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武藤国務大臣 農民が不安を持っておられるのは、財政的な裏づけがあるのかどうか、こういうことで不安を持っておられるよりは、将来の長期の
需給見通しに立ってこれから農業
生産を進めていく上にそれは間違いないであろうか、こういう不安の方が多いのではないかと私は判断をいたしておるわけでございます。
それからもう
一つ、いま八十万ヘクタールという
お話でございますが、これもまだ最終的に固まったわけではございませんので、私
ども農政審議会で御議論いただきながら、一体将来の米の
消費はどのくらいになるであろうか、たとえば、いま国民一人当たりの米の
消費量が年間八十一・六キログラムぐらいでございますが、これが
昭和六十五年には大体六十二、三キログラムになるとした場合には、八十万ヘクタールの米の
生産の
調整をしなければいけない、こういうことでございますので、これは
消費がそこまで落ちるのかどうかということもいま議論をしている最中でございまして、まだその八十万ヘクタールが固定したわけではございません。しかし、相当これからとも水田利用再編
対策を進めていかなければならないことだけは間違いない方向でございます。
そこで、水田利用再編
対策を進めていく上には転作奨励金というものがある。そうすると、転作奨励金が今後ともより多くなっていくということにおいては、いわゆる転作をしないでそのまま置いておけば財政的には
負担が少なくて済むのではないかということが財政審議会あたりで御議論があったということから、いま御
指摘のような御心配があると思うのでございますが、私
どもは、五十六
年度からまた第二期の水田利用再編
対策を進めていく
計画をつくらなければなりません。これは今年中にはつくらなければならないわけでございますけれ
ども、そういう面において私は、必ずしも財政審議会で御議論があったようないわゆる単純休耕というような形はとるべきでないと実は
考えておるわけでございます。
それはなぜかといえば、かつてそういうことをやりましたときに、それは土地も荒れてしまいましたし、また農民の気持ちも、やはり
生産意欲を持つところに農民の存在意義があるわけでございまして、それが物をつくれないということにおいては、農民も非常に好ましくない気持ちをお持ちになったのではないか、私はこう思っておるわけでございまして、そういうことは繰り返していきたくない。
そこで私
どもは、水田利用再編
対策というものは、あくまでも米の
消費も
拡大をしていかなければならない、それで米の
生産もある程度維持できるようにできるだけ努力をしなければならないけれ
ども、どうしても食生活の変化によって米の
消費が減退していく分についてはやむを得ないので、ひとつその分についてはより日本の国民が必要としておる食糧をつくっていただく方向に転作をしていただきたい、こういうことで転作奨励をやっているわけでございまして、これは将来の日本の食糧の自給度を高めていくという点からいって、転作を定着していくことが必要であろう。転作を定着していくためには、やはり転作奨励金というものはそれ相応に出していかなければならない。
特に米をやめてほかの物をつくっていただくわけでございますから、米の収益性と相対的に
考えて落ちない程度に、やはり米のかわりのほかの物をつくろうという意欲を持っていただく程度には、奨励金というものは今後とも出していかなければならないのでございまして、そういう
考え方で対処していき、それはどんなことがあっても、財政当局を説得してでも私
どもは確保しなければならない、こう
考えておるわけでございます。