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1980-02-07 第91回国会 衆議院 予算委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月七日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事小此木彦三郎君 理事 瓦   力君    理事小宮山重四郎君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君    理事 寺前  巖君 理事 小沢 貞孝君       荒舩清十郎君   稻村左近四郎君       越智 伊平君    奥野 誠亮君       海部 俊樹君    金子 一平君       倉成  正君    小山 長規君       近藤 元次君    始関 伊平君       塩崎  潤君    澁谷 直藏君       田中 龍夫君    根本龍太郎君       橋本龍太郎君    福家 俊一君       藤尾 正行君    藤田 義光君       松澤 雄藏君    村山 達雄君       阿部 助哉君    稲葉 誠一君       大原  亨君    川崎 寛治君       兒玉 末男君    野坂 浩賢君       八木  昇君    安井 吉典君       横路 孝弘君    岡本 富夫君       草川 昭三君    坂井 弘一君       木下 元二君    工藤  晃君       榊  利夫君    松本 善明君       大内 啓伍君    岡田 正勝君       中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         法 務 大 臣 倉石 忠雄君         外 務 大 臣 大来佐武郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 谷垣 專一君         厚 生 大 臣 野呂 恭一君         農林水産大臣  武藤 嘉文君         通商産業大臣  佐々木義武君         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         労 働 大 臣 藤波 孝生君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)伊東 正義君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小渕 恵三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 細田 吉藏君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         警察庁刑事局長 中平 和水君         警察庁刑事局保         安部長     塩飽 得郎君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛施設庁総務         部長      菊池  久君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         法務大臣官房審         議官      水原 敏博君         法務省刑事局長 前田  宏君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省条約局長 伊達 宗起君         大蔵省主計局長 田中  敬君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君  委員外出席者         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員の異動 二月七日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     近藤 元次君   江崎 真澄君     越智 伊平君   柴田 睦夫君     榊  利夫君   松本 善明君     木下 元二君   四ツ谷光子君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     江崎 真澄君   近藤 元次君     荒舩清十郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。榊利夫君。
  3. 榊利夫

    榊委員 おはようございます。  まず、本題に入る前に二つ質問をさせていただきます。  新聞報道によりますと、アメリカの方からアフガン問題で七カ国外相会議参加打診が来ているというふうに伝えられておりますけれども、どういうことでしょうか。それから、政府はどんな方針でこれに対処されようとしているのか、まずこの一点。
  4. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 本件は二、三日前に外国の通信社報道で流れまして、日本新聞等にも出ておりますけれども日本側としては正式な要請は何も受けておりません。
  5. 榊利夫

    榊委員 この問題は後でも触れますが、二番目の問題は、KDD保田参与自殺の問題でありますが、きのうの保田参与自殺問題は非常に大きな波紋を呼んでおります。これは山口社長室秘書役に次いで二人目の自殺でございます。いずれも事件のかぎを握ると見られてきた重要人物でありまして、いま国民の間には、やっぱりという声、それから、このままでは第三、第四の犠牲者が出て、事件解明も困難になるのではないか、こういう心配がございます。国民捜査当局に望んでいるのは、KDD問題の、またこの事件核心とも言うべき政界工作、贈収賄の一日も早い全容解明であります。  そこで、三点お答え願いたいと思います。  一つは、社長室次長をやっておりました久野村氏、この二人の前に死亡されておりますけれども、この久野村氏の死因についてはどういう御判断か。  それから二つ目は、捜査事件核心である政官界工作実態解明にまで踏み込んでいるのかどうか。  三つ目は、政界工作を指揮し、全貌を知る佐藤社長室長板野社長捜査に今後どう臨むつもりか、まとめてお答え願います。
  6. 中平和水

    中平政府委員 お答えいたします。  第一点の久野村氏の問題でございますが、これは私どもの検視の結果、病死ということになっております。  第二点の政官界不正行為についてどういうふうに臨むかということでございますが、私ども捜査は具体的な証拠に基づいて真実を解明してまいる作業でございますので、今後とも全力を挙げてこの事件真相解明に当たってまいりたい、こういうように考えております。  それから、御指摘のございました佐藤氏とか板野氏の問題につきましても、そうした事実がございますれば、これは真相解明してまいる、こういう気持ちで臨んでいる次第でございます。
  7. 榊利夫

    榊委員 それでは本題に入ります。  まず第一は、八〇年代自主外交を目指す課題一つといたしまして、ベトナム問題でございます。政府ベトナムに攻め込んだ中国には、御承知のように昨年末、六年間に三千億円、当面、初年度五五億円の借款を経済援助として約束されました。被害者ベトナムにはこれまで百四十億円の公式の援助約束があったと思っておりますが、これには特別の条件はつけられていなかったはずでございます。ここに資料を持ってきておりますけれども園田外相は昨年七月五日、対ベトナム援助については難民問題とは直接結びつけず、ベトナムとの対話を維持する見地からも援助を継続する、こういう方針を説明して、総理もこれを了承された、こういうふうに伝えられております。総理自身も、去る三十日共産党の宮本委員長質問に対しまして、わが国の対ベトナム援助の凍結問題とアフガン情勢とは——凍結とはありませんけれども、その援助アフガン情勢とは直接関連づけることはない、こういうふうに述べておられます。  それでは、政府としてベトナム援助約束をいつ果たされるのか、この点であります。
  8. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 本年度の対越援助につきましては、政府として一昨年の十二月、ベトナム外相に対して意図を表明済みでございまして、実施するという方針は変えておらないわけでございます。  実施の時期につきましては、諸般の情勢を見ながら慎重に検討しておりまして、今後もこの方針で臨みたいということでございます。
  9. 榊利夫

    榊委員 この三月で年度がかわりますけれども援助約束約束ですから、当然この約束は有効だと思いますけれども、この点、念を押しておきたいと思います。
  10. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 実施の時期につきましては、仮に年度内に実施することにならないといたしますれば、明年度において引き続き検討するということになると存じます。
  11. 榊利夫

    榊委員 約束を果たすということは、国際信用にかかわることでありますし、果たす方向で努力を願います。  次はカンボジア問題でありますが、現在日本政府承認をしているいわゆるポル・ポト政権、このポル・ポト政権なるものはいまカンボジア領内にあるものでございましょうか。
  12. 木内昭胤

    木内政府委員 カンボジア領内にあると承知いたしております。
  13. 榊利夫

    榊委員 それではどこにありますか。
  14. 木内昭胤

    木内政府委員 その辺は確認いたしておりません。
  15. 榊利夫

    榊委員 つまり住所不定政権ということですね。  それでは、日本カンボジア大使はどこにおられますか。
  16. 木内昭胤

    木内政府委員 中華人民共和国に派遣されております大使カンボジア大使を兼任いたしております。
  17. 榊利夫

    榊委員 つまりカンボジア大使は北京と兼任ということですね。つまり領内にはおられない。  では、プノンペンにありました大使館はいまどうなっておりますか。
  18. 木内昭胤

    木内政府委員 遺憾ながらプノンペンのわが方大使館とは連絡がとれない状況にございます。
  19. 榊利夫

    榊委員 こうなりますと、いよいよ実体不明ということになりそうでありますが、ぜひ大臣にお答え願いますが、今日、いわゆるポル・ポト政権なるものがカンボジアにおいて実効支配がない、これはもう明白な事実であります。疑問の余地がないと思います。人民共和国政権、つまりプノンペン政権承認すべきだ。イギリス政府もすでにポル・ポト政権承認を撤回しております。インド政府も近く承認するだろう、こう言われております。日本政府実体のない、住所不定ポル・ポト政権なるものの支持をやめて、プノンペン政権承認を検討すべきではないかと思いますけれども、この点はどうでしょうか。
  20. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 カンボジアにおきましては、民主カンボジア政府側ゲリラ戦を継続し、これに対してベトナム及びヘン・サムリン政権側掃討作戦実施しております。政府としては、ヘン・サムリン政権カンボジアを有効に支配しているとは考えておらず、また民主カンボジア、いわゆるポル・ポト側でございますが、政府側も有効な支配を行っているとはみなしがたいと考えております。ただ、このポル・ポト側も二、三万の兵力をもってカンボジア各地においてある程度組織だった抵抗戦を展開しておりますので、同政府実体が消滅したと見なすのは当を得ていないというふうに判断しております。
  21. 榊利夫

    榊委員 ゲリラ活動をやっている特定の小グループ、それを日本政府政権と認めて、実体のない、実効支配のない、それを引き続いて承認をしていく。こういうことは国民の目から見ましてもどこまでも異常でありますし、国際的にもまともなものと受け取られないのじゃないかと思うのです。やはりここでは公正に、前進的に状況の変化を認めて、プノンペン政権承認を検討する、そういう時期になっている、こういう認識は持たれませんか。
  22. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 関係諸国の中でもASEAN諸国は従来と同じ立場をとっておりますし、中国も同じ立場をとっております。オーストラリアも同じ立場でございますし、いろいろな情勢カンボジア内部及び国際的な情勢を見ながら判断する必要があると思っております。現状においては変更する意思はございません。(「イギリスは」と呼ぶ者あり)
  23. 田村元

    田村委員長 榊君。
  24. 榊利夫

    榊委員 まだあるらしいから。
  25. 田村元

    田村委員長 外務大臣、まだ何か答弁ありますか。
  26. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 イギリスについては、イギリス政府承認を取り消した……、この点は正確を要しますので、政府委員に答えさせたいと思います。
  27. 榊利夫

    榊委員 いずれにいたしましても、いまの議論を通じまして、また政府答弁を通じまして、大変事態に合わない態度をこの面でおとりになっているということは明白だと思います。  次に進みますけれども、いわゆるこのゲリラなるものへの態度、これはアフガン問題にもありまして、ソ連軍アフガン侵入に対しては、もちろんわが党は早急な撤退を強く要求しております。しかし同時に、周辺諸国で、パキスタンなどの領内アフガニスタンの反政府ゲリラやあるいは反政府組織を訓練し、てこ入れをする、こういうことも国際法上の内政干渉になることは明らかであります。  大平総理は、先日、この問題での宮本議員質問に対しまして、事実を承知していないとお答えになりました。この席でせんだって不破議員がこの問題を取り上げまして、多くの新聞報道の事実などを取り上げて述べたのに対して、総理答弁がないままであります。ここにも資料を持ってきておりますけれども一般わが国で紹介されているものだけでも、これは見ようと思えば新聞雑誌等々たくさんあるわけであります。パキスタン領ダラの町にゲリラが連日鉄砲その他五百丁も買いつけに集まっているとか、いろいろそういう報道が各紙で行われております。その後総理としても御勉強なさったのではないかと思いますけれども、やはり事実に目をふさぐということはよろしくないと思います。どうでございましょう。
  28. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 私が申し上げたのは、そういうゲリラ活動がないと言ったわけではないのでして、そういう活動はあるということは承っておりますけれども、それと、他の国々がどのように内応しておるかというような点は定かでないという意味でよく承知していないと申し上げたわけです。
  29. 榊利夫

    榊委員 何をしているか定かでないと言われますけれども、いわば無数と言える事実の報道があるわけでございまして、このゲリラの支援、訓練であります。しかもそれについての国際的な呼びかけすら一部から行われております。その事実、これがまさに何をしているかということの内容でありますから、あくまでも事実があるのにそれに目をふさいでいく、私はわかりません。こういう態度では、正確な外交方針、対外的な日本態度決定、これはむずかしかろうと思うのであります。事実を冷静にまた冷厳に見る、これが出発点だと思うのであります。  この点でもう一度総理に御答弁願いたいのでありますけれども、現実に目をふさぐという態度はもちろんおとりになるつもりではないと思いますけれども、あえて御答弁をお願いします。
  30. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 事実を覆うつもりはございません。ただ政府立場で、確認もできてないことについて軽々にコメントするということは穏当でないと思います。
  31. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの総理の御答弁に補足させていただきたいと思いますが、パキスタンハク大統領は、一月十五日に行われました内外記者会見の席上質問に答えまして、「パキスタンアフガン戦士パキスタン領土を聖域としたり、基地とすることは許さない、パキスタン他国内政干渉せず、われわれはアフガン難民人道的見地からのみ援助している。」ということを答えておるわけでございます。
  32. 榊利夫

    榊委員 難民ゲリラというのは、これは見た目でわかりまして、ゲリラというのは武器を持って反政府活動をやっているわけでありますから。私どもは、ソ連アフガン侵入もよろしくない、同時に、他国政府に対してこれの転覆を目指した武装ゲリラ等々を訓練する、あるいは送り込む、こういったものが国際法上の内政干渉である、これは明らかでありまして、間違ったものは間違っている、どちらも間違っている、こういう態度をとることが誤りなき外交態度決定にとって不可欠の前提である、あえてこのことも強調いたしまして、次に移りたいと思います。  二番目は、中東外交特使派遣の問題でございます。  御存じかと思いますが、中東では、アメリカは一九七八年、一昨年の十二月から第七艦隊をペルシャ湾に投入してきております。その後、一年たった昨年十一月のテヘランでのアメリカ大使館の占拠、人質事件を契機に米軍の投入を大規模化いたしまして、また経済制裁やそれへの同調も各国に求められる、こういう事態になってまいりました。現在、中東アラビア海域には二十六隻の艦船が投入されております。これにはもちろん中東産油国の多くが反対であります。  ところが、大平総理は、比較的冷静な態度をとっております西ヨーロッパ諸国とは違いまして、米国との信頼関係のためには相当の犠牲を払ってでも腹をくくってやらねば、こういうふうに述べられました。そして日本の側からは、イラン原油スポット買いの自粛であるとか、あるいは輸出保険審査個別審査に切りかえて対イラン輸出を抑える、事実上の経済制裁に同調する態度をとってきておられます。これは中東産油国に事実上敵対するものでありまして、こういうことでどうして産油国との友好関係の確立ができるでしょうか、総理
  33. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 わが国といたしましては、中東各国に敵対など全然考えておりませんで、いかにして友好関係をつないでいくか、強化していくかということで外交努力を続けておりまするし、事実日本中東各国との関係は、これまで期待されておりますとおり順調に推移いたしておりますことも榊さん御承知のことだと思うのでございまして、私どもがいまとっておる外交方針に別に間違いはないと考えております。
  34. 榊利夫

    榊委員 実際上、いま申し上げましたように経済制裁に同調するような態度が続いてきたわけでありまして、それが真っ当な中東諸国との友好を伸ばす道でないということは常識的に考えても私は明らかだと思います。やはり日本に対する石油供給に危機を招き、あるいはアメリカ外交路線のために日本犠牲になるようなことは、ひっかぶるような姿勢はどうしても変えなければならない。自主外交こそが必要だと思うのであります。  関連して質問ですが、園田外相が、石油外交重要課題として、首相の特使として中旬に中東へ出発されるという話でありますが、何カ国を訪問の予定でありましょうか。
  35. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 現在、南西アジア及び中東地域の先方の政府連絡中でございまして、日程等の都合がございますから、最終的に何カ国になるかは現在の段階ではまだ明確になっておらないわけでございます。
  36. 榊利夫

    榊委員 その園田氏でございますけれども外相当時、昨年の七月でございます、都内で、内外情勢調査会の講演の席上でありますけれども、自分が訪米中バンス国務長官に会ったときに、アメリカ中東マシーラ島に軍事基地を置けと要請したということを自慢げに語っておられます。  ここに地図を持ってまいりましたけれどもマシーラ島というのはアラビア海に面しましたオーマンの小さい島でありますけれども、背後にサウジアラビア、イラク、イランアフガニスタン西パキスタンインド、こういう非常に重要な地域を——余りきれいな地図ではありませんが大体位置はわかると思います。そういういわば要衝の地であります。ここにアメリカ軍事基地をつくりなさい、こういうことを述べておられるわけであります。報道によりますと、その後本当にアメリカは、オーマン政府軍事基地の設置の交渉をしているわけであります。そういう御当人を中東に派遣するということは重大問題だと思うのです。親善訪問どころか、アメリカ軍事基地づくりのための下見か、こう言われても仕方がないと思うのです。どうでしょう。
  37. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの御指摘のお話というのは、私もはっきり承知しておらないわけでございますが、別に昨年の八月六日付に、園田外務大臣中東の安全保障問題に関する見解といたしまして、わが国中東政策に関する園田外務大臣所感を発表しておられまして、その中で、世界のどの地域においてもその地域国々の意向に反する域外勢力干渉を排除することが必要であり、中東地域についても、わが国はこの地域米ソ両国を初めとする域外国影響力をめぐっての角逐の舞台としないことを第一の目標としていく考えである旨明確に述べておられるわけでございまして、この園田外相見解中東でも高く評価されております。また、園田外務大臣は、二度にわたり中東諸国訪問しておりまして、これら諸国要人の間に知人も多く、同地域への特使としては適任であると考えております。
  38. 榊利夫

    榊委員 園田外相が当時、いま申しましたように軍事基地をつくれ、しかもアメリカ軍事基地をつくれということをアメリカに進言して、そういう事態に対して中東諸国がおしなべて反対しているわけであります。しかもそれは公知の事実です。新聞でも報道されましたし、雑誌でも報道されております。そういう特使中東に派遣するよりも、何といっても日本政府自身自主独立を貫いて、中東諸国と対等平等の友好関係を目指していく、これが何よりも確かでまた安定した石油資源外交だと私どもは考えるのであります。この点いかがでございましょうか。     〔委員長退席渡辺(美)委員長代理着席
  39. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもとしては、先ほど申し上げましたように、ただいま園田特使を派遣することが適当だと考えておるわけでございます。
  40. 榊利夫

    榊委員 適切ではないということを私どもは申し上げたいと思います。  では次の問題に移ってまいります。  最近、アメリカ政府はいわゆるカーター・ドクトリンを打ち出しまして、またブラウン国防長官のごときは、ペルシャ湾での有事の際は、ここに沖繩からの海兵隊緊急展開部隊として投入する、こういうことを発表しております。これは言うまでもなくアメリカの戦略でありまして、日本のためのものでありません。ところが、政府はこれにつきまして、軍隊の移動なのだから出るに任せるという態度であります。直接の戦闘作戦がなければ安保事前協議の対象にならない、こういう態度ですね。これは米軍は出るに任せる、勝手に出ていってください、自由に、こういう態度です。しかし、これは安保条約第六条に関する交換公文にはこう書かれているわけであります。日本国から行われる戦闘作戦行動のための基地使用日本国政府との事前協議の主題とする。戦闘作戦行動というのは英文では「ミリタリー・コンバット・オペレーションズ」となっています。複数です。より適訳とすれば、戦闘作戦とでも訳すのがより適切だと思います。政府の言う、いままでずっとここで繰り返してきておられます直接の戦闘行動でなければとか、あるいは一機動群まではとか、こういうことはどこにも書いてないのであります。どうでしょう。
  41. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの点につきましては再三申し上げたとおりでございまして、戦闘作戦行動というのは一般的な軍事行動全体を指すものではなくて、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動という限定的な性格を有するものと解釈いたしておりまして、この点につきまして、一月三十一日、在米日本大使館を通じて米政府に確認を求めまして、米側からも同じ了解であるという回答を得ておるわけでございます。
  42. 榊利夫

    榊委員 いまアメリカ側がどうこうというのじゃなくて、条約そのものに、交換公文そのものに即して私は言っているのです。そういうことはどこにも書いてないじゃないですか。日本基地とした米軍戦闘作戦、その上実行は、イエス、ノーの事前協議が必要であります。当然です。ところが、いまの答弁に見られますように、政府は、戦闘作戦に直接の戦闘のことであるとか、そういうことで、移動なんだから事前協議は不必要だ、こういうふうにして、いわば日本基地化した戦闘作戦にも野放しという態度をとっておるわけであります。移動というのは戦闘作戦行動じゃありませんか。どうでしょう。わけてもこの緊急投入となりますと、戦闘作戦を目的として一直線の作戦行動に入って、その一部じゃありませんか。
  43. 淺尾新一郎

    ○淺尾(新)政府委員 安保条約上の戦闘作戦行動というのは、従来国会でもしばしば政府が御答弁してきましたように、直接戦闘作戦行動に従事するということでございまして、御質問のございました移動というものは、戦闘作戦行動には該当しないということも従来から御答弁してきたところでございます。  さらに、今回の場合、全く仮定の問題として考えさせていただきますと、と申しますのは、緊急展開部隊というものは、アメリカ軍が陸海空海兵隊の四軍をそれぞれ含むということを言っておりまして、その部隊が現実にどこへ動くかということは実際の事態に即して決まるということでございまして、沖繩海兵隊緊急展開部隊の中核になるというようなことはまだ考えていないことでございます。  さらに、現在の移動の問題でございますけれども日本中東との距離その他を考えますときに、いま先生の言われたように、直線的に中東に赴いてそのまま戦闘作戦行動に従事するということは考えられないことでございまして、現実の戦闘状況を見ながらその部隊が対処するということでございまして、この点についてはアメリカ側についても日本側と同じということを確認済みでございます。
  44. 榊利夫

    榊委員 緊急投入ですよ、緊急投入ですよ。それを一直線でないなどと言うのはまさに論弁ですよ。そういう詭弁にこれまで政府答弁が貫かれているということを私いままさに問題にしたいのであります。  それで、実際に統幕統合用語集というのが統幕から出ております。これは買えるものでありますけれども、ここでも実際そうなっている。「作戦(行動)オペレーション」、こう書いています。「広義には、軍隊(自衛隊)が、与えられた任務達成のために遂行するあらゆる軍事行動をいう。」狭義にはどうか。狭義の場合でも「ある目的を達成するまでの一連の戦闘行動をいい、捜索・攻撃・」戦争そのものですよ。「防御」、これも戦争そのものです。「移動・機動等及びこれに必要な補給活動を含む。」狭義に解釈しても補給活動までもオペレーション、作戦じゃありませんか。これでもあえて移動、つまり行動、ムーブメント、これは作戦じゃないのだなどと言えますか。
  45. 淺尾新一郎

    ○淺尾(新)政府委員 ただいまの御質問の移動の定義について、あるいは先生お持ちのその資料によって国内的にはそういう解釈があるかもしれませんけれども、日米間では、移動は直接戦闘作戦行動に含まれないということは長い間合意済みでございます。
  46. 榊利夫

    榊委員 それは私流に率直に言わしてもらえば、長い間そういう詭弁が用いられてきたということでありまして、安保条約そのもの、交換公文そのものに即しましても絶対にそういうことが出てこない。それを拡大解釈したりあるいはゆがめてそういう説明をされてきているわけであります。アメリカでもといまおっしゃいましたけれどもアメリカでもそうですよ。アメリカの軍事用語法と日本の用語法はそんなに根本的な違いがあるわけではありません。現に日本政府も一九七二年、いまから八年前の統一見解では、事前協議を必要とする典型的な戦闘作戦行動として、航空部隊による爆撃とともに地上部隊の上陸作戦もそうだ。上陸作戦というのは、御存じのように米軍のそれでも自衛隊のそれでも移動、ムーブメントだ、こういうふうに解されている。それも事前協議の対象になるのだ、典型的な例だと言っているじゃありませんか。いまの答弁は通用しませんよ。
  47. 淺尾新一郎

    ○淺尾(新)政府委員 ただいま御指摘戦闘作戦行動については、昭和四十七年の衆議院の沖繩特別委員会等でも政府見解をはっきりさせておりますけれども、現在、先生が言及されました地上部隊の上陸作戦、これは日本基地から直接発進して行うということでございます。
  48. 榊利夫

    榊委員 だから言っているのですよ。緊急投入部隊は日本基地から、直接沖繩から出発するのじゃありませんか。いわゆる移動だとされている戦闘作戦行動の中にも、専門的に言いますと管理的移動とか戦術的移動とかなんとかいろいろありますけれども、要するにそういう移動が当然事前協議の対象となるものがある、このことは否定できません。一九六〇年の安保国会で赤城国務大臣防衛庁長官でありますけれども、この方もこうおっしゃっているのです。正確にメモしてまいりました。「戦闘作戦行動に出る場合に寄り道したから、直接でないから事前協議の対象にならぬということではない。戦闘任務を帯びて出ていく場合には、仮に寄り道しても、それは事前協議の対象になる」と明言しておるじゃありませんか。移動ならどこにでも勝手にというのは、まさに安保条約をはなはだしく拡大するものであります。どうですか。
  49. 淺尾新一郎

    ○淺尾(新)政府委員 仮に日本からそういうような直接戦闘作戦行動に従事するという任務を帯びて発進する場合は作戦行動でございますが、そういう任務を帯びてない、あるいはそういう態様が違うということであれば戦闘作戦行動には該当しないということでございます。
  50. 榊利夫

    榊委員 何々であればという仮定の問題を言っているんじゃないのです。現に発表されている緊急投入部隊はそういうものだと私は言っているんだ。移動なんかじゃありませんよ。しかも、その移動そのものがまさに作戦行動にその一部として、それが始まりじゃありませんか。これは国民の常識だって明らかです。  事前協議にさかのぼって言いますと、安保事前協議による制約のほかに在日駐留目的という制約がやはりあります。一九六〇年四月一日の安保国会でも、当時の岸首相はこう言っているのです。よく聞いてもらいたい。「米軍の行動というものは本来自由であります。したがって、その自由な行動を持っておるところのものを、無制限に行動させるようなものを日本に駐留せしめておくということは適当でないということで、その在日駐留目的を制約しております。さらに、この行動につきましては、事前協議によってさらにこれを制約しようということをとっております。私は、アメリカ軍が本来持っておるような無制限な行動をするならばあるいは日本がいろいろな不測な危害を受けるおそれもありますから、そういう制約をつけて行動自身に対して限界を設けておるわけであります。」これは野党の追及もありましたけれども国民の追及もあったわけでありますけれども、ともかくそういう答弁をその当時されているわけです。さらに安保第一条では、政治的な独立への威嚇をしないと約束するということも明言しておるはずであります。こういう制約を厳格に課す立場政府は変わりはないでしょうか。それとも移動は御自由に、御勝手に、こう言う以上、米軍の勝手は制約しない、あるいは制約は空文化したのだ、形骸化したのだ、こういうことにされているのかどうなのか、これは非常に重要な問題ですから正確な御答弁を願いたい。
  51. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 当時の解釈と現在と変更はございません。
  52. 榊利夫

    榊委員 変更がないんじゃなくてまさに変えているということは明らかじゃありませんか。国民のだれが聞いたって変えていないなどということは、この当時の岸首相や赤城防衛庁長官のそれから見ても明らかじゃありませんか。ましていまや、繰り返しますように、米海兵隊は緊急投入される。こういう目的、前提で沖繩基地から出動していくのであります。そしてまた、基地に駐留して出動していくのであります。重要な問題は、これは日本国民一億一千万の運命にかかわる問題です。米軍日本基地中東へ出動する、戦争になれば、そういった場合、実際上日本は第三者ではないのであります。そうでしょう。いまだって第三者ではないけれども、きわめて深刻な第三者でない立場に置かれる。それに対して中東諸国日本を報復攻撃しても当然であります。かつてベトナム戦争のときの政府答弁は、そういうことを認めていらっしゃる。  椎名国務大臣が、昭和四十一年六月一日の外務委員会でこうおっしゃっている。「一般的に申しまして、安保条約体制にあるがゆえに一種の敵性を持ったと認められて、そして」相手から「攻撃を受ける、あるいはその他の脅威を受けるというようなことはあり得ると思う。」これが政府の公式見解であります。まさに戦争じゃありませんか。日本国民が戦争の中に巻き込まれるということじゃありませんか。重大であります。そういう事態日本政府日本国民に甘受せよとおっしゃるのか、御答弁願いたい。
  53. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日米安保条約というものが存在いたしておりまして、日本の領土及び極東に脅威がありました場合に米軍が出動してまいるわけでございまして、この条約におきましては、たとえば仮想的な場合としてペルシャ湾の問題でございますけれども、事実問題としてペルシャ湾における事態が極東の平和及び安全に対して脅威となるようなことは考えられないという解釈をいたしております。
  54. 榊利夫

    榊委員 これは解釈の問題じゃないのです。事実関係としてはそうなるということを私は質問している。国民立場から質問しているのです。一体そういう事態になった場合に、政府もかつて認めておられるように、報復攻撃はされたって、それはそういうことはあり得る、そういう論理的、現実的な必然として出てくるのであります。  私はここで強調したいのは、そのときそのときのアメリカの行動、態度、これが絶対最高だ、それを日本の側は万事合理化していく、こういう立場に立つならば、こういう行方、こういう結末になるのだ、私は声を大にしてこのことを述べたいわけであります。安保問題、あるいは緊急投入の問題、米軍基地の問題、それほど深刻な問題なんだということであります。  そこで、次に移ってまいります。  対米軍事協力の問題でありますが、二月下旬のリムパックの演習海域、これはどうなっていますでしょうか。たとえば立ち入り制限など公海上の措置をおとりになるのでありましょうか。
  55. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 二月下旬のリムパックの演習海域につきましては、近く主催国であるアメリカが発表すると思いますが、78リムパックの例にかんがみますと、ハワイ沖、中部太平洋地域でございます。この地域におけるただいま御指摘のような安全措置については、主催国であるアメリカが十分講じておると存じます。
  56. 榊利夫

    榊委員 アメリカがやるだろうと。  参加する艦艇の数はどうでしょう。各国別あるいはその数量ですね。また、アメリカの原子力空母エンタープライズは参加するでしょうか。
  57. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  リムパックの演習規模、国別の参加艦艇の数、種類あるいは日時、場所等につきましては、近く主催国であるアメリカが発表をすることになっております。この時期に合わせまして参加各国が共同発表をするという申し合わせになっておりまして、現時点でまだ、私ども主催国でございませんので、公表する立場にございません。  次の原子力空母エンタープライズが参加するかどうかの御質問でございますけれども、空母を含む艦艇が参加することは承知しておりますが、それがエンタープライズであるかどうかは、まだ明らかでございません。中東情勢等がございまして、アメリカの主力空母が演習目的のために使われるかどうか若干疑問でございますが、私どもは空母が参加をするということは承知をしております。
  58. 榊利夫

    榊委員 これもアメリカ次第、しかし空母は参加するだろう、こういうことでありますが、これまでの御答弁を見ますと、このリムパックでは輪形運動の訓練が予定されております。空母輪形型訓練も行われるものだと思われます。アメリカの文献によりますと、いわゆる空母を中心あるいは先頭にして艦艇で円陣をつくって、そしてこの主力空母を護衛してやるという作戦ですね。これはこれまでも何回も日本自衛隊、海上自衛隊も参加をしてやってきております。航空母艦は言うまでもなく攻撃目的のものでありまして、攻撃型の動く基地であります。恐らくその一斉行動、集団的な行動の場合の調整権者と申しますか、これは主催国のアメリカだろうと思います。  そこで聞きますが、仮想敵の航空機または潜水艦と遭遇したときに一斉対処はだれがリードするのでしょうか。主催国のアメリカでしょうか。
  59. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 この演習の調整は、再々お答えをいたしておりますように、アメリカの第三艦隊が実施をすることになっております。その訓練の実施細目についての具体的な調整を事前に十分に行いまして、その手続によって行うわけでございますが、ただいま御指摘のような目標機あるいは目標艦に対する訓練も、事前に十分に打ち合わせられた手続によって実施されるものと承知をいたしております。
  60. 榊利夫

    榊委員 いわゆる調整権、それはだれが持つのです、主催国のアメリカですな。
  61. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 調整権並びに計画立案は主催国のアメリカでございます。
  62. 榊利夫

    榊委員 一斉行動するときのリード、事実上の指揮、これはだれがとります。
  63. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 調整という言葉の御説明をさせていただきます。  調整は、それぞれの打ち合わせによりまして参加国艦艇の指揮官が具体的な指揮を行うことになっておりまして、その具体的な訓練の内容によってのどういう行動をとるかについては事前の打ち合わせによって行うものでございます。  調整は、先ほど申し上げましたように主催国アメリカでございます。
  64. 榊利夫

    榊委員 だから、調整は主催国アメリカがやる、これは明確になりました。つまり、アメリカを中心にして、しかも航空母艦もアメリカだ、それを日本の艦艇も参加した円陣形、輪形陣で守って作戦をやっていく、こういうことであります。  次いで聞きますが、対潜、対空訓練もやるというふうに発表されております。この席でもお答えになりました。その際、仮想敵の航空機、潜水艦が真ん中の空母を攻撃した際、護衛艦、スクリーン艦、これは対空、対潜防御をするのでしょうか。つまり端的に言えば、撃つのか撃たないのか、明快に答えてください。
  65. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 訓練の内容は再々申し上げておりますので省略をいたしますが、御指摘のように、対航空機に対する防空戦闘訓練、潜水艦に対する捜索攻撃訓練のほかに、水上艦艇に対する水上打撃訓練、電子訓練等がございます。この場合、実弾または訓練弾は使用いたしません。目標を捜索し、それを捕捉し、それに対する攻撃の手続までを行ったところで終了をする。実弾は撃たないと承知をいたしております。その攻撃をしてくる目標艦である潜水艦あるいは航空機はもちろん空母に向かう場合もございましょうし、参加をしておる海上自衛隊の艦艇に対して向かってくる場合もある。いろいろなその場その場の具体的な状況によってそれに対する対処の仕方は違うと思います。
  66. 榊利夫

    榊委員 いまの説明で大変明快になったことがあるのです。それはつまり訓練、どこからどこまでやるかはともかくといたしまして、相手が来た場合にそれに撃つその手続、少なくともそこまではやるということ、つまり対潜防御、対航空防御、それを受け持っているということになります。ということは、まさに日本の海上自衛隊は米空母を守って動いていく、そういうアメリカを守るという役割りを持っているということ、これは明らかであります。そうでしょう。そうなりますよ。
  67. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 訓練の目的は、たびたび申し上げておりますように、海上自衛隊のいま申し上げたような各種戦闘訓練に関する戦術技量の向上でございますので、アメリカ空母を守ることが目的の訓練ではございません。アメリカを守るための訓練ではないということは再々御答弁申し上げております。
  68. 榊利夫

    榊委員 主力はアメリカの空母ですよ。相手が来る場合に何を目指すか、その主力を目指すのはあたりまえじゃありませんか。いやおうなしにそうなります。それに対してこちらが対処していく。共同対処という言葉を使うといたしましても、結局それはアメリカの航空母艦を守る、こういうことでありましょう。まさに実態がそうじゃありませんか。(「それはあなたの論調だ」と呼ぶ者あり)そうじゃない。事実がそうじゃないですか。これはやはり集団的な自衛権を否定してきた従来の政府側答弁をひっくり返すものですよ。(「訓練だ」と呼ぶ者あり)御存じのように、訓練というのは戦闘を目的にした訓練なんだ。遊びじゃありませんよ。そうでしょう。わが憲法のもとでは、他国に加えられた武力攻撃を阻止するというそういう集団的自衛権の行使は許されない、艦船の場合も同様だというのがこれまでの政府の御答弁であります。それからまた、アメリカの船を守るということを目的として動くということはない、これもこれまでの御答弁でございます。  そこで、私はむしろ別な方にお答え願いたい。憲法的、法律的に見て、いま私が聞いたこと、このことを、これまでの御答弁との関係で根拠を持って説明願いたいと思います。
  69. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 だれに答弁を求めますか。
  70. 榊利夫

    榊委員 一番適切な人。
  71. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 佐々君。
  72. 榊利夫

    榊委員 あなたに求めているのじゃないんだ。あなたは法律家じゃないんだよ。
  73. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 この訓練は具体的な戦闘行動ではございませんで、訓練でございます。また、集団的自衛権行使になるのではないかということでございますが、この訓練の目的は確かに戦闘訓練でございますけれども、その戦闘訓練のための戦術技量を向上させるさらに大きな目的は日本防衛でございます。
  74. 榊利夫

    榊委員 そう言っているけれども、実態はそうなってないということを私は問題にしているんだよ。  法制局長官に私はそのこと、さっきのことを聞きたい。
  75. 角田禮次郎

    ○角田政府委員 実態がそういってないという御質問でございますけれども、それに対して私がお答えすべき立場じゃないと思いますが、集団的自衛権とはどういうものであるかということでしたら、私いつでも御説明いたします。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 榊利夫

    榊委員 だから、いままでの政府答弁で、憲法で許されない集団的自衛権の行使、これに結局なるじゃないかということを言っているのです、これまでの御答弁との関係で。
  77. 角田禮次郎

    ○角田政府委員 これまで政府は、憲法上わが国は集団的自衛権を持たないということは何度も申し上げているところであります。私どもが集団的自衛権と言っております意味は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化されるという地位を国際法上国家は持っている、そういうような意味の集団的自衛権というものをわが国は憲法上持っていない、こういうことでございます。  今回の演習につきましては、防衛庁の方から前前申し上げているとおり、そういう集団的自衛権の行使ということを前提とするような訓練ではなくて、単なる戦術技量の向上のための訓練であるというふうに承知しておりますので、いま申し上げたような意味の集団的自衛権の行使を前提とするような訓練ではないと私どもは考えております。
  78. 榊利夫

    榊委員 いまのはさっぱり答えになっていないのです。私は訓練がどうこうと言っているのじゃなくて、集団的自衛権、そのことは憲法上も許されないんだ。ところが、訓練というのは一つの目的を持った訓練ですから、その米空母を中心としてそれを日本が、政府側の説明では共同対処云々と言いますけれども、要するにアメリカの主力である航空母艦を守る、そういうことに入っていっている。その場合に、当然これは集団的自衛権という憲法の禁止しているこれに触れるか触れないか、いままでの答弁から見れば触れるじゃないか、こう聞いているのでありまして、それに対してお答えにならないということは、答えることができないということでしょう。そう解します。明快なんだ。答えられないからさ。  さあ、次に移っていきます。(発言する者あり)答えてもらってもいいけど、そっちへ質問しているんじゃないんだから……。  二つ目に移ってまいります、  カーター・ドクトリンはペルシャ湾戦略に関しまして、御存じのように核兵器を使う云々といったことまで言っておりますけれども、やはりいまの日米軍事協力とかあるいは防衛分担の要求、これは大変強まっておりますけれども、これは大局的に見ましてアメリカの戦略を補完するものになっている。実際にカーター大統領も、単独では防衛できないので日本などにより大きな軍事分担を求めるんだ、こうおっしゃっているわけであります。そのもとでいま日本の軍事力増強が進んでいる。  そこで一つ質問ですが、対潜哨戒機について申し上げますと、その保有は、ヘリコプターは除きまして、一九七七年現在の数値で世界第三位の百四十機という保有になっております。アメリカの七百八十機、ソ連の二百十機に次いでおります。イギリスが四十六機でこの三倍強、それから西ドイツの二十機の七倍、これだけ大きな数を持っております。加えて一機百億円もするP3Cを四十五機購入しようとされております。アメリカでさえアリューシャンから日本、フィリピン、インド洋までの西太平洋に配置している対潜哨戒機P3A、B、C、これは三十四機であります。それより大きな四十五機、これを購入しようとしている。そして、日本が買うことになっております早期警戒機、E2Cですね、これはアメリカのほかは現在臨戦体制にありますイスラエルしか持っていないものであります。これについては売り手のグラマン社が、日本はぜいたくですなあと言ったとか言わないとか、そういう話があるくらい大変ぜいたくな買い物であります。アメリカの三十四機プラス日本の四十五機、倍増した約八十機が米戦略下の対潜哨戒機ということになります。  こうしたアメリカの要求によるきな臭い大量買い、やはり国民にとっては異常ですよ。これはどういうようにお考えになっておりますか。——防衛局長じゃなくて私は大蔵大臣に聞きたい。買うんだから、金にかかわる。
  79. 田村元

    田村委員長 一応防衛局長に。原君。
  80. 原徹

    ○原政府委員 私ども、「防衛計画の大綱」に従いましていま質的改善を図っておるわけでございますが、P3Cにつきましては、現在持っている対潜哨戒機、P2Jというのが主体でございますが、これがだんだんダウンをしてくるということを補完する意味でP3Cを買うわけでございます。要するにP2Jがダウンすることを、その機能を更新、近代化する、そういう意味でP3Cを買うわけでございます。  それからE2Cにつきましては、前国会でもたびたび御説明をいたしましたように、低空侵入に対する機能が欠けている。その欠けている機能を直さなければならぬということでE2Cをお願いをいたしたわけでございます。
  81. 榊利夫

    榊委員 いまの答弁は不適当のようですな。  私が聞きたいのは、なぜ買うかというのは、アメリカのそういう要求でどんどん買っていく。しかもアメリカの配置しているそれ以上のものを買おうとする。それが国民にとって異常だということを言っているのでありまして、さらにブラウン国防報告は、日本がP3Cを四十五機、いま言いました。それからF15戦闘機を百二十三機買う。早期警戒機、E2C、これを八機買い入れる。こういったことを手放しで評価しております。海の向こうから評価している。新年度の予算案の軍事費は、御存じのような財政困難の中、二兆二千三百億も組まれております。軍事強化に金をつぎ込むというのは、いままで申し上げましたようにアメリカの要求に基づくものであります。しかも実態がアメリカの戦略を補完する、これが実態になっている。こういうことは、ブラウン国防長官にしましてもなかなか商売人ですから、アメリカの産軍結合体は喜ぶでしょうけれども日本の国益という点から見たら合わないと私は思います。日本の平和や安全、こういうことでも大いに問題がある。私はやはり大幅に削減してもらいたい、このことを望むものです。答弁を求めてもいいですけれども、どうでしょう。
  82. 竹下登

    ○竹下国務大臣 防衛力という問題は、アメリカから要求されて予算がつくものではなく、あくまでもわが国の防衛に必要である、その考え方に立って他との予算バランス等を考えながら予算をつけた、こういう性格のものであります。
  83. 榊利夫

    榊委員 私はそうではない、日本の国を守る、安全、平和、国益、こういう点から大いに疑義がある、こういうことをあえて申し述べまして、最後ですけれども、一部には米ソの戦争で日本も一翼を買うべきだといった議論さえ最近はなされております。そういう米ソというのはまさに世界戦争であります。そういう世界戦争を防止することが日本の平和と国民の命、安全、これを守る道である。大国との軍事同盟に身を縛られるのじゃなくて、軍事同盟、安保条約からどうしても身を縛られる、そうじゃなくて、非同盟中立で日本の独立を守っていく、そして各国と平等互恵の友好関係を伸ばしていくことが最も国益にかなう道だ、こういうふうに強調させていただきたいと思うのであります。それで、私はこのことを述べて次に移ってまいりたいと思います。  これは東京都下の小笠原諸島に関する問題であります。これはぜひ総理に聞いていただきたいのです。総理初め各大臣、戦争末期の玉砕として有名な硫黄島、この硫黄島に千二百名の村人たちが住んでいたということを御存じでございましょうか。
  84. 園田清充

    園田国務大臣 よく承知をいたしております。
  85. 榊利夫

    榊委員 ところが、この硫黄島の人々は、昭和十九年の三月、当時の軍の命令で強制疎開をさせられました。その当時の日本は東京からも疎開しましたし、あらゆる都会から疎開したわけでありますけれども、この硫黄島の方々は戦時疎開をさせられたまま、戦後もう三十五年、足かけ三十六年になりますけれども、疎開してまだ帰れないでいらっしゃる。これは大変な問題であります。数年前、ビキニ島のあの原水爆実験がやられましたために百数名のビキニ島の島民が強制疎開させられまして、これが国連でも大問題になったことがあります、人権問題だと。そういういまの状態、戦時疎開さえ終わっていない。これは戦後が終わってないどころか、この人たちにとっては戦争が終わってない。私は、そういう点では深刻な人権問題だろうと思うのです。日本にまだそういうところが残っているんだ。もちろん三十数年たっておりますから、四十歳で疎開した方はもう七十歳以上であります。三十歳で疎開した人でも六十幾歳であります。帰りたいけれども帰れないという方もおられます。肉体的にどうだろうか。しかし、そのうち十人でも二十人でも三十人でも自分のふるさとに帰りたいんだ、こういう希望を持っておられるのならば、政府は、どうぞ帰ってください、こういう条件を整備することが義務だと私は思うのであります。そういう点ではこんなに延ばされてきている。国連に提訴されたら大問題になる。人権に関する世界宣言でも、あるいはまた昨年政府が批准した世界人権規約でも、移転及び居住の自由を侵すことのできない基本的人権だとして各国に義務づけたわけであります。  私は、政府は、ここには一部には基地もありますけれども、そういった基地の拡張ではなくて、あるいはまた地盤隆起であるとか不発弾の未処理だとか、こんなものは、隆起などというのは明治からあるのです。不発弾の処理なんというものは、技術的水準からすればもうしようと思えばすぐにできる。これは沖繩の例が示しております。そういう後ろ向きの理由ではなくて、旧島民が小笠原村の住民として、東京都民として一日も早く希望に応じて帰島できるよう、真剣な緊急な努力を払っていただきたいと思います。(発言する者あり)簡単ですよ、いまの技術水準で。沖繩がそうじゃないですか。そんな態度だからだめなんだよ。  また、旧島民の長期の物質的、精神的な労苦に対しての慰謝、これは必然考えていただきたい。私はこれは国民的な課題として総理質問したいわけであります。
  86. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 外海の離島でございます硫黄島の自然条件を初め、定住の可能性等につきまして、あらゆる見地から総合的な調査、検討を政府はいま進めてまいりたいと考えておりまして、昭和五十五年度予算におきましても四千七百万円の調査費を計上いたしております。この結果を踏まえまして、戦時疎開者の帰島問題にも対処してまいりたいと考えております。
  87. 園田清充

    園田国務大臣 総理から御答弁を申し上げました。若干補足をいたしますけれども、実は参議院の建設委員の各党代表の方々が現地を御視察をいただきましたし、私も過般現地に行ってまいりました。そこで、小笠原の振興委員会の中に硫黄島小委員会というものを設置いたしまして、そこで専門的な視野の中から、あの水のない島に果たして帰していいものかどうかということ、同時に産業的な立地条件、いろんな面から専門家を入れてひとつ研究をしてみたいということで、総理から御答弁申し上げましたとおり四千七百万を計上して、ことしから来年にかけて小委員会に専門家を加えまして検討していただく、同時に、帰島の問題についてもあわせて検討していただくということにいたしております。
  88. 榊利夫

    榊委員 つまり戦後三十五年たっていまの状態というのですね。何をやってこられたか、こういう疑問が当然出てくると思います。また、水とか言いますけれども、伊豆七島に行きましても、井戸を掘ってその水を使っている島なんかほとんど例外的にしかありませんよ。みんな水はありません。それでも何万の人が生活できるのです。戦前だってそうだったのですよ。問題はやるかやらないか、前向きで対処するかどうか、私は、人権問題としてまさにこれは戦後の課題、全責任をもって対処していただきたい、こう思います。私は、これは本当に国民的な課題として、言うならば日本人の問題として提起したいわけであります。総理、もう一回。
  89. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 いま申しましたように、定住条件その他調査いたしまして、それを踏まえた上で処理してまいります。
  90. 榊利夫

    榊委員 重ねて、積極的な対策をとっていただく。とりわけ帰島の努力とともに、長期の物質的、精神的な労苦への慰謝、これも当然考えてもらたい。  もう一つは、台湾漁船による小笠原領域のサンゴ密漁が大変盛んになっておりまして、現地からのなにによりますと連日四十隻から五十隻ぐらい入っている。これは近年沖繩で問題になったのですけれども、どうしたことか、最近はとり尽くしたのか、ずっと小笠原の方へやってきました。サンゴというのは貴重な資源で、一度とりますと再生に約百年かかると言われています。特殊な海洋資源です。私はすでに一月十七日にも対策強化を海上保安庁や外務省に要望いたしまして、一斉検挙なんかやっておられるようでございますけれども、その点では、海上保安庁ではなくて、外交的にはどういう措置をとってこられたかということをお尋ねしたいのです。と申しますのは、追い払いましても向こうが出てくればこれは際限ないのです。向こうが出ていくのをどう防ぐようにしているか、これが一番問題ですから、台湾に対する態度でどういう外交的措置をとられたか。
  91. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 サンゴの採取を目的といたします台湾の漁船による不法操業に対しましては、外務省は、従来より台湾との窓口団体でございます交流協会を通じて台湾側に対し取り締まりを強く申し入れてまいりまして、最近小笠原周辺等の領海において多数の台湾漁船による不法操業が行われましたので、外務省におきましては、海上保安庁と協議の上、去る一月二十五日、改めて交流協会を通じ台湾側に対し厳重に抗議するとともに、適切な措置をとるように要求いたしました。これに対して台湾側は善処を約束いたしております。台湾側は、台湾漁船のかかる行為は恥ずかしいことであり、早速関係機関に対し、今後再びかかることのないよう適切な措置を講ずるよう伝達するということを先方も述べております。
  92. 榊利夫

    榊委員 それはいつの時点ですか。
  93. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 一月二十五日でございます。
  94. 榊利夫

    榊委員 そうするともうそれから一週間以上たっているわけでありますけれども、現地の変化は何か出ているでしょうか。
  95. 木内昭胤

    木内政府委員 その後台湾側は自粛しておるものと了解いたしております。
  96. 榊利夫

    榊委員 ということは、余り出てこなくなったということですか。
  97. 木内昭胤

    木内政府委員 さように期待いたしております。
  98. 榊利夫

    榊委員 つまり期待であって、自粛しているという証拠は何もないわけですな。そうですね。そういう状態ではこれはやっぱり現地の人々も大変不安です。資源という面からも同様重大ですけれども、この問題については、海上保安庁の現地での御努力だけじゃなくて、外交的にもきっちりした対処をやっぱりする、このことをぜひやってもらいたいと思います。遠慮する必要はないので、やはりどこでも正しいことは正しい、間違っているのは間違っていると堂々と言うべきだ、こう思うのであります。あえて一言質問しておきます。
  99. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま申し上げましたようにきちんと対処しております。
  100. 榊利夫

    榊委員 期待ではこれは対処しているということとは違うわけであります。  次に移ります。  国民の安全、人権の問題でありますが、例の宮永元陸将補らの自衛隊スパイ問題、これは、わが国が諸大国の諜報スパイ活動の舞台になっている、こういう現実をまざまざと示しました。私どもはいかなる国の間であれ、国内法に違反する手段の謀略活動そのものに反対であります。やはり明るい日本をつくらなくちゃいけないと思うのです。  そこで一つ質問いたしますが、先日防衛庁はこの席で防衛秘密が七十四万件もあるということを報告されましたが、外務省はどれくらい外交秘密件数があるのでしょうか。どんなことが秘密でしょうか。
  101. 柳谷謙介

    ○柳谷政府委員 件数についてのお尋ねですけれども昭和五十四年暦年については、秘密指定された公信、公電の総数は約九万件でございます。そのうち機密度の高い極秘指定が約一万件でございます。
  102. 榊利夫

    榊委員 九万、極秘が一万で、やはりかなり多いと思うのですね。どんなことが秘密なのかということですけれども、一説によりますと、新聞の切り抜きさえ秘密になっている。つまり、どういう切り抜きをやっている、どういう問題に関心を持っているかということも秘密なんだと言われるくらい、そういうふうに大変秘密事項が多いわけであります。スパイ活動はそれを排除するということと、もう一つ裏側としまして日本国内でそういう問題がある。まさにそういう点では秘密行政と申しますか、そこから職員も国民も秘密でがんじがらめというふうな、そういう状態に置かれていますと機密保護法などの発想も出てきやすいわけであります。私は、そういう点ではいま情報公開法、特別のものを除いては国民の知る権利にこたえて公開するというのが道理だし、また開かれた民主政治の大局的な方向だと考えます。その点いかがお考えでございましょうか。
  103. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 仰せのとおり、国民の知る権利にできるだけこたえていくということでなければならぬと思います。政府の持っている情報、知識というものを、その意味におきまして政府もいろいろな手段を構えて閲覧し、公開いたしておるわけでございますが、なおこれで十分なものかどうか、絶えず検討を加えて、改善すべきものは改善しなければならぬと考えております。
  104. 榊利夫

    榊委員 いまの情報公開法、どうですか。
  105. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 情報公開法の議論がございますことも承知しておるわけでございますが、これには関連して検討しなければならぬもろもろの問題がございますので、直ちに制定をお願いするというようなところまで来ておりませんけれども、まず現在の情報の公開の事実で改善すべきものがあるかないか、ありとすればどういう点かという点をまず詰めることがわれわれの当面の任務じゃないかと考えておりまして、その過程におきまして立法をお願いした方がいいということにたるかならぬか、これは検討を踏まえた上で検討してみなければならぬと思っております。
  106. 榊利夫

    榊委員 金大中事件ですが、一九七三年に御存じのように東京のど真ん中のホテルで起こった金大中さんの拉致事件、これが韓国の在日大使館員を含むKCIAなどいわゆる公権力の介在があり、その犯行であったということはすでに明白になっております。事件発生当時の法務大臣であった田中伊三次さん、田中伊三次法相も認めておられますし、外務省のソウル出張報告もこのことを認めております。にもかかわらず、日韓両国政府で政治決着として、そういう日本を舞台にした謀略活動にふたがかぶせられた、そういうことになっております。こういう問題を国民の前で公明正大に解決する、金大中氏の原状回復をする、そういうことをやらないでどうしてスパイ諜報活動を排除できるか、まず一点、このこと。  それから、その点では捜査が進んでいると思いますが、国民の前に捜査結果を現時点で公表していただきたい。
  107. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの金大中事件につきましては、これまでのわが国捜査結果によれば、韓国によるわが国の主権侵害があったと断定するに至ってないわけでございます。刑事上の捜査は続けておりますが、これ以上の御質問については担当の方からお答え願いたいと思います。
  108. 木内昭胤

    木内政府委員 常識的に申しまして、捜査中の経過についてはこれを外に出さないというのが当然のことと思いますが、これは外務省の域外のことでございますので、そこまでの答弁にとどめさせていただきます。
  109. 榊利夫

    榊委員 じゃ外務省じゃなくて、答弁できるところで答弁してください。国家公安委員長どうですか。
  110. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 政治決着とは別に、この事件は、しばしばお答えいたしておりますように、捜査当局としては今日もなおかつ捜査を継続中でございます。今日までの段階では外国の公権力行使という事実を裏づけるような捜査の結果は得ておりません。今後も引き続いて究明をいたしたい。
  111. 榊利夫

    榊委員 全然違いますよ、外国の公権力が介在しているような事実がないなんて。政府のいままでの態度だって違いますよ。いいですか、田中伊三次さんがこう述べています。事件当日、「法務大臣室に秘書官も通さず政府の高官が入ってきた。その高官は私に近づき、耳もとに口を寄せるようにして、韓国の秘密警察、KCIAですよと言った。」まことにリアルですよ。それから一九七三年十月九日付の外務省のソウル出張報告、これも金大中事件は「朴鐘圭大統領警備室長と李厚洛KCIA部長」、これはこの間アメリカに行ったようでありますけれども、「との連携の形で行われたと見てほぼ間違いない」ことだ、こう述べております。ところが、捜査したけれどもそういうことはない、これではとても国民を納得させるわけにいきません。同じことを聞いても同じ答弁をされると思いますけれども、やはり国民はそのことについて大きな関心を持ち、公明正大な解決を望んでいる。  一昨日総理はこの問題で、政治決着を見直さないというところにアクセントをつけた答弁をされたように思いますけれども、これはやはりおかしいと思います。主権国家であろうとするなら、金大中氏の原状回復に努めるべきだと思います。御答弁をお願いします。
  112. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 韓国側に問題を提起する新しい事実が出てまいっておりませんので、政治決着を見直すというわけにはまいらないことは申し上げたとおりです。
  113. 榊利夫

    榊委員 いろいろ情勢の変化、状況の変化も出ているわけであります。絶対に政治決着を見直さないということはいままでの答弁でもなかったはずであります。その点どうでしょう。
  114. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 公権力が日本の主権を侵したということを裏づけるに足る新しい証拠が出てまいりますならば、これは当然のこととして韓国側に問題を提起することはあるべしということは、政治決着でも双方了解いたしておるわけでございますが、そういう事実が出てこない以上、韓国にこれを持ち出すというわけにまいらぬと考えています。
  115. 榊利夫

    榊委員 出てくれば見直すこともあり得る、こういうわけですね。  原状回復はどうでしょうか、具体的に。
  116. 大平正芳

    大平内閣総理大臣 だから、そういう事実を踏まえなければそれは要求をできる性質のものではないと心得ています。
  117. 榊利夫

    榊委員 つまり、状況の変化の中では見直すこともある、そういうことですね。  それで、最近イギリスで治安当局の国会議員電話盗聴事件、これが発覚をいたしまして政界を揺るがしているようでありますけれども、電信電話会社や公社の業務で知り得た通信の秘密を侵した場合はどういう罪になるでしょうか。
  118. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 通信の秘密の問題につきましては、公衆電気通信法その他電波法、関連の法規があると思います。具体的な事実でどのように判断されるかは、いまお答えできる段階ではございません。
  119. 榊利夫

    榊委員 一番初めに質問いたしましたKDD、これは政官界にわたる汚職等々の問題としていま注目を浴び、またいろいろ調査もやられているわけでありますけれども、なぜそういうふうに金品を政官界に贈ったのだろうかという、このなぜという、どうも余り明快でないわけであります。  そのことと関連するわけでありますけれども、KDDには、だれがだれに、何月何日何時何分に何分間電話したという、そういう記録あるいは数カ月分の国際電報の中身が保存されていると思いますが、そうした記録の管理はきちんとされているでしょうか。
  120. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほど通信の秘密に関する御質問がございましたが、公衆電気通信法第五条におきまして、「公社又は会社」、この場合はKDDを指すわけでございますが、「会社の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。」「公衆電気通信業務に従事する者は、在職中公社又は会社の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。」ということがございます。こういうふうに、通信業者におきましては、通信の秘密の確保ということは基本的な大事なことでございまして、そういう件に関しましては、KDDにおきましてもきちっと処理されているもの、かように考えておるところでございます。
  121. 榊利夫

    榊委員 最初の五分間に通話あるいは通信を傍受する、いろいろな理由でチェックをする、そういうことを含めまして、この記録等々がどんな場合にかだれかに見せることがあるでしょうか、特別の場合に。
  122. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 法律に基づきます正規の手続、たとえば刑事訴訟法などによりまして正規の手続がとられました場合を除きまして、これを見せるということはないものと考えております。
  123. 榊利夫

    榊委員 正規の手続がとられた場合は見せる。それ以外は見せない。  ところで、アメリカのITT、これは国際電信電話会社ですけれども、このITTは国際通信を傍受しましてFBI、米連邦捜査局やNSA、国家安全保障局に情報を提供し、そしてCIA、米中央情報局と組んで南米などでクーデターを起こしてきたということがいろいろ論議を呼んでまいりました。KDDの幹部がそのITTを自分の将来像としていたという証言がいろいろあります。すでに現在でも、「KDDの取り扱う通信のうち、「ある部分」は、間違いなく「ある組織」によって傍受されている。」との見方が出ております。これは一部の週刊誌でもすでに報道されているので見られたことがあると思いますけれども、この点については、郵政大臣はどうお考えでございましょうか。
  124. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘のような記事が週刊誌等に載っておりましたことは承知をいたしておりますが、私の知る限りにおきまして、KDDから公式にも非公式にもさようなことを聞いたことは一切ございません。
  125. 榊利夫

    榊委員 聞いたことはない。しかしこういうことがあるのですね。ニューズウイークの東京支局長バーナード・クリッシャー氏がこう書いております。「KDDを通じて電報を発信し、料金を払った。」それが「ITT、RCA両社が国際通信を細大もらさず傍受し、内容をFBIとCIAにもらしていたことが明るみに出て、両社もその事実を認めている。」そこで損害賠償を求めた、こういうふうに述べておられます。つまりこれは、同じ雑誌に出ている、KDDを通じての国際通信がアメリカの諜報機関に筒抜けになっている、こういうわけですね。これはもう重大な人権問題であります。われわれだって、あるいは政府だって、普通の人だって、しばしば国際通信、KDDを使うわけであります。しかもKDD側は、このクリッシャー氏がこの問題を提起し損害賠償を求めると——損害賠償はアメリカ側にやったのですよ。今度はこちら側のKDDがクリッシャー氏を高級クラブに、赤坂のエル・モロッコとかなんとかいう高級クラブだそうでございますけれども、ロッキード問題のときにもしばしば出てきたクラブですが、そこへ案内するなど、もみ消しを図った。  つまり、この点でお尋ねしたいのですが、KDDの幹部は御存じのようにさっきの問題で警察当局によっていま取り調べ中でございますが、その中で通信の秘密侵害の疑惑は出ていないのでしょうか。
  126. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 KDDの捜査の過程で、通信の秘密の問題に関する事項云々につきましては報告を受けておりません。また、捜査の内容にもかかることでございますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  127. 榊利夫

    榊委員 現段階は出ていない。だけれども、こういうふうに世上もうすでに活字にもなりまして報道され、多くの疑惑を国民が持っている。通信の秘密の侵害じゃないか、しかもいろいろな関連状況もある、そういう疑惑が出ているわけでありますから、当然やはりそこに目を向けて、そういうことがあるならばこれはどうしてもなくさなければいけません。もうこれっぽっちでもそういう状況があるならば、これはなくさなくてはいけません。やはり政府は、KDDの通信傍受、盗聴にこれほど疑惑が出されているわけでありますから、むしろそのことについて、なぜ調査しないんだろうかという逆の疑問も出てまいります。その点、どうでしょうか。
  128. 塩飽得郎

    ○塩飽政府委員 具体的な容疑が出てまいりました段階で判断をいたします。ただいまのお話は参考にさせていただきます。
  129. 榊利夫

    榊委員 参考にする、こういうことでございますが、つまりKDD問題、政官界への贈収賄ですね、なぜという点、むしろこういういわばKDDのITT化、これをねらって一つの情報機関的な作用をしていく、こういうことをねらっていろいろ動いていたんじゃないかというのがこの疑問なんですね。したがいまして、そういう疑惑が出されている、やはり参考以上にして、調べるところは調べる、こういうふうにやってもらいたい、こう思うわけであります。  と申しますのは、保田参与自殺といい、あるいはそれまでの経過を見ましても、このままいったらどうなるだろうか、三人目、四人目の犠牲者も出かねない、やはりと、こういう心配、疑問がある。それが実際でございますので、やはり冷厳にこの問題に対処していただきたい。  そろそろ時間が参りつつありますので、あえて、先ほど質問しまして的確な回答がなかったので、もう一度繰り返して質問いたしますが、捜査事件核心である政官界工作実態解明にまでいま踏み込んでいるんでしょうか、どうなんでしょうか。政官界工作実態解明、ここに踏み込んでいるのでしょうか。
  130. 中平和水

    中平政府委員 現在、真相解明に向かって鋭意捜査中でございます。
  131. 榊利夫

    榊委員 鋭意捜査中、やはり核心まで進んでもらいたいと思います。途中で投げ出すようなことじゃなくて、それで、しかも今度の保田さんの自殺に関連していろいろ遺書等々もありまして、中心人物、全部を知る佐藤社長室長板野社長、このあたりに大きな問題があるということが述べられておりますけれども、こういう点での全部を知る人々へのこの捜査に関して今後どう臨むつもりかも一言聞かしていただきたいと思います。
  132. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 大変世間の注目を集めておる事件でございますから、警察としては全力を挙げて真相の究明に当たるという報告を聞いております。
  133. 榊利夫

    榊委員 最後に一言、もう三十秒でございますので……。  現在一部には、自衛隊スパイ事件を口実にして機密保護法をつくれとか、あるいは有事立法と言って危険な声もあります。これはやはり軍事機密を理由にして、あるいはいろいろな秘密を理由にして国民の言動、報道を規制する、統制する、処罰する、こういうファッショ的な立法になるものでありまして、私たちはどういう場合にも憲法と民主主義、人権を守る、いかなることがあっても憲法の規定する国民の自由と人権を侵害から守っていく、こういうことをやはり努力しなくちゃいけない。いかなる場合でもそうです。そのことを強調して質問を終わりたいと思います。(拍手)
  134. 田村元

    田村委員長 これにて榊君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕