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1980-04-10 第91回国会 衆議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 木野 晴夫君    理事 逢沢 英雄君 理事 有馬 元治君    理事 唐沢俊二郎君 理事 塚原 俊平君    理事 岩垂寿喜男君 理事 上原 康助君    理事 新井 彬之君 理事 中路 雅弘君    理事 吉田 之久君       麻生 太郎君    大城 眞順君       三枝 三郎君    村上 茂利君       石橋 政嗣君    市川 雄一君       鈴切 康雄君    山田 英介君       瀬長亀次郎君    辻  第一君  出席国務大臣         農林水産大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         農林水産大臣官         房長      渡邊 五郎君         農林水産省構造         改善局次長   岡本 克己君         農林水産省農蚕         園芸局長    二瓶  博君         農林水産省畜産         局長      犬伏 孝治君         農林水産省食品         流通局長    森実 孝郎君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         水産庁次長   米澤 邦男君         通商産業省貿易         局長      花岡 宗助君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局経済部調         整課長     厚谷 襄児君         沖繩開発庁総務         局企画課長   野村 誠一君         沖繩開発庁振興         局振興第二課長 坂井 寛一君         外務省経済局国         際機関第一課長 池田 廸彦君         国税庁直税部法         人税課長    四元 俊明君         通商産業省貿易         局総務課長   川崎  弘君         通商産業省生活         産業局総務課長 宇賀 道郎君         自治省税務局固         定資産税課長  渡辺  功君         内閣委員会調査         室長      山口  一君     ――――――――――――― 委員異動 四月九日  辞任         補欠選任   麻生 太郎君     大村 襄治君   三枝 三郎君     山中 貞則君 同日  辞任         補欠選任   大村 襄治君     麻生 太郎君   山中 貞則君     三枝 三郎君 同月十日  辞任         補欠選任   三枝 三郎君     村上 茂利君 同日  辞任         補欠選任   村上 茂利君     三枝 三郎君     ――――――――――――― 四月九日  国家公務員等定年制退職手当法改正反対に  関する請願小川国彦紹介)(第三六六〇号)  同外一件(小川省吾紹介)(第三六六一号)  同(斉藤正男紹介)(第三六六二号)  国家公務員定年制退職手当法改悪等反対に  関する請願斉藤正男紹介)(第三六六三号)  山形市等の寒冷地手当引き上げ等に関する請願  (渡辺三郎紹介)(第三六六四号)  青少年健全育成のための社会環境浄化に関する  請願吹田愰君紹介)(第三六六五号)  同(渡辺武三紹介)(第三六六六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四五号)      ――――◇―――――
  2. 木野晴夫

    木野委員長 これより会議を開きます。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上原康助君。
  3. 上原康助

    上原委員 本当は十時半からの委員会なのでまだ頭の回転も余りよくないのですが、内閣委員会はえらいまじめな与野党の方々がいらっしゃいますので、これから農林水産省設置法の一部改正法案についてお尋ねをさしていただきたいと思うのです。  最初に、法案内容についてまず若干お尋ねをして、せっかく農林水産大臣おいでですから、後ほど他の農業関係の問題についてもお尋ねをしたいと思いますので、ひとつ関係者の誠意のある御回答を求めたいと思います。  そこで、今回の農林水産省設置法の一部を改正する法律案はすでに趣旨説明も受けておりまして、その内容につきましてはある程度理解をしているわけです。要するに、伝統ある生糸検査所を整理することになるようですが、提案理由説明でも、整理をする理由としては、生糸輸出が少なくなった、まあなくなったといいますか、あるいは国内生糸需要も伸び悩みが続いている、また、国産の繭及び生糸生産減少傾向にあるようで、こういう理由によって、明治二十九年以来設立をされておった生糸検査所を今回農林規格検査所に吸収をしていくという方針のようであります。  そこで、政府は、目下の蚕糸業についてはどういう御認識を持たれておって、今後養蚕農家あるいは蚕糸業者、そういう方々保護または振興策というものをどのようにお考えなのか、そこいらからまず御見解を賜りたいと思います。     〔委員長退席逢沢委員長代理着席
  4. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 わが国蚕糸業というものは、国民生活に深く根差しておる伝統的な、非常に歴史のある産業であります。また、養蚕業というものも、これまた農山村の畑作地帯におきまして基幹作目として定着をしておりまして、私ども農業経営上非常に重要なものであると考えております。そこで、現在におきましても、生糸一元化輸入というような措置を含めた繭糸価格安定制度がございますが、この繭糸価格安定制度の適切かつ円滑な運用を図りながら、養蚕あるいは製糸経営近代化あるいは効率的な繭の生産、こういったようなことを心がけていただきながら、ひとつ蚕糸業を今後ともわが国農業における重要な一部門として位置づけていきたいと考えており、そしてそういうことによって蚕糸絹業ともどもに健全な発展が図られるようにしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  5. 上原康助

    上原委員 そこで、蚕糸業あるいは養蚕というのはわが国伝統ある産業であった、これからもその保護あるいは振興については努力をしていきたいというお考えのようですが、このことと関連をして、通産省事務次官発言が問題になっておるわけです。これに対してはすでに武藤農水大臣の御発言なりあるいは農水委員会その他でも取り上げられて、通産省釈明をなさったようですが、しかし、この事務次官の御発言というのは、単に養蚕農家ばかりでなくして、日本の第一次産業を非常に軽く見ている問題発言と言わざるを得ないと思うのです。そういうことで、私もどうしてもこの点を取り上げざるを得ないわけです。  矢野次官の三月十四日ですか京都での発言のようですが、報道されるところによりますと、全国の絹織物産地がせめて二年間生産を全面ストップさせる、そうすれば養蚕農家生糸が売れなくなり全滅する、その上で国際相場中国生糸などを使って生産を再開したらどうか、しかも生産ストップの間の休業補償通産省でめんどう見てもよい、こういう御発言をしたというふうに言われているわけです。全くもって、これはいま大臣から御発言があったようなこととは相入れない点がありまして、われわれは軽く見るわけにはいかないわけです。  釈明があったとはいえ、改めてこの件について農水大臣はどのように受けとめておられるのか、また、通産省にどういう申し入れをなさったのか、御答弁をいただいて、さらに通産省も来ておられると思うので、こういうことは絹織物業者なりその他養蚕農家だけでなくて、中小企業業者を一応保護するお立場にある通産省としても、あってはならない考え方であり発言だと思うのですが、この点について御見解を改めて承っておきたいと思います。
  6. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いまの矢野発言でございますが、私どもといたしましても、最初新聞報道承知をいたしたわけでございまして、新聞報道を見て大変遺憾なことである。いま御指摘のようにわが国蚕糸業あるいは養蚕業、こういうものを全面的に否定をする、その存在を否定をすると受け取られる発言でございますので、私ども農蚕園芸局長から通産省に対して厳重に抗議を申したわけであります。  その後四月一日に、通産大臣より私のところに対しましてこれに対する釈明がございました。その要旨は、三月十四日の京都における発言について矢野次官にその真意を確かめたところ、問題となった部分生糸一元輸入という複雑な問題の持つ解決の困難性を強調するために述べたものである、本人としては現行の法律制度をないがしろにしたり農業を軽視するような考えは毛頭ない、ただ、その真意が必ずしもそのまま伝えられなかったために誤解を招き、関係者にいろいろと御迷惑をかけたことは全く遺憾であり、深くおわびするとともに、誤解を招く原因となった部分はこれを撤回したいということであった。これは矢野さんが通産大臣にそう言った。自分からも二度とこのようなことのないよう注意しておいた、こういう釈明通産大臣から参りました。  それから、その後矢野次官が直接私のところへまた参りまして、発言については自分としては全く真意ではございませんでした、真意でなかった部分について、ですから撤回をさしていただきたい、また、御迷惑をかけたことに対しては深くおわびをする、こういうことで私のところへおわびに来たわけでございます。  そういうことで、私ども同じ政府の中で、大変遺憾なことではございましたけれども、いつまでも農林水産省通産省とでいがみ合っておったのではなかなか行政も円滑にいかないものでございますから、一応政府内においては、そういう誠意ある気持ちで全面的な撤回を求めてきたということにおいて私どもはそれを了承した、こういうことでございます。
  7. 宇賀道郎

    宇賀説明員 三月十四日の矢野発言につきまして農林省から御抗議をいただき、その後とりました措置についてはただいま農林水産大臣からお答えしたとおりでございます。矢野次官に対しましては、大臣から厳重に御注意をされたというふうに承っております。  いろいろお話がございましたように、われわれといたしましても、養蚕業はわれわれの所管しております絹撚糸あるいは絹織物業原料供給者として非常に重要な地位を持っておるというふうに認識いたしておりまして、従来から蚕糸絹業一体となって共存共栄を図れるような方策をやるということで、一元輸入制度下におきましてもいろいろな施策を講じてきたわけでございまして、その従来からの方針に何ら、毛頭変更はないということで今後も対処してまいりたいというふうに考えております。
  8. 上原康助

    上原委員 すでに両省間でいろいろやりとりをおやりになったようで、また、先ほども申し上げましたように、他の委員会でもこの件については通産省釈明もあったようですからこれ以上深入りしませんが、しかし、大きな誤解を与えたことはぬぐえない事実として残っていると思うのです。今後このようなことがないように、通産省に対しても強く求めておきたいと思うのです。  そこで、これとの関連もありますが、今後の蚕糸業振興に当たって、せんだって価格を決定する段階蚕糸業振興審議会から答申が出されておりまして、その附帯決議にも四項にわたっていろいろ述べられております。たくさんは申し上げませんが、「政府は、蚕糸絹業安定的発展を図るため、次の措置を講ぜられたい。」「蚕糸業維持発展を図るため、生産性向上対策を強力に推進すること。」四つ述べておりますね。そういう面からしても、やはりこの伝統的な蚕糸業というものは維持発展を図るように措置をしなければいけないということを、政府にもそれなり意見具申をしているわけですから、この方針なりこの考え方というものを、農林水産省は当然でしょうが、通産省もぜひおくみの上で今後の行政を進めていただきたいということを改めて要望をしておきたいと思うのです。  そこで、法案との関連にまた戻りますが、今度生糸検査所国営業務規格検査所に吸収される。もちろんこれからもその検査というのは必要だと思いますし、業務量減少が随時なされてきたというようなことで、これまで職員といいますか、定員削減等もある程度進められてきたと思うのですが、その経過というのはどのようになっているかということ。また、仮に定員削減があったとしても、これからもなお進んでいくのかどうか。生糸検査制度合理化問題はどのようになっていくのか。これまでの経過とこれからの見通し等について伺っておきたいと思うのです。
  9. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 生糸検査所業務量減少に合わせてこれまでどう定員削減等を行ってきたかという第一点の分でございますが、生糸検査所定員につきましては、定員縮減を開始いたします前年度の末、これが四十二年度末でございますが、このときには横浜、神戸合わせまして八百六十二人の定員であったわけでございます。これが生糸検査業務量減少等に対応いたしまして、その後縮減に努めてまいったわけでございまして、四十三年度から五十四年度までの間に三百二十九人の縮減を行ってきておりまして、五十四年度の定員は五百三十三人に相なっております。五十五年度におきましてはさらに六十一人の縮減考えておるわけでございます。そういたしますと、五十五年度は最終的には四百七十二名という定員になろうかと思います。これは吸収されますので、いずれ検査部門要員ということでその程度の数に五十五年度はなろうかと思っております。  なお、今後はどうかというお尋ねでございますが、私たちは、今後ともこの生糸検査部門要員縮減計画的に進めていきたいと考えておりまして、具体的には、六十三年度当初までに生糸検査部門要員を百九十人程度までに縮減したいという計画を持っておるわけでございます。
  10. 上原康助

    上原委員 縮減といいますか、やむなく配置転換もしくはいろいろ人事の異動のあることにつきましては、後ほどまたまとめてお答えもいただきたいのですが、確かに業務量減少あるいは産業構造変化、いろいろな諸条件でこういう生糸検査所のような施設が合理化、縮小されていくことは、ある面ではやむを得ない社会的必然性かもしれません。しかし、かといってこれをそういう産業構造とかそういう社会変化だけでどんどん進められたのでは、長くそこで働いてこられた方々生活、あるいは職業転換というのは大きな悪影響を受ける場合もあるわけで、そこらは十分心していただきたいと思います。  生糸検査制度というのは、先ほど冒頭御答弁もありましたが、伝統的産業であるということと、わが国蚕糸絹業にとってはきわめて重要な位置を占めている。したがって、今後とも生糸検査所は必要であり、また国がその中核的な役割りを果たしていかなければいかない部門といいますか面は残されていると私は思うのです。この点についてはいかようにお考えなのか。いま六十二年までに相当縮小計画というものをお持ちになって、一定の人員確保はなされるような御答弁もあったわけですが、いまの点についてはどういう御認識で、今後どうしようとしておられるのか、改めてお伺いをしておきたいと思うのです。
  11. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回、生糸検査所農林規格検査所に吸収統合することにしたわけでございますが、これは、独立の機関として設けておく必要性に乏しいということで検査所は吸収統合されるわけでございますが、検査そのもの、これはあくまでも維持していく。しかもその検査技術というものは世界に冠たるものでございます。日本生糸規格国際規格にもなっておることでもございます。  したがいまして、検査そのものは当然残りますし、また、この技術が非常に高いわけでございますので、今後におきましても、国営でやります検査といいますものがわが国生糸検査の中核的な役割りを果たしていくと考えております。したがいまして、先ほども六十三年度当初に百九十名の要員確保したいということを申し上げましたのは、そういう精度の高いりっぱな検査をやるための必要な人員は十分確保するという立場に立ちまして検討した結果、そういう百九十人程度という線も出しておるわけでございます。
  12. 上原康助

    上原委員 そこで、これからも生糸検査そのものは必要であり、またこの技術といいますか、検査内容についてもこれまでの伝統的な面があり、冠たるものだ、そのための人員確保については必要な措置をとりたい。おおむね六十三年までの漸減計画というかそれがあるということですが、そういった面は関係団体方々ともぜひ十分御相談をいただいて、強制的な合理化を強行していくとか、あるいは特に検査所に長いことお勤めの皆さんには御婦人の方々も多いと聞いております。実は昨晩遅く神戸の方から私のところに電話がありまして、正月から大変不安でしようがありません、いよいよこの法案委員会で取り上げられ、審議されるようになるとのことですが、私たちのこれからの身分やあるいは処遇については万全の措置をとるように、篤と農水大臣関係者に訴えてくれという強い要望もあったわけで、該当者方々は先行きに大変不安を持っていることは間違いないと思うのです。  そういう意味で、配置転換を余儀なくされる方々、あるいはやむなくおやめになる方もいらっしゃるかと思うのですが、こういう職員処遇についてはどのようにお考えなのか、不利益になるようなことは万々一にもあってはならないと思うのです。この措置につきましてはどうなさるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  13. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 こういう非常に伝統のあるといいますか、歴史のある生糸検査所を統合するわけでございまして、今日までそこで一生懸命働いていただいた職員処遇という問題につきましては、私ども十分配慮していかなければならないと考えておるわけでございまして、いやしくもその処遇が低下するようなことのないように考えていかなければなりませんし、配置転換等につきましても、本人ともよく話し合いを進めて、理解のもとに進めていかなければならないと思いますし、どうしても配置転換をしていただく場合には新しい職場での研修、そういったものにも私どもとしては十分配慮をしていかなければならない。とにかくいずれにいたしましても、処遇が低下するというような気持ちを持っていただかないような形に私ども努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
  14. 上原康助

    上原委員 いまの点は、配慮を十分やってもし過ぎることはないと言っても過言でないと思うのです。特に大臣からの御答弁もあったわけですが、該当者にとっては非常に不安があり、また、永年勤めてきた自分たち職場が他の機関に吸収されることについてはそれなりのお気持ちがあると思いますので、そこらを無視なさらないように、また長いことお勤めになってきた方々貢献度に対しても十分報いるように特段の御配慮を改めて求めておきたいと思います。  そこで、いまの蚕糸業の問題とも、あるいは後ほどいろいろお尋ねすることとも関係してくるわけですが、要するにいま日本農業というのは大変危機に直面をしていると言えましょうか、米以外は自給率は全くないと言っても言い過ぎでないと思うのです。さらに、従来の高度成長期における国際分業論あるいは農業離れということがあって、いろんなひずみが出てきて、今日、農業政策といいますか、全般について見直しをしなければいけないんじゃないのか。さらに国際情勢が非常に悪化いたしますと、食糧確保食糧安全保障というものをどう確立をするかということは、わが国にとって八〇年代から以降は私はやはり大きな政治課題だと思うのですね。経済課題でもある。  そういうこともありまして、御承知のように、せんだっては食糧自給力強化に関する決議衆議院の本会議で行ったわけであります。これに対しての大臣の御決意もあるわけですが、この決議文全部を引用するわけにはまいりませんが、要するに「海外からの農畜産物輸入増加に伴い、食糧自給度は年毎に低下し、国民食糧供給体制を先き行き不安定にしている。また、漁業においても二百海里時代に入り、水産物の生産供給確保について厳しい対応を迫られている。」  こういう状況下で、いまのこの養蚕農家保護あるいは蚕糸業問題等、そのほかのすべての分野においてやはり食糧自給率というものをもっと高めていかなければいけない。国内生産できるものは、少々値が張っても自国で生産をしていくという方向に私は逐次転換をしていかなければいかぬと思うのですね。このことについてはいろいろ専門の農水委員会などでも審議がなされていると思うのですが、衆議院の本会議決議がなされた段階でもあり、今後のわが国食糧自給率を向上さしていく、高めていくということについて農水大臣としてはどういうお考えで、どのように着手していかれるのか、この機会に改めて御所見を承ってみたいと思うのです。
  15. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 衆議院の本会議でもあのような決議をしていただきましたということは、戦後の日本の国会において、食糧自給力を高めろというような決議をされたということは全く画期的なことでございまして、私どもとしては、やはりそれは真剣に受けとめておるわけでございます。  特に、最近の世界情勢を見てまいりますと、ソ連のアフガニスタン侵入に伴うアメリカの対ソ穀物輸出停止というような形で、食糧というものが外交の手段に使われるというようなことが今後とも起きてくる可能性が出てまいりましたし、また、FAOの二〇〇〇年の見通しということで、まだ正式のものではないようでございますけれども、中間的な形で、この間新聞に出ておるのを見ておりましても、二〇〇〇年には世界食糧が、現在より五割増産をしないことには需給が保てない、こういうことが伝えられておるわけでございますし、私どもといたしましては、今後、本会議における決議を十分尊重させていただきながら、国内生産できる食糧というものは極力国内で賄っていく、こういう考え方のもとに対処してまいりたいと思っております。  そういう中にあっても、しかしいま、少し値段が高くてもいいではないかということでございますけれども、もちろんある程度国際価格よりは高いことはやむを得ないと思いますが、幾ら高くてもいいということではなかなか国民理解が得られないと思います。国民食生活多様化に伴って需要変化をしてきておりますが、その需要変化に対応してできるだけ生産をする、しかし、それはできるだけ生産性の高い農家を中核としながらひとつ生産をしていただくというところに国民理解も得られるのではなかろうか、こういうことで、きのうから農水委員会で農地三法の審議をしていただいておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、できる限りそういう形で生産性も高めながら、そして地域の実情に即し、農民の皆様方理解と協力を得ながら、日本国民食生活、その需要に合った形で生産をし、極力国内で賄っていく、こういう考え方で参りたいと思います。  漁業につきましても、二百海里時代を迎えておりますので、昔のような形で自由に世界のあちらこちらで漁獲をするということが困難になってまいりました。今後はそういうことを踏まえてやはり栽培漁業、いわゆるつくって育てそしてとる漁業、この栽培漁業中心といたしまして、沿岸漁業あるいは沖合い漁業、こういうものに相当重点を置いていかなければならない。もちろん、それ以外においてもできれば海外の漁場もできるだけ確保していかなければならぬと思っておりますが、いずれにしても、二百海里時代を迎えて新しい事態、やはり栽培漁業などあるいは沿岸漁業、こういうものを中心として私ども日本漁業振興を図り、それによって日本国民動物性たん白質の約五割を賄っておる魚の資源というものについても確保をしていかなければならない、こう考えておるわけでございます。
  16. 上原康助

    上原委員 私が申し上げたのも別に幾ら高くてもというわけじゃないのです。これまでの日本政府の方が進めてきた農業政策というものが、余りにも国内生産というよりも海外依存というか、国内生産できるものも海外に依存をすることによってむしろ農地をつぶし、農業から離れさせていった、そういう過去の苦い経験といいますかあり方というものは、この決議の趣旨にも盛られているように軌道修正を、大きな転換に迫られているのではないのかということを申し上げたかったわけで、農水大臣農業よりも通商の方が御専門で、すぐそっちの方の保護というのが頭にひらめくかもしれませんが、もっと国内生産自給力を高めていくということにやはりこれから主眼を置かなければいかぬのじゃないのかということを申し上げているわけでありまして、そういうのを基本にしながら、やはり価格の問題とか生産性の問題というのは当然あるわけで、いずれにいたしましても、国権の最高機関とも言われる本会議決議をされた趣旨につきましては、担当大臣として特に御留意をいただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思うのです。  そこで、国内自給力をどう向上させていくかということとも密接不可分の問題になるわけですが、目下の国際糖価というのはどうなっているのか、また、国際砂糖相場というか状況、環境というのはどのように受けとめておられるのか、現況とこれから日本国内需要、そういう面に及ぼす影響等についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  17. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のように、国際糖価は大変高い水準で乱高下を続けております。本年一月から二月には一番の高値を記録いたしまして、二百八十七ポンドと、従来の百ポンド水準に比べると三倍に近い水準を記録したわけでございます。これは御案内のように、自然災害によるキューバやタイの減産とソ連の大量買い付け等が直接の誘因になりまして、その後投機資金の大量の流入が砂糖市場へあったこと、さらに不安定な国際情勢を反映したものと考えております。二月中旬から最近までは若干下げ戻しております。これは国際砂糖協定に基づきます特別在庫の放出があった事情、それから西欧のビートの作付面積が増加が見込まれるという予測が発表されたこと、それから投機資金の流入が、アメリカのインフレ抑制策によってむしろ砂糖市場から流出したこと、こういったことが理由だろうと思っております。今後の動向はなかなか予断を許さないと思っております。  私ども、この問題を判断するには幾つかのファクターがあると思います。一つは、ことしのサトウキビ、ビートの作付の問題でございますが、特にソ連がアメリカの穀物の輸出規制に対応して穀物とビートとの間で作付の転換をどう図っていくかという問題、それからも一つは、ブラジルあるいは豪州、タイ等で進んでおります砂糖のアルコール化の動向、そういったもの以外に、一般的な政治情勢、また関連商品の国際市況、さらに投機資金の動き等が影響してくると思います。率直に申し上げまして、現時点で的確な見通しを行うことは困難ではないかと思いますが、やはりトータルとして“見ますと、基本的には砂糖の需給は堅調なものに変化してくるということは否めないところだろうと思いますし、また、価格としても高い水準でかなりの乱高下が続くと思っております。  こういった状況を反映いたしまして、いわば輸入価格も年々かなり大幅な高騰になっておりまして、ある時期は現在の価格安定制度の上限価格に張りつく状況まで来たことも事実でございますが、その後の反落で現在はある程度の格差を維持しているというところでございます。
  18. 上原康助

    上原委員 これまでも砂糖というのは大変国際相場に左右されてきている。あるいはまた天候といいますか、そういう生産地域における環境にも大きく左右されてきたことはいま御答弁があったとおりだと思うのですね。一時期異常な市場混乱といいますか、あるいは価格も暴落をいたしまして、国内産糖を含め相当ピンチに立たされたことも記憶に生々しく残っております。しかし、いまも御答弁がありましたように、最近の国際状況といいますか砂糖相場、あるいはビートの大量生産国の生産の低下といいますか減、そういうのもあるやに聞いておりますので、従来よりはこの価格も一定の維持がされ、需要供給のバランスも堅調にいく可能性はあるのじゃないかという気がするわけですね。  そこで、そういうことを想定をする場合にはやはり国内産の保護ということと、従来から問題になってまいりました豪州との、これは民間ベースの協定のようですが、これの見通しはどういうふうに政府としてはお考えなのか。これも指摘をするまでもなく、価格変動によって大変な政治問題になってきている。要するに八一年でしたか、来年の六月にたしか期限切れになると思うのです。その後の砂糖協定というものはどのようにお考えなのか。固定相場でいくのか変動相場でいくのか、また量は五カ年でたしか三百万トンでしたかね、その程度のことをお考えなのか、このことについてもひとつ政府のお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  19. 森実孝郎

    森実政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のように、現在の豪州との長期契約は昭和五十六年の六月に期限切れとなることになっております。まだ現在契約当事者、つまり民間ベースでの交渉は開かれておりません。具体的な交渉は進んでおりません。今後どういう交渉が進むかは、事態の推移を見守っていきたいと思っております。いずれにせよ、豪州はわが国の輸入砂糖の安定供給先であるということは、私どもも砂糖の供給安定の観点から評価していかなければならないと思っておりますが、御指摘の価格問題等はなかなかむずかしい問題もあると思いますので、契約当事者間の話し合いを十分注視してまいりたいと思っております。
  20. 上原康助

    上原委員 そうしますと、政府としては現在の協定が終了した段階でもさらに継続をしていく、その内容とか具体的な取引ということにつきましては当事者間に任す、こういうお立場ですか。
  21. 森実孝郎

    森実政府委員 内容と申しますか、話し合いがつくかどうかということと、契約をさらに将来に向かって締結していくかどうかということは表裏一体の関係でございますので、なかなか切り離して考えるわけにはいかないとは思いますが、しかし基本的には、相当量の豪州糖を安定的に輸入するという取り決めは行われる公算が非常に大きいし、また、それはそれなりわが国の砂糖の供給安定という視点から評価をすべきものというふうに見ているということでございます。
  22. 上原康助

    上原委員 これも国内生産量が非常に落ち込んでいる、ビート、サトウキビを入れたってたしか一六か一七、八%ですね。二〇%を割っているという段階では、国内需要を満たし切れないわけですから、どうしても豪州なりその他の外国から輸入をせざるを得ない、こういうことになろうかと思うのですが、先ほども申し上げましたように、できるだけ国内自給率を高めていくという、しかも政府はせめて二〇%までは国内産糖で賄うという計画も一定時期おつくりになったわけですね。だがそれが、計画目標ではあるがなかなかいかないんだということで足踏み状態になっている。こういうことなども、今後の国際見通しども立てて、やはり国内でもっと砂糖の生産量を高めていく、あるいは生産性を上げていくという努力をしていただきたいと思うのです。私はそれが必要だと思うのです。  そのことを私たちはかねがね政府に強くお願いをしてきたわけなんですが、いまの国際環境等もあわせて考えた場合に、これから国内の砂糖生産というものをどう高めていくか。その場合に何といったって北海道のビート、あるいは沖繩のサトウキビ、甘庶糖ということになると思うのですが、これからの沖繩のサトウキビ振興策についてはどのようにお考えなのか、今日までも、政府の助成措置価格の問題あるいは反収の増加、増進ですね、もちろん基盤整備等を含めていろいろとやられてきているわけですが、今後政府としてどのような振興策をやっていかれようとするのか。また、価格面についてもわれわれは生産費所得補償方式ということを従来から主張してまいりましたが、いまの糖安法、そういう面では制度的、法的面ではなかなかむずかしいということで、これもずっと実現をされないままに経過をしてきている。現段階で、今後のサトウキビの振興国内の砂糖の原料確保というもの、これについてどのような方針でやっていかれようとするのか、まずその基本的なお考えからお伺いをしてみたいと思うのです。
  23. 森実孝郎

    森実政府委員 現在、わが国の砂糖の生産量は、御指摘のようにビートが約四十六、七万トン、甘庶糖が二十二万トン、合わせて七十万トンに近い水準になっております。これは、自給率としてはなお二三%程度でございますが、絶対量で申しますと、戦前のわが国の人口なり消費水準を考えれば、大体戦前の規模であれば賄える程度のところまで北海道、沖繩、鹿児島の三県で生産確保されているという状況になっていることは御案内のとおりでございます。  私ども、やはり砂糖についても適地適産の原則に従いながらその生産振興すべき必要があると判断しております。特に、沖繩のサトウキビの問題につきましては、従来からも甘味資源の特別措置法に基づいて沖繩県をサトウキビの生産振興地域に指定しておりまして、生産の増大、反収の増大、さらに収穫作業の省力化の問題、優良種苗の普及の問題等努力をいたしているつもりでございまして、特に五十五年度からは新たに土壌改良、害虫の防除等を行うための生産向上対策事業やあるいは収穫機械の改良普及を図るための現地適応実証展示圃等の対策も実施しているわけでございます。  また、価格対策につきましては、これも御案内のように、現在価格安定制度のもとに糖価安定事業団による買い入れ、売り渡しを通じて、分みつ糖については価格支持を行っているわけでございますが、この基本は今後とも堅持すべきものと思っております。また、特に沖繩の離島について問題になりますコスト面の不利を補正するための糖業振興臨時助成費等も、今後とも問題の重要性を十分認識しながら、必要性に応じて維持していきたいと思っております。
  24. 上原康助

    上原委員 これまでの御方針を堅持していかれるようですが、それは了としながらも、やはり従来、支持価格の問題をわれわれが、農民の方々が要求するまるまるはいかないにしても、もう少し、せめて六割ないし七割程度までは上げるべきじゃないのかと言っても、なかなかそういきませんよね。財政事情もあることもわかりますが、要するに鶏が先か卵が先かという論議になった面も、そう受けとめられることにもなろうかと思うのですが、支持価格が抑えられて、生産性を向上するあるいは耕地面積の拡大をしていくというのは、農民にとってはなかなかむずかしいことですよね。それと、国際的に非常に左右されるというようなことを考えた場合には、国の先導的な政策誘導といいますか、役割りというものがあらゆる農産物には必要だと私は思うのです。  特に離島県である、サトウキビしかつくれない、単作をしている。北海道のように耕地が非常に広くて作目転換も年々の気候状況なりあるいは農産物価格の変動によって多様化できるという面は、なお利点はあるわけですが、沖繩の場合そういかない面があるわけですね。そこをぜひ御配慮いただきたいということ。ですから、いま御答弁もありましたが、今後のサトウキビ生産合理化緊急対策事業というものはぜひ継続して充実をすべきだということ。さらに、含みつ糖の合理化緊急対策事業費につきましても、最近いろいろな新聞報道なりを見ていますと、一時たくさんのストックを抱えておって、厄介者扱いと言ったらちょっと変かもしれませんが、要するに黒糖ですね、含みつ糖が非常に売れ行きがよくなって人気が出てきた。これも市場関係、いろいろな面に関連はしていると思うのですが、離島振興という面からしても含みつ糖の保護というものは絶対不可欠な、必要なことなので、このことについてもわれわれは分みつ糖並みの保護をやってもらいたいということを常に主張してまいりましたが、これもなかなか容易でない。このことについてもなお力を入れるべきじゃないかということです。  それとの関係におきまして、やはり北海道のビートもそうでしょうが、奄美、鹿児島、沖繩を含めての砂糖需給の適正化及び糖価の安定を図るという意味で例の砂糖の売戻し特例法も策定をして、これもいまいろいろと検討されていると思うのですが、これらのことを考えてみました場合に、特例法の果たした役割り、趣旨というものは、私は、やっぱり当分の間継続して、生かすべきだという立場をとっているわけです。また、沖繩にとっても、これは絶対必要な措置で継続していってもらいたいという強い要求が出されていることも、大臣を初め関係の皆さんもおわかりのとおりだと思うのです。そういうことに対して、総合的なことになると思うのですが、今後の国内糖業というものをどのように推進をしていかれようとするのか、また、この特例法についても、やはりその趣旨を生かすように最善の努力を今後も続けるべきだと思うのですが、沖繩のサトウキビ振興あるいは含みつ糖その他の問題等について大臣の御所見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  25. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 細かくは後ほど局長から御説明させていただきますけれども、やはり沖繩の置かれておる中においてそういう面の振興を、沖繩の振興の一環としてこういうものを考えていかなければならない、ほかになかなか代替を考えることのできない沖繩の実情というものは私もよくわかっておるわけでございまして、そういう点において、極力その振興を図っていかなければならないと思っております。  ただ、それとの関連で特例法をどうするかというお話でございますけれども、まだ私ども特例法を延長するのかどうか、結論は実は出していないわけでございます。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕 また、正直特例法の延長と沖繩のそういう甘庶をやっておられる農家振興と一致しておるかというと必ずしもそうではないという点も私は思うわけでございまして、製糖工業界の実情なりいろいろのことをやはり考え、あるいは国際相場なりそういうものも考え合わせながらこの特例法を延長するかどうかは判断をしていかなければならないので、沖繩の農家方々だけを思えばこれは延長した方がいいという気持ちは持つのでございますけれども、ほかのいろいろな問題もございますので、その辺で、特例法の延長をするかどうかという点についてはいろいろむずかしい問題もあろうかと私は思っておりますが、いずれにしてもまだ結論は、正直いま現時点では出しておりませんので、今後検討を続けていかなければならないと思っておるわけでございます。
  26. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のございました生産生産費なり価格の関係の問題でございます。  私ども、やはりサトウキビについては生産合理化の余地というのは非常に大きいと思っております。そういう意味では、生産対策を通じてコストを引き下げる努力が基本にあると思っております。また、コストの把握がなかなかむずかしい作物でございまして、特に沖繩については剥葉労働等をどう見るかというふうな問題がありまして、トータルとして評価しますと、生産費は現在政府が決めている価格でカバーできるところまではおおむね来ているのではないだろうかと思っているわけでございます。なお、価格政策の運用に当たっては、今後とも十分実態を考慮し、慎重を期してまいりたいと思っております。  次に、含みつ糖の問題でございます。  御案内のように、含みつ糖については需要が低滞している、減少しているという事実は否みがたいと思っております。その意味では、やはり需要に見合った生産に持っていくということが基本だろうと思っております。その意味では、沖繩産の含みつ糖については、九千トン前後、一万トン程度が適正な生産量ではないか。その意味では、含みつの分みつ化ということが基本だろうと思っております。前々から先生からも御指摘もございまして、ことしから伊是名で分みつ糖工場化を進めることにいたしまして、分みつ工場が近く建設されることになっております。こういった措置を講ずることが基本だろうと思っております。さらに、含みつ糖につきましては、生産合理化、品質の改善、用途の開拓等には今後とも努力をしていきたいと思っております。  また、価格制度としましては、御案内のように、復帰対策の一環として、現在価格差補給金を交付しておりますが、この価格差補給金は今後とも継続すべきものとわれわれ考えておりまして、この制度による保護考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  27. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先生の御質問の中に、サトウキビ生産合理化緊急対策事業を継続すべきではないかというお話がございました。先生御案内のとおり、この緊急対策事業は十億円の予算規模をもちまして、五十二年度から三年間ということでスタートしたものでございます。したがいまして、五十四年度で終了年度を迎えるということで、五十四年度で一応打ち切ったわけでございます。ただ、沖繩のサトウキビにつきましては、今後とも生産性の向上と生産費の軽減が急務であるという認識に立っておりますので、五十五年度からは、新規に計画的、集団的な土壌改良をやる、あるいは計画的、集団的に害虫、野鼠の防除等、こういうものを実施することを内容にいたしますサトウキビ生産向上対策事業というものを八億の予算規模をもちまして実施いたしたい、こういうことで考えておるわけでございます。
  28. 上原康助

    上原委員 いまのサトウキビ生産向上対策事業費ですか、これは確かに、生産合理化緊急対策をわれわれが継続しなさいという裏返しといいますか、これに伴って五十五年度から計上されているわけですが、額が減少した、落ちたということと、それからこれも一応五十七年度までですね、五十五年、五十六年、五十七年と、八億、五億五千万、三億と。ですから、緊急対策事業費も三年、今度の生産向上対策事業費も三年で打ち切られると、やはり問題が生ずるということは、いまの段階で五十七年度以降まで論ずることはちょっと早いかもしれませんが、少なくとも額の変動は、予算措置とかあるいは生産向上、そういう面のことがいろいろありますから、変化はしていっても、それに類似をするものは継続をしていくという方向性はぜひ持っていただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。  そこで、含みつ糖のことについては、価格差補給金は今後も継続していきたい、またいかなければいかないという強い御答弁がございましたが、たしか五十五年度は、これは開発庁予算に計上されておる分ですか、十二億五千八百万。開発庁来ていらっしゃいますね。
  29. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のとおりでございます。開発庁予算に計上したものを移しかえて支出しております。
  30. 上原康助

    上原委員 もちろん生産量、そういう面に変化が出てくると思うのですが、この程度のことは継続して農林水産省としてもやっていきたい、またやるべきだというふうに先ほどの御答弁理解してよろしいですか。
  31. 森実孝郎

    森実政府委員 私申し上げておりますのは、制度は、特別の事情の変更がない限り継続すべきものと考えておりますが、数量につきましては、先ほども申しましたように、需要に見合った生産をつくり上げる努力を基本に置かなければならないと私ども思っておりまして、数量の問題については十分地元とも話し合いながら合理的な規模に持っていかなければならないと思っております。
  32. 上原康助

    上原委員 数量の問題は、私も離島各地をときどき回って感ずるのですが、いろいろあろうかと思います。先ほどありましたように、伊是名が含みつから分みつ工場への転換をやっているわけです。そのほかにも若干あるかもしれませんが、どうしても含みつ糖しか、黒糖しかつくれないという僻地、離島のことにつきましては、これからも出てくる問題ですので、そこいらは十分御配慮いただきたいと思いますし、われわれとしてはこの含みつ糖の問題につきましてもできるだけ分みつ糖並みの保護策を講じていただきたい、法制度による制度的な保障措置といいますか保護措置というものを講じていただきたいということを改めて要請しておきたいと思うのです。  そこで、時間の都合もありますので次に進みます。  次も沖繩特有といいますか、これこそサトウキビよりも沖繩特有のパインの問題についてお尋ねしたいと思うのです。  これも私は沖特あるいは予算の分科会においても何回か取り上げてきたわけです。端的に申し上げて、地元の努力なり関係者努力を要する面もまだあると私も思います。あると思いますが、基本は、自由化をされてきたがゆえに、サトウキビもそうですが、大きなダメージを受けてきていることは間違いないわけです。最近のパイナップルの国際環境といいますか、状況あるいはまたそれとの関連で、沖繩産の取り扱い状況などはどういうふうになっているのか、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  33. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 パイナップルかん詰めのわが国での供給は、一つは沖繩の製品、それからIQでやっておりますが、輸入のパイナップルかん詰め、それからもう一つは冷凍パインの姿で輸入されましてこれがかん詰めになって供給されるという三つの供給源があるわけでございます。沖繩品が増加傾向にある中で、五十三年までは冷凍パインかん詰めも非常に増加しまして、市場での競合が心配されたわけでございます。しかし五十四年になりますと、冷凍パイナップルの輸入減に伴いまして冷凍パインかん詰めも落ちつく傾向にございます。他方、需要の方でございますけれども、従来冷凍パインかん詰めとの競合等から、沖繩品の在庫増が懸念されておりましたが、五十四年度末にはほぼ正常な在庫量に落ちついておりまして、五十四年度の沖繩品の消化は、おおむね正常に推移をしておるというふうに見ておるわけでございます。
  34. 上原康助

    上原委員 今後の見通しはどのように見ておられるのですか。
  35. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 五十五年産のものにつきましてはこれからということでございますが、これにつきましては、冷凍パインのかん詰めといいますものも従来の在庫のものも、前年からのずれ込みのものもあるようでございますので、安心はできないと思います。したがいまして、今後ともその抑制というものには努力をしてまいりたい、こう思っております。
  36. 上原康助

    上原委員 確かにいま局長答弁ありますように、冷凍パインの問題なのですが、五十四年度は、きのう皆さんからいただいた資料によると幾分数量は落ちていますね。五十四年が一万九千四百四十七トンですか、五十三年が二万八千七百七十トン。しかし問題は、この冷凍パインの取り扱いなのですよ。これは当初はかん詰め化しないという前提だったと私は記憶しているわけですね。四十七年でしたか、冷凍ペインを入れるということは将来非常に問題が生ずるよということをあの当時からわれわれは指摘したわけですが、相手国との関係もあるということでやられて、私たちの記録によりますと、五十年から現在までを仮に見てみましても、輸入パインでのかん詰め化されたものは、五十年が三十九万ケース。五十二年になると百三万ケースになっていますね。五十四年が百十五万ケース。こういうふうに年々増加してきているわけですよ。こうなりますと、もう沖繩産等のかん詰め化されたものとほぼ同等の量に近づきつつあるわけで、これではなかなか太刀打ちできない。幾ら生産合理化しなさい、あるいは価格の問題を考えなさいと言ってみても、どんどん冷凍物を入れておってはどうにもならないのじゃないでしょうか。したがって、かん詰め化しないという前提であったとするならば、ここまで膨張してきたもの、拡大されてきたものがいまさらということになってはいかないと思うのです。複雑な問題があるということは私もある程度わかりますがへもう少しこのことにつきましては、行政指導なり関係業者へのいろいろな対策を講じていただかないとならないのじゃないかと思うのです。  ですから、沖繩県のパイン果樹生産振興対策推進協議会なりあるいは県の農業協同組合、生産者代表等が昨年の十二月でしたか、パイナップル産業保護育成に関する要請というものをやって、またつい最近もこれがなされていますね。このことにつきましては、五十四年度はほぼ正常な消費が沖繩物についてもなされた。しかし、五十五年度以降になるとちょっと横ばいで、先行き不安だといま大変心配をしているわけですね。だから、これもいろいろな点は指摘はされると思いますが、昭和四十八年、四十九年ごろは実に九万四千トン、九万五千トン、約十万トン近い生産量であったわけですね。その後大変な困難があってがたっと落ち込んだ。三万五千トンまで落ち込んだ。最近ようやく四万数千トン、まあ五万トン台に乗せようかという生産目標を立てて――六万トンくらいですか、立ててやろうというやさきにまた先行き不安となりますと、ますます農家生産意欲というものを阻害してしまう結果になりますので、せんだっても局長にお会いをしていろいろお願いもしたわけですが、要するにグローバル物の輸入時期を一定時期ずらすとかあるいは数量を幾分減らすとか、沖繩産優先消化ということに対しての行政指導といいますか、そこをぜひやっていただきたい。  さらには冷凍物に対する関税引き上げという意見も強いわけですが、これも御承知のように四十七年でしたか、二〇%から三五%に引き上げたという前例もあって、最近また東京ラウンドではむしろ向こう何年かに三〇%に落としていくという方針変更が出てきているわけでしょう。そういう面からすると、いまの状況では上げるということはなかなか容易でないことは私も理解をしないわけではありません。しかし、この数量の問題等についてはもっと考えるべきだと思うのですね。同時に冷凍物であるという表示、ラベルの問題等ども、どうも言い過ぎかもしれませんが、野方図になっているのではなかろうか。  これらのいま私が指摘をした事柄についてどのように今後対処していかれるのか。このパイン問題については政府の真剣な御配慮が私は求められていると思うのです。そういう意味で御努力もいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  37. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 パイン問題でございますが、実は四十九年に百四十万ケースという大量の過剰在庫が出まして、これの対策で大変だったわけでございます。その結果、ただいま先生からお話がございましたように、冷凍パインの関税を二〇%から三五%に引き上げる、あるいはまた冷凍原料使用の表示を義務づけるというようなことをやり、また、輸入商社等なりかん詰め製造業者への自粛要請というようなこと等もやってまいったわけでございます。今後とも沖繩品の優先消化という観点に立ちまして、こういう努力はさらに続けていきたいというふうに考えております。  ただ問題は、沖繩のパイナップル生産なりこれの使用のあり方をどう持っていくかということが私は基本にあるのではないかというふうに思います。前の四十九年のときに、いわゆる沖繩産のパイナップルは大体かん詰めに向けられておりますけれども、かん詰めだけでなくて、むしろ果汁、ジュースをしぼってはどうかということで、本島と石垣島に対しまして、それぞれ冷凍、濃縮の製造の果汁工場の建設補助を十分の六の補助率でもって行ったわけでございます。両方とも稼働に入っておるわけでございますけれども、やはりそういうものを利用するということで、沖繩産のパイナップルにつきましてはかん詰めにする一方、それとあわせて果汁も生産するということで、両々相まっていかないとまずいのではないかというふうに私は考えております。そういう面で、今後県の方とも十分その辺を連携をとってやっていきたいと思います。  なお、先ほど申し上げましたように、かん詰めの方につきましての関税措置も三五%ということでやっておりますし、冷凍原料使用の文字の拡大なり着色料使用の場合の表示の義務づけ等、引き続き行政措置でできるところはやっていきたい、こういうふうに思っております。
  38. 上原康助

    上原委員 もちろん、そういった原料の多様化といいますか、いろいろ工夫をせにゃいかないということはそのとおりかと思うのですが、一昨年になりますが、予算の分科会で二瓶局長はお答えになったこともある。あのときも三五%の関税引き上げだけでなしに、いろいろな手を今後も打っていかざるを得ないと答弁なさった。さらに当時の渡辺農林大臣も、JAS規格の明示とか品質改良の促進、さらにはタイからの輸出についても秩序のある輸出を求める、こういう御答弁もしておられるわけですね。その後一年有余経過して、確かに昨年は、いま御答弁もありましたように、ある程度順調な市場関係が保たれておったのですが、先行き非常に不安を持っているということ。しかもそろそろ生産期に入りますね、八重山は五月段階から、早いところは。そうしますと、これからのことになりますと、この輸入グローバル問題等、冷凍パインの量の規制というもの、あるいはかん詰め化をできるだけさせないという基本に戻ってこの問題には対処していかれぬと、いまのままではどうしても資本の強い方あるいは安物勝ちというようなことになりかねませんので、沖繩側に新たなジュース化の問題とかいろんな品質の改良、そういったものを求める、生産向上を求めると同時に、政府立場でできる問題等についてももう少し積極的なお骨折りをいただきたいと思うのですが、そういうお立場でやりますね。
  39. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 先ほども申し上げましたとおり、この冷凍パインを使用いたしますかん詰め、この面につきまして自粛の要請なり、あるいはかん詰めの冷凍原料使用の表示の問題等につきましても、十分行政指導でもってやっていこうということは申し上げたわけでございます。ただ、その行政指導でわれわれやります一方、先ほど申し上げましたように、沖繩におきましてかん詰め一辺倒という形でなくて、むしろかん詰めと果汁という形で二本柱でいっていただくのが、沖繩のパイナップルの将来を考えた際もその辺がむしろ至当ではないかということで、そういう面もお願いをしたいということを申し上げたわけでございます。
  40. 上原康助

    上原委員 このことにつきましてはぜひ積極的な御努力を賜りたいと思うのです。  次に進みますが、若干前後いたしますが、沖繩の水産業のことについてちょっとお尋ねをしてみたいと思うのです。  言うまでもありませんが、二百海里時代を迎えている。また、エネルギー問題等もあって、なかなか海運業というか漁業も大変な状況にいま置かれている。燃油価格の高騰などもあって、これは沖繩に限らず日本全体の水産業の見直し、遠洋から沿岸、あるいは規模の大規模から中型、小規模というように迫られている面もあると思うのですが、できればこのことについては大臣の所見を伺っておきたいのですが、二十分の約束がもう三十分近くなるのだがまだお帰りにならぬので進みますが、今後沖繩の水産業についてはどのように進めていかれようとするのか、また、現状はどうとらえておられるのかということ。  私の方から若干申し上げますと、たとえば沖繩振興開発計画では、沖繩県は漁業にとって非常に有利な地理的、自然的特性を持っている。そういう特性を生かして、一つには漁業生産基盤を整備充実化していぐ。二つ目には漁業経営の近代化を図る。三つ目には流通機構の整備と漁業協同組合の育成を図っていきたい。四つ目には増養殖業の振興と漁場環境の保全、五つ目には水産試験研究の拡充と普及事業の強化を図っていく、こういうふうに大変りっぱな目標を立てられているわけですが、もちろん、この目標達成には単に政府だけでなくして県段階関係者努力も必要であることはわかりますが、一番おくれてきたのは沖繩の水産業なんですね。  米軍支配下においてはほとんどそこまで手が回っていない。あるいは軍事基地その他の演習場が島の周辺に張りめぐらされていることもあって、ほとんど漁場というのが活用されていなかった、しにくいという条件にあるわけですが、ここいらの点も含めて、政府の御見解を承ってみたいと思うのです。
  41. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 先生御指摘にございましたように、沖繩県における水産業振興は、沖繩の振興開発特別措置法という法律に基づきまして、振興開発計画の一環として進めてまいりました。第六次の漁港整備計画に基づく漁港の整備であるとか、先生御指摘になりましたように、水産業の構造改善の特別対策事業による生産、流通、あるいは沿岸漁場の整備開発事業による人工魚礁の設置等の事業を実施してまいったところでございますけれども、先生御指摘のように、沖繩県の水産業は、残念ながらまだ全国の水準あるいは平均から見ましておくれがいろいろ見られるということで、われわれといたしましても、在来のこれらの事業の拡充を通じましてなるべくテンポを速めて、全国水準に近づくように精いっぱいの努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  42. 上原康助

    上原委員 ですから、大変おくれている。いま私が申し上げた五項目のこの目標があるわけですね。これの達成状況といいますか、進捗状況はどうなっているかということです。農水大臣も、つくり育てる漁業を積極的に推進をしていくと述べておられるので、ここいらをどう進めていかれようとするのか、もう少し具体的な内容をお聞かせいただきたい。漁港の整備とかあるいは漁場の確保とか養殖業、そういうものはどういうふうにいま推進されようとしているのか。  さらに、沖繩には相当のCTS基地があるというようなこととも私は無関係ではないと思うのですが、海岸、海浜の汚染もひどいですね。タンカーからの海上投棄もなされている。こういう影響下で、オイルボールその他で漁場そのものが破壊されかねない現状にある。こういうことについて政府はどのようなお立場で対処するのか。  もう一点は、今年度の予算で、たしか栽培漁業センターの設置費ということで六千三百万ですか、本部町に栽培漁業センターを設置するということのようですが、その事業内容、設置効果、これからの見通しなどをお聞かせをいただきたいと思います。  さらに、まとめて言いますが、サメによる漁民の被害なども重大な問題になっています。たとえば八重山の波照間沖などの漁場では、年間二十億円前後の水揚げがあるようですが、サメによる被害額もその四分の一、五億円前後に達している。これは漁民の皆さんが自力でいろいろ対策を立てているようです。イルカの被害防止対策ですか、そういう面は国の方からも助成措置をやっているようですが、このサメの被害についても、これは単に漁民だけの問題で片づけられるということにはならないと思うのですが、そこいらを含めてお聞かせをいただきたいと思います。
  43. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 先生から幾つかの御質問がございました。  一番最初に、いろいろな事業の進捗状況は一体どういうことになっておるのかという御質問でございますけけれども、漁港につきましては、いずれも五十二年から五十七年までの五年計画ということでございますけれども、五十五年の末までにはその計画の約六五・八%を達成するという計画にいたしております。全国の平均ではこれが約五六%ということでございますので、漁港に関する限りは全国の平均よりは進捗状況が早いということでございまして、五十七年までにはぜひ一〇〇%目標を達成するようにしたい、また、今日までの工事の進捗状況でまいりますれば、それは当然達成できるものと私ども考えております。  構造改善事業も五十三年から五十九年までの計画にいたしておりますけれども、これは現在までのところ、五十五年の末までで約四四・八%ということで、終期が五十九年でございますから、まだ五十九年までに達成できるかどうか予測のつけにくい段階でございますけれども、今日までのところ、ほぼ順調にまいっておるというぐあいに考えております。  そのほかの事業は、事業によりまして五十六年末、五十七年末で終わるものがございますが、いずれも八〇%前後の進捗状況を示しておりますので、ほぼ計画は達成できるのではないだろうかというぐあいに考えております。  第二番目の問題は栽培センターの設置の問題でございますが、栽培漁業センター、これは各県につくっておりまして、沖繩県の栽培センターにつきましても、今年度の予算で補助をいたしましてその設置を行いたいと考えております。場所は国頭郡の本部町、沖繩本島でございますが、そこに工事の完了を三カ年の予定でこれからセンターをつくりたいと考えております。  主要な施設といたしましては、陸上に種苗の生産施設、池であるとかそのほかの施設をつくります。それから海上にも小割り生けすというようなものをたくさんつくりまして、海上で種苗を飼ってまいります。それからそのほかにもちろん管理棟であるとか実験棟であるとか、あるいは作業運搬船というような付属施設を予定しております。  それで、主要対象魚種及び種苗生産予定数、これは完了した五十八年度の数字でございますけれども、ハマフエフキダイ、これを大体六十二万五千尾ぐらい放したい、ミナミクロダイ六十二万五千尾ぐらい、ヒメシャコガイにつきましては十万尾、クルマエビにつきましては百万尾ということであります。  何分にも新しいところでやる事業でございますから、どれぐらいの効果があるだろうかということは的確にはなかなか申し上げにくいのでありますけれども、これらはいずれも地つきの魚でございますし、いままでほかの地域でやりました経験を生かせばかなりの経済効果が上がるのではなかろうか、とらぬタヌキの皮算用かもしれませんけれども、そういうぐあいに考えております。  それから先生御質問の第三点は、タンカーの廃油ボールによる汚染の問題でございます。ちょうど沖繩本島はタンカールートに接近をいたしておりますものですから、主として南西諸島を中心にかなり廃油ボールの漂着等の被害が発生をいたしておりますけれども、この問題は、基本的にはまず関係法令の厳正な運用、それから不法投棄に対する監視、取り締まりの強化ということで根絶をしてまいらなければならないわけでございまして、水産庁といたしましては、その意味で関係省庁にいろいろな要請を行いますとともに、必要に応じいろいろ協力、連携を図ってまいったところでございます。  また、原因者不明の廃油ボールなどの漁業被害につきましては、漁場油濁被害救済基金というものがございまして、国がこの基金の行う救済事業に対して助成を行っております。沖繩につきましても、五十四年度にはこの基金から、約十九件の廃油ボールの漂着についてその防除費の助成を行っております。いずれにしろ、廃油ボールの問題はなかなか根絶はむずかしい問題でございますけれども、いままでの諸施策を充実強化いたしまして、被害の防止が大事であるというぐあいに私ども考えております。  第四番目の問題はサメの被害の問題であったと思いますが、先生が御指摘になられますように、サメの食害がこのごろ非常にふえてきた、かってはサメをとる漁業があったということ、あるいは沖繩の場合でありますと近隣でサメを対象とする漁業があったということで、かつては比較的被害が軽かったのではないかと思うのでございますけれども、最近はその被害が非常に目につくようになってまいりました。同じような被害は伊豆諸島にも発生をいたしておりまして、その意味で東京都の水産試験場で国の指定調査研究総合助成事業ということでサメの資源、生態の調査、被害を防除するにはまず生態を明らかにしなければなりません、それからどうやってとるかという問題、あるいは駆除をする、追い払う、そういう効果などの面につきまして研究を行ってまいりました。その成果を評価の上、沖繩県とも十分に協議をしながら、早急にどうやったらサメの駆除対策ができるか、沖繩県と十分相談をしてまいりたいというぐあいに考えております。
  44. 上原康助

    上原委員 そういった起きているいろいろな被害等についてぜひ積極的な措置を講じていただきたいということ。何といったってあれだけ海に囲まれている、豊富な漁場を四面持っているわけですから、それをもっと振興開発計画の中でも位置づけ、生かしていくということを開発庁ともよく御相談の上、やっていただきたいと思います。  そこで次に、この漁業の問題との関連で、漁船用燃料の確保、最近の油の高騰もさることながら、燃料そのものの確保がむずかしいという状況がここ二、三年来出てきているわけですね。漁船用燃料の、特にA重油が値上がりしただけでなく、燃料そのものの確保が困難、もちろんこれは沖繩県だけじゃないですね、全国的にそういうような現象があると思うのです。  しかし、全漁連の方針は、原則として漁船の実績に基づいて供給をやる。だから、実績がないとかあるいは新規の漁船建造をしたというようなことになると、なかなか燃料確保がむずかしいという事態が出ているわけですが、これに対しては、きのういろいろレクチュアを受けてみますと、何か低利融資制度があって、遠洋、近海、沿岸、やっているというのですが、やはりもっと財政的といいますか、予算措置を講ずると同時に、燃料確保の問題については水産庁として力を入れるべきじゃないのかと考えるのですが、現状どうなっておって、これからどうなさろうとするのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  45. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 石油の需給の問題、昨年大変逼迫をいたしまして、先生御指摘のように、逼迫をしたという状況の中で石油の奪い合いっこをする、したがいまして、供給者側は実績以上には供給しないということでいろいろの摩擦が出てまいったわけでございますけれども、幸いにして最近は、量的には、沖繩を含めまして全体的に言えばほぼ均衡状態にあって、量に関する限りは奪い合いというような事態は一応解決をされて、やや小康状態を保っているのではないかというぐあいに考えております。しかしまた、今後の問題でございますと、地域によっては油の獲得に円滑を欠くような場合が出てくることが将来あるかもしれませんけれども、そういう事例が発生した場合には、在来もやってまいりましたように、その都度、個別具体的なケースにつきまして私どもの方から資源エネルギー庁の方に連絡をいたす、そして関係業界に指導をしていただきまして、個別具体的に問題の解決を図りたいというぐあいに考えております。
  46. 上原康助

    上原委員 量的な面は一応確保されているということですが、また変化もあるかもしれませんし、同時に価格問題等については、むしろ値をつり上げるとかいろいろなからくりがなされないとも限りませんから、特段の御努力をやっていただきたいと思います。  そこで、大臣お見えになりましたが、席を外しておられる間に、サトウキビの話の後に沖繩のパインの問題と水産業振興策についてお尋ねをして、局長からいろいろ御答弁があったわけですが、武藤大臣も何回か沖繩に行かれて実情については知っていらっしゃる方だと私は理解をしているわけです。特にサトウキビと関連をしてパインというのも、後ほど時間があれば具体的に申し上げますが、確かに現在、農業生産に占める金高から言うと非常に落ちてきているわけですね。しかし、北部や八重山、石垣を主体に特産物的、基幹産業的といいますか、位置を占めているのは間違いないわけです。こういうものについては、もっと国内生産可能なものの拡大を図るという基本に立てば、冷凍物を抑えていくとか沖繩産の優先消化ということをやっていくとか、いろいろ工夫をしてもらいたいということで、局長からも御答弁がありましたが、改めてこの件についても大臣の所見を承っておきたいし、同時に、沖繩のこれからの振興開発ということを考えた場合に、あれだけの海をどう生かしていくのか。沿岸漁場とか、四囲の海の利用というもの。そういう面では、最もおくれている水産業というものを今後どう農水省としてやっていかれるのか。大まかなことについては私のお尋ねについて大体御答弁がありましたが、政治を現に担当しておられる大臣という立場での御見解も改めて聞いておきたいと思うのです。
  47. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 途中お時間をいただきまして、大変ありがとうございました。  いまの問題、パインの問題にしましても、ちょうど昨年私が就任して間もなく、第一回のASEANの経済閣僚会議が東京で行われまして、その席でもASEANの国々からは、特にパインの輸入について日本はもっと門戸を開けと大変強い実は要望が出てきたわけでございます。しかし私は、日本における、特に沖繩のいまの農業振興していかなければならないという、いまちょうどその過渡的な時期である、しかもまだ内地と比べれば、沖繩の場合どうしてもより振興には私ども温かい手を差し伸べていかなければならないということで、いろいろのそういう施策を考えておるときに、なかなかそう簡単にはいかないということで、私拒否をいたしたわけでございます。そういう意味においても、私どもはこの沖繩のパイナップルの生産というものについては、今後とも極力その振興には力を入れていきたいと考えておるわけでございます。  ただ、局長からも答弁があったことと思いますけれども、構造的にまだまだよりょくしていただかなければならぬ点はございますので、そういう点は沖繩の農家の方にも御協力をいただかなければならぬ点はあろうかと思っておりますが、基本的には、私ども沖繩のこのパインの農業生産についても極力その振興に協力をしていかなければならない、こう考えております。  それから漁業の関係でございますけれども、これは先ほど国会の御決議関連して私お答えをいたしました中にも申し上げておりますけれども、これからの日本漁業というものは、やはり二百海里時代を迎えて沿岸漁場の整備あるいは栽培漁業振興、こういうところに重点を置いていかなければならないことは当然でございます。  そういう面においては、沖繩も海に囲まれておる地域でございまして、海岸線が非常に長いわけでございまして、また、内海的なところもあるわけでございます。内海というか湾があるわけでございまして、そういう面で、沖繩の水産業が、いま申し上げました私どもの二つの、漁場整備あるいは栽培漁業振興というような方向にも向いておるところだと思っておるわけでございまして、たまたま五十五年度にも沖繩県で栽培漁業センターを設置したい、こういうお気持ちのようでございますので、こういう面については私ども喜んでお手伝いをさせていただきたい。そしてそういうものを中心とされて、沖繩の栽培漁業がより振興されていくことに私どもはせいぜいお手伝いをし、それが結果的に沖繩の漁業振興という形でよりよい方向に行くようになることを私ども心から望んでおるわけでございます。
  48. 上原康助

    上原委員 そこで、そういう問題とも関連をいたしますが、あと残った時間、沖繩の振興開発計画関連づけて農業の位置づけをどうしていくかということ。  私は、確かに第二次産業ということももっと考えなければいかないと思うのですが、沖繩の立地条件をどう有効に活用していくかということを考えた場合には、農業振興というものにもつと力を入れるべきじゃないかという感じがするわけですね。確かに、これまでも沖繩県の農業というのは、一般的には技術水準が非常に低い、農業生産基盤の整備が立ちおくれておる、あるいは本土農業との生産性の格差が著しい、農業問題を言うとこういうことが指摘をされてきたわけですね。そして土地基盤の整備、経営規模の拡大等ということ、言ってみれば構造改善政策をどう拡充強化をしていくかということだったかと思うのですね。  さらに、共済制度の普及、適地適作の奨励、農業技術の開発普及等といった、要するに生産基盤、構造改善等、先導的政策をどう農業に生かしていくかということ、その上に立った価格政策、流通機構の整備等を体系的、効果的に推進をするということが今日まで政府が進めてきた諸施策だったと思いますし、また、振興開発計画の中でうたわれている一つの目標だったと思うのですね。  そこで、これまでにこれらの諸施策は相当進んできているわけですが、農業基盤整備とか経営規模の拡大、構造改善事業など、つまり復帰後この五十五年度の予算までも含めてどれだけの予算措置等がなされてきたのか、また、面積的にはどういう整備拡充が図られてきたのかということをお聞かせいただきたいと思うのですね。その上に立って、その結果、本土との生産性の格差はどの程度まで是正をされたのかということ。  三点目には、さらに、生産性の向上、価格、流通政策等の体系はどのように整い、その効果はどのようにあらわれていこうとしているのか、ここいらの基本的な面についてひとつお答えをいただきたいと思います。
  49. 岡本克己

    ○岡本政府委員 沖繩におきます農業基盤整備の推進状況でございますが、沖繩振興開発計画の基本方針に従いまして、農業用水の確保あるいは畑灌施設の整備、それから畑作改善のための圃場整備あるいは農道網の整備等を中心にいたしまして、畑作の生産基盤の整備を積極的に推進してまいっております。  昭和五十五年度におきましても、御承知のように公共事業の予算の伸びはございませんでしたが、沖繩につきましては前年を五億ほど上回る予算をつけまして、国営事業で言いますと、宮良川地区の農業水利事業、これの積極的な推進、あるいは名蔵川地区の全体実施設計の促進、さらに圃場事業につきましても、灌漑排水事業、圃場整備事業、畑地帯総合土地改良事業、農道整備事業等を中心にいたしまして、県営で八十三地区、団体営で百七十地区、農用地開発公団営事業で二地区、特に財政事情の厳しい中ではございましたが、県営、団体営等につきまして新規事業も相当数の新規着工を行っております。こういうようなことで、今後も、おくれております基盤整備につきましては積極的に取り組んでいきたいと思います。  先ほど御指摘ございましたいわゆる基盤整備の整備状況でございます。内地に比べましてやはり立ちおくれが非常に目立っておると思っております。五十年以降年々対前年比で五〇%を超えるような予算措置を講じてきたところでございます。特に五十四年、五十五年につきましては、財政事情の点からそうもまいりませんでしたが、今後も積極的に促進に努めてまいりたい、このように思っております。
  50. 上原康助

    上原委員 そこで、後でいいですから、資料として四十七年以降五十五年度予算までを含めて、農業基盤整備その他の農業関係でどれだけの予算措置がなされてきたのか、農水省関係あるいは開発庁を含めて整理をして提出をしていただきたいと思うのですが、これはいいですね。  それで、若干質問が残るようですが、後の方の時間の都合もありますので、あと一点でとめたいのですが、そういった基盤整備が立ちおくれているのでこれからも逐年進めていくということですが、最近の農業構造といいますか作目、そういったものを見てみますと、やはり先ほどから申し上げておりますように、サトウキビあるいはパインというのが一つの基幹作目というか作物に位置づけられていることは否定できませんが、最近では野菜や花卉園芸などの多様化という面が非常に注目をされてきております。作付面積、いろいろございますが、時間の都合で申し上げません。  今年は特に野菜というのは大変な値上がりで、雨の中農林大臣がキャベツ畑や大根畑に行って、いろいろ国民の生鮮野菜をどう確保していくかという御努力をしなければいかないという状況下で、冬から春にかけたいわゆる端境期と言われる時期の野菜基地としての沖繩の位置づけ、これに国はもっと力を入れるべきじゃないかと私は思うのです。ですから、農業の作付というのか、作目の転換を図るということをやっていくには、それなりの政策というか、予算面を含めての措置を農民や県の方に先導的にやっていただかなければいかない問題だと思うのですね、花卉園芸を含めて。そういう重大な転換期にいま来ていると思いますが、このことについて今後どう指導をし、また政策的にやっていかれようとするのか、これが一点。  それと、大量生産となって大量消費地である東京とかあるいは大阪、いわゆる関東、関西に野菜なりその他の生産物を輸送をすると、産地化と集出荷体制あるいは流通機構の整備というのは特に必要だと思うのです。これが現在十分でない。せっかくつくっても、冷凍コンテナ船の設備がないので、なかなか思うようにいかない。また、飛行機などで運んでもコストが高くつくというようなことになりますと、国鉄がないというような状況もあって、その面では流通問題というのがこれから非常に大事になっているわけですが、そういうことと関連づけて、沖繩の県知事さんと農業団体との話し合いでは、沖繩県独自の冷蔵コンテナ船の確保を含めた輸送、流通確保というものをやっていかなければいけないということを方針として出しておられる。  これも結構だと思いますが、同時に、これからの農産物の輸送確保、端境期の野菜づくりということを考えた場合には、むしろ沖繩県に輸送公社というようなもの、これは仮称ですが、素人考えですが、そういうものを設立をしてやっていくということが、今後の沖繩農業振興の上において非常に大事ではないかという考えもするわけですが、ここいらのことについて政府としてもひとつ御検討をいただきたいし、同時にまた、県などとも十分協議をしてみたらどうかと思うのです。このことについて、いまどのようにお考えなのか。  それと、時間の都合もありますから、今後の農業振興の面で非常に問題になっているのが、農外資本が買い占めた農用地の問題です。これは海洋博時に相当買い占められている。沖繩本島もそうですが、特に石垣、宮古あたりもです。そういうものの実態はどうなっているのか。  いま、せっかく若い方々農業に復帰をする、帰農しようとしても、土地そのものはもう売り払われて、農外資本に買い占められて遊休化している事態があるわけです。これは県の農業開発公社なども買い戻しを進めているようですが、政府としてもここいらの実態を掌握していただいて、開発庁を含めて積極的に農用地に再び転用していくという施策を講じないと、せっかく芽生えた農業への帰農あるいは農業振興というものがなかなか進まない、こういう実情にいまあろうかと思いますので、これらのことに対しての政府の御認識、御見解を求めておきたいと思います。
  51. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のように野菜、花卉等につきましては、夏場と秋は気象条件から非常に制約がございますが、冬場は温暖な気象条件で、いわば内地の端境期に向かっての野菜等の供給基地として重要な役割りを持つことになると思っております。  そういう意味で、現在露地栽培とか簡易ハウス栽培で、サヤインゲンとかカボチャとかニンジン、キャベツ、レタス、キュウリ等が生産されております。むしろ急速に成長しておりまして、従来の南九州の産地との間に摩擦を起こしているというところまで成長してきていると私どもは評価をしております。今後も、品目の選定の問題、地力の培養の問題、基盤整備の問題、病害虫防除等の問題に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。  次に、輸送問題についての御指摘でございます。ただいま御指摘がありましたような品目は、いずれもわりあいに単価の高い高級品でございます。運賃の絶対額は高いけれども、実は輸送コストの割合というのはそれほど高いものではないという実態がございます。問題は、やはり御指摘のように物流条件の整備と出荷のシステム化ということだろうと思います。私ども、従来冷蔵庫もつくってまいりましたが、必ずしも十分動いてないという点もございます。今後はむしろ地元と十分相談しながら、大型コンテナの導入、保冷施設の設置、それからもう一つは出荷のためのキーステーションの設置というようなことを、輸送合理化推進事業とか流通加工施設整備事業等を通じて積極的に助成を講じていきたいと思います。  公社等の問題につきましては、そういう物流条件あるいは出荷体制の整備とも関連する問題でございますが、これは民間との競合とか、航空機輸送との関係とか、どういう量がまとまるかという問題もありますので、これは今後の検討課題の一つとさせていただきたいと思います。
  52. 岡本克己

    ○岡本政府委員 農外者によります土地の買い占め状況でございますが、確かにかなりな量が買い占めされております。これにつきましては、先ほど先生御指摘のように、農業開発公社を通じまして買い戻しを実施しております。  私ども調べましたところによりますと、大体一万二千ヘクタールを超える面積が売買されておりまして、買い占めがやられておるところにつきまして、昭和四十九年以降五十三年度までに、大体六百九十ヘクタール程度農業開発公社で買い戻しいたしまして、農業に積極的な農業者に売り払いして営農してもらう、そういう状況でございます。この点につきましては、今後積極的に対処してまいりたい、このように考えております。
  53. 上原康助

    上原委員 時間ですからこれで閉じますが、最後に、開発庁も来ていただきましたが、ほとんど農林水産省の方でお答えいただきましたので、大変失礼をしました。  最後に農林大臣に改めて、冒頭申し上げた蚕糸業のこともそうですが、沖繩でも最近蚕を養う農家がふえてきて、大変養蚕が盛んになってきている傾向にあるのです。これは主に離島に多いので、こういう面ももっと推進をしていかなければいけないと思います。  私がきょう取り上げた沖繩の農業あるいは水産業、流通機構等の問題については、なかなか単年度ではできませんし、もちろん一年ではとうてい不可能です。あれだけ長い間アメリカの軍事占領支配下に置かれ、農業や水産業が一番見放されてきた。また沖繩県だけの財政ではできなかった。そういう面からして、たとえ厳しい財政状況なりいろいろな制約があっても、このことについては、私はひがみ根性とか単に本土に頼るとか政府とかそういうことではなくして、いかにそういう格差があるのか、また、本来国がやるべき仕事であったかということを十分御理解いただいて、これからもそういった面への積極的なてこ入れを進めていただきたい、そのための新たな決意をお伺いをして、質問を閉じたいと思います。
  54. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 沖繩が長い間アメリカの占領下にありましたために、特に水産業農業におきましても、本土と比べれば大変立ちおくれていることは事実でございまして、沖繩開発庁というものもあるということは、やはり政府全体として沖繩の開発に取り組んでおるという姿勢だと思うのでございますけれども、私ども農林水産省といたしましても、この立ちおくれている農業あるいは水産業がより振興されるために、これから極力協力をしていかなければならない、こういう気持ちを強く持っていることをここで私からお答えをさせていただきます。
  55. 木野晴夫

    木野委員長 午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時八分休憩      ――――◇―――――     午後零時三十八分開議
  56. 木野晴夫

    木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。市川雄一君。
  57. 市川雄一

    ○市川委員 農林水産省設置法の一部を改正する法律案について若干の質問をしたいと思います。  生糸検査所業務量を見ますと、昭和五十年が十万六千十九俵、昭和五十三年が五万四千六百六十三俵、約四八・四%減っているわけですね。これに対して職員は、昭和五十年が六百十人、昭和五十三年が五百六十八人、六・九%の減です。わずか三年間の推移でございますが、業務量が五割近く減っているのに、定員は一割にも満たない程度の整理しかできていない。こういう事態というものはいままでに十分予測ができたと思うのです。なぜもっと早く手を打てなかったのか。もちろん急に首を切ったりということはできないことは十分承知しておりますが、もうちょっと時間をかけて早く手を打つことができたのではないのか、こういう疑問を持つわけですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  58. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生から五十年と五十三年の定員なりあるいは国営検査数量、いわゆる業務量の減のぐあい等を数字を示してお話しになられまして、業務量の減りの方が非常に大きい、それに対して定員の方の減り方が少ないではないかという御指摘でございます。これは数字の示すとおりでございまして、まさに先生の御指摘のとおりでございます。  それではなぜこのように業務量の減に対して定員の減の方がパラレルに進まないかということでございますけれども、私たちの方といたしましては、国営検査数量が減るという傾向がございましたので、定員縮減ということにつきましても当然努力はしてまいったわけでございます。  しかし、私たち考えていたもの以上に国営検査数量が大幅に減ってきておることがございますことと、もう一つは、定員縮減といいます際も、生糸検査所勤めておられる方は非常に女性の方が多いとか、あるいは中高年齢層の方が多いとか、あるいはよそに転出していただくにいたしましても、生糸検査所に入ってもうこれ一筋にやってきておるということで、なかなかよその職場の仕事にすぐ適応できないとか、いろいろなことがございまして、定員縮減の方向で努力はしてまいっておったわけでございますけれども、結果論といたしましては、業務量の減り方の方が定員の減り方よりも激しいという姿になっております。したがいまして、今後、またこの縮減計画というものは相当きちんとした姿で考えていかなければならぬのではないか、かように考えております。
  59. 市川雄一

    ○市川委員 定員を整理することは、それぞれの方々にとっては非常に生活がかかっているわけですから、そう簡単なことではないことは十分承知しております。ですから、見通しをしっかり持たれて、時間をかけてやっていくべきだと思うのです。  そこで、昭和五十五年度の人員整理は同名くらい予定されているのか、あるいは今後の整理とか配置転換計画というのはどんなふうに考えていらっしゃるのか。また、定員削減する際、人員整理の対象者の基準をどこに置いておられるのか。もちろん、本人の意向というものも尊重した上で判断せざるを得ないと思いますが、そういう点についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
  60. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 まず第一点の、五十五年度の定員縮減数は幾らかというお尋ねでございますが、五十五年度の生糸検査部門定員につきましては、六十一名の縮減を行うというふうに予定をいたしております。  それから第二点は、今後の縮減計画、そういうのはどうなっているかということでございますが、これにつきましては、六十三年度当初までに生糸検査部門要員を百九十人程度までに縮減をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。五十三年度を基準に考えておりますが、このときは五百六十八名でございます。それから六十三年度に百九十名までに減らすという大幅な縮減考えておるわけでございます。  それから第三点は、縮減いたします際に縮減される方といいますか、そういう方の基準はどうかというお尋ねでございますが、勧奨退職で縮減される分野もございますほかに、もう一つは、何といいましても行政分野への配置転換、これを相当進めなければ、ただいま申し上げましたように、六十三年度当初までに百九十人程度にすることは達成不可能かと思います。  そこで、まず勧奨退職につきましては、各年度に勧奨退職する年齢で一応積み上げ計算して大体の分はわかるわけでございますけれども、後段に申し上げました他行政分野への配置転換、これが相当の数に上りますし、また、現実問題といたしましてこの面が一番大変なことであろうかと思います。この面につきましては、該当する職員の方、当事者に十分御納得をいただかなければなりませんし、また、その方を受け入れていただきます機関、こちらの方も十分理解を持って受け入れていただかなければならないわけでございます。そういうことを強く理解を求めるということと、先ほども申し上げましたように、生糸検査一筋でずっとこられた方々でございますので、一般事務についての研修なり、受け入れ先の仕事に見合った実務研修なり、そういうこともいたしまして、この配置転換が進むように努力をいたしたいと思います。  さらに第四点に、本人の希望も考えて行うべきではないかということでございますが、この面につきましては、こういう配置転換を円滑に進めますためには、何といいましてもその職員の方の理解と協力ということが必要でございます。したがいまして、今後とも当事者なり受け入れ側の機関の十分の理解を求める、研修もしていく、話し合いも十分して進めていきたい、かように考えております。     〔委員長退席逢沢委員長代理着席
  61. 市川雄一

    ○市川委員 もう一つは、現在国産の生糸も強制検査の対象にされておられますね。これは本来は輸出用の生糸が対象で始まったと思うのです。戦前から日本の特産輸出品としてその良質を保とうということで、国の政策で恐らく強制検査の対象にされたのだろうと思うのですが、その輸出がほとんどなくなってしまった。したがって、本来の趣旨からいえば国産まで手を伸ばしてやることはないのではないかと思うのです。そういう疑問を強く提起している方々もいらっしゃるのですが、この点についてはどうですか。輸出がなくなって仕事がなくなってきたので、しょうがないので国産もやっているという感も否めないと思うのですが、その点どうですか。
  62. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、生糸検査、これは当初は生糸輸出の円滑化を図るということで始まったわけでございます。当時はまさに生糸わが国輸出商品の花形でございましたし、大きなウエートも占めておるということで、輸出検査からスタートしてまいってきておったわけでございます。それとともに国内におきましても、流通の拡大に伴いまして民間の生糸検査が自主的に始まって、昭和十六年以降、輸出生糸検査と並んで国営生糸検査として制度化されてきておったわけでございます。いまはもう輸出はまずありませんから、輸出検査国内生糸検査というのは一本化されております。そういう形で検査を行っております。  その際に、もう輸出もないのであるから国内検査は要らぬのじゃないかというようなことをおっしゃる向きが確かにあるわけでございます。ただ、この面につきましては、やはり検査はどうしても必要であるというふうに思っております。といいますのは、生糸はこれは高価な天然繊維でございます。合繊等と違いますそういう高価な天然繊維でございます。一キロ一万五千円というぐらいのものでございます。お米一俵六十キロ一万七千円、大体それと一キロが同じくらいの高いものでございます。  それから、そういう天然繊維でございますので、製糸工場で生産されたものも荷口ごとにやはりばらつきがある。それがまた価格に大きく反映するというようなこと等もございます。  そこで、簡単にそれでは識別できるかといいますと、あの細い絹糸をちょっと肉眼で見ただけで、これが品質がどうだ、節があるとかどうかというのは、すぐ見分けがつきません。織物にしてみて、染めてみて、染めむらが出るとかということで、後になってその辺の関係が顕在化するというようなことがございます。社会的にもロスということになるわけでございます。  そういうことで、生糸検査というようなものはやはり公正な第三者機関によってやるべきであるというふうになってまいっておりまして、国内流通なり、あるいは日本蚕糸事業団で生糸を買ったりもいたしておりますが、その際にやはりこの検査規格というものがベースになりまして、買い入れ価格が幾らだとかということに相なるわけでございます。したがいまして、生糸検査所というものが統合されましても、また生糸が現に輸出がない状態でございますけれども、そういうことではございますが、やはり国内生糸検査制度というものは必要である、かように考えておるわけでございます。
  63. 市川雄一

    ○市川委員 申しわけないのですが、御答弁は極力簡単にひとつお願いしたいと思うのですが、農林規格検査所生糸検査所を吸収するというようなことで、そのこと自体を問題にする気はないのですが、ただ規格検査所職員が二十七名、生糸検査所職員が二百七十九名ですか、比率は十対一、小さい規格検査所が十倍も大きい生糸検査所を吸収するということになるわけですが、生糸検査部門というものを規格検査所内においてどういう位置づけをされるのか、簡単に。  それからもう一点は、従来地方自治体で行ってきた消費者センターとかあるいはモニターとして品質検査努力してきた各種消費者団体と、規格検査所国内商品であっても依額があれば検査を行うということから、どういう関係でこれを見ておられるのか、この二点について簡単にお答えをいただきたいと思います。
  64. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、生糸検査所農林規格検査所に吸収統合されるということにいたしたわけでございますが、これを人の面で見ました際に、確かに現在の段階、要するに五十五年度の十月時点で統合するとすれば、その時点におきましては横浜それから神戸というようなところを見ますというと、吸収統合されます方が非常に人数が多いという姿になっております。ただ、これは先ほど来申し上げておりますように、吸収統合後におきましても、生糸検査部門につきましては六十三年度当初に百九十人程度まで縮減をしていく。他方またこの農林規格検査所の方は、JAS規格の指導とかそういうような、いろいろな消費者行政的な面で行政需要が非常に強いということでこちらの方がふくらんでいくというようなことで、統合した直後の姿はまさに先生おっしゃるとおりだと思いますけれども、これは先々ずっとあれしていきますれば、非常にバランスのとれた形のものになっていくものではなかろうか、かように思っております。
  65. 市川雄一

    ○市川委員 生糸一元輸入という問題で現在訴訟事件が起きておりますが、これひとつ大臣にもぜひお考えを伺いたいのですが、国産生糸と輸入生糸価格差が、倍までいきませんがかなりある。五十三年度で見ますと、国産生糸が一キロで一万四千七百五十八円、中国の生糸が七千七百九十一円、韓国の生糸が八千百七十五円。したがって、国産というか生産者を保護するために、一元化輸入という制度をつくりやっておるわけですが、しかし、国内でネクタイをつくっていらっしゃる方は、国内で高い生糸を買ってネクタイをつくる。したがって、どうしてもネクタイそのものが高くなってしまう。ところが、外国から安い製品でシルクのネクタイが輸入されてくる。とても太刀打ちができないということで、ある組合から国を相手に訴訟が起きております。  議員立法でこの制度ができた経緯があるやに伺っておりますが、ただ生産者を保護するということは、これは非常に大事なことだと思うのです。しかし、このやり方を考えませんと、消費者の利益というのは全く無視されてしまう。いつまでもこういうやり方での生産者の保護というのは、現在の国際情勢の中ではそう長く通用しないのではないのか。やはり消費者の利益もしっかり考えていくという、合理化というものを考えなければならないところへ来ているのではないのか。  そういう中で生産者をどう保護していくかということはまた別の観点で考えるべきだと思うのですが、これはこれから質問いたします小豆の問題とも関連いたしますので、まず基本認識として、ただ生産者の保護をやっていればいい、もちろん生産者の保護そのものをいけないということではなくて、私たちとしてもそれは結構なんだけれども、ただそれだけの考えではもう通用しないのじゃないか。やはり消費者の立場をしっかり踏まえた、農林水産省もそういう行政の姿勢というものをこれから確立していかないと、こういう問題が次々に私は起きてくるのではないかということで、大臣として、これは今後の基本的な農林水産省行政姿勢としてお聞きしたいと思いますが、どうですか。
  66. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いまの西陣のネクタイの業者の方の訴訟の問題は、訴訟になっておる現在でございますので、私からこれに対してはお答えをするのを差し控えさせていただきますが、基本的な問題についてお答えをさせていただきます。  日本農家と申しますか農業と申しますか、これは世界的に見て、非常に国土の狭い中で、しかも耕地面積というのも非常に少ないわけでございまして、そういう世界的に見れば非常に厳しい環境の中で、日本国民のために食糧その他のものを安定的に供給をしていかなければならない、こういう使命を担っておるのが農家であり農業者でございます。そういう意味において、一般の産業とはやはりそこにはおのずから違ったものがあるわけでございまして、私ども農業者をより守っていかなければならないという立場は今後も続けていかなければならぬと思っております。  しかしながら、幾らそういう使命を持つ農業といえども国民理解を得なくして農業振興は図れないわけでございますから、やはり国民理解される農業にならなければいけない。そうなれば、そういう非常に制約された条件の中でも、できる限りの努力をしていただくという形は、やはり農業者にもお願いをしなければならないのではなかろうか。それで、私どもは、やはりそういう努力をしていただきながら、一方消費者の皆様方にもそういう日本農業の置かれておる実情というものをよくお話をして、そして日本農業の置かれている立場を一般の国民皆様方、消費者にもよく御理解いただく、そして消費者の理解のもとに農業振興を図っていく、こういうことがやはりこれからの農業行政にとっては大変大切なことではなかろうかと考えておるわけでございます。
  67. 市川雄一

    ○市川委員 消費者の理解を得ると言いますが、消費者の理解を得るには得るだけの客観状況を整えないと理解は得られないと思いますよ。ただ言葉で理解を得る理解を得ると言っていても、農林水産省のおやりになっておる行政の実態が非常に不合理であったり矛盾であったりしながら、ただ生産者の保護だけという行政のあり方で消費者の理解理解をと言っていても、これはとても消費者の理解国民理解は得られないと私は思うのです。そういう意味でおっしゃっておるならいまの大臣の御発言には全く賛成できないわけです。  そこで、雑豆にIQを適用している問題、二月の予算委員会でもお伺いいたしました。昨年の予算委員会でもお伺いいたしました。武藤農林水産大臣は先日の予算委員会でたしか論議をお聞きいただいたと思います。実は先日の予算委員会では通産大臣とのやりとりが主になってしまいまして、せっかく農林水産大臣に御出席をいただきながら、御答弁のチャンスが少なくて大変恐縮しておりました。きょうちょうどいらっしゃっておりますのでお伺いしたいのです。  最初にこの問題を取り上げたときに、農林水産省といえども生産者の保護だけではなくて、消費者の立場を考慮していくんだ、あるいは消費者行政というものをきちんと踏まえていくんだ、こういう当時の渡辺農林水産大臣からの御答弁がございました。また、雑豆のIQ指定の問題については「せっかくのIQの品物が、国内保護ということが一方にあるわけですが、それがために特定な人が仮に大幅な利益を得るというようなことは是正をしていかなければならぬと思います。」こう当時の農林水産大臣が答えている。あるいは「皆さんに納得のいくようなものにしなければならぬと私は思います。したがって、これは十分に検討さしてもらいます。」あるいは「生産保護というにしきの御旗の陰で不合理なことが続いておっていいというわけにはいかない。」こういう農林水産大臣の御答弁があったわけでございます。  そこで、武藤農林水産大臣にお伺いいたしますが、先日の予算委員会でのやりとりを伺っておりまして、前農林水産大臣認識は同じでございますか、どうですか。
  68. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私ども大臣のやってまいりましたことをやはり踏襲して行政をやっておるわけでございますから、いろいろ細かい問題につきましては、多少そのときそのときの実情に応じて違うことも、これは情勢変化ということがあると思いますが、基本的には行政は踏襲していかなければならないと思っております。
  69. 市川雄一

    ○市川委員 そこでお伺いしますが、これは農林省、通産省両方にお伺いしたいと思います。  昨年、ことしと予算委員会で二回ほどこのIQを適用されている雑豆輸入に関して質問いたしました。そこで、四十五社という商社しか輸入できない。この四十五社が非常に過剰利益を上げているわけでございます。最も低いFOB価格に対する六〇%という利益率で計算しても、五十二豆年度で計算いたしますと約百一億円近い利益を上げていらっしゃる。そこで過剰利益の実態というものを昨年もことしも提起いたしました。昨年の予算委員会では二瓶局長さんも通産省局長さんも、私どもの計算と私の計算はそう変わらない、こういう御答弁でございました。  ことしは時間がありませんでしたのでそこまで確認できないで、私が一方的に数字を示して、もっとほかの議論をさしていただいたわけですが、まず議論の出発点として、昨年私が提起した商社の過剰利益、その時点では同じ認識でございました。ことし、議事録に出ておりますが、申し上げました。いまここでまた申し上げても結構なんですが、たとえば五十四年十二月の二十五日、これは実際の船積みは一月から三月、台湾の小豆で、ドル換算レートが大蔵省の調べで二百三十七円、FOB価格六十キロで七千三百九十五円、これに諸掛かりのコスト等を含めますと一万一千十八円、国内販売価格が一万九千五百円、したがって、FOB価格に対する利回りを計算しますと一一四・七%、通常の感覚で、原価に対する販売利益という考え方に立ちましても七七%、こういう大幅な利益を上げているわけでございます。  また、五十五年二月五日のビルマインゲン、これで見ましても、利益率がFOB価格に対して約一〇九%、あるいは五十五年二月七日の台湾小豆でFOB価格に対して七四・八五%、五十五年二月十四日の天津小豆の取引ではFOB価格に対して九四・七%、五十五年二月十四日の唐山小豆におきましてはFOB価格に対してやはり九一・七%、こういう昨年指摘したと全く同じ商社の過剰利益の実態というものがかなり存在している。存在しているということについて、そういう御認識をお持ちかどうか、通産省と農林省、両方簡単にお答えください。
  70. 川崎弘

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  ただいまの、先生がいろいろな事例をお引きいただきましてFOBの価格に対しましての一種の粗利益という計算で一〇〇%を超えるじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもは、去年一年間につきまして、CIFコストプラス商社の国内のいろいろなコスト、こういうものを加えて計算いたしますといわゆる商社の粗利益率と申しますのは、一番利益率の高い小豆で約三〇%弱、雑豆全体では約二割弱というふうな粗利益となっております。
  71. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 FOB価格に対しましての比率としてどうなっているかという数字的な面につきましては、先生のおっしゃった数字はそのとおりだろうと思います。ただ問題は、粗利益といいますか、これがどのぐらいあるのかという角度でながめた際に、先ほど通商産業省の方から答弁がございましたが、通商産業省の方で御調査された結果を私の方もちょうだいをいたしております。その結果は、ただいまお話がございましたように、豆類全体で粗利益率としては二〇%弱というふうに聞いております。
  72. 市川雄一

    ○市川委員 これは計算の仕方で大分パーセントが変わってくると思うのですよ。だから、計算の根拠をしっかり出していただかないとこういう議論というのは成り立たないわけですよ。なぜぼくがFOB価格で申し上げているかといいますと、そういうFOB価格を基準にして利益率を言うのはおかしいじゃないかという御意見もございました。しかし、実際小豆なりインゲンを買うのは、外貨で買うわけでしょう。円では買えないわけですよね。あとの諸掛かりのコストというのは円で払えるわけです、そうでしょう。実際の商品を買う、台湾、天津、これは外貨。だから、通産省から受けた外貨割り当て額は全部その購入に充てるわけです。船積みとかそういう費用には充てないわけです。したがって、業者間ではFOB価格イコール外貨割り当てです。それに対する利回りというものが絶えず問題になるわけでして、たとえば、シェアをどこかに足らないから貸してくれ、借りた貸したという場合も、じゃFOB価格に対して三〇%のプレミアムをつけて貸す、こういうことが行われているわけですね。これは全部FOB価格を基準にして、何%のプレミアムをつけて貸すか貸さないかということが行われているわけです。そういう意味で、これはFOB価格でやっていいと思うのですね。  それともう一つは、ほかの計算方法でやっても七七%とか五七%とかということが出てくる。もちろん、もうけを少なくしょうということで国内のいろいろなコストを入れていけば、それは利益率が落ちるに決まっているわけです。そういうことをおっしゃるなら、私が国会で何回お伺いしてもお答えできなかった適正マージン――過剰利益があるから生産保護のためにIQに指定した、過剰利益があるという認識をお持ちで、これから議論いたします二〇%の差益金あるいは課徴金、通産省、農林省では調整金とおっしゃっておりますが、そのお金を取っている。それは、二〇%のお金を取っている前提には、商社に過剰利益が生まれるのだという認識があるからこそ、商売をやる前から二〇%ピンはねしてしまうわけでしょう。  そこで私は聞いたわけですよ。過剰利益というのは、少なくともコストの計算があり適正マージンの計算があり、社会的通念を超えざる適正マージン、その超えた部分が過剰利益だ、こういうことになるわけですが、その基準をそれじゃ示しなさい、判断の基準をお持ちなんですか、持っていません、計算したことありません、こういうお答えがあったわけですよね。いまここでその計算方法を聞いても始まりませんので指摘をしておきたいと思います。それともいま適正利潤の基準をお持ちになったのですか。どうですか、それは。
  73. 川崎弘

    ○川崎説明員 現在確定した基準というものは持っておりません。ただ、一言付言させていただきますと、実は先ほどのような計算をいたしました価格と、つまり輸入価格、輸入製品の価格でございますが、農家の庭先価格、この比率をとってみますと、大体三二%アップという計算になります。そういうこともございまして、実は現在の差益金が二〇%程度になっているというふうに考えております。
  74. 市川雄一

    ○市川委員 これから適正マージンというか適正利益の基準を持つお考えはありますか、どうですか。
  75. 川崎弘

    ○川崎説明員 何が適正であるかということを基準として具体的に確定するのはなかなかむずかしいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、輸入価格比率二〇%程度の粗利益ということは、いろいろな意味の取引リスクというものが商社に伴うことも考えますと、やむを得ない数字じゃないかというふうに考えております。
  76. 市川雄一

    ○市川委員 その二〇%というのは、やはり課徴金、調整金を二〇%取っておりますから、それと合わせたんだろうと思うのです。そうしないと恐らくピンはねしている側から言えば良心が痛むのではないかと思うのです。自分も二〇%取っておいて、一〇%なんて言ったのでは二〇%の根拠が崩れちゃう。  そこで、よく御承知だと思いますので説明は省きますが、これから議論をしていく上において、もう一度確認の意味でお伺いいたしますが、四十五社の商社を選定した基準、これはありますか。
  77. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  この割り当て制度が始まりましたのが昭和三十二年でございますが、そのときには輸入を希望する業者を全部受け付けたわけでございまして、そのときの割り当て商社は百三十五社となったわけでございます。したがって、そのときは全く制限なしに受け付けたわけでございますが、その百三十五社のうち、この枠を実際に使用いたしまして実績を生じました社に翌年度から割り当てをいたしたわけでございまして、その結果翌年三十三年には五十七社になりまして、その後統合等をいたしまして、毎年実績を繰り返しますうちに、現在では四十五社になったということでございます。
  78. 市川雄一

    ○市川委員 これは大分研究されたようですが、最初のお答えでは、わずかの期間だけ自由な取引があった、そのときの実績で四十五社に決まった、いままではそういう御答弁をなさっていたわけです。  そこでお伺いしますが、この四十五社にいま特定している何か法的な根拠というか、そういうものはございますか。
  79. 川崎弘

    ○川崎説明員 輸入割り当てを通常行います場合に、どういう基準を選定基準として使うかということでございますが、輸入の安定的な拡大なりあるいは安定的な輸入を続ける、そのためには経験と能力のある輸入商社に取り扱わせるということで、実績割り当てというのが輸入割り当ての一般的なやり方となっておりますが、これに法的な基準なり根拠という点は特にございません。
  80. 市川雄一

    ○市川委員 実績割り当てだけをやっておりますと、結局、こういう利権物資の場合は、新規参入をそういう意味でシャットアウトしているわけですから、競争が起きないわけですね。そういう弊害が生まれてくると思うのです。そういう弊害に対して、やはり何らかの是正策を持たなければならないと思うのです。実績で割り当てをする。実績で割り当てたら四十五社になった。実績割り当てを繰り返している限りは、新しい商社が入ろうとしても、実績がないから入れない。四十五社に絶えず特定されてしまう。そうすると競争がない。しかも輸入量は国で大枠を抑えている。輸入すれば、間違いなく自動的に大もうけができる。こういうことは消費者の立場を守る上から非常によくないと思うのですね。したがって、実績でとおっしゃるなら、競争が起きないことによって起きてくる弊害というものを是正するという考え方をきちっと持たなければいけないと思う。そういう考えはありますか、どうですか。
  81. 川崎弘

    ○川崎説明員 ただいま先生御指摘のように、割り当てを受ける企業の数を限定いたしますと競争が制限される、それに対しての是正策を考える必要があるんじゃないかという御指摘は、私どもも全くそのとおりだと思っております。私どもの役所といたしましては、別に新規参入を一切シャットアウトするというふうな考え方でやっているわけではございませんで、割り当て品目の輸入枠が拡大するような場合には新規割り当てについて考慮するという考えを持っております。  ただ、この雑豆の場合に関して申しますと、主要な用途でございますあんとか煮豆等の需要が低迷している、それから輸入量が国内産の豊凶に影響されて著しく変動するというふうなことがございますので、輸入枠が急速に縮小するという場合が出てまいります。そういう場合に、割り当て社数を機動的に減らすということが非常に困難だという事情もございますので、この雑豆の場合については、そういった点も十分勘案しながら対処していく必要があろうか、そういうふうに考えております。
  82. 市川雄一

    ○市川委員 是正はしなければいかぬ、こういう認識はある。いま、変動するとおっしゃいましたけれども、しかも四十五社間のシェアというのは全然動かないわけでしょう。ずっともう実績ですから、しかももうかる輸入ですから、どこの商社だって次の割り当てを受けるために、割り当てられた外貨は全部使いますよね。ですから、四十五社は変わらない。シェアも変わらない。しかも競争がない。消費者の立場は全く無視されてしまう。是正はしなければなりませんができません、こんなことはないと思うのです。  昭和三十二年度で割り当て金額が二百万ドル、約二万トン、これが年々ふえているわけですよ。昭和五十二豆年度で見ますと、七千七百六十万ドル、トン数で十五万八百トン。小豆の輸入量もふえている。それから外貨割り当ての金額もふえている。こういうふえていく中で、そういう無競争によって起きる弊害を是正しようと思えばできたと私は思うのです。  たとえばある一社に二五%のシェアが偏在している。そういうシェアの偏在が、時間差商法とか、商社の消費者を全く無視したようなそういうやり方を生み出しているわけでしょう。上位五社で約五一%のシェアを占めている。四十五社のうち上位五社で半分のシェアを握っているわけですから、シェアに非常に偏在がある。したがって、輸入のトン数もふえていく、外貨割り当ての金額もふえていく、そういう中でシェアのでこぼこの山を地ならししていこう、極力無競争による弊害というものを是正しようと思えば、そんなことはいままでやれたじゃありませんか。いまになった時点で考えれば、それはむずかしいかもしれませんが、こんなことはそういう考え方をしっかり持ってやっていればできたはずですよ。その点についてどうですか。
  83. 川崎弘

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  先ほど私が、非常に数字が変動すると申し上げました事例でございますけれども、最近のところで申しますと、五十二年度下期の輸入割り当て額と申しますと三千二百九十万ドル、約三千三百万ドルでございましたが、五十三年度の下期になりますと二千万ドルを割りまして、千八百万ドル程度に落ちております。また小豆の例で申しますと、やや年次は古うございますが、四十八年度下期、四十九年度下期あるいは五十年度上期といったところは割り当て量が全くゼロというふうな感じになっております。こういうことで、他の品物とちょっと違って、非常に輸入割り当て額が変動するというところに割り当て社数を機動的に動かす無理があるのじゃないかと考えております。
  84. 市川雄一

    ○市川委員 変動するでしょうけれども、変動に従って四十社にしたり、五十社にしたりということを言っているわけじゃないのです。たとえばシェアが偏在している。そのシェアの偏在を是正するということぐらいは、単年度でという意味ではないですよ、三十二年度からずっとやっているわけですから、もうかれこれ二十数年かかっているわけでしょう、こういう中で無競争によって起きるだろう弊害というものは十分気がついておられたのですから、やろうと思えばできたじゃありませんかということを言っている。それを、五十二年だ五十三年だと自分に都合のいい数字だけを挙げている。私は、そういう近視眼的な発想で物を言っているわけではないのです。長い中で、極力無競争から生まれる弊害はなくしていこうという行政の観点さえあれば、やろうと思えばできたじゃありませんかということを申し上げている。ほかのこともお聞きしたいので、それはそういうことを指摘しておきたいと思います。  それから二〇%の問題でございますが、IQに指定された小豆、インゲン、ソラマメ、エンドウ、これを輸入する場合、農林省が輸入量を決め、その輸入量に従った外貨割り当て総額を通産省が決め、その総額の割り当てを商社になさる。それが四十五社に特定されている。その四十五社は、外貨割り当ての内示を受けますと、通産省の認可した財団法人雑豆輸入基金協会へ外貨割り当て額の二〇%に当たる部分を納める。納めましたという領収書がわりの確認書を通産省に提出しないと外貨割り当てが実際受けられない、こうなっている。その二〇%の差益金あるいは調整金、この法的根拠はありますかと聞いたら、ないと前はおっしゃっていた。これは、どういう考え方と根拠でこの二〇%のお金を取っていらっしゃるのですか。
  85. 川崎弘

    ○川崎説明員 外為法に基づきまして輸入割り当てというのを行うわけでございますが、先ほどから御指摘のように、こういう雑豆のような品物の場合には輸入価格と国産価格との間に相当の格差が出てまいります。そういう格差を認めますと雑豆の輸入業者が過大な利益を得るということでございますし、また格差を認めないということにいたしますと、国内生産業者が重大な被害に直面するという事態が生じます。したがいまして、そういった反射的利益というものを拠出させますために、外貨割り当ての手続の一環といたしまして雑豆輸入基金協会に輸入業者から調整金を拠出させるというふうな形をとっているわけでございます。
  86. 市川雄一

    ○市川委員 通産省にお伺いしますが、外貨割り当ての一環としてやっておられるというふうにいま説明されました。通産省公報にも、雑豆の外貨割り当ての申請者の資格の中には、財団法人雑豆輸入基金協会の発行する豆類の売買にかかわる確認書、いわゆるこの二〇%のお金を払いましたという領収書ですな、それを持っておる者、それからまた添付書類の中には、その確認書の提出を求めている、この確認書を持っておる者、あるいはまた確認書を添付しなければ外貨の割り当てはしない、こういうことだと思うのですね。ということは、この二〇%の差益金というのは通産省行政の一環でおやりになっておることですね、どうですか。     〔逢沢委員長代理退席、委員長着席〕
  87. 川崎弘

    ○川崎説明員 確かに、二〇%の差益金を雑豆輸入基金協会に納付するというシステムは、輸入割り当てという通産省行政行為の一環をなすものでございますが、実際に納めるという行為は、むしろそういう政府の政策に対する協力というふうな意味を持っておろうかと思います。
  88. 市川雄一

    ○市川委員 先ほどもちょっと触れておられたようですが、この二〇%という幅を決めた、この考え方はどんな考え方ですか、基準ですか。
  89. 川崎弘

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  一番最初この制度を導入いたしました年は、たしか一五%ということでございました。そのときは先ほど申し上げましたような形での利益率を計算いたしますと、もう少し低く出たもので、そういった数字に決まったんだろうと解しております。しかし、その後先ほど申しましたような数字になってまいりましたので、二〇%に上げたわけでございますが、二〇%に変えましたのが昭和三十四年からでございますが、その当時に輸入価格農家庭先価格に対する比率が一三二%くらいになった。そういうことで、それ以前からあった一五%という数字を五%引き上げたということになっております。
  90. 市川雄一

    ○市川委員 特に何かこう、はっきりした基準を持ってないわけですね。  たしか国税庁ですか大蔵省ですかお見えになっていらっしゃると思いますが、商社が雑豆輸入基金協会に払っている二〇%のお金ですが、この会計処理はどういう費目で処理するようになっているのか。商社に対してはどういう会計処理を指示しているのか、あるいは雑豆輸入基金協会に対してはどういう会計処理を指示していらっしゃるのか。指示という言葉は妥当かどうかですが、どういう処理をされているのか、これをちょっとお伺いしたいと思います。
  91. 四元俊明

    ○四元説明員 お答え申し上げます。  お尋ね先ほど来言われております調整金とかあるいは課徴金、これは輸入業者の方にとりましては、その業者が雑豆を輸入するに当たりまして、財団法人雑豆輸入基金協会との間で行っておられます売り渡しとまた買い戻しの方法によって生ずることとなります差損金に相なりますので、この差損金につきましては、雑豆輸入業者が輸入したその雑豆の取得原価を構成するという取り扱いにいたしております。それから、雑豆輸入基金協会にとりましては、同じような売り渡し買い戻しの方法によって生じます今度は差益金でございますので、税務上は、当該差益金につきましては、公益法人等が行う収益事業でございます物品販売業に該当することといたしまして、その収益を構成いたします収益金に対しまして法人税を課税するという取り扱いをやってきております。
  92. 市川雄一

    ○市川委員 ということは、商社が払った二〇%は損金、その雑豆を取得するにがかった原価に算入してよろしい。ということは、消費者という立場で見た場合、これは結局消費者が払っているのですよ、この二〇%は。その上、過剰利益がある、こういう構造になっているのですよ。さっき、この二〇%の利益くらい適正マージンだとおっしゃったけれども、消費者という立場から見れば四〇%のもうけを取られているということは理論的には言えるわけです。これからの議論のためにそういうことをまず指摘しておきたいと思うのです。  それから、雑豆輸入基金協会が販売業として利益に国税庁から課税されているわけでしょう。公益法人が、よろしいんでしょうかね、そんな売ったり買ったり。この間も公正取引委員会の方から公益性が非常に疑わしいということを言われましたけれども。そこで、雑豆輸入基金協会が商社から取った二〇%のいわゆる課徴金もしくは差益金、五十一豆年度で五十八億円、五十二豆年度で五十二億円、巨額なんですよ、金額が。しかもこのお金がそこらじゆうでだぶついているんですね。まあ天下り先の確保というお考えもあって、とらの子を使われては困る、大事に使え大事に使えということなんだろうと思うのです。  たとえば雑豆輸入基金協会からジェトロにお金が行く、現在雑豆輸入基金協会から寄付を受けた合計金額が約九十五億円。何に使ってますかと聞いたのです。そうしたら受入金は引当金として積み立てておき、債券を買ったり預金したりして運用している、要するに言ってみれば利子をかせいでいるということですね。生産者の保護には余り使われていない。それから、雑豆輸入基金協会から寄付を受けた財団法人日本豆類基金協会、現在約四十一億の金がたまっております。いままでは、そこから社団法人北海道豆類価格安定基金協会へ十五億円寄付したり、日本特産農作物種苗協会へ十五億円寄付したりしておりますからよかったんですが、今度は、受けた方も一応基金ができて、これからそう大幅な寄付はなくなると思います。お金はたまっていく。こういう実態が一方にはあるわけでございます。この雑豆輸入基金協会が五十八億だ五十二億だといって集めたお金の使い方、これはだれがどういう基準でお決めになっていらっしゃるのですか。
  93. 川崎弘

    ○川崎説明員 お答えいたします。  雑豆輸入基金協会が集めました金につきましては、所要の法人税等を国に納めまして、残りを通産大臣と農林大臣の指示に基づきまして、それぞれ豆類基金協会とジェトロの方に交付している、そういう形になっております。ちょうど二等分いたしております。
  94. 市川雄一

    ○市川委員 大体税金が二八%、約二%が雑豆輸入基金協会の維持費、残りの七〇%を二等分して三五%ずつジェトロと豆金にという配分ですか。
  95. 川崎弘

    ○川崎説明員 大体先生の御指摘のとおりでございます。
  96. 市川雄一

    ○市川委員 ジェトロと豆金にこういう多額のお金を寄付するという決定はどういう必要性考え方から行ったんですか。何か法的な根拠とかそういうものがあるんですか。
  97. 川崎弘

    ○川崎説明員 もともとこの集めました調整金につきましては、一つは国内の豆作の振興に活用する、もう一つは貿易の振興なり国際交流の振興に活用する、そういうふうな考え方のもとに、それぞれそれに代表されるような機関、したがいまして、私ども通産省の場合には、そういった貿易振興、経済交流機関でございますジェトロという法人に寄付すると申しますか、交付するという形になっております。
  98. 市川雄一

    ○市川委員 しかし、ジェトロでは債券を買ったり銀行に預けたりして利子をかせいでいるだけなんですね、だけという言い方はちょっと極端かもしれませんけれどもね。それから豆類基金協会は主な使い方と言えば寄付ですよ。北海道豆類価格安定基金協会への寄付は、これが基金となって北海道の生産者の保護という機能を果たしていらっしゃると思いますから、これはまあまあ趣旨にかなったというふうに見えるのですけれどもね。あるいは特産農作物種苗協会へ寄付した。  しかし、豆金にはまたすごいお金が残っているわけですね。パンフレットというべきか雑誌というべきか、カラーのすごい雑誌をおつくりになってお金をかけていらっしゃったり、農林水産省通産省がおっしゃっている生産者の保護という観点というのはその中の何分の一かであって、あとはどうも違う形で運用されている感じを受けてならない。積極的に何か活用していこうというはっきりしたものがないんじゃないですか。ですからお金がたまっちゃうんじゃないですか。  そこでお伺いいたしますが、通産省にしても農林省にしても、雑豆輸入基金協会が商社から集めている二〇%のお金は自主的だというふうにいままで言ってきたのですが、きょうの御答弁だと、かなりニュアンスが変わってきた。自主的ということは余りおっしゃらなくなって、行政行為の一環という言い方をされてきた。この二〇%のお金の集め方は、行政行為の一環でやっていますが、その納め方は雑豆輸入基金協会と商社との間のやりとりでやっていますというようなことをさっきおっしゃっていましたが、しかし、これは通産行政の強制力がなかったらだれもお金を納めませんよ、正直言って。根源には通産省という行政権限という強力な根拠があって、こういう書類を持っていらっしゃい、こういう書類を持った者でなければ外貨割り当てをしませんよという前提があるからこそ、商社は易々諾々と従って雑豆輸入基金協会というところに二〇%のお金をピンはねされているわけですよ。これは行政行為そのものじゃありませんか。しかも集め方も行政の強制力を使ってやっている。  使い方はどうかというと、雑豆輸入基金協会が自主的に理事会等で使い方を決定しているわけではない。農林、通産大臣両方が協議して、こういうお金が幾ら行くから、このお金はこういうふうにしなさいというふうに指示しているわけでしょう。たとえば、雑豆輸入基金協会に対する通産、農林大臣の両方連名の指示したものがここにございます。御承知だと思うのです、これはそちらからいただいた資料ですから。雑豆輸入基金協会の理事長あてに農林水産大臣、通商産業大臣が、差益金についてはジェトロと豆金に金額まで指定して寄付しなさいということを指示していらっしゃる。ということになりますと、集め方も行政権限を行使して強制的に集めて、使い方も、これは通産大臣や農林大臣の決裁がなければびた一文も使えないという、指示に従ってやっている。ですから、名前は申し上げたくありませんが、こういう雑豆輸入基金協会等の方々に言わせると、私たちはお預かりしているだけであって、びた一文手をつけることはできません、全部農林省、通産省の御指示でやっているのです、こういうことでございます。  そうすると、集め方も通産省行政権限を行使した強制力によってやり、使い方も指示している。これはもう行政行為そのものじゃありませんか。この事実を通産省はお認めになるかどうか。たしか局長さんお見えになっていらっしゃると思いますので、局長さんに今度は御答弁をいただきたいと思います。いかがでしょう。
  99. 花岡宗助

    ○花岡(宗)政府委員 お答えいたします。  政府は、雑豆の輸入割り当てに伴いまして輸入業者が反射的に得る超過利潤を拠出させるために、雑豆輸入割り当ての手続の一環として、輸入業者に対して雑豆輸入基金協会との間における雑豆の売買の確認書を提出させることを義務づけておるわけでございますが、これを協会なり輸入業者の側から見ますと、両者は超過利潤の吸収、拠出という政府の施策に協力して雑豆の売買を行っておるということになるわけでございまして、この場合、雑豆の売買の具体的な内容は一義的には協会がみずから決めることになっておりまして、政府は売買の確認書を提出することのみを義務づけているということでございます。
  100. 市川雄一

    ○市川委員 過剰利益がある、したがって、二〇%程度のお金を取るという意思が通産省にある。その意思をそういう形で実行していらっしゃるわけでしょう。ですから行政行為じゃありませんか、これは。集め方も使い方も全部指示している。はっきりしているじゃありませんか。  そこでお伺いしますが、結局二〇%を取ることも、二〇%と決めたのも別に法律に準拠してやっているわけではない、二〇%の使い方も、何らかの法律に準拠してやっているわけではない、慣習とか慣行とかということでやっていらっしゃるという御答弁でした。集め方も使い方も全部行政権限を行使してやっていらっしゃる。こういう実態。なぜ雑豆の二〇%のお金がこういうへんてこりんな性格になっているかということはよくわかるのですよ。すごい知恵のある方が、悪知恵の発達した方がやったのだろうと思います。  一方では公正取引委員会の独禁法という問題がある。また一方にはガットの問題がある。行政行為として二〇%のお金を取るとガットにひっかかってしまう、まずいという認識通産省、農林省にもある。  また、雑豆輸入基金協会が二〇%のお金を取るといいますが、この取り方は皆さんはもうよく御承知だと思いますが、割り当てられた外貨割り当て額に相当した豆を強制的に商社から、四十五社から協会が全部買うわけです。しかも瞬間タッチで二〇%の利益を上乗せした価格で商社に買い戻しさせるわけですね。そういう意味では純然たる販売業ですから、国税庁も販売業として課税をしているとさっきおっしゃっておりました。通産省、農林省が国内生産者の保護のために、価格差が著しいから、輸入の豆が自由に入ってくると生産者が打撃を受けるので、輸入を抑えよう、ブレーキをかけようということで輸入量を決定する。その輸入量決定に基づいて通産省が外貨割り当て額を決める。だれでもは買えない。総量を決めて四十五社に割り振りさせる。その四十五社が買う外貨割り当て額に相当した豆を雑豆輸入基金協会が全部強制的に買うわけです。そして二〇%の利益を乗せて即座に売る。二〇%の利益が基金協会に残る。これは私的独占にひっかかるのではないのかということを私は先日指摘いたしました。  公正取引委員会委員長さんから、雑豆輸入基金協会の公益法人としての行為としては非常に疑問を感ずる、事情聴取を行いたい、こういう御答弁が先日ございました。公正取引委員会の方お見えになっていらっしゃると思いますが、事情聴取のその後について、どんなことをなされて、いまどんなことを把握していらっしゃるのか、伺いたいと思います。
  101. 厚谷襄児

    厚谷説明員 お答え申し上げます。  去る二月二十日に先生御質問されまして、公正取引委員会橋口委員長がお答えしたのでございますが、その意を関係官庁であります通産省農林水産省に十分伝えておりまして、独占禁止法に触れるおそれがないよう工夫がないかどうかの検討をお願いしているところでございます。
  102. 市川雄一

    ○市川委員 ないようお願いしているのですか。公正取引委員会としての自主的な判断は持っていないのですか。どうですか。
  103. 厚谷襄児

    厚谷説明員 先日の橋口委員長答弁にもありましたように、その制度をどのようにするかは関係官庁の方で考えられることでございまして、私ども考え方は関係官庁に十分伝えております。
  104. 市川雄一

    ○市川委員 どういう考えをお伝えになったのですか。
  105. 厚谷襄児

    厚谷説明員 現在行われております仕組み自体が、独占禁止法から見まして問題のある点を含んでおると契約書から考えられる、しかし、法を適用するということになりますと実態と非常に関係してまいります。したがいまして、そのような実態を十分に知っておりますのは関係官庁でございますので、私どもといたしましては、そのような実態を踏まえた上での考え方を関係官庁の方で御検討いただくように、こういうことでございます。
  106. 市川雄一

    ○市川委員 独占禁止法から見て雑豆輸入基金協会がやっている行為は問題がある、こういう認識公正取引委員会はお持ちになった、そして通産省、農林省にそういう独占禁止法に触れるような仕組みは是正した方がいいのじゃないかという進言をなさった、こういう意味ですか。大事なところなんで確認をいたします。
  107. 厚谷襄児

    厚谷説明員 いまの問題は、私どもは、先日橋口委員長が答えましたように、契約書によって判断いたしますと、相手方を選択する自由が失われておるおそれがある、このような点は実態を踏まえて、あるいは基金協会の性格その他を踏まえた上で問題点があるのではないかということを伝えておるわけであります。
  108. 市川雄一

    ○市川委員 事情聴取をなさるとおっしゃって、事情聴取をなさる前にすでに独禁法に触れる問題がある、だから是正してください、こういうことだと思うのです。そういう公正取引委員会の判断を示されて、農林大臣、どうですか。前の大臣も、生産保護というにしきの御旗に隠れてある特定の人間が暴利を得たりということはまずい、あるいは消費者の立場も考慮しなければならないということを発言していらっしゃるわけですが、農林大臣はどういうお考えでしょうか。
  109. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど来お答えをしておりますように、私ども農業をやっていただいている方を守るとともに、消費者の立場もよく考え農業をやっていただいている方を指導していかなければならないという考え方を持っておるわけでございますが、いまの点については、正直、私のところへはまだ報告がございません。事務当局同士でいま公取からのいろいろな考え方を聞きながら検討に入る、まだ入ってはいないと思うのです。入れば私の耳に入ってくると思いますので、公取からの意見を聞いた段階ではなかろうかと思います。私も公取の考え方を具体的によくお聞きをいたしまして、十分検討を進めていきたいと考えております。
  110. 市川雄一

    ○市川委員 通産省はどうですか。局長さんはもうお出かけになりましたか。
  111. 川崎弘

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま局長、商工委員会の方に出かけましたので、かわりにお答えさせていただきます。  先ほど独禁法に触れるおそれがあるような御発言でございましたけれども、実は先ほど先生も御指摘のように、この制度は、私ども農林水産省あるいは大蔵省にも御相談をしまして、いろいろな角度から見て、総合的に問題の少ない制度は何かということでつくり出したものでございます。そういう意味で、私どもとしてはまだこれ自体が独禁法に触れるというふうには考えておりませんで、中身につきましてなおもう少し公取委員会の方といろいろ御協議申し上げたいということでございます。  と申しますのは、先ほど公取委員会の方からお答えがございましたように、実体的な問題の判断といったこともきわめて重要なことだろうと思います。つまり独禁法に触れるかどうかという点は、単なる形式の要件だけじゃなくて、実体的な問題も非常に重要じゃないかと思います。そういう意味で、少なくとも通産省といたしましては、公取委員会になお御説明をして理解を求めるということを考えたいと思っております。
  112. 市川雄一

    ○市川委員 形式要件では触れているわけでしょう。全部買い占めて、しかも強制的に二〇%の利益を上乗せして売るわけですからね。売り先も決まっていれば買い手も決まっている。そんなことが許されたのでは商売なんて成り立ちませんよ。公正取引委員会はしっかりやってもらいたいと思うのです。  そこでお伺いしますが、先ほどからの議論を外務省の方お聞きになっていらっしゃったと思うのです。二〇%の課徴金を通産省行政権限で集めていらっしゃる。使い方も指示していらっしゃる。これはやはりガットに触れてくるのじゃありませんか。余りこういうことは申し上げたくないのですが、その点はどうですか。
  113. 池田廸彦

    ○池田説明員 お答え申し上げます。  先生御案内のように、ガットは加盟国相互間における貿易に関連する権利義務関係を定めているものでございます。この権利義務関係の一つといたしまして、対外的に関税率を譲許いたしました品目につきましては、その約束した関税率以外に輸入について課される課徴金等を賦課してはならない。かような形になっているわけでございます。ここで申します、すなわちガット上の課徴金という意味におきましては、ガットの権利義務主体が国であることに照らしまして、国が直接に徴収する金銭的負担、かような意味に解するのが至当と考えております。
  114. 市川雄一

    ○市川委員 国が直接徴収しているのと全く同じじゃありませんか、ただ天下り先をつくって、雑豆輸入基金協会というのを置いただけで。いいですか。使い方だって全部指示しているのですから、これは全く国の行為ですよ。  たとえば去年の予算委員会でも、通産省の水野上局長の御答弁なんですけれども、こうおっしゃっているわけですよ。よく聞いていただきたいのです。「三十九年まではジェトロを通じまして納入金を受け入れ、それを国庫に入れていたわけでございますけれども、それはやはりガットの課徴金その他の問題にかかわるのではないかということで、現在の自主的な納付金という形に改めてございます。」こういう通産省見解局長さんから示されているわけです。ということは、いまは税金という形で課税して取っている。かつてはジェトロから国庫納付金という形で納めた、それはガットに触れるのだ、課徴金に触れるのだ、まずいのだ、いまは自主的に納めているのだからガットには触れないのだという両方の認識が示されているわけですね。いまは自主的かと言うのですよ。  さっきからその点を何回も指摘しておりますが、外貨割り当ての前提条件として、雑豆輸入基金協会に二〇%のお金を払ったという確認書を提出しなければ外貨割り当てをしませんよという、いわゆる外貨割り当てという行為そのものは行政行為なんです。その行政行為の中にある行為じゃありませんか。納めなければ外貨割り当てをしませんよ、これはまさに政府行為じゃありませんか。しかも集め方もそういう集め方、使い方はまさにダイレクトに大臣が指示をしている。自主的なんて言えませんよ。まさに政府そのものの行為じゃありませんか。  外務省は、外国に日本の国を売るような御答弁はできないから恐らく差し控えていらっしゃると思うのですが、心中は通産省農林水産省はまずいことをやってくれているなあというふうに思っていらっしゃるのじゃないかと私は思うのです。ですから、いまおっしゃった、政府が直接集めた金じゃないからいいのだ、政府が直接集めているじゃありませんか。使い方も政府が直接指示しているじゃありませんか。余り議論したくありませんが、もう一度、外務省として好ましいと思っていらっしゃいますか。ガットから見て、外務省の立場で言いづらいと思いますが、農林水産省通産省にある程度言っていただかないと直らないと思います。どうでしょうか。
  115. 池田廸彦

    ○池田説明員 ガットの目的といたしますところは貿易の拡大でございます。貿易を拡大することによって諸国民の消費生活を充実させ、その生活水準の向上を図る、加盟国といたしましてわが国もこの目的に沿って努力していかなければならない、この点が一つございます。それと同時に、それぞれの国はそれぞれの国情というものを持っておるわけでございますので、最初に申し上げました大目的に真正面から対立することのない範囲内におきまして、それぞれの国情に対する妥当な配慮というものをこれまた加えていかなければならない。要はその前者と後者の間の接点をどのように図っていくかということにあるかと思います。  制度の中身につきましてはそれぞれの所管のところでお考えいただく問題でございますが、それとガットの規定との関係につきましては先ほど私が申し上げたとおりでございます。
  116. 市川雄一

    ○市川委員 これ以上お伺いしてもお答えできないだろうと思いますので、ぜひ外務省に要望しておきたいと思います。  そこで、生産者の保護ということは結構なんですが、一方でそれが、生産保護の美名に隠れて商社の過剰利益を保証するものになっている。これを一貫して私は問題にしてきたわけでございます。本来なら二〇%の課徴金も問題なんですが、それも過剰利益をなくそうというのでやっていることが、逆にまた過剰利益、商社のモラルを肯定している。国だって二〇%召し上げているのだから、おれたちがもうけるのは当然だという感じで商社の過剰利益を正当化する根拠にもなってしまっている。こういうことから、四十五社特定の商割りの矛盾というものを皆さんも痛いほど感じていらっしゃると思うのです。  そこで、私は、第一回目から、実際に小豆を買ってあんこをつくったり、パンをつくったり、お菓子をつくったり、あるいは煮豆をつくっていらっしゃるような方にじかに、商社を通さない外貨割り当て、いわゆる実需者割り当てをおやりになったらどうですかということを提案してきました。しかし、なかなか前向きの御答弁がなかったわけですけれども、実需者割り当てについての通産省農林水産省見解をお伺いしたいと思います。
  117. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 雑豆につきまして現在商社割り当てが行われておるわけでございますが、これにつきまして、むしろ実需者割り当て、実際にこれを需要する実需者に割り当てをすることについてどう考えるかということでございます。  実需者割り当てといいますものは、一般論といたしましては、確かに、原材料のような物資につきましては実需者に割り当てることが望ましいということはあろうかと思います。ただ問題は、雑豆についてどうかという話になりますと、この雑豆につきましては、一体需要者とは何だというところからまずスタートするわけでございます。あんこ屋さんが需要者なのか、お菓子屋さんが需要者なのか、その辺の需要者とは何ぞやという問題、あるいはまた需要量を把握いたしませんと割り当てができないわけでございますが、お菓子屋さんだけでも八万軒以上もあるというような実態からすると、需要量の把握ということ自体が非常に困難でございます。そういうことからいたしますと、この需要者割り当ての問題につきましては、役所の方でこれをどうするというよりは、むしろまずその前に関係の団体、需要者の方々が、コンセンサスを得るといいますか、そういうことをやっていただかないといかぬのではないかということでございます。  考え方といたしましては、小豆だけでなしにその他のエンドウ、ソラマメ等を含めた雑豆全体について需要者全員を包含した割り当ての受けざらが整いまして、しかもそういう関係者の中で、需要者の資格というのはこういうものにしよう、配分の物差しはこうしよう、したがって、シェアはどういうシェアに相なるということで、業界の中で自主的に合意が得られるということでないと、実際問題として需要者割り当てを採用するというのはきわめて困難である、かように考えておるわけでございます。
  118. 市川雄一

    ○市川委員 通産省、簡単にお願いします。
  119. 川崎弘

    ○川崎説明員 通産省といたしましては、先生御指摘のような需要者割り当てというのも、実需者に対して安定的な輸入豆の供給という見地から一つの方法ではないかというふうに考えております。私どもといたしましては、農林省が需割りについていろいろ御検討中というふうにも聞いておりまして、しかし、たとえば受けざらの点等でむずかしいようでございますけれども、農林省の御協力を得られれば、本件につきましては前向きに検討していきたい、そういうふうに考えております。
  120. 市川雄一

    ○市川委員 二瓶局長さんのおっしゃる意味もよくわかるのですけれども考え方があべこべではないですか。需割りは一般論としてはいい、だが雑豆についてはこうだ、役所が手を出すべき性質のものではなくて、業界が自主的にやるべきものだという基本的な考え方に立っていらっしゃるようですが、ぼくはこれはあべこべだと思うのです。  なぜかと申しますと、先ほどかち何回も申し上げておりますが、商社の過剰利益とか、雑豆にIQを適用したことによって起きている弊害というのがあるわけでしょう。その弊害を是正する有効な策が農林省なり通産省に他にあるなら、あえて何も需割りをやりなさいということは私は申し上げない。ほかに方法がないんですね。ですから、需割りをやることによって、模範的な外貨割り当てによりいわゆる台湾なり中国の小豆を買う、適正なマージンであんこにして売る、あるいはお菓子にして売る。そういうことが行われてきますと、豆について二つの価格が生まれるわけでしょう。商社がもうけてやっている価格、それから実需者団体が需割りによってやって豆を売り渡している価格。当然商社の方が高い、需割り団体の方が安い、一物二価、一つの商品について二つの価格が生まれてくる。そうなってきますと、商社もそういまみたいなことはやっていられなくなる、一つの抑制効果というものが出てくると思うのです。  そういう風穴をあけることによって、四十五社に特定し、無競争の状態に置き、シェアが偏在し、豆が欲しいときには、買わないで国内価格をつり上げる。するとシェアを持った商社が買いませんから、台湾や中国では豆が余る。だから安くなる。安く買って高く売るということを防ぐためにはほかに方法がありますか。ないでしょう。だから、需割りをやりなさい、こう言っているのですよ。だから、農林省や通産省行政がうまくいってないからその是正の補完としてやれということを言っているのであって、なぜそれは自主的に業者がやらなければならないことなのかということなんです。これは聞いていると時間がありませんので、ほかにもまだお聞きしたいことがございますので指摘だけしておきます。  二瓶局長さんのお考えは実需者の特定がむずかしい、需要量の把握がむずかしい、それから各団体相互間の意見の食い違いがある、また、各団体の中に意見の食い違いがあるだろう、こういうことを前回も指摘しておられました。ところが、御承知のような全国菓子工業組合連合会、日本製餡協同組合連合会、全日本パン協同組合連合会、全国調理食品工業協同組合、四団体あるわけですよ。この四団体で、データのとり方によって変わってくるとは思いますが、小豆、インゲン等を調べてみますと八〇%から九〇%近いものを使っていると思うのです。ですから、ここが需割りの受けざらとしては一つの目安になるのではないかと思います。  たとえば豆金で発行した「雑豆に関する資料」昭和四十六豆年度で調べた数字ですね。いろいろ調べてみたのですが、いまのところこれしかないのです、もしあれば教えていただきたいのですが。小豆のうち、あんこに使われたのが七七・七%、甘納豆等菓子に使われたのが一〇・五%、煮豆に使われたのが五・三%、合計しますと九三・五%、このあんこ、甘納豆、煮豆、要するにこの四団体に全部入っているわけですよ。ですから、そういう意味では小豆やインゲンの需要量をかなりこなしているわけですね。ですから、そういう意味で考えますと、この四団体が皆さんに御要望もしたようでございますが、当面ベストでないかもしれませんけれども、ベターではあると私は思うのですね。一歩前進にはなる。  しかも最近この四団体が、後でお手元にお渡ししても結構なんですが、もし仮に需割りが行われたと仮定した場合、各団体間のシェアをどうするか、このパーセントも全部話し合いして決めております。四団体の理事長の判が全部押してある。あるいは各団体で農林省から指摘されているカバー率、アウトサイダーがいるじゃないかということですが、アウトサイダーは排除しない、希望者に対しては設備能力その他を調査の上公平に配分するということもここにうたっています。二瓶局長が御指摘の、需要者の特定がむずかしい、需要量の把握がむずかしい、あるいは団体間の意見の相違があるということは、こういう形でもう克服されてきているわけです。  ですから、一方にはそういうIQ指定による弊害が存在している、それを是正する有効な手段がない、したがって、需割りによって風穴をあけることによってやったらどうかということ、もうちょっと前向きに取り組んでいただいていいのじゃないかと私は思うのですが、この問題について局長答弁はございましたが、農林大臣はどんなお考えでしょうか。不合理な制度を直すためにこういう一つの建設的なものを取り入れたらどうでしょうか。前向きに、意欲的にいかがでしょう。
  121. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 先ほど局長答弁をいたしておりますように、実需者全体、いまお話しの四団体もございましたけれども、まだまだいろいろと実際に実需をしている方はあるようでございまして、そういう実際に使っている人たち全体に対して公平にしてしかもお互いに円満な形でそういう割り当てができるかどうかという点が大変むずかしいのではなかろうか、そういう問題があるからこそ今日までこの問題が長く尾を引いておるのではないかと思うわけでございまして、そういうことがすべて解決がされれば、私は需割りというのは大変結構なことだろうと思うのです。その需割りがそういう公平でしかも円満な形で、実際にそれを使っておる人たちにうまく配分ができるような割り当てができるような仕組みが本当にできるのかどうかというところが問題でありまして、そういうことを十分検討しなければいけないのではなかろうか。しかし、それがうまくできるということなら結構かと私は思うわけでございます。  その辺が先ほど局長答弁のように、実際はなかなかむずかしいんだ、こういう答弁ではなかつたかと私は聞いておったわけでございまして、需割りそのものを決して否定するわけではございません。それは結構なことかと私は思うのでございますが、実際にそういう形での需割りがうまくいくかどうかというところがこれから問題ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
  122. 市川雄一

    ○市川委員 需要者の特定というのは、やる気になればできるわけですよ、九十何%も実際豆を使っているのですから。公平、公平とおっしゃるのですが、そんなことをおっしゃるなら、では商割りは公平ですかと言うんですよ。四十五社に特定して、法的根拠もありません。経緯としてそうなったというだけで、新規参入は事実上シャットアウトされて、何も公平じゃないじゃありませんか。商割りなんというのは全然公平な制度にはなっていないじゃありませんか。商割りそのものが公平でないから是正しようと言っておるのですから、一〇〇%パーフェクトをねらったってこれは無理ですよ。  では、ほかのIQ適用物資で需割りをやっていらっしゃると思いますが、一〇〇%公平だなんというやり方ができておるかというと、そんなことはないと思うのです。やはりある程度の合格点、目安というものを持ってやっていらっしゃるのだろうと思うんですね。ですから、そういうお考えなら、農林省が望ましいと考えている需割りの受けざらの姿をきちんと示すべきだと私は思うんですね。ただ抽象的なことしか言わないで、むずかしい、むずかしいと言うのは、やる気がないということですよ。やる気があるなら、具体的なわかりやすい受けざらについての理想像、あるいは最低これだけの条件は満たしてもらいたいという条件を具体的に提示してごらんなさい。そしてその基準によって物を言ってもらいたい。この四団体はしかじかこうだ、何がしかじかどうだ、そういうものを持たないで、ただ需要者の特定はむずかしい、需要量の把握はむずかしい。これはむずかしくないじゃありませんか。やろうと思えばできますよ。私たちの計算でも――ただ、農林省が余りにも後ろ向きなので、最近、団体もやってもむだだろうということで、そういう調査をやっていないんですよ。農林省にそういうやる気が出てくれば、みんな一生懸命調査するわけだ。資料も整ってくる。そういう意味でもうちょっと前向きに、どうですか、農林省の最低こういう条件を満たせばというものを提示していただけますか。それがなくてつべこべ言うということは、これ以上通用しないと思いますよ。
  123. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 受けざらの整備が必要だという話でいろいろお話し申し上げておるわけでございますが、そういう抽象的ではなくて、もっと具体的にどういう条件でならいいのか、こういうお話でございます。もちろん、私たちもこれは内部でいろいろ検討はしております。その際に、ただいま大臣からもお話がございましたように、全需要者を対象にいたしまして、公平かっ的確にこの雑豆の配分ができる、そういう仕組みというものが何といっても必要であろう。そこで、そういたしますと大体こんなものではないかという一つの考え方を現段階で持っておるわけでございます。  需要者割り当ての受けざらといたしましては、一つは、やはり窓口になって全体の需要者を統一された機関というのと、もう一つは、その機関の構成員でありまして、割り当ての配分を受ける需要者の方で構成されます団体、この二つがまず必要なのではないかと思っております。  まず、その窓口となる上の方の機関でございますが、これにつきましては、需要者全体の単一の機関ということで、雑豆加工の全業種団体を網羅をする。したがいまして、先ほどお話がございました四団体なども当然これに入った姿で考えていただかなければいかぬと思います。そして実効ある調整機能というものを持っていただかないとだめだ。日露連とかあるいは全菓連というのが傘下にみんな入るわけですね。そこをうまく調整する、それだけの力のあるところでなければだめだ。単なるサロンのようなところではだめじゃないだろうかということでございます。  それから、それぞれの傘下の団体が、製あんなら製あん、その辺の加工業者需要者、需要量、これをやはり的確に把握できないとまずい、そういう能力があるということが必要であろうと思います。  また、豆といいましても、先ほど来申し上げておりますように小豆だけでなしに、四種類の豆、それにつきまして豆ごとにもどうだということがわかっておりませんと、みんな小豆に殺到されても困る、こういうことでございます。  それから、その協議会的なものが各団体に配分した後でまた不平不満が出る場面もあると思いますが、そういうものもうまく、円満に解決するだけの調整能力といいますか、そういう面も持っていただきませんといかぬのではないかと思っております。  それから、それに今度入りました、配分を受ける団体でございます。たとえば日餡連とか全菓連とか、そういうものはやはり法人格がないとまずいのじゃないか、こう思っております。いろいろな団体を見ておりますと、まだ持っていない団体も多々ございますが、そういうものはやはり持っていただいて、割り当てを受けるわけでございますから、そして雑豆の輸入、配分に当たって、その自分の会員といいますか、傘下の需要者の方々の希望を十分徴しまして、それで輸入する雑豆の種類、小豆とかインゲンとか、そういうもの、産地、銘柄、そういうものにつきましても十分その希望を満たし得るだけの情報をつかみ、発注もするということが一つ必要だと思います。それから、会員の需要量はもちろん適正につかまえて、うまく公平配分するという能力がないとだめである。  それからもう一つは、会員の方が今度は配分を受けまして、それで今度雑豆を、その人が需要者ということで割り当てるわけですから、最終製品を確かに製造されたということをやはり確認していただく組織と能力がないと困る。そうでないと、そこからまたよその方に転売その他が出てくるということもあろうかと思います。また、そういう団体での配分後の不平不満、この辺の解決の調停もできるということだと思います。  非常に具体的にというお話でございましたので、やや詳しくお答えいたしました。
  124. 市川雄一

    ○市川委員 本当は全部反論できるんだけれども、とにかく、簡単に言えばやる気があるかないかということなんです。やる気さえあればそんなのは全部克服できる。そういうことをやっていらっしゃいますとネクタイと同じように、台湾で安い小豆を買ってあんこにして、しかもパンにしてしまって冷凍して日本にどんどん輸入が始まりますよ。あるいは加工して小豆を入れてしまえばIQにひっかからないのですから。事実そういうものをやっているわけだ。そうすると、農林省が考えている生産者の保護というものは、今度はそこから崩されていきますよ。よろしいですか。ということをよく認識をしておいていただきたい。後でまた告訴されたり何かで問題になって、あわてて後ろ向きの後手の対応でなくて、前向きに、問題はわかっているのですから、是正をしなさいということを申し上げているわけです。もうちょっと前向きに取り組んでいただきたいし、需割りのことはできれば後で文書で、農林省の、いま局長がおっしゃった望ましい受けざらの姿というものを一回いただきたいと思うのです。  もうちょっとお聞きしたがったのですが、ほかのこともありますので、雑豆の問題につきましては以上で終わります。  次に、国の研究機関農業試験場あるいは農事試験場等、あるいは国立大学などでの研究成果というものが国から県に渡るルートはできているのですが、県から実際に農業を営々とやっていらっしゃる、そういう的確な情報を最も欲しがっていらっしゃる方のところへ届いていない、県でとまってしまっているという実態が訴えられております。しかも欲しければ聞きにこい、また、どうせ説明したってわからないだろう、こういう感じの専門家的な意識があるようでございますが、せっかくそういう多額の国費を予算で組んで、国立大学だ、国の研究機関だ、農業試験場だというところでいろいろな研究をなさっている成果というものが、実際欲しがっている農民の手にわかりやすい形で渡ることが望ましいと思うのです。そういう点からは、パイプが国、県まではできているのですが、その県から先がどうもうまくいっていない。  しかもたまにつくる文書というのは、常識的なことしか書いてなくて、読んでも余り役に立たない。もっと聞きたければ聞きにこい、そういうことじゃなくて、やはりせっかくの研究成果というもの、地力の回復なり品質改善なりということが、欲しがっている方に、しかもわかりやすく提供されていく、これは非常に大事なことだと思うのです。農林水産省の方の一つの行政指導として、県なり何なりに、そういう方向性をもって強くやっていただきたい。やるお考えがあるかないか、その点をお伺いしたいと思います。
  125. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 国の研究機関で得られました成果につきましては、いろいろな方法、手段で大方の利活用をいただくように努力しているところであります。実際の生産者のところへ行くまでの過程ではいろいろございますが、先生御指摘の点につきましては、農業普及組織等を通じましてやっているところでございます。ただ、情報が非常に複雑多岐にわたっておりますので、今後とも、そういった点につきましてはさらに一層徹底いたしますように努力をしてまいりたい、かように考えております。
  126. 市川雄一

    ○市川委員 ぜひ徹底方、がんばっていただきたいのです。  たとえば三浦市の場合なんかですと、大根をつくっているわけですが、この一本の大根に何億という細胞があって、その細胞一個から一本の純系の大根をつくろうという研究をやってみた。しかし、こういう公的機関の研究成果が全然手に入らないものですから、三浦市の農家のお友達のつてをたどって熊本大学まで行ってアドバイスを得て、しかも農協から七、八百万の予算をつけてもらってやった、こういう話もあるわけですね。したがって、これは非常に切実な問題でございます。そういう公的機関での一定の研究成果、情報というものが、たとえばレクチュアの会を設けて、県へ聞きにこいというのじゃなくて、自分から出かけていって、しかもわかりやすい形で教えてあげて、それが実際の生産者の現場で役に立つ、どうかひとつそういう方向へ強力に御指導をお願いしたいというふうに思います。  以上のことから、国立の農業研究機関で実施されている高度な研究成果についても農業者へ直接公開してほしい、こういう要望がございます。あるいは仮称データバンクのようなものを国がつくって、利用を便利にする、こういうようなお考えはございませんか、どうですか。
  127. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 一般的には先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、個々の生産者から国の研究機関等に御照会等がございますれば、従来ともできるだけ対応したいと思ってやっておりますので、そういう点でこれからも対処してまいりたいというように考えております。  それから、このごろデータがたくさんございまして、きめ細かく生産者まで渡るということはなかなか大変でございますが、そういった意味も含めまして、筑波の研究学園都市に農林水産研究情報センターというものを整備いたしました。これはまだ必ずしも十分ではございませんけれども、できるだけ広くそういう需要にこたえられるように今後とも整備をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  128. 市川雄一

    ○市川委員 ことしは野菜の暴騰が大きな話題になりました。たとえばいま三浦の農業で切実に訴えられておりますことは、三崎では白菜はつくっておりませんけれども、キャベツ、大根、スイカがいまやっと採算がとれるという実態です。三浦市の場合、去年、おととしと大暴落したためことしは野菜の栽培面積が非常に減少した。そこへ十六号、二十号という台風の被害で三〇%から三五%の収穫の減があった。こういうことで価格の上昇を招いた。しかし、ようやく採算がとれるという程度である。ところが、高く売れたその翌年は必ず収穫量がふえて大暴落するということが繰り返されているわけです。そういうことから、農業経営の安定を確立するために、国が重要野菜として指定した品目については価格補てん事業を行っておることは御承知のとおりでございます。  そこで、この価格補てん事業のカバー率なんですが、共販出荷予約数量については国がカバーしてくださるけれども、実際はそれよりもたくさん品物が出るわけですね。ですから、この価格補てん事業の対象から外されておる分がかなりある。たとえばここの実態を見ますと、大根で五七%、キャベツで四八%、早春キャベツで四二%から四五%。このカバー率をせめて六〇%ぐらいまで持っていってもらえないか、こういう強い要望が出ておるのですが、この点についてはどんなお考えでしょうか。
  129. 森実孝郎

    森実政府委員 先生御指摘の三浦、横須賀等の地区は、キャベツ、大根等の共販実績が非常に高く、計画的出荷が行われている地区でございます。ただ、野菜の価格安定制度というのは集団産地の育成等と並んで、計画的な生産、出荷の体制を図ることによって需給と価格の安定を図るという本旨で出発しておりますので、計画外に出荷されるというものについて価格安定制度をストレートに及ぼしていくということは、いささかいかがなものかとは思っております。ただ、やはりこういった近郷の重要産地については、計画出荷を進めながら、並行して価格安定制度のカバー率を上げることは大事だと私ども思っております。実はことしも五十五年度予算で三十万トンの増加数量を予定しておりますので、この配分に当たりましては、御指摘のような地域のカバー率がまだ六割とか七割になっていない品目につきましては、重点的にできるだけ配慮してまいりたい、かように思っております。
  130. 市川雄一

    ○市川委員 自治省の方がお見えになっていらっしゃると思いますが、固定資産税について、現行の地方税法三百四十八条四項では、市町村は農業協同組合が「所有し、かつ、使用する事務所及び倉庫に対しては、固定資産税を課することができない。」立法の趣旨は、非経済的な建物であるために非課税とされたと思います。しかし、農協本来の目的は、農家経営の一助とするためつくったものでございます。中には一部銀行まがいの非常にデラックスな建物を建てているところもあるやに聞いております。しかるに、そういう事務所は免税されている。それならむしろ農業生産農業コストに直接響くような共同出荷のために必要な出荷場所等に対する固定資産税の免除もしくは現行の二分の一にするというような、そういう措置も立法の趣旨にかなうのではないか、やってほしいという、こういう要望もございますが、この点については自治省の方としてはどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  131. 渡辺功

    渡辺説明員 農協の事務所、倉庫の固定資産税の非課税措置との関係で、集出荷場の扱いについての御質問でございますけれども、農協の事務所、倉庫の固定資産税の非課税措置は、二十七年に倉庫については衆議院、それから事務所については参議院の修正で入ったというようないきさつがございます。そこで、趣旨を見ますと、農協の保護育成ということを書いておりまして、余り詳しくは書いておりません。そういう趣旨で今日に至ったものと理解しております。  したがいまして、農協の保護育成というのが一体いつまで必要かという議論はあります。これは農民自身の非常な御努力と、農林水産省御当局の努力もあって今日のような状態になってきたわけですから、それは確かに大きなものとして育ってきたというふうに私ども認識しております。しかしながら、やはり事柄の優先順位は、どちらかということになりますと、これは農協の基本的な施設であります事務所、倉庫というものがやはり基本だというふうに農林省当局もお考えになっているのではないか。何度か見直しというような問題の中でもそういう雰囲気といいますか、反応で私ども承知をいたしております。  それから、集出荷施設の非課税問題ということになりますとちょっと観点が違うわけでございまして、すべての農協にあるわけではありませんので、保護育成という見地からどうかという問題が一つあります。同時に、農協以外の組合のそういった施設あるいは他の業界の施設との均衡論という問題があります。さらにかてて加えまして、ここはぜひ御理解を賜っておきたいわけでありますけれども、現下の地方財政の状況から考えますと、非課税措置につきましてはやはり整理合理化こそすれ、なかなか新しい措置をするということはできないという実情にあるものでございますので、その辺御理解賜りたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  132. 市川雄一

    ○市川委員 川崎市に大型の北部市場というものが建設されるわけですが、もちろん建設自体はいろいろな意味でメリットがあって結構なんですが、この北部市場ができることによって中原区とか高津区という、いわゆる都市内近在産地がつぶされてしまうのではないかということを心配している関係者がいらっしゃるわけです。卸売市場法の枠内でこうした地元の近在生産者の保護について何らかの具体策というものが必要ではないかというふうに思いますが、その点についてはどうでしょうか。
  133. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のように、川崎の北部に新市場を建設中でございます。このことが川崎の近郊蔬菜の生産あるいは出荷の阻害になるというふうに必ずしも思わないわけではございますが、しかし、関係者に先生御指摘のように心配があることも聞いております。現在、川崎市の指導で、川崎農協と中央農協と多摩農協ごとに農協と生産者と市との生産出荷協議会をつくることになっております。これで市場の移転に伴う出荷対策を具体的に詰めようというところまでやっと来たわけでございます。私どもはその結果も踏まえまして、開設時までには、市場の運営、物的な条件整備とか部門を設けるとか、そういった問題についても十分、近郊蔬菜を育成する視点で配慮する指導をしてまいりたいと思っております。
  134. 市川雄一

    ○市川委員 時間が来ましたが、申しわけありません、もう一点だけ。  農林水産省で水産物流通加工拠点総合整備事業ということをお考えになっていらっしゃるようですが、私の地元にも三崎という大きなマグロの漁港がございまして、そういう立場から非常に関心を持って見ているわけでございますが^これについてどんなお考えで、全国何カ所ぐらいのお考えでおやりになろうとしていらっしゃるのか。申しわけありませんが、簡単に趣旨をお聞かせいただきたいと思います。
  135. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 お答え申し上げます。  二百海里時代になりまして、いろいろ日本の漁船が外国漁場でとってまいるものに大変な大きな影響が出てまいりました。それからまた、日本の周辺でもいろいろ資源変動がございまして、イワシがふえる、一方イカが下がるというようなことがございまして、産地における水揚げ量とか魚種構成の変化が出てきたという生産側に事情がございます。また、先生御承知のように、需要の方でも消費の多様化、そのほかいろいろな新しい動きが出てまいりましたので、それにこたえるために水揚げ量年間五千トン以上の主要産地を対象といたしまして、地域の流通加工施設をこれから整備をしていく。それから、あわせて多獲性魚の利用も、これは神奈川県には余り御関係ないかと思いますけれども、高度利用のための施設を緊急に整備をするということで、これから七年くらいの間に六十数カ所、予算総額では大体約六百億円ぐらいを予定をいたしております。
  136. 市川雄一

    ○市川委員 これは要望として申し上げておきたいと思いますが、二百海里の規制を受けて遠洋漁業基地の三浦も少なからず影響を受けておりまして、そういう点から三崎漁港のあり方ということが非常に論議されているわけでございます。最近、多獲性魚のサバの水揚げも非常に増加しておりますし、三崎を利用する漁船の数は全国で三十都道府県に及んでいる。さらに近くに東京という大消費地を持ち、流通加工の拠点にふさわしい地域的な性格を持っていると思います。こうしたことを踏まえて、この水産物流通加工拠点総合整備事業の地域指定の条件は十分に満たしているのではないかと思いますので、ぜひ地域指定がなされるよう要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  137. 木野晴夫

    木野委員長 次に、岩垂寿喜男君。
  138. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 生糸検査所の問題を中心にして伺いたいと思います。  実はことしは横浜の商工会議所百周年ということで、新聞などがその歴史をつづっております。生糸検査所というのは一八九六年に設置されてからこの方、生糸輸出を初め、生糸の流通に大きな役割りを果たしてわが国近代化に貢献してきたものであるという意味のことを、それなり新聞も報道をしております。また考えてみますと、あの建物というのは横浜のシンボルだと言っても決して大げさではない、そういう位置を占めているわけであります。時代が変わったとはいいながら、生糸検査所の看板がなくなるということは、いまのような歴史を踏まえて考えますと、地元の関係者にとってはまことにさびしい思いをせざるを得ません。  今回の法案によるところの措置が、生糸検査量の減少傾向から見てやむを得ないのではないかというふうに考えられるとしても、生糸国営検査そのもの必要性というものは私はちっとも変わるものではないだろうと思います。生糸取引、絹織物取引の安定に果たす役割り、重要性というのは、絹の需要の高度化や多様化傾向の中で、かえって増していると言ってもいいのではないか。そこで、今度行政改革の要請にこたえながら、なおかつ国が生糸検査において中核的な役割りを果たしていくことが必要だと思うのですけれども、今後の国の生糸検査役割りをどう考え、またどう持っていこうと考えておられるのか。行政改革のために生糸検査体制が崩れるということであってはならないと思うけれども、その点は本当に大丈夫かどうか、この際、はっきり御答弁をいただきたいと思います。
  139. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 今回、生糸検査所農林規格検査所に吸収統合するという法案について御審議をいただいておるわけでございますが、あくまでも考え方といたしましては国営検査――生糸検査は、これは取引なり価格形成の面から必ず必要である。その際に、国の検査だけでなしに、指定検査所検査なりあるいは自主検査というのもございますが、何といいましても国営検査といいますものが中核になるというふうに考えております。  指定検査所検査をやります際も、これの技術の統一と向上ということの指導は国営検査検査部門でやはりやらなくちゃなりませんし、それから自主検査の向上の指導監督もしかりでございます。世界に冠たると言われております検査水準でもございますので、生糸検査所そのものは吸収統合されましても、国営検査といいますものはやはりわが国生糸検査の中核としての役割りというものは今後とも果たしていく必要があるし、また、そのように措置していかなければならぬ、かように考えております。
  140. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 生糸検査体制というのは、わが国伝統的産業である蚕糸業を支える重要なものであることは言うまでもありません。実は私は長野県の出身なものですから、とりわけそのことを感ずるわけです。  そこで、今回生糸検査所の整理が行われましたとしても、今後とも蚕糸業振興という問題には万全を期していかなければならぬと思うわけですが、蚕糸業振興に対する基本的な考え方というものをこの際簡単にお述べをいただきたいと思います。
  141. 二瓶博

    ○二瓶政府委員 わが国蚕糸業は、伝統的産業といたしまして国民生活に深く根差しておりますし、また養蚕業そのものは、農山村、長野県などもそうだと思いますが、そういう農山村なり畑作地帯のやはり基幹作目ということで定着をいたしております。農業経営上の重要な複合部門の一つであるというふうに認識をしておるわけでございます。  したがいまして、生糸一元化輸入措置を含みます繭糸価格安定制度、これは堅持をし、その適正かつ円滑な運用を図りますとともに、養蚕製糸経営近代化、効率的な繭生産の増強等の施策を総合的に講じていきたいと思っております。そういうことで、今後とも蚕糸業わが国農業におきます重要な一部門として位置づけまして、その健全な発展が図られますよう一層努力してまいりたい、かように考えるわけでございます。
  142. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今度生糸検査所が吸収統合されるいわゆる農林規格検査所の問題をちょっと伺っておきたいと思うのです。  消費生活多様化あるいは加工食品の増大などに伴って食品の品質、安全性などに対する国民の関心が高まるにつれて、いわゆるJASマークのついたものの検査や、食品の品質に関する苦情処理など、いわゆる消費者対策の業務というのはますます重要になっていると考えます。  また、食品の品質を向上させることは、ひとり消費者のためだけではございませんで、食品企業というのが多数の零細企業といいましょうか、中小企業によるところの分野が非常に多いわけでして、その製品の品質にはばらつきがあるというのが実態だというふうに言われています。中小の食品企業が、その製品の品質を向上させながら消費者に信頼される商品の提供をしていくことは、中小企業発展につながる重要な一つのポイントだと考えます。この農林規格検査所というのは、消費者対策の面でも、あるいはいま申し上げたような中小企業対策の面でも重要な役割りを果たしていかなければならないと思います。その点で農林水産省は、この農林規格検査所業務の展望をどのようにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ御答弁を煩わしたいと思います。
  143. 森実孝郎

    森実政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、最近の食料消費の高度化、多様化の中で加工食品比率がどんどん高まっている。また、消費者の品質問題等に対する意識の高まりは強烈でございます。かたがた食品企業については、圧倒的に中小企業の比率が高いという現実も重視しなければならないと思います。そういったことを頭に置きまして、農林規格検査所につきましては、長年の蓄積されました検査技術能力なり分析機器等を有効に活用いたしまして、いわば食品の検査、分析を基軸といたしまして、各ブロックでの品質管理に関する技術指導センターというふうな性格のものとして農林行政の中で位置づけていかなければならないんじゃないか、私どもこのように思っているわけでございます。  具体的な業務の展望につきましては、まずJAS関係につきましては、品質のばらつきのある品目等の市販品の買い上げ検査とか、あるいは登録格づけ機関や承認認定工場に対する技術指導の濃密化ということをまず実施していきたいと思っております。また、御指摘の中小企業に関する指導とか、あるいは消費者ニーズヘの対応という点で特に考えておりますのは、一つは昨年度から導入いたしました食品製造工場ごとに対する品質管理の技術指導業務、こういったものの実施対象や内容を拡充していきたいと思っておりますし、さらに今回審査をお願いしております法改正で、依頼検査業務、主としてJAS品目以外のものになると思いますが、こういったものを中心にして、中小メーカーに対する技術指導を依頼検査を基軸にしながら積極的に行ってまいりたい。さらに、消費者に対する食品の基礎知識やJAS制度の普及等にも努めてまいりたいと思っております。  輸出検査につきましては、これからの輸出事情に応じつつ、品目の整理、検査方法の合理化は必要と思っておりますが、やはり基本的には現在の体制を継続していきたい、このように思っております。
  144. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いま、消費者対策といいましょうか、消費者保護対策あるいは中小の食品企業に対する技術指導というようなことの業務を拡充するというふうにおっしゃられたわけですが、この農林規格検査所の組織や機構を整備充実しなければ、題目だけたくさん並べてもどうにもならぬと思うのです。私は行政改革というものは推進しなければならぬと思います。しかし、国民要望といいましょうか、あるいは行政需要が高い分野については積極的にこたえていかないとまずいのではないだろうか。そういう点で、この際、農林規格検査所の組織、機構の将来展望というのを少し明らかにしていただきたい、こんなふうに思います。
  145. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のように、消費者ニーズあるいは中小企業の指導、そういったものを頭に置きまして、今後、品質管理に関する技術センターとしての農林規格検査所業務の拡充は必要だと思いますし、それに対応して、また組織、機構もそのときそのときの状況に応じて必要な体制を整備しなければならぬと思っております。  このような意味では、まず今後成長と申しますか、ニーズが高まってくるという部門につきましての拡充強化という問題が一つと、それからそれに対応した定員確保という問題、三番目はやはり部内研修を積極的に活用することによって職員の資質向上と積極的な人員転換を図るということ、さらにその上に立って、機構の再編という問題に、現実の状況に応じながら着実に努めてまいりたいと思っております。
  146. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この問題というのは、組織が統合するわけですから、そこに働いている労働者の労働条件、この問題を無視して考えるわけにはまいりません。そういう点から考えますと、労働条件を低下させない、そういう主張を組合の側が言うことも当然でしょうし、私どももその措置を求めたいというふうに思うのですけれども、これらの職員処遇の問題について、農林水産省はどんなふうに考えていらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  147. 森実孝郎

    森実政府委員 御指摘のように、職員処遇につきましては、従来より低下することのないよう所要の等級別定数の確保等の措置に努めてまいりたいと思っております。  具体的には、まず一つは、生糸検査所定員計画的な縮減という問題がございますが、職員の意向、退職者の動向、配転先の状況等を十分把握して適切な人事をまず行うことが一つであろうと思っております。  さらに、配転先につきましては省内の他機関等が予定されるわけでございますが、きわめて広範にわたります。そういう意味においては、省全体といたしましても、また、新職場においても実務研修等を積極的に行って、新職場での仕事の内容や環境の変化によって職員が不安を生ずることのないよう十分配慮したいと思います。  基本的には、やはり職員の一般的な勤務条件に関しましては、十分組合とも誠意を持って話し合いを重ねて、理解と協力を得られるように努めることにいたしたいと思っております。
  148. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ちょっと念のためみたいな形で恐縮ですけれども、ここのところが一つの問題点でもあろうと思いますから、もう一遍確かめておきたいと思うのです。  JAS関係の業務を行う職員の充実はやはり必要だということはお考えになっていらっしゃると思う。その際に、生糸検査職員の実情や希望を十分配慮する。いやしくも強制配転ではないように組合との事前協議の態勢、これらのことは、ちょっと念を入れて恐縮でございますけれども、ぜひひとつしっかり確かめておきたい。  それからもう一つは、消費者対策や中小企業の品質管理対策の充実に見合った適正な人員配置をやはりかなえてもらわないと、いまいろいろ言われました目標というものにも到達しない、こんなふうに思いますので、それに対するお答えを願いたいと思います。
  149. 森実孝郎

    森実政府委員 職員の一般的な勤務条件に関しましては、今後組合とも誠意を持って話し合いを重ねて、十分理解と協力を得て実施してまいりたいと考えております。  また、新しい行政ニーズというものに対応して、規格検査所のあり方につきましても、機構それから人間の配置等については十分前向きに対処してまいりたいと思っております。
  150. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 何やら国対レベルの雲行きが怪しくなっているようでございまして、質問を少し切り上げなければならぬのかもしれませんけれども、少し省略させていただきながら質問をさせていただきたいと思います。  最初に、野菜の関係についてお尋ねしますが、昨年からことしにかけて冬野菜の価格が著しく高騰しました。大臣が三浦半島へ行かれて生産農家の皆さんと話をしたようでございますけれども、この点についてどんなふうにお考えになっていらっしゃるか、御答弁をいただきたいと思います。
  151. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 ちょうど私参りまして、雨の日でございましたけれども農家の皆さんに大変大ぜい出てきていただきまして御説明をいただきました。そうしてその説明の中で、あそこは私も行ってわかったのでございますけれども、台風で雨や風にやられただけでなくて、潮風が相当吹いてきていわゆる塩害が大変ひどかったようでございます。それを農協やあるいは行政機関の指導のもとに、塩害の塩をそれぞれ大根の葉っぱあるいは白菜の塩を丁寧にぬぐい取って、それによって何とか生き返らせた、生き返らせた以外にも、キャベツについては再定植、大根については再播種をして大体平年作の八割くらいまで戻したというお話を聞きまして、ほかの産地は大体四割くらい減ったのでございますけれども、三浦半島については大体二割くらいにおさまったということで、こういう野菜が非常に不足しましたときに、大変御協力をいただいたということで、私は大変感謝をしたわけでございます。  重ねて、三浦半島は大変模範生であった。野菜の高騰のときに、関東地方でも一部には畑買いと言って商社やその他の人たちが畑を買っちゃって、ある程度価格操作をしたところがあったようでございますけれども、そういう点、三浦半島は非常に優秀な形で計画出荷を組合を中心としてやっていただいておりまして、これは大変ありがたいことであった。こういう優等生が全国に広まっていったならば、あのときも品物がないのですから高くなることはやむを得ないにしても、もう少し何か考え方があったのではなかろうか。私は非常に貴重ないろいろの実際の姿を見たので、そういう点もこれからの野菜対策にぜひ生かしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  152. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国会対策委員会からの指示がございますからぼつぼつやめなければなりませんが、一、二問最後にまとめて質問をいたしたいと思います。  もう細かくは言いませんが、三崎は遠洋漁業中心地であります。マグロ漁業を主体として発展してきています。この三崎の流通加工施設を整備すべきではないか。これはもう私のみならず町当局も強く要請しているところでございますが、この施設を今後どのように整備をなさるつもりか。そして三崎についてこの設備を整備する具体的な手だてをぜひ要請をしたいと思うのですが、御答弁をいただきたいと思います。
  153. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 お答え申し上げます。  流通加工の拠点の整備事業といたしましては、今後七年間、五十五年から六十一年までの間でございますが、総事業費およそ六百億円程度を想定をいたしまして、逐次各地に広域拠点の整備あるいは地域の整備あるいは多獲性魚利用高度化の緊急整備事業をいたしたいというぐあいに考えております。  三崎につきましては、神奈川県の方でそういう計画を持っておられるということを私ども承知をいたしておりますが、これから各県のヒヤリングをいたしまして、御要望を聞いて慎重検討いたしたいというぐあいに考えております。
  154. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 要望を聞くことは当然ですけれども、有力な候補地としてお考えになっていらっしゃるかどうか、この一点だけ。
  155. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 いろいろ競争がございますけれども、三崎の持ちます地位というものは、確かに相当有力な漁港であることは事実であるというぐあいに考えております。
  156. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 有力な候補地として考えているかどうかと聞いているんであって、有力な漁港でありますでは答弁にならないのです。そこのところもうちょっとすっきり御答弁をいただきたい。
  157. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 まだ具体的な御要望が出ておりませんので、有力な漁港であるということで御勘弁をいただきたいと思います。
  158. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 有力な漁港と言ったって、これは前からちゃんと資料は出しているでしょう。もうあなた、おおむねまとまるところまで来ているでしょうがね。それはちょっとあいまい過ぎるですよ。
  159. 米澤邦男

    ○米澤政府委員 計画は正式に出ておりませんので、内容等も検討しなければなりませんし、言うまでもなくと先生の御指摘でございますけれども、私どもも、三崎につきましてはその重要性については十分理解をいたしておりますので、われわれ、要望が具体的に出ましたら、その内容を見て慎重に真剣に考慮をしたいというぐあいに考えております。
  160. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも少しあいまいなんだな。大臣、これはやはり有力な候補地でしょう。あなたがお聞きになって、ごらんになったのだから。余りしつこく聞かないでおこうと思ったけれども、こんなやりとりでは納得できませんので、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  161. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 まあ岩垂さんのところでございますから、私は極力ひとつ有力な候補地として見ていきたいのでございますけれども、何かいま事務当局からの報告では、各県からまだヒヤリングをしていない段階なんでございます。いまのこの段階で、事務当局として、やはり有力な候補地として言うわけにはなかなかいかないわけでございますから、その点は御理解をいただきたいと思いますが、せっかくきょうここでそういう大変強い御要望があったことは、私はよく自分の頭の中にとどめておきます。
  162. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 まだ質問したいことがあったのですけれども、一点だけ、部分肉流通センターの問題を伺いたいと思います。  これは、もう具体的にはその項目は言いませんが、地元の組合としての要望がございます。  それは、川崎市内に営業する小売専門店に対して、特に安い卸売価格で提供していただいて、より安い食肉を消費者に販売できるような体制をとっていただきたい、これが一点。  二点目は、一般消費者を対象とした販売システムになるのかならないのか、その辺のところが少し心配だ。それによって受ける小売専門店の打撃というものを考えていただきたい。  三点目は、流通センターの今後の事業を推進する役員と地元の組合の幹部と懇談会を何回か開いていただきたい、こういう要望がございます。それらの点について、まとめて御答弁いただきたいと思います。
  163. 犬伏孝治

    ○犬伏政府委員 川崎市に建設を進めております部分肉センターにつきましては、先生御承知のとおり、食肉の流通の中で部分肉の取引分野が非常にふえてきておるという実態の中で、部分肉の取引をできるだけ効率的にかつ需給の状況に合わせて取引ができるような施設にしたいということで進めておるわけでございます。  いまのお尋ねの点でございますが、そうした趣旨で設けること自体、小売段階への食肉の供給が、必要な部位につきまして必要な数量を小売店の需要に応じて渡していくという流通が可能になるわけでございますし、また、このセンターの機能といたしましては、その取引の数量、価格につきまして、これを公表することによって卸売価格と小売価格との連動性を持たせることをねらいといたしておるわけでございます。したがいまして、地元の川崎市の食肉の小売店にとりましても、当然そうしたメリットが及ぶわけでございます。  いまお尋ねの、食肉小売店が特売等をやる場合にこの部分肉センターから安く供給できるかどうかという点でございますが、私どもはこの部分肉センターができますれば、小売店がいま申し上げましたような需要に応じて必要な部位を共同で仕入れることによって中間コストが低減できる、また、需要に応じて必要なだけのものを入れることで、いままでの枝肉取引ですと、必ずしも必要でない分も仕入れなければならぬということがあったのが、それがなくなることによって、小売店の特売等が行われる場合には、共同仕入れ等を推進することによって安く供給ができるものと考えておりますし、また、そうした指導もしてまいりたいと考えております。  それから第二点の、一般消費者が直接ここに入って、小売店を飛ばして食肉を買うことになる心配が地元の小売店にあるようでございますが、この取引は、あくまで卸売段階の取引でございまして、取引単位も相当大量のものを考えております。したがいまして、通常一般消費者が買う数量としては買いにくいということで、一般消費者がここへ入ってくることはないものと考えておりますが、いずれにいたしましても、この業務運営規程をこれからつくるところでございますので、その中でこの部分肉センター自体がどういうふうにその業務運営規程を定めるか、よく相談をしてまいりたいと考えております。  それから第三点の地元の小売商の組合等と懇談をするようにというお話でございますが、これまでも設置に至るまでの経過で、懇談等も行ってきておりますが、今後とも業務の運営を実際に行う場合に、そうした地元の協力等も当然お願いをしなければならぬわけでございますので、そうした機会を持つようにこの部分肉センターの運営主体に対して指導をしてまいりたいと考えております。
  164. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は一時間質問の時間がございましたけれども、いま、国会対策委員会からの指示もございますので、半分質問を留保いたしまして、この辺でとりあえず中止をいたします。
  165. 木野晴夫

    木野委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  166. 木野晴夫

    木野委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。     午後三時十八分休憩      ――――◇―――――     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕