○佐野
政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、その点が
一つ非常にむずかしい問題になるわけでございます。これに対する
考え方としては、
一つは先ほど来申し上げておりますように、同一の法人が
大学と放送局とをあわせて設置をする、この構成のもとで
大学と放送局が密接な連携を保つ、そして放送番組の制作に際しましても、放送
大学の側と放送局とが十分に協力をして放送
大学の側において放送の中立、公平の
趣旨に十分留意をして取り進める、それによって学問の自由あるいは教授の自由の本質を損なうことなく、また放送事業者の側の番組の自主編成の立場をも十分に貫きながら対処できるものと
考えているわけでございます。
具体的には、四十四条三項で問題となりますのは「政治的に公平であること。」という二号の
規定と、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という四号の
規定でございます。四号の「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」という
規定につきましては前
国会でも非常に御議論がございましたが、意見が対立している問題について論点を明らかにする方策、これについて特に
法律に
規定があるという点におきましては、講義の
方法に対する
一つの制約ではあるわけでございますが、本来意見が対立する問題についてできるだけ多くの角度から論点を明らかにするということは、一般の
大学における講義にあっても十分留意されてしかるべきことでございますから、問題は、それから進んでそのことが講師の学問的な見解を述べることまでも禁止しているかどうかというところにあったわけでございます。このことにつきましては、私どももまた郵政当局も、さらに前
国会に御出席になった参考人の先生方も、この
規定はそこまで禁止しているものではないと解するというようにおっしゃっておいででございました。したがって、この
規定によって学問の自由が損なわれるということはなかろうと思います。
その次の「政治的に公平であること。」これは講師が自分の学問的な見解を述べることと抵触しないかどうかという点が問題になります。この点については、やはり放送
大学の側において教育内容に適切な自制をする、
大学の教育の内容の問題としてみずから自制をするという対応をしなければなりませんし、そのことは
大学自体の問題として
大学によって行われることでございますから、学問の自由を損なうことなく対応できることと
考えているわけであります。