○山田(英)
委員 いわゆる認可法人につきまして、私は独自に
一つの調査を試みてみました。その結果がまとまりましたので、
大臣にもよく聞いていただきたい。いわゆる
特殊法人だけではなくて、認可法人に対しても何らかの天下り規制を
考えていくべきだという
観点から、これはお聞きをいただきたいと思うわけでございます。
調査資料はここにありますが、後ほ
どもしあれでしたら
大臣にも差し上げたいと思っているわけでございますが、まず認可法人に対しまして、いわゆる高級
国家公務員というのでしょうか、官僚の天下りが
現実にどれだけなされているかということを昨日現在でまとめてみたわけでございます。
行政管理庁が
国会に報告をされた認可法人の数は九十八というふうに
承知しているわけでございますが、職員共済組合の四十七法人はこの際、今回の調査からは省略をさせていただきました。ですから、各
省庁が所管する五十一の認可法人について調査を行ったわけでございます。
一つは、認可法人の各省所管の状況でございますけれ
ども、一番多いのが農林水産省の九法人、同じく労働省の九法人、あと七法人とか四法人とかということで、これが五十一の認可法人数になるわけでございます。
常勤役員と非常勤役員を含めたいわゆる役員総数を見てみますと、全体で千四百五十二名。一番多いのが労働省の七百五十七名、次が
大蔵省の二百五十三名とずっと続くわけでございます。それから、常勤役員と非常勤役員を合わせた全体の天下り役員というものを調べてみますと、これが合計で百四十九人。したがいまして、その役員総数千四百五十二に対比してみますと、この百四十九というのはわずか一〇%にすぎません。けれ
ども、この名目のみの非常勤役員を除いた、実質的に法人を動かしている常勤役員で見てまいりますと、五十一の認可法人で二百七十四名おります。その中で天下り組が百十七名、実に四三%を上回る、こういう数字が出ているわけでございます。
今度は、いわゆる常勤役員について半数以上の天下りがなされている法人の数を調べてみますと、五十一法人の約半数に近い二十二法人あるわけでございます。農水省の四法人、労働省の四法人、さらには
厚生省の三法人という形で二十二法人あります。
今度は、常勤役員の一〇〇%が天下り組で占められている認可法人数を見てみますと、
長官、六つあるのです。これがまず
一つです。それから、全員天下りの六つの法人について分析をしてみますと、いろいろなことが出てまいります。その
一つは、設立の年月日で見てまいりますと、たとえば労働省が所管をされている全国社会保険労務士会連合会は五十三年十二月、五十年以降ということです。それから
厚生省所管の医薬品副作用被害救済基金は五十四年十月。認可法人の設立の中でこれが一番新しいのです。もう
一つは
郵政省所管の郵便貯金振興会、五十二年四月に設立をされた認可法人です。ですから、六つあるところの常勤役員の一〇〇%を天下りが占めている法人のうちの半分が、昭和五十年以降に設立をされたということになります。
それから、この五十年代ということを
考えてみますと、五十年不況、また低成長時代ということで、
行政改革が本当に叫ばれ始めたときでもあるし、さらに高度成長時代に水ぶくれをした行政機構を簡素化するとか
整理するとか、ふくれ上がった行政
経費を縮減するとかいう要請が非常に
国民的な高まりを見せてきたのがいわゆる五十年以降だというふうに理解しておるわけです。そういう中で設立をされた認可法人が、常勤役員が全部天下りで占められている、これは私は問題だと思っております。
もう
一つは、辛うじて全部が全部常勤役員を天下り組で占めているとは言えないのがあるのです。
建設省所管の
日本下水道事業団、これは常勤役員数九名のところ八名を天下り組で占めております。ところが、常勤、非常勤合わせた全体の役員数が十二名でございますが、この天下り組の八名と十二名の差の四名というのは高級
地方公務員のOBなんです。したがいまして、全部天下りで占められているとは言えないけれ
ども、実際には
地方公務員のOBが残りのポストを全部占めているというのが
一つあるのです。もう
一つも、自動車安全運転センター、五十年十一月に設立をされた認可法人でございますが、こういう状況になっております。私がここで申し上げております天下り役員数というのは、すべて
国家公務員でございます。いま申し上げました
二つは、あえて分析をすれば
地方公務員のOBが残りのところに入ってきている。
三点目は、
厚生省所管の医薬品副作用被害救済基金ですけれ
ども、五十四年十月といえば、
宇野大臣も
行管庁長官として本当に真剣にこの問題に取り組まれたときだろうと思うわけでございます。いずれにしても、天の声として、
行革は本当に
国民が心から願っている
一つの大きな政治課題としてクローズアップされたのが五十四年の十月でございます。そういう中で五名の常勤役員のところを、天下り役員が五名ともすべて占めている、こういう形で設立を認可されているわけでございます。
私は、医薬品副作用被害救済基金という名前が示すとおり、薬害で大変苦しんでいる被害者、患者を何とか救済しようという名目でつくられたのがこの基金だと思うのです。認可法人だと思うのです。だけれ
ども、これは
長官、薬害被害者を救済するという名のもとで、名に隠れて、逆に高級官僚がみずからを救済しているというふうに受け取られかねないような姿なんです。
私は、こういうところこそ認可法人に対する
民間人の登用を図るべきだと思うのです。五名が五名とも何も高級官僚で占める必要はない。
民間人の登用を図るべきだと思います。薬害被害者の代表を一人くらい入れたっていいんじゃないかと私は思うわけでございますが、こういう形で五十四年十月に認可法人が
一つ設立をされているという実態を、
長官、ぜひ御記憶にとどめておいていただきたいと思うわけでございます。
もう
一つ申し上げておきたいわけでございますけれ
ども、五十年以降認可法人の設立が非常にふえておるんです。激増と言ってもいいと思います。と申しますのは、四十年以前には認可法人の設立数は十七なんです。四十年代、この十年間で二十です。五十年以降、すなわち約五年間で十四認可法人が設立をされております。こういうような状況の中で、
特殊法人は五十年以降ほとんどふえてないんですね。
これは政策推進労組
会議の資料なんですけれ
ども、これで見ても昭和五十年度に
特殊法人が
一つ設立された。しかし、五十一年度から今日に至るまで
特殊法人は全く設立をされておらない。ところが、認可法人が五十年以降
特殊法人とは逆比例でふえてきている。この事実を私は
指摘をしておきたいわけです。
いろいろな天下り先としての
特殊法人が五十年以降設立が頭打ちになってきている。それから
国民の
特殊法人に対する高級官僚の天下りについての厳しい批判が出てきている。こういう中で、先ほど
大臣がおっしゃいましたけれ
ども、むしろ身がわりみたいになってしまっては困るわけでございます。この調査からいきますと、認可法人がむしろ
特殊法人にかわって天下り先の場所になっている、まさに天下りの温床にさえなっている、こう私は
指摘せざるを得ないわけでございます。
何点かにわたりまして、私の調査をした結果について
大臣にいまじっくりとお聞きをいただいたわけでございますが、まず一点お伺いをしたいのは、このような認可法人の実態を
行政管理庁として
承知をされておるのか。また、いま私が申し上げましたことを
大臣お聞きになられて、どういう御感想をお持ちになりますか、これをお答えをいただきたいと存じます。