 前田宏

    前田(宏)政府委員 お尋ねのことにつきまして、いわゆるマーカーというものがあるかどうかというようなことにつきましては、そういうことがあったということを承知しておりません。
  169. 大内啓伍

    ○大内委員 この借用証についてはチェックをされましたか。
  170. 前田宏

    前田(宏)政府委員 昨日来申し上げておりますように、一昨日検察官がとりました措置は、従来の冒頭陳述書の補充訂正をしたということでございまして、これからその補充訂正した事実について立証していくという段階でございますので、その内容についてはこれからの問題だ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  171. 大内啓伍

    ○大内委員 それじゃ別の聞き方をしてみましょう。  このサンズホテルでの借金はK・ハマダ氏であるということは、それでは何によって特定したのでしょう。アメリカ司法当局の捜査確認されている、こういうふうに言われておりますが、そういう形で確認したのでしょうか。
  172. 前田宏

    前田(宏)政府委員 お尋ねにございましたように、いわゆる司法取り決めに基づきますアメリカの司法当局の協力によりまして、いろいろの関係資料が入手できたわけでございます。その資料の中でそういう事実があらわれておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  173. 大内啓伍

    ○大内委員 ギャンブル当時においては百五十万ドル、後においては百二十万ドルに値引きされたと言われておりますが、これは当時のレートで三億七千万円にも上る大きな額でございますが、この賭博の負債は検察当局としてはK・ハマダ一人の負債と見ておられるのでしょうか。
  174. 前田宏

    前田(宏)政府委員 先ほど委員も御指摘になりましたように、一昨日の冒頭陳述書の補充訂正といいますのは、事件の具体的内容になっております小佐野被告人の二十万ドル受領の事実ということに関して行われたわけでございまして、さらに申し上げれば、その受領の事実の裏づけという観点からの措置でございます。したがいまして、この小佐野被告人がサンズホテルなるものに支払い保証をしていたかどうか、またその履行として二十万ドルを支払ったかどうかということが当面の立証事実でございまして、そのもとになった債務の内容、それがどういうものであるかということは、いま申しましたような意味での直接の立証事実ではないわけでございます。手続的に申しましても、一昨日の冒頭陳述の補充訂正では、いまお尋ねの点は触れていないところでございます。したがいまして、そういう意味でもお答え申しかねるわけでございますし、反面、今後の立証活動によりましてその点が問題になってくるということも考えられないわけではございませんので、そういう観点からも現段階ではお答えしかねる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  175. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、このサンズホテルに負っていた百二十万ドルの債務を、小佐野氏がK・ハマダ氏のために次のように支払ったという事実は確認しておりましょうか。すなわち、昭和四十八年の一月十五日ごろ五十万ドル、四月二十八日ごろ二十五万ドル、七月十二日ごろ二十五万ドル、同年の十一月三日二十万ドルの現金支払い、これは確認しておられましょうか。
  176. 前田宏

    前田(宏)政府委員 冒陳の補充訂正でそのように述べているわけでございますので、検察官側としては、そういう事実を今後立証していくという意味において述べておる次第でございます。
  177. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、この支払われた百二十万ドルの弁済というものがK・ハマダ氏単独の負債であるか、あるいは複数人の負債を名義的にK・ハマダ氏に集約したものかどうかということはわからないということでしょうか。
  178. 前田宏

    前田(宏)政府委員 その点は、先ほどのお尋ねに際しまして実は一応お答えをしたつもりでございますのですが、わからないというよりも、その点には触れていないということでございます。
  179. 大内啓伍

    ○大内委員 触れていないのであれば、もしわかればお答えをいただきたいのです。
  180. 前田宏

    前田(宏)政府委員 その点も、今後の立証の中で必要があればその点が明らかになってくるだろうというふうに御理解いただきたいと思います。
  181. 大内啓伍

    ○大内委員 これだけの多額のお金がK・ハマダ氏に支払われたということ自体に、普通一般の方方は大きな疑問をお持ちであろうと思うのでありますが、なぜ小佐野氏が全額K・ハマダ氏に対して支払ったのか、あるいはそれは何らかの見返りや報酬として支払われたのか。恐らく検察当局では、その点は今度の立証の対象になっていないという理由であるいはお調べになっていないと思いますが、しかしこれは御案内のように、ロッキード事件の核心の一部に触れる金額であるだけに、この問題の解明いかんによっては、ロッキード事件の核心の一つを解きほぐすという意味から、検察当局としても、法務省としても、当然関心を持つべき問題だと思いますが、この点については何らかの理解をお持ちでしょうか。
  182. 前田宏

    前田(宏)政府委員 ただいま委員も仰せになりましたように、当面の問題としては、二十万ドルの受領の事実に対する裏づけということで立証しようということになっている次第でございます。したがいまして、その限度におきましては、それはそれなりの理由があってなされているであろうということは、今後の公判立証の過程において必要に応じて出てくることであろう、かように思います。
  183. 大内啓伍

    ○大内委員 K・ハマダ氏についての事情聴取はやられたのでしょうか、やられてはないのでしょうか。
  184. 前田宏

    前田(宏)政府委員 その点につきましては、午前中もたしかお尋ねを受けたように思いますが、従来から私どもの立場といたしましては、恐縮でございますけれども、広い意味での捜査過程でどういう人をどういうふうに調べたかということはいろいろな面で差し支えがあるということで、お答えを差し控えさせていただいておるわけでございますので、この場合も同様に御理解いただきたいわけでございます。
  185. 大内啓伍

    ○大内委員 先ほど私が指摘いたしました、なぜこのような多額の金額がK・ハマダ氏に渡されたのかという問題は、場合によってはいろいろな波及をする問題でございますので、必要があれば今後事情聴取をしたいというふうに考えているというふうに理解してよろしいですか。
  186. 前田宏

    前田(宏)政府委員 現段階におきましては、今後の公判の推移いかんによると言う以外に申し上げようがないわけでございます。
  187. 大内啓伍

    ○大内委員 この事件は恐らく外為法第三十条の三号、「債権に関する制限及び禁止」という条、項に触れる可能性のある事件だと思うのであります。すなわち「政令で定める場合を除いては、何人も、左に掲げる債権の発生、変更、弁済、消滅、直接又は間接の移転その他の処分の当事者となってはならない。」といたしまして、その第三号においては、「居住者と非居住者間の債権」、こういうふうに書かれておるわけであります。したがって、これが第三者の単なる発言として指摘された問題ではなくて、少なくとも権威を持った検察当局から指摘された問題でございますから、大蔵省としてもこの問題は看過できないと思うのでありますが、大蔵大臣としては、こうした外為法違反の可能性のあるこの事件を今後究明されるという御方針でしょうか。
  188. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 法律的にはそのとおりでございますが、午前中にも御質問がありましたように、時効というような問題もございます。
  189. 大内啓伍

    ○大内委員 それらの問題を含めて調査されますか。
  190. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 私どもは法律捜査する権限がございませんので、関係当局とよく相談をいたします。
  191. 大内啓伍

    ○大内委員 もしこのお金が借財の弁済という形で何らの契約なしに一方的に支払われたということになりますと、これは贈与という問題も起こってまいります。国税当局といたしましてはこの問題を調査される必要があると思いますが、いかがですか。
  192. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 国税庁は来ていないのか。
  193. 大内啓伍

    ○大内委員 では、大蔵大臣で結構です。
  194. 竹下登

    ○竹下国務大臣 時効の問題等、私に知識がございませんので、後刻お答えいたします。
  195. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは、K・ハマダ氏の問題は以上をもって終わります。  きょうは日本銀行の方がお見えであると思いますが、例の円安防止の問題についてお伺いをしたいと思います。きょうは総裁はお出かけですね。  去る二日決定をされ三日から発動されましたいわゆる円防衛対策の実施にもかかわらず、また今日円がなお弱含みという形であるだけではなくて、下落しているという現状になっています。こうした事態、こうした緊急対策を発動された日銀当局といたしましては、この効果についてどういう評価をされているかお伺いをいたします。
  196. 澄田智

    ○澄田参考人 お答え申し上げます。  去る二日発表いたしました対策は、御承知のように、その前に円が一カ月の間に約四%程度その価値が下落をいたしました。海外におきましては一ドル二百五十一円というような相場をつけておったわけでございます。その結果、これは実勢以上に非常に円安になっているというような判断に立ちまして、この点はたとえばアメリカの通貨当局も同様な判断でございました。アメリカと協議し、さらに西独、スイスとも連絡をとりましてああいう措置をとった次第でございまして、その措置の結果、ニューヨーク、ロンドンにおきまして、二百五十一円というような円安になっておりましたものが、とにもかくにも二百四十七円台に戻り、昨日は二百四十八円というようなところになっておるわけであります。  海外のその後の変化、これはドルが国際情勢の変化、たとえばイラン問題等がやや好転をしているというようなこともあり、あるいはアメリカの市中の金利が上がったというようなこともあり、そういう影響でアメリカのドルがさらに堅調になっている。これは円に対してのみならずヨーロッパの通貨に対してはもっと堅調になっている。そういう事情も反映いたしまして、二百四十七円になったのがまた二百四十八円まできているというような状態で、一進一退と申しますか、一応もっと下がるような趨勢であり、またそういう思惑も働いておった状態から見ますと、ややこのところそれが戻している、こういうふうに見ているわけでございます。
  197. 大内啓伍

    ○大内委員 これは日銀当局も大蔵省当局も、きわめて画期的なことであるとみずから評価をされ、この協調介入によりまして円相場の下落を一方において食いとめるとともに、オイルダラーなどの資金を流入させることによって円高へ誘導したい、こういうねらいから恐らく出されたものだと思うのでありますが、少なくとも円相場の下落を食いとめるという点においても必ずしも十分な効果を発揮していない、また、オイルダラーなどの資金の流入もまだ今後の問題として残っている。  実は三月五日、前川日銀総裁はその記者会見の中で、円安の背景になっているファンダメンタルズの改善のためには、つまり経済の基礎的条件の改善のためにはこれからも必要な措置をとる、こういうふうに記者会見で言明をされておりますが、この必要な措置というのは日銀当局としてはどういうことを当面お考えなんでしょう。
  198. 澄田智

    ○澄田参考人 基礎的条件、いわゆるファンダメンタルズでございますが、これが一国の通貨の価値に非常に大きく影響するというのはおっしゃるとおりでございます。まあ基礎的条件と申せば経済状態全体を含むわけでありましょうが、直接には国際収支及び物価というような条件が一番通貨の価値に影響があるわけでございます。  そこで、現在日本の状態は、必ずしも日本だけが悪いわけではございませんで、石油の輸入価格の大幅な上昇等に伴って、主要な石油の消費国はいずれも大なり小なり基礎的条件においてかなりの影響を受けて悪化をしてきているという状態でございます。したがいまして、わが国におきましても、そういう中でその情勢に応じて適宜適切にいろいろな政策手段を講じまして、あるいは動員いたしまして、経済状態の改善に努めるというのは当然のことと存じます。  日本銀行の立場におきましても、金融のコントロール、マネーサプライのコントロールを通じまして物価の鎮静、そして石油価格の上昇分が国内のホームメード・インフレに転嫁することを極力防ぐ、そういう措置をとっていくというようなことが最も努力すべきことだと思っております。国際収支の改善の方も、政府の各般の施策と呼応いたしまして、いまもお話にありましたような外資が入りやすくなるような環境をつくっていくということにあると存じます。
  199. 大内啓伍

    ○大内委員 御存じのようにアメリカのプライムレートが上がりまして、さらに公定歩合を二%程度場合によっては近日中に引き上げるのではないかということが報道されておりまして、このような事態にもしなりますと、というよりかなりつつあるわけなんですが、日米の金利差は一層広がりまして、急速な円安、つまりいま大蔵省及び日銀当局が一生懸命支えようとしている円安に一層拍車がかかり、これが日銀当局の最も憂えるインフレへ直結していくという動向で動いていると思うのですね。ですからこの事態はもはや一刻も目を離せない、つまり手を打つためには一刻も目を離せない状況だと認識しておられるかどうか、この辺を伺いたいと思うのであります。
  200. 澄田智

    ○澄田参考人 現在アメリカの市中金利が、すでにいままでも非常に高いレベルでございますが、それがさらに上昇しているという状態でございます。アメリカの公定歩合の問題等につきましてはいろいろ報道もございますが、これはインフレ対策として総合対策がいろいろ考えられているというような報道の一環としてそういうことも私ども聞くわけでございますが、いずれにしても、そういうアメリカの金利の情勢というものはいろんな点で影響の非常に大きなものでございますので、われわれといたしましても十分にその状況というものは注意し、この状況を重大な関心を持って注視をするということは当然のことだと思います。
  201. 大内啓伍

    ○大内委員 二月に日銀当局が公定歩合の引き上げを第四次やりまして、それから間もないわけでありますが、間もないといっても、その間に国際金利、特にアメリカは非常に急速に変化をしてきている。したがって、軽々に再引き上げというような問題を口にできないことはよくわかるのでありますが、私どもの見ている状況からいたしますと、再引き上げの経済指標はまだ具体的には出ておりませんが、間もなく出てくるという意味で、やはり公定歩合の第五次引き上げという問題は相当せっぱ詰まった問題として留意しなければならないのではないか、こういうふうに考えられますが、大体そういう認識でいいかどうかお答えをいただきたいと思うのであります。
  202. 澄田智

    ○澄田参考人 先ほども申し上げましたように、国際的な金利の動向、これはアメリカのみならずヨーロッパの国々の状況も含めてのことでございますが、そういう状況については、これはお互いに影響し合うというような面からいっても十分に注意をしていくということでありますとともに、外国の金利だけではございませんで、やはり国内の経済情勢というものもこれは十分見ていかなければならない。先ごろ二月十八日に実施いたしました公定歩合の引き上げ並びに預金準備率の引き上げにつきましては、目下それが逐次実行に移されつつある段階でございます。各般の金利等につきましては目下実行に移されつつある段階である、こういうことでございますので、そういうとりました措置の効果等を十分に見きわめるということもまた一方必要なことでございます。現在私どもはそういうような段階である、こういうふうに判断をいたしまして、先般の措置の効果をよく見守ってまいりたい、かように思っております。
  203. 大内啓伍

    ○大内委員 これは経済企画庁長官だと思うのでありますが、電気料金、ガス料金の申請認可の期日が一応三月二十一日と、こういうふうに見られております。大体申請どおり、その値上げ幅の問題は別にいたしまして、大体その期日において認可する方針かどうか。これは大蔵大臣ですか、通産大臣ですか。
  204. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 申請は四月一日から上げてもらいたいという申請でございます。ただいまなるべくそうしたいと思いまして査定中でございますが、まだ確実に四月一日に認可できるというところまでは、作業中でございますのではっきり申し上げられません。
  205. 大内啓伍

    ○大内委員 三月二十一日に申請どおり認可するという方向で作業はされているわけでしょう。
  206. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 その方向で努力してございます。
  207. 大内啓伍

    ○大内委員 よく聞こえないのですが。聞こえません、済みません。
  208. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 その方向で努力しております。
  209. 大内啓伍

    ○大内委員 そうしますと、やはり公共料金の主たるものがこの四月一日から上がってくるという意味では、物価という意味では非常に重要な時期に入ってきていると思うのであります。  これは経済企画庁長官にもお伺いしたいのでございますが、その前に、いま日銀副総裁は、やはり国際収支と物価の問題が重要である、こういうふうにおっしゃられたわけでありますが、こうした状況の中で、実は昨年の十一月の末に第二次の総合物価対策というものが実施に移されたわけなんです。私ども当然そういう事態の中で第三次の総合物価対策というものが非常に重要になってきていると思いますが、日銀当局としては、この政府の物価対策がどの時期に広範にとられなきやならぬ、でないとやはりこの円安問題、インフレという問題を打開できない、こういうふうに見ているのかどうか、その辺をお聞かせいただきたい。時期の問題です。
  210. 澄田智

    ○澄田参考人 ただいま仰せの物価総合対策でございますが、これは仰せのとおり、電力料金の引き上げの申請を政府においてどういうふうに対処されるのか、そういう時期と関係をいたしておるものと私心得ております。したがいまして、私どもの立場からいっと申し上げるような問題ではなくて、これはそういう各般の措置を総合してとられる政府の方でお決めになることであるというふうに思っております。
  211. 大内啓伍

    ○大内委員 企画庁長官としては、大体どの時期に第三次総合物価対策というものを打ち出したい、こう考えておられましょうか。
  212. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 お答えいたします。  実はいま通産大臣からお答えがありましたように、電力料金、ガス料金の査定作業もいまいろいろ御努力中でありますが、申請の時期に認可すべく努力をしておられる、こういうことを踏まえまして、昨日の閣議で総理を初め各省庁の担当の大臣各位に、ついてはわれわれはそういう事態を前にしてこれからいつも物価対策は時期を失しないようにやろう、こういうことで進んできておることは大内委員も御承知のとおりでございますので、早速各省庁で事務的に対策を準備することについて関係閣僚の御了解を得た次第でございます。
  213. 大内啓伍

    ○大内委員 すでにその物価対策の骨格については予想記事として新聞等でも報道されておりますが、経済企画庁という立場、つまり物価担当当局としては、この際財政支出の抑制という意味から公共事業等の手控えというような問題が重要な物価対策の一つであると考えられているかどうか。と申しますのは、逆の面から言いますと、昭和五十四年度の公共事業の契約は上半期六五%から七〇%でした。しかし、このペースで昭和五十五年度の公共事業を実施した場合には、財政面からインフレが刺激されるおそれがある。これは普通の常識を持った者ならだれでもわかっていることであります。したがって、このペースを落とすことが財政という面から物価担当大臣としては必要だと考えられているのか。つまり、上期の公共事業契約率の引き下げということが重要な物価対策の柱かどうか。この点についてのお考えを聞きたいと思います。
  214. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 そういう点につきまして、各責任を持っておられる大臣各位に、これから事務的にいろいろ詰めて御相談をいたしますのでよろしく御協力を願いたいと、きのうはお願いをした段階でございます。  私といたしましては、先ほど来大内委員と日本銀行副総裁との間で、質疑応答されましたように、今日の事態はこれはもう非常に重大な事態でありまするので、物価安定を第一と心得ておりますわが大平内閣といたしましても、その点に万遺憾なきを期していかなければならぬ。すなわち、財政金融についてもこれは物価の安定ということを主眼に考えていかなければならぬという点においては、皆さんそれぞれお考えを持っておられると思います。しかし、ただいまお挙げのような執行の割合その他につきましては、これから関係各省庁で相談をして決めていく問題であると考えております。
  215. 大内啓伍

    ○大内委員 大蔵大臣はどうお考えでしょう。
  216. 竹下登

    ○竹下国務大臣 公共事業執行の前倒し、後倒し、これが大変な大きな要素になる、いま大内さんおっしゃいましたまさにファンダメンタルズの一つの大きな柱であります物価安定策の大きな要素になる、こういうことは認識を同じくするものであります。ただ、予算審議中でございまして、したがって例年の、いままでの、たとえば四十八年、四十九年のときとか、あるいは別の意味において五十二年のときとか、いろいろ調べてみますと、その姿勢が言葉となって出ていくのが大体三月下旬ぐらいであって、そして数字をきちんと出すのは予算が成立しました翌日というのが、やはり御審議、執行権をゆだねていただけるまでの間はそのようなことで、作業だけは鋭意進めていかなければならないではないか、こういうふうに考えております。
  217. 大内啓伍

    ○大内委員 日銀副総裁に最後に一言だけ申し上げておきたいと思うのです。  西ドイツを除きまして、アメリカを初め国際間の金利が非常に大きく拡大してきている。しかもアメリカにおいてはプライムレートの引き上げを行い、上さらに公定歩合の引き上げすら図ろうとしている。この傾向はますます大きくなってくる。また副総裁は先ほど国内の条件が非常に重要だというふうにおっしゃいましたように、たとえば国内においても御存じのように国債の暴落が起こっているわけでございまして、したがって、国債消化という面から見ても、この金利問題というのは今日非常に重要な問題になっている。もし時間を逡巡いたしますと円安、インフレというものが急速に進行して、せっかく画期的なと称せられるこの協調介入というものをやりましても、この効果が全く減殺されてしまう。そういう意味では公定歩合等の問題については、どうか単なる慎重ということではなくて、きわめて効果的タイミングを十分お考えになって、手を間違えないように、ひとつ御要望申し上げたいと思うのです。――ございますか。
  218. 澄田智

    ○澄田参考人 ただいま御注意をいただきまして、金融調節の問題は私どもの本務でございますので、十分今後間違いないように十分にその点は努力をしてまいりたい、かように存じております。
  219. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは日銀関係の方、結構でございます。ありがとうございました。  引き続いて物価の問題についてお伺いをいたしますが、大蔵大臣御存じのように、今度の四党の取り決めによりまして、物価対策費という形での緊急対策費といたしまして五百億円というものが合意されたわけであります。これは私ども、四月から六月にかけて公共料金の値上げを中心に異常な物価問題が発生するであろう、そのためには予算的にも機動的な措置をとっておく必要があるという意味から、与党の方も譲歩をいただきまして、この五百億円という緊急物価関係の対策費をとったわけでありますが、これは今後個別物価対策等の段階においてもいろいろ考えていかなければならないと思います。  大蔵省当局としては、あるいは経済企画庁としても、個別物価対策という問題についてどういう問題を重視していこうとするのか。これは先ほど来のお話のように、これから関係の閣僚会議で詰めるという問題でございますが、現時点でも非常に重要な事態に入ってきているわけですから、どういうことを個別物価対策として考えていきたいというのか、経済企画庁長官、そして大蔵大臣、双方からお答えをいただきたいと思います。
  220. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 昨日総理、大蔵大臣からここでお答えがありましたように、今回自民党と民社、公明、社会三党の間で予算の修正の一つの重要な項目として、物価対策費五百億円ということがお話し合いができたということはよく私どもも承知いたしております。     〔渡辺(美)委員長代理退席、小此木委員長代理着席〕 この点につきましては、これから各党の間でもいろいろ御意見があって、適切な執行ということについて、十分われわれは各党の間の合意される御意向を体しまして、適時適切なる執行を心がけてまいりたい、こういうふうに考えております。  さて、具体的にそれではどういうことかと申しますれば、いま一番われわれに緊切なのは季節的な野菜の出荷、これはこの間五億円ほど支出をいたしまして、農林水産大臣の非常な御努力で相当いま効果が出つつあるところでございます。  なお、これからいま御指摘のような電力料金、ガス料金等の引き上げが行われますれば、これに対しまする実行の状況ですね、すなわち、料金が引き上がった、さあこれをどういうふうに各産業界がいわゆる引き上げの影響を受けとめていくか、こういう点については、所管の省において十分なる需給の関係あるいは便乗値上げがあるかどうか、そういう点について十分なる監視、調査をやっていただき、常に適切なる措置を講じていただくようなことを私どもとしては非常に大事な物価対策と心得ておるわけでございます。
  221. 竹下登

    ○竹下国務大臣 経済企画庁長官から基本的なお考えをお述べになったわけでありますが、物価対策、五十五年度予算におきましても種々配慮しておるところでございますけれども、今回の経緯にかんがみ、さらに物価対策に万全を期するため、今後の物価動向に細心の注意を払い、必要に応じ適時適切に対処してまいりたい、これが総理お答えしたことなんです。  したがって、この物価関連施策推進の五百億円、これはまさに自民党が回答いたしまして四党合意、こういうことになっておるわけでございますので、基本的な考え方として、四党の御意見を踏まえ、そして今後の事態の進展に即応して効果的な使途が検討されるという理解の仕方にいま立っておりますので、中身の伴った実効ある措置を講ずるものであるというふうに理解しております。  そこで、どこへ使うかということになりますと大変な数ございます。実際、一応間接的なものまで含めると四兆幾らあるものでございますから、したがってまさに実効を伴う措置を講ずるものであると理解して、四党の意見を踏まえ検討をすべきものである、こういうふうに考えております。
  222. 大内啓伍

    ○大内委員 郵政大臣にお伺いをいたしますが、実はこの間の四党修正の際に、これは四党の口頭の了解事項として記者会見でも発表したことでございますが、郵便料金のうちの第三種の料金の引き上げ問題であります。  四党の政調・政審会長会談でこの問題を議論した際に、現在政府考えではこの第三種の郵便料金を現状の十五円から三十五円に引き上げる、これは原価主義に立って引き上げるということでございまして、この幅は余りにも大き過ぎる。これはここでマスコミ等の皆さんもおられますが、これはストレートに影響してくる問題であります。したがって、幾ら原価主義をとるからといって、十五円であるものを三十五円にまで引き上げる、この幅は余りにも飛躍し過ぎているということから、四党の会談におきましてはこの上げ幅を圧縮すべきである、こういう話が行われまして、自民党としてはこの野党の強い要望を受けまして、今後自民党として検討いたします、つまりこれを抑制するということを念頭に置きながら自民党としてこれを検討いたします、こういう合意が実は成立しているわけであります。  郵政大臣といたしましては、つまり政府としてこの四党の合意を実行に移される決意があるかどうか、その辺の御方針を伺いたいと思います。
  223. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えいたします。  第三種の郵便物の料金につきましては従来から低い料金に設定されておりまして、郵便事業財政悪化の一因となりますとともに、結局、第一種郵便物等の料金にしわ寄せされている実情でございます。私といたしましては、現下の事業財政にかんがみまして、郵政審議会の御意見にも沿い、第三種郵便物の料金を適正な水準に改めたい、このように考えておるところでございます。  しかし、今回の予算修正問題に関しまして、第三種郵便物の料金についてお話しのように自民党で今後検討されるということでございますれば、その結果は十分尊重させていただく所存でございます。
  224. 大内啓伍

    ○大内委員 ただいまの郵政大臣の御答弁は、今回の予算修正をめぐりましての四党の会談を踏まえて、自民党が検討結論を出したことを尊重する、そういう意味では第三種の郵便料金についても今後そういう取り扱いをするという答えとして理解をさせていただきました。  補助金等の問題もお伺いをしたいのでございますが、これは時間がありましたら申し上げたいと思いまして、次に外務大臣にお伺いをいたします。  対ソ経済制裁という問題が非常にデリケートなむずかしい問題になってきていると思うのでありますが、実は去る五日、ポリャンスキー大使が日本記者クラブで、シベリア開発問題について次のような見解を述べていることは非常に重要だと思うのであります。すなわち、シベリア開発計画は外国の参加がなくても着々と完遂されることを疑わない、ソ連はみずからの力で国民経済発展計画をなし遂げることができる、日本側が締結済みの契約上の義務を履行するかどうかを注意深く見守っていきたい。これはやさしく言えば、もし日本がおりるならばそれでも結構ですよというような形の見解が明らかにされました。私どもの理解では、とのシベリア開発というのは本来ソ連に対する経済援助ではなくて、そうした資源開発によって日本自身も利益を得るというギブ・アンド・テークの関係にある問題でございまして、決して一方的なものではありません。したがって、この問題の取り扱いというのは日本の利益にとっても非常に重要な問題をはらんでいると思うのでありますが、このポリャンスキー大使の発言を外務大臣としてはどのように受けとめられているか。  それから同時に、すでに西独政府は、エネルギー関係については対ソ経済制裁から除外すべきである、これはヨーロッパ諸国の一致した意見であるという立場に立ちまして、アメリカに対しても日本に対してもそのような意向の表明があるわけでありますが、日本としてはそれらを含めてこの問題にどう対処しようとしているのか、お考えを伺わしていただきたいと思うのであります。
  225. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 去る五日のポリャンスキー大使の発言、私ども承知しておりますが、基本的には従来のソ連の立場を繰り返したものだと受け取っております。なお、この席上で私の口からそれについてコメントを行うことは適当と考えませんが、いずれにいたしましても、シベリア開発協力の問題につきましては広い国益の立場から処置してまいりたいと考えておるわけでございます。この問題は、もともとがソ連のアフガニスタンに対する武力介入ということに端を発しておるわけでございまして、この問題が世界の平和に対する脅威であるという点がございますので、その点の基本的な考慮とにらみ合わせてまいらなければならないと考えておるわけでございます。  なお、エネルギー関係については別であるということが、西独関係について一部の新聞に出ておりますけれども、私どものいままでチェックいたしたところでは、そういう事実はつかんでおらないわけでございまして、一昨日のシュミット・カーター会談の共同コミュニケの中にも、その問題については全然触れておりませんので、現在のところ正式に承知しておらないわけでございます。  それからエネルギーの中でサハリンの問題もございますが、この問題等につきましては米国側とも連絡をとって打診をしておるということはやっておりますが、詳細については現在の段階では申し述べられないと考えておるわけでございます。
  226. 大内啓伍

    ○大内委員 お伺いをいたしますと、日本はすでにアメリカに対してシベリア開発については対ソ経済制裁から除外をしてほしいという申し入れをされていると聞いておりますが、それは事実でしょうか。
  227. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この問題については米国との間に密接な連絡をとっておりますが、同時に、西欧諸国の対応の仕方ということもいろいろ共通する面がございますので、政府といたしましても、西欧諸国の対応の仕方等もにらみながら、基本的には自由諸国の間の協力ということを踏まえながら対応策を検討しておるわけでございます。
  228. 大内啓伍

    ○大内委員 そうすると、日本としてはこのシベリア開発については除外してほしいという希望は持っているのですか。
  229. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 内容につきましてはまだ申し上げられる段階ではございませんけれども、一部のプロジェクトにつきましては、アメリカ側の技術なり機材の一部を使うようなジョイントになっているものがございます。そういう点も含めて相談をしておるわけでございます。
  230. 大内啓伍

    ○大内委員 園田特使は、この際大平総理の中東諸国訪問という問題を、出先の記者会見等で述べられているわけであります。私どもも、いまの中東諸国との関係という問題が単に一方的な油ごいではなくて、やはり政治的な面あるいは経済的な面で日本も相当中東諸国に対して与えるものを持たなければならないという意味での相互主義の確立といいますか、相互依存関係の確立が非常に重要な課題になってきたと思います。まして油の状態がこのような状態になってくればくるほど、やはり日本外交の一つの重要な問題、しかもそれは時間的にも相当急を要する外交の一つとして、この園田特使の提案は意味あるものとしておりますが、伝え聞くところによりますと、外務大臣もそのような意向をお持ちだというふうに開いておりますが、いかがですか。
  231. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この中東地域につきましては、ことに園田特使の各地における各国のリーダーとの会談の結果を連絡していただいておりますが、その状況にも見えますところで、先方では日本の経済、技術、特に日本の技術力が自国の発展に役立つことに大きな期待を置いておる、同時に日本の政治的な影響、特に中東問題が公正で包括的な解決を見出す上に日本の発言に期待したい、こういう意向が見られるわけでございまして、こういう点で、日本はこの地域から石油、重要な資源の供給を受けておりますが、他方におきまして日本に対する先方の期待もいろいろあるわけでございまして、相互に依存する関係があると考えておるわけでございます。
  232. 大内啓伍

    ○大内委員 私がお伺いしました一つのポイントは、総理大臣の中東諸国訪問について外務大臣としてどういう見解をお持ちかと聞いたのでございますが、これは総理自身にお伺いした方がよろしいでしょう。  まあサミット前にというような提案も園田特使の方からなされておりましたけれども、総理としてはこの問題をどういうふうにお考えでしょうか。
  233. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 中東諸国との間におきまして首脳間の接触を深めてまいることは必要だと存じまして、ただいま御案内のように、園田君を煩わせて各地を遍歴していただいております。私自身もできるだけ早い機会にそういう中東訪問の機会を持ちたいと考えておりまするけれども、政治日程上、まだ具体的な日取りを決めるまでには至っておりませんで、できるだけそういう機会を早目に持つように考えてみたいと思っております。
  234. 大内啓伍

    ○大内委員 これは総務長官でしょうか、あるいは官房長官でしょうか、一言だけお伺いをしておきたいと思います、時間がありませんので。  例の、昨年から政府検討してまいりました情報公開法、これについてはいろいろ検討をされているようでありますが、政府としてはこの種の法律案を国会に提案されるという方針をお持ちになっているかどうか、そのことをも含めてなお検討中なのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  235. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  情報公開の問題でございますが、これはプライバシーの保護の問題とも関連し、企業の秘密、公務員の守秘義務等も関係がございますし、多方面に影響があるし、一般的な行政手続法との関係、これは日本でまだないわけでございますが、多方面にいろいろ問題がございますので、昨年の十二月から内閣の官房の審議室に担当官を置きまして、各省の文書担当の管理の課長の連絡会議も設けるというようなことで、国内の文書管理の仕方あるいは外国の例等の調査をいまいたしております。私どもとしましては、なるべく近い将来に検討の結果を得て、いずれは国会にお出ししてお願いをしたいというつもりでやっております。
  236. 大内啓伍

    ○大内委員 今国会は間に合わないということですか。
  237. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 この国会に間に合わせるというところまでは準備がなかなかいかないだろう、いまそういう日程はなかなか無理だというふうに思っております。
  238. 大内啓伍

    ○大内委員 それでは防衛問題に入ります。  防衛力増強に対するアメリカ首脳の要請というものが相次いでいることは御案内のとおりでありまして、私もこれを収録してみましたところが、これは相当分厚い、このぐらいの発言が実は寄せられてきております。しかし、その中できわめて代表的な発言といたしましては、一九八一年度の国防報告、つまり一月二十九日のブラウン国防長官の発言といたしまして、日本側指導者に対して主要防衛装備のための諸計画の拡充を求めるとともに、世界的なソ連の軍事力増強に対処するには、アメリカ、西欧、日本による共同計画努力の必要なことを認識するよう訴えてきた。つまりアメリカとしては、日本に対して、一貫して防衛装備諸計画の拡充と、それから日米欧の防衛共同計画努力の必要性というものがこのところ訴えられてきております。そして、これを全部紹介する時間はございませんので申し上げませんが、これに対して日本政府首脳の言質を見ておりますと、たとえば大平総理は対ブラウン長官との会談に際して、日本政府としては、今後とも国際情勢あるいは経済財政事情を踏まえて、国民のコンセンサスを固めながら努力していきたい、こういう趣旨の発言がございましたし、外務省の山崎審議官は、いまは国民総生産比は〇・九%だが、少なくとも政府が上限として閣議決定している一%まで引き上げるよう努力すべきである。その他の外務省首脳も大体そうした発言をいたしておりますし、大来外務大臣もそれに近いことを申されております。そしてさらに、三月十九日から大来外相が訪米されるに当たりましても、憲法上、財政上の制約はあるが、防衛、安全保障問題への本格的な対応が必要だと思う、あるいは米国だけで守り切れない事態についてわが国が特に海や空の防衛力の質的向上を図らなければならない。あるいは賢人会議の議長である牛場外務省顧問は、もっと防衛予算をふやせという要求には応じた方がいい、アメリカだけでなく世界はソ連も欧州も軍拡時代を迎えている、この中で日本だけがじっとがまんしているわけにはいかない、最近の米国内の空気を見ても防衛問題は日本にとって大きな課題になると思う。さらに防衛庁長官も、ある新聞のインタビューにこう答えていますね。予算面で苦しくても、国際情勢を考え、国際社会の一員として、特に日米安保を防衛の基本とするならば当然強化しなければならない。いま、アメリカの首脳も日本の首脳も、言葉の言い回しは違いますけれども、それぞれ日本の防衛力強化という問題を打ち出されてきているわけなんであります。  私はこれを冷静に見てみますと、これは非常にむずかしい問題がある。一方においては財政再建という厳しい財政状況がある中で、国際情勢が非常に変化してきている。そしてそういう中でアメリカの戦略も変化してきている。特に米ソの軍事的なバランスの中にも変化があるし、その一つの問題としてアフガンも起こってきている。アメリカはいやおうなしにスイング戦略をとらなければならぬといったような問題も出てきているという状況の中で、私は、八〇年代の一つ課題として、なかなか日本はこの問題から逃げられないと思うのであります。しかし、にもかかわらず日本の持っている制約というものは厳しい。  私は外務大臣にも防衛庁長官にも聞きたいのでありますが、この際、大蔵大臣にお伺いをしたいと思うのです。  いま外務省の首脳は一%という数字をはっきり出してきている。そして大来外務大臣は、今度アメリカへ行ったら一・五%で説明するんだというようなことをおっしゃられておりましたが、私はこれは通用しないと思います。アメリカのその種のたくさんの関係者と会ってみても、それは日本一流の言いわけとしてそういうことを言ってきたとしか思いますまい。つまり、一%が一・五%という説明になっても、日本の防衛力強化が具体的に起こってこないからです。ですから、私はそういうことはやめた方がいいと思います。  そこで、五十一年の国防計画、防衛大綱におきましても一%という水準があらわされておりますが、もしこれを仮に早急に達成しようということになると、これは重大な財政上の問題が起こる。もし昭和五十六年度の段階で一%を達成しようといたしますと、防衛費は二兆七千六百億円必要だということになりまして、これは昭和五十五年度対比五千三百億円の増、伸び率にいたしまして約二五・五%のアップということになる。もしこれを二年がかりでやろうといたしますと、昭和五十六年は〇・九五%と機械的に計算いたしましても、昭和五十五年度対比三千九百二十二億円、一七・六%のアップをしなければならぬ。そして五十七年はさらにそれが上回って四千五百二十七億円、同じく一七・三%のアップをしなければ、二年がかりでも実は一%の水準を達成することはできないわけであります。御存じのとおり、経済社会七カ年計画においては経済の成長率は五・五%、ことしは一般歳出が五・一%で防衛費は六・五%伸びたという状況で防衛費が位置づけられておるわけでありますが、この一%の実現という問題を財政当局としては一体どのような状況ならば実現できると考えているのか、これを承りたいと思います。
  239. 竹下登

    ○竹下国務大臣 あえて財政当局としてはという前提がついているわけでございますが、いま大内さん御指摘のとおり「当面の防衛力整備について」の五十一年十一月五日の閣議決定がございます。それに従いまして、質的な充実向上を基本として、その具体的な実施に際しましては、そのときどきにおける経済財政事情等を勘案しながら国の他の諸施策との調和を図りつつ行うものとされておるわけです。五十六年度以降においても、毎年度の財政事情及び他の経費とのバランスというものが考慮されなければなりませんので、そのバランス等を勘案しながら適正な規模が決定されるものであって、現下の厳しい財政事情等を考慮すると、防衛関係費の対GNP比を先取り決定していくということはきわめて困難なことではないか。今年度におきましても、御案内のように〇・九というものが表現の上では、何と申しましょうか内外の世論の中に設定されたある種の指標みたいになっておりました。しかし、やはり編成に当たりましては下からそれぞれ積み上げてきて、その上で各種経費との調和、バランスというもので財政当局としては結果として〇・九%になった。したがって、防衛費だけを対GNP比で先取りしてしまうという方法についてはいかがなものであろうか。  さて、いま一つ、じゃどういう状態になればできるかという御質問でございますが、これはにわかに私はここですらっとお答えすることのできないほど、もっと勉強してからでないとお答えできない大きな問題であるというふうに理解をいたしました。
  240. 大内啓伍

    ○大内委員 これは非常にむずかしい問題なんですね。しかし、大蔵省当局はすでにGNPの伸び率については財政収支試算等々において計算をされている。また、その中における財政の伸びについても一定の展望を持っている。そしてそういう中でどのくらいの増税が必要かという展望も持っている。したがって、一般経費の中でどのくらいの政策費が大体とれるかということについてもほぼ見当をつけられているという状況に立ちますと、やはり防衛費の伸び率についても二つの限界については、財政当局としてもある程度の見通しは持っていないと財政編成もできないと思うのですね。少なくとも言い得ることは、向こう三年間の財政事情においては、向こう三年じゅうに一%の達成はむずかしい、こういうふうに大蔵省当局としては見ているのかどうか、この点はいかがでしょう。
  241. 竹下登

    ○竹下国務大臣 一%を超えざるものとする、こういうことになっておるのですが、最初基本論として申し上げましたように、対GNP比でくくるという考え方そのものがいかがかと思っております。したがって、今度は総額としてそれになるのに三年間ではむずかしいではないかという考えを持っておるかという大内さんの意見につきましては、もとよりそれは大変むずかしいことだというふうに私も考えております。
  242. 大内啓伍

    ○大内委員 これは、防衛庁長官がコメントされております、財政が苦しくても云々という問題に実は非常にかかってくる問題でございます。特に日米関係という面から、この問題は相当真剣に考えなきゃならぬ非常に重要なポイントだと思うのであります。  外務大臣そして防衛庁長官、いまお聞きのとおり、大蔵大臣は、たとえば三年というタイムリミットで見ると、いわゆる国防計画、防衛の大綱で一つ基準としている一%の達成というものは、今日の財政事情からして非常にむずかしいという展望を持っておられるわけなんです。他方、やはり外交関係あるいは防衛の担当者として、この一%水準の達成という問題についてどういう考えを持っておられるのか。たとえば防衛庁の場合は、五十九年の段階で一%を達成したいというような方針を固めたというような、そういう記事すらも見られますし、外務省に至っては、外務省の首脳が一%達成を早くやらなきゃならぬ、こう言っているわけなんですが、それぞれ外務大臣及び防衛庁長官としては、この一%達成というものの目標をどこに置いているか。  私に与えられました質問時間が参りましたので、以上お二人からお答えをいただくとともに、実は先ほどここにメモが入りまして、国税庁長官から、先ほど私が問うた問題について発言を求めておられるということでございますので、最後に長官のお答えをちょうだいいたしまして、私の質問を終わりたいと恩っております。
  243. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの御質問につきましては、外務省の立場から考えますと、できるだけ早く、国防会議でかつて決定しております一%以内をめどとするというたてまえになっておりますが、この一%の水準に到達するということが望ましいと考えております。もちろん日本の防衛問題の基本には、平和憲法と非核原則、専守防衛、そういう基本的なたてまえを崩すべきだとは考えておりませんけれども、国際情勢も考えまして、この一%程度の水準にできるだけ早い機会に到達することが望ましいというのが私どもの考えでございます。
  244. 細田吉藏

    ○細田国務大臣 お答えいたします。  防衛庁といたしましては、いま御質問にもありましたように、大変な厳しい状況でございますし、GNPに対する比率の問題で言いますならば、一%はできるだけ速やかに達成したい、こういうことでございますが、五十九年云々というものはまだ決めておるわけではありませんが、五十九年というのは、中期業務見積もりが一応五年のめどのものでございますから、まあそれまでにはと、遅くともというようなことでございまして、まだ決めたわけではございません、できるだけ速やかに。何よりも、非常に苦しい状態であることは事実ですから、実質的な増というものに私たちは今後特に力を入れていかなければならない、かように考えておる次第でございます。     〔小此木委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 磯邊律男

    磯邊政府委員 お答えいたします。  一般的に、個人が何らの経済的いろいろな対価性を求めることなく第三者から債務の弁済を受けました場合には、当然その債務の弁済をやってもらった個人は経済的利益が発生するわけでございます。この場合、その経済的利益はその債務の弁済をしてくれた人が法人である場合には、個人については一時所得、それから個人がその債務を弁済した場合には贈与税の申告が必要だということで納税の義務が発生するわけであります。  それからまた、その場合に、その債務の弁済が債務保証契約等に基づきまして履行された場合におきましては、その課税所得の発生の時点というのは、その債務保証をした人が求償権の行使を放棄した時点において課税の事実が発生することになります。それから、そういった債務保証契約なしに単純に債務の弁済をしてあげた場合には、その時点において課税原因が発生する、かようなことになるわけであります。
  246. 大内啓伍

    ○大内委員 終わります。ありがとうございました。
  247. 田村元

    田村委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次に、二見伸明君。
  248. 二見伸明

    ○二見委員 最初に、環境庁長官お尋ねいたします。  アセスメント法案の進行状況はどうなっておりましょうか。
  249. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  三月十四日国会提出を目指しまして、関係省庁におきまして鋭意努力をいたしておる次第でございますが、十四日提出は、率直に申し上げまして非常に厳しい情勢にございます。しかしながら、十四日をめどといたしまして、関係閣僚協議会を開いていただきまして、法案の取りまとめを促進さしていただくべく考えております。
  250. 二見伸明

    ○二見委員 もう法案作成は大詰めに来ているというふうに理解してよろしいのかどうか、それが一点。それから、おくれている理由はどこら辺にあるのでしょうか。
  251. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  大詰めに来ているとまでは申し上げられませんが、大体の線までは参っておると思います。  それから、おくれております原因は、先生御案内のとおり、この法案はわが国では前例の少ない法案でもございまして、何しろ十八省庁にも関係をしておりまして、各省庁から基本的な問題について多くの意見が出されておるような次第でございます。また環境庁といたしましても、再三繰り返し私から申し上げておりますとおり、昨年四月に中公審からいただきました答申の線に沿って取りまとめを行わざるを得ないというために、その点でも時間がかかっておるのではないか、かように考えておる次第であります。
  252. 二見伸明

    ○二見委員 二月十五日の私の質問に対して総理大臣は、今国会提出に最大限の努力をされる旨お約束があったわけでありますけれども、環境庁長官、重ねて伺いますが、今月中に何とか国会に提出はできるのでしょうか。
  253. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申します。  私といたしましては、その方向で最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  254. 二見伸明

    ○二見委員 官房長官、お尋ねします。  環境庁長官は今月中に国会に提出すべく最大の努力をされるそうでございます。また今月中に提出されることを心から期待をしておるわけでございますけれども、調整役と申しますか、いろいろお取りまとめ役の労をとられております官房長官としては、環境庁長官の御発言もあり、何とか今月中に取りまとめられるように御努力をいただけるでしょうか。
  255. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いま環境庁長官から御答弁申し上げましたとおり、いま環境庁で事務的に鋭意調整の努力をしておられるところでございます。   一方、四党の申し合わせでもアセスメントの関係閣僚協をつくってということがございましたので、今週の火曜日の閣議でこれの設置の了解も得たわけでございまして、なるべく早く閣僚協をつくって政府部内の調整、それからこれは党との調整も残された大きな問題でございますので、そういうことをいたしまして、できる限り努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  256. 二見伸明

    ○二見委員 今月中に提出されることを心から期待をいたします。  総理大臣、次に海洋開発について二、三お尋ねをしたいと思います。  海洋開発審議会は、昨年八月に海洋開発に関する第一次答申、ことしの一月二十二日に第二次答申を提出いたしました。海洋はわが国社会経済を支える大きな役割りがありますし、答申でも、海洋開発が新規産業としてわが国経済を長期的に発展させる上での意義が大きい。戦後のわが国の発展を支えてきた重化学工業中心の設備投資の比重の低下が見られる中で、わが国経済が引き続き長期的に発展をするために新たな投資分野が求められている。海洋の積極的な開発は、経済発展のための新しい活力の場を提供すると述べております。  海洋開発は、食糧としての海洋生物資源、さらに海水には食塩やマグネシウムのほかウランが四十億トン、リチウム二千三百三十億トンが含まれております。海底資源では特にマンガン団塊が非常に多量にございまして、マンガン団塊は太平洋海域のみで約一兆七千億トンと言われております。これに含まれるニッケルは陸上では六千万トンしかありませんけれども、太平洋海域にあるマンガン団塊の中にはニッケルは百六十四億トンあります。銅は八十八億トンであります。コバルトは五十八億トン、マンガンは四千億トンと試算されております。  海洋開発の緊急性といたしましては、以上に加えまして、そもそもわが国がその取り組みに非常におくれているということが私は海洋開発の大きな問題だろうと思います。アメリカは、昭和二十年のトルーマン宣言、昭和三十六年のケネディ大統領による海洋のフロンティア宣言等を通じ、海洋開発に対する米国の明確な国家意志を表明し、体制及び法制の整備を図り、世界をリードいたしております。フランスも、昭和四十二年に、体制を整え、技術開発に力を入れるとともに、海洋資源の開発を国家事業として進める意志を明確にし、着実な成果をあげてきております。  ところが答申によりますと、「ひるがえって、我が国の現状をみると、国土の十倍を超える二百海里水域を持つにもかかわらず、伝統的な海洋利用分野を除いては、」いわゆる魚をとるとかそういう「伝統的な海洋利用分野を除いては、海洋開発の遅れは大きく、早急な対応が必要」であると述べております。  私がこれを総理大臣お尋ねしたい理由というのは、海洋開発についてはわが国には中核的な組織というのが全くないからです。  昨年十二月五日の科学技術特別委員会で、わが党の貝沼次郎委員質問に対しまして勝谷研究調整局長は、「海洋科学技術の面では、総合的に推進するための機関としては、海洋科学技術開発推進連絡会議というのを関係十四省庁で構成をいたしておるわけでございますが、これは技術の面でございまして、海洋開発全体についての場がないわけでございます。それも、答申を受けましたならば、関係各省相集いまして検討すべきもの」と考えます、こう答弁しているわけです。  海洋科学技術というその面では連絡会議はあるけれども、海洋開発という全体を見通した場合には、それを強力に推進していく中核的な組織はないわけであります。ですから、答申では、海洋開発委員会と海洋開発基本法をつくることが海洋開発の根本的な問題だ、こう言っているわけでございます。  そこで、総理大臣お尋ねいたしますけれども、海洋開発委員会、海洋開発基本法、この問題はどのように対処されるのでありましょうか。また、現実的にこの問題をもし扱うとするならば、担当の省庁はどこになりましょうか、それをお尋ねいたしたいと思います。
  257. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 わが国の海洋開発は、昭和四十年代に入りまして一つの進展を見たと思っておりましたが、その後、四十八年の石油危機が一因となりまして、産業界を中心にこの問題が一時停滞をしてまいりましたこと御指摘のとおりでございます。しかし、第三次の国連の海洋法会議の開催、それから五十二年の七月に、十二海里領海、二百海里漁業水域を設定するというようなことを契機といたしまして、海洋開発に対する期待が改めて高まってまいりましたことは御案内のとおりでございます。  政府は、漁業、海運等、従来から伝統的分野を中心といたしまして海洋利用の促進を図りますとともに、海洋開発の基盤となりまする海洋調査、海洋科学技術の研究開発を積極的に推進してまいりました。  この問題につきましては、二見さんも御指摘になりましたように、本年一月二十二日に海洋開発審議会から第二回目の答申をいただいて、いまこれに取り組む体制の問題も含めまして海洋開発に関する広範多岐にわたる御提言をいただいております。  そこで、政府といたしましては、漁業、海運等の伝統的分野を中心としてそれぞれの省庁が施策を行ってまいりましたけれども、この提言を受けまして、各省それぞれの所掌事務に応じまして検討を加えて今後の推進の資にいたしたいと、いませっかく鋭意検討を進めておるところでございます。ようやく調子づいてまいったわけでございますので、この御提言を踏み台といたしまして、体制の問題を含めましていま取り組んでおるところでございまして、できるだけ早く御期待に沿うようにしなければならぬと考えております。
  258. 二見伸明

    ○二見委員 確認いたしますけれども、私は各省庁でやってきたことを否定するわけじゃありませんけれども、答申では、各省庁でやってきたことを、それだけではだめだ、むしろ海洋というのは開発だけではなくて環境保全も必要でありますし、総合的な計画が必要だから、各省庁でお互いに連絡し合ってやるというだけではなくて、きちんとしたコントロールセンターをつくって、それが開発委員会だと思うのですけれども、そうした中核的な組織をつくって総合的に推進しろというのが答申の意向だと私は思います。いまの総理大臣の御答弁は、そうした海洋開発委員会というような中核的な組織をつくることも念頭に置き、さらに海洋開発基本法の制定も念頭に置いて検討されるということでしょうか。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  259. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 そういう体制の問題、それから国際的な海洋法の問題の討議の進展を踏まえて推進していきたいと考えております。
  260. 二見伸明

    ○二見委員 外務大臣お尋ねいたしますが、海洋開発というのは、国内の体制及び法律整備とあわせて、私は、第三次海洋法会議の今後の推移が大きな問題になると思います。  それでお尋ねいたしますが、第三次海洋法会議の第九会期が今月ニューヨークで開かれていると聞き及んでおります。そして、この海洋法会議の最大の焦点は、深海海底資源の開発だと思います。三月から行われている海洋法会議第九会期では、大体各国の合意が得られるような見通しでありましょうか、それをひとつお尋ねをしたい。  もう一つは、それとは別に、なかなか話がまとまらないわけですね。まとまらないために、アメリカでは、海洋法条約が成立するまでの間、国内の暫定的な立法によって深海の海底の開発をやろうじゃないかという動きがあって、国内立法も辞さずというかなり強い動きもあるようであります。アメリカが国内立法をやりますと、西ドイツだとかフランスだとかイギリスも追随することも考えられます。これは、冷静に見ると決して好ましくないけれども、また日本の国連至上主義であるとかあるいは開発途上国に対する配慮ということを考えると、条約が決まらない間に国内法でどんどん進めるというのは好ましくないけれども、しかしきれいごとも言ってはおられない。アメリカやイギリスやフランスやドイツがどんどん国内法でもって海洋開発を進めてしまった場合に、わが国だけがおくれるということになる。きれいごとも言っておられないということになりますけれども、そうした外国の動きとの絡みで、外務大臣はどういう御判断をなされるでしょうか。この二つをお尋ねしたいと思います。
  261. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 海洋法会議につきましては、第九期がさらにニューヨークで開かれまして、これは最終の結論を出そうという努力をいたしておるわけでございますけれども、ただいま二見さんからもお話しのように、特に海底資源の開発につきまして、開発途上国側と先進諸国の間に十分の合意がまだ得られておらない状況でございます。特に御指摘のように、アメリカにおきましては、ことしの四月に立法の措置をとろうという動きもございまして、わが国の立場といたしましては、国連の尊重、それから開発途上国の主張にできるだけ耳を傾けるという立場を基本的には必要といたしておるわけでございますが、また資源の乏しい国でございまして、豊富な海底資源の開発に余り立ちおくれるようなことがあっても困る。この両者の間に何とか道を見つけて、現実的な利益を余り失わないで、しかも国連への協力、開発途上国の立場の尊重という目的も同時に果たしたいという努力を続けておるわけでございます。
  262. 二見伸明

    ○二見委員 海洋法会議でのまとまる可能性は大体どうなんでしょうか。かなりまだ厳しい段階でしょうか。
  263. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この海底資源の問題を除きまして、海洋法は大部分の問題が話し合いがついております。ただ、この海底資源につきましては、まだ予断を許さない状況と見ております。
  264. 二見伸明

    ○二見委員 いずれにいたしましても、時間もありませんので深い質問はいたしませんけれども、海洋開発はやはり今後の日本にとって大事な問題だと私も認識しておりますし、政府もそのつもりでお取り組みをいただきたいと思います。  次に、公正取引委員会お尋ねいたしますけれども、鉄鋼大手四社が鋼材の値上げを通告いたしております。新日鉄、日本鋼管、川鉄、住金が厚板で八千五百円、八千七百円、九千円、八千七百円という値上げの要求をしております。値上げ率では一一%前後になると思いますが、そうした値上げの通告をしております。これは値上げを通告しただけであって、このとおり価格が決まるものではない。自動車だとか家電だとか、そうしたところとこれから話し合いに入って最終的な価格が決まるのだろうと思いますけれども、しかしいずれにいたしましても、こうした大手四社、さらにこの後に神戸製鋼が続いてくるものと思われますけれども、そうした鉄鋼大手四社あるいは五社のこうした動きというのは、やはり独禁法十八条の二に基づいた同調的値上げと見ることができるだろうと私は思いますけれども、公取の御判断をいただきたいと思います。  それと同時に、同調的値上げだといたしますと、これはカルテルの場合には罰則などがありますので、カルテルとは形の上では違うけれども、経済的効果としては私はカルテルと同じことになるだろうと思いますが、その点について公正取引委員会の御意見を伺いたいと思います。  そして、通産大臣お尋ねいたしますけれども、通産省はこの鉄鋼の値上げに対してどういうような態度をおとりになるのか。さらに最終的な値上げ幅がわからないわけでございますけれども、卸売物価への影響についてはどういうような考え方を持っておるか。  もう一点ついでにお尋ねいたします。私は、こういう鋼材の値上げというものは、ただ何%鋼材が上がれば卸売物価が〇・何%上がるという単純なものではない。むしろそれが一つのふくらまし効果といいますか、水ぶくれ効果といいますか、便乗値上げを誘発するおそれが非常にありますし、これが卸売物価に火をつけ、それがさらに消費者物価へ波及するおそれもあると思いますけれども、これらに対する通産大臣の御認識もあわせて伺いたいと思います。  最初は公取からお願いします。
  265. 橋口收

    ○橋口政府委員 独禁法の規定によります価格の同調的引き上げの報告の規定がございますが、これは対象品目としましては五十六品目を指定いたしまして明らかにいたしておるわけでございますが、その中に、鉄鋼関係は鋼矢板からブリキまで十品目が入っておるわけでございまして、いま新日鉄を初め幾つかの鉄鋼会社から値上げの通告がなされておるわけでございますが、法律の規定によりまして、値上げが実行されました後におきまして、独禁法の規定に該当するかどうかの予備的な調査をいたしまして、該当いたしております場合には、値上げの理由について報告を徴する、こういうことになるわけでございます。  なお、同調的価格引き上げが行われました場合に、実質的にはカルテルと同じではないかという御指摘でございますが、カルテルは御承知のように共同の意思の形成ということが必要でございますから、それぞれの鉄鋼会社がそれぞれの判断に基づきまして値上げを通告いたしました場合には、これは共同行為と認定することはむずかしいかと思います。ただ、富士フィルム、小西六フィルムにつきましては、これも同調的価格引き上げの対象品目でございますが、このうちでエックス線フィルムに関しましては、共同謀議の疑いありということで二月に立ち入り検査をいたしておるわけでございますから、同調的引き上げの対象品目なるがゆえに違法性が阻却されるということではございませんから、そこに共同の意思があるとかあるいは合意があるということであれば、これは当然カルテルになるということでございます。
  266. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 通産省といたしましては、個別的な物資の価格形成に関しましては原則といたしまして需要者側と供給者側の双方の当事者間の自主的な交渉で決定されるものと考えておりまして、鉄の問題も事態の推移を見守っておるところでございます。  二番目の問いであります卸売物価への影響でございますけれども、鋼材が一〇%上がった場合には卸売物価が〇・二八%上がるように計算ではなってございます。  最後の便乗値上げの件でございますけれども、これは一番重要な問題でございまして、そういうことのないようにということで監視、調査をしておるのでございますけれども、最近特に省内に局長レベルの重要物資需給価格動向連絡会というものを設けまして、一層きめ細かく業種別、品目別に需給状況あるいは価格動向等調査、監査して、常時これを便乗値上げ等ないように監視しておるわけでございますけれども、必要に応じまして価格の急上昇が見られる場合には機敏な手を打たなければいけませんので、対策を講ずることにしてございます。  たとえば最近の例で申しますと、小棒ですね。これの主原料であるスクラップ価格が急上昇しておりますので、これを鎮静化するために高炉ビレット十万トンを放出いたしまして、そして価格の安定を図るというふうなことを進めてございます。
  267. 田村元

    田村委員長 通産大臣、もう少し明確な日本語で。語尾がほとんど聞こえない。
  268. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 わかりました。
  269. 二見伸明

    ○二見委員 残り時間がありませんので別の質問をいたしますけれども、いずれにいたしましても便乗値上げは厳重に監視していただかなければならないと思います。  財政再建について。財政論からいくと、財政再建は非常に重大な課題でございますけれども、非常に残り時間の少ない中で単純にお尋ねをしたいと思います。  財政再建とは、簡単に言ってしまえば、歳入と歳出のバランスを回復させろということであります。しかし、それには私は三つの方法があると思う。一つは歳出に見合って歳入をふやせるか、二つには歳出を歳入に見合った水準まで削減するか、あるいは歳出歳入とも見直すか、この三つきりない、財政再建というのは。  歳出に見合って歳入をふやす形で財政再建をするということは、単純に言えば増税路線であります。  第二番目の歳出を歳入に見合った水準まで削減するということは、これは増税はしないかわりに歳出はカットするということでございます。  三つ目の歳出歳入ともに見直すということは、多少の増税もするけれども歳出の方も多少カットする、そしてバランスをとろうというのが三つ目のタイプだと思うのです。  政府は、財政再建についてはこの三つのうちどの方法を選んで財政再建をされようとしているのか、それをまず伺いたいと思います。
  270. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いまの御指摘、端的に申し上げますと、公共サービスの維持、充実を目指すために負担の増加をお願いするか、二番目は負担の増加を回避するために公共サービスの水準の低下に甘んじていただくか、三番目はあるいは両者の組み合わせにより対処するか、そういう分析だと思うのであります。  したがって、この三つの選択肢の中で国民の判断を待つことになろうと思うのでありますが、政府としてはこの点についてはそれこそこうした国会の問答等を通じたりいたしまして、広い各界各層の意見を承りながら、まさに幅広い角度で十分検討して、それでもって財政再建を進めていかなければならぬ。この三つの選択肢のこれでありますという性格のものではないのではなかろうか。それこそその中で問答を繰り返しながら知恵を出していく、そういう課題ではなかろうか、このように考えております。
  271. 二見伸明

    ○二見委員 いずれにしても、これはその三つのうちのどれかしかないのです。それで、政府は数年財政収支試算というのを国会に提出をしてまいりました。これは新経済社会七カ年計画をそのとおり実行する、一方では特例公債を五十九年度にゼロにした場合に六十年度の財政はどうなっているかというものを単純に示してきたのが財政収支試算だと思うのです。これは、いや単に試算でございますからと大蔵大臣は大分お逃げになっておられましたけれども、私はこの試算というものは非常に興味のあることを国民に問いかけていると思います。  どういうことかと言うと、それは七カ年計画で予定している六十年度の姿を達成する、七カ年計画をそのまま忠実に実行していくならば大幅な歳入増が必要ですよ、すなわちそれは増税ですよということを財政収支試算は国民に問いかけていると思うのです。ですから、財政収支試算は国民に何を問いかけているかと言うと、七カ年計画を実行すればこのように大幅な増税路線をとらなければなりませんよ。そこで、政治は七カ年計画に基づいてこれからも財政運営をしていくという選択をするのか、それとももう七カ年計画というのはここいら辺で見直してしまおう、このように大幅な増税を国民にお願いするのは厳しいことだから七カ年計画そのもの自体を全面的に改定しよう、そうした上で財政再建を考えようという、こういう選択も当然あるべきだと私は思います。私はむしろ国民に大幅の増税をお願いするというよりも、七カ年計画まだできたばかりで大変心苦しいことではありましょうけれども、この七カ年計画というものはもう一度全面的に改定する必要があるのじゃないかと思います。現実的な財政再建という立場からいっても、七カ年計画は改定しなければならないだろうと思います。  もう一つ、そして財政収支試算では五十九年度特例公債ゼロということになっております。財政の立場からいくと、特例公債を五十九年度にゼロにしたから、それで財政再建ができ上がったんだという筋ではありません。きょうは細かい数字は申し上げませんけれども、六十年代の公債費、これは大変な額になる。一方では公共投資をずっとこのまま七カ年計画のペースでもってやっていく、二百四十兆の公共投資をやっていく。その結果建設国債が発行され、それは六十年代の財政のツケとなって回ってまいります。そうなると、特例公債をゼロにするだけが財政再建ではなくて、建設公債そのものも何とか依存度を減らす、発行数を減らしていくことも必要である。そうなったならば、二百四十兆という公共投資についてももう一度見直す必要もあるのではないかと思いますけれども、この点について大蔵大臣と、最終的にはこれは総理の方にも御見解をあわせて承りたいと思います。
  272. 竹下登

    ○竹下国務大臣 確かにいま収支試算につきましてその中身を十分存じながら、むしろ国民に対して一つの資料を提供したという意味においてはそれなりの評価をいただいた、というと少しうぬぼれかもしれませんけれども、そういう御意見でありました。したがいまして、そのものの性格についてはくどくど申し述べませんけれども、七カ年計画というものは去る一月二十五日に公表されました経済審議会の企画委員会のフォローアップ作業が行われたものでございますので、私は年々そうした見直し作業が行われていくべきものではないか、したがって私の立場からこれは改定すべきものであるというお答えを申し上げるわけにはまいりません。ただ、二百四十兆というものを消化するということは大変容易なことではないという認識はございます。
  273. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 七カ年計画は、昭和六十年度の数字を想定いたしましていろいろな仮定の数字をとってあるわけでございますけれども、それを数字化したもので――いや、七カ年計画に想定した状態を財政試算の姿で数字化したもの、財政試算というものはそういうものだと思いますけれども、これは、私がたびたび本院で申し上げておりますとおり、ここで増税の規模を示したものとか歳出を約束するとか、そういうものではございませんで、この中から税制のあり方とか財政再建のあり方とかの知恵をくみ取ろうとする一つの参考資料だと私は心得ておるわけでございますが、しかし、できるだけこの方向に近づけていきたいという努力目標は持っていないといけないのではないかと考えております。
  274. 二見伸明

    ○二見委員 以上で終わります。(拍手)
  275. 田村元

    田村委員長 これにて二見君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣健二郎君。
  276. 川俣健二郎

    ○川俣委員 いよいよ最後になってしまいましたが、私は、あらかじめ通告をしておる一覧表で確認だけ急いでいきたいと思うのです。というのは、当委員会においてあるいは分科会において、質疑応答のすれ違いあるいはまた委員長を通して理事会預かりという件数が非常に多かったので、さらにまた、理事会で協議した事項などを記録に残す意味もあって確認していきたいと思います。もちろん今後も参議院の予算委員会なり当該委員会なりで論議は続けられることですが、ただ、ここで大臣の意思決定をどうしても仰がなければならないという問題がありますので、できれば大臣からそれぞれ端的に答えていただければ大変に幸いであります。  そこで、まず総理一つ聞いていただきたいのですが、理事会で終始一貫きょう現在で結論が出ていないのは、婦人問題の集中審議であります。そこで党派を越えて予算委員長にそれを訴えまして、わが党はもちろんでありますが、そういう場面があったわけですが、どうしても時間の関係で集中審議が入らなかった。そこで私の考え方ですが、最も関係のある社会労働委員会なりあるいは文教委員会なりあるいはまた合同委員会等も理事の相談でとり行われる場合もあると思うのですが、その場合は婦人問題を積極的に取り上げて、出ていただけるかどうか、ここで確認しておきたいと思うのであります。総理大臣
  277. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 国会の方でそういうスケジュールをつくっていただきますならば、喜んで御協力いたします。
  278. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで、国際婦人年は一九七五年、ちょうどことしはその中間年にあるわけですが、その際に婦人問題企画推進本部というのが発足いたしまして、日本の場合は総理大臣がこれに当たるということになっておるわけであります。そこで、御案内のように差別撤廃条約というのが昨年十二月十八日国連総会で、わが国ももちろん賛成し、採択されたわけであります。そして、これに対する批准の問題でいろいろと各省庁間で協議いたしておるところでありますが、これは大臣も本部長ですから御承知かと思います。  そこで、今度の国連婦人年の中間年においてデンマークで会議があるわけです。幸いデンマークにわが国から初の女性大使が派遣されておる。高橋大使と言えば、かつて労働省においてそれぞれ上下に机を並べた三人の方々が、いまや一党の副委員長、一人は大使、一人は何とかといううわさがあるわけでございます。あるいはまた、昨日は初代の駅長さんが島根の方に生まれた。こういうようにいよいよもって、本部長、にこにこしているわけにいかないので、こういった問題に対する見解なども含めて、これからどう対処していくつもりか、総理の見解をここではっきり記録にとめておきたいと思います。
  279. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 婦人問題に取り組む基本的な姿勢といたしましては、まず憲法に定める男女平等の原則に基づきまして女性が男性と等しく国民生活のあらゆる領域にともに参加し貢献することができるような状態をつくらなければならぬことであると考えております。ことしは国連婦人の十年の中間の年に当たっておりまして、前半の経緯を回想するとともに後半の展望も明らかにして、決意を新たにして婦人問題の一層の進展に資するように努力したいと考えます。  それから婦人差別撤廃条約の批准の問題でございますが、これにつきましては目下各省庁の間で検討を進めておるところでございます。川俣さんも御承知のように、わが国では条約を批准する場合に現行の関連法制との関係調整を十分尽くしまして、調整を完了いたしまして批准するという非常に正直な方法をとっておるわけでございますけれども、この問題につきましてもそういうことで現行法制との調整をいま急いでおるところでございまして、批准の時期についていま明確な時期を申し上げる段階に立ち至っていないことはお許しをいただきたいと思いますが、鋭意調整を進めてまいるつもりでございます。  国連婦人の年の国際会議が行われるわけでございますが、これにはわが国としても恥ずかしくない代表団をつくりまして、わが国として十分積極的な貢献ができるように配慮いたしたいものと考えております。
  280. 川俣健二郎

    ○川俣委員 決意のほどはわからぬでもないが、どうも力づけのない……。  そこで内容に入っていきますが、婦人の年金権の問題です。皆さん方に聞いておいてもらいたいのですが、一つは被用者の妻は現在八割近くが国民年金に任意加入しておるわけです、これは任意制になっておるものですから。しかし、二割は加入していない。また離婚した場合の妻の年金の問題がこれに絡んでまいります。あるいはもう一つの大きな問題は、この委員会でもいろいろと論議されておりましたが、いわゆる遺族年金というのは日本の国は半分、いわゆる五〇%というのがずっと長い歴史的な姿勢でありました。しかし、じいちゃんが死ねば、ばあちゃんの入るふろの温度が半分でいいかという問題もこれありで、この五〇%という問題は、とてもじゃないがヨーロッパには恥ずかしくて、デンマークあたりに出ていってもかなりこの問題が出てくると思います。  こういった問題を厚生省で、やがて常任委員会でいろいろと論議もされ、法改正等もあるでしょうが、考え方だけをちょっと伺っておきたいと思います。
  281. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 妻の年金権とかあるいは扶助料におきまする寡婦加算など大変思いやりある、しかも御識見の高い御指摘でございます。敬意を表したいと思うのでございます。  現行制度におきましては、年金制度に任意加入する妻の年金取得の道が開かれておることは御指摘のとおりでございます。すでに被用者の妻の八割、五十四年度末におきましては七百四十一万人を超えておるという現状でございます。このことにおきまして、妻の年金権に対する一つの意識の高まりが出ておるということは御指摘のとおりであると思います。  そこで、今後の法をどうしていくかということについては十分検討しなければならぬ問題でございますが、年金制度の基本にかかわる問題でございますので、これは関係審議会に御審議をお願いしながら、今後とも継続して公的年金制度全般にわたる妻の年金権をどうするかということについて考えていかなければならぬと考えております。
  282. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がありませんから、さらに詰めたいのですが、進みます。  それで、賦課方式という論議がずっとされておるわけですが、必ず財源の問題が出てくるわけです。厚生年金なるものは、五十四年はまだ見込みになるわけですが、一体どのぐらいの収入で、どのぐらいの支出で、どのぐらいの残を大蔵省に積んでおるか、その辺を聞かしていただけませんか。
  283. 木暮保成

    ○木暮政府委員 昭和五十四年度の見込みでございますが、収入が六兆十四億円の予定でございます。内訳を申し上げますと、保険料収入が三兆九千八百億円、国庫負担が四千九百十六億円、利子収入が一兆五千百億円、これが主なものでございます。  それに対しまして支出でございますが、三兆二百三十六億円でございます。内訳は、保険給付費の二兆九千六百九十億円が主なものでございます。  差し引きまして余りました財源を積み立てておりますが、積み立ての累計は五十四年度末で二十四兆八百億円になる、こういう見通しでございます。
  284. 川俣健二郎

    ○川俣委員 読んでいただいたように徴収保険料が四兆、一般会計からわずか五千億、利息が一兆五千億、六兆円の収入。支出は何のことはない三兆円。そこで残りは積み立てている。やがて二十四兆円。何のことはない、これは銀行の利子を支給に充てているという程度なんです。もう賦課方式を根本的に考えていかないと――ここで確認しておきたいのだが、三野党と自民党との折衝段階で、出すでもない、出さないでもない、怪文書的な回答文みたいなのが廊下を飛び交っておった。その中に財政調整、無拠出制の福祉年金に拠出制の財源を充てる、こういったような文言があったやに思いましたが、まさかこれは厚生省にそういう理念というか思想があるからではないでしょうね。どうでしょうね、これは。
  285. 木暮保成

    ○木暮政府委員 福祉年金につきましては、今回の予算審議過程で与野党で御相談をしていただきまして、その結果、社労委員会等で御決定があるというふうに承っておりますが、ただいまお尋ねの点でございますけれども、福祉年金のあり方につきましては基本懇等で三年がかりの御審議をいただいておりまして、昨年の四月に意見をいただいたわけでございます。その際、福祉年金を上げるに当たりまして、現在の国家財政の状況から特定財源を考える必要があるんではないかという御示唆がございまして、私どもとしていろいろ検討いたしました結果、年金制度は現役の世代がOBの世代を養うという本質でございますので、福祉年金の受給者の子弟の方々が厚生年金や共済組合や国民年金の被保険者になっておりますので、こういう現行制度の被保険者の方々の負担ということもひとつ考えられるのではないかということで、昨年の秋に関係者に御相談をいたした事実はございます。しかし、いろいろ問題もあるということで、今後の検討課題ということになっておるわけでございます。
  286. 川俣健二郎

    ○川俣委員 これは問題があり過ぎるから、不問にするように、これ以上追い込みたくないのだが、時間がないから、制度審の権威も後ろにおられますので、どうかひとつ大所高所に立って、悔いを残さないように検討を深めてもらいたいと思います。  そこで、委員長のあれで理事会に預った一つに、いわゆる薬価基準なり実態調査なりが出なければ医療問題の審議ができないじゃないか、やがて審議されるであろう健康保険法も一切できないじゃないか、こういうことでわが阿部委員が取り上げまして、かなり中断をいたしたわけですが、ようやく二年ぶりで中医協を開きました、予算委員長の計らいで。向こうの方の親分も開くということで二年ぶりに開いたのだが、途端に支払い者側と診療者側との対立が見えたような、そこへ厚生大臣が行ってああいうごあいさつをなさったわけですが、これは国会が開けと言われたから、あるいは予算の問題に絡んで大変に紛糾したからなんというような問題じゃなくて、やはり厚生省は自信を持って中医協というものを管理していくというぐらいの気構えを持たなければ、これは支払い者側と保険者側と利害関係が対立するのはあたりまえなんですから。これは歴史があるわけですから。  ところが、かつては六、六、六、六という四者構成の時代があった。ところがいま、支払い者側が八、診療者側が八、学識経験者という公益委員が四名だというところにやはり問題があるのだろうと思うのです。そこで、やはりあらゆる審議会が三者構成、同数でいっているから、厚生大臣、この辺はひとつ自信を持って八、八、八にするとか、こういった考え方がないかというのが一つ。  それから構成なんですが、この診療報酬体系というものを審議するのには、どうしても二十ベッド以下の開業医というかお医者さん、この診療所側だけの代表では反映しないのよ。やはり公立、私立を問わず、病院経営という立場から診療報酬の体系というのを考えなければいかぬのだ。これは総理も否定しないと思うのです。そこで、公立、私立を問わず二十ベッド以上の側の人方もここに入れていく。ただ、いまのように向う側の親分の推薦の人だけ入れてやってみたって、やはり国会に持ってくると、国民のニーズ、一億の人方の代表にはなっていないのだという認識を厚生大臣はしかと腹に決めてかかってもらいたい。この件の問題をぜひひとつお聞かせ願いたいと思います、気構えを。
  287. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 委員長等のごあっせんもございまして、二年ぶりに中医協が開催されました。この機会に、そのごあっせんに対して感謝を申し上げたいと思います。  しかし、二年ぶりでございましたために、開会が若干おくれましたのは、今後の運営をどうするかということに対しての議論等がございましたので若干おくれたわけでございます。  さて、御指摘の中医協におきまする公益委員がきわめて重要な役割りを示しておる、そういう意味で公益委員の強化を図っていく気持ちはあるかどうか。これは中医協の運営を円滑にいたすためにも、大変傾聴に値するお考えであると私は考えておるわけでございます。しかしながら、長い歴史を持っております各側においてはそれぞれの意見もあることでございますので、御提案の処置を直ちにとりがたい面があろうかと思いますが、趣旨を踏まえてさらに検討を加えてまいりたいと考える次第でございます。  さらにまた、中医協に病院代表を入れるべきではないかという御意見でございますが、現在中医協の委員には、病院長それから勤務医などの大多冊数が参加いたしております日本医師会の推薦によりまして五名の委員が任命されておる、こういう実態でございます。お尋ね趣旨につきましては、御意見として慎重に配慮してまいりたいと考えております。
  288. 川俣健二郎

    ○川俣委員 総理、これはやはり総理に聞かせたいから言っているのだからね。病院長がいる、勤務医もおりますと言うけれども、それは医師会長の推薦の人なんですよ。そこに問題があるわけだ。だから、その辺をさらに検討すると言うのですからしてもらいますが、そこでもう一つ問題になったのは、例の実態調査と薬価調査結果を速やかに出さなければならぬという問題だったわけです。それじゃいつまでだ、やはり一カ月半ぐらいかかる、こういうことになる。一カ月半ぐらいかかるのでは、さっきの環境アセスの提出期限じゃないけれども、ここでひとつくどいようですが約束していただけませんかな。というのは、健康保険法の審議までには提出するというように確認したが、逆に言えばもう少し、私、くどい人なんで、この提出がなくては健康保険の実質審議には入れないという確認でよろしいかどうか。
  289. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 まず第一に、医療経済実態調査でございますが、いつごろに公表できるのかということでございます。先ほども触れましたとおり、去る三月一日に開催されました中医協におきまして、調査実施小委員会が設置されまして、その調査の取りまとめに着手いたしたわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、可及的速やかに取りまとめていただきたい、その結果を公表していただくように最大の努力を払うということでございます。この点を御了承願いたいと思います。  なお、薬価調査の結果でございますが、先般も申し上げておりますとおり、薬価算定作業は、本調査のほかに特別調査、さらに五回にわたる経時変動調査などを行いました関係もございまして、従前に比べまして相当の時間を要しておるわけでございます。現在全力を挙げて鋭意この薬価算定作業を進めているわけでございます。この作業が終わるのには、いま御指摘にもなりましたが、約一カ月半程度がどうしても必要である、こういう点でございます。どうぞこの点を御理解いただきまして、健保改正につきましては一日も早く御審議を煩わし、成立をお願い申し上げる次第でございます。
  290. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そういう答弁であれば、ちょっとこれは話は進まないのですよ、大臣。ここまでは確認したわけですよ、健康保険の実質審議までには出しますということの予算委員長の計らいで、確認して中断が解けたわけです。ということは、それが出なければ、健康保険の審議というのは大臣知っているように値上げだけじゃないわけだから、それがもとにならなければ審議にならないわけだから、それくらいは確認したっていいでしょう。ちょっと後退したよ、いまのは。
  291. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 いま見通しを申し上げたわけでございますが、可及的速やかにいずれも調査の結果を公表できるように最善の努力を図りたいと考えます。
  292. 川俣健二郎

    ○川俣委員 健康保険の審議に絡まして返事してくださいよ。
  293. 石野清治

    石野政府委員 お答え申し上げます。  医療経済実態調査につきましては、先ほど大臣お答え申しましたようにすでに小委員会審議いたしておりますので、これは健保法の審議に十分間に合うようにいたしたい、こう思っております。  それから、第二の薬価調査でございますが、これは中医協に実は関係ないわけでございまして、厚生省独自で調査をいたしておりますが、これも事務的には一カ月半程度要しますけれども、一日も早く作業を進めまして健保法の実質的な審議に間に合いますよう最大の努力をいたしたいと思います。
  294. 川俣健二郎

    ○川俣委員 いまの答弁大臣局長と逆じゃないですか。だから大臣、もっと意思決定をしないと内部が混乱しますよ。大平総理、そうでしょう。  そこで次に、労災事故でいろいろと私も関心があるのは、いまもこういう審議をしているさなかに出かせぎ農民の労働災害というのは絶えないわけです。その辺で穴を掘ったり何かしている人方がいるでしょう、あれは竹中とか大林の直系の社員は一人もいない。みんなたんぼから秋に出てきて穴掘りをやっているわけです。  そこで、労災事故の一番多いのはトンネル工事なんです。そこで労働省をいろいろと煩わして調べてもらいますと、本当にここ最近で、山形の農業用水路トンネル建設工事九人死亡、これが五十三年。その前の五十一年は同じく山形で農業用水路トンネル建設工事九人死亡、例の有名な大清水トンネル死亡十六名、それから湯沢トンネルの火災事故。これは自然条件が穴掘りだからどうしても事故が多いんだとおっしゃるのだが、私の視点から見ると、そんなこと言ったら鉱山は毎日死ななければならぬ。  そこで、どこが違うかというと、通産省所管の鉱業権の採掘の場合は、施業案を出して審査してもらって認可制になっているわけです。ところが、普通のトンネルを掘るときは、ただやりますという届け出制でいいわけだ。あそこに鉱石があるかもしらぬから掘るというときは認可制、あそこに水を通したいから掘るというときは届け出制、ここに非常に問題があるということがわかりますか、労働大臣。これを長年やってきたんだが、ぼつぼつ労働省も結論を出してやらないと、労働安全衛生法は単なる届け出制、それから鉱山保安法はがっちり施業案で認可制。だから論より証拠、山形で九人埋まった、さあ大騒ぎだ。農林省で許してみたもののもうどうにもならない。救出の方法も知らない、保安の知識もない。それで東北六県から鉱山屋さんを呼んで、ようやく遺体でしたけれども救出をしたという実態があった。こういう問題に対して労働大臣、一言お話し願いたいのです。     〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
  295. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 建設業におきます労働災害が多発をしているということは先生指摘のとおりでございまして、特に大型の災害が発生をして、そのことを大変心配をいたしておるわけでございます。そこで、先生から御指摘をいただきましたように、今回、労働安全衛生法を初めとする一連の法改正をお願いいたしまして、建設業における労働災害を防止いたしますために、従来よりもずっと強化した形で取り組んでいきたい、このように考えてお願いをいたしておるところでございます。  なお、御指摘がございましたように、いろいろな計画を事前に審査をしてチェックをしていく、しかも労働安全という立場からチェックをしていくということは、長年先生から御指摘いただいてまいりましたように、非常に重要なことだというふうに考えておる次第でございます。今回の法改正の中で、危険かつ規模の大きいトンネル、それから、これまた危険かつ規模の大きい橋の工事につきましては、事前に直接労働大臣の手元で審査をして決めるということにいたしたいと考えまして、計画の段階でその安全を審査するという形に持っていくように法改正をお願いしたい、こう考えておる次第でございまして、今後とも御鞭撻をいただきますようにお願いをいたしたいと思います。
  296. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それから、分科会の最も希望者が多くて主査の皆さん方の調整を煩わしたのは、農林水産の質問であったわけです。これはまあ農林大臣もその辺はわきまえているだろうと思うのだが、このままで、転作奨励金を出すから転作物をつくれと言ってみたって、北海道の一万九千トンのタマネギを海に捨てているのを見せられると、一体これは効果があるんだろうか。大蔵大臣からは、余り好ましくない施策だと思うという発言まで出てくる。一体これは続けていくのかね。  それから、世に言われる八十万ヘクタールという体制、日本の水田の三分の一だ。これが全部この対象になる。こういったところをひとつ農林大臣予算委員長から言わせると答弁の新人賞――政務次官やめろとはもう私は言いません。あれ以上農水の政務次官に据えておくのはおかしい、自民党が公認できない者を政府委員として置くのはどうしても農村から見ればこれは理解できないよと言ったけれども、これは農村軽視と言わざるを得ないかなと思って聞いていたんだが、その辺は答弁は結構ですから、生産調整と効果、転作、八十万ヘクタール。生産者米価は農民にとっては賃金なんです。この賃金は二年間据え置き、ことしは三年目。物価とほかの賃金はどんどん上がっていっているという状態なんです。これにこたえるという農林大臣の姿勢を、余り新人賞をもらわなくてもいいから、もっと本当に誠意のあるところを聞かしていただけませんか。
  297. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 お答えをいたします。  いまの私どもが五十三年から進めさしていただいております水田利用再編対策、これはいつまでも続けるのかどうか、こういう御指摘がまず第一点でございます。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 これに絡んで大蔵大臣からは、必ずしもどうも財政上好ましくないような発言もあったではないか、こういう御指摘でございますが、私どもといたしましては、この水田利用再編対策というものは、今後の日本の農業のあり方としてどうしてもこれは続けさしていただきたいと考えておるわけでございます。  その理由といたしましては、現在御承知のとおり、米は六百五十万トンほど在庫を抱えておりますが、小麦やその他大豆にいたしましても、ほとんど外国からの輸入に依存しておるわけでございます。今後食糧の安全保障という問題が日本の国にとっても大変大切な問題である、こう考えておりまして、その米にかわって大豆なり小麦をより多くつくっていただけることが私は日本の国の農業のためにもなり、また日本の国民のためにもなる、こう考えておるわけでございます。もちろん財政上の問題はございますけれども、これは将来の問題といたしまして、私ども一方において農業を見ておりますと、施設利用型の農業の場合にはわりあい生産性が高いのでございますが、土地利用型農業においては非常に生産性が低いわけでございます。そういう意味において、経営の規模を大きくしていく、こういう点にはひとつ農民の皆様方にも御協力を願いたい、私どもも法制上の整備をしたい、こう考えておるわけでございます。  それから、八十万ヘクタールというお話でございますが、これはたまたま六十五年、十年後の見直しとして、その長期的な需給の見直しといいますか見通しの中で、いまの減少してきている米の減少の状態から見ていくと、大体そのくらい米の生産を抑えて転作に持っていかなければならないのではなかろうかという、私ども一つのたたき台としてつくった数字の中から出てきた問題でございまして、まだこれは農政審議会でこれから議論されていくわけでございますし、もし今後米の消費の拡大がもっと図られる場合にはこれがもっと減ってくるわけでございます。そういう点においてはこれはまだただ単なるたたき台の数字と、こう御理解をいただきたいわけでございます。  それに絡んで生産者米価とかいろいろお話もちょっとございましたけれども、生産者米価については従来どおり、食管法に基づきまして米価審議会にお諮りをして適正な価格を決めていきたいと考えておるわけでございまして、いまの時点ではまだ私どもは白紙の状態でございます。
  298. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこまでは聞かなかったんですけれどもね。  そこで、今回のアメリカの対ソ制裁というか穀物輸入の問題と絡んで、いろいろと外務省、農林省も経済摩擦の関係もこれありだろうが、一体日本の内閣、政治家はどっちを向いているのかということを言われぬようにやらないといかぬと思います。  そこで、私、一つ農林大臣に提案があるのですけれども、この前にお示ししましたように、何兆円と補助金を出して土地改良をやったわけです。これは何のことはない、水田用の稲作のための土地改良であったわけです。ところが、そこヘイモを植えるのソバを植えるのといったって、隣が水をだぶっと入れておいて、セメントであぜでもつくってくれるんなら別だけれども、これが特に単作地帯の農村風景です。そこで、今回多くの皆さん方に、学のある皆さんにテーブルに出されたのは、社会もそうだが、えさ米の問題です。いわゆる南洋のインディカと日本型のジャポニカとの境がフィリピンのマニラのIRRIに試験場があって、どうしてもえさ米というのはインディカ米の方が一トンぐらい取れるので奨励しておるわけですね。それが一体日本にできるか。ところが韓国ではやっておるじゃないか。それから戦略物資にこの穀物がいつならぬとも限らぬということを考えると、それから水田利用そのものに土地改良しておるんで、上の方からイモを植えろ、ソバを植えろという機械的な転作ではなくてある程度は、地方のそれぞれの県知事を通すわけだから、これはえさ米といったって日本の国全部えさ米をやりたいと言っているんじゃないわけだ、もう単作地帯で米しかできない、稲しかできないというところに声が大きいわけですから、こういった面は、自治大臣もうなずいておりますけれども、かなり大変な問題なんですよ、その点を提案したいんだけれども、どうです。
  299. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 えさ米の問題でございますけれども、従来なかなかコスト的に合わない。これはいま飼料穀物はほとんど輸入に依存しておるわけでございまして、その輸入価格と比べると、いまの米の値段は大変高いわけでございます。また、私どもがいま過剰米の処理で飼料用にというのは大体トン三万円ぐらいでございまして、現在お米は二十八万円ぐらいでございますから、とてもじゃないけれども、これは金額的に合わない、こういう問題が一つあるわけでございまして、これは御承知のとおりでございます。  それから、もう一つ従来から言われておりますのは、いわゆる主食に供せられる米とそういうえさ米との識別をどうするか、こういう問題がもう一つの問題としてございまして、正直、従来は農林水産省としてはこの問題については非常に消極的な姿勢を実はとってきたわけでございます。  しかしながら、非常に御熱心にあちらこちらで研究をしていただいている方もございますし、私といたしましては、この問題についてはやはり今後真剣に取り上げていかなければならない問題ではなかろうか。ただし、いままでのそういういろいろな理論の中で問題点と指摘をされていることにもやはり十分注意をしなければいけない。そういう点で、何とか少しでもコストが安くなるようなものがもっと開発されないだろうか、もっと真剣に技術開発に取り組んでいくべきではなかろうか。また、いま御指摘のありましたように地域によっては湿田、いまわれわれが何とかひとつ排水事業をやっていただきたいとお願いをしても、どうにもできないところもあるわけでございまして、そういうところはどうするかという問題についてはやはり真剣に考えていかなければならない。幸い、従来の転作奨励金の問題としては、知事さんが農政局とよく御相談いただいて、特別にこれはというものは認めているわけでございます。でございますので、大変むずかしい問題はまだ残ってばおりますけれども、将来ひとつ転作奨励金の対象にもこれは含められないだろうかということも含めて、私は真剣にこの問題を検討させていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  300. 川俣健二郎

    ○川俣委員 わが党の質問に対しても、ひとつ現地も見ようという積極的な発言もあったし、転作の対象物にえさ米も入れてみようということも含めて検討するということであれば、私も次に移ります。  私は、ここでずっと終始一貫大臣答弁を聞いて、これは大分いけるなと思ったが、問題は環境アセスの問題なんです。非常に元気よく大臣は答えるんですけれども、ところが分科会とかそういうところへ行くと、これは大臣そのものが後ずさりした答弁をするということを指摘しているのじゃないんだが、何となくそういうにおいがしてしようがない。さっき二見委員にも、環境アセスは早急に出したい。私らは、十四日が閣議の最後だ、法案提出となるとその辺がめどだと思うのだが、これは私はこれ以上詰めませんが、ここでは非常に前向きに答えているようだが、同じ環境庁がちょっと場所を変えると、部屋が小さくなったりすると、いっちゃうんですよ。そういうにおいがする。これは本当だ。たとえばうちの児玉委員が第一分科会でしたか、私もちょうど聞いておったんだが、例の大隅開発に関して、全然もうここで答えているのと、あら別の人が来たんだろうかという、これは大臣じゃなかったんだが、特にこれは前の長官や小山、山田元長官の発言なんか全然無視しちゃって、これでは全く、秋田の言葉に目放しできないという言葉があるが、これは通産大臣も詳しいんだが、関西では目外ししたらあかんと言うんだそうだが、本当に目放しできない。  ひとつこの辺で長官、もう一遍ここで確認したいんだが、本当に環境アセスというものを企業サイトに立たないで――通産省はそれは当然かもしれませんよ、あるいは。だけれども、環境庁なんだからね、環境庁がぐらついて、場所が変わるとその都度答弁が変わったんじゃ、これは予算委員会で何で確認するか。そういう意味において私は」、志布志湾港の拡張と大隅開発計画との関係をあえてここで議事録にとめたいと思う。
  301. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。去る三月五日の第一分科会におきまして、志布志港の拡張と新大隅開発計画とは別個のものであるとの児玉先生に対する金子局長答弁は、昨年三月の港湾審議会におきまして、志布志港の拡張計画を審議いたしました際に、環境庁の立場を明らかにする意味におきまして発言したものと同一でありまして、その真意は、志布志港の拡張を承認するとしても、それは新大隅開発計画に対し前向きであることを意味するものではない旨、念を押したところにあります。なお、過日の局長答弁に言い過ぎがありました点につきましては、率直におわびをいたします。  また、小山元長官、山田元長官が現地あるいは国会におきまして、日南海岸国定公園の志布志地区は国定公園としてきわめて重要な地域と考えており、これを安易に解除するつもりはないという趣旨の発言をなされておりますが、この方針は現在も変わっておらないことを明確に申し上げておきます。
  302. 川俣健二郎

    ○川俣委員 もう目放ししてもいいんだと思うんだが、しっかり頼みます。  それから、今日の課題で宅地問題、これは大きな問題だと思うんですが、住宅宅地問題が非常に大きな施策だと思うんですが、これはここで聞いておってもそうだし、常任委員会でもどうも私、理解できないんです。これは本当に聞くんですから、本当に質問なんですが、一体この土地税制の緩和は役に立っているんだろうか。五十三年、五十四年、やっぱり土地は下がらないし、さっき午前中に土地投機の問題もずっと私、聞いておったんですけれども、この土地税制の緩和のところへ相手さんは非常に刺さってくるんだろうなと思って聞いていたんだが、その辺を一体どう思うだろうかというのが一つ。  それから、同じ内閣でこの土地税制の緩和に当たり、大蔵省と建設省の間に改正による宅地供給の効果について何か意見が違うように私、はっと思った、あのときに。それは大蔵省は税金を取り立てればいいんだからというそういう端的な問題じゃなくて、理念の問題として私はちょっと見解が違うなというように感じたんだけれども、これは本当にあれなんで、最初に建設大臣、それから後で大蔵大臣
  303. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答え申し上げます。  私どもも住宅政策をいま一生懸命やっておりますけれども、その前提としては、まず宅地の供給を推進しなければならぬ。特に最近の地価問題等もいろいろ御心配をかけておりますけれども、それは需要と供給のアンバランスから生じたものではないか、そういう意味で私どもも宅地供給には実は全力を挙げておる次第でございます。  そこで、お話しのように五十三年、五十四年には、土地税制の一部緩和が行われましたことは事実でございます。御承知のとおり、法人の土地譲渡益重課制度あるいはまた個人の長期譲渡所得の、優良な住宅地等を造成いたした場合に土地を譲渡した場合の特例を設けるという措置をとらしていただいたわけでございますが、ただ、五十四年度には先生御承知のように、優良宅地という条件をつけましたけれども、これは相当厳しい内容がついております。たとえば三十戸以上のマンションでありますとか、五十戸以上の団地でありますとか、あるいは開発許可を受けました団地の土地の譲渡であるとか、そういう厳しい条件がついておりまして、そのために私どもは、五十五年度さらにその改正につきまして要望いたした次第でございます。  それで、宅地供給量というのは、税制のみではありませんので、いろいろな総合的な施策をやってまいりますけれども、各種の社会的経済的ないろいろな条件によりまして複雑な影響を受けるものでございますから、私は税制も重要でございますが、税制だけで宅地供給効果との関係を一義的に述べるのは大変むずかしいことではないかと思っております。しかし、経過をたどってみますと、昭和五十三年から宅地開発の先行的指標であります開発許可の面積が、ちょうど五十三年には五千三十五ヘクタールになっておりまして、五十一年には大変落ち込みまして三千五百八十ヘクタールでございました。したがって、この五十三年の開発許可の数字というのは昭和四十九年並みになっておりまして、ある程度回復をしてきておるわけでございますので、もちろんこれは、それが宅地となって出ますのには数年かかりまするけれども、私はそういう意味では、相当な効果が上がるものと実は期待をいたしておりまして、総合的な宅地供給策を全力を挙げまして推進をいたしたいと考えておるわけでございます。  第二点の、大蔵省と政府部内で意見が違っておったのではないかというお話でございますが、実は私どもは宅地供給促進の立場から、いま申しましたような意味で、昭和五十五年末に期限が到来いたします個人の土地譲渡所得課税を初めとする、たとえば買いかえ制度等土地税制の緩和を要望してきたのでございますけれども、今回提案いたしておりまする改正を得るまでの過程では、政府部内におきまして多角的な検討を行ってまいりまして、そして現在のような内容のものとなった次第でございます。したがって、政府としての意見は、この点におきましては一致をいたしておるわけでございますし、私どもといたしましては今回の改正は、非常に適正な税負担を維持しながら、一面、特に大都市圏におきまする宅地供給の促進効果をねらったものでありまして、バランスのとれた適切な改正案である、この税制を中心といたしまして総合的な宅地供給策を推進してまいりたい、こういうつもりでございます。
  304. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私に対する御質問、二つでございます。  土地政策におきまして税制の役割りはあくまでも、いまも建設大臣も申しておりましたが、補完的、誘導的なものであります。しかし、土地税制のあり方が宅地の供給に影響を与えること自体、これもまた否定するわけにはいかぬ。したがいまして、いろいろ問題がございますが、途中で意見が異なっておったではないかということも、その議論の段階においては、あるいは特別な措置を行う場合の面積とか、そういう問題についての議論はございます。しかし、その議論の過程において調整されて出た案はまさに政府一体の案でございます。  私どもといたしましては、従来のこの基本的な枠組みを維持しながら、宅地供給と地価動向等の実情に着目して、宅地供給がふえることを今日期待をしておるわけであります。ただ、統計数字を見てみましても、日本の国は人口密度が三〇四であるし、アメリカは二三であるし、イギリスは二二八、西ドイツは二四七、フランスは九七、イタリアは一八七、そういう国土狭隘にして人口多しというような状態を考えれば考えるほど、地価問題は基本的には総合的な土地政策の中で解決すべきものであって、税制の果たす役割りというものはあくまでも補完的、誘導的なものであるという認識をさらに最近強くしております。
  305. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは何で税法を-時間がないから進みましょう。  それから分野法の問題で、クリーニングの問題・を出して、大手が取次店といってクリーニング師も置かないで法の網をくぐって全国的に猛威をふるっておる。これはもうほとんどの先生方がそれを認識しております。そこで、いまの環衛法でこれは一体食いとめることはできないのかということであった。そうしたら、厚生省の方からその後私に連絡があって、いろいろとやった結果、フランチャイズ方式でどんどん入っていくものだから、分野調整法はそれを食いとめていない。それから地域でやっているものだから、クリーニングは都道府県知事に権限があります。ところが分野法はない。こういったもので、ひとつ通産省の担当局長で結構ですから、その件をこれからどう指導していくのか、あるいはまだできたばかりの分野法をいま手直しするのはという気持ちも私はわからぬでもないのだが、では強力なる指導でもあるかどうか。
  306. 左近友三郎

    ○左近政府委員 分野調整法の運用の問題あるいは今後の取り扱いの問題でございますが、一つは、分野調整法の現行の制度では、調査及び調整の権限は主務大臣が持っておるということでございまして、一応都道府県知事は関与しないという形になっております。これは事柄の案件が、ことに大企業が全国相当広域にわたって進出するという例が非常に多いわけでございます。クリーニングでも九州から沖繩というようなことがございます。そういうことがございますので、紛争の調停はやはり主務大臣がやるのが妥当かというふうに考え法律ができたわけでございます。ただ、この紛争の形態は業種、業態に応じましていろいろでございます。広域的なものもございますが、地域的なものもないわけではございません。したがいまして、地域的な問題につきましては都道府県知事に主務大臣が連絡をいたしまして、その意見を尊重しながら調整を図っていくというふうな形でやっておるわけでございますけれども、御指摘のようにいろいろ将来の紛争の形も考えますと、この都道府県知事の位置づけが現行でいいかどうかという点につきましては、先般来の御意見もございますので、われわれも検討を進めていきたいと考えております。  それから、フランチャイズチェーンによりましてやる場合について分調法が適用できないではないかということがございますが、分調法によりますと、大企業者のほか中小企業者でありましても実質上大企業の支配を受けているものについては適用があるということで範囲を定めておるわけでございます。  ただ、フランチャイズチェーン全体を一括してやりますにつきましては、プランチャイズチェーンの中にも大企業の実質上の支配を受けていない部面もございます。それからまたフランチャイズチェーンというのが、中小企業者がそれをうまく利用して伸びるという点もございます。したがいまして、この点についてはわれわれも検討いたしますが、やはり相当慎重に考えてやりたいというふうに考えております。  以上でございますが、今後の運用の問題につきまして、この実態に合うように十分配慮いたすとともに、将来、法をどう持っていくかという点についても絶えず検討を続けていきたいというふうに考えております。
  307. 川俣健二郎

    ○川俣委員 私はぜひ手直しする時期がぼつぼつ来たのじゃないかという感じを持っておるのですが、まだ早いという大方の意見が国会内にあるようですから、ひとついまの法律のあれをぜひ最大限に利用して、時間がないからこれは厚生省に聞かないけれども、クリーニングなんというのはあなたの方なんだから、もっと大手の進出を、安かろう、速かろう、悪かろうというクリーニング屋を抑えることを考えないといかぬのではないかということを申し上げておきます。  それから、この前一般質問でわが方の委員から質問された戦後処理の中でシベリア抑留者、強制労働を受けてきた、この問題の補償を迫っておることは皆さん御承知のとおりだと思います。全国で五十五万人、組織だけでも十五万人。きのうか、超党派で日比谷公会堂で超満員で総決起をやって、各党にそれぞれ超党派でお願いします、頼みますという姿勢がありありです。早くも参議院の候補者など推薦した決議なんか出て、これは大変なものだ。全国区だって各党全部一人ずつ推薦するというあたりは何とかしてほしいという哀訴嘆願のあらわれだ。これは長年やってきた。  そこで問題は、なぜ解決していけないかというと、総理、官房長官のあたりでよく聞いておいてもらいたいのは、あれは一体何だったんだろうかということなんです。八月十五日でポツダム宣言によるとまる腰になって早く祖国へ帰って平和国家建設ということですから、もう国際法的にはどうにもならぬ。したがって、日本の国内であれを概念づけてやらないと、厚生省だって援護法適用といったってこれは限界がある。それから恩給だといったってだめなんだ。あれは概念づけてやらないといかぬのだ。そういう中から捕虜だという言葉が出てきて大変な逆なでをしてしまった、捕虜とは何ですかと。八月十五日で一切戦争が終わってから捕虜とは何ですかということになった。そこで、前の外務大臣の捕虜ではないという答弁で一応落ちついた。これをいまの外務大臣確認できますか。
  308. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 前外務大臣の園田さんから、いま御指摘のような発言がなされたことを承知いたしております。
  309. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、いまの大臣も捕虜とは解せないという説明ができますか。もしあれなら、いままでのいきさつを知っておる担当局でもいいです。
  310. 武藤利昭

    武藤政府委員 ただいまの園田前大臣の御発言でございますけれども、その趣旨は、まず、ソ連に抑留された方々がシベリアを初めソ連国内において強制労働など言語に絶する御苦労を重ねられたことはまことに遺憾なことであって、心痛にたえないという気持ちをお述べになっておられます。  さらに園田前大臣は、わが国の当時の精神的風土として、戦陣訓等の中で言われるように生きて虜囚の辱めを受けずといった考え方があったことを踏まえまして、シベリアに抑留された日本軍将兵の方々が、仮にも道義上及び軍律上非難を受くべき捕虜と混同されるようなことがあればそれは言語道断であって、政府としてもこれらの方々をそういう意味での捕虜呼ばわりする考えは全くない、そういう趣旨をお述べになったものと承知いたしております。
  311. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで確認できるかと言っているのです。
  312. 武藤利昭

    武藤政府委員 私どももそのような考えをとっておりまして、つい数日前、ただいまお話のございました抑留者の代表の方々三十数名が外務省にお見えになりまして、私、お目にかかりましたときも、いまと同じようなことを申し上げております。
  313. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで、こういう解釈からぼつぼつ関係省庁でこの救済策を考えていくことになるわけだが、こういう矛盾なんか官房長官御存じですか。たとえば村役場に勤めておって兵隊へ五年行ってきた、それで帰ってきてまた役場に戻った、こういう場合は年金は全部つながります。それから、村役場に勤めておって、同じ五年兵隊へ行ってきた、帰ってきてから日通に勤め直した、こういう場合は一切年金がつながっていない。これは日通でなくても、農家になった、商店になった、こういう問題があることを御存じですか。
  314. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 恩給関係の詳細でございますので、私がお答えするよりも担当の方でひとつお答えしますので、それは私もそのとおりだと認めますから、どうぞ。
  315. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 共済制度におきまして軍歴期間を通算いたしておりますのは、恩給制度はいわゆる共済年金制度の前身制度である、こういうことからでございまして、したがいまして、厚生年金が旧厚生年金保険法の被保険者期間を引き継いでおると同様でございます。つまり、文官、役場に勤めておったとかあるいはその他の公務員として勤めておった者が帰ってまいりましても、それは軍歴期間が通算されます。しかし一般的には、恩給は御承知のとおりいわゆる国家補償の考え方に基づきます国の約束の履行であり、それに対しまして厚生年金とか国民年金というものは社会保険制度である、こういう観点におきまして、これを通算するということは大変むずかしい問題でございます。それは軍属とか準軍属、さらにまた厚生年金制度発足以前の民間人とのつり合いの関係を失ってしまうという問題もございまして、何とかこの点について解決策はないかと私も考えてまいりましたけれども、いまのところ大変むずかしい問題であり、むしろこれは恩給問題としての検討すべき課題かもしれないし、あるいは恩給外の問題としてこういう軍歴期間をどう処遇するかということは別の問題として検討しなければならぬ、いまのところ厚生年金、国民年金に軍歴期間のみを通算するということは大変問題があるということを申し上げざるを得ないのでございます。
  316. 川俣健二郎

    ○川俣委員 このように、窓口はこれは総務長官ですけれども、やっぱり官房長官のところで、各省庁にまたがるし、何のことはない、帰ってきて、復員してきて、君は役場へ戻れと言って戻る、こっちは農家へ行く。役場へ戻ればずっと通算になる、農家になれば通算にならない、あるいは農家でなくたって、民間会社に行けば兵隊の間が一切通算にならない、こういう矛盾が戦後処理としてあるので、ぜひひとつ長官、これを御承知おきの上、今後処理していただきたいと思います。  それから、文部大臣にせっかくお願いしておるので、愛国心教育という、私らにとってはなつかしいというか、こういうあれが分科会で出てきておりますが、具体的にどういうようになされるのでございますか。というのは、私らの年代は、前までは「ハトマメ マス ミノカサ カラカサ」という非常な平和的な墨絵をわれわれが兄さん方の本を一生懸命勉強したら、途端に「コイ コイ シロ コイ」「ヘイタイススメ」「ヒノマル ノ ハタバンザイバンザイ」とこういうように、これでとうとう昭和二十年まで突っ込んだわけです。こう言えば私など年がわかるわけでありますが、その辺を少し具体的にどうなさるつもりですか。
  317. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 お答えをいたします。  国を愛する心を養うことは大切なことだと考えておりますが、学校教育におきましても、児童生徒の心身の発達の段階に応じまして、特に社会科でありますとか道徳の科目におきまして、国土に対しまする理解あるいはその歴史の認識、こういうことを教えておりまして、国民としての自覚と、国を愛する態度を育成するように指導をいたしておるところでございます。  たとえて申し上げますと、いわゆるカリキュラムと申しますか指導要領の中で、たとえば小学校社会科におきましては、第六学年の「目標」の中で「我が国の歴史や伝統を大切にしようとする態度を育てる。」ことや「世界の中の日本人としての自覚をもつようにさせる。」ことを示して、わが国の国土や歴史の学習を通じてわが国に対する愛情を育てるようにしていくように、こういうようなことでやってきておるわけでございます。もちろん、国を愛する愛国心といいましても、小さい子供たちのときにそういうことを言ってわかるわけでもなく、自分の家を大切にする両親との間の密接な関係をあれする、隣人の方々とのあれをやる、郷土に対しまするいろんな愛着、こういうようなものの積み重ねの上に出てくるわけでございますので、いま一例を申しましたけれども、そういうことでやっておるのが現状でございます。
  318. 川俣健二郎

    ○川俣委員 時間がありませんから、これはいろいろと論議が続けられなければならない問題だと思います。  そこで一つだけ、電気料金の問題ですが、先ほど大内委員にいろいろと答弁をしていただいておりましたので、一つだけ伺いたいのは、わが党が委員長名できのう八項目にわたる項目を要請いたしました。今回の電気料金を引き上げるに当たって通産大臣あてに要請書を出し、わが党のコンピューターによれば三三・五七ですか、こういうのもお示し申し上げて出したのですが、ひとっこれは後日、項目ごとに文書で御回答願えるかという一言だけ確認できれば……。大臣からで結構ですから。
  319. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 きのう確かに社会党さんの方から電気料金の改定申し入れを受けておりまして、けさ私も二回ばかり拳々服膺いたしました。いま査定の最中でございますので、この申し入れを十分参考にいたしまして慎重に査定を行いたいと思います。やがて査定が済みますので、査定が済みましたときには皆さんの申し入れに対しまして回答申し上げたいと存じます。
  320. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大変よくわかりました。ありがとうございました。(拍手)
  321. 田村元

    田村委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして締めくくり総括質疑は終了し、昭和五十五年度総予算に対する質疑はすべて終了いたしました。
  322. 田村元

    田村委員長 ただいままでに、日本共産党・革新共同の寺前巖君外三名から、昭和五十五年度予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議が提出されております。  これより、本動議について趣旨弁明を求めます。寺前巖君。
  323. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度予算三案につき、政府がこれを撤回し、編成替えを求める動議についての理由及び概要を御説明いたします。  まず、動議の主文を朗読いたします。   昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算については、政府はこれを撤回し、左記の要綱により速やかに組み替えることを要求する。   右の動議を提出する。  動議の内容については、お手元に配付しておりますので、以下、動議提出の理由と概要を要約して申し述べます。  まず、編成替えを求める理由であります。  八〇年代に入り、日本経済は、スタグフレーションや石油危機の新たな進行など、経済危機、国民生活破壊の一層深刻な様相を改めて示しつつあります。すなわち、昨年における景気回復は、結局大企業だけのものに終わり、雇用の改善が立ちおくれたばかりか、第二次石油危機とともに再び物価の上昇、中小企業倒産の増勢があらわれ、また、国際収支も大幅な赤字を出すに至っています。日本のエネルギー危機は、今日、極端なメジャー依存に陥った段階で、そのメジャーからの原油供給の一方的削減で脅かされていること、日米安保条約に縛られて自主的資源外交へ進めないこと、石油にかわるエネルギーへの移行がほとんど準備されていないことなどから、今後打開の見通しも立たないありさまであります。  同時に、国家財政は破局とも言うべき深刻な危機に陥っており、国民生活擁護と危機打開のための政策転換にも障害をつくりだしています。それだからこそ、国民生活擁護、危機打開の政策とを、あわせて進めなければならなくなっているのであります。  しかも、深刻な財政危機のもとでも、軍事費はアメリカの圧力とわが国反動勢力の策動によって大幅に伸ばされ、自衛隊は侵略的機能を著しく強めています。  さらに、相次いで明るみに出された中央官庁と特殊法人の乱脈経理、汚職腐敗事件は、長期にわたる自民党一党支配のもとでの大企業本位の金権政治、政財官癒着の必然的な結果であり、腐敗の根を断つ行政改革への本格的着手を求める国民世論が急速に強まっているのであります。(拍手)  こうして今日、一、国民生活の擁護と経済危機、エネルギー危機の打開、二、財政の国民本位の再建、三、日米軍事同盟の侵略的強化反対、軍事費の大幅削減、四、汚職、腐敗の一掃、政財官癒着の根本的転換の四つが差し迫った国民課題となっているのであります。これらの国民課題解決を可能にするかぎは、経済危機やエネルギー危機、財政危機、さらにはまた腐敗政治の共通した根源である大企業本位、対米従属の経済の仕組み、政財官癒着の構造に抜本的にメスを入れる民主的改革を行うことであります。  ところが、大平内閣の政府予算案は、経済危機、エネルギー危機や、さらに腐敗政治の根源には何ら手をつけようとはせず、これらの危機をひたすら国民の犠牲で乗り切ろうとする財界の八〇年代構想を、忠実に持ち込むものとなっているのであります。政府予算案は、財政再建の第一歩を踏み出すことを口実にして、社会保障制度などの全面的改悪に着手するだけでなく、一般消費税を時的に引っ込めたかわりに公共料金の値上げなどで、国民に一般消費税がもたらすであろう負担額に近い負担を押しつけ、さらに、三年連続の所得減税見送りによる実質大増税を図るなど、国民にとっては、文字通り三重苦予算となっているのであります。  政治の根本的目的は民生の安定にあるのであり、憲法は、福祉の充実を国の責務として明確に規定しているところであります。このことからして、政治を物質的に支える財政の重要な役割りが、社会的に弱い人々を守る所得再分配機能に置かれなければならないことは明らかであります。この機能は、経済危機が深まれば深まるほど、ますます重要性を増すものであり、財政危機を口実にこれをないがしろにすることは絶対に許されないものであります。  不公平税制や大企業奉仕の支出、軍事費などには手をつけず、財政破綻のツケを国民に押しつけ、しゃにむに赤字減らしを推し進めようとする政府予算案の方向は、何ら財政再建の名に値しないだけでなく、財政の所得再分配機能を放棄し、政治の根本理念を否定するものと言わなければなりません。  日本共産党・革新共同は、以上の理由により、昭和五十五年度予算三案の撤回と全面的な編成替えを求めるものであります。(拍手)  次に、編成替えの規模及び内容について、その概要を御説明いたします。  編成替えの規模については、来年度予算国民生活防衛と財政再建を最優先させたものとする。財源は、不公平税制の是正、軍事費、大企業本位[の支出の削減によって確保するものとし、編成替えの規模は、歳入で二兆一千億円、歳出で一兆五千億円、合計三兆六千億円であります。したがって、予算規模は政府案と同程度のものとなります。  この方向のもとに、以下の事項について組み替えが必要であります。  まず、歳入関係では、第一に、国債発行額の計画的縮減を行うことであります。国債発行額は、前年度当初予算に比べ少なくとも二兆円以上減額するものとし、また、現在、道路整備のためだけの目的財源とされているガソリン税を一般財源化し、福祉や生活密着型公共投資にも使えるように改めます。これによって国債発行額のうちの赤字国債分を圧縮することができ、財政危機の第二段階を緩和することが可能となります。  さらに、国民増税によらないで五カ年で赤字国債発行額をゼロにする国民的財政再建計画を策定するものであります。  第二に、不公平税制を是正します。  法人課税では、大企業に対し、法人税率を引き上げるとともに、各種引当金、準備金の廃止または繰入限度の引き下げ、減価償却期間の延長と特別償却の廃止、株式時価発行差益、受取配当非課税措置や支払い配当軽課措置の廃止などを進め、巨大企業ほど税負担が低くなっている逆累進を是正します。また、もうけ過ぎ大企業に対する会社臨時特別税を復活するものであります。  所得課税では、利子配当総合課税の三年延期を撤回し、早期実現を目指す。当面分離税率を五〇%に引き上げる。有価証券譲渡課税をあわせて実現する。給与所得控除の頭打ちを復活し、配当控除制度は廃止する。土地譲渡所得課税の緩和は撤回するなどであります。  以上の不公平税制の是正によって、来年度二兆円以上の増収を確保することができるのであります。  第三に、八千億円の所得減税を行います。  実質大幅増税を避け物価調整を図るため六千億円の所得税減税とともに、二千億円の住民税減税を行います。地方税の均等割の引き上げは撤回するものであります。また、中小企業に対する退職給与引当金繰入率の引き下げによる増税計画を中止します。第四に、公共料金の値上げの計画の凍結を行うものであります。  次に、歳出関係については、第一に、国民福祉の充実を図るため、政府予算案にさらに三千五百億円追加して福祉施策充実させるものとします。  その内容は、老齢福祉年金を当面政府案に三千五百円上乗せをして二万五千円とする、遺族年金は老齢年金の八〇%とする、さらに、保育所、老人ホーム等の福祉施設充実職員の待遇改善などを内容としています。また、国家補償の見地に立って、被爆者援護法の制定を図るものであります。  第二に、物価対策の強化であります。  大型公共料金の値上げ計画を凍結するとともに、石油及び石油製品の不当便乗値上げと出荷制限をやめさせるために、石油需給適正化法、買い占め売り惜しみ防止法を全面的に発動させるなどであります。  第三に、大企業の不当な人減らし、首切りを規制し、雇用対策を充実するために二千億円を追加するものであります。  第四に、生活密着型優先への公共投資の転換を図ることであります。  産業道路、特定重要港湾、大規模工業基地など大企業奉仕型公共投資を五千億円程度削減し、うち三千億円程度と今年度からの繰越分を合わせて、国民生活密着型公共投資へ優先的に振り向けます。  公営、公団住宅は、少なくとも第三次五カ年計画の目標の完遂を目指し建設戸数を大幅にふやす。第四次五カ年計画については公共住宅建設の比重を低めるのではなく、高めるものとして策定する。関連公共施設への補助はさらに拡大するものであります。  第五は、教育の豊かな発展。政府案で対前年度比五・二%の伸びに抑えられた文教予算は、千五百億円程度を追加するものであります。小中高等学校の四十人学級制は十二カ年計画に引き延ばすのではなく、五カ年計画に短縮して実施するなどを内容とするものであります。  第六に、農漁業の再建を図ります。そのために政府予算案を千五百億円増額し、農漁業の再建を進めます。  第七に、中小企業の経営危機打開を図るものであります。そのために官公需の五〇%以上を中小企業に発注するなど、きめ細かい施策をとるものであります。  第八に、自主的エネルギー政策への転換であります。自主的、総合的エネルギー政策を確立するために、総合エネルギー公社を創設するものであります。  第九に、地方財政の確立であります。地方交付税額を三千五百億円増額します。  第十に、民主的行政改革の推進であります。  第十一に、軍事費の大幅削減であります。  米軍地位協定の規定にすら明白に違反している米軍基地維持費の日本側分担分を全面的に削除します。  環太平洋合同演習など日米共同作戦態勢の強化をやめるとともに、沖繩、硫黄島など新たな自衛隊基地拡張計画の中止、基地機能強化のための経費を大幅に削減します。  五カ年で総額十兆円に上る事実上の五次防計画の実施を中止し、一機百億円もするF15制空戦闘機やP3C対潜哨戒機、E2Cなどの米製最新鋭兵器の購入、バッジシステムの更新、潜水艦などの艦艇建造、機甲師団の創設を取りやめる。経済軍事化を促進する研究開発費を大幅に削減するなどの内容であります。  第十二に、大企業向けの補助金とむだな支出の徹底削減であります。  以上、動議の内容について概要を御説明いたしました。  この動議の内容こそ、国民の要望と期待にこたえるものであることを確信するものであります。  なお、この際、先日社公民三党に対して自民党が回答した一般会計に直接関係あるものとして、実質二百八十億円余と言われているいわゆる実質修正について申し述べます。  この実質修正は、わが党が国民の最低限として要求して提起した組み替え動議と比べてももちろん、社公民三党の一兆二千億円の要求と比べても問題にならないものであります。憲法違反で疑惑がらみの最大の浪費である巨額の防衛費に指一本触れようとしないばかりか、所得税減税をも見送るなどの内容を見れば明らかであります。  以上、私どもの立場を御説明申し上げました。  委員各位の御賛同をお願いして、提案の趣旨説明を終わります。(拍手)
  324. 田村元

    田村委員長 これにて動議の趣旨弁明は終了いたしました。
  325. 田村元

    田村委員長 これより討論に入ります。  昭和五十五年度予算三件及びこれに対する撤回のうえ編成替えを求めるの動議を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。相沢英之君。
  326. 相沢英之

    相沢委員 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております昭和五十五年度一般会計予算外二件について、賛成の討論を行います。  昨年来の政治経済情勢を振り返ってみますと、国の内外に最も深刻な衝撃を与えたのは、中東の激動と第二次石油危機でありました。原油価格は、一年間に二倍の一バレル三十ドルとなり、特に石油多消費国であるわが国にとっては、その影響はきわめて深刻でありました。経常収支は七十五億ドルの黒字見込みから百十億ドル余の巨額な赤字に逆転し、卸売物価は、本年二月にはついに前年同月比二〇%の上昇となり、円の為替相場は、二月末の海外市場で一ドル二百五十円を割り込むに至りました。そこで二月十八日には、第四次の公定歩合の引き上げが行われ、また、三月二日には円相場安定のための措置が決定されたのであります。  しかるにわが国経済は、このような深刻な影響をこうむりながらも、一昨年秋以来順調な拡大基調を続けており、雇用情勢も改善され、本年度は当初見通しのとおり、実質六%の経済成長を達成できる見込みであります。  世界先進国の多くが、不況と物価高、スタグフレーションに悩んでいる中で、わが国が好況を持続しつつ消費者物価が安定していたことは、公共投資を中心に景気浮揚を図り、厳しい財政事情のもとでも国民生活を守ることを基本とした政府・自民党の一貫した財政経済政策が適時適切であったことと、国民がこれにこたえ、かつての狂乱物価の苦い経験から、石油価格の急上昇という海外要因がホームメード・インフレ化するのを一丸となって防いだおかげであります。  しかしながら、五十五年度には昨年来の石油高騰の影響が一段とあらわれてくるばかりでなく、量及び価格両面からの油の制約がいかに厳しいものになるか、全く予断を許しません。  五十五年度予算は、この混沌きわまりない経済情勢の中で財政再建というさらに困難な課題解決を図ろうとするものでありまして、政府、財政当局の努力をまず多とするものであります。  以下、私は本予算に賛成する理由を順次申し述べます。  第一点は、財政再建元年の第一歩を踏み出したことであります。  財政再建は、国民経済的に見てもとより急務でありますが、尋常な手段をもってしては不可能と言わなければなりません。政府は、さきの総選挙における国民の審判を厳しく受けとめ、五十五年度は新税の創設を行わない旨を明らかにする一方、国民に対し歳出の大幅削減の必要性を強く訴え、政府の決意を表明したのであります。  しかして、このような決意のもとに編成された五十五年度予算は、一般会計の伸び率対前年度比一〇・三%、一般歳出五・一%と最近二十年間最低のものであり、公債依存度も五十四年度当初の三九・六%から三三・五%に低下したのであります。また、財政投融資においても八・〇%の伸びにとどめ、一般会計、財投を通じ緊縮財政を貫いたことは十分評価いたさなければならないと思います。  しかしながら、財政再建はまだようやくその緒についたばかりであり、今後さらに政府及び自由民主党は一体となって、歳出、歳入の構造に大胆なメスを加え、五十九年度赤字公債脱却という至上命題の実現に向かって邁進しなければならないと思います。  第二点は、簡素にして効率的な政府を目指して行政改革を断行したことであります。  今回策定された行政改革計画は、特殊法人十八の統廃合、国の出先機関等の整理縮小、許認可、報告事項あるいは補助金等の整理合理化を行うとともに、第五次定員削減計画として、三万七千六百人を五年間で削減することとしております。しかしながら、この行政改革計画は、まだまだ不十分であり、政府は今後も勇断をもってこれに取り組み、かつ計画を着実に実行することが何よりも必要であります。  また、最近相次いだ綱紀の弛緩、不正経理のごとき事件が根絶されない限り、国民政府への信頼あるいは財政再建への協力は、求むべくもないのでありまして、政府の特段の努力を要請するものであります。  第三点は、税負担の公平確保が大きく前進したことであります。  すなわち、利子配当所得分離課税の総合課税への移行については、四年の準備期間を置いて五十九年度より実施することとし、また租税特別措置について、各種準備金の特別償却などについて思い切った整理合理化を図っております。このほか、法人の退職給与引当金の累積限度額の適正化を図り、一千万円以上の高給者の給与所得控除の見直しを行うことといたしております。  第四点は、厳しい財政事情においても、必要な経費については重点的に確保が図られていることであります。  まずエネルギー対策でありますが、一般会計においてエネルギー対策費を三一・九%と大幅に伸ばしているほか、特別会計においても電源開発促進税の引き上げを行い、また、新エネルギー総合開発機構の新設に踏み切っております。これにより思い切った資金を投入し、施策の飛躍的充実を期していることは、現下、きわめて適切な措置であり、さらに民間各方面の活力を結集すれば、わが国のエネルギー問題も、決して解決不可能なことではないと確信するものであります。  次に、経済協力費については、一七・五%の伸びであって、ODA予算の三年間倍増の国際公約の実現が図られており、また、社会保障費につきましても種々実質的な内容の充実を図っております。  さらに、一般公共事業費については前年度同額でありますが、生活関連施設整備には重点的に配分が行われており、その他中小企業対策、農林漁業対策等についても、きめ細かな配慮が行われております。  第五点は、景気、物価両にらみ政策が可能な規模となっていることであります。  以上申し述べましたとおり、五十五年度予算は、財政規模の圧縮を図っておりますが、資源の重点的、効率的配分を行ったため、景気の自律的拡大傾向の足を引っ張らない、いわば景気中立型のものとなっております。この結果、五十五年度の実質成長率は四・八%と見込まれていますが、この数字は諸外国に比し最も高目のものであり、五十五年度予算は、わが国経済の安定成長を維持することができる一方、好不況の局面または物価動向に対して、機動的、弾力的執行が可能となる適切な規模であります。  昨年米の原油価格の高騰の影響は、五十五年度には一層強くあらわれ、卸売価格の上げ足はなおしばらく続くものと見られますので、電気、ガス等の料金の引き上げを極力抑え、消費者物価への波及を最小限度に食いとめることが、景気の持続、国民生活の安定に必要不可欠であります。  政府におかれましては、今後とも財政金融の施策を機動的に駆使し、日銀、公取などとの連携を強め、早目早目に手を打ち、物価を抑制することを最大の政策目標として努力されるよう強く要請するものであります。  最後に、予算修正問題について申し上げます。  日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合から共同で提示された修正要求は、例年要求されていた大幅な所得減税がなく、他方、公債減額、行政の簡素化等財政再建を目指す点は評価できますが、大型プロジェクトや補助金の削減については、その対象が明らかでなく、応じがたいものでありましたし、また、わが党としては、政府案が最良のものと信じてはいますが、予算の早期成立を図る必要その他諸般の事情から、誠意を尽くして三野党と協議を重ねたのであります。  その結果三月三日に、老齢福祉年金等の積み増し、物対策の推進、四十人学級計画の三年後見直し、行政経費の縮減等についてわが党と三野党との間に合意が成立し、本委員会において大平総理大臣もこれを確認し、五十五年度予算の執行に当たっては、この合意を十分尊重する旨表明されたのであります。  これから私の討論に引き続き野党の討論があり、続いて予算の採決が行われるわけでありますが、この合意に加わった各党の諸君が、これに賛成されるよう願ってやまないものであります。  なお、日本共産党・革新共同提出の動議については、防衛予算、大型公共事業費の大幅削減等実現不可能な項目を含むもので、現実的な提案とはとうてい認めがたく、反対であります。  以上、私は、本予算が早期に成立することを期待して、討論を終わります。(拍手)
  327. 田村元

    田村委員長 次に、稲葉誠一君。
  328. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました昭和五十五年度の一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度の政府関係機関予算に反対をし、あわせて、日本共産党・革新共同提出の同予算三案に対する編成替えを求める動議について反対をする討論を行うものでございます。  詳細といいますか、それは本会議の方で少し長くやりますので要点だけ申し上げますが、その討論に入るといいますか、予算案そのものに入る前に、二つのことについて申し上げてみたい、こういうふうに思います。  それは、総理が施政方針演説の中で、第四項でしたか、政治の倫理化その他の問題に言及をされておられます。金権体質の一掃ということを言っておられるわけですけれども、全然と言っていいくらいそれが進んでおらない。資本主義社会におきまする資本主義政党ですから、だからある程度やむを得ないという理由もあるかもしれませんけれども、どうも私には納得がいかない。基本的な政策以前の政治の倫理化の問題に対する熱意が総理にないということについて、私ははなはだ遺憾に思うのであります。  選挙違反その他をめぐりまして、特に千葉県あたりが一番激しいというかもわかりませんけれども、近ごろこういう話が伝わっております。総理、こういうのです。ただで動くのは地震だけだというのです。地震はただで動くけれども、あとは選挙のときでも何でもただで動かないというわけです。ただで動くのは地震だけだというのです。これは自民党の金権政治から始まった言葉であって、私は、なかなかおもしろい言葉だ、こういうふうに思うのですが、いずれにいたしましても、政治の倫理化というか金権政治の一掃というか、こういうようなものにもつともっと、基本的な問題ですから、熱意を持っていただきたい、こういうふうに考えるわけで、その点が非常に足りません。  それから第二は、世界における日本の位置づけに誤りがあるのではないか、私はこういうふうに考えるわけです。なるほど、ソ連のアフガン侵入の問題はけしからぬ、これはもう一日も早く撤兵させなければいけない。同時に、世界全体の中でアメリカの力がだんだんだんだん落ちてきているということ、これも事実でありますね。そうすると、米ソの二大強国の対立というか、そういうふうな一つの力関係だけでもう世界は律し得ないような状況になってきておる。アジア、アフリカ、アラブ、そして中近東なりあるいは中南米なりそういうところでどんどんふえておるのは非同盟であり、積極中立の国がどんどんふえて、いまや世界の三分の二以上を占めようとしておるわけですね。これはわが党が長年唱えてきたところの非武装積極中立がいかに正しいかということがはっきりと世界に認められてきたゆえんである、こういうように私は考えるのでございます。  予算案に対しまして二、三の点について申し上げまするというと、第一に、これは場当たり的で、将来の展望というものを全く欠いております。これは大蔵大臣も言っておりまするように、来年度の大蔵大臣になる人は大変だとあなたがどこかで言ったということが出ておったわけですね。このままの状態で、昭和六十年に赤字公債全部をなくすと言っているけれども、とてもなくなりそうもないということになれば、また赤字公債を再度発行するという状態も出てくる。国債費はどんどんどんどんふえてくる。さんざっぱら財政を荒廃させ、めちゃくちゃにされてしまって、そのとき、もう自民党としてはやっていけないから投げ出すんだ、後は社会党に引き受けてくれ、こう言われても、私どもはなかなかこれは……(発言する者あり)いやいや、これは引き受けられますよ。これはもう引き受けることはいつでもお引き受けするだけの準備もできている。陰の内閣だってできているのだから大丈夫だけれども、そういう悪い状態になって無責任にほうり出されたのでは私はかなわないというように思うので、もっと将来に対するしっかりとした見通しを、国民に対して不利であっても正直に言うということが私は必要だと思う。その点をぼかしておるというところがよくないですね。  それから第二の問題として、類例のない増税をはらんでおる予算であるということであります。「政府の窓」では、九兆一千百億の増税をはらんでおる、それをちゃんと書いてある。ところが、五十五年度で減らしたというので、この前大蔵省が来て、五兆八千億だ、こう言うのですね。それは一年間減らしたのだと思いますが、一年間が減ったというだけでそんなに減るわけはないので、おかしいわけですね。そうすると、その増税というものを法人税でやるか。法人税はもうこれ以上上げられない。上げたらこれは経団連あたりからそっぽを向かれて選挙に不利になってしまう、とは言わないでしょうけれども、そういうようなことがある。所得税は負担感が非常に強い。  こうなってまいりまするというと、間接税を中心にいく。間接税については安定度が多い、ほかの税と比べて負担感が少ない、こういうことからして、そこで一たん引っ込めたいわゆる一般消費税、いわゆるというのがくせ者ですが、それをことしはやらない、来年はやらないと言っているけれども、形を変えてまたそれを復活させようとする動きが本予算の中にある、こういうことをわれわれは指摘をしなければならないのであります。  第三点は、公共料金の値上げを中心として国民負担の増大の予算であるということです。政府は六・四%という消費者物価の値上がりを見ておりますが、あらゆる民間の研究所はみんな七%以上ですね、経団連は七・三%ですか。自由主義社会ですから、何%何%ということについて、それを金科玉条として、少し違ったから責任を追及するなどということではございませんけれども、一つの見通しとして、ことし今度下がるものは何かとこの前企画庁長官に聞いたら野菜だけだという。野菜は異常に値上がりしているのだから下がるのはあたりまえだ。あとは公共料金から米から国鉄から郵便から授業料から健康保険から、ありとあらゆるものがどんどん上がってきて、そして二けたになる危険性がある。こういうときに六・四%というのは、結局は春闘その他を抑えようとする一意図がそこに露骨にあらわれておる。こうとしか考えられない。こういう意味で私はこれには反対をせざるを得ない、こういうふうに考えるわけです。  第四は、大企業中心の経済といいますか体制、税制です。これを全然改めていない。なるほど特別措置というものは約八〇%改廃をした。しかし問題は、特別措置ではなくて、本法の中にそれがすでに繰り入れられておるというもの、そのものについては全然といっていいくらい何も手をつけておらない。たとえば本来益金に算入すべきであるが益金に算入していないもの、たとえば法人間の受取配当の問題、株式プレミアムの問題、資本取引における収益、資産評価の益金、それから割賦基準による利益の繰り延べ、これらのものです。それから逆に今度は、本来損金に算入すべきではないけれども、損金に算入しておるもの、これは多いですね。各種の引当金、各種の準備金、特別償却、それから交際費、寄付金、それから償却不足、欠損繰り越しと繰り戻し、こういうふうなこと全体をながめてみますると、法人税だけで四兆二千三十八億、地方税で二兆三千百八十二億の免除がなされておる、こういうことが考えられてまいります。これは日本の経済が発展をする段階、戦争で敗れて発展をする段階ならば、ある程度のものは私はやむを得ないと思う。しかし、すでにもうこうやって高度に経済が発展してきている段階において、なおかつこれに手をつけないというのには全く納得がいかない、こういうふうに考える次第でございます。  私ども社会党は、公明党、民社党とかたく手を握って、国民負担の増大、福祉の切り捨てをやめさせるために、福祉の問題、雇用の問題、生活基盤、物価の抑制を中心として実質修正をかち取りました。金額は千四百億ですが、金額の問題それ以上に、日本の政治というものが新しい連合の時代、新しい夜明けを迎えておる。いまや自民党の一党独裁の時代は去りつつあるということ、私はそこに意義があると思う。それだけにわれわれの責任もまた重いということを感ずるのでありまして、国民の期待にこたえるために今後一層精進することを誓い、自民党の反国民的な予算案に反対をするものであります。  それから共産党のは、触れる必要もないかと思いますけれども、二十年前の社会党がやったと同じことをやっているのじゃないでしょうか。  以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
  329. 田村元

    田村委員長 次に、坂井弘一君。
  330. 坂井弘一

    ○坂井委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十五年度予算三案に対し、反対の討論を行います。  昭和五十五年度政府予算案を端的に言えば、景気の持続的回復に配慮していないばかりか、政府が最大のねらいとした財政再建も、行政改革、補助金の整理、不公平税制の是正も徹底せず、その一方で、財政再建に名をかりて福祉軽視、公共料金の値上げを強行しようとしているのであります。  われわれ公明党・国民会議は、日本社会党、民社党・国民連合と共同して、このような政府予算案の修正に全力を挙げて取り組みました。われわれ三党は、国民生活を守るための最低限の要求として、特に物価、福祉、雇用、行政改革などを重点に一兆二千五百五十三億円の共同修正大綱をまとめ、政府にその実現を強く迫ったのであります。しかし、政府・自民党は、一般会計予算規模に対し、三%弱の三党修正大綱すらもすべてを受け入れるという謙虚の態度を見せるに至らなかったのであります。結局、五十五年度政府予算案の矛盾は、そのままに放置されていると言わざるを得ません。  とはいえ、われわれの粘り強い修正要求に政府・自民党も抗し切れず、一千四百十四億円の実質修正に応じたことは、それなりに評価するにやぶさかではありません。  すなわち、老齢福祉年金の二万二千五百円への引き上げを初めとした福祉の充実、雇用対策の強化、六百八十三億円に上る物価対策費の追加は、それなりに国民生活に大きく寄与するものと確信するからであります。  しかしながら、政府自民党がこの範囲の実質修正にとどめたこととともに税制改正に対するわれわれの真摯な要求にも耳を傾けなかったことは、国民生活を軽視する姿勢を示すものとして糾弾せざるを得ないのであります。  以下、政府予算三案に反対する主な理由を申し上げます。  反対理由の第一は、政府予算案は、公共料金の軒並み値上げを画策する物価値上げ予算であるということであります。  五十五年度の物価情勢はきわめて厳しい情勢にあります。卸売物価は、二月中旬には、前年同月比二一・一%と高騰し、二月の東京都区部の消費者物価は同七・六%もの大幅上昇を記録いたしました。しかも今後さらに続騰すると見ざるを得ません。  こうした状況の上に、国鉄運賃、郵便料金など各種公共料金の値上げが強行されるならば、生活にさらに重い負担を強いるばかりか、狂乱物価の再現という事態にも陥りかねないのであります。  物価情勢の悪化は、さらに総需要抑制策の強化を余儀なくし、国民生活の安定、財政の再建に欠くことのできない景気の自律的、持続的回復に、ブレーキをかけることになるからであります。  私は、物価高騰と景気の先行きに全く配慮をしていない政府予算案をとうてい認めることはできません。  第二の反対理由は、政府予算案が、福祉予算を後退させ、今後の福祉切り捨てを決定づけている点であります。  政府予算案は、財政再建の名のもとに、公共料金の値上げとあわせて健康保険料の引き上げと患者負担の増大、国民年金、厚生年金などの掛け金の大幅引き上げを予定しているのであります。また、五十五年度実施を見送るとの意思表明があったものの、厚生年金の支給開始年齢の六十五歳への引き上げを画策しているのであります。  その上、大蔵省、厚生省、自民党の三者は五十六年度における老人医療無料制度、児童手当制度などの見面しに関する覚書を交わし、これら制度の後退を決定づけているのであります。まさに国民感情を逆なでするものと言わざるを得ません。この覚書の廃棄を強く要求するものであります。  反対理由の第三は、政府予算案は、財政再建の一歩を踏み出したとは、とうてい蓄えず、行政改革、補助金の整理、不公平税制の是正にきわめて中途半端な取り組みしかしていないことであります。  行政改革では、鳴り物入りで打ち上げた特殊法人の整理は、五十五年度中に統廃合が決まったものわずか五件、地方ブロック局の削減は五十六年度へ持ち越されてしまったのであります。補助金の整理にしましても、五十五年度予算案では廃止三百二十八件を含めて千六百六十七億円の整理を果たしたというものの、新規補助金三百二件、九百八十一億円を含めて補助金総額は一兆円近くもふくれ上がっているのであります。これでは行政改革、補助金の整理が進んだとはとうてい、言いがたいのであります。  不公平税制の是正にしても同様であり、五十五年度税制改正における不公平税制の是正も三千九百二十億円にすぎません。  財政再建を目指す以上、行政改革、補助金整理、不公平税制の徹底を思い切って進めない限り、その道が開かれないことを強調するものであります。  反対理由の第四は、雇用対策、中小企業対策が軽視されていることであります。  統計数字から見た中高年齢者に対する雇用環境はそれほど変わっておりません。また、企業の雇用形態は、景気後退に対応しやすいよう常用雇用よりも臨時雇用をふやす傾向が続いています。  また、中小企業は厳しい経営環境にさらされております。最近における倒産件数の増加が顕著であることがこの事情を端的に物語っていると言って過言ではありません。  昭和五十五年度予算案は、こうした状況に前向きに対応した具体策は盛られていないのであります。  反対理由の第五は、地方財政対策が依然として糊塗的な対策に終始していることであります。  政府の地方財政再建策は、端的に言えば、地方財政への借金押しつけ政策以外の何物でもありません。したがって五十五年度における地方財政の財源不足額は、二兆五百五億円に減少されたものの、不足額に対して多くは借金によらざるを得ず、累積債務の増加は避けられないのであります。  しかも、財源不足額の減少は、税の自然増収によるものであり、政府の主体的な努力によるものではありません。  私は、地方財政の再建のために、国、地方の税源配分の見直し、地方税の合理化、国庫補助金の整理合理化等を含め抜本策を講ずるよう訴えるものであります。  以上、主な反対理由を申し上げましたが、最後に、総理に対し、国会における予算修正の重要性を再認識されることを重ねて強く要求するものであります。  なお、日本共産党・革新共同提出の組み替え動議には考えを異にいたしますので反対をいたします。  これをもって討論を終わります。(拍手)
  331. 田村元

    田村委員長 次に、工藤晃君。
  332. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、ただいま議題となっております昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算三案について、一括して反対の討論を行うものであります。  わが国経済は、第二次石油危機とともに、物価の急騰、雇用の改善の立ちおくれ、中小企業倒産の増加傾向など、スタグフレーションの新しい局面をあらわしつつあります。  他方、国家財政は破局的な状態に陥っています。これは、歴代自民党内閣が過去に財界の言いなりになり、高度成長政策の名のもと、ばらまき財政政策をとり続けてきた歴史的結果であるとともに、日米経済摩擦の解決を、アメリカの圧力に屈し国債依存度三〇%を超すという無謀な国債大増発政策の方向に求めた結末でもあります。国債費は五十五年度予算で五兆三千百億円になりますが、それは文教及び科学振興費の総額四兆五千二百億円をはるかに超すありさまであります。この国債費は一九八五年度から特例公債の償還が加わってさらに膨張し、同年度から一九九四年度に至る十年間、合計して百八十九兆円になり、第二の財政危機が始まるのであります。この額は、過去における日中戦争から第二次大戦中の日本の戦費総額、七九年価格であらわせば五十九兆円になりますが、その三倍を超す驚くべきものなのであります。  今日の経済危機の情勢と財政危機の情勢は、もはやこれまでどおりの財政経済政策をとり続けていてはならないことをはっきり示していると言えます。そして、大企業、大資産家への優遇税制を初め高度成長型のさまざまの仕組みを徹底してなくし、軍事費、大企業のための補助金など不要不急の支出も徹底して削る民主的改革と方向の転換によって初めて、国民の生活を守りながら財政再建も進められるという日本共産党の主張の正しさをいよいよ鮮明にしております。  しかるに本予算案は、このような民主的改革と方向の転換を避けて、財界が主張している財政再建の方向、もっぱら国民に犠牲と負担を負わせる、を具体化したのであります。  それは、国民にとっては、まず、三年連続の所得税減税見送りによる実質大増税、公共料金の大幅引き上げ、社会保障、福祉の制度的改悪という三重苦を押しつけることであります。政府予算案に関連した国民の負担増は、健保、年金保険料など福祉関係で約一兆三千億円、国鉄運賃、消費者米価、郵便料金など公共料金で約一兆円、合計二兆三千億円に及びます。このほか電気、ガスの値上げが申請に近い線でまかり通ることになれば、それはさらに倍にもなるでありましょう。  また、政府は財政再建を理由にこのように国民に三重苦を負わせる予算を組んだのでありますが、財政再建と言いながら国債の発行額は五十四年度を上回るありさまであり、これでは財政再建への何の展望も開けません。ただ将来に向かって明らかなことは、五十六年度に福祉を見直すという厚生大臣、大蔵大臣、自民党三役の覚書や、四十人学級について財政再建期間は教職員改善増は極力抑制するという文部大臣、大蔵大臣確認事項が示すとおり、将来にわたって、財政再建を口実に国民の犠牲を大きくするということだけなのであります。  本予算案の第二の問題点は、日米軍事同盟の侵略的強化と軍事大国への道を目指していることであります。今日の国際情勢は、軍事ブロック政策の危険を新しく大きく浮かび上がらせております。われわれはアフガニスタンへのソ連の介入に厳しく反対します。同時に、アメリカや中国の介入にも厳しく反対すべきであります。さらに重大なことは、カーター政権は昨年初めのイラン革命で中東における干渉政策の足場が崩壊したことを契機に中東・ペルシャ湾地域を焦点にした露骨な力の政策を打ち出したことであります。この危険な力の政策は、アフガニスタン情勢を口実にさらに強められ、わが国と世界の平和と安全を脅かす重大な事態に発展しているのであります。しかるに、政府は日米軍事同盟堅持の名でこのアメリカの力の政策に加担し、わが国をアメリカの中東・ペルシャ湾への軍事力投入を初め世界のどの地点へも自由に出撃できる緊急投入部隊の基地とすることを認めるとともに、自衛隊を環太平洋合同演習へ参加させるなど、自衛隊がアメリカの指揮下でいまや公然とアメリカの世界戦略の一翼を担う実戦部隊として、広範なアジア・太平洋地域を作戦範囲にする海外派兵に備えるところまで推し進めているのであります。これは日米安保条約の危険な攻守同盟化の道であり、われわれは断じて許し得ないものであります。(拍手)これと合わせて五十五年度の軍事予算は、事実上の第五次防であるところの中期業務見積もりの初年度として、武器車両購入費、航空機購入費、艦船建造費など装備関係費は、第四次防最後の年である五十一年度と比べて七〇%もふやしております。  日本共産党・革新共同は、軍事費を約六千億円削減して、国民の生活を守る対策へ回すことを主張しました。これは第一に、日米軍事同盟の危険な方向を阻止しなければならないからであります。第二に、世論調査の結果も示すように、財政再建のため真っ先に特に厳しく削るべき予算項目は軍事費であることは、最も多数の国民の共通の声であり、国民の常識だからであります。第三に、わが国の政治をこれほど汚したロッキード、グラマン、ダグラスなど航空機疑獄の疑惑の航空機の購入に国民の血税を使わなければならない理由は、どこにも見当たらないからであります。  先ほど共産党の態度が二十年前の社会党と同様であると言われましたが、実は軍事費を削減して福祉へ回せという要求は、五年前、そのときの動議は民社党も含めて共通のものだったわけであります。正しい方向は変えない方がいいわけであります。(拍手)  本予算案の第三の問題点は、国民が願う行政改革に逆行していることであります。国民が求めている行政改革は、汚職、腐敗の根源である政官財癒着の構造にメスを入れ、特殊法人を全面的に洗い直すとともに、国家公務員増加の大部分を占める自衛隊の定員は削減し、警備公安警察、公安調査庁など国民弾圧のための行政組織も整理し、国民サービス部門は必要な拡充を行うということであります。しかるに政府の言う行政改革は、腐敗の根絶と行政の民主化という重要課題は最初から外してしまい、自衛隊などは聖域として、もっぱら国民サービス部門の圧縮を図る方向をとっております。  本予算案の第四の問題点は、経済危機、エネルギー危機の打開の道にも合わないということであります。  一、物価を安定させ国民生活を守り国民の購買力を高める、二、生活密着型公共投資を重点とする、これら二つの柱で国内市場の拡大を図ること、さらに農業、エネルギーなど日本経済の自主的基盤の確立を含む産業構造の転換を図ること、すなわち、このような経済拡大のパターンに転換させて、日本経済の再建を推し進めなければなりません。  しかるに、政府は、たとえばエネルギー政策においては、発展途上国との国際関係でも対米追随外交を続けるばかりか、原油供給を支配するメジャーや総合商社の横暴を規制しようとはせず、石油にかわるエネルギーと言えば主として原子力開発を安全無視のまま強行しようとしており、これではエネルギー危機打開のどんな見通しも持ち得ないからであります。現実は、わが党がかねてから主張してきた自主資源外交と、民主的に管理される総合エネルギー公社の設立に基づく自主的、総合的エネルギー政策の確立こそが、危機を打開できる現実的な道となっているのであります。このような転換をおくらせればおくらせるほど、より大きな災いが国民に振りかかってくることはきわめて明らかであります。  以上、私は四点の理由により、本予算三案に強く反対するものであります。  日本共産党・革新共同が提出している予算編成替えの動議は、国民の要求に沿った民主的改革と方向の転換を行うものであり、しかもやろうと思えばやれる実現可能性があり、整合性があるものであります。改めて委員各位に日本共産党・革新共同の動議に賛意を表せられることをお願いして、私の反対討論を終わります。(拍手)
  333. 田村元

    田村委員長 次に、中野寛成君。
  334. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております政府提出の昭和五十五年度一般会計予算外二件並びにこれに対して共産党・革新共同から提出されております組み替え動議の双方に対し、一括して反対の討論を行います。  国民が新予算に最も期待したことは、八〇年代の幕明けと言われる今年、来る二十一世紀をも展望しつつ、激動する国際社会の中にあって、日本の政治経済と国民生活のあり方に明確な指針が打ち立てられることでした。  すなわち、適格な新時代へのリーダーシップと国民のコンセンサスの上に、自主・共存の平和外交と防衛体制を確立しつつ、第一に徹底的な行財政改革への着手、第二に日本型福祉国家への創造作業の開始、第三にエネルギー及び食糧の安定確保政策の実行、この三点の具体化が特に強く望まれておったのでありました。  そして、これらの政策を実行する政治体制について、昨年の総選挙における国民の意思表示はきわめて明確でした。  国民は、八〇年代初頭の日本の政治を、恐らく大平総理が解散、総選挙において意図されたであろう自民党絶対多数による強権的政治や腐敗、非能率ではなく、与野党伯仲を背景として国民の立場に立った「話し合いと合意の政治」をこそ明らかに選択したのでした。過去二十五年間に及ぶ自民党政治の体質である行政優位、官僚主導型の政治を根本的に転換し、国会中心の政治を具現することこそ国民の選択であったと言わなければなりません。  この観点から、今回の予算編成と修正に対する政府・与党の態度を見てみますと、この最も重要な国民の選択について、十分な認識を持っているとはとうてい受け取れない姿勢があったことはきわめて遺憾であります。  とりわけ、当初、大蔵省原案が意図した老人医療の有料化、児童手当の廃止、教科書の有料化、厚生年金給付の六十五歳延長等々のいわゆる福祉切り捨て路線は、政治の目的を忘れた財政再建至上主義の官僚の思い上がりをいみじくも露呈したものでありました。ただ、その後、野党の意見等を取り入れて政府がいわゆる一般消費税を含めこれらの断念をしたことは、せめてもの政治の良識として評価するにやぶさかではありません。  しかし、なすべき施策の中心的課題は、ついに最後まで不十分のままに終わりました。  すなわち、その第一は、行財政改革の不徹底であります。  まず、行政改革について見るべきものがありません。いまや民間においては、今日の苦境を乗り切るため、企業も家計も経費の節減、むだの排除に血のにじむ努力を積み重ねているとき、これに対応する行政改革を行おうとするならば、せめてわが党がかねてから主張しております地方出先機関の原則的廃止、特殊法人の二割削減、公務員規模の実質三万七千人の削減、補助金の大幅整理などを断行すべきであります。  しかるに、今日までに政府の示した措置はまだまだ微温的なものにすぎず、個々の施策を見ても、真の整理統合の例は少なく、実体を温存しているものが多く、かえって国民の不信を助長させることにさえなっているのであります。  また、税財制改革についても、わが党は、大企業の法人税率二%引き上げ、給与所得控除の青天井の廃止等々具体的な事例を挙げて、不公正税制の是正による約一兆円の増収を図ること及び一方、大衆課税についてはこれを抑制することを主張してきたのでありますが、これに対する政府の態度はきわめて消極的であり、中でも、政府・大蔵省がかねてから実施の意向を打ち出していた法人税の増税を、財界からの強力な圧力によって土壇場で取りやめたことは、政府・自民党の財界に弱い体質を改めてまざまざと見せつけものと言わざるを得ません。  第二に、経済と国民生活の問題であります。  申し上げるまでもなく、現下の最大の課題は、消費者物価の上昇、インフレをいかに抑制するかであります。この二月の東京都消費者物価上昇率、対前年同月比七・六%急騰の例を見るまでもなく、今後、消費者物価は、四月から六月にかけて最大の危機を迎えることは必至であります。  この観点から、わが党を初めとした三党共同修正案において、公共料金の抑制を初め、物価対策に最大の力点を置き、四千二百七十億円を要求したところであります。  しかるに、政府は、現在、値上げ申請が出されております電力、ガス料金に対してさえ、これを極力抑制するどころか、その政府みずからが、電源開発促進税の増税によって料金値上げの上積みをしようとさえしているのであります。いわば便乗値上げ的措置であります。  これこそ、政府の物価や国民生活防衛に対する安易な政治姿勢の象徴だと断ぜざるを得ないのであります。私ども野党三党の提案を無視した政府の態度に強く不満の意を表しておきたいと存じます。  とりわけ、政府・大蔵省は、電源開発促進税は目的税であるから、これに見合う分の一般会計からの繰り入ればできないとの態度を固執されました。しかし、これほど国権の最高機関である国会の立法機能を無視した暴論はありません。  現に、これら関係三法案は、今後の国会審議にゆだねられており、もし政府原案において、一般会計からの繰り入れができないような条文になっているのであれば、国会においてその原案を修正すればよいではありませんか。  エネルギー危機克服、代替エネルギーの開発の美名のもとに、政府みずからの努力を放棄し、負担を国民に転嫁するこの電源開発促進税の増税について、私どもはこの際、関係三法案の審議過程においてその非を一層明らかにするとともに、あらゆる努力を傾注してこれを廃案とする決意であることを明らかにしておきたいと存じます。(拍手)  さて、最後に、予算修正のことについて触れておきたいと存じます。  わが党を初めとする三党の共同修正要求に対して、老齢年金の千円上積み、難病対策の前進、中高年雇用の確保、物価対策の見直し、電気税免税点の引き上げ、行政経費の節減等々、一千四百十四億円の修正を行い、国民生活の向上、安定に、いささかなりとも役立つ施策充実することになったことは率直に評価いたします。  しかし、問題は、政府・自民党が野党の修正要求を受け入れた以上、これを国権の最高機能として受けとめ、謙虚に予算書の書きかえを行うべきであったにもかかわらず、いたずらに内閣の予算編成権というメンツにこだわり、これをかたくなに拒否したことは、われわれとして断じて容認できないところであります。また、さきの総選挙において、国民が明確に選択した国会中心の議会制民主主議の本旨に明らかに反するものであります。  いまや山らかなことは、政府・自民党だけでは、八〇年代を展望することはもとより、当面の山積する政治課題をさえ、何一つ満足に解決できないという冷厳な事実であります。  政府・自民党が、特に官僚機構が、その基本的な認識を欠き、依然として、あたかも予算修正が、内閣の予算編成権、行政権の侵害であるかのごとき発想から一歩も抜け出していないことは、国民意思を無視した時代錯誤もはなはだしいと言わざるを得ません。(拍手)  いまこそ、憲法八十三条、すなわち「國の財政を處理する権限は、國會の議決に基いて、これを行使しなければならない。」というこの精神に戻るとともに、厳しい内外の諸情勢の中で現代の危機を克服し、国民の信頼と合意の上に国政が正しい機能を発揮することによって、希望の八〇年代を構築するべきときであります。さもなくば危機意識のみをあおり、今後将来に向かりて国民に増税と負担を押しつけることを前提とする今予算は、二十五年間に及ぶ自民党の悪政の終戦処理予算であったという汚名を後世に残すであろうことを警告して、政府予算案に反対の態度を明らかにするものであります。  なお、日本共産党・革新共同から提出された組み替え動議には、いささか考えを異にするために反対いたします。  以上、私の討論を終わります。(拍手)
  335. 田村元

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。
  336. 田村元

    田村委員長 これより採決いたします。  まず、寺前巖君外三名提出の昭和五十五年度予算三件につき撤回のうえ編成替えを求めるの動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  337. 田村元

    田村委員長 起立少数。よって、寺前巖君外三名提出の動議は否決されました。  これより、昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三件を一括して採決いたします。  右三件に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  338. 田村元

    田村委員長 起立少数。よって、昭和五十五年度予算三件は、いずれも否決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  340. 田村元

    田村委員長 これにて昭和五十五年度総予算に対する議事は全部終了いたしました。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  去る一月三十日より総予算の審査を開始いたしまして以来、終始真剣なる論議を重ね、慎重審議を尽くし、本日、ここに審査を終了するに至りましたことは、ひとえに委員各位の御理解と御協力のたまものでありまして、衷心より感謝の意を表する次第でございます。  ここに、連日の審査に精励されました委員各位の御労苦に対し深く敬意を表し、感謝の意を申し上げましてごあいさつといたします。(拍手)  本日は、これにて散会いたします。     午後六時十四分散会      ――――◇―――――