○伊賀
委員 だんだんと話が横にいってしまうのですけれども、外務大臣、そうすると、アメリカは
日本より先進国だというわけですね。アメリカの賃金の方が
日本より高いのじゃないですか。それでアメリカの米が安いんですね。もっともアメリカの場合は耕作面積が非常に多いです。ですから、
日本の米よりも安いということになることはわかっています。
そこでだんだん時間が迫ってまいりますので、私の方から申し上げます。
なぜ
日本の米が高いかということですが、これは農林省から伺わぬでも私の方からこれも申し上げます。規模の拡大だということでいま
日本の農林水産省が一生懸命になっています。規模の拡大なんかできっこないんです。農林省がどんなに声を大にしましても、規模の拡大はできません。今日、
日本の米の生産にしましてもあるいはその他の
日本の食糧の生産の主体は兼業農家でありまして、兼業農家が
日本農業の主体であります。したがって、今度農林省は農地法の
改正をしたりいろいろと
措置しておりますけれども、規模の拡大はできません。何とならば、兼業農家は放しませんから、どんなに農地法を
改正しようとも。したがって、私から言わせますと、規模の拡大というようなできもしないことを農林省は高らかに掲げて、そして
日本の米を安くする、あるいは総合農政とかいろいろおっしゃっています。規模の拡大はできない。できないことを高く掲げている。
実は
日本の米が高い原因はほかにあります。それは何かといいますと、基盤整備に非常に金がかかるということであります。しかも手間のかかることばかりやっています。いままでは一反規模の基盤整備をやらしておいて、今度は農機具が大きくなったからといって二反規模、圃場整備をやらしております。いずれそのうちに三反規模の基盤整備をやるんでしょう。そして同じところに何回も投資をして、そのたびに農民の借金がふえてくる。これは米代にはね返ってきます。
もう
一つ重大な問題があります。農業融資です。農業融資にいたしましても、
日本はなるほど
法律では二十年以内ということになっていますが、二十年なんというような農業融資はありません。実際は十五年ないし十年以上です。なるほど植林、山林、これの融資は二十五年以内ということになっております。これは永年作物です。単年作物も十五年以上のものはございません。まず、償還期限がむちゃくちゃに長いということです。そして利子です。利子も、
日本の場合には五%以下というのは、三・五%というのがあります。そして無利子というのがあります。なるほど後継者の
資金は三百万ほどが無利子であります。しかし、それ以外は全部五%ないし七%以上です。
ちなみに、アメリカの米が安いといいますけれども、アメリカの場合には、農業金融は償還期限からいいましても二十年以下の利子はありません。そして北欧、スイスだとかデンマーク、ノルウェー等々にいきますと無利子です。償還期限は百年です。孫が返せばいいんですね。ですから、
一つは基盤整備、
日本の言葉で言いますとこれは企業農家の育成だそうであります。
日本では企業農家はできるはずがありません。それほどアメリカであるいは北欧諸国で農業というものを
保護しておっても、それぞれその国の中では他産業に比較いたしますと農業の生活
水準が落ち込んでいきます。
それを
日本ではおやりにならずにおって、
日本の米が高い、だから輸出する場合には補助金を出さなければならぬ、そうするとダンピングではないかといって非難を受けておるわけであります。ですから、
日本の農林省、
外務省は本気で
日本の農業なり農民なりというものを考えておられるのかどうか。
もっと言わせてもらいますと、いまなるほど六百五十万トンの米が余っております。
日本の農業をつぶすために農林省も
外務省も大蔵省もかかって、食管赤字だといって、三Kの
一つ、今日の財政赤字の大きな原因が米にあるように言われておりますけれども、むしろそれは農業をたたきつぶすためにわざわざ五年も六年も六百五十万トンの米をぶら下げて回っておったのと違うかという感じさえも私はするわけであります。ですから、私がいま申し上げます米が高い、安くするためにはどうするかということは、本気でやろうと思えば、アメリカでさえもできるんです、欧州諸国でさえもできるんですから、
日本でもできるはずだと思うのです。ひとつ御見解を承りたいと思います。