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1980-02-28 第91回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月二十八日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 内海 英男君    理事 片岡 清一君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 山崎平八郎君    理事 柴田 健治君 理事 芳賀  貢君    理事 和田 一郎君 理事 津川 武一君       小里 貞利君    菊池福治郎君       近藤 元次君    佐藤 信二君       菅波  茂君    西田  司君       福島 譲二君    保利 耕輔君       堀之内久男君    渡辺 省一君       小川 国彦君    角屋堅次郎君       新村 源雄君    馬場  昇君       日野 市朗君    本郷 公威君       瀬野栄次郎君    武田 一夫君       中川利三郎君    中林 佳子君       神田  厚君    近藤  豊君  出席政府委員         農林水産政務次         官       近藤 鉄雄君         農林水産大臣官         房審議官    塚田  実君         農林水産省経済         局長      松浦  昭君         水産庁長官   今村 宣夫君  委員外出席者         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会会         長)      藤田 三郎君         参  考  人         (全国農業協同         組合中央会常務         理事)     山口  巖君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会副会         長)      宮原 九一君         参  考  人         (全国漁業協同         組合連合会専務         理事)     池尻 文二君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君 委員の異動     ――――――――――――― 二月二十一日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     荒舩清十郎君   田名部匡省君     江崎 真澄君   高橋 辰夫君     八田 貞義君   保利 耕輔君     倉成  正君   中川利三郎君     松本 善明君   神田  厚君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     小里 貞利君   江崎 真澄君     田名部匡省君   倉成  正君     保利 耕輔君   八田 貞義君     高橋 辰夫君   大内 啓伍君     神田  厚君 同月二十二日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     根本龍太郎君   田名部匡省君     福家 俊一君   高橋 辰夫君     松澤 雄藏君   松本 善明君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   中川利三郎君     松本 善明君 同月二十八日  辞任         補欠選任   根本龍太郎君     小里 貞利君   福家 俊一君     田名部匡省君   松本 善明君     中川利三郎君 同日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     根本龍太郎君   田名部匡省君     福家 俊一君   中川利三郎君     松本 善明君     ――――――――――――― 二月二十五日  協同農業普及制度縮小反対に関する請願(井  出一太郎紹介)(第一〇八八号)  同(小川平二紹介)(第一〇八九号)  同(小沢貞孝紹介)(第一〇九〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一〇九一号)  同(倉石忠雄紹介)(第一〇九二号)  同(小坂善太郎紹介)(第一〇九三号)  同(清水勇紹介)(第一〇九四号)  同(下平正一紹介)(第一〇九五号)  同(中島衛紹介)(第一〇九六号)  同(中村茂紹介)(第一〇九七号)  同(羽田孜紹介)(第一〇九八号)  同(宮下創平紹介)(第一〇九九号)  過剰米解消に関する請願井出一太郎紹介)  (第一一〇〇号)  同(小川平二紹介)(第一一〇一号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一〇二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一〇三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一〇四号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一〇五号)  同(清水勇紹介)(第一一〇六号)  同(下平正一紹介)(第一一〇七号)  同(中島衛紹介)(第一一〇八号)  同(中村茂紹介)(第一一〇九号)  同(羽田孜紹介)(第一一一〇号)  同(宮下創平紹介)(第一一一一号)  果樹共済制度改正に関する請願井出一太郎  君紹介)(第一一一二号)  同(小川平二紹介)(第一一一三号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一一四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一一五号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一一六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一一七号)  同(清水勇紹介)(第一一一八号)  同(下平正一紹介)(第一一一九号)  同(中島衛紹介)(第一一二〇号)  同(中村茂紹介)(第一一二一号)  同(羽田孜紹介)(第一一二二号)  同(宮下創平紹介)(第一一二三号)  水田利用再編対策に関する請願井出一太郎君  紹介)(第一一二四号)  同(小川平二紹介)(第一一二五号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一二六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一二七号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一二八号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一二九号)  同(清水勇紹介)(第一一三〇号)  同(下平正一紹介)(第一一三一号)  同(中島衛紹介)(第一一三二号)  同(中村茂紹介)(第一一三三号)  同(羽田孜紹介)(第一一三四号)  同(宮下創平紹介)(第一一三五号)  畜産農家経営安定に関する請願井出一太郎  君紹介)(第一一三六号)  同(小川平二紹介)(第一一三七号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一三八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一三九号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一四〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一四一号)  同(清水勇紹介)(第一一四二号)  同(下平正一紹介)(第一一四三号)  同(中島衛紹介)(第一一四四号)  同(中村茂紹介)(第一一四五号)  同(羽田孜紹介)(第一一四六号)  同(宮下創平紹介)(第一一四七号)  農業基本政策確立等に関する請願井出一太  郎君紹介)(第一一四八号)  同(小川平二紹介)(第一一四九号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一五〇号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一五一号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一五二号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一五三号)  同(清水勇紹介)(第一一五四号)  同(下平正一紹介)(第一一五五号)  同(中島衛紹介)(第一一五六号)  同(中村茂紹介)(第一一五七号)  同(羽田孜紹介)(第一一五八号)  同(宮下創平紹介)(第一一五九号)  蚕糸業振興に関する請願井出一太郎紹介)  (第一一六〇号)  同(小川平二紹介)(第一一六一号)  同(小沢貞孝紹介)(第一一六二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一一六三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一一六四号)  同(小坂善太郎紹介)(第一一六五号)  同(清水勇紹介)(第一一六六号)  同(下平正一紹介)(第一一六七号)  同(中島衛紹介)(第一一六八号)  同(中村茂紹介)(第一一六九号)  同(羽田孜紹介)(第一一七〇号)  同(宮下創平紹介)(第一一七一号) 同月二十六日  協同農業普及制度縮小反対に関する請願(林  百郎君紹介)(第一三七二号)  過剰米解消に関する請願(林百郎君紹介)(第  一三七三号)  果樹共済制度改正に関する請願(林百郎君紹  介)(第一三七四号)  水田利用再編対策に関する請願(林百郎君紹介)  (第一三七五号)  畜産農家経営安定に関する請願(林百郎君紹  介)(第一三七六号)  農業基本政策確立等に関する請願(林百郎君  紹介)(第一三七七号)  蚕糸業振興に関する請願(林百郎君紹介)(第  一三七八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十一日  農業改良普及事業の拡充に関する陳情書外一件  (第一〇七号)  水田利用再編対策等に関する陳情書  (第一〇八号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(農業協同組合及  び漁業協同組合問題)      ――――◇―――――
  2. 内海英男

    内海委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、農業協同組合及び漁業協同組合問題につきまして、参考人から意見を聴取することといたします。  本日御出席を願っております参考人は、全国農業協同組合中央会会長藤田三郎君、全国農業協同組合中央会常務理事山口巌君、全国漁業協同組合連合会会長宮原九一君、全国漁業協同組合連合会専務理事池尻文二君、以上四名の方々であります。  この際、参考人各位に申し上げます。  参考人各位には、御多用中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。それぞれの協同組合の立場から、合併問題の現状及び今後の展望等につきまして、参考人各位の忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、議事の都合上、まず、御意見をお一人十分程度、藤田参考人山口参考人宮原参考人池尻参考人の順序でお述べいただき、その後、委員から質疑がございますので、それにお答えをいただくことといたします。  また、参考人委員長の許可を得て発言を願い、委員に対しては質疑ができないこととなっておりますので、さよう御了承を願います。  それでは、藤田参考人にお願いいたします。
  3. 藤田三郎

    藤田参考人 本日、当委員会農協合併問題につきまして、参考人として意見を申し述べる機会をお与えくださいましたことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。  実は、私はこのような席へ出るのは初めてのことでございます。また、日常いろいろな用務に取り紛れておりまして、皆さんに十分な参考の言葉を申し述べることができるかどうかと思っておりますが、この際簡単に私の意見を申し述べたいと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。  さて、本席をかりまして申し上げたい第一点は、合併実績についてでございまするが、戦後の荒廃から立ち上がり、昭和二十二年に農協法が公布されて以来今日までの三十年間、農協組織整備基本的課題一つは、経営基盤強化、すなわち合併でありました。昭和二十年代に約一万三千を数えた総合農協は、今日ではその数が大幅に減少いたしまして約四千六百となっております。この間に合併に参加いたしました農協は実に一万近くを数えるに至っております。このように合併実績は大いに見るべきところがあったと考えております。  これらの農協が発足当時のようにきわめて小規模で弱体なままで今日あると仮定いたしますと、これまで三十数年の間の急激な農業生産構造変化や競争の激化、あるいは組合員要求多様化など、社会経済環境の激変の中では、場合によっては事業の停止や解散に追い込まれるような農協が続出したことであろうと思います。今日のような組織は思いもよらなかったのではないかと思われます。  私は、系統組織の内部の努力もさることながら、この間に、農協合併助成法が施行され、それも四次にわたる延長をお願いいたしてきたわけですが、この助成法の意義はきわめて大きく、これが農協組織整備に果たした役割りははかり知れないものがあったと考えておりまして、国会及び行政の御配慮に対しまして、改めて感謝の意を表する次第でございます。  申し上げたい第二点は、すでに御案内のように、八〇年代のわが国の経済社会情勢は急速に変化をしてきておりますが、農業をめぐる情勢もまことに厳しいものがあり、系統農協もこれらの対応に迫られておるということであります。  私どもは、こうした八〇年代の難局を乗り切るため、昨年十月に全国農協組合長が参集いたしまして、全国農協大会を開催いたしました。ここで八〇年代の日本農業課題並びにこれに対応するための協同活動強化の徹底、基本農政確立を決議いたしたのであります。  高度成長から低成長の移行に伴い、ほとんどの農産物の需要の伸びは低滞し始めております。米を初めといたしまして幾つかの作目で過剰が生じており、また、国際化の進展は農業も一その例外ではありません。輸入を通じて世界農産物需給国内生産に対して無視できぬ影響を及ぼすような事態になっております。農協組織はこうした問題に正面から取り組む必要があり、その対策強化を痛感しているのであります。  このために、私どもは、地域からの農業再編確立を目指しまして、行政との十分な連携をとりながら、全農協地域農業振興計画を策定してもらうよう取り運び、重点作目については、全国生産目標を策定して消費拡大対策とあわせながら需給調整対策強化する、こうした対策系統農協としては最大の眼目としておるのでございます。  また、組合員生活の面につきましても、健康管理を初めとする生活活動地域環境整備などに対する対応が、今日ことのほか重要であると考えております。  さらにつけ加えますと、経済成長がかつてのように高い成長ではなくなり、金融環境も厳しくなってまいりますと、農協経営、財務も、安定にしてしかも健全な内容を維持していくことに特に配慮をしなければならないと思っております。  このような情勢を考えますと、営農指導の面での機能強化営農関連設備対策に急いで取り組んでいく、そのためにはかなりの資金供給力を持たなければならない、しかも、その資金は安全かつ効率的に活用していかなければならない、生活面での対応も強めていかねばならない、こうした対応強化するために職員の資質の向上も図っていかねばならないといった種々対策が必要であります。  こうした情勢に対処するためには、それぞれの農協が強固なものになることはもちろん、個々の農協規模格差が余りに大きいといった状態では、連合会を含めた系統農協全体の総合力を発揮することに多くの支障を来すこととなり、私どもは引き続いて合併推進に積極的に取り組まなければならないと考えております。  申し上げたい第三点は、合併を進むることにつきましても、あくまで組合員意思に沿って、農協自主性を尊重し、合併を強制するようなことがあってはならないことであります。農協運営というものは、組合員営農生活面協同活動に即応し、これを助長するよう取り運ぶべきであろうと思っております。常日ごろ組合員との十分なコミュニケーションを図り、民主的に運営が進められてこそ農協であります。  先般、世界協同組合の集まりであります国際協同組合機関ICA会議に出ました際に、世界協同組合関係者がひとしく憂えておる問題としましては、いまや協同組合原則が風化しつつあるということでありました。重要な協同組合原則でもある民主的運営は、言うはやすいがなかなか行いがたいものであります。しかし、農協存立の原点であることにかんがみ、種々対策を講じ、これへの取り組み強化してまいりたいと思っております。  最後に、一言申し上げておきたいことがございます。それは全共連の問題であります。農協人的結合体であり、人と人との信頼の上に成り立っている組織であるだけに、いささかなりともこうした混乱した事態によって、組合員信頼を失うようなことがあったり、社会的信用を落としたりするようなことがあってはなりません。しかし、はなはだ残念なことが起こりました。この席をかりましておわびを申し上げます。幸い全中も懸命に努力し、系統農協組織の良識に支えられ新たな執行陣ができまして、体制の立て直しに着手してきている段階になっております。今後、厳にこうしたことが起こらぬよう万全を期していきたいと決意をいたして、おわびかたがた申し上げる次第でございます。  以上、申し上げましたが、合併助成法をぜひとも成立させていただきますようお願いを申し上げまして、私の意見とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  4. 内海英男

    内海委員長 どうもありがとうございました。  次に、山口参考人にお願いいたします。
  5. 山口巖

    山口参考人 山口でございます。  ただいま会長の方から基本的なところをお話しいたしたわけでございますが、私の方から、合併の問題につきまして、いささか事務的にわたりまして恐縮でございますが、合併経過並びに現状につきまして御説明をさせていただきたいと思うわけでございます。なお、参考資料を御配付いたしてございますので、お目通しいただきながらお聞き取り願いたいと思うわけでございます。  なお、私は、昨年の六月に本委員会で、やはり合併の問題につきまして御審議をいただきました際に、参考人として出席いたしまして、先生方の御質問に対しましてお答えしてまいったわけでございまして、本日はその繰り返しにわたる面もあるかと思いますが、御容赦を賜りたいと思います。  まず、合併についての取り組み経過でございますが、会長意見開陳にもありましたように、農協といたしましては、昭和二十年代の後半から、当時の経済混乱期におきまして、不振組合解消ということを最大の方針といたしまして合併を進めてまいったわけでございまして、当時、行政の方も町村合併が行われておりまして、それと並行的に農協合併を進めてまいったわけでございます。そのころは総合農協の中で四分の一がいわゆる不振農協と称されたものでございまして、それを合併によって経営基盤確立を図ろうということを進めてまいりました。  それから、農協法が施行されまして、昭和三十六年になりまして、政府は、これからの農業の発展に対応していくためには合併を促進し、農協事業経営を適正かつ能率的に行うことが不可欠であるという考え方に基づきまして、農協合併助成法を制定いたしたわけでございまして、三十六年以降、この法のもとで系統農協合併に積極的に取り組んでまいったわけでございます。  自来今日まで、合併助成法につきまして、四十四年と五十三年度の二年間、適用を見ない期間もあったわけでございますが、四次にわたる改正をお願い申し上げまして、お手元の冊子の資料の二ページにございますように、五十三年度までには実に九千八百六十一の総合農協、これは五十二年までしか出ておりませんが、五十三年までには九千八百六十一の総合農協合併に参加をいたしまして、総合農協の現在数は四千五百八十三となったわけでございます。三十六年の一万一千五百八十六組合から大幅に減少をいたしたわけでございます。先ほど会長が申し上げましたように、そういう意味におきましては、きわめて高い推進実績を上げ得たというふうに考えておるわけでございます。  この結果、農協規模について申し上げますと、三ページにございますように、組合員戸数で千戸以下の組合数が大幅に減りまして、千戸以上の組合が増加するという顕著な傾向が出てまいったわけでございます。しかしながら、昭和五十二年度末におきましても正組合員戸数で五百戸未満組合がなお千五百九十三組合あるわけでございまして全体の三四・三%を占めております。また、行政区域別に見ますと、町村区域未満農協が九百三十七組合ございまして、これまた全体の二〇・一%に達しておる現状でございます。  御案内のように、農協は農民が自主的につくる組織でございますので、地域地域の実態によりまして組合員農家人数も異なっておるのが当然でございます。たとえば北海道のように一地域人数は少ないわけでございますが、一組合員経営規模はきわめて大きいといった例もあるわけでございまして、また、町村規模も一様にはまいりません。しかし、全国的に見てみますると、いままでの経験から言うことでございますが、正組合員戸数が五百戸未満、それから町村区域未満農協が、組織経営基盤が弱体であるという傾向は否めない傾向でございまして、会長が先ほど申し上げましたように、現状農業情勢、それから農協経営を取り巻く環境等に対処いたしまして、組合員の多様な要求にこたえていくことができるような状態には、この小規模組合ではなかなかこたえられないというような現状に置かれているわけでございます。  特に、系統農協といたしましては、昨年の第十五回の農協大会におきまして、地域農業振興計画を全組合が策定してこれを実践するということを決議いたしたわけでございます。このためには、農協企画機能の充実、それから営農指導体制確立が先決でございます。そのためには人材確保がどうしても必要でございます。また、今後の農協運営を考えますと、コンピューターの導入なども当然必要になってくるわけでございまして、小規模農協ではなかなかこの体制確立できないというような現状に置かれておるわけでございます。  今回、助成法適用をお願いいたしております、合併に取り組もうと計画しております組合は、実はこうした小規模組合が多いわけでございます。その数は、各県の中央会から報告をとったわけでございますが、この資料の五ページにございますように千百七十一組合となっておるわけでございます。  合併をいろいろ考える場合におきましては、合併規模がどのくらいが適正であるかということが常々論議されるわけでございますが私どもとしては、この問題につきましては、全国的に一律に何ぼがいいというふうなことは極力避けなければならないことだと考えております。しかし、一応のめどとなるものについて申し上げますと、適正規模という条件としては次の点が考えられるのではないかと思います。  一つは、組合員の相互のコミュニケーションが十分に行き渡る範囲内。  それから二つ目には、農協運営について組合員意思が十分反映できる範囲内。いわばこれが上限に当たるわけでございまして、コミュニケーションも十分でないような大型な組合という問題につきましては、運営上いろいろな問題が生じてくるのではなかろうかと思うわけでございまして、民主的な運営を図るにはあくまでも組合員意思が十分貫徹できるような範囲内ということが上限になろうかと思います。  さらに、下限の問題といたしましては、組合員が現在の非常に複雑な農業情勢の中でいろいろ各種各様のニーズを持っております。これにこたえ得るような経済力資金力が必要でございまして、それが確保できるような範囲内の組合規模ということが必要であろうかと思います。  また四つ目には、組合職員に対する雇用条件並びに人材確保、これがどうしても必要でございまして、それが十分にできるような運営上の適正な範囲ということが、やはりいわゆる下限考え方になるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、これらの条件を考え合わせますと、おおむね町村単位あるいは大きくても旧郡単位ぐらいではなかろうかと考えられるわけでございます。しかし、これも全国一律というわけにはまいらぬというふうに考えておるわけでございます。  私ども全中は、昭和五十三年度におきまして、各県の中央会の協力を得まして、これまでの合併経過を振り返りまして、ほぼ一年がかりで農協合併の総点検を実施いたしてまいったわけでございますが、これによりますと、合併の成果として挙げられます点はおおむね次の三点に集約できるように考えられるわけでございます。  一つは、組合員営農指導に当たる専門技術員の確保とその適正な配置によって営農指導体制強化されてきたことでございます。ちなみに営農、指導員の人数について見ますと、七ページにございますように、未合併農協の場合は平均一組合一人の配置でございますが、合併農協の場合には平均八人強の人数を置いておるようでございます。また、これらの職員が一人当たりでどの程度の農家のめんどうを見ているかということを見ますと、未合併農協の場合には一指導員は四百四十七人の組合員に対してお手伝いをいたしておるわけでございますが、合併農協の場合には三百一人に対応することになっておりまして、数の上からいたしましてもよりきめの細かい対応ができるような実態になっておるわけでございます。  二つ目の成果といたしましては、農産物取引の大量化、規格化に対応した集出荷体制が整備されてきたことでございまして、この資料にございますように、共同利用施設の面を見ましても、未合併農協においては六種類の施設でございますが、合併農協は十一種類の施設というふうになっております。また販売取扱高も、未合併は一人当たり四十六万六千円でございますが、合併農協は六十二万八千円というふうに伸びております。販売手数料率の問題でございますが、未合併が一・八三%、これが合併の場合には一・七九%というふうに減っております。  三つ目の成果といたしましては、農業の近代化を進めるため、資金の供給力が増強されまして、施設面が充実されてきたたことでございます。貸出額におきましても、一組合員当たり未合併の五十七万三千円が合併農協は六十二万七千円にふえております。固定資産の投資額も、未合併の九万二千円、・これが十万三千円にふえております。また、資金面におきましては、十四ベージをお目通しいただきたいわけでございますが、五百戸以下の組合の貯金高の平均は十八億円程度でございますが、合併した五千戸以上の大型農協になりますと二百十七億を超えるというような金額になるわけで、非常に資金的な充足も図られておるわけでございます。  四つ目の成果としては、職員の給与や労働条件などの待遇面で人材確保をできる体制が整ったことでございます。十三ページにございますように、平均的な職員の給与でございますが、平均年齢三十三・一歳ということで見ますと、五百戸未満職員の平均給与は九万六千七百八十四円、これが三千戸以上になりますと十一万一千四百四十八円ということに相なりまして、待遇の改善も大規模化によりまして達成されつつあるということが数字上で出ておるわけでございます。  しかしながら、問題点も率直に言ってあるわけでございます。これもすべての農協に該当するわけではございませんが、組合員農協との間に完全なコミュニケーションが成り立たなくなるというおそれ、こういうことは一般的に指摘されていることでございますが、こうした点につきましては、運営の面で問題を生じないように各種の作目別の組織、集落の組織、青年部、婦人部の結成、こういうことを通じまして十分に組合員意思をくみ上げるとともに、組合員への情報連絡を徹底いたしまして、会長のお話にございましたように、農協の存立の原点である民主的運営に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。最後に、推進に当たっての姿勢につきまして申し上げますと、これも会長から申し上げたとおりでございますが、あくまでも組合員の意向に沿いまして民主的な形で推進を図っていくということが前提でございます。また、行政と十分な連携をとりまして、地域の実情を配慮したきめの細かい対応をしてまいりたいと思っております。特に、今日未合併のまま残っております農協というのは、立地条件組合間の財務格差、町村合併のしこり、本所、支所などにかかわる住民感情、それから役員の定数やポスト、こういうような人事問題を抱えている組合が多数でございますので、腰を据えましてしっかり進めていきたいというふうに考えております。  以上、事務的な意見を申し上げて恐縮でございましたが、農協合併の問題につきましては、系統の総力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておりますので、合併助成法につきましてはぜひともその成立をお願い申し上げ、私の意見といたしたいと思います。よろしくお願いいたします。(拍手)
  6. 内海英男

    内海委員長 どうも一ありがとうございました。  次に、宮原参考人にお願いいたします。
  7. 宮原九一

    宮原参考人 本日、農林水産業振興に関しまして、特に私ども漁協系統組織の抱えております問題等に対して、私、全漁連の副会長という立場で意見の開陳を申し上げる機会をいただきましたことは大変幸いでございますけれども、私、三重県の漁連会長もやっておりますので、そういう立場も踏まえながら、少し申し上げさせていただきたいと思います。  まず第一に、合併助成法の関係でございますけれども、私ども漁協の関係では、昭和四十二年の七月に議員立法によって御制定をいただいたわけでございまして、その後二回の延長をいただきながら、本年の三月に一応期限切れということになっておるわけでございます。先ほどからの農協のお話のようにその間における私ども合併の成果をこの席で御報告できないこと、まことに残念でございまして、参加いたしました組合が四百十九、合併件数百五十件ということでございまして、いまなお全国の浦々に千九百二十七の組合が存在をしておるというような実態でございます。  各県の連合会あるいは行政庁等、それぞれの立場でこの合併の推進に当たりましては大変努力をいたしておりまするし、たとえば三重県のごときにおきましては、昭和四十二年に助成法をおつくりいただいたと同時に合併基金といったようなものをつくりまして、現在では約一億円のファンドを持って、それから出てくる果実で、合併組合員の欠損補てんであるとかあるいは指導の強化といったものに使うような用意もしながら努力をいたしておりますものの、その成果はまことにお粗末な状態でございます。  これらの合併を阻害する要件といたしましては、やはり漁業権というものが漁業の場合にはどうしてもついてまいるわけでございます。漁業権の行使を将来どうするかということで漁業者が大変逡巡をしておるという面が、やはり合併の阻害要因の第一でございます。そのほかに周辺漁協との規模の格差が逐次目立ってきておる。あるいは漁民感情としてはどうしても、先ほどの漁業権との兼ね合いから隣の村とはとても仲が悪いというような状況もあり、さらにまた、漁協が辺地にあるということで行政区の業務もやっておる、役員問題がそれに絡むといったもろもろの関係の中で、なかなか私どもが推進をいたしましても成果が困難であるというような事態になっておるわけでございます。  しかしながら、現在漁協を取り巻いておりますきわめて厳しい状況の中では、なお一層その漁協の経営基盤強化するということが必要な命題になっておるわけでございまするので、そういった面で、この期限切れの助成法が将来に続いていっていただきたいということを大きくお願いを申し上げる次第でございます。  ただ、私どもが現地で指導をしながら現在反省をいたしておりまするのは、やはり合併を推進しその計画を立てさせる場合に、従来おかの立場で、いわゆる市町村の範囲で問題をながめ過ぎていなかったのかどうか、あるいはまた海というものをどのように考えておったか。やはり将来にわたりましては、海の協同、生産の協同という問題を踏まえながら、漁協合併の推進に当たって力をいたすべきではないかという反省をいたしております。  特に、現在の漁業の志向する方向といたしましては、省資源型であるとか、あるいは栽培漁業、沿岸漁場整備開発といったもろもろの沿岸志向重点の問題が取り上げられてきておる時期でございますので、やはり海からおかを見ながら、生産の協同化という面を主体に漁協合併を進めていくということも、今後の一つの大きな側面ではなかろうか、このように理解をし、さらに力をいたしたいと考えておる次第でございますけれども、そういう状態の中で、全国浦浜の指導者の層におきましては、その合併の必要性を非常に痛感をいたしておるのが現状でございます。しかし、なかなか最後の踏ん切りがつかないという状況の中で、大変われわれの指導力の小ささを暴露するようで残念ではございますけれども、やはり助成法の面でいわゆる漁協の民主的運営なり自主性というものに輪をかけることが困難であるとするならば、政府の行っておられるもろもろの行政指導の中であるいは諸般の対策の中で、合併をどうしてもしなければいけないといったような側面をさらに大きく打ち出していただくことがこの際必要ではなかろうかといったことも、現地の声として大きく上がっておる点について申し添えておきたいと存ずる次第でございます。  さて、次の問題は、現在私どもの漁協系統の中にはいろいろな問題が発生をいたしておりまして、過般来、諸先生方にも何かと御心配をおかけいたしております点につきましては、この機会におわびを申し上げねばならないのではないか、このように感じておるわけでございますけれども、やはり問題の発生は、漁業者が現在魚価安あるいは燃油高といったような非常に厳しい情勢の中で漁業を続けておるわけでございますので、系統に課せられておる使命といたしましては、いかに安定した魚価を出現させるかということが一つの大きな命題でございます。それはやはり販売事業という形につながっていくわけでございますけれども、そういった焦りというのが背伸びに通じて問題を惹起したケースというものを、私どもは真剣に反省をしてみる必要があるのではないか。そういった面で、将来にわたる魚価形成というものを、漁協の販売事業、共同販売の中でどのように価格形成力を持ちながら漁協運営というものを仕組み、そして本来的にその事業を通じて会員に奉仕するという体制確立していくのかということが、大変な命題になっておるわけでございまして、私どもとしては、そういう形の中でさらに将来販売事業の積極的拡大というものを図っていかねばならぬであろうということが一つ、現在の漁協が当面しております最大課題でございますので、そういう意味での行政上の諸般のフォローもお願いできれば大変ありがたい、このように考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、後ほどの御質問でもお答えすることになろうかと思いますので、最初の意見といたしましては、漁協合併助成法を引き続き御制定いただきますことを、この際特にお願い申し上げまして、終わらせていただきたいと思います。(拍手)
  8. 内海英男

    内海委員長 どうもありがとうございました。  次に、池尻参考人にお願いいたします。
  9. 池尻文二

    池尻参考人 私は全漁連の専務理事をしております池尻でございます。  本委員会に三たび合併助成法の延長をお願い申し上げるわけでございますが、先ほど宮原会長からるる御説明がございましたとおり、私どもの漁協系統組織合併は、過去皆様方の御理解によりまして再々法律を延長していただきましたにかかわりませずに、なかなか私どもの意図することと違いまして、その進度は微々たるものであるということにつきまして、力の及ばなかった点を深く後悔をいたしておる次第でございます。  しかしながら、漁協の組織農協系統組織と違いまして規模がきわめて弱小でございまして、たとえば信用事業を実施いたしております組合数が千七百ございますが、その貯金残高が平均をいたしまして六億七千万程度でございます。五億以下の零細な貯金を持っておる組合がその中の千七十の組合ということで、何と六七%に達しておる次第でございます。販売事業の一組合平均というのはたしか六億八千万でございますけれども、これとてもやはりどうしても、平均的に見まして、貯金の残高がせめて十億、販売事業の取扱高が十億という程度までは、漁協の規模というものを拡大していく必要があるということで、今後とも懸命な努力をいたしますので、この際の延長措置につきまして格段の御理解を賜りたい、かように私は考えておる次第でございます。  さて、漁協を取り巻く情勢はきわめて厳しいものがございます。私どもはこの厳しい情勢を踏まえまして、昨年のちょうどいまごろ、二月の十五日でございますが、水協法の三十周年の記念の全国漁協大会を持ちまして、私どもの将来展望を踏まえまして運動方針を決定いたしました。このことにつきましては諸先生方にも御案内を申し上げましたところでございます。  私どもはまず一番反省しなければなりませんのは、確かに三十年の歩みで漁協も大きく成長をいたしたことは事実でございます。たとえば、三十年前に系統全体の出資金が八十億であったものが、いまや七百五十億、それから貯金に至りましては、当時百二十五億しかございませんでしたが、いまは一兆一千万円、それから販売取扱高におきましては千百十三億のものがすでに一兆四千億、職員の数は一万三千人から二万五千人というふうに、非常に大きくなっておることも事実でございますが、やはり冷静にその運動の内容を見てまいりますと、何と申しましても、協同意識というもの、これが完全に結実しておるかどうかということについては私どもも反省をしなければならないというのを、まず運動方針の基底に置いたわけでございます。  経済成長を遂げましてわが国は経済大国となりましたが、これは漁民だけでなく一般的国民の風潮として、自由と物質的な豊かさを追求する余り、ともすれば精神的な荒廃と放恣の一般的風潮を生んだことも否定できないわけでございまして、漁民といえどもまたこの例外ではない。ともすれば価値観が自己本意に流れ、主張が利己的に走り、協同運動の最も大事な社会全体の正義の実現、公正の実現という協同運動の生命というべき連帯意識が薄れつつあるではないか。こういうものを基調にいたしまして、漁業への取り組み、あるいは流通への対応、それから漁業経営の姿勢、それから漁民福祉への対応、そういう基調のもとに運動方針を提示をいたしまして、将来非常に険難な道ではあるけれども協同組合運動の旗を掲げて邁進しようではないかということを昨年誓い合ったわけでございますが、後刻話題になるかと思いますが、それから一年、いま話題となっております非常に大きな不祥事というものを私ども系統の内に惹起をいたしまして、このことにつきましてまことに残念でならない、皆様方にもおわびを申し上げなければならないと考えておる次第でございます。  この点につきまして、後刻皆様方の御質問もあろうかと思いますが、私は私なりに反省をした点を申し上げますれば、まず第一点は、確かに私どもの漁協経営というものも、過去の高度成長の期間には、きょうよりはあした、ことしよりは来年取扱高は伸びてまいりますし、物を扱えば必ず利益が生まれるというような経済的な与件のもとに成長をしてまいりました。その結果、過去の成長の期間におきましては、どうしても、経営者に対する責任という視点の反省と申しますか、そういうものが非常に足りなかったのではないか、そういう安易ないわゆる惰性で今日まで来ておったのではないか、これが第一点であります。  それから第二点は、協同運動の理念と企業性の問題であります。組織が大きくなり、取り扱いが伸びてまいりますと、ともすれば、本来の協同の運動の理念と、利益追求と申しますか、そういった企業性というようなものが表面に顕著に出てまいりまして、組合運動本来の、所属員のため、組合員のため、会員のためというところがぼけてまいりまして、一般的な企業と変わらないような、そういったところに走ることがちょいちょい散見されるのではないか、これが第二点でございます。  それから第三点は、組織が大きくなり規模が大きくなってまいりますと、そこで働く役職員の間の心と心の触れ合いと申しますか、そういうものがどうしても薄くなり欠如してくる。ついては、協同運動の理念に基づく職員の教育、あるいは役員と職員が、職員同士があるいは上下の関係において、本当に一体となって運動の理念を持って邁進をするという精神が欠如をしてきておったのではないだろうか。と申しますのは、事件を省みまして必ず悔やまれますのは、もしそういう職場に心と心の触れ合いがございましたならば、恐らく事件が起こったとき、人間は失敗もいたしますし、必ず成功するものとは限りません、過ちを犯すこともあります。そのときに、私はこういう失敗をしましたとただ一言、上司なりあるいは同僚に自分のことを告白する、そういう雰囲気がありましたならば、私は、その失敗というものはまだ大きくならないうちに芽が摘まれたのではないか、こういうふうに考えております。  昨年は全漁連にもそういう非常なつまづきがございました。これを反省いたしましたときに、私どももやはり、いま申し上げました精神的なことでございますけれども、協同運動の職場というものはそれが大事でございまして、いかに監査をし、内部検査組織がりっぱに働く、これも非常に必要でありますけれども、基本になりますものはそこに働く職場における環境が冷えたものであってはならないということを、いまもって身につまされておる次第でございます。  そういうようなことで、今後こういうことの二度と起こらないように、精神的にもあるいは経営体制の面におきましても細心の努力をして、漁民のために負荷の責任を全うしていかなければならない、かように考えておる次第でございます。  私の考えておることを申し上げまして、冒頭の陳述にかえさせていただく次第であります。(拍手)
  10. 内海英男

    内海委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 内海英男

    内海委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  12. 津島雄二

    ○津島委員 藤田会長宮原会長、大変お忙しいところ御苦労さまでございました。大変有益な御意見を賜りまして、私どものこれからの合併法の検討に非常にプラスになったと感じております。この機会になおいまの農協、漁協の抱えておる問題につきましていろいろ伺ってみたいと思います。  いまの御説明を伺いまして、合併促進助成法がそれなりの成果を上げたという感じは受け取れたのでございますけれども、また、現状においてもさらに系統組織強化する必要があるという御意見も大体首肯することができるわけでございます。しかしながら、ここ二十年来やってきましたこのことについて、いまひとつここでちょっと踏みとどまって振り返ってみる必要もあるのではないかという観点から、二、三お伺いをいたしたいのでございます。  ちょっと話はかわりますけれども、きのうマニラで飛行機事故がございました。外国で飛行機事故がございますと、その乗客の中に農協の研修団の方がおいでになるのではないかと私は大抵心配になるくらい、最近は世界的に研修に歩いておられて、大変結構なことだと思いますし、皆さん、気をつけて落ちない飛行機に乗っていただきたいと思うのでありますが、このような非常に活動的で、それで大きくなった組織については、当然のことながらいろいろな面からいろいろな評価がされるわけでございますね。いままだ続いておりますけれども会長さん御存じの立花隆さんの「生態ルポ」という、週刊朝日に出ております「農協」、これをずっと読んでみますと、当たっている点もあり、また、私ども農業問題に首を突っ込んでいる者から言えば首肯できない点もあるわけでありますけれども、この中で、いろいろ一般に言われていることで、私二つ気になる点があるのであります。  その一つは、組織が大きくなることが逆に組織の硬直化をもたらしているのではなかろうか。したがって、農協法の基本精神、あくまでも農民のための農協でなければならないという基本精神から、組織が一人歩きしていっているんではないかという問題が一つございます。これはまた漁協についても考えてみればあり得るので、先ほどの専務さんのお話でも若干触れておられたのであります。  それから二番目に、皆様方がそしてまたわれわれ農業に関心がある者が生産者に対して一生懸命やっていることは、果たして消費者にプラスになっているかどうかという問題も投げかけられているわけでございます。  その二つの観点から、お話をもうちょっとお伺いしてみたいと思うのでありますが、まず第一に、農協組織の中にはまだ基盤整備が十分でない点があるというお話は、これはわかりました。しかし、また同時に、全国的に見ればかなり強大な組織になってきているわけであります。この強大な組織がそれなりの経済合理性を追求をしてまいりますと、一人歩きをしていく危険が必ず伴ってくるわけでございますが、そういう傾向がややもすれば本来の農民の利益を忘れてしまうということになるのではなかろうか。その点について、たとえば組合員の農民との間の販売あるいは購入、その両面における取引において、どのように農民の立場を常に考えるというような御配慮をしておられるか、会長さんなり常務さんなり、日ごろ考えておられる点があれば、ぜひお伺いをしたいと思うのであります。  特に員外利用の問題につきましても、これは後で漁協の方にもお伺いをいたしますけれども組織組織として一人歩きを始めてくると、それ自体の経済合理性を追求していく。そうすれば、たとえば不動産業であってもあるいは金融業であっても、どんどんそこのところへ入っていけば、経済性を追求していけば、それなりに進んでいけるということでどんどん行ってしまう。気がついてみると、ずっと後ろに農民が見えるか見えないところへ取り残されているというようなことになると困るわけでございますので、員外利用のあり方について、いまの農協法のたてまえあるいはいままでの御方針に再検討の必要があるかないかという点もぜひ触れてお話を伺いたいと思います。会長さんでも常務さんでも結構でございますが、いまの二点について。
  13. 山口巖

    山口参考人 二点御質問がございますが、まず最初の、農協組織が大きくなると硬直化し、組織の一人歩きということが起こるので、その問題に対するチェックをどうするか、こういう御質問でございますが、これに関しましては、御指摘のとおり、組織が大きくなると非常に硬直化現象が出ることは事実でございます。  そこで、私どもといたしましてもいろいろその問題の対策には苦慮いたしておるわけでございますが、特に肥料、えさの取り扱い等におきまして、いろいろそういう批判もございましたので、全農、全共連等につきましては、五十二年から全国農協が直接加入するということを決定をいたしまして、従来は県連が会員でございましたのを、全単位農協が加入する方式に改めたわけでございます。  なお、単協段階におきまして、あるいは県段階におきましては、各種運営委員会を持ちまして、肥料の問題あるいは販売の問題等、問題別に運営委員会を設置いたしまして、直接農協の傘下にございますそれにタッチする組合組織、いわゆる任意組合組織の代表等も加えまして、いわゆる農民的な運営ができるように配慮をいたしておるというのが現状でございます。今後もこの問題は残りますので、運営の面で十分配慮して、過ちの起きないように努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  第二点の問題でございますが、生産者の利益が消費者に必ずしもプラスしないではないか、こういう問題でございます。最近、消費者と生産者を結ぶいわゆるパイプが非常に延びてまいりまして、一例を申しますと、家庭で消費いたします食料品の中でも、いわゆる加工食品が五四%も占めるというような実態になりました。また、消費者が支払う食料費、家庭で支払います食料代金のうちで、私ども原料生産農家の取り分というのはわずか二九%というような状態になりまして、パイプが非常に延びまして、その間において、いろいろ消費者との利害対立の問題あるいはかゆいところに手が届かない問題が実は出てくるわけでございます。たとえば農産物の価格が、取り分が二九%でございますと、仮に半分に農産物価格を下げましても、消費者の価格は一四%程度しか下がらないという問題でございまして、半分にわれわれが農産物価格を下げた場合にはまさに農業はやっていけないという状態に相なるわけでございます。そういう点で、必ずしもまた農産物価格が下がるから消費者物価が下がるという現状でもございませんで、下がったとき上がっている状態も出てきているわけでございます。流通のパイプが非常に延びておるという問題が新しい問題でございます。  そこで、私どもといたしましては、積極的に農協のでき得る範囲内におきまして、加工、流通まで農協がある程度タッチをいたしまして、その間における規制を生産者のサイドから行っていきたい、こういうような考え方で、延びております消費者との間隔をもっと詰める努力を事業の面で対応してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  14. 津島雄二

    ○津島委員 員外利用の問題について農協の方にもう少しお伺いをしたいのでございますが、むしろここで漁協の方にお話を伺いたいと思うのでございます。  私は農協、漁協両方とも大きな組織を抱えている選挙区を持っております。両者それぞれ特徴があり、また非常に活発に活動しておられるのですけれども、漁協の場合に感じますことを率直に言いますと、浜で働く方々が非常に素朴である。つまり、農民も素朴であることはもちろんですけれども、漁民の方の方がどっちかというともう少し素朴なものを持っておられるということで、いわば漁協の中の民主的な運営ということについてややもすると問題が起こってくる。つまり、声の大きい人がどんどん大きい声で言いますと何となくついていく。そして、それが本当に一人一人の漁民のためにプラスになっているかどうかということを、立ちどまって考える余裕なしに引っ張られていくということが心配なんでございます。いわば組織の中の民主化ということが非常にむずかしいといいますか十分でない状態の中で、先ほど専務さんがいろいろ挙げられましたような、非常に組織の巨大化というか、販売高はふえるし、職員も倍増していくというように、組織がどんどん大きくなっていった。こういうことと、今回はしなくも出てきましたいわば商社顔負けの、組織ぐるみではないと私は伺っておりますけれども、しかし職員の一部が経済行為をした。そして、ああいうことになったわけでありますけれども、結局、大事なことは、組織全体に対して漁民の一人一人の利益、一人一人の意思というものが十分に反映されるような生き生きとした共同体でなければならない、これは専務さんも言われたのですけれども。その点でいまのままの形で大丈夫であろうか。先ほどお話しになったような、今後こういうことを繰り返さないようにというようなことで、繰り返さずにいけるのであろうかどうか、もう一度御意見を賜りたいのであります。  と同時に、そういうふうに漁民が静かな中で非常に組織が大きくなってくると、員外利用をどんどんやる、資金的にも販売、購入をどんどんやるということがどこまでいくかわからないということで、これに歯どめをかける必要性は漁協の場合非常に大きいのでなかろうかという感じがいたしますが、その点御意見を賜りたいと思います。
  15. 池尻文二

    池尻参考人 組織の巨大化という点につきましては、私は、農協系統組織と漁協系統組織を比較いたしますれば、これは雲泥の差があるのではないかと考えております。と申しますのは、漁協の組織の大きなものはほとんどが、いわゆる水揚げが集中される産地市場と申しますか、先生の選挙区である八戸であるとか、釧路であるとか焼津だとか、そういったところに単協の大きなものが見えるわけでございまして、ここはほとんど市場行為が主になって行われているわけであります。  そこで、連合会を含めまして巨大性と申しますのは、北海道の例が非常にずば抜けておると私は思うわけです。特に普通の信用漁連のごときは、農協の単協に比べましても、預金の規模なりその他のことから見まして、むしろ農協の単協の方がはるかに大きいというようなことで、そういう巨大性という点につきましては、私ども組織はまだまだ文字どおりそういったことの硬直化なりそういうものは余りないのではないか。ただ、漁村の風俗と申しますか人情としまして、先ほど純朴だというお言葉を賜りましたけれども、確かにそうだと私も考えております。したがいまして、声の高い者に引きずられるのではないか、つまり信頼は専制の主であるという有名な言葉がございますが、おれを信頼しろということがつまり専制を誘発するもとになるということがございます。そういったところが昔から、特に漁業権の行使をめぐり漁場の利用をめぐり慣習としてありましたし、また、そのことがある面ではかつては生産力を上げる一つの要因であったのではないか、かように考えておりますので、ずばりお答えはできませんけれども組織の巨大性と組合活動の硬直化という面につきましては、今後戒心はしていかなければなりませんが、いまのところそんな極端な憂うべき事態は起こってないのではないかと理解をしております。  それから員外利用の件でございますが、これもまた農協系統と私どもとの基本的な差でございまして、先ほどの八戸にいたしましても焼津にいたしましても、そこの組合員よりは、むしろ鹿児島だとか宮城だとか、全国の漁船がそこに集まる、そういう環境がありますので、もともと五〇%と二〇%というように、私どもの員外利用のあれが大きいわけでございます。  もう一つは、農協系統の方は、少なくとも地域の住民と申しますか、そういう方々は、何らかの形で施設の利用の関係で準組合員の形で組合員構成の中に入っておられますけれども、私ども組合員組織は、その点では純化と申しますか、漁民の色彩が非常に強いわけでございまして、もし小さな単協でも、仮の話でございますが、そこで生活必需品を扱うということにしますと、浜に来て買う漁業者よりもそこに住んでいる住民が生活用品を購買する量の方があるいは小さい単協でも圧倒的に多くなるかもしれない例もあると思うのです。  したがいまして、私どもの方は五〇%という規定があるわけでございますが、実質販売事業で単協並びに連合会の例をとってみますと、単協の段階ではもうほとんどそう大きな員外利用率でもございませんし、特に市場をやっているところがかなり二〇%程度の率になって、北海道漁連は特殊な例でございまして四八%、こういう数字でございまして、私は、あえてこの法律を改正をして五〇%を縮小する現実的な必要性はないのではないか、かように理解をいたしております。
  16. 津島雄二

    ○津島委員 農協の問題の方にひとつ返ってまいりまして、私は、先ほど挙げた週刊朝日なんかの問題提起の中で、農民の利益と消費者の利益とを乖離させる、背反させるというような印象が持たれることを非常に恐れているし、農協のこれからの活動の上でも最も警戒をしていかなければいけないと思うわけでございます。  その点で一つお伺いをいたしたいのでありますけれども、毎年の農協の活動はもちろん米価問題が一番大きな問題で、これは全国各地で米づくりが行われておりますから当然と言えば当然でございますけれども、先ほどおっしゃったような各地域の特殊性を本当に踏まえた上での地域農業の推進ということが、農民との間の血の通ったつながりを保証する一番大切なかぎだと思うのでございます。そういう点で、従来の大きな全中という組織になった場合の農協の活動が、地域農政を推進するという時代に入ってくると、いろいろな意味で再検討が要るのではなかろうか、全国ベースだけで議論ができない面がいろいろ出てきているのではないかという点で、これはもう当然いろいろ御配慮になっていると思いますので、私ども参考になる点があったらお話をいただきたいわけでございます。  なお、つけ加えて、大都市周辺に特異な農協が自然発生的に出てきている。農業者、農民と言われる方が一反歩植木を植えておられた。その植木も庭木のように使っておられる。農協事業は、毎年一回か二回行く海外旅行のあっせん業の方がだんだん大事になって、そっちの方が本業になってしまったとか、そういう話が非常によく聞かれるわけであります。それはそれなりに経済的な面もあると思いますけれども、先ほどの本来の農民の利益を考えるという点から言えば、余り好ましいものではないと思うのであります。そういう特異な農協組織に対しては、お答えにくいかもしれませんけれども、どういうふうにお考えか、もしお答えになれれば御意見を賜りたいと思います。
  17. 山口巖

    山口参考人 第一点の問題でございますが、地域農政あるいは私どものいま計画しております地域農業振興計画を推進する上において、従来からの全国ベースとの事業の調整の問題、矛盾点がないかという御指摘でございますが、私どもは矛盾点は起こらないというふうに考えておるわけでございます。  その理由と申しますのは、地域農業振興計画作成に当たりましても、いわゆる全国ベースで流通しておる農産物が主幹作物に多くはなってくるだろう。たとえば畜産関係では、豚あるいは牛肉の生産、酪農、こういうことにつきましても、全国ベースで流通をいたしております。また、主要野菜につきましても、全国ベースで流通するものが多いわけでございます。したがいまして、全国需給関係がどうなっておるかというような、需給の予測と申しますか、調査と申しますか、これに基づく生産指標を、県段階あるいは町村段階に全国連としては当然流していかなければなりませんし、また、集出荷いたしました農産物というものを、適正に需要に合った、また消費地域に合った分荷をして売りつないでいかなければならぬという機能が残ってまいりますので、そういう点におきまして、地域農業と、それを踏まえた全国連の機能、従来非常に立ちおくれておった点が多々あると思いますので、それを早急に補完いたしまして、地域農業振興計画対応できる全国連の活動体制を整備いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  第二点の都市農協の問題でございますが、一例を申しますと、東京都の場合等におきましても、東京都で都民が消費しております生鮮野菜の一一%は、東京都の農民がつくり農協が出荷した農産物でございまして、まだまだ都市農協の生鮮野菜供給に対する機能というのは、ウエートの面からいっても非常に強いものが残っておるわけでございます。また、一面から申しますと、観葉植物、花とかそういった生産も非常に盛んでございまして、先生御指摘の植木の問題も、庭木にしておったのではしようがありませんが、真剣に植木をつくって、これを農業の基幹としている農家もあるわけでございます。都市農協は、生産物は非常に多様化いたしておりますが、市場に非常に近いという長所も持っているわけでございまして、その点につきまして十分機能を発揮させるように、都市農業対策委員会というものを全中でも設置をいたして、そういう問題について真剣に検討いたしておりますので、御指摘のような観光ばかりやるような農協でないように、十分注意をして運営をさせていただきたい、かように考えております。  以上でございます
  18. 津島雄二

    ○津島委員 時間が少なくなって残念でございますが、最後に一つ、漁協の方に、いまの農協の問題と似たような、地域といいますか、漁業の特殊性から来る地域間のあるいは漁協間の利害の背反ということはしばしばございます。いまざら私から申し上げるまでもなく、三陸から津軽海峡にかけて、大型船と小型の前沖漁業との間に絶えず紛争がある。いままでああいう紛争が出てきた場合に、私どもの感じますところは、大変漁協が苦労する。苦労するけれども調整能力を発揮する余地がほとんどない。発揮する余地がなくて放置いたしますと、どちらかというと小さいところが苦労したまま放置をされるという傾向を感じているわけでございますけれども、この点について、大型船と小型の漁業との間の紛争が起こった場合に、どういう考え方でおやりになっているのか、それはケース・バイ・ケースかもしれませんが、最後にひとつ御意見を賜りたいと思います。
  19. 池尻文二

    池尻参考人 先生御指摘のとおり、私どもの漁協、つまり漁業生産の場はどういう特徴があるかと申しますと、極端なことを言うとまさに競争の場であるし、それから利害対立の場であるということでございまして、漁業の一番の特徴は、生産の場というものはまさに利害対立の場であるということだと思います。農産物というのは市場に出てからの競争であると思いますが、私どもの方は生産の場におけるそういうトラブルの発生が非常に多いわけで、これが漁業調整の一番苦労するところだと思います。  私ども全漁連でもそうでございますが、系統組織の一番弱い点は、この漁業調整に対しての力が全くないと言ってもいいくらいなことでございます。と申すのは、すべて組合員の中のけんかという面を持っておるものですから、これについては全く無力の面がある。一生懸命自己調整をして相当力のある組合もありますけれども。したがって、その点は、最終的には漁業調整委員会なり漁業法上の運営に頼らざるを得ないということでございまして、先生の御指摘のとおりだと思います。
  20. 津島雄二

    ○津島委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
  21. 内海英男

    内海委員長 日野市朗君。
  22. 日野市朗

    ○日野委員 では、私から二、三質問させていただきます。  本日は御多忙なところおいでいただいて、いろいろ貴重な御意見をお聞かせいただいて、私もいろいろ参考になったのであります。これからの農協にしても漁協にしても、ある程度組織を大きくしていく、強力な組織にしていく、資金的にもある程度強力になることは、どうしても資本主義社会の中で農民や漁民の方々が生き残っていくということから必要なことだということは、私十分にわかっておりますし、そういった意味からも、今度の合併助成法は何としてもきちんと機能するようにしていっていただきたいという思いが、私にも非常に強うございます。それで、私そうは思いながらもいろいろ気になる点がございますので、まず農協の方から若干伺ってまいりたいと思います。  先ほど、適正規模の基準について、山口常務さんの方から具体的にその基準を明示するような形でお話がありました。私も、そういった適正規模というものはどういうものかということについて、いろいろ考えなくてはいけないというふうに思うのでありますが、ある程度の規模を持たなければならない、このことは当然のことだろうと思います。  ただ、問題は、規模を拡大していくということが、一般の組合員である農民の方々とのコミュニケーションなんかについては、これはもう二律背反のような感じすら受けるのであります。いまでも小さい農協に行きますと、また昔の農協なんかですと、組合長さんにしても、それから理事さんなんかにしても、職員の方にしても、一人一人の農民との接触があったわけでございますね。一人一人の農民が大体何を考えているか、どんなものをつくっているかというところまでよくわかっていて、いろいろ指導もされる、組合の方針も決められるというようなことで、非常に結びつきが強かったというふうに思うのですが、どうも最近の農協を見てみますと、非常に大きな農協の建物の中で、その中に組合長さんが鎮座ましまして、農協職員もきれいに整えられた環境の中で仕事をしていて、何となくどろぐつで入っていくのが気がとがめるような感じすらする。こういうふうに、農協運動の基本にあった心と心の触れ合いのようなものがどうも希薄化してきたといいますか、そういう感じが私はするのですが、その点について御意見を聞かせていただけませんでしょうか。
  23. 藤田三郎

    藤田参考人 非常に私たちもその点が心配でございます。私は、自来、農協というものは組織運動であるという考えを持っております。それで、組織強化することがまず第一に自分の使命だと思っております。私は、連絡は組織なり、連絡が十分ないところに組織活動はないという考えでございますから、いま言ったようにコミュニケーションがうまくないということは非常に私も心配をしております。だから、現在は支所の活動、私の村なんかは、本部よりかまず支所を充実してそれから本部にというふうにしたのであります。  私は、いまから五年前に全中会長に就任したときにこういうことを言いました。農協というものは組合員たる農民の共同作業場であるのだ、こういうことを言いまして、だから銀行になってはいけない、保険会社になってはいけない、また総合商社にはなってはいけないということを言ったのであります。そのときに、組合員農協との間に顧客的な感じを持ってはならない、しかし接遇ということについてはよほど注意しなければ、これが感情的にコミュニケーションというか、お互いの精神的つながりを破壊するから、それを注意せよというようなことも言っております。  私は、おっしゃるとおり、規模が余り拡大しますと、確かに、組織といいますか、連絡というものが、人と人との触れ合い、心と心の触れ合いというものが遠ざかるという考えを持っております。しかし、この点は、やはり部落座談会でございますとか、いわゆる総会の前においては、どうしても旧町村思想というものが日本人には残っておりますから、その支所単位にあらかじめ総会に提出する議案について事前の会議をするとかしてやっております。私、現在組合長でありませんが、そういうようなことをして、とにかく先生のおっしゃったとおり、規模拡大において一番注意すべき重要な問題だと思いますので、この点はわれわれもおろそかにすべきではない、この点については非常に重要な問題であるからひとつ注意するようにということで、このたび私たちのやっておる協同活動三カ年運動というのは、その協同活動というのは人と人との協同精神をもって仕事をする、つながりを強化して仕事をするというのでありますから、御指摘の点につきましては十分配慮すべき必要があると思いまして、私はやりたいと思っております。
  24. 日野市朗

    ○日野委員 規模が拡大してまいります。そうすると、仕事の内容もふえてくる、仕事の質も変わってくるというようなことで、先ほどからもちょっと指摘がありましたけれども、どうしても信用事業なんかが非常に拡大をしてまいります。そうすると、員外利用がふえてくる。そういう形がとられてまいりますと、そっちの方がどんどん肥大してくるという傾向がどうしても見受けられるような感じがいたしまして、その中では現実に農民が、信用事業の方に偏ってしまったために、農協に対して本来の生産者としての立場で近寄りにくいというようなことが出てきているのではないかというような感じを私は持つのであります。そして、これは準組合員も非常にふえてくる。そうすると、本来は職能組合であるべきだと私は思うのですけれども、それがややもすれば地域組合というような形の方に指向して、ストアなんかもどんどん大きくしていく、そういう形が必然的にとられてくる。そこいらはどこでブレーキをかけるのか、またはかけるつもりはないのか、そこいらについての見通しをお聞かせいただきたいと思います。
  25. 山口巖

    山口参考人 お答えいたします。  農協は、いま基本的に、組織が大きくなりますとコミュニケーションが非常に希薄になる。会長が申しましたように、農協というのは人間と人間との結合で、いわゆる人が中心でつくっておる組織でございますので、コミュニケーションが何といっても最大必要なことでございます。  ただ、私先ほどから申し上げましたのは、農家の経済を守る、農家経済の防波堤としての機能を果たすためには、経済的にも最低限の経営規模というものは要求されてくるわけでございまして、昔は職員農業をやって片手間に職員をやっているというような農協がございましたが、いまやそういう段階は許されなくなりまして、やはり職員を置くにも適正な賃金を払っていかなければなりません。それにはある程度の事業規模ということも要求されるわけでございまして、また、組合員のいろいろな営農上の要求に、資金需要等の面につきましては、従来のような小規模農協では対応できない問題も生じてきておるわけでございまして、そういう点から、経済的にたえ得る最低限の規模まで拡大していく必要はあろうかと思うわけでございます。  ただ、その場合に、それと並行的に出てまいりますのがコミュニケーションの問題でございまして、それを補完する体制をどうつくっていくかということが、合併農協運営がうまくいくかどうかという一番のメルクマールになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。市街地農協等で信用事業偏重の農協の形態も、先生御指摘のとおり間々あるわけでございますが、これらの点につきましても、一面から申しますと、組合員営農生活形態というのが、市街地におきましては非常に多様化してまいりまして、いわゆる農業生産の生産規模は市街地の場合は相対的に落ちてまいりまして、購買事業等に対する要求なりそういった他の組合員要求が非常に強くなる。それにつれまして組合運営体制がそういう方向に指向していくということも、これは組合員意思を中心として理事運営その他やってまいりますと、そういうような対応にならざるを得ないという側面もあるわけでございます。そうかといって、多様化している組合員の中で、農協というのは農業が中心でございますので、あくまでも農業に専念している人たちの意見を中心に据えまして、さらに多様化しつつある多くの組合員要求を取り入れて円滑な運営を図っていく、こういうきめの細かい配慮運営の面でやっていかなければならない、かように考えておる次第でございます。先生の御指摘の点は、私ども非常に心配な点でございますので、十分配慮してまいりたいと思います。
  26. 日野市朗

    ○日野委員 農協も一大きくなって組織が大きくなってくると、総合的にいろんな現象に対処していくことになりますと、どうしても政治的な問題とのかかわりも出てくるわけでございますが、農民組織とこれからの農協のあり方というようなもの、これは余り時間がありませんので、端的に、どのようにお考えになっておられるかをお聞かせいただけませんでしょうか。
  27. 山口巖

    山口参考人 農協と農民組織の問題につきましては、実は系統の中に、農民政治力結集の問題と関連いたしまして、農政活動のあり方、さらに関連する農民組織のあり方、この問題につきまして委員会を設置いたしまして、検討中でございますが、基本的に私ども考え方を申し上げますと、農民の権利と申しますか、あるいは政治活動を含めましたそういう農民の権利を守る本来の活動というのは、本来農民組織がやるのが世界各国の例でございまして、日本の場合、いろんな歴史的な経過もあると思いますが、農民組織の発達が農協ほど並行的に伸びていないわけでございます。農協の方は農民の零細な経済力を結集いたしまして農家経済を守る、両々相まって発展していくというのが一番望ましい姿であろうかと思うわけでございます。農協がいわゆる農民政治力の結集まで乗り出すということはいかがかと考えておるわけでございまして、健全な農民組織の発展というものが望ましいという期待を持っておるわけでございます。ただし、農協が健全な農民組織を結成する主役になり得るかという問題につきましては、幾多の問題もあるわけでございます。ただ、われわれといたしましては、そういうことを期待する以上は、そういう農民組織に対しまして、友誼団体として提携、援助をしていくという気持ちは現在持っておるというのが実態でございます。
  28. 日野市朗

    ○日野委員 ちょっと時間がなくなってきたのですが、今度は漁協の方の問題について伺います。  北海道漁連の問題というのは世の中に衝撃を与えたというふうに言っていいんだろうと私思うのです。私なんか見ていて、何で問題がここまでくるまでにきちんと押さえることができなかったのかという点、これは非常に問題があろうかと思うのです。これはその職員のモラルの問題もありましょうし、漁協自体の体質というような問題などもいろいろかかわり合ってくる場面もあるのかもしれませんが、私は、やはり制度的に監査機能といいますか、これがちゃんとしていないというところに問題があると思うのです。これは農協でありますと、一応監査士というようなものを置いて制度的にも監査機能があるわけですが、今後も場合によっては起こるんじゃないかと思うのですよ。小さい例で余り明らかにはならないにしても、このような例は全国でもかなりあるのではなかろうかということを非常に危惧しているのです。それをこれからどのように監査していかれるおつもりなのか、そこいらについて制度的な点についてのお考えをもあわせて伺いたいと思うのです。
  29. 宮原九一

    宮原参考人 事業経営していく場合に、監査機能をいかに強化しましても、われわれとして特に注意するのは、帳面が十分できておるやつはかえって注意した方がいいということを言っておるわけでございまして、監査機能をいかに充実しても、担当する職員のモラルなりあるいは協同組合精神というものが欠けておりますと、そういった非違行為を未然に防止することが絶無とは言い切れぬということは当然あると思います。しかし、私ども組織の中にはまだ農協で言われるような監査士制度というのもございませんので、現在全漁連では、漁協監査士という自主的な制度をつくりながら、そういう監査機能の充実を図って自主監査を励行するという立場を厳重にとりつつございます。したがいまして、将来的には、監査機能の強化という点につきましては、法制的にもぜひ農協と比肩するような形のものをおつくり願いたい、このように期待をいたしておる次第でございます。
  30. 日野市朗

    ○日野委員 最後に、時間がなくなってしまったのですが、漁協の合併を進めていくという場合、先ほど津島委員からも指摘があったところですが、津島委員は大きな声で話す人というような表現をとりましたけれども、各浜々で、いわゆるボス体制と言ったらちょっと語弊があるかもしれませんが、非常に強力な人がいて、その人にいろいろな点で乗っかかり過ぎているという点が一つあろうかと思うのですね。こういう点を排除していく指導体制というようなものがございますか。そして、こういう点を乗り越えて合併を進めていくにはどのようにしたらいいかという見通し、それについてお聞かせいただきたいと思います。
  31. 池尻文二

    池尻参考人 いまボス支配の話が出ましたけれども、私も漁村の出身でございますが、昔に比べれば現在はそれも非常に緩和されてきておるのではないだろうか、かように考えております。  なお、そういうものを逐次排除し、突き崩していくためには、やはり基底の組織活動というのが一番大事だろうと思っております。幸いにいたしまして、漁村におけるたとえば漁場の問題については、きのうきょう全国の青壮年婦人改良普及大会をやっておりますが、ああいう若い世代が海の上で共同の研究をし、そしてその成果が陸に反映をするということ、それから婦人部の組織というものを強化をしていって、漁協の基盤にそういう組織活動というものをもって逐次組織的にこれを強化していく以外にないのではないか、かように考えております。
  32. 日野市朗

    ○日野委員 時間がなくなりましたので、これで終わります。
  33. 内海英男

    内海委員長 この際、午後一時十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時十分開議
  34. 内海英男

    内海委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。角屋堅次郎君。
  35. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本日は、農協並びに漁協の合併助成法の来週以降の処理に関連をいたしまして、四人の農協、漁協の最一局の指導者の方々に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。持ち時間が二十九分ということでございますので、そういった中で若干の御質問を申し上げたいと思います。  先ほども参考人からお話がございましたように、農協の場合は、これからの八〇年代の農協としてどうやっていくかということについて、「一九八〇年代日本農業課題農協対策」、サブタイトルとして「地域からの農業再編を目指して」、こういうものを大会決定に基づいてこれからの十年間の基本方針にしようということを決めておられるわけであります。漁協の場合も、昨年の水協法施行三十周年記念全国漁業協同組合大会におきまして、「基本政策確立課題と運動展開の方向」というのを決められて、これに基づいて、これからの運動の基本にしていこうということを決められておるわけであります。  そこで、時間の関係もありまして、これらの内容に深く入ることはできませんが、せっかく両団体の指導者が御出席でございますので、農協、漁協のそれぞれについて、二、三の点をまずお伺いをいたしたいと思います。  まず、藤田会長山口常務の方でありますが、「一九八〇年代日本農業課題農協対策」、こういうものを出されて、これからの農協運動の基本方針にしようという積極的な意欲というのは、これは評価されていいと思います。ただ、内容に入りますと、生産政策にいたしましても、価格政策にいたしましても、加工、流通対策にいたしましても、私どもとしては議論の存するところがございます。  そこで、お伺いをしたい点は、まず、生産政策の問題の中で、これから長期年次別の全国の生産目標を設定していこう、そして、それには戦略作物というふうなものも基軸として考えていこうという考え方をとっておるわけでありますが、この点について、文章全体を読んでいきますと、私どもがかねがね言っており、農業団体でも運動の中では強く主張しております食糧自給率というもの  の文面というものは必ずしも明確に出てきていないわけであります。今日、言うまでもなく、穀物の自給率あるいは食糧の総合自給率というのは、どんどん低下傾向にございます。穀物自給率で言えば、五十三年の場合にはすでに三四%というところに来ている。われわれはこれを十年間で少なくともアメリカやヨーロッパの先進諸国の最低基準六〇%台に上げるべきじゃないかということを考えておるわけでありますが、これは、今日の食糧の安全性確保の重要性から見ても、あるいは二十一世紀にかけての食糧の国際的な需給動向が不安定性を持ち、不足基調である、特にアメリカがアフガン問題に関連をしてソ連に千七百万トンの小麦を禁輸するといったような、食糧を戦略物資として取り扱うような動きが出てまいりますと、とにかく二千五百万トン近い穀物を外国に依存をし、穀物自給率のきわめて低い日本としては、積極的にこれを上げていくという考え方をとる必要がある。ところが、この農協で出されております大会の決定の中では、食糧自給率問題について、団体として、たとえば現状をどれくらいに十年なら十年で上げていこうという、そういう考え方が必ずしも明示されておりません。こういった点について、どういうふうに全国生産目標の設定等をやる場合に考えていかれるのか。  それから第二点は、生産政策にいたしましてもあるいは価格政策にいたしましても、重要問題については政府農協との協議をやっていこう、しかもこれは公的協議の場として制度化していこうという考え方をとっておられるわけであります。この制度化というのは、たとえばわれわれの場合、かつて農民組合法等を出したことがございますけれども、これからやはり社会党としては、農業基本法の三十五年代に出したその問題を見直しをしながら、基本問題としてこれを提案をしていこうということを考えておりますし、漁業基本法についても、私ども、私の名前で当時出したわけでございますけれども、これもやはり現状に照らして見直しながら、これを出していこうということを考えておるわけでありますが、そういった問題との関連でも重要でありますけれども、この政府協議の法制化といった問題、これは西欧諸国にも、政府と生産団体との生産あるいは価格についての相当権威ある協議ということがなされておる先進諸国もあるわけでありますが、それらに学びながらそういうものをやっていこうという考え方であるのか、まずこういった点について、藤田さん、山口さんの方から、いずれでも結構でありますけれども、お答え願いたいと思います。
  36. 山口巖

    山口参考人 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問は、第一点が食糧自給率が八〇年代の私どもの構想では必ずしも明確ではない、全国生産目標策定の段階でその問題をどういうふうに処理をするか、こういう御質問であろうかと思いますが、よろしゅうございますか。−私どもといたしましては、食糧自給率を何%に引き上げるということは、この内容では触れておりませんが、ただしかし、それとうらはらの関係に相なろうかと思いますが、基本的な考え方といたしまして、八〇年代の世界の食糧需給というのは高位不安定に推移をする、九〇年代は恐らく不足に向かうであろうという長期見通しをいたしておりまして、現在保持しております農業生産諸力、農地、労働力、機械等の施設、こういうものを八〇年代は維持、保全して発展させていくということが内容でございます。したがいまして、当然これ以上農地を荒廃化させない、農業労働力も減少させない、そういう面におきまして、これ以上、逆から言いますと、自給率を落とさないということを当然考えておるわけでございます。特に留意をいたしておりますのは、米の消費減退に伴いまして、いわゆる転作問題が当然余儀なくされる状態を想定しておるわけでございますが、その際に、やはり土地を使う農産物を転作作物の中に導入をしてくる、それを戦略作物としてうたっておるわけでございまして、特に需要があって海外からの輸入によって国内需要が賄われておるものは、土地を使う農産物が中心でございます。麦、大豆、それから飼料穀物、飼料作物、こういう問題につきまして、重点的に戦略作物として設定をいたしまして、いわゆる転作によって農地が荒廃化することのないような対策を立てていきたいという考え方でございます。  したがいまして、全国生産目標策定に当たりましては、当然そういう基本的な考え方に基づきまして、まず全国の耕地を何をどう植えるかという問題につきまして総合的に考えまして策定をいたさなければならぬ、いわゆる農地を遊ばせるとかあるいは荒廃化するという前提ではないということがまず基本でございます。  同時に、生産目標策定に当たりましては、やはり需要量の測定ということが当然必要でございまして、今後、経済がますます厳しくなり、農畜産物の需要も総体的に高度成長の時代と比べまして停滞化が予想されますので、需要のあるものについて適合するような生産計画というものを設定をしていかなければならぬという考え方でございまして、まず全国ベースのマクロの姿で需要量の測定を行いまして、それを地域の特殊性を勘案して、全国的に地域の生産指標というものを同時に作成をいたしたいという考え方でございます。  なお、生産目標の策定は、各単位農協におきます地域農業振興計画作成の指標になるものでございまして、地域農業振興計画が作成されましたならばこれを全国的に積み上げまして、作目別の生産数量、それから価格、これらの問題につきまして、政府との間に協議を行う場を設けたい、なお、そういうシステムの制度化を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、この計画を何年間で実施するかという考え方でございますが、本年から向こう三年間にわたりまして、地域農業振興計画の最終的な積み上げ、法制化の問題につきましても、先生方に御要請をいたしまして実現を図ってまいりたい、かように考えているわけでございます。  当面の問題といたしましては、全国生産目標の策定を現在準備をいたしておりまして、来年の二月には全国生産目標の策定を終わりたいという考え方で現在作業を進めておる次第でございます。  それから、第二点の問題につきましては、それの最終的な締めくくりという意味で、どうしても、私ども地域農業振興計画から積み上げた作目別の生産数量につきまして、需要量の確保というものを政策的に実現していただかなければなりません。同時に、再生産可能のような価格の保証もしていただかなければなりませんので、それらの面につきまして、政府と団体との間に正式に協議して決定できるような制度化というものを最終的にどうしてもお願いしなければならない、こういう考え方でございます。  以上でございます。
  37. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 漁協の宮原さんと池尻さんにお伺いしますが、先ほども言いましたように、昨年決めました「基本政策確立課題と運動展開の方向」という中で、二百海里時代における今日の沿岸、沖合い、遠洋漁業の置かれておる厳しい条件、そういった中で、今後どういう政策を基本にして推進をするかということが決められておるわけでありますが、特にその中で、漁業基本法の制定をぜひ実現するようにこれから運動を進めたい。  これからの問題としては、栽培漁業等の問題もございますし、漁業全体としては資源管理型の漁業の展開にやはり移行しなければならぬというふうに私どもも考えておるわけでありますが、特に漁業問題では、沖合いから遠洋漁業関係では、今日言われておる油問題というのが大変な影響を持ってくるわけでありまして、系統として、こういう燃油対策というふうなこれからの長期の問題について、どういう基本的な考え方でいこうとしておるのかという点についても、簡潔にお答えを願いたいと思いますし、来週になりますと、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の論議に入るわけでありますが、かねて漁業者についての漁業者年金の創設ということの検討を本委員会で決議をした経緯がございます、これは私が提案したわけでありますけれども。それ以来、水産庁と全漁連との間でもいろいろ相互検討が行われてきたわけでございますが、それに直接タッチをされた池尻専務の方から、それらの問題についてお答えを願いたいと思います。
  38. 池尻文二

    池尻参考人 漁業基本法の問題につきましては、詳しく申し上げる時間がございませんが、現下に非常に問題になっています石油の問題でございます。  全国の中小漁業者の使用しておる石油の総量は大体五百万キロリッターから五百四十万キロリッター。その中で、全漁連の系統で扱っております石油のシェアが百万キロリッターあるわけでございます。非常に残念なことには、私どもの百万キロリッターの組成の中で、大ざっぱに申し上げますと、三十万キロリッターが外国からの直接のA重油の輸入であります。それからあとの四十万キロリッターが国内産の、国内の元売りからの調達分でありまして、あとの三十万キロリッターがいわゆる当用買い、スポット買いで物を集めるというような構成になっております。  一番の問題点は、現在どこの世界からA重油を引っ張ってまいりましても、国内産の価格よりはるかに高価格であるということでございまして、全漁連が依存しておりますソ連石油でも、現在、国内産に比較しましてキロリッター当たり一万五千円くらいの格差があります。そういうようなものをやめるわけにはいきませず、全漁連の百万キロリッターのどんぶりの中でこなすということになれば、これが価格的に非常に高いということになりまして、非常に残念なことでございますが、浜では全漁連の価格がいま一番高い。逆に申し上げますと、全漁連の価格がプライスリーダーになっておるというこの事実を否定することができないわけであります。したがいまして、私どももこれは非常に心を痛めておるわけでございますが、強力なる通産省の行政指導等によって、暫定期間国内産のレギュラーのものをぜひともこの系統のルートに供出してもらって、輸入の価格が落ちつくまでの間、全体的に油の価格をならしたい、かように考えておる次第でございます。これが全漁連の系統石油の一つ課題でございます。  それから、漁民年金制度の問題でございますが、御案内のとおり、農業者年金は農業にあるわけでございまして、漁村はまさに不可抗力の危険と同居しておるわけでございまして、海難はあるし、そして激しい労働で働く漁民に老後の支えがないということはきわめて残念でございます。したがいまして、私どもは、ここ両三年何とか漁民年金という公的年金制度を目指していろいろ水産庁とも折衝し、また内部でも検討をいたしておるわけでございますが、漁民年金一本で設計をいたしますと、ただでさえもいま御案内のとおり各種の公的年金にもいろいろな財政的な問題があります。わずか底辺三十万の漁民でございますので、これを一気に公的年金制度に積み上げるということにつきましてはきわめて大きな問題を抱えておりますので、そうかといってそれの確立するまで待つこともできないということで、現在私どもの内部では、何とか自主年金制度でもいいから、たとえば三十歳から六十歳までの間に養老貯金でもいいし、あらゆる手段を講じて年金資産を造成をして、それを掛金として、ひとつ自主的に六十歳から実質年金の給付が受けられるような仕組みというものの一つの素案ができ上がってまいりまして、それをいま系統の間で相談をしておるところでございます。  角屋先生御指摘のとおり、私どもは、そういう公的年金制度は待てないと言いながらも、旗をおろしたわけではございません。しかし、われわれの努力によってできるものからまず始めていこうということでございますので、この間のいきさつを御了承の上、将来善処を賜りたいと考えておる次第でございます。
  39. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 次は、先ほど来同僚委員からも若干触れられ、また参考人も遺憾の意を表明されました全共連の事件の問題、北海道漁連の問題、こういう点について若干触れたいと思います。  全共連の問題については、過般本委員会でもある程度議論がなされたわけでございまして、時間の関係上そういう中身を深く触れることはできませんけれども、旧執行部が全員総辞職をいたしまして、今月の二十二日に総代会で新しく静岡の江藤さんを会長にする新役員体制ができて滑り出しておるわけであります。  これは基本的には、不動産の運用問題に絡んで、不稼働の蓼科高原の問題を含めた、そういう問題を中心に過般の委員会でも議論がなされたわけでありますが、新役員体制ができて再建に取り組む、また一方、司直の手でこれが捜査がなされていくということになろうと思いますけれども、われわれとしても非常に遺憾な事件でありまして、こういう事件の原因あるいは反省の中から、今後基本的に全共連の運営という問題については、全中も関連が深いわけでありますけれども、どういう考え方対応していくべきなのかという点について、基本的な考え方を承っておきたいと思いますし、また、北海道漁連の問題については、これは日本の全国的な漁業団体の中ではまさにトップを行くリーダー的な漁連で不幸な事件が起こったということでありまして、専務理事でありました吉田さんや常務理事でありました菊地さん等も二月五日の時点で辞任をされる。これは道漁連の員外利用の特に販売事業関係で問題が起こっておるわけであり、また、それに関連して北商等の問題もありまして、百数十億に上る欠損が生まれておる。これに絡んで、これからの再建策をどうしていくかということは、単に北海道漁連だけの問題でなしに、全漁連全体としても、心臓部の漁連で問題が起こっておるだけに、双方タイアップしながらこれらの問題の処理をやっていかなければならぬということであろうかと思うわけであります。  ただ、この機会に、全共連の問題にいたしましても、北海道漁連の問題にいたしましても、こういう問題が起こったのを契機にして、そのしわ寄せが職員の雇用問題にまで響いていくということがあってはならないと思うわけでありまして、そういう点で、これらの問題についてどういうふうに考えておられるか、明確にお答えを願いたいと思います。  あと、時間の関係もありまして、農協、漁協の合併問題については、これはわれわれも来週の段階で、順調にいけば並行して農業者年金基金法の一部改正ととも一に処理をしたい、こう考えておるわけでありますが、この場合に、いま相談の中で、農協については三年延長、漁協については御要請のとおりの五年延長というふうなことに対して、双方ともに五年というふうな形にしてはどうかというふうなことも意見としてあるわけでありまして、こういった問題についても、これは漁協の方は五年の要望に対して五年で対応しようとしているわけでありますが、農協の方は三年説もありまして、三年、五年の問題については団体としてどう考えておられるか、こういった点についてお答えを願いたいと思います。
  40. 山口巖

    山口参考人 全共連問題につきましては、冒頭会長から申し上げましたとおり、非常に先生方にも御迷惑をおかけいたしまして、おわびを申し上げる次第でございます。  会長から報告がございましたように、二月二十二日の臨時総代会におきまして、いわゆる人心一新ということで新役員体制が発足をいたして、現在再建にかかっているわけでございます。  今回の問題につきましては、先生御指摘のとおり、不稼働資産の問題等ございましたが、基本的には、いわゆる理事会を中心といたします執行体制の不統一ということがああいう問題を生み出したわけでございまして、まずもって、これは全組織に対しまして信頼を回復するためには、現執行部、いわゆる理事、監事を含めまして総辞職ということに相なりまして、また、旧来の役員は再選せずという厳しい方針で、全く新しい人を選任をいたしたわけでございます。  新執行部におきましては、御指摘にございましたような不稼働資産の稼働化の問題につきましても、十分今後配慮いたして努力をいたすつもりでございます。また、全中といたしましても、そういうような指導をいたす所存でございます。  ただしかし、世上週刊朝日その他で論じられておりますように、あの不動産取得の問題につきましては、御案内のとおり、過剰流動性と申しますか、経済界全体で非常に資金がだぶつきました期間、いわゆる高度成長末期の期間に取得をいたした経過がございまして、必ずしも全共連だけが非常に不稼働資産、不動産を多く抱えたということではないだろうと思います。ただしかし、そういう不稼働資産を抱えていること自体は決して農民のためにいいことではございませんので、全力を挙げていわゆる稼働化に努めなければならぬというふうに考えております。  また、職員の問題につきましては、新執行体制のもとに人事も、全国連も一体になりまして新しい清新な人事体制ができるように確立をいたしたいということで、新執行部と各連会長との間に話し合いを進めておる最中でございます。  以上でございます。
  41. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 農協合併助成法の五年の問題は……。
  42. 山口巖

    山口参考人 合併助成法の期限の問題につきましては、先生御指摘のとおり、五年にしていただければ非常にありがたいというふうに考えております。
  43. 宮原九一

    宮原参考人 北海道漁連の問題につきましては、冒頭にも申し上げましたように、大変遺憾でございまして、この問題が全国の漁連に及ぼす影響もきわめて重大でございます。いま北海道漁連といたしましては再建方策を検討中でございまして、再建ということになれば、当然だれが考えてみましても、経営の合理化あるいは冗費の節約といった問題も出てまいりましょうし、さらには、執行体制の整備、収入増加方策等諸般の問題が出てまいるわけでございますけれども、先ほども申しましたように、担当する職員の物の考え方というものがやはり大きく今回の事件に反映をしてきておることも考えますと、先生のおっしゃるような方向の中でも、なおかつ職員の教育訓練、研修といった問題を重点的に取り上げていく必要があるのではないか、このように考えておりまして、全漁連の方にも具体的な再建方策についての相談があります段階におきましては、組織を挙げて支援体制を組んでいくという方向で検討させてもらいたい、このように考えております。
  44. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  45. 内海英男

    内海委員長 芳賀貢君。
  46. 芳賀貢

    ○芳賀委員 参考人の皆様にはまことに御苦労さまでございます。  この際、限られた時間でございますが、重要な点について率直な意見を拝聴したいと思います。  先ほど藤田参考人から意見が開陳されましたが、その中で、昨年の国際協同組合機構であるICA会議において、いまや協同組合原則が風化しつつある、こういう課題が提起されたということを聞きました。これは恐らく世界的に協同組合が置かれた姿であり、また風潮であるのではないかと私は考えますと同時に、このことは、わが国における農業協同組合といわず、漁業協同組合といわず、あるいはまた協同組織の森林組合等においても、重大な警鐘と受けとめて、その根源を十分にきわめて抜本的にこれが原点に立ち返ることのできるように努めてもらわなければならぬと思うわけでございますが、この際、風化現象というのはどこに原因があるか、これを構成員である組合員の立場から見た場合と、それから皆さんのように協同組合経営の責任に当たる立場から見て、どこにその原因があるかという点について率直に述べてもらいたいと思います。
  47. 山口巖

    山口参考人 ICAで指摘されました協同組合原則の風化の現象というのは、先生御指摘のとおり世界共通の傾向に相なっておるわけでありまして、特に西ドイツ等におきましては、協同組合が株式会社組織に転化するような傾向も出ておるわけでありまして、大きな問題になっている点は御指摘のとおりでございます。  この問題につきまして、組合員の立場、それから経営側の立場からどこが問題点であるかという点を述べろという御質問でございます。  組合員の立場に立って考えますと、協同組合は、一言で申しまして、経済事業においては商社化しているという言葉が一般的に言われておるわけでございまして、組合員を利益追求のために顧客扱いにしている、こういうことが購買事業の面については言われ、販売事業の面においては手数料主義で、農産物価格が安かろうが高かろうが一定の手数料で売却をしていく、これは本当に農家の立場に立っていないのではないか、こういう問題が指摘されておるわけでございます。また、信用事業の面においては、貯金を集める問題については熱心であるが、農業再生産のための貸し出しの問題については、生産力担保のような考え方における愛情のこもった運営をすべきではないか、こういう意見が集約的に出ております。共済の問題についても同様の問題でございます。  そこで、経営側としてのこれに対する対応策というものを当然考えていかなければならないわけでございます。まず経済事業の面につきましては、やはり組合員農産物の販売によります農業所得をいかに確保するかということにつきまして、現在の事業の進め方でいいのかどうかという問題につきまして、深く反省をする必要があろうかと思うわけでございます。具体的に申しますと、たとえば畜産生産におきましては、養豚を個個の農家が経営をして、これを市場へ系統で運んで、そして不特定多数の買参人に売りさばくということだけで果たして農家経済が守れるか。いまの高度に資本主義化した食肉業界におきましては、さらに一歩突っ込んで、加工、流通過程における付加価値部分をいかに原料生産農家に還元するか、そういう事業システムというものを新しく系統として取り入れる必要があろうかと思うわけでございます。これは野菜の販売その他の面におきましても、新しい市場を対象とする販売ではなくて、系統が直接消費者までつなぎ得るような流通路線というものを積極的に開拓する、そのための加工、流通保管施設等の整備を図るべきであるというふうに考えておるわけでございます。  また、購買事業におきましては、具体的に申しますと、農機具等におきましてはすでに全農も実施しているわけでございますが、農機具を売りつけるという姿勢ではなくて、いかに農家の段階で農機具のコストの面における償却費を軽減させるかという視点で農機具の取り扱いをやらなければならぬ、それには農機具の修理工場等をつくっていかなければならぬ、こういう問題を考えておるわけでございます。  信用事業等におきましても、先生十分御承知でございますので省略をいたしますが、新しい事業形態を展開しなければならないという考え方でございます。  以上でございます。
  48. 池尻文二

    池尻参考人 ICAのいわゆる協同組合原則の風化というのは、私も漁業協同組合運動の現実を見て率直にやはり認めざるを得ないと思います。具体的にはいろいろございますが、私どもの漁業協同組合の基本には、先ほどから話題になっておりまするように、漁業協同組合が漁業権というものを持っている、これは農協と違った生産面というものに協同組合がタッチをする一つの大きな基点でございますが、そういう漁場行使の面におきましても、最近におきましてはただ経済至上主義に流れて、全体の共同の漁場利用という精神がすたれつつございます。したがいまして、そういう意味から、協同組合組合員として組織活動を行う上の権利義務の観念というものがまことに希簿でございます。したがって、経営をする責任者から見ればこうすべきではないかということもむなしい提言になり、また一方は、自分さえよければいいというような風潮で支配されがちになっている、これが一つの実態ではないかと考えております。  したがいまして、私どもも、組織活動でございますからやはり組合員としての義務は果たし、そして私どももまた組合員に訴えて、そして団結をして事態を切り開いていくというふうな方向に運動の重点を指向しなければならないのではないか、かように考えております。
  49. 芳賀貢

    ○芳賀委員 いまお話がありましたが、たとえば最近の、先ほど述べられました全共連の怪文書事件に端を発した一連の問題にしても、これは現在の全共連の契約高は二百九十兆円に及んでおるわけですね。民間の生命保険会社の日本生命は九十八兆円ですから、日本生命の三倍の契約保有高を持っておるということになる。そこで、だれが努力してこういうふうに巨大な契約とか事業に高めたかというところに間違いのない認識を持つ必要があると思うのです。たとえば、引退されましたが、全共連の滝沢会長が二十数年間先頭に立って努力したのでこうなったというような自負心の上に立つと、これは大きな間違いを起こすということになると思うわけです。それから、全漁連の重要な会員であるところの北海道漁連にしても、空売り事件とかあるいは北商のかずのこ倒産の問題であるとか、それから協同組合が全く商社化をして、海外進出事業、海外で合弁会社を設立するというような一連の問題が起きて、いま問題の解明と再建に皆さんが苦慮されておるのですが、これらは単に氷山の一角であって、全国的の連合会といわず単協といわず、こういう現象が非常に多く伏在しておるわけです。これも協同組合原則の風化現象の一つのあらわれであるというふうに私は思うわけです。農協の問題にしても、組合員の立場から見ると、農協の構成内容というものが非常に変化しておるわけです。たとえば、全国の農家の中で、専業農家が一二%、第一種兼業が一八%、農業を主体にするものが全体の三〇%。農協ではこれがまず正組合員の資格を有する農家ということになるわけですね。あと第二種兼業が全体の七〇%。この中には公務員の第二種兼業も当然入っておるわけです。厳密に言えば、これは准組合員的な位置づけをしなければならぬ階層であるというふうに考えておるわけです。だから、どうしても組合員の多数者の利益に奉仕する、利益を実現するということになれば、専業であろうと第二種兼業であろうと、最大多数の組合員の要望とか利益というものを考えるような経営をしなければならぬということになれば、当然これは商社化という方向にいくわけです。特に都市農協の形態を見ると、農業の生産活動、経済活動というものは必要がないという状態になっておるわけです。だから、その地域における組合員を中心とした貯金の吸収とか、あるいは先ほど言いました共済の契約を拡大する、そして農協スーパーと言われるいわゆる購買事業というものに重点を置く。農協は、都市農協であってもやはり総合農協であれば、貯金、金融の取り扱いができるわけでありますからして、たとえば農家でない員外者であっても一口の出資を持てば准組合員として当然農協の利用ができる、そして員外の貯金の吸収もできるということになるわけでありますから、都市農協というものは農業協同組合としては全く形骸化して、ややもすれば生活協同組合と類似した事業というふうになっておるわけです。これは、日本の農業の構造がそういうふうに変化したわけだから、農協だけけしからぬと言っても根本的な解決はできないと思うのですよ。  漁業活動にしても、二百海里時代に入ってからその途端に魚ころがし、これはやはり漁業関係には農協と違って水産物の保管というものが冷凍方式、近代的な倉庫の中に冷凍保管ができる。半年でも一年でも保管しても変質しない。場合によっては価格を引き上げて利益を追求するために、いわゆる魚ころがしとか、冷蔵保管した物を倉庫から出さないで道漁連のように空売りをやるとか、そういうことで漁業の近代的な設備を悪用した中において、国民大衆に対する奉仕の観念を全く忘れて、手腕を発揮してもうけさえすればいいという者が優秀な職員である、優秀な幹部であるという評価をされるところに問題があると思うのです。こういう点をやはり根本的に解明して、協同組合原則の上に立った経営とか運動というものをぜひ皆さんが先頭になって展開してもらいたいと思うのです。  ですから、農協の健全な自主独立の運営ということになれば、これは経営的には理事と監事の制度があるわけですね。理事が上で監事が下というわけじゃないでしょう。理事の指示によって監事が動くなんというものじゃないのですよ。だから、欠陥の中には、現在の協同組合における監査体制の弱体化というか欠陥というものが多分にあると思うわけです。先ほど宮原参考人は監査体制より人だということを言われましたが、私は、人よりもやはり農業協同組合、漁業協同組合、この自主独立な経営をする場合には、組織の中における厳粛な監査体制というものが、自主監査というものが反復して行われなければ、こういうような不正事件であるとか不当な問題をとどめることはできないと思うのですよ。何か監査体制というものを軽視するような考えがもしもあるとすれば、これはとんでもない間違いだと思うのです。監査よりも人であるということになれば、悪いことをするような人物は頭の回転も早いし、他より知恵がすぐれておるでしょう。そういう者に対して、いや監査よりおまえの知恵とか手腕の方が大事だということになると、ますます不正を助長することになると思うわけです。そういう点から見て、協同組合の中でも農協と漁協の場合の監査体制というのは、法律制度の面においても非常な相違があるわけです。簡単に言えば、農協の場合には、農協法の中に中央会組織機構とか任務というものが法律上明定されておる。しかし、漁業協同組合の方は、水協法の中の事業として、たとえば全漁連にしても会員の事業に対する監査とか指導とかあるいは教育、情報の提供ができるということにはなっておるが、元来全漁連にしても道漁連にしても事業を執行するための協同組合ですからね。農協中央会のように、教育活動であるとか、監査士を設置して適正な監査ができるというような体制については全く欠けておるのですよ。しかし、協同組合ができてからもう三十年以上もたつのに、漁業協同組合の陣営からはこの面の強化を制度的に図るべきであるというような強い要請というものは私は余り聞いていないわけです。この点に対して、一体協同組合の現在の監査体制というものはどういうふうになっておるか。組合員から見た場合に本当に信頼できるような監査執行体制というものがしかれておるかどうか。これは山口さんあるいは池尻さんから、実態についてのお話を願いたいと思います。
  50. 山口巖

    山口参考人 お答えいたします。  農業協同組合におきましては、監査体制整備のために全国農協中央会におきまして監査士の養成、資格審査を行いまして、監査士を各農協必ず、これは職員でございますが、設置するように進めておりまして、ほとんどの県におきまして職員の中に監査士を持つように進行中でございます。各県中央会には当然監査士がおりまして、傘下農協の監査に当たっておるわけでございます。また、農協の監事の研修のために監事研修会を持ちまして、各農協の監事が監査能力を持つように農協学園に泊まり込みで前後三日間くらいの研修会を繰り返して実施をいたしておりまして、監査体制の整備につきましては、まだまだ足りない点もございますが、最近非常に整備されつつあるというのが現状でございまして、今後もその方向で努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  51. 宮原九一

    宮原参考人 先ほど、私の申し上げたこと言葉足らずでございますが、私どもといたしましても自主監査の重要性については痛切に感じておるわけでございまして、それぞれの組織の中で創意をこらしながら監査の励行をいたしておるわけでございます。一 なお、今回の問題につきましては、全国系統の販売事業を中心とする事業内容を総点検するという水産庁長官の通達もあり、また全漁連、農林中央金庫等とも相談の上、具体的な監査の方法を策定いたしまして、ただいま全国連合会ですでに販売事業を中心とする事業の総点検を実施中でございます。  なお、組織的には、たとえば私どもの三重県漁連には早くから常勤監査制度を置きまして、常時、出先の監査をする、あるいは全漁連におきましても監査室といったようなものを置いて内部監査を厳重に履行するというようなことを自主的にはやっておりますけれども、なお制度的には先ほど申しましたように、農協と同じような監査士の制度がありませんので、自主的に全漁連が中心になって、全国連合会等から優秀な職員を講習し資格審査をしながら、それらが各地に散らばって単位漁協の指導を厳重に実施をしつつあるという状況でございまして、われわれ漁協系統としては、農協系統と同じような法制的な監査士制度というものもこの際ぜひお願いしたい。この件については前々からお願いをいたしておるようなことでございますが、先生のお耳に入っておらなければ私どもの運動の不足である、このように反省をいたしておる次第でございます。
  52. 芳賀貢

    ○芳賀委員 この監査制度については、これは農協法にも水協法にも行政庁の行う定例検査という規定がございますが、なかなか農林省が経済局や水産庁の協同組合課だけで、たとえば全国連合会を年一回必ず定例検査をしなければならぬと法律でうたってあっても、これはなかなかできないのですね。だから、自主独立の上に立った協同組合自身の自己監査あるいは内部監査というものをやらなければならぬということになっておるわけです。最近、北海道の農協連合会なんかの監事諸君もよく私は知っていますが、内地府県の重要な個所には、北連にしても支店とか出張所が設けてある、そこへ監事が出かけるわけですから、役員である監事諸公というのはもう大名旅行みたいな気持ちで職員の監査担当者を連れて、おまえ、しっかりやれというような、そういう緩みがあるのじゃないかと思うのですよ。だから、自己監査をやる場合、中間監査にしても期末監査にしても、必ず、たな卸し監査というのをしなければならないでしょう。だから、倉庫の中に出荷された農産物がどれだけ在庫しているかとか、あるいは購買品がどれだけあるとか、あるいは他の倉庫業者に対してどれだけの商品とか水産物の預託を保管したものがあるかというと、現場へ行って当たってみなければたな卸しというのはわからぬでしょう。たな卸しという字だけ見ても、これはどこかで一杯飲んでおってちゃんとやれなんと言ってもできないわけですから。だから、道漁連にしても七年間も空売りが行われておる。この中間において厳格な当然なたな卸し等が保管の場所へ行って行われれば、これは空のものであるか、実在しているかということはわかると思うわけですよ。ですから、こういう点については、じみな仕事ではありますけれども、監査体制確立ということは、やはり組合原則の風化現象を防いで立ち直るためにも大事な点であるというふうに思うわけです。  最後に、もう一点お伺いしますが、農協においても漁協においても、いわゆる農政活動あるいは漁政活動というものを展開されておる。これは当然なことですが、運営に必要な、それに伴う政策活動とか、あるいは政府とか政党に対する活動というものは不可欠なものでありますが、協同組合が政治活動の分野まで進出するということについては、やはり問題があると思うわけです。それも共同組合の創成期時代のように、場合によっては反体制的な立場に立って、そうして資本主義や自由主義経済の圧迫に対して、自衛組織として協同組合を農民や漁民が形成をして努力をする、それを発展させる場合には、時の天下の与党自民党であっても敢然として立ち向かうというような、はっきりした政治的な路線というものがあったが、いまはそうじゃないでしょう。補助金政策とかいろいろな点もありますが、どうしても政府依存、与党自民党に追随、依存するというような、そういう運動や活動というものが、これが農協や漁協の農政活動である、漁政活動であるというような大きな錯覚を持っておるわけですね。だから、先ほどお話のありました農協大会における八〇年代のビジョンの中においても、米の消費がだんだん減退する、やがて八〇年の末期においては八十万ヘクタールの水田を減反、転作しなければならぬということをいち早く打ち出したわけでしょう。八十万ヘクタールというのは現在の水田総面積のおよそ三〇%ですからね。そんなことを何も農協として打ち出す必要はないと私は思うのですよ。だから自民党政府が大変喜んで、昭和六十五年をめどにした十カ年の長期計画の中において、同じように八十万ヘクタールの減反政策というのを打ち出しておる。これじゃ何のために農協の長期的な生産目標や活動かということになるわけです。そうならぬようにどうして歯どめをかけるかということが協同組合の闘いでなければならぬと私は思うのですよ。現在まだ国民一人にすれば八十キロちょっと割った程度でしょう。それを農協がいち早く、十年後には六十五キロになってしまうとか六十キロになってしまうからなんということになれば、組合員である農民に対して全く絶望感を与えることにしかならぬと思うのですよ。そういう間違った自民党の政治やいまの政府のやり方がけしからぬと思えば、それに時々刻々に歯どめをかけるのがこれが皆さんの仕事じゃないですか。だから、衆議院選挙だ、参議院選挙になれば、全国津々浦々、どうなっているか私はわかりませんが、私の目に触れる範囲においては、農業協同組合の事務所の正面とかあるいは玄関の柱に自民党の候補者の名前を大きく書いてそこへ立てかけてある。そんなことまでしなければ協同組合運営ができないかというのですよ。そうでしょう。だからこの辺が、私は、余りに農協、漁協というものが本来の仕事に対して自信を失って、何でもかんでも政治的に解決すればいいのだというようなことになると、こういう現象が起きてくると思うわけです。だから、やはり協同組合の行う政治活動の限界というものに一線を引いて、ヨーロッパのたとえばイギリスにしても西ドイツにしてもフランスにしても、農民組合あるいは農民組織の根拠法というものがあって、それで政府との折衝とか政治活動の分野については農民組合が前面に出て闘いをする。それに対して協同組合は、これは一心同体のものですから、経済的な分担とかあるいは重要な資料の策定をして、そうして農民や漁民の活動というものが十分に実現できるように機能を分担してやっておるわけです。こんな程度のことは、山口巌さんにしたって池尻さんにしたって知らぬことはないと思うのですよ。これは苦言になるわけでございますが、ぜひ、こういう点についても、国際会議において協同組合原則が風化現象を起こしておるということをみずからこれは宣言してきたわけだから、地元においても千分にがんばってもらいたいと思います。何かお考えがあれば、見解を両会長から述べておいてもらいたいと思います。
  53. 山口巖

    山口参考人 先生の御指摘の点はよくわかっておりますが、ただ一点ちょっとお答え申し上げたいと思います。  「一九八〇年代日本農業課題農協対策」の中で、今後一九八五年、期の半ばでございますが、これを見通した場合において、米の消費量は一千万トン台にまでこのままでいけば減少するであろう、その場合に八十万ヘクタールの転作を余儀なくされるであろうという、私どもとしては、各種の資料それから食生活現状等を分析いたしましていわば純粋に推算をいたしたわけでございまして、決して政府に追随をして意図的にそういう数字を出したのではございませんので、その点非常に誤解があろうかと思いますので、一言お答えを申し上げます。
  54. 芳賀貢

    ○芳賀委員 以上で……。貴重な御意見ありがとうございました。
  55. 内海英男

    内海委員長 和田君。
  56. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 本日はまことに御苦労さまでございます。  質問申し上げますけれども、いままでの委員の方の御発言と相当重複する点がございますので、しかしその点も御了解の上にひとつ御答弁をお願い申し上げます。  まず、農協関係にお伺いいたしますけれども、まず藤田会長にお願いいたします。  いままでの合併実績は先ほどの御説明でよくわかりました。今回のこの法案が通った場合、三年間の延長でございますけれども、大体どの程度の合併が実現できるかどうか、見通しがございましたらおっしゃっていただきたいと思います。
  57. 藤田三郎

    藤田参考人 お答えいたします。  先ほど山口君からお話しがありましたように、私の方へ県の中央会からの報告によりますと、千百七十一でございます。
  58. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 そうしますと、大体千百七十一できますと皆さん方で考えていらっしゃる程度は大体終わりである、こういうことでございましょうか。
  59. 藤田三郎

    藤田参考人 まあまあということでございますが、先ほど角屋さんのお話で、五年間になりますればまだ大分拾えると思っております。三年間の計画の場合はこの程度以上はできまいと思っていましたけれども。一応お助けの言葉がありまして、ありがとうございました。
  60. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 先ほどの御質問に重複いたしますけれども農協のいろいろな事業についてちょっとお伺いします。  私、農協問題研究会というところの資料をいただいておりまして、その中に、「諸情勢変化への農協対応」の中に、「組織面における准組合員数の増加、事業面における信用事業、共済事業生活物資購買事業等の顕著な伸張が特徴的なこととしてあげられるが、このような傾向農協制度の適正な運営確保との関係において好ましいものであるか、また、特定の農協においてこのような傾向が極端に現れた場合、農民の自主的協同組織体としての農協独自の存在意義からみていかがなものであろうか」、このような疑問が提起されておりますけれども、その点についてどうでしょうか。会長の方からお願いいたします。
  61. 藤田三郎

    藤田参考人 ちょっと山口君にかわらしていただきます。えらい済みません。
  62. 山口巖

    山口参考人 ただいまのは、協同組合研究でございますか、御質問しては申しわけないのですが、質問をよく……。
  63. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 農協制度問題研究会というのです。皆さん方の代表が入っておるのですか、この中に。
  64. 山口巖

    山口参考人 農林省が設置いたしました農協制度問題研究会の検討課題の中で、市街地農協の問題を含めまして農協の性格論議が論争になりまして、私も委員として参加をいたしておったわけでございます。その際に、農協は職能組織地域組織か、そういう論議がございまして、農協は職能組織であるという観点の論拠といたしまして、農産物のための必要生産資材の購買、それから販売、それからそれに伴う金融、共済、こういう制度を重点にすべきであり、いわゆる地域住民に対する必要な日用品と申しますか、生活資材の供給、あるいは准組合員に対する共済の加入等、こういう事業実績が伸びるということは、職能組織としては好ましくないという御意見がございまして、その議事録が先生のお手元に行っておるのであろう、こういうふうに考えております。  私ども考え方といたしましては、農協は、歴史的には産業組合組織を継承をいたしまして、戦後農協法によりまして整備されたわけでございますが、職能組織を中心といたしまして、さらに地域組織である性格も多分に包摂しながら、職能組織という性格を中心に結成されておる組織であるというふうに考えておりまして、それをどちらかに割り切るということは、現状において非常に無理があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  65. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 その後段の方にこう出ています。「しかしながら、農業面に対する組合員の要請があるにもかかわらず、これに十分対応せず、組合経営のみの観点から農業関連以外の事業に傾斜し、あるいは地域住民を無原則に准組合員として加入させるようなことは農協制度の本旨をたがえるものであり、かかる農協については、今後、農協の目的及び性格にかんがみその組織及び事業運営の適正化を図る必要があろう。」ここらもよく意味はわかります。いま御答弁になったのもよくわかりますけれども、現実問題としていろいろな事業をしていらっしゃいます。たとえばお葬式もやっていらっしゃるところもございます。事業の種類ですね。代表的なものはどのような事業を、農業以外の事業として農協、単協はやっていらっしゃるかどうか、代表的なものを一つ挙げていただきたいと思います。
  66. 山口巖

    山口参考人 農協事業といたしましては、組合員営農生活を守るというのが基本的な事業の内容でございまして、その一環といたしまして、揺りかごから墓場まで組合員生活を全部カバーしなければならぬということで、いわゆる葬式もいかに安く上げるかということでいろいろな葬具品の貸し出しその他、これは共同利用事業でございますが、やっておるケースがございます。  しかし、農協事業の基本は、やはり何と申しましても農家の生産、生産物の販売、それからそれに必要な資材の購入、それから農家の必要とする資金の供給、それから農家が安心して生活できるような共済事業、こういう問題を中心にして運営をしてまいりたい、かように考えております。
  67. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 揺りかごから墓場までとか、地方公共団体と同じようになってしまいますけれども、それはいずれにいたしましても、農業協同組合それから農協職員の皆さん方が、たとえば何か物を売る場合でも訪問します。先ほど芳賀先生の質問にもありましたとおり、生命保険の勧誘、または共済保険の勧誘に行く。普通の保険会社の場合は幾らでも一断れますけれども、いつもお世話になっている農協さんだということでほとんど入ってしまう。それで、普通の保険の場合は、入ったうちの大体一割は途中で解約するというのですね。この全共連のような場合は、解約が三%ですか、本当に少ない。ですから、猛烈な力があるわけなんです。もう一つは、やはり日ごろお世話になっている農協という関係、そしてもう一つは、ボスという立場もあるかもわかりません、行く方に対しては。そういうことでございますので、これはわが道を行くような営業になっていくという例がずいぶんございます。そういうことで、ずいぶん批判も聞いておりますし、また、いままでも農協は百貨店以上だというような批判もずいぶん聞いてまいりました。そのことについて、端的に申し上げましたけれども、ちょっと御答弁願いたいと思うのです。
  68. 藤田三郎

    藤田参考人 農協の共済事業が伸びたということは全共連とか連合会の者の力のみと思ったら思惑が違うぞというような意味のお話が、先ほど芳賀先生からありましたが、私も全くそう思っております。おっしゃるとおり、農協が共済事業あるいは家の光、あるいは新聞あるいは電気製品等をやるときには、やはり農民が多少、何といいますか、必要ではなくても組織だからというようなことで、確かに一般の商人に対する考えと違う、組織員としての義務的に買っておる面があります。だからして、私は、全共連の問題でも非常にきつい精神でいわゆる立て直しをやったわけでございまするが、これは決して一農協の普及員とか勧誘員でできたものではない、農協組織というものを信頼して皆が保険金を掛けてくれ、いろいろ物を買ってくれておるので、この辺に対して胸に手を当てて反省をしつつ常にやっていかなければならぬというのが私の気持ちでございます。御承知のとおり、そういうふうな点、実際的もありますけれどもそういうふうに見える面もありますが、今後大いに注意をすべき、事業が伸びれば伸びるほど私は考えていかなければならぬという考えを持っておりますので、どうかひとつ御協力をお願いいたします。
  69. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 会長の胸の中もよくわかります。またこういうこともありましてね。これは地域を明かすとまずいから黙っておりますけれども一つ組合のいわゆる組合員の持っている自動車の数が一万台ある。農協が工場をつくって車検、車体検査の事業をやる。一万台のうち二千台が来てくれればもうかる。こういうようなことも相当あちらこちらで計画されておるようでございますが、現在、一万台の自動車というのは、それぞれのメーカーなりまたはディーラーなり、それから修理工場とつながっているわけですね。それが二割も農協に行ってしまう。やはり世話になっているからというので出すのがずいぶんあると思います。これは一つ地域の産業の破壊になってくるのじゃないかという点も考えなければならない。お葬式も、それはたくさんあるわけじゃありませんけれども、そういう点もやはり、いま会長がおっしゃいましたけれども、バックの強大な資力に物を言わせてのそういうやり方ではなくて、もっと地方の水に溶け込んだような事業が必要ではないだろうか、このように私は思います。  そのことについて、やはり先ほど申し上げました農協問題研究会の中にも出ています。「したがって、農協組合員のために事業を実施するという基本的性格からみて現行の員外利用の規制を全般的に緩和する必要はないと考えられる。なお、一部中小商工業者との間にみられる事業運営上の摩擦については、農協としても農協制度の本旨を再認識し、あくまで事業運営の中心を組合員利用に置くとともに、関係者との話合いにより、解決を図ることが必要である。」と出ていますね。これはひとつぜひきょうの御答弁だけではなくて、下部に対してもこの点は摩擦のないようなやり方でお願いしたいと思うのです。  それから、先ほどの全共連のお話にちょっと戻りますけれども、農林水産省が監査をやりました。もう少しがっちりやれというようなことが農水省として出ておったようでございますが、農水省の特別監査、その中でも共済資金の株式運用だとかそれから長期安定の収入を得べく運用しろというようないろいろな問題点のチェックがされたようでございますけれども、これに対しては何かございましたらお答え願いたいと思います。先ほどの質問にあわせまして、ひとつお答えいただきたいと思います。
  70. 藤田三郎

    藤田参考人 全共連が大体七千億、要するに普通積み立て分は県連で準備金として持ちますが、危険部分は共済連で持っておりますが、それが七千億ぐらいでございます。現在資金運用の面では、金を貸しますとかあるいは債券を買い株を買うということは許されております。また不動産運用という、これはまた率があると思いますが、はっきりわかりませんけれども、不動産運用も許されております。ただ投機的な行為は、これは申すまでもなく協同組合ではあり得ないことでございますので、そういう投機的なことはしておりませんが、かなり幅広い資金運用は許されておりますので、そこで、御承知のとおり、その資金を運用いたしまして、その果実でもって、賦課保険料とそして資金運用によって運用したものとの利益で、主としてこれは資金運用してもうけたものは契約者に返さなければいかぬのでございまするが、そういうふうにして、いわゆる規定がありますが、そういう運用をしております。だからして、積立準備金等から生まれた金は契約者へ返すというふうになっておりますものですから、農林省からかたい監督といいますか、認可といいますか、そういうふうでございまして、信連あたりと大分違う、いわば農林省からの監督が強いわけでございます。
  71. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 それでは、山口先生に、先ほど言いました一部中小商工業者との摩擦の問題についてちょっとお伺いいたします。
  72. 山口巖

    山口参考人 店舗の展開等で非常に地元の商店街との摩擦がございまして、農協としては地元産業との摩擦を避けるということで全中の方で指導をいたしております。農協によりまして県別に自主規制の申し合わせをいたしているのが大部分でございます。  それで、いまの先生のお話の問題につきましても、トラブル等がございましたら、県連を通じまして私どもで指導をいたしたい、かように存じております。地場産業との調整ということはきわめて重要でございまして、私どももその点については十分配慮しておるつもりでございますが、抜けている点等もあるかと思いますので、今後ともよろしく御指摘をお願いいたしたいと思います。
  73. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 今度は選挙のことについてちょっとお伺いいたします。  各農協理事の選挙がございますが、理事の選挙は、やはり私たち議員の選挙と同じようにポスターを張り、告示がされ、投票日が決められて選挙をやられますけれども、あれは公職選挙法には関係のない選挙でございまして、私たちが仄聞いたしますと、買収、供応は望みどおりというふうにも聞きます。こういうことでいいかどうか。これは当然のこと、たとえ公職選挙法に関係のない選挙であったとしても、一般の選挙民じゃありませんけれども、同じ地方公共団体の議員の選挙をされる人と同じ人が投票をするわけでございます。よく話に出るのですが、理事の選挙が終わった直後に統一地方選挙がある場合がある。結局選挙自体が汚れてしまうというような話がずいぶんございます。これについては御所見どうなんでしょうか。
  74. 山口巖

    山口参考人 農業協同組合の性格からいってそういうことがあってはならないわけでございまして、私どもとしては厳重にそういうことのないように今後も指導をしてまいりたいと考えております。
  75. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 これは藤田会長に、会長御自身の御意見としてちょっと聞きたいと思うのですけれども理事の選挙はやはり公職選挙法の範囲の中でやるべきであるかどうか、それを適用すべきかどうか、会長としての御意見で結構でございますからおっしゃっていただきたい。
  76. 藤田三郎

    藤田参考人 一九六六年に協同組合原則、それまでは農協は政治的中立という言葉を入れてございましたが、それをのけてありますが、農協という団体はきわめて民主的な団体でございまして、みんなが大きな監督規定等のもとで、かた苦しい考えで選挙をするということにつきましては私は反対でございます。やはりみんなが話し合って、私の言葉で言うと協同組合というものは仲よし会でございますから、その本質から言えば公職選挙法を適用したりして理事を選ぶべきものではないのではないか、私はこういうふうに思っております。ただ、近ごろはやりでございまして、田舎の町村会議員でも一国会議員と同じように旗を立ててマイクで騒いでおりますから、そういう時代でありますので、これについては私非常に嘆かわしく思っておる一員でございます。そういう面から見まして、これはやはり公職選挙法によらずに、しかも、先生がおっしゃったように、飲んだり食ったり買収したりするということは、いわゆる協同組合運動者としては嘆かわしいことだというふうなことで、私はこれから指導していきたいと思います。実は、私の高知県ではそういうことが余りございませんで、よく知らなかったのですが、もしやるとするならば、これは大いにわれわれとしましては注意し、指導していくべきものだ、こういうふうに思っております。
  77. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 とにかく藤田会長のお力で、そういうことがないようにひとつお願いしたいと思います。  もう一つお聞きいたしますけれども、先ほども芳賀先生からちょっと触れられましたが、農協組織が選挙に関与するかどうかの問題でございます。  私は栃木出身でございますので、栃木県の場合は、興農政治連盟という一つの政治組織をおつくりになって、それが選挙資金もお集めになれば、また興農政治連盟それ自体が特定の候補の御支援をされる、このように伺っております。特に参議院選挙にはそれが強いようでございますけれども、そういうことは農協として御指導されていらっしゃるのでしょうか。
  78. 山口巖

    山口参考人 農協としては指導いたしておりません。
  79. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 では、好ましくないというような考え方でよろしいのでございますか。
  80. 山口巖

    山口参考人 農協は政党中立でございますので、この問題はあくまでも言及をいたしませんで、農協としてはそういう問題について指導はいたしておりません。
  81. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 ちょっと意味深長な御発言でございまして、指導していないから勝手にやれということでいいのでしょうか、これは。
  82. 山口巖

    山口参考人 農協それぞれの段階でそれぞれの意思機関を持っておりますので、それらの問題に制肘を加えるということはいかがかと思われる節もございますので、先ほどの答弁をいたしたわけでございます。
  83. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 よくわかりました。  それでは次に、漁業協同組合の方に話を移させていただきます。現在までの合併実績は先ほどの御説明でよくわかりましたけれども、五年間延長後の見通しでございますね、それはどうでしょうか。
  84. 池尻文二

    池尻参考人 各県連合会あるいは県庁、そういったところと連絡をいたしまして、現在合併をやりたいという話題に上っている件数としては九十件、組合数としては大体三百三十五あるわけでございますが、見通しといたしましては、過去の実績というものから考えまして、額面どおりには実行はなかなかむずかしいのではないか、しかし努力はしなければならない、かように考えております。
  85. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 特に、農業協同組合と違いまして、漁業協同組合の場合は相当に、条件の点から考えても御苦労のように思いますが、いままでの実績から見ても、この九十の三百三十五というのは非常にむずかしいように思います。先ほどの、阻害をしている要件が五つ御説明の中にもございましたけれども、漁業権の行使については、合併する前の段階で三分の二以上の書面の同意が必要であるという特例措置がございます。その辺についてのトラブルは、具体的に何かございましたら、ちょっとおっしゃていただきたいと思います。
  86. 宮原九一

    宮原参考人 そういう条件をつけて合併を推進いたしておりますけれども、それが未来永劫に続いていくかどうかというところに漁民としては心配があるわけでございまして、五年なり十年なりたった後では海は全部一緒のものになってしまって、力の弱い組合員が行使をできないのではないか。その心配をどう取り除いていくかということが今後の課題になっておるわけでございます。
  87. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 そうしますと、年限がたってしまえば全部一緒になるという、これはもう皆さん方としてはその考えを打ち破ることはできないのですか。
  88. 宮原九一

    宮原参考人 私どもとしては、漁場の高度利用ということからいきますと、現状固定のままで未来永劫に続いていっていいかということには多くの疑問を持っております。したがいまして、合併の推進の過程ではあなたは一生大丈夫ですよという保証はなかなかつけにくい、その辺に問題があるわけでございます。
  89. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 北海道漁連の問題にまた言及いたしますけれども、こういう問題もやはり一漁業者にとっては大変な問題だと思いますけれども、北海道漁連の問題について、御所見とそれから今後の措置についてお願いしたいと思います。
  90. 池尻文二

    池尻参考人 北海道漁連の再建問題でございますが、何せ巨額の数字でございまして、第一線の浜の漁民というのは非常にショックを受けて、目下苦悩をしながら将来どうすべきであるかということを真剣に議論をしている過程にございます。しかし、私は、北海道の漁民は、過去の歴史が示すとおり、力を発揮すれば非常な大きな力を持っておりますので、苦悶の末の結論といたしましては、やはり歴史の歯車を未来に向かって回していく方向に踏み切っていくというふうに信じております。  過去、北海道漁連は、昭和三十年、いわゆる農協も含めまして整備促進法の適用を受けたわけでございます。そのときの金額で、いまから二十五年前でございますが、十七億九千万という農協を含めて一番巨大な再建の対象額であったわけでございますが、整促体制に入りまして、みごとにこの整促を果たした過去の実績もあるわけでございます。非常にイバラの道ではございますけれども、北海道の漁民はその方向に進むのではないだろうか、かように考えております。
  91. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 現実に北海道漁連は六万人の組合員がいらっしゃるそうでございます。そこで、赤字額は百八十億、年間経常利益の二十年分に達する、こうなっておるわけなんですけれども、それぞれの組合員に対してはどういう形でそれがかぶさっていくものでしょうか。
  92. 池尻文二

    池尻参考人 そういう再建の過程に漁民といたしましてはやはり非常な大きな犠牲がのしかかってくるわけでございますが、いずれにいたしましても、協同組合運動の基本といたしまして、連合会を必要とするならば、漁民みずからが、苦しいけれどもこの再建というものに努力をしていかなければならないわけでございまして、恐らく増資なり、あるいは連合会の取扱量の手数料の上乗せなり、そういう形で再建計画の骨子をつくり上げていかなければならないのではないか、かように考えております。
  93. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 この再建の問題、それから各漁業事業者それぞれに対する問題としては、先日の当委員会でも農林水産大臣の方からずいぶんと力強い答弁もありましたし、ちょうどいまそこに政務次官も聞いていらっしゃるものですから、その点についてはわれわれもひとつ一生懸命に応援させていただきますけれども、問題としては、なぜこれがわからなかったかという、これは後追いになっちゃって本当に残念なことかもわかりませんけれども、農水省としての責任もございますが、ひとつ皆さん方としても一、今後のチェックについてはよろしくお願いしたいと思います。  それでは、私ちょっと、池尻参考人がお書きになりました去年の十月号の「農林金融」という本の中に、「漁協の役割と今後の課題」という論文がございまして、参考にさせていただきまして私としても非常に勉強になりましたけれども、その中で二つばかりちょっとお聞きしたいと思うのです。  「漁業経営の体質改善」の中で、「自己資本比率は低下し借金経営となっている。根本的に問題解決を図るためには、自らの経営姿勢を反省し、思い切った経営の減量化と、組織の英知を結集して漁業経営費の軽減化に取り組まなければならない。」このように、いわゆる漁業経営そのものの体質改善としておっしゃっていますけれども、具体的にどういうことをすればいいのかということです。
  94. 池尻文二

    池尻参考人 それには前段がございまして、日本の漁業が世界に冠たる産業にここまで育って弐た中身の問題は、いわゆる外延的展開と申しますか、要するに、船を大きくし装備をりっぱにして漁獲能力を増し、そして漁獲性能を上げてきた、この路線を走ってきたわけであります。その過程におきましては、非常に設備投資に金がかかり、極端なことを言いますと、鋼鉄船でも四年か五年たったらまた切りかえて新船にするということで、次から次に投資の方を繰り返す、そういうことで、金利の負担が増しあるいは全体として設備の過剰投資になり、そういうことがコストアップの要因になる。もちろん石油の問題だとかそういう要因もありますけれども、そういう漁業の体質では今後はいけないので、漁業協同組合が中心になって、もちろん個別の経営もさることながら、漁場というものは資源をお互いに利用し合うわけでございますから、いたずらに巨艦巨砲主義に走るということをやめて、適正な船型あるいは適正な規模経営する体質とあわせまして、経費の低減ということをうたってあると思うわけでございます。
  95. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 具体的でなかったものですから。そういうことでわかりました。  もう一つお聞きいたしますけれども、やはりこれも前段がございますが、「漁協組織の拡充強化」の項の中に、「合併を阻害する漁業権等の諸要因の解決に時間を要する場合は、すでに一部の県で実施している事業統合方式による段階的対応も検討しなければならない。」こうなっていますけれども、これは一体どういうことなんでしょうか、教えていただきたいと思います。
  96. 池尻文二

    池尻参考人 合併に至るまでに、漁業権というものが阻止要因になりましてそれができない場合は、たとえば信用事業、それを一つ統合信用部というものを設置して、統一した形で行うとか、そういうことを指しておるわけでございます。
  97. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 一部の県というのは、どこの県のことを言っていますか。
  98. 池尻文二

    池尻参考人 たとえば長崎、それから三重でもあるそうでございます。
  99. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 よくわかりました。  まだ時間があと少しございますので、農協の方にちょっとお聞きしたいと思いますが、最近国土庁で農住組合方式というのが出ましたですね。あれについての御意見をちょっとお聞きしておきたいと思います。
  100. 山口巖

    山口参考人 国土庁から原案として説明を受けました農住組合法につきまして、私どもとして問題点を指摘をいたしております。  第一点は、農家の一筆ごとの調査をやるということでございまして、市街化区域内農地の調査をやられますと、これまた、その農家が営農継続の意思があるかどうか、宅地造成をやる意思があるかということに対する調査でございますので、そういうことはやるべきでなくて、農住組合をつくるならあくまでも農民の自主的な意思で農住組合をつくるべきである。この一点が非常に問題でございましたので、その点は国土庁の方に申し上げておるわけでございます。  さらに、農住組合法を実施する場合におきまして、いわゆる宅地造成をする分と営農地域と分けるわけでございますが、営農地域につきましては、当然のことながら土地改良法の適用あるいは近代化資金の融資対象、いままで市街化区域に受けておりませんので、それらの問題につきましては、当然農住組合法の中でそういうことが実施できるようにしてもらいたい。  それから、宅地造成を行う場合におきましては、施行主体に農協がなれるようにしてもらいたい。それからさらに、区画整理事業の適用を受けられるようなことにしてもらいたい。以上のような点につきまして、国土庁に意見を申し上げました経過がございます。  以上でございます。
  101. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 あと一問お聞きいたしますけれども、三大都市圏の宅地並み課税の話が出ておりますし、これはもう建設省またはそういうところの方では、どうしてもこれは進めていきたいということでございますが、その点についての農協としての御意見はいかがでございましょうか。
  102. 山口巖

    山口参考人 農協といたしましては、宅地並み課税は反対でございます。
  103. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 三大都市圏に限られた話でございますけれども、反対はわかりますけれども、住宅宅地のどうしても必要だという場合、いろいろな議論がございますけれども、ただ農協として反対だと言うだけでよろしいのでしょうか。何かひとつ御意見があればおっしゃっていただかないと、また委員会等でも議論になるものですから。
  104. 山口巖

    山口参考人 市街化区域内に農業をいたしております農民を、A、B地区であるから、あるいはC地区であるからと、まあC地区まで拡大するというようなことを建設省では言っておりますが、税制で追い出しを図るというのは根本的に間違いだろうと思います。これはやはり、農業を行っております農地は生産手段でございますので、収益還元価格によりまする課税を行うのが当然のことでございまして、宅地並みの課税を行うというのは、いわゆる税制の体系からいいまして根本的に矛盾をいたしておるというふうに考えておるわけでございます。農地を宅地として売った場合におきましては、当然、社会資本が投下され、たとえば道路、鉄道等が整備されて農地価格が上がった場合、いわゆる資本的な部分は上がるわけでございまして、これを造成したのは社会的な資本投下であるというならば、売買の際に初めて課税さるべきであって、現在農業を行っている場合において宅地並み課税を課するということは、基本的に誤りであるという考え方でございます。
  105. 和田一郎

    ○和田(一郎)委員 どうもありがとうございました。参考になりました。  以上で終わります。
  106. 内海英男

  107. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の質問時間は十五分でありますから。問題は4つありまして、前二つを藤田会長さんに、それから後半をひとつ山口さんにお願いしたいと思います。  まず、前段の一つでありますが、それはえさ米、つまり飼料用穀物の問題でありまして、全中は「八〇年代農業の展望」の中で、二十万ヘクタールの飼料米を作付するということを検討しているということを書いていらっしゃいますね。農民の問では、えさ米の開発にかける期待は大変大きゅうございます。そこで、一方農林省はどうかということを考えてみた場合に、自分からは実験事業に取り組まないで全農に肩がわりさせている、こういうかっこうでありますし、また、当面転作面積にカウントだけでもしてくれないか、こういう要求すら無視しているような感じも受けるわけでありますが、今後の全中としての取り組み方、これに対する見解をまず第一点にお伺いしたいと思うのです。これが一つ。  二番目は、先ほど会長のお話もありましたが、全共連の問題で会長からは素直におわびの言葉がございまして、それなりに評価するわけでありますが、たとえばあの問題の結末につきましても、何ら問題はなかったのだ、ただ問題は、農林省の検査書が外へ漏れたのだ、こういう事態で一切終わったわけでありますが、考えてみますと、あれだけの大きい問題があったように私は思うわけでありますが、同時に、新しい体制に対してあの教訓をどう生かすかということがより大事だろうと思うのですね。私は先ごろ農林水産委員会でこの問題を少しお話ししたわけでありますが、その場合にでも、たとえば土地を買う場合の当然の前提となる農林省の承認の問題が不承認であったり、あるいは不承認の土地を一方的に買ってみたり、あるいは承認したとしても事後承認であったり、非常に問題があるように思うわけでありますが、新しい体制が発足いたしまして、その責任者の記者会見の発言なんかを聞いてみますならば、どの新聞なんかを見ましてもこう書いてあるのですね。あの問題は、蓼科の問題を一例にとりましても真相はわからない、しかし再調査はする気がない、こういうことが結論のようでありましたが、先ほど来農協の体質民主化の問題が出されているわけでありまして、そういう民主化や農協の原点とのかかわりの中で、こういうことで一体新体制の発足としての体質そのものに問題がないのかどうか、ここら辺について藤田会長からひとつお聞きしたいと思うのです。  後段の問題でありますが、先ほど来論議されてまいりました農協合併の問題に関連するわけでありますが、合併の主な理由として出されていることは、すべてが農協内部の充実、こういう問題にかかわって、農業を発展させるんだということが基本になっているわけでありますね。しかし、実態として農業現状を見ますならば、まさに壊滅的な、破壊的な状況が特徴づけられておりまして、したがって、せっかくの資金需要についても、それを必要とするだけの力を農民はもはや持っておらないという状況ですね。その一方、そこから吸い上げられたいろいろなお金が、共済なり信連なりを通じていろいろ運用され貸し付けられるわけでありますが、必ずしもそれが、いろいろな貸し付けはできるわけでありますけれども、正常な形でない状態も出てきているわけでありますね。ちなみに私一昨年の統計を見ますならば、農協事業における農業生産物の販売高というものは一戸平均十三万九千円なんですね。それに対して、貯金は一戸平均八万六千円、共済掛金十六万八千円、購買供給高二十三万五千円、こういうふうに、農業収入の三・五倍もの金が年間農協へ吸収されている、こういう状況が特徴づけられるわけであります。そこで、当然のことながら、先ほど来論議になりました農民と農協との乖離といいますか、この距離がずうっと開いてきていらっしゃる、こういう問題が出てきておるわけでありまして、こういう状況に対していろいろ組合員のお話を聞きますならば、何とか農協営農指導だとか生産の部門だとか、こういう問題に対する充実強化をひとつ図ってくれないか、農業再建にいまこそ真剣に取り組んでくれないかという、そういう声も聞かれるわけでありまして、私は、このままの状態でいけばこれは大変なことだと思うわけでありまして、どうかそういう点で農協がその力を、たとえば農業再建のために、転作基盤の整備だとか、農村生活改善の整備だとか、そういう公共事業の方でもどんどん大きくひとつ手を広げていくような、そういうかっこうでの発展の方向がいまこそやられなければ、これはもう大変なことになるような感じがするわけでありまして、この点についてどうかということが第三間日であります。  四つ目は、やはり農協の民主化、原点に返るということは、農民の立場に立つ、そこで働く農協労働者の納得なり理解なりというものが当然前提になってこざるを得ないと思うのですね。しかし、しばしば指摘されますように、農協の労働条件だとかというものを拝見しますと、とりわけおくれた状態の中に数えられる。そういう点で労働基準監督署から指摘される度合いが非常に強いのも特徴的であります。そういう点で見ますならば、やはりいまの事業推進運動にいたしましても、夜出かけていっても残業料はもらえないとかいろいろな問題も出ているわけでありまして、推進そのものが悪いということじゃなしに、これを円滑に進め、しかも農民の納得を得、労働者の、そこに働く農協職員の納得を得るためにも、最低こういう事業については、やはりそこに働く労働組合なり労働者の協議なり相談なりそういうものが必要最低の条件ではなかろうか、こういうふうに私は思うのでありますが、そういう点について不十分な状況も見受けられますので、やはりそういう理解、納得なしには、こういうことがいろいろな問題が発生してくる理由になるのではなかろうかと思うのです。そこら辺についての御見解をまとめてお伺いして、それぞれからお答えいただきたいと思います。  以上です。
  108. 藤田三郎

    藤田参考人 全共連の問題でございますが、調査しないというようなことは言っていないようでありますが、何せ大体四十五、六億じゃないかと思います、そして資金量が七千億ぐらいでございますから、先般も職員の待遇等に影響しないようにという話がございますが、それは御心配ないと思います。  なお、結局の問題は、私たちもこれは早く活用するとか処分するとか、地区の県庁あるいは県の連合会ともいろいろ話をしてやらなければいかぬと思いますが、そういうことはほうっておくというわけじゃないし、早く始末をすべきだというふうに思っております。  えさ米は、実はあれは私が提唱したのでありますが、当初考えてみました場合には、青刈りの場合、青刈りといいますと、米にならぬ乳熟期の現在におきまして飼料として刈れば、その場合は七万円なり、基本的には米でないから七万五千円の補助金を出そうということでございましたが、私はそれに対しまして非常に疑問を持ちまして、なるほど米の生産調整だから米になったらいかぬとは思うけれども、現実に東北の岩手県あたりを見ますと、そうしましても、日本は外国と違いまして牛を飼ったりいろいろしておりませんので、流通が非常に困って、それを積んである姿も見たので、これはぜひひとつそういうふうにせずに、えさ米というものにしてやるならば、米になってもいいじゃないか。そうすれば、要するに七万円なり補助金を出してもいいじゃないかということと、私の気持ちは、稲は一年作物であるが水田は永年施設であるという観点ですから、何とかいまの状態において水田を維持し、そして農村の農業の労働者、労働人口の温存という言葉を使っております、水田の温存と労働人口の温存ならば、少少理屈はあろうが、湿地帯において米しかつくれない、いわゆる畑作のできないところはそういうふうな方法はないかということで私は始めたものでございますが、最近非常に、役所の方でも各方面でも、これは私たちの考えと違う意味の多収穫のいわゆるえさ用の稲をひとつ開発するというのですか、そういうようなものをあるいはイタリアとかフランスとかからという話がありますが、なかなかそう簡単に、五年や十年でそう新しいえさになるような米はできぬと私は思いますが、とにかく御承知のとおり、現在はうまい米でやるということになりますと、要するにうまくない米は実は多収穫でございます。われわれが考えてみますと、トワダでございますとか藤坂でございますとかフジミノリとかいうものは、非常にうまくないけれども増収をしますから、そういうようなものをやったらどうかという気持ちを私はいまでも持っております。
  109. 山口巖

    山口参考人 次の二点につきまして御回答申し上げます。  第一の、合併問題に関連しまして、農民と農協との乖離の問題が今後どうなるかという御質問でございますが、今後農協といたしましては、先般の第十五回大会で決定をいたしておりますように、従来の流通事業中心の面から農家経済の補完機能を強化するという方向に農協運営の重点を移行してまいりたい、かように考えておるわけでございまして・そのために農業生産組織組織化の事業であるとか、あるいは機械の共同利用の問題であるとか、その他、個別農家ではいわゆる経営の枠内ではできがたい問題につきまして、農協の機能を発揮いたしまして、経営の補完事業というものを積極的に手がけていきたい、そういう中で、先生の御指摘のような問題を解決を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから第二の、農協の労働者の待遇を含めました問題でございますが、農協の労働者の労働条件の問題につきましては、最近非常に向上はいたしつつあるわけでございまして、諸手当を含みますと、おおむね町村の公務員並みの手取りを確保し得る段階まで近づいておるのが実態でございますが、今後さらに、労働条件の整備につきましては配慮を図っていかなければならないというふうに考えております。  また、御指摘のような労働管理の面におきまして、いわゆる夜間労働等に関しまして、県によりましては労働基準監督署からの指摘を受けた県もあるわけでございまして、これらの点は、今後労務管理には全中といたしましても適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。  それからなお、労働組合の結成状況は、単位農協段階で三六ないし三七%程度まで進んでおりまして、他の中小企業に比較いたしますと比較的結成率は高い状態でございますが、なおこの問題につきましても、健全な労働組合の発展につきましては私どもとしても積極的に指導を行ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  110. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 再質問ではありませんがちょっと指摘しておきたいことは、前段のえさ米について、いま会長から、えさ米を取り上げた動機、経緯についてのお話がいろいろありましたが、私が質問したのは、いま二十万ヘクタールの作付をやろうとしているわけでありまして、これに対して農林省の対応と皆さんの対応の食い違いがあるわけでありますから、ここについてどういう見解でこれを実行していくのか、そういう対応についての御見解を伺ったわけでありますね。ところが、いまそういうお答えでは本当の答えにならないような感じがするのです。  もう一つは、全共連問題につきましても、私が問題にしたのは、早く処分すればいいか処分しなければいいかということじゃなしに、ああいう体質、いろいろな問題がありながら何ら問題なかったのだ、またああいう言い方、いま繰り返しませんけれども、そういうところの根本的な反省があってこそ、新体制に見合う出だしができるのだということですね、しかし、残念ながらそれが見られなかったということについての御見解を求めたわけでありまして、その点を、時間が参りましたから答弁は省略させていただきますが、指摘だけさせていただきたいと思います。  終わります。
  111. 内海英男

    内海委員長 津川武一君。
  112. 津川武一

    ○津川委員 四人の参考人の皆さんから貴重な御意見、私午前中に拝聴できないでまことに面目ないと思っております。ちょうどベトナムの副総理が来まして、日本の農業機械のことを見たいという折衝なんかしておりまして失礼してしまったわけであります。しかし、中川さんから皆さんの貴重な御意見を十分聞いておりまして、本当に御苦労さまです。ありがとうございます。  中川さんが農協について聞きましたので、私は漁協のことについてだけお伺いしたいと思います。  今度の合併でございますが、組合員数、出資金額、職員の数、信用の度合い、購買販売事業量、どの面から見ても、農協などに比べるときわめて規模の小さいのが漁業協同組合でございます。その結果、たとえば石油タンクを設置している組合が四〇%、冷蔵庫を持つ組合が三八%、冷凍加工品取り扱い組合が一二%にすぎないというふうな状態がたくさんございます。職員の賃金でございますが、出資金百万未満組合で、年収百万以下の職員が三八%もおるという状態でございます。これを解決しようとすれば合併規模を大きくすることが一つの手段だと私も思っておりますし、そういう意味から賛成したいと思っております。ところが、法が制定されてから今日まで十三年、千合併を目標にしながら四百十九組合、先ほど話されたように、これからも合併を計画しておるようでございますが、合併としてはなかなか進んでいない。計画から言うとさっぱりしない。  そこで、先ほど阻害要因も出ましたが、こういう点の反省をどうなさっておるのか、これから合併を進めるためにどうなさるのかということでございます。時間がないから、私、先に自分の気持ちから申し上げてみますと、たとえば職員に、皆さんの待遇改善しようとすればこうしなければならないんだというふうなことで、じっくり職員と論議すれば、合併が進んでいくんじゃないかと私は思います。冷凍加工の取り扱いもやろうじゃないか、このためには規模をもう少し大きくしようじゃないかということであれば合併が進んだのじゃないか。こういう点での内部討議、下からの本当の民主的な討議が必要なんじゃないか。皆さんが上から合併というものをかざしたのじゃないか、そこいらが私は心配になって、実質上合併の必要の論議がこれから何よりも必要なんじゃないかと思うわけですが、漁連のどちらでもよろしゅうございますから、これについてお答えをいただきます。  水産庁に、この点での反省があって、またやり方について変更を考えなければならぬと思いますが、あわせて伺わしていただきます。
  113. 宮原九一

    宮原参考人 合併推進に当たりましては、連合会はもちろん、単協の職員手分けしまして、各部落においていま先生がおっしゃられたような問題を掘り下げて議論しておりまして、おおむね合併は大事だというところまでの理解は得ておるわけでございますが、最後のところで、漁業権といったような問題からなかなか進みにくいというのが実態でございます。今後も引き続き、いまおっしゃられたような問題を中心に説得、PRに努めてまいりたい、このように考えております。
  114. 津川武一

    ○津川委員 水産庁、何かありましたらひとつ。——それでは参考人だけで結構です。  そこで、言われた漁業権の問題、実際漁協に入ってみますと、漁業権の問題も非常に大事なことは大事なんです。ところが、いま小さな協同組合では、とれた魚がそのまま生で持っていかれている。これをどう加工し、これをどう冷凍して、どうもう少し付加価値を加えていくかということになってくると、漁業権以上の問題になってきているんです。そこのところで論議が必要なんじゃないか。いま宮原さんが言われたように、合併合併でそれがオンリーでいっているんじゃないか、合併規模の内容改善というのはもう少し論議しなければならないのじゃないか、こういうところが基本的な問題だと思っておりますので、この点をひとつ御注意くださるようにお願いして、さらに質問を進めていきます。  そこで、いま皆さんの一番苦労されているのは、私も漁業協同組合の現場に入って、この間も船に乗ってみましたが、やはり燃油なんですね。そこで、燃油に対しての皆さんの苦労も、きょう池尻さんからこの場でお伺いしましたが、この点で、先ほど通産省に対する注文も出ておりましたけれども、皆さんの御努力、悩みの現状と、どうしても解決できないで、ここだけはどうしても政府に一はだも二はだも脱いでいただかなければならぬ、そういう二つの面を、これは大事な問題だからひとつ重ねて伺わしていただいて、後で政府にいろいろな交渉をするときのまた参考にさしていただきたいと思っております。この点、お願いします。
  115. 池尻文二

    池尻参考人 石油の情勢につきましては、特に全漁連を中心といたしまして先ほど述べたとおりでございます。ソ連の石油は全漁連が二十二年前からずっとやっておるわけでございます。そこで、過去のいきさつから申し上げますと、それはちょうど日ソの貿易協定が結ばれまして、当時ソ連の石油は赤い石油ということで、日本は国内的に受け付けなかったものを、全漁連が手を挙げて、当時は最大キロリッター数五十万キロリッターも輸入した経緯があるわけです。それがずっと続いてまいりまして、現在は大体先ほど申し上げました三十万キロ、これから、来年は二十万キロベースになりますが、そういうように縮小になっておりまして、いまはそういう逆ざやになっておりますが、価格は従来は私どもの系統購買事業に非常に寄与してきた歴史があるわけでございます。  一週間ぐらい前にソ連の石油公団から通告がありまして、若干の値引き措置が通告になって、やっと私どもはほっとしまして、それで三月一日からキロリッター当たり二千二百円引きましょうという値下げ通告をいましたばかりのところでございます。したがいまして、私どもの内部の議論で、そういう実情にあるときに、何だかやせガエルみたいなものが外国の石油を引っ張って、身分不相応なことをせぬでもいいではないかという声が非常に一局まってきておるわけであります。私どももそこが非常に判断の分かれ目でございまして、やはり系統購買事業の基本として、石油情勢はどう変わるかしりませんが、輸入という一つのルートは、数量は別といたしまして、ある程度守っていかなければならないのではないか。そうすれば、先ほど申し上げましたように、その間の暫定的な時期でもよろしゅうございますから、たとえば東北の地区は日石系統がメインであれば日石に、あるいは出光に、あるいは丸善に、あるいはモービルに、そういうことで全漁連の根っこにある一定の量を確保するという措置をとってもらわなければ、私どもの価格が第一線で高い高いと言われて、それが値上げの突破口になり、プライスのリーダーになることはまことに忍びがたいものがありますということをいま切実に訴えておるわけでございます。
  116. 津川武一

    ○津川委員 燃油の価格ですが、稚内で仕入れたのと山形の南の方で仕入れたのでかなり値段が違うのですが、あれはどこから出てくるのですか。ああいうのはどうすれば直るのでございますか。
  117. 池尻文二

    池尻参考人 どちらが高うございましたでしょうか。(津川委員「稚内です」と呼ぶ)稚内ですか。昔から北海道は内地に比べて石油が非常に割り高であったわけです。そこで、私どもがソ連石油をナホトカから輸入しまして、その価格の平準化というものを一つねらってソ連石油の輸入に踏み切ったのも、一つは北海道地区に、たとえば釧路に直ちにナホトカから運んでそこで入れれば、価格の引き下げに役立つということでやったわけでございますが、私の感じでございますが、恐らくは北海道の石油供給の、特にA重油のふところがやはり浅いのではないかと思います。したがって、それだけ内地からの転送だとかいうようなことで、転送の経費というものが上積みされて、恐らくは北海道の価格というものが割高になっておるのではないか、かように私は考えております。
  118. 津川武一

    ○津川委員 その点で私たちは政府とどんな交渉をすればよろしいのですか。
  119. 池尻文二

    池尻参考人 先ほど全漁連としての要望は、私どもはもう石油の政策について、これはA重油もあり、灯油もあり、ナフサもあり、ガソリンもあるわけでございまして、一律に言えませんが、私どもいま切実に御協力がほしいのは、せめて全漁連価格、百万キロあるわけでございますから、それから日鰹連が十五万キロから二十万キロ持っておりますから、そういう系統の一つの、まあ力じゃございませんけれども、スタンダードな価格で全体の石油の価格というものを適正化したいという気持ちでございます。
  120. 津川武一

    ○津川委員 最後ですが、燃油が高いために、いままで安いときには、たとえば日本海側の小泊、下前、鯵ケ沢の一部、年間操業できているのです。今度燃油が高いために、波が荒れて出漁する期間が短くて漁が少なくなっている時間、行きましても燃油代を吸収できないのです。それで、年間操業をやめていま休んでいるのですよ。そこで船の置き場なんです。これがなくて困っているのだ。それから今度、休んでいる間にまた出かせぎに行ってしまっているわけなんです。そうすると今度は、漁村の消防体制だとか、漁村の生活、定住圏構想の生活がなかなか維持されていかなくなって困っているわけなんです。こういう点で、やはり私は、燃油をもう少し下げて年間操業できるように、できなかったならば、出ていくならばやはり漁港の整備なり漁村の生活体制を何らかの手を打っていただかなければならないと思いますが、ここいらあたりの実態や対策がおありになったら聞かしていただきたいと思います。
  121. 池尻文二

    池尻参考人 なかなかむずかしい御質問でございますが、日本海の北部、特に冬時期の日本海というのは非常に気象条件も悪うございまして、漁業の条件は悪いと考えております。  ただ、先生御指摘でございますが、一部の沿岸漁業者には、こう燃油が高くては、従来の出漁を続けておるよりは、むしろみんなが一週間のうちに二日くらい休漁して、そして二日間の燃油代を浮かす工面をした方が経営的にはもっと楽だという沿岸漁業者もおることも事実でございます。したがいまして、それに対する対策の妙案がないわけでございますが、私は、やはり漁災制度を活用して、そういう不漁から受ける打撃を若干でも救済をしていくこと等も考えなければならないのではないか、かように考えております。
  122. 津川武一

    ○津川委員 きょうはどうもありがとうございました。皆さんひとつがんばってください。
  123. 内海英男

    内海委員長 神田厚君。
  124. 神田厚

    神田委員 参考人の皆さんには貴重な御意見をありがとうございます。また、長時間にわたりまして御協力をいただいておりまして、大変ありがとうございます。最後の質問でございますので、なるべく重複を避けて簡潔に御質問申し上げたいと思うのでありますが、まず最初に、農協合併の方の問題につきまして、千百七十幾つかを合併対象ということで挙げておられますが、私ども地域におきまして感じておりますことは、なかなか合併が困難な状況で、何度か計画はしてはできないでいるというのがこの千百七十一のところにあると思うのですが、そういう形で合併がなかなかしづらいという状況を、どういうふうに克服をして合併をさせていくのか、その辺のところを、具体的に御指導の方針がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  125. 山口巖

    山口参考人 前段申し上げましたように、いま残っております未合併農協というのは、それぞれ先生御指摘のように理由がございまして、だんだんむずかしいのだけが残っておるという状態でございますが、県連と十分連携をいたしましてケース・バイ・ケースで問題を洗い出しまして、それを解決しながら合併の方向に持ってまいりたいというふうに考えております。  ただ、最近の情勢から申しますと、農家経済も前段申しましたように大きく変化をいたしまして、農家のいわゆる要求現状小規模農協ではなかなかこたえにくいという問題が組合員の中からも出ておるわけでございますので、あくまでも合併組合員の意向というものが中心でございますので、考えておりますのは部落座談会、生産組合の会合等の場に、県の中央会、場合によりましては全国連も参加をいたしまして、積極的にそういう話し合いを積み重ねまして問題解決を具体的に図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  126. 神田厚

    神田委員 その合併をしたメリットというのが非常に大きいことはわかるのでありますが、ある地方によりますと、余り大きくなり過ぎて今度はいろいろ不便な面も出てきているというようなことを聞くところもあります。これは、合併調査などをやられたようでありますけれども適正規模といいますか、一番うまく運用できるというのは大体どのくらいの規模でございましたか、おわかりでございますか。
  127. 山口巖

    山口参考人 先ほど考え方につきましては、大体上限下限考え方につきまして申し上げたわけでございますが、率直に申しまして、これは地域によりまして非常に偏差がございますので、全国画一的な話には相ならぬわけでございますが、感覚として持っておりますのは、やはり組合員戸数二千人以上五千人程度までの範囲内の規模が、合併としてはいわゆる経済的機能あるいはコミュニケーションの両面から見まして適正ではないか。一万人、一万五千人ということになりますと、いわゆる機能が、コミュニケーションの面、組合員の意向反映の面でなかなかむずかしくなるというふうに理解をいたしております。
  128. 神田厚

    神田委員 合併の問題は、農協が今度地域農業振興にどういうふうにかかわっていくのか、大変大事な役割りを果たすのだということが述べられておりますけれども、具体的に地域農業振興農業再編と絡みまして、これに対する農協役割りというのは、合併してその体質を強化しながら地域農業振興にどういうふうにかかわっていくのかという、農協一つの未来的なあり方といいますか、そういうビジョンがございましたら、ちょっとお聞かせいただきます。
  129. 山口巖

    山口参考人 合併をいたしまして、まず私どもが期待いたしておりますのは、地域農業振興計画の企画部門の体制づくりをどうするかという問題、それからもう一つは、営農指導体制をこの機会に合併を通じまして強化をいたしたい、この点がいま当面、合併をすることの大きなメリットになるのではないか。それによりまして現在考えておりますのは、農協が中心になりまして各種の組合員の意向調査を行いまして、それに基づきまして、さらにいわゆる地域内の農業に関する情報の収集、それから市町村始め関係機関、団体との横の連携を十分とりまして、地域農業振興計画の策定を、農協が中心になりまして部落、集落ごとの話し合いを詰めまして作成をいたしたい、それに基づきまして計画的な生産、出荷、こういう体制づくりを図ってまいりたいと考えておるわけであります。  その具体的内容になりますと、いわゆる農業生産の場の各種の問題、たとえば農地の流動化の問題であるとか、あるいは水利の問題であるとか、あるいは作付の組み合わせの問題であるとか、いろいろな問題が出てまいりますので、それらの問題につきまして、営農指導体制強化することによりまして具体的な指導をおろしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  130. 神田厚

    神田委員 いまおっしゃいました地域農業振興計画をつくって計画生産、計画出荷、これをやっていきたいんだということは、非常に大事な指摘だと思うのでありますね。いままでのように無計画につくられますから非常に過剰問題が起こってくるのでありまして、そういう意味では、私は前から申し上げているのですが、地域農業経済圏というのをひとつ再検討して、そして、そこに農協合併なら合併適正規模合併をさした農協地域農業振興計画をきちんとつくって、そしてそれに行政がきちんと道を敷いて、いろいろな生産活動ができれば非常に理想的になってくるんじゃないか。もうすでに農業は計画性を入れなければだめだということを私どもいろいろ研究をしておりますので、いま常務さんのおっしゃったような形でできていければ、少しずつよくなっていくのではないかというように考えております。  それで、合併はやはり地域の要望に沿った形でなされていくわけでありますから、それなりの形で推進をしていただきたいというようにわれわれも思っておりますが、農業自体が非常にむずかしい環境の中に置かれておりますから、農協も非常に心配をしまして、八〇年代の農業に対する展望をいろいろ検討しておられるようでありますけれども農協藤田会長さんに、これからの日本の農業に対しまして、国に対しまして一番農協人としてやってもらいたいというのはどういうところなのか、簡潔にひとつ御要望がありましたらお聞かせいただきたいのであります。
  131. 藤田三郎

    藤田参考人 非常にむずかしい問題でございまして、私にインタビューをする人がすべてそういうことを言いますが、八〇年代——八〇年代、九〇年代、七〇年代と言いますけれども、いまの状態が続くものと仮定して、現在言われている国際的に大きな変革があるということでないと仮定しますれば、日本はどうしても食糧自給はできぬと私は思っております。二千万トンというようなことですが、それを取り返すというと、いわゆる北海道全土を開墾しなければいかぬというふうなものですから。しかし、できるだけつくるということであって、私は常に農政審議会で言うのですが、三〇%や四〇%をもって食糧の自給と言ったって、腹八分ということがあるが、そんなことは自給という言葉じゃおかしいが、できるだけつくるということならまあそれはという意味です。結局われわれとしましては、畑作、飼料作物であるとか麦とか大豆とかということはなかなかむずかしいと思っておりますけれども、結局えさを買いましても、いまのようにいわゆる畜産、酪農とかあるいは養豚、卵とかいうふうなものは日本でつくるということで、外国からどうしてもえさは入れなければならぬが、生鮮食料品と言われる御承知のとおり果樹とか蔬菜とかその他のものは自給をするということで、そしてもう一つは、米はもうできるだけ食べてもらって、そして小麦を入れることを少なくするというような意味で、米は消費拡大を図ってやっていくべきじゃということと、こういう席で言うとなんですが、私は急に二種兼業であるとか一種兼業を減らす政策については賛成をしておりません。やはり要するに、農地の流動化といいますか、それは図る必要はありませんけれども、無理をして意識して二種兼業あるいは一種兼業といいますか、そういうものを減らすということには余り賛成しません。そういたしますと、また再び地主ができるというふうなことにはなりますし、私は、過疎対策は過密対策のためにあるという考え方でございますから、やはり農村社会というものの環境をよくして農村に多くの人を温存させるということになりますと、日本ではどうしても土地が足りませんから、田舎ではやはり兼業農家としてこれを温存することがいいのじゃないかというように自分は考えている、これは農林省あたりの人とは大分意見が違いますけれども。そういうふうにしまして、私は、農業というもののみでなくて、農村の社会というものをひとつ大いに環境整備等をよくして、そして多くの人が農村に住めるようにすべきというふうに考えておりますので、兼業であるからどうと言って余りにこれを意識して整理をするというようなことについては、私は考えを異にしております。  そういうことでございますが、とにかく、御承知のとおり日本の国は何といいましても非常に土地が少なくて人口が一億以上ありますから、私は、りっぱに畑作の克服を、米以外のものを余りねらわなくたって、えさあるいは蔬菜とか果樹とかいうふうなことでやっていけるというふうに思っております。まあ基本的な考えでありますが、これは大分皆と意見が違いますが、こういう席でそういうことを言うのはどうかと思いますが、私はそういうふうに考えております。
  132. 神田厚

    神田委員 それでは、漁協の合併の方で二、三御質問を申し上げます。  先ほどから大変御指摘されておりますように、合併がうまく進まないのですね。これはどういうふうに対策をして今後これに対処していかれるおつもりなのか。お話を聞いておりますと、よほど力を入れてやらないと合併がなかなかこれ以上進まないような感じがしていますね。その辺はどうでございますか。
  133. 宮原九一

    宮原参考人 いま考えておりますのは、たとえば販売事業だけとりあえず合併させるというようなこととか、信用の問題だけを取り上げて合併させるとかという間口から入っていくということをもう少し積極的にやってみたい、そういう考えも一つございます。
  134. 神田厚

    神田委員 段階的にいろいろやられるということでしょうが、なかなかそれもむずかしい面を持っておりますね、残る部分がありますから。  それで、漁業権の管理団体だから、そういう漁協という特性といいますか、そういうことから、無理に合併をする必要はないのじゃないかという意見も相当あるようでありますけれども、こういう考え方に対しまして、どんなふうにお考えでございますか。
  135. 宮原九一

    宮原参考人 これからの沿岸漁業の志向する方向を考えてみますと、やはり漁場の再編成、あるいは沿岸漁場整備事業あるいは栽培漁業というように、海を共同の場として使っていく方向というものがより一増大きくなってくると思います。そういうことになりますと、やはりわれわれの組織としては、まず最初に生産をどういう形で安定さしていくかということがねらいでございますので、漁業権があるから合併が困難だ、それなれば現状のままでいいではないかという形で停滞は許されないのではないか、こういうようにも考えておりまして、さらにファイトを燃やしていきたい、こういうつもりでございます。
  136. 神田厚

    神田委員 それでは、先ほどもちょっと出ておりましたが、道漁連の問題につきまして、これはやはり合併を進めていくという中で、大変どうも余りいい材料ではない問題が出てまいりまして、中央団体としていろいろ御苦心があるかと思うのでありますが、今回の道漁連等の問題は、協同組合組織のあり方から見ても大変いろいろな問題がありますので、中央団体としてどういうふうな反省をして、今後どういうふうにこれらを克服してやっていこうとなさっているのか、ひとつその姿勢をお聞かせいただければと思うのでありますが……。
  137. 池尻文二

    池尻参考人 道漁連の問題につきましては、先般から申しておりまするように、私は先ほど北海道の力と申し上げましたが、確かに歴史的に北海道の漁連が再建をしまして、十分力をつけて、北海道で生産された漁獲物を現在の流通の状況におきまして、たとえば大消費市場の東京で有利な販売を進めるという着想そのものは、私は決して誤りではなかった、かように考えるわけであります。しかし、冷静にこれを考えてみますと、大都市でしかも大手商社あるいは大手漁業会社、そういう何と申しますか非常に練達をしたグループの中で、理念的にそれがいかに正しかろうとも、やはり相当の実際の力と体制それから運動というものが渾然一体となった形でじみに進むという方策をとるべきであったと思いますが、そこが悲しいかな、ああいうことになってしまいまして一気に崩壊をしたという結論につきましては、私どもも非常に反省をしなければならないと考えております。幸か不幸か私どもの会員である連合会の販売事業そのものは、単協と比べまして、まさに市場をやっているところあるいは特殊の品目をやっているところということで、道漁連を除きますと、きょう出席宮原会長の三重県くらいがその次のものでございますか、あとは販売事業そのものについてはまだまだ体をなしてないわけでございまして、その点では、今後、系統の販売事業というものを、道漁連の問題を他山の石として、将来にわたってそういうことのないような仕組みをいまから考えていかなければならないのではないか、かように理解をしておるわけでございます。
  138. 神田厚

    神田委員 今回の事件は、漁協が商社活動に走ったということですね。どうして道漁連がこのような活動に走ってしまったのかという問題が一つあるわけです。その点をお伺いすると同時に、全漁連としましては、全漁連の行うことができる事業としては会員の監査及び指導、これは規則でやれることになっておりますけれども、全漁連は道漁連に対して監査指導を行ったことがあるのか、また、行えなかったとしたならばどういうところに問題があったのか、今後はどういうふうにそれを指導していくつもりなのか、その三点をお聞かせいただきたい。
  139. 池尻文二

    池尻参考人 道漁連のあの行為がどういうことでそうなったのかという先生の御質問でございますが、これは私どもももう少し冷静に判断をし、なお真相もつかみたいと思っております。先ほど協同組合原則あるいは協同組合運動の形骸化、風化の問題が出ましたが、道漁連のみならず、実はある程度剰余金を出すと、通常総会がわずか十分か二十分で済むというようなことがよく行われがちなのであります。道漁連は、もともとは北海道の地先のコンブだとかホタテあるいはするめ、その他北海道の地つきの生産物を扱ってきたわけでありますが、どうも組織体と会員との間でややともすれば、浜からこの手数料を安くしろというような圧力が出てきて、結局、経営を維持するためにたとえば東京市場に営業本部をつくってこっちへ切り込むというような、これは実態かどうかはわかりませんが、協同組合運営にやはりそういうところがあって、結果的には組織体がつまづくということがあり得る一つの例ではないか、かように考えております。  したがって、過去、道漁連もかなり黒字の決算を続けてきたわけでございますが、そのときに、ただ賛成賛成ということじゃなくて、会員を含めて事業構造なり事業の性格なりを十分議論をして、利益を出すだけが能ではない、これはわれわれの組織体の行動として本当に正しいかどうかということがかねがね議論をされるような雰囲気なり環境なりがあってしかるべきであったのではないか、これは全漁連を含めても言えることではないかと私は考えておるわけでございます。これは協同組合運動の一つの大きな反省でなければならない、かように考えます。  それから、確かに定款あるいは水協法上で私ども上級団体は監査の指導がやれることになっておりますが、先ほど来の制度的な裏づけがないということと、私どもは会員からの依頼を受けてそういうケースも過去において若干ございましたけれども、むしろ道漁連の方が私ども全漁連よりも四、五倍大きな団体でございまして、実際上は私どもがこちらから積極的に監査にいくというような雰囲気でなかったこともまた事実でございます。しかし、私ども全漁連内部の職員の中には、その道にかけて非常に有能な、知識また経験のあるベテランもおるわけでございますから、先生御指摘のとおり、今後はそんなことは遠慮をしないで積極的に会員の監査の指導にも当たりたい、かように考えておる次第でございます。
  140. 神田厚

    神田委員 もう一つ、道漁連関係ですが、道漁連が経営不振になりますと、全漁連の方は賦課金の徴収などが非常にむずかしくなってまいりますね。そのことで事業計画等に問題がございませんか。
  141. 池尻文二

    池尻参考人 全漁連の出資の総額が十二億で、道漁連の出資が一億六千万、それから毎年の指導事業の賦課金は締めて千六百万ございます。全漁連は会員から農林中金の若干の助成金を含めて二億の負担金をちょうだいしておりますから、道漁連の千六百万は私どもにもかなり痛手でもございます。しかし、仮にそうでありましても、私どもはこれで指導事業をやめるわけにもまいりませんし、工夫をこらして指導の中身を深めていく方向でがんばりたい、かように考えております。
  142. 神田厚

    神田委員 最後に、道漁連の再建に対しまして、全漁連としてはどういう支援をするのか、その支援策が具体的にございますか。
  143. 池尻文二

    池尻参考人 先ほど申し上げましたように、いずれ再建計画が苦渋に満ちた議論の中から恐らく出てまいると思います。そのときに私どももその再建計画に実質的に指導的立場で参画をさせていただきたいと思いますので、そのときに判断をしたい、かように考えております。
  144. 神田厚

    神田委員 どうもありがとうございました。終わります。
  145. 内海英男

    内海委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十分散会