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1980-02-06 第91回国会 衆議院 予算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月六日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事小此木彦三郎君 理事 瓦   力君    理事小宮山重四郎君 理事 村田敬次郎君    理事 渡辺美智雄君 理事 大出  俊君    理事 川俣健二郎君 理事 二見 伸明君    理事 寺前  巖君 理事 小沢 貞孝君      稻村左近四郎君    越智 伊平君       奥野 誠亮君    海部 俊樹君       金子 一平君    北川 石松君       北口  博君    倉成  正君       小山 長規君    始関 伊平君       塩崎  潤君    澁谷 直藏君       田中 龍夫君    根本龍太郎君       橋本龍太郎君    福家 俊一君       藤尾 正行君    藤田 義光君       松澤 雄藏君    村山 達雄君       粟山  明君    阿部 助哉君       稲葉 誠一君    大原  亨君       川崎 寛治君    兒玉 末男君       野坂 浩賢君    八木  昇君       安井 吉典君    横路 孝弘君       岡本 富夫君    草川 昭三君       坂井 弘一君    正木 良明君       岩佐 恵美君    柴田 睦夫君       則武 真一君    三浦  久君       四ツ谷光子君    大内 啓伍君       岡田 正勝君    中野 寛成君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         法 務 大 臣 倉石 忠雄君         外 務 大 臣 大来佐武郎君         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 谷垣 專一君         厚 生 大 臣 野呂 恭一君         農林水産大臣  武藤 嘉文君         通商産業大臣  佐々木義武君         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君         郵 政 大 臣 大西 正男君         労 働 大 臣 藤波 孝生君         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       後藤田正晴君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)伊東 正義君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)         (沖繩開発庁長         官)      小渕 恵三君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      宇野 宗佑君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 細田 吉藏君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         内閣法制局長官 角田禮次郎君         内閣法制局第一         部長      味村  治君         国防会議事務局         長       伊藤 圭一君         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         総理府人事局長 亀谷 禮次君         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         警察庁刑事局長 中平 和水君         警察庁交通局長 杉原  正君         行政管理庁行政         管理局長    加地 夏雄君         行政管理庁行政         監察局長    佐倉  尚君         防衛庁参事官  岡崎 久彦君         防衛庁参事官  佐々 淳行君         防衛庁参事官  多田 欣二君         防衛庁参事官  番匠 敦彦君         防衛庁長官官房         長       塩田  章君         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁衛生局長 野津  聖君         防衛施設庁長官 玉木 清司君         防衛施設庁施設         部長      森山  武君         防衛施設庁労務         部長      伊藤 参午君         経済企画庁調整         局長      井川  博君         経済企画庁物価         局長      藤井 直樹君         経済企画庁総合         計画局長    白井 和徳君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省中南米局         長       大鷹  正君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省経済局長 手島れい志君         外務省経済協力         局長      梁井 新一君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省情報文化         局長      天羽 民雄君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       名本 公洲君         大蔵省主計局長 田中  敬君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         国税庁長官   磯邊 律男君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省体育局長 柳川 覺治君         厚生省薬務局長 山崎  圭君         厚生省保険局長 石野 清治君         厚生省年金局長 木暮 保成君         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産大臣官         房予算課長   田中 宏尚君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省食品         流通局長    森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   松本 作衞君         水産庁長官   今村 宣夫君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省通商         政策局長    藤原 一郎君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省基礎         産業局長    大永 勇作君         通商産業省機械         情報産業局長  栗原 昭平君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         中小企業庁長官 左近友三郎君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸省船員局長 山元伊佐久君         運輸省鉄道監督         局長      山地  進君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 石月 昭二君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省航空局長 松本  操君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省簡易保険         局長      浅尾  宏君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 林  乙也君         郵政省経理局長 守住 有信君         労働大臣官房長 谷口 隆志君         労働省労働基準         局長      吉本  実君         労働省職業安定         局長      関  英夫君         建設省道路局長 山根  孟君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第二局長  藤井健太郎君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         予算委員会調査         室長      三樹 秀夫君     ————————————— 委員異動 二月六日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     北口  博君   江崎 真澄君     越智 伊平君   澁谷 直藏君     北川 石松君   福家 俊一君     粟山  明君   工藤  晃君     三浦  久君   則武 真一君     松本 善明君   藤原ひろ子君     岩佐 恵美君 同日  辞任         補欠選任   越智 伊平君     江崎 真澄君   北川 石松君     澁谷 直藏君   北口  博君     荒舩清十郎君   粟山  明君     福家 俊一君   岩佐 恵美君     柴田 睦夫君   三浦  久君     四ツ谷光子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和五十五年度一般会計予算  昭和五十五年度特別会計予算  昭和五十五年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和五十五年度一般会計予算昭和五十五年度特別会計予算及び昭和五十五年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最初に、防衛庁長官お尋ねします。  最近、極東におけるソ連軍軍備強化等と相まって、外洋進出わが国周辺における活動も、ソ連艦艇等が大変活発になったようであります。  そこでお尋ねをいたしますが、わが対馬海峡津軽海峡宗谷海峡等ソ連艦艇がどんなぐあいに通峡をしておるだろうか、現状お尋ねいたしたいと思います。
  4. 細田吉藏

    細田国務大臣 具体的な問題でございますので、政府委員から答弁をさしていただきたいと思います。
  5. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 お答え申し上げます。  自衛隊は、御質問対馬津軽宗谷の三海峡におきまして、沿岸水域、水路などの安全に必要な情報を収集しておりますが、情報の収集に当たりましては、天候の状況あるいは使用機材の機能などによりまして制約を受けております。したがって、海峡を通ります船舶の種類、国籍等、必ずしもすべて確認できない場合がございます。  このような状況のもとにおきまして、海上自衛隊が確認しましたソ連艦艇、これは浮上して通過する潜水艦を含みますが、ソ連艦艇の三海峡におきます通峡の隻数は、過去五年間の平均で年間約三百二十隻程度でございます。その内訳は、対馬海峡約百四十隻、津軽海峡約五十隻、宗谷海峡約百三十隻でございます。
  6. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それを過去の何年平均ということでなくて、最近の資料と三、四年前の資料との対比、それはできませんか。  それが一点と、いまの通峡する艦艇について潜水艦はキャッチできているだろうか、その点。
  7. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 これは五年間の平均ではなくて、毎年別の数字をという御質問でございますけれども一つは、先ほど申し上げましたように、必ずしも確認できない場合が非常に多うございまして、それからまた、機材あるいは監視状況等も変わっておりますので、過去の数字といまの数字を比べることが果たしてどのくらい意味があるか、非常にむずかしい問題がございますので、従来とも——従来と申しますよりも前例によりまして、大体五年間の平均ということで勘定しております。  それから、潜没航行した潜水艦につきましては、公表しないことになっております。
  8. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは長官お尋ねしますが、いずれにいたしましても、ソ連の最近の艦艇の動き、三海峡で大変頻繁に激しくなってきていると思うのです。これらのソ連艦艇の意図、動向、どういう含みがあるだろうか、そういう点につきまして、長官お尋ねをしたいと思うのです。
  9. 岡崎久彦

    岡崎政府委員 技術的な問題でございますので、政府委員からまず答弁させていただきます。  ソ連艦隊通峡目的は、一つ外洋における演習、それから観測、それから訓練のための航行等が平常時において考えられます。しかし、昨年におきましては中越戦争がございまして、ソ連艦艇対馬海峡を通過しての中越方面への出動がかなり増加しております。また、インド洋方面におきましても、これは従来ともでございますけれども、最近特にインド洋の往復が激しくなっております。
  10. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最近、これは公明党さんの矢野質問にも出ておりましたが、アメリカの第七艦隊等インド洋ペルシャ湾等出動している等等アメリカ側要請では日本海上封鎖をせよというふうな協力を求めるような国防会議の報告であります。  そこで、私はお尋ねする前に、宗谷津軽対馬の三海峡について、言葉意味ですが、新聞等には海上封鎖、あるいはこの間のアメリカの下院だか何かのあれを翻訳すると、この間の政府答弁ではないが、シーコントロール、これは一種制海権、選別して通航はできるようなぐあいにするというシーコントロール制海権、それから防衛庁等で専門的に言っているかどうか知りませんが通航阻止、この三つについて戦時国際法あるいは国際法あるいは国内法上何らかの区別があるか、技術的に何か違いがあるか、まずそれを事務当局からお尋ねをしたいと思うのです。
  11. 原徹

    原政府委員 いまのお尋ねでございますが、シーコントロールというのは一種制海でございます。それから、閉鎖とか通峡阻止とかいうことでございますけれども言葉の普通の意味として、閉鎖阻止というのは完全に閉ざすことでございますが、仮にそういう閉鎖ということをいたしましても、いまの通常の場合は少しのルートをあけておく、第三国あるいは自分の国の船がやはり通らなければならないということもございますからルートをあけておくというのが普通の対応であろうと思います。したがって、通峡阻止というのは、言葉といたしまして、要するに仮にわが国に対する侵略があったとした場合に、その侵略国艦船を通さないという意味でございまして、それが目的なんでございますから、そのために完全に閉ざしてしまう必要は必ずしもないわけでございます。それだけの差があるかと存じます。
  12. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この間の公明党矢野書記長質問に、政府は必ずしも十分な答弁をしておらなかったようですが、アメリカの第七艦隊インド洋中近東に、わが国海上輸送、こういうような防衛も含めて出動をするというような場合、アメリカから要請があっても、先ほど申し上げた封鎖あるいは制海権の制圧あるいは通航阻止、こういうようなことはできない、日本としてはできません、やらないということですか、明確に御答弁をお伺いしたいと思います。
  13. 原徹

    原政府委員 自衛隊任務は、もちろんわが国を守ることで、それ以外のことは考えておりませんから、わが国に対する攻撃があり、わが国艦船太平洋等でどんどん沈められるという状況下におきましては、わが国はそれに対して自衛権の発動で対処する。その際、海上自衛隊は、その三海峡を含む周辺海域におきまして行動するわけで、その際には、いわゆる海峡におきまして作戦をするということは当然考えられるわけでございますが、それ以外のことは自衛隊任務の外でございますから、そういうことはやらないわけでございます。
  14. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは政治的なことだから長官お尋ねしますが、たとえば石油の輸送等、もう日本の死命にかかわるような大問題がだんだん緊迫して起こってきたといたします。そういうときに、わが国自衛隊は出ません、アメリカの第七艦隊等によってその航路を守ってもらわなければならないという要請は当然あるのではなかろうか。こういう場合に、しからばアメリカ日本に向かって三海峡封鎖してほしい、あるいはコントロールしてほしい、こういう要請があった場合にもやらないか、できないかと、こうお尋ねしているわけです。
  15. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答えいたします。わが国に対しまする攻撃というようなことがない限りは、海峡封鎖は、アメリカ要請があるというだけではこれはできない、かように私ども解釈をいたしておる次第でございます。
  16. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、さらに突っ込んでお尋ねいたします。日本海上輸送等アメリカ第七艦隊等にゆだねておって、そういうときでも、アメリカ要請があっても日本は三海峡封鎖はやらない、こういう御答弁のようですが、しからばアメリカ自体がもう三海峡封鎖する、こういう場合には日本は一体どういう対応をいたしますか。先般の矢野質問への御答弁では、国際海峡になるであろう、それで三海峡領海を十二海里ではなくて、特定水域として公海部分を残してあると言うが、アメリカが独自の戦略的な目的から封鎖をする場合に、この公海部分しかアメリカ封鎖阻止、コントロール、こういうことはできないだろうか、三海里の日本領海についてはどういうことになるだろうか、御答弁願います。
  17. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。御質問は、わが国武力攻撃を受けてないような場合におきまして、アメリカが独自に三海峡封鎖をするというようなことはどうかという御質問だと心得るわけでございますが、具体的にどういう状況のもとで御設問のようなことが起こり得るかは全くわからないわけでございますけれども、仮に米国実力行使して三海峡封鎖を行うというようなことが米国自衛権行使範囲内に入ると観念し得るような場合があったといたしましても、そのような行動わが国領域において行われる場合について申しますれば、三海峡海域わが国領域におけるこのような行動が、この領域に対しましてわが国の有している主権を侵害することなく行われることはあり得ない。したがいまして、わが国の同意なしに米国がそのような行動を独自にとり得るということは考えられないわけでございます。また、三海峡海域公海でとられる封鎖行動というものがどういうものであるかと申しますと、実力行使して三海峡封鎖するという事態わが国安全保障にきわめて重大な影響を与えることとなりますので、こういう場合におきましては米国自衛権範囲内でとる行動でございましても、わが国としてもその影響を当然に受忍すべきであるものだということは言えないと思います。いずれにいたしましても、安全保障条約を締結してわが国と緊密な協力関係にございますアメリカが、わが国の意向を無視して三海峡封鎖というような行動をとることは考えられないというお答えになると思います。
  18. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この国際水域特定水域で、真ん中の細いところだけがずっと公海になっていて、三海里だけはわが国領海なんです。いまの御答弁は、そのわが国領海には手がつけられないが、その真ん中公海だけは封鎖できると、こういうような理解の仕方、それから、わが国の了解なしにはこういうことは全然できない。わが国はその場合どうするか。状況が緊迫しているわけですよ。第七艦隊によってわが海上輸送を守ってもらわなければならないという緊迫な情勢下にあってと、こう私は言っているわけです。どうですか。
  19. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。ただいまのような御設問の場合に、やはりアメリカ実力行使して三海峡封鎖というような行動をとるのはアメリカ自衛権行使としてでございます。ただ、具体的にどういう行動をとるかということにつきましては、やはりそのときにアメリカの置かれた状態アメリカに対する攻撃の態様、事態のいかんにかかわっているわけでございまして、どうもあらかじめ仮定の事態を抽象的に設定して論じることはちょっとむずかしいことでございます。いずれにいたしましても、わが国の施政のもとにある領域において武力攻撃があった場合には、安保条約の第五条に基づきまして日米で共同して対処するということになろうかと思います。
  20. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあ、大変抽象的なことで状況判断がいろいろ異なると思いますから、これ以上深追いをいたしません。しからば、実際日本封鎖を行うという場合に、即応態勢はできておるであろうか。きのうの社会党の大出質問にあるように、魚雷機雷は電池や爆薬や魚雷ホーミング追跡装置など組み立てて現地に運ぶというのに、大げさに言うならば半年もかかる、こういうような状況において、わが国が実際緊急な場合に封鎖なり阻止なり、そういうことができるであろうか。アメリカはここに要請をすると言っているんだけれども、きのうの大出質問のように、もう全然その対応能力がないじゃないか、こういうように言われているが、そのとおりであろうか。聞くところによると、ウラジオから宗谷海峡まで五百マイル、津軽海峡まで四百マイル、対馬海峡まで五百四十マイル、十五マイルの速度で来て宗谷までは三十三時間、津軽まで二十七時間、対馬まで三十六時間、もうちょっとスピードアップすれば約一昼夜で来るわけです。ところが実際はできない、こういうような答弁なんですが、防衛庁長官どうですか。
  21. 細田吉藏

    細田国務大臣 技術的な点を含んでおりますので、防衛局長から一応答弁させていただきます。
  22. 原徹

    原政府委員 いま現在ということですぐそういう能力があるかという点でございますれば、残念ながらそういう能力は十分できておりません。と申しますのは、要するに御指摘のように機雷とか、この場合は機雷ということになるわけでございますが、その機雷について十分即応性のあるような状態になっておらないということがございます。したがいまして、五十五年度から、そういうことではいけないということで、そういうものを即応性のあるようにしていこうということでございます。自衛隊全体についてこれは言えることでございまして、そういうことが質的改善の中に入ってくるわけで、私どもはぜひその防衛計画の大綱の範囲内で質的改善を高めたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 アメリカから報道にあるような三海峡封鎖ということは、実際において日本では現状においては対応ができぬ、五十五年度から極力対応できるような態勢を整えよう、こういう結論のようでありますから、私はこれ以上深追いをいたしません。次に、防衛出動奇襲等があった場合に実際に防衛出動までどのくらいの時間がかかるであろうか、これを具体的にお尋ねをいたしたいと思うわけであります。自衛隊法七十六条、出動命令が発せられるまでに、たとえば奇襲が北海道の稚内にあったといたします。そこの現地部隊は、旭川の第二師団に報告をして、旭川の第二師団は札幌の北部方面隊に報告をして、それから陸幕長に報告をして、それから新防衛庁長官に報告をして、それから総理のところへ報告が来る。これは情報が総理まで伝わってくるのに少なくともそれだけの経路は必ず経てくるであろう、こう思います。その場合に、今度は総理は国防会議事務局長に命じて国防会議を招集する。その諮問を経て閣議、それから国会の承認を得て、いよいよいまの経路を経て防衛庁長官、陸幕長、北部方面隊司令、それから第二師団長、現地部隊、こういうように行くわけで、私たち常識的に考えると、これは幾ら何でも二日、三日かかってしまいそうな、国会が召集されておってもかかるような気がいたします。これは国会にかけないでやることができるように法はできておりますけれども、どのくらい時間がかかるでしょう。
  24. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。いろいろな場合が想定できるわけでございますから、一律にこれがどれぐらいな時間ということは、いろいろな想定によりまして違ってまいりますので必ずしも申し上げることができないと思いますけれども、大体数時間という範囲内でこれはやれるのではないかと私ども思っておりますが、ただ国会にかけるとかなんとかということになりますと、またこれはいろいろな問題がございます。しかし、ただいまおっしゃったような、これは例外もございます。したがいまして、また閣議の問題、国防会議の問題等の時間もございますけれども、情勢が緊迫している場合には、最短時間でこういうものはやっていただかなければなりません。また国会も開かれておれば、これも最短時間でということでございます。非常に長い時間かかつてはいけませんので、これをなるべく短い時間でやらなければならぬということでございます。なお、詳細な点につきましては、いろいろな状況によりまして政府委員の方でいろいろ検討をいたしておりますので、お答えをいたしたいと思います。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっとよく聞こえなんだが、数時間ですか。
  26. 細田吉藏

    細田国務大臣 一応、数時間という程度でわれわれの部内の態勢はできるようにいたしたいということで進めておるわけでございます。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと法制局長官おりますか。——国会の開会されていないときは、自衛隊法七十六条の「内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下本項及び次項において同じ。)を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。」こう七十六条は規定されております。国会が召集されているときにはこれはどうしてもかけねばならない問題だと私は理解するが、そういう理解の仕方でいいですか。
  28. 角田禮次郎

    ○角田政府委員 ただいま御指摘の七十六条でございますけれども、これは条文そのとおりに読みますと、国会が開かれているときであっても「特に緊急の必要がある」という要件が満たされる場合には国会の承認は得なくてもいいというふうに解釈されます。ただ、現実に国会が開かれている場合は比較的早く、すぐ議決を得ることができるでありましょうから「特に緊急の必要がある場合」という要件が満たされることは比較的少ないと思います。しかし、解釈としては、国会の開会、閉会にかかわらず、この法律上の要件を満たす限りは可能でございます。
  29. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 伊藤国防会議事務局長さんいらっしゃいますか。——国防会議を開催して、総理が議長になって国防会議に諮らなければならないことになっておるが、これは一体国防会議を開くのにどのくらい時間がかかるでしょう。
  30. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 これは非常に緊急を要する場合には、直ちに国防会議の議員の御出席をお願いして国防会議を開くことは可能だと考えております。
  31. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その場合に、防衛庁長官、それから外務大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官、総理のほかその四人が構成要員ですね。欠員がある場合にはどうしますか。
  32. 伊藤圭一

    伊藤(圭)政府委員 法律では、会議の議事の運営につきましては議長が国防会議の意思を聞いて決めるということになっておりまして、第一回の国防会議におきましてこの運営の仕方につきまして合意されております。これによりますと、国防会議の議員の半数以上の出席があった場合に全会一致で意思を決定するということになっておりますので、半数以上の参集があれば国防会議は成立することになっております。
  33. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは官房長官お尋ねをした方がいいでしょうか。国防会議の議を経て、いよいよ総理が出動命令を出すときには、当然閣議にかけなければならない。これは閣議に諮らずして総理は命令を出せるか、当然に閣議に諮らなければならない、こういうことになろうと思います。どうでしょう。
  34. 角田禮次郎

    ○角田政府委員 法律的な側面がございますので、私からお答えさしていただきます。国防会議に諮った後で、いよいよ防衛出動命令をするといいますか、発動するという場合に、総理大臣が閣議にかけるという御質問だと思いますが、それは当然閣議にかけるべきものだと思います。
  35. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いろいろ事務的な手続が要るわけであります。国防会議を招集をして決議があったときのことも聞きました。あるいは閣議に諮るという手続が必要だということをお聞きいたしましたが、これで一体、数時間で間に合うだろうか。防衛庁長官、間に合いますか。それから、数時間かかっておれば、いまの奇襲に遭ってはもう事が終わってしまうのではないか、こういうようにわれわれは判断するわけです。私は、国防会議を招集し、閣議を招集し、そして数時間では、とうてい現地まで防衛出動命令が届かぬと思うのです。たとえ数時間で届いたにしても、奇襲の場合には事が終わってしまうと思う。どうでしょう、防衛庁長官の判断は。
  36. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げます。数時間以内と申し上げましたのは、いろいろな条件が備わってのことでございますので、行政府限り、つまり防衛庁の範囲内においては、これは数時間で情報が来、そして出せるというふうに思っておりますが、国防会議や閣議がおくれたり、あるいは国会の承認の時間がかかるということは、そのときの情勢で、これは早くお願いしなければならぬわけですが、それは幾らかかるだろうかというのは、どうも私どもはお願いする側でございますので、申し上げることはできません。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この数時間という時間内においては、もう事が奇襲をされたときには決まってしまうと思う。事が決まってしまう。そこが問題なのです。その間自衛隊は何をしておるかというのはずいぶん論議されましたから、正当防衛で個々でやったってだめだとか、あるいは降服もできないとか、あるいはまた逃げてしまうこともできないとか、その数時間の間どうやったらいいかということについては、その専門屋さん、制服組、統幕議長等とは打ち合わせをその後してあるか。数時間の空白の時間はどうするのか、そこを明確に御答弁いただきたい。
  38. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 事務的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。  この奇襲の問題は、御承知のように一昨年の九月二十一日統一見解以来、鋭意部内において検討いたしておるところでございます。ただいま御指摘のように、日本国の自衛隊法によりますと、七十六条、シビリアンコントロールの原則によりまして、総理大臣の防衛出動命令があるまでは八十八条の武力の行使はできません。しかしながら、ただいま御指摘のように、それまでの間ただ座して死を待つ、命令が来るまでは何もしないということで自衛隊がいいのだろうか。あるいは逃げろとか、あるいは降服しろとか、こういうようなことは論外でございます。自衛隊はそういうときに日本国民を守るために戦う組織でございますので、この間には何かがあるはずである。また、個人の正当防衛の問題、確かに、これも議論が混乱をいたしましたが、国民は一人一人、人間はすべて正当防衛の権利を持っておりますけれども自衛隊行動というのは、これは決して個人の正当防衛ではございません。組織として、部隊行動対応すべきでございますので、この諸原則を踏まえて、現行の法令において何をなすべきか、また、何ができるかということを鋭意検討をしておるところでございます。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その問題については後でさらに質問をいたしますが、領空侵犯の際には、昨年の三月の予算委員会でわが党の吉田委員から質問がありまして、領空侵犯の場合は、防衛庁設置法第五条第十八号で、「領空侵犯に対する措置を講ずること。」こういう条文及び自衛隊法第八十四条で、侵犯機が当方の指示に従わず実力で抵抗してきたときには、必要な措置としてわが方も武器の使用が認められる。こういうところまで去年の予算委員会は行ったと思います。このとおりで間違いないと思いますが、しからば、その領空侵犯が多数機で——一機、二機ならいい。多数機で来た場合に、当方も、こちらも領空侵犯ということで多数機で——これは業務命令であります。業務命令で武器を使用をして、わが国の指揮官が命令をして、実質的に交戦となってしまった。その場合には、これは自衛隊法百十九条第八号、正当な権限が与えられず自衛隊の部隊を指揮した者は、三年以下の懲役、禁錮に処する、こういうことに該当してしまうのか、一体どういうことになるか。あくまでそれは警備行動としての範囲の中だけで実際の交戦が行われた、こういうことになるのか、その辺の法的なことはどうでしょう。
  40. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  領空侵犯時における措置は、ただいま御指摘のとおり、根拠法規は自衛隊法八十四条の領空侵犯措置、必要な措置の一環として武器使用ができるという統一見解をお示しいたしましたことは御指摘のとおりでございます。それでは、一機、二機ではなくて多数機が来た場合どうなるか。これにつきましては、その複数機が領空侵犯を行ったときの状況にもよろうかと思いますけれども、その侵犯が領空侵犯なのかあるいは武力侵攻の始まりなのかまだ判断がつかない段階においては、当然、八十四条が平時における警戒行動の、いわゆる警察行動としての権限として機能するだろうと思います。その結果、それが武力侵攻であれば、当然相手方は撃ってくるわけでございますから、撃ってくれば、八十四条に基づく武器使用ということはあり得ると思います。その場合、御指摘のような指揮官の命令なくして行動をとったという責任問題というのはないであろう。当然これは業務の範囲内で行動しておるものでございますので、そういう問題はないであろう。  問題は、今度は百機、二百機という単位であったという場合、これは領空侵犯なのかどうかと申しますと、やはりこれは武力侵攻であろう。明らかに七十六条の総理大臣の命令を待って八十八条をもって対抗すべきものと考えております。
  41. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 だから、一機、数機の場合には領空侵犯として対抗できるが、多数機が来たときにはこれは何もすることができない、こういうのが現実でしょう。いいですか、長官。何もすることができないわけです。数時間かかるまでには、多数機が五十機、百機来た場合には、何もしないで逃げてしまうわけにもいかぬ、どうするわけにもいかぬ時間が数時間かかるわけですよ。そのときにどうしたらいいかとお尋ねをしているわけです。
  42. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答えいたします。  ただいま政府委員からお答えいたしましたが、第一次的には領空侵犯ということで対応できるということだと思います。しかしながら、ただいまもお答え申し上げたように、これは本格的な攻撃であるという場合にはどうするか、こういうお尋ねだと思うのでございます。  そこで、やはり依然としていわゆる奇襲対処の問題というものはお説のとおり大きく残ってまいるわけでございます。そこで、私どもいまいろいろ研究をし、いろいろ真剣に取り組んでまいっておりますことは、一方でシビリアンコントロール、文民統制。いわゆる出動については、先ほど来御議論がございまするように、内閣総理大臣が命令を下す。国会——緊急な場合は事後でございますけれども、国会の承認が要る。国防会議はもとよりですし、そういうシビリアンコントロールが一応ございますので、超法規的といいましょうか、緊急なそれなくして出動する、出動に相当するような行為をするということについては、現在の状況ではこれはできないたてまえになっております。  そこで、この時間的なものをどうして短くできるのか。通信網もずいぶん違ってまいっておりますし、どこまで徹底的に短縮できるのか。どうして対応できるのか。われわれとしては、あくまでも日本防衛のたてまえからしてシビリアンコントロールというのを最大限に維持したいということでございます。  それでもなおかつ、絶対にそういうもので間に合わないものが残るのではないのか。その場合には座して待つのか、逃げるのか、どうするのだ、そんなばかなことはできぬじゃないかという問題でございますので、これらの点につきましては、いろいろ詰めてみまして、それからできるだけのことを、たとえば通信網の整備その他やらなければいかぬと思います。そういうことをやりまして、なおかつ残った問題についてどうするかということについて最終的な結論までまだ到達しておらないという点については、申しわけございませんが、鋭意検討をいたしておる、かようなことでございます。
  43. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 防衛庁長官のはどうも答弁にならぬ。早くいって数時間もかかると言う。奇襲のような状態で多数機が侵攻してきたときには対応のしようがないわけです。時間は数時間かかるわけです。戦争は終わっちゃうわけです。だから、そういうことをおもんぱかって、防衛庁は昭和五十三年九月二十一日に見解を出したわけです。なるべく戦争が起こらぬような状態にした方がいいとか、それはいろいろあるけれども、最後は、いま私が言うような問題について、「文民統制の原則と組織行動を本旨とする自衛隊の特性等を踏まえて、法的側面を含め、慎重に検討することとしたい。」ということで、いまの防衛庁長官答弁と同じことが昭和五十三年九月二十一日に出されているわけで、もう一年半も二年もたつわけです。そこで、その間一体何をしておったか。一つは、奇襲の態様等がどういうものがあるか、あるいは現在の法律で不備があるか、どういうことができるか、外国の法制は調べてみているとか、事務当局からそういうことをお聞きいたしました。こんなことを言っては申しわけないが、ばかな考え休むに似たりで、これは何年たってもできないことだと思うのですが、いま具体的にどういう研究をやっていますか。事務当局でいい。
  44. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  一昨年の統一見解で行いました研究は、ただいま御指摘のように外国法制の研究でございます。ところが、外国の場合には、いわゆる一元論、国際法上の自衛権、当然、武力侵攻があれば直ちに自衛権行使するということで、必ずしも法律に一々定めてございません。わが国は、御承知のように二元論、国際法上当然個別的な自衛権は認められておるわけでございますけれども、その法的な根拠を国内法規に求めるという姿勢でございますので、この法的根拠について、現在の法律の解釈、運用でできる部分がどういうものであるか、これを勉強いたしたところでございます。  また、法的な解釈の問題として一つ前進をいたしましたのが、ただいま先生御指摘の昨年三月六日当衆議院予算委員会におきまするところの領空侵犯措置の統一見解でございます。これも従来の基本的な姿勢とそう変わっておらぬわけですけれども、根拠法規が八十四条であり、その職務執行の法的根拠は、個人の正当防衛、すなわち刑法の三十六条あるいは緊急避難の三十七条ではない、こういうことを明らかにしたという前進がございます。  また、運用の面で——確かに法制の面では先生御指摘のようにおしかりを受けるのももっとものような状況でございますけれども自衛隊法発足以来二十五年間、その大部分を憲法論争に忙殺をされてまいりました。この実体法であるところの自衛隊法の議論が始まりましてから一年四カ月でございます。自衛隊法を真剣に勉強し直す段階になりましてから、前向きで本気でやっておるわけでございますけれども、なお時間をもう少しいただきたいと考えております。しかし、運用の面——法律を改正したところで、現実に防衛マイクロ回線もいまは市谷から三沢までしかないわけでございます。五十五年度もう少し延びますけれども、北海道に現実つながっておらない。E2C、早期警戒体制、これも何とかお願いをしたいということで、ようやく四機お認めをいただいた。そういう警戒、情報体制を強化することによって奇襲対処能力を高めようという運用面の努力は、抗たん性を高めること、あるいはそういう中央指揮所を設置すること等も含めまして、鋭意努力をして進めておるところでございます。  法的な側面の検討につきましては、いましばらく時間をいただきたいと存じます。
  45. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは総理にお尋ねします。ようやく自衛隊法に基づいて、一年四カ月たったばかりだ。それで、その中でやれたことは、領空侵犯に対し、向こうがこちらの誘導に従わない、抵抗してきたときには武器の使用ができる、その一点だけです。いまの答弁からいってそれだけです。総理が防衛出動命令を出すのに数時間かかるときには、いま私が申し上げたように、もう戦争は終わっちゃっているわけだ。だから、奇襲に対しては真剣に——一年間二兆二千億も防衛費を使っているわけですよ。それで、いまの戦争の態様というのは奇襲以外にはないわけです。防衛白書にもそう書いてある。小規模な奇襲に対処することを主な目標とすると書いてある。その根本ができていなければ、これは二兆二千億も年間防衛費を使って一体何をしているか、こういうことになるわけです。この法的整備の促進について、総理、どういうお考えでしょう。
  46. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 いま指摘されたような事態に対してどのように有効に対応していくかという場合、事実問題と法制問題とあるわけでございますが、事実問題といたしましては、いろいろ探知能力、抑止力が緊張した姿において働く状態を保障していかなければならぬわけでございますし、その背後には活発な外交努力がなければならぬことはもとよりでございます。  法制的な面におきましては、現行法を整備すること、つまりいまの自衛隊法のもとにおきまして、政令等を整備していくことによって事足りるのか、新たな立法が必要なのか、そのあたりは私もよく存じませんが、そういった法的側面も含めて、鋭意防衛庁部内におきまして検討をいたしておるところでございますので、時間を多少かしていただきたいといまお願いをいたしておるのはそういうところであろうと思うのでございますが、できるだけ早く研究を進めるよう、促進してまいるつもりでございます。
  47. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間の関係で、さらに突っ込んでお尋ねしたい点もありますが、一応、この体制、法的対応の仕方、あるいは新しく立法しなければならないことはする、速やかにひとつ総理から、格段の促進をさしていただきたいと思います。  それでは私、次の行政改革についてお尋ねをいたします。  わが党からは、第一次行政改革案、第二次行政改革案等を提示して、積極的に取り組むように主張をし続けておりますが、私がこれからお尋ねをすることは、わが党の第一次、第二次案にも十分でなかった——これからは私見ですが、第三次案までつくりたいような気持ちでおるわけです。それと関連をして、まず、三公社あるいは現業、こういうところにまだ改革をしなければならない余地が多分にあるわけであります。その一部についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、国鉄総裁、運輸大臣にお尋ねをいたします。  たびたび国鉄は再建計画を立てては流れ、再建計画を立ててはだめになり、こういうことですが、昨年の暮れの閣議決定までこぎつけてきたところの、昭和六十年度までに大変な犠牲を覚悟の上でローカル線は切ってしまうとか、あるいは債務はたな上げにするとか、あるいは運賃を値上げするとか、大変大がかりな再建計画であります。これについてきわめて簡単に要点だけを御説明いただきたい。それから、法案はいつごろ出そうとしているか、その時期を含めて要点を簡単に説明をしていただきたい。
  48. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 お答え申し上げます。  国鉄の再建対策については、昨年十二月「日本国有鉄道の再建について」の閣議了解を行ったところでありますが、この閣議了解においては、地方交通線対策を含む経営の重点化、減量化により、昭和六十年度に職員三十五万人体制を実現すること等を中心とする経営改善措置と、これを前提とする約五兆円の債務のたな上げ等いわゆる構造的問題に対する助成措置を総合的に実現することにより、昭和六十年度までに国鉄の健全経営の基盤を確立し、可及的速やかに収支均衡の実現を図ることといたしております。国鉄の再建は、十年間に二十万人近い大量退職者が見込まれるこの機会を逸しては、抜本的な体質改善を望むことは困難になるものと考えられますので、経営の重点化、減量化のほかに、機構、組織の簡素化の徹底、外部委託業務の拡大等による省力化等、最大限の努力を尽くして、ぜひとも職員三十五万人体制を実現させて、国鉄再建の目標の達成を図りたいと思います。  なお、この法案の提出は二月十五日前後に予定をしております。
  49. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 せっかくの御答弁の後ですが、いまメモが入りまして、予定の質問にないことでありますが、緊急に質問をいたしたいと思います。  けさ午前九時ごろ、現在警察当局から取り調べを受けておるKDD保田元社長室参与が、川崎市内で小田急に飛び込み自殺をし即死をした、こういうニュースが入りましたが、そこで、第一点としてお尋ねしたいことは、どのような状況であったか、警察の関係、国家公安委員長ほか御答弁をいただきたいと思います。
  50. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 私もただいま情報が入ったばかりでございまして、状況についてはいま神奈川県警に確認中のようでございます。ただ、保田君については、先般ここでもお答えしたかと思いますが、総裁室関連者について数十回にわたって数十人について事情をお聞きをしておったということでございます。したがって被疑者として調べておったというような状況ではなかったわけでございます。  いまお答えできるのはその程度でございますが、追って情報が入ると思いますから、入りましたら、またお答えをいたしたいと思います。
  51. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで、引き続きお尋ねをいたしますが、当局の取り調べに非常に無理があったのではないか、こういうちょっと私も疑いを持つわけですが、その点一点と、それから今後の取り調べにはどういう影響を及ぼすであろうか、この二点について引き続き御答弁をいただきます。
  52. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 それらの状況も含めまして、調べた上でお答えをいたしたいと思います。
  53. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私の質問が十一時五十分までであります。その間に状況等を調べられますか。もし可能であったならば、質問の終わりまでに御答弁をいただきたい、こう思います。  それでは、いま運輸大臣から御説明がありましたが、たびたび再建計画を立ててはだめになり、立ててはだめになり、こういうわけであります。  ここで私は国鉄の総裁にお尋ねをいたしますが、どういう反省の上に立って次の計画を立てたか、いままでなぜだめであったか、この一点、二点、重要なことだけここで御報告をいただきたいと思います。
  54. 高木文雄

    ○高木説明員 従来立てられました計画がどこかで手落ちがあったといいますか、抜けておったということを申すわけではございませんけれども、いま反省をいたしてみますと、将来の収入の見込みについて従来のものは少し高く見過ぎる傾向があったということは言えると思います。それから、経費につきましても多少甘い見通しを前提として立てられておったと言わざるを得ないと存じます。  今回は、昭和五十二年の十二月に閣議了解をいただきまして約一年半近く慎重に検討をいたしてまいりましたので、かなり細かく詰めてまいりました。全体として三十五万人でひとつ運営をいたそうという覚悟を固めております。そして、そのことは本社だけで考えておるだけではなくて、管理局を初めとして各現場現場でもいろいろな作業をやってきておりますので、従来とは違った取り組みで何とかこれを実現することに邁進をいたしたいと考えております。
  55. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 新聞等で拝見したり、いま運輸大臣から聞けば、輸送密度一日二千人以下、八十線の区間で四千キロばかり、これは年に二千五百億ばかり赤字を出しているから、こういうものをバス路線に切りかえるとか、第三セクターへの分離だとか、あるいは地方線協議会で相談をしてもらって、一年後に話がつかないものはもう廃止してしまうとか、そういう犠牲を地方におっかぶせるようなことが今度の再建計画の大きな柱の一つ。それから運賃値上げ、それから国の財政援助、こういうようなことが、私なりにくくって考えてみると柱になっているようですが、国鉄自体の努力、こういうものが欠けているのではないか。私は従来からずっと見ているわけですが、親方日の丸的な感覚でやってきたのでは、どういう計画を立ててもいつまでたったって再建ができないのではないか、こういうように私は考えます。  まず、この中には、年に二万人ずつ自然退職が出るので、六年間で十二万人退職されるわけであります。それを七万四千人だけにとどめておる。これは人の削減の面についてはそういう計画になっておるようであります。私は、せっかく人が自然退職をしていく絶好の機会でありますから、なるべく職員の削減は多くなければならない。言うなれば新規採用を抑えなければならない、それが一つと、いま一つは、仕事の量を減らす、機構のむだをひとつ縮小する、こういう面がどうしても十分でないわけであります。これに本当に取り組まなければ、何回やってもこの赤字は再建できない、私はこう思うわけです。その二点についてどうでしょうか、運輸大臣。
  56. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 ただいま申し上げましたように、十年間で毎年二万人ずつ定年退職者が出てまいりますし、非常にいい機会でございますので、それを利用いたしまして積極的に体質の改善を図る、また不用土地その他について十分活用化を図る、管理体制も省力化するというような形を進めて、御指摘のような形をとって鋭意改善に努めたい、かように考えております。
  57. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私、具体的にお尋ねをいたします。  たとえば行政管理庁長官、これは役所がその企業を見るのですから、役所の感覚で見ているから、民間人が減量経営のときにどういうようにやろうかという目とはまるで違うけれども、それでも役所が、行管が勧告をしているわけであります。  私は、実はこれを見てショックを起こすほどびっくりしてしまったわけですが、たとえば国鉄の中であの切符を自分で印刷をしている、こういうわけであります。民間の私鉄で、自分の会社で、自分のところで切符を印刷するというようなことはとうてい考えられません。しかも、その状況はどうかと言えば、「私鉄では軟券、硬券とも直営によらず印刷業者に委託している」、行管の勧告です。「硬券とも直営によらず印刷業者に委託していること、硬券の印刷業務を全面的に委託した場合、相当程度の経費が節減可能であること、及び今後十年間に印刷業務従事職員の半数の退職者が見込まれていることなどからみて、硬券部門のみを直営として残す理由に乏しく」、印刷なんかは全部外部委託、請負に出したらどうだろうか、こういう勧告をしているわけです。それをやっていないわけです。  そこで、私は具体的にお尋ねをしますが、印刷所というのは国鉄の中で何カ所あって、何人でやっておるか。
  58. 高木文雄

    ○高木説明員 現在は九カ所で、四百五十人ほどでやっております。
  59. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この行管の勧告にもあるように、昭和四十六年度に比較して昭和五十二年度の印刷は半分に減ってしまいました。しかるに、人員は五百九十四人から一四%の七十四人しか減っておりません。こういうことであります。そうして現にいま五有人近い者がこの印刷に当たっているわけであります。どうしてみずからの努力として、こういうことを廃止する、行管の勧告どおりやらなかったか。これは勧告をした行管庁長官どうでしょう。
  60. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 いま御指摘の国鉄の監察は、実は昭和二十八年以来十次にわたってやりまして、そして第十次が一昨年、昭和五十三年の秋でございます。そこに切符の印刷に関する勧告を具体的に出しまして、これを全面部外委託するのならば、恐らく半値で済むであろうということを勧告いたしました。その結果、運輸大臣から行管庁長官に勧告に対する答えが返ってくるわけですが、それが昨年の一月で、その後その経緯はどうなったかということに関しましては、すでに運輸大臣が答えられましたとおり、昨年の十二月二十九日閣議了解事項となったわけで、ことしになりましてから、仕事の順序上、役人間で、勧告に従いましてやっていきます、三十五万人体制の中でそうした仕事もやっていきます、こういうふうな答えが返っておる次第でございます。  経緯は以上であります。
  61. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 国鉄総裁、いま一つ例を挙げます。  この勧告にもあるように、駅の業務、大体駅がいま五千あるわけです。この勧告の当時に調べた状況によると、四百二十前後を全面委託駅として委託をしている。それから無人駅が千七百、だから合計約二千百前後、こういうものを委託または無人駅としておる。それまで努力をされてきた。ただ、残された三千についても、半数に近いもの、具体的にこの半数と書いてあるかどうか、半数に近いものは委託または無人とすることができる、そういうふうにあるわけですが、これは一体そういう努力をしておりますか。
  62. 高木文雄

    ○高木説明員 駅業務の委託もしくは無人化ということにつきましては、すでに十年以上取り組んできております。その結果がただいまお示しございましたような結果になっておるわけでございます。ただ、その進捗状況は地域によりまして非常に事情が違いまして、進んでいるところと必ずしもそれほど進んでないところがあるわけでございます。進んでない事情は、やはり地域の方々の御同意をなかなか得られないというところがおくれておるわけであります。町の方、村の方にとっては、やはりその町の玄関である駅に人が一人もいなくなるとか、あるいは国鉄の職員がいなくなるとかいうことについては、何となくさびしいというか、そういう感じがあるようでございまして、私どもはやはりそうした方々に向かってお願い申し上げ、説得をいたしつつ進めておるわけでございまして、これからもこういう国鉄の現状に照らしまして、地域の方々のお気持ちも十分わかりますけれども、やはり御理解をいただいてそうした面の簡素化を進めてまいりたい、現に進めておりますが、それをさらに積極的に進めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 行管の勧告ですからついでに申し上げておきますが、車扱い貨物フロント業務、荷電代行業務、こういうような外部委託ができるものをやっていないのではないか、こういうことをくどくど勧告をしているわけです。それが進んでいないのですよ。そういうことをやらなくて、赤字を出して、ただ政府に頼んでいる、そういうのがいままでの実態なんで私が言っているわけなんです。地方の方でさびしくて駅を廃止——赤字になって、民間だったらつぶれていってしまうんですよ。そういう感覚で自分の国鉄を見ないから、地方の人が無人駅になればさびしそうだから置いておきますみたいな答弁をしておるから、私は企業努力が足りないと、こう言うのです。  お手元にお配りをいたしました鉄道病院——資料は向こうへ行っておりますか。  国鉄総裁、鉄道病院のところだけ見てください。二番目についている表、これは国家公務員共済組合連合会病院概況、これは全部調べました。これは赤字が出ていないわけです。収入五百四十八億二千九百万、支出五百二十三億八千九百万、一番下の段、これは国家公務員共済組合連合会病院のすべてであります。それをトータルした収支はそういう状態になっております。  次のページ、これが総裁、鉄道病院であります。ごらんになっていますか。(高木説明員「はい」と呼ぶ)その右の欄のちょうど中央に米子市があります。病床数五十四、職員五十名、収入五千六百万、支出四億一千百万。二番目、一番左の一番上、釧路、五十九ベッド、六十人の職員、収入五千六百万、支出三億六千万。函館は左の欄の上から四つ目、ベッドが六十、職員六十、収入六千六百万、支出四億一千八百万。それ以上は読みません。後でその表を総裁見てください。  そのトータルはどうなっているかというと、先般渡辺議員が指摘したようにトータル二百四億五千七百万の赤字であります。総裁、こういうことを知っていますか。それをみんな国鉄から持ち出しているわけですよ。これは総裁でなくて事務当局でもいいが、この病院が幾らの収入で、幾らの支出で予算、決算等をやっているか、それを聞きたいと思う。国鉄の方からみんな人件費は来て、収入は国鉄の方に持っていってしまって、何億赤字を出そうと捨ててあるわけですか。ちゃんと病院が独立採算制で予算、決算をやっているかどうか、先にお尋ねをしたい。
  64. 高木文雄

    ○高木説明員 収入あるいは支出の管理は各病院ごとに行っております。ただ、基本的に現行制度で非常に抜けております点は、本来の病院の、一般の人が病院という言葉から連想して考えられる仕事は、地域によって違いますけれども、半分以下のところが多いわけでございまして、多くは職員の健康診断、これは安全につながりますので、定期に健康診断をいたしております。それから、職業病の問題というのがかなりあちこちで発生をいたしておりますので、その対策をとるというようなことをやっております。そういう経費は、病院の勘定に他の勘定から振り込まなければ病院の収支が出てこないわけでございますが、それらが全部病院勘定の支出サイドに出てくるという結果、大体二百億円ぐらいの赤という数字が出ておるわけでございます。  この病院の経理の立て方については、全体として病院そのものを縮小しなければならぬという問題が一つございますと同時に、経理の仕組みを変えなければならないということで、一年ぐらい前から取り組ませております。今回の再建の基本構想によるいわゆる三十五万人体制の中でもそれを織り込むということで、昨年の秋ぐらいから連続的に病院の職員を各地から集めまして、研究会をやらせておるところでございます。この夏ぐらいまでにはきちっとした立て直し計画ができ上がるものというふうに考えております。
  65. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 国鉄総裁、私は、自分で企業を合理化して赤字をなくそうという努力をいままで全然していなかった例としてこれを挙げているのですよ。こんなもの、考えてみたって、だれが考えるか。私は国鉄の質問をしようかなと思って気がついたのが一週間ばかり前だ。それで渡辺先生から、病院が二百億も赤字があるとここで聞いたもので、あわてて調べてきてやって、一週間かそこらでこの実態はわかるわけですよ。総裁は就任してからどのくらいたつのですか。そして一点単価はこうなっているのですよ、総裁。一般の健保では一点単価十円です。ところが、国鉄の病院はそれを七〇%しか取っていない。国鉄の共済から七〇%しか取っていないというから、一般よりは三割引きでやっているわけなんですよ。そういう経営をして、赤字が出たやつを国鉄がみんなつぎ込んでいるのじゃないですか。どうですか、総裁。
  66. 高木文雄

    ○高木説明員 この点数の問題は、やはりいまのうちの病院の大きな問題でございます。私どもだけでなくて、他の病院でも点数を低くしているところがあるわけでございますが、これは全般的に直さなければならぬのではないか。ただ問題は、現在の職員の共済関係の掛金が日本一高いことになっております。そうした年金会計の経理の問題と総合的に見ながら直さなければいけないということではないかと思います。  もう一つ、病院の問題については、職域病院ということで一般の診療をこれまでは扱わしていただけないという問題がありまして、地域ごとにやはり病院が必要であるという前提に立つならば、今度は病院自体がいろいろもう少し広範囲に仕事をさしていただけないものだろうかというような問題もあります。  ただいま御指摘の点数問題と職域病院問題とそれから経理の立て方の問題、この三つを中心にして病院の立て直しと申しますか、経営改善をいたしたいというふうに考えております。
  67. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 五千万の収入で四億の支出をしているようなのは、わずかなことをやったってこれは直りようはずがないわけです。全然直らぬですよ。地域のものを何とかしようとか、一点単価七円にまけているものを十円に取ったって、五千万か四千万で四億、五億という支出をやっているんだから、これは直ろうはずがない。それを何年国鉄総裁をやっているか知らぬが、ずっとただ黙って見ているだけだ。監査報告を私は見たって、監査はそういうことについて何もやっていない。何のために監査をやっていたか。  ついでに総裁にお尋ねします。  国鉄には鉄道学園というのがあることを国鉄のことについて質問をしようと思って私気がついたわけですが、鉄道学園というものはどのくらいあって、幾人で、どういうことをやっていますか、簡単に。
  68. 高木文雄

    ○高木説明員 大体各管理局に一つずつございます。したがって、約三十カ所ぐらいあると思います。  それから、職員の数はちょっといまはっきり覚えておりませんが、まず一カ所に平均五十人ぐらいの先生、庶務というものがおります。全体の規模はそういうことでございます。
  69. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これも三日ばかり前に私見せてもらって、私は見た途端に、こういうことをやっていたのでは国鉄は赤字を出すのは無理ないなと見た。要するに、国鉄の経営陣というものは民間的な企業で物を見るということを全然知らないのです。  全国三十二カ所、一千六百九十三人、千七百人の者がこれに携わっているわけです。ところが、たとえば関東というのが大宮にあって、高崎にあってこれが十七人の職員、水戸に二十三人の職員の学園があって、千葉に十三人の職員の学園があって、東京南に六人の学園があって、東京西に十三人の学園があるわけです。こんなものはだれが見たって一カ所にまとめた方が能率的で、職員の数も少なくて、勉強もしっかりさせることができるぐらいのことは、経営の目をもって見ればすぐわかる。私、三日前にこれをもらった、きのうか……。こういうことです。北海道には北海道鉄道学園。釧路、旭川、函館、十人ばかりずつのものを置いておかないで、一カ所にまとめてやればいいじゃないか。だれが考えたってそのくらいのことは気がつく。十年たとうと二十年たとうと、旧来からずっとやってきたことを改めようとする感覚が全然ゼロなんですよ。  それで、その上驚いたことは、延べ六万四千五百二十人の人を一年間に教育をしていると、こう書いてある。六万四千五百二十人、経費は百八十億ばかりかけてやっている。国鉄の職員はいま四十万。あるいは勉強しなければいけない、ここの対象になる人は三十万ぐらいだとするならば、三十万の人は三年か五年に一遍ずつみんな学園に教育にやるわけですか。民間では管理職を受けるには、自分で勉強して自分で受けている。三年か五年に一遍ずつみんなこの学園へ入るわけですか。この熱海の緑が丘にある職員六名で、大変これは大ぜい入っているようですが、これはただ一泊してくるだけじゃないですか。一泊して受講してくる。なかなか多い、職員六人の割合には。一体そこでどういう学園としての教育をやっていますか。
  70. 高木文雄

    ○高木説明員 病院については先ほどのようなことで、むしろ立て直し、縮小を図りたいと思っておりますが、学園については、むしろどっちかというと強化してまいりたいというように私どもは考えております。  いまの六万人の人間が毎年教育を受けているということをどう評価するかということでございますけれども、たとえば保線の技術にいたしましても、非常に日進月歩で変わってきております。つるはしを使っておりました時代から今日の機械方式まで、ずいぶん早いスピードで変わってきておりますので、教育をもっと徹底をしませんと、せっかく機械設備を入れましても動かないというような事態が起こっております。そうした点を考えますと、私の評価としては、学園についてはもっと濃密な教育ができるようにしなければならぬというふうに考えております。
  71. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 指摘したいことが山のごとくあるわけです。おたくからいただきました基本構想における国鉄の合理化努力、これは六万四千人減らして三十五万人体制をつくろうとか、いろいろ能書きだけは書いてありますが、これをちょっと見たとき、自動車の方についてはワンマン化、路線再編成等々によって、六十年度までに赤字を解消する。私はこの一行を見て、民間の私たちの長野県あたりの自動車は、ワンマンでない自動車はもうなくて、五年も十年も前にこういうことは卒業しているわけなんです。後生大事にここへ持ってきて、これからワンマン化を進めなければならないというような企業の経営をあなたはいままでやってきたわけです。  それから国鉄の機構——いま国家公務員については、地方ブロック局を廃止しろとか、三段階になっているのを二段階にしろとか、そういういろいろな提言をしたりやっているわけです。政府もそうやろうとしている。国鉄は、そういう目から見れば、何段階あるわけでしょう。国鉄の本社があって、そして首都圏何とかがあって、何とか総局が四つだか五つだかあって、次長がいて、副総局長か何かいて、そしてその下にまた管理局、自動車局、工事局、そういうものがあって、そうしてその下に駅あるいは保線区だ、何とか区だ、こうあるから、そういう目で見ると四段階になっちゃいないですか。そうして、私たち小さな駅へ行ってみると、こっちに電車区だか、こっちに車掌区だか、こっちに保線区だか、こっちに通信区だか、こういうふうにみんなあるわけです。  私たち民間で見ると、技術屋さんだからみんな専門のことかと思うと、そんなことじゃないわけです。民間なら、機械部、電気部、土木部、建築部、おい、ちょっと不景気になったから、そんなものはみんな電気工営部と一緒にしちやえ、部長四人要らぬぞ、そんなことは朝飯前にやっているのですよ。いつまでたったって保線区あり、通信区あり、貨車区あり、客車区あり、それから何とか区あり、末端にいっても、みんなそういうようになっているわけです。こんなものは一体になれるわけです。  これは私の提言じゃありませんが、私たちのラフな目で見れば、あの国鉄の保線というものは、民間の私たちにやらせるならば、これは工程管理をしっかりやって、安全対策を立てて、民間の土木会社か何かに請け負わしてやれば、これは大変能率が上がって、五分の一か三分の一ぐらいの経費で済むがな、そんな目で見ながら私は汽車に乗せてもらっているわけなんですよ。  それから、民間の鉄道へ行けば、切符だって自動的に開いて、ひょっと自動的に出ていける。あれが屈強の年間五百万かかる国鉄の職員でなければだめでしょうか。OBが幾らでもいるわけです。パートタイマーもいるわけです。自動だってできるわけです。OBがたくさんふえていく、二万人ずつ減っていくという体制の中でそれに順応するように機構を縮小して、人員をちゃんと縮小するように、業務代行をやる。そういうようにやっていかなければ、どうして再建ができるでしょう、総裁。人にばかりおんぶしているだけじゃないんですよ。自分の努力が全然足りないんですよ。
  72. 高木文雄

    ○高木説明員 いま考えております三十五万人体制の中では、委託業務を拡大するということはかなり大きなウエートで考えております。その場合に、いまお触れになりましたようにOBの諸君の能力を大いに活用するということも考えております。保線等につきましては、御存じと存じますが、新幹線については、現在ほとんど直営でなしに外注でいろいろ工事をいたしております。そうした方式を在来線についても取り入れるということを一層早いスピードで進めてまいりたいと考えております。  御指摘の点はいずれも重要なことでございますので、私どもも大きな流れとしてはそのような方向で取り組んでまいりたいというふうに考えます。
  73. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは私は総理に要望なりしておきたいと思うのです。民間企業があれだけの減量経営をやって、合理化のためには、重役を減らすために部を統合して重役を一人飛ばしちゃうのです。それで民間の人は、管理職、非組合員の者は昇給停止あるいは一年間ぐらい減給を受けます。そうしてみんなで努力してやっているわけです。ところが、国鉄にはそういうことは全然ないわけです。私がいま質問したのは一端の例だけですよ。  私はそういうことをいろいろ考えたら、原因はどこにあるだろうか。私は監査報告を見た。監査のメンバーはどういうメンバーか見た。根本的な欠陥は、民間的な経営者、こういうもので経営をしなければ、いつまでたっても私はこの赤字は解消できないと思う。  そのメンバーを拾ってみました。高木理事会会長、総裁、前大蔵次官。天坂前国鉄常務理事、茅誠司東大名誉教授。民間は二人だけ、九州電力会長の瓦林、北海道の東条。あとの滝山、山口、高橋、馬渡、何とか、ずっと十数名いる人は国鉄から上がっている人なんです。国鉄から十三名、副総裁を入れれば十四名、高木総裁は大蔵省から。だから、民間の人は二人しかいない。これでは、民間人が企業を再建していくというような感覚でもって国鉄を再建することは私は不可能だと思う。そして、いままで何回やっても赤字を立て直すことができなかった責任を、私はこういう役員の者は総責任を負うべきだと思う。そして新しい感覚で国鉄を再建しなければならないと思う。これは民間の血を入れなければだめだと思う。あれだけ犠牲を地方にかけよう、国家で何兆円の負担をしろ、運賃を上げます、みんな犠牲を国民に負わしておいて、のほほんとして親方日の丸の経営をやってきたのがいままでの実態だと思います。どうでしょう。
  74. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 国鉄経営につきましていろいろな角度から貴重な改善の示唆をいただいたわけでございます。国鉄労使にとりまして、いまいただきました貴重な示唆は十分検討の上、改善すべきものは改善しなければならぬと思います。  それから経営陣の構成でございますが、これは国鉄ばかりではございませんで、特殊法人全体につきまして、ただいま民間の活力と英知を活用、動員していくという意味におきまして、過半数の人間は民間からというような方向で逐次考えておるわけでございます。国鉄につきましても、いまお話がございました点につきましては、運輸省ともども考えていかなければいかぬ課題だと思います。
  75. 田村元

    田村委員長 小沢君、警察の方から報告する準備ができたそうですが、いまやりますか、後でやりますか。
  76. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 もうちょっと、これだけ済ませておいて。  いま国鉄ばかりいじめておりましたが、ほかの大臣にも一つずつ私申し上げておきます。  せっかくこの病院の表をつくってまいりました。予算の元締めである大蔵大臣、おたくのもとにおけるものが一番最悪であります。最後から二番目の表をどうぞ。  一番上の専売公社、病院が二つあります。収入八億で支出二十二億。その次は収入四億で支出が十一億。右側の方にあります。その次が印刷局の病院であります。これは収入が三億三千万で支出は十一億。小田原の印刷局の病院は収入が一億八千万で、驚くなかれ支出は六億四千万。その下の警察病院は、これは赤字でも大変わずかで経営はきちっとできております。国家公務員共済病院と同じであります。一番下が造幣局病院、これが最悪であります。一番上が収入一千七百万で支出一億五千七百万。その下が収入一千三百万で九千一百万の支出。七百万の収入で九千三百万の支出。合計で三千七百万の収入で三億四千一百万の支出。造幣局というのは、お金の印刷をしているところだからお金の感覚なんか全然ないせいか、一割の収入もないわけです。  大蔵大臣、これは私は極端なことを言っちゃ申しわけないが、これは一点単価六円ですよ。一番下に表があります。冒頭にも表がありますが、一点単価六円で職員だけは至れり尽くせりのことをやって、お客さんが、地域の人が私たちも診てもらえるようにと要望したって、それは全然はねつけちゃっていて、そして収入三千七百万で支出三億四千万。これは私は年度を限ってやめた方がいい、再建はできぬですよ、大蔵大臣。
  77. 竹下登

    ○竹下国務大臣 昨日小沢委員から資料をいただきまして、私も初めてでございましたが、驚き入りました、率直に言って。それぞれ職域病院としての恐らくそれは経過はあったと思います。また、造幣局等につきましては、労働災害との関係があったりして、いろいろな経過はあったと思うのでありますが、いま、お医者さんやいろんな人にお諮りいたしまして、あるいは大蔵省関係の分を統合するとかいうような方向で検討を進めておるということを、きょう答弁をするまでに私もやっと知識として入れてまいりました。本当に御指摘のとおりであります。事実、収入と赤字とが、赤字が八倍というようなところもございますので、本当にこれは貴重な御提言として鋭意検討をいたします。
  78. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がないので指摘だけしておきますが、鉄道病院の次のページが郵政省の逓信病院であります。これについても行政管理庁から勧告が出ているはずであります。  逓信病院の郵政省の方、右側の欄の下から二番目、収入四千八百万で支出三億二千百万、右側の欄の上から三段目、収入一億一千万で支出六億三千万、これが郵政省の逓信病院。だから、トータルにおいて四十二億ばかりの収入で百四十一億の支出ですから、この病院のために郵政省は百億、年間かけている、こういうかっこうだと思います。これについて再検討を——こういうものを正しておいてから、郵便料金の値上げとかなんかは言ってきてください。そうでなければ受け付けられないですよ。申し上げておきます。  次は、次のページ、これは、電電公社総裁お見えですが、御答弁はもう時間がありません。これは、真ん中、何と読むんだか、上から九番目あたり「地御前 広島県佐伯郡」。これは病床数百三十四、職員七十、収入四千三百万、支出三億九千、約四億、十分の一の収入しかないのですよ、電電公社総裁。ひとつこういうのを改めていただくようなことをここで要望を申し上げておきます。  せっかく表をつくったので、それだけは申し上げて、次の質問に移らせていただきます前に、国家公安委員長から御報告があるそうですから承りたいと思います。
  79. 田村元

    田村委員長 この際、国家公安委員会委員長より発言を求められておりますので、これを許します。後藤田国家公安委員長
  80. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 先ほどの御質問にお答えを申し上げます。  保田さんが自殺をなさった日時は、本日の午前十時二十分ごろでございます。場所は、川崎市多摩区、向ケ丘遊園駅上りホームでの飛び込み自殺でございます。健康保険証で身元確認をいたしております。遺書はございます。  御質問の、捜査に無理があったのではないか、こういう御質問でございましたが、二月の三日、四日、五日と三日間、参考人として事情を聞いております。時間は、三日は十時十七分から五時四十五分まで、四日は九時三十分から八時まで、五日は八時五十分から七時十分まで、こういうことで、参考人としての聴取でございます。  事情は、保田さんがどんな仕事を担当をしておったのかということと、主に物品の購入関係、これについて捜査二課で聞いておったわけでございます。  きょうは十時から出頭を求めておったようでございます。したがいまして、時間的に考えましても、現在、無理な捜査があったとは聞いておりません。  ただ、問題は、こういう事件というのは、これは一般論ですけれども、任意捜査の場合にはよくこういうことがございまして、警察は絶えず注意をしておるわけでございます。強制捜査の場合は、こういう事件は、釈放後によくこういうことが起こり得るわけでございまして、警察としては十分そういう点は注意をして従来からやっておるわけでございます。保田さんの場合にも、夕方帰るときは、雑談等をして帰っておったようで、こういうそぶりは全然なかった、こういうことを報告を受けております。  それから、今後の事件に影響があるのかどうかということでございますが、いまの段階でそれを申し上げることはできないと思いますが、ただ、重要な参考人であったということだけは間違いがない事実でございます。  以上でございます。
  81. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間がなくなってしまいますのでその点は……。  委員長の許可を得てお酒のびんを持ってまいりました。臨時国会のときに、お酒は全量米からつくれということを舌足らずで十分提起できなかったわけで、その後、正月の閣議の後、閣僚の中に五人もお酒屋さんがいるので、これから大いに酒を飲もうじゃないかという新聞が大々的に出ました。全国の農民は、お酒はぜひ全量お米でつくってもらいたいという要望を持っております。この白い線を引いたちょうど半量ぐらいがお米でつくったもので、この上の方の半量ぐらいはアルコールをまぜたものです。これは酒屋さんの閣僚が大ぜいいるから御案内のとおりだと思います。  そこで、金をかけないで全量米から酒をつくれるようなことをいろいろ考えたところ、できそうでありますから、結論的に申し上げると、政府はぜひそれを実施していただきたい。時間がないので私の方から言いますが、文部大臣、学校給食を三年も四年も前からやって七割引き、六割引きでもって安い米を食べるように、あれだけかねや太鼓で奨励をして、昭和五十三年度には三万数千トンの消費が伸びただけであります。ことしの予算には九万トンぐらいなことが予算上は書いてあるけれども、なかなか達成困難ではないか、こういうように考えます。そういうために農林省で幾ら金を使っているかというと、米の消費拡大のために、いろいろの予算、文部省のそれまで合わせて二百二十億、間違いないですね、二百二十億ぐらい使って恐らく七、八万トン米の消費が拡大できるであろう。過去からの金の累積ですよ。去年何百億、ことし二百二十億、おととしは何百億、それだけの累積をやって、たった八万トンかそこらしか消費の拡大ができない、こういうわけであります。  このお酒を全量米でつくるならば、米は約百万トン要るわけであります。いま使っている量は五十万トンと少しであります。だから、五年も六年も学校給食や何かでさんざん努力して、毎年あれだけの米消費対策費をかけてきて、六万トンや八万トンの消費が拡大できただけであります。これは全量米を使えば、五十万トン近いものは即座に消化できる、こういうことになるわけで、ここにたくさんの表をつくってきてありますが、時間の関係で私は申し上げませんが、要点はこういうことであります。  農林大臣にお尋ねしますが、五十万トン消費が進むと、その五十万トンのために水田再編対策費、これは時間がないので私の方で言います。特定作物は十アール当たりの基本額五万五千円、転作率のいいものは二二%以上はそれにさらに二万円ですから、十アール当たり七万五千円の補助金を出しているわけです。それから一般作物等については十アール当たり四万円と一万三千円ですから五万三千円ぐらい、これは転作率のいいところ。これを五十万トン分に伸ばしていくと、農林省と一緒に詳細に計算をやりましたから、最高でいくなら八百億、五十万トンを転作するために八百億要るのですよ。一般に平均しても大体年間六百億から七百億つぎ込んで五十万トンの転作をやっているわけです。国税庁から詳細に聞くと、お酒の五十万トンを米で使うために幾ら金が要るであろうかというと、一千億要るというのです。一千億かあるいはこのお酒を百二十円上げてもらえば全部できます。これは酒屋さんが大ぜい要るからあれなんですけれども、一千億あればできるわけです。     〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 ところが現実に農林省は七、八百億の転作資金を使っているわけです。それをやめてお酒に使わせたら、転作をしないで、あと二百億ばかり大蔵大臣がどこかからひねり出してくれば全然上げないで済むわけです。これについて農林大臣、大蔵大臣から御答弁をいただきたい。
  82. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 お答えいたします。  確かに先生から、いろいろと試算をいたしました数字も見せていただきました。私どもの役所が試算いたしましたのは——先生の場合は、計画加算がすべてうまくいき、しかも転作率も非常に高いという場合を計算されておりまして、その辺は多少違いますけれども、おおよそにおいては先生の御指摘のとおりだと思います。  そこで、私ども、大変むずかしい問題でございますけれども、これは大蔵省とよく協議をしていかなければならない問題でございまして、率直に農林水産省の立場からいけば、米の消費の拡大を私ども一生懸命やっているわけでございまして、もしこれがうまくいくならば大変結構かと思っておりますけれども、しかし実際問題といたしましては、業者の方もなかなか設備の問題その他もあるようでございますし、一度にいくのかどうか、こういう問題についてもう少し検討しなければなりませんが、農林水産省の立場としては、米の消費拡大につながることであれば、できる限り前向きに検討させていただきたいと思うわけでございます。
  83. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私もそのとおり酒屋でございますが、アルコール添加を全部やめました場合に米の使用量は約四十二万トン増加することは事実であります。私どもの経験からいたしましても、三倍増醸というようなことをやっておりまして、消費者の嗜好の方が完全にお米の酒というものからアルコールを添加した酒の方へだんだん変わってきて、したがって、まるまる米だけの酒にして、それが消費者の嗜好の問題とどうなるか。やはりアルコール添加という問題がございましたので設備なんかもそういうふうな形になっております。そういうところに私は問題点があるというふうに思うのであります。  それからなお、財政当局に関係のあります、まあ数字は別といたしまして、五百億円ぐらいかかっておるが、酒屋に対して全部米を使用さしたら一千億、こういうことになりますので、その差が五百億まだあるという実態もございます。したがいまして、いま政府として米はこれだけしか使ってはいかぬということを言っておるわけではございません。酒屋さんの方で幾らお使いになるかは、これは自由になっておりますが、なお消費拡大という点については、自主流通米だけでなく、いまは政府管理米もこれに充てておるというような形で消費の拡大を図っておるところでございますので、農林省とよく相談はいたしますが、これをさらに、あるいは法律あるいは指導の中でうんと米を使えということがどこまで言えるものか、よく検討させてください。
  84. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 時間が終わりですが、国税庁の言う人は大蔵大臣にうそを言っているのじゃないか。後から差し上げた表の第一を見ていただきたい。その第一には、これだけのお酒をつくっている中で純粋に米だけでできているお酒、その一枚目の表の左から二番目、一万二千七百六キロリッター、これがお米だけでできたお酒です。全お酒の一%です。ところが、五十二年には一万三千百一キロリッターにふえているわけです。そして、五十三年度には一万五千九百三十四キロリッターにふえているわけです。お米だけでつくったお酒というだけでこれだけふえているんですから、国税庁の説明は違っておりますよ。嗜好が変わってきたというのは違っておる。  それから、設備に困るのはわかります。いまみんな設備が遊んでいますから、中小以下の人は設備をみんな持っていますから、もろ手を挙げて大歓迎であります。兵庫かどこかのうんと大きなお酒屋さんは若干困るから、これは設備資金を考えてやらなければいけない。建設大臣はお酒屋さんで、よくわかってうなずいているんですが……。  そこで、そこに差し上げた一番最後の表を見ていただきたいと思います。一番最後の価格のことであります。これで質問を終わりますから、要望だけ申し上げておきます。  価格比というところが一番右側にあります。これは一トン三十万円のお米を使っていることとした場合のことであり、いま一〇%だけ米をよけい使う場合には、お米の値段を九四・七%に値引きすればどこも損がなくて済むということであります。ずっといくと、全量お米を使えば六五・七%、約六六%の値段にしていただけばいい。つまり三割四分引いてくれれば、お酒屋さんも何も言うことはないし、みんな喜ぶ、こういうことであります。学校給食は六割、七割やって年間にたった六万トンか五万トンですよ。三割四分値引きしてやって、全部お酒で五十万トン近いものがふえるわけであります。その純粋に要る金が、私は詳細に計算をして一千億円のうち二百億要るだけだ、転作に六、七百億使っていますから、二百億の金があればこういうことができるということなんです。これは私は要望ですが、ひとつぜひこの機会に、農林大臣、大蔵大臣、しっかり検討をして前向きで取り組むように、総理、このことは米の消費拡大でぜひ積極的に取り組んでいただくようにお願いしたいと思います。一言、総理から……。
  85. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 せっかくのお話でございます。政府部内におきましてよく検討いたします。
  86. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 質問を終わります。(拍手)
  87. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 これにて小沢君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十三分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  88. 渡辺美智雄

    渡辺(美)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  委員長が所用のため出席が少しおくれますので、出席になるまで、指名により私が委員長の職務を行います。  質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 質問の冒頭に当たりまして、本日は、国鉄に関連する交通政策並びに農林水産問題、防衛庁関係、オリンピック関係等について質問しますが、日本の経済の原動力となるエネルギー問題について、大平総理と通産大臣に基本的な見解をまず承りたい。  それは、昨年の五月下旬パリで開かれました第三回のIEA、国際エネルギー機関の閣僚理事会におきましては、特にイラン政変後の世界のエネルギー対策として、石油の供給見通しについての論議が展開され、関係国の努力によっても、一九八五年には五%の三百三十万バレル、それから一九九〇年には二三%、九百五十万バレル、二〇〇〇年には三〇%、二千八百万バレル、一日当たり供給が不足する状況になるということを報道しております。なお、関西財界等は、すでにこれからの原油が一バレル九十ドルを目指したところのいわゆる経済構築を考えておるということが報道されておりまするが、総理並びに通産大臣は、施政方針でも総理が言われたように、今後の石油供給の状況というのはきわめて厳しいと思うのでございますが、国内における需要に対応する姿勢としてどのような御理解を持っておられるか、総理並びに通産大臣の見解を承ります。
  90. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 一九八〇年、ことしの上限は、いまお話しございましたように五百四十万バレルという日本の目標が決まっておりまして、お話しのIEAの去年十二月十日から開かれましたパリの会議に私も参りましたが、そのときに、それは国家としてのいわば最上限で義務であるということでございまして、それ以上は輸入しないようにということでございました。  お話しのように、それでは五百四十万バレルを確保できるのか、見込みあるかという御質問でございますけれども、IEAの八〇年における世界全体の見通しでは、需給は若干供給の方が上回るように見ておりますので、全体的には問題ないと思いますけれども、実際にそれを確保する場合に、従来のようにメジャーを通してというルートが大分変革してきておりますので、どうしても直接購入という線がふえてまいります。そういう点を考えまして、DDとかGGとかそういう線でできるだけ所要の五百四十万バレルを確保できるようにということで、ただいま努力中でございます。
  91. 兒玉末男

    ○兒玉委員 後ほどまた交通政策との関連なりあるいは水産行政との関連でお伺いしますので、一応通産大臣の答弁にとどめておきます。  次に、農林水産行政の中で、先般来、鹿児島の枕崎などわが国のカツオ漁業基地における状態は大変危機的な状況を迎えております。これは特に日本全体の漁業関係にも関連する問題としてとらえていかなければなりませんが、水産庁並びに農林大臣としては、特に第一点に指摘されていることは、原油価格の暴騰により燃油がこの一年間に三倍以上に高騰していること、それから円高によりましてカツオ関係産品が非常に価格が低落をし、一昨年は不漁年であり、しかもこのような情勢から、今日すでに現地では八隻の休船、減船の状況であり、三百名近い離職者を出している状況、さらに魚価安定基金制度がありますが、これが漁業への価格面における安定的な作用をさほどしていない、保管調整等のことはやっておるけれども、きわめて不安定であり、これからの安定基金の運用をもう少し拡大して漁業安定に対応できるような方向に検討すべきじゃないのか。それから、特に生きえさが半分以上斃死しまして、これが漁獲に大変な影響を与え、これに対応するところの低温のいわゆる備蓄制度、低温で蓄える方法を十分に検討し、これに対する助成措置を研究すべきであり、中継保管基地の設置を含めて早急な措置をとるべきである。  なお、減船職員に対するところの救済対策、それから現在水産庁等が考えている海外まき網とのいわゆる共同カツオ漁業の問題等もありまするが、もしこれが進出しますと、一本カツオの運命はもう明らかであり、そういうふうな根こそぎに資源を巻き上げるまき網漁船の一方的な導入には絶対反対である。同時にまた、ピンチョウ関係のような高価格の漁場の開発あるいは海外まき網と一本カツオ等が競合しないような漁場の整備、こういう問題等を通して今日の危機的状況の打開に対して水産庁は一体どう対応するのか。少なくとも過去三十年間の漁業の歴史を見ておりますと、沿岸漁場から近海漁業へ、近海から遠洋へと積極的な許可行政を指導したのは政府であります。農林省であります。とするならば、今日の危機的な状況政府の方針にまじめに従った今日の漁民の窮状を救済する義務が当然政府にあるわけであります。  なおまた、現在、各経営体では二億ないし六億円の膨大な負債を抱えております。これらの問題は、今日の円高なり燃油高なり、そういう客観的な情勢の変化がもたらした対応であり、当然これに対しましては、財政金融面における償還の緩和策なり金利の低下など、当面の緊急対策が必要であるわけでございまするが、これらの当面の水産行政に対して、農林大臣並びに水産庁長官の見解を承ります。
  92. 今村宣夫

    ○今村政府委員 ただいま御指摘がございましたように、遠洋カツオ釣りの漁業の経営は、五十三年以降の円高に伴います輸出価格の低迷でありますとか、あるいは最近の漁況の不振でありますとか、あるいは灯油価格の異常な高騰等によりまして、非常な経営不振の状況にあるのは御指摘のとおりであります。この経営安定ということは喫緊の要務でございますので、私たちとしましても業界の意向をよくくみ取りつつ、その経営安定について取り組んでおるところでございますが、御存じのように遠洋カツオはほとんど輸出に向けられておるということで、生食用に向いていないという点が一つございます。したがいまして、輸出の価格が円高その他によりまして非常に不安定であるということがございますので、私たちは将来これをやはり生食用に振り向けるという努力をしなければいけないのではないかと思っておりますので、そういう観点から、カツオかん詰め等の加工原料向けから、価格の高い刺身、たたき等の生鮮向けへの転換を図るということで、洋上の加工船の建造を促進する、同時に陸上の加工処理施設を整備していく。また、いまお話がありましたような低温装置につきましても実験をいたしておりますが、もしこれが効果があるということが確認されれば、これの装置についての低利の融資その他につきましては十分考えていきたいと思います。  それから第二点は、価格の高いビンナガが非常にとれないという状況にございます。これにつきましては、新漁場の開発その他によりまして対応をしていかなければいけませんが、漁業者等に対しましては所要の融資措置を講じているところでございます。  ただ、御指摘の点もございましたが、この業界につきましての構造的な問題に将来どういうふうに取り組んでいくかという問題がございます。これにつきましては、業界内部において目下鋭意検討中でございますので、カツオ一本釣りから、より生産性の高いまき網への転換につきましては、業界の意向を十分くみ取りつつ、かつカツオ一本釣りとの調整に十分配慮をいたしまして、私たちとしても対処をしてまいりたいと思うわけでございます。  それから、海外まき網漁業への転換に伴います離職者の問題等につきましては、現在、かつお漁業雇用対策懇談会において、労使一体になってこの問題について検討いたしておるところでございまして、懇談会の論議を踏まえまして、必要な措置について関係各省と連絡をとりながら検討してまいりたいと思います。  なお、燃油対策につきましては、先般、昨年内に三百億の低利融資を行ったところでございまして、今度の予算におきましても、五百億の低利融資のお願いをいたしておるところでございます。
  93. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 いま水産庁長官からいろいろ個別の問題で話がございました。業界の実情、私どもも大変お気の毒な状態であると承知をいたしておりまして、今後いろいろと前向きによく話を聞いて検討を進めてまいりたいと思います。
  94. 兒玉末男

    ○兒玉委員 長官に再度お伺いするわけですが、金融面における対策が明確でなかったようであります。償還期限の延長なり金利対策についていま少し前向きの御答弁を要求したい。  それからもう一つは、魚価の安定に欠くことのできない要素は、漁業に対して需要と供給の関係について、生産の目標なり生産調査を通して需要と供給のアンバランスがないような的確な指導をすることがきわめて大事でありますが、この点についての見解を再度お伺いしたいと存じます。
  95. 今村宣夫

    ○今村政府委員 金融につきましては、経営安定のための経営安定資金を今後適確に融通することはもとよりでございますが、御指摘のございました償還延期その他の措置は必要に応じて私どもで十分検討してまいりたいと思っております。  それから、第二点の価格安定の問題でございますが、価格安定は、御存じのとおり、お魚といいましてもいろいろございますものですから、また農産物と違いまして、需給の調節というのがなかなか御指摘のようにむずかしい問題でございます。現在ある価格安定制度は、そういう意味においては非常に不十分だという御指摘は受けるかと思いますが、漁家の方々というのはお魚を見るとどうしてもとらないと気が済まないものでございますから、需給の調整というのは農産物のごとく行い得るかどうかにつきましては非常にむずかしい問題がございます。しかしながら、魚価安定制度の運用の改善につきましても、私たちとしましては今後十分留意検討をいたしてまいりたいと考えております。
  96. 兒玉末男

    ○兒玉委員 農林大臣に確認の意味で申し上げたいわけですが、いま長官が申されたことは、現地におきまして即刻実行に移さなければその意味がないわけであります。加えまして、特に一本釣りの遠洋のカツオ業者というのは船の改造にかなりの資金を使っております。それが八隻も休船、廃船ということは、これは当事者でなければ理解できない深刻な現状にありますから、関係者から再度要望、陳情等もあると思いますが、農林大臣として、主管大臣として十分対応できるようにひとつ前向きの決意のほどを私は要求する次第であります。
  97. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 特にいま御指摘の問題については円高ということも非常に大きな影響があるようでございますし、円高不況に伴っていろいろの政策が構造政策としてもなされておりまして、この問題についてもその一環として私はぜひ前向きで取り組んでいきたい、こう考えております。
  98. 兒玉末男

    ○兒玉委員 水産漁業関係につきましてはまた後日、一般質問あるいは分科会等でその検討の状況をとらえながら同僚議員等からさらに要求を続けていきたいと思っております。  時間の関係がございますが、若干ここで趣を変えまして、いわゆる省資源エネルギー時代において、特に私たちの居住する九州や四国等においては、農業用の資材として現在石油を原料とするビニールハウス栽培がきわめて盛んであります。しかも総体的に、農家においてはそのほか耕運機なりあるいはカッターなりあるいは稲こきのコンバインなり、相当数の油を利用しておるわけですが、なんかずく園芸作物に占めるビニールハウスについて、これはけさほど農林大臣、通産大臣並びに総理のお手元にも配付しましたが、日刊工業新聞に「石化系から天然ゴムヘ」いわゆるこのようなハウス用のフィルムの開発ができた旨載っております。私は一商社の宣伝をする意味で申し上げるのではなく、今日の代替エネルギーが特に重要なときに、欠くことのできない農業資材として開発されているこの天然ゴムを原料とするフィルムの開発並びに農業関係者に対する利用ということはきわめて必要なことではないかと考えます。新聞の報道によりますと、これは全く公害がないし、紫外線等の風化により三カ月程度でこの機構が崩壊して土に返るという問題、さらにはまた非常に石油高騰の折から、天然ゴムが原料であるがゆえに低廉な価格で開発できるという点等から考えましても、石油資源節約の見地からも、これは今後積極的な取り組みをすべき性格のものであろうかと考えるわけであります。これについて、総理並びに開発担当になろうかと存じますが通産大臣、そして農業団体が強く要求し、特に使用後の無公害という点等からも、あるいはエネルギー節約という面からも一石二鳥の対応ではなかろうかと考えるわけでございますが、それぞれの責任者からの御答弁、御見解をまず承る次第であります。
  99. 森実孝郎

    森実政府委員 技術的な問題でございますので、現状を御報告させていただきます。  現在関係者の間で検討が進められております。御指摘のように紫外線に弱い、風化しやすいという点があるわけでございますが、反面廃棄物の処理の問題が生じないことは事実でございます。結局、問題は耐用年数の問題、コストの問題であろうかと存じます。他の用途への利用ということも含めまして、技術開発の動向についてこれから十分注意してまいりたいと思っております。
  100. 武藤嘉文

    ○武藤国務大臣 いま局長からもお話し申し上げましたし、先生からも御指摘がございましたように、三カ月程度で風化する、それは公害という点からいけば大変いいことでございます。また、石油を使わないという観点からいっても大変いいことだと思います。ただ問題は、私ども聞いておるのは、ハウス園芸の場合には一、二年の耐用年数が必要ではないかということも聞いておるわけでございまして、その辺のところをこれから十分検討していかなければならないのではないか。技術の開発でよりよい方向に行くならば私どもは非常にありがたいことでございまして、私どもの役所においても五十五年度から省エネルギー対策室を設けて、省エネルギーの農業はどうあるべきかということをいろいろやっていこうとしておるときでございますから、その辺の技術開発の推移を見ながら、よりよい方向に行くならば、私どももぜひこれは推奨していきたい、こう考えております。
  101. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 詳細な技術的な検討はまだしておりませんけれども、よく聞きまして調査、検討を進めてみたいと思うております。
  102. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に要望として申し上げることは、私も技術的な専門家ではございませんが、現にこの新聞等に書いてあるような状況から、現物を取り寄せましていろいろと検討しましたが、特に耐用年数等の問題については、今後加工技術によって一年以上の長期保存も可能だ、こういうことでございますから、農林、通産両省におかれましては関係者の意見を十分聴取し、十年間にわたる個人の私財をなげうっての開発でありまして、当然これからは財政的な援助なり技術開発の援助等、そういうあらゆる角度からの検討と対応を強く要望申し上げて、これについての私の質問を終わります。ありがとうございました。  次に、防衛庁関係についてお伺いいたしますが、今度宮崎県の新田原航空基地において米軍と合同の訓練が行われるということが発表されておりますが、これは千歳なり三沢と違いまして、米軍の基地使用に関する協定等はないわけでありまして、臨時の合同訓練でございます。地元にとりましては、過去において航空自衛隊機の墜落あるいは村落の延焼事故など十数回にわたる事故が発生しております。しかも今回の場合は、全く九州でも異例の、初めての合同訓練でございますが、防衛庁としてはこれについてどういうふうな基準と、どのような手続でこの合同訓練を実施しようとしているのか、防衛庁の見解を承ります。
  103. 細田吉藏

    細田国務大臣 日米共同訓練の実施につきましては、ただいま兒玉委員からお話しのございましたように、新田原で計画をいたしておる次第でございますが、具体的な問題については政府委員から答弁させていただきたいと思います。
  104. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  日米共同訓練を新田原で行う理由についてでございますが、従来、航空自衛隊は在日米空軍との共同訓練を実施してまいってきたところでございまして、五十四年度は救難訓練を含めまして九回、五十三年度三回というような形で実施をしてまいってきておりますけれども、いずれも三沢基地を利用してやってまいりました。西部日本に訓練場がございませんで、在日米空軍あるいは航空自衛隊の配置等から申しまして、西日本に一カ所訓練の場所を持ちたい、こういう理由から新田原を選定したものでございます。  この共同訓練の実施の法的根拠でございますが、これは防衛庁設置法五条の二十一号「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」という従来の日米共同訓練の根拠法規に基づいて、戦術技量向上のために行うものでございます。  それから訓練の頻度でございますが、年四回程度、一回おおむね一週間程度。この訓練の時間も、地元の住民の御迷惑の少ないように午前九時から夕方の五時まで、訓練空域は四国沖のL空域、これは四国沖約五十海里のところにございます、または九州の五島列島の上空にございますP空域、このいずれかを使ってやる、こういうことでございまして、この訓練のために一時使用をするというものでございまして、ここにアメリカの在日米空軍の戦闘機が常駐するというものではございません。
  105. 兒玉末男

    ○兒玉委員 新聞の報道によりますと、この決定がいわゆる持ち回りで決定されたということが報道されておる。当初三十一日の予定が二十八日に行われたという点の、一体持ち回りとはだれが参加をし、だれがそれに日本側はオーケーを与えているのか。  それから、手続についてはいま御説明がありませんでした。ただ、防衛庁の設置法の五条の二十一というだけで、少なくとも私は、手続としては、米軍の専用基地ではございません、当然地元関係団体の了解なしにはできないと思うのですが、その辺の手続は一体今日どうなっているのか。手続について持ち回りとは一体どういうことなのか。だれが最終的にオーケーのサインをしたのか、その点について再度見解を承りたい。
  106. 玉木清司

    ○玉木政府委員 お答えいたします。  本件につきましての手続の問題でございますが、新しく施設、区域を共同使用いたします場合には、地位協定に基づきます諸手続を踏むわけでございますが、まず、通常日米合同委員会におきまして、両政府の合意を前提といたしまして同意をするわけでございます。続いて閣議で政府の御意思を決定いただきまして、それを受けて協定が締結されるという運びになるのでございますが、二十八日に行いましたのは、そのうちの合同委員会の合意を持ち回りで行ったということでございます。  それから、なお通常この手続の実施担当部局は私どもの方で取り運ぶことになっておりますので、私の方が責任をもってこれを持ち回りをしたということでございます。  お尋ねの第二点の現状でございますが、昨年の秋に、先ほど佐々政府委員からお答え申し上げましたような共同訓練に関する方針がありまして、これを受けて私どもの方から新田原周辺の一市四町に対しまして、この共同訓練を実施するので、従前は航空自衛隊だけの訓練であったけれども多少の変化があるので御理解をいただきたいという申し入れをいたしまして、相当長く事前のやりとりがございましたが、十月三十一日に宮崎県知事以下一市四町の責任者に対しまして文書をもって公式に申し入れ、今日まで経過しておるところでございます。現状におきましては、一市四町のうち一市三町につきましては、御理解、御了解の濃淡、強弱の差はございますけれども、おおむね私どもの申し入れの趣旨に対しまして御理解を得られておりますが、新富町につきましては、昨年の年末及びことしの年始ごろにおきましてはある程度の御理解をいただいたと思われる状態でございましたが、一月の中旬以降におきまして市民の中に反対の御意見が強く盛り上がってきておる、こういう状態でございます。
  107. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この合同訓練に参加する戦闘機の機種は何か。それからどこから飛んでくるのか、この点について明らかにしていただきたい。
  108. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 お答えいたします。  訓練に参加する機種はF15またはF4ということで地元といろいろお話をしておるようでございます。西日本に駐とんしております米空軍は岩国と沖繩の嘉手納でございますので、このいずれかから飛来することになろうかと存じます。
  109. 兒玉末男

    ○兒玉委員 そのほかたくさんありますが、時間の関係ではしょって申し上げますけれども、これらの住民の懸念というのは、なぜ九州地区で合同訓練をしなければいけないのか。仮にこれが戦争状態になった場合は明らかに日韓米のいわゆる三者一体の実戦に対応するための合同訓練であるということはもう明々白々であります。加えまして、この前沖繩で暴発しましたサイドワインダーと同じミサイルが新田原にも置かれているという情報も住民は知っております。こういう問題の処理もいまだされないまま、そのような非常に高度の危険性の伴う合同訓練、こういう点等に対する——私は、新田原自衛隊基地の使用でありますから、当然このような危惧に対する住民への不安感の解消、解明というものがなければこの訓練に合意を与えてはいけないというのが自衛隊本来の使命ではないのかというのが第一点。  それから、私が先ごろまで入手しました現地情報では、関係機関、すなわち西都市議会、新富町議会あるいは婦人連絡協議会、さらには新富区長会等がそれぞれ今回の行動に対しては反対の意思を明確に表明しております。  さらに、新富町議会の対応については、若干あいまいな見解が町長から表明されたために大変な物議を醸しておるわけでございますけれども、これは先刻明確にその見解が統一をされ、このような行為には絶対反対である旨の確認が全員協議会でも確認をされておるわけであります。三沢や千歳の場合と違って、当然これは地域住民のあるいは自治体等の合意ということがこの訓練実施の基本的な前提条件であってしかるべきだと思いますが、この点については特に長官の見解を求めます。
  110. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 事務的なことだけ先にお答えさせていただきます。  まず第一に、なぜ九州に訓練基地が必要なのかというお尋ねでございますが、先ほどお答え申し上げたとおり、西部日本において日米共同訓練を行うためということでございます。日韓米の合同の戦闘用の基地にする前提ではないかというお尋ねでございますが、これはそのような目的はございません。あくまでも日米共同訓練のために、一時米軍に使用を認めるというものでございます。また、サイドワインダーの爆発事故に関連した危険性の問題のお尋ねがございましたが、この共同訓練実施に当たりましては、まず第一に離着陸については定められた管制基準によって管制を実施いたします。また訓練は、航空路、ジェットルートとは完全に分離された訓練空域、先ほど申し上げましたLまたはPまで出かけていきまして、レーダーサイトによる監視助言を受けながら訓練を行うことになっております。また飛行前には訓練の実施要領等について訓練関係者に十分説明し、また航空機の点検整備等励行をいたしまして事故の絶無を期するとともに、ただいま申し上げましたようなミサイルあるいは実弾、こういうものは搭載せずに訓練を行う予定でございます。
  111. 玉木清司

    ○玉木政府委員 御指摘のように新富町を主といたしまして、新富町におきまして一月の中旬以降、急速に御反対の動きが出ておることは事実でございます。これにつきまして、今日までに至ります地元でのいろいろな事情につきましては大変複雑なものがございましたけれども、現在の事実に対しまして、明日は私どもの職員も現地に参りまして、村民の御反対の方々と対話の集会を持つというようなことで、なお深く御理解を賜るように努力をする所存でございます。
  112. 細田吉藏

    細田国務大臣 ただいまの問題につきまして、私から全般的なお答えをいたしたいと思います。最初に、戦争に巻き込まれる云々というようなことでございますが、これは日米双方の戦術技量の向上を単純に目的として実施するものでございまして、そのような危険性が生ずるといったようなものでないことは当然でございます。なお、米軍機は訓練期間中のみ飛来するものでございまして、常駐するものでないことももちろんでございます。  地元の問題につきましては施設庁長官からいま申し上げましたが、私もいろいろ事務当局から聞いたわけでございますけれども、新富町という一町が、この中にも賛成をしていただいている方々も多数いらっしゃるようにも伺っておりまするけれども、近来反対が強いということで、必ずしもまとまっておらないというふうに承っております。そこで、ただいま施設庁長官が申しましたように、地元でいろいろ御心配がございましたり、騒音、安全等について特に御心配がございます。何しろ初めてのことですから御心配があることもごもっともと思います。それらにつきまして、まだ若干の日時もあることでございまするので、十分御理解をいただくように全力を挙げてまいりたいと存じておりまするけれども、この共同の訓練は、最初に申しましたように、技術の訓練上どうしても実行したいと私ども考えておる次第でございますので、地元と十分話し合いをいたしまして実行させていただくような方向で努力したい、かように考えておる次第でございます。
  113. 兒玉末男

    ○兒玉委員 あと二点についてお伺いしますが、第一点は、先ほどの御説明では、訓練は今回だけだ、こういうふうなきわめて短期日のように言われますが、恐らく米軍の要請は、長期的な訓練でなければ効果がない、高度の戦術技術の向上ということは一遍きりの訓練で向上できるはずはない。私もかつて航空隊におった関係もありまして、そんなにちょろちょろっとやって技術が向上するものではありません。とするならば、先ほどの御説明は、いつまでと期限を切ってこの訓練をするという明確な期限の明示がないこと、それから将来ファントムが来ますならば、当然滑走路の延長という問題も起きることは火を見るよりも明らかであります。加えて、現地約二百五十数名の住民は、労働団体、民主団体とは別な立場から、もしそのような行為がある場合は死を覚悟してでも座り込みをやるということを明言しているわけでございます。そういう現地の情勢等を把握するならば、聞くところによると米軍の行動は今月の十八日には強行するという情報も聞いておりまするが、もしそういう行為を行うならば、今後現地においては予測できないところの混乱が生ずることも私には十分に理解されますが、訓練期間の期限の問題、それから今後絶対に滑走路の延長はしないのかどうか、それから同時に、十八日の訓練強行という情報は、これはあくまでも地元側の了解がない限りは強行はしないという確認ができるかどうか、この点についての見解を再度承りたいと存じます。
  114. 佐々淳行

    ○佐々政府委員 まず訓練の回数、期間等について私から申し上げます。  訓練は、先ほど今回一回限りと申し上げたことはないと思いますが、年四回程度行うということで当分の間訓練をさせていただきたいと考えております。  ただ、第二番目の、これを日韓米の何らかの問題があったときの戦闘基地にするということは考えておりません。  また、訓練の第一回目は地元とのお話し合いで二月中旬ごろということでお話を進めておると承っておりますけれども、訓練の具体的な実施日時につきましては、きょう現在最終的にまだ決定をいたしておりません。決定次第御報告いたしたいと思います。
  115. 兒玉末男

    ○兒玉委員 防衛庁長官、ただいま、地元の同意を得た上で最終的に決定する。私が非常に不安であるのは、この訓練期間というのが無限大に続くということについて、将来それが半永久的に、三沢なり千歳なり那覇のように米軍の永久基地化するための布石じゃないかという懸念が私はしますから先ほどのような御質問をしたわけですから、その点について、まず住民の理解、それがない限りは訓練はしない、それから永久的な米軍基地への地ならしではないということは確認できるかどうか、再度答弁を求めます。
  116. 細田吉藏

    細田国務大臣 お答え申し上げたいと思います。  この種の問題はこれまでも地元との関係でいろいろ起こっておることだと思います。大変重要な問題でございます。自衛隊のいろいろなことをやってまいりますのに際しまして、国民の皆さん、特に地元の皆さんから御納得をいただいて御協力いただくことにあらゆる努力を尽くしてまいらなければならぬということは当然だと思うわけでございます。ただ、今回のこの演習、訓練につきましては、先々の問題はこれは別にいま決まってどうこうということではありませんけれども、いろんな地元との経緯もあったようでございまして、これはどうしてもやらせていただきたい。しかし、不測の事態が起こったりいろいろするのじゃないかというようなお話でございますが、そのようなことのないようにひとつぜひお願いをいたしたいということで全力を挙げてまいりたいと思います。  しかし、将来にわたって地元に全然もう非常な大きな反発がある際にこういうことが続けてやれるかどうかということになりますと、いろんな点については十分考えていかなければならぬ。特に滑走路の延長というようなお話もございましたが、そういうような問題については、もちろん地元の御了解なり何なりそういうものがなければならぬと思います。したがいまして、御心配のような、今後の長期化とか、あるいは常時おるのではないかとか、日韓米の基地として云々といったような、そういったような問題につきましてただいま具体的にどうということではございませんので、そういう点につきましてはさらに地元との関係は十分密接にとりながらやってまいりたい、こう思っておりますので、御協力を賜りたいと存ずる次第でございます。
  117. 兒玉末男

    ○兒玉委員 まあ長官答弁は明確を欠きますが、特に要望したいことは、これ以上の紛争を起こさないこと、それから関係地元の住民代表機関の同意を得ない場合は絶対に訓練は強行しない、このことだけは強く要望して、これに関する質問を終わります。  次に、交通関係の質問に入りますが、まず最初に運輸大臣に確認したいことは、さきの本会議でわが党の井岡議員が交通問題を質問し、その際、第八十五国会の運輸委員会における地方陸上公共交通維持整備に関する決議について、その即時実行の要求を強く迫りましたが、政府はいかように対応しようとしているのか。本決議の趣旨は、今日困難になっている地域交通についてそれを克服するための新たな制度をつくるべきであるということであり、そのための立法措置について政府に具体的な提案を求めたものである。しかるに、当時の福永運輸大臣はこの決議の実行について誠意を持って履行する約束をしたのであるが、その後の政府対応はきわめて消極的である。政府は今国会において国鉄関係の法律案等の準備を行っているようであるが、今日政府の第一の責任は、まず立法府の意思に従い、この決議の実行のため具体的な措置をすることではないか。自分の都合だけで法案の提出をする姿勢は国会軽視であると言わざるを得ない。地域交通整備のための必要な制度をつくる意思があるのかどうか、この際明確にお答えをいただきたい。運輸大臣の答弁を求めます。
  118. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 お答え申し上げます。  地方陸上公共交通の重要性については十分認識しているところでありますが、従来から鉄道、バス等に対し所要の助成措置を講じ、地域住民にとって不可欠な公共輸送の維持整備を図っております。運輸省といたしましては、このための安定的な財源確保措置を講ずるべく五十四年度、五十五年度予算編成過程において努力いたしましたが、実現いたしませんでした。今後とも地域の実情にきめ細かく対応し得るように配慮して、地方陸上公共交通の維持整備を図ってまいりたいと存じております。
  119. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣に要望しますが、後でお聞きしますけれども、ただ書いた作文を読むだけではその実行はできないと思うのです。福永運輸大臣のその委員会における答弁が実行される対応がきわめて大事であることを強く要望しておきます。  それでは国鉄再建に関する問題を中心にお伺いしますが、まず最初に閣議了解事項についてでございますけれども、今回の閣議了解を見ますと、一方では、構造的問題に対する対策が不十分ではあるが一応明確化されており、他方では、経営の重点化、減量化施策をとる中で地方交通線については特に抜本策を講じて昭和六十年度までに約四千キロを国鉄から分離することとしているが、政府としては、これからの経済社会の中において国鉄の経営の基本をどこに置こうとしているのか、国有鉄道の使命、性格はこれからどのように展望するのか、この基本的な問題についてまず大平総理の見解を承りたいと存じます。
  120. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 国鉄が今日のような状況で推移してまいりますことはゆゆしい事態でございます。したがいまして、政府としてはまずこの再建を図らなければならぬわけでございまして、閣議におきまして決めましたことは、第一はまず経営の徹底的な合理化を図るということでございます。そして、その合理化を図ることを前提といたしまして公的な助成をいたすということでございます。第三は運賃の適正な引き上げを図ってまいるという三本の柱によりまして再建を図ってまいるということが、当面われわれが国鉄の再建に当たりまして掲げておる三原則でございます。  国鉄を今後交通体系の中でどのように位づけてまいるかという問題、国鉄という事業体をどう持っていくかというような問題、そういった問題につきましては、総合交通政策等の問題として検討していくべき問題と心得ております。
  121. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これはきわめて重大な問題でございますから、また後ほど総理には再度見解を聞くことにしまして、時間の関係がありますので次に移ります。  この際、運輸大臣にお伺いいたしますが、国鉄の再建ということは財政再建ということだけでは真の国民の国鉄としての使命を果たすことはできないし、特に国の基幹的輸送機関としての機能はこれからも永久的に持続されなくてはいけない。特にエネルギー資源の貧困な国においては、大量輸送機関、公共輸送機関としての国鉄の使命はきわめて重大であります。こういう見地から、言われている運輸政策上の配慮の具体的な内容として政府は何を考えておられるのか、またそれをどのように実現されようとするのかというのが第一。  第二点は、今回の閣議了解において、構造的な欠損の対策を政府として明らかにしているわけでございまするが、早急に検討を進め、結論を得ると言われているところのいわゆる年金関係の問題あるいは運賃上の公共負担対策等については、今次予算では特に運賃関係の公共負担については明確な指示がなされておらない。これは大蔵の予算関係との関連もありますので、二点については大蔵、運輸大臣。  それから三番目は、第九十一国会に所要の法案を提案すると言われておりまするが、その内容はどのようなものであるか。  以上三点について、運輸大臣、大蔵大臣の御所見を承りたいと存じます。
  122. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 いわゆる運輸政策上の配慮と申しますのは、各交通機関の特性を生かして効率的な交通体系の形成を図る観点から、運輸行政上の具体的な施策等を通じて各交通機関の特性を生かし得るような運賃制度面での配慮及び運輸関係施設の整備、各交通機関の適正な競争条件を維持するための輸送秩序の確立等を図ることにより、国鉄の有する特性も十分発揮するように配慮するものでございます。  なお、年金対策につきまして御説明申し上げます。  国鉄職員の今後の退職者の増加に伴い、国鉄自身の年金負担は見逃すことのできない問題となってきておりますが、この問題の基本は国鉄共済組合の経理の健全性を確保することであると考えます。このため、昨年十二月二十九日の閣議了解された「日本国有鉄道の再建について」の中で「年令構成の歪みから生ずる国鉄の年金問題の重要性にかんがみ、関係省庁において抜本的な共済年金対策について検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずる。」こととしております。今後関係方面とも十分協議してまいりたいと考えております。
  123. 竹下登

    ○竹下国務大臣 国鉄あるいは交通関係全般に対する考え方は運輸大臣からお答えしたとおりであります。特に、運輸大臣からも強調しておられました国鉄共済の問題につきましては、これはまさに関係者が寄って早急に結論を出す努力をしなければならぬと、せっかくそのような方向で検討を急いでおるということであります。
  124. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣、提案する法案について御説明がなかったようでございますが、いかがですか。
  125. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 昨年十二月に行った国鉄の再建に関する閣議了解において、国鉄の地方交通線については、地域住民の理解を得るよう努めつつその足の確保に十分配慮しながら、徹底した合理化、特別運賃の設定、バス輸送または第三セクター、民間事業者等による鉄道輸送への転換等の対策を進めることとしております。これらの対策が円滑に実施されるよう、現在所要の立法措置について検討中であります。  法案の内容については、目下関係各方面との調整を行っておる段階であり、まだ成案を得るに至っておりませんが、地方交通線の選定等の手続、関係者による協議、代替輸送の確保、特別運賃、鉄道新線の建設、地方交通線に係る助成等の措置を織り込みたいと考えております。
  126. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣、もう少し具体的に説明が欲しかったわけですが、もう新聞報道には全部載っておるわけですけれども、一応権威ある予算委員会での答弁としてはちょっとお粗末だと思っております。  次に、国鉄総裁にお伺いいたします。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕  今回の国鉄再建につきましては、これは総裁一人で踏ん張ってもできない問題だし、やはり国鉄職員の理解と協力ということはきわめて大事であり、聞くところでは、四千五百名の定員削減についても、組合側の方も現段階では理解をせざるを得ないというふうなことも聞いておるわけでございますが、問題は、ただ財政のつじつまを合わせるということだけで何でもかんでも職員数を減らせばよろしいという問題だけでは根本的な解決はできない。財政主導の方針から、やはり私は、国鉄は物を運び人を運び、地域住民の期待にこたえるという営業主導型の経営理念というものがなければ、今後の改善と再建はできないと思います。そういう点について、今回、国の助成策もほぼ国鉄の要求に合致した程度の助成がなされておるようであります。それにしてもまだ八千八百九十九億という赤字が積み残されるという厳しい現状を踏まえながら、総裁として今後の再建対策にどういう決意で臨むのか、総裁の見解を承ります。
  127. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもの経営の立て直しの基本は、やはりいかにして収入を上げる努力をするかということにある。そしてもう一つは、いかにして経費の節減を図るかということに尽きるわけでございます。  そこで、収入確保につきましては、昭和四十六年をピークといたしましてずっと減り続けておりました貨物輸送につきまして、四十九年の九月から引き続き今度はわずかでありますけれども増送、そして増収につながるという形になってまいりました。これは、いささか職員の気分が変わってまいりまして、営業への取り組み姿勢が実ってきたのではないかとひそかに喜んでおる次第でございます。ところが、一方、旅客につきましては、例の五割値上げの影響等もありまして、昭和五十年をピークといたしまして毎年お客様が減り続けておるわけでございまして、残念ながらまだこうした傾向から抜け切れずにおります。  私どもは、そういう面では何とかいろいろ職員全体で努力をいたしまして、いいサービスをするように努力をする、安定した輸送と、それから少しでもいいサービスに変えていくということがこの際お客様に乗っていただける基本ではないかというふうに考えて、そういう指導なり教育をいたしておるところでございます。  と同時に、一方におきまして、経費を節減する努力をしなければいけないわけでございまして、そのため、いわゆる三十五万人体制について十分な職員諸君の理解のもとにそういう体制をつくり上げてまいりたいと思っております。
  128. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸大臣に重ねてお伺いいたします。  先ほどもお話がありましたが、今後、地方交通線四千キロにわたる統廃合の課題は、沿線住民にとりましてはきわめて重大な関心事でございますが、言われている協議会の設置については、その権限、組織は一体どうなっているのか。   ということは、少なくともレールを撤去する場合はキロ当たり平均三千万の莫大な資金が要ります。そして、払い下げをしたけれどもサービスはよくならない、運賃は高い、しかも地方の民間企業がへたに協議会で圧力をかけて払い下げを決定しても住民の利益にならないという懸念が多分にありますが、この協議会設置に関する点。  それから、国鉄の地方交通線対策以前に、地域交通維持のためのどうあるべきかという基本的な施策が明らかにされなければ、せっかく協議会を設置しても、その運用なり効果を期待することができないというのが第二点。  第三点は、新聞報道によりますと、見切り発車をするということが言われております。一年以内に同意が得られない場合は、撤廃なり第三セクターなり国鉄経営なり、そういうことについてのいわゆる見切り発車条項とはどんな中身のものなのか。何かきのうの新聞報道では、一部に、見切り発車はとてもできないという大臣談話みたいなのが載ったということも聞いておりますが、このような朝令暮改的な発想なり、あるいはキロ単位二千名以上が四千名になったり六千名になったりあいまいなことではこの処理はできないと考えますが、この三点について、大臣の明確な見解をお伺いいたします。
  129. 山地進

    ○山地政府委員 事務的な問題でございますので、私から答えさせていただきます。  第一番の協議会の内容でございますけれども、関係の政府機関とそれから関係の地方公共団体並びに日本国有鉄道というもので組織するということをもとといたしまして、まず協議会というものを設置いたしまして、それからその会議に学識経験者あるいは関係のバス事業とか鉄道事業というものの方々を入れまして、その廃止をする路線、あるいは第三セクターとか民営鉄道の方に転換する路線について選択をいろいろ御相談するということを考えております。  それから、第二点の地方交通線対策をやる前に、まず地域交通対策というものがあるべきでないかということでございますが、この地域交通対策につきましては、昭和四十六年に臨時総合交通問題閣僚協議会というのがございまして、総合交通体系についてその基本的な考え方というのが示されております。それによりますと、交通需要の少ないところというのは、大量定形輸送である鉄道というものにはなじみが薄いということから、もちろん地域内の交通の需要量というものによるわけでございますが、道路を利用する交通機関が主たる分野を占めることにすべきではないだろうか、特に過疎地帯については、過疎対策の一環として道路の積極的な利用、整備を図り、道路への転換ということが適当である、もちろん住民の日常の生活に十分に配慮して代替輸送機関の確保を図るべきでないだろうか、こういう基本的な考え方が示されておるわけでございます。  それから、第三番目の見切り発車の点でございますが、(「大臣でなければだめだ」と呼ぶ者あり)ちょっと事務的にいま法案を考えておりますので……。  その中で、まだ固まっておりませんのでどういうふうになるかわかりませんが、私どもが考えておりましたのは、協議会をつくって国鉄の路線をどういうふうにするかということを御協議いただくわけでございますが、一年がたちまして協議がどうも調うことがむずかしいという判断をした場合には、国鉄から運輸大臣に廃止申請をする。これはいまの日本国有鉄道法にも廃止の許可申請という項目があるわけでございます。したがって、本来の法律だけで申しますと、廃止申請というのはいつでもできるわけでございますけれども、今回われわれが考えておりますのは、協議会でいろいろよく御相談をして、一年たってとてもこれでは調わない。調うことの見込みがたてば一年たってもまだ待つわけでございますけれども、とても調わないということが明らかになった場合には、国鉄から申請をして運輸大臣がまたそれから許可の判断をする、これが通常言われております見切り発車条項でございまして、この点につきましてもまた各方面でいろいろ御意見がございまして、御相談をしているところでございます。
  130. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 キロ当たり二千人以下の交通路線に対しては、町村の過疎化あるいは貨物の減少、このようなことで現在の施設、人員では十分採算がとれないということが明らかでございます。したがって、私どもといたしましては、キロ二千人以下の地方線については、住民の足を奪うことのないようにバス路線に転換して確保していきたい。それに対して運営上いろいろ第三セクターその他の問題でマイナスが出た場合には十分助成措置を考える、こういう対策を講じていく考え方でございます。したがって、一年間いろいろ地方協議会において御相談をいたしまして、どうしても国鉄再建のために地方線の再建ができないということになれば、この際御了解を得てバスに転換を図っていきたい、かように考えております。
  131. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの大臣の発言はきわめて大事なことでございますので再確認しますが、地元の了解を得て実行に移すというふうに確認していいかどうか。
  132. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 このたび提出を予定しております法案の中の地方協議会ということは、当然住民の了解を得るために地方協議会をつくるわけでございますから、その意思を十分生かしてまいりたい、かように思っております。
  133. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほどの鉄監局長の説明によりますと、地方協議会の構成メンバーというのが若干わかりにくい点もありますが、私は少なくともこの協議会の構成メンバーは、地元のバス会社とか私鉄会社とかの企業ももちろんでしょうが、自治体、それに利用する利用者代表、民主団体、こういうものがぜひこの協議会の構成メンバーに入ることが不可欠の条件であって、利用者がつんぼさじきに置かれる、町長や村長の意見を聞けばそれでいいのだという発想では困るわけでありまして、利用者、住民等の民主団体、こういうものをぜひ構成メンバーに入れることを私は要求するわけですが、その辺の見解はどうですか。
  134. 山地進

    ○山地政府委員 先ほど御説明いたしましたように、協議会を組織するメンバーというものは国の関係行政機関、これは運輸省、建設省あるいは警察というような地方の出先があるかと思いますが、そういったもの、それにできれば地方公共団体もそのメンバーに入っていただきたいわけでございますが、まずそういうもので協議会というものを組織いたしまして、協議会に会議というものが別途設けられるわけでございます。その会議におきましては、あるいは地方公共団体の長あるいはその指定する職員、それからバスだとか引き受ける事業者というような関係の方、あるいは公正な学識経験者というような方々がおられるわけでございますが、私どもの考えとしては、会議の構成員というのは地方公共団体まで、あるいは学識経験者までで、判断に公正を期するというところまでが構成員であろうかと思います。ただし、会議にいろいろ意見を述べていただいて実情というものをよく把握し、いろいろの声を聞かなければいけないという関係では、あるいは参考人といいますか、会議に出て意見を述べていただく方を入れるというようなことも必要であろうかと考えております。その点につきましては、現在まだ確定しておりませんので、この席でどうなっているということは申し上げられませんが、十分そういうようなことでいろいろな声を聞くということを考えなければいけない、かように考えております。
  135. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣、いまの事務当局の見解ですが、私の民主団体というのは、利用する勤労者、これを組織する団体のことを言っているわけです。ですから、この辺は協議会設定の際は十分な考慮をしてもらうことを強く要望しまして、次の問題に入ります。  陸上公共輸送整備の特別会計制度というのがもう二回とも見送られております。社会党としては、これからの地域交通のもろもろの整備というのは、総合的な交通体系という上に立ちましたところの特別会計制度でなければ万全を期することができないと思うわけですが、いずれにしましても、この対策については今後の見通しはどうなのか。  それから、先般道交法、道路運送法の改正によりまして過積み規制等の措置がとられておるが、その効果あるいは規制の見直し等は必要でないのかどうか、これは運輸省と公安委員会。  それから昨年の十二月、自動車運転者の労働時間等の改善基準が出されておりますが、この実施状況なり対応策、たとえば高速道路における休憩施設等、このような点について、運輸省、労働省の見解を承りたいと思います。
  136. 永井浩

    ○永井(浩)政府委員 最初に特別会計の件についてお答え申し上げます。  先生御指摘のように、私ども、地方交通の経営の確保につきましては、従来から私鉄の補助とかあるいはバスの助成とかいうようなことを行ってきたわけでございますけれども、やはりこれをさらに充実するためには安定的な財源を確保することが先決であろう、これは運輸委員会の御決議でも特に指摘されたところでございます。そういった意味で、五十四年度予算、五十五年度予算案の編成過程におきまして、この特別会計あるいは安定的財源という問題を検討してまいったわけでございますが、諸般の事情によりまして見送ることとなったわけでございます。  なお、この点につきましては、さらに私どもも勉強して検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  137. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えいたします。  過積載の件でございますが、一昨年十二月の道交法の改正を契機にいたしまして、これは私どもの体制の関係もありましたが、関係省庁によります指導と関係業界の大変な自主的な努力によりまして、過積載の面につきましては大変な成果が上がっているように考えております。過積載の車両そのものが従来に比べて約半数に減っておるということ、過積載の度合いの著しいものの減り方が特に顕著である、それから過積載に絡んだ重大事故というものが半減以下になっておるというふうな状況でございまして、私どもいまの姿勢で今後努力を続けていきたいものであるというふうに考えております。
  138. 吉本実

    ○吉本(実)政府委員 先ほど御質問になりました二・九通達、新しい二・九通達のことでございますが、昨年の十二月二十七日に都道府県の労働基準局長あてに出したわけでございますが、これは昨年四月以来関係の労使団体といろいろと接触をしましてつくったものでございまして、この通達の際にも関係労使団体につきまして改善基準の遵守について要請をし、あわせて主要の荷主団体につきましても協力方を依頼したところでございます。  この基準は、本年の四月一日を目途にやることにしておりますが、そのために部内の整備を図るということで、ことしの一月に地方の基準局の担当官を集めまして業務研修を行い、三月中には業界に対しまして一通りの指導が終了する予定でございます。  なお、四月から六カ月間は、この新しい基準に基づきます運行体制の調整期間ということでいろいろ指導をしまして、十月以降指導監督に当たる、こういうことにいたしております。それから、御質問の休憩施設等につきましては、関係省庁と目下いろいろと検討しておりますので、それによってやってまいる所存でございます。
  139. 飯島篤

    ○飯島政府委員 トラックの過積載に対する問題でございますが、五十三年八月に自動車運送事業等運輸規則を改正したことは先生御存じのとおりでございます。運輸省といたしましては、荷主団体等の理解と協力を得ながら、過積載の防止、あわせまして適正運賃の収受の徹底等につきまして、関係のトラック業界を指導してきたところでございます。警察の取り締まり実績を見ましても、営業用トラックについて特に顕著な改善効果が見られております。今後ともその定着を図ってまいりたいと思います。  なお、いま労働省から話がありました二・九通達の関係につきましては、トラックについては関係の業界あるいは建設省、道路公団等と協議いたしまして、トラック運転者の休憩施設等の整備の推進に努めてまいるよう指導いたしまして、長距離トラックの運行に支障のないように配慮していきたいと考えております。
  140. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、環境庁長官にお伺いいたします。  先般環境庁が、今後の環境庁行政の中で画期的な構想を発表されているわけでございますが、特に大都市周辺における住民は五人のうち四人までが交通公害、すなわち騒音あるいは排気ガスあるいは交通事故、こういう面における被害をこうむっていることが報道されております。なかんずく大型トラック等の排気ガスは発がん性の物質を多量に含んでいることが、窒素酸化物等の規制の時点でも十分論議をされているところでございますが、環境庁としてはこの画期的な発想が実を結ぶように、そうして都市間における大量交通輸送の根本的な改革、あるいは総合規制によるところの今後の交通政策にも重大な影響を持つ課題でございますが、中公審に対する諮問が新聞の報道等では六月ないし遅くとも七月には出されるという旨の報道がなされております。この際、これは環境庁だけでなくして政府としても勇気ある決断が必要でありますが、これに対して長官の見解をお聞きしたいと存じます。
  141. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答えいたします。交通公害対策は一九八〇年代の環境政策の重要な課題でございまして、事務当局におきましても昨春来総合的な対策を樹立いたすべく検討会を設けまして、ただいま鋭意検討をいたしておる次第でございます。  そこで、私は昨年の暮れに物流の事情、それからまた先ほど先生が御指摘になられましたとおり、大型車、ディーゼル車等の実情をひとつ把握したいということで、首都圏と近畿圏を結ぶ東名高速道路の川崎インターチェンジを中心といたしまして視察をいたしたのでございますが、参りまして驚いたことに、七公害のうちの三公害、騒音、振動、排気ガス、これによって沿道の住民の皆さん方が大変御迷惑を受けておるという実態を承知いたしたわけでございます。そこで、何と申しましても、これからも対症的な療法ではなくして総合的な対策を早急に立てていかなければならないということを深く痛感いたした次第でございます。  そこで、今後総合的な交通公害対策を進めるために、去る一月二十一日に環境庁内に交通公害問題に関する懇話会を設けまして、学者や専門家の方々の御意見を承ったような次第でございます。その先生方の中から、特に先ほど先生からもお話がございましたが、大型車、ディーゼル車等が大きな社会的な問題になっております。さような意味におきまして、特に物資の輸送がトラック輸送に偏っておるような現状にかんがみ、たとえば公害の少ない交通経路や、あるいはまた船舶や鉄道等に物資輸送を振りかえるような方法を考えたらどうかとか、あるいはまた、この道路周辺の適正な土地利用の問題、それからまた大型車、ディーゼル車に対する騒音、排ガス規制等々の問題が述べられたのでございます。大変先生方が御熱心でございまして、大変いい会でございますから、私といたしましては、あと一回か二回くらいこの会を開きまして、御意見を承り、そして役所におきましても、いろいろ検討なされておりますので、これらの御意見を踏まえて、でき得ますならば六月か七月ごろに中公審に諮問をしたい、かように考えておる次第でございます。
  142. 兒玉末男

    ○兒玉委員 環境庁長官の決意を壮としますが、環境アセスメント法が過去四回沈没しているわけです。一番先に抵抗するのは通産省、その次が建設省というふうに言われているわけですね。これは総理からも見解を承りたいわけですが、今回のいわゆる総合的な規制の問題は、通産、運輸それから建設、この三省の理解と協力、これがなければ土屋長官のりっぱな構想はまたつぶれます。ですからこの際、通産、建設、運輸大臣の、これの総合規制への答申が実りのあるものになるようにその決意と協力する旨の答弁を私は求め、最後に、アセスメント法を含めて今回の総合交通規制の問題は環境庁長官の指摘に私は寸分間違いないと確信いたしますので、そういう点から、それぞれの大臣並びに総理が、この総合規制の実現ができますように、中公審の答申が早急に結論が出ますように各位の見解と決意のほどを私は要求して、私の質問にかえます。
  143. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 運輸省といたしましては、総合的見地から効率的な輸送体系の形成について施策を進めているところでありますが、環境の保全もこの際配慮すべき重要な要素の一つであると考えております。環境庁において交通公害対策の確立につき検討を行っておると聞いておりますが、当省としては、同庁と十分連絡をとりながら、環境保全にも留意して輸送体系の確立を図ってまいりたいと存じております。
  144. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 交通公害の問題に関しまして、お話しのように結論が出ますれば十分検討いたしてみたいと思います。
  145. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えします。  建設省は先般申し上げましたように、高速道路の整備計画につきましても、あるいは都市計画、本四架橋、すべて環境調査はすでに実施をいたしておるわけでございます。今度の国会にも、この幹線道路のいわゆる騒音防止等の意味を含めまして、幹線の沿道の環境保全施設制度を法案として出したいと思っておりますので、十分そういう問題につきましては前向きに対処したいと考えておりまするけれども、ただ、事業の執行等に当たりまして、いろいろな混乱、停滞が起きる心配もありまするので、やはり現実的に合理的に推進をいたしまして、いまありまする制度との調整に対しまして十分配慮をしていただくことが必要ではないか、この点申し添えまして、私どもの考え方を御報告いたします。
  146. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 交通公害につきまして中公審の御答申をいただきますれば、それは尊重いたして努力いたしますことは当然の責任だと思っております。  アセスメント法案につきましては、政府部内にもいろいろな意見がございますが、目下自由民主党との間で意見の調整中でございます。成案を得ますれば、国会に御審議をいただくつもりです。
  147. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、運賃に関する点で運輸省当局と国鉄当局にお伺いしたいと存じます。  一点は、今回航空運賃の改定についての申請を出す旨の報道がなされておりますが、航空運賃の改定についてはどのような査定を行う予定なのか、まず航空運賃関係からお伺いいたします。
  148. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 昨年の十月、航空五社から二八・八%平均の最近の燃油等の値上がりということを理由にして申請がございました。航空運賃は四十九年以来据え置かれておりますので、最近における顕著な燃油の高騰ということを考慮いたしまして、昨年十一月に運輸審議会に諮問をいたしました。運輸審議会は十数回にわたって慎重な審査をいたしまして、一月三十一日、五社平均改定率を五%圧縮した二三・八%として路線別に申請を認可することが適当であるという答申がございました。なお、離島路線については、これが離島住民の足となっていることを配慮いたしまして、沖繩以外の離島は原則として約二〇%とし、沖繩内の路線については一律二一%としております。その他運賃改定に際して、奄美の乗り継ぎ割引制度の新設等幾つかの改善を行うことといたしております。  運輸省といたしましては、この答申を尊重し、物価問題に関する関係閣僚会議その他所要の手続を経て、認可の運びにいたしたいと考えております。  なお、運輸省としましては、この際、輸送力の増強のほか旅客公衆の身になったきめ細かいサービスの向上について努力するとともに、省エネルギーの情勢を十分考慮して、今後とも航空会社を指導してまいりたいと存じております。
  149. 兒玉末男

    ○兒玉委員 運輸大臣並びに国鉄当局に今度は国鉄の運賃改定に関する件でお伺いしますが、今回の国鉄再建に関する閣議了解事項の中で、「運賃については、輸送需要の動向、他の運輸機関との競合関係等を考慮しつつ、国鉄の主体的な経営判断のもとに、きめ細かな工夫を凝らし、法定限度の範囲内において、国鉄の収支状況及び物価動向にも配慮しながら、適時適切に改定を行う。」こういう表現が使われております。  聞くところによると、近く運賃値上げの申請をするということを聞いておりますが、五十五年度の予算で国鉄が見込んでいる改定増収分は約一千百六十億、若干の増減はあろうかと存じますが、この改定増収額は果たして達成できるのかどうか。  今回の運賃改定について若干の意見を申し上げますならば、私が非常に懸念しあるいはお正月以来地方の国鉄の現場の声を聞きますと、これ以上運賃を値上げすれば客が逃げるという主張をしております。運賃改定率に対応する増収率についても、なかなか過去の実績からも思うような実績が上がっていない。  ちなみに、先ほど資料をお配りしましたのをごらんいただければわかりますが、国鉄と民鉄との競合線区の状況を私は調査を依頼しまして資料をいただいたわけですが、たとえば新宿−八王子間の場合で、普通運賃で二百円、通勤で五千百五十円、通学で二千百八十円、新宿−小田原の場合で、同じく普通が四百六十円、通勤が一万八千三十円、通学は六千三百四十円、関西地区においてはたとえば天王寺−和歌山間で、普通が百二十円、通勤が五千六百五十円、通学が三千三百七十円等、大体輸送状況の共通する地域においてこれだけの民鉄と国鉄との格差、いわゆる国鉄が高いわけであります。もちろんこれはいろいろな情勢があるでしょう。大量輸送機関において増収しなければ地方ローカル線のカバーができないということは考えられますけれども、やはり地域における経済性というものも十分考慮に入れ、競争する機関との対応を考えていかなければ、増収を企図する余り角をためて牛を殺すというような愚があってはいけないと思うのであります。  二ページには貨物運賃の比較、国鉄は三等級ありますが、中間の二等級を中心にトラック運賃との比較を一応調査してみましたが、やはりこれまた国鉄の運賃が比較的に高いわけであります。もちろんこれはトラック輸送というのは過当競争の面もあり、先ほど過積みの問題等も指摘したところでありますが、いずれにしましても、財政収支の帳じりを合わせる余りに今回の運賃改定がどういう影響を及ぼすかということについて、私は出身の議員として大変懸念するものであります。  そういう点から、住民負担ということもこれは全く皆無であってはいけないのでございますが、運賃改定の妥当性、こういうもの等について監督官庁の運輸省としてはどういうような見解を持ち、御指導をされようとするのか、また国鉄当局としては、予想される改定で予定どおりの収入を期待することが可能なのかどうか、その点についてそれぞれの見解をお伺いいたしたいと思います。
  150. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 国鉄は輸送機関におきます独占体制ではございません。民鉄あるいは飛行機あるいはバスその他各種の輸送機関と競争関係にあるわけでございます。したがいまして、みだりに運賃を値上げして増収を図ると申しましても、客離れも起きるわけでございますから十分配慮しなければならないわけでありますが、ことし五十五年度から国鉄の再建体制に立ちまして新しい対策を立てる上において、国鉄から所要の申請がございましたときには十分検討いたしたい、かように考えております。
  151. 高木文雄

    ○高木説明員 先般、国会におきまして運賃法定制度を緩和していただきましたときの私どもの考え方といたしましては、毎年経費の増加分だけはひとつ運賃改定をお認め願って、そして何とか立て直しの足がかりにいたしたいということであったわけでございます。その考え方によりますと、五十五年度に運賃改定をさせていただきたい金額は二千二百億くらいになるわけでございますが、今回、予算の折衝に当たりまして政府側にお願いをいたしまして、今回は消費者物価にらみということで、二千二百億円でなくて千二百億円弱の値上げということでお認めいただいておりました。その数字に関連して近く具体的な改定案の申請をいたしたいと思っております。  その際、ただいま御指摘のお客が減るようなことになりはしないかということは、私どもとしても大変心配の種でございまして、かくてはなかなか再建もできないということになるわけでございますから、現在の非常に厳しい競争関係のもとにおいて、そういうことになりませんようなところを探し求めて何とか案をいまつくっておるということでございまして、この程度であれば御心配のようなことはなくていけると思っております。なお、職員の諸君が大変心配しておるよという御指摘がございましたが、まさにそのとおりでございまして、職員の人たちもただいまこの問題について非常にナーバスになっております。しかし私は、経営判断の責任者といたしまして、いまの予算で決められましたような範囲内といいますか、その水準での改定をぜひともお願いいたしたいというふうに考えております。
  152. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間が迫りましたので、あと三点についてお伺いいたします。  通産大臣、エネルギーの所管でございますが、陸海空を通じて、特に運送部門におけるエネルギーの消費が非常に高いわけでございます。有限のエネルギーでありますから、当然その効率的な運用ということは十分に配慮すべきだと思うのですが、先ほどの運賃比較表の下の方に、単位輸送量当たりの消費エネルギー、キロカロリーで人キロとトンキロの比較を出してあります。旅客輸送の面においては、国鉄が一のカロリーを必要とする場合、バスが一・五倍、乗用車七倍、航空七倍、貨物輸送の場合が国鉄の一に対し内航海運が二・八倍、トラック一〇・八倍、これはもちろん五十一年度の実績による試算でございますが、このようにエネルギー消費の比重に大変なアンバラがあるわけでございます。とするならば、今後の輸送体系におけるいわゆる消費エネルギーの有効的な利用が欠くことのできない課題であろうかと存じますが、通産省としてはどのような対応を考えているのか。  それから運輸大臣に対しましては、このような燃料の効率的な活用において、今後の貨物輸送なりあるいは旅客輸送等の形態において輸送調整等、たとえば長距離貨物等は国鉄に傾斜するとか、同じような物資が同じ道路上を往復して道路輸送を困難にするとか、そういう物資の所在、輸送関係等を十分に考慮した体系を真剣に考慮する必要があるのじゃないかという点についての運輸大臣の見解。  もう一つは、全く内容は違う関係でございますが、文部省と官房長官にお聞きしたいのですが、本年夏のモスクワにおけるオリンピック大会について、数多くの選手諸君がその日のために日夜を分かたないまじめな研さんを続けております。アメリカ等の関係で、アフガニスタンへのソビエトの武力侵略のためにオリンピックには参加をしないという問題等がありますが、私は平和を目的とするオリンピックのこの思想から考えても、数多くの選手諸君に希望の持てるように、しかもその成果が十分期待できる場であるオリンピックの開催が可能なように政府としては格段の努力をすべきであると考えますが、政府当局の見解をお聞きしたいと存じます。  以上で私の質問を終わります。
  153. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず最初のお尋ねの点につきまして、私からお答え申し上げます。  交通輸送機関におきます鉄道に比べますところのたとえばバス、乗用車等の効率の悪さにつきましては、先生の御指摘のとおりでございます。そこで私どもといたしましては、鉄道の優秀性につきまして十分尊重しながら、あとの交通体系をできるだけ省エネルギー化するということを現在努力いたしておるところでございまして、数字を申し上げますと、昭和六十年度におきまして輸送部門の省エネルギーを一〇・八%節約をいたしたい、それから六十五年度に一四%の節約をいたしたい、七十年度に一六・五%の節約をいたしたい、こういう省エネルギー運動を展開いたしたい、こういうふうに考えているところでございます。
  154. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 現在わが国の輸送機関で使っております石油の比率は一四%でございます。したがいまして、今後積極的にこの厳しい体制に対処してまいりたいと思います。地下鉄の推進あるいはバス輸送サービスの改善、マイカー等私的な交通機関から一般の鉄道その他の公共輸送機関に誘導する等努力をしてまいりたいと考えております。なお、自動車機器の燃費節約の改造等も指導してまいりたい、かように考えております。また、トラックの共同輸送の推進を図り、また帰り車の荷のあっせん、こういうもの等に努めまして、できるだけ省エネルギーに努めてまいりたい、かように存じております。
  155. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 オリンピックを目指しまして選手の諸君が非常に日夜厳しい訓練をいたしております。この諸君がその環境にふさわしい状況におきましてオリンピックに参加されるようになりますことは大変私たちも願っておるところでございますが、このオリンピックの開催あるいは延期等のことも含めまして、これはIOCが自主的に決めることでございますし、参加するしないは、これは各国のオリンピック委員会、日本におきましてはJOCが決定をするところでございます。  先般の政府の意向を伝えましたのは、これらの状況を踏まえまして、JOCが現時点において適切な対処をしてもらいたいという意向を伝えたわけでございまして、JOCといたしましても、オリンピック大会が平和裏に、世界の若者が集まって、そして友好的な状況で開催できるようにこれを強く望んでおる、このことをIOCに伝えてその実現に努力したいということで、現在レークプラシッドの会合その他に臨もうとしておるわけでございます。これらの状況も十分踏まえまして、各国の状況もまた十分によく観察をいたしまして、政府といたしましても、これらの選手諸君の努力が期待できるように念願をいたし、JOCの努力を期待しておる、こういうことでございます。
  156. 兒玉末男

    ○兒玉委員 終わります。(拍手)
  157. 田村元

    田村委員長 これにて兒玉君の質疑は終了いたしました。  次に草川昭三君。
  158. 草川昭三

    ○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三であります。  まず最初に、わが国の自動車産業の対米投資問題について質問を申し上げます。  一月二十八日だと思いますけれどもアメリカのマンスフィールド駐日大使が日本の自動車産業にアメリカに工場進出を求めるかなり強硬な発言をしておりまして、この問題をめぐって第一級の日米経済摩擦というような問題が起きておるわけでございます。しかも、近くアメリカの全米自動車労働組合の委員長のフレーザー氏も来るわけでございますが、われわれのような第三者が軽々しくこういう問題について論ずることについてははばかるような非常に重要な時期ではありますけれども、国内的に非常に波及効果が大きいわけでございますので、まず外務大臣と通産大臣の御見解を賜りたいと思います。
  159. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本車の対米輸出につきましては、最近米国内、特に自動車労組及び関係者の中に対日批判が出ておることは事実でございます。その背景といたしましては、アメリカの国内の自動車の売れ行きが芳しくない、かなり多数の失業者が出ておる、あるいはクライスラーの場合のように経営が非常に困難に陥る。従来、自動車工業の経営者及び組合はアメリカにおきましては自由貿易の側に立っておったわけでございますが、最近、いま申しましたような情勢を反映いたしまして、急速に保護主義的な傾向が出てきておることは事実でございまして、これが日本車の対米輸出に対する批判という形をとってまいったかと思います。  マンスフィールド大使の発言は、これは直接政府の関係者にしたわけではございませんけれども、大使としては、そういうアメリカ国内の情勢を日本側に伝えたいということと、余りぎくしゃくした政府間の問題にならない形でこの問題の解決に資したいという意向からなされたものであろうと私どもは理解いたしております。
  160. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 御承知のように、従来から米国の各界の対米投資を求める声が大変強いということは、関係業界の方にも十分伝えてございます。今回の米国大使の発言につきましても、業界に注意を喚起しているところでございます。なお、当然のことではございますけれども、投資そのものの決定は各企業の判断によるものでございますことは申すまでもございません。
  161. 草川昭三

    ○草川委員 日本車の輸出増とアメリカの不況とが直接結びつくような話であるかどうかについては若干の疑問があるわけでございますが、しかし現地からのそういうような動向もあるわけでございますから、その対応は非常にむずかしいと思います。しかし、よしんばそういうことがもちろん企業の判断で決意をされたとしても、品質管理が非常に高いいまの日本の車を果たして現地で生産してペイするような条件があるだろうかという点、あるいはまた、日本の自動車産業というのは非常にすそ野の広いところであるわけです。下請、中小、零細企業によって支えられておる生産工程があるわけでありますから、日本の国内の雇用の面、こういう点等についても決して無関心であるわけではないわけなんですね。そこらあたり、ひとつ労働省の方としてもどうお考えになっておみえになるのか。  しかも、UAWの委員長がお見えになるのですが、従来の組合の委員長が来るという次元よりも、もっと労働外交というのが大きな役割りを果たすような時代になった気がするわけであります。だから、ひとつこの労働外交というものをもう少し、単なる労働省的な発想ではなくて、一段と高い次元で見るような時期が来たと思うのですが、その点はどうでしょう。
  162. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 現在、米国において日本車の輸出が急増しておることを背景にいたしまして、米国の各方面からわが国企業の対米進出を求める声が非常に強くなってきておるということについては、先生の御指摘のとおりでございます。それに応じて日本の企業がアメリカに進出をしていくということにつきましても、それぞれの企業の判断ではございますけれども、そのことが日本の雇用状態、特に先生御指摘のように、自動車産業は非常にすそ野の広い、深い、たくさんの下請企業などを抱えて存在をしておるわけでございますから、そういった点に悪影響のないようにいろいろと、通産省を初め関係省庁と連絡をとり合っていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。  なお、御指摘の労働外交をもっと積極的に展開をしろということにつきましても、全く先生御指摘のとおりでございまして、労働省といたしましても、各国の労働行政担当者とできる限り接触を深めていくという意味で、たとえば二月にはアメリカの労働大臣が訪日をする予定でございますし、春過ぎには西ドイツの労働大臣も日本にやってくるというような機会もございますので、労働省を中心としたそういった労働外交も積極的に展開をしていくようにいたしたい、こう思います。  同時に、経営側や労働側もそれぞれ各国の経営側、労働側と十分、いまもいろんな接触は深めておりますけれども、一国一国と非常に利害関係が多様化して、しかもその利害関係が非常に複雑に絡んできております今日の国際化社会の中で、ただ外務省の外交というだけではなく、経営側も労働側も積極的にいろんな国といろんな関係で民間外交を展開していくということは今後非常に重要なことである、こう考えますので、労働省からもそのことは絶えず呼びかけておる次第でございますが、十分連絡をとり合ってさらに充実をしていくように努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  163. 草川昭三

    ○草川委員 いまもお話がございましたように、国際社会での責任のとり方というもの、あるいはまた貢献の仕方ということについても、大分こう変化が来たと思うのです。そういう点について、総理の総括的なこの問題についての御見解を賜りたいと思います。
  164. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 いま各国が直面しておる経済問題は、申すまでもなくインフレ対策と雇用対策でございます。この二つの大きな政策は一国だけの力でもっても解決できませんで、国際的な協力にまたなければならぬという状況になっておることもいま御指摘のとおりでございます。したがって、工場の立地問題につきましても一国の都合ばかりでは言えない面が出てまいっておりますが、また、他国の要請を無条件に受け入れていくというような状況にないこともまた当然でございまして、彼我の利害の調整、これはいろんな角度からやらなければなりませんけれども、そういう点に十分配慮しながら、日本の場合におきましては、日本の自動車工業、御指摘のように大変すそ野の広い産業でございますので、その構造上の問題をよく心得た上で対米進出も考慮するということは、当然われわれが気をつけなければならぬことだと考えております。
  165. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひひとつ、むずかしい問題ではあるわけでありますが、決して無関心であり得ることはできない問題でございますので、その対応を十分深めながらやっていただきたいと思います。  第二番目に、高齢化社会と年金問題にしぼって申し上げます。  過日、総理の施政方針演説の中にも高齢化問題が触れられておるわけですけれども、具体性ということになりますと、これは対応のむずかしさというのが非常ににじみ出ておる施政方針でもあったと私は思うのです。その中でも、いま問題になっております年金改正の問題に少し触れてみたいと思うのですが、あす、あさって、各審議会から出るわけですし、過日、社会党の大原さんも触れておられますけれども、自民党の方も六十五歳の引き上げについては撤回する、こうおっしゃってみえる。厚生大臣からは審議会の答申の言うとおりにするという答弁がきのうまで出ておるわけですよ。じゃその上に立ったと仮定をして、同時に出ておるところの保険料の一・八%の値上げは同時にやめられるのか。一・八%というのは結構大きいのですよ。二十万円で三千六百円になるのですか、労使双方の折半で、これは強制的ですから一種の税金です。これは残るのかどうか。  同時に、給付改善、遺族の遺族年金の改正等があるわけでありますから、そういうものがワンセットとしていま論議をされておると私は思うのですけれども、六十五の引き上げだけでこれは全部パアになるのか、どちらですか。
  166. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 まず第一点でございますが、今回の保険料の引き上げにつきましては、長期にわたりまする年金財政の収支を見通して考えたわけでございます。したがいまして、支給開始年齢を六十五歳に引き上げた場合、あるいは六十歳に据え置いた場合、これを比較していかなければならないわけでございますが、今後制度の成熟化が進行いたしまして、年金受給者が急激にふえてまいるわけでございます。したがって、給付費もきわめて増大をいたしていくわけでございます。今回改正しようと考えております給付水準を維持していくことにおきましては、そして円滑な運営を図っていくためには、長期的に無理のない保険料を引き上げていかざるを得ないということでございます。つまり、現在の被保険者の負担と将来の被保険者の負担との間で実質的に大きな違いが出てこないことを配慮しながら、急激な負担増を回避する必要があると思うのでございます。したがいまして、当面、保険料率を平準保険料の約六割に相当する一〇・九%、これは男の場合でございますが、それを設定いたしまして、以後五年ごとに一・八%を引き上げていくことにいたしたいと考えておるわけでございます。支給開始年齢を六十歳のまま据え置いたといたしますと、これで同様の収支状態を得るためにはやはり五年ごとに二・五%ずつの保険料を引き上げていく必要が見込まれておるわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、二つの審議会の答申を得まして具体的に法律案を定めてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、給付改善についてそれはどうなるのかということにつきましても、同じように審議会の答申を待って、審議会の意見を十分尊重しながら慎重に対応してまいりたいと考えております。
  167. 草川昭三

    ○草川委員 審議会の対応と言ったって、もう実質的にはわかっておるわけです。だから、そういうことについて私どももここでいまお伺いをしておるわけですから、すれ違い論議というのはぜひやめてもらいたいと思うのです。きょうこれからずっと厚生の問題について私聞きますけれども、すれ違い論議なんかやっているから、国民の皆さんは政治不信感を持つわけですよ。だから、聞きたいことについて言うわけですから、きょうのところのお考えはということは言っていただいたっておかしくないと思うのですよ。セットなのかどうなのかなんというのは、われわれにとっていま一番知りたいところですよ。もう一回答弁してください。
  168. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 年金制度改正におきまする支給開始年齢の問題、それから保険料の改定を含めましての給付水準の問題、これは当然将来にわたりまする年金財政を考えてのことでございますので、一つのセットであると考えております。
  169. 草川昭三

    ○草川委員 セットとしてお考えになるということでございますが、じゃもう一回前へ戻してお話をお伺いいたしますけれども、財政再計算という時期は来年だったわけですよ。ところが、なぜ一年前倒しになってあえて保険料率の引き上げ、給付改善、いわゆるあめとむちという言葉がありますけれども、今回のようなことを諮問なされたのでしょうか。しかも、定年制というものが現実には六十歳定年というものになかなか到達していない。連動制ということができていない。そういう段階で、しかも厚生年金の財政が非常に悪い悪いと言っておりますけれども、御存じのとおり、現在は累積が二十四兆八千億です、財政投融資として。それだけの非常に膨大な累積の積立金があるわけでありますが、そういう財政状況の中において、なぜあえてそういう提案をなされたのか、もう一度お伺いをいたします。
  170. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 なぜ財政再計算を一年繰り上げて実施したのかというお尋ねでございますが、今後の高齢化社会におきまするわが国の年金制度のあり方につきまして、昭和五十一年の五月以来、年金制度基本構想懇談会において審議をお願いしてまいりまして、昨年の四月に、この懇談会から報告書が提出されたわけでございます。この報告書において今後の年金制度の改革の方向を明らかにされておるのでございまして、当面改善を急ぐべき事項として、支給開始年齢の引き上げ、遺族年金の改善が示されておるわけでございます。また昨年の九月には、社会保険審議会の厚生年金部会におきましても、国民年金審議会におきましても、それぞれ厚生年金及び国民年金の改正についての意見書が提出されておることはすでに御承知のとおりでございます。これらを踏まえまして、厚生省といたしましては、財政再計算を一年繰り上げて実施して制度の改正を行おうとするものでございます。
  171. 草川昭三

    ○草川委員 だから、都合のいいところだけつまみ食いするなと言って、社会保障制度審議会の大河内先生が怒ってみえるのはそこなんですよ。社会保障制度審議会の方は、日本の国内における年金の官民格差の問題、八つの年金も一本化しなさいよ、あるいは定年の引き上げということを考えなさいよ、そして同時に厚生年金のあり方もと言っておみえになるわけですよ。そこのところを、ただ六十歳の支給を六十五に引き上げましょうということになるから、大河内さんまで怒られるわけですよ。つまみ食いだという話になるわけですよ。だから、そこにいま私は厚生大臣に対する不信任が社会保障制度審議会の委員から出ておると思うのです。それにもかかわらず、役所のつくった答弁をいま読んでいただいておりますけれども、そんなことは私どもわかっておりますよ。だから、そういう論議はやめようじゃないかと言っているのです。本音の論議をしましょうや。  それで、一回とことんにお伺いしますが、厚生大臣として、将来の年金制度は収入の何%ぐらいの割り当てを払うのが限界だと思っておみえになりますか。大体幾らぐらいだろう、幾らぐらいまでなら負担をしても労働者はオーケーというサインが出るのか。たとえば国民年金というのがありますね。かつて五千円ぐらいが負担の限度ではないだろうか、そういう世論調査が出ましたね。厚生年金の場合は幾らぐらいが負担の限界だと思っておみえになっておりますか。
  172. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 これはいろいろむずかしい問題でございますが、私は一八%程度を一つの目安に置くべきではないかというふうに考えております。また、国民年金におきましても、いろいろこれに対応しまする保険者の意見を調査いたしました結果、まず四千円から五千円程度負担してもいいのではないかという結果が出ておりますので、そういう見方を持っていいのではないか、かように考えております。
  173. 草川昭三

    ○草川委員 大変正直なお話が出まして、それで私、そういうのが相場ではないだろうかと思います。現にドイツでもそこら辺の引き上げ率でずいぶん問題になっておるわけですけれども、一八から一九という、下手をすれば二〇ぐらいの率を負担しなければいけないというようなことが数字では出ておりますけれども、いまの厚生大臣のお話を基調に考えてみますと、ついせんだって厚生省から社会保障制度審議会の方に、六十になったらどうなるか、六十五になったらどうなるのかという料率表が出ておるのですよ、推定表が。これを見ますと、昭和八十年で一九・九の負担なんです。ここまでは六十歳でいっても六十五歳でいっても同じ数字になっているんですよ、保険料率が。だったら、昭和八十年になって初めて六十歳と六十五歳の問題の接点が出てくるわけですから、何も一年先の財政再計算の問題を一年前倒しでどうして国民の皆さんに提案をしなければいけないのか。大蔵省にぎゃあぎゃあどなられたからといって厚生省はそうあわてる必要はないと思うのですよ。だから、もう少し落ちついて国民の年金という問題を考えれば、自民党の三役の方々が申し出られたと同じように私は問題が理解できるのではないだろうかと思うのですが、その点はどうでしょう。
  174. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 いま保険料率の見通しについて御指摘になりましたが、御承知のとおり五十五年においては六十歳支給の場合は一一・六%、六十五歳支給の場合においては一〇・九%、そして二十年先の七十五年におきましては六十歳支給の場合二一・六、それに対して六十五歳支給の場合は一八・一というふうに私は承知をいたしておるわけであります。そして昭和八十年になりまして六十歳支給の場合二四・一%、そして六十五歳支給の場合においては一九・九%というようなことになりまして、昭和八十五年は大きな開きがここに生まれてくるというふうに考えておるわけでございますが、いずれにしてもこの問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、一つの一八%というものを目安にいたしまして今後の年金制度における財政状況というものを十分判断し、そして関係審議会の御意見を尊重しながらこれに対して慎重に対応してまいりたいと考えております。
  175. 草川昭三

    ○草川委員 一八%が一つのめどだというのは初めてこういう席で出た言葉でございますし、私どもも非常にそれを一つの問題点としてこれから年金に取り組んでいきたい、こう思うわけです。  そこで、今度は少し焦点をはねまして、いずれ年金という問題については一八ぐらいが限界だということになると、財政上必ず破綻に瀕します。これは共済の方も同じなんです。だったら一体どうするのかという問題で、どうしても私はここで定年制の問題に触れざるを得ぬわけです。だから、働く意思がある限り日本の国民には働いていただく。定年制五十五なんて言って働く意思がありながらもそれを抑えてしまうというようなものをまず政府が積極的に壊してしまう。そして思い切って、働いていただく間は賃金で生活をしながら、働けなくなる場合に初めて年金でひとつ老後の保障をしようじゃないかという基本的な理念というものを早く打ち出さなければだめだと私は思うのです。ところが、労働省は第二次雇用計画を立てたのは一体何年前ですか。そのときに六十歳定年制ということを初めて打ち出した。それからもう何年かたちますけれども、いまもって五十五歳定年というのが大企業の四一%か二%を占めておるわけです。なかなか定年なんというものは六十までいきやせぬ。しかし将来は六十五までやりたい。だから私どもは昨年年齢差別禁止法案、少なくとも六十五以下は雇用について差別をしてはいかぬ、働きたくない人は別です、体が悪いからもう六十五でリタイアする、こういう人はいいけれども、意欲がある限りは定年というものを将来は六十五にしたい、とりあえず六十にしようじゃないかということを言ったわけですが、肝心の大平総理は、総理いいですか、去年の十二月に日経連だとか経団連の経済四団体の会合で、年齢差別禁止法案というような定年制法案について、法制化反対ということを言ってみえるわけです。労働省の幹部も法制化反対ということをいろいろな会合で言ってみえるわけです。政府の肝心の当事者が、いわゆる使用者側の一方の機関に行って法制化反対と言うのは私は不合理だと思うのです。片手落ちだと思うのです。だから、この年金の問題一つ取り上げても、なるべく定年制というのは国が積極的に、行政指導だけではどうしてもだめだから、働ける年齢というのはどんどん引き上げていく、こういうようにしなければいかぬと思うのですね。  現実に国家公務員の方は、今度定年制のことについてどういう態度をとられるのですか。それから地方公務員全体はどういう態度をとられるのですか。まず両大臣から聞きます。
  176. 小渕恵三

    ○小渕国務大臣 国家公務員の定年制につきましては、昭和五十二年、基本的に政府の方向は定まっておるわけでありまして、昨年人事院総裁からも書簡をいただきまして、六十歳定年をおおむね五年後に実施をするということにつきましての考え方を得ておるわけであります。先般、一月二十二日に定年制に関する閣僚会議を開催いたしまして、その基本的な考え方は了としたわけでございます。したがいまして、国家公務員につきましては六十歳定年制を設けるべく現在政府部内で検討を進めておる次第でございまして、できますれば今国会に提出をいたしまして御審議を賜りたいとも考え、現在早急に取りまとめをいたしておる段階でございます。
  177. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 地方の公務員につきましても、せんだっての閣議でそういう方針で、一般の職員は大体六十歳、それ以外の特殊なものは若干のゆとりを持って決めて今国会で御審議を願おう、こういうことの方針を決めております。
  178. 草川昭三

    ○草川委員 いまのようなお話を聞かれて、一応国家公務員なり地方公務員の場合はそういうように法制化されて、法律で定年制ということで一つの基準が出る。民間の場合はその法制化については反対だ、こうおっしゃる。こういうような食い違いの問題は将来どうなっていくんでしょうかね。総理の御見解を賜りたいと思います。
  179. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 定年の延長に反対だというわけじゃないのです。それを実行する場合に行政指導でやってまいるか、あなたが言うように法制化してやるかという方法論から判断しますと、実効を上げる上から言うと私は法制化というのは無理があるのじゃなかろうか、必ずしもこれは推奨できないのじゃないかという考えを述べたわけです。つまり、だから定年延長には気が進まぬというようなものではないことは誤解をしないようにしていただきたいと思うのでございます。しかし、あなたの属する公明党からも法制化がよろしいのじゃないかという有力な御意見がございますので、これも一概に私どもの考えが正しいと押し切るということでもございませんで、審議会にかけていま御検討いただいておるということでございまして、どのようにすれば日本のような雇用慣行を持った国といたしまして定年を延長していく場合において有効な手だてが考えられるかということは、お互いに検討して実効ある方策を編み出していく段階じゃないか。     〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕  それは漸次そういう機運が向いてきておりますので、実のある成果をだんだんと上げていけるのじゃないかと私は思っております。  公務員の場合は国が使用者でございますので、いま御答弁申し上げましたように、国としてそういう手だてを考えていっておるのでございますけれども、民間の場合におきましては各企業がまたそれぞれの立場でそれぞれの工夫をしていただかなければいかぬわけで、それを促進する上においてどういう手だてが必要なのか、法制化がどうしても必要かどうか、それらの点をいま審議会で御検討いただいておるということは、私が草川さんに申し上げるまでもなく、そういう手順を踏んでおるということだけはこの際申し上げておきます。
  180. 草川昭三

    ○草川委員 私が申し上げたのは、総理がおっしゃるように審議会で審議中の問題ですから、使用者側のような一方の団体へ行って影響力の大きい総理の発言は慎まれた方がいいのではないだろうか。特に私は、定年制という問題をいま年金の側から問題提起をいたしておりますが、何年前だったでしょうか、スイスで年金の受給年齢を引き下げようじゃないかという提案があったのですよ、三歳ほど。六十五を六十二にするという話だったのです。そうしたら国民投票でこれは否決されたのですね。ぼくたちは若いときに年金をもらうよりも働きたいという選択があったわけです。ぼくはすばらしいことだと思うのですよ。そういうような方向を総理というものは理念として持っていただくのが、私はこれからの高齢化社会の一つの方向だと思うのです。だから、そういうところを頭に浮かべながら経営者側にも説得をしていただきたい。そういうことを考えて言うことが私は総理のこれからの高齢者対策だと思うのです。そういう立場に立っていただきたい、こう思うわけであります。  そこでもう一つ、今度は官民格差の問題ですけれども、どうしてもこの官民格差の問題について、私どもも民間で働いてきた立場からいって納得できないようなものもたくさんあります。ごく簡単に申し上げますけれども一つは旧恩給時代の整理資源というのがあるわけですけれども、国公共済、地方共済、公共企業体、大きく三つに分けまして、五十一年度、五十二年度の整理資源、追加費用のトータルというのはわかりました。五十二年の場合は国が千六百三十五億、地方共済が四千二百一億、公共企業体が千五百二十二億、そしてトータルが七千三百五十八億ということがわかったわけです。これは間違いございませんね。官房長官、ちょっと返事してください。  それからついでに五十三年度、時間がございませんから私が読みますから。これは事前におたくの方から聞いたことでございますが、初めてこれは言っていただいたのですが、国の共済が五十三年度千九百八十六億の負担、地方公務員四千九百八十九億の負担、公共企業体等で二千二百四十八億の負担、トータル九千二百二十三億の負担になっておるわけです。これは間違いございませんか。
  181. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いまおっしゃったとおりでございます。
  182. 草川昭三

    ○草川委員 いわゆる旧恩給部分を国なり地方公務員あるいは公共企業体の使用者側がとにかく負担をしなければいかぬ、もうやがて一兆を超すわけであります。この整理資源がゼロになるのは約三十年かかるというのですね。それは当然でしょう、遺族の方々がずっと生存中は負担をしなければいかぬわけですから。だけれども、最低の場合でも、総給付費の一割くらいの範囲までになるにはまだこれから少なくとも二十年近くかかるわけです。これは大蔵大臣、大変なことですね。一体、片一方の共済年金は完全に破綻に瀕しようとしておる。  国鉄の総裁に今度は御意見を聞くわけですが、五十五年度の予算編成のときに、国鉄はもう限界だから大蔵省に、悪いけれども使用者側の負担分、他の共済年金よりも年齢の高いところの使用者側の負担分だけの利子補給をやってくれということを言いましたね。残念かどうかわかりませんが、今度の予算では大蔵省、断られたようでございますが、その予算が百三億でございますか。また来年、いまのお話だと大蔵大臣は何とかしなければいかぬようなニュアンスを持っておみえになりますが、いずれ国がこれはめんどうを見ていくことになるわけですか。どうでしょう、その点。まずその前にちょっと国鉄の総裁に、私のいま言ったことが間違っておるかどうかということだけ一言お伺いしたいと思います。
  183. 高木文雄

    ○高木説明員 国鉄の経営状態が異常な状態になっておることは御承知のとおりでございますが、その異常になっている原因の中で非常に大きな部分が年金のための雇い主側の負担部分、これによって経営全体に非常に大きな影響があるということから、何とかこの問題に取り組んでいただきたい、しかし、年金制度の組み立てそのものに手を触れるということについては若干の時間がかかると思われますので、それをいまお願いしても無理だろうということで、制度全体の取り組みができますまでその方はお待ちしておりますから、借入金でそれをつないでまいりますので、その間の利子を見ていただけませんかということを予算要求の段階でお願いしたわけでございます。しかし、そうしたものについて財政が公共企業体のために持つということはまた一つの大きな問題だということで、ことしはいろいろ研究するから、関係者が集まって研究してくださるということを前提にして、ことしはじっとがまんをするということになっておるわけでございまして、そういう要求をいたしたこと、そしてまた断られたことも事実でございます。
  184. 竹下登

    ○竹下国務大臣 いま国鉄総裁からお話がありましたとおり、年金関係閣僚懇におきまして、とにかくそうした、いまの国鉄なんかなかんずく代表的なものでございますが、大変な問題を抱えている、したがって早急にその研究会をつくって、そこで議論をして、いろいろな問題を詰めてみようじゃないかということになりまして、ことしの段階では、断ったという表現が適切かどうか別といたしまして、予算化いたしておりません。
  185. 草川昭三

    ○草川委員 そこで、厚生大臣にお伺いをいたしますが、厚生省の立場は当然厚生年金をこれからやられるわけでございますが、厚生大臣個人の御見解で結構ですから、官民格差なりこの恩給等の問題についてはどういうような御意見を持っておみえになりますか。縮めていくという方向は持っておみえになるかどうか。一言で結構です。
  186. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 その前に、いわゆる官民格差という問題に対して私の見解をまず申し上げておきたいと思うのでございます。  いわゆる官民格差は、それぞれの制度の沿革、それから成熟度の違いがあるわけでございます。したがって、その制度の中における一つの部分を取り上げて平面的に比較するということは、これは問題がないとは言えないと私は思うのでございます。第一に、公務員の共済年金の場合は、公務という一つのまとまった職域の面に適用される職域年金の性格を持っておる。第二には、法律によって明らかにされておりますとおり、公務員制度の一翼を担うべく位置づけられておるということでございます。したがって、両者を比較する場合に、まず第一に、共済年金は厚生年金プラス企業年金だ、そういう一つの考え方でいく必要がありはしないのかと私は考えております。  しかしながら、本格的な高齢化社会がやってまいります。年金制度がだんだんに成熟度を高めてまいりますために年金財政の将来が心配されておりますから、給付水準についてはできる限り整合性を持っていくことが必要でございます。また、世代間における負担をどういうふうに調整していくかというような問題につきましては、少なくも年金制度として当然同じように考えていかなければならぬことでございますから、できる限り年金制度間における整合性を高めていかなければならぬ、こう申し上げたいと思うのであります。
  187. 草川昭三

    ○草川委員 野呂さんが自民党の恩給制度調査会長のときに、自民党の、いまの内閣官房副長官の加藤さんが社会労働委員会で格差をやったわけですよ。そうしたら、それに反論して「年金の官民格差論をきる」という大変りっぱなパンフレットが出ておるわけですよね。これは渡辺さんも十分御存じのはずです。この中を読みますと、恩給制度を支持する方は本当に涙が出るように喜ぶような文章ですが、この考え方でこれからの厚生行政をやっていただくとちょっと問題が出てくると私は思います。この中身をずっと読んでいきますと、天皇のもとの官僚、こういう思想が物すごく残っていますね。では民間で戦争で犠牲になった人はどうなるのですか。われわれ厚生年金を掛けてきた人間はさかのぼって支給をされるというようなものはないわけですよ。戦費調達という形で一方的に税金のような形で厚生年金を掛けてきた。そして片一方は二十四兆円の金がたまっておる。片一方は恩給制度というものがあったからこそめんどうを見なければいかぬ、めんどうを見なければいかぬということを強く主張される。こういうのがこれから物すごく交差してきますよ。そして国鉄のように赤字になったのは、厚生年金の二十四兆円助けてくれという財政調整が出てくるのです。どうするのですか、そのときになって。こういうような思想がもとになるような厚生行政をこれから厚生大臣がやっていただいたら、これは問題だと思うのです。時間がないからきょうは申し上げませんが、実はこの中でたくさん予定しているのがあるのです。これは言いたいのですが、どこかまた別の機会に申し上げたいと思うのですが、野呂さん、これは自民党の当時はこれでいいですよ。これをやれば選挙は絶対強いです。選挙違反なんか全然出ないですよ、これを持って歩けば。大変なことですけれども、今度厚生大臣になったらこの考え方は基本的に改めていただきたい、このことだけ強く申し入れをいたしておきます。  それから、時間がございませんから、財政投融資の方へいきますが、わかりやすくひとつこれは大蔵大臣にお聞かせ願いたいと思うのです。  財政投融資というものは、厚生年金というものを非常に大きく原資として予定しておみえになることは当然であります。財政投融資が果たした高度成長の中での役割りは私は大きいと思う。それは認めます。しかし厚生年金の将来計画を立てると、いずれ積立金はなくなりますよ、こういうことを言っておるわけですよ。だったら、財政投融資にも原資について長期計画があっていいのではないだろうか、こう思うのですが、その点どうでしょう。
  188. 竹下登

    ○竹下国務大臣 財政投融資の原資の大宗を占めるのは資金運用部資金及び簡保資金、これは受動的に集まる資金でありまして、またいま一つの原資であります政府保証債、政府保証借り入れにつきましても金融市場の許容する範囲で量的補完の役割りを果たすわけでありまして、おのずから限界があります。したがって政府がまず、いまのお話は私理解できますけれども、財投原資自体の資金量を調節するという立場にはないわけでございます。きわめて受動的な立場にあるわけであります。そこで長期計画の作成の問題でありますが、そういう将来の金融情勢等を勘案して原資見込みを、したがって定量化するということはきわめて困難でございますので、やはりこの問題につきましてはときどきの経済情勢に対応した運用を図るということが必要であって、受動的に集まる原資が大宗を占める中において長期計画をつくるということは非常にむずかしい問題だと考えております。
  189. 草川昭三

    ○草川委員 受動的な立場にあるというのはわかるわけですよ。しかし、厚生年金なんという原資は受動的じゃないわけですよ、明らかに計画的に積んでおるわけですから、事実二十四兆というのがあるわけだから。だから、常に受動的だ、受け身だからといって私は長期計画がないというのはおかしい、あるはずだと思うのです。少なくとも事務局の中で、いずれ年金はなくなるということを思うことは当然でしょう。だから何らかの考え方があるべきではないだろうか。その点はどうですか。
  190. 竹下登

    ○竹下国務大臣 その話は先ほどもお答えしましたように、私どもも理解できる話でございます。しかし、それがなくなればなおのこと、あとの原資の大宗は受動的なものになっていく。したがって、大変長期計画にはなじみにくいということで申し上げたわけであります。
  191. 草川昭三

    ○草川委員 では、私の方も受動的ということを一歩下げて、少なくともいまの厚生年金の年金等の二十四兆というものの預金の運用というのは、一体どの程度効率的に、きわめて安全に運用されておるかどうかということについて、かねがね、年金審議会等は何十回となく自主運営の要求をしておるわけですよ。現在特利をうけていただいて七・一五、ところがそのお金で全部国債に回したってかなりの差が出てくるのではないだろうかということがいろいろと言われておるわけです、自主運営をするなら。国債を買ったって、たとえば一兆円回していただいたって六十三億の差が出てくるじゃないか。二十四兆円全部それに振り向けていただいたって千七百二十二億の差がこちらに出てくるんじゃないだろうかとか、いろいろなことを言われておるわけですね。こういう点についても、自主運営について少し譲歩されるようなお考えはないだろうか。その点——ちょっと待ってください。いまの場合に御答弁はないという答弁ですから、まあいいですわ。  それで、ここで私どもは非常に関心を持つのは、郵政省が昨年個人年金構想というのを打ち出されました。八・八九の利子運営をやるというのですよ。八・八九郵政省がやってくれるなら、財政投融資に回してあるお金をこっちへ振りかえてくれぬかという気持ちを国民が持つのは、総理、笑っておみえになりますが、間違っていますか。笑った以上はちょっと答弁してください。
  192. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私も一緒に笑いましたので、私からお答えをいたします。  この問題につきましては、今日すでに民間保険事業として個人年金問題は行われておりますので、この分野にまで政府が進出する必要があるかどうかという、まず一つは基本問題がございます。それから、一つの考え方として、政策税制の拡大の余地は、いまの厳しい情勢ではないかということが一つ。それから、民間金融機関の資金調達にも影響を及ぼすであろうということ。それから、たとえばでございますが、これは確定した議論をしたわけじゃございませんけれども、いまおっしゃるような利回りになるために、株式とか不動産等にまで拡大するというようなことまで考えた場合には、およそ国がお預かりしたものを元本保証のないところへ運用することに対する危険性とでも申しましょうか、そういう安全性等から考えまして、ことしの場合は郵政省と意見が合致しなかったわけであります。  したがいまして、私どもといたしましても、この問題につきましては、なお引き続き調整の上成案を得るように検討してみようというところまでにとどまったというふうに御理解をいただきたいと思います。
  193. 草川昭三

    ○草川委員 郵政省の方の答弁も実は欲しいのですが、時間がございませんのでこれは避けまして、財政投融資のいまのあり方について、これは昨年の暮れ参議院でも私どもの同僚の太田参議院議員が少し触れておりますけれども、未消化の財政投融資の金額が最近目立ってきておるわけですよ。開発銀行等あるいは住宅公団等もそうでございますが、巨額な使い残しが、五十二年度は不用額、未消化額を含めまして二〇%になるのですね、当初計画から比べて。五十四年度も、また締めておりませんけれども五兆円を超すのではないだろうかと言われておるのです。かつての高度成長時代の使ってもらうというような財政投融資の基本的なあり方をそろそろ見直すべき時期が来ておるのではないだろうか、こう思うのですが、その点どうでしょう。一言だけ言ってください。
  194. 竹下登

    ○竹下国務大臣 その時期はまさに金融が緩んでしかも金利も安くて、そういうことがいわゆる繰り上げ償還というような形になって出たので、いま御指摘のようなことが起こったわけであります。しかし、お説はお説として十分拝聴いたしましたので、勉強させていただきます。
  195. 草川昭三

    ○草川委員 ぜひそういうことでやっていただきたいわけでございますし、国会でこの財政投融資の審議をもう少しすべきではないだろうかということが先輩各位の方々からも何回か論議をされておるわけでございますが、私ども国民も、そろそろ国の財政再建ということの中から、国の台所の中身は一体どうなっておるんだろうということに気がつき出してきておるわけです。だから、本当にわれわれの預けておるお金が有利に回っておるかどうか。郵政省は八・八九で回すと言っておる。悪いことをやるというわけじゃないですよ、郵政省ですから。十分責任を持って、国民から預かるお金を運用しようという自信を持っておる。だったらそういうようにしたらどうなんでしょうね。あるいはまた、本当にお金を開発銀行に使っていただいて、日本の国のためになるように使ってもらいたいんだけれども、お金が余ってしまう。それはいまの大蔵大臣の答弁じゃないですよ。それ以外にも、住宅公団だってそうですね。遠くて狭くて、そういうものしかなくなってきておるわけですから、昔のような形で使っていただく場所が違うような気がして私はなりません。それは真剣にぜひ取り上げていただきたいと思うわけであります。  次に、今度は医療費の薬価問題に移ります。  この薬価問題なり医療費の問題でございますが、これは厚生大臣に簡単にひとつ御答弁願いたいのですが、健康保険法の問題がいま出ておりますけれども、この医療費の改定について、二回ほど賃上げがあった、あるいは物価が上がっておる。医療費の値上げ等について公私立病院の方からも値上げ陳情が来ておりますが、今度の予算について、あるいはまた厚生省として医療費を改定するお考えはあるかないか、一言お伺いします。
  196. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 診療報酬につきましては、賃金、物価の動向、あるいは医業の経営の状況、また国民の経済力などを勘案しながら、従来から必要に応じてその適正化を図ってまいったわけでございますが、今後医療を取り巻く経済社会情勢の変化に対応していかなければならないと思っておりますが、現在のところ、診療報酬改定の時期について申し上げる段階ではないと考えておるわけでございます。
  197. 草川昭三

    ○草川委員 そういうことにはなると思いますけれども、これでことしベースアップ等なんかがもし八%を超すようになってまいりますと、これは当然触れざるを得ぬ問題になってくるわけでございますが、それに関連して、私は、現在のこの医療費の中に非常に大きなウエートを占めますところの薬価のことについて触れてみたいと思うのです。  まず、この薬価が実勢価格との間に格差があるということについては皆さんも御存じのとおりだと思うのです。ちょっと総理、これを私は大きく書いてきたので見ていただきたい。お手元にも資料があると思いますが、これは大阪の保険医協会の先生方がこれだけの金額で薬が手に入るから買おうじゃないか、こういう一覧表なんです。この中のセファレキシンカプセルという非常にポピュラーな薬でございますが、これの薬価が五百ミリグラムで四百三十五円五十銭、これは保険者に請求すればくれるわけですよ。ところが、実際は五十五円で買えるわけです。五十五円で買えるから希望者はいらっしゃいよと言って募っているわけです。値引き率が八七・四です。ずっといきますと、値引き率九丁六%なんというものもあるわけです。三百四十三円九十銭で薬価が請求できるのですが、二十九円で買えるわけです。大変な実勢価格との差があるわけです。だから、厚生省は薬価調査をやろう、中医協も一年に一遍ずつやろうじゃないか、こう言っておるわけです。ところが、この薬価が五十三年の六月に調査をしたままただいまのところ発表されていないのです。毎年六千万近い薬価調査費というのが予算についておるんですよ。二年目になってもまだ二年前の調査が発表されていないというのは一体どういうことなんでしょう。
  198. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 いま具体的に薬価基準と実勢薬価との大きな開きについて、大阪の保険医の協同組合の実態を御披露されたわけでございますが、これは共同購入というものを目的とする協会の取引の実態でございます。必ずしもこれが全部であるとは私は考えておりません。  ところで、薬価基準の改定が非常におくれておるではないかという御指摘でございますが、御承知のとおりこの薬価の算定という作業はなかなか大変でございまして、本調査のほかに特別調査、そしてまた今回は五回にわたりまする経時変動調査をいたしてまいっておるわけでございます。その結果に基づきまして、従来のものと比べて相当時間を要しておるということでございますが、現在鋭意薬価算定作業を進めているところでございまして、この作業が終了いたしました段階において、できるだけ早く薬価改定に着手をいたしたいと考えております。
  199. 草川昭三

    ○草川委員 十八カ月かかっておるのです。そして、五十三年度の予算は五千万、五十四年度も五千二百万、五十五年度も五千二百万の予算が、薬価を調査しましょうということで計上されておるわけですよ。十八カ月かかっても報告できないような調査方法なんというものは、一体どういう調査をやってみえるのでしょう。厚生省というのは頭のいい人ばかり集まっている役所でしょう。たくさんの方が見えるわけでしょう。  そしておもしろい話があるのですが、大阪で薬屋さんの集まっておる道修町というところがあります。ここへ行きますと、今度の薬価の改定は多分一三・一%引きだろうということがずっとうわさをされておるのです。五十三年二月から改定されてないのですが、五十三年二月のときも、五・八%くらい下がるだろうなんという話が流れていた。そのとおりに決まるのです。神田の薬屋さんのたくさんお見えになるところに行って聞いても、厚生省が考えているのは大体こんなところじゃないだろうかといううわさが出ておるわけです。だから私、もしそのとおりに一三・一%薬価が下がるなら、早く発表した方がいいと思うのです。総医療費の中から薬の占める率を計算しますと、たとえば一三%下がるなら毎月三百七十五億円薬価が下がるわけです。もちろんこういう下がったものは、お医者さんに技術料として配分するものもあるでしょう。あるいは本当に下げていただく場合もあるでしょう。そういう方向へ早く厚生省は足を踏み入れることが財政再建に協力することじゃないですか。十八カ月間も調査が発表されてないというようなことは、行政上怠慢になりませんか。総理、どうです。
  200. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 急がなければならぬものと思います。
  201. 草川昭三

    ○草川委員 わかったようなわからぬような答弁でございますし、人を食ったような答弁でもございますが、せめていつごろこういうものを発表できるのだろうかということぐらいは、厚生大臣、言ってください。そういう態度ではおさまらぬですね。
  202. 石野清治

    ○石野政府委員 先ほど大臣が答弁いたしましたように、今度の調査につきましては大変大きな調査をいたしておりまして、その後の経時変動調査も五回にわたって当たっておりますので、いまその補正の作業をいたしておるわけでございます。この補正の作業が実は手作業でやってまいりますので、やはりこれは二カ月以上かかるわけでございますので、それを終わった段階でさらに薬価の影響率といいますか、そういうものを全部計算をしなければならない、こういうことでございますので、一日も早く急がせたいと思っておるわけでございます。
  203. 草川昭三

    ○草川委員 いま二カ月とかなんとか言っておみえになりますね。ことしの二月に九十品目以上にわたる新薬の収載をやっているわけです。新しい薬をこれでどうぞ使っていただいて結構ですよ、薬価はこれで結構ですよという収載を一方ではやっておるわけです。厚生大臣の権限というものは大きいわけです。ここに委員長代理がお見えになりますが、この当時も大きかったのです。いまも大きいわけです。薬価の決定というのは、厚生大臣が決めるのですから、だれにも相談しなくたって決まるのですよ。中央医療協議会だとかいろいろなところに相談する必要は何もないのです。調査をした結果これでいこうと思えば、ぽっと決まる。現実には新しい薬を収載しているのですからね。いま局長が、銘柄別収載になって非常にややこしいんや、あんたたち素人がぎゃあぎゃあ言うなと言わんばかりのお話でございますが、前回のときに初めて銘柄別収載だと言ってたくさん多品目にわたったわけですよ。そのときに、多品目にわたるいろいろな銘柄別によって薬の値段を決めるよ、こうすれば薬価は安定すると厚生省は言ったわけです。ところが、相変わらず薬価は安定しない。不安定要因になっておる。相場の対象にすらなっておるわけです。しかも大きなメーカーは、四十八年のオイルショック以後十何倍、普通の民間の企業に比べて高い収益を上げておるわけです。一体どういうようにこの問題を考えたらいいのだろうか。そして、医療の不信感ということだけがいま国民の間にずっと広がっていくわけです。だから、私は早く薬価というものを発表しておいて、医療の不信感というものをなくさにゃいかぬと思うのです。  過日、前厚生大臣の渡辺さんがここで質問されました。私はあれは大変勇気のある質問だったと思うのです。厚生大臣のときにああいうことを言っていただいたら、もっとすばらしかった。これは失礼な話になりますけれども、実はそれほどむずかしいのです。むずかしいのはよくわかる。だけれども、一歩踏み込んでいくことが、公共性で、夜中にベルが鳴って眠い眼をして患者を診ていただくお医者さんに報いることにもなる。いま一番損するのはまじめなお医者さんですよ。そして国民のじいさん、ばあさんが、銘柄別収載だから先生、わし安い薬使ってくれよ、効能が同じなら安い薬の方がええやろ、今度五割薬代負担ですからね、そんなことになったらお医者さん困っちゃいますよ、これは。だから基本的に厚生行政は、薬という問題について大胆な処置をするためにも、この十八カ月かかっておる調査を早く報告せにゃいかぬ。いつごろ報告できるか、はっきりしてください。
  204. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 薬づけ医療などという、医療に対してのいろいろ御批判のあることもよく承知いたしておるわけでございます。したがいまして、医療行政の中でこの薬価の問題が大変大きな役割りを占めておることは言うまでもございません。私、厚生大臣に就任いたしますと同時に、どうも風通しの悪いのはここでないだろうか、速やかに処置をするようにということで、今日なお督励をいたしております。先ほどもお答え申し上げましたとおり、しかしながら、いろんな手順を踏んでおります関係でおくれておりますことは大変申しわけなく存じておりますが、できる限り早い機会にこの作業を完結いたしたい、かように思っておりますので、御理解を願いたいと思います。
  205. 草川昭三

    ○草川委員 せめていつごろぐらい、今国会中ぐらいには出るわけですか。
  206. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 ちょっとその時期についていま申し上げることは避けたいと思います。
  207. 草川昭三

    ○草川委員 そういう時期のことについて、厚生大臣の自分自身の判断でやれるわけだから、厚生大臣としての判断でぽんと決めれば、いま言うような不信感というのはなくなるわけです。あなたのこれからの厚生行政が名厚生大臣になるかどうかの瀬戸際ですから、もう一回答弁してください。
  208. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 できるだけ早い機会に改定をいたしたい、こう申し上げたわけであります。(発言する者あり)
  209. 草川昭三

    ○草川委員 いまひやかしがありましたが、のろのろするなということにならぬように、これはぜひやってください。いいですね。  それで、道具を持ってきたわけではございませんが、今度はなぜ薬価が本当に実勢価格に近い薬価に収載をされないのかという一つの理由を私が説明します。  従来は、薬価というものは九〇%バルクライン、オンライン方式ということで決まりました。安い方から九〇%目の薬が調査をされて値段に収載されると思っておった。ところが、実はもう一つからくりがあるわけです。これは二倍の法則というものです。二倍の法則というのは、ここに現実に売られている薬があります。これが一番小さい包装、一つの単位になるわけです。ところが大きな病院もあるわけですから、大口のお徳用の箱がここにあるわけです。すると総理、薬価は当然こちらの方が安いのです。これはあたりまえですね、お徳用で大きいのですから。ところが、一言で言えば薬はどうしても高いこちらの方が薬価に収載をされる仕組みになっておるのです。これは委員長おわかりですね。委員長が実はこれはやりたかったところだと思うのですが、いま皆さんのお手元にある私の資料の囲みのところだけちょっと見てください。いわゆる薬価というものは、たとえば百錠入りのこれが百個ある、これが流通をしておりますと中には一万錠あるわけです。こちらの千錠入りが百九十個あるとすると十九万錠あって、全部で二十万錠分の薬があったとします。これは簡単なものじゃないのですが、わかりやすい例として全部で二十万錠あったとしますと、百錠入りが百個売れて、千錠入りが百九十個売れておると、千錠入りが二百個になったときに初めて千錠入りの安い方が薬価に収載される。だから、千錠入りが二倍にならない百九十個で売られておる限りは、百錠入りが百とすると千錠入りが二倍の二百にならなくて百九十になるように売っておれば、百錠入りが薬価に収載をされるという仕組みなんです。だから、千錠入りが百九十で足らなければもっと大きい袋にすればいいわけ。もっと大きい袋を百九十個売っておれば絶対高い方が薬価に収載される。これを二倍の法則というのですが、それでいいんでしょう。ラフな言い方ですけれども、二倍の法則というのはそういうことじゃないのですか。
  210. 石野清治

    ○石野政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  211. 草川昭三

    ○草川委員 だから、一つの例なんですが、そういう仕組みをわれわれのような素人が、おかしいぞ、おかしいぞと思うとわかってくるわけです。私は全く素人ですよ、現場で働いておった労働者です。だけれども、おかしいなと思うとこうなるわけですから、日本の国民はもっと知恵がありますから、だんだん勉強してきますよ。勉強してきたときに、相変わらず厚生省が、薬価調査をやっております、十八カ月もかかっております、まだ報告できません、そんなことを国民が知ったら、頭にくるじゃないですか。頭にこぬ方がおかしいじゃないですか。そういう行政のあり方を私は、すれ違い論議でなくて、本音を言いながら早く結論をつけることがこれからの日本のあり方だと言うのですよ。共通の舞台というのをつくらないと、八〇年代に対応できないじゃないですか。特に医療の問題は、私はお医者さんに対する不信感を与えるようなことは絶対やっちゃいかぬという意見です。お医者さんには命を預けるのだから。そのかわりお医者さんの言いたいことをよう聞いて、相続税の問題について、あるいは償却の問題だとかいうことも考えながら共通の舞台をつくることが必要だと思うのです。憎しみの論理でなくて調和の論理、そういうものをお互いにつくろうではないだろうか。このためにもう一回、早急なんということを言わずに、野呂厚生大臣がクイックアクションでやれるように御答弁願いたいと思います。
  212. 野呂恭一

    ○野呂国務大臣 お説ごもっともでございまして、先ほど名前が野呂だから、こう言われましたが、名前は野呂でも仕事は速いと私は考えております。早急にやります。
  213. 草川昭三

    ○草川委員 大いに私どもも激励していきたいと思うわけでございますが、総理、結局、福祉の関連施策というものについて総合的な対応策を立てることが、いま非常に緊要な問題になってきたと私は思うのです。たまたま私はいま薬価の問題を取り上げましたけれども、薬価でも、ずっと厚生大臣が早く調査結果がわかっておっても発表できないというのは、いろいろな対外的な問題があるわけですよ。いろいろな根回しをしなければいかぬ問題があるからだと思うのです。そういうことについても総合的な施策というものがないために、お互いに関係の団体がエゴの集団に陥っておるのではないだろうか。だから、支払い側も、あるいはまたお医者さんの側も、あるいはまたわれわれの被保険者も、みんなが共通をして見ながら、自分たちの高齢化社会に対応する日本の暮らしというものがきわめて安定されるような世の中になってほしい。そして本当に働くことができなければ年金で、働ける間は一生懸命がんばり、もしも病気になったときには二十四時間の救急医療体制があるとか、あるいはお医者さんを信用して、お医者さんがこういう薬を飲みなさいと言えば、それを飲んだら効くというものでなければいかぬですね。もしもお医者さんが利益を上げるために薬が投与されておるというふうに患者が思ったら、効く薬だって効かぬですよ、これは。そうでしょう。薬というのは大体そういうものですから。そうじゃないでしょうか。そういうような総合的な医療問題なり社会福祉ということがいまこそ必要だと思うのですが、その点は私のこの提案が間違っておるかどうか、総理の見解をひとつお聞かせ願います。
  214. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 大変私もよく理解できる御提案でございます。政府の方でよく心得てやらなければならぬと思います。
  215. 草川昭三

    ○草川委員 では、今度は次の方へ移りまして、国立大学の病院等の問題について若干の問題提起をさせていただきたいと思うわけです。  いま皆さんのお手元にあるわけでございますが、国立大学病院のうち三十二について調査したわけでございます。北海道大学から東京大学、あるいは新設医科大学が十数校今度新しく認可になったわけでございますけれども、その中にそれぞれいろいろな財団の目的があるわけでございます。北海道大学の協済会だとか東京大学の好仁会だとかいろいろな財団があるわけでございますが、この財団に大学の職員の方々がたくさん兼任をしておるということをまずお伺いをいたします。  表−の中には、大学病院財団の役員を大学の職員が兼任をしているもの、すなわち理事長または常勤理事を大学の職員が兼任をしているもの、二十三法人の中で二十二人、非常勤理事、監事を大学の職員が兼任をしておみえになるのが、文部大臣認可法人二十三法人の中で百六十八人おみえになるのです。あるいはまた、理事長を大学の職員が兼任をしておみえになるもの、これが文部大臣認可法人二十三法人の中で十七人、このほか県の知事の認可もあるわけでございますが、こういう事実についてまずお伺いをしたいと思いますが、どうでしょう。
  216. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 お答えいたします。  各国立病院にいま文部大臣の認可いたしました二十三、御承知のとおりの数でございますが、それぞれ財団法人が病院の中にできております。数その他、ちょっと事務当局の方から答えさせていだたきたいと思います。
  217. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 お答えを申し上げます。  先生御指摘のように、二十三法人について申しますと、その理事、監事について申し上げれば、二百三十六人中の百八十一名が病院の職員ないしは大学の教官の兼任をしておるものでございます。これらはいずれも非常勤、無報酬かつ勤務時間外に仕事をするということをたてまえとして就任をしているものでございます。
  218. 草川昭三

    ○草川委員 厚生省だとか農林省の公益法人の認可、まあその他の省もあるのでしょうが、ちょっと時間がなかったので調べることができなかったのですが、一般的には、公益法人の理事には同省の国家公務員は含まないという規定があるわけでございますが、文部省の場合は別でございますか。
  219. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 文部省の民法法人の設立許可審査基準におきましては、明文の規定をもっていわゆる主務官庁の現職の公務員、文部省の職員が公益法人の役員を兼務することについて、これを認めない旨の規定を設けてはおりません。しかし、実際問題といたしましては、この審査基準の運用として、文部本省の職員の役員兼務についてはこれを行わないということで従来から処理をしてきております。  ただ問題は、いま先生御指摘の病院の職員のような場合でございます。これは直接には法人の指導監督の立場にないわけではございますけれども、やはり職務上密接な関係を持った職員でございますので、これが法人の役員の大半を占めるということは決して適切なことではないし、これは是正すべきでございます。今後このようなことのないように各法人を指導してまいりたいと考えております。
  220. 草川昭三

    ○草川委員 いま局長の方から、不適切なのでこういう兼職は避けるというようなお話がございましたので、それで結構でございます。私の方は、実はこの問題をなぜ取り上げたのかといいますと、これは行政管理庁長官にもぜひとも聞いていただきたいのですが、何も文部省の大学病院のすみっこをほじくるというつもりは全然ないのですから、文部大臣が誤解のないように聞いておいていだたきたいのですが、私のところに入ってきた一番の沿革は、実は町の大学病院にいろいろな医療器械なんかを入れる方々が、最近多い新設医科大学に物を入れるとおかしいことがある、こう言い出してきたのです。どういう話ですか、こう聞いたら、実は各大学に官僚——官僚と言うと言葉がいやですからお役人、どっちでも同じことですけれども、とにかく天下りの人が民間の会社をつくり出したというわけですよ、それぞれの病院に。その民間の会社の顔がきくわけですね。そこを通じないと医療器械を買ってくれぬがどういうことだ、こういう話があったのですよ。おかしいじゃないかと言っていろいろと聞いてみますと、結局地域の代理店の権利を持っておりますから、いろいろな医療器械を買ってもらうと、そういう天下りの会社を通じますとそれだけオンコストになるわけですね。そしてアフターサービスだとかメンテナンスだけは自分がやらなければいかぬ。おい草川君、一遍調べようやという話があったので、いろいろ聞いていきますと、実はこれは私どもも行政改革というのはよほど気をつけてもらいたいのですが、一律カットをどんどんやっていきますと、どうしても病院なんというのは困るところがありますね。  たとえば一つの例ですけれども、薬剤師なんというのは定員で非常に数が少なくなって削られるわけですよ。大学病院で薬を待つのに四時間ぐらいかかる。そうするとお客さんが怒りますね。するとここの財団が病院の中に新しく第二薬局というのをつくるわけです。だからこの収支決算書を見ますと、収益で薬の売買の差益がやはり一番大きいのですね。その点はどうですか。
  221. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 お答えいたします。  いま言われました配っていだたきました資料、実はこの席で拝見をしておりました。薬のところが非常に大きく数字が出ております。いま御指摘になりました第二薬局の問題でございますが、薬局へ医師からの指令が来ますね、指令と申しますか、処方せんといいますか、その処方せんで薬局でやるわけですが、いま御指摘のとおり、ずいぶんそれは長くかかります。そういう場合において、病院によりましては、第二薬局のような形でやっておるのだと思います。先ほどの医療器械の問題と薬品の販売のやっとはちょっと状況が違うのだろうと思います。いずれ詳しいことは事務局の方から話をさせます。
  222. 草川昭三

    ○草川委員 それで、たまたまいま第二薬局というお話が出ましたが、患者にしてみれば待つのがいやだから、この大学病院に付属する財団が薬局を経営するということは個人としては希望するわけですよね。また、その財団としてそこで薬剤師を雇うのですが、もとの病院の方で薬剤師が足らない場合に、そこへ出向するわけです。早く言えば、定員が不足をしておるものを財団がカバーをするということになるわけです。これはやむを得ぬということで、ずいぶんこの財団が本病院に対してサービスをする形で下請になっていくわけです。これが知らない間にだんだんひとり歩きをするわけです。この財団というのは必要なんですよ、なければ困るのですよ。たとえば病院で、赤電話のお世話だとか給食のお世話だとか、いろいろなことをこの財団でやっておるわけですから、あってしかるべきだから、私はこの問題についてはとやかく言いませんけれども、この財団がだんだんひとり歩きをするようになると第二薬局というようなものになる。これは私はきょうは触れませんけれども、本来は問題なんですよ、保険者の立場から言うならば。大学病院へ行って薬をもらうのだけれども、そこでもらえばどうってことはない、そのままもらえる。処方せんをもらって、そこの第二薬局に行って、同じ構内でもらうと処方せん料一枚五百円ですか、保険者が払うことになるのです。これは国家公務員の場合も、地方公務員の場合も、民間のそれぞれの健康保険でもみんな同じなんです。これは一見見逃しておるようだけれども、非常に重要な根の深いものがある。だけれども、いまそれをやめろというわけにいかぬのですね、現実に生まれておるわけですから。だから、これは私は一言で簡単に第二薬局の問題についてどうだこうだと言いましたが、その御答弁はあえて私はもらいません。もらいませんけれども、いまの現実的な運営というものは非常に重要な問題があります。  しかも、先ほど触れたように、そういうところですから、この財団がひとり歩きをしていきますと、そこの役員が、もらう方の大学病院の事務局長理事長なんかやっておる。早く言うなら、おい、予算がない、だんだん行政改革でしぼられてきた、もう何にも会議費もない、悪いけれども財団で肩がわりしてくれ。これはあり得ることでしょうね、自分が決めるわけだから。こういうことがだんだんいろいろな新設大学にもふえてくる可能性がある。新しい大学は財団ではちょっとぐあいが悪いから、それを民間会社にひとつ選定をしようじゃないか、こういうことが出てくる可能性がございますので、私は行政改革もこれはむずかしいと思うのです。頭から一概にやっていきますと、どうしても払わなくてもいいものをそこで払うことになる。さらにまた、それがほかにいくということになる。結局お役人の方々の定年先のところになっていきますから、いわゆる民需というのですか、民間の方々が非常にそういうことを嫌うわけですよ。こういう問題がこの中で出てくるわけでございますので、兼職という問題については非常に重要な問題を内部にはらんでおる。  しかも、これは会計検査院の方にお伺いをいたしますけれども、こういう財団の中でいろいろなものを調べてまいりますと、大阪大学の場合でも、国に駐車場にするからと言って土地を借りるわけです。八百十一万五千四百六十五円というものを払って駐車場の運営をするわけですけれども、これも二千七百四十二万円ぐらいの収益がある。ということになると、幾ら人件費だとか管理費がかかったとしても、少しそういうものの差益というのが大きくなり過ぎやしないか。あるいは宮崎の医科大学の付属病院の場合でも、国に建物の借料というものを八十六万五千円払っておるのですけれども、喫茶店だとかいろいろなところに又貸しをすることによって、転貸をして差益が四百七十九万も出ておる。これはもう正確に収支計算報告書で文部省に出ておるわけですよ。こういうことは果たしていいのかどうか、どの程度ならいいのか、こういう点について検査院の方の御意見を伺いたいと思います。
  223. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 お答えいたします。  私ども検査の過程を通じまして、各大学病院の中に法人があるということ、それは存じておりました。そして検査におきましては、その財団との取引関係におきまして、物品なり役務なりあるいはその貸付料なり、そういった点について注意していたわけでございますが、ただいま先生の御指摘でございますと、国有財産を貸し付けてさらに又貸しするという点になるわけでございます。御指摘の点につきましては、確かに国有財産の貸付料と財団の徴収額とは非常に開差があるように見受けられます。しかしながら、これも財団と業者の転貸の条件とかあるいは施設の管理等につきまして、やはりその実態を十分調査しなければならないものと思われます。したがいまして、私たちも、先生の御指摘によりまして、財団の協力を得まして実態を調査してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  224. 草川昭三

    ○草川委員 会計検査院の方々に余り細かい、たとえば病院の方々が運動会をやるのに賞品を出しちゃいかぬとか、あるいは一年に一回何か構内のフェスティバルがあるのに財団のお金を出しちゃいかぬなんという、そんなことを言っておるつもりは毛頭ないわけですから誤解のないようにしていただきたいと思うのです。現実には本当にそこの正規の職員の方々が、フラスコがない、あるいは大学の先生で研究室に予算がない、アルバイトを雇わなければいかぬけれどもアルバイトの費用がないというようなことまで財団に依拠する場合があると思うのです。そういう場合には正規に、いま国立学校特別会計法に基づく文部省の奨学寄附金経理事務取扱規則というものがあるわけですから、出すものは正確に出す。そして残業手当、夜食代がない場合は正規に払っていいと思うのです。けれども、それもいかぬ、あれもいかぬということになると、結局ひねり出すという言葉があります。役所の方は、よく言うのですよ。何かあるとひねれと言うわけですね。ひねると出るわけですよ。それがここずっと問題になってきているのです。大体官房長なんて皆そういうことの経験者じゃないのですか。そういう経験がなければお役人にはなれぬわけですから。そういうことがあるわけですよ、本音を言うなら。だからそれは、本音は本音として予算をつくろうじゃないですか。予算を立てて、そして払うべきものは払う、そして正規のものにしないと、お役所だけがどうのこうのということになる、さっき言ったように。だから明らかにすること、必要なものは出すということ、そして合意をする、そして財団で持ってもらうものは持ってもらうという、そういうルールを総合的に立てるために、大変恐縮でございますけれども、私は文部省の国立大学の問題を持ち出したわけであります。その点について、ひとつ谷垣大臣の方からの御答弁を願います。
  225. 谷垣專一

    ○谷垣国務大臣 いま御指摘がありました点、元来研究費あるいはその他必要な病院の経費は、本来そういうところから出してもらわずに賄うべきものだと思いますし、またそういうふうに指導しておると思っております。  ただ、この財団と病院との関係については、一番初めに御指摘を受けましたように、かなり多数の諸君がどうも理事を兼務しておるようでございます。これはその間の状況をもう一回検討をさしていただきます。正すべきものは正していかなければならぬと思いますので、検討をさしていただいて正すべきものは正していく、かように考えております。
  226. 草川昭三

    ○草川委員 最後にそういう御答弁を得たので、ぜひ私が申し上げた趣旨のように、本当に必要な財団運営と、そしてまたその財団運営がひとり歩きをして当初の目的以外の営業活動なり事業活動をやらないように運営をしていただきたいし、発展をしていただきたいということを期待をいたします。  最後に、交通事故の被害者救済、事故等の問題について質問を申し上げますが、過日ここで矢野委員の方からも問題提起をしましたその後になるわけでございますが、自動車事故による被害者は、昨年の一年間で死者が約八千四百六十一人、負傷者約六十万人、依然として高い水準に推移をしておるわけでございますし、大きな社会問題になっているわけであります。このような実情に対処するために、自動車の損害賠償制度について、その充実改善が図られてきておるわけでございますが、これは非常に高く評価をするものであります。  しかしながら、自動車事故の被害者の中には、一家の支柱であるところの父親が突然の事故によって亡くなった交通遺児や後遺症を持った方々等、非常に悲惨な家庭の方々が多いわけであります。その点について矢野さんも触れたわけでございますが、現在ある救済制度の内容を充実するということが基本的ではございますが、交通遺児育成年金制度が新しく創設される、こういう方向の中に、過去にさかのぼるということが出ていないわけです。あるいはまた、四月以降に事故に遭った方々でしかも交通遺児が八歳までというように限定をされておるわけでございますし、加害者の方からもらったのを五百万円渡すということで、金額も五百万円というように限定をされておるわけでございますが、こういうことは全体的に見ると片手落ちではないだろうか、こう思うのです。そういう点について、交通遺児家庭の救済ということを考えながらひとつ制限緩和について当局のお考えをお聞かせ願いたいと思います。運輸大臣、どうですか。
  227. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  交通遺児育成基金制度は、交通遺児が受けた損害賠償金を適切に運用することに主眼を置くものでございます。そのためにまとまった損害賠償金を拠出できること、十年ぐらいの長期的に給付するものであること、ある程度の給付水準が確保できることなどの諸要件を勘案しまして加入資格を定めたものでございます。  この制度は、五十五年の十月に新しく発足するということで、いまいろいろ技術的な問題について詰めておるところでございます。先生の御指摘の点につきましては、今後勉強してまいりたいというふうに考えております。
  228. 草川昭三

    ○草川委員 もう一問でございますが、現在自賠責保険の預託金が約一兆円近くあるわけでございますし、運用利息が年二千五百億円もあるわけでございます。これを自動車交通事故以外の災害遺児だとかあるいは病気等で一家の支柱を失った遺児、こういう方々にも適用範囲を広めるわけにはいかないのだろうかという問題提起なんです。  ちなみに、文部省がいま行っておりますところの就学援助の対象園児、児童数というのは、全国でも百七十三万五千人の非常に大きい数字になっておるわけでございますが、こういう現状を見ても、これらの百七十三万人に及ぶ困窮遺児の方々に自賠特会の運用益をたとえば県に渡すわけにはいかぬのだろうか、そして、いま救急医療なんかでは県にいろいろなものが回っておるわけでございますが、同じようなシステムで都道府県に助成をしてこれらの児童の学費免除というものを充実したらどうだろうか、こういうことを提案したいわけであります。  さらにまた、政府は交通安全の施設整備事業の第一次、第二次計画に一兆円の予算を投じておるわけでございますし、そのための事故防止を図ってきておるわけでございますが、これも事故者が半減をするようになってきておるわけでして、これは非常に高い評価があると思いますが、自動車事故と他の災害との補償制度の格差が開けば開くほど、国民としても何か割り切れない問題があるわけです。これはきょうの質問にはありませんけれども、労働災害なんかでも非常に不満な問題が出てまいりまして、いろいろといま意見が出てきておるようでございます。新聞報道なんかでも交通災害の賠償金等の金額が明示をされるものですから、よけいに社会的な風潮に大きな変化が出てきておるわけでございます。ひとついろいろな対応を立てられるように事故被害者に対するまんべんない平等な救済ができるような体制をつくっていきたい、こう思うのでございますが、その点の御意見について最後に総理からも御意見を賜りたい、こう思うわけでございます。どうでしょう。
  229. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  運輸省におきましては、自賠責特会を活用いたしまして自動車の事故防止対策や交通遺児の救済のためのいろいろな施策を講じてきております。ただ、後者につきましては、自動車損害賠償保障の一環として実施いたしているものでございます。先生からいまお話がありましたように、交通遺児だけでなくて、災害遺児等に対して自賠責特会から就学援助を行うことにつきましては、自賠責保険の資金というものは自動車保有者等の契約者からの保険料を原資といたしておるわけでございます。したがいまして、その使途はおのずから自動車事故の関係に限られると考えられます。     〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕 また、将来の保険収支改善のための財源として留保しておくことも考慮すべきであるという自賠責保険審議会の答申がなされております。御質問の趣旨に沿って自賠責特会を広範に活用するということについては、いろいろな困難な問題があると考えられます。
  230. 草川昭三

    ○草川委員 最後になりますが、総理、いまの御答弁にもありましたように、私は、自賠責特会のそういうお金が余っておるからそれをよこせとかいうような立場ではなくて、たとえ日本の一億の国民の方がどこでどういうような事故に遭っても同じようなことになるのが普通じゃないでしょうか。だからその場所ごとに救済が違うというのもおかしいのです。高速道路で事故になれば手当てがあり、その前で事故になれば差があるということは、国民の立場から言ったらどう考えても理解できません。しかし、縦割り行政から言えばいまの答弁ということになるわけです。  私は本日長々と大変失礼なことを皆さん方に申し上げましたけれども、こういうのが国民の方々から素朴な疑問として出てくる、それが政治の不信につながらないようにみんなにわかりやすい政治をやってもらいたいと思うのです。国民の多くの方が素朴に疑問を持っておる、そういう素朴な疑問に対してこたえられるのがこれからのあり方ではないであろうか、こう思うので、私の最後のこの態度について総理から総括的な御意見をひとつ賜って終わりたいと思います。
  231. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 交通災害対策の充実、その改善につきましては実態をよく掌握しなければなりませんし、いま仰せになりましたように、わかりやすい公平な対処ができますように、この上とも努力をしてまいります。
  232. 草川昭三

    ○草川委員 以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)
  233. 田村元

    田村委員長 これにて草川君の質疑は終了いたしました。  次に、横路孝弘君。
  234. 横路孝弘

    ○横路委員 初めに、総括質問もきょうで六日目でございますが、いま野党間で予算の修正についての話が始まっております。予算委員会の審議で五十五年度予算案についてのさまざまな問題点もこの場で指摘をされているわけでございます。総理にお尋ねをしたいと思うのでありますけれども委員会で審議をするということは、審議の結果を予算そのものに反映をさせるということを目的にしているわけです。そこで、野党間でこれから話をまとめて皆さんの方にもお願いに行くと思うのですけれども、その話にひとつ誠実に耳を傾けていただきたいと思うのです。まだ具体化していませんが、話が進められている野党の予算修正についての総理大臣の見解をお尋ねいたしたいと思います。
  235. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 審議を広く深くいただいているわけでございますが、それが野党の予算案に対する態度としてどのような集約した形で出てまいりますのかよくわかりませんけれども、出てまいりますならば、政府・与党といたしましてそれを受けて真摯に検討さしていただきます。
  236. 横路孝弘

    ○横路委員 総理のお立場でそれで私も大変結構だと思うのですが、ただちょっと気になるのは、自民党の櫻内幹事長が二月四日に都内で発言をされまして、その発言で、野党から予算の組み替え動議が出されれば予算委員会を休憩にして、そして本会議で中間報告を求めて処理をすることになるだろうという、個人的な見解だと思いますが、発言をされておるわけです。これは、個人的な見解だとしても、自民党のやはり幹事長という要職にある方の発言でありまして、私たちとしてもこれを見過ごすわけにはいかないわけです。組み替え動議が出されて、予算委員会を休憩にして本会議で中間報告を求めるというのは、議会のルールを完全に無視している。ルールがなくなったときに過去とられたことがあるということでございまして、一体今日の時点でこういう発言をされるということについては、私たちもその真意がよくわからないのですが、この発言について総理大臣はいかがお考えでしょうか。
  237. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 予算に対する態度が出ていないわけでございまするし、自由民主党がそれに対しましてどのような対応をするかというようなことも全然決まっていないわけでございますので、櫻内さんがどういう場面でどういうことで言われたのか、私もよく聴取しておりませんので、自由民主党といたしましてはただいまそういうことにかかわりない立場でおります。
  238. 横路孝弘

    ○横路委員 事は大変重大な発言でして、本来ならばこれは、動議が出された場合に——動議を出すというのは、これは権利としてあるわけですが、予算委員会を休憩して本会議強行なんというようなことを本当に考えておられるのかどうか、これを確かめなければならぬというように思うのですけれども、いま総理大臣の方から、野党からの修正案が出されれば一応それについての話し合いに応ずるという御返事もございましたので、私はそういうことにして、ひとつこんな発言が軽々しく出てくることのないように、総理の方からも自民党に、厳重に幹事長の方に注意をしていただきたいと思います。
  239. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 十分注意いたしておきます。
  240. 横路孝弘

    ○横路委員 私は、きょうはエネルギー問題を中心に議論をいたしたいと思いますが、その前に一つ、国鉄の再建問題ということを行政改革という観点からお尋ねをいたしたいと思います。  私は、大蔵省が財政再建ということで五十五年度予算案の編成に取りかかったときから、一体、国鉄のいわゆるAB線と言われるもの、地方線でいま建設中ないしは建設計画のあるもの、全部で四十本ほどございますが、これについてどういう態度をとるかな、いわばこれは大蔵省の財政再建に対する意気込みの評価をこれで見ることができるのじゃないかと実は思っておったわけです。確かに、五十四年度の四百億円という予算から比べますと、五十五年度百五十億円というのは、それは削減だといえば削減なんですけれども、しかし実際は、大蔵省だって運輸省だってあるいは国鉄だって、だれもこれはむだなことだと思っておると思うのです。本当に喜んでみんなのためになると思って予算をつけたんじゃない。予算をつけて線路をつくったって、どうせこれはどうしようもないんだと思いながら予算を五十五年度百五十億つけたんではないかというように思うのです。  私たちの党は、五十五年度予算案に当たりまして、鉄建公団のAB線の建設、新幹線の新規着工は中止するように大蔵大臣の方に申し入れをしておきました。しかし、それが聞き入れられなかったのは残念でありますが、これはわれわれ政治家に責任のあることでもあります。与野党を問わず、自分の選挙区の線路の話になりますとみんなそれぞれ陳情に行く、そういう体質そのものが実は象徴的にこのAB線の中にあるのではないかと思います。  そこで、以下若干の質問をいたしたいと思いますが、初めに、大蔵省の方で百五十億をつけた理由、これは一体何のためにつけたのですか。
  241. 竹下登

    ○竹下国務大臣 横路委員おっしゃいますとおり、政審会長と政調会長のあっせんによって私どもがお会いいたしまして、そのような要望を受けておったことは事実でございます。AB線の建設につきましては、昨年末の閣議了解におきまして定められました国鉄地方交通線対策との整合性を十分考慮した上、必要と思われる百五十億円の工事を予算措置したわけであります。御指摘のように、前年度よりは二百五十億円の減少ということになっておるわけであります。内容につきましては、輸送密度四千人以上の路線が七十億円、それから四千人未満の路線が六十億円、第三セクター等が運行を引き受ける場合に建設する、そういう内容のものでございます。
  242. 横路孝弘

    ○横路委員 運輸省にお尋ねしますが、その前に大蔵大臣、これは財政制度審議会の方でもAB線に対する補助は一時休止の措置を講ずべきであるという意見でしたね。これはどういうことになりますか、いまのその方針との違いというのは。しかも、これはこれから運輸省の方に尋ねていきますけれども、運輸省の方だってそう積極的な問題じゃない、国鉄だって引き取りたくない、こう言っている問題について、いま必要性の話がありましたが、あと中身の問題はこれから議論に入りますが、とにかく財政審の方では一時休止の措置をとるべきだ、全面ストップせい、こういう話ですね。私たちこれに賛成なんですけれども、いかがですか。
  243. 竹下登

    ○竹下国務大臣 財政審の方は、総括的にそのような意見があったことは事実であります。  予算作成に当たりましては、また国鉄のいわゆる再建計画というものとの整合性において、予算措置をしたということであります。中身につきましては、お許しいただければ、事務当局からお答えすべきでありますか、あるいは運輸省からお答えすべきでありますか。
  244. 横路孝弘

    ○横路委員 AB線四十本、いま皆さんのところにお配りしてあるのですけれども、このうち、将来的に採算が合うと考えられている線はどれですか。  同時に、運輸省にお尋ねしたいのは、最近ここ四、五年で開通した線、開業線がありますね。この開業線の状況はどうなっているか。新しいところで二、三本取り上げて、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
  245. 山地進

    ○山地政府委員 主な開業線の収支状況から申し上げますと、盛線、これは盛−吉浜間二十一キロでございまして、収支状況は三千六百万円の収入に対して一億三千八百万円の経費でございまして、約一億の赤でございます。それから予土線というのがございますが、これは七十六キロで北宇和島と若井の間でございますが、約十億の赤字を出しております。それから久慈線というところでも一億七千万円の赤字等でございまして、黒字を……(横路委員「そうでなく、あと二本新しいもの」と呼ぶ)新しいもの、三江線、これは江津と三次というところでございますか、これは十七億の赤字でございます。気仙沼線が七十四キロございますが、これが六億一千六百万円ぐらいの赤字になっております。黒字を出すということになりますと、私どもの手元にある資料ではなかなか黒字を出すということにはならないかと思います。
  246. 横路孝弘

    ○横路委員 この予定されている四十本の建設中ないしは建設予定のAB線は、ほとんど黒字にはならぬ。しかも最近の、たとえば五十年の三江線というのがありますね、江津−三次。これは大蔵大臣の選挙区じゃないですか。ここは収支係数が一一〇二、つまり百円の収入を上げるのに千百二円かけなければいけない、こういうことになるわけですね。赤字が十七億六千九百万、こういう状況なわけですね。  これはあれなんでしょうね大蔵大臣、この線の開線にはあなたもやっぱり大分熱心にやられたんでしょうね。
  247. 竹下登

    ○竹下国務大臣 私の選挙区であり、細田防衛庁長官の選挙区であり、また櫻内幹事長の選挙区でございます。住民の要望につきまして長年にわたって力を合わせて協力したということは事実であります。
  248. 横路孝弘

    ○横路委員 これからのAB線の予定の中にも島根の大蔵大臣の選挙区の線が二つまだありますね、今福線と岩日北線というのですか。それで採算は合わない。これは私の選挙区にもあるのです。これからお答えいただく運輸大臣も同じ選挙区です。この選挙区の中にも岩内線というのがあります。これはどう考えてみても岩内から黒松内というところ、これは同じ選挙区ですからよく御承知だと思うのですが、海岸線に大分お金をかけて道路を改良いたしまして、バスの運行状況も大変よくなってきておるわけです。ここに線路をつくるなんというと、トンネルをたくさんつくらなければいけないということで大変な雑工事で、延長距離にして四十四キロですか。中にはわずか八キロのところを延々二十年もかけて毎年少しずつ予算をつけて、失業対策事業じゃあるまいし、そうやってお金を使ってやってきている線路もあるわけですね。これはどうなんですか、ほとんどバスに代替し得るのでしょう、このAB線。
  249. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 御指摘のAB線の着工については慎重に行いたいと考えております。昨年末の国鉄再建についての閣議了解で地方交通線対策が了解されましたので、これに矛盾をしないようなやり方でAB線を考えてまいりたい、かように存じております。
  250. 横路孝弘

    ○横路委員 これは大臣、北海道が多いのです、十本ですからね。これは個別に議論を始めて、市町村の要望を受けて政治家が動くということになったら始末がつかないのですよ。大蔵大臣だって、いま選挙区にまだ二本これから抱えているわけでしょう。五十年に開業したやつはどんどん赤字を毎日毎日つくっている、こういう状況なわけですね。むしろ道路は改良されて、バスの環境はよくなっている、こういうことでしょう。ほとんどバスで代替し得るわけでしょう。しかも、黒字になるのは一本もないというわけです。  これはいままでに幾ら投資してきましたか。これは完成するためにこれからどのくらいお金がかりますか。
  251. 山地進

    ○山地政府委員 いままでの総工事費が、投資額でございますけれども、二千二百二十億投資をいたしました。(横路委員「これからどのくらいかかるの、全部つくるのに」と呼ぶ)工事費が約九千七百六十億でございますから、その差額七千五百億ぐらいが所要額でございます。
  252. 横路孝弘

    ○横路委員 これもやはり本音を語ってもらわぬと困るのですね、特に大蔵省。あなた方の方もこんな予算をつける気はないのでしょう。将来やはりバスでやった方がいいと思っているのでしょう。運輸省だってそうでしょう。  国鉄総裁どうですか、こんな線路ができて、これは引き取るつもりですか。
  253. 高木文雄

    ○高木説明員 私どもは、現在お預かりして走らしております線でも大変赤字が出ておりますので、その上にまたそういう線がふえるということはとてもかなわないというのが真相でございます。  そこで、いまお願いをいたしておりますのは、従来から在来の線についてもひとつバスに切りかえたらどうかということで、大体十四、五年前から努力をいたしておるわけでございますけれども、しかし、やはり道路もあった方がいい、鉄道もあった方がいい、両方ある方がいいということだけで、どうも話が進まない状況で今日まで来ておるわけでございます。そこで、とても私どもの力だけではそういうことについて合理的な結論に到達し得ませんので、いまお願いをして法律をつくっていただいて、国会のベースでこの問題を篤と御議論いただきたい。外してくれるなと言われるのも、ある意味では地域の問題としてそういう切なる御希望が住民の方にあることは事実でございますから、それを含めて一遍国会ベースで議論をしていただきたいということで、いま運輸省を通じて政府に法律の提出についてお願いをしているということでございます。  率直に言って、私どもの方としてはお引き受けいたすのはとてもかなわないという感じでございます。
  254. 横路孝弘

    ○横路委員 大体鉄道をつけてくれという陳情はみんな車に乗ってやってくるというのが実際だろうと思うのですね。運輸大臣、これはあなたに応援演説をしているつもりなんです。だから、もうちょっとはっきり、つまりこれは本来ならば財政審のように休止にして、そしてまず話をもうちょっとやるということの方が必要なんでしょう。先ほどの話ですと、これは毎年少しずつ予算はつけながら、そして市町村と話をしていこうというわけでしょう。いま走っている地方の赤字ローカル線と同じような対応をしていこうというわけですね。  そうじゃなくて、これは個別の議論を始めるとだめなわけです。だから、皆さんに聞いても、この予算委員のメンバーの中にもたくさん関係される方がおられるわけです。たとえば渡辺代議士だって、野岩線というのがここにかかっておりまして、毎年毎年予算を少しずつつけながら少しずつ工事をやっている、こういうことですね。  だから、これはそういうことじゃなくて、もう思い切って態度をはっきりさせるということが必要じゃないんですか。いままでずるずるそうやって三百億程度のお金を毎年つけながら、どうせ行く先はむだになるなと思いながら交渉してきたわけですね。二千五百億、これはしようがないですよ。これはむだだった。しかし、将来のむだを繰り返さないために、そのむだはむだとしてあきらめる、こういうことでなければならぬと思うのです。  これは個別の議論をやると、もう本当に収拾がつかなくなりますよ。そうでしょう、運輸大臣。それはここ二、三日経験されているはずです。だから、基本的にはっきりさせられたらいいんじゃないですか。
  255. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 横路委員御指摘のとおり、このAB線問題は、地方の方々の御要望も非常にあり、むずかしい問題でございますが、ただいま国鉄総裁がお答え申し上げましたように、国鉄再建法案を今国会で御審議願うことになっております。その中に地方交通線対策を含めております。この地方交通線対策、見切り発車等の御非難もありますけれども、御審議を願いながら、何とか地方の赤字対策を全うしていきたい、かように考えております。  この中に、地元の御要望に従ってバス転換あるいは第三セクター、いろいろな形をとってまいりたいと思っておりますが、これに矛盾しないようなやり方でAB線の問題は考慮していきたい、かように存じております。
  256. 横路孝弘

    ○横路委員 だから、こんな予算、仕方ないじゃないですか。行政管理庁長官、あなたの方の行政改革というのは、こういうやつもやはり予算の段階でチェックするのも行管の機能だと思うのですね。どうですか、これは将来どうせむだになって、国鉄も引き取らぬというものに百五十億も予算をつけるという理由はありますか。これは行政管理庁長官、あなたの立場からどうですか。
  257. 宇野宗佑

    ○宇野国務大臣 国鉄問題は、過般も鉄建との関連におきまして私の見解をすでに申し述べました。また、行管庁といたしましても昭和二十八年以降十次にわたりまして行政監察を行っておりまして、それが今回の五十五年行革に入ったことも御承知賜っておるところでございます。私としては、はっきり言えば、こうしたものはたな上げした方がいいという個人的な見解を持っておりますが、また行革の一環といたしまして、この五十五年にも国鉄に関しましては行政監察を行いたい、かように存じておりますから、さような意味で十二分に運輸大臣あるいは大蔵大臣と御相談をしていきたいと思います。
  258. 横路孝弘

    ○横路委員 これは委員長にも要望なんですが、委員長も運輸大臣をされておったからわかると思うのですが、大体一斉にやめるんならいい、ほかはやって自分のところだけやめるんじゃ困るというやはり意見だと思うのです。だから、これは予算委員会の理事会の方でも、いろいろな問題を出されていますが、この問題もやはり一定の見解を示されて政府に要望する。どこかで枠をかけないと、個別の問題になってしまいますと、もう収拾がつかないということになるわけです。だから、私はこの予算というのは、議論したものをできるだけやはりそんな意味で集約をされて処理をするということも必要じゃないかと思うのですが、ひとつ理事会の方でもこのAB線問題について、私はこの予算なんか執行しないで、むしろ休止なら休止という財政審の立場でもってはっきりさせるということの方がいいと思うのですが、そういう措置をぜひとつていただきたいと思うのです。
  259. 田村元

    田村委員長 いまの御趣旨は、個別にやらないで全部一括して用意ドンでぽんといった方がいい、こういうことですね。
  260. 横路孝弘

    ○横路委員 そうです。
  261. 田村元

    田村委員長 いまの御要望につきましては、理事会で協議したいと思います。
  262. 横路孝弘

    ○横路委員 民間が引き受ける、つまり市町村だとか第三セクターで引き受ける、やるのだということになれば、それはまた別の問題になりますが、そうではなくて、つくって国鉄に引き受けさせて走らせるということには私はやはり問題が多いというように思いますし、大蔵省の方も何か被害者意識でおらないで、これはやはりあなた方の責任もあるわけです、百五十億ともかく認めてしまったということについてですね。大体この総論で言うと反対のところはないんですから、各政党だって。だから、やはりそこのところで枠をはめてしまうということしかこういう問題の始末はできないですし、補助金なんというのは大体そうやっていかないと始末がつかないのじゃないですか。個別になっていろいろな政治の力の関係でいったら財政再建なんてできないですよ、総理大臣。  どうですか、総理、このAB線についての見解をちょっと賜りたいと思います。
  263. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 傾聴に値する御提言だと思います。理事会でも御協議いただくそうでございますから、よく承りたいと思います。
  264. 横路孝弘

    ○横路委員 もう一つ、今度は金額ははるかに大きくなるわけでございますが、新幹線の問題です。  上越新幹線、東北新幹線、時間がございませんので、上越新幹線についてちょっとお尋ねをしますと、従来、五十一年に一兆二千億で認可されていたのが一兆六千億ということで、今年度でも相当の予算が計上されているわけです。一体これが開業をしたとして採算がどうなるのか、収支ですね。上越新幹線、東北新幹線についてどんな収支状況になりますか、見通しはどうですか。
  265. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 東北、上越新幹線の収支見通しについては、今後の経済情勢、運賃水準等、未確定な要素が大変多いわけでございまして、予測は大変困難でございますが、私どもの考え方といたしましては、一応東北、上越新幹線ともに、並行在来線との総合収支は、開業ほぼ十年ぐらいで収支が償うものであるというふうに判断をしております。
  266. 横路孝弘

    ○横路委員 金額は……。その間の赤字は……。
  267. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 その間の赤字はまだ想定しておりません。
  268. 横路孝弘

    ○横路委員 そうではなくて、運輸大臣、それはもちろん想定しておるわけです。  試算されておるところでは、上越新幹線が、初年度、二年度、三年度で大体千億ぐらいずつの赤字です。そうして十年間の累積は、金利も入れますと一兆円をちょっと超える、まあ一兆円程度。東北新幹線になりますとその赤字幅はもうちょっとふえまして、十年間で計算しまして一兆二、三千億ぐらいというような、概略のそういう計算はしているんじゃないですか、運輸大臣。
  269. 山地進

    ○山地政府委員 大臣のお答えいたしましたように、非常に不確定な要素が多いので確定的な計算というのは非常にむずかしいわけでございますが、上越新幹線で約五千億弱、それから東北で一兆円弱でございまして、金利を入れてこれぐらいになるということでございます。
  270. 横路孝弘

    ○横路委員 ともかく赤字は、つくって走らせれば十年間で二兆円ですよ。これが他のいわゆる準備計画五線、これになりますと収支状況はなお悪くなるでしょう。どうですか。
  271. 山地進

    ○山地政府委員 輸送密度で申し上げまして、東北、上越が一キロ当たり、一日当たりで六万ぐらい、非常にラフに申し上げまして。整備五線の方は二万人強でございますので、採算としては非常に悪い。したがって、従来の有償資金で金を回してやるというようなことでは絶対採算がとれない。(横路委員「赤字は幾らになりますか」と呼ぶ。)計算はしてありますけれども、いま手持ちございませんから申し上げませんが、東北、上越で六万人で十年かかるわけでございますから、従来の方式でやれば、まあ永遠にという言葉がいいかどうか知りませんが、なかなか収支は償うことはない、むしろ赤字がふえていくということでございまして、全額国費を入れた場合に、いままでの在来線が赤字を生み出していたよりも減少するであろうという程度の状態でございます。
  272. 横路孝弘

    ○横路委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、上越新幹線と東北新幹線、いまやっているやつで開業して十年間の赤字。これはどんどんふえていくわけです。さらに五線含めれば赤字は永遠に解消しないというわけです、積み重なっていくばかり。これを大蔵省としてどう考えているのですか。
  273. 竹下登

    ○竹下国務大臣 上越、東北につきましては、いま十年間のお話がございましたが、十年程度で大体採算がとれるような状態になるという一つの見込みの上に立っておるというわけであります。整備五線につきましては、さらに調査をしよう、総合的な調査を行うという意味で調査費のみを計上したということであります。
  274. 横路孝弘

    ○横路委員 新経済社会七カ年計画で鉄道関係十七兆七千億ですか、見込んでいますね。大蔵省の方はともかく財政再建だと言っておるわけです。この十七兆七千億の中には上越、東北のほかにこの五線の方も計上しているのでしょう。どうなんですか、企画庁長官
  275. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 お答えいたします。  二百四十兆円という大きな中にお示しのとおり、国鉄、地下鉄その他として十七兆七千五百億円、これは個別にどの線どの線というふうに特定はしておりませんが、いまお話しのようないろいろのものを総合して計上しておるわけであります。
  276. 横路孝弘

    ○横路委員 これは新幹線ばかりじゃなくて道路そのほか含めて、やはり公共投資部門というのは、財政のことを考えますと大変問題だと言われているわけです。そればかりじゃなくて、お金を使ってつくればさらにそれに赤字が上積みをされる、こういうことになっているわけです。だから、基本的に財政再建ということに重点を置くならば、たとえば新規の新幹線の着工だとかいうことも、がまんしてもらうならがまんしてもらうというような姿勢が大蔵省としては必要じゃないですか。どうですか。これもやっぱり個別の市町村の、知事さんを先頭にしてわあっとやる運動に一一こたえておったのでは、金は幾らあってもたまらぬということになりませんか。
  277. 竹下登

    ○竹下国務大臣 基本的には横路委員の考え方を私も肯定をいたします。
  278. 横路孝弘

    ○横路委員 そういう意味で、これは少し見直しをされたらどうですか。
  279. 竹下登

    ○竹下国務大臣 公共投資全体二百四十兆につきまして、もう見直しの時期に来ているのではないか、こういう御指摘でございますが、今年度私どもは、やはり昨年閣議決定したこの新経済社会七カ年計画というものの中でおのずから財政再建という問題を抱えながら進んでいくためには、当然のこととして弾力的に対応していかなければならないというような考え方でございますので、関係各省と十分協議して、弾力的に実施していくという方向を今日貫いておるところであります。
  280. 横路孝弘

    ○横路委員 この新幹線について、国鉄の総裁はどういうぐあいにお考えですか。
  281. 高木文雄

    ○高木説明員 整備五線の問題につきましては、数年前から私どもとしては、建設資金を今日のように借入金でやるのではなくて、全部いわゆる公共事業というような概念でつくっていただく、その上でそれを運営せよと言われました場合には、いまより赤字がふえるということでなしにやっていけるかなという非常に大ざっぱな見通しでございます。したがいまして、逆に申しますと、東北、上越新幹線のように有償といいますか、つまり金利のつく金でつくるという方式はとてもだめだということで、いままでの方式とは違う形でやっていただくならばというふうに申し上げておるわけでございます。
  282. 横路孝弘

    ○横路委員 東北、上越だと赤字がまた累積しますね。国鉄はこれをどうしますか。
  283. 高木文雄

    ○高木説明員 東北、上越の問題は、ただいま御指摘がありましたように、また運輸大臣から御説明がございましたように、大体十年ぐらいは赤字だということでございますが、十年後には十分採算がとれるというふうに見ております。しかし最初に開業から十年間赤字がありまして、その赤字が大変大きいと赤字が赤字を生むということになるわけでございます。したがって、この十年間をどういうふうに収拾するかということが問題でございます。ただ、金額が大変大きいようでございますけれども、これは言ってみれば償却費とそれから金利負担のかたまりのようなことでございまして、現在の国鉄の在来線の方は、むしろ年々の人件費ウエートが非常に高いというところに問題があるわけでございます。そういう意味で、結果としては似たようなことに赤字が出ますということでございますけれども、体質は全く違うものになりますので、東北新幹線、上越新幹線については、これは経営的にぜひうまくやれるようにいたしたいというふうに考えております。
  284. 横路孝弘

    ○横路委員 これは赤字をなくすためには新潟県民に毎日東京に出てきてもらわなければならないということになりかねないわけです。  運輸省の方にお願いしておきますが、これの収支見通しですね、上越と東北と、それから同時に他の五線についても、資料として提出していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  285. 地崎宇三郎

    ○地崎国務大臣 承知いたしました。
  286. 横路孝弘

    ○横路委員 それでは次に、エネルギーの問題についてお伺いします。  来年度予算をいま審議しているわけですが、これをつくるに当たって、石油の価格並びに生産量の推移というものは一体どうなるか、輸入量がどうなるかということは大変大きな問題だと思うのです。この予算の場合、大体バレル、CIF価格で三十ドル前後と見ておったというような御答弁があったように記憶しているのですが、これは間違いないでしょうか。
  287. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず価格につきましては、私どもは三十ドルをある程度上回る価格になるのではないかというふうに先般お答えしたわけでございます。その根拠といたしましては、現在、GSPと称します産油国の政府販売価格、これを公示価格と言っておりますが、この価格で買えるものが大体八五ないし八六%ということでございます。それから残りの一四%ないし一五%につきましては、いま申し上げましたGSP価格以外ということでございまして、従来でございますと、これがほとんどスポットに依存しておったわけでございます。ところが、最近の著しい傾向といたしまして、スポットの価格は大変下落をしてきておるということでございます。  一例を申し上げますと、アラビアン・ライトで昨年の暮れ現在におきまして、一バレル当たり四十一ドル七十五セントまでスポット価格が上がったわけでございますが、年が明けまして逐次下がってまいりまして、二月の最初の週におきましては、大体三十七ドルぐらいということでございます。なおそれでも商談が成立しないということがございまして、スポット価格は顕著にいま下がりつつあるということでございますが、従来のそのスポットにかわりまして、今度はプレミアムという考え方が産油国の間に大分強くなっておりますので、従来のスポットに関する考え方がプレミアムづきということに変わってきておる、そういうものが一四、五%のウエートを占めるのではないかというような前提に立ちまして計算いたしますと、三十ドルをある程度上回るところで推移するのではないか、こういう見通しを申し上げたわけでございます。  それから、いまお尋ねの量の問題につきましては、先生御承知のとおり、昨年二億八千万キロリッター入ったわけでございますが、ことしも大体同量入るのではないか、こういう期待をしているわけでございます。
  288. 横路孝弘

    ○横路委員 価格が上がりますと、輸入代金の支払いがふえるわけですね。その分だけ国民総生産は減るわけです。ですから、成長率にも影響を与えますし、貿易収支にももちろん大きな影響を与える。国際収支にも影響を与えるし、物価にもはね返る。いろいろな影響がそこに出てくるわけです。ただ私は、その政府予算の大枠をつくるときとその後の状況を見て変わってきているのは、やはりサウジアラビアがバレル二ドル引き上げたというのは見通しになかったと思うのですね。われわれ皆さんのお話を聞いたって、いや、サウジアラビアは七月に上げるかどうか、需給関係が緩むからそんなことは多分ないでしょう、こういうお話をわれわれついこの間まで聞いておったわけです。そんな意味では、サウジが上げ、その後もOPEC諸国が引き続いて値上げをしているということは、やはり枠として違った状況じゃないのだろうかというふうに思います。そんな意味で、サウジの引き上げとその後の状況を含めて、これは企画庁長官、どういうぐあいにお考えになりますか。
  289. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 ただいま資源エネルギー庁長官からお答えいたしましたように、いろいろの要素を総合いたしまして、カラカスのあの状況とか、それからいろいろの動きを総合いたしまして、私どもは経済の見通しとその運営の基本的方向を定めたわけでございます。  そこで、その後における原油の値上げはどうかというふうなことでございますが、結論的に申し上げますと、ただいまのところは大体、いまエネルギー庁長官の申しましたような価格で進むということを私どもとしては一応想定しておる、こういうふうに申し上げてよろしいかと思うのです。いま御指摘のように、それは経済の成長に、また物価に影響があるだろう、そのとおりでございます。大体におきまして、これは私ども一つの試算でありますが、全体の原油量につきまして、一ドル上がりますと原油の支払い代金は十七億ドルぐらいふえる、こういうふうなことを想定しております。そこで、三割ぐらいの値上がりというようなことで七ドル程度上がりますと、これがいま申し上げたような想定に対する一つの何といいますか、条件の大体の限度というふうなことが申し上げられるかと思っております。
  290. 横路孝弘

    ○横路委員 確かに輸入代金の支払いがふえても、その分だけ輸出が伸びてそこで相殺が働くといいのですけれども、しかし、輸入代金の支払いの部分だけ輸出を伸ばすということになりますと、これはまた大変摩擦が大きくなりますね。通産大臣はどうですか、その分だけ輸出を伸ばして賄うつもりですか。たとえばサウジの二ドルだって、これだけで影響は大きいでしょう。いまサウジは大体四分の一ぐらいですね。そうすると、五百四十万バレルで計算して、その四分の一ぐらいの割合で上がっていく計算になりますね。二ドルめ四分の一で五十セントだから、これに掛けて計算すればいいわけですね。相当なものでしょう。通産大臣、どうですか。その分だけこれは輸出を拡大して、帳じりを八千億という形で合わせるお考えなんですか。
  291. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 先生お示しの原油代金が値上がりする分に見合って輸入金額が非常にふえてくるということは仰せのとおりでございます。それを全部輸出でとたんに埋め合わせるかということは、これはやはり非常に困難でございますし、また摩擦も多いわけでございまして、やはり徐々に輸出とその他経済協力案件等も含めまして国際収支の調整を、あるいは資本収支ということもあわせまして総合的な観点から考えていかざるを得ないかと思います。
  292. 横路孝弘

    ○横路委員 ですから、来年度で無理にやるということでなくて、やはり徐々にそれは均衡をとるようにしていかなければいかぬということですね。無理して何もここで貿易収支、たとえば八千億円ですか、ことしこういう形で無理にやろうとすると、やはり輸出摩擦が出てくると思いますよ。それは通産大臣十分——むしろこれは一つの指標ですから、何もこれにとらわれないで結構だと私は思うのですね。どうですか、企画庁長官
  293. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 すでにこの予算委員会でお答えいたしましたように、来年度の大きな問題は国際収支それから物価、この二つが大変大きな問題であることは、いま横路委員御指摘のとおりであります。そこで、原油代金が産油国にそれだけの購買力が移転をする、これに対する私どものバランスの方法でございますが、幸い輸出がいまのところ相当量ふえつつある。しかし、これは一カ国に集中するようなことになりますと、大変な貿易摩擦を起こすということは御指摘のとおりでございます。そこでこれをさらに、いま通商局長も言われましたが、なるべく摩擦の少ない地域、またプラント輸出その他のいろいろな工夫を加えてやっていかなければならぬことが第一であります。  それからさらに、これを焦って非常な国際摩擦を起こすことのないようにという御注意も十分考えて、私どもは最終的には、国内経済の均衡、そして国際的な関係も長期にわたる均衡ということに主眼を置きまして、ファイナンスの方法その他も講じながら、なだらかにこの関係を調整していきたい、こういう考え方で進んでいかなければならぬと思っております。
  294. 横路孝弘

    ○横路委員 ちょっと経企庁長官、ついでですから聞きますが、電気、ガスの料金の値上げというのは、この予算の大枠を決めるときには想定していなかったのでしょう。
  295. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 予算というか、経済運営の総枠のときには、予算関係で決めました公定、いわゆる公共料金、そのほかに若干、電気、ガスその他の民間のいわゆる公益事業についてもあるものとしておりますが、しかし、それがどの程度になるかということを最終的に決めるのは、これから通産当局と私どもの間でいろいろやりまして決定を見ませんと、これははっきり申し上げかねるところでございます。
  296. 横路孝弘

    ○横路委員 積み重ね、積み上げではないですから、積み上げではないとは思うのですけれども、しかしこの電気、ガスが、したがってその想定の中にはやはり入っていなかっただろうと思うのですね。だから周りの条件としては、原油の価格も上がる、それから電力、ガスなどの値上げも出てくるということで言いますと、たとえば卸売物価、消費者物価を一つの目標とする場合にも、条件としては、この審議のさなかにもむしろ悪い条件が環境としてできてきたということは言えるんじゃありませんか。
  297. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 そこに非常に苦心を要するところでございまして、先般もこの委員 会の席上、おまえは大きな声を出し過ぎたろうとおとがめを受けているようなところがあるのですが、これがすなわち、物価問題に対して私どもがいま非常な努力を要するということが、もうこれは寝ても覚めても忘れることのできない問題でございます。  そこで、いまお尋ねの点でございますが、私はいま通産省においてせっかく査定を進めておられるこの電気、ガス等の問題につきましても、また国会においても、また国民的にもいろいろ強いいろいろの御意見が出ております。私どもはそういう国民の総意を背景にいたしまして適正な価格に査定いたすならば、先ほど御指摘の卸売物価あるいは消費者物価について私どもの見通しを改定する必要はなく、それを達成できる、こういうふうにいま考えておる次第であります。
  298. 横路孝弘

    ○横路委員 次に、十二月にIEAの理事会が開かれて、その中でアメリカの方からわが国の石油の輸入量について、少し下方修正をしろという強い意見があったというように聞いています。最近の報道によりますと、西ドイツのラムスドルフ経済相がアメリカを訪ねるので、その際日本からも来て、その辺のところを調整しようという何か申し入れがあるとのことなんですが、このIEAにおける情勢は、いずれにせよ大変日本にとっては厳しいものになるだろうと思うのですね。その見通しを含めて、このことについてどういうことになっていますか。
  299. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 去年の十二月十日のパリにおけるIEAの閣僚理事会の話でございますけれども、確かに会議の開かれる前にアメリカからそういう意向が伝わったことは事実でございますけれども、現実の問題としては、そういうものは議題になりませんでした。何が議題になったかと申しますと……(横路委員「いや、その問題だけでいいのです。ならなかったのですか」と呼ぶ)ならなかったのです。  ただ、十二月十日には、それぞれの国の八〇年における輸入最上限が決まったわけですから、その決まったものを仮にその後の石油の世界の状況の変化によって、お話しのような下方修正をする場合もあるかしらぬ。それを考えますと、三月の会議までにいかなる方式で、調整方式をいかなる方式にすべきかという点をあらかじめ検討しておくのが大変重要じゃないかということで、引き続き常任理事会でございますか、そこでただいまパリで検討中でございます。まだ方式は確然と決まっておらぬでしょうけれども、恐らく三月の会議の場合にはその方式の論議が大変議題になると思います。
  300. 横路孝弘

    ○横路委員 アメリカに行って、西ドイツも参加して協議するというのはどうなんですか。
  301. 佐々木義武

    ○佐々木国務大臣 その話も聞きましたけれども、いまおっしゃるように下方修正をするとかどうとかという問題とは違うように私は聞いてございます。
  302. 横路孝弘

    ○横路委員 大変厳しい状況だと思うのですね。たとえばこういう問題はどうなんですか。石油の火力発電についてはIEAでこれから新設はしないということで合意しているそうですね。日本の場合ですと、石油火力の開発計画というのがあって、すでに建設中あるいは建設準備中あるいは全くこれからというのもあるようなんですが、この辺の合意の関係はどうなっているのですか。そしてIEAとの関係でお互いの合意を得ているのか、例外として日本の場合は認めてもらうのだというようになっているのですか。
  303. 森山信吾

    森山(信)政府委員 IEAにおきます合意といたしましては、ただいま先生から御指摘のように、新しく石油火力の建設につきましてはこれを慎む、原則として建設しないという方向の合意がなされたわけでございます。しかしながら各国によりまして、それぞれ特殊の事情もございますし、それからいま御指摘のように建設計画のものもございますから、その点につきましては日本側の主張を十分に申し伝えまして、私どもは基本的に了解を取りつけておる、こういうふうに考えております。しかしながら、それは基本的に例外であるということだけではなくて、できるだけその趣旨に沿った代替エネルギーの火力発電所の建設に努力をしたいという意図もあわせて表明しているわけでございます。
  304. 横路孝弘

    ○横路委員 OPECの減産の見通しはどうですか。特にサウジアラビアの状況についてはどういうぐあいにお考えでしょうか。
  305. 森山信吾

    森山(信)政府委員 OPECの減産の見通しにつきましては、これはまだ確証はないわけでございまして、一説によりますと、サウジアラビアが九百五十万バレルを百万バレルほど段階的に削減するという報道もございますし、また今回の値上げ等に関連いたしまして削減はしないという報道もございます。そこで先ほど申し上げましたように、的確にいまどうなるかという見通しは困難でございますが、マクロ的に申し上げますと、これはIEAの見通しでございますけれども、一九八〇年のOPECの生産は二千九百八十万バレルになるのではないかという見通しでございます。ちなみに、昨年、一九七九年の数字を申し上げますと三千百二十万バレルでございますから、若干ダウンするのかな、こういう見通しをIEAのマクロ見通しとしては持っております。
  306. 横路孝弘

    ○横路委員 問題はその個別の方でしてね。クウェートあたりはそういう生産の削減の発表をもうしているわけでしょう。サウジアラビアの場合も従来から、統一価格へ復帰するために二ドル引き上げて、百万バレルの減産をするのではないかということは言われておったわけです。今度の二ドルの引き上げというのは、減産しない方向につながっていくのか、むしろ減産して統一価格に復帰するという方向につながっていくのか。見通しから言うと、むしろ七月にその減産のところで妥協する、そして統一価格へ復帰というようなコースをたどる可能性の方が強いのじゃないですか。
  307. 森山信吾

    森山(信)政府委員 OPECの機能が先生も御指摘のように、販売カルテル的なものからだんだんと生産カルテル的なものにシフトしておることは事実でございまして、昨年暮れにカラカスで行われました総会におきまして、そういう考え方で議論がされたのだろう、こう想像しているわけでございます。しかしながら、結果は御承知のとおり、統一価格制は実現しなかったということでございまして、これはある意味で市場メカニズムに任せる、こういう方向が打ち出されたわけでございます。したがいまして、市場メカニズムに任せるということは、あくまで生産と需要のバランスを考えるということでございますから、OPECが現在見ております観測といたしまして、一九八〇年におきましては若干需要がスローダウンするのではないか、こういう見方はございますから、それに合わせまして一部の国におきまして生産削減をする、こういうようなことを逐次発表したわけでございます。  しかしながら、ことしの一月に入って以来、先ほど御指摘のように、サウジアラビアが二ドル上げたわけでございますし、それから、それにフォローいたしました湾岸諸国もございます。それからまた、二月に入りましてイランが二ドル五十上げるという通告をしてまいったわけでございますので、サウジアラビアの意図が、二ドルを上げることによりまして統一価格への復帰をもくろんだという想定に立ちますと、そのもくろみが必ずしもうまくいってない。つまりいま申し上げましたように、サウジアラビアの後にも値上げをした国国が出てまいった、こういうことになりますと、若干イタチごっこというような感じもございまして、そこで生産制限をやるべし、こういうような意見も当然に出てくるのではないかということでございまして、現在OPECの中の考え方が必ずしも統一的にはまとまっていないのじゃないかな、こういう感じで私どもとしては見ておるわけでございます。
  308. 横路孝弘

    ○横路委員 情勢というのは、うまくいったときはいいのですけれども、見通しよりも悪くなったときが大変なわけですね。したがって、サウジアラビアの減産の問題にしても、ここでやはり百万バレルの減産になれば、いろんな意味で大きな影響わが国にも与えるのじゃないでしょうか。
  309. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在自由諸国で使っております油が、パーデーにいたしまして大体五千百万バレルぐらいでございます。したがいまして、御指摘のようにサウジアラビアが百万バレルをカットするということになりますと、これは大きな問題になる。石油は御承知のように、限界商品でございますから、少しでも不足するということになりますと大問題になるということでございまして、サウジアラビアの生産がどういうかっこうになるかというのは、私どもも大変注目をして見ているところでございます。
  310. 横路孝弘

    ○横路委員 余り厳しい見通しをここで言っても、またいろいろな悪い影響が出てきても困りますから、認識としては政府としてはやはりその辺のところをしっかり持っておっていただきたいと思います。  次に、昨年の値上げで供給構造が大分変わってまいりましたですね。原油供給のフローの変化に対する取引のパターンがまだ決まっていないというところに今日のいろいろな摩擦があると思うのです。大体どの辺のところに落ちつくという見通しですか。最近の状況は、供給者別の輸入量を見てみますと大変大きな変化が出てきて、幾つかの点が指摘できるだろうと思うのですが、その辺のところはどうでしょうか。
  311. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、この一年間振り返ってまいりますと、従来の供給パターンが大きく変化したことが石油問題の混乱の一つの大きな原因になったと思うのでございます。昨年の一月ぐらいと比較してみますと、メジャーの供給分が相当大きく変わってきたというのが特徴じゃないかと思います。大体六五%程度をメジャーから供給を受けておったわけでございますが、それが年末になりますと大体五〇%ぐらいになっておるわけでございます。したがいまして、そのメジャーからカットされた分をどういうふうに調達するかというのが大問題でございまして、年末現在で申し上げますと、大体三〇%ぐらいをいわゆるGGあるいはDD原油で調達したわけでございますし、それから一〇%ぐらいを自主開発原油で調達したということでございます。  今後どうなるかという見通しでございますが、私どもも、メジャーの依存度が五〇%程度で推移するのか、あるいは若干スローダウンするのではないか、五〇%すれすれぐらいのところでしばらくは推移するのではないかという見通しを持っておりますので、その分を先ほど申し上げましたDDあるいはGGという直接販売、直接取引の形態に早く切りかえていきたい、それから自主開発原油につきまして努力を重ねていきたい、こういう考え方を持っておる次第でございます。
  312. 横路孝弘

    ○横路委員 結局わが国の場合、石油の特に精製企業というものがみずからの安定的な供給ソースというのをなかなか確保し得ていないというところに大きな問題があるだろうと思うのですが、いまおっしゃった自主開発原油、GG、これは両者で三分の一ぐらいの目標にしようというのがいつかのエネ調か何かの報告でございました。やはりこれを目標に進んでいくおつもりなんでしょうか。
  313. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもの考え方といたしまして、昭和六十五年度までに総需要のうちの三分の一程度にしたいという気持ちであります。いま申し上げました三分の一程度といいますのは、いわゆる政策原油でございまして、GGと自主開発原油でございます。     〔委員長退席、小宮山委員長代理着席〕 ちなみに、五十三年度の例を申し上げますと大体一八%程度ということでございまして、そのうち自主開発原油が一〇%、それからいわゆるGGが八%程度、こういうのが実情でございます。
  314. 横路孝弘

    ○横路委員 精製企業をちょっと見てみると、みずから原油を確保するということのために努力してきたのは出光興産ぐらいでして、あと石油公団の投融資の対象企業の出資のあれを見ても、日本の精製企業というのは全然投資していないのですね。メジャーに依存をしてきたということが言えるわけで、その弱さが今日、その供給ソースの変化に応じて混乱を生んでいるというのが現状じゃないかと思うのです。私も基本的には自主開発原油とGGをふやしていくべきだという観点なんですが、そういう観点に立って幾つかの問題を議論してみたいというように思います。  その前に、わが国の精製企業のことについてちょっとお尋ねをしていきたいと思うのですが、国民が不思議に思っているのは、たとえばサウジアラビアのこれはいわゆる公表価格、公定価格というものですか、価格を見ると、昨年六月で十八ドル、十一月で二十四ドルです。つまりサウジアラビアからの石油、つまりアラムコ社を通してエクソン、ソーカル、モービルですか、日本で言うとエッソ、ゼネラル、日本石油、モービルというようなところから原油を調達しているところと、それ以外のところとの差は物すごくあるわけですね。このいわば原油調達の価格差というものが、精製をされて石油製品になって末端に出てくると全然出てこないということに、みんな不思議な思いをしているのです。この辺のところはどういうことになっていますか。
  315. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いまお尋ねの趣旨は、原油調達で相当な価格差があるにもかかわらず、末端の製品価格で余り差がないじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。おっしゃるように、この一年間メジャーにおきましても調達の方法は相当変わってまいっておりますので、いまお話しのように、たとえばアラムコ経由のサウジアラビアの油を買ったようなところは大変安く供給を受けましたし、それ以外のところはメジャーといえども割り高の油を買ってきたわけでございます。そこで私どもが精製会社に対しましていわゆる行政指導ベースで価格の決め方を話し合いをする際には、原油の調達価格というものを参考にしながら各社の元売り仕切り価格を算定していく、こういう方式をとっておるわけでございます。しかしながら、各社によりまして国内における流通形態が相当大きく違ってきておりますので、一概にその差があらわれているわけではございませんので、その間に中間的な段階で幾つか差がございますから、その差を少しずつ反映させながら、末端に行きますと、ある種のバウンドで差が出てきている、元売り仕切り価格のときの差ほど末端には差がない、こういう現象が出ておるわけでございます。
  316. 横路孝弘

    ○横路委員 われわれが皆さんに資料の要求をしても、企業別の油種の構成であるとか、それから価格だとかというようなことについてはわからないわけです。結局それぞれの企業に当たって、系列店だとか特約店、小売店に当たって推測をするしかないわけですけれども、いずれにしても、たとえば値上げ幅だけをとっても相当な差があるのははっきりしているわけですね。一位から七位までの合計をとってみても、たとえばガソリンにしてもリッター当たり六、七円ぐらいは差がある。灯油についても同じことが言えるだろうと思うのです。それが末端の価格になると、同じ値段の状況になる。確かに元売りの値上げの段階では指導はちゃんとしているのだというお話ですけれども、それが反映していないということはやはり流通に問題があるということになりますね。どうですか。
  317. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、元売りの段階から末端に行くまでの間には、各社によりましてそれぞれ流通体系が違うわけでございまして、その間一概に同じような価格の差が出てくるのではないかというふうに考えるのは、私どもといたしましても若干問題があるのかな、こういう感じがいたしております。しかしながら、いま先生の御指摘のように余り差がなくなってきているではないか、こういうことでございまして、これにつきましては、たとえば需給がわりに緩和しておるときでございますと、一物一価の法則に近づくという法則は働くわけでございますけれども、そうでないときにはまた違った要素が出てくるということでございまして、現在はそのちょうど中間段階ではないかな、こういう感じがいたしております。元売り仕切り段階につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり、原油の調達価格をベースにいたしまして指導いたしておりますので、その差ははっきり出ておるということでございまして、御指摘のように流通段階につきましていろいろ問題点があるということは私どもも意識をしておるわけでございます。
  318. 横路孝弘

    ○横路委員 油というものは大変価格が多重価格で、しかも構造的な問題がある。だから自由競争のメカニズムでやれともなかなか言い切れないわけですけれども、ただ問題は、こういう状況の中で、そういう意味でずっと日本の精製企業を見てくると、通産省の方針もあって、共石を中心として育成をしていくという方針があったわけです。今日のような状況になると、皆さんの方の指導そのものも限界企業、つまり経営内容の悪い限界企業のところで採算が合うような値段を設定しているのではないか。少なくとも平均になるということが働く余地が全くなくて、それは行政指導にもいろいろ問題があると思うのですけれども、限界企業温存の価格になってしまって、コストの低いところはしたがって大変利益を上げている、そういう構造になっているのじゃないですか、どうですか。
  319. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、元売りの段階におきまして値段を決めるベースは、どの程度の価格で原油を買ってきたかということが基本的なベースになるわけでございます。したがいまして、私どもは限界企業に焦点を当てましてその企業がある程度の利潤を生むような価格操作をやることは考え方としては全く持ってないわけでございまして、あくまでもどの精製会社がどういう価格で調達してきたかということをベースにして価格を決める、こういうメカニズムをとっているわけでございます。
  320. 横路孝弘

    ○横路委員 公取の委員長おいでなので、そこのところをちょっとお尋ねしたいと思うのですが、これは買ってくる購入価格というのは大変差があるわけです。油種構成もいろいろです。しかしへともかく大きな差があるのに、末端にこれが石油製品になって販売になりますと、特にガソリン、灯油においては価格差が全然ない。先ほど通産省の方でも流通過程に問題があるのじゃないかというように考えているというお話でしたが、公取として、そこのところをやはり調査されて検討されたらいかがかと思うのですが、いかがでしょう、その流通過程のところを。
  321. 橋口收

    ○橋口政府委員 石油製品の流通問題につきまして現在調査を実行いたしておるのでございますが、何分にも膨大で複雑な石油業界でございますから、調査を二段階に分けまして、第一段階といたしましては輸入、精製、元売りまでのいわば上流部分と申しますか、そういう部分についての調査を行っておるわけでございまして、これにつきましてはおおよその調査が終わりましたわけでございますが、問題はそれから先でございまして、卸、小売の下流部面についての調査をこれからしようというところでございます。したがいまして、流通過程に問題があるかもしれないという問題意識は持っておるわけでございますが、どういう点に問題があるかということをはっきり申し上げるような状況にはなっておりません。ただ、先ほど来お話がございましたように、石油でございますから、いわゆるブランド商品とか、あるいはイメージ商品と性格を異にいたしておりますから、非価格的な要因による競争というものは比較的少ないわけでございます。したがいまして、原材料価格としての輸入価格なり、またあるいは元売りの仕切り価格に差等がございましても、末端にまいりますとやはり価格現象としておおよそ似たような値段になるということはある程度やむを得ないのじゃないかという感じがいたすわけでございます。ただ、そういう性格の商品でございますから、ともすると末端におきまして価格協定等のカルテル行為が起こりがちでございまして、これは昨年の前半に、ある県の石油商業組合に立入検査をいたしまして、価格協定の事実がありまして、これは是正をするように処置をいたしておるわけでございますから、そういう個々の現象につきましての処置はいたしますが、全体として申しますと、やはり末端におきましてともすると同じような価格になりがちな性格の商品でありますだけに、流通機構なり流通のあり方につきましてはかなり問題があるのではないかという、こういう問題意識を持っておるわけでございます。
  322. 横路孝弘

    ○横路委員 それは調査されているようですから、早目に調査をされて、ぜひ公表していただきたいというふうに思います。これからちょっと行政指導のことをお尋ねするのですが、公取の方はいろいろ問題もあるようでございますから、それはやめておきます。公取の委員長は結構です。  そこで通産省にちょっとお尋ねをしたいのですが、石油公団の予算の中に、昭和五十一年に法改正をして、石油産業の構造改善投融資業務というのが入りましたね。これは石油企業の健全な発展を図るためにその構造改善を進めることが必要だということで、昭和五十一年度からこれは百億毎年予算をつけているのです。来年度予算にも百億ついています。一銭もいままで使ったことはないようですが、これはどういうことになっているのですか、このねらいは何ですか。
  323. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のように、国内の精製、元売り会社の構造改善の対策費といたしまして百億円、これは探鉱投融資の予算の中でその内数といたしまして百億円を計上いたしまして、初年度は百億ということを明示したわけでございますが、それ以降は探鉱投融資の枠の内数ということで、現在は百億という枠は決めてないわけでございます。これは御指摘のとおり、現在まで全く使っておりません。最初につけましたときには、一つの機運といたしまして国内の石油精製会社、元売り会社の再編のムードが非常に高まっておりましたので、これは民間主導型で民間ベースでそういうお話し合いがあれば、私どもはサイドから御援助申し上げるという考え方で予算をつけていただいたわけでございますけれども、その後情勢が変わってまいりまして、現在のところそういう発意がございませんので、全く使ってないという現状でございます。
  324. 横路孝弘

    ○横路委員 私は、先ほど申し上げたように、限界企業を温存するのは国民生活にとってもどうもよくないのじゃないかという考え方なんです。従来は共石を核として強化されてきたようですが、昨年あたりの再編成の動きはややそれと違うのかなとも思われるのですが、その辺の問題についてはどういうぐあいに、これは通産大臣でしょうか、長官でしょうか。
  325. 森山信吾

    森山(信)政府委員 昭和五十年から五十一年にかけましての再編ムードがあったというふうに申し上げましたが、そのときの考え方はいわゆる精販ギャップ、精製能力と販売能力のギャップが石油業界における一番大きな問題点ではないか、こういうことで考えたわけでございます。最近はだんだんと考え方が変わってまいりまして、先ほど来先生の御指摘もございましたように、原油の調達をどうするかというのが石油産業にとりまして一番大きな問題になっておりますので、最近いろいろ話がございますけれども、これはいずれも原油調達をどうするかということに主として焦点を当てた再編ムードがやや出かかっておる、こういう状況でございます。
  326. 横路孝弘

    ○横路委員 それについてどういうぐあいにお考えなんですか。
  327. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私どもは、基本的には石油対世の重要な部分といたしまして原油調達力を強化するということが大事な問題という認識はございますから、そういう発想に基づきまして、民間でそういう発意が出てまいりますれば、そういう考え方につきましては十分お手伝いをしたい、こういう考え方でございます。
  328. 横路孝弘

    ○横路委員 最近、石油の輸入について上限の枠も決められている、それから量の確保自身もなかなか大変だということもあって、通産省の方で、たとえばここにある石油を買ってよいかどうかということについても企業の方がお伺いを立てて、オーケーが出る出ないというような形での行政指導をやっておるようですね。その判断を間違えると、値段の高いときに品物をつかまされたり、あるいはイランの石油についても、これは通産にお伺いをいたすとオーケーが出て買った、買った後でアメリカからクレームがついてほかに売る、まあ一部日本に入ってきたようですけれども、そういうようなことで大変何といいますか、そこを問題にして議論すれば大きな議論になるのです。私も議論しようかなと思って公取の委員長も呼んだのですが、しかし、いまのいろいろな情勢の中でその議論をすることがどうかと思って実はやめたのですが、余りそこでやりますと、あなた方が責任を負うわけじゃないですね、そのことによって生じた結果について責任を負うわけじゃないでしょう、損したからと言って負担をするわけじゃない、ほかの国からクレームがついたからと言って責任を負うわけじゃないでしょう。そこら辺のところを十分認識をされてやっていただきたいというように思うのです。  このやり方についてもいろいろな議論がございますし意見がございますけれども、ますますこれから、どうもそんな意味では通産がそこのところの全権限を握って、たとえば商社が買ってきた油だって、その石油会社の委託を受けて買っているのだけれども、それはもうちょっとこっちに売りなさいというようなことも何かやっておるようですね。たとえば安い油については経営基盤の悪いところにそれをやれとか、いろいろな指導をやっておるようです、話を聞きますと。その辺のところはやはり節度というのがありますし、それからそのことによる結果が大変重大な結果を招くこともあるので、その辺のところをどうお考えになっているか、ひとつ見解をお伺いしたいと思うのです。
  329. 森山信吾

    森山(信)政府委員 この一年間を振り返ってみますと、ちょうど昨年のいまごろはイランの大政変がございまして、大変な石油危機になるのではないか、こういう意識があったわけでございます。そこで私どもは、一定の量を安定的に買うこととできるだけ安く買うことがわが国の国策に合うのではないか、こういう考え方を持ったわけでございます。  そこで、石油会社等におきまして原油調達につきましていろいろな考え方があろうかと思いますので、その辺の意見のすり合わせを十分しておく必要があるのではないか。五百四十万バレル・パー・デーというものをいかにうまく調達するか、しかもそれが国際的に許容された範囲内であるべしという両方の考え方からいたしますと、当然に資源エネルギー庁におきましてある程度の行政指導をすることが国策に沿うのではないか、こういう考え方を持ってやっているわけでございます。     〔小宮山委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん、通常の状態でございますれば行政の介入はできるだけ避けたい、こういう気持ちは持っておりますが、大変緊急な事態だという認識があったものでございますからそういう指導をしていたということでございまして、需給の状態を見ながらやはり行政による介入はできるだけ差し控えていくべきであろう。ただし、緊急事態対応いたしますれば、やはり国民に対します安定供給の責任上行政当局として十分な指導をさせていただきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。
  330. 横路孝弘

    ○横路委員 新しい供給源の確保ということでは、自主開発の強化とGGベースの拡大ということになるわけですね。  そこで、石油公団とイラン石化の問題について、お尋ねしたいのです。  時間が大分なくなってまいりましたが、自主開発、これは確かにメジャー型の開発というものは、いまの状況からいいますと、いろいろな契約形態を調べてみてもだんだん無理になってきているのじゃないかと思うのです。特に産油国の支配下に置かれてきましたから、自主開発の持っている効用というのは確かに薄れてきただろうと思うのです。しかし、やはりメジャーの対日供給量の削減通告なんかに見られるように、石油供給先の分散化という意味では努力をしていかなければいけないだろうと思うのです。この比重なんか見ていますと、五十四年の下期は六・九%と下がってきているわけです。そこで自主開発ということになりますと、昭和四十二年の答申には石油公団を中心にして自主開発で原油の所要量の三〇%目標とある。従来そういうことを掲げた時期がありますね。それが無理になって、いまはGGプラス自主開発で三〇%、こう変わってきているわけです。  そこで、この石油公団のあり方なんですが、設立の内容そのものが、民間が行う海外の石油開発に対していわば出資、融資をする、発見後は債務保証をしていくのだということなわけですね。ところが、最近の実態を見ても、予算を使い切れなくて返しているでしょう。探鉱投融資の実態がここ二、三年どういうことになっているか、それから掘っている井戸の数もどういうぐあいに変化してきているのか、その辺のところを、時間もございませんので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  331. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり、予算の使い残しがございます。例を申し上げますと、五十四年度は一千億の予算に対しまして実績は八百十八億、五十一年が八百五十億に対しまして五百二十七億、五十二年が六百億に対しまして三百四十六億、五十三年が六百億に対しまして三百五十億、こういうことでございまして、これはやはりいま先生御指摘のとおり、石油公団が民間でおやりになります探鉱開発等につきまして御援助申し上げるという考え方でございまして、民間の方の熱意が若干薄れておったということでございますが、五十四年に入りましてからまたその勢いがやや盛り返してきておるという現状でございます。
  332. 横路孝弘

    ○横路委員 しかしこれは、メジャーなんかの投資に比べたらはるか問題にならない金額なんです。問題は、いまお話しのとおり、しかもワンカンパニー・ワンプロジェクトになっていますね。開発ごとに会社をつくっているわけです。だから、いま投融資の対象になった会社のうち、すでに八つの企業がもう活動を全くやめているでしょう。皆さんの方が探鉱中だと言っている企業の中にも、アラスカ石油だとかピーエヌジーなんというものはもうやめてしまっているわけです。  いろいろ見てみますと、最近、海洋掘削なんというのはずいぶんかかりますから、一本で三十億くらいかかりますね。陸上ですと五億から十億ですか。そうすると大体二、三本井戸を掘って、当たらなかったらやめちゃっているのですね。やめちゃっているわけです。だから中にはエジプト石油のように、日本海洋掘削の第一白竜というのを持っていって、これは水深五十メートル以上のところは掘れませんから、浅いところで二、三本掘ってみて、当たらないので鉱区を返したわけです。鉱区を返したら、ガルフ系の企業がやってきて、もうちょっと深いところを掘って、当てて、いま大いに生産をしているというようなケースもあるわけですね。だから、ワンカンパニー・ワンプロジェクトでやるから、民間の景気が悪くなれば投資もしなくなる、こういうことにもなるわけです。技術の集積にもなりません。その企業のたびに人を集めてやらせて、またこの次の企業に人を持っていく、こういうことをやっているわけでしょう。それじゃ全然だめなわけです。問題は、これからメジャー型の開発ということよりも、産油国が鉱区を保有して、探鉱開発を行った企業に原油を一定程度与えるとか、あるいは原油生産を委託して見返りに引き取り権を与えるというような、いわゆるオペレーターとしての機能が大変大事になってくるわけです。中国なんかの場合、ややそれでもってやろうということでしょう。オペレーターとしての機能が一体日本にありますか、いまの石油公団にありますか。
  333. 森山信吾

    森山(信)政府委員 日本といたしまして石油の探鉱開発に乗り出しましたのが大体十年くらい前からでございます。ほかの先進国に比べますと大変出おくれたというわけでございまして、いま一生懸命キャッチアップに努力をしておるというところでございます。そこで、技術者等の数で見てみますと、大体日本で石油開発の技術者と言われる方々が、大学卒の方で七百五十人ぐらいということでございまして、ほかのメジャー等に比べますと一けた少ない数字でございます。石油公団に現在八十人ほど技術者がおりますけれども、大変少ないという数でございまして、これをいかにうまく拡大強化していくかということが一つの大きな目標になっているわけでございますが、逆に、大変出おくれたわけでございますけれども、最近、いま先生御指摘のように、中国の渤海湾の探鉱開発の委託を石油公団が受けた。わが国が受けたということは、ある意味におきましては世界のレベルまで日本のレベルが到達した、こういうことを中国側がお認めになりまして日本側に委託をしていただいたのではないか、こういうこともございますので、スローではございますけれども、だんだんと技術陣の強化拡充に努めておる、こういう現状でございます。
  334. 横路孝弘

    ○横路委員 石油公団にIBMの三〇三一という計算機が入っているのですけれども、この機械なんかろくすっぽ動いてないのですね。動かす力がないわけです。技術の集積も何もないわけです。そういう体制を早くつくらぬといかぬですね。  これは総理大臣にちょっと御意見を伺いたいのですが、これも例によって天下りでございまして、内部からの人材登用もない。技術者の集積もここに結集するという体制になっていないわけです。そんな意味で大変おくれているわけですね。いま技術者八十人ということになりましたが、技術部生産課と探鉱課があって、ここでいろいろやっていますね。ここにいるスタッフといえば、もう本当にわずかです。二、三十人くらいじゃないでしょうか。私の聞いているところでは、もう本当にわずか。したがって、従来の民間主導型の開発は終わったのだけれども、では、いまの能力で、石油公団が鉱区を取得して、そして探鉱開発活動をやるようた能力があるかと言えば、私はどうもそこは不十分じゃないかと思います。だから、たとえば代替エネルギー機構なんかも、これは石油公団と全く別にしちゃっていますが、やる仕事は全く同じような仕事ですよ。石油のかわりに石炭をやって、あと代替エネルギーの開発をやろうというわけですね。これはまた別に天下り先を一つつくったという批判を受ける余地というのはあるわけです。だから、本当にいま民間の方にいろいろな技術というのは集積されているわけですから、それをもう少し何か結集する仕組みを考えて、むしろ石油公団の機能というものを高めていかないと、これは単なる備蓄公団になってしまいますよ。石油開発公団から開発という文字を取った瞬間に、備蓄公団になってしまっているのが現状です。若い人たちでやる気のある技術者がたくさん日本にはいるわけですから、そういう人たちを活用するようなことにぜひこの石油公団の仕組みを変えてもらいたい。特に天下りががっちり押さえちゃっている現状の体制というのは、やはり民間の力をそこに吸収するということになっていないのじゃないか。それを見ていますから、今度の代替エネルギー機構の第三セクターについても民間の方からクレームがついて、これはまだ協力だってどうなるか、いま話し合いしているのでしょうけれども、そういう議論が出てくる背景というのはあるわけですね。これはどうですか。
  335. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いま天下りのお話が出ましたので現状を申し上げますと、石油公団は役員が総裁以下十一名おりまして、通産省から三名、大蔵省から二名、検査院から一名、それからいわゆるプロパーと言われる方が五名ということでございまして、必ずしも天下りだけで運営しているというふうには思っていないわけでございます。  しかしながら、先生御指摘のように、石油公団の機能を強化しろということは私どもも十分考えておるところでございまして、いま私どもが考えておりますのは、やはり四十八もございますそれぞれのプロジェクトごとの開発会社というものを中核会社を通しまして強化をしていく、こういう仕組みを考えたいということでございまして、特にその中核会社に対します指導強化といたしまして、石油公団の機能もフルに発揮さしていきたい。石油公団みずからがそういうことをやるという機能ももちろん必要だと思いますけれども、やはり民間の活力ということを考えますと、石油公団がすべてそこで集約的にやるということにつきましては必ずしも肯定できないところもございますので、いま体制のございます民間の活力に対しまして、石油公団がサイドからお手伝いするというその仕組みの中で、いかにうまく技術者の確保に努め、技術者の養成に努めていくか、こういうことに努力をしてまいる所存でございます。
  336. 横路孝弘

    ○横路委員 皆さんの方の目標としては、自主開発原油は昭和六十五年で百万バレルですね。そうしますと、これからどれだけ開発しなければいけないかというと一日百五十万バレルですよ。それだけ生産を確保しなければ六十五年度のこの目標にならぬのですよ。だから問題は、石油公団ですべてをやるということよりも、せめてマネージメントするくらいの力はやはり持つ技術者も含めた体制をつくるということが大事じゃないでしょうか。総理大臣いかがですか。
  337. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 仰せのとおりでして、今度の新しい代替エネルギーの機構もそういう考え方でございまして、既存のいろんなところにありまする技術なり経営なりの力をどのように動員していくかということを考えていくべきであるというように、いままでと同じレベルのものを一つつくっていこうなどということではなくて、いまあなたが示唆されたようなものでマネージする力を持ったものが欲しいと私も考えております。
  338. 横路孝弘

    ○横路委員 毎年毎年探鉱投融資二百億も三百億もお金を使い切れないで戻しているような現状というのはやはり改めて、もちろんただお金を使えばいいというものじゃありませんけれども、これはなかなか当たる可能性というのも、いまもう大体主なところはメジャーが取ったばかりでして、あとインドネシアと中国、ソビエト、北極海ですか、あとブラジル沖とか言われておりますけれども、ひとつ大いにがんばっていただきたいというように思います。  最後に、イランの石油化学、三井物産ですね、石油化学問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、いろいろと微妙な問題もございますから、その辺のところはわれわれも留意をして議論したいと思いますが、経済協力を推進するということとエネルギーを確保するというのは本来は別なことですね。しかし、それが一緒になるというのは何かと言ったら、政府が、やはり基本的な政府の方針として、基本戦略としてそれを持ってやればそれは実は一つのものになるわけですよ。今度のように、民間が、しかも三井グループというのは、ほかの産業の参入を拒否して自分のところでやってきて失敗をした。そこで助けてくれ、国から金を出してくれと言ったのが今度のプロジェクトだと思うのです。それを大平総理大臣は追認をしたわけですね。ナショプロとして結局追認をしたということなんですが、どういう経過なのか。あなたがしかも選挙後のいろいろな状況が動いているときに突然として決めたという、その内容はきわめて不明確だというように世の中でみんな思っているわけです。一体どういう経過で認められたのか。これは大平総理大臣が決断をされたことですから、ひとつあなたからお答えをいただきたいと思うのです。
  339. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 このプロジェクトは、あなたが御指摘のとおり、われわれも油と関係づけるつもりはありませんで、純粋に経済協力の枠内において考えなければならぬと存じて処理してきたわけでございます。まあ八割五分方できてまいりまして、これができ上がりますとイランの経済にとりまして大変大きなプラスになるプロジェクトだと思うのでございまして、イランが強くこれを望んでおることは事実でございます。これがイランと日本との間の象徴的なプロジェクトになってまいったわけでございます。これをいま断念することはいかにも惜しいことで、イランと日本との関係を考えてみた場合に、断念するということはいかにも惜しいわけでございますので、いろいろ苦心いたしましてナショナルプロジェクトとしての性格を与えて、政府が最小必要限度の助力をするということにいたしたわけでございまして、しかし、これは本来油とは関係ないものでございますけれども日本とイランとの関係が友好的に濃密になってまいりまするならば、油の安定供給源としてのイランというものは期待できるということはわれわれも考えないわけではありませんが、本来、経済協力案件として純粋に考えてまいりました案件でございます。
  340. 横路孝弘

    ○横路委員 いまサウジでやっている三菱グループの石油化学だとか、それから住友グループがやっているシンガポールの石油化学というのは、これは政府の方針というのが最初にしっかりあって、民間だけではもちろんできないということで、いろいろ業界を含めて相談しながら進めてきたプロジェクトですね。三井の場合は、例の七一年にロレスタンの石油採掘権を手に入れた、そういう石油利権と抱き合わせで、ほかのグループの参入阻止をして、ともかく民間だけでやってきて、失敗したから助けてくれ、これが経過なわけです。ちょっと細かい内容については後でお尋ねするとして、現状ですね、何か先日モインファル氏と三井の方と会って、再開をするということについて話がついたということなんですが、これはいつから再開することになったのか。特に、イラン側はいま雇用問題といいますか、失業者があふれておって、雇用の問題が非常に大きな問題だろうと思うのですが、そういうことについても話がもうついたのかどうか。この辺のところは現状はどういうことになっておるのですか。
  341. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。イラン石油化学の事業の継続の点でございますが、いまお示しのように、先般来ICDCの山下社長が向こうへ参りまして、現在、事業を継続いたしますにつきまして、しばらく中断しておりました関係もございまして、社会保険料とかいろいろな諸般の詰めるべき問題がございますので、目下詰めているところでございます。したがいまして、それが詰まりましたところでなるべく早く事業継続を図りたい、こういうことでございます。
  342. 横路孝弘

    ○横路委員 じゃまだいつ再開するかということは決まったわけじゃないのですか。
  343. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答えいたします。再開というと実は非常に言葉がきついのでございますが、時期的にいつからということはまだ決まっておりませんが、なるべく早く事業を継続してまいりたい、こういうことでございます。
  344. 横路孝弘

    ○横路委員 これはまだアメリカとの関係の問題があるのですか。たとえばアフガニスタン、イランに対する制裁は、アメリカアメリカの戦略で決めますね。日本日本としてどうするかということは早く決めなければだめだと私は思うのです。そして、アメリカに説明するならすぐだれか責任者をやって説明する、イランの方にも説明する、こういうことがないと、どうもアメリカの方もはっきりしないから……。現地で、イランの方は再開を急いでいるのでしょう。これは日本側にしたって、ずるずるいけば金利を含めて赤字が一日一億なんて言われているわけでしょう。だからその辺はどうなんですか。まだ日本政府としての意思ははっきりしてないのですか。はっきりしているなら、そのことをアメリカに了解を得るなら了解を得るということを政府としてやるべきじゃないでしょうか。そこはどうなんですか。
  345. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 若干言葉が足りませんので御了解いただけなかったかと思いますが、日本政府といたしましては、これを事業継続していくという意思ははっきりいたしておるわけでございまして、特にアメリカと関係があるわけではございません。ただ、事業の性質上、これを再開というか継続というか、これは言葉のニュアンスの問題でございまして、ただ、いつの時点でどういうふうに再びスタートさせるかという日にちにつきましては、まだ詰めている段階でございます。
  346. 横路孝弘

    ○横路委員 情勢が政府が融資を決めた時点と今日の時点で変わっていますので、私もいろいろな問題について詰めなければならない問題がたくさんございますが、すべてについては触れません。触れませんが、ただしかし、今後のために幾つか指摘だけはしておきたいと思うのです。  一つは、事業の採算見通しですね。これは初めから政府のナショナルプロジェクトとして位置づけてやるならば、場合によっては採算を度外視してもやらなければならない場合もありますね。むしろいまイラン側の要求は、技術の移転ということですから、この工場が赤字になるか黒字になるかなんということは余り向こう側は考えていないと思うのです。政府の方は、ともかくあなた方は採算が合うということで決めたわけでしょう。  そこで、いろいろ答えてもらっていると時間がありませんので、質問にだけお答えいただきたいのですが、採算は十分合うのだということで、単年度損益の赤字期間は二年間、累積損益による赤字は五年間、しかしそれから後は黒字になって、プロジェクト期間中の累積利益は二千二百八十九億だ、こう言っているわけです。こんなに利益が出るものならば何も基金から金を出さなくてもいいとも思うのですが、その前提が、稼働率が一九八二年が七〇%、二年半で八五%、三年度以降九〇%ということなんですが、私この計画を点検してみて、たとえば一つは、まだギャザリングシステムができていませんね。したがって、原料のコストが幾らか、価格が幾らかということは決まっていないのでしょう。まずその一点。  もう一つは、ガスは石油に随伴して出てくる廃ガスを利用するわけですが、マルン、アワズというところからバンダルホメイニまでは百二十キロほどあるわけです。一体、九〇%稼働なんということで必要な原料の生産量は幾らなのか、そこで供給できるのかということだってはっきりしていないでしょう。みんなに聞いてみても、稼働率九〇%なんというのは、日本のように停電もない、工業用水もふんだんにある、部品管理も十分に行われていて、技術者もいつでもそこに対応できるという体制ならともかく、今日の状況の中で九〇%稼働なんということはまずむずかしいのじゃないかという点ですね。  それからさらに、でき上がった製品をイランの国内で五〇%さばくことになっているけれども、一体そんな見通しがあるのか。どうですか、この三つの点について。
  347. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。最初のガスの値段の点でございますが、これはもちろん試算の前提といたしましては一定の価格を置いておるわけでございますが、これは今後イラン側と折衝する事項でございまして、ここで数字について申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、価格自体はわりあい含みのある価格で計策をいたしております。したがいまして、相当安全サイドの計算になっておるということでございます。  それから稼働率の点でございますが、稼働率につきまして初年度七〇%、次年度八五%、第三年度以降九〇%、こういう数字を置いておりますが、エチレンセンター三十万トンプラント、通常一〇〇%近い稼働をいたしております。おっしゃいますように、こういう地帯でどうであるか、こういうことでございますが、サウジアラビアその他中近東の似たような場所で稼働しております他の化学プラント、エチレンプラントはございませんが、化学プラントについて見ますと、九十何%操業というものは決して珍しいわけではございませんで、うまく完成いたしますれば、その程度の稼働率はそれほどむずかしいことではないのではなかろうか、こういう感じでございます。  それから販売の問題でございますが、製品の販売につきましては、七八年に国際協力事業団が調査したデータがあるわけでございますが、それを基準年次をさらに延ばして、八〇年ぐらいに延ばした感じで計算をいたしておりますが、人口がこのくらいある国におきまして三十万トンプラントの生み出します製品の量というものは、バランスから言いますと余り大きいものではございません。一応プランといたしましては国内消費と輸出とフィフティー・フィフティーという感じで計画を立てておりますが、恐らくは国内販売の方が多くなるということではなかろうかと思っております。
  348. 横路孝弘

    ○横路委員 ともかくお金を出すのは採算が合うということで計算をされたということですが、原料ガスについてもまだこれから値段を決めるというわけでしょう。一番肝心の原料ガスの価格が決まらないで採算が合うも合わないもないわけでして、これからの課題だと言われれば、こちらの方も反論はないのですが、しかし、結局問題は、将来的に言うと赤字がやはり相当出てくるのではないかと思うのです。販売そのものも、イランの国内で五〇%と言ってみたところで、たとえばIRNIPという三菱化成と日商岩井が可塑剤についてつくったプラントがございますね。これが結局赤字を出して失敗したわけです。イラン政府の方が買い取ったということなんですが、その赤字の原因は何かというと、やはり原料手当と競合製品がどんどん入ってくる。密輸で入ってきちゃうのですね。したがって、赤字を出してしまって向こうの方が買い取ったというような前例もあるわけです。問題は、そんな意味では生産販売計画についてもございますし、まして石油化学業界との調整もまだ全然できてないわけです。初めから政府のナショナルプロジェクトで出発していれば業界も初めからそこにいろいろ参加して、将来的な日本の石油化学業界の生産量、その輸出などとの調整をしながらやるということになるわけでしょう。それが全然ないわけです。だから業界との話も全然できてないわけですよ。だから結局、三井が今度ナショナルプロジェクトにして二百億のお金を出してもらったメリットは、二百億にあるのじゃなくて、政府がかんだんだから最後は政府が責任を持ってくれるであろう。これは、イランの方から言うと赤字、黒字よりも技術移転と当面の雇用というような問題があるわけですよ。相手はもう三井物産から政府にかわったと思っていますから、どんどん生産されて、さばけなければ、最後は日本政府にさばきなさいということになりますよ。あなたたちは今度二百億融資をするということで、開発基金からお金を出すという形で、そこのところの責任を負わされたわけです。業界との調整もまだできていませんしね。関係業界の支援を得なさいということで、あちこち頭を下げて回って、お金を出すようですが、いろいろな企業はどこもいわばみこしの寄付みたいなもので、おつき合いしただけだという態度ですね。そこのところは、将来的に石油化学業界の長期ビジョンを見てみても、韓国、それからシンガポール、サウジアラビアというものが出てまいりましたときに、いろいろな問題がそこに起きてくるわけです。そういうような調整もできていない。つまり、私が言いたいのは、最初から政府がきちっと話をしてやるというプロジェクトでない弱点がここにあらわれてきているというように思うのです。  ちょっと政府に念を押しておきますが、四省庁間で、これからは経営が悪くなっても後は三井の責任だよ、お金の面では政府の方は応援しませんよということを何か了解事項に大蔵、通産の間でしておるということなんですが、それは事実ですか。
  349. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 お答えします。このプロジェクトが仮にいわゆるコストオーバーランを生じた場合も基金の追加出資は認めない、こういう了解ができております。
  350. 横路孝弘

    ○横路委員 ナショナルプロジェクトは何かということは、この場でも何回か議論されていますが、基金の方の要件というのがありますね。経済開発効果はどうだろうか、相手国との友好強化になるだろうかどうか、それから日本のいわば資源確保になるだろうか、関係業界との調整はどうだろうか、プロジェクト遂行の必要性はどうだろうかというような幾つかの要件というのがありますね。私は、これからGGベースで原油確保に努めていくのだと言っても、問題はやはり基本的な友好関係をどうやってつくっておくかということだろうと思うのです。  今度湾岸地帯に園田さんが行くようですけれども、やはり基本戦略をもっと持たなければだめですね。ペルシャ湾で戦争が起きたら大変なわけですから、あそこで戦争を起こさないようにする。アメリカアメリカの戦略でやるわけでしょう。日本日本の戦略を持たなければだめですね。今度園田さんが行くのも、友好強化のために行くのでしょうけれども、交流を強めるということのために何を考えていますか。私は湾岸地帯というのは大変大事だと思うのです、サウジアラビアを軸にしながら。ただ行って、また何か経済協力の話をして戻ってくるということじゃなくて、もうちょっと恒常的にそういう日本としての戦略を決めて、外交関係というのを強めていくことが必要じょないでしょうか。これをちょっと外務大臣と総理大臣からお答えいただきたいと思います。
  351. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、資源外交というものの中身はいろいろございますが、資源の確保あるいは開発途上国におけるエネルギーの開発の問題とか、それから国際機関による協力、IEAのごときものでございますが、同時に中東の問題については、中東の和平と安定ということで非常に複雑な問題がございます。中東については、単に石油が欲しいというだけの外交では、これは長期にわたっての友好効果を持ち得ない。ことに日本につきましては、ある意味では潜在的に中東諸国に比較的友好的な感情がございますし、日本としては中東の和平と安定に貢献することを通じて、同時に日本の必要とする資源の確保に役立てる、そういうことだろうと考えております。
  352. 横路孝弘

    ○横路委員 これで最後にいたしますが、結局ああいう地帯は、一つはインフラですね、やはり基盤をどうしていくかという問題があると思うのです。もう一つは、マンパワーといいますか、技術者を含めて、そういう技術者の育成にどういうぐあいに日本協力するかという問題があると思うのですね。ヨーロッパ、アメリカなんかは、中東地域から大変たくさんの人間を留学生としてとっておるわけでしょう。人と人との交流も大変強いわけですね。日本としては、油が足りなくなって行くと、だから油ごい外交だなんて言われるわけです。やはり常日ごろのそういうお互いの関係というのが大変大事だと思うのです。そんな意味では、ある意味で言うと、日本のこれからの八〇年代を決するのはまさにペルシャ湾、あそこが安定しているかどうかということになるのじゃないかと思うのです。そんな意味で、少し長期的に考えてきちっとした対応をしていただきたいと思いますが最後に総理にお答えいただきまして、私の質問を終わります。
  353. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 仰せのとおりでございまして、ペルシャ湾地帯ばかりでなく、われわれの外交は、いま仰せになったように、マンパワーの開発、それからインフラの問題、当面の経済のフローばかりでなく、本格的な取り組みをしていくことを通じてお互いに信頼と理解を深めていくということだろうと思うのでございまして、そういう点に配慮しながら推進してまいりたいと思います。
  354. 田村元

    田村委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。(拍手)  次回は、明七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十五分散会