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1980-03-06 第91回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月六日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 塩谷 一夫君    理事 石川 要三君 理事 大石 千八君    理事 中村 弘海君 理事 松野 幸泰君    理事 小川 省吾君 理事 神沢  浄君    理事 小濱 新次君 理事 三谷 秀治君    理事 河村  勝君       池田  淳君    小澤  潔君       亀井 静香君    亀井 善之君       岸田 文武君    北口  博君       工藤  巖君    椎名 素夫君       丹羽 雄哉君    井岡 大治君       河野  正君    細谷 治嘉君       小川新一郎君    斎藤  実君       吉井 光照君    部谷 孝之君       田島  衞君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     後藤田正晴君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       山田 英雄君         警察庁交通局長 杉原  正君         警察庁警備局長 鈴木 貞敏君         自治大臣官房審         議官      久世 公堯君         自治省行政局長 砂子田 隆君         自治省行政局公         務員部長    宮尾  盤君         自治省財政局長 土屋 佳照君         自治省税務局長 石原 信雄君         消防庁長官   近藤 隆之君  委員外出席者         自治省財政局財         政課長     津田  正君         地方行政委員会         調査室長    岡田 純夫君     ――――――――――――― 委員異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     工藤  晃君   田島  衞君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     田島  衞君 三月一日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     安藤  巖君 同月三日  辞任         補欠選任   安藤  巖君     工藤  晃君 同月四日  辞任         補欠選任   亀井 静香君     荒舩清十郎君   北口  博君     江崎 真澄君   河野  正君     大原  亨君   小濱 新次君     坂井 弘一君   部谷 孝之君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   荒舩清十郎君     亀井 静香君   江崎 真澄君     北口  博君   大原  亨君     河野  正君   坂井 弘一君     小濱 新次君   塚本 三郎君     部谷 孝之君 同月五日  辞任         補欠選任   椎名 素夫君     菊池福治郎君   丹羽 雄哉君     田中 龍夫君   吉井 光照君     西中  清君   工藤  晃君     寺前  巖君   部谷 孝之君     春日 一幸君   田島  衞君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   菊池福治郎君     椎名 素夫君   田中 龍夫君     丹羽 雄哉君   西中  清君     吉井 光照君   寺前  巖君     工藤  晃君   春日 一幸君     部谷 孝之君   山口 敏夫君     田島  衞君 同月六日  辞任         補欠選任   小川新一郎君     西中  清君   吉井 光照君     二見 伸明君 同日  辞任         補欠選任   西中  清君     小川新一郎君   二見 伸明君     吉井 光照君 同日  理事小濱新次君同月四日委員辞任につき、その  補欠として小濱新次君が理事に当選した。 同日  理事加藤万吉君同日理事辞任につき、その補欠  として神沢浄君が理事に当選した。     ――――――――――――― 二月二十一日  過疎地域振興法案山中貞則君外八名提出衆法第四号)  過疎地域対策緊急措置法の一部を改正する法律案細谷治嘉君外三十五名提出衆法第五号)  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一九号) 同月二十六日  銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律案内閣提出第五二号)(予) 三月六日  過疎地域対策緊急措置法の一部を改正する法律案(小濱新次君外三十二名提出衆法第一〇号) 二月二十一日  過疎地域対策緊急措置法期限延長に関する請願小沢辰男紹介)(第八三九号)  消防用設備等保守業者登録制度に関する請願鯨岡兵輔紹介)(第八七一号)  過疎地域対策緊急措置法改正に関する請願小沢貞孝紹介)(第九〇九号)  同(清水勇紹介)(第一〇一六号)  同(中村茂紹介)(第一〇一七号)  同(林百郎君紹介)(第一〇一八号)  地方自治体財政確立等に関する請願池田克也紹介)(第九三六号) 同月二十五日  過疎地域対策緊急措置法延長及び充実強化に関する請願井出一太郎紹介)(第一二〇〇号)  同(小川平二紹介)(第一二〇一号)  同(小沢貞孝紹介)(第一二〇二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一二〇三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一二〇四号)  同(小坂善太郎紹介)(第一二〇五号)  同(清水勇紹介)(第一二〇六号)  同(下平正一紹介)(第一二〇七号)  同(中島衛紹介)(第一二〇八号)  同(中村茂紹介)(第一二〇九号)  同(羽田孜紹介)(第一二一〇号)  同(宮下創平紹介)(第一二一一号)  過疎地域対策緊急措置法改正に関する請願下平正一紹介)(第一三一七号)  同外一件(清水勇紹介)(第一三一八号) 同月二十六日  過疎地域対策緊急措置法延長及び充実強化に関する請願(林百郎君紹介)(第一三八三号) 三月一日  行政書士法の一部改正に関する請願池田淳紹介)(第一五二三号)  同(渡海元三郎紹介)(第一五二四号)  過疎地域対策緊急措置法改正に関する請願外一件(清水勇紹介)(第一五七七号) 同月三日  退職地方公務員共済年金恩給等改善に関する請願伊賀定盛紹介)(第一七二七号)  同(渋沢利久紹介)(第一七二八号)  同(伊藤茂紹介)(第一八三〇号)  同(井上普方紹介)(第一八三一号)  同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第一八三二号)  同外二件(佐藤観樹紹介)(第一八三三号)  同外二件(佐藤誼紹介)(第一八三四号)  同(関晴正紹介)(第一八三五号) は本委員会に付託された。 二月二十一日  過疎地域振興対策に関する請願粟山明君紹介)(第五五七号) は去る六日建設委員会に付託されたが、これを本委員会に付託替えされた。     ――――――――――――― 二月二十一日  退職教職員福祉向上に関する陳情書外七件(第九二号)  過疎地域振興のための法律制定促進に関する陳情書外一件(第一一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出第一九号)  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ――――◇―――――
  2. 塩谷一夫

    塩谷委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についてお諮りいたします。  理事加藤万吉君から、理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塩谷一夫

    塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  ただいまの理事辞任に伴う欠員一名及び委員異動に伴う欠員一名、計二名の理事欠員になっておりますので、その補欠選任を行うのでありますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 塩谷一夫

    塩谷委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長は       神沢  浄君 及び 小濱 新次君 を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 塩谷一夫

    塩谷委員長 地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小濱新次君。
  6. 小濱新次

    ○小濱委員 地方時代と言われる八〇年代最初自治大臣であり、しかも経験豊かで、八〇年代を切り開くにふさわしい大臣だと私どもも大いに期待をいたしております。  日本国憲法では、地方自治に関する基本的な事項を規定し、地方自治を尊重すべきことをうたっております。今回、地方時代と言われるように、八〇年代は地方自治にとってきわめて大事なときを迎えた、こう思います。地方自治の発展の上にいかに国づくりを推進するかということが憲法の精神にもかなうものであり、第十七次地方制度調査会答申もこの認識前提となっていると思います。大臣の八〇年代における時代認識をぜひこの際お聞かせいただきたい、このように思います。
  7. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 八〇年代といえば、よく世間では不確定時代である、かように言われておりますけれども、私は政治の場にある者としては、不確定時代であるという言葉に甘えて先見性のない政治は絶対にやるべきでない、やはり政治は先を見て、国民の皆さんに目標を示して、進んでやっていくべきものである、かように考えますが、そこで八〇年代で、不確定時代でありながら、何が一番はっきりしておるか、それはやはり一つはエネルギーの問題であると思います。もう一つは、老齢化が急激に進む時代である。この二つを踏まえて、日本の産業の構造あるいは経済の変革、これにどう対処していけばいいのであろうか。同時にまた、それに対処するためには、やはり何といっても経済情勢は厳しい、こう認識せざるを得ませんので、ならば、それに対応して経済の安定をどう図っていくのか。同時に、国全体の組織機構をどのように再編成すればいいのか、こういうのが大きな課題であろう。その際に、私ども地方行政に携わる者としては、今日の国全体の統治機構の中で、国と地方との関係、さらには国、地方と民間との関係、こういうような点について見直しをやらなければならない時代であろう、かように考えるわけでございます。  そこで、従来から制度としては私はわりあいりっぱにできておると思いますし定着もしておると考えております日本のこの地方自治制度、しかしながらその中身を見ますと、とかく財政面における弱点といいますか、それが従来目立っておる。その関係でやはり国の側から、せっかく自治制度はりっぱにできておるのだけれども財政を通じてのいわば不必要といいますか過剰なといいますか、介入がとかく行われておって、せっかくの地方自治制度が完全に運営をせられておるとは私は見ておりません。そういうような意味合いから、この地方自治制度を国全体の仕組みの中で、どのようにあの制度期待しておるような中身に持っていくのかというのが大きな課題である、かように考えておりまするので、そういう意味合いからも、同じような認識でございましょう、従来から地方制度調査会等においてもいろんな御建言を受けておりますし、ことにまた、非常によく御検討なさってくださっておると思いまするのは十七次の答申であろう、私はかように考えておりまするので、まことに微力ではございまするけれども、八〇年代の初頭に立ってこの答申実現に向かって一これは私は口で言うほどやさしい問題ではないと思います。同時にまた、相当粘り強いやり方で根気強く立ち向かっていかなければそう早急に実現できる問題とは思っておりませんけれども、あの答申実現に向かって微力ではありますけれども全力を注ぎたい、かように考えているような次第でございます。
  8. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと展望といいますか構想といいますか、お話を承ったわけでございますが、いまのお話は抽象的な答弁、このように私は受けとめてお聞きをしておったわけでございます。しかしながら、いろいろと問題点を列挙をせられました。したがって大臣として、これからこの場合地方の姿をどのように描いておられるのか、私はそうした現実の上に立って具体的な対応が初めて可能になる、こう思うのでございます。  私どもがいろいろと現地におりまして感ずることは、地方財政も緊縮型であると言う。あるいは、週休二日制の問題、大きな問題、もういろいろな問題がこれに集中して起こっておりますし、あるいはまた、人口急増あるいは過疎、あるいは超過負担の問題、そして私の方は東海地震もございますし、それからいろいろな交通災害も大変な統計を見ておりますし、こういう問題について、八〇年代、八〇年代とこう言われて迎えた厳しい八〇年代の初年度を、総理大臣からその手腕力量というものを期待されて後藤田自治大臣が御就任になったわけでございます。いままでの大臣立場とちょっと期待の度合いが違うと私は見ているわけです。したがってこれからの方向づけというもの、いつまでも自治大臣をやっておられないと思います。総理大臣になるかもしれませんが、そうなったときの時代認識から方向づけというものをきちっとここで出しておいていただきたい、こう心から念願をしているわけです。役目は実に重大だと思います。そういう点でもっともっと決意をお持ちになっておられると思いますが、その方策を明確にお示しをいただきたい、このように思います。再度ひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  9. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 大変むずかしいことでございますが、先ほど申し上げましたような基本的な物の考え方の上に立脚をしまして今日私どもがやるべきことは、一つは、国、地方を通ずる行財政の根本的な改革の一歩を踏み出すということ、もう  一つは、地方分権、これを推進をしていく、それがための手だてを一つ一つ手のつくものからやっていかなければならぬ、かように考えているような次第でございます。
  10. 小濱新次

    ○小濱委員 順次具体的な例を挙げながら御質問を続けていきたいと思います。大臣からもう少しその決意表明があればと思っておったわけですが、まことに私の期待が外れてしまったわけです。やむを得ないということで、具体的に一つ一つ例を挙げて御質問をしたいと思います。  最初権限移譲についてであります。この問題については、地方時代具体化として各県、市町村間で権限移譲が進んでおります。この問題は、自治体の基礎であり、市町村自治権の拡大をすることによって住民意思に沿った行政を進めることがねらいでありますが、地方自治体相互間の権限移譲について国側としてどのように認識しておられるのか、また、この方向をどのように促進をするお考え立場におありになるのか、これもいろいろと紙面をにぎわしておる問題でございますので、大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  11. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今日要請せられております行財政改革出発点は、事務事業見直し、これが基本であろう、かように考えます。そういった立場に立って今日の状況を見ますと、本来いえば身近な行政住民に身近な仕事というものはできるだけ住民意思を直接反映することができるような場所、つまり市町村、これが基本仕事を進めるべきであろう、私はさように考えておるのですが、こういった点でどうも事務配分というものについてもう少し手を入れなければならぬ、こう思うのです。  そこで今日、地方団体相互間、つまり県と市町村の間にも、最近のような情勢を踏まえて、県によっては真剣に取り組んでくれるような空気が生まれて、現に着手せられておる県も相当ございます。非常にいいことだと思いますが、それは県限りでいまの法制上できる限度にとどまっておるのです。基本は、こういうような見直しというのは、法令によって決まっておるわけですから、法令から手を入れなければならぬ。だとするならば、ただいま申したような事務配分をスムーズにやるためには中央政府、つまり各省がそういったことに認識を深めて法令そのもの見直しをしないと、完全な意味合いでの事務事業見直しということはできないであろう、かように考えます。  ところが現在は逆で、何でも中央くちばしを入れなければ世の中はうまく仕事がいかぬ、こういうような物の考え方が横溢しているように思います。ここらはいま言われておる国、地方を通ずる行財政改革の根っこの問題ですから、単に一つ役所をなくするなどというのは、考え方としてはやむを得ないのでああいう発想になるのでしょうけれども、これは基本が間違っておる。基本はやはり事務事業見直し、これが基本だ。その上に立って機構に手を入れていく、同時に人に手を入れていく、そして最後は金に及んでいく、こういう手順でなければならぬ。それには法令そのもの見直しからやるべきであろう、かように考えておるわけでございます。
  12. 小濱新次

    ○小濱委員 私もお聞きしておりまして、いま少し手を入れなくてはならないというのではなくしていま大臣の言われましたように、法制度改正まで何としても持ち込んでいかなければ、この問題の解決は見られないというような感じを深くしております。受け入れ側市町村総論賛成、各論となるとなかなかむずかしい、これが現状になっております。権限移譲については、市町村対応状況から、この移譲に伴う負担の増などで戸惑いを生じているわけです。いま大臣の言われたとおりです。人をふやせあるいはまた財源をよこせ、そしていろいろと問題の地域もある、あるいは、もうすでに各県でもどんどんとこの作業を進めている、そういう県もあるわけです。したがってこの改正まで、地域の実績に基づいて地方から国に働きかけられるまで待っているのかということ、いま少し手を入れてということはこういうことにつながるのではないか、こう見ているわけですが、やはり法改正まで進めるその態度、この姿勢が最も大事だ、こう思うわけでございまして、大臣の決断が必要になってくると思うわけです。いかがでしょう、もう少しこのことについてのお答えをいただきたい、こう思います。
  13. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 仰せのとおりでございますが、これはなかなか口で言うほどやさしい問題だと私自身も思いません。これは内閣全体が取り組まなければならぬし、各政党全体にそういうお気持ちで御支援を願わなければならぬと思います。率直にいいまして自治省は憎まれ者の役所なんです。気風全体が先ほど言ったように、本来地方分権を推進しなければならぬのにかかわらず、一々地方までくちばしを入れたいのが各省立場でしょうから、これは一九対一になるのです。そういうようなことでございますので、私は私なりの決意は持ってやりますけれども皆様方の格段の深い御理解、御支援をお願い申し上げたい、かように思います。
  14. 小濱新次

    ○小濱委員 前委員会でも同僚の小川委員からの質問で、四閣僚関係性をわれわれ伺いました。そこでこれは内閣の問題だという話もございました。私もそうだと思います。これは四閣僚間の問題にとどまる内容ではない。したがって、当然これは各党もこぞって応援をしなきゃならならない、そういう決意は持っておりますが、大臣は憎まれ自治省、こういまおっしゃったように聞いておったんですが、いいじゃないですか、うんと憎まれても。大蔵省の顔色をうかがってどうのこうのなんという悪口もありますけれども、大いに憎まれ自治省になっていただいて、期待の大きい後藤田自治大臣であるということで、これからの時代認識から方向づけというものをこうやるんだ、やらせるんだ、こういうことで、何というのですか、きょうだいの多い中で次男坊は暴れん坊だ、こう言うんだそうですが、暴れん坊の次男のような立場に立って大いにひとつ活躍をしていただきたいな、こういう気持ちをわれわれは持っておるわけでございます。どうか一層の御努力をこれは要望いたしておきたい、こう思います。  さらに、国、地方間の事務配分の問題についてお尋ねをしていきたいと思います。  これは大臣所信表明七ページの四行目、「国と地方公共団体との適切な機能分担を図り、国、地方を通ずる行政簡素効率化を進めるとともに、地方公共団体地域振興整備について総合的に対応できるよう自主的で責任のある地方行政を確立する必要があると考えます。このような見地に立って国と地方公共団体との事務配分等について引き続きその改善に取り組んでまいりたいと存じます。」このようにおっしゃっておられました。  国の出先機関の存在による弊害補助金行政弊害は、これまでこの委員会でもどのくらい言い尽くされてきたかわからないわけでございます。すでに県と市町村とではスタートしているし、地方団体の中における事務配分はかなり具体的に進行をしております。一方、国と地方の間の事務配分権限移譲余り進展は見られない。八〇年代における地方時代あるいは地域振興を図るためには、まず国と地方間のこれらの問題解決にはいまや実行の段階、こう私ども考えているわけでございますが、今後の方策、お考えをこれも聞かしておいていただきたい、こう思います。
  15. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるような考えのもとに現在、政府としても行財政改革に取り組んでおるわけでございます。  そこで、地方に関連する事柄については四閣僚でやる、こういうことになっておりますが、その一つはやはり何と言っても、いま私は補助金というものは性悪説に立っておりません。補助金はやはり国の施策を進めるために必要であるという前提に立っておるんですけれども弊害が目に余るという面がございますので、補助金整理をひとつやらなきゃならない。同時に、国の過剰介入、それの一つの手段としてあるのが、現在官吏の身分といいますか国家公務員身分を持った職員が県の組織の中におるという問題、あるいはまた地方に対する不信感といいますか、私はそれが背景にあるように思うんですけれども、国の出先機関県内に余りにも多過ぎるといったような問題、こういうような問題からひとつ手をつけていこう、こういうことで、補助金については御案内のように今日、三千八百件も補助金の項目がございます。それを四年間のうちに一千件くらい減らそうではないかという件数整理。しかし、金額がふえておるので意味がないじゃないか、こういう御議論がありますけれども、私はそうは思っておりません。件数が減るということで金額が同じであるということは、補助金の一種のメニュー化とでもいいますか、あるいは統合化に進まざるを得ないわけですから、これはやはりそれだけの進展があるわけですから、そういうような意味合い補助金には手をつける。同時に、スクラップ・アンド・ビルドもやる、またサンセット方式を導入するといったようなことで取り組んでおるわけでございます。地方の県庁なんかにおるいまの国家公務員、これについては六月三十日までに目鼻をつけようという方針でも臨んでおるわけでございます。また、県内にある国の出先機関、これについても、現業等を担当している面は別として、そうでないものについてはやはり六月三十日までにけりをつけよう、こういうことでやっておるわけでございます。  ただこれも、いよいよやり出したらなかなか容易ではないと私は覚悟しておるのです。それは先日も参議院でいろいろ御質疑がありましたが、登記所一つ整理するというのに大変な大騒ぎをいましていますね。しかも四十六年から五年間という計画で登記所整理にかかったところが、今日まだその整理は、完了どころの騒ぎじゃない、まだ半ばであるといったようなことですから、先ほどお話があったように、こういう問題すべてが、総論賛成だけれどもいよいよとなると、やれよやれよと言っておった人たちが案外、置けよ置けよということになるわけなんですね。ここらが私はこの問題の一番厄介な問題だという気がします。  ことに、地方団体に対しても私は多少言いたいことがあるんです。たとえばブロック機関を整理をする、そして地方制度調査会答申等の中にはそれをうたっておられる。ところが、それをいよいよ政府がやろうとなると今度は、地方団体の長が先頭に立って、それは困るという陳情をやられる。ここらにこの問題のむずかしさがあると私は思いますが、そういったむずかしさはむずかしさとしながらも、もはやここまで来ればそういったことが許されない時期にだんだん入ってきたなと思います。そういうようなことで、こういうチャンスをとらえて一つ一つできるものから解決をしていきたい、かように考えております。
  16. 小濱新次

    ○小濱委員 大臣決意の一端をお聞きすることができたわけでございますが、大変な時代に選ばれて大臣になられましたんで、大いにひとつ御活躍を心から期待をしておきたい、こう思います。  第十七次地方制度調査会答申でございますが、これが出されましてからもう六カ月間も過ぎておりますが、この答申のうちに具体化されたものがあるのか、また、今後どのように対応考えておられるのか。これは内容も持ってきておりますが、時間もありませんので詳しくは申し上げませんが、提言倒れに終わらないように、こういう注文も出ております。お答えをいただきたい、こう思います。
  17. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がございました第十七次地方制度調査会答申に関しまして、具体的にやっておりますことは、この答申にもありますように、国と地方とにおける事務の改善の措置の問題がございまして、現在各省からいろいろな法案の審議が参っております。その中で、地方制度調査会から答申を受けました事項がなるべく具体化されるように、国と地方とが共同的、並立的に動けるように、そういう形でいま努力をいたしているところであります。そのほか、この中に二、三の具体化しなきゃならぬ問題もありますが、法律的な詰めが若干残っておりまして、その点でむずかしさがあって現在のところ実現していないところもございます。  なお、監査委員の問題でありますとか議員の定数の問題でありますとか組織形態その他の問題につきましては、第十八次地方制度調査会の方に付されておりますので、今後の答申あるいは審議の動向を見ながら具体化をしていきたいというふうに考えております。
  18. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、超過負担についてでありますが、今日の中央集権的行財政構造の象徴的なものは何といっても補助金行政、これは先ほど大臣からお話もございました。これはまた、地方超過負担を生じさせ、国と地方との財政秩序を乱している。この超過負担の解消について、これまで何回もこれを論議されてきた問題でございますが、五十五年度も百七十三億円の解消にすぎず、一向に完全解消の兆しが見られない、こういう状態になっているわけです。大変な緊縮財政の中ですけれども、この問題についてやはり御答弁をいただいておきたい、こう思います。
  19. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、この超過負担の問題は、国と地方との財政秩序を乱すだけではなくて、地方に過重な負担をしょわせておる、こういうことがございますので、私どもとしては従来から関係省庁に強くこの是正を要請をしてまいったわけでございます。そういったことで、年次的に追ってまいりますと、各年次ごとにかなり是正はされてきておるわけでございますけれども、御承知のように超過負担中身をめぐって各省庁いろいろ意見があるわけでございます。そういったことから私どもとしても、これは議論ではだめなので、やはり実態調査を踏まえて是正していかなければならないということで、大蔵、自治あるいは関係各省庁によります実態調査を行いながら、その結果に基づいて解消に努めてきたところでございます。しかしながら御指摘のとおり、まだその問題が完全に是正されておるとは思っておりません。今後とも地方団体の意見を聞きまして、また、社会経済情勢の変化とか施設水準の推移等に配意しながら、関係省庁と連絡を密接にとりながら、超過負担を生じないように、またあるものは是正するように努力をしてまいりたいと考えております。
  20. 小濱新次

    ○小濱委員 財政局長の御答弁でございますが、公明党は超過負担解消法を毎年提出をしてまいりました。超過負担の解消の問題点一つには、国と地方間の意見が違うことにある、こう私どもは見ているわけです。要は、地方団体の要望を真剣に受けとめて、いま局長が言われましたように実態調査を求めながら進めたいという、したがって真剣に受けとめながら積極的に解消策を図るという、このことが大事になるわけなんです。そこで、国、地方間の代表から成る超過負担調査委員会、こういうものをつくるべきであると私ども考えておるわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。これは大臣でしょうか、局長でしょうか。
  21. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま御提案をいただきました趣旨は、もうまことに結構な御趣旨でございますし、私どもとしてもこの超過負担解消のためにはいろいろな努力をしなければならないと思っておりますが、直ちにいま言われましたような調査委員会といったようなものまでやるかどうか、その点については私どもとしても確答はできないわけでございますけれども、せっかくいま関係省庁、大蔵、自治それと関連の省庁と一緒になって実態調査を進め、かなり微細に具体的な事例について調査をして解決に努めておりますので、私どもとしてはこれを続けてまいりたいと思っておるところでございます。御提案の点については、なおひとつ今後の研究課題とさしていただきたいと存じます。
  22. 小濱新次

    ○小濱委員 ぜひひとつ御要望を申し上げておきたい、こう思います。  人口急増についてでありますが、この人口急増地域の財源難打開のため、また公共施設の整備は緊急を要する問題になっております。神奈川県も六百三十万、もう過疎地域がないと言われるほどに流入人口、人口急増地域がもう次から次とメジロ押しという状態になっておる。そこで、高額補助を主体とした人口急増地域に対する緊急措置法の立法化は、これは焦眉の急と考えておるわけでございます。緊急措置法の立法化、この問題についてはどういうお考えをお持ちでしょうか、お答えをいただきたい、こう思います。
  23. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 人口急増地域におきます小中学校を初めとします各種公共施設整備のための財政需要が非常に増加しておる、そのために財政運営を圧迫をしておるということはもう御指摘のとおりでございまして、それに対処するために私どもといたしましても、たとえば四十六年度以降、小中学校の用地の取得費に対する国庫補助制度まで設けましたし、その他校舎、屋内運動場等については、一般の地域よりも人口急増地域、児童生徒の増加地域については高率の補助をつくっております。幼稚園、消防施設についても同じでございます。そのほか、住宅公団等によります建てかえ施行の充実とか、また地方交付税なり地方債によります運用に特別措置をとるといったようなこと等で、私どもとしてはできるだけ人口急増市町村に対する財政措置には努力をしておるところでございます。  ただいまは、そのための特別立法の制定についてというお尋ねでございますけれども、それについては現在のところ考えていないわけでございますが、たとえば第五次の公立義務教育諸学校教職員定数等の改善計画の実施が予定されておるわけでございますけれども、その際は、特に児童生徒急増市町村に多額の財政負担を生ずるということが予想されるわけでございますので、そういった点については、特に用地取得費等に係る国庫補助率の引き上げといったようなことも検討する必要があると思っておるわけでございまして、今後とも関係法令改正とか予算措置等を通じて着実に改善が進められるように努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  24. 小濱新次

    ○小濱委員 お話はわかるんですが、人口急増地域対策特別措置法ではいろいろといま局長のお述べになった高率補助という問題もありまして、これでは不十分なんだということなんですね。多額の財源を要する公共施設の整備に高率補助と一般財源の強化、これしかないであろう、こうも考えているわけでございます。たとえば一つ地域で小中学校を建てます。土地は見つかりましたが、地主さんは提供しますけれども替え地を下さい、売りません、こういうことで、その替え地が大変に高価なものになっていくというような、そういういろんな悩みが重なってきているわけです。どうしても高率補助と一般財源の強化、この必要性というものをわれわれは強調したいわけでございますが、この点については大臣いかがでしょう。局長ですか、御答弁をお願いしたいと思います。
  25. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘のとおりだと存じます。先ほど第五次の教員改善の例を取り上げたわけでございますけれども、確かに用地自体がなかなか見つからないという金だけでは解決されない問題もございますけれども、さらに、地価の上がっておる急増地域においては高率の補助制度というものを持ち込まなければ対応し切れないということもございますので、そういった意味で私ども、先ほど申し上げましたように現在、各関係省庁で抱えております法律を改正することによって、あるいはまた予算措置を改善することによって、かなりそれに応じていけるという気持ちは持っておるわけでございます。どこまで踏み切るかということが問題であるわけでございますが、いまおっしゃいましたような特別立法をつくって、いまの金目以外の問題についても広く含めたものができるかどうかということについては、ちょっとにわかに私もお答えしにくいわけでございますけれども、国庫補助等の高率化ということとあわせて一般財源の充実ということは、これはもうおっしゃるとおり今後とも十分進めていかなければならないと思っております。
  26. 小濱新次

    ○小濱委員 ぜひひとつ御努力をお願いしておきたい、こう思います。  次に、交通安全対策特別交付金についてお尋ねをしていきたいと思います。  昭和五十五年度予算の概要、これは自治省のものでございますが、この交通安全対策特別交付金の予算額は四百九十一億五千二百七十四万余円、対前年度で二百十六億二千百六十五万余円の大幅な減少になっているわけです。もう本当に大変な使命があるにもかかわらずこんなにも減少になっているその理由、これは自治省お答えいただきたい、こう思います。
  27. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 昭和五十五年度の交通安全対策特別交付金の予算は、ただいまお示しのございましたように四百九十二億ということでございまして、五十四年度の七百八億に比べて二百十六億、三〇・五%というお示しのとおりの大幅な減になっておるわけでございます。このような結果になりましたのは一つには、五十五年度に収入される見込み額、当該年度の見込み額が五百九十四億円ということで、前年の六百六十三億に比べて六十九億減るというふうに見込まれているということと、それに加えまして、五十四年度においては、五十二年度、前々年度の精算額が四十五億円ふえて五十四年度に送られてきたわけでございますけれども、五十五年度においては実は五十三年度の精算額が百二億円の減となっている、要するに五十三年度が予算よりもはるかに実質収入が少なかった、そのために精算して百二億円の減というかっこうになりました。そのためにこのような大きな差が出てきたということでございます。
  28. 小濱新次

    ○小濱委員 これは大臣はよく御存じのとおりなんです。まあ自治省は、総理府がいろいろと過程があってこういう形になって出てきたんだろうと見ておりますけれども、このことは大変に重要な問題を含んでいるわけですね、そういうわけでお尋ねしたわけです。  警察庁にお尋ねをしていきたいと思いますが、したがって、関係のある最近の交通事故統計、この実態についてひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
  29. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  前半の交付金の関係が減りました理由でございますが、実は本委員会でも御審議をいただきましたおととし、五十三年道路交通法につきまして大変大幅な基本的な改正が行われまして、多くの違反について、そういう違反が起こっているいわゆる背後関係というふうなものについて、既往の安全運転管理等の制度を強化することで、何とかそういう違反がなくて済むような交通秩序というものをつくりたいということで、いろんな交通関係の規制並びに背後責任の追及の問題が取り上げられたわけであります。その結果、道路交通法違反が年々ふえておりましたのが、五十三年の時点では大変に違反そのものが大きく減ってきたということでございまして、そういうことでこの反則金の収入そのものが少なくなっておる、それがストレートに交付金の方に反映をしてきた、こういうことになっておるわけでございます。  それから、事故の発生状況でございますが、おかげさまで交通事故による死者並びに一カ月以上の重傷者につきましては、昭和四十五年をピークに四十六年からずっと九年間連続減少してきておるわけでございますが、ただ、去年、おととしあたりから、交通事故の件数並びにけが人の数が余り減らないという状況が出ておるわけでございますのと、特に年齢的に見まして、これは高齢化社会というものも反映をしていると思いますが、お年寄りの事故が逆に増加する傾向が出てきているということで憂慮いたしておるわけでございます。
  30. 小濱新次

    ○小濱委員 死者とか重傷者とかは年々わずかだけれども減少はしている、ところが子供だとか老人だとかそういう軽傷者が非常にふえているわけですね。これは何に起因するのかということなんですね。私どもも歩いてみて、安全施設というものがもう少し親切なものが欲しいな、そういうところが間々あるわけです。そういう点で、重要な財源の大幅減少、こうなったわけですが、警察庁として今後効果的な運用が図られるのかどうか。三九・幾ら、四〇%近く減ってしまったわけでしょう、ひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  31. 杉原正

    ○杉原政府委員 この交付金も一つの大きな財源でございますが、全体的に交通対策というのはかなりの範囲にわたって総合的に進めていかなきゃならない問題でございまして、安全施設の整備の問題、あるいはドライバー対策の問題、あるいは交通警察力の整備というふうな全体の状況をにらみ合わせながら、十分これからも対策を講じていきたいというふうに考えております。
  32. 小濱新次

    ○小濱委員 国家公安委員長、元警察庁の長官もしておられまして、このことはもう私から何も申し上げることはないわけでありますが、人命の尊重ということは申し上げるまでもありませんが、この交通事故統計でお聞きのとおりであります。八〇年代に当たりまして、交通安全対策を基本的にどうこれから進めていくお考えなのか。もう本当に施設も施してもらわなくちゃならない、あるいはまた見直しもさらにしてもらわなくちゃならない、そしてけが人も本当にどこまで減少できるか、減らしてもらわなくちゃならない、ところが年々更新のまた記録をやっている、こういう状態のもとにおいてこれはひとつぜひ大臣に、財政措置だとか基本的な考え方等についてもこの際お尋ねをしておきたい、こう思います。
  33. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 交通事故は、先ほど杉原局長からお答えしましたように、九年間連続おかげさまで減少しております。しかし、死傷者の数は依然として六十万に達しておるわけですし、やはりこれは一つ手を緩めますとまた逆行するということは目に見えているように思います。それだけに交通事故対策は、今後とも一層強力に推進しなければならない。交通事故の防止についてはやはり総合対策が必要だと思います。  しかし、警察として担当している部面に限って申し上げまするならば、一つはエクイプメント、つまり安全の施設。これはよほどよくはなりましたけれども、今後とも一層きめの細かい施設整備をやらなきゃならない。その点について、先ほど反則金の交付金のお話がございましたが、これは杉原君の答弁のとおりでございますが、やはり青切符でございまするので、取り締まりの際にまず青切符をいきなり突きつけるというんでなしに、物によっては指導と注意ということを先行さしておる結果ではなかろうか。したがって、金が減ったからむやみやたらなやり方をやるということはこれは私、適当でないと考えております。  実は、この制度をつくるときもそういう意見があったんです。あれは罰金類似のものでございますから、地方団体に入ることはおかしい、全部国庫に入れろというような、これは大蔵省の主張です。それから地方団体の方は、取り締まりに当たる警察官は地方公務員だから、それによる青切符の反則金は都道府県に直接入れるべきでないか、これは大変な争いがあったんですが、この両者の主張をよく考えてみますと、うっかりすると、金がなくなるとむやみやたらな取り締まりをやるおそれがあったわけでございます。そこで、罰金類似のものであるから国には入れましょう、しかしながら、それは取り締まりの件数その他によらないで、安全施設の整備状況を見て、改めてそれは全額各都道府県に交付をする、こういう制度をとったわけですから、私はこの金が減っていることはちっとも心配いたしておりません。しかし、やはり安全施設の整備は必要ですから、それに対する財源の付与、これは別の形で十分にやっていきたい、かように考えます。  もう一つはエデュケーション、教育の面であろうと思います。これは私は最近は宴会等をやってみましても、車を運転していっている人は酒を飲みません。あるいはまた飲んだ場合には、その帰りはタクシーで帰るといったように、よほど進んできておると思いますね。しかし、こういう啓蒙とでもいいますか、交通ルールを守ろうやといったような一般の方々に対する啓蒙運動というものは、民間団体等を通じてもさらに徹底をする必要がある。  それからもう一つはエンフォースメント、つまり取り締まりでございます。この取り締まりは私は、交通取り締まりというのは一体何だ、取り締まりのための取り締まりなんというのは下の下だ、そうじゃなしに、やはり一つは事故をなくするということ、もう一つは、交通をスムーズに流すという基本の目的、これに着目をした適切な取り締まりをやっていくという、このスリーEの基本原則に立って、今後とも事故防止に全力を挙げていくのが警察の務めであろう、かように考えておるわけでございます。
  34. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に、東海地震の警戒宣言発令時の交通対策についてであります。  去る二月二十一日警察庁は、東海地震の警戒宣言が発令された際の交通対策の最終計画を発表されました。それは地震の際、火薬類、高圧ガス、毒物、劇物、核燃料など危険物搭載車両については規制措置がされていないわけですが、これについては具体策を示すべきである、このようにも考えておるわけですが、この点いかがでございましょう、局長。
  35. 杉原正

    ○杉原政府委員 大変示唆に富む御指摘でございまして、危険物の運搬車両につきましては、やはり第二次災害のおそれも大変にあるわけでございますので、警戒宣言が発令された場合には、一般車両以上に慎重な走行に移行する、できるだけ安全な場所に避難することが必要であるというふうに考えております。  ただ、今回決めましたのは、一般的なドライバーに対しましての最低限のところを基準として決めておりますのと、もう一つは、こういった危険物につきまして車種別、用途別に応じた具体的な対策の問題につきましては、個別対策としまして、事業所あるいは業界というふうなものとの間での具体的な指導をやっていくということがより効果的であると思っておりますので、この面につきましては、それぞれ危険物に応じまして主務官庁がございます。このところと連絡をとりまして、一般対策で今度示しましたもののほか、この面での積極的な対策を今後十分やっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 小濱新次

    ○小濱委員 神奈川県は、東海地震の強化地域に八市十一町含まれている。これはひとつ大臣、参考までにお聞きを願いたいのですが、これは遠い昔の話ですが、一七〇三年の元緑地震はマグニチュード八・二、震源地は相模灘、一八五四年の安政地震は八・四で、震源地は駿河湾、関東大地震は七・九で、震源地は相模灘の大磯。ここにも記録がございますが、各高波の記録も明確に残っているわけです。元緑地震での大島の高波は十メーター、あるいは千葉の先端でも十メーター、鎌倉で八メーター、熱海で七メーター、伊東で八・八メーターから十二メーター、これが元緑地震の高波であります。それから、安政地震での高波は下田で七メーター、これは細かく出ておりませんが、関東大震災では八メーターから六メーター程度の高波になっております。  そこで、私が申し上げておきたいことは、相模灘と駿河湾に大変な震源地となるような谷間があるんだそうですね、海から陸にずうっと帯状につながっている。そして多分、伊豆半島の下につながれているであろうということ。したがって、大概の大きなやつは駿河湾か相模灘。今回の東海地震も駿河湾であろうあるいは相模灘かという、そういう話も出ているわけです。  この神奈川県を通過する火薬類、高圧ガス、毒物、劇物、核燃料、この核燃料だけでも、五十四年の三月五日から十二月三十一日までの神奈川県の通過件数百五十一件になっている。こういうことで、さてあの東海大地震が想定されるようなものが発生したときにはどういう混雑が想定されるのであろうか、いろいろと現地ではそれなりの対策を練っているわけです。これは自治大臣としても大変要請があろうかと思いますので、財源的な御協力も賜らなければなりませんけれども、これは線引きをされた地域内と地域外と大変な開きがあるわけです。この地域の線を引かれた外側に人口急増地域がずっと並んでいるわけです。あるいはまた、横浜だとか川崎には御存じのようなコンビナートが山をなしているわけです。  こういうことで、大災害になるとしてもう一つ危険視されるのは、危険物の交通量の中からどういうことが発生するであろうか、こういうことですから、規制措置がどうも具体策を誤っているのではなかろうか、何か対策を講ずるべきではないのか、こういうことで、ぜひひとつ東海地震に対する——本当に各自治体が真剣に、大変な財源を投入しながらセンターをつくったり、そしてまたいろいろな避難地をつくったり道路を広げたりしている。そして高波が来たならば相模灘の地域はまともにかぶってしまうわけです。その高波をかぶってしまった場合の車はどういうふうになるのか、人はどうなっていくのか。その中に危険物があったとするならば、その運転手さんはどうするのだろうか。うわっと来れば運転手さんはキーを抜いて置きっ放しで逃げちゃうのじゃないでしょうか。そうなった場合に本当に混乱が予想されるわけでございまして、これはひとつ大臣、このことについては本当に真剣に取り組んでいただきたい、こう思いますし、起きてからでは間に合いませんけれども、先ほどのお話のように先取り政治をやっていかなければならない、事前に最小限度に被害はとどめていかなければならない、そういう立場からは大事な時期に自治大臣となられ、国家公安委員長になられたわけですから、特にその責務は重大でありますが、そういう立場で、何としてでもこの時代認識ということとその方向づけというものをぜひこの際大臣から明確に聞いておきたい、こう思いましていろいろとお尋ねしておったわけでございます。東海地震について、最終的にひとつ局長、大臣からあわせて御答弁をいただきたい、こう思います。
  37. 杉原正

    ○杉原政府委員 大変いい御指摘をいただきまして、私どもも内々、この問題をどうすべきかということをいま真剣に考えておるわけでございます。  警戒宣言が出た時点、それから先の車の走行はやりませんが、現実に走っているものについてこれを一体具体的にどうするかということになりますと、一般論よりも、先ほど申しました各事業所単位にこの問題をどう考えていくのかということを、各個別の地域ごとにかなり突っ込んで検討しておかなければならないという問題があるわけでございまして、御指摘の点は十分踏まえながら、今後積極的にこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  38. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、大地震が起こるおそれのある地域においては、そのためにいろいろな点で対応策を講じていかなければなりませんし、これは非常に多様な面にわたるものでございますから、単に公共施設だけでなくて、病院をどうするんだといったようなこと等も含めていろいろな点から検討しなければならぬ、そういった意味で、地方団体の果たす役割りというものも大変重要になってまいりますし、そのためのいろいろな財政需要も出てまいります。そういった点については政府としては、国土庁が窓口になっていろいろと検討されておりますけれども自治省としてもこれは重大な関心を持っておることでございますので、そういった立法措置等も含めていろいろ検討されなければならないと思っております。今後とも鋭意、そういった点については大変緊急にやらなければならない課題だと思っておりますので、努力をしてまいりたいと思っております。
  39. 小濱新次

    ○小濱委員 終わります。
  40. 塩谷一夫

    塩谷委員長 三谷秀治君。
  41. 三谷秀治

    ○三谷委員 昨年十二月の交付税の交付に当たって、時間外勤務手当や共済費の負担金などの変形支給、いわゆるやみ給与と言っておりますが、これを行った自治体、それから六月に支給されたボーナス、これが国家公務員より上回る都道府県、市町村、三百十二団体だそうですが、これに交付税交付金の調整を行った、報道によりますとペナルティーという言葉を使っておりますが、こういうことが行われたようであります。そして本年二月には自治省は、地方公務員の退職手当を国に準じて引き下げるよう指導通達を出していらっしゃいますが、これも実施しない場合には、いわゆるペナルティーですか、交付金の支給調整の対象になるわけでしょうか、どうでしょうか。
  42. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 いまお尋ねのございました前段については、私どもとしては従来から、ペナルティーという言葉はむしろ私どもは否定をいたしておりますが、財源的に余裕があるという点で特別交付税の際に考慮をしておるということでございます。  後段の点については、具体的に私どもまだ実態がどうなっていくのかわかりませんし、それをいまどうするということは考えておりません。
  43. 三谷秀治

    ○三谷委員 国の意図に従わない場合に地方団体の固有の財源を恣意的に調整をすることは問題がありますが、きょうはその問題については触れませんが、そのようにして調整措置をおとりになっている。ところが自治省のこの指導措置、それからこの問題意識が公務員の労働者に限られております。そこに重点がいっております。しかし実際に地方団体を見ておりますと、公務員給与以外に異常な浪費、冗費を行っている団体が少なくありません。  大臣行政改革の問題をしばしば口にされますが、行政改革というのは単純な人員整理行政整理であってはならぬのであって、いまの時代、今日における行政改革というのは、国民の意識が明らかに示しておりますように浪費や冗費の節減であります。それから不正腐敗の一掃であります。そして行政の簡素化、民主化、これがいま国民が求めております行政改革であろうと思いますが、その点からしますと、地方と国の財政構造の中で是正すべき問題が数多くあります。その一つの例が、最近問題になっております広島県の空出張問題であります。  広島県では十億円の不正経理、これは出張もしないのに出張したといって予算を落として、それで主として中央官庁の役人の接待に充てたという事件でありますが、十億円と申しますと鉄建公団の二倍半に及ぶ金額であります。その大半が部長や次長による二次会、三次会の宴会を含む中央省庁役人の接待費である、あるいは、中央官庁の役人が来県したときは必ず接待がつきものになっておる、二次会、三次会をみずから要求する中央の役人もおるというふうなことが調査の中で明らかになってきておるわけであります。  そこで、こういう問題が内部から告発されまして、この不正経理問題は県の監査委員会それから知事の特別監査等によりまして金額がかなり出ておりますが、もちろんこれは監査件数が限定されておりますから十億は全部は出ておりません。いま出ておりますのは、五十三年度執行の知事部局の旅費の約二億八千万円のうちの七・一%に相当します千九百九十八万円、企業局の旅費七百八十六万円の一二・三%に相当する九十七万円など、合計しまして二千二百九十七万円の空出張が確認されておるわけであります。また、知事の特命によりまして行われました監査委員によります特別監査によりましても、五十四年度十二月末分までの監査結果においても、知事部局で六百九十六件、千五百五十六万円、それから企業局で十六件、六十六万円の空出張が確認されております。これは検査率がごくわずか六、七%に満たないものでありますから、全貌はもちろんもっと多額に上るわけでありますが、こういう事態が明らかになっております。こういう事態に対して自治省はどのような見解をお持ちなのか、そして、公務員の給与などにつきましては厳しい財源の規制をするわけでありますが、こういう浪費や冗費についてはどのような処置をおとりになるのか、お聞きしたいと思います。
  44. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお尋ねの接待の御質問でございますが、一般的には御存じのとおり、対外的に活動するということのために地方公共団体の長あるいはその他執行機関の方々が行政執行の必要のためにそれぞれの経費を計上いたしておるわけであります。これらは一つは交際費ということでありますし、そのほか、各種の会議に伴いまして茶菓や昼食等のための食糧的な経費として需用費の中に実は予算上組んでいるわけでございます。  このような経費はただいま申し上げましたように、それぞれの職にある人たちが必要のたびに費消されるものでありまして、予算計上に当たりましては、これらの経費はやはり必要最小限度にとどめるべきものだと思いますし、住民の疑惑や不信を招くことのないような予算の厳正な執行を心がけるべきものであるというふうに考えております。
  45. 三谷秀治

    ○三谷委員 えらい私の質問に対して適正なお答えになっていない、何か一般的な予算というものの説明のようでありますけれども、いま私は内容についてお尋ねしたのです。空出張によって捻出しました経費、これをせんべつだとか祝いだとか見舞い等の内部交際費、主として幹部職員用に充てていたという内容が一点であります。もう一つは、中央の官庁の役人の接待等に使っておったというのが一つであります。こういう行為についてどうお考えなのか。県もこの点につきましては誤りを認めまして、これは県民の批判を受けまして幹部職員に対する処分を行っております。この中には自治省の経験者、自治省の出向者などもおられるはずでありますが、その点についてはどうでしょう。その自治省の出向者がいまの行政局長の答弁のような判断を持って臨んでおると、こういう事態が起きてくるわけです。この点についてお尋ねしておきます。
  46. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 今回の処分を受けました中に自治省関係者が含まれておるかということでございますが、自治省に在籍したことがあるということでありますれば知事以下七人でございます。
  47. 三谷秀治

    ○三谷委員 それだけじゃないですよ。いまの質問にもう一度答えてください。そういう行為について自治省はどうかと言っているのです。
  48. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほど申し上げましたように、交際費なりそれぞれの予算の科目で支出をされるようなものにつきましては、それなりの予算上の経理をいたすべきものだと思いますが、空出張なりその他の名目でそのようなことに使用するということは遺憾なことだと存じております。
  49. 三谷秀治

    ○三谷委員 その場合、こういう不祥事を防ぐためには自治省はどういう措置を考えていらっしゃるのか。つまり、人件費の場合における自治省側で言います不当支給といいますかそれに対しては、たとえば特交で交付金を削減するということがなされている。ところが、このような不正不当な行為については何ら責任は追及されないのか、それでは少しおかしいのではないかというふうに思いますが、どうでしょう。
  50. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 地方公共団体それ自身につきましては、それぞれの監視機関がございまして、それぞれ監視をいたしているわけであります。綱紀粛正は私から申し上げるまでもありませんことでして、住民の疑惑を招くような行為をするということ自身が地方自治に対する信頼を大変失うことになるわけですから、本来そういうことはなさるべきではない。ましていま先生の質問にございましたようなことがなされるということは、地方自治一般の中では大変問題でもありますし、基本的には、地方自治それ自身が住民のもとに成り立っているわけでありますから、住民がそれに対してどうこたえていくかというのが大変大事なことであろうと思います。国がこれに対して個別的にいろいろな干渉をするというやり方が正しいのか、住民みずからがこれを正すのが正しいのか、その辺はいろいろな議論があろうと思いますが、一義的には、いろいろ県にあります議会でありますとか監査委員でありますとかそういう批判を待ち、さらには、住民の方からそういういろいろな問題が提起されて、それが県政なり市町村政なりの全体の信頼を保つ方向への行政執行ができるように持っていくというのが基本的な問題だろうと思います。
  51. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまおっしゃいます点は、基本的にはその立場をとるべきだと思います。しかし御承知のように地方自治法におきまして、助言、勧告あるいは財務監視だとか適正な事務処理の確保措置だとか、国がとるべき責任もまたあわせてあるわけであります。ですから、たとえばいま自治省がいろいろな形で財政調整などをやろうとしている問題、これは主として公務員労働者に係る問題でありますけれども、その問題はそのようにして、ペナルティーは正確ではないとしましても、とり方によってはそのような処置もとられておる。ところが、このような全く不当な浪費、乱費についてはその処置がないというのは、合理性を欠くわけじゃないでしょうか。大臣、どうでしょうか。
  52. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほどの質問との関連でございますが、私どもがいま特別交付税で調整をいたしておりますのは、その支出が違法であるとかどうとかということではなくて、結果的には国の水準をかなり上回ってプラスアルファ等を出されておる、それも比較的実態がはっきりつかめますので、そういうものは、共通の財源である特別交付税の算定上、財源的に余裕があるということで調整をしておるということでございます。  ただ、いまのお話の問題は、予算に組まれたものの違法な支出ということで、いまの例に限らず、いろいろなケースがあろうと思われますが、そういった中身全体について、財政という面から焦点を当てた場合に、全国的にどう把握しどういうふうに調整するかということになりますと、これはなかなか簡単にできる問題でもございませんし、最初に申し上げましたような趣旨でいま調整をしておるわけでございますから、いまのところそこまでどうするということは考えていないわけでございます。ただ事柄自体が、適正に組まれた予算は適正に執行するという形でなければならないことはもう当然でございます。
  53. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまのお話でございますけれども、要するに公務員労働者の給与の問題についても、その基本は財源があるから出しておるんだ、だから交付税等におきまして調整するのはやむを得ないというのが自治省が一貫しておとりになっている態度だ。ですからその点からいきますと、こういうふうな予算の不正不当な執行をして、大変な浪費や冗費をしているということも論理的には同じことなんだ。財源があるという状況が背景にあることは明らかなわけだから、扱うならば同じように扱っていかなければならない。労働者の方の支出に対しては罰則的な財源の調整もやる、そうでなしにそれよりもっと乱暴な乱費、浪費については、これは地方の問題だから地方の自主的な権能で、こんなことをおっしゃっている。これは一貫をしませんじゃないですか、これを一つお尋ねします。  それからもう一つは、地方団体の監査機能の問題でありますが、大体地方団体の監査委員といいますのが、役人の古手が二人ぐらい、それから県の議会のOBが二人ぐらい、これが監査委員を構成しているわけでありますが、これが大変監査能力が弱い。これは地方制度調査会でも問題になっておりますけれども、これではなかなか膨大な機構の監査ができないという問題も現実にはあるわけでありますが、これについてはどうお考えでありましょうか。
  54. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 最初の問題でございますが、率直に申し上げまして、いろいろと地方団体でいまの旅費なりその他の事業費を組まれるときには、それぞれの地方団体の実態に応じて必要量を組まれるわけでございます。その中では、多分各県ごとに給与にも差がございますように、いろいろなものの予算の配分にも差があると思うのでございます。そういった中で、実態に応じて使う予定のものが、いまのような例もございますれば、あるいは職員個人が法に違反した不正出張ということをやるかもしれませんし、残念ながらこれはいろいろなケースがあると思うのでございます。そういったものを全部実態を把握し、それを財政面でどうするということになりますと、これは財政面で調整する範囲を超えていると思うのでございまして、事柄によっては確かに、それは本来不正に使うだけの余裕があるならほかへ回すべきだったということがあるのかもしれません。それは公共団体の中における予算の組み方の問題とも絡むわけでございます。そういったことを考えますと、私どもは一応明確な面、そして関係地方団体としても、それは当然こういうことがありましたという認識のもとにいまの調整というものはやっておるわけでございますから、私どもとしてはその範囲にとどめておきたいと思っております。
  55. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 監査委員につきましては、いまお話しのように、県におきましては一般の方から二人、議員の方から二人という形で選任をされているのが通常でございます。  本来、監査委員の権限は、私から申し上げるまでもないことでありますが、会計検査院のように非違の摘出をしているわけではございませんで、公正な行政の確保を図るというのがその任務になっているわけであります。したがいまして、その監査の結果が適正に行政に反映されまして、その公共団体における運営が適正なるようにというふうに努めているわけです。そのためにどういう人がいいかということがしばしば問題になっておりました。御案内のとおり、議員を二人選ぶ前には三人であった時代もありまして、このときは議員から一人も出ておりませんでした。現実にいろいろな公共団体の内部事情から見まして、もう少し議会内部からの牽制があっていいではないかという御批判があって、これはまた議員を二人選ぶというかっこうになりまして、現在の監査委員制度を形成いたしているわけです。  しかし、これとてもいまお話がありましたように、役人の古手がなっておるというお話ですが、現実に役所の内部を見ました場合に、だれが一番よく把握しているかということになりますと、やはりその辺に知識、経験のある人を選ばざるを得ないということで一人をOBから選ぶ。しかしもう一人は、知識、経験が豊富であるという観点から、県によりましては公認会計士を選びましたりあるいは経理士を選んだり、いろいろな方法で自分たちの改善に努めているわけでもあります。しかし、これは先ほどお話がありましたように、地方制度調査会におきましてもまた最近問題になっておりまして、先ほどお答えいたしたように、十八次の地方制度調査会におきましてもこの監査委員の選任の方法なり資格の問題なり権限の問題をもう少し議論してみようじゃないかということで、今回の十八次に引き継がれておりますので、その点について引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
  56. 三谷秀治

    ○三谷委員 さっき何か個人として空出張するとかなんとかいう話がありましたが、個人の空出張というのでなしに組織的な空出張が問題になっている。それで、これによりまして知事以下減給が五名、戒告、訓告が四十名になっております。この中に自治省の出向者もいらっしゃるようでありますが、これは自治省に籍がなくなった方なんでしょうか、あるわけでしょうか。
  57. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 自治省から県に出てまいりますときには、自治省を退職して行っておるわけでございますので、自治省には籍はございません。
  58. 三谷秀治

    ○三谷委員 そうしますと、また自治省に帰ってくるときに改めて就職、こうなるわけですか。
  59. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 そのとおりでございます。
  60. 三谷秀治

    ○三谷委員 いずれにしましても、自治省の出身者などが現地に出ておって、いわゆる自治省が一定の指導機関としての任務を持つものでありますから、そこから出向したのが同じように共謀して組織的な不正経理を行うというようなことがあったのでは、これはどこの団体でもそういう事態が一般的に生じてくる可能性があるわけであります。こういう自治省から派遣された方々、あるいは今後自治省に帰る場合もあるわけであって、概して帰る場合が多いわけでありますから、一般的には出向的な扱いになっておるわけでありますが、こういう人たちのこういう行為について、どのように示しをつけていくのかという点について御所見を聞きたいと思うのです。
  61. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 広島県だけをとって考えてみますと、実はその県の中にも知事さんや副知事さんが、自治省に在籍したという意味ではおりますというお話を先ほど申し上げましたが、それではこの中で自治省にどのくらい帰ってこられるのかというと、私も人事当局でありませんのでよくわかりませんが、あるいは大部分帰ってこないかもしれませんし、あるいは二、三帰ってくるという形になるのかもしれません。しかし、こういう人たちが現地におりましていろいろなことでお話し合いをなさるということが、人間的な関係の中において私はあり得るだろうと思います。それが現実に行政の執行上必要だということでおやりになっておるのか、あるいは個人的におやりになっておるのかというのはありましょうが、概してわれわれが参りますときには、一般的には行政の必要上やってまいるということがありますが、いろいろな情報の交換をする、公務上やる必要があるということで、あるいは会食をしたりすることがないわけではないと思いますし、現実にそういうことが行われておると私は思います。しかし先ほど申し上げましたように、綱紀の粛正なり浪費の問題というのは厳しく自省すべきものでありまして、一般的にそれがよかれと思ってむだに費用を使っている人はだれもないのだろうと思います。そういう意味では、私たちも含め全体的に、現在のような社会情勢の中では自粛すべきものは自粛すべきであるし、綱紀の粛正をもともと唱道しているわれわれといたしましても、そういう線に沿って今後とも行政の執行に携わっていきたいと考えております。
  62. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのお答えを聞いておりますと、こういう五十名からの処分を出した予算の不正経理、これについて何らの責任感、罪悪感をお持ちでないようだ。おっしゃっていることを聞いていますと、悪いと思ってやっていないだろうというようなことをおっしゃっている。そういう姿勢でこういう事態が打開できるでしょうか。  ですから、たとえばこの県の幹部職員に対して減給等の処分を行った後、新しく県の対策というものが示されました。この対策によりますと、来客等の接待の適正化についてというのがある。適正化するというわけでありますが、その中で、接待費の基準を決めております。一般の会食接待、すなわち料亭その他で行う場合を指すわけでありましょうが、この場合の基準は、一人当たり一万五千円と決めでおるのであります。ところが、広島県民の皆さんの批判を聞きますと、あの県では八千円もあればりっぱな料理屋で飯が食える、こう言っている。ですからそうしますと、一万五千円という見直しの基準は、はべるべき女性等も加えたものではないか、こういう批判が行われておるのであります。とにかく県民の大きな批判がいまあるわけでありますが、酒食を伴う接待というものが当然のように扱われてきておる、こういう体質というものを問題として私は見ていかなければいけないと思いますが、それについて一体どのように指導されていこうとされるのか、この点、大臣黙して語らずではいかぬので、少しお答えいただきたいと思います。
  63. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 広島県が御指摘のあった事件につきまして、行政体質改善対策を早急に定めまして、その中でいまお話しにございましたように、共済施設以外の施設を利用して夕食、会食等をやる場合には、一万五千円以内という基準を定めていることはお説のとおりでございます。ただ、この改善対策の中で決めておりますのは、すべてそういう形で行うということではございませんで、たとえばお茶程度で終わる場合には、茶菓ならば一人当たり三百五十円を限度とする、それから、昼飯ならば一人当たり千円を最高限度とするというふうにそのほかの基準も定めておりまして、どうしても必要と認める夕食の場合にもできるだけ共済の施設を使う、それから共済の施設を利用できない場合に最高限度一万五千円、こういうような定めをしておるわけでございます。したがいまして、私ども改善対策を見ました範囲内では、そういう常に酒の席を前提とするような会食等を行うという考え方を持っておるわけではありませんで、必要な場合にはその最高限度はここまで、こういう基準を決めて接待等についての適正な運用を図っていこう、こういうふうに改善対策では決めておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  64. 三谷秀治

    ○三谷委員 一万五千円までならというのは、そこまでは認めるということであって、要するに酒食を伴う場所ですか宴会ですか、そういうものを一掃するという立場には立っていない、このことは明らかであります。そういう古い体質をいま改善することが行政改革の一番中心的な課題ではないのかということを、私はお尋ねしたいわけであります。そしてなお、県は接待のための費用としまして、管理費として各部に百万から三百万程度五十五年度予算にも組み込んでおります。あわせて四千百四十万というわけでありますが、こういう状態になっておるわけであって、百尺竿頭一歩を進めて抜本的な一掃はできないのか、それをやらすように指導する意思はないのか、これを大臣にお尋ねしたいと思います。
  65. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 県の行政を推進するためにそういった接待、こういうものも必要な場面がございます。したがって、そういったものは本来、交際費なりあるいは需用費なりこういうものにきちんと上げるべきである。その金額等については、当該地域における社会常識の範囲内でやるべきであって、同時にまた、いかなる場合に接待をするかあるいは会食をするかといったような問題ももちろん、必要最小限にとどめるべきであることは申し上げるまでもありません。そういうような観点で、予算の立て方自身から見直さなければならぬと私は思います。  ところが、その見方が足りなかったのでしょう。いずれにいたしましても、ああいった不祥事件が起きたわけでございまして、御質疑の内容については一言の言いわけもするつもりはいささかもございません。したがって広島県知事としては、みずからを罰し、同時にまた、それに関与しておった職員、何十名か知りません、三、四十名でしょう、処罰をしたはずでございます。そして新しく綱紀粛正を厳正に守っていこうではないかということでやっておるわけでございますので、私としては今後の広島県のやり方を見ていきたいと思います。  なお、やみ給与あるいは空出張、そういった不正経理、これは許されないことはあたりまえの話でございます。私としては、国にしろあるいは公共団体にしろ、すべてのことはきちんと筋を立てて予算に計上するものは計上する、その計上した予算を適正に執行するのだ、原点は何かといえば、すべてが国民の税金である、こういう観点でやっていかなければならぬ、かように考えております。
  66. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは広島県だけでなしに、こういう問題は普遍的な状況になっております。私が知っております大阪府の事態を見ましても、そういう状態があるわけであります。この種の浪費、冗費、いろいろな形態があります。  たとえば先般新聞などでも指摘されておりましたが、予算陳情、役人接待のための特別組織をつくっている。たとえば土木協会。広島県も土木協会というのが問題になっておりますが、五十三年度で四千万円、五十四年度で三千三百万円、これが陳情費、予算獲得費、いわゆる接待費となっている。愛媛県の土木協会でもそうでありまして、これは五十三年度で八百五十万円、五十四年度で八百万円。こういうのは島根県でも滋賀県でもあります。大臣の地元の徳島県におきましても、治山林道協会でありますかこういうものができまして、五十四年度の事業促進費、接待費七百九十万円というふうになっております。これはごく部分的な指摘でありますが、こういうものを各自治体で拾い上げますと無数にあるわけであります。  私はここに日本下水道協会の五十二年度決算と五十四年度予算を持ってきておりますが、ここでも五十二年度決算歳入額が五億八千二百万でありますが、建設省都市局に対する調査委託料というものがありますが、これはどういうものか私はわかりませんけれども、八千八百三十万あります。そのほかに、五十二年度で促進運動費が千九百万円、要するに政府に対する予算陳情であります。五十四年度で促進運動費が四千百八十三万円、この中に予算獲得運動費だとか地方支部総会に各省の出席依頼旅費などというものまでちゃんと費目として組まれておるわけであります。  都市再開発促進協議会というものがありますが、これは五十四年度の総会の記録によりますと、三十九府県七十三市町村が参加しておりますが、会費が均等割が四万円で、あとは事業費がついた場合にその事業費の一定部分を拠出するとなっております。この事業の促進費が五十三年で三百六十二万円、五十四年で四百十万円であります。この中にはさらに細かい明細も出ておりまして、事業促進費の中には、予算獲得及び法律改正に伴う各省、建設省なりとの懇談会十八万円、十回、こういうのがちゃんと予算化されておるわけであります。  このようにしまして、陳情政治そのものに問題がある。しかも酒食を伴う陳情があたりまえになってしまっている。いま私たちは行政改革の問題を言います場合に、そういう飲み食いで予算を決めたり、飲み食いの場所で予算の配分を左右するということがあってはならない、これは言うまでもないことでありますけれども、こういう状態になっている。これも明らかに公費天国の一端であります。こういう事態について自治省が指導監督すべきではないか、頂門の一針を示すべきではないかということを地方住民もひとしく考えておりますけれども、これについては大臣、いかがでしょう。
  67. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 ただいまお話がありましたように、各種の団体が予算の陳情あるいはその他事業のいろいろなことで各省に陳情するということのためにいろいろな経費を使う、先ほど大臣から申し上げましたように、地方公共団体仕事というのはすべて租税で賄われておるわけでありますから、そういうものにつきましては厳正な執行をすることが大変大事であります。それを心がけるべきであるとも存じます。そういうことで、実は昨年も二回にわたりまして、綱紀粛正その他に関する通知を出しておりますし、そういうことが世間から批判を受ける、あるいは住民からそしりを受けるということのないように今後とも十分指導してまいりたいと思います。
  68. 三谷秀治

    ○三谷委員 綱紀粛正の通達というのが大変一般的であって、精神訓話的な内容になっている。一方におきましては、人件費等につきましてはきわめて具体的であってきわめて厳しくなってきておるわけです。だから同じように扱っていくべきだ。たとえば先般予算委員会で聞きました「赤坂村日記」を見ましても、地方自治体が建設省や厚生省や大蔵省などを接待している。ここは一人四万五千円と言っておりますが、そういうところで金を使っていくわけです。  大阪市の交通局、水道局の五十三年度の決算を見ますと、六千四百万の接待費を使っている。使っている場所は赤坂の千代新だとか銀座の高級バーだとか高級クラブ、平均しまして一日二十万円ずつ使っている。大阪市の交通局のバス事業が五十三年度未で五百四十七億の累積赤字を出しておりますが、その中で六千四百万円という陳情費、接待費が使われておる。交通局長は、事務を円滑にするために必要なものだと思いますと、こう言っている。大阪市全体で見ますと、五十三年度の決算からさかのぼりまして四年間見ますと、二十五億の飲み食いが行われておるわけであります。  大阪府を見ますと、百十六名の議員がおるはずでありますが、これが当選しました四年間に全部の議員が外遊をする。そのために一億二千万円の予算が組まれておって、外遊の目的があるのではない、全部を外遊させる、それが目的になってしまっている、そういう状態になってきておるわけであります。こういう実態に対して、市民は非常な疑惑を持っておるわけでありますが、これは自治法によります助言や勧告、財務監視あるいは適正な事務処理の確保措置が当然とられるべきである、問題があるところにおいては当然’あるところからそういう措置をとっていくべきである、そのように私は思うわけでありますが、いかがでしょう。  それから、時間がありませんからあわせてお尋ねしますが、東京都の信用保証協会の理事長が六億八千万円の退職金を支給されたと言う。まことに驚くべきことであります。なぜこんな事態になってきたのか。これは退職金の規定に問題があるのであって、これは御承知と思いますが、初めはこういう地方自治体の外郭団体の処遇というものは、国の特殊法人に準じて行っておったわけであります。ところが、この国の特殊法人におきましてはしばしば問題が指摘されまして、逐次改善されてきました。三十三年から百分の六十五になった。四十四年から百分の四十五になった。そして五十三年度から百分の三十六という計算になった。割り出し方、率ですよ、これは。ところが三十三年以前は国の外郭団体、特殊法人におきましても七〇%の支給率を実際に実施しておった。  ですから、いまここの東京都の信用保証協会は依然として百分の七十五、つまり在籍一カ月について一カ月の給与の七五%支給を受ける、こういう制度になっている。これは戦後、つい直後におきましては、国の特殊法人にもそういう事態があった、七〇%があったわけですけれども、これはずっと改善されてきた、近代化されてきたわけです。ところが依然としてこういうものが残っておりますから、この規定によりますと六億八千万円というようなとんでもない退職金が支給されるという状態になってきている。こういうことについてなぜもっと指導ができないのか。それがまた今度会長に就任するわけでしょう。理事長を退任して六億八千万円をもらって、これがさらに会長に就任する、こういうことが行われる。こういうことについても自治省が当然、自治法の二百四十五条ですか、これに基づいて指導、勧告をして是正をするのがあたりまえではないかと思いますけれども、その点についてはどうでございましょうか。
  69. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 第一点目の市町村におきます不正経理等の問題でございますが、これにつきましては先ほども局長の方からもお答えいたしましたように、私どもといたしましては、予算経理等の不正問題等を含めまして、綱紀の粛正についての注意を喚起する通達をしばしば出しまして、地方団体を指導しておるわけでございます。ただ、この問題はいずれにいたしましても、その当該市町村の当事者なりあるいはそれをチェックする監査委員、議会等で本気になってやっていただかなければできない問題でございまして、そういう意味で私ども今後とも、地方団体の内部におけるそういうチェック機能等も十分発揮をしながら、そういう問題を起こさないように、住民の税金が行政サービスの向上に適正に使われるように指導していきたいというふうに考えております。  それから東京信用保証協会の問題でございますが、これにつきましてはただいま御質問にありましたように、非常に多額の退職金が支払われておるということは事実でございます。これは信用保証協会の退職金、慰労金等の支給規定に御指摘のような点があるわけでございまして、退職手当については報酬月額の百分の七十五に在職月数を掛ける、こういうような仕組みを定めておったわけでございます。さらに功労慰労金をその理事長就任期間中の退職手当の半分を上積みをして出す、こういう仕組みをつくっておりましたので、これを合わせますと六億余に上る退職金等が支給をされた、こういう事態でございます。これは御指摘のように大変問題があります。世間の常識を離れた規定でございまして、この問題が出ました後、この支給割合等につきましては改正をする方向で検討が行われておる、また功労慰労金等を廃止をする改正を行う、こういうふうにいたしておるというふうに聞いております。  そこで、こういった点についての自治省としての指導の問題でございますけれども、公社とかあるいは協会等地方公共団体が出資等を行って設立をしておる地方公社等の業務運営についての問題でございますが、これはそれぞれ設置根拠であります特別法とかあるいは民法等の規定に基づきまして関係各省の管理監督が行われる、こういう仕組みになっておりまして、そういう意味では、ただいまのような問題もそれぞれの立場における指導が適切に行われなければいけないというふうに思っておるわけでございます。ただ自治省といたしまして、地方公社につきましてはいずれにしても、地方公共団体の出資あるいは補助金等が行われるケースが多いわけでございますので、そういった点も踏まえまして、法人の退職手当等につきましては、住民の理解と納得を得られるような姿にしていくということがどうしても必要でありますので、関係する省庁等とも協議をしながら、役職員の退職手当等につきましても、住民の納得が得られるような形で是正をされるように今後とも指導をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  70. 三谷秀治

    ○三谷委員 広島県の監査結果では、公安委員会に関するものは不明となっております。監査結果の記者会見では、警察の捜査費については個人のプライバシーの問題があるのであえて求めなかった、こういう代表監査委員の弁明が複数の報道記事になっております。  また、昨年の十二月の県会において県警察本部長は、県警予算のうち、国家公安委員会に属する経費が二億二千七百万円に上っておって、県の監査対象になり得ないとおっしゃった。これはそういう御見解でしょうか。県の予算に計上しました警察予算であっても県の監査対象にはなり得ないのかどうか。
  71. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 御承知のように都道府県警察の予算は、警察法第三十七条によりまして国庫支弁のもの、それから補助金対象のもの、純県費予算によるものと三種類に分かれておりますが、国庫支弁のものにつきましては国費でございますので、会計検査院の会計検査の対象となっておるわけでございます。ただ、補助金に係る分と純県費のものにつきましては、県の監査の対象になるということでございます。
  72. 三谷秀治

    ○三谷委員 国庫支弁金、要するに公安関係の経費でありますが、これが国から直接県警に流されておるということは私どもも承知しておりますが、監査委員が国庫支弁分と県単費分と具体の監査に当たってはどうも区別がつかないとか、いろいろそういう意見が出ておるようであります。そういうことから、県警の内部から不正告発がありましたけれども、これは監査できなかったという状況になっておるわけであります。  この内部告発といいますのはこういう点であります。一つは、やはり空出張でありますが、これは日本全国の警察同じことをやっておると書いておりますが、封筒というのがあるのだそうです。封筒というのは、いまは大体減ってきたけれども、署長とか課長とかに一定の金額を封筒に入れて渡すという制度。ここには金額が出ております。署長が二万五千円、次長が一万円、課長が七千円、警部が五千円、巡査が三千円、こうなっておる。これはどこから出るかと申しますと、各署の会計係が裏帳簿をつくって、空出張等でその資金をつくっておるということが告発されておるわけであります。  これは一つだけではありません。この広島県の不正問題が表面に出ましてからたくさんの投書が参りましたが、もう一つも同じ意味のことを書いておるわけであります。これは警察官でありますが、私たちの中に役所ぐるみで利益を受けた者が何人かいますが、強いて言えば封筒ぐらいのこと。−封筒というのはさっき言いました。その封筒も最近は非常に減ってきている。そうしてその金は部長や課長が主に使っている。これは二万、三万と使った。各署の会計係の者が裏金を出して、そしていろいろな飲み食いをやっているというような意味のものであります。これを全部読みますと長くなりますから省略しておきますけれども、そういうことが告発されております。  それでこれにつきましては、国費であれば会計検査院が検査をするというわけですけれども、これも果たしてどこからの金が原資になっているかわからないという点もあるので、会計検査院での検査もこれはこの段階ではむずかしい、そして監査委員は、さっき申しましたように監査しないという状況でありますから、これは警察庁の方としてはまず、この事実関係調査を行うべきだと思いますが、この点はいかがでしょうか。
  73. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 ただいま申されましたような趣旨の質問が広島県議会において行われたということは承知しておりますが、広島県におきましてはそれを受けまして、県の監査委員による特別監査を、昭和五十四年十一月十七日からことしの二月十八日までの間に県警察を対象にして実施されたわけです。関係書類の審査あるいは関係者からの詳細な事情聴取、そういうものを行われまして、二月十九日に、その実態を精査するも違法または不当なものが認められなかった、そういう支出がなかったという結果報告がなされたと聞いております。これは会計検査について権限のある監査委員の検査報告でございますので、われわれ権威あるものとして受けとめております。したがいまして、いま御質問にありましたような広島県警について警察庁が直ちに内部検査を実施するとかいうことは考えておりません。ただ、より経理の適正を期するということはわれわれ行政機関の責務だと思っておりますので、その観点から警察庁といたしましても、毎年都道府県警察の予算執行状況、これを実地検査いたしますそういう実施計画を立てまして、毎年実施しております。昭和五十五年度におきましてもただいまその実施計画を作成検討中でございますので、御了承を賜わりたいと思います。
  74. 三谷秀治

    ○三谷委員 ここに監査委員会の発表しました監査結果がありますが、公安委員会については件数金額、全部ゼロになっております。そしてこのゼロは、そういう事態がないというのではなしに、捜査費については個人のプライバシーの問題があるのであえて求めなかった、こういう発表を行っておるわけであります。ですから、検査はしたけれども、それがなかったというのではなしに、やらなかったという態度であります。そういう状態でございますから、おっしゃいますのと少し違う。しかもこういう問題が起きましたときには警察であろうと何であろうと、これは国民の信頼を基礎にするものですから、調査が必要であればすぐ調査をするという処置をとって、事態を解明することが必要だと私は思うのですが、どうでしょうか大臣、余りお答えになってないようですが、どういうわけでしょう。
  75. 山田英雄

    ○山田(英)政府委員 ただいま捜査費については検査しなかったという趣旨を申されたわけですが、私ども県から報告を聞いております限りでは、検査の手段としてたとえば捜査事件指揮簿、こうしたものの内容は個人のプライバシーなり捜査の秘密なりが記載されておるわけでございますから、そうした人権問題に絡む内容のものの提示は求めなかったということを、県議会において監査委員会事務局長が答弁しておるというふうに承知しております。それから、確認できなかったという点でございますが、その点も県議会において明確に監査委員会事務局長が、調査の結果不正経理はなかったということであるということを答弁しておる旨の報告を受けております。
  76. 三谷秀治

    ○三谷委員 私の受けております報告とあなたの報告は少し違っているので、これは事実関係認識の差になってきますから、いまここでそれを詰めようとしても詰まりませんけれども、いずれにしましても、こういう事件が起きてまいりまして、これは自治体に対する住民の信頼の関係を大変損なってきている。  そこで、私は自治省の姿勢についてもう一度聞きたいけれども、予算の編成、つまり十二月のあの復活折衝などをやりまして予算が内定しました後で、大体六団体などが各省を招待をして、赤坂村で打ち上げをやるという慣例が二十数年の間続いておるわけであります。自治省はことしはおやめになったようでありますが、やめてない省庁もたくさんあるわけでありますが、こういう状態に対して自治省はもう少し明確な姿勢を示して、地方自治体に対する指導的な方針を明らかにすべきだと思いますけれども、この点はどうお考えでしょうか。
  77. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほどお答えを申し上げましたように、公共団体の仕事というのは税によって賄われているわけでありますから、それがいささかも浪費にわたってならぬことはすでに委員お話しのとおりであります。私たちもそういう点を肝に銘じながら、公共団体の指導に当たっていきたいと思っております。
  78. 三谷秀治

    ○三谷委員 これは大臣、公共団体だけでなしに各省に対してもそういう申し入れをしてもらわぬと困る、財源難で困っているわけですから。しかも、予算をもらうためにはそういう酒食を提供しなくてはならぬというような事態があるとしますと、これは各省がもう少し自粛自戒してそういうことがないようにしなければいかぬわけであります。建設省からお越しいただいておりますが、建設省などは、特にこの資料を見ますと数が多いわけですが、時間がありませんからもう答弁はいいわけですが、大臣としてそれについて、政府内部におけるそういう地方団体との関係における浪費、冗費の節減について何らかの提起をして、意思統一をしていただきたいと思うわけです。
  79. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 その件につきましては、国と地方団体の間は当然のことですが、それのみならず、中央役所相互間でも一般の非難を受けるといったようなことのないように、官庁間の接待等は原則として取りやめなさいといったような綱紀粛正の基本方針を政府はもう立てまして、昨年の暮れに各省庁に伝達をし、また、私の方からは地方庁にその旨を伝達してございまするので、御了承願いたいと思います。
  80. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間ですから終わります。
  81. 塩谷一夫

    塩谷委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     牛後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  82. 塩谷一夫

    塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。河村勝君。
  83. 河村勝

    ○河村委員 午前中の三谷委員質問を聞いていまして、私も初耳でありましたけれども、例の広島県の空出張問題に関する政府側の答弁というのは私はどうも腑に落ちない。共産党と私のところはおおむね意見の対立することが多いのですけれども、本件に関する限り、私は共産党の主張の方が正当だと思うのです。地方自治体のやみ給与に対してペナルティー的な措置をとって、それで広島県の場合にはなぜやる意思がないというのか、もう一遍理由を説明してください。
  84. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもは特別交付税の配分に当たりまして、六月、十二月あたりでいわゆるプラスアルファとして国の基準を超えてやっておられるもの、これはペナルティーという意味ではなくて、全体の財政需要の中でそれだけ基準を超えて配分できるということは財政的に余裕があるということで、これはもう全地方団体を通じまして、そういうたてまえのもとにすべて調査にも応じ、その認識のもとにそういった調整をいたしておるわけでございます。  たまたまいま広島についてのお尋ねがございましたが、私ども地方団体のすべてにわたって行政の運営の全部がわかっておるわけでもございませんが、そういったことが許されていいものではない。それはまさに財政基準を超えた財政支出というよりも、もっと不当な、あるいは場合によっては違法な支出でございますから、事柄はそれは問題でございますけれども、それの支出の仕方というものは、一応県議会等を通じ予算で正式に組んで必要なものとしてやられたものの使い方の問題になっておるわけでございます。それが全国的にどうなっているか、そういったものも、余裕財源として認識できるようなかっこうで全部把握できればよろしゅうございますが、不当経理というものはあっていいものではございませんけれども、広島のような例もあればあるいはたとえば個人がいろいろな不正なことを働く場合もございますれば、いろいろな想定できないケースというものはあり得るだろうと思います。そういったものを全部拾い上げて、それを地方財政の財源を与える場合の一つの基準としてとらえるには、これはとてもむずかしい問題でございまして、公平にそういったことをとらえることは不可能なことだと思います。それはやはり当該団体で必要であるとして予算で組まれたものの適正な執行の問題だと思っておりますので、特別交付税等でそれを直ちに扱うことはこれは対処し切れないだろうと存じます。  そういったことで、明確な基準を超えておるもので、ペナルティーじゃなくて財政的余裕があるとはっきりわかるものは、全国的にとらえるという立場で公平にも扱えますので、先ほど申し上げたような取り扱いをしておるということでございます。
  85. 河村勝

    ○河村委員 全部把握できないからそういう措置をとらないというのは理由にならない。一罰百戒、どろぼうだって、どろぼうというのはたくさんあるけれども、つかまった者が処罰を受ける、そういうものでしょう。それが今後の抑止力あるいは予防措置となって働くわけだ、そういうものでしょう。仮にペナルティーでないという仮説をとっても、この場合、旅費というものに財源に余裕があったということでしょう。同じことでしょう。だから現に、中央官庁それから特殊法人で空出張によって旅費を接待費に転用した、それを大蔵省は、五十五年度予算の査定の際に旅費予算を減額していますね。そういう例もごく身近にあるわけだ。だから余り理屈にならないじゃないか。いかがです。
  86. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私ども地方財政対策を立てます際は、地方財政計画を立ててマクロ的に地方の財源措置をするわけでございますが、その基準財政需要については、大体標準的にこういうものが必要だということで、各地方団体についていろいろな規模別に必要な需要というものを積み上げて、そして需要を見、それに対応する財源措置をするわけでございますから、その意味では余り余裕を持って配っておるわけではございませんけれども、その与えられた標準的なものを行うに足りるだけの中でいろいろ各地方団体が、たとえば旅費によけい組まれるところもあれば、ほかのものをよけい組まれるところもある、実態に応じていろいろな予算の編成の仕方をされるだろうと思うのでございます。それをされた中においていまのような事態が発生したということは、余裕があったのか、本来使うべきものをサボったのか、いろいろそこの評価の仕方はまちまちでございましょうけれども、ペナルティー的な意味で言うならば、それはおっしゃるように何らか制裁措置を考えたらいいではないかということにもなるのですが、私ども財政当局の立場としては、そういう財政で罰則というような問題ではございませんので、全体の中でそういった地方団体がバランスを考えて組まれておる、その使い方の問題に絡む問題でございますから、直ちにそういったものを余裕だと見るのかどうか。地方団体においては、そういうことが仮に余裕があったとすれば、多分標準的な経費としてほかへもっと使うべきだったという反省のもとに、あるいは次の機会においては予算措置を違う方へ重点を置かれるかもしれませんけれども、そこらは地方団体で十分検討される必要があるというふうには考えますが、財政の面で、その面を罰則だというかっこうで私ども一つ出たものを取り上げるということになりますと、なかなか財政運営の面では適切ではなかろうというふうに考えまして、全国的にそういったものがどの程度あるのかわかりませんけれども、そういった仕組みとして取り上げるには、どうも一つのことを一面だけ、その分だけを取り上げるということはなかなかなじみにくいというふうに考えておるわけでございます。
  87. 河村勝

    ○河村委員 しかし、そんなことを言い出したら、やみ給与をやったところだって、あなた方が基準財政需要に基づいて総額を決めたわけでしょう、その中でしかるべき運用をしたということに相なるので、そっちがいけなくてこっちがいいという理屈には私はならないはずだと思う。そうでしょう、そうじゃありませんか。どう違うのですか。
  88. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 そこのところは、いまの不正支出というものがすべてその財政的な意味でペナルティーの対象になるのだというわけにはなかなかまいらないわけで、先ほどから申し上げましたように、適切に配分した財源の使い方、分け方の中でいま不正が行われたからといって、それを一つ  一つわかったものだけ取り上げるというわけにはまいらない。たとえばいまのような交付税として配る場合は、不交付団体にはこれはまいらないわけでありますが、特別交付税をもらうところについてはいまのような形で、共通の財源でございますから調整いたします。しかし、いまのような問題が、これは例でございますけれども、仮に不交付団体で起こったといったようなことを考えますと、これは交付税措置にはもちろんなじまない。だからそれは財政でペナルティーを科するといったような形になじまないものもあるわけです。だから、全国的に見てそこらを公平にどう取り扱うかということになりますと、もっと別な角度からそういった場合の是正の方途というのを考えなければ、財政でもってやるということになりますと、いまのように団体によってはやれるものやれぬものいろいろ問題が出てまいりますので、なかなかなじみにくいのじゃないかと思うのでございます。
  89. 河村勝

    ○河村委員 不交付団体のことまで私は言っておるわけではないのです。現にしかし、そういうアンバランスがあることを承知の上で特別交付税交付金を受けるところに対してこういう措置を講じたわけでしょう。だから要は、どこかの費目の金をよそのところに便った。やみ給与の場合には、これは不当支出だ、不当支出だという認定でしょう。だからこそやめなさいと言っておるわけだ。この空出張で接待費に使った場合は、これはどちらかと言えば不正支出だ。不当よりも重い、金の誤った使い方だ、そうでしょう。だったら、少なくとも同じレベルで扱うということでなければやはりそれは片手落ちじゃないのですか。それじゃ今後余り強いこと言えなくなるでしょう。  これはあなた、もうやらないことに何か事務的に決めちゃって答弁しているから、何遍言っても切りがないようだけれども大臣どうなんです。本当にこれからやみ給与のみならず、自治体に対する自治省の及ぼす力というのは決して大きくはない。だから、それをいろいろな工夫をして生かしていく以外にはないわけなんだから、そうなれば、やはり常識的にアンバランスな措置を講じたのでは、私は今後いろいろな面でもって有効に力を発揮できなくなるだろうと思う。だからそんな、全部把握できなければそういう是正の措置を講じないというのは、私はどう考えても理屈に合わない。あなたは警察関係長いので、どろぼうを残らずつかまえることができたから、だから処罰の対象にしておるわけじゃないでしょう。一人でも見つかればどろぼうというのは処分するので、それは同じ理屈じゃないですか。いかがです。
  90. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 交付税というものをどのように見るのか、特交をどのように見るのかという点が一つ、もう一つは、財源にゆとりがあると見るのかどうなのか、この二点から詰めなければならぬ問題だと思います。検討したいと思います。
  91. 河村勝

    ○河村委員 事務当局がそれだけがんばっているのに、大臣がいきなりやりますと言うのもぐあいが悪いでしょうから、ゆとり、余裕は与えますけれども、しかし、これは本当にまじめに考えてもらわないと、これから自分の手を縛るようになりますよ。  第一、ペナルティーでないと言っているけれども、これは私は、新聞の記事だから後で中身を少し伺いたいと思っておりますけれども、昨年の十二月二十一日の新聞の報ずるところによれば、このやみ給与問題で特別交付税をカットしたことに対して、「同省行政局では「これまでも国の水準に合わせて支給するのが望ましいとの通達を出しており、ペナルティーは当然」としている。」こう書いてある。どうです、行政局。
  92. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 その新聞の記事、並びにそれを話をした人はどなたであるか、私も定かではありませんが、そういう記事は私自身も読んでおります。ただ、一般的に給与水準というのは御案内のとおり、国の公務員と均衡を保つ、あるいは国の給与を考慮して決めるということになっておりまして、そういうものとして法律上定められているものをいたずらに給与を引き上げるということがあるのは、大変好ましくない状況です。やはりそういうことで何らかの是正をする公共団体も出ているわけですから、みんなで悪いと思うところは直さなければいかぬ。そういう意味で、悪いと思っていないのであれば、それはやはりある程度考えていただかなければいけません。それは人々それぞれ勤務評定をするようにそれぞれの公共団体は勤務評定をされてしかるべきだ、そういう意味であろうと思います。
  93. 河村勝

    ○河村委員 何かずいぶん回りくどい言い方で、言ったのか言わないのかよくわからないけれども、一貫した趣旨はやはりペナルティーだということですね。だから、それはペナルティーならペナルティーでいいのですよ、そう持って回った言い方をしなくて。私は別段ペナルティー的制裁を加えたのが悪いと言っているのではない、きちんとおやりなさいと言っているのであって。  これは私は新聞報道で知っただけでありますが、これで見ると、三百十二団体、約五十億円ということになっていますが、これが事実かどうか。それから、実際その差っ引いた交付税ですね、天引きした交付額は一体幾らになっているのか。それを説明してください。
  94. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 五十四年度につきまして、都道府県と市町村と合わせまして三百十六団体でございますが、国の基準を超えて期末、勤勉手当等を支払ったものが約百三十五億でございます。ただ、その分については団体によっては、災害等が非常にひどいところからは、それは災害対策費からは引かないといったようなこともございますし、また、財源超過団体等についてはその財源超過分をまた差っ引くということになっております。いろいろなものが一緒くたになっておりますから、具体的に各団体でどれだけ引かれたということは申し上げられませんが、対象になって期末、勤勉の総額として出てきたものが百三十五億くらいでございます。
  95. 河村勝

    ○河村委員 交付税を減額した額は総額で幾らなのか。
  96. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 減額されるいろいろな項目には、いまの財源超過とかギャンブルとかいろいろな要素がございますので、この分が幾らということは出てこないわけでございます。
  97. 河村勝

    ○河村委員 しかしあれでしょう、もしそれがなければ当然交付したであろう額というものは決まるわけだな。それが幾らになったかということが結果として出てくる。だから、その差額が天引きだね。これは自動的に出てくるのじゃないですか。
  98. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 率直に申し上げまして、特別交付税としてルール的にいろいろ算定されるものがあるわけでございますが、その中からこういったたぐいのありとあらゆるものを全部引くということになりますと、非常に問題がある場合もございます。たとえば災害対策費。災害があった場合にそれに充てる経費から、ある程度基準を超えて期末、勤勉手当を支払ったという、そこからまで引くということになりますと、行政上きわめて問題が起こる。要するに引かない項目もあるわけです。そういった中で、引ける項目の中から引く場合に、ギャンブル団体であれば、そのギャンブルの金もある程度引くといったようなかっこうで、込みになって引いておるものですから、団体によってこの部分がこの金の分だというふうに分けられない。そういったものが何もないところで引いたものは、各団体ごとにはこれくらいということは言えると思いますが、総額としてマクロで申しますと幾らということは言いにくいわけでございます。
  99. 河村勝

    ○河村委員 どうも私の頭が悪いのかな。だけれども、もしこういう事件がなかりせばこういう結果になっただろうというのが必ずあるわけでしょう。これがあったためにこうなったという事実もあるわけでしょう。それならば、それを天引きとか減額とかということは抜きにして、その差額は幾らです。こういう事件なかりせば当然交付されたであろう総金額マイナス現実に支給された金額、これは幾らです。
  100. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 実際に支給した額は百五十三億でございますから、その分は差し引くという計算をしておるわけでございます。しかしながら、いま言ったように差し引き切れないものもございますから、いろいろなものと一緒になって……(河村委員「百五十三億、百三十五億、どっちだ」と呼ぶ)百三十五億でございます。失礼いたしました。
  101. 河村勝

    ○河村委員 ちょっとよくわからないけれども、まあいいでしょう、見当として。  それでさっき、これも三谷委員質問に対して、これから同様の事態があったらどうするのかと聞いたら、先のことはわからぬという返事でしたね。一体それでいいんですか。
  102. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 このやみ出張的なかっこうで予算の不当な支出をされたというようなこと、あるいはやみ出張という形ではなくて、いろいろな工事の中でも不正な支出とかいろいろ問題が出てくるだろうという場合があると思うのです。そういったものを全部対象にして、特別交付税からこういうルールで差し引きますといったようなルールというものはなかなか立てがたい。だから、私の方といたしましては、今後そういった問題があれば、それは個々の問題として十分注意もしなければなりませんし、それは総体的な意味でそこの団体の財政の運営の仕方が悪ければ注意もするし、総合的な指導というものはしなければならぬ、また、いろいろ財源措置の場合でも配慮はしなければならぬと思いますけれども、いまのような明確に出てくるもの、全国的に洗ってまず公平に扱えるというふうなものについてはルールができますけれども、これはルールとして扱うのはなかなかむずかしいだろう、こう申しておるわけでございます。このものをそのまま結構ですというかっこうで放置する、そういった意味で言っているわけではございません。
  103. 河村勝

    ○河村委員 さっきの質問というのはそうではなくて、昨年十二月に自治省が特別交付税減額の対象としたこのやみ給与と同種の事柄が今後起こったら同じように扱うのかという質問だった。それに対して、今後どうするのかはまだ決まっておらぬ、そういう返事だったと私は思うのですが、それは違うのですか。同種のものは今後も同じように扱う、それでよろしいのですか。
  104. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 そのとおりでございます。
  105. 河村勝

    ○河村委員 私は行政改革というものは、いま中央官庁と特殊法人等についてだけやっておりますけれども地方自治体にあるいはより多く問題があるのかもしれない、そう思っているわけです。ですから、それは給与の問題と総人員の問題、これだと思う。  給与について先に伺いますが、昨年の十一月二十二日に事務次官通達を出されておりますね。これは給与、退職手当等について、やみ給与についても触れておりますが、とにかく国の水準を上回っておる現状を是正しろ、簡単に申せばこういう通達ですね。通達を自治省はしばしばお出しになるけれども、これを一体どうやって推進していくつもりですか。
  106. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 昨年十一月に出しました通達は、国家公務員の給与改定の方針が決定されたことに伴いまして、地方公務員の給与の問題等につきましても通達を出したものであろうと思います。やみ給与等につきましては、すでに八月におきましてもその是正をするようにという通達を出しまして、さらに追いかけて、国の給与改定が決まったときにも注意を喚起する意味で通達を出して指導いたしておるわけでございます。  この給与の問題は、基本的には先生も御承知のように、地方公務員法のたてまえといたしましては、職員の勤務条件でございますので地方公共団体の条例で定める。その際に基準とすべきところは、国家公務員の給与あるいは民間、他の地方公共団体、そういったものと均衡をとるように条例できちんと定めなさい、こういうようにいたしておるわけでございます。ただ残念ながら、しばしば御指摘を受けますように、制度が必ずしもバランスがとれた形になっていない、あるいは運用が適切でない、そういうことによりましてやみ給与というようなものがある、こういうことは私ども非常に問題だと考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、これはどうしても地方公共団体自身がみずからの手で是正をしてもらわなければいけない問題でございますので、たびたび通達を出して、きわめて抽象的なというふうにお考えになるかもしれませんけれども、何としても地方公共団体がそういう気持ちになっていただいて、必要な条例改正をしていただくあるいは制度の運用を適切にしていただく、こういう措置を講じていただく必要があるわけでございます。そういう意味におきまして、今後ともその方向で指導を徹底してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  107. 河村勝

    ○河村委員 こういう通達を出しても、通常の官庁が下部機構に対するのと違って、なかなか担保する方法がないということは私もよく承知しておりますが、しかし何か考えないことには、年じゅう通達の出しっ放しでは権威を喪失するばかりですね。私も実態をよく知らないのですが、この前の大臣答弁などを聞いていますと、ラスパイレスで七%ぐらい国より高いということを言っていますが、それは国家公務員よりも低いところもあるわけですから、そういうものをひっくるめて平均で七%でしょう。そういう大体国家公務員並みあるいはそれ以下のところを抜いて、それで高いところだけを対象にすると、一体ラスパイレスでどのくらい高くなるのですか、平均して。マイナスを取っちゃってプラスの方だけで。
  108. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 御質問のような姿での統計はいたしておりませんので、ちょっとどうなるかということについてはお答えをいたしかねるわけでございます。
  109. 河村勝

    ○河村委員 しかし、そんな統計とらないというのはおかしい。それは安いところも入れて、わざわざ見かけをそんなに高くないんだということを言いたいがためにとった数字にしかならないのであって、標準より高いところを拾ったら一体どうなるかという、そのくらいのことがわからないで一体実態把握をしていると言えるのですか。
  110. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 高いところだけの平均でございますと、個別にたとえば事例を申し上げますと、都道府県で東京都一一一・七、あるいは愛知の一一一・四、大阪一一〇というような事例があるわけでございます。これは都道府県平均で申し上げますと一〇七・二となっております。それから、特定の市でございますが、市につきましては、これは一番高いところが一三四・六あるいは一三〇という、これは大阪の市でございます。大阪周辺に一三〇台、一二五以上というようなところが相当ございます。全般的に申し上げまして、大阪あるいは東京周辺、いわゆる大都市周辺の市が比較的高いという傾向になっております。
  111. 河村勝

    ○河村委員 いま官民格差の是正ということがいろいろ問題になりますが、同じ官の中でもこれだけ差があったんでは、それは税金を納める者はたまったものじゃないので、これは三谷さんの周辺が一番悪いな。こういうものに対して、これはたとえば大阪周辺の市、東京周辺の市、こういうところは特別交付税の対象にはならないのですか、不交付団体ですか、こういうのは。
  112. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 不交付団体は少のうございます。大体交付団体が多うございます。
  113. 河村勝

    ○河村委員 そうなると、明らかに基準財政需要の算定方法そのものを変えなきゃいかぬわけですね。逆の言い方をすれば、これはもう非常に財源に余裕があるわけだな。だから当然、特別交付税なんというのは全部カットをしてもよろしい、そういうことになるのじゃないですか。
  114. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもが特別交付税を計算いたしますときは、そういったいまのようなラスパイレス指数の高いところあたりは、比較的財源状況がいい、交付団体であってもかなり税収等もいいということもございまするから、結果としては非常に額が少なくなっていくのは計算上当然出てくるわけでございます。  ただ、いまおっしゃった中には非常にむずかしい問題がございまして、地方団体が法律の規定に基づいた条例できちんと給与を定めておる、給与水準をつくっておるという場合に団体によって差がある、そこの差があるのは、どこから上はそれではいけないんだといったようなことはなかなか、国家公務員の給与水準を基準としながらやるわけでございますけれども、これは違法だといったような問題ではないわけでございます。しかし、そういった地方団体の性格によって給与をたくさん払っておる、その必要性等を含んで条例でつくっておられるわけでございますが、そこの差をどう見るか、それを交付税等でどういうふうに扱うかということになりますと、なかなか私どもとしては、その分がここから上はいけないのでこれは差っ引くんだというようなことにはならない。やはり全般的な財政需要の中で交付税算定はしておるわけでございます。ただ、先ほど申し上げました法律で明確に出ておるような期末、勤勉手当、その国家公務員を超えてやっておる場合はいま言ったように、いい悪いということよりも財源的な余裕があると見ておるわけでございます。それを給与の水準まで、これはいろいろ格差があるわけですが、そこまで全部広げてやるということは、ちょっと私どもとしては困難であろうというふうに考えております。
  115. 河村勝

    ○河村委員 どうも初めの方は少しわかったような話で、終わりになるとだんだんわからなくなる答弁ですけれども、少なくとも一三〇%以上のものを給与に回しているということになれば、その超過部分をよその経費に回せば十分、特別交付税なんか要らぬということに相なるに相違ない。それはいま人件費が平均でどのくらいになっておりますか、人件費率というのは六〇%を超えているわけでしょう。だからそうなれば、こういうところに特別交付税を回さないくらいのことはあたりまえのことじゃないですか。そのくらいのことをやるのは当然だと思いますが、大臣いかがですか。大臣、これは政治判断。
  116. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるようにそれだけ人件費の余裕があるならば、やはりそれだけの財源にゆとりがあるのだ、だから交付税も計算のときに減らしたらどうだ、これも確かに一つの理屈だと思います。しかし現実にはそういうような結果になって、やはり交付税全体の計算の中ではそういう団体については交付税が減らされている、結果としては。ただ、一二〇%の給与費を払っているから、したがってそういうところは一切交付税をやらぬというわけにもいかない。それはたとえば大阪周辺は、給与は確かに高いのです。それだけにやはり抑えられていることは事実ですけれども、しかし、たとえば一例を言えば、大阪周辺は同和事業の関係が非常に多いわけですから、そういったことで、最後のトータル締めてみれば相当な金額もいっておるということも事実ですね。  しかしいずれにしてもこの問題は、やはり地方の自主権にも関係するものですから、地方団体が自分の町はこれだけをやるのだというようなことでおやりになっておるもんですから、そこらが自治省としても実際はなかなかやりにくいというのが現実であろうと思います、交付税をはじくときはそんなのは一応のけてはじいていますから、これは基準でぴしっと同じようなあれではじいておりますから。しかし、御趣旨はよくわかるのです。わかるのだが、さて、それをあなたのおっしゃるようにどんぴしゃりいくかということになると、これはよほど考えさせてもらわぬと、そのとおりやりますというわけにはなかなかいかない。  私はいま事務当局にやかましく言っているのは、ともかく不正なやり方の給与、これだけは絶対いかぬ。これは従来九割削減しておったのですが、これは一〇〇%削減しなさいということを言っているのです。ただ、ラスパイレスについても私が言っているのは、全国の平均で財政措置をする場合に、これは国家公務員との均衡原則がありますから、やはりラスパイレスは一〇〇になるのがしかるべきであるよ。しかし団体間によって、それは一一〇があるかもしらぬし、九〇もある、これはあたりまえであろう。というのは、国のラスパイレスは百人以上の民間団体を調べて、ティピカルなやつを調べまして全国平均で出しているわけですね。ところが、たとえば大都市周辺であれば、やはり地方公務員の給与の水準というものは、国家公務員を片方にらみながら、もう一つ横のにらみで当該地域の民間給与との比較ということになっているわけですから、そうすると、大都市周辺は民間給与が田舎と違ってやはり高いわけですから、したがって勢い、全国平均では一〇〇にしなければいけないと思いますけれども、個々の団体にとってみれば、やはりその地域の民間給与は地方団体が狭い範囲で調べますから、そうするとそこは高くなっていますから、そういった若干のでこぼこがあるのはやむを得ないよというような指導方針をとっておるのが今日の実情でございます。
  117. 河村勝

    ○河村委員 私も大都市周辺に属するところに住んでいますけれども、ここ数年、石油ショック以後、民間が減量経営をずっと続けているでしょう。ですから、かつては確かに周辺の民間の企業の方がかなり高かった。それがだんだん低くなってきて、いまじゃ大都市周辺でも民間企業に比べて官庁の方がよくなってきてしまっているのですよ。だからそこに非常な問題があるので、特にいま国全体として行財政の簡素化をやらなければならぬ時期ですから、本来地方自治体のこの種のことは地方自治体自身でやるべきことであって、県民なり市民なりの批判を受けて地方議会がやっていくのが本当でしょう。だから国が過剰介入するというのは元来よくないことで、自治省だからいいというわけではないけれども、しかし自治省には特別の役割りがあるのですから、今後国全体のやらなければならぬ最も大きな課題一つですから、行財政の効率化、簡素化というのは。であれば、多少強引であっても自治省がやることは許されると私は思うのです。ですから、もうちょっと勇敢にひとつやってもらいたいのだ。決心のほどを聞かせてください。
  118. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 こういう状況でございますから勇敢にやるつもりでおりますけれども、しかし、勇敢というのはやはり合理的でなければなりませんので、そこらもよく考えながら、やはりこれは今日の実情ですから、しかし、確かに公務員の給与が民間と比べて比較的によくなってきたことは事実ですけれども、それじゃ民間が高かった時代にそのとおり公務員はなっておったかといえば、公務員というのは非常に低かったのですよ。そういう不満というものはやはり何百万かの公務員の気持ちの中にはあるんだということは私どもとしては考えてやらないと、結局は公務全体の能率を落とすのではないか。そこらも私どもとしては配慮しながら、さればといって、やはり今日のような厳しい財政状況でございますから、やるべきことだけはやっていこう、こういう気持ちでございます。
  119. 河村勝

    ○河村委員 私はそんなに不合理なことを言っているつもりは毛頭ないので、それは公務員が非常に賃金が安かったのは戦前の話で、戦後は安いといってもそんなに安いわけではないし、退職金、年金を入れて換算をすれば決してそう悪いとは言えない。それが最近、民間が減量経営で苦しくなったから、むしろ差がつき始めたと言ってもいいくらいであって、それも、国家公務員の水準より著しく上回るものを下げろと言うのですから、別段人の多いのを言っているわけじゃありませんので、もう少しその辺を省を挙げて大胆にやるべきであるということを御忠告申し上げる。  そこで、人間の数の関係も一緒に聞いておきたいのですけれども、過去二十年の間、昭和三十五年から五十四年までで、地方自治体の一般職員の増加数並びに率、つまり警察、教職員、消防、これを除いた残りの一般職員でどのくらいふえていますか。
  120. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 御質問の過去二十年という統計資料がちょっと手持ちにございませんので、四十二年と五十三年、十一年間の比較で申し上げたいと思いますけれども、一般行政部門、この中にはもちろん福祉関係等の分野も入りますけれども、私ども申し上げますのは、後で申し上げます特別行政部門を除いた一般行政部門でございますが、ここで増減率は三六・八%でございます。それから特別行政部門で、これは教育と警察消防と三つの部門でございますが、二八・八%。その他特別会計等もございますので、一般行政部門、特別行政部門、それから特別会計部門等含めての増減は三〇・四%という状況になっております。
  121. 河村勝

    ○河村委員 これでもかなりのふえ方ですけれども、実際はその四十二年ごろからはかなり自粛がされてきた時期ですよ。三十五年から四十年ぐらいの間、高度成長期、これがむやみとふえたのですね。それが土台になっているのですから、後のパーセンテージというのはそう実態を示すものとは思われない。だから三十五年からとれば簡単にとれるでしょう。一体どのくらいになっていますか。三十五年対四十二年でもよろしい。
  122. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 地方公務員の定数問題に取り組みましてこういう比較をしているのが、実は四十二年からやっておりまして、別の資料で比較をしてみればあるいは先生の御質問に答えられるような数字が可能かもしれません。ちょっといまこれは相当作業をしてみないとございませんので、お許しをいただきたいと思います。
  123. 河村勝

    ○河村委員 だから、四十二年から定員問題を取り上げたということでおわかりのように、そのころになって初めて、これじゃいけないということであわててそういう計算を始めたわけだから、その前の方が大変なわけだ。そこを実態をつかまないと、一体地方自治体の員数がどれだけふくらんでいるかというのはわからないのですよ。だから一遍資料をください。三十五年対一番最近の年までの対比、これを一般職、特別職等に分けて。よろしいですね。
  124. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 ただいまの資料は、作業してみましてお手元にお届けをするようにいたしたいと思います。
  125. 河村勝

    ○河村委員 ちなみに私どもが試算したところでは、一般職員、もちろんこれは福祉関係が入っていますよ、消防、教職員、警察を除いたものですから。昭和三十五年が六十二万一千人、それで五十三年が百八十二万一千人、だからざっと三倍。私はいまの状況で見て、中央官庁というのはやはり歴史もあるし、かなり前から厳しくやっていたからそう大きな膨張はない。だからふくらみの率から言うと、地方自治体——これは時勢も変わったから、絶対ふえてならぬということはないのですけれども、ふえ方が一番物すごいのは、地方自治体、それからあとはやはり地方出先機関ですよ、この前大臣と大分いろいろ質疑応答をやりましたけれども、だからこの人間の膨張、この人間の数というのは、特別交付税どころではなくて、交付税の算定基礎になる基準財政需要の中に現在員というのは当然入ってくるわけでしょう、そうですね。
  126. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地方財政計画上の人員では、五十四年度が二百四十万七千人でございますが、五十五年度の計画人員は二百四十五万四千百人ということに相なっております。
  127. 河村勝

    ○河村委員 私の質問は、市町村別に交付税、基準財政需要を算定する場合には現在員を基礎にして行う。だから交付税の配分というのは、人件費に関する限りは大体現在員に案分して配られると考えていいのですか。
  128. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 地方財政計画上の人員は、現在おりますいわゆる実人員とは若干違います。教職員等は大体実員に近いわけでございますけれども、臨時職員とかいろいろなタイプの職員がおられます。そういったものでは地方財政計画に入っていないものがございますので、差がございます。
  129. 河村勝

    ○河村委員 臨時職員のことまで言っておりませんよ。正規の在籍者はみんな入っているわけでしょう。少なくとも現在員が基準になっているのでしょう。臨時雇用員なんかは別です。
  130. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 若干計画上の人員は実員とは違っております。
  131. 河村勝

    ○河村委員 違うというのは、多い方に違うのですか、少ない方に違うのですか。
  132. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 計画の人員の方が少なくなっております。
  133. 河村勝

    ○河村委員 どのくらい少なくなっておるのです。
  134. 津田正

    ○津田説明員 五十三年の給与実態調査におきます普通会計職員は二百六十八万九千九百八十八人、それに対しまして五十三年度の地方財政計画で計上しております人員は二百三十八万一千五百三十二人、乖離が三十万八千四百五十六人、こういうかっこうになっております。
  135. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、この三十万少なく計上してあるのは、どういう算定方法によって差別をつけているのですか。非常に過剰だと思われるところは減らして、きちんとやっているところはそのまま認めるとかなんとかそういう計算でやっているのかどうか、その算定方法。
  136. 津田正

    ○津田説明員 算定方法といたしましては、標準的な行政水準というものによります人員をはじいておるわけでございます。  ちなみに、五十五年度の計画におきまして、先ほど局長から申し上げましたように若干の人員増がございます。その人員増の内容を申しますと、小学校の教員あるいは中学校の教員等の学校の教員が、文部省の基準等で変わってふえてまいります、あるいは生徒の増加等でふえてまいります、そういうもので見るとか、あるいは、警察官の政令定数の改善に伴うものによります人員増、あるいは、厚生省であるとかそういうような補助金によって施設をつくったその施設管理要員、そういうものを適正合理的に財政計画の中に織り込んでいく、このような考え方でおります。
  137. 河村勝

    ○河村委員 警察とか教職員はいいのです、動かしょうがないでしょうから。だから問題は、そうでない一般職員について、私の計算によれば昭和三十五年から二十年間に三倍ぐらいにもなっておる。これをだんだんと減らしていく必要があるであろう。そうしたら交付税の配分そのものについても、したがって基準財政需要の中に相当厳しい査定を徐々に加えていく。それが自治省として人員の簡素化を図る残された、唯一でもないかもしれないけれども、有力な手段であろう、そう思うので、そういう方向で運用できないであろうかということを聞いておるわけです。いかがです。
  138. 津田正

    ○津田説明員 若干計数的に御説明申し上げますと、今回の財政計画等で計上いたしますいわゆる学校教員であるとか警察官であるとか消防職員、あるいは社会福祉関係施設の職員の増を除きますと、その他の職員は千五百三十人増員させておりますが、一方におきまして、国の行政改革によります定員削減、五年間に四・二%というものに対応いたしまして地方公務員につきましても削減するようにということで、六千七百二十一人の減員をこちらもやっておりまして、国の行政改革と軌を一にして地方公務員の合理的数と申しますか、そのような考え方でおります。
  139. 河村勝

    ○河村委員 しかし、その程度減らして、現在員といわゆる予算定員との差が三十万にもなりますか。どこから出てくるのだろう。
  140. 津田正

    ○津田説明員 この計画人員と実人員の差というものにはいろいろな要素がございまして、たとえば公共事業の事務費によります事業費支弁職員であるとか、あるいは保育所の職員等では委託料というかっこうで処理される、そういうようなものがございますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  141. 河村勝

    ○河村委員 いや私は本当は少し感心をしていたのですけれども、取り消さなければならない。三十万人ぐらい現在員より低いところで計画人員を決めておれば、だんだんと縮小に向けて努力をしているのかと思ったら、どうも経理のやりくりでもって入らないものが抜けているだけだというのでは本当は何にもならないので、実質的には何か六千七百人減らしただけだというのでは、とうていそういう政策意図を持って人員の縮小整理を進めていく材料にはならない、私はそう思うのですよ。だから、そこのところを一歩進めて政策的に——政策的にというのは少し言葉が悪いけれども、合理的な定員というものをもとにして基準財政需要をはじき、それをてこにしてだんだんと間接的に合理化を進めていくということ以外に、地方公共団体に対してこういうものを国から促進する道はないであろう、そう思うのですよ。どうですか、大臣
  142. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 財政計画の方では、標準的な行政を行うのにはどれだけかということではじいておるわけでございますが、その面からもう少し厳しくやったらどうだ、これも一つ考え方ですけれども、実際は余り厳しくやり過ぎて実際の人間がよけいおるということになると、地方は大穴があくわけです。  そこで問題は、なぜ一体こんなに地方の人間の数ばかりふえるのかということですが、これは政府全体で取り組まなければできません。それは、警察とか消防とか学校等の問題以外にも、要するに補助金制度とかいろいろなことを通じて、どんどん法律ができるたびに人を置かなければならない、保育所の予算がつけばその保育所の人間をまた一人ふやさなければいかぬ、こういうことでございますので、どうしても地方の人間を抑えるというためには、国全体でそういう体制をきっしり決めてやっていただかぬことには、地方にだけ幾ら押しつけてみましても私は困難であろうと思います。したがって、自治省は従来から毎年、予算編成の際に各省に要望もし、また、法律を制定する際にも、地方に人員増を来すような施策は遠慮してもらいたい、こういうことを言っておりますが、残念ながらだんだん中央の方がやかましくなると今度は地方に押しつけていく、こういう傾向がございますから、ここらは将来、政府全体として取り組んでまいりたいと思います。
  143. 河村勝

    ○河村委員 それも非常に大きいと思います。確かに国のやり方が地方仕事をふやしている面は非常に大きいと思います。けれども、それだけではないんですよ。やはりかなり高度成長期、地方財政が楽だった時分に安易にふやしている面が非常に多いのです。それはそれでやらなければならない。同時に、補助金行政その他の合理化をやらなければならないのですが、そっちの方、いまあなたは国全体でやらなければならぬとおっしゃったけれども自治省としてもう少しそれを推進することをお考えになったらどうですか。ただ都道府県知事が知事会でもって決議をするとか、市長会で決議をするとか、そういった世論喚起だけではなくて、自治省としてそういう意思を反映させるように、自治省自体として補助金はこうするんだ、出先機関はこうするんだというような、自治省自体でもって悪いところは是正するという方針ぐらいつくって、そして閣内でもって各省との間で実現を推進するとか、そういうことは一体やっているのでしょうか、私ははなはだ疑問だと思うのだが、いかがですか。
  144. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 もちろんこれは私ども仕事でございますから、政府部内ではそういう心組みで少なくとも着任以来やっておりますし、今後ともその決意で進みたい、こう考えております。
  145. 河村勝

    ○河村委員 たとえば補助金の取り扱い、一件審査主義というものですね、縦割りの一件一件査定をするやり方、これなどは悪いことはわかっていて長年続いているわけです。ですから、大きな府県、市町村というバックがあるのですから、ひとつ団結をして、とにかく建設省所管のいろいろな建物をつくる補助金、それから河川とか道路とか公園とか、こういうものは少なくとも各省別ぐらいには一括してよこせというようなことを圧力団体をバックにして要求して、それでなければ受けつけぬというぐらいのことをこの際やってみたらどうです。いかがですか。
  146. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御意見を腹に置いて検討してみたいと思います。
  147. 河村勝

    ○河村委員 私もこの間予算の集中審議で出先機関整理を、半分自治省の代弁みたいなことを質問したのですけれども、府県単位の財務部それから行政監察局、こんなものはことしでもすぐなくせ等々、成功しませんでしたけれども、予算の通過の条件にでもしようと思ったけれども、どうも思うようにいかなかったのであります。ひとつこういうものはもうちょっとあなたも、一般論としては賛成だけれども具体的にはむずかしいぐらいの話で、御自分の管区警察局をやめろという話になるとあれは要るのだみたいな話で、総論賛成、各論反対というのは余り変わらないようで少しがっかりしているのですけれども、ちょうど時間になりましたからきょうはこれでやめますが、自治省としてもう少し地方分権を進めるという立場から、地方出先機関整理、それから補助金行政の刷新、少なくともこのぐらいは、いま絶好のチャンスなんですから、このぐらい世論が盛り上がっているときはないんだから、ぜひとも中心になって推進してもらいたいと思います。最後に大臣決意を伺って、質問を終わります。
  148. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 河村さんの本日の御質疑は、すべて今日われわれが抱えておる急所をついた御質疑ばかりでございました。私どももよくそういった河村さんの御意見、御指摘、これらを踏まえまして、本当にいまは絶好のチャンスだと思っておりますので、そういう意味合いで今後とも努力を積み重ねてまいりたい、かように考えております。
  149. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  150. 塩谷一夫

    塩谷委員長 田島衞君。
  151. 田島衞

    田島委員 当委員会において自治大臣国家公安委員会委員長が述べられました所信に対する質疑を中心にして、数点にわたって質問をさせていただきたいと思います。  まず第一点は、地方行政についての基本的な認識についてでありますけれども大臣地方行政地方自治について、「国民の価値観の変化等から大きな転換を迫られている状況にあります。」こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、具体的に言うとどのような状況を指してそのような認識をされるのか、まずこの点から説明をお願いしたいと思います。
  152. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今日、国民の気持ちがだんだん変化をしてきておる。それが行政の上では、地方の自治とでもいいますか、要は地方団体というものが自主的、自律的に仕事ができるような制度をいま少しく見直したらどうだ、同時にまた、その制度の上に立って住民意思というものを直ちに反映することができるような運営の仕方に改めるべきではないのかといったような気持ち地方住民の中に根強く生まれてきつつある。これをとらえて私どもは自治行政に携わっていかなければならぬ、かように考えております。
  153. 田島衞

    田島委員 そうしますと、地方時代だとか、地方自治こそが政治の原点だとかよく言われますが、そういうことをさらに尊重した地方自治の充実といいますか、そういうふうに解釈してよろしいでしょうか。
  154. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 仰せのとおりでございます。
  155. 田島衞

    田島委員 そこで、その対応策として「長期的な展望の上に立って行財政両面にわたり見直しを行い、」ということでありますが、この点については、先ほどの質疑の中にもあり、大臣から、事務事業の再配分等もさらに考えて、十分地方時代に即応するような配慮をしたいというようなことの答弁もあったようですけれども、そういう点を大体指しておられることなのかどうか。
  156. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 そのとおりでございます。
  157. 田島衞

    田島委員 そこで、大臣も言われるとおり、確かによく八〇年代は地方時代だと言われる、そして地方自治の確立をしなければいけないと言われるわけでありますが、そういう地方自治というものについての論議が重要視されることは大変結構なことだと思うのですけれども、その際に私どもがいつも当たる壁があるわけであります。それはどういうことかと言いますと、その地方自治というのはどういうふうにあることがいいのかということについては、地方自治の本旨にのっとり、こう憲法にも地方自治法にも書いてあるのです。ところが、残念ながらその地方自治の本旨とは何ぞやということについてはどこにも書いてないのですが、もし大臣のその本旨についてのお考えを承ることができればひとつ承らせていただきたい。
  158. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるように、日本国憲法にも自治法にも地方自治の本旨と書いてあるので、その中身は書いてございません。そこをめぐって従来から、団体自治であるとか住民自治であるとかいろいろなやかましい議論が学問的には言われているようですけれども、要は、先ほど申しましたように地方団体というものは、自分の力で自主的に自律的に自分の地域にふさわしいような仕事ができるような制度を確立しなさい、同時にまた、その制度の上に立って、自分の力で歩くことができるような体制を組んで、そして住民意思というものを十分反映させながら地方団体仕事が運営できるようにすることだ、私はさように考えております。
  159. 田島衞

    田島委員 何しろ地方自治の本旨という言葉はありますけれども、本旨とは何ぞやということについての定義がどこにもないものですから、われわれもそのことで大変困ることもあり、理事者側においてもしかりだろうと思うのです。確かに地方自治というものの本当の根幹というのは自力、自律、それが一番大事なことだということについては、まさしく大臣おっしゃるとおりだと思うのですけれども、そういう自力、自律ということを考えた場合に、地方自治におけるいわゆる福祉行政というもののあり方については、これに重点を置くべきものなのか、それとも重点を置くべきものではないのか、本来徐々にその重点は取り除かれていくべきものなのか、そういう点についてもしお考えがあれば……。
  160. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いわゆる福祉行政というのは、ますます充実をしていくべき筋合いのものである。なぜかならば、やはり政治の究極の目的は人間の幸せですから、その幸せにはいろいろな意味合いがございましょうけれども、やはり一番身近なというか自分自身の幸せということでしょうから、それが国としては最終的に保障できるような政治のあり方でなければなりません。しかもその仕事は、一番身近な行政ですから、地方団体が担当してやるべき筋合いのものであろう、かように考えております。
  161. 田島衞

    田島委員 確かに地方団体そのものがみずからの住民のための福祉行政をやることは、それ自体、地方団体としては自律、自力でしょうけれども、本来、地方自治の根本的な精神が自力、自律にあるとすれば、それは住民そのものにとってもそのような考え方であるべきものではなかろうか。したがって福祉においても、いわゆる地方団体あるいは国が当然やるべき性格のものと、できるだけ自力、自律をもって措置されていくべきものとの区分がもう少しはっきりすることが望ましいのではなかろうかとも考えられますけれども、その点ではどうでしょうか。
  162. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私もそれはもちろん、自力でやってもらわなければならぬ面があるので、いわゆる福祉行政、福祉行政と言うて何もかもそれに頼るということはよろしくないと思います。ただ、日本の世の中の変わり方を見ますと、昔であればやはり家庭中心の親孝行でしたよ。社会福祉というのは、このごろ親不孝者がふえてきたから、簡単に割り切れば親孝行を世の中全体でやるのだ、私はそれくらいの物の考え方で単純に割り切っておるのですけれども、いずれにせよ、それは自分自身で、自力で歩いてもらわなければならぬことは当然です。しかしながら同時に、こういった社会の風潮でございますから、世の中全体でそういった社会福祉の面を充実していく、親孝行を社会全体でやるのだということも必要ではなかろうか、私はかように考えます。
  163. 田島衞

    田島委員 そこで、今度は少し変えまして、地方財政についてお伺いをいたします。  地方自治をさらに充実させる、そのためには、いやでも地方財政についての考慮がされなければならぬと思うわけであります。この地方財政の中での租税体制といいますか、現在の税制における負担と還元の問題を考えてみたときに本来、税は反対給付を約束すべきものである、反対給付を約束しない税は言うならば、悪税だと言われても仕方がないということも言われるわけであります。  私は東京都だから言うわけではありませんが、東京都に一つの例をとりますと、昭和五十二年度の例で見ますと、東京都民一人当たりの租税負担額は全国最高で約六十万円です。ところがその還元率は三五%で、額にすると約二十一万円。もちろん国の機構、それから国と地方公共団体とのいろいるな関係、そこにおける社会保障的な物の考え方、いろいろありますから、何も負担に応じたということを強調するものではありませんが、たとえば五十二年度に例をとって結論的に見ると、地方財政はその税総額の八〇%を財源として仕事をしておるわけです。しかしながら徴収時においては、国は約六三%を押さえておる。この数字からすると、都民一人当たり負担は六十万で還元二十一万というのはおかしいのではなかろうかと思うのですが、財政局長さんからでも……。
  164. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいまのお話は、国税、地方税を通じまして各地域の税がなるべくその地域に還元さるべきであるという御趣旨の御指摘かと思います。計数的にはただいまのような数字を確認しておりませんが、いずれにいたしましても、東京都初め大都市所在の府県等におきましては、法人企業が非常に集中しておりますから、これを含めた税収は全国平均をかなり上回ることは当然であります。ただ、それをその地域にすべて還元すべきである、あるいはその還元率が各地域間に余り差があってはならないという主張は昔からあるわけであります。しかし、今日のわが国の税源の地域的な偏在というものを考えますと、ある程度先進地域と後進地域の間に差が生ずるのはやむを得ないのではないか、このように思います。それからまた、この議論につきましては、大都市地域経済の発展というものは後進地域の労働力の提供等によって支えられているではないかという後進地域人たちの反論もあります。ですから要は、どの程度までが税制としてあるいは財政として妥当な姿であるかという議論に尽きると思います。  ただ、基本的にはそうでありますけれども、私どもいまの税制の中で、もっと地方税のウエートが高くあってしかるべきだ、こういう考え方は持っております。
  165. 田島衞

    田島委員 いまも申し上げましたとおり、私は必ずしも負担率に相応な還元をせよとはもちろん言っていないのですよ。そんなことは言うべき筋合いのものでもないし、できないことはわかっている。そうじゃなくて、負担額と還元の率とが少しひど過ぎるのじゃないか。それも、たとえば地方財政における財源が税総額の五〇%を割っているということならばまだわかるのですけれども、租税の八〇%は結論的に言うと地方財政仕事の財源になっている。ということは、国の方の仕事で還元するのは二〇%ぐらいだということにもなるわけですよ。そうしたら、本当は八〇%に見合うぐらい、それに近いものぐらいにもう少し近づけてもいいのじゃないかというようなことを言ってみたいわけですけれども、全然違いますか。
  166. 石原信雄

    ○石原政府委員 今日の租税の国と地方の間の実質的な帰属について申しますと、御指摘のように国が三〇%弱、地方が七〇%強というような数字になっております。仕事の量、実際使っている量から言いますと、圧倒的に地方が多くて、中央政府が直接支出している分は少ないわけであります。にもかかわらず、独立税の配分におきましては、おおむね国税が六五%、地方税が三五%、こういう比率になっており、またその間の調整措置として交付税あるいは譲与税という制度があります。さらにまた、一部の事業につきましては国庫負担金、国庫補助金が支出されている、こういう関係にあるわけであります。  そこで、現在のような仕事の分担と独立税の配分の関係がこれでいいのか、こういう御指摘かと思います。この点につきましては、いろいろ議論はありましょうけれども、私どもは今後の望ましい姿としては、なるべく地方仕事の量に見合った独立財源がもっと地方に与えられるべきではないか、このように考えております。
  167. 田島衞

    田島委員 次に、地方交付税法というか地方交付税制度について尋ねてみたいと思うのですけれども地方交付税法上では、地方自治体の一般財源不足額に対して普通交付税総額が引き続き著しく異なった場合には制度改正または交付税率の引き上げを行うというようになっているはずだと思うのですが、その引き続きというのは聞くところによると大体三年ぐらい。としますと、過去三年以上約五年ぐらい、まさにこの引き続きの状態であるはずだと思うのですけれども、それについての交付税の制度改正または交付税率の引き上げ等についてどのように考えられておるのか、いままでやっておらなくても、やろうと考えておられるのか、その点ちょっと聞かしていただきたい。
  168. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお示しのございましたように、地方交付税法の第六条の三の二項には、引き続いて著しい財源不足が生ずる場合は、地方行財政制度基本的な改善をやるとかあるいは交付税率のアップをするとかいう方法によって事態を改善するようにということが出ておるわけでございまして、私どももそれは十分承知をしておりますし、ここ数年来の地方財政状況から見ますと、まさにおっしゃるような六条の三の第二項に該当するような事態だと思っております。  そのためにたびたび私どもとしては、毎年度地方財政対策を立てる際に、交付税率の引き上げを含めて国の財政当局といろいろと交渉してきたわけでございますけれども、ここ数年来の国、地方を通ずる異常な財政状況でございまして、国と地方との基本的な財源配分の方式でございます交付税率をいま直ちに変えるということは容易ではなかったために、補てんの方法として、交付税特別会計による借り入れ、その場合の返還に当たってはその実質二分の一を国が補てんするといった制度などを導入いたしまして、そういった制度改善によって事態を収拾してきたということでございます。そういった意味では、私どもとしてはそれなりの手を打ってきたつもりでございますけれども、いまお示しのございましたように、本質的な意味での六条の三の二項の趣旨から見れば、やはりもっと地方への一般財源というものが充実さるべきであると思っておるわけでございます。五十五年度の地方財政対策に当たっても、実は交付税率の引き上げについてもいろいろ交渉したわけでございますが、何せいまの財政状況でございますから実現できませんでしたが、これでずっといいとは思っておりませんで、今後引き続いてこの問題をどうするかということは、もっと基本的にいまの税財政制度のあり方を含めて検討すべきものだというふうに認識をいたしております。
  169. 田島衞

    田島委員 その事態については認識されておる、ただし、国の財政事情その他もあって、何とか改定をしようと思うが思うようにできないというような御答弁だったと思いますが、もちろん現実の問題としては理解できないことではありませんけれども、先ほど来冒頭大臣を煩わして、地方時代だ、地方自治の確立だと言ってきた今日の事態においては、ただ国の財政事情がというだけで地方財政へのしわ寄せがなされ、地方交付税法の意義がどんどんどんどん失われていく。いま都道府県の中で東京都だけが唯一の不交付団体になっておりますけれども、私どもとしてはこの東京都が不交付団体になっているということ自体にも大変不満があるわけです。だからといって、もしいろいろわれわれが論議を進めて、都も交付団体になるようなことになったら、もう交付税制度は抜本的にその存在意義を失うと思うのです。そういうような状況下にあると思うので、したがって都の問題については、私たちもどこまで強く要求していいかどうかまことに迷うわけですけれども、そういう私たちの立場立場としても、国の財政事情だけで地方交付税法の求めるところを無視するということはやはりまずいのじゃないかと思うのです。大臣、いかがでしょうか。
  170. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 やはり交付税率が低いということはまさに仰せのとおりであろうと思います。これはやっぱり直さなければいけません。ただ、私の率直な感じを申しますと、これは必要性はもうわかっておりますし、やらなければならぬ。しかし、問題はチャンスなんだと思っております。いまやるべきことは、やはり行財政をもう少し簡素合理化するのだという行財政改革をまずやって、そして最後帳じりを合わせてみるのだ、帳じりを計算をしてみるのだ。そうなれば、国も地方もこのままではどうにもならぬではないか、さて、そこで皆さん、どうさせていただけますかという時代が必ず来るであろう。その時期に国と地方を通ずる税財政全般の抜本的な改革ということが実際問題としてはでき得る手ではなかろうか。今日のままの姿で三二%を四〇%にしろと言ってみても、それは本当は言うべくして実現は容易ではない。やはり手だて、手順というものを踏んで、そして最後の段階での全般を通ずる税財政改革の際に大きな一戦をやらなければならない、かように考えておるわけでございます。
  171. 田島衞

    田島委員 確かにわれわれも現実にはなかなかむずかしい問題であるということは認識するわけですけれども、少なくとも法律でこういう事態についてはこうするのだと決めてありながら、しかもなおほおかぶりするということは余り感心したことではない。どのような事由があろうとも、やはりそれについては改正をするか、さもなければ、改正しなくてもいいような形に何とか転換をしていくか、いずれかの努力をしなければならぬと思うのですけれども、このままでいいということでは少しまずいと思いますが、どうでしょうか。
  172. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私もこのままでいいとは全く思っておりません。これはやはり手をつけなければならぬ事柄である。そこで自治省としては、五十三年の改正で、ああいった複雑なやり方ですけれども、一応あれを制度改革である、こう理解をしまして、借入金の二分の一は後で国が補てんをするということで、これは私は率直に言って当面を糊塗する政策だと思います。これもやむを得ざる次善の策だと考えておりますので、いずれにせよ、根本改革には踏み出さなければならぬ時期がだんだん近づいてきておる、かように考えております。
  173. 田島衞

    田島委員 少し我田引水になりますけれども、東京都は先ほど申し上げたとおり、都道府県における唯一の不交付団体なのですが、そのために東京都は大変苦しい立場に立たされておるわけであります。確かに財政収入と財政需要との数字の上では富裕団体だということになるわけですが、現実には東京都がここ数年来、毎年毎年赤字に苦しんでおることは御承知のとおりなんです。その理由は、東京という巨大都市、首都と呼ばれながら、法的には何らそれらしい措置は受けていない東京の持つ特殊性といいますか、たとえば昼間人口の異常な流入だとか、あるいは、そのほかの首都的性格の中に置かれておるところの特殊な財政需要だとか、そういうものがあることは理解いただけると思うのですけれども地方財政全体の構造に対する都財政構造の大きな相違点の中で主なものを引っ張り上げてみますと、目的別歳出においては、たとえば消防警察費だとか清掃費、この構成比率が非常に高いわけです。それから、下水道だとかあるいは交通関係の公営企業等への繰出金の比率が高い。これらはいずれも、東京という大都市の持つ特殊性の中から出ていることは明らかに想像がつくと思うのですが、別な形で性質別の歳出で見てみても、たとえば公営企業会計の補助金だとか、特別区の国保調整交付金等が非常に大きな比率を占めておることがわかるわけなんです。  こういう点を考えて見た場合に、東京という特殊な巨大都市に対する財政需要の見方というものについては、特別な見方をできればとっていただきたいと思うのですけれども、現実には先ほども申し上げたとおり、もしその結果東京も交付団体だということになると、地方交付税法の存在意義としては大変大きな問題になってくるのではなかろうかと思うので、まことにむずかしい問題でありますけれども、そのような東京の置かれている立場の苦しさについては、財政局長さんか行政局長さんか、おわかりいただけますでしょうか、どうでしょうか。
  174. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまいろいろとお話のございましたような、大都市であるがゆえのいろいろな需要、そしてまた、東京都としていろいろ抱えておる特殊事情、流入人口の問題とか地価が高いとかいろいろなそういうことがございますので、非常に需要的には高いものがあるということは私どもは理解できるわけでございます。
  175. 田島衞

    田島委員 それから続いて、不交付団体であるところの東京都に対するわれわれが大変な不利益措置だと考えておるところについて、幸いに昭和五十五年度で一部改善されておることはまことにありがたいことだと思っておるのですけれども、ただそのうちで、義務教育職員給与費国庫負担金だとか、地方道路譲与税だとか、国有提供施設等所在市町村助成交付金等がありますけれども、その中で、特に義務教育職員給与費国庫負担金については本来、いささかの制限もすべきじゃない、不交付団体だろうと何だろうとこれについては全額国が支出すべきものだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  176. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいまお話のございましたように、東京都についてはいろいろな他と違う扱いがされていることは事実でございます。ただ私どもは、地方が一定の行政水準、標準的な行政を行うということのためにはそれ相応の財政の保障をしなければならない、そういった中で、非常に富裕団体である東京、いわば税収が多い、税源が偏在しておるといったようなことがございますために、東京都についてはいろいろな問題が出ております。交付税算定においても不交付団体とされておるわけでございますが、実は交付税の算定に当たっても東京については、先ほどいろいろおっしゃいましたような特殊事情を踏まえまして、たとえば甲の十種地といったような態容補正もしておりますし、いろいろな補正係数を用いて大都市の需要を反映しておるわけであります。それでもなおかつ、計算してみますと、標準財政需要よりも標準財政収入の方が高いものですから、結果的に不交付団体ということになっておりますので、その点につきましては、私どももいろいろ時代の変化に応じて、今後とも先ほど御指摘のありましたような大都市の特殊事情というものは十分財政需要に反映ができるように、いろいろな計算については努力もし検討いたしたいと思っております。  もう一つは、そういうことでございますゆえに、やはり全体的には義務教育職員給与の国庫負担金についての制限とか、あるいは地方道路譲与税における財源調整措置といったようなものがあるわけでございますけれども、そういった点については長い経緯がございますので、直ちにこれを廃止するということは、都としてはそういう要望がありますけれども、私もそれは容易ではないと思いますが、たとえば五十五年度におきましては、ただいまの義務教育職員給与の国庫負担金につきましてはかなり是正措置を講ずることにいたしました。給与単価の引き上げとか退職手当算定率の引き上げといったようなことでたしか四十数億改善されたと思っておりますが、そのほかの点についても改善をいたしたいと思っておる次第でございます。
  177. 田島衞

    田島委員 不交付団体になっているということについても、都そして都民であるわれわれは大変不満を持っておるのですけれども、それについてはある程度は大人にならなければしょうがないと思っておるのですが、その上にまた、不交付団体であるということのゆえをもって各種の調整措置をされるということは、言うならばダブルパンチじゃないかと思うのですよね。そうじゃないのかどうなのかということと、先ほども指摘したとおり、その中で特に義務教育職員給与費の国庫負担分については、これは地方財政法からいっても本来全額国が負担すべきものだ、そう思うから、五十五年度は大変お骨折りいただいたことだとは思いますけれども、お骨折りいただくより何より、本来そうあるべきだと思うので、もう一回そのことについてお答えをいただきたいのと、同時にまた、本当に私が指摘するように、一種のダブった調整措置だということの御認識がいただければ、引き続きこれについての改善方についてお骨折りをいただけるかどうか、このこともあわせて御答弁をお願いします。
  178. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもは、地方団体に必要な行政水準を維持するための財源の保障もしなければなりませんが、同時にまた、財源調整といったようなことも考えなければならない。そういった意味においては、過去ずっと歴史を見ましても東京都は、いろいろ基準財政需要額を算定し、収入の方と比べてみますと、非常に収入の方がオーバーしておったということがございまして、いわゆる富裕団体ということで交付税算定上ももちろん交付税が出てまいりません。と同時に、ダブルパンチと言われましたが、一方ではそれでありますがゆえに、国から負担すべき分についても制限が加えられているということはそのとおりでございます。ただ、それは追い打ちをかけてというよりも、全般的な財源の状況等から見て、他の地方公共団体と並べてみました場合に、それだけの余裕があるのだという認識のもとであったわけでございます。  ただ、いろいろと時代が推移してまいりますと、大都市における需要というのも変化をしてまいっておりますし、また、財源の面においてもいろいろな問題が生じておりますから、私どもとしてはそういった実態を踏まえて、たとえば東京都にございましても十分これが財政的にうまく運営ができるように考えていかなければならない。そういった意味では、全廃ということについては、これはいろいろな政策的な問題でございまして、私がここでこういうことがいいというふうに断言するわけにはまいりませんけれども、実態に応じた改善というものは当然しなければならないと思っております。その意味で先ほども申し上げましたように、その結果がどうなるかは別といたしましても、交付税算定上の需要の算定の仕方については、大都市地域状況というものを十分反映をさすということについては努力をするつもりでございますし、その他の制限措置についても、必要なものについては今後とも改善を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  179. 田島衞

    田島委員 続いて超過負担について、あるいは私がいなかったときに河村先生からでも御質問が出ているかどうかわかりませんけれども地方団体の中には、国庫支出金についての超過負担に大変苦しんでおる団体が少なからずあるわけですけれども、その超過負担のよって生まれる理由というのには、いわゆる単価差といいますか、国の査定する単価と実際にかかる費用との単価の違い、あるいはまた、数量のお互いの食い違いとか、一当然対象だと考えられるものに対して対象外に外されるということによるものだとか、それから、明らかに補助採択基準に合っていると思う事業であるにもかかわらず補助事業に指定されないとか、そういう幾つかの例があるわけですけれども、これも十分御承知のことだと思うのですが、これまた、そういうことについてはよくわかっておる、ただし、現在の財政事情その他からするとなかなかそう簡単なわけにはいかぬというお答えになるのか、これについても極力是正措置を考えられておるのか、ちょっと簡単に御答弁願いたいと思います。
  180. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 超過負担の問題は、まさに国と地方財政秩序を乱すだけではなくて、地方に過重の負担をかけるということでございますから、基本的に私どもはこれはぜひ是正をすべきものだと思っておるわけでございます。そういったことから、私どもとしては四十三年以来、かなりの数的にも出てくるような改善措置を続けてきておるわけでございますけれども、ただいまおっしゃいましたように、どの程度の超過負担があるのかということになりますと、当該補助を出しておる省庁と地方団体との間にいろいろ意見の食い違いがございます。経済情勢の変化に応じて単価を上げなければならぬものが上がっていなかったり、あるいは各種の補助の基準の問題、面積基準その他の内容の問題がございまして、それについては開きがあるわけでございまして、そういったことから、いろいろ議論をしてもこれはなかなか詰まりませんものですから、私どもとしてはできるだけ実態調査をやってこれを進めたいということで、最近ではずっと毎年、徐々にではございますが、実態調査を踏まえて、それに基づいて関係省庁も合意をした上で改善を進めてきておるということでございます。  そのためにかなりなものが改善をされたというふうに私ども考えておるわけでございますけれども、なおお示しのように、これがなかなか完全には解消ができたとは言いがたいと思いますし、今後ともやはり経済情勢が変化していったり、またいろいろな社会の変化に伴って、施設の水準というものもいろいろな住民考えるような程度の水準のものを維持するということになると相当なものが必要になってくる、そういった意味で施設の中身も変わってくると思います。そういった推移などを十分考えながら、関係省庁と連絡を密にとりながら、超過負担が生じないように努力をしてまいりたいと思っております。
  181. 田島衞

    田島委員 地方税に関連した大臣の所信の中で、「このような事態に対処するためには、歳出の一層の節減合理化に努め、効率的、重点的な財政運営に徹する」云々と、こうありますけれども、まことにそれはそのとおりいけばこんなにすばらしいことはないと思うのですが、問題は、何が効率的で何が非効率か、何を重点にすることがいいのか悪いのかのその判断の基準といいますか、行政効果というものは確かに行政の中では重大な意義を持っているんですが、さて、その行政効果がどの程度に上げられているかどうかということの算定の基準というものは非常にむずかしいので、これは何かその算定の基準にするような手法がありますか、どうですか、また、今後それについて考えられるのか。それから、その重点ということについても何か判断の基準というものがあられるのか。大臣からでもどちらからでも……。
  182. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 いまお話がございました行政効果の測定というのは大変むずかしい問題でございまして、一概にこれがいいというのがなかなかございません。かつてPPBS方式でありますとかあるいは費用効果の分析でありますとか、最近になりますとゼロベース予算でありますとか、いろいろなことを考えながら実はやってまいりました。しかし、どれをとりましても実は満足に根づいたというものがまだないわけでございます。もともと公共団体それ自身の問題を考えてみましても、どういうふうにして費用ないし負担を使いながら行政の目的を達成しようかということを考えなければいかぬわけですから、確かにこの手法を開発することは大事なことではありますが、正直のところ、なかなかいま申し上げたようなもののほかに目新しいものはございません。ただ、われわれといたしましては、地方自治法にそう規定をいたしてありますが、最小の経費で最大の効果を上げるということに目的を置きながら、今後も努めていかなければならぬのではなかろうかと考えております。
  183. 田島衞

    田島委員 最小の経費で最大の効果を上げるということはまさにそのとおりなんですが、それはだれでもわかっているのですけれども、わかってないのは、じゃあ最大の効果が上がっているか上がっていないかは何でどう判断するのだというのがわからない、またわかるための手法がないわけです。だけれども地方行財政制度見直してそれをりっぱなものにしていって、それによっては交付税法そのものをいじらぬでも済むようになるとかならぬとか、そういうことの根幹はそこにあると思うのです。だったら自治省としては、何らかの行政効果を測定する手法を一日も早く考え出してしないと、指導するといったって指導のしようがないだろうと思うのですね。だから、いまあるかと言ってなければ、一生懸命できるだけ早い時期に何らかの測定基準みたいなものをつくる用意があるのかないのか。なかったら何もできないと思いますけれどもね。
  184. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 これまた大変むずかしい問題でして、実は前に市の方で、都市の経営に関する問題というのを詰めておりまして、そのときには、たとえば民間ではどういうふうにやっているだろうかという対比あるいは比較をしながら、現実に行政の効果としてはそれで十分であったかどうかということをやったことがあります。ありますが、これが全部に行き渡るかどうかということも大変むずかしい問題であります。先ほど清掃のお話がございましたが、たとえばいま東京で不燃物の収集を週一回やりまして、可燃物の方を三回やっている。これは現実にそういう住民の満足度からいって、その程度が正しいのかあるいは収集を二回にする方がいいのか、この辺も議論のあるところだと思います。しかし、これは一体どうしてわかるのだろうかといいますと、現在のいろいろなものを見てみましても、住民の満足度をはかる以外にどうも手がないわけであります。そういうことを考えますと、若干のむだがあってもやらなければいかぬということでやっているという部分もずいぶんないわけではないと私は思いますが、しからば、それが本当に正しい行政であるかどうかというのは、監視しております議会なりそういうところにおける選択の問題ではなかろうかという感じもいたします。ともかくどちらにいたしましても、先ほど申し上げましたように、常に最小の経費で最大の効果を上げるのはもちろんわれわれの務めでありますから、今後ともそういう努力をしていきたいと存じております。
  185. 田島衞

    田島委員 その点についてはまだ釈然としませんので、最小の経費で最大の効果ということはこれは言わなくてもわかっておる。ただ、最大の効果が上がっているかどうかということをどういうふうにして測定するか、測定するための手法を早く生み出さなければだめだということを言っておるわけですけれども、何か私の聞き方が悪いか、それとも答弁しにくいか、はっきりしないようでありますが、そこらにしておきます。  続いて、時間がありませんから、消防行政警察行政と両方に関連するかもしれませんが、いわゆる大震災等の発生に対していま現在、いろいろな避難場所だとか避難道路だとか防災拠点だとかとわかったようなことをやっていますけれども、そのいずれもほとんど効用はないと私は思っているのです。そんな机上の防災対策でやっておったら、たとえばこの東京にしてもえらいことになるだろうと思うのです。そこで根本的な大震災対策として、たとえば消防庁さんにしても、一生懸命逃げなさいということを重点に置いて指導するのか、それとも逃げてはいけない、踏みとどまって火を出さないようにするのだ、出た火を極力消すのだという指導に重点を置くのか、どちらなのかちょっと聞かせてください。
  186. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 一昨年、御承知のように仙台で大地震がございました。時間的に恵まれていた関係もございますけれども、二次災害がほとんど出なかったわけでございます。幾つかの個所で火災は発生いたしましたけれども地域住民の方々がこれを消すあるいは火事が大きくならないように食いとめるというようなことを適切にやっていただいたおかげで、二次災害が出ず、したがって被害は最小限に食いとめることができました。そしてまた、御承知のようにあの場合、電気、ガス、水道といったライフラインが切断されました関係で、けが人等も相当出たわけでございますけれども救急自動車等も走れない、地域の方々が皆さん自分で傷の手当てをし、近所の病院へ駆け込むというようなことで、これも一応の措置ができたわけでございます。  したがいまして、私ども地震が来たというようなことを考えますと、地震そのものはやむを得ないとしても、それによって生ずるところの二次災害というのが最もこわい。関東大震災の例を見てもまさにそうでございます。そういう観点からいたしまして、場合によっては逃げることも必要でございますけれども、むしろ二次災害を防ぐために、その地域にとどまって適切な対応をするということが必要でございます。したがって、最近都市部におきまして、自主防災体制を整備するよう各関係地方団体に対して強力な指導を展開しておるところでございます。
  187. 田島衞

    田島委員 都市部、農村部、いろいろあるでしょうけれども、特に都市部においては逃げる指導というのは余り芳しくない。人間というのは一度背中を向けたら、相当屈強な者でもまるっきり使い物にならなくなってしまう。それと反対に、踏みとどまって守る気持ちになれば、女の人だって結構りっぱな活躍ができるわけなんで、その人間の心理状態というものと同時にまた、御承知のとおりいまの都市部、都市部ばかりではありません−けれども、新建材が非常に多用されている。したがって、二次災害として火が一度出た場合に、こわいのは火ではなくて煙。さて、そこでいま消防庁さん、地域消防ですか、あれを一生懸命骨を折っておるということですが、その新建材から出る煙に対する対策としてどう考えて、どう対応しているか。
  188. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 地震対策ということのみに限るわけでございませんけれども、御承知のように新建材がどんどん出てまいっておりまして、それから発生するガスによりまして火災において事故死をする人の数が毎年相当数ございます。したがいまして、それに対応するにはどうしたらいいかということにつきましては、私ども消防研究所というようなものも持っておりますので、そういったところでも十分検討しておるところでございます。
  189. 田島衞

    田島委員 消防庁さんではそれはいろいろ検討されておるでしょうけれども、いまも消防庁長官ですか、地域消防を一生懸命考えている。地域消防ということは一般住民も参加する。その参加する一般住民は、煙が出て、その煙の中でマスクもなくて何かできますか。  この点、時間がなくなりましたから、大臣にぜひ御答弁をいただきたいと思うのですけれども、都市部において大震災等が起きた場合にこわいのは、いま申し上げたとおり、二次災害の火が出た場合の火ではなくて煙だと思うのですよ。その際に住民が大変頼りにする警察消防の皆さんに果たしてガスマスクが十分に行き渡っているのかどうなのか。マスクもなしに煙の中で一生懸命住民を守れといったって、それは無理な話。人間様である以上それは無理ですから、そういう点についてぜひ御考慮をしていただくと同時に、そのことについてお考えを聞かしていただきたい。
  190. 近藤隆之

    ○近藤(隆)政府委員 先ほど自主防災組織について申し上げましたけれども、現在の段階では、全国の都市部のうちで約二割程度しかまだ組織されておりません。そして、その自主防災組織を持っておるところではそれぞれ必要に応じまして、たとえば防火水槽であるとかあるいは可搬式のポンプであるとか、その他必要な消防器具器材というものを整備しているわけでございます。私どもそれに必要な財源といたしまして御承知のように、昨年から国庫補助制度も創設しておるわけでございます。  いまガスマスクのお話ございましたけれども、ガスマスクというのがどの程度普遍的に必要であるのか。そういったものを大量に発生するような工場の周辺といったようなところにおいてはあるいは必要があるかもしれません。その消防の器具器材、何が必要であるかということは、その地域によっていろいろ実情が違いますので、私どもモデル防災センターにおきましては、地域の実情に合うものを整備し、それに対して補助制度を設けるということにしておりますので、必要があればそれも当然、補助対象にして整備をしていきたいと思います。
  191. 鈴木貞敏

    ○鈴木(貞)政府委員 御質疑警察関係ということもございましたが、仰せの災害対策器材の中での、私の方は空気呼吸器と言いますガスマスクですが、率直に言いましてきわめて数は少のうございます。大都市、地方を含めまして、年々こういった災害対策器材の充実には努めておるところでございますが、おっしゃるとおり津波それから火災、こういった第二次災害に伴う被害というのは一番大きいわけでございまして、そういう際、こういった都市部における空気呼吸器といったものの整備につきましてもこれからもひとつ努力していきたい、こう思います。
  192. 田島衞

    田島委員 時間がありませんから、大臣に特にお願いをして質問を終わりたいと思いますけれども、いまの都市における防災対策というのは、ちょっと考えてみていただければわかりますが、道路は、避難道路といったってふだんでもいっぱいなんですから、あれがパニック状況になったら全然使い物にならぬことは、警視庁さんで調べてくれて大変いいデータを出してくれたことで御承知のとおり。本当の避難道路として使えるとすれば、二百メーターぐらいの幅員があって、その両側五十メーターぐらいずつの緩衝地帯、真ん中百メーターぐらいの道路でなければ、本物の逃げ回る道路にはならぬと思うのですけれども、そんな道路がこれからできるはずがない。いま現在ある道路を避難道路にするといったって、こんなものは使い物にならぬことは明らか。しかも避難場所、はなはだしきは十何キロも向こうの方までお年寄り、子供たちに駆けて逃げていけというたって、そんなこともできるはずのものではない。  したがって、そういう客観情勢からすれば、いやでもできるだけ踏みとどまって、火をできるだけ出さぬ、せめて自分の家かちだけは火を出さぬというような考え方ですることの方が、むしろよけいな道具も何も要らぬで、それから避難場所だやれ何だと言わぬで効果のある防災対策が現実に生まれてくるだろうと思うのですけれども、その場合、絶対必要なものはマスクだと思うのです。一生懸命住民期待にこたえて指導しあるいは救護、救済をしてくれる警察消防が満足にマスクの数もなかったら、これは一生懸命やってくれといったって無理な話だと思うのです。いま急にとは言いませんけれども、できるだけ早い時期に、しかもできるだけ潤沢にといいますか、少なくとも一人一つずつぐらい持てるような体制まで御努力いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  193. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 よく検討してまいりたいと思います。
  194. 田島衞

    田島委員 終わります。      ————◇—————
  195. 塩谷一夫

    塩谷委員長 内閣提出に係る地方税法等の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。後藤田国務大臣。     —————————————
  196. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 ただいま議題となりました地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨につきまして御説明を申し上げます。  明年度の地方税制につきましては、現下の厳しい財政事情と地方負担の現状にかんがみ、税負担の適正合理化と既存税制による税源の充実確保を図ることを基本として、個人住民税の課税最低限を引き上げるとともにその減収に対処するため市町村民税の所得割の税率適用区分に所要の調整を加え、個人住民税均等割及び事業所税の税率を引き上げ、不動産取得税の非課税等の特別措置の整理合理化を行い、ガス税の免税点を引き上げる等の措置を講ずることとするほか、地方道路譲与税の譲与の基準を改めるとともに、公社有資産所在市町村納付金に係る納付金算定標準額の特例について整理合理化を図る等の必要があります。  以上が、この法律案を提案いたしました理由であります。  次に、この法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、地方税法の改正に関する事項であります。  その一は、道府県民税及び市町村民税についての改正であります。まず、個人の所得割につきましては、低所得者層の負担の軽減を図るため、課税最低限の引き上げを行うこととし、基礎控除、配偶者控除及び扶養控除の額を二十二万円に、老人扶養控除の額を二十三万円にそれぞれ引き上げるほか、新たに同居老親等扶養控除を設け、その額を二十六万円とすることといたしております。また、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ二十一万円に引き上げるとともに、特別障害者控除の額を二十三万円に引き上げることといたしております。なお、これら課税最低限の引き上げ等による減収に対処するため、市町村民税の所得割の税率適用区分に所要の調整を加えることといたしております。  さらに、短期譲渡所得の課税の特例につきましては適用期限の定めを廃止することとし、長期譲渡所得の課税の特例につきましては昭和五十六年度以後、特別控除後の譲渡益の金額の区分及びこれに応ずる税額算定の方法を改めることとした上、適用期限の定めを廃止することといたしております。  次に、個人の均等割につきましては、地方公共団体行政サービス水準の上昇、物価水準の変動等を考慮して、道府県民税の標準税率を二百円、市町村民税の標準税率を三百円それぞれ引き上げるとともに、市町村民税の制限税率を四百円引き上げることといたしております。  その二は、不動産取得税についての改正であります。不動産取得税につきましては、国民の持ち家志向にこたえつつ、より良質な住宅への住みかえを促進することにより居住水準の向上を図るため、一定の要件を満たす既存住宅及び土地について新築住宅の課税標準の特例措置等に準ずる措置を講ずることとする一方、標準的な水準を超える新築住宅及びその土地を特例措置の対象から除外する等特別措置の整理合理化を行うことといたしております。  その三は、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税についての改正であります。たばこ消費税につきましては、たばこの定価改定に伴って予想される税収の変動の平準化を図るため、昭和五十五年度及び昭和五十六年度における製造たばこの売り渡し本数について、所要の補正を行うことといたしております。  その四は、固定資産税及び都市計画税についての改正であります。固定資産税及び都市計画税につきましては、外国貿易用コンテナに係る課税標準の特例措置等の整理合理化を行うほか、原油備蓄施設に係る課税標準の特例措置の適用期限を延長することといたしております。  その五は、電気税及びガス税についての改正であります。  まず、電気税につきましては、産業用電気に係る非課税措置の見直しを行い、二品目に係る非課税措置を廃止することといたしております。  また、ガス税につきましては、住民負担の軽減を図る見地から、免税点を一万円に引き上げることといたしております。  そのほか、専修学校において直接教育の用に供する電気及びガスを非課税とすることといたしております。  その六は、自動車取得税についての改正であります。自動車取得税につきましては、地方道路財源の確保を図るため、軽自動車以外の自家用自動車に係る税率等の特例措置の適用期限を三年延長することといたしております。  その七は、事業所税についての改正であります。事業所税につきましては、都市環境整備事業に係る財政需要の増大等の状況を考慮して、資産割に係る税率を一平方メートルにつき五百円に、新増設に係るものの税率を一平方メートルにつき六千円にそれぞれ引き上げることといたしております。  その八は、国民健康保険税についての改正であります。国民健康保険税につきましては、被保険者の所得水準の上昇等を勘案して、課税限度額を二十四万円に引き上げることといたしております。  第二は、地方道路譲与税法の改正に関する事項であります。  地方道路譲与税につきましては、現行法上、地方交付税における収入超過団体について一定の譲与制限が行われておりますが、収入超過団体における財政状況等を考慮して、その譲与制限のうち前年度の譲与額に政令で定める率を乗じて得た額を譲与の限度としている部分を廃止することといたしております。  第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正に関する事項であります。  日本国有鉄道に係る市町村納付金につきまして、車庫関連構築物に係る納付金算定標準額の特例措置の縮減を図るほか、日本国有鉄道が政府の補助を受けて、なだれ、落石等による災害の防止または海岸等の保全のために敷設した構築物について特例措置を講ずることといたしております。  このほか、地方税制の合理化を図るための所要の規定の整備を行っております。  以上の改正の結果、明年度におきましては、個人住民税の課税最低限の引き上げ等により九百五十四億円の減税を行う一方、市町村民税所得割の税率適用区分の調整、個人住民税均等割及び事業所税の税率の引き上げ等により二千百二十二億円の増収が見込まれておりますので、差し引き千百六十八億円の増収となる見込みであります。  以上が、地方税法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  197. 塩谷一夫

    塩谷委員長 引き続き、本案について補足説明を聴取いたします。石原税務局長。
  198. 石原信雄

    ○石原政府委員 ただいま説明いたされました地方税法等の一部を改正する法律案の主要な内容につきまして、お配りしております新旧対照表により補足して御説明申し上げます。  第一は、地方税法の改正であります。  まず、道府県民税の改正であります。二ページをお開きいただきます。  第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額を現行の十九万円から二十一万円に、特別障害者控除の額を現行の二十一万円から二十三万円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  第三十四条第一項第十号及び第十一号並びに同条第二項の改正は、基礎控除及び配偶者控除の額を現行の二十一万円から二十二万円に、扶養控除の額を現行の二十万円から二十二万円に、老人扶養控除の額を現行の二十一万円から二十三万円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  なお、基礎控除の額等の引き上げによって、住民税の課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合、現行の百四十九万円から百五十八万四千円に引き上げられることになります。  第三十四条第三項及び第五項の改正は、扶養控除の額が基礎控除及び配偶者控除の額と同額となることに伴い配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族に係る扶養控除を一般の扶養控除に吸収するとともに、新たに、同居している自己または配偶者の直系尊属が老人扶養親族に該当する場合には同居老親等扶養控除二十六万円を適用しようとするものであります。  第三十八条の改正は、個人の均等割の標準税率を現行の三百円から五百円に引き上げようとするものであります。  次は、事業税の改正であります。  第七十二条の二十二第四項の改正は、環境衛生同業小組合を特別法人に加えようとするものであります。  次は、不動産取得税の改正であります。  第七十三条の五の改正は、農用地開発公団から譲り渡しを受けた八郎潟新農村建設事業に係る土地及び石炭鉱業合理化事業団が買収する鉱業施設の取得に係る非課税措置を廃止しようとするものであります。  第七十三条の十四第一項から第四項までの改正は、新築住宅に係る課税標準の特例措置の対象を一定の要件に該当する住宅に限定するとともに、借家等の居住者が取得する一定の既存住宅について、新築住宅の課税標準の特例措置に準ずる特例措置を講ずることとし、この場合、これらの特例措置は、住宅の取得者からこれらの特例措置の適用があるべき旨の申告があった場合に限り適用しようとするものであります。  第七十三条の十四第六項及び第十二項の改正は、森林組合等が林業等振興資金融通暫定措置法に基づく資金の貸し付けを受けて取得する一定の共同利用施設及び日本勤労者住宅協会が取得する一定の業務の用に供する土地について課税標準の特例措置を講じようとするものであります。  第七十三条の二十四の改正は、新築住宅の用に供する土地に係る不動産取得税の減額措置の対象を一定の要件に該当する住宅に係る土地に限定するとともに、一定の既存住宅の用に供する土地についても新築住宅の用に供する土地の不動産取得税の減額措置に準ずる減額措置を講ずることとし、この場合、これらの減額措置は、徴収猶予がなされた場合等を除き、土地の取得者からこれらの減額措置の適用があるべき旨の申告があった場合に限り適用しようとするものであります。  第七十三条の二十五から第七十三条の二十七までの改正は、既存住宅の用に供する土地についてもその取得の日から一年以内の期限を限って、減額相当額の徴収猶予を認めようとすることに伴う規定の整備であります。  次は、狩猟者登録税の改正であります。  第二百三十七条第一項の改正は、道府県民税の所得割額の納付を要しない者のうち一定の被扶養者を軽減税率の適用対象から除外しようとするものであります。  次は、市町村民税の改正であります。  第三百十条の改正は、個人の均等割の標準税率を、人口による市町村の区分に応じて、現行の千七百円、千二百円または七百円からそれぞれ二千円、千五百円または千円に引き上げるとともに、その制限税率をそれぞれ二千六百円、二千円または千四百円に引き上げようとするものであります。  第三百十四条の二の改正は、道府県民税と同様でありますので説明を省略させていただきます。  第三百十四条の三及び第三百二十八条の三の改正は、市町村民税の所得割について、税率の適用区分に所要の調整を加えようとするものであります。  次は、固定資産税の改正であります。  第三百四十八条第二項の改正は、農林漁業団体職員共済組合の保健施設の用に供する固定資産に係る非課税措置を廃止しようとするものであります。  第三百四十九条の三第二項、第十六項及び第二十五項の改正は、車庫関連構築物及び一般自動車道構築物に係る課税標準の特例措置を縮減しようとするものであります。  次は、電気税及びガス税の改正であります。  第四百八十九条第一項の改正は、硫化鉱及び二硫化炭素に係る電気税の非課税措置を廃止しようとするものであります。  第四百八十九条第九項及び第四百八十九条の二第二項の改正は、専修学校において直接教育の用に供する電気及びガスについて非課税としようとするものであります。  第四百九十条の二第二項の改正は、ガス税の免税点を一万円に引き上げようとするものであります。  次は、特別土地保有税の改正であります。  第五百八十六条第二項及び第六百一条第一項の改正は、過疎地域対策緊急措置法の失効等に伴う規定の整備をしようとするものであります。  次は、事業所税の改正であります。  第七百一条の四十二の改正は、資産割の税率を一平方メートルにつき五百円に、新増設に係るものの税率を一平方メートルにつき六千円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  次は、国民健康保険税の改正であります。  第七百三条の四第四項の改正は、課税限度額を二十四万円に引き上げようとするものであります。  次は、附則の改正であります。  附則第四条及び第五条の改正は、個人の道府県民税及び市町村民税について、株式等の配当所得に係る課税の特例措置を三年度間、証券投資信託の収益の分配に係る配当控除の特例措置を三年間それぞれ延長しようとするものであります。  附則第八条及び第九条の改正は、租税特別措置法の改正に伴う規定の整備であります。  附則第十条の改正は、地方住宅供給公社から当該公社が組織変更前に取得していた住宅及び土地の譲り渡しを受けた場合の不動産取得税の非課税措置を廃止しようとするものであります。  附則第十一条の改正は、不動産取得税について、特定船舶製造業安定事業協会が特定船舶製造業者から買い入れる一定の不動産に係る課税標準の特例措置を廃止し、農業委員会のあっせんによる農地の交換分合に係る農地、日本自動車ターミナル株式会社が直接その本来の事業の用に供する家屋、都市計画において定められた路外駐車場の用に供する家屋及びフェリー埠頭の用に供する家屋の取得に係る課税標準の特例措置を縮減するとともにその適用期限をそれぞれ二年延長し、たばこ耕作組合等が日本専売公社の補助を受けて取得する共同利用施設に係る課税標準の特例対象に土壌改良用施設等を加え、国の行政機関の作成した計画に基づく政府の補助を受けて取得した農林漁業者の共同利用施設に係る課税標準の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第十一条の二の改正は、第七十三条の二十五から第七十三条の二十七の改正に伴う規定の整備であります。  附則第十一条の三の改正は、昭和四十八年度において農地保有合理化法人が水田買い入れ事業として農地を取得した場合における不動産取得税の納税義務の免除に係る期間をその取得の日から九年以内としようとするものであります。  附則第十二条の二の改正は、昭和五十五年度分及び昭和五十六年度分の道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税に限り、課税標準算定の基礎となる額に乗ずべき製造たばこの本数については、製造たばこの本数に一定の率を乗じて得た本数としようとするものであります。  附則第十五条の改正は、外国貿易用コンテナ、カーフェリー埠頭、職業訓練法人の職業訓練施設及び野菜供給安定基金の保管施設に係る固定資産税または都市計画税の課税標準の特例措置を縮減するとともにその適用期限をそれぞれ二年延長し、原油備蓄施設に係る固定資産税の課税標準の特例措置の適用期限を二年延長しようとするものであります。  附則第三十一条の二第二項の改正は、旧過疎地域対策緊急措置法による過疎地域内における一定の工場用地について、同法の失効後も引き続き特別土地保有税を非課税としようとするものであります。  附則第三十二条の改正は、自動車取得税について、地方生活路線バスに係る非課税措置の適用期限を二年延長し、自家用の自動車の取得に係る税率及び自動車の取得に係る免税点の特例措置の適用期限を三年延長しようとするものであります。  附則第三十二条の三第二項の改正は、地域振興整備公団が造成した土地の譲渡を受けて設置した事業所等に係る事業所税の非課税措置の適用期限を昭和五十六年十一月十二日まで延長しようとするものであります。  附則第三十四条から第三十四条の三までの改正は、長期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例について、昭和五十六年度以後、特別控除後の譲渡益四千万円以下の部分は道府県民税百分の二、市町村民税百分の四の税率により、特別控除後の譲渡益四千万円を超える部分は譲渡益四千万円を超え八千万円までの部分の二分の一と譲渡益八千万円を超える部分の四分の三との合計額を総合課税した場合の上積み税額により課税することとした上、適用期限の定めを廃止しようとするものであります。  附則第三十五条第一項の改正は、短期譲渡所得に係る道府県民税及び市町村民税の課税の特例について、適用期限の定めを廃止しようとするものであります。  附則第三十五条の二の二第一項の改正は、個人の市町村民税について、農業生産法人に農地等を現物出資した場合の譲渡所得に係る納期限の特例措置の適用期間を昭和五十七年度まで延長しようとするものであります。  第二は、地方道路譲与税法の改正であります。  第二条第三項の改正は、地方交付税法における収入超過団体に係る地方道路譲与税の譲与基準について、前年度の譲与額に政令で定める率を乗じて得た額を譲与の限度としている部分を廃止しようとするものであります。  第三は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正であります。  附則第十七項の改正は、日本国有鉄道の車庫関連構築物に係る市町村納付金の納付金算定標準額の特例措置を縮減するとともに、政府の補助を受けて敷設するなだれ、落石等対策のための構築物に係る納付金算定標準額の特例措置を創設しようとするものであります。  以上でございます。
  199. 塩谷一夫

    塩谷委員長 次回は、来る十一日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十七分散会      ————◇—————