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1980-02-22 第91回国会 衆議院 予算委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月二十二日(金曜日)委員長の指名 で、次のとおり分科員及び主査を選任した。  第一分科会皇室費国会、裁判所、会計検査  院、内閣総理府経済企画庁国土庁を除く)  及び法務省所管並びに他の分科会所管以外の  事項)    主 査 藤尾 正行君       金子 一平君    瓦   力君       田村  元君    中島源太郎君       大出  俊君    安井 吉典君       横路 孝弘君    西中  清君       二見 伸明君    大内 啓伍君  第二分科会(外務省、大蔵省及び文部省所管)    主 査 村山 達雄君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君      小宮山重四郎君    保岡 興治君       稲葉 誠一君    川崎 寛治君       草川 昭三君    中川利三郎君       中野 寛成君  第三分科会厚生省、労働省及び自治省所管)    主 査 橋本龍太郎君      小此木彦三郎君    倉成  正君       塩崎  潤君    山崎  拓君       大原  亨君    川俣健二郎君       岡本 富夫君    寺前  巖君       岡田 正勝君  第四分科会経済企画庁農林水産省及び通商  産業省所管)    主 査 始関 伊平君       片岡 清一君    澁谷 直藏君       田中 龍夫君    渡辺美智雄君       阿部 助哉君    八木  昇君       池田 克也君    瀬崎 博義君  第五分科会国土庁運輸省、郵政省及び建設  省所管)    主 査 藤田 義光君      稻村左四郎君    小山 長規君       近藤 元次君    村田敬次郎君       兒玉 末男君    野坂 浩賢君       坂井 弘一君    安藤  巖君       小沢 貞孝君 ————————————————————— 昭和五十五年二月二十二日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 田村  元君   理事 小此木彦三郎君 理事 瓦   力君   理事 小宮山重四郎君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君    理事 小沢 貞孝君      稻村左四郎君    小里 貞利君       奥野 誠亮君    狩野 明男君       海部 俊樹君    金子 一平君       小山 長規君    近藤 元次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    田中 龍夫君       根本龍太郎君    橋本龍太郎君       福家 俊一君    藤尾 正行君       藤田 義光君    松澤 雄藏君       村山 達雄君    阿部 助哉君       稲葉 誠一君    大原  亨君       川崎 寛治君    兒玉 末男君       野坂 浩賢君    八木  昇君       安井 吉典君    横路 孝弘君       岡本 富夫君    草川 昭三君       坂井 弘一君    工藤  晃君       東中 光雄君    三谷 秀治君       河村  勝君    中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         法 務 大 臣 倉石 忠雄君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 谷垣 專一君         厚 生 大 臣 野呂 恭一君         農林水産大臣  武藤 嘉文君         通商産業大臣  佐々木義武君         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         労 働 大 臣 藤波 孝生君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      伊東 正義君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小渕 恵三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君  出席政府委員         人事院総裁   藤井 貞夫君         人事院事務総局         任用局長    斧 誠之助君         総理府人事局長 亀谷 禮次君         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         警察庁刑事局長 中平 和水君         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         行政管理庁長官         官房審議官   中  庄二君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         法務省民事局長 貞家 克己君         法務省刑事局長 前田  宏君         公安調査庁長官 山室  章君         大蔵大臣官房長 松下 康雄君         大蔵省主計局長 田中  敬君         大蔵省関税局長 米山 武政君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省学術国際         局長      篠澤 公平君         文部省社会教育         局長      望月哲太郎君         文部省体育局長 柳川 覺治君         厚生大臣官房長 大和田 潔君         厚生省公衆衛生         局長      大谷 藤郎君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         食糧庁次長   小野 重和君         通商産業大臣官         房長      杉山 和男君         通商産業大臣官         房会計課長   石井 賢吾君         通商産業省貿易         局長      花岡 宗助君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         通商産業省機械         情報産業局長  栗原 昭平君         運輸大臣官房長 杉浦 喬也君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         労働大臣官房長 谷口 隆志君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省都市局長 升本 達夫君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君         自治省行政局選         挙部長     大林 勝臣君         自治省財政局長 土屋 佳照君  委員外出席者         会計検査院事務         総局次長    松尾恭一郎君         会計検査院事務         総局第四局長  岡峯佐一郎君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 惇一君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     近藤 元次君   江崎 真澄君     越智 伊平君   奥野 誠亮君     狩野 明男君   倉成  正君     小里 貞利君   根本龍太郎君     保岡 興治君   福家 俊一君     山崎  拓君   松澤 雄藏君     片岡 清一君   正木 良明君     西中  清君   矢野 絢也君     池田 克也君   工藤  晃君     安藤  巖君   中川利三郎君     東中 光雄君   山原健二郎君     三谷 秀治君   岡田 正勝君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     倉成  正君   越智 伊平君     中島源太郎君   狩野 明男君     奥野 誠亮君   東中 光雄君     中川利三郎君   三谷 秀治君     瀬崎 博義君   河村  勝君     岡田 正勝君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。  本日は、理事会の協議により、公務員綱紀粛正及び行政改革の問題について質疑を行います。橋本龍太郎君。
  3. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 今回の集中審議の冒頭に当たりまして、私はまず総理に、公務員綱紀粛正行政改革というものについての基本的な姿勢についてのお答えをいただきたいと思います。  私は、第一次大平内閣の一員として、発足直後の閣議におきまして、総理から、公務員綱紀粛正、それぞれの所管省において十分留意せよという御注意をいただいたことをいまもなお記憶をいたしております。しかし、それと同時に、その直後に国立大蔵病院、東京第二病院において汚職事件が発生をしました。責任者として閣議の席上においておわびをいたす第一号になるという、はなはだ恥ずかしい思いもいたしました。ただし、従来の同種ケースに比べてその際の処分ははるかに厳しいものとし、両病院責任者はもちろんのことでありますが、地方医務局、さらには本省幹部職員に至るまでの大幅な処分を行うと同時に、省職員一同はえりを正してその信頼を回復することに努めてきたわけであります。  しかし、その後におきまして、政府部内においていわゆる空出張問題を初め幾つかのケースが問題となりました。また、特殊法人等におきましても、KDD事件に至りましては論外でありますけれども、同種事件表面化をし、国民に与えた衝撃というものはきわめて大きなものがあります。と同時に、いまや公務員に対する信頼国民の中で地を払ったかのような議論さえ珍しくない状態となりました。これはまことに残念な事態であります。政府に対する国民信頼というものをこれ以上傷つけることなしに、積極的に信頼を回復するためにも、綱紀粛正への努力というものはどれだけ厳しく払ってもこれで足れりという限界はあり得ません。  こうした情勢を踏まえて、国政の最高責任者として総理自身公務員綱紀粛正という問題に対しどのような基本姿勢を持って今後の努力をしていかれるのか、その御決意をまず最初に伺いたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 政治行政に対しまして国民信頼が欠如しておるということでは、何事も実りある政策が実現できるはずはございませんし、国民の福祉の向上が期待できるはずはございません。行政並びに政治基本は、何といたしましても国民のそれに対する信頼が第一だと思います。  最近、あらゆる方面におきましてこの信頼を傷つけるような事案が続出しておりますることは、橋本委員の御指摘のとおり、私といたしましてもまことに遺憾なことでございます。われわれといたしましては、こういう事案が出てまいりました以上は、まず第一に、その事案の実相を早くきわめましてこれを国民に知らせるということ、そしてそれを踏まえた上で綱紀を正していく道を工夫していかなければならぬと考えておりまして、そういう方向で現に捜査当局捜査当局としてきわめるべき調査はいたしておるわけでございます。われわれはそれはそれとして見守らなければなりませんが、しかし、同時に、行政府といたしましてなすべきことは何かということを出さなければならぬことは当然でございます。  それはまず第一に、どこにお願いするよりも、まず内閣自体がそういう姿勢を正していかなければなりませんし、内閣と申しましても私自身が正さなければならぬことでございます。したがって、第二次の私の内閣発足当たりましてもそのことを発意いたしまして、各大臣にまず真剣にみずからの身辺を清潔にしてまいること、綱紀を正していくことをお願いいたしたわけでございまして、これを踏まえて各省庁におきましていろいろな申し合わせをいたしまして、具体的な綱紀粛正にいま真剣に取り組んでおるところでございまして、このことは今後もいよいよ緊張した姿勢で追求していかなければならぬと考えておるところでございます。  それから、同時に、第二の措置といたしまして、この種事件の再発を防ぐための手だてを考えなければなりませんで、それは行政上の措置、立法上の措置、いろいろ考えられるわけでございまして、いまそれぞれ手分けいたしましてそういう問題点の整理をいたしておるわけでございまして、選挙制度の問題、政治資金規正の問題、収賄罪等の罰則の強化の問題、企業の経理を公正にしてまいる問題、その他万般の問題点を取り上げまして、それぞれの部局におきましていま検討を進めております。与党との間にも政治資金規正法選挙制度問題等につきましてはいま打ち合わせをいたしておるところでございまして、成案を得次第国会の御審議にまたなければならぬと考えておるわけでございます。  要するに、まず第一の心構えは、内閣自体が率先して当たらなければならぬということ、そのことを基本にいたしまして真剣に取り組んでいかなければならぬ、政治信頼を回復せにゃならぬ、そう決意して当たっておる次第でございますので、ひとつ格段の御叱正と御鞭撻をお願いしたいと思います。
  5. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 いまの総理のお言葉のように今後の事態が推移していくことを、心から私も期待をいたします。  そこで、昭和五十五年度における行政改革の全容について行管長官から御説明をいただく前に、もう一点ぜひ私は総理の御認識をこの際明らかにしていただきたいことがございます。  行政改革基本的な事項一つ定員削減であることは言うまでもありません。現在、第五次の定員削減が進行中であり、この中において本年度の定員査定として七百七十人の純減という査定結果が示されております。この数字に対しては、世上たったこれだけかという御意見があることも私はよく承知をいたしております。確かになおゆとりがある省庁もあるかもしれませんし、また私もあると思います。この点は各論として後ほど申し上げるつもりであります。  しかし同時に、私は、中央省庁本省機構について、果たして従来方式定員削減というものがこのまま推移できる情勢にあるかどうかについては、きわめて大きな疑問を持っております。  私自身の体験の中から、厚生省の引例をお許しをいただきたいと思うのでありますが、私は十一カ月余り厚生大臣在任の間に、三人の職員の死に遭遇をいたしました。一人は、予算査定の最中であります。一人は、年金のオンライン化の推進の最中に、その責任者であります。一人は、法令審査の最中における作業中の職員の死であります。三人とも過労による死でありました。総定員法施行以来、厚生省自体定員の非常にふえている役所一つであります。確かに、昭和四十二年度末定員が五万三百四十八名でありました本省機構が、現在では五万七千七百七名にふえておる役所であります。しかし、本省内部部局だけをとってみれば、四十二年度においては二千六百五十二名でありました職員の数が、今回二千百十一名に削減をされるわけであります。その中には、環境庁の創設に伴って移管した二百七十九名を含んでおります。いずれにしても三百名くらいの減であります。しかも業務量がふえている。その中で、私は本当に三人の職員の葬儀に際して、遺族に対して言う言葉を持ちませんでした。  定員削減のやり方には、私はいろいろな方式があると思います。しかし、世間における認識の中に、公務員はまだまだだぶついているのだから、もっと大幅に削減できるのだという御意見がありますし、本院における今日までの御論議の中にも、そうした観点からの御論議がありました。  そこで、私は総理の御認識を伺いたいのでありますが、果たして国家公務員がそんなにだぶついておりますか、それともぎりぎりの仕事をしている、その中でなおかつ国民の要請にこたえ、簡素にして効率的な政府というものを実現するためには、なおかつその中でも定員削減を実施しなければならぬという、そうした覚悟をお持ちであるか、私は、総理基本認識をこの際ぜひ明らかにしていただきたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 自由民主党歴代内閣、すでに四次十二年間にわたりまして十二万八千人を計画的に、国家公務員定員削減を実行してまいりました。今回われわれは、さらに今後五年間に三万七千人の削減を上積みする第五次の削減計画を定めておるところでございます。個別の部署を見ますと、一部にはまだ相当定員合理化の余地があると見られるものもありましょうけれども、この削減計画の実施によって、全体としては定員事情はかなり厳しくなっておるものと考えます。  毎年の予算編成の実態を見ましても、予算額の獲得よりは定員の確保という点により大きなエネルギーが使われてまいりました実情からも、それはわれわれは察することができると思うのでございます。この十二年間の削減計画を通じまして、また新たな増員も若干認められてまいりましたけれども、その過程におきまして国家公務員の構成全体が変わりまして、相当新たな業務の増加に対応すると同時に、一方において財政需要を減らすという方向相当成果を上げてきたのじゃないかと私ども考えております。  しからば、いまのような状態国家公務員の人員が過剰なのか、適正に維持されておるのかどうなのかという判断でございますが、これを判断する基準といたしまして、諸外国わが国公務員数の比較を行政管理庁でいたしたのを見てみますと、人口干人当たり公務員の数、この公務員には国家公務員特殊法人地方公務員を含むわけでございますけれども、これをとってみますと、日本は千人当たり四十五・八人、イギリスは百五・四、フランスが六十七・四、アメリカが八十・七、西ドイツが八十二・六となっておりまして、先進諸国に比べましてわが国国家公務員の数は一番少ないということになっております。  これだから、それではこのままでいいかというと、私はそうではいけないと思うのでございまして、われわれはできるだけ少数精鋭をもって国民に対するサービスをしてまいる方法をもっと工夫していかなければならぬわけでございますけれども、諸外国と比較いたしますと相当厳しい定員事情にあるということは、この数字からだけでも察することができると思うのであります。  したがって、こういう事情のもとにありまするけれども、なお政府としては一段と努力をしなければならぬという立場におるんだというように御理解をいただきたいと思います。一人当たり租税負担から申しましても、また社会保険料負担から申しましても、これらの先進諸国に比べまして日本はまだ比校的低位にあるわけでございまして、日本近代国家としてはまだ比較的若い国であるということは非常に幸いだろうと思うのでございます。この段階におきまして、より効率的な政府をつくるように努力することは、われわれは大変意義あることだと考えております。
  7. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 そこで行管長官から、今度は昭和五十五年度の行革基本的な考え方並びにその成果について簡潔にお答えをいただきたいと思うのです。  私は、行政改革というものの本来の目的は、行政適合性効率性整合性というものの追求にあると考えておりますが、この点は一体いかがなものでありましょうか。  また世の中には、行政改革を行うことによって財政再建が簡単にできるというような御意見がございます。しかし、これは果たして直接的に結びつくものでしょうか。もし行政改革の本来の目的が私が申し上げたようなものであるとするならば、当然行政経費節減という形の中から副次的に効果は出てきます。しかし、大変失礼でありますが、太田薫さんの御提唱になる、三、四兆円の節減行革案とかいろいろな御意見が出されておりますような、行政改革というものが直接財政再建に結びつくということには無理があるのじゃないかという感じを私は持っております。この点を踏まえてお答えをいただきたいと思います。
  8. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いま、行革根本精神には効率性適合性、そして合理性、これがなくちゃならないと言われたことは、私も同感であると存じます。特にむずかしい一九八〇年代を迎えるわけで、高齢化社会が来る、あるいは省エネルギー時代で、資源が小国の日本としては大変だ、いろいろなことがあらかじめ見られるわけであります、予見し得るわけでありますから、それに対応するだけの機敏な行政でなくちゃならない、かように存じます。したがいまして、御指摘のとおり、中央官庁におきましても各官庁間の整合性というものは大切であり、また中央政治と地方自治体におきましても、ダブるときはなきや、あるいはまた民間に過剰介入はなきや、そうした面における適合性合理性、すべてのものが大切ではなかろうかと私は考えております。  今回の行革は、もちろん高度成長期における余りにも肥大化した行政を、思い切ってぜい肉を切るべしということで総理みずから先頭に立たれた行革でございますが、総選挙を通じまして消費税問題等々が出ましたので、たとえば消費税は引っ込んだ、そのかわりに同額が行革で出るはずであるといういわば要求があることは確かでございます。しかし、消費税がたとえば二兆円、三兆円といたしましても、では行革からそう簡単に二兆円、三兆円毎年出るかということになりますと、私はこれははなはだむずかしい課題であって、したがいまして、そのことを志さなければならない、一般的な財政再建に資するように志さなければならないけれども、一応、行革財政再建一〇〇%できるのだということに対しましては、私といたしましてもいささか考え方を異にするものでございます。  なぜかならば、行革をやるときに最も効果的なのはあるいは人件費削減であるかもしれませんが、すでに参議院におきましても国会決議等々もあり、また今日の経済情勢等々を考えますと、そう出血を伴うむげなる人減らしということは、政府といたしましても社会不安を巻き起こすだけの話であって、スムーズな行革推進のゆえんとはなりません。したがいまして、器減らし、仕事減らし、それが将来は人減らしにつながる、こういうふうな考え方でやっていかなければならない、かように存じておる次第でございますので、今回の行革におきまするところの器減らしは、特殊法人におきましても、地方出先機関におきましても、あるいはまた役人が判こ行政で、自分の器である、自分の権益だと思い込んでおります許可認可あるいは法令あるいは報告、補助金、そうしたことに関しましても四本の柱を打ち立てまして、これの整理統合にかかっている次第でございます。  なかんずく、いま御質問の定員削減は非常に大切なことだろうと思います。国民のニーズに合うためにも必要だろうと思いますが、しかし一方においては行政需要というものに見合うようなことも考えていかなければなりませんので、なかなか思い切って、ずたずたやれ、やれたら結構でございましょうが、ここにも非常に配慮をしなければならないところがございますが、一応第五次にわたりまして十六万六千の削減をしたことは事実でございます。第五次の三万七千は本年度から始まるわけでございますので、極力スムーズにこうしたことが進行することを考えたい、かように存じております。  なおかつ、世の中がどんどんと多様化いたし国民のニーズも新しく起こってまいるとするのならば、先ほど御指摘のとおりに、あるいは教育あるいは福祉、あるいは最近では登記、あるいはまた航空行政等々新しいニーズが起こっておりますが、この面におきましては、たとえ十二年間に十二万八千の削減をいたしましてもその面では純増というふうに政府は配慮をいたしておりますので、この点もよろしく御了解賜りたいと存ずるものでございます。
  9. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 いま長官が言われましたように、国家公務員定員については、昭和四十三年以来数次にわたる計画削減が実行され、同時に毎年きわめて厳しい増員査定が行われておる結果として国家公務員総数の縮減に対して成功してきたという点については、私は政府の態度を評価したいと思います。  いまお話がありましたように、昭和五十四年度末までの計画削減総数は十二万八千、今回決定された第五次の計画削減数三万七千六百というものを加えた十六万六千人というものは、自衛官を除く国家公務員総数の九十万に対して約二割の削減であることは間違いありません。ただ、他方、この間に国立大学、国立病院・療養所、航空行政、海上保安行政、また登記等の国民の非常に強いニーズのあるものに対して十二万人の増員が行われ、結果的に国家公務員の総定員が差し引き一万の純減となっていることは、私は本当に評価すべきことだと思います。  この一万という数字は、これだけで評価をすべき数字ではありません。内訳を考えてみましても、国立大学、国立病院・療養所、航空行政、登記という四つの業務だけで三万五千人の純増になっている。他方、一般行政や現業部門において四万四千人の減を立てているわけでありますから、このように合理化の可能な部門から国民的な要望の非常に強い分野への大幅な定員の合理的な再配置というものを行っているという点については、私はこれは評価をすべきことだと思います。  しかし同時に、このように国が総体として一生懸命努力をしておられましても、たとえば食糧検査であるとか生糸検査等に見られるように、ごく一部の部門でありましても暇な部門というものがある限りは、国家公務員の数に対する国民の批判は厳しいものにならざるを得ないと私は思うのです。  私は、行政管理庁長官にその御決意を承りたいわけであります。  この際、食糧検査とかあるいは生糸検査など、暇な部門として国民の指弾を浴びているような部門については、積極的な職員の配置転換等を行いながら徹底的な合理化をしていただきたいと思うのでありますが、その点の御決意はいかがでしょう。
  10. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今日まで定員削減をしてまいりまして、いま御指摘の教育等々の部面におきましては確かに純増でございますが、一般職におきましては、今後三万七千、わずかなように聞こえますが、これの削減をいたしますと、実は一般職では五年間で一〇%の定員削減する。まさに相当な仕事を与えるのではなかろうか。だから一層少数精鋭主義でがんばってください、こういうふうに公務員の人たちにも申し上げなくちゃならないと考えておりますが、さて、でこぼこという点になりますと、確かに時代の推移とともに、この間も当委員会において問題になりました生糸検査所あるいはまた米の検査員、これらの人たちはどうなのかということになれば、当然私は、定員削減の中にもある程度の数字は入れておりますが、やはり積極的に配置転換等々によりましてでこぼこの修正をしなければならない、かように考えております。  食糧事務所に関しましては、御承知のとおり町単位、郡単位、府県単位というのがありますが、町単位のものは三千、ようやくこれで全部カットいたしましたから、その間に約八千人の検査員の純減をいたしておりますが、まだ一万三千人ほどおられます。農林大臣もこれは極力考えるということでございますので、私といたしましても縮減を図りながら、これらの人たちだけが対象だと言うとまたいささか語弊があるかもしれませんが、そうした方々を含めまして今後は——大げさに言えば明治以来なかったかもしれません。それぞれの省庁がプライドを持っていますから、その省庁の壁をぶち破って配置転換するということはむずかしいことでございますが、今回はわずかでございますが、皆が協力態勢をとってくれておる、だから将来における道づけをこれによってやっていく。そして、極力そうした面におきましても適正な定員の確保に努めていきたい、こういうふうに考えております。
  11. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 その御決意がそのとおり実ることを私は祈るわけであります。  そこで、委員長の御許可をいただき、お手元に配付をいたしております二つの資料をごらんいただきたいと思います。  いま申し上げたように、国立大学あるいは国立病院・療養所、航空行政あるいは海上保安行政、登記といった業務は重点的に定員の配置が行われている部面であります。ところが、ここにお配りをいたしましたのは、一つは「一般病院の百人当り職員数、開設者別」また「一般病院の入院患者百人当り医療従事者の推移、開設者別」の表であります。  統計のこの横線グラフをごらんいただきましても、国立病院・療養所がいかに低いところに数字があるか、同じことで、国立大学を含む国の他の病院がどれぐらい定員が膨張しているか、一遍でおわかりがいただけるはずであります。  「一般病院の百人当り職員数、開設者別」をごらんいただきましても、国立病院欄の計をごらんいただければ七〇・四という数字に対して、国の大学病院その他の場合には一五三・九人、この数字には大きな開きがございます。厚生連あるいは日赤、済生会及び北社協、市町村病院、都道府県病院、こうした公的な医療機関の平均が一一〇・二であるのに比べて、重心、筋ジス等も抱えた国立療養所の五七・八あるいは国立病院の七〇・四という数字がいかに低く、少ない人間で努力を重ねているかは、一遍で御理解がいただけるでありましょう。週休二日制が論議をされる最近であります。私はいままでにもしばしば、増員がなく、国民に対するサービスの低下がなく、職員に対して過重労働を強いないという条件での週休二日制がこの分野においてはできないんだということを申し上げてきたのに、配慮をされている国立療養所、国立病院と言われるその分野の定員がこのようなものであるということでありまして、これは十分な御理解を願わなければなりません。  そこで私は、これに対比して地方公務員について、今度は自治大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  地方公務員の総数は、五十三年度末現在三百七万人と聞いております。昭和四十三年以来、国は一万の純減になったわけでありますが、その同じ期間において地方公務員は七十四万人余りの増であります。たとえば東京都の場合には現在二十二万の職員、美濃部知事時代だけで約五万人の純増であります。もちろんこの純増数の半ば近くが、学校、警察、消防といった国民にとって必要不可欠な分野の増員であることは私も否定をいたしません。しかしそれにしても、同じ期間に国家公務員は、業務がふえながら定員が一万純減をいたしておりますのに比べて、七十四万人の増というのはちょっとこれは異常と言わざるを得ない現象ではないでしょうか。そうして国民からすれば、国家公務員地方公務員国民負担という意味においては同じ意味を持つわけであります。したがって、国がいかに国家公務員定員合理化努力をいたしましても、その国家公務員でも先ほど宇野長官自身がお認めになりましたように、なお暇な部門として国民から指摘を受けるものがある、その上に地方公務員がこのように大幅に増加をしている限り、国民の国に対する厳しい批判というものは免れることができないのは当然のことであります。これは地方自治との権限問題、いろいろな問題があることは私も存じております。しかし政府はこの機会に、地方公務員数についても徹底的な縮減合理化を図るために有効な措置をおとりになるべきであると私は思いますが、同じ期間内における国家公務員純減は一万、その期間内における地方公務員の増は七十四万、この数字を踏まえ、自治大臣としての今後の対応の御方針を伺いたいと思います。
  12. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御説のように地方自治団体の定員管理、真剣に取り組んでいただかなければならぬと私自身感じております。したがって、定員の縮減というようなことについても橋本先生と私は見解を同じくいたしております。  そこで、私は、この行政改革という問題は何よりも仕事の見直し、これが基本であろう。つまり行政分野、行政の守備範囲の問題、それによって国、地方あるいはそれぞれの外郭団体、それから民間に任すべき仕事があるのかないのか、こういうようなことを見直して、その上に立って機構、人員の縮減、簡素合理化ということ、それが今度はお金が減るのかどうなのか、私は金減らしにつながらなければいけない。ただし私の言う金減らしというのは、経費効率の面でございます。そういう意味合いで、これから先も地方団体に行政の改革、定員管理の適正化ということについて協力を求め、強く指導をしてまいりたい、かように考えておりますが、御説のように七十四万、これは沖繩を含んでのお話だと思いますが、確かにそれだけふえております。  その中身を見ますと、警察それから学校の先生、消防、これは国の法令で定員が決められるわけでして、地方ではどうにもならない、この数が三十四万五千人ふえております。それから、いま市町村で一番ふえておるのは福祉関係でございます。これは行政ニーズが非常に高いわけですからこれまたいたし方がないということで、これが二十一万二千人ふえております。それからもう一つは、住民の日常生活に欠かせない病院ですね、それから水道等の事業、この部門で六万二千人ふえておるのでございます。残りの一般行政部門で八万八千人、私はこの面に大きな問題があるな、かように考えておりますが、これがふえたのは一つは、高度成長時代の行政需要の増加に伴って、土地の利用の規制その他いろんな法令が制定せられるわけですから、それに伴っての増員があるわけでございます。というのは、これらの仕事が全部機関委任事務にせられておるのです。それともう一つは、公共事業が大変地方が実施せねばならぬものがあるものですから、一時御承知のように、これ一体地方の技術職員で間に合うかといったような時代もあったぐらいですから、こういうようなことで地方の人間がどんどんふえておる。  私は、地方団体みずからがやはりこれはよく考えてもらわなければならぬ面がある、これは基本だと思いますね。しかし同時に、地方の機構の改革また定員の縮減、こういう問題は地方だけでどうにもできない面がございます。そこらはやはり中央の政府各機関もお考えを願って、法令の改廃あるいは予算の編成等の際に、地方の職員をむやみに地方団体の長としてはふやさなければどうにもならぬといったようなことにならないように、施策を決める際にぜひお願いをしたい。これは毎年お願いをしておりますけれども、だんだん下へ下へと仕事をつけていくというのではこれはどうにもならぬ面がございます。しかし、さればといって私は、いまの地方団体のこの人の数がこれでいいなんて絶対に思いませんで、これはもう少しやはり真剣に取り組んでいただかなければならぬ、私自身もそのつもりで対処していきたい、かように考えております。
  13. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 いま国の責任による地方自治体の増員が相当数を占めると言われた点は、私も否定をいたしません。この点は後ほど別な問題から議論をいたしたいと思います。  ただ、先ほどの表に戻ってごらんをいただけば、もし都道府県病院あるいは市町村病院定員が、自治大臣がいま言われたように、ニーズからいってこれだけのものが必要だと言われるならば、今度は行管長官、国立病院・療養所の定員が少な過ぎるよということを私は言わなければならなくなります。その辺の論議というものは、これはやっていれば幾ら時間があっても足りませんからいまは申し上げません。そうした点についても御努力を願う余地が地方自治体においてもあり得る、そのように私は考えておることは御承知をいただきたいと思います。  そこでまた行管長官に戻るのですが、特殊法人職員の数においても実は同じような現象があるわけであります。現在特殊法人職員総数九十四万と言われておりますね。この十年間で六万人の純増であります。確かにその主なものが電電公社の六万人の純増、日本航空の一万人の純増、これが大きなウエートを占めていることは否定をいたしません。海外路線の延長による職員の増もあったでありましょう。また架設電話数が急増したという問題もあったでしょう。しかし同時に、それを言うならば、電話の自動化によって運用部門の職員の大幅な合理化も可能だったはずでありますし、特殊法人職員数がやはりこの十年間に六万人ふえている、しかも特殊法人の数が減りつつある状況の中としては、これはやはり異常な現象ではなかろうか。この職員数の縮減というものに政府は一体どのように取り組んでおられるのかをお尋ねしたいと思います。  この機会にあわせて私は、特殊法人というものについての基本的な見直しの実施について長官の御見解を承りたいと思います。私は今回の行革の中で、従来しり切れトンボになっておりましたものを含めて十八法人の縮減決定というものは、近来にない特殊法人整理であったと評価をいたします。また同時に、私は特殊法人というものが、財投資金というものを活用することによって事業規模を拡大し、これまでの経済の成長を支えてきたという、そうした役割りを決して否定するものではありません。むしろ正当にこれは評価したいと思います。ですから私は、特殊法人が一切無用だといったような論議をするつもりはありません。しかし、この十八法人が減になりました場合でありましても、九十余りの残余の特殊法人があるわけであります。その中には、地域別また業種別に類似した法人というものが数多くあります。民間移行が適当ではないかと従来から論議をされておる特殊法人というものもなお存在をいたしております。さらに、特殊法人が公共性と効率性の両面を生かした運営が行われるような監督規制のあり方というものについても、基本的な見直しが必要であると考えております。今回のKDD問題の原因の中にも、特殊法人として存在するKDDというものに対し郵政大臣の及ぶ権限幅が非常に少ない、さらに会計検査院の権能等も活用することができないといったような点の不備があったことも事実であります。  この機会に、私は、政府が今後、残余の特殊法人について、民間の有識者の意見等をも聞きながら、この制度のあり方を含めて整理合理化についての基本的な見直し作業というものに着手すべきであると考えておりますが、これについての御見解を明らかにしていただきたいと思います。
  14. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国家公務員の方は、御承知の一般職に関しては総定員法、これは私は世界に冠たる法律だと言うのですが、こうした総定員法にみなが協力をしていただいておることにおいて、相当合理性定員の面においても確保できておると思います。  ところが、残念にいたしまして特殊法人の方におきましては、それぞれが独立の法律をもって強制的に設置された法人でございますので、そういうふうなものがございません。だから、高度成長期にはあるいはいろいろなニーズによって定員がふえたことも事実でございます。しかし、今回の整理に当たりまして、私はやはり高度成長期に雨後のタケノコのごとくにあるいはふえたかもしれないが、それを整理統合しようということでかかりまして、ようやく九十三になるわけですが、これは御承知のとおり、昭和三十八年の特殊法人の数に該当するというので、十五、六年間のぜい肉は数の上ではそぎ落としたということが言い得るのではないかと思います。したがいまして、この定員に関しましても、やはり御指摘のとおりの面がございますから、当然私は縮減を図っていかなければならないと存じますが、先ほどの御質問で、国家公務員の方は本年度から第五次の定員削減に入るわけでございますが、それと並行いたしまして、特殊法人におきましてもおおむね一万三千の定員削減に入りたいと存じます。なお、国鉄も特殊法人でございますが、本年より昭和六十年にわたりまして七万四千定員削減に入り、いわゆる三十五万体制に入るわけでございます。そうしたことにおいて私たちといたしましても、やはり特殊法人においては国民のニーズに合う機敏なる動きをしていただきたい、かように念ずるものであります。  第二番目に御指摘特殊法人のあり方に関して基本的に考えてはどうか、私は全く同感でございます。その一つの方法といたしまして、先般の予算委員会におきましてもお答えを申し上げ、そして総理の御指令によりましていま着々とその法案提出の準備をいたしておりまするが、全特殊法人に対しまして行政管理庁といたしましての監察を及ぼすことにいたしたいと存じております。  もちろん、今後十八減って二つふえるわけでございますが、私は残りの九十五の特殊法人が全部が全部、もうこれでいいのだとは決して考えておりません。現に社会経済情勢の推移、あるいは同じファンクションを持っておるものは整理統合してもいいではないか、まだ私はそういうものがあると思います。御指摘のように地域的にもあるじゃないか、あるいは業務的にもあるじゃないか、私は当然だと思います。したがいまして、昭和三十九年の臨調以来まだ残っておるものがありますが、こうした問題法人は今日改めて諮問をする必要はございませんけれども、私の手元でびしびしともう一度統廃合の準備を進めていきたいと思いますが、しかしここでもう一度見直して、いわゆる特殊法人とは何ぞや、その機能を十二分に発揮せしめるためにどういうふうにあらねばならぬか、こういうことは私、大変必要なことではないかと思いますので、本年はいわゆる一九八〇年代の第一年度でございますから、特殊法人に関しましても、行革に関しましても、この第二次大平内閣の五十五年行革というものは、その意味で大きな基盤をつくる、一つの目標をきちっと定めておく、こういうことが必要ではないかと思いますので、私はひとつ特殊法人に関しましても、そのようなことで、少数ではございましょうが、民間の有識者によるところの研究会を四月ごろには発足させたい。それは特に学者中心の方がいいのではないか、また実務家も若干参加していただきますが、余り大げさな審査会だとか審議会とかいうのじゃなくして、すでに相当データがございますから、それをひとついろいろと解明をしていただきまして、短期間にその答えを得たい、こういうふうに考えておりまして、御提案、まことに私といたしましても同感の意を表したいと存じます。
  15. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 四月中旬には基本的な見直しに着手されるという、これは私は大変高く評価をいたしますと同時に、その結論ができるだけ早く示されることを心から期待をいたします。  ただそこで、私はいま長官のお話の中で、総定員法というものは世界に冠たるというお話がありましたが、いままでしばしば政府は、実は行政改革を実施するに際して、機構なり定員なりに関して、各省にある種のノルマを課す、あるいは一律主義的な手法を用いて改革を推進してきたと思います。これは私は一つの実践的な手法として従来相当成果を上げてきたということについては、正当な評価を与えたいと思います。しかし、先ほど申し上げましたように、私は中央機構の本省定員というものを考えた場合におきましても、もう第五次となりますと、こういうやり方というものはそろそろ限界に来たのではないかという気がしてなりません。先ほど三人の職員の死ということを私は申し上げました。昨年人事院から私どもは、職員の健康管理に十分留意せよという御注意、警告を受けたわけでありますが、ことしの予算編成中にも実は救急車で運ばれた職員があり、またスモンの解決に当たって私と一緒に本当に努力をしてくれました局長は、倒れていま病床にあります。そういうことを考えてまいりますと、もうそろそろノーマルなやり方に戻るべき時期が来たのじゃないかという気がしてなりません。  すなわち、国の事務、事業というものについて検討し、たとえばよく言われる米穀検査業務であるとか車検業務であるとか、民間能力の活用を図れという声がすでに出ておる分野もあります。こうしたことも必要でありましょう。そうした意味での合理化を行うことによって、機構、定員の合理化が可能な分野というものも当然あるはずであります。私はこれからの行政改革というものは、そういう意味ではそろそろ正攻法で、まず事務、事業の整理合理化というものを積極的に進めて、民間に移すべき業務は積極的に民間に移す、地方自治体に移譲すべきものは地方自治体にその権限は移譲する、それに伴って機構、定員の合理化というものを図るべき、そういう時代に私はすでに来たような気がいたします。  そのためには、これはちょっと長官に耳の痛いことを申し上げさせていただきますが、全国に出先機関を持ちながら、現在、地方監察局というものが廃止しろというような声を浴びている。これは私は地方監察局が決してその職務を怠っていたとは思いません。しかし、余り細かい個々の問題にとらわれ過ぎて、本質的な監察というものに手抜かりがなかったか。そうなれば私は、考え直すべき点があるんじゃないかという気がしてなりません。ですから私は、実態調査の能力を持つ行政監察局というものの機能と行政管理局の機能というものが一体となって行政改革をこれからは進めていく時代に来たと思います。こうした意味での思い切った事務、事業の整理合理化というものを行いながら、正規な機構、定員の合理化というものにそろそろ足を踏み入れる時期が来たと思いますが、その点についてはいかがでありますか。
  16. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 非常によい御意見でございます。今回の四本柱の中におきましても、特殊法人は別といたしまして、地方出先あるいは法令、許可認可、報告さらには補助金、それらはすべて直接仕事そのものでございますので、これの整理統合をやっておるところでございます。これらはすべて府県単位に所在いたしております行管庁の行政監察局が終始各地をめぐりましていろいろと調査した結果、大蔵省がその調査報告に基づいておやりになったこともございますし、またわれわれ行管庁がその調査報告に基づいて断行しておる面もあるわけでございます。  一例でございますが、報告のごときは四百万ページにわたると言われ、高さにいたしますと約二百メーターであります。この二百メーターの紙を日本全国において判をついたりつかれておったのが今日までの行政であって、いかに複雑であり、いかに民間に介入をし、あるいは自治体にいろいろな複雑なものを与えておったかということを考えますと、やはりこれは大きな成果を得たのじゃないかと存じます。そうしたところから判こを押す役人のポストが一つ減った、あるいは二つ減った、民間においてもその書類を出す人が不要になった、そうした整合性というものもこの行政改革においては必要ではないだろうか、私はかように存じますので、今後仰せの点に関しまして、十二分に監察を強化しながら、それと表裏一体となって管理が行き届くというふうな行革を推進していきたいと考えております。
  17. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 いま前向きの御答弁をいただいたわけでありますが、私は監察局の機能をもっと発揮していただき、合理化を図るべき事務、事業の一つの例として、この際、三公社四現業の病院経営の実態というものについて、またその監察の必要性をなぜ私が申し上げるかということについて、若干の指摘をしたいと思います。  現在、国鉄、電電等三公社、アル専を除きました四現業が直営しております病院総数は、全国で七十九を数えております。これはもちろん、職員の福利厚生面を目的としたものであることは間違いがありません。ところが、これらの病院が近年、いずれも毎年数百億円に上る巨額の赤字を出し、その赤字は一般事業費勘定から繰り入れをすることによって穴埋めをしていると言われております。私はそもそも、行政機関や公社がみずから職域病院を持つ必要性自体についても疑問を持っておりますが、これはさておくといたしましても、その赤字を一般事業費勘定から繰り入れることによって穴埋めをすることの妥当性については、どうしても疑問を持たざるを得ません。  たとえば一つの例として、私は逓信病院昭和五十二年度を例に引きたいと思います。逓信病院には電電系、郵政省系とあるわけでございます。郵政省における逓信病院の収支は、昭和五十二年度においては、収入が約四十二億円でありました。それに対して支出は百六十八億円であります。人件費のみで百十三億円、物件費で五十五億円でありました。これは国民の支払う郵便料金の中から埋められているわけであります。鉄道病院は、赤字に悩みつつと言いながら運賃収入から埋められ、電電公社の逓信病院においては、電報電話料金の中からこれが穴埋めをされている。  これらの病院が一般病院として機能することについては、地域の他の医療機関との関係もあろうとは思いますが、少なくともこれらの病院が公的病院という性格を有する限り、入院患者一人当たりについて国立病院とか療養所に比べてはるかに多くの職員を擁しながら救急告示指定病院にさえなっていないという状況は、これはその実態を国民が知れば、怒りの殺到する種類の問題ではないかと私は思います。現在、この三公社四現業の病院の中で救急告示を受けておられるのは、印刷局の一病院にすぎません。これは私には納得のいかぬことであります。また、同じようなケースを探すなら、実は国立大学の付属病院においても同じようなことが言えるわけでありまして、大多数は救急告示指定病院にはなっておらない。国立大学が救急告示指定病院になっておらないということを御存じない方の方が恐らく大半でありましょう。私はこういう問題が見逃されているということは、やはり監察機能というものが十分に機能していなかったという感じがしてなりません。長官、せめてこの三公社四現業の病院経営の実態とあり方についてだけは、行政監察を直ちに実施すべきだと私は思いますが、それについての御見解だけ簡潔にお示しをいただきたいと思います。
  18. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 三公社四現業の病院の実態、いま御指摘のとおりであるということを私も聞き及んでおります。ただ、残念にいたしまして、今日までは職員の福利厚生だということだけでやっておりましたが、この間も小沢委員がここで御指摘になったとおり大変な実態であって、それが国民にいかに大きな負担を与えておるかということ等も今後は考えていかなければなりません。この前の予算委員会ではそれぞれの大臣が、自分の方の所管であるからまず自分の方で十二分に合理化を図ります、こう言っていらっしゃいましたので、私どもまずそれを見守りたいと存じております。でございませんと、ここで私もちょいちょい人のふところに手を突っ込むような話をすると御忠告もございますので、まず各省庁でしっかりやっていただいて、五十五年の監察計画の中に、十二分に各省庁の動き方を見きわめながら対処していきたい、こういうふうに存じておりますので、よろしくお願いいたします。
  19. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 しかし、行管長官そう言われますが、総理も首を縦に振っておられましたから間違いありませんね。大丈夫ですね。このとおりにこっとしておられますから、総理からも各閣僚に協力を要請していただけると思います。ぜひこれはお願いをいたしたい。少なくとも国民が納得のできる形にしていただきたいと思います。  そこで、私は最後に、審議会の整理合理化について触れたいと思います。  昭和五十三年に政府は、四十八の審議会の整理、約一千名に上る審議委員削減というものを実行されました。しかし先般、私どもの同僚である浜田議員も申されましたように、私は審議会整理がこれで終わったと考えては決してならないと思いますし、また、もっと積極的な整理を行わなければならないと思います。  それにつきましても、私は昭和四十六年の審議会整理の行政管理庁の取り組みというものをもう一度思い起こしたいと思うのであります。当時、私は厚生省の政務次官として行管の申し入れを受けた立場であります。あの時点で行政管理局は、この際すべての審議会というものを一たん完全にゼロベースで見直す、そして審議会の設置には原則期限つきとする、会議開催機会の少ないものについては法律に設置の規定だけを設けて、根拠だけを設けて、必要な都度政令で設置するといったような、非常に積極的な提言をされました。遺憾ながら、この試みは実らなかったために今日の弊害を残しているわけであります。  現在、二百十二に上る審議会というものがあります。ところが、この中には、過去三カ年会議の開催数ゼロという審議会、ないし報告を聞くためにと称して一年に一遍お茶を飲みに集まるのみという審議会、まだまだ整理合理化すべきものがたくさんあります。また、審議会の委員構成については、民意の反映ということで、国会議員及び行政機関職員を原則として構成員から外すという閣議の決定がなされておりますが、行政機関職員については五十三年の審議会整理の際にかなり実現をいたしました。米審以来国会議員についてはまだ実現を見ておりません。  また、一方では、これは後藤田自治大臣が先ほど触れられましたように、法律で地方公共団体に設置を義務づけている審議会というものが現在五十八あります。しかし、その中には、関係する向きがまるでない、開催実績がゼロ、社会経済情勢の変化に伴い必要なしというものも相当見受けられるわけであります。こうした行政組織の設置の義務づけというものが地方公共団体においての行政改革の推進にどれくらい隘路となっているかは想像にかたくありません。こうした点についても、私は、行政管理庁が積極的に音頭をとられ、三大臣合議の会議もお持ちでありますから、積極的な見直しをなさるべきだと思います。  そこで最後に、政府が今後の審議会の整理合理化にどのように取り組むか、そのお考えをお述べいただきたいと思います。  例示だけを申し上げましても、公務員制度審議会は過去三カ年に開催回数はゼロ、そして国民生活安定審議会は五十三年、五十四年はそれぞれ一回ずつ開いてお茶を飲んで終わり、自動車損害賠償責任再保険審査会に至っては、設立以来委員が任命されたことすらなく、当然開催回数はゼロであります。また、地方自治体に設置を義務づけておる審議会の中には開拓審議会のような例もあります、東京都とか大阪府に開拓者のための審議会が大体要りますか。こうしたものが公然と残されている状態というものは、私は異常だと思わざるを得ません。政府として、この地方に設置を義務づけている審議会をも含め、今後審議会の整理にどのような取り組み姿勢を示されるのか、その点についての御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  20. 中野寛成

    中野国務大臣 審議会の整理は前回三十六やりまして、これが終わったのが一昨年でございましたので、さような意味で今回の第一次の行革には実は取り入れておらなかった次第でございますが、過般来当予算委員会におきましても、与党からも野党からもいろいろとこれに対する御意見が出されました。政府といたしましても、十分その点を踏まえまして前向きにひとつ検討したい、こういうふうに考えております。  なお、御指摘の地方の特別機関に関しましても、これはもう非常に矛盾が多いということでございますので、これをも含めまして十二分にいまの御提案におこたえ申し上げたいと考えております。
  21. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 終わります。(拍手)
  22. 田村元

    田村委員長 これにて橋本君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  23. 大出俊

    大出委員 最初に、通産大臣がいま参りましたそうですから通産大臣に承りますが、浦項の製鉄所にかかわる疑惑につきまして、速やかな調査総理からお約束をいただきましたが、その後どんなことになっていますか。
  24. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 お答えいたします。  御指摘のございました八品目の単価につきまして、三菱商事から事情を聴取いたしまして、八品目のうち二品目、天井用の走行クレーンと、それから高アルミナ質の耐火レンガの二品目について、ある程度事情が判明いたしました。この点、後ほどもしお尋ねがあれば、詳細なお答えをしたいと思います。  残りの品目につきましては、かなり前のことでもございますし、資料も現存しておらないという事情もございますし、詳細については判明しておりません。
  25. 大出俊

    大出委員 いまの二品目というのは、中身は長いですか。大変長いものならば、きょうはKDDを中心にと思っておりますから、後でその資料をいただきたいのですけれども、そこらは、大変長いものなら時間がかかりますので、後から資料をいただきたいですが、いかがでしょう。
  26. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 多少事情もございますので、後ほど資料を御提出いたします。
  27. 大出俊

    大出委員 それでは、後ほど資料をいただいて、その上でということにいたします。  それでは、浦項の製鉄所問題は、二品目について出ているというわけでありますから、いただいてからということで、これで終わります。  次に、KDDの問題でありますが、最近の新聞の社説に、つい最近のものに、この種の疑惑解明にきわめて不熱心に見える大平内閣、そのもとで国会がこの問題を解明しようというのなら、野党は肉を切らせて骨を切る決意がなければならぬというようなことを書いてありますが、私も全く同感でありまして、肉を切らせて骨を切ってもいいわけでありますが、全部ぶちまけて、この衆議院をもう一遍解散して出直しぐらいやってもらってもいいと実は思っているぐらいでありますが、そうでないと、国民政治不信は解けない、私は実はそこまで思い詰めている一人です。  そこで、まず総理に。昨年の十月でございますかな、税関当局が関税法違反犯則事件として告発をしましたのは。足かけ四カ月にもなるのでありますから、一体検察あるいは警察当局は何をやっているのだ、これは偽らざる国民の実感だろうと私は思っているわけでありまして、だから社説にこんな表現が出てくるのでありましょう。総理にひとつその辺の、何でこれ何やっているのかさっぱりわからぬというようなことになっているのだと、この点についてひとつ総理のお考えをまず承りたい。いかがでございますか。
  28. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 KDD事件につきましては、片や捜査当局が捜査をいたしておりまして、これにつきましてまだ詳細な報告を私は受けておりませんけれども、やがて捜査当局の手で実相が解明されることと思いますので、捜査当局信頼いたしまして、その報告を待っておるところでございます。  他方、郵政当局を中心に、KDDの業務体制の刷新につきまして、人事の刷新その他の措置がいま打たれておりますことは大出さん御承知のとおりでございまして、政府はこの問題につきましてそれぞれの立場で鋭意対処いたしておるつもりでございますので、そこから出てまいりまする結果につきまして、また御批判を仰ぎたいと思います。
  29. 大出俊

    大出委員 いまだに報告を受けてない、こういうわけでありますが、これも不思議な話でありまして、受けてなければ報告しろと言ったらいいじゃないですか。そうでしょう。  法務大臣はどうなんですか、これは。法務大臣は報告を受けているのですか。
  30. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この事案についてはまだ報告を受けておりませんが、これにつきましては、もし犯罪等があるとすれば、検察当局は断固たる態度で臨むと信じております。
  31. 大出俊

    大出委員 それは犯罪があるとすれば検察当局は断固たるというのはあたりまえのこと、犯罪があったけれども断固たる態度をとらないなんとなったら、えらいことになっちゃう。そうでしょう。倉石さんらしくない答弁をなさる。長いおつき合いですがね、倉石さん。よくないですよ、そんなことを言っているのは。のんき過ぎて。  じゃ、警察庁長官に承りたいのですが、一生懸命警視庁やっているのですが、生活課なんというのは三班しかない。三人、三人、三人でしょう。これは所轄から人を持ってきたりして、十一人か十二人ふやしてやっているでしょう。捜査二課だって八十名ぐらいでしょうけれども、これまたほかのことがあるから全部使えないから、これも所轄から人を持ってきてやっておるでしょう。一生懸命やっているのは認める。平井警視庁刑事部長出てきていただこうと思ったのだが、かぜか何かでダウンしてしまって寝てしまっている。そうしたら捜査二課長石田君はどうなんだ、これもダウンしてしまった。そこらじゅうダウンばかりだから、見方によっては一生懸命やっているのかもしれない。そうでしょう。もっとも、きのう石田捜査二課長も記者会見をやって妙なことを言っているんだけれども、中身を言ってしまってはぐあいが悪いから言いませんが、どうもこれはすっきりせぬ。  私は本当に残念だけれども、自殺をなさった方、保田さんなんかおいでになるんだが、この方は前に、昨年ですね、二十七階に泊まり込んでおって、ウイスキーをだるま一本飲んでしまったりして窓から飛びおりようとして、秘書課の諸君に抱きとめられて——そんなことはわかっているじゃないか。全く何をやっているんだと実は言いたい。  だから国家公安委員長に承りたいんだけれども、後藤田さんに承りたいんだが、私が前回、佐藤さんという人は前社会室長だが大悪人と言ったけれども、この間の新聞の記者会見なんか見ると、悪人まる出しだ。こんな人はほっておけないぞ。あなた何とかしなければいかぬじゃないですか、きわめて近い時期に。そこらも含めて、どう考えているのですか、お答えください。そんなことはみんなわかっているんだから。
  32. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 警察としましては、これは国民の非常な関心を集めている事件でございますから、全力を挙げまして警視庁としては事態の解明に当たっているわけです。  ただ捜査は、これは大出さん御承知のとおり、一つ一つ証拠を積み上げていかなければいかぬわけですね。その積み上げの上に立って事件の全容解明をする、こういうことですが、この事件は、先般もお答えしましたように税関法違反ということが入り口になっておるわけですけれども、幅の広い立場でいま捜査を進めておる。確かに皆様方の目から見れば、もたもたしているではないかといったような御批判があるのは十分承知をしておりまするけれども、やはり捜査というものは積み上げなければならない。最後にこれは有罪の判決を受けることができるかどうかといった、そこまで詰めなければならぬわけですから、いましばらく捜査の結果を待っていただきたい。警視庁がいずれは全容の解明をしてくれるものと、かように私は期待をいたしておるわけでございます。
  33. 大出俊

    大出委員 後藤田さん、あなた税関法違反だなんてひっくり返しに言ってはいけませんよ。これは関税法違反だ。捜査がひっくり返ってしまうじゃないですか。とぼけたことを言ってはいけませんよ。  じゃ、捜査はどこまで来ているのですか。手が届くところまで来ていますか。佐藤陽一さんなんという大悪人をほっておいて、どうなんですか。
  34. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 いろいろ新聞等に出ておりますけれども、手が届くか届かぬかは、これはやはりもう少し待っていただかぬと、いまともかく捜査をしているさなかですから、いま私の口で、いやもう手が届きますよとか、いやまだまだ遠いですなんというのはちょっと御答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  35. 大出俊

    大出委員 実はわかり過ぎるぐらい私もわかっておりますから、ぎりぎりまで申し上げるつもりでおりますが、そこから先のところはきょうのところは控えて、次の機会にしようかと思っておるのです。私は手が届くところへ来ておると思っているものですから。  そこで、最初にKDDの皆さんの気持ちを考えていただきたい。前回そこまでは言いませんでしたが、逓信官吏練習所というのは私の出身学校ですからKDDの中にも何百人もおられるわけでございまして、実は労働組合からも大変切実な訴えがここに来ています。密室の社長室の中でやっていたことだ、一般の方々には関係ないと言うのですよ。いましきりに公務員がたたかれたりするが、一般のまじめにやっている人はみんな関係ないのだ。景気がいいときには、同窓会をやったって、おまえ何やっているんだ、公務員だ、ばかみたいなこと、安月給、こう言われるでしょう。公務員試験だって景気がいいときは人事院の試験はどんどん減っていっちゃう。おやじにすれば、高校出の娘の方がよけいボーナスをもらってたなんていうので、私の職場の郵便局の職員なんかはブーブー言っている。いや先生、娘は高校出なんだけれども四十万ももらっちゃった、私の倍だ。ところが今度、景気が悪くなると、何かというと親方日の丸で公務員はけしからぬと。皆さんはほとんど公務員でしょう。それをがんがん言われて黙って聞いている、これもばかな話だ。私は苦心惨たんして退職手当暫定措置法をあそこで引き上げなきゃどうしようもないと思ってやってみたところが、今度は減らす、こう言う。この間何年もの間皆さんは喜んでいるのですよ、ようやく民間に近くなったと言って。今度は減らす。そういうようにころころ変わっちゃいけませんよ。そこで、KDDのまじめに働いている皆さんの気持ちを察すれば、やはりできるだけ早く片づけるものは片づけるという姿勢でなきゃいけませんよ。職員の方々は耐えられないでしょう、何の罪もないのだから。そうでしょう。  そこで、きょうは古池さんが出てこない。まことにけしからぬと実は怒り狂って、最初からここで理事会を開いてくれ、私は質問しない、証人喚問を決めてくれと言おうと思っていたのだけれども、けさになって診断書か何か出てきてしまいまして、となると、これはまあしっかりした字で書いてあるから大したことはないんだろうと思うけれども、だけれども、とにかくこの問題についてはKDDの刷新委員会のメンバーの木村さんもきょうおいでですが、木村さん、あなたが警察、捜査当局との窓口でしょう、古橋さんは技術屋さんだから。ところが分担の方は、古橋さんの方が交際費等調査委員会の責任者でしょう、木村さんの方は成田通関関係の責任者でしょう。話は逆なんだけれども木村さんが中心だから、天下の大悪人にかわってきょうは答えてくれなきゃいけませんよ、いいですか。  ところで商品券ですが、全部わかり過ぎるぐらいわかっている。間違いだったらあなたの方で言ってください。しらばっくれちゃいけないですよ。この間ほかの委員の方がここで質問しましたが、私もかつて十二月三日に言ったら古池さんが出てきて、大出先生に教わった、教えたのに教えたとおりやらない。手紙か何か出して回答をくれ、そんなばかなことをしちゃだめですよ。私はそんなことを言ったのじゃないのです。買った当事者なんだから、向こうはみんな言うことになっているのだから、行ってちゃんと聞けばみんなしゃべるのだから行って聞きなさい。社長兼会長が行って聞けば一遍でわかる、そうでしょう。やらない。ひとつどっちがごまかしているのかはっきりしていただきたい。この間の共産党さんに対する三越、伊勢丹の答えで、伊勢丹は私が十二月三日に言ったとおりですからこれでいい。三越は六百八十五万円と言うのだけれども、あなた方がうそを言っているのですか、それとも三越がうそを言っているのですか、どっちですか、答えてください。
  36. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えいたします。  三越の社長からKDD社長あての手紙でございますけれども、それはこの間御報告しましたように六行八十五万円でございます。
  37. 大出俊

    大出委員 ところで、KDDは総額で一体幾ら商品券を買ったのですか。私が二千万近い話を十二月三日に西武デパートの名前も挙げて三越も挙げて伊勢丹も挙げてしたら、そうしたら、今度はKDDの方は何か二千万円ぐらい残っていた、ちょうど私の言った金額に合わせたようなことを言っている。幾ら買ったのですか。
  38. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えいたします。  商品券につきましては会社の経理規程に定めました正規のルートを通して調達したものでございませんでして、購入後の帳簿管理等も行われておりませんでした。また、これを取り扱っておりました担当者もすでに故人となっておりますので、購入総額及び贈呈先ともつまびらかにすることができませんでございますので、大変あれでございますけれども、このような次第であります。
  39. 大出俊

    大出委員 古橋さん、きのうやきょうじゃないんだから、かたくならぬで答えてくださいよ。もう一遍教えなければいけませんから、言いますから、正式に。きちっと申し上げますから。  商品券のデパート別の金額は、私、昨年十二月二十三日に西武デパート、これは池袋じゃないですよ、渋谷の西武、私がぽんぽん言ったら後から何も言ってきませんから正しかったようでございますが、千四百万円と私が申し上げた。九百万と五百万の二回、これは約百万くらいふえそうであります。おおむね千五百万、これは西武デパート。昨年私が言ったのがほぼ当たっている数字であります。三越が千四百万円。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕 この間、本委員会の委員の方が質問をしておられましたときに、この新聞の写しをお持ちになっておられましたが、これはある新聞の、ここに記入してある商品券の——最近は字が小さいともう一つめがねが要るので勘弁してください。「商品券仮出票」というのが上の表ですね。「商品券お買上明細票」というのが下、現物が写っている。この中には「券組合せ明細」というのがありまして、「二百A掛ける十 扱者持参 保田参与」こうなっている。これを見てあなたはわかりませんか、これはどこの商品券の明細書か。刷新委員会でそのくらいわからなければいけませんよ。わかりますか。
  40. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えいたします。  その新聞にはそのように出ているかと思いますけれども、三越の答えがさようでございますので、確認いたしかねます。
  41. 大出俊

    大出委員 三越のとおっしゃいましたな。これは三越なんです。(古橋参考人「失礼しました」と呼ぶ)いいんですよ、それで。  ところで、Aというのは三越の符牒ですよ。二百Aというのはどういうことかというと、Aというのは三越の符牒で千円なんだ。「二百A掛ける十」となっている。二十万円の包みが十個ということです。二十万円包みが十個、「二百A掛ける十」三越の符牒ですよ。このくらい刷新委員会でわからなければだめじゃないですか。後藤田さんのところの部下の方々は知っているというのだ。調べてちゃんとわかっている。つまり、新聞に載っているのは、三越の商品券の明細書です。券組合せなんです。「二百A掛ける十」つまり二十万円の束が十、額にすれば二百万円。この下に「Aデパートでの商品券購入一覧」とあります。Aデパート、三越です。ここに書いてあります、五十三年十二月から始まりましてずっとたくさん書いてありますが、ほぼ間違いありません。ただ、商品券というのは御存じのとおり七%税金がかかります。電話でやりとりして箱代だ何だというようなことで注文をつけると、また値段が変わります。だから、そういう意味で端数はわかりませんが、ここでは千四百万となっておりますが、西武は私は大体千四百万と申しましたが、おおむね千五百万近い。三越が千四百万円、高島屋が五百万円、伊勢丹が六十万ちょっと、合計おおむね三千五百万、あなた方は買っているじゃないですか、三千五百万。  時間がないからついでに言います。  ところで、渋谷の西武で買った日付、行って聞いてごらんなさい、このとおり言うから。八月の十一日九百万円、九月の十三日五百万円、合計千四百万円。書いておいてください。また教わったからなんて言って手紙を出してはだめですよ。行ってください。九月十三日の五百万の中身、三十万円包みが十個、二十万円包みが十個、保田重貞参与が外商部に電話をかけた。じゃ、キリの箱に入れてお持ちしましょうか、のし紙つけて、そんなものは要らない、全部ボール箱に入れて持ってきてくれ、ボール箱に入っているのです、これは。十個十個、三十万包みが十、二十万包みが十。早い話がさっきの三越の二百A、これは二十万包みが十、これだけで三十です。これはどこへ行ったのですか、後藤田さん。法務大臣、寝ていちゃだめですよ。これが三十個、これを配ったら、政治家なら三十人に配れるでしょう。だれに配ったのですか、言ってください。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  42. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  この件につきましては、御存じのように、旧社長室の首脳部がやっておりましたことでございまして、しかも、関係書類等は一切ございませんので、書類上からも、それから……(大出委員「話にならぬ」と呼ぶ)そういう意味で……。
  43. 大出俊

    大出委員 私はKDDの交際費調査委員会の委員長じゃないんですよ、委員長は古橋さん、あなたなんだから。そうでしょう。小委員長がそれじゃ困るじゃないですか。  じゃ、社長室がやったことだと言うから、中身を言いますよ。思い当たりますか。三千五百万商品券をやった。そこで、これは読売新聞さんや朝日新聞さんも三千五百万と書いているが、私が調べてみたら、やはり同じ金額。間違ってない。さすがにやはり天下の大新聞、間違いない。先ほどの三越のものは毎日新聞さんだけれども、これも間違いがない。朝毎読、みんなちゃんと合っている。合ってないのは皆さんだけだ。  そこで、保田参与が買ったんだ。買って、まず板野社長——天下の大悪人、この人は。この板野社長に五百万円ずつ二回商品券を渡している。板野さんに五百万ずつ二回、一千万円。この一千万円を、今度は佐藤室長——この間、新聞記者会見か何かでろくなことを言わぬ、うそばかり。この佐藤室長が板野さんから五百万円受け取っている。板野さんに一千万円行って、一千万円行った板野さんから五百万佐藤前室長が受け取った。別に保田参与から佐藤前室長が五行万受け取った。だから、結果として、板野社長の手元には五百万、佐藤前室長の手元には一千万、こういうことです。間違いない。  そこで、さて、警察がぱかっと行って押収をした。そうしたら、残りが出てきた。佐藤さんのところから二百五十万円残りが出てきた。だから、佐藤さんは結局七百五十万円使っている。佐藤さんの分一千万のうち二百五十万円がKDDに残っていた。こういう中身なんです。これは、担当の刷新委員会小委員長さんなんですから、ひとつよくお考えいただいて後で答えてください。  もう一つ、ついでに申し上げます。  警視庁が捜査をしたときに、おおむね二千万円残っていた。総額二千万円。内訳を申し上げますが、政治家、あるいは官僚もあったかもしらぬけれども、そこまではわからぬけれども、政治家が主です。ここから戻ってきたのが六百万あります。そんなものはナンバーを見れば皆わかる、古いのは。みんなあわてて返した、六百万円。ちゃんと残っていた。後藤田さん、あなた知っているでしょう、しらばくれているけれども。ところで、贈らないやつが七百万円保田君のところにある。あれはあのときうそばかり言っているんですね。何か保田さんのかぎのかかるものがあってその中に幾ら幾ら入っている。いや、六百万しか入っていない、七百万しか入っていない。保田参与のところには、保管していたのは七百万、これは新しいものです。佐藤さんのところで二百五十万出てきました。六百万の、七百万の、二百五十万だから、これは千五百五十万残っていた。あなた方押収している。あなた方立ち会ったんでしょう。知らぬとは言わせない。この二つ。出かけていって押収した人がいて、立ち会った人がいて、わからぬなんというばかなことありますか。ふざけちゃいけません。ちゃんと答えてください。
  44. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  何回も申し上げますけれども、大量の書類等が全部押収されておりまして、しかも……(「目録はあるんだろう」と呼ぶ者あり)目録はありますけれども、商品券が押収されたことは事実でございます。ただ、それがわれわれが知らないところにございましたのが出てまいりまして、それが幾らか出てきたわけでございます。  そのようなことで、十分なお答えはできませんけれども……。
  45. 大出俊

    大出委員 古橋さん、私が聞いているのですから、不規則発言に応酬なさらぬでくださいよ。  古橋さん、これは金券ですよ。後藤田さん、後から承りますが、あなた方が金券で持っていくのに、黙ってふところに入れて持っていきますか。そんなことしないでしょう。どうですか、後藤田さん、答えてください。捜査に行ったら商品券があった。金券じゃないですか。これは金ですよ。それを何も書かずに帰っちゃうのですか。警察庁長官時代、そんなことを指導したのですか。
  46. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 押収目録にちゃんとやっておると思います。
  47. 大出俊

    大出委員 答えなさい、うそを言っているのじゃないですから。お答えください。そんなでたらめがありますか。
  48. 古橋好夫

    ○古橋参考人 押収されたことは事実でございます。その金額でございますけれども、これは押収されておりまして、警察の方の捜査にいろいろ関係あると思いますので、お答えは御遠慮させていただきたいと思います。
  49. 大出俊

    大出委員 要するに、わかっているけれども、警察の取り調べの対象になっているからしゃべれない。じゃ、私がいま挙げたことについて間違いだともおっしゃいませんな。
  50. 古橋好夫

    ○古橋参考人 重ねて申し上げますけれども、数字等については私ども十分よく存じておりませんので、間違っているかどうかわかりませんです。
  51. 大出俊

    大出委員 いいですか古橋さん、押収をされたのならば、金券ですから、一体幾らあってどこにどうあったというのがわからなければ、さっき後藤田さんが答えているでしょう、これはわからぬはずはない。そうでしょう。私はあなたに細かく答弁を求めているのじゃない。金額を具体的に挙げたのだから、したがって、おおむねとか言い方があるじゃないですか。何とか言いなさいよ。幾ら何でもそれじゃかっこうがつかぬじゃないですか、知らないんじゃないんだから。
  52. 古橋好夫

    ○古橋参考人 大体おおむね、大出先生のおっしゃるとおりでございます。
  53. 大出俊

    大出委員 おおむねも何も、間違ったことを聞いているんじゃないのだ。警察庁が知っていることぐらい、こっちもみんなわかっている。  だから、結論を言うと、六百万は戻ってきた。これはだれかが返した商品券。三千五百万買っていますから、残っていたのがさっき申し上げたように六百万、七百万。それで千三百万。それに二百五十万だから千五百五十万。約千五百万でいいでしょう。千五百万がどこかに行ったことになる。千五百万がどこかに行った。差し引き計算してごらんなさい。残ったのが六百万に七百万に二百五十万で、三千五百万買っているのだから、差し引きずると千五百万ばかりがどこかに行った。だから、この千五百万がわからないのと、戻ってきた六百万を足すと、二千百万近い金になる。これだけが政治家ないしそれに近い人に配られていた。こういうことですが、大変な数です。  さて、これを一遍後藤田さん、ちょっと承りましょうか。ずいぶんたくさんの人に商品券が配られっ放しになっている。そうお聞きになっていませんか。ぐあいが悪いところは結構ですから、大ざっぱに言ってください。
  54. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 捜査の内容に触れる点がございますので、ただいまの段階でお答えは差し控えたいと思います。
  55. 大出俊

    大出委員 触れないように聞いているのに、ずいぶんまた木で鼻をくくったようなことを言うね。それでは後から答えざるを得ないように質問しましょう。  つまり、商品券はこれでけりだ。週刊誌なんか六千万だ云々だとあるけれども、そんなことはない。デパートを調べてみればいやでもわかる。  もう一遍念のために申し上げますが、あなた方はわかっていて言えないのですか。木村さんが窓口だから、木村さんが、捜査当局の窓口は私だが、当局より調べるのは待てと言われているから調べられないとかなんとか言うのかと思っていたのだけれども、調べないというのはどうなっているの。いかがですか。木村さん、古橋さん、どちらでもいいから答えてください。窓口は木村さんだから、どうなの。そうでないと、けりにならぬ。
  56. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  先ほど古橋参考人から申し上げたとおり、実態がわからないというのが事実でございます。
  57. 大出俊

    大出委員 さっき古橋さんは、おおむねそうだと言ったのだけれども、今度はまた実態がわからない。ずいぶんあっちこっち行きますな。担当の古橋さんが、おおむねそういうことだと言うので、こういうことに間違いないのです。  もう一遍各デパートを調査をする、いかがでございますか。調査するお気持ちが刷新委員会の皆さんにございますか。
  58. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  必要があれば調べます。
  59. 大出俊

    大出委員 何だか他人が物を言っているようですな。KDDの方ではないような気がするのだが、調べますと言うのだから調べてください。  次に、裏金と称するものについて承りたい。これは外為法違反ともひっかかります。時間がありませんから言いますから、後から答えてください。  英国のロンドン——ロンドンはほかにないけれども、ここに英国のロンドンと書いてあるから読んだのですが、KDDの出張所がここにあります。ロンドン事務所長小関康雄さん、警視庁防犯部がこの小関康雄さんに、参考人として事情聴取をしたいから帰ってこいと申し入れましたな。聞いていますか。
  60. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 海外で購入してきた資金の流れというものは捜査の過程で十分関心を持っておりますけれども、具体的にロンドン事務所長の、いま小関さんとおっしゃいましたが、その方とどういう交渉があるかということにつきましては詳細はまだ承知しておりません。
  61. 大出俊

    大出委員 そうじゃなくて、あなた方、小関さんに参考人として事情聴取をしたいということを申し入れたのじゃないですか。
  62. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 しているだろうと思います。
  63. 大出俊

    大出委員 時間をかけなさんな。塩飽さん、だめだよ、そんなこと言ったら。  ところで、まだ帰ってこない。これがずうずうしいんですな。協力する意思がないのですな。小関さん、帰ってこないでしょう、どうですか。  申し入れしていると思いますと言うのなら、帰ってきたらしたのだろうから、帰ってきていますか。
  64. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 申し入れはしておりますけれども、帰ってきたかどうか、その辺のことについては承知しておりません。
  65. 大出俊

    大出委員 そんなもの入管を調べれば一遍でわかるじゃないですか。帰ってきてないですよ。これはKDD全く非協力ですわな。それだけ後ろ暗いのですよ。  申し上げましょう。昨年の秋に板野さんが、板野大悪人がロンドン、モスクワへ出張した。そしてロンドン事務所の千二百万円の事務所経費を流用した。そして贈答品の買い付けをやらせた。私は板野さんがやらせたと思っている。これを随行の職員に持ち帰らせた。これが成田税関で発覚した事件ですよ。ところで、この千二百万円の事務所経費の流用、中身は、ワニ革のハンドバッグ約二十個、ボールペン、カフスセットなどたくさん、革製の筆入れ、これも山のように。これを浅野秀浩前調査役並びにもう一人、佐藤信義さんが持って帰ってきた。ところで、ここで一つ問題がある。佐藤室長が渉外費として持ち出した十万ドル、一体この金とそれから事務所経費の流用、どう絡むか、ここに問題がある。三カ月、つまり四半期に一遍ずつ事務所経費を送っているわけですよ。日本からロンドン事務所へ送っている。その中から流用して、持ち帰る贈答品を買った。会社がそういう命令を出している。佐藤室長が直接小関さんに電話を入れています。かわって桑山秘書役でございますか、この人が品目を言っています。そういう形でやりまして、だから持って行った十万ドルというのは大変たくさん残ったまま帰ってきている。その帰ってきた金、それはどこへ行ったか。ここには裏口座、裏金等、それから外為法違反とそれにまつわる法律違反が三つ、四つある、こういうことになります。私がいま裏金と言っているのはそういう意味だ。  そこで、KDDに承りたいのですが、板野かつての社長が八回か十二回か忘れましたが、外国へ行っています。毎回十万ドル持って出ておる。十万ドルは間違いない。一ドル二百円なら二千万。ところが、別建てで旅費、ホテル代は別にKDDの会社が出しておる。だから、旅費、ホテル代とは全く別に十万ドルを旅行のたびに持って出ている。渉外費ですよ。そしてこの十万ドルの名目は、現地のパーティーだとかおみやげ、こう言うパーティー代は二百万ぐらいしかかかっていない。だから、ほとんどこれは手つかず。ロンドン事務所の例で言えば、ロンドンで事務所経費の方で買ってある品物を持って帰ってきた。だから持ち出した十万ドルの方は、半分か三分の一か残っている。だから帰ってきて精算するときに領収書と合わない、領収書がうんとわずかなんだから。そこで領収書の改ざんが起こっている。そして、浮かした金を裏口座、要するに前社長室次長さんの奥様の名義などでと、こういま言われておりますが、隠し口座になっておる。この隠し口座から政治家へ金が行った。こういう図式です。この図式について捜査の対象にいたしておりますか、警察庁。
  66. 中平和水

    ○中平政府委員 そういうことも含めまして、金の流れを克明に追っているのが実情でございます。
  67. 大出俊

    大出委員 わかりました。ここで出てまいりますのは佐藤前室長の責任、こういうからくりです。KDDの英国のロンドン事務所というのは、英国の税務当局から調査を受けるという理由で、領収書は本国に送っておりません。本国には報告書を送っております。したがって、金は持っていっても使う金は少ない。みやげ品はみんな買ってあるんだから。持ち帰った多額の金を裏金とした。口座はさっき申し上げたとおり。領収書が少ないから合わない。合わないからゼロをつけて一けたふやしてみたり一を八に直してみたり、あるいは同じひすいなんという宝石を二度買ったことにしてみたり、ろくなことはしていないのです。佐藤前室長がみんなやっておる。これは政治家に贈る金も官僚に贈る金もみんな浮いてくるのですよ。あたりまえじゃないですか。この金が世上一億とか二億とか言われている。私は二億に近いと見ている。こういう実情にある。捜査の対象にしておられる、そういう意味の御答弁がございました。  そこで承りたいのですが、これは領収書の改ざん、私文書の偽造になりませんか、警察庁。
  68. 中平和水

    ○中平政府委員 個々の具体的事実に即して判断をしなければならぬことでございまして、(大出委員「一般論として」と呼ぶ)一般論としては、そういう場合もあり得るというふうに考えております。
  69. 大出俊

    大出委員 それからこの裏金が特定の政治家に行っていた。政治資金規正法等の関係が出てきますな。贈収賄という関係もありますな。いかがですか、警察庁。
  70. 中平和水

    ○中平政府委員 これもまた個々具体的に判断をしなければならぬ問題でございまして、それが直ちに贈収賄になるとか政治資金規正法に触れるとかいうことはないと思います。(大出委員「一般論で言ってください」と呼ぶ)一般論ではそういうこともあり得るという程度でございます。
  71. 大出俊

    大出委員 それからこの持ち帰った金をふところに入れているとなると、社費の流用になりますな。一般論として横領になりませんか。
  72. 中平和水

    ○中平政府委員 一般論でお答えするにふさわしくない問題だということで、基本的に私は、個々の具体的な問題でございますから、そういうお答えはしたくないわけでございますが、一応一般論で申し上げれば、そういうこともあるだろうというふうに考えます。
  73. 大出俊

    大出委員 中平さん、最近は少し口がほぐれてきましたな。えらいタニシの口みたいなのがだんだんしゃべるようになってきた。しゃべってくれなければ困りますよ、国会なんだから。  そこで大蔵省、このやり方は外為法違反、二十七条の目的外使用等々になる。なぜならば、事務所経費として送られていたもの、念のために承りますが、四半期に一遍ずつ送っていたはずですね、それも一緒にお答えください。それをみやげ品などというところに千二百万円も使った。これは私は明らかに外為法二十七条の条項に照らしまして、目的外使用ということで違反である。次に、さてその穴埋めということで別建てで事務所に金を送っているとすると、これも外為法との関係で明らかに違反である。こういうことになると思いますけれども、これは一カ月ずつに精算して別建てで送っている。これも違反だと思いますが、お答えください。
  74. 加藤隆司

    ○加藤(隆)政府委員 事実関係をつまびらかにいたしませんが、いまの御指摘のような例でございますと、二十七条、三十条、そういうのが関連いたしてまいります。
  75. 大出俊

    大出委員 もう一つ、この大量な買い付け、こんな大きな「KDD」と横に書いた、前の質問のとき私言いましたが、黒い特製の革のポストンバっグからざらざら出てくる。この姿は例外規定に基づく、つまり旅行するに当たって、外国に行くに当たってのみやげ品その他に当たる渡航費用じゃない。明らかに業として行われていると見なければならぬし、そうだとすると、通産大臣の正式な輸入の許可がなければいかぬことになる。これも外為法に関する違反です。犯則です。この点をひとつあわせてお答えください。
  76. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  事実関係が明らかでございませんけれども、ただいまのような話でございますれば、輸入貿易管理令の総額が百万円を超える場合には、輸入の届け出または承認が必要であるという五十二条の規定に関係いたします。
  77. 大出俊

    大出委員 これは実はもっと先がありまして、総額、頭が押さえられていた時代からずっと続いていますから、制限超過の金を持ち出していますから、特別な許可を得なければいかぬのに。これも違反になりますが、長くなりますからやめておきます。  そこで次に、この密輸のKDDの社命によるよらないという立証の問題がございます。KDD内部では、帰ってきて渉外費の精算をするときに、物品購入欄があって贈答品をここに記入する、買ってきたものを記入する。租税公課の欄があって関税を記入する、こういう仕組みです。これが精算書の形式です。その精算書は出張が終わると一回に一枚つくらなければならない。ところが品物の購入欄、こちらの方に領収書が添付されている。ところが片っ方の欄の納税通知書、税関を通るときの通関手続に関税を払った、その納税通知書を片っ方に張るようになっている。ところが、この納税通知書がない。領収書だけくっついている。あるいは二百万の税金を払わなければいかぬのに五十万しか払っていない納税通知書が添付されている。にもかかわらず、佐藤前室長が片っ端から判こを押している。本人もやっているんだからしようがない。片っ端から押している。これは、未必の故意という法律用語がございますけれども、明確に密輸の共犯ですね。これは警察庁でございますか。お答えいただけますか。
  78. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 関税法違反の捜査に関連いたしまして、社命で行われたかどうかという点が重要なポイントの一つでございます。そういう意味で、ただいま御指摘のような事実関係につきましては関心を持っております。
  79. 大出俊

    大出委員 これはポイントです。  もう一つ、つまり五十年の九月から、押収資料によりましてこの事件は発覚をいたしております。そこで非現行密輸、つまり現行犯でつかまっていないが、押収書類の中から、それまで百十条、百十一条関連で無申告あるいは低価格で申告をして通関をしていた、これが出てきている。  そこで、ここで問題になりますのは、だれがやらしたのか。昨年の秋のモスコー、ロンドンの出張に当たっては、社長室から佐藤前社長室長がロンドンの事務所長小関康雄氏あてに電話を入れている。贈答品を買っておけというわけです。内訳はそれにかわって桑山という秘書役さんが細かく説明している。それがさっきのハンドバッグ二十個以下の問題です。今度の事件発覚の端緒です。  この佐藤前室長がモスコーに板野さんと一緒に行きまして、昨年九月二十四日、成田を出発しモスコーへ行ったのですけれども、モスコーで二人の、つまり通関のときに発覚をして現行犯で問題になっておる浅野秀浩さんと佐藤信義さんがモスコーを離れてロンドンに先に行った。そのときに佐藤さんが小関事務所長に対してモスコーからの電話を入れて、買っておるだろうなというので確認を求めている。明らかに佐藤さんの指示であることが明確です。  そうなると社命である。その責任者は佐藤さんである。ところが佐藤さんは会社の責任者ではない。この間長きにわたって、佐藤さんと板野學社長との間で合議というか合意をしてこの行為が行われていったとすると、これは板野さんもまた外為、関税法、両法違反の疑いをかけざるを得ない、こういう結果になりますが、そこのところいかがでございますか。あわせて警察庁お答えください。
  80. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 会社の中で社命ということで指示その他があれば、一応共犯という点が論議される可能性はあると思いますが、そのほかの詳細につきましては申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  81. 大出俊

    大出委員 おおむね明らかになってまいりましたが、先ほどの精算書形式の中で問題になってまいりますのは、未必の故意による密輸共犯、その疑いがきわめて強い。会社の中で社命ということで前社長室長が電話で命令をいたしましても、社長板野氏の責任は免れない。そういう意味で、そこがポイントだということになる。おおむね明らかになってまいりましたから次に移ります。  次に、備前焼——備前焼といきなり言ってもわからぬかもしらぬけれども、木村さん、古橋さんどちらかにお答えいただきたいのですが、備前焼のつぼ、作者を申し上げます。藤原啓さん、この方のつぼが百七十万円、藤原雄さん、御子息さんです。この方のは六十万円。五十四年の春、社長室が、板野社長が欲しがっておりますのでと言って某デパートから買った。これは一体、いまKDDの本社にありますか、ありませんか、どっちですか。はっきりしてください。
  82. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えいたします。  ちょっと私、いまこの場でお答えできるような資料を持っておりませんのでわかりません。
  83. 大出俊

    大出委員 ないとなると、これは事件ですよ。これは一説には、あるところに持っていってまた持って帰ってきたという話になっていますが、会社にあるような話もあるが、大変に疑わしいから聞いている。はっきりしてくださいよ。有名なつぼじゃないですか。藤原さんというのは日展のまさに権威ですよ。日本の第一人者ですよ。そうでしょう。答えてください。何にもわからぬではしようがないじゃないか。
  84. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  資料が全部押収されておりまして、いまおっしゃったような現物につきましてこれがどうかということをちょっと非常に申しかねる段階でございます。
  85. 大出俊

    大出委員 この備前焼の好きな人は、そこにも二、三人同僚委員においでになりまして、藤原啓さんというのは、あれはとにかく人間国宝だなんて、こう言う人もいる。おれも持っているなんと言う人もいるけれども、これはKDDからじゃないようですけれども……。それくらい有名な、私が藤原啓さんと言ったら、ああ、あれは備前焼の第一人者だ、人間国宝だ、そのくらいのつぼがわからぬなんという、そんなあなた、ふざけた、それでは刷新の小委員長は務まらぬじゃないですか。あるのかないのか、これは後からひとつKDDから出してください、いまわからなければ。
  86. 田村元

    田村委員長 古橋君どうですか、出せますか。ここへ来て答弁してください。
  87. 古橋好夫

    ○古橋参考人 十分調べまして、御要望があるようでしたらお出しするようにいたします。
  88. 大出俊

    大出委員 よくわからなかったけれども、出すようにいたしますというところだけ聞こえましたから、いいことにいたします。  次に、装身具五千万円、これはありますか、ありませんか。つまり佐藤前室長が、昨年春から貴金属約五千万円をばあっと買ったのですよ、細かい説明はしませんが。この買い付けば、ルビーやサファイアの指輪、一個おおむね五十万円、ネックレス、イヤリングなど七十三点、二千五百五十万円、それから国産の最高級の婦人腕時計クレドール、これは約二百万円、スイス製のピアジェ、コルグなどの婦人用腕時計、それから時計類五十点、二千五百万円、これは部外贈答品ということで伝票で処理させております。これはありますか、ありませんか。
  89. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  ちょっと私、調査も私がやったのでございますけれども、大量に資料があるものですから、大量に現物があるものですから、この場でちょっとお答えができないです。
  90. 大出俊

    大出委員 それじゃそれも……(「もみ消し委員長だ、これは。」と呼ぶ者あり)もみ消し委員長じゃ困るので、ひとつそれも後から、あるのかないのかはっきりさせていただけませんか。委員長いかがでございますか。
  91. 田村元

    田村委員長 古橋君、出せますか。
  92. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答えします。  調査しまして、わかりましたらお答え申し上げます。
  93. 大出俊

    大出委員 これはいいかげんなことで聞いているのじゃないのです。これがなければないでいいのですよ、皆さんに責任があるのじゃないのだから、佐藤前室長に責任があるのだから。なければないでいいのです。会社のものを私のものにしたという意味で大変なことになる。私のものにしていないとすれば政治家その他にやっている、はっきりしているのだから。そこのところをお答えいただかぬと、そこから先私の方も言えないのだ。だから念を押している。そういう意味で、お出しください。  それから、海外から買い付けたおおむね四億円近いもの、これは皆さんの方でわかっているのですよ。いまここで細かく説明する時間がありませんから言いませんが、これはどういう処理になっていますか。あるかないか、どうですか。
  94. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  海外から買い付けたものは簿外品に処理されておると思いますが、私どもが調査しましたときには、簿外品の総額が三億五千四百万円でございまして、その中に入っていたかどうか、恐らく外国から来たものと、それから国内で買ったものとの区別が非常につきづらいかと思いますが……。
  95. 大出俊

    大出委員 それじゃもう一つ言いましょう。  五十二年以降急激に二十二億何千万円、約二十三億も買ったのですが、西武デパートから五億円、これは商品券だけじゃありませんよ。これは要するに商取引で買ったもので、西武から五億円、高島屋から四億五千万円、三越が一億八千万円、伊勢丹が一億一千万円、合計十二億四千万円、間違いない数字です。このほか東急、小田急、京王、松屋、大丸がありますが、少額ですから省きます。西武、高島屋、三越、伊勢丹、買いも買ったり西武は五億円、高島屋は四億五千万円、三越が一億八千万円、伊勢丹が一億一千万円で、十二億四千万円。  さてそこで、簿外資産にしたものその他をずっと当たっていくというと、約十億円が部外に流出をしていることになる。十三億というのは簿外資産を含めて社内にあった。これはあったのだ。秘書室の次長の内野さんが、これは私の同窓だけれども、内野さんが一生懸命になって、本当にお気の毒過ぎるくらい苦労された。物品経理に詳しい人でなければわからないというものだから、引っ張ってきて徹夜の連続。大臣のところへ中間決算の出し直しの期限を決めているものだから、それまでにやらなければいかぬ。べらぼうな苦労をされておるわけです。それだけ苦労されて整理してみたら、十三億は簿外資産を含めて社内にあった。十億ないのですよ。だから実は警視庁の刑事部長の平井さんにきょうお出かけいただこうと思ったのだけれども、私が聞いた限り、警視庁でもないと言っているのです。警察庁どうですか、あなたがかわって答弁するとおっしゃったのだから言ってください。これはないのですよ。
  96. 中平和水

    ○中平政府委員 大変失礼でございますが、御質問の意図がちょっと私聞き違えましたので……。
  97. 大出俊

    大出委員 いいですか。西武、高島屋、三越、伊勢丹等で十二億四千万円、約十三億近いものをおおむね買っているのですよ。簿外資産その他、全部整理したでしょう。ばかばかみんな集めてきて、板野さんの家だとかやれ昭島の倉庫だとかから集めてきた。そうしたら十三億が社内にあった。そうすると二十二億何千万円ばかりの買い物の中で約十億が品物がない。この差し引き勘定で合わない十億円について、品物があれば流れてないことになるのだが、ないのだから、このないことは警視庁で認めておられるのですよ、非公式に私はある人に聞いたら。だから、実はきょうは警視庁の平井刑事部長にお出かけいただくように通告したのだが、かぜ引いてダウンした、こういうわけだから、やっと捜査二課長の石田さんの方が出てきたというわけだけれども、だから御遠慮したのだが、そのかわり警察庁でお答えになると言ったんだから。  十億円が部外に流出している。五十二年から二十三億近いものを買った。そのうちで資産と見られるものはおおむね十三億近いものしかない。そうすると、その差の十億円というものはKDDにない。ないということを警視庁はお認めになっているが、お聞きになっていて、警察庁はかわって答えると言うのだから、ないものはないとお答えくださいと言っているのです。
  98. 中平和水

    ○中平政府委員 正確な数字は私は承知いたしておりませんが、資産台帳等にないものが相当あるという事実がございます。
  99. 大出俊

    大出委員 そうすると、大変な装身具からいろんなものがありますけれども、この十億円ものものがどこにもないのだから、どこかの家の中に飾ってあるか縁の下にあるか知らぬけれども、これはあるのですよ。  そこで承りますが、磁気テープというものはどうなりました。KDDの社長室に小型の電卓がございまして、磁気テープにパーティー券、商品券、金、贈答品、政治家名、官僚名、ランク別、全部セッティングされておりました。昨年の十一月二十八日、私がKDDにお伺いする前後に、KDD側は捜査当局に出すとおっしゃっていた。警視庁の側は受け取っていないとおっしゃる。これは一体KDD、警視庁双方が隠しているのかどうか。このKDDの磁気テープというのはどこにいったのですか。警察庁に承ります。本当に警視庁はもらっておりませんか。
  100. 中平和水

    ○中平政府委員 私が報告を受けて承知している範囲では、そういう磁気テープはあったようでございますが、その中身はそういう事実は全くないものでございまして、私どもは証拠上価値がないということで、確かにお返ししているはずだというふうに理解しております。
  101. 大出俊

    大出委員 そこが問題なんですね。中身を差しかえれば、インプットしたものを違えればみんな違ってしまう。これはKDD証拠隠滅の疑い大です。帳簿の中から持ってきた書類の中に、政治家の名前が鉛筆で書いてあったのを消した、赤外線写真で写したら炭素が残っていたから名前が八人わかったなんて言っているけれども、調べてみると警視庁はわかっていないのだ。だから、ちんたらちんたらいつになったら片づくかわからぬようなことをやっている。  こういう証拠隠滅を次々にさせておくということがいけないのですよ。だから私は冒頭に物を言っている。ごらんなさい、この磁気テープだってそうじゃないですか。中身が変わってしまっている。わざわざそういう時間を置いて、中身をお変えください、消しなさいと言っていたのじゃ、この問題は片がつかぬでしょう。苦労するのは末端のまじめなKDDの職員だけですよ。そうでしょう。  衛生上よくないから、私はきょう文部大臣を呼んだんだけれども、一体これは子供さんをどう教育するんだということになる。文教委員会はなくなったようだから後から申し上げますが、これはこういうことばかりしていたのではいけませんよ。  ところで、時間がなくなりましたが、古池さんは御自分が不正入管なさいました花びんだ、つぼだというのは、税関当局にお出しになっていますか。刷新委員長さんだったのだから、その下に小委員長さんがお二人いるんだから、そのくらいのことがわからぬとは言わせませんよ。いかがでございますか。
  102. 古橋好夫

    ○古橋参考人 ただいまのお話は、つぼを買ったかどうかということでございますか。
  103. 大出俊

    大出委員 昨年の十二月三日の私の質問くらいは、見ているか聞いているか読んでいるかしているでしょう、議事録なんだから。冒頭に出てくるじゃないですか。十月の中ごろに古池さんは岐阜に帰ってごそごそ整理されてこられた。古池さんは悠然と通っちゃったのだけれども、後になって書類を押収したら、その中から古池さんが中国で買ってきたつぼだ、花びんだというものが出てきた。だから、運び屋と称する——これは新聞の書き方で恐縮だけれども、新聞の皆さんが書いているのだが、運び屋の中に古池さん入っているか、入っていると認めた、十二月三日の質問のときに。ところが、百十条の低価申告にせよ百十一条の無申告にせよ、現物を回収したいといって税関は申し入れている。なぜかというと、低い価格で申告してあれば、現物を見なければ幾ら脱税したかわからない。あたりまえでしょう。現物を評価したら、べらぼうに低い価格で届け出たということになれば低価格申告で百十条違反だ、こうなる。そうでしょう。だから、現物を出すのかどうか。古池さんに私はちゃんとこの前質問しているのだ。そうしたら、税関当局の要請には御協力申し上げる。古池さんだけじゃないのだ、二十何人いるのだから。板野學さんもちゃんと入っているのだから。そうでしょう。体裁のいいことを言っているけれども、税関当局に聞いてみたら出してない。出してないです。刷新委員長が自分の違反、犯則事件に関する現物を隠しているようじゃ刷新委員会どころの騒ぎじゃない。警察庁と法務省ぐらいは入っていって、みんな刷新委員長やめさせちゃって、郵政大臣の監督権で刷新委員会を新しくつくらなければだめですよ。それもあなたはわからないの。  じゃ、税関当局に聞きますが、この犯則物件出ておりますか、古池さんを含めまして二十何人かの方々の。いかがですか、大蔵省
  104. 米山武政

    ○米山政府委員 個人の分がどうなっているかという点についてはちょっとお答えは控えさせていただきますが、今回の犯則事件につきまして、十月二日、三日の分につきましてはほとんど現物を出しております。ただ、過去の分につきましては、なかなかもう、出てしまったものもございまして、ごく一部を私どもは提出を受けております。
  105. 大出俊

    大出委員 それじゃ私の申し上げたとおりじゃないですか。十月二日、三日の件。二日は佐藤陽一さん、社長室長。三日はお二人、浅野さんと佐藤信義さん。浅野さん、佐藤信義さんはその場でつかまったのだ。中をあけてみたら前の日に通っていっちゃった佐藤陽一室長の受取が入っていた。だから厳密に言えば非現行ですよ、片っ方は、佐藤さんは。そうでしょう。その二つの分は現物が出てきている。これは前回確認した。ところが、過去の分、二十何人分、ごく少ししか出てない。古池さんについては言っていないけれども、おたくの方を呼んで私が聞いてみたら、出ていない。こういうことじゃいけませんですよ。みずからがきちっとしなければいけません。  ところで、関税当局に承りたいのですが、米山さん、この二十数名、板野學さんも入っている、それも含めてお答えください。この方々の追加告発はなさるのですか、なさらないのですか。
  106. 米山武政

    ○米山政府委員 いま私ども固まったところは、もちろん十一月に告発いたしましたが、その者にかかる低価格申告分につきましては、これは相当具体的に固まっておりますので、できるだけ早くこの分については処置するつもりでございます。  なお、その他の過去の分につきましては、非常に件数も多く関係者も多うございますし、いま申しましたようになかなか現物を集めるという努力も大変でございますので、これは正直のところいつになるか、もう少したってみないとわかりませんので、いまこれを告発するかどうかお答えすることばできません。
  107. 大出俊

    大出委員 もうちょっと米山さん、正直に言わなければいけませんよ。  警察庁に承りますが、生活課というのは、単なる通関の関税法に基づく犯則事件ならば常に生活課がやっている。三班しか班はない。ここでやっている。これは関税局の皆さんに承っても同じことをおっしゃる。そこで事足りる。ところが、今回はそうじゃない。捜査二課の皆さん八十人も所轄を呼んできて一緒におやりになっている。ということは、犯則事件だけでない幅広い捜査をやっているということになるのですが、警察庁の局長さん、どうでございますか。
  108. 中平和水

    ○中平政府委員 冒頭に公安委員長が申し上げましたように、幅広くとらえまして事実関係を明らかにしてまいりたい、そういう方針で臨んでおります。
  109. 大出俊

    大出委員 だから、板野さんやあるいは鶴岡副社長さんなんという人は、自分で品物を持って通関しやしない。ついている人が通関をして、そこで犯則事件が起こっているんだが、これを犯則事件という観点でとらえれば、運んで入った当のおつきの人の方が本犯でございまして、板野さんやあるいは副社長さん等はその意味では随行者。だけれども、これを最終的に追加告発をするとなると、幅広い捜査、贈収賄を含んでやっておりますから、あるいは外為も絡みますから、物件の確定が要るでしょう、法廷維持が必要でしょう、見通しが。さっき後藤田さんおっしゃったが、物件の確定が必要であり、法廷維持が必要でしょう。そこまでいかなきゃならぬから、皆さんの方の捜査というものとあわせていかないと再告発がしにくいということだけじゃないですか。いかがですか、もう一遍関税当局答えてください。
  110. 米山武政

    ○米山政府委員 二つあると思います。私ども自体の調査でも、証拠である現物の確定というものが必要である、それで大変だということと同時に、現在捜査当局が捜査を行っておりますので、その推移も見ながら決定していきたい、こういうことでございます。
  111. 大出俊

    大出委員 後段は私の指摘したところにポイントがあるというわけですね。時間がありませんから、これ以上深追いをいたしません。  そこで、時間がなくなりましたが、二、三点あわせて承っておきたいのでありますが、佐藤前室長という人が記者会見をしています。私はこれは非常に不愉快千万な記者会見だと思っているのでありますが、この中で、見つかると税金を取られるから、本人が言っている。贈答品として表へ出すと税金取られる、だから隠したのだ、こう言う。私は、前回の質問のときに、これは仮装隠蔽でないかと、これを私しきりに国税庁に物申し上げましたが、今回の簿外を帳簿に載せる云々で、つまり交際費とツーペイだという物の考え方があるけれども、そんなことじゃない。十億流出しているのが特定できないでしょう。十億流出しているやつは、いまだに夜明けまで張っている記者の方だっているんだ。遠出している人もいる。なぜならば、佐藤陽一さんが隠しているというふうに見ている人がたくさんいるから。これは本人が隠していて、もしそれが発覚をするとすれば、課税の問題だって出てきますよ。仮装隠蔽という問題だって出てきますよ。国税庁の皆さんが前回あんまりはっきりしたことを申さなかったが、御本人が言っているんだから。ここでもう一遍答えてください、国税庁の皆さん。
  112. 磯邊律男

    磯邊政府委員 今回の問題に関しまして、今後私たちが処理する税務の問題というのは、大きく分けまして二つあると思います。  一つは、簿外資産の存在であります。これに対しまして今後どういうふうに税務上の処理をするかという問題。  それから、いわゆる贈答品を受けた人たちに対しますところの経済的利益の課税の問題。これは二つに分けまして、部外の人がもらった場合、それから社内の人がそれを自分のものにした場合、この二つに分けられると思います。  いずれにいたしましても、現在司法当局の方で捜査いたしておりますので、これが終わりましてから、適切な税務の処理をいたしたい、かように考えております。
  113. 大出俊

    大出委員 特定の個人に、特定の金が、あるとき、どこで、これこれ行っていた、こうなりますと、そこには税務関係の大きな問題も出てきます。会社それ自体につきましても同様であります。また、仮装隠蔽の疑いも、私が調べた限りでもたくさんあります。これはやはり対国民という意味で、税務当局はきちっと処理をなさるお覚悟をひとつぜひお持ちをいただきますようにお願いをいたします。  そこで、文部大臣に承りたいのですが、ロッキード事件といい、ダグラス、グラマン事件といい、ソウル地下鉄の事件といい、今回のこのKDD事件といい、数ありますけれども、世上、やれピーナツ、もうこれは慣用語になってみたり、最近はもう何かちょっといいものを着ていれば、あんた、これまさにそのKDDと、こうなっちゃう世の中ですね。だから末端のKDDの職員の方は子供を学校にもやれぬということが出てくるわけですよ。労働組合が憤慨するのあたりまえですよ。限られた社長室の何人かの方々がやったことによって、国際的に冠たるKDDに大変な汚名を着せた。末端の組合員の皆さんあるいは職員の皆さんはがまんがし切れぬ気持ち、学校で年じゅうその子供さんが行けば問題になる。こういう世の中に文部省は一体、もちろんこれは政治不信という大人の世界の問題がありますけれども、子供の世界を含めて一体どういうことを、ロッキード、ダグラス、グラマン、やれソウル地下鉄、やれ今回のこのKDD、何かきちっとしたお考えは、文部省、ないですか。
  114. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 お答えをいたします。  児童の心理的な影響というものは非常に大切なところだと思いますが、これは児童の発達段階に応じまして善悪の基準をはっきり判断させる、こういうことがまず大切だと思います。そういうことは単に道徳の科目だけじゃなしに、全教育の中であれさせなければいけませんが、特に道徳の問題においては、正しきを愛して不正を憎んで、勇気をもって行動しろということを指導要領の中に含めまして指導をしておる、教育をしておるところでございます。そういうことで判断をさせたい、かように考えておるところでございます。
  115. 大出俊

    大出委員 これは大臣ぜひ、妙な世相でございますから、谷垣さん、そこらのところを一遍じっくりお考えいただいて、せっかくお忙しいところをお引きとめして恐縮なんですが、聞いておいていただかぬと質問ができませんのでお許しいただきたいと思うのですけれども、ぜひひとつ考えていただきたいと存じます。  それから、この間の久保田さんじゃないけれども、物と金の世の中だなんて、KDDといったら物と金ですよ。そういう意味では賛成なんだが。  ところで、郵政大臣に承って終わりにいたしますが、一体なぜこんなに物と金がやたらばらまかれたんだ。この事件の本当の構造は何が原因だというふうにお考えになっておいでになりますか、郵政大臣
  116. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えいたします。  これは私は、経営者の経営姿勢が重大な原因だと考えております。でありますから、こういう事犯がこの公共性の高い、公益性の高い企業において発生したことを本当に遺憾に存じておりまして、二度とこんなことがあってはならないと考えております。でございますので、もう何回か他の議員の方にもお答え申し上げましたように、KDD内部における経営者の姿勢の刷新ということと、それからこれに対する政府の監督その他の点につきましても、従来のあり方を反省をいたしました上で、郵政大臣におきましても従来の監督権限に加えてあるいは収支予算とかいったようなものも認可対象にしていきたい。さらにはKDDの経理につきまして、その経理を院の検査の対象にするためにKDD法自体を改正したい、こういうことで今国会に提案をいたしまして議員の皆さんの御審議を仰ぐべくいま鋭意検討と作業を進めておるところでございます。  なお、御承知のように、一昨日ですかKDDの臨時株主総会が行われまして、かねて私どもが期待をいたしておりましたように、経営陣の刷新がKDD自体として行われました。その経営陣に今度選ばれました社長並びに会長が記者会見を行いまして、先生もごらんのような抱負を述べておりますが、私は全くこれに同感でございまして、この新陣営においてKDD本来の業務に、いま申されておりましたような社員一体に誇りを取り戻して、そして鋭意本来の目的に向かって邁進をしてもらうことに全力を挙げられるということでございますから、これに大きく期待をいたしておるところでございます。
  117. 大出俊

    大出委員 大変どうも長い御答弁をいただきましたので、最後の私の言うことが一分ぐらいずれますがお許しいただきたいのですが、実はもっと具体的に問題があるのです。というのは、五十一年に公衆電気通信法の改正がございました。五十一年の二月に法案が出ている。このときは、つまり国際電話料金の滞納が山のようにあって、何らこれに対する制裁措置がない。もう時間がありませんから読み上げませんけれども、ここに議事録があります。大変な滞納だったわけでありまして、五十一年の五月十九日、十月七日の衆議院の委員会、十月十二日、これは本会議ですが、参議院では、十一月二日委員会、十一月四日本会議、通話停止関係の論議、KDD料金値上げについて論議、韓国、台湾等の電報料金、こういうふうにずっとあります。五十二年五月十八日、五十二年五月十九日、衆議院の委員会、五十一年十月七日、これは参議院ですが、五十二年四月十六日、ずっとあるのですが、全部読んでみた。こういう結論が出る。この法律を出したときに、ちょうど国内の電話料金の滞納のときと同じように通話停止、そういう制裁措置をその中に入れさせたんだ。公衆法の四十三条、ここに、「会社は、前項の規定による国際通話の取扱いの停止後三月を経過してもなおその料金が支払われないときは、公社にその加入電話の通話を停止する措置を執ることを求めることができる。」そうすると公社が停止する。商売にならない、そういうかっこうで、全額取るということのために、KDDは全力を挙げて国会に働きかけた。この議事録を読んでごらんなさい。社会正義云々というよりは、とにかく停止措置をとって全額回収しようという議論です。そのためにいろいろな工作をやっている。  さて、この中で、国内の電話料金の値上げをした、そうするとここで出てきたのが、本会議でも議論になっているけれども、KDD料金値上げについての議論、つまり国内を上げると韓国、台湾より高くなることだってあるなんという議論も出てきて、だから国際電話料金を上げろというんだ。その後で国際電話料金が上がったんだ。上げさせるために懸命の努力をした。国会工作をやたらとやったんだ、郵政省に対してもどんどん。さあ、今度はその後はどうかといえば、円高、円高で値下げと来る。せっかく苦心惨たんして相当国会工作、官僚工作をやって、通話停止の措置までとらせる法律をこしらえさせて、しかも値上げさせて、さあそれが値下げされたんじゃということだから大変なものだ。  ただ単なる経営姿勢じゃないですよ。大臣、そんな簡単なことじゃないですよ。これをあなたは全部読んでごらんなさい。通読してごらんなさい、三日ぐらいかかるけれども。そうすれば明確だ。ここに問題がある。その点を御認識願いたいのだが、わかりますか。
  118. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えをいたします。  過去の公衆法の改正のありましたこと自体については、私も郵政大臣になりましてから承知をいたしております。でございますが、当時の事情については私よく承知をいたしておりません。  いずれにいたしましても、KDDの料金問題については、御承知のようにKDDとしても、従来からそういうことを郵政省としては指示してきておったようでありますが、私が就任をいたしましてから、昨年の十一月に料金の値下げを実現いたしました。そして十二月一日からこれが施行されておるわけでありますが、なお今後も、新陣容もできましたし、経営の内容を十分に精査してもらって、そして経営の安定を期する一方においてできる限り料金の値下げについてもこれをやってもらうように、これは十二月のときにすでに当時の幹部には指示してございますが、新幹部に対しても改めてこのことを指示したいと思っております。
  119. 大出俊

    大出委員 総理、いま私が指摘しましたように、だから歴代郵政大臣の責任が問われることにもなりかねぬのですよ。そこに大きな問題がありますので、もちろん経営姿勢もございますが、こういうことがたび重なって起こるようじゃ日本の国の政治はもたない、まさに衆議院を解散して、そのための出直し総選挙もやらなければ成り立たないとまで実は私は思い詰めるのですけれども、最後に所感をお述べいただい七終わりたいと思うのですが、総理、いかがでございますか。
  120. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 捜査当局の厳正な解明を一方において期待いたしつつ、行政当局といたしましては緊張した姿勢でこの行政の執行に当たらなければなりませんが、それは何をおきましても政府自身姿勢を正すこと、そして経営者が姿勢を正すことから出発しなければならぬと考えております。
  121. 大出俊

    大出委員 終わります。(拍手)
  122. 田村元

    田村委員長 これにて大出君の質疑は終了いたしました。  この際、——政府委員席は閉会する前に立つものじゃない、無礼な。いま立った者、後で私のところへ官職を置いていきなさい。  この際、行政管理庁長官より発言を求められております。これを許します。行政管理庁長官宇野宗佑君。
  123. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 橋本委員への答弁に関しまして、今後五年間の特殊法人職員の定数削減数を一万三千人と述べましたが、これは約一万八千三百人でございますので、訂正をいたしたいと思います。
  124. 田村元

    田村委員長 午後一時二十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時二十三分開議
  125. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席が少しおくれますので、出席になるまで、指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。安井吉典君。
  126. 安井吉典

    安井委員 大体いわゆる行政制度をどうするかという問題にしぼってお尋ねをし、もし時間が余れば公安調査庁の問題にも移りたいと思います。  いわゆる行政改革と言われているものがいま大きな課題になっていますが、改革という言葉をかりそめにも言う以上、今日の民主的な行政制度はこれでよいのかどうかとか、国民に対して公正なサービスを果たしてやっているかどうかとか、あるいはまた、多様化する国民のニーズにきちんとこたえるような行政制度の仕組みになっているかどうかとか、官僚制度はこれでよいのかとか、そういう基本的な課題がたくさんあると思います。もちろん簡素で効率的な、いわゆる安上がりな行政の仕組みをぜひつくってほしいという国民の期待、これも非常に大きいわけですね。したがって、そのようなさまざまな要求にこたえる行政改革というものに、いま政府がお進めになっている改革は必ずしもなっていないのじゃないかという気が私はするわけですが、まずその点、行管長官からお答えいただきます。
  127. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 行革のありように関しましては、いま安井さんの申されたとおりだと私も存じます。  ただ、今回の行革は、いわゆる総選挙という洗礼を受けまして、特に特殊法人等々、綱紀粛正、不正経理、こうしたことに端を発した国民のニーズでございますので、それに機敏に応じなくてはなりません。さような意味で、何度も申しておりますが、五十五年行革と銘打ちまして、四本並びに定員削減、五本の柱を立ててやっておるわけでございまして、今後も、仰せの点に関しましては当然政府といたしましても十二分な検討を進めてまいりたいと考えております。
  128. 安井吉典

    安井委員 行政の減量化といいますか、そういうことはいま確かに大きな要求であることは間違いありませんけれども、いま進められているこの行政改革なるものは、財政難だから行政改革をやるのだとか、その動機がどうも私はおかしいと思うのです。行政改革というのは、これはもう永遠の政治の課題だと思うのですね。そういう取り組みがどうも欠けているように思う。だからそれが単に一律削減というような形であらわれているわけですが、これも単なる行政改革の技術論だけでしかなくて、本来の意味のあり方というものが決して十分ではない、そう思うわけです。  それでは、行政改革を進める基本方針というのは一体どうお考えですか。これは総理にも伺います。
  129. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 総選挙の話がしばしば出ますが、わが党といたしましても、総選挙の際にもすでに行政改革の公約をいたしております。したがいまして、財政再建行政改革は並行して進めるべきである。ただ、財政再建の面の増税路線だけが国民によって否定されたも同様のような結果を得た、こういうわけでございますので、決して御質問の御趣旨にありましたような趣旨の行政改革ではないと、私はさように心得ております。  要は、行革はエンドレスである、私は常にそう思っております。国民のニーズにこたえんがためには常に行革とともにあらねばならぬし、また行革は常に簡素にして効率的な面を追求しなければならない、これが行革の精神でございますので、当然今回の行革におきましてもそれを大きな踏み台といたしまして、私はあらゆる部門にわたっての行革を進めておる、こういうことでございます。
  130. 安井吉典

    安井委員 総理、あるべき行政制度についてのビジョン、どのような行政制度をあなたは目指しておられるのか、それをちょっと伺います。
  131. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 時代の変革化に伴いまして国民のニーズも多様化してまいりまするし、そのニーズにこたえるような、あなたがおっしゃる行政機構でなければならぬと考えるのでございますが、今日われわれが追求いたしておりまするいわゆる行政改革は、行政費の節約、行政の簡素化、冗費の節約というようなところにアクセントを置いてやっておるわけでございまして、機構改革の方に問題がないわけじゃございませんけれども、それは当面私どもの主たるターゲットにはいたしていないわけでございます。  しかしながら、時代が大きく変わってまいることでございまして、大変な国際化時代に入っておりまするし、地方の時代に入っておるわけでございますので、行政機構といたしましても、まず第一に、中央と地方の間をどのように考えていくかということを新たな視点から考えなければならぬ問題になってきておると思うのでございます。また、国際化時代に処して外交も内政も実は限界が分かちにくいような時代になってきているというようなことも、これからの行政を考える場合におきましては大変重要な視点ではないかと考えております。  また、とりわけ民間と政府との間の関係をどのように考えていくかということも新たな課題になってきているように思うわけでございますが、そういう中にありまして、いま当面私どもが追求いたしております目的は、冗費の節約と行政費の節減という点に力点を置いてやっておるというように御理解をいただきたいと思います。
  132. 安井吉典

    安井委員 いまのようなお答えでありますけれども、私、一つの例を挙げたいと思います。  これは政府の改革じゃないのですが、北海道知事は、去年の十一月末に出先機関の統合とか廃止の行政改革実施大綱というのを発表しております。これは何でも五百七十九カ所ある出先機関のうち、廃止二十六カ所、移管四カ所、統合十四カ所というようなかなりの計画で、減員三百五十人、年間十五億円ぐらいを浮かせようという計画のようです。ところが、その重立ったものは精薄児の収容施設が二カ所、養護老人ホームが一カ所、三つの道立病院を町立に移管する等、道民の生活にきわめてかかわりのあるものの廃止があるものですから、いろいろ問題を生じておるようであります。  旭川市にある静和園という九十一人収容の老人ホームがその対象になっている。反対運動が起きているというので、私もお正月にちょっとのぞいてみました。いろいろ話はありましたけれども、私がそこでびっくりしたのは、書き初めが張ってあるわけです。いま、お年寄りは書道を熱心にやっております。だから、字もなかなかうまいのです。「天地悠久」などという半折があったりしますけれども、その隣には   皆んなで守ろう静和園             前田儀雄 八十歳   いつまでもいたい静和園           佐藤新治郎 八十一歳   皆んなで守ろう我らの静和園             伊藤トク 七十歳   老人に心配させるなよ            野口秀夫 八十二歳   ここにいつまでもおいてください             田中八重 七十歳 私は、その書き初めを見ていて、何か涙が出そうになってきた。  自治大臣も、政府の方針に従って自治体へ行政改革を進めろという指導をされているそうでありますが、何でもかんでも減らせばいいのだという、そういう御指導をされているのですか。それをひとつ伺います。
  133. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御質問の点は私、具体的によく承知しておりませんが、私どもの行政改革についての指導は、何といいましてもやはり住民のニーズ、これを基本に置きまして、そしていろいろな段階についての現在の機構、定員の見直しということでございますので、いまお話しのものは何か特殊な事情があるのじゃないかと思いますけれども、一般的にそういうことを考えておるわけではありません。
  134. 安井吉典

    安井委員 ですから、私は一律削減というのにいささか抵抗を感ずるのはそのことなんです。つまり、行政にはやはり優先順位というものがなければならぬと思います。だから、行政制度の改革という際においてもそういう観点を忘れてしまってはこれは間違いになってしまいやしないか、そう思うのですが、長官、どうです。
  135. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 恐らく一律削減の例とすれば、特殊法人において各省庁基準を出しまして、一つ出しなさい、二つ以上出しなさいといったことではないかと思いますが、そのほかに関しましては、決して行革だからといって一律にやっておるわけではございません。特に今回の三月三十一日までのブロック等におきましても、その点は十分配意しながらやるわけでございまして、いま御指摘のたとえば福祉の面におきましても、定員等におきましてもほかは減っておるがその面は純増になっておる、こういうふうに十分政府といたしましても配慮をいたしておるつもりでございます。
  136. 安井吉典

    安井委員 次に、官僚制度そのものに私はもう少しメスを入れる必要があるのではないかということを感じながらいろいろ調べてみましたけれども、なかなかいい名案は浮かびませんが、ガバメントというそのガバンというのはかじをとるという意味だそうですね、もとをただせば。明治以来の日本のかじ取りは、藩閥政治から始まっていわゆる官僚制度というのが一つのしんになってきたということは、これは間違いないと思います。しかし、本来の意味のガバメントは、これはやはり政党政治の中でリーダーシップがとられてこなければならないわけでありますが、ただ一年に一回内閣改造で、きょうここでお座りになっていられる大臣は、来年の予算委員会は恐らく別な人が並ぶということにいままでの例から言うとなるわけです。仕事がわかったころはかわらざるを得ない、そういう現実、これはもうそんなことにしないで、大平首相もここに並んでおられる人はあと三年ぐらい大臣でいられるように、そうすれば、これはきちんとしてくると思うのです。しかし、それまでは大平内閣はもたないでしょうからこれは困りますけれども、ただそういう中で官僚支配行政というようなものがつくられていく。自己保身とかなわ張り意識とか、政治家は一応選挙国民にさらされますけれども、国民にさらされないままの統治意識というのはきわめて危険であります。それからまたエリート意識とか、ただ、仕事にはすごく熱心で、仕事のことはもう鬼のようになって取り組むということだけはこれは間違いないわけであります。  私たちは、その官僚諸君と、それから政党政治の代表である大臣の皆さんとここで予算を審議しているわけでありますが、しかし、大臣が答弁に出るのを押しのけて局長が答弁席に出てきてみたり、大臣の方も、これは大事な問題ですから局長に答弁させますと言い違えたり、これは言い違えたんじゃなしに本当かもしれないのです。そういう事態がここで毎日あらわれているわけでありますが、大平総理は官僚と政治家と両方の経験者であるから大平さんにひとつ伺いたいわけでありますが、いまのようなこういう仕組みでもっと考え直す余地があるのではないかということです。どうでしょう、これは、大臣がお粗末過ぎるのか、政府委員の方が出しゃばり過ぎるのでしょうか、どうですか。
  137. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 それぞれ役割りがあるわけでして、政府委員の方は行政の技術面におきましてはエキスパートであってほしいと思います。大臣の方は見識を持ってこれをリードしていく立場にあると思うのでございまして、両々相まちまして成果を上げていかなければならないと思っています。
  138. 安井吉典

    安井委員 私は、政府委員などになっておられる偉い人たちの任用の問題とか何かをもう少し変える余地はないかと思うわけであります。どうも私大の出身の人とかノンキャリアの人が局長などになると、新聞は社会面で取り上げるわけです。普通は政治面に小さく写真入りで出るわけですけれども、社会面に出てしまう。なるほど犬が人間をかんでも記事にならないが、人間が犬をかんだら記事になるというその仕組みの中の出来事かもしれません。ですから、まず学閥の打破というようなことをやはりやる必要があるので、公務員の試験なども、もう少しいろいろな人が官僚の制度の中に立ちあらわれてくるような、そういう仕組みをつくったらどうかと、そう思うわけです。  これは人事院に上級試験の甲種、出身学校の採用状況をつくってもらいましたけれども、細かなことは言いませんけれども、やはり圧倒的に多いのは東大で、次は京大で、あとはずっと減っていって、田舎の国立大学などはもうほんのわずか。私立大学もそうです。そういう仕組みそのものが問題なので、これはどうでしょうかね、人事院の方の仕組みのいろいろな改正の問題もあるし、これは人事院だけじゃなしに、政府自体の姿勢だと思うのですけれども、学校の成績は少しぐらい悪くても、頼もしい、責任感の強い、しっかりした人生観を持っているような若者たちが、大学は私学でも地方大学でもどこでもいいのですよ、国家公務員にどんどん出てこられるようなそういう試験制度を考えたらどうなんですか。マル・バツだけで、むずかしい学科試験だけじゃなしに、そういう仕組みの改革ということはお考えになりませんか。
  139. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 試験制度によって、いまお挙げになりましたようなりっぱな人を公務の場に誘致するということは、いまの行政の仕組みの上から申しましても大変基本的に重要なことでございまして、その御提言は私も全面的に賛成でございます。  ただ、試験というものは、釈迦に説法でございますが、公開、平等ということと能率主義と申しますか、成績本位の原則ということが二つの大きな柱になっておりまして、これはやはり堅持をしてまいらないといけないということが一つの枠組みとしてございます。その範囲内におきまして、われわれといたしましてはでき得る限り御趣旨に沿うようなことが実現をいたしまするように、そういう方向が可能でありますように、極力毎年毎年過去の実績をよく調べてみたり将来の展望をやってみたりして改革に取り組んでおるわけでございます。  ただ、いまお挙げになりましたように、たとえば上級試験の問題だけを取り上げてみましても、これはやはり一部の学校卒業者というものが非常に偏って多いということは紛れもないところでございます。そういうことでございますが、試験問題自体は、これはそれぞれの専門家なり実務家なりにお願いをいたしまして、全国の各大学、これは無論国立のみならず私立の大学をも含めまして、その教科内容全般にわたって目を通して、それらの中で共通した普遍的な常識的な問題というものに的をしぼってやっておるというのが現実の姿でございます。ただその結果といたしまして一部に偏りますのは、これは言いわけではございませんですが、やはり従来のその学校の伝統と申しますか、実績というようなもので、いわゆる行政官向きといったようなことで非常に特徴のある場面もございます。またそれと同時に、別の意味では経済界向きというようなもの、あるいは判検事向きといったようなものがありまして、おのずから一つの色合いを形づくっているというような問題もございます。そういたしますとやはり先輩その他のこともございますし、どうもやはり志願者自体が多くなるというような実態がございまして、その結果としていまお述べになりましたような線が出てくるのではないかという面もあろうかと思います。そういうことから、われわれといたしましては、従来からも各大学にいろいろ試験の段取り等について説明に参りました際には、各大学を通じてひとつできるだけいい人をたくさん受けさせてくださいということをお願いをいたしております。また、諸先生等にもその点は要請をいたしまして、だんだんその方向には出てまいる傾向が見えてきておるのではないかと思っております。  それと、現実に試験に通りました者を採用いたしまする際に、これも新聞紙上等で報道されたことがございましたが、各省庁では最近特に、やはり一つに偏るということはおもしろくありません、将来の行政のあり方というものから見てもその点は反省しなければならぬということで、非常に広く各大学出身者を網羅する、バラエティーに富んだものにするという努力を大いに、最近は特に目立ってやっておるようであります。われわれといたしましては、そういう点をさらに推進をいたしますとともに、試験制度自体につきましてもさらに絶えず検討を進めまして、ノンキャリアと言われる人についても、将来やはり励みを与えるというか、実力に応じた処遇をするという道を開くために、昇任試験というようなことも真剣に取り組んでやっていかなければならないのではないかということで、その面の検討も進めておる次第でございます。
  140. 安井吉典

    安井委員 このことは後でまた総理にも伺いたいと思うのですが、その前に、もう一つあわせてこのこともお考えいただきたいと思うのは、各省庁の事務次官がやめたら次の事務次官と同期以前の局長はみんなやめなければいけないというルールがあるそうですね。これはルールじゃないのかもしれないけれども。前の次官と一緒の日付でこれはみんなやめているんですね。ここにも大蔵省、農水省、通産省のものをちょっと調べてもらっていますが、たとえば大蔵省でも五十六歳の次官がやめたら、同時に同じ日付で理財局長五十七歳、証券局長五十一歳、銀行局長五十三歳、国際金融局長五十二歳、みんなやめているんですね。それから五十三年の六月に、一年ごとにかわっていますけれども、これはみんな同じようです。農水省だって同じ、通産省も。時間がありませんからこれは一々読み上げませんけれども、そういう、これはルールというのですかね、前の次官とともに殉死をする。殉死という古めかしい言葉は合わないかもしれませんけれども、ちょうど同じ日付なんですよ、これね。ですから、天下りというものを私たちはこの間うち、もう毎日毎日口が酸っぱくなるぐらい言っているわけですけれども、天下りの原因をこういうところでも一つつくっているわけですよ。若い五十一、二の人がやめさせられて、これはどうするのですか。まだ子供さんは高等学校出て、大学そこそこでしょう。ですからそれは天下りをするなと言ったって、どこかへ勤めなければしょうがないじゃないですか。だからそういう仕組み、ほかの国ならもう少し働いていますよ。それは局長をやめたって平課長でもいいですよ、そこでどんどんその人に当てはまるような仕事というのはあるはずですよ。大臣やめたってちゃんとここへ平議員で座っているじゃないですか。  だから私は、そういう別に問題はなくて、その人の持てる能力をもっと発揮できるようなそういう仕組みを進めていくべきだ。これは直ちにできないにしても、これは昔は四十代でありましたよね。それから見れば大分改善されてきていることは間違いないですけれども、これはすぐにはいかなくても、少しずつ年齢を上げていくとか、そういう中でもっと正常な姿にすべきではないかと思いますが、これは総務長官ですか、ちょっとお答えを願って、後、総理のお考えも伺います。
  141. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 先生御指摘の点についてはアメリカのある学者が、日本のビューロクラシーにおける歴史的な産物の一つであるというような表現をしておった方もおったかと思いますが、いずれにいたしましても、定年制をしかれておらない現在の日本の官僚制度の中で、人事運用につきまして組織の活力を維持するために慣行的に行っておるようないまの実態でございまして、これを直ちに改めるということもはなはだむずかしいとも考えられますが、御指摘にありましたように、従来は四十歳くらいで御指摘のような形で同期の方がおやめになるというようなものを、高齢化社会になりつつある今日の段階、まあ徐々にではありますけれども年齢が上がってきておるということも実態的にあるわけでございます。  いずれにいたしましても、長い間、明治以来そうした慣行の中に行われてきたことでございますので、今日にわかにこれを改めるということも困難かと思いますけれども、十分研究もしなければならないことであることも承知をいたしておる次第でございます。
  142. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 大体、日本の制度でございますけれども、平たく言って人生五十年というようなものをベースにして考えられておったようでございますけれども、二十年余り平均年齢が延びるというような事態において、従来の制度、慣行というものとの間に乖離が出てきておるように思うのであります。いまの問題も、人事上長く培ってこられた慣行でございますけれども、いまの時代から申しますとやや考え直さなければならない面はあるのではないかと思うのでございますが、いま総務長官も答えましたように一朝一夕で変えるというわけにもまいりませんが、方向といたしまして、官にあって長くライフワークとしてみずからの仕事にいそしめるような制度、慣行というものを定立していくためにわれわれは努力しなければならぬのではないかと思います。
  143. 安井吉典

    安井委員 考え直すということだけは間違いないですね。
  144. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 考え直さざるを得ないと思います。
  145. 安井吉典

    安井委員 国家の行政機構の問題についてたくさんお尋ねをし、取り上げたいことがあるわけですけれども、限られた時間ですから余り多くのことを取り上げるゆとりはありませんが、役所のさまざまなむだの問題、年度末に余った予算を、余すと損だというので、慰労出張とか、相変わらずこういうのがあるんじゃないかと思うのですがね。そういうような問題やら、地方事務官の廃止の問題も、これもこの前も取り上げられておりますので、六月末間違いないですね、地方事務官の廃止は。これだけ一つ確認しておきます。
  146. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 先般もお答えいたしましたように、府県単位の出先機関と同時に、やはり地方自治体と国との事務の問題もございますし、地方事務官の問題もございますから、廃止か廃止でないかまだそこまでは決まっておりませんが、一応監理委員会にすべてをゆだねて、監理委員会の調査の結果にまつ、こういうふうなことになっております。
  147. 安井吉典

    安井委員 総理もよろしいですね、これは。地方事務官の廃止の問題は。
  148. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 六月までに何とか結論を出してもらいたいと私も強く期待いたしております。
  149. 安井吉典

    安井委員 もう一つ、これからあとは私は具体的な統廃合という問題が出てくる可能性があると思います。私どももいま委員会をつくって現実にさまざまな検討をしております。そういう場合も、省庁間の配置転換という問題が必ず出てくるし、またこれが前提でなければ統廃合というのはなかなかむずかしいわけですよ。そういう意味で、そのための前提という点を私この際政府のお考えを伺っておきたいわけでありますが、配置転換で喜んで行く人もいるわけですよ。それはこっちの役所にいては局長になれないけれども、向こうの役所に行けばすぐ局長になれるという、そういう仕組みではこれは喜んで行くわけですね。しかし、そういうことでない配置転換ということになるとなかなかこれは渋るわけです。ですから、やはり本人の身分の保障ということと、それからそれぞれがみんな労働組合があるわけですから、それとの話し合いで、民間も同じですけれども、納得ずくで進めていく、この二点が非常に大事な問題だと思いますが、ひとつ確認をしたいと思います。
  150. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 省庁間配置転換は、今回初めて行いますので人員は少のうございますが、将来における大きな道づけになることを期待しながら進めたい、そのためにはやはりスムーズに進めたい、かように存じております。もうすでに本人の意思を尊重するようにというふうな国会決議もございます。いろんなそうしたことを尊奉いたしまして進めていきたいと考えております。
  151. 安井吉典

    安井委員 本人の承諾のほかに、それぞれの組合があるわけですから、組合の交渉権をきちっと認めて、その窓口でも納得を求めていく、こういう努力もあわせて必要だと思いますがね。
  152. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 各省庁におきまして連絡会議も持っておりますし、私もすでにその関係の組合の代表とお目にかかったりいたしております。十分そうした点も配慮してやっていきたいと考えております。
  153. 安井吉典

    安井委員 もう一つ定員の問題がありますが、先ほど行管長官は、総定員法は世界に冠たるものというので胸を張られたわけでありますけれども、しかし私は、その総定員法でなるほど国家公務員の総定員はあんまりふえてないことは間違いないんですけれども、ほかのところにはみ出ているんじゃないか、そう思うんですね。たとえば、はみ出ている要素にたくさんありますけれども、一つは非常勤職員という形に、同じ仕事を非常勤の人に預けていってやるという仕組みもあるし、それから特殊法人にはみ出ていくわけですよ。なるほど非現業の定員は五十四万人程度で推移していますけれども、現実には特殊法人にはみ出て、特殊法人だけでも九十四万人もいるわけですね。よく調べてみますと、役所一つの課がそっくりそのまま天下りというか、そっくりそのまま移転をしてこちらの特殊法人に行っているという、そういうケースもありますよ。ですから、総定員法で抑えていたって、みんなそっちへ行ってふくれ上がっているのではないか。その特殊法人からまたはみ出て、認可法人にはみ出ていく。その認可法人からはみ出てまた公益法人に行く。公益法人というのは社団とか財団ですけれども、調べてみれば恐ろしい広がりに、国家公務員定員は限られているけれども、みんな広がっていっているわけですよ。  それからもう一つは、一番大きいところは地方公共団体ですよ。自治体というところに広がっていく。ですから、地方公務員はそういう形で、普通会計だけでも二百六十六万人になっている。だから、総定員法で決まっているから何でもいいなんと思ったら大きな間違いで、何のことはない、仕事があるんだから、仕事そのものを減らさない限りは広がるばかりですよ。そういう実態をひとつ私は明らかにしておかなければならぬと思う。  文部大臣もおられるが、オリンピック記念青少年センターの問題にいたしましても、これは逆コースなんですね。つまり、いま定員から外側に、特殊法人に外れていくというけれども、文部大臣がいまお進めになっておられるオリンピックセンターなるものは、特殊法人というのを、それをやめて直営にして定員内にはめ込もうというんですから、だからこれはいわゆる行政改革の逆コースなんですね。しかも、社会教育というのは本来国が直接やるよりも別団体でやることが正しいんだって、当時愛知文部大臣があの法案の提案のときにそう説明をしているわけですが、それを特殊法人から奪ってまた文部省が直轄でやろうとしているわけです。だから私たちは問題がある、こう言っているわけでありますけれども、いずれにしてもこういう事態の中に今日あるわけであります。これはひとつ、行管長官さっき胸を張られた関係もありますのであなたから伺いたいし、それから文部大臣からもひとつ御答弁いただきます。
  154. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 仰せのとおり、非現業の面は国家総定員法で縛っております。現業の方は予算時、定員いろいろの査定でやっておりますが、この高度成長期に予算も拡大し物価も上がったというときに、定数だけは意外と冷静なカーブを描いておるということも、われわれといたしましてもお互いにうまくいき合っているんじゃないか、こう思うのでございます。  特殊法人の方へ流れておる面、先ほど午前中の橋本委員に対する答弁にもございましたが、日航であるとかKDDというのは、特殊法人の中におきましても特殊会社と申しまして、いわゆる株式会社組織で民間資本も入っております。こうしたところは一般会社と同じように運営されておりますが、それを除いた特殊法人におきましては、今日まで五次にわたりまして一応定員削減を行ってきております。したがいまして、第五次も一万八千三百人あるんだということを午前中お答えしたようなわけでございますので、十二分にそうしたしり抜けと申しましょうか、われわれといたしましてはそうしたことのないように考えながら、合理的な定員の確保に努めておる、こういうふうにお考え賜りたいと存じます。
  155. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 文部省所管のオリンピックセンターの問題がございましたのでお答えをさしていただきます。  御存じのとおり、オリンピックセンターができ上がりましたのは四十年、これも特殊法人としてできたわけでありますが、これができ上がります経過は、委員が御存じのとおりに、オリンピックの宿泊施設等を管理する、こういうところがその当時の主な仕事の目的でございましたために、特殊法人であることの方が適当であるということで、特殊法人として出発をさしたわけでございます。その後いろいろな状況が変化をしてまいりまして、オリンピックセンター自体にも青少年の研修館等を付設するというようなことがございましたし、一般のいろいろな状況変化に応じまして、社会教育の指導者の養成でありますとか、青少年の研修の要望が非常に高まってまいりました。また一方、全国にあります国公立の青少年の施設が急速にふえてまいりまして、こういう問題に対しまして直接研修をし、また連絡をし、あるいは情報をいろいろ交換をさしていくというふうな必要性が非常に強くなってまいりましたので、行政改革等の空気もできておりましたことも考えまして、むしろ思い切ってこの際は特殊法人から文部省本部の中に置きましてこれらの指導等を担当さしていく、あるいは情報と研修施設等を持たしていく方が適当であるという判断から、文部省の中の組織としてやっていきたい、こういうふうに考えまして、国会に提案してお願いをいたしておる、こういう現状でございまして、いまになってまいりますと、特殊法人としてのオリンピックセンターが受け持っておりました、予想いたしました機能、役割りが大分変化をしてまいりました。そういうところに、私たちが文部省の中の組織として入れ込むというふうにお願いをいたしております根本の考え方があるわけでございます。
  156. 安井吉典

    安井委員 ですから、特殊法人一つ減ったかもしれないけれども、文部省の本来の仕事が一つふえたわけですからね。行政改革にも何にもならぬのじゃないかと私どもは思うわけであります。  定員の問題についてずいぶんいろいろ資料を集めまして調べてみました。問題がたくさんあるわけですけれども、一つだけ伺っておきたいのは、定員外の定員を各省はお持ちでないかということです。これは人事院の任用局の資料なんですけれども、二千八百人から九百人ぐらいの定員外の職員を各省は抱えておるということになるのではないかと思うのは、たとえば自治省にしても、毎年自治省を退職をして特殊法人とか地方公共団体や公団等へ行く、そういうような人が去年の資料でも百十七人いる。ところが、百八人の人を選考採用で特殊法人や地方公共団体や公団等から入れておるわけですよ、また、同じ年に。運輸省は百六十一人の退職者があって、同じプールから百二十人を入れています。大蔵省も百二十二人退職があって、百十人入ってきた。これは毎年のルールで、本来のそこの役所の人を外の地方公共団体その他にやっておいて、一定の期間がたったらそれを入れる。そのかわりいまいる人から出していく。定員から出していく。これは実際のところは、定員外なんだけれども、これは定員内なんです、この二千八百人というのは。人事的にはそういう仕組みになっているわけですよ。各省庁の中にはみんな名簿があるのじゃないですか、全体の。こういうのをどうお考えですか、行管長官。これは総定員法の権威者ですから。
  157. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 恐らく各省庁におきましては、いわゆる臨時職員というような姿でやっていっておる面は、私はかなりあるのじゃないだろうか、こういうふうに思いますが、いわゆる第二定員にならないように極力われわれといたしましても目を張り、また努力をいたしております。季節的にあるいは臨時に必要とされるときにはやむなく、たとえば国勢調査等のときにも……(安井委員「そうじゃない、私の言っているのは違いますよ」と呼ぶ)そうじゃないのですか。私としてはそういうふうに御理解したところであります。
  158. 安井吉典

    安井委員 それじゃもう一回言いましょうか。たとえばこれは自治省なら——自治省だけ例に挙げていけないかもしれませんけれども、自治省の定員の中の人をどこかの県の部長に出すわけですよ。これは退職していくわけです。あるいはどこかの県の地方課長に出ていくわけですよ。だから、これは定員の中にないでしょう。そういう人が全部合わせると百何人いるわけですよ、地方へ出ている人が。外側へ出ている、あるいは特殊法人に派遣になっている人が。ところが、その人は、行きっ放しの人もありますけれども、そのうちの九〇%以上の人はまた戻ってくるわけですよ。そのときは、こちらの方の中の定員がまた出ていくわけですから、何のことはない、これは定員のリストの外側定員なんです。そういう仕組みを、それじゃ行管長官御存じないのかな。
  159. 加地夏雄

    ○加地政府委員 いま先生御指摘の問題は、いわゆる各省と地方自治体あるいは特殊法人との間の出向人事の問題ではないかと思っております。たとえば自治省の方が都道府県へ出てまいるとか、あるいは特殊法人におきましても、業務の性格上そういった省庁との間の出向関係、これは実はできる形になっているわけでありまして、そういう形の出向が行われておるという実態でございます。  それは定員法上の関係でどうなるかということを申し上げますと、定員はやはり総定員法のもとに省庁別の定員が決まっているわけであります。そういう意味からいきますと、確かに出向していらっしゃる間にその方を埋めないわけにいきませんから、その分は埋まっておるのですね。それが総定員法の中の定員になっておる、こういうことでございまして、御指摘の問題で申しますならば、そういった出向問題をどう考えるか、こういう問題に帰着するのではないかというふうに考えます。
  160. 安井吉典

    安井委員 ですから、事実上は常にそれだけ外側にいるわけですよ。ただ入れかわり立ちかわり出ているだけで、一定の時点だけをとらえればなるほど総定員法そのままです。そういう仕組みの中にあるという事実も、先ほど総定員法は世界に冠たるものとおっしゃるものだから、私は特にここで指摘をしておきたいわけです。これもやはり天下りですからね、改善の方向をお考えをいただきたいと思います。  それからもう一つ、いろいろ調べているうちに、地方公共団体の公務員がふえているという問題がずいぶん指摘がありますので見ますと、一般行政職員は十年間で一四・七%ぐらいの増ですね。ところが、福祉関係は九三・八%も十年間にふえている。消防などは一〇七%もふえている。ところが、消防庁から資料をもらえば、消防自動車に対する基準というのがあって、その基準に対していまはまだ七七・八%しか充足されてない。だから、本当のことを言うと、消防などの定員はこれからまだまだふやさなければいけないという、そういう状況にあるというようなことやら、それからまた、厚生省から社会福祉施設の定員の状況をもらいましたけれども、最近の社会福祉施設の増加というものはすごいものですね。ずんずんふえているが、たとえば、たくさんありますけれども、特別養護老人ホーム百五十人の収容のところの職員は四十八人、こう書いてあります。百五十人のところで四十八人、それから身体障害者療護施設の方は百人収容のところで職員の数が五十八人、収容人員の半分ぐらい。行ってみると、なるほど職員の人がたくさんいるわけですよ。またそれくらいいなければできないように思うのですけれども、実際はそれでも足りないというようなお話も聞くのですが、そういうふうな定員のあり方、これは国の方が決めてそういうふうにしておるわけですから、自治体の方が勝手にふやしているというわけでもないのではないかと私は思うのですけれども、その基準の関係、これを多過ぎるという議論をここではされているわけではないと思いますけれども、結果的な最終の数字で多い、少ないということが論じられているように思います。その点どうでしょう。これは厚生大臣から伺います。
  161. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 厚生行政の面におきまする定員の問題につきましては、結局国民の直接のサービスを任務といたしております、たとえば国立の医療機関であるとかあるいは更生援護機関等の職種は、政府定員削減計画からも対象除外にいたしております関係で、全省庁削減率が四・二%に対しまして厚生省としては二・九%と、かなりそういう意味においては配慮をされておると考えております。  したがいまして、特に国立病院、療養所あるいは更生援護機関の医療職員であるとか、あるいは放射線関係の技師、看護婦、それからさらに重度心身障害児施設の看護職員など、これの削減率は〇・一%でございますし、さらに第三分類といたしまして、医療の職員とか国立機関の医療技術関係の助手とか看護職員とかあるいは更生援護機関の関係、検疫官とか麻薬とか、そういった関係の削減率は三・九%、あるいは第二分類の輸入食品等の監視員とかあるいは国立療養機関の患者係の職員とか調理師の一部、あるいは社会保険業務の要員などは六・九%、第一分類の一般のその他の職員でございますが、これは九・九%といったように、それぞれ業種別に削減計画の上にのっとって配慮されておる、こういうことでございます。
  162. 安井吉典

    安井委員 ちょっと私の質問とずれているように思うのですけれども、特別養護老人ホームなどは、これはほとんど自治体でしょう。あるいは民間ですね。そちらの方がふえているという実態を御説明願いたかったわけでありますけれども、まあ結構です。福祉関係の人員の増加というものは、とにかく百人のところで五十八人も職員を置かなければならないという、しかしそれでもふやさなきゃいけないというその現実だけは、ひとつ明確にしておく必要があるのではないかと思ったからです。  そこで、そういう状況にはありますけれども、当初からし申上げているように、国民の要求というのは、できるだけ安上がりで少ない人でいい行政をやってもらいたい、その期待にこたえる努力が必要なのではなかろうかと私は思います。  ところで人を減らすためには、これはもう仕事をいまのままにしておいて人を減らせったって実はできないのですよ。なるほど過剰人員があればそれは当然ですけれども、しかし問題は、人を減らすということをいかに考えるかということ、人を減らすというよりも仕事を減らすということですね、これが一番根本ではなかろうかと思います。  そこで出てくるのが認可とか許可の問題、あるいは補助金の問題ですね。ところが、その面についての政府の御努力というのは余りなくて、定員の数だけのことは一生懸命だけれども、もう少し認可、許可事務とかあるいは補助金の問題等にメスを入れるという、それがあってもいいのではないか、こう思うわけであります。  そこで私は、それは特に国と地方との行財政の再配分の問題に行き着いてしまうのではないかと思います。いわゆる補助金あるいは認可、許可事務も、地方公共団体との関連において問題が大きくなってきているからです。行政事務は何もかも国が持たなければいかぬということじゃなしに、できるだけ住民の身近なところで処理する、地域において総合的に処理する。行政責任の明確化を図るためにも、私は、総括的には国がやらなければいかぬけれども、こういうような形で地方の時代にふさわしい進め方を考えていくべきではないかと思います。もちろん全国的なとか、広域的な統一的な処理というのは、これは国家事務として進めていかなければなりませんけれども、行政事務の地域性、近ごろの多様性、国民意識の多様化、価値観の多様化、そういうものにこたえるためには、行政がごく身近な、住民の目に見えるところで処理されるという仕組みの方がいいのではないかと私は思うわけですね。  しかし、これだけ言うと、じゃ何もかも地方にやってしまえとか、補助金なんかぶった切れとか、こういう議論になるわけですけれども、これはもう一つ大事な問題は、財源の再配分が同時になければならぬということです。むしろ財源の再配分が先で、それと一緒に行政事務の再配分が行われていく、こういう仕組みでなければならぬと思います。たとえば地方支分局の廃止の問題も、これから行管はいろいろお出しになる予定のようでありますけれども、自治体への権限委譲というような側面は余り出ていないのですね。さっき総理は、もう少し国と自治体との関係をなんというきれいなことをおっしゃるけれども、私がいただいた資料で見る限り、行管の資料の中にはそんなものはないですよ。行政事務を国と地方でどういうように配分するかなどというのは全然ありません。  一方、府県は、最近の新聞でもたくさん書かれておりますように、知事が市町村長に権限をどんどん委譲するのがいま大はやりになっていますね。これはいろいろ逆な問題もあるわけでありますけれども、兵庫県など四県が十年以上もかけていままでやってきている。昨年は広島県などのほか三県、それから四月からは三十六道府県が市町村への知事権限の委譲を始めようとしているわけです。地方ではこれはどんどんやっていますよ。さっぱりやらないのは政府であり、行管庁も余り御熱心でない、私はそういうふうに思うわけです。もう地方の方は権限委譲だけじゃなしに、最近は情報公開条例の問題と取り組んでいますね。一歩も二歩も先に進んでいますよ。  ですから、その点を私はここで取り上げていきたいと思うわけでありますが、認許可の問題です。できるだけ国の自治体に対する権力的な関与をやめていく、規制は最小限度にとどめるというようなことでやらなければいけないが、大体いま大平内閣が持っている認可権、許可権の数は国全体でどれくらいあるのか、つかんでおられるのですか。
  163. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろ計算等はございますが、約一万余はあるということでございまして、すでに四千八百件整理をし、なおかつ昨年の暮れの国会で第八次目の法案の審議をしていただきましたが、法律案件としては以上で三百三十七件整理をいたしました。
  164. 安井吉典

    安井委員 これは勘定の仕方でどうでもなるのですよ、認可許可権。包括的な勘定の仕方と、一つ一つ勘定する方法といろいろあるわけでありますけれども、それは余り深入りする時間がありませんから申し上げませんが、運輸省や通産省が各省の中でも多いようであります。運輸省はどれぐらい、通産省はどれぐらい、一つの例でお話を願いたいわけであります。どれぐらいの件数があって、その認許可権をきちっと見通して処理をされているか、その処理の方法をこの際お聞かせいただきたいと思います。
  165. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 通産省は、五十四年八月現在で二千百六十七件ございます。非常に許認可の対象と申しますか、たくさんございます。保安とか計量とか特許、あるいは中小企業対策とか、各種の事業法、それから外国貿易関係といったようにたくさんございまして、それぞれの法律に基づいて許認可をやっておるわけですけれども、いままでの整理の状況をお話ししますと、五十二年の十二月に閣議決定がございまして、この決定に基づきまして、五十三年度末までには二百十二件の整理合理化を行いました。五十四年の十二月二十八日、閣議決定がございまして、五十四年と五十五年度におきまして六十一件の報告等の整理を行っております。
  166. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 五十二年の閣議決定に沿いまして、許認可の整理を二年間で約三百八十件整理いたしました。現在まだ二千件ほど残っております。
  167. 安井吉典

    安井委員 とにかく、その認許可権ということのために、その処理のために役人がいるわけですから、件数が減れば——しかし、これは減ったと言ってもまた新しいのが出てくる。国会のいろいろな論議の中で、これをもっと厳しくせよとかなんとかいう議論が出れば、それだけまた件数がふえてくるということになるのかもしれません。法律もどんどんできるし、そういうことになろうと思いますけれども、できるだけ規制というのは最小限度にとどめるということ、そしてできるだけ地方に、自治体に預けるということ、そういう中で初めて仕事が減って定員も減らすことができる。私は、これも一つ大事な問題ではないかと思います。一体、全体的にどれぐらいあって、それをきちっと押さえているという、そういう仕組みそのものもないのですよ。各省はみんな持っているけれども、それを全体的に統括するという仕組みがないのですね、いろいろ調べてみても。そういう資料を出してくれと言ったって出ないわけですよ。行管庁だってないのですからね。全部のトータルの表をつくってくださいと言ったってつくれないのです。各省庁はみんな持っていて、何もないのですよ。だから、政府全体で物を処理するという、そういう考えなり意向を明確にすべきだと私は思います。  それから補助金の問題でありますけれども、大蔵省から、補助金の整理がわかるようなリストをくれと言ったら、こんな簡単な——こんなお粗末なのを私は見たことがない。整理したあれと、各省の主なものというのをちゃかちゃかと書いて、これだけですよ。総体でどれだけかなんというのを何も書いてないのですよ。大体こんなことが大蔵省の補助金への対応の姿勢だなと、私はそう思った。なるほど、千何百億だか減ったことは間違いないかもしらぬけれども、一兆円またふえちゃっておるのですね。何も減ったことにはなりゃしませんよ。いま三党の共同提案で、補助金を減らそうなどと言っておるけれども、政府のものは減ってないのです。一兆円ふえているのですよ。減ったと言うけれども、減ったものよりもふえた方がやはり多いものですから、そういうことで今日の状況に対応すること自体に大きな問題があると私は思います。  この補助金というのが自治体に対する、法令に基づかない事実上の統制になっていると私は思います。地方自治法があって、憲法の中にも地方自治の本旨というのがあって、国と自治体は別々なんですとはっきり書いてあるけれども、しかし、実際は補助金でつって、それをやれば補助金上げますよ、それをやらなければおまえさんのところ何もできませんよ、そういうことで自治体を統制しているというのが今日の姿で、自治体は万年飢餓状態になっている。みんな飢えて、ハングリーですよ。ですから、そこへこの補助金をやると言ったら、みんなくっついてくる。自治体をハングリーにわざとしておいて、補助金でつっているというのが今日の中央政府の地方自治への対応だ、そう言っても差し支えないと私は思います。ですから、そういう補助金というのはできるだけ少なくすることが必要で、それを一括交付方式とかメニュー化でやりなさいという主張を私たちがしているのはそのわけであります。  具体的ないろんな問題がありますけれども、そこまで入る時間はありませんが、ただこういうのも一つ問題になるのではないかと思うのです。全国知事会地方行財政基本問題研究会もいろいろな資料を出して、政府へ改革を迫っているわけです。同じような似た施設に対して国庫補助金がたくさん出ているわけですね。これは総理も後でごらんになるとおもしろいと思うのですが、農村環境改善センター、そういう施設ができて、これに大蔵大臣は予算をつける。ところが、そのほかにも集落センターという、これも補助の対象になる。多目的研修集会施設、これも補助の対象になる。山村開発センター、基幹集落センター、生活改善センター、漁村センター、高齢者生産活動センター、過疎地域総合センター、市町村保健センター、健康増進モデルセンター、農村検診センター、母子健康センター、へき地保健指導所、健康管理施設、これはみんな建物なんですよ。表にある看板を見なければ、これが保健センターなのか漁村センターなのかわからない。みんな建物で、中身はほとんど同じなんですよ。私がいま読み上げたのも、たしかこれは十五、六ありますよ。この十五、六が各省庁にまたがって、同じ省の中の局が違ったらまた別な補助になるし、同じ局の中でも課が違うと、それによって補助金が違ってくる。この補助金一つ一つ職員がついているわけです。認許可と補助金が結局定員全体をつくり上げている、こういう状況なんですね、同じ建物なんですから。それに保健のものと生活改善のものと、ちょっとかえればこういくわけですよ。こういう仕組みそのものに根本的にメスを入れる、そういう中から補助金の改革といいますか、そういうものができてくると思うのでありますが、大蔵大臣どうですか。
  168. 竹下登

    ○竹下国務大臣 補助金というものにつきまして、この行財政改革の一本の柱としてこれを打ち立てられて、その計画をつくれ、こういうことになったわけであります。したがいまして、非常に急な時間でございましたけれども、予算編成と並行しながらその計画をつくっていったわけであります。  元来、補助金というと、問題のつかみ方が最初非常にむずかしくて、率直に言って苦労をいたしました。それこそやってみますと、いま安井さんおっしゃいましたように、交付先が地方公共団体になるものが大体十兆四千億、これは全体の補助金の八一・三%になっております。別に法律でとらまえてみると、法律で補助するのが十兆五千億、これもまさに八一・八%、そういうような感じでございますし、今度これを社会保障と文教と公共事業と国鉄くらいでとらまえてみますと、これがまた八八・八%、こういうような感じでございまして、それをどういうふうに区分するかというので、結局約三千八百ということにしたわけです。それを今度は一つ一つ洗ってみて、いままで御指摘のありましたまさに類似のような感じのするものがどれだけ整理されていくか、そして終期を設定して、メニュー方式とかサンセット方式とかいうようなものでどれだけのものがやれるかということで、とにかく四分の一は五十五年度を含めてこの四年間で減らしていこう、こういうことに決めたわけであります。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、今年度で見ますと、廃止したものが大体三百二十八件、これが五百三十三億になります。それから合理化して減額したものが七百三十七件、これが千九十五億になります。それから統合したものが五十四件、終期を設定したものが六百六十七件、こういうことでございます。したがって総額で減らしたのが、御指摘のとおり千六百六十七億でございます。  ただ、一兆近くふえておりますが、このふえた分は現実問題として何でふえたかと言えば、まさにこれは当然増と言わざるを得ない。大きいところから申しまして、療養給付金の補助金が千三百九十一億とか、義務教育国庫負担金が千百六億とか、あるいは国有鉄道の利子補給が千七百四十八億とか、これは増加分だけでそうなんですから、そういうまさに当然増としてふえたものが九千七百八億でございますので、当然増分がいわばちょうどそのふえた額に当たるというふうに結果としてなっておるわけであります。その他、新設は確かに極力抑制してまいりましたが、どうしてもやらなければならぬので、これは新設と言うよりもやはり当然増とでも言った方がいいかもしれませんけれども、五十五年度の国勢調査の二百七十三億とかあるいは参議院選挙の百八十四億とか、こういうものがあるわけでございます。したがって、そういう当然増的な経費がありますから、補助金全体を減せとおっしゃっても、これはなかなかむずかしい問題でございます。しかし、御趣旨の線に沿って、これから予算編成期までに今度は各省庁が、サマーレビューというかスプリングレビューみたいなものかもしれませんけれども、その整理削減計画を立ててきて、これを予算編成期においてまた詰めていこう、こういう計画で進めていきたいと思います。
  169. 安井吉典

    安井委員 あと特殊法人その他の問題があるんですが、やはり自治大臣に伺っておきます。  いま政府が進めている行政改革、これは補助金を減らしっ放しでも自治体の方は困るんじゃないかと思うのですね。だから、財源をきちっと配分をするという問題も同時になければいかぬと思うし、私は余り時間がありませんので十分に触れられませんでしたけれども、いま進めつつある国と地方を通ずる行革という点において、自治大臣として私はこれでは不十分じゃないかと思うのですが、どうですか。
  170. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 補助金の整理は、やはり基本は仕事をなくせにやどうにもならぬと私は思いますね。仕事をなくすれば当然補助金はなくなります。しかしながら、仕事が残る以上は、これは補助金をいただかぬことには仕事ができない。その補助金はできる限り一般財源に振りかえるべきだというのが基本だと私は考えます。  先ほど来安井先生が行財政改革について言っていらっしゃる仕事の見直しが根本ではないのかということ、それから行政改革をせっかく政府が進めているが地方の視点が不十分ではないかという御指摘、それから仕事の見直しに関連して許認可あるいは補助金あるいは事務配分、財源の配分、こういった点に配慮をしてやらないと本当の意味での行財政改革にならぬではないかという御主張、私、一つも反対ございません。もうおっしゃるとおりでございます。  ただ、この際申し上げたいと思うのは、こういう問題は理屈はわかっておっても、総論賛成、各論反対ということで、実際はなかなか困難を伴う問題でございます。そういうことも踏まえながら、この問題だけはやはり粘り強く、時間をかけてやらなければならぬ仕事であろう、私どもはそういう心づもりで取り組んでまいりたい、かように思います。同時に、そうは言いましても、地方側にも大いに考えてもらわなければならぬ非常な問題点を抱えておりますから、そこらも踏まえてこれはやっていきたい、私はかように思います。
  171. 安井吉典

    安井委員 特殊法人、それから認可法人、公益法人というふうに私はこれから論議を進めたかったわけでありますけれども、もう時間がなくなりましたが、特殊法人の問題については、いままで会計検査の問題だとか行管がさらに監査を及ぼす問題だとか議論されておりますから、もう触れません。ただ、人事をもう少し総合的に管轄する機構というものが私は必要ではないか、そう思うわけです。今度も統合が行われますけれども、これも総体的に人事全体がきちっとつかまれていれば、配置転換も容易にいくわけですね。ところが各省庁まちまちで、その各省庁も自分のところの特殊法人の人事を十分につかみ切れていない、そういう状況があるようです。ですから、とりあえずは各省庁が、自分のところにつながっている子会社なんですから、その特殊法人の人事的な問題を含めてきちっとまずとらえるということが第一。そして、それを行管なら行管が総合的にとらえていくということ、そういう仕組みが大事ではないかと思うことが一つです。  それから、公益法人についても認可法人についても、この質問をするんで私もずいぶんいろいろ調べてもらったけれども、資料がないのですよ。一体日本全体にどれだけ公益法人があるのか、全体に認可法人がどれだけあるのか、その実態を政府自体がつかんでないのですよ。各省庁に行けばあるいはあるのかもしれませんけれども、行管にもない。総理府にもどこにもない。そんなような状況では、本省があって、それから特殊法人があって公益法人、こうつながっていく、子会社、孫会社まであるそういう仕組み全体をトータルにつかまえていく、こういう努力が私は必要ではないかと思います。  官房長官もおいでですから、ひとつ特殊法人のそういう総合化という方向についてどんなお考えを持っておられるのか。それからまた、公益法人、認可法人についてももう少しきちっとしたつかまえ方をしなければ、これが無制限にふえていくという状況を許しておいては困るのではないか。ずいぶんたくさん問題は出ているんですよ。きょうは時間がありませんけれども、そのことだけ一つ伺っておきます。
  172. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いま先生がおっしゃいましたとおり、政府関係の特殊法人の人事管理につきまして、統一的に全部、公益法人も認可法人も含めて見ているところがないとおっしゃるのはそのとおりでございます。各省庁が自分の所管特殊法人あるいは公益法人、認可法人の人事管理、調整をしているわけでございますが、おっしゃるようなことがございますので、特殊法人全部の人事管理の問題、あるいは公益法人、認可法人を含めましてどうしたらいいかということにつきましては、行政管理庁長官あるいは総務長官ともよく相談しまして、全体的にどこかで資料等がまとめられるとかできますように考えてみたいと思っております。
  173. 安井吉典

    安井委員 一定のめどを決めて結論をお出しになるお考えはありませんか。
  174. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 先生おっしゃいましたように、一定のめどを持ちまして、どういうふうに調整をしたらいいかということを結論を出したいと思います。
  175. 安井吉典

    安井委員 そのめどは、きょうはおっしゃっていただくわけにはいきませんか。
  176. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いま五十五年の行政改革ということで、行政管理庁を中心にやっておられるわけでございますし、私どもとしましては、何とか五十四年度中に、どこでどういうふうにまとめて考えることが適当かというようなことを、行政管理庁長官、総務長官と相談し、調整を図っていきたいと思います。
  177. 安井吉典

    安井委員 総理、オンブズマン制度という問題もいま出ていますね。とにかく国民の声を行政の中に反映しながら絶えざる改革を続けていくということ、これが非常に大切だと思うのですよ。何か行管の中にも、オンブズマン制度についての研究会をつくろうというような動きがあるとも伝えられていますし、自治体の方もずいぶんやっていますよ。もう少し国民とともに行革を進めていくという、そういう姿勢をこの際明らかにしていただきたいと思います。
  178. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 仰せのとおり心得ております。
  179. 安井吉典

    安井委員 終わります。(拍手)
  180. 田村元

    田村委員長 これにて安井君の質疑は終了いたしました。  次に、坂井弘一君。
  181. 坂井弘一

    坂井委員 「官庁綱紀粛正について」昨年の十一月二十六日の官房長会議申し合わせ、これは総理の指示に基づいてこのような申し合わせをされた。柱は四つございまして、その一つとして、「政治家又はその後援団体が主催する政治的な会合(「励ます会」等)のパーティー券の公費による購入及びあっせんは行わない。」こうなっているわけです。  それでお伺いいたしますが、つまり、このような申し合わせをして、パーティー券の購入ないしあっせんはしないということになったわけでございます。そういたしますと、こういう実態が政府部内ないしはここでは「政府関係機関」と、これは準ずるわけでしょう、こう書いてありますので、政府関係機関等においてもこのような実態というものが今日まであった。そういう実態にかんがみて改めてこのような申し合わせをした、こういうことでしょうか。つまり実情については、政府部内及び関係機関等については政府はよく調査、掌握、把握をされておる、こういうことでしょうか。
  182. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私からお答えを申し上げます。  いま先生がおっしゃいましたのは、五十四年の十一月九日に第二次大平内閣ができましたときに、綱紀粛正と行財政の刷新に関する当面の方針ということで閣議で決めた中に、各省庁及び政府関係機関による政治家のいわゆる励ます会のパーティー券の購入、あっせん等は自粛するということを決めまして、それを受けまして各省の官房長会議でまた、政治的な会合、励ます会のパーティー券の公費による購入及びあっせんは行わないということを申し合わせしたわけでございます。  これをやりましたのは、御承知のように、鉄建公団等が会計検査院の指摘等で問題になりまして、そういう問題が実は出てきたわけでございますので、そういうことは好ましいことじゃないということで、こういう申し合わせなり決定をしたわけでございます。私どもとしては、一々の特殊法人とか官庁調査しろとかいうことではないのでございますが、会計検査院の検査の結果いろいろ出てまいりましたので、そういうことではまずい、今後はそういうことはやめようじゃないかということで、こういう申し合わせをしたということでございます。
  183. 坂井弘一

    坂井委員 そういたしますと、必ずしも政府部内あるいは政府関係機関の実情、実態につきましてつぶさに掌握をした上というわけではないのですね。少なくともいまKDDあるいは鉄建公団等が、この不正ということで非常に大きな問題としてクローズアップされてきた、時に会計検査院の指摘もこれありということにかんがみと、こういうふうなことだろうと思います。  ここで「政府関係機関」とありますけれども、これはどこを指すのですか。
  184. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  政府関係機関と申し上げましたのは、たとえば公社、公団でございますとかあるいは特殊法人等も含めまして、少なくとも政府が出資をしたり、そういうようなところの範囲のものまでも含めまして、そういうことは公費でやったりしちゃいかぬ、あっせんをしちゃいかぬということで、個人でやられることは別でございますが、なるべく疑いを避けようじゃないかということでやったわけでございます。
  185. 坂井弘一

    坂井委員 特殊法人は含みますけれども、認可法人はどうですか。それから公益法人は……。認可法人まで含めたのですか。公益法人は含めていませんか。
  186. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  公益法人ということになりますと、非常にまた範囲が広くなってくるわけでございます。公益法人は公益法人で目的があるわけでございますから、その公の目的から見ましてどうかなと思われるようなあっせんをしたり、そういうことはなるべくやらぬで、個人的な問題としてそういうものは考えたらいいじゃないかという趣旨でございます。
  187. 坂井弘一

    坂井委員 じゃ、前提としてちょっと自治省にお尋ねをしておきたいのです。  国の出資金あるいは給付金あるいは交付金、補助金等を受けている特殊法人あるいは認可法人、それがパーティー券を購入するのですか、このパーティー券の購入の実態、これが明らかに政治資金規正法で定めるところの、第二十二条の三、つまり国の出資金あるいは交付金、給付金等を受けている法人、会社は寄付をしてはいかぬ、政治献金はしてはいかぬという条項がございますね。明らかにパーティー券を買ったその実態が、この政治資金規正法二十二条の三に抵触をする。実態を見て、その実態が政治資金規正法二十二条の三に抵触をするという実態であるならば、これは当然違法行為ですよね。あたりまえのことをあたりまえに聞いているのです。これはいかがでしょう。
  188. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 いまの御質問は、坂井先生のおっしゃるのは、それが政治資金であるならばと、こういう前提でございますから、一般論として、それが政治資金であればもちろん質的制限に該当をする、ただし今日行われておるいわゆる励ます会ですか、これのパーティー券、これは百も御承知のとおり、これも世間の常識を超えちゃ私いかぬと思いますけれども、しかし常識の範囲内であるならば、これはパーティーの代価でございますから、いわゆる政治資金規正法上の寄付には該当をしない、かように私は理解をいたしております。
  189. 坂井弘一

    坂井委員 KDDのことについては後で触れますが、その前に鉄建公団——きょう鉄建の方からは御出席いただいておりませんが、運輸省は非常に詳しく御存じでございますから、運輸省にお尋ねいたしますけれども、鉄建公団の場合は、明らかに政治資金規正法二十二条の三に抵触をするパーティー券の購入であったと私は見ているわけですが、それを前提としてお尋ねいたします。  鉄建公団が購入したパーティー券、私の方から申し上げますが、五十三年度で百二十九万五千円、五十四年度で百六十八万円、合わせて二百九十七万五千円のパーティー券を購入した。これはどういう支出科目から出たかといいますと、一つは交際費、これが百九十六万五千円。それから空出張によって捻出をしました金でもって百一万円。いま私が申し上げましたとおりでしょうか、どうでしょうか。確認だけさしてください。
  190. 山地進

    ○山地政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  191. 坂井弘一

    坂井委員 鉄建公団に係ります検査院の不正経理、不当事項指摘がございますが、総額は二億七千三百余万円でございます。鉄建ではこれは返されますか。運輸省は報告を受けていらっしゃいますね。
  192. 山地進

    ○山地政府委員 鉄建公団の方でいろいろ調査をいたしまして、そのうち七千八百万円を、管理職以上の職員が全額を拠出いたしまして、返す手続をいま進行中でございます。
  193. 坂井弘一

    坂井委員 それではお尋ねしますが、いま、七千八百万円ほど管理職以上で返すというようなことで検討中だということでございますが、返還しようといま検討しておりますこの額の中に、空出張による百一万円、これは含まれますか。
  194. 山地進

    ○山地政府委員 含まれております。
  195. 坂井弘一

    坂井委員 空出張による、つまり不正経理、これはきわめて犯罪性の高い金でありまして、返すことは当然だと思います。その中で百一万円をパーティー券購入に充てた、こういうことでありますね。したがって、これは当然管理職以上で返そう——このことは後で伺いますが、どうも私はおかしいと思う。返す相手が間違っているのじゃないか。  もう一つだけ聞いておきますけれども、鉄建公団の収入支出決算書が私の手元にございますが、交際費はどれぐらい持っておったのですか。五十四年度決算はまだ出ておりませんね。五十二年度、五十三年度、交際費は幾らですか。
  196. 山地進

    ○山地政府委員 予算で三百万円でございまして、決算では、正確な数字は覚えておりませんが、二百九十何万円というような範囲内で使っております。
  197. 坂井弘一

    坂井委員 そうしますと、ここにありますが、三百万円の予算で決算が二百九十何万大体使っておる。このこと自体がどうもおかしいですな。これはつくったようなものですね。交際費から、先ほど指摘いたしましたパーティー券購入に充てた額が百九十六万五千円。そういたしますと、交際費の三分の一をパーティー券購入に充てたということになりますね。そういうことになりますか。
  198. 山地進

    ○山地政府委員 いま御指摘になりました交際費百九十七万円の内訳でございますが、五十三年が百二十八万円、それから五十四年にかかるものが六十九万円でございますので、比率としては、いま先生のおっしゃった比率とは若干違う数字になろうかと思います。
  199. 坂井弘一

    坂井委員 若干違うけれども、常識的にもおかしいですね。交際費は約三百万円ぐらいしか持っていない。そのうちパーティー券購入に充てるものが三分の一近い。これはおかしいので、実際問題として交際費はもっと大きいはずです。このことはさておきましょう。  前段指摘いたしました空出張による百一万円、これがパーティー券購入に充てられた、こういうことでございますが、パーティー券を購入した相手方、個々の枚数、金額、これは運輸省、全部おわかりですね。
  200. 山地進

    ○山地政府委員 公団の交際費でございますので、公団の総裁にこれらの使用についてはお任せしてあったわけでございますので、その使用についての詳細については私ども存じておりません。
  201. 坂井弘一

    坂井委員 運輸省、そんな詳細についてと言って、このパーティー券をどこから買ったかということはわかっていないというのですか。  会計検査院にお尋ねしましょう。検査院は全部おわかりでしょうか。
  202. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  先ほど御指摘がございましたように、このパーティー券におきましては、正規の交際費から出している分と、それから空出張によって浮かせた金から出しているものでございます。この正規の方につきましては、領収書等がございますので、私ども全部承知しております。それから空出張で捻出した分については、明確な領収書等は全部ございませんが、これにつきましては帳簿等がございますので、その内容から使途を公団側に説明を求めまして、確認しております。
  203. 坂井弘一

    坂井委員 運輸省、重ねて聞きましょう。  つまり、いま会計検査院からお答えになったとおりで、鉄建公団に照会をして照合を求めた。したがって、わかっていないとこの百一万円というものも出てくるはずがないわけですよね。あなたの方では詳細つかんでいないというのはどういう意味か、ちょっと私にはわからぬのだけれども、つかんでいるわけでしょう。あなた自身がいま御存じないわけですか。
  204. 山地進

    ○山地政府委員 ただいま検査院の方のお答えのありましたようなことで、公団の方から一応報告は受けておるわけでございますけれども、手元にございません。
  205. 坂井弘一

    坂井委員 わかりました。じゃ、わかっておるわけですね。  捜査当局に伺いますが、これは告発を受けておるわけですね。この鉄建公団にまつわります不正経理事件、これはかなり捜査は進行しておると思います。いま私が指摘いたしておりますところのパーティー券の問題、これも私は政治資金規正法に抵触するおそれ大だ、こう見ておるわけであります。相当関心を持って捜査をやっておると思いますけれども、いかがですか。
  206. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねの点でございますが、改めて申し上げるまでもないと思いますけれども、現に東京地検におきまして捜査をしておるわけでございますので、捜査中のことでございますから、大変恐縮でございますが、具体的なケースについての結論めいたことは差し控えさせていただきたいわけでございます。
  207. 坂井弘一

    坂井委員 それはそういう答えしか返らぬでしょうが、これは常識的に当然一つの大きなポイントだろうと私は思う。  それできわめて常識的なことを申し上げます。KDDのパーティー券等についても、あれほど問題になっておるわけでありまして、また返還をした人もかなりいるわけです。鉄建公団につきましては、これは国の金も入ったわけですね。そういう特徴がありますね。鉄建公団がするところの政治献金、これは政治資金規正法二十二条の三に抵触をするということで禁止されておるパーティー券という名目でもって、まさに性格は政治献金的なものが鉄建公団から行われておるということになりますと、これはゆゆしき問題ですね。で、KDDにおいては返還される人もある。鉄建公団にパーティー券を買わした人あるいはその団体、返されてきた分ございますか、そういう報告はお受けになっていませんか、運輸省
  208. 山地進

    ○山地政府委員 たしか若干返還があったというふうに、大分前のお話でございますけれども、そういう報告を受けたことがございます。
  209. 坂井弘一

    坂井委員 若干返還があった、道徳的にもそうあるべきなんだ。まして違法性があるわけです。これは全部返させたらいかがですか。運輸大臣、あなたの方から、鉄建公団にパーティー券を買わした政治団体ないしは政治家に対して、あなたの方は全部おわかりなんですから、返しなさいと。
  210. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 内容は十分承知してはおりません。なお、交際費の範囲内で総裁の判断で買ったものは適当かと存じます。
  211. 坂井弘一

    坂井委員 運輸大臣、あなたは全然わかっていない。そういう感覚だからまずいと言うのです。前段私が申し上げたんだ。わざわざこういう申し合わせをした。金に色はありません。だけれども、鉄建公団は少なくとも公費がここに入っているわけですよ、国の。そういう中で、交際費から出すこと自体も疑義があるのです。しかし、それはそれとして、不正経理によって、空出張によって浮かした金、いいですか、これは犯罪性のある金ですよ。でもって、いま検察もそれをやっているわけだ。会計検査院もそのことを指摘した。だからいま、これは大変まずいことをやった、管理職以上でこれを返還しようとしているわけです。返還しようとしている金の中に、空出張による百一万円が入っているという。管理職以上でそれを徴収するのですよ。  ところが、それはどこへ行ったかというと、その百一万円の空出張による金がパーティー券という名前で、政治団体ないしは政治家のふところに入ったわけです。いいですか。返還を命ずる先は政治家なりその政治団体じゃありませんか。非常にえげつない言い方をしたら、どろぼう金をかすめ取ったようなものですよ。そうでしょう。それに対して運輸大臣が、いまはっきりしたわけですから、こういう金はそういうパーティー券を買わせた政治団体あるいは政治家に対して、お返しをするのが当然でしょうとあなたが勧告してしかるべきじゃありませんかと、常識的なことを聞いているのです。だれが買ったかというのは、運輸省は全部おわかりなんですから。いかがですか。
  212. 山地進

    ○山地政府委員 公団の経理といたしまして、空出張の方から出したかあるいは交際費から出したかということは、きわめて明確にわかるわけでございますが、相手方が一体どっちの金で買ってもらったのかということについては、向こう様の方が御存じない場合が非常に多いかと思うわけでございます。したがいまして、空出張で買ったから返せというような話にはなかなかならないし、公団の方としても、内部の処理としては空出張ということでやったわけでございますけれども、相手方の了知はないわけでございますので、ちょっとむずかしい問題かと思います。
  213. 坂井弘一

    坂井委員 いま相手方は、空出張による金だとわかったわけなんですよ。これは犯罪性の金ですよ。そんな金に対して、おれのところのパーティー券を買ってくれと言うばかがどこにいますか。百歩譲って、その時点ではわからないわけです。ですから、パーティー券を買うか買わないかの是非、善悪のことについては、私はいま直ちに触れようとは思わない。その時点では許されたかもしれない。しかし、いまになってみれば、会計検査院の指摘もこれあり、調査をしてみたら空出張によって、その金でパーティー券を買わせておったんだということがはっきりしたんでしょう。そうであれば、当然のことながらこの金はぐあいが悪い、こういう犯罪性のある金だったんだ。鉄建の職員に返させて、実際問題、買わせた政治団体なり政治家は不問に付するのですか。そんなことが許されますか。
  214. 山地進

    ○山地政府委員 先生のおっしゃるように、百一万円が不正経理の空出張からの拠出であったということは明確でございますので、職員がこの分については拠出するということで金を集めておるわけでございまして、政治家の方が自発的にお返しいただく分というのは別途、百一万円の中に仮にありましても、それと別にまたお返しはいただいているというふうに聞いております。その政治家の方に百一万円から出たかどうかということについては、公団の方からもかなり御説明しにくいことだろうと私ども考えております。
  215. 坂井弘一

    坂井委員 それは説明のしにくいことですよ。ことだけれども、事実がこうはっきりすれば、犯罪性のある金なんだから、いいですか運輸大臣、それは鉄建の職員に返させたらそれでもうおしまいですということじゃないでしょうと私は言うのですよ。いまになってみれば、こういうことでこの金というのは非常にぐあいの悪い金だ。あなた、そのときには知らなかったのでしょうけれども、いまこういうように指摘されておって、これは不正経理によるパーティー券の購入であった、それがあなたの方からこれだけ買ったんだ、ですからあなたの方からその金を返してください、そうすべきじゃないでしょうかということをお勧めになったらいかがですか。私は名前まで言っておるわけじゃないのです。
  216. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 この問題は公団で判断することでございますが、私個人といたしましては、公団に勧めて返すようにと言うことについては、いささかちゅうちょするものがございます。
  217. 坂井弘一

    坂井委員 事ほどそのようなことであれば、およそ官庁綱紀粛正だと言ったって、総理、空念仏みたいなものだと私は思いますよ、本気に。後で聞きましょうが……。  ほかの特殊法人で同じような事例はございませんか。一つの例として聞きましょう。通産省、通産省が所管する特殊法人、パーティー券を買った事実はありますか、ありませんか。
  218. 杉山和男

    杉山(和)政府委員 通産省所管団体につきまして、全般について私どもは存じ上げておりません。
  219. 坂井弘一

    坂井委員 あなた方は調査もしようとしないし、こんな通達だ、申し合わせだといったって一片の紙切れですよ。麻痺しているのです。私の方から言いましょう。  日本電気計器検定所、五十四年七月十三日パーティー券購入。高圧ガス保安協会、これもパーティー券購入、これは五十四年六月ないし七月、あなたのところのOBの紹介です。日本航空機製造株式会社、これは五十四年四月以降。それから地域振興整備公団、ここは、私の方は政治資金規正法に基づいてパーティー券購入等は違法になります、それはできませんと断った。にもかかわらず、お調べください、直属大臣から頼まれて買っているじゃありませんか。五十四年の衆議院選挙前であります。石炭鉱害事業団、パーティー券購入の事実はあります。詳しいことはいま調べております。私の方にその資料が届きます。以上五つの特殊法人、これは全部国から金が出ておる。委託費、補助金あるいは政府出資、そういう特殊法人であります。お調べになりますか。
  220. 杉山和男

    杉山(和)政府委員 先生御指摘の各団体の中で地域振興整備公団、これは国土庁所管でございます。主管は国土庁でございます。それ以外のものについては、御指摘ございましたことが事実かどうか調べてみます。
  221. 坂井弘一

    坂井委員 地域振興整備公団、これは共管ですね。実情を調べて資料としてお出しいただけますか。
  222. 杉山和男

    杉山(和)政府委員 御指摘のありました時点について、そういう事実があったかどうか調べてみたいと思います。
  223. 坂井弘一

    坂井委員 通産省関係の特殊法人だけ申し上げた。何もこれは通産省だけやり玉に上げようと思って言ったわけではない、一例としてと……。  いま申しましたような五つの特殊法人においてもパーティー券の購入が行われた、これは実態であります。全然そういう調査も把握もしようとしていないですね。言ってごらんなさいよ、特殊法人にこういうことを。あなたの方でパーティー券を買ったことがありますかと言って。はい、ありますと言いますよ。いつだと言ったら、さっき私の言ったような……。だれからの要請ですかと聞いたら、名前も教えてくれますよ。  会計検査院、こういう事実について検査院はつかんでいらっしゃいますか。
  224. 松尾恭一郎

    ○松尾会計検査院説明員 特にパーティー券の購入に関しましては、こういう事実があるということは報告を受けておりません。
  225. 坂井弘一

    坂井委員 重ねて検査院に強く要請をいたします。  こういうことが行われておるわけです。あなた方は検査されるわけですからね。パーティー券等の購入の実態について、これにひとつ着目をして今後検査されますか。
  226. 松尾恭一郎

    ○松尾会計検査院説明員 パーティー券の購入が政治資金規正法第二十二条の三に違反する事態であるということがはっきりしますれば、当然違法な事項として本院の検査の対象となるわけでございます。したがいまして、今後とも御指摘の趣旨に沿いまして、十分留意して検査したいと思います。
  227. 坂井弘一

    坂井委員 総理、ぼくは本当によろしくないと思うのですよ。特殊法人あるいは認可法人、申し合わせのとおりです、確かに。こういう政府が関係している機関が、まして政府の金が入っているこういう特殊法人等において、パーティー券と称して政治家の励ます会あるいは出版記念会、いろいろな名目がいっぱいあるようですけれども、それがパーティー券を買わさせる。その要請に応じて、そういう特殊法人がじゃと言っておつき合いをする、こんなことは本当にもう慎まなければならぬことですね。まして政治資金規正法二十二条の三にも抵触するおそれが多分にある。これは一度、私は政府部内、省庁とは言いません、とりあえず特殊法人、この実態をつぶさにお調べになったらどうですか。いかがでしょう。
  228. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 先ほど官房長官もお答え申し上げましたように、去年の暮れにわれわれの内閣で申し合わせをいたしましたのは、そういうパーティー券の購入が公費で行われるということ、そのことについて各特殊法人あるいは政府機関等を全部洗いざらい調べて、それを踏まえた上でやったわけではございませんで、こういう種類のものはやはり自粛すべきでないかという判断に基づきまして、そういう申し合わせをいたしたわけでございまして、その後もしそういうことが行われておるとすればゆゆしい事態でございますけれども、私はその後はきちんとこの申し合わせば遵守されておるものと確信をいたしております。  坂井さんがいま御指摘の点はそれより以前のことでございまして、それが一つの社会的な常識として、大して深く考えることなく行われておったものかどうか、それがあなたの言われる政治資金規正法にもとるものかどうか、そういった点についての深いせんさくもなく行われておったのではないかと思うのでございまして、しかし、そういったことは以後は自粛しようということをいたしたのでございますから、その措置については御理解をいただきたいと思うのでございます。  しからば、過去にさかのぼりましてそういう事実を調べて、その非違を明らかにしてまいるということをすべきかどうか、この点につきましては、政府の方で部内で一遍検討をしてみることにいたします。
  229. 坂井弘一

    坂井委員 私は、過去にさかのぼってそういう実情、実態というものをつぶさに政府ができ得る限りつかんで、その上で初めて今後実効あるものになるであろう、何も過去を探り出して、つつき出して、それをとやかく言うつもりはいまないんですよ。ただ、姿勢としてそういう毅然たるものがありませんと、やがて時がたてば、あらしが吹きやめばまた同じようなことになるのじゃないかということを従来の経緯から見て心配をするものですから、そういうことであってはいかぬのでこういう提案をしたわけです。  それはそれといたしまして、申し合わせで今後は徹底できるだろう、こういうことですからよく注視をしていきたいと思いますが、先ほど運輸大臣にお尋ねしました鉄建公団の不正経理、空出張による犯罪性のある金がパーティー券に化けた。これは総理、やりとりをお聞きいただいたと思いますが、どうでしょうか。これは運輸大臣はあの程度しか言えないんだろうと私は思う、立場を一応理解すれば、百歩譲って。しかし、常識的に考えても、総理、どうですか、私は、この名前とか相手の団体を言えとかここで言っているわけではない。中には良心的に返してきた人もあるというのです。それはそれなりにりっぱだと思う。当然またそうあるべきだと思う。しかし、返していない人がほとんどだと思いますよ。そういう人に対して、こっそりでもいいじゃありませんか、内々でもいいじゃありませんか、それはお返ししなさいよと。私は、それが綱紀粛正姿勢を正していくという、総理が毅然たる決意もお述べになっていらっしゃるわけでありますので、せめてささやかなそれの実践じゃありませんかな。いかがでしょう。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
  230. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 申すまでもなく、第一義的には御本人がどう処理されるかということだと思うのでございまして、私ども第三者がそれに対してどう勧告するというような性質のものではないと思います。しかし、政府の立場でどういうことをすべきであるか、どういうことをすべきでないかということになりますと、先ほど運輸大臣も申しましたが、慎重に考えねばいかぬことだと思うのでございます。ただ、あなたの言われるお気持ちはよくわかりまするし、綱紀を正していかなければならぬことは重々わかるわけでございますから、それをどういう方法でやってまいるか、実現するかということについて、篤と考えさせていただきたいと思います。
  231. 坂井弘一

    坂井委員 ここでは直ちに言えぬか知らぬけれども、総理、ひとつよくお考えくださいよ。こんな金を返させられる職員の気持ちはやるせないものだろうと思いますよ。はっきり指摘されているわけだ。何もやみ出張によってパーティー券を買うために金を浮かしたわけじゃなかったのでしょう。しかし、事実とすればそういうことになってしまったのですね。また、結果的にそうだったのだ。会計検査院もきちんと指摘しているわけです。それがいまわかった段階では、さらに職員によってそれが返されようとしているでしょう。そうしたら、一方そのパーティー券を買った政治家は見逃される。それは本人の意思の問題でしょうよ。良心があるのならば自発的に返すべきだと私は思う。それにまつということは、基本的にそうだという考えはわかりますよ。であるならば、私はいまも返されてなかったらいかぬ、こう言いたいわけです。返そうとしない。それだったら、せめてお返しになったらいかがですかと言うぐらいの勧告をしてあげるぐらいの友情があってもいいのじゃないですか、こう言いたいわけですよ。ささやかなことかもわかりませんが、そういう姿勢というのが綱紀粛正につながっていきますよ、こう旨いたいわけです。ひとつ十分お考えいただきたい。  KDDについて捜査当局に伺いますが、いま事情聴取をやっておりますね。
  232. 中平和水

    ○中平政府委員 お答えします。  毎日関係者平均十数名程度から事情聴取を続けております。
  233. 坂井弘一

    坂井委員 毎日十数名ですか。
  234. 中平和水

    ○中平政府委員 大体平均的にそういうことだというふうに報告を受けております。
  235. 坂井弘一

    坂井委員 あの板野さんと佐藤さんは被疑者として調べておるということでしょうか。
  236. 中平和水

    ○中平政府委員 ただいまのところ、具体的なお二人の方につきましては特別の報告は受けてない次第でございます。
  237. 坂井弘一

    坂井委員 それは後にしよう。  国家公安委員長、保田さんが亡くなりましたね。事件解明のためには非常に重要な人だった、あなたはこう言われましたね。あの遺書がありましたね。提出を求めているけれども、まだ出てきませんね。あの遺書も事件解明のためには非常に重要な物的証拠と判断されているのでしょうか、どうでしょうか。
  238. 中平和水

    ○中平政府委員 重要な証拠かどうかは中身を見てみないとわからぬわけでございますが、私どもとしては一応弁護士の協力を求めて提出していただくように話を進めております。
  239. 坂井弘一

    坂井委員 なかなか出てきませんが、中身を見てみないとわからぬということですから、時によって差し押さえというようなことも考えの中にはあるのですか。
  240. 中平和水

    ○中平政府委員 御案内のように、弁護士につきましては刑事訴訟法百五条で一応押収拒絶権というものが弁護士の地位から特に保障されているわけでございます。そういうものとの兼ね合いもございますし、私どもとしてはできるだけ協力を得つつ捜査の目的を達したい、基本的にはそういうふうに考えております。
  241. 坂井弘一

    坂井委員 古橋さん、木村さん、お二人来ていただきました。お伺いいたしたいのですけれども、海外出張費の精算でけさほど大出委員から指摘ございましたけれども、金額の改ざんしたものが多数あったようですね。いまこのことについて事情聴取も進んでいるようでございますけれども、手短かに、率直にお答えください。お二人どなたでも結構ですけれども、こういうことについてお聞きになっておりますか、あるいは知っておられましたか。
  242. 木村惇一

    ○木村参考人 お答えいたします。  そのような事実は聞いておりませんでした。
  243. 坂井弘一

    坂井委員 すでに新聞報道でもいろいろありまして、刷新委員会でもいろいろ調査されたわけでしょう。では、その段階ではこのような事実のことについてお聞きになったということございませんか。
  244. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  経営刷新委員会といたしましても真相の解明には種々努力しているところでございますが、何分にも捜査当局の捜査を受けております現段階におきましては関係の資料が存在しないこと、また関係者の事情聴取もおのずから限界がございますので、当社といたしましては捜査当局による真相解明を待たざるを得ない状況でございます。
  245. 坂井弘一

    坂井委員 そんなことを聞いているわけじゃないのですよ。いまの金額改ざんしたということについて——では、聞き方を変えましょう。それでは、そんなことが刷新委員会で話題になりましたか。
  246. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  何分資料がございませんので、そのようなことは問題になったことはございません。
  247. 坂井弘一

    坂井委員 それでは一体刷新委員会は何をやっているんでしょう。これほど新聞でも詳しく報道されてもおるわけですね。そんなことをあなた方一切話題にも議題にもしないのですか。真相解明のために一生懸命やっているんだと言いながら、何にも言わないのですか。一体刷新委員会というのは何ですか。
  248. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  刷新委員会の任務としては二つございまして、その一つは、このような不祥事を二度と繰り返さないように将来に向かってどういう措置をとったらよいかといういわば前向きの面でございます。この点に関しましては、刷新委員会といたしましては、たとえば交際費等の使用の規制あるいは社内における監査体制の確立、その他種々の面において相当成果を上げたものではないかと考えておりますが、もう一つの任務でございますいわば後ろ向きの面、真相解明と申しますか、そういった面につきましては、先ほど申し上げましたように、資料がほとんどすべて捜査当局によって押収されていること、それから関係者等も連日事情聴取を受けているというようなことがございまして、思うように進んでおらないということでございます。
  249. 坂井弘一

    坂井委員 私はそんなこと聞いていないのですよ。資料が押収されたかどうだ、そんなこと聞いているわけじゃないのですよ。いまやこういう改ざんされたというようなことが新聞でも詳しくずいぶん報道されているわけですよね。そんなことが刷新委員会で、後ろ向きの面の真相、事実解明ということも作業の一つですから、そういう中で当然これほど大きく報道されれば刷新委員会でそのことが話題になるだろう、議題になるだろう、そんなことの話がありましたかと、中身まで聞いているわけじゃないのです。それを全くなかったとあなたはおっしゃるわけですね。それだったら何にもやってないんですかと、こういうことにならざるを得ぬじゃないですか。
  250. 木村惇一

    ○木村参考人 刷新委員会の中に、成田問題等調査委員会という小委員会と、交際費等検討小委員会というのがございまして、そこの小委員会におきましては新聞紙上等に報ぜられました疑惑について解明しようと努めておるわけでございます。
  251. 坂井弘一

    坂井委員 だから、具体的にお答えいただきたいんだな、話が全く進まないのですよね。要するに、社長室内で海外出張の精算をするわけですよね。それで、いろんなものをたくさん買ってくるわけですけれども、それを改ざんしたというようなことについて刷新委員会で話題になったかどうか、そう具体的に聞いたわけです。あなたはそのことを否定するんですか、話題に全くなっていないと。なったのかなっていないのか、それだけずばりお答えいただきたい。
  252. 木村惇一

    ○木村参考人 ただいまの御質問の趣旨は、いわゆる改ざんの件であろうかと存じますが、そのようなことに関しましては、調査する手段が全くございませんので、刷新委員会としては、残念ながらいまのところ手をつけていない次第でございます。
  253. 坂井弘一

    坂井委員 質問に対してお答えいただけないので、非常に困るわけです。何もそう聞いているのじゃないです。話題になったかならなかったのか、それだけを聞いているわけです。なったならなったと、ならなかったならならなかったと、あなたのお答えではなったのかならなかったのかさっぱりわからぬ。  じゃ、そういうようなことですとどだい話が進まないと思いますが、大ざっぱに伺いましょう。  大変大量の品物を、海外で買い付けて持ち込んでくるわけですな。しかも、それが密輸によるもの、こういうことですね。一般常識的に聞きますけれども、何でこんなにたくさんの品物が海外から密輸されたのでしょうか。このことについては、板野さんや佐藤さんは全くあずかり知らぬというようなことではないでしょう。木村さんのお答えは非常に大ざっぱだから、大ざっぱでいいですからお答えください。
  254. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  昨年の十一月二十五日、KDDの常務取締役三名が板野學前社長に対し面談をいたし、その際、この海外の買い付け等について伺ったことがあります。そのときの板野さんのお話としては、たしか私の記憶によりますと、KDDの社内が非常に殺風景であるので、そこに潤いを出すためにいろいろな美術品のようなものを買ったということでございまして、そのほかの個々の品物の中身等は、どんなものがあったかは自分は知らない、こういうような御説明でございました。
  255. 坂井弘一

    坂井委員 漠然と聞きましょう。  こんなこと、個々の社員が自分勝手に密輸をやったわけではないでしょう。密輸をやっておるということは、社内では薄々首脳は知っておったのじゃありませんか。また、そういうようなことを黙認していくという空気があったのじゃないですか。感じとしてお答えください。
  256. 木村惇一

    ○木村参考人 ただいまの御質問は、密輸に関して会社の方から指示があったかどうかという点であろうかと思いますが、この点に関しましては、刷新委員会の成田問題等調査委員会においてもある程度検討いたしました。  事情聴取を関係者に対して行いました結論によりますと、そのような指示を上司から受けたことがないとほとんどすべての者が申しておりました。したがいまして、この海外で品物を買い付けしたこと自体には、当然上司からの指示があったと存じますが、それを日本国内に持ち込む際に、税関において過少申告ないしは無申告を行ったことに関しては指示はなかったというふうに、現在までの私どものなし得ました調査の範囲では信じております。
  257. 坂井弘一

    坂井委員 こんなに長年にわたって、大変な回数で大変な品物が買い付けられて、密輸が回を重ね行われているわけですよ。大出委員の質疑の中でもありましたけれども、そんなことは精算の際に常識的にわかるはずですね。いまのお答えでは、ほとんど口をつぐんで、すべてはいま捜査という段階だから答えられないということで一方的に何らお答えにならぬ。お答えしようとしないということでしょうからこれ以上聞きませんが、保田さんが前にお見えいただいたときに、佐藤前室長宅に品物がありましたが、これにつきましては私が保管を依頼したものでございますというようにおっしゃっておった。  その前に刑事局長にちょっとお尋ねしますが、一般論として、他人が所有する物品を自宅に持ち込んで、その物品があたかも第三者から依頼されて預かっているかのように見せかけるために第三者に物品保管依頼書を書かせる行為、こういう行為は横領容疑等犯罪が成立する可能性がきわめて高いと思いますが、一般論としてお答えいただきたい。
  258. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 ちょっとお尋ねの趣旨が理解不十分かと思いますのでお答えしにくいわけでございますが、預かる事情等もいろいろございましょうと思いますので、いまお尋ねのことだけで直ちに横領になるということは申しかねるように思います。
  259. 坂井弘一

    坂井委員 しかし、横領になる可能性もあるのでしょう。他人が所有する物品ですよ、自分の家へ持ち込むのです。それで、それがあたかも預かっているかのごとく見せかけるために第三者に対して預かり書を書かせる、そういう行為。
  260. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 どうも同じようなお答えで恐縮でございますが、第三者に対して預かり書を書かせるということがどうもよく理解できないわけでございます。  また、その前に、第三者のものを持ち込むということでございますが、それ自体も、どういうわけであるかということがいろいろあろうかと思いますので、一般論としてもちょっとお答え申しかねるわけでございます。
  261. 坂井弘一

    坂井委員 つまり、会社の品物を自分の家へ持ち込むわけですよ。それで、その持ち込んだ品物を今度は第三者に、あなたの方から依頼されて私は預かっているのですということにしてくれよということで、その第三者に対して物品保管依頼書を書かせるわけです。そんな行為は横領になる可能性が強いのではないですか、商いのではないですか。そうなりませんか。
  262. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 どうも再三同じようなお答えをして申しわけございませんけれども、お尋ねの御趣旨だけでは直ちに横領罪ということにはまいらないのではないかと思います。
  263. 坂井弘一

    坂井委員 それでは、亡くなった保田さんが佐藤前室長に頼まれて贈答用品保管依頼書を書かされたのではないか。これは、毎日新聞の記者に佐藤前室長がそのことを詰められた際、いや、おれのところに置いていたものは会社の品物を預かったのだ、これがその証拠だといってこの贈答用品保管依頼書というものを見せた。ところが、その日付に間違いがございまして、事件発覚後の日付になっておったということでばれちゃった、こういう話のようなんですね。これが事実とすれば、これは犯罪行為になるでしょうか。
  264. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 横領罪は、人から頼まれまして預かった物を勝手に処分するということで横領罪になるわけでございまして、預かっている物について、預かっていることにしろということのように聞こえますのですけれども、そういうような感じでございますので、同じようなお答えにならざるを得ないかと思います。
  265. 坂井弘一

    坂井委員 参考人のどちらかからお答えいただきたい。  旧社長室では、一件当たり金額三千万円以下の物品の購入については、社長室限りで決裁、処理されておったようですね。こういうことにつきまして、前に古池さんがお見えになったときに、社長印があれば、確かに三千万円以下の物品ならばいつでも購入できる、こういう答弁がなされてございますが、当然板野前社長の決裁もあったでしょうね。
  266. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  当時の社長室は、板野社長の直属の社長室でございまして、当然板野社長の決裁印で物を買っておりました。  以上でございます。
  267. 坂井弘一

    坂井委員 板野前社長の決裁印ということは、板野前社長が決裁をした、こう理解してよろしゅうございますね。
  268. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。さようでございます。
  269. 坂井弘一

    坂井委員 これだけ大量の物品、品物、これは一体どこに贈ろうとされたのですか、主たる贈り先は。
  270. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  この件につきましては前古池会長も言っておられましたけれども、ちょっとわれわれとしても理解しかねるところがございます。どこに贈ろうとしたのか、余りにも膨大な品物がございまして、理解しかねるところがございます。
  271. 坂井弘一

    坂井委員 たとえば五十三年度の交際費として税法上扱った総額が二十二億三千八百万ですね。内訳は、旅費・交通費で三億七千万、広告宣伝費が七千万、交際費が一億四千二百万、打ち合わせ懇談経費が七億、雑費が九億、この九億の雑費の中から物品を購入しているわけですね。どのくらいの額になりますか。
  272. 古橋好夫

    ○古橋参考人 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、この九億の中に贈答品関係のものが入っているわけでございますけれども、何分にも資料が全部ございませんものですから、九億のうちのどれくらいが物品であったか、判明いたしかねるところがあります。
  273. 坂井弘一

    坂井委員 いま佐藤前室長はどこにおるのですか。
  274. 木村惇一

    ○木村参考人 お答えいたします。  定かにはわかりませんが、多分自宅におることと存じます。
  275. 坂井弘一

    坂井委員 刷新委員会では、佐藤さん、それから板野さんを招いたのは、一番最近ではいつですか。
  276. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  板野さんに関しましては、先ほど申し上げました昨年の十一月二十五日が最後でございます。それから佐藤前室長に関しましては、昨年の十一月九日が最後でございます。それ以降におきまして、佐藤前室長に対して事情聴取を進めるようにというような御指示が古池前会長兼社長からございまして、刷新委員会といたしまして、これの実施について検討を行いましたところ、結論といたしましては、この際警視庁及び検察庁による取り調べが進行している段階で、会社側が重複して事情聴取を行うということは望ましいことではなく、場合によっては捜査妨害の疑いを受けることともなりかねない、この際は司法当局の調査にゆだね、その結果を待つのがよかろうということ。さらにまた、会社自身も告発を受けておりますので、事件の終結が近づいていると思われる現在、会社側の役員が本件関係者と面談することは、外部から見て疑惑を招くおそれもある。このようなことから取りやめることといたしまして、以後、事情聴取は行っておりません。
  277. 坂井弘一

    坂井委員 じゃ、もうやらないんですな。  捜査当局、刑事局長、佐藤さんいまやっているんですか、事情聴取を。
  278. 中平和水

    ○中平政府委員 ただいまやっておりません。
  279. 坂井弘一

    坂井委員 捜査に協力しようというわけで、刷新委員会も呼ばない、捜査の方も事情聴取しないのですか。早急にやるべきじゃないですか。当然やるのでしょうけれども、いまやってないというのはどういうことでしょう。
  280. 中平和水

    ○中平政府委員 御案内のように、捜査というのは証拠を積み上げてやるわけでございます。そういうことでございまして、現在はまだ本人から事情を聞いてない、こういうことでございます。
  281. 坂井弘一

    坂井委員 これはどうやら、委員長にお願いしたいのですが、やっぱり国政調査権を尊重しまして、国会の証人喚問の方を先にやってくれ、こういうことらしいですな、どちらも。また改めてひとつ理事会でも早急にということで御協議ください。要請をいたします。
  282. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 ただいまの坂井君のお申し出につきましては、理事会において検討いたします。
  283. 坂井弘一

    坂井委員 退職金の内規ですが、百分の四十五を百分の三十六に改められましたね。三十六に改めたんだけれども、どうもKDD、おたくの内規によりますと、支給額の特例として、「退任役員の在職中の功績等により、一定の範囲内で加算できる。」こういう取り決めになっておりますね。この項は削除されましたか。
  284. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  ただいま御質問の功労加算の規定は削除されておりません。
  285. 坂井弘一

    坂井委員 いままであったんでしょう、その内規は。
  286. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。ございました。
  287. 坂井弘一

    坂井委員 じゃ、いまはなくなったんですか、内規では。それも削除したということですか。
  288. 木村惇一

    ○木村参考人 内規は、前から引き続き現在もございまして、その中に功労加算の規定は以前からございました。
  289. 坂井弘一

    坂井委員 どうもおかしいんだな、これ。百分の三十六ということで決められたんでしょう。それに功労加算つくんですって。こんな退職金に功労加算つくような、百分の三十六にプラスアルファですよ。こんなこと、改めたらどうですか。これは指導されたらどうですか。勧告されたらどうですか、郵政省。
  290. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 KDDの役員の退職慰労金を算定している内規でございますが、これがただいまお話がございましたように、百分の三十六に改定をするのがおくれておったわけでございますが、本年一月の取締役会におきましてこれが改正をいたしたわけでございます。郵政省といたしましてそういう指導をいたしまして、これが改定をいたしたわけでございますが、そのときに、ただいま御指摘のございました加算、これは加算または減算という表現でございまして、加算をされる場合もあるいは減算をされる場合もございます。両面に適用される規定でございます。この規定につきましても検討するように話したわけでございますが、KDDにおきまして検討した結果、各いろいろな株式会社におきまして、加算、減算ができる旨のこういう内規を持っているところが多いということでこの条項を残した、かように聞いておるところでございます。
  291. 坂井弘一

    坂井委員 KDDにお願いしたいのですが、内規をお出しいただけませんでしょうか。
  292. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  内規は、これは外部に発表いたさないということで従来からずっとまいっておりますので、御勘弁願いたいと存じます。
  293. 坂井弘一

    坂井委員 今後捜査は進展するのでしょう。前のロッキードのときもそうでしたけれども、中間報告という形でもって国会に報告をなさいましたね。捜査が一定の段階に入りますと、一度この事件の経緯、それからなぜこういうことが行われたのかというようなことをかなり詳細に中間報告をなさるというお考えございませんか。
  294. 中平和水

    ○中平政府委員 お答えします。  ただいま先生のお言葉の中にもありましたように、捜査は、私どもに言わせれば着実に進んでまいっておる次第でございます。しかし、捜査といたしましては、まだ、いわゆるこの事件の根の深さ、広さから言いますと、緒についたという段階、緒につきかかったという段階でございますので、したがいまして、もしそういう機会があるといたしましても、先々の問題にしていただきたい、そういうように考えておる次第でございます。
  295. 坂井弘一

    坂井委員 刑事局長はそれはそういう答弁しかできない。だから大臣、一定段階になればと、こう断ったわけです。
  296. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 捜査は事態の解明を目的としておるわけでございますが、捜査はおよそ密行が原則でございますので、私としては、捜査を途中で公開の席で御報告申し上げるというつもりはございません。
  297. 坂井弘一

    坂井委員 だから、一定の段階に至ったときに中間報告はなさいませんか、されたらどうでしょうか、こう聞いている。捜査の途中でと言っているわけじゃないのです。
  298. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私どもは、捜査が済めばこれを立件するだけでございまして、外部に発表するというつもりはございません。
  299. 坂井弘一

    坂井委員 どうも余りあれですね。  では、時間がなくなってまいりましたので、KDDの関係についてはこれで一応とどめておきたいと思います。どうぞお帰りください。  行政改革で数点伺いたいのですが、一つは補助金の問題、とりわけ私が言いたいのは、衣がえあるいは類似補助、これがかなりあるのではないか。前回農林省の一件だけ申し上げたわけでございますけれども、あの際指摘しましたのは、農林漁業構造改善村落特別対策事業ですね。これはもう全く衣がえに等しいのではないか、こう申し上げたわけです。これが百億ついているのですけれども、これは終期はいつまでですか。終期はどうされました。
  300. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 これはことし、五十五年度は五十五年一年の考え方でやっております。  ただ、この際、この間は坂井先生に大変失礼で、私は全く同じものではありませんという答弁だけでございましたので、少しきょう補足をさせていただいて、御理解をいただきたいと思うのでございます。  私ども現在の農林漁業あるいは農山漁村の実態から見まして、何とかひとつ活力ある、また豊かな地域社会をつくっていきたい、こういう考え方から、村づくり推進活動を助長するとともに、環境施設の整備をしていきたい。こういう点においては、確かに五十四年度と五十五年度と比べますと同じように受け取られるわけでございます。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、中身について少し申し上げますと、五十四年度につきましては、村ぐるみの連帯感の醸成あるいはコミュニティーづくり、こういうことに重点を置いておったわけでございますが、五十五年度につきましては構造改善事業の一環といたしまして、その事業の成果をより一層高めていくという補足的なものにしていきたいという考え方、また、対象地区にいたしましても、そういう面からいたしまして、構造改善事業を実施した地区で、しかも、いま地域農政特別対策事業というものも考えております。そういう実施をより進めることによって、農地の流動化を図っていただけるところ、そういうところを重点に置いていきたい。あるいはどこを優先的に採択するかという点につきましても、五十四年度の場合は水田利用再編対策等、農業生産再編成を進めていく地区について優先的にやったわけでございます。五十五年度につきましては、これに加えまして農用地利用増進事業を思い切ってやってやろうというような地域などについても、ひとつ優先的に入れていきたいとか、あるいはソフト事業につきましても、前は地域住民の交流促進を重点に置いておるわけでございますけれども、今度は農林漁業の振興を基礎とした村づくり推進活動というところに重点を置いていきたいとか、必ずしもそういう点では全く同じではないということ、私が申し上げたいのはそういう意味でございますので、この間は全く同じではないということだけで、大変少しそっけない御答弁であったと思いますので、ちょっと説明を加えさせていただいたわけであります。
  301. 坂井弘一

    坂井委員 実は一つ一つ指摘するのもちょっと時間がございませんので申し上げませんけれども、農林省関係で私の方で見ましたら全く衣がえだな、こう見られるのが九件ございますな。金額が百四十七億と見ます。それから通産省でもあるようです。建設省でもあるようです。たとえば農林省の畜産経営環境保全集落群育成事業費、これは今回の廃止件数の中に入っておりますか。
  302. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  五十五年度に畜産複合地域環境対策事業というのを実施しております。二十七億円でございます。別途、小事項といたしまして、畜産経営環境保全集落群育成事業、これは五十四年度をもって廃止いたしております。かつ、家畜排せつ物広域処理流通促進モデル事業につきましても五十四年度で廃止しております。以上でございます。
  303. 坂井弘一

    坂井委員 いや、私が聞いているのは、今回の農林省の廃止が百五十八件でしょう。この百五十八件の中に、いま指摘します畜産経営環境保全集落群育成事業というのは廃止の件数に数えられているのですか、いないのですか、こう聞いたわけです。イエスかノーかで答えてください。
  304. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 廃止のカウントに入っております。
  305. 坂井弘一

    坂井委員 そうしたら、これは去年の、五十四年度の農林水産予算説明では、五十四年度ですでにゼロじゃありませんか。これはないものがどうしてなくなるのですか。もう五十四年度で廃止されているものが、また新しく五十五年度で廃止されてきたというのは、これはどういうことなんですか。
  306. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 ちょっと経過がございますので申し上げますと、五十四年・度予算におきましては、前年度まで実施してきました畜産経営環境保全対策事業を廃止いたしまして、新たに畜産複合地域環境対策事業を実施することにいたしました。その際、畜産経営環境保全対策事業の継続分はこれを統合したわけでございます。その継続分が五十四年度限りで終了いたしましたために、この継続分につきましては五十四年度をもって廃止する補助金に入れた、こういう経過でございます。
  307. 坂井弘一

    坂井委員 だからそれは非常におかしいのですよ。これは十一億余万円でしょう。それがこの中に入っておったというのでしょう、畜産複合地域環境対策事業費の中に。そうでしょう。それならば、この畜産複合地域環境対策事業、これが五十四年度と五十五年度それぞれ幾らですか、同じような額じゃありませんか。
  308. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 御指摘の事業につきまして、五十四年度は二十七億六千七百九十九万二千円、五十五年度につきましては二十七億八千六百六十六万七千円でございます。
  309. 坂井弘一

    坂井委員 じゃ、この中に入っておったというのでしょう、そうじゃないのですか。
  310. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 先ほど申しましたように、継続分の事業として廃止したということでございます。
  311. 坂井弘一

    坂井委員 じゃ、この予算説明書、これは間違いなんですか、ゼロとしたのは。予算説明書ではゼロになっているけれども、これは間違いなんですか。畜産経営環境保全集落群育成事業、五十四年度ゼロ、これは間違いなんですか。
  312. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 御指摘のは五十三年度の三事業につきましての御指摘だろうと思いますが、これは五十三年度に廃止いたしました。そのうち一部を五十四年度の大事項としまして、畜産複合地域環境対策事業というところへ取り入れまして、五十三年度の継続分だけを五十四年度に引き継いで、その年に補助金の支出は終わった、こういう経過でございます。
  313. 坂井弘一

    坂井委員 非常によくわからない。予算説明書を見て本当にわからない。  だから資料要求を重ねていたしますが、この五十五年度で整理された補助金、廃止の分と新設の分、もう少し親切に資料を出していただけませんか。見比べてみて、さっぱりわからない。
  314. 田村元

    田村委員長 官房長どうですか、資料要求。
  315. 渡邊五郎

    ○渡邊(五)政府委員 資料につきましては御提出いたしますし、この補助金の大事項と小事項の入れかえがございますので、資料を提出して御説明いたしたいと思います。
  316. 坂井弘一

    坂井委員 ちょっと大蔵大臣、お教えいただきたいのだけれども、地方公共団体で、老人だとか婦人だとか地域の人の集まる一つの総合的な施設、集会所をつくりたい、何にでも使える、これは国の補助をいただけますね。どこへ行ったらいいのですか。
  317. 田中敬

    田中(敬)政府委員 先ほども安井委員から御指摘がございましたように、各省庁各局でそれぞれの政策目的に従いましていろいろのそういう集会施設の補助事業をやっておりますので、集会施設の目的別にそれぞれ申し出る官庁が違うと存じます。
  318. 坂井弘一

    坂井委員 これ、行くところがないですわ、総理。こういう施設をつくりたいと思ったら、それぞれの省庁へ行かなければいかぬわけよね。みんなが使えるような、そういう総合的な機能を持たした施設をつくりたい、集会所をつくりたいといった場合にはできないのです。たとえば生活改善センターだったら農林水産省でしょう、老人生きがいセンターならば厚生省でしょう、公民館ならば文部省でしょう。そんなものはつくりたくないのですよ。地域の人がいろいろな角度から使えるような施設、そういう場合には窓口がないのよ。ひどい話は、むねを別にしろとか、それから屋根は一つにしろ、玄関を三つつけろ、こういう話になるのでして、こういう縦割り行政の中で、いまの省庁を越えて、補助金が一つだ、地域の目的に合ったものをつくろうと思っても、省庁の壁が災いしまして希望するようなそういう施設ができないというようなことですから、補助金の統合、メニュー化、これはむしろ省庁を越えて大きな単位で総合化して、地方公共団体の自主的なあるいは弾力的な運用ができるような総合補助金制度、こういうようなものに組みかえていくべきじゃないでしょうか。そうでありませんと、いろいろな類似補助金とか衣がえの補助金の実態を見ますと、要するに、省庁の壁が災いしまして、非常に実効のあるものができない、こういうことが非常に大きな問題になっているようですね。したがって、いま言ったような補助金のむだ、硬直化したもの、すでに政策目的を失ったもの、そういうものをどんどん整理しなければいかぬ。と同時に、いまのようなむしろ実態に見合ったような総合的な補助金制度、こういうようなものに移行していく、こういう考え方を持つべきじゃないでしょうか。
  319. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いま坂井さんの御指摘は、いわばセンター、建物の問題でございますが、厚生省あり、農林水産省あり、文部省あり。これがまた体育館を一つとってみましても、あるいは労働省あり、文部省あり、さまざまのところについておる。それのよって来た歴史的経過もございますので、それなりの政策目標は持っておると思うのでありますけれども、今度こうして補助金に対して鋭いメスを入れろというこの世論、そしてまた政府の方針によって補助金整理計画等もつくるようになりましただけに、総合的な立場から、そのような同種のものに対してもこれから詳しく検討してみたい、このように考えます。
  320. 坂井弘一

    坂井委員 宇野長官、国の出先機関で府県単位機関、これは全廃するか、置くか、二つに一つだろうと思うのだけれども、全廃の方向ですか。
  321. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 それぞれの機関の使命によりまして、全廃というわけにはまいらないと思いますが、そうしたことも含めまして、これは六月三十日までに監理委員会にその判断をいろいろと検討していただくということになっております。
  322. 坂井弘一

    坂井委員 時間が参ったようでございますので、総理に最後に一言。  前段指摘したような特殊法人のパーティー券の購入でありますとかいろいろなこと、いっぱいあるようですね。そんなようなことも含めまして、政治資金規正法の改正問題、これは総理も今国会中に成案を得てできれば出したい、こうおっしゃたのだが、果たして今国会中に出せますか。それはやはりまた出す方向で当然やるべきだと思います。その辺の御決意のほどを一言。  それから、あわせて会計検査院法の改正。これもやはり会計検査院がもっと権限強化あるいは機能も充実してやらなければだめだと思うのですね。検査院法の改正につきましても、まさに総理の最終的決断いかんだと思うのですが、各省庁でいろんな調整をやっているようですけれども、これを待ちましてはなかなか進まない、こういう実情にあるようでございますので、総理会計検査院法の改正に踏み切られる、そういう決断をされまして、今国会中にお出しになるべきだ。強く要請いたしたいわけでございますが、この二点につきまして見解を伺って終わりたいと思います。
  323. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 政治資金規正法の問題は、いま与党との間で調整を急いでおります。今国会に御審議をいただくようにしたいということで、せっかく努力をいたしておるところでございます。  会計検査院法の問題でございますが、これは官房長官中心にいま調整をしていただいておるので、それを踏まえて考えてみたいと思います。
  324. 坂井弘一

    坂井委員 終わります。
  325. 田村元

    田村委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。  次に、三谷秀治君。
  326. 三谷秀治

    三谷委員 初めに、KDDについてお尋ねしますが、警察は、先般の当委員会で、KDD側が事実解明のため必要であれば、押収した資料の仮返還ができる旨を答えていらっしゃいますが、その後KDDの方から仮還付の申請がありましたでしょうか。
  327. 中平和水

    ○中平政府委員 十八日のこの委員会におきまして、ただいま申されました趣旨の御答弁を申し上げた次第でございますが、その後、特にKDD側から仮還付の要求等のあったという報告は受けていない次第でございます。
  328. 三谷秀治

    三谷委員 郵政大臣にお尋ねしますが、きょうも古橋刷新調査委員長でありますか、この人は資料が押収されて答えられないということを繰り返して述べていらっしゃいます。それから十八日にも古池会長が同様趣旨の意見を述べていらっしゃいます。そうしますと、資料がないから答えられないと言いながら、警察庁は資料の仮還付をすると言っているのに、その仮還付を要求しようとしていないということは、事実の解明をしようとする意思がないものと児なくちゃいけませんが、こういう状況に対して、郵政大臣が傍観者でおったのではいかぬではないでしょうか。大臣は、公共の福祉を確保するため、このKDDの業務に対して必要な命令を強く行うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  329. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えをいたします。  郵政大臣にはいまお尋ねの内容などについて命令をする権限はないと存じております。ただ、KDDが本来の国際公衆電気通信業務を遂行する上におきまして、その本来の業務に関しては命令権があると心得ております。でありますが、いま問題になっておる問題につきましての命令権というものはないと思います。ただ、本来の業務を遂行し、再建をするために、KDDとしては、今回の事件が起こった原因について、再建のために必要な範囲における原因の調査ということは、これも必要でございましょうから、それをやってもらうようには行政指導をして今日までまいったところでございます。
  330. 三谷秀治

    三谷委員 国際電電法の十五条ですか、これは公の福祉を確保するために、業務に対して必要な命令を下すことができるということになっております。その必要な業務の問題について、いまごく狭い範囲の解釈でお答えになりましたが、こういう事件が起きるということは、業務に関して重大な支障が起きることですから、当然これは業務という広範囲な内容に含まれるものであって、当然これは厳正な処置をとるように命令をする必要があると私は思っております。  きょう参考人の意見を聞きましたが、とてもあの状態では自浄的な、自主的な刷新ができるような状態ではない。だれが見たってわかることだ。それをとにかく会社の自主的な努力というようなことで放任されておりますことば、監督大臣の責任から言いましても、大変怠慢だと思いますが、その点は、総理、いかがでしょうか。
  331. 大西正男

    ○大西国務大臣 おしかりでございますけれども、特に怠慢にこの問題を取り扱っておるとは私自身は心得ておりません。真剣に取り組んでおるつもりでございます。  ただ、第十五条の解釈につきましては、いつでございましたか、先日、別の委員の方からもお尋ねがございました。私どもの解釈は、従来からそういう観点に立っての解釈でございます。でございますから、御意見は御意見として拝聴しておきますが、意見の相違でございます。  ただ、事件の解明と申しましても、KDDが、先ほど来申しております国際電気通信事業を行う株式会社としての、企業体としての、そしてまた、それを監督をする郵政省という行政機関としての原因の調査の仕方の目的、範囲も、また能力も、それはおのずから限界があろうかと思いますと同時に、捜査機関が刑事事件としてこれをお調べになるその目的と範囲とはおのずから違うと思っております。ですから、私どもは行政機関としての郵政省として、その調査目的を達成できる範囲内で、可能な範囲内で努力をしてまいりましたし、現段階におきましてはその原因は——刑事事件の捜査機関としての具体的な問題を捜査なさることについては、私たちは、それほどまでの追及による解明は、一市民としてそれば私どもも期待をし、これを見守っておるわけでございますけれども、郵政省という行政機関としてはその行政目的を達する範囲においては、おおむね原因がここにあるということをつかんでおるつもりでございます。ですから、いま新しい首脳陣ができ上がりまして、その方々が非常な抱負を持ってKDDの再建に邁進をされようとしておるわけでございますから、前向きにKDDの再建については、私どもとしてはこの現在の状態における原因の調査で判明をした限りにおいてもこれをなし得る、またなさなければならない、このように考えております。
  332. 三谷秀治

    三谷委員 私は、ここにこういう朝日新聞社の調査によります「公費天国」という本を持ってきました。この末尾に「赤坂村日記」と題しまして、ある高級料亭の二百八日間にわたる政、官、財の夜の癒着ぶりがきわめてリアルに描かれております。この中に問題となっております官庁の飲み食いが随所に見られますが、たとえば八月二十一日、農水省が大蔵省を接待して、約七十万円の支払いをしております。  これについてまず会計検査院に聞きますが、この事実をつかんでいらっしゃるかどうか、日付、金額、料亭名、人数等についてお知らせをいただきたい。
  333. 岡峯佐一郎

    ○岡峯会計検査院説明員 お答えいたします。  御質問の農林水産省の件でございますが、先生ただいまおっしゃいましたように、五十三年の八月二十一日に会議が持たれまして、その所要経費として六十三万五千九百五十五円が支払われております。私どもは本院に提出されております証拠書類及び当局からの事情聴取によりまして、この点を確認いたしております。ただ、いまおっしゃいました約七十万でございますが、ただいま申し上げましたように、正しい数字は六十三万五千九百五十五円でございます。それから人数の点では、たしか十八名と記述されておりますけれども、これは正確には二十名でございました。
  334. 三谷秀治

    三谷委員 このほか、この料亭で行われました飲み食いの事実は、一月三十日の住宅公団の大蔵省主計局の招待、二月十六日と八月十七日の鉄建公団の大蔵省理財局の接待、三月三日、五月二十三日、八月二十八日の下水道事業団による大蔵省主計局の接待、九月十九日の厚生省大蔵省主計局接待などの事実関係が会計検査院において確認されておるはずでありますが、これも間違いありませんでしょうか。
  335. 岡峯佐一郎

    ○岡峯会計検査院説明員 大変失礼でございますが、私の担務は厚生省農林水産省通商産業省でございまして、他の機関につきましては私ここに明確に申し上げることはできません。ただ、厚生省につきましては、その記述にございますように、五十三年の五月十七日と九月十九日の二回にわたりまして同じように会議が持たれまして、その所要経費として、五月の分につきましては四十七万五千二百円が、また九月分につきましては五十三万三千二百八十円が支出されております。
  336. 三谷秀治

    三谷委員 いまあなたが確認できなかったものは、大蔵委員会あるいはその他の委員会の記録において確認されております。金額が明示されていないものについては、これは証憑の突き合わせが困難でありますから確認しがたいものがある、それから主人と客の関係が不明確な場合も、これは確認しがたい場合があるということはわかるわけでありますが、この「赤坂村日記」というのは、朝日新聞社が複数の証言と登場者の実名を把握しておるというものであって、二百八日間の記録というものはすべて事実であることは動かしがたいと思います。人数が、二十人が十八人であるとかあるいは十五人が十四人であるとかいう些少の違いはあるとしましても、大要は正確なものである。  そこで、この内容について総理にお尋ねしたいと思いますけれども、お答えを聞きますために少し部分を紹介しておきますが、たとえば一月十八日、「朝から雪。部屋は全部で七つ。二階に大広間と離れ。下には小さな麻雀部屋を含めて五部屋ある。客一人に必ず芸者が一人つくので、大広間は客三十人で満員になる。二階の離れは、おもに一人か二人で来て、なじみの妓を呼んで遊ぶ客が使う。」こういう状況の料亭であります。  そして、これ全部拾いますと、とてもじゃありませんが時間が足りませんから、一月の二十一日、「本日二組。首相側近、経済閣僚、交通会社社長、大蔵省大臣官房幹部、同理財局幹部。以前、この社長がこの経済閣僚に、新聞紙でくるんだ包みを手渡すのを、従業員が仲立ちした。形、重さからいって、どうみても千万円単位の現ナマだった、と当時うわさし合ったものだ。」  一月の三十日の項では、「日本住宅公団の招待で八人。客は大蔵省主計局の若手官僚など。こういう場所で、一番最初に覚えるのは、大蔵省の幹部の顔だ。接待する側が入れ替わるだけで、予算時期になると、同じ大蔵官僚が入れ替わり立ち替わり来る。本日はこのほか、大手都市銀行の宴席と政官財界の懇親会もあった。」  こういう記述がずっと続いております。  二月の六日には、「マッチメーカーの団体が、首相側近を接待。ライターに押されて苦しいので、政府にてこ入れを陳情した、と幹事さんが話していた。首相側近は外務省局長審議官、総理府幹部の席とのかけ持ち。」こういう記述であります。  もう一、二紹介しますと、四月の六日、「日本長期信用銀行幹部と石油開発公団幹部総勢十人。最初、「お人払い」して、後で芸者、というお決まりのパターン。店としても芸者を入れないと、もうからないので、「芸者無し」の宴会は皆無といってもいい。」これは芸者という条件を知ってもらうために読み上げたわけであります。「厚生省幹部が元官房長官ら四人の先生を接待。」こういう状況であります。  八月の二十一日、「二階大広間で「農林水産省様」十八人。恒例の大蔵接待で、農林水産省側は事務次官、水産庁長官、林野庁長官以下幹部が勢ぞろいして、大蔵省の主計局、理財局幹部をもてなした。四人が残り、午前一時すぎまで麻雀。費用はしめて約七十万円。」これが先ほど聞きました金額と人数に差のあるものであります。  これは膨大なものでありますからすべて紹介はできませんが、連日、閣僚、次官、各省幹部、公社、公団、事業団、特殊会社、議員などの遊興が記録されております。この二百八日間だけで大蔵省だけで四十二回、公社公団関係で二十三回、建設省、厚生省など政府省庁関係で百回、ただし主人と客の区別が判明しないものがありますから、それは両方入れておりますから、これは若干の重複があります。しかしそれにしても、カラスの鳴かぬ日はあっても役人が料亭で飲み食いしない日はないという実態が実に象徴的に示されておるわけであります。合計五百十二回の中では、接待側の会社関係を除けば、秘書官グループを含む首相側近、首相側近というのは、これは調べてみますと官房長官と官房副長官でありますが、この登場が実に六十九回に上っております。他を断然引き離しております。  この実情について、綱紀粛正を口にされる総理としてどのような所見をお持ちなのか、まずこれをお聞きしたい。
  337. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私からまずお答え申し上げます。  いま先生御指摘になりましたのは、おととしの一月から十一月ごろの間のことを御質問があったわけでございますが、それが事実であるかどうか、私ども調べておりませんのでわかりませんが、それは事実としましても、どういう事情でそこに行ったのかどうかというようなことが具体的にわかりませんと、所感を述べることもむずかしいのでございますが、いずれにせよ、公務員綱紀粛正が叫ばれている現在でございますので、そういう国民の皆さんの疑惑を招くような料亭というものは、なるべくそういうところは利用しないということは当然なことだと思いますので、綱紀粛正をわれわれ公務員全部に訴えておるわけでございますので、目下自粛を続けているところでございます。
  338. 三谷秀治

    三谷委員 この中には、乳酸飲料会社社長が経済閣僚、化学会社が通産省幹部、交通会社社長が経済閣僚、電機メーカー社長が閣僚や首相側近、製薬会社社長が厚生省首脳、電力会社が大蔵省主計局をといった、灰色の癒着を思わせるお座敷も少なくないのであります。各省によります大蔵省の接待も、大蔵への概算要求の出る時期になるとこれは集中豪雨的な形式を示すわけであります。大蔵省のふすまの裏張り構造と呼ばれておるようでありますが、こういう実態について税を負担する国民は一体どう考えるんでしょうか。こういう状態で増税をおっしゃっても、果たして国民がこれに協力できるでしょうか。税の配分をするのに血税を浪費するというのでは、これはもう納税者としては救われません。大蔵大臣のお考えもお聞きしたいと思う。
  339. 竹下登

    ○竹下国務大臣 大蔵省が昨年でございますかそのような批判をいただいて、そしてまた、内閣として綱紀粛正の方針を打ち立てられたその趣旨に沿いまして、たとえ儀礼的な会合であろうと今後は厳正にこれを慎むという形で世論の批判に自粛自戒してこたえたいという方針を今日とっております。
  340. 三谷秀治

    三谷委員 今日とっておるのではなしに、こういう事態が起きておったわけであって、この責任を明らかにする義務があるわけでありますが、官房長国家公務員法上の戒告処分を行った、当時の主計局長と主計局次長でありますか、戒告処分をしたというわけですが、戒告処分はしたけれども栄進には何の関係もない。精神的なものに終わっている。そういう見せかけの戒告処分が行われておるわけであります。ですから主計局長が次官に、次長が官房長に、こういうところてん式の栄進はいささかも支障を受けていないわけであります。これで責任をとったことになるのだろうか、だれしもが疑問を持つわけであります。  しかもこの処分は、鉄建公団に係る責任を明らかにしたものであって、いま紹介しましたこの「公費天国」の中には、鉄建公団だけではない、その他さまざまな大蔵省に対する接待の事項あるいは業者の接待などが記録されておるわけであります。これでは責任をとったことにならぬのではないかというふうに思うわけですが、その点いかがでしょうか。
  341. 竹下登

    ○竹下国務大臣 昨年十月二十九日行った処分の理由、これは二つあります。  一つは、鉄建公団の不正経理によって捻出された資金の中から大蔵省職員が接待を受けたという関係によるものであります。個々の内容はともかく、全体として見て行き過ぎがあったという判断をして、関係者の処分を行ったものであります。  それからいま一つの理由は、人事異動後の顔合わせのために大蔵省職員と他省庁職員とが会食するようなケースのようにいわゆる儀礼的な会食は、従来は社会常識の範囲内と考え、個々のケースについては関係者の各人の判断にゆだねてきておりましたが、今回の問題に関して大蔵省に向けられた批判は、このような従来からの社会常識を見直し、厳しく自粛すべきであるとするものでございますので、本来、このような見直しを行って職員綱紀の保持を図るべき立場にある幹部職員について、厳正な指導に怠りがあったという理由で特に厳しい処分を行った、この二つの理由であります。
  342. 三谷秀治

    三谷委員 一体常識の範囲内とか社交儀礼の範囲内とおっしゃいますけれども、一人四万五千円もするということをこの料亭では述べておりますが、一人四万五千円もするような飲み食いが、社会の常識の範囲になるわけでしょうか、あるいは儀礼の範囲になるわけでしょうか、これを一つお尋ねしたい。  それからもう一つは、いま鉄建だけでなしに全般的な監督の不行き履きが処分の対象になったんだとおっしゃいましたけれども、しかし、今日まで大蔵省はそういうことはおっしゃってはおりませんですよ。たとえばこれは読売新聞でありますが、二月六日の「「たかり」の構造」という升ものがありますが、ここで松下さんがおっしゃっておりますが、この方は、鉄建のようなケースは他にはない、いずれも社交儀礼の範囲内であって、鉄建のようなケースはこれは全く異例なものだという意味のことを国民に向かって述べていらっしゃる。それから朝日の「公費天国」の取材を見ましても、鉄建以外の他省庁などの接待については特別に調査はしておりません、従来の例から考えて特に行き過ぎなどはないと思っております、これが松下官房長の公式な発言になっている。つまり、ここでは明らかに鉄建だけを対象にして処分したものであって、それ以外については、これは調査もしておらないし、他にはそういうケースはない、こうおっしゃっておる。いまこの問題を質問される時期になったからといって、それを含めてやったんだ、そういう二枚舌を使っちゃだめです。これはすでにあなた、国民の間に明らかになっておる記者会見で述べた言明であって、それをいまごろ、両方合わせて処分したものだから、だから重たいんだ、こんなことをおっしゃっているわけでありますが、これは少しどろなわ式であって、聞きましてもなかなか首肯ができない内容のものでありますが、その点はいかがです。
  343. 松下康雄

    ○松下政府委員 昨年の十月二十九日にいたしました職員の一連の処分の理由につきましては、ただいま大臣からお答え申したとおりでございまして、そのことは処分の後、国会のいろいろな委員会におきましても、私からも何度かお答えを申し上げたところでございます。  鉄建公団の問題以外の接待の問題につきましては、これはまあそれまでの惰性的な慣行と申しましょうか、そういった考えからいたしますというと、年に一、二回いわゆる顔合わせというようなことで儀礼的な会食をするということが事実行われていたわけでございますけれども、これはそれまでの考え方自体を改めねばならない問題であるという認識に立ちまして、それ以後につきましては、原則としてそのような接待をお受けすることを禁止をいたしますとともに、監督責任を追及する処分をいたしたわけでございます。新聞にもたびたびその趣旨で申し上げた次第でございます。
  344. 三谷秀治

    三谷委員 年に一、二回とおっしゃっておりますけれども、この一つの料亭だけでいま数えました大変な頻度に達しているわけです。大蔵省愛用の横浜駅近くの料亭などは入っていない。これは赤坂の一料亭にすぎない。ここでこの状態でありますならば、一体全体の遊興費というものはどれぐらいに上るのか、どれぐらいの回数に達するのか、全くこれは予測ができないものです。それを年に一、二回なんということをおっしゃっている、そこにすでにごまかしがあるわけです。これは年に一、二回ではないのであって、いま私がお尋ねしましたものだけでも、確認されたものだけでも七回ですか挙がっておるわけです。そのほかまだ未確認、つまり金の出どころがわかっていないあるいは支払い金額がわかっていないというので、会計検査院の証憑の照らし合わせができないものがある。しかし、こういうぐあいにちゃんと大蔵省の名前が挙がってきているわけです。こういう状態を見ますと、いまのようなおざなりな答弁ではだめですよ。もっと深刻に反省をして、そして従来の事態につきましてもう少し正直に明らかにして、その中で反省をするという態度をとらなければ、物事をごまかしながら反省をしましたあるいは改善をしますと言っても、なし崩しではだめなんですよ。ぴしっとやはりけじめをつける。そのためには、それじゃ一体、いま官房長が鉄建公団以外の分を含めたとおっしゃいましたが、どの範囲が含まっているわけですか。どの範囲のどこの分がどれぐらい含まれておって、処分の対象になったわけでしょうか。
  345. 松下康雄

    ○松下政府委員 処分をいたします前に調査委員会で調査をしたわけでございますけれども、その時点で判明をいたしておりました具体的なケースと申しますと、昨年の十月十九日付の新聞で報道されました約十件の事案でございます。これらにつきまして念のためそれぞれ事情を聞きまして、それらにつきましては、個々の案件といたしますれば儀礼の範囲内であるかと判断をいたしたのでございますけれども、そのほかにもこの種の事案はないことはないということは当時考えてございました。ただ、それらの中で特に取り上げてこれをたとえば処分をいたすというような案件が見当たらなかったということでございます。
  346. 三谷秀治

    三谷委員 いま私が挙げましたものだけでも処分の対象になる要素のものです。巨額の費用を各省が賄っている、あるいは経済人が賄っている、そしてそこで繰り返し接待を受けているわけであります。いま申しましたように、大蔵省だけで四十二回に上っているわけです。ほとんどこれは接待を受ける側に立っている。そういう状態でありますのに、年に一、二回であって、社会常識の範囲だというふうなことでは、国民はなかなか納得しませんですよ。もう少し事態を正確につかんでもらいたい。  これについては大臣どうですか、いまのような答弁で、何か局面を糊塗しようとしてもだめです。これは明らかになっているわけでありますから、もう少し厳正な、しかも抜本的な対策を必要とすると思いますが、どうでしょう。
  347. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私は、いわゆる指導監督責任において国家公務員法に基づく処分がされたというのは、一つのけじめである思います。そうして問題は、今後のあり方ではないか。その今後につきまして、私が就任いたしまして見ておりますところ、たとえ先輩等の関係の本当に私的に関する常識上のパーティー等に対しても、その局の責任者、すなわち総務課長と協議をした上でないと出ない、こういうような厳正な態度をとっておりますので、私は監督責任における処分というものが、そしてその後の行動というものが国民の批判にこたえたものであり、今後ともまたかくあらなければならない、このように考えます。
  348. 三谷秀治

    三谷委員 総理は黙して語らずですが、総理ももともと言いますと、こういう場所が余りおきらいな方ではないようでありますが、総理、お聞きになっておりましてどうですか。こういう状態、こういう実情というものがまとめてそして明らかにされている。国民がこれを通じて政治批判をするわけでありますが、こういう事態について、いま二人の方を戒告処分にした、それで責任をとったということをおっしゃっておりますが、その程度のことでいいものでしょうか。
  349. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 その程度のことではいけませんので、内閣全体として具体的に綱紀粛正の方針を決めて、各省で申し合わせをいたしまして、いま厳正に実行いたしておるところでございます。公費による招待というようなことは一切慎もうということで、いま実行いたしておるところでございます。長い間の積弊がございましたので、この際これを一新しなければならぬと存じまして、新しい決意でこれに取り組んでおるところでございます。
  350. 三谷秀治

    三谷委員 世界銀行の東京事務所に所長としていま赴任しております加舎君というのは、大蔵省の出向ですか、まだ在籍者ですか。
  351. 松下康雄

    ○松下政府委員 国際機関に対します派遣職員でございますので、大蔵省にも籍がございます。
  352. 三谷秀治

    三谷委員 これも今月の十三日の報道によりますと、世界銀行東京事務所の加舎所長が、昨年暮れに三越で商品券五十万円を購入して、今月の初めに大蔵省の局次長クラスの幹部ら高級官僚や一部政治家に贈与したと、ワシントンの世界銀行本部に経理伝票を送ったという事実が報道されております。ところが世界銀行は、そういう贈答は認めておらない、事実であるとすればゆゆしき問題だとして、国際的な恥さらしが表面化してまいりました。これは当初加舎君は、この商品券というのは大蔵省や一部の政治家に贈ったと言っておりましたが、大蔵省の幹部はこれは授受されていないということを述べていらっしゃいますが、この点は事実関係はどうでしょうか。
  353. 松下康雄

    ○松下政府委員 その件につきましては、関係者から事情を聞いております。大蔵省内の職員に対して聞きましたところ、世銀東京事務所から商品券が贈られてきたという事実は全くなかったと申しております。そこで、世銀の東京事務所長にも事情を聞きましたけれども、東京事務所も、問題の商品券を大蔵省職員あるいはその関係者に贈った事実はないということでございました。
  354. 三谷秀治

    三谷委員 加舎所長は確かに、事件表面化したいまとなっては、この商品券の行方については、大蔵省に贈ったものではない、ただどこに持っていったかいまは言えない、こう言っている。ですから、購入した事実は三越の証憑によって明白でありますが、問題はその行き先でありますが、世界銀行本部に報告されたように大蔵省幹部に贈ったのか、あるいは贈ったが断られたのか、あるいは返されたのか、あるいは加舎所長が別途利用したのか、いずれかでなくてはならない。これがいまだに明確でありません。いま大蔵省がこういう世間の疑惑を受けておりますときにこういう問題が起きてきたわけでありますが、加舎所長は、そのいずれでもない、こう言っている。ますますこれはあいまいもことしてきたわけでありますが、この事実はどうかということは、これは大蔵省は責任を持って究明しなくちゃいけません。しかも、加舎君が大蔵省に在籍をするわけでありますから、大蔵省職員でありますから、これが大蔵省として解明できないというのは一体どういうわけか、これをお聞きしたい。
  355. 松下康雄

    ○松下政府委員 問題の商品券の使い道につきましては、私どもも、これが大蔵君あるいはその関係者に贈られたのか、あるいはこの商品券が何らかの財源となって大蔵省あるいは関係者の、たとえば接待に使われたのかという点を確かめたのでございますけれども、そのような事実はいずれも全くないということでございます。  この件は、全く世銀内部の、東京事務所内部の経理処理の問題であるというふうに聞いてございます。世銀は公的な国際機関でございますので、私どももその内容なり経理なりにつきまして調査をいたすというわけにはまいりませんので、私どもそれ以上の調査ということはできないのでございますけれども、世銀内部の経理問題であって、大蔵省あるいは外部の日本の関係者とは全く関係がないという所長の言を信頼をしているのでございます。
  356. 三谷秀治

    三谷委員 しかし、世界銀行の本部には大蔵省幹部や政界に贈ったという報告をしておるわけでありますから、経理伝票も送っておるわけでありますから、もしもそういう事実がないとすれば、それを明確にさして、大蔵省の名誉あるいは贈られたという政治家の名誉のためにも明らかにする必要があると思いますが、その点どうでしょうか。
  357. 松下康雄

    ○松下政府委員 私どもといたしましては、この世銀のたとえば帳簿等につきまして事実を確認するということができませんので、世銀の事務所長として、また大蔵省に籍を置く人間として、事務所長自身が明確にそう言って答えております内容を信用をいたしているわけでございます。ただ、これは私どもが直接確認をしたわけではございませんけれども、世銀の本部でその種の経費の支出は認められないということで、それは別途個人的に処理をしたように聞いてございます。
  358. 三谷秀治

    三谷委員 個人的に処理をしたとしましても、それはこういう問題が表面化して、あるいは世銀の本部がこれを認めないという態度をとったことから、やむを得ずとった手段であって、そもそも初めの経過から見ますと、何らかの意図的なものがあると見なくちゃならぬ。あるいはまた、鉄建公団の例ではありませんが空出張と同じ手口の何かの経費の捻出策かわかりませんが、いずれにしても、これは大蔵省職員であるならば、この点を明確にするとか、あるいは世銀との連絡をとりまして、公正な内容を明らかにするということをやっていただきたいと思うわけでありますが、大蔵大臣、どうでしょうか。
  359. 竹下登

    ○竹下国務大臣 世銀の関係の経理内容について云々するという立場にはないと思うのでありますが、まさに官房長から答えたとおりのことを私も報告を受けております。
  360. 三谷秀治

    三谷委員 こういういろいろな不祥事件といいますか、灰色の霧や黒い霧が至るところに立ち込めるという状況になっておるわけです。  そこで、こういう骨絡み、土台ぐるみの綱紀の退廃を粛正しますために、精神訓話的なものではこれはだめだ。そこで制度的な行政措置が必要になってきている。  そこで、その一つ行政監察の強化であります。明治以来この分野が日本では最も立ちおくれておるとされておりましたが、その具体の一つ行政監視官制度であります。こういう制度について、実施するという意思が政府としてはおありであろうかどうか、これをお尋ねしたいと思うのです。いわゆる諸外国で普及しておりますオンブズマン制度であります。  それからもう一つは、国政調査権、行政監督権、これを強化することでありますが、その手段は情報公開法であります。国民の知る権利を具体的に保障して国政に国民の監視の目を行き渡らせることが特に必要でありますが、公文書等の公開を保障する手段であります。これについてどのようにお考えでしょうか。     〔委員長退席、村田委員長代理着席〕  それから会計検査院の機能の拡大でありますが、これは衆参両院の委員会の決議によりまして、検査機能の強化のための法改正が必要であるという結論になっておりますが、これがなかなか実現をしないわけでありますが、総理としてこれについてどのような御見解か、お尋ねしたいと思うのです。
  361. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 オンブズマンに関しまして現状を御説明いたしますと、御承知のとおり、昨年航空機疑惑に関しまして総理大臣の私的諮問機関で協議会ができまして、ここでひとつ日本の風土に合ったオンブズマン制度を検討することが必要である、こういうふうな提言がなされておりますので、それを受けまして、行管といたしましては、行政監察も、また行政相談もございますが、そうしたことの活用を含めて、すでに研究会の発足をいたしております。二月に一回寄っておりますが、近く二度目を行うということで、大体そのメンバーは学者でございます。
  362. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いま御質問のありました情報公開の問題でございますが、これはいろいろ問題がございますのでいま検討をしているところでございますが、内閣審議室の方に、この情報公開の非常に勉強した専門家が行政管理庁の方におりましたので、兼務をしまして、いま検討の最中でございます。日本には一般行政手続法等ございませんので、そういう非常に基本的な問題、資料の公開の問題、いろいろあるわけでございまして、これは検討中でございます。  それから、検査院法の問題は、先ほど総理から御答弁が前の方の御質問であったわけでございまして、いま私の手元で、検査院からも話を聞き、各関係庁からも話を聞き、調整中でございます。
  363. 三谷秀治

    三谷委員 さっきの世銀の件について、警察が三越にタッチした情報があるようでありますが、これがあればお知らせいただきたい。警察は三越について、この事態についての聞き合わせなどをしたことはないわけですか。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕
  364. 田村元

    田村委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  365. 田村元

    田村委員長 速記を始めて。三谷君。
  366. 三谷秀治

    三谷委員 行政改革について、一、二、お尋ねしますが、宇野長官は、五十五年度行革の目玉として、特殊法人の縮減を挙げて、十八法人の統廃合を行うという方針を示していらっしゃいますが、特殊法人というものを非常に狭い範囲でおとらえになっておる。いわゆる特殊法人というのは行管庁設置法によりまして設置されるところの法人だけではなくて、認可法人を含むものとして解されております。法的な区分が全くできない状態のものであります。両者とも明確な行政法学上の概念規定に乏しいわけでありますから、はなはだ不分明な要素のもとに設置、増設されてきました。ですから、これは三十九年の臨時行政調査会の意見でも述べておりますけれども、統一的な基準を見出すことは困難である、こういう指摘をしておるわけであります。  そこで、この特殊法人は幾らか減らしていくというお考えのようでありますが、そのかわりに認可法人が次々とふえてくる。つまり、特殊法人を減らした分が認可法人に衣がえをするという事態が最近特に顕著になっておるわけであります。  これはお手元に資料を差し上げたと思いますけれども、いまから二年前でありますが、特殊法人が百十一でありましたが、認可法人は五十一法人、これはつまり二倍になったわけであります。ですから、特殊法人一つか二つ減ったと思ったら、認可法人が十も二十もふえるという状況になっておるわけでありますが、これでは行政改革の実効が上がらないということが懸念されますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  367. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人と認可法人の差は、御承知のとおり、特殊法人は、国がやる仕事を民間の力も借りまして、第三セクターとしてやる。そのかわりに国が強制的に法律をもって設置するということになっておりますし、認可法人は、民間がそれぞれの主管大臣の認可によって設立する、こういうふうになっておりますので、おのずからその性格は異なるものでございます。  その特殊法人を今回の行革で十八削減いたしましたことは御承知賜っているところでございますが、認可法人に関しましても、実は今回の予算査定のときに二つばかりひとつ認可してほしいという話がございました。これは私の守備範囲ではございません。しかしながら、一応内閣として行革を進めている最中でございますから、官房長官あるいはまた大蔵大臣等と協議をいたしまして、極力認可法人を抑えなければならないというので、今回の予算編成におきましては、この二つを、主務大臣がみずから遠慮をされまして認可をしておらない、こういうふうな姿勢を貫いております。今後もそのあり方に関しましては十二分に考えていきたいと存じます。
  368. 三谷秀治

    三谷委員 認可法人といいますのは公益法人とは別なんですね。要するに、各省が行政管理庁設置法によらないで必要に応じてつくっていく、そうして国家事務や国家事業をそこに委託をするという形式のものが非常にふえておるわけであります。ですから、これがふえますと、今度も何か一つ特殊法人を取り消して認可法人にするというのがありましたね。そういうトンネルが行われていきますと、特殊法人の整理合理化ということは、これは百年河清を待つにひとしいものであって、その面もあわせて計画、立案しなければいけないというふうに思うわけでありますが、この点はいかがでしょう。
  369. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今回は特殊法人のかわりに認可法人を認めたという省は一つもございません。また、認可法人すべてをどう考えるか、御承知の日本銀行も認可法人ならば、日本商工会議所も認可法人であるというように、全国的なものもあるわけでございます。昨年の国会のスモン病の審査のときに、薬害基金をどうしようか、特殊法人はこれはちょっとまた問題であろうからというので、認可法人で薬害基金を処理したというふうな場合もあるわけでございます。しかしながら、そのあり方は、やはり常に隠れ法人、こう言われますから、ひとつ今後どういうふうにすべきかということは当然検討をしていかなければならない、かように考えております。
  370. 三谷秀治

    三谷委員 特殊法人と、それから隠れ特殊法人と言われます認可法人、これは総合的に取り扱っていかなければならない、これは大臣がおっしゃったとおりでありますが、その面における総合的な計画がいま必要になっている。ですから、いま特殊法人を幾らか統廃合するという御方針のようでありますが、これは認可法人も含めて早急に御検討を願いたいと思うわけです。  それからもう一つは、天下りの規制もしり抜けになっております。特殊法人が特に問題になりますのは、特殊法人の事業実態あるいはその運営とともに、それの運営に当たっております役職員、その中に天下りが非常に多いという問題が従来から大変問題になってまいりましたが、この天下りが一向に減る状況にないわけであります。これについてはどのようにお考えでしょうか。
  371. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いまおっしゃったことは、前に五十一年にもその問題がございまして、閣議で決定をしたことがございます。そのときも、できるだけ民間の方を登用するということを決めたわけでございます。しかし、なかなか運用上そういうわけにもいかない。おっしゃるように、減らないというような事情がございましたので、五十四年、去年の十二月の末には閣議の了解で、ひとつ大体半々ぐらいのめどにしょう、民間の方の活用も半分ぐらいする、官庁出の広い知識、経験の人も半分ぐらいにしようということで、半々ぐらいのめどでひとつ役員構成をしようということを閣議の了解をしまして、先般も民間の経済団体の方にお集まり願いまして、何とか特殊法人が本当にその本来の役目が達成されるように、どうしたら民間の方が活用できるかというようなことを実は相談もしたわけでございまして、大体、われわれとしては、原則として総体的には半々ぐらいのめどでやっていこうじゃないかということを決めて、いまこれから実行にかかろうということをやっておるわけでございます。
  372. 三谷秀治

    三谷委員 それは、もう五十二年の閣議決定以来、繰り返して政府がお決めになった方針でありますが、これが一向に実現を見ていない。たとえば本年におきまして、一月一日現在で天下りの比重を見ますと、なお六二%に達しておるわけです。天下り率一〇〇%の法人がまだ三十五もあるという状態でありますが、しかも、行政改革担当官庁であります行政管理庁のお役人や、あるいは天下り人事規制を担当する内閣官房、総理府のお役人も大量に天下りをされております。これでは天下りの人事規制は容易にできないのではないかというふうに思いますが、どのようにお考えでしょうか。
  373. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  大体いまの比率でいきますと、いまは官庁に出ていた人が六割、民間が四割というぐらいな比率になっておるんです。これを何とか半々に持っていこうということでいま着手したところでございまして、過去においてはそういうことがございましたが、ひとつ五十四年の十二月以降はいまのような方針でやっていこうということで、役員は各省庁で選任をされるわけでございますが、内閣官房に一人一人協議があるということで、今度はその点を厳重にひとつ実行していこうということで実施の実を上げたいというふうに思っております。
  374. 三谷秀治

    三谷委員 警察が見えたようですから、御答弁を聞きたいと思います。
  375. 中平和水

    ○中平政府委員 大変失礼いたしました。  世銀の問題につきまして、三越につきましては私ども調査をいたしておりません。
  376. 三谷秀治

    三谷委員 この問題については、警察も、表面に出た不正事件のようですから少しお調べになった方がいいではないかと思いますが、どうでしょうか、大臣は。
  377. 中平和水

    ○中平政府委員 大蔵省等関係当局の調査の結果を待ちまして、私どもも処置を考えてみたいと思っております。
  378. 三谷秀治

    三谷委員 関係省庁調査ができないと言っている。  まあしかし時間がなくなりましたから、最後に一つ聞いておきますが、特殊法人行政組織法の適用を受けない。定員法の規制もない。公務員法の適用もない。財政法や会計法による一般的な規制もない。そして国の行財政事務を代行する、こういう組織になっておるわけでありますから、その点では、もう少しこの特殊法人に関する法的な整備を行っていく必要がある。これは全く恣意的な状況になってしまっている。  もう一つ聞いておきますが、給与や退職金、これが依然として改定されておりません。五十二年の十二月の閣議決定によりますと、幾らか改定をするという方針で、確かにそれまでよりは幾らか改定されましたけれども、しかし、これはいまの国民の常識から見ると、とても首肯できるものではありません。たとえば天下り役人の公社公団の総裁がもらいます給与が百十二万円でありますが、国務大臣の百十三万円と一万円の差しかついていない。あるいは、官僚のトップであります事務次官よりもはるかに高給である、こういう状態になっている。依然として改善が進んでいない。退職金につきましても、勤続一年につき四・三二カ月の支給率でしょう。一般公務員でありますと、これは一年につき一カ月の支給率なのです。四倍以上の支給率になっている。こういう状態がいまだに改善をされておりません。こういうのは当然改善をする必要があると思うわけでありますが、もう少し改善というのを抜本的にやってもらいたい。私は、前の行政管理局の行政局長をされておりました岡部さんの論文を読んでおりますが、あの人は、当然、この特殊法人の給与というものは国家公務員給与に準じて行うべきだ、それが一番合理的なんだということをおっしゃっておりますが、こういう点につきましてどうお考えでしょうか。せっかく総理がおいででありますから、少しこういう問題について御所見をお聞きしたいと思うのです。
  379. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 特殊法人の監視監督に関しましては、従来から主管大臣がこれを行い、なおかつ、NHKのごとくみずからの設置法において会計検査院の監査を受けることを言っておる法人もこれあり、また、四十八法人に関しましては、行政管理庁が監察をいたしております。しかし、それでは足りませんので、KDDは今回は法改正をいたしまして会計検査院の監査を受け、また百十一の全法人に行管庁の検査を及ぼす、こういうふうに改定いたしましたが、さらに今後、そうした意味におきまして、やはり政府の別働隊としての使命を果たしてもらうために、常に政府といたしましても、監視監督を厳重にしていかなければならないと考えております。
  380. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 特殊法人につきましては、役員の構成でございますとか給与でございますとかにつきまして、若干の改善措置を講じておりますが、今後は、その方面ばかりでなく、いま御指摘の制度の面におきましても、なお改善すべき点があるように思いますので、そういった点につきましてはなお検討を進めてまいりたいと思います。
  381. 三谷秀治

    三谷委員 時間ですから、終わります。(拍手)
  382. 田村元

    田村委員長 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。  次に、河村勝君。
  383. 河村勝

    河村委員 私は、きょう、行政改革、とりわけ国の出先機関の整備、この問題を中心にしてお尋ねをいたします。  私どもは、この行政改革というものがいま国の行うべき最大の課題だと思っておりますから、したがって、今回の予算案に対するわが党の賛否、これは、きょうの政府側の御答弁に大きくかかわりがあるということをまず申し上げておきたいと思います。  そこで、国の出先機関の問題でございますが、政府が今回特に話題の中心になりました特殊法人をまず取り上げたということはそれなりの理由があるし、それなりの努力をされたと思います。しかし、本格的に行政の簡素縮小、行政機関の減量経営をやろうというのであれば、膨大な国の出先機関の整理、これに大なたをふるわなければ本物にはならない、そう思っております。特に、国の出先機関というものは、ブロック単位のものにせよ県単位のものにせよ、現業関係のものを除きまして、監督官庁の部類に属するものはいずれも、戦争中の戦時行政の必要上できたか、あるいは戦後、戦争直後の異常事態、こういうものに対処するためにでき上がったものであって、それ以前、戦前にはなかったものばかりであります。ですから、本来そうした戦後の異常状態が解消した後で一遍全部なくすべきものであったんですね。ところが、それが一向なくされずにずっと残ったばかりでなくて、かえってそれが肥大化をして今日の大きな機構になってしまったわけであります。  もちろん、それが全然仕事をしていないということではなくて、存在すればそれはそれなりの仕事はいたします。しかし、費用対効果の問題であって、ない方がより効率的でもあるし、かつ国全体のバランスからいっていいものはやめるべきであるし、特に中間の機関があることによる二重行政、二重監督というものは、これが地方自治体に対して非常に多くの負担をかける。それに加えて、現在やっております縦割りの一件審査主義の補助金行政、これが絡みまして、さらにこの補助金行政に中間段階の機関がまた介入するものですからよけい複雑にいたしまして、これが、せっかくいま地方分権ということが言われているにもかかわらず、それを阻害し、邪魔をしているという弊害が非常に大きいわけですね。ですから、政府が当然この面についてやらなければいけないし、ここでもって大なたをふるわなければ本当に国民の期待にこたえるわけにはまいらない。そうであれば今後、いまの財政再建を控えていずれ国民の税負担をふやすこともやらなければならぬ時期が来るでありましょうが、その前提になるだけの条件づくりというのはこれがなければできない、そう考えているわけでございます。  それでまず初めに、総理並びに行管長官から、一体国の出先機関の整理についてどれだけの決意をもって臨むか、それをまず伺っておきたい。
  384. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 国の出先機関の整理に関しましては、五十五年行革の四本柱のうちの重要な一本でございます。わが党からは、率直に申し上げまして十二月三十一日までにやってしまえ、こういうふうな厳命があったのでございますが、ちょうど予算編成どきでもあり、また特殊法人を大なたをふるっておりましたので、私の考え方といたしまして今国会にその整理法案を出す、その意味においても各省庁相当のことをお願いしなければならない、かようなことで、ブロックに関しましては三月三十一日までにひとつまとめたい、また県単位のものに関しましては六月三十日まで、行政監理委員会の意見に従いたい、こういう姿で現在進めておるところでございます。  そのほかの地方支分部局に関しましては、相当これまでに多くのものを整理をいたしましたことはすでに御承知賜っておると存じますが、確かに交通の情勢あるいは通信の状態、いろいろなものが変わってまいりましたから、一応われわれといたしましては、地方自治体のあり方と中央官庁との連絡、そういう面をも考えながら、地方出先機関に関しましては十二分にその方途を決めてやらなければならない、かように考えております。
  385. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 河村さんが仰せのように、戦前、戦中、戦後を通じまして社会経済情勢が大きな変転を見たわけでございます。しかしながら、一度つくられました機構というものは、情勢の推移に即応いたしましてそれを廃止または縮小するというようなことは容易ならぬ仕事でございますが、たまたま戦後高度成長経済に支えられて、財政的にも比較的余裕がございますようでありましたので、こういった問題に対する国民の批判も非常な高まりを見せることなく今日に至ったのでございますが、しかし、御案内のような状況、政府の置かれている立場、財政の置かれている立場は御案内のように大変厳しいものになってまいりましたので、この問題は本格的に取り組まなければならぬ時期に来ておると思うのでございます。したがって、五十五年行革ということで、ともかく一歩これに取り組んでいくという姿勢をいたしたわけでございますけれども、私ども今日、三月三十一日までに期待しておるもので足れりとするものではないのでございまして、とりあえず三月三十一日までには今日なすべきこと、今日できることをともかくここでまとめ上げたいと思っておりますけれども、地方支分部局の問題全体がここで皆すっきり片づくとは思っていないわけでございまして、今後この問題には精力的に取り組んで、本来のあるべき姿に逐次持っていかなければならぬと考えております。
  386. 河村勝

    河村委員 三月末あるいは六月末までに行政監理委員会の決定に従って実行するというだけでは、いまの段階でどうするか、政府の決意というのはさっぱり明らかでない、それではわれわれもどう判断していいのかわからない。行政改革というのは古くて新しい問題で、もう検討すべきことは検討し尽くされているのですね、実際は。あとは決断だけなんですよ。ですから私は、ここでもってこれから具体的に御質問いたしますが、それに対して、ただ三月末に決めるんだ、六月末に決めるんだというそういう答弁ではなくて、もっと明確な答弁をしていただきたいと思う。  そこで、前々から私どもは、まず隗より始めよという意味から、行政改革の当の責任官庁である行政管理庁、それから財政再建の責任官庁である大蔵省、この二庁の出先機関からまず手をつけよという主張をいたしております。  それでまず行政管理庁長官に伺いますが、行政管理庁会計検査院というのはほぼ似たような性格の官庁ですね。ところが会計検査院というのは中央にあるだけです。ところが、行政管理庁はブロック単位に八つの機関、さらに府県単位に三十九の行政監察局を持っておる。行政管理庁というのは戦後生まれた役所であります。一体なぜ戦後一挙にこんな膨大な行政官庁の機構が生まれたのか、その成り立ちというのを大臣は御存じですか。
  387. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 昭和二十七年に経済調査庁というものが廃止されております。そうしたものが変形をいたしまして行管庁というふうになってきたことは御承知だろうと存じます。しかしながら、経済調査庁とはおのずからその目的、使命が今日では大きく変貌いたしまして、ただいま会計検査院と一緒の仕事をしておるんじゃないかというような仰せでございますが、全く違います。行管庁は、今日わずか千五百弱であります。このうちの千二百弱が地方におります。そして機関といたしましてはブロック並びに府県単位にありますが、この日常の活動は、この間も予算委員会で明らかにいたしましたとおり、単に会計検査院の補助金、金銭の使途のそうした調査だけではなくして、国鉄の部外委託はどうなっておるかとか、あるいは公費負担医療の実態はどうなっておるかとか、あるいはまた海員学校最近少ないがどうなっておるかとか、いろいろな問題をプロジェクトを決めましてやっておる次第でございます。もちろんそのほかにも補助金あるいは許可認可のあり方、さらには報告のあり方等に関しまして日常活動をきわめておりますから、そうしたものが今回のいわば行革の四本の柱のうちのいろいろな問題の支えになったことは事実でございます。  行革は、御承知のとおり、わずか五十日で相当なことを私はやったと思います。もちろんこれで満足するものではありませんが、そうした日常活動の資料というものがあったなればこそ幾つかの大きなことができたのではないか、かように存じております。しかしながら、今回はブロックをまず何としても三月三十一日までに私の手元におきまして全国的にながめましていろいろと整理をいたしたいと考えておりますので、何度も申し上げましたけれども、閣議におきましても、まず行政監察局もその対象でございますということを明らかにして、閣議決定のあの文書の中には、そのことを大蔵省とともどもにうたっておるということも御了解賜りたいと存じます。
  388. 河村勝

    河村委員 それは、あればいろいろなことをなさるし、それが役に立たないことだとは言いません。ですから、私は費用対効果の問題だと申し上げたので、いまあなたがおっしゃったように、二十七年に行政管理庁が生まれましたが、これは戦後経済調査庁、やみ取り締まりのためにできた役所です。同時に、朝鮮、満州等の外地帰還の引き揚げ者の失業救済の意味もあって、それでブロック単位の局をつくると同時に、府県単位にも全部局をつくりました。だから、これがやみ取り締まりが終わった段階で一回なくさなきゃいかぬのを、何か仕事がなきゃいかぬということで行政管理庁というものをつくったわけですね。ですから、機構を温存する方が目的で、行政管理庁をつくる方が後だったのです。ですから、私は行政管理庁の仕事が大事でないなんて一つも申しません。しかし、もし白紙で行政管理庁というものを新しくつくるとしたら、こんな膨大な機構ができるわけがないのですね。あれば、そういう機構に従って、機構が仕事をつくっていくのです。もともと行政事務のトレースでございますから、微に入り細をうがった方が効果が上がるかもしれませんけれども、行政事務というのは一つのパターンで全国一律にいくものでありますから、目標を決めてこれを調べようと思ったら、会計検査院式にずっとトレースしていけばできるのであって、府県単位まで手足があって、のべつ幕なしに歩いていなきゃならぬなんというものじゃないはずなんです。ですから、いまの長官のように演説をぶてば、それは何でも私はしようがあると思う。しかし、いま各省が演説をする段階ではなくて、本当に費用対効果というそういう原点に立って、なくせるものならなくすんだという立場に立たなきゃならぬ。その元締めであるのが行政管理庁長官ですよ。そういう意味からいったら、いま行政管理庁が当面の行政改革の仕事をやっておりますから、ブロック単位までいますぐなくせとまでは言いません。しかし、少なくとも府県単位の行政監察局は五十五年度全廃するというぐらいのことはここではっきり言明しないようでは、とうてい本当の行政改革なんかできるはずはない、そう思いますが、いかがでございますか。
  389. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 私はやはり現実の問題を踏まえて行革というものは推進すべきだと思いますが、御承知のとおり、出先機関だけで職員の数は、ブロック、府県単位含めまして五十八万人でございます。付属機関は二十八万人、計八十六万、公務員九十万のうち八十六万が地方におりますから、恐らくそういうところから公務員の数減らし数減らしというふうな発想でおっしゃるのだろうと思いますが、もちろん私は、二重行政であるとかあるいは中二階であるとかあるいは地方公共団体に余りにも介入し過ぎているとか、そうした面はもっと整理したらいいと思います。そういう意味で器減らしをいたしておりますが、やはり今日はそう簡単に人さんの出血を伴う整理はできないということは、私は申し上げますが、いまおっしゃったような調子で全廃したらどうかと言いましたって、その人をどこへ持っていくかということもやはり考えていかなくちゃなりません。私はそういうふうなことから申し上げますと、ここで私の責任において全廃いたしますというふうなことは申し上げられません。行管は行管としての今日大きな仕事を私は少数精鋭主義でやらしておる、私はその第一線に立っておる。だから、本当にいろいろ問題がございましたが、まず隗より始めよであるから、当然私はブロック機関も一つは何といたしましてもこれは廃止すべきである、こういう決意で臨んでおりまして、決して演説はいたしておりませんので、御了解賜りたいと思います。
  390. 河村勝

    河村委員 そういう演説をするからだめなんです。私も単なる人減らしのための人減らしを主張しているのではありません。費用対効果という面からいって、ない方がベターであるものはなくしなさい。それで人間の過員の処理というものはどんな場合でも起こるものなんです。われわれも直ちに余った人間を首切れなんということは一言も言っておらない。しかし、まず機構をなくし、定員をなくし、そこでけじめをつけるのです。それで人の始末というのは、減耗不補充というような態勢のもとで順繰りに処理していくのです。もとの枠を決めないで、人の始末がつかないからいつまでたっても機構をなくさないなんと言ったら、永遠に何もできませんよ。そんなことで一体行政管理庁長官が勤まると思っているのですか。
  391. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 御承知のとおりに、すでに定員削減という計画で地方、中央含めてやっておるわけであります。いま本当に全廃せいとおっしゃいましたって、ではどこへ持っていくのでしょう。私は異常な決意で臨んでおるのです。やはり国家公務員がんばっている人たちもいますが、配置転換等々いたしまして、なかなかむずかしい問題でしたが、一応労働組合もやむを得ないなというところまで来ていただいておる。そうした中においてひとつ十二分に国民の期待にこたえられるようにやりたい、こう言っておるのですが、全廃せよというような話は、いまここで政治家としてよろしいと言いましたって、千二百名の人たちをことしどこへ持っていくか。私はすべてを含めまして三万七千名やる、こういうふうにすでに閣議決定しておるわけでございますね。その中に全部含まれておるわけでございますから、現在は器減らしをしていこう、その器も、二つのものを一つにすればやがてこれは人減らしになる、十二分にそこにつながる、こういうことでやっておるわけでございますから、十二分に人さんの移動等々も考えまして、行政需要等々も考えましてやっておる次第でございますから、おまえから全廃せよとおっしゃいましても、これは言えません。
  392. 河村勝

    河村委員 それなら、全廃することを決めて、それで減耗不補充なり配置転換に伴って漸進的になくすならいいのですか。全廃をまず決めるのです。全廃の方向で配置転換なりあるいは減耗不補充をやっていく、これならいいのですか。
  393. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 全廃を決めて、そこに働く公務員が果たして勤労意欲を持つでございましょうか。やはり国民のためにサービスをしてもらい、また行政のあり方を徹底して調査をさせなければならない人たちでありますから、おまえさんたち全廃だよと言いながら、さああしたから働け、だれが働くでございましょう。やはりそこは各省お互いにいろいろと苦労をしながら、肩たたきをしたり定員削減をしておるのでございますから、そこはひとつお互いに考えてやらなければならないことではないかと思います。
  394. 河村勝

    河村委員 そういうような考えであれば、恐らく行政改革は何もできないでしょう。それでブロック単位の機関を一つなくすなんて言えば、後で財務局のことは聞きますけれども、熊本財務局をなくそうと言えば熊本が反対する、福岡をなくそうと言えば福岡が反対する。全部なくせば反対はないんですよ、逆に。おれの方だけなくされるということだから反対があるんですよ。そういうものなんです。  昭和四、五年の閣議決定、御承知でしょうね。支分部局等の整理再編成、「ブロック機関の下にさらに府県単位機関の設置されているものについては、原則として五年間に、府県単位機関を廃止するものとする。」昭和四十五年ですよ。もう十年前です。それに基づいて閣議へ報告された案は、行政管理庁関係——大蔵省関係は後で言いますが、「地方行政監察局を昭和四十六年度に廃止し、所要の現地事務処理機関を配置する。」この後の意味はよくわからない。特に必要があれば現地的な事務を処理する機関をつくってもよろしいというようななお書きがありますからそれによったものでしょうけれども、とにかく四十六年度に廃止する。閣議決定ですよ、これは。この判断は少なくとも行政管理庁もそれが適当であると判断されたもとにできたものだと思いますが、いかがですか。
  395. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 その後のいろいろな経緯がございました。したがいまして、私も、三十九年の臨調初めいろいろ残っておりますから、それらのものをすべて今回は一応整理をしてみようと考えております。したがいまして、その後の経緯等も十二分に考えてみなくてはなりません。私は、さような意味で、今回の三月三十一日のブロック機関に対してまず私の方も出しましょうと言っているわけでございまして、十二分にその趣旨を踏み外しておらないと考えております。
  396. 河村勝

    河村委員 その後のいきさつというのは何ですか。
  397. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 いろいろ内閣もかわりました。またその間において社会的な情勢も変わっております。だから、たとえば三十九年の臨調答申、特殊法人一つを見ましてもこのとおりとはいかないなという面が相当あります。それはもっともっと方法を変えて統廃合の方向へ持っていかなくちゃならぬ。十五、六年たっておりますとあのままの姿で今日できるか。別の方途も考えて統廃合——存続じゃありません、統廃合しなくちゃならない。幾つもの問題を私は具体的に勉強していろいろと検討いたしておりますから、さような意味において、前任者の決めましたことは、当然内閣の継承性から申し上げましてもこれは受け継いでいかなくちゃなりません。だから私は、この間やりました行革はわずか五十日でございましたが、したがって第二弾を撃ち込むんだ、こういうふうに言っているわけでございますから、十二分にその間においても考えます。しかし、いまおっしゃる全廃せよというようなことにはそう簡単には——道づけはいたしますが、五十五年度中に全廃せよ、これだけは今日の情勢等も考えました場合には非常にむずかしいものがあるということをお答え申し上げておきます。
  398. 河村勝

    河村委員 五十五年度中でなければいいんですか。
  399. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 それは先ほど申し上げましたとおりに、いろいろ方法がございます。河村さんのおっしゃるのは、全廃せい言うて後から順番にやめていけばいいじゃないか、こうおっしゃいますが、果たしてそうしたことで本当に残った人たちが少数精鋭主義で国家公務員として働くでございましょうか。やはりやるときにはある程度の考えを持って臨まなくちゃなりません。その間、いやしくも行政国民サービスが落ちたり、あるいはまた不安なままに国家公務員が過ごしておるということも、決して政治家がとるべき道ではないと私は考えます。
  400. 河村勝

    河村委員 そんなことを言っていたらいつまでたっても踏み切れやしないですよ。廃止を決めないで機構の整理縮小はできるわけはないのですよ。現に府県単位の行政監察局は、なるほどあればいろいろな手助けはなさっておるでしょうけれども、これは国に対する府県知事の決議ですね。「行政監察局は、本来国の各行政機関の業務の実施状況を監察することが使命でありながら、最近の実態は各地方公共団体の事務にまでわたる調査や資料要求がひん繁で過重となってきている」、だから、ありますと、府県まで機構をつくっておればやはり仕事はしたくなりますから、どうしてもそういうことになるのですよ。ですから、あることの方のマイナスの方がふえてきているんです。こういうものの整理のときには過員というものは必ずできるのです。それは決して楽な仕事ではありません。しかし、一回過員をつくらずにこういうものの整理というのは絶対できないのですよ。それをどうやってやるかという知恵を出すのが政府の仕事ですよ。ですから、あなたみたいなことを言っていれば、行政管理庁がそういう主張をするんならおれの方は御免だと言ってほかの方の官庁が応じないのはあたりまえでしょう。ですからそう言っていれば、昭和四十五年に決めた府県単位の——少なくともこのときは要らないと思ったのですね、なくてもいいと。また同じことでしょうね。何もできないままに終わる、それでいいんですか。
  401. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 今度は各省庁協力をしてくれております。私の方もやる、あなたたちもお願いする、そうしたことで協力をしていてくれております。御承知のとおり、ブロック機関と申し上げましても、七つのブロックあるいは八つのブロック、九つのブロック、省庁によりまして分け方がまちまちでございます。そういうこともありますから、一体全体ブロックとはどうだろうかということ等をも念頭に入れまして、その意味でのバランスもある程度とっていかなくてはなりません。そうして、やがてそうしたことが統廃合によってさらにブロックを縮小するという道づけになるのならば、今回の行革において思い切った措置をとることが一番必要ではないか、かように思ってやっておるわけでございますから、拱手傍観しておまえ何もしておらぬじゃないか、そんなことではありませんよ。相当なことをやっておるのでございますから、御期待を賜りたいと思います。
  402. 河村勝

    河村委員 一応、おやりになってないとは言わないけれども、自分のところになると壁をつくっちゃって、おれのところは減らさせないんだというんじゃこれは何にもなりません。それでは行政管理庁長官落第です。
  403. 宇野宗佑

    宇野国務大臣 多くの意見は八つ以上のところから整理をしてはどうかという意見がございます。八つ以上ということになりますと行管庁は入りません。しかしながら、それではまず隗より始めよということになりませんから、私は、ちょうど標準より以下ではあるけれどもそこから始める、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  404. 河村勝

    河村委員 それはブロック機関を一つ減らすということでしょう。その程度のことならほかの官庁も協力するかもしれないけれども、とにかく本格的な行政改革をやる気なら、それではとてもだめですよ。あなたは落第です。  大蔵大臣に伺いましょう。  大蔵省の財務局、これもやはり戦時中にできたものでありますが、どういう理由でいつできたか御存じですか。
  405. 竹下登

    ○竹下国務大臣 これの歴史的経過、沿革についてここで私が申し上げると長くなりますから、河村先生皆御存じのことでございますので、とにかく明治二十九年に設置された税務管理局がずっと変遷してまいりまして、そして昭和二十五年に財務局となり、現在に至っておるという、本当の走り書きだけで、恐らくその後の御質問がございますと思いますので、それだけで、時間もございましょうから……。
  406. 河村勝

    河村委員 この経過というのが本当は大事でありまして、これはもう総理大臣がよく御存じのとおり。戦前には大蔵省の出先機関というのは税務監督局しかございませんね。それが戦争中に財務局というのができた。このときは税務監督局を吸収して一つ役所でありました。なぜ財務局というのをつくったかというと、戦争中総動員法に基づいて会社統制令というのができましたね。これを執行する必要がある。そのほか、多少理由があったかもしれませんが、そういうことでつくったんです。ですから戦争が終わったら、その会社統制令はなくなっちゃったわけですから、もとに戻すべきものですね。ところが逆に、昭和二十四年になって財務局と国税局と二つ局をつくってしまったのですね。そういうことなんですよね。そのうち財務局だけかと思ったら、財務局の県単位の仕事をやるのには税務署に一部やってもらっていたのが、いつの間にかこれまた独立してしまって、昭和二十五年には全府県に財務部四十二ですよね。こういうようにふくらんできたわけです。御承知ですね。一体なぜこういう膨大な機構を維持しなければならないのですか。私にはその理由がわからない。いかがです。
  407. 竹下登

    ○竹下国務大臣 河村さんのいままでのこの財務局、財務部に対する御意見というものは、五十二年十月の坊大蔵大臣、それから五十三年二月の村山大蔵大臣と議論をしていらっしゃいまして、私も十分これを読ませていただきました。したがって私も、構えてきたわけじゃ決してございませんけれども、まず考え方はいろいろございますが、今日までの歴史的沿革というものは、いま財務局についてはおおむね河村さんの御意見のとおりだと理解していいと思うのであります。  ただ財務部の場合は若干違っておると思いましたのは、昭和七年に設置されたときに、いわゆる預金部支部出張所という形で設置されてきて、十六年に国有財産関係事務を所掌する財務局出張所となって、それから二十一年に財務局地方部に再編成されて、二十二年が管財支所でございますか、それでとにかく二十五年に財務部に変わってずっと来た、こういうことであります。  したがって、いずれにしても、とにかく本会議であろうと委員会であろうと、まず隗より始めよと言われれば、必ず宇野さんのところと私のところへ御指摘をいただく。そこで、三月三十一日までに結論を出そうという財務局の問題、これは確かにブロックの統廃合の問題だけでございます。しかし、それにもあえて財務局というのをメンションいたしましたのは、ささやかながら隗より始める姿勢一つのあらわれである、こう御理解いただければ幸いであります。そして今度は、六月三十日までには都道府県単位のをやらなければいかぬわけでございます。  そこで、率直に申しまして、いまやっておりますことは大ざっぱに言って三つとでも申しましょうか、いわゆる資金運用部銀行の島根県支店という立場と、信用金庫を初めとする金融機関の指導という立場と、また国有財産という立場、三つがございます。その三つが一体どうしてもそういうところでやらなければできないものか、あるいは局でやれるものか、そういうものを抽出しまして、いま本当に部内で鋭意検討をしておる段階でございます。  確かにむずかしい問題もございます。これは実際問題、だんだん地方の起債等の占める役割は大変大きくなっておりまして、いろいろな比較をしてみました。資金量から言うと大体第一勧銀と一緒。支店の数から言うとはるかに小さい。ところが、貸付先ははるかに少ないというようなこともございまして、どういう形でこれを掌握した方が一番いいものだろうか。それから信用機関の指導ということになりますと、仮にもしいわゆるサラ金法等が通った場合は、どのような仕組みで対応すべきであろうかとか、それから国有財産は歴史的経過の中に、いま委員指摘になりましたように税務監督でやっておった時代がございますよね、確かに。その形でいま税務署そのものでやったら、いわゆる専門職の給与体系は全く違った形になっておる。そうすれば、これはどういう形でやったら一番いいかというようなことを河村委員の問答も下敷きにさしていただきながら、また必要性ということを、最も必要であるという理由もいっぱい考えて書かしてみたり、それをいますり合わせて、何としても三月三十一日に一つと、その次の六月三十日に出さなければいかぬものですから、一生懸命でやっておりますが、至らざるはどうぞ御支援のほどを心からお願いをいたします。
  408. 河村勝

    河村委員 いまあなたのおっしゃったように、国有財産の管理とそれから資金運用部資金の貸し付けと信用金庫の監督、あとは調査とか指導とかいうたぐいでありますからまず問題はない。あるからやっているようなものであって、そう言ったら大蔵省の方々は怒るかもしらぬけれども、端的に言えばそういうことですね。そうすると、国有財産の管理は歴史的には国税局でやっておりました。しかしこれは別途、何か小さな事務所をつくってもいいでしょう。ですけれども、信用金庫の監督は、これは財務部はもちろん要りませんね。財務部は関係ございません。大体地方銀行は中央、信用組合は府県、そうすると間に残っているのは信用金庫でしょう。私は財務局も要らないと思っているのです。大きいものは数府県にわたる地方銀行並みのものもあるのですから、こういうのは本省でやったらよろしい。仮に権限を委譲したって、局になんか任せやしませんよ。ですから、これは中央でやったらよろしい。小さいのは、信用組合並みのものであれば府県に任せばよろしいわけでしょう。  そうすると、残るのは資金運用部資金の貸し付け、主として起債ですか。ところが起債というのはそもそも財務局、財務部が介入するのは不当介入みたいなものであって、自治省と大蔵省とがもとでもって協議して大枠が決まるわけでしょう。ところが実態は、財務局、財務部が猛烈に介入するものだから、地方でははなはだ迷惑している。何しろ「自治省が要求する以上の詳細な資料の提出ならびに説明を要求し個別的関与が多く団体側にとっては二重の煩雑な事務となっている」というようなことでございますよ。それから資金運用部資金の借り入れ事務にいたしましても、それは膨大な資料が要って大変だということが府県知事の決議があるくらい。だから資金運用部は何も銀行が企業に金を貸すのと違って、そこの企業が先行きが危ないから貸そうか貸すまいかということではなくて、国でもって大もとが決まっておるわけでしょう。どの事業にはどれだけ国の資金運用部資金を投入するというのは決まっておるのです。ですから事後検査ならともかく、一々自治省が介入し、また大蔵省が介入し、さらに末端に行くと財務局、財務部まで介入するというのは要らないはずですよね。これは簡素化するのが当然であるはずだと思うが、いかがです。
  409. 竹下登

    ○竹下国務大臣 国有財産の問題、それから先ほどおっしゃった金融機関の問題ですね。なお、労働金庫から証券から、それで苦情処理、もう一つサラ金法ができたときはどうすべきかということも将来の検討の課題に置かなければならぬと思うのです。が、いま議論しようと私、思いません。意見意見として十分聞かしていただきたい。  そこで、今度は起債の問題でございますね。確かに五十三年に御指摘がありましたので、補助裏と縁故債は介入しないということになりました。が、やはり貸付残高が五十四年三月末に六兆二百億円、とすると、第一勧銀が六兆八千億円、大体一緒ぐらいですよ。そうしてやはり、いわゆる一般大衆からの郵便貯金等が原資であるというたてまえからすれば、何としてもやはり銀行の支店としての機能はそれなりには果たす役割りが必要ではないか。ただ、いまおっしゃいますように、仮に財務部を一つの支店と考えると、一店舗で千七百四十億円です。第一勧銀だったら二百五十五億円、こういうことになりますが、一店舗当たり人は何人おるかというと、いま六人でございます。それから第一勧銀にすれば五十八人。しかし貸付先になると、今度はわずかに市町村の数だけでございますから少なくなる。そういうようなことも一つの考えの上に置いて、どの場所でどういう規模でこの問題には対応していくかということも、いまの意見をももちろん意見として参考にさしていただきつつ、六月三十日までに一生懸命この三つの役割りについても、どこで一番やった方が費用と効率の問題で最も妥当であるかという角度から勉強しますので、本当に御声援をお願いします。
  410. 河村勝

    河村委員 行政管理庁長官よりは幾らかましでありますけれども、本当に財務部全体という方向でもって……。  総理大臣、いかがです。実際、配置転換だって財務局の場合にはそう困るわけでもないでしょうし、どうですか、その辺まで踏み切るお考えはないのですか。そうすれば、行政管理庁の長官もいやおうなしにおれのところもやろうということになると思うので、総理大臣の決意次第だと思いますが、いかがでございますか。
  411. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 冒頭あなたに申し上げましたように、基本的には官民の間柄をどうするかという問題、中央と地方と取り組み方をどうするかという問題に関連してくるわけでございますし、同時にあなたも言われておるし、また他の委員の皆さんからもお話がございますように、行革は永遠の課題で不断にやっていかにゃいかぬということでございます。  そこで、この五十五年行革というものをいま構えまして、三月末、六月末それぞれターゲットを設定いたしまして、いませっかく政府部内で検討を進めておるところでございます。したがって、いまこの段階で余りきれいなことを言って、できないということになりますといけないわけでございますが、私といたしましては精いっぱいのところをやって、三月、六月の事績を一遍ごらんいただいて、それから御批判をいただくようにいたしたいと思います。いま御主張は十分拝聴いたしておりまするし、同感に存ずるところが多いわけでございますので、せっかくいま調整中でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  412. 河村勝

    河村委員 農林大臣、先ほどから私の話に非常にうなずいて同感の意を表明しておるようですから、農林省関係に入ります。  農政局、これは要らないでしょう。この成り立ちは農林大臣御存じですか。
  413. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 これは河村先生の方が私よりよく存じておられると思うのでありますが、私が承知しておるのでは、昭和二十一年に農地事務局ができまして、変遷を経て昭和三十八年にそれが地方農政局という形になった、こういうふうに承知をいたしております。  そこで、その地方農政局のできた生い立ちの中でどういう性格かということでございますが、農地事務局の場合は農地改革の事務が中心であったようでございますけれども、農政局になりますと、やはりその地域地域の特性に応じて強力な農政の推進をするために必要である、こういう観点から地方農政局が生まれたと承知をいたしております。  そこで、それじゃおまえはそれ必要ないではないかというふうに思わないかという点でございますけれども、私は、最近の私どもが農政というものを考えていく場合には、地域地域の特性に応じてその地域の農民の方にもよく理解を得ながら農業生産の再編成、これをやはりやっていかなければならない。水田利用再編対策も、いつも申し上げておりますように必ずしも米の生産を減らすということだけでなくて、より日本の必要とする食糧をつくっていただく、こういう形に持っていっていただかなければならないものである、こう申しておるわけでございまして、そういう意味において水田利用再編対策、それに絡んでの農業生産の再編成をこれから進めていかなければならないときにはやはりこの役所というものは必要であろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  414. 河村勝

    河村委員 あなたのおっしゃったように、昭和二十一年に農地事務局ができましたね。このときには、国の直轄の開拓の仕事とそれから自作農創設ですね。この仕事は全部終わりました。いま何もありませんね。なくなったら地方農政局にしていろんな広範な指導をやる、こういうわけですね。これは本当はなくなったらやめればいいのですよ。  いま農業再編成の推進というお話であったけれども、これの主体は府県知事でしょう。農政局は何をやるのですか、ちょっと伺いたいのですが。
  415. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 都道府県知事ということでございますけれども、私どもやはりそれぞれの農業生産の再編成については、この間うちからも農政局長からいろいろその地域の実情を聞いて判断をいたしておるわけでございまして、そういう点において私は決して存在理由がないとは思っておりません。また、国営の土地改良の仕事もまだ相当多くのものを抱えておるわけでございまして、そういう点からいっても、農政局というものをやはりいますぐここでなくしてしまうというわけにはいかない、こういう判断でおるわけでございます。
  416. 河村勝

    河村委員 それは、あれば役に立たないとは私は言わない。ですから、初めからくどいように費用対効果だと言っているわけですね。  現実にいま府県知事の意見、特にこの農業関係は府県が主体ですから、府県の仕事をじゃまするようならある方が害になるのですね。ところが、この知事会の決議によれば、農政局については特に広域営農団地整備計画とかあるいは山村振興計画、農地転用、土地改良事業新規採択希望地区計画等々、いろんな仕事を農政局はやっておるけれども、農政局で決まることは一つもない。農政局に話したら、同じことをまた本省に行ってやらなければならない。名目的な権限はおろしておっても、実質的な権限というものは農政局は何もない、こういうことなんですね。そうだと思うのですよ。ですから、あった方が便利かもしれないけれども、そのくらいのものであったらなくした方が、行政全体の効率化にはるかに役立つものだと私は思いますが、そうは思いませんか。
  417. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 実態論で何か先生おっしゃっておられるのでもう御存じのとおりで、仕組みとしては、都府県のそれぞれの補助事業の配分は農政局でやることになっておるわけでございます。ただ中には、農政局へいらっしゃらないで直接東京に出てこられる方も実態論としてはあるようでございますけれども、仕組みとしてはやはり私ども大体九割くらいは農政局に任しておる仕組みになっておりますので、その仕組みのとおりにきちんと行われるならば、私は農政局の仕事というものはその点においても相当あるのではないかと思っておるわけでございます。
  418. 河村勝

    河村委員 仕組みどおりに動かないのが官庁でございましてね、形式的な権限はおろしても大事なことはみんな自分のところで握っておきたい、これは何も農林省だけではありません。ですから、特にこういう新しい役所ができたりしますと、名目的に幾つかの権限はおろすのですけれども、実際は中央が握っていて放さないのですよ。ですから、本当は大したことはない仕事になってしまう。そういうものなんです。だから、もう一遍実態を調べてください。それで、三月いっぱいに結論を出すのでしたら、もう少しよく御研究をいただきたい。  通産大臣、通産局はあなたはよく御存じでしょう、この成り立ちといま何をやっているか。大体これも大部分の仕事は要らないのじゃないでしょうか、いかがです。
  419. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 戦時中、戦後直後は、お話しのように軍需関係を中心にいたしまして、それに伴っての戦後の統制事務等が種々ございましたけれども、当時の九千何がしの人員は、いま三分の一くらいに減りまして、統制事務は一切ございません。  新しい社会の進運と申しますか変化に伴いまして、いろいろな商工関係に対するニーズが起きておることは事実でございます。また、法律もたくさんできました。  そこで、ごく簡単に申し上げますから、いま何をやっておるかお聞き取り願いたいのですけれども、一つは工業再配置計画の推進、これは広域的な地域経済の行政でございます。二番目は、中小企業を初めとする地域産業の振興行政、たとえば産地中小企業対策とか、あるいは特定不況地域対策とか、いろいろございます。三番目は流通消費者行政、これは一番中心なのは、いまスーパーと各中小企業が至るところで摩擦を起こしておるのは御承知のとおりで、こういうものにどう対処するか。あるいは電気ガス等の公益事業行政、これは電気事業法とガス事業法がございまして、これはどうしてもやっていかなければいけない。それから、一番中心になりますのは保安とか防災行政でございまして、これは石油、ガスの保安確保、あるいは取引の適正化に対するいろいろな適正化法もございますし、あるいは石油コンビナートの災害防止法といったような、こういう保安防災行政、これは現地になければいかぬものばかりでございまして、私は、これはやはり必要じゃなかろうかと思っております。
  420. 河村勝

    河村委員 並べると項目はそういうことになる。ですが、何かの推進とか、何とかの振興とか、何とかの指導とか、別段やらないからどうだというものじゃないわけですね。結局これは戦争中、軍需監理部の方針ですね。あのときはもう各種の統制令がたくさんできまして、それを処理するために軍需監理部、特に軍需生産を推進する、これをやったわけでございますが、いまやこれだけテレタイプ、新幹線の世の中で、出先がなければできないようなものはないはずで、そういう小さいものだったら府県でよろしいですね。大きいものはみんな通産本省が握っております、これまた。通産局でやれる仕事なんというのは余りないわけですね。ですから、これもなくそうと思えばそうむずかしいものではないのですよね。あなたも大体御存じじゃないのですか。いかがです、正直のところ。そう絶対になければならぬとは思っておられないのじゃないですか。
  421. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私は、正直に申しましてやはり必要だと思います。
  422. 河村勝

    河村委員 最後に警察庁。  管区警察局というのはずいぶんおくれてできましたね。できたときは自治体警察だったかもしれないけれども、いまや国家警察。要らないでしょうね、これは。ぼくはいまずいぶん自治省の応援団みたいなことを言いましたから、自治大臣としての立場はずいぶん応援したようなかっこうになっておるけれども、国家公安委員長としてはこれは別でありまして、これはいいでしょう、なくしても。いかがです。
  423. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 先ほど来河村さんのいろいろの御質疑を承っていまして、河村さんはもう長い役人のOBで、百も御承知の上で歴史的由来から説いていらっしゃる。私はお伺いしていまして、いま白紙に絵をかくというのであれば、もう河村さんの御意見一つも反対ありません。ところが、現実はこれだけの組織があり、多くの官公庁の職員を抱えているわけですね。ならば、この現実の上に立って、そして現在の国民的な要請にどうこたえるかということになりますと、これはやはり相当厳しい態度で臨まなければならぬですけれども、私は、いままで各閣僚がやり玉に上げられてお答えしていますけれども、やはりよほど考えてやらないといかぬのではないか。いまお読みになっているのは知事会の意見ですね。それは知事の立場に立てばそういうことでしょう。それから中央の役所の立場に立てば各閣僚の意見になると思いますね。そこらをどうこね合わせてそして現実的に国民の要望に……(発言する者あり)練り合わせて、それをどういう解決策をつくるかというのがいまの政府の立場ではなかろうか。  したがって、私は府県知事の方からいろんな意見を聞かされておりますから、私自身は、これは自治大臣としてはそういう立場で臨まなければならぬ、そういうつもりでやっていきますが、御質問の管区警察局ですか、これは昔のように内務大臣がいまして、そしてその下に官選の知事がおる、その下に警察部長以下全部おるというのであれば、これは要りませんよ。明瞭に要らない。しかしながら、これまた現実の組織がどうなっているかと言えば、御承知のこれはみんな自治体警察じゃないですか。いま河村さんおっしゃっているのは、いまの警察は自治体じゃないという前提でお話になっているが、そうじゃありませんよ、これは。だから、やはり昔と変わっていますから、どうしても各県の自律性というのは強いのですね。それをどんなことをしたって管区の単位において調整をしなければいかぬということが一つ。それからもう一つは、やはりそういう意味合いで、昭和二十一年にできたのですけれども、しかし、いまや仕事の中身が、これは広域にわたる犯罪が非常にたくさん出ておりますからね、そういう意味においての府県自治体警察の調整という上から、やはりそういう立場でもひとつ御検討を願いたい、かように私は考えます。
  424. 河村勝

    河村委員 時間が来たからやめますが、自分のところは結局だめだ、総論は賛成だけれども、自分のところはだめだというのです。まだ陸運局、海運局ありますけれども、時間がないからやめます。  総理、私もこの行政機構の整理というのは非常にむずかしいものだということは、もう本当に腹からよく承知をしております。しかし、これを本当に大なたをふるわなかったら行政改革というのは結局中途半端に終わりますから、総理に、少なくとも六月までにわれわれがこれならよくやったと言える程度のものをつくられるように最後に要望いたしまして、質問を終わります。
  425. 田村元

    田村委員長 これにて河村君の質疑は終了いたしました。
  426. 田村元

    田村委員長 この際、御報告いたします。  昨日、分科会設置の際、分科員の配置及び主査の選任につきましては、委員長に御一任願っておりましたが、分科員の配置につきましては、公報をもって御通知いたします。  次に、分科会の主査は、次のとおり指名いたします。       第一分科会主査 藤尾 正行君       第二分科会主査 村山 達雄君       第三分科会主査 橋本龍太郎君       第四分科会主査 始関 伊平君       第五分科会主査 藤田 義光君 以上であります。  次回は、明二十三日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十九分散会