運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-04-16 第91回国会 衆議院 文教委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十六日(水曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 谷川 和穗君    理事 石橋 一弥君 理事 中村喜四郎君    理事 深谷 隆司君 理事 森  喜朗君    理事 木島喜兵衞君 理事 嶋崎  譲君    理事 池田 克也君 理事 山原健二郎君    理事 和田 耕作君       浦野 烋興君    亀井 静香君       坂田 道太君    坂本三十次君       田村 良平君    野中 英二君       長谷川 峻君    船田  元君       宮下 創平君    中西 績介君       長谷川正三君    村山 喜一君       湯山  勇君    有島 重武君       鍛冶  清君    高橋  繁君       栗田  翠君    藤田 スミ君       三浦  隆君    西岡 武夫君  出席国務大臣         文 部 大 臣 谷垣 專一君  出席政府委員         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         文部大臣官房長 宮地 貫一君         文部省初等中等         教育局長    諸澤 正道君         文部省大学局長 佐野文一郎君         文部省体育局長 柳川 覺治君         文部省管理局長 三角 哲生君  委員外出席者         文教委員会調査         室長      中嶋 米夫君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     西田  司君   狩野 明男君     北川 石松君 同日  辞任         補欠選任   北川 石松君     狩野 明男君   西田  司君     浦野 烋興君 同月十六日  辞任         補欠選任   狩野 明男君     亀井 静香君 同日  辞任         補欠選任   亀井 静香君     狩野 明男君     ————————————— 四月九日  学校教育法及び教育職員免許法の一部を改正す  る法律案粕谷照美君外二名提出参法第七  号)(予) 同日  学校給食改善に関する請願外七件(小川国彦  君紹介)(第三六七二号)  同(木原実紹介)(第三六七三号)  父母負担軽減のため私学助成に関する請願  (池田克也紹介)(第三六七四号)  大学格差の是正及び整備充実等に関する請願  (高橋繁紹介)(第三六七五号)  学級編制基準改善等に関する請願外四件(高橋  繁君紹介)(第三六七六号) 同月十日  学級編制基準改善等に関する請願有島重武君  紹介)(第三九一五号)  学校給食改善に関する請願新村勝雄君紹  介)(第三九一六号)  重度重複身体障害者に対する学校教育改善に関  する請願岡田利春紹介)(第三九六三号) 同月十五日  四十人学級早期実現高校新増設の促進等に  関する請願和田耕作紹介)(第三九八六  号)  学校給食改善に関する請願木原実紹介)  (第三九八七号)  同外一件(木原実紹介)(第四〇五三号)  同(柴田睦夫紹介)(第四〇五四号)  同(新村勝雄紹介)(第四〇五五号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願  (藤原ひろ子紹介)(第四〇五二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第三一号)  学級編制及び教職員定数改善計画促進に関する  件      ————◇—————
  2. 谷川和穗

    谷川委員長 これより会議を開きます。  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。村山喜一君。
  3. 村山喜一

    村山(喜)委員 標準定数法改正案が出てまいったわけでございまして、第五次のこの学級編制及び教職員定数改善計画がことしからスタートをするということになったわけでありますが、いま教育の荒廃がそれぞれやかましく言われる中で、この定数法の問題で、教育現状を踏まえながら一体いま何が一番大事な問題であるのかという観点から定数改善の問題をとらえておいでになるのであろうか。ことしの予算の中で決まっている内容というものをお聞きをしてまいりますると、どうもピントがぼけているのではなかろうかという感じがするわけでございますが、いま一番やらなければならないことは一体何であろうか、こういうことについての説明を願いたいのです。これが第一点です。
  4. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 教育の諸問題はいろいろと問題があろうかと思いますが、やはり何と申しましても学生、児童生徒のそれぞれ持っております能力と申しますか、あるいは将来への期待性と申しますか、そういう能力を引き出して、それを伸ばしていく、そういうことが教育の基本であろうと思います。その観点から考えまして、これはもう当委員会におきましても長い間の懸案としていろいろと御意見がほぼ決まっておったところでございますけれども、学級定数を四十五人から四十人に引き下げていくというその問題が、いま申します児童生徒教師との関係をより緊密なものにして、そうしてそれぞれの生徒が持っております能力可能性というものを引き出していく一番大きな一つ環境改善である、こういう観点からこの問題を進めていく必要がある、こういうふうに思っておるところでございます。
  5. 村山喜一

    村山(喜)委員 では、その内容について具体的に詰めてまいりたいと思いますが、ことしの定数法改正法律実施されることによりまして予算上本年度認められた数字説明願います。
  6. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 教員定数改善の十二年計画のうち、五十五年度の増として認められたものは二千七百五十六名でございますが、その内訳は、学級編制改善に要する分が五百六名、その他の定数改善に二千二百五十名ということでございます。
  7. 村山喜一

    村山(喜)委員 その学級編制改善は、減少市町村校舎増築等の必要のない学校に限定をして一年生四十名から学年進行方式で進めていくことになるわけでありますが、実態調査の結果は五百六名ではなくて実際は六百三十七名じゃございませんか。
  8. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは実態調査をやりましたところ、やれる可能性の出てきた学校が五百五十六校でございますから、そこで教員としては六百三十七名の増員、こういうことになるわけでございます。
  9. 村山喜一

    村山(喜)委員 その程度の誤差は問題はないということで大蔵省との間の話は詰まっているわけですか。
  10. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これはあくまでも見込み数字でございます。実際に従来大蔵省と話し合ってきた基準実施した結果として増員が出たわけでございますので、次の精算のときにこれは見てもらうということでやるつもりでおるわけでございます。
  11. 村山喜一

    村山(喜)委員 教員定数改善の中で教頭代替四百五十人という説明がございましたね。これはどういうふうに配置をされる予定でございますか。
  12. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 今回の改定で、従来十八学級以上の小中学校に各一名の教頭配置してまいりましたのを中学校につきましては六学級以上、小学校につきましては九学級以上、小学校の六から八までの間は四校に三人、こういう配置で十二年間に教頭定数を六千二百ほど増員する予定でございますが、初年度分としていま御指摘のように四百五十を計上したわけでございまして、これは教員数に比例して各県に配分をいたしまして、その配分された数の範囲内で各県が県下の小中学校実態を見て教頭定数配置する、こういうことになるわけでございます。
  13. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、教頭は四百五十名。教頭仕事というのは、学校現場の中では非常に困難な職種であることは事実であります。雑務が集中をしていることも事実です。学校教育法の二十八条によりまして、学校長を補佐する、事故ある場合は職務代行、それから校務を整理し、必要に応じて教育をつかさどる、こういうような職務内容でございます。  そこで、これからの定数法内容審議をしてまいるわけでありますが、校長なりあるいは教頭というのは、授業とのかかわり合いというのは一体どういうふうになっていくのだろうか。私は、前に予算分科会教頭なり校長授業に対する問題について質問をしたことがあります。そのときの私の主張は、教頭といえば相当な経験を積んで指導的な仕事もできる、そういう教育者として円熟した人たち教頭職に任じてあるだろうと思うのです。とするならば、その持っている能力を十分に花を開かしていく、十分にそれを生かしていくような方法をとらなければ、事務職員代替みたいなことで雑務係に終わっておって、校長と二人で机に並んでおるというような事務屋に成り下がっておるのではないだろうか、そういうことではよくないじゃないかという話をしたら、永井文部大臣は、おっしゃるとおりだというような話をされたことがあるのですが、今度代替措置を認めていくということのねらいは一体何でしょうか。というのは、実際教壇に立ってすぐれた指導力を発揮して、ひとつおれが授業をやってやるからおまえたち見に来い、こういうふうにするんだよというぐらいの指導力がなければならないわけですね、あるべき姿としては。それが事務職員がやるような仕事をやったり、PTAの仕事をしたり、そういうようなかっこうの中で、教壇に立たないことを誇りとするような状態になってしまったのでは教育はよくならないと私は思うのですよ。  これはもうずいぶん前ですが、私はある小さな三学級中学校へ参りました。そこの校長さんはどこへ行ったのだろうかと思って尋ねてみたら、いや、校長はいま授業中ですと言うんです。授業が済んでから帰ってきまして、先生、もう校長先生だけれどもまだ授業をやるんですかと言ったら、いや、私も子供たち教育をやりませんと子供たちを覚えることができません、子供たちのそれぞれの特徴をつかんでその能力を開花させてやることを考えた場合には、子供を知ることがまず第一に校長仕事じゃないでしょうか、それが校長はもう授業はせぬでいいから校長室に引っ込んでおれというようなことになったのじゃ、私はもうさびしくてしょうがありません、やはり子供教育というものは学校長以下全員が当たっていくという立場に立つのが本当じゃないでしょうかということで、職員会議に諮って、おれにも自分免許状に基づく教科を何時間か持たせてくれ、こういうようなことでやっていらっしゃるところに私は行ったことがございます。  ところが、最近学校関係を回ってみると、校長先生はどこへ行っているのだろうかと思って探すと大概校長室にいらっしゃるのですが、それは校内の仕事、PTAあるいは対外的な折衝というようなことです。教頭はどこだろうと思って見てみると、事務をやっているのですね。それがあたりまえの学校になってしまっている。やはり管理体制教育というものはこういうものだろうかという気がしてならないのであります。もう少し内容を豊かにする行き届いた教育ができるような方向というものの指導性があってしかるべきではないだろうかという気がしてならないのでございます。  そういうような点から、四百五十名の代替をやるなとは言いませんが、それをやる前に、いわゆる免許外教科担当解消問題等に重点を振り向けるのがいま一番やらなければらなない緊急的な課題じゃないだろうかという気がしてならないのでありますが、その校長教頭は、学校教育法施行規則によりますと、授業をすることができるとなっていますね。教諭の仕事を兼ねてよろしいとなっている。しかし法律は、校長校務をつかさどるというようなことで、所属職員を監督をする、こういうような形の中で本当教育というものが——子供たちの持っている能力を開花させていくために、校長教頭の任務というものをこの定数改善の中において今後どういうふうに踏まえながらやっていこうとしていらっしゃるのか、その精神をひとつお聞かせをいただきたいのです。
  14. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 専任教頭定数を逐次ふやしていくということは、四十九年の学校教育法改正によって教頭の職としての立場法律の上で明らかにしたということに基づきまして、学校管理運営管理面における責任者としての校長教頭の数を確保する、こういう趣旨でございますので、引き続き今回の計画となったわけであります。  先生指摘の、しからば校長教頭授業をもっと持つべきではないかという点について私は全く先生と同じ意見でございます。これはもう常に回答の際も申し上げていることでございますが、やはり学校運営というのは、管理面が大事でありますと同時に教育活動そのもの中心でございますから、校長教頭としては、管理面責任者であると同時に教育活動中心にならなければいかぬ。そういう意味では、自分から他の教官の模範になるような授業活動が実際にできる方であることがきわめて望ましい、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、現状を申し上げますと、小学校中学校では教育活動の違いからして当然出てくるわけですが、小学校教頭さんは全国平均しますと週当たり三・四時間、中学校教頭さんは六・五時間の授業担当というふうになっておりまして、なおその担当も、学校規模で見ますと、小学校は、たとえば五学級以下の学校ですと八時間というふうにかなりふえておりますけれども、学校規模が大きくなると減ってまいります。しかし中学校の場合は、学校規模にかかわりなしに大体六時間から七時間程度持っておるというのが実態でございまして、その辺は、学校のそれぞれの性格もありますし、また規模によっては管理運営の面の仕事がかなり増大しているということもありますから一概には申せませんけれども、私どもは、今後とも教頭定数としてはこれを確保いたしますけれども、それはあくまでも学校管理面充実を図ると同時に教育活動の面においてもりっぱに活動していただくことを期待していることが前提である、こういうふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  15. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、小規模校教頭代替もない、それから専科も来ない、学級担任小学校の場合どうもやらないようになっているようですが、専科代替みたいな教員として授業を持っているのだろうと思うのですね。そうして校長を補佐し校務を整理する。そこには事務職員小規模校だから配置をされない、あるいは養護の先生もただし書きによりまして配置をされない。まあ国鉄で言うならば予備助役みたいなものですね。これは専任助役じゃないですよ。そういうような意味では、これは管理職だろうか、一体何だろうかということさえも問われるような状況でございますが、その小規模学校の問題については、今度の改正中身を見ましても余り改善をされていないように見受けるのでありますが、改善要求が筋が通ったというふうに考えていらっしゃるのでしょか。
  16. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 小中で若干違いますけれども、小学校の場合で言いますと専科担当教員の確保ということで二千七百名ほど増員いたしました。それからいま御指摘中学校の場合ですと、免許外教科担当教員解消ということで二千百四十名の増員になっておりますが、この中身は、中学校の場合は、中学校教科は御承知のように九教科ございますが、できるだけ校長を含めて最低限九名の教員を確保できるようにしよう、そういう意味で、今度の改正では、一学級中学校は五人、二学級中学校は七人、それから、三、四、五学級は、校長を含めてですけれども、九人の教員を確保できるというふうにいたしたところが大きな改善点でございます。  そういたしましても、この中学校教育活動実態というものを見ますれば、たとえば音楽ですと一、二年がたしか週二時間、三年は一時間、しかし国語などは三年間の授業時数を見ますと一週間でたしか十五、六時間あるというようなことですから、それぞれ一人一教科免許状を持っただけではやはり足りないということ、一方また毎週の総授業時数というのが今度の改正で一学年三十時間になりますから、三学級編制中学校ですと九十時間というような実態を考えますと、一人当たり平均担当時数との関連からいって、現状ではいま程度教員配置をするというのが率直に言って精いっぱいのところではなかろうかというふうに私は考えるわけでありまして、あとはその教員をどういう免許状を持っている方をどういうふうに配置するかという工夫をしていただいて、できるだけ免許外担当教員減少を図る、こういうふうに指導してまいりたいと思うわけでございます。
  17. 村山喜一

    村山(喜)委員 小規模学校の問題は後でまた詳しく聞いてまいります。  次にお尋ねをいたしたいのは、学習指導要領改定がございますね。従来教職員配置定員の場合には、たしか前の定数法改正審議のころに授業時数教職員配置基礎をつくったように覚えているのです。小学校は当時たしか二十六時間、それから中学校が二十四時間ですか、それから高等学校が十八時間、この授業時数というものをもとにして計算をし、それを法文化して現在の体系が生まれているのだと思うのです。今度の改定によりますると、授業時数小学校の四年生で二時間減りますね。それから五年生、六年生で四時間ずつ減る。来年から実施をされる中学校の場合にも、三十四時間が三十時間になり、三十三時間が三十時間になる。こういうふうにして授業時数は減っていく。その場合に、いわゆる配置関係教員一人当たり授業時数というのはどういうふうに変化をしていくのでしょうか。
  18. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 御指摘のように、小学校四年から中学校三年までを通しまして二時間ないし四時間の授業時数が減るわけでございますが、この減らしたという趣旨は、いまの学校教育が余りにも詰め込み過ぎるのでもう少し授業時数を減らしてゆとりのある教育活動ができるようにしようということでございます。  そこで、それならばこの二時間なり四時間なり授業時数が減ればそれだけ早く子供学校から帰すかというと、必ずしもそういう趣旨でしたわけではない。授業時間と授業時間の間に業間体操を入れるとか、あるいは学校給食の時間をふやすとかというような工夫をしていただいて、在校時間は現在程度にしようという趣旨でございます。したがって、各先生方の一週間の授業時数をとれば、おっしゃるように二時間ないし四時間の範囲内でそれぞれ減少するわけでございますが、その減少した授業時間に向ける精力というものをより充実した学校教育活動に向けていただこうという形で考えておるわけでございます。
  19. 村山喜一

    村山(喜)委員 ということは、一人当たり授業時数というのを減らす考え方というのはないのですか。
  20. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いま申しましたようなことでございますから、それぞれの学校授業時数が制度として減るわけですから、結果として各先生方の一週間当たり授業時数というのはおのずから減少するというふうに考えております。
  21. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、今度はそういうような学校の全体の特別教育活動というのでしょうか、全領域での活動というものを拡大するわけでしょうから、教職員配置基礎になりました授業時数というものは、今度は小学校二十六時間というのは二十四時間になります、中学校は二十二時間になります、高等学校は十六時間になりますというふうに変化していかなければならないんじゃないだろうかというふうに私は思うのですが、そういうような算定基礎数字というものは用意をしていらっしゃらないんでしょうか。
  22. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 御指摘のように、そういう算定というのは一応持っておりまして、先ほど御指摘のように、標準法をつくる当時は、小学校については特別活動等も入れますと二十六時間というのが基準であったわけですけれども、今回の改定によりまして、小学校学級規模によって多少違いはありますけれども、平均して約二十四時間、それから中学校の場合は、これも学級規模によって違いますけれども、平均して二十二時間という程度に考えておるわけでございます。
  23. 村山喜一

    村山(喜)委員 高校は。
  24. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 高校は平均すると、これはちょっと学級規模によって幅がございますけれども、十四時間から十六時間ぐらい、こういうことになります。
  25. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、ゆとり教育というものですが、これは今度の教育課程改定目玉ですね。ゆとりがある、しかも充実した学校生活というのが目玉ですが、一体ゆとりというのは何がろうかと私なりに考えてみますと、教師が一人一人の子供を見詰めて、そしてそれぞれの子供に対して、時に応じあるいは所に応じて適切な指導をする、そのことから生まれてくるものであって、本当ゆとりというのは、それを可能にする条件というものを考えてまいりますと、教師ゆとりというものがなければならない。教師ゆとりというのは、教師一人一人の力量充実をすることから生まれてくるのではないだろうか。その意味においては、文部大臣教壇に立たれたことがないでしょうからなんですが、やはり授業をやっていく場合にはそれなりに準備が必要です。教材研究であるとか、あるいはレベルに合わせてどういうふうにどれだけ進度がいっているから今度はこういうふうにするんだという一つ計画がなければならない。そうして授業をやって、その反省の上に立って今度はさらに次の課程に入っていく、そういうような処理の問題がありますね。だから一時間の授業をやるためには、少なくとも前後の活動を考えますと、それの前後一時間ぐらいずつの問題を考えておかなければならない。そのほかに、教材研究だけではなしに、いろいろな問題の研究も、原理的なものもやらなければならないのが学校先生ですね。だから、ゆとりのある教育というのは、単に授業時数を縮めたからゆとりがあることにはならないんじゃないだろうか。やはり一人一人の教師がそれだけの力を身につけて、子供たちが持っている能力を開花させていくだけの力量というものを持つことがゆとりの原点ではなかろうかと思うのでありますが、私のその考え方文部大臣、間違いでしょうか。
  26. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 間違いだとは思っておりません。ただ、いろんな状況の問題がございますので、村山先生のおっしゃったことが一〇〇%実現できるかどうかというところにいろいろ問題が生じておるわけでございまして、今度の定数改善におきましても、授業時数と関連した意味における教員定数については現行法のとおり考えておるわけでございますから、いわばその間接的な問題になるかと思いますけれども、やはり教員の皆さんに対しても、従来に比べると気持ちのゆとりなり、あるいは準備の時間と申しますか、そういうものが生み出されてくるのではないかと私は考えております。
  27. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、いま週休二日制という問題がございますね。そして今度の政府法律改正案の中にも、四週五休の法律改正案提案をされますね。その場合における法律との関係、今度の教職員配置定数の問題との関係はどういうふうになっているのですか。それは織り込んであるのですか、織り込んでないのですか。
  28. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 昨年人事院から四週五休を主体とする勧告がございましたけれども、今回の定員改善計画を作成する時点ではまだ勧告があったというだけでございますから、そういう点は一切織り込んでございません。
  29. 村山喜一

    村山(喜)委員 大臣、あなたは閣議でこれを出すことに対して前向きに対処されたと思うのですが、この法律案が通りまして実施をされるという段階になった場合には、閣僚としてどういうふうに対処されるつもりでございますか。いま諸澤初中局長のお話を聞きますと定数の方には一切織り込んでないという話でございますが、どうされますか。
  30. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ちょっとその前に、私が盛り込んでないと申し上げたのは、要するに四週五休の提案がございましたけれども、その具体的なやり方については、たとえば教員とか研修を主とする職場では特例的にやることも考慮するというような中身もあって、きわめて流動的でございますから、仮に何らかの形でやるにしても、それがどういう形でやられるかということは全然明らかになっていないわけでございますので、そういう意味でこの問題は念頭にありませんでしたと、こういう意味でございますので、四週五休を前提にして考えないとか考えるとか、そういうことではないわけでございます。
  31. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 いま諸澤局長の方からお答えをいたしたと思いますけれども、四週五休の制度をとります場合に、これはいろいろ議論の過程におきまして各関係部門におきましての議論はあったわけでございますが、人事院の方からの一つ提案といたしまして、いわゆる学校教員とかそういうものの場合に、それじゃ定員をふやしていけるかということになりますと、定員の増は考えないという行き方でやっていこう、こういういわば一種の枠組みができての議論になっておったようでございますし、またそういういわば一種の枠組みの中での議論ということになりますと、四週五休を実際に学校教育関係の場に持ってきます場合にどういうふうにしていくか。しかも、それは学校を休むとか、そういう形ではやらないんだ、開店——まあ店と言うのが適当かどうか知りませんが、要するに開業をしておってという、それも一つの前提になっておるようでございます。そういうことが前提にございますので、人事院の方も提案一つといたしまして、学校関係等におきましては、いわゆる児童生徒学校が休校をいたしております休みの期間中の場合における先生方の処置をそこに一括するようなやり方ではやれないかというような提案を実はいたしておった事実がございます。そういうことも含めましてどういうふうにやっていくかということの具体的な案を練っていく、こういうことになるであろうといま考えておるわけであります。
  32. 村山喜一

    村山(喜)委員 お二人の話を聞いていると、まだ全然対応の方法が検討されていないようでございます。この問題は、先ほど私が申し上げましたように教員一人当たり授業時数というものとの関係があって、この中で研修というものをどういうふうにみずから蓄積をするために活用するかという問題との関係もあるんですね。そういうような意味においては、これはこれからの世界的な趨勢の方向でありまするし、私は学校をいきなり週五日制にせよというところまでは言い切らないわけでございますが、休まない形の中でどういうふうに教員配置ができるのかということについては、教職員のその授業の効果が適正に発揮できるような形の中で考えていくという意味において非常に大きな課題でございますから、十分御検討を要請しておきたいと思います。  そこで次は、先ほどもちょっと触れました小規模校教育改善の問題でございますが、一体学校というものと分校というものとの間にはどういう開きがあるんでしょうか。学校教育法で見る限りにおいては準用をするという規定になっておりますし、それぞれ適正標準規模学校というものは想定をしていらっしゃる。それから分校というものは何学級以下ですよ、小学校であれば五学級以下ですよ、中学校であれば二学級以下ですよ、こういうふうになっているのですが、そこにおける分校の職員構成は本校と変わらない形で考えていらっしゃるわけですか。
  33. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 大ざっぱに申しますと、標準法のたてまえは分校も一つ学校とみなして計算をする、ただ例外としてといいますか、当然のことですが、校長さんを置かない、それから小学校の小規模の場合は教頭も置かない、それから養護とか事務職員、栄養職員というものは分校を含めて本校と一つと考えるというような規定がございまして、一般の教員配置についてはいわば学級の数に応じて配分するという意味では本校と変わりがない、こういうたてまえになっております。
  34. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、お尋ねをいたしたいのは法の第七条第一号ですが、これは今度改正をされておりませんね。従来のままです。「六学級以上の小学校の数に一を乗じて得た数と中学校の数に一を乗じて得た数との合計数」この数字校長を想定していらっしゃるんでしょうか。どうなんですか。
  35. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 そのとおりでございます。
  36. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、これは変わらないということは、五学級以下の小学校の場合は分校が望ましいのだという一つの見解があるんでしょうか。
  37. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 通例の場合は五学級以下であれば分校にしておく方が適当であろう、こういう考えでございます。
  38. 村山喜一

    村山(喜)委員 私のところなどは大変離島が多うございまして、過疎が進む中で人口が流出をしていくわけです。そうなると、この前、吐喝喇列島の学校のことが新聞に出ておりましたが、ただいまウサギが七匹、生徒が七人、先生が七人おりますという子供の手記が出ておりました。そこは学校として認めてありますから、校長先生がおり、教頭先生がおり、受け持ちの先生がおり、そして島ですから、そこには病院もございませんから養護の先生もおり、それから事務職員先生もおる。七人ですからこういうふうなかっこうだろうと思うのですよ。もちろん複式。そういうのが現実には存在をするわけですね。そうすると、標準定数法の上では五学級以下は一人前と見ていないわけですから、校長さんは置かないものとして計算をして配分をするという形をとろうとしていらっしゃる。とすれば、複式の学校というものは離島などを抱えているところでは非常に多いわけでございますが、私のところでは大体二割を超えております。そういうところの定数算定に当たっては校長さんの数は入れない。しかし校長さんを置かぬわけにはいきませんから校長を置いたら教頭も置く。こういうようなかっこうになってどうもやはりまずいんじゃないか。小規模学校については改善をしましたと諸澤さんは言っておるが、中学校についてはある程度改善をしておるようですよ。ところが、小学校の場合には改善をしているんでしょうか。していないんじゃないですか。
  39. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先ほども申し上げましたように、実際に小規模小学校で今回の改善の対象としたものは六、七、八学級のところに専科教員を各一名ずつ置けるようにしたという点ですから、御指摘のように五学級以下の学校については格別の配慮はいたしておりません。
  40. 村山喜一

    村山(喜)委員 文部大臣、あなたのところはそういうところは少ないのでしょうが、そんな僻地、離島を抱えておるところは大変ですよ。設置者がそこに学校を置けば校長さんを配置しなければならぬでしょう。教頭は事情によっては配置をしなくてもいいという規定がありますからなんですが、しかし現実問題として教頭も全部配置していますね。そういうようなことを考えてまいりますと、果たしてこれで小規模学校教育改善が十分になされているんだというふうに文部大臣はお考えでしょうか。その問題が一つ。  それから、そういうところは複式です。私は複式の経験者なんですよ。二年間複式の教育をやった経験者だ。その上から見まして、今度は小学校の場合、一年生を含んだ場合十二名を十名にする。その他は二十名を十八名にするんだ。中学校は十二名を十名にします。しかし文部省が出した案は八名、十二名、八名だったでしょう。それはどういう見地から出したのでしょう。それを六千八百二十名要求をしておったのが二千二百一名になったということは、小規模学校教育を実りのあるものにしよう、教育中身を十分にしていこうじゃないかということに対する文部省の熱意が足らなかったために財政当局に押し切られた。文部省の役人の人たちもそういう複式学校の経験を十分持っている人はいないだろうと思いますので、勢い要求はしたもののそれは腰だめに終わってしまったんじゃないかというような気がするのですが、そうじゃないのですか。文部大臣、あなたはそれでも小規模学校は十分よくなりましたよと言えますか。言えないとするならば今後どういうふうに改善をしようと考えておいでですか。
  41. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 村山先生のところほどではないかと思いますが、私の方もずいぶん山がちなところでございまして、御指摘のような問題を持っておる小さな学校はあるわけでございます。今般のこの改善策につきまして御指摘のような小規模学校までどういうふうにやったかということは局長の方から答えさしていただきたいと思いますが、これが非常に問題の一つとして考えていかなければならぬということは私も同様に思っております。  ただ、ある面から見ますと、いま申しますことのほかに、小規模学校にはほかの平地における大きな学校にないいいものもあるように私は思います。それは村山先生もよく御存じのところだと思いますが、環境整備をいたします上における問題点としては一つの問題はあると思っております。  政府委員の方からお答えをさしていただきたいと思います。
  42. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 言いわけめいておかしいのですけれども、今回の定数改善の全体計画は御承知のように七万一千とおっしゃったわけですが、これが最終的には三万八千ほどになりましたから五十数%の程度になったわけで、そういう意味学級編制にしましても十二人を八人に要求したのに十人というようなお話ですが、これは従来の四次の改善の経緯を見ていただきましても、ペースとしては、要求はともかくとして実質的には少しずつ前進をしてきておるということであり、かつ複式学級等の改善については六個学年単級から逐次二学年複式まで持ってきたわけでございますので、私の考えで言えば、先生のお話のように改善が足らぬじゃないかという御指摘はごもっともだと思いますけれども、やはりこれは長期的に考えていかないとなかなか簡単にいかない課題ではないかというふうに思うわけでございます。  なお、御承知のように確かに小規模小学校校長専任としての定数はございませんけれども、教員配置の数としましてはなるべく担任外の専科教員等も置けるようにし、実際の、たとえば一学級で二人、二学級で三人というようなことでありますと複式等は授業活動に大変骨の折れるのはわかりますけれども、ほかとのバランスを考えますと、決して条件はよくはございませんけれども、この程度でしんぼうしていただかなければならないのではないかというふうに思うわけでございます。  なお、今回の改善教員の方は確かにそういうことなんですが、従来七五%まで来ておった養護、事務につきましては、率直に言うと一、二学級のところまではなかなかむずかしいのですけれども、残りの分はできるだけ小規模学校の方へ振り向けるというような形になろうかと思いますので、全体を総合しますと若干ずつ改善は図られつつある、こういうふうに考えるわけでございます。
  43. 村山喜一

    村山(喜)委員 それは少しも前進をしていないとは言っていないのですよ。だけれども、これが望ましい姿だということであなた方が要求をされたのが無残にけられて、ほんのちょっぴりしか前進をしていないじゃありませんか。しかも複式の場合には、三学級の場合には一・五の三倍で四・五ですから、そこには校長教頭もおるというかっこうになると、専科配置されるわけじゃありませんから大変教育上は十分でない、こういうふうに私は指摘をしているのです。だから、今後改善事項としてさらに御努力を要請申し上げておきたいと思います。  なお、中学校の場合は、いま三学級で八人、それが九人になる。校長さんを含めてですが、九教科ですからこれはそれぞれ教科担当すればいいんでしょうが、しかしさっきおっしゃったように、そんなにうまくそろわないのです。校長先生が音楽でもやれば結構でしょう、授業時数も少ないわけですから。しかし、校長さんは社会科の免許しか持っていない、こういうことでは社会科が何人か集まって、そして国語の先生が集まって、人事異動の面においてなかなか教科のバランスはむずかしい、これは免許法との関係もございますけれども。そういう意味では今後に問題が残っているということを指摘しておきたいと思います。  そこで、時間の関係等がございますから、障害児教育の問題についてお尋ねをしてまいりたいと思います。  これは五十四年度から養護学校が義務制になってまいりましたので、五十四年の学校統計と五十三年度との対比をしながら私も調べてみたいのでございますが、精神薄弱者の数、特殊学級の数、養護学校の数というのはどういうふうに変化しておりますか。
  44. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 養護学校の数は、ちょっといま資料がありませんから正確な数字ではございませんけれども、五十四年度の義務制移行のときには約六百五十になっております。これは前年度に比べると百五十校くらいたしかふえているはずでございます。これは当初の計画以上に学校の数は整備された、こういうことでございます。  そのほかその義務制に伴って、たとえば就学の猶予、免除という方が五十三年度は約一万おったのですけれども、それが三千数百、三分の一ぐらいに減ったというようなことがございます。  それから養護学校の在籍者の数ですけれども、これが五十三年度が四万人に対して五十四年度は五万七千人くらいということで、この時点でかなり整備され、対象の生徒もふえてきておるというのが実態でございます。
  45. 村山喜一

    村山(喜)委員 養護学校に収容をされていきますから、特殊学級は、それだけ学級数も、それから収容している子供の数も減っている、こういうことになっておりますね。それは私はここに数字を持ってきておるのですが、よろしいです。  そこで私がお尋ねをいたしたいのは、ここに「特殊教育資料」これは文部省の資料です。これをもとにして、それからここに「国会地域統計提要」というのがございます。これは五十四年度版です。ここの教育統計を拾い上げてみました。これは文部省が出した資料がもとになっているようですから、いずれも文部省の資料として取り上げていい数字だと思うのです。  これは全国の小学校の五十三年五月一日現在の数でございますが、児童数が千百六十二万九千百二十一人、それに対する特殊学級の児童数を私は調べてみました。これは文部省の統計がございますから計算をしてみますと、全国平均では〇・〇〇七〇六二という数字になる。千分の七、大体そういうような数字になります。ところが、これを各府県ごとにずっと調査をいたして計算をしてみましたら、秋田の場合にはこれが〇・〇一七二となっているのです。これは大変な倍率ですね。それから福島が〇・〇一九三となっているのですよ。全国平均は〇・〇〇七なんです。それに対して石川の場合には〇・〇〇三七で、これは全国平均の半分程度ですね。  中学校も同じです。中学校は千分の八・五になりますが〇・〇〇八五、それに対して福島が一番高くて〇・〇二〇です。二・三五倍ですね。それから石川が一番低くて〇・〇〇五七となっております。これは六七%程度です。私は統計は誤差がないと思うのです。  そこで、そういう特殊学級を設置する場合には、教育的な観点から校長が判断をしていかなければならないというのが第一点。それから教員配置の上からの制約がありますから、設置者は県の教育委員会の許可を受ける、こういうことで数字が決まってきたのだろうと思うのです。そこで、そういうようなアンバランスがあることは御承知でございますか。いかがですか。
  46. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 御指摘のように、文部省の資料を見ましてもそういうふうになっておりますから、承知いたしておるわけでございます。
  47. 村山喜一

    村山(喜)委員 そういたしますと、指導と助言というのがございますが、これは現在まで発動されたことはございませんね。
  48. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 この件に関して特にしたことはございません。
  49. 村山喜一

    村山(喜)委員 そこで、これは統計ですが、東北の人は特殊学級に入る子供が非常に多くて、石川は特殊学級に入る子供は全国の半分以下という現象は、一体どういうところからくるのだろうか。私は、そのことを考えていろいろ検討してみると、このことは定数との関係の問題があるのじゃないだろうかという疑いを持ったのです。同時に、それを今度文部省が措置要求なり指導助言で訂正をさせるということになると、学校教育との関係教育上の配慮、教育観点からの校長の判断というものに介入をすることにもなりますので余り好ましいことではないと思うのですが、この問題は、教育を受ける権利としての子供の持っている学習権、それから親が持っている民法八百二十条の親権を行う者は子供の監護及び教育をする権利を有するという問題との絡み合いの中できわめて重要な問題ではなかろうか、こう私は考えたんです。  そこで、無理して特殊学級をつくって定数を確保するというようなことはしていらっしゃらないと思うのだけれども、その特殊学級に入れる子供を——ここに通達がございます。一番新しいのをくれと言ってもらったのですからこれが新しいだろうと思うのですが、諸澤さんの名前で「教育上特別な取扱いを要する児童・生徒教育措置について」という通達が出ておりますね。これによりますと、いろいろ知恵おくれの子供がどういうところで学習、履修をするのかという分類が出ておりますが、特殊学級にはIQで五〇から七五ぐらいの子供を入れなさいと書いてありますね。これはなかなかIQの心理学的な科学的な形をとっているけれども、ドリルによりまして上下に動いていくんですね。三〇ぐらいは動くというデータ等も出ておりますから余り客観性のあるものでもない。それから養護学校ができたけれども、地域的なアンバランがありますから、養護学校まで子供をやるようなところにないところは普通の学校に入れてくれということで、そこで教育を受けるわけです。ところが、特殊学級のあるところは大概大きな学校ですね。統計的に見てみましても、複式のあるところには特殊学級はないようです。そこで私は、小規模学校に行きましてそういうような該当の子供はいないのかと先生方に聞いてみたら、おります、しかしそれはふもとの大きな学校の特殊学級に入れるほどのことはなくて自分たちのところでやっておりますという話でございました。  特殊教育を重視するということは非常に結構なことなんです。一つは、養護学校が五十四年度から義務制化されたのですから、五十三年度の数字で私がどうのこうのと言うことも統計上の誤差があるとは思うのですが、そういう特殊教育というものを子供の学習権との問題で一体どの程度検討していらっしゃるのだろうか。親は普通学級に入れてくださいという切なる要望がある。子供たちも、あの子供は少し知恵がおくれているけれども、一緒に社会の構成員として一つ学級のクラスメートとして位置づけながらお互いにカバーし合いながらそれぞれの教育を受けていく、こういうような条件をつくった方が教育的だという考え方もあるのです。もうどうにもこうにもならないから基礎学力をつけるため、基礎的な生活態度を身につけるために特殊学級に入れていく。そのときに、特殊学級に入ったら学年途中では定数等の関係がありますから異動はできない、一遍入ったら小学校の一年生から六年生までずっと特殊学級におって卒業をしていくのか、途中で訓練の仕方によってIQが変わるということになれば、これは普通学級に編入してもいいじゃないかということになって普通学級に編入ができるのか。それから中学校に進学をした場合には、やはり特殊学級を出たのだから特殊学級に入るのか、こういう問題がございます。  そこで、何が子供にとっての教育かという問題については、子供能力に応じて受ける学習権、それから親がよりましな教育を受けさせてもらいたいという公教育に対する期待権、それから教師教育の評価権というもの、教育をする権利、学校長教育的な総合的な判断をする権利、こういうものがミックスされた形で表現されておるのではなかろうかと私は思うのです。そのときに、いまのこういうような分類でIQが二〇から二五くらいの者は訪問教育をするとか、その他のそういうような施設に入れてそこで教育をするとか、二五から五〇くらいの者は養護学校に入れるとか、一応の分類がしてございます。もちろんこのとおりきちっとということでやっていらっしゃらないとは思うのですが、そこら辺は一体どういうふうに考えていったらいいのだろうかということで非常に悩みが深いなあと思っておるところなんです。定数改善も、今度は訪問教育の場合は子供五人に一人が三人に一人になります。そしてまた特殊学級の場合にも定数改善が行われることになっておりますね。それはそれなりに結構でございますが、これを今後どういうふうに進めていこうとしていらっしゃるのか、そこら辺が問題があるなあと思いましたので御意見をいただきたい。
  50. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 児童生徒の心身の障害の程度に応じて普通学級、特殊学級、養護学校というふうに分かれるわけでございますが、御指摘の通知はその一応の目安を連絡したものでございまして、実際の運営としてかなり障害の重い人が養護学校へ行かれる、この場合には、親の希望その他で普通の学校へ行きたいとおっしゃっても、やはり養護学校へ行く方が客観的にいいのじゃないかということで比較的考えが整理しやすいわけでございますけれども、御指摘のように一つ学校の中で普通学級で勉強するか特殊学級でするかという場合には、ボーダーラインにあるような子供が相当おると思うわけでございます。そういう意味で、先生指摘の県によって特殊学級在学児童数の比率がかなり違いがあるというような実態も、学校の方針あるいは県の考え方というものも多少反映しておるかと思うのでございます。  そこで、全国にあります特殊学級のうち、たしか七、八割は精薄だと思うのです。そこで、精薄の程度がこれまたIQだけでは実際処理できない面もあったりしまして、個々の学校について考えますと、おっしゃるようにどっちへ配置した方がよろしいかという問題になるような子供もあるかと思うので、それは学校の判断に任せておるわけでございます。  ただ、私どもが考えますのは、先生指摘のように、一遍特殊学級へ入ったならば卒業まで特殊学級だ、そういうことは決してあってはならないことであり、子供の知能の発達の程度に応じて、もう普通学級へ行ったらいいというような判断があれば当然普通学級へ回してやるべきではないかというふうに考えるわけであります。しかし、その点は実態を考えますと、たとえば昭和五十三年度中に普通学校と養護学校との子供の交流、これはいま正確な数字を持っておりませんが、年間を通じまして三、四千人は普通学校から養護学校へ行き、逆に養護学校からも、これは病虚弱なんかが多いんだと思いますが普通学校へ行くというような措置をとっておりますから、これはおっしゃるようにこの段階の子供教育としては当然そういう配慮をしながらやっていただくことが必要だろうと私は思うのです。  そういう意味では、せっかく特殊学級定数をもらってつくったんだ、そのアッパーは三年以上の学級ならば十二人だといえば十二人までは入れるんだ、そういう機械的な判断だけはやめてもらいたいと思っているわけで、またそういう指導は今後もしたいというふうに考えておるわけで、それ以上にどういうふうな場合に特殊学級をつくるかというようなことは学校なり教育委員会の判断に任せて必要な措置をとっていただくというふうに考えておるわけでございます。
  51. 村山喜一

    村山(喜)委員 そうすると、特殊学級から普通学級に年間どの程度かわっているのですか、いま普通学校から養護学校に、養護学校から普通学校にかわった数は説明がございましたが。
  52. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは最近の調査がございませんのでわかりませんけれども、先ほどの養護学校と普通学校との交流から考えましても、ある程度のことはやってもらっているのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
  53. 村山喜一

    村山(喜)委員 すべての子供を賢く健康に育てる、一人一人の子供の人間的な可能性を引き出しながら、それを多様に発達をさせる、こういうことの中から子供の持っている能力を多面的な目で見ながらそれを引き出していくわけですから、固定して、この子供は知恵おくれだから特殊学級にほうり込め、ほうり込んだら小学校の六年間は特殊学級の方から出てこない。もちろん教育課程が違うのですから教える中身が違うことになりますので、それは今度は普通学級に入れたら授業内容が違うのですからついてこれないだろう、学年が発達をすればするほど開きが大きくなる、こういうことで現場としては一遍入れ込んでしまったらなかなか異動させない、定数の上においても特殊学級を一学級確保しておきたいという学校側のねらいがあるとするならばその異動が余りないのじゃなかろうかという気がするのですが、異動が自由に行われて本当にその子供にふさわしい教育が行われているということを文部省としては断言できますか。
  54. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いま申し上げましたように統計資料がございませんからはっきりしたことは申し上げられないのです。ただ、たとえば特殊学級運営自体についても、これはある先生からお聞きした話ですけれども、特殊学級だけに低学年の場合固定してしまわない、そして音楽とか体育とかほかの子供と一緒にやれるようなものはそっちの学級へ行ってやらせるように自分のところはしていますというお話も聞いたことがありますから、それぞれの学校なり校長さんがそういう気持ちになってやっていただけばできることなのであって、これからもそういう点はわれわれも各教育委員会等にできるだけ助言してまいりたいと思いますが、そういう方向で進めたいと思っているわけです。
  55. 村山喜一

    村山(喜)委員 よくわかりました。普通児の場合には、幼稚園なり保育園なりで入学するまでの間に一つの集団的な生活を経験をし、あるいは基礎的な生活態度ができ上がって小学校に入ってきます。ところが障害を持っている子供は、それまではそういうところに行ってない。そして小学校にいきなり入るわけですから、まずそこから始めなければならぬ。ですから障害児教育基礎教育から出発をして、その土台の上に教科教育というものをやっていくのが基本でなければならないと私は思うのです。そういう意味では、障害の程度が回復をされていく中で教育的な観点から流動性を考えたものが望ましいのであって、固定的に教育の袋小路の中に押し込むのは間違いだという初中局長の指導の方針は、各学校に至るまで行き渡っているのでしょうか。何かそれについての通達はお出しになっているのですか。
  56. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 格別の通達は出しておりませんが、私が直接そういう考えを申し上げているのは、各県の指導担当課長会議等の際に機会があれば申し上げておるということでございます。  なお、いま幼児期からの障害者教育の話が出まして、従来は確かに障害のある子供さんはほかの子供と違って集団教育の場合小学校へいきなり来るということなのですけれども、最近は普通の幼稚園も軽度の障害者が志願して来る場合が相当多いのでございます。そうすると、率直に言って、いまの幼稚園は国公私立を通じてそうした障害のある幼児にどういうふうに対応するか、その点が必ずしも十分でない点がございますので、これからの義務教育段階の前に、やはり幼稚園教育の場における軽度の障害者をどういうふうに集団教育の中でならしていくかということが一つの課題だろうと思うのでございまして、そういう意味で、いま文部省では幼児期における障害者教育のあり方というようなものを専門家にお願いして研究会をやっておる、こういうような現状でございます。
  57. 村山喜一

    村山(喜)委員 その点については文部大臣、非常に数も多い状況でございますし、せっかく養護学校が義務制化されたのですから、障害を持っている子供たち教育がより十分な教育的な配慮の中で行われるように、特に今後就学期前の幼児教育の問題はまだ十分な状況でないようでございますから御配慮願いたいと思います。  そこで、障害児学校の高等部教諭の配当基準は前は十二時間、今度改正されていましたかね。
  58. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ちょっといま資料がありませんけれども、たしか障害者の学校教員配置は、小中高に対応して配置する。ただ、養護訓練とか特殊な職業指導とか、こういう面での加配をするというような関係で従来もやってきたかと思います。
  59. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は障害児学校の高等部は、授業時数改正されてないと思っているのです。配置基準ですね。そういうような意味では、この点についても検討を願いたいと思うのです。特に四十人学級高等学校の場合には採用しなかった。それは理屈はいろいろ聞きました。事実上四十人学級というものが実現をする可能性は九〇年代に延びてしまったという感じがしてなりません。習熟度別の授業をやるところのみは加配をするのだ。そこでいま現実にやっているのは英語と数学が多いわけでございますが、クラスを解体して進度別に分けるとか、あるいはクラスは解体しないけれども、二つに分けた形で共通科目としては七割くらい教えて、進度別に進んでいる者とおくれている者を三割くらいに振り分けて、そして能力別の分類方式をやり、落ちこぼれをなくしていくようにしよう、ただ固定するのではなくて、どこまで履修したか、どこまでマスターしたかを基礎にして学期ごとに一つのテストをやりまして入れかえていくというようなことをやっているところが私が知るところでは多いようでございます。  そこで、今度習熟度別の授業をやるための加配が行われることになった場合には、二クラスあったらそれを三クラスに分けて教えるとか、そういうところは英語の先生が一人足らないから一人ふやしましょうという形を考えていらっしゃるのか、どういうふうなタイプの授業形態になるのであろうか。この前質問を聞いておりましたら、研究指定校を設けてそれぞれやっていて、六月には何か発表があるやに聞いたのですが、これはどういう形に持っていくかによりまして、学校運営の中で非常にうまくいかない場合とうまくいく場合と二つの面がある問題だと私は思うのです。そういう点から今後の方針をお聞かせいただきたい。  それから、これは私は前もってちょっと調べてみたのですが、高校中退者の数です。なぜ中退をしていったんだろうかという原因別の調査というのは、学校の基本調査の中にはございませんね。それは一体どういうわけなんだろうか。というのは、入学をしてもついていけないために退学をしていくというような子供が案外に多いんじゃないだろうかということが高等学校教育の中で最近問題として取り上げられておるわけですが、ここら辺との関係で、統計的にどういうふうに押さえられているのか。そこから習熟度別という問題が出てきたのであろうか、それともエリートを伸ばしていくためにやろうということで習熟度別の加配を考えてきたのか、そこら辺のねらいをもっと明確にしていただきたい。
  60. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 習熟度別を考えました基本は、今回の学習指導要領改定考え方と共通するわけでございますが、現在の高等学校のたとえば普通科をとりますと、共通必修と言われる科目の単位数が四十数単位あるわけですね。たとえば数学ですと、数学一般ないし数学Iというのが六単位とか、理科も六単位というふうなことで、これは従来の実績から見ましてもかなり程度も高いし内容も多過ぎる。それに対して、高校の進学率が九四%ということは、実際問題としてなかなかこなし得る子供ばかりではないという実態がございますので、まずその共通必修の単位数を減らしたわけですね。今回は四単位に減らして、しかもその四単位の履修方法についても、従来は一単位というのは毎週一時間で一年間という原則ですけれども、それにこだわらなくてもいい、要するにその四単位の中身を六単位の時間をかけてもいいんですよ、それからもっと極端な場合は、どうしても四単位の中身が消化できないという場合は二単位に減らすこともできるというようないわば弾力化を一方で図ったわけでございますが、しかしそれと同時に、それを履修する方法についてやはり工夫を加えないとなかなかこれは完全に履修させることはむずかしいというところにいまの習熟度の発想があるわけでありまして、したがって、その習熟度のやり方は、たとえば一学年学級編制高校であれば子供定数が四十五人ですと百三十五人になりますが、それを習熟の程度に応じて四つぐらいのグループに分ける。そうすれば一グループよけいになりますから、数学Iなら数学Iを勉強させるという場合に、現在は一年で毎週六時間やるというのが通常ですと、六時間分だけ数学で一学年授業時数がふえる。したがって、それを三年間いろんな面でやるとすれば十八時間だというような計算が基礎にあって、そういう学校には一人増員をしますということでありますから、単にこちらは進学コース、こちらは就職コースというような、ホームルームを分けて教育するような場合はそれに該当しないから、したがって私どもは、そういうものは増員の対象には考えていないというのがいまの考え方でございます。  それから、高校中退者につきましては、これは中退者かどうかという確証もないわけですけれども、文部省の統計によりますと、一年から二年、二年から三年に上がっていく子供の数というのが、前学年に比して毎年一・六、七%ぐらい落ちているのですね。ですから、三年間で言えばそれが五%ぐらいになるということなんで、これが全部中退者かあるいは落第者なのか、その辺はわかりませんけれども、さっき申しましたように、現在の高校教育実態から見ますと、たとえば二、三年前に烏山工業高校一校で百人も落第生が出て退学させたというような例もありますから、率直に言って、厳密な修得主義をとって単に履修したという教室へ出てきて一年間いたというだけじゃ進級させないというようなことをすれば、ドロップアウトする者はとてもそんな程度では済まない、二割か三割行くのじゃないかというふうにも思うわけですけれども、そういうことまでやっている学校はほとんどございませんから、そういう意味で考えますと、やはりついていけなくて学校を去るという子供も相当数あるのではないかという推測は十分成り立つのではないかというふうに思っておるわけでございます。
  61. 村山喜一

    村山(喜)委員 私は、高等学校でこの習熟度別の授業をやるところに教員の加配をやるというのも一つの方法であるとは思うのですが、もう少し統計的に何名入った、そして原級とめ置きですか、落第生ですね、それは三年間にこれだけになって卒業はこういうふうになった、その理由は一体どういうような理由かというようなこと等を調べて、それに対応してこういうような措置をやるんだという、もう少しきめの細かい対応策をとらなければならないのじゃないかと思うのですよ。それで、週当たり授業時数というものは固定させておいて加配だけで、しかもそういうようなのを採用するところだけやりましょうということだけで高等学校全体の今日の教育がうまくいくだろうか。それをやらないところは人間は増配をしませんよということになるのですかな。そうなると、普通高校中心になっていきますね。そして教科としては英語と数学ということにほとんどなるでしょうから、そういうようなことから見まして、現在の学級定員を小中学校の方は改善をして、高等学校の方は後回しということでお茶を濁しているような感じがするのですよ。文部大臣、いかがですか、そういう感じはしませんか。
  62. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 確かに義務教育の段階ではないわけでありますが、高校教育をどういうふうに考えていくかということは、私はいまの教育関係の中で非常に大きな問題のところだと考えております。いろんな御意見も出ておるわけでございますが、そういうふうに考えておるわけであります。ただ、一度にそれをいたしますだけのまだ成熟したものができておりませんので、これは先生方の御意見も十分伺いながら今後検討をさせていただきたいと思っております。ただ、指導要領その他の改定につきましてこういう習熟度というような方法を出しましたのも、これも突然のことではないのでありまして、高校教育現状の中にこういう問題が大きく存在をしておる、それに対しての試行的な試みもすでにかなり進んでおるという状況から、こういう問題が出てきたわけでございます。高校問題が単に習熟度別学級編成ですべて事足れりとするようなものでないことはもう十分承知しながら、まずこういう問題についてのいい成果が出るような努力をひとつみんなしていく必要があるのじゃないか、こういう考え方でおります。村山先生のおっしゃっているとおり、今後高校教育の問題につきまして鋭意検討を進めなければならぬことは十分承知をいたしておるところであります。
  63. 村山喜一

    村山(喜)委員 もう時間がなくなりましたから、事務職員、養護教諭の全校必置の問題については触れる余裕がございませんが、どんな小さな規模学校でも子供の体の問題を考えてまいりますると、やはり養護の先生に専門的な教員としての仕事をやってもらわなければならない、そういう状況にあると思うのですよ。それで、ただし書きを早く削るようにしなければならない状況の中に現在の教育はあるのじゃないだろうかという気がいたします。そういうような意味では、去年の発足のときには、五十四年の場合には養護の先生の場合六百人、事務職員の場合でも六百人だったのが今度はベースダウンをしまして四百五十ずつということで、全体計画が少ないから四百五十ということになったんだろうと思うのですけれども、どうもそういうような面においては十分でないような感じがいたします。特に教頭事務職員のやるような仕事をやっておったんじゃ日本の教育はよくならぬと思いますので、やはり学校というものを一つの管理社会みたいに考えないで、それぞれの機能を持たせるような形の中で今後の運用を十分にやっていただくようにお願いをして私の質問を終わりたいと思いますが、最後に文部大臣、十二年というのは余りにも長過ぎますから、あなたが在任中に——私が触れましたそういうような僻地、過疎地域の教育については、今度議員立法でございますが満場一致で過疎立法が制定をされたわけですね。その中に、そういう小規模学校教育については特別ななにをしなければならないという規定が入っておることは大臣も御承知だと思います。そういうような意味において、もっと前向きの対策を——これは総員一致で衆参を通過した新過疎法の中に規定づけられているわけでございますから、この定数法のやりとりを文部省と大蔵省がやる段階ではなかった新しい条項が規定をされたわけですから、それを踏まえて、国会の意思というものを踏まえながら処理を願いたいと思うのですが、大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  64. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 過疎地域におきます教育の問題は、過疎地域の住民にとりましては非常に大きな問題でございますし、むしろ心の支えをどうするかというふうな問題まで含んでおる問題であろうと考えております。私たち教育関係からいたしましても十分な配慮を払っていかなければならぬ問題だと考えております。
  65. 村山喜一

    村山(喜)委員 終わります。
  66. 谷川和穗

  67. 高橋繁

    高橋(繁)委員 若干確認をしておきたいことがありますので、わずかな時間でありますが質問いたします。  九年計画では生徒指導担当というのがありましたが、十二年計画ではそれが見当たらないのですが、それをなくした理由なり根拠なりを説明してください。
  68. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 七万一千人の要求の中には確かに中学校生徒指導主事を三千百名増員するという計画になっておりましたが、先ほど来議論がありましたように要求の五十数%程度に切られましたので、生徒指導主事の増員の余地がなかったということでございます。  どういう判断でこの要求を落としたかということなんですが、もちろん要求したからには全部われわれとしてはやりたかったわけでございますが、ただ、生徒指導主事について言いますと、現在十八学級以上の学校にだけ置いてあるわけで、これをそれ以下の学校に置くということは、できればそれが望ましいわけでございますけれども、現段階では、そういう小規模というか、大規模以外の学校は専任の生徒指導主事を置かないで担当先生方がそれぞれ協力してやっていただいて、ある程度の成果も上げておるという実態もございますので、今回は従来のそういうやり方で中規模校以下はやっていただこう、こういうことで要求をおろしたわけでございます。
  69. 高橋繁

    高橋(繁)委員 文部省としてはやりたかったが、それは財政的な理由でおろした、こういうふうに理解してよろしいですね。  それから、司書教諭について、従来国会でもいろいろな経過がございました。文部省として、今度の計画の中にはありませんけれども、将来この司書教諭についてどういう考え方でおるのか、この辺を少し確認をしておきたいので質問をいたします。
  70. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 司書教諭は、現在の学校図書館法の規定に「教諭をもつて充てる。」要するに教諭の補職なんですね。それですから、今回も格別そのための増員ということは考えておりませんし、今後もそういう意味では、現在おられます先生の中で司書教諭の補職をやるように、これはたしか昭和五十年、もっと前ですかね、通達を出したことがあるのですけれども、実態はなかなか促進されていないということでございますので、今後もその促進方について努力をしていきたい、かように思います。
  71. 高橋繁

    高橋(繁)委員 今後促進をしたいという考えですね。  そこで、きょう採決をされる予定になっておりますので、この前も質問いたしましたが、この適正規模四十人学級については教育的な根拠というものは余りはっきりしていないということは、この前申し上げたとおりであります。したがって、この四十人学級について実験校をつくってやるということは提案しましたが、なかなかむずかしい。将来向こう三年ぐらいの間で、この四十人学級について現場の校長教員意見も聞いたり、あるいは市町村教委のいろいろな意見もあると私は思いますが、この経過については、これから市町村教委でいろいろな知恵を出して、若干の学区の変更によって財政に負担なくできる場合も出てきましょうし、また児童の奪い合いがこの学区の編成に混乱を来す場合もあろうかと思います。そういうものを含めて今後研究調査をして、一応文部省としての四十人学級についての教育的な根拠あるいは適正規模についての配慮あるいは基準というものについて今後研究調査を進める意図がありますか。もう一度これは確認をしておきたいと思います。
  72. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 四十人学級実施上の問題あるいはさらに今後将来どういうふうにこの問題を考えていくかというような点につきましては、当然のことでありますが今後さらに検討していかなければならない問題でございまして、どういう方法でどういうふうに検討するかということは少し考えさせていただきたいと思っておるわけでございます。
  73. 高橋繁

    高橋(繁)委員 研究調査を進めることはいたしますね。  大臣。この十二年という長期にわたる計画は長過ぎると思いませんか。
  74. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 いろいろ御議論の出るところであろうかと思いますが、私は十二年というのは適当な期間ではないかと実は思っております。
  75. 高橋繁

    高橋(繁)委員 最初は九年計画だったでしょう。九年が大臣としては適当であるという判断の上に立って大蔵省と折衝したんじゃないですか。それじゃ十二年が適当であるということは言えないと思うのですが、いかがですか。
  76. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 御指摘のとおり、私たちが財政当局と折衝いたしますその過程におきまして、文部省の原案といたしまして九年という提案をいたして交渉をしたことは事実でございます。交渉の結果あるいは交渉の過程におきましていろいろ問題がございました。とにかく非常な財政状況でございますし、いろいろな問題があります中でまず発足をさせるということが今日の文教行政の流れの中で大切である、こういう判定をいたしたわけでございます。そういう意味から申しまして、当初の案が若干延びてまいりましたことが結果として出てまいりました。どちらでやっていくかという判定は、そのほかの状況もございますけれども、それを一番大きな判定といたしまして、現在の状況から見て十二年ということに政府としての意思を決定してお願いをいたしたわけでございます。
  77. 高橋繁

    高橋(繁)委員 これも結局財政に屈服したといいますか、財政の状況によって十二年にしたというように理解してよろしいですか。
  78. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 どうも屈服という言葉が必ずしも適切な表現であるというふうには私はちょっと理解していないわけでございますが、大蔵大臣予算委員会のときに申しました芸術的作品であるということもどうかと私は思います。しかし、今日の状況から考えまして、もちろん財政の非常に窮迫した状況が大きな理由の一つであることは否定できませんけれども、それ以外に、たとえば生徒数の増減等の大きな趨勢をどうするか、いろいろなそういう問題がやはり考えられるわけでございまして、そういう状況の中で文教行政の筋を通していく、そちらから見ますと財政当局があるいは屈服したのかもしれないわけでありますが、屈服という表現はいささかどうかと思いますが、その結果としてこういう原案でお願いをいたした、こういうことでございます。  なお、大変恐縮でございますが、四党の間でのいろいろな御協議がありましたことも承っておりますので、政府といたしましては、この状況の過程をずっと経ました後でその時期において検討すべきものと考えております。
  79. 高橋繁

    高橋(繁)委員 九年がいいか十二年がいいかという前に、文部省としてはいろいろな意見をまとめて一応九年というものをつくったわけです、今後の児童生徒の増というものを考えて。十二年というものをつくるのも生徒の増が原因であるということは言えないと思うのですね。九年ができたので、その九年を実現するために努力してきたと思うんです。大蔵省との段階の過程で十二年になったということははっきりしておるわけで、財政に屈服したということが気に入らないようでございますが、いわゆる財政の影響によって九年が挫折して十二年になった、こう私たちは判断をいたします。  そこで、予算修正に当たって四党間の申し合わせ、実質修正の中で三年後の見直しということを確約いたしました。わが党も、十二年では期間が長過ぎるのは当然でありますし、本会議でも九年にするということを提案もいたしました。十二年という長い間に経済あるいは社会のテンポというものは私はきわめて早く進むと思うし、そういう点からいっても四十人学級が長年の懸案であった、あるいは文部省としても一応これが実現の緒についたということは確かでありますが、財政当局の意見が強くて十二年になった。この期間というのは余りにも長過ぎる。改善増も十二万人から八万人に減少した。着手の緒についたことについては一応評価をいたしますが、今後政令等で毎年定めるということからして地方教育委員会にもいろいろ混乱をさしてはならないし、私たちは三年後の見直しということについて意見を持っておりますが、三年後の見直しというのは昭和五十八年の予算編成の段階と考えてよろしいですね、文部大臣
  80. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 そういうふうに考えております。
  81. 高橋繁

    高橋(繁)委員 いろいろいままで問題になりましたように、養護教諭あるいは事務職員等を初め諸教員を含めまして教職員改善増あるいは年数について今後三年後に財政的な面からも前向きに検討するということをこの前申し上げましたが、わが党といたしましても、この三年後の見直しを強く、こういう観点に立って見直す、この前の大臣意見では、三年後のことはここでなかなかはっきり言えないと言っておりましたが、もう一度そういう前提の上に立って三年後の見直しをする考えがあるか、大臣の見解をただして質問を終わりたいと思います。
  82. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 お言葉の中にありましたように、大変に変化があることが今後見通される、そういう予想があるわけでありますけれども、どんな変化であるかということについてはいまここで申し上げることはなかなかむずかしいことだと思います。ただ、先ほど来先生がおっしゃっておりますようなことは、恐らく文教行政を担当しております者は十分頭の中に入れて考えていかなければならぬ諸点を言っておられると私も了得をいたしております。その三年の後の時期におきまして十分にそれらのことも考えて文教行政の上に誤りのない決断をしなければならぬ、こういうふうに思っております。
  83. 高橋繁

    高橋(繁)委員 三年後の見直しをいま申し上げたとおり強く要求しまして、質問を終わります。
  84. 谷川和穗

    谷川委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  85. 谷川和穗

    谷川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。藤田スミ君。
  86. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この法案では、学級編制教職員定数については、昭和六十六年の三月末日までの間は、児童生徒の数の推移及び学校施設の整備状況を考慮し、標準に漸次近づけるというふうにありますけれども、これでいくと人口急増地域はいつから着手され、いつ完了することになるのか、もう一度明確に御答弁願いたい。
  87. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先般来お話がありますように、五十五年度からは、人口が逐次減る市町村で、しかも学校施設に余裕のある場合には小学校一年からやる。それじゃ残りの人口急増地域を含めてあとはどうするかということにつきましては、いまの私どもの一つのめどとしては、それらの残りの小学校は五十八年度から逐次学年進行でやっていきたい。そして中学校の方は、いまの人口減少市町村については六十一年度から、その他の市町村については六十四年度からというふうなことを一つのめどとして持っておるわけでございます。
  88. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、適正な学級規模と適正な学校規模というのは学校条件の基本であるというふうに考えます。その点についてはどういうふうにお考えなのか。同時に、この際適正な学校規模というのはどういうふうに考えればよいのか、お答え願いたいと思います。
  89. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 学級規模については現在のところ四十人というふうに考えておるわけでありますが、学校規模につきましては、学校教育法施行規則の十七条に「小学校学級数は、十二学級以上十八学級以下を標準とする。ただし、土地の状況その他により特別の事情のあるときは、この限りでない。」これを中学校も準用しておりますから、原則的には十二から十八の学級規模というのを適正規模というふうに考えるわけでありますが、今日のわが国の地域の実情を見ますと、必ずしもそういうふうにはまいらない場合もありますので、特例的な規定がここに設けられている、こういう実態でございます。
  90. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう一つ抜けております。適正な学級規模学校規模学校教育の基本であると考えるが、その点についてはどうなんですかとお尋ねいたしました。
  91. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 基本という意味でありますけれども、いま申し上げたような四十人学級なり、あるいは十二から十八というのは標準的な規模というふうに考えますから、そういう意味ではその線に近いことが望ましいというふうに思うわけでございます。
  92. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 現実には過大校はふえておりますね。そうですね。
  93. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは五十四年五月の調査がいまあるだけで過年度との比較がございませんけれども、私が聞いているのでは、やっぱり大都市などはかなり子供がふえても新設学校ができないという意味で過大校がさらに規模が大きくなるという実態があるように認識しております。
  94. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その点に対して文部省は一体どういうふうに指導されておられるのか、これはどうですか。
  95. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは実際問題として統計で見ると五十五学級以上の小学校なんというのもあるわけで、これは学校運営上からも管理上からも私は望ましくないと思うのですね。ただ、指導しているかと言われますと、実際問題としてこういう学校はそれじゃ分離する場合に校地をどこに求めるかというようなことからして問題がありますから、簡単に解決できる問題ではない。したがって、一般的な形で、先ほど来の省令の標準的なあり方というようなことから推して、各府県の教育委員会等を通じてできるだけ適正規模学校が確保できるように努力をしてもらいたい、こういうことであります。
  96. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、この過大校の問題の責任は文部省にあるというふうに思わざるを得ないわけです。それはかつてこの委員会でも指摘されておりますが、義務教育学校施設費国庫負担法の制定に際して、そこには統合の規定はあるけれども分離の規定がないという指摘も厳しくされていました。その当時文部大臣は、それについては検討するというふうに御答弁があったわけですが、この点については検討されているのでしょうか。
  97. 三角哲生

    ○三角政府委員 当時の御指摘は義務教育施設国庫負担法の関係でございますので、要するに、義務教育に関する施設についてどのような財政措置を保障するか、そういう観点からの問題でもあったかというふうに記憶いたしております。  そういうことで私どもも検討させていただいたのでございますが、分離新設に対する一つの国からの助成といたしましては、これはやっぱり分離に限らず教室不足を解消するという観点から新増設を行う場合があるわけですが、それと全く同様の補助を行っておりますし、それから補助に際しましては、義務教育学校施設費国庫負担法に規定されておりますいわゆる特例措置というものを活用することによりまして、市町村の計画なり要請なりに十分に対応してまいっておるところでございますので、検討はいたしましたけれども、義務教育学校施設費国庫負担法をいま改正する必要はないというふうな結論を得た次第でございます。
  98. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 実際に現状について少しお話をしたいと思うのです。私は全国でも有数のマンモス校を抱える堺に住んでおります。大阪全体で見ましても、文部省の言われる適正規模十八クラスじゃなしに二十五クラス以上でとりましても五八%です。三十五クラス以上になりましたら一五%。ところが、これを生徒の数で見ましたら二五%以上の子供がその対象になっているわけです。中学校で言いましたら、二十五クラス以上が四九%、三十五クラス以上が一二%で、生徒数で言いましたらこれも五分の一に相当する子供がそういうマンモス校に通っているという状況になっております。  私は、この質問を行うについて、実際に子供たち、お母さん、それから教師に直接生の声を聞いてみました。一体どういう状態になっているかということを御承知でしょうか。大体堺のようにもう学校規模が四十クラス以上というところでは、たとえば理科の実験室と家庭科の実験室とを共同で使っているわけです。したがって、理科の実験の時間に家庭科に使われている場合は、薬品を持ってそれぞれの教室でやらなければならない。危険な問題が起こらないのが不思議だというふうになっているのです。それから朝礼のときなど一クラスを一列で並べて朝礼をするわけです。運動場にぎっしりなわけです。後ろの方で子供たちが騒いでいても、先生が注意に行く間に朝礼が終わってしまうという笑い話にもならないようなことがあるのです。運動会が全くできません。だから親は二階、三階から見物をするというありさまになっています。もちろん遊ぶことが自由にできないわけです。何学年か分担をして遊ぶこともあります。子供がふえ続けている学校では、子供の事故は絶え間なく起こっているのですが、一たん増加が安定してきましてマンモス校になってしまいますと、今度は子供が不思議に事故を起こさないのです。それはなぜかというと動かなくなるからです。子供が受け身の形になって、そして遊ぶことを知らなくなるという問題が起こっています。もちろん地域との運動会などを通じて連携し合うという機会も失いますし、教師子供の間が大変疎遠になってしまって全く名前と顔が一致しない。それから校区を歩いていても、一体それが自分学校先生なのか児童なのか、その区別が全くつかなくなってくる。  それから先日来問題になっていますが、教師の質の問題です。職員室にそれぞれ仕事をするだけのスペースの机が置けないわけです。マイクで職員会議をしまして、そして仕事はそれぞれの教室に持ち帰りで、教室で丸をつけたり集金したお金の計算をしているのです。ですから、先輩の教師から日常的にいろいろ指導を仰ごうとしても無理な話になってくるわけです。全く教師は孤立したようなかっこうで授業を組んでいかなければならない。こうした実態は行き届いた教育を一体どれほど保障していく条件になっているのか。あるいはきめの細かい充実した教育は一体ここで成り立つのだろうかということを強く感じたわけですが、この実態を文部省はどの程度つかんでおられるのか、そしてどう考えられるのか、もう一度お答えを願いたいわけです。
  99. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いま御指摘になったような問題は個々にこれまでも聞く機会がございまして、結論としては、私どもも非常に大きな規模学校学校運営として本当充実した教育活動を行う上でどうも問題が多いのではないかと考えておることは事実でございます。しかし、先ほども申しましたように、そうかといってこれをどういうふうにするか、学校を分離し、小規模学校を適正規模において適正な区域内に配置することが一番望ましいわけでありますが、現実の問題としてはいろいろ障害があって、当事者としては努力はしておってもなかなか成果を上げ得ないのが現実であろうと思います。
  100. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はここに教育年鑑を持っています。これは六六年の教育年鑑ですが、こういうふうに書いているのです。「小規模学校とともに、過大規模学校経営にも不合理が存在する。人間の成長と発達のための学校経営は、養鶏や養豚の経営とは同じには考えられない。軍隊のような集団においても、起居と訓練を共にする一個連隊の将兵は一千人内外とされている。発育過程にある児童・生徒教育集団としての学校に、おのずから必要の限度の存することは当然のことであろう。ところが、このことは案外真剣に考えられないで、安易な考え方やただの財政上の便宜主義に支配されがちである。」こういうふうに教育年鑑は過大校の問題を指摘しております。私はここでもう一度大臣に、こういう過大校の解消のためにどれだけの決意を持っておられるのか、お伺いをしておきたいと思います。
  101. 三角哲生

    ○三角政府委員 大規模校の分離の問題でございますけれども、現実にはそういうことのために努力をなさる市町村もあるわけでございまして、その場合に、先ほど来御説明がありましたように、新設校の用地をどういうふうに確保するかということから始まりますが、用地の確保にいたしましても、その場所の問題単なるその用地があるというだけでなくて位置の問題も非常に重要なことでございますし、また新しく分離した場合にどういう学区割りをするかについては、かなり多数の住民の合意を得ながら進めなければこれまた円滑にいかないというような実態で、私ども学校施設の補助金の執行の段階でそういうことを認識しておるわけでございます。実態としては、三十学級ないしは四十学級といったようなところを超えて規模が大きくなる場合に市町村としては分離を考える傾向があるのでございますが、文部省といたしましては、文部省がそういう場合にタッチする場面といたしまして、分離に係る校舎の整備について補助金の要請があります場合には最優先的に採択をするということで従来からやってまいっておりまして、そういう形で大規模校の分離に協力をしてきているところでございます。  また、補助の採択の場合に、分離ということを最初から言ってまいりませんで、一般市町村の場合には三十学級以上あるいは人口急増市町村の場合には三十六学級以上の学校につきまして、いわゆる学級増のための申請ということで、そういう形で申請がありました場合には、一たんこれを分離するということができないかどうかということにつきましてその都度念を押した上で、でき得れば分離新設を行ってはどうかというような指導助言をしながら業務の執行をしてまいっておるところでございます。
  102. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣に決意をお伺いしたいのですが、時間がありませんので最後にお答えを願いましょう。  今回の学級改善に対して、文部省はこの施設整備に特段の手だてを当然求められてくると思うのです。特に人口急増地域に対しては、そういうふうな格段の手だてというものは考えられていないのかどうか、これは先ほどの御答弁では考えられていないというふうに解釈していいかもしれませんが、簡単にお答え願います。
  103. 三角哲生

    ○三角政府委員 当初の三年間は、児童生徒減少市町村で教室の増を要しない学校について実施していくということを考えておるわけでございますので、そういうふうに取り進めたいということでございますが、五十八年度以降におきましては、ただいま御指摘のような施設の整備のことが出てまいるわけでございますが、その際あわせて児童生徒が全体的には自然減が見込まれておりますので、この時期にさらに学年進行で四十人学級実施することを考えております。  その中でも急増市町村についてどうかということが問題になるわけでございますけれども、従来から年々私どもが手がけてまいりました施設全体の整備量に比べましてこれはそれほど多くはないという試算をいたしておりまして、金額では、先般の委員会でも総事業費につきまして千六百億余りというような御説明をいたしております。したがいまして、私どもが現在やっております施設整備の助成の仕組みで十分に対応して努力をしてまいる、こういうことであろうかというふうに思っておる次第でございます。
  104. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 学級改善に対して、さきの委員会でも人口急増地から財政困難が訴えられた、こういうふうに御答弁されているわけですが、自然増に対応する校舎建設増にかかる自治体負担が大変だということではないのですか。
  105. 三角哲生

    ○三角政府委員 藤田委員のおっしゃっておりますことと私が考えております既往の事実と合致するかどうかわかりませんけれども、四十人学級計画取り進めの際に、人口急増市町村の団体の側で、これをいわばいまのような形ではなくて、かなり一挙増と申しますか、一気に今後これが取り進められた場合には非常な負担になるということで、これを問題にして議論なさったという事実があったことは記憶いたしております。
  106. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 先ほどからも一応の手当てをしているんだという、優先的に補助もしているし、分離については促進をしているんだということを言っておられますけれども、私はことしの予算を見て思うのです。大体国の補助の事業量が確保されてからこそ、そういうふうな急増地対策に対応する国の補助というものも生まれてくるんじゃないかと思うのです。自治体の申し入れがあればできるというけれども、それはあくまでも国の補助事業量の枠に縛られた中ではなかろうか。五十四年度の公立学校施設整備費を見ますと、その前年度の二九%の伸びになっていますね。ところが、ことしは五%しか伸びていません。だから事業量で言いましたら〇・八%増で、結局自治体は前年度並みの事業しかことしは着手できないということになるんではないでしょうか。五十四年度はこれだけの整備費を伸ばされたことによって、その消化はどうなったのかということをお調べであったらお答え願いたいと思います。
  107. 三角哲生

    ○三角政府委員 いま数字の御指摘ございましたが、それはそのとおりでございます。  ただ、これは私どもここ数年来のやり方でございますが、これですべてこのままということではございませんけれども、公立文教施設の予算計画を詰めるに当たりましては、常々さきの年度におきます全国の市町村の計画というものを都道府県を通じましてかなり精密に把握いたしまして、それを十分頭に置き、その数字をにらみながら財政当局と詰めてまいっております。でございますから、計画実施との間にはさしたるずれはなく今日までは幸いにしてまいってきたところでございます。  それから予算額でございますが、これは御承知のとおり、今年度は財政再建元年という年に当たりまして、一般公共事業はすべて前年並みということでございましたが、わずかではございますが、学校施設費につきましては、金額の上でも、それから事業量の上でも前年並みということでなくて前年よりは多いという数字にまとめました次第でございますが、もう一つは、昭和五十二年度の補正予算以降非常な伸び率で学校施設に対する補助金は伸ばしてまいっておりますので、これはかなりなところまで行っております。そして五十四年度も大体ほとんど各地方公共団体の御要請には一〇〇%近く対応できておりますし、五十五年度につきましても、そんなに摩擦と申しますか、きしんだ状態にならないという見通しで、私どもはこれからの市町村との相談に臨んでまいるつもりでおるわけでございます。
  108. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、こういう学級改善に手がけるときだからこそ、学校規模についても適正なものに近づくように一層の努力をすべきじゃないかと思うのです。そうでないと教育の機会均等というものがますます崩れていくんじゃなかろうか、そういうふうに考えるわけです。だからこそ、ことしの予算を見て大変残念だなと思ったのです。先ほどの御答弁にもありましたけれども、今度の学級改善については、一人一人の子供の持っている能力をどういうふうに引き出していくか一そういった本来の教育により条件的に近づけていくためにやるのだという御答弁もありましたね。その観点からしたら適正な学校規模というものに対する並行した努力というのは当然あってしかるべきだと思うのですが、それは市町村と話をして打ち合わせをして大体そういう予算になるということでいいのだと言われれば、それはやはり事前の折衝の中で出てきた数字ですから余り当てにならないと思います。政府の出しております財政白書を見ましても、自治体の目的別決算額の構成比で示された教育費の占める割合というのは、過疎では一五・九%、一般市町村では一八・三%、急増地域では二三・四%と、急増地域の教育費の占める割合は非常に大きくなっています。  これも教育年鑑ですが、八〇年度の教育年鑑によれば、人口急増都市のうち百三十五市町が七八年から八二年にかけて校舎建設に要する費用は、用地費も含めて一兆七千億円になるのです。だから財政的にも大変厳しいものが自治体にも背負わされていると思うのです。ところが一方自治体は、たとえば大阪府の都市教育長協議会の調査でこういうふうに訴えています。府下三十市の公立小中学校の建設費の超過負担は締めて七十五億六千六百万円、これは五十四年度です。一市平均二億五千二百万円、実に二三・五%の超過負担になっている。教育費の中での建設費の占める割合は五二・七%に及んでいるのだ。結局こういうふうな数字から考えていきますと、自治体はきわめて厳しい超過負担にたえながらも何とか適正規模、マンモス校の解消に努力をしていきたいというその努力がよく出ているのじゃないかと思うのです。だから国がもっとこれにこたえていかなければならない。  同時に、今度の学級改善で自治体が苦しいんだと言っているのは、自然増に対応するのが苦しいのだと言っているのであって、それを何か学級改善のそれに苦しいんだと悲鳴を上げている、その悲鳴とかぶせているのはけしからぬ、私はそういうふうに思うのですが、この際、もう一度国の積極的な御意思をお伺いをしておきたいと思うのです。大臣、どうですか。
  109. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 大都市あるいはその周辺の人口急増地帯におきます校舎等の教育環境の整備の問題は大変な大問題である。それは御指摘のとおりだと私も考えております。  ただ、文部省がやり得ます範囲というものはやはりおのずから限度があろうかと思います。それは今日の地方におきます財政状況あるいは教育委員会等がそれぞれの自主的判断を持たなければならぬという問題もございますし、それから文部省が先ほど来お話をいたしておりますように、分離の場合には新増設と同じような対策をとってやっておるというようなことで、こちらが受け答えのできます問題につきましては、いろいろ地方の要望との間に差はあろうかと思いますが、ほぼこの数年来の予算面におきます急増の状況もございまして、かなりできてきておると思います。むずかしいのはもっと大きなところに問題があるのではないか。たとえば教室の問題におきましても、あるいは学校規模の問題におきましても、こういう人口急増地帯においては、まず第一に土地の取得の問題という非常に困難な問題がございまして、文部省あるいは文教関係の者が要望を強くいたしましてもなおかつなかなか力の及ばない点があるだろうと思います。しかし、文部省といたしましては、文教の立場から見ましてそれらの問題につきましても終始希望を述べ、あるいはその解決ができるための努力をいたしていなければなりませんのは当然のことでございまして、私たちも大体そういう努力は続けてきていると思いますが、問題の困難さ、質の問題が根底にありまして過大校の十分な解消が進んでいないという現実があるのではないかと考えております。しかし、御指摘のような努力は今後ともに続けていかなければならぬ、かように考えております。
  110. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ところで、文部省が出されました「実施区分別学級編制改善(四十五人→四十人)による増設所要教室数」という資料を見ましたら、五十五年度から全市町村の小中学校について実施の場合は二万六千三百三十になる。九年計画でいけば一万二千四百十、十二年計画では八千三百六十、こういう数を出しておられるわけです。これは先ほどから分離のことも言われておりますが、いわゆるマンモス校を適切に分離していくという計画も考慮に入れた数なんでしょうか。それとも、単純に四十五人を四十人にすればこれだけの教室が要るのだという数なんでしょうか。
  111. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは単純に現在の四十五人学級を四十人にした場合にどれだけの教室が要るかということを個々の学校から悉皆調査の形で出してもらった計画です。
  112. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私はそれが大変問題だと思うのです。調査をする上でばかでかい数だけが表に出てきて、そして大変だなという印象を一層強くさせて、そしてこれは無理だなといういわばそういう納得を国民に求められていこうとしておられるのではないかと思います。  委員長、私は資料をお配りさせてもらいたいのですが、よろしいでしょうか。——これは堺市の資料です。いま堺市は千五百人を超える学校を分離する五カ年計画というのを持っています。その五カ年計画に基づいて私はいろいろ考えてみました。一体四十人学級にして単純計算で出てくる教室の数はどれほどの数になるのだろうかという点で計算をしていったわけです。堺は小学校で三三・七%、中学校で二三%と平均したら三〇・六%が千五百人を超える大変なマンモス校を抱えているわけです。私はその学校のすべてに、いま現状で一遍に四十五人を四十人にしたら何教室要るんだろうかということでずっと割り算をして出してみました。そうしたら、小学校は二百六十六教室、中学校で九十一教室要るわけです。これは大変だな、こう思っていたのです。ところが、この学校には、さっき言いましたように三〇%を超える超マンモス校があるわけですから、それを堺市は五カ年計画で何とか解消していきたいということで、現実にいまもう土地も確保して着々とその方向に進もうとしているわけです。問題は超過負担だとかあるいは用地取得のための税制度で非常に現実と合わないところが出てきているとかというような問題がありますので、それは今後の国の努力と相まった関係で解決の促進が図られてくることは言うまでもありませんが、しかしとりあえずこの五カ年計画はもう用地取得に入っていますから、これは確実に進んでいくわけです。  この表をごらんいただきましたら、右側にA、A´、B、C、A´´というふうに並んでいますが、このA校ですね。これはことし分離をしてB校を新設してA校は五十八クラスから四十九クラスに減りました。それから次の年には今度はC校と一緒になって、D校の新設によってさらにA校は小さくなっていくわけです。四十八クラスに変わります。こういうふうにしていきましたら、A校というのは五十八年度には三十三クラスに減っていくのです。だから、現在もうすでに五十八クラスが四十九クラスに減りましたから、そこでは教室が現実にあいているわけです。  この左側でそれを数字にもう一度整理をしてみましたら、A校は五十四年、五十五年、五十八年というふうに並べて、こういうふうなクラス数に推移をして適切な分離によって三十三クラスになる。三十三クラスでも基準よりも多いですけれども、しかし五十八クラスよりはうんと減っていくのです。こういうことからB校、C校をながめ、E校、F校をながめていきますと、これは分離促進によって、つまり定数改善以前の適正な規模学校に近づける、とりあえずマンモス校を解消していくんだといういま現在の市の計画をそのまま遂行するだけでも、分離をされていく方は、もとの学校の方は空き教室がかなりたくさん出てきまして、文部省が言うふうなこういう単純な数にならないんじゃなかろうかというふうに考えるわけです。  私はさらに、こういうふうな計算でもう一度堺のすべての小学校で一遍に四十人にした場合に何教室要るかというこの二百六十六と、それから分離をしたことによってそのもとの学校の空き教室を考慮し、かつ新設する学校にそういう手だてをあらかじめ加えていくことでどういうふうに変わるだろうかと見てみましたら、二百六十六という数字は百十三という数字に変わります。さらに泉北ニュータウンというマンモス団地がありますが、ここはあらかじめ人口急増を見越して校地を確保しておりますので、ここに教室の手だてを施していけば、これでもうほとんど現状学校に手を加えることなく学級改善も同時にできるじゃないか。つまり私の言いたいのは、いま学級改善のことが問題になっております。それは私は、人口急増地こそ早くやってやりたい、やらなければならない教育の状態があるんだということを考えているわけです。そのことは先ほどの御答弁にもあったと思うのです。     〔委員長退席、石橋(一)委員長代理着席〕  そういうことから一つ一つ見詰めていきましたら、実際に文部省が大変なことと言っている施設増というものは、改善があろうとなかろうと自然増に対応していかなければならない。学級改善があろうとなかろうとやはりマンモス校の解消というものは進めていかなければならない。それをより積極的に進めることで学級改善というのはおのずとかなり落ちついた数字で、手だてを特別に施さなくても急増都市で対応していくことができるじゃないかというふうに考えついたわけです。私のその指摘についてどういうふうにお考えでしょうか。
  113. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 四十人学級そのものの調査は、学校の分離というようなものを前提としないで各学校から出したものです。これはその時点における現状を肯定しての調査ということで、部分的におっしゃるような計画を持っておるところもおありでしょうけれども、調査の時点でかなり流動的な問題でもありますし、これは通常の調査はみんなそうやっておるわけで、おっしゃるような誤差は結果として出るかもしれませんけれども、やはりそういう方向によらざるを得ない。ただ、そうやったからといって、そのことがお話しのように学校の統合を促進するような指導をないがしろにする、そういうことではさらさらないわけで、統合の方……(藤田(ス)委員「分離」と呼ぶ)分離の方は、分離することによってより適正な規模な求めるというその行政対応は並行してやっていただきたい、こういうふうに思っているわけです。
  114. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 結局誤差を認められたと思うのですけれども、こういう計画を考えられ、そして文部省がすべての子供教育の機会均等を補佐する立場からも、それを一日も早く実行に移してやりたいという情熱があれば、調査ももう少し綿密なものが出たのじゃなかろうか。そうすれば、自治体との合意という点でももっと合意が進んだのではなかろうかというふうに私は考えるわけです。この点では私は今度のこの文部省の対応というのはきわめて不満に思いますし、ますます国民が本当に願っている一人一人に行き届いた教育をという要求から遠くかけ離れて、結局それは十二年待てということになるのじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけです。私はもう一度念を押して、学校の適正規模のために、今後自治体の要求にこたえて現実的な分離のために必要な措置を文部省側も努力をしていくことを要求しておきたいと思いますし、今回の学級改善に対して、人口急増地の本来やらなければならない分離の促進を結局怠っていくという結果を新たに招いていくという不安を持っているので、それへの努力を促して、私の質問を栗田さんに譲りたいと思います。
  115. 石橋一弥

    ○石橋(一)委員長代理 栗田翠君。
  116. 栗田翠

    ○栗田委員 引き続いて質問をさせていただきます。  先ほどからの御答弁を伺っておりますと、人口急増地については三年間は据え置いて、五十八年以後は学年進行でやっていくということを幾度か御答弁になっていらっしゃいます。また、先日出されました文部省からの資料を見ましても、十二年計画、九年計画といろいろ出ていますが、十二年計画の場合、五十八年からはいずれも学年進行方式によるというふうに書かれております。これは九日の委員会で山原委員が質問をしましたときには、学年進行で進めるということを余りはっきりおっしゃらなかったように思うのですけれども、学年進行で五十八年以後進めるということは、かなりはっきりと確定的なものと考えてよろしいわけですね。
  117. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは毎度申し上げていることでございますが、法律の立て方は、御承知のように毎年度何人子供をふやすかということは政令で決めますということは、間接的には計画それ自体きちっとしたものとして法律に規定してない。しかも、三年後に見直しをするのだというような話もありますので、そういうことを踏まえて、私どもとしてはいまの一つのめど、考え方としてはこうですよということを申し上げているのですという、その点は変わりないわけでございます。
  118. 栗田翠

    ○栗田委員 それでは角度を変えて伺いますけれども、たとえば人口急増市町村では、学校の校舎を建設するのに三年前向きで建てられることがありますね。そうしますと、五十八年度から開校する小中学校の場合、五十五年度にもうすでに計画を立てて、五十八年度の人口増なども考えに入れ、用地の取得、そして教室の設計を全部やっていくわけですけれども、今年度からそのような設計その他を出していくのに、いまの御答弁によって、学年進行で五十八年度からはやられるものと考えて人口急増地は設計をしてよろしいのでしょうか。     〔石橋(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  119. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 市町村がその校舎の計画をどう立てるかということは、私どもの方がそれはいいとか悪いとかと言う立場ではないと思うのです。だから最終判断は情勢を見ながら、それで具体的には、先ほど来のお話にもありましたように、小中学校の自然増に対応する校舎建設費というものはまだ相当たくさんありますから、そういうことを含めて個々の市町村で考えていただく。その際、一応五十五年度からうちも学年進行でやるかなというようなことを念頭に置いて考えていただくということが現実妥当なのだろうと思います。
  120. 栗田翠

    ○栗田委員 けれども、問題は補助金でございます。学年進行であろうなと考えて計画を立てていったら予定が変わったということになりますと、市町村が負担を負わなければならないという問題が出てくるわけです。ですから、いま文部省が大体五十八年からは学年進行でやっていく計画であるとおっしゃった以上、人口急増地で五十五年に設計をし、計画を立てたところが、そのような負担を負わないで済むような、適正な補助金が得られるような確約がありませんと、なかなか大変になってくるわけですね。それで心配でプレハブを建てているというところもずいぶん出ているようでございます。私はそこが問題だと思って伺っているのですが、その点は安心して立ててよろしいのでしょうか。
  121. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 私どもも、めどですと言っても、これは行政の責任当局でございますから、そのときになってできるかどうかわかりませんよというような態度ではいけないと思いますから、できるだけ五十八年度から残りの市町村が学年進行でやれるように最善の努力をしていかなければならないと思います。
  122. 栗田翠

    ○栗田委員 それでは次の問題に移りますけれども、九日の質問の中で、四十人学級が財政的な考慮を抜きにしても適正規模であるということをお答えになっていらっしゃいました。この根拠はどういうところでしょうか。
  123. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 この間余り何回も聞かれたので、ちょっとそのときの表現を正確には覚えていないのですけれども、私は、抜きにしてはと言ってないので、財政上その他も考えて現段階では四十人が妥当だと思います、こういう言い方をしたつもりなんです。どちらにしましても、その考え方は当初から、四十人の計画を立てるときから念頭にあったわけです。一つは国会の附帯決議、あれは確かに四十五人学級編制をたとえば四十人以下にすることもというふうに書いて、以下とは書いてありますけれども、当面の関係者の暗々の理解はまず四十人だということがあると思うのです。そこで、まずと言うとまた次の段階の質問がありますけれども、このまずというのは軽い意味のまずなので、やはり四十人なんです。  それで、さらにこの点についてはいろいろ専門教育関係者の調査などもあります。これは例もきわめて少ないのですけれども、そのある例を見ましても、大体四十人学級と五、六十人のいわゆる過大学級との比較という形で四十人の方が妥当だ、こういう調査なんですね。そういうことを考えますと、いま次の施策としてやるのは四十人学級が適当ではないだろうか、こういうことで考えております。
  124. 栗田翠

    ○栗田委員 私が問題にしますのは、たしかこの前は財政の配慮を抜きにしてもと、大臣がおっしゃったのですね。私そこでこれはと思ったわけで、純粋に教育的な見地から見た場合に四十人が適正であるということは言えないのではないか。いろいろな調査を見ましても、三十五人ぐらいがいいとか三十人ぐらいがいいという結果がかなり出ておりますね。ですから、そこのところで一つは伺ったわけなんです。そうしますと、財政的な配慮を抜きにして純粋に教育的な配慮から考えていった場合には、四十人が適正だというのではなくて、それ以下もあるということはお考えになりますね。
  125. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 そこで、これはいろいろな考え方があるのですけれども、予算要求のとき私どもの調べた資料で、全国教育研究所連盟が主宰して先生方の意識調査をやったのですね。これは自分担当している学級のクラス人数が多過ぎるか、適当か、少ないか、どういうふうに考えているかという意識調査で、これを見ますと、四十一人から四十五人までというのは、小学校は八七%、中学校は七三%が四十一人以上は多過ぎて困る、だから小学校中学校もこれは圧倒的に見直さなければならぬというふうに考えている。ところが三十五人以下というのを見ますと、これまた大体よいと感じているというのが圧倒的に多いのですね。ところが、その三十六人から四十人、いまの四十人学級、これに対する現場の先生の意識というのは、小中学校を通じまして多過ぎて困るというのと大体よいと感じているというのがまさに半々なんですね、これは先生御存じかと思いますけれども。ここをどう評価するかということなので、私はいまの段階で、外国の例はいろいろありますけれども、いま言ったような四十名基準学級担当している日本の先生方の半分が大体よいと感じている。この大体よいと感じているということを評価しますと、やはり教育的に見てもこれ以下でなければならぬというふうに即断できるかどうかということが一つあるような気がしておるわけでございます。
  126. 栗田翠

    ○栗田委員 微妙なお答えをなさっていらっしゃるのですけれども、ただ、私などが調べました国内の資料を見ましても、たとえば都教組が一九五七年に出している「すしづめ学級白書」では、やはり三十人から三十五人ぐらいが最も希望が多いのですね。それから広島大で三十人の学級と五十人の学級をつくってみまして効果について研究を一年間やったものがありますけれども、これは片方は五十人ですから特にはっきりしているわけですけれども、三十人の学級では児童の学習活動が非常に活発になっていますけれども、五十人の場合には非学習活動が多い。おしゃべりをしたり、よそ見をしたり、あくびをしたり、いろいろがやがやしたり、また時間の経過とともに子供が飽きてくる度合いも五十人の場合は非常に早いけれども、三十人の場合にはいいという例が出たり、また九州大学の研究、名古屋大学の研究、それから国立教育研究所などの研究といろいろありますけれども、比較的多いと思いますのがやはり三十五人以下でかなり多いですね。ただ、こういう効果といいますのは数字ではっきり出てくるものではないものですから、たくさんの方たちの経験を寄せ集めて、その中でどこら辺が一番よいのか、こういうことになるわけですから、なかなかはっきり出ないというむずかしい面はありますけれども、しかし四十人が適切だということではなく、それ以下についてもかなり多くの希望があり、調査などでも世論が集まっているということがあると思いますが、その辺のことはお認めになるわけですね。
  127. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは確かにそういう事実はあるわけですね。ただ、どれくらいが適当かということになると本当にかなりむずかしい問題があって、私この計画を立てるときに、いろいろたとえばイギリスなんかの事情を調べますと、文部省の中教審みたいなものが学級編制の問題というのを最初に言っているのは一九三一年ですから昭和六一年なんですね。それからずっと議論をやって、最近の報告なんかを見ましてもやはり幾らがいいということは書いてないのですね。何人ぐらいの学級がいいということは書いてないのです。それで表現どおりに、記憶している言葉で言いますと、学級の人数が少ないほど教育効果が上がるという確かな証拠はない、むしろ多人数の方が教育効果が上がっているという例もありますよ、こういうことも書いてある。しかし、第二次世界大戦後の英国でも急増期がありまして、五十人以上を担当したというような実績があって、それで相当成果を上げているからいまもその大人数でいいのかというと、決してそうではない。やはり審議会の勧告としては、できるだけ数を少なくする方で努力すべきだ、こういうふうに言っておりますから、考え方としてはどこも同じだと思うのですけれども、しかしそこの決め手になる、それなら幾らがいいかというところは、どうも私は、外国でも長い間議論しておっても結果が出ていないのじゃなかろうかというふうに認識したわけです。
  128. 栗田翠

    ○栗田委員 アメリカなどの研究を見ましても、一体何人がいいかということについてはなかなかむずかしいようですけれども、ただ、余り少なくてもこれは教育効果が上がらないという面がありますね、五人だの十人だの。けれども、その比較の中身を見てまいりますと、たとえばこれは国会図書館の文教課の水野さんがお書きになっていらっしゃる「レファレンス」の昭和五十四年七月号の記事ですけれども、バージニア州アーリントン市にある教育調査の専門機関が出しておられるのでも、何人かということははっきりしないけれども、しかし「低学年の読み方と算数の学力は、学級規模に影響されるところが大きい。」とか、それから「小学生の場合、小規模学級で二年以上指導を受けると、学級規模と学力との間に有意な関係がみられる。」ということとか、それから何人がよいかという議論はされているのですけれども、それは「特に一学級二四人から三四人までの小学校の場合、その間の児童数の違いは彼らの学力の向上の決定的要因とはならないようである。」というようなことなんかもありまして、対象になっているのが二十四人から三十四人といったような数が対象になっているような気もするのです。これは一つの例です。  それから、これはちょっと古くなりますが、昭和四十年に文部省の佐藤三樹太郎氏が「学級規模教職員定数」というので書いていらっしゃいまして、文部省の当時の初中局長の福田繁氏、それから岩間英太郎氏などの皆さんが推薦の言葉を書いていらっしゃいますが、佐藤さん自身も、この試みは出版社の熱心なお勧めと福田初中局長初め上司の方々の御指示に基づいたものであるだけに云々ということでこの本をお書きになった意義を述べていらっしゃるのですね。この中を見ましてもこんなのがあるのですね。「なんといっても、諸外国における学級規模は、次第に小さくなりつつあり、これまで、わが国の学級規模が大きすぎたことは事実である。」そしてアメリカのNEAの調査によれば「三〇人をこえる学級は好ましくないものとされ、とくに四〇人をこえる学級は「きわめて悪い」ものとされており、「きわめて良い」とされているのは二五人前後のもので、次に良いのは二六人〜三〇人の学級であるとされている。」といったようなものもありまして、文部省の関係者がお書きになっているものでもこんな資料が出ているということですから、四十人で打ち切りということにならないように、ここのところを心配をして私も質問しているわけですが、別に打ち切りというふうに考えていらっしゃるわけじゃないですね。
  129. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いろいろ理屈を言うと言われるかもしれませんけれども、やはり学級規模の問題というのは子供の数だけでなしに、先生の質だとか教育内容だとか指導方法だとか、それから子供、これも私はアメリカがおっしゃるように二十五人とかなんとかというのはどういうことでしょうかと言って専門の人に聞きますと、やはりたとえば日本で障害児と言えばいまの特殊学級に行っている子供さんというのは、先ほどもお話がありましたけれども二十万程度ですけれども、向こうの雑誌で見ると四百万なんて書いてあるのですね。それはいろいろな人種が来ておって、小学校の低学年なんかは英語すらよくしゃべれぬような子供も来るというようなことで、要するに個別教育をよほどやらぬとその指導が徹底しないという、そのむずかしさみたいなものはやはり日本とちょっと事情が違うのではないかということもございますし、それぞれの国でいろいろ話を聞いたり物を読みますと事情があるようですから、必ずしも外国がそうだから日本もそうだというふうにストレートには言えないと思いますけれども、先生は打ち切りとおっしゃいましたが、私どもは常にこういう問題は検討を進めていかなければならぬと考えております。
  130. 栗田翠

    ○栗田委員 もう一つ学級の人数と子供の健康の問題というのを御研究になったことがありますか。
  131. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ございません。
  132. 栗田翠

    ○栗田委員 一つの資料ですけれども、東京都教組が出しました、さっきもちょっと挙げました「すしづめ学級白書」というのがあります。いまの一クラスの広さの中に子供が四十人なり五十人なり入るわけですが、炭酸ガスがどうなるかというのを調べているのです。そうすると、五十人、六十人はもちろん大変大ぜい詰まりますから多くなるわけですが、何と四十人でも最初から基準値を超えております。これは冬、窓を閉め切って、ただ、休み時間には窓を全部あけまして空気を入れかえているという中での数値なんですが、一学級四十人入った場合に、初めは〇・一%、それが二時間目になりますともう〇・三二ぐらいになっていまして、四時間目ぐらいになりますと、幾度も窓をあけるのですけれども〇・三八くらいになっているのです。この基準値というのは〇・一%ぐらいだそうですから、一クラス四十人でも、時間がたつにつれてどんどん炭酸ガスが多くなって、子供はあくびが出たり眠くなったりということも当然起こるわけですけれども、健康上からいっても非常に悪い空気の中で勉強しているという例が出ております。だから、こういうことを考えていきますと、やはり健康という問題からいっても、四十人というのも適切ではないのではないか、こう思いますが、これなどはまた後で御研究をいただきたいと思います。次に伺いますけれども、荒木文部大臣のときに、日本の学級の適正規模について調査する必要があると大臣がおっしゃっておりますが、文部省として日本の学級の適正規模を調査なさっておりますか。
  133. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 そういう観点から目的的に調査したことはないと思います。
  134. 栗田翠

    ○栗田委員 前に荒木文部大臣がおっしゃっているのですから、他のいろいろな研究所の調査とあわせてやはり文部省としてもなさっていく必要があると思いますが、今後いかがでしょうか。
  135. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ちょっと訂正させていただきますが、十年ぐらい前に初中局で学校の最適規模研究というようなことで研究をやったことはあるのですけれども、結局あの調査は、いまの適正規模はどうかという結論が出なかったということですから、全然やらなかったわけではないのですけれども的確な結論が出なかったということです。  これからどうするかという問題ですが、これはいまのような過去の経緯もありますので、どういうふうに検討していったらいいか、その方法はやはり十分考えていかなければいかぬと思いますけれども、いずれにしても大きな課題ですからよく検討し考えていきたいと思っております。
  136. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、改善による教員増について伺いますが、定数改善ではなくてその他の改善ですね。これはたとえば重度障害児の学級の場合に、いままで先生一人に子供五人だったのを三人にするとか、いろいろありますけれども、これは全部十二年均等におやりになるのですか。それとも必要に応じて早く三年とか四年で実現するというものもあるのでしょうか。
  137. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 この部分は毎年どういうふうにやるかというのは、県の教育委員会が決めてやることになるわけです。そこで、総計三万八千ですけれども、ことしは五百人引きますと二千二百五十人程度ということになりますけれども、自然増に対応する分が少なくなる。つまり五十八年以降はもう少し数をふやしたいと思っておりますけれども、大体毎年均等に十二年間でやっていきたい。そうすると、毎年配当される数の中で、県の方針に従ってうちの方は特殊教育を早くやろうということであればそうやっていただくということで、その辺の判断は県にお任せしたい、こういうふうに考えております。
  138. 栗田翠

    ○栗田委員 いままでですと、大体五年計画くらいで改善増もやっておりましたね。そうしますと、今度は四十人学級を実現するという点で文部省の方は十二年計画を出していらっしゃるのですけれども、教室増などの必要のない改善増はもっと早くできないのでしょうか。その点も財政上の必要から十二年均一というふうにおやりになるわけですか。
  139. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 そうですね。これもやはり教室の需要と関係ないから一遍にやってしまうということは、財政上の問題もありますし、また教員の養成の問題もございますから、従来どおりほぼ均等な考え方でやってまいりたい、かように思っております。
  140. 栗田翠

    ○栗田委員 次に、高等学校の問題について伺いますが、いま高校の一クラスの定数の国際比較はどんなふうになっているでしょうか。
  141. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは学校の制度がそれぞれの国で違いますから、一概にごうごうというふうには言えませんが、該当年齢層で言いますと、アメリカの場合は州ごとに規則等が違っておりますが、たとえばインディアナ州の規則では、第十学年から十二学年、これはハイスクール相当だと思いますが、二十八人となっております。それからイギリスでは学級編制基準というのがあって、これは法令ではないようですが、中等学校は三十人以下と定められておったのであるけれども、現在はそういう定めはない、運用上の問題としてやっておるようです。フランスでは文部大臣通達等によって、中等学校のうち後期中等教育をするところは、標準が四十五人から五十人となっております。それから西ドイツでは、公立学校の正常な教育を行うための教員定数に関する第六規則というのがあって中等学校、これはギムナジウムとなっておりますが、ここでは学年に応じて第十学年は三十五人、十一学年及び十二学年は二十五人以下ということだそうです。それからソビエトでは、中等普通教育学校規則というのがあって第十学年においては三十五人、こういう定めになっております。
  142. 栗田翠

    ○栗田委員 大体日本よりはるかに少なくなっているようですが、フランスも四十五から五十ですが、これはいま改定中ですね。
  143. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 五十四年の文部省の書類に改定審議中と書いてありますから、改定審議中だと思います。
  144. 栗田翠

    ○栗田委員 どちらにしても日本の四十五人というのは非常に多いと思います。  ところで、日本での高等学校の適正規模はどのくらいだとお考えになっていらっしゃいますか。
  145. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これも明白なあれはないのですが、ただ高等学校の場合は、省令で国公私立高等学校を通ずる設置基準があります。あれでたしか四十人を基準とすると書いてありますから、あれにのっとってやるのが妥当だということだと思います。
  146. 栗田翠

    ○栗田委員 少なくとも高等学校の設置基準の四十人以下というのは改定されてないわけですから、一日も早くこれに近づけなければならないと思うのですが、今度は高等学校定数改善というのは外されたわけですね。しかも四十九年の附帯決議には、高校ももちろん入っておりますから、当然文部省はそれに沿って努力をなさらなければならなかったと思うのです。この高校について当面四十人にすることについて九カ年計画の試算はなさったようですが、五カ年計画、十二年計画など、これに沿っての試算というのはいままでなさっていらっしゃいますか。
  147. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 しておりません。
  148. 栗田翠

    ○栗田委員 なぜなさらなかったのですか。
  149. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これはこの前にも申し上げたと思いますけれども、確かに小中高とできれば同じに考えたいところなんですが、現実の問題として、昭和六十一年度にピークになる中学校生徒高等学校に迎えた場合どのくらいの進学率になるか、これは各県等から予想をとりましたところ九五・八というあれがきているのですね。それで、その時点の中学校卒業生の数が大体百万くらいふえますから、それとほぼ同数の高校生がふえるということになった場合に、しかもその大部分は過密県に集中するということで、すでに東京都や大阪は、標準法で四十五人と定められておるけれども、やむを得ない事情ということで四十七人にしておるという実態がありますから、これから各年、中学卒業生の増に対応して高等学校をどこにどれだけ設置するかという計画も、全期問を通じて的確には東京都や大阪などはなかなかできていないという現状でありますので、少なくともその時期に四十人にするということは財政上の問題も含めて非常に困難であるという判断からいたしましてこれを今回の計画からは外すということをある時点で考えましたので、それ以上の計画はつくりませんでした。
  150. 栗田翠

    ○栗田委員 いまのお話をずっと伺っていきますと、高等学校が四十五人のままになっているということは規模として適正だとは考えていらっしゃらないと思ってよいと思うのですが、そうですね。
  151. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いまの高等学校は、御承知のように普通課程と商業などは四十五人、農工水産は四十人というような二本立てになっておりますので、その四十人になっている実験等を主とする学科と比例して普通課程など四十五人でいこうというのが恐らく当初の立法の趣旨だと思いますけれども、先ほど申し上げましたような高校基準の問題など考えますと、将来の課題としてはやはり下げる方向で考えるべきではないかというふうに思っております。
  152. 栗田翠

    ○栗田委員 いま高等学校が四十五人のためにどんなことになっているかという例もたくさんありますが、時間もありませんのでそれは申し上げるのは省きます。  いま初中局長御自身が将来努力しなければならないとおっしゃっておりますが、附帯決議もあるわけですし、これは一刻も早く努力の対象にしていっていただきたいと思いますが、大臣いかがでいらっしゃいますか。
  153. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 お説のように努力をせなければならぬと思っております。
  154. 栗田翠

    ○栗田委員 引き続いて、習熟度別学級について伺いたいと思います。  その研究指定校が五十校くらいですか、全国に指定されているそうですけれども、これは何を目的に研究しているわけですか。
  155. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは「高等学校学習習熟度別指導研究実施要綱」というのをつくって流しておりますが、その趣旨は、高等学校学習習熟度別指導研究校は、生徒の学習内容の習熟の程度などに応じた適切な指導について研究を行い、その成果を広く利用に供し、もって高等学校教育改善充実に資する、こうなっておりますので、やっているそのやり方について研究をしてもらって、他の学校の参考にしよう、こういう趣旨でございます。
  156. 栗田翠

    ○栗田委員 以前能力学級というのがあちこちに置かれたことがありますけれども、これとこの習熟度別学級とはどう違うのでしょうか。
  157. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 習熟度別学級というのは、言ってみれば今回の指導要領の改定でわれわれが考えた新造語なんですけれども、その意識する中身は、言うところの能力別とは区別して考えたいという意識があったわけです。  能力別という場合に、普通は高等学校のホームルームをテストの成績などで一番いいグループA組、その次B組、C組とか、あるいは大学受験の何といいますか素質のある組とそうでない組というふうにいわばクラス分けを固定してしまって三年間ずっとそれでやるというようなのが普通の考え方だと思うのですね。私どもが今回考えた習熟度別というのは、そういう意味能力別というふうにいいますと子供能力をいわば固定的にとらえてしまって、能力には限度があるわけですけれども、この時期の子供としては努力次第で伸びるわけですから、そういう固定的な観念でなしに、ある時点における学習内容の習熟の程度に応じてより適切な指導ができるように適時グループ分けをして、そのグループの実態に応じて指導方法や教材等を工夫していく、そういう意味学級編成ですから、言ってみればホームルームとは別に適時そういうグループをつくって、しかもそのグループは固定化しないで、そのグループの中の子供の学習の進度に応じてまた学期ごと等に編成がえをする、こういうことを前提として考えておるわけであります。
  158. 栗田翠

    ○栗田委員 この指定校の研究期間はたしか五十四年と五十五年の二カ年にわたっていると思ったわけですが、そうですね。まだ途中ですね。
  159. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 御指摘のように五十四年、五十五年の二カ年を通してやっていくという計画でございます。
  160. 栗田翠

    ○栗田委員 そうしますと、まだ途中であって結論が出ていないわけです。それからこの習熟度別学級の効果とか、置くことについても賛成、反対とかなり世論は分かれておりますね。いかがでしょうか。
  161. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 おっしゃるとおり両方あるのです。両方ありますけれども、率直に言って、昭和四十六年に中教審がこういう考え方を答申の中に出して、そのときの教育現場などの反応は大変拒否的だったと私は記憶しています。ところが、五十三年度に、高等学校学習指導要領改定のときに全国の高等学校実態を調べましたけれども、そのとき、そういう世論はあっても実際には一〇%ぐらいの学校はすでにやっていたのです。五十三年度は一五%、ことしは二五%ぐらいやっているのです。ということは、世論として計数上はどのくらい賛成、反対かということはとったことはありませんけれども、現場の意識としては、これはやり方さえ工夫をすれば必要なんだという意識ではないかというふうに私どもは見ておるわけでございます。
  162. 栗田翠

    ○栗田委員 まだ研究が途中で二カ年の結論が出ていないということ、それから世論が分かれているという問題がありますけれども、いち早くこれについての人員増の予算をおつけになるわけですが、それはどうしてですか。
  163. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 それは結局この習熟度別学級編成だけの問題ではなくて、今回の高等学校学習指導要領改定趣旨自体が高等学校で、言うところの小中高を通じて七・五・三などと言われて、高等学校教育内容を現実にこなし得る生徒は三割くらいだということが高等学校校長さん自身の意識調査の中にも出てきているのです。それは何とかしなければいかぬということから内容の精選とか履習方法の改善というようなことを考えていろいろ現場の御意見等を聞きますと、実態として英語とか数学のようなものはこういう指導方法をとる方がベターだという御意見がありましたのでそれをとったわけでございますから、そのやり方については並行して研究をしなければなりませんけれども、今回これを入れることによって高等学校教育内容をもう少し実のあるものにするように努力したい、私はこういうふうに考えております。
  164. 栗田翠

    ○栗田委員 七・五・三の問題が出ておりましたけれども、一般的に学力を伸ばすためには習熟度別学級をつくらなくても先生をふやすことでも当面かなり効果があるわけです。その研究をしていくという意味学級についてはお答えになっていらっしゃるわけですけれども、今度は教員増は、習熟度別学級をつくるための教員配置その他の増員といろいろあるわけですけれども、これは交付税の算定基準になって各県に配当されていくと思います。この場合には、教員増として全部まとめて配当されて県が自主的に選ぶことができるようになっていますね。
  165. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 おっしゃるとおり十二年間で一万人強ですけれども、ことしはたしか六百人、それを県の実態に応じて配分しますから、その配分の中で県が何に割り振るかを考えていただく、こういうことでございます。
  166. 栗田翠

    ○栗田委員 最後に、高等学校の校舎建設の問題なんですけれども、さっきからお話が出ていますように、子供たちの数がこれからもふえていって、適正な規模ではない四十五人、中には四十七人という学級がいまあるわけですが、今後も自然増もしばらく続くし、進学率がふえるということも続くわけですね。そうしますと、学級編制を四十人にしていくということもさることながら、何といいましても、いま高等学校をどんどん建てませんと、適正な規模にするどころか、四十五人を守ることさえもなかなか大変だという実態が出ているわけでございます。  いままで高校建設は三分の一の補助金が五カ年間ついておりましたけれども、五カ年で打ち切るかというような話もちらほら最近聞こえるようになってまいりましたけれども、これはぜひとも続けていただかなければならない補助金だと思います。いかがでしょうか、この辺はどうお考えになっていらっしゃるのでしょうか。
  167. 三角哲生

    ○三角政府委員 御指摘ないしは初中局長からの説明にもございましたように、高校生徒数と申しますか中学校卒業者数は、六十四年度までに百万人ないし百十一万人ふえてまいります。ただ、それが六十九ないし七十年までに、九十万人ないしそこらの数がまた減るという見通しがあるわけでございます。ですから、このふえていく状況をどういうぐあいにしのぎ対応をしていくかということは各都道府県の重要な課題であるわけでございまして、そして御指摘のように、このふえる状況が十ないし十一の都道府県に集中しておるということもございますので、国もそういった都道府県の財政に協力しようということで、五年間の緊急対策として国の補助をずっと行ってまいったわけでございます。したがいまして、現在はその五年間ということでいたしておりますので、はっきり申しますと、この補助制度は五十五年度が最終年度ということでございます。  ただ、六十四年までふえる、それから進学率の増高というものも勘案をしてまいらなければなりませんので、こういったことにどういうぐあいに各都道府県が今後の計画として対処していくか、あるいは都道府県の財政の状況と比べて国の財政状況が果たしてどういうふうな見通しを持つことができるか。一面この高校の設置は都道府県の責任の仕事でございます。ただ、そういう状況に対応して国がこれに協力しておるということで、いわば財源の分担の問題でございますので、五十六年度以降どういうぐあいにいたすかにつきましては、いま申しましたような都道府県の状況等も十分ににらみまして慎重に検討をしなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  168. 栗田翠

    ○栗田委員 自治体の財政危機というのは、なくなっていないどころかむしろひどくなっているわけです。しかも、子供の進学率は高校へどんどんふえているという実態があって、しかも、一クラスの規模は決して適切ではないし、四十人でも高等学校としてはまだ適切ではないんじゃないかと思いますけれども、こういう実態の中でのことなのですから、ぜひともこれは継続できるように、前向きに検討していただきたいと思っております。大臣、その点ぜひ御努力をいただきたいのですが、いかがでしょうか。
  169. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 御存じのとおりの環境でございますので、これは財政も含め、地方財政も含め、また教育環境の方から言えばまだ改善されていないじゃないかという、そういう相矛盾するような環境が重なってきておるわけでございます。したがいまして、来年度どうやるかという問題はこれからの問題でございますが、相当に腰を据えた検討をしなければいかぬ、かように考えております。
  170. 栗田翠

    ○栗田委員 以上で終わります。
  171. 谷川和穗

  172. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は本当にこういう問題は素人でございまして非常に初歩的な質問だと思いますけれども、ひとつ丁寧に教えていただきたいと思っております。  きょうも私のところは党大会をやっておりまして、地方の代議員から、教育の問題にとても熱心でございまして、今度四十人学級ということがあるけれども、私のところの町では三十人そこそこのところが多いのだがこれはどういうことかという質問がありました。つまり、全体としてはこれは八万人もふえるということだけれども、そんなに先生が要るのですかという趣旨の質問が出まして、そういうふうに考えている人がかなり多いということなんですね。そういうのに対して、文部省としてどういう御説明をなさるのか。  私は、これは日本も先進国なんだから、やはり生徒を余りだくさん抱えて教育をするというのは十分手が届かない問題がある、それは場所によっては非常に少ないところもあるだろうけれども多いところもあるので先進国並みにする制度の改革だ、こう申したのですけれども、やはり先生がこれ以上必要なのかなという趣旨の背景があるわけですね。そういう素朴な質問がかなりあった。だから、もっと意欲的に教えてもらえぬかなということがその背景にもあるわけだと思うのですね。そういう質問は全く荒唐無稽な質問なのかどうか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  173. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 日本の小中学校実態というのは地域によってずいぶん違うのですね。ですから、一学級子供の数が何人であるかということは、実態調査をしますと四十一人以上の学級というのは、小学校について言えば全学級の二六%なんです。四分の一ですね。それから中学校について言いますと全学級の二分の一なんです。五一%。ですから、その残りは四十人以下なんですね。しかも、その四十一人以上の学級の分布状態というのは、東京、大阪、愛知、神奈川、千葉、埼玉、兵庫、奈良、京都といった九都府県でそれぞれ約半分占めているわけです。ですから非常に違うわけなんです。それなものですから、最終的にはそういった過密地帯の四十五人学級というのを解消して全部アッパーのリミットは四十人にしようということにいたしますためには約三万八千人の教員増が要ります。そのいまの学級編制で四万三千要る、あと残りの三万八千というのは、養護教諭とか事務職員とか、いまの学級編制関係のない教職員の増ということでございます。
  174. 和田耕作

    和田(耕)委員 このほかに自然増というのがありますか。
  175. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 自然増というのは、要するに子供がふえれば学級編制は四十五人のままにしておっても先生をふやさなきゃならないというので、これはいまのところは、昭和五十五年、五十六年、五十七年とこの三年間は、毎年子供のふえる分に対応してふやさなければならない先生の数が約九千人ずつあるわけです。ことしもその九千人予算措置はしてある。五十七年度以降は、中学校はふえ続けますけれども小学校が減りますので、全体としてはそういう自然増という関係はなくなってくる、こういうことでございます。
  176. 和田耕作

    和田(耕)委員 ある学校によっては自然減というのもあるわけですね。その増と減の相殺が九千人ということですか。
  177. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  178. 和田耕作

    和田(耕)委員 よくわかりました。  この二月ほど前ですか、私の選挙区であります杉並のある学校へ行きまして朗読教室の傍聴をしたのです。杉並の人口のかなり多いところなんですが、そのクラスの数が三十四名、校長さんに聞きましたらやはりこんなものですということを言っておったのですけれども、所によっては四十七名というところが東京の周辺にもあるらしいのです。そういう問題については、こういう長期の計画とは別に当面の問題としてどういう対処をしでおるのかということですね。東京でも現在三十三、四名のところとあるいは四十七名というところがある。つまり一クラス十人以上違うのですね。それが同じ東京の中にある。これに対してどういうふうな対策を講じておるのかということですね。
  179. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは高等学校のように定員を決め選抜して入れるというのではなくて、義務教育ですから学区がございますね。学区の子供の数というのはいろんな経済情勢その他で増減がある。それでそこから集まってくる子供の数によって学級編制をせざるを得ない。そうしますと、いまの基準は最高四十五人ですから、仮に一学年に入ってくる子供が四十六人あったとしますと二十三人ずつ分けるんですね。四十五人いっぱいいっぱいだったらそれで一学級ということになるわけでございます。同じように九十一人あれば四十五、四十五で余りますから本当は三学級になっちゃう。そこのところが実際の運営としていま御指摘のように、あるいは四十五、四十六にしているようなところも出てくるわけです。実際のたてまえとしてはいま言ったように四十五人をリミットとして学級編制をしているということですから、どうしても子供の数によって三十人台の学級が相当出てくるというのが実態です。したがいまして、全国平均しますと一学級子供の数というのは小学校は三十三人なんです。中学校は三十七人、かなり少ない数字になっておるわけであります。
  180. 和田耕作

    和田(耕)委員 そうすると、日本の場合に人口の増というのは先進国では非常に低い方のところになっておるのですけれども、しかし場所によってかなり経済成長等のことで人口の移動がある。それに伴って教員が減っているところもあるが、ふえるところも多い。減るところはある限度があるということで教員の数はふえてきますね。この計画でいろいろ拝見しておるのですけれども、全体としては今後子供が減るにしても教員の数は子供の減るにつれて減らないという傾向として承知していいんですか。
  181. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 一つは、子供の自然減に対応して現行の学級編制なり教員配置基準のままやっていくと教員の生首を切らなければならないというようなことがここ十数年前から局地的に起きているわけです。たとえば秋田だとか山形だとか岩手だとか、それから九州の佐賀とか鹿児島とかいうのがありますが、それはそういう行政措置はできませんから、そこで幾ら子供の数が減っても教員の数は前年度の九八・五%だけは見ましょうという措置をずっとやってきまして、その措置が本年度の場合は鹿児島と秋田の二県になったのです。ということは、言ってみれば過疎現象がある程度とまってきたということで、今後の見通しとしては大体とまるのじゃないか。  もう一つは、いま言ったように子供の増減に関係なしに、たとえば四十人学級をやるとかあるいはその他の事由で教頭先生をふやすということによって教員増を図るというのが今度の計画でございますから、それと相殺という関係に立ちますと、いまの時点で十二年先を正確に見通すことは非常に困難でございますけれども、そう大きな狂いもなく、先生を無理にやめていただかなければならぬというようなことはないのではなかろうかというふうに予想しておるわけであります。
  182. 和田耕作

    和田(耕)委員 教育基本法の中にも先生の地位は保障されなければならないというような言葉があったと思うのですけれども、これは裁判官と違った意味で非常に大事なお仕事を預けておるわけですから、この人の地位というものは十分保障されなければならないけれども、と言ってあり余っても仕方がないことでありますから、その間の職場の転換ですね。いまやめてもらうなんということはなかなかできないから職場転換が行われる。職場転換なんということは、日教組との間でそうめんどうなフリクションなしに現在行われておるのですか。
  183. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 現在は公立小中学校先生の身分というのは、小中学校は市町村立ですから本来的には市町村にあるわけです。ところが、人事を市町村が持っていますと、実際には小さい市町村で人事のやりようがないわけですね。そこで公立小中学校教員に限っては人事権は全部県の教育委員会に上げておるわけです。したがいまして、県が全体の教員の状態を見て定期的には大体三月の末に異動するということでやっておりますから、県によってはかなり広範な異動が実際に行われておるという事情であり、また、たてまえは人事異動に関することは組合との交渉事項ではございませんから、いろいろ御要望等は出ると思いますけれども、教育委員会が主体的に処理をしていく、こういうことでございます。
  184. 和田耕作

    和田(耕)委員 県を越えての異動というのはどういうような処置になりますか。
  185. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは制度的には一遍当該県の教員をやめて、ほかの県の先生に新採用になるということですから、その点は戦前は中等学校教員については全国的な人事がやられたわけですけれども、いまはできないという意味で県間の交流はむずかしくなっておるというのが実態でございます。
  186. 和田耕作

    和田(耕)委員 大体わかりました。しかし、今後の教員数の問題、それから新しい配置がえの問題等を考え、しかも非常に大事な仕事をなさっておるということもあるので、教員配置転換という問題は、特にこの計画実施と関連してかなり強い関心を持って対策をしなければならぬ。文部省としてはそういうことを直接できる立場じゃないですけれども、全体の計画としての調整のとれた一つの方策あるいは指導というものは考えておかなければならないというふうに思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  187. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 私どもとしては一般的な指導にとどまるわけですけれども、現実問題として、たとえば長崎県のようなところは離島がたくさんある、それから長崎市のような市部があるし、本土であってもかなり僻地があるというようなことで、従来一遍離島に配属された方はなかなか本土の学校へ帰れないというようなことで、これは教員の士気にも関係しますし、適正な教員配置にも適当でないというようなことで、やはり県が全体計画を立てて、たとえば離島に三年おれば必ず今度は本土に帰しますというようなことで人事をやっておるようですが、具体的な事例になりますとやはりいろいろ抵抗があったり問題がありますけれども、私どもはそういう個々の問題については十分慎重に対処してもらうとしても、一般的には適切な人事交流をやって常に職場の空気が沈滞しないようにしてほしいという要望はいたしておるわけでございます。
  188. 和田耕作

    和田(耕)委員 その点特に要望しておきたいと思います。他の普通の職場の配置転換の問題でも、いろいろ生活上の問題と関連して当然問題が起こってくる。起こってきますけれども、それはそれとして解決されておると思うのですけれども、教員の問題もそういう問題を全体として見ながら、ぜひとも調和のとれた処置ができるように要望しておきたいと思います。  それからもう一つ、今度の計画の中で研修代替定数というのがありますね。現在教員の研修というのはどういうふうな形で行われておるか、御説明いただきたい。
  189. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 研修を考える場合にいろいろな側面からの話があるわけですけれども、文部省が計画して、たとえば教育会館の筑波分館でやるような研修もございますけれども、一般的には文部省が参考資料等を提供したりあるいは助成金を出したりして、県の教育委員会が任命権者として主宰するというものが多いわけでございます。その中身としては、たとえば教員になりたての先生、こういう方にもっと教育実習なり教育技術なりというものを短期間に身につけてもらうような意味で研修をやるとか、あるいは各教科の専門教員教科ごとにグループをつくって一つのテーマを追求して、いわばグループ研修、そういうことを奨励するとか、いろいろあるわけでございますが、そうしたものは大体一、二日からあるいは一週間という程度の研修でありますので、適宜勤務の間を割いて会場に集まって研修をするということで、この場合には格別代替措置というものは一般的にはとられていない。残りの先生方が協力してやっていただく。ところが、最近は長期間にわたって格段の資質の向上を図るという意味で、たとえば国立大学の学部とか専攻科に半年とか一年出かけていってあるテーマを求めて研究をするというような場合もありますし、またごく最近では、この四月から兵庫県の社町に兵庫教育大学ができて、そこに二年コースの大学院ができた。ここはことしは百五十人の入学定員でございますけれども、その百三十名強は現場の先生ということになりますと、これらの方は二年間現場を留守にして研修されるということになります。その間ほっておくわけにはいきませんから、そこでこの長期研修代替定数というのは、そういう長期研修の場合にかわりの先生を雇う、その定数、こういう意味で措置をしたわけでございます。
  190. 和田耕作

    和田(耕)委員 この研修の問題はいまのお答えで大体どういうふうに行うかということがわかるのですけれども、もっともっと力を入れてやってやる必要があるというふうに思うのですね。しかし、これは研修される方の先生にとってみると、ちょうど医者が、たとえば厚生省が医者を再訓練する、教育するというのはとてもきらうのですね。それに何か資格でもつくると、この前の登録医の制度みたいに大変な反対が起こったこともあるのですけれども、先生に研修によってある免状を出すとかいうふうなことはいろいろそれ自体問題だけれども、大事な仕事をなさっておるだけにやはり何か相互の経験の交換というものを——組合の内部としてやっておられることは承知しております。しかし組合というのじゃなくて、たとえば全国の教育委員会、府県の教育委員会が共同してそういう場を設けるとか、そういうふうなことはいまないのですか。
  191. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いま申し上げたような研修、たとえば文部省が主宰します中堅幹部とか教頭などの研修は、全国の学校から集まってきて一回二百人くらいでやりますから、これは後で感想を聞きますと、やはり自分の地域の学校だけが学校運営のあり方だと思っておったのがずいぶんいろいろなのがありますという意味で非常に参考になるので、そういう機会はできるだけ持ちたいわけでございますけれども、先ほど申しましたように現在の任命権者、研修責任者というものは県単位になっておりますから、それらの企てにも率直に言って限度があるというのが実態でございます。
  192. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの文部省の主宰の場合の数は、毎年どれくらいの教員が参加しておるのですか。
  193. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いま正確に記憶しておりませんけれども約二千人だったと思います。
  194. 和田耕作

    和田(耕)委員 こういう問題をひとつ精力的にやっていただかないと——教組壊しとか教組にあれするとか、そんなけちな意味じゃなくて、やはり日本の大事な子供教育する大事な仕事をする人ですから、知識からいっても教育の技術からいってもどんどん向上してもらわなければならないわけです。教組としても一生懸命やっておられることはよく承知しておりますけれども、それがだんだん全体としてよくなっているという印象もたくさんの人が持っているようですけれども、これは非常に結構なことだと思うのです。しかし、文部省なり教育委員会自体としてもこういうことを積極的にやっていくように指導していただきたいと思います。  それからもう一つは、子供がけがをしたとかいう学校の中の災害の問題です。いまこれは突然で申しわけないのですが、けがをしたとかいう問題について、ごく最近ある団体の人が陳情に見えたのですけれども、話を聞いているとこれはもっともだと思いますね。いまも相当の災害に対する補償みたいなのがあるようですけれども、やはり学校での子供の災害という問題については、この問題でも養護教諭の増員の問題がある。これは看護婦さんですか、ここにあるのは。
  195. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 養護教諭は独立した職でございまして、看護婦そのものではないのでございます。
  196. 和田耕作

    和田(耕)委員 こういう災害に対するいろいろな応急の処置ができるような人を配置するというのは大事なことだと思うのですが、さて災害が起こった場合に、何かいまの対策ではかなり不十分じゃないかという声があるのですね。幾つかの裁判ざたもあるようですけれども、この要望なさっている人は学校災害補償法という法律をひとつつくってもらえぬかということなんですが、これは文部省としてもいろいろ検討なさったと思うのですが、いかがでしょうか。
  197. 柳川覺治

    ○柳川(覺)政府委員 御指摘学校事故の問題でございますが、学校事故の発生の態様は複雑かつ多様でございまして、その原因や責任の所在の面から見まして、学校側に責任のある場合あるいは不可抗力的と見られる事故のほか、子供の不注意や心臓疾患などの明らかに子供の側に原因があるとか多様でございますが、この問題につきましては、前々国会の本委員会で、学校災害給付事業につきましての大幅改善を含めまして小委員会も持たれまして御検討された経緯がございます。それらの経緯を踏まえまして、五十三年度から、たとえば死亡見舞い金につきましては従来三百万円でございましたのを千二百万円に改善する、廃疾見舞い金につきましても千五百万円の廃疾見舞い金を給付するというような大幅な改善が実現いたしたわけでございます。その改善に基づきまして、事故発生につきましての給付事業をいま進めておるところでございまして、直ちに御指摘のような学校災害補償法の問題を取り上げるかどうかということにつきましては、いまそのような大幅な改善をなされてこれで対応しておるところでございますので、文部省といたしましては、この改善当たりまして国庫補助の実現もしていただきましたので、その線に沿った施策の推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  198. 和田耕作

    和田(耕)委員 たとえば運動をしておって足を折って、しかも障害者になってしまうという事故が起こった場合に、労働者が労働現場で起こったときは労災法が適用されるわけですけれども、学校の災害の中でも授業中にいろいろそういう災害が起こった場合には、やはり労災法に準じたような制度があってしかるべきだと思うのですね。たとえばいま小学校なんかでアスファルトの校庭なんか一生懸命走ると、転んで足を折ったりして大けがをする子もあるわけだけれども、普通の自然の主ならそんなことはない。それがアスファルトとか、かたい校庭になったばかりにこういうような事故が起こったというときなんかも、やはりいまの体育の授業中に起こったと同じような、そういう補償の観念というものが適用されるべきだというふうに思うのですけれども、そういう面で、労働者の現場で労災法が適用されるという意味でかなり限定されると思いますけれども、労災法的な考え方が適用されるような学校災害も起こり得るし、現に起こっている場合があるわけで、そういうことを今後考えていく余地はあるかないか。
  199. 柳川覺治

    ○柳川(覺)政府委員 御指摘学校の管理下における事故につきましては、あらゆるケースにつきまして災害共済給付の対象として対応するということで、現在日本学校安全会で災害共済給付事業を推進しておるところでございまして、この一部は保護者の掛金の負担がございます。また、一部は学校の設置者が負担しておりますし、また、それに対しまして国の方も国庫補助財源を実現したという経緯がございますので、このたびの五十三年度からの大幅な改善によりまして、事故に対する救済措置はかなり徹底してまいっておるというように感じておるところでございます。
  200. 和田耕作

    和田(耕)委員 数は非常に少ないと思いますけれども、現在のかなり限定された補償をもっと拡大していくということについて今後ともひとつ御検討を賜りたいと思います。これはその要望にとどめておきます。  続きまして特殊学級の問題、特に特殊教育学校に関する問題なんですけれども、先生の資格の問題なんです。これは私はもう十年ぐらい前に文部大臣と厚生大臣に社会労働委員会の場で質問をしたことがありました。その問題について、学級編制の問題に関連して特に御質問してみたいと思うのですけれども、大臣、特殊学級をごらんになったことがありますか。
  201. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 大臣に就任しまして、まず通常の小学校と養護学校を一番先にひとつ見たいと思いまして、見てまいりました。
  202. 和田耕作

    和田(耕)委員 私の選挙区は東京四区で、杉並、渋谷、中野ですけれども、特殊学級へ行っている子供を持つ五人ぐらいの特に困っている人のお母さんを知っています。その人によく頼まれて渋谷の大和田小学校それから杉並の済美等の学校に何回か行ったことがあるのですけれども、あの特殊学級での教え方を見ていますと、普通の黒板に字を書いてそのままわかる相手じゃないのです。言葉で話をして理解をする相手でもない。大部分がたとえば遊戯の時間で球遊びをする、球が変なところへ飛んでいく、それを取ってきてまた遊ばすという種類の、体でもって、熱意でもって教えなければならないような教えの内容なんですね。この内容について、その子供を持っているお母さんは、朝八時半から子供と一緒に出かけて、四時半ころまで一緒におって、そして帰ってくるのですね。そういう内容の場合に、特殊学級先生が、普通の先生と同じような資格のある先生だけでそういう教育ができるかどうか。確かに五人の先生が必要であれば一人か二人は資格がある先生は必要だと思うのですけれども、あとの三人あるいは四人の人は、もっと子供の状態に理解を持ち、愛情を持ち、そして一生懸命に教育をしようとする父兄の中から、あるいは父兄でなくてもいいのですが、そういう適格者の中から、たとえば仮に普通の先生の月給が二十万としますと、二十万の三分の一ぐらいの五、六万の交通費と手当ぐらいのところでもいいと思うのです。つまり教育助手のような資格を特殊学級教育の中には置いた方がはるかに効果的な教育ができやしないか。何回か学級内容を見まして、そういうふうに私は思ったのです。いかがでしょうか、考え方として。
  203. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 私から事務的に申し上げますけれども、学校ですから、いまのたてまえはおっしゃるように養護学校の場合も養護学校教諭免許状というものを持たないと先生になれない。しかしこの教育は、御指摘のように、盲聾、養護の対象になる子供についての教育内容なり方法を専門的に修めておるということが必要でありますが、同時にそういう教育に対して献身的に熱意を持ってやるという、その熱情がないとなかなか継続しないということはそのとおりだと思います。実際行ってみますと、そういう先生方がかなりおられるわけです。  そこで、いまの先生の御指摘のような点についてどういうふうに考えているかということですが、一つは、当分の間ということでありますけれども、盲聾、養護学校教員免許状は持っていなくても、普通学校先生免許状を持っておってそういう教育に熱意のある人にはなれる道を開こうという意味で、普通学校免許状を持っていれば先生になれるということがございます。  それから、教育活動を主体にするわけではありませんけれども、ああいう学校ですと、かなり障害が重い、特に肢体不自由者の場合は学校の中での教場間の移動とか登下校の際の校門までの見送りとか、いろいろな世話があるわけです。これは別に介護員を置いております。これは格別資格がなくても、若い女の方なんかでも熱心な方をお願いして、そういう身辺のお世話をしてもらうという制度でございます。  もう一つは、地方へ行きますとこういう学校には寄宿舎が置いてある場合が多いのです。寄宿舎で働く先生は、舎監の場合は先生の資格がなくてはいけませんけれども、寮母という制度がありまして、障害者に対して日常の食事とか洗たくとか排便のお世話をする人で、制度上は教育公務員特例法で教育公務員だということになっておりますので、むしろ資格を設けるべきだという御意見もあるのですけれども、実態はそうでなしに、資格なんかよりも子供の世話を朝から晩まで献身的に見てくれる人でないと困るじゃないかということで、現在のところは寮母については何ら資格がなくてもそういうことを一生懸命やってくれる人をお願いするということにしておるわけです。  それから、いまおっしゃった父母なんかの場合は、言ってみればボランティアとして往復の送り迎え、あるいは教室に入って自分子供さんの勉強の様子を見るとか、いろいろやっておられるケースもあるかと思いますが、これは全部の父兄というわけにはいきませんから、いわば自発的なそういう活動をお認めする形で運営されておるというのが実態であると思います。
  204. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は、いままで社会労働委員会に長くおりまして、いろいろな社会施設の状態をよく拝見しておるのですけれども、どうも日本ではボランティアの形の活動は余りなじまないような気がしてならないのですね。ヨーロッパ諸国で長年キリスト教のヒューマニズムを背景にして自然に出てきたあのボランティアの活動が日本の場合はかなり限定されているというのか、なかなか一つの機関になじんでいかない。むしろその機関にきちんとした職員の数をふやす。その職員の数をふやすにしても、やはり普通の正当なサラリーをもらう人というのでは、これはとてもたまったものじゃない場合があるわけだから、普通の職員の三分の一の費用でもいいから、つまり日本的なボランティアという感じの職種を置いた方がはるかに効率的だ。あるいはいろいろな福祉施設の管理運営にしても、町のボランティアが行くと職員とのはだ合いが違うのです。どうもうまくいかないような面が多々あるわけで、この特殊学級あるいは特殊学校教育のシステムの中には、何か普通の学校とは違ったそういう制度をひとつ試験的に導入してみたらどうかと私は思うのです。制度としてではなくて行政的に、この学級にはたとえば父兄の中から適格な人を選んで費用は三分の一ぐらいのお金を出してあげる、そうでなくても子供と一緒に来ているのですから。何かそういうことを一遍試験的にやってみたらどうかと私は思うのですが、大臣、いかがでしょうね。
  205. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 私も社労が長かったものですから、こういう施設を学校関係なく大分拝見いたしました。いま先生のおっしゃるようなボランティアの活動の問題をどういうふうに吸収していくかということは非常に大切な問題だと思います。ただ、これは一つ研究題目として考えなければいかぬのですが、現在の制度でも、たとえば先ほどお話がありましたような介護員の制度の中には、そういう身内に障害児を持っておる諸君からのあれもできるわけです。私も個人的に接して考えておりますと、案外に障害児の世話、ことに学校等の問題に対しますボランティアの分野というものは少ないように思うのです。つまり長続きし得ない問題があると思うのです。確かに自分の子弟が障害児でございます場合には、送り迎えのような問題につきましてはやはりずっと長く続けてやらなければならぬという気持ちもありますし、続いておるものもありますけれども、全体的に家庭でも終始めんどうを見るということの重荷の上に、障害児を持っておる上にもう一つボランティアとしての要望をいたしますことは少し過重な負担になるのではないかという感じを実は持っております。それ以外の方々のボランティアとしての分野というものは、これはできるだけ実際に役に立つように広げていく可能性を持たせて検討していかなければならないと思います。先生の御指摘になっておりますものは、私たちが問題として十分に検討をして生かしていく可能性のあるものはどうしても生かしていかなければならないと思いますが、やはり正式の対応するものを置きませんと負担が大き過ぎるような感じが実はいたしております。ボランティアの諸君の分野に対しましては、さらに検討は進めていかなければならぬと考えております。
  206. 和田耕作

    和田(耕)委員 おっしゃる意味はよくわかります。私はこのごろその関係人たち、父兄に話を聞きますと、そういう人がおりていただいた方がいいのですと。率直に言って、残念ながら資格がある先生というのは、資格があるだけに一生懸命にならない。なる人もおるのですよ。一生懸命やっておられる先生が私のよく知っておる人にもいるのですが、平均的に言って、たくさんお金を出してあげるとか、二年で交代させてあげるとかということでないと、なかなか一生懸命にならないという実情があるわけです。そういう気持ちではこの人たち教育はできるわけはないし、やはり体で教えて気持ちで啓発していかなければならない人たちですから、この制度の問題は、ボランティアでできれば一番いいのですけれども、先ほど申し上げたように、日本の場合ボランティアという制度が私はかなりいろいろの経験から見てそうなじむとは思われない。それならば、その内容を含めたそういう補助制度をつくってみる必要がありはしないかと私は思うのです。内容はボランティアのあれでいいのです。ただ、制度として補助的な制度をつくってみるということが必要ではないかというふうに思います。医者なんかでも、私はよく武見さんに怒られたことがあったのですけれども、ある学校を出ないと医者になれないなんてことになると、医者がいばってしようがないわけです。だから、医者になるために裏口で五千万円も六千万円も金を出して、ろくろくできもしない医者になるよりは、あるいは十年、十五年とたった人には医者に準ずる資格をつくって、そういうある限度において診察も治療もできるということにすれば、医者自身にも刺激になるしということを言ったことがあるのですけれども、この特殊学級についてはそういう意味合いもあると思うのですよ。ある熱意のある人たちが一生懸命教育に当たっている。資格のあるもっと上部の先生方に対しても、もっといい刺激を与えることもあり得るわけで、そういうふうな雰囲気をつくらないと、特殊学級、特殊学校教育というものはなかなか実を結んでこないのじゃないか、そういう気がしてならないのですよ。こういうものは、ただ形式的にこういう制度があってこういうことをやっておりますというだけでは片づかない問題でありますので、ぜひひとつこの問題は御検討をいただきたいと思います。  続きまして、余り長いこと質問するつもりはないのですけれども、学級編制の問題に戻りますが、これは公立学校ですね。私立学校は全くこの範囲外にあるわけですね。
  207. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 今回御審議願っておりますこの法律案と関連する予算は、公立の小中学校の問題でございます。
  208. 和田耕作

    和田(耕)委員 だけれども、義務教育を私立でやっているところもあるでしょう。そういう場合はどうなのですか。
  209. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 おっしゃるように小中学校も私立のものがあるわけでございますが、こういう私立の小中学校運営の基本を示すものは学校教育法の体系になるわけでございまして、学校教育法の方からいいますと、小中学校学級編制は五十人以下とする、こういうことになっておりまして、これができたのが昭和三十四年ごろなのですね、当時公立も五十人の時代でしたから。現在もその規定が生きておる。したがって、制度上は私立については五十人学級もあり得るという実態になっているわけでございます。
  210. 和田耕作

    和田(耕)委員 やはりこれは義務教育の対象になる人たちについての教育ですから、公立学校で必要だということはできるだけ私立学校に対しても同じような基準と、そして同じような必要な援助を与えるべきではないかと思うのですけれども、これはいかがでしょうか。
  211. 三角哲生

    ○三角政府委員 私立の小中学校についての御指摘でございますが、いま御説明がありましたように、私立についてはやはり私立の設置者が当該学校の施設設備の状況や経営上の観点を考慮して、なるべく公立学校に準じた運営をしていただくというようなたてまえになっておるわけでございますが、実態をちょっと申し上げますと、現在私立の小中学校の一学級当たり児童生徒の数でございますが、これは現在と申しましたが、五十三年五月一日の資料でございますが、平均で小学校が三十五・六人、中学校が四十三・二人でございまして、小中学校につきましては私立はかなりがんばってやっておるというふうに思えるのでございまして、そして今後も改善のために私学自身が御努力をなさるのであろうというふうに私どもは見ております。  ただ、公立と違いまして選抜のもとに学級の編制を行ってまいりますので、四十人を超えたら直ちに学級一つふやすということではなくて、一学級の人数を適正な規模に減らしていく。それから場合によって一学級ふやそうということになりますと、改めて都道府県に対して学級増の認可を申請する、こういうようなことで、その転ばしぐあいはちょっと公立とは違ってくると存じます。  それから助成のことでございますが、これは先生御承知のように、私立高等学校以下幼稚園に至るまでの助成は各都道府県にやってもらっておりますが、その都道府県の助成に対して国も御協力申し上げるという意味予算措置を行っております。したがいまして、その助成の配分の基準みたいなものは若干都道府県によって工夫の仕方が違っておりますけれども、基本的には教育充実に努力する学校には助成の方もよけいに出していくというようなことが基本の観念としてございますので、そういう意味で、今後私学助成充実していく過程においても、そのことを忘れずにやっていただこうということであろうかと考えております。
  212. 和田耕作

    和田(耕)委員 ぜひとも私立学校にもこの精神を適用するようにひとつ御指導を強化していただきたいと思います。  そこで高等学校の問題ですが、最近高等学校は九三%余の人が行くというのですから、事実上義務教育と同じような内容を持ってくるわけです。公立の高等学校の問題も大体これに準じたものと理解していいのですか。
  213. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 ちょっと御質問の意味を的確に理解していないかもしれませんけれども、定数改善の問題でありますならば、小中学校が十二年間で四十人学級にするというのに対しまして、高等学校の方は、現在農工水産といった実験、実習を主体とする課程は四十人ですけれども、普通課程は四十五人ということであり、この四十五人の問題は今回の十二年計画の中には入っていない、こういうことでございます。
  214. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは特殊学級等についても大体同じような形のものですか。
  215. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 特殊学級というのは、精薄児などを中心に特別の学級を設けて教育をする学級ですけれども、制度上は小中校に特殊学級が設けられるわけでございますが、現在のわが国の実態としては、高等学校には特殊学級は設けられておりませんので、小中だけの問題となっておるわけでございます。
  216. 和田耕作

    和田(耕)委員 ああそうですか。高等学校にはないのですか。それでは特殊教育学校、これはどういうものなんですか。
  217. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 普通の学校の特殊学級というのは、いわば障害の程度が軽い子供さんですね。それがさらに重い精薄であるとか、あるいは全盲に近い人であるとかいうことになりますと、これは普通の学校ではなかなか教育ができかねますので特殊学校に行く。特殊学校というのはまとめて言った称号であって、具体的には盲学校、聾学校、養護学校、この三つに分かれるわけで、しかもその養護学校の中には、その障害の対象によって精神薄弱児を対象にする養護学校、肢体不自由者を対象にする養護学校、病弱、虚弱者を対象にする養護学校、こういうふうに分かれておるということになっております。
  218. 和田耕作

    和田(耕)委員 先ほどの義務教育の場での特殊教育を義務化しましたね。この一年間やった結果どういう所感を持つのかということです。
  219. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 具体的な実績をちょっと申し上げますと、従来近くに養護学校がなくて普通の学校の特殊学級に行っておったり、あるいは就学猶予、免除という制度があって学校に行かないというような子供さんもこの際養護学校へ入ってきたということで、子供の数が五十三年度から四年度に比べまして約一万七千人近くふえている。これは養護学校自体が約六百五十校ほどになりましたから、そういう施設の量的拡大というものがあり、それに対応して子供がふえ、さらにいま申しました猶予、免除者が従来は約一万人近くあったのですが、それらの人が養護学校へ籍を置くことによって本当の猶予、免除ということで全く教育から離れておるような方が三千三百人程度に減ったというような実績がございます。  それらの運営で、たとえばそういうふうに養護学校対象者がふえたということは、実態としてやはり従来は学校教育の対象になり得なかったような非常に障害の程度の重い、あるいは一人の子供さんで幾つかの障害をあわせ持つというような重度重複障害児というような者も学校教育の対象になりましたから、そこで養護学校教育運営上のむずかしさといったようなものも出てきたろうし、また社会一般の考え方として、われわれはこういう制度があります限り重い障害者は養護学校へ行ってほしいわけですけれども、親の希望としてはそれよりも普通学校へ行かせてくれ、その辺の調整を十分話し合いをしてつけていかなければならぬというような実際の運営上の問題であるとか、義務化したからそれで終わりというのではなしに、これからこれを円滑に目的に沿って運営していくためには、私は率直に言ってまだいろいろ問題があると思いますので、そういう点を少しずつ改善をしていくというのが仕事だろうと思います。
  220. 和田耕作

    和田(耕)委員 この学校教育しておる子供の数は、現在全体でどれくらいですか。
  221. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 いまの養護学校対象児だけを申し上げますと、五万六千九百五十人というのが五十四年度当初の調べでございます。
  222. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは予想したのと比べてどうなんでしょう。
  223. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これはいまちょっと正確な資料を持っておりませんけれども、大体予想した程度数字になっているものと思います。
  224. 和田耕作

    和田(耕)委員 いまの父兄が普通の学級に入れてもらいたい、できるだけ軽く軽くというのはこれはもう父兄の気持ちで、私は自閉症の子供を持っているというお母さんと親しいのですが、普通の医者とかそういうような人は全部精薄だと言うが、いやこれは自閉症だと言って聞かない。そういうところへお世話しようと思っても、受け入れる学校はこれは精薄で自閉症じゃないんだということでなかなか折り合いがつかない。これは大変苦労したと思うのですけれども、いまのそういう父兄の持っている普通の学級へ入れてもらいたい、できるだけ普通に近いところへ入れてもらいたいという要望に対してどういう処置をなさっておられるか。
  225. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 この問題は、制度的には、養護学校は大体都道府県立でございますから、都道府県の教育委員会がそれぞれの子供さんの障害の程度に応じてどこの養護学校へ行きなさいという就学通知書を出すということから始まるわけですね。そこで、その判断を教育委員会がするに先立って、各都道府県と市町村に就学指導委員会というのを設けるように指導してきたわけでございます。この就学指導委員会は、お医者さんと学校先生、それから社会福祉施設の職員、こういう人から構成しまして、そこでそれぞれの子供さんについて障害の程度を見て、従来の経験なり医学的判断の見地からこれはとても養護学校だというような判断をして、その際、いま先生がおっしゃるように、親としてはぜひ普通の学校に入れたいというような場合に、そういう専門家の立場から説得をしていただく、こういうことでずっと運営をするようにしてきているわけですが、率直に申しますと、結果として、ことしも幾つかの県でおっしゃるようなそういう話し合いがなかなかつかぬというような実態があったようでございます。
  226. 和田耕作

    和田(耕)委員 最後に、この特殊学級、特殊学校教育は、その子供の職業とかなり関係のある場合があると思うのですけれども、職業につかすということとの連絡はどういうふうになさっておられますか。
  227. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 軽い精薄なんかは、中学校の段階で基礎的といいますか簡単な手作業みたいなもの、箱をつくるとかれんがをつくるとか、あるいは旋盤を回すとか簡単な陶芸をやるとか、そういうようなことを学校教育しているところもあって、そこを出てそういう職業につくという場合もありますが、いま高等部——高等学校相当の部を整備しまして、そこで職業教育をできるだけやらせる。そうしますと、盲者とか聾者の場合はあんま、はり、きゅうとか理容とか美容とか比較的社会的自立の可能な職業教育ができるわけですけれども、いまの精薄者を中心にした職業教育というのは、年齢的には中学校から高等学校の段階へ上がっても、かなり重い子供さんはそこで完全な職業教育が身につかないということで、その問題をどうするか。これは一つには、受け入れる社会の企業がそういうことを承知の上で雇ってくれるというようなところがないといけないんで、そういう点は労働省なんかと御相談しながら、いわば各県別にそういうことを推進するというようなことで、この問題は教育の場だけでなしに、社会との協力あるいは企業との協力ということなしにはなかなかうまくいかぬのじゃないかというふうな感じを私は持っているわけです。
  228. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは普通の子供と同じように子供の人権上、義務課程の教養を与えるだけではなくて、その子供の将来の問題、職業の問題とも関連してくるようにしなければいけない問題だと思うのですけれども、これは厚生省や労働省とも連絡をとって——これは普通の職場でという機会は、ないじゃないですけれども非常に限られる。したがって、これはそういう教育を義務化しておるわけですから、それと労働省、厚生省の授産の施設あるいは授産だけでなくてそれ自身で仕事をさせるというような機会を国や公共団体のかなりの費用を入れても考えるべきだとぼくは思うのです。そうしないとこの特殊教育は完成していかない。ただ、これは人道上やるべきことだなんということで済む問題じゃないのです。そういうことを関係の各省と相談なさって一つ教育の成果を見られるような場をぜひとも御検討願いたい。特にこれは大臣にお願いしておきたいと思います。  まだ時間が半時間ほどありますけれども、たっての要望もあるようでございますから、これで終わることにいたします。
  229. 谷川和穗

    谷川委員長 湯山勇君。
  230. 湯山勇

    ○湯山委員 時間の制約もございますし、重要な審議でございますので、質問の最初に基本的な問題について意思統一をしておくことが能率を上げる道ではないか、こう考えますので、ひとつ明確にお答えいただきたいと思います。  まず第一点は、四十人学級の実現、定数改善、これは子供たちのためにもわが国文教行政のためにも早いほど望ましいことだというようにお考えになっているかどうか、そこからお尋ねいたします。
  231. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 いままで他の先生方にもお答えをしておりましたように、文部省としましては原案的には九年という計画で財政当局と交渉をいたしたわけでございます。政府の意思としましては十二年、こういうことで決定をいたしまして、それでお願いをして予算編成その他も了し、法案もそれでお願いをいたしておるところでございまして、まずこれを実現したいというのが私たちの考え方でございますが、その過程におきましてそういう過程をとっておりましたことも十分にひとつ御認識を願いたい、かように思います。
  232. 湯山勇

    ○湯山委員 私が聞くのは、別に他意はありません。ですから、九年とか十二年とか十五年とかというのじゃなくて、端的に言えばこの四十人学級をつくるというのは一日でも早い方がいい、一年でも早い方がいい、できれば来年からできれば一番いいことなんで、だから早いほどいい、こうお考えになっているかどうか、これは大臣教育的な良識に基づいて簡単に答えてください。十二年がいいとか悪いじゃないのです。とにかく早い方がいいということかどうなのかということだけです。
  233. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 簡単に答えろということでございますが、一定の習熟する時間は必要だと思います。ただし、早くできればそれにこしたことはない、こういうことだと思います。
  234. 湯山勇

    ○湯山委員 それで結構です。  それからその次に、一学級生徒児童数、これはいまのは高校も同じでしょう、大臣。これはいろいろ局長の御答弁がありましたけれども、とにかく高校も四十人になることが可能な限り早い方がいい、これもよろしいですね。
  235. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 高校の問題に関しましては、これは義務教育とは少し違っております点が問題があると思っております。
  236. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣、同じことですからもう一遍。
  237. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 いろいろな条件があると思いますけれども、できるだけ早くそういう時期が来ればありがたいと思っております。
  238. 湯山勇

    ○湯山委員 結構です。  次に、この四十人というのは四十人が理想的であるということではない。これはお答えがむずかしいのはよくわかります。同じ授業をしていましても、たとえば理科なんかで先生が周りへ子供を集めてやるときには四十人だってずいぶん余ります。だから、やはりそのときには二十五人ぐらいがいいし、運動場で綱引きをやらすときに、三十人ぐらいで十五人ずつの綱引きなんというのはこれも気勢の上がらない話で、それは授業の形態によって違いますから、絶対三十五人がいいとか三十人がいいとかというのはなかなか出ないと思う。それはよくわかります。しかし、とにかく本来数学を教えるとか英語を教えるとかというのはマン・ツー・マンが一番いいのです。剣道を教えるにしてもそうですよ。上泉伊勢守に仕えて、生活をともにしながら剣道の修行をする、これが一番いいのです。ですから、本当にやれば一対一がいい。初期の教育というのはそうだったはずです。しかし、いつごろになりますか、ペスタロッチが貧民学校、これは貴族のように家庭教師をつけられない。そうすれば、できるだけ数多くの子供教育するということからこういう形態が出てきたのはそんなに古いことじゃないはずです。そこで、特殊学校なんかは、いまお答えになったように、今度は一人の先生で八人を七人にするのだ、それから重複の者は五人を三人にするのだ、結構なんです。その方が行き届くのです。けれども、それは能率の問題もあるし社会生活の問題もあるから全部そんなにしようとは言いませんけれども、四十人が一番いいなんということはとんでもないことなんで、本当教育というのはそういうものじゃないのですから、これについても、その中で大体このあたりと言えば三十から三十四、五、とにかくそれになお近づける努力はしなければならないということは、教育行政に当たる者としては当然持っていなければならないことだと思いますが、いかがですか、大臣
  239. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 四十人あるいは三十五人というふうに具体的な数の問題になってまいりますと、それがどれが理想であるか、どれが一番いいかということにつきましては、私はまだ問題のあるところだと思います。少なければ少ないほどいいということが果たして言えるかということ自体が問題になってくるのだと思います。海外の状況もありましょうし、あるいはわが国におきましても現場でいろいろこういう問題について担当していただいておる方々のいわば体験的な意見もあるわけでございます。これは今後ずっとやはり検討を加えていくべき問題の一つであると私は考えております。ただ、何回も申し上げたいのでありますが、いまの四十人学級をとにかくお認め願って、そしてこれを実現していくその過程におきましてまたいろいろと検討を加えていきたい、かように考えております。
  240. 湯山勇

    ○湯山委員 大臣、答弁がお上手になりましたけれども、その方は結構ですから、もっと素朴に答えていただきたいのです。というのは、それはむずかしいというのはわかります。三十五人というのをきちっと出すのはむずかしい。三十人、こうやるのはむずかしいかもしれぬけれども、とにかくもっと少ない方がいい。  そこで、先般の決議は、四十人以下という大変遠慮した決議内容になっています。これはいま局長がお読みになったもので四十人なら多過ぎはしないというのです。そういうことでしょう。これは少ないというのは一つもないはずです。多過ぎはしない。しかし少な過ぎるというのは四十人でなかったはずです、さっきの御答弁では。だから四十人以下にするというのは当然なんで、大臣もお隣でそうお聞きになったはずですが、いかがですか。イエスならイエス、ノーならノーと、急いでいますから……。
  241. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 四十人学級という概念の中に、制度といたしまして四十人以上の学級は認めなくて、学級数は四十人以下にすべきである、いまお願いをしておる問題はそういう意味を含んでおると思います。ただ現実に、理想的なと申しますとちょっと言葉が過ぎますが、学級の現実の姿、何名かということの問題になりますと、現在でも四十五人のものであっても、小学校の場合は平均して三十三人のクラスになっておる。これはバラエティーがあるわけですが、そういう平均数字が出てくるわけでございます。したがいまして、制度として何人学級であってそれ以上はいけないのだというのが今度お願いをしておる四十人学級で、四十人以上はいけない、こういうことでございまして、現実にクラスの数が何人がいいのかというのと、制度的に上限を幾らにするということとの間には若干差があるだろうと思っております。したがいまして、四十人の学級数をさらにどうやってしたらいいかということは、現在の制度としての四十人上限の学級を進めてまいりまして、そしてこの問題はその後の状況をよく考えて検討していきたい、かように考えるわけであります。
  242. 湯山勇

    ○湯山委員 いまのように、たとえば同じ学年クラスでも、体育の授業のときと、それからいまのような理科なら理科のそれは全く違うと思います。音楽なんかのときも、それは大ぜいで合唱すればうんと気勢も上がるし、そうかと思うとピアノなんか教えるというのがありますね。これなんかは一斉にやったって何にもならないもので、それは言われるようにいろいろな形態があるわけですから、音楽も体育も国語も皆三十が理想的だなんて、それはそうじゃないのです。そういうものを互いに勘案して、現在の状態ではこうだというのがそれなんですから、それを御理解いただければいいわけです。——いただいたようですから……。  そこで、この研究ができてないのははなはだ残念ですが、国立教育研究所はどうしてこれを研究しないのですか。
  243. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これは私そう詳しく聞いたわけではございませんけれども、個々の調査員の方々には深い関心を持っておる方もおられると思うのですけれども、これは研究としては私が聞いている範囲でも非常にむずかしい。そして学級規模だけを抽象的に取り出して研究しても研究にならないわけで、いま先生がおっしゃったように、個々の授業形態、教育内容、方法、それを扱う先生の資質能力、それからそれへの対象となる子供の実情と皆相関関係を持ちますから、それを抽象的に取り出すわけにはいかない。そうすると実験的にそういうことが可能かと言うと、これまた非常にむずかしいのですね。ほぼ同じような条件のものを比較してやるというようなことがあるいは考えられるのかもしれませんけれども、そういうことでこれまでも余り積極的な研究はなかったというのが実態だと思いますし、また私は今回この計画を立てる際にずいぶんいろいろ調べてもらいましたけれども、日本のみならず外国でも、イギリスなんかも数十年来このことが問題になっているけれども、実証的な成果というのはないのです。これはどうもそのとおりだし、そういうことからしまして、われわれとしては今後もその適正な学級規模のあり方というものを検討していかなければなりませんけれども、その検討の仕方はこれからいろいろ考えていかなければならないだろう、そういうふうに思います。
  244. 湯山勇

    ○湯山委員 大蔵省への文部省の説明は大変苦しかったようです、いまのようなことですから。ところが、いまの大蔵省予算要求のときの説明はなかなかそんなに的確に出ないのですけれども、気持ちはよくおわかりいただいて、やはり四十人よりもっと下げなければいかぬということを目指してやるということを御理解願っておきたいと思います。これは御答弁は要りません。  ついでに、大学局長にせっかくお見えいただいたのですから伺いますが、東京学芸大学のあの高校は、一学級何名ぐらいの編制にしておるか、御存じですか。
  245. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 私、現在存じておりません。
  246. 湯山勇

    ○湯山委員 これは聞きましたところ、大体五十名以上です。四十八、四十九、五十、五十一ですか、それでこれを私は悪いというのじゃありません。付属というものは研究機関でもあるわけですから、五十名以上の学級があってもいいし、同時に三十名の学級があってもいい。そういうちゃんと国が研究機関を持っておるわけですから、そこでやはり研究してもらうということが私は大事じゃないかと思うのです。そうすれば以後イギリスの例を引いたり、ヨーロッパの例を引かなくても、やはりこれが大事だ、こうすることが教育的に望ましいという結論をおのずから出すことができるわけですから、そういう研究こそ付属でやらなければならない問題でもあるし、教育研究所でやるべき問題ですから、早急にぜひひとつ研究ができるように、そういうことをやっていただきたいと思いますが、両局長いかがですか。
  247. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 付属学校のあり方というのは、いわゆる学部における教育研究が対応してその研究に協力をするという性質のものでなければならないし、したがって、付属学校のあり方というのは、まさに目的意識的に一つのテーマを取り上げて対応するものであってしかるべきだという点は私もよくわかります。  御指摘学級規模の点について、具体的にどう対応できるかということについては、これは大学の方の体制がどう整うかということも考えなければいけませんけれども、方向としては御指摘は十分に理解できますので問題提起をしてみたいと思います。
  248. 湯山勇

    ○湯山委員 研究所の方もよくやってもらってください。  その次に確認しておきたいことは、本年度予算の最終段階で先ほど来四党合意と言われますが、政府も一緒になっておったことは御存じのとおりです。そこで四十人学級など合意の内容ですけれども、「四十人学級など教職員定数改善計画」について、「概ね三年後に、各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討する。」という合意がなされておることは御存じのとおりです。諸澤局長流に言えば、それはそこで検討するのだから十五年になることもあるし、十二年のこともあるし、九年、六年のこともある。それは検討の結果どうなるかわからないというような御答弁になるおそれがありますから、そうじゃないのだということをひとつはっきり意思統一をしておいていただきたいということです。それはもし十二年でいいというならこういう合意は要らないことです。あれだけ御苦労なさって、自民党の文教部会の皆さんも御苦労なさるし、大臣も御苦労なさるし、坂田先生や多くの先生まで煩わしてとにかく芽を出したということも大変評価しています。しかし、やはり文部省が九年を出したということもあるし、私どもはそれよりもっと短くということを言ってきたいきさつもあって、これはいつ検討するかについても、五年後に検討するというようなことも出て、それを三年後に検討してほしいというようなことから出た合意ですから、この合意が何のためになされたか——これは検討の結果十五年にすることもあるとか、そのままでいいとか、そういう答弁はもう結構なんです。この合意の精神というものは、何とかして最初御確認していただいたようにできるだけ早く子供たちのために実現したい、それをできるだけ早くする、どうすれば早くできるかということの検討をするためのこの合意である、こう意思統一をしておかないと、後でまた、いやそうじゃないなどと言われたら困りますから、その合意であるということを御確認願いたいと思いますが、文部大臣はいかがですか。
  249. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 各党の間でのお話の経緯を詳細には存じておりませんが、いろいろなそれぞれの御主張がああいう形になったということは漠然としてではありますがお聞きをいたしております。したがいまして、いまここで私の口から、それは年限を縮小するための検討をするのだという趣旨のお答えを申し上げるのは遠慮をさせていただきたいと思いますが、従来から文教の当委員会におきます種々な御決定その他の御意思は十分に承知をいたしておりますので、そういう御趣旨のことも頭の中には十分含んで検討すべきものだ、こういうふうに考えております。
  250. 湯山勇

    ○湯山委員 この文教委員の人は、これを早く実現するためにそれぞれみんな努力してきた人ばかりです。そこで大臣がいまのような御答弁をなさると、これははなはだ不本意なことになりますが、十二年を延ばせという意見がどこかからありましたか。そこからまずお聞きします。
  251. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 政府の部内でいろいろ検討いたしました際は、初めからとにかくやらないんだという、つまり十二年、十三年、十五年というふうな問題よりももっと厳しいそういう意見もそれぞれ開陳をいたした結果として十二年という年限ということになった経緯があるわけでございます。
  252. 湯山勇

    ○湯山委員 だから、それでよければそれでいいのですけれども、とにかく三年後にもう一遍見直すというのは、それではまだ不十分だという気持ちと、十二年というその交渉の中で出たことだ——これは客観的な事実ですからお認めになりますね。
  253. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 文教委員会の皆さんの御意見がそういう御意見であることは十分承知をいたしております。
  254. 湯山勇

    ○湯山委員 そこで、そのことにつきまして去る四月八日に、安倍政調会長それから各党の政審会長ですか、そういう人と大蔵省の主計局長とで、この合意事項に対する対処方針というのを話し合ったのを禿河次長御存じですか。
  255. 禿河徹映

    禿河政府委員 そういうお話は承っております。
  256. 湯山勇

    ○湯山委員 そのときに、主計局長の御意見が大体そのまま書類になっておるのですけれども、「四十人学級など教職員定数改善計画 概ね三年後に、各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討する。」ということについて、対処の方針として「その時点で適切に対処する。」こうお答えがあったことも御存じでしょうか。
  257. 禿河徹映

    禿河政府委員 存じております。
  258. 湯山勇

    ○湯山委員 この「適切に対処する。」というのは、たとえば他の中小企業信用保険公庫の出資の増額とか行政経費の節減とかというものについては、対処方針では「適切に対処したい。」という願望的な言葉で言っておりますけれども、この四十人学級については「その時点で適切に対処する。」と言い切っております。これも御存じでしょうか。
  259. 禿河徹映

    禿河政府委員 「適切に対処したい。」とかあるいは「適切に対処する。」とかということで何か特別大きな意味の差があるものとしてまで私どもは受けとめておりませんけれども、この四十人学級の問題につきましては、「その時点で適切に対処する。」こういう御返答をしたということは承っております。
  260. 湯山勇

    ○湯山委員 大変明確な御答弁で安心いたしました。つまり「適切に対処する。」というのは、いま申し上げましたように、この再検討というのはいまのような経緯で生まれたので、そのことは大臣もお認めになったとおりです。だから、大臣がお答えになったような方向で、しかも「適切に」というのはその趣旨に合うようにということなんですから適切に対処されるというように理解しておりますが、それでよろしいですね。
  261. 禿河徹映

    禿河政府委員 私ども四党間で御指摘がございましたような合意事項があり、それに対しまして政府といたしましておおむね三年後にその後の計画について検討をする、こういう合意を踏まえまして「その時点で適切に対処する。」というふうに御返事を申し上げたことは存じておりますが、何分にもおおむね三年先において検討される事項でございますので、その時点におきます検討の方向についてどうこうと現時点で申し上げるわけにはなかなかまいらない、こういう状態でございます。
  262. 湯山勇

    ○湯山委員 大蔵省の御答弁としてはあるいはそうかもしれませんけれども、いま私と文部大臣との間で質疑応答いたしましたこと、そして私がどういう意図でお尋ねしておったか、お答えをいただいたかということについては十分御理解いただいたと思いますが、いかがですか。
  263. 禿河徹映

    禿河政府委員 先生の御質疑、これに対します文部大臣の御答弁、それは私ども十分拝聴いたしておりました。お気持ちはある程度私もわからないわけではない、かように考えておりますが、何分にも将来の検討の問題でございますので、それ以上のことはちょっと私の口からここで申し上げるわけにはまいらないことを御了解願いたいと思います。
  264. 湯山勇

    ○湯山委員 ちょっと禿河さんにしては歯切れが悪いように思うのですけれども、残念ですけれども——まあ残念じゃなくて三年後の結果をひとつ見せていただいて、いまの御答弁は事実をもってぜひお示し願うようにお願いいたしたいと思います。  それから次に、大臣はああいう御答弁をなさいましたけれども、今日こういう状態になったというのは政府、文部省の重大な責任だと思うのです。このことを少し申し上げますと、これは第二次のときに問題になりましたですね。そして四十九年に決議もあった。これは直ちに調査しておればもっと早くできたはずです。調査が五十四年には間に合わなかった。そこで、調査が間に合わないという理由のもとに、それでも五十四年から何か色をつけなければなるまいというので、大蔵省の方の前で言うのは悪いかもしれませんけれども、予算措置で事務職員と養護教員を六百ずつとにかく全国へ配ったわけです。それは、五十四年からこれがスタートする、その何というのですか、できなかった穴埋めというのか、出た形にするというのか、どっちにとってもいいような措置がなされています。しかし考えてみると、五十四年の予算編成のときにはいまのような財政再建の厳しい方針はありませんでした。むしろ公共事業によって景気を浮揚させるんだということでしたので、もしこれがちゃんと間をあけないで五十四年に出ていたら、私はもっと結果は違っていたと思うのです。  それから、先ほど来の校舎の建築についても、むしろ巨大な公共事業じゃなくて需要を喚起するようにそういう住宅とか学校とかいうものはどんどんやろうというのが五十四年の方針でしたから、もし文部省がその調査を四十九年にすぐこのとおりというのでやっておればそういうことはなかったけれども、残念ながらその調査が五十四年に持ち越されて、そして五十四年にこの法案を出すことができなかった。こう考えてみると、私はその責任は挙げて文部省にある、谷垣文部大臣にあるとも申しませんし、あるいは初中局長にあるとも申しません。とにかく文部省という、文教行政の責任者が今日こういう状態で難儀をしなければならない。その原因は文部省にある。これはひとつ谷垣文部大臣、わしは知らぬことだというのじゃなくて、文部大臣としての地位はずっと一貫しておるのですから、文部省に責任があったということをお認め願いたいと思います。
  265. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 五十三年に終わりました計画が五十四年度から引き続いて改善されて第五次に入り得なかったということは御指摘のとおりであったわけでございます。その間に十分な調査あるいは研究等がなされていなかったということもございましょうし、あるいは財政状況が今年とそのときと違うからと、いま振り返ってそういう御意見が出るわけでありますが、恐らく五十四年度の予算編成をいたしますときにおけるその当時の皆さんが考えられた予算編成の条件というものは、やはりそれはそれとして私は厳しかった事情もあったのだろうと思います。いま振り返ってみまして、過ぎ去ってみると五十四年度の財政状況よりも五十五年度の方が厳しい、これは事実であろうと思いますが、これはいま振り返っての議論でございますので、文部省に責任があるとかないとかいう議論を言ってみてもどうかと思いますけれども、文部行政の責任を負っておるものは文部省でございますので、その点につきましては文部省としても十分反省をせなければならぬ、こういうふうに思います。
  266. 湯山勇

    ○湯山委員 結構です。おっしゃるように私は死んだ子供の年を数えようとは思いません。そうじゃなくて、そういう文部省の責任というものを、いま大蔵省へも申し上げましたように、三年後の検討のときに事実をもって示していただく。まだそういう余地が残っておりますから、たとえそのときの文部大臣谷垣文部大臣であろうがだれであろうが、この責任はやはり文部省の責任として感じてもらいたいということを申し上げたまででございます。おわかりいただいたでしょうか。
  267. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 文部行政の責任を担っておるのは文部省でございますので、文教の政策が促進されるように努力をせなければならぬ、かように考えております。
  268. 湯山勇

    ○湯山委員 大変失礼なことを申しましたが、これはぜひ申し上げたい点であったので御了承願いたいと思います。  その次に、これからこの四十人学級及び定数改善をやっていくのに一番基礎になるものは児童生徒数だと思います。ところが、その児童生徒数についての掌握、一番基本になるものが悪い言葉で言えば非常にずさんであったということを指摘しなければなりません。それはやはり同じように子供たちのためにこの計画をできるだけ早く実現するという観点から申し上げたいのです。  きょうお配りいただいた資料を見ますと、旧生徒児童数と新と二通りあります。「公立小・中学校児童・生徒数の推移」(旧推計)それから同じようなので(新推計・五十四年十二月)こう二つあります。しかも、この根拠になるものは「人口問題研究所の「日本の将来推計人口」を基礎に推計した」とあるのですから、材料は同じです。しかも、文部省が同じ材料を使って一年くらいたっておると思いますけれども、その間にこの推計で見ますと、昭和六十六年で見ても、あるいは一番おしまいの七十年で見ても、生徒児童数に百万以上の差があるのですね。これは人口問題研究所の資料でやったということを聞きましたから、私も同じいまの人口問題研究所の資料をもらいました。ところが、いまのように同じ資料で、これ以外の資料は人口問題研究所にはないのです。高、中、低、それから何とか一定推計値を掛けた何とか出生、これしかない。五十五年度も調査したいと言ったのだけれども、禿河さんが切ったのじゃないと思いますが、切られたそうです。だからもう五十年のしかない。この同じ資料でどうしてこんな百万も差のあるものが出てきたのか私ははなはだ心外千万なので、お尋ねしたいと思います。
  269. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 これはいま御指摘のように、小学校子供で言えば昭和六十一年度以降は出生数の推計によらざるを得ない。そこで人口問題研究所に御相談をしたわけですけれども、人口問題研究所では、推計値のとり方として三つ持っているのです。それは一人の女性の生涯累積出生児数を平均幾らと押さえるかといいますと、高位推計値出生というのが二・一五人だ、中位というのが二・一〇人、低位というのが二・〇五人、こういうことなんですね。  では、いまの六十一年度以降の児童生徒の数をどの推計値でとるかというその出生率の問題になるわけで、これは去年の八月に予算要求をした段階で相談したときは、まあ中位推計値で計算した方が妥当だろう、こういうことでやったのが、さっき資料としてお示ししました従来推計という数になっているわけです。ところが、その後いろいろ意見を聞いてみますと、このほかに出生力一定推計値出生、つまり特定の年をとってそのときの出生率はどのくらいかというのを調べますと、五十年の実績として一・九一人というのがあるのです。これは私はよくわかりませんけれども、要するに四十九年以来の石油ショックなどがありますと実績が下がるのだそうです。そういうこともあって人口問題研究所としては、従来の中位推計値をとるのはちょっと多過ぎやしないか、こういう判断がございまして、それならばどのくらいにしたらよろしいかと相談しましたら、いまの低位推計値出生が二・〇五、それと出生力一定推計値出生一・九一、この中間ぐらいが現実の予想としては妥当ではないか、こういう専門的な立場からのアドバイスがございましたので、そこで十二月の予算折衝の段階では、いま申しましたような最新推計という形でこの数字を使いますと、結果としては七十八万、八十万程度の差が出てきたということでございまして、経緯を申し上げますとそういうことになるわけであります。
  270. 湯山勇

    ○湯山委員 それがおかしいでしょう。この数値は昭和五十年度のものですね。ですから、いままでのが狂ってきているのはわかっておるわけです。五十、五十一、五十二、五十三、五十四ともう明らかに狂っています。それを五十三年九月に中位なんというのはとんでもない。これは低位よりもっと下ですからね。それを中位をとって出して、そんなことをするものですから、大蔵省が見たらびっくりするような数字が出るわけです。  もう一つきょういただいた資料の中で、概算要求のときの数字と、それから「十二年計画における自然増減教職員定数および学級編制基準改善による改善教員定数」という二つの表が一枚のプリントにあります。これだけで見ても五十五年度から両方がずっと合っておるのです。ところが、六十年度になるとここで三百ぐらい先生の数が違っている。それから六十一年度で千八百ぐらい、六十二年度で二千五百ぐらい、六十三年度では三千以上、同じ六十三年度までとってみてもこれだけの中で合計七千ぐらい違っている。こういうもので概算要求をやるから、実際は七千も違いますから、本来から言えば自然増減のところでは、計では四千ぐらい減っておる。三角の四千ぐらいでなければならないのが三千六百七十一、ここではこういうふうに七千も多く見ておるのですよ。  これは人口のとり方がきわめてずさんであった。実態に合わないままとっておりますから、そこで局長が言われたようなのとの真ん中をとっておるのじゃないのです。また、それを文部省は勝手にひん曲げておるのです。ひん曲げておると言うと悪いけれども、調整しておるわけです。それだと余り不自然なカーブになるものですからね。ですから、これは非常に責任重大です。九年でできないというのは、実際は自然増だけでそれよりも七千も少なくて済むものを、これで概算要求をするから禿河さんもびっくりして九年は無理だなんということになるので、七千少なかったら、それぐらいならやってやろうとなるのですよ、これは。時間の関係もあるから多くは申し上げませんが、この傾向はもっと厳しいはずです。局長、修正していっていまのように百万ぐらい下げなければならなかった。実際はまた下がるでしょう。そういう感触は受けませんか。感触ですから遠慮なしに言ってくださいよ。
  271. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 感触と言われても、私もこれは全く素人ですから結局人口問題研究所の御意見に従わざるを得ないのですが、ただ、私の聞いているところでは、四十九年のオイルショック以来かなりがたっと下がった、それがどうも復元しないようだ、通常は復元するらしいのですけれども、今回のケースは復元しないようだというようなことを聞いておりますので、そういう意味で素人の判断をすればもう少し下がることがあり得るのかなという感じは持っておりました。
  272. 湯山勇

    ○湯山委員 やっぱりこういう数字で、しかも定数をはじく基礎になる児童生徒数ですからもう少し真剣にやらないと、これでは禿河さんが納得しないのも無理はないと思います。これは本当に大事な問題です。人口問題研究所もこう言っておるのですよ。七十年ぐらいになったら日本の人口は九千万になりはしないかと。毎日か朝日か新聞に出ていました。それは二までいかない、夫婦で子供が二人生まれない。それでいけばそうなるので、これも研究所の調査員の人が、婦人の社会的進出、子供中心から夫婦中心に変わってきた、住宅事情、教育費等生活費の増大、それが原因になって人口の減少傾向、出生率はもりと下がる、いまここでやっておる高、中、低、それから何とか掛けたもの、もっといくかもしれぬ、こう言っておるのです。それで感触としてどうですかと聞いたわけです。  そうすると、これはいまこの数字でこんなにいっていますけれども、実際はもっと下がる可能性が多分にあります。あるいは六十六年までの期間でもそれ以後においてもそうですし、何しろ生まれてない子供を六年数えておるのですから。そうでしょう。そこで、私がこれを言うのは、調査はもっとしっかりしたものにしてほしい、人口問題研究所も、こういう数字は責任を持てません、私たちが発表しておるのはいまの高、中、低、それとある指数を掛けたもの、四通りしかありません、あとのものはみんな、言葉は悪いけれどもやみです、勝手にやったことです、お聞きになったかもしれぬけれども、そう言っておるのです。  そこで、こういうことを申し上げるのは、概算要求したときよりは今度の方がはるかに事実に近づいていることは認めますが、これでもまだ遠いのです。だから、これはもっと減る可能性があるわけです。そうすればその分だけ年数を四年か五年短縮することも、そんなに大きくはないかもしれぬけれども、そういうきっかけになるものはあるのですよ。  これは大臣、いま結論の方を先に言ってしまいましたけれども、私はもし朝まででも粘れと言われればこの人口の数字本当に朝まででもやります。これはけしからぬですよ。文部省は、今度概算要求のときよりも七千名もトータルを少なくしておるのです。トータルが何で出たかというと、六十六年まで積み上げなければできないのです。その数字がそんなに大きく百万も違っている。これは本来ならば断じて許せない。しかし、きょうはもうそういうことを言いません。言いませんが、そういうことを考えていただけば、大臣、さっきのように私から言えないやとかなんとかじゃなくて、これは重大な問題ですから、やはりきちっとそういうものをやって、そしてこの合意の趣旨に的確に合うように全力を上げてやりますと言わざるを得ぬでしょう。いかがですか。
  273. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 いまこういう人口の出生その他の推測は恐らく人口問題研究所のあれによる以外にないだろうと思います。私も社労に属しておりましたので、人口問題には少し関係してやってまいりましたが、しかしこれが非常にデリケートな数字なんですね。ということは、生むか生まぬかという人の気持ち、これが非常に違うのです。正直なところ、これは人口問題を議論いたしますときに非常に重要な問題なんです。つまり、先ほど夫婦で二名と言うけれども、とてもそんなところへいってない。これは非常に大きな問題で、そういう問題も考えますと、この数年のそういう問題によります出生率の問題は実は重大な問題なんです。それですから、いま申しますような趨勢値をとる場合にこういうような問題が生じ得る可能性というものは人口問題の推測には出てくると思うのです。  いま具体的な数字でいろいろ御指摘を受けましたけれども、そういうような条件がそれぞれこの数年の間に、三年後の状況を踏まえますといろいろな問題が出てくることは覚悟しなければならぬ点だと思います。したがいまして、三年後の検討という問題は時期的にも非常に大切な時期だというふうに私も考えております。そういうことで先ほど来お答えをいたしましたように、当委員会のいままでのそれぞれの御議論その他も十分にわきまえて検討をいたしたい、かように考えます。
  274. 湯山勇

    ○湯山委員 これはもっと言いたいことがあるのですけれども、人口の問題は、本当を言えば六年でやればそんなことは一つもなくて済むのです、もう生まれておるのですから。六年から向こうが問題なんですから。大臣も言われましたように、五十年以降ある程度事実を積み重ねてきて、これじゃいかぬということを考えておるし、事実に合わせていくためにはどうしたってひん曲げなければ合わないのです。その作業を文部省がやったということですが、とにかく文部省が当初考えていたのよりははるかに少なくて済む、これは間違いのないことです。ですから、こういうことも申し上げて、生徒児童数というのが一番大事なんですから、いまのような点で三年後にはぜひりっぱな結論を出していただくことをお願いします。  それからもう一つ、これはそれと関連を持っておりますけれども、習熟度の問題です。これはいろいろ調べてみましたが、やはり疑問が消えません。さっきからお話もありましたが、大学局長、お茶の水や東京学芸は、これをやっておるかどうか御存じでしょうか。習熟度です。
  275. 佐野文一郎

    ○佐野政府委員 付属学校で習熟度別学級編成を行っているかどうかについては、私は承知をしておりません。
  276. 湯山勇

    ○湯山委員 私聞いてみましたら、学芸大学は、そんなことはよくないことだからやらないと言っておりました。それからお茶の水は、数学ではIをとるのとIIをとるのとIIIをとるのというように区分しているということです。これは局長の御説明とは両方とも違っておりますね。  そこで、その他にも聞いてみたのですが、たとえば本年度の六百名、各府県でどんなにしておるかというのはおとりになったでしょうか。習熟度別で何百名、その他で何名というのはおわかりでしょうか。
  277. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 まだ聞いておりません。
  278. 湯山勇

    ○湯山委員 私は幾つか聞いてみました。しかし返ってきたのでは、おくれておる者を追いつかせるということのためにやっておるというのは一つしかありませんでした。それは指定校です。局長の言われた指定校、工業高校です。ですから、英語、数学ではありません。数学と国語です。それについて学級編成をやって、それで数学なんかも大変熱心な人で成果が上がっているということでした。しかし、その他はほとんどそういうのはやっておりません。どうしておるかというと、進路等を特に重視している。指導主事にも聞いてみたのですが、やはり進路です。その進路は何で分けるかというと、共通一次を受ける者、受けない者、こういう区分をして学級編成をしています。あるいはまた六百名の割り当ての分については、小規模な田舎の方の学校は四十五名の学級定数だけ志願者がないんです。そうすると、生徒数に応じていままでやっていたが、今度学級数になりましたから、従来の生徒数でやっていた分は他よりも教員配置の率が少ない。六百人の中の割り当ての分はそれへ埋めたというのです。ですから、局長の言われる意図はちっとも通じてないし、われわれが心配したようにやはり進路別です。父兄にも相談しました。共通一次を受けるという者を編成してやっていると。こうなると、局長の言われる習熟度と実態とは大変に違っている、こう思いますが、いかがですか。
  279. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 先ほども申し上げましたけれども、習熟度別学級編成というのは、現在の高等学校教育実態を見た場合に、たとえばいま先生は東京学芸とかお茶の水を挙げられましたけれども、あれは非常に別種の入学試験をやって、ほぼ質のそろった子供をとっていますから、これは習熟度なんてやる必要はないと思います。しかし、各県の高校入試の実態を見ますと、県の教育委員会はいやがってなかなか言いませんけれども、私の聞いているところでは、英語や数学がゼロの子供が入っているのです。しかし、いまの高等学校の共通必修の中身を見ますと、現在では数学とか理科というのは最低六単位はやるということになっているのです。これはとても実際問題としてこなせない子供がいるというので、今度はその六単位自体を四単位にしぼったわけです。しかも、その四単位の修得の仕方も、従来は毎週四時間一年間やらなければいけませんよ、こう言っておったけれども、実態としてはそれで履修できない子供もいますから、そこで、そういう場合には六単位時間かけてもいいから四単位時間やりなさい、こういう指導をしたり、あるいはどうしてもしようがなければ、二単位の中身でも場合によっては構わないということまで弾力化しているわけで、習熟度という問題もまさにそうした実態に対応した履修方法の改善という見地から私どもは考えたわけでございます。したがって、先生おっしゃるようなことは、これを発表しますと、確かにそんなことをやると習熟度に名をかりて受験第一主義の学校ができたり、あるいは非常に質の悪い子供だけ集めて非常にレベルの低い教育をしたりということがやりやすくなるじゃないか、それはけしからぬぞという御批評を私いただいております。しかし、私はそういう危険があることは十分承知しておりますけれども、それだからといって、いまの習熟度のような対応をしないで本当子供教育が徹底できるかというと、私はできないと思うのです。そういう意味で、これはどうしてもやりたいということで始めたことでございますから、いま先生がおっしゃるような点は十分考えなければいけませんけれども、そのやり方については工夫をこらしたい、こういうふうに思うのです。
  280. 湯山勇

    ○湯山委員 私は、局長のその考えは一〇〇%支持します。それは支持するのですけれども、しかし果たしてそれで言われるようになるのか。たとえばいまの受験地獄、それから学歴社会、そういうものを控えて一体他の父兄もそのことを納得するかどうか。高校教育に当たっておる校長さん自体が、うちは今度はどこの大学に何人入ったというようなものをちゃんと掲示してありますよ。そういう状態の中へいまの局長の言う理想的な状態を持っていって果たしてそれが局長の考えどおりにいくかどうか。私どもは、高校は全員入学、ともすれば義務制でもというぐらいに考えておりました。そうなったときに、習熟度のおくれというのがあることは事実です。それを引き上げてやる、それは高校へたくさん行けば行くほどその必要は感じます。それをやるのならやってよろしい。しかし今日の状態では、それは非常に理想的なことを局長は描いておられるし、あるいは中教審の人もそれを描いたかもしれぬけれども、いまの高校の中へそれを持ち込んでいって果たしてそれがこなれるかどうかという問題は残ると思うのです。  そこで、それならいっそ小学校のように学級定数を少なくして増配になる分をふやしていくということの方が効果的じゃないかなという気もするし、その辺のことは信念は非常に尊敬しますし、また、考えも間違っているどころじゃなくて正しいと思うのですけれども、現実がそれに合っていない。社会、父兄、教師、合っていない状態で果たしてできるかどうか。現にお茶の水だって学芸大学の付属だって全部が全部東大が受かるわけじゃないのですから、やはりおくれているのも早いのもあると思うのですよ。だから、お茶の水なんかは、いまの数学IIIへ行く者、IIへ行く者——Iはやはりおくれておると思うのです。それはあるのですから、やる気になれば、どんなに優秀なのがそろっていると言われる高校だってできないことはない。しかし、局長がお考えになっているようなものにはほど遠い困難な状態にあるということを申し上げたいのです。それで意見はいろいろおありでしょうけれども、私は言われたことはよくわかるし、本当高校に全入すればそういうことがうんと必要になってくる。したがって、いまの九学級に一名ぐらいじゃなくて、ひょっとすると九学級三名ぐらいやらぬといくまいということも考えないことはないのですけれども、この辺は十分御検討願いたい。そうしないと、やってみて一体何のために共通一次をやったのか、一体なぜ普通の高校課程をやっておれば受かるというような指導をしたか、こういうことも問題ですししますから原則的にはそのことを申し上げます。  それから高校一年生は対象になりませんよね、入ったときには習熟度はないんだから。一年生はどうお考えだったのですか。
  281. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 高校実態からしますと、一年に入ってきた子供は、先ほど申しましたように入学試験のテストの成績が特に開きがあるのはやはり英語と数学なんですね。そして一年で勉強する中身というのは、共通必修の中身を大体やるわけです。少なくとも高等学校生徒として基礎的な教養を国語、社会、数学、理科、英語というようなものでやるということになりますから、実態としてはやはり一年でかなり必要になるわけです。  そのやり方はどういうふうにやるかということなんですが、これは各県に聞いてみますと、やはり入学試験のときのテストの成績が一つございます。それからそういう試みをやる場合には、英語とか数学について改めて学校でまたテストをして、その結果を参考にし、本人の希望や親の考え方も聞いた上で、そこでグループ編成をしてやるというようなことをしてやっているようでございます。
  282. 湯山勇

    ○湯山委員 それはぜひやめてほしいのです。それは高校も困ります。それから高校へ入ってそういうふうに仕分けられるということがわかると——中学校で余分な受験勉強をしており、いまでもやっておるのですけれども、そこでとにかく入って、そして一学期なら一学期やってそれから分けるなら本人も納得するでしょうけれども、入学したときからおまえは遅進児学級、おまえは普通学級、これでは余りにもかわいそうではないでしょうか。これは現に良心的な高校先生が困っておりました。この入学試験の成績で、県一律にやるのですからね、それをもらってきて、それでもって、おまえはおくれた方へ行け、こういうことはまことにどうもせっかく入学して喜んでおる子供に相済まぬ。文部省は何か例を示した中で一年からやれということが書いてあるけれども、これは困りますという訴えがありました。私はもっともだと思うのです。中学ではそうであっても、高校へ来たら心機一転びゅっと伸びる子供はたくさんありますよ。ですから、いまの問題はひとつ考えてほしいということです。
  283. 諸澤正道

    ○諸澤政府委員 おっしゃるところはよく理解できるわけですが、もちろんそういう習熟度という場合に、ホームルームの編成自体は別に差別をするわけじゃない。ただ、英語や数学などの勉強の際にグループを再編成してやらせるということで、それを四月早々からやるのがいいのか、あるいは一年といっても二学期ぐらいからやるのがいいのか、あるいは六月ぐらいからやるのがいいのか、これは学校の判断だと私は思いますね。それから一方では、そうは言っても、入学した時点で英語とか数学はかなり学力の差があるのも事実であり、この勉強はやはり積み上げの上に重ねていくわけですから、基礎がなくては一緒にやれと言ってもなかなかできない場合もある。ですから、この辺の扱いというのは、先生がおっしゃるような子供に対する影響とか教育の仕方とか、いろいろ考えながらやってもらわなければいかぬことだと私は思いますけれども、一年の間は全然やるなというのはちょっと実態としても困るし、本当に力をつける意味からいっても、やはり必要な場合もあると思いますので、その辺は私どもも十分に指導をして弊害を起こさないようにしたいと思います。
  284. 湯山勇

    ○湯山委員 いまのは、とにかく入学して非常にうれしいのにそうやられるのは困るということです。先生の方がやりにくいということですが、それを埋め合わす方法は幾らもあると私は思うのです。入学の成績はホームルームの先生にわかっておるわけですから、おまえ英語が入試で少し悪かった、しっかり勉強せいというような励ましがやはり大事なんで、教室へ並べて、また教科書でこうやるよりも、そういう励ます言葉がどれだけ大きい力を持つかわからないのです。とにかくいまの指導はそういう点がやはり抜けておるところがあるのです、せっかく局長がいい考えを持っても。ですから、ひとつよく研究して御趣旨に合うようなものにしていただくということをお願いしたいと思います。  最後に、もう一遍申し上げますけれども、とにかく四十人学級にするというのは教育をよくすることにつながることですから、一年でも、一日でも早くすること、これは大臣がおっしゃったとおりです。そしてそのために三年後の見直しがあります。もう一遍繰り返すことはいたしませんけれども、何のためにあの合意がなされたか、その趣旨を十分お考えください。しかも、事ここに至ったのは文部省の重大な責任もあるということも申し上げました。そこで、それをお含みの上で善処していただくことをくれぐれもお願い申し上げまして、質問を終わります。  どうも失礼いたしました。
  285. 谷川和穗

    谷川委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  286. 谷川和穗

    谷川委員長 この際、本案に関し、自由民主党・自由国民会議、公明党・国民会議及び民社党・国民連合共同提案に係る修正案が深谷隆司君外二名より、また、日本社会党提案に係る修正案が中西績介君外三名より、また、日本共産党・革新共同提出に係る修正案が山原健二郎君外二名より、それぞれ提出されております。  各修正案について提出者より順次その趣旨説明を求めます。深谷隆司君。
  287. 深谷隆司

    ○深谷委員 私は、提出者を代表して、自由民主党・自由国民会議、公明党・国民会議及び民社党・国民連合共同提案に係る修正案について御説明申し上げます。  案文につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。  修正案の趣旨は、本案の施行期日がすでに経過しているので、この法律は、公布の日から施行するとともに、これに伴い、昭和五十五年度における義務教育費国庫負担法等の規定の適用について所要の措置を講じようとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
  288. 谷川和穗

    谷川委員長 中西績介君。
  289. 中西績介

    ○中西委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております法律案に対する修正案について御説明申し上げます。  案文につきましては、すでにお手元に配付されておりますので、朗読を省略させていただきます。  修正案の要旨は、行き届いた、きめ細かい教育を望む国民の強い要請にこたえるために、日本社会党は、学級編制及び教職員定数を抜本的に改善するために、昭和五十三年、第八十四国会に、義務教育学校及び高等学校等の四十人学級教職員定数標準改善に関する法律案提出してきたところであります。その方針には今日もなおいささかの変更もないのでありますが、その後本委員会教職員定数等に関する小委員会が設置され、その小委員長報告が本委員会において全会一致で承認された経過があり、これを受けて文部省は、昭和五十五年度予算要求としていわゆる九カ年計画提出いたしました。  もちろんこの九カ年計画にしても、小委員長報告とその内容中心的要素である昭和四十九年改正の本法案の附帯決議の趣旨を満たすものではありませんが、その後の予算編成時及び昭和五十五年度予算成立に至る間における各党の動向等を考慮して、当面、学級編制及び教職員定数標準改善計画を九カ年とすることが小委員長報告の実現に近づく最善の方途と思考し、その所要の措置を講じようとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛成をお願い申し上げます。
  290. 谷川和穗

  291. 山原健二郎

    ○山原委員 私は、日本共産党・革新共同を代表しまして、公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由の説明を行います。  修正案文案につきましては、すでにお配りしてあるとおりでございますが、その内容は、一、小中学校の四十人学級制及び教職員配置基準改善計画達成度を原案の昭和六十六年度から昭和五十九年度に短縮する。二、高校についても四十人学級制を実施する。三、学級編制基準及び教職員配置基準を文部省の当初案に基づき修正するというものであります。  以下、その理由を申し述べます。  教育の荒廃を打開し、どの子にも基礎的な学力、体力はもちろん、豊かな情操と市民道徳をしっかりと身につけさせる教育を実現することは、国民の一致した願いでございます。この点で、すし詰め教室を解消し、教師が一人一人の児童生徒に行き届いた指導を行えるように教育条件を整備すること、とりわけ国際的にも常識となっている四十人以下の学級編制を速やかに実施することが緊急不可欠の課題となっていることは、いまさら申し上げる必要もございません。ところが、今回政府提出しています定数標準法改正案は、早期実現を求める国民の期待に反し、四十人学級制の完全実施をはるか十二年後に引き延ばすものとなっており、高校については、最も切実かつ深刻な事態に直面しているにもかかわらず四十人学級制そのものを見送っています。  従来第一次から第四次まで五カ年計画実施してきた定数改善を十二年とすることは、昭和四十九年全会一致の衆参両院の文教委員会における附帯決議、またこれを再確認した昭和五十三年の本委員会の決議にも反するだけでなく、一、四十人学級を最も必要としている過密地域が後回しになる。二、今年度からでも四十人学級が可能な市町村でもその実施が長期にわたって引き延ばされる。三、同一市町村内で、四十人学級と四十五人学級が併存する不公平が生ずる。四、毎年次の計画がないため、自治体は施設整備や教員配置の見通しを立てがたい。五、児童生徒減少地域では教員の削減問題さえ起こりかねないなどの弊害を引き起こす可能性が生じてきています。  政府は、四十人学級制実現を十二年計画とする最大の理由に今日のわが国の財政危機を挙げています。そして今年度予算編成に当たって、大蔵、文部両大臣の確認事項を交わし、「計画期間の各年度の教職員改善規模は、経済情勢、財政状況等を勘案し、弾力的に決定する。」と約束し、さらに財政再建期間中は改善増は抑制する、特に昭和五十七年度までは厳しく抑制すると明記していますが、これは教育政策を長期にわたり財政に従属させるものであります。私は、教育が財政と全く無関係で行われるものとは思いませんが、民族の未来を担う子供たちを育成するという国の大事業が長期にわたり全面的に制約を受けることは許されないことだと思います。また、過去における教育改善が常に豊かな財政状況のもとで行われたとも思っていません。この点で、私は、四十人学級制を五カ年で完全実施することは財政上も可能であると考えています。修正案による教職員増員は、養護教員事務職員の全校必置などを含めまして、小中学校で十二万一千名、高校で四万六千名であり、これに要する国庫負担は最終年度で二千五百億円程度であり、毎年度の増加額は五百億円弱と考えています。これは今年度の防衛予算増加額一千三百五十七億の四割以下であります。  私は、以上の観点に基づき、本修正案を提案しましたが、教育立国という大業の達成のために、同僚各位の御賛同を心からお願い申し上げる次第であります。  なお、この問題に関し、おおむね三年後に、各般の状況を勘案し、その後の計画について検討を行うとの御意見もございますが、この点に関しましては、昭和四十九年の本委員会の附帯決議の「これまでのように標準法を五年計画に即して五年ごとに改正する慣行を改め、本法案に基づく五年計画実施中に以上の各項目の措置実現のための法律改正を行うこと。」という趣旨との矛盾も感じますし、また、わが党の修正案の五ヵ年計画でやれとの趣旨から申しましても、また、おおむね三年間を、たとえば三年間は適用市町村を五十五年度の二百十八市町村以上には拡大しないなどの答弁に見られるように固定化しかねない可能性を内包する、この点についてのみ賛同できないことを申し述べます。もちろんわが党は、計画の早期完結を目指して来年も再来年も不退転の気持ちで努力する決意であることをあわせ申し上げまして趣旨説明を終わります。
  292. 谷川和穗

    谷川委員長 これにて各修正案の趣旨説明は終わりました。  この際、山原健二郎君外二名提出の修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において意見があれば、この際、発言を許します。谷垣文部大臣
  293. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては賛成しがたいものでございます。     —————————————
  294. 谷川和穗

    谷川委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありません。  直ちに公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案の採決に入ります。  まず、山原健二郎君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  295. 谷川和穗

    谷川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、中西績介君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  296. 谷川和穗

    谷川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、深谷隆司君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  297. 谷川和穗

    谷川委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  298. 谷川和穗

    谷川委員長 起立多数。よって、修正部分を除いた原案は可決し、本案は修正議決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  299. 谷川和穗

    谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  300. 谷川和穗

    谷川委員長 この際自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び西岡武夫君共同提案による学級編制及び教職員定数改善計画促進に関する件について本委員会の決議を行うべしとの動議が中村喜四郎君外四名より提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を求めます。中村喜四郎君。
  301. 中村喜四郎

    ○中村(喜)委員 私は、提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました動議につき、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     学級編制及び教職員定数改善計画促進に関する件(案)   政府は、ゆとりある教育の実現、教育条件の整備充実を図り、教育水準の向上を一層促進するため、四十人学級編制及び教職員定数改善計画について、概ね三年後に、各般の状況を勘案し、その後の計画につき検討を行い、昭和四十九年標準法改正案に対する本委員会の附帯決議の趣旨を尊重し、最善の努力を行うべきである。   右決議する。 以上でございます。  本決議案の趣旨は、ただいま朗読いたしました案文に尽きていると思いますので、詳細な説明は省略することといたします。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  302. 谷川和穗

    谷川委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  これより本動議について採決いたします。  学級編制及び教職員定数改善計画促進に関する件を委員会の決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  303. 谷川和穗

    谷川委員長 起立多数。よって、本件を委員会の決議とするに決しました。  本決議に対し、政府より発言を求められておりますので、これを許します。谷垣文部大臣
  304. 谷垣專一

    谷垣国務大臣 ただいまの御決議につきましては、十分検討をいたしてまいります。
  305. 谷川和穗

    谷川委員長 なお、本決議に関する議長に対する報告及び関係各方面に対する参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  306. 谷川和穗

    谷川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る二十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十四分散会