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武部委員 この問題は非常に重要だと私は思うので、きょうはこのことについてはこれだけで終わりますが、行政監察の対象とする以上、先ほど申し上げるような報道の自由、
番組編集の自由、そういうものが損なわれないようにひとつ十分な配慮というものが必要だということを申し上げてこの問題は終わりたいと思います。どうぞ退席してください。
そこで、
NHKの予算のことについてこれからお
伺いをするわけですが、今回の予算案は五十一年に料金改定が行われて今日を迎えた。
赤字がふえてきた、このままでは
経営が困難である、したがって最小限度の
値上げだということで百七十円のカラーと百円の白黒の
値上げが提案されてきた、このように主張されておるわけであります。問題は、
NHKのこれからの
経営の根幹をどこに求めるか、こういうようなことをこれからも毎年毎年続けておって一体いいだろうか、こういう点については
経営体質の
問題点あるいは長期プラン、
公共放送としての
番組内容のあり方、
国民のための
公共放送、喜んで支援してもらえる
NHK、こういう問題が同時に出て、そのことに対して十分な論議が行われなければならぬ、私はそのように、いままでのずっと
NHKの料金改定のたびにそういうことを主張してきた者の一人でありますが、実は今度の料金改定問題をめぐっていささか
内容が変わったところに向かっておるじゃないか、このことを
指摘をしたいのであります。
実は、こういう長期プランであるとかあるいは
経営の体質であるとか
公共放送の
内容であるとか、そういう本質的なものから外れて、むしろ
支払い義務制の問題をめぐる問題に重点が移ってしまった。いろいろ先ほど与党の
委員の発言もございましたけれ
ども、私はこれから具体的に例を挙げてそのことを
指摘をしたいわけですが、少なくとも今日
NHKの
徴収率というのは非常に高い。先ほ
ども話がございましたが、九七%という数字もございます。一説には意識的な
不払いは六万五千とか七万五千とかいうようなことも言われておるようであります。少なくとも今日わが国の情勢の中で、売掛金の
徴収率が九割五分を超すような企業は優良企業ですよ。そこまで
国民の皆さんがみずからの自由な
意思で金を払っておる。まあわずかの方がいろいろな
意見を述べながらこれに対して
不払いをしておる、これが具体的な事実として存在しておることは認めます。現実にそういう注文があることは、二千八百万世帯もあるわけですから、当然過ぎるほど当然あると私は思うのです。しかし、これだけの
徴収率がある
NHKの
受信料、こういうものがあるにかかわらず、先ほど来いろいろ論議があったように、なぜ現在ある
受信規約、そういうものを
一つも適用しないでことさらに義務制の問題が
法律として出てきたのか、これを私は大変疑問に思うのです。問題は、この義務制のねらいというものの背後に別なものがありはしないか、このことをぜひこの
委員会を通じて私は明らかにしていきたいと思うわけであります。
確かに、
委員会の席上でわれわれも
不払いについていろいろな施策を皆さんに要求をいたしました。公平でなければならぬ、不公平であってはならぬから、
不払いに対しては
努力をして
徴収するようにということを何回か
委員会の席上で私も発言したことを記憶しておるのであります。しかし
昭和四十一年に、先ほどちょっと与党から話がありましたけれ
ども、議事録を見ますと、確かに四十一年のときに、この
逓信委員会で義務制の問題をめぐってやりとりがあったことは事実です。しかしそのときには、
NHKと
民放共同による
放送世論調査
委員会というものを設置すべきではないか、こういう
意見が並行して出ておったのです。それはやはり義務制だけではだめなんだ、こういう問題が確かにあったのです。そういう義務制だけで片づく問題じゃないんだということから、こういう
NHK、
民放共同による
放送世論調査
委員会、そういうものの設置すらあのときに論議されておった。あれから十四年たっておるわけです。その間の
逓信委員会の議事録等をずっと見ましても、ことさらにこの義務制というものが十四、五年の間に
法律を制定しなければならぬとかいうようなところまで来たことは一回もなかったのです。先ほど答弁を聞いておりますと、
件数は若干ふえておるように言われておりますけれ
ども、
契約拒否という数字はそう大きな数字ではないのです。なるほど七十万、八十万、九十万となっておるけれ
ども、これは現実に面接ができないという物理的な条件がありますね。不在だとか転居するとか、いろいろなことがある。そういうものの数であって、意識的な
不払いというものは十万足らずですよ。二千八百万という世帯の中の十万足らずが意識的な拒否なんです。そういうものだから、
NHKのまさしく危機的な
財政状態の中から義務化しなければもうどうにもならぬのだといって出てきた
法律ではないように私は思うのです。先ほどはしなくもおっしゃったが、
NHKの
会長の答弁を聞いておりますと、
郵政省の指導に従うという答弁があったことを記憶しております。これは
NHK自身はこの義務制の問題について積極的ではないということを私はその答弁の中からうかがうのであります。いままでの経過から見ますと、
NHKが
放送法改正をして、そして義務制をしいて、罰金を取るだの、課徴金を取るだの、そういうところまであなた方が非常に高い姿勢でこの問題に取り組んでこられたとは思っておらないのです。いつのころからか、とんでもないところにすっと行っちゃってこういう形が出てきた。これから具体的に申し上げますが、そういうものと絡んでこの
放送法の
改正が出てきたところに問題がある、私はこのように思うのであります。したがって、せっぱ詰まって、
財政の危機を乗り切るためにはこれしかないということではなくて、ないよりもあった方がいいというぐらいな
考え方でこの
放送法の
改正に同意されたのではないだろうか、このように思うわけです。ある学者は、
受信料の義務づけをしてないということは
NHKの大変な見識だということさえ述べておるのですよ。義務づけがないのは
NHKとしては大変な見識だという
意見さえ学者の中にはあるのです。われわれはそのように
理解するのですよ。それをなぜこのように急激に
放送法の
改正ということが出てきたのか。しかも罰則をつけて税金と同じようなやり方をとるということについての経過が私にはよくわからない。この点について
会長の御答弁をひとつ……。