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1980-02-12 第91回国会 衆議院 予算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月十二日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事小此木彦三郎君 理事 瓦   力君    理事小宮山重四郎君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君    理事 寺前  巖君 理事 小沢 貞孝君       荒舩清十郎君   稻村左近四郎君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       片岡 清一君    金子 一平君       小山 長規君    近藤 元次君       始関 伊平君    塩崎  潤君       澁谷 直藏君    田中 龍夫君       東家 嘉幸君    中村 弘海君       根本龍太郎君    橋本龍太郎君       福家 俊一君    藤尾 正行君       松澤 雄藏君    村山 達雄君       阿部 助哉君    稲葉 誠一君       小川 省吾君    大原  亨君       川崎 寛治君    兒玉 末男君       中村  茂君    野坂 浩賢君       安井 吉典君    横路 孝弘君       岡本 富夫君    貝沼 次郎君       草川 昭三君    坂井 弘一君       薮仲 義彦君    梅田  勝君       工藤  晃君    中川利三郎君       松本 善明君    大内 啓伍君       岡田 正勝君    高橋 高望君       中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         法 務 大 臣 倉石 忠雄君         外 務 大 臣 大来佐武郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 谷垣 專一君         厚 生 大 臣 野呂 恭一君         農林水産大臣  武藤 嘉文君         通商産業大臣  佐々木義武君         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         労 働 大 臣 藤波 孝生君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)伊東 正義君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小渕 恵三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 細田 吉藏君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         警察庁刑事局長 中平 和水君         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         防衛庁装備局長 倉部 行雄君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         法務省刑事局長 前田  宏君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省経済協力         局長      梁井 新一君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省情報文化         局長      天羽 民雄君         大蔵省主計局長 田中  敬君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         厚生省公衆衛生         局長      大谷 藤郎君         厚生省薬務局長 山崎  圭君         厚生省児童家庭         局長      竹内 嘉巳君         厚生省保険局長 石野 清治君         社会保険庁医療         保険部長    此村 友一君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸省港湾局長 鮫島 泰佑君         運輸省航空局次         長       松井 和治君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         労働省労政局長 細野  正君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君         自治省行政局選         挙部長     大林 勝臣君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月十二日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     中村 弘海君   倉成  正君     片岡 清一君   始関 伊平君     近藤 元次君   藤田 義光君     東家 嘉幸君   大原  亨君     小川 省吾君   八木  昇君     中村  茂君   正木 良明君     薮仲 義彦君   矢野 絢也君     貝沼 次郎君   中島 武敏君     梅田  勝君   東中 光雄君     工藤  晃君   松本 善明君     中川利三郎君   中野 寛成君     高橋 高望君 同日  辞任         補欠選任   片岡 清一君     倉成  正君   近藤 元次君     始関 伊平君   東家 嘉幸君     藤田 義光君   中村 弘海君     江崎 真澄君   小川 省吾君     大原  亨君   中村  茂君     八木  昇君   貝沼 次郎君     矢野 絢也君   薮仲 義彦君     正木 良明君   高橋 高望君     中野 寛成君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)  昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)  昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1  号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)及び昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して議題とし、質疑を行います。  高橋高望君。
  3. 高橋高望

    高橋(高)委員 まず総理に朝からお尋ねいたしますけれども高度経済成長時代ならいざ知らず、今日の状態になってまいりますと、従来のように経済が先行して後から政治が追いかける、交通整理をするといったような段階では私は政治役割りは果たせないと思います。今日こういう状態になってまいりますると、政治がまさに経済先行役をして、そして国の経済を誤らしめないようにする、こういう本来の政治の姿勢を取り戻す時期が来たように思われますが、この辺についての大平総理の御見解をまずお聞きいたしたいと思います。
  4. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 高度経済成長時代におきましては、民間活力が国内外の恵まれた条件のもとで活発に展開する機会を得ておった時代であると思うのであります。しかし、いま仰せのように内外の諸条件に大きな変化がございますし、いろいろな制約が加わってきた段階におきまして、経済成長もままならぬ段階に立ち至っておりますことは御案内のとおりでございます。しかしながら、われわれはその中にありましても、この制約を克服いたしまして、条件の改善に努めまして、経済活力ある運営を図って国民の幸せを保障していかなければならぬ立場にあるわけでございまして、政治役割りが従来に増して重大になってきたことは御指摘のとおりだと思うのであります。  しかしながら、民間活力はその場合におきましても非常に大事なことでございますので、政治経済を主導する場合におきましても民間活力をできるだけ活用してまいるということは忘れてはならない大事なことであろうと思います。内政、外交全体を通じまして、いわば政治の力によりまして民間活力が展開できる余地をできるだけつくり上げていくような努力をいたすことが、仰せになりますような政治の任務であると心得ております。
  5. 高橋高望

    高橋(高)委員 総理のその御見解を聞いて後の話がしやすくなりましたのですが、実は昨年、昭和五十四年の三月二十日のときに、私は大蔵委員会で五十四年度の税収見積もりについてお尋ねをいたしました。当時と大臣はかわっていらっしゃいますけれども、それは当時国債発行という、特に赤字公債ということでの、特例公債ということでの前段としての五十四年度の税収見通しを伺ったわけでございます。そのときに大蔵省の御答弁として、ちょっとここで読ませていだたきますけれども、こういう御答弁をしておられる。  「私ども実は税収見積もりをいたします際には、五十四年度の経済見通しとの整合性を図っておるわけでございまして、名目成長率にいたしましても、鉱工業生産伸びにいたしましても、卸売物価伸びにいたしましても、消費者物価指数にいたしましても、一人当たり雇用者所得にいたしましても、雇用者指数にいたしましても、すべて予算の際に提出をいたしました経済企画庁の策定いたしました五十四年度経済見通しに乗っかって推計いたしております。したがいまして、経済見通し自体がそれを上回って伸びるという要因がございませんと、なかなかいまの段階で五十四年度の税収予算を上回るということを申し上げるような判断材料がないと思うわけでございます。」さらに続けて「五十四年度の経済見通しを現在の段階で変更する理由は、全く私どもとしてはそういう判断材料を持ち合わせていない」こうおっしゃっていられる。さらにつけ加えまして「税収実績につきましても、五十三年の末の時点で可能な限りに見積もったというのが実態でございます。」こういうことをお答えになっていらっしゃるわけです。はっきり言えば、自分たち資料で十分調査してやっているんだから心配するな、任せろ、こういう話が当時の大蔵省からお答えとして来ているわけです。  それで私は当時、皮肉半分に、大蔵省というお役所の性質上、俗に言う金庫番という性質上渋くいろいろ考えることはわかるのだけれども、どうも新税構想をお持ちのときに特例公債をできるだけ少ない数字で国民にお見せした方が正直じゃないかということを申し上げている。そういう点からいきますと、五十四年度当初の見通しと五十四年実績見込みを考えました場合には、名目GNP成長率は当初見通しが九・五で五十四年度実績が八・二、これは税収減要因でございましょう。それから鉱工業生産指数は当初見通し一三一・七に対して一三五である。それから一人当たり雇用者所得も三百五万七千円に対して三百六万。大体まあまあの線が出ているわけですね。にもかかわらず二兆円近くも税収見込みが狂う。狂うというのはふえて狂っているのだから問題ないだろうという解釈もございましょうけれども、私は、政府というものは経済活動のいろいろな意味での指導力を増すという点からいきますと、こういった見込み違いというのは理解できない。これほど税収見込みが狂ってくると、五十五年度の税収見込みについても国民の信用は出てこない。  一体、こういうことに対しての大蔵省側の責任のある処置というのはどんなふうにおとりになっていらっしゃるか、まずこの辺をお尋ねいたしたい。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 高橋委員指摘のとおり、今年度の税収につきましては、最近までの収入実績それから御指摘のありました政府経済見通し等基礎として見込みますと、当初予算額に対しまして一兆九千九十億円の自然増収が出るものと見込まれますので、今回のただいま御審議いただいております補正予算案におきまして同額を補正計上することといたしましたことは御指摘のとおりであります。  そこで、自然増収の出た原因は何ぞやということが一つあろうと思うのであります。今年度自然増収が見込まれましたのは、今年度税収見積もり土台となります昭和五十三年度税収が、決算の段階におきまして見込みを七千七百五億円上回った、これが土台になったわけであります。そうしたことのほかに、先ほど指摘がありましたが、雇用者所得あるいは鉱工業生産卸売物価等経済指標が当初見通しを上回るということの見込みから、法人税源泉所得税等につきましてかなり自然増収が見込まれたということが見通しが違った理由であります。  そこで、見積もり実績が余りにも乖離するのはけしからぬじゃないか、こういう御指摘であります。税収見積もりは、政府経済見通しによる経済指標基礎としてその時点までの、言ってみれば、十二月でございますと大体わかりますのが十月末ぐらいの税収までがわかるわけでございますが、その実績等を勘案して行っておりますので、その時点では適正なものである、その実態は把握しておるわけであります。ただ税収見積もりは、その予測としての性格上、実績との間に乖離を生ずることが全くないということは申すことはできないと思うのであります。かなり乖離があることも事実であります。したがって、大事な予算を審議していただくわけでございますから、できるだけ乖離の幅を少なくしていく一層の工夫というものは今後とも引き続きやっていかなければならぬと思っております。ただ、全く乖離がないという決め手にはならないにしても、その努力は、御指摘のとおりこれからも引き続き工夫をしていかなければならぬ課題である、こういうふうに認識いたしております。
  7. 高橋高望

    高橋(高)委員 大蔵大臣、私が特に今年度以降についてのお願いを含めたお尋ねをしたいのは、そういうずれの大きさというものが国民各層、特に経済人の方なんかに、イソップの話ではございませんけれども大蔵省またやりやがったなという感じを持たれて、発表される資料に対しての信頼度、われわれ政党にしても、発表されるものを中心にしていろいろと議論を重ね、討論を重ねるわけですから、そういう意味合いから言って、こんなに違っちゃうのはいささか権威がなさ過ぎるのじゃないかと私は思うのですね。乖離は、それは少々あるのは当然だと私は思います。しかしながら、こんなに違っちゃうとなると、これはたまたま大きい方へ違ったからいいのであって、またそういうふうに大蔵省はいつもの例で組んでいらっしゃるのでしょう。しかし、現実には、発表されるものに対する信頼感が損なわれるということに対しての自省はしていただかなければならない、そう私は思うのです。大臣、この辺についてはいかがでございますか。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 それこそまさに御指摘のとおりでありまして、経済社会七カ年計画にいたしましても、毎年フォローアップをやっていただいて、少しでも正確なものにしようという努力経済企画庁の方でお進めいただいておるわけでありますが、大蔵省といたしましても、いろいろな過程を経て、いわゆる収支試算というようなものをお出しするようになりましたが、これとて高橋委員、恐らく完全なものだというふうにお考えになっていないと思うのであります。そういう非常な困難さの中に、何とか財政計画を立てるような努力をしてみようというものも、そういう見通しに対して国民信頼をより高める努力一つではなかろうかというので、複雑多岐にわたる問題でございますけれども、部内でいろいろな検討を開始して、いま約一年になっておる、こういうことであります。
  9. 高橋高望

    高橋(高)委員 大臣答弁いただいて恐縮ですけれども大蔵省主計局の方もきょうお見受けするところいらっしゃっておられるし、御答弁された方もいらっしゃるんですね。ですからひとつその辺で反省の意味を込めて、ちょっとここでお話をいただきたい。
  10. 高橋元

    高橋(元)政府委員 五十四年度の税収見積もりました際に五十三年度の十月ごろまでの実績を実は基礎にしてそれ以後の経済予測をしたわけでございます。私ども五十四年の十月末ぐらいまでの実績を見ておりますと、税収予算はまだ五十三年度税収が五十三年度の予算額まで達するかどうか、進捗率で申しますとちょっと下回る段階であったわけでございます。当時いろいろの民間経済調査機関の五十四年度経済予測等を見ましても、おおむね実質四、五%の成長ということを言っておられまして、比較的低い段階であったわけでございます。しかしながら私どもといたしましては、税収実績の中で法人税が八月以前までの還付が非常に多かったという時期を脱しまして、伸びがやや好調になってまいりましたので、その点も織り込みまして、経済企画庁経済見通しと、これはたびたび繰り返すようで恐縮でございますが、整合的に五十四年度の税収を見積もったわけでございます。  仰せのように、一兆九千九十億の税収超過と申しますと、当初予算額に対しまして約九%弱でございますから、お諭しのように、見積もりとしてはまことに事実よりもかなりアンダーになったわけで、その点は今後反省しなければならぬと思っておるのでございますが、五十三年度の年度内に法人税が六千五百億円予算を上回って出てまいったわけでございます。これは、売り上げの伸びそれからいわゆる増収効果よりもむしろ増益と申しますか利益率が非常に向上してまいったということに起因しておったわけでございます。それからもう一つ土地の譲渡が千六百億円ぐらい、私ども見積もりを上回りました。大臣からお答え申し上げたように、七千七百億円、五十三年度の税収が当初予算を上回ったわけでございます。それが五十四年度の土台になって伸びてまいりますと約九千億と推定いたしておりますので、それから上一兆円が五十四年度の見積もりの誤差に起因する部分でございます。その中で経済見通しが、鉱工業生産なりそれから卸売物価なり消費者物価なり雇用者所得なり、それらについて当初の想定を上回りまして経済実績が出てまいったわけでございますが、それと相関させて考えてみますと、約六千億強というのが経済見通しの狂いに起因しておるようでございます。その残りの物品税、これは自動車、クーラーが非常に好調でございました。それから石油税、関税、これらは円の価格が予想のほかに下がりまして、輸入がふえてまいったということに起因いたしております。  いずれにいたしましても、そういう諸要素を十六カ月以前に見通してできるだけ実態に近いようにしてまいらなければならないのは委員仰せのとおりでございますので、今後とも短期、中期それぞれの予測方法、それから実績フォローアップということを完全にやってまいりたいと存じております。
  11. 高橋高望

    高橋(高)委員 ここで大臣にちょっとお尋ねしておきたいのですが、昨年末からことしの初めにかけて、経団連がいまの法人税実効税率についてのいろいろの国際比較をなさっていらっしゃる。御承知でいらっしゃいますか。これに対しての経団連見解というのをどのように御評価なさっておられるかということ。それから、法人税引き上げをちゅうちょなさったということに対する御見解をひとつお願い申し上げたい。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 まず二番目の法人税引き上げを、ちゅうちょしたというお言葉をお使いになりましたが、本格的な増税対象としなかった理由について申し上げますならば、今年度は財政再建の第一歩を踏み出さなければならないという年であることは申すまでもないことでございますが、いろいろな環境の中で、やはりまず入るをはかって出るを制するという、入るをはかる前に出るを制するというところに重点を置いた予算編成をやろうではないか、こういう構えで従来の、とかく企業間の不公正とかいろいろ言われました租税特別措置等に手を加えることによりまして、その結果予算が大体これの収入見積もりにおいて組めるというところに達しましたので、本格的な増税対象として法人税をとらなかったというふうに御理解をいただければ幸いでございます。  それから、第一番目の経団連のいわゆる実質的に見た法人税率についての御見解は、御見解としては承っておるところでありますが、これは内容、詳しい問題もございますので、事務当局からお答えをさす方が丁寧ではなかろうかと思います。
  13. 高橋元

    高橋(元)政府委員 経団連企業税負担国際比較につきまして指摘しておられます一番大きな点は、私どもがたびたびこの委員会でもほかの委員会でもお答えしておるわけでございますが、日本企業総合税負担率と申しますのが四九・四七%でございます。これが外国に比べてやや低目であるというお答えをいたしておりますのに対して、日本の大部分企業地方税住民税事業税超過負担というものを受けておるので、したがって事業税住民税超過課税というものを織り込んで考えてみますと、日本企業実質税負担は五一・一一になって、これは外国に比べてそれほど低いといえない、むしろ高い方であるという御指摘が第一であったと思います。その点につきましては、確かに東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、そういった府県につきましては事業税住民税超過課税が行われております。五一・一二%というふうに計算されるわけでございますが、私どもアメリカそれからドイツ等につきまして、アメリカが五〇・八六、ドイツが五六・五二と申し上げておりますのは、いずれも中庸地方税率というものを負担した企業について考えておりますので、たとえばアメリカでありますればカリフォルニア州、ドイツでございますとウエストファーレンだったと思いますが、そういう中庸税率のところでございます。それぞれの国で超過課税日本と同じように行われている国を考えてみますと、そこで日本の五一・一二という総合税負担率がそれほど高いということではないということが第一でございます。  それから第二に、諸外国いずれにおいてもかなりの範囲のタックスエクスペンディチュアと申しますか、投資に対する、または一定の原因所得に対する控除というものが行われておるから、したがって、表面税率に比べると実質税負担率日本の場合にはむしろ高いのではないかという御指摘でございます。ただいまタックスエクスペンディチュアと申し上げましたが、アメリカあたりでは、日本租税特別措置と申しておりますのは、むしろ歳出租税でもって代替をいたすという考え方のようでございます。そうなりますと、歳出面の諸制度いろいろございます。それから金融に関して金利の軽減を予算をもって講じておるという例もございます。そういうものを全部包括して考えてみるということが、こういう企業法人税企業所得税というものだけを取り出して比較するよりも、より包括的に企業全体の財政上のバランスというものを出してみるのが正しいわけで、そういう点につきましては私どもいろいろいま検討いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましてもこれは御主張でございます。私ども決して当たっていないということを申し上げているわけではないわけでございますけれども、表面実効税率につきましても、特別措置につきましても、課税の所得計算につきましても、私どもなりにこれにつきまして細かい考え方を持っておりますが、ただいまこういう委員会の席上でございますから細かいことは省略いたしますけれども、なおよく勉強してまいりたいというふうに考えます。
  14. 高橋高望

    高橋(高)委員 とかく法人税の問題は、七月の参院選絡みでいろいろと揣摩憶測の飛びがちなことでございますから、どうぞひとつよろしくその辺についてはガイドをしていただきたいと思います。  私、いまここでまたちょっとお尋ねをしたいことは、今年度、五十五年度の予算案を審議なさる場合に、つい一両日前に予算増のうちの九七%が当然増だという記事が新聞に出ておりました。予算の九七%が当然増だ。私たちの判断でいけば、こういう当然増だという部分はいち早く四十二兆の五十五年度の予算を検討される前提条件として当然出てこなければいけないのに、なぜいまごろこういう話が出てくるのか。あるいは先ほど来のお尋ねでもおわかりのように、何か資料に対しての公開性というものが不十分のように思われてしようがない。ですから、この際ガラス張りで、余り御自分のところだけで資料を温めないで、それこそ野党側にもはっきりとした実態というものをいち早く御提示いただいて、われわれに検討の時間を下さる、このガラス張りの政策ということをお考えいただきたいと思いますけれども、この辺については大蔵大臣、お考えいかがでございましょうか。
  15. 竹下登

    竹下国務大臣 当然のこととして、政府部内において検討いたしました諸指標等を含む資料につきましては、これは与党、野党を問わず国会の場でできるだけ明らかにし、また提出の御要望にこたえていかなければならぬというふうに考えております。
  16. 高橋高望

    高橋(高)委員 どうぞひとつその辺について大蔵省事務当局の方々、特にできるだけガラス張りにしていただいて、諸資料を提供していただきたい。われわれもこれに対して真剣な検討をするということもお約束申し上げますから、どうぞひとつそういった意味で、どう考えても合わない時期に肝心な数字が出てくる、発表になるというようなことのないようにしていただきたいと思うのです。特にこの予算の増の九七%が当然増だなどという話は、もっと早くわれわれにお話があって、そしてそのことが、逆に言えば新しい政策の展開がしづらいということに対しての私たちのいろいろな配慮もいたさなければならないと思いますので、どうぞ大蔵当局でも、この点については主計局長、ひとつこの際はっきりここで御判断をお示しになっておいてくださいませんか。
  17. 田中敬

    田中(敬)政府委員 先般、五十五年度予算の計数整理の結果、当然増が前年度の予算伸び額のうち九七%を占めるという計数を策定いたしたわけでございますが、この件につきましては、実は昨年の十一月末に、国民の方あるいは予算関係の方々に御理解を得るために、大蔵省といたしましては五十五年度予算フレームというものを発表させていただいております。そのフレームのケースBの場合に、当然増並びに当然増的経費というものが一兆七千億ございます、これを賄うとして国債を一兆円減額するとするとこれほどの税収が必要であるという形でケースBをお示しいたしまして、その際、当然増がその場合において一兆四千億という数字は御発表いたしたわけでございます。その際に、あわせまして過去四十年代以降毎年当然増というものがどれくらいあるか、政策増経費がどれくらい織り込まれたかということも計数としてお示ししておりますので、今後とも私どもといたしましては、予算編成前に御理解を得るためにそのような努力を続けてまいりたいと存じます。
  18. 高橋高望

    高橋(高)委員 ありがとうございました。  それでは、この財政の見通し等についての質疑をこれで一応終わらせていただきまして、次に、おいでいただいております日本電信電話公社の経理状況についてお尋ねをいたしたいと思います。  電信電話公社は、毎年こういうきれいな「図説電信電話サービス」という中で、間違いなければ十六ページにいろいろと予算案の損益勘定を初めとするグラフが出ていること、総裁御承知のとおりだと思うのです。ここで五十四年度の予算案の概要を考えてみましたときに、この予算案の概要の一番最後にある収支差額というのは二千九百六十四億計上しております。これは普通の企業で言うと利益と解釈してよろしゅうございますか。
  19. 秋草篤二

    ○秋草説明員 電電公社は配当もありませんし、役員賞与もありませんし、税金もありません。したがいまして、これが会社で言えばネットの利益だという解釈になろうと思いますが、ただ御了解いただかなければならぬことは、予算でこの利益を年々歳々必ず建設勘定の改良投資の一部に充当しておるということは、公社発足以来、利益があるたびに継続されているあり方でございます。したがいまして、この金は加入者にわれわれ還元と言っておるのでございますけれども、加入者の利益のために全部電信電話の拡充の資金の一部に充当しておる。要するに、それは一般の膨大な借入金のほかに唯一の無利子の金でございますのでそれだけコストが安くなる、加入者に便利であるという感じをもって入れておるのでございます。
  20. 高橋高望

    高橋(高)委員 たしか六日だったですか、電信電話公社の副総裁が、いま申し上げた二千九百六十四億よりもなおかつ現在までで七百億ぐらい、通期にすると一千億ぐらい利益が出そうだ、合わせて四千億ぐらいになるということの御判断を示されておるのですが、これには間違いございませんか。
  21. 秋草篤二

    ○秋草説明員 五十四年度の毎月の収入の見通しを年間の見積もりと比較して注意深く監視しておりますが、ただいまのところ平均二・七%くらいの増収でございます。二・七%、それがすなわち現在のところ八百億くらいになっていると思いますから、年度末までには千億くらいに達するであろうということを副総裁は言っておる。これは間違いないと思っておりますが、ただ決算の収支差額は、支出の方がまだ入っておりませんが、支出も三月期にはかなりいろんな支出が出ますので、おおむねしかし、予算で言われた二千九百六十四億という収支差額はそれ以上ふえるということはもう間違いないと思っております。
  22. 高橋高望

    高橋(高)委員 総裁、瞬間いま利益とおっしゃったのですけれども、私の判断から言えば、さっき申し上げた二千九百六十四億円というお金も私は利益だと思っているのですよ。ですから、それに約一千億足されると四千億の利益が年間出てきている。たしか収入が三兆六千億ぐらいでございましょう。そうすると一〇%以上の利益が出ておる、こういうふうに解釈して、私はいままでのお話からいってこの解釈は成り立つと思うのですね。いま一〇%以上の利益の出る会社なんてそう簡単にありませんよ。ところが、現実に電信電話公社は一〇%以上の利益が出ている。確かにお話しのように二千九百六十四億というお金は資本勘定へ繰り入れてはあるでしょう。しかしこれは、民間企業だってもうかったときに、配当するかしないかは別問題として資本勘定に繰り入れるときはありますからね。利益でございましょう。そうすると、四千億の利益が出てきているというこの日本電信電話公社の経理状態というのは、どう考えても何か収入がよけい過ぎる。逆に言えば、収入の基本になっている電話電信料金が高い、こういうふうに私は解釈するのですが、この辺については総裁、どのようにお考えですか。
  23. 秋草篤二

    ○秋草説明員 五十一年の十一月の初めに、参議院で公衆電気通信法すなわち料金案が通りました。そのときには、三年間の見通しで、五十一年、五十二年、五十三年の見通しを立ててあの料金案をつくっていただいたのでございますが、当時、すでに四十九年度、五十年度、五十一年度と三年赤字が続きまして、この赤字を約六千億大蔵省から一時借入金をしまして、それの返済に、五十三年度をもってこの赤字の返済は完全に終わりまして、五十四年度から本当の利益剰余金が出ておるのでございます。  いまの時限から見れば、少し料金の計算が甘かったのじゃないかと思われると思いますが、その見通しも、さっき申しましたように、二・七%の増収でございます。しかも、その原因を考えてみますると、当時から見ますると、まず金利が非常に安くなったということ、これが一つ。それから人件費が、人の数それからベースアップの上げ方が当時予想したよりも幾分低かったということも、公社にとって非常に好影響を来しているということは言えると思います。その結果、予定よりも利益が出ているということは現実でございます。したがいまして、これを配当するとか一部も社外に流出することは絶対にございませんので、私は大事に保存して、これは加入者からちょうだいした収入金の一部でございますから、大事にとってこれを建設に投資するということが従来の方針でございますので、建設勘定の一部に充当するということはやむを得ないことではなかろうか。ただ、この建設勘定に投資するということをもうやめるというようなことになりますると、私どもの事業の大きな資金というものは借入金でございますから、やはり大きな影響が出てくると思っております。
  24. 高橋高望

    高橋(高)委員 総裁、私は別にそれを頭から否定しているのじゃないのですよ。もうかったものを会社だって優良企業というのは配当しないで内部蓄積して使う場合もございますから、そういうことはあり得るのですね。ただ、電信電話公社が三年の間、四十九、五十、五十一で、いまお話しですと、六千億の赤字がある。それを、以後の三年間でこの六千億を返しちゃっている。しかも一千億もここで新たな剰余がある。こういうことになれば、どう考えても料金が高いんじゃないか、お金が取り過ぎじゃないかと考える方が普通じゃないですか。この辺についてはいかがでございます。私は、企業的な立場で見た場合でも、三年間でもう六千億も返したということは、三年間に起こり得るであろういろいろな事態を乗り越えた上で、なおかつこれだけのものを返すことができた。しかもなおかつ、私に言わせれば、また四千億の利益がことしある。こういうことは、どう考えても料金が高いとしか思えないのですが、その辺いかがでございます。
  25. 秋草篤二

    ○秋草説明員 私どもも、この剰余金の差額を何か料金に還元する方法はないかということも部内では試みに計画しておりますが、何分わずか千億の差額でございまして、三兆六千億にもなろうとする額に対する比率を見まするとほんの微々たるものでございます。いま私どもの料金の中では、市内料金と市外料金がございますが、市内料金は世界のどこの国に比較してもきわめて安い。御案内だと思いますが、後で数字をもって御説明いたします。市外料金は逆に余りいばるわけにはいきませんで、非常に高いのでございます。この市外の遠距離の料金を一刻も早く次の機会には安くしたいというのがわれわれの念願でございまして、私はいつも国会でもそういう答弁をしておりますし、記者会見等でも、近き将来にこの問題は解決したいということを思っておりますが、いまの料金の程度で、なかなか大きな料金の改正はできない。  ただ、忘れてならないことは、ごくわかり切ったことでございますが、先生も外国の例も御存じと思いますけれども日本の市内料金は極度に安い。アメリカの四分の一、あるいは世界平均の二分の一くらいになっておりますから、やはりこれを上げての上で市外料金は下げる、遠距離は下げるという方向にしなければならぬと思っておりますが、これをやるにはもう少し大きな財源が要るし、またなかなか大きな作業が要るのでありまして、漫然とこれを喜んでおるわけではございません。
  26. 高橋高望

    高橋(高)委員 私、秋草総裁、あなたは個人的には大変尊敬している方なんですけれども、三兆六千億の売り上げで四千億くらいの利益が微々たるものだという、そういう経営概念はずいぶんと乱暴なものだと思いますよ。だって一〇%以上純益の出ている会社はどれだけありますか。これが微々たるものだという御解釈は私にはちょっとのめませんですね。
  27. 秋草篤二

    ○秋草説明員 微々たるものと申しましたか、その点だったら訂正します。三千億というものは予算で、国会で建設勘定に投資すべしということで決められておるのでありますから、これは私は何ともできません。今後はこういう形態をとることはやめろ、借り入れはすべて——建設投資は利益剰余金を入れてはいけないというようなことに決められれば、これは四千億というのは何年か後には上がってまいりますけれども、いまのところは約千億という額が多少余裕があるというだけでございます。これは二・七%でございますから、なかなかこれは大きな料金改正の材料には、いま直ちにはならぬということを申している、だけでございまして、微々たることと申したら、私は謹んで訂正いたします。
  28. 高橋高望

    高橋(高)委員 私は、一千億も出ていてそれが微々たるという表現も余りのめる言い方じゃございませんけれども、四千億に比べれば少ないという意味ではわかります。  そこで、郵政大臣にお伺いしたいのですけれども、こういったお金、出てきている一千億について何か電電公社との間でお話をされたいままでの歴史ございますか。それともございませんか。公社の取り扱いについていかがでございますか。
  29. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えいたします。  いま総裁が申しましたように、その一千億というのは収入の予測でございますが、三月末における支出がどうなるか、いまのところまだわかりません。ですから、その処分についてどうするかという相談をいまいたしてもおりません。  ただ、総裁申しましたように、現行の料金は五十一年に二十二年ぶりに初めて改定をしたわけでございます。その原因は、四十八年の石油ショック以来の非常な経営困難を解消するためと、将来の経営の安定を期するためにやったわけでございます。そういうことでございますが、この収支の差というものは、いまも説明がありましたように電電公社の設備の充実といいますかあるいは拡充、さらにサービスの維持向上、そういった点に使わなければならないようにこの中でもなっておるわけでございます。でございますから、収支差額というものは世間で言う利益とは違うわけでございます。ですから、そういうことを将来見通して、経営の安定をよく勘案をしながら料金の問題も考えなければならないと私ども思っておるわけでございます。  しかし、いま説明がありましたように、外国との比較におきましては長距離が非常に高い、そうして中距離はとんとんだ、余り差はない、近距離が非常に安い、こういうことになっておりますので、この際、何とか遠距離に対しまして料金についての考慮を払うべきでないだろうかということで、このことについては電電公社にそうしてはどうかという指示をいまいたしておるところでございます。
  30. 高橋高望

    高橋(高)委員 大変失礼なことを申し上げるようですけれども、一千億のお金が出てきたときにその使い方をまだ決めてない、こう私は解釈しておるわけです。よけいな金を持つとどうしたって脱線しがちでございますからね。このことについては電信電話公社の方もいやというほど御承知のはずなんですね。私は、公社をおつくりになったときに、民間企業の厳しさあるいは経営姿勢というようなものを身につけるあるいはつけさせなければいけない、あるいは仕事の内容がそういうペースのものであるという御判断でおやりになったと思うのです。そこで利益が出てくるようになった。しかし、おのずから違うことは、仮に利益が出なかったときには最終的には国がめんどうを見るというのがやはり公社の一つの恵まれた点だと思うのですね。そうであれば、もうかっている最中に少しは実家へ金を返したらどうだということを私は言いたいのですよ。親が一生懸命子供を学校へやらせた、それと同じように民間企業で勉強してこいとやらせた、ところが、いま親元の方は手元が不如意になってきた、少しは返したらどうだ、下世話なたとえで恐縮ですけれども、こういうふうに御判断はできないものですか。総裁いかがでございますか。
  31. 秋草篤二

    ○秋草説明員 これはお言葉を返すようですが、公社発足以来政府のいわゆる固有資本といいますか、政府が出資したお金は百八十三億か、いまの八兆五千億という資産の中で千分の二、三という程度のものしかございません。自来二十七年間、政府から一文の支出も補助金もいただいておりません。ただ政府から、特に金利が安いわけではありませんが、政府保証債というものをほんのわずか、四百億とか三百億程度のものを年々歳々お借りしておりますが、私はいままで、むしろ政府からもう少し、苦しいときには大きな出資なり自己資本を増加するなりということがあってしかるべきでなかろうかということをいつも主張しておる一人でございまして、こういうときに政府をお手伝いするという考え方もあろうかと思いますけれども、いまの千億というのも、先ほど申し忘れましたけれども、現に借入金の電電債の余裕を自己資金で充当しましてすでに五百億くらいそちらへ回しておりまして、発行余力を残して外部資本の調達をできるだけ少なくするということに使っておりまして、恐らく決算になりますると八百億か九百億くらい電電債の幅を、発行を削って決算するのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけで、あくまでこれは設備の一部に充当するというたてまえで来ているのである。したがいまして、民間で言う純利益金、会計学的にはそうなりますけれども民間の利益金というものとちょっと性格が違うのではなかろうか、こういうふうに理解しております。
  32. 高橋高望

    高橋(高)委員 一言で申し上げて、もうけた金ですから手元へ置いておきたい、先々またいろいろ人件費が上がったり諸経費が高騰したときに、余り国会でうるさいことを言われないで、その中から少しずつぐらい出しておきたい、こうお考えになることも私は当然だと思うのですね。ただ、やはり一種の公共事業ですよ。だから、公共事業であればあるほど、おのずから一般の企業と違った奉仕精神というものが私は財政面でもあると思うのですね。ほかの公社でとんでもなく赤字のひどいところがありますから、そういう意味から言えば電電公社はできのいい息子さんなのかもしれません。しかし、今日またここで一千億という金が仮にも出てきて宙ぶらりんの状態で新年度を迎えるというのは私はどうも納得できないので、この辺については、関係は郵政大臣になろうかと思いますけれども、郵政省の方でこの辺の問題をひとつしっかりとお考えいただいて——大体、赤字を突破するためにつくった、分離した公社の中でも、比較的上等に育ったのが電信電話公社だということだとすれば、ようやくにして利益が出てくるようになってきたのだから、この際またいろいろな意味で、内容はやはり国に対するサービスという立場を改めて認識する必要があるのじゃないかなと私は思うのですね。そういう点で、大変うまくいっているのに高橋のやつよけいなことを言うなとお考えになるかもしれませんけれども、おっしゃるように、これは民間企業と違うだけにやはり国に対してのサービスということはひとつ財政面でもお考えになっていただきたい。それが悪ければ料金引き下げをしていただかなければ困る、私はこう思うのです。  最後に一言伺いますけれども、料金引き下げのお気持ちはおありになるのですか。
  33. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えいたします。  電電公社は、御承知のように独立採算制でございます。したがいまして、他の会計から電電公社の会計へ繰り入れるとかいったようなことは全然ございません。と同時に、他の会計へ電電公社から納付金などを納めるということも一方ないわけでございます。しかし、おっしゃいますように、いま幸いにして収支差額がかなり出てきておるわけでございます。  そこで、お話しの料金の改定の問題でございますが、これには、先ほども申し上げましたように、将来の電電公社の経営の安定ということをあらゆる角度からよく検討した上で全面的な改正というものは考えなければならぬと思います。でございますが、先ほどちょっと触れましたように、遠距離につきまして、いま夜間は多少安くなっておりますが、それを深夜の料金をもっと下げるような方法が考えられるならやってみてはどうかということを相談をしておるところでございます。
  34. 高橋高望

    高橋(高)委員 都合のいいときは独立になって、問題が起これば税金でめんどうを見るということはない、私はそういうことを期待したいのです。お願いを申し上げておきます。  電電公社の総裁、恐縮でございましたが、お忙しいところありがとうございました。  ここで話題を変えまして、とっても言いにくいのですけれども、私たちは設備減税という一言で言うのですが、大蔵大臣、本年度片っ端からこれを削ろうとしている意欲があるし、特に大蔵省のお立場で、産業転換投資促進税制ですか、これを五十六年で時限が来るからやめようというようなことを大蔵省の首脳がすでに一部漏らしていらっしゃるのですが、この辺について私、実はお伺いをいたしたいと思うのです。  まず前段としてお尋ねいたしたいのは、先ほども総理が言っていらっしゃいましたように、民間企業の持つ活力を善用したい、またそれが発揮できる余地を残したい、この前提条件になるのは、私はやはり設備更新あるいは設備投資だろうと思うのですね。それを今度の税制の中で、一部に言われるような、企業優遇だといったような小さなとらえ方の中で設備投資減税をしない方向へ再度持っていってしまおうという動きがあるように思いますが、この辺については、大蔵大臣いかがでございますか。
  35. 竹下登

    竹下国務大臣 高橋さんかねて御主張でございます、いわゆる民間活力をなお促進するために、投資促進税制による投資の拡大を図って景気の基調を維持していけ、こういう御主張でございます。たしか五十三年に、一つは、歯どめ効果としまして、一年に限って投資減税を実施することによって設備投資の繰り延べに歯どめがかかるということと、そしていま一つは、前倒し採算性向上の効果、投資計画の繰り上げを実施させて新たなる投資増が期待されたということは、五十三年に行った例があることは御案内のとおりであります。したがって、企業関係の租税特別措置につきましては、その改正が設備投資も含めた経済の動向に与える影響も十分考慮しながら、現下の厳しい財政事情に顧みて、税負担の公平確保という見地から一律縮減等によってその大幅な整理合理化を図ることとした次第であります。しかし、現在、一般的な投資促進対策としてではなく、産業構造の転換を促進するために、構造不況業種に属する事業者等を対象として産業転換設備等を取得した場合の税額控除制度が設けられておりますが、この制度につきましては今回縮減の対象から除外をしておるということで御理解をいただきたいと思います。
  36. 高橋高望

    高橋(高)委員 私は、いまお話しのように、まさに設備投資が日本の国の将来を左右する重大な要素だろうと思っております。一九六〇年の初頭ごろ、アメリカの中小企業者が先行きの見通しの暗さと社会問題を抱えて設備投資を渋って、そのためにアメリカ経済がずいぶん動きが不活発になったということを私は現実に知っております。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 その設備投資の問題というのは、単に短期的に取り上げるものではなくて、より長期的に考えた国の大綱として取り上げるべきであって、少なくとも年次年次の経済動向等によって敏感に動かされては困る内容のものであろうと私は思うのです。アメリカの連中が一九六〇年の初頭ごろ失敗した設備投資の停滞というものが、今日のアメリカの世界におけるいろいろな意味での威信の失墜につながっている、私はそこまで言い切れると思うのです。これは、アメリカなりにいろいろ原因はあったでしょう。しかし日本が、少なくとも私たちの国が国の状況、これからの日本の生きていく道を考えた場合に、絶えざる技術革新とかあるいは設備更新というようなものが日本の国の私たちの生活を左右する、安定向上につながる、こう考えているわけです。  そういう点で私は通産大臣にお伺いしたいのですけれども、この設備投資に対する通産省側の御意向というものをどのように今度の予算の中で、あるいはこれからも盛り込まれようとしておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  37. 左近友三郎

    ○左近政府委員 日本の産業を今後発展さすためには設備投資が大変重要であることは御指摘のとおりでございますが、特に力の弱い中小企業につきましては、その設備投資を促進することが国の施策としても重要であろうかというふうに考えておるわけでございまして、予算といたしましては、税制上は、いま大蔵大臣が申し上げましたように、産業転換投資促進税制を活用するということでございますが、それ以外にも、中小企業庁といたしましては金融上の措置、これは政府系金融機関の資金枠を増大をするということもやっております。また、産地中小企業対策という点でも特別の資金を供給をするということも考えております。また、小規模企業につきましては、設備近代化資金の貸し付けとか、設備貸与制度という府県を活用する資金の供給方法もございます。こういうふうな予算を充実いたしまして、中小企業時代の変化に即応して投資がやれるように予算を講じておる次第でございます。
  38. 高橋高望

    高橋(高)委員 左近長官、いきなり先を急がれちゃって、早く免れようとしていらっしゃるのかもしれませんけれども、それはそれとしてちょっとおいていただいて、まず現在の中小企業に働く方の数というのはどれぐらいというふうに見ていらっしゃいますか。あるいは企業数等も含めて、中小企業実態を皆様の前にお示しいただきたい。
  39. 左近友三郎

    ○左近政府委員 せんだって、昭和五十三年の総理府の事業所統計の速報が出ました。それによりますと、中小企業の事業所の数は全体の事業所のうちの九九・四%で、約五百八十一万でございます。それから従業者数は三千四百二十九万人ということで、事業所に働きます全従業者数の八一・一%でございます。それから、製造業における出荷額につきましては、これは昭和五十二年でございますが、約八十一兆でございまして、全出荷額の五一・八%ということでございまして、事業所数あるいは従業員の数はもちろんのこと、出荷額においても中小企業の方が多いというふうな姿を示しておるわけでございます。
  40. 高橋高望

    高橋(高)委員 ちょっと私、農業問題についてお伺いしたいのですけれども、農業人口というのはいまどれぐらいだと御把握でございますか。
  41. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 五百万ちょっとでございます。
  42. 高橋高望

    高橋(高)委員 今度のいろいろの中小企業の税制に対する増税といいましょうか、特別措置の廃止あるいは縮減等によって、どれぐらいの増税を見ていらっしゃいますか。
  43. 高橋元

    高橋(元)政府委員 法人関係の租税特別措置の整理によりまして五十五年度の増収は一千百億円でございますが、その中で大法人に係る部分がおおむね半分、中小法人が半分ということだと思います。
  44. 高橋高望

    高橋(高)委員 私、農業人口並びに農業に携わる方々に対する国の配慮と、中小企業に働く方に対する実際面での国の配慮が極端に違うということをまず申し上げたいのですね。  いわゆる三K問題の一つにお米の問題があって、それに対していろいろと国として多額のお金を使っていらっしゃる。にもかかわらず、中小企業に働く方は約三千四百万おられて、むしろ今期五百五十億お金を持っていってしまっている。ところが、農業人口の人は五百万人そこそこぐらいのものに対して御承知のような多額のお金を出しておられる。この辺についての国の施策というものは、私はずいぶんと新たな不公平感が出てきていると思うのですが、この辺について大蔵大臣、いかがでございますか。
  45. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる従業員人口からする重農軽商とでも申しましょうか、そういうことに対する御指摘であろうかと思うのであります。ただ、農業の持つ基本的な位置づけあるいは中小企業のそれらの位置づけ、歴史的経過の中におきましても、一概に論ずることはにわかにはできない問題であると思うのであります。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、農業には農業に対してその農政上の立場から施策を行うと同時に、もとより委員指摘の三千数百万を数える中小企業対策については、これは所管は通産省でありますが、まさにきめ細かな対策というものを逐年整備充実していかなければならない重要な課題であるというふうに考えております。
  46. 高橋高望

    高橋(高)委員 どうぞひとついまのお言葉どおり、中小企業、特に中小企業に働く方の新たな不公平感を業種ごとに持たせないように国としての御配慮をお願い申し上げたい。  ここで私、中小企業庁の長官がお見えでいらっしゃいますのでちょっとお尋ねしたいのですが、大変雑駁なお尋ねの仕方ですけれども、中小企業で、特にいま製造業等で働く方々が、実質賃金は大企業の方と比べて大体おれは何十%くらいかなというふうに考えられているか、そういう意識調査をなさったことがおありになりますか。
  47. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在までの調査ではその比率というふうなものを具体的に意識調査をした例はございませんが、われわれの方で中小企業の労働者として改善すべき点という点についての意識調査をいたしますと、やはり給与を高くするということで、これは大企業に比べて低いということを意識として皆さんが持っておられるということであろうと思います。
  48. 高橋高望

    高橋(高)委員 私が申し上げたいのは、それでは大体どれくらいだろうというふうに中小企業庁としては見ておられますか。
  49. 左近友三郎

    ○左近政府委員 統計的には、二、三年前の数字でございまして恐縮でございますが、これによりますと大体七割程度という数字が一つの数字としては出ております。
  50. 高橋高望

    高橋(高)委員 七割ぐらいとおっしゃいます。実際、私の感じではもうちょっと下かと思いますが、いずれにしてもそういった程度の取り扱いになっている。  それからもう一つは、大企業に勤められている方は、天下りではございませんけれども、ある年齢が来て、六十歳なら六十歳になると六十五歳ぐらいまで中小企業へ、特に下請企業などでよく見られることですが、その人たちが、天下りという言葉が当たるかどうかわかりませんけれども、とにかく職場があるのですね。だから、年金問題なんかについても、中小企業で働いている方の方がそういう意味ではさびしい環境にあるわけです。そうなると、税法上で何か中小企業に働く方々に対して配慮がないと、私はいつになっても不公平感が残ると思うのです。  そこで、これは税法上の問題で、未検討のことだろうとは思いますけれども大蔵大臣、いろいろな会合の席等でおわかりだろうと思いますけれども、こういった中小企業に働く方の立場というものを何か税法上でお考えになられるような温かいお気持ちはお持ちになりませんか。
  51. 竹下登

    竹下国務大臣 中小企業税制の問題につきましては、それぞれこの法人税率あるいは施策の中でそれなりに今日まで積み上げられてきておると思うのでありますが、働く方々のみを対象にした特別な税制というような問題につきましては、いま私が正確にお答えする自信もございませんが、勉強させていただきます。
  52. 高橋高望

    高橋(高)委員 少なくとも現実に暮らしておられる三千四百万の方の立場をお考えになられたら、むしろ遅きに失すると思うんですね、こういうことをお考えにならない方が。私の感じでは、とにかく私たちの資料では、中小企業に働く方は大体自分たちが大企業に比べてまず六〇%ぐらいの実質収入だろう、こう考えているわけです。そして、それが仮に大企業に一次につながっている企業であれば六〇%ぐらい。それから、大企業からさらに二次、三次になりますと、大体それの五%から一〇%減ぐらいで、五〇%ぐらいで大体自分たちのあきらめが出ているわけです。これを私たちの党はやがて皆様方に御連絡するようになるかと思いますが、何かこれを救うことを考えて、あるいは税法上でこれを特別な取り扱いをしてくださるような御配慮をお願い申し上げたい。私たちも考えますので、どうかひとつ頭からだめだということのないように、本日この席でこの面についてもお考えを固めておいていただきたい、私はそう思います。本日のお答えでは結構でございます。  総理、いま私が中小企業の問題をお尋ねをいたしましておわかりなんですが、案外選挙のときは中小企業、中小企業と言われるのですが、実際面では手当てができていないことが多いのですね。それから中小企業対策として打ち出されているようなことが案外きれいごと過ぎて、本当に中小企業で働きあるいは中小企業を経営しておられる方にぴんと来ないことがあるのでございますよ。これは歴代の自民党内閣の中でやはり大企業優先でやってこられてやむを得ないとは思いますけれども、今後のことを考えると、総理、その辺について中小企業問題というものを通り一遍にお取り上げになるのではなくて、細かな配慮をされるように、関係の官庁に対して御指示いただけるということをこの席でお話しできませんでしょうか、お願いいたします。
  53. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 中小企業経済に占める立場、役割り、重要性というものは仰せのとおり心得ております。従来、中小企業対策といたしましては、大企業と中小企業とをともすれば対立的な立場に置きがちな傾向がなきにしもあらずであったと思うのでございますけれども、本来、中小企業と大企業というのは、対立的な面もありますけれども、補完的な面がございます。経済全体が順便に回ってまいることを考えなければなりませんので、その中で中小企業がその役割りを果たし、その足場を固めてまいるということを一方において考えなければならぬと思います。  他方におきまして、中小企業の弱い立場、技術的にも経営的にも弱い立場というものを配慮の上、金融面、税制面、その他政策面でいろいろ温かい工夫がなければならぬという高橋さんの御主張、われわれもよくわかるわけでございます。われわれといたしましては、両面から中小企業対策の充実に努めるよう各省庁を督励してまいらなければならぬと考えています。
  54. 高橋高望

    高橋(高)委員 どうぞよろしくその辺をお願い申し上げたいと思います。  最後になりましたが、この間、総理の施政方針演説の中でココムの言葉が出てまいりました。久しぶりに私たちのような立場におります者にとっては、はっとしたことで、大変ありがたかったのですが、実は、総理がお考えになっているココムに対する適用外あるいは適用する、そういうことの配慮は、総理、いかがでございますか、総理御自身は完成品をお考えになっておられますか、あるいはその中に含まれている小さな部品を含めた技術力をお考えになっているのか、どちらでございますか。
  55. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 ココムという国際的な場がございまして、そこでまずどういうものを対象として取り上げるかということが問題になると思いまして、いま仰せのような、どういう問題を取り上げていくべきか、どういう問題は取り上げちゃいけないかというようには私は特別に考えを持っておりません。私が申し上げておりますのは、いま問題になっているソ連に対する対応策といたしましてココムの場で相談しようということがございますので、それは一番フェアな、一番実効的な対応策ではないかということを申し上げているわけでございまして、その場におきましてどういう問題が取り上げていいか悪いかというような問題をいま特に日本として取り上げるつもりはございません。
  56. 高橋高望

    高橋(高)委員 御承知のようにココムは、たとえば大型のコンピューターがいいとか、あるいはその他いろいろの関連の問題を含めての適用除外品目があろうと思います。私がいま申し上げたいのは、いまの技術革新の中にあっては、時々刻刻、製品の名前だけで処理し切れないノーハウを含めた技術問題が製品の中に入り込んでいる。そうすると、その一つ一つの製品で取り上げるということには非常に危険性がある。半導体の問題もそうでしょう。あるいはいろいろ、とにかく製品としてお取り上げになるだけでは大変危険な問題がそこにあると私は思うのですね。この辺については十分な御配慮を総理御自身としてはお持ちでいらっしゃるか、それとも依然として製品別でおやりになろうとお考えになっておられますか。
  57. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ココムで輸出規制の対象になっている品目に相当するものは、わが国の場合の輸出貿易管理令の別表第一に掲示されておるわけでございまして、規制対象品目は本来の共産圏諸国に対して輸出が禁止されているものでございますが、特定の商品につきましては、その商品の戦略性等についてケース・バイ・ケースに審査いたしまして、例外的に輸出の承認を得られることもあるわけでございます。
  58. 高橋高望

    高橋(高)委員 これは専門の分野の方に任せていらっしゃるのかもしれませんけれども、ただ単にココムに対する取り上げ方というような言い方ははなはだ無責任な言い方だろうと私は思っておるのです。むしろこういう問題は、この際そういうふうにおっしゃらない方がいい。というのは、技術力がどんどん変わっていて、中に含まれているものがどんどん変わってきている。たとえば、いま自動車だって中身が、いろいろなものが大変に変わってきている、そのときに、自動車はココムには取り上げる必要がない、どんどん輸出していいのだということにもならないと思うのですね。だから、もっとはっきり言えば、技術力というものを当然やはり国としてよりコントロールしなければいけない問題がここにあるのじゃないか。これをなさらないととんでもないところで漏れてしまう。たとえば産業ロボットというものがある。この産業ロボットを、ソ連が一生懸命日本の技術を吸収した。私などもその第一線に立って説明役にモスクワへ行きました。しかし、そこで彼らは彼らの情報はよこさない、こちらの情報だけ欲しがる、しかも最新の情報をどんどん吸収してしまう。こういうことをお考えになれば、私は経験しましたから申し上げられるのですけれども、ただ単に品目で規制するというだけでは、言うなれば日本の技術安全保障条約みたいなものが侵される。この辺までも、やはり政治の世界でももう考えなければいけないのではないか。  ですから私は、総理が所信表明の中でおっしゃられたココムという言葉についてどの程度の御理解があるかということを伺ってみると、どうもいまの段階では官僚の書かれた原稿かあるいはせいぜい製品別ぐらいのお考えきりしかないけれども、これは日本の国を非帯に危険な状態に置く、どんどん技術が流出してしまう、あるいは吸い上げられてしまう。この辺についてもお考えがあってしかるべきではないかと私は判断するのです。そういう意味合いから、ソ連に対する経済措置としてのお取り上げということだけではなしに、それで行われるであろう中身というものもやはり少しは御理解というか、御関心をより深く持っておいていただかないと大変危険なように思いますので、総理、この辺については、おれは大蔵省出身だよとお考えにならないで、ひとつ十分お考えになっておいていただかないと私は危険なことがあるように思いますが、いかがでございますか。
  59. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 原則として、やはり技術も自由な交流が世界経済のためになると思うわけでございまして、わが国は技術を吸収する方が多くて、技術を提供するより吸収する度合いが圧倒的に多かったのがこれまでの例であったと思います。しかし、高橋さんがおっしゃるように技術的な安全保障を考えなければならぬということも政府一つの立場であると思います。したがいまして、どういうものについては警戒的でなければならぬかということは政府として常に考えておかなければならぬことと思うのでございまして、ココムという場におきましてわが国がどういう態度をとってまいるかということにつきましては、いま仰せのような点も十分念頭に置きまして、慎重に対応してまいらなければならぬと考えております。
  60. 高橋高望

    高橋(高)委員 このことは、ただ単に対ソの問題にとらわれませんで、発展途上国に対する技術援助の問題等にも微妙に関係してくると私は思うのですね。特に最近発展途上国が、いいアドバイザーがついておりますから、いろいろな意味でこういう技術問題に対しては吸収力が旺盛である。それに対して、日本の国の基本的なあり方としてどの部門でどの程度のことを明らかにするかということは、やはり国の政治の路線としてしっかり持たなければいかぬと思うのです。またそれがないと、気がついたときには大変なコンペティターになってしまって、こちらが彼よりもより新しい技術、よりすぐれた技術を開発し切れないうちに先方の技術が追いついてくるということになると、業界にとってもあるいは国にとっても、非常に激しい競争場裏の中に追い込まれてしまうわけですから、この辺については、どうかひとついろいろな御展開の中で十分な御配慮をお願いする。私の申し上げる技術の国際性というものがこうした配慮の上で成り立つものだということをお考えになっていただきたいと思うのです。総理のお話の中にココムが出てまいりましただけに、私はこの際、大変失礼ですけれども御注意を申し上げまして、またどうかひとつ先々のこともお考えになっておいていただきたい、かように考えるところでございます。  さて、最後になりまし一たが、通産大臣、先日車の問題で日本のトップ企業の方とお会いになっていらっしゃるようですけれども、対米進出問題についての企業側のお考えというのはどのように受けとめておられますか。
  61. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 私どもといたしましては、集中豪雨的な輸出というものは絶対いけませんぞ、秩序ある輸出にするようにかねがね業界を指導してございます。また、米国から全米自動車組合の会長のフレーザー氏が現在見えて、十五日に私お会いする予定になっておりますけれども、よく事情をお聞きいたしまして、善処申し上げたいと思っております。
  62. 高橋高望

    高橋(高)委員 善処するというのはこういう場だと常用語でございますから。ただ、大変微妙でございますから私もこの問題については余りお尋ねはいたしません。ただ、冒頭私が申し上げたように、経済に対してよりウエートのある展開、御発言をする時期がもう日本経済として政府に、政治に要求されてきているという時代でございますので、間違いのなき対策をお願い申し上げたい、かように考えます。  以上お尋ねいたしまして、私の党を代表してのお尋ねといたしたいと思います。ありがとうございました。
  63. 田村元

    田村委員長 これにて高橋君の質疑は終了いたしました。  次に、稲葉誠一君。
  64. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 大平さんに会うと何か質問したくなるのですよ。これは何かあなたの人徳だ、こうぼくは思うのですがね。そこでいろいろお聞きしたいのですが、日本人の中には、ロシアは好きだけれどもソ連はきらいだという人が大分あると思うのですよ。どういうわけでこう日本人はソ連がきらいだという人が多いのでしょうかね。
  65. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 私もよくわかりませんけれども、世論調査なんかの結果を見ておりますと、仰せのような傾向が見えるように思います。
  66. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 世論調査の結果はわかっておるのだ。なぜと言っておるのだ。なぜ日本人はソ連がきらいなんだろうか、こういうことを聞いておるのです。なぜというのが問題よね。
  67. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 まあ政治的な体制、信条も異にいたしておる国柄でございまするし、ソ連の体制並びにソ連のやり口というものに対する不快感というようなものと無関係であるようには思いません。
  68. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 何だかあなたの語尾がはっきりしないですな。もう少し日本語をはっきり言うようにしてくださいよ。わからぬのです、語尾がね。語尾が非常にわかりにくいですよ。  そこで、あなたの施政方針演説を聞きますと友好国という言葉が出てきますね。二カ所ばかり出てくるのですけれども、ソビエトはそうすると友好国ですか。
  69. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 友好国でありたいと願っています。
  70. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 友好国でありたいということは、現在友好国ではないという意味ですか、これは。
  71. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 御承知のように、真の理解と信頼の上に立っての国交がただいますべての面にわたって行われていない。両国の関係はあらゆる方面にわたりまして交流は進み、貿易も進み、経済協力も進んでおりまして、理解と信頼の度合いは高まってまいりましたけれども、まだ依然として解きがたい難問を抱えておるわけでございまして、完璧な友好国と言うにはまだ距離があるという感じです。
  72. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、友好国でありたいためには今後ソ連との間でどういうふうなことをしたらいいというふうにあなたはお考えなんでしょうか。
  73. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 基本的に隣邦としての理解と信頼を打ち立てなければなりません。したがってそのためには、日ソの国交が開かれて以来、経済、文化その他の面におきまして交流が進んでまいりまして、理解が高まってまいりましたことは結構なことと考えておりますが、残念ながら戦後まだ未解決の問題、とりわけ北方領土の問題が未解決でございます。これを双方の理解と信頼に基づきまして平和的に解決いたしまして、文字どおりわれわれの念願とする平和条約を締結するということが、いま日本とソ連との友好国たらんとする場合の最大の課題であると思います。
  74. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 外交の問題については、十五日にまたほかの外交の問題を含めてお聞きをしたいというふうに思います。  きょうは時間の関係もありますので、ひとつロッキードの事件のその後の推移、裁判の推移ですね、これについてお聞きをしたい、こう思うのです。これは法務省ですか、ロッキードの裁判のうちで特に田中角榮氏に関連する裁判は順調に進んでおるというふうにお考えですか。それから今後残された部分はどういう点があるというふうに理解をされておられますか。
  75. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねのロッキード事件の公判状況でございますが、いろいろなルートに分かれまして公判が進められている状況でございます。お尋ねで、順調であるかどうかと言われますとどう申し上げていいかわかりませんが、検察といたしましては起訴した事実の立証について全力を傾けているところでございます。
  76. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、だから順調に進んでいるかどうかということを聞いたのと、今後残されている部分はどういう点があるのかということを聞いたわけです。それにストレートにお答えを願いたいというふうに思います。
  77. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 それぞれのルートに応じまして検察官側の立証が進んでいるわけでございますが、被告人側と申しますか、弁護人側と申しますか、立証もこれからのことでございますので、いつごろどういうふうに終わるかというようなことは現段階では申しかねるわけでございます。
  78. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いつごろ終わるかなんて聞いていませんよ。  それでは田中角榮氏の——ぼくは日本の場合、悪いと思うんですよ。起訴されると「氏」というのを取っちゃうんですね。これは一審の有罪判決あるまでは無罪の推定があるんですからね。だから、すぐ呼び捨てにするというのはよくないと私は思いますよ。これは悪い傾向ですね、日本の。まあそれはそれとして、田中角榮さんの罪名は外為法違反と受託収賄ですね。これは併合罪ですが、そうすると処断刑は何年が最高になるわけですか。
  79. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 稲葉委員は専門家であられますから処断刑というお言葉をお使いになったと思いますが、ここで何年というようなことをお答えいたしますと、いかにも具体的な論告求刑が何年であるかのようなふうにとられても誤解であろうかと思いますので、具体的な求刑は公判の状況に応じて決めるということになっていると思いますが、法定刑といたしましては、いわゆる外為法違反が三年以下でございますし、いわゆる受託収賄罪は五年以下の懲役ということになっております。
  80. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だからそれが併合罪になるんでしょう。だから併合罪になると最高幾らまでになるのと聞いている。求刑なんか聞いていないよ。そんなこと聞いたら笑われちゃう。
  81. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 これも稲葉委員は御存じのことでございますから、改めて申し上げるまでもないかと思って控えたわけでございますが、併合罪であれば長期の一倍半でございますから七年半以下ということになろうかと思います。
  82. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だからそういうふうに答えればいいのよ、あなた。最高七年半でしょう、併合罪だから。こっちはわかって聞いているわけだけれども、あなたの口から言わしたいから聞いているわけでね。  そうすると七年半以下だよね。これはわかった。処断刑というのは何もそこで処断をするという意味じゃないよ。それは法定刑と処断刑と宣告刑とあるからね。法律家は処断刑と言う。それはその範囲内でという意味だ。ただマスコミの人たちが誤解するといけないから。それはそれ以下での求刑でしょう。それ以上の求刑できませんよ。ここで幾らの求刑するなんて、そんなことぼくが聞くわけないですよ。そんなこと聞いたらぼくが笑われちゃうよ、ほかで。そんなこと聞きません。  そこで問題は、いままでの裁判例で贈収賄で、まあ日本の場合は贈の方が軽いですよね。それから収の方がわりあい重いわけだけれども、収の方で、普通執行猶予も多いし、いままでの裁判例では最低幾らぐらいのところが実刑になっていますか。これは知っているわけだよ。
  83. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 まあ収賄罪、いろいろと内容がございますので、平均的にどうだということを申し上げるのはかえって誤解のもとではなかろうかと思います。
  84. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だれも平均的なことを聞いていないでしょう。いままでの裁判例で最低がどのくらいかと聞いているんだよ。平均例なんかだれも聞いていないでしょう。こっちも知っているけれども、それはあなたの口から言わせなければ意味ないもの。だから聞いているわけだよ。あなた、答えなさいよ。最低百万円でしょう。百万円から実刑になっているわね。どうぞ。
  85. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 いや、一概にそのようにも申し上げかねるかと思います。
  86. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、百万円だったら実刑という意味じゃないのよ。最低百万円で実刑になった例があるでしょう、大体そこら辺のところが一応の基準になっているでしょうということを申し上げておるわけね。それはあなたの方で答えにくいかもわからぬから、その辺にしましょう。  そうすると、あと残っているのは、どういう立証があるのかわかりませんけれども、まあ職務権限の問題なんかもあるわね、鑑定が出るのかどうか知りませんけれども。ある著名な学者の新しく出た論文なんか見ますると、検察官の冒頭陳述の職務権限と同じようなことが書いてある学者のやつもありますね。それは学者の名前は言いませんよ。そんなことを言ったら大変なことになるから言わぬけれども。そこで、今度弁護側の立証でしょう。大体あとおおよそどのくらいかかりますか。一審ですよ。大体二年ぐらいか長くて三年ぐらいじゃないのか。十年も二十年もかかりますか。
  87. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 先ほども申し上げましたように、相手方のあることでもございますので、法務、検察の立場で何年というようなことは申し上げかねるわけでございますが、いまおっしゃったように十年もかかるというようなことは恐らくあり得ないだろうというふうに思います。
  88. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 おおよそあと二、三年よね、長くて。そんなにかからないんじゃないかと思うな。そうすると、総理、来年が五十六年か、五十七年の秋が衆議院が解散になる。三年たって解散でしょう。それから五十八年が統一選挙と参議院選挙。そのころに一審の求刑があってということだな。まあそこら辺のところ……(「五十八年、四年なんだよ」と呼ぶ者あり)だけど三年たつと大体解散なんだよ。しようがないよ、これは。  まあそれはそれとして、そこでちょっとお聞きしたいのですけれども、大分前です、文芸春秋に石原慎太郎さんが書いていたんですが、こういう話が出ていたのです。ある代議士が福田さんのところへ選挙資金か何かもらいに行った。そうしたら福田さんは紹介状か何か書いてくれて封筒に入れて渡してくれたというんだよ。そしてその後一体金をその会社へ行ってもらったのかもらわないのか、会っても全然聞かない、というわけよ。それで田中さんのところへ別の人が行ったら、何だか段ボールの箱に百万円の札束がいっぱい入っていた、こういうんだ。それを手でつかんで封筒に入れてくれて渡してくれた、こういうんだ。そこまでは普通かもわからぬけれども、その後がいい——いいというか何というか、そして帰りがけにぽんと肩をたたいて、足りなくなったらまた来いよと言ったというんだ。これは本当だよ。そういう田中さんなんだけれども、それはどうだい竹下さん、あなた田中さん尊敬しますか。
  89. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、田中総理大臣のもとで国務大臣内閣官房長官を務めた間柄でございますから、人間関係はかくありたいと思っております。
  90. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 かくありたいと言ったって何だかわからないじゃないか。何だい。
  91. 竹下登

    竹下国務大臣 稲葉さん御指摘のように、相互信頼があってしかるべきだと思っております。
  92. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 もう一人、後ろの方の列。だれがいいかな。後藤田さんがいいや。後藤田さん、どうだいその点については。
  93. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私は四十七年から四十八年、副長官としてお仕えをしたわけでございます。どう考えておるかと言えば、いま竹下さんがおっしやったのと大体似たようなことでございます。
  94. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ところが、大平さんはそういう点について、あなたと田中角榮さんとの仲というものはこれは周知の事実というか、何新聞見たって、今度の総裁選挙だって大平田中派とみんな書いてある、どこへ行ったって。書いてあるでしょう。そう用心しなくても大丈夫だ。書いてあるんだよ。だけれども、あなたはこの前十二月三日の私の質問に対して、私は三段階に分けて聞いたんだな。田中角榮さんという人、「この人とあなたとは非常に親しい間柄ですか、あるいは親しい間柄なのか、単なる友人なのか、」この三つの段階に分けて聞いたんだよ。あなたは「友人の一人です。」と、こう言っているわね。冷たいね、あなたは。どうもこれは冷たいという感じがするな。そうすると、また一番聞いたら、「大体普通の友人です。」と言うんだよ。  そこで、これはプライベートな話をここで申し上げるのはぼくもちょっと気がひけるのですが、終わりまして午後の始まりのときに、あなたがこういうふうなことを答えていたが、あなた冷たいな——冷たいなと言わぬけれども田中さん怒ったでしょうとぼくはあなたに聞いた。そうしたらあなたは、田中さんとの仲というのは伝説的になっているのが多いんだというようなことを言われましたな。伝説的になっている、いかにも自分と田中との仲は世間がつくり上げたんだ、こういう意味のことをあなたは言われたんだよ。意味のことですよ。真意は一体どこにあなたはあるんでしょうか。友人の一人だとか大体普通の友人ですというのは、いかにもあなた自身冷たいという感じを受けるな。どういうんですか、伝説的だとかなんとかいう意味は。
  95. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 ただ普通の友人関係でございまして、特別に色合いをもって見られることは迷惑です。
  96. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 何とかをもって見られることは迷惑ですって。色目——色目というのは女の人が使うんじゃないか。(「色合いだ」と呼ぶ者あり)色合いをもって見られるのは迷惑だ、まあいいでしょう、それならそれで。なるほどね、そういう意見もありますね。個人的な関係をあんまり聞くのは失礼ですから、これ以上のことを聞きませんけれども、きょうは時間の関係ですいすいと進んでいきましょう。  そこで、KDDの関係で、これは東京税関から東京地検に告発になったんでしょう。それをどうして東京地検がやらないで警視庁へ回しちゃったの。
  97. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねでは検察庁はやらないで回しちゃったというような表現でお尋ねでございましたけれども、この件につきましては、東京地検と警視庁の間で事案に即してこういうやり方でやるのが一番よかろうということで、このような扱いになっておるというふうに承知しております。
  98. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それは公開の席ではそれ以上答えられないわね。東京税関が東京地検に告発して、あなた、特捜部の吉永君が事件放しっこないでしょう。放しっこないのを警視庁へ渡したということは、それだけの意味があったから彼は渡したのよ。だけれども、それをあなたに答えろというのも、これも無理よ。質問も無理かもわからぬけれども、答えろというのもこれは無理だよ。気の毒だ。せっかくあなた刑事局長になったばかりで、そして前の刑事局長、よ過ぎたでしょう二人とも。だからあなたは大変だよ。一生懸命やってね。うまくはぐらかすんじゃなくて、答えるところは答え、避けるところは避けるというようにうまく、しっかり勉強してくださいよ。前の二人、よ過ぎたから、だからどうしてもこれは大変だよ、あなたの立場も。  そこで、警察に聞くんですが、遺書の内容で、何か板野、佐藤の犠牲になって死ぬというようなことが大学ノートか何かに遺書の内容にありましたね。これは警察としてはどういう意味にとったんですか。
  99. 中平和水

    ○中平政府委員 報道等に伝えられましたように、ただいまのような内容があったことは事実でございます。それをどう受け取ったかといいますと、そのままに受け取るしかないというふうに私は考えております。
  100. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それじゃ、それに関連をして板野なり佐藤というのを今後、これは人権じゅうりんの疑いが出てくる、その問題に関連してね、それを事情聴取をするということに一体なれるんですか。本人たちが出てこいと言って出てこなかったらどうするの、あなたの方で。
  101. 中平和水

    ○中平政府委員 先生御専門家でよく御存じだと思いますが、やはり関係の証拠が相整わなければ事情を聞くわけにまいりませんので、そういうことだと思います。
  102. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それから遺書について、それを出してくれというふうに言っているでしょう。弁護士のところへ出してくれというのは、これは無理よ。弁護士は秘密を守らなければならない義務があるのだし、それはそれだとしても、遺書を出してくれというのならば、なぜそれじゃ裁判官の令状をもらって出してくれということをやらないの。それだけの被疑事実が固まってないからでしょう。将来も固まるという見込みがなかなかないんじゃないの。
  103. 中平和水

    ○中平政府委員 先ほど先生の御指摘のありました遺書につきましては、家族の方から私ども手に入れております。当日奥さんの方から弁護士に渡しました関係者あての遺書につきましては、弁護士を通じて、弁護士の協力を求めて一応私ども手に入れたい、そういうことでいまなお努力を続けております。
  104. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 それはわかっているのですけれども、弁護士は出しっこないのよ、そんなもの。出したら秘密であれになっちゃうじゃないですか。そのほかにも、ほかに遺書がある、遺書にいろいろな重要な問題が書いてあるというのでしょう。それなら令状をもらって押収捜索したらいいじゃないですか。そこをできるだけの被疑事実がないでしょう、いまの段階で。ないんでしょう、それは。だからそれを聞いているわけですよ。
  105. 中平和水

    ○中平政府委員 やはり遺書という事柄の性格上、私ども資料の収集という立場からも、できるだけ弁護士から手に入れたい、こういうことで努力しております。
  106. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 弁護士は出さないよ、そんなものは。出したら弁護士は処罰されちゃうぞ。  それから、板野なり佐藤の事情聴取というのは、どういう段階になったら警察としてはするつもりなの。大体どの程度の見通し、それは。
  107. 中平和水

    ○中平政府委員 先般十二月四日に押収いたしました九千九百点に上る資料につきまして、いま金の流れとか物の流れにつきまして克明に分析中でございます。その分析の過程を通じまして刑罰法令に触れる行為が出てまいりましたら、その段階で事情を聞く、こういうことになろうと思います。
  108. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなものはとっくにわかっていなければなりませんよ。これはなぜ特捜部が警察に渡したかという事情は、私はわかっていますけれども、ここで言うのは悪いから言いませんがね。  そこで、このKDD、ことに保田さんの自殺に関連をして、それで遺書の内容ですね、大学ノートに書いてあった遺書の内容その他全体を通じて、これが国民の注視の的になっておるということは、これは警察としても御案内でしょう。
  109. 中平和水

    ○中平政府委員 御指摘のとおりでございます。
  110. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そこで、私はここで、以下申し上げるような概略の理由、これはちょっとまだ整理が十分できておりませんのでラフですけれども、それに基づいて、本委員会に証人として、板野學、佐藤陽一両名を証人として申請をしますから、これは当委員会においてお調べを願いたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それに関連をする理由のおおよそは、そのいわゆる大学ノートに書いてありました遺書の内容が事人権の問題に触れるということが第一。  第二が、政官界に関連をするというようなことが十分考えられるということ。  それから、板野、佐藤両氏に対する事情聴取の見通しというものは、これはほとんどと言っていいくらい私は、ないとは言いませんけれども、ずっとおくれる、あったとしてもおくれる、こういうふうに考えられ、その間に証拠の隠滅が十分考えられる。もうやっているでしょうけれども、どんどんその証拠の隠滅が行われるということ。  それから第四には、国民注視の的であり、これにこたえるのが国会の任務である。  こういうことを考えまするというと、もっと多くてもいいのですが、最小限この二人の証人、これは証人でなければだめですが、証人としてお調べを願って、一人午前午後分けて一日ぐらい——一人一日ぐらいですよ。二時間ぐらいではだめですよ、あれでは。一人一日ぐらいじっくり、それは人権をもちろん重んじて、そして証人喚問をぜひやっていただきたい。これは委員長にお願いをいたしますので、見解をお伺いをいたしたい、かように思います。
  111. 田村元

    田村委員長 ただいまの稲葉君の御要望につきましては、後刻理事会において協議いたします。
  112. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そこで問題を変えまして、今度は、補正予算ですから、補正予算で、これは大蔵大臣、五十四年度当初予算に比べると公債の発行が一兆円減る、これはわかった。そうすると、いまこの補正予算が仮に可決をされたとすると、実行予算ができるわけだ、五十四年度のね。それと比べると、五十五年度の公債の発行は、これは五十四年度の実行予算よりも低いわけでしょう。その点答えてください。幾らぐらいどうなんですか。大臣、そのぐらいできるよ。
  113. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 五十四年度の補正後と五十五年度の当初計画額と比較いたしますと、五十五年度の方が二千二百億円多いということになります。
  114. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そういうことは、質問がなかったから言わないのかもわからぬけれども、ちっともいままで言わぬわな。言わないのは、それは質問しないから言わないので、それはあれですがね。  そこで、いわゆる一般消費税、「いわゆる」がつくね。意味はわかりましょう。いわゆる一般消費税のメリットというのはどういうところにあるのですか。これは大蔵大臣答えてよ。それはあなた、だめだよ。ちょっと委員長、この前あれがあったでしょう。大臣折衝があったでしょう。大臣折衝のときに、主計局長、あなた座っていたな、そばへね。あれを見ていた、ぼくも見ていたが、近所の人が、背の高い、めがねをかけたすらっとした人が、あの人が大蔵大臣ですかと聞くのだよね。本当よ。ぼくも答えに困っちゃったのだ。だめだ、あなた、そのくらい答えられなければ。将来あなた総理大臣になるつもりでしょう。だめだ、そのくらい答えられなくちゃ。一般消費税のメリットというのは常識的なことよ。それを一応答えなさいよ。答えてから、足りないところはこっちだというならわかるけれども、その程度答えられなくちゃ、どうもこれはなかなかあれだぜ。
  115. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる一般消費税、いわゆる消費一般にかかわる税金であります。したがって、いわゆる一般消費税(仮称)という問題につきましては、税制調査会等の答申からすれば、国民負担の中に税制体系上所得にかかわるものと消費一般にかかわるものとあった場合、日本の税制体系は間接税依存度が他の先進諸国に比べて少ない。したがって、そういういわゆる一般消費税(仮称)のようなものが税制の一つの手法として財源を得るために考えられたものである、こういうふうに理解をしております。
  116. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなのは答えになっていないよ。これは渡辺君、税理士いるけれども笑っているよ。あなたは渋い顔しているけれども、笑っているよ。そんなこと聞いてないでしょう。間接税がヨーロッパ諸国と比べて日本が低いということは、そんなことは常識ですよ。そんなこと聞いているのじゃない。いわゆる一般消費税というものを施行すればどういうメリットがあるのか、こう聞いているわけですよ。そっちで答えなさいよ。
  117. 高橋元

    高橋(元)政府委員 五十三年の九月に、政府の税制調査会で御審議を願った結果、「一般消費税特別部会報告」というのが出てまいりました。その中で、いわゆる一般消費税、なぜそれによるかということについての御検討の結果が述べられておるわけでございますが、申し上げるまでもなく、現行税制の枠組みの中で法人税や間接税の税負担引き上げを図るに努めるとしても、なお財政収支の不均衡の著しい改善は期待し得ない、それが基本的な前提でございます。  そうなりますと、国民の選択すべき重要な問題として、二つのものが挙がってくる。一つは、所得税と個人の住民税でございます。もう一つは、消費一般に負担を求める新税でございます。それで、これはいま申し上げましたように国民の選択すべき重要な課題ではございますけれども所得税と個人住民税は、累進構造によって現行税制を据え置いたままでも名目所得がふえてまいりますと負担が増加する、こういう面を持っております。それから、所得税と個人住民税は個人が稼得した所得、ポケットに入った所得でございますから、これに対して直接に負担を求める税金であるだけに負担感が強い。したがって、所得税、住民税に大幅な負担増を求めることによって問題を解決するには、おのずから限界がある。それが消費一般に広く負担を求める新税を考えた理由でございます。  消費一般に負担を求める新税につきましては、ただいまも大蔵大臣からお答えのございましたように、個人消費に対する間接税の負担水準は外国に比べて低い。特にそれが長期的に低下する傾向にある。さらには、現在酒税、物品税その他の個別消費税はございますけれども、これの引き上げによってまとまった増収を期待することには限界がある。その三つの理由で、広く一般的に消費支出に負担を求めることに十分理由がある、こういう答えが出たわけでございます。  そこで、なぜいわゆる一般消費税という形をとったかということでございますが、それはまさに個別消費税、酒税、揮発油税、物品税、こういったものによりますと、消費または生産の中立性を著しく害するのみならず、負担に限界があるわけでございます。それで、小売段階で一般的に課税するか、卸売段階で課税をいたすか、製造段階で一般に課税をいたすか、そういう三つの選択があるわけでございますが、理論的に申せば、小売段階で、一般的に消費のありました段階ですべての消費者に対して税負担をお願いするという方法もあり得るわけでございますけれども、これは小売といいますと、納税義務者になっていただく方の数が非常にふえるわけでございます。したがって、納税義務者になられる方が非常にふえてかつ一段階であるということで、納税の秩序がうまく維持できない。実際上といたしまして、逋脱ということも起こり得ます。そうなりますと、外国の事例等を見ましても、小売段階の一般的な消費にかかる新税というものは、理論面ではともかく、実行面では非常に問題があるので、したがいまして、全段階税額控除と申しますか、すべての段階で課税をいたしまして、それよりも前の段階でかかりました税額を逐次引いていくという、全段階税額控除型の消費にかかる一新税というものを構想いたしたわけであります。  それがなぜ選ばれたかといいますと、各段階で逐次課税が行われるというようなことで、したがって、その実行上も理論上も公平を期し得る、かつ経済ないし消費に対して中立的である、この二つが大きなメリットであったかと思います。
  118. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そうすると、五%で三兆円を取れるというのでしょう。それはどういう計算から出てくるか、その計算資料を出してください。  それからもう一点は、三兆円を上げるためには、一般消費税なら五%で済む。では所得税なら何%で、法人税なら何%を取らなければならないのか、それは答えられるでしょう。
  119. 高橋元

    高橋(元)政府委員 五%で三兆円と申しましたときの税額の算出の根拠でございますが、これは全体の国民消費が約百二十兆ある、その中から輸出は課税されませんので輸出を引きまして、さらにたとえば食料品の消費というようなものを除きまして、さらにそのほか現在個別消費税がかかっております自動車でございますとか酒でございますとかいうものを除きまして、残りましたマクロの統計から出てまいります消費支出が約四十三兆というふうに計算されます。その四十三兆の一%で四千三百億になるわけでございますから、したがってその五%で二兆一千五百億、これは五十一年のマクロ推計でございますから、それを自後三年延ばしまして五十四年においておおむね三兆円ということを申し上げたわけであります。  この三兆円を所得税で埋めた場合どうなるかというお尋ねでございますが、所得税のいろいろなやり方がございまして一概に申せません。フラットに上げますと一%で約七千何百億かの所得税の負担でございますから、税率をフラットに上げます場合もまた違いますでしょうし、現在の所得税収十兆五千億に付加税をかける場合はまた違ってまいりますでしょうし、一概に申し上げられぬ問題だと思います。法人は一%で約二千億ちょっとの税収を持っておりますから……(稲葉(誠)委員「千八百億ぐらいだろう」と呼ぶ)現在八兆五千億でございますから、おおむね四〇%足らずの税率でかけておりますので約二千億余でございます。それでございますと、三兆円を割りますと一五%ということになるでしょうか、これもやり方によっていろいろな答えが出てまいると思います。
  120. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だからいろいろな、いまの五%で三兆円が出てくる根拠の資料を出してほしいということが一つ、これは委員長にお願いしますが、それと所得税でいった場合、法人税でいった場合、一体どのぐらいの法人税なり所得税を取ったらこの三兆円があれできるかということについてのいろいろな計算方法があるわけですよ。これを資料として出してください。ある大学教授、これは中桐という法政大学の教授ですが、三兆円の税収を上げるのに一般消費税なら五%、所得税なら四〇%、法人税なら五〇%の税率が必要と言っている。これはちょっとぼくは粗っぽいと思うけれども、そう言っているのだよ。だからそれをよく研究して、資料を、いろんな形の計算方法があるが出してほしいということを言っているわけです。  委員長から大蔵省に命じていただきたいと思います。
  121. 高橋元

    高橋(元)政府委員 ただいまもお答えしましたように、いろいろなやり方によっていろんなパーセンテージが出てまいります。ただいまお示しの四〇%、五〇%と申しますのは、それは五十四年だと思いますが、三兆円を所得税収八兆円で割りますと、所得税収を単純に四割かさ上げする必要があるという意味の四〇%であろうと推測いたしますし、法人税は約六兆円の税収でございましたから法人税全体を五割かさ上げしないとそうならない、そういう割り算だと思います。したがいまして、いまお示しのありました資料につきましてはいろいろ計算はいたしてみますけれども、一義的にこういうふうになるということはなかなか申し上げかねるので、恐らくいま八兆五千億、十兆五千億でございますか、それぞれどのくらいの負担増になるかということを計算をいたしてみたいと思います。
  122. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 とにかく一応計算書類を出してください。これはぼくの方で検討しますから。ここら辺は、大蔵省の役人というのはごまかすのがうまいから適当にごまかすのかもわからぬけれども、これはぼくの方でよく検討します。  竹下さん、あなたは十二月十八日号の「エコノミスト」で「この人と一時間 五十五年度予算案は財政再建が基本」というところで「エコノミスト」の人と座談会をやっているな。その中で一般消費税に触れていますね。「一般消費税は入り口で嫌われたが導入の閣議決定があるんですから、マスコミを媒体として、粘っこい問答を続けて、理解を得るよう努力していきたい。」「マスコミを媒体として、」というのはどういう意味かよくわからぬけれども。  そこで、あなたにお聞きをいたしたいのは、このいまの意味は——私、読みましたよ「エコノミスト」、どういう意味かということが第一点。それから、その閣議決定というのは、文書によるものなのか口頭によるものなのかということが第二点。それから、これは総理だ。この閣議決定というのは一体取り消すことができるのかできぬのか、取り消す気があるのかないのか、これが第三点。それから、企画庁長官かな、これ関係してくるのは。この一般消費税を前提として七カ年計画ができているのでしょう。含みとしてできているのでしょう。そうなれば、一般消費税の導入が見送られれば、七カ年計画というものも当然是正されるんじゃないですか。そこはどうなの。ちょっと時間がないから……。
  123. 竹下登

    竹下国務大臣 「エコノミスト」等々で座談会をやっておったことは事実であります。いわゆる一般消費税(仮称)につきましては国民の理解を得るに至らなかった。しかしながら、税制調査会等で、五十五年度に実現するため諸般の準備を行う、正確な言葉は忘れましたが、そういう答申に基づいて一度閣議決定がしてあるわけでございますので、あるいは閣議了解かもしれませんが、その辺正確にわかりませんけれども。したがいまして、その方向で努力をいたしてきたわけです、準備を。しかし、それがいわば国民の側からヘジテートされた。しかし、税制全般としては、やはり国民、国会の場を通じたり、あるいはマスコミを媒体としたりして、税制全般についての問答は絶えず繰り返していかなければならない問題であるという趣旨のことを、約三十回ぐらいあちこちでお話ししたことは事実であります。
  124. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、閣議決定なのか閣議了解なのか、何なんだよ、それ一体。  それと、それを取り消す気持ちがあるのかないのかと聞いているんだよ。答えは簡単じゃないの。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 五十四年一月十九日、五十四年度税制改正要綱、「一般消費税(仮称)については、昭和五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」ということを閣議決定をしておるというわけであります。
  126. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、取り消す気があるのかないのか、どっちなんだよ。
  127. 竹下登

    竹下国務大臣 これは五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進めたわけでございますが、準備を進めたけれども、その手法をとらないことにしたわけでございますので、準備を進めるところまでは閣議決定どおりに進めてきたということであります。
  128. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなことを聞いてないよ。あなた政治家ならぼくの質問している意味はわかるでしょうが。五十五年はそれでわかったよ。じゃ五十六年度以降はその閣議決定に準拠して進めようとするのかしないのか、どっちなんだよ。
  129. 竹下登

    竹下国務大臣 しかし、政治論ではよくわかりますけれども、この閣議決定そのものを正確にいま読みますと、「五十五年度中に実現できるよう諸般の準備を進める。」準備は進めました。しかし、ヘジテートされました。したがって、やりませんでした。で、五十六年は、このとおりではないが、こういうものを考えるかという御質問であります。それに対しては、いわゆる一般消費税(仮称)を五十六年度に導入する環境にないと理解しております。
  130. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、あなたの言うのは、この「エコノミスト」の座談会というのは選挙終わってからよ。選挙終わってからでしょう。選挙終わってからで、「閣議決定があるんですから、マスコミを媒体として、粘っこい問答を続けて、理解を得るよう努力していきたい。」いまのあなたの答弁は、五十六年度もいわゆる一般消費税(仮称)は導入しない。それはわかった。その後は、マスコミを媒体として理解を得るように粘っこい問答を続けて努力していくということは変わりないのかあるのか、どっちなんだよ。
  131. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、財政再建に関する国会決議もございまして、これはまさに私が大蔵大臣になってからです。この手法をとらないで財政再建をやれと、こういうことでございますから、その趣旨に沿ってやってきたわけであります。  ただ、私が申しておりますのは、いわゆる一般消費税(仮称)というものが、消費一般にかかわる消費税というものが日本の税制体系の中からなくなってしまったら、これはやはりいわゆる税制体系そのものからしてもあるべき姿ではない。したがって、直接税を選ぶのか間接税を選ぶのか、所得にかけるのか、消費にかけるのか、そういう問答は絶えず国民としながら理解を深めていかなければならない。いずれ国民の選択をお願いしなければならぬ時代があるわけでございますから、そういうことで非常に言葉を注意いたしまして、国会決議もございますから、問答を絶えずしておるところであります。
  132. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから問答を絶えずしていて、そして結論としては、いわゆる一般消費税というものにかわるべきものを間接税で何らかの形で実現をしたい、それでないと日本の財政はもたないんだ、負担感なくて税金取れるのは間接税だ、こう言うのでしょう。だから、そういう方向で将来は行きたいということなんでしょう、これ。
  133. 竹下登

    竹下国務大臣 ただ、きょうの財政を担当しておる私が、非常に長い将来にわたっての一つの確定的なことを言える自信もなければ立場にもない。だから、税制一般の中でそういう理解を深める努力をしていかなければならない。しかし、いずれは国民の皆さん方が選択されるわけでございますから、したがって、絶えず直間比率の問題とかあるいは所得にかかわるもの、消費一般にかかわるもの、そういう問答は、ちょうどきょう稲葉さんと私としておりますように絶えず繰り返し、国民の理解を得ていかなければならぬ、こういうことを言っているわけです。
  134. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だから、問答をして国民の理解を得ていかなければいけないというのは、一般消費税(仮称)にかわる何かのものを将来実現したいからこそ、そういう問答を重ねて理解を得ていきたい、こう言うのでしょう。はっきり答えなさいよ。
  135. 竹下登

    竹下国務大臣 当然、いまのサービスをそのまま低下させることなく絶えず向上せしめていくという前提に立てば、新たなる負担というものを得なければならないという帰結に達する時期があるであろう、その際には新たなる負担をお願いしなければならぬ、それには、国民の選択の理解を得るためにも、絶えずこのようにして問答をしていかなければならぬ、こう申しておるわけであります。
  136. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 十五日にまたやりますが、そこで、後できょうでなくていいのですが、九兆一千百億円の増税をしようというのでしょう、五十五年度から五十九年度まで。そうすると、それは五十五年度の増税は幾らで、それを差し引くと、五十六、五十七、五十八、五十九、四年間で一体幾らになるの、増税が。
  137. 高橋元

    高橋(元)政府委員 五十四年度に御提出いたしました財政収支試算、これによりますと、六十年度の税収、これは……(稲葉(誠)委員「答えは簡単でいいよ」と呼ぶ)出てまいりましたものと、それから弾性値一・二で現行税制が伸びてまいります、それの税収との差額を連年合計をいたしますと九兆一千百億になるわけでありますが、先般この委員会に御提出をいたしました五十五年度の財政収支試算で申しますと、そういう計算は特別施してないわけでございますが、去年と同じ手法でその額を計算いたしてみますと六兆円弱、おおむね五兆八千億台というような数字になります。それは五十五年度に、増税と申しますと、五十四年度ベースの試算の場合に約一兆二千六百億ぐらい、そこで増税を見ておったかと思いますが、今年度は非常に増税の規模が小さかったということ、それから五十五年度の税収がふえてまいったということ、二つの理由から、直線で結びます推計上、その額が小さく出てまいったというのが原因でございます。
  138. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 政府の出している「時の動き政府の窓」というのがあります。大蔵大臣、これは一月十五日号ですよ。「政府の窓」、はっきり書いてある。昭和五十五年度から昭和五十九年度までの累計で九兆千百億円を増税しなければならないと書いてあるじゃないですか。だからこの具体的内容をぼくは聞いているのですがね。答えは十五日にしてください、時間の関係があってこの次でいいですから。それから、七カ年計画との関係もこの次でいいです、時間がないから。  そこで、厚生行政の問題で一点だけきょうは聞きます。ほかにたくさんありますけれども、十五日にします。  この厚生省所管厚生保険特別会計業務勘定一二三−〇九、庁費というところに五十四年度予定額として三億七千九百一万五千円と書いてある。この具体的内容を明らかにしてもらいたい。厚生大臣、明らかにしてください。  それから、この中に二億九千万円で医療費の被保険者に対して認識を高めるため指導するという金が入っている。いいですか、厚生大臣。これは今日まで一銭も使われていない。これはどういうわけなんです。どういう意味の金で、どうして今日まで一銭も使われてないのかということを答えてください。
  139. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 五十四年度の予算におきまして、御指摘の二億九千万円、これは被保険者に対しまする医療費がどの程度かかっておるのかというようなことに対しまして通知するための費用でございます。この被保険者指導に関する予算の趣旨は、医療費に対する被保険者の認識を深める、こういうことでございます。健康保険財政の健全化に資するためでございますから、どういうふうに持っていくことがいいのかということで慎重にいままで検討してまいりましたが、五十四年度にこれを実施してまいりたいというふうに準備ができ上がっておるわけでございます。
  140. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そんなことは聞いてないのよ。いままで使っているのか使っていないのか、きょうまで使っているのか使っていないのかと聞いているのよ。
  141. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 いままでには使っておりません。
  142. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 これは五十三年夏に概算要求したんでしょう。概算要求してから一体幾らたつの。なぜいままで一銭も使わなかったんです。今度の五十五年度の予算では四億八千百万円を計上しているんでしょう。使わなかった理由というのは何だかはっきりさせてください。  それから、この予算書を見ても庁費として書いてあるだけで、その内容についていま言ったような内容は何にも出てないで、国会に出した資料のどこにも出てないでしょう。予算書にも出てない、説明資料にも出てない、社会労働委員会に配ったガリ版で書いたやつにも出てない。どうしてこういう資料を国会に対してはっきり出さないのです。これは一体どういうわけなんです。なぜこういうことがいままでできなかったんですか。はっきり説明しなさいよ。
  143. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 五十四年度にまだ消化いたしておりませんのは、被保険者に送付する資料の内容についていま最終的な検討を行っておる段階でございまして、年度内にぜひこれを実行してまいりたいと考えております。  また、五十五年度に増額をしておるのは一体どういうことなんだということでございますが、この内容につきまして、やはり被保険者の啓蒙指導ということに重点を入れていろいろな方法を検討いたしておるわけでございます。  資料につきましては、できる限り提出をいたしたいと考えます。
  144. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 いや、被保険者の啓蒙指導と言ったって、あなたの方で予算要求したのは五十三年じゃないの。概算要求しているわけでしょう。あなたの責任じゃないんだよ。気の毒なんだ、あなたは後から引き受けたんだから。それであなたはそんなにやせちゃったんだろうけれども。本当だよ。あなたより前の人、どっかへ行っちゃったな。そんな人じゃないのか、前の厚生大臣は。あなたに聞いても気の毒だと思うんだけれども、なぜ被保険者に対する啓蒙指導がいままでできなかったのかと言うんだよ、ぼくは。検討、検討じゃないですよ。もう五十四年度すぐ終わるでしょう。なぜ検討できなかったのですか、これだけの予算を。国会に対してだって、この予算書の中にどこにも出てこないでしょう、この金額。どうしてこういうようなわからないような予算書の仕組みをするんですか。これはぼくが指摘しなければ、あなたは黙って知らぬ顔して済ましてしまうんでしょう。だめだよ、厚生省、こういうやり方は。大蔵大臣、こういうことを知っていたんですか。
  145. 竹下登

    竹下国務大臣 けさ聞かされて知っておりました。
  146. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 だめだよ、これは。いかぬよ、こういうことは。もう時間がないけれども、これはいけませんよ。しかもこの予算書は、厚生省所管厚生保険特別会計業務勘定と言ったって、何が何だかわけがわからないでしょう。しかも庁費と書いてあるわけだ。庁費の中身を全部明らかにして、いまの指導教育費か指導啓蒙費か知らぬけれども、それがどういうような計算で二億九千万円が出たのか、四億八千百万円が出たのか、全部明らかにした資料を出してください。いままで国会に出してないでしょう、それは。国会のどこにも、資料の中に書いてないでしょう。どうなんです。
  147. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 御指摘のように、厚生保険特別会計業務勘定の保健施設費の中での庁費に計上しておるわけでございます。数字の問題でございますし、いままでのいきさつ等につきまして政府委員からお答え申し上げます。
  148. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 政府委員はいいよ、それはもう。そういうのがなぜ庁費になるんだよ。庁費なんて書いてあるから内容がわからなくなっちゃうんですよ。被保険者に対する啓蒙指導費なら指導費とかなんとかちゃんと書いて金額を計上しておけばいいじゃないですか。二億幾らの金ですもの、少ない金ではないでしょう。どうしてこういうわからないようなやり方をしてごまかすのだ。厚生省の役人にみんな聞いてみたら、自分の月給なんかどこにどういうふうに出ているかよくわからぬと言っているじゃないですか。だめだよ、こんなやり方をしていては。大蔵省は、一体こういうふうに全然使われてないという事実を知っていて増額したの。どうなんだ、主計局長は。なぜそのことについて大蔵大臣に報告してないんだ。それは知っていたのか知らなかったのか、どっちなんだ。
  149. 田中敬

    田中(敬)政府委員 五十五年度予算におきまして本経費を増額するに当たりましては、二つの観点からこれを検討いたしております。  一つは、医療費の適正化を図るために相当の施策が必要である。その一つの手だてとして、このいわゆる被保険者へのお知らせ制度というものは非常に意義があるという観点で、この経費は採択すべきであるということを決定いたしました。もう一つは、同趣旨の予算が五十四年度お説のとおり二億八千九百万円計上してございますので、この執行の問題につきまして要求官庁にただしましたところ、年度内消化の見通しであるということでございましたので、一層その施策の充実を図る意味で増額をしたわけでございます。
  150. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 そういうことをどうしてあなたは大蔵大臣に報告してないの。年度内と言ったって、もうきょうは二月の十何日だっけ、委員長
  151. 田村元

    田村委員長 十二日。
  152. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 十二日か。あなた、もうすぐだよ、これは。こういうやり方はいかぬですよ。厚生省はまだほかにいっぱい問題があるのよ。十五日に楽しみに聞くから、あなたの方でよく勉強しておいてください。もう時間がなくなりましたからこれで終わりにしますけれども。  じゃ、五十四年度中に一体この二億八千九百万をどういうふうに、これは全部使うの。何をするんだ、一体。ちゃんとはっきり答えなさいよ。いままで何も使いもしないでおいて、このままだったらごまかしてしまうつもりだったんでしょう。
  153. 此村友一

    ○此村政府委員 ただいま大臣から御説明いたしましたように、今年度におきましては、被保険者に対する指導啓蒙に重点を置きましていろいろな資料を被保険者に対して送付をする、こういう予定で現在資料の内容について検討を急いでおります。そういう段階でございます。  なお、立ちましたついでで恐縮でございますが、先ほど稲葉委員の御指摘がございました予算の内容でございますけれども、そのものずばりの書き方ではございませんけれども、ほとんどこの内容が入っております保健指導奨励費という名目をもちまして各自明細において記載はしてございます。  資料の提出等については、今後いろいろと十分努力をいたしたい、かように考えております。
  154. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 時間が来ましたのでこれでやめます。あとは十五日にしますけれども、十五日にはどういうことを聞くかはこれから考えるところですが、通産大臣には日本の貿易の問題と石油弾性値の問題についてお聞きしたいと思いますし、それから経済企画庁長官は物価の見通しといまの七カ年計画との関係。それから運輸大臣は航空運賃の問題。防衛庁長官、あなたは何か聞かれたくてしようがないような顔をしているから、いろいろな問題を聞きます。それからあとは厚生大臣。それから労働大臣は労働生産性と賃金との関係、この資料を細かく出してください。これは人によってみんな数字が違う。みんな都合のいいような数字を出しますから、私の方は私の方で持っていますけれども、それと照らし合わせてみて、どっちが正しいかということをはっきりさせていきたい、こういうふうに思います。  時間が来ましたので、きょうはこれで終わります。(拍手)
  155. 田村元

    田村委員長 これにて稲葉君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和五十四年度補正予算三件に対する質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時三十五分開議
  156. 田村元

    田村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和五十四年度補正予算三件を一括して討論に付します。  討論の通告がありますので、順次これを許します。瓦力君。
  157. 瓦力

    ○瓦委員 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、昭和五十四年度補正予算三件について賛成の討論を行います。  最近のわが国の経済政策の重要課題は、物価の安定と景気の順調な回復を図ることにありました。このため、ここ両三年、公共事業の拡大を中心とする総予算、並びに補正予算を通じて景気の回復に鋭意努めてまいったところでありますが、第一次石油ショック後の不況は意外に底が深く、企業収益の低迷、雇用情勢の悪化をもたらし、他方輸出の急増が円高及び経済摩擦を招来するなど、対外不均衡の問題も表面化したのであります。しかし、昭和五十三年度後半になると、大幅な公共投資の拡大の効果が徐々にあらわれ始め、まず関連産業の生産及び所得の増加をもたらし、これが経済全体の回復の起動力となって、消費支出、設備投資など、国内民間需要の盛り上がりが漸次確実となりました。厳しかった雇用情勢も緩やかとはいえ着実に改善され、昨年十月−十二月期の有効求人倍率は〇・七九にまで持ち直してきたのであります。  このように景気回復が本格化したのは、かねてわが自由民主党が主張してまいった波及効果の大きい公共投資により内需を喚起する景気刺激策が当を得ていたからであり、わが党の政策の選択が正しかったことを事実をもって証明するものであります。  この間、原油価格の上昇もあって、物価の高騰が懸念されましたが、マネーサプライの管理、公定歩合の引き上げ等々の財政金融政策が適時適切にとられたこと、各企業がいわゆる減量経営などその体質改善を図ったこと、国民各位が堅実な消費態度を堅持されたことなどにより、インフレへの進行を未然に防止しつつ景気の自律的拡大基調を維持することができたことは、まことに幸いであったと言えます。  景気の拡大が租税収入等の増加をもたらしていることは言うまでもありません。所得税や法人税を中心に五十三年度は約七千七百億円の自然増収があったのでありますが、今五十四年度は一兆九千億円余の増収が見込まれているのであります。  今回の補正予算は、この今年度の自然増収を歳入に追加計上し、一兆二千二百億円の公債金を減額するとともに、昨年夏及び秋に生じた災害復旧のための経費、給与改善費等の特に緊要な事項などについて追加措置を講じようとするものであります。この結果、五十四年度の公債依存度は三九・六%から三五・四%へ引き下げられることになりました。また、公債金の減額は、特例公債が大幅に縮減されたことにより、特例公債の発行予定額が建設公債を下回ることになったのであります。  他方、本補正予算では、既定経費の節減及び不用額、公共事業等予備費の減額合わせて二千七百四十六億円の修正減少を行っております。  このように歳入歳出の両面にわたって財政の健全化を図ろうとする政府の姿勢が示されていることは、まことに心強いものがあります。  わが国経済は、国際石油情勢がきわめて流動的な様相を呈している中で、さらに物価の安定と景気の自律的拡大基調を維持していくことが要請されております。また、財政再建の必要性はいささかも減少しておりません。  私どもは、政府と一体となってこれらの課題の解決に当たり、難局を乗り切って国民の負託にこたえる決意を表明し、賛成討論を終わります。(拍手)
  158. 田村元

    田村委員長 阿部助哉君。
  159. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま提案されました五十四年度補正三案について反対の討論を行います。  わが国経済は、原油価格など海外要因もあって卸売物価の持続的上昇の中で、国内景気は回復し、とりわけ大企業は好況に推移し、政府統計によれば昭和五十三年度以来七期連続の上昇をたどっております。すなわち、営業利益は四二・四%増、経常利益も三六・二%増と目覚ましく、史上空前の利益を上げております。一方、中小企業は、やっと五十一年度水準を回復したにとどまっています。このような大企業主導の経済を背景に、五十四年度補正予算が編成されたのであります。  総選挙に示された国民の要求は、政府の意図した一般消費税など大衆増税路線に反対し、公費天国とも言われる不要不急経費の節約でありました。今回の補正予算は残念ながらこれらの課題にこたえた内容とは言い得ないのであります。  反対の第一は、財政再建の熱意があるとは思われないのであります。  この補正の最大の理由であり特徴は、一兆九千九十億円の自然増収であります。これは政府見積もりのずさんさであります。しかも、その中身を見ますと、所得税が五千九百九十億円、法人税が七千八百四十億円でありますが、この両者の増収は性格を異にするものであります。所得税の弾性値が二を超えるなど異常であります。サラリーマン所得の減税を行うべきであります。一方、法人税は、政府の公共事業を中心とする景気浮揚策の効果であり、その恩恵を受けた企業収益の一部を社会還元したものであります。これにはかつて創設された会社臨時特別税を復活して、財政再建を図るべきものだったのであります。  反対の第二は、経費削減の不徹底であります。  公共事業等予備費は当然であります。さらに、繰り延べが予想される公共事業費も明確に削除されるべきであります。  反対の第三は、財政投融資計画をもっと洗い直すべきであります。  今年度計画でも、昨年十一月末現在で七〇%近くが未消化であります。たとえば住宅金融公庫一千七百六十億円、中小企業金融公庫九百五億円、日本輸出入銀行は四千九百八十四億円も未消化であります。財政投融資計画は第二の予算とも言うべきで、国会の議決事項とすべきでありますが、現制度のもとにおいてはとかくルーズになりがちであります。根本的な再検討をすべきであります。  以上、五十四年度補正予算の問題点について、主要な点のみ指摘しました。一言で言えば自然増収を受けた編成にすぎず、財政再建の熱意を疑わざるを得ません。  以上をもって私の反対討論を終わります。(拍手)
  160. 田村元

    田村委員長 岡本富夫君。
  161. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました昭和五十四年度補正予算三案に対し反対の討論を行います。  本補正予算三案に反対する主な理由を申し上げます。  第一は、本補正予算案で明らかになった五十四年度当初予算における意図的な税収の過小見積もりであります。  われわれは、当初予算の審議に当たり、適正な税収見積もりを強く要求いたしました。しかし、政府は言を左右にしてその場を取りつくろったのであります。ところが、本補正予算案において政府は、われわれの見通しどおり一兆九千九十億円にも上る租税及び印紙収入の追加措置をとり、当初予算における税収の過小見積もりが約二兆円にも達することを認めざるを得なくなったのであります。とりわけ当初予算では五十三年度よりも六千八百七十億円の減収と見込んでいた法人税などは、逆に七千八百四十億円の増収と修正したのであります。  おおむね五十四年度経済政府経済見通しに近い線で推移しているにもかかわらず、約二兆円もの増収が見込まれることは、国債発行額の減額が可能となったなどと言って済まされるものでは決してありません。正確な税収見積もりは適正な財源配分の上から欠くことのできない条件であるからであります。ましてや財政危機を国民に訴える上で、きわめて重要な政府の責務であると言わなければなりません。私は、五十四年度当初予算におけるこのような著しい税収の過小見積もりは、国民に財政危機を宣伝し、一般消費税の導入を画策する政府の腹黒い意図が秘められていたと断ぜざるを得ないのであります。  反対理由の第二は、国債発行額の減額が不十分であるとともに、行政経費の節減に徹底して取り組む姿勢を欠いていることであります。  本補正予算案では、五十四年度当初国債発行予定額十五兆二千七百億円を一兆二千二百億円減額措置を講じております。しかし、この減額措置は政府の前向きな努力によって実現したものではありません。前に述べた五十四年度当初予算における意図的な税収の過小見積もりによって生じた増収分を国債減額に振り向けたにすぎないのであります。政府には、行政経費の節減などを通じて積極的に国債発行額の減額に取り組もうという姿勢は皆無と言っても言い過ぎではありません。事実、本補正予算における既定経費の削減額は七百四十六億円でありますが、このうちには例年同じ費目が節減不用額として計上されているのであります。  第三は、地方交付税交付金の五十五年度への繰り延べ措置であります。  本年度内における法人税所得税、酒税の増収に伴う地方交付税交付金の追加額は無条件で地方自治体に交付されることが、単年度会計主義の原則であるはずであります。ところが政府は、地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案の成立をもくろみ、五十四年度における地方交付税交付金の追加額の大半を五十五年度に繰り越す措置をとろうとしております。  政府のこの意図は、五十五年度における地方財政の財源不足を抑制したいということにほかならず、地方交付税制度の本質を見失った措置と言わざるを得ません。しかも、五十四年度の地方財政は四兆一千億もの財源不足を生じており、このため、地方交付税特別会計の借り入れと地方債の増発を余儀なくされているのであります。本年度内の増収に伴う地方交付税交付金の追加額はあくまでも五十四年度に交付すべきであり、政府の方針はとうてい認めることはできないのであります。  第四は、本補正予算案はたばこ定価の値上げを前提に編成された物価値上げ予算であるということであります。  たばこ定価の値上げは、消費者物価の上昇を加速させることは必至であります。OPECの石油価格の大幅値上げは、すでに卸売物価の著しい上昇をもたらしています。卸売物価の上昇は、やがては消費者物価の上昇に波及し、また、五十五年度に政府が予定している国鉄運賃など公共料金の値上げは、消費者物価を大幅に押し上げると見ざるを得ません。もしも消費者物価が急騰し、狂乱物価が再現されるならば、国民生活は窮地に立たされてしまうのであります。われわれは、政府のこの一連の公共料金値上げに断固反対するものであります。  以上、本補正予算案に反対する主な理由を述べましたが、重ねて五十四年度補正予算三案に反対の態度を表明して、討論を終わります。(拍手)
  162. 田村元

    田村委員長 寺前巖君。
  163. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、昭和五十四年度補正予算に対し、反対の討論を行うものであります。  大企業は史上最高の利益を上げている反面、中小企業は連続四十カ月以上、一千件を超える倒産、失業者も百万人が恒常的に続き、しかも年金で老後生活を送る老人の七、八割は二万円程度の年金水準であり、八〇年代に入り、国民生活破壊は、公共料金の値上げを初めとして、物価高その他一層深刻な様相を示しているとき、こういう時期に、この補正予算で果たしていいのだろうか。私は、看過することのできない内容を含んでいると思います。  このようなときに当たって、今次補正予算は、国民生活を防衛し、国の財政を再建するための第一歩としての性格を持たなければならないと思います。ところが、本補正予算は、国債の乱発、大資本や大資産家に対する不公平税制の放置、国民生活破壊の五十四年度予算の性格を何ら変更するものとはなっていません。  しかも、見逃すことのできないのは、本補正予算は当初予算の内容をさらに改悪する性格をも持っていることであります。  その第一は、地方財政の問題であります。  本補正予算は、租税及び印紙収入で一兆九千九十億円の増収を見込み、うち所得、法人、酒税、三税の三二%を地方交付税として地方交付税特別会計に繰り入れることになっていますが、その大部分である四千四百七十億円は、来年度の交付税財源として繰り延べ、借金財政に苦しんでいる地方自治体には今年度は配分されないのであります。これは、来年度の地方財政不足額に対する国の負担を軽くするためのまことにこそくな措置であり、交付税制度の本質をゆがめるものとして絶対に認めることはできません。  第二に、国債問題についてであります。  自然増収によって、本補正予算は一兆二千二百億円の国債を減額することとなっておりますが、不公平税制を温存しているため、財政再建にも結びつかないのであります。すなわち、財政再建初年度予算をうたい文句とした来年度予算国債発行額は、減額どころか補正後予算に対し二千二百億円増となることを、この際、指摘しなければならないと考えます。  わが党は、五十四年度当初予算時に、生活防衛・経済再建型予算にすべきだと主張し、一、国民生活の防衛のため積極的な対策をとること、二、円高、長期不況のもとをつくった経済構造のゆがみを取り除くこと、三、財政の破綻を大きくせず、健全化の方向へ転換させること、四、国民本位の行政改革を行って構造汚職の再発を防止し、行政経費を節減すること、五、日米共同作戦態勢の強化と有事研究をやめ、軍事費を大幅削減することを要求しました。  しかし、政府は、その後、疑惑の軍用機E2Cの凍結解除あるいはアメリカの強要による在日米軍駐留費の肩がわりを行い、その額も二百八十億円という巨額に達していることに見られるように、国民の声を無視しているのであります。  さらに、本補正予算と関連するたばこ値上げいわゆる自由化法案の強行を行い、国民の要求に逆行する方向をとっているのであります。  以上の理由によりまして、私は、本補正予算に反対することを強く強調して、その討論を終わります。(拍手)
  164. 田村元

    田村委員長 岡田正勝君。
  165. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております昭和五十四年度補正予算三案に対し、一括して反対の討論を行います。  特に私は、多くの反対理由のうち、税収見積もりの誤りと行政改革への不徹底な対応の二点にしぼって、この際申し述べたいと存じます。  私は、今回提案された補正予算を見てまずびっくりしたことは、私たち国民の税金である租税及び印紙収入が当初予算に比べて二兆円近くも増収になっていることであります。  一般庶民には二兆円という金額は想像もできませんが、これを一万円札で積み上げてみますと、富士山の約五倍の高さになるほどのものと言われております。そこで思い出しますと、この金額は、昨年の秋、総選挙の前に大平総理が躍起になった一般消費税導入による大幅増税とそれほど大きく違わない税収であるということであります。五十四年度の当初税収見込み額が二十一兆五千億円でありまするから、その見込み違いは約一〇%近くに達します。国の財政を預かり、昨年の大増税キャンペーンをリードした大蔵省がこれほどの大誤算をしていたとは、驚くべきことと言わざるを得ません。  国民に一般消費税の大増税を強制する根拠としていた昨年の財政収支試算は、今後五十九年度までに約九兆一千億円の新たな増税が必要であることを強調していたのであります。しかし、その前提である租税及び印紙収入の見積もりが、一年目にいたしましてすでに二兆円近くも狂っていたということは、まことに政府の試算がいかにでたらめなものであるかを如実に示したものと断ぜざるを得ません。  翻って、なぜこのような税の大幅見込み違いが生じたかを見きわめる必要があると思います。  すでにこの問題については、わが党の同僚議員が昨年三月二十日、大蔵委員会で税の過小見積もりについて質問をいたしております。すなわち、五十四年度当初の税収八・三%の伸び率はいかにも少な過ぎる、赤字公債の額を多く見せかけ、これをてこにして増税キャンペーンに使うのは小細工が過ぎる、できるだけ実態に近い数字を示せと政府に迫りましたが、政府答弁は、五十四年度の経済見通し基礎にしたもので、経済見通しが大幅に狂わない限り間違った税収見込みではないと突っぱねているのであります。  そこで、すでに発表されました五十四年度の経済実績見込みによりますると、名目成長率実質成長率、消費者物価の上昇率、一人当たりの雇用所得、いずれをとってみましても、当初見込みとほとんど差がなく、否、むしろ税収減になる要因があらわれているのであります。強いて言うならば、わずかに鉱工業生産指数が予想よりも若干上回った程度にしかすぎません。にもかかわらず、税収が二兆円も狂い、この責任が一切問われないというのは一体どういうことでありますか。政府のこの態度はまことに無責任と断ぜざるを得ません。大幅増税キャンペーンのために過小見積もりを意図的に行い、結果として増収が出ればもうけ物だという態度が少しでも政府にあるとするならば、これほど国民を愚弄するものはありません。国民政治に対する不信感はますます今後助長されるばかりでありましょう。  政府は常に真実を国民に公開し、これをもとにして国民の参加を求め、同時に国民各自の責任を自覚させる不断の努力を積み重ねなければなりません。このことは国、地方を通じる行財政改革にも当てはまることであり、昨年からことしにかけ数多くの不正経理事件が国民の注目を集めました。にもかかわらず、補正予算では行政経費の節約はまことに微々たるもので、見るべきものはありません。  わが党が主張する行財政改革の断行は、決して役人いじめのためのものではありません。戦後三十五年、もう一度国、地方の行政機関は、何をなすべきか、何をなしてはならないか、国民の税金が真に有効に使われているかなどなどの見通し国民全体のものとしてみんなで考えようではないかと私どもは訴えてきておるのであります。政府は、現在のあるがままの行政の実態国民に公開し、見直しを行い、国是参加のもとで新たな行政のあるべき姿を真剣にかつ早急に考えなければなりません。一時しのぎやごまかしの行財政改革では、国民は決して納得しないでありましょう。  政府は勇断をもって国民のための行財政改革を断行されんことを再度強く要望し、私の反対討論を終わります。(拍手)
  166. 田村元

    田村委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  167. 田村元

    田村委員長 これより採決いたします。  昭和五十四年度一般会計補正予算(第1号)、昭和五十四年度特別会計補正予算(特第1号)及び昭和五十四年度政府関係機関補正予算(機第1号)、以上三件を一括して採決いたします。  右三件に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  168. 田村元

    田村委員長 起立少数。よって、昭和五十四年度補正予算三件は、いずれも否決すべきものと決しました。(拍手)  お諮りいたします。  委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  170. 田村元

    田村委員長 次回は、明十三日午前十時より公聴会を開きます。  本日は、これにて散会いたします。     午後二時三分散会