○中林
委員 時間が来ましたので、最後に一問だけさしていただきます。
過剰米問題ですが、四月十日から十二日の日米交渉で、
日本は五十四年の輸出実績の半分以下、五十五年は四十二万トンに抑えられたわけですね。しかも五十五年から四年間で百六十万トン、こういうことが決められたわけです。農水省は四月三日のわが党の中川議員の
質問に対して、
近藤政務次官あるいは
食糧庁長官がお答えになっているわけですが、
日本の過剰米輸出がFAOの余剰農産物処理原則にのっとって行われており、また一方では、アメリカ自身輸出を伸ばし国際相場も上昇ぎみであることを認めたわけですね。それなのになぜアメリカに譲歩したのか、これが一点です。
それからさらに、四年間四十万トンずつ、先のことまで約束してしまっているわけですね。
発展途上国から強い要望があっても、あるいはタイなどで不作になっても、十分余剰米をさばける情勢が起きた、そういう
状況があっても、この四十万トンという枠があれば身動きできない
状況というのがつくられるのではないか。それはアメリカの圧力に屈した自主性のないきわめて遺憾な内容だ、こういうふうに思うわけなんです。
新聞報道によっても、今年度は五十四年度の九十二万トンを上回る百三十万トンの輸出
要請が来ていると言われているわけなんですね。去年並みから考えてみても五十万トン減っているわけなんです。そうしますと、これが
飼料用に処理されると思うわけなんですけれども、トン当たり四万から六万の
損失だということになりますと、大体二百から三百億の損害になるわけですが、当然これはアメリカが見てくれるわけではないのですね。そうすると、アメリカ追随で三百億円の
損失をしたというふうに受けとめられても仕方がないと思うわけなんです。アメリカの圧力の動機は、市場を荒らされるというようなきれいごとでは決してない。
日本が輸出しなければ二五%はアップしたはずだと、虫のいいことを言っているわけなんです。もっともっともうけようという魂胆がありますし、さらに注意をしなければならない大変危険な中身も含んでいるのです。
四月十二日の朝日の夕刊を見ますと、「「
日本よ、アメリカの圧力に屈するな」という声が高い。アフリカにおける米国の援助はイデオロギー色が強く、
食糧援助はケニアだけに大幅に認めている。ケニアは軍事基地提供とモスクワ五輪ボイコットという踏み絵のおかげで、千五百万ドルの援助を得た。」というふうに、いわばアメリカが
自分の政治的支配下に置くためにこれを使っているということも明らかにされているのです。東南アジアやアフリカの飢餓状態あるいは
食糧不足を救うということと、それから
日本の
農家を守るということ、これが一体になるわけなんですね。ですから、人道上から考えても、外交上から考えても、この
日本の自主性を貫いて、向こう四年間四十万トンという枠がはめられましたが、これをはずしていく、そして情勢を見ながら
日本の自主的な判断でもっとふやしていくという
方向は考えられないのか。
以上の二点についてお答えください。