○内閣
総理大臣(大平正芳君) 飛鳥田委員長の最初の御
質問は、今日、あらゆる
立場から見て一大変革期にあり、既存の
考え方をもって処理できないような事態であるということを前提にされまして、
日米安保条約の今日的な意義についてのお尋ねでございました。
飛鳥田さんは、
米ソの
核戦略は、従来の
抑止力から、最近では先制的な第一撃による敵のせん滅を目的とするように変わってきているように思われる、こういうときに、依然として
日米安保条約を堅持することは、これまでよりもさらに一層危険なものにそれはなるのではないか、八〇年代こそは非
武装積極中立の政策の意義が改めて強調されなければならないという御主張でございました。
政府といたしましては、外交、とりわけ安全保障問題は、
世界の
現状を踏まえて、
現実的な政策として実施さるべきものであると
考えております。
日米安保体制につきましては、
米国の
世界史的な地位に変動が見られないわけではございませんでしたけれども、紛争の
抑止力として、また、
アジアの平和と安定のための枠組みとして有効に働いてきたと評価いたしております。事実、この
安保条約締結以来三十年近くの間、
日本は
戦争に巻き込まれることもなく平和を享受してまいりました厳然たる事実がこれを証明いたしておると思うのであります。(
拍手)
わが国といたしましては、引き続き安保条約を含む日米協力を軸といたしまして、
世界各地域にわたる友好国との協力を強めながら、
世界の平和と繁栄に積極的に寄与してまいりたいと
考えております。その軸心である
日米安保条約は、引き続き堅持してまいりたいと
考えております。(
拍手)
委員長は、
軍縮問題についてただされたのであります。
米中ソ三国を含む
アジア軍縮会議を提唱してはどうかという御
所見でございました。
軍縮分野における
米中ソ三国を含む検討は一昨年開催され、また、一九八二年に再度開催が予定されておりまする国連
軍縮特別総会等で鋭意なされておるところでございます。また、二月初旬より開催される予定のジュネーブにおける
軍縮委員会には、中国も
参加する予定でありまして、
米中ソ三国を含む
軍縮審議の場は、すでに確保されておると思います。
平和憲法のもとにおきまして、軍事
大国への道を選ばないことを決意いたしておる
わが国といたしましては、あらゆる場を通じまして、核
軍縮を
中心とする
軍縮の進展を強く訴えてきたところでありますが、今後ともかかる
努力を一層積極的に推進してまいる所存でございます。
もちろん
軍縮の訴えは、環太平洋諸国ばかりでなくあらゆる場面を通じまして行うべきものであると心得ております。
次は、北欧に見られるような
平和研究所のようなものを設ける
考えはないかというお尋ねでございました。仰せのとおり、北欧におきまして、スウェーデンのSIPRIを初めといたしまして、権威ある
平和研究所が活発な活動を展開いたしておりますることは御指摘のとおりでございます。すでに、
わが国にも幾つかの平和の研究機関があり、平和問題を含む国際問題の調査研究に携わってきておりまするけれども、
政府としては、これらに対しまして、今後とも極力支援をしてまいるつもりでございます。
大学に
平和問題講座を設けてはどうかという
質問でございます。
大学におきましても、平和問題は、講座に関連いたしまして研究がなされていることと思いますけれども、講座を設置するかどうか、
大学の意向も勘案いたしまして検討をいたしたいと思います。
ソ連との
文化交流協定締結を無期限に延期することの由であるけれども、
不快感の表明に
文化を用いることは本末転倒ではないかという御指摘でございます。
現下のアフガン
情勢等にかんがみまして、日ソ間の
交流全般につきまして、現在いろいろの角度から検討いたしております。日ソ
文化協定につきましても、延期する方向で検討いたしておりますことは御指摘のとおりでございます。しかし、両国
政府間の実務的な
文化交流の
現状は何とか維持することが適当であると
考えますので、
昭和四十七年一月に締結いたしました日ソ
文化取り決めの有効期間を、一月二十五日にさらに二年間延長することにいたした次第でございます。
イランや
ソ連に対する
経済制裁に加わることは慎重たるべきではないかという御意見を交えての御
質問でございました。
イランにおける米外交官人質事件及び
アフガニスタンに対する
ソ連の軍事介入につきましては、いずれも国連の場において取り上げられ、人質の早期解放、外国軍隊の速やかな撤退が
国際社会の大多数の一致した
見解として
決議されておりますることは、委員長も御案内のとおりでございます。
わが国がこうした国際的
努力を積極的に支援し、友好諸国と協力してその是正のため適切に対処してまいることは、
国際社会の
責任ある一員として当然な任務であると
考えております。
朝鮮半島の問題につきましてのお尋ねでございました。
朝鮮半島の南北双方間におきまして、現在、統一問題に関する対話再開に向けての動きが見られておりますけれども、
わが国といたしましては、今後、双方が各種の困難を克服されまして、実質的な対話が実現することを望んでおります。
かかる状況のもとで、北朝鮮との関係につきましては、貿易、
文化などの
分野における
交流を漸次積み重ねて
相互理解を深めてまいる
考えであります。
金大中事件につきましては、日韓関係の大局的な見地から、すでに外交的決着を行った経緯がありまするけれども、その後も事件の真相解明のため、可能な限り関係資料の入手並びに関係者に対する照会等を行っており、今後ともかかる
考えをもって対処してまいるつもりでございます。
次に、
経済問題につきましてのお尋ねの第一は、今日、
わが国の
経済が外に向かって手詰まりの状況にあるのではないか、
工業製品の
輸出は限界に達しておる、第二次
石油危機の展開の中で、
先進国、
発展途上国の双方から
日本への反発が強まってきておる、その上に中
進国の追い上げも急ではないか、この
手詰まり状況をどう打開するかというお尋ねでございました。
現在、
世界経済は失業とインフレ、国際収支の悪化など深刻な問題を抱えておることは御指摘のとおりでございます。
経済大国である
わが国のれ動に対しまして、国際的に大きな関心を呼んでおることもまた事実であると
考えております。他方、仰せのように、近年中進工業国の台頭が見られますとともに、
先進国による保護主義的傾向が
高まりを見せるなど、
わが国をめぐる国際
経済情勢は決して容易なものではないと
考えております。
このような状況のもとにありまして、
わが国といたしましては、今後とも各国に対しまして、保護主義に傾斜しないで、自由貿易体制を維持するように働きかける、技術革新を通じまして
産業構造の高度化を進め、
経済協力の展開等を通じまして、
わが国の国際的な
責任を果たしながら、通商貿易環境の円滑な開拓に努めてまいりたいと
考えております。
次いで、委員長は、産業政策について、
わが国の産業政策は
福祉型成長経済、内需拡大型
経済への
転換を道標としなければならない、一部の突出部分、巨大産業あるいは
特定産業に傾斜することでなくて、広範な
産業分野で均衡のとれた
経営の
近代化、
共同化、
技術開発を積極的に進めて、バランスのある
生産、流通
システムをつくり出す必要があるのではないかという御意見を含めての御
質問でございました。
わが国が産業政策を推進してまいる場合に、仰せのとおり、内需を
中心といたしました
経済成長を図りまして、その
成長経済の中身を
国民生活の質的な
充実に結びつけていくことが必要であることは、全く私も同感に存ずるのでございます。
同時に、
わが国といたしましては、
資源・
エネルギーに乏しいわけでございますので、技術革新を通じまして国際分業の進展に備えて
雇用の機会を造成するように、
産業構造の
転換を図っていかなければならないと
考えておるわけでございます。こういう厳しい状況のもとにおきまして、こういう環境に耐えるだけの
中小企業政策、流通部門の効率化を急がなければならぬと
考えております。
次に、委員長は、
国民生活と
社会の運営について、
食糧問題、
教育問題についてのお尋ねがございました。
食糧問題は、国策の最重点問題であることは仰せのとおりであります。
国民食糧を安定的に確保するために、食
生活の動向や
地域の実態に即しまして、
生産性の高い近代的農業
経営を中核といたしまして、農業
生産の再編成を推進して
食糧自給力の
向上を図ってまいりたいということは、私は、すでに
施政方針で申し述べたとおりでございます。このため、農政の問題につきましては、御指摘のように、あらゆる機会を通じて農民を初め一般
国民の理解と協力を得るように努めてまいることは、当然の
政府のなすべき任務であると心得ております。
教育の問題につきましての御
質問でございますが、
教育は、
企業社会、
官僚社会の
手段とされないように、
格差と
不平等を生まないように、
民主教育の本義に徹しなければいけないという御指摘の御主張がございました。そのために、現行の
教育委員会制度を改むべきではないかという御主張でございました。
現行の
教育委員会制度は、
地方自治の
理念のもとに、住民の意思を反映しながら、
教育、学術、
文化に関する
地方行政を遂行するものとして定められておりますことは、委員長も御案内のとおりでございます。
教育委員会におきましては、今後とも一層
充実した行政運営が行われるように努めてまいるべきであると心得ております。
文部省は、
教育支配の役所ではなくて、あくまでも奉仕の役割りを終始果たさなければならないと存じて、懸命に
努力をいたしておるものと
承知いたしております。
自由な
大学制度をつくり出すべきではないか、
大学を
地方の
文化センターとして開放して、それぞれの個性を生かすべきでないかという御主張でございました。
仰せのとおりでございまして、
大学は、それぞれの
教育研究を行いますとともに、その特色を生かしまして、
地方文化の中核としての役割りを果たしてまいることが必要であると思います。各
大学では、公開講座の拡充、体育施設の開放などの事業が進められておりまするけれども、
政府としても、種々な形で
大学と
地域との
交流が一層深められるよう
大学の
努力を促し、これを助けてまいりたいと
考えます。
私の
田園都市国家構想、
地方の
時代、あるいは
家庭基盤の
充実、あるいは
日本型福祉社会の建設等、私が主張いたしておりまする嚮導
理念についてのお尋ねがございました。
これは委員長もお触れになりましたように、
管理社会の陥りやすい弊害を正すために、今日行われておる行政を是正する嚮導
理念として提唱いたしておるものでございます。すなわち、現に行われておる行政は、こういう
理念に照らしまして、足らないところがあれば足す、外れたところがあればこれを正すということをいたすつもりで提唱いたしておるものでございまして、明
年度の
予算案をしさいに御検討賜りますれば、その苦心の跡も若干御理解がいただけるのではないかと
考えております。
次に、委員長から同和
対策についてのお尋ねがございました。
現時点における同和問題の実態の把握につきましては、関係各省庁におきまして鋭意
努力いたしておるところでございます。同和問題の早期解決を図るために必要な
施策の方向については、所要の検討を続けてまいる所存であることは申し上げるまでもございません。
次に、
福祉の明
年度の
予算案につきましての御批判を込めての御提言がございました。委員長は、
福祉の
充実、
生活向上のための諸
施策が同時に
経済の
発展をもたらすという新しい
発想の
転換が必要である、
財政再建を大義名分とした
福祉の切り捨て、
大衆負担増による
国民生活圧迫の
予算になっておるように思うがどうだ、こういうお尋ねでございました。
五十五
年度予算は、
財政の大幅な公債依存体質を改めるとともに、
国民の負担の増高をできるだけ避けるということを念願としながら、全体として経費の節減合理化に努めまして、歳出の伸びを極力抑制したところでございますが、
社会的、
経済的に見まして真に必要な
施策については、重点的に財源の配分を行っておるところでございます。
特に
福祉の
分野につきましては、遺族年金等の給付改善を図ると同時に、老人、心身障害者等、
社会的に弱いお
立場にある方々の
福祉向上にきめ細かく配慮をいたしてあります。
福祉切り捨てなどという非難がどこから出てくるのか、理解に苦しむところでございます。ただ、
財政再建の必要に対する委員長の理解につきましては、私もありがたく存じます。
次には、税制についてのお尋ねでございました。
法人税率の
引き上げは
税制調査会の答申もあるではないか、それをやめたのはどういうわけかということでございます。
法人税の負担でございますが、
わが国の
経済が厳しい国際場裏にある以上は、諸外国の税制との公平を見ながらやっていかなければなりませんので、若干のまだ負担の増加を求める余地はあるということで、
昭和五十二
年度の中間答申で「今後適当な機会をとらえて
法人税に若干の負担の増加を求める余地がある」そういう答申があったことは事実でございます。ところが五十五
年度は、幸いにいたしましく景気の立ち直りの結果、予想を超える自然増収を確保することができました。また、大幅の税制の
整理合理化によりまして若干の財源を確保することもできましたので、
法人税率の
引き上げ等一般的な増税
措置は講じないことにいたした、私は、これは善政であると心得ておるわけでございます。
しかし、自然増収は毎年必ず予想以上に確保できるという保証はないわけでございます。
財政、
予算の編成は大変厳しいわけでございますので、五十六
年度以降、われわれはまた
財政再建に真剣に取り組んでいかなければならぬことは事実であると
考えております。
土地税制についてのお尋ねでございました。
私は、現在の地価問題というのは大変投機的に流れておるとは
考えていないのであります。大都市周辺、とりわけ三大都市周辺につきまして、需給関係から宅地の価格が上がりぎみであるということは無視できないわけでございまして、いまの
土地政策の重点は宅地の供給を確保するということになければならぬと思うのでございます。したがって、今日までとってまいりました税制
措置におきましても、その見地から若干の改定を試みることは決して無理な改定ではないと
考えて、
国民の理解を得られる、今日の需要に適した改正であると私は評価いたしておるところでございます。
次には、
国債についての御心配でございまして、これをどのようにして
償還するかという
目標を示せということでございました。五十五
年度以降、毎
年度公債発行額をできるだけ圧縮しなければならないことは当然でございますけれども、毎
年度における具体的な公債発行額をいま予定することはとうていできない相談でございます。したがって、今後における公債削減につきましては、五十九
年度までに特例公債依存から脱却するという
基本的な
目標を達成するため、毎年鋭意真剣な、
予算編成に当たりましてその
基本的
目標を達成したいというのがわれわれの気持ちでございます。
国債の
償還でございますが、
国債の
償還は、もとより委員長も御
承知のとおり、百分の一・六の定率繰り入れというものが第一でございますし、その次は国庫剰余金の繰り入れという
手段がございますが、第三に、必要に応じて行う
予算繰り入れという三本の柱を軸といたしましていまの減債
制度ができておるわけでございます。
私は、今後とも、歳出、歳入両面にわたりまして幅広い角度から
財政再建の手だてを
考えまして、引き続き
財政再建に
努力してまいる所存でございますが、これによりまして、
国債整理基金への繰り入れを通じまして、
国債の
償還に支障のないように万全を期してまいりたいと
考えております。
次には、行革についてのお尋ねでございました。
行政
改革につきましては、すでに定員の削減、特殊
法人の
整理、
地方支分部局、行政事務など、広範な事項について
改革方針を決定いたしました。
定員につきましては、御
承知のように三万七千人を超える定員を向こう五年間に削減することにいたしております。特殊
法人につきましては、五十五
年度末までには五
法人を減らすこととしていますが、全体として数カ年の間に全部で十八
法人の数を約束どおり減らすことにいたしてあるのであります。補助金につきましては、行政
改革の一環として計画的に
整理合理化を推進しております。特に五十五
年度予算におきましては、厳しい
財政事情にかんがみまして、この見直しを厳しくやってまいりまして、積極的に廃止、減額等の
整理合理化を推進いたしたところでございます。
この行政
改革の効果でございますが、当面五十五
年度について申しますと、補助金等の
整理合理化は千六百六十七億円になっておりまして、定員の削減による節減効果等をあわせますると、長い目で見まして今回の行政簡素化の効果は相当なものになるのではないかと
考えております。しかし、この行政
整理、行政
改革というのは五十五
年度の
改革でございまして、われわれは、
国民の強い要請にこたえて、引き続き、不断の
政府の仕事として行政
整理には取り組んでいかなければならぬと
考えております。
次に、物価問題についてのお尋ねでございました。
政府の
消費者物価見通し六・四%というのは甘過ぎるではないか、民間調査機関などはほとんどそれより高いインフレ率を予想しておるではないかということでございますが、
消費者物価は、これまでのところ、基調としては比較的落ちついた動きを示しておりまして、卸売物価の増高が急でございますので、今後それがどのように響いてまいるか、非常に注目をいたしておるところでございます。
そこで、
政府といたしましては、公共事業の適正な執行、通貨供給量の適切な調整、それから石油製品に対する需給の安定、価格の監視、それから、公共料金につきましては、必要最小限度にこれを抑え、
企業の合理化の徹底を促す、それから
生活必需物資等につきましては、需給の安定、輸送の確保等に最善の注意を払って、この物価
対策に対処をいたしたいと
考えております。
去年一年の
消費者物価、つまり委員長の言われるインフレ率でございますが、先進諸国の例を一言つけ加えて申し上げさせていただきますと、
アメリカは一二・八%、英国は一七・二%、それからフランスは一一・八%、ドイツは五・四%で、
わが国は五・八%というところになっておりまするので、
わが国の物価政策も諸外国に比肩いたしまして相当評価されていいものではないかと
考えております。(
拍手)
次には、国防費についてのお尋ねでございました。
国防費につきましては、
わが国は従来から国力、国情に応じまして、自衛のため必要最小限度におきまして、効率的な防衛力を漸進的に整備するということを
方針としてまいっておるわけでございます。そしてその場合、主要な装備については、量的な拡大よりは質的な
充実を図ることを
目標といたしておりますることも御案内のとおりでございます。かたがた、平時における
自衛隊の維持運営に必要な
教育訓練経費や基地周辺
対策等にも所要の配慮をいたしてきておるわけでございまして、決してわれわれはこの国防費の計上につきまして、不当に多くの財源をしむけたというようには見ていないわけでございます。
ちなみに、先進諸国に比べまして一番低い国防費の負担になっておることも、数字を挙げるまでもなく御理解いただいておることと思うのであります。
アメリカの要請に向けた軍事優先の
予算であるなどという非難は当たらないものと
考えております。
それから、公共料金でございますが、これにつきましては、いま申し上げましたとおり、原価主義にのっとりまして、厳正に必要最小限度に査定してまいるとともに、関係
企業に徹底した合理化を求めてまいるつもりでございます。
それから、自民党幹部と大蔵大臣、厚生大臣、官房長官の間で、五十六
年度から
福祉予算の見直しの合意文書が交わされたが、これはいかがなものだろうかという御指摘でございました。
財政の
現状にかんがみまして、今後とも
財政全般の見直しを進めて、歳出の節減合理化のため厳しい
努力を払わなければならぬことでありますことは、委員長も御理解いただいておるところと思うのであります。
わが国の
社会保障でございますけれども、
制度的にも水準的にも、決して私は欧米に遜色があるものとは思っていないのでございますけれども、
考えなければいかぬことは、今度高齢化の進展が厳しゅうございますので、従来の水準、
制度を維持してまいりますにつきましても、多くの財源が一挙に必要になってまいるという状況のもとにおきまして、また、五十六
年度以降における厳しい
財政事情を勘案いたしますと、必要な公的
福祉を適正な形で重点的に保障していくという見地に立ちまして、児童手当でございますとか、老人保健
医療制度であるとか、
社会保障
施策の所得制限全般につきまして検討を加えていくということは、
政府・与党の当然の義務であろうと思うのでございます。別に
国会を拘束する性質のものではございません。われわれといたしましては、そういう
方針を改めるつもりはございません。既定の
方針で見直しを実行していかなければいかぬと
考えております。
それから最後に、綱紀粛正に関連いたしまして、自由民主党内で審議されておる小選挙区
制度につきましてのお尋ねがございました。
綱紀粛正につきましては各方面から強い要請が参っておりまして、金のかからない選挙
制度、選挙
運動、それから
政治資金のあり方等につきまして厳しい要請がありますることは御案内のとおりでございます。自由民主党におきましても、こういう要請を踏まえて、党の選挙
制度調査会を
中心といたしましてそういった問題の検討を重ねておるところでございまして、私は、公正で実効ある成果が出てまいることを期待いたしておるわけ外ございます。
しかしながら、選挙区制は各党と共通の土俵界ございますので、各党との間の十分の話し合いが行われることを期待いたしておる次第でございます。(
拍手)
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