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1980-04-17 第91回国会 衆議院 内閣委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十七日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 木野 晴夫君    理事 逢沢 英雄君 理事 有馬 元治君    理事 唐沢俊二郎君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 中路 雅弘君       麻生 太郎君    大城 眞順君       三枝 三郎君    住  栄作君       田澤 吉郎君    田名部匡省君       田中 六助君    高橋 辰夫君       吹田  愰君    森  美秀君       山下 徳夫君    伊賀 定盛君       石橋 政嗣君    木原  実君       市川 雄一君    鈴切 康雄君       山田 英介君    辻  第一君       小沢 貞孝君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 守住 有信君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 林  乙也君         郵政省経理局長 魚津 茂晴君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         行政管理庁行政         管理局審議官  門田 英郎君         法務省刑事局刑         事課長     根來 泰周君         厚生省社会局老         人福祉課長   大西 孝夫君         日本電信電話公         社職員局長   児島  仁君         日本電信電話公         社営業局長   西井  昭君         日本電信電話公         社計画局長   岩崎 昇三君         日本電信電話公         社経理局長   岩下  健君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月十六日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     宇野  亨君   上草 義輝君     北川 石松君   三枝 三郎君     山村治郎君   住  栄作君     木村 俊夫君   田名部匡省君     中山 正暉君   山田 英介君     浅井 美幸君 同日  辞任         補欠選任   宇野  亨君     麻生 太郎君   木村 俊夫君     住  栄作君   北川 石松君     上草 義輝君   中山 正暉君     田名部匡省君   山村治郎君     三枝 三郎君   浅井 美幸君     山田 英介君 同月十七日  辞任        補欠選任   上草 義輝君     高橋 辰夫君   河本 敏夫君     山下 徳夫君   田名部匡省君     吹田  愰君   塚本 三郎君     小沢 貞孝君 同日  辞任        補欠選任   高橋 辰夫君     上草 義輝君   吹田  愰君     田名部匡省君   山下 徳夫君     河本 敏夫君   小沢 貞孝君     塚本 三郎君     ――――――――――――― 四月十五日  国家公務員退職金削減反対に関する請願外一  件(井上一成紹介)(第三九六九号)  旧中華航空株式会社従業員恩給法令外国特  殊機関職員として指定に関する請願石田博英  君紹介)(第三九七〇号)  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願福島譲  二君紹介)(第三九七一号)  同(山口シヅエ紹介)(第四〇一九号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願坊秀男紹介)(第三  九七二号)  同(二見伸明紹介)(第四〇一八号)  青少年健全育成のための社会環境浄化に関する  請願井原岸高紹介)(第三九七三号)  同(大城眞順紹介)(第三九七四号)  同(奥田敬和紹介)(第三九七五号)  同(國場幸昌紹介)(第三九七六号)  同(住栄作紹介)(第三九七七号)  同(坊秀男紹介)(第三九七八号)  同(狩野明男紹介)(第四〇二一号)  同(関晴正紹介)(第四〇二二号)  同(谷川和穗紹介)(第四〇二三号)  同外一件(西田司紹介)(第四〇二四号)  同(森井忠良紹介)(第四〇二五号)  同(八木昇紹介)(第四〇二六号)  同(米田東吾紹介)(第四〇二七号)  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願外二件(伊藤茂紹介)(第三九七九  号)  同(清水勇紹介)(第三九八〇号)  同(山口鶴男紹介)(第三九八一号)  同(渡部行雄紹介)(第三九八二号)  同外一件(伊藤茂紹介)(第四〇二八号)  同外一件(神沢浄紹介)(第四〇二九号)  同(本郷公威紹介)(第四〇三〇号)  同外三件(山口鶴男紹介)(第四〇三一号)  同(米田東吾紹介)(第四〇三二号)  国家公務員定年制退職手当法改悪等反対に  関する請願伊藤茂紹介)(第三九八三号)  台湾残置私有財産補償に関する請願伊藤宗一  郎君紹介)(第四〇一七号)  行政改革推進等に関する請願薮仲義彦君紹  介)(第四〇二〇号) 同月十六日  旧勲章叙賜者名誉回復に関する請願小澤潔  君紹介)(第四一三五号)  同(亀井静香紹介)(第四一三六号)  同(瓦力紹介)(第四一三七号)  同(木野晴夫紹介)(第四一三八号)  同(栗原祐幸紹介)(第四一三九号)  同(河本敏夫紹介)(第四一四〇号)  同(澁谷直藏紹介)(第四一四一号)  同(谷洋一紹介)(第四一四二号)  同(谷川和穗紹介)(第四一四三号)  同(楢橋進紹介)(第四一四四号)  同(坊秀男紹介)(第四一四五号)  同(松本十郎紹介)(第四一四六号)  同(村山達雄紹介)(第四一四七号)  同(粟山明君紹介)(第四一四八号)  同(山崎平八郎紹介)(第四一四九号)  同(渡部恒三紹介)(第四一五〇号)  同(畑英次郎紹介)(第四一六九号)  青少年健全育成のための社会環境浄化に関する  請願竹中修一紹介)(第四一五一号)  同(宮澤喜一紹介)(第四一五二号)  同(岡田正勝紹介)(第四一六〇号)  同(長田武士紹介)(第四一六一号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第四一六二号)  同(岸田文武紹介)(第四一六三号)  同(増岡博之紹介)(第四一六四号)  旧満州棉花協会等恩給法による外国特殊機関  として指定に関する請願粕谷茂紹介)(第四  一六五号)  同(左藤恵紹介)(第四一六六号)  同(佐々木義武紹介)(第四一六七号)  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願外五件(田邊誠紹介)(第四一六八  号)  台湾残置私有財産補償に関する請願堀之内久  男君紹介)(第四一七〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  郵政省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第六号)      ――――◇―――――
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより会議を開きます。  郵政省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、郵政省設置法の一部を改正する法律案について若干の御質問をいたしたいと思います。  大きな点は、電気通信監理官というものをやめて、電気通信政策局、こうするわけですが、こうすることによってどういうメリットがあるか、その改正する理由を、ポイントだけを言っていただきたいと思うのです。
  4. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  電気通信監理官制度は、昭和二十七年電気通信省が廃止されまして、電気通信に関する行政事務郵政省に引き継がれました際に、大臣官房の特別な職として設けられたものでございます。  当時は、日本電信電話公社及び国際電信電話株式会社監督以外の行政事務は少のうございまして、したがって、二人の監理官とこれを補佐する若干の要員を置けば十分であると考えられておったものでございます。そういうことで監理官制度がとられたものであります。  しかし近年、電気通信の分野は目覚ましい科学技術進歩発展に支えられまして、監理管制度発足当時には予測もしなかったほどに著しく量的に拡大をいたしますとともに、複雑化あるいは高度化しておりまして、それに伴い行政需要も増大、かつ多様化してきておるわけでございます。  今日、国民の基本的な通信手段一つとなっております加入電話の積滞がほぼ解消し、全国ダイヤル自動化が達成されますとともに、他方データ通信画像通信、それからキャプテンシステムなど、新しい通信手段の出現によるところの多種多様な通信メディアの調和ある発展の促進、あるいはわが国国際化の進展に伴いまして一層活発化いたしましたインテルサットとかあるいはインマルサットなどの国際機関における諸活動推進通信全般の長期的かつ総合的な将来ビジョンの検討と電気通信政策の樹立といったような、わが国の今後の経済、社会、文化の発展にとってきわめて重要な行政課題が山積してまいりました。これらに積極的に対処していくということが強く要請されるに至っておるわけでございます。  この際、内外に対しまして電気通信行政責任権限を明確化しまして、かつその一層の充実を図るため、現在大臣官房に特別の職として置かれております電気通信監理官を廃止いたしまして、わが国行政組織上通例とられております基本的な組織単位であります局組織へ改組することが必要である、こういう観点に立ちまして新たに電気通信政策局設置しよう、こういう趣旨のものでございます。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この郵政省設置法の一部を改正する法律案新旧対照条文によると、旧条文の六条の十二の二「日本電信電話公社及び日本電信電話公社共済組合並びに国際電信電話株式会社監督すること。」それから十二の三は省略しますが、十二の四、それから十二の五、これは二十六ページですが、これはそのまま新しい設置法条文の第十条の二の二、三、四、五にそっくり引き継がれておりますからここのところはちっとも変わりないと思います。ただ、局になったがために十条の二「電気通信政策局においては、次に掲げる事務をつかさどる。ただし、電波監理局所掌のものを除く。」それから一と、先ほど読み上げた二、三、四、五は従来のまま、六、七、八、九、十、十一、十二、十三、十四「前各号の事務に附帯すること。」まで、これが新たに条文にこう載ってきたわけであります。  そうすると、この中を見ると、たとえば一の「電気通信規律に関する政策企画立案及び推進に関すること。」または十を見れば「所部の職員訓練すること。」それから十一、その他の項を見ると、こういうように改正をする主たる目標というのは、昔からあるように電電公社監督国際電電監督、こういうことが監理官二人を置いた目的であったわけですから、それをそのまま引き継がれているわけです。そのほかにここの法文にこれだけ一から十四まで明定をしたということは、それによって一層監督強化する、監督をすることに万遺憾なきを期したい、そのためにこれだけの条文を新たに明定したのではないか、こう思うわけですが、そういう理解の仕方でいいですか。
  6. 小山森也

    小山政府委員 先生おっしゃいますとおりに、条文が非常にふえております。御指摘の点につきまして、新しく御提案申し上げました十条の二の一の「電気通信規律に関する政策企画立案及び推進に関すること。」この条項についてでございますが、これは現在の設置法の第三条一項四号に、郵政省任務といたしまして「電気通信に関する事務」というのがございます。この「電気通信に関する事務」から、当然従来から当省の所掌事務として「電気通信規律に関する政策企画立案及び推進に関すること。」はあるとされていたものでございます。  まことに蛇足でございますが、法定はされておりませんでしたが、いわゆるいま政令上で大臣官房通信政策課というのが置かれております。ここには、ただいま申し上げました郵政省任務の中から、所掌事務として当然あるとされて、通信政策課においてこの条項を持っていたわけでございます。これを今回法律明定することによりまして、はっきりさせることが適当ではないかということで規定に入れた次第でございます。  また、第二号から第五号の規定につきましては、先生指摘のとおり、現在の電気通信監理官所掌事務と基本的には変わってないわけでございます。  また、第六号以下の規定でございますが、これは当省の設置法の中におきまして、いわゆる組織単位であるところの局とした場合に、横並びといいますとちょっとどうかと思いますけれども、当省の設置法において局組織をとった場合においては、こういう条項を入れて、並行的な形で局の組織事務としているということで、この条項がふえている次第でございます。  なお、これによって監督に遺漏なきを期するということによって、監督部面を特に強調するのではないかというお説でございますが、私どもの今回の改正というのは、監督ということは当然いままでもありましたことで、これをさらに内外に明確にすることは必要ではありますけれども、より大事なことは、電気通信政策全般に対する行政事務をこれにおいて明定することに今回の改正の主な目的があるということでございます。御理解いただきたいと存じます。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 たとえば職員訓練することとかそういうことは、従来官房監理官二人の場合にはみんなやっていたわけなのでしょう、そういうわけでしょう。
  8. 小山森也

    小山政府委員 官房所掌事務の中に入っておりました。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それをわざわざ局へ持ってきたことは、局をつくることによって、横並びでほかの局とのバランスからこういうように書いたというのだけれども、ただ余分な仕事を局へ持ち込んできて余分にやらなければならぬ、こういうことになっていくのではないでしょうか。
  10. 小山森也

    小山政府委員 官房事務としていままでも職員訓練は入っているわけでございますが、事実上この訓練監理官室において行われていたということでございます。
  11. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 大臣経理局を廃止したわけでしょう。これは行管からの、各省一局つくるならば一局廃止しろという、バランスの上に立って経理局経理部に格下げになって、監理官が今度は局に上がった、全体から見ればこういうことでしょう。それで局の数としてはバランスがとれているわけです。そういう意味においては、横から見ていて一局廃止して一局ふやした、こういうかっこうになるわけです。  そこで、お尋ねしたいことは二つあるわけで、一つは、新しい政策局は従来は何人で今度は何人になるのか、経理局は従来何人であったものが何人に縮小されるか、そのバランスはどうなんでしょう。  それが一点と、いま一つは、新しい政策局ができたのだからこの中に部ができるとか課が新たに設置されるとかそういう新しいものができていくのじゃなかろうか、こう思うのです。その見返りに経理局の方が部になったら、そっちの方で課が減るとか部が減るとかそういうことはバランスがとれていますか。だから、人員の状態と部や課の構成の状況、新旧の比較を知らしてもらいたいと思うのです。
  12. 小山森也

    小山政府委員 まず、経理局経理部にいたしたことにつきましての定員その他につきましては、後ほど経理局長の方から数字的なものを御説明申し上げます。  また、電気通信政策局と現在の大臣官房電気通信監理官室構成につきましても、後ほど監理官から御答弁申し上げたいと存じますが、全体の形でどうなっているかということでございますが、経理局経理部に格下げすることによって課は減少いたしておりません。ただしかしながら、いま経理局に置かれております審議官といって次長相当職がございますが、この次長減員になっております。  それから、電気通信政策局をつくることによりまして、現在二人いる監理官のうち、これを振りかえたと言うとちょっと語弊があるのでございますけれども、そのうちの一人相当分局長となり、一名相当分次長になるということでございます。  それから課の編成でございますが、今回の電気通信政策局設置によりまして、課は五課一室となる予定でございます。  なお、これはどういうことであるかと申しますと、ただいま官房に置かれております通信政策課というのがございますが、これを新たに通信政策局の中に入れ、総合的な電気通信政策については電気通信政策局に統合することになっております。  それからただいま五名電気通信参事官というのが課長職ポストにおりますけれども相当職でありますが、これと合わせまして五課一室ということになっておりまして、いわゆる政令職以上におきましては、経理局審議官が一名減ということになるわけでございます。  なお、経理局経理部にすることによって審議官が一名減員となることでございますが、これはいまの行財政の現状からいたしまして、行政改革という点からスクラップ・アンド・ビルドの原則からやむを得ないものであると同時に、そういったポストの減に対して私ども公務員として努力をして、従来の事務に支障を来さないようカバーすべきものであると考えております。
  13. 寺島角夫

    寺島政府委員 電気通信政策局定員関係につきましてお答え申し上げます。  現在の電気通信監理官室でございますけれども監理官以下四十四名で仕事をやっておるわけでございますが、ただいま官房長からお答え申し上げましたように、新しい局におきましては、それに官房にございます通信政策課を入れるわけでございます。それを単純に合わせますと五十七名に相なるわけでございますけれども、統合によります節減効果並びに現在の厳しい行財政事情等を勘案いたしまして、新しい局といたしましてはそれから六名減の五十一人、それを先ほど官房長がお答え申し上げましたように五課一室という編成でスタートいたしたい、かような形で考えておるわけでございます。
  14. 魚津茂晴

    魚津政府委員 今回の組織改正に関連いたしまして、経理局絡みといたしましては、先ほど官房長からお答え申し上げましたように、経理局審議官を廃止し、そのほかに内部部局特別会計定員三名減員をすることに予定をいたしております。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、全体から考えると、通信政策課監理官のところとで合わせて五十七名の者が政策局になって、新しく発足するときは五十一名、課は五課一室できたが五十一名で発足する、これで約六名の減、それから経理局が部になることによって審議官一名減と課員三名減、四名減、こういうことで発足する、両方トータルして約十名減ということで合理化ができてスタートするのだ、これでいいわけですか。
  16. 小山森也

    小山政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 先ほどの提案理由の中に「電気通信行政責任権限内外に対して明らかにし、その一層の充実を期する」従来から考えると、電電公社国際電電について監督をする、これが新しい政策局、前の監理官の主な目的だと思うのですが、端的に「電気通信行政責任権限内外に対して明らかにし、その一層の充実を期する」ということを考えていけば、監督以外にはないのですから監督強化する、こういうように理解していいわけですか、この機構改革というもの全体を通じて。
  18. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいま御審議をいただいております電気通信政策局設置理由につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、スタートの当初は電電公社あるいは国際電電監督というものが主たる業務でございましたけれども、その後の目覚ましい技術進歩あるいは国民の側からする電気通信に関します多様なニーズの発生といったようなことを背景といたしまして、現在複雑高度化しております行政事務をより適確に遂行するための組織として、その組織の整備を図りたいということがこの主眼でございまして、この設置によりまして、直接的に監督強化を図ろうというものではございません。  先生御案内のとおり、監督に当たりましてはその根拠となる法律があるわけでございまして、たとえば公社経理に関して申し上げますならば、それぞれ日本電信電話公社法あるいは国際電信電話株式会社法の定めるところに従いまして、その範囲内におきまして行っておるわけでございます。したがいまして、これらの基本法改正されない限りは、監督面において何ら変更があるものではございません。  なお、一言つけ加えさせていただきますならば、KDDに関しましては、諸般の事態にかんがみまして、その監督あり方についての見直しを行いまして監督強化を図る必要があるということで、現在、国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案を国会に御提出して、御審議をいただいておるところでございます。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 提案理由わかりました。監督強化するというのは、たとえば電電公社の方は公社法公衆法改正されない限りこれは強化はしない。いま御答弁のあったように、KDDについてはKDD法改正するから監督強化する。その他のことについては多様化する電気通信行政に適切に対応する。分析してみればそういうように理解できます。  そこで、KDD法改正要点、簡単でいいですから御答弁いただきたいと思うのです。
  20. 大西正男

    大西国務大臣 KDD法改正案要点でございますが、国際公衆電気通信事業というきわめて公益性の高い事業を営むKDDが、御承知の今日のような事態を招来をいたしておることにつきまして、その再発防止という観点からKDDに対する監督あり方につきまして見直しを行いまして、そして今回のような御提案を申し上げておるところでございます。  今回のこの法案の改正要点は、第一点は、現行法におきまして「会社は、毎営業年度事業計画を定め、郵政大臣認可を受けなければならない。」こととされておるわけでございますが、事業計画のほかに、資金計画及び収支予算につきましても、これを郵政大臣認可にかからしめまして、財務面における国の監督権充実しよう、こういうことでございます。  それから第二点は、毎営業年度貸借対照表損益計算書及び営業報告書の提出を義務づけまして、会社営業活動の結果を財務関係資料を通じて把握しよう、こういうものでございます。  それから第三点は、会社会計につきまして、現在、商法等規定によりまして、会社機関である監査役監査のほかに、いわゆる外部監査として、会計監査人監査を受けなければならないとされておるわけでございますが、さらにこれに加えまして、今回新たに会計検査院の検査を行うことができるようにし、その会計について一層の適正を期することとしようとするものでございます。  国際公衆電気通信事業の適正な運営を確保いたしまして、かつ行政の公正を期する、こういうことのために、まず監督の任に当たるものである郵政省内部においては、職員の綱紀の粛正につきまして徹底を図りますとともに、今回の措置とも相まちまして、今後一層国民の信頼にこたえ得るに足る監督体制充実を図っていく、こういう趣旨でございます。
  21. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 KDDは、私がこの前ずっと逓信委員をやっていたときには、こういう特殊な会社だからということで、たしか一割配当をずっとやっていたと思いますが、KDD配当は最近までずっとそうですか。
  22. 寺島角夫

    寺島政府委員 お答え申し上げます。  KDD配当につきましては、これは利益金の処分の中身ということに相なりますので、現在のKDD法におきまして、利益金処分というのは大臣認可ということになっております。したがいまして、郵政大臣がこれを認可することによりましてその効力を持つわけでございますが、この配当につきましては、昭和三十五年三月期決算以後、それ以前は八%の配当でございましたが、それ以後今日に至るまでずっと一割配当ということで実施してまいっております。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 KDDの株主の主なものはどういうものか、後で御答弁いただきたいと思うのです。  私が見ると、今度改正にならない従来のKDD法の第十一条は、取締役及び監査役の選任、解任、それから定款の変更、利益金の処分云々は郵政大臣認可を受けなければならない、こうなっておるわけです。だから、従来のKDD法第十一条だけでも、利益金の処分等を通じ、あるいは定款の変更を命ずることを通じ、取締役及び監査役の選任、解任等の郵政大臣権限を通じて適正に監督ができたのではないか、こう思います。  こんなことを私が言うのは、利益金を何で一割に抑えたかということです。KDDはあのくらいもうかっておるのだから自由に配当させればいい、こういうことですよ。KDDはもうかり過ぎておる。大臣はどうしても配当は一割に抑えてしまう。人件費その他は横並びと比べてみて金の出しようがない。要するにもうかってしまってどうしようもないような状態に追い込んできたのは郵政省監督が悪かったのではないか。もうかっていたらどんどん自由に配当させればいい。  私は後で聞くのだけれども、この株主の状態はどうかと聞くわけで、公開の株ですから特別な人にたくさん持たせることをしないで、国民各階層にまで株が渡って、あんなにもうかったら、一割であろうが一割五分であろうが二割であろうが、どんどん配当させればいい。そして企業の自主性というものをどんどん持たせてやるならば、そして企業の中でもって、株主総会において、配当しないから社長はかえろとか専務はかえろとか、そういう自律的なことをやらせれば、ああいう不幸なことは起こらなかったのではないか。配当を一割に抑えました、会社はもうかってしまって困る。  私が四、五年前にやっていたときだって、こんなにもうかる会社はないと思った。金の持っていきどころがない。だから、ああいう事件に発展したのではないかという考えを私は持っておるわけで、いま御答弁のように、KDD監督をより強化するためにKDD法を直したところで、監督強化すればよけい悪いことをする。これはそうですよ。権限が強くなれば、もっと何とかならぬかといって悪いことをするんだから。むしろその逆で、もっと自由な企業活動ができるようにすることの方がああいう不幸な事件が起こらないで済んだのではないか、こういうふうに私は考えるわけです。どういうわけで一割配当にずっと制限をしてこなければならなかったか、それが第一点であります。  それから、先ほど御答弁がないところの、KDDの株主の分布状態。これは、一人の人またはひとりの法人が五%以上持たないようにして、何かちょっときのう調べてみると、株券は五百円株ですか、三千何がししているようだから、もうかる会社なら五千円しようと六千円しようと構わぬわけです。ただあまねく株主というものが国民の中におりさえすれば、自由な活動で自由な株式会社として運営していくことの方が私は問題が起こらぬと思う。今度会計検査院が行って検査するが、帳面なんか幾ら合っていたってだめだ。会社はちゃんと監査がある。それから、会社法で決められたところの会計検査の何とかの資格を持った者が検査する。それで帳面はちゃんと合っているわけだ。会計検査院が来ようと来まいと、そんなこと何にも関係ない。  それよりは、あれだけもうかる状態にして、株主への配当を抑えちゃった、金の使い場所がない、悪いことを考えることについになっていくような、袋のネズミじゃないが、追い込んだような状態に今日まで監督をしてきたのではないか。方向が私は間違っていると思う。  もっと民間企業みたいに自由に経営をさせて、自由に配当をさせて、そして取締役だか役員も、株主が自由に交代できるようなことの方へ持っていけば、ああいう不幸な事件は起こらなかった。こんなことをしたって、どうなるんですか。株の配当は抑えます、みずから料金を下げようなんという意識というものは、経営者の中から出てきっこない。それなら、株主配当をどんどんやればいい。余りにももうかり過ぎるということになれば、社会的な批判を受ける。こういうことによって、自律的にやはり料金を下げていくということを経営者みずから考える。こういう方向に持っていった方が、ああいう不幸な事件が起こらなかったのではないか。まるで方向が逆ではないか、こう私は考えているわけです。  具体的には、さっきの株主への配当の状態、それから私の基本的な考え方に対する大臣の御答弁をお伺いしたい。
  24. 寺島角夫

    寺島政府委員 最初に、現在のKDDの株主の状況につきましてお答え申し上げます。  主な上位のものについて申し上げますと、郵政省共済組合が一〇・九九%の株式を保有いたしております。以下、日本電信電話公社が一〇%でございます。それから生命保険会社あるいは銀行等を合わせまして、上位十社が保有をしております株式の総数が発行株式に対しまして五二・四五%という割合になっておるわけでございます。  株主の状況は以上でございます。  それから、先ほど先生お話がございましたKDD法第十一条の監査役、取締役の選任、解任あるいは定款の変更、利益金の処分、合併並びに解散の決議、これが郵政大臣認可ということになっておるわけでございますけれども、御案内のとおり、KDDは株式会社でございますので、これらはいずれも、商法の規定もそのままKDDにはかかるわけでございます。したがって、これらの事項はいずれも商法上は株主総会の事項でございます。ただ、KDDにおきましては、株主総会の決議、承認だけでは発効要件とならないで、いま申し上げましたようなことにつきましては、その上にさらに郵政大臣認可というものがあって初めて効力を生ずる、こういう二重の形になっておるわけでございます。  ところで、利益金の処分についてずっと一割配当という形でまいったわけでございますが、先生指摘のとおり、KDDの現在の財務内容から申し上げますならば、一割以上の配当をする余力というものは確かにございます。しかしながら、これを一割配当という形でずっとやってまいりましたのは、KDDという会社の持っております公益的性格にかんがみまして、生じました利益というものが社外に流出をする配当という形を一割という水準に抑えまして、残余の利益につきましては、これを積み立てまして、将来の設備投資その他必要なサービスの向上に充てるということが望ましいという総合的な判断で、従来ずっと一割配当という形で政策的に行ってきたという事情にございます。
  25. 大西正男

    大西国務大臣 いま電気通信監理官からお答えしたとおりでございますけれども先生の御意見は、KDDも一般のいわゆる純粋な株式会社のように、配当も役員の任免等についても自己責任で自由にやらせたらどうかと、こういう御意見でございますが、その御意見もまことに傾聴すべき御意見ではございますけれども、私どもといたしましては、KDDはきわめて公共性の強い国際電気通信事業、その独占を保証された特殊の株式会社でございます。したがいまして、KDD法という法に基づいて株式会社形態をとっておる法人でございますが、その与えられました使命を達成をいたしますためには、いまの配当等の利益金の処分につきましても、会社の恣意的な判断に全面的に任してしまうということは適当ではない、国による一定の規制がやはり要請をされるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  このように、同社に対する国の規制を定める現行法の考え方というものは、同社の性格と使命から、それなりの理由を持っておるわけでございまして、これを緩和するということについては、私どもは適切ではないのではないか、このように考えるわけでございます。  このたびのKDD法改正と申しますものは、今回の事件の反省に立ちまして、これまでの監督あり方について見直しを行いまして、その結果KDDの運営の一層の適正化を図るためには、さらに若干の点につきまして現行法の拡充強化が必要だ、このように判断をされました結果御提案を申し上げておる、こういう次第でございます。
  26. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 まあ、ああいう世論に押されてここにKDD法改正財務面における国の監督充実するとかあるいは貸借対照表損益計算書営業報告書の提出を義務づけて、会社営業活動の財務諸表を提出させて監督官庁が掌握するとか、私は、そういうことをしたって同じだと思うのですよ。  それよりは、やはりもっと私企業に近く、天下りの役員で経営させるとか利益金配当も抑えてしまうとか、ああでもないこうでもないと、いろいろつまらぬくちばしを入れるよりも、自由な活動をさして、配当が二割も三割も四割もになれば、こういう会社にしてはひどいじゃないかという社会的な制裁を得ることによって、内部的にそういうことを自粛して料金を下げようと、こういう自律的な動きをやるように、自由な企業活動をやらせる方が問題を起こさなかったのではないか、私はこういうように考えるわけです。  それには、株が偏在してはいけませんから、そのことだけは定款を直すか何を直すか知りませんが、あまねく国民が株を所有できるような方途を講じて、役員も責任体制をもってやっていける、天下りじゃない、自由に自分たち株主の中から選ぶ、一般株式会社が運営されると同じようなぐあいに自由にさせた方が問題を起こさなかったのではないか、こう思うわけです。  世論に押されて会計検査院の検査を受ける、そういうことをやったって同じことだと思うけれども、そういうことも一項目入れた。それからKDD法の、いま申し上げたような財務諸表を郵政省監督できるようなことをした。これは世論に押されてそういうようにやったんだろうと思うが、そういうことを盾にとって、今後つまらぬことにまで監督強化して、そういうことにくちばしを入れるようになれば、そのことの方が問題を起こす温床をつくることになる、私はこういうように考えるわけです。  私の見解といま当局側がやろうとする方向とは見解が違いますから、いまこれ以上私は深追いをしようとしませんが、どうぞこれからの監督に当たっては、つまらない、角をためて牛を殺しちゃうようなことをしたりそういうことのないように、やはり伸び伸びと企業が活動できるようなことをすることの方が――そうして三割、四割の配当をするようになったらこれは大変だからと言うけれども、それは自律的に社会的な制裁を受けます。それは自分で料金を下げるという方向に持っていけばいいんじゃないか。  言うなら、役員もみずから選ぶ、配当もみずから決める、内部留保も将来の展望に立ってみずから決める。つまらない経理のことなんか、株式会社ですから、ちゃんと民間の会社と同じように経理はきちんとできますから、なるべく自由に活動をさせる。余りにも方々でたたいてしまって、萎縮しちゃっているんじゃないかと思いますから、私はそういう方向がいいと思う。  もし徹底してそれをやるならば、それは完全に国営にしてしまってやるか、どっちかがいいと思うのだ。こんなヘビの生殺しみたいな監督強化の方がかえって弊害を残すのではないか、こう思いますから、将来の運営に当たっては、ぜひひとついま私の申し上げた点は十分留意しながらやっていただきたい。KDD法改正については、あるいは政策局監督強化の面については、そういうことを私は特に要望しておきたいと思います。  これに関連をして、いまのKDD法あるいは今度改正されたKDD法においては、料金を引き下げろという命令を郵政大臣は下すことはできますか。料金を引き下げるということは、KDDみずからが発案をして、郵政大臣の許可を得なければならないか。電電公社法、公衆法に基づいて電電公社についても同じことが言えるのではないかと思いますが、公社法に基づく電電公社、あるいはKDD法に基づくKDDの料金、両方の御答弁をいただきたいと思うのです。
  27. 寺島角夫

    寺島政府委員 先生御案内のように、国内、国際両面にわたりまして、公衆電気通信役務の料金につきましては、公衆電気通信法に規定をしておるところでございまして、国内につきましては、基本的な料金につきましてはこれが法定をされております。そしてそれ以外の料金につきましては、郵政大臣認可にかかるということになっております。  また、国際につきましては、現行の公衆法におきましてはすべて郵政大臣認可という形になっておりますので、認可申請を受けまして、それが適正であるか否かということで認可をするあるいはしないという形でこの料金に対応しておるわけでございまして、料金を引き下げるあるいは引き上げるといったような命令というものを郵政大臣が出せるかどうかということになりますならば、現在のこの公衆法の一般的な解釈からいたしまして、そういう命令は出し得ないものである、私どもは現在そう解釈をしておるところでございます。  しかし、そういう命令は出せないにいたしましても、この料金のあり方というものが大変大事な問題であるということは言うまでもないところでございまして、常日ごろ適時適切ないわゆる行政上の指導によりまして、合理的、適正な料金が確保されるように努力をしてまいってきたところでございます。
  28. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それに関連して具体的にお尋ねをしますが、電電公社で新たに深夜料金というものを設けて、それを割引しようという、これは一体どこから出たのだろう。電電みずからが言い出したんじゃない、ことし一千億ばかり予算よりは余分に収入が入るんだから、二千億ですか、そういうことが新聞に出たら、国会の場においていろいろの論議が交わされて、初めて郵政省電電公社も、それではまた夜間のほかに深夜の料金を設けて値引きさせます、こういうぐあいに変わってきたような気がするわけです。そういうものを電電公社の中からみずから発案する機能といいますか、そういうことはできないか、郵政省がそれを命令をしてできないか、そういうことから私はこういうことを言い出したわけです。  まずさしあたっては、先般来問題になっているその深夜の料金割引制度を新たにつけ加えようというのは、もう内容が固まったわけですか。これは電電公社からでも郵政省でもどちらでもいいですが、それは内容が固まりましたか。
  29. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  最初に、先生からお話のございました、今回の深夜料金割引の問題は公社の発意かどうかということでございますが、わが国の電話の通話料と申しますのは、近距離は諸外国に比べまして二分の一ないし四分の一という非常に安い料金でございますが、遠距離につきましては諸外国に比べて一・五倍ないし二・五倍という高い料金になっております。そしてこのいわゆる遠近格差という問題につきましては、公社の中に国会の附帯決議によって設けられました電信電話諮問委員会の答申にも、これを是正すべきだという答申をいただいておりますし、また、国会におきましても再三論議がありましたわけでございます。公社といたしましても、確かにこの遠近格差というものは縮めるべきである、このように考えておりまして、その検討を進めてきたわけでございます。  ただ、公社の経営基盤の確保にも配慮しつつ、この遠近格差の本格的な是正ということを行うためには、現在の通話の分布状況から見まして、長距離を若干下げますためには短距離をかなり上げなければいけない、こういう問題に逢着しておるわけでございまして、したがいまして、利用される方の利害が相反する、こういう面が出てきまして、一挙にこれを実施するということは困難という問題がございます。それと一方、最近の社会生活の変化、特に生活時間帯の延長傾向等にかんがみまして、また、公社の設備が深夜におきましては比較的通話が閑散で、すいておる、そういう面からも考えまして、一方、夜間時における通話の利便化を図るということも別途検討を進めてまいってきたところでございます。  したがいまして、そういった状況を踏まえまして、この遠近格差是正問題ということは、これは郵政省とも御相談をしながら公社の中で検討を進めてまいってきたわけでございますが、本年の一月に郵政大臣から、当面の措置として、ただいま先生のおっしゃいました遠距離通話料の深夜の割引率を引き上げることについて検討するようにという御指示をいただきまして、その後、御存じのとおり自民党の方からも具体的な内容に基づきまして要請がございまして、言ってみれば、公社が考えておりますことのそのうちの一部を一歩前進して実施をする、こういうことで理解をしておりまして、そういう御要請に応じまして、具体的な詳細なる内容について、ただいま郵政省の御指導も得ながら検討を進めておるところでございます。  その具体的な内容、細かい点はただいま検討中でございますが、大体の考え方を申しますと、現在夜間割引につきましては、六十キロメートルを超える区間につきまして午後八時から翌日午前七時まで四割引きの割引を実施いたしておりますが、これを三百二十キロをメートルを超える区間、いわゆる遠距離区間、諸外国に比べて高い遠距離区間につきましては、深夜時間帯にもう一段の割引を行いまして、午後九時から翌日午前六時まで六割引きにいたしたい、こういうことが一つでございます。  それからもう一点は、現在午後八時から翌日七時まで割引しております夜間六十キロを超えます割引時間帯を前後それぞれ一時間ずつ拡大をいたしたい、こういうふうに考えておりまして、なお詳細は、ただいま郵政省と御相談をさしていただいておるところでございます。
  30. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それについていつからやるか、その料金の収入減というか、どのくらいな割引になるでしょう。
  31. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  これを実施いたしますときには、現在の各加入者ごとについております課金機器を全面的に改造しなければいけませんでして、その工事にかなりの時間がかかりますので、公社といたしましてはかなり努力をいたしましても、ことしいっぱいこの課金機器の改造にかかるということでございますが、なおこういう御時世でございますので、少しでも、一日でも一週間でも繰り上げるように、ただいま詳細なる内容を公社の中で検討いたしておるところでございます。  それから、これに伴います減収額でございますが、料金計算上の減収額で申しますと、平年度一年間に直しまして、約一千五百億程度の減収になる見込みでございますが、先ほど申しましたように、割引をいたしまして利用しやすい料金になりますので、若干の利用増があるだろうということで、それを見込みますと約一千三百億くらいの平年度減収、このように見込んでおるところでございます。
  32. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 五十四年度の予算は三兆六千六百三十六億ですか、そういう予算だったですね、収入。それで五十四年度末は、三月三十一日でどのくらいな増収になっていますか、予算と比べて。
  33. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  五十四年度事業収入につきましては、年度後半からの経済の好況もございまして好調に推移をしてまいりました。四月から本年二月までの実績では、予定に対しまして九百四十億円、率にしまして二・八%の増収になっております。三月分はまだわかっておりませんけれども、この状況で推移いたしますならば、年間通しまして一千億程度の予算に対する増収は出ようか、かように考えております。
  34. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、こういうことですか。深夜の新しい割引をやるのは早くても来年一月一日ということになると、一千三百億くらいの減収の四分の一。ところが、ことしだけでもう一千億も増収ができたということが明らかになっているわけじゃないでしょうか。こういうことについて、監督する郵政省はその値下げの命令をさらにできるか、この辺をさっきお尋ねしたわけです。電電公社が申請をしてきて、それがいいの悪いのと、こういうことしか大臣としてはだめですか。  そのことのために私はさらに聞きたいわけで、これは私が予算委員会で質問をしたわけですが、たとえば逓信病院、電電公社の逓信病院――これは郵政省の逓信病院もそうなんですが、十六病院で二千九百七十五ベッドで職員が二千百三人おるわけですが、収入が七十六億で支出が二百三十三億というのですから、これは百五十億も赤字を出しているわけで、一点単価八円でやっているわけです。だから、こういうものに対する改善命令とかそういうことは、監督する立場の郵政省からは出せないか。料金の値下げ命令や何かと同じように出せないか。電電公社の中からみずからこういうものを何とか直そうじゃないかという意欲が出てこないとするならば、これは監督する側から言うよりしようがない。もっとも、これは監督する郵政省自体の逓信病院もこれと同じことをやっているから妙な話で、そんな監督する立場から言えないかもしれませんが、こういう状態になっているわけです。これを改善しただけでも百五十億ももう赤字が解消するわけですから、そういうことは改善命令は出せないか。  あるいはさらに、これは論争のあるところなんだが、たとえば私は、電報を廃止したらどうか。五十五年度の予算を見ると、電報の収入が二百八十八億ですか、これは支出は幾らになっていますか、それもちょっと御答弁をいただきたいと思う。五十五年度の電報収入は二百八十八億だが、これは支出は幾らと想定していますか。最初にそれを。
  35. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  公社の事業別の収入支出につきましては、収入の方は、ただいまの電報につきまして予算上明らかに出しておりますけれども、支出の方は、データ通信、電話、電報その他各事業共通して要員なりあるいは設備なりを使っておるものですから、予算上これをあらかじめ算定することが非常に困難でございますので、決算の出た段階で、ある仮定を設けまして分計をして、事業別の収支を出しておるようなわけでございます。  したがいまして、御質問の五十五年度の電報関係の支出につきましては、現在のところ、申しわけございませんが、計数としては把握をしておりません。
  36. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 従来のあれからいけば一千数百億の赤字になるのでしょう、これは。五十三、五十四年度の傾向から見れば、年間で一千数百億の赤字になるのでしょうが、電報は。
  37. 岩下健

    ○岩下説明員 お答えいたします。  現在わかっております事業別収支は五十三年度まででございますが、特に支出の傾向につきまして大きな変化がない限り、御指摘のように一千億程度の赤字に恐らくなるのではなかろうかというふうには考えております。
  38. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこで、どちらが言い出すのですか、こういうことを合理化するということは。たとえば病院は年間百五十億も赤字を出す。電報だけで千数百億も赤字を出す。そうすると、その二つだけで合計――詳細に検討していけば、合理化をしていけば、まだ二千億、三千億、電電公社の経営の中から生み出せると思うのですよ。それは一体だれが言い出すのか。電電公社みずからの中からそういう自律的な動きが出てこなければ、郵政省がそういうところを監督、指導しなければならない。いまお聞きすれば、五十四年度の年度末までにことしは約一千億の増収ができたということから深夜の割引をやろうと、こういうことになってきたわけなんですが、それはたった一千億ですよ。電報や病院や何かその他の合理化をやれば二千億、三千億、こういう合理化ができるわけです。さらに料金を割り引くことができると思う。これは郵政大臣から命令をするのか、そういうことに対する郵政省の機能というものは、今度の法改正で出てくるのかどうか、その辺どうでしょう。
  39. 寺島角夫

    寺島政府委員 電電公社を公社という公共企業体という形にいたしまして、純然たる国営形式と違う形にいたしましたのは、やはり公社という形で経営の自主性を持たせて、この公益性の高い業務のより一層の適正な運行を図るということが大きな目的であったと思うわけでございます。  そういう観点がら申しますならば、ただいま御指摘のようないろいろの問題につきまして、公社当局が自主的に対応するということがまず大事であろうと思うわけでございますけれども、同時に、郵政省といたしましてもそういった諸種の改善の問題、そしてまた、たとえば最近、先ほどお話しございました遠近格差の是正といった問題、こういうのはやはり一つの大変大きな政策課題として考えておるわけでございまして、こういうことの具体的な改善策につきまして、従来いろいろな形で公社当局を指導してきたわけでございます。  ただ、それはいわゆる法律に基づきます命令という形で行っておるものではございませんけれども、事実上いろいろな形で改善が図られるような指導をいたしておるわけでございまして、電報について申し上げましても、電報事業が大きな赤字を抱えておること、先生指摘のとおりでございますけれども、その赤字解消、少しでも赤字を減らすということのために各種の合理化施策を推進をするということにつきましてもかねがね指導に努めておるわけでございます。一般的に申し上げますとそういうことに相なろうかと思うわけでございます。  なお、御指摘のとおり公社法の七十六条には、「郵政大臣は、第一条に規定する目的を達成するため特に必要があると認めるときは、公社に対し監督上必要な命令をすることができる。」といういわゆる監督権規定がございます。  しかしながら、これは先ほど申し上げましたように、公社設立の趣旨に照らしまして、相当限定的な表現になっておると思いますし、またこれには、この違反に対しては罰則までついておる、大変重い規定と考えておるわけでございますので、これは先ほど申し上げましたようないろいろな指導等の手段を通じましても、なおどうしても不可能な場合であって、かつまたそういう命令を出すということが客観的な合理性、妥当性というものを十分に持っておるときにやり得るものではないかという、たとえで恐縮でございますけれども、いわば伝家の宝刀的な要素も持っておるというわけでございまして、そういうことで、現在におきましてはいろいろな形、いわゆる指導という形を通じて、全体として公社の経営が適正に運営されるように指導しておる、こう考えておるわけでございます。
  40. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 終わります。
  41. 木野晴夫

    木野委員長 次に、伊賀定盛君。
  42. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 私は、きょう御質問申し上げようとします輪郭を最初に申し上げます。  それは、五十四年十月二日に、東京税関成田支署でKDD社長室員二人を装身具類密輸の現行犯で摘発というところから出発したわけでありますが、三角関係といいましょうか、利益集団といいますか、あるいは三者ともに国民生活に少なからぬ影響を持っておるわけでありますから、三つの社会集団と言ってもいいかと思いますが、これらがそれぞれの利害とのしがらみの中で今日までこの事件が進展しておるわけでありまして、その一番大きな理由は、郵政省一つの人事権、そして一年に九十二件とか四百件とか言われておりますけれども、許認可権という一つ権限を持っておる、それを核としてこの三つの利益集団もしくは社会的集団が今日まで動いてきたわけであります。  たまたま万博を契機として国際電電KDDというものが大きな利益を上げてきた。そこでこの許認可権と人事権をめぐってKDDが多額の、六十億になんなんとする交際費と称されるものから、あるいは郵政省に対して、あるいは政治家集団に対して盆暮れの中元、歳暮とか、あるいは贈収賄とか言われておりますけれども、いろいろなものが行われてきた。いまこの事件は進行中でございます。  そこで最初に、きょうはKDDの方は何か中国からお客さんがお見えだそうで、お見えになっていないということでありますから、すべてこれは郵政省の方からお答えしてもらう以外になかろうかと思います。  一月二十四日に山口清邦前社長室秘書役が首つり自殺をいたしました。私は、この青年といいますか、この人には罪はないと思うのであります。いわば犠牲者だと思うのでありますが、KDDとして、罪のない、みずからの意思で動いたとは思われないこの人の処遇といいますか、家族の生活等もあろうと思いますが、それらについてどういう処遇が行われておるか、お伺いをいたします。
  43. 寺島角夫

    寺島政府委員 山口さんの件、まことに不幸なことでございましたけれども、そのことについて私ども詳細を承知いたしておりませんが、KDDに確かめましたところによると、退職金につきましては社内規程にのっとりまして規定の退職金が支払われておる、こういうふうに聞いております。
  44. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 幾らですか。
  45. 寺島角夫

    寺島政府委員 金額は承知いたしておりません。
  46. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 冒頭申し上げましたように、きょうはKDDが見えておりませんが、私は金額等についてもひとつ御答弁を願いたいとあらかじめ言ってあったはずなんですが、いまわからなければ仕方がありません。後ほどで結構ですから、ひとつ十分に配慮すべきだと思います。  その次には、二月六日に保田参与がこれまた電車に飛び込み自殺をしております。新聞の報ずるところによりますと、保田参与は横領があるとかないとかいろいろ言われておりますが、これにしてみたところで、私はやはりこの三つの利益集団のしがらみの中での犠牲者に違いないと思いますが、この保田参与に対する処遇はどうでしょうか。
  47. 寺島角夫

    寺島政府委員 保田さんの件につきましても、KDDに確かめましたところ、御案内のとおり保田さんはKDDを定年退職をされまして、それから参与という資格でKDDに在職をしておられたわけでございますので、退職金につきましては定年退職をされましたときに規定の退職金が支払われておる、こういうことでございますので、今回退職金の支給ということはない、かように聞いております。
  48. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 引き続きまして、佐藤室長は贈賄ということで起訴され、さらに余罪があるということでいま勾留中と聞いております。そして社長室次長の西本次長は起訴猶予ということで釈放になったと報ぜられております。そして古池会長は責任をとっておやめになったそうでありますが、さらに二人の副社長も責任をとっておやめになった。板野社長も、これも業務上横領容疑ないしは贈賄の容疑でいま勾留中と聞いております。  そこで、佐藤室長、西本次長、古池会長、二人の副社長、そして板野社長が現在どういう状況でありますか、お伺いをいたします。
  49. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDDの佐藤前室長につきましては、ただいま御指摘のございましたように、業務上横領並びに贈賄ということで起訴をされたと聞いておるわけでございますが、KDDの社内的には社員としての身分と申しますか、それは依然残っておるというふうに承知をいたしております。また、古池前社長兼会長につきましては、取締役の地位はそのまま取締役として残っておられるわけでございまして、ただ、現在会長並びに社長を退かれまして、取締役相談役ということで社内におられるわけでございます。  それから板野前社長につきましては、現在警視庁に逮捕されておる状況にあると承知をいたしておるわけでございます。  それから昨年の十月に退任をされました大島、鶴岡両副社長につきましては、大島前副社長は財団法人KDDエンジニアリング・アンド・コンサルティングというところに、また鶴岡前副社長は国際通信施設株式会社の顧問に就任しておられる、かように聞いておるところでございます。
  50. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 今回KDDに何とかいう委員会ができまして、鋭意前向きに、再びこういうことがないように社内的に対処しているということであります。時間等の関係がございますから、この点については深く触れることは差し控えたいと思いますが、このKDDの内部的な委員会がいま検討されつつあることで、今後再びこういうことがないという確信をお持ちかどうか、伺います。
  51. 寺島角夫

    寺島政府委員 御案内のように、KDDにおきましては、去る二月の臨時株主総会におきまして新しく日高会長、増田社長を選任をいたして、新しい執行体制のもとで鋭意経営の刷新に努めておる、こう承知しておるわけでございまして、ただいま先生指摘のように、その一つといたしまして、正式な名称は忘れましたが、部外の方々から成る諮問委員会的なものを設置をいたしまして広く部外の御意見を聞き、それを経営の上に十分反映さしていく、そういう組織をつくることを決定されたように聞いておるわけでございます。  まだ正式に発足はいたしておりませんが、近々発足になるものであろうと考えておるわけでございまして、こういうふうに、民間と申しますか会社外の各界のいろいろな方々の御意見というものに十分耳を傾け、それを経営の刷新という形に取り入れていくということは、KDDが経営の刷新を行い、かつまた今回のような事態を二度と引き起こさないということのためにも歓迎すべきことであろうというふうに私どもは判断しております。
  52. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 次は郵政省でございますが、先ほど申し上げましたように、五十三年に九十二件、許認可権に基づいて郵政省が許認可を与えておるそうであります。そしてKDDの会長その他、役についての強大な任免権を郵政省は持っておるわけでありまして、そこでいろいろな現象があったわけであります。  郵政省の、自主申告で判明したと言われております、五十三年七月以降に料亭等で接待を受けた者が十六回で六十一人、ワイシャツ、洋酒等の中元、歳暮等を受けた者が六十八人、海外みやげをもらった者が七人と報告されておりますが、これは間違いございませんか。
  53. 小山森也

    小山政府委員 郵政省におきまして職員約百十名、管理職にある者を、先生おっしゃいますように五十三年七月以降につきまして、まず自主申告によるものと面接によるものと併用いたしまして調査した結果は、いま御指摘のとおりの結果が出たわけでございます。
  54. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 引き続き伺います。  元郵政省電気通信監理官の松井清武さん、元電気通信監理官室参事官日高英実さん、これはともに八日に収賄で起訴されたと伺っておりますが、その事実と、現在この二人がどういう姿でおられるか。社内的な身分あるいは松井さんはすでに郵政省を退官しておられるわけですから、現在どうしてどういう状況にあるか、伺いたいと思います。
  55. 小山森也

    小山政府委員 現に郵政省職員であります前郵務局の国際業務課長の日高英実でございますが、四月八日に起訴されましたのに伴いまして、四月九日付をもちまして課長職を取りまして、郵務局付としてあわせて起訴休職ということにしてございます。  なお、松井前宇宙開発事業団監事につきましては、これは内閣の方で身分を解任したという話を聞いております。
  56. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 引き続きまして、江上郵務局長と神山次官の辞任を八日の閣議で決定をしたと承っておりますが、この二人がおやめになった理由もあわせて伺いたいと思いまするし、いまどうしていらっしゃるか、このことについても伺いたいと思います。
  57. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  御指摘の前事務次官、前郵務局長が、先般人事異動によりまして退任をしたわけでございますが、その退任をいたしました理由は、今回のKDD事件に関連をする不祥事件が発生をいたしまして以来、省内に生じました沈滞した空気を一新して、人心の刷新を図る必要がある、このように私考えておりまして、五十五年度予算の成立と提出法案の審議が本格化しまするこの時期が一番適当だ、こう考えまして、人心刷新の観点から、神山前事務次官に後進に道を譲るよう勇退を求めたものでございます。  また、江上前郵務局長につきましては、同期のだれかが事務次官になれば他の者は勇退をする、こういう官界の不文律がございまして、これを尊重いたしますとともに、同じく人心刷新の意味におきまして同人の退職を求めたものでございます。  したがいまして、以上申し上げましたように、今回の人事異動は人心刷新ということでございまして、そういう観点から異動を行ったわけでございます。四月八日に発令をいたしましたので、その後御両人は何もしておらないと存じます。
  58. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 そこで、郵政省は今回機構改革ということで、郵政省設置法の一部改正というものがいま当委員会にかかっておるわけでありまして、その郵政省設置法の一部改正について、あるいはその他の委員会等での審議の中で大西大臣は、今回の事件の主要な原因というのは、やはりKDDの経営に当たる経営者の姿勢、これに大きな原因があると私どもは思います、そこでこの経営姿勢を改めて云々、こう記されておるのであります。  今度の事件というのはKDDの経営姿勢だけが問題なんであって、郵政省にも責任がございません、郵政大臣にも責任がございません、こういうことになっておるわけでありますが、こういう姿勢だけで、果たして今後再びこういう事件が起こらないという確信を大臣はお持ちでしょうか。
  59. 大西正男

    大西国務大臣 いわゆるKDD事件に即しまして、KDDの経営姿勢あるいは運営の方法に問題のありましたことは当時私申し上げたわけでございますが、その考えはいまも変わっておりません。同時に、これを監督すべき立場にあった郵政省内部におきまして、一部の者に全体の奉仕者としてあるまじき行為がなされておったという疑惑のもとに逮捕、起訴が及んでおりますことも事実でございます。     〔委員長退席、逢沢委員長代理着席〕  したがいまして、KDDについてはそういう経営姿勢を正してもらって、今後再びそのような事件の起こらないような体制、姿勢をもって進んでもらいたいとともに、郵政省内部におきましても、こういう事件が再び起こらないように綱紀の粛正を徹底的に図りまして、国民全体の奉仕者としての公務員あり方の原点に立ち返ってもらいたい、こういうことで、鋭意その点に私も意を用いておるわけでございます。いずれにいたしましても、両々相まって一日も早く行政の信用回復に最善の努力をし、また、KDD国民の期待にこたえていかなければならないと存じております。
  60. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 そこで、いまKDDの方では二人のいわば犠牲者、そして古池会長以下経営陣がすべて責任をとったという形でかわってきたわけであります。そして郵政省の方でも、元監理官ないしは参事官がすでに司直の手によって起訴されてきた。そして郵務局長と神山次官が責任をとった。事実のほどはわかりませんが、江上局長についてはとかくのうわさを聞いております。しかし、神山次官は余りうわさも聞いておりませんが、いずれにしても次官が責任をとっておやめになったわけであります。  ですから、私が冒頭申し上げましたが、この事件というのは、強大な人事権と許認可権を持つ郵政省、その頂点に立つのは郵政大臣、すなわち政治家でありまして、それを受けて立つKDDは六十億の交際費をもっていろいろと画策をした。しかもこの三つの利益集団ないしは社会集団の二つが、死亡者まで出るという犠牲の上に、いま鋭意再びこういうごとのないように努力をしつつある状況であります。そして残った政治家集団だけが何の社会的な指弾も受けず、あるいは法的な裁きも受けることなく、のうのうと今日何ら変わることなくあるわけでありまして、果たしてこれでいいのかどうかという感じは、私だけでなく多くの国民が持っておると思います。  もうすでに御承知だと思いますが、新聞の報ずるところによりますと、大臣経験者三人を含む二十人の政治家の名前がいろいろと取りざたされております。  そこで一つ一つ申し上げてみますが、昭和五十一年九月に福田郵政相が就任されまして、同じく九月にインマルサット四十七カ国が設立決定、そして十二月には国際電報料金値上げ。これは重大な因果関係があるように私ども国民は思います。そして同じく五十一年の十二月には小宮山重四郎郵政相が就任をいたしまして、そして翌年、五十二年三月にはKDD、国際データ通信サービス計画発表、そして同じく三月にはインマルサット事業体としてKDD指定。ここにも何か許認可権とKDDとの関係をうかがわせるものがあります。そして四月にはKDD、マリサットサービス開始を認可。これもそうしたものをうかがわせます。六月にはKDD、専用線使用料金の大幅値上げ、三〇%ないし六〇%を計画、大手ユーザー団体が反対運動へ。  以下たくさんございますけれども、その次に同じく八月に問題のKDD機構改革で社長室が社長直轄になっております。ここにも何かにおいがいたします。そして同じく五十二年の十一月にはKDD専用線の大手ユーザー、料金値上げ反対へ協議会を設置し、同じく十一月には郵政省、専用線料金の値上げ一〇%ないし二〇%を認可いたしております。同じく十一月に服部安司郵政相が就任をされておりまして、十二月にはユーザー協議会などKDDに円高差益還元を求める。そして五十二年一月にはユーザー協議会が郵政省KDD専用線値上げ認可に異議申し立て、それで二月ないし三月には服部郵政相、国会での円高差益還元論議で国際通信料金の値下げ、前向きに検討と答弁、そして四月には経済対策閣僚会議で為替差益還元問題などを討議、同じく五月に服部郵政相、衆院逓信委員会で、値下げより経営基盤の確立が第一と後退答弁、同じく七月にはKDD、為替差益還元のための値下げ見送り、かわりに五年間で四百億円の設備投資構想を打ち出す、同じく十月にはKDD山口衛星通信所にインマルサット地球局完成、そして十二月に白浜仁吉郵政相就任、五十四年六月にユーザー協の異議申し立て、すなわち値上げ反対の異議申し立てを白浜郵政相が却下、そして十月にKDD、専用線料金一〇%値下げ、五十四年十一月、大西郵政大臣御就任、こういう記録があるわけであります。  法務省に伺いますが、いま私が時日を追って読み上げましたKDDの値下げとか値上げとか認可とかいうような一連のものが郵政大臣の就任と、その間に行われておるわけでありまして、いま私が申し上げました福田、小宮山、服部、白浜前ないしは元郵政大臣等といろいろうわさされておりますけれども、現在法務省としてこの方々にどういうふうに対応していらっしゃるでしょうか。
  61. 根來泰周

    根來説明員 ただいまいろいろ事実関係を御指摘になったわけでございますが、先ほどからもお話のありますように、現在、警察、検察庁は板野元社長の業務上横領を中心にして捜査しておる段階でございますので、ただいま御指摘の点については、ただいまは何とも申し上げかねるわけでございます。
  62. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 法務省に再度伺いますが、いま私が申し上げましたのは想像ではないのでありまして、これは五十年までさかのぼって事実を申し上げたわけでございますから、この事実は法務省としてもお認めになるでしょうね。
  63. 根來泰周

    根來説明員 そういう事実については捜査当局も承知しておると思いますけれども、現在、その事実に対する見方といいますか、その事実から犯罪があるとか犯罪の容疑があるとかいうことは申し上げかねるというふうにお答えしておるわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  64. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 私は犯罪があると言っておるわけではないのでありまして、この事実をお認めになって――この事実と、それぞれの大臣の御就任や御退任の経過もあるわけであります。  いま申し上げましたように、この一連の事件でKDD郵政省もいわば起訴されておるという事実があるわけであります。そして冒頭申し上げましたように、三つの利益集団もしくは社会的集団がいろいろな人事権と許認可権の影響力をめぐって進展しておるわけでありますが、二つの利益集団にはすでに起訴者まで出ておりますし、現に勾留されて取り調べが進行しておるわけであります。三つの利益集団の中の二つまでが司直の手にかかり、捜査の対象となり、あるいは再度申し上げますが、二人のとうとい命まで犠牲になっておるわけであります。その中で政治家集団だけが社会的にも法的にも何の指弾も受けないということは、どうしても国民として納得できないわけであります。先ほど申し上げましたけれども、二人の監理官もしくは参事官はすでに起訴されておるわけであります。しかし、この参事官と監理官の二人には許認可権はないのです。最終的に郵政大臣が決定するわけでありまして、監理官単独で許可権、裁決権はないはずであります。そうしますと、この参事官と監理官が起訴されておりますのに、実際の権限を持っておる当時の大臣が何にもないということはあり得ないと思うのですが、法務省どうですか。
  65. 根來泰周

    根來説明員 先生の御指摘は、社会的な見方といたしましては非常に鋭いものがあるというふうに思うわけでございますけれども、私ども、検察庁も警察もそうでございますけれども、捜査というものは、言うなれば霧の中を山道を歩いているようなものでございまして、前途がそう見えるわけではございませんで、要するに足元を固めながら進んでいくというわけでございますので、現段階では、要するに、いまの業務上横領を中心に足元を見詰めて証拠を集めておるという段階でございまして、なおかつ、証拠がそういうふうに進展してまいりますれば、当然そういうふうな嫌疑も抱くでありましょうし、進展しなければまたそこで終わりということもあり得るわけでございまして、そういう点では、社会的な見方と若干捜査の進め方というのは違うわけでございますので、その辺を御理解いただきたいと思うわけでございます。
  66. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 私は、社会的な見方じゃないのです。郵政省電気通信監理官と参事官にKDDに対する許認可権があるわけじゃない。それは大臣にあるわけでありまして、参事官や監理官権限はないのです。いま私が申し上げましたけれども大臣にあるわけです。そして権限のない監理官や参事官が収賄で起訴されておるのです。権限のない二人が起訴されて、権限のある大臣が何らの社会的な指弾も、法からもらち外だということは、これは社会的な見方じゃないのです。純粋な法理論から言いまして、法務省どうでしょう。
  67. 根來泰周

    根來説明員 現実には検察庁、警察が捜査しておりますので、先生の御意見は十分捜査当局に伝えることといたしたいと思います。
  68. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 これは伝えるということでなしに、刑事課長さんでしょう、あなたは法の専門家でしょう。私よりもあなたの方が専門家なんです。だから私は、社会的な見方じゃないのです。権限もない郵政省監理官や参事官が起訴されて、権限を持っておる大臣に何にもないというのは、純粋な法理論からいっても、私よりも専門家の刑事課長、そういう考え方、言い方はおかしいじゃないですか。
  69. 根來泰周

    根來説明員 現在起訴されております公務員につきましては、との方々が全く権限がないというわけではございませんで、要するに、大臣の命令を受けて職務に従事しておって、その職務内容に関して、職務の対価として収賄をしたということで起訴されているように理解しておるわけでございますが、その権限の根源といいますか、そのもとであります大臣の刑事責任ということになりますと、これはまた別の問題でございまして、権限があるからそこに刑事責任があるというわけにはまいりませんで、その意味ではいろいろ検討すべき問題があるというふうに申し上げているわけでございますので、御理解賜りたいと思います。
  70. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 時間の関係もありますから、ここで法理論を展開しても仕方がありませんが、これは三回目になりますからくどくなりますけれども、三つの利益集団、社会的集団が、いろいろないま申し上げますようなしがらみの中でこの事件が発展しておるわけです。しかも、その三つの利益集団の中の二つの集団からそれぞれ犠牲者が出ておるのに、ひとり政治家だけが何にもございませんということでは納得できない。  今度の事件が発生して以来、社会的に賛成、反対、いろいろありましょうけれども、議論の沸騰しておるところでありまして、特に、これは最後に大西郵政大臣に伺いますが、今度の参議院選挙で、自民党は政治倫理の確立ということが大きなテーマになっておるそうであります。浜田幸一さんも、ラスベガスの四億五千万の事件か何かで、政治姿勢ということでみずから議員を辞任していらっしゃるわけであります。  私は、大西郵政大臣にはそうした疑惑も何もないと思います。あるいはうわさにも出ておりません。清廉潔白な方だと思います。しかし、ただいま申し上げますとおり、KDDからは二人の自殺者、そして会長を頂点とした経営陣はすべて刷新されております。郵政省も、私は、先ほどの神山次官は多分何もないと思うのですが、責任をとっておやめになっておるわけですね、郵務局長も。そして政治家集団だけがのうのうということは、これは政治倫理に照らして許されるべきことではないと思います。  この際、やはり郵政大臣としては、あなたに責任があると私は思いませんけれども、二つの社会的集団が厳しい批判を受けて責任をとっておるわけでありますから、当然郵政大臣責任をとっておやめになるべきだと私は思います。私だけではございません。これが政治倫理の確立だ、この事件をめぐる最終的な――罪のない、あるいは潔白な郵政大臣がおやめになることが政治倫理の確立の第一歩だと私は思いますが、大臣の御見解を承りたいと思います。
  71. 大西正男

    大西国務大臣 神山前事務次官、それから江上前郵務局長、二人が先ごろの人事異動によって退任をいたしましたことにつきましては、先ほどお答えを申し上げましたように、省内における人心を一新するということが理由でございまして、他意はないわけでございます。  それから、いわゆる先生のおっしゃる政治集団、その責任につきましては、先ほど法務省の方からお答えをいたしたようなことでございます。  また、私どもといたしましても、新聞紙上を通じましていろいろ見たり聞いたりはしておりますけれども、そういう事実についての裏づけにつきまして、公的に権威づけられた何らの資料も私たちは持っておりません。でございますから、ここで何の根拠もなしに私どもがこれにコメントするということは、差し控えさせていただきたいと思います。
  72. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 私は深く追及しようとは思いませんが、先ほど来申し上げておりますとおり、少なくとも国家的、社会的な大きな問題を引き起こしておりますこのさなか、大臣としてよく御検討いただきまして、私は大西郵政大臣大臣の席に恋々としておる方だとは思いません、もちろんいま直ちにとは私は言いませんが、再びこういう事件が起こらないような措置がとられた適当な時期に責任をおとりになることが、政治家集団を代表した当面の焦点であります大西郵政大臣の最も賢明な策だと思いますから、ひとつ善処方を要望しておきたいと思います。  以上でこの点につきましては終わります。  次に、五十二年三月二十四日にJTEC、海外通信・放送コンサルティング協力という財団法人ができまして、今日まで仕事をしてもらっておるわけでございますが、これも時間がございませんので私の方から申し上げてみたいと思います。  電信放送事業というものは今日急速に世界的な規模で競争が行われておるわけでありますけれども、電話戦争と言われておるそうです。電話戦争には二つの側面がある。北の先進工業国においてはすでに電気通信網はほぼ完成に近い、その整備と拡充強化は、むしろエレクトロニクスの発展による質的向上の時代に入っておる。各国の国内市場での電気通信機器の売り上げの伸びはほぼ頭打ち、加えてエレクトロニクス等の開発を初めとした技術革新は、電気通信産業を労働集約型から一層知識集約型に変える傾向にあります。  また一つの側面は、自動車、カラーテレビ、鉄鋼等これまでの日本の輸出戦略商品は先進国相手の貿易であり、相手市場への殴り込み等によって伸びてきたものである。それだけに昨今の円高攻勢等を絡めての米、欧、対日圧力となり、通信機器は発展途上国相手の先進国企業間の輸出競争で、先進国との直接的な貿易摩擦は起こらない等等のメリットもある。  これをまとめて言いますと、人類文化の発展は通信と交通の発達なしにはあり得なかった。一国が工業化し、近代化を遂げるにも通信と交通は絶対不可欠な要件となっておる。とりわけ通信は、これほどまでに高度化し複雑化した社会においては、経済のみならず政治、外交、あらゆる分野を密接に連絡するテクノロジーとなっていることは否定できない。  そこで、そういう中で一体日本はどうかということでありますが、サウジアラビアで四十兆円、そのうち放送設備等が七千億、これは米、加、スウェーデン連合が落札しております。インドネシアで三百九十億、これは西独。韓国で百億、フランス。同じくフランスで五カ年計画で七兆円、ITT。イランで十年計画で五千八百八十億、アメリカ。オーストラリアで千七百億、スウェーデン。その他で、日本はことごとく失敗しておるそうであります。  もう私の方から何もかも申し上げますけれども、日本は民間のコンサルタントはないのだそうですね。そこで、いま申し上げましたコンサルティングが五十二年にできたわけであります。ですから一番いいのは、その力を持っておるのは電電公社。ところが、その電電公社がそうした国際入札に参加することは法的に許されない。そこでJTECができた。  ところが聞いてみますと、JTECというのは資本金が五億七千万ほどでありまして、五十四年度の予算が三億だそうです。人は常勤の理事さんが五名で非常勤が十七名で、十四名の職員さんがおる。そのうちの六名が出向だそうであります。あとの八人の方々が事務局を担当しておられる。そしてようやくカイロのジェトロに一人の駐在員を置くだけだそうでありまして、これではとても厳しい国際競争の中に、しかも今後自動車、カラーテレビ等々にかわる花形産業に発展するであろう電気通信事業というものが国際的に強力に発展できないということであります。当面一人のジェトロ駐在のJTECの方では情報がまずとれません。そこで外務省の各国に駐在しております公館あるいは国際協力事業団、国際協力事業団は援助ベースでありまして、貿易ベースでは、これはやはり当面ではJTEC、コンサルティング協力が出ていく以外にないわけでありますから、当面このJTECに対して外務省並びに国際協力事業団が強力な応援をする以外にないと思います。  もちろん、いまもしておられるのでしょうけれども、いまの体制では、五十三年にできましてようやく、もう御承知かと思いますが、クウェートで三年計画で十五億の指導料という契約ができたそうでありますが、しかも日本の場合には、コンサルティングとして、昨年ですか郵政大臣の答弁によりますと、動員できるのはせいぜい三、四十名だ。ところがフランスあたりでは、あるプロジェクトができますと一挙に三百人ぐらいは動員力を持っておる。アメリカはもちろんそれ以上の動員力を持っておるわけであります。そうすると、今後電気通信事業の分野で、このままで国際競争の中に日本が伍していけるかというと、いけない。となると、このJTECを強化するといいましても、やはりこれはお金の関係、人の関係がありますから、そう簡単にはい、はいというわけにいかないとするならば、当面国際協力事業団を含めた外務省、しかし、国際協力事業団も、これは援助ベースだけでありまして、貿易ベースは国際協力事業団はタッチできない。  したがって、基本的には現在の電電公社法を改正して、電電公社三十二万の人間、そして膨大な予算、人員、技術を擁する電電公社が晴れて国際舞台に、入札の舞台に参加することなしに、日本のこれからの放送、電信競争、言いかえますと、テレホンウォー、電話戦争に勝ち抜く道はないと思います。したがって、私の質問は二つであります。  一つは、時間をかけてでも電電公社法の改正をして、電電公社の現在の体制をそのまま国際入札できる体制をとる、これが一つの課題であります。当面外務省が本格的に応援をするという二つの点についてお答えをいただきたいと思います。
  73. 小山森也

    小山政府委員 先生御説のとおり、ただいま発展途上国におきまして、特に産油国において大規模な電話網建設の計画が非常に進んでいる次第でございます。  一つは、それに対応する形で情報網という形での充実を図るのは、やはり外務省の公館その他の援助をもうちょっときちっと受けるべきではないか、JTECの情報網を充実すべきではないかというお尋ねかと思います。  その第一点の情報収集体制でございますが、確かに五十二年に発足したばかりでございますので、まだ非常に日が浅いということもありまして、何かと隔靴掻痒の感もある感じはするのでございますけれども、その後非常に努力いたしまして、目下一般情報として外務省から非常な御理解を得ておりまして、いろいろなこれらの国におきます情報を入れていただいております。また、ジェトロの事務所というのも、この財団法人自体が郵政省と通産省の共管の財団法人でございますので、同様に協力をいただいているということでございます。  なおそのほか、これは非常に直接的に、電電公社事務所がバンコク、ブラジリア、ジャカルタ、ジュネーブ、ニューヨーク、ロンドンと六カ所にございますが、この在外事務所、さらにKDD事務所が十四カ所と駐在員が二カ所おりまして、計十六カ所というふうにKDD事務所があります。こういったところと、さらに先ほど先生から御質問の中にありましたように、JTECの駐在員がカイロにいるというようなことで、目下いろいろな情報網というものを充実しつつあるところでございます。-さりとて、だからこれが完璧であるとは私申しておるわけではございませんでして、これは発足以来日が浅いので、まだそれが本当に根づいているとも思えない次第でございますので、これをますます充実していく方向でこのJTECの仕事を進めていくように援助していきたいと思っております。なお、JTECに対しましては補助金等も出しているわけでございます。  なお、電電公社法を改正したら直接的にできるではないかという御説でございますが、これは一つの説として非常に貴重な御意見だと思いますけれども、現在、電電公社法のたてまえからまいりますと、電電公社が直接外国へ行きまして外国の競争入札に参加するということにつきましては、いま直ちにやることにつきましてはどうかなという疑問を持っている次第でございます。
  74. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 大臣に伺います。  いまお話しのとおり、電電公社法の改正はいま直ちにどうかというお答えがございましたが、いま世界に百六十カ国独立国がある。そのうち先進国は一割に満たないわけです。したがって、あとの九〇%というのは、いま申し上げましたように、一国の近代化、工業化あるいは文化の発展等等から考えるときに、これから通信、放送等々の産業が各国ともに重要な課題になってくるわけでありまして、当面電電公社法が改正できません、JTECでやっていきます、電電公社KDDの出先がありますから、まあまあ応援させてもらいますというような寄り合い世帯で厳しい国際競争に勝てるとは考えられませんから、私は早急に電電公社法の改正をして、将来の花形産業であるべきこの方面に活路を見出すという必要があろうかと思います。これは大臣電電公社法の改正ということになりますと大臣にも関係してくるわけでありますから、ひとつ御答弁をあわせていただきたいと思います。
  75. 寺島角夫

    寺島政府委員 電電公社関係でございますが、先生お話のございましたとおり、現在電電公社電気通信に関します長い経験と、そしてまた世界のトップレベルにあると申しても過言でない高い技術力を持っておるわけでございまして、国際協力という観点からこういったものを生かしまして、発展途上国の電気通信の改善に資するために、従来からも、そういう国々から研修員を受け入れるとかあるいは専門家の派遣をいたすとか、開発途上国に対します各種の技術協力につきましてこれを精力的に実施をしておるところでございます。  ただ、コンサルティング業務ということになりますと、これは一般的に海外におきまする競争入札によってという営業活動を伴うものでございますので、公共企業体でございます電電公社が直接これに応ずるということはやはり適当ではないと考えておるわけでございますが、ただ、こういった国際協力に電電公社の持っております豊富な知識、経験を活用するということは大変大事なことである、国益にも沿うことであると考えておりますので、御指摘のございましたJTECの趣旨等も考えまして、JTECを主体にそういったコンサルティング活動を今後とも積極的に推進をしてまいりたい、これが一番適当な方法ではなかろうか、こう考えておるわけでございます。
  76. 大西正男

    大西国務大臣 いま電気通信監理官からお答えをいたしたような事情でございますが、今後とも、国際協力の面につきましては一層関係機関との協力を密にしまして、推進をしてまいりたいと思います。
  77. 伊賀定盛

    ○伊賀委員 終わります。
  78. 逢沢英雄

    ○逢沢委員長代理 次に、山田英介君。
  79. 山田英介

    山田(英)委員 最初に、法案の審議に入ります前に、何点か確認をしておきたい事項がございますので、質問いたします。  すでに昨日も新聞報道がなされておりましたけれども大臣もお読みになられたことと思いますが、KDDでは、再発の防止策として、たとえば郵政省退職直後の天下りの拒否だとか、それから縁故採用の廃止、さらには政治家のパーティー券は購入しないとか官界への贈答品は一切贈らないとか、こういう形で経営刷新策というものをすでに発表されているところでございます。そのために、特に問題となっております交際費につきましては、五十五年度ではこれを板野時代の三分の一ほどに圧縮をいたしまして八・八億ほどにいたしたい、こういうことが報道され、発表されているところでございますが、まず大臣、このKDDの刷新策についてどういうふうにお感じになられておりますか。
  80. 大西正男

    大西国務大臣 いま御指摘のように、KDDが新陣容になりましてから、いわゆるKDDをめぐるような問題を再発をさせてはならないということで、全力を挙げてそのことと取り組んでおられるわけでございます。そのことを私も承知いたしております。それから、いま御指摘のようないろいろな方法を講じつつあることも承知をいたしております。それぞれにまことに結構なことだと存じておるわけでございます。  ただ、御指摘のございました役員人事のことにつきましては、KDDの社長の真意というものが別の委員会においても述べられたわけでございまして、私どもといたしましても、昭和五十二年十二月に閣議決定というのがございます。その趣旨にのっとって今後人事というものは決められていくものだ、私どもこう思っております。
  81. 山田英介

    山田(英)委員 すでに監督される側のKDDがこのような形で刷新策を打ち出されておる。大臣も、ただいまの御答弁では非常に結構なことだと、こういう御評価をなさっていらっしゃるわけでございます。それでは、監督する側の郵政省として、今日まで郵政省自身の問題として、今回の前代未聞の不祥事の再発防止並びに反省という観点から具体的にどのような対策を立てられてきたのか、具体的にどういう対策を講じられてきたのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  82. 小山森也

    小山政府委員 いわゆるKDDに関するいろいろな不祥事というものが報ぜられて後、私どもそれを監督する立場の公務員がどうあるべきかということにつきまして早速検討すべきであるということから、まず十一月に省内に綱紀点検委員会というものを設けまして、少なくともわれわれ監督の場にある者、KDDとの関係で接触の比較的あるところではないかという部署におります、しかも管理職以上の者百十名につきまして、従来のKDDとの関係において接待とか中元等の贈り物とか、要するにそういったものにつきまして自己申告並びに自己申告に基づきまして面接による調査というものをまずいたしました。  これにつきましては、当院の方々の委員会でも御報告を申し上げているような結果が出ましたが、何はともあれ、結果といたしまして私どもの調査で受けましたところは、従来の観念からいきますと社会的儀礼の範囲内ではないかというような、一応の結論を出したわけでございます。ただしかし、私どものこの点検委員会の調査というのは、ただ単に過去にあったものを摘発してそれで終わるということではなしに、むしろそういうことによって、過去にわれわれの公務員としての姿勢がどうあったかということをまず把握し、これから将来に向かってわれわれ、いわゆる公務員の原点に返って、本当にどうあるべきかを探るというところにあったわけでございます。  したがいまして、過去の概念の中では社会的な儀礼に入ると思われることでも、やはりこのような事態が起きてみますときに、非常にその概念というものがあいまいなものだということから、そういったような社会的儀礼と言われる範囲そのものを一切考え直すべきであるというところから、十一月下旬に大臣からの命によりまして、省内全体に対して綱紀粛正の通達を出した次第でございます。  また、さらにその後、いまちょっと記録がございませんので確かな日にちを申し上げられぬのは申しわけないのでございますけれども、当省の職員が収賄というようなまことに残念なことを原因といたしまして逮捕されるということがございました。その点におきまして、さらにわれわれとしては、その原点に返るべきもの、これをさらに強く職員に対して訴えるべきであるという大臣の御発想から、職員全体に対しまして大臣訓示というようなことをいたしていただきまして、大臣からわれわれに本当の公務員としてのあり方を訓示された、こういうことでございます。
  83. 山田英介

    山田(英)委員 官房長のお話ですけれども、非常に弱いですね。郵政省としての取り組みが、綱紀点検委員会にしても、お話しございましたけれども再発防止なんという観点では全くありません。それから訓示、通達、確かにこれはなされたということを私も承知しておりますけれども、このような郵政省始まって以来というような大きな不祥事に対して、一片の通達で、それからたった一回の訓示で済むような問題ではないということは、郵政大臣官房長も、これはだれよりもよく御存じなわけでございます。しかもKDDというのは監督される立場にある。そのKDDが、退職直後の天下りを拒否するとか官庁へのつけ届けを全部廃止するとか、縁故採用を廃止するとか、明確に出しているじゃないですか。郵政省としての取り組みが、これと対比して、私は、言葉は悪いかもしれませんが、余りにもお粗末過ぎます。この点大臣いかがですか。
  84. 大西正男

    大西国務大臣 私としては、郵政省の立て直しについては真剣に取り組んでおるつもりでございますが、先ほど官房長から申しました依命通達、つまり従来社会的儀礼の範囲内であると考えられておったものでもこれをこれからはやめていこうではないか、だからそういうものは受けないようにしようという通達を内部にいたしますと同時に、KDDその他関係機関に対しても、今後はそんなことはやめてもらいたいという通達も同時に出しておるわけでございます。
  85. 山田英介

    山田(英)委員 いずれにしても、再発防止という観点から、大臣、本気で取り組んでいただきたいと思うわけでございます。  関連をいたしまして天下りの問題でございます。  KDDでは、先ほど申し上げておりますように、郵政省退職直後の天下りは拒否をする、こういう形ですね。これに対して郵政省として、大臣、どう対応なさるおつもりですか。すでに監督される立場のKDDが、私に言わせれば遠慮しがちに退職直後の天下りは御免ですよと、こういう気持ちを出しているわけでございます。郵政省としてはどういうふうに対応されるのですか。
  86. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、五十二年の十二月に、政府におきましては閣議決定によりましてこういった人事問題に対する方針を決めておるわけでございます。その方針によりますと、内外の有識者の中から人物、識見において最もこれに適した人が選ばれるべきであるということを決めておるわけでございます。でございますから、私といたしましても、その閣議決定に従ってこの問題に対処していかなければならないわけでございますが、いま先生の御指摘になっておる点等は、もちろんその際十分にその御意見等を念頭に置きながら、最適の人物を選ぶべきだろうと思います。
  87. 山田英介

    山田(英)委員 いまの大臣の御答弁でございますけれども、郵政の最高責任者として大西大臣が、今回の事件を本当に反省をし、二度とこのような不祥事件は起こさないのだ、こういう本当の御決意があるのであれば、KDDが退職直後の天下りは拒否したい、すると言っているのですから、むしろ郵政省の方から先に、こちらの本当の真意としてKDDへの天下りは御遠慮いたします、私はこういうお話があってしかるべきだろうと思うわけでございます。いかがでしょうか、そういうおつもりでございますか。
  88. 大西正男

    大西国務大臣 KDDに即して申しますならば、KDDの役員人事、これは株式会社でございますから株主総会によって選任をされまして、その役員の中でいろいろ役付がございましょう、社長とか副社長とかその他あるわけでございましょうが、それらのことはまた役員会で決められるという手順になってくると思います。そういう問題につきましては、私どもの方で、そういった手続を経た上で申請がありましたら、これを郵政大臣認可をする、こういうことになるわけであります。認可権はもちろん郵政大臣にあるわけでございますが、しかし、そういうことを事実上円滑に行うためには、やはり事前にKDDと十分意思の疎通を図っていかなければならないことは常識上当然だと思います。  いまKDDの社長は、御指摘のように増田さんでありまして、KDDあり方について真剣に取り組んで、再建に全力を挙げておられるわけであります。いま具体的にそういう問題が起こっているわけでありませんが、仮に将来そういう問題が起こるといたしますならば、その問題については十分意思の疎通を図りながら、そごのないようにやってまいりたいと思っております。
  89. 山田英介

    山田(英)委員 昨年の十二月閣議決定がございますが、その後事件は急展開を見せているわけでございます。約一カ月ほど前に元局長格の幹部が一人逮捕、それから現職の課長が逮捕と、成田空港で小さな密輸事件としてその端を発した今回の事件が、いまや何と郵政省本省を巻き込んだ一大汚職事件にまで拡大をしているという急展開を見せている。  ということになれば、当然そこにその状況を踏まえた新たな対応なり御決意なりというものが必要だと私は思うわけでございます。いまの大臣の御答弁を伺っておりますと、いわゆる国家公務員法百三条で、公務員は、公務員を離職した後二年間は出身省庁と関係の深い利益企業に天下りをしてはいけないと禁止されておるわけであります。しかし、人事院規則で、御存じのとおり、二年の期間内であっても、個別に審査してこれが承認されれば天下りすることができる、こういうような状況にあるわけでございます。  そういたしますと、大臣はこの時点においても、KDDが拒否をしている、そういう態度を表明しておるにもかかわらず、まだ離職後二年間の郵政省の幹部が天下りをするということはあり得るのだ、こういうふうに理解せざるを得ないのですけれども、それでよろしいのですか。
  90. 大西正男

    大西国務大臣 その公務員法の規定も十分承知をいたしておるわけでございますが、いまおっしゃっておられることは仮定の問題でございますから、仮定の問題でいま何とも申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたように、KDDのことに関しては、KDDの社長と意思の疎通を欠いて運営に支障を来すようなことがあってはいかぬのではないかと思います。  求むるものは、仮に将来そういう問題が起こりましたならば、KDDの運営について、その姿勢においても手腕においても最も適した人物を求めるべきだと思います。それが基本であろうと思いますけれども、それについて十分に意思の疎通を図りながら、KDDが本来の仕事に他のいかなる方面からも指弾を受けないようにやっていける体制に即応した人物を求めるべきだと思います。仮定の問題ですから、それ以上のことを申し上げることはちょっとどうかと思うわけでございます。
  91. 山田英介

    山田(英)委員 大臣は仮定の問題というふうに御強調なさいますけれども、実際にはこれは郵政省の姿勢の問題なのです。ですから、仮定の問題だからということでぼかされるような印象を受けるわけでございますけれども、むしろ郵政省の今回の事件に対する姿勢、取り組み、熱意というもの、私はこういう観点から大臣の所信をお伺いしたわけでございます。  あわせてこの際、小山官房長が三月の十八日、報道によりますと、当面の対策はどうするのかということに関係をして、技術的には非常にむずかしい点があるけれども、改めて自己見直しの措置を考えるべきだと思う、こういうふうに発言されたと報道されております。その後約一カ月たつわけでございますけれども、具体的な措置は結論が出たのか、とられたのか、お伺いします。
  92. 小山森也

    小山政府委員 御指摘の記事につきましては、三月十八日にKDD事件に関連して当省の職員が収賄容疑で逮捕された旨の通報を受けましたときに、大臣が記者会見におきまして、国民全体の奉仕者として職務の公正厳正な執行に当たるべき公務員がこのような事態を招いたことについて、国民の皆様におわびするとともに、さらに綱紀粛正の徹底を期する云々と言われました。  このときに新聞記者諸君の方から、具体的にはどのような措置をとるのかという質問がありましたときに、大臣のお話を敷衍いたしまして、大臣趣旨を体して、改めて公務員としての原点に立ち返って綱紀の厳正な保持を職員に徹底するための何らかの方法を早急に検討したいが、具体的な方法をどういうふうにするかというのはなかなかむずかしい問題だ、これからのことである。このときに考えましたのは、もうすでに何回も通達を出している。綱紀点検委員会で一応の結論が出た後、いわゆる職員それ自体が、先生の御指摘にございましたけれども、われわれ職員の中におきましては、自己自身を見直すということについての自己に対する見直しというものはかなり意義があったものと思っております。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕  したがいまして、そういったことをさらにどうやってすべきかということについて述べたわけでございますが、その後大臣の御意向もありまして、三月二十四日に大臣から本省全職員に対して訓示がなされたわけでございます。この中で大臣は、綱紀粛正に対する決意を披瀝したということでありまして、具体的な方法というのはこれを指しているわけでございます。
  93. 山田英介

    山田(英)委員 非常に残念に思うわけでございます。郵政汚職に発展をしたその当日に、新たな自己見直しの措置が考えられなければならないだろう、そういう趣旨官房長のお話があって、それが二十四日の大臣の訓示を指すのだという御答弁でございますが、私は納得できません。のど元過ぎればという感じじゃなくて、本当に改めて自己見直しの措置を講ずべきだと私は思います。官房長どうですか。
  94. 小山森也

    小山政府委員 具体的な方法をどうするかということはなかなかむずかしい点でございます。なお、従来の点検委員会というものでやりましたことにつきましても、相当な努力と同時に、受ける職員に聞きましても本当に真剣に受け取ってくれたと私は思っております。それから、この件に関しましては、すでに司法当局によっていろいろな捜査が続けられているわけでございます。したがいまして、この件につきましては、今後これ以上の調査はなかなか困難と思っておる次第でございます。  ただ、われわれ公務員として、行政の場にある者として、国家公務員法上何らかの、本来あるべき公務員に反すること、こういう事実があった場合におきましては、その事実確認の時点において、確認次第それなりの措置をとっていくことが正しいあり方だと思っております。
  95. 山田英介

    山田(英)委員 官房長はそう言われるけれども、私は綱紀点検委員会のような調査をさらにやれとか、そういうことでお話をしているわけじゃないのです。もう一回その記事を御自分でお読みになればよくおわかりになると思いますが、これは明らかに再発防止という観点から官房長はおっしゃっていると私は理解しているわけです。そういう意味で私はいまの御答弁では納得をいたしかねます。  次に、法案との絡みでちょっと質問させていただきますけれども、先ほど来申し上げましたように、今回の郵政汚職というのは、わが国行政史上に再び大きな汚点を残してしまった、非常に残念なことでございます。このたび御提案なさっていらっしゃる郵政省設置法の一部を改正する法律案につきましても、この不祥事件、さらには今国会最大の焦点と言われております行政改革、当然この二点を踏まえて御提案をなさったことだろうと私は理解をするわけでございますが、まず今回の事件とのかかわりもしくはKDDとのかかわりの中でどういう形でそれを踏まえられて今回法案を提出なさったのか、お伺いします。
  96. 大西正男

    大西国務大臣 今回国会へ提出をいたしました郵政省設置法改正案は、近年における電気通信分野の著しい発展に伴いまして増大かつ多様化した行政需要適確に対処していくため、かねてより電気通信行政の執行体制の整備を要求していたものでございまして、今般のいわゆるKDD事件を契機とするものではございません。  また、行政改革との関連について申しますと、現下の厳しい行財政事情のもとにおきましては、行政需要の変化に伴う機構の改編が真に必要とされる場合でありましても、なおかつ既存組織の合理的再編成によって全体としての機構の膨張を厳に抑制するということが政府の方針とされておるところでございますので、このたびの電気通信政策局の新設に当たりましても、スクラップ・アンド・ビルドの原則に従いまして、経理局を廃止して大臣官房経理部に改めることとしておるわけでございます。したがって、行政改革趣旨にもかなっていると考えておるところでございます。
  97. 山田英介

    山田(英)委員 KDDとの絡みでいまお尋ねをしたのですけれども行政改革の方まで御答弁いただいたわけでございますが、今回の設置法改正は、いまの大臣の答弁を聞きましてもKDDとは関係がないということでございます。今回の事件とも関係がない。果たしてそうだろうかと私は思うわけです。  たとえば、郵政省権限としてKDD監督するということは設置法で定められておる。その窓口が電監室である。これは廃止をして、新設の電政局でもって今度はKDDをまた監督する。そうなってまいりますと、今回の事件と無関係である、KDDと無関係であるということを何で強調なさるのか。経緯については私はわかりますよ。確かに、別々の問題として、大臣がおっしゃったように局の新設がずっと考えられてきたという経緯は私も理解をしております。しかし、現実にKDD事件がここにあるわけです。現実の事件展開としてあるわけでしょう。設置法改正案がそういう今日的な状況の中で提案されてきているわけですから、KDDとのかかわりとか、また再発防止という観点から、現行法から改正法になった場合にはかかわり方がどのように変わっていくのか、または監督あり方がどう変わっていくのかという点でそこに審議が集中するということは当然のことだと私は思うわけでございます。  そこで、KDD事件のような不祥事を二度と起こさないという角度から現行設置法より効果が期待できるという部分は、この改正法案のどこを見ればいいのか、条文を通してお示しをいただきたい。
  98. 大西正男

    大西国務大臣 KDDに絡む問題を反省して、再びこれが発生しないようにということにつきましては、もちろんKDD自身の経営姿勢をしっかりしたものにして、大いに努力をしてもらわなければなりませんが、同時に、郵政省内部におきましても綱紀の粛正を厳正に実現していかなければなりません。そのことはございますが、KDD自体の従来のあり方について制度的に再発防止を図っていくという道につきましては、別の委員会におきましていまKDD法の御審議をちょうだいしておるところでございます。したがいまして、これが成立を見まするならば、監督権の拡大強化ということが含まれておりますから、この設置法における政策局設置の中においてのKDDに対する監督というものは、成立を見た法律を踏まえてやっていかなければならないことは当然でございますが、ただ、政策局設置をお願いいたしております趣旨は、これは従来から郵政省の悲願でございまして、八〇年代あるいは二十一世紀に向けての情報化社会の急速な進展に対して行政が対応していかなければいかぬ、それが基本でございます。
  99. 山田英介

    山田(英)委員 郵政省の悲願であるということは私もよく理解をいたしております。ただ、監督権強化ということについては、大臣のお話にありますように、KDD法改正がいまかかっておる、これも承知しておりますが、この設置法現行法から改正法に変わった場合に、KDDとのかかわりはどこがどう変わるのかということについて、もう一回お示しをいただきたい。
  100. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいまの大臣のお答えを補足させていただきます。  KDDに対する監督業務と申しますものは、従来、現在の電気通信監理官室におきましてこれを所掌して行っておるわけでございますけれども、その任務は新しい電気通信政策局におきましてもそのまま引き継がれるわけでございます。ただ、監督ということにつきましては、KDDのみならず、たとえば電電公社監督も同様でございますけれども、いずれも日本電信電話公社法あるいはKDD法という法律に定められております監督権限の範囲内におきまして、その法の趣旨を踏まえて行っておるわけでございます。したがいまして、公社法あるいはKDD法改正がない限りにおきましては、監督の態様、監督権限というものにつきましては何らの変更があるものではない、かように考えておるわけであります。
  101. 山田英介

    山田(英)委員 現行設置法の第二十一条第六項に「電気通信監理官は、命を受けて第六条第一項第十二号の二から第十一号の五までに掲げる事項に関する事務を掌理する。」とございます。要するに、この第六条第一項の十二号の二から十二号の五までの中にいわゆるKDD監督も含まれておるわけでございます。電気通信監理官は、まずこの「命を受けて」いわばKDDをも監督するということになっているわけですが、この「命を受けて」というのは具体的にだれの命令を受けるのですか。
  102. 小山森也

    小山政府委員 大臣からの命でございます。
  103. 山田英介

    山田(英)委員 元監理官の松井が大臣の命を受けてKDD監督した、こういうことでございますか。
  104. 小山森也

    小山政府委員 組織法上の明文といたしまして、電気通信監理官は、第六条第一項第十二号の二から第十二号の五までに掲げる事務を掌理するということになっているわけでございます。
  105. 山田英介

    山田(英)委員 今回の改正案では、この「命を受けて」云々という条項がなくなって、電政局の所掌事務の中で、すなわち改正法案の第十条の二の四号でKDD監督すること、こういうふうになりますが、これを現行法と比較して、KDD監督という面でどこがどういうふうに、たとえば強化という言葉を使わなければ、適正化されるとか合理化されるとか、こういう面でメリットがあるんだというような絡みについてはどうなんでしょうか。
  106. 小山森也

    小山政府委員 設置法上には関係ございません。従来どおりでございます。
  107. 山田英介

    山田(英)委員 提案理由の説明の中に「電気通信行政責任権限内外に対して明らかにし、その一層の充実を期するため、電気通信監理官制度を廃止して電気通信政策局設置しようとするものである」「電気通信行政責任権限内外に対して明らかにし、その一層の充実を期するため、」という提案理由の説明がなされているわけでございますけれども、これは結局はKDDに対する監督といいますか接し方についてさらに強化をされる、ないしは非常に接しやすくなる、こういうふうにとらえていいわけでございますか。それとも、要するにメリットはどうなのかということをぼくは聞いているわけです。  KDD事件がここにある。郵政汚職がある。そういう中で、当初そういうことは全然念頭になく、悲願何十年でやってきたことはわかっておりますが、改正法が成立したときにはその意味がどういうことになるのか。たとえばチェック機能とかそれから内部の書類決裁とか、そういう面における変化というのはないのですか。
  108. 小山森也

    小山政府委員 電気通信政策局の今回の設置趣旨というのは、御説明申し上げましたとおり、電気通信監理官制度というものを廃止して、今回政策局をつくるわけでございますが、電気通信監理官制度というのは本来、本来と申しますとちょっといろいろ問題がありますけれども電電公社とか国際電電というような会社監督以外の行政上の事務はきわめて少なかったときに、例示いたしますれば専売公社監理官というようなものにならいまして、この監理官制度をつくったわけでございます。  しかしながら、先生もすでに御指摘のように、最近電気通信の分野の技術革新というのは非常に大きいものがございまして、この監理官制度発足当時考えられましたような、いわゆる電電公社国際電電以外のちょっとしたところの、小部分の行政範囲を所掌するというようなことではなくなってまいりまして、量的にも質的にも著しく拡大あるいは複雑化というような現象が起きているわけでございます。したがって、それに対応するところの行政需要も非常に大きくなってきたということでございまして、特に例示的に申し上げますならば、データ通信、画像通信キャプテンシステムというようなもの、さらには国際関係におきましても、発足当時の二十八年当時には考えられもしなかったような、いわゆるインテルサットとかインマルサット、それからさらにOECDの関係というようなものが非常にふえてまいりまして、こうなりますと電気通信全体に対する長期的な将来ビジョン、いわゆる通信政策全体の樹立というようなものが必要となってきたわけでございます。  したがいまして、そういった行政需要、こういったものに対して対応するために、行政組織法上わが国で通例とられておりますところの局単位、基本的な組織単位である局組織にすることが、こういった行政需要に対してみずから明らかにすると同時に、内外ともに明らかにしていくことではないかということで本設置法案の御審議をお願いしている次第でございます。  なお、国際電電との関係を申し上げますならば、これは実定法としての設置法と直接かかわりがあるものではございませんでして、いわゆる国際電信電話会社法によりまして監督の実定法上の範囲というものが決められるものでございます。  以上でございます。
  109. 山田英介

    山田(英)委員 そういう趣旨は私も理解しております。ただ、郵政汚職にまで発展をした今日的状況のもとで、悲願何十年かのこの設置法案があえて出されてきたわけですから、それとの絡みの中で審議をしたい、こういうふうに私は思っているわけでございます。  次に、何点か再び確認の意味を含めてお尋ねをしたいと思うのですが、KDDの交際費が四十九年度前後と比較すると、五十二年度はその支出が約四倍、二十二億円以上にもなっていたわけですが、簡単にお答えください、この事実を郵政省は知らなかったのですか、知っていたのですか。
  110. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDDにおきます、五十二年度におきまして二十二億円余と言われておりますものは、いわゆる交際費的なものと申し上げますか、税法上会社のコストとして算入をされないで課税の対象となるいわゆる交際費的なものと考えておるわけでございますけれども、この金額がこういうふうに多額のものに上っておったということにつきましては、事件後、報告により承知をしたわけでございます。
  111. 山田英介

    山田(英)委員 ここに資料がございます。朝日新聞の四月四日付の記事でございます。これによりますと、いま寺島監理官のお話でございますが、KDDでは「毎年五月ごろ、認可手続きに必要な正規の決算書類のほか、収益明細書、費用明細書など参考資料十数件を郵政省電気通信監理官室に提出、その中に」五十三年度の交際費が二十二億円余であったことが一目瞭然となる「「納税引当額の計算説明書」も含まれていた。」「しかも、KDD経理部長が電気通信参事官クラスに関係資料の大筋を、会計課長が副参事クラスに詳細を説明までしていた。」こういうふうになっているわけでございます。この点の事実関係はどうなんでしょうか。
  112. 寺島角夫

    寺島政府委員 現在のKDD法におきましては、いわゆる決算的な面に関しましては、決算の結果生じてまいります利益金の処分というものが郵政大臣認可にかかわるわけでございます。この利益金の処分と申しますのは、御案内のとおり、株式会社でございますから株主への配当をどうするかというふうなことが主眼でございまして、いわゆる営業活動の結果生じました利益のうち、社外に流出をしていく金の問題でございます。したがいまして、こういった法の趣旨に従いまして利益金の処分が適当であるかどうかという観点からこの審査に当たっておるわけでございます。  ただ、利益金が出てまいります根源は会社営業活動の結果でございますので、利益金の処分の申請を受けますときに、株主総会で承認をされました貸借対照表でございますとか、あるいは損益計算書利益金処分案、こういったものにつきましては提出を求めまして、これも内容についても見ておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、利益金処分のみが大臣認可の対象となっておる法の趣旨、・それから株式会社でございますので、こういった財務諸表の作成に当たりましては、KDD内部の監査役監査、それから外部のいわゆる公認会計士の監査等を経た書類でございます。したがいまして、そういうことを前提として見ておりますので、これらのそれぞれの細かい費目内容等につきまして細かく把握することはいたしておりませんで、いわばマクロ的に見ておったという状況でございますので、先ほどお話がございましたような点につきましてのことは承知をしておらなかったわけでございます。
  113. 山田英介

    山田(英)委員 監理官はいつもマクロ的な立場で見ておるから、こういう御答弁で、いまもそういうことでございましたけれども、これはきわめて大事な問題ですよ。KDDが一億数千万という形でうその申告をしていたという、ずっとそういう姿勢というかそういう態度をとっていたのが郵政省ですが、その納税引当額の計算説明書、それを見れば、ともかく二十二億以上の交際費が出ていたということが一目瞭然だというのですから、もしこんな書類が来ていたなんということになったら、郵政省にとってとんでもないことになります。  しかもこういう大事な問題であるにもかかわらず、この報道によれば、いまの御答弁いただいた寺島監理官のお話は「納税関係の資料はきていなかったと思う。」こんな大事な問題ですよ。このときのコメントは「きていなかったと思う。」ですよ。それから、当時の担当参事官は、この問題については「答えられない」と言っているのです。現在の担当参事官は、部下に命じて調べてもらったところ、そういう報告書は来ていなかったと思う、いなかったという報告を受けている、これだけですよ。いまの御答弁も同じような軌跡上にあります。こんなことでいいのでしょうか、こんな大事な問題が。本当のところは一体どうなっているのか、それを郵政省として調査なり、徹底的に確認するために対応されたのですか、寺島さん。
  114. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、現行のKDD法趣旨を踏まえましてマクロ的な把握にとどめておったわけでございまして、したがいまして、非常に突っ込んだ形ということをすることはいかがかというふうに考えておったわけでございます。それで、そういったただいま御指摘がありましたような一目していわゆる交際費的なものが明らかになるような、そういう書類が来ておる、あるいはそういう説明を受けたという報告は、私は受けておりません。
  115. 山田英介

    山田(英)委員 大臣大臣は三月の五日の所信表明で「行政の信頼を確保するよう、今後とも一層努力してまいる」こういうふうに所信表明をされております。行政の信頼を確保するためには、まさにこういう問題なんですよ。この納税引当額の計算説明書、こういうものが本当に当時来ていたのか来ていなかったのか。たとえばこういう問題に大臣が真っ正面から取り組み、国民の前に進んで明らかにしていく、こういう姿勢があって初めて行政の信頼を確保することができるんだ、私はこのように理解するわけでございます。大臣、いかがでしょうか。
  116. 大西正男

    大西国務大臣 そういうことでございますので、従来の監督あり方というものにつきまして反省あるいは見直しをいたしました結果、今回のKDD法案におきましては、そういう点について手抜かりのないようにということで法の改正をお願いしておるわけでございます。
  117. 山田英介

    山田(英)委員 行政の信頼を回復をするためには、大西郵政大臣の真剣な取り組み、そういう姿というものが非常に国民の関心を集めているという、そこに注目をしておるということを申し上げておきたいと思います。  それからKDD監督官庁である郵政省から二人の逮捕者が出た。しかも元とはいえ一人は局長格、したがって、郵政省責任は当然回避できない、私はそう認識をいたします。先般の神山事務次官、それから江上郵務局長辞任は、事実上のKDD事件の引責辞任、このように受け取ってよろしゅうございますか。
  118. 大西正男

    大西国務大臣 これは先刻来他の委員の方々にもお答えをいたしましたので、委員御在席なさっておられましたらお聞きくださったことと存じますが、再度改めて申し上げますならば、先般行いました御指摘の人事異動というものは、KDD事件に関連をする不祥事件が発生をして以来、省内に生じていました沈滞した空気を一新し、人心の刷新を図る必要があるとかねて考えておったところでありますが、五十五年度予算の成立と提出法案の審議が本格化するこの時期に、人心刷新の観点から神山前事務次官に後進に道を譲るよう勇退を求めたものでございます。  また、江上前郵務局長につきましては、同期のだれかが事務次官になれば他の者は勇退するというのが官界の不文律でございます。これを尊重いたしますとともに、人心の刷新を図るという趣旨から同人の退職を求めたものでございます。
  119. 山田英介

    山田(英)委員 今回の不祥事件の原因として、一方でKDDの経営姿勢が指摘されるのであれば、他方は郵政省幹部の綱紀の紊乱です。KDDと郵政官僚との癒着という、こういう本質的な問題があります。処分論を回避して単なる人事の更迭だけで片づく、そんな簡単な問題ではないはずです。この人事について多くの国民の間には、郵政省の疑惑隠しだという声さえ上がっているというのが実情でございますよ。郵政に対する国民の信頼をこれ以上失わせてはならないと私は思うのです。そのためにも、今回の異例と言われるこの更迭の性格なり位置づけなりというものを、私はこの際やはり明確にすべきだろうというふうに思うので、先ほど御質問申し上げたわけでございます。  それから私は、責任論ということでございますが、この郵政汚職というのは国民にはかり知れない行政に対する不信感を植えつけてしまった。これは先ほど他の委員の方のお話、質問もございましたが、これは確かに大西大臣が就任をなさる以前に起こった事件ではございますが、事は余りに重大でございます。したがいまして、大臣がみずから何らかの形で責任をおとりになり、これを内外に明らかにされるということをお考えでございましょうか。
  120. 大西正男

    大西国務大臣 私といたしましては、このような事件が今後絶対に再発をしないように、また、郵政省に与えられておる業務が、郵政の職員の方たちによって積極的に国民の期待にこたえていかれるように、郵政省というものを立て直すという言葉が適当かどうかは存じませんが、その立て直しを図っていくということが、私に与えられておる職責の大きな要素であろうと考えております。このことについては、私としては全力を挙げて、今後再びこのようなことの起こらないように各方面から対処してまいりたいと存じております。
  121. 山田英介

    山田(英)委員 元とは言え、電気通信監理官局長格が逮捕されております。大蔵省印刷局汚職以来、局長格といいますか、局長が逮捕されるなんということは実に二十四年ぶりだそうでございます。郵政省始まって以来の恐らく一大汚職事件ということでございましょう。それから、他省のお話を出しては恐縮でございますけれども、防衛庁長官の例を見ても、事の重大性によっては、それが就任以前に起こった事件であろうと、その責任についてこれを免れることはできないということも私は見ております。大臣いかがですか。何らかの形で大臣みずからが責任をおとりになって、内外に明らかにされることは必要なんではないだろうかと思うわけでございますが、重ねてお気持ちをお伺いしたいと思います。
  122. 大西正男

    大西国務大臣 郵政省に発生をいたしました今回の不祥事件というものは、郵政省にとりましては百年の歴史の中で初めて起こった事件でございます。そういう意味におきまして私も責任を痛感をして、この責任に対応した最善の道をとっていきたいと考えておるわけでございます。そういうことでございまして、郵政省に今後再びこういう問題が再発をしないように、先ほども申し上げましたように、各方面から再発防止に対する手当てをしていくということが重大な責任であると考えております。
  123. 山田英介

    山田(英)委員 郵政省有史以来百年ぶりのといいますか、そういう大変な事件であるという御認識が大臣にはおありのようでございます。  たとえば松井が首席監察官に五十二年の七月に就任をしておりますけれども、七百人近くいるんでしょう、郵政監察官に対しても、それから三十万とも言われる監察をされる側の郵政省職員の皆さんにしても、この監察の最高責任者が郵政汚職で逮捕されるなどという報に接してどんなにくやしい思いをしているか、また、どんなに割り切れない思いをしているか、大変なことだと思うのです。私は、そういう中で郵政大臣責任はきわめて重大であるということを重ねて強調しておきたいと思うわけでございます。  一点、行政改革観点からこの設置法の質問をさせていただきます。  先ほど大臣から、一番最初に、スクラップ・アンド・ビルドということで電政局を新設、経理局を部に格下げというのでしょうか、部にする、こういうような趣旨のお話があったわけでございますけれども、ずっと午前中からの論議がございましたでしょうが、この電政局というのが大臣官房の中にあった通信政策課を吸収をして、そして所掌事務等も大した大きな変化は実体的にはない。さらにはまた、経理局経理部になっても所掌事務については変化が全くないというようなことを考えますと、スクラップ・アンド・ビルド方式、一局新設、一局つぶすということでございますけれども、これでは局をつぶしたというより結局丸抱えしたにすぎないのではないかと思うわけでございます。真に国民が求めている行革とはその意味でほど遠いというふうに私は理解せざるを得ません。  行政改革というのは、高度経済成長時代に水ぶくれした行政機構を合理化していく、簡素化していく、ふくれ上がった行政経費のむだを省き、経費縮減を図って、より大きな行政効果を期待をする、発揮させるというところに本当の意味の行政改革があるのだろうというふうに私は思うわけでございます。そういう観点からいたしますと、今回行政改革を踏まえた形で設置法改正案が出てきたと言われますけれども、いわば名前ばかりでその実が上がっておらない、こういうふうに思わざるを得ませんという点を指摘をしておきたいと思います。  せっかく設置法がかかった機会でございますので、いままでの話とは大分変わりますけれども、この際特殊切手について、私お尋ねやらお願いやら申し上げておきたいと思うわけでございます。  まず特殊切手、いわゆる記念切手でございますけれども、一年間の発行枚数とそれから売上高、これは数字だけで結構でございますので、五十四年度で御報告をお願いしたいと思います。
  124. 守住有信

    守住政府委員 御説明申し上げます。  五十四年度は、まだ決算を完了いたしておりませんので概計でございますけれども、件数で十九件、種類で三十種類、発行枚数で八億六千万枚、売りさばき総額が四百二十四億九千四百万と相なります。
  125. 山田英介

    山田(英)委員 この特殊切手、記念切手でございますけれども、大変な切手ブームでございます。それで一説によれば、推定でございますが、現在日本に三百万人ほど切手の愛好家がいるということでございますが、これは大臣にもぜひお聞きをいただきたいのでございますが、その大部分の皆さんがシートで買われるんですね。一枚一枚切り離した形じゃなくて、二十枚とかつながっている一枚のシートで買われる方が、推定三百万人と言われるような切手愛好家の中には非常に多いわけでございます。  ところが、その切手愛好家の皆さんのいま非常に困っていることがあるのです。毎月毎月何種類か発行されてまいります。それを全部買われているわけでございますから、それを今度は整理をするときに、一体このシートは、この記念切手はいつ発行されたのかということがまるでわからないわけです。それで整理のしようがない。もしここに、いわゆる耳というのでしょうか、記念切手の耳の部分に年月日の数字を打ち込んでいただいたら、印刷していただいたらどんなに便利になりどんなにすばらしいことか、こういう話を大変多くの切手愛好家の方々から私は聞いているわけでございます。  よく私も関心を持って調べてみますと、確かにそうなんですね。大臣、この黒枠が本体の切手二十枚なら二十枚つながっているわけです。その耳の部分のこの辺に「大蔵省印刷局」という、どこで印刷したかという発行元が印刷をされているのです。そのわきにでも、もしくはどこにでも結構なんですが、せっかく耳のところに「大蔵省印刷局」という印刷したところの名前が出ているわけですから、そこにたとえばさようなら五五・四・一七、こういうような数字を打ち込んでいただけないものか、こういたしますと非常に助かるんだがと、また郵政省も味なことをやる、私たち愛好家のことを非常に考えてくれて、サービスに一生懸命尽くしてくれている、こういうことになるんだけれどもというお話を非常に聞くわけでございますが、これは打ち込んでいただけますか。打ち込めない理由があったらおっしゃってください。
  126. 守住有信

    守住政府委員 御指摘の御意見の点でございますが、実は特殊切手のシートの余白には発行年月日というのは、明治以来からでございますけれども、入れておりませんでした。それが御指摘のサービスというふうな意味合いかと思いますけれども昭和三十五年の三月から実は年月日を入れることにしたわけでございます。ところが、これが十二月までということになっておりまして、事情をよく調べてみましたところが、サービスでやりましたけれども、具体例といたしましては、議会開設の七十年記念切手というのを発行したわけでございますが、これが実は記念式典の日が変更となりまして、いわゆる耳に入れた日と狂ったという事例がございまして、それ以来から、切手の名称は入れておりますけれども、年月日は入れない、こういうことに相なっております。実は御指摘もございまして、いろいろ議論しておるわけではございますけれども、これは半年も前から印刷にかけて、輸送、配送等いろいろ準備が要るわけでございますので、今後もこういうことが起こり得ないという保証がないというのが一点でございます。  それからもう一つは、フィラテリストの方はシートでお買いでございますが、三百万、二百万と言われる方々の大部分は、実は小学生、中学生の方も多いわけでございまして、お小遣いからお求めになっておる。そして私どもも、シート買いではなくて単片でそういう楽しみを深めていただきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。ところが、発行日を入れますと、これまた、そのこと自体も一つの意味を持つという受けとめ方になりまして、郵政省自体がシート買いを勧めておるということでもいかがかということで、いろいろな面で慎重に考えていかなければならぬことではないか、こう考えておる次第でございます。
  127. 山田英介

    山田(英)委員 一点は、年月日が狂ったという実例のお話がございました。記念切手で半年も前に印刷にかかるということも私も伺っておりますが、場合によっては年月日が必要がない切手があるわけです。記念物、何とか百年記念とかいうものについては、もうその日にちが決まっているわけですから、何年何月何日と印刷をされても問題がないかと思うわけでございます。動物シリーズとか花シリーズとか、いろいろなものが企画されているわけでございますが、そういうものについて、発行年月日のずれが、事故が前にあった、それがあるので非常に厳しかったというお話がいまあったわけでございますが、その場合には、五五だけでもいいと私は思うのです。五五のたとえば四月なら四だけでもいいと思うのです、日にちまで特定しなくても。せいぜいずれたって一週間でしょう。十日も見ていれば、そのずれというのはわかるわけですから、月までは印刷をしていただけるのではないかと思うわけでございます。  もう一点は、何も日付を入れたからといって、一枚買いがシート買いに殺到するとか、それを郵政省が誘導したとか、絶対そんなふうには国民の皆さんは思いません。そのように思われる方がむしろおかしいと私は思うわけでございまして、それと関係ないと思います。  しかも、先ほど御報告いただいた五十四年度だけ見ても、四百四十億五千万という売り上げがあるわけですよ。恐らく何百万人という方々がシートや一枚一枚を買われている。こういう四百四十億五千万にもなるような大ぜいの郵政省のお客さんと言ったら失礼でございますが、そういう国民の愛好家の皆さんにサービスをしてあげる、そこまで配慮してあげる、便宜を図ってあげる、不可能なことではないと私は思うわけでございます。明治何年以来切手シートの耳に年月日が入っていなかったからといって、入れられないということではないわけでございまして、むしろ今日、ここまで特殊切手、記念切手が発展をしてきた業績といいますか、四百四十億五千万まで伸ばしてきた大ぜいの愛好者の皆さんのために、ぜひとも御配慮をいただきたいと思っているわけでございます。もう一点は、お友達同士とか本当のプロのマニアみたいな方から、シートを買われたり売ったりする場合が頻繁にあるわけでございます、これは十年前に発行されたすごい価値のある切手ですよということで、個人間なり私人間で取引されたとしますね。ところが発行年月日が入ってないと、素人の方、ただ愛好している人にとっては、十年前と言われれば、ああそうですか、すごいものだというので買わないとも限らない。それが実際に十年前に発行されたものだったらいいのですが、たとえばそれが三年前に出たものだとか五年前に出たものだということになりますと、そういう私人間における取引の公正という観点からも、未然に防ぐという観点からも、発行元の郵政省の方でぜひ御配慮をお願いしたいという気持ちがあるわけでございますが、大臣いかがでございましょうか。  この記念切手のシートの耳に、「大蔵省印刷局」まで入っているのですから、五五年とか、もしくは切手の種類によって五五・四・一七とか、何が何でも年月日まで全部入れろと私はお願いをしませんけれども、五五なら五五、五五の四なら四、また一七なら一七まで入れられるのだったらそこまで入れていただきたいということを私は心から大臣にお願いしたいと思うのですが、ひとつ御答弁をお願いしたいと存じます。
  128. 大西正男

    大西国務大臣 いま事務当局からお答えをいたしましたように、事務当局もこの問題に関心を持ってないわけではないようでして、すでに検討をしておるようですが、先生の御意見もございますので、よく検討させます。
  129. 山田英介

    山田(英)委員 ありがとうございました。質問を終わります。
  130. 木野晴夫

    木野委員長 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後三時三十七分開議
  131. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  132. 上原康助

    ○上原委員 郵政省設置法の一部改正の法案との関連ですでに同僚議員の方からいろいろお尋ねがありまして、内容面につきましても大臣初め郵政省関係者のお考えが大方明らかになったような感もいたしますが、私は私なりに時間の範囲内でさらにお尋ねをしたいと思いますので、ひとつ関係者の誠意ある御答弁をまず求めたいと思います。  そこで最初に、問題になってまいりましたKDD事件についてお尋ねをさしていただきたいと思うのです。  この問題については昨年来いろいろ議論されてきたわけですが、一昨日来の審議を通してあるいはほかの委員会でも大臣の御答弁を聞いておりまして、大変遺憾な事件だ、これからは綱紀を粛正し、再びこの種の問題が起きないように一層の努力をなさる、これはごくあたりまえのことで、お気持ちもわかるわけですが、本論に入る前に、指揮監督権を持つ郵政大臣として、どうしてこの種の、これだけの不正事件が起きたのか、その背景あるいは原因についてはどのように受けとめ、どう認識をしておられるのか、その点についてまずお伺いをしたいと思います。
  133. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  KDDをめぐる問題につきましては、現在捜査当局による厳正な捜査が行われておるところでございます。その捜査の結果を見定める必要があるものと思われるわけでありますが、いずれにいたしましても、今回の事件に関連をいたしまして、KDDのみならず、直接KDD監督の任にある郵政省職員から逮捕者を出すに至りましたことは、公正を期すべき立場にある者としてまことに遺憾に存じておるところでございます。  事業の経営に当たりましては、その経営責任者の経営姿勢のあり方いかんがきわめて肝要な問題でありまして、特に公益事業を営むKDDにありましては、このことは強く要請されておるところであると存じます。  同時に、国民に対しまして責任を負う監督官庁として、全体の奉仕者たるにふさわしい職務の公正、厳正な執行の徹底を図っていくべきことがきわめて重要なことであると考えております。
  134. 上原康助

    ○上原委員 私がむしろお聞きをしたいのは、大臣の答弁として求めたいのは、そういったこともお答えとしてはわからぬわけではないわけですが、これだけ政、官を巻き込んだ疑惑が持たれている事件に対して、大変失礼ですが、そういった通り一遍のことじゃなくして、もっと根が深い原因があったんじゃないのか、そこにメスを入れなければいかないと思うのですね。そこをもう少しお聞かせをいただきたいと思うのです。  事件のあらましを若干振り返ってみましても、たしか昨年の十月二日に東京税関成田支署でKDD社長室の職員二人が密輸の現行犯で摘発をされ、それがきっかけになっている。その後今年四月五日に、このKDD事件の頂点にあると言われた板野前社長の逮捕、二日後には郵政省の神山次官、江上郵務局長が、おとといも理由についてはお述べがありましたが、退官をしておる。その間に幾多の犠牲者も出ておる、あえて触れませんが。  そこで、警察庁おいでと思うのですが、昨年の十月二日にこの問題が発覚をして、頂点であるという板野前社長の逮捕まで実に七カ月近く日時が経過をしているということになるのですね。素人考えですが、どうもこの期間にいろいろとこの疑惑をむしろ拡大あるいは拡散をしていくような手がやみからやみに打たれたんじゃないのか、そういう見方も国民の中にはあるわけですが、ここいらの点については警察当局あるいは法務省はどのような受けとめ方をして、どういうふうに捜査をしようとしてこられたのか、その点についてまず明らかにしていただきたいと思うのです。
  135. 漆間英治

    ○漆間説明員 確かに、この事件の捜査につきましては、かなり長い時間を要していることは事実であります。御承知のように、このKDD疑惑と称せられるものにはさまざまな内容があるわけでありまして、私どもは、その内容の中に刑事責任を問うべき事実があるかどうかということを探りながら捜査を続けてまいったわけでありますけれども、捜査に要する時間というのは、やはりその事案の態様と密接にかかわりがあるのでありまして、この事案はさまざまな疑惑を含んでいるだけに、それだけに解明に要する時間も必要とされる、その種の事案ではないかというように考えるわけであります。  はたからごらんになっておりますと、いかにも捜査のピッチが遅くて、もたもたしているじゃないかという御批判もあろうかと思いますけれども、警察といたしましては終始一貫、事案の真相を解明するために全力を尽くしてまいったということで御理解を賜りたいと思います。
  136. 上原康助

    ○上原委員 そこで、真相解明に全力を挙げておられる、これは何回かそういう御答弁をなさっていますね。まさにそのとおりであってほしいわけですが、いまいみじくも、この事件にはさまざまな疑惑があるだけに真相解明に慎重を期す、あるいは時間がかかったんだというところのさまざまな疑惑とは一体どういうことなのか。御答弁は非常に抽象的ですね。捜査の段階だからということじゃなくして、さまざまな疑惑の内容というのはどういうものを対象にさまざまな疑惑と言われるのか、そこについてはいまの段階でももう少し明らかにできると思うのですね。
  137. 漆間英治

    ○漆間説明員 私の言葉が足りませんでしたけれども、さまざまな疑惑と申し上げましたのは、国会の御論議なり、あるいは新聞等の報道を通じて見られるKDD事件に寄せる国民の疑惑というものにさまざまな内容があるという意味で申し上げたわけでありまして、捜査の結果積み上げられました証拠に基づいてさまざまな疑惑があるという意味では決してないわけであります。その点はひとつ御理解いただきたいと思います。  御承知のように、捜査というのは一つ一つの証拠を積み上げて事実を確認していくわけでありますので、私どもは、そうした証拠に基づいて認められる事実は何であるか、そしてその事実に対して適用すべき法律は何であるか、そういう観点で捜査を進めているわけでございます。
  138. 上原康助

    ○上原委員 法務省はどういうふうに御理解をしていただいておるのですか、御答弁をいただきたいと思います。
  139. 根來泰周

    根來説明員 ただいま警察庁からお話があったとおりでございます。
  140. 上原康助

    ○上原委員 そんな御答弁じゃ納得できないので、じゃ続けて私の方からお尋ねします。  すでに三月十八日でしたか、郵政省の松井、日高両人が逮捕されておりますね。また先ほど申し上げたとおりの逮捕者、あるいは二月二十四日に佐藤前室長の逮捕。  そこで、今日まで郵政省関係者の事情聴取あるいはその他の職員とか、そういうのはどうなっておるかということですね。またKDD職員では、参考人として事情聴取なりいろいろやった方がいるのか、そういう面はどうなっているのかということ。同時に、いま真相解明に鋭意努力をなさっておるということですが、この疑惑解明に当たっては、捜査の焦点というのはどこにしぼっているかということなんですね。  すなわち、KDD首脳のいわゆる横領とか、そういう個人犯罪ということを立証していく、そういう面にしぼっているような感も受けないわけでもないわけですが、しかし、さまざまな疑惑がいま報道されておるということ、これを解明をしていくための捜査を積み上げていく、そうなりますと、やはり言われておりますようにKDD疑惑の背後にあるとされる政官界との癒着の解明ということに対しても当然メスを入れなければいかないことだと思うのです。ここいらの点についてはどういうふうにお考えなのか、捜査を進めておられるのか、もう少し国民が聞いてもなるほどと思う御答弁があってしかるべきだと思うのですね、警察庁にしても法務省にしても。これでは、真相解明を鋭意進めているというふうには私は受けとめられないし、国民が聞いても、結局板野前社長の逮捕で幕引きじゃないのか、うやむやにされていくのじゃないかという疑惑がむしろ積み重なっていくのじゃないですか。そこいらはどうですか。
  141. 漆間英治

    ○漆間説明員 まず御質問の初めの方の、KDD関係者あるいは郵政省関係者から事情聴取をしているかどうかというお話でございましたが、これは幅広く事実を解明するためにさまざまな方々からお話を聞いております。その中には、被疑者として聞いた人もいれば、参考人として聞いた方もおります。しかし、その内訳についてお話をすることは差し控えたいと思います。  それから御質問の後段の点でありますが、政官界工作がこの事件の焦点ではないかという御質問でございました。私どもも、先ほど申し上げましたように、国会の御質問なりあるいはマスコミの報道を通じて、このKDD疑惑と称せられるものの中心的な内容をなすものが、その御質問のような内容のことであるということは重々承知をして捜査に当たっております。しかし、先ほど申し上げましたように、捜査というのは証拠によって一つ一つ事実を確認しながら進めていくものでありますので、そういう捜査の実情というものに御理解を賜りまして、もうしばらく捜査の推移をごらんいただきたいと思います。
  142. 上原康助

    ○上原委員 そこで、相当といいますか、幅広くこの疑惑解明をしていくために事情聴取その他をやっている、多くの人々にも接触をしている節があるというような示唆だと思うのですが、それぞれ個々の、たとえば郵政省の幹部というか、幹部職員が何名とか、KDDの上級職員といいますか、そういうのが何名とか、あるいはそのほかにも政界関係者もいないとも限らぬでしょう、これはここまで疑惑が広がっているわけですからね。大体数にしてはどのくらいということは言えないのですか。幅広く、相当という言葉がいま出ましたね。おおよそどのくらいの事情聴取を今日まで警察はなさったか。
  143. 漆間英治

    ○漆間説明員 警察は、被疑者として事情聴取をして、これで立件送致するに足る容疑内容があると認めますれば、立件送致をしたという事実をもって、ある特定の人について事情を聞いたことを世間にある意味でお示しをするしかないわけでありまして、それ以外の場合について、どの人に事情を聞いたということは申し上げにくいわけでございます。  ただ、いまの御質問は、総体でどの程度の人に事情聴取をしているかという御質問だと思いますので、これは恐らく被疑者、参考人一切含めてだと思いますので、そういう御趣旨でございますれば、大体延べ七百人以上の人から事情を聴取いたしております。
  144. 上原康助

    ○上原委員 法務省ではそういったところまではいっていませんか。
  145. 根來泰周

    根來説明員 この事件は、先ほどから御指摘のありましたように、去年の十月二日に端緒があったわけでございますけれども、その後警察と協議いたしまして、この事件は主として警察で事件を担当されるということでございまして、警察で検挙されて検察庁の方に送致されるというコースをとっておりますので、ただいま捜査二課長から答弁いたしましたような形で、多少ダブって取り調べをしておると思います。
  146. 上原康助

    ○上原委員 いま七百人くらいの事情聴取といいますか、要するにこの事件でかかわりというか、いろいろ疑惑の解明をしていくためにやっておられる。もちろんダブリがあると思うのですが、法務省で関係したのは数にしてはどのくらいですか。
  147. 根來泰周

    根來説明員 私の方は、そういう数の点については報告を受けておりません。ちょっと明確にいたしかねるわけでございます。
  148. 上原康助

    ○上原委員 改めてこの事件の幅の広さ、底の深さということをいま私は感ぜざるを得ませんね。七百人ぐらいの人が何らかの形で警察の事情聴取を受けている。もちろんそれが白か黒か灰色かは、これからより解明をしていかなければいかないわけです。  そこで、これは郵政省にもお尋ねしたいわけですが、これだけの事件に発展をしてきているということは、要するに一々取り上げるまでもなく、板野前社長の時代の約四年間と言われているのですが、その間の交際費というのが非常に膨大な額に上っておるわけですね。  問題は、私が冒頭大臣にこの事件の背景をどういうふうに御認識しておられるかということを伺ったのとつながるわけですが、これだけの多額の交際費なりあるいは会社のいろいろな資金を捻出して、要するに政官界へのばらまき工作をやったんだということが言われておるわけで、郵政省としては、KDD会社のばらまき工作というものはどこに目的があったと思っているのか。この認識、これをまず解明をして突き進めていって、会社のそういう運営をさせない、あるいは官、政との癒着を断ち切り、パイプをきれいなものにしていかないといかないと思うのですね。なぜそうせざるを得なかったのか、なぜそうしたのかということは、国際電話料金を安くしなさいということに対して安くしないということが目的だったのか、あるいは自分の社長という地位をあくまで保持をしていく、そういうための官政工作だったのか、この点については、郵政省監督機関としては、今日の時点でこれを一体どう受けとめ、解明をしていかれようとするのか、ここも一つの大きなポイントですね。  郵政省並びに警察当局は、なぜいろいろなそういう手を使わなければいかなかったのかということについてはどういうふうに受けとめておられるのですか。御見解を聞いておきたいと思うのです。
  149. 寺島角夫

    寺島政府委員 このKDD事件と言われておりますものにつきましては、現在司法当局、捜査当局におきまして厳正な捜査がなされておるものと理解をしているわけでございまして、その内容等につきまして、現在までに逮捕されあるいは起訴された者があり、その中に郵政省電監室の元幹部であった者がおるということも十分承知をいたしておりますが、その事件の性格と申しますか、あるいはどういう原因であったかということについては、私どもは現在捜査の結果を注視をしておる、そういうことでございます。
  150. 漆間英治

    ○漆間説明員 これはやはりこの事件の全容が解明されて初めて言える問題でありまして、現在はまだその全容解明の過程でありますので、何とも申しかねます。
  151. 上原康助

    ○上原委員 郵政省当局の御答弁を聞いていると、確かにお立場はわかりますが、精神的なプレッシャーもあるでしょうからわかるのですが、何かどうもこういうものの解明に意欲が欠けている、熱意が足りないような感じがしてしようがありません。そんな木で鼻をくくったような答弁ではだめですよ。  そこで、この問題だけに限るわけにもいきませんので、もう一、二点だけ聞いておきますが、報道されているさまざまな疑惑というのは、板野前社長時代の約四年間に主に交際費ということで公費を乱費した。先ほど言いました政官界工作として、一つには領収書の改ざんによる裏金づくりをやっていろいろな贈り物を流したとか、二点目には商品券の贈答、あるいはデパートからの商品券を含めていろいろな商品の購入。三点目にせんべつ、その他祝い金の贈与がありますね。四点目に励ます会や出版記念パーティー券の購入。五点目に美術品や密輸品の贈与。五十二年以降実に二十三億円分を購入した、そのうち十億円は社内にはなく、政官界へ流れたのじゃないかという疑惑が持たれている。六点目にKDD関連工事の発注に対する便宜供与。七点目に高級料亭、クラブ等の接待。そのほかにもたくさんあるでしょうが、区分けをしていくと大体そういう面に疑惑のある多額の交際費なり公費が使用された。  先ほど捜査二課長の御答弁があった、さまざまな疑惑を解明をしていく捜査の対象となっているものはそういう内容だというふうに理解していいのかどうか。
  152. 漆間英治

    ○漆間説明員 私どもが捜査の対象にしておりますのは、いま御指摘のありましたいろいろな態様はあるのでございましょうけれども、この多額の交際費の使途の中に刑事責任を問うべき事実があるかどうかということを捜査いたしているわけでありまして、御質問のような事柄すべてが刑事責任を問うべき事実ということでは決してないというふうに感じております。
  153. 上原康助

    ○上原委員 もちろん、それは刑事事件の対象として贈収賄その他の横領に警察当局は限定というか、しぼっていくのでしょうが、いま私が指摘したような問題も全く否定はできないというふうには受けとめているわけですね。
  154. 漆間英治

    ○漆間説明員 先ほども申し上げましたように、交際費の流れの中で金の流れ、物の流れ、いろいろあると思いますが、その流れの中に刑事責任を問うべき事実があるかどうかということを追及している段階でございます。
  155. 上原康助

    ○上原委員 そこで、なかなかはっきりした御答弁はいまの段階では得にくいわけですが、もう一点ずばりお尋ねをしておきたいのです。  いま新聞報道なりその他マスコミ関係で非常に取りざたされて取り上げられている問題として、KDD疑惑の解明の最も大きなポイントとも言われる、要するに昭和五十三年五月二十五日ですか、一九七八年の五月二十五日、板野前社長と元郵政相が赤坂の高級料亭で密談をしたということが大きく取り上げられていることは事実ですね。ここで何が起こったか。ある面ではこの事件の全貌解明のかぎを握るんじゃないかということが世間的には注目されている、衆目の一致するところなんです。  さらにその後七月にも別の場所で板野・元郵政相会談が持たれた。その後KDD問題をめぐっていろいろな変化があったことも指摘をされていることなんです。この事実については警察当局の捜査の対象になっているのか、また、これも刑事事件あるいはその他この問題解明の積み上げという範疇、範囲にあるのかどうか、お答えいただきたいと思うのです。
  156. 漆間英治

    ○漆間説明員 ただいま御指摘のありましたような事実について、警察当局も承知をしている上で捜査を進めていると思います。しかし、そのことが今後の捜査にどのようなかかわりを持つかということについては、現時点ではまだ答弁できる段階でございませんので差し控えさせていただきたいと思います。
  157. 上原康助

    ○上原委員 この問題を解明していくということになれば、社会的といいますか一般常識で考えて、そういった事件なのかという国民の疑惑に対して解明していく努力はなされなければいかぬと思うのです。警察、法務省の権威が失墜しないように特段の努力を賜りたいと思うのです。  そこで、今後の捜査の発展ぐあいといいますか、いろいろな面ですが、やってみなければわからぬとお答えになるかもしれませんが、おおよそいつごろまでに目鼻がつくのか、事件の疑惑の全貌が解明されて、国民KDD事件とは、KDD疑惑とはこういうものだった、こうこういう人々が関与しておって、こうこういう内容だったということ、これはもうすでに七カ月近くなっているわけですから、いつまでもうやむやにしておくというか、捜査をしているというようなことで引き延ばすといいますか、時間をかけていいことではないと思うのです。そこらの点についてはどういうふうにお見通しですか。
  158. 漆間英治

    ○漆間説明員 先日も当委員会で御答弁申し上げたと思いますが、KDDの当時の社長でございました板野前社長が現に逮捕されているわけでありますから、捜査はそれなりに重要な局面にあるというふうに私どもは理解いたしております。捜査当局としては、できるだけ早期に事案の真相を解明したいという意欲に燃えて捜査に当たっておりますので、もうしばらく捜査の推移をごらんいただきたいと思います。
  159. 上原康助

    ○上原委員 早急な全貌の解明を求めたいと思います。  そこで、今度また郵政大臣のお考えを聞きたいわけですが、これはほかの同僚議員の方からもお尋ねがあったかと思いますが、五十五年度のKDD事業計画といいますか、あるいは交際費等について去る十五日ですか決まったようです。これだけいろいろ疑惑が持たれて、反省をしたということなんですが、KDDの交際費の問題は、七七年度がたしか十四億円、七八年度が二十二億円、七九年度上期だけでも十二億円となっているようですね。これだけ交際費を使うと何をするかわからぬですね。  ところが今年度、五十五年度もやはり八億八千万円の交際費を計上している。これは郵政大臣はお認めになったのですか。また、どういう御相談というか、そういうことに対してどういう検討をなさり、どういう協議といいますか、協議ということよりも、事業計画それから予算措置は、一応監督権はあるわけでしょう、反省をなさったという割りには、一体何に八億八千万円、約九億のお金をまた交際費として使わなければいかぬのか、ちょっとわれわれの庶民感覚ではわからぬですね。国民は反省しているのだろうかというふうに見ないでしょうか。どうしてこうなっているのか、その内容に対しての見解と、郵政省のお立場というものをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  160. 寺島角夫

    寺島政府委員 現在のKDD法におきましては、KDDは、毎営業年度事業計画を定めまして、これを郵政大臣認可を受けなければならない、かように定められておるわけでございまして、その定めに沿いまして、五十五年度の事業計画につきましては、去る四月三日に郵政省といたしましてこれを認可いたした次第でございます。  それで、この事業計画と申しますのは、従来から国際公衆電気通信業務という大変公益性の高い業務というもの、そのサービスの水準というものを良好な状態で、かつ安定的にこれを維持、発展さしていくということが大変大事でございますので、それにふさわしい、おくれをとらないような設備をどういうふうに整備をしていくか、そういうことを主眼にいたしましたいわゆる設備計画というものを内容といたします事業計画について、その内容を審査し、認可をいたしておるわけでございます。  ただ、その設備計画を実施するに必要な資金的な裏づけというものが十分にあるのかということもまた大事な点でございますので、この事業計画の審査に当たりましては、収支計画並びに資金計画というものもあわせ提出を求めておりまして、あわせてそういった設備計画が十全に実施をされる財政的な裏づけについても見ておるわけでございます。  したがいまして、収支計画の中の支出の中には、ただいま御指摘の交際費なども入っておるわけでございますが、五十五年度の事業計画認可に当たりまして、KDDの方からこの事業計画の内容の説明があったわけでございますが、その際にも、一つの主眼として冗費の節約、合理的な経営、特に交際費については大幅に圧縮をして、世の非難を受けるようなことのないようにしたいという話がございまして、その状況がただいま御指摘にありました八億八千万という数字として計上されておるものと考えておるわけでございます。  ところで、それではこの八億という数字もまだ大きいのではないかという御指摘かと思うわけでございますけれども、こういった公益事業の交際費というのが一体どの辺が適当な額であるか、金額であるかということを一定の物差しを置くということは大変むずかしいところでございますけれども、交際費等につきまして大幅な圧縮が必要であるということは私どもも考えておる点でございまして、そういう意味から申しますならば、この八億という数字は、いわゆるKDDの大幅な交際費というものが問題になりました五十二年度以降よりももっと前の、五十年度よりも低い数字でございます。  したがいまして、その後の物価上昇等を考えますと相当に圧縮をした数字ではないかというふうにも考えられますし、また、他の企業との比較においてそれではどうなのかという点も一つ問題になろうかと思うわけでございますが、一つの例といたしまして、国税庁が発表しております全国企業の五十三年度におきまする交際費で、運輸通信公益事業におきます交際費は、売上高千円につきまして五・八七円ということになっておりますので、この数値をKDDに適用いたしますと約八億八千万ということになりまして、これは五十三年度の数字でございますが、そういういろいろな数値を勘案をいたしますと、KDDが、公益事業をやっておりますけれども、一面また外国との関係の非常に多い、外国との交際で欠くことのできない点が多々あるということも考え合わせますならば、大筋において妥当な線ではなかろうかと思っておるわけでございます。  ただ問題は、金額だけではないわけでございまして、その使い方等につきましても、やはり合理性のある、事業目的を達成するにふさわしい、非難を受けることのないような、そういう使い方でなければならないと思うわけでございまして、その点についてもそういう使い方がなされるものと期待をしておるわけでございます。
  161. 上原康助

    ○上原委員 長々御答弁なさる割りには私としては納得しかねますね。それは国税庁の査定を参考にしたというのもまた問題だと思うのですがね。要するに企業倫理の問題でしょうね。それと、監督機関郵政省として、先ほど来申し上げましたように、これだけ国民の批判と注目を浴びながらも、五十年度くらいの交際費の額に引き戻せばいい、物価上昇があったから、八億八千万はほかの企業も使っているからいいだろう、これでは本当に余りにもお粗末過ぎますね。一体それは何に使うの。  あなた国際関係があると言いますが、もちろん、いまの情報化社会において国際機構との関係というのも私も否定しません。そういうやるべきところはやらなければいかぬ。だが、まさにこの問題が起こった発端は、郵政省監理官なんかはヨーロッパ旅行から出てきたわけでしょう。そこに深い疑惑の根がある。黒い根があるのです。したがって、国際関係機構とのいろんなやりとりにしたって、あるいは外国との電気通信事業なり情報関係業務にしたって、何もそれは多額の交際費を使わなければいかないということじゃないでしょう。そういった面を十分綿密にこの時点でチェックもしないで、ほかの企業もそうだから合理性があるだろうというだけでは、この問題は納得しかねます。  大臣、これはどう思うのですか。人様のお金を私がとやかく言うことはできないかもしらぬが、やはり国民はこれは疑惑を持ちますよ。このことについてまず大臣の所見を聞いておきましょう。こんなことを簡単に認めていると、いずれまた問題になってくる。
  162. 大西正男

    大西国務大臣 KDDは独占的企業ではありますけれども、その運営に当たりましては、一般の企業等と同じく、たとえば社会的に相当と思われる儀礼的なものなど、いわゆる交際費的なものを必要とする場面もあろうかと思います。また、国際電気通信事業、これは、先生もすでに御承知のとおりに、海外の通信事業者との共同事業でありますために、海外とのつき合いということもあろうかと思います。  別の委員会におきまして、きょうはKDDが出席をしておりませんけれどもKDDの社長は、従来郵政省との関係におきまして、官界に対して儀礼的な、社交的な範囲内に属するものとしてなされておったそういう交際費につきましても、今後もう絶対にやらない、こういうことを申しておりました。  また、このことにつきましては、昨年の十一月中旬ですか、郵政省の内部における綱紀点検委員会でいろいろ調査をいたしました際に、その結論といたしまして、従来社交的な儀礼の範囲内というふうに社会通念上認められておったものにしても、それ自体を見直すことによって今後はそういうものも自粛しなければならない、こういうことで、そういうこともやめようということを部内に対しましては通達を出しましたと同時に、KDDその他関係機関に対しましても、今後はそんなことは全部やめてもらいたいという趣旨の通達を出したわけでございまして、恐らくこれを受けてのことかとも思いますけれども、現在の首脳陣はそういうものを一切やめる方針であるということを申しておりますので、そういったものは、先ほど監理官からも申しております、五十五年度の事業計画の中における交際費の中には、一切含まれておらないものと私は理解をいたしております。
  163. 上原康助

    ○上原委員 きょうKDDの社長も参考人としてお呼びしたかったのですが、何か中国から首脳が来られておるということでどうしても日程がだめだということで私も引き下がらざるを得なかったのですが、いろいろ言い分はあるでしょうが、やはりこの交際費の問題とか、疑惑を持たれるようなことにはもう少し明瞭にすべきだと思うのですね。  今度確かに、いま大臣の御答弁があったようなことは明らかにしているようですね。政官界への接待、中元、歳暮については、官界は一切しない、しかし政界には、たとえば他がやっているのにKDDだけがしないというのもどうか、検討する、これはまだ危ないですよ。だから、KDDの独自性というものはもっと尊重すべきであるし、余り権力が介入したり中途半端なことをやってかえっていろいろぎすぎすするというのもこれは経営主体、あるいは民主的な運営としてあるべきじゃないのだが、しかし、不正に対しては毅然たる態度で郵政省は指導助言しなければいかぬですよ。  ですから、これはほかの委員会でまた継続して取り上げていくことになると思うのですが、少なくとも国民としては、まだまだ釈然としないものを感ずるであろうということは私は疑わないのですね。したがって、このことについては郵政省としては、担当大臣としてももう少し御努力をいただきたいということを強く求めて、ひとまずKDDの問題は終わりたいと思うのです。警察庁、法務省どうもありがとうございました。  そこで次は、法案の件に入ってまいりたいと思うのです。  冒頭申し上げましたように、すでにわが党の岩垂先生、さらに伊賀先生ほかの方々からもいろいろお尋ねがありましたので、重複は避けたいわけですが、今回の経理局を削減して新たに電気通信政策局ということになるようですが、この趣旨説明でもいろいろ言われております。たとえば「最近における電気通信行政は、目覚ましい科学技術進歩発展に支えられて監理官制度発足当時には予想もされなかった新しい行政分野が発生してきていると同時に、従来の事務複雑化の度を増すなど、電気通信監理官所掌事務は、著しく増大、かつ高度化してきております。」まさにそのとおりの側面もあると思うのですね。この通信政策局設置することによって、一体どういう行政効果というものが期待できるかをもう少し明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  164. 寺島角夫

    寺島政府委員 今回電気通信政策局設置の御審議をいただいておるわけでございますけれども、これを設置する趣旨目的につきましては、当委員会におきましていろいろお答えをしておるところでございますけれども昭和二十七年電気通信省が廃止されまして、電気通信に関する行政事務郵政省に引き継がれたわけでございます。その際に、当時は電電公社国際電電監督というものを主たる任務として、そのための制度として電気通信監理官制度というものが設けられたわけでございますけれども、ただいま先生からも御指摘がございましたように、最近における電気通信の分野におきます大変に目覚ましい科学技術進歩発展がございます。また、国民の側からする多様なニーズというものも発生しておるわけでございます。こういったものに対しまして対応していくためには、監理官制度では対応が困難であるということで、基本的な制度でございます局の設置をお願いしておるわけでございます。  現在いろいろな行政課題を抱えておるわけでございますが、一、二申し上げますと、たとえば電話について申し上げますならば、電電公社発足当時、電電公社が二つの大きな目標としておりました積滞の解消ということと全国自動化を、数次にわたる五カ年計画を経て、積滞につきましてはまだ一部残っておるわけでございますけれども、全国的規模におきましては、これを達成することができたわけでございます。しかしながら、その過程におきまして、たとえば通信回線とコンピューターとが結合されましたデータ通信でございますとか、あるいは画像通信といったような非常に多くの通信メディアがまた発生しておるわけでございます。しかもまた、こういうものはこれからますます多彩な発展が考えられるわけでございますから、こういったものの調和のある発展を図っていかなければならないと思うわけでございます。  あるいはまた、国際化が進展しておりまして、それに伴ういろいろな国際機関との関係の問題も出ておりますし、あるいはまた一昨年来出ておりますような、いわゆる電電公社の資材調達問題をめぐります国際的な問題といったようなものも出ておるわけでございます。そのほかにもいろいろございますけれども、そういった多彩な行政課題に対しまして、局にするということでこれに適確に対応する体制ができてくるもの、そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
  165. 上原康助

    ○上原委員 どうも私が尋ねないものもみんな先取りしてあっちこっち答弁するものだから、こっちの方がこんがらがってしまう。もう少し質問に要領よくひとつ――郵政省職員はもう少し能力があると聞いたのだが、どうもよくないね。  そこで、本来は、郵政業務というのは郵務局、貯金局、簡易保険局の三局が一応中心的な役割りを担ってきている面があるわけですね。もちろん、公社の設立あるいは先ほど問題になったKDD会社の設立等々によって、電気通信全般にわたっての分野というか行政分野が出てきたわけなので、あなたが言うように積滞電話の加入促進とか全国自動化というのはこの政策局がなくてもできたのですよ。それをやるためじゃないでしょう。それをさらに進めるというものは入るかもしれませんが、そんなことを聞いているのではないのです。  そこで、私どもも、この局を設置することに対しての郵政省当局あるいは電電公社のお考えもある程度理解をいたしておりますので、いろいろ問題点を明らかにした上で態度を表明していくということで今日まできたわけですが、問題は、この電気通信政策局の将来展望が一体どうなるかということなのです。  あなたがおっしゃるように、確かにいま電気通信業務関係は、国際的な面あるいは国内面においても非常に多様化をしております。また、情報化時代、社会と言われている今日に対応していくには、設備の面なり人的な面の充実強化ということももっと必要だと思うのです。一方においてはガット東京ラウンドの資材調達問題がある。あるいは電話料金、電話料の料金明細書の問題とか過疎地における電話対策、加入地域の拡大、地域集団電話の一般化、さらに情報化の進展に伴う諸問題としては、プライバシーの保護対策、迷惑電話の防止策とか、あなたがおっしゃるようにデータ通信の進展に即応する法制面の整備というものも国民なりあるいは関係者というか、職員団体の理解と協力も得ながらこういうものも充実していかなければいかぬ、これは私たちもわかるのですよ。  そういうこれからの電気通信事業というか、業務の多様化あるいは国民のニーズ、国際化に即応していくための一つ政策局として設置を求められたというふうに私たちは理解をしているわけです。その点をまず確かめたいのですが、これは大臣の方がいいのじゃないかね、お答えは。
  166. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  いま先生が御指摘になりましたところは、まさに電気通信政策局設置しなければならないという大きな眼目である、このように私どもも考えておるわけでございます。キャプテンシステムとかあるいは画像通信とかいろいろございますけれども、中にはまだ実験段階のものもございますし、実用に移っても日の浅いものもありますが、それは技術革新も日進月歩でありますから、さらにそれ以外の新しいものも出てくる可能性もございまして、そういうものの調和ある発展ということを促していくということが行政面における大切な事柄だと思います。そういうことを含めまして、先生指摘のようなことがまさに電気通信政策局設置する大きな眼目でございます。
  167. 上原康助

    ○上原委員 そこで、そういう前提でこの局の設置ということを考えた場合には、一部に懸念がないわけでもありませんで、要するに一つの局を設置して、しかもそこに権力が非常に集中していく将来性があるわけです、この局は、私に言わせれば。しかし、ここはやはり行政機構としての民主的運営ということを十分配慮しなければいけないという点。同時に集中化していく、いまは局として小ぢんまりで発足するかもしれませんが、二年先、三年先、五年先では郵政省で一番大きな局になると私は思うのです。それがまた皆さんの目的であるかもしらぬ。  そういう段階において、いわゆる権力による情報行政というか、電気通信事業に対する介入があったり、あるいはまた職員団体に対する変なちょっかいを出すとか介入するとか権力支配構造になるとか、そういうことは万々ないとは思うのですが、またあってもいけない。そのことはお約束できますね、この局はそういう機構にはしないと。
  168. 大西正男

    大西国務大臣 私どもといたしましては八〇年代から二十一世紀にかけて、おっしゃいますように電気通信事業の分野におきましては、極端に申しますれば予測もできないような発展がもたらされるかもわからぬと思います。そういう意味におきまして、これに対する行政需要というものももちろん多様化し、高度化し、そしてまた範囲も広くなってくると思います。それに対応するためにはいまならばまだ遅くないけれどもあしたでは遅い、そういう感じを私は持っておるわけでございます。  そこで、何としてもそれに対応できる行政体制というものをこの際位置づけておいて、将来の発展の過程におきましてはさらに臨機応変といいますか、時代の発展に即応した体制が要請されるかもわかりません。それはそのときで、それに適当な対応の仕方をとらなければなりませんが、それをやるためにはいまその基盤をまずつくっておくということが大変必要なことだと思っておるわけでございます。  そこで、その運営について郵政省の権力を強化して、それによってその他関係機関に対する権力的な立ち向かい方をしていこうというようなことは、私としては全然考えておりません。ですから、運営等につきましても適切な運営を行うために、これからもいろいろと考えていかなければならぬと思っております。
  169. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそういう方向に持っていくための政策局として位置づけていただきたいと思います。  そこで、いま若干お触れになったわけですが、おととい十五日の岩垂委員のお尋ねにもありましたが、要するに、いま情報通信事業というのが今日の情報化社会においていろいろな意味で中枢的な役割りを担いつつあるということで、現在の郵政省のこういった情報化社会に対応していくための、あるいは電気通信事業に対応していくためのいろいろな対応の仕方というのは、私はまだきわめて不十分だと思うのです。  行政管理庁も来ていると思うのですが、目下行政改革を断行しなければいけないときにいろいろなものをつくるのはけしからぬという意見もあるようだが、われわれは、スクラップ・アンド・ビルドと言ったって、国民が求めているものとか、今日のわが国が置かれている社会環境あるいは行政運営の面からして、どうしても必要と思うものは新しくつくらなければいけない面も出てくるだろうし、要らないものはどんどん――どんどんといって労働者の生首まで切ってはいけませんが、当事者同士の話し合いなりそういった合意を得て解決していくということには反対はいたしません。  そういう面から考えてまいりますと、これからの情報通信事業というものをきわめて大事に位置づけそして扱っていくということで、今度の政策局設置とあわせて、せんだっても大臣明確に御答弁がありましたが、何らかの形の諮問機関というものを設置をしていく、これは何も新しく金をかけなさいとか人をふやせとかそういうことをわれわれは言っているんじゃないのです。いま郵政審議会があるけれども、あんな大きな場ではこういうところまでは対応できないような状況にあるわけでしょう。郵政審議会と電波監理審議会しか独自のあれはたしかないと思う。この考え方には変わりはないと思うのですが、改めて大臣の所見を確認をしておきたいと思うのですね。  そこで、私どもも適正な構成による機関設置ということを要望して、また、その必要性があるということを主張しているわけですが、適正な構成による諮問機関というものをどう位置づけていかれようとするのか、できるだけ郵政省当局の考えをこの際、明確にしておいていただきたいと思うのです。本法案が通れば後は知らぬ存ぜぬではいけませんよ。少なくとも私たちもある程度、十分じゃありませんが、いろいろ勉強しながらその必要性を説いて、また関係者の方々もそうでなければ、これからの情報化社会に対応できない、国民の期待と負託にこたえられないということを強調している以上は、やはり誠意をもってこたえてもらわなければいかぬですね、大臣。また大臣がかわれば後はいいということでもありませんので、この点についてはもう少し確たる御見解をちょうだいしておきたいと思うのです。
  170. 大西正男

    大西国務大臣 先日当委員会におきましてお答えをしたことでございますけれども、適正な構成による何らかの形の諮問機関郵政大臣のもとに設ける旨をお約束をしたわけでございます。このことにつきましていま直ちに明確に申し上げる段階ではもちろんございませんけれども、おおよその考えとして申し上げますと、その構成につきましては、発展の著しい電気通信の分野を論ずるにふさわしい方々を広く国民各界各層に求めまして適正なメンバーとしたい、こういうふうに考えております。  また、その諮問機関において御検討願う事項といたしましては、電気通信及びその事業発展動向、将来ビジョン、あるいはそれに対応する総合的、長期的な電気通信行政あり方などを考えておるわけでございます。これらの事項につきまして広く国民の方々の意思をお聞きする機会を得て、その意思を同時に極力行政の面に反映をしていきたい、こういう考えでございます。
  171. 上原康助

    ○上原委員 お考えがより明確にされましたが、郵政当局として、いま大臣が、最高責任者がお答えになるのだから一それを局長なりほかの方がだめだとかいうことにはならぬと思うのですが、ひとつそこを十分御理解、御認識の上で進めていただきたいと思います。この点は公社の方もよろしいですね。
  172. 西井昭

    ○西井説明員 私からお答えするのが適当であるかどうかあれでございますが、公社としてもまことに結構なことだと考えておる次第でございます。
  173. 上原康助

    ○上原委員 結構なこともたまには言わなければいかぬですよ。  そこで、次に進めさせていただきますが、今後の電気通信事業、先ほど来ちょっと触れましたように、私は全く素人で、にわか勉強ですから当を得てない面もたくさんあると思うのですが、その面はいろいろ補っていただきたいと思いながら質問をしているわけですが、国際、国内を問わず独占的な運営がいまなされておるわけです。  そういう意味では、先ほど来申し上げておりますように、たとえば今回、大臣の諮問機関として設置をする機関で、いろいろ先ほど御答弁があったような内容を総合的に検討していく。当然、そこには学識経験者、あるいは郵政なり公社なりで働いておられる方々の代表もしくはそういう団体の推薦をする方々とか、いろいろ人選においても配慮するということでしたので、これ以上その点については触れませんが、これから全般的にそこいらの問題を含めて、たとえば将来に向けて国民の側からもっとチェックをしていく機能、そういう体制が必要になっておると思うのです。国民なり利用者が参加できないものだから、いろいろな不正事件も場合によっては起きるわけです。  そういう意味では、西独あたりは労働者や関係者の経営参加というものもどんどんやっている。たとえば、よく調べたわけじゃありませんが、イギリスの例を見ましても、郵電大臣、日本で言う郵政大臣でしょうか、郵政業務に対する監督権はもちろんありますね。議会によるコントロールがなされている。国会で法案を審議するから日本も間接的なコントロールがなされていると言えるかもしれませんが、もっと立ち入った議会コントロールがあるようなことを聞かされました。さらに、利用者協議会が郵電公社に意見を述べることができる、こういうことがイギリスにおける現状のようなんです。  ですから、そういう考え方も参考にしながら取り入れて、これからの電気通信業務のあり方に対してのチェック機能といいますか、あるいは国民の意見というものを十分聞くということが必要だと思うのですが、これはどのように今後郵政当局としては取り入れていこうとお考えなのか。  先ほどの新しく設置をする諮問機関でももちろん対応できると思いますが、それにはいささか時間がかかる面もあると思うのです。たとえば現在の郵政審議会のもとにある電気通信部会というものを、電気通信政策審議会等として独立をさせて、その中でいま申し上げたようなことを聞くという手もあるのじゃないか、こういう点を含めて、現段階でどう対応していったなら、国民なり関係者のより広範の意見を体しながら民主的な電気通信業務というものが確立されていくのか、ここいらに対しての御見解を聞いておきたいと思うのです。
  174. 小山森也

    小山政府委員 先生のおっしゃることはすべてごもっともだと存じます。事業運営をしていくためいろいろ世論を聞く機関事業運営のための諮問機関といわゆる行政のための諮問機関と二種類あろうかと存じます。  それでは内容をどうしていくかということになるわけでございますが、先生のおっしゃいました郵政審議会からの一つの独立のような形というものも一方法だと存じます。また、あるいはいまの電波監理審議会のように、少数の方で一つ審議会を構成していって、利用者からのいろいろな問題点につきましても一種の第一審的な意味の審議をしていくという両方の機能を持ったというようなところもございます。  いずれにいたしましても、広く世論を吸い上げる場合においては、広く浅くいろいろな方に来ていただくことが必要だという一つの側面と、もう一つは、電気通信行政というような形のある種の非常に専門的なテクニックを要する知識といいますか、それを持っているサイドと両面がございまして、広くいろいろな意見を集約するということと、専門的なそういった技術を生かしてこれから先の行政を確かな方向に持っていくという方向の要望をどのような形でもって組み合わせていくか、非常にこれからの課題だと存じております。これにつきましても、先ほど大臣が申し上げましたいろいろ諮問する検討事項の中に入れまして、真剣に将来に対する形を考えていきたいと存じております。
  175. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそういうことを早急にひとつ御検討をいただきたいと思うのです。この政策局設置する等に伴って、諮問機関ができるまで待つというようなことではなくして、現在の審議会なり機能の中で提起されている問題がどう具体化できるかということをひとつ十分取り上げていただきたいと思います。  次にお尋ねしたい点は、KDD問題。さっきちょっと触れたのですが、けさ小沢先生も御専門のお立場でいろいろお触れになっておられたので簡単に聞きたいのです。  先ほども申し上げましたように、要するに権力といいますか、チェック機能を強めるという面には二面性があると思うのですね。一つの民間組織的な機能、経営実態になっている株式会社ですし、一方においては、電波通信を取り扱うというので当然郵政省監督管轄下にある、これは行政組織法上も関連法規上もそうなっていますね。しかし、余り権力が介入できる、一々チェックをするあるいはコントロールしていくということになると、これは企業形態として成り立ちませんよ。そこのバランスをどうとるかというのが非常に大事なポイントだと思うのです。今後KDDの経営の主体性を確立しながら、先ほど指摘しましたような不正事件なりあるいは収益金が国民に十分還元されないというようなことをなからしめるためには、いま法案の改正も提出されているということで、私もちょっと見てみたのですが、それだけでは私は不十分だと思うのですね。これをどうしていこうとなさるのか。  さっきも申し上げましたが、たとえばイギリスあたりの例をとってみても、監督権はありながらも、郵電省は会社の自主性といいますか、独自性というものを非常に尊重している。ここいらのことについては今後どのように改善をしていかれようとしているのか、ひとつお聞かせをしておいていただきたいと思うのです。
  176. 寺島角夫

    寺島政府委員 電電公社並びにKDDという国内、国際の公衆電気通信業務を行っております事業体に対する監督ということを行っているわけでございますが、この監督は、あくまでもそれぞれの根拠となります公社法並びにKDD法という法律趣旨、内容を踏まえて行うものでございまして、それを踏み外すようなことがあってはならないという点は御指摘のとおりだと思うわけでございます。  そこで、ただいま先生から、たとえばイギリスの利用者全国協議会のお話がございました。こういったことも、特に料金の決定、料金という問題は大変に国民の各層に影響の多い問題でございますので、こういうことを考えます場合に、非常に大きな参考になろうと思うわけでございます。  そこで、現在日本におきますこういった電信電話の料金の決定のことについて若干申し上げさせていただきますと、御案内のとおり、現在の公衆法におきまして、国内の料金につきましてはその基本的なものは法定でございます。したがいまして、国会の御審議を経まして変更されるあるいは決定されるわけでございます。そして基本的なもの以外につきましては、郵政大臣認可という形になっておるわけでございますが、この認可という行為をいたすに当たりまして、やはりその認可料金となっております中でも、国民の広い層に関係のある料金につきましては郵政審議会の御意見を伺って決定をしていく、そういう形で現在とり行っているわけでございます。
  177. 上原康助

    ○上原委員 いまKDDのこれからの経営形態をどういうふうに改善していくかということを聞いたら、電話料金の答弁をされるので私の方が本当に困る。そこはよく御検討いただきたいと思うのです。  そこで、今後のこの政策局の問題あるいはその他とも関連をいたしますが、電気通信行政のというか、手段の多様化、国際化に伴って、先ほどもちょっと引用しましたが、プライバシーの保護というのは非常に重要な問題なんですね。だから、われわれもプライバシー保護法をつくるべきだ、制定すべきだということでいま検討を進めておりますし、同時に、政府自体が率先してやるべきだ。また、国際的にもそういうことは常識になってきておるわけなんで、人権保護という立場からしましても、やはり郵政省などは率先をしてプライバシー保護問題についてももっと検討するとか、あるいは政府全体での認識を深めていく努力を私はやるべきだと思うのです。この件についてはどうお考えなのか。  これはこれからの情報化社会においては絶対に必要なことなんですね。しかし、どちらかというと公社も郵政も逆のことをやろうとしては困るのです、一方では変な法律もつくろうという動きもあるので。どうお考えですか。
  178. 小山森也

    小山政府委員 この件につきましては、国際的にはOECDの方で、特にヨーロッパを中心といたしましたプライバシー保護という政策をどうやって国際間において調和させて、さらにヨーロッパ全体で通用させるか、さらには全世界にわたって、どのような形でもってプライバシー保護――特に通信がこのように非常に世界じゅうに便利になった現在におきまして、どうやっていくかということは、確かに先生のおっしゃるとおり、OECDの方で非常に問題にして、国際機関としての問題になっていることでございます。  わが国におきましても、先生すでに御存じのとおりと存じますけれども郵政省行政管理庁、さらに総理府というところで、この問題に三者協議して当たっておるわけでございますが、私ども郵政省の立場といたしましては、いわゆる通信回線を通じたところのプライバシー保護というある一面のみをとっているわけでございまして、これからの情報化社会の中でこのプライバシーというものをどういうふうに位置づけていくかということは、私ども大きな関心を寄せているところでございますが、行政管理庁、総理府等とも協議をいたしまして、国、政府全体としてどのような調和ある形での政策を進めていくかという課題になっているわけでございます。郵政省としても、積極的にこの点につきましては検討していきたいと思っております。
  179. 上原康助

    ○上原委員 私が問題提起といいますか、指摘をしていることは、やはりプライバシーはあくまで守るということと、基本的人権の保護ということは、これからの情報化社会あるいは多様化の面においては最も重要な課題なんで、そこがおろそかにならないという意味では法の制定というのも必要だ。それは郵政省としても前向きにお考えになっていただきたいと思うのです。そこで、電話の件は福祉電話の問題を含めて後でまとめてお尋ねしますが、これとの関係で、労使関係について若干触れておきたいと思うのです。  私は、郵政大臣の年度の所信表明を逓信委員会でお述べになったものをちょっとはしょって見たのですが、去年は年賀郵便が吹っ飛んで、全逓さんと大変労使関係が悪化して、冒頭に年賀郵便がおくれたことはまことに申しわけありませんとおわびしている。ことしはKDDの事件で、また冒頭にまことに申しわけありませんと。さて、五十六年度はもう一遍申しわけありませんと言うようなことにならないように、ひとつ御努力いただきたいのだが、そうなっていますね。  そこで、目下春闘の段階で、山場は越したようですが、やはり全逓との関係にしましても全電通との関係にいたしましても、特に郵便業務というのは、電波とか通信、そういうものはオートメーション化、いろいろ合理化の方法もあるので、これはもう一方的にやられては困るのですが、郵便屋さんというのは、ロボットが運ぶのじゃないのです。やはり物は人が持っていかなければどうにもならない仕事なんですよね。それだけにむずかしい面もあるし、対人関係ですからいろいろな問題が起こってくる。したがって、その面では従来の反省の上に立って、ことしのベアの問題にしましても、これからの労使関係の健全化というもの、同時に団交権その他の労働者の生活権、諸権利を認める、擁護していくという基本姿勢がないといかぬと私は思うのです。これらのことに対する大臣の御認識はいかがかということ。  同時に、労使間の問題は、本来、賃金を含めて当事者間の交渉で決めるべきことなんですね。いろいろ法律の規制があることも私もわかりますが、そういうことで、少なくとも権力が労使問題に介入をしない、あるいは不当な処分とか、やたらに法律を盾にとってマル生とかそんな勝手なことを、勝手というか、いろいろなことをやるから昨年のようなことも起きたんで、これからはどのような労使関係に持っていかれようとするのか、また、この春闘の問題についてはどう決着をつけていかれようとするのか、そこらの大臣の基本的なお考えをまず聞かしていただきたいと思うのです。
  180. 大西正男

    大西国務大臣 先生指摘のように、郵政省の現業、その中でも特に郵政事業を例にとって申しますならば、先生の御指摘のとおりでございまして、郵便事業の支出の中で人件費が七〇%、さらに人件費的経費を入れますならば九〇%を占めておるというわけでありまして、労働集約型の事業であることはこれはもう否めないし、それから将来に向かっても、先生がおっしゃいましたようにロボットが運ぶわけにまいりませんから、やはり職員が各家庭その他にみずからお届けをしなければならぬ使命を持っておるわけでございます。そういうことでございますので、その事業に当たっておる現場の職員の方々の存在は、この郵便事業を遂行する上においてはきわめて大切な存在でございます。それなくしては行われないわけでございます。  そういう意味におきまして、私どもは、職員の方々の一人一人の勤労意欲の向上、同時に、労使関係というものが安定をして正常な関係が持続をしていくということが、事業の円滑な運営のためには不可欠なものだというふうに認識をいたしております。これに加えまして、今日事業内外の情勢というものは、しかしまことに厳しい状態でございます。そこで、事業合理化、近代化の必要性は一層これからも高まっていくと思います。この点におきましても、労使が共通の認識に立って事業発展とその上に立った職員の能率の向上、労働条件の改善、こういったことを図ってまいりまして、より安定した労使関係を確立するということが大変必要な、肝要なことだと思っております。  これまで労使間で団体交渉その他におきまして粘り強く話し合いを続けまして、幸いにして昨年末交渉におきましては、平和裏にこれを進め、そうして早期解決をすることができたわけでありますが、今後とも労使関係正常化の方向がしっかり定着をいたしますように私としては念願をしておるところでございます。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 一歩一歩じみちな努力を重ねてまいる所存でございます。
  181. 上原康助

    ○上原委員 それはまた組合の指導者の皆さんもそれなりにりっぱな御経験を持っておられる指導者ですから、いろいろお考えもあると思うので、いまありましたけれども、やはり職場のいい意味での生産性の向上といいますか、あるいは安定、その健全化というのは、労使が対立しておってはだめですよね。あるいは労働者間が対立しておってもだめなんで、そういう意味では、ひとつ賃金問題、労働条件の改善等については政治権力が介入をしないという慣行を確立をしていただく、あくまで労使間の粘り強い話し合い、団体交渉にゆだねて物事の解決を積み上げていくという方向というものを一層強化をしていただきたいと思うのです。  そこで、郵政と公社の場合は幾分その性格、条件が違う面もあろうかと思うのですが、公社の場合ですと、何と電話収入というのが三兆四千六百四十六億円ですね。収入総額三兆八千六百八十六億の九〇%くらいですかね、恐らく。こういうことなども考えました場合には、それなりの労働条件、それなりの労働者の福祉という面を考えてしかるべきだと思うのですね。したがって、そういうこともぜひ御留意をいただきたい。  同時にまた、郵政全体についても、先ほど申し上げましたように、この八〇春闘というのはなかなか厳しい状況のようです。公労委の機能が十分果たせなかったといういきさつもあるやに聞いていますが、そこも本来、権利や交渉権は制約をしながら、一方では、民間準拠と言って、ちょっと高くなる、出っ張ると政府が権力で介入して、法律をつくって抑え込むとか、こんなことはあってはいかぬと思うので、そこいらはひとつ特に御配慮いただきたいと思うのです。これは両方からひとつ見解を改めて聞いておきたいと思うのです。
  182. 大西正男

    大西国務大臣 私どもの基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、郵政省といたしましても、郵政の現場におきましてもまた電電公社につきましても、これは政府機関でございますので、予算上あるいは財政上、そういった制約がありますことも御承知のとおりでございます。そういう面から考えますと、やはりそこには、国民の側から考えましても、政府あるいは政府機関に対するいろいろの期待もあるわけでございます。そういう面等を総合考覈いたしますと、やはり国民の納得のいく合理的な結論というものが出されなければならない。それが私たちの責務でもある、このように考えておるわけでございます。
  183. 児島仁

    ○児島説明員 ただいまの先生の御質問に対するお答えでございますが、私ども、現場を持っておる事業体でありまして、現場を持っておる事業体で一番大事にしていかなければならぬのは従業員の問題であると思います。特に私ども事業といたしましては、過去から現在また将来に対しまして非常な発展を遂げております。こういった事業をこなしていきますためには、職員の協力なしでは進みませんので、在来も職員の労働条件等については労使間で真剣に討議をして措置をしてまいっております。今後ともそういった精神でやっていきたいというふうに考えております。
  184. 上原康助

    ○上原委員 余りはっきりしたことは言えないお立場はわかりますが、ひとつ十分御配慮をいただきたいと思います。  そこで、行政管理庁にきょうおいでいただいたのですが、いまさらあなたに答弁をさして、諮問機関設置まかりならぬなんて言われるとぼくは損するので、来週行政管理庁設置法がありますから、そのときにたっぷりお尋ねしますから、きょうはひとつお引き取りを。どうも済みません。  次に、電話問題、電話料金問題についてお尋ねをさせていただきたいと思います。  すでにいろいろ議論がありましたが、また五十三年一月五日の電信電話諮問委員会の答申の中にもいろいろ料金問題その他指摘されておりますが、この答申はどう生かされたのですか、特に料金関係についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  185. 西井昭

    ○西井説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生のお話の諮問委員会の答申の中の料金でございますが、この諮問委員会では、電信電話の料金の決定原則それから料金政策について  の諮問をいたしたわけでございます。  料金決定原則につきましては、独立採算制をどのように考えていくべきか。それから料金の決定原則はいかにあるべきか。結論的には、原価補償主義と不当なる価格差別の禁止、こういう結論を得ておるわけでございますが、料金の決定原則はいかにあるべきか。それからその次に、原価補償主義というものはどのように考えるべきであろうか。それから、公社のような公共企業体に対して収支差額は認められるべきであろうか。もし認められるとすればへその意義はどういうことであるか。またその使途はどういうことに使われるべきであるか。またその収支差額の限界はいかなるものであるか。こういうことについて諮問をし、答申をいただいているところでございます。  このおのおのにつきまして、中には基本的な考え方の問題もございますが、公社といたしましては、この料金決定原則の考え方に沿って今後とも運営をしてまいりたい、このように考えているところでございます。  それから、第二の電信電話の料金政策に関することでございますが、現在、電電公社においては法定サービスといたしまして電報、加入電信、電話、専用、データ通信、こういうサービスをいたしておりますが、こういったおのおののサービスの事業部門間において内部相互補助は認められるべきであるか。また認められるとすれば、どのような点について認められるべきであるか、こういうことについての答申をいただいております。  この結論を申しますと、一定の条件が整ったときにはこのような各種サービス間の内部相互補助というものはやむを得ない、こういう答申を受けております。  現在、電電公社でただいま申しました五事業の中で赤字になっておりますのは、電報事業とデータ通信事業でございますが、電報事業につきましては、電話の普及に伴う電報利用の低下あるいはいろいろな技術進歩に伴った代替関係、こういった問題を通じて内部相互補助が発生する場合には、ある程度の内部相互補助はやむを得ないというような結論をいただいておるところでございますが、なお電報事業について料金の適正化、総費用の低下のための近代化、合理化を、労働問題にも配意しつつ推進すべきであろう。これにつきましては、一一五と言っております、電話で電報を受ける一一五の統合とか配達の合理化等を現在実施中でございます。  それから、データ通信につきましては、その技術開発がいわゆるテクノロジートランスファーの可能性を持つこと、それから国家的要請で公社がその開発を担当すること等の事情から内部相互補助は容認されてきたけれども、これは新規の事業の開設に伴うやむを得ないものであって、いつまでも内部相互補助を行うということは不適当である、こういう答申をいただきまして、公社としましては、昭和五十六年にデータ通信の収支を総合的に償うべく現在計画を立て、実施中でございます。  それからあと、料金政策といたしましては、二部料金制の問題でございますとか、福祉形料金の問題でございますとか、料金抑制政策の問題でございますとかいろいろのものが出ておりますが、簡単に申し上げます。  二部料金制と申しますのは、電話の場合、基本料と度数料で原価を回収する、こういうやり方についてどういうふうに考えるべきかということでございます。それから福祉形料金につきましては、本来福祉というものは行政サービスとして国または地方自治体が総合的な判断のもとに提供するのが適当である、こういうような答申をいただいております。それから料金抑制政策については、本来的に独立採算制の立場からいきまして、電電公社が赤字を発生した場合に、それを税金あるいはその他外部から補助をするというのは好ましくはない。しかしながら、政府の政策によってそういうものがあって、それが利用者に与える影響が大きい場合には政府の補助等によって料金抑制政策があるということは考えられるけれども、これは本質的にはやはり原則として実施をされるべきものではない、このような結論をいただいておるところでございます。
  186. 上原康助

    ○上原委員 えらい御丁寧にありがとうございました。  それは相当広範囲にわたった答申ですから、そういうふうにいろいろ御検討もいただいて、また時間もかかるかと思うのです。とても全体に触れるわけにはいきませんので、この中にも盛られておりますように近距離、遠距離通話料の格差是正、これはもう絶対やるべきだと思うのです。そういうことが答申されながら、何か夜間の通話料だけを是正するという御方針のようだが、これでは私はだめだと思うのですよ、郵政大臣。  これは聞くところによると、遠距離にはいろいろ設備投資の金がかかる。それからこれは明治時代からの残滓らしいね、遠いところに電話をかけるのが高いということは。そういう非常に古い観念が残っているので、一つはそれが大きな理由になっている。いま一つは、設備投資にいろいろな中継地とか、専門的なことはわかりません、詳しくありませんが、かかる。その面で、さっき言う原価主義にいろいろ加算されていくのでしょう。しかし、電話を東京二十三区から沖繩までかけようがあるいは札幌までかけようが、かけるものに対するコストというのは余り変わらないというのですね。そうであるなら、こんなべらぼうな格差をつけるべきでないですよ、これは。  ぼくは遠いからそう言っているのじゃない。みんなそう言っているのです、国民は。十円で三分間かかるのに、たとえば沖繩くんだりまで十円でやったら何秒も話ができませんよ。七百五十キロメートル以上を超えるものは七百二十円で、しかも二・五秒か。長野だってそうなのだよ。これについては少し根本的な是正が必要だと思うのです。夜間の料金について、深夜割引制度の導入とか夜間割引対象時間の拡大なんて、こんなみみっちいことではだめなのだ。企業の皆さんには、全部集約をしていろいろやる面ではいいかもしれませんが、みんながみんな夜間に電話するわけじゃない。日中が必要なのですよ、大臣大臣だって九州でしょう。(「いや四国だ」と呼ぶ者あり)四国も九州の隣だ。遠いに決まっている。これは笑い話じゃないですよ。電電公社ではさっき言ったように三兆ももうかっている。まあもうかっているとは言わぬ、純益じゃないかもしらぬが、どんどん需要があるものだから、電話料が入ってくるのだからできますよ。これはどうなのかということ。  それと、この間もお尋ねがありましたが、時間がだんだん来ますので、まとめて言うから、そっちの方も要領よくお答えください。福祉電話の問題です。この間大臣、ちょっと他人事みたいなことをおっしゃったから、私、失礼だと思ったが激励をしたのですが、これにもちゃんと福祉電話というのは書いてありますよ。大事なところは言わぬで、私がわからないようなところをあなたたちは答弁する。「現在、ひとり暮らし老人や身体障害者に対しては、その住宅に市町村などが加入電話設置し、その電話料金については大部分を市町村などが負担するという、いわゆる「福祉電話制度」を、国、地方自治体が中心となって推進している。今後ともこの方向に沿った施策を一層推進することが望ましい。」これはこういう方々の答申ですからそういう表現になっているかと思うのですが、本来ならこれは市町村とかそんなところに余り負担をかけずに、公社、郵政省がやるべきですよ。この福祉電話の実態はいまどうなっているのですか。  たとえば全国では三万四千六百台あるようですね。沖繩の例を言ってみましょうか。沖繩県の福祉電話というのはたった六十五、全国に占めるその比率は〇・一九%ですよ。これは防衛費の一%どころじゃないや、全く。こういう状態なのです。こういう重度心身障害者を対象に設置される電話というのは、ある面では生命安全の問題がありますよね。それに孤独感をやわらげていくということですから、もう少し厚生省と相談をしていただいて、あんな多額の何億もの交際費で飲み食いせぬで、そこにすぐ回せないにしても、国民はそう思うのよ、大臣。何であんなたくさん金があるのに福祉電話さえ充実できぬのか、これが国民の偽らざる感覚ですよ。これにこたえ切れないから政治不信が出てくる。性格そのものはストレートに結ばないかもしれませんが、もう少し誠意を持って対処していただいたらどうですかね。特に沖繩なんか全県で六十五、これはちょっとおかしいですよね、どう考えたって。これは厚生省も来ておられると思うので、お答えいただきたいと思うのです。
  187. 大西正男

    大西国務大臣 まず遠近格差の問題でございますが、御承知のように、日本の国内電話の状態は、近距離が外国に比べますと非常に安い、反面長距離が諸外国に比べますと大変高い、こういう状態になっておりまして、中距離は大差はない、こういう状態のようでございます。  そこで電電公社は、四年くらい前ですか、一度この電話料金の体系を変えて値上げをしたわけでございますが、それまでは非常な赤字であったというふうに聞いております。でございますから、法定をされておる全体系についてこれを改めるということになりますと、電電公社の経営基盤ということを考えなければならぬと思います。それが安定的にやっていけるかどうかということを見通した上で、この体系についての問題をそれに応じて考えていかなければならぬと思います。そういう意味におきますと、数年前に値上げをしたものを、現状においてはできるだけ先の方へ値上げといったような問題が起こらないようにしていくごとも、究極的には国民のニーズに応ずる一つの姿勢でもあり得ると思っております。  しかし、いま問題になっておりますのは何といっても遠距離が高い、この格差を何とか是正することが今日的な問題として大きく取り上げられておるわけでございます。もちろん、体系問題も私ども郵政省としては重要な政策問題として常に考えておるところではございますけれども、今日的な当面の問題として夜間料金あるいはその中における深夜料金といったものを考えてこれを実現をしていこう、そういうことで、いま公社に対してそれが実現方を鋭意検討を求めておるということでございます。そういうことでございますから、みみっちいとおっしゃらずに、ひとつ御理解をいただきたいと思います。  これをやるとしますと、内容等詳しいことについては政府委員あるいは説明員からお答えをしてもらいますけれども、それをやることによって平年度かなりの減収が予想されるわけであります。そういう減収が見込まれますけれども、あえて国民の要請にこたえるべきではないかということで、電電公社も前向きに検討してくれておるということでございます。  一方、身体障害者に対する問題でございますが、福祉電話事業につきましては、福祉行政を所管しております厚生省が一元的に推進をしておるところでございまして、郵政省もその円滑な運営に協力しておるということでございます。先ほどお話のありました、この前の委員会における答弁につきましては、そういう厚生省の所管といいますか、そこが主体となって進めておることでございますのでああいう御答弁を申し上げたわけでございます。それで、五十五年度の予算におきましても、ひとり暮らしの老人あるいは身体障害者用等合わせまして九千台の設置が認められまして、厚生省が予定をいたしております対象者はほとんど設置されることになると聞いておるところでございます。
  188. 大西孝夫

    大西説明員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、沖繩県におきます福祉電話は五十三年度末できわめて微々たる数字でございます。これにつきましては、一つには沖繩の場合離島が多いというような地理的条件もございまして、県において架設する際にもなかなか計画どおりいかないという特殊な事情があると聞いております。いずれにいたしましても、沖繩県といたしましては、五十五年度中に既設の分を含めて計画台数二百九十四台を整備することで、必要な台数は一応整備されるというふうに私どもに報告してきておりまして、私どもはその範囲内で必要な助成ができるようにしたいと考えております。五十五年度中の予定台数は一応百三十台でございますが、これと五十四年度中に整備されるものを合わせますとこの計画台数はほぼ達成されるのではないかと考えております。なお、今後とも県ともよく相談の上、必要に応じた対応策が講じられるように、福祉電話の設置に努力してまいりたいと思います。  全国におきましては、先ほど先生指摘のとおり五十三年度末で三万四千六百五台整備されておりますが、五十四年度整備見込み及び五十五年度中の整備台数を含めますと、ほぼ五万一千台になります。これは昨年五十四年十一月に必要な計画台数ということで各県から希望を聴取いたしました台数でございまして、これを五十五年度中に満たし得ると考えておりますので、今年度中には現時点で必要と思われる台数はほぼ整備されると考えております。
  189. 上原康助

    ○上原委員 それは御努力をなさっておられるようです。特に来年はたしか国際障害者年になると思うのですね。そういう面でも、一方においては国民生活がよくなったと言いながら、社会福祉の日の当たらないここいらの方々の福祉問題、電話の利用がこうおくれておったのでは問題であります。同時に、架設費が相当かかる。市町村が、必要でも経費がかさむのでなかなか対応できないという問題があるようなんで、そこいらはこれから厚生省も郵政省も予算措置を含めて、もっと軽減措置をとっていくということで特段の御努力を要求しておきたいと思います。  沖繩は離島だからじゃない。もともとほかの電話も少ないのだよ。  それから電話料金ですが、収益が相当の減になるのでなかなか簡単にいかないのだ、しかし、近いところは安くて中距離が普通で遠距離は高いことがわかりながら是正しないとは不合理ですよ。まさに不公正なんで、このことはいますぐどうというわけにはいかないかもしれませんし、夜間の方が先になるかもしれないけれども、私はむしろ逆だと思う。いずれにしましても、電話料金体系については根本的に是正をする方向で御検討いただけますね。
  190. 寺島角夫

    寺島政府委員 一対七十二となっております現在の遠近格差が高いということは十分に承知しておりまして、これを縮める努力をやっていきたいと考えております。
  191. 上原康助

    ○上原委員 早急にそういった面も是正していただかないと、次はまた電電公社に批判が集中しますよ。  次に、電話ですからまとめて聞きますが、せんだっても加入電話の積滞解消問題については同僚議員の方からお尋ねがあったようで省きますが、私は二年前の予算分科会でも言ったが、沖繩のことをいま言っているのですが、全国でもかなりあるのですね。七八年度、五十三年度末でまだ十二万九千四百件あるのです。何と沖繩が四万九千八百、何か歌の文句みたいです。しかも昭和四十五年、復帰前からですよ。架設費も全部違うのだ。復帰前にやったのは安いのかな。十年も電話を入れられないところがある。それでここに何て書いてあると思う皆さん、公社の業務説明書を見ますと何かいい文句が書いてありますよ。確かによくはなってきていますけれども、これではちょっと納得しかねますよ。「公社は、発足以来「加入電話の積滞解消」、「全国自動即時化」を二大目標として掲げ、電信電話サービスの向上に努めてまいりました結果、五十三年度までにこれらの目標を達成することができました。」何が達成されているか。まだ達成されていないじゃないですか。これだけ積滞がある。これはいろいろ理由はあるでしょうが、ぜひ早急に進めてもらいたい。  特に私が強調しておきたいのは、大臣おわかりだと思うのですが、最近沖繩には観光客が二百万前後行っています。私は時折飛行機で聞くのですよ。沖繩へ行かれて何が一番よかったですか、不自由ですか。まずは電車がない、バスの時間が余りはっきりしない、次は公衆電話が足りないと言うのです。公衆電話といっても、ここの皆さんのあれにも書いてありますが、いわゆる常時使える公衆電話ですね。赤電話がお店にあると、お店は遅いところでも八時、九時ごろからは閉まるでしょう。早いところは六時ごろから閉まる。そうすると使えないのです。要するに、あのボックスにつけた公衆電話が沖繩は絶対量が少ないのです。そういうことで、この積滞問題等の解消と公衆電話の増設、郵便ポストというほどにはいかないかもしれませんが、もう少しここいらは予算措置を含めて考えてみたらどうですか。そういう計画はあるとは聞いているんですが、改めて見解を聞いておきたいと思うのです。
  192. 岩崎昇三

    ○岩崎説明員 お答えいたします。  先生お話しの公衆電話、赤電話は要らないというお話もございましたが、赤電話を含めました全体のレベルと終日利用できます公衆電話について申し上げたいと思います。  沖繩の電気通信設備につきましては、復帰以来電電公社といたしましては最大の努力を払いましてその建設に努力してまいったところでございますが、公衆電話につきましても、その中で鋭意その増設に努めてきたところでございます。公衆電話が四十七年の復帰時点では施設数が約千三百個でございましたけれども、五十四年までに三千七百個の増設を行いまして、五十四年度末現在では施設数が約五千個に達しております。しかし、普及率で申しますと、全国で申しますと千人当たりで七・三個と申しますのが、沖繩ではまだ四・五という状況でございまして、これにつきましてはできるだけ早く全国レベルに達しますよう今後も引き続き努力する所存でございます。  先生が御指摘になりました終日利用可能な電話のうち、黄電話を中心とした百円公衆電話でございますが、これが、非常に残念ではございますけれども、沖繩では五十四年度末でその五千個の中でまだ四百個しかないという状況でございます。これはパーセンテージにいたしますと八%ということでございますが、これが全国水準では一三・三%ということになっておりまして、非常に大きな格差がございます。五十五年度、約一千百個の公衆電話の増設を計画しておりますが、そのほかに取りかえ等にも鋭意努力いたしまして、二千個の百円公衆電話を設置する予定でございます。そういたしますと、五十五年度の末におきましては、沖繩では公衆電話の中で百円公衆電話の率が三二%ということになりまして、全国平均は二一%という状況でございまして、正確ではないかもしれませんが、全国で百円公衆電話の比率の一番高い県になるというふうに思っております。ひとつよろしくお願い申し上げます。
  193. 上原康助

    ○上原委員 なってからの話だよ。計画でなるかもしらぬなんて言って、なってからそう言ってください、あなた。いま八%じゃないですか。  いずれにしてもやる御計画はあるわけですね。大臣、これは本当に悪いんですよ。私らだってちょっと急に電話をかけたいと思ったって、道のそばにも、要所要所になかなかないですね。ここだったら四、五十メートル行けばどこかに赤電話――あなた、私は赤電話要らぬと言ってないですよ。赤電話も必要なんだが、やはり終日利用できる、自由に使えるようなボックスのものの個所がもっと必要だということなんですね。ですから、いまそういう御計画はあるということが明らかになりましたので、これはひとつ早急に解決するようにやっていただいて、計画倒れにならないように要望しておきたいと思います。  それで、時間もだんだん迫ってまいりますので次に進みますが、この件で、この間、電話の積滞が非常に多いというのは何か労使関係が余りうまくいってないとか、職員の協力が得られないというような言い分も一部にあるようですが、そんなことは私が聞く範囲では全然ないと思うのです、さっきの大臣の御答弁からしたって。それははっきりしておいていただきたいと思うのです。そうですね。
  194. 児島仁

    ○児島説明員 お答えいたします。  当初私どもの社と合併をいたしましたころには、仕事のやり方でございますとか仕事の進め方、手続の問題、そういったことがございまして、一部仕事が停滞したりしたことがございますが、現在では非常になじんでまいりまして、私ども電電公社仕事のやり方がそのまま浸透いたしまして、いまは労使関係も非常に改善をされまして、よくなっておるというふうに考えております。
  195. 上原康助

    ○上原委員 さらに努力をしていただきたいと思います。  そこで次は、これはNHKをきょうお呼びすればよかったのですがちょっと呼んでありませんが、これはもちろん郵政の管轄下になると思うのです。御承知のようにいま大東島、南大東と北大東のテレビは同時放映じゃないのですよ、大臣。三百五十キロぐらい離れているかな。しかも晩の七時半から九時半までの二時間しか通常の放映時間はないわけです。特別番組はたまに時間延長してあるようですが、ビデオでやっておって、この両島は大変不便をかこっているのですよ。これはぜひ早急に改善をすべきだと思うのです、両島で約二千名近い住民が住んでいますからね。その問題を早急に解決すべきだと思いますので、どういう手だてがあるのか。ニュースも全然ストレートに行かないわけです。まだそういう離島区があるわけです。この間やっと電話は自動になりましたが、そういう状態。この改善措置を早急にやっていただきたいということ。  さらに、宮古、八重山へのテレビ放映、NHKの同時放映というのはたしか昭和五十一年の十二月二十二日に開始されたと思いますが、五十二年の復帰五年を記念するということでやったんですが、これもNHKの下りだけなんです。民放は行かないのです。だから、沖繩にあるローカルテレビステーションであるRBC、OTVというのは行かない。もっとも、NHKもこの下り――下りというかこっちから流すだけ、向こうからはできない、そういう状態です。これはいろいろ海底ケーブルの問題、使用のことがあるということですが、少なくとも解決すべき重要な課題ですね。民放もせめてRBCなりOTVなり、同時に先島の方々もごらんになれる、またニュースも聞ける、向こうからまた重要なニュースがあれば全国ネットで送信できるというようなシステムが必要だと思うのですね。  いろいろな事業計画のあれがあるようですが、ここいらのことについては何か抜けているような感じがしますので、この点の御認識と、これからの改善措置についてひとつお伺いをしておきたいと思うのです。
  196. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  大東島につきましては、沖繩本島からのテレビ中継回線がございませんので、本島との同時放送は不可能な状況にあることは先生指摘のとおりでございまして、NHKは放送試験局を設置いたしまして、ビデオテープの空輸によりまして行っておるわけでございますが、NHKの話を聞いておりますと、両島間の運輸状況に一つ問題がある。空輸方法によってビデオテープを持っていっておるわけでございますけれども、問題がありそうだ。あるいは、現在、要員の確保等についても非常に問題があるというようなことでございます。先生すでに御承知かと思いますけれども、私どもといたしましては、五十七年度には通信衛星が上がるわけでございまして、中継回線の問題といたしましてはその時点に解決をする、あるいは五十八年度には放送衛星が打ち上がる予定になっておりますので、そのような時点にはもちろん同時放送が可能になるということでございますが、それまでの間におきましても何らかの方途を考え得るように、NHKとも話し合いをしてみたいというふうに考えております。  次に、宮古、石垣島から沖繩本島へのテレビ中継の問題でございます。この問題も先生指摘のように下りの中継回線だけでございまして、上りの回線がないわけでございます。現在のところは、必要に応じてビデオテープによる取材を行いまして、沖繩から放送が行われておるというふうに承知をしておるわけでございます。  また、民放が先島地区に置局をする問題でございます。置局に要する経費、局の運営費、あるいはいま直ちに問題になりますのは海底ケーブルの増設に要する経費、テレビ伝送回線の専用料など多額の費用が必要でございまして、沖繩地区の民放テレビ、御承知のように二社あるわけでございますけれども、その経営状況等も考えながら、難視聴解消のために適切な指導を行っていく必要があるというふうに考えております。  しかしながら、先ほども申しましたように、五十七年度には通信衛星が打ち上がるわけでございます。もちろん、当面は電電公社が地上糸を使うか海底ケーブル系を使うか、あるいは宇宙系を使うかという問題ではございますけれども、物ができるということに相なるわけでございますし、五十八年度には、これは当面NHKに限るわけでございますが、放送衛星が打ち上がる、同時放送が可能になるわけでございます。しかしながら、この問題も、五十七年度、五十八年度に至るまでの問題として受け取らせていただきまして、ひとつそれぞれ相談をしてみたい、こういうふうに考えております。
  197. 上原康助

    ○上原委員 ぜひ相談をしていただきたい、放送衛星あるいは通信衛星打ち上げもまた失敗するかもしらぬし、そう気長にしておれませんので。大臣、こういう実態であるということをひとつ御認識の上で、よく検討していただいて、実現するように御努力いただけませんか。一言お願いします。
  198. 大西正男

    大西国務大臣 先ほど来の電話の問題、放送の問題等含めまして、これらの問題は沖繩県民の方々の切実な御要望だと思います。そういうふうに受けとめまして、今後とも、その一日も早い解消に努めていきたいと存じます。
  199. 上原康助

    ○上原委員 あと五分で終えます、約束の時間ですから。  そこで、特に南大東は、ビデオテープを運ぼうにも飛行機が小さいのよ。STOLという九人か十九人乗りかの飛行機で、二十トン以上のものは運べない状態なんですね。前はYSが飛んでおった。そういうハンディもあるということです。いまでさえもわずか二時間です。ニュースも見られない。子供さんたちなんか、離島校では本当にかわいそうですよ。こういうところは少し金をかけても改善をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、沖繩の郵便局の実態について少し触れておきたいのです。  これも私は調べてみたのですが、沖繩の郵便局数は、普通局、特定局、簡易局を合わせて五十三年末現在で百二十一局のようですね。全国の統計はたしか二万二千六百二十七局あって、沖繩の郵便局数は〇・五%しかない。手紙を書かぬからとまた言うかもしらぬが、そうじゃないのです。職員数にしても、全国で二十七万九千七百十人に対して沖繩は千二百人、実に〇・四%ですね。単純に人口比例でいうと一%くらいの比率なんです。そういう面から判断して、郵便局の数が少ないわけで、結局そこで働く職員の人数も少ない、こういう状況で、まさに五〇%の格差があると言っても言い過ぎでないと思うのですね。これからの増設計画、そういう面を含めて、こういったことの格差の是正ももう少し早急にやるべきじゃないのか。電話だけではない、一方においてはこういう実態でもあるということ。  さらに過疎地域の郵便局数の問題もあるが、またこれを、特定郵便局なんてどんどんつくってもらっても困るのですが、都市地域でも、まるまる中央郵便局まで足を運ばなければいけないという状態なんですから、こういうことも、十分実態を御調査の上で――年次計画で二つか三つふやすようなことをやっておられると沖繩の事務所も言っていますが、改めて本庁の御見解を、こういう実情をどう解消していかれるのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  200. 守住有信

    守住政府委員 御指摘のように、沖繩の郵便関係職員数は全国の〇・四%でございますが、また、引き受け物数も〇・四%でございますので、それには対応しておるのじゃないかと思います。  ただし、御指摘の郵便局数でございますが、この点につきましては、復帰前に比べまして復帰後無集配特定局十六局、簡易郵便局九局と、現在百二十九局に相なっております。五十三年度の時点では百二十一局ではなかったかと思いますが、現在は百二十九局になっております。またそのほかに、無集配の特定局を四局増設ということで、現在開局を準備中でございます。  なお、これを普通局、特定局、簡易局という形で見てまいりますと、簡易局の方もどうも少ないな、こういう感じがいたします。もちろん那覇市内等の窓口機関の特定局増設という問題もあろうかと思います。また、それ以外の地域の簡易局の問題等につきましても今後努力していきたい、このように考えております。
  201. 上原康助

    ○上原委員 これで終えますが、そういう実情なので、ひとつ事業計画にも十分御配慮をしていただきたい。あと二年もすると復帰後十年です。この格差の是正が十年たってもできないならもう何をか言わんやで、特にそういった面にももっと力を入れていただきたいと思います。  そこで大臣、今回の法案については、私たちはいろいろ検討させていただいて先ほど申し上げましたように、また去る十五日にいろいろ質疑もありましたように、諮問機関設置の問題とか、政策局を文字どおり今後の通信業務、情報化社会に対応できるような民主的な運営に持っていく、さらに労使関係その他の問題等についても特段の当局の御努力をいただく、そういう立場で、目下の状況からわれわれも態度を明らかにしておりますので、そのことは特に御配慮をいただいてこれから対処していただきたい。そういう意味で、改めて大臣の決意のほどを伺って、質問を終えたいと思います。
  202. 大西正男

    大西国務大臣 御指摘のような諸問題につきましては、十分意を用いてまいりたいと存じます。
  203. 上原康助

    ○上原委員 ありがとうございました。
  204. 有馬元治

    ○有馬委員長代理 辻第一君。
  205. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、いわゆるKDDとの関連で質問をいたしたいと思います。  まず最初に、いわゆる電気通信監理官室の業務内容について、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  206. 寺島角夫

    寺島政府委員 電気通信監理官は、現行の郵政省設置法第二十一条第六項の規定によりまして、同法第六条に規定されております大臣官房事務のうち「日本電信電話公社及び日本電信電話公社共済組合並びに国際電信電話株式会社監督すること。」「有線電気通信規律し、及び監督すること。」「国際電気通信の管理に関する国際的取極及び国際電気通信連合その他の機関との連絡に関する」事務を掌理することとされておりまして、通常電気通信監理官室と呼ばれておりますところでこれらの業務処理を行っているわけでございます。
  207. 辻第一

    ○辻(第)委員 KDDに対しては、事業計画だとか利益金の処分、さらに役員の人事など、そのほかに国際電話料金の改定の認可などの権限を持っていらっしゃるわけでありますけれども、一般的に言って大変な権限だというふうに思うわけでございますが、その点についてどのように思われますか。
  208. 寺島角夫

    寺島政府委員 現在私どもが行っておりますKDDに対する監督というのは、一つは、国際電信電話株式会社法に定められました大臣監督権限というものが具体的に示されてございます。その法の趣旨、内容に従って監督しておるわけでございます。いま一つ、公衆電気通信法に定められておりますところに従いまして、国際公衆電気通信サービスの料金でございますとか、役務の提供条件等につきましての規律を行っているわけでございまして、いずれも現在ございます現行法に従いまして、その範囲内におきまして監督を行っているわけでございます。
  209. 辻第一

    ○辻(第)委員 一般的に言って大変な権限だと私は思ったわけですが、その点についてどう思われるのかということをいまお尋ねしたわけですけれども
  210. 寺島角夫

    寺島政府委員 先生御高承のことと存じますが、KDD昭和二十八年に民営形態としてできたわけでございます。したがいまして、民営という形態の長所を生かし、しかしながら、公共的な事業としての国の一定のコントロールということとの一つの調和というものが現在の法律にあらわされていると思うわけでございまして、その趣旨から申しますならば、他の特別な法律に基づいて設立されました株式会社とか公社等に比しまして、非常に強い監督権限があるという形にはなっておらないと考えておるわけでございまして、そういう点をも含めまして、御案内のとおり、現在KDD法の一部改正案を国会に御提出をしておるところでございます。
  211. 辻第一

    ○辻(第)委員 一般的に言って、会社事業計画から利益金の処分、役員人事、料金の改定まで、私は大変な権限だと思うわけでありますが、いまおっしゃったのは大した権限ではないということですか。
  212. 寺島角夫

    寺島政府委員 現行法に定められておりますのは、それぞれ重要な監督上の権限であると考えますが、他のものとの比較において、それと比べた場合に、法律によって非常に過度な権限KDDに対して郵政大臣に付与されておる、そういうふうには考えておらないという趣旨を申し上げたわけでございます。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは次に移ります。  KDDはきわめて公共性の強い、しかも独占企業体とも言うべき株式会社だと思うのですが、資本金は幾らなのか、それからその大株主、大体五番目くらいまでをお教えいただきたい。できればその大株主の保有株のパーセンテージも教えていただけたらと思います。
  214. 寺島角夫

    寺島政府委員 ただいまKDDの資本金は百六十五億でございます。その株式は、東京証券市場一部に上場されておるわけでございますが、お尋ねの上位五位までの株主と、その全体に対します保有の割合ということでお答えを申し上げますと、郵政省共済組合が一〇・九九%、日本電信電話公社が一〇%、日本生命保険相互会社が八・二〇%、第一生命保険相互会社が六・六三%、朝日生命保険相互会社が三・四八%、合わせて上位五社で全体に対しまして三九・三%でございます。
  215. 辻第一

    ○辻(第)委員 それではKDD昭和四十五年度以降の年間純利益が幾らなのか、年度別に教えていただきたい。それと、五十年以降で結構ですから交際費を、五十四年度は上半期で結構ですが、教えていただきたいと思います。
  216. 寺島角夫

    寺島政府委員 まず交際費でございますが、これには会社の経理区分上交際費という科目に経理をしておりますものと、いわゆる税務上の交際費と申しますか、税法上会社経営上のコストとして算入されないで課税対象にされるいわゆる交際費等と呼ばれているものがございますが、後者の点でお答えを申し上げます。  五十年度におきまして六億四千百万円、五十一年度九億二千三百万円、五十二年度十三億九千九百万円、五十三年度二十二億三千八百万円でございます。五十四年度の上期につきましては、約十二億でございます。  それからKDDのいわゆる利益金と申しますか、税引き後の経常利益でございますが、五十年度におきまして七十四億四千百万円、五十一年度におきまして九十一億一千四百万円、五十二年度におきまして九十二億二千三百万円、五十三年度におきまして九十七億七千八百万円でございます。五十四年度の決算はまだでき上がっておらないわけでございます。
  217. 辻第一

    ○辻(第)委員 利益は四十五年からお願いしたのですけれども
  218. 寺島角夫

    寺島政府委員 恐縮でございますが、ただいま手元にあります資料は五十年度からのものでございまして、それ以前のものを持ち合わせておりません。御了解いただきたいと存じます。
  219. 辻第一

    ○辻(第)委員 KDDは、あのオイルショックの後の大変な不況で、一般民間企業、ことに中小零細業者は倒産だとか転廃業、失業と大変な苦しみに遭ったのでありますけれども、私の調べたところでは、そのオイルショック後の不況の一番ひどい四十九年でも七十億の利益があったということであります。しかもこのような莫大な利益を出しておりながら、いろいろな理由があったのでしょうが、料金を値下げしていない、利益を利用者に還元をしていない、このような状況の中で莫大な利益が積み立てられた。  そういう状況の中であのような乱脈な経理、中でもこの三年間では五十億を超えると言われるような交際費が使われてきた。しかも、商品券だとか美術品だとか装飾品だとかこれを贈っていく。また、いろいろなところで接待をする。また旅行代も払う。さらにはせんべつだとかパーティー券、こういういろいろなことがやられて、このKDDの甘いみつを吸いにたくさんの人がそこへ行くような状態があった。まさに政界、官界、財界の癒着そのものであって、国民があきれ返るほどの醜い汚職や腐敗が起こったということでありますが、このようになる前に、大変な権限を持っていると思われる監理官、いわゆる監理官室郵政省でこういうことが事前にチェックできなかったのかどうか。私はできたのではないかというふうに思うわけでありますが、その辺、郵政省の御見解を大臣にお聞きをしたいと思うわけです。
  220. 大西正男

    大西国務大臣 いまKDD法改正法案を別の委員会へ御提案を申し上げて御審議をしていただいておる最中でございますが、それと申しますのも、いま御指摘のような問題について、従来の現行法のもとにおける監督あり方、そういったものについての反省あるいは見直し等を行いました結果、今回のような事件が再度発生をしてはならない、こういう再発防止観点から、その監督の対象を財務面におきましても、あるいはまた書類の提出義務の点におきましてもこれを拡大をいたしまして、そうして今後そういうことの起こらないようにやろう、こういう趣旨で御提案申し上げておるところでございます。  なお、会計につきましても、会社内部にそれぞれ監査をする機関があり、また、外部の監査機関のこれに対する監査も商法上あるわけでございますけれども、そういうことがあったにもかかわらずこういう事件が起こっておるわけでございまして、そういう関係から申しましても、会社会計というものを会計検査院の検査対象にしよう、こういうことで御提案を申し上げておる次第でございます。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 このような腐敗、汚職の本質は、やはり自民党の単独政権が非常に長い間続いて、その中で大企業からの企業献金で政治活動が賄われる、こういう政治の中で、政界、官界、財界の癒着が起こる、そして構造的な汚職が次々と起こってきているというふうに私は思うわけでありますが、この中でも、行政と財界の癒着ということでは、高級官僚の方々の天下りということが大きな関係を持っていると私どもはたびたび指摘をし、この天下りを禁止すべきであるというふうに言ってきたわけでありますけれども、今度のKDDの問題にもそのことが関係があるというふうに思うわけであります。  KDD郵政省の高級官僚の天下りが非常に多い。郵政省局長級以上のKDDへ天下りをされた方は何人あるのか。また、現在KDDの役員は何名で、そのうち何名が郵政省出身なのか、お尋ねをしたいと思います。
  222. 小山森也

    小山政府委員 二十八年に設立されて以来、郵政省から局長以上でKDDへ就職した者は七名でございます。現在その局長以上の者で出身者は、十七名の役員のうち一名でございます。
  223. 辻第一

    ○辻(第)委員 恐縮ですが、もう一度お尋ねいたします。  十七名とおっしゃいますね。それでは十七名のKDD役員のうちで、局長とか言わずに郵政省出身の方は何名おるのか。一名ですか。
  224. 小山森也

    小山政府委員 ただいま十七名と申しますのは取締役だけでございます。取締役十七名中、局長以上の出身者は一名でございます。なおそのほか、課長補佐から転任いたしましてその後役員になっております者が一名ございますので、合わせて十七名中二名ということでございます。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 それは私もお尋ねしたのだが、いまのということでしたが、去年ぐらいのこの事件が起こる前の段階ではどれくらいあったのか、お尋ねしたいと思います。
  226. 小山森也

    小山政府委員 この前の役員の異動のあります前はそのほかに二名おりまして、四名でございます。
  227. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり十七名中四名というのは多いと思うわけでありまして、先輩がこのようにたくさんKDDにおられるということになりますと、監理官の方々が十分な指導や監督がしにくいという点があろうかと私は思いますし、それからまた、いま一人に減っているということで、その点では改善されたということで大変結構だと思うわけでありますけれども、今後このような天下りは厳正に慎んでいただきたいということを申し述べて、次の問題に移りたいと思います。  すでに電気通信監理官室に勤めておられた方がお二人逮捕され、起訴されているという状態でありますし、また元大臣経験者を含めて疑惑を持たれている方が十数人あると一般紙に報道されている状態であります。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 このようにすでに省内から逮捕されるという人が二人も出たことは、十分な監督指導をすべきKDDでこのような事態を引き起こしたことは、郵政省責任は本当に重大であるというふうに思うわけですが、郵政省はみずから内部の問題についてその解明に最大限の努力を払うのが当然であると考えます。  さきにわが党の議員の質問に対しまして、綱紀点検委員会をつくって昨年十一月調査をなさった、対象管理者は百十名、昭和五十二年七月以降について自己申告または面接して調べた、こういうふうに言われていますけれども、私どもから見てみますと、きわめて形式的であって、極端な言い方をすれば子供だましの程度のものであったのではないかというふうに思うわけであります。十一月くらいからですと大分たっておるわけでありますが、それから省内に逮捕者が出たということもあって状況は変わっておると思うわけでありますが、こういうことを含めて、あの程度のことで十分な対応をされたのかどうか、いまどのように思っていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  228. 小山森也

    小山政府委員 私ども行政庁がみずからの手で部内の調査を行うためには、良心を頼りにして自己申告と、それをもとにしましたところの面接の調査という方法によらざるを得なかった次第でございまして、ある程度の制約があることはやむを得ませんが、それにいたしましても、私どもとしては最善の努力を傾けたつもりでございますし、調査の対象となった職員も誠実にみずからの記憶と良心に基づいて報告したものと信じておる次第でございます。  ただいま環境の変化というものがあったのでその後どうかというお話でございますが、このような形でやらざるを得ないという状態になりますと、やはりそれぞれの記憶というものが余り昔のものまで引き出せないということで、やはりこのような形でやるのはこれ以上無理だというような考えがしております。ただそれと同時に、現に捜査の対象となっているということで、そういった捜査を見守るということもわれわれの立場としてやむを得ない点を御理解いただきたいと思います。  なお、今後につきましては、私どもの調査の限界はございますが、事実に即してそれなりの措置をとっていきたいと思っております。
  229. 辻第一

    ○辻(第)委員 次に、先日退職された江上前郵務局長昭和五十二年七月十九日から五十三年六月三十日まで電気通信監理官をしておられたわけですが、逮捕された元監理官の松井氏の後任であります。この一年間というのは大変問題になっている時期であるというふうに考えるのですが、この江上氏は海外でのもてなしやまた赤坂でのもてなし、出張へのせんべつ等々、合計すると百数十万のもてなしを受けられた、こういうふうに言われています。これは社会儀礼上の範囲を超えるものであると考えるわけですが、さきに郵政省でなさった調査は、江上氏が監理官を退かれた五十三年七月からの調査にしていらっしゃるというのは、先ほどの御答弁にもあるわけですが、やはり釈然としないわけですが、その点どうでしょうか。
  230. 小山森也

    小山政府委員 私どもの調査は初めからそういった予測とか見込みとかというものをしません。今回のKDD問題が起きまして、直ちにわれわれの綱紀はどうあるべきかということにつきまして、一つは過去をある程度知り、さらにこれから先のわれわれの綱紀を正すための資料にするということでやったわけでございます。したがいまして、五十三年七月以降といいますのは、ちょうど郵政省の定期異動、これが大体七月に行われる、その七月にさかのぼりますとちょうど一年有余、約五カ月になる、それ以上の記憶を呼び戻すというのは対象者によってばらつきがある、ばらつきがあると安定した資料といいますか調査にならない、信頼性のある調査にならないということでめどを七月以降としたものでございまして、他意はないものでございます。
  231. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまのお答えでは私は納得できないと思うのです。非常に問題点のある時期を外してやっていらっしゃる。それからそんな古いことは思い出せないだろうとおっしゃるわけですけれども、調査された方は優秀な頭脳の方ばかりですので十分記憶を呼びさませると私は思うわけであります。この問題は、郵政省へ問題が波及してくるまではKDDのところばかり目を向けておったと私どもには見られて、どうもまじめに対応していらっしゃらない側面があったというふうに思うわけであります。  まじめに第一線で働いていらっしゃる郵政省職員の方をたくさん知っているわけでありますけれども、本人はもちろん、子供さんなんかが非常に肩身の狭い思いをしていらっしゃる、こういうことをいろいろと聞くわけであります。こういう状態に対しまして、国民の怒りは大きいものでありますから、これまで以上にしっかりとした対応をしていただくことを要望いたして次に移ります。  去る四月七日に神山事務次官と江上郵政局長お二人が辞任をされた。春の四月におやめになるというのは前代未聞だと言われているわけでありまして、このような時期に郵政省の人事異動が行われた。その理由としては、これまで多くの議員の質問に対するお答えには、KDD後、省内に沈滞した空気が満ちてきた、その人心を一新するためだ、そしてちょうど五十五年度の予算も成立したしということで神山事務次官がやめられる。そうなりますと、後任の浅尾次官が誕生するということになる。そうしますと、中央官庁のしきたりとして、事務次官が新しくなられると他の同期生が勇退をするというのが通例になっている。そういう状況の中で江上氏が勇退をされた、辞任をされた、こういうふうなお話であったと思うわけであります。  しかし、その本当のねらいは、江上氏がKDDとの関係が云々をされている中で、これ以上郵政省の最高級の幹部のところへ飛び火しては困る。もっと言えば、いま郵便料金の値上げの法案が今国会に出されている、その直接の任に当たる郵務局長に火の手が上がっては大変だ、こういうこと、そして何とかしてこの疑惑を隠そう、こういう措置であるというのが一般的な常識であるというふうに考えます。また、一方では、このKDDの問題で責任を感じられてみずから行政責任をとられた、こういう郵政省側の評価もあるわけでありますけれども、私はこの前者の疑惑隠しだというこの考え方が妥当なものであるというふうに考えるわけでありますが、郵政大臣はこの考え方に対してどのような認識を持っていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  232. 大西正男

    大西国務大臣 先生が先ほど前段おっしゃいましたように、人心の一新ということで今回の異動を行ったわけでございます。その時期がいわゆる定期異動期でないことはもちろんでございます。異例な時期に行ったわけでございます。異例な時期に行ったのは、省内の沈滞をしておる空気というものを一掃して、早く積極的に本来の業務に職員が精励をしてもらって、そうして国民の期待に沿って本来の事業推進するということもまた非常に重要な問題だと考えたわけでありまして、その考えに従ってそのことを断行したわけでございます。それ以外の何物でもございません。
  233. 辻第一

    ○辻(第)委員 私のお尋ねしたのは、そういうお答えにもなろうかと思うわけですが、一般国民はやはりあの御処置は疑惑隠しではないかというふうに考えておるというこの考え方についてどのように認識をされているのか。さっきのが答えになっているのかもわかりませんけれども、もう一度、簡単で結構です。
  234. 大西正男

    大西国務大臣 私は、いまお答えをしたとおりでございまして、もしそういうお考えをお持ちであるとしましたら、どうか誤解をお解きいただきたいとこいねがうものでございます。
  235. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほどから申しておりますような、大変なKDD問題の中で、このKDD監督、指導すべき電気通信監理官室が疑惑の中心になって二人の逮捕者を出す、そして真相の解明の山場へ向かっているという時期に、しかも郵政省の反省や対応には問題があると言われている状況の中で、今度電気通信監理官を中心とした新しい局の新設というものを持ち出されてきたわけでありますけれども、この新局の問題が郵政省の二十年来の念願である、こういうことであっても、先はど申しましたような状況の中では一般的な国民感情を逆なでをするようなものである、妥当な提案ではないというふうに思うわけでありますが、その点について当局はどのように考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  236. 大西正男

    大西国務大臣 KDDをめぐる問題につきまして、KDD自身がその経営姿勢を改めてもらうことにつきましては、私どもも強くこれを要望しておるところでございまして、そのことにつきましては、すでに経営の首脳陣が交代をいたしまして、その交代した首脳陣が、いわゆるKDD事件を省みて、そうして再びこのようなことがあってはならない、こういう決意のもとに厳しく姿勢を正して、そうしてそれに対するいろいろの方策をいまとりつつあるわけでございます。私はこの新経営陣によってKDDが立て直されることを大きく期待をいたしますとともに、確信をいたしておるところでございます。  また反面、この問題をめぐって御指摘のように、郵政省内部において監督の立場にあるにもかかわらず収賄容疑をもって逮捕、起訴される事態を生じておりますことはまことに申しわけのないことでございまして、国民に対しまして心からおわびを申し上げる次第でございます。  そこで、郵政省といたしましても、内部において職員一人一人が全体の奉仕者としての、行政責任者としての原点に立ち返って身を厳しく戒め反省をいたしますとともに、今後再びこういう事態の起こらないような決意をしてもらうということについて私は私なりの努力をしてまいりました。  こういうことでございますけれども、本来の郵政業務の推進ということは、それはそれとして一日もゆるがせにできる問題ではございません。そのことのために、この本来の業務を推進をするということをなおざりにするということは、責任をさらに懈怠することになると思います。そういうことであってはなりませんので、新しい情報化社会に向かう今後の社会、経済、文化の発展に対して行政が対応していく体制を一日も早く整えなければなりません。そのことは、この日進月歩の技術革新その他電気通信事業をめぐる将来の社会展望をいたしますときに、これをきょうやっておくならば間に合うけれどもあしたでは間に合わない、それほどに私は真剣に考えております。  でございますから、この問題はこの問題として国会の皆様に御審議を賜りたい、こう存じておるわけでございまして、こいねがわくば、この設置法改正をひとつ御可決あらんことを心からお願いするものでございます。
  237. 辻第一

    ○辻(第)委員 いまの大臣のお話では納得しかねるわけであります。このKDDを含む問題がもっとはっきりしてくる時期でも十分間に合う、いまの体制でもやる気になれば十分やっていける、いつまでもこのままというわけにもいかぬでしょうけれども、時期的には非常にまずいというふうに私は考えているわけでございます。  次に、ことし三月十八日にある一般新聞に報道されている一部にこういうことがあるわけであります。  KDD郵政省の“陰の経費”を肩代わりしなければならない――国内外で開かれる電信電話関係の国際会議KDDは「接遇班」として参加する。   例えば、一昨年六月七日から二十三日にかけて国立京都国際会館で開かれた国際無線通信諮問委員会第十四回総会。政府ベースの会議でメンバーは郵政省と各国の主管庁。本来、会議費は郵政省予算でまかなわれるべきだが、KDDは賛助会員の名目で四千五百万円を負担している。(郵政省の負担した予算は三千万円)   この四千五百万円は五十八カ国三十二機関三百五十九人の外国人参加者の接遇費に使われているが、KDDの経理関係者は「ウラでかかる経費、つまりハデな接待や領収証のないものは会計検査院のチェックがないKDDで受け持つ」と証言している。このように報道されているわけでありますが、このような事実があったのかどうか。もしそれが事実とすれば、ここに書かれているように、本来会議費は郵政省予算で賄われるべきではないか。また、このようなことは郵政省KDDの、組織組織の癒着である、こういうことがKDD郵政省の汚い癒着を一層深めたのではないかというふうに思うわけでありますが、このような事実があったのかどうか、お尋ねをいたします。
  238. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  一昨年京都で開催いたされました国際無線通信諮問委員会でございますけれども、その際の費用の総額は二億七十三万円余でございまして、この経費は国際電気通信連合が二千三百七十七万円、この会議への参加機関としての郵政省が三千六万円、日本電信電話公社が四千五十二万円、日本放送協会が二千二十五万円、国際電信電話株式会社が四千五十一万円、日本民間放送連盟が二千三十万円、日本電子機械工業会が二千四百六十六万円をそれぞれ分担して支出をしたわけでありまして、これらの各機関の分担額は、プールをいたしまして、会場費あるいは同時通訳の経費等に充てたわけでございます。その支出は公正に行われておりまして、御質問のような事実はないわけでございます。  なお、接遇班というお話がございましたけれども、確かにただいま申しました各機関が分担をいたしまして京都総会を成功させるために努力をしたわけでございまして、KDDから派遣いたされましたスタッフは主として会議への参加登録、会議日程の案内等を行う、いわゆる接遇業務を分担いただいたわけでございます。
  239. 辻第一

    ○辻(第)委員 すでにお聞きをしましたように、KDD昭和四十五年度からでも毎年巨額の利益を計上いたしております。しかもその間料金の値下げが行われずに、このKDDの事件が起こってからやっと昨年の十二月一日に値下げをされた。このような長期、連続して莫大な利益が出ていながら料金値下げをしていなかったことについてどのようにお考えになっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  240. 寺島角夫

    寺島政府委員 KDDの料金でございますが、昨年の十二月に値下げをしたことについては御案内のとおりでございますけれども、それ以前の、先ほど御指摘のございました、たとえば五十年度の利益について先ほどお答え申し上げましたが、いわゆるオイルショックと呼ばれましたときに相当人件費等も高いものになりまして、国内的に申しましてもいわゆる新価格体系と呼ばれるようなものができ上がったわけでございますけれども、その間におきましてもKDDの料金というものは変わっておらないわけでございます。この間に番号通話の導入、これは指名通話と番号通話の料金に差を設けまして、番号通話の料金の値下げを行っているわけでございますが、そういった料金の値下げというものを二十九年以来ずっと行っておるわけでございまして、もちろん韓国とか香港等について若干値上げをしたケースもございますけれども、全体的に見ますと、そういう形で下げてきたわけでございます。  しかしながら、そういった料金を下げあるいは維持してきた中でかつ相当の利益が上がってきたこと、これはやはり日本の国際化の進展に伴います通信需要の増大に支えられてきたもの、そしてまたKDD自身の経営努力ということもあったろうと考えるわけでございます。  ところで、料金の問題につきまして、先生御案内のとおり、一昨年の暮れごろから、いわゆる円高差益という問題が論議の対象になったわけでございます。一昨年、もう一年前で五十二年でございますか、五十二年のたしか十一月ごろと記憶いたしておりますが、円レートが二百五十円を割るという事態になりまして、円高の問題が出たわけでございます。そういった場合に、円高差益の問題、あるいはそういった為替レートの変動に伴いまして、料金というものを円レートに換算をして、日本のものと、日本から外国へかける場合と、海外から日本へかける場合を比較をいたしますと、そういった為替相場の変動に伴いまして料金の格差というものが出てまいりました。そういった問題、あるいは先ほどお答え申し上げましたように、全体として収益状況が好調であるということを踏まえまして、郵政省といたしましては、一昨年の五月以来ずっとこの料金の問題について検討方KDDを指導してまいったわけでございます。  その間いろいろな経緯がございましたけれども、そういうものを踏まえまして昨年の十月には専用線を一〇%値下げをいたしましたし、昨年十二月には対米電話料金の二五%を初めといたします環太平洋地域を対象といたします値下げを実施いたした、こういう経緯になっておるわけでございます。
  241. 辻第一

    ○辻(第)委員 KDD法律で認められた独占企業体であり、料金は、その申請を受けて郵政大臣認可をする公共料金と理解しているわけでありますが、その理解は妥当かどうか、簡単にお答えください。
  242. 寺島角夫

    寺島政府委員 御指摘のとおり、KDDの料金は、公衆電気通信法によりまして、郵政大臣認可料金でございます。そして多くの方が御利用になり、かつまた国が関与する料金であるという意味におきましては、公共的な料金であると考えております。
  243. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、KDDの料金は公共料金ということですから、他の多くの公共料金と同じように、能率的な経営のもとにおける適正利潤を含む適正原価を償うに足る料金収入を上げる、こういう考え方を基本とすべきであるというふうに考えますが、どうでしょうか。時間がありませんので、恐縮ですけれども、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  244. 寺島角夫

    寺島政府委員 お話しございましたように、能率的、合理的な経営のもとにおけるコスト、そして今後の投資計画、適正利潤等を賄うに足る料金であるということになろうかと思います。  なお、この問題につきましては、国際電信電話諮問委員会、CCITTと呼んでおりますが、ここの意見にもそういったことが加盟国に対して述べられているわけでございます。
  245. 辻第一

    ○辻(第)委員 KDDの料金に関する法律上の規定を見てみますと、公衆電気通信法六十八条、六十九条あるいは一条あたりにあるわけでありますけれども、極論をしますと、合理的に定める、これぐらいのことではないかというふうに思えるわけであります。その点についてどうなのか。また原価補償方式に基づく料金設定基準のようなものが郵政省にあるのかどうか、この二点についてお答えをいただきたいと思います。
  246. 寺島角夫

    寺島政府委員 御指摘ございましたように、公衆法に基づきまして郵政大臣認可料金となっておるわけでございます。一つは、認可の手続と申しますか、やり方の問題かと思うわけでございますが、現在、国内料金につきましては、その法律に定められておりますもの以外の認可料金のうち、国民の多数に関係をいたしますものにつきましては郵政審議会の御意見を伺って決定をするという方式をとっております。  ただ、KDDの料金につきましては、いままでのところそういう方式をとっておらない状況でございます。
  247. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一つ聞いた原価補償方式に基づくというのはどうですか。
  248. 寺島角夫

    寺島政府委員 失礼いたしました。先ほど料金決定の原則的な考え方についてお答えをいたしたわけでございますけれども、数字的に固まったような料金決定の物差しと申しますか、そういうものは現在持っておらないわけでございまして、やはり総体としての原価を償う料金、料金と申しますのは歴史的な経緯もございますので、そういったものを踏まえて判断しておるわけでございます。
  249. 辻第一

    ○辻(第)委員 昭和五十三年の二月七日の衆議院の予算委員会におきまして当時の服部郵政大臣が、また五十三年二月十六日衆議院逓信委員会におきまして、さらに五十三年三月三日衆議院予算委員会におきまして、いずれも料金値下げの方向でというような発言をしていらっしゃるわけでございますが、事務当局と打ち合わせの上での御発言と思いますが、どうでしょうか。
  250. 寺島角夫

    寺島政府委員 大臣行政府の長としての最高の責任者でいらっしゃいます。したがいまして、最高の責任者としての大臣の国会での御発言でございますから、そのように理解をしておるわけでございます。
  251. 辻第一

    ○辻(第)委員 どうも私のお尋ねしているのとちょっとずれて、意識的に発言していらっしゃるのかというふうに思うわけですが、続いて五十三年四月十八日ですね。これは参議院の逓信委員会で服部郵政大臣が、「私は決して新聞に報道あった、値下げするなんて言った覚えはありません。」また、「誤解のないようにひとつ御認識を新たにしてもらいたいと思います。」このように答弁をされているわけであります。この答弁も事務当局との打ち合わせの上で御発言になったのかどうか、答えてもらえないかもわかりませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
  252. 寺島角夫

    寺島政府委員 その当時の状況を私は承知しておらないわけでございますが、一般的に申し上げまして、先ほど申し上げましたように、行政上の最高責任者としての御発言でございますので、事務当局の意見というものを徴されて御判断される場合もそうでない場合もあろうかと考えるわけでございます。
  253. 辻第一

    ○辻(第)委員 時間がもうありませんので、次へ行きます。  五十三年の四月二十一日、経済対策閣僚会議で値下げの検討が決定されています。これを受けて五月十日に郵政省KDDに値下げの検討を文書で指示されたと思います。そして五十三年の十月十八日衆議院逓信委員会では、「現在は御指摘のとおりかなり利益は上げて社内積み立てをやらせております」こういうふうな御答弁をされておるわけであります。これをもう一度見直してみますと、大臣の御発言が変化をする、しかも食い違いがあるというようなことがあるわけですね。食い違いと申しますといけないかもわかりませんけれども、四月十八日は値下げをしないというような表現をなさっているにもかかわらず、もう四月二十一日には経済対策閣僚会議では値下げの検討が決定されている、こういうことがあるわけであります。これを見てみますと、大臣の意向だけで決められていらっしゃるような傾向あるいはKDD郵政省が密室の中でお決めになったのではないかというような傾向があるわけであります。これでは利用者が意見を述べたり、第三者がその妥当性をチェックする場が全くない状態であるというふうに思います。これでは合理的に決めた料金ではないと考えるわけですけれども、どうでしょうか。
  254. 寺島角夫

    寺島政府委員 今回の事柄を契機といたしまして、KDDにおきましても、去る二月の臨時株主総会におきまして新しい会長、社長を選任いたしまして、現在新しい執行体制で当たっておることは御案内のとおりだと存じます。その新しい執行体制のもとに、いわゆる開かれた経営と申しますか、そういう観点あるいはまた二度とああいう不祥事を再発させないという観点から、KDDといたしまして部外の有識者の方々の御意見を十分に徴するそういう場、そういう委員会的なものを設けるということを方針として決定したというふうに伺っておるわけでございまして、今後はそういういろいろな御意見を十分聞きながら公共的な事業としてふさわしい経営がなされるものと私ども期待しておるわけでございます。
  255. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度お尋ねいたしますが、いわゆる合理的に決めた料金と言えるのか言えないのかということですが、その点でお答えをいただきたいと思います。
  256. 寺島角夫

    寺島政府委員 先ほど申し上げましたように郵政大臣認可料金でございますので、認可申請を受けまして、私どもといたしましてはそれを判断するわけでございますが、その判断の過程におきましてどういうふうにそれを考えていくかということのお尋ねかと思うわけでございます。先ほど申し上げましたように、従来郵政審議会等の部外の方々の御意見を聞くということはやっておらなかったわけでございますけれども、そういうことも含めて、どういうあり方が望ましいかということにつきましては検討してまいるべき課題と考えておるわけでございます。
  257. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、私といたしましては利用者や国民の納得できる公正で民主的な料金の決定をされることを再度要望いたしまして、私の質問を終わります。
  258. 木野晴夫

    木野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  259. 木野晴夫

    木野委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。中路雅弘君。
  260. 中路雅弘

    ○中路委員 郵政省設置法の一部改正に簡潔に一言反対の意見を述べます。  電気通信行政の現状は、科学技術進歩に対応して政策立案の業務が求められていますし、現行の電気通信監理官室通信政策課を加えて、政策立案所掌事務に加えられたことを否定するものではありません。しかし、現在一連の行政改革が進められている中で、あえて新しい局を設置しなくても、現行の制度で必要な所掌事務を加えれば済むことであります。  次に、本改正案KDD事件とは直接的な関係はないとしても、すでに電気通信監理官室関係者である元監理官や元参事官が収賄容疑で逮捕され、さらに現在捜査が続けられているさなかで、郵政省汚職の中心の対象である電気通信監理官室をいま局に昇格することが主要な改正内容である本法案は、十分納得を得られないと考えます。  KDDとの癒着、汚職に郵政省自身具体的にメスを入れ、今回の事件を反省材料として、不正、腐敗をなくして、清潔で民主的な行政機構の改組について今後慎重に検討すべきだと考えまして、今回の法改正に反対するものです。  終わります。
  261. 木野晴夫

    木野委員長 これにて討論は終局いたしました。     ―――――――――――――
  262. 木野晴夫

    木野委員長 これより採決に入ります。  郵政省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  263. 木野晴夫

    木野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  264. 木野晴夫

    木野委員長 ただいま可決いたしました本案に対し、唐沢俊二郎君、岩垂寿喜男君、新井彬之君及び小沢貞孝君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。岩垂寿喜男君。
  265. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ただいま議題となりました自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案に係る郵政省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     郵政省設置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   情報通信事業が、今後の情報化社会における中枢的役割を担い、国民経済の発展及び国民生活の質の向上等にとって不可欠の存在であり、かつ、その公共性が拡大する方向にあることにかんがみ、政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。  一 国民経済の要請に即応し得るようにするため、総合的、かつ、合理的な電気通信事業の経営基盤の強化及び経営当事者の自主性の確立を図るとともに、同事業に従事する職員等に適切な労働条件が確保されるよう努めること。  一 情報通信事業が、国民の理解と納得の上に立って、社会的責務を全うし得るようその事業運営について、国民各層の意見が反映する体制のあり方を検討するため、適正な構成による機関を速やかに設け、国民の負託にこたえる結論を得るよう努めること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会における質疑を通じてすでに明らかになっておるところであります。  よろしく御賛成くださいますようお願いを申し上げます。(拍手)
  266. 木野晴夫

    木野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  267. 木野晴夫

    木野委員長 起立多数。よって、唐沢俊二郎君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。大西郵政大臣
  268. 大西正男

    大西国務大臣 このたびは大変御熱心な御審議をいただき、ただいま郵政省設置法の一部を改正する法律案の御可決をいただきましたことを、厚く御礼申し上げます。  この委員会の御審議を通じまして承りました御意見、御議論は、ことごとく私どもの深い教えとして拝聴いたしました。これらの点は、今後の電気通信行政の運営面に十分反映させまして、当委員会の御審議におこたえ申し上げたいと存じます。  さらにまた、ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしまして、十分にその御趣旨を尊重してまいる決意でございます。まことにありがとうございました。     ―――――――――――――
  269. 木野晴夫

    木野委員長 なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 木野晴夫

    木野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  271. 木野晴夫

    木野委員長 次回は、明十八日金曜日午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五分散会