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1980-05-07 第91回国会 衆議院 逓信委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月七日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 左藤  恵君 理事 堀之内久男君    理事 武部  文君 理事 野口 幸一君    理事 藤原ひろ子君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       長谷川四郎君    吹田  愰君       久保  等君    森中 守義君       田中 昭二君    竹内 勝彦君       則武 真一君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   漆間 英治君         法務省刑事局刑         事課長     根來 泰周君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締役         社長)     増田 元一君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     古橋 好夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     木村 惇一君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 四月二十四日  放送法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号) 同月二十三日  郵便料金値上げ反対に関する請願久保等君紹  介)(第四六〇三号)  重度重複身体障害者に対する郵政行政改善に関  する請願小野信一紹介)(第四七一一号)  地方貯金局存置に関する請願外一件(湯山勇君  紹介)(第四七一二号)  仙台地方貯金局減員計画撤回等に関する請願  (湯山勇紹介)(第四七一三号)  為替貯金事業オンライン化による定員削減反  対等に関する請願湯山勇紹介)(第四七一  四号) 同月二十五日  郵便料金値上げ反対に関する請願工藤晃君  紹介)(第四七八四号)  同(榊利夫紹介)(第四七八五号)  同(柴田睦夫紹介)(第四七八六号)  同(則武真一紹介)(第四七八七号)  同(不破哲三紹介)(第四七八八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第四七八九号)  同(松本善明紹介)(第四七九〇号)  簡易保険新種個人年金発売及び限度額引き上  げ反対に関する請願外一件(上田哲紹介)(  第四九一七号)  同外一件(上原康助紹介)(第四九一八号)  同外一件(小川国彦紹介)(第四九一九号)  同(小野信一紹介)(第四九二〇号)  同外八件(川崎寛治紹介)(第四九二一号)  同外十一件(塚田庄平紹介)(第四九二二  号)  同外五件(堀昌雄紹介)(第四九二三号) 同月二十八日  簡易保険新種個人年金発売及び限度額引き上  げ反対に関する請願外六件(川崎寛治紹介)  (第四九六七号)  重度重複身体障害者の使用する電話料金割り引  き等に関する請願上坂昇紹介)(第四九八  四号) 五月二日  重度重複身体障害者に対する郵政行政改善に関  する請願安田修三紹介)(第五二三七号)  簡易保険新種個人年金発売及び限度額引き上  げ反対に関する請願飛鳥田一雄紹介)(第  五二七二号)  同外三件(上田哲紹介)(第五二七三号) 同月六日  簡易保険新種個人年金発売及び限度額引き上  げ反対に関する請願高沢寅男紹介)(第五  四二九号)  同外二件(山本政弘紹介)(第五四三〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出第七二号)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、国際電信電話株式会社から参考人として御出席を願い、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 小林進

    小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武部文君。
  5. 武部文

    武部委員 まず最初に、去る四月三十日に板野佐藤両名が保釈となりました。このことによってKDD事件は事実上幕がおりた、このように巷間言われているわけであります。  警察庁にお伺いをいたしますが、警察庁はこの捜査を断念したのか、断念したとするならば、その理由は一体何であるか、最初にそれをお伺いしたい。
  6. 漆間英治

    漆間説明員 御質問にもありましたように、佐藤社長室長につきましては四月二十六日、それから板野社長につきましては四月二十八日、それぞれ保釈の申請がなされまして、四月三十日にこれが認められまして二人とも保釈になりました。申し上げるまでもなく、この二人はいわゆるKDD事件の重要な人物でございました。ために、この二人が保釈になったことによりまして捜査大筋において終了の方向に向かいつつあるということは事実でございます。しかしながら、なおこれまでの捜査結果に対する補充調査あるいはその他捜査未了部分がまだ残ってございますので、捜査は現在も継続しておるという報告を受けております。
  7. 武部文

    武部委員 いまもお話がございましたように、この二人の釈放によって事実上捜査終了に向かっておる、こういう話でございました。当委員会KDD問題が今日まで大変長時間にわたって質疑が行われ、警察庁からもその都度答弁がございました。この段階を迎えて、KDD事件とは一体何であっただろうか、この点について解明し尽くされておらないではないだろうか、こういう疑問点が少なくないのであります。したがって、いま捜査はそういうふうに向かいつつあるという答弁でございましたが、警察当局は、今後も引き続いてこのKDD事件についてはどのような捜査を続けるのか、この点をまず最初に一点お伺いをしたい。  しかも、このKDD捜査については、KDDの本社が捜索をされてから百四十九日間という非常に長い経過をたどって、聞くところによると、警視庁は延べ一万六千人もこれに投入したというようなことが報道されておるわけであります。いま申し上げた点についてどのようにお考えか、お伺いいたします。
  8. 漆間英治

    漆間説明員 ただいま申し上げましたように、この重要な人物が二人保釈になったわけでありますから、捜査はやはり厳粛なものでありますので、それに伴いましてそれなりの捜査展開の仕方が強いられることばやむを得ないものと考えております。しかしながら、残された範囲内でいまだ全容解明を終わっていない部分がございますので、毎回この席で申し上げておりますように、警察といたしましては、このいわゆるKDD疑惑にかかわる金の流れ、物の流れを追って、その中に刑事責任を問うべき事実があるかないかということを解明に努めてきたわけでありまして、そういう意味では、先ほど申し上げましたようにまだ未解明部分が残っておりますので、そういう解明に対しては全力を尽くす所存でありますし、その過程刑事責任を問うべき事実が出てくれば、当然厳正に対処することも同様でございます。その点についてははっきり申し上げておきたいと思います。しかしながら、先ほど言いましたように二人の保釈という厳粛な事実がございますから、今後とり得る捜査の手段というのは限定されてまいります。したがいまして、今後の捜査の急展開というような事態は余り望み得ないのではないか、このように考えております。
  9. 武部文

    武部委員 いままで警察庁同僚議員質問に答えて、捜査中である、そういうことを理由に具体的な事実をここで述べられませんでした。いま御答弁がありましたように、保釈という冷厳な事実があるわけですから限定捜査になる、これも当然だろうと思いますが、そうなってくると、いままでの捜査結果とその過程そのものを国会などにおいて可能な限り明らかにする必要があるのじゃないか、またすべきではないか、このように思うわけですが、警察庁見解伺いたい。
  10. 漆間英治

    漆間説明員 先ほど来述べておりますように、KDD疑惑にかかわりのある金の流れ、物の流れを追って、その中に刑事責任を問うべき事実があるかどうかという作業を警視庁は続けてきたわけであります。その対象となる額としまして五十八億円余のいわゆる税務上の交際費、これの使途解明全力を挙げてまいったところでありまして、現在その使途解明は、まだ全容解明には至っておりませんけれども、ほぼその大筋のところはつかめつつございます。そういう意味で、これが明らかになりますればその大筋のところの事柄につきましてはまた改めて御報告申し上げたいと考えておりますが、現在まだ一部未解明部分を残しておりますのでこの席で申し上げられないのは残念でございますけれども、そのようなことは考えておるつもりでございます。
  11. 武部文

    武部委員 いまのお答えで、いずれにしても近い機会捜査の結果とその過程を当委員会において大筋として説明をするというふうに理解をしておきたいと思います。  もう一点、この問題に関連をしてこの機会お尋ねをいたしたいと思いますが、五月四日の新聞の一面に大々的に報じられました浜田幸一君のことであります。四月二十八日に浜田幸一君は成田を立ってパリに向かった、こういう記事が載っております。写真入りインタビュー記事が載りました。その中にありました具体的な内容が、昨日発売サンデー毎日に大変詳細に掲載されています。私はそれを早速買って読んでみましたけれども、まさしくこの新聞記事をさらに詳細に問答式に掲載をしておるのでありまして、国民から見れば、なぜ政治家事情聴取がないままに捜査が打ち切られたのだろうか、こういう強い疑問と不満のあることは新聞投書にもはっきりと出ておるのであります。  たくさんの投書がそのようなことを物語っておると思いますが、特に、最も疑惑が濃いと指摘をされて当委員会でもしばしば取り上げられました服部郵政大臣の件であります。私もここに電電公社郵政省あるいは郵政省部外団体が、例の村本建設に発注をしておる一覧表を持っておるのでありますが、服部郵政大臣就任の一年間に非常に集中しておる、こういう資料がここにございます。これは特に近畿電電管内あるいは近畿郵政局管内に集中しておるということが言えるのでありまして、きょうは時間の関係で詳細に一つ一つの物件については申し上げません。しかし、確かにこの郵政大臣と特に密接な関係の深い村本建設が、この大臣就任の時期に集中的に、しかも大手に仲間入りしてからはそう日もたっていない村本建設が、なぜこのような形になっただろうかということにはだれしも疑問を持つのであります。われわれもそう思います。そういう中で、この服部郵政大臣のことについてしばしばここで問答が取り交わされましたけれども、具体的には資料がない、あるいは調査をしてとか、こういうことで終わったわけでありますが、このいまの報道の中にもやはりそのことが取り上げられて、国民の側から見れば、この主流派であるところの大平派の特に側近である服部元郵政大臣に対する疑問の声というのは高い、このように見なければならぬわけです。そこへこの浜田発言であります。浜田発言インタビューに対して、明確にKDD指揮権発動だった、こういうことを述べておるのであります。  かつて造船疑獄のときに、当時の犬養法務大臣指揮権を発動した――忌まわしい疑獄事件であった造船疑獄事件のときに、そのような言葉が突然言われたのであります。指揮権発動とは一体何だろうか、こういうことで大変話題になったことは記憶に新しいところであります。国民指揮権発動という言葉にいま拒否反応を持っておると私は思うのです。こういうさなかに、この指揮権発動であったというような言葉浜田幸一君の口から堂々と発言されるということは、全く聞き捨てにならぬ発言だと私は思うのです。  そういう意味で、法律家でもあり政治家でもあり、特に閣僚の一人である大西郵政大臣は、この発言をどういうふうにお考えになっておるか。恐らく新聞ごらんになり、あるいはサンデー毎日ごらんになったと思うのですが、私はこの内容を見て、何かこの発言の中に彼自身が証拠を握ってそういうことを言っておるというふうにさえ思われるわけですし、国民の側から見ればそのようにこの新聞記事なりあるいは週刊誌発言を受け取ると思うのですが、郵政大臣見解をこの際求めておきたいと思います。
  12. 大西正男

    大西国務大臣 KDD問題につきましては、捜査当局が厳正な解明を行っておられると私は思っておるわけでございます。
  13. 武部文

    武部委員 私がお伺いしておるのは、ついこの間まで自由民主党の国民運動本部長という重要な地位にあり、そうしていま問題の証人喚問をめぐって渦中の人物、しかも彼は衆議院を辞職いたしましたけれども、かつてそのような地位にあった人がこのKDD事件に関して、これは指揮権発動であった――先ほど申し上げましたように、指揮権発動というのは私どもにとってはまことに忌まわしい言葉でありまして、こういう事態について国民も昔のことを思い出すのでありますが、そういうことが堂々と述べられる。これは全く彼が一人で勝手にしゃべっておる、ばかげたことを一人でしゃべっておるというふうに国民が思うでしょうか。私はそう思わないのであります。それは、先ほど申し上げましたように、服部元郵政大臣の在任中に起きたいろいろなこと、さらに、具体的な検察の起訴にはなりませんでしたけれども、あのようなことが起きた、そうしてここでやりとりもあったということを考えたときに、このことについて郵政大臣として指揮権発動についてどのようにお考えかということをお尋ねしておるわけでありますから、お答えをいただきたいと思います。
  14. 大西正男

    大西国務大臣 お尋ねの問題につきましては、私はいわゆる指揮権が発動されたといったようなことは全然耳にいたしておりません。新聞記事あるいは週刊誌によって浜田さんの御発言として報道されておる問題につきましては、浜田さんがどういうふうにお考えになってそういう発言をなさったのかどうかも私はうかがい知ることはできません。私が一つ一つこれらの報道に対してコメントをするようなことは適切でないと思います。
  15. 武部文

    武部委員 それでは重ねてお伺いいたしますが、そのような指揮権発動とも思われるような動きは、このKDD問題については全くなかったというふうに閣僚の一人である郵政大臣、またKDDの所管である郵政大臣としては、そのように思っておられるのか、その点をひとつ重ねてお伺いしたい。
  16. 大西正男

    大西国務大臣 私の知る限りにおいては、そんなことがあったということについては何ら知りません。ないと思います。
  17. 武部文

    武部委員 この問題は新聞にも報道され、恐らくこれからまたいろいろなことが出てくるかもしれません。サンデー毎日記事は非常に詳細な問答式になっておりまして、これは決してつくられた架空の記事だとは私は思いません。したがって、大臣ごらんになったかと思いますけれども、その中で国民の側から見、あるいはわれわれ当委員会に席を置く者の一人として大変この点については疑問に思うのでありまして、大臣見解をただしたわけでありますが、大臣はいま述べられたような見解を一歩も出ませんから、この点についてはこれだけにとどめておきたいと思います。  次に、改正案についてお伺いをいたしますが、この改正法案が、KDDの将来を考えてみたときに果たして最善のものであるかどうか、冷静に真剣に考えてみなければならないと思っております。一体KDD事件の原因は何であっただろうか。なるほど大臣がしばしば言われておるように、究極的には経営者という人の問題であったということがあるいは言えるかもしれません。しかし、同時に郵政省監督のあり方にも問題があったのではないか、私はそのように思います。  そこで、KDD事件反省として、郵政省監督権をさらに強化をする、そのことが二度とこのようなことを繰り返さない、そのためにそういうことをするのだ、こういうことで法案が提出された、このように理解をするわけです。しかし、考えてみると、郵政省監督権強化ということが、かえってこのKDD経営というものを、いわゆる自由濶達な弾力ある会社とするということへの阻害となりはしないか。当委員会でだれかの発言にもございましたけれども、そのことがむしろ角をためて牛を殺すことになりはしないかという同僚議員発言がございましたが、私もそのように思います。監督権強化することはかえってまた郵政省KDDとの癒着を深める結果になりはしないか、このように懸念をするわけであります。  そうした意味からも、会社法というものをもう一遍見直してみたい。わが党は目下他に正すところはないかというところからこの会社法の検討を加えておるわけであります。したがって、その点に関連をしてこれから二、三会社法の問題についてお伺いをいたしたいのであります。  会社法の第一条に、KDD設立目的とそれからこの会社性格について規定がしてあります。しかし、この条文はたったの二行、余りにも簡単であります。先日も久保同僚委員から指摘をされたのでありますが、電電公社法第一条、これと対比してみましても、この会社に対して、民営の形態とはするが、その高度の公共性独自性から、純粋の私企業ではなくて、公共福祉を増進することを目的とする特殊会社である、この点を明確にこの第一条に規定すべきではないか、このように思うわけであります。さらに、公共性を第一条に明記することによってこの会社性格を明確にして、会社経営基本理念とする。そして経営姿勢を正して、合理的かつ能率的な事業運営を図ることによって、再びこのような不祥事件が起こることのないようにすべきだというのが私ども考え方でありますが、この第一条の目的、この点について、いま私は、余りにも簡単過ぎる、しかも電電公社と対比したときにその差が余りにも明らかである、さらに将来の不祥事件を防ぐためにも、ここにはっきりと会社性格目的、そういうものを明記する必要があると思うわけですが、郵政大臣見解を承りたい。
  18. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  先生の御意見一つの御見解とは存じますけれどもKDDの行います業務公衆電気通信法規定に従って行われておるところでございます。したがいまして、その公衆法の第一条では、公共福祉の増進を目的とする旨規定をされておるところでございまして、現行法体系の中でも、KDD業務先生指摘のような趣旨のもとに運営されるべきものであることは明瞭であると私は考えております。  公社との対比でお話がございましたが、公社公共企業体、そういう企業体として設立をされたものでございますから、したがいまして、その趣旨公社の法に明確にするために規定をしたもの、こう考えるわけでございまして、その点はKDDとは法体系上趣を異にする、こう思います。
  19. 武部文

    武部委員 第一条、恐らく大臣ごらんになっておると思うのですが、ここには「国際電信電話株式会社は、国際公衆電気通信事業経営することを目的とする株式会社とする。」これだけになっておりますね。ですから、私が申し上げたのは、そういう簡単なことではなくて、ここにはっきりとした基本理念というものを明確にして、公共福祉を増進することを目的とする特殊会社である、そういう基本理念に立たないと、やはり独占企業の上にあぐらをかいて、いま言ったようなそういう事件が発生をするおそれがある、したがって、もっとはっきりと第一条に基本理念というものを書いて、会社はかくかくのものだ、こういうことをうたう方がいいのではないかという私ども考え方については、全く不賛成なのですか、その点ひとつ明確にお伺いしたい。
  20. 大西正男

    大西国務大臣 KDDKDD法に基づく目的の中には、公衆法との関連におきまして、文字の上にはあらわれてなくても、当然その中に含まれておるものでございます。したがいまして、そのことを書くことは重複することになると私は考えます。そういう意味で必要がないと私は思うのでございます。
  21. 武部文

    武部委員 これは完全にあなたと意見が違うのでありまして、書いてないがそれは文字の中に含まれておる、これはちょっといただけないのでありまして、今度の事件契機にして、KDDの方も反省すべき点は反省をし、やはりきちんとした心構えでバックボーンを一本持って経営の任に当たってもらいたい、そういうために第一条の目的というものをいま言ったように明確にしていく必要がある。確かに、何ぼきれいなことを書いたって、やらなければ何にもならぬわけでありまして、いかに文字がきれいなことが羅列してあったって、全然やる気がなければお話にならぬわけですけれども、少なくとも今日起きた事件契機にして、そのようなことがいまKDDに課せられた一つ任務じゃないか、むしろぴちっとしたものを国民の側に打ち出すことによって、KDD側もこの第一条の目的に沿って経営を能率的に合理的にそういうようなことをやる、しかも公共福祉に沿った責任においてやるんだということがいま何よりも必要だというふうにわれわれは考えておるわけでありますが、大臣はそのような見解がないようでありますが、われわれはこのような意思をこれからもずっと続けて主張していきたいと思っておりますし、恐らく他党の皆さんもその点については御異存がなかろうと思っておりますが、これはあなたと意見が違うわけですから、次に移りたいと思います。  次に、役員の問題について二、三お伺いをいたします。  この会社役員については定款で定められておりますが、定款第三十二条に「会長一名を置くことができる。」こういうふうになっておるわけですが、現在のKDDで一体会長というものが必要だろうか、現在の会社国際性から見て、会長代表権がいまあるわけですが、一体この会長代表権が絶対に必要なのだろうか、この点にもちょっと疑問を持つわけですが、KDDとしてこの会長制、第三十二条の必要性についてどう考えておられるか、またその任務は一体何であるか、これをひとつお伺いしたいと思います。
  22. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  現在、会長株主総会を招集し、その議長をされます。それからまた、取締役会を招集し、取締役会議長として、会社にとりまして大変重要な機関の取りまとめをされる、こういう任務がございます。そのほかに、私ども日常業務を遂行いたします上におきまして、豊かな経験をお持ちの会長が、幅広い知識を持って私どもに対していろいろ有益な御指導あるいは助言をいただきますことは、会社を運営していく上におきまして大変有益なことであると考えております。そういう意味で、会長があることは会社にとって大変いいことである、私はこういうふうに考えております。  それから、代表権が絶対に必要であるかという問題でございますけれども、先ほど申しましたように会長としては大変重要な職責を持っておられますが、それ以外に、会社代表いたしまして対外活動国際会議出席される場合もございましたりあるいはまた外国の代表とお会いになる、意見を交換されるというようなことがございますので、代表権を持っておられる方が望ましいと思います。しかし、先生が御質問になりました絶対に必要かという点につきましては、必ずしもその必要はないのではないか、ある方がベターであろうという程度のことでございます。
  23. 武部文

    武部委員 いまの最後の御答弁で私はよかろうと思います。われわれはいまのKDDの運営の中から見て会長が絶対に必要だとは思っておりませんし、また代表権も与える必要はない、むしろ会長はなくてもいいのじゃないかというような見解を持っておるということをこの機会に申し上げておきたいと思います。  そこで次に、これまた同僚議員からも指摘があって、私どもいまその点についていろいろ検討いたしておるところでありますが、この定款上から見ますと、代表権を有する役員が現行では九名となっておるわけであります。これは他の特殊法人に比べて多過ぎるのじゃないかという見解を持っておるわけでありますが、これについての意見をお聞きしたい。  それから、次に役員でありますが、これは定款第二十五条で「十七名以内」ということに規定しておられるわけですが、これまた他の同様の会社に比べてこの十七名という数字は多過ぎるのではないか、こういう点を指摘をしたいのですが、この点についての見解を承りたいのであります。この二点について最初答弁いただきたい。
  24. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  代表権のある役員が多いのではないか、こういう御質問でございますが、会社の仕事の内容によりまして外国との折衝が多い、そういうような点から他社に比べて代表権のある役員が多いと思いますが、御指摘のようにこれだけの代表権を持った役員が必要かということになりますと、やはり検討に値すると思っております。  それから次の御質問の、現在十七名以内となっておりますが、これが多いのではないか、こういうことでございますが、私ども、事業の規模がどんどん大きくなってまいりますので、必ずしも多いというふうには思っておりません。
  25. 武部文

    武部委員 昨年の十二月十八日の閣議了解に「特殊法人の役員について」という文書があります。これを見ますと「特殊法人の役員の縮減を実施する」こういうことになりまして「常勤役員総数の少なくとも一割を縮減する。」という閣議了解の決定があります。特殊法人であるKDDもその対象となると思うのですが、この十二月十八日付の閣議了解の線に沿って一体何名ぐらいこの役員を縮減する考え方であるのか、また同時に、そのことは、六月二十七日に予定されておるようでありますが、株主総会に諮って実施される、そういうふうに考えておられるか、これをお伺いしたい。
  26. 増田元一

    増田参考人 先ほどお答えいたしましたように、私どもは必ずしも多いとは考えておりませんが、いろいろ特殊法人としての立場もございまして、郵政省からの御指導もございますので、その線に沿いまして検討し、措置をいたしたい。六月の末に予定しております総会において政府の御指導の線に沿った措置をとらなければならない、こういうふうに考えております。何名ということにつきましては、本年度は一名程度になるのではないか、こういうふうに思っております。
  27. 武部文

    武部委員 郵政省にお伺いいたします。いまKDD郵政省の指導にということを言われておるわけですが、先ほどから申し上げるように代表権を有する役員の数が多過ぎる、あるいは役員の数においても十七名というのは他の特殊法人、他の会社に比べて多い、こういう点については検討に値するという答弁KDD側からあったわけでありますが、郵政省はこのことについてどういうふうに考えておられるか。  もう一点は、役員の員数というものは定款に定められておりますが、これまた私どもは、定款ではなくて、日本航空のように法律規定すべきではないかというふうに考えておるわけですが、この点についてどうお考えか、二つについてお伺いいたします。
  28. 小山森也

    ○小山政府委員 閣議決定でのいわゆる特殊法人の一割削減、この決定部分についての御答弁を申し上げたいと思います。  御指摘のとおりに、十二月十八日の閣議了解は特殊法人の役員についての削減ということを決めております。しかも、この特殊法人の中にはKDDも含まれていることはお説のとおりでございます。したがいまして、この了解の趣旨に従いまして五十五年から三カ年計画において一割削減――これは各個別の機関についての一割ではございませんけれども郵政省所管全体におきまして一割削減を目途として、その了解に従いまして指導していきたい、こう思っております。無論KDD株式会社でございますので、業務の運行あるいは業務量、あらゆる点から株主といろいろ御相談いただくことでございますけれども、指導といたしましては、この閣議了解の線に沿っていただくことを期待しているわけでございます。
  29. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘ございましたように、現在特別な法律によって設立されております株式会社の中で、役員の数が法律上明定されておるものと、そうでなくて定款事項、いわゆる株主総会事項にされておるものと、二種類あることはお話のとおりでございます。そこで、KDDの場合は、法定制をとっておらないで定款で定めており、その定款の作成あるいは変更につきまして郵政大臣の認可が必要である、認可があって初めて効力を発するという形になっておるわけでございますので、こういう関係から、役員の数につきましても郵政大臣の認可という行為を通じまして国のコントロールが及んでおるというふうに私ども考えておるわけでございます。これは、国際公衆電気通信事業につきまして企業経営の自主性、機動性を尊重するという立場と同時に、その事業の公共性にかんがみまして国の所要の監督を行うということの一つの調和をとった法の趣旨に沿ったものだと考えているわけでございまして、その点から、今回KDD法の見直しを行いました際にも、この点を特に改正する必要はないということで、ただいまの内容で御提案を申し上げているわけでございます。
  30. 武部文

    武部委員 提案はわかりますが、いま申し上げたように、日航とかその他の特殊法人の例にならって、定款ではなくて法律にそのような規定をすべきだという意見には郵政省としては応じがたい、こういう考え方ですか。
  31. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいまお答え申し上げましたような理由で、現在のように定款に定め、その定款の変更につきまして郵政大臣の認可が必要であるという形態で、役員の数につきましてもコントロールができるというふうに考えておるわけであります。
  32. 武部文

    武部委員 これは私どもとして、修正をする気持ちでいま検討を加えておるということだけ申し上げておきたいと思います。  現在の取締役の皆さんは、全員この六月で任期満了となるわけでありますが、社長は、経営陣幹部の人事の刷新についてどのように考えておられるか。少なくともこのKDD事件が起きたときに、内容が明らかになるにつれて、これは役員全員の責任だ、このように指摘をされたし、私はそのとおりだと思うのですが、この六月で任期満了になる役員人事について、社長は現在一体どのように考えておられるか、お伺いをいたしたい。
  33. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  取締役といたしまして責任があることは否定できないと思います。六月の人事をどう考えておるかということでございますが、新しいKDDのスタートに当たりまして、どういう陣容で出発するのがKDDの将来にとって一番いいか、そういう立場から毎日頭の中で考えておりますが、ただいま現在、具体的にこういう方向で考えておるというふうに申し上げるところまで至っておりません。しかし、今月末の取締役会あるいは来月末の株主総会が迫ってまいりますので、それに間に合いますように、会長ともよく相談いたしまして、KDDの将来にとってどういう陣容が最適であるか、最善であるか、そういう立場から考えていきたい、こういうふうに思っております。
  34. 武部文

    武部委員 あなたはKDDの再建策について次のように述べておられますが、ちょっとこのことについてお伺いをいたしたいのであります。社長の権限を弱め、常務会を重視する、社長の任期を四年までと限定をして、延命工作のしようがないような慣行をつくって制度化したい、こういうことを何かインタービューであなた述べておられるようであります。ここにございますが、その真意は一体何でしょうか。なぜ社長の任期を四年までと限定した方がよいと考えられたのか。この点はいかがでしょう。
  35. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  常務会を重視するというふうに申し上げましたのは、今回の事件は、組織の一点に権限が集中いたしまして、ほかの役員は気がつかなかった、こういうのが一つの大きな原因であると思いますので、会社の重要な意思を決定する場合にはできるだけ常務会等を開きまして、合議制といいますか、そういうふうな形で決めていくのが事故を防止する一つの手段であろう、それからまた、本来株式会社というのは個人の独走を許すような形態ではないわけでありまして、本来そういう合議的な機関でございます。本来の姿へ持っていきたいというのが私の考えでございます。その場合に、いつも全役員をもって会議を開くということになりますとこれは大変でございますので、常務会を中心に会社の運営を図っていきたい、こういうことでございます。  それから、たとえば四年と申し上げましたのは、別に理論的根拠があるわけではございませんで、四年たてば環境になれるといいますかマンネリ化するというようなおそれもありますし、また一方、四年勤めればあるいは自分の考えをある程度実行できる、そういうふうに考えまして、私の感じでございますが、まあ四年くらいがいいんではないか、こういうふうに考えまして、理論的な根拠のもとに申し上げたわけではございません。単なる私の感じでございます。
  36. 武部文

    武部委員 いま増田社長がおっしゃった中で、独走を許さない本来の姿が行われなかった。――あなたのおっしゃっておること、まことにそのとおりだと思うんですよ。独走を許さないという本来の姿が行われなかったところに問題がある。なぜそうなったかということが問題なんです。そのことは、先ほど申し上げたように、経営陣の問題にあるでしょう。したがって、先ほどあなたにお尋ねいたしたように、取締役全員がこの六月で任期満了になるわけですから、そういう意味で、まさに株式会社の本来の姿が行われるような人事の刷新、そういうものをぜひやってもらいたいということを強く要請をしておきたいのであります。増田社長のこのインタビュー記事というものは、私はあなたがそういう姿勢でこれからのKDDの運営に当たっていこうという決意のほどがよくわかりますので、その決意でひとつぜひ貫いてやってただきたいということを強く要請をしておきたいのであります。  次に、監査役の問題についてお伺いいたしますが、先般ここへKDDの公認会計士である日本公認会計士協会の朝日会計社の代表の方がお見えになりまして、何年にもわたってKDDの会計の監査をやった経過の説明がございました。私もちょっと言われたことをメモしておりましたけれども、一年に百九十二日間もKDDに出向いてやっておる。それも大体六名から七名の人間がKDDに常時、一年のうち二百日も詰めておる。そうしておりながら、このことについて一体なぜわからなかったかという同僚議員質問答弁しておられましたけれども、全く要領を得ない。ここへ私書いておりますが、何か投資判断に資するためにやっておるんでそこまで目が届かなかったとか、そこまで権限がないとか、よくわからなかったとか、書類が整っておればあとは文句は言えないとか、いろいろなことを言っておられましたけれども、私は大変疑問に思いました。  これを契機にして、日本公認会計士協会の会長から全国の会員に対して通達が出た。この通達をここへ持ってきましたが、これを読んでみて、これまたまことに驚きました。ここに書いてある。全部は読みませんが、証拠書類のないものまたは証拠書類の完備されていないと認めるものについては、質問を徹底するなどの手続によりその支出の信憑性を確実ならしめる、なんというようなことがここに書いてありますね。それから、積極的な姿勢をもって臨めとか、いろんなことが書いてあります。これはKDD事件一つ反省材料として監査の充実強化ということの通達のようでありますが、何をいまごろこんなことを言っておるかというふうに私どもは受け取りたいのです。一年間のうちに二百日もKDDに六人も七人もの会計士が出向いていってこのことが少しもわからなかったということは、一体何をしておったんだろうかというふうに思わざるを得ないのです。  きょうはここに会計士協会の方に来ていただいておりませんが、そういう意味で、それならば一体その前提となるべき社内の監査状況はどうだっただろうか、このことを考えてみると、これまた全く同じようなことをやっておったに違いない。だからわからなかった。何か社長室に対しては社内の監査ができなかったというようなことを聞いておるのですが、事実そうだったのでしょうか。これを最初にちょっとお伺いしたい。
  37. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  本社は監査の対象になっておりませんでした。
  38. 武部文

    武部委員 おりません、ですか。
  39. 増田元一

    増田参考人 はい、できませんじゃなく、やっておりませんでした。
  40. 武部文

    武部委員 私はその辺がおかしいと思うのですね。社長室がどうして監査役の監査の対象になっていない――恐らく何かせぬようにされたと思うのですけれども、その社長室は監査の対象から外すということは、恐らく取締役会の決定か何かでおやりになっておると思うのですが、そういうふうなことで監査の対象にならなかったというふうに理解してよいのでしょうか。
  41. 増田元一

    増田参考人 ちょっと先生に訂正させていただきますが、本社を対象にしていなかったのは内部考査でございまして、監査役の監査の方はやっていたと思います。
  42. 武部文

    武部委員 考査はやっていない、監査はやっていたと思うということですが、現実には何にもなかった、こういうふうに結果としては明らかになっておりますね。  そこで、私が申し上げたいのは監査役のことなんです。いままでの監査役の方の一覧表がここにございますが、このKDDの監査役というものは、監査役が終わると全部と言っていいほど取締役になっておられるわけです。私はここが問題だと思うのです。この監査役はいわゆる取締役の登竜門、取締役になるためのステップ、そういう職種だというふうに結果から見るとなるのですね、ほとんど皆さんそうなっていらっしゃるから。そうすると、監査役は次の取締役になるために、取締役に対して何でもかんでも思ったことをどんどん言えるかというと、そうはならぬのじゃないでしょうか。ここが問題だったというように私は思うのですよ。ですから、監査役が取締役会あるいは常務取締役会に対してほとんど発言をすることが不可能なような人事構成というか組織形態というか、そういうふうになっておったということで、まさしく監査役というものが有名無実的な存在になって、今日このようなことが全然わからなかった。また同時に、それに付随したように公認会計士の方も何にもやっておらぬということになって、一般の国民から見れば、社内には監査役というのがちゃんと三人おって、そして部外の公認会計士がいま申し上げたように一年に二百日もやってきて、六人も七人もKDDでやっておるのに、全然こんなことが指摘をされなければわからなかったというのは、そこに大きな欠陥がある、不思議だというように思うのです。そういう意味で、監査役から取締役になる、そのようなことではこれから先、何ぼ監査室を充実したところで私は効果は上がらないと思うのです。  そういう意味で、監査役というのは、たとえば副社長を年限が来て退職された、そういう人が就任をして、堂々と自分の体験の中から発言をし、そして取締役会に対しても堂々と自分の意見指摘できる、そういう人が監査役になっていかなければ、いまのような制度のままで人をかえたところで同じ結果になりはしないか、このように思うのですが、増田社長はどのようにお考えでしょうか。
  43. 増田元一

    増田参考人 監査役は取締役業務執行を監査するというのが職責でございますので、監査役が取締役になるためのワンステップという現在の行き方は欠陥があるという先生の御意見につきましては私も賛成でございます。そういう線に沿いまして考えていきたい、こういうように思っております。
  44. 武部文

    武部委員 私がいま申し上げたことは、今度のKDD事件内容がわかるにつれて監査役の任務責任というものが非常に重要なものであるということを明らかにしたと思うのです。したがって、これだけ膨大な内容を持った使途不明金なりいろいろなことが国民の前に明らかになった、したがってこれからKDDが心を入れかえて、一転をして再建に取りかかるというならば、まずこの監査室の充実、監査役の人事、そういうものから手をつけるべきだ、私はそのように思います。そうでなければ旧態依然として同じことが行われてくるということになるわけですから、あなたがおっしゃったようにまさしく常識では考えられないようなことが行われておった、こういう点を克服するためにも、いま私が指摘したことを今度の六月の株主総会の人事刷新の場合にはっきりとそのようにするということを明言していただけますか。
  45. 増田元一

    増田参考人 従来のやり方を変更いたします。
  46. 武部文

    武部委員 それはこれからの人事を見守っていきたいと思います。  時間が参りましたので、私は最後に、料金の認可について私ども見解を述べて、郵政省なりあるいはKDD考え方を求めたいと思います。  これから申し上げることは公衆電気通信法の改正に関係する問題でありますけれども、国際電気通信の料金というものは各国の通信事業者間の協定によって定められておるわけであります。その料金額というのは金フランの単位をもって表示をされているわけでありますが、そこで各国はその料金をそれぞれマルクなりあるいは円なり、そういう自国の通貨に換算をして定め、利用者から収納料金を取る、こういうふうになっておると思います。したがって、この国際電信電話料金の認可に当たりましては、郵政省はあらかじめこの関係審議会、われわれは電気通信審議会というものの設置をこれから要求するわけでありますが、たとえば現在ある郵政審議会、これからわれわれが提案をいたします電気通信審議会、仮称でありますが、そういうものの意見を聞く、そういうことを法律で明示する必要がある、このように思っておるのでありますが、この点についてどのようにお考えか。  その審議会ですが、これは郵政大臣に料金に関する答申を行う場合には、広くユーザー、利用者の意見を聞くべきことを政令等に定める、政令等で措置する必要がある、このように思っておりますが、郵政大臣はこの二つの見解についてどのようにお考えなのか。料金の認可について、ここで適正な利潤とか、いろいろなことでやりとりいたしましたけれども、いまだにこの問題について結論が出ておりません。したがって私どもはそういう見解を持っておるわけですが、この点についての大臣見解を承りたい。
  47. 大西正男

    大西国務大臣 国際電信電話料金の認可につきましては、従来一般的には各国別にその都度認可をしてまいっておったわけでございます。そのため件数も多くなっておったわけでございまして、そういう実態に即しまして、審議会にかけるということは従来はやってこなかったわけでございます。しかしながら、現在国際電信電話料金問題につきましては利用者の関心が非常に高まってきておるわけでございます。郵政省といたしましても、国際電信電話料金の認可に当たりましては、特に重要なものにつきましては郵政審議会等にかけることを検討いたしておるところでございます。  先生の後段の御指摘の、そのやり方等について政令等で措置してはどうか、こういうことでございますけれども一、現在のところそこまではまだ考えが至っておらない状態でございます。
  48. 武部文

    武部委員 前段の点については大体そのようなお考えのようですが、私はやはりこの利用者、ユーザーの意見というものを吸い上げていく必要がある、このように思うわけでして、この点はまだ意見が一致しないようでございますが、ぜひ検討をしていただきたいものだというふうに思います。  最後にもう一点お伺いいたしますが、国際電気通信役務の料金についてです。国際情勢特に経済情勢が著しく変動があった場合、これは円高、円安の問題も含めてでありますが、あるいはまた極端な高収益を上げた場合、料金値下げが必要であるというふうに郵政大臣考えた場合、KDDに対して料金の変更認可申請を提出すべきことを郵政大臣が命ずる、そういうことができるようにすべきではないかと私ども考えておるわけですが、この点については郵政大臣としてはどのようにお考えであろうか、郵政省見解をひとつ承りたい。
  49. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 現在KDDの料金につきましては、御案内のとおり公衆法により認可事項となっておりまして、御指摘のような料金の引き下げ命令ができるかどうかということにつきましては現行法上明文の規定がございませんので、現在ではそういうことができないというふうに私どもは解釈をしておるわけでございます。しかしながら、たとえば電気事業法等にそういう規定があることも御案内のとおりでございまして、公衆法を改正して、そういった料金引き下げ命令権を法律規定するという方法も考えられると思うわけであります。ただ、この命令権につきましては、命令権行使の要件あるいは命令違反の場合の措置、あるいは同じ公衆電気通信業務を扱っております電電公社に対します料金引き下げ命令権との関係等いろいろ問題がございますので、この点を含めましてひとつ慎重に研究をしてまいりたいと考えております。  なお、適正な料金につきましての指導ということにつきましては、今後とも十分配意をしてまいりたいと考えております。
  50. 武部文

    武部委員 いまの問題は大変大事なことだと私は思っておるんです。確かにおっしゃるように公衆電気通信法、まあ電電公社のこともありますから簡単にはできないかもしれません。しかし特に国際電電については国際経済情勢の変動ということ、急変ということもあるのですから、そういうことを考えながら、非常に一局収益があったとかいうようなときには、むしろ大臣が積極的にそのようなことを命令として出せるというようなことも考える必要があるのじゃないかということをわれわれは今度のKDD事件一つ契機にしていま検討し、考えておるわけでありますから、郵政省もこの点については、確かにいま明文化はしておりませんけれども、将来の問題としてぜひ検討していただきたいし、われわれはその点についての考え方を持っておるということを主張しておきたいと思います。  ちょうど時間になりましたから、私の質問はこれで終わります。
  51. 小林進

    小林委員長 次に、西村章三君。
  52. 西村章三

    ○西村(章)委員 最初警察庁お尋ねをいたします。  昨年の事件発生以来すでに半年以上経過をいたしております。警視庁KDD本社の強制捜索に踏み切られてからでもすでに五カ月以上が経過をいたしております。しかしまだ事件の全貌というものは明らかになっておりません。しかも伝えられるところによりますと、捜査はすでに終結に向かっておる、終結に近づいた、こう言われておるのでありますが、今日の段階で捜査の進展状況というものは一体どの辺まで進んでいるのか、まずこの点から明らかにしていただきたいと思います。
  53. 漆間英治

    漆間説明員 KDD事件につきましては、警視庁は昨年の十二月四日に関税法違反の事実でKDDの本社など二十三カ所の捜索を実施してから本格的な捜査を進めてきたわけでありますが、その間、二月二十四日に前社長室長佐藤陽一を業務上横領及び関税法違反により逮捕いたしました。引き続きまして三月十八日に、起訴勾留中の佐藤を含む元郵政省気通信監理官松井清武ら四名を贈収賄被疑者として逮捕したことは御承知のとおりであります。さらにその後の捜査によりまして、本年四月五日、元社長板野學を業務上横領により逮捕いたしまして、四月二十六日起訴されたのでありますけれども佐藤を除く郵政省関係の贈収賄事件被疑者は起訴当日の四月八日に釈放になりました。引き続きまして、四月三十日に起訴勾留中の板野佐藤の両名が保釈になりました。したがいまして、捜査大筋において、先ほど申し上げましたように終息の方向に向かっている段階でございます。
  54. 西村章三

    ○西村(章)委員 今回の事件内容がきわめて複雑怪奇でありますし、かつまた広範囲に及ぶものであります。しかも利害がそれぞれ錯綜する中で、捜査についてもいろいろと御苦労が多かったと思うのでありますが、警察といたしましては、当初に、いわゆる捜査目標といいますか、あるいは全体的な重点捜査項目を持っておられたと思うのであります。いま仮に全体を一〇〇といたしましたら、今日時点では約何十%ぐらいが解明が完了したのか、この点はいかがでございましょう。
  55. 漆間英治

    漆間説明員 毎回この席で申し上げておりますように、警察といたしましては、世上問題とされておりますKDDのいわゆる税務上交際費と申しますか、これは五十八億円余というふうに記憶しておりますが、その交際費使途解明して、その中で刑事責任を問うべき事実があるかどうかという作業を重点としてやってまいりました。その過程刑事責任を問うべき事実があったというふうに証拠上認められるものにつきましては、それぞれの手続をとってまいったところでございます。したがいまして、この五十八億円余の解明に当たるわけでありますから、膨大な人員と膨大な日数を要したわけでありますが、現在その作業はほぼ終了に近づきつつありまして、いまだ未解明部分がありますので今後なお継続して捜査を要する点はございますけれども、それが終わりますれば、その五十八億円の使途はほぼ解明できるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたようにその五十八億円余の使途が世上関心を呼んでいるわけでありますし、いわゆるKDD疑惑、こう称せられておるところでもありますので、捜査に支障のない範囲でその五十八億円の使途大筋についてこの国会にも御報告申し上げたいというように考えておるわけでございます。  先ほど何割ぐらいかというお話がございましたが、そういう意味で金額的にいえばほぼ九割以上解明している、あと残ったところはまあ一割ぐらいではないかというように、ごく大ざっぱな言い方でございますけれども、そういうことでございます。
  56. 西村章三

    ○西村(章)委員 乱脈な経理、特に五十八億円の使途解明、すでにこれが九割方終わっておるということであります。  一番問題になっておりましたのは贈答、接待あるいは各種の工作をするためのいわゆる裏金の使途、あるいは使い道がわからない使途不明金、これについても調査をされてきたと思うのでありますが、裏金の使途あるいは使途不明金の行方については、すでにこれも九割方解明をされた、かように理解をしてよろしゅうございますか。
  57. 漆間英治

    漆間説明員 その辺はまた、やがてまとまった段階で正確に申し上げたいと思います。  裏金とおっしゃいましたけれども、実は裏金というものは余りないように聞いておりまして、むしろ正規の交際費支出の中でいろいろなことが賄われていたというのがこの事件の特徴であるやに聞いておりますので、これはやがて正確に把握をした段階でまた改めて大筋を御報告申し上げますけれども、いまのお話で、あたかも裏金があって、それが何かいろんな工作に使われたかのごとき印象を受けたのでありますけれども、そういうことではないように報告を受けております。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  58. 西村章三

    ○西村(章)委員 捜査途中で保田重貞前社長室参与、これが自殺をされたわけであります。かなり捜査に重大な障害を及ぼしたと思うのでありますが、この人の自殺による影響といいますか、具体的におっしゃっていただければ非常にいいのでありますけれども、具体的でなくとも、この人の自殺が今回の事件解明にどの程度影響を及ぼしたのか、どのような面でそれがあらわれたのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  59. 漆間英治

    漆間説明員 何回か前のこの席でも申し上げたかと思いますが、お二人が自殺をしたことによって、特に保田参与の自殺によって捜査は影響を受けるということをはっきり申し上げました。現実に私は受けたと思います。しかし、それがどのような受け方をしたかということはちょっと具体的に申し上げかねますので、受けたということでひとつ御了解をいただきたいと思います。
  60. 西村章三

    ○西村(章)委員 影響を受けたことによって全体の解明ができなかったというようなことにも理解ができるわけでありますが、これは幾らお尋ねをしても答弁をしていただけないと思いますので、次に、この事件関連をいたしまして、今日まで警視庁事情聴取をたくさんの人から行ったと思われるのであります。警察庁側もずいぶんの人を動員してこの事件捜査解明に当たられたわけでありますが、この事情聴取を行った対象人員は一体何人ぐらいあったのか。できれば、その中で郵政省関係者があったのか、あるいは政治家特に国会議員があったのかどうか、この辺はいかがでございますか。
  61. 漆間英治

    漆間説明員 五月六日現在の集計でございますが、これは延べ人員でしかちょっとわかりませんのであれですが、千二百五十六名の方々から事情聴取をいたしております。その中で、先ほど郵政省関係とか政治家云々とありましたが、これはすでにその聴取をして容疑があると認めた者については立件送致をいたしておるわけでありまして、その他の方々につきましては、具体的な事柄でありますので答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  62. 西村章三

    ○西村(章)委員 次に、法務省にお尋ねをいたします。  今回の事件を通じて、刑事事件として起訴された人の名前とその起訴事実、容疑内容というものをまず明らかにしていただけますか。
  63. 根來泰周

    根來説明員 いわゆるKDD事件につきましては、現在まで三回の起訴処分をいたしております。  第一回目は五十五年三月十五日でございまして、これは前KDDの職員でありました佐藤陽一に対しまして業務上横領、関税法違反、物品税法違反で起訴しております。業務上横領の事実は、昭和五十一年八月上旬から五十四年八月下旬までの間に千三百七十七万円余の金員を横領したという事実でございます。関税法及び物品税法違反につきましては、すでに御承知のように去年の十月一日、十月二日の両日にわたりまして成田空港での関税通脱、物品税の通脱事件を起訴いたしております。  二回目は五十五年の四月八日でございまして、これにつきましては佐藤陽一及び前郵政省の職員でございました松井清武及び日高英実につきまして公判請求をいたしております。佐藤陽一につきましては、KDDの外一名の職員と共謀いたしまして松井、日局の両名の職務に関して贈賄したという事実であり、松井、日高の両名はこれを収受して収賄したということでございます。その具体的な内容といたしましては、昭和五十二年の六月三日から六月十七日までの間に、松井、日局の両名がスイス・ジュネーブからイタリー、スペインを経由いたしましてイギリスのロンドンに参ったわけでございますが、その間の航空賃あるいは宿泊料等の接待を受けて、松井につきましては五十九万円余、日高につきましては五十五万円余の接待を受けたというようなことでございます。  最後は五十五年の四月二十六日でございまして、これは元KDD社長板野學に対しまして業務上横領で起訴しております。この内容は、五十年七月上旬から五十四年九月中旬までの間に現金一千万円余を横領した事実、及び五十三年四月十一日から五十四年九月十九日までの間に備前焼ほか二十五点、金額にいたしまして七百十九万円余を横領したという事実でございます。  以上でございます。
  64. 西村章三

    ○西村(章)委員 関連をいたしまして、若干郵政省お尋ねをしたいのであります。  収賄罪で起訴されました松井清武、日高英実、この二人は、郵政省はこの事件が起こりましてから省内に綱紀点検委員会を設けられて、それぞれ調査をされたわけでありますが、このお二人はその調査対象以前の方々でございます。調査対象になった人は、今日段階まだ全くわかっておりません。しかし、伝えられるところによりますと、それなりのものがあったということも言われておるわけであります。いま仮に、郵政省が自主申告を中心とした調査内容と、全貌が明らかになった時点でこれとの大きな食い違いがある、こういった場合に、郵政省としては厳正にこれに対しての措置を講じられる、こういう御用意がございますか。
  65. 小山森也

    ○小山政府委員 郵政省といたしましては、国家公務員として問題にすべきいわゆる綱紀の問題点があった場合におきましては、事実に即しまして厳正な措置をとるという方針でございます。
  66. 西村章三

    ○西村(章)委員 法務省にお尋ねいたしますが、いまの御答弁の中で、板野社長はいわゆる業務上の横領容疑のみでございます。これで起訴されておるということであります。当時の社長、最高責任者といたしまして、関税法違反で引っかかったりあるいは物品税で違反をした密輸の指示、こういうものに全く関与をしておらなかったのか。あるいはまた常識的に考えまして、佐藤陽一前室長がいわゆる贈賄罪で起訴をされておる、特に旧郵政省幹部への贈賄容疑でありますが、さらに板野さんの場合には、うわさをされておりますような政治家に物を贈ったとか、あるいは元郵政大臣に金品を贈ったとかいうようなこともあるわけであります。ただ、今日の段階で、いわゆる贈賄容疑などのことが板野社長にはその関連性というものが立証されなかったのか、全く関与をしてなかった、こういう判断をされて業務上横領のみで起訴されたのか。この辺のところをお聞かせをいただきたいのであります。
  67. 根來泰周

    根來説明員 御質問の点は二つあると思いますが、まず第一点の、佐藤陽一等と共謀して関税法違反等を犯したかどうか、あるいは贈賄等を犯したかどうかという点につきましては、検察庁は警察当局と協力いたしまして十分取り調べたようでございますが、現時点では共謀の事実が認められなかったという判断に達しているものと考えております。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕  第二点目は、この国会でいろいろ御指摘のあった事実あるいは新聞等でいろいろ報道された事実についての容疑についてはどうかというお尋ねだと理解するわけでございますが、この点についても、国会で御議論のあった事柄につきましては逐一捜査当局に伝えて、捜査当局もそれを念頭に置いて捜査したことと思いますけれども、現時点では、具体的な容疑があったという報告は受けていないということでございます。
  68. 西村章三

    ○西村(章)委員 ただいまの答弁から判断いたしまして、事実上すべてが終結に向かっておるというような感じを受けるわけでございます。  ただ、残された捜査の中で、先ほど九割というお話を承りましたが、あと一割の中で新しい事実が判明をした場合には、もちろん逮捕もあり得るし追起訴もあり得る、かように考えてよろしゅうございますね。
  69. 根來泰周

    根來説明員 捜査というものは一寸先がわからないものでございまして、いかに進展するかわからないものでございますから、証拠を入手すれば当然そういうことに相なろうかと思います。
  70. 西村章三

    ○西村(章)委員 あと一割の捜査の結果を待つ以外にはないわけでありますが、しかし国民感情といたしましては多くの疑惑を残しておりますし、決してこの答えには十分満足が得られないわけでありまして、今後一層御努力をしていただくことをお願いいたします。法務省、警察庁、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございました。  次に、郵政省並びにKDDお尋ねをいたします。  今回の事件、約六カ月にわたる一連の事件について、司法当局による捜査は、ただいま答弁のありましたように終結に向かっているのであります。今回の不祥事件を振り返ってみて、郵政省として、あるいはKDDとして、全体的にいまの時点でどのような感想と見解を持っておられますか。まず郵政省の方からお答えいただきます。
  71. 大西正男

    大西国務大臣 今回の事件関連をいたしまして、直接監督の任にあります郵政省の職員が逮捕、起訴されるに至りましたこと、また一方、KDDの前社長らが業務上横領の容疑で逮捕あるいは起訴されるに至ったこと、いずれもまことに遺憾なことだと存じております。  事業の運営に当たりまして、その経営責任者の経営姿勢のあり方、これがきわめて肝要な問題でありまして、特に公益事業を営むKDDにありましては、このことは強く要請されるところだと思います。また同時に、国民に対して責任を負う監督官庁として、全体の奉仕者たるにふさわしく、職務の公正厳正な執行の徹底を図っていくべきことが重要なことであることも申すまでもないと存じます。
  72. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  公共の利益に奉仕しなければならぬという当社に与えられました使命に違背いたしまして、このたびこういう大きな不祥事を起こしまして、国民の皆様にまことに申しわけないと存じております。この事件過程におきまして、社員が二名自殺するというような痛ましい事件もありまして、まことに残念至極に存じております。  また一方、会社の財産を侵害するというような事実もあらわれてまいりまして、このたびのこういう大きな不始末を起こされた方々に対しまして、大きな憤りを感じておる次第でございます。私どもといたしましては、今後一日も早く国民の信頼を回復できるように、全社一体となりまして、えりを正して会社の再建に邁進しなければならない、こういうふうに感じております。
  73. 西村章三

    ○西村(章)委員 大臣あるいは社長さんとも、それぞれ謙虚な姿勢で今後の決意を示していただいたわけであります。しかし今回の事件を通じて、この事件を生んだ最大の原因というものは一体何であろうか、本当の原因というものは何であったのか。かねがね大西大臣は、会社経営姿勢とこう申されておるのでありますが、必ずしもそうではない。役所の監督不行き届きといいますか怠慢といいますか、こういう点もあったのではないかと思います。またKDD側におきましても、会社の持っております体質なのか、あるいはその組織、制度なのか、一ころ社長は、組織自体に問題があった、こう言われておったのであります。あるいはその組織の運用そのものにあったのか。もちろんこれは板野社長あるいは佐藤陽一前社長室長という人間の問題もありまするけれども、しかしこれも単に単純な人間の犯罪ではなしに、その組織がもたらしたといいますか、そういうことも大きな原因であったと思うのであります。もう一度この際、大臣からあるいは社長からそれぞれ、今回の事件を通じての最大の原因は何であったのか、この辺について聞かしていただきたいと思います。
  74. 大西正男

    大西国務大臣 先ほど全体的な考えを申し上げたわけでございますが、いままでのKDDのこの問題を引き起こした原因、それは先生もおっしゃいますように乱脈経理というところにあるのではないかと思います。その乱脈経理を許した、そういう環境を許したということについては、郵政省としてもあるいはKDD自体としてもこの事件契機に大いに反省をし、郵政省としては監督のあり方等も込めて――KDD法が当初に制定をされたときには恐らくそういうことが起こることを期待はしないのみならず、もちろん予想もしなかったことであろうと思います。したがいまして、KDDの自主性それから機動性、これは国際電気通信事業を推進する上において大変大切なことだと考えて、KDDの自主性というものを最大限に持たしていこうというふうに考えた上で、なおかつ、これはきわめて公共性の高い、そうして独占事業でございますから、それに対してやはり国民の立場に立って国の機関が監督をしていくことは必要であるということで、その監督のあり方について、きわめて限定をした監督の仕方を最初法律考えたと思います。しかし今回の事件契機として、それだけではいけないのであって、もっと監督権を拡大することによって、単に利益の処分だけではなしに、財務の全体にわたってあるいは経理の必要な面に向かって監督をできるようにしていくということが制度上必要であるということから今回の法案の御審議をお願いしておるところでございます。もちろん、これによりましていかに制度を強化いたしましても、運用するものは究極的には人間でございますから、これらに携わる者が十分にその任務の重要性を自覚して、そうして公務員は公務員としての原点に立ち返って、その監督権の行使について公正を期していくべきことは当然のことだと思います。思いますが、それはそれといたしまして、再びこういう問題が起こらないように制度上の保障をしておくということもこれまた必要であろうと思います。そういう点から申しまして今回の法改正をお願いしておる、こういうわけでございます。
  75. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  今回の事件の根本原因は、経営者考え方といいますか、経営者が、きわめて公共性の高い事業を国民からお預かりしておる、そういう点についての認識を欠いたことに根本的な原因があると私は考えております。  KDDの体質といいますと、株式会社組織であり、自主性、機動性があり、その上に独占権という大きな特権を与えられている、これがKDDの特質、体質と思いますが、こういう前提に立って考えますと、昭和二十八年に会社ができましてから、現在と同じ法体系のもとにおきまして今日まで、外国のキャリアが驚くくらいにすばらしい発展を国際通信事業はやってまいりました。その間何の問題も起きなかったわけでございますが、今回初めて二十数年たってこういう問題が起きたわけでございますので、そういう点から考えますと、やはり体質というよりは経営者考え方に起因するものと思います。もちろん組織上あるいは制度上、手続の問題、会社意思を決定するメカニズムに問題があったということも言い得ますけれども、最も基本的には経営者経営姿勢ということではないか、こういうように私は考えております。
  76. 西村章三

    ○西村(章)委員 私は、単に経営者経営姿勢あるいは制度上の欠陥というようなことではなかなか理解がいかないのであります。むしろ、郵政省の旧幹部が逮捕をされたということから見まして、いろいろな構造的な癒着といいますか、こういうものもあったということを判断をいたしましたときに、まず構造的な解明というものが先決だと思います。そうでなければ、今後の会社再建あるいは事件の再発防止、あるいは監督権限も含めてその方向性が出てこないと考えておるのであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、今回出されましたいわゆる一部改正案、この内容は、現行法に上乗せをして、許認可事項をさらに現在の事業計画から収支予算、資金計画まで認可対象とする、あるいは財務関係におきましても、貸借対照表、損益計算書及び営業報告書、この提出義務を課しておるわけでありますが、これは郵政省監督権限というものを一層強化いたしましてKDD経営姿勢を正そうという、いわばハードな改正方向でございます。しかし、この方向は現行法に大きな欠陥があったということをまずみずから認めるものでありますし、また、このような監督権限の一層の強化といいますものは、今回の事件にかんがみて、郵政省の担当部局とKDDの癒着構造、これをさらに強めるおそれが出てくることも予想されるいわば危険な方向であるということも言い得るわけであります。政府の許認可権限の集中といいますものはもろ刃の剣でございまして、場合によっては権利のネタといいますか、道具になるということもあり得ます。今回の事件がそれを赤裸々に証明しておるわけであります。言葉をかえますならば、この改正によって将来、権限の強化されたKDD法というものが新たな癒着を生まないとは言えない深い疑念というものも抱かざるを得ないのであります。したがって、余りに性急な結論でもって改正を強行いたしますと将来に大きな禍根を残すことになりはしないか、私自身はそう考えるのでありますが、私のいまの考えに対しての郵政省見解はいかがでございましょう。
  77. 大西正男

    大西国務大臣 先生の御意見郵政省としても十分念頭に置いて、そのことを常に反省をしながらいかなければならない問題だと思います。がしかし、そういうことを突き詰めてまいりますと、監督あるところすなわち癒着になり汚職が生ずる、こういう考え方につながるわけでございまして、そうだとすれば、どのような監督を受ける相手方にしろ、そういう監督というものをなくするしかないわけであります。しかし、それはやはり行き過ぎではないかと思います。政府というものは国民の立場に立ってこのような独占的な公共性の強い事業を行う会社ついて――その会社としたゆえんは、これは先ほど来申し上げておりますように、機動性なり自主性なりを大いに働かしてもらって、そうしてその事業の隆盛あるいは国際的には日本の地位というものを高めてもらわなければなりませんけれども、反面において、先ほど来申し上げておりますように国民の立場に立って、そういう会社であればこそ監督をしていかなければならないわけであります。その監督をするについて、監督の立場にある公務員が、その全体の奉仕者としての原点に立ち返ってみずから厳正公正に職務を執行すべきことはもう当然の大前提でございます。ですから、これを誤ることがあったならば、どのような制度をつくってもそれはだめだと思います。  しかし、今回のこのKDDに。いてはその原点に返りつつ、先ほど来申し上げておりますけれども、従来の監督のあり方では制度上の保障としては足りないところがあるから、これを制度上の保障として拡大をすべきであるということでございますと同時に、反面におきましては、会計検査院のような国民の立場に立って、すなわち公認会計士なり社内における監査役なりは会社法から言えば株主擁護という立場から本質的には発足をしておりますが、それだけでは足りないので、国民の立場からの会計の検査といいますか、そういうものが必要であろうということで会計検査院の検査対象に会計をしよう、こういうことでありまして、両々相まちまして今度の改正法によって制度上将来先生が御懸念になっておる点をなくしていこう、こういうことなのでございます。
  78. 西村章三

    ○西村(章)委員 誤解をしてもらっては困るのですが、私は何も監督をなくすることが最良だ、こう申し上げておるわけではございません。一定の監督権限、これは当然のことでございます。ただ、今回の改正案内容というものを見てまいりますと、むしろそういう傾向を助長せしめるようなことになりはせぬかという危惧を抱くわけでございます。私はむしろ現行法の中で、もっと距離を置いて厳正に行えば十分に監督機能というものあるいは監督指導ということも可能だ、かように考えておるわけでございます。  私はなぜその辺をこう申し上げるかといいますと、従来からもKDDはある意味では郵政省の顔色ばかりながめて仕事をしてきた、せざるを得ないということであったわけであります。そうでなくても、現行法でも組織のあるいは企業の中枢というべき人と金、人事権の問題あるいは料金の決定についても郵政省にがっちり握られておる。また、今回の事件によりまして精神的にも職員さんを含めて全体が萎縮しがちな傾向があるわけでありまして、今回の改正案がまかり通りますと、さらにこれに輪をかけて一層萎縮をするのじゃないか、そのことは業務にも大きな支障を来すのではないか、ここまで心配をしておるわけであります。政府は今日でも民間の自主性と機動性、これを武器にしての活力を期待する、したがって経営形態は見直さないのだ、こうおっしゃっておられるわけであります。しかし一方では、経営形態は見直さないけれども監督権限だけはさらに強化をするということは、いわゆる手かせ足かせ、首かせまでこれにはめようというのでありまして、私ははなはだしい矛盾だと思うのであります。これでうまくいくかどうか私は大きな疑問が残ります。もう一度郵政省考え方をお示しいただきたいと思います。
  79. 大西正男

    大西国務大臣 同じことを申し上げて恐縮でございますけれども、今回の法の改正によりましてKDD株式会社として成り立っておるその根幹を変えようという考えは私どもはもちろんございませんし、同時に変えるものではない、こう考えております。ただ、今回の事件によって要請をされておるところは、いままでのKDD法監督規定のあり方ではその点において不十分であったということが今回の事件によって証明をされたように私たちは思うわけであります。したがいまして、その点において監督権を拡大して、そうして収支予算等についても見ていく、そういったことを考える必要がある、こういうことでございますので、もちろんKDDの自主性や機動性を損なってはならないし、損なうつもりは全然ございません。  同時に、KDD郵政省の顔色を見るというお話がございましたが、KDDこそ自主性を持ってやってもらわなければならぬのでありまして、みずから正しいことをしておるのに何で顔色をうかがう必要があるのか、私はそのように考えるわけでございます。
  80. 西村章三

    ○西村(章)委員 これは堂々めぐりの議論になるわけでありますから私もそう続けようとは思わないのであります。しかし、今日までもそういう現象というものが随所に見られてきたわけであります。加えて、それに今回の改正案が通りますとなお一層そういう傾向を助長する、私はそういう心配をいたしております。  そこで、KDD増田社長さんにお伺いをいたしますが、この法律案が通りますと、あなたは日本の企業形態の中で最も不自由な経営者になるんじゃないかと思うのです。それでいいのですか。KDDを活力のない、生かさず殺さず、ヘビの生殺しと言ったら悪いのですが、こんなような会社にしてしまってそれでいいと考えておられるのか。これが逆に会社の再建の障害になりはせぬか。かねて増田社長さんはマスコミを通じて、政府のある程度のコントロールはやむを得ない、しかしそれは最小限にとどめてほしいという見解を表明しておられたように私は受けとめておるわけでありますが、今回の改正案につきまして、KDDの最高責任者としての率直な見解、本音の見解といいますか、これを聞かせていただきたいと思います。
  81. 増田元一

    増田参考人 こういう不祥事を起こしましたので、現在の法律を改正しようという御意見が出るのはやむを得ないと思っておりますが、先ほど来申し上げておりますように、現在の法律というのはKDDの発展、言いかえますと、わが国の国際通信事業の発展に非常に大きな貢献をいたしております。その原因はどこにあるかといいますと、結局会社組織の自主性、機動性あるいは弾力性、こういうところに原動力があったと私は確信いたしております。そういう意味から、今度の法改正がされます場合におきましても、そういう会社の自主性、機動性、そういう点を損なわないように、できるだけ最小限度のコントロールにとどめていただきたい、こういうように私は考えております。特に収支予算の面におきまして厳格な拘束力を持った予算制度というようなものが導入されるといたしますと、これは完全に会社の自主性、機動性というものを損なうというふうに私は考えております。そういう意味から、収支予算の面におきましてできるだけ会社の自主性、機動性、活動の弾力性というようなものを大きく残していただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  82. 西村章三

    ○西村(章)委員 大臣、いま社長さんのお答えの中にあらわれておったと私は思うのでありますが、今回の改正はこういう事件を起こしたのだからやむを得ない、しかもそれは最小限に何とかしてもらいたいという希望がありありと私はうかがえるわけであります。今日の立場上そう言わざるを得ない苦衷というものは私も理解ができるわけであります。郵政省も、社長言葉に出ない部分というものを今後十分勘案をしてくみ取ってあげていただきたいということをお願いいたしたいと思います。  そこで、関連をしてお尋ねをいたしまするけれども増田社長さん、今年度、昭和五十五年度の事業計画、これはすでに郵政省にお出しになられて認可を受けておられると思うのでありますが、KDD側として、今回の事件にかんがみて、どのような反省の上に立って今回の書類をおつくりになったのか、それを提出されたのか、まずこの辺から聞かせてください。
  83. 増田元一

    増田参考人 原則として不急不要な支出を控える。その中でも特に交際費につきましては極力削減いたしまして八億八千万円程度、年度で言いますと五十年度か五十一年度、四年ぐらいさかのぼると思いますが、その時代の大きさに縮小をした、こういうことでございます。
  84. 西村章三

    ○西村(章)委員 交際費の額につきましてはいろいろとこれは問題があるのでありますが、この事業計画の認可に当たりまして、大臣は御就任後初めて今回の事業計画に認可をおろされたわけであります。今回提出されましたこの書類を、大臣としてはどのようにごらんになられましたか。また、何を重点にごらんになって審査をされたのか。同時にどんな書類が提出をされたのか、この辺を聞かしていただきたいと思います。
  85. 大西正男

    大西国務大臣 事務当局からお答えいたします。
  86. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 事業計画の認可に当たりましては、今回も従前と同様でございますが、事業計画並びにそれに付随をいたしまして収支計画、資金計画というものが出ております。これを含めまして中身の検討をいたし、四月の上旬に認可をいたしたわけでございますが、この事業計画の審査に当たりましては、国際公衆電気通信事業というものを良質な状態で、さらに世界の大勢におくれないようにいいサービスを維持発展させていくという観点から、どういう設備計画を持ち、それが適正であるかどうかということを中心に判断をいたしたわけでございます。この点につきましては従前と変わっておらないわけでございます。なお、それの裏づけといたしまして、収支の見通し並びに資金計画がそういう設備計画というものを賄うだけの裏づけといいますか、そういうものを十分に持っておるかどうかということも含めまして見ておるわけでございます。  なお、先ほど増田社長の方からもお答えがございましたけれども、今回の認可に当たりましては、KDDの方から冒頭、冗費の節約ということについて、そしてまた合理的な経費の使い方ということについて、事件反省の上に立ちまして十分に配意して進んでまいりたいという意向表明がございまして、そういう趣旨で事業計画を組んであるというふうな説明を受けておるわけでございます。
  87. 西村章三

    ○西村(章)委員 収支見通しの中で、交際費についての御説明を受けられましたですか。
  88. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 聞いております。
  89. 西村章三

    ○西村(章)委員 KDD側から出されました八億八千万円余の交際費、これは郵政省としては妥当だという御判断をなすったのですか。
  90. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 交際費の額そのものが直接的な形で認可の対象になるわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、KDD側の合理的な経費の使い方、節度のある経費の使い方という観点から説明を受けたわけでございます。  この交際費に関しましては二つの点があろうかと思うわけでございます。一つは、従来はいわゆる経理の仕訳上交際費という科目に計上されましたもの以外に、税務上の交際費と申しますか、いわゆる交際費的なものが相当額あったわけでございますけれども、今回はそういうものを交際費という科目にすべて統一をして明らかにするようにしたという点が一点ございます。  それから額の問題といたしまして、それでは総額幾らがKDDのような会社にとって交際費として適当であるかということの物差しというのは大変むずかしいかと存じますけれども、八億幾らという額は、いろいろな状況等から判断をいたしまして、金額とすれば妥当な線ではないか、こう考えておるわけでございますが、ただ、金額的なものだけでは判断できないわけでございまして、より重要なのは、今後におきますこの事業計画の執行、予算の執行に当たりまして、その使い方がこういうKDDのような公益性の高い会社として節度のある、それにふさわしいものであるかどうかというその使い方もまた大事な点であろうかと思うわけでございまして、この点は今後の実際の執行として十分にKDD側において配意されるものだ、そういうふうに私は期待しておるわけでございます。
  91. 西村章三

    ○西村(章)委員 時間がどんどん過ぎてまいりますので、交際費の問題につきましては改めてお尋ねをすることにいたしまして、引き続いてKDDにお伺いをいたします。  私は先ほどから主張いたしておりますように、今回の改正よりもむしろ会社内部の監査体制の強化、それを可能にする機構の改革が非常に重要だと思うのであります。監査機能の強化を図るために、今日までどのような措置を講じられてまいりましたか。
  92. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  このたびの事件が起きまして、内部チェック機能が十分働いていなかったという反省に立ちまして、昨年十二月考査室を新しくつくりまして、本年の四月三十日に取締役会の決議で考査基本要綱というものを制定いたしまして、その中身は、本社も含め毎年一回必ず考査をする、それから、その考査結果をよく検討いたしまして改正するものは改正していく、それからもう一点重要なことは、この考査基本要綱の改正は、取締役会の決議がなければできないというふうにいたしまして、改正をしにくくいたしております。社長考えによってことしは本社はやらなくてもいいというようなことがあってはいけませんので、この考査基本要綱の中にはっきりと、この考査基本要綱を改正する場合には取締役会の決議を必要とする、そういうような形にいたしております。  それから、現在まだ人員が十分でございませんので、これを増員する考えでございます。
  93. 西村章三

    ○西村(章)委員 この考査基本要綱というものは、実施の時期はいつからでございますか。すでに取締役会では決定をされておるわけでございますね。
  94. 増田元一

    増田参考人 今年の四月一日からでございます。
  95. 西村章三

    ○西村(章)委員 参考のために資料として私どももいただきたいのでありますが、いかがでございましょうか。
  96. 増田元一

    増田参考人 お届けいたします。
  97. 西村章三

    ○西村(章)委員 最後に、今回の事件関連をいたしまして起訴されました佐藤陽一前社長室長、この方は現在身分的にはどうなっておられるのですか。別に退社をされたということもわれわれは聞いていないのでありますが、給料等はそのままになっておられるのですか。あるいは今後どうされるのか、それも含めてお答えをしてください。
  98. 木村惇一

    ○木村参考人 お答え申し上げます。  佐藤室長につきましては、本年三月、事件関連いたしまして起訴されましたので、就業規則の第四十四条第四項の規定によりまして、刑事事件に関し起訴されたときは特別休職とされることがあるというのを適用いたしております。それから給与につきましては、職員賃金規則の第三十七条第五項によりまして、職員が特別休職にされた場合は、その休職期間中、本給及び暫定手当のそれぞれの百分の六十を支給するというのに基づきまして、給与を現在支払っております。  今後の措置につきましては、さらに事態が明らかになった時点で考慮いたしたいということで、弁護士等とも相談いたして現在慎重に検討を進めている段階でございます。
  99. 西村章三

    ○西村(章)委員 特別休職中、約六〇%の給料を受け取っておられるようでございます。確定いたしました時点で、やはりもっと厳正な態度で臨まれるべきだと私は思います。  就業規則、これも私、ちょっと目を通したいのでありますが、出していただけますでしょうか。
  100. 増田元一

    増田参考人 お届けいたします。
  101. 西村章三

    ○西村(章)委員 板野社長のことでございますが、事件が発生をいたしましてからすでに辞任をされております。問題は退職金でございますが、規程で計算をすると大体どれくらいになるのか、あるいはそのままこれが支払われるということになるのか。当然これは役員会にかけ、株主総会の承認を得る必要があるだろうと思うのでありますが、この辺は現在のところどうなっておりますか。
  102. 増田元一

    増田参考人 お答えいたします。  先生がおっしゃいましたとおり、この問題は株主総会の承認が必要でございます。その前に取締役会におきまして株主総会に退職金を付議するかどうかという決議が行われるわけでございます。その決議が行われます決算役員会というのは今月末でございますので、現時点におきましては会社としては何も決まっていないというのが現状でございます。会社としてはそういう状況でございます。  私個人としてはどうかという御質問があるのじゃないかと思いまして先走って申し上げますが、私個人としましては、健全な常識で取締役会には臨みたい、こういうように思っております。
  103. 西村章三

    ○西村(章)委員 健全な常識というのが何を意味するのかよく理解できませんが、これだけKDDの名誉を傷つけ、世間的にも疑惑を招いた人でございます。適正な対処を望みます。  そしてさらに、私は、今回の事件で法外な公金を私物化し、会社の金を横領した板野佐藤両人に対する損害賠償請求、これは当然おやりになると思うのでありますが、この訴訟提起の時期は裁判で確定した後ということになるのでございますか。
  104. 増田元一

    増田参考人 私がいままで弁護士さんの御意見を徴しておる限りにおきましては、必ずしも裁判が確定するまで待たなければならないということはないように理解いたしております。
  105. 西村章三

    ○西村(章)委員 最後に、私は、今回の事件を通じて板野さんのいわば独走を許してきた当時の取締役以上の全役員さんは、当然のことながら連帯的な責任があると思います。六月二十七日ですか株主総会が予定されておるようでありますが、任期の切れる取締役さんの選任については、その時点でどのように対処されようと思っておられるのか、いまの時点でもうすでにそのことは考えておられるのか、あるいは再選をするという場合には責任の所在をどう具体的にあらわすのか、その辺のことを社長から承っておきたいと思います。
  106. 増田元一

    増田参考人 お答え申し上げます。  株式会社でございますので、当時の取締役の方方に責任がないとは言えないわけでございます。その責任のとり方につきましてはいろいろ方法も考えられるのではないかと現在考えております。  人選の問題につきましては、再選の問題、これも取締役会それから株主総会へかかるわけでございますが、現在のところどういうふうな陣容で再選をお願いするかということにつきましていろいろ考えておりますけれども、大変重要なことでございますので、私自身としまして固まった結論はまだ出ていないわけでございます。しかし、取締役会あるいは株主総会が近づいてまいりますので、どういう陣容で臨むのがKDDの再建、将来の発展にとって一番いい形になるであろうかという立場で、今後、会長とも御相談して具体的な案を固めていきたい、こういうように考えております。
  107. 西村章三

    ○西村(章)委員 辞任をするか再選をするか、この辺のところは社長なり皆さんの御判断に負うところが多いわけでありますが、いずれにいたしましても、私は責任の所在というものは何らかの形で明らかにしていただきたい、このことだけは申し上げておきたいのでありますが、最後にもう一言、そのことにつきまして社長から御答弁をいただきたいと思います。
  108. 増田元一

    増田参考人 先ほども申し上げましたように責任があるわけでございますので、何らかの形におきまして責任を明らかにしなければならない、こういうふうに考えております。
  109. 西村章三

    ○西村(章)委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。
  110. 小林進

    小林委員長 次回は、来る十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会