○和田一仁君 私は、民社党・
国民連合を代表し、ただいま
提案されております二
法案に対し、
質問をいたします。
まず、
石油代替エネルギーの
開発及び
導入の
促進に関する
法律案について、
総理並びに
関係大臣の御見解を伺います。
一九七三年のあのオイルショックに続く昨年の
石油価格高騰は、
国民の間に
石油を中心とする
エネルギー資源に対する不安を蔓延させておるわけでございます。
わが国は、一次
エネルギーの約九割を
海外からの
輸入に依存し、さらにその八割近くを
石油に頼るというまさに油づけ、油頼みの状態にあります。今後の対策いかんによっては、産業経済はもとより、
国民生活の根幹を揺るがす不安が生じるのは当然なことであります。ここにおいて、
石油にかわる
エネルギーの
開発は、
わが国の命運をかけた緊急重大な
課題となっておるわけでございます。
総理は施政方針の中で、
わが国エネルギーの
供給構造を
石油依存型の今日のこの形から脱却させるために、その
石油依存度を現在の七五%から十年以内に五〇%程度に引き下げるとの
目標を示されておるわけでございます。
そこでまず第一に、
総理、果たしてこれはいかなる裏づけを持って立てられたものであるのか、具体的な方策あってのことと思いますけれども、それをお聞かせ願いたいのでございます。
石油代替エネルギーの
開発と
供給を
確保する具体的な
計画を
国民の前にまず明らかにしていただきたいのであります。(
拍手)
特に、この中にありまして、今後
石油代替エネルギーの主力は原子力でございます。その究極的
目標は核融合の実用化と考えられますけれども、二十一世紀の
エネルギーと言われているこの核融合について、
政府はいかなる位置づけと
開発の方策を立てているのか、明確な御答弁を要望いたします。
この核融合の実用化に至るまでの間は、原子力安全
利用対策を一層強化しつつ、
原子力発電を積極的に
推進すべきは当然であると考えております。
政府は、従来より、
昭和六十年度には三千万キロワットの
原子力発電を目指しておる、こう言ってきておりますけれども、昨年度、
昭和五十四年度にはこの
原子力発電所の新規着工はゼロというありさまであり、このままでは
目標達成は不可能ではないのでしょうか。
今後、いかなる対策によって
原子力発電の画期的
推進を実現していとうというのか、具体性ある御答弁をお願いいたします。
さらに、原子力
開発には
国民コンセンサスの形成が大
前提となるのでございますが、先ほど、スウェーデンで行われた
原子力発電所建設に関する
国民投票の結果、すなわち
国民のほぼ六〇%が原発支持であったというこの結果にいかなる見解を持たれておるのか。
国民コンセンサスづくりの責任ある立場からの御見解を伺いたいと思います。(
拍手)
次に、
石油代替エネルギーの
開発を総合的に
推進する中核体として
設立するんだという今度のこの新
エネルギー総合開発機構についてでありますが、
財政再建が叫ばれ、そのために行
財政の改革が重要
課題となっている今日、新たに
特殊法人をここで
設立して、従来の
石炭鉱業合理化事業団の人と中身を引き継いでいくという今度の新法人は、単なる衣がえに終わる危険があるのではないか。この新
機構によって
石油代替エネルギーの
開発と
供給を
促進するというけれども、それを効果的に行うという保証が一体あるのかどうか。もし、その目的が達成されなかった場合、これはまさしく国家的な危機を
意味するわけであるけれども、そうならないために、
業務実績について、経過途次においてどのようなチェック
体制をやっていくつもりがあるのか、その用意があるのかどうかをお伺いしたいのであります。
従来の
特殊法人が繰り返してまいりました過ち、すなわち、
業務目標がありながら、
計画どおり事業が進捗しようがしまいが何のお構いもなく、きのうあったのだからまたきょうもあるわい、きょうあるのだからまたあしたも、こういった惰性そのままで放置されてきているという無責任
体制、こういう過ちが今回は断じてないように対策を講ずべきだと考えておりますけれども、いかがでございますか。(
拍手)
また、この新
エネルギー総合開発機構は、
民間の活力を十分に生かしたい、こういうことでありますけれども、従来の公社、公団、
事業団の実体を知っております
民間が、その組織や人材をこの新しい
機構に投入するという積極的
協力が果たして得られる見込みがあるのでしょうか。百歩譲って、そこに優秀な
民間の頭脳が投入されたといたしましても、各
分野、各種の
技術開発の評価は一体だれがするのか、また、評価に応じて
研究開発費が機能的に配分されるという保証
体制が本当にできるのかどうか、大きな疑問を抱かざるを得ないのであります。恐らく、役人が
資金を握り、
研究者は形式的書類をたくさん書かされて、頭を下げて役所から
資金をありがたくいただくという、役人支配の
研究開発体制となるのではないかと心配されるのであります。もし、そうだとするならば、これはまさに役人上位、
研究下位ともいうべきものであって、期待する実績はおぼつかないばかりか、事実上の財源負担者である
国民を裏切ることになるのは明らかであります。
以上の諸点についての御答弁をお願いいたします。
次に、
電源開発促進税法の一部を改正する
法律案について
質問をいたします。
石油代替エネルギー開発の
重要性は、かねてよりわが党が
政府・自民党に先駆け、強く主張してきたところであり、現下最大の国家的
課題ともいうべき重要問題であります。しかるがゆえに、この問題への取り組みは、国家
財政全体の中で、最優先順位としてしかるべき位置づけがなされなければならないにもかかわらず、
政府は、
代替エネルギー対策に要する
費用を、今回の
電源開発促進税の増税をもって充てようとしております。すなわち、電源多様化対策たる原子力
開発、
地熱開発、太陽
エネルギー関係技術開発、水力
開発など、重要な
エネルギー開発の財源を
電源開発促進税という目的税の収入のみをもって充てんとする近視眼的
政府の方針には断じて納得がいかない。のみならず、これでは将来的
展望がないと断ぜざるを得ないのであります。(
拍手)
今回、電源多様化勘定の中で行おうとしている諸対策の中の約半分は、
昭和五十四年度までは一般会計の中で行われていたものであり、それを一般会計支出から除外して、今回の
電源開発促進税の増税分という限定された収入で賄おうとしているのであります。
わが党は、電源多様化対策という国家的
課題の遂行に当たっては、
石油税を初めとする
エネルギー関係諸税の総合的かつ効率的運用を強く主張してきたのであります。ところが、
政府は、一つの目的税に財源を限りました。
総理、あなたは、いかなる
理由から、みずから自分の手足を縛るがごとき愚挙をあえてなさろうとしておるのでしょうか。それでもなお
電源開発促進税に固執されるというのであれば、そのことが将来にわたっていかなる事態を招くかを考えておられるのか。
開発の財源が不足するたびに、
電源開発促進税の増税が不可避となってくるのではありませんか。
政府はこれに対しいかなる考えを持っておるか、その見解を伺いたいのであります。
この増税案をもって
石油代替エネルギー対策を
推進せんとする
政府の姿勢に大きな疑問が残されたままであることにさらに加えまして、現在の物価の動向を勘案するとき、との時期に当たってこのような増税案を
提案するとは、物価上昇に拍車をかけるだけであり、
政府の見識を疑わざるを得ないのであります。(
拍手)
すなわち、今回の
改正案では、
電源開発促進税の税率を千キロワット時につき、
現行の八十五円から三百円へと、三倍強もの
大幅引き上げを図るものであるわけです。
政府は、さきに
東京電力など
電力八社の平均値上げ幅を五〇・八三%、そのうち家庭用の電灯料金を四三・三%とする値上げ認可を正式に決定したばかりであります。この
電力料金の値上げによる消費者物価に対する影響は、直接効果だけでも〇・七%の上昇になるわけであります。
この
改正案による
電源開発促進税の引き上げは、
電力料金をさらに平均で一・四三%押し上げることになるが、これは消費者物価上昇の火の手にさらに油を注ぐものであると言わなければなりません。(
拍手)
公共料金の軒並み上昇が、津波のごとく
国民生活に襲いかかり、
国民が
政府への疑念と怒りにいまうちふるえている最中、それに追い打ちをかけるかのような
電源開発促進税の増税は、
国民無視もはなはだしい暴挙と断ぜざるを得ないものであり、断固容認しがたいものであります。(
拍手)
しかも、増税をしようというこの六月は、消費者物価の上昇が深刻化すると予想される時期に当たっているわけであります。時は春、桜の季節が訪れようというのに、
国民の上には依然として暗く冷たい冬のあらしが吹き荒れんとしているのが
現状ではありますまいか。
物価上昇、インフレは
国民生活の敵であります。インフレは
国民生活の敵であるとするならば、われら国政の場にある者は、物価の安定、インフレの抑制に全力を挙げて取り組むことこそ目下の急務ではないでしょうか。(
拍手)
厳しい物価
情勢のもと、いまこそインフレに対し全力でブレーキをかけるべきとき、
総理、あなたは、インフレへ向かって暴走のアクセルを踏まんとしていると言うべきであります。
膨大な赤字国債を抱え込み、
政府はインフレを心ひそかに待望しているのではないかと、こういった
国民の大きな疑念があることは間違いございません。
インフレを恐れ、怒りに耐えている
国民に対し、
総理並びに
関係大臣の真摯な御答弁を要望いたしまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
内閣総理大臣大平正芳君
登壇〕