○京谷
説明員 牛肉の問題につきまして二点お話があったわけでございます。国内の
価格水準なりあるいは国内の生産体制についていろいろ問題のあるところは、私どももそれなりに認識をしておるわけでございます。
第一のお話のございました輸入のオペレーションによって国内の牛肉の
価格水準の適正化を図れないかということにつきましては、御承知のとおり、現在、先ほど申し上げました畜産
物価格安定法に基づきます
価格安定制度とリンクした形で牛肉の輸入操作が行われておるわけでございます。その輸入された牛肉の大部分は御承知のとおり、この
価格安定制度とリンクした形で畜産振興事業団を通じて国内に流通されておるわけでございますが、これがより適切かつ円滑な形で国内の流通に出ていくように、私どもも従来からいろいろな手だてを講じておりまするし、今後とも御
指摘の方向に沿いましてより適正化を図っていきたいと考えておるわけでございます。
ただ、この輸入量の操作につきましては、第一には、やはり国内の
価格安定制度と矛盾するような形で数量を無原則に増加するということには一定の制約があります。
それから海外の輸出
事情でございますが、時期時期によりましてかなりこの牛肉の輸出余力には変動がございます。最近の
状況を申し上げますと、わが国に対する主要な輸出国でございますオーストラリアあるいは
アメリカの
需給状況を見ますと、国内の資源が若干縮小サイクルに入っておりまして、それに伴って生産量が当分減少する
動きが出てきております。そういった
状況を考えまと、海外からの輸入量を急速に拡大するということは、やはりそういった面からも一定の制約があるのではなかろうか、こういう
判断をしております。
いずれにいたしましても、国内の
価格水準の適正化を図る、そのために輸入のオペレーションを適正にしていくということについては私どももかねがね
努力をしておるところでございますので、ただいま申し上げました
状況を踏まえながら、今後とも
努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
〔松浦
委員長代理退席、
委員長着席〕
それから、牛肉に対する需要内容につきましては、先生御
指摘のございましたように、最近におきまして、いわゆる脂肪の入りました牛肉に比べまして赤身の肉に対する
消費者の需要が強くなってきておるということは承知をしております。先生のお話のございました、過般、主婦連が行いました
調査におきましても、牛肉の内容につきまして赤身肉に対する嗜好度というものが過半数を占めておる
状況でございます。したがいまして、私ども、そういった需要
状況を踏まえて、国内の牛肉生産に当たりましても、この赤身因の生産をできるだけふやしていくという方向で、たとえば放牧適性の高い牛の飼育を奨励をするとか、そういう形で極力低コストかつ赤身の牛肉生産に力を置いた生産振興方策も進めつつあります。
ただ、主婦連の
調査にも出ておりますけれども、同時に伝統的なわが国の牛肉に対する嗜好を見ますと、霜降りと申しますか、一定の脂肪を含んだ牛肉がそれなりの風味、おいしさというものを持っておりまして、それに長年にわたって私どもの嗜好もなれ親しんできたということもあって、主婦連の
調査で見ましても、四〇%強程度やはりこの霜降り肉に対する嗜好というものが残存しておる、あるというふうに承知をしておるわけでございます。
したがいまして、私どもそういった需要の実情というものを踏まえ、また生産者サイドにおいても、そういった需要があることを前提にいたしまして、伝統的な脂肪分を持った牛肉の生産に対する意欲というものもそれなりに実はあるわけでございまして、これもまた
状況に応じまして、できるだけ低コストでそういった牛肉の生産ができるような体制づくりを生産
対策として進めておるわけでございます。
ただ、牛肉の生産
対策につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、牛の再生産サイクルというのは非常に長期間かかります。それからまた、
経営規模の拡大をする場合にも、土地の制約とか、あるいは一年に雌牛から一頭しか子牛が生まれないというふうな資源的な制約もございまして、短期の間に生産の体制を改善をしていくということには非常に限界がございます。そういった限界を克服するために、私どもとしてもできるだけの
努力をしてまいるつもりでございますが、いずれにいたしましても、国内の生産コストをできるだけ低減させる。その中で、先生から御
指摘ございましたように、
消費者の嗜好に合った品質の牛肉を生産するような誘導をしていくということが私どもの牛肉生産についての基本的な考え方であるということについては、私どもも十分
理解をし、今後必要な
努力をさらに進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。