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1980-02-18 第91回国会 衆議院 予算委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月十八日(月曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事小此木彦三郎君 理事 瓦   力君    理事小宮山重四郎君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君    理事 寺前  巖君 理事 小沢 貞孝君      稻村左近四郎君    金子 一平君       小山 長規君    近藤 元次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    白川 勝彦君       田中 龍夫君    根本龍太郎君       橋本龍太郎君    福家 俊一君       藤田 義光君    松澤 雄藏君       村山 達雄君    山下 徳夫君       阿部 助哉君    井上 一成君       稲葉 誠一君    大原  亨君       川崎 寛治君    久保 三郎君       兒玉 末男君    清水  勇君       野坂 浩賢君    八木  昇君       安井 吉典君    横路 孝弘君       岡本 富夫君    草川 昭三君       坂井 弘一君    坂口  力君       浦井  洋君    工藤  晃君       柴田 睦夫君    東中 光雄君       松本 善明君    岡田 正勝君       中野 寛成君  出席国務大臣         法 務 大 臣 倉石 忠雄君         外 務 大 臣 大来佐武郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 谷垣 專一君         厚 生 大 臣 野呂 恭一君         農林水産大臣  武藤 嘉文君         通商産業大臣  佐々木義武君         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         労 働 大 臣 藤波 孝生君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君         国 務 大 臣         (内閣官房長官伊東 正義君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  清水  汪君         内閣総理大臣官         房総務審議官  和田 善一君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局審査部長 妹尾  明君         警察庁刑事局長 中平 和水君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         国土庁水資源局         長       北野  章君         法務省刑事局長 前田  宏君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済協力         局長      梁井 新一君         外務省条約局長 伊達 宗起君         大蔵省主計局長 田中  敬君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省関税局長 米山 武政君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省管理局長 三角 哲生君         厚生大臣官房長 大和田 潔君         厚生大臣官房審         議官      竹中 浩治君         厚生省公衆衛生         局長      大谷 藤郎君         厚生省環境衛生         局長      榊  孝悌君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 山村 勝美君         厚生省医務局長 田中 明夫君         厚生省薬務局長 山崎  圭君         厚生省児童家庭         局長      竹内 嘉巳君         厚生省保険局長 石野 清治君         厚生省年金局長 木暮 保成君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省構造         改善局長    杉山 克己君         農林水産省食品         流通局長    森実 孝郎君         水産庁長官   今村 宣夫君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省通商         政策局長    藤原 一郎君         通商産業省貿易         局長      花岡 宗助君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君         通商産業省機械         情報産業局長  栗原 昭平君         通商産業省生活         産業局長    児玉 清隆君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 石月 昭二君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松本  操君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         労働省労働基準         局長      吉本  実君         労働省職業安定         局長      関  英夫君         建設省河川局長 稲田  裕君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君         自治省財政局長 土屋 佳照君  委員外出席者         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      田口健次郎君         会計検査院長  知野 虎雄君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社理事     小澤 春雄君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         会長)     古池 信三君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月十八日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     近藤 元次君   江崎 真澄君     山下 徳夫君   奥野 誠亮君     白川 勝彦君   阿部 助哉君     井上 一成君   川崎 寛治君     清水  勇君   野坂 浩賢君     久保 三郎君   矢野 絢也君     坂口  力君   藤田 スミ君     工藤  晃君   山原健二郎君     浦井  洋君 同日  辞任         補欠選任   近藤 元次君     荒舩清十郎君   白川 勝彦君     奥野 誠亮君   山下 徳夫君     江崎 真澄君   井上 一成君     阿部 助哉君   久保 三郎君     野坂 浩賢君   清水  勇君     川崎 寛治君   坂口  力君     矢野 絢也君   浦井  洋君     柴田 睦夫君 同日  辞任         補欠選任   柴田 睦夫君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     野間 友一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、一般質疑を行います。大原亨君。
  3. 大原亨

    大原委員 質問最初に、一歩まかり間違えますと狂乱インフレの事態を招く、こういうことはいろいろな指数が示しておると思うのです。日本銀行公定歩合引き上げについていよいよ判断の段階に来たと思うのですが、大蔵大臣はどのような見通しを持っておられるか、お伺いをいたします。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 公定歩合引き上げ問題は、委員指摘のとおり日本銀行所管事項でございますが、昨晩日銀総裁から、本日諸般の手続をとりたい旨の連絡を受けました。したがって、昔とは違いましてこれほどマスコミの発達した時代でございますのでいろいろな報道がされておりますものの、やはり法律によったたてまえから申しますならば、具体的には日銀政策委員会決定が終わって私どもの方へお知らせが来た後に、中身については御発表できることになりはしないか、このように考えます。が、連絡があったことは事実であります。
  5. 大原亨

    大原委員 これはもちろん日本銀行が、言うなれば経済や政治の基本である通貨の権威を保持するという責任を負うておる点から考えて、自主的な、中立的な判断をする、これが最後には決めるということは当然のことですが、財政金融と深いかかわりがありますから、もちろん政府は無関心ではない、相談があったということであります。世上言われているわけですが、一%あるいは一・二五%の公定歩合引き上げと、こういうふうに言われておるわけですが、大体そういうふうに理解してよろしいですか。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 御理解はそれで結構だと思いますが、やはり具体的に数字ずばりは決定した後に発表することで御寛容を賜りたい。
  7. 大原亨

    大原委員 もし一%の公定歩合引き上げということになりますと、たとえば国債利回りにはどういうふうな影響がありますか。また、私がこれから質問に入りますが、資金運用部原資になっております厚生年金国民年金等積立金運用利回りには影響があると思いますが、どういう影響がありますか。その影響の問題について、政府委員からでもよろしいからお答えください。
  8. 田中敬

    田中(敬)政府委員 今回の公定歩合引き上げに伴いまして、長期金利がどのような引き上げになるかというものはまだ決定いたしておりませんですが、報ぜられるところによりますと、ある程度国債金利長期プライム引き上げる、預貯金金利引き上げるというような方向にあるようでございます。確定したことはまだ承っておりませんが、いずれにしても若干の国債金利引き上げ並びに預貯金金利長期金利引き上げに伴いまして、運用部預託金利引き上げも行われるものと思います。
  9. 大原亨

    大原委員 公定歩合引き上げによって、資金運用部原資である年金積立金運用利回り、これについても影響があるというふうに判断をして措置する、こういうふうに理解をいたしておりますが、そういたしますと、私はこのことに関連をして後で時間があれば本格的な議論をいたしますが、厚生年金国民年金厚生年金はその累積が本年度末は二十七兆円あるわけです。これは全部ということにはなりませんが、この利回りはいま七%であります。それから、積立方式日本年金はとっておるのですが、保険料予定利回りとこう言いますが、予定利回りは五・五%なんです。この五・五%をたとえば七%に上げる。運用利回りに上げる。あるいは運用利回りを、十年ものの国債の七・七八八%をどれだけ上げるかということでしょうが、〇・三であるかあるいは〇・四であるかわからぬですが、上げますと、厚生年金資金運用部預託をいたしましての運用利回りより国債利回りが下がるわけですが、この差を埋めてまいります。あるいは、これは直接財政には関係ありませんが、個人保険料計算の基礎ですが、予定利回りの五・五%を上に上げますと保険財政影響いたしまして保険料影響いたしますが、そういうことについて、低成長下慢性インフレ高齢化社会において根本的に考え直す必要があるのではないか、この点についていかがですか。
  10. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 国債利回りにつきましては、先ほど主計局長からの答弁のとおり、引き上げ方向でこれからシ団との話し合いに入るということになろうかと思います。一方、運用部預託金利につきましても、預貯金金利等引き上げられますと当然引き上げを検討せざるを得ない、こういうことになりますが、その引き上げの過程におきまして、私どもとしてはできるだけ国債金利運用部預託金利との現在の差を詰めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  11. 大原亨

    大原委員 この答弁厚生省にとってもプラスだったと思いますが、私が年金局長に聞きたい点、それから厚生省やあるいは公的年金制度閣僚懇談会座長である官房長官以下に理解をしていただきたい点は、日本年金制度積立方式を採用しているのです。それで、保険料を積み立てて最低二十年、厚生年金モデルで三十年です。その積み立てが平均的な年金モデルです。そのときに、そういう長期の金を、利回りを幾らに計算するかによって保険料影響いたします。予定利回りと言うのですが、いま五・五%ですが、これを運用利回り長期的にやっぱり近づけていくということが保険料適正化を図るということになる。  もう一つは、これは時間がかかるから答弁を要しませんが、大蔵大臣ほか聞いてもらいたいわけですが、昭和四十九年から五カ年間の狂乱インフレ時代運用利回り消費者物価上昇のギャップ、差を調べてみますと、約二兆六千億円あるわけです。これは調べてわかります。積立方式をとる場合には、物価は横ばいであるということを前提として計算しているのです。それが慢性インフレ、特に狂乱インフレの状況で、預託をいたしました原資が五カ年間で二兆六千億円も、これはもとから全部と言いたいけれども運用利回り狂乱物価のCPIとの差が二兆六千億円ある。運用利回りを加えても完全に目減りをしているわけです。そういうことになりますと、積立方式というものは成立しないわけです。だから、慢性インフレ、低成長高齢化社会において年金を安定させようと思うと、それに対する措置をしなければならぬ。少なくともその目減り分を、運用主体である資金運用部に対しまして政府財政措置をしなければこれは成立しない。  積立方式のもう一つの問題は、申し上げました個人保険料予定利回り運用利回りに近づける、こういうことによって積立方式内容との関連における保険料決定する、ここに問題があるということについて、大蔵大臣以下各政府十分理解をしてもらいたいし、また公的年金閣僚懇談会座長である伊東官房長官は、ここに問題があるということについて理解ができるかどうか。賛成か反対かということを言いますとまた時間がかかりますから、理解ができるかどうか、私が質問していることが理解ができるかどうかということをお答えいただきます。
  12. 伊東正義

    伊東国務大臣 非常に専門的なことでもございますし、よく勉強させていただきます。
  13. 大原亨

    大原委員 あなた、理解できませんか。私が言ったことが理解できませんか。
  14. 伊東正義

    伊東国務大臣 よく理解できるように勉強させていただきます。
  15. 大原亨

    大原委員 そんな答弁があるか。何を言っているんだ。理解できますかというのです。あなた理解していますかどうか、それだけのことを言っているのです。私が言ったことがわかりますかと言っているのです。
  16. 伊東正義

    伊東国務大臣 利回りの問題と物価に乖離があるというようなことはよくわかります。
  17. 大原亨

    大原委員 それでは少し論点を変えまして、後でまたあなたの内容のない答弁に対しまして続けて質問をいたしますが、今度、まず最初に、順序からいたしまして、一月二十五日に公的年金閣僚懇談会の第一回を初めて開きました。それで、そのときの決定は、厚生年金六十五歳と共済年金の六十歳支給開始について、二本立てでいくということを了承したというふうに言われておりますが、第一回の閣僚懇談会ではそういうふうにやったのですか、官房長官
  18. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまの御質問でございますが、六十五歳の問題につきましては、先生方の御意見も国会で何回も拝聴いたしましたし、自民党の三役からも申し入れがございますし、この問題につきましては審議会答申を待って検討しようということで、三役を入れて検討しました結果、御承知のような訓示規定を入れて法案を提出しようということを相談したわけでございます。
  19. 大原亨

    大原委員 あなたは、一月二十五日には二本立て決定した、そして、二月十四日の第二回目の公的年金閣僚懇談会であなたの答弁のような趣旨を盛った申し合わせをして、十五日に法律案閣議決定をした、私が注釈をつけると、そういう答弁であった、こういうふうに思います。私の方がよく知っております。  そこで、今度はずばり厚生大臣質問いたしますが、この決定いたしました法律案によりますと、こうあるわけであります。四十六条には、「厚生年金保険法による老齢年金受給資格年齢については、この法律の施行後に初めて行われる厚生年金保険財政計算の時期に、所要改定措置が講ぜられるべきものとする。」というふうにあるわけですが、厚生大臣、この「所要改定措置が講ぜられるべきものとする。」というのはどういうことですか。その中身について。
  20. 野呂恭一

    野呂国務大臣 もう前段のことは申し上げませんが、支給開始年齢の問題は避けて通れない事項でございますので、そのことは両審議会においても共通の御認識であると考えておるわけでありますから、その文書の中に示されておりますのは、次回の再計算におきまして真剣に取り組むべき課題である、その趣旨規定をそれに盛ったものでございます。
  21. 大原亨

    大原委員 私はその経過はいま聞いたから知っているのですが、この条文中身なんです。条文中身は、所要措置というのはどういうことなんですか、こういうことを質問いたしております。
  22. 野呂恭一

    野呂国務大臣 これはもう全体の問題、つまり長期安定のためにどういう措置を講ずべきかということでございますから、支給開始年齢も含めて、その他のいろいろ環境も考えながら所要措置を講ずる、こういうことでございます。
  23. 大原亨

    大原委員 厚生大臣、そうじゃないのですよ。あなたは法律を読んでいないんだ、決定しておいて。私が読んだじゃないですか。「老齢年金受給資格年齢については、」いいですか、「ついては、」とあるのですよ。限定してあるのですよ。そして「所要改定措置」というのは、次の再計算期ですから昭和六十年あるいは五十九年になるかもしれない、いまから勘定されれば。五年以内。限定してあるのですよ。老齢年金開始年齢所要措置というのはどういうことです。このことに限定しているのです。あなたの答弁はそうじゃないんですよ。そらしているんだ。法律にないことを言っちゃいかぬ。
  24. 野呂恭一

    野呂国務大臣 いわゆる「所要改定措置」でございますが、「老齢年金受給資格年齢については、」ということが前段に出ておるわけでございますから、現在六十歳、それを六十五歳に改定していきたい、こういう措置を講じたいということでございます。
  25. 大原亨

    大原委員 大分わかりましたが、「所要改定措置が講ぜられるべきものとする。」というのは、きょうは法制局長官、三百代言はいないけれども、「べきものとする。」というふうに書いてあるのですが、なぜ六十五歳にするということを書かなかったのですか。国民関心があり、国民の負担と権利にかかわる問題について、なぜ抽象的にしたのですか。なぜそういう法律をつくったんですか。
  26. 野呂恭一

    野呂国務大臣 両審議会の御意見は、雇用の問題、つまり雇用政策との間に谷間をつくってはいけないではないか、あるいはまた共済年金との格差の問題、こういうことについていろいろ御意見が出ておるわけでございますから、それらを考えますときに、次期計算期において、現行六十歳の支給開始年齢を六十五歳に引き上げることについての措置が講ぜられるべきであるという私どものいままでの考え方をこの条文に盛ったわけでございます。
  27. 大原亨

    大原委員 べきであるというのはどういうことですか。そんな言葉、日本語はあるのですか。べきであるというのはどういうことですか。
  28. 野呂恭一

    野呂国務大臣 所要改定がなされるべきである、われわれは、長期安定財政の上にはそうあるべきである、こういう「べき」でございます。
  29. 大原亨

    大原委員 いままで社会保険審議会厚生年金部会あるいは社会保障制度審議会、これは総理大臣諮問機関です。これは勧告権を持っている唯一の人事院と匹敵するような機関ですが、しかし、しばしば重要問題について長期的な展望が必要であるから、そのことを抜きにして日本年金改革はできないという観点でいろんな答申があった、建議があったわけです。それについては尊重しないでおいて、大体大平内閣つまみ食いの専門だけれども、六十五歳をつまみ食いする、人事院勧告の中では週休二日をつまみ食いをする。これはこの前もあったが、大体つまみ食いをやる。そういうことをつまみ食いをするのはおかしいではないかという議論が圧倒的になりまして、審議会答申を尊重しますということで逃げた。これは官房長官も話があったとおりだ。逃げたけれども、この中身を見てみると、社会保障制度審議会国民年金審議会答申があるが、これを尊重していない。やはり老齢年金開始年齢について、つまり再計算期ですから、昭和六十年までにはこれを六十五歳にすべきものとするということである、中身がそういうことであるのであるということがこの法律であるというふうに説明をいたしておるのですが、しかしこれは、制度審議会社会保険審議会答申を尊重したことにはならぬではないか。衣の下によろいというけれども、衣のことをあなたははっきり言ったわけだけれども、六十五歳というのは、つまりは参議院選挙があるから、一般消費税と同じ、二の轍を踏んではいかぬ、そういうことで隠した、こういうようなことですか。
  30. 野呂恭一

    野呂国務大臣 たびたび申し上げておりますとおり、支給開始年齢を六十五歳に引き上げて、昭和七十五年までに準備を完了しておくのだという、そういう厳しいものではないのでございまして、それは両審議会の御指摘になっておるように、雇用との関連や、あるいはいわゆる官民格差問題等を総合的に考えながら今後真剣に取り組む必要がある。したがいまして、次期計算期においては、支給開始年齢をどのように持っていくかということを判断したいと考えておるわけでございます。  これは私の希望的な立場を申し上げたのでありまして、現段階では、具体的にそれならば七十五年に六十五歳にしますよというスケジュールをこの中に盛り込んでおるのでございません。つまり、支給開始年齢をどのように考えていったらいいか、それに対処するべきである。したがいまして、所要改定措置を講ずべきという言葉を使ったのであります。
  31. 大原亨

    大原委員 時間が惜しいから整理いたしますが、あなたは私の質問に対しまして、老齢年金支給開始年齢については、再計算までに所要措置をとるというのは、六十五歳の問題を指しておるのだ、こういうふうに限定して答弁しながら、いまは、私はこの質問もしないのに、昭和七十五年に六十五歳が完了するということは一つも変わっておらぬ、こういう従来からの主張を、少し答弁メモを前後してあなたは読んでおるわけです。したがって、答弁中身が違うわけです。議事録を調べてみますとはっきりわかりますが、違うわけです。どれが統一見解かわからぬ。  あなたが後段に言った趣旨であるならば、この法律は、日本老齢年金開始年齢については、高齢化社会、低成長も含めてですが、背景にあるが、それを法律に書くわけにいかぬでしょう。そこで、両審議会答申を尊重する、国民の声を尊重して、文章の中に、雇用の保障とかあるいは年金格差の解消とか、こういうものと相まってこの問題は総合的に検討すべきものとする、こういうふうに法律を書くべきである。それならば意味がある。あなたの後段の答弁と一致する、前段答弁とは一致しない、こういうことである。  年金閣僚懇談会座長はどういうふうに考えておるのですか、どういう理解をしておるのですか、この法律の改正案提案について。
  32. 伊東正義

    伊東国務大臣 いまの御質問でございますが、両審議会から答申をいただきましたので、今回は支給開始年齢引き上げに着手するということは見送りまして、この問題につきましては、雇用との関係、いわゆる官民格差の問題、いろいろございますので、そういうことを頭に置きまして真剣にひとつ検討しようということで、この訓示規定を入れたわけでございます。
  33. 大原亨

    大原委員 この二月の十四日、政府との懇談会に出席いたしました自民党政調会長の安倍晋太郎君は、これは白紙還元だと記者会見で言っている。官民格差解消が先決だ、こういうふうに言っておるわけです。  大体いまの質疑応答について、もう一回蒸し返しますと時間が非常に惜しいから、委員長、いまの政府側の答弁の矛盾する点について、あるいは法律案との関係について、いままでの議事録を精査をして、政府がこの決定について、どういう中身決定法律案の提案をいたしておるのか、この予算の背景として重要な問題ですから、重要な政治課題ですから、そういう点について、統一見解を政府として一定の段階にするように私は要求いたします。これはもういまやりましても結局時間のむだだと思いますから、この点を理事会において検討して、政府の方の必要があるならば統一見解を出すようにしてもらいたい。
  34. 田村元

    田村委員長 政府側、どうですか。野呂君、どうですか。
  35. 野呂恭一

    野呂国務大臣 後段で申し上げた私の答弁を御了解願いたいと思います。
  36. 大原亨

    大原委員 前の答弁、この法文に即して私が質問してあなたが認めた答弁はうそなんですか。そんなことを言うんだったらまた私は……。
  37. 野呂恭一

    野呂国務大臣 うそを申し上げたわけでありませんが、雇用との関係あるいは共済年金などの官民格差の問題をも考慮しながら、その時期においてこれを検討すべきである、こういうことでございます。
  38. 大原亨

    大原委員 それならば、そのとおりの法律にこの法律を変えるべきである。閣議決定の要綱を変えるべきである。それでなければ国民をごまかしたことになる。所要措置というふうに言っておきながら、六十五歳を腹の中に考えておいて、そして審議会答申にもっともらしいようなごまかしの答弁をするというんだったら、それをそのまま——それが本当であるならばそのまま表現すべきである。そうしなければ、法律といたしましては、国民の権利と義務にかかわるのですから、これは許しがたい問題であると私は思います。いかがですか。
  39. 野呂恭一

    野呂国務大臣 それならば、統一見解を出させていただきます。
  40. 大原亨

    大原委員 次いで、話を少し変えまして、私が調査をいたしました結果は、いまの共済年金厚生年金国民年金中身がそれぞればらばらである。官房長官、これを統一的にこれからどうするかということを考えることなしに、一つ一つ法律改正をすることは矛盾を拡大することである、これは私が総括質問指摘をしたとおりです。それについて、大平内閣には責任を持って処理する人がいない。いま質疑応答でわかったように、官房長官もこれはしどろもどろである。座長といたしましての、そういう統括をする国務大臣としての職責を果たせるかどうか疑問であるとも思う。機構上にも私は欠陥があると思うのです。  そこで私は、この質問を続けるに当たって、きょうは国鉄総裁に御出席をいただいておるのですが、共済年金はたくさんあるわけですが、国家公務員、地方公務員、公共企業体、私学、農林共済があるのです。しかし、地方公務員の中にも国家公務員の中にも非常にたくさん細分化されておるわけです。保険料の負担や成熟度が全部違うわけです。加入者と受給者の比率が違うわけです。国鉄はいま成熟度が昭和五十二年現在で六四%、つまり百人の被保険者で——長官聞いてください。答弁メモはいいです。頭で考えなさい。六十四人が受給をしているわけです。月給は高いように言われますが、私が聞いてみたら収入が大体名目で十七、八万円です。平均年齢四十五歳以上が半分以上おりまして、もう十年くらいたちますと全部それが五十五歳の支給年齢に達するのです。現在のことを言っているのです。それで現在でもいかないということで、国鉄の年金については審議会を設けて、今井一男さんが会長で答申を出されて今年までは出ている。若干の追加費用があるのですが、皆年金下でどんどん一般財源や当局の原資を入れるわけにいかぬわけです。この国鉄の年金は国鉄だけではないのです。きょう年金問題懇談会の各閣僚やそれぞれの公団、公社の責任者に出てもらっておりますが、全部後先の問題だけなのであります。  国鉄総裁にお聞きをいたしますが、国鉄の年金は五年後、十年後、二十年後にはどういう成熟度になり、保険料負担はどうなるのかということであります。去年は、共済年金は六十に段階的に既得権を尊重しながら延長する措置についていたしましたが、しかし、それでも経過措置を含めまして大きな問題ですから、この点について国鉄総裁としてどういうふうに見通しをされておるかお答えをいただきたいと思います。
  41. 高木文雄

    ○高木説明員 御指摘のように五十三年度の成熟度は六四でございます。五十四年度、現在進行中でございますが、恐らく六八ぐらいになろうかと思います。さらに五十五年度は七二ぐらいに上がってまいります。現在私どもがいろいろ試算をいたしておりますのは昭和六十年くらいまででございまして、国鉄の再建計画は一応六十年を目標にしておりますので六十年を見通しておりますが、そのときには百人に対して、年金の受給集団の方が多くなりまして一一四になろうかと思っております。計算上の推定では一番状態が悪くなりますのが昭和六十五年でございまして、六十五年は一二五、六という数字が見込まれております。その辺がピークになりまして、それ以降は今後の国鉄の職員を何人にするかということによるわけでございますが、いま一応三十五万人で国鉄の仕事をやっていくという前提でございますので、三十五万人の職員数に増減がないと考えますと、六十五年ぐらいがピークになります。その場合の保険料率は、現在は御存じのように千分の百四十七でございますが、どうもそのころになりますと保険料率が千分の四百ぐらいになりそうだということで、これは年金としてなかなか成り立たないという現状でございます。
  42. 大原亨

    大原委員 それで非常によくわかったのですが、昭和六十年には一一四になりまして、昭和六十五年には二五の成熟度ですから、百分の百二十五ですから百人の組合員が百二十五人の年金加入者を負担することになるわけですね。そういたしましたら、そんなことはあり得ない。現在でも国鉄の共済年金は一番高くて、一万二、三千円平均ほど年金保険料を十七、八万円の俸給の中から払っているのです。ですからこれはもう国鉄だけではない。これから順序は考えておいてください、電電、それから地方公務員、その次に郵政、この三つについて、十年後、二十年後の成熟度と保険料の見通しについて簡単に聞きますから。これは完全に御破算、年金として成立しない。そういうことが放置できますか、できないと私は思う。あなたは大蔵省におられたし、いまは国鉄総裁で苦労しておられるのだから非常によくわかると思う。  年金というものは分母を小さくしておきますと成立しないのです。社会保険、健康保険とは違うのです。分母を大きくしておきまして安定させないと年金は成立しない。そのことについて社会保障制度審議会は、総理大臣諮問機関として雇用を含めて答申しておるわけです。全部老齢化社会の重要な問題である、こういう問題を指摘しておるわけです。順序といたしまして電電の担当者と、地方公務員の担当大臣と、それから郵政省の担当者で順次いまの点に触れて答弁してください。
  43. 小澤春雄

    ○小澤説明員 成熟度についてお答えいたします。  昭和五十三年度末で一五・四%でございます。それから十年後の六十四年度末で三五%、それから十五年後はちょっと数字がございませんが、七十三年、十八年後でございますが、五一%でございます。
  44. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 地方公務員全体を通じましての共済組合の成熟度についてお答えを申し上げます。  昭和五十五年の段階では一八%でございますが、六十五年では三五・三%と見込んでおります。七十五年で四六・五%、八十五年で五〇・八%と見込んでおるわけでございます。
  45. 大原亨

    大原委員 あと時間があれば順次……。  年金関係の閣僚が全部集まりまして、労働大臣も集まって、公的年金閣僚懇談会というのを、いま政府で責任を持ってやるところがないからつくったわけですが、座長官房長官初め全部各大臣ともよくわかっていないのだ。たとえば後藤田さんのところの地方公務員にいたしましても、都市共済年金あり、市町村共済あり、教職員共済あり、東京都あり、都市共済は、たとえば私の隣の選挙区だが、呉市のようにもう受給者の方が加入者よりもふえている、そういうところもあるわけだ。だからいまのように年金を放置しておいたならばむちゃくちゃになるわけです。そこで前の総括質問のときに、年金についてだれが責任を一体持つのだと私が大平総理に言ったら、官房長官、大平総理は、各大臣が責任を持ちます。各大臣は責任を持てぬでしょう。国鉄について運輸大臣、責任持てますか。運輸大臣は専売と電電の年金の窓口です。法律上は法律案をつくるところです。大蔵省、責任持てますか。大蔵省のある場所に質問いたしましたら、これは私どもの段階のところではありませんと言って、大蔵省のあれほど自負心の強い主計局の幹部でもそういうことを答弁している。つまり年金についてだれも責任を持っていないんだ。であるのに六十五歳だけつまみ食いをして、雇用との関係を考えないで厚生年金の改悪を考えるということは、年金に対する信頼を失墜する、国民の先行き不安を増大させる、これは非常に大きな政治問題である。  私は、時間の関係で提案いたしますが、宇野管理庁長官がいないけれども、いろいろなカットの仕方、行政改革の仕方をやっているが、内容的に大切なのは、場当たりではなしに中期長期の見通しを立てるような年金制度に行政を一元化する。たとえば厚生年金国民年金厚生省のものも各省のものも全部年金一つにまとめて、そして年金庁をつくれば何も人員の整理も関係ないだろう。やっておいて、官房長官のように、あなたは非常に有能ではあるけれども年金については落第だが、担当長官をきちっと決めておいて、そしてこれが雇用との関係を考えながら総理大臣を補佐しなければ、総理大臣の指導性はどの部面においてもこれから重要な問題についてこれを貫徹することはできぬ。年金行政の一元化という問題等も含めて担当大臣の決定等でこれをやらなければ、こんな附則をつけたって、厚生大臣がやったって何にもならぬ。厚生大臣はかなり優秀だけれどもだめだ、機能を発揮しない、こう思うけれども座長である伊東官房長官の見解を聞きます。
  46. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  年金の問題の重要性というのは先生のおっしゃるとおりでございまして、共済年金との格差の問題とか、共済年金の中でもいまおっしゃったようにいろいろな問題があることはよくわかります。それで先般、公的年金に関する閣僚懇談会を設けたわけでございまして、これはまさに年金制度の重要性あるいはお互いの年金間のバランスの問題、いろいろございますので、第一回の懇談会を設けて、いま先生のおっしゃったような重要な問題がございますので、研究会をつくりましてそこで早急に研究しようということにこの間したわけでございます。  先生は、行政制度の問題として一元化する、年金の取り扱いを一本に役所をまとめたらどうかという御意見でございますが、私どもとしましては、機構を新しくつくるということよりもむしろいまの関係大臣がみんな責任を持ってもらうということで、そうした関係大臣の懇談会を開いた方が一番いいのじゃないかということで研究会を設けることにしたわけでございますので、行政機構の改革のことは、いまわれわれは考えておらぬという段階でございます。
  47. 大原亨

    大原委員 あなたは誤解が起きるようなつまらぬことを言ってはいかぬよ。私が言っているのは、新しい官庁を設けて人をふやせと言っているのじゃないのだ。年金関係を一カ所に集めて年金庁をつくればかえって能率的でかつ総合的になるから人が少なくても済むじゃないか。ふやす必要ないのです。いま年金という重要な政治課題を貫徹するのに行政がばらばらではいけないということを言っているのだ。大蔵省が予算査定の過程の中で、六十五を出さなかったら年金改定に応じないよという圧力をかけたに違いないのだ、あなたのところは。そしたら厚生大臣がばっと六十五歳を出してつまみ食いしたわけだ、大ごとになったわけだ。そういう場当たりのことをしてはいけないということを私は言っているのです。  官房長官、私の質問がわかっておらぬじゃないか。公的年金閣僚懇談会をいままで二回やったが、最初決めたことは二本立て、いいじゃないか、いいじゃないかと言ったらしいのだ。そうしたら、後で自民党の三役、国民の反対でひっくり返った。また、この間決めたけれども何を決めたかわからぬ。これはわれわれが質問するから答弁用に決めたと思うのです。そうではなしに、いままでのばらばらのものを、皆年金になったのだから整理をして一元化して、そして責任者はきちんと決めておいて総理大臣のスタッフとなるようにすべきじゃないのか。週休二日制でございます、アセスメント法でございます、六十五歳でございますとあっちこっちゃっておったら、幾らあなたが有能でも、中ぐらい有能であってもだめじゃないですか。いかぬでしょう。そういうことはわかるでしょう。あなたが答弁できなければこのことについては後の機会に、理事が代表してやるかどうかは別にいたしまして、後で総理大臣が責任ある見解を述べてもらいたい。というのは、前の二日の総括質問のときに、だれが責任持っているのかわからぬじゃないか、だれが持っているのかと言ったら、各大臣が持っています、こう言ったのだ。議事録に残っておる。持っておらぬじゃないか。これは大平総理大臣にこの質問を返しますから、あなたの答弁じゃだめだから、大平総理大臣のしっかりした年金行政の一元化についての答弁をぴしっとしてもらいたい、そういうことを要望しておきます。官房長官、わかりましたか。
  48. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  総理からの答弁は、総理に申し上げまして、するようにいたします。  ただ、いま言いましたように、私どもは関係閣僚懇談会でやることが一番望ましいということでやったことだけは申し上げておきます。
  49. 大原亨

    大原委員 もう一つ私は言っておきますが、このような中身と表現が違う、所要改定措置をとるべきものとするという法律案は、これは削除すべきである、国会で審議をする前に削除すべきである、中身が違うことがわかったんだから。そのことを私は言っておきますが、統一見解の中にそのことを含めて答弁してもらいたい、そのことを私は言っておきます。  さて、次には医療問題であります。医療問題の各論ですが、それに入る前に、私はスモンのことについて聞きたいのです。  スモン病は、私はここでいつかの機会にも指摘をいたしましたが、西ドイツでは二十二例、スウェーデンでは三例、スイスでは十三例、そうしてイギリスでは八例、欧米を合計いたしまして八十五例なんです。しかしながら日本は、厚生省の調査によりましても一万一千名なんです。つまり薬価基準の問題や薬づけ医療の問題や、あるいは点数出来高払いによる、良心的な医者のある中において非常に不正がたくさんあるということは新聞でも報じられておるとおりです。そういう医療の荒廃、乱脈があるわけです。これが薬づけ医療なんです。税金の制度にも関係がある。そういうことの結果といたしまして、このようなスモン病が出ておるわけです。  ですから、去年薬事二法を改正いたしたわけですが、この処理をしながら、これから本当に薬害のない、不必要な薬を使わない、財政が健全な、そういう国民が納得できるような医療をどうしてつくるかということが、これからの健康保険法の改正や医療改革の問題です。何しろ大蔵大臣、ことしの昭和五十五年度の医療費の推定見積もりは十三兆二千億円を超えるのですよ。一年間に一五%ふえているのですよ。国民から見ればこれを何で負担するかという大問題に逢着しておるわけですよ。  そこで、スモンの問題についてお答えいただきたいと思うのですが、これは事実ですから政府委員でよろしい。いままでスモンの問題については早期に解決するという答弁であり、少なくとも年内にはすべて解決のめどがつくはずであるのに、現状においては問題が残っているように思われる。現在までどういう問題を処理して、どういう問題が残っているかを簡潔にお答えをいただきます。
  50. 山崎圭

    ○山崎政府委員 お答えいたします。  おっしゃるように全面和解という形で物事を進めておるわけでございますが、本年二月十五日現在、すでに和解を取り結びました患者の方々の数は二千四百二名になります。和解一時金総額が五百六十三億円でございまして、そのうちの国の負担金額が百八十四億円、こういうことになっております。  そして、いま抱えております問題は集約して二つに言えると思いますが、一つは、各地方裁判所においてすでに判決が出ておりますいわゆる既判決者との和解の問題、それから今後残されております大きな問題の一つとしましては、投薬証明のないと言われております患者の方々との和解の問題であろう、かように考えておるところでございます。  以上でございます。
  51. 大原亨

    大原委員 ほかの方についてはとやかくのあれがあるのですが、前の橋本厚生大臣はスモンの問題かなり熱心にやってまいりました。非常に熱心にやってこられた。それから被爆者の問題では七人委員会というような制度審議会の構想を受け入れてやられました、それ以外はこれは厳しい評定になりますが。そのときに前の厚生大臣は、私の質問に対しましても、それから引き続いて参議院の質問に対しましても、投薬証明のない者も救済措置をとるのだということについてしばしば答弁をいたしておるわけです。そのことは原告、患者あるいはその他みんな非常に注目をし確認をいたしておるところですね。いま政府は東京地裁の勧告に従う意思があるかどうか。つまり、政府が求めて東京地裁の勧告を受けることになったが、東京地裁の勧告が出たならばそれに対しましてはどういう態度をとるのか、これをポイントですからお答えをいただきます。
  52. 野呂恭一

    野呂国務大臣 スモンの問題の解決は、御指摘のように証明のないこの問題をどう処理するかということがきわめて重要な問題でございます。御指摘のように、いま東京地裁においていろいろ検討いたしていただいておりますから、東京地裁の判断ができましたならば十二分に尊重いたして国の方針を決定いたしたい、かように考えております。
  53. 大原亨

    大原委員 東京地裁の決定を尊重するという言葉はいままで政府は言ったことがないのです。ないし、そんなことを繰り返したのだったら審議にならぬわけです、事態の進展にならぬわけです。すでに、橋本厚生大臣時代の言明によるならば、解決しておらなければいかぬわけだ。しかし、地裁の勧告を受ける段階にあるわけですが、それが出たならば、求めたところの政府はこれに、尊重するというのでなしに従うというふうに明確に言うべきです。それでなかったらいつまでたっても解決しませんよ。これは原告にとってもいろいろな意見があるはずですから、裁判所が決定を出したならばその勧告には従うのだということを政府ははっきり言わなければだめじゃないですか、いかがですか。
  54. 野呂恭一

    野呂国務大臣 橋本前厚生大臣の姿勢を私も踏襲し、何ら変わっておりません。積極的に取り組む気持ちでございます。しかし、いま東京地裁の御判断に対して十分尊重して国の決定をしたいと、こう申し上げておるわけでございます。
  55. 大原亨

    大原委員 それは勧告を値切ったりいろいろな判断を加えたりするということですか。いままでの和解とか判決をずっと積み上げていって政府との間に確認をしたものはそれとは違いますよ。そんなことはまた後ろへ後退するんですか。そんなことをやるのですか。行ったり戻ったりするのですか。あなたは後退するんですか。ちゃんと従うなら従うと言いなさい、国のことを言っているんだから。いかがですか。
  56. 野呂恭一

    野呂国務大臣 気持ちにおいては十分積極的に取り組む意思でございまして、ただ東京地裁の決定に従うという言葉でなくて、十分趣旨を尊重してその精神をくみとって積極的な解決策に当たりたい、こう申し上げるわけでございます。
  57. 大原亨

    大原委員 それはいろいろなことを値切ったりすることをしないでこれは誠実に従うと、頭を下げただけではだめですから答弁してください。
  58. 野呂恭一

    野呂国務大臣 従うという言葉が適当であるかどうか非常にお答えに困っておるわけでございますが、従わないということではございませんが、十分趣旨を尊重いたしまして国としては前向きにこれに対応いたしたい、こういうことを申し上げておるので、御理解を願いたいと思います。
  59. 大原亨

    大原委員 それは従うという意味でしょうが。つまり裁判所が公平な第三者として、こういうような裁定を求めた際に出した結論については従うということを言わなければいかぬじゃないですか、それが当然じゃないですか。なぜ言わないの、何かあるの。いいですか、私が言っていることわかるでしょう。私が言った意味ですか。こんなことで時間をとりたくない。
  60. 野呂恭一

    野呂国務大臣 十分尊重していきたい、こういうことで御理解を願いたいと思います。
  61. 大原亨

    大原委員 そんなことだめですよ、あなた。これは、東京地裁の勧告が出たらそのことについてそのことを尊重してこれに従う、こういうふうに考えてよろしいか。
  62. 野呂恭一

    野呂国務大臣 これは大原先生のお気持ちにおいては従うという姿勢でないかというふうにおとりをいただくことは、これは大原先生のお考えでございますが、私はその大原先生の御指摘の気持ちも十分体して十分尊重さしていただきますと、こういうことを申し上げておるわけです。
  63. 大原亨

    大原委員 わしの気持ちでなしに、いままでの経過を踏まえて、尊重して従うということなんだ。うんと言っているからそれでいきましょう。  問題は、膨大な和解金を、メーカーがこれが出た場合にこれに従うかどうか、こういう問題です。いかがですか。これは国が責任があると思うのですが、国が責任を持ってその措置をいたしますか。
  64. 野呂恭一

    野呂国務大臣 国の方針が決定いたしましたならば、企業に対しましては説得をいたします。全力を挙げて説得をいたしまして、これに従ってもらうようにいたしたいと思います。     〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕
  65. 大原亨

    大原委員 いま一部の、これは一部と言いましてもキノホルムをつくったのはチバと田辺しかないわけですから、投薬証明がないといってもこのどっちかであることは間違いがないのです。これは鑑定人やその他専門家がスモンだというふうに鑑定しているわけですから、そういうことが前提で投薬証明のないものについてメーカーがわからぬ、ブランドが不明であるということを言ったって、それは投薬証明ないのは古い人がないのですから、医者が医療事故になることを恐れて拒否するのです。あるいは病院がないとか死んだとか、あるいは時間がたったから証明ができぬとか、そういうことなんですから、しかし、実際にはチバと田辺の二つしかないわけです。ですからこれが応分の負担をするということはいままでの覚書、確認書のとおりなんです。そのことが実行できないと、この歴史的な薬害問題の決着はできませんよ。この点わかりましたね、わかりましたか、どうぞ。
  66. 野呂恭一

    野呂国務大臣 製薬会社、企業と国とがこれは責任を持っておるわけでございますから、国の方針に従っていただくように全力を傾けてこの問題の解決に当たってまいりたいと考えております。
  67. 大原亨

    大原委員 これは近く東京地裁の勧告が出るはずです。もう時間が来ますとこの問題は具体的な事実としてあらわれてくるわけですから、政府はやはり全責任を持つべきです。キノホルムをつくったのはチバと田辺だけなんです。輸入したりつくったりしたのはそれだけなんです。それを連続過剰投与いたしまして、いろいろな体質や条件と一緒になりましてスモンが日本に異常発生したわけです。ここに日本の医療の欠陥があるわけです。この問題については、日本医師会ははっきりした原因の究明と解決策について出していないことを、私は医療担当者として非常に遺憾ですが、しかし、私は質問を進めてまいります。  そこで、この前に議論をいたしました問題があるわけですが、それはこういうことであります。私どもは高度成長が終わって低成長時代の八〇年代を迎えまして、高齢化社会を迎えまして、あるいは疾病構造がどんどん変わっている実情に合わせまして、医療の大改革をしなければならぬ、そういうことで健康保険法案を政府は出したわけですが、しかし五十三年に出したら出しっ放しということであります。この問題は蒸し返しません。私は、政府が出した健康保険法の改正案も、継続審議になっておりますが、これは熱心にこれがいいと思って議論をする人が、国会では与党を含めてだれもいないわけです。ここに一つ問題がある。この問題の処理はきわめて重要な問題でありますが、私はその予算審議に当たって四つの点を指摘をしてきたわけですが、その点についての改めて具体的な答弁を求めるわけです。  その第一は、つまり薬価基準と実勢価格の問題については社会党の阿部委員やあるいは稲葉委員やあるいは公明党・国民会議の草川委員等も指摘をいたしたところですが、つまり薬価基準と実際の取引価格との間にギャップがあるからその利ざやをかせぐという点で、日本の制度としての点数出来高払いで、たくさん薬を出し注射を打てば打つほどもうかるというものがある。薬品は、これは薬効もあるが薬事二法で決定しておるように薬害もあるわけです、隣り合わせですから副作用もあるわけです。薬害もないし薬効もないような薬は、これは水とか空気と同じものであって薬ではないわけですから、それを最小限度使用の法則をもって良心的にやっておるお医者さんもたくさんあるんですが、そうでないお医者さんもたくさんある。そういう誘惑に陥らないような措置をとるためには薬価基準の改定をしなければならぬ。最近伝えられるところによると、薬価基準の改定、一部改定するやに新聞に伝えられておる。それは金や銀が上がっておる。銀が上がりますとX線のフィルムに影響をいたします。そういう面で緊急是正をするというふうに言われておるが、いかがですか。  もう一つは、この問題に関係して本年度医療費の改定ということについてどういうふうに考えておりますか。二点についてお答えください。
  68. 野呂恭一

    野呂国務大臣 まず第一点は、金銀などを使用いたしまする歯科材料の急激な高騰によりまして、いわゆる告示価格を上回る逆ざや現象が起こっておりますので、この告示価格を是正いたしますためにいろいろ関係方面と現在折衝中でございまして、改定の時期についてはいま申し上げることはできないのでございますが、きわめて近い機会においてこの問題の解決をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  第二点は、これに伴いまして医療の診療報酬の改定を行うのかどうかということにつきましては、いろいろの条件がございますので、その条件に対応しながら検討しなければならぬ問題でございますが、いまの段階においては診療報酬を引き上げるということは考えておりません。
  69. 大原亨

    大原委員 私は、いままでの国会での議論で、健康保険法のあるいは医療改革の問題を議論をすることで当然に政府が行政上なすべき問題をなさないでおいて国民の負担を要求することはいけない、こういう観点から薬価基準の改定を年一回するということは調査をした上においてなすべき当然の改定措置であるから、これは当然にやるべきである。年一回、去年やっていないでしょう、ことしは薬価基準の改定についてやるのかどうか。薬価基準の改定についていままで議論があったように、問題はバルクライン九〇というふうなことはないわけです。いろんな政策と組み合わせていけば九〇でなくてもいい、八〇、七〇、六〇にすれば、それで買えないところについては政府の政策をやればいいわけだから、だからそういうことを含めまして調査の仕方とバルクライン九〇の問題とを含めて、薬価基準の改定国民が納得できるように政府は行政上責任を持って提案をして実行すべきであると思うが、いかがです。
  70. 石野清治

    ○石野政府委員 薬価基準の改定作業でございますけれども、現在鋭意取りまとめ中でございまして、できるだけ早い機会に作業をまとめまして改正をいたしたいと思っておるわけでございます。  その際に、先生の方から御指摘ございましたいわばバルクラインの問題等につきましての御指摘でございますけれども、御案内のとおり大変大きな問題でございまして、中医協でもいろいろこの方式につきまして御議論がございまして結論が出ていないまま現在に至っておるわけでありますが、私の方は、第一に今度の薬価調査の結果を市場価格を十分反映した価格でできるようにすることが一番いいことでございまして、それの上に立って、さらに必要であれば方式の問題についていろいろ検討しなければならぬ、こういう態度でございます。  それから、年一回の改定をすべきではないかというお話でございましたけれども、確かにできれば毎年行いたいわけでございますけれども、御案内のとおり、五十三年の調査の結果というのは大変膨大な資料でございまして、相当年月がかかっておりますためにおくれておるわけでございます。今後できるだけ市場価格を常に反映させるような基準にいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  71. 大原亨

    大原委員 つまり、中央医療協議会というのは保険者——言うなれば健康保険制度というのは保険者、健保連や政府管掌の保険庁長官、あなた厚生大臣は二重人格で厚生行政の責任者と一緒に保険庁の監督者である、保険者団体の代表である。保険者と医療機関、診療機関、これが協議をして診療内容決定をして、そして財政負担をするというのが保険制度である。それが真っ二つに分かれておる。この一つの大きな原因は、与党と日本医師会の幹部が癒着をしておる点がある。医師会が独善的で国民意見を聞こうとしない。これが一つの大きな原因である。総論だけ言っておいて各論は責任のあることは言わないということが原因である。  そこで問題は、中央医療協はいろいろな経過があって、公益委員というのは国会の承認人事である、したがって行政上必要であるというものを公益委員を通じまして反映させることができる仕組みである、幾ら機能がパンクいたしましても。そういう薬価基準と実勢価格の問題についてはきちんとけじめを詰めて、保険者団体だけではない、行政上どうあるべきかということを示さないと、昭和五十三年度の調査は膨大な調査であることは私は知っておる、知っておるが、その結果こうですよということを言わなければ事態が進まないではないか。このことを発表することをどこかへ了解を求めなければ進まないということの行政はいけない。  こういうことについて厚生大臣は、これは大臣の答弁を求めましょう、薬価基準の改定を速やかに、いついつまでに実施するとお答えください。
  72. 野呂恭一

    野呂国務大臣 私、就任早々にいろいろなレクチャーを受けた機会に一番感じたことは、この薬価基準の改定を速やかに行うことではないか、こういうふうに感じましたので、事務当局に一日も早くその作業を進めて結論を出すようにということを指示いたしておりますので、御指摘のことが近く実施できるものだと考えております。じゃいつであるかということについては、いろいろ作業状況等も判断をいたさなければなりませんので、いま明確にお答えすることはどうかと思いますが、とにかく可及的速やかにこの作業を進めてまいりたいと申し上げたいのであります。
  73. 大原亨

    大原委員 これは予算案や国民生活と非常に関係深いのです。すでに調査は実施されておるのです。済んでおるのです。整理をしてどういう結論を出すかということですが、厚生大臣、衆議院の予算の審議が終わるまでにこの問題については、少し緩やかにいたしますが、いつ改定をするかという見通しをはっきりつけてもらいたい、いかがですか。
  74. 野呂恭一

    野呂国務大臣 予算が終わるということになりますと、参議院も含めれば三月三十一日……(大原委員「衆議院だ」と呼ぶ)衆議院ということになるとまず二月一ぱいということになりますので、今月中にその結論をということは申し上げにくいわけでございます。とにかく可及的速やかに出したい、こういうことで御了解願いたいと思います。
  75. 大原亨

    大原委員 この前の議論のときに、予算を審議をする前提あるいは健康保険法改正の前提や医療改革の前提として指摘をいたしました点は、いままでも申し上げましたけれども厚生大臣が行政といたしましての中立性、自主性を堅持するということであります。したがって、皆保険下の社会保険の支出が適正に行われておるかどうかということを審査、監査することは当然のことです。この問題で障害があることは医療機関だけと相談するということはないはずだ。保険者とも相談しなければいかぬのです。昭和三十五年の日本医師会と厚生省の申し合わせ事項の破棄を私は指摘をしたわけですが、このことは、行政の中立性、厚生大臣の自主性、国民の医療の確立という観点からも、そして医者の中からでも、不正やあるいは水増しをするのがもうかって正直にやる者はもうからぬじゃないか、技術が安いじゃないか、こういう議論がいっぱいあるのですから、そのためにも、患者と国民の信頼関係を確立するためにも、医療機関の信頼のためにも、行政は中立でなければならぬ。でなければ川合病院とか、いまでたらめがあるわけです。きのうも新聞に出ておる。ここに資料がある。ですから、その問題については、私は、三十五年の覚書については破棄をすべきである、そして行政の中立性を保持しながら各方面と公平に相談をいたしまして、そして行政の渋滞を快癒をして、そしてガラス張りの中で国民医療保険財政の問題におけるむだの排除もすべきであるというふうに考える。この点について、厚生大臣答弁は前回よりも前進いたしておりますか、いかがですか。
  76. 野呂恭一

    野呂国務大臣 厚生大臣として当然なすべき行政については責任を持って進めてまいるわけでございますが、ただ、いろいろの関係分野との、円滑にこれを執行するためには配慮をしなければならない点も御理解を賜りたいと思います。したがいまして、御趣旨の点につきましては私も同感でございます。鋭意この円滑な執行を進めながら国民の願いにこたえてまいりたいと考えております。
  77. 大原亨

    大原委員 健康保険法四十三条を中心とする指導と監査の問題は、行政大臣としての厚生大臣の職責について規定してあるのです。保険者ではないわけです。ですから、一部と癒着をしただけでこの問題を進めてはいけない。保険者との間においても公平に措置されなければいかぬし、国民との間においてもそうである。そういう面において行政の自律と自主性を私は主張いたしておるわけですが、あなたの答弁は、趣旨においては賛成だけれども中身についてはあいまいである。この点は委員長理事会において重ねて、いままでの審議中の問題について予算執行において国会の一つの結論を出す、こういう規律をきちっとするという意味において結論を出してもらいたいということを私は要望しておきますが、いかがですか。
  78. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 ただいまの大原君の御要望の件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  79. 大原亨

    大原委員 老人保健の問題ですが、老人保健の問題についてはどういうことで改革を進めようというのですか。つまり、国民健康保険を見ましても医療全体を見ましても、老人の占める比率は人数的に多くなっているだけでなしに、医療費がふえている。     〔渡辺(美)委員長代理退席、小宮山委員長     代理着席〕 いまは二四、五%ですが、たとえば四十数%、半分以上になるだろう。このことが悪いことではないのですが、しかし、いまのこの問題に関係をいたしまして、老人医療の例の問題の覚書にもありますが、無料化を有料化にする、受益者負担を導入するという考え方が覚書にもあるわけです。大蔵大臣もそのことは知っておられると思うのです。これが一つの課題です。  私は、いまの老人医療の無料化をそのまま是認するものではない。なぜかといいますと、いままで高齢者の疾病は、言うなれば脳卒中にいたしましても循環器その他の系統の病気にいたしましてもそうですが、これはいわゆる成人病と言われておるわけですね。これを病気だと言って細かに検査をいたしまして薬をどっさりやりますと、そうするとそれを消化することはできないわけです。成人病の医療について一番大切な点は健康管理なんです。いままでは結核が大きな問題でありましたから、保健所を中心に予防をやったわけです。予防注射等を普及したわけです。今度は成人病が中心になっていますから、これは健康管理が中心です。健康管理をきちっとやれば、たとえば岩手県の沢内村のようにずっと地域でやってまいりますと、医療費はうんと減ってしまうのですよ。つまりお年寄りが考えているのは、自分のこういう体全体の調子はどこが原因だろうかということについて相談する相手が欲しいわけです。幾ら病院を駆け回りまして薬や注射を打ってもらっても老人は安心しないわけです。ちょっと悪くなりましたならば、病院へ入ると、住宅問題もございまして、死ぬるまで寝たきりになってしまうということになります。だから健康管理とか、医療の段階に入りましてリハビリテーション、機能回復とかというものを中心とした老人医療の体制をやるならば、健やかに老いるという言葉があるが、死ぬるまで元気で社会的に活動することができるのです、年寄りは。人口が高齢化したから医療費がかさむ、疾病が多くなるというのはうそなんです。元気になったから中年層、高年層で平均余命率が上がっているわけです。これをどう生かすかということが政治の課題です。  老人医療については健康管理とリハビリテーションを重視をして、治療偏重でない、薬づけでない医療をすることが大切です。そのための改革に総知をしぼらなければならぬ。これが十三兆円の本年度の総医療費の一つの問題の解決でもある。そう前向きになれば、受益者負担を老人医療に導入する必要はないのです。大蔵大臣、ないのです。そういうことをやるということを、昭和五十二年、前の健康保険法を改正する衆議院、参議院の段階において、何よりも真っ先に老人の医療保健について政府は手がけてこれを実施すべきであるという決議をしておるわけです。その決議を守っていないところに問題があるわけなんです。そして小沢試案とかあるいは橋本試案というふうなまちまちな案が出てまいりまして、ますます混迷しておるのが実態ですよ。野呂さんも、あなた一年ぐらいでやめるのですか。そのうち野呂試案出すのですか。そしてやめてしまうのですか。そういうことでは、五十六年に何をやるかと言えば、有料化しかないでしょう。財政当局から締められたら有料化しかないでしょう。だから、覚書の所得制限にいたしましても老人医療にいたしましても、受益者負担の問題というのは、政府の政策の怠慢のためにこういうことになることはいけない。  そこで、私は腹をくくって答弁してもらいたいと思うのですが、老人医療健康保険制度の確立については、野呂厚生大臣政府はどのような考え方を持ってこれに対処するのか、いままでの経過を踏まえてひとつ御答弁をいただきます。
  80. 野呂恭一

    野呂国務大臣 大原先生の、老人医療制度の確立のために、いままでどちらかと言えば病気にかかってからの問題として老人医療制度が偏り過ぎておるのではないか、むしろそれまでに予防医学的な立場、リハビリを含めて健康管理ということが重点になっていけば、したがって老人医療に対する経費の節減も行われるのではないか、したがって医療全体の一貫性のある事業を実施して、そして老人医療の確立を図っていくべきであるという御趣旨に対しましては、全く同感でございます。そういう意味から、老人医療制度については財政調整、受益者の負担をも含めて保険事業をどのように拡充していくかということについて基本的な見直しを考えなければならないという政府・与党間の認識を確認したというのが大原先生が御指摘になった覚書の一つの項目であると思います。ただし、この覚書というのは頭に覚書と書いてないのでございまして、厚生省と大蔵省、そして党三役を含めて老人医療制度その他の問題についてわれわれはこういう点について考えていかなければならぬではないかという政府・与党間の認識を確認するということに相なったわけでございます。
  81. 大原亨

    大原委員 そういうことでは全く認識不足である。あなたは、これから予算を審議する、あるいは在任中にいつ、老人医療の保健制度の問題について問題をどこでまとめてどういうふうに実施をするのか、そういう方針があるのか、いかがですか。
  82. 野呂恭一

    野呂国務大臣 なお先ほどの御質問の中で、橋本試案あるいは小沢試案、いろいろ一つの見識をお出しになっていただいておるわけでございます。これらの御意見も十分踏まえながら、また関係審議会答申もいただいて老人医療制度の将来を明確に打ち出してまいりたいと考えております。
  83. 大原亨

    大原委員 無為無策のために——老人医療無料化というのはいま非常に定着しているのです。これは、つまり高齢化社会に率いて核家族がふえていて、寝たきり老人が六十万にも達しようというときに、みんなの不安に、ニーズにこたえているのです。しかしながら、このまま続ければ、全体の保険もそうですが、財政的にもパンクするということでしょう。ですから、これをどうしようかということですが、これを有料化しようということを含めて来年やろうというのですが、全体の老人医療保健についての制度が確立しなければ、これは結局はいままで蓄積をいたしました無料化の制度というものがパンクいたしますよ。受益者負担になるのでしょう。いままでと、橋本厚生大臣、小沢厚生大臣と同じことじゃないですか。昭和五十二年に、前の健康保険を通すときに衆議院の社会労働委員会で単独決議をしているのですね。速やかにすぐ着手してこれを実現することということになっているのです。単独決議になっている。それで、もう一回また健康保険が赤字が出たから出すというのではだめですよ、そんなことでは。これは大平内閣の責任ですよ。これからどういう日程で、いつごろまでを目標に老人の医療保健制度の問題を政府としては責任を持ってまとめるのですか。いかがですか。
  84. 野呂恭一

    野呂国務大臣 衆議院、参議院におきまする決議も十分承知いたしておるわけでございます。したがいまして、橋本、小沢試案などいろいろの御意見を踏まえまして、そしてなるべく早く、関係審議会にも諮りながら政府としての老人医療保健制度というものを確立する方向に向かって作業を進めてまいりたいと考えております。
  85. 大原亨

    大原委員 いつまでにやるのか。
  86. 野呂恭一

    野呂国務大臣 いつまでかということに対していま明確にお答えできる段階でございません。お許しをいただきたいと思います。
  87. 大原亨

    大原委員 大平内閣野呂厚生大臣は大切な医療政策については全く無責任である。無責任のままで、来年の予算を査定になると大蔵省、大蔵大臣からぎりぎり言わされて受益者負担で有料化までを進める、そのことを認めたのが覚書である、自由民主党三役が立ち会った覚書である、こういうふうに私は理解するが、大蔵大臣、この点は間違いないでしょう。
  88. 竹下登

    竹下国務大臣 厚生大臣、私、官房長官、それから党三役で今後の方向を確認した、こういう趣旨のものであると理解しております。
  89. 大原亨

    大原委員 このままでいけば受益者負担で有料化になる、こういうことですか。そうでしょう。——この予算委員会でも小沢厚生大臣のときに、昭和五十二年の健康保険の改正に伴うときに、この老人医療保健法については出すということを言明しておりますから、その議事録を調べて、いまの質疑応答等を踏まえて、決議等を踏まえて——いまの厚生大臣答弁では納得できないです。このまま、無策のままで老人医療の有料化に入っていくのだろうということを否定できないでしょう。これは参議院選挙の争点になりますよ。重要な争点ですよ。予算修正にも関係ありますよ。重要な問題ですから、あなた、腹を決めて答弁しなさい。
  90. 野呂恭一

    野呂国務大臣 覚書と称するものの中においても、政府・与党間でその認識を確認いたした中にも、老人医療制度については昭和五十六年度に所要の制度改正の実施を図る、そのためにできるだけ早い機会に関係審議会に諮問するものだということでございます。国会のいろいろの御意思等も含めましてその基本的な見直しを早急に実施したい。したがって、五十六年には老人医療保健制度についても明確な改正の方向を打ち出せるものだと考えております。
  91. 大原亨

    大原委員 五十六年には老人医療保健制度についてはきちっとしたものを出す、その前段として制度審議会その他に諮問をすると言うが、その案をいつつくるのですか。いつつくって、いつ諮問をして、いっその法律案を完成して出すのだ、これをもうちょっと……。
  92. 野呂恭一

    野呂国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、五十六年に所要の制度の改正をする、こういうことでございますから、それに基づいてできるだけ早い機会に審議会答申を求めたいということでございまして、いまのところ具体的なスケジュール、何月に審議会答申を求めるとか、そしてその準備にかかるとか、現在すでに厚生省部内におきましては老人医療制度をどういうふうに持っていくかということで作業に入っておるわけでございまして、御了承いただきたいと思います。
  93. 大原亨

    大原委員 時間が参っておりますからあれですが、老人医療の問題は非常に大切な問題である。しかし、日本の制度全体が行き詰まった場合に、ヨーロッパではいろんなケースがあるけれども、やはり社会保険方式を当面は改善をしながら、これを本流としてやるべきだろう。ただし、老人医療については、功成り名遂げて一生働いた人ですから、六十五歳以上の人については全部の国民が負担をして、そして、言うなれば給付の面においては、公共保健サービスの長所を取り入れて、たとえば開業医その他に対する医師の登録制等もやって、健康管理を中心に全体として相談相手を設けるとか、あるいは保健所の機能を復活いたしまして、結核の予防から成人病に移るわけですから、保健所を中心に健康管理の制度を確立する、その際には診療機関の協力も求める、こういうことで、登録制等で人頭割りの点数出来高払いの欠陥を是正するような措置をとるべきだ、こういうふうに私どもは思っておるわけです。大綱を持っているわけです。このことについては一々議論はいたしません。時間がありませんから出しません。  それから問題は、大蔵大臣、予算の修正に関係いたしましては、老齢福祉年金については所得制限を強化しようと思うのでしょう、覚書で。そうではなしに、今回の予算の修正で野党、社会党の要求等が出ておるわけです。老齢福祉年金は二万三千円というふうに一応の結論が出まして、いよいよこれから二十日ごろにかけまして重要な段階に来るわけです。問題は、財政上の見地から大蔵省の諸君は、所得制限とかあるいは老齢福祉年金を、全体に影響することを考えてできるだけ抑えよう、こういうことで非常に低く抑えているではないかということであります。  そこで、私の試案ですが、一つの提案ですが、老齢福祉年金はそうですが、経過的な年金です。五年年金も十年年金も強いて言えばそうでしょう。しかし、これが国民年金全体の財政に致命的な影響を与えている。それで連動しているわけであります。そこで、老齢福祉年金は十年たちますと受給者がうんと減るわけです。急角度に減少してなくなっていくわけです。明治四十四年四月一日以前に生まれておる人が亡くなれば老齢福祉年金がなくなるわけです。だから、この十四、五年のことを考えながら財源を借り入れて、これを年間に均等して分けていく、分割して返すという方針をやるならば、特別会計を設けるならば、老齢福祉年金を底上げしまして——これはどこの審議会でも低いと言っているのだから、それを適正な水準に引き上げることができる。こういうことを含めて、老齢福祉年金の底上げについては、私ども社会党を初め野党の要求について真剣に対処してもらいたい、いかがですか。
  94. 竹下登

    竹下国務大臣 予算修正問題でありますが、原則的に申し上げますならば、今時点で各般の事情を総合的に勘案してこれをベストとして御審議をいただき、そして野党も含め御理解をいただいて、年度内成立を期待をしておるというのが原則でございます。が、修正案等が提出されました場合、それに対しては真剣に対応するということは、総理が申しておるとおりでございます。  それから、いまの年金問題につきましては、私もいろいろな角度からの意見を一度承りましたが、それこそまさに大蔵省として考えるべきことかどうかという問題もございますので、担当当局ともこれからも検討は進めてみたいというふうに思っております。
  95. 大原亨

    大原委員 行ったり来たりいたしまして悪いのですが、せっかく法務大臣出席ですから、法務大臣に一言質問いたします。  法務大臣に対する質問は、去年の健康保険の問題のときに、非常に混乱のもとになりました医療保険財政調整法案というものを五月十二日に出している。七十二名の賛成がありますが、私がリストを調べてみますと、倉石さんがこの賛成者の中に入っておられるのですね。この財政調整法案は十割財政調整法ですから、これは言うなれば保険料を税金のように取り立てるということですから、国営方式になる、公共保健サービスになるわけです。これは日本医師会が考えていることとは違うわけです。保険料の方を税金のように取っていきますと、こっちの方も公共保健サービスにするというのが常識なのです。それを出したものだから、質の違うものを出したじゃないかということで大混乱いたしまして、これはちょんになったわけです。この前の大平総理大臣は、この問題はいまは消えてなくなっておるというふうに自分は判断をしておるという答弁であります、議事録ではありませんが。あなたは賛成者になっている。これは、総務会長でありましたからね、あなたは。一番悪いのは齋藤幹事長だと私は思うのですよ。あなたも総務会長でしたから賛成者になっておられるのですが、これはもう一回この国会で出るということはありませんか。それなら私どもそのつもりになっておかなければいけませんから、賛成者としてのあなたの見解を率直にお聞かせください。
  96. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 経過はお説のとおりでありますが、私は法務大臣として出席いたしておりますので私がお答えするのは適当でないかもしれませんが、御質問でございますから申し上げます。  自由民主党でああいう法案をつくることが適当であるという党議が決定されまして、提案をいたすことになったわけでありますが、自由民主党では議員立法いたしますときには党三役の署名がなければ出せませんので、そういうことで一応の解説を聞きまして、これを党議にしたい、こういうことでありますので、そういう意味で賛成もいたしましたし、提出することにも了解を与えておるわけであります。  お話のとおり、これからまた出すかということにつきましては、私はいま党務を離れておりますので、何ともお答え申し上げることはできません。
  97. 大原亨

    大原委員 それではこれで終わりますが、第一の質問条項にあるのですが、やはりいま中期的な政策とかいうことがよく言われるのですが、政策の展望が必要なときに、総合性が必要なときに、福祉の見直しでも中身を充実させるということが必要なときに、どうも大平内閣の体制というのは本当に主導性があるというか、責任を持てる体制ではないのではないか。年金について、あるいは医療について議論いたしましたが、あるいは雇用について議論がありますが、そういう点を徹底的に議論をして、そういう政治上の合意を得なければ、これからの八〇年代に対処することはできないのではないか、それに対応できない。予算でもどんどん修正する。対応できないということになるならば、大平内閣は終わりではないか、と私は断言しても過言でないと思う。ですから、そういう問題を含めておるということをこれからの議論の中で十分理解をされて、そして予算修正その他にもどんどん対応していただく。そして誤った点はよりよい点に是正する。いままで予算編成の途中でやっているのだということだけではなしに、そういう点については虚心坦懐に、大蔵大臣等もきょう出席でありますから、ぜひその問題について善処をしてもらいたいということを最後に申し上げておきまして、私の質問を終わります。
  98. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 これにて大原君の質疑は終了いたしました。  次に、坂口力君。
  99. 坂口力

    坂口委員 財政危機の中で、医療費の高騰という問題が非常に重要な問題になってきております。きょうはその辺を中心にして、まず前半お聞きをしたいというふうに思います。  新経済社会七カ年計画を見ましても、昭和六十年の雇用、特に完全雇用達成のためにどうしたらいいかということがるる書かれているわけであります。その中で、是が非でも完全雇用というものは達成しなければならない、そういう名目がそこに並べられているわけでございますので、まず労働大臣からお聞きをしたいと思いますが、この完全雇用達成をなし遂げていきますために、どのようなところで雇用の創出というものを考えていくか、どういうふうにお考えになっているかというところからまずお聞きをしていきたいと思います。
  100. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 御指摘の、新しい経済の七カ年計画の中で昭和六十年の完全失業率一・七と言っておりますが、ほとんど完全雇用という状態に持っていくためには、いろいろ産業構造が変化をいたしましたり、あるいはわが国の人口構成が変化をしていきましたり、そして高学歴化が定着をしていくといったような日本の社会の動きに対応いたしまして、その中で完全雇用が達成されていくように努力をしていかなければいけない。こういう考え方に立ちまして、七カ年計画の中でできる限りその動いていく方向を見定めまして、それに対応するような労働行政を展開をしていくようにしたい、こういう考え方に立って動いていこうとしておるわけでございます。  その中では、いまいろいろお話し申し上げてまいりましたけれども、特に七カ年計画の中では、産業構造の知識集約化、サービス経済化の方向に対応した雇用機会の拡大、創出を図るということを前面に出しまして、特にその中で、知識集約的な組み立て加工産業、対事業所サービスあるいは余暇関連サービス、教育・文化、保健・医療、福祉などの社会的なサービスなどの面で雇用吸収の効果が比較的大きい、こういうふうに見込まれておりますので、そういった分野に対しまして発展を期待をいたしますと同時に、その方向に向かって雇用を吸収をさせていくようにいろいろな手だてを講じていきたい、このように考えておるところでございます。特に中高年の問題は非常に大きな問題として浮かび上がってきておりますので、そういったこともこの中に織り込みまして対応していくようにいたしたい、こう考えておるところでございます。
  101. 坂口力

    坂口委員 いまその方向性として大体四つのことを言われました。特に知識集約的な産業、それからサービス業、サービス業の中でも特に企業活動の外部化に伴う対事業所サービス、あるいは家計消費の外生化に伴う余暇関連等のサービス、それから教育・文化、保健・医療、福祉等の社会的サービス、こういった四つの点をお挙げになったと思いますが、その中で四番目にお挙げになりました保健・医療の社会的サービス、これにはいろいろの職種があろうかと思いますが、このいわゆる医療のかさの下で働いている、直接の医療従事者だけではなくて、関連の企業あるいは商社、そうしたところも含めて、これは細かな数字は結構でございますが、大ざっぱに申しましてこの中で大体どれぐらいの人が働いているというふうにお考えでございましょうか。また、昭和六十年を目標にしました場合に、この辺のところが大体どのぐらいふくらんでいくというふうに考えておみえになりますか、お聞きをしたいと思います。
  102. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 厚生大臣からお答えするのが正確かもわかりませんが、いまの話の続きとして私からお答えをいたしたいと思います。  医師、看護婦等の医療従事者の数は、昭和五十三年末の医療施設調査によりますと約百四十四万人、また昭和五十三年におきます医療品関係の販売業や製造業の従業者は、厚生省の調べによりますと約二十六万人となっております。御質問の医療関連企業に従事する者の範囲を一義的に定めることは非常に困難でありますけれども、ひとまずこれらのものを医療関係労働者として合計をいたしますと約百七十万人、こういう人数が見込まれるかと思うのでございます。  そこで、今後の動向でございますが、六十年度までにどれだけの数になるのかということを正確に申し上げますことは、これは今後の厚生行政がどのように展開をされていくのか、それから文部省の方で医師、歯科医あるいは薬学関係、看護婦さん等の養成がどのように進められていくのかというようなこととも非常に関係がございますので、正確な将来の数字を申し上げることは私の立場では控えさせていただきますが、私ども労働省の考え方といたしましては、医療などに対する国民の需要はまだまだ大きくなってくる、そういったサービスのあり方がまだまだふくらんでいくだろうというふうに考えておりますので、いま申し上げました医療関係の従事者の数はさらにまだ相当にふくらんでいくもの、このように見込んでおるのでございます。
  103. 坂口力

    坂口委員 ついでに労働大臣にもう一つだけ先にお聞きをしておきたいと思います。  きょうの一部新聞を見ますと、労働省の方が労働政策として第三次産業重視に転換をされたという記事が出ております。これはいまも御説明いただきましたように、医療の中でも関連の第三次産業に属するような部分につきましてはなかなか把握ができていないわけでございまして、この辺をこれから細かく把握をしていこうというおつもりのようにも承ったわけでございます。したがいまして、この第三次産業重視という問題は、これは労働基準法等にも関係をしてくる問題でございまして、いままでのところ労働基準法の中には、工場法から出発をしたということもございまして第二次産業までが中心でございましたので、第三次産業は必ずしも全部入っていなかったわけであります。したがいまして、これらを総合的にこれから把握をしていこうということになれば労働基準法の改正という問題に突き当たってくるのではないかと思いますが、そのことに一言触れていただいて、次に進みたいと思います。
  104. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 先ほどお答えをいたしましたように、いろいろな面で日本経済社会の姿が変わってきておりますし、また変わってまいります。その中の一つは、いまお話し申し上げましたように高齢社会になっていくということであるし、一つは非常に大きな特徴といたしましては、やっぱり第三次産業の面で雇用がもっと動いていくことになろう、こういうふうに経済の動きを見ながら労働省としても見通しを立てているわけでございます。  昭和五十年から昭和六十年までの間で就業者は全部の産業で約五百万人ぐらい増加するもの、このように予測をいたしておりますが、産業別の動きを見ますると、第一次産業の割合は引き続いて低下をしていく、若干ではありますけれども低下をしていくというふうに見込まれますし、第二次産業での就業者の伸びも全体としては低く、その割合は横ばいを見込むことができるのではないか、このように考えます。それと比較をいたしますと第三次産業は、国民生活の高度化、多様化に伴うサービス需要の増大などからかなりの増加をしていくもの、構成比で言いますと、五十年の五一・九%から六十年には五五・七%といったような構成が見込まれていくわけでございます。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 特にその中では、第三次産業の中でも企業活動の外部化に伴う事業所サービス、先ほど先生も御指摘がございましたように、家計消費の外生化に伴う余暇関連等のサービス、あるいは教育・文化、保健・医療、福祉などのサービスがぐんと伸びるだろう、こういうふうに見込まれているわけでございますので、従来の労働行政がともすると第二次産業中心に労働をいろいろ監督をしてまいります面で重視をしてきたその傾向を、さらに新しい第三次産業の中でなおこの労働行政の面で非常に不備な点が多うございますので、そういった点の実態を十二分に把握をいたしまして、きめの細かい正しい労働基準行政が進められていくように対策を講じていかなければいけない。そしてできる限り第三次産業で雇用が吸収されていくような方向に向かって誘導していくようにいたしたい、こう考えておりまして、当面はやっぱり実態をよく把握するということが非常に重要なことでございますので、労働基準法の改正等、いつの段階で行うかということをいま明言することは控えさせていただきますが、そういった大きな流れの方向で調査をし、検討を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  105. 坂口力

    坂口委員 それでは労働大臣に少しお待ちをいただくとして、厚生大臣の方にひとつお聞きをしたいと思うのです。  いま労働大臣からお話がありましたように、第三次産業、とりわけその中で保健・医療関係のところに、昭和六十年を目途にいたしましてもかなりここにふくらんでいくであろう、こういう予測あるいはまた期待を述べられているわけであります。厚生大臣の立場から、この医療関連の労働者というものが一体今後どれぐらい抱えられるかということをお聞きをしたいと思います。どのぐらい抱えられるというふうに考えておみえになるかということをお聞きをしたいと思います。
  106. 野呂恭一

    野呂国務大臣 先ほど労働大臣からお答えになりましたように、現在におきまする従事者は約百七十万人ではないか。これは私どもの調査の結果を申し上げられたわけでございます。したがって、今後どの程度になっていくのかということにつきましては、やはり人口構造の高齢化に伴いまして、当然保健・医療に関する需要が増大してまいることは言うまでもありません。したがって、それに対する適正なやはり医療施設などの整備も進めていかなければなりませんけれども、大体どの程度になるのかという数字をいま的確に把握することは大変困難であると考えますが、かなりの増大が予定されるのでなかろうか、かように思います。
  107. 坂口力

    坂口委員 国民総医療費は昭和五十四年度の推計で大体約十兆円ということでございます。これが昭和六十年には大体どれくらいになるというふうにお考えになっているのかということもひとつお聞きをしたいわけでございますが、それとあわせまして、いま厚生大臣昭和六十年、いまよりも医療関連で働く人たちの人数というのはかなりふえるであろう、こういう予測をしておみえになるわけでございますけれども、しかし、昭和六十年を目標にしました場合に、その時点で医療需要がどれくらいふえるかということがはっきりいたしませんと、なかなかどれだけふえるのかということが把握しにくいだろうと思うのです。昭和六十年度を目標にしました場合に、医療需要というものがどれだけふえるのかということもあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  108. 野呂恭一

    野呂国務大臣 五十三年の二月の厚生省の推計によりますと、国民医療費は昭和五十八年には約二十兆円になるであろうと見込まれておるわけでございます。仮にこの推計と同じ前提のもとで昭和六十年度におきまする国民医療費はどのようになるのかということを予想いたしますと、約二十六兆円になるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、医療需要の高まりを昭和六十年にどの程度に考えておるのかということでございますが、近年の医療需要の増大、多様化というものは、人口構造の高齢化に伴います病気の構造の変化あるいは医学、医術の進歩によりまする医療の高度化、さらには国民医療に対しまする関心の高まり、こうしたいろいろの要因によって考え出されていくものでございまして、このような傾向は基本的には今後とも継続していくものだと考えております。  したがいまして、これらの変化に対応した体制の整備を進めていきたいというふうに考えておるのでございますが、医療のこうした需要の変化にもたらす社会的、経済的な要因はきわめて複雑でございまして、これを簡単に予測することは困難でございますので、お尋ねのような推計はいまのところ行われていないということをお答え申し上げたいと思います。
  109. 坂口力

    坂口委員 いまお答えのように、厚生省が出されております昭和五十八年までの国民総医療費の推計を見ますと、昭和五十八年で二十兆二千八百億という数字が出ておりまして、これをそのまま年一五%ずつアップするという、それを延長いたしますと、六十年には二十六兆八千二百三億円、こうなるわけであります。ただ、五十六年の推計が十五兆三千六百億になっておりまして、これが五十五年には十一兆九千億でございますので、いままでの推計とここで若干違ってきているわけでございまして、ここが五十五年から五十六年の間の厚生省計算はかなり数字が飛んでいるわけでございまして、これを昭和五十五年の十一兆九千九十一億円から一五%ずつ順番に五十五、五十六、五十七、五十八、五十九、六十といくというふうにいたしますと、六十年には二十三兆九千億という数字になります。厚生省がいままでの、五十八年までのこの推測をもとにいたしますと二十六兆八千億ということになるわけでありまして、これだけこれからいくわけでございまして、この厚生省の二十六兆八千億の数字でございますと、国民医療費の対国民所得比で見ますと、八・〇二%ということになります。私が計算をし直したもので見ますと、七・一七%ということになります。七、八%のところにいくということではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、このように医療費が高騰をしていくことだけは事実でございますし、その中でどうするかということが今後非常に大きな問題になるわけでございます。医療費を高騰させます原因につきましては、いま厚生大臣もお述べになりましたが、人口の増加、それから高齢化、これは当然医療費をアップさせる原因になりますが、この人口の増加と高齢化はいかんともしがたい問題でございます。それに加えまして医師の数の増加というのが、これが医療費を高騰させる大きな原因になっておりますことは、いろいろの研究者の結果からも指摘されているところでございます。またベッド数が増加すればするほど、これも医療費が増加するということが言われております。そのほか医療技術の高度化というもの、これが進めば進むほど医療費がアップをする。それから薬剤費が高騰すればするほどこれもまた医療費が高くなる。こういった問題が医療費を増加させる要因として考えられるわけでございます。  そこで、文部大臣にお聞きをしたいと思いますが、現在医学部がたくさんございますが、今後医学部の新増設というのがあるのかどうか、あるいはまた医学部の学生の定員増というものがあるのかどうかということをひとつお聞きをしまして、人口十万対比で結構でございますが、昭和六十年に医師、歯科医師の数がどのくらいになるのか、それから大体二十年先、これは先のことなのでわかるかどうかわかりませんけれども、大体どのくらいなところにいくというふうにお考えになっているか、わかりましたらひとつお答えをいただき  たいと思います。
  110. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 お答えをいたします。  御存じのとおり、昭和四十五年に厚生省は人口十万当たり医師百五十人を確保する必要があるというお話がございました。そういうことを目途としながら四十八年から各府県にそれぞれ医科大学をつくってまいりまして、ほぼこれが完成を見たわけでございますし、また、私立大学の医学部もその間に十六ほどふえておりますから、現在、五十六年度におきます国立、公立、私立大学医学部等の入学定員は八千三百六十人になっております。これは人口対比十万に対しまして百二十七人ということになりますので、四十五年に確保したいと言っておりました人口対比の医師数は昭和六十年を待たずに達成される見込みでございます。それから歯科医師の方におきましても同様の状況で、五十一年度以降四歯科学部をつくっておりますので、五十五年度における入学定員は三千三百六十人。したがいまして、四十五年の当時確保すべきと言われた十万人に対して五十人という歯科医師の数はおおむね達成されておる、こういうことでございます。  したがいまして、将来の状況を見ますと、不足の時代から若干充足をして、過剰になるかどうかこれは問題がありますが、そういう時代に入ってきておると思いますので、今後当面医科大学等のこれ以上の新設は考えておりません。しかし、先ほどお話がありました今後におきます医療水準の非常な高度化でありますとか、あるいは高齢化の時代とかいうものに対しましての問題がございますので、各方面と十分に協議をしていかなければならないと思っております。  それから、二十年後の状況でございますが、これは若干の仮定が必要だと思いますが、二十年後の昭和七十五年の医師、歯科医師数の推計は、医師が約二十七万人、人口十万対比約二百五人、それから歯科医師は約十一万人で、人口十万に対しまして約八十人、こういうふうになるであろうと推計をいたしておるわけでございます。
  111. 坂口力

    坂口委員 もう一度厚生大臣にお尋ねをいたしますが、先ほどお聞きをしましたように、昭和六十年には厚生省の調査でございますと約二十六兆八千億、このように医療費がなりますが、この医療費はやむを得ざるものであるというふうにお考えになりますか、それともこれはもっと切り詰めなければならないというふうにお考えになっておりますか、いかがでございますか。
  112. 野呂恭一

    野呂国務大臣 やむを得ないというよりも、こうした本格的な高齢化社会に備えて、医療費をできる限り重点あるいは効率化することにおいて節減を図っていく必要があることは言うまでもないと思います。
  113. 坂口力

    坂口委員 労働大臣が述べられましたように、昭和六十年におきましては、現在約百七十万人と思われますところの医療関係労働者をもう少し上げていきたいというお考えでございます。私は現在医療関係で全部で約二百万人くらいあるかなというふうに考えておりますが、それを何とかそこへもう少しふやしていきたいという期待を持っておみえになるわけでございます。文部大臣の方は、大体医師、歯科医師含めまして充足の方向にあるので、これ以上学部やその他はふやさないけれども、今後の医療の需要と見合って検討していきたい、こういうお考えでございます。  そういうふうにいたしますと、これから、いままでに比べますと、医療関係の翼下で働く人たちの数というのはだんだんふえていくというふうに考えなければなりませんが、厚生省のお考えであれば、これは何とかしてここは余りふやしてはぐあいが悪いというお考えもあるようにも考えられるわけでございます。それは、現在の医療費というものの上昇を考えてみましたときに、現在の制度の中におきますと、その翼下で働く人がふえればふえるほど医療費を押し上げていく力になっていくわけであります。たとえば、薬剤の単価は値段が高ければ高いほど高くなっていくわけであります。また、最近非常に重装備をいたしましたコンピューターつきの機械器具というのがたくさん出てまいりまして、そういう医療器具がたくさん出てくればくるほど、それは医療費を押し上げる形になってくるわけでございます。  そういたしますと、これからの医療費というものを考えてみました場合に、第三次産業の中で特に保健とか医療のかさの下で働く人たちの数がふえればふえるほど、そのことは医療費を押し上げる作用をするというふうに私は考えなければならぬと思います。このことを労働省と厚生省との間でどのようにお考えになっているのか。厚生大臣の方からすれば、ここに人がたくさん入ってくれば、このことは医療費を押し上げることになりますから、医療需要はこれぐらいだから大体この辺でとめてほしいというような要望があってしかるべきだと私は思うし、また労働省の方から見ますと、しかし、この医療関係のところには大体これぐらいの労働者をそこに吸収してほしいという要望があって、そこで一つの接点が求められてしかるべきだ。そうでなければ、これは整合した一つの政策にならないわけでありますから、個々に労働省は労働省、そして厚生省厚生省というふうに、ばらばらにそのことを検討をしておみえになったのでは、非常に問題が生じるのではないかというふうに私は思うわけでございます。このことをひとつ聞きまして、そしてもう一つ次に進みたいと思います。
  114. 野呂恭一

    野呂国務大臣 御指摘の、お医者さんとか看護婦さんの場合は直接医療に従事されておるわけでございまして、これが増加するということが医療費の増加の要因であるということは私は言えると思います。しかし、計数的にそれをどのような医療費の値上げの要因になるのかということまで把握することはきわめて困難でございます。  それからもう一つ、医療関係企業の労働者の増加というものが果たして医療費の増加にどういう結びつきを持っていくのか、その要因は私は明確に言えないのではないか、こういうふうに考えております。
  115. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 医療従事者が増加をしていくという傾向は、やはりわが国の人口構成が高齢化等を中心にいたしまして変化をしてきている、その中で医療に対する需要がふえてきているということのあらわれだと思いますし、また、将来にわたりましてもこういった医療従事者がふえていくということは、国民の福祉が増進をしていくという意味においても喜ばしいことだと私どもは考えているわけでございます。  しかし、先生御指摘のように、厚生行政あるいは教育行政等と十分整合性を持たせて将来の見通しを立てて進んでいくことは、政府として非常に大事なことだと思いますので、今後関係省庁と十分連絡をとり合いながら進んでいくようにいたしたいと考えておるところでございます。
  116. 坂口力

    坂口委員 いま私の手元に社会保険診療報酬点数表がございます。これを見ますと、いろいろのことがわかるわけでございまして、いま厚生大臣関連企業のそこがふえることが決して医療費を押し上げることには結びついていかないのではないか、必ずしもそうは言えないのではないか、こういうお答えでございましたけれども、先ほど申しましたように、最近でございますと、コンピューター断層撮影機というのがございまして、その撮影をいたしますと、点数では千二百点ついております。非常に高価な、重装備をした機械器具であればあるほど、それに対する医療点数というのはふえているのが現状でございます。また、薬も非常に安いものは点数は低うございますが、それが高価なものになると上がっている。したがいまして、非常に高い薬をたくさんつくる製薬会社ができましたり、あるいはまたたくさんの機械器具をつくる産業がふえてまいりますと、そのことが医療費を押し上げることになっていくわけであります。  たとえば、医師が直接に行いますことに対する保険点数よりも、医師以外の人が、たとえば薬剤師でありますとか、あるいは検査技師でありますとか、あるいはレントゲン技師でありますとか、そういう人たちがやりますことにわりあい点数が高いわけです。医者がやらねばならぬ、たとえば眼底検査をやりますと十点でございますが、検査技師がたとえば尿のたん白とかを調べますだけで十点つくわけであります。あるいはまた医師が胸腔あるいは腹腔といったところの液をとるという胸腔あるいは腹腔穿刺と申しますが、針を刺して中の液体を抜くというような、こういった危険をかなり伴うようなことをいたしまして、これで大体二十点であります。それに対しまして、検査技師が血液型をちょっと耳から血をとって調べると三十点ついている。ここに非常にアンバランスがございます。また心電図の検査をいたしますと百五十点つくというふうに、非常に多いわけであります。それから心臓内注射、これは死ぬか生きるかのところだと思いますけれども、そういう非常に危険を伴うことをいたしましても、これで二十点という点数であります。医師そのものが行います点数というのは比較的点数が少なくて、そうでないところにかなり多い。その多い部分というのはどうかといいますと、それは薬や機械を非常に重装備のものを使えば使うほどたくさんついている、そういうことになると思う。  医薬品の年間生産額、それから医療用具の年間生産額、国民総医療費の年次変化というものをパーセントで調べてみますと、四十九年から五十三年まで大体パラレルに増加をいたしまして、医療用具がふえる、それから医薬品がふえるのと国民総医療費がふえるのとはパラレルになっているわけでございます。こうしたことが言えるわけでございまして、このことを考えますと、やはりここに多くの人を吸収していくということは、必ず医療費を上げてくることに結びついてくるのではないかというふうに思っています。  その結びついてくる原因は、保険点数に私はあると思います。いま申しましたような保険点数がほかにもいろいろございまして、この中にもっと改革しなきゃならない点はたくさんあろうかと思います。私はこれを見ましていろいろ疑問に思ったのですが、たとえば耳鼻科で耳を片方治療しますと十点、両方しますと二十点になる。目も片方しますと十点、両方しますと二十点。鼻の穴を治療したいと思うと、片方十点、両方やりましても十点。鼻の穴は近いから一つずつに勘定しなくて、耳と目は遠いから別々に勘定するのかどうか知りませんけれども、そういうことがございます。また、輸血用の血液にしましても、いわゆる生血という、とりましてすぐの血液を輸血するという場合には、これは四百三十点ついております。ところが、梅毒の検査とかいろいろの血液の検査をしまして、安全にしました血液を輸血する場合には二百四十点しかついていない。しかも生血の場合には、百cc輸血するごとに四百三十点である、この安全な方は二百ccを輸血して二百四十点である、そういうふうに非常にアンバランスがあるわけであります。この辺のところに、物を使えば使うほど医療費を押し上げていくという物の考え方がこの中にある。  私が申し上げたいのは、この健康保険法が今回ここに法案が政府から提案されておるわけでございますが、政府の案は、初診料なりあるいはまた入院費なり、あるいはまた薬剤費なりの自己負担をふやして、それによって医療費が上昇していくのを抑えよう、こういう形になっているわけでございます。少なくともそう見えるわけであります。そのようにいたしますと、どういたしましても受診抑制というものが起こらざるを得ない。また、そのことを期待しているのかもしれません。そのことが果たして今後の医療行政のためにいいことかどうかということを考えなければならないと思うのです。  一方におきまして、厚生省が今度、きのうの新聞でございましたか出ておりましたが、医療関係者審議会に対しまして、医師国家試験専門委員会というものを設けまして医師国家試験の内容について検討をしてもらうように諮問した、こういう記事が出ています。この中に出ておりますのは、現在余りにも医療が細分化をされて、そして専門的なことは知っておるけれども一般的なことについては知らないというようなことがあるので、基礎的な知識だとかプライマリーケア、初期診療と括弧してここに書いてありますが、初期診療ということで一言で言えるかどうかわかりませんけれども、こういう初期診療をぜひひとつやらねばならないという方向で検討されている。これは結構なことだと思う。結構なことでございますが、現在あります点数表というのは、とにかく重装備をした値段の高い機械器具を使えば使うほどこれは点数が上がりますぞ、そして薬を使えば使うほど上がりますぞという、そういう内容でございまして、いわゆるプライマリーケアを中心とした医療を行うような点数になっていないわけです。  たとえば、もし仮にある医師がおりまして、かぜがはやって三十人のかぜの患者が来たといたします。そしてその患者さんの中で、十人が新患で二十人がもしも十日以内の再診だったとします。そしてその医師が、私はどうしても薬だとかそういったものは使わない、生活指導一本でいくのだ、こう言いましたときに一体どれだけになるかということになると、それは初診料が千円ずつでございますから十人で一万円、そのあとの二十人は三百三十円ずつでございますから六千六百円で、一万六千六百円という値段になる。もしもその人が、詳細については看護婦さんなり何なりを使ってもう少し指導をするということで一人雇うということになりますと、それはやっていけないという形になっているわけです。保険点数では、いわゆる生活指導とかそういうような指導をすることは、初診から二週間の間はどれくらい行ってもゼロである、それは指導料としては認めないということになっている。慢性の疾患だけに認めるということになっている。  そういった国全体の雇用を含めた労働行政あるいはまた文部行政、それからまた厚生省内部の行き方を見ましても、医療費を高める方向を向いている。このことをこのままにしておいて、そして現在の健康保険法を、額が上がっていくから何とかしてこれを下げなければならないというので一部自己負担を導入するということは、ちょっと順序が逆じゃございませんか。私はそのことを言いたいわけでございますが、いかがでございますか。
  117. 野呂恭一

    野呂国務大臣 まず第一の問題の、先ほど医療関係企業の労働者の増加が医療費の増加に結びつくかどうかということにつきましては、先ほど御指摘のような医療の高度化に伴う医療費の高騰、これはもちろん御指摘のとおりであると思います。その医療の高度化に作用いたしております医療関係企業の労働者の増加が、直接医療費にどう結びつきを持つものであるかということは私は明確にできないのでございまして、したがって、医療費を押し上げていく要因だというふうにきめつけることはできないではないかというふうに申し上げたのでございます。  それから第二点の、健康保険改正法におきまして受益者の負担増というものが結果的には受診の抑制を生じさせるものではないのかという御指摘でございますが、御承知のとおり今回の改正案は、今後の医療費の動向、保険料収入の伸びあるいは家計におきます医療費負担の程度を勘案いたしまして、医療費の八割程度を保険で給付して二割程度を患者負担とするという考え方に立って策定されたことは御承知のとおりでございます。  この二割の患者負担の内容でございますが、薬剤問題の適正化を図るために薬剤費の二分の一の負担を導入し、従来からございました初診時の負担を千円、そして入院時の負担を一日千円、これは給食料と見合ったお金の額でございます。しかしその際、特に高価な薬品であるとかあるいは長期服用を必要とするような問題につきましては、十割の現物給付ということにいたしますと同時に、患者負担が月二万円を超える場合におきましては、超える分を保険で給付する。さらに特例といたしまして、低所得者層につきましては患者負担の限度額を月一万円にすることによって、高額な家計負担による受診抑制が生じないように配慮いたしておるわけでございます。もちろん薬価基準の適正化を図りまして患者負担の軽減を図ることが大事でございまして、必要な医療を妨げることのないように努力いたさなければならないことは当然でございます。  それから第三点の、プライマリーケアの充実が今後大変大事であることは言うまでもございません。したがいまして、医師の修得を推進する必要があると考えておりますが、坂口先生はお医者さんでございますから、したがってあとの問題につきましては政府委員から答弁をさせたいと思います。
  118. 田中明夫

    田中(明)政府委員 プライマリーケアにつきましては、御案内のとおり従来から卒後臨床研修の充実、臨床研修指導医の養成に努めておるところでございますが、昭和五十五年度におきましては、五十四年度に引き続きまして国立病院、療養所の機能を強化するとともに、新たに公的医療機関等の臨床研修病院にも地域医療研修センターを整備することといたしております。
  119. 坂口力

    坂口委員 さっき厚生大臣がお答えになりました中で、受診抑制になるかどうかということに対して余り明確な答弁はなかったわけですが、昭和四十八年の十月ですか、五割から七割に政管健保の家族がなりましたね。その前後のところを見てみますと、非常に明確になっているわけです。このときには五割が七割でよくなったわけですから、非常にふえているということがわかります。特に入院外におきましては、一三%も五割から七割になりましたために政管健保の家族ではこの受診がふえているわけであります。高齢者におきましては、入院率は三〇%ふえているわけであります。逆に、五十三年の二月でございますか、この保険点数の改正がございましたときに、この自己負担が、初診が六百円にふえました。このときの政管健保を見てみますと、一人当たりの診療件数は、五十二年には六・六五という数字でございましたが、五十三年には六・五三というふうに下がっております。この辺を見ましても、受診抑制になることだけは間違いがないわけであります。何が大事かということは、先ほどの、私の前の大原先生の議論でもございましたけれども、やはりプライマリーケアのところでどうするかということが医療費をいかに抑えるかということにも結びついてくるわけでございまして、この辺をそのままにしておいて、そうして国全体の政策としては医療費を押し上げていくような方向に持っていきながら、なおかつこの医療費を抑えようというところに問題があるわけでございます。  先ほど御答弁がなかったわけでございますけれども、今後昭和六十年ならば六十年の抱える国民総医療費というものが、国民需要としては大体このぐらいは高くなるだろう、こういうことを割り出されているのならばこれはまだ話はわかりますけれども昭和六十年にどうなるかということがわからぬままで、そして現在の医療費が高騰しているかどうかということの判断はむずかしいわけでございまして、その辺を厚生省はもっと明確にすべきだと私は思うわけであります。  いろいろ研究者の論文は出ております。特に津村さんという方の論文はたくさん出ておりますが、この人あたりは、昭和六十年におきましては大体現在よりも医療需要は三八%ふえるであろう、需要は一三四%、三四%ふえるであろう、その差は四%に縮まるというような論文も出ているわけでございまして、一般の皆さん方がこうしていろいろの検討をしておみえになるわけでございますが、その肝心かなめの厚生省がこの辺のところをもう少し明確にして、そうして、そんな先の話と違うのですから、ただ五年先の話でございますから、その辺に一体どれだけの需要がいくのかということを明確にして、そしてそれにはこれだけに国民総医療費を抑えなければならないとか、これまではやむを得ないことなんだとかということを出さずしてこの健保法の改正案を出すのはまことに軽率ではないか、私こう思うわけであります。  ですから、この辺のところを、今後の健保法のこの改正案がどう審議されるか、まだ私つまびらかに聞いておりませんが、どのように政府としては対処されるのかということを最後にお聞きしたいと思います。
  120. 石野清治

    ○石野政府委員 医療需要と国民医療費そのものの推計とちょっと違いますので、私から申し上げるのはいかがかと思いますけれども、私の方は、従来の、過去の十カ年なりの医療費の伸びをトレンドいたしまして、これから六十年ぐらい、どのくらいになるかということを先ほどお示ししたわけでございまして、先生のおっしゃっていることは、恐らくいろんな需要の増加があるけれども、それらを踏まえてどのくらいの需要になるのかというお話でございますので、そのいまの数字が即医療需要の額というふうにはいかないと思うわけでございます。若干の誤差はあると思いますが、いずれにいたしましても、私の方は昭和六十年なり五十八年の時点で国民医療費の総額はどの程度になるかということが一番大きな問題でございますので、過去の推計方法等もいろいろ検討いたしまして、さらに精細なものを出したい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  121. 坂口力

    坂口委員 いや、私が言っておりますのはそういうことではなくて、人口だとか老齢化だとか、どうしても増加のやむを得ない部分があるわけです。それはそれとしてやむを得ませんけれども、しかし必要以上に増加しては困るというのが、これは考え方でしょう。ですから、やむを得ざる部分とそうでない部分とを厚生省としてはある程度ここで明確にしておかなければならないと思うのです。そうしなければ将来に対する目標を立てられないじゃありませんか。大蔵大臣厚生大臣の間で予算の話がいろいろ出ましたときにも、それじゃ厚生大臣は労働大臣にその点をどう御説明になるのでしょう。大蔵大臣は何が何でも切っちまえということを言っておみえになるのでしょうか。どうもそんなお顔をしておみえになりますけれども、これはそれでは困るわけでして、いろいろの覚書を交わすぐらいならば、政府が現在やっておりますその政策を転換をする、医療費を引き上げていくような政策をまず転換するということ、私は、大蔵大臣厚生大臣に、そうしたらどうだね、君、こう言ってほしいと思うのですよ。政策のことは抜きにして、ただ、これ以下に君おさめたまえというような大蔵省の言い方では困ると思うわけです。重要な問題でございますので、厚生大臣から一言答えていただきたいと思います。
  122. 野呂恭一

    野呂国務大臣 健康保険の仕組みの中で、医療費の適正化を図っていくということがやはり大変大事なことでないかと私は思います。したがいまして、たびたびこの医療費の適正化のために従来から薬価基準の適正化を早く実施しなさいという督励も受けておるわけでございます。  なお、保険医療機関の指導監査の充実もさらに強化していかなければならぬ、あるいはまた、お医者さんの請求明細書などについての点検、この推進も重点的な仕事として、これらを実施いたしまして、したがいまして、医療全般に絡む各般の問題の施策を十分強化、実施していくことにおいて医療費の異常な高騰を抑制していく方向に向かって考えていかなければならない、かように考える次第でございます。
  123. 坂口力

    坂口委員 厚生大臣はこのドラッグマガジンの中でも、健保法は何が何でも通す、こう強烈に言っておみえになるわけですが、何が何でも通すは結構ですけれども、筋道を立てていただきたい、そう思います。  先ほど私申しましたように、保険点数表というのはいろいろの意味で不備があると思います。この法律の審議とこれは別に考えていただいても結構でございますが、もう一遍この見直しというものをやってもらいたい。いかがでございます。これに対するお答えだけしていただいて、次に進みます。これは大臣、答えてください。——それはだめですよ、相談してもらっても結構ですが。
  124. 野呂恭一

    野呂国務大臣 特にこの問題につきましては、技術料の問題を重点にしながら改正をしていくべきだ、こういう判断をいたしております。
  125. 坂口力

    坂口委員 そのとおりなんですけれども、それをやれますかということをお聞きしているわけです。そういう、思っていますだけではなくて、それをやれますかということです。
  126. 野呂恭一

    野呂国務大臣 改正していきたいと考えております。
  127. 坂口力

    坂口委員 それでは、大蔵大臣に最後に一言聞いておきたいと思います。  いま申しましたように、医療費の高騰というのは財政の中で非常に重要な部分になってまいりました。しかし、政策的な欠陥からくる増大というものがいま指摘いたしましたようにかなりたくさんあるわけでありますので、この政策をどうするかということを抜きにして、大蔵省の考え方を各省庁に押しつけられるようなことはもってのほかだというふうに私は思っております。このことに対する見解をお聞きをして、進みたいと思います。
  128. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに今後人口の老齢化、医療の高度化等を考えますと、医療費の増高が予測されます。したがって、これは財政的見地からこれに対してのいろいろな見直しもしていかなければならぬ。しかし、きょう御高見を承らしていただきまして、私もずいぶん勉強をさせていただきました。もとより政策的な、いわゆる予防医学というものにウエートをかければ診療そのものが減っていくというような原則のお話も聞きましたが、聞いて、やはり専門家は専門家としての意見があるものだなということをつくづくと感じたわけでございます。十分勉強させていただきます。
  129. 坂口力

    坂口委員 ほめてもらいますよりも、ひとつ実行をしていただきたいと思います。それでは労働大臣と文部大臣、ありがとうございました。  現行の母子保健の問題について厚生大臣にもう一つお聞きをしたいと思います。  母子保健法が制定されましてから十数年を経過をしているわけでありまして、本法制定当時、社会保障制度審議会からは「母子の健康確保の方向にわずかに一歩を踏み出したにすぎないものであって、各部面に未熟不備不徹底な点が多く、」云云、「今後ひきつづき改善を図ることを条件として了承する」、こういう条件つきの答申があったわけです。厚生省はこの答申をどのように受けとめて、これまでどのように対応しておみえになったのか、むしろ今後どうこれに対応していこうと考えられるのか、端的に申せばこの改正にいつ着手されるのか、こういうことをひとつお聞きをしたいと思います。
  130. 野呂恭一

    野呂国務大臣 御指摘のように昭和四十年の母子保健法の制定以来、この法律を中心にいたしまして、母子保健対策の充実に努めてまいったところでございます。母子保健法に定めております妊産婦や三歳児の健康診査などの事業のほかに、小児慢性特定疾患治療研究事業、一歳から六歳児までの健康診断あるいは先天性代謝異常検査などの施策の充実に努めてまいったわけでございます。  なお、これに対してどういうふうに今後この問題の解決に当たるのかということでございますが、わが国の母子保健の水準は、乳児の死亡率とか周産期の死亡率の改善に見られますように、今日では大きく改善、向上されてきたものと判断をいたしております。しかしながら、高齢化社会の到来によりまして今日の母子保健にかかわる社会環境の変化を考えてまいりますと、新たな観点から母子保健施策を樹立することが大変大事でございます。今後、これに対しては積極的に対応してまいらなければならないと考えておる次第でございます。
  131. 坂口力

    坂口委員 昨年六月に発足いたしました家庭保健基本問題検討委員会がございますね。母子保健行政の考え方、すなわち中児審に対する諮問内容を検討してもらうということだろうと思いますけれども、これは一体どのようになっておりますか。先ほどの御答弁でありますと、母子保健法改正に踏み切っていくのかいかないのか、いますぐやらないまでも、その方向に向かっているのかどうかという路線が非常に明確でない。その点も明確にしながら、ひとつあわせて御答弁をいただきたいと思うのです。
  132. 野呂恭一

    野呂国務大臣 御指摘のように、家庭保健基本問題検討委員会におきまして母子保健のあり方を検討願っておりますので、その結論を踏まえて方向を見出してまいりたいと考えております。
  133. 坂口力

    坂口委員 検討委員会からの意見または考え方は別にいたしまして、現段階におきまして一歳六カ月児の健康診査の実施主体というものが市町村その他、それから新生児、三歳児健診は保健所、さらに就学前の健診は教育委員会と言われるように、ばらばらでございます。これはきわめて不都合でありますので、一貫性を欠いているという声が非常に多いわけでございますので、体系的に一貫性を持ったものにする必要があるのではないかというふうに思いますが、大臣の所信を承りたいと思います。
  134. 竹内嘉巳

    ○竹内政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり妊産婦、乳幼児の健康診査、保健指導の実施主体は、現在、都道府県つまり保健所で行っておりますし、あるいは一歳六カ月児の健康診査は市町村、就学前の健康診断は教育委員会という形に分かれておりますけれども、分かれておりますにはそれはそれなりの目的がございましたので、そういう意味におきましては、一応所期の目的、効果というのはそれぞれにおいて果たされておるものと思っております。  ただ、御指摘のように実施体制が一貫するということは、いわばライフサイクルのスタートからそれぞれのデータをきちんと掌握できるということは、将来大人になってからのあるいは年寄りになってからの保健体制にとっても大変大切なことでございます。そういう意味でこの一貫体制ということについて私どもも前向きで検討させていただきたいという意味で、先ほど御指摘いただきました家庭保健基本問題検討委員会におきましてもそういう問題点を大きなポイントの一つとして取り上げて検討をお願いしておるところでございます。
  135. 坂口力

    坂口委員 ぜひひとつ検討をお願いしたいと思います。  それでは最後に、地盤沈下防止法につきましてお尋ねをしたいと思います。  私、この地盤沈下の問題をこの予算委員会で取り上げさせていただきますのは、たしかこれでもう五回目というふうに記憶をいたしております。三木内閣当時にも、そしてまた福田内閣当時にも何回か提案をいたしまして、地盤沈下防止のための法律をつくるということにかなり前向きな答弁をもらったときもありましたけれども、しかし、これがなかなか実現をしない。だんだんと日がたっていきまして今日を迎えているわけでございます。各省庁の間の意見というものはいろいろあろうかと思いますが、皆さん方から一々お聞きをしておりますとちょっと時間をとりますので、私が知っております限りをちょっとはしょって申しますので、もし異議がございましたらひとつつけ加えていただきたいと思います。  この関連の法案を、今回、建設省の方は地下水防止法という形で予定の中に入れておみえになりますし、通産省は工業用水法の一部を改正する法律案という形で入れておみえになるわけであります。また、環境庁は地盤沈下防止法案という形で予定の法案の中に入れておみえになります。また、国土庁は地下水の保全及び地盤沈下の防止に関する法律案という形で入れておみえになるわけであります。各省庁ともにそれぞれ論点は若干違うと思いますが、地下水に関係しておることだけは間違いないわけでございまして、これらを本当にお出しになるのかどうかということを私は一言ずつお聞きをしていきたいというふうに思っております。  私がいままでお聞きしておりますところの各省庁間の論点といたしましては、環境庁が昭和四十九年十一月の中公審の答申を受けまして、五十一年まで各省庁と協議をされてまいりましたが、五十一年までの間にどうしても話がまとまらなかった。そこで国土庁が今度はそれにかわりまして、五十二年、五十三年と法案を用意をしながら協議をされましたけれども、なかなか意見がまとまらず今日に至っているという状態ではないかと思います。建設省の方は、全地下水の利用、保全ということを主張しておみえになりますし、地下水は建設省の所管である、こういうふうに主張をされているというふうに聞いております。通産省の方は、地下水利用の五〇%は工業用水であるから、代替用水が問題であって、これは私の方が中心にやるべき問題である、こう言っておみえになる。農林省の方は、農業用水というのは太古の昔から農業に使っていた水であり、そして水田等の水はまた一部地下水にも還元されるものでありますから、使うだけではなしに、うちの方は一面では地下水をつくっておるとも言えるというようなことまでおっしゃっておみえになるように聞いておるわけでございます。したがって、農林省の地下水利用というのは除外をしてほしいというようなお話もあるようでございます。それから環境庁は、工業用水法とかビル用水法というような法律も持っておりますし、六大公害の一つでございますので、ぜひこれはうちの方でやりたいというふうに言っておみえになります。ところが、なかなか意見をまとめることができない。国土庁の方は、いままでの法律はないけれども、しかし今回の法律案というものをつくったただ一つの省庁でございまして、それをてこにしていままで奮闘してもらったけれども、これまたなかなかまとまらなかった。  それならば、環境庁と国土庁の間は、これは両方ともいままで推進した側だからうまくいっているのかというと、これもまたうまくいってないのですね。環境庁の方は、この規制方法で、もしも規制をする場合にはそれは知事にゆだねる、国土庁の方は、これは国が規制をするんだ、こういうふうに言っておみえになりますし、また、環境庁の方は規制が中心でございますが、国土庁の方は地下水の保全、代替ということもあわせて検討しておみえになる、こういう違いもあるわけでございまして、まさしくばらばらの状態で今日を迎えているのが現状であると思います。  まず最初に、法律をお出しになるのかどうか。環境庁や国土庁は結構でございますので、建設省、通産省、この二つの省は今回お出しになるおつもりがあるのかどうか、まずお聞きをしたいと思います。
  136. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま先生のおっしゃいました中で、私どもは地下水法案(仮称)、そのように申しておるわけでございます。お話しのような経緯がございましたが、当初はたしか緊急措置法のような話で出てきて、私も当時いろいろその審議の過程で参加をしたことがございます。お話しのような各省関係の問題もございますが、私どもとしましては、地下水の無秩序な採取等がございまして、そのために地盤の沈下あるいは地下水の水位の低下というようなものが生じまして障害をもたらしておるのが現状でございますので、国土の保全並びに私どもは水資源の確保とそれから適正な利用を図るという見地から、地下水を総合的に管理をしてまいりまするような法案をぜひつくらねばならないと考えておりまして、ただいまそういう意味で地下水法(仮称)でございますが、その案を検討いたしております。  したがいまして、環境庁、国土庁、通産省、それぞれ類似または関連法案を検討しておられるというふうに聞いておりますので、それらの調整に努めまして、私どもといたしましては早期成案を得るようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  137. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のとおり、私の方でも従来から工業用水の運営などによりまして地盤沈下の防止に努めてきたのでございますけれども、さらにこれを一歩進めまして、お話しのような地盤沈下地域における工業用水の使用合理化等を図るため、ただいま工業用水法の一部を改正することを検討しております。おりますけれども、関係各省大変多い問題でございますので、そういう各省とも十分相談いたしまして、できれば進めたいと存じております。
  138. 坂口力

    坂口委員 いま両省に聞きましたけれども、これは出すとはおっしゃらないわけであります。環境庁も国土庁ももう聞かずもがな、こう名前は挙げてありますけれども、しかし出せないだろうというのが本音だと私は思います。これは、国民に対してといいますよりも、各省庁のなわ張り争いで、地下水はわれわれの省庁の関連のものであるということを各省庁に誇示せんがために、各省庁とも一遍ただアドバルーンとして出してあるだけであって、これを出すつもりはさらさらないというのがいままでの経過であります。今度は知りません。前回の国会まではそうだったわけであります。多分今回もそうではないかということを私は危惧をするわけでありまして、それであってはこれは全然解決できないわけであります。  なぜこの合意ができなかったのか。ただ防止をするだけではいけないということは私もわかります。そしてそこには代替用水の問題が大事であることもわかります。一部特殊なものは除外をしなければならないものもあるかもしれません。その辺のところもわかるわけでございますが、その辺のところが何年議論をされても意見一つにならない。よって、合意のできるのはただ予算獲得のときだけ、予算を獲得するときだけは各省庁ともお寄りになって、そうして合意ができる、その以外のときには全然これが合意ができないというのがいままでの実態ではないかというふうに思います。私は、通産省や建設省や、そう言ってはまことに失礼でございますけれども、農林省も含めて、こういったところが非常に抵抗を示しておみえになるとだけ考えておりましたけれども、決してそうではなくて、環境庁も国土庁も含めて、お互いのなわ張り争いの中でこの問題を考えている、だから前進をしないと私は思います。  これをどう前進させたらいいのか、そのことを私はひとつお聞きをしたいと思う。農林大臣、いかがでございましょう。その辺どうお考えになっているか、簡潔にひとつお願いを申し上げます。
  139. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 私どもの省としては実は法案を考えてない立場でございますので、どうもいまの質問に私としては大変お答えしにくいのでございますが、農林水産省としては従来、やはり農業用水に使われるのは非常に層の浅いところの水を大体使っているわけでございまして、要は、農業用水を使ったから地盤沈下をもたらしているという原因は大変少ないのではないかという観点から、先ほど御指摘のようななわ張り争いというよりは、そういう考え方であったと思うのでございますけれども、いずれにしても、私どもとしては、いまそれぞれの省庁でいろいろと打ち合わせをしていただいておりまして、われわれの省の立場で言えば、率直に言って農業生産に支障のない限りにおいては、どういう形でも地盤沈下防止のために地下水の規制なり、あるいは地下水がどうしてもだめなときは代替をどうするかというような問題についての法制化が進められることについては、基本的には異存はございません。
  140. 坂口力

    坂口委員 通産大臣、いかがでございますか。
  141. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私はやはりこう各省にまたがっている問題は、私も長い間経済企画庁とか総合官庁におったのでございますけれども、そういうどこか総合官庁のようなところでこれはまとめていただく方が一番よろしいのではなかろうかという感じがします。
  142. 坂口力

    坂口委員 地盤沈下は三十八都道府県に及んでおりますし、最近は、環境庁のこの結果を見せていただきましても大分その沈降速度は鈍っている、こういうふうに書かれてございますが、しかし五十三年におきまして、年間に十センチ以上沈下したところが一カ所、それから八センチ以上のところが二カ所、それから六センチ以上が四カ所、四センチ以上のところが八カ所、二センチ以上のところが十六カ所と、こうございまして、二センチ以上くらいのところはかなり広い面積になっているわけです。農林大臣、先ほど、うちは関係ないというふうにおっしゃいましたが、決してそうじゃございませんで、たとえば養鰻でございますとかそういったところはかなりたくさん、いわゆる農水との関係でくみ上げておみえになりますし、また畑の灌漑用の水としてもかなりくみ上げておみえになるところもあるわけでございまして、これはやはりあるわけでございます。ゼロメートル地帯というのが千百二十四平方キロメートル、地盤沈下の認められる全体の面積は八千二百三十四平方キロメートルというふうに非常に広がっていることも事実でございまして、この二、三年は景気の停滞等もございまして、非常にそのことが影響しておるというふうに言われておりますが、これでまた景気がもし回復するということになれば、再びあのような地盤沈下が進むということも考えられるわけであります。昭和三十六年ないし八年ぐらいからこちらへ、これを見てみますると、大体一メートル六十センチぐらい沈下しているところがかなりあるわけです。  建設大臣、この地盤沈下によって大体どれぐらいの被害というものが出ておるのでございましょうか。あるいはまた、ことしならことしの予算の中で地盤沈下に関係して組まれた予算というのは大体どのくらいございますか。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕
  143. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 お答えいたします。  地盤沈下による被害というのは、影響が非常に複雑多岐にわたっておりまして、沈下による被害を直接的に算定するというのは非常にむずかしゅうございまして、全国的な被害額というふうな集計がなかなかできがたいものでございますので、ただいま数字はつかんでおりません。が、地盤沈下によりましていろいろ被害が出ておりまして、そのための対策というものにつきましては、私の方で海岸及び河川事業等で種々対応いたしておるわけでございます。特に首都圏の南部、新潟平野、濃尾平野、大阪平野、筑紫平野等で過去に非常に顕著であったわけでございますけれども、最近逐次、先生のおっしゃるように安定はしてまいっておるわけでございます。  特に、私の方で海岸事業でやっておる分につきましては、従前から千葉県、愛知県、三重県、大阪府及び佐賀県の中におきまして、高潮対策事業ということで沈下堤防のかさ上げをやってまいっております。そのほか河川事業といたしましては、海岸堤防に接続いたします河川の区域にわたりまして、東京、埼玉、千葉、横浜、それから新潟、諏訪、愛知西部、桑名、それから大阪、尼崎、佐賀という十一地区におきまして、河川の改修、高潮堤防のかさ上げ、排水機場の建設、漏水防止等の事業を実施いたしております。五十三年度の予算におきましては、海岸事業ではこれらの関係予算といたしまして三十四億円、河川事業では五百十四億円を支出いたしておるわけでございます。
  144. 坂口力

    坂口委員 この地盤沈下の損害額というのはなかなか把握しがたいものでございます。したがいまして、捨てられていることが多いわけでございます。たとえば田畑によりましても、地盤沈下が起こりましたために潮水がそこに逆流をいたしまして、いままでのように使用できなくなった田畑というのもかなりあるというふうに、私、承っております。また一般家庭におきましても、潮が満ちてまいりますときに海岸沿いではゼロメートル地帯になりまして、床下に二十センチから二十五センチの水がつく、床下が常に水がつくというようなところもあるわけでございまして、そういった害をこうむっているところも非常に多くございます。  したがいまして、こういったことを考えますと、法律をつくってそうして代替用水を用意をするというお金が要ることと、ほうっておいてそしてその補修に要ります額とを比較いたしましたときに、損得勘定を考えましても、これは早期に実現をしなければならない問題ではないか、かように考えているわけでございます。  環境庁、それから国土庁もお越しをいただいておりますが、一言ずつで結構でございますけれども環境庁としては今後どういうふうにしていったらいいというふうに思われるのか。国土庁としては、いままで一時リーダーシップをとっておみえになったわけでございますけれども、これからも自分のところでリーダーシップをとっていってまとまるという自信がおありになるのか、それとも、ここでさじを投げられるのか、はっきり申してもらいたいと私は思います。
  145. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  地盤沈下は典型七公害の一つに取り上げられておりまして、今日まで、環境庁といたしましても、地盤対策とあわせて地盤対策の法案の検討をいたしてまいったような次第でございますが、関係省庁の理解を得るに至らなかったような次第でございます。  今後、環境庁といたしましては、中公審の答申の線に沿って、関係省庁の理解を得るように最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。
  146. 園田清充

    ○園田国務大臣 お答えをいたしますが、先生御質問の中で、実は内容的に非常にお詳しいようで、御指摘のございました点、幾つかの、もろもろの点で実は各省庁問の意見が一致せずして、残念ながら今日まで意見の一致を見ておりません。ただ問題は、環境庁長官からは地盤沈下という点からの立場で地盤沈下防止法案ということをお考えになりますし、私どもの国土庁としては、国土庁設置法からいたしましても、水の長期的な需給計画というものを企画、立案をして推進をするという総合政策上、各省庁の御協力を実はお願いをするということで、イニシアチブをとった時期もございます。  御説のとおり、私どもは地盤沈下を来さないためには地下水の採取についても制限を加えていかなければならないし、かつまた、利水三省と申し上げますか、生活用水を担当される厚生省、あるいは農業用水を担当される農林省、それから工業用水を担当される通産省というものに対して、それぞれ水の不自由さを来さない中で地盤沈下を来さないためにはどうするかということに問題をしぼって各省庁とも協議を進めておるところでございますが、ここまで参りました以上、御指摘のとおり、でき得るならば官房長官あたりに入っていただいて、そして各省庁間の調整をひとつお願いをしてまいりたい、こう考えております。
  147. 坂口力

    坂口委員 いま答弁のように、各省庁とも非常に自信がないわけでございますし、このままで捨てておきましてはいかんともしがたい問題でございます。各省庁との意見が調整できなければ、各省庁はそれでいいかもしれませんけれども、三十八都道府県に及んでおりますこの地盤沈下を来している地域は、どうにもならないわけでございます。最近大きな台風等が来ませんからいいようなものの、大きな台風でも参りましたら一たまりもない、そういった地域が非常に大きいだけに、これは地盤沈下を続けております地域に住んでいる住民の皆さん方には大変大きな問題でございます。私のところにあちこちの町村から要請書が出ておりますけれども、これは長島町からでございますが、二千七百五十五世帯、一万一千七百八十五人の悲願を込めてという副題がついているぐらいでございまして、こういった切々たる訴えがたくさんあるわけでございます。これ以上この地盤沈下をほうっておきますと、土地だけではなくて、私は大平内閣の地盤沈下が非常にひどくなる、こう考えるわけでございますので、官房長官、いま国土庁からもああいうお答えもございましたが、ひとつこうした取りまとめをぜひこの際に私はやってもらわなければならないだろうと思います。そして、どうすればこれを一日も早く前進せしめるのか、ひとつこの際発言を願いたいと思います。
  148. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いま各大臣からお答えがあって、お答えを聞いていたわけでございますが、実は私もこの問題は、はっきり申し上げましていままで取り組んでおりません。これからの問題としていま御発言があったわけでございますが、地盤沈下というのは、おっしゃるように水の問題。水の問題というのは古来えらいむずかしい問題でございまして、なかなか話がつかなかったと思うのでございますが、いま各大臣からお話がございましたので、先生からの御意見もございますし、いまここで聞いておりまして、官房も少し中へ入りまして、各省庁の意見の調整、そしてこの法律を含めて、どうしたらいいか、一日も早くやるにはどうしたらいいかということをひとつ検討し、調整を進めてまいります。
  149. 坂口力

    坂口委員 もう一つだけ、追い打ちをするようでございますけれども、まあ今国会中にと言いましてもなかなかまとまることではないと思います。多分まとまらないと思いますので、今年中にぜひその結論を出すように、ひとつ官房長官がお取りまとめをいただきたい。その点もう一度念を押しますが、ひとつお願いします。
  150. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま先生のおっしゃったことは、今国会は間に合わぬかもしらぬということでございます。私も、いまお答えしながら、なかなかこれは大変だなと本当に思ったわけでございまして、それから先のことは、極力先生の御希望に沿えるように一生懸命努力してみます。
  151. 坂口力

    坂口委員 それでは、ひとつその点前進ができますように、お願いをしたいと思います。相なるべくならば、今国会中にできればそれにこしたことはございませんわけで、そうなることを願っておりますけれども、それができ得ざるときには、最終限度ことしいっぱいにどうしてもこれはまとめていただきたい、そのようにお願いをして、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  152. 小宮山重四郎

    ○小宮山委員長代理 これにて坂口君の質疑は終了いたしました。  午後一時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時三分休憩      ————◇—————     午後一時四十三分開議
  153. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席が少しおくれますので、御出席になるまで、指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。久保三郎君。
  154. 久保三郎

    久保(三)委員 私は、限られた時間でありますから、本日は交通運輸の問題等を中心にして若干お尋ねします。  その前に、これは官房長官にまずお尋ねしたいのですが、国会の委員会あるいは本会議で国会の意思を特別に決めます、いわゆる決議あるいは附帯決議と称されるものでありますが、この国会における決議の中で、特に政府に対する注文というか、そういうものをつけた決議がたくさんあるのであります。これまでごく最近の七十九国会から八十八国会までの間に、委員会での決議が六十一件、本会議の決議が多少あります。そういうものについて、さしあたりの調査をしましたところが、まじめに取り組んでいるものは、余りないと言っては語弊がありますが、少ない。はなはだしいのは、決議の趣旨に合わないような答弁というか回答をしているものもあります。もちろん中にはまじめにやっているのもありますよ。しかし、大事なものほど何かはぐらかしているというような見方をわれわれしているのでありまして、細かいことは、国会全体の問題でありますから、議運の方で扱うことになろうかと思うのでありますが、私はまず原則的な考え方を官房長官からお伺いしたい。いわゆる国会決議に対する政府の考え方はどんなものであるか。
  155. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  国会の御決議につきましては、やはりできるだけこれを尊重するという態度でいかなければならぬと思うわけでございまして、これに誠実に取り組みまして、可能な限りそれを実現していくというのが、私は政府の態度であるというふうに確信しているわけでございますし、今後もできるだけそういう態度で臨みたいと思っております。
  156. 久保三郎

    久保(三)委員 できるだけ尊重するということ、あるいは可能な限り尊重していきたいという言葉でありますが、言うなら条件つきで国会の決議は実行していきますというふうにとれますが、そうですが。
  157. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  国会の決議の中でも、財政に関するものでございますとか、すぐに財源を要するものとか、いろいろな種類のものがあるわけでございますので、財政事情等によりましておくれたりすることもございますが、われわれとしましては、やはり国会決議というものは誠実にこれに取り組んでいくというのがわれわれの態度でございますし、これからもそういうことでやってまいります。
  158. 久保三郎

    久保(三)委員 国会の決議、直ちに実行できないものもある、それはそうかもしれません。ただ問題は、国会の決議があった場合には、おおよそいままでのならわしというか方法としては、それぞれ政府がこれに対する見解を述べておるようであります。その見解は、可能な限りということで恐らく述べるのだろうと思うのですね、できないものがあるいはあるかもしれませんから。ところが、はっきり言えば、やりますという答弁をしているのをやらない、そういうのはどういうふうに思いますか。
  159. 伊東正義

    伊東国務大臣 御決議がたくさんあるのを一々覚えておりませんが、最近の決議では、この前も本会議財政再建に関する御決議なんかありまして、一般消費税ということに対して、そういうものによらない手法でという御決議があったことを記憶しております。今度の予算でもそういう態度で臨んでおりますし、いま申し上げましたが、特に財政等に関係しますものは、財源が要るものはすぐにできないということもあるわけでございますが、少し時間がかかりましてもなるべく御決議は実行していく、最大限に誠実にそれに取り組んでいくというのが政府の態度でございますし、これからもそのつもりでやってまいります。
  160. 久保三郎

    久保(三)委員 国会の決議というのは、国の最高機関でありますから、言うならば国の方針、考え方、そういうものを決めるのが国会決議だと思うのですね。これを踏まえて行政府である政府がこれを実行に移す。一般の決議は拘束力というものがありません、法律事項でありませんから。しかし、政党政治の中で、与党である自由民主党も含めて全会一致で決議されたもの、しかも、その直後において政府を代表する所管大臣が、所管する事項について実行を約束したものをちっとも実行していない。この間も本会議でのわが党の代表質問の中でも言及し、この委員会でも、ついせんだって質問しています。政府側の答弁というのは、みんなはぐらかした答弁をしているのですね。  具体的に申しますが、運輸委員会で五十三年の十月に、地方の公共交通維持整備に関する決議をしております。この提案は全会派一致しての提案であり、もちろん全会一致の賛成での決議であります。時の運輸大臣は福永さんでありましたが、立法措置を含めて行財政制度の確立を図ります、焦眉の急でありますからやります、こういう答弁をしていることは、たびたびの質問がありましたから御存じかと思うのですがね、いまだにこのことはないのであります。  最近の答弁なんかを見ると、言いわけが一つぐらいあります。去年に続いてことしも陸上特会というか、そういうものを要求して財源を確保しようとしたのですがだめでした、引き続いて努力しますということ。制度として確立すべきであるということを委員会は決議しているのです。法的な措置をとれということですね。政党政治の中でありますから、与党が賛成し、しかも国会全体が賛成したものを政府が引き受けますと言って、一年有余になっても話がつかぬというのがこの問題であります。そのほかの決議にも幾つかあるかもしれませんが、ともすればその場逃れでいいあんばいの調子合わせで答弁して過ごそうというやり方ではないのか。その後引き続いて、五十四年にも一回ほど私は、この問題に関してそれぞれの大臣に質問をしておりまして、答弁はやはり同じであります。やります。ところがいまだにできない。できない原因は財政の問題ばかりじゃありません。  最も大きな問題は何かというと、権限移譲の問題であります。地方交通をどうやって国民経済的に有効に機能させるかというのが当面の政治的な課題の一つであります。ところが、この地域交通の問題は、単に国家、いわゆる政府の問題ばかりでなくて、むしろそこにおけるところの地域住民の生活上の問題でありますから、やはりこれの足を確保するのは当該地域の地方自治体の長であるべきだと思うのですね。少なくとも県知事、そういうものが地域交通に対しての責任を負うのが私は現在におけるところの体系だと思っております。最近政府も含めて、地方の時代とか分権の時代とかよく言われています。それは民主的な手法によってお互いの生活を向上させていこうという  一つのねらいでありましょう。だとするならば、国が持っている権限のうちの一部を少なくとも地方に移譲して、最も良好な地域交通の体系をつくらせるあるいは維持整備させていくということは理の当然だと思うのですね。  ところが、その権限移譲について、言うならば政府の中に反対がある。政府の中というよりは、運輸省の官僚の中の大きな抵抗があって、それぞれの大臣もこの抵抗には屈服した形である。そこでいまだにこの法律案が出てこない。そうかと思うと、いま自民党と政府の中で協議をしているようでありますが、国鉄再建に対する特別措置法の問題があります。その中では、地方交通線の処理の問題が大きな問題になっている。地方交通線もわれわれが言うとおりの地方交通の一部であります。これを法律にして、地域全体の交通についての整備計画は、そういうものは法体系がつけられぬということでは話が違うと思うのですが、どうでしょう。いかがですか。官僚の抵抗で、運輸省の権限を一部でも地方自治体に移譲することについては反対だというのが、この決議の実行の大きな障害になっているのです。おわかりですか。運輸大臣にお答えいただいた方がいいですね。引き継ぎがあったと思うのです。もっとも官僚の抵抗があってだめだったから、君よろしく頼むという引き継ぎはないとは思うのですが、いかがですか。
  161. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 地方交通線対策の重要性は十分認識しているものでございますが、事務的にいろいろむずかしい面等もありますので、さらに検討して成果を期したいと存じます。
  162. 久保三郎

    久保(三)委員 こういう答弁が、官僚がいわゆる思うままに、国会や政党の意思に違ったことをやるのですよ。むずかしい問題というのは何ですか、お答えいただきましょう。
  163. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 非常に交通は最近進歩してまいりまして、道路の発達その他によりまして広域性を占めてまいりましたので、一部門に限って考えるということはむずかしくなってくる実態もございますので、その点を考慮して考えてまいりたいと思います。
  164. 久保三郎

    久保(三)委員 交通は広域性だから運輸省で権限を持たなければならぬ、なるほど広域のものもあります。地域の交通というのは、維持条件というか、そういうものは限定されているのです。そういうものの交通を中心にして一つはやらなければならぬ。東京都の交通もそのとおりですよ、一つの地域でありますから。ばらばらでいるところ、そして運賃にしても、後から申し上げますが、言うならば個別の運賃になっている。何らの総合性はない。だから、利用する者あるいは乗る者、そういう者の立場で実際は動いていないのですね。だからそれを、乗る者、利用する者の立場から再建整備を図ろうというのが今日の交通の課題でしょう。広域性があるから権限移譲できないというのはどういうわけですか。運輸大臣でなくちゃだめなんですか。毎日動いているバスや電車の問題が何で運輸大臣がコントロールできますか。たとえばこういう話を知っていますか。ある都市におけるところのバスの始発時間を利用者の要求によって十分繰り上げてくれ。関係する企業も、よろしいでしょう、こう言ったが、これを、大臣のところまでは行かぬと思うのでありますが、陸運局まで行かなければこれが許可にならぬ、こういうばかな権限まで持たにゃならぬのでありますか。いかがですか。
  165. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 地方の交通の行政につきましては、陸運局が中心になって担当しておるところでございますので、やはり陸運局において行政の責任を持たせるのが適当かと存じます。
  166. 久保三郎

    久保(三)委員 一々一本や二本のバスのダイヤまでなぜ陸運局長が権限を持たなければならぬのか、それを聞きたいのですよ。いかがです。
  167. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 やはり全体の交通体系の組み合わせを考えながら陸運行政が行われておるわけでございますから、バスの時間帯あるいは停留場についても、ある程度整合性を考えて行うべきだと存じております。
  168. 久保三郎

    久保(三)委員 この整合性という言葉は何ですか。どういう整合ですか。いま例に申し上げたダイヤの関係、何と考えますか。ダイヤを十分上げる。十分上げることが何の整合性に関係あるのですか。  いずれにしても、委員長、大臣におなりになったばかりだから、これは大変酷だと思うのですが、しかし、いままでもそうなんです、これは。役人が後ろにいて踏ん張って、大臣にこの決議の趣旨に沿った答弁をさせないでいるわけです。聞くところによれば、いま国会に道路運送車両法の一部改正案が出ている。これは中身は御案内のとおり、自動車の登録、車検、そういうものはいま県知事の判こだけ借りて判を押しているが、これはひとつ判こは返そうということなんですね。これはなるほどそのとおりだと思う。これは全国一本だし、特別会計でやっていることでありますから、これは運輸省直轄がいいでしょう。何も判こだけ借りて別なところで押している手はないと思う。ところが、あと残った重要な部門の窓口業務、輸送業務はどうするのかといったならば、これは六月までに自治省との間に話を詰めるから、それまでは権限については一言も触れるわけにはいかぬというのが役人の言い分。あなた御存じですか。そんなことを許しておく限りは政党政治ではありませんよ。与党も加わって、大臣も加わって、やりましょうという約束した決議が、一歩も半歩も前進しない、そういう政治がどこにありますか。  官房長官、どうですか。こういうばかな話、聞いていられません。
  169. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま運輸大臣との御答弁を聞いたわけでございますが、最後に出てきました中央と地方の事務再配分の問題は、機構の問題その他と関連しまして、地方に譲れるものはなるべく地方に譲る、中央でやりたいものは中央でやるというような再配分をいま考えておりますので、その点はひとつしばらくお任せを願いたいと思うのでございますが、それはそれとしまして、いろいろな障害があって国会の御決議が実行できないというお話でございます。いまの問題は私は初めて知った一つの例でございますが、それが実行できるかできないかということでなるべく早く結論を出して実行していく、誠実な態度で取り組みますということを申し上げておきます。
  170. 久保三郎

    久保(三)委員 手前どもが言っているのは、地域の交通の責任は地域を預かる自治体がまず第一に責任を負うべきだという考えなのです。この一つの権限を許すことが全体の権限移譲につながるというのが役人の言い分であります。官房長官、そういうふうに思いますか。
  171. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答えします。  いまの一つの例がそういうものにつながるかどうかの判断は、私はちょっとまだわかりかねるので、むしろ運輸大臣に聞いていただきたいと思うのでございますが、私どもは、地方に譲った方がいいものと中央でやった方がいいものと、やはりいろいろな見地がございますので、広い経験を持った方々の意見を聞いてということで行政監理委員会の方にお願いしているわけでございまして、そこから国民の皆さんの納得される結論が出るだろうということを実は私期待しておるわけでございます。
  172. 久保三郎

    久保(三)委員 では、運輸大臣にお聞きしまょう。  あなたが中心になって、いま与党の方にお話をなさっているそうでありますが、国鉄の地方交通線の対策の問題ですね。その中にはたしか協議会をつくるという話がありますが、聞くところによれば、この協議会には何らの権限がないそうでありますが、これでうまくいくと思っていまおやりになっておるのですか。
  173. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 国鉄は、かつてのように独占的な交通機関ではないわけであります。しかしながら、やはり地方交通線の統合廃止等については、地方住民に大変大きな影響を及ぼすわけでございます。したがって、この問題の処理に対しましては、地方審議会のようなものをつくりまして、地元の知事あるいは国鉄あるいは陸運関係が入りまして、地元の方々の意見を十分聞いた上で判断していかなければならない、このような考え方で地方交通線対策審議会というものをつくってまいりたい、かように考えております。
  174. 久保三郎

    久保(三)委員 いまのお話だと審議会をつくるというのですが、審議会は自主的に判断はできるのですか。
  175. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 審議会の御意見を承って、国鉄、運輸省が判断をするというような形になっております。
  176. 久保三郎

    久保(三)委員 最終結論は出しておいて、一年か二年か審議してもらいましょう、結論がつかなければ私の方の最初の考えどおりやりますというのがいまの御提案のように聞いておりますが、そうですか。
  177. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのような方針でございます。
  178. 久保三郎

    久保(三)委員 これは中身のよしあしは別ですが、やり方としてこんなことがいまの世の中に通用しましょうか。いかがですか。
  179. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 一応今回の法案の内容につきましては、地方審議会をお願い申し上げまして、御意見を承って、結果が出ない限りはバス転換等を図るということになっております。いずれにいたしましても、住民の足を奪うことのないように配慮するように考えております。
  180. 久保三郎

    久保(三)委員 結論が出なければというお話で、ずいぶん人を食ったような考え方ですね。それは後からにしましょう。  その地方交通線の処理に当たっては、地域の足を守るということでおやりになるということですが、守るということは、地域の交通をどうすべきかの発想がなくてはいけないと思うのです。最初からこの線は廃止というような、それで地域の交通をどうしようかというのはまさに本末転倒じゃないですか。ここにある、これを含めて全体の交通をどうするかで、そこの中からどういうふうに改良すべきか、どういう結論を出すべきか、これが順序じゃないでしょうか。国鉄のローカル線だけとにかく外す、これは後からお話ししますが、外すのですね。これは外さなければおまえら自身でやってくれと言う。とにかく国鉄の経営からは除外しようというのが今度の対策のようであります。地域における住民の足を守るなんということはとってつけた話でありまして、住民のことは考えないで、とにかく経営からまず第一に離そうというのがこのやり方じゃないですか。物事は考えてやるのです。地域における交通を有効に機能するように対策を立てることが交通政策です。国鉄再建計画というのはその中で考えてやるのです。国鉄再建計画で、しかも財政再建だから、赤字のものは切り離せというようなことで地域交通を左右されたのではたまったものではない。と同時に、運輸大臣なり国鉄総裁がこれと決めたら何でもかんでもやるというんだ、協議会をつくらせておいて。それで知事が出てきますか。権限のないところへ出て行って、最後にはおれが召し上げるということで、何でそんなものができますか、大臣。  話をもとに戻しましょう。地方陸上公共交通維持整備に関する決議、これにのっとって法案を出す用意はありますか、ありませんか。いかがですか。
  181. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 検討させていただきたいと思います。
  182. 久保三郎

    久保(三)委員 いつまで検討を続けるのですか。タイムリミットを示してください。もう決議してから、お返事をいただいてから一年半になるのです。行財政措置を含めて立法措置をするというのです。制度化せいというのが国会の決議なのです。立法によって制度化せいということです。立法機関だから、全会一致なんだから自由に国会が法案をつくればいいようなものですが、しかしこれはこれまでの経緯もあり、政府の考え方や仕組みもあることだから、政府にげたを預けたのがこの決議なんです。一年半たって、まだ検討を続けたいというのは、それは聞こえません。それから、国鉄のローカル線だけは法律案で、中身のいい悪いは別として出そう。しかも全然かけ離れたものです。いかがですか。いつまで……。
  183. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 御決議に沿うようないろいろな努力をしてきておるわけでございますけれども、十分検討させていただきたいと存じます。
  184. 久保三郎

    久保(三)委員 官房長官は、総理大臣のかわりに来ていただいたようなものだから、あなたに聞きたい。これまでこの問題では何人かの人が質問して答えをお願いしていますね。官房長官はいま初めて聞いたと言うのですが、一年半たって——やりますという約束をしなければいいんですよ。途中で、これはだめです、こういう事情があってできませんということで正式に返事があったのならまた別です。与党の意見もくまないような役人あるいは行政というものがありますか。政党政治じゃないでしょう。タイムリミットを示してください。
  185. 竹下登

    竹下国務大臣 直接私に対する御質問ではございませんが、特に御指摘になっております決議の「立法行財政措置を講ずべきである」というように財政というところがございますので、私から付言をいたします。  地方交通対策関連予算の問題につきましては、財政当局といたしましても、運輸省と協調をしつつ、許容する範囲内で各般の措置を講じてきたところでございます。したがって、五十五年度におきましても、過疎地域の住民の足を確保するための地方バス運行対策補助金とかあるいは地方鉄道整備費補助金、離島航路整備費補助金等、厳しい財政事情のもとで最大限の配慮を行ってまいりました。これは決議の前段の一般論のところに対するお答えであろうかと思うのであります。  次の国鉄地方交通線問題でございますが、これが地方住民の足であることは事実であります。ただ、これ以上国鉄助成を増加させることは困難だという国鉄収支の現況からいたしまして、地方線について整理を進めていかざるを得ない等に顧みまして、今後とも国鉄の営業線として残すことが適当な路線を除き、これをバス輸送等へ転換することとして、所要の法案を今国会に提出することとしております。その場合にも、国鉄の営業線を廃止した後の地域住民の足の確保につきましては、地方協議会の場を通じて十分な対策を講ずるように検討することといたしております。これはまた運輸大臣のお答えになった面になります。  そこで、五十三年十月の決議につきましては、従来より一般論としての趣旨は十分わきまえて各般の施策を講じておりますが、今後とも関係省庁と連絡をとりながら適切に対処していきたいというのが基本的な考え方であります。そこで、法制化の意見ということになりますと、これは直接の担当であります運輸省において検討されることと思いますので、その意見を聞いて財政当局としては対処しょうという考え方でございます。  それから、財政問題でいわゆる特別会計の問題がございます。これにつきましては、総合的な交通政策が推進される必要があることは御指摘のとおりで同感でありますが、どこのところに問題があるかと申しますと、したがって、五十四年も五十五年も予算編成の過程に当たりまして、陸上公共輸送整備特別会計の創設の要求が提出されておったことは事実でございますが、この特別会計が必要であるか否かにつきましては、財源と歳出の特定化、いわゆるマイカー課税により鉄道を整備することが適当かどうかというような議論が残っております。したがって、それらになお慎重に検討すべき問題が少なくないところから、五十五年度は見送ることとしたわけでございます。  したがいまして、この予算の問題は別といたしまして、検討すべき課題として税制大綱なんかで見ますと、「陸上公共輸送整備の財源措置省エネルギー時代に対応する陸上公共輸送の整備充実を強力に推進することとし、このための特別会計の創設およびその特定財源の確保については、引き続き積極的に検討を行うものとする。」というのが、これは自民党の税制大綱でございますけれども、五十四年の十二月十九日、こういうことになりまして、特会の問題は引き続き検討ということに残されたというふうに現状を御説明をいたします。
  186. 久保三郎

    久保(三)委員 いまの大蔵大臣答弁の中で陸上特会というお話がありましたが、手前ども陸上特会には賛成ではありません。というのは、いままでのような構想では賛成でない。企画庁長官もおいででありますが、総合交通体系というか政策はこれは見直しという、四十六年に「総合交通体系について」ということで、企画庁を中心にした閣僚協で決めてあるものがあります。しかしその後、大きな制約条件も出てまいりましたしするので、当然これは総合交通体系なりそれに基づくところの総合交通政策というのを別に展開しなければならぬと思うのですね。もっとも、これまで総合交通政策というのは、一つも政策が展開していないと言ってもいいと思うのですね。だから、今度の国鉄再建に絡んでの地方ローカル線の処理も、そういう観点からはやらない。総合交通政策の上から考えておるわけではなくて、国鉄の財政再建ということだけから考えておる。これは間違いであります。  いずれにしても、いま陸上特会の話が出ましたが、われわれは総合交通体系、あるべき姿というのはあるのですから、おのおの特性を生かす、それに基づく政策の展開が必要です。政策展開にはやはり裏づけが必要なんです。裏づけの一つとして、総合交通特別会計というかそういうものをわれわれは提唱しておる。それは道路財源も含めて考えていくべきだと思うのですね。道路財源に全然手も足も触れないで、それで陸上特会だけ何かマイカーから税金を取ってやろうなんて、これはごまかしであります。財政硬直化の折から特別会計はそんなにふやすべきものじゃありません。いまや道路財源の道路の特別会計というのは、御案内のとおり特定財源で、財政硬直化の中にありながらこれだけは余裕を持っているというのが実態じゃないですか。そこにいわゆる不均衡発展が出てくる。     〔渡辺(美)委員長代理退席、村田委員長     代理着席〕 もはや、道路がいい悪いは別にして、やはり総合的に道路の問題を含めて陸海空全体の——空港特別会計もそのとおり、港湾もそのとおり、鉄道もそのとおり、全部ひっくるめて財源を一括して、その中で重点的に適正な配分をして、均衡ある発展を遂げるというのがわれわれの考え方なんであって、陸上特会にはそういう意味で賛成ではありません。  それと同時にもう一つは、お話がありましたように、地方ローカルバスの助成あるいは鉄道の助成、鉄道の助成は一つ法律がありましてやっておりますから。ところが、バスの助成の方は法律も何もありません、これははっきり言って。内部的ないわゆる単年度予算の中でこれは処理しておる。だから、経営自体にはいわゆる将来の指針がない。そういうところにもやはりローカルバスの将来があるわけですね。だから、それはやはり考えなければいかぬ。  今度は企画庁長官にちょっとお伺いしましょう。  先ほど来申し上げたように、総合交通政策というか体系というのは、日本全体の骨格を決めるネットワークの問題もあります。それも問題です。しかし、いま最も日常的に問題なのは、さっきから決議に絡んで申し上げているところの地域交通体系をどうするかという問題ですね。これはケース・バイ・ケース、地域によって違います。だけれども、そういうものを土台にして交通政策を展開しなければ、やはり地域住民というか国民経済的な活動に寄与できるものはなかなかむずかしいのではないか。エネルギー情勢の最近のようなことを考えれば考えるほど、私はそういう意味で必要だと思うのです。そういう意味で、地域交通の維持整備をするところの法体系をつくれという主張をしているのであります。検討の余地があるのですか。運輸大臣はもっともおなりになって間もないから、これから検討すると言うのですが、しかし、行政はずっと続いているはずですね。だから、あなたも今度は経済企画庁長官というので総合交通担当の大臣になられたのでありますから、これはやはりあわせて考えてもらうほかありませんね。いかがですか。
  187. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま運輸大臣、大蔵大臣官房長官からもいろいろお答えがございましたが、いま御指摘のように、総合交通体系の問題は私の方で担当させていただいておるわけでございます。そこで、四十六年十二月に臨時総合交通問題閣僚協議会ですか、こういう協議会を開きまして、基本的な考え方を決定いたしておるわけでございます。仰せのように、その後の情勢としてはエネルギー問題が一番大きな問題になりまして、今年度の交通白書等でもエネルギー問題を中心としてこれからの交通対策を考えていくべきであるということを強調しておられるところは、私も全く同感でございます。  そこで私どもは、との四十六年の閣僚協議会の決定に対しまして、その後の情勢の変化等でさらに再検討を加えるべき点があるかということを、運輸省を中心に政府部内でいろいろ御検討いただいておるわけでございます。これはもういろいろまたこれに関して各方面の御意見を拝聴して、新しく加えるべきもの等はこれを加えていかなければならぬと思っております。地方交通についても、この決定の中には、地方の交通需要のあり方を見て、これに対応して道路交通が主になるというふうなことも書かれておるわけでございますが、この道路交通それ自体がエネルギーとの関係でいろいろ出てくるわけでございます。私自身の地方におきましても、たとえば国鉄の貨物取扱駅をどうするかというような問題がございまして、どうも最近の情勢から見ると再検討してほしいというようなことで、国鉄当局にも御検討をお願いしておるような状況でございます。  いずれにいたしましても、新しい事態に対応した政策をいま政府部内でいろいろ検討しておりますので、その結論を見て私どもとしてもまた新しい総合対策を考えなければならぬ、こういうふうな考え方でございます。
  188. 久保三郎

    久保(三)委員 官房長官、いま企画庁長官からお答えいただいたのでありますが、企画庁長官が従来総合交通担当の大臣であります。なるほど総合調整の関係からそれも一つだと思うのでありますが、先ほど申し上げたように、運輸省の中でも陸海空それぞれ問題があるんですね。それにもう一つ大きなのは、財源をとっても、先ほどから申し上げている道路の問題を除外して総合交通政策はないのでありますから、だから、この辺は新たな情勢の変化にも伴ってやはり検討を急がねばならぬと思うんですね。ついては、経済企画庁長官に任せておいてはだめだということではなくて、大きな問題でありますから、総理大臣が中心になって改めて総合交通政策をつくり出していくぐらいの気構えがなければうまくいかないと思うのですが、いかがですか。
  189. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いま各大臣からの御意見を伺ったわけでございます。従来企画庁長官が中心になりまして総合交通体系の問題を検討しておるわけでございますから、私どもは企画庁長官と一緒になりまして、この調整、計画がうまくできますように最大の努力をしてまいります。
  190. 久保三郎

    久保(三)委員 企画庁長官、総理大臣でなくてもあなたでいいそうですから、いままでどおりでよろしいという御答弁のようだから、これはお聞きするのだが、改めて総合交通体系なり政策というものをつくり出さなければならぬと思うのです。その作業は始まっておりますか。
  191. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほどお答えいたしましたように、政府部内では、その後の情勢の変化等を考慮してお互いにこの問題について意見を出し合って検討しょうということで着々やっておるわけでございます。ただ、申し上げたいことは、一方ではエネルギーの中長期の見通し等もいまやっております。そういうことと見合って交通体系についても適時適切なる調整を加えていく、こういう考え方でございますが、なかなかエネルギーの見通しというのは、いま不透明という言葉が非常にはやっておりますが、そんなような事情もございますので、若干の時間をやっぱりおかしいただかないと、拙速に結論を得るということはなかなかむずかしいということだけは申し添えておきたいと思います。
  192. 久保三郎

    久保(三)委員 エネルギーの問題は不透明かもしれませんが、交通問題は明確にわかっているんです。混乱しているということですね。だから、その面でひとつ考えていただかないと、これは大変な問題だと思うのですよ。  運輸大臣の答弁をもう一遍決議の問題で求めますが、検討するというのはいつまで検討するのですか。
  193. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 権限問題の帰趨とそれから財政的な措置がございますので、その点を十分考慮いたしまして検討いたしたいと思います。
  194. 久保三郎

    久保(三)委員 財源問題財源問題と言っていらっしゃるが、いま財源は全然ないわけじゃないですよ。大蔵大臣から御答弁があったとおりに、あるのです。その財源を安定的に供給することが一つなんです。単年度の予算措置じゃなくて、安定的にやるというのが法律事項として確立することが当然だというふうにわれわれは考えているのです。いかがですか。この会期中にやりますか。
  195. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 そのような問題を含めまして、急ぎ検討いたしたいと存じます。
  196. 久保三郎

    久保(三)委員 これは委員長に申し上げますが、国会の決議が、公式に政府の方の答弁もあって実行を約束されたものが、一年半たった今日、検討しますというような、少しく国会の権威にかかわるような発言ではちょっと困ると思うのですよ。単にいま私が問題にしている決議ばかりじゃなくて、たくさんの決議がそういうふうにごまかされてくる。決議にその場逃れの応答をしているようでは政治は前進しないのです。まじめにやってもらいたい。決議の問題は後で理事会で取り上げてください。
  197. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 理事会で検討いたします。
  198. 久保三郎

    久保(三)委員 次に、ローカル線の休廃止というか、そういうものについていま与党との間で折衝しているようでありますが、これはいずれ出てくるでありましょうから改めてお尋ねしますけれども、その前に、AB線の新線建設についての基準は決められたんですか。その基準は決めないで、在来線の地方交通線の処理だけは一応の基準らしきものを決めて、これを経営から切り離そうとしているんですか。いかがです。
  199. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 この国会に国鉄再建法案を提出するわけでございますが、その中に地方交通線対策のものもあるわけでございますが、この内容に矛盾しないような形でAB線は考えてまいりたい、かように存じております。
  200. 久保三郎

    久保(三)委員 矛盾しないようにというのはどういうことですか。これはどんどんいま建設をしているんですね。進行しているんですよ。どこでとめるんですか。私は、その基準についてお伺いしない限りは、在来線の処理はできないだろうと思っているんですよ。新線建設に対する基準を決めて、その上で在来線の処置を一緒に決めなければ話は逆じゃないですか。何か逆なことをやっているようですから、一言申し上げておきます。基準はまだないですな。矛盾しないようにと言うが、あるものとこれからつくっていくものと、これは矛盾しないどころか、全然違うものがあるのです。あるものとこれからつくるものではずいぶん違いますよ。そういう区別をしないでのんべんだらりにやっているから国鉄再建はできないのですよ、はっきり言って。これははっきり決めてあるのでしょう、実際は。ないのですか。ことしの予算案では、去年はAB線はたしか四百五十億ぐらい予算をつけたんだが、今度は百五十億ぐらいにしたのですね。しぼったんですね。しぼった内容は、そういう基準があってしぼったんですか。いかがですか。細かい答弁はいいよ。
  201. 山地進

    ○山地政府委員 一つ、法案の方でAB線の建設につきましてもいま規定を検討しているということと、それからもう一つ、百五十億ことしつきました予算につきましては、在来線の地方交通線の整備と矛盾しないように、つまり地方交通線の方は第三セクターである場合は鉄道として残すということもございますので、そういった点も踏まえまして百五十億というものを計上してございます。
  202. 久保三郎

    久保(三)委員 経営形態のことを聞いているのじゃないのですよ。去年は四百億か四百五十億です。ことし百五十億と決めたのだから、なるほどこれは減らしたということはわかる。いかなる基準でこれを百五十億に査定したのかということを聞いている。基準があるのかないのかだけを答えてください。中身はいい、時間がないから。基準があるのかないのか。ないのでしょう。
  203. 山地進

    ○山地政府委員 AB線のうち、四百人以上の需要が見込まれる路線というのがございます。これにつきましては在来線の方も国鉄に残すということでございますから、AB線としても建設することには矛盾がない、かように考えております。それから地方交通線の方も第三セクターでやるものは依然として鉄道として残すということでございますから、AB線も第三セクターあるいは民間でやる場合というものについては建設は継続するというのが基準でございます。
  204. 久保三郎

    久保(三)委員 四千人という基準はどこから出たのか。時間がないから、あなたは四百人と言ったけれども、それは間違いだからね、訂正しなくてもわかっているからいい。四千人という基準がどこから出たのか、これもあいまいですよ、はっきり言うと。鉄道というのは大体旅客も運ぶが荷物も運ぶのでしょう。荷物の方はどうしたのかということだ。それはいい。そういうものが全然ないので四千人でやっているわけだ。新しくつくるところが四千人でなぜいいのか。新しくつくるところは国鉄でなければ、鉄道でなければならぬからつくるということでなくてはならない。四千人という基準は、従来というか、いま新線が建設されてないところではバスなりほかの交通機関で運んでいるのでしょう。運んでいるところへ四千人以上になりそうだからやろうというのは、現有のたとえば民間バスとかその他のバスなり何なり、これが乗りかえ、移転するだけの話でしょう。こんなむだな投資はやめたがいいのですよ。有用であるかどうかをまず第一に考える。そのためには先ほど来言った決議を実行しなさい。地域における交通はどうあるべきか、その中から選定をするのがたてまえなんだ。そういうものをしないで四千人なんて、何を言っているのですか。こんなのは乗る人や国民大衆にはわからぬ、はっきり言って。鉄道でなければならぬものは鉄道にする、飛行機でなくちゃならぬものは空港をつくる、そうでしょう、船でなくちゃならぬものは港をつくるのです。そういうものが全然できていないじゃないですか。そういう中で国鉄再建を図ろうといったって、これは無理だ。だから大臣、先ほどから言っているように決議を実行しなさい。それに精魂を込めていけば問題は少しは解決をしていくかもしれませんが、いまのようなままでは問題は解決しませんよ。矛盾ばかりはらんでいく。  時間も来ましたからなんですが、AB線の建設なども基準がないのですよ。四千人乗るかもわからぬでしょう、こっちの方は。在来線は四千人以上だからという観点を置く。向こうは四千人乗るかもわからぬという。ところが、いまある四千人はほかの交通機関で運ばれているというならば、これは二重投資でしょう。だからわれわれは鉄道敷設法は全部廃止しろ、全国新幹線鉄道整備法、これも廃止しろ、廃止して改めてあるべき姿を決めて、その中から重点的に建設するものは早急に建設する、そういう態度を打ち出すべきだと思うのだが、これは運輸大臣、あなた答えられましょう。
  205. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 AB線の建設についてはいろいろの御意見もございますし、十分検討、配慮いたして決めたいと思います。
  206. 久保三郎

    久保(三)委員 私は、別表を含めて鉄道敷設法をやめろ、こう言っている。改めてこれは検討し直せ。新幹線の方も全部廃止しろ。改めてこれを検討し直せ。法律はそのままにぶら下げておいて、それでこれをやる、あれをやるなんということは大体おかしいと私は思うのです。だから新線建設については、敷設法を廃止する問題は別としても、少なくとも基準をちゃんとはっきり明確にしろ、地域交通の中から選定する、それをやらなければだめですよ。一官僚の権限にしがみつくような抵抗に遭って、政党政治は名ばかりで、その抵抗を押し切って政治が進まないような時代ではもうだめだと思うのです。単なる一つの決議の問題だけじゃない。しっかり申し上げておきます。いずれ担当の委員会でまたお話しします。  次に、最後でありますが、国鉄の運賃の問題に絡んで、運賃というのは国鉄は国鉄の運賃、バスはバスでも会社が違えば別な運賃、飛行機は飛行機の運賃、これはなるほど違う。輸送サービスが違うから違う。ところが、これを積み上げてくるところの原価要素、そういうもののとり方がまず第一に一つは違うのですね。それで運賃法なり何なりに決めてあるのは、適正な原価を補償して適正な利潤を得ること、こうなる。それから不当な差別をしてはいかぬ、こうなる。国鉄運賃は適正な原価で公正妥当なものである、そういうことがあるのだけれども、大体四つくらいの基準が国鉄の運賃にはある。法律の一番先には書いてあるのだが、この法律に合っている運賃体系にはなっていないと思うのですが、運輸大臣いかがですか。航空運賃にしてもそのとおりですよ。バスの運賃にしてもそのとおり。バスの運賃は道路運送法に基づくところの運賃、料金の設定の仕方がある。はっきり言って、いずれもこれに当てはまってはいないのです。だからこの辺で、言うならいままでの運賃体系を全部見改める、洗いざらい全部改めていく、そして一定の基準をつくりながら先ほど言った総合交通体系が真っすぐに進んでいくような総合運賃体系を取り入れる。非常にこれはむずかしい。しかし政府は五十二年の暮れの閣議了解事項で総合運賃政策の導入をうたっているが、一遍もやってはいない。やりもしないことをうたっている。これからどうしようとするのか。これは経済企画庁長官と運輸大臣に聞きましょう。いかがです。  それからもう一つ、運輸大臣あるいは大蔵大臣にお聞きしますが、国鉄は運賃値上げの申請をしています、たしか五・二%。国鉄はいま運賃を値上げする状況にはないことはだれもが知っている。結局逃げられないところだけ運賃値上げをせざるを得ない。ところが逃げられないところには、いま処理をしようとする地方ローカル線には特定運賃をつくろうという。特定運賃、これも見ようによっては総合運賃政策の一環かもしれませんが、人をばかにした話だと思うのです。いずれにしても、そういうものをつくって運賃を導入していこうというのですが、国鉄離れというのはいまに始まったことじゃない。五十年代に入ってから全部国鉄離れ。その中で運賃値上げをしなければならぬような仕組みが動いてきている。だんだん減ってくる。  私は極端なことを言うようでありますが、国鉄の財政再建というのは、これは二の次にしろ、経営再建をしろ。なるほど今度初めて政府も気がついたのか、六十年度までに経営の基盤を確立します、そのとおり。基盤を確立するということが本物ならば、今回の運賃値上げはやめたらどうか。千百億ばかりの値上げの増収を見込んでおるようでありますが、国鉄離れの方が大変だと思うのですね。むしろことし一年間は様子を見ながら、国鉄再建の基盤確立の方向を決める。そのためには運賃値上げはやめておく。見合わせる。しかもこれは、その財源をどうするのか。いまさら新しく一般財源をとることはさしあたりは無理でしょう。私どもは工事費を削ることを提唱します。工事費と物件費。そうでなくとも工事費はどんどん膨大になってくる。みんな借入金です。物件費もそうですね。しかも国鉄の投資にはむだもある。先般もどこかでつつかれましたが、そのとおり膨大なむだがある。あるいは単価の水増しもある。水増しと言ってはおかしいが、単価が甘い。こういうものを切っていけば五%や一〇%の削り方は何ら実害はないものと私どもは考えている。これをやれば千百億ぐらいすぐにできます。いかがでしょう。大蔵大臣を含めて御答弁をお願いして、私は時間でありますから終わりにします。
  207. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 このたびの国鉄からの申請によります運賃値上げは、五十五年度の予算の中で計画をいたしたものでございますので、私自身としても余り運賃を上げることは好ましいと思っておりませんけれども、この際、何とか審議会にかけて、認めてまいりたい、かように存じております。
  208. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 公共料金の引き上げ問題は非常に重要な問題であることは御指摘のとおりでございます。総合交通体系また総合運賃体系というふうな大変重要な問題について、特に交通関係にお詳しい久保委員の御指摘であります。私どもも、どこまでもいまおっしゃられたような原価主義ということを考えておりますけれども、それの物価国民生活に対する影響、また当面非常に重要な国鉄の再建というふうな点からも総合的に勘案をいたしまして、最終的な運賃体系を考えていただくようにこいねがっておるわけでございます。せっかく若干の値上げをいたしましても、国鉄離れというふうなことで目的を達することができないような結果には終わらないよう、また久保委員その他の専門家の御意見も十分拝聴いたしまして、適正な改定をいたしたいと考えております。
  209. 竹下登

    竹下国務大臣 所管大臣の答弁の方が正確であろうと思うのでありますが、財政当局からあえて申し上げますならば、とにかく三十九年度の三百億円の赤字がまさに六兆円を超えるというところまで参りました。国鉄自身の合理化と利用者負担の増と行財政上の措置と、この三本柱で一生懸命やっていかなければならぬ、こういうことでございますが、その厳しい中にも助成措置については配慮して、前年度に比して一〇・一%増、六千八百六億円を計上したところでございます。そこで、一生懸命やっておりますので、受益者負担の増加という点につきましては、やはり利用者の方にもある程度耐え忍んでいただかざるを得ないものと考えます。したがって、運賃改定につきましては、本当にいまの国鉄離れの問題等、まさに所管省において総合的に検討されまして、そうしてそういうことになったわけでございますが、あえて財政当局から久保委員に一言つけ加えさしていただきますならば、いわゆる運賃改定をやりましても、五十五年度の国鉄収支はまだ八千八百九十億円の赤字であって、前年度に比べて赤字幅が九十九億円改善されるにとどまる。これをやらなかったら前年度よりもまた上回りますので、国鉄再建第一歩を踏み出すその年が、前の年よりもまた赤字がふえたということは財政当局としては忍びがたい感じでこれを見ております。
  210. 久保三郎

    久保(三)委員 一つだけ、大蔵大臣、最後にお話がありましたが、手前どももそういう考えはありますよ。ありますが、もう経営の努力と国の助成と二つだけですよ。利用者の負担というのは、たくさん乗ってくださいという負担だけをかければいいのであって、運賃値上げ多少いいじゃないですかというようなことは私はやるべきではないと思うのです。一年間様子を見たらどうですかと言っているのです。あわてふためいて一千億をやるよりも、財源捻出の方法はあると私は思う。同じ赤字であっても工事費を削ればいいじゃないか。いいじゃないかというのはおかしいが、削れる限度はある。だからそういうものをひとつ考えていく時期じゃないか。それはつらいですよ、確かに。つらいけれども、やはりそのぐらいのことをやらなければ、国民だって納得しませんよ。逃げ場のないところに投網をかけてひっくくろうというのでしょう。こんなあこぎな商売どこにありますか。これはやめた方がいい。国鉄再建をみんなで考えてもらうというのなら、ひとつ利用者にも国民にも考えてもらうというために千億ぐらい工事費を削ったってこれは仕方がないと私は思うのですよ。御再考をお願いして、やめます。ありがとうございました。(拍手)
  211. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 この際、清水勇君より関連質疑の申し出がありますので、これを許します。清水勇君。
  212. 清水勇

    清水委員 私は、主として中小企業政策に関連をして、それぞれの大臣の所信を承りたいと思います。  まず、きょうは総理が見えないわけでありますから、官房長官にお尋ねをいたしますが、八十国会で御承知のとおり中小企業分野法が成立を見ております。これは言うまでもなく、高度成長政策が破綻をし低成長経済に移行する、そういう中で大企業が従来余り振り向かなかった中小企業の事業分野へだんだんに参入をする、そこから御承知のような紛争というものが多発する、こういう状況になってまいりまして、そこで主として中小企業者の事業分野をどう確保するか、こういう角度でこの法律の制定を見ているわけであります。ところが相変わらず、現実に対応される行政指導の姿勢というものは、ともすると、進出して利益を受ける大企業者と不利益をこうむる中小企業者が、その利害について足して二で割るような話し合いによる解決を勧めるというような傾向に陥っている。こういう事態についてまずどのように所感を持っておられるか、お聞かせをいただきたいと思います。
  213. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  先生の御質問の詳細なことは通商産業大臣が具体的な例につきまして答えられればいいと思うのでございますが、あの法律ができましたときに第一条に、大企業の事業の開始または拡大に関し、一般消費者の利益の保護に配慮しつつ、その事業活動の調整をするんだ、そして中小企業の事業活動の機会を適正に確保するというのがあの法律の主眼でございました。分野を守って調整をしていくということでございまして、法律制定以来、あの法律の運用というのはそういう精神で行われておると私は思っているわけでございます。ただ、それが法律手続によるか、あるいは行政指導によるか、あるいは自主的解決によるかということは、その当事者の自主的に選択するところでございまして、その地域、その話し合いの内容によってそこは変わると思うのでございますが、私はやはりおのおのが活躍する分野というものを調整していくというあの法律の精神は守られているというふうに見ておるわけでございます。
  214. 清水勇

    清水委員 官房長官、そう言われるわけでありますが、この法律は基本的には中小企業政策の重大な一つの柱でなければならない。そうして具体的には、大企業者の進出で利益を不当に侵害される中小企業の立場を守る、これがきちんと据えられて、必要に応じて行政指導による話し合いもありましょう、ありましょうが、その基本はそのように貫かれなければならない、こういうふうに私は思うのでありますが、いかがでしょうか。
  215. 伊東正義

    伊東国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、その際、一つは一般消費者の利益の保護ということも配慮しなければならぬということはつけてあるわけでございます。それを考えながら事業分野の調整をして、中小企業の企業活動の機会を適正に確保するということが第一条の目的に書いてあるわけでございますから、先生のおっしゃるような趣旨でこの法律は運用されるものだと考えております。
  216. 清水勇

    清水委員 ところが、現実の問題としては、法施行後約二年半になるわけですけれども、この間に十数件の大企業の進出問題が起こる。うち四件がわずかに法律の対象として処理をされる。大部分は、言ってみれば、行政指導では話し合いを勧めるというような性格が強い。しかし、話し合いなんていうことは分野法ができる以前から必要に応じて行われていたわけなんだ。話し合いをしても、力の強い大企業者にどうしても力の弱い中小企業者が泣き寝入りをさせられる、これじゃいかぬということから、いわゆる分野法をつくって、そして主として中小企業の分野を守っていく。無論消費者の利益を守らなければなりませんけれども、大企業と中小企業の関係で言えばそういうふうになっている。だから、その点をまあそういうものだというふうに、もう一回、総理の代理というような立場で表明をしていただきたい。
  217. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  いまおっしゃった、法律に基づくか、自主的話し合いをやるかということは、当事者の自主的な選択だと思うのでございますが、私は分野調整法というものが後ろにあっての話し合いと、それが全然ないときの話し合いとでは、やはり話し合いの仕方はある程度違うと思う。後ろに法律がありますよということの話し合いになれば、後ろ盾があるわけでございますから、その点はひとつ通商産業省の方で聞いていただきたいと思うのでございますが、この法律趣旨は、先生のおっしゃったように中小企業の活動分野を確保していくということを、消費者の利益の保護はもちろん考えながらやっていくというのが目的でございます。
  218. 清水勇

    清水委員 それでは通産大臣にお聞きいたしますが、現実の問題として法律の中で大企業者の責務という規定がございます。なぜこの規定を設けたか。言うまでもなく、理不尽といいましょうか、身勝手といいましょうか、力のある大企業が在来の中小企業の分野へ参入をして中小企業に不利益を与えるようなことがあってはならない、そういう点は十分配慮すべしということを、単なる訓示規定ではなしに義務規定ということで設けているわけなんですね。ところが、実際には中小企業者の立場で調査の申し出をする、あるいは調整の申し出をする。いろいろな対応がありますけれども、主として窓口では、できるだけ話し合って当事者間で解決してもらいたい、こういうことがえてして多いわけなんですけれども、片方は、大企業は進出して利益を受けようというわけでしょう、中小企業者は進出をされることによって不利益をこうむるという立場なんですから、単純に話し合って解決をしろと言っても、それは無理なんですよ。だから、基本的に大企業者の責務というものを先行させて、まずきちっとその辺を位置づけておかなければならない、こう思うのですが、いかがでしょう。
  219. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 法の規定は確かにお説のとおりになっておりまして、大企業の責務というものは自覚してもらわなければいかぬということで、私の方でもいろいろなパンフレットをつくったりして全国的に責務の自覚を促しているわけでございます。  それから、二番目にお話しのございました自主的解決、これがもちろん一番望ましいわけでございますけれども、しかし、ならばといって、自主解決の努力をしなければ調査あるいは調整の申請は受け付けぬなんということじゃ、これは法の精神と反しますから、そうじゃなくて、それはそれで当然受け付けるべきだ、こういう解釈で進んでおります。
  220. 清水勇

    清水委員 いま大臣から、どうも大企業者の責務についてはっきりと触れられていないのですけれども、この法律一つの根幹として、進出をしようとする大企業者に対して非常に厳しい、これは第三条ですけれども、まあ義務規定という形で、中小企業の分野を荒らしちゃいけませんよということを言っているわけでしょう。ところが、これが必ずしも周知徹底をされていないのか、行政指導が不十分であるのか、徹底を欠いているうらみがある。だから、ある日突然、何の通告もなしに直営工場か何か進出をさせて、中小企業に大脅威を与えるなんというようなことがあって、それが紛争になるわけですね。だから、そういうことを未然に防止するような日ごろからの手だてというものがなければならないんじゃないか。さもなければこの分野法をつくった意味が余りないんじゃないか。ですから、その辺をちょっと聞かしてもらいたい。
  221. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 お説のとおりでございまして、単にあの三条が訓示規定に終わらないで効果をあらわすようにということで、中小企業庁といたしましては、先ほど申しましたようにパンフレット等をつくったり、いろいろ周知徹底方を全国的に展開しておるところでございます。
  222. 清水勇

    清水委員 この点は私も昨年も商工委員会で問題にした経過があるのですけれども、まあやや改善をされつつあるかなという感じはありますが、不十分です。せっかく力を入れていただきたい、こう思います。  さてそこで、先般本委員会で川俣委員から九州化学の問題について質問をされました。問題は九州化学の進出の仕方、これはもうお話しのとおりでありますから触れませんけれども、特に私はこの機会に、公取の委員長お見えのようですから承っておきたいと思いますが、九州化学が進出をするという際に、沖繩県のクリーニング業界も衝撃を受けまして、県にも駆け込む、同時に公取にも駆け込む、こういう経過がございましたが、特に百円均一という形で安売り商法を展開する、まさに地元業界は大変な打撃をこうむっていたわけでありまして、公取としては調査を多分お進めになったり、あるいは助言なり指導なりを九州化学に加えられたのではないかと私想像するわけでありますが、その後、九州化学は百八十円均一というふうに価格を改めております。公取の動きがどの程度あったのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  223. 橋口收

    ○橋口政府委員 九州化学の沖繩地区における進出の問題に関連いたしまして、昨年の十月に同業者の方々から申告がございまして、十一月の末から審査を開始しておるわけでございまして、審査中の事案でございますから、詳細な内容につきましての答弁は御容赦をいただきたいと思いますが、いまお話がございましたように、まあ百円とおっしゃいましたが、ワイシャツのクリーニング料金でございまして、これにつきましては開業いたしましてしばらくの間、百円という価格をつけておったわけでございますが、公取委の方で差別対価または不当廉売の容疑で調査を開始いたしましたことに伴いまして、開業から一、二カ月経過いたしました時点におきまして、いまおっしゃいましたように百円のものを百八十円に戻すという措置をとりつつあるように承知をいたしておるわけでございます。ただ、現在審査中でもあります理由といたしましては、差別価格なりあるいは不当廉売という事実があったかどうか、これにつきましてはやはり確認をする必要があるわけでございますから、したがいまして、現在も審査を続行しているというのが現状でございます。
  224. 清水勇

    清水委員 重ねてお尋ねをいたしますが、いまなおこの九州化学は、直営工場の進出というのは分野法にひっかかってやかましいものですから、最近はフランチャイズ方式という形で進出を図っております。これは、中小地元業者に与える影響は同じことなんですよ。そこで、取次店などフランチャイズをしく場合に、開店セールなどと称して相変わらず百円均一というような大安売りをやっている。まだ審査中だから不当廉売だとは判断をしていないと委員長言われるけれども、ぼくは多分に不当廉売の疑いがあるのじゃないか、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。
  225. 橋口收

    ○橋口政府委員 不当廉売の問題につきましては、古くして新しい問題でございますが、公取委といたしまして、第一次石油ショックの直後でございますが、不当廉売につきまして一般原則をつくりたいということで一つの試案をつくった経過がございます。それは、原価プラスマージン率六%を下回った場合には不当廉売として認定をする、こういう原則をつくったことはございますが、これに対しましては消費者団体等からいろいろな御注文がございまして、今日におきましてまだそういう一般的な原則をつくるまでに至っておりません。したがいまして、原価を下回っているような商行為を継続して、しかも一般的に行います場合には不当廉売である、こういう考え方を持っておるわけでございまして、クリーニング料金のほかに、たとえば牛乳等につきましては所々方方で不当廉売の疑いがあるという申告があるわけでございます。したがいまして、そういうものにつきましては、具体的に不当廉売の事実があったかどうかという確認をする前に、行政的に指導をして改善をしてもらうということをしておるわけでございまして、九州化学の問題につきましては、必ずしも沖繩地区だけではなくて、全国的な問題であるということも伺っておるわけでございますから、いま申し上げましたような原則、つまり一般的、継続的に原価を割ったような商売をするという場合には、これは不当廉売の疑いがあるということで、たとえば、いまお話のございましたような開店の際に一時的にセールを行うというものにつきましてまで不当廉売として取り上げるのがいいかどうか、ただそういう場合におきましても、行為が広範であり影響力が大きいということであれば、これは行政的に対処してまいりたいというふうに考えております。
  226. 清水勇

    清水委員 ちょっと公取委員長、そうすると、九州化学の問題は単に沖繩県だけじゃない、他にも進出の傾向も現にあるわけですから、引き続き必要に応じて指導をする、こういうふうに承ってよろしいですか。
  227. 橋口收

    ○橋口政府委員 沖繩につきましては引き続き審査を続けたいというふうに思っておるわけでございますが、その他の地域につきましては、いま御説明申し上げましたような原則にのっとって対処をしたいということでございます。
  228. 清水勇

    清水委員 さてそこで、厚生大臣にちょっと聞いておきたいのですが、大臣は分野法制定当時の商工委員長もお務めになっていて通暁をされているわけでありますが、率直に言いまして、たとえば昨年タカケンサンシャインというのが愛知県に進出をするというようなことで大問題になりました。いままた九州化学の問題がある。それぞれ地元業者は県へ駆け込んで、迅速かつ適正に事態の解決を図ってもらいたいというようなことを望んだわけでありますが、実は都道府県知事に権限がおろされていない。そこで厚生省連絡をとったり何かして手間暇がかかる。その間に、進出をしようとする大企業は既成事実をつくってしまう。そこで話し合いが仮についたとしても、どうも泣き寝入りをさせられる部分というのが中小業者の間にたくさんある。そういう点からいって、あの立法当時にも権限を知事におろしてはどうかということがずいぶん言われたわけでありますが、この際、主務大臣の立場でどのような所感を改めてお持ちになっているか、お聞かせいただきたい。
  229. 野呂恭一

    野呂国務大臣 特にクリーニング業であるとか環境衛生関係の事業今野におきましては、特に地方でいろいろ大企業の進出に伴って問題が多く発生することでございます。したがって、これは機敏に対応しなければ中小企業というものは守り得ないという御趣旨のことでございます。したがって、むしろ知事に権限移譲してはどうだろうかという御意見でございますが、これは主管省である通産省を中心に協議を進めてまいりませんと結論を出すことはできないと思いますが、従来から申しますと、知事の方を通して十分まず話し合いで問題の解決をしてもらいたいということを要請してまいりました。もし調整の申し出が組合からございますれば、厚生省の所管の問題であれば厚生省が積極的に調整に当たる、こういう方法をとってきておるということは御承知のとおりでございます。
  230. 川俣健二郎

    ○川俣委員 関連して。せっかく厚生大臣の方からそういうお話が出ましたところで、この前は公取の委員長もおられなかったのですが、きょうは通産大臣も並んでおられるところで通産大臣にちょっと確認しておきたいのは、通産大臣もクリーニングの業界というのはいやというほど御存じの方だと私は承っております。そこで、いま衛生法であるクリーニングの方から清水委員にせっかく取り上げてもらっておるのは、社労でもかなりこれはやっておるのだが、やはり分野法というのは通産ですから、こういう関係であえて確認しておきたいと思います。  クリーニングというのは、零細規模だというところに特徴がある。これはもう安かろう早かろう悪かろうでは、さっき期せずして官房長官が言われた、分野法というのは中小企業を守るだけではなくて、消費者をも守らなければならぬということをうたっておることを考えましても、いま粗末なクリーニングに対する消費者の苦情というのは大変なわけです。これも御存じだと思います。  そこで、私はあえてここで確認したいのは、大手の進出といいましても、クリーニング同士の大手、中小ではなくて、むしろあられもない食品産業がクリーニングの中へ入ってこれるということは、これは衛生法に規制されておるものの上からいったって、どう考えたって本当は無理なのです。取次店なんかを認めてきたところにこの法の網が破れたので……。  そこで、私はこう思います。いまの環衛法、いわゆる衛生法の規定するクリーニング法で、いまのあられもない九州化学のような大手が全国的に猛威をふるって進出をしているのを食いとめられるかということの論議をこの前やりました。これは無理です。せっかく厚生省の課長さんが沖繩に行ってみたけれども、報告はあのとおりで無理なのです。ところが、さて分野法にうたっておるフランチャイズ方式ということはよろしいということになっているものだから、フランチャイズ方式で大手が進出してくるものだから、いまの法規制ではどうにもならない。そこで清水委員が、このクリーニング法の権限というのは県知事にあるから、したがって分野法も県知事にゆだねると、そこでセットで取り締まることができるというところまで非常にいい問題を出されたが、この問題を一体どうするか。このままでいいのだというのなら別です。このままでいいということであれば私も黙って引っ込みませんが、このままの大手の進出は黙って見ていられない。全国的に猛威をふるっておるというこの状態を両大臣ともお認めでしょうから、ひとつ通産大臣、どうですか、両方御存じの方ですから、分野法の検討をクリーニングとあわせて前向きで検討するということをここで確認願えれば……。
  231. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 分野法では、お話しのように、紛争はむしろ広域的な紛争というのを前提にいたしましてつくったものでございます。したがいまして、いまお話しのように、一県の知事が処分できるような問題をわざわざ東京まで持ってこぬでもいいじゃないか、そこで即決したらいいじゃないかという御議論で、大変もっともだと思います。ただ、現実におきましても、それでは全然知事が逃げておるかというとそうではないのでありまして、第一次的には知事に連絡いたしまして、そしてその答申を受けて処分しておるのでありますから、実際は差し支えないといえば差し支えないようなものですけれども、しかしお話しのように、もっと明確にした方がいいのじゃなかろうかという御意見もあるようですから、検討したいと思います。
  232. 清水勇

    清水委員 この点は、たとえばダミー規定なんというものについても、これはやる気があれば省令でできるのですから、見直してみるということなどをも含めて、理不尽な、非合理的な大企業の進出についてはできるだけチェックをしていく。そのためには何がベターなのかということを方法論としても考えてもらいたい。  さて次に、私は外食産業のことについてちょっとお尋ねをしてみたいと思います。  御承知のように郊外レストランが雨後のタケノコのごとき乱立を重ねてまいりまして、外食産業が異常な急成長を遂げる。しかし、もうどうやら飽和状態じゃないかと言われております。中にはつぶれる店も出てくる。そこで、最近は道路沿いの立地から、たとえば町の中心街に立地の方向転換を求める。そうなってくると、地元の商店街、とりわけ中小飲食店業者などというものはこれまた大変な脅威にさらされる。こういう問題がございます。いずれにしても外食産業なるものは、現在、戦国時代のような無秩序な、過剰と言っていい競争を展開しておりまして、たとえば二十四時間営業、年中無休、それから省エネルギーが叫ばれる時代にもったいなくてしょうがないくらいの過剰な照明。こういう無秩序な競争に対して、もうぽつぽつ秩序のある公正な競争に誘導をしていく時期に来ているのじゃないか。私はそう思うのですが、厚生大臣いかがでしょう。
  233. 野呂恭一

    野呂国務大臣 御指摘の現象がいま起こっておることは大変憂慮にたえないことであると考えます。ただ、大手の外食産業につきましては、農林省は育成の立場をあるいはおとりになっておるかと思いますが、厚生省におきましては、飲食店についての食品衛生法、それからもう一つ環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律によりまして、公衆衛生面と営業の振興という両面から指導助成をいたしておるわけでございますから、お尋ねのような問題が起こりました場合においては、厚生省は関係機関、農林省側とも協議をいたしながら、厚生省が中心になってこの問題の打開に当たっていかなければならない。そして、中小の飲食店の事業活動の機会を確保するように私どもとしてはその調整に積極的に当たってまいりたいと考えております。
  234. 清水勇

    清水委員 大臣、たとえば、申し上げたように公正な競争を促すような一定のガイドライン、指針といったようなものをぼつぼつ策定すべきときじゃないのか。たとえば御存じのように、大店法で休業日数は年四十八日、六時閉店なんというようなことを決めているから、ガイドラインとして示しているからと言ってみても、これは商売の性格から言って無理だということはよく承知をしております。しかし、もうちょっと規制されてしかるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  235. 野呂恭一

    野呂国務大臣 御趣旨の点は十分理解をいたしまするので、どうして中小飲食店を守っていくかということに対して、具体的な規制と申しますかあるいは調整、そういう役割りを果たすような具体策を検討してみたいと考えます。
  236. 清水勇

    清水委員 ところで、大型レストランが進出をする場合の主務大臣はどちらになるのでしょうか、厚生大臣農林水産大臣とおいでになるが。
  237. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 大型レストランについての、飲食料品の生産とか流通、消費に関してはもちろん申すまでもなしに農林水産大臣の所管するところでございますけれども、反面、食品衛生法とか環衛法なんという点から見ますと、言うなれば公衆衛生面の規制あるいは営業の適正化といった面からは厚生大臣の所管に属するわけでございまして、したがって、これは両省でよく調整して、話し合って問題に対処していく以外にいまのところしようがないのじゃないか。私どもの方もできるだけそういう場合には両省の方によく話も聞き、また連絡申し上げて、迷惑のかからぬようにということでやっていきたいと思っています。
  238. 清水勇

    清水委員 農林水産大臣にお聞きしたいのですけれども、さっき厚生大臣からも外食産業のことについて一定のお答えをされましたが、ただいまの通産大臣の御説明によりますと、外食産業、大型レストランはどうも大臣の領域のようでありますから、そうしますと、さっき厚生大臣からはっきりしたお答えがなかったわけなんですが、いわゆる無秩序な競争に対して一定の規制を加える、節度ある公正な競争を行わせるといったような誘導政策を、たとえばガイドラインというかっこうになるか指針という形になるか知りませんが、考えてしかるべき時期じゃないか、こう思うのですが、大臣はいかがでしょう。
  239. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 外食産業の最近の、特にいまのお話は大型のチェーン化を図っておる外食産業についての御質問かと思いますが、一体それはどういう形で出てきておるのか、いわゆる国民のニーズがあってそういう形でより多く出てきたのではなかろうか、従来の飲食店だけでは十分に国民のニーズに合致しないというところに何かあったのではなかろうかと私は思っております。そういう点においてやはりそれそのものの存在を否定すべきではないと思います。しかしながら、中小企業分野調整法もございますし、それが逆に従来の飲食店に対して必要以上な脅威を与えるというような場合にはやはり調整が必要ではないかと考えておるわけでございまして、その辺の国民のニーズの問題と従来の飲食店との間の競合との問題をどう接点を位置づけていくかという観点からこの調整の問題は入っていかなければならないと思っておるわけでございまして、私ども、行き過ぎがある場合にはやはりある程度考えなければいけない、こう思っておるわけでございます。
  240. 清水勇

    清水委員 大臣、重ねてお尋ねするのですけれども、立地の方向を転換してきている。町の中心街に新たに立地を求める。既存の中小業者との競合関係、とりわけいま言われている中小業者に脅威を与える。こういう傾向があって、埼玉県下でも、固有名詞は申し上げませんが、すでに紛争が起こっている。そこで、そういう問題とあわせて一面では過剰とも言うべき、さっき申し上げた年中無休、二十四時間営業、こういったようなものあるいは過剰な照明なんというものについてはもうぽつぽつガイドラインを引いていいのじゃないか、こう思いますが、どうでしょう。
  241. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 先ほど申し上げますように、そいう深夜の営業をするということ、私どもの調査では、たとえば夜中に走っておるトラックの運転手だとかあるいは深夜に走っているタクシーの運転手だとかあるいはそれぞれの警備保障をやっている人たちだとか、こういう方々が非常に利用されておるということも承知をいたしておるわけでございます。そういう点において一概に、全く深夜の営業を禁止するというような方向に行政指導することもいかがかと思うのでございますが、私は、そういう観点だけでなくて最近の、省エネルギーをわれわれは今後やっていかなければならないという時代に入ってきているわけでございますので、そういう観点からもあわせてひとつこの問題については検討していきたいと思っておるわけでございます。
  242. 清水勇

    清水委員 ひとつできるだけ早期に秩序ある競争を促すという意味も含めたガイドライン、こういうものの策定を要望しておきたいと思います。  次に、大スーパーのダイエーが八〇%の出資をしているビッグ・エー、これが昨年十一月に第一号店を埼玉県下でボックスストアという形で店開きをして以来大変なセンセーションを巻き起こしております。何しろ地元業者から言わせれば、御承知のように、小売店の仕入れ価格よりも安い価格で商品販売を行っている、こういうことも一つはございまして、これが野放しにされていいかというようなことが言われているわけでありますが、まずもって最初に、ボックスストアというものについて通産大臣はどのように受けとめておられるか。
  243. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 これは、御承知のように大変新しい形態でございまして、いま検討中でございますので、長官から……。
  244. 左近友三郎

    ○左近政府委員 ボックスストアにつきましては、先生御指摘のように、現在埼玉県下に四店、それから東京都内に一店がすでに開店をされました。これについては、アメリカの例にならいましてやり出したわけでございますが、徹底した合理化で消費者に低価格で商品を提供するという意味はあるわけでございますが、何分そういうものを提供するということはやはり周辺の中小小売商に非常に大きな影響を与えるということは事実でございます。したがいまして、当方といたしましても関係の自治体と連絡をしながら現在まで推移を見守ってきたわけでございます。そしてまた、出店に当たりましては、やはり地方公共団体、市などが中に入りまして具体的な調整を遂げて開店に至ったというふうな経緯も承知しております。  したがいまして、今後われわれといたしましても、こういう商法がどういうふうな影響をもたらすかという点についていろいろ検討しておるわけでございますが、一つ意見といたしましては、これが非常に大量に物を出すということで、いわば店の体裁その他は一切構わないということを売り物にしておりますし、売る物もストアブランドと申しまして、いわゆる一般のブランドでない、その店のブランドの物を売るというようなこともございます。したがいまして、これがアメリカで成功したように日本で成功するかどうかという点についても、いろいろな識者の間にも議論のあるところでございますので、この点についてはもう少し見守りたいと思いますが、しかし現実の出店については、やはりその土地の方が非常に御心配でございますので、十分自治体とも連絡をして、出店に当たっては調整をしていただくということにしておりますが、実はこの点については、小売商業調整特別措置法、いわゆる商調法で、このビッグ・エーが直営店を出します場合には調停ができることになっております。したがいまして、今後その方の運用も加味いたしまして考えていきたいと思っておりまして、この出店自体が小売商業に非常に大きな影響を与えるということであれば、また逐次対策を講じていきたいというふうに考えております。
  245. 清水勇

    清水委員 問題は、昨年、大店法、商調法の改正をしているわけですけれども、基準面積を五百平米に落としたわけですね。しかし、各自治体の方は五百平米でも心配がある。だから、埼玉県下などボックスストアがどんどん進出をしつつあるところでは、通産省の指導にもかかわらず、最近、たとえば基準面積三百平米以上、あるいは極端なのは二百平米というような条例まで制定をするという機運がございます。問題は、大店法の網の目をくぐり抜けるとか、あるいは自治体のやむにやまれない形で制定をする条例の目までくぐり抜けるというようなやり方。ボックスストアは全部、二百九十四平米ですよ。そういうやり方が非常に重大じゃないかと私は思うのですけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
  246. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 法の精神をいまもおっしゃったように少しでも曲げて、そして自分の有利にという、そういう行き方というものはもちろん好ましくないことだと思います。
  247. 清水勇

    清水委員 好ましくないと言われるわけでありますが、そこでこれはぜひ大臣にも長官にも考えてもらわなければなりません。御承知のように、ダイエーの中西社長は、あらゆるマスコミ等を通しても内外に明らかにしておりますが、八〇年代の経営戦略のいわば目玉としてこのボックスストアを位置づける、今後五カ年間に全国二百店の出店を予定する、そして昭和六十年度には、予想されるGNP、その一%の四兆の売り上げをダイエーグループで実現をするなどということを言っております。そこで、いま埼玉県下で大騒ぎになっているそういう火種というものが、ほうっておけば全国あらゆる地域に広まっていく可能性がある。しかも問題は、ダイエーが成功すれば、ほかのスーパーだって黙って指をくわえているわけはない。そうなってくるとまさに、一時的には安売りをして消費者の目先を変えることができるかもしれませんが、一たんシェアを握ってしまえば、今度は価格をつり上げて消費者の不利益に方向を誘導するというようなことも起こり得るわけでありますから、いずれにしてもそういうやり方を放置をしていいはずはないじゃないか。具体的にいまどういう対応をお考えになっているのか、お聞かせを願いたい。
  248. 左近友三郎

    ○左近政府委員 当面の問題といたしましては、やはり商調法の運用を通じて、調整なり勧告、命令という点までございますので、処理をしていきたいというふうに考えております。ただ、小売商業の合理化という点でこれが小売商業全体の発展に寄与するのかどうか、また中小小売店の前途にどのような影響を与えるかという点については目下いろいろ検討中でございまして、これについて、先生のおっしゃるように、これがだんだんふえていって手おくれにならない間に何らかの措置を講じたいというふうに考えております。ただ、これについては、いろいろ海外の例などを見ましても、日本にうまく適合するかという心配がやはりまだ相当ございます。したがいまして、現在は五店でございますが、この出店の状態をわれわれも現地に行って調べたりなんかしておりますので、もう少しお時間をいただきたいというふうに考えております。
  249. 清水勇

    清水委員 いま直ちに対応といってもあるいは無理かもしれませんけれども、これはほうっておけない問題だと思いますので、単に成り行きをもう少し見守るなどというような悠長な姿勢ではなしに、迅速果敢にやってもらわざるを得ないと思うのです。  そこで私は、いまのことにも関連をして一つ申し上げたいのですが、昨年大店法の改正の際に、私も申し上げたつもりですけれども、果たして面積主義だけで大企業の不当な進出を規制できるのだろうか、こういう提起があったはずであります。しかし、大丈夫だということを通産当局は繰り返し態度として表明をされているのですけれども、はからずも、わずかこれまでの間にいまのようなボックスストアの進出が起こる。のみならず、御承知のように、他のスーパーが私鉄沿線などに、たとえば五百平米マイナス二十といったような、四百八十平米くらいの中規模店の出店をどんどんやっている。こういうことを放置せざるを得ないということも、いわば今日の大店法が面積主義というふうに限定をしているところに起こってくる一つの弊害ではないか。だからやはりこの際は大店法のあり方、いま商調協というお話もございましたが、これは非常に機能するところが弱いものですから、その辺のところを、改正した直後ではありますけれども改めて見直しを考えざるを得ない状況にあるのではないか、こんなふうに思うのですが、いかがでしょう。
  250. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、大店法におきましては面積主義を採用いたしておりますが、これは先生御高承のとおり、大規模な店舗を有する小売店につきましては周辺の小売業に与える影響が大である、要するに、周辺の小売店に与える影響の大小を店舗面積という形で把握したことから来ることでございまして、ただいま御例示に挙げられましたボックスストアその他のような新しい形の商業方式、これを通じて与える影響の大きさといったものにつきましては、先ほど中小企業庁長官がお答えさせていただきましたように、その影響の度合い、今後の全国的にそれの波及していく度合いというものを慎重に分析をしながら検討すべきであろうというふうに考えておりまして、影響の度合いと関連なく、大企業の系列店であるかどうかという形のみで法の再改正を検討するということについては、さらに慎重に討議すべき問題であろうかと考えております。
  251. 清水勇

    清水委員 私は、いま直ちに法の改正ということまで言ったつもりではないのですけれども、いずれにしても、面積主義の持つ限界性というものがここであらわになったわけでしょう。そうだとすれば、それをどう補完をするか、どう補強するかということが行政指導の面で重要な課題になるんじゃないでしょうか。そのことを聞いたんです。簡単でいいです。
  252. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように、一定の形の法律によって行い得る物事に限度がございます。したがいまして、他の関連法規あるいは行政指導等を通じながら個別の生きた問題には対処していくべきものと考えておりますので、そのようにさせていただきたいと思います。
  253. 清水勇

    清水委員 次に、せっかく大蔵大臣もおいでになっているわけでありますから、省エネルギー政策に関連して、時間の限りがありますので、いわゆるソーラーシステムに対する助成措置ということにしぼって若干の見解を申し上げながら、所信をお聞かせをいただきたい。  私が申し上げるまでもなく、省エネルギー政策の重要性は今日の大平内閣の大きな看板でもあると思います。五%から七%への節約というふうにトーンを上げる、結構なことなんであります。そこで、世界最大の石油多消費国という立場からいっても、一面では石油にかわる新エネルギーの開発、これに力を入れなければならぬことは言うまでもありませんが、同時に、やはり省エネルギー政策というものが実効を上げ得るように具体的に推進をされなければならない。だがしかし、どうも私が見ていると、通産なり建設なりの予算要求といったようなものが、財政当局の渋さからかなり削られたり性格を変えられたりするような姿が起こっております。たとえば、ソーラーハウスに対する五十五年度の新規事業として、昨年江崎通産大臣の時代に、できれば個人の住宅五万戸を対象に設備費の二分の一の補助金を交付したい、あるいは地方公共団体の設置をする福祉施設などの公共施設に対しては三分の二の補助を行いたい、こういうことを大々的に内外に宣明をされた。ところが今度ふたをあけてみると、予算案の中に盛り込まれているのは、ソーラーハウス一万戸に対して、低利融資とはいいながら融資制度という形で変形をしてきておりまして、地方自治体の公共施設については二十件に対して二分の一の補助というふうに、これまた大幅な縮小を見ております。こういう消極的な対応では、せっかく政府が予算を通じて省エネ政策の波及効果を期待すると言ってみても思うような波及効果を期待できないのじゃないか、こう私は思いますので、まず大蔵大臣に、どうしてこの当然過ぎるほど当然な要求を削らざるを得なかったのかお聞かせをいただきたいと思います。
  254. 竹下登

    竹下国務大臣 これは清水さん百も御承知のように、そういう補助金政策というものは時代のニーズに応じて対応していくべき性格のものでありますが、一つ今度一番大きな問題点となりましたのは、結局省エネ対策の効果、これは大切なことなんですね。ところが一方、本来は個人の負担によって行わるべき個人用の財産の取得という面があるわけですね。そうなりますと、助成策の具体的仕組みの中においては、いわゆる生の金を出すということはどうしてもなじみにくくなっていくわけであります。したがって、その政策目標にこたえながらいわゆる過度の助成にならない形の観点で双方が頭をひなりましたことが、結果として直接的補助金ではなくして低利融資によることとした、こういう経過なんです。  そこで、これによってもそれなりの効果は上がるものと私は期待しております。じゃ無利子にすればなおいいじゃないか、こういう議論もございますよ。しかし、これはやはり金利体系というのはほかの関連もございますので、したがって住宅金融公庫融資による個人住宅融資の金利が五・五%である等も考慮いたしますと、今回の案で政策目標はそれなりに進むものであろうというふうに私は期待をいたしております。
  255. 清水勇

    清水委員 大変不満な御答弁なんですが、実は大臣も御承知のように、また通産大臣は来月IEAの総会もおありになるようですからたびたび行かれて御案内のとおりでありますが、IEA参加諸国ではもうかなり前からソーラーシステムの設備費の補助金の交付のみならず、断熱材などを建築材として使用する場合にはその助成、たとえば税制上の優遇措置を講ずるというようなことをやっているわけでしょう。そして、負担を軽減することによって大量に設備をされるということになれば、設備費が大幅にダウンをいたしますよ。ダウンをすれば、それだけ個々人がソーラーシステムを採用しやすくなる。それがいうところの省エネルギー政策にどれほど大きな貢献をするか、これははかり知れないでしょう。わが国は、さっきも申し上げたようにIEA加盟諸国に比べて最も自給度が低いという状況ですから、省エネ政策にしてもあるいはムーンライト政策に代表されるような資源エネルギー政策にしても外国以上のことをやらなければならないのに、残念ながらトーンが非常にダウンしている。ぼくはこの際、個人の財産をふやすためにいかがかと思うというふうに大蔵大臣は言われたが、それは国の行っている政策を拾い上げてみれば、そういうものは幾らもありますよ。これだけにそれを持ち出されて、この際重要な省エネ政策に一歩おくれをとるというようなことがあってはならない。そういう意味で、もう一回大蔵大臣と通産大臣からお聞かせ願いたい。
  256. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 清水先生のお言葉でございますけれども、確かにソーラーシステムはアメリカでも十カ年に全エネルギーの大体二割をやろうなんという大変な勢いですから、日本もこれは進めなければならぬことは当然と思います。ただ、この五十五年度は、私の感じでは相当大蔵省はがんばってくれたと実は思っております。  数字を申し上げますと、公的施設、学校とか病院、老人ホーム、こういう問題に対する設置費の補助でございます。これは補助率二分の一でございます。地方自治体の設置費の補助で三十億という金をつけてくださいました。それから、お話のいまの住宅及び事業用施設に対する低利融資の問題ですけれども、これも住宅用には大体八十億くらいつけていただきまして、そして住宅用年利五・五%、事業用年利は六・五%という非常に低利に、普通は九%から八%なのにこれくらい下げて、そして預託基金を設けまして利子補給でもってやるというので、二十二億ばかり補助金をつけてございます。それから、ソーラーシステムは何といっても普及啓蒙あるいは品質確保対策というのが一番重要でございますから、これに関しましても補助金あるいは預託金等がついてございますし、いまお話しの技術開発とかあるいは普及推進のための金融、税制措置がまた別途ございましてこれは金融措置といたしましては中小企業金融公庫等の措置がございますし、税制では事業用施設に対する特別償却とかあるいは固定資産税の課税標準特例とか、いろいろ税金の面でも措置してくださいまして、まずまず初年度としては私はこういうところではなかろうかと実は思っておりまして、御承知のように私もこういう性格ですから、できるだけそれは多くがんばってと思っておりますけれども、まあ以上のように思っております。
  257. 清水勇

    清水委員 時間が参りましたからこれ以上の質問はできませんけれども、要求をされる通産大臣がことしは大蔵省でずいぶんがんばってもらったと思うなどと言っていたのでは、これはいささか話があべこべだと私は思うのです。竹下大蔵大臣だってちょっと恥ずかしがって笑っておられる。  かねがね、たとえばソーラーシステム等については通産当局が、断熱材等々の問題については建設当局が、省エネ政策の一環という立場から相当思い切った予算要求をしてきていることは事実なんです。ただ、大蔵省という厚い壁があってなかなか進まなかった。やっと初年度を五十五年度に迎えようということになった。これはやっとなんですよ。これをもって初年度としては相当なものだなどと言われていたのでは、私はこれは大いに不満でございます。したがって、さっき大蔵大臣が、私が質問しない前に、どうしても融資制度でいかざるを得ないというならばこの際無利子ということを最後に注文をするつもりでいたわけなんでありますが、ことしは勘弁してくれみたいなことを言われたのであります。  とにかくそういう点も含めて、ぼくは全体として、たとえば代替エネルギー政策を見ても原発に傾斜をするような予算の配分が行われておりますけれども、まさにわが国に無限とも言うべき太陽以下の熱資源を持っているわけですから、これを有効活用する、つまりサンシャイン計画、それからムーンライト計画等にひとつこれからは思い切った予算づけをする、そうしてIEAの求める国際的な責任をも果たす、こういうことを最後に決意のほどという形で両大臣から承って、終わりにしたいと思います。
  258. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 石油にかわる代替エネルギー全般に関しましての研究開発等は、私から申し上げるまでもなしに、予算措置あるいは新機構等をつくりまして今年度から思い切って進めてまいります。その一つでございますけれども、ことしは何と申しましても先ほど申しましたように初年度でございますので、まずこれで実績を見まして、そうしてひとつ大きく伸びていこう、言うなれば跳ぶ前に沈めという言葉もございますので、ことしはまずこのくらいにというふうに考えております。
  259. 竹下登

    竹下国務大臣 御質問の御趣旨は私も理解できます。ただ、まさに新技術の開発という要素が大きくて、それこそ実用化するまでの期間もかなり長い。したがいまして、予算の多寡だけでもって実用化が早まると言える性格のものでもなかろうと思うのです。これは理屈でございまして、そこで今後の展望について申し上げますならば、これはやはりいま通産大臣からも言っておりますように、エネルギー対策についてはもろもろの情勢を勘案しながら適切な配慮を払ってまいる所存であります。その場合に、限られた資金の効率的配分ということになりますから、おのずから優先度というものは考えざるを得ない。そういう優先度というようなものが、きょう清水さんと通産大臣との問答とかいうものの中にまたそういう環境もできてくるであろうという感想を述べて、私のお答えといたします。
  260. 清水勇

    清水委員 終わります。(拍手)
  261. 村田敬次郎

    ○村田委員長代理 これにて久保君、清水君の質疑は終了いたしました。  次に、井上一成君。
  262. 井上一成

    井上(一)委員 最近の報道で明らかになりましたように、国連のワルトハイム事務総長が御努力をしていただき、いわゆるイランのアメリカ大使館における人質解放問題については、パーレビ元国王の犯罪調査委員会の設置ということで解決の見通しがついたという報道がなされております。すでにアメリカもこの国際調査委員会の設置については同意をしたという報道も入っております。  そういう中でわが国が平和外交を基軸に、世界のすべての国と平和を保つための努力をし、いかなる国とも仲よくしていきたいというこの基本的な姿勢の観点から、政府としてはこの問題についてどのように受けとめていらっしゃるか、まず官房長官からお聞きをし、それから外務大臣に尋ねたいと思います。
  263. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本は米国ともイランともそれぞれに友好関係を従来から持ってまいりましたので、実はこのイランの人質問題には日本としては当惑してまいったような事情がございます。  最近、御指摘のようにかなり情勢が好転しつつあるようでございまして、まだ私どもの方に正式の連絡がございませんけれども、調査のための委員会が国連の手でいま人選中で、ほぼ決まりかかっておるようでございますし、私どもとしてはこの工作が順調に進行いたしまして、一日も早くイランとアメリカの間の紛争が解決することを期待いたしておるわけでございます。
  264. 伊東正義

    伊東国務大臣 いま外務大臣がお答えしたとおりでございまして、わが国としましては、国連の事務総長が努力されまして委員会ができるということを聞いておるわけでございますが、これはイランもアメリカも納得した形でこういう委員会ができまして、人質解放が一日も早くできるということは非常に私どもも期待しているわけでございまして、イランをめぐるいろいろな国際紛争が一日も早く解決されることを期待しておるわけでございます。
  265. 井上一成

    井上(一)委員 官房長官、その調査委員会に対してはわが国は協力の姿勢をとるというお考えを持っていらっしゃいますか。
  266. 伊東正義

    伊東国務大臣 お答え申し上げます。  この委員会ができれば、委員会のメンバーができて、これが中心になって目的、構成等がいろいろ決まるわけでございましょうから、一日も早くこの委員会が活躍されて人質解放ができるということを、わが国としては強く期待をしておるわけでございます。  協力の形といいましても、どういう形で協力するかということは、その目的、構成等の詳細がまだ正式な連絡がございませんのでいまここでコメントすることは差し控えますが、私どもとしましては大いにこの委員会が活躍して人質が解放されることを強く期待するということで、その気持ちをお察し願いたいと思います。
  267. 井上一成

    井上(一)委員 私の得ている情報では、早ければ今週末、二十三日にもイランのアメリカ大使館の人質が解放される運びになっているようだということなのですけれども政府の感触はいかがですか。
  268. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 私どもの方にも断片的にいろいろな情報が入っておりますが、ただいま先生御指摘のような精密なものはまだ入っておりませんけれども、大体そのような情報と、それから、そうじゃない、もっと遅くなるのだ、たとえば三月末ぐらいまでだめじゃないかといったような消極的な情報と、両方ございます。しかし、全般的には明るい感じの方が多うございます。
  269. 井上一成

    井上(一)委員 私自身も、一日も早い人質解放、そのためにわが国として積極的な外交努力を払うべきだと思うのです。二十三日を目指して、外務大臣、それはいろいろな情報があるでしょう、ありますけれども、わが国としては、官房長官からも早期解放を期待するという強いお答えがあったわけです。外務大臣として、いまお答えがありましたけれども、そのために最大限の努力をされる決意を持っていらっしゃるのかどうか、ここで聞いておきたいと思います。
  270. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもの方も、そういうことでできるだけ早く解決するように努力いたしたいと考えておるわけでございます。  二十三日の日付につきましては、いま局長から申し上げましたように、多少まだイランの大統領と学生の間に完全に話がついていないらしいというような情報があったり、いろいろな情報がございますので、確定的には申し上げられませんが、一日も早いことを期待いたしております。
  271. 井上一成

    井上(一)委員 さて、私は次に、パーレビ王制の時代、いわゆる旧体制の中でのわが国とイランとの経済取引、輸出入取引について、確認を含めて質問をいたします。  海外プロジェクト、とりわけイランにおけるほとんどの事例、現地のローカルエージェントを介在させていたと私の方では把握しているわけなのですけれども、その事実について政府は承知しているのかどうか、まずお聞きをいたします。
  272. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  本邦企業が海外との貿易取引を行う際のローカルエージェントの使用につきましては、基本的には民間企業の判断にゆだねられておる問題でございますので、当省として一般的にその利用状況を把握はいたしておりません。
  273. 井上一成

    井上(一)委員 民間ベースでの取引だからそのようなことは承知していない、私は実態はそうじゃないと思うのです。そういう答弁は全くでたらめである。  これはここで通産大臣に、わが国の政府資金を導入してでもその完成を目指そうという三井石化の問題がありますね、ただ単にこれ一点だけで質問するのじゃなくて、この事業も含めて、いま私がお聞きしたように、イランに進出するプロジェクトについてはローカルエージェントが絡んでいるということを全く御承知ありませんか。
  274. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私も実はローカルエージェントの問題は正確には聞いておりません、うわさ等はもちろん聞きますけれども。しかし、政府で確かめておるのかという点に関しましては、さっき申しましたように、企業の判断の問題ですから……。
  275. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 中東との取引に関しまして、現在のところ、政府関係機関との取引につきましては一般的にローカルエージェントを使用しておらないというふうに聞いておりますけれども、民間企業等との主として小口の取引につきましてはこれを使用する例があるというふうに聞いております。
  276. 井上一成

    井上(一)委員 全く私はそういう答弁には満足をしないし、事実に反する。わが国の特定商社といわゆるイランのパーレビ体制の中でのたとえば電力省なら電力省との契約の中で、ローカルエージェントは存在しておったじゃありませんか。それまでも否定をなさるのですか。
  277. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  現時点においては、政府関係機関との取引でエージェントを使っておるという例は聞いておらないということで、あるいはそれ以前、革命以前の段階においてはそういう例があったかと思われます。
  278. 井上一成

    井上(一)委員 私は、質問前段でパーレビ王体制の中でということをちゃんと申し上げておるわけなんですね。にもかかわらずふまじめな答弁をするから、私自身が指摘をしてきたわけです。そういうことが通るという感覚がおかしいのである。  何を私がここで指摘したいかというと、そういうことによって余分な予算、資金がそこに持ち込まれていく、流れていく。そのことは、やはりわが国の大事な政府資金及び政府関係資金があるのですから、いわば余分に資金をそこに投入していけば、むだな形で何十億、何百億という金が投じられていくということを指摘しておるのです。だからそういう意味でもう一度、ローカルエージェントが介在をしていた、現革命体制、いわゆるホメイニの体制、現在のイランの体制ではそれは存続しないけれども、過去にあってそのようなローカルエージェントは存在していたということを、通産大臣も御承知なかったのですか。さっきあなたは全然知らないということを言っておるのですよ。いま関係者から、現体制では、ないということです。大臣、いかがなんですか。
  279. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私もその点は確かめておりませんので、御承知ですかと言われると、私知りませんと言う以外に答えられません。
  280. 井上一成

    井上(一)委員 これは事務当局が大臣に報告をしてなかったのだというふうに受けとめておきます。しかし、大臣、事務当局が答えたように、そういう事実があったということです。  さらに、私はこのことについて尋ねていきます。  そのようなローカルエージェントはどういう性格のものであり、現在どのような形になっているのかということもここで聞いておきたいと思います。
  281. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  ローカルエージェントの使用状況につきましては、先ほど申しましたように、民間企業との小口の取引において使われた例があるというふうに伺っておりますが、それにつきましてはあらかじめどういう取引であるとかあるいは送金の手続であるとか、そういうようなことに利用されておったというふうに聞いております。
  282. 井上一成

    井上(一)委員 確かに送金の手続上のためにそのローカルエージェントが存在する、こういうことですね。ただ、小さな取引というお答えがあるのですけれども、小さな取引とは一体どれくらいの取引を指しておっしゃっておるのか。
  283. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  ちょっと言葉が足りなかったと思うのでございますが、現時点においては小口の取引しかないということでございますが、以前はもっと大口のものもあるいは行われておったかということでございます。
  284. 井上一成

    井上(一)委員 もう本当にそういう答弁では、全く何というのか怒りたい気持ちですが、しかしまあ大きい取引、三百億も四百億もあるいは五百億以上のものについてもローカルエージェントが存在しておった、介在しておったのです。  さらに、私は先ほども指摘しましたように、三井物産が手がけたいわゆるイラン日本石油化学、IJPC、このしりぬぐいを政府が二百億円の出資というかっこうの中で取り組んでいこうとしているわけです。このIJPCについては、そのことも含めて、あるいは資金の契約の実態も含めて、全く政府は責任を持ってこれに対して関与できるという認識を持っていらっしゃるのかどうか、通産大臣。
  285. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  IJPCプロジェクトにつきましては、日本政府といたしましても、あるいはイラン側政府といたしましても、これは象徴的なナショナルプロジェクトとして、十分両国の今後の共存共栄のために有益なプロジェクトであるという確信を持っておるわけでございます。
  286. 井上一成

    井上(一)委員 まあIJPCについてはという、また前段の話があるわけです。それじゃ相手国の契約の相手方の名前、いわゆるイラン側の受け手の契約相手先の名前、それから当初の契約額は。
  287. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  契約の相手方は当初はNPCでございます。
  288. 井上一成

    井上(一)委員 契約額は。
  289. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  当初は五千五百億円でございました。
  290. 井上一成

    井上(一)委員 当初五千五百億、そしてその後の経緯はどうなっているのですか。
  291. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  金額は当初、いま御説明がございましたように五千五百億円でございましたけれども、革命を契機といたしまして見直しをいたしまして、千八百億を追加して、現在では七千三百億というのが金額の見当になっております。
  292. 井上一成

    井上(一)委員 見直しした中で何がそれだけ増加した原因なのか、こういうこと。  それから、もう固めて質問をしますけれども、このプロジェクトについても非常に不純な分野がある、よくない。私の調査では、いわゆる金をうんと出させて、そしてその金が何らかの形で日本とイランとの経済交流を損ねるようなそういうことに使われている。そういうことについても政府がしりぬぐいをするのだから、十分お調べになって、確信を持ってこれに取り組んでいくというお考えを持っているのかどうか、あるいはこれからそういう点について調査をするお考えなのかどうか、そういう点についてお答えをいただきます。
  293. 田口健次郎

    ○田口説明員 御説明申し上げます。  先ほど申しましたように、五千五百億から七千三百億に千八百億ふえたわけでございますけれども、その千八百億増加が必要になりました要因といたしましては、大ざっぱでございますが、約一千億円が革命後工事が中断したことによって生ずる費用の増高分、それから約八百億がイランのインフレ等によりますいわゆるコストオーバー分というふうに理解しております。  なお、二番目の点につきまして、これは国家資金をつぎ込むわけでございますから、いわゆる仮にも不純と申しますか、そういったことがあってはならないことは当然であるというふうに考えております。
  294. 井上一成

    井上(一)委員 このプロジェクトについては手数料はどうなっているのですか。
  295. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。     〔村田委員長代理退席、委員長着席〕  現在把握しておりますところでは、IJPCプロジェクトに関しましてはローカルエージェントを使ったという事実は確認をいたしておりません。
  296. 井上一成

    井上(一)委員 手数料、いわゆる契約時における経費ですね、そういうものがこの中に含まれているのかどうか。
  297. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  したがいまして、エージェントフィーのような手数料は含まれておりません。
  298. 井上一成

    井上(一)委員 確かにそうであるということが言い切れますな。
  299. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 先ほども申し上げましたように、現在把握いたしておりますところでは、そういうことは確認をしておらないということでございます。
  300. 井上一成

    井上(一)委員 現在のところでは把握をしておらないということですけれども、私はそのようなことが、確たる信念を持って絶対にそういうことはあり得ないのだということが言い切れますかと聞いておるわけなんです。言い切れますか。
  301. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 その点につきましてはなお追って調査をいたしまして、先生にお答えをいたしたいと思います。
  302. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃそのことについては私に後刻報告をいただくということで、次に進みます。  本来、そのようなイランにおけるローカルエージェントはわが国の商社、企業と契約段階において幾らかの手料料を取っておった、このことはいわば先ほども言ったように余分な資金を上積みして、そうしてイランとの取引をしていく。むしろ私はこんな商社活動は、日本とイランとの友好関係、両国の国民にとっても不利益でありますし、日本とイランとの友好関係を損ねるいわば道義的問題がそこにあるということと、さっき指摘をしたように余分な経費が上積みをされている、非常によろしくない。こんなことは今後やはり改善をしなければいけないし、そういうことがあからさまに——やはり政府自身がプロジェクトに協力をしていくのですから、これは輸銀の金も入っているのですから、いろいろな意味でもっともっと掌握をする必要がある。さらに私は、このローカルエージェントの多くは、いわゆるパーレビ体制の中でのロイアルファミリーがくみしているところのいわば王制のダミーの役割りをしていた性格があると思うのです。さっき言われたように、性格が資金の送金関係であるというそういうことでローカルエージェントが必要なんだ、あるいはそういう役割りを果たしている、そのことについても伺います。  そのこと以前に、大体ローカルエージェントの手数料というものはどれくらいが妥当だと当局はお考えなのでしょうか。
  303. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  プラント等を輸出いたしますものがその取引に直接伴いまして支払います代理店手数料につきましては、その額が輸出代金の一〇%以下であれば通常、外為銀行の承認だけで送金ができるということになっておりまして、輸出代金の一〇%を超える手数料につきましては、通産大臣の許可を必要とするということになっておるわけでございます。
  304. 井上一成

    井上(一)委員 私はここに過日の予算委員会で、問題を非常に多く含んでおります浦項プロジェクトに関する手数料支払い云々のときに、たしかこれはわが党の大出委員から質問があった折に、総理大臣であるか担当大臣であるかは別として、輸出額の一、二%が外為法上は特に問題がなかったのではないだろうか。そしていま言われるように貿易関係の観点からは、一〇%までの代理手数料については為銀の承認で支払いが可能だということはよくわかっているのですけれども、大臣は通常一、二%だという答弁をなさっている。ところが、このイランのローカルエージェントについては、大型プロジェクトでは約四%、そして契約額の低いプロジェクトについては六%。少なくとも過去四年間ぐらいにわが国から輸出されたプロジュクトに対して支払ったいわゆるエージェントフィー、それが私の試算で約四百億円あるというのです。これは非常に膨大な額でありますし、この金がどのように送金されているかということになるわけですけれども、この四百億円もの多額の金がイランへの進出プロジェクトに対して余分にわが国が負担をし、それは結果的には後払いになったとしてもイランが負担をする額である。このことについてはもっと非常に深い調査を必要とするのではないか。  そういう意味で、担当の通産省でそれぞれの企業に対して再度調査をする用意を持っていらっしゃるかどうか、このことについて少し聞いておきたいと思います。
  305. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  一〇%を超えるものにつきましては通産大臣の承認が必要でございますので、書類は通産省へ回ってまいりますので、具体的にどういう契約であるかとか案件について先生の方から御指摘をいただければ、私どもの方でも調べたいと思いますけれども、しかしながら、書類の保存期間が決められておりますので、その期間を超えております場合には……(井上(一)委員「期間は何年ですか」と呼ぶ)この延べ払いの場合は一年でございます。それから通産局の書類保存期間は二年間でございますし、為銀の書類保存期間は三年ということでございます。
  306. 井上一成

    井上(一)委員 ますます私はこのことについてはさらに不愉快を覚えます。通産大臣は一〇%以上でないとわからない、そんなことはないのですよ。なぜそういうことがないかというと、日本の企業あるいは商社は通産大臣に対してその送金の申請理由書を提出しているわけなんです。それはどういうことかというと、送金の必要性を具体的に説明することになっている。そういう書類があなたの方に、通産大臣の方にちゃんと提示されている。そしてそのことにおいて送金をエージェントにしているわけなんです。だから、何も知りませんというような答弁は私は全く不愉快である。  だから逆に言うと、申請理由書、その内容を、では、私はここで示してもらいたい。ここに出してもらいたい。ペイメントライセンスを得るために通産大臣あてにいわゆる申請理由書を出すじゃありませんか。それはたとえばこのエージェントに対してこうこうこういう理由で、こういう要求があって、ここへ金を送るんだという、そういう申請書が出ているはずですよ。その書類を出してください。
  307. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  先ほど御説明申し上げましたように、輸出代金の一〇%を超える場合には、通産省に理由を付した申請書が出てまいることになっておりますけれども、個別の書類につきましてはこれを一般には公開をしないということになっております。
  308. 井上一成

    井上(一)委員 私は正常な取引で、そして民間同士の私契約という形の中ではあえて、いかに国会であろうとも、それを提示することは問題があろうと思いますし、そのような要求をしているのではありません。ナショナルプロジェクトとしての位置づけをし、あるいはまたそれでなくても、日本とイランとの友好を保つ上に対する経済協力、そういうプロジェクトに対して、私は国益のためにもあるいは平和外交のためにも、基本的にそんなことはすべてを明らかにしながら、その非があればその非を改めさせていく、そしてむだがあればむだをなくしていく、お互いに日本の国のためにも相手国に対しても、そうすることが当然のことではありませんか。それを出せないというようなことはどういうことですか。
  309. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  IJPCにつきましては、先ほど先生に申し上げましたように、調べまして先生に御報告をいたします。
  310. 井上一成

    井上(一)委員 私はもちろんそのことも必要なんですよ。必要なんだけれども、あるいはそれ以外にも、たとえば十億円以上のプロジェクトというものが十七件あるわけですね、約二千四百億円。これらのプロジェクトもやはり私は両国のために交わされた契約であり、そしてその中には政府機関の輸銀も資金を投入しているのですから、そんなことをただ単に民間のものだということで、これだけは出しますけれどもこれは御勘弁をというのは、姿勢としてはおかしい。だから、そのことも含めて私は提出を要求しておきます。  さらに私はさっき、エージェントの性格が送金のためだ、これは確かにそうなんです。その送金はどのような実態であったかということを御承知でしょうか。
  311. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 エージェントの手数料の送金につきましては、それが一〇%を超えます場合には、通産省で契約関係の書類等も審査いたしまして許可をするということになっております。
  312. 井上一成

    井上(一)委員 同じ答弁でもう何回もそういうことを言ったって、私は答えにならないと思うのです。それじゃ、こういうことを少し、一例です、私の方から指摘をして出しましょうか。あなた方、出してほしいですか。あなた方は御承知なんでしょう。  たとえば日本の商社が、当然イランの外銀のテヘラン支店に契約書の中では送金をするということになっておるにもかかわらず、いわゆる日本にある外銀の支店に金を振り込む。そして、その外銀のテヘラン支店の指定した銀行には口座ナンバーを持たずに、そしてそれを経由したかのようにして中近東のある都市の同じ外銀の支店に振り込んでおく。そこから今度は——アドバイス・アンド・ペイ方式というのがあるそうです。これは私も余り知らぬのだけれども、しかしそういう形の中でそういう金の流れが中近東のある都市の支店に——東京にある銀行のですよ、外国銀行東京支店からその外国銀行のたとえばアブダビならアブダビの支店にそれが送金されている。そこから今度は、西ドイツに架空名義の銀行口座をつくってそこへ送金する、こういう仕組みなんです。ローカルエージェントが果たす役割りというのはそういうことなんです。こういうことも十分お調べになりますか。調べるというならこれ以上申し上げませんけれども、調べないというのだったらこれから——だから私はこういうことを指摘しましたが、お調べになりますか。
  313. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  代理店契約の相手方でございますエージェントの指示に基づきまして第三国に送金するということは、外為法上認められております。  IJPCにつきましては、私ども現在は確認しておりませんけれども、今後調べましてそういう実態を御報告をいたしたいということでございます。
  314. 井上一成

    井上(一)委員 私は外為法違反だとは一言も言ってないわけです。むしろ合法的に日本からイランに当然送るべき資金を国外に集積をしている、こういう事実を指摘しているわけです。このことは、まあそのこと自身を短絡的に私は結びつけたくありませんけれども、いわゆるパーレビ元国王の海外資産の蓄積を結果的には手伝った状態をつくったんじゃないか、こういうことなんですね。そしてわが国の経済的な面でも非常に余分な負担を押しつけられた。それはやはりパーレビの資金づくりの一役を日本の商社が結果的に——当時としてはそうせざるを得ないさっき言ったアドバイス・アンド・ペイ方式、そういう形でここへ送れと言われたから送らざるを得なかった、そういう事情は理解はできても、結果的にはそうなったんじゃないか、こういうことを言っているのです。それであなた方はどうなんだと言う。そういう事実があれば、そうですとか、そういう事実を調査しますとか、そういう答弁をすればいいんですよ。どうなんですか。
  315. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  契約の相手方でございますエージェントの指示に基づきまして送金をいたしまして支払われました後につきましては、外為法上通産省といたしましては知り得ないということでございます。
  316. 井上一成

    井上(一)委員 全く的を外れた答弁なんですよ。何回も同じことを繰り返している。  大臣にこれは聞いておきましょう。私は指摘をしました。おわかりいただけましたね。そういうことを当局はきっちりとするか、あるいは、そういうことであれば結果的にはパーレビの国外における資産づくりの一役を買わされた、こういうことになるのと違いますか、こういうことを言うているわけですよ。
  317. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 いま局長がおっしゃったように、調べますが、調べられる限界がございますから、それ以上はわかりませんというのは、それはしようがないと思います。
  318. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、いまわかっていて言わなければ、これは問題ですよ。調べますと言うのは当然ですよ、私が問題を指摘しているのですから。
  319. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 調べます。調べますが、調べられない限界があった場合はしようがないということを申しているのです。
  320. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は官房長官なり外務大臣にこのことについて関連してお聞きをしたいのですが、官房長官がいま席にいらっしゃいませんので、この問題については二問留保して、後でお見えになってから質問をいたします。  時間がありませんので、問題をひとつ変えます。変えまして、通産省の所管団体に財団法人機械システム振興協会というのがあるわけであります。この協会の事業目的及び事業内容をひとつお答えいただきたいと思います。
  321. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 お答えいたします。  いまお話しの財団法人機械システム振興協会でございますが、この目的といたしましては、わが国で初めて開発されるような新しい機械システムというものを民間に委託をいたしまして開発をさせ、その普及を促進するということを目的にいたしております。なお、事業の内容といたしましては、この新機械普及促進事業という形で協会内に委員会を設けまして、テーマを選定いたしまして、そして広く新聞等でメーカーとユーザーのグループを公募いたしまして、その中から技術的にすぐれたものを選定いたしまして、そこに開発を委託するといったようなやり方をいたしております。
  322. 井上一成

    井上(一)委員 新機械普及促進制度、そういう制度にのっとって新規開発を目指すのだ。そこで私は、エクタスシステム株式会社というのがあるわけですが、このエクタスシステム株式会社が主契約者となって開発中のものに全自動小型鋳造体製造システムというものがあるわけですが、これを協会が選定をされた経緯、この経緯について伺いたいと思います。
  323. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 ただいまお話しのエクタスシステム株式会社が全自動小型鋳造体製造システムというアイテムにつきまして選定された経緯でございますが、昭和五十一年の八月に、先ほど申しました新機械普及促進委員会というところでテーマが選定をされております。これを新聞によりまして公募いたしましたところ、このエクタスの呼びかけで、それと共同の研究開発の体制をつくりましたほかの二社と合わせて三社のグループが応募をしてきたという経緯がございます。その応募内容委員会におきまして慎重に審査した結果、五十二年の一月末に、このエクタスシステムの入っているグループが採用になったと聞いております。なお、この契約金額は九千七百万円ということでございます。
  324. 井上一成

    井上(一)委員 私の調査では、振興協会は当初、東京電子応用研究所と契約を結んで、その東京電子応用研究所が倒産をした。その倒産をした時点で、協力者的立場であったエクタスに引き継がせたというのが実情だと思うのです。さらに深くこれを調べますと、実際はそもそもの開発それ自体からエクタスが振興協会へ話を持ちかけていって、そして、いま言われたように公募をしたと言うのだけれども、この公募の手続はきわめて形式的なものである。いわば契約の発注をエクタスが仕組んだ、協会がエクタスに乗せられたんだというのが私の調べでは実情なんですよ、その経緯の中で。これについてはどうなんですか。
  325. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 本件につきましての過去の経緯を振り返ってみますと、協会のサイドにおきましても、その審査の過程において若干反省すべき点があるというふうに私どもも考えております。そこで、結果といたしましては御承知のように、エクタスの実質倒産という結果になってしまいまして非常に残念でございますけれども、今後このようなことがないように、制度的にも運営面でも改善すべきところを改善するということにいたしたいというふうに存じます。
  326. 井上一成

    井上(一)委員 残念であるというお答えがあったのですが、私の聞いておるのは、私がいま大まかに指摘をしたこと、エクタスが当初から仕組んだやつだ、こういうふうに指摘したんだから、そのとおりであるのかないのか。そのとおりであるならそのとおりであり、そのことが非常に残念だというなら話はわかるけれども、そこらを再度お答えをいただきたいと思います。
  327. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 この件の申請の段階の経緯でございますけれども最初にこのテーマを選定するに当たりまして、協会が各方面からいろいろ意見を求めるという過程の中におきまして、このエクタスから本件についての提案があったということは、先生御指摘のとおりでございます。
  328. 井上一成

    井上(一)委員 乗せられたんだろう。
  329. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 乗せられたかどうかという点でございますけれども、この審査の過程においていま少しく十分な調査をするという体制があれば、あるいはこういった結果にならなかったかもしれないという意味におきまして、反省をしておるということでございます。
  330. 井上一成

    井上(一)委員 わずか、まあ資本金だけでその企業の信用なり実態を軽々に判断することはどうかと思うのですけれども、いまも指摘したように、東京電子応用はつぶれてしまう、エクタスも続いてつぶれてしまう、いろいろ被害者が出てきた、大変もって当初からこういうことは仕組んでいる、このような技術開発をやらせた、こういうことを考えていくと、正常でない、何かそこに政治的な背景があったのではないだろうかという勘ぐりが起こるというのが私の次の質問なんです。いかがですか。
  331. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 協会並びに当時の関係者から私どもは事情を聴取いたしましたけれども、そういった政治的背景はないというふうに承知しております。
  332. 井上一成

    井上(一)委員 しかし、政治的背景がなかったけれども、いま言うように結果的にはつぶれた。これはその経営者はどなたなんですか。そして、どういう形で政治的背景が感じられるということに私が受けとめたかということも御存じなんでしょう。もっと率直に、正直にお答えいただいたらいかがですか。
  333. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 このエクタスシステムの社長は地崎信一という方でございます。(「だれだね」と呼ぶ者あり)私どもの承知しておるところでは、地崎宇三郎氏の実弟であるというふうに伺っております。
  334. 井上一成

    井上(一)委員 個人的なお名前を申し上げるのは大変申し上げにくかったんですけれども、そういうことだから政治的な背景がというふうに感じられたということです。でも、それでなければそれでないで結構でございます。また、あってはいかぬということ。しかし、この制度それ自身あるいは運用面で、今回のこの具体的な事例を見ても欠陥があった、こういうふうに私は断定をいたします。再びこのような事件を引き起こさないようにするためには通産省はどうしたらいいだろう、そういうことについてお考えを持っていらっしゃいますか。
  335. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 この協会がやっておりますような新しい技術の開発には、ある程度リスクが伴うということは先生にも御理解いただけるんではないかというふうに思いますけれども、ただ、現在の制度自体が全く完全であるというふうには私どもも思いませんし、今回のようなケースもございますので、制度あるいはその運用の方式といった問題につきまして、改善すべき点につきましては早急に検討いたしまして、その方向で協会を指導いたしたいというふうに考えております。
  336. 井上一成

    井上(一)委員 局長、具体的にどのように取り組みたいんだ、取り組むんだということを少し聞かせてください。
  337. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 まだこれからの検討課題でございますけれども、たとえば一般に公募する際に、公募してから締め切るまでの期間を相当長くとるというようなことで、広範囲に各界からの申請を募るということも一つの案かと考えますし、それから、信用調査といった面につきましてもう少し工夫する余地がないかという問題もございますし、また、こういった技術開発はいろいろ審査にむずかしい問題がありますけれども、たとえば技術開発の段階を第一フェーズ、第二フェーズ、第三フェーズというような区切りをいたしまして、そういった段階別にうまくチェックをするというような方法がないかというような問題もございますし、そういった点などを頭に置きながら、これからひとつ検討してみたいというふうに考えるわけでございます。
  338. 井上一成

    井上(一)委員 エクタスシステムが倒産したために、多数の関連中小企業者が被害を受けているわけであります。このことについては、通産省としてはどのようにお考えを持っていらっしゃるのでしょうか。
  339. 栗原昭平

    ○栗原政府委員 この問題に関しまして、協会の立場もある意味では、開発を委託して金を出したという意味において被害者の一人であるということでありますけれども、結果といたしまして、関連の中小企業の方に御迷惑をかけたということになりますし、非常に残念なことと思っております。そういう意味におきましても、特に私ども中小企業庁という役所もございますし、中小企業庁とも十分連絡をいたしまして、皆様方の御相談に対しましてできるだけお役に立つようなやり方を考えたいというふうに存じております。
  340. 井上一成

    井上(一)委員 通産大臣、本件についての大臣の所見を伺って、この件については質問を終えたいと思います。
  341. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 結果的に多数の中小企業の方に御迷惑をかけることになりまして、まことに残念でございます。これを機会に、この制度、特に運用の改善について早急に検討するよう協会を指導してまいりたいと思っております。
  342. 井上一成

    井上(一)委員 官房長官がお帰りになりましたので、官房長官退席中に、少しイランにおけるわが国の輸出プロジェクトの実情、実態を質疑を通して申し上げておったのですが、部分的には、わからない部分は今後調査をする、そしてローカルエージェントが果たしてきた資金の送金についての役割り等、いま官房長官いらっしゃらなかったから、それらのことが十分把握できないのですが、もしそのことがパーレビ体制の国外における資本蓄積に手助けになっておったというような結果になった場合には、これは大変なことなんですね。  冒頭に申し上げたように、ワルトハイム事務総長の御尽力が功を奏そうという時期でもありますし、あなたも、一日も早い人質解放という願いの中から、具体的にはおっしゃられなかったけれども、わが国も努力をしなければいけないし、協力をしなければいけないわけです。私は、日本の商社の体質を少し明らかにしつつ、パーレビ王時代の不明朗な取引の実態、そのことはわが国の資金が余分に流出をさせられておったという、わが国にとっても非常な大きな損失なんですよ。損失なんですけれども、高いプロジェクトを輸出したということでありますし、そういうことを考えればまだまだ問題点があるわけですけれども、パーレビの調査委員会等も設置されたことだし、その意味からも、このことについて今後積極的に国連の中で協力体制をとっていかれますか、いかがでございますか。
  343. 伊東正義

    伊東国務大臣 所用で留守をして恐縮だったんでございますが、いま先生のおっしゃったような事態があってはこれはいかぬことでございまして、政府のベースの経済協力というようなことは、イランの民生の安定とか経済の復興とかそういうことにこれは使われるのであって、先生のおっしゃったようなことがあっては私はいかぬと思いますので、そういうことは信じたくないことでございますが、実情につきましては私存じませんので、これは関係の省庁で調べてもらうということにしてもらいたいと思います。
  344. 井上一成

    井上(一)委員 最後に外務大臣、わが国の外交指針、三本の柱、その中で、いま私が指摘したこの問題について大臣の所見を承って私の質問を終えます。
  345. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 三本の柱、具体的にはどれどれでございますか、どういう御意向かよくわかりませんのですが、経済協力につきましては、できるだけ開発途上国の経済開発の促進、民生の安定、そういうことに資することを目的といたしておるわけでございまして、援助ができるだけ有効に使われることを私どもとしては願っておるわけでございます。
  346. 井上一成

    井上(一)委員 外務大臣、わが国の外交指針、三本の柱というのは政府が出したものなんですよ。外務大臣であるあなたがどのことかわかりませんけれどもで、こんなことで務まりますか。官房長官、ここは総理がいらっしゃらないから、大臣が基本的なわが国の外交指針、そんなこともどのことであるかわかりまへんなんというようなことでどないなるのですか。そやから頼りないと言うのですよ、日本の外交は。そのうちの一つ、国連を中心とした外交ということをうたっているでしょう。だからワルトハイムさん——大臣御存じないのですか。
  347. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 三本の柱と申されましたので、どの三本の柱かということでございますが、国連中心ということであればよくわかります。国連に対する協力は日本の外交の重要な政策の一つであるということでございます。
  348. 井上一成

    井上(一)委員 ワルトハイムさんに対してどうするんですか。国連の調査委員会に対してどうするんですか。
  349. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 国連の調査委員会がいまできつつあるところでございますので、これはまだ正式に政府機関を通じた連絡がございませんが、もちろん日本としては国連の有力なメンバーでございますし、イラン問題に対する審議、安保理事国のメンバーではございませんけれども、国連の活動についてできるだけ協力をしてまいるというつもりでございます。
  350. 井上一成

    井上(一)委員 終わります。(拍手)
  351. 田村元

    田村委員長 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  この際、大蔵大臣より発言を求められておりますので、これを許します。大蔵大臣竹下登君。
  352. 竹下登

    竹下国務大臣 この際、お許しを得て、公定歩合引き上げ及びそれに関連して一、二申し上げたいと思います。  一、日本銀行は、本日午後の日銀政策委員会において公定歩合の一・〇%の引き上げ決定し、あす二月十九日から実施する旨を四時三十分に発表いたしました。この結果、公定歩合は七・二五%となります。  二、これに伴いまして、大蔵省としては、預貯金金利についても引き上げ方向で考えており、本日、日銀政策委員会に対しまして発議を行いました。  三、なお、預金準備率についても引き上げを行う方向で、その内容等につき当省及び日本銀行において検討中であります。  以上、とりあえず御報告申し上げます。
  353. 田村元

    田村委員長 次に、東中光雄君。
  354. 東中光雄

    東中委員 いま大蔵大臣から公定歩合引き上げについての発表があったわけでありますが、これは結局物価抑制を主たる目的として実施されるものだと思うのでありますが、金利政策だけでは今日の物価高騰の強い対策ということにはならないと思うのであります。当面の物価対策としては、大型公共料金の軒並み値上げの凍結と、大企業製品の原価や経営戦略にまで立ち入った調査による価格抑制、あるいは石油価格上昇を口実にした関係製品価格への厳しい監視、こういったことをやる必要があると思うのですが、今回の引き上げでは関連する金利の扱いをどうするのかということ、特に国債の金利はどうする考えなのか、お伺いしたいと思います。
  355. 竹下登

    竹下国務大臣 いま読み上げましたとおり、いま預貯金金利の、今度は臨時金利調整法でございますかで、日銀政策委員会に発議をいたしまして、それから審議会にかけてそれは決まるわけでございます。その他、今度は各行との長期プライムの問題とか各般な問題がこれから動くわけでございます。  したがって、国債の金利につきましても、これは原則として必ずしも連動する課題のものではございませんけれども、諸般の金利体系はこれからそれぞれ関係方面と協議に入るわけですから、その中において検討するということしかいまの段階では言えないと思います。
  356. 東中光雄

    東中委員 まあ検討ということでしょうけれども、世上で伝えられておるように、仮に〇・三%引き上げになるということにしますと、五十五年度の利払い費は幾らぐらいふえるということになるのか、さらに財政収支試算等の例によって今後とも発行が続けられる場合に、〇・三%アップになった場合に六十年度の国債費はどれくらいふえることになるのかという点、いかがでしょう。
  357. 田中敬

    田中(敬)政府委員 ただいま大臣がお答え申し上げましたとおり、まだ国債金利をどう扱うかということは決まっておりませんが、委員が御指摘のような計数になるかどうかもわかっておりませんが、十四兆二千億程度の国債の発行を予定いたしておりますので、これがたとえば〇・一%引き上げになるということになりますと、計算上は年間で百四十億になります。しかしながら、国債は年二回の利払いでございまして、十四兆二千億の国債の上期発行分にかかわる分だけについて下期に半年分の利払いが来るということでございますので、百四十億の四分の一、約三十五億円程度というものが、この状況が年度末までずっと続くと仮定いたしましたときに、そのような数字になろうかと思います。
  358. 東中光雄

    東中委員 〇・三%のアップとして、国債が毎月平均して発行されるということを前提に概算をしてみたのでありますが、もちろん中期債や公募入札債もすべて長期債と同様に金利が上がるとしての計算でありますけれども、五十五年度で百七億円アップになる、六十年度では二千二百三十三億円もアップになる。特に六十年度ですと二千億台になるわけですから、今年度の予算の前提になっておる財政収支試算も、また予算自身も前提が狂ってくるということになるわけであります。しかも、それは財政危機を一層拡大する方向でそういうことになっていくという点がありますので、私たちはやはりその予算自体を、大幅に国債の発行を減らすという、また国民本位の税制、財政の改革を進めて、国民生活と財政再建を同時に進められるという組み替え案を出して政府にも言ってあるわけでありますけれども、そういうふうにしなければならぬじゃないかと思うのですが、大蔵大臣、どうでございましょうか。
  359. 竹下登

    竹下国務大臣 いま東中委員の御発言は、〇・三上がるであろうということの前提で、それをずっと確定させての御議論でございますね。金利というものは上がることもあれば下がることもございます。したがって、共産党のいわゆる修正案そのものの評価は別といたしまして、今日の公定歩合引き上げ、そしてそれが国債金利への影響等によって、今年度の予算を共産党の組み替え動議のようにかえるというような考えは全くありません。
  360. 東中光雄

    東中委員 この公定歩合のアップがいま政府が出されておる予算あるいは試算の前提を変えていく、これは少ないことのようですけれども、百七億、あるいは六十年度になれば——この試算を前提にして今度の予算というのはあるわけですから、あくまでもそれは試算ですけれども、そういうものであるからもっと根本的にかえなければいかぬということを私たちとしては強く主張しておきたいということであります。  これはこのくらいにいたしまして、通告しておりました国際電信電話会社、KDD問題についてお聞きしたいと思うのですが、郵政大臣はKDD問題についてKDDに対して大臣の指示をしてきた、小山房長を通じてやったということが委員会においてもすでに明らかにされているわけでありますが、それは新聞等に伝えられている事態について事実関係の解明をする、それはそれぞれの部署において行わなければならない、そして早急に世論の疑惑を解明してその信頼を回復する必要がある、古池会長の責任においてこれに応ずる処置をとられたい、報告をするようにということで臨んでこられたわけでありますが、二回ほど報告があったように昨年の委員会で言われておりますけれども、その後その事態の解明について報告があったのかなかったのか、その点をお聞きしたいと思います。
  361. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話しのございましたように、十月十三日にこの事件が報道されまして以後、郵政省といたしましてKDDからの報告を求めたわけでございますが、十月下旬に板野前社長を初め首脳陣の退陣がございまして、新しく古池社長のもとで経営刷新委員会というのが設置をされまして、ここにおきまして四つの小委員会をつくりまして経営の刷新に当たるということになったわけでございますので、郵政省といたしましては、その経営刷新委員会の活動の促進方と同時に、その結果についての報告を現在まで求めてきたところでございます。その現在までのところの状況を申し上げます。  まず一つは……。
  362. 東中光雄

    東中委員 新しい報告が来たのかということを聞いているのです。来たか来ないかということをはっきりしてほしい。
  363. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 経営刷新委員会が開催をされまして、どういうことが決まったかということについての報告は受けております。
  364. 東中光雄

    東中委員 私が先ほどわざわざ読み上げたように、事態について事実関係の解明ということで報告をせい、それは古池会長の責任においてやれというふうに指示を大臣の指示に基づきまして小山房長がいたしましたということを国会で答弁をしているから、それに基づいての報告があったかどうかということを聞いているんであって、まるっきり時間かせぎのようなことを言われては困る。  それで、直接中へ入ってまいりますが、古池会長兼社長においでいただいておるわけでありますけれども、十一月二十六日の衆議院の逓信委員会で古池会長は、昭和五十三年度のいわゆる交際費二十二億三千八百万円、その内訳は、旅費・交通費が三億七千万円、それから広告宣伝費が七千万円、それからいわゆる交際費が一億四千二百万円、その他の雑費、打ち合わせ懇談経費という名目のものが約七億円、そしてさらにその他の雑費というのが九億円ある。その中身は海外からの購入品、国内で買った品物の代金、記念行事あるいは国際会議等、パーティーその他で使った打ち合わせ懇談経費、こういうふうに答弁をされておるわけであります。これと同じような分類は、当然五十二年度についても、五十一年度についても、それから五十四年度の前半期についてもやられておると思うのですけれども、それを明らかにしていただきたい。
  365. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  ただいまのお尋ねに対しまして、五十二年度につきましては、旅費・交通費二億二千四百万円、広告宣伝費五千二百万円、交際費一億三千万円、雑費といたしまして、打ち合わせ懇談経費その他を合わせて九億九千三百万円、合計といたしまして十三億九千九百万円であります。これが五十二年度であります。  その前年の五十一年度につきましては、旅費・交通費一億五千六百万円、広告宣伝費四千百万円、交際費一億五百万円、打ち合わせ懇談経費その他六億二千百万円、合計で九億二千三百万円。  その前年、五十年度につきましては、旅費・交通費八千五百万円、広告宣伝費四千八百万円、交際費九千四百万円、打ち合わせ懇談経費その他四億一千四百万円、合計六億四千一百万円。  さらに下りまして五十四年度の上期でございますが、旅費・交通費二億六百万円、広告宣伝費二千八百万円、交際費九千九百万円、打ち合わせ懇談経費その他といたしまして九億二千百万円、合わせて十二億五千四百万円。  以上でございます。
  366. 東中光雄

    東中委員 中間決算報告の説明で言われておりました五十四年度上半期の交際費が十二億五千万円。ですから、五十三年度の一年間の二十二億三千八百万円よりもさらに大きくなっておるということであります。  そういう状態で、先ほど読み上げましたように打ち合わせ懇談経費という名目で——名目という言葉を会議録によると使っておられるわけでありますが約七億円、その他の雑費約九億円、こう言われておるわけですが、これは非常に膨大な額であります。しかも、そのトータルが出ておるのですから、中身は当然あるはずだと思うのですが、海外からの購入品は幾らか、国内で買った品物の代金は幾らか、その点についてまずお伺いしたい。
  367. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  ただいまの九億余万円に対する内容でありますが、これはその他雑費となっておりまするけれども、部外者に対する贈呈品代、これには海外で購入したものもあり、国内で購入したものもあります。それから慶弔費ですね。おめでたいあるいはまた不幸な場合の経費、記念行事の経費あるいは各種団体に対する会費であるとか賛助金、そういうようなものをすべて含んでいるわけでございます。  いま、そういう物品の詳しい資料はどうかというお尋ねでありますけれども、これはすでに捜査当局において強制捜査を受けまして膨大な資料を押収されておりますので、そういうふうな細かい数字の資料がございませんので、まことに遺憾でありまするけれども、この席ではちょっとお答えできませんので御了承願います。
  368. 東中光雄

    東中委員 これはそういうものを積算してトータルが出てるのですから、その中身について、個々のどれに幾らということをいま聞いているのではなくて、あなた自身が分けておられる贈呈品、海外からの輸入のもの、そして国内で買ったもの、それのトータルが何ぼかということがわからぬままで全体のトータルが出てくるわけはないのですから、その点はどうですか。
  369. 田村元

    田村委員長 わかっておる人、答えたらどうかね。——古池君。
  370. 古池信三

    ○古池参考人 もちろん、私がわかっておれば全部そのとおりお答えしますけれども、いまも関係者に問い合わせましたが、わからない、こう言っておりますので、どうしてもこれはお答えできない。
  371. 東中光雄

    東中委員 結論がわかって、その中身がわからぬと言うが、中身はこういう分類になっていますということを言っておって、そういうものを各部門ごとにきっちり調査し整理をするのが会社の刷新委員会ですか、の任務なんだと言っているのじゃないですか。それさえわからぬというような無責任な話はありますか。
  372. 古池信三

    ○古池参考人 確かにその数字を出す場合には、いろいろな証拠書類を集計しまして数字が出たことは間違いありません。しかし、それらの証拠書類すべて、領収書その他が全部押収されてしまっておる今日においては、ちょっとわからないというのが実情でございます。
  373. 東中光雄

    東中委員 郵政省へ報告した部分のいわゆる交際費、それは品目としてあるわけでしょう。そのほかに、たとえば広告宣伝費の中で七千万円だけは、これは交際費なんだ。広告宣伝費が、たとえば五十三年度なら全額で三十四億円ある。しかし、そのうちの七千万は交際費に入るものなんだという形で、ほかの品目から抜いてきた別の次元での広い意味の交際費ということになっているわけですから、どこかから持ってきているわけでしょう。郵政省へ報告した分とは違って、税務署へ出すときには、それぞれの部門からこのうちの——物品購入費というのはたくさんあるけれども、そのうちで交際費ということで購入したのはこの部分だということで、数字が上がってくるわけでしょう。それをトータルしたのがこの大きな数字ということになるわけですから、もっと前の決算の段階でそれはわかりておるはずでしょう、わかっていなかったらこんな申告はできないのですから。第一、皆持っていかれたと言うけれども、五十四年度の後半のやつは、持っていかれてからこういう数字を出してきているのでしょう。そうじゃないのですか。そうしたら、出てくる資料があるわけじゃないですか。
  374. 古池信三

    ○古池参考人 お答えします。  五十二年度の決算の根拠になった書類は全部押収されておりますし、また五十四年度の上期の分につきましても、この計算をする根拠になった諸種の書類は押収されております。
  375. 東中光雄

    東中委員 押収されておる物件は一切手がつけられぬというようなものじゃありません。国家公安委員長にお伺いしますが、仮還付の方法だってありますね。必要な範囲で仮還付して、それを調べるというような方法もありますね。そういう方法をあなたの方としてはやりましたか。もう持っていってくれたから助かったと思って、ありません、ありませんと言っているのじゃないのですか。そうじゃなかったら、仮還付を受けるなり、向こうへ行って調べるなりということだってできるはずですね。そういう点はやりましたか、やっていないのですか。  警察の方へそういう仮還付の要求なり閲覧、これは押収物件ですから、必要な範囲において、公的に必要なことなんだから、そういうことの要求が会社側からあったかどうか、警察の方から答えてください。
  376. 中平和水

    ○中平政府委員 そういう要求があったという報告は受けておりません。
  377. 東中光雄

    東中委員 要求があればそういう方法は法律上とり得るはずでありますが、警察はそういうことについて用意がありますか。
  378. 中平和水

    ○中平政府委員 現在、一応これは証拠として分析をしておりますから、捜査上支障のない範囲では協力をする用意がございます。
  379. 東中光雄

    東中委員 捜査上支障のない部分について速やかにこれはやるべきだと思う。そういうことについて全然努力していない。郵政大臣から解明のために徹底的にやれと言うて、それを受けておる公益会社が、まともにやろうとしていないというところに非常に重要な問題があるということをまず申し上げておきます。  それで、次の具体的な内容に入ってまいりますが、いわゆる商品券問題であります。古池参考人は十二月三日の当院の予算委員会で、商品券買い入れの枚数、額、そういったものについて「今後十分に調べます。」という答弁をされているわけですね。そのときは、リストがないからと言ってさんざん逃げようとされたけれども、逃げる気かと言って質問者が大きな声で発言をされて、「今後十分に調べます。」というふうに言われているのですが、調べられましたか。そしてその結果を言ってください。
  380. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  昨年の十二月の初めの予算委員会において、当時大出委員からそういう質問がありまして、調べ方を知らなければ私が教えてやるぞ、こう言って、まことに適切な調査方法を教えられました。そこで、帰って早速私の名前で、関係ありと思われる百貨店あてにぜひ調査に協力してほしいというので手紙を出しましたが、返事のあるところもあれば、ないところもある、こういう状態でございます。
  381. 東中光雄

    東中委員 手紙を出して、それでそれっきりですか。私は、こういう点について百貨店にも赴いていろいろ調べてみました。そうしますと、百貨店は商品券の売り上げをコンピューターにインプットしてある。それでコードで、KDDのコード、そして商品券のコードということでやればたちどころに全部出るそうですね。そういうふうにはっきり言っているのです。そしてそれはだれにでも見せるのかと言うたら、百貨店というのは、それはお客さんのことですから、第三者には言えません。警察や税務署が言ってきた場合、あるいは当該の人が言うてきたら、それはもう当然見せます。全部一覧表がさっと出てくるわけです、いつ幾日、何ぼ商品券買ったかということが。その点はやりましたか。
  382. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  百貨店の具体的な名前は申しませんけれども、たとえばA百貨店からは何百万円商品券を売りました、B百貨店は幾ら売りました、そういう返事がありましたが、C百貨店からは返事がない、そういうふうなことが実情でございます。
  383. 東中光雄

    東中委員 そのいつ幾日、幾らのものを買ったか、そしてそれをどこへ持っていったかということを調べるのが、いま刷新委員会の任務になっているのと違いますか。これは大西郵政大臣も、十一月十五日の参議院決算での答弁でありますけれども、「贈答品その他の問題につきましても、」「行き先とかあるいはこれに充てるべき金の使途とか、そういったものについては、当然いまの刷新委員会で調査がされておるもの、またされるべきものだと考えております。」すべきものだし、やっておるはずだ、こう言っているのです。贈答品の行き先、そして金の使途。それを総額だけ聞いてどうするのですか。総額をだれかに持っていったというのじゃないでしょう。一つ一つの具体的な行為なんです。証拠がある、こういう形でコンピューターでもうちゃんと残っているというときに、それをあえてやらぬとしたら、現在の刷新委員会も、また前のやつのことをそのまま承認をしていく、そして押し隠していくという姿勢をとっているということになるじゃないですか。その点どうなんです。
  384. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  刷新委員会の仕事はまだ終わったわけではなく、いま継続をいたしてやっております。それから、ただいまの商品券の問題については、百貨店から買い入れた方は、全部とは言いませんけれども、ある程度めどはついておるのですが、その買い入れた商品券をどういうところへ配ったかということが非常に肝要なことであります。ところが、その肝要なことがなかなかわからないというのが非常に私としては苦しんでおるところでございます。それはなぜかといいますと、こういうふうなものを扱った者が、多人数が扱ったわけではなくて、ごく二、三の人が扱っておるということがだんだんわかってまいりまして、そのうちの一人が、せんだってまことに残念なことに痛ましい犠牲となって亡くなりました。この人がほとんどこの商品券を一手に扱っておったのでありまして、その人がああいうふうな悲惨なことになりましたので、非常にこの問題の解明はむずかしくなった、こう思っております。そういう事情でございます。
  385. 東中光雄

    東中委員 痛ましい犠牲になったとおっしゃったけれども、犠牲にしたのはだれですか。警察ですか、国際電電ですか、だれが犠牲にしたのですか。  それはともかくとしまして、二月五日の毎日新聞に「商品券購入の全容つかむ KDD疑惑」ということで「デパート伝票もとに」という見出しで、凸版の「商品券仮出票」それから「商品券お買上明細票」というふうなものが載っています。これはもう当然見ておられると思うのですけれども、これはAデパートというようになっているのですが、私の方でいろいろ調べてみましたら、こういう様式を使っているのは三越だということがわかりました。それによりますと、「商品券お買上明細票」それから「商品券仮出票」同じく厚い紙での「商品券仮出票」、一方は「出納簿控」一方は「各部控」そしてもう一つはお客さんの方ですが「前主控」、ですから、この「商品券お買上明細票」というのは金券になるわけですけれども、これは国際電電の方へ入っておるわけですよ。     〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 そういう種類のものなんだということですが、こういうものがあるのですか、ないのですか。しかもそれには、私たちの方でいろいろ調査しましたら、今度は贈り先の符号をつけてあるというふうに聞いております。そういう点についての存在、会社にいまあるかどうか、そのものはどこへ行ったか。あるとすれば、その内容を示してもらいたい。
  386. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  ただいまお尋ねになりましたような資料はございません。もし仮にその当時あったといたしましても、今日押収をされた資料の中に入っておりますので、現在見るわけにはまいりません。
  387. 東中光雄

    東中委員 ところが、この資料、これに基づいてコンピューターにインプットしてあるわけですからね、百貨店に行けば皆わかるわけですよ。だから、ないのだ、仮にあったとしてもとられてしまったのだ、だからどうにもできないのだというふうな言い方は、これは絶対許されぬのですよ。そういう関係になりますね。全くやる気がないのか。やる気があるなしにかかわらず、むしろ積極的に隠しているか、どっちかとしか思えないようなことであります。  それで、私の方でいろいろ調査をいたしまして、この毎日新聞に載っております「Aデパートでの商品券購入一覧」、これは凸版でやってある写真もまた一緒なんです、実物ですから。あなたの方の手に入らないと言っているものが新聞社の方に入ってちゃんと載っているわけです。そういう状態になっているのだ。それで、商品券の一覧について、私たちの方でいま一応重要な問題だけ——これは三越関係でありますけれども、五十三年の十二月に三百二十一万円の商品券、商品券の額面は恐らく三百万だと思います。それがKDDの方で買われて、そして贈られた。贈り先ほどこかという点については大分詰めておるのでありますけれども、はっきり言えることは、郵政大臣経験者だというふうな疑いが非常に強くなってきております。これは五十四年の七月九日、二百八万八千円の商品券、結局二百万の商品券でありますが、これも郵政大臣経験者のようであります。五十四年の八月二十一日、百七万円、これは百万円の商品券でありますが、やはり郵政大臣経験者。そのほかに五十四年の九月二十五日、これは二百十四万円ですが、毎日新聞の凸版で出ておる分ですが、これは元国務大臣経験者。そして五十四年の十月六日、三百二十一万五十円、実際は三百万円券ですが、やはり国務大臣経験者に贈られているということが大体わかっておるのですけれども、そういう点について、われわれのように外におっても、お客さんのために見せられないのだということを言っている百貨店のものでさえそこまで詰めてきておるのですよ。そういう点について、あなたの方は行けばすぐに調べられるという条件にあるのだから、それを調べて明らかにするというふうにされますかどうですか。
  388. 古池信三

    ○古池参考人 ただいまのようなことは、これは商売人としては軽々に発表できない問題ではなかろうかと私ども考えまするけれども、しかし、ただいまお話しのようなことを百貨店が発表したとすれば、これはわれわれとしてまだ調査不十分であったと思わざるを得ないので、私の方にあったとすれば、その資料は全部押収されておりまするから社内で調査することはできません。しかし百貨店に行って、そういう届け先まで外部に発表したかということは一応私の方から尋ねてもよろしいと思っております。
  389. 東中光雄

    東中委員 あなた、私の言うていること全然聞いてないのですか。何をピンぼけのこと言っているのですか。百貨店がそんなこと私に言うたなんてだれが言っていますか。こういうもの、商品券を発行したことさえもがんとして言わないですよ。それは先ほど言いましたように、お客さん保護、お客さん本位なんだからそういうものは言えませんとはっきり言いますよ。しかしKDDに対しては、これは本人さんなんだから、わしの方は資料がなくなったんだからと言われたら、それは出すのがあたりまえなんだから、そういうふうにすべきだということを言っているのが一つ。  それから贈り先、こんなもの百貨店に関係ないのあたりまえなんですよ。直接的な関係はないです。ただし関係のある場合もあるのです。商品券を贈る場合「商品券配達お申込票」というのがあって、ここに用紙を持ってきていますけれども、「ご進物品お届伝票」というのがあって、百貨店の方だってどこへ贈るのかわかるというのもあるわけです。だから、百貨店が贈り先がわからないのだというふうには一概には言えません。そういう事柄の性質上もっとまじめに考えてください。贈り先を調べるのが解明のために必要なのだと言って大西郵政大臣ははっきりと答弁しているのですよ。それについてあなたは調べようとしない。そうじゃなくて、私はいま三越のことを言いましたけれども、あなたは先ほどの話で、二つのデパートによっては言うたところもあるし、言わぬところもあるというようなことをおっしゃいましたけれども、どのデパートとどのデパートとどのデパートがどういうふうに答えたのか、それを明らかにしてください。
  390. 古池信三

    ○古池参考人 先ほどの御質問は、私が誤解をいたしまして大変失礼をしました。百貨店の届け票というようなもののことを勘違いをしておりまして、それによってその商品券をどこへ届けたかというようなことまで話したかと、こう誤解をしたので、それによってああいう答弁をいたしましたが、恐らく百貨店はそこまでは発表しないであろうと私は考えております。  なお、先ほど申しましたA、Bという百貨店は、いまのお話の三越百貨店がその一つであります。もう一つは伊勢丹であったと思います。  その金額は、いま調べましたら、資料は持ち合わせておりませんので、帰りまして直ちに資料はお手元へ届けさせます。
  391. 東中光雄

    東中委員 それと、私がいまある程度具体的なことをわかっておる範囲のことで言いました、それについて、あなたの方はすぐに調査をしますか、しないですか。その点はどうですか。
  392. 古池信三

    ○古池参考人 できるだけただいまのような御質問趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。
  393. 東中光雄

    東中委員 きょう発売されたある週刊誌には、名指しで、贈られた商品券がたとえば六千万円になっておる、あるいは四千万円になっておる、一人の人についてですよ。郵政大臣経験者です。そういうことまで報道されているのです。国民の目には、そういうふうに開かれているのです。この人たちはどういう資料を持ったのか私は知りません。知らぬけれども、そういうことが言われておるときに、当該の、肝心の国際電電がまともにやろうとしない。許されないことだと私は思います。これは強く要求をしておきたいと思います。  警察の方へお伺いしますけれども、この商品券ですね。国際電電というのは郵政省に監督される側にある、郵政大臣は監督する側にある。被監督者側から二百万あるいは三百万というふうな、私なんかから見たら非常に大きな金ですからね、皆さん方はそんなものは小さな金かもしらぬけれども。そういう金が商品券で贈られるということになった場合、これは贈収賄になる可能性がある。もちろんならぬ場合もあるかもしれません。しかし、なる可能性があるというふうに思うのでありますが、そういう点についての捜査を進めておられるのかどうか、その点いかがですか。
  394. 中平和水

    ○中平政府委員 現在、警察では押収した資料を中心にいろいろな流れを追及をいたしておりまして、その過程で当然刑罰法令に触れる行為があれば処置をしてまいる、こういうことでございます。  ただいまお示しの件につきましては、きわめて具体的な問題ですから判断を避けたいと思いますが、先生御案内のように、職務に関する違法な報酬であれば当然そういうことになろうかと思いますし、そういうものは私どもいろいろ捜査を遂げてみなければ全くわからないことでございます。
  395. 東中光雄

    東中委員 私が言うているのは、捜査がどの段階へ行っているかと聞いておるのじゃないのです。そういう関係にある場合のこういう商品券問題というのは捜査の対象として捜査を進めているのか、いや、全くそんなものは抜きにしてやっておるのかということを聞いているのであって、抽象的、一般的なことじゃなくて、まず警察と法務省にお聞きをしておきたいのですが、そういう点はどういうふうにとらえておられるのか。
  396. 中平和水

    ○中平政府委員 私どもは全力を挙げて真相を解明する、そういう基本的な立場で捜査を遂げております。
  397. 東中光雄

    東中委員 まあ警察は捜査をやるときにはいつも真相究明のためにやるのは、これはあたりまえのことなのです。何について真相を究明しようとしているのかということを聞いているのに、それに対して答えないというのは、これは決して捜査の秘密じゃないと私ははっきり申し上げておきたい。だってあなた、公開捜査だってやるのでしょう。どんどん公開して捜査することだってあるのでしょう。こういう問題、これだけ国民的な大きな問題になっているときに、それについてやっているのかやっていないのかということさえも言わない。これはむしろ押し隠しというふうなかっこうにならざるを得ない、私はそう思います。  それで、時間が余りありませんので次の問題に移りますけれども、国際電電は刷新委員会で絵画、美術品、その他の雑品というものについて、現品を確認したものが、絵画が百六十二点、一億五百万円、美術品が六百十一点、九千六百万円、そして雑品八百六十七点、一億五千三百万円、こういうふうに言われておるのですけれども、この中には、購入時の証拠書類のあるものと、それから社内記録のあるものと、全くそんなものはないものと、三種類あるということを言われておりますけれども、絵画で証拠書類のあるもの、社内記録のあるもの、その内容をまず明らかにしてほしい。
  398. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  いまの御質問内容については、私あるいは誤解をしておるかもしれませんけれども、これは、お話の絵画その他のものはいわゆる簿外資産としまして一応中間決算をした後に発見した絵画その他であります。これが会社の中にもありましたが、会社以外のところにもありまして、これは大変なことだというので、至急に会社に取り集めましてそしてこれをチェックしましたところが、帳簿に載っているものよりも帳簿に載っていないものが多かったので、それを評価しまして帳面に載せたわけです。これを中間決算の修正をいたしまして、そして郵政省に提出をした、こういうことになっておりまして、大体帳簿に載っていなかったものが多かったわけでございます。しかも、その資料もすべて押収されていますので、いまここでどれがどれだけ帳簿にあったかなかったかということもはっきり言明することはできないのであります。その辺はまことに申しわけありませんけれども、そういう事情でございます。
  399. 東中光雄

    東中委員 亡くなった保田さんが、絵画類を板野社長宅やら自分のところで預かっておった、そして夜陰に乗じて運んだ。ずいぶん問題になりましたね。そのものはここに入っているのでしょう。
  400. 古池信三

    ○古池参考人 いま御指摘になりましたような品物がいわゆる簿外資産でありまして、それを評価をしまして帳簿に載せた、こういうわけでございます。
  401. 東中光雄

    東中委員 それは保田氏が国会へ出てきて、贈答用のものとそれから固定資産の台帳へ載せるものとあります、それは上の方から言われてちゃんと仕分けをして、私はそれの保管をしておったのです、こう言っているわけですね。贈答用のものというのは交際向けのものではないのですか。板野さんもそう言っているじゃないですか。  そうすると、決算で言えば、先ほどあなたが説明をされた交際用のものとしての支出九億円とかありますね。その中のものじゃないのですか。それがたまたま残っておるからというて、だからすでに渡したものとそれから贈答用でまだ渡してないもの、その渡してないものが残っておった、渡したものはどれぐらいあるのだということについて、いまその調査をしなければいかぬときでしょう。それを一般経費で購入したと同じようなものと見てしまう。そしてまた税金対策にしていく。交際費だったら、もう税金を払っているのですから二重払いになる。だからそういうものは資産に入れるべきでないんだと、国税庁がそういう答弁をしているでしょう。あなた方は、これは保田証言でははっきりと贈答用のものとして保管しておったということを国会で述べているもの、それを贈答用でないものとして普通の経費で買うたものとしている。普通の経費で買うたのだったら、それは交際費の中に入りませんから、そういうふうにされておるとしたら、これはむしろいままでの分を一層混乱させていく、こういうことになりますね。
  402. 古池信三

    ○古池参考人 贈答品として経費で買ったものがあります。それが見つかったものですから、贈答品をすぐに贈り先へ届ければそれでよろしいのですけれども、長く会社の中に置けば、これはむしろ貯蔵品として帳簿に載せるべきであるということで、その金額は交際費からは落としまして、そして今度は貯蔵品という科目にそれを計上して整理をいたしたわけであります。これが五十四年度の上期分で一億数千万あったと考えております。
  403. 東中光雄

    東中委員 絵画は平均六十五万円、美術品は平均十六万円、その他雑品というのが平均一個十八万円近くになる。これは雑品というたら何でもないものかと思ったら、美術品よりも高いのですね。これは現品として確認されておるのですから、どういうものがあるのかということを明らかにしてもらいましょう。
  404. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  いわゆる雑品としておりますものが八百六十七点ほどございまして、その内容は、たとえば万年筆であるとか、ボールペン、電卓、ネクタイ、ミニラジオ、記念切手、香水、その他であります。これが合わせて一億数千万になっておるわけであります。
  405. 東中光雄

    東中委員 十八万円のボールペンというのは私は見たことがないですわ。それはそういう特異なボールペンなのかもしれません。一番最初に挙げるのがボールペンでしょう、あなた。この一億五千三百万円、八百六十七個でそうだったら、一個十八万弱になるじゃないですか。もう少しまともに答えてくださいよ。
  406. 古池信三

    ○古池参考人 ただいま八百六十七と言いましたのは八百六十七種類ということであります。個ではございません。
  407. 東中光雄

    東中委員 ここに数量と書いて、まあそれは点数とは書いてないですけれども。  そうすると、これは皆海外で買うてきたやつですね。
  408. 古池信三

    ○古池参考人 海外も国内も両方あると思います。
  409. 東中光雄

    東中委員 八百六十七種類でそれは何個になるのですか、点数は。
  410. 古池信三

    ○古池参考人 個数は調べておりません。
  411. 東中光雄

    東中委員 それじゃどういうものかも何もわからぬ。それをごっそり経費で買って、種類だけでも八百六十七種類ということになったら、それはちょっとした文房具屋では間に合わぬですね、雑貨商と文房具屋と一緒に集めたぐらいになるわけですよ。二十七階に置いてあったのかどうか知りませんけれども、とにかく膨大なものになるでしょう。  絵画の中で、平均六十五万円ですけれども、一番高いものは何ですか。(「ルノアールはどうだ」と呼ぶ者あり)
  412. 古池信三

    ○古池参考人 お答えいたします。  絵画の中で、私は全部絵画を調べたわけではありませんけれども、私の目にとまったものを一、二申し上げますと、大体時価に評価して二、三百万円ぐらいのものが二、三点あったように覚えております。
  413. 東中光雄

    東中委員 ルノアールはどうだという声も出ているのですが、ルノアールはその中に入るのか入らぬのか。それから、タイから持って帰ってきたというサファイア、いろいろ報道されていますが、そういうものがあったのかなかったのか。それと同じ部類のものなのか。それはどうですか。
  414. 古池信三

    ○古池参考人 ルノアールの絵があったかどうか、あるいはレンブラントの絵があったかどうかということを私もよく新聞記者諸君から問われるのでありますけれども、私は現に見たこともありませんし、帳簿にもそういう名前のものは載っておりません。それから宝石類その他のものも、ずいぶんたくさん帳簿と同時に押収されましたので、現在私は見ておりません。
  415. 東中光雄

    東中委員 この絵画、美術品というのは、二百万か三百万か知らぬけれども、そういうものも帳簿にも載っていないし、あなたも見たことがなかったんでしょう。たまたまここで見たわけですね。ところが、先に渡してしまったらあなたは見ないですわね。だから、そういうものがなかったというのじゃなくて、あなたが調べてみた中にはなかったということだけなんです。過去にあったかどうかということについては、過去にあった、それを見たんだという人もおるということはずいぶん報道されておるわけですね。そういう状態で渡されてしまったんだったら、それはKDDにないのはあたりまえなんですよ。KDDにないということは渡されてしまったという可能性を含んでいるわけですから、そういうものとしての調査をやっているのですか、やってないのですか。もしそういう高価な物だったら、だれに渡したかということは非常に重要な問題になってきますよ。その点はどうなんですか、調べているのですか。
  416. 古池信三

    ○古池参考人 確かに、私が見ていないということは、現在ないということでありまして、過去においてそういうものがあったとして、よそへ渡っておれば私が見ていないのはこれは当然なことだと思いますが、しかし、そういうものがあったかどうかということを確認しておりませんから、そういうものがどこへ渡ったかということを調べるつてはないわけでございます。
  417. 東中光雄

    東中委員 それは担当した人がおるわけです。そして商品券は一人か二人でやったかもしれぬ。しかし、そういう問題について、それじゃ本当のことがわかる人というのはだれですか。あなたは、見たことないのだし、帳簿に載っておらぬからわからぬ。これは帳簿に載っておらぬものだったけれども、集めてきたら、社長の家からあるいは保田さんの家から出てきたということでわかった。もっとそのほかにどこかへ行っておるかもしれない。そういうことについて本当にわかるのはだれですか。あなたの方はわからぬと言うて調査もせぬと言うのだったら、わかるのはだれですか。
  418. 古池信三

    ○古池参考人 私一人じゃなくて役員その他にも確かめてみましたが、だれもいま御指摘のような品は見ておらぬ、こう言うわけでございます。しからばだれが知っておるかということですけれども、これは当時の秘書課にいた人があるいは知っているかもしれませんけれども、われわれ尋ねてもそういう人は知らない、こう言っておりますから、それ以上、こちらは強制捜査権はございませんから、調べるわけにはまいりません。
  419. 東中光雄

    東中委員 板野社長やあるいは社長室長だった佐藤陽一さん、こういう人たちが簿外で、そしてこういう絵を買ってきたのでしょう。そういう人たちでなければわからぬのと違うのですか。そういう人に対してあなたは聞いているのですか、聞いてないのですか。
  420. 古池信三

    ○古池参考人 板野前社長や佐藤前社長室長が知っておるかもしれませんけれども、私は知っておるという確証は持っておりません。
  421. 東中光雄

    東中委員 いや、まず聞いたかどうかと聞いているのです。会長、あなたは板野氏や佐藤氏には聞かれたのですか。聞いてないのですか。
  422. 古池信三

    ○古池参考人 そういう点につきましては、刷新委員会として聞きましたが、そういうことは知らない、こう言っております。
  423. 東中光雄

    東中委員 知っておるとすれば、そういう人たちでなければ——私は知らなかった、こう言っておるわけですから、私たちは何としても、板野前社長、それから佐藤前社長室長の証人申請をお願いしておりますけれども、ぜひ委員会として決めていただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。そうでなければ肝心のことは——全部いわば落ち穂拾いのことをやっている。そして今度はちゃんと拾えることがわかっておる商品券なんかは調べようともしていないという状態ですから、これは調べて直ちに、速やかに御報告をしていただきたい。
  424. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 東中委員に申し上げますが、理事会において目下協議中でございますから、引き続き協議をさせていただきます。
  425. 東中光雄

    東中委員 特に重ねて強く要求をしておきます。  それから、捜査については一向に物を言わぬ。国民がこれだけ関心を持っておるけれども、公開捜査のような、あるいは少なくとも国民の納得いくようなそういう方向をとろうとされないというのは、私は非常に遺憾に思うわけであります。  関税法違反の問題で三名が昨年中に告発をされたわけでありますけれどもへこの犯則事犯について関税局の方はいまどういうふうになっておりますか。
  426. 米山武政

    ○米山政府委員 さきの十月二日に佐藤前秘書室長ほか二名を現行犯で調査いたしまして、この三名につきましてはすでに昨年の十一月十四日にやっております。  それで、その後の調査でございますが、この三名につきましては現物を持っていた中で無申告の分だけとらえまして告発しております。この三名が持っていました低額申告分、すなわち実際に買った価格より低くしたものが相当ありますので、その固めをいまやっております。それからさらに、その三名を含め相当の多数の者が同様なことをした疑いがありますので、その調査を引き続き行っておりますが、この点につきましては現在捜査当局もやっておりますので、そちらと協力しながら調査を進めている段階でございます。
  427. 東中光雄

    東中委員 捜査当局が犯則事犯について捜査をしてくるのですか。
  428. 米山武政

    ○米山政府委員 お答えいたします。  三名を告発いたしましたが、その告発につきまして現在さらに詳細な捜査を進めておると聞いております。なお、それと同時に、関係の書類等を全部そちらに提出している次第でございます。
  429. 東中光雄

    東中委員 その三名以外の分、過去の分、しかも違う人の分というものを含めて、共犯者、上部からの指示があったかどうかということについて調査をしているわけでしょう。税関が告発をしなければ検察当局はやっちゃいかぬことになっておるでしょう。そうでしょう。だから、あなた方が独自にやっておる分について、過去にあなた方が疑いを持っている密輸、いわゆる無申告ないし過少申告、国際電電について疑いを持っている件数は何件くらいあるのですか。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 五十一回というふうに一般に言われておりますけれども、それについて犯則事犯として調査をしているのかどうか、そこはどうですか。
  430. 米山武政

    ○米山政府委員 御指摘のとおり、告発をした者についてそれを中心に捜査当局が関税法違反については調査しているのだろうと思いますが、私どもその自余のものにつきましては、当然その容疑がございますので引き続き調査を行っております。  なお、いま御指摘がありました何件、何回という点につきましては、具体的にここでお答えすることを差し控えさせていただきます。
  431. 東中光雄

    東中委員 税関当局は、さきの三名の告発までは比較的オープンにされておったわけでありますが、途端に今度は捜査当局と同じように秘密秘密になってきた、一切言わなくなってきた、これは重大な変化なんですね。これは犯則事犯であって、調査であって犯罪追及のためにやってはいけないのだ、むしろそれがたてまえでしょう。それを犯罪捜査当局と協力してやっている。それは差し押さえのときなんかは一緒に協力を求めることはできます。しかし、本来は犯罪捜査のためにやるのじゃないでしょう、税関職員は。犯則事犯の処理でしょう。調査でしょう。それをやらなければ捜査当局が動かないことになっているのでしょう。だから、性質が違うのだから、前にとってきた態度をとるべきじゃないですか。なぜそんなに秘密主義になったのですか。これは大蔵大臣、顕著に秘密主義に変わったのですよ。
  432. 米山武政

    ○米山政府委員 税関といたしましても、当然公務員法の守秘義務を守る義務があります。従来も個別の案件につきまして具体的に告発以前にそういうものを外に公表したことはございません。その態度は、告発前あるいは捜査当局が捜査に入った前後を通じて変わっておりません。
  433. 東中光雄

    東中委員 件数が非常に多いわけですから、速やかに調べることを要求しておきます。  一応KDDについてはこれで終わります。  時間が余りないのですけれども、電電公社と会計検査院にお伺いしたいのですけれども、昨年の四月十七日と十八日、箕面市の帝釈寺で、大阪北地区管理部管内の会計係長会議というのが開かれました。そこで出された文書が、これは昭和五十四年四月十七日会計担当係長会議資料マル秘ということで「支出証拠書類等の取扱いについて」という文書があった。このことは文書自体はすでにもう御承知のとおりであります。この文書、そしてこの会議がやられたのは、会計検査院が検査に来ることを前提にして、いかにごまかすか、あるいは端的に言えば公文書の改ざんをやるというような意図を持ってやられたものだと私はこの文書から見て思うわけです。それは私が昨年の二月二十八日の予算委員会の分科会で、電電公社のタクシーチケットのばらまきあるいは管理職の不正な料亭使用ということについて質問をしました。それを受けてだと思うのですが、会計検査院が五月の十一日から検査に入るということになった。その通知がそれより前に出されている。それを受けて、そういう状況の中で四月の十七日、十八日にこの会議が持たれたということであります。  しかも会議中身は、全部やっている時間がありませんから一例を申し上げますと、たとえばこの「第七 規程類等の取扱 事務処理要領等」というところで「現在、検査院へ提出済の例規は、次のとおり」だとずっと書いてある。「現行の例規集(青表紙)は提示しないこととする。」あるけれども出さないというのです。「次の処理要領等については、提示しないこととし、対検査院用については、別途作成することとする。」例規集についてさえそうなんですね。そう書いているのですよ。それで「次の処理要領等については」と、ア、イ、ウと三つ書いてある。ちゃんと番号も入っている正規の文書です。  そういう状態で、検査院の検査に対して見せないようにする、隠す、そういう姿勢をとっているということについて、私はこのときは、検査院が行くのならあらかじめ予告して行ったんじゃだめですよということまで言うたんです。ところが、通常の行くと言っているということでこういう文書の会議がやられているということについて、会計検査院としてまずどうお考えになっているかお伺いしたい。
  434. 小野光次郎

    ○小野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  私ども非常に膨大な検査を担当しておりますので、約一カ月ほど前に通知いたしましてそして関係の調書等を作成していただく必要がございますので、連絡をいたしまして、そして検査に備えるというようなことで実施しているわけでございます。
  435. 東中光雄

    東中委員 会計検査院には物を見せぬようにする、会計検査院用のやつを特別につくるというふうなことまで文書に書いて、そして係長会議といって四十人も集まって一斉にやっているわけですね。そういうことについて会計検査院としてはどう思っているのかということをまず聞きたいのです、院長。
  436. 知野虎雄

    ○知野会計検査院長 ただいま御指摘のようなことがありとすれば大変遺憾だと思います。  会計検査院は、検査の実施に当たりまして、検査を効率的に実施いたしますために、事前にいろいろな書類を用意してもらいましたり、また責任者が検査時に在庁してもらう必要等もありまして、事前に通告をするということを原則といたしてはおりますけれども、無通告の検査が必要かつ効果的であると考えました場合には、随時機動的にそのようなことも行いたいと考えております。
  437. 東中光雄

    東中委員 この文書の中で、たくさんありますのでもう一点だけにしぼりますが、部外折衝費についてどうするかということが書いてあります。「次の事項にかかる請求書等については、一般分と別綴とするものとの様式を区分して、編綴すること。」ということの中に、だからこれだけは別に扱えよ、それはマル秘にするのだ、会計検査院なんかには見えぬようにするのだ、こういうことになるわけですが、その中に「部外折衝費」というのが入っているのです。部外折衝費は全部そうするのかと言ったら、そうではなくて、別の項目によりますと、「下記第五に該当するものを除く」ということで、こう書いてあるのですね。「次の項目にかかる費用については、提示しても差し支えないものとする。」というのです。次の項目にかかる費用については提示しても差し支えないものとする、次の項目にかかわらぬやつは提示したらいかぬぞということですね。そして書いてある内容は、「官公庁との打合せ懇談会費 土地買収等の折衝に必要な地元との懇談会費 その他部外に対し説明し得る懇談会費」と書いてあるのです。そして「部外折衝費に話が及ぶことを極力さけるとともに、その使用総額については、洩らすことのないよう留意すること。」明白な隠匿ですね。いま乱脈問題がずいぶん問題になっているわけですけれども、こういうことが会議でやられているのです。この文書は電電公社の総裁のこの前の答弁によれば、調べてみたけれども、そのことについて記憶ある人がいないというようなことを言っているのですが、私たちは帝釈寺、知っています、そこへ行って、だれが届け出て、だれが何という名前で借りたかということで、そこで配られたのだ、これは明白に、もう動かしがたい事実だと私は思っているのです。そして、こういうことがやられておる。しかもこれに見合うように改ざんをされたということは、私の二月質問の後参議院で沓脱議員が質問したときに、会計検査院も電電公社の総裁も認めていますね。あの宴会、部内で労務担当だということで会議も何もできぬようなところで毎晩飲んでいる。その金を捻出するのに阪急交通とか特定の会社の名前も出して、そして電鉄ビルあるいは全日空あるいは公衆電話会、こういう人たちと十六人、十三万一千八百八十円ということで全部書類をつくってぴしっと合わせているわけでしょう。会計検査院が見に行ったら、なるほどきっちり合っておるから不正なことはないと思って帰りました、そういうふうに答弁していますね。そしてわれわれの方から、それはおかしいですよと言ったら、調べてみたら九件のうちの八件までが空宴会だったということが明らかになった。この打合会議によってこれの線に沿ってやっていることは明白なんですわね。官公庁との打合懇談会費が土地買収等折衝に必要な地元との懇談会費、そこへ合わせてしまっている。そしてそれに合うように全部書類をつくっておるわけでしょう。そういうことがあたりまえにやられているということについて、電電公社の総裁はどう考えておられるか、まずその点をはっきりしていただきたい。
  438. 秋草篤二

    ○秋草説明員 お答えします。  この問題は昨年の二月、予算分科会で東中先生から御指摘を受けた問題でございます。私ども、直ちに現場の通信局に命じまして調査させましたところ、当時、先生の御指摘のもう一つの件はタクシー券の使用につきまして少し乱脈ではないかという御注意がございました。これは確かにそういうような注意を喚起しまして、これは全国にそういう指示を流しまして、決算委員会でも御報告しておりますけれども、かなりの成果が上がったと思っております。  問題の空宴会、空出張というのは、御指摘がございましたけれども、私ども検査の結果では、やはり両方とも空出張、空宴会というものはなかったという判定で帰ってきたように記憶します。ところが、十月末か十一月初めごろですか、朝日新聞に沓脱先生の記者会見でそういうものを発表して大変な問題が起きたということで、私愕然としたのでございます。というのは、電電公社になりますと予算の制度なり経理のやり方も一般会計よりは非常に変わっておりまして、そういう点では非常に私驚いたのでございますが、実際を徹底的に調べてうそ偽りなく話せというので、現地の者を呼びまして調べましたところは、先ほど先生がおっしゃったように、ほとんどこれは全部空であった。しかし金額はほとんど合っておったということで、私は非常に驚いたのでございまして、これをまた検査院にもそのまま報告しまして、検査院にも大変申しわけないことだったということでございます。  この問題につきまして先ほど先生がおっしゃった内部通達、何か会計課長か何かの伝達事項とかおっしゃいますけれども、現に私ども見ておりませんし、そういうものをつぶさに調べましたところ、どこにもそういうことの形跡がないということがあったので、私はそれはいまだに合点がいかない問題になっておりますけれども、常々私、会計検査院とか内部監査はもちろんのこと、この検査に対しましては電電公社の事業を支えていただく好意的なアドバイスだということを理解して対処しなければいけない、包み隠さずもう報告するということを念頭に置いておかなければいけないということを注意しております。今後も十分これは注意していきたいと思っております。
  439. 東中光雄

    東中委員 時間がないので結論を申し上げますけれども、これはそういう金のつじつまが合っておったらいいというような問題と違うのだということを私は言っているのです。だって隠匿せいと言わんばかりの文書を、今度はああございましたと言って出してくるばかがありますかいな。そうでしょう。そしてこれの線に沿ったことがやられておるということは、こういうものがあったということの有力な証拠ですよ。  そこで私、最後に申し上げたいのですけれども、この空宴会については決算書、請求書、領収証等関係書類、これは先ほど言いましたように真っ赤なうそを書いておるわけでしょう。自分たちだけで適当に飲んでおったものをだれが聞いてもいいと思えるようにちゃんとその証拠をつくった。これは明白に刑法上の、百五十六条、いわゆる公文書の虚偽記載罪ですね。これが虚偽記載罪にならぬのだったらなるものはありません。そういう犯罪行為なんですよ。それが公然とやられておって、そのことについて実態を調べてみたらこれは何とかつじつまが合うのだというようなことで解決したらいかぬと言うのです。公文書の信憑性というのは非常に重要なんですよ。だからこそ私文書と違って、わざわざ罰則をつくっているわけでしょう。犯罪行為が役所の中で公然とやられている。それを知った電電公社もそれから会計検査院も何にもしてないのですよ、そのこと自体について。だから私はその点を、そういう公文書についてどうでもいいのだ、適当に帳じりを合わせたらいいんだというような思想がいま電電公社にも役所にももし蔓延しておるとしたら大変なことだと思うのです。そういう点で私は、こういうものが出てきた場合の厳正な姿勢をとるべきじゃないかということが一つ。  それから、検査院が調査に行って、その検査の過程で犯罪行為があったというふうに認めた場合は検察庁に犯罪の通告をしなければならないという三十三条があります。この件については明白な職務に関して公文書の虚偽記載罪をやっておるということを確認したわけでしょう。空出張であり、空でありました、うそばかり書いていましたということを確認してきたのですから、三十三条の通告をやったかやらぬか。やらなかったとすればこれは怠慢だと言わざるを得ない、こう思うのであります。その二つについて院長と総裁にお聞きして、私の質問を終わります。
  440. 知野虎雄

    ○知野会計検査院長 ただいまの件につきましては、会計検査院法三十三条によります通告はいたしておりませんが、今後私どもが検査の途中におきまして明らかに犯罪行為があるということを認めます場合には、法律に従いまして通告をいたすことがあることは当然でございます。
  441. 秋草篤二

    ○秋草説明員 繰り返し申しますようですが、先ほどの指導文書というものはいまだに私ども確認しておりません。そういうものによってああいう不適正な行為が行われたとは私は思っておりません。ただ、この金の使途につきましては、検査院も証明しておりますけれども、公的な別な使用に使っていたのだということはよくわかりまして、大変事務処理上不適正であるということを御指示を受けまして、私、非常に恐縮しまして自後十分注意したいと思います。
  442. 東中光雄

    東中委員 質問を終わりますが、いま会計検査院長が明らかに犯罪があると認めた場合はすると、しかしこの件についてはしていないというふうに言われたんで、それならこの事件は明らかに犯罪でないというふうに思っておられたように見えるのですけれども、そうではないんです。はっきりとそういう事実はないのを、うそを書いておりましたということを国会でも答弁しているわけですからね。だから、そういう事態になっておるのに、公文書についての信憑性といいますか責任というか、そういうものについての厳正な態度ということが綱紀を粛正する上に非常に大切だということを申し上げておるんだということを言いまして、質問を終わります。(拍手)
  443. 田村元

    田村委員長 これにて東中君の質疑は終了いたしました。  次回は、明十九日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十一分散会