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1980-04-09 第91回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  電波放送に関する小委員       伊藤宗一郎君    加藤常太郎君       左藤  恵君    長谷川四郎君       畑 英次郎君    堀之内久男君       久保  等君    武部  文君       野口 幸一君    鳥居 一雄君       藤原ひろ子君    西村 章三君  電波放送に関する小委員長  伊藤宗一郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十五年四月九日(水曜日)     午前十時六分開議  出席委員    委員長 小林  進君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 堀之内久男君 理事 武部  文君    理事 野口 幸一君 理事 鳥居 一雄君    理事 藤原ひろ子君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    秋田 大助君       長谷川四郎君    畑 英次郎君       吹田  愰君    久保  等君       森中 守義君    米田 東吾君       田中 昭二君    竹内 勝彦君       則武 真一君    木下敬之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君  出席政府委員         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  重富吉之助君         防衛施設庁総務         部施設調査官  梅岡  弘君         外務大臣官房審         議官      栗山 尚一君         運輸省航空局飛         行場部環境対策         第二課長    栗原 敏尚君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    中塚 昌胤君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   反町 正喜君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         参  考  人         (日本放送協会         総務室室長)  片岡 俊夫君         参  考  人         (日本放送労働         組合中央執行委         員長)     須藤 安三君         参  考  人         (日本民間放送         連盟事務局長) 泉  長人君         逓信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月九日  辞任         補欠選任   木下敬之助君     永末 英一君 同日  辞任         補欠選任   永末 英一君     木下敬之助君     ――――――――――――― 四月七日  長野地方貯金局存置に関する請願井出一太郎  君紹介)(第三五一二号)  同(小沢貞孝紹介)(第三五一三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第三五一四号)  同(倉石忠雄紹介)(第三五一五号)  同(小坂善太郎紹介)(第三五一六号)  同(清水勇紹介)(第三五一七号)  同(下平正一紹介)(第三五一八号)  同(中島衛紹介)(第三五一九号)  同(中村茂紹介)(第三五二〇号)  同(羽田孜紹介)(第三五二一号)  同(宮下創平紹介)(第三五二二号)  郵便料金値上げ反対に関する請願外一件(久  保等紹介)(第三六五二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ――――◇―――――
  2. 小林進

    小林委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、日本民間放送連盟事務局長泉長人君の御出席を願い、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小林進

    小林委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 小林進

    小林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀之内久男君。
  5. 堀之内久男

    堀之内委員 自由民主党を代表いたしまして、NHKが当面する問題について質問をいたしたいと思います。  今回の質問に当たりましては、大概委員会の冒頭に自民党がすることになっておりますが、今回は、放送法改正まであわせて上程されることを今日まで期待をいたしておりましたけれども、いろいろ議運の方か国対の方で差し支えがあったと見えまして、いままで逓信委員会に付託されないのはきわめて残念でございますが、これをひっくるめて一、二質問させていただきたいと思います。  私は、わが国放送文化発展NHKが果たしてきた功績を高く評価しているものでありますが、NHK番組世界でも高い水準にあり、これからも世界放送界をリードしていただくことを念願いたしております。しかし、NHK経営を取り巻く情勢には厳しいものがございまして、経営内容にも深刻な局面が見られるところであります。  NHK最大問題点民放発展であり、財政規模ではいまや民放が四、NHKが一という状態になっております。また、番組面でも厳しい競争にさらされているだけでなく、その存在の意味さえ問われかねない局面に立っているのであります。このところ受信料不払いがふえていることは、NHKの当面する危機的状況があらわれていると思うのでありますが、NHK受信料制度に支えられ、国民放送として発展してきたわけでありますが、まさにこの制度そのもの時代の変化の波によって揺らいでいるのであります。この点は放送制度の問題として立法府である国会が検討すべき課題であり、また政党レベルでも一つ政策課題として取り組むべき問題であると考えております。  NHKについてもう一つの深刻な事態は、その財政収支均衡を崩して構造的に赤字を生み出すところまで行き着いていることであります。今日受信料収入伸びが二%を切るところまで来たのに対し、支出の方は七%台の伸びとなっており、恒常的に赤字を生み出す状況となっております。NHK受信料で賄われているわけでありますから、ある程度の値上げはやむを得ないとしても、その前に、NHK自身によって経営効率化を目指す最大努力が要請されるところであります。このような考えに立って、受信料制度のあり方とNHK経営努力を中心に質問いたしたいと思います。  まず受信料制度の問題ですが、私は、NHKが中立、公正な国民放送として将来にわたって発展していくためには、受信料制度が健全に維持されなければならないと考えております。しかし、このところ不払い者がふえる傾向にあり、このまま放置することは、この制度が崩壊しかねない事態が生まれています。まずこの実態お尋ねいたしますが、契約しておる人のうちの不払い契約拒否実態、最近の数年間の趨勢についてお尋ねをいたします。
  6. 海林澣一郎

    海林参考人 お答え申し上げます。  五十四年の九月現在で、契約を締結しながら受信料支払いが滞っているもの、これが九十六万一千であります。このうち三十一万三千が不払い意思を表明している人。一方テレビを設置しながらかたくなに契約を拒否する者、これが同じ九月の時点で九万九千でございます。
  7. 堀之内久男

    堀之内委員 最近の数年間。これは五十四年の九月だけだろう。これじゃ趨勢がわからぬじゃないか。
  8. 海林澣一郎

    海林参考人 お答えいたします。  五十一年から申し上げますと、五十一年の末が七十五万六千、これが滞納でございます。それから五十二年末が八十五万四千でございます。それから五十三年の末が九十二万九千、そして五十四年の九月末が先ほど申し上げました九十六万一千であります。(堀之内委員契約拒否の方は」と呼ぶ)  この中で、いわゆる滞納の中で無理解といいますか拒否している件数でございますけれども、五十一年度が先ほどの七十五万六千に対しまして十七万一千、五十二年度が二十三万五千、五十三年度が二十八万二千、そして五十四年度九月末が三十一万三千でございます。
  9. 堀之内久男

    堀之内委員 これは滞納額だけでありますが、契約拒否をしておる世帯数――あなた、もうちょっとよく質問を闘いとらぬかね。しっかり聞いとらぬか。
  10. 海林澣一郎

    海林参考人 契約拒否は五十一年が七万三千、五十二年が八万四千、五十三年が九万六千、そして五十四年の九月が九万九千であります。
  11. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま四年間の統計ですか、これを見ただけでも年々この金額もふえてくるし、また契約拒否件数もふえてきておるわけであります。NHKとしては現行制度、つまり契約義務制で今後不払い契約拒否効果的に減らしていけるかどうか、また、いままでどのような対策をされておられたか、この中身についてお答えをいただきたいと思います。
  12. 海林澣一郎

    海林参考人 現行契約義務制のもとでは、受信料制度の意義を曲げて理解して、一般の契約と同様、してもしなくても自由であるということで契約を拒否する者、あるいは契約はしたものの、支払い義務が法定化されていないということを理由支払いに応じない者が増加傾向にあります。支払い義務制改正となりますと、この点についての疑義を差しはさむ余地がなくなり、受信料制度趣旨が一層明確になって、現場での説得がしやすくなる。NHK外務職員その他で現場での説得を繰り返しているわけでありますが、仮に今回の改正案が成立しなかった場合、いま申し上げましたような受信料……(堀之内委員「おれはそこまで聞いていないよ、何を言っておるか。いままでどのような対策をやってきたかと言っている」と呼ぶ)
  13. 小林進

    小林委員長 堀之内委員に申し上げます。発言を求めて発言してください。堀之内君。
  14. 堀之内久男

    堀之内委員 質問したことに答えずにとんでもないことを言っておる。いままでこれだけの滞納契約拒否があったのに、NHKとしてはどのような対策をとってきたのか、そしてどのような努力をしてきたかをお聞きしておるわけです。
  15. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘のその点につきまして、NHKとしてはやはり何といっても負担の公平ということを図らなければなりませんので、いわゆる特別対策具なるものを設けまして、そして夜間であるとかあるいは休日であるとか、そういう時期に訪問してできるだけ面接して努力をしてまいったわけでございますけれども、それなりの効果は上げ得たというふうには考えておるものの、しかしなかなか、効率的というような面等考えますと問題が残るのではないだろうかというふうに考えております。
  16. 堀之内久男

    堀之内委員 会長から相当努力はしてきたと言われるわけでありますが、五十一年から五十四年を見ましても、五十四年はまだ九月でありますからちょうど半年です。これを一年に直しますと、恐らく倍の百八十万になるのではないかと思うのです。恐らく五十三年の二倍という驚異的な滞納金額になる。あるいは契約拒否にしても全くそのとおりのような気がいたしますが、昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会答申書によりますと、この答申書の八十二ページに、受信料は、NHK維持運営のため、法律によってNHK徴収権が認められた受信料という名の特殊な負担金考えるべきであると規定されていまして、さらに、現行法受信料負担関係受信契約の強制という形で表現している点については、法律をもって直接に生じる支払い義務として規定する方が簡明でよい、こういうように答申をされております。この答申に基づきまして政府は四十一年に支払い義務化法改正案国会に提出されまして、支払い義務化につきましては社会党の方も事実上賛成して、かなり審議が進んだ経緯があります。  そこで、郵政省お尋ねをいたしますが、この支払い義務制については今日でも臨時放送関係法制調査会答申基本となっていると理解してよろしいのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  17. 平野正雄

    平野政府委員 郵政省といたしましては、先生仰せのとおり、臨放調答申趣旨を受けまして放送法の一部改正案を策定したわけでございます。
  18. 堀之内久男

    堀之内委員 もう一つ郵政省にお聞きしますが、かつての改正案には通知義務延滞金割り増し金規定は含まれていなかったのでありますが、今回これが盛り込まれた理由についてお伺いをいたします。
  19. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  まず通知義務でございますが、受信料支払い義務を直接法定しようとしたことに伴いまして、NHK受信設備設置者である受信者とのいわゆるきずなが断たれることに相なるわけでございまして、受信者からの申し出がなければその実態の把握は困難になりますので、今回の改正案では受信料の確実かつ効率的な徴収を確保し、受信者間の負担の不公平を防止し、結果的に全体の受信者受信料負担の軽減に資するということを期待いたしまして、通知義務を法定したわけでございます。  次に、延滞金等の法定でございますが、今回の改正は、契約の締結という法律関係誤解等から生じております受信料不払い者増加実態に対処いたしまして、受信料支払い円滑化を図るために行うものでございます。公衆電気通信法等にならってその一環として延滞金または割り増し金制度を導入し、これによって受信料収納の確保を図ろうとするものでございます。昭和四十一年当時は不払い者の数も比較的少のうございまして、延滞金等を特に法定しなければならないという実態にはなかったというふうに考えております。  なお、現行法でございますけれども通知義務及び割り増し金については規定はいたしておりませんけれどもNHK受信規約では契約の申し込みは受信者側から行うこととしておりますし、また三期連続滞納者に対しましては割り増し金を徴することができるということになっておりますので、先ほど申しました通知義務あるいは割り増し金につきましては、現在の規定におきましても生きておるというふうに考えております。
  20. 堀之内久男

    堀之内委員 それでは、日本放送協会放送受信規約というのがありますが、この中にある割り増し金延滞金、これは規約でありますから、これを法制化した、こういうようにはっきり法制化したと理解して差し支えないわけですね。
  21. 平野正雄

    平野政府委員 そのとおりでございます。
  22. 堀之内久男

    堀之内委員 そこで会長お尋ねいたしますが、経営者として不払い契約拒否実態について現在どのように受けとめておられるか、またこの三十二条改正に対してどのような態度を今日までとってこられたのか、お伺いをいたしたいと思います。
  23. 坂本朝一

    坂本参考人 お答えいたします。  受信料をお払い願えない受信者がいるということは、何といっても法の精神からいきまして不公平ということでございますので、私の最も頭を痛めているポイントの一つでございます。  それで、従来そういうことを阻止するために、先ほども申し上げましたようにいろいろな形で努力をしてまいりましたが、やはり法の改正ということにつきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、臨時放送関係法制調査会答申時代から協会といたしましてはそういう改正賛意を表してまいりまして、そして実際の問題として契約義務制というのが非常に誤解を生じて、それが協会運営上一つ問題点であるということで、今回の改正案につきましては受信料の性格を一層明確にするという意味で私どもといたしましてはお願いしているということでございます。
  24. 堀之内久男

    堀之内委員 今回の放送法三十二条の改正につきましては、会長としては積極的に郵政省に働きかけられたのかどうか、この点もお尋ねするわけであります。
  25. 坂本朝一

    坂本参考人 法律改正の問題につきましては三十二条というところだけではございませんで、やはり協会といたしましては、放送法全体の中で協会のいろいろ御指摘いただきます点についての改正ということをお願いしておるわけで、これは御承知のように私どもが設けました第二次基本問題調査会の中におきましても御議論がございまして、ただ三十二条の改正につきましてはいろいろと御意見があるということは私ども承知しておるわけでございますけれども、いま申し上げましたような状況の中でこの点につきましては協会として賛意を表するということで、これは郵政省の問題でございますので郵政省にお願いして、郵政省ともどもこの問題についてのプロモートをしている、こういうことでございます。
  26. 堀之内久男

    堀之内委員 きょうはNHK組合である日放労須藤委員長参考人としておいで願ったわけでありますが、参考人には大変お忙しいところを御出席いただきましてありがとうございます。私が出席を求めましたのは、日放労の方でこの三十二条改正に対して反対をいたしていらっしゃると聞いたものですから、その真意をお尋ねいたしたいと思っておいでを願ったわけであります。  いままでのやりとりでおわかりのように、支払い拒否者あるいはまた契約拒否実態についてはおわかりいただいたと思いますが、この実態を、これは経営者のすることだと言えばそこまでですが、しかしこれを支えていらっしゃるのは皆様方勤労者職員であると私も理解をいたします。そしてまた、NHKをどのように盛り上げていこうか、こういうように熱心にお考えになっていらっしゃると思いますので、現在のこうした滞納実態というものをどのように理解をされておられるか、受けとめていらっしゃるか。  さらに、ただいま議題になっておりました三十二条改正についてどのようにお考えになっておるか、お伺いをいたしたいと思います。
  27. 須藤安三

    須藤参考人 参考人須藤であります。  今日の受信料制度を含めましてさまざまなNHKの抱える問題が、恐らくNHK始まって以来われわれ労働組合としても真剣に考えていかなければならない事態だというふうに認識をし議論も進めてまいっております。したがいまして、この機会に私どもの御指摘の点についての意見の開陳、あわせて私どもの若干の認識というものを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  まず、今回の支払い義務化の問題であります。幾つか私ども反対の視点を持っておりますけれども、その第一点は、不公平の解消あるいは受信料収納率を高めるという点でありますけれども、その実効効果、その面で私どもは役に立たないのではないかという基本的な考え方を持っております。これは現場に働く者として確信を持って申し上げるということもできるぐらいのことではないかと思うのでありますけれども、朝日新聞が「天声人語」で、実効がないという通説だということも言われておりますので、そうした点も踏まえて、より深い御理解をいただくためにあえてつけ加えますなら、いまの滞納つまり受信料を支払わない理由の主なものを挙げますと、NHKがけしからぬ、いわゆる無理解、意識的な不払い、あるいはいつ集金に行ってもいない常時不在、これが滞納の中の約九割に達したりあるいはそれに近い数字になっているのがここ数年の趨勢ではないかと思うのでありますけれども、このほぼ九割に近いあるいはこれを超えるような不払い者というものは、果たして法改正が行われて具体的に実質的に支払うようになるのかどうかということについて、私どもははなはだ、いま申し上げる実効という面で疑問を感じている次第であります。逆に支払い義務ということが、これはもう法律をもって受信料を取り立てることになるのでありますので、本来公共放送がそういうものであってはならないと考える多くの方々の反発を招き、払いたくないという人を増すことが目に見えているのではないか。これは素直な感覚として多くの方々からも寄せられております。このことは結局現行受信料制度を根幹から崩すことになりかねないのではないか。言論機関財政制度としての受信料制度考えるときに、マイナス効果の方が大きいと言っても言い過ぎではない今回の法改正は、率直に言って百害あって一利なしと言って言い過ぎではないのではないかというふうにも考えている次第であります。  第二点は、私ども国営放送化反対ということも言っておりますことも御承知だと思うのでありますけれども、今回の法改正が行く末は必然的にやはりその道をたどることになるのじゃないかということであります。なぜならば、法改正の暁にふえるでありましょう不払い方々というのは明らかな法律違反になるんじゃないか、法治国家として公然たる法律違反を放置するわけにはいかないわけですから、その対策として罰則強化が具体的に打ち出され、それでも効果が十分でないとすると、税金と実質的には何ら変わらないものになることが目に見えているという点であります。法の力によって言論機関財政基盤が保障されていく、つまり国営放送化ではないかということであります。NHK国民のものから政府のものになりかねないということでありますし、言論機関でありますNHK政府のものであってはならないとする私どもは、したがってこれに反対をし、運動を展開している次第であります。私たちのこの訴えがあたりまえのこととして多くの人々に理解をされました。一週間で三万の団体がこの国営化反対をする意思表示をしてくれたわけでありますが、この三万の団体の中にはただ一つとして不払い団体はありません。これは衆参両院議長に要請の形で国民意思としてすでにお伝えをしてあります。  私ども公共放送国民のものでなければなりませんし、NHK国民放送であると思うものでありますので、そのことは突きつめて言えば民主主義のためのものでなければならないというふうに考えている次第です。いずれにしても、多大な影響力を持ちますこのマスメディアに対して国民の側からのコントロールの機能を有しているのは、ひとえに現行制度が強権的な徴収ではないということであろうと思う次第です。現行制度は、したがって放送内容あるいはNHK全般に対するいわば受け手の側からの主張あるいはパイプの手段というものを保障しているというふうに私ども考えている次第です。これは国民受信料を支払うことによってわれわれの放送であるとの意識を持ち得るかどうかの問題であって、法律解釈論を超えた問題だというふうに理解をしております。  第三点目は、公共放送としての言論放送機関が常にあらゆる圧力から独立していなければならないという点があろうと思います。それでなくて言論の自由を貫くことはできないと思っております。言論の自由なくして民主主義はあり得ないわけでありますので、国会においても、これまで放送内容については言論の自由の観点から審議の対象とはなり得ない、むしろしてはならないのだということで対処もされてきたというふうに聞いております。今回の予算審議を経る段階で、放送内容あるいは言論放送機関として当然国民に果たさねばならない義務に対してさえいろいろクレームがついたということもあります。私どもから言えば、率直に言って納得のいかないことであります。NHKのニュースあるいは番組内容に与党自民党から多くのクレームがついたとも聞いておりますけれども、私たちはきわめてごくあたりまえにニュースや番組を出したつもりでおります。指摘をされるようなニュースや番組を、ごく普通の記者あるいはプロデューサーが普通の感覚で書き、つくり上げたものだと確信をしております。それでなくては言論機関が生きてはいけないという民主主義を守るために真実を伝えている者に対して、調査委員会までつくるという経過について、私どもは、明らかに言論の自由を否定をして、ごく普通の民主主義をつぶそうとするものだと実は考えている次第であります。  誤解のないように申し上げておきたいと思うのですけれども、私たちは放送に対する介入圧力が自民党だからいけないのだということを言ってはおりません。いかなる政党、いかなる団体であれ、一切の圧力から独立するのでなければ、いわば国民の求める言論放送機関たり得ないと考えております。言論の自由は守れないと信じております。そうした立場から、いまほぼ三点にわたって御指摘の、なぜ支払い義務化反対をするのかという点について申し上げました。  そして御指摘財政基盤をどうするのだ、たとえば不公平等々の御指摘もあったと思うのであります。NHK財政基盤としての受信料制度を本当に考えますと、冒頭にも申し上げたように、率直に言ってきわめて厳しい実態にある、このように私ども認識をしております。そして私どもも、決して不払いの論理の側に立つわけでもありませんし、今日、言論保障制度としての受信料制度というものをしっかり私ども考え方の中軸に据えてもまいりました。しかし、いかに厳しいからといって、やはり強権的に徴収する方法をとってはならないということについては先ほどから申し上げてきているとおりであります。私どもはやはりあくまで、NHK放送そのものが受け手の側であります国民方々に必要とされるかどうかの判断をゆだねる以外にないと考えております。つまり、いい放送を出すことのほかに国民的な合意を得る道はないということであります。いい放送の尺度は視聴率では決してないと思っております。いわば文化としての放送であるかどうかでありますので、極論をするならば、今日の状況の中で、どんなに見てくれる人が少なくても、見てくれる方々にとってかけがえのないものであり得るかどうかということについて放送をかけていきたいと考えております。それがなくては民放との違いは出てまいらないと思っております。公共放送としてNHK放送が必要だと言ってくれる人がたとえ一人になったとしてもその努力を続けるべきだと実はいま決意もしている次第であります。逆にまた、それこそが公共放送としての必ず果たさねばならない義務であるとも考えております。そして具体的に、この放送があり続けるためにいまの受信料制度を最適のものと考えているわけでありますけれども、ほぼ九七%という収納率は、何が何でも制度を変える法改正までしなければならないほどのものなのかどうか。税金であっても捕捉率が一〇〇%ということにはならないと思うわけでありますけれども、逆に言いますと、三%のために実は今回の法改正国民と私どもにとって失うものの方が大きいのではないかというふうに言わざるを得ないと思っています。  テレビの契約世帯数伸びがほとんどなくなっております。受信料伸びが物価上昇率にも追いつかない現状でよりよい放送をつくっていくためには、冒頭にも申し上げたとおり財政基盤の確立が急務であることを私ども承知をしております。その意味受信料制度そのものが問われる時期も不可避的に来ると考えております。私どもも理論委員会等々を構築をして真剣に議論をしておりますが、三年ごとの値上げの繰り返しであれば、たとえばNHKでコマーシャルをとの意見も最近出始めております。私どもはもとよりこれをよしとするものではありませんけれども財政の行き詰まりがいわば結果として政府・与党の管理下にNHKをして置かしめることになるのであれば、つまり国家、国営放送化というような道に放送がその道をたどるのであるならば、あえてその方向に、というのはNHKでコマーシャルをということも含めてでありますけれども、踏み込むことも辞さない、そのようないわば今日の事態なのではないかと考えております。  以上、少し長くなりましたけれども、御指摘の点について、この機会に意見の開陳も含めてお答えを申し上げた次第です。
  28. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの御意見内容等についてはほとんど納得できない点ばかりであります。財政基盤をよく考えておるとおっしゃるが、受信料で支えておるのがいまのNHK財政であるはずなんです。  先ほどもちょっと御承知いただいたと思いますが、五十三年は九万二千五百件、五十四年は半年でもう九万六千百件。この調子でいきますとちょうど二倍なんですね。これは全体から見ると五十三年までは三%だったかもしれませんが、恐らくこの調子でいくと五%を上回るのじゃないですか。われわれはこれを何も無理して取ろうとかというのではなくて、このように不偏不党、公正中立な放送局であってほしいということ、これは国民みんな望んでおるわけです。しかし、そのためには財政がしっかりしていなければ、財政がぐらついてりっぱな放送ができるはずはないし、また番組ができるはずもないと私は理解するわけです。  そうした場合に、これだけの不払い契約拒否が出るということになりますと、まじめに支払う人と、そしてたまには契約拒否とかあるいは不払いを扇動する悪質な者もいらっしゃることもわれわれは承知いたしておりますが、そうした者が、おれはNHK番組が不満だからとか言ったり、あれはだめなんだからと言ったんじゃこれは民主主義ではない。これは国民全部を満足させる放送というのはあり得ない。NHKに不満があるからといっておれは払わぬのだととみんなが言い出したら、おれは朝のニュースだけは見るけれども、あとはだめだから、おれも払わぬ払わぬとみんながやり出したら、これはもう受信料制度というものは根本から崩れてくる。そうしたことで三十八年の臨放調も、そういう形で、支払い義務化をしなければ公正は期せられないということで答申されておるのです。それを受けて四十一年には国会でもいろいろ審議をなされておる。社会党の方でも、たびたび修正が出ておるようですが、この支払い義務化だけは通すという形で一応了解をいただいておる。そのときの事情によってこの法案は通っておりませんけれども、しかしそうした経緯があることも御承知いただかなければならぬ。先ほど、一人見ておっても放送は続けるんだという極論を言われたようですが、私はそれでは放送じゃないと思うのです。やはり国民が求めるものをやっていかなければ、ただ一人しか聞いてなくても正しい放送だとか、それはちょっと私はあなたの行き過ぎた発想じゃないか、こういうように考えております。私は、やはり今後ともNHKにおかれては番組の構成あるいは放送の取捨選択について十分御吟味されながら国民の要望にこたえながら国民NHKとして努力をされていくだろう、かように期待をしておるわけでありますが、先ほどの委員長の御答弁ではちょっと理解に苦しむところがありました。  それならば、この制度がいかぬというのなら、何もこれは私の自民党だけで一ちょっと申し上げますが、自民党の中でも、党内の通信部会でも相当激論のあったことなんです。だけれども、これにかわる方法がないじゃないか。先ほど会長も一生懸命努力をしておるんだと言われるけれども、数は倍にもふえていくわけですよ。そうしたならば、あなた方はこれにかわるべき方法としてどのような方向で受信料制度を守り、そしてNHK財政基盤を守って公平中立な放送をやっていこうと考えていらっしゃいますか、この点についてもう一度お伺いをいたします。
  29. 須藤安三

    須藤参考人 先ほども申し上げましたように、私ども、黙って払っていられる方から払ってない人に不満があるのは当然だと思っておりますし、決してその面での不公平という点についてこれはもうそのままでいいというふうには全く考えておりません。ただしかし、今日民放との共存体制の中で、一方で実質的には広告費という中で賄われる、いわば片方に受信料があり片方にそういうものがあるんだということも言われておりますけれども、いずれにしても、なぜ料金を取るのはNHKだけなんだということの中で、核家族化が進み意識の多様化ということの中で、NHKのこの受信料が一〇〇%の収納、一〇〇%の捕捉、契約というものを果たしていくということは、これはもう率直に言って無理なのじゃないか。無理なのじゃないかというところで生じてくるそのパーセンテージ、今回具体的には三%という数字を一つ目安として挙げたわけでありますけれども、ここのところを不公平の問題として一つとらえる。この問題については私どもは具体的に放送なり、たとえばNHK経営委員会のありようなりあるいは番組審議会のありようなり、さまざま今日提起をされている問題等々について、私どもも当然のことでありますけれども努力をしながら合意、いわば自発的な民意といいましょうか、そうしたもので納得を、合意をしていく以外になかろう。  もう一つ、そうこうしているうちに財政基盤の面でということがあろうと思いますけれども、その点については、先ほど申し上げたようなところに踏み込まざるを得ない状況が来るとするならばということを申し上げたわけでありますけれども、さまざま、具体的にはいま申し上げることでありませんが、私ども現行受信料制度、この制度のありようについていま真剣に模索をしているところであります。そして、先ほど一人でもということを申し上げたのは、放送をつくる側の決意として申し上げたのでありまして、ぜひそのように御理解もまたいただきたい点であります。
  30. 堀之内久男

    堀之内委員 先ほども申し上げましたように、臨放調の答申もあり、四十一年は社会党の皆さん方も、これしか方法はない、こういうふうに理解されて、そのときは一応審議が進んでおるのです。十年間、まあ十二、三年になりますか、この間に変遷した。まあ二%か三%であったから何とかこのままでやっていこうということであったろうと私は理解をいたしておるわけですが、われわれもこうして三年ごとの値上げを繰り返して、その都度たくさんの滞納を置いて、果たして責任与党としてこれを理解できるかどうかということなんです。このことを国民がみんな知ってしまえば、やっぱり払わなくたって済むものかなという思想が生まれてくることがわれわれは恐ろしいのです。それは税金でも二%、三%の滞納があることは承知いたしております。しかしわれわれは、やはりNHKの皆さん方が本当に取りやすい体制というか、これをつくることがまた国会の大きな役目でもあろう、あるいは政党間の政策課題でもあろう、こういうことでいままで大きく論議をしてきたわけであります。  ここで、もう一回自民党の考え方について申し述べさせていただきますが、われわれはNHKを国営放送などということは一切考えておりません。小委員会でも党の通信部会でも一回も出ておりません。この不公平をどうするかということだけで、NHKとしても会長以下相当おしかりを受けたと思うのです。一生懸命滞納整理をするが、現行法ではどうにもならない、それが結論だったんです。何も自民党がいつまでも長期政権じゃないでしょう。今度の参議院選でも与野党逆転を図って政権をかわろうというのでしょう。何も自民党の放送にしようなどとはゆめにも思っておりません。あなた方がそういう飛躍した論法をとられるから、この支払い義務制はすぐ国営放送につながる、こんなこと考えもしない、言ったこともない。われわれはNHK財政基盤さえしっかりしておけば、何も政府が差し押さえ裁判をするわけじゃないじゃないですか。あなた方がやるのでしょう。あなた方がやるのであって、何も政府がやるわけでもないし、自民党がやるわけでもない。あるいは将来、政権を自民党が永久に単独政権であるとは皆さん方も思っていないだろうし、われわれもそう思っていますよ。だから、そういうことを考えるときにこれが国営放送につながるなどということは私ども考えておりませんし、また須藤委員長の方でもそういうふうな理解をいただかないと、一気にこうした国営放送という飛躍した論法では、なかなかこの問題は解決できないと思うのです。だから、私どもはやはり何も対立することじゃなくて、われわれもNHKをよくしようと考えておるし、あなた方も熱心に思っておる。できればこれにかわるよき方法があれば、私どもはいいと思うのです。  いまの受信料制度ではもうだめだ。大体限界に来たのじゃないですか。こんな大きな不払いが前年度の二倍にもなるような形に来たら、それをまだいまからも支払い拒否者にも理解を求めていくのだというように考えていらっしゃるようですが、なかなかここまでお互いが論議した段階になってみますと、私は将来に重大な支障を来すのじゃないか、こういうように考えております。受信料の方も、わずか三%というけれども、これは五十三年度までが三%ですから、もう五十四年度になるととても三%じゃききませんよ。大体倍と言ってもいいじゃないですか。カラーテレビの契約伸びないことも御承知のとおりでありますから、そうするともう五%を超える滞納支払い拒否、契約拒否になってくると思うのです。  そこで、郵政省NHKにいまお尋ねをいたしますが、今回の放送法改正案が仮にこの国会で成立しなかったという場合には、どのような影響をお考えになっていらっしゃいますか。それから、できれば委員長の方からも御答弁をいただければありがたいと思います。
  31. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  仮にもし放送法改正案が成立しない場合を考えますと、NHK受信料の収納確保のためにあらゆる工夫、努力を行うべきであるというふうに考えておりますが、それでも先ほど来の不払い増加を抑制することはますますむずかしくなるのではないかというふうに考えます。
  32. 坂本朝一

    坂本参考人 仮に今回の改正案が成立しなかったといたしますと、受信料制度趣旨を曲解する者が依然として残存している、そして改正案が成立しなかったということを故意に取り上げまして、それに籍口して、支払い義務はないと主張するというようなことになりますと、やはり滞納不払い増加するということになるのではないだろうかというふうに憂慮するものでございます。
  33. 須藤安三

    須藤参考人 私どもはこの法案が提起をされまして、真剣に具体的にこの法案をめぐって多くのいわば世論の方々と、その意味では私ども最大に接しているということを確信を持って申し上げられると思うのです。  その中で、先ほども申し上げましたように、今回こういう状況の中で打ち出されているこの支払い義務化ということについて、これは何度も繰り返すようでありますけれども、むしろこの法案の実施によって、今日まで長く続いて、まさにNHK受信者方々との間で一定の合意の上でつくり上げてきているこの制度を、一方的に法律をもって義務づけるということに対しては、いままことにさまざまな問題、NHKに対する具体的な問題も抱えながら、しかしその上でこの制度を守っていこうじゃないかという合意の上に成り立っている、その数字で分けますと九七%ということを象徴的に申し上げるわけでありますけれども、その方々の中で、率直に言って私どもは、たとえば今回の署名をいただいた三万の団体の具体的な数字ということを一つ考えてみましても、いまの三%よりも失うものを考慮しなければならないような、この受信料支払い義務化法案に対する基本的な認識があるということでございます。したがいまして、私ども現行受信料制度を守りつつ、これがすべて全くベストであるというふうに考えているわけでは決してないのでありまして、繰り返すようでありますけれども、その点についてはひたすら努力を続ける、そしてその上で耐えるものには耐えていく。営業の現場努力というものは本当に精いっぱいのところにあることを組合員の中から私ども聞いているわけでありますけれども、そこのところについてはいま申し上げた立場の中でしっかり理解もさせながら、一方で制度そのものへの模索を検討しつつ、現行受信料制度を守っていくという立場を現時点では守っていきたいというふうに考えている次第です。
  34. 堀之内久男

    堀之内委員 郵政省並びに会長の方では大変憂慮されておられますが、組合の方としては立場が異なると言うと語弊がありますけれども、私はこの放送法改正案が仮に成立しなかった場合を大変心配するものであります。  われわれは今後とも健全なNHKということを考えるときに、やはり与党であります自民党といたしましても、何とかこうした改正を行って財政の確立を図っていただくということを願っておったわけでありますが、きょう須藤委員長の御見解を承って、大体NHKの職員の皆さん方の御意向というものも理解をいたしたわけであります。きょうは放送法改正案じゃありませんので、このことは後日改めて審議されますのでこの辺にとどめまして、次に移りたいと思います。  参考人須藤委員長様には大変御苦労さまでございました。委員長、御退席いただいても結構でございます。
  35. 小林進

    小林委員長 それでは、須藤参考人には大変御苦労さまでした。御退席いただいて結構でございます。
  36. 堀之内久男

    堀之内委員 冒頭にも述べましたが経営環境の問題につきまして、まずNHKはいまの経営環境をどのように受けとめられ、またどのように対処していこうとしていらっしゃいますか、会長にお伺いをいたします。
  37. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKの現在の経営環境を考えますと、先ほど来先生の御指摘のように、受信料収入の基礎となるテレビジョンの受像機の設置世帯の普及がほぼ限界に達しているという状況、それに対しまして、民間放送の急速な発展、さらには現在検討されております放送大学構想、放送事業に関連する科学技術の飛躍的な発展というようなもろもろの条件は、NHKをめぐりまして非常に変革の著しいものがございます。また一方、最近NHKに対する視聴者の御要望というのが大変高まりまして、また多様化している、こういうことでございます。したがいまして、NHKといたしましては、国民放送機関として、視聴者が必要とする豊かですぐれた放送番組を全国にわたって提供するよう努めるということ、それとNHKと視聴者との結びつきの強化、さらには先般来御議論いただいております受信料制度の維持の確立、効率的な経営の推進、あるいは健全財政の確立を図る、さらには経営の長期ビジョン、そういうもろもろの責任を果たし、そして視聴者の要請にこたえていかなければならないというふうに責任者としては考えておる次第でございます。
  38. 堀之内久男

    堀之内委員 五十一年に料金改定があったわけでありますが、この三年間、経営努力というか、これに対してどのように取り組んでこられましたか。この点をお伺いをいたします。
  39. 山本博

    ○山本参考人 五十一年から五十三年の年度の間の受信料の改定をお願いいたしまして、五十一年度から実施をいたしたわけでございますが、その時点におきまして、すでに暫定予算二カ月という事態が生じましたので、その期間約百十二億の収入減少ということが見込まれたわけでございます。私たちは約五〇%の受信料改定ということをお願いするにつきましては、NHK自身の合理的な経営、効率的な業務の遂行、こういうものは当然の課題として対処してまいろう、そう考えておりまして、計画そのものの中で、すでに人員の約五百人、いろいろな新しい業務も出てまいりますので、その五百人の人員配置のやりくりをいたしまして、新しい業務の円滑な遂行ということをやってまいろうということにいたしまして、人員増はこの三カ年間にはいたさないという計画をいたします一方、たとえば組織の問題、業務運営の問題あるいは制度の問題、こういうような点につきましても、もろもろ合理的な効率的な運営のための手を加えるということにいたしまして約五十億円の節減、こういうことをめどにいたしました計画を持っておったわけでございます。それで、その結果といたしましては、いま申し上げました人員の総合的な配置ということにつきましてはほぼ順調にまいりまして、新しい業務の遂行ということに支障のないように処理をいたしました。また節減の方にいたしましても、約五十億の節減目標を八十億まで、金額といたしまして成果を上げることができました。  具体的な中身になりますと、大きなもので言いますと、たとえば県の中に放送局が二つあるというものが約十三、これを集約いたしまして、機能の集約化ということで合理化をいたしました。あるいは、外国に取材拠点としまして海外総支局というものもございましたが、これも数を減らすことにいたしまして、そのとおり実行いたしました。また、国内に通信部という、国内の取材拠点でございますが、これもある程度の数字を減らすということで、予定どおり実施をいたしました。また、小さい点でございますと、出版物を減らすとか、あるいは外郭団体に対する補助金を減らすとか、こういうことも予定どおり全部実施をいたしまして、それで約八十億円の節減効果を上げたわけでございます。  また一方、先ほど申し上げましたように、年度当初からの暫定予算の収入欠陥というものが百億以上ございました。また一方、受信料改定に伴う辞退もございまして、あるいは先ほど来お話がありました滞納の問題、不払いの問題、こういうものの漸増ということもございまして、総合的に収入の方にマイナス要素もございました。そういうものを合わせまして、この三カ年間どうやりくりしていくかというのは、NHKにとって一つの大きな課題であったわけでございます。しかし、そういう収入欠陥も含めまして、三カ年間の予算編成の中で繰り延べをいたしましたり、規模の縮減をいたしましたり、あるいは日常的な節減をいたしましたりしまして、約二百五十億ほどの節減効果を上げることができました。無論、これはNHKだけの節減効果という努力の結果もございますけれども、反面、経済環境が経営上非常に有利に働きまして、その結果のプラス要素も非常に大きいのでございますけれども、そういうものを総合しまして約二百五十億ぐらいの節減効果を予算編成上上げました。したがいまして、いままで申し上げましたこの三カ年間のいろいろな効率化のメリットの結果、約百五億円を五十四年度の予算に繰り越すことができることになりまして、五十四年度を受信料改定をしないでしのいでいくということが可能になったわけでございます。  もちろん私たちは、こういう効率化の線というもので今後五十五年度以降も引き続き対処していくべく、人的費用も入れまして約七十億の節減効果を上げてまいりたいと思って計画の中に織り込んでおりますが、なお、暫定予算によりまして約四十四億の節減ということも一つ課題になってまいりました。こういうものも総合的に合わせまして、今後節減、効率化の効果を上げるために努力をしてまいりたいと考えております。
  40. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいま過去三カ年間の経営努力についていろいろ細やかに御説明がございました。人員あるいは機構の簡素化、これは当然なことだと思いますが、さらによい番組をつくって放送するということは、これはもうNHK最大の使命であります。しかしまた、民間というか、いろいろな世間のお話を聞きますと、NHK番組の場合は金をよけいかけ過ぎておる、金をかければよい番組ができるのはもちろん当然でありましょうが、よい番組をつくるに当たっても、経費の効率使用というものは当然配慮されなければならぬと思うのですが、こういう世間の批評に対して、どのような御努力をされてまいりましたか、お聞かせ願いたいと思います。
  41. 田中武志

    田中参考人 お答えいたします。  いま先生指摘のように、公共放送でありますNHKといたしましては、現場を担当いたしますわれわれといたしまして、あらゆる知恵をしぼって番組制作の面で経費を節減していきたいということで努力してまいりました。とにかく内容の質の低下を来さないということを前提としながらの効率化、経費の節減ということでここ数年やってまいりました。  具体的な例を若干申し上げますと、たとえば、いままで劇場中継など行きました場合には、一日に一本平均撮ってくるのが通常でありましたけれども、最近では一日に二本収録してくるというようなこともやっておりますし、また大河ドラマなど大変美術費がかかりますけれども、セットがかかりますが、こういったものにつきましては、同じ場所のシーンが四回も五回も出てまいりますので、そういったものを先撮りで、何回も同じところで一遍に撮ってしまうというようなこともいろいろやっております。それから、海外の取材番組に行きました場合も、できるだけ集中的にロケをいたしまして、できれば予定したものよりは一本ぐらいよけいにいろいろ撮ってくるという工夫もして実効を上げております。それから、資料センターというのがございまして、そこにいままで撮りましたVTRとかあるいはフィルムなどがたくさんございますけれども、たとえば、いま放送しております「獅子の時代」などの中にも、以前そういったところで撮りました帆船のシーンだとかあるいは函館のシーンだとか、そういったものは、今回取材したものじゃなくて以前撮ったものをうまく利用して効果を上げているというようなこともございます。それから、最近の新しい節約の方法といたしましては、大型のフィルム番組につきましてはすぐ小型のVTRに写しかえまして、以前はフィルム代が大変かかったわけでございますけれども、この辺で大変節約ができて、いるというようなこともございます。  それから、先ほど山本専務の方からありましたように、取材拠点のいろいろ統廃合なども行いまして、そういった面での効率化、節約というようなこともいろいろ考えております。  以上でございます。
  42. 堀之内久男

    堀之内委員 機構の面、また番組制作においても大変努力されていらっしゃるようでございますが、それでは、今回の料金改定に際しまして三年間の計画を立てていらっしゃるわけですが、この中では具体的にどのような努力をしようと計画されておるか、できればこれは職員定数の合理化も含めて説明を願いたいと思います。
  43. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  ただいま先生の御質問の中に要員の効率化の点がございましたので、まずそれについてお答えをいたしたいと思うわけでございます。  協会といたしましては、要員の効率化につきまして、五十五年度以降五年間にわたりまして、現行業務について要員数の総数というのを七%、千二百名効率化をしてまいりたいという計画を立てております。したがいまして、先生のただいま御質問の五十五年から五十七年、こういうことになりますと、六百名の効率化をやってまいりたい、こう考えているわけでございます。ちょうど年間が同じでございますので比較をさせていただきますと、国家公務員の定員の削減計画というのは五年間で四・二%でございます。それに比べますと七%というのはかなり高い率だと思いますけれども、いま山本専務がお答え申し上げましたように、五十一年から五十三年までは五百人の効率化ということを目標といたしました。したがいまして、今度の三年間は六百名を効率化したい、こう考えているわけでございます。  具体的に、その効率化というのをどうやっていくかということについて触れますと、これを具体的な九つの項目につきましてやってまいりたいと考えておるわけでございます。まず、現在本部の部局数というのは二十二局ございます。放送総局その他、総局内の局というのは十ございますので全体で三十三局ございますけれども、その中で約一割を削減したい、そして、それによりまして本部機構を簡素化したいというふうな考え方でおります。それから、スタッフ機構のコンパクト化、つまり本部にスタッフ部門がかなりございますけれども、これを一層コンパクト化していきたいということと、それから、組織を簡明化して、それによって業務の流れをよくし、責任体制を明確化していきたい、あるいは管理・間接部門の削減等、これは一〇%削減したいというふうに考えておるわけでございます。それ以外に、地方局体制の見直しとか、あるいは業務の集約、再編成、それから技術の進展に応じた業務の見直し、それから外部団体を積極的に活用すること、あるいは業務を外部委託をする、それの拡大を図りたい、こういうふうな五つの項目につきまして効率化をしてまいりたいと考えているわけでございます。ただ一方、どうしても毎年新しい業務の増高というのがあるわけでございます。これは極力その増を抑えてまいりたいというふうに考えております。  こういうふうにいたしまして、概略の数値を申し上げますと、管理・間接部門の削減その他につきまして、これは部局の削減とかスタッフ組織のコンパクト化とか一〇%削減等を含めまして、大体三年間で二百四十名くらいをこの分野から効率化してまいりたいと考えておりますし、また、業務の集約、再編成、これは地方局体制の見直しとかあるいは技術の進展に応じた業務の見直し、それを含めまして大体三年間で百六十名程度、その他の項目につきましては三年間で二百名程度、そういう一応のもくろみを持ってこの効率化にかかりたいというふうに考えておるわけでございます。  概略を御説明申し上げました。
  44. 堀之内久男

    堀之内委員 最後に答弁になった点でちょっとひっかかりましたが、三年間で六百人削減だと言われますから正直に六百人削減かと思うと、新たな業務がふえるからそちらでふやすんだということになると、とても削減ということにならないんじゃないですか。六百人と言いながら実際は二百四十名にしかならぬということでは、経営合理化とかいうことにつながるとは私はどうも理解できないのです。経営合理化というのは、配置転換をやりながら新規増のそうした仕事に対しましても対応していくというのが本当の経営合理化だと私は思う。一方ではこれだけ切りますが、一方ではこの仕事がふえましたからまた入れましたといって、プラスマイナスしてみたらちょっとしか減っておらなかった、これではならないと私は思うのですが、この点についてもう一回お尋ねします。
  45. 武富明

    ○武富参考人 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり、六百人の効率化というのは、これはどうしても効率化をしていこうというわけでございますけれども、一方どうしても業務の増高というのが避けられないものがございます。たとえて申すならば、毎年受信者の数というのが増してまいります。そういった受信者の増に対応する職員とかあるいは置局数がだんだんとふえてまいりますが、それの保守管理というものにどうしても手がかかってまいります。そういったどうしても必要増というのがございますのと、それからそのほか、これからどうしても協会が新しく立ち向かっていかなければならないいろいろな業務というのがございます。たとえば衛星にいたしましても、あるいはいろいろ多重の放送その他、これから放送界における技術革新というのは日に日に進んでまいります。そういったものに対応するという要素もこれまたわれわれとしては備えをしなければいかぬと思うのです。  ただ、申し上げておきたいと思うのですけれども、それは、これから業務計画を立てるに当たりましてそれを見込んでおかなければ誤りになる、したがってそれは見込まざるを得ない。ただ、これは決してそれを口実にふやそうということでなくて、効率化の実を上げながら、そういう必要増というものに対しましては最小限の要員措置というもので対応したい、こういうふうに考えておりますので、その辺はひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  46. 堀之内久男

    堀之内委員 いろいろ議論しても尽きないと思いますし、結局この経営合理化がしり抜けにならないように特に要望を申し上げておきまして、この点は終わります。  最後に、また会長にお聞きいたしますが、経営の合理化や効率化をいろいろ図られましても、NHK財政はまた三年後には再び赤字が予想されるわけです。赤字値上げの繰り返しということではこれはもう国民も納得しないだろう、かように考えますが、先ほど須藤委員長のお話で、この財政問題、委員長に聞いてもちょっと仕方ないと思っておりましたからお尋ねしなかったわけですが、会長にこの点の真意を聞きますが、財政がどうしてもいかなかったらコマーシャル放送でやろう、こういうことを執行委員長が言われましたが、この辺の真意というもの、あなた方の方であるいはそういうことも議論されたのかどうか。いやしくも労組の委員長でありますから、どうしても労使一体となってNHKを支えていらっしゃるはずですから、それがこの席ではっきりコマーシャルでもいかざるを得ない、こういうような発言があったわけですが、会長としてのこれに対する考え方、所信というものをまず伺っておきたいと思います。  さらに、長期的な経営目標を示して、そしてNHKが厳正な経営をしておるのだということを国民の前に示すべきではないかと思いますが、この長期経営のビジョンについてお伺いをいたしておきたいと思います。
  47. 坂本朝一

    坂本参考人 まず、値上げの繰り返しは許されないということで、長期経営の目標を示してNHKのあり方を国民の前に示せという先生の御指摘は、私も全くそのとおりだと思います。何といってもNHK基本的には受信料制度によって支えられるわけでございますから、テレビジョン受像機の普及が限界に達しているということになりますと、どうしても大幅な増収は望めない。したがって将来再び収支構造が悪化するということは避けられないかと思いますけれども、しかし一方、いましばしば申し上げているように、効率的な運営ないしは放送技術の進展に伴います新しい財源というようなことも考えなければならないポイントの一つではないかというふうにも考えられますので、そういう将来にわたる公共放送としての経営の目標ということを私といたしましては早急に確立していくべきであろう。したがいまして、協会経営内だけの知恵ではなしに、広く科学技術、人文社会科学の領域を踏まえて、外部の有識者のいろいろなお知意も拝借してその確立に当たりたいというふうに現在考えているわけでございます。  なお、須藤労組委員長が言いましたコマーシャルの導入というようなことにつきましては、これは先生も御承知のように、ヨーロッパの一部公共放送の中に、時間帯等を限ってコマーシャルを入れて、なおかつ受信料を取るというような経営形態の企業体もございます。そういうようなこともあって、第二次基本問題調査会の中でも、将来のNHKのあり方の中にそういうような方法論も考えられるかられないかというようなことの御議論もございました。しかし結論といたしましては、やはり受信料制度を守るということに現時点においては立つべきではないかという御答申もいただいておりますし、現時点におきまして私ども受信料制度を守る、コマーシャルの導入という方法論はやはり法体制全体の変革ということになるわけでございますから、これは軽々に申し上げる筋合いのものではないのではないかという認識に立っておる次第でございます。
  48. 堀之内久男

    堀之内委員 ただいまの会長の一番最後のコマーシャル放送云々でありますが、現時点では考えてないということは、いろいろ世の中は変遷しますから、将来のことをだれも予測はできません。それは四十一年に支払い義務についてはほとんど与野党一致して通す予定だったわけですから、十三年たったら今度は支払い義務反対だというように変わってきた真意もわれわれにはわからぬわけでありますが、そういう論法からいくと、会長のものは、現時点というかきょう現在では考えてないけれども、あるいは来年からということにも解釈ができると思うのです。しかし、私はそういう安易な考え方をこの際持つということ自身がおかしいと思う。いまの受信料制度というものを法的にもいろいろと検討しながら、最大のベストの方向をお互いに見出していくというのでなければ、おたくの職員の代表者がそういうことをはっきり言われるということ自身にちょっと不信感を持たざるを得ない、こういうように考えておるわけです。私はいまの会長の発言についてもちょっと納得いたしかねますが、もう一回会長の御意見をお聞きします。
  49. 坂本朝一

    坂本参考人 私の言い方でもし御不審があったとすればおわびいたしますけれども、いま申し上げましたように、この問題につきましては法改正ということが当然考えられますし、さらには日本の放送民放と、受信料によって経営されるNHKという二本立ての体制ということに問題が集約されるわけでございますから、私といたしましてはあくまでも受信料制度を守って、そして負担の公平の中でNHKが支えられていくべきであるというふうに考えております。
  50. 堀之内久男

    堀之内委員 私はいままでNHKの健全な発展を願う立場から受信料制度経営努力についてお尋ねしてまいりましたが、NHKというのはりっぱな放送をされておると思うのです。特に先般見ました国際政治の生々しい現実を描き出しました「核の時代」とか、あるいは現在一番問題のあります石油問題等を鋭い角度から突いた「石油・知られざる技術帝国」とか、こういうすばらしい番組等を放送されております。今後ともNHKがよい放送をいたしまして国民の期待にこたえていただくためにも、法制上の手直しができるものは十分お互いにやっていき、そして財政の基盤を確立し、あるいはまた節度ある財政運用などをお願いいたしまして、これはわれわれ国会でもその点は十分御協力を申し上げていかなければならぬ、かように私ども考えております。どうぞ会長初めNHK経営陣の皆さん方も一層御努力を願いたいと思います。  次に、去年の八月ですかNHKが行いました世論調査の結果がございますが、この中の「NHKに対する期待」という項目で、力を入れてほしいという番組として、災害放送とローカル放送と海外取材番組の三つが五〇%以上という上位を占めております。この数字で見ますと、特にローカル放送等につきましては三人に一人が充実を望んでおるという状況でございますが、いまローカル放送実態というものは、ほとんど民放が地方に根を張った形できめ細かいサービスをしておる。繰り返しますが、NHKは全国放送という一つの意識からか、地域に根をおろすまでは至ってないと思っております。これは放送だけじゃなくて、一般のマスコミ、新聞紙もそうなんですね。やはり地方紙というのが非常に大きく伸びておる。それは五大新聞もありますが、その中でもローカル紙、地方紙というのは相当県民に密着した形で普及しておることはどこも変わらないと思う。そういう観点からとらえて、今後のローカル放送に対しましての基本的な考え方をお伺いいたしたいと思います。
  51. 田中武志

    田中参考人 お答えいたします。  私たちも公共放送といたしましてローカル放送の充実ということにつきましては特に力を入れてまいっております。五十一年以降特にその辺については力を入れておりまして、先生御存じのように、午後六時四十分台に二十分間、ローカルの6・40というような番組で、これは全国各放送局がこの二十分間いろいろその時間にニュースその他を放送しております。それから、それ以前のところからは、木曜日の午後七時三十分から三十分間のローカル独自の番組の時間帯ができております。  こういったところでいろいろ力を入れておるわけでございますけれども、ここ一、二年のところで特に私たちローカルの各放送局に言っておりますのは、編成を融通無碍にいたしまして、たとえばローカルの方で特別の経済あるいは政治、社会の大きなことが起こったときには、随時ローカルの特別番組を編成できるような枠を設けてございます。これはたとえて言いますと、金曜日の夜の十時台のところに三十分ほど、ここはローカルの方でそういうことがあったら随時お使いくださいというふうな形にしてございますし、いま申し上げましたようにローカルの特別番組というものをいろいろ予算面でも優遇いたしまして、随時放送するようにという指導をいたしましたところ、これが大変ここ一、二年でふえております。こういったことで充実を図っておるほかに、機材なども最新鋭のものを、たとえば簡単な中継機能を持ったような車だとか、あるいは簡単な小型ビデオの機械だとかというものも随時配置しながら、内容の充実ということにいろいろ力を入れておるのが現状でございます。
  52. 堀之内久男

    堀之内委員 具体的にいろいろと努力はされていらっしゃるようでございますが、公共放送であるNHKが視聴者に最も身近な放送として見るローカル放送民放に劣らないようになるということが、NHKに対する国民理解とか支持も得られるということになるわけでありますので、一層の御努力をお願いしておきます。  次に、ローカル放送の重要な側面であります災害放送についてちょっとお尋ねいたします。  台風や地震などの災害は局地的に起こるわけですから、災害放送は主に地方局が担うことになろうと思うのでありますが、この取り組みについて十分できておるか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  53. 田中武志

    田中参考人 お答えいたします。  災害放送につきましてはNHKの第一の使命でございますし、先生御存じのように、NHKは報道機関としてただ一つの災害の指定公共機関ということで、これにのっとりまして、非常災害の場合に備えましてNHKの中でも防災業務計画というものをつくりまして、それぞれの放送局の段階でもこれにのっとりまして災害対策総合委員会というのをつくりまして、日常的にいろいろ訓練なりあるいはPR番組なりの放送をやってきておるわけでございます。特に災害時におきましては電波の確保ということが必要だろうということで、こういった面には、機材の防災的な整備だとかあるいは無線による確保だとかいうようなこともいろいろやっておりますし、そのほか特に最近は、これは実験放送の段階ではございますけれども、夜中あたりに災害が起こった場合に、一応テレビなりラジオなりで緊急の警報ができるようなシステムも現在実験放送をいろいろ進めておるというようなことで、いろいろこの対策については現在整えている最中でございます。
  54. 堀之内久男

    堀之内委員 地方放送局だと思いますが、災害でその放送局が放送できないような状態になった場合、放送、取材両面での対策はどのようにされておるか、この点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
  55. 田中武志

    田中参考人 お答えいたします。  一つ放送局が災害で放送できなくなったというようなことは、かって新潟地震のときに新潟放送局などでわれわれは経験したところでございます。そういったときに備えましては、災害が起こったときには、まず電源が切れないようにということで自家発電装置をすでに設置しております。それから放送所と演奏所との間に、いまケーブルでありますけれども、これも静岡など東海大地震などのおそれのあるところにつきましては無線化、ケーブルが切れても十分連絡あるいは放送ができるような形にしてございます。それから、新潟のときもそうでございましたけれども、隣接の局の方で無線で放送を傍受して、それをいろいろまた全国的に達していくというような体制も、それぞれ詳しい具体的な図などによりまして整備してございます。そのほか、最近昨年の秋の特別番組の中でも御紹介いたしましたけれども放送衛星なども実験的に使って、マイクロ回線その他のところが不備になったときには十分対応できるようにというようなことも考えております。  それから取材面につきましては、これは直ちに隣接あるいは本部の方から応援に行けるような対策の具体案ができておりまして、そのときに特にわれわれ留意いたしますのは、輸送手段をどういうふうにすればいいのかということでございまして、この辺についても航空機あるいは自動車、その他のところによりまして、具体的にどの道路を通っていけばいいというような図上の訓練も年一回は必ずやっているところでございます。  そのほか、アマチュア無線の方々に協力を要請するとか、あるいは国鉄とかそういったところにもいろいろ防災用の無線だとか、電力会社などにもそういったところの無線の利用が非常時にはできるようにというような対応もできております。  以上でございます。
  56. 堀之内久男

    堀之内委員 時間が参りましたので、最後に大臣の所信を承って質問を終わりたいと思います。  いままでの質問のやりとりでおわかりのように、NHK財政は事業収入が伸び悩む中で、事業支出の増大は不可避という赤字基調にあるわけであります。このような厳しい環境のもとで、公共放送機関としてのNHK基本姿勢について大臣はどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたい。  最後にもう一つ会長にお伺いしてみますが、先般、成田空港管制塔事件で千葉地裁が放送されたビデオテープを証拠として採用されております。この採用についてNHKの方では千葉放送局が抗議を申し込まれたということですが、申し込まれた理由、根拠というのですか、どういうわけで申し込まれたのか、これをお聞きしたいと思う。これは博多駅事件で最高裁が決定をいたしておるわけですから、そのときとまだ事情は変わっていない今日において、公的機関である公共放送機関が最高裁の判断に従わずして抗議をしたという真意がわれわれとしては理解できないわけであります。この点について会長の御見解を承って、質問を終わりたいと思います。
  57. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答え申し上げます。  NHKは、全国民的な基盤に立つ公共放送機関として、公共の福祉のために国民の要望にこたえ、あまねく日本全国に豊かでかつ質のよい放送番組放送することを基本的な使命としておるものだと考えております。NHKの使命は、今後ともますます重要なものとなるものと私ども考えておるわけでございます。しかし一方、先ほど来御議論ございましたように、NHKを取り巻く経営環境というものはまことに厳しくなっております。  それで、NHKはその言論報道機関としての性格から、高い経営の自主性が放送法上保障されておるところでございます。したがいまして、NHKとしてはその使命の重大さと、同時に、経営環境の厳しさというものを十分認識をいたしまして、みずからの長期ビジョンも確立して、一層経営努力を重ねますとともに、国民理解と信頼を得るよう努めるべきものである、このように考え  ております。
  58. 坂本朝一

    坂本参考人 お答えいたします。  先生承知昭和四十四年の博多事件の際に、裁判所側の令状の執行によって証拠としてフィルム等が押収されたわけでございますけれども、その際の最高裁の判断の中でも、やはり取材の自由といいますか、それとの比較考量といいますか、取材の自由を損なうということについてはおもんばかるべき点があるのではなかろうかというふうにお示しになっておりまして、私どもも今回の成田事件の際に、報道の目的を持って取材したものがその報道の目的以外に使用されるということは将来の取材の自由を損なう、取材する側とされる側との信頼関係を損なうということで、裁判の証拠として採用されることにアピールした次第でございます。これは、行われている裁判の中身とのかかわりではございませんで、そこら辺のところがなかなか御納得いきかねる点があるやに思うのでございますけれども、われわれは暴力を憎むということにつきましては人後に落ちないつもりでございますが、それとは別に、報道の自由というものとのかかわり合いにおいて裁判の証拠に取り上げられるということについてのアピールをした、こういうことで御理解賜りたいと思う次第でございます。
  59. 堀之内久男

    堀之内委員 終わります。
  60. 小林進

    小林委員長 次に、武部文君。
  61. 武部文

    武部委員 この間の当委員会で問題になりました行政管理庁の行政監察の問題、この問題は衆議院の決算委員会でも論議がされておるようでございますが、私は最初にこの問題についてお伺いいたしたい。  行政管理庁の設置法を改正して、NHKを行政監察の対象としたそのねらいは一体何であるか、まず行管庁から答弁を願います。
  62. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  先生の御質問趣旨は、NHKを含む全部の法人を監察の対象としたねらいは何かということであろうかと思います。現在私どもが監察の対象としております特殊法人は、公社、公団、公庫等四十八の法人でございます。しかしながら、国債の発行が巨額に上っている、KDD問題等が発生したこと等から、行政運営の適正化、行財政の簡素合理化等に関します国民の要請が非常に強まっておりまして、この国民の要請にこたえるためには、各省庁の業務運営の実態だけではございませんで、百十一ある特殊法人すべての業務運営について、その合理化、効率化を図る観点からの調査が必要ではないかという要請が強まっております。これが、今回私どもNHKを含む百十一のすべての特殊法人を監察対象にしようとする理由でございます。
  63. 武部文

    武部委員 行政改革が当面する重要な政治課題だということはよくわかります。しかし、百十一の特殊法人全部を行政監察の対象にするという発想は、重要な政治課題とはいえ、余りにも安易過ぎはしないか。特にNHK言論報道機関であります。放送法第一条には「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」こういうことがはっきりと規定をされておるわけですね。さらに、予算決算については国会審議する、経理面については会計検査も行われる。そういう上に、さらに政府自体が放送機関に対して行政監察をやる、強化をする。私は、こういう点については問題があるように思うのです。したがって、NHKはこの行政監察の対象から除外すべきではないか、このように思うのですが、いかがですか。
  64. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  NHKというのは、特殊法人の中でもきわめて国家関与の少ない報道機関であるということは私どもも重々承知しております。先生の御指摘のとおりでございます。しかしながら、KDD事件等がございまして、国家の意思によって、国家政策目的を遂行するために国家がみずからつくった特殊法人について調査するということにしなければ均衡を失するという点がございまして、私どもNHKも含めざるを得ないという判断に立ったわけでございます。  しかしながら、特殊法人と申しましても、国家政策に非常に密接した行政機関と同じような特殊法人から、NHKのように報道の自由ということで行政の監督が非常に薄い特殊法人もございます。ですから郵政省の監察に関連して、郵政省の業務運営の効率化を図るための調査に関連してもし仮にNHKを調査するようなことがございましても、それは郵政大臣の監督権限の範囲内で行いますし、報道の自由を抑制するようなおそれのある調査はこれを行わぬという立場は貫きたい、こういうふうに私ども考えております。
  65. 武部文

    武部委員 あなたはいま均衡の問題とおっしゃったが、こういう問題は均衡の問題ではないと思うのですよ。しかし、あなたがいま後段でおっしゃったことについては、後で具体的な法文を引用して質問をいたしますからお答えください。  それで、郵政大臣にちょっとお伺いいたしますが、NHKの自主性の確保や放送の自由ということはあなたも十分に御存じだろうと思うのです。このNHKを行政監察の対象とすることに大平内閣は踏み切ったわけですが、大臣としてはどういう見解をお持ちでしょうか。
  66. 大西正男

    ○大西国務大臣 現内閣は、行政監察を特殊法人に対して行うことについてNHKを例外としなかった、こういうことでございます。ではございますけれども、今回の行政管理庁設置法の改正案につきましては、行政管理庁が特殊法人に対して行う調査につきましては主務大臣の監督権限の範囲内において実施する、こういうふうに私としては承知いたしておるところでございます。そして、これは閣議の節などにおきましても、NHKについては特にそういう趣旨のことを私からも行政管理庁長官に申し入れといいますか、いたしまして、行管長官からも、その点については十分配慮するということを聞いておるわけでございます。  そういうことでございまして、NHK言論報道機関である特殊性からいたしまして、郵政大臣自体の現行法上の監督権限もきわめて制約をされておりますことは先生承知のとおりでございます。特に、放送番組に対する干渉というものは全く認められておらないところでございます。したがいまして、行政管理庁の調査と申しましてもNHK放送番組に及ぶものではございませんで、今回の法改正によりまして、NHKの自主性、放送番組編集の自由が損なわれるおそれはないと私は考えております。
  67. 武部文

    武部委員 前回もこの委員会で主務大臣の権限の範囲内という答弁がございました。NHKの場合はそれならば具体的にどのような方法で実施をするのか、その対象範囲はどうなるのか、これが問題になるだろうと思います。今回の行管庁の法改正理由を見ますと「行政の合理的かつ能率的な運用を図るため、」こういうふうになっている。この「行政の」というのは郵政省であってNHKではない、このように理解できるわけですが、このことについて行管庁のひとつ見解を聞きたい。
  68. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  私どもは先ほどお答え申し上げましたように、放送の自由を抑制するおそれがある調査はこれを行わないということをここで先ほど明言したとおりでございまして、しからばNHKの業務で放送の自由を抑制するおそれのない業務というのはあるのかという当然御質問があるかと思います。それにつきましては、私どもは、たとえば受信料徴収業務というのがございますが、受信料徴収業務がもう少し効率的に行い得る可能性がないか、それから受信料免除というのがございますけれども、その受信料免除というものが適確に行われているか、そういうこと等は報道の自由を抑制しない範囲で調査可能であろうか、こういうふうに考えております。
  69. 武部文

    武部委員 若干わかりましたが、今度の法改正の第二条十二号及び第四条の第五項、これに関連をしてNHKに対して書面調査やあるいは実地調査もできることになる、こういうふうになっておるわけですが、そうなってくると放送現場、そういうところまでも対象になるのか、具体的に内容をひとつ述べてもらいたいのです。いまあなたは、そういう点については配慮をして放送の自由、報道の自由が侵されないようにというお話でございましたが、やり方によってはこの放送現場の調査とかそういうようなことが仮にあるとするならば、この放送法で保障しておるところの番組編集の自由等の問題で問題を起こしかねないというように考えるが、この点についてはどういうふうに考えておるのか。  時間の関係で会長にお聞きをいたしますが、放送の自由というものの関連からNHKでもこの問題については重大な関心を持っておられると思うのですが、会長としてはこの行政監察、このような法改正についてどういうようなお考えを持って  いるか、これをあわせてお伺いをしておきたい。
  70. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの点は放送番組編成の自由に関する点についてであろうかと思いますが、私ども放送番組編成に関する業務については、先ほどからるる申し上げておりますとおり、放送による表現の自由を極力尊重するという立場から、そういう事柄についての調査を行うようなことはあり得ないことであるというふうに考えております。
  71. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘の点につきましては、NHKの業務に対する公共的規制について表現の自由に深くかかわるというその問題につきましては、私どもといたしましては非常に心配いたしまして、NHKの場合は放送法上予算の国会による承認その他、国民の代表である国会の場を中心にして行われて、他に例を見ないような経営委員会制度によって行政府による規制を最小限度にとどめるよう慎重に配慮されているというふうに理解をしております。したがいまして、今回の行政管理庁設置法の改正案においてNHKが特殊法人として一括処理されるというようなことになった場合に、特に番組の編集の自由ということに触れては困るというふうに考えまして、その点は私ども考え方を郵政省に申し述べてまいった次第でございます。今後とも同法案による行政管理庁の調査につきましては、主務大臣の監督権限の範囲を超えることがないよう配慮を特に関係方面に強く希望いたしまして、そして編集の自由、放送の自由を損なわれないように格段の配慮を要請したいというふうに考えておる次第でございます。
  72. 武部文

    武部委員 私が先ほど申し上げるように、この百十一法人を一括して行政監察の対象にする、その中にNHKを入れたことについては放送法基本理念からして疑問がある、これは除外すべきだ、私はこういう意見を述べたのでありますが、もしどうしても除外できないということならば先ほどから言われておるような実施に当たっては少なくとも番組編集の自由がこれによっていささかも損なわれない、そういう点を完全にとった上でやるということをはっきりとここで明言をしてほしいと思うのですが、いかがですか。
  73. 重富吉之助

    ○重富説明員 お答え申し上げます。  先生質問の点につきましては、私どもの方の宇野行政管理庁長官も非常に危惧しておりまして、三月十四日に行政管理庁設置法案が閣議決定されました際に発言を特に求めまして、その点については十分留意するということを私どもの長官が閣議の席で申し上げております。これはここにおられる郵政大臣も聞いておられると思います。それから、私どもも調査に当たってはそのようなことは絶対にないということを申し上げたい、こういうふうに思っております。
  74. 武部文

    武部委員 この問題は非常に重要だと私は思うので、きょうはこのことについてはこれだけで終わりますが、行政監察の対象とする以上、先ほど申し上げるような報道の自由、番組編集の自由、そういうものが損なわれないようにひとつ十分な配慮というものが必要だということを申し上げてこの問題は終わりたいと思います。どうぞ退席してください。  そこで、NHKの予算のことについてこれからお伺いをするわけですが、今回の予算案は五十一年に料金改定が行われて今日を迎えた。赤字がふえてきた、このままでは経営が困難である、したがって最小限度の値上げだということで百七十円のカラーと百円の白黒の値上げが提案されてきた、このように主張されておるわけであります。問題は、NHKのこれからの経営の根幹をどこに求めるか、こういうようなことをこれからも毎年毎年続けておって一体いいだろうか、こういう点については経営体質の問題点あるいは長期プラン、公共放送としての番組内容のあり方、国民のための公共放送、喜んで支援してもらえるNHK、こういう問題が同時に出て、そのことに対して十分な論議が行われなければならぬ、私はそのように、いままでのずっとNHKの料金改定のたびにそういうことを主張してきた者の一人でありますが、実は今度の料金改定問題をめぐっていささか内容が変わったところに向かっておるじゃないか、このことを指摘をしたいのであります。  実は、こういう長期プランであるとかあるいは経営の体質であるとか公共放送内容であるとか、そういう本質的なものから外れて、むしろ支払い義務制の問題をめぐる問題に重点が移ってしまった。いろいろ先ほど与党の委員の発言もございましたけれども、私はこれから具体的に例を挙げてそのことを指摘をしたいわけですが、少なくとも今日NHK徴収率というのは非常に高い。先ほども話がございましたが、九七%という数字もございます。一説には意識的な不払いは六万五千とか七万五千とかいうようなことも言われておるようであります。少なくとも今日わが国の情勢の中で、売掛金の徴収率が九割五分を超すような企業は優良企業ですよ。そこまで国民の皆さんがみずからの自由な意思で金を払っておる。まあわずかの方がいろいろな意見を述べながらこれに対して不払いをしておる、これが具体的な事実として存在しておることは認めます。現実にそういう注文があることは、二千八百万世帯もあるわけですから、当然過ぎるほど当然あると私は思うのです。しかし、これだけの徴収率があるNHK受信料、こういうものがあるにかかわらず、先ほど来いろいろ論議があったように、なぜ現在ある受信規約、そういうものを一つも適用しないでことさらに義務制の問題が法律として出てきたのか、これを私は大変疑問に思うのです。問題は、この義務制のねらいというものの背後に別なものがありはしないか、このことをぜひこの委員会を通じて私は明らかにしていきたいと思うわけであります。  確かに、委員会の席上でわれわれも不払いについていろいろな施策を皆さんに要求をいたしました。公平でなければならぬ、不公平であってはならぬから、不払いに対しては努力をして徴収するようにということを何回か委員会の席上で私も発言したことを記憶しておるのであります。しかし昭和四十一年に、先ほどちょっと与党から話がありましたけれども、議事録を見ますと、確かに四十一年のときに、この逓信委員会で義務制の問題をめぐってやりとりがあったことは事実です。しかしそのときには、NHK民放共同による放送世論調査委員会というものを設置すべきではないか、こういう意見が並行して出ておったのです。それはやはり義務制だけではだめなんだ、こういう問題が確かにあったのです。そういう義務制だけで片づく問題じゃないんだということから、こういうNHK民放共同による放送世論調査委員会、そういうものの設置すらあのときに論議されておった。あれから十四年たっておるわけです。その間の逓信委員会の議事録等をずっと見ましても、ことさらにこの義務制というものが十四、五年の間に法律を制定しなければならぬとかいうようなところまで来たことは一回もなかったのです。先ほど答弁を聞いておりますと、件数は若干ふえておるように言われておりますけれども契約拒否という数字はそう大きな数字ではないのです。なるほど七十万、八十万、九十万となっておるけれども、これは現実に面接ができないという物理的な条件がありますね。不在だとか転居するとか、いろいろなことがある。そういうものの数であって、意識的な不払いというものは十万足らずですよ。二千八百万という世帯の中の十万足らずが意識的な拒否なんです。そういうものだから、NHKのまさしく危機的な財政状態の中から義務化しなければもうどうにもならぬのだといって出てきた法律ではないように私は思うのです。先ほどはしなくもおっしゃったが、NHK会長の答弁を聞いておりますと、郵政省の指導に従うという答弁があったことを記憶しております。これはNHK自身はこの義務制の問題について積極的ではないということを私はその答弁の中からうかがうのであります。いままでの経過から見ますと、NHK放送法改正をして、そして義務制をしいて、罰金を取るだの、課徴金を取るだの、そういうところまであなた方が非常に高い姿勢でこの問題に取り組んでこられたとは思っておらないのです。いつのころからか、とんでもないところにすっと行っちゃってこういう形が出てきた。これから具体的に申し上げますが、そういうものと絡んでこの放送法改正が出てきたところに問題がある、私はこのように思うのであります。したがって、せっぱ詰まって、財政の危機を乗り切るためにはこれしかないということではなくて、ないよりもあった方がいいというぐらいな考え方でこの放送法改正に同意されたのではないだろうか、このように思うわけです。ある学者は、受信料の義務づけをしてないということはNHKの大変な見識だということさえ述べておるのですよ。義務づけがないのはNHKとしては大変な見識だという意見さえ学者の中にはあるのです。われわれはそのように理解するのですよ。それをなぜこのように急激に放送法改正ということが出てきたのか。しかも罰則をつけて税金と同じようなやり方をとるということについての経過が私にはよくわからない。この点について会長の御答弁をひとつ……。
  75. 坂本朝一

    坂本参考人 お答えいたします。  先ほど御指摘の、郵政省の指導のもとにというポイントにつきましてちょっと釈明させていただきたいと思うのですけれども、これは法律改正でございますから当然郵政省のお仕事になるわけでございまして、そして私どもといたしましては、郵政省ともどもこの問題に当たっているというふうに御理解賜りたいと思う次第でございます。  それから、確かに先生のおっしゃるように、見識であるということは私もそのとおりだと思いますが、現実の問題といたしまして、増高してまいります不払い滞納の問題は、やはり何と申しましても不公平ということにつながりまして、ひいては受信料制度の崩壊というところにつながりかねない問題だろうと認識せざるを得ない最近の傾向が顕著であるというふうにいま申し上げるわけでございまして、そして、これはあくまでもそういうふうに現在の受信料制度を曲解する方々を何とか説得して御理解いただきたいと努力してまいりましたが、ややその限界に達しているというふうに判断せざるを得ないという経過の中での問題でございますので、その不公平感をなくすというそこのところにポイントを置いて、そしてこれは決して強制的になったり強権的になったり、果ては国営につながるというような問題でないという認識の上で御理解賜りたいと思う次第でございます。
  76. 武部文

    武部委員 いま会長受信料制度を曲解しておるという発言がございました。先ほど申し上げますように、受信規約の中にはっきりとこの契約の義務化ということがうたわれておりますね。残念ながら一回もそれを発動したことがないということはこの間この席上で述べられたとおりです。今度は法律にその義務化を明記する、こういうことになるわけです。確かに払っていない方はそれなりの理屈を持っておるのです。理屈を後で申し上げますが、それなりの理由があるのですね。  ですから、九万六千件ないし十万件近いものがあるということは、先ほど申し上げるように二千八百万世帯の中の微々たるものです。そういうものとこれをてんびんにかけて、この法律を仮に強行した場合に、先ほどいろいろな御意見がございましたが、これによって大変な混乱が起きるとかあるいは支払わない人がふえるとか、いろいろなことが言われたわけですよ。一体、平地に波乱を起こすようなことをだれがしただろうか。むしろこのようなことをやったからそのようなことが起きてくる可能性の方が強くなってきたのですよ。われわれはそれを指摘したい。まあこれも後で申し上げましょう。  そこで、郵政省の説明を聞いておっても余り変わりがない。受信規約の中に明記されておったのを今度法律にするのだ、それじゃ払わない者について一つ一つ裁判に訴えるかというと、これは裁判の費用だって大変なことだが、これは個人を対象にして裁判を起こされると思うのですよ。いま九万六千件あるというが、九万六千件の裁判を起こさなければならないことになるかもしれません。そういうことを考えたときに、一体何の目的でこういうことを、NHK赤字赤字だと言いながら裁判の費用を出したりいろいろなことに金を使ってまでする必要があるだろうか。  冒頭申し上げますように、この予算案をめぐってNHK経営形態の問題についていろいろと論議が高まってきたことは大変結構なことだと思うのです。新聞の世論なりあるいは新聞に寄せられておる投書を見ましても、今回ほどNHKの問題について多いことはないと思うのです。私はそのように見ておるわけですが、それは何かというと、料金が百七十円上がるとか百円上がるということ以上に、支払いの義務制の問題が実は問題になっておるのです。一体その支払いの義務制とは、いま言ったように、いままであったのが形をかえて法律に出てくるのだ、それだけならばそういう問題にはまだならないと思うのです。むしろNHKはこの義務制の問題には余り積極的ではなかった、むしろ消極的で、これをやったら、ひょっとするとかえって混乱が起きるかもしらぬというようなことを考えておったが、どこかの方で先走ってしまってそういうものが出てきた。しかも火に油を注ぐようなことがあの三月四日の自民党の総務会の席上で火を吹き出したように出てきた。ここから情勢が一変したと私は思うのです。  そこでお伺いをしたいのでありますが、三月四日の自民党の総務会というのは、その前の日の三月三日の千葉地裁のビデオ問題をめぐっての問題に端を発しておるのです。これは何人も否定できない事実だと思うのです。後でビデオの問題もお伺いをいたしますが、この自民党の総務会の席上にはNHKの幹部の方が出席されておったようであります。郵政大臣は出席されておらなかったようですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  77. 大西正男

    ○大西国務大臣 出席いたしておりません。
  78. 坂本朝一

    坂本参考人 放送法一部改正案に関連いたしまして、郵政省が与党の総務会に説明するに際しまして、要請がございまして、NHK質問にお答えするために私は出席いたしました。
  79. 武部文

    武部委員 これは私どもは報道によって知る以外にはございませんから、この報道によって承知をしておる点について申し述べてみたいと思います。実は、この義務制の問題の背景にあるものがここだということを私は申し上げたいからであります。  この席上でいろいろな意見が出たようでありますが、その中の三、四点の発言が特にマスコミを通じて報道されておるのであります。これを見ますと、税金を取る以上NHK国民放送である、国家管理に背くなどとんでもない、こういう発言。われわれはNHK契約を結んでいるのだ、契約関係がある以上買った物をどう使おうと勝手ではないか、これはビデオの編集のことであります。NHKは白痴番組放送しておる、何が公共放送か、次、公共の性格があいまいなのだ、公共のあり方を調査する必要がある、こういう発言がされたという報道がマスコミを通じて全国に流れました。真相を知るすべはございませんけれどもNHKの幹部の皆さんはこの総務会に出席をしておられたはずです。こういう発言があったのは、いま申し上げたように、その前日千葉地裁のビデオ証拠問題に端を発してNHKが抗議をしたということからこの議論になったというふうに理解をされるわけであります。ここで結論が出ないで、三月十一日、総務会で再びこの問題が論議をされて、この義務制の放送法改正の提出が決まった。同時に、NHKニュースを調査する委員会、調査とか監視とか、まだ名前も決まらぬし、きのうも大分もめておるようでありますが、きのうの報道によりましても、保留になった。自民党のNHK調査委員会設置総務会で保留。との保留は、そういうことではなまぬるい、もっと厳しくやれというクレームがついて保留になったわけですから、むしろいままで以上に強い意見が出てきたというふうにこの報道からは理解されるわけであります。これはいま非常に大きな問題になっておるわけです。  テレビやあるいは新聞などのマスコミ、この表現活動について、個人やあるいは団体がそれがいいとか悪いとかいうようなことを批判するというのは自由だと私は思います。私も新聞の報道について批判をします。テレビの報道についても批判をいたします。それは自由です。しかし、少なくともわが国は政党政治であります。自民党は内閣を持っておる。しかも郵政大臣は電波の許認可権も持っておるわけであります。この委員会を通じて、今回のNHKの予算が異常な形で暫定予算になった、その理由は一体何だ、なぜそういうことになったのか、少なくとも放送法から見ればそういうことはやっちゃならぬことだ、むしろ一カ月も何でちゃんと握ったままでこの委員会にそれを出さなかったか、そのことによって異例な暫定という形になったのはだれの責任かというようなことがここで論議をされました。私は大臣に厳しくその点を申し上げたので、大臣も釈明をされました。しかし、そういうことと、いまの私が申し上げたことをやはり結びつけて考えたい、考えざるを得ないのです。こういうことを考えますと、少なくともNHKの報道のあり方に対するこれは政党の、しかも政権与党の介入だ、このように言わざるを得ないのです。  先ほど与党の委員は、そんなようなことは全然論議がなかったとおっしゃっておるが、この報道のされておることを国民はみんな知っておるわけであります。しかも非常に極端に、国営放送公共放送監視、NHKの報道に対して調査をし監視するというようなことが政権与党の中から堂々と述べられておる。しかもそれがこの法律改正の何か条件になっておるような、そういうことは、私たちとしては断じて認めてはならぬのであります。こういうことを無視してこの放送法改正をわれわれは認めるわけにはまいらぬ。そういうことを指摘をしたいのですが、いま私が申し上げたような与党の皆さんの中の発言、これをお聞きになっておったNHKの側としては、この指摘に対してどのような反論をされたか。NHKは白痴番組をやっておる、公共放送でないようなことをやっておる、こういう発言が現実に行われておる。これについて、その席上においでになったNHKの幹部の皆さんは、この指摘に対してどのような反論をおやりになったでしょうか、それをちょっとお聞きしたい。
  80. 坂本朝一

    坂本参考人 まことに先生申しわけございませんけれども、政党内部の会議状況について私どもがお答えするという立場にございませんので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。  ただ、私どもといたしましては、放送の自由を守るというたてまえから、当然、意見を求められました部分につきましては、姿勢を正してお答えしたつもりでおります。
  81. 武部文

    武部委員 見る者によっては、番組が白痴番組かどうかということは表現が分かれるところでしょう、それはそのように思います。これは自由ですから、それはいいでしょう。しかし問題は、NHKがそういう席上において、NHKの報道の内容についていろいろな指摘をされたときに、これに対してあなた方が毅然たる態度で自分たちの見解を述べられる、述べる必要がある、それが私は開かれた公共放送NHK基本的な態度でなければならぬ、こう思うのです。NHKの弱腰を私は指摘をしたいのです。  放送法第一条は、放送の不偏不党と放送による表現の自由、これをうたっておりますね。日本新聞協会の倫理綱領を見ますと「新聞は報道、評論の完全な自由を有する。禁止令そのものを批判する自由もその中に含まれる。」と書いてあるのですよ。先ほど与党の皆さんは、あの博多の裁判のことをおっしゃった。最高裁の判例に何で従わぬか、こういうような話もありました。少なくともいまこの義務制の問題をめぐって与党の内部にある調査と言い監視と言いそういう、略称ですからどういうことになるかわかりませんが、この自民党の政権与党の委員会設置というものは表現の自由を侵す、しかも報道をチェックする、こういう事態を招きかねない、このように国民の側も見ておるのです。私もそう思います。  確かに、あの千葉のビデオ問題というのは賛否両論あるのです。やっぱり提出すべきだという意見と、いや、そんなことはやる必要はない、賛否両論ありますよ。あなた方は否の方をとっておられるわけです。NHKは否をとっておられるから抗議されたんです。少なくとも千葉の放送局が抗議をしたということは、NHKが抗議をしたということになると思う。民放もみんなやっているのですよ。みんな抗議をそれぞれやっておりますよ。ここにございますが、そういう賛否両論ある問題について、どうしてNHKは自分たちの見解を番組の中で取り上げないのでしょうか。少なくともブラウン管を持っておるあなた方が、自分たちの信ずる道を、信ずる方法を、なぜブラウン管を通して世論に問わないのでしょうか。そういうことをしないでおいて、やれNHKのビデオを出さぬのはけしからぬとか、先ほど私はちょっと申し上げたけれども契約を結んで買ったものをどう使おうと勝手じゃないか、こういうようなことがまかり通っていけば、原告や被告のどっちかに利するような、そういうことに利用されてはいかぬのですよ。あなたもおっしゃったように犯罪は憎む。確かにそうなんですよ。あとは裁判で厳正にこれは処断をされるわけですから、原告、被告どちらかに有利になるような、そういうものに使っちゃっては困るのだというのがあなた方の見解なんでしょう。われわれは、そのように理解しておるから、あなた方の趣旨に賛成をしておるのですよ。そういうことをなぜNHKは堂々とブラウン管を通して世論に問わないのでしょうか。そういうことをおやりにならぬから、言われっ放しで、そして監視委員会を設けられたって仕方がないというような弱腰と私は見ざるを得ない、こう思うのですが、見解をひとつお伺いをいたしたいのであります。
  82. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKは、先生指摘の成田の問題につきましてはNHKの立場をはっきりニュースでもって事実として報道したわけでございます。したがいまして、それは現時点においてNHKの立場としての視聴者への報告になろうかと思うわけでございますが、その後の経過につきまして、自民党にその調査会が設置されるというような動き等々、正式にそういう決定があったということを伺っておりませんし、それがどういう内容でどういうことを討議し、どういうことになるかということは現段階においてはよくわからないというようなこともございまして、具体的な報道ということに至っていないわけでございますけれども、しかし、少なくとも放送の自主規制、自律を侵すというような形でそれが設置されて、そして私どもに伝わるということであれば、それは私としては、毎々この席で申し上げておりますように反対したいというふうに考えておりますが、そういう段階において、やはり放送というのはあくまでも公正でなければなりませんし、不偏不党でございますから、先ほど先生がおっしゃいましたように、成田の問題でも賛成する者、反対する者、おありになるわけでございますから、そういうことを十分踏まえて番組なり何なりで考えるべきであろう、現時点においてNHKが当事者であるだけになおかつ慎重に配慮すべきであろうというふうに考えておりますので、その点は御理解賜りたいと思うわけでございます。
  83. 大西正男

    ○大西国務大臣 ちょっと私の方から御説明をさせていただきたいのです。  それは、その総務会、もちろん私は衆参どちらかの委員会出席をして出ておりませんのですが、その総務会と申しますのは、この放送法改正法案を与党内において提出することについて御賛成を得たい、こういう趣旨での総務会であったと思います。でございますから、そこへわが党の通信部会の会長、それからその通信部会の中に電波放送委員会というのがございまして、これがNHKに関するいまの法案を主として審査をした委員会ですが、その小委員長も出ておられたのではないかと思います、法案の説明のために。でございますが、その法案の審議をしてもらうその機会に、いまお話のございますビデオを証拠に使ったとか使わないとかいう問題が絡んでまいりまして、そして法案自体を通してもらうことについて非常に困難な状態になっておったわけですが、いまのNHKのあり方に関する問題と法案の問題とは切り離して、別個の問題として御審議をいただきたいということで、最終的にはこの法案の提出を認めるということになったというふうに私は聞いております。  でございますから、そういう経過から考えまして、この放送法改正案は、NHKのあり方に関する議論とは、そういうものが生ずる以前にすでに担当の部会におきましてはこれを成案として出そうということに決定をしておったわけでございます。でございますから、今回の放送法改正問題はNHKの姿勢の問題に絡んだ問題では全然ないわけです。これは経過からお考えいただいてもそういうことが結論されると思いますが、まさにそのとおりなのでございます。  同時に、この問題については税金とかなんとかいう話がありますけれども先生も御承知のように税金でないことは明白でございます。また罰則とかそうではないとかいう言葉の上の話はございますけれども、正確な話は罰則でないことも明白でございます。単なる民事的な延滞遅延金、遅延利息と申しますかそういう性格のもので、私法上的な一種の損害金でございます。そういうことでございますから、何もこれによって将来NHKが国営になるとかいったような問題とは全く議論の根拠が異なる問題でございます。  ことに、法案の改正によって仮にNHKを国営にするとなれば、法律改正してそして国会の御審議を願わねばならぬ問題でございまして、そんなことを私どもはいま毛頭考えておりませんし、またいままでなさっておられるこういった国会の御議論を拝聴しましても、国営に持っていこうなんということは与野党とも考えておらないと思います。そういう点から申しましても、そういう考え方を持つこと自体が何か国会を無視した議論になりはしないかというふうにすら考えられるのでございます。ですから私は、そういうことになれば国会を無視した議論になる、こういうふうに思うのでございまして、私たちは国会を無視するつもりは毛頭ございません。そういうことでございますから、ひとつ御理解を願いたいと思います。
  84. 武部文

    武部委員 大臣からいろいろお話がございましたけれども、結果から見ますと、何で一カ月間もふところにしまって出さなかったのか。これは何遍も論議しましたからもう重ねて言いません。そういう経過を一つとってみても、やはり政権党の圧力というものがないとは言えないんですよ。それがあったからこそ、こういう形になってしまったんですよ。これは何人も否定できないと思うのです。ですからそういう点を考えたときに、どんなに弁解をされようとも現実は現実なんです。その中で、先ほど申し上げるような意見が堂々と政権与党の中で述べられておる。しかもそれが世論の批判を受けて、ちょっとおかしいじゃないかという意見が出たら、何をなまぬるいことを言っておるか、もっと強いものをつくれといって突き上げられて、これが振り出しに戻ってまた何か大きなものがつくられるかどうかわかりませんが、そういう動きが現実にあることは否定できないのです。どんなに否定されようとも事実は事実なんです。  それで私がNHKに言いたかったのは、余りにもNHKが弱腰じゃないかということを言いたいのです。あのことがあった後、NHKの報道部長が新聞に談話を発表しておりますが、われわれは当事者なんだからいまは発言を差し控えたい、いたずらに混乱を起こすのは好ましくないという及び腰の発言をしているんですね。私はこんなことはやはりNHKとしてはおかしいと思うのです。ですからあなた方は、何人にも口をはさまれない、はさんでもらいたくない、それだけの自信と確信を持って堂々と自分の意見を述べたらいいんですよ。あとは国民が判断をするんですよ。このビデオの提出がいいか悪いかということは国民が判断をするのです。ですから、そういうことに対してもっと毅然たる態度をとるべきではなかったか、このことを私は強く主張したいのです。ですから、この受信料の問題と予算の問題と法律改正の問題と、そして監視委員会のものとが全く縁がないなんということはだれも考えておりませんし、そこに全く表裏一体結びついておるということを指摘せざるを得ないわけです。  時間が大分たちましたから次に移りたいと思いますが、ビデオテープのことについてもう一遍お聞きをしておきたいと思います。  総務会においてビデオの問題が非常にかんかんがくがくされた、これも事実のようであります。NHKの態度がこのことについて非常に歯切れが悪かった、そういう報道がされまして、われわれはそれを見たわけです。このビデオの問題について、先ほど博多の話もありましたけれども、民間各放送会社もこれに対して抗議をし、反論をしておる。NHKも同じようにやられたが、どうもNHKの態度の方が弱腰だということが言われておりますが、会長としてもう一回ひとつ、このことについての毅然たる態度を明確に述べていただきたい。
  85. 坂本朝一

    坂本参考人 私どもの態度、姿勢としては変わっておりませんで、やはり取材の自由を守るということで、軽々に裁判の証拠になることは困る、そういう考え方に現在立っておるわけでございます。  ただ、問題の一つといたしましては、四十四年の博多事件のときには、私どもの方にVTRないしはフィルムがありまして、それを提出しろという提出命令が出て、それを拒否して、令状が執行されて押収されたということでございますが、その後いろいろと機器の発達等によりまして、私どもの中にあるVTRなりフィルムなりを押収するというのではなしに、検察庁ないしは警察が自由に放送を録画するという、四十四年当時においては必ずしも予測できなかったような新しい技術開発による事態が出てきている。こういう一つ問題点がございまして、そういう技術的な変革等の中においてなおどうあるべきか、要するにそれは放送されたものではないかという前提に立っての問題になるわけでございますので、これはその点を踏まえて、もう一度十分検討する問題の一つではなかろうかと考えておりまして、現在われわれ部内、同業あるいは新聞協会等と連携をとりながら検討しているということでございます。  ただ、歯切れが悪かったのじゃないかという御指摘は、そういう技術的変化に対しての私なりのお答えの仕方があるいはそういう誤解を招いたかと思いますが、そうではございませんで、現時点においてNHKの姿勢としては、裁判の証拠になることについてはやはり問題があるという判断に立っておる次第でございます。
  86. 武部文

    武部委員 それでは、次に具体的な問題についてお伺いをいたしたい。  いまNHKは、新聞その他を通じて、NHK受信料だけで成立しておるところの公共放送である、こういうことをしきりに宣伝しておられる。事実そのとおりですから、これは結構なことだと思うのです。ところが、NHKの調査でこういう数字があるようです。去年の九月にNHKの性格を皆さんが世論調査をされたときの答えでありますが、国営だと思っている人が一四%、半官半民三三%、民間会社九%、こういう答えが返ってきたということを私はあるもので見たわけですが、これは間違いありませんか。いま国民の中に国営放送という人が一四%もおったり、半官半民が三三%、民間会社というのが一割近くもおった、これは事実でしょうか。
  87. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 先生いまおっしゃいましたように、NHKの性格についての理解、それについての答えでございますけれども、新聞などと同じ民間の会社と考えておられる方が九%、営利を離れた特殊な公共的企業体と考えておられる方が二七%、公社や公団と同じ半官半民の公共企業体と考えておられる方が三三%、官庁と同じ国営の機関と考えておられる方が一四%、その他、わからない、無回答が一七%という数字でございます。
  88. 武部文

    武部委員 いまの数字を聞きますと、七割を超える人がNHKの性格を正確に知っていないということがうかがえますね。これはPRの不足ですよ。少なくともNHKは開かれた公共放送だとわれわれもそう思っておったし、そうでなければならぬし、そのことのために論議しておるわけですが、国民の側から見れば、七割以上の人がNHKの性格をいまお述べになったような性格のように理解しておるのは非常に残念なことだと思いますね。  私は、これから具体的な国民の声を一つ取り上げてみたいと思うのです。  今度の義務制の問題あるいは料金値上げの問題等をめぐってマスコミに登場してきた国民の声を私なりにいろいろと調べてみました。それを見ますと、放送内容あるいは経営の姿勢、大体どこで選ばれるかわからない会長経営委員などの組織が云々というような主張がありますね。これは事実であります。  また、払わぬ一つの理屈として、現在のNHKは支持できない、それはNHKを見ないから払わぬのではなくて、NHKを見ておるから払わぬのだ、こういう奇妙な理屈がございました。それは、いま申し上げたような、放送内容がどこで決まって、NHK経営する経営委員なるものが一体だれで、どこでどういう方法で選ばれたのか皆目わからぬということで、NHK受信料を払わぬよ、こういう理屈になっておるようですね。そういう声があります。  それから、支払い義務があるというならば、それに対応するところの視聴者側の権利を明確にしなければならぬはずだ、それはNHKの人事とか予算あるいは放送内容について、視聴者側の権利を明確にする必要があるのではないかという意見が出ておるようであります。これももっともなことだと思うのです。たとえば、監査の問題等をとってみてもそうですが、監査の決定権は視聴者が持つべきだ、自分たちが払っておるのだから自分たちの代表がそれを決定する権利を持つべきだという意見もあります。NHK経営あるいは番組制作などについてチェックしていくためにも、現在の経営委員――自民党の皆さんの発言を見ますと、国民の声の代表である経営委員に対してもっと発言権を持つべきだというような意見がきょうの新聞報道にございますが、この経営委員は視聴者の公選制にすべきではないかという意見もあるようです。これは言うはやすくなかなかむずかしいことだと思うのです。二千八百万の視聴者から経営委員を公選制にしろと言ったって、なかなかできっこないと思うのです。しかし、それはまた考えようによっては、各県ごとに視聴者会議というものもあるわけですから、そういうものを通じて推薦を得た者を、たとえば中国本部あるいは近畿本部というものの中から選択をし、選び、そうしてできるだけ公選制に近いような形で経営委員を選ぶべきではないかという意見が出てくるのは私は当然だと思います。  ここに十二名の方の経歴の一覧表もございますし、今度また任期切れの方もあるようですけれども、確かにわれわれは、この人たちが果たしてNHK放送についてどういう見識をお持ちだろう、どんな発言をせられただろうか、先般当委員会でも同僚委員かろ発言もございましたけれども、皆目見当がつかぬ。一体どうして選ばれておるのだろうか、見たこともなければ聞いたこともないような人だということになってくる。あるいはまた、この中には新聞界の方がいま二名、この次また一名予定されているようでありますが、この十二名の中に三人の全国大新聞の代表の方が入られる、これは一体どういうこと、だろうか。いろいろな点についての疑問がある。したがって、公選制をやれという意見が出てくるのも私は当然だと思うのですが、こういうことについてNHKはどういう見解をお持ちでしょうか。
  89. 坂本朝一

    坂本参考人 私自身経営委員会によって任命されておりますので、私が経営委員会のことをこういう場で見解を述べるのはあるいは適当でないかもしれませんけれども先生の御指名でございますので、私なりの考え方を述べさせていただきたいと思うのでございます。  現在のNHK経営委員会経営委員は、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することになっておりまして、これは国民意思を代表する両議院の同意を得ての任命という点で国民の意向が反映していることになって、適任者を選ぶ上で合理的かつ公正な方法ということになろうかと思うわけでございます。  ただし、いま先生のおっしゃるような公選制にしたらどうかという御意見もあることは私も承知しておるわけでございますけれども、現実の問題としましては、公選制にするということになりますと膨大な費用、手間等々がございまして、現実の問題になりますとなかなか困難なのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  それ以上のことにつきましては御容赦願いたいと思うわけでございます。
  90. 武部文

    武部委員 十二名の経営委員というものは、最高決議機関としてNHKの本質的な問題を討議される重要な機関だと私は思うのです。したがって、経営委員の方がどういう経歴の人で、どういう選出方法で選ばれ、そうして一体一カ月に何回ぐらいNHKのどういう問題について論議をし、どういう結論が出たかということが、何らかの方法で国民の側にわかるような仕組みは今後のNHK経営の中においては特に必要ではないだろうか。今度の値上げ問題やその他の問題をめぐってそういう意見が非常にたくさんマスコミに寄せられておるということも事実でありますから、その経営委員会のあり方については、われわれも含めて考えていかなければならぬ問題だというふうに思っておるわけであります。  そこで、視聴者の意見、また権利といいましょうか、そういうものをNHK一つもくんでくれないからわれわれは払わぬのだ、こういう意見があるということを先ほど申し上げました。二千八百万の世帯からみんな取るというのはなかなか困難ですが、せめて最大公約数で、何らかの形でそういう人たちの意見NHKに吸い上げられていくということは、困難ではあろうともそういう努力は不断に続けていかなければならぬと思うのです。そこで、あなた方は視聴者の懇談会というものを各地で開かれておるようですが、私もよくわからぬのだけれども、そういうものを一年に一体何回ぐらい開いておられるのか、それには大体どのぐらいの人が参加をしておるのか、そういうことがかいもくわからぬのですね。そういう努力がないから、先ほどもちょっと報告がございましたように、NHKがどんな形態の協会なのかわからぬという人がこんなにたくさんおるのです。この点はいかがですか。
  91. 反町正喜

    ○反町参考人 お答えいたします。  先生ただいま御指摘会議は、私どもこれを視聴者会議と呼んでおります。そのほかにも視聴者懇談会というものもございますのですが、まずその視聴者会議について申し上げますと、これは昭和五十一年度に設立いたしまして、全国五十三カ所に設置してございます。会長の諮問機関でございまして、どういう先生方を委員にお願いしておるかと申し上げますと、十一分野、農林水産あるいは商工業あるいは地方自治、学術文化、マスコミあるいは婦人、消費者団体、それから労働組合関係の方、学校教育の方、大体そんな分野の先生方をお願いいたしまして、大体一カ所二十名平均でございまして、ただいま全国で千三十八名だったと存じます。そして原則として年三回開いております。これは普通は四月に新年度ということで、新年度の方針をいろいろお知らせ申し上げ、また御意見を承る時期、それから九月ごろに第二回を開きまして、これは来年度の事業計画の参考にさせていただくという意味合いでその時期を選んでおるわけでございますけれども、そこではそういうことを中心に御意見を承る。それからまた次の年の二月ごろ、予算がちょうど国会に提出準備のころに、その予算案を中心にまたいろいろ御意見を承るというようなことでそういう時期にやっておりますけれども、五十四年度は四回開催しております。  出てまいります御意見はいろいろございますけれども、集約いたしますと、NHK番組の方針なりあるいは経営の方針なりにつきまして、大体三つに集約できるのではないかと私は思います。一つは、NHKならではの放送を充実してほしい。これは具体的に申し上げますと、海外報道番組でございますとか、あるいはNHK特集のようなもの、あるいは教育、教養放送あるいは災害緊急放送、あるいは娯楽番組、芸能番組にいたしましても、単なる娯楽ではなくて感動を与えるような、あるいは考えさせられるような娯楽番組もつくってほしいということでございますけれども、そういうことが第一点。第二点は、どうもNHKは優等生的でかた苦しいということでございまして、やはり親しみを得るような努力もしなくてはいかぬのじゃないかというのが第二点でございます。第三点は、NHKは自主性を持って、見識を持って堂々とやりなさいということでございまして、この三つの点が最終的にはNHKに寄せられる期待であろうかというぐあいに私考えている次第でございます。
  92. 武部文

    武部委員 民放は視聴率で勝負をする。NHKはそういうことは必要ないわけですけれどもNHK民放の視聴率とは別な形で、影響率というようなものを調査しておるとかいうことを私ちょっと聞いたことがありますが、NHKとして、番組がどういう影響を与えるかということを何か調査でもしておられるようなことがございますか。
  93. 田中武志

    田中参考人 お答え申し上げます。  私たち、全国的な視聴率調査というのを毎年六月と十一月の二回行っております。大体一週間の間に、NHK番組を中心にテレビ、ラジオの視聴の実態を、大体三千六百人ぐらいの方々を対象に定期的に調査をしております。その結果は、公共機関といったところにも公表されるような仕組みになってございます。  それから、いまもう一つ指摘の意向調査的なものにつきましては、これもこの視聴率調査のときに付随いたしまして、特定の地域、特定の階層というところを対象に調査を行っております。この方は放送に対する国民の嗜好、意識、要望といったようなものを個人に直接面接いたしまして調査しておりまして、この結果を番組の編成とか制作に役立てるようにしております。  そのほか、小さな調査といたしましては、年間、必要に応じまして特定の番組とか、あるいは特定の時間帯とか、ローカル放送とかというようなことについても調査をしております。
  94. 武部文

    武部委員 先ほど来のやりとりの中で、受信料制度そのものの存在が問われるような時代を迎えてきたというような発言もございました。確かに受信料だけに頼っておった場合は、人件費の増加あるいは物価の上昇等によって経営が非常に困ってくる、そうすれば当然値上げ以外にないというようなことからの受信料制度そのものの存在云々という発言のように私聞いたわけですけれども、冒頭申し上げましたように、経営の長期プランあるいはNHKのこれからの経営のあり方、そういうようなものを見た場合に、いよいよNHKの本質的な長期プランというものが必要になってきた時代ではないだろうかというような気持ちを持つわけです。たとえば、このまま三年なり四年なりもった、しかしまた値上げをするというときが来たら同じことをやっておる、そうしてまた三年たったら同じことだということではなくて、別な角度から、NHKのあり方について本質的な討議をすることが必要になってきたのではないかという意見が出てきたと思うのです。それは先ほどから何回か申し上げるように別な一つの問題にも絡んでおりますけれども、それは別にいたしまして、いまのままでNHKがこれから受信料だけに頼っていっていい、だろうかということについてまたいろいろな疑問が投げかけられました。その中でこういう意見が出ておりますが、こういうことについてNHKはどういう見解を持っておられるか。これは非常にむずかしい回答になってすぐにはできぬかもしれませんが、こういう意見があるということだけは間違いないのですからお聞きをいただきたい。もうNHKは夜の十一時以降は放映をやめるべきだ、こういう意見があります。また外国まで行ってつくるような劇映画はもうやめろ、今後はああいうものはやめろ――これはまた別な内容がありまして「シルクロード」はいいとかあるいは「マルコ・ポーロの冒険」はいいぞという反面、「獅子の時代」なんてあんなものパリまで行って何のことだ、あんなフランスを縦断する鉄道まで乗って、何であんなところに金をつぎ込むかという意見もある。いろんな意見がありますが少なくとも大変な金を使うわけですから、こういうことについて外国まで行ってつくるような劇映画についてはそろそろこの辺で考え直すべきだという意見があるようです。それから、民放と競合してまで娯楽番組をやる必要はない、何であれだけの歌謡番組を同じような時間に、チャンネルをやってみれば同じような時間に同じようなことをやっておる、何で民放とあそこまで競合する必要があるか、こういう意見もありますね。それから、娯楽番組から一切手を引くべきだ、何でも屋をやるからこういうことになってくるんで、NHKはもう何でも屋でなくて結構だ、だから娯楽番組からは一切手を引いた方がいいという意見があるかと思えば、また逆に、いや民放にはないような味のある娯楽というのはNHKしかできないんだからやれ、いろいろあると思うのです。ですから、賛否両論いろいろあるから、それをやはり経営委員というものが、一体NHKのあり方はいかにあるべきか、どのような運営をすべきか、問題点はどこにあるのかというようなことを十分論議をされて、そして国民の側にも、NHKはいろんな国民の側の意見というものを参酌しながら番組をつくっておるなあということがわかればいいけれども、そのようなことがかいもくわからぬ、こういうことになるわけです。いま一つは、新聞も休刊日があるんだから電波も一日くらいやめて、テレビづけの子供を解放したらどうだというような極端な意見まであるのです。こういう意見が出てきたというのは今度が初めてだと私は思うのですが、こういうようなことについてNHKはいまの報道のあり方そのものを今後も踏襲して、やれ相撲もやるわ、娯楽番組もやるわ、外国に行ってやるわ、そういうようなことをこれからもずっとおやりになるのか、それともそういうような声を受けて番組のあり方なりについて検討される意思があるかどうか。  それから、先ほどお話がございましたが、コマーシャルの問題です。これは何回か意見が出たこともございまして私も聞いておりますし、コマーシャルのことは法律改正が伴いますから簡単にはできぬかもしれませんが、娯楽番組の中にだけでもコマーシャルを入れれば収入がふえるじゃないか、受信料のカバーのためにもそういうことはもうそろそろ考える必要があるのではないかというような意見が出ておるわけです。イギリスのBBCが今度大変な減量経営をやるということは私ども報道で知りました。BBCもそれだけの大変な苦労の中で経営問題に検討を加えておるわけですから、NHKもそういうようなことを真剣に考える時期じゃないだろうか、このように思うのですが、NHKのひとつ見解を聞いておきたいと思います。
  95. 坂本朝一

    坂本参考人 先生の御指摘幾つかあるかと思いますけれども、たとえば夜の十一時以降放映をやめたらどうかという御指摘につきましては、NHKといたしましては現在十一時十五分というところで総合テレビを打ち切っております。ただ、選挙の場合の選挙速報であるとかあるいは災害時等の台風の情報であるとか、そういう国民生活に密接な影響のある報道をする場合には時間延長するということで、原則として月曜から木曜までは十一時十五分で打ち切っておりますので、いまのところそれを延ばすという必要はないんではないだろうかというふうに考えております。  それから娯楽番組等につきましては、先生のおっしゃるようなそういう御指摘もございますけれども、これはNHK民放が、報道、教育、教養、娯楽という分野でいわゆる質の競争をするということころに放送法のねらいがあろうかと思いますので、御指摘を受けるような形で娯楽番組がもしぐあい悪いということであればわれわれのまだ勉強不足ということかと思いますので、勉強していきたいと思います。  それから休刊日の問題につきましては、これはなかなかNHKだけが休刊日を設けるというわけにまいりませんので、放送界全体の問題としてのテーマかと思いますが、しかし災害時等のこともございますから、そういうときには少なくともニュースは出すというような対応も考えなければいけないのじゃないか、まるまる休刊するというような新聞のようなことにならうわけにもいかないのじゃないか、そこら辺具体的な問題になりますとなかなか判断に迷うところがございますけれども、検討のテーマの一つではあろうというふうに認識しております。  それからCMの問題は、先ほども申し上げましたように、ヨーロッパ等では公共放送でもCMを一定時間やっているという実態がありまして、それは一つの参考になる点かと思いますけれども、しかし何といっても、日本の放送はコマーシャルでもって賄われる民放受信料によって賄われるNHKという二本立てということでございますので、NHK受信料を取り、なおかつコマーシャルを入れるということになりますと、法体制そのものについての検討に及ばなければならないという問題ではないかと思いますので、私といたしましては、やはり受信料制度を守りたいという考え方でおります。
  96. 武部文

    武部委員 これで終わりますが、何回か値上げの論議のときにいつも申し上げてきたわけですけれども、やはり今後のNHKのあり方としていろんな意見が出てきておる。これはやはり謙虚に受けとめて、できるところからやっていく必要があると私は思うのです。いまの収入でやれないならば別の収入の道を考えたらどうだ、先ほどちょっとCMの話をいたしましたが、郵便はがきにこれからコマーシャルを入れようかというようなことさえもう出始めてきたんですから。そういう時代です。それから、NHKのりっぱな放送済みの番組を内外のテレビ局にもっと積極的に売り込んだらどうだとか、あるいは極端な意見じゃ、放送センターの半分ぐらいは貸しビルに出したらどうだというような意見さえ出始めてきたんですよ。ですから、やはりそういうことを謙虚に放送協会としては受けとめて、受信料値上げ以外に副次的な収入その他の面も真剣に考える時期に来ておるということを私は特に申し上げておきたいと思います。  時間が参りましたから、終わりたいと思います。
  97. 小林進

    小林委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十二分開議
  98. 小林進

    小林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政大臣から発言を求められております。これを許します。
  99. 大西正男

    ○大西国務大臣 今回行いました人事異動について申し上げたいと存じます。  今回の人事異動は、省内の沈滞いたしました空気を一新し、人心の刷新を図る必要があると考えておりましたところ、神山前事務次官からも、私の思いと同様の趣旨によりまして、五十五年度予算が成立した時期に退任をしたい旨の意向が漏らされましたので、私といたしましても、今後提出法案の審議が本格化することなども考え合わせまして、予算の終わりましたちょうどこの節目にこれをいたしたいと考えまして、人心刷新の観点から行ったものでございます。必要最小限度にとどめたわけでございますので、今後さらにそれらに関連をする人事等につきましては、できるだけ早い機会に行ってまいりたいと考えているところでございます。  本日の御審議に直接関係ございませんが、委員長のお許しを賜りまして、一言申し上げた次第でございます。     ―――――――――――――
  100. 小林進

    小林委員長 質疑を続行いたします。久保等君。
  101. 久保等

    久保(等)委員 ただいま大臣から郵政省のトップの人事異動についての御報告がございました。私も、ただいまNHKの五十五年度の予算案の審議をいたしておる過程ではありまするが、しかし昨日、いまお話があったような人事が閣議の了承を得て発令をせられたと聞いておりまして、ぜひお尋ねをいたしたいと思っておったやさきでありました。  すでに御承知のように、去る五日の日にKDDの板野前社長がついに逮捕せられるという事態にKDD問題も発展をし、さらにまた昨日、いまお話がありましたような郵政省の最高首脳の人事異動が発表せられました。しかし、いま大臣の御説明ですと、御両人の自発的な辞意に基づく人事異動ということなんですけれども、しかし客観的にながめて、だれしもノーマルな情勢の中での人事異動とは受けとれないわけでありますし、また時期的に申しましても、郵政省の人事はこの国会の終わった夏ごろ行われるのが恒例でありますし、しかもまた郵務局長のごときは、現在きわめて重要な法案と思われまする郵便料金値上げ法案が国会に出されておるというような事態の中でありまするから、異常な問題の中において異常な人事が行われた、こう受けとらざるを得ないわけです。先般も当委員会で私も、当時の情勢の中で郵政大臣に、今日事態発展が日々非常に大きく見られまする今回の汚職問題について、国民の信を取り返すためにはよほど思い切った具体的な行動と措置を郵政大臣としてもとられる必要があるのではないかということを申し上げたのですが、本日、再度この異常状態の中で大臣に御説明を願わなければならぬことをまことに残念に存じます。  いま大臣が自発的な本人の発意に基づく人事異動だと言われたのですが、しかし、もうすでにおとといあたりから大変なトップニュースとして各報道機関等でも報道せられております。また特にここ連日のように、名前を出して恐縮でありますが、とにかく元郵政大臣であった服部氏の問題等も伝えられております。したがって、一体問題がどこまで発展をするのだろうかという今日の情勢の中で、単に今回の人心一新ということでこの問題についてピリオドが打たれたと理解することはとうていできないわけですし、そこまで根深くかつ深刻な状態で、真相はだんだんと明らかになってまいるでありましょうけれども、やはり責任の所在というものを明確にし、これに対して一面においては厳しい措置もとらざるを得ない、国民の非常に強い注目を浴びておる問題だと私は存じます。  先般も具体的な行動について大臣にいろいろお伺いいたしましたが、残念ながら特別具体的な措置を考えておるわけではなくて、いわば司直の手によってその真相解明を期待される云々という大臣の御答弁だったのですが、昨日のああいう、ついに事務次官あるいは郵務局長という郵政当局にとっては最高首脳の異常な人事異動をやらざるを得ないことについては、いまお話のあった程度の御説明ではわれわれとうてい理解できないのですけれども、大臣としてはもう少し国民の琴線に触れるような切々たる具体的な御説明があってしかるべきだと私は思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  102. 大西正男

    ○大西国務大臣 昨年末から、KDD事件に関連をいたしまして綱紀の保持につきまして国民から強く求められていたところでありますが、先般、現職の幹部職員が逮捕されるといった事態にも相なりまして、郵政省の長い歴史に汚点をしるすだけでなく、郵政行政全般にわたりまして国民の強い不信を招いたわけでございます。郵政行政を預かる最高責任者といたしまして責任の重大さをひしひしと感じておるところでございます。  私は、行政というものは国民の信頼を得て初めて適確に機能するものであると考え、郵政職員たるものは、この際、行政に携わるものとしての責任の重さを自覚し、速やかに失われた信用の回復に努力すべきであると考えました。それで過日、御承知の訓示をしたわけでございますが、このような訓示も、これまたいま申し上げましたような観点に立って私の信条を述べたものでございますけれども、責任の重大さ、事態の深刻さを認識する余り、どうも職員の気持ちと申しますか、かえって萎縮しているのではないか、また省内の空気が沈みがちになっておるのではないかということをはだで感じたわけでございます。  そこで、国民の信頼を回復するためには、不祥事を深刻に受けとめまして反省し、戒め合うにとどめないで、現状を克服をして前向きに本来の職務に取り組む姿勢を醸成をし、また確固たる行政体制の確立を図ることが私に課せられた最も大事な責務の一つであると考えました。そのための具体的かつ有効な施策として、人事異動を行うことによりまして萎縮した職員の気持ちを解きほぐし、沈滞した空気を一新する必要があると考えました。御承知のとおり、郵政省では近年は先生もいま御指摘のとおり大体七月に定期人事異動を行っておりますので、その時期まで待つことも一つの方法かと考えましたけれども、この沈滞した空気というものを早く一掃するということも非常に重要なことだと考えたわけでありまして、できるだけ適当な時期にそれをやりたい、こういうふうにひそかに考えておったわけでございます。五十五年度の予算の成立を見たわけでございまして、郵政省が提出を申し上げております法案、その審議が本格化するその節目にこれをやるべきではないかということに考えがまとまりまして、この人事異動を行ったわけでございます。そういう状況でございますので、おっしゃるように定期異動とは違いますので、必要な最小限度のところにとどめたいということで御承知のような人事異動を行ったわけでございます。  私といたしましては、今回の人事異動を契機に職員の諸君が心を一つにして仕事に取り組み、一日も早く国民の信頼を回復できることを心から願っておるものでございます。
  103. 久保等

    久保(等)委員 NHKの予算の審議の途中ですし、私も時間がありませんからなお一言、特にこの問題について大臣に要請を申し上げておきたいのは、先ほどもちょっと触れましたが、元郵政大臣の話も連日のようにきわめて具体的な事例が報道せられております。したがって、現在の一郵政省にとどまらないほど非常に影響するところといいますか、波及しておるところが大きいわけですし、したがって、これは大平内閣なり与党自民党諸君そのものにとっても大変な問題だと思うのですが、そういう意味合いでは、この前も申し上げましたが、有史以来の最大の汚職事件だと私は存じます。したがって、よほどの決意を持ってこの問題については少なくとも事の真相を明らかにし、これに対する国民の納得できるような処理をされることが非常に重要だと存じます。そういう点でそのことを強く要請を申し上げて、私は本論に入ってまいりたいと思います。  きょうは、こういうNHKの予算の審議のような機会にでもお尋ねするのが適当だと思って実は民間放送連盟の方から泉さんに特に御出席を願いまして、大変お忙しいところをありがとうございます。これまた時間がございませんから、私平素気のついておりますほんの一、二の問題だけについて、最初にお尋ねしたいと思うのです。  民間放送は今日非常に活発な活動を展開しておられるわけですし、また国民にとっても欠くことのできない、民間放送は民間放送としての役割りを果たされておると思うのであります。そういった点でその御努力を多とするのでありますが、きょうは思いついたといいますか、私が日ごろ気のついております点について、一、二お伺いしたいと思うのです。  それは、放送基準に基づいてコマーシャルを放送しておられると思うのです。このコマーシャルの問題ですが、私も余り連日ぶっ通しでテレビを見るわけではございませんけれども、テレビを見て非常に目ざわりに感じますことは、コマーシャルが時間的に非常に長い、あるいはまた非常にタイミングが悪くといいますか、たとえばスポーツなんかの場合、いよいよ終盤に入ってクライマックスに達したところでぽつんと、はいさようならという形で、何か突然コマーシャルが入ってくる。これはたまたまじゃなくて、むしろしょっちゅうと言ってもいいと思うのですが、こういった放送基準の問題について、一体どこでどういう形でお決めになってやっておられるのか。余り委員会等でお伺いする機会がないものですからこの機会にお伺いしておきたいと思うのですが、放送基準はどこでどういう方法でお決めになっておられるのか、それからまた、平素チェックといいますか、自主規制といいますか、自主的な検討をどういう方法でおやりになっておるのか、そういったことについて御説明なりお答えをいただければ幸いだと思います。
  104. 泉長人

    ○泉参考人 日本民間放送連盟事務局長の泉でございます。いまの先生の御質問に対してお答えを申し上げます。  民放連には放送基準審議会というのがございまして、これは会長直属の機関でございます。民放連の設立の大きな目的の一つに、番組の向上という意味でうたっておりますが、この放送基準審議会というものはそれに寄与するためにできた機関でございます。この放送基準審議会というのは、一応民放各社の人たちが寄り集まって各社の番組基準のよりどころとなるべき基準をできるだけ共通のものにしようということで審議をしている場でございます。したがって、民放連の決めました放送基準というものはそのまま各社の番組基準ではございません。各社の番組基準の中にこれの重要な点をすべて取り入れていただいて、各社の番組基準のもとに各社の番組審議会、経営者、考査、そういうものが機能して各社の番組をチェックしているものでございます。したがって、連盟の放送基準というのは、各社の経営者が寄り集まって自分らの持つべき番組の基準の綱領といいますか、そういう重要な点をここで申し合わせて取り決めるというものでございます。  この中に、確かに御承知のようにCMについての規制もございます。テレビで言いますと一週間に全放送時間の一八%以内という規定もつくってございます。ただ、これは昭和四十六年の高度成長末期でございますが、当時民放のコマーシャルが非常に多くて視聴者からもそれぞれ御指摘をいただきましたし、民放連とNHKでつくっております番組向上協議会からも、コマーシャルの多さについて考え直してはどうかという御意見がございまして、これを受けまして昭和五十年に改正をいたしましたのが現在の基準でございます。  その骨子は、それまではなぜコマーシャルが非常に多かったかと申しますと、アメリカの放送基準のようにゴールデンタイムにおけるコマーシャルの量だけを規制しておりました。したがってそれ以外の時間でのコマーシャルその他は野放しでございましたので、各社としては番組の視聴者にいろいろ影響を与えないような範囲内で番組にコマーシャルをそれぞれ入れておったわけで、そういうものが積み重なって二〇%を超すような状況がございました。そこで各社寄り集まりまして基準審議会で決めましたのが、今度はゴールデンタイムだけじゃなくて、放送局が放送する一週間の全放送時間の一八%以内におさめようという総量規制といいますか、そういうものを決めたわけです。これは非常に画期的なことでございまして、アメリカなどもこういう総量規制はやっておりません。日本のマスコミでも、自分の収入の元である放送の量を規制するということはないと思います。これをあえて行ったということは非常に画期的なことだと思います。  五十年以降は、各社それぞれ、連盟の放送基準審議会で決めました一八%を各社の番組基準に取り入れまして、それぞれの社で努力をしているところでございます。特に四月から自主的に決めました深夜放送の短縮などにおいても、コマーシャルのさばき方が大変問題になっておりますが、それぞれ各社が一八%以内を守るように努力しているということでございます。これが連盟の放送基準審議会の機能であると思います。  以上でございます。
  105. 久保等

    久保(等)委員 一八%以内におさめようという、総量規制を行うということを自主的にお決めになっておるようでありますが、しかしその実施状況必ずしも一八%以内ということではないといったようなことを昨年も私新聞で拝見したのですが、民間放送労働組合あたりの調査によってもそういったことが内部的に指摘せられておるようです。したがって、その一八%そのものが一体適当なのかどうかという問題。これはまあもちろん直接営業の収益そのものに関係する問題ですから、いわば死命を制する問題ですから非常に大変だと思うのですが、しかし受信者の立場から見れば非常に目ざわりな、しかも何といいますか、広告ですから全然関連のないものがぱっぱっと変わって出てくる、非常に不快な気持ちもするわけです。しかも、先ほど私がちょっと申し上げましたように、特にスポーツなんかで、もう前の方はどうでもいいが、最後のあたりのところですぽっとやられる。しかも、それはまあそのときたまたま試合なら試合が延びたからやむを得ないというならいいけれども、必ずクライマックスのところで切れるようになっておるのですね。私、拝見しておりまして、たとえばプロレスなんかでもそうなんですよ。ああいったことは、それならば最初の部分を少し削って、後のところだけは普通の状態でいけば全部報道できるというような配慮をしないと、何か広告放送を見せるような、一体どっちが主体なんだかわからない。ああいったことについてはぜひひとつ審議会の中でも議論をしてもらって、これはもう常識的に考えても、非常に重要なところへいってぷつっと終わるなんという放送をするなら、むしろ放送をしない方がいい。極論でございますが、そういう感じさえするわけでして、非常に不愉快です。  このおつくりになっております日本民間放送連盟の放送基準の第十五章「広告の表現」の中にも、百十四項目目になるのですか「広告は放送時刻を考慮して不快な感じを与えないように注意する。」まさに私のいま申し上げたことについては、不快な感じを与えないように注意をしていただくことにはなっておるようでありますけれども、これは単にたまたまでなくて、民間放送全般に通ずる非常に大きな問題だと私は思いますし、恐らくこのことについてはいろいろ世論からの御批判なりあるいは注文なりが出ておるんじゃないかと思うのですが、そういう意見なり注文はお聞きになっておりますか、どうですか。私がいま指摘しておりますようなことについて、またどういった形で民間放送連盟としては一般国民意見、批判というものをこなすような御努力をしておられるのか、そこらあたりをちょっとお伺いしたいと思うのです。
  106. 泉長人

    ○泉参考人 もちろん、いま先生のおっしゃったようなことは間々あるかと思います。ただ、連盟の放送基準というのは、先ほど申し上げましたように各社の良心の結集であるその骨子を決めているものでございまして、番組の個々のやり方、挿入の仕方、そこまでは規定していないで、各社が連盟のこういう基準を自分の社の番組基準に取り入れ、そこでその各社なりの考え方でやっていただくことと、それから、もちろん視聴者に不快な感じを与えるようなものであれば当然営業にも差し支えますし、そういうことは各社自身のデメリットにもなるわけでございますから、各社が当然考えていかなければならない問題だと思います。  それから一般の世論でございますが、そういうものは連盟で常に収集し、考査情報で各社に流して注意を喚起し、各社の御参考に供していくというやり方をやっております。ただ民放連自体はこの基準のポリス機構ではございませんので、個々の番組について一々チェックし取り上げているということはございませんが、世論は取り上げて情報で各社に流して、各社の番組編成、番組のつくり方、そういうものに反映をしていただこうという考え方で進めておるわけでございます。
  107. 久保等

    久保(等)委員 放送連盟の性格からして、いま御説明のあったことはやむを得ないと私は思うのですが、しかしだんだんと歳月を経る中で連盟自体として、これはあくまでも自主的な団体なんですから、まあやはりできるだけ受信者の立場から見て期待に沿えるような形で自主規制が行われることが好ましいと思うのですね。だから、いたずらに各社の自主性という形でやられるのだったら、民間放送連盟としての機能は余り果たしていないということになってくると思うのです。もちろん一挙に権力的な形でやるのじゃないのですから、お互いの申し合わせなり自主的ないろいろな調査なり、あるいはまた協議の結果出てまいる基準が一つの結論になるのだろうと思うのですが、そうだとすれば、ある程度年月を必要とすると思います。がしかし、国民からの批判をできるだけ少なくしていこうという態度を取り続ける限りは、だんだんとそういったものが成長していくというか成熟をしていって、そうして――私は個々の番組をとやかくいま申し上げておるのではないので、きわめて常識的な、たとえば連続的なスポーツだとかなんとかというものは一つの継続した状況を報道するのですから、それが最もクライマックスの直前あたりで終わってしまうということではまさに画竜点睛を欠くような、報道としては致命的な欠陥ではないかとさえ思われるわけです。そういったことについての話し合いなり申し合わせぐらいはできるのじゃないかと思うのです。これは放送技術の問題にも多少関係するかもしれませんが、何月何日の何のテレビの番組がいいとか悪かったとかいうことを申し上げているのではなくて、いま私が申し上げているのは、したがって放送基準に該当する重要な一つの問題ではないかと考えるのです。最近アメリカあたりでは、子供番組あたりではコマーシャルを廃止しようじゃないかというような話さえ出ておると思うのですが、そういったことなんかについても当然いろいろ研究になっておられると思うのです。だから、物によってはコマーシャルの放送を局部的にやめてしまうということも、これまた放送内容いかんによっては必要じゃないかと私は思うのです。  この放送番組審議会はNHKにもありますが、民間放送にももちろんあるわけです。一体どの程度、一年のうちでもいいし一カ月でもいいのですが、どの程度お集まりになっていろいろと相談したりしておられるのですか。その活動状況をちょっと御説明いただきたいと思うのです。
  108. 泉長人

    ○泉参考人 各社の番組審議会は各社の権限でやっておりますので統一的ではございませんが、ほとんど毎月やっていると思います。連盟にも、各社の番組審議会でいろいろ問題になった点、記録は送られてきておりまして、それを連盟の月刊誌に載せまして各社の御参考に供しているということでございます。
  109. 久保等

    久保(等)委員 非常に短時間の中でお尋ねしておるものですから十分なお尋ねをすることもできかねますが、いま申し上げた、これはまことに素朴な質問でありまた素朴な要望でもあると思うのですが、ぜひそういった点については、先ほどお話があった一八%以内という総量規制を一応おつくりになっておるわけですから、できるだけ、まあ見る立場から言えば余りコマーシャルはない方がいいのですが、これは民間放送というものの性格からいってそういったことは不可能なことですから、でき得る限り短縮をする方向で御努力せられる必要があると思うのです。  同時に、いま申し上げたように、その同じコマーシャルの放送にしても、放送している本番の方の放送内容との関連を十二分に配慮をして、十分にその放送の本来の目的が果たせないような形で、きわめて重要なというか、クライマックスのシーンのところで直前で番組が切れてしまうというのは、これはどう考えてもまことにどうも、いかに営業とはいいながら、むしろ残酷なやり方だと私は実は考えているのですが、そういったことについて十分にひとつ審議会なり、あるいはまた放送基準策定に当たっての御論議の中で御検討をいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  110. 泉長人

    ○泉参考人 十分先生の御趣旨は、審議会もたびたび開かれますし、全社の考査責任者会議どもありますから、そういう場で御披露して、いろいろ反省し、考えていただくことにいたしたいと思っております。
  111. 久保等

    久保(等)委員 どうもありがとうございました。あとNHKの方の質問もありますので、泉参考人にはお忙しいところどうもありがとうございました。お帰り願って結構です。
  112. 小林進

    小林委員長 泉参考人、御多忙の中御苦労さまでございました。これでお帰りいただいて結構でございます。ありがとうございました。
  113. 久保等

    久保(等)委員 いまNHKの五十五年度の予算案の審議過程ですでに四月を迎えておりますが、残念ながら本予算の方のまだ成立を見ないために今月は暫定予算ということになっております。暫定予算になりました関係で、今月は当然従来の受信料によって徴収をいたすわけでありますが、今月一カ月と仮に仮定をして、本予算の方では受信料値上げ考えておられるわけですが、その新受信料現行受信料、一カ月による受信料収入にどれだけの欠陥が生ずると申しますか穴があくことになりますか。総額一カ月幾らになりますか。
  114. 渡辺伸一

    ○渡辺参考人 お答えいたします。  一カ月につき四十四億の減収でございます。
  115. 久保等

    久保(等)委員 NHK経営が厳しいことはもうずっと前々から当委員会でもやかましく言われているところですし、今回のこの予算審議に当たっても、先ほど来からもいろいろとあらゆる角度から分析され、あるいはまたその厳しさをどう克服をしていくか、これは大変に大きな問題になっておるわけでありますが、この前、私も一般質問の中で大臣にお伺いしたところでありますが、本予算の国会提出が非常におくれた、大変なことでありますし、現実にこれまた四月に入っておりますが本予算の成立を見ないという結果にもなってまいっております。先般お尋ねいたしましたところによってもすでに明らかなように、二月の十九日に閣議の決定がなされながら三月の十七日になってようやく国会に予算が提案せられた。私の先般の質問に対して、大臣はきわめて歯切れの悪い、わけのわからないような、いろいろな事情がありましてという御答弁で終わったわけでありますが、しかしその後いよいよこの本予算の審議に入った第一日目、すなわち三月の二十七日の審議で、結論として大臣の言われたことは、与党の方で、予算が通らぬ限りはNHKにおいて徴収しやすいようにすべきではないかというようなことで法案の用意も考えられておった、そんなわけでございまして、その調整に手間取ったのだという御説明がありました。御寛容を願いたいというお話もございました。  しかし私は、やはりこういった異例の経過を考えてみますると、もう少し大臣としてすっきりした経過の御説明と同時に、こういったようなことがわれわれ外から見ておっては余りよくわからない。先ほども武部委員の方からいろいろ自民党の内部の総務会の模様等がただされておりましたけれども、しかし、そのことと、国会に予算を提出することとは私は別だと思います。あくまでも放送法規定にのっとって、大臣としては、NHKから出てまいった予算案に対して意見を付して内閣を経て国会に出す、それだけのことでありますから、いわば予算に対する取り組みの主役は何といってもNHKみずからが予算を編成すること、そして国会審議をして、これを一体どう取り扱うのかの結論を出す。中間、大臣が意見書をつくられて、内閣を経由するということでございまするから、その間に、もし与党の中にいろいろ意見が仮にありましても、これに対して途中で査定をしたりあるいは修正をしたりということは許されないことになっております。だから、大臣が押さえていることは何の意味もないと思うのですが、大臣があえて一月近くも予算を押さえざるを得なかった事情というものは、放送法上からは一体どこに根拠があったのか、この点をひとつ、大臣、明確にお答えを願いたいと思うのです。
  116. 大西正男

    ○大西国務大臣 放送法上にそういう根拠が別にあるわけではもちろんございません。これはたびたび他の委員からもお尋ねがございまして、また先生もいま御指摘になりましたような与党との調整が、放送法改正とも絡みまして、大変おくれてまいったわけでございます。そのためにこういうようになったわけでございまして、その調整がおくれましたことにつきましては私の不徳のいたすところでございますので、御寛容をいただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  117. 久保等

    久保(等)委員 大臣、非常に謙虚な、不徳のいたすところと言っておられるのですが、不徳のいたすところでは私はないと思うのですね。しかも、事はきわめて簡単な問題でして、特別政治力を要する問題でもないと思うのでして、要するに郵政大臣としては御意見をおつけになるわけですから、その御意見について、どういうふうに意見をつけるかについて慎重に検討せられることはこれはもう当然のことでありますし、また予算の中身について、そういう意味ではよくごらんになることも必要だと思うのです。しかし郵政大臣のそういうお考えにお考えを重ねた上で意見をつけられる、そしてその意見をつけたものを閣議に出される、その閣議でも了解を得た、ということになれば、あとは大臣の不徳云々の問題ではなくて、もうそれこそ事務的に国会に提出をするということに取り運ぶことが自然だと私は思うのですが、しかしそうではなくて、その間約一カ月も要するという結果になったことについては、これは非常に反省を要する問題だと私は思っておるのです。  先ほど来いろいろ、放送法の第一条の「目的」あるいは第二条の放送の性格、NHK自体の性格、いわゆる放送番組編成の自由なりあるいは報道の自由、そういったことが言われておるのですが、そのことを具体的に実行することが問題なんであって、ただ抽象論ですれば、これはきわめて抽象論ですからまことに結構なお話が出るのですが、日々執行する面においてそのことが実行せられるかどうかが問題だと思うのです。  明らかに、申し上げますならば、一月近くおくれたことによって暫定予算を組まざるを得なかった。今月は、したがって、先ほどもお話があったように一カ月四十四億の、少なくとも当初の予定が狂った、穴があいたということは、これは現実にNHK公共放送放送が侵害をせられたという結果が金額的に出てまいっておるのです。したがって、そういうことの起こらないように、円滑なる公共放送が遂行できるようにすることが、すなわち放送法の第一条なり第三条というものを郵政大臣が守っていくという姿勢だろうと私は思うのですが、いかに美辞麗句をもって御説明があっても、現実にこういうことをおやりになりますると、これは明らかに政府の不当なる介入と私は言わざるを得ない、これはもうきわめて明白だと思います。  残念ながら、当委員会で予算案について審議に入ったのが三月の二十七日、これはもうまさにどうにもならない段階ですから、一カ月の暫定予算についての申請がなされ、それに対して許可をしているのですが、放送法の三十七条の二になりますか、先ほど私の机の上にも、暫定予算についての報告書が実は出てまいっております。これも本来なら大臣の方から、当逓信委員会に何か一言御発言があって、報告があってしかるべきじゃないでしょうか。もちろんこれは放送法の上からいって、こういう文書を出しておけばこれで済むのでしょうが、しかし、少なくともNHKの予算を審議しておる委員会に、この国会に報告するとなっておるのですが、一言も半口も大臣の方からは御説明がない。これは一体どういうことなんでしょうか。封筒をあけてみたら「放送法第三十七条の二第三項の規定に基づく報告」というのがあるのですけれども、ちょっと私お聞きしなかったのかもしらぬけれども、この問題も少しよくわかるように本来なら御説明願ってしかるべきことじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  118. 大西正男

    ○大西国務大臣 それはたしか前回御報告申し上げたと思うのでございますけれども……。
  119. 久保等

    久保(等)委員 前回といいますと、いつでしょうか。
  120. 小林進

    小林委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  121. 小林進

    小林委員長 速記を始めてください。
  122. 久保等

    久保(等)委員 どうも大変失礼いたしました。  しかし、暫定予算のことにつきましては、いま言った本予算との関連がございまするから、そういう点では非常に重要な案件だと存じます。私も四月二日に出席はしておったのですが、失念をいたしまして失礼いたしました。  とにかく、いま申し上げたような経過を考えてみますると、大臣が調整に手間取ったということそのものの及ぼす結果というものが、非常に深刻な公共放送NHK財政に大変大きな問題を提起している。しかも、これは一カ月で済むのかどうなってまいるのか、もちろん目下のところは予想がつきかねるわけです。したがって、事の重大性というものについて大臣がお考えになりまするならば、こういったことが再度絶対にあってはならぬと私は思うのですが、大臣はいかにお考えでしょうか。
  123. 大西正男

    ○大西国務大臣 久保先生のお言葉に対して返す言葉がないわけでございまして、今後このようなことがないようにいたしたいと存じております。
  124. 久保等

    久保(等)委員 それじゃ、次に移ります。  NHKの今後の事業運営の方針について資料を拝見しました。「昭和五十五年度から五十七年度の経営計画について」という印刷物でありますが、これのページ三の最後の四項目のところですが、そこにこういう文句があります。「将来の財政基盤の確立を図るため、収入の増加策について期間中新しいサービスの開発を含め、あらゆる角度から鋭意検討を進める。」と言っておられるのですが、これは今後の財政状態を考えて、最も中心的な課題だと思います。文章としては、これで何もどうこう申し上げる筋合いのものではないのですが、このことをぜひ具体的に実現をしていかなければならぬと思うのです。この中で言われる「新しいサービスの開発」という問題なんですが、これは何か具体的な問題でお考えになっておることもあるだろうと思うのです。ほんの一、二でも結構ですが、事例を挙げられて、たとえばこういったことについてという御答弁をNHKの方からぜひお願いしたいと思うのです。
  125. 山本博

    ○山本参考人 お尋ね趣旨の中で「新しいサービスの開発」というお言葉がございましたが、これは技術的な意味での開発ということに限りますと、非常に限定されてまいります。ただ、今後三カ年間に、NHK財政基盤を次の時代に向けてもっとより堅固なものにしてまいりたい、もっと安定したものにしてまいりたいという意味でとらえますと、もろもろの新しい財源の開発ということも含まれると思います。  いまお尋ねございました技術の部分に狭めて考えますと、これはいまそうたくさんあるわけではございません。たとえば文字放送というようなものがより開発されてまいった暁に、これが受信料というものとの関連において、新しい受信料一つの型として財政に寄与するところがあるかどうか、こういうものは目下検討いたしておりますが、技術的な問題として主なものはそういうことでございます。
  126. 久保等

    久保(等)委員 先ほど来もお話がありましたが、受信料制度の問題について、やはり公共放送基本的な問題ですから、特に私、若干お尋ねしたいと思うのです。  その問題について、実は一つ非常に大きな問題として、これまた懸案問題でありますが、例の放送大学学園法案というのがいま文教委員会にかかっております。この問題、実は文教委員会の方では何か非常に審議が進んだと申しますか、昨年の国会の経緯もあって、実は逓信委員会の動向というものを非常に注目をしておるようです。また事実、本来でありますると、放送大学法案の中での放送法の一部改正は、ぜひ当逓信委員会に付託をして十分に議論をしなければならぬ非常に大きな問題じゃないかということを私どももかねがね主張し、またお願いもしてまいり、二月の上旬に郵政大臣にも、再度というよりも三度目になりますが、法案の国会提出に当たってはぜひひとつ逓信委員会にという要望も強く申し上げておいたのですが、これまた結果は、われわれの要望にもかかわらず、現在文教委員会に付託をせられておるという状況になっておるのです。  このことについて、これまた大臣に、ちょっと耳の痛い話ではありまするが、お尋ねをいたします。この重要な中身を持っておりまする放送大学学園法案の附則の中で提案せられておりまする放送法の一部改正を、なぜ文教委員会に付託するような形で、要するに切り離さないで一本にしてこの国会に提出をしてまいったか。このことも私ははなはだ残念に思います。それは、昨年大臣が就任早々に、私も実は昨年の国会の空気なりまた私の考え方等も申し上げて、ぜひひとつ昨年の国会での審議の模様等も十分に念頭に置かれて分離をして、この逓信委員会で十分に論議をする、放送体系そのものの本質的な変更を来すような中身を持った放送大学学園法案であるだけに、ぜひひとつそういうお取り運びを願いたいと再三にわたってお願いをしておったのですが、それにもかかわらず、結果としてそういった取り運びになりました。はなはだ残念に思うのです。これもまた、いずれこれ自体の論議の過程の中でもお尋ねしたいと思っておりますから、ただ単に、分離をしないで相変わらずこの文教委員会一本に出したということだけに限ってお尋ねしたいと思います。
  127. 大西正男

    ○大西国務大臣 先生のみならず、社会党の諸先生方からそういう御要望をたびたび私も承ったことは先生指摘のとおりでございます。その御要望等踏まえまして関係省庁等とも協議はもちろんしたわけでございますけれども、従来の経緯もございますし、本来これは大学教育の手段として放送を使うということでございまして、私どもとしては遺憾ながら先生意見を最終的に異にするわけでございまして、現放送法の根幹に触れるものとは考えない。この放送法放送秩序を乱す、あるいはそれに大きな影響を与えるものとまでは私ども考えないわけでございまして、その点、意見の相違を来しておりますことはまことに遺憾でありますけれども、やむを得ないところだと考えておるわけでございます。それぞれ立場がございますので、意見の相違ということはあり得るわけでございますが、どうかその点を御理解いただきたいと思うわけでございます。そういうことでございますので、文部省関係の文教委員会でこれは提案をされて審議が始まっておる、こういうことでございます。
  128. 久保等

    久保(等)委員 せっかくの大臣の御説明ですけれども、私、大臣の御答弁にはちょっと納得しかねます。しかも、大臣がどういうふうに御理解になっておるのか知りませんが、御承知のように現在は公共放送と民間放送ということになっておりますが、あの放送大学学園法案に基づく放送というのは、新しく国営放送が創設せられることになる、これは大臣お認めになりますか。
  129. 大西正男

    ○大西国務大臣 今度の学園法案は、国営放送であるとは理解をいたしておりません。
  130. 久保等

    久保(等)委員 では、どういう放送だと御理解になっていますか。
  131. 大西正男

    ○大西国務大臣 やはり特殊の法人によるものであると考えております。
  132. 久保等

    久保(等)委員 特殊の法人というならNHKも特殊な法人です。ですから、そういう法人格の問題よりも、よって立つ財政的な基盤、これは何といっても放送そのものの根本的な性格にかかわる問題だと思います。要するに、民間放送というものは、先ほどもちょっとお尋ねしたように、コマーシャルを中心にして収益を上げて運営を行う、経営を行う、それからNHKは、これまた申すまでもなく受信料一本で運営をしてまいっておる、これが今日までの長い間の現行放送法制の実態であります。ところが、特殊法人であるとか名前はいろいろなのですが、これは国の一種のダニ的な特殊法人でして、今度の放送大学学園というものは財政的には明らかに国が丸抱えで、国費で経営をしていこうという性格のものです。これは立場が違って見解を異にするという問題ではなくて、そういう実態なり本当の真相というものに対しての理解は、与党、野党でそんなに隔たりが出てまいる問題だとは私は思っていないのです。特に、放送問題について与党、野党で対立するようなことがあってはならぬとむしろ思っているのです。大臣自身は与党、野党の立場で見解を異にすると言われるけれども、いま申し上げたように、その財政基盤は国営放送の場合には明らかに国の財政にすべてを依存するというあの構想からまいりますならば、従来の放送法制の体制を大きく変える、二本立て体制から三本立て体制にする性格を持ったものでありまするから、私は非常に重要な要素を持った問題だと申し上げておるのです。大臣は、大したことはないんだ、従来の体系を変更するほどの問題ではないんだという御理解の上に立っての御答弁ですか、その点をちょっとお伺いいたします。
  133. 大西正男

    ○大西国務大臣 私は、いまの放送法によって定められておる放送秩序に関して、これに大きな影響を及ぼすものではない、こう考えております。
  134. 久保等

    久保(等)委員 大臣がそういう見解ならば、これはまた場所を改めて時間をちょうだいして議論をしなければならぬと思うのですが、しかし、昨年の文教委員会での連合審査等の際には大臣もちろんおいでにならなかったですからそのときの事情はなんでしょうが、それでは電波監理局長伺いますが、電波監理局長はずっとこれを担当してまいっておるわけでありますが、昨年の連合審査なりあるいはまた当委員会等で質問をしたことに対する少なくとも郵政当局の答弁というものは、二本立ての放送から三本立ての放送になるんだということそのものは認めておられると思うのですが、電波監理局長はどういう理解をしておりますか。
  135. 平野正雄

    平野政府委員 現在の放送法におけるNHK民放の並立に対しまして、放送大学学園が大学教育に限定をして放送する放送大学学園が入ってくるという形態の上からは三本立てというふうにみなすことができると思います。しかしながら、るる御説明をいたしておりましたように、放送大学が正規の大学教育に限っての放送を行うということからいたしまして、すでにございます放送体制に影響するものではないというふうに存ずるわけでございます。
  136. 久保等

    久保(等)委員 そういう焦点をぼかしたような答弁では納得できないのですが、残念ながら時間がないものですから、きょうのところはこの問題をさらに追及して質問をすることは私も差し控えます。ただ、私は実はこの放送大学法案の問題について本論的な議論をしようと思ったのではないのですが、ちょっとお尋ねしたらたまたまいまのような答弁が出たので伺ったわけです。しかし、保留をしておきますが、これは非常に重要な問題です。大臣もひとつ従来の国会での審議を速記録等もお読みいただいて、そういった中で――しかも電波放送の責任者が、今度できる放送大学は従来の基本的な変更にはならないのだなどという程度の答弁で考えておるとするならば、私は非常に重大だと思います。そういう感覚だからこそ文教委員会一本で論議してもらってもいいんだという程度の認識になったのかもしれませんが、しかしこれは非常に重大なことです。実は私は、この放送大学の出現によってNHK受信料に一体どういう影響が及ぶであろうかという点をお聞きするために、その前段でちょっとお尋ねした程度なんです。  そこで、その問題で余り深入りしていると時間がありませんからお尋ねしますが、もしこの放送大学ができたとするならば、先ほども申し上げたように国営放送ですから、その点からいって受信料制度に影響があるとNHKは判断しておられるかどうか、これをお尋ねしたいと思うのです。
  137. 坂本朝一

    坂本参考人 いま国会に提出されております放送大学法案によりますれば、放送大学は、放送の持つ教育的機能を活用して広く国民に大学教育の機会を提供することを目的としておるわけでございますけれども、これが成立いたしますと、二十五年余にわたるNHK民放二本立てのわが国の放送基本体制に対しまして、放送大学という第三の新しい事業体が生まれるということになりまして、NHKといたしますれば、NHK受信料の問題に影響なしとしないのではないだろうかというふうに考えざるを得ませんので、これは慎重に対応していかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  138. 久保等

    久保(等)委員 それは私もそうであろうと思っておりますが、平野局長の方からこの問題についてひとつ……。
  139. 平野正雄

    平野政府委員 放送大学学園の放送につきましては、先ほども御説明をいたしましたように、その放送内容を大学教育のための放送に限定をいたしまして、現行放送体制に及ぼす影響を最小限にとどめるように措置いたしたわけでございますので、NHK放送と競合することはほとんどないと考えております。したがいまして、受信料制度に及ぼす影響はないというふうに考えております。
  140. 久保等

    久保(等)委員 いまのNHK会長の御答弁、私はしごくもっともだと思うのですが、郵政省の方においては影響はほとんどないという答弁を昨年来し続けているわけです。私はそういうところにも、新しい国営放送がどういう影響を及ぼすかということについてきわめて認識がないといいますか、まことにどうも心細い限りです。したがって、そういう点ではNHK受信料そのものに大変な影響を及ぼす非常に重要な問題でありますだけに、放送大学法案の問題そのものについても、それこそ再検討を要する問題だと思います。しかしこれは放送大学法案の審議ではありませんから、いずれまた機会を見て私、お尋ねをしたいと思いますので、そういう点では保留をいたしておきます。この問題については、郵政当局にはもう少し深刻に影響等についても思いをいたしてもらいたいと思います。  いろいろお尋ねしたいところがありますが、放送法の一部改正、当委員会にかかってくるであろうと思われます放送法の一部改正の問題についても実はお尋ねしたいことがたくさんございます。これまた、いまと同じような認識で、結局放送法の一部改正によってああいう延滞金を取る、割り増し金を取る、そういう法改正を行うことが一体どういう結果をもたらすか、私は結局労多くして功少ない、そういう結果になり、従来から進めてまいっておったNHKのあくまでも受信者理解と協力を得る、あくまでも受信者理解と納得を得る、こういうことに終始した姿勢と今度の法改正を行おうとする意図というものは、やはりそこに公権力的なものが介入をしてまいる姿になってまいります。もちろん強制執行だとか、あるいはまた税金じゃないんだということではあっても、少なくとも現状の法律体制に対しては一歩二歩、少なくとも強権的な形になっていくことだけは間違いないのです。そのことが一体受信者、九七%までは受信料を納めておられるわけですが、九七%の受信者方々に一体どういう心理的な影響を及ぼしていくか、あるいはそのことが受信料の納付にどういう影響を及ぼしそいくかということを考えれば、三%の問題も大事だけれども、九七%の方々理解と信頼といったことに対して悪影響を及ぼすとするならば、これはまさに、何といいますか、角をためて牛を殺すという結果になりかねないと思うのですが、これもどうも先ほど来の他の委員への説明を聞いておりますと、いや、とにかく従来NHK規約の中に定められたことをただ法制化したのだというような説明もあるのですが、それならそれでいいじゃないか、それをあえて法制化して、法律的な根拠を求めて従来よりもより強力に、いま言った割り増し金なりあるいは延滞金を取るということから受ける受信者の心理状態というものは、私は従来よりも、NHKというものは対等で話し合ってあくまでもわれわれの理解と納得の上でやっていこうとしておったのが、何か権柄ずくでやってくるような姿勢に変わりつつあるという印象を持つことは否めないと思うのですね。この点はNHKの方にもお尋ねしたいところなんですが、少なくとも従来のとってきた方針というものが変わったというふうに受信者の方は受け取られると思うのです。だから私はそのことを非常に憂えるのですが、NHKはどういうふうに判断しておられますか。
  141. 坂本朝一

    坂本参考人 その点につきましては、先般来いろいろと申し上げておりますように、そういうように理解されるということはNHKとしては決してプラスになりませんので、そうではないんだということの御理解を得たい、努力をしたいと思います。要するに、決して公権力あるいは権勢ずくということではなしに、むしろ不公平を直すという意味で明瞭になるということで、そして受信者の御納得をいただくという努力をすべきであろうというふうに考えておりますので、その点はまげて御理解いただけたら幸いかと思う次第でございます。
  142. 久保等

    久保(等)委員 放送法そのものの改正については、これはまた別途法案の審議の機会があると思いますから省略いたします。  時間が来ましたので最後にお尋ねいたしますが、結局今回の値上げ予算案なるものは、約二四%程度従来の受信料よりも増額をしようという値上げ予算でありますが、計画としては三カ年ぐらいの見通しの上に立って収支を考えられた計画になっておるようであります。しかも中身の、たとえば物価の問題が一体今後どう推移してまいるか、NHKの試算では三カ年平均して六%程度の物価上昇を見込んでおられるようですが、政府の発表するところでも、六・四%の物価上昇を政府としては決めておる。そういう点から見ると、内輪目に物価上昇を見ておるわけですが、しかし、物価の問題が今後どう推移してまいるか、きわめて楽観を許さない非常に厳しい情勢に置かれておると思うのです。したがって、そういう点から申しますと、非常にむずかしい注文ですが、私はやはり前回のあの受信料値上げが、三年間は据え置くという方針をさらに結果的には四年ということに一年間延長する努力NHKはせられたわけですが、今回の場合も三カ年でまた値上げだといったようなことでは、受信者の立場から言えば、余りにも能がなさ過ぎるじゃないかという批判も出てまいろうと思うのですが、その点については、三年を何とかやりくりをしながら、また受信者の一層の協力を願って、例の不納等の面についてぜひひとつ協力を願うといったようなことで、三年を四年に繰り延べてまいる努力、そういった努力はぜひお願いをしたいと思うのですけれどもNHK会長の方から、その点についての一応の見通しなりあるいはまた御決意のほどを伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  143. 坂本朝一

    坂本参考人 いまの段階で三年を四年にするというようなことを軽々にお約束するわけにはまいりませんけれども、やはり長期経営ビジョンによってできるだけ三年ごとに受信料値上げするというようなことにならないような努力をするというのは、経営の責任者として当然であろうというふうに考えておるわけでございますので、その点は御理解賜りたいと思う次第でございます。
  144. 久保等

    久保(等)委員 終わります。
  145. 小林進

    小林委員長 この際、委員の皆さん方に一言申し上げますが、良識ある委員の皆さん方にあえて申し上げる必要もないかと存じますが、衆議院規則百三十四条に「発言は、すべて議題外に渉り又はその範囲を超えてはならない。」というふうに定めてございますので、本日の議題に関連する範囲内において質問をしていただきますことを切にお願いを申し上げます。  田中昭二君。
  146. 田中昭二

    田中(昭)委員 委員長に申し上げます。  ただいま御注意がございましたが、私はそれの前に委員長にぜひひとつお願いしたいことがあります。午後からの委員会が再開しまして、このようなありさまです。これでは私は委員会の開会も審議もできないと思うのです。どういうふうに取り計らわれますか。
  147. 小林進

    小林委員長 田中委員の御発言は至極ごもっともだと思います。各党において、特に与党自民党において善処されますことを希望いたします。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  148. 小林進

    小林委員長 速記を始めて。  田中昭二君。
  149. 田中昭二

    田中(昭)委員 最初に、放送事業並びに行政一般についても責任があります郵政大臣の政治姿勢の問題からお尋ねをしてみたいと思います。  先ほど大臣から御報告がありましたが、このたびの郵政省の異例な人事というのは、報道もされておりますとおり今度のKDD事件の責任をとってのことではないか、このように言われておりますが、この構想の真意は何でございますか、簡単にお答え願います。
  150. 大西正男

    ○大西国務大臣 先ほど御報告申し上げましたように、省内の空気が萎縮をして、沈滞をしておるということを私、はだで感じておりました。したがいまして、その空気を一掃し、そして省内人心を一新して、そうして本来の業務にいそしんでもらうような環境をつくっていくということは、これまた郵政省の最高責任者としての私の一つの大きな役目であるというふうに考えるものでございまして、そういう立場から、先般例の不祥事件が起こりましたにつきましては、その後綱紀の粛正についての訓示をいたしましたけれども、しかしそれだけでは十分でない、こう考えておりました。  ただしかし、折からまだ五十五年度予算の審議の真っ最中でございまして、そのさなかにおいてそのことを実現するということについては非常に困難な事情でもありましたし、また、それを具体化するについては一体どうしたらいいかということを考えてまいりましたけれども、その具体化についての十分な具体的考えが私の頭の中に浮かんでこなかったのですけれども、折から四日でございましたか、例の予算が参議院におきまして成立を見ました段階におきまして、事務次官の方からも、同じようなことを考えておったのかもわかりませんが、この際省内の人心を一新するために自分がそれに必要ならば身を引く、こういう考えが漏らされたわけでございまして、私としては、次官の言うように、人心を一新することについてはこの際人事の異動をやるべきだ、こう決断をしたわけでございます。そうかと申しまして、国会において御審議をいただくべき法案を抱えておるわけでございますから、この段階においてはその人心一新についても必要最小限度にとどめざるを得ない。こういうことで、その予算の終わりました後で、その時期的な節目はここだというふうに考えましたので、省内における人心を一新するという意味で、御承知の人事異動を行ったわけでございます。
  151. 田中昭二

    田中(昭)委員 このたびの首脳の辞任ということは、郵政事業に携わる三十数万人の職員の士気にも私は大変影響があると思っております。  そこで、前後の検討はもちろんなさったと思いますが、特に異動後の今後の影響について大臣はどのような判断を持っておられますか、お聞かせを願いたいと思います。
  152. 大西正男

    ○大西国務大臣 私といたしましては、この人心一新のための人事の異動によりまして、職員の一人一人が前向きの姿勢に立って、みずからの職責を積極的に推進をしてもらえるように、そのことをひたすら願っておるわけでございます。
  153. 田中昭二

    田中(昭)委員 現場で働く職員はこのKDD事件は関係ないと思うのです。かえって逆に困っていると思うのです。  そういうことでこのたびのこういう流れになってきたわけでございますが、私はずっとKDDと郵政省の癒着の問題があるのではないかということも指摘してきました。しかし、今度のこの処置が、そういう指摘と同時に、その指摘を裏づけるような、または疑惑を深めるようなことになっておるのではないかという気もしますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。
  154. 大西正男

    ○大西国務大臣 ちょっと御質問の御趣旨が十分理解をいたしがたいのでございます。したがってお答えになるかどうかわかりませんけれども、もちろん省内における人心の沈滞と申しますか、それはKDD問題を原因として発生しておることはもう間違いのないところでございまして、その点については私も何らの異論はございません。でございますから、その沈滞をしておる人心をこの際一新をしたい、そういう考えで今回の人事異動を必要最小限度にとどめてやったわけでございますが、もちろん御指摘の、現場の職員の方々は何の関係もございません。でありますから、先般訓示をいたしました際には、何の関係もない現場の人たちがそのためにどんな思いをしておるかということを本省のわれわれは十分考えなければならぬということを特に指摘をして、訓示の中に織り込んだわけでございます。
  155. 田中昭二

    田中(昭)委員 今国会に提出されております郵便料金値上げ法案、郵便法の一部改正でございますけれども、これは私たちは反対でございますが、この重要法案の事実上の責任者であります郵務局長をあえて交代させたということは、この法案を実質上撤回するという考えがあってなさったのですか。郵便法の改正はやめますか。
  156. 大西正男

    ○大西国務大臣 郵務局長が退任いたしましたのは、御承知でもございましょうけれども、官界の慣行と申しますか、次官のポストは一つしかございませんので、だれかが次官になりますと、同期に入省した人は勇退をしていくというのが官界の常識といいますか、慣行でございます。したがいまして、今回郵務局長にはそういう慣行に従って退任をしてもらったわけでございます。でありますが、御指摘のように、郵便法の改正という重要な法案を抱えておるわけでございますから、その郵務局長の後は、経理局長がこの予算に直接の責任者でございますので、予算といえば、郵便法の改正財政健全化を図るための法案でございますので、この法案の由来、内容等については郵務局長同様詳しく知っておる人物でございます。でございますから、直ちに経理局長を郵務局長の後を襲わしめるようにしたわけでございます。
  157. 田中昭二

    田中(昭)委員 KDD事件でこういう生首を切るようなことが行われておるわけですけれども、これは本人から自発的にやめたというふうな御報告があっておりますけれども、やはりこの事件に関する巨悪を逃してはならないというのが国民の注目しておるところだろうと私は思うのです。ですから、この事件の解明に当たって、私はこの前も指摘しましたが、道義的にも大臣として今後どうすべきか、その決意をもう一回お聞きして、この問題を終わりたいと思います。いかがでしょうか。
  158. 大西正男

    ○大西国務大臣 これもお答えになるかどうかわかりませんが、御指摘のように、すでに検察、警察当局が事件については捜査を進めておるところでございますから、これまでもたびたび申し上げてまいったところでございますけれども、私どもとしては、そういう点の解明については、もちろん必要ならば検察当局の解明に御協力を申し上げ、その解明にまつべきではないかということでございます。
  159. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、大臣の所信表明の中で、これはNHKに関する問題でございますが「受信料徴収実態等を考慮して、」という所信を述べられておりますが、これは郵政省としてNHK受信料実態をどのように考慮したのか、その実態を詳しくお述べいただきたいと思います。
  160. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えを申し上げます。  受信料は、NHKの維持、運営のため受信者に公平に負担していただくものでございますが、近年その意図的な不払いが急増いたしておるわけでございます。すなわち、昭和五十年度から五十三年度の三年間に、契約締結の拒否件数は約五万五千件から九万六千件へと、ほぼ二倍になっております。また、契約者でありながら、受信料制度に対する理解がないためだと思いますけれども受信料支払いを拒絶する件数も、昭和五十年度の十万五千件から五十三年度の二十八万二千件へと、約二・七倍に急増をいたしております。このように、受信料不払いが年々増加していくことにつきましては、NHK財政基盤にかかわる問題でございますし、また受信料負担の公平を図るという観点からも重大な問題でございまして、看過できないものと考えておるわけでございます。そういうことを念頭に置きながら申し上げたわけでございます。
  161. 田中昭二

    田中(昭)委員 この問題はまた後で触れますが、まずNHKの方に、受信料制度受信料契約についてでございますが、そのもととなります全体の世帯数、そしてその中で推定所有世帯数、さらに世帯契約数並びに非世帯では事業所数、それから推定対象事業所数、契約数、これは五十三年度末でどのようになっておりますか。
  162. 海林澣一郎

    海林参考人 お答えいたします。  まず、御質問の最初の世帯契約からでございますけれども、五十三年度の時点で全国の世帯数は三千四百六十万と推定されております。このうち、テレビを所有していると推定されますのが二千九百九十六万世帯でございます。この二千九百九十六万の所有推定世帯に対し、世帯契約数が二千六百九十六万というふうになっております。  次の御質問の非世帯の契約でございますが、五十三年度の末で、非世帯の契約対象数は八十九万と推定しております。これに対します契約の数は七十六万でございます。  それから、最後の御質問の非世帯の総数でございますけれども、五十三年度の末で、総理府の事業所統計調査のデータでございますけれども六百十六万、これが総事業所の数でございます。そして、そのうちで非世帯契約の対象になる事業所でございますけれども、八百屋とか床屋とかいう小さい企業の方、これは一般世帯の契約に回りますので、非世帯の契約対象数としては百四十八万、およそ四分の一でございます。そして、この百四十八万に対しまして、テレビを実際に設置している事業所でございますけれども、これが三十八万八千、三十九万でございます。その三十九万のテレビ設置事業所が、大体一戸におきまして二・三台所有しているというデータが出ております。したがいまして、テレビの設置の推定台数は、非世帯におきましては八十八万五千、八十九万でございます。
  163. 田中昭二

    田中(昭)委員 それはそれなりの根拠があると思いますが、私は受信の契約数については、長年ずっと毎年のように指摘をしてきております。それから見ますと、NHK側の相変わらずの受信契約数の説明である。私には大変不満足でございます。簡単に申し上げますが、いつか私が申し上げましたように、私は郷里で二つの受信契約を持っております。東京でまた二つ持っておる。これは国会議員の中で最低ではなかろうかと私は思うのです。それが現実に、世帯とか非世帯とか言われますけれども、どういう把握になっておるか。また地域によっても、都会と田舎については大変なアンバランスがあるということを指摘してきわたけです。それに対しては一つも満足する回答がないわけですむそういうことだけを指摘しておきましょう。  非世帯でもそうです。いまお聞きしますと、全国で三十九万カ所しかテレビをつけているところはないと言いますけれども、六百万も事業所がありまして、三十九万カ所しかないこと自体が常識的にもおかしいということも私が指摘をしておりました。そういうことですから、これは何遍言ってもNHKははっきりしたことをおっしゃらないから、また次の問題に移っていきます。  次に、受信契約について、五十一年度から五十四年度までの、滞納も含めて受信料不払い、それと契約拒否実態、こういうものが、午前中から言われておりますが年々ふえております。この原因は大体何でしょうか、もう一回お聞かせ願います。
  164. 海林澣一郎

    海林参考人 不払い者及び契約拒否者、これは最近の視聴者意識の変化と申しますか、みずからの権利を主張する、義務はないがしろにするといった、いわゆる社会意識の変革という風潮などを背景にいたしまして、受信料は支払わなくてもいいのだというような考え方がマスコミの一部情報などで伝わるということが、不払い契約拒否を助長したということも増加一つの原因であろう。あるいは、流動する現在の社会の中で、転居も多い、単身世帯もふえるというような中で、そういう社会環境の変化ということの中で、こういった風潮が倍加されたのではなかろうかというふうな考え方も持ちます。  それから、不払いなどを改善する方法があるか、もう少し減らすというようなことでございますけれども不払い者及び契約拒否者に対しましては、これまでもNHKの使命、受信料制度の意義について理解を得ることを基本に、積極的な説得活動を行っております。これは協会挙げてと申し上げて過言ではないと思いますけれども、しかしいかなる説得にも応じようとしない者についてはおのずから対応にも限界があるということで、今後一層対策を強化することによってこれを減少させるというふうに考えております。  不払い契約拒否についての原因その他は以上のとおりでございます。
  165. 田中昭二

    田中(昭)委員 私はそういう契約拒否なり不払いがふえる原因をお聞きしましたが、その原因の説明がもう少し足らないということと、それを越えてそれをどう改善していくかということもお答えになったようでございますから、そのお答えもまだ十分ではございませんが、いずれにしろ会長さん、これは改善していくと言葉は簡単に言いますけれども、私はそれができるのかどうか、いまのNHKの現状で。また、いわゆる法治国家の中で、そういう法で決められたものに反する者がだんだんふえていく、それを減らしていこうという努力はしなければならない、じゃ減らしていく見通しはどうなのか、そういう点について、もう一回会長からお願いします。
  166. 坂本朝一

    坂本参考人 その御指摘の点が一番私どもとしても頭を痛めている点でございます。受信料制度意味からいって、いわゆる強権的、強圧的にならないで説得をもって事に当たるという姿勢、それが第一だろうというふうに考えて現在もいたしておりますけれども、どうしても納得しないという方々に対して、やはり法的措置もとらざるを得ないという場も出てくるのではなかろうかと思いますが、それは最後の手段として、できるだけ納得、説得という努力を続けるべきではないか。それで解決できるのかという御質問に対しましては、やはりそれで解決することを第一義にすべきであろうという決意を表明するということになろうかと思います。
  167. 田中昭二

    田中(昭)委員 努力される考えはわかったのですが、そういう不公平の拡大、それから不払い等を減らしていくという見通しは立たないというようなのが現状である、こういうように思います。  そこで、私たちも国民の代表としてこの委員会の場でも毎年受信料については議論してきました。先ほど言ったとおりです。また毎年のNHK予算の承認に当たっても同じでございますが、前回五十一年の料金改定のとき以降、毎年この予算の承認に当たっての附帯決議の中にもそういうことがずっとこの四年間指摘された。しかし先ほどから議論されておりますように、いまその受信料については理解も収納も好転をしない、好転するどころか一層悪化しておるということについてはどういうお考えですか。
  168. 坂本朝一

    坂本参考人 その点はまことに申しわけないというふうに思っております。われわれも毎々ここで表明しておりますように、そのことを解決することによって受信料制度を守るんだという趣旨努力しておるわけですけれども、現状としては、先生指摘のようになかなか思うに任せない点があることは率直に認めざるを得ないわけでございますが、そういうこととうらはらでいわゆる法律改正等の問題も御検討いただくという段取りになってきているのではないかというふうに考える次第でございます。
  169. 田中昭二

    田中(昭)委員 法律改正をして、さてよくなるものかどうかということは、また先ほどおたくで働く者の代表の方の率直な意見開陳もあったわけですが、もう少しこの問題については深刻に考えなければならないと思うのです。  もう一回申し上げます。NHK、おたくの方で去年の九月ですか世論調査をなさいましたね。この実施結果を見ましても、財源について理解が不十分であるという結果が出ておるわけですが、その中で、NHKの仕事に必要な経費はすべて受信料で賄われておると答えた人は全体の三分の一以下、これだけここでこの問題については協会努力をお願いしておるのですけれども、その結果がこういう状態ですね。その反面、NHKの経費はほとんど国から出ているだろうというような人が半分近くおる。これじゃ、先ほどから言うような国民のための放送とか、視聴者とつながりを強くして番組をよくすれば受信料が入ってくるだろうというようなたてまえ論だけでは問題処理はできませんよというのがおたくの世論調査で出ている、こういうように思うのです。そしてこの参考のところには、前回四十四年十二月に行ったときの数字も出ております。それよりかえって悪くなっておるのですよ。努力して悪くなるってどういうことでしょうか。前回は、受信料が財源であると答えた人は三三%ですね。今度は、去年の九月はそれが三一%、わずかですけれどもかえって減っておる。これはもう常識的には考えられないと私思うのですが、どうでしょうか。
  170. 坂本朝一

    坂本参考人 正直言いまして、私もそのデータを見ましてはなはだ責任を痛感しているものでございますけれども、これはわれわれの受信料制度というものの視聴者に対する理解を得るための手段と申しますか、PRと申しますか、そういうことのまずさ、あるいは努力の足らなさということかと思いまして、具体的には最近に至りましてかなりNHK自身電波の中にそのことを理解してもらうための番組等の努力をいたしまして、当初はやはりNHK自身が自分の電波を使うことについて多少ちゅうちょするところもあったのでございますけれども、しかしNHK理解してもらうということからNHKが存立しているのであるから、そういうことについての御理解はいただけるのではないだろうかということで、かなり積極的なPRということについても努力をし始めておりますので、その点も多少お認めいただければありがたいと思う次第でございます。
  171. 田中昭二

    田中(昭)委員 私が認めるということよりも、NHKの方が国民のための放送をやっていく上においてまずいのじゃないですか、矛盾するのじゃないでしょうか。十年もかかって、よかろうと思って大いにやってきたことが逆な結果が出ておるということについては、私は理解とか認めるとかいう問題じゃなかろう。そういうふうに国民が思う一つの防波堤といいますか歯どめといいますか――同じ世論調査の中に、NHKに対しての企業イメージは半官半民であるというのが多いですね。半官半民という言葉は余りいい言葉じゃないかもしれませんが、国民に映るこういう企業イメージの中では、そのようないわゆる受信料だけが自主財源であるというようなことを国民が受け入れられない、そういうところもあると思うのですが、そうしますとこれはどうすればいいのですか。
  172. 坂本朝一

    坂本参考人 どうも歯切れの悪い答弁で申しわけないのでございますが、なかなか特効薬的なことがございませんで、やはり何といってもじみちに視聴者の御理解を得るための努力をするということで、具体的には番組を通じてのPRなりあるいは視聴者会議、視聴者懇談会、それからそれぞれのいろいろな集いに対するPR等々、そういう努力を不断にやるということになるのではないだろうかというふうに思いまして、そういう方向の施策を推進するということで、現在、副会長を長とする広報特別委員会を部内に設けまして積極的にこの問題に当たろうとしておる次第でございます。
  173. 田中昭二

    田中(昭)委員 大変むずかしいことはわかります。だけれども、そのことにこだわっておっては先に進めませんから、先へ進めながらもう一回考えてみたいと思います。  NHKの問題については基本問題調査会の提言等にもございますとおり、私がいま受信料の問題を申し上げたのは、いい放送をやろう、そして国民のための放送局としてのNHK経営していくためには収入がきちっと確保されなければならない、そういう理由受信料の問題を取り上げました。  今度は、いわゆる収入に見合う経費、事業支出、これは言葉の上では効率的経営の推進とか、健全財政の確立とか、自主財政の堅持とか、ひいては長期経営のビジョン等の検討をしていかなければならない――これは方向性としてはだれも文句を言う人はないと私は思うのです。そうだろうと思うのです。ところが、けさほどから議論をされておりますように、一年の収支予算を見ましても、受信料収入においては一%から二%程度の伸びしか見込めない、それに対する事業支出は七、八%。いままではそれ以上でございましたが、今後三年間でも平均七%前後、こういうことではやはり行き詰まる。りっぱな放送であれば一人に聞かせるためでもいいんだというようなことが飛躍して出てくる。そういう意味において、結局収支の償わない場合は支出を切り詰める以外にない、こういう考え方が協会の中にあるんだろうか、こういうふうにも思うわけでございますが、これはどうでしょうか。
  174. 坂本朝一

    坂本参考人 それはもう御指摘のように支出の抑制ということは当然考えなければならない、そのための努力は当然すべきであろうというふうに考えております。
  175. 田中昭二

    田中(昭)委員 財政収支の改善というようなことで料金改定をされるわけですが、それも結局は収支の均衡を図ることであります。そうしますと、その収支の均衡を図るための視聴者の負担増加受信契約者だけに転嫁するというようなことはどんなものでしょうか。
  176. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 収支の不均衡を是正する手段といたしまして、もちろん一方で支出の切り詰めということをやることは当然でございますけれども、それでもなおかつ収支不均衡の場合収入をふやすことを考えざるを得ない。収入をふやす手段といたしまして受信料の改定ということが一つあるわけでございます。これは先生おっしゃるように受信者負担の増をお願いするということでございますが、それ以外に、われわれとしては受信料以外の収入、いわゆる副次収入の増加ということも当然考えなければならないことでございまして、今後の三カ年の計画の中ではその点の努力もいたしていこうということにしている次第でございます。
  177. 田中昭二

    田中(昭)委員 会長、私の言おうとしておるところは、そういう収支を償うために今度三年の見通しを立てているわけですけれども、三年という見通しが正しいかどうかわかりませんね。ある場合には二年になるかわからない。また四年になるかわからない。こういうことをずっと繰り返していくわけでしょう。そのたびに収入を償わせるためのいわゆる事業支出の負担増加をまじめな受信契約者だけに転嫁するということはどうでしょうかというようなことを申し上げたわけです。どうでしょうか。
  178. 坂本朝一

    坂本参考人 したがいまして、いま副会長からも御答弁申し上げましたように、受信料の改定ということはできるだけ避けるべきであろう、そういう考え方に立って、なおかつ足らざるところはお願いせざるを得ないということで、お願いするにしても、いま先生が御指摘のようにできるだけ大幅にならないような努力、そのための施策といいますか、それは副次収入ということも当然あるでございましょうし、先ほどもちょっと触れました技術革新による付加価値による新しい収入を図るという方法論も当然考えられるべきテーマの一つであろうということで、もろもろのことを踏まえて、先生指摘のようなことにおこたえするための長期ビジョンの作成ということを早急にやらなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  179. 田中昭二

    田中(昭)委員 どうも私が申し上げた、受信契約者だけにそれをしていくことはどうかということに対してのお答えにはなっていない。抽象的にはそうなるかもしれませんけれどもね。  そこで、もう少し先に進めますが、けさほどから受信料の義務化のことについて話が出ました。この義務化については協会の方から郵政省にお願いをしたのか、そういう質問があったと思います。簡単に言えばですね。それに対して会長は、郵政省と一緒になってやりますとおっしゃったか何かそういう感じでございますが、これはどうでございますか。そうでございますか。
  180. 坂本朝一

    坂本参考人 滞納不払いの解消という問題のうらはらに、さきの三十八年以来の経過の中で出てまいっております放送法改正ということがございまして、これは私どもといたしましては、放送法全般の中でやはり将来ビジョンということでいろいろなポイントを、たとえば出資の条項であるとかあるいはいま言う三十二条の問題であるとか、その他幾つかのテーマをつかまえまして日ごろから検討し、それを郵政省にも御報告していろいろとともども検討してきた、その中の一つとして今回の場合に三十二条の問題が出てきた、こういうことでございますので、歴史的な流れの中の一つの問題だというふうに御理解賜ればありがたいと思うわけでございます。
  181. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう一回お尋ねします。私さっき簡単に申し上げましたが、支払い義務化についてNHKの方から郵政省の方にお願いしたのですか。
  182. 坂本朝一

    坂本参考人 これは太鼓とばちみたいなものでございまして、郵政の方でもこの点は問題点としておつかまえになっておることでございますし、私どもの方としてもいま申し上げましたような経過でございましたので、たまたまそういう点ではともどもというふうに申し上げた次第でございます。
  183. 田中昭二

    田中(昭)委員 これは大事なことですね。NHKがいままでせっかく国民のための公共放送として貫いてきた基本にかかわる問題、だから先ほどからそういう質問が出たと私は思うのです。余りはっきり言われませんもので……。  私は、何といいましてもNHK公共放送としていく基本的使命の中には権力の介入を排除するというのが当然だろう、こういうふうに思うのですが、その点はそれではどうですか。
  184. 坂本朝一

    坂本参考人 それはもうおっしゃるとおりでございます。
  185. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうすると、この義務化によって起こる現実の受信者との権利義務といいますか、そういうものは私は基本的にはNHKの望むところではない、いわゆる受信者受信料を取る取らないというようなことでけんかをすることは、強制的にやるというようなことは、NHKとしてはとりたくないということを貫いておる、こういうふうに理解しています。違いますか。
  186. 坂本朝一

    坂本参考人 受信者NHKとのかかわりの中で、いわゆる権力的にということでないということはしばしば申し上げているとおりでございます。
  187. 田中昭二

    田中(昭)委員 そうしますと、NHK職員の大半の人が、先ほど須藤参考人も述べられましたが、これは義務化することはかえって不公平の拡大、それから収納は悪化するということをおっしゃいましたね。そうすると、私はそういう意味では現実の受信料の収納ということに関連して考えますと、いま会長は義務化については郵政省と一緒になってそういう方向に行くのだとおっしゃったことと、組合委員長は、そういうことはかえって収納にプラスにならない、さらに不公平の拡大につながる、そういう労使の状態で今後NHK経営された場合、それは労使の話し合いはつくかもしれませんが、それで困るのはだれだろうか。そのツケは国民が負わなければならぬじゃないか。そういうことならば、私は国民理解もなお得られなくなるような気がするのですが、いかがでしょうか。
  188. 坂本朝一

    坂本参考人 一番のポイントがそこでございまして、私どもの方は不公平をなくすということで対応するわけでございまして、決して権力的になるとか権勢的になるとかということではございませんで、いま先生のおっしゃる、正直者がばかをみるということをなくすための問題のとらえ方でございまして、それは決して権力的とか権勢的とか、それがやがては国営につながる、そういう考え方ではございませんで、これはやはりそのことについての御理解をいただく努力をする以外にないのではないかというふうに考えておりますので、その点はひとつ御理解賜りたいと思う次第でございます。
  189. 田中昭二

    田中(昭)委員 先ほどから申し上げますように、不公平はさらに拡大しておる。これはもう現実です、先ほどの不払い等を見ましても。そういう中で、言葉の上においてはそういうものをなくしていきたいと思う、こういうふうにおっしゃる。毎年の国会承認に当たりましても、附帯決議をつけてこの問題の改善を言ってきた。どうも私はそういう中ですっきりしない。そして先ほどから言われますように、私はいま申し上げたのは、事業というのは、これは私も経験者ではございませんが、事業経営というのは労使一体となって進んでこそそれなりの成果を上げるものである。しかし、けさほどからの御発言等を聞いておりますと、労使一体どころか、どうもその辺に疑問が残るというようなことは、そういう状態では、今後のNHK経営には国民はかえって混乱するのではなかろうかという心配があるのですが、その心配ございませんか。
  190. 坂本朝一

    坂本参考人 そういう点について御心配をかけないように、私としては努力をしたいというふうに思っておりますので、その点も御理解賜りたいと思います。
  191. 田中昭二

    田中(昭)委員 この義務化ということについていまいろいろ議論したわけでございますが、義務化することよりも、先ほど会長もおっしゃったような副次収入を上げるような方向での法の緩和といいますか、NHKに対する温かい思いやりといいますか、そういうことの方が先ではないかと思いますが、これは郵政省どう考えますか。
  192. 平野正雄

    平野政府委員 副次収入によってNHK赤字体制を考え直していくというのも一つの方法かとは思いますけれども先生承知のように、現在の放送法は、公共放送としてのNHK経営を、国民の平等な負担によって保っていくということを大本にしておるわけでございますので、副次収入の問題につきましては、NHKのそういった基本的性格と非常に触れ合ってくるというふうに考えるわけでございまして、きわめて慎重な考慮を要するというふうに考えるわけでございます。
  193. 田中昭二

    田中(昭)委員 あなたは、義務化することによって受信料の収納の率が上がると思いますか、どうですか。
  194. 平野正雄

    平野政府委員 義務化することによりまして、NHK基本的性格が変わるとも思いませんし、受信料制度趣旨が変わるとも思わないわけでございまして、現在受信料収入円滑化を欠いておる、まさにそういった原因を取り払うだけの効果があるというふうに考えるわけでございます。
  195. 田中昭二

    田中(昭)委員 そういう認識では国民がかわいそうであります。もうそれ以上申し上げませんが、かえってお役所的になって、NHKの本当の基本的使命に対する反発が強くなる、こういうように申し上げておきます。  そこで、番組の向上とかいろいろ言われます。私は、不払いのことである人がこういうことを言ったことを記憶しておるのです。不払いの側にも、一方的な不払いするということについての責任も残るだろう、しかし、そういう不払い者をつくったというNHK側にも責任はあるのだ、法律というものがある以上は本当に両方とも責任は同じでなければならない、こういうことを言う人がおって、私は、ああなるほど、そういうものかな、こういう感じを受けたのですが、それを一方的に、善良な受信契約者だけに説明するようなことだけでは通らない。それがひいてはNHK国民のための放送ができることにつながるというようなことを言う人もおりますが、それは会長、どうでしょうか。
  196. 坂本朝一

    坂本参考人 番組に対する御要望は多種多様でございますが、できるだけ世論にこたえる番組づくりをするという努力はしているつもりでございます。まだまだ足りないところが多々あろうかと思いますけれども、かなりの努力をし、そういう意味での番組編成にも努めておるわけでございまして、お一人お一人の御不満は当然残るかと思いますけれども、それもできるだけ集約して、反映していく努力は続けておるつもりでございますし、今後といえどもそういう努力をして、なおかつ御納得いただくということに力を入れるということかと思います。
  197. 田中昭二

    田中(昭)委員 不払い者の側の肩を持って言うわけではございませんけれども、その不払い者の方は、その方だけでなくて、たくさんいらっしゃる、一応数字が出てきただけでも十万くらい現時点でおられるというようなことですが、そういう方たちのNHKに持っている認識といいますか、それは国民受信者も、そういう考え方を聞けばそれなりにNHK理解する、私はこういうふうに思うのです。それが一点です。  それから、先ほどの非世帯の問題にしましても、これは私常日ごろ考えていることですが、たとえばある地域で非世帯でテレビが設置してあるところはわかるわけですから、そういう事業所をNHKが進んで国民に知らせるといいますか公表するといいますか、それは何か考えなければいけないと思いますが、そういうことについてもう少しNHK実態といいますか、そういうものを聞いてやり、そして教える、そういうことの方が、先ほどの財源についての理解についてもかえって役に立つのではなかろうか、私はこういうように思うのです。質問意味がわからぬところはまたお尋ねになってお答え願いたいと思います。
  198. 海林澣一郎

    海林参考人 私、営業現場を預かっておりまして、いまの先生の御質問をかみしめておりましたけれども、やはり不払い者九十六万と言われるその方たちへのわれわれの積極的な働きかけということがなければならぬという趣かと私承りまして、その辺のところは、われわれといたしましても、先ほど協会を挙げてと申し上げましたが、あるいは特別営業対策員でありあるいはうちの一千人を超える外務職員が、大体夜でなければお会いできないという方のお宅には夜も行こう、あるいは電話で御連絡する、文書も出すというような滞納対策を積極的に進めていく、そしておっしゃるように、本当に不公平感をなくすために一人でも二人でもNHK理解していただくという方向での努力を進めていく、これが現在先生の御質問にお答えしての積極的な姿勢ではなかろうかというふうに思う次第でございます。
  199. 田中昭二

    田中(昭)委員 先ほど企業イメージでも言いましたように、NHKにそういうイメージを国民が持つというようなこと、また財源についても理解が三分の一しかないというようなこと、そういうことをいままでずっとその流れでやってきたわけです。よくもならない、かえって悪くなっているというような状態です。ですから、ここでNHK自体が大きく発想の転換をしなければいけないんじゃないか。その発想の転換ということを考えますと、いま一つ言いました不払い者、なぜ不払いしているのかというようなこともNHKはどんどん聞いてあげる、それをそれこそPRに使っていくというようなことはどうですかと、こう聞いているわけです。いかがでしょうか。
  200. 坂本朝一

    坂本参考人 そういう積極的な姿勢は当然とるべきだと思います。そして、いま営業担当も申し上げましたように、いままで払っていただけなかった方が払っていただけるようになったという事例も多々ございますので、そういうことの努力をまた皆様方に御報告する、そういう努力は当然すべきだろうというふうに思います。
  201. 田中昭二

    田中(昭)委員 少しまだ掘り下げ方が足らないのですけれども、次の問題に移ります。  ずっといままで議論されていましたように、NHKの置かれております現況というのは大変容易ならざるものがあると思います。それは過去にも指摘しましたが、簡単に申し上げますと、民間放送は広告収入というものを財源として経営がなされておる。そして片や、会長も言われましたように放送大学というような構想もある。そして、NHKはその中で公共放送としての番組の向上を図るという努力を積み重ねておることはそれなりに評価はいたしますけれども、その公共放送の今後の経営というものを考えますと、やはり受信料をより以上にいただく以外にない。ところがその受信料は、極端に言えばNHKがどんなに番組の向上等ほかのことを図ってみても、かえって受信料の適正な収納にはつながらないではないかという疑問も残るのが現在の状態ではないかと思いますが、この私の認識が間違いであれば教えていただきたいと思います。
  202. 坂本朝一

    坂本参考人 いま先生指摘のように、経営環境が厳しいという状況の中で、一〇〇%受信料を収納するということが困難であるということはやむを得ないことかと思いますけれども、やはりお一人でもあってはならないというそういう使命感と申しますか、そういうものに燃えてやるのが少なくともNHKの責任者としての考え方であろうということでございますので、できますことの成果についての御批判はまたいただかなければならないかと思いますが、そういうつもりで今後の経営ビジョンを立てていただかざるを得ないのではないかというふうに考えております。
  203. 田中昭二

    田中(昭)委員 いまの私の申し上げましたことに対する啓蒙はなかったように思うのですが、私、短絡的に、とにかくいまの放送法制度のもとで、民間放送NHK受信料を財源にした行き方というのは、私いま申し上げたようなことで大変疑問が残る。言葉的には、将来効率的な運営を図るとか財政の収支を確立を図っていくとか、こういうふうに言われますけれども、どうも私は、こういう二本立ての中でのNHKの今後の発展というのに大変疑問を持ちますよ、こう申し上げているのですが、そういう状態を郵政省はどう考えますか。やはり放送制度というものが健全な発展をしていかなければならないというのは郵政省の責任であろうと思いますが、郵政省はどういうふうにお考えになりますか。
  204. 平野正雄

    平野政府委員 現在の放送体制、先生指摘のようにNHK民放との二本立て体制、そういう体制がここ三十年前に発足をいたしまして、そして両々その長所を補いながら現在の隆盛に至ったと思うわけであります。しかながら、かねてから御指摘のようにNHK赤字体質になってしまっておる、一方民放が全国の局を合わせますと、その収入において数千億というような状況になってきておる。そういうことからいいまして、すでに国民に定着をしたこの体制を基盤にいたしながら、それぞれのあり方というものをこの際国民ともども考えていくべき時期には来ておるんではないかという気がするわけであります。一方また、地上におきましても、テレビの多重放送等に例を見ますように、また放送衛星の開発あるいは実用化が目前に迫っておるというようないわゆる技術面の発達も、国際的、国内的に非常に急ピッチで進められておる。いずれは国際的な放送衛星についての規制もだんだんと定まってくるであろうというようなことを考えますと、国際的なそういった技術あるいは規制の面も十分に参考にしながら、国内の放送体制の本来的なあり方ということにつきましては、これからNHKの長期ビジョンの策定とも絡ませながら考えていくべき時期が来ておるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  205. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう時間が来ましたから最後にいたしますが、いろいろ議論しましたが、私は現実というものの中で、やはりやるべきことは逐次改善の方向にいかなければいけないんではないか、こういうふうにも思いますし、今度のNHKの予算の承認は料金の値上げを含むものでございますが、そういう状態の中で、政府の責任において政府がこの国会に出されましたNHK予算についての取り扱いに即応いたしまして、協会には一カ月間の暫定予算を組ませるはめになったわけです。私も暫定予算を見まして思うのですが、国民としては、この暫定予算が組まれたから四月一カ月間はNHK番組は大変悪い方向になったとは思わないと思うのです。この一カ月間の暫定予算で、もちろん年間にすればそれ以外の経費が要ることはわかりますが、この一カ月問の予算では三十億からの黒字になっていますね。私はこういう姿を国民は望むと思うのです。事業収入は大体二%ぐらいの伸びですから大した増減はないと思いますが、これでいきますと、四月一カ月間の収入が大体百八十億ですね。百八十二億。それに対して事業支出が百五十三億。大体三十億程度の黒字になっておる。こういう姿でずっといけばいいんじゃないでしょうか。それは人件費等はボーナス等もありますから、それを見てみても五十四年度で大体月にどのくらいですか、六十億までもいっていないと思いますが、六十億くらいだと思います。そうすると、こういう暫定予算の中でも番組は結構いい番組NHK放送しておる。こういう状態で一年いくわけにいきませんか。暫定予算を組まれたぐらいの経費で番組もそう質を落とさないでやるということはいかがでしょうか。     〔委員長退席、武部委員長代理着席〕
  206. 坂本朝一

    坂本参考人 先生承知のように、暫定予算の支出の分につきましては新しいことはできないということで、建設計画その他全部考えられないというような状況の中で編成されておるわけでございまして、そのままの形で十二カ月で番組の質を落とさずにということは、現実問題としてはなかなか困難でございますので、その点はひとつまげて御了承願いたいと思います。
  207. 田中昭二

    田中(昭)委員 暫定予算を承認した郵政大臣、いま話していることは、暫定予算でも結構NHKはりっぱな番組放送していると言うのです。それで、一カ月の予算でも三十億ぐらいの黒字になっておる。その三十億は、それは新規の事業をやれないとか建設事業をやれないからというようないま会長のお話だったのですけれども、しかし、人件費が一カ月で幾らですか、人件費のことだけによるわけにいきませんけれども、五十億程度ですね。あと三十億の黒字があるのです、収支差金が。ですから大臣、ひとつ国民の喜ぶように、この線に沿ったような、暫定予算を引き延ばしていくような感じでのNHK経営指導はできないのですか。国民はいま、四月の番組でもそう悪くないと思っておると思うのですよ。どうですか、郵政大臣。
  208. 大西正男

    ○大西国務大臣 私どもNHKに対しましては、もう常に申しておりますように、指導と言っても監督と言っても、きわめて限られておるわけでございますから、いま御指摘のような努力は、私どもとしてはNHKに対してそういう努力をしてもらうように希望をする次第でございます。
  209. 田中昭二

    田中(昭)委員 終わります。
  210. 武部文

  211. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 今日ほど国民が逓信行政に対しまして関心を持っているときはございません。その一つは、公共放送機関でありますNHKに対して、政権政党であります自民党の放送内容あるいは経営内容の介入につながるNHKのあり方についての調査委員会の設置の動きでございます。もう一つは、昨年来から問題になっておりますKDD事件についてでございます。この事件は、ただ単にKDDの贈答作戦ということにとどまらず、贈答を受けた側の政界及び官界側の贈収賄ということに発展をしてきているわけでございます。  そこで、私は郵政大臣にお尋ねをしたいと思います。  松井氏と日高氏が昨日起訴をされたわけです。大西郵政大臣は、KDD事件の原因はKDDの経営陣の姿勢にあるのだ、これが原因なんだということをいままで繰り返し繰り返し国会でも答弁をしてこられたわけでございます。しかし、それだけではなくて、郵政官僚も密接にかかわっているということがますます今日明らかになってまいりました。この時点で、KDD事件の原因について大臣は一体どのように考えておられるのか、所見をお伺いしたいと思います。
  212. 大西正男

    ○大西国務大臣 郵政省の役人がKDD問題をめぐって逮捕され、そしてまた起訴されるという事態の生じておりますことは、まことに申しわけない事件でありまして、国民の皆さんに深くおわびを申し上げる次第でございます。  私が、これまでKDDの経営姿勢というものがKDDの今日を来しておる重大な原因であると申し上げましたその考え方は、いまでもいささかも変わっておりません。しかし、それをめぐって郵政省の役人がこういうことに関連をして起訴されたということについては、まことに申しわけないことだということで、国民の皆さんに先般来おわびを申し上げておるところでございます。
  213. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、もちろんこういう事件が起こったわけですから、国民の前にきょう心からおわびをされるのは当然だと思います。同時に、私がお尋ねいたしましたのは、このKDD事件の原因について大臣の所信をお尋ねしたわけですけれども、それは御答弁はなかったわけです。先ほど同僚委員質問に対して大臣の御答弁には、行政というものは国民の信頼を得て機能する、こういうふうにおっしゃいました。私はこの大臣の言葉は、郵政省に向けられた疑惑を一掃するための実行あるのみだ、このように考えます。そのためにKDDにかかわる江上氏の疑惑についてあなたは調査をされましたでしょうか、いかがでしょう。
  214. 大西正男

    ○大西国務大臣 江上氏はこの委員会でもそうだったと思いますが、参議院の決算委員会におきましても、当人が疑惑を受けるような事実はないということを明言をいたしました。私はそれを信頼しておるわけでございます。
  215. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 去る三月十九日の当委員会におきまして、私は、江上氏が昭和五十三年にジュネーブに出張したときにKDDの接待を受けたのではないか、こういうことをただしたのは大臣もよく覚えていらっしゃるだろうと思います。これに対して江上氏は、かたくなに否定をいたしました。私は繰り返し何度も質問をして、最後は、記憶していない、帰りにどこに立ち寄ったかは記憶していない、こう言って逃げたわけです。ところが翌日の新聞を見て、私は本当にびっくりいたしました。読売新聞で、江上氏が接待を受けたこと、江上氏自身がこのことを認めていたわけです。私には否定をして、読売新聞にはなぜ認めたのか。私は、読売新聞の記者に「パリに一泊した江上氏を市内観光と夕食で接待した」「ジュネーブでも、一流レストランの食事などをした」こういうKDD関係者の証言を突きつけられたからだ、こういうふうに思うわけです。国会ではかたくなに否定をして、逃げられない証言を突きつけられると渋々認める、こういう姿勢は許せないし信頼できるものではないと思います。これでも大臣は江上氏を信頼しておられるのでしょうか。
  216. 大西正男

    ○大西国務大臣 江上氏の言われたことは会食等を含めて過度にわたる接待などは受けたことはない、ましてその他のことについては何らやましい点はない、こういうことを衆参両院を通じて明言をしたというふうに私は記憶をいたしております。そういうことでございまして、私は江上氏が言ったことについてはそれをそのまま信用をいたしております。
  217. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 大臣はいまの答弁では、それでは言ったことだけ信頼をして、江上氏自身の人格については信頼をしていらっしゃらないのですか。
  218. 大西正男

    ○大西国務大臣 もとより言ったことを通じて人格を信頼しております。
  219. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、江上氏を信頼できないという根拠はまだございます。それは江上氏が辞任いたしました後の昨日の記者会見で、国際電話料金の値下げ問題での当時の服部郵政大臣の態度の急変について問われて、そのようなこと、つまり態度の急変を感じたことはなかった、こういうふうに答えております。服部氏の態度の急変はすでに周知の事実です。江上氏が本当にそのようなことを感じていなかったとすれば、服部氏同様に板野の工作を受けていた、こういう疑惑が生まれるわけですけれども、大西大臣はその点どう思われるでしょうか。
  220. 大西正男

    ○大西国務大臣 当時のことは私は少しも知らないわけでありますが、江上氏が記者会見でどういうことを言われたかも存じませんが、江上氏は江上氏なりの自己の認識に基づいて発言をされたものであろうと思います。私がとやかく申し上げる筋合いのものではございません。
  221. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 今日この事態が起こっている郵政大臣が、当時のことを少しも知らないなどとぬけぬけと御答弁されるのは全く無責任きわまると思います。記者会見で何を言ったか存じない――国民はいま皆新聞を非常に関心深く見詰めているわけです。その場に立ち会っておられなくても、あれだけ共通の記事が出ていたならば、郵政大臣も恐らく非常な関心を持って見ておられると思うのです。私は江上氏が記者会見で真実を語っていないと思います。四月七日付の読売新聞あるいはけさの毎日新聞によりますと、昭和五十三年の五月三十日、当時の古池会長と板野氏が服部郵政大臣を大臣室に訪ねてきた。二人を前にして服部氏は、国際電話料金は値下げの必要がないよ、事もなげにこう言ったわけです。この後、二人は電気通信監理官室で当時の監理官であった江上氏に会ったところ、江上氏は「料金値下げだけは必ずやって下さいよ」こう言って繰り返した。そこで、戸惑った古池会長が「大臣と事務当局が食い違っては困る。意思統一を図ってもらいたい」こう注文をつけたというわけでございます。私どもの調査でも、当時事務当局は値下げにそれなりに熱心であったことがわかっております。したがって江上氏が服部氏の態度急変を奇異に思うのが自然だと思うのです。江上氏はやはり真実を語っておりません。これでも大臣は江上氏を信頼なさるのでしょうか。昭和五十三年の値下げ問題で江上氏に事情を聞いたことはあるのかどうか、これでもその当時のことは少しも知らないなどとおっしゃるのでしょうか。
  222. 大西正男

    ○大西国務大臣 あなたがいまお述べになったことは、あなたはその場におられたのでしょうか。まあ、こちらから質問するわけにはまいりませんけれども、人の人格に関することについて、伝聞によって私たちは物事を申し上げるわけにはまいりません。
  223. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 何ということをおっしゃるのでしょうか。それでは新聞記事は皆うそだ、こういうことになると思います。私どももその場にいなくとも、新聞記事の共通した面、真実を語る赤旗、こういったものが調査をしているわけです。伝聞によって物事を言えないなどというのはどういうことでしょうか。それならば、もっとあなた自身が決然と立って調査をすべきではないでしょうか。何の調査もなさらないで信頼しているでは、国民の方は大臣を信頼することはできません。KDD事件の疑惑隠しのために今日の辞任が強行されたと思うのが当然の国民の思いでございます。江上氏の事情聴取必至の情勢を得てあわてて首を切った、こういうことではないでしょうか、いかがでしょうか。
  224. 大西正男

    ○大西国務大臣 先生が御想像なさっておることとは全然違います。
  225. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 違っておれば私は大変幸いだと思います。KDDから受領をいたしました金品の額がきわめて少ないとか、またその趣旨を特定するのが困難であるとかの理由から刑事責任は問えないといえども、いわゆるKDD灰色官僚多数を捜査当局はすでにつかんでいる、こういうふうに言っております。この扱いにつきましては、捜査当局は郵政省に連絡をして大臣の行政処分にゆだねるというような報道もあります。大臣は、これもうそだ、うそ八百を新聞は書いているのだ、こういうふうな御理解かもわかりませんが、こういう記事が出ているわけです。大臣は捜査当局からの連絡を待つのではなくて、進んでその提供を求めて断固たる行政処分を行い、国民に公表すべきだと思います。これこそが、あなたが冒頭におっしゃいました行政というものは国民の信頼を得て機能する、こういうことではないかと思います。いかがでしょう。
  226. 大西正男

    ○大西国務大臣 先生と私との考え方が全然違いますので、私が申し上げても御納得がいくかどうかわかりませんけれども、江上氏が捜査当局の捜査の対象となっておるのかなっておらないのか、私はそんなことは全然承知をいたしておりません。今回行いました人事は、省内における人心の刷新という意味でございます。それ以外の何物でもございません。
  227. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 すれ違って強弁をそのまま続けられますので、私は次に、大切なNHKの予算審議の方に移りたいと思います。  四月七日から番組に一層工夫が注がれて、「ワイドニュース」など私も期待をして見せていただいたわけですけれども、新しい出発をしておられるということが私にも理解ができます。こういう中で、NHK経営委員というのは最高の意思決定機関であり、最高の人事権を持っております。こういう経営委員会がどんな活動をしているのか。先ほども同僚議員から御質問があり、毎年毎年この問題について衆議院逓信委員会でも論議が交わされておりますが、本当に多くの国民が注視をしているのが経営委員会でございます。いまNHKには十二人の経営委員の方がおられますけれども、この人たちの日当や旅費などは一体どのようになっているのでしょうか。
  228. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 経営委員は非常勤でございますので、経営委員会会議が原則として月二回、大体二日ずつございます。そのほかに臨時に経営委員会をやることもございます。それから地方の方は、地方本部の番組審議会であるとか視聴者会議であるとか、そういう会議に御出席いただくこともございますし、地方の局の視察をやっていただく場合もございますし、在京の方は東京の本部でお打ち合わせをすることもございますし、近郊の営業所等の視察をお願いすることもございます。そういうことで勤務の日数に応じた手当と旅費、宿泊料の実費をお渡ししております。
  229. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 放送法第二十二条(委員の報酬)に基づいてそれは行われているというふうに理解をいたします。  それでは、この経営委員の人たちが辞任をする場合、退職金あるいはそれに類するようなお金が支払われているでしょうか。もし出しておられるとするならば、それはどのような基準で出していらっしゃるのでしょうか、金額は幾らになるのか、お答えいただきたいと思います。
  230. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 経営委員が退任になりました場合には退任慰労金をお渡しいたしております。  その基準につきましては、これは経営委員会で決定されるわけでございますけれども、社会通念を逸脱しない範囲で現在の額が決められております。それは、月の報酬を基準にいたしまして勤務の年数に応じてお渡しするということになっております。したがいまして、勤務の年数の長短によって額は当然違うわけでございます。
  231. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、勤務年数は大体二期で交代をしていらっしゃいますけれども、こういう人がおやめになる場合は幾ら払われているのでしょうか。
  232. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 月の報酬と申しますか、これも勤務の日数によって違うわけでございますので一律には申しかねますけれども、二期六年勤務された方で大体七百万円ぐらいということでございます。
  233. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 経営委員の皆さんは常勤役員ではなくて、いまも御答弁でおっしゃいましたように非常勤でございますね。その非常勤の役員の方が、退職金といいますか、辞任をされるときに、二期六年で七百万円いただくというやり方が社会通念を逸脱しない範囲かどうかは、それはその人の理解の差があると思うのですけれども国民にはちょっと納得されないのじゃないかな、こういうふうに思います。経営委員の皆さん方に、辞任をされるに際して応分の記念品を差し上げたり、その御労苦に報いるために何らかのことをするのは私は当然だ、こういうふうに思いますけれども現行制度によって二期六年で七百万円というのは、国民感情からいっても納得し得るものではないというふうに私は考えます。  それで、会長さんにお尋ねしたいと思うのですけれども経営委員の皆さん方にもNHKの苦しい財政状況をよくお話しして理解をしていただき一これは会長を任命する方に逆かと思うのですが、やはり毎日勤務しておられる方ではなく、月平均七日から八日出てこられる、こういう事情なわけですから、NHKの苦しい状態も、いろいろ予算の審議ども経営委員会でなさってよく御存じなはずですから、その点をよく理解をしていただいて、いまのやり方を改善してはどうか、こういうふうに思うのですけれども、御提起になるおつもりはないでしょうか、どうでしょうか。
  234. 坂本朝一

    坂本参考人 経営委員方々は最高の責任を持つNHK経営の議決機関でございますから、やはりそれなりのことがあって社会通念上しかるべきではないかというふうにいま中塚副会長から申し上げたわけでございますけれども、ただ、いま先生が御指摘のような御意見につきましては、私から経営委員会にお伝えすることはやぶさかではございません。しかし、経営委員会に対しまして、執行部としましては常々できるだけの資料とデータを出して、NHK経営の方向を誤らないということのための努力はいたしておりますし、経営委員先生方もそういうふうに理解して、非常に真剣に御討議いただいているということだけを申し添えさせていただきます。
  235. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私は、経営委員会が最高の議決機関ということで経営委員の皆さん方が非常に責任を重く感じられて、NHKをよりよくしていこうということで御論議もしておられるのではないかということは理解はできます。しかし、それは想像の範囲でありまして、経営委員会内容が公開されるわけでなく、そこにも問題があるわけですけれども、しかしそれは別においても、NHKの台所の苦しいことは一番よく知っておられるはずの人だと思うのです。ですから私は、この料金値上げを含む今年度のNHKの予算案を決定をされた経営委員の皆さん方に、いま私が申し上げていることが理解してもらえないということはないというふうに信じているわけです。NHK国民のものにするためには、経営委員の皆さん方は率先をしてその先頭に立っていただけるというふうに思いますし、この点についての一いままであった慣例を改めていくこともむずかしいかと思います、また以前よりも率などを下げておられるという点もあるかと思います。しかし、やはりもっと思い切った改善をしなくてはならないのではないか。国民の皆さん方にかぶせるのではなくて、こういったところから姿勢を改めていただく。私は、できれば経営委員の皆さん方がみずから、こういったことは改めようではないかというふうにおっしゃっていただくことを心から望むわけでございますが、きょうは残念ながら経営委員長さんがお越しいただけないというふうな事情でございますので、ぜひ会長の方から私の真意をお伝えいただきますようにお願いをいたす次第でございます。いかがでしょうか。
  236. 坂本朝一

    坂本参考人 国会の場での御発言でございますから、それは正しく経営委員の皆様方にお伝えをいたします。
  237. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、次にNHKの予算について質問をさせていただきたいと思います。  まず最初に、受信料の免除についてお尋ねをいたします。  NHK受信料の免除の基準を見てみますと、免除の対象というのは大きく言って三つに分類ができると思います。まず一つは社会福祉対策、こういうものと、それから二つ目には学校教育であるとかあるいは社会教育、こういうものに関連をするものです。三つ目は基地の周辺対策として行っているもの、こういう三つがございます。  社会福祉あるいは教育関係、こういうものに対する免除というのは私はよく理解ができるのですけれども、基地対策として半額免除というのは理解ができないわけです。なぜこのような制度NHKがとるようになったのか、そういういきさつについて御説明をいただきたいと思います。
  238. 海林澣一郎

    海林参考人 お答え申し上げます。  先生質問の基地などの周辺におきます受信料の免除でございますけれども、これは本来原因者である国の責任において解決されるべきものであるという考え方でございましたけれども、御質問の経過でございますが、昭和三十九年の初めに、国の立法あるいは行政措置が不十分であるという中で、基地周辺の受信者の方のやむを得ないアピールと申しますか、やむを得ざる騒音被害のアピール、それに対するNHK考え方として、俗に申し上げればお気の毒であるという実情から実施に踏み切ったわけでありまして、その間は、免除の趣旨からは若干違う全くの特例措置ということでやったわけであります。  続きまして、その後この国会の論議でも、受信料免除による減収額の補てんを協会から要望申し上げるということで、昭和四十八年でございますけれども、減収額全額を国が受信障害対策補助金ということで補てんするということになりまして、先生のおっしゃる半額を補てんしていただくということになったのがこれまでの経緯でございます。
  239. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それではNHKお尋ねいたしますが、NHKの調査によりますと、昭和五十三年度の滞納件数のうちに、航空騒音による難視聴を理由にしている人たちが五万八千件いらっしゃいますね。これは年々増加をしているようですけれども、航空機騒音という場合に、米軍機、自衛隊機、こういうものが離着陸するいわゆる基地と、そしてまた民間航空が離着陸する空港の周辺と、こういうものがございますが、この五万八千件という内訳はどのようになっているでしょうか。
  240. 海林澣一郎

    海林参考人 滞納についてでございますけれども、五十四年の九月で、基地の周辺でございますが、これがおよそ一万でございます。それから国際空港、民間空港の周辺がおよそ五万ということでございまして、その他その周辺にぼつぼつとございますけれども、こういう形でございます。特にその空港周辺で最も多うございますのが大阪でございまして、これが約四万七千、これは家屋の密集地でございますからこういう数字が出ております。基地周辺では厚木が多うございまして約四千ということでございます。
  241. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 民間空港に比べまして、基地周辺の方が滞納者が少ないようですけれども、その原因の一つに対象地域の広さの問題があるように私は思うわけなんです。基地周辺受信者に対します免除の対象地域はいわゆる一キロと五キロ、こういう範囲の受信者を対象にするとNHKの免除基準に書かれているわけです。そういうことですけれども、民間航空を対象にした地域の場合はどういう範囲まで免除の対象にしていらっしゃるでしょうか、やはり一キロ五キロということなんでしょうか、運輸省の方でちょっとお答えをいただきたいと思います。
  242. 栗原敏尚

    ○栗原説明員 運輸省でございますが、私ども運輸省の方では、航空機の離発着によりましてテレビ障害の出ております地域につきましてテレビ受信料の一部を補助いたしておるわけでございますが、その補助の内容は、騒音被害の実態に応じて補助の内容に差をつけておるわけでございまして、WECPNLと申しますか飛行機のうるささの指数でございますが、それが八十以上の比較的うるさい地域でございますが、そこにつきましては受信料の二分の一の補助、それからWECPNL七十五から八十の地域につきましては受信料の四分の一の補助をいたしておるわけでございます。
  243. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 一般空港の周辺対策というのは、特にNHKとしては免除の規定をつくっていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。
  244. 海林澣一郎

    海林参考人 特につくってはおりません。
  245. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまの運輸省の御答弁では、運輸省が独自におやりになっているようです。対象地域も相当広げておられるようにいまお聞きをいたしました。それに比べまして、基地周辺の対策は対象地域もNHK任せだ、こういうことになっているようなんですけれども、防衛庁としては、この対象地域の拡大という点について一般空港並みには広げよう、こういうふうなお考えがあるのかどうか。運輸省の方ではいまのような御答弁であったわけですけれども、防衛庁については一キロ五キロというままになっておりますが、一般空港並みに広げていただくという考えはあるでしょうか、いかがでしょうか。
  246. 梅岡弘

    ○梅岡説明員 お答えいたします。  先生の御質問はいま民間空港並みに広げたらどうかというお話でございますが、確かにテレビの減免につきましては沿革的な相違がございまして、先生指摘のとおり、軍用飛行場につきましては一キロ五キロということになっております。私どもも将来の方向といたしましては、騒音の程度、頻度によりましてゾーニングできるのが本来あるべき姿だと思っておりますので、その面で検討しております。現在の段階におきましては、運輸省さんが申されましたようなWECPNL、つまりうるささ指数の八十とか七十五とかいうものにつきまして、私どもの防衛施設に関連しましては具体的なゾーニングの線がまだございません。いま鋭意その調査をやっている段階でございます。したがいまして、将来の方向としまして、民間空港に劣らないように、現実に私どもは劣っているとは必ずしも思いませんが、実態的に差がないようにNHKとも相談して対処してまいりたい、こういうふうに思っております。
  247. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 民間空港と劣っているか劣っていないかの判断はそれぞれ別だと思うのですけれども、騒音測定と頻度をもとにして数値であらわすというふうなことなど、運輸省がとっておられるものの方が、一般的に一キロ五キロ、こういうことだけでなくて、素人目の私どもにも納得がいくというふうに思いますので、ぜひ促進をして、そうなればもっと広がるのじゃないかというふうに思いますので、ぜひ早くやっていただきたい、こういうふうに思います。  再度運輸省と防衛庁にお尋ねをしたいと思うのですけれども、先ほども言いましたように、五十三年度で五万八千件、こういう地域にあなた方の責任において滞納者が出てきているという状態なんですね。NHK受信料滞納者が出てきている。これをこのまま放置しておけばますますふえるだろう。飛行機や自衛隊機などの離発着が、ダイヤがますます頻度を増してまいりますと、このままほっておいたら大変なことになるんじゃないかというふうに思うわけです。この理由によります滞納というのはNHKでは対処はできない、私はこのように思うわけです。なぜなれば、原因者が運輸省であり防衛庁であるということでありますから、対処する必要もない、こういうふうに思うのですね。滞納の原因をつくり出していらっしゃるあなた方としては、それはNHKの問題でございますので、こういうふうに言ってお逃げになるわけにはいかないだろう、こう思うわけです。  そこで提案でございますけれどもNHKの方からいろんな実情があると思うのですね。ここでいろいろ説明していただきますと長くなりますので、よく聞いていただいて、そしてこういった問題の解決方法としてどんなことができるのか、よく相談をしていただきたいというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  248. 栗原敏尚

    ○栗原説明員 運輸省といたしましては、民間防音工事であるとかというような環境対策を推進することによりまして、できるだけ静穏な環境をつくって、テレビ視聴についても支障がない、そういう環境をつくりたいという基本的な考え方でおりまして、そういう努力をいたしておるわけでございますが、不払い実態等につきまして私どもまだ十分実態を把握しておりませんので、NHKの方からも十分事情を聞かしていただきたいと思います。
  249. 梅岡弘

    ○梅岡説明員 私ども防衛施設庁といたしましても、運輸省と同様に、テレビの画像のフラッター現象等の是正につきまして、技術的にもそれから施策的にも、そういった事態を極力解消するように努力したい、こういうように思います。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いま、運輸省も防衛庁の方も、NHKから事情をよく聞いてやりたいというふうな御答弁があったわけですけれどもNHKの方はいかがでしょうか。いまの御答弁に対して、どういうふうにしてほしいという希望があったり、いままでそういったことがやられてきたのかどうか、今後どうしたらいいのか、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
  251. 海林澣一郎

    海林参考人 現在でも、一例を示しますれば、その範囲の問題とかそういうことを含めて、鋭意両機関とお話が続いております。先生のおっしゃいますように、今後とも、地域住民の方のテレビがよく見られるという命題のもとに、NHKといたしましてもできるだけの範囲の中で努力していきたいというふうに考えております。
  252. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 運輸省、防衛庁にいままで相談されたようなことなんかはあるわけですか。
  253. 海林澣一郎

    海林参考人 先ほど出ました航空機騒音にかかわる環境基準でございますけれども、WECと言っております、この辺を採用するしないというようなことにつきましても防衛庁さんへお願いするといったような、定期的な密度の濃い打ち合わせをしております。
  254. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは、次の問題に入りたいと思います。  私は、三年前から米軍関係者の受信料不払い問題について質問を続けてまいりました。NHK政府対策をただしてきたわけですけれども、どういうふうにこれが進展をしているのかという点を改めてお尋ねをしたいと思います。  この一年間、NHKとしては、米軍関係の基地内外、こういうところの軍人軍属及びその家族ですね、こういう人から受信料をいただくためにどういうふうに努力をしていらっしゃったか、具体的に昨年以降どのように前進をしているのか。しかし、取れるようになりましたという御報告はまだ受けていないわけです。そういった点、どこまで進んでいるのか、お尋ねをいたします。
  255. 海林澣一郎

    海林参考人 先生仰せのように、在日米軍人などの受信料問題につきましては、両三年在日米軍との間でたび重なる折衝をしてきたわけでございまして、五十四年の二月に、米軍側としては基本的な見解については依然として変更はない、払う必要はないということでございましたけれども、米軍の施設の中におります居住者に対しましては、郵便などによって契約、収納の活動を行うことについて異議はないという返事が参りました。それで、このような経過を踏まえまして、去年、五十四年の六月に、沖繩県を除きます全国の米軍施設内の居住者でございますが、この方たちに対しまして、郵便によりまして第一次の契約勧奨というのを実施いたしました。この結果をもとにして折衝を再開して、アメリカ軍側に対して契約収納活動についての協力を求めようというねらいであったわけでございますけれども、その数字を若干申し上げますと、発送した数が六千八百余りでございまして、うち着かずに返ってきてしまいましたのが千七百余りで、契約してくださるという方が四件ということでございました。  その後、五十四年十一月に今度は横田基地におります居住者に対しまして、これも郵便で第二次の契約勧奨及びテレビの設置状況などをアンケートを入れまして実施をしたということ。さらには英字新聞に、NHKではこのようなことをお願いしているという記事を掲載いたしました。それで引き続きことしになりまして、五十五年の一月に、残っておりました沖繩県のアメリカ軍基地の居住者の一部に対しまして郵送による契約勧奨を行ったわけでありますけれども、しかしこれらの結果はいずれも、先ほど四件と申し上げましたが、第二次のときが二件でございまして、思わしい結果を得られなかったというのが現在の実情でございます。
  256. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 全く気の遠くなるような話ですけれども、それでは郵政省はこの一年間何をしていらっしゃったでしょうか。
  257. 平野正雄

    平野政府委員 ただいまNHKの方から話がございましたように、在日米軍人の受信料問題につきまして、NHKが一昨年末から昨年初めにかけて行われた米軍との折衝を見守っておったわけでございますが、契約勧奨は自由であるという結論になりまして、郵送によって現在勧奨を行っておるということを承知したわけでございます。  それで、ただいま話がございましたように、郵送による勧奨の結果につきましては、これまでのところ見るべきものはないわけでございますけれどもNHKが従来から基地の中の在日米軍人軍属等に対して勧奨活動を行っていないという実情にあったことなどを考えますと、当面やはり粘り強く契約勧奨を続けていってもらいたいと見守っておるところでございます。
  258. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 昨年私がこの場でこの質問を申し上げましたところ、平野電波監理局長がこう申されました。NHKの勧奨状況を見守っております、さらには外務省と相談をして勧奨の成果が上がるよう努力をいたします一きょうの答弁と全く同じだし、NHKを見守っておられるだけだし、また外務省と相談をして成果が上がるよう努力するなどとはおっしゃらない、後退しているということですね。何にもしないし、しかも後退をするというふうな答弁でいいんでしょうか。いまNHKが六千八百件手紙を出して千七百通は居どころ不明ということで戻ってきた、四件しか契約ができなかった。私が聞いただけでも大変だなと、水のあわのようなこと、砂上の楼閣のようなこういう繰り返しをそれでもなおやっている。六千八百件手紙を出そうと思ったら幾らお金がかかるのでしょうか。郵政省がそういったものに補助でもするのならまだしも、そんなこともしないし見守っているだけ。見守っていてこれが前進するでしょうか。どこに一体問題があるんでしょう。三年越しに私は質問をしているのですが、毎年毎年見守ってもらう、一体どうなんですか。
  259. 平野正雄

    平野政府委員 先生承知のように放送法によりましてNHK受信料徴収することができるわけでございまして、やはり粘り強く徴収努力をしていくということが基本であろうと思います。郵政省といたしましては、NHKから相談がございまして必要だと思ったときには外務省と従来から打ち合わせをしながらNHKに対する便宜も図ってもらってきておるという実情でございますので、ここはNHKがさらに粘り強く努力をするということが先決であろうというふうに存じておる次第でございます。
  260. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 粘り強くやっても、払う者がいたら取りなさいというふうな状態でしょう。そうすると、これはNHKと相手の問題でないということは昨年も私は質疑を申し上げました。これは日本の主権にかかわるような話で、電波は遠慮なく金網の中でもどこへでも行くけれども受信料を取りに行く方は金網の中へ入れないわけでしょう。そうしたら、郵政省が責任を持って外務省にも働きかける、こういうことを熱心にやらなければ、見守ってばかりいたって進まないではありませんか。去年は、税金のようなものだ、払う必要ない、こう言われたわけでしょう。そういう経過の上にまだ見守っていていいのですか、どうでしょうか。
  261. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  現在はNHKが文書によりまして、はがきによりまして勧奨を行っておる、その状況を見守っておるわけでございますけれども、従来どおりNHKが相談に参りましたときには、必要な場合には外務省と協力をしながらNHKに対して種々の便宜を図っていただく等のことをやってきておりますので、いつまでも見守っておるつもりはないわけでございます。
  262. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 三年も見守っていて、いつまでもと言う、石の上にも三年という言葉がありますけれどもNHKが相談に来たら言うてやる、これは前のときもこの答弁の繰り返しだったわけですね。そういう中でやっと外務省と相談をしますと昨年はおっしゃったわけです。おたくは外務省に対してどんな働きかけをなさったでしょうか。
  263. 平野正雄

    平野政府委員 NHKは、御承知のように昭和二十五年の放送法が施行されて以来徴収権があるわけでございまして、最近に至るまでその努力をしておらなかったわけでございますので、先生ただいま三年というふうにおっしゃいましたけれども、私どもといたしましては、粘り強く努力をしていただくことを期待しておるわけでございます。それで、NHKから郵政省に相談がございまして、必要な場合には外務省の担当の方とお会いいただく等のことを従来からいたしておるわけでございます。
  264. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私の質問に対してお答えが的外れです。外務省に対して郵政省は何を働きかけてこられたか、このことをお尋ねしているわけです。
  265. 平野正雄

    平野政府委員 郵政省といたしましては、外務省といろいろこの問題についての意見交換等をしたことは実は事実でございますけれども、実はこの件につきまして、NHKが具体的な問題といたしまして、これこれこういった問題で外務省と話を進めてもらいたいとかというような状況は従来なかったわけでございまして、今後必要な相談あるいは必要な場合が認められた場合には、郵政省といたしましては外務省と相談を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  266. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省はお殿様ですから、NHKがやいやいと言うていかなかったら知らぬ顔という状態だということが明らかになったわけです。こういう中で、外務省にはいろいろと意見交換という、まあいろいろというのが具体的にわかりませんけれども、いろいろなどと言うときには余り何もしていないというのが先日来はっきりしてきたわけですけれども、そんな中で、NHKが言うてこないのだ。NHKの方も、それじゃその点どうだったのでしょうか。手紙出したりなんかしている。なぜ郵政省に対して、外務省と交渉してくれ、道を開いてくれ、このことを言われなかったのですか。
  267. 海林澣一郎

    海林参考人 先ほど御報告いたしました郵便による勧奨ということももちろん郵政省と相談をして、さらに外務省と若干の資料的なことでの提供をいただくというようなことがございまして進んできたということでございまして、NHKはしかし徴収権があるということで独自に積極的な行動をすべきであるということで、先ほど御報告したような郵送による勧奨を積極的に進めたということでございます。しかし、これは予算もかなりかかりますので、今後も努力はいたしますけれども、どんな方法を次に選ぶかということをただいま熟慮しておるというところでございます。
  268. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 ただいま熟慮しているということですけれども、もう六千八百件送って四件しか返ってこない、そんな状態を熟慮していたって困るわけです。取るべきところからきちっと取ってもらうということが、いま受信料値上げの問題に非常に重要なわけでしょう。こういうこともしないでおいて値上げをする、放送法と絡めてくるというふうなことをしたって、国民理解できないわけです。ですから、やることはきちんとやってくださいということは私は一貫して言うているわけです。いまの答弁では郵政省が、NHKがこのことについては不熱心だとしか私には聞こえないわけですね。そういう事態に対して私は怒りさえ感じます。三年間これを言い続けてきて、同じ答弁だ。しかも、NHKいろいろお金出してやっているけれども、言うたらピント外れになってしまった。努力努力かもわかりません。もっと効果的なことを熟慮しているのでなくて、なぜ郵政省に対して外務省と交渉して入れるようにしてくれ、こういうことを言いに行かれないのか。  それじゃ、昨年外務省は私の質問に対してこう答えられました。NHKが勧奨活動をやった上で、アメリカと話し合いをする必要があると政府が判断をして外務省に働きかけたとき、合同委員会議題にのせてもよい、こう言われたわけです。外務省いかがでしょうか。
  269. 栗山尚一

    ○栗山説明員 お答え申し上げます。  外務省としましては、依然としてそのとおりに考えております。
  270. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは郵政省が働きかけない限り、外務省は動かないのは当然ではありませんか。外務省としては、昨年の答弁から一歩も出られない。それは郵政省が働きかけないからだということです。そんな自分のところの担当でもないもののところにわざわざ乗り出していって、NHK受信料いかがでございましょうかと、なかなかいまの政府ではやってもらえないと思います。そうすれば、やはりいま明らかになってきたのは、もっと郵政省が外務省に働きかければ、アメリカと話し合いをする必要があると政府が判断をして外務省に働きかけたときは、合同委員会議題にのせてもよいと、こう言うて、昨年の答弁があるのです。大臣、いかがでしょうか。
  271. 大西正男

    ○大西国務大臣 筋は電波監理局長がお答えいたしておるとおりだと思います。そこでNHK、これは徴収権の主体でございますから、いま具体的な方策について熟慮しておる途中だと言うのですから、何か具体的な案を持って御相談に来られることだろうと思います。そういうことがございましたら、もちろん郵政省としては動くことになると思います。
  272. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 電波監理局長の言うとおりでございますといういま御答弁をいただきましたが、それならば郵政省はサボっていたということを認められたのではないかと私は思います。私は、NHKは熟慮していないで、早速郵政省にももっと強力に働きかけるということが必要だと思いますが、NHKいかがでしょうか。
  273. 坂本朝一

    坂本参考人 この問題は先生指摘のようになかなかむずかしい問題で、はかばかしくいかない点を非常に責任を感じておりますけれども、いま御指摘のように、だからといってたな上げにしていていいという問題ではございませんので、御指示いただきました点を熟慮して、できるだけ早くやはり郵政省とも話し合いを進めて、何とか解決の道を探りたいというふうに考えます。
  274. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この問題は、再三指摘をしてまいりましたように、放送という日本の法律を在日米軍すなわちアメリカ政府の一機関が、日本政府の解釈とは異なった解釈をしている、それを実力でもって日本の国に押しつけてきている、こういう性格の問題であるわけです。こんなことが許されるならば、放置されるならば大変なことだと思います。不払い者をなくすためになどという理由放送法改正しようというような政府が、在日米軍のことは手をつけない、これでは全く筋が通らないではありませんか。郵政省としては今後どのようにやっていくのか、外務省もどういうふうにこれを解決すればよいのか、きょうの討論も聞いていただいたと思いますので、もう一度御答弁をいただきたいと思うのですけれども、私はこの問題に対する質問は、たしか小宮山郵政大臣、服部郵政大臣そして大西郵政大臣と三年越しだということを肝に銘じて、郵政省と外務省の責任ある御答弁をお願いしたいと思います。
  275. 平野正雄

    平野政府委員 今回の放送法改正は、いわゆる受信料制度趣旨を変えるものではございませんので、米軍に対しましても租税、公課と考えないという従来の方向でよろしいかと存じておりますし、また一方、先ほど申しましたように、NHK昭和二十五年以来徴収権を持ち、いわゆる大きな経営の自主性というものを持っておるわけでございますので、NHKのこの問題についての努力を待って、相談がございましたならば積極的に必要な方面と相談をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  276. 栗山尚一

    ○栗山説明員 ただいま郵政省の方から御答弁がありましたように、状況をいま少し見守った上で、郵政省の方から御相談がありました場合には、十分地位協定の解釈というものを踏まえまして、わが国の立場を踏まえて、必要があればアメリカ側と話をする、そういうつもりでございます。
  277. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは最後にNHK会長さんから、いま郵政省は租税、公課とは考えないということの明言があったわけです。NHK努力を待ってということがあるので、最後にもう一度御決意のほどを聞かしていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  278. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKといたしましては、NHK受信料の問題でございますから、何といっても一番責任を感じて努力すべきだろうというふうに感じておりますので、御指摘の点を一日も早く実現するように努力したいというふうに思います。
  279. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  280. 武部文

    武部委員長代理 次に、西村章三君。
  281. 西村章三

    西村(章)委員 NHK予算の質問に入ります前に、先ほど大臣から郵政省の首脳人事の更迭について意見の開陳がございました。若干お尋ねをさせていただきたいと思います。  郵政省は、通常国会開会中の、しかも法案審議の重要な時期に突如として異例の人事異動をあえて強行された。いろいろと事情はあったのでございましょうが、これはきわめて異例なケースであります。私は決してノーマルではないと思うのでありますが、大臣はノーマルだとお考えですか。
  282. 大西正男

    ○大西国務大臣 定期異動ではございませんで、ノーマルではないと考えております。
  283. 西村章三

    西村(章)委員 特に今回の事件の中で疑惑の渦中にあります、捜査なりあるいは事情聴取というものが間近だと推測をされておる人の辞任を含めまして人事の異動を行ったということは、逆に疑惑を深める結果になりはしないか、私はそう思うのです。KDDが密輸発覚後、いわゆる郵政省の要請で板野社長あるいは両副社長、これの引責辞任を申し入れてやめられた、その後会社に関係がない人だということの理由で、そのために捜査の進展がおくれ、あるいは疑惑の解明がおくれたという事実がございます。さらに国会における証人の喚問問題でも、民間人だからという理由で非常にむずかしくなったんだ、こういうこともあったわけでございます。今回の措置も同様に国会対策あるいは世論対策、そうした面を配慮していわばわざと現職を外して、ポストを外して、臭い物にふたをする、あるいはトカゲのしっぽ切りだ、こういう疑惑は免れないわけでございまして、むしろ私は、真偽のほどは別にいたしまして、省幹部に対する疑惑を一層深める結果になった、今回の措置がそうした意味できわめて時期が悪い、大臣の言われる省内の人心一新、これにむしろ逆行するのではないかとさえ思われるわけでございます。大臣の御見解はいかがでございます。
  284. 大西正男

    ○大西国務大臣 先ほど来お答えをいたしておるとおりでございまして、郵政省内における空気の沈滞、それから人心の一新ということは、できるなら私としてはもっと早くやるべきことではなかったかと思うくらいでございます。と申しますのは、もちろんKDD問題をめぐりまして郵政省内の空気が非常に沈滞してまいりましたが、御承知のように先般郵政省の現職の職員が逮捕される、そして昨日は起訴されるといったような事態が生じたわけでございます。これをめぐって綱紀の粛正ということをまずやらなければならぬのは当然でございますが、あの逮捕がありましてから後に御承知のとおりの訓示をいたしまして、まず公務員としての原点に立ち返って公のためにあるいは全体のために奉仕すべき者として綱紀を粛正すべきであるということ、それは当然のことでございますけれども、そのことを訴えたわけでございます。しかしそのことだけで事足れりとは考えられないわけでございまして、ことにそういうことを言ったことによってかえって萎縮をしている面もなきにしもあらずといったことも私としてははだに感ぜられるわけでございますから、何とか早い機会に省内の人心を一新しなければならない、することが私の職責の大きな一つでもある、こう考えておったわけでございますが、折から御承知のとおり五十五年度予算の審議の最中でございますから、その間そう思っておりましても人事の異動をするということがなかなかできない状態の中でございました。  もっとも私といたしましては、人心を一新するために何かをしなければならぬと思いましたけれども、その具体的な方策についてこうすべきだということまでまだ結論を得ておりませんでした。たまたま予算の成立を見ました段階で、事務次官の方から、まあ事務次官もそういうことを感じ、考えておったことであろうと思います、この本来の仕事に励んでもらうためには人心を一新をしなければならぬけれども、そのためには自分がこの際身を引いてもよろしい、こういった申し出がございましたので、私としてはまさにこれが人心を一新する具体的な最適の方法であると考えまして、そうして私が決断を下して勇退をしてもらうことにしたわけでございます。  そうしますと、事務次官が去ればその事務次官をまたつくらなければなりませんから、その事務次官は御承知のように浅尾君になってもらうことにしたわけでございます。そうしますと、先生も御承知でございましょうけれども、官界の長い慣行としては、事務次官は一人しかおりませんので、それと同期に入省をした人は、郵政省に限りません、どこもそのときに勇退をしていくというのがならわしでございます。そこで、当時の郵務局長は今度次官になりました浅尾君と同期でございますので、みずからこの際引きたいという、私に身柄を任せるというお話もございました。でありますから、事務次官とも相談をいたしまして、この際二人に去ってもらうことにしたわけでございます。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、そうだと申しましても郵務局は御承知の郵便値上げ法案も抱えておるところでございますから、これからその審議にいずれ入っていただくわけでございますので、この席をそのままほうっておくわけにまいりませんから、経理局長は御承知のとおり五十五年度の予算のわが省の編成については責任者でございますし、郵便値上げ法案はまさにわが省関係の財政の健全化を実現するための法改正でございますから、経理局長はまさにこのことについては十分承知をいたしており、法案の内容についても予算編成期当時からよく承知をしておるところでございますので、この人に直ちに後についてもらうことにいたしたわけでございます。  こういうことでありまして、その他法案もございますので、この際は異動を必要最小限度にとどめようということで、御承知のような人事異動を行ったわけでございます。時期につきましては、おっしゃいますようにノーマルな時期ではないわけでありますが、何とか早くやるべきという命題に対して、やはり予算の成立を見た時期ということが一番これにかなった時期であると私は判断をいたしました。したがって、予算が成立を見、これからわが省関係の法案等について御審議を願うこの節目が最も適当な時期だと判断をしてそういうことにしたわけでございます。
  285. 西村章三

    西村(章)委員 大臣のお話を承っておりますともっともらしく聞こえるわけでございますが、省内の沈滞した空気を一掃するということにつきましては当然でありまして、私もこれを何ら否定するものではございません。ただ疑惑の渦中にある人がたまたまそういうことになったというものの、あるいは同期の人が次官になれば退職をするという官庁の慣例があったにしても、時期的にきわめてまずかったのではないか。むしろ大臣の意図されております本当のねらいが裏目に出なければ幸いだな、こういう感じで見守っておるところでございます。  そこで、もし不幸にいたしまして、辞任をされました二人のうち一人でも捜査の対象なり、最悪の場合には逮捕ということになりましたとき、現職ではないという理由で、あるいはすでに退官された民間人だという理由郵政省の監督責任を回避されるということはないでしょうね。私は念のためにこの際聞かしておいていただきたいと思います。
  286. 大西正男

    ○大西国務大臣 今回の人事の目的、趣旨はただいま申し上げたとおりでございます。それ以外の何物でもございません。ましていわんや、疑惑隠しのためにそんなことをしたわけではございません。私の念頭にはそういう考え方は全くございません。  それから、江上君につきましては、先ほども申し上げましたけれども、衆参両院におきまして彼自身が公の場で自分にはやましいところはないのだということを明言をいたしております。ここではたしか過度の接待等のことは受けてないということを言ったように思います。それから、参議院では明確にその他諸種の問題について御指摘があったのですけれども、全くそういうことはありませんということを明言をされました。私はこれを信頼をいたしております。私は、いろいろ憶測とかうわさとか伝聞とかいうことが世の中にはあると思います。けれども私の解釈するところによりますと、特定の個人を名指して、その人の人格にかかわることについて憶測や伝聞などによって論議をしないというのが私は民主主義基本だと心得ております。でございますから、私はそういう観点にも立ち、また江上君自身の言葉も聞いて、そうして江上君にはそういうことはないと確信をいたしておるわけでございます。信じておるわけでございます。ですから、決していわゆる疑惑隠しをやろうなどということは私の頭のどこのすみにもございません。
  287. 西村章三

    西村(章)委員 大臣、ちょっと私の質問の要旨をお取り違えになっておるようなんです。私は何も固有名詞を挙げてどうのこうの言っているわけではございません。現職、前職にかかわらず、郵政省としてはKDDに対する監督責任があるのだ、したがって、もしも郵政省のかつての幹部であろうと現職の幹部であろうと、不幸にしてそういうことになったときに、その監督責任という立場で大臣は責任を感じられるのかどうか、責任をおとりになるお覚悟があるのかどうか、その辺を伺っておるわけです。
  288. 大西正男

    ○大西国務大臣 事件に関与した人についての監督責任ということになりますれば、これは事件当時の監督責任というものについて問題になり得ると思いますが、いま私の感じておる責任というものは、郵政省というものが再びこういった不祥事件を起こさないように防止していくということと、それから、郵政省の内部が萎縮しておる、そのためにもし仕事にも手がつかないというふうな状態であるとするならば、これを一日でも一時間でも早くその状態を払拭して、そうして与えられた仕事に積極的に取り組んでいく、そういう環境づくりというのが私の責任だと思います。ですからそういう責任を感じて今回の人事異動を行ったわけでございます。
  289. 西村章三

    西村(章)委員 いささか大臣の答弁が脱線するものですから私も言わざるを得ないのでありますけれども、いま大臣は、もしもそういう事件が発生をしたならば、その当時の責任者が責任をとるべきだ、こういう御発言をなさいました。私はおかしくてならないわけです。不可解なわけです。郵政省というのはやはり一つの組織です。いま現在の組織の最高責任者がおとりになるのは当然じゃございませんか。間違っておりますか。
  290. 大西正男

    ○大西国務大臣 事件当時に事件を起こした人について監督をする立場にある人が、その事件の処理については責任をとるのがこれは当然じゃないかと思います。そういう意味で申し上げたわけであります。
  291. 西村章三

    西村(章)委員 それがおかしいのですね。それじゃ一体、前任者に責任をとれとおっしゃっているのと同じことになるわけですよ。そうじゃないわけです。現在起こっている事件について、あるいは過去のことであっても、組織としては現職の最高の責任者が責任をとるというのは不文律としてあたりまえの話じゃございませんか。違うでしょうか。
  292. 大西正男

    ○大西国務大臣 でございますから、その責任のとり方にはいろいろございましょう。でございますから、その責任のとり方については、私は先ほど来申し上げておるようなことが私のなすべき責任だ、こう思っておるわけでございます。
  293. 西村章三

    西村(章)委員 これ以上幾ら申し上げましても堂々めぐりになると思います。事件の全貌が解明をされた時点でそれなりに郵政省の監督責任というものを明確にしていただきたいということを要望いたしまして、NHKの本論に入らしていただきます。  まず初めに、私は、政府並びにNHK基本的な認識について伺っておきたいと思います。  それは、今日受信料の大幅な引き上げをしなければ経営ができない、行き詰まってしまう、こういうNHKの危機的な状況があるわけであります。さらには、今後当委員会に付託が予定をされております放送法の一部改正、これはNHK公共放送としての存立基盤といいますか、基本的な性格にかかわる問題でございます。したがって、今日現在NHKは創立以来の曲がり角、重大な転換期に直面をしておる、NHKの将来の方向は一にかかって今日の対応いかんにある、かように申し上げても過言ではないと思うのであります。  そういう認識の上にひとつお答えをいただきたいのでありますが、現行受信料、普通テレビが四百二十円、カラーテレビが七百十円ですか、この受信料は、郵政省がお考えになって、あるいはNHK自身が、放送の対価といいますかあるいは視聴者の負担金といいますか、そういう立場から考えられて、高いと思われますかあるいは安いと思われますか。大臣並びに会長の御意見を承りたいと思います。
  294. 大西正男

    ○大西国務大臣 お答えいたします。  今回の受信料額の改定は、幸いにして御承認をいただけるなら、カラー受信料の月額は現行の七百十円が八百八十円に、また普通受信料月額は現行の四百二十円が五百二十円にそれぞれ改定されることとなるわけでございます。  そこで、これが高いかどうかということでございますが……(西村(章)委員現行受信料です」と呼ぶ)現行受信料についても、それから改定後の受信料についても大筋は同じだと思うのでございますけれども、これは比較の問題でございますから一概な結論を申し上げるわけにもいかぬ問題かもわかりませんが、外国の、たとえばイギリスとか西独、フランス等も、国営のようでございますけれども受信料を取っておるようでございます。これに比較をいたしますというと、現行はもちろんこれらに比較をしまして安いわけでございます。そうして、改定をされました段階においてもなおかつ安いということのようでございます。そういうことであります。
  295. 坂本朝一

    坂本参考人 なかなか微妙な御質問で、どうお答えしていいか戸惑うのですけれども、高いか安いかというふうに御質問いただきますと、私どもの方とすれば、私どもが現在サービスしている中身と比較して高くはないのではないかというふうには思いますけれども、しかしそういう言い方はかえって不遜というおしかりを受けるのではないか、要するに五十一年に改定させていただいて三年間これでやりますというお約束をしたということであれば、それは適当な受信料であったということになるのかとも思うのでございます。しかし、高いか安いかということで何かと比べればということになりますと、いま郵政大臣がおっしゃったように、同業の世界的な趨勢の中では必ずしも高くない。かつてNHK受信料と新聞の購読料が同額だったという時期から見れば、いま新聞の購読料はNHKの数倍であるという変化の中では、必ずしも高くはないのではないかというふうに申し上げられるかと思います。
  296. 西村章三

    西村(章)委員 私は、比較の問題ではなしに、主観の問題といたしまして、現在の放送をおやりになっておられる、そのことの視聴者の負担金として、NHK自身は高いと思われるのか安いと思われるのか。高くないということは安いということですね。そう理解してよろしゅうございますか。
  297. 坂本朝一

    坂本参考人 私は冒頭申し上げましたように、私どもが皆様方にサービスしている番組等の中身から言えば安いのではないかというふうに思ってはおりますけれども……。
  298. 西村章三

    西村(章)委員 いみじくも本音が出ました。安いのだからということで今回の二四%の値上げもこれはやむを得ないんだ、料金を改定するのが当然だ、こういう考え方だろうと思うのでありますが、いかがでございましょう。
  299. 坂本朝一

    坂本参考人 したがいまして、安いというのは不遜というおしかりを受けるのではないかということを申し上げたわけでございまして、安いのだから高くしてもいいだろうというそんな大それた不遜なことを考えているのではございませんで、やはり現行受信料では賄い切れないという苦しい経営環境にあるということを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  300. 西村章三

    西村(章)委員 私は、この赤字が出たという事実、これに対していろいろな対応の仕方があると思うのです。四年前の五十一年の値上げのときにもうすでに赤字になることが見込まれておったとはいうものの、やはり赤字になるということはこれは一つの企業体としてはまことにゆゆしき問題でございます。特に民間企業あたりでは、あの石油ショック以後の長い不況の中で非常な減量経営をし、骨身を削って経営の立て直しをやった、そのためにいろいろな形で経費の削減を図り減量経営に努めたわけです。そうした赤字に対してのいわゆる経営責任というものが一体どのようにとられておるのか、あるいは、特殊法人の場合営利を目的としない、こういうことでありますならば、運営責任はだれがどういう形でとられるのか、この赤字の責任の所在というものは経営委員会にあるのか、あるいは会長以下役員、運営されている皆さんにあるのか、この辺のところをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  301. 坂本朝一

    坂本参考人 業務を執行しておりますのは、われわれ会長以下理事者でございます。したがいまして、直接の経営責任というのはわれわれが負わなければいけないものであろうというふうに認識いたしております。
  302. 西村章三

    西村(章)委員 民間企業の場合は、赤字が出ましたら、やはり会社がつぶれたら大変だということで、これはトップから一番下に至るまで大きな犠牲を受けるわけでございます。先般の佐世保重工の事件がこれを端的に物語っております。昇給はしない、定昇もない、あるいはボーナスも大幅に削られるということであります。こういう状況の中にありまして、赤字が出ても、先ほどのお答えではございませんが、ややもすれば安易に、料金が安いのだから値上げをすればそれで済む、そこまで私は申し上げませんけれども、そういったような感覚で経営の任務に当たられたらたまらない。むしろ私は、赤字が出たのであれば、それなりに役員さんは責任をおとりになる、あるいは給与なりボーナスなりそういった管理職の手当等の返上もあえて辞さない、これくらいの気持ちがあっても私はしかるべきだと思うのです。この辺に特殊法人と民間企業のあり方、もちろんその性格はおのずから異なるわけですけれども、いわゆる経営姿勢に対する厳しさの問題が欠けておるのではないか、かように考えられるわけであります。会長の御見解、いかがでございましょう。
  303. 坂本朝一

    坂本参考人 そういう御指摘については謙虚に反省したいと思いますが、ただ多少言いわけをお許しいただければ、三年ということで受信料改定をお願いしたわけでございますけれども、世の中の経済状態等の経過もございまして、ともかく四年、五十四年度まで受信料値上げをせずに努力したという点につきましても、ひとつ御理解いただけたらありがたいと思う次第でございます。
  304. 西村章三

    西村(章)委員 その料金値上げの抑制に努められたことも私ども全くなかったとは申し上げません、それなりに努力をされたことだと思います。ただ、最近非常に公共料金を中心にした物価上昇という機運が醸成をいたしておりますし、政府みずからもこの物価抑制をどうするかということが最大政策課題になっておるわけでございます。したがって、そういう観点から今回の値上げというものは好ましくない、このことだけははっきり申し上げておきたいと思うのです。  そこで、経営姿勢の問題ですが、やはり経営努力というものは、まずむだをなくすということ、経費の節減を図っていく、機構を簡素化する、限られた予算の枠内で最大効果を上げるように、しかもなおその上で収支のバランスを保つ、こういうことが必要であります。NHK受信料収入で支えられているのでありますが、収入の伸びが余り今後は期待ができない、それならばそれなりに、その収入に見合った限度内で経営を行う、こういう努力国民のための公共放送としての至上命題であり、筋だと私は思うのであります。物価上昇、それに伴う経費の増大、それなりに私は理解ができますけれども、その他の面において経費の節減をどう図っていくのか、収支のバランスを保つような努力をどうしていくのか、こういうことだと思うのですね。私はいまのNHK経営のあり方を見ておりますと、どうも支出に合わせて収入を考えていく、不足をすればそれは値上げという発想につながってしまって、ややもすれば安易な値上げにつながっていく、こういうような感じがしてならないわけであります。したがって、私は厳しい経営姿勢、まずその中でもトップの方が毅然たる厳正な姿勢で経営に当たられることが何よりも肝要だと思います。もう一度御見解を承りたいと思います。
  305. 坂本朝一

    坂本参考人 先生指摘のとおりで、私どもの姿勢その他について、皆様方の御批判を仰がないように厳正に保つということが当然かと思いますけれども、ただ、御指摘のございましたように、赤字になるから安易に値上げするというような、そういうことは毫も考えておりませんし、そんなことで世の中は通らないという認識は持っておるつもりでございますので、今後の長期ビジョン等によって、安易な値上げに走らないような方策ということを考えなければならないのではないだろうかということをこの席でもしばしば申し上げておるとおりでございます。
  306. 西村章三

    西村(章)委員 経営努力ということで経費の節減もされたこともございましょう、あるいは管理費、特別資金というような見直しもされたこともあると思うのでありますが、五十四年に赤字が必至だ、こういう情勢の中で五十二年度の決算を見てまいりますと、各職場で約四%の経費の節減をされた。たまたま円高という問題もございましたけれども、経費節減がわずか四%でありまするけれども、五十億円も浮いたということを伺っておるわけであります。そういう意味からいたしますと、今回の場合も当然こういった経費節減にいかに取り組まれていこうとなさるのか。私はあえて申し上げるわけじゃございませんけれども、たまたま先般の二月の二十八日ですか参議院の決算委員会で、NHK役員の退職金がきわめて高い乗率を採用しているという指摘がございました。この問題につきましても、私はそういう気持ちで取り組んでもらいたいし、役員退職金も現状の基準を超えた乗率では、これでは国民は納得いたしません。したがって、これを再検討するようにぜひお願いをしておきたいと思うのです。再検討していただくお気持ちがございますか。どうでございましょう。
  307. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKの退職金につきましては御指摘の点がございまして、それは他の特殊法人等の月報酬等との比較などもございまして、一概に退職金のところだけの手直しというわけにもいきかねるかと思いますけれども、そういうことについて御承知のように経営委員会にお諮りして決めていただくということでございますので、そういう点を十分認識して今後の五十五年度以降の経営委員会の議事の中でお諮りしていきたいというふうに考えております。
  308. 西村章三

    西村(章)委員 特に今回の三カ年の計画の中では、いわゆる効率化施策の推進といたしまして、組織の見直しあるいは機構、制度の見直し、こういうものも含めて前向きの姿勢をとられております。私はそれなりに評価をいたしておるのでありますけれども、特に今回はいわゆる目玉的な要素として千二百人の要員削減、これを提示されておる。  そこで私は申し上げたいのでありますが、五十五年から五十七年の三カ年間で赤字の予測はおよそ千五百九十一億円ですか、この千二百人の要員削減、三カ年間でたしか六百人だと伺いましたが、これで浮く経費の削減というのはおよそ四十億だと聞いております。およそ四十億ということになりますれば、この三年間の赤字分、これは年間に直しますと約五百億、これの一割近い数字になるわけでございます。この要員削減というものはきわめて慎重に扱わなければならぬ問題であります。民間企業におきましても、減量経営のやり方、これはいろいろございまするけれども、まず、むだをなくしていくということから始まるわけでございまして、要員削減というのは雇用の基本にかかわる問題であります。解雇という形をとらざるを得ないということになるわけでございます。これは働く人々にとってはきわめて脅威でございます。一番の脅威でございます。したがって私は、最後の手段としてこの要員削減をお出しになるというならまだ話はわかるのでありますが、今回の場合は、まだまだほかにも経費を削減するだけの余裕がある、にもかかわらずこれを前面に押し出してきて、あたかも目玉の商品のようにお出しになった意図というのは一体どこにあったか、不可解でならぬわけであります。いかがでございましょう。
  309. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  先生の御指摘のとおりに、この要員の削減というのは非常に重要なことでございますし、また一方、過去三年間にわたりましてもあるいは五年間にわたりましても、いままで協会としては、四十七年以来、業務の増高というものに全部要員を効率化することによって対応してきたという歴史を持っております。したがいまして、さらに要員を削減するということはなかなか容易なことではないわけでありますが、あえてこれに踏み切ろうといたしましたのは、実は受信者といろいろなところでお目にかかり、あるいは受信者の要望というものを伺いますときに、受信者から協会に対する御要望というのは二つございます。一つは、やはりよりよいサービスをしてほしい、こういう要望でございます。それからもう一つは、効率的な経営をしてほしい、この二つの要望でございます。われわれとしては、この二つというものをどうしても受信者の要望として受けとめて、そしてこれからの経営に資していきたい、こう考えたわけでございます。  われわれとしては、いままででもつらいところでございますけれども、なおかつそういう受信者の要望に立てば、われわれのいまの仕事のやり方というものをもう一遍見直して、そしてそれを効率的にする道はないか、こういうふうに考えたわけでございます。そういうことで、いま先生がおっしゃいましたとおりに千二百人でございますけれども、とりあえず前半は六百人にとどめたい。これはいままでいろいろ効率化ということをやってまいりましたその後でございますから、アクセルを踏みましても急に加速はできません。しかし一方では、やはりわれわれの身の回りの仕事のやり方というのを少しでも効率のいいようにしたい、こういう宿命がある、こう存じますので、それでわれわれとしては前半に六百人という効率化を考えたわけであります。
  310. 西村章三

    西村(章)委員 人を減らして初めていい番組がつくれるのかどうか、私もはなはだ疑問とするところでございます。先ほども申し上げましたように、いわゆる解雇、これは最後の手段としてお考えになるべきことであって、もっともっとほかに経費の削減をやるべきところがないかということをお尋ねするわけでございます。このことを前面に出したのは、あたかも今回の値上げと引きかえに、これだけの減量経営をやりますよという、いわば見せかけの目玉にしていはせぬか、こういう気もしてならないわけでございまして、あえてその辺をお尋ねしたわけですが、この計画は年度別にはもう決まっているのですか。人員の計画ですね。
  311. 武富明

    ○武富参考人 何分にも重大な問題でございますので、まだ計画というところまで固まっておりませんけれども、一応の目標値としては、年度ごとに決めております。
  312. 西村章三

    西村(章)委員 その年度ごとの数を明らかにしてください。
  313. 武富明

    ○武富参考人 お答えいたします。  五十五年度から五十七年度までの三年間は、初年度は百、来年度は二百、その次が三百、これを一応めどとしてやってまいりたいというように考えております。それから後は三百ずつやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  314. 西村章三

    西村(章)委員 人の一生にかかわる問題でございまするから慎重に検討して、なるべくそういう犠牲を出さないで、他の面で経費の節減を図るように私はお願いをしておきたいと思います。  次にお尋ねしたいのでありますが、その経費削減の一つといいますか、あるいはNHK放送法によりまして非常に義務づけられている多くの問題がございます。そのために多額の経費も必要とする多くの課題があるわけであります。たとえば国際放送でありますが、これは放送法の第三十三条、大臣命令によってNHKがおやりになっておる。政府負担金は若干昨年度より上がりましたけれども、まだまだ十分ではない。むしろ約半分以上がNHK負担だ、こういうことになっておるのであります。  そこで、大臣にお尋ねをいたしますが、国際放送というものは本来、いま便宜的に公共放送としてのNHKがあれしておりますけれども、国がこの経費は負担するべきであると思います。国際放送の関係交付金、これを増額するお気持ちはございませんか。
  315. 平野正雄

    平野政府委員 先生承知のように、放送法におきましてはNHKみずから行う国際放送と郵政大臣が下命して行う国際放送とに分かれておりまして、郵政大臣が下命して行う国際放送につきましては、ただいま御指摘のように実は年々努力をしてまいっておりまして、五十五年度におきましても、きわめて厳しい財政事情の中で国際放送交付金は九億四千三百万円でございまして、前年度より一三・二%ふえております。約一億一千万円の増となっておるわけでございます。この率は、御承知の一般会計の歳出の伸びが五・一%に比べましてもきわめて高い率になっているわけでございまして、国際放送の充実強化につきましては、その重要性にかんがみまして鋭意努力をしてまいっておるわけでございます。しかしこれをもって足れりとするわけではございませんので、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  316. 西村章三

    西村(章)委員 今後、交付金の増額につきましては一段の御努力をお願いしたいと思います。  これと関連をいたしまして、難視解消、これも同様に放送法の第七条によりまして、NHKがあまねく日本全国の受信を可能にするような改善対策費、こういうものの支出があるわけであります。これも本来国の負担で当然やるべきことでありまして、電波行政を管理する国の責任で行うのが当然だと思うのであります。現在一部負担をされているようでございますが、辺地の方はほとんどNHKがサテライト局だとか共同受信機、こういうものを設置されておやりになっておる。これにつきましても郵政省はもっと前向きに取り組んでもらいたいと思うのですが、局長さん、いかがでございますか。
  317. 平野正雄

    平野政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、放送法によりましてNHK放送の全国普及義務が課せられておるわけでございまして、これを達成するために必要な置局等の経費は受信料をもって充てていただくということになっておるわけでございます。しかしながら、辺地における難視聴解消の促進を図るという問題は当面の郵政省最大課題一つでございますので、地元住民が設置する辺地共同受信施設の建設費の一部の補助を昨年度から実施をいたしまして、今年度もおかげさまで予算が成立したところでございます。  また一方、先生承知のように五十八年度には実用の放送衛星が打ち上がりまして、NHKがその実用の放送衛星を使用いたしまして、主として辺地難視のために使用するということに相なっておるわけでございます。これにつきましても、全額NHK負担をするわけではございませんで、国が四割を分担をする、こういう形になっておるところでございます。
  318. 西村章三

    西村(章)委員 難視の解消、これと関連をいたしまして、いま局長が答弁をされました放送衛星の打ち上げ、これは難視解消にどれほどの効果をおさめることができるのか、これが一つ。それから、放送衛星そのものの耐用年数、寿命といいますか、こういうものは半永久的ではない、限られておる、それが一体何年ぐらいもつものなのか。さらにいま国が四割持ってNHKは六割だ、こうおっしゃいました。NHKが出資金なりあるいは打ち上げ費も含めて全体の約六割持つわけですね。この根拠は一体どこに置いておられるか、お答えいただきたい。
  319. 平野正雄

    平野政府委員 まず最初の放送衛星によりまして難視がどの程度解消できるかという御質問でございますけれども、現在考えております放送衛星は静止軌道に打ち上げる、そして現在実験用の放送衛星が打ち上がりまして鋭意実験中でございますけれども、実は日本から見まして南西方向、スマトラ上空あたりに打ち上げる予定にいたしております。したがいまして、現在実験中の放送衛星によりましても、日本全国の日の当たる場所、太陽光線を受けることのできる場所、これは実は衛星からの電波の受信が可能になるわけでございます。したがいまして、まずよほどのことがなければ、また場所が若干ずれておりますような場合でございましても、受信機をフィーダーによってアンテナと離す、適当な場所にアンテナを設置するということにいたしますならば、難視解消が可能になる。現在私ども考えておりますのでは、数メーターないし十数メーターのフィーダーを張ればほとんどの場所で放送の受信が可能になる、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、耐用年数でございますけれども、いま実験中の放送衛星は実は寿命三年というふうに考えております。この衛星の寿命は、先生承知のようにほとんどが搭載いたします燃料によって決まるわけでございまして、燃料がふえればふえるほど衛星が大型になりまして、製作、打ち上げに経費がかかる、こういうことでございます。しかしながら、五十八年度打ち上げを予定しております実用の放送衛星につきましては、現在打ち上がっております実験用の衛星の機能をほぼそのまま受け継ぐような衛星を考慮いたしておりますけれども、これからの検討結果にもよるわけでございますが、寿命はほぼ五年を考えたい、こういうふうに考えております。たとえばインテルサットのような大きな衛星でございますと、まだ大体十年とはなっておりませんけれども、だんだん十年に近づいておる、こういう状況でございます。  それから三番目の、放送衛星の製作、打ち上げ経費をNHKに六割負担させるのはどういうわけだ、こういう御質問かと思いますけれども、すでに御承知のように、わが国における宇宙開発でございますが、その中の衛星放送技術の開発につきましてはすでに多額の国費を投入いたしまして、先ほど来申し上げております実験用の放送衛星を打ち上げて実験を実施しておるわけでございまして、その成果を踏まえて実用の放送衛星計画を進めるというのが国の政策でございます。実用第一世代の放送衛星につきましては、まず一つには、わが国としての衛星放送技術の開発に資する必要がある。まだどこへ行っても買ってこれるという段階に実はなっていないわけでございますので、開発に資する。次に、打ち上がった衛星を放送事業者たるNHKが実用に供することを目的にする、こういうことでございますので、打ち上げ所要経費につきましては、国の財政状況等も勘案をいたしまして、国が四割、NHKが六割の分担をするということに決定をいたしておるわけでございます。
  320. 西村章三

    西村(章)委員 時間がどんどんとたっていきますので、次の問題、これと関連をいたしましてNHKお尋ねをしたいわけでございます。  モスクワのオリンピックがいよいよことしの夏に近づいておるわけでございます。現在アフガンの情勢等いろいろな要素がございまして、日本の参加、不参加は別な問題でございまするけれども、このモスクワ・オリンピックの放映独占権を朝日テレビがお持ちになった。朝日テレビの方からNHKに今日まで何らかの放映についての勧誘等の話し合いというものがあったのかどうか、これが一点。あったといたしますならば、どの程度放映をされようとNHK考えておられるのか。この点についてお答えをいただきたいと思います。
  321. 田中武志

    田中参考人 昨年の後半から私自身がいろいろ向こうの方と数回お会いいたしまして、やはり公共放送としてモスクワ・オリンピックをある程度放送していきたいという希望を述べております。これに対してまだ放送計画その他が十分でありませんでしたところへ、いま先生おっしゃいましたようにアフガンの問題が起こりまして、その後、ことしに入りましてからその辺の話し合いが指しかけになっております。御存じのように、一時はロサンゼルス・オリンピックについてのNHK民放が一緒にやろうというようなことでムードが大変高まってまいったのでございますが、どうもアフガン以来その辺が指しかけということでございます。御存知のように今月の中旬ごろにIOCの方が、個人参加にするのか、認めるのか、あるいはグループ参加を認めるのかというようなこと、あるいは五月の二十四日にそれぞれの国の最終エントリー、締め切りがございます。そういったところの様子も十分見ながらこれから対応していきたいというふうに考えておるところでございます。
  322. 西村章三

    西村(章)委員 次に、副次収入の増大についてお尋ねをしたいのであります。  時間がございませんからくどくどと申し上げませんが、いわゆる放送法によりましてNHKは「営利を目的としてはならない。」こういうことがうたわれております。しかし、これは増収を図るということとは全く別なことだと思うのです。その増収を図るための努力というものはもう骨身を惜しまずやっていただきたいし、何とか受信料にしわ寄せする分を割いていただきたい。これは国民の声だと思うのです。そこで、この放送法の営利を目的としないということと増収を図るということと、これをどのように受けとめておられるのか。  日本放送出版協会、これがこの十年間で非常に大きくなってきた。五倍から十倍もふくれ上がってきた。いわば出版を通じての利益というものはかなりここに吸収されておるのではないか。五十一年の値上げ以降におきましても同様の団体が、NHKプロモートサービスあるいはNHK文化センター、これが陸続としてつくられておる。したがって、営利を目的としないから赤字になって、そのしわ寄せが全部視聴者に行くのだという物の考え方は許されないわけでございます。そこでいまのお尋ねをしたわけでございますが、営利を目的としないということと増収をいかに行うか、そのためにはあえて出版もNHK自体がやる、これくらいの気持ちは持っていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  323. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 営利を目的としないということと増収を図る、確かにNHKは営利を目的とした行為というのはできないわけでございますけれども受信料以外の増収を図っていくということは当然考えなければならないことでございまして、五十五年度から五十七年度までの三カ年におきましても、放送番組の二次使用に関するもの、それから放送テキストの出版に関するもの、それから特許実施許諾料、それから技術協力というふうなもの、あるいはNHKホールの外部への貸与、そういう収入というふうなもので、三カ年で二十七億の計画を立てております。これは過去五十一年から五十三年度の三カ年の計画におきましては約十九億六千万円でございました。それに比べて約八億余りの増収を三年間で図るという計画を立てておる次第でございまして、可能な限り副次的な収入もふやしたいというふうに考えております。  先生先ほど御指摘になりました放送出版協会、確かに好成績を上げております。あとのプロモートサービスであるとかあるいはNHK文化センターであるとか、これはNHKの業務と直接かかわりのない仕事をやっておる会社でございまして、ただ、発足いたしましてからまだ一、二年しかたっておりませんので、ほとんど利益を上げていない。文化センター等はまだ赤字でございます。出版協会は確かに好成績を上げております。ただこれは株式会社でございますので、ここでやっております出版事業をそのままNHKに吸収いたしまして同じような収益が上げられるか、利益が上げられるかということになりますと、そうはまいらない。営利的な行為はできないわけでございますから、そうはまいらないということでございます。それから、出版事業と申しますのは放送事業と全く異質の事業でございまして、その販売は出版の流通機構に非常に依存しておりますし、それから出版の仕事におきましては、印刷、製本等の関係業者及び取次販売店あるいは小売店、そういう流通関係の組織等との関係が非常に強い業界でございますので、NHKが直接抱えるよりも、長い経験を持っておる出版協会にその事業はやらせて、現在テキストの編集料等といたしまして、五十三年度で約三億二千万円をNHKが出版協会から得ているわけでございまして、これが五十五年度からは約四億から四億五千万円ぐらいを一応見込んでいる、そういう形で、NHKがテキストの編集料あるいは原稿料という形で収入として受け取るという方が効果的ではないかというふうに考えております。
  324. 西村章三

    西村(章)委員 これはもっと突っ込んだ議論をしなければならないわけでありますが、営利というのは一般に会員や設立者に利益が帰属することを言うのでありまして、NHKには配当というものがないわけであります。とすれば、たとえばNHK放送法第九条二項三号、これによりまして放送テキ、ストの出版を行って正当な利益を得たとしても、それは営利に当たらないのではないか。さらに、時間がございませんので続いて言いますが、NHKは出版協会よりテキストの編集料や著作権料を受け取っている、いまおっしゃったとおりでございます。これは利益に当たらないのかどうか。いま申し上げたことが利益に当たらないとすれば、NHKがみずからテキストを出版することもあえて問題ないではないか、私はこう解釈するのですが、いかがでございましょう。
  325. 中塚昌胤

    ○中塚参考人 このテキストの編集料あるいは原稿料というのは実費でございます。NHKがテキストを発行するということ自体は法律上できるというふうに私は考えております。
  326. 西村章三

    西村(章)委員 時間が参りましたので、最後に私は、今回の値上げ、また三年後には再び赤字が見えておる、こういう状態の中でNHKが本当に公共放送としての使命を果たすためには、まず経費の削減、減量経営、さらには経営の効率化、こういったものに大いに努力をしていただきまして、何としても視聴者にしわ寄せをしない、第二の国鉄にさしてはならぬ、こういう気持ちで懸命に努力をしていただくようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  327. 小林進

    小林委員長 次回は、明十日午前十一時理事会、正午委員会を開催することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会