運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-05-15 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月十五日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 高鳥  修君 理事 佐藤 観樹君    理事 山田 耻目君 理事 坂口  力君    理事 正森 成二君 理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    大村 襄治君       熊川 次男君    玉生 孝久君       中村正三郎君    林  義郎君       藤井 勝志君    坊  秀男君       村上 茂利君    毛利 松平君       山崎武三郎君    山本 幸雄君       伊藤  茂君    川口 大助君       沢田  広君    島田 琢郎君       塚田 庄平君    柴田  弘君       宮地 正介君    庄司 幸助君       多田 光雄君    玉置 一弥君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    長橋  進君         経済企画庁調整         局審議官    廣江 運弘君         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵省主計局次         長       禿河 徹映君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君         国税庁次長   伊豫田敏雄君         国税庁税部長 矢島錦一郎君         国税庁間税部長 小泉 忠之君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議室内閣審議官 宮島 壯太君         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示指導課長 矢部丈太郎君         法務省民事局参         事官      青山 正明君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十五日  辞任         補欠選任   渡辺  貢君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     渡辺  貢君 五月十二日  貸金業規制に関する法律案山田耻目君外八  名提出衆法第五〇号)  出資受入れ預り金及び金利等取締りに関  する法律の一部を改正する法律案山田耻目君  外八名提出衆法第五一号)  貸金業規制等に関する法律案坂口力君外四  名提出衆法第五三号)  出資受入れ預り金及び金利等取締りに関  する法律の一部を改正する法律案坂口力君外  四名提出衆法第五四号) 同月十日  一般消費税新設反対等に関する請願岩垂寿  喜男君紹介)(第五六四一号)  サラリーマン金融業規制法制定促進に関する  請願多田光雄紹介)(第五六四二号)  同(正森成二君紹介)(第五六四三号)  同(渡辺貢紹介)(第五六四四号)  同(近江巳記夫紹介)(第五七三〇号)  医業税制確立に関する請願岩垂寿喜男君紹  介)(第五六四五号)  同(沢田広紹介)(第五六四六号)  同(中路雅弘紹介)(第五六四七号)  同(加藤万吉紹介)(第五七二七号)  一般消費税新設反対に関する請願坂井弘一  君紹介)(第五七二八号)  同(松本忠助紹介)(第五七二九号) 同月十三日  医業税制確立に関する請願草野威紹介)  (第五七九四号)  同(辻第一君紹介)(第五七九五号)  同(辻第一君紹介)(第五九一二号)  同(中野四郎紹介)(第五九一三号)  同(水平豊彦紹介)(第五九一四号)  一般消費税導入反対及び不公平税制の改善に  関する請願瀬野栄次郎紹介)(第五七九六  号)  一般消費税新設反対に関する請願長田武士  君紹介)(第五七九七号)  同(権藤恒夫紹介)(第五七九八号)  同(林孝矩紹介)(第五七九九号)  同(松本忠助紹介)(第五八〇〇号)  同外二件(山田芳治紹介)(第五八〇一号)  一般消費税新設反対等に関する請願中路雅  弘君紹介)(第五九一一号) 同月十四日  医業税制確立に関する請願外二件(則武真一  君紹介)(第五九七二号)  同(藤井勝志紹介)(第五九七三号)  同(河村勝紹介)(第六一〇九号)  同(柴田弘紹介)(第六一一〇号)  重度重複身体障害者使用自動車に対する地方道  路税免除等に関する請願(辻第一君紹介)(第  五九七四号)  公共用地取得推進に係る税制改正に関する請  願(井出一太郎紹介)(第六〇三六号)  同(小川平二紹介)(第六〇三七号)  同(小沢貞孝紹介)(第六〇三八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第六〇三九号)  同(倉石忠雄紹介)(第六〇四〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第六〇四一号)  同(清水勇紹介)(第六〇四二号)  同(下平正一紹介)(第六〇四三号)  同(中島衛紹介)(第六〇四四号)  同(中村茂紹介)(第六〇四五号)  同(羽田孜紹介)(第六〇四六号)  同(林百郎君紹介)(第六〇四七号)  同(宮下創平紹介)(第六〇四八号)  公共事業用地等提供者に係る譲渡所得特別  控除額引き上げ等に関する請願鈴木善幸君紹  介)(第六〇八七号)  一般消費税新設反対に関する請願外一件(新  井彬之君紹介)(第六一〇五号)  同(鈴切康雄紹介)(第六一〇六号)  同(谷口是巨君紹介)(第六一〇七号)  ハイヤー、タクシーに対する自動車関係諸税減  免等に関する請願加藤万吉紹介)(第六一  〇八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の会計税制及び金融に関する件      ――――◇―――――
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制及び金融に関する件について調査を進めます。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉生孝久君。
  3. 玉生孝久

    玉生委員 まず一つ先に聞きたいことは、すでに成立を見ました五十五年度予算は、政府公債発行額の一兆円減額でありますとか、経費節減合理化に努めておいでになりますし、税制面では租税特別措置整理等に最大限の努力を払われまして、財政再建の第一歩を踏み出したものと評価しておるものでありますが、今後の問題は、この予算をいかに適切に執行していくかだと思うわけであります。新たに、本年に入ってからの金利引き上げ円安動向によって、これと関連する経費追加財政需要が生ずることは確実であります。だから、これに対しましてどのように対処をされるお考えか。仮にも公債増発によってこれに対処をするというような方法を選ぶとしますと、公社債市場現状から見て問題があるということはもとよりでありますが、財政現状から見て問題があるということ、安易に公債に頼るということは、財政再建という国民的課題からも大きく後退するということになりますし、ひいては五十六年度予算編成にも大きな影響を与えると思うのであります。この点について、大臣の御所見を承りたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘のとおりに、五十五年度財政事情について見ますと、まさに歳出面におきましては年初来の金利引き上げあるいは予算審議過程における四党合意――円安問題につきましては、きょうも、いま二百二十九円で寄りついておりますから、少し持ち直したということにはなるでございましょうが、もちろん、まだ浮動的要因であると思います。そして、具体的には福祉年金引き上げの問題、したがって追加財政需要がかなり巨額なものになるということは予想されます。一方、歳入面を見ますと、自然増収ということは現段階で申し上げる実情にはございませんが、いずれにいたしましても、いまの公債市場を見ますと、仮に財政需要を生じても公債に頼るという対応力はすでにないと見なければならぬ。  そういうことになりますと、慎重かつ厳正な態度で臨むことが必要でございますので、各種経費節約を初めとする既定経費見直しというようなことを、これもタイミングは必ずしも適切とも思わなかったのでございますけれども予算成立させていただいた直後の閣議で、この間成立した予算についてはこれからは執行面見直しをやるのですという協力をお願いしたのもそういう背景であります。また、四党合意の中でも既定経費節減を図るべくサマーレビューをやれ、こういう御指摘もいただいておるのでありますから、そのことは、許していただける歳出に対する対応姿勢ではないかというふうに私は考えております。
  5. 玉生孝久

    玉生委員 公共事業等契約率を上半期六〇%に抑えるという抑制型の方針が示されておるわけであります。これは山間僻地等におきましては、やはり例年どおり、この枠にこだわらずにひとつ前倒しにしていただかぬと困るところもあるわけですね。そういう点についても御留意願いたいということ。  それから、旅費等については何%ぐらいの目標で節減を図るというふうなことをお考えですか、このことについて伺います。
  6. 禿河徹映

    禿河政府委員 五十五年度予算におきましては、旅費につきましては、実は原則といたしまして対前年一〇%減、こういう厳しい姿勢編成をいたしたところでございます。そういう状況の中ではございますが、先ほど大臣から御答弁がございましたとおり、五十五年度の今後の財政事情というものを考えてみますと大変厳しいものがある、これに対しまして私どもどうしても避けられない追加的な財政需要があろうかと思いますけれども、それにつきましても厳しい態度で臨んでいかなくてはならない。同時に、一たん成立を見ました予算ではございますけれども、その一部について留保をする、こういう作業をいたしておる段階でございます。その留保作業につきましては、実はまだ関係各省との間で協議を重ねておるところでございまして、その具体的な留保方針というものは現段階でまだ固まってはございませんが、そういう厳しい財政事情等を踏まえまして私どもは鋭意作業をいたしておる、こういう状況でございます。
  7. 玉生孝久

    玉生委員 普通の年とまた違う意味がことしはあるわけですから、毎年どおりやっておるのだから、ことし、たとえて言いますとそういうふうな閣議発言をされてそれで通るというものじゃないと思うのですね。そういう点にひとつ気をつけられまして、当面の財政運用について上手にやってもらいたい、こう思うわけであります。  これに関連して一、二点お伺いしたいのであります。  去る四月二十二日、産業計画懇談会財政再建について提案をまとめ、発表しておりますね。この中で、新経済社会七カ年計画を廃案とする、国債市場金利によって発行し、国債の主なる保有者金融機関でもない、資金運用部でもない、一般国民であり、一般企業であるようにしむけていく、三番目に、五十五年度予算についてはその額面どおり実行歳入不足によってできないかもしれないということをいまから認めて減額補正予算関連法律改正を行うというふうに政府は覚悟して声明してくれというふうなことを言っておるわけです。これは非常に奇抜であり、勇気があり、そしてびっくりするような提言であります。成立したばかりの五十五年度予算についても歳入不足実行できないことを明確にせよというようなことは全く異例なことであると思うのでありますが、この産計懇の提案に対して政府の御意見があればお伺いしたい。
  8. 禿河徹映

    禿河政府委員 ただいまお話がございました産業計画懇談会の御指摘趣旨は、五十五年度財政運用をめぐります環境がきわめて厳しい、そういうことを前提にいたしまして、年度途中におきましても思い切った経費節減を行うべきである、こういうことであろうと考えられます。私どもといたしましても、五十五年度財政事情が厳しいことは十分認識いたしております。今後、万一財源の不足が明らかになるというふうな状況が生じましても、公債増発によって対処するということはぜひとも避けなくてはならない、こういうことであろうと考えております。  したがいまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおり、本年度におきます今後の財政運営に当たりましては、まず追加財政需要に対しまして厳に慎重な態度で臨むことが必要であろう。同時に、今後の推移を注意深く見守りながら各種経費節約を初めとする既定経費見直しによるということを進めていく必要がある、かように考えておるわけでございます。
  9. 玉生孝久

    玉生委員 いまの産計懇の提案についても通り一遍の御答弁でありまして、こういうふうに対応していこうという勇気がまだ見られないわけであります。  これと同時に、去る五月十日の朝日新聞によりますと、都市銀行は五十五年度国債割り当て分について少なくとも一兆円の減額文書をもって要望するという報道がされておるわけであります。もしそのような要望が出た場合に、大蔵省としてはどのように対処をされるつもりであるか。国債の消化を円滑に行うということは、五十五年度予算の適切な執行を図る上からも重要な問題でありますので、この都市銀行の動きについて御承知であればお聞かせいただきたいと思います。
  10. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 特定の新聞にいま御指摘のような報道が行われたわけでございます。ただ、これはあくまでもまだ報道の域を出ませんで、私どもの方に都市銀行からそういう要望文書あるいは口頭、いずれの形でも参ってはいないわけでございます。  ただ、かねてから都市銀行国債引き受けというのはかなり大量に上っておるわけでございまして、特に最近預金等の新たな資金増加がなかなか思うようにいかないという現状のもとでは、相当資金的には負担になっておるということも事実でございまして、私ども雑談都市銀行の方々とお話をするときも、いつもそういうふうなことで、何とかもう少し引受量を減らすようなことを当局は考えてくれないかというようなことは、雑談では出ておるわけでございます。今後そういう問題を都銀懇として正式に取り上げて、正式に要望という形で持ってくるかどうかということにつきましては、私どもとしてはまだ十分承知しておりません。あるいは出てくるかもしれない、あるいは出てこないかもしれないわけでございますが、いずれにいたしましても、現状につきましては私どもも十分承知しておるわけでございまして、何とか発行枠をできるだけ圧縮して、銀行引き受けについてもできるだけ負担を軽くしていかなければいかぬというふうには考えておるわけでございます。ただ、現段階におきましては、まだ予算成立したばかりでございまして、これから執行状況がどういうふうになっていくか、あるいはまた歳入税収はどういうふうに推移していくかというふうなことはなかなか見通すことは困難でございます。したがって、五十五年度国債につきましても、いまの段階発行枠を減らすとかなんとかいうふうなことはなかなか言えないわけでございますが、いま申し上げましたようなことでございますので、財政事情によってそういうことが可能であるならば、できるだけ国債発行額減額するということについて優先的な配慮をしてまいりたい。前年の五十四年度につきましても、実行過程におきましてこれは幸い自然増収に恵まれたというふうなこともございましたので、かなりの量の圧縮実行上やったわけでございます。五十五年度についても、可能ならばそういうことについては優先的な配慮をしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  11. 玉生孝久

    玉生委員 いまの答弁ではちょっと説明が足りないと思うのですけれども、少なくとも一兆円の減額をするということはある程度覚悟をしておることだろうと思うのです。五十四年度において七千九百八十億円実質的にことしの予算よりも割り当てが少なかったわけですね。ことしは一兆円減らしたにもかかわらず、七千九百八十億というものをよけい公募しなければいけない。こういうふうになりますと相当のあれが要ると思うわけでありますが、これは具体的に発行枠圧縮するということはいまおっしゃいましたけれども、減らした分を公募入札に回すのか、資金運用部等で処理をするのか。また、これは言ってはならぬことでありますが、公共事業圧縮執行繰り延べや、歳出削減か増税か、そういうことが言われておるわけでありますが、どういうふうにお考えでしょうか、もう一遍。
  12. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 先ほども申し上げましたように、いまの税収見通し等もまだ確としたものがないという段階におきまして、今年度国債発行額を幾ら減らすというふうなことは申し上げる立場にはないわけでございます。ただ、姿勢としては、可能ならばできるだけ国債発行枠圧縮していきたい、予算執行過程を通じて圧縮を図っていきたい、こういうことでございます。
  13. 玉生孝久

    玉生委員 それと問題は違いますけれども銀行法改正に伴いまして中小企業金融専門機関あり方に関する金融制度調査会審議が進んでおるようでございますけれども金融制度調査会は昨年六月の普通銀行あり方銀行制度改正についての答申に引き続き、いま中小企業金融専門機関あり方について審議を行っておるところでありますが、業界から具体的な要望が出されて、現在特別委員会を設置してテーマごと問題点を洗い直す作業を行っておいでになるわけであります。中小企業金融専門機関の諸問題については、ディスクロージャーをどこまで認めるか、融資対象の枠をどこまで認めるか、信用金庫にも外為業務を認めるか、あるいは相互銀行の商号変更問題など、銀行法改正に伴う横並び改正問題や、中小企業金融専門機関独自の問題点など検討すべき問題点がたくさんあると思うのであります。主な検討項目審議進捗状況を説明されたいのであります。また、本年秋までに答申を得て銀行法改正案とともに次の通常国会提出したい意向であると伝えられておりますが、それらの見通しについてお伺いしたいのであります。
  14. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のございましたように、金融制度調査会は去年の十月から中小企業金融専門機関の諸問題を取り上げております。昨年の十月以来総会を六回開きまして、一般的な中小企業金融あり方あるいは中小企業金融専門機関あり方などについて概括的な討議を行いました後に、特別委員会をつくりまして今後さらに問題を掘り下げて検討するということになっておる段階でございます。  今度の中小企業金融専門機関等として審議対象にいたしておりますのは、相互銀行信用金庫信用組合及び労働金庫、この四つでございます。この特別委員会を設置いたしまして今後検討してまいるわけですが、その場合の特別委員会対象になりますのは、この四つのうちの相互銀行信用金庫信用組合、つまり、いわゆる中小企業金融専門機関の三つのグループでございます。  それで、今後御審議願いたいと思っております内容でございますが、一つは総論的なもので、今後の中小企業金融あり方中小企業金融専門機関あり方といったような総論的な部分が一つ。それから、各論で具体的な問題を取り上げるわけですが、各論は簡単に申しますと、大きく分けて四つに分かれようかと思います。第一は、先生も御指摘のございましたような銀行法改正に伴います中小企業金融専門機関横並びの問題、ディスクロージャーその他の検討でございます。第二点は、この前中小企業金融専門機関法律改正をいたしましたのが昭和四十八年でございますので、それ以後七年間たっておるというようなことから、その間わが国の経済社会あるいは中小企業といったようなものもいろいろな変遷が見られますので、そういった社会経済変遷に伴いまして中小企業金融専門機関制度を見直す必要があるかどうかというような問題でございます。三番目も御指摘のございましたような相互銀行の商号変更問題をどう取り扱うかという問題でございます。四番目は、その他と申しておりますが、中小企業金融専門機関に特有の健全経営の観点その他からのいろいろな問題というようなことになろうかと思います。  こういった大きく分けまして四つの問題を今後特別委員会で掘り下げて御検討願うわけでございますが、タイミングにつきましては、ことしの秋か、遅くともことしじゅうには調査会答申をいただきまして所要の法改正をいたしまして、銀行法と一緒に私どもとしては次期通常国会提出して御審議を願いたい、かように考えております。
  15. 玉生孝久

    玉生委員 その相互銀行の商号問題でも、富山には富山相互銀行があります。富山銀行というのもあるのですよ。相互を消しますと、富山銀行が二つできる、そんな話もあるわけであります。  それで、もう一つ銀行法改正問題で確認しておきたいのは、現行法の上では、銀行営業年度については半期決算に決められておりますね。しかし、四十九年の商法改正によって中間配当制度が導入されたことに伴いまして、年一回の決算制に移行する企業がふえていることは御承知のとおりであります。銀行についても一年決算制を採用することが適当であると思うのでありますが、この点に関しては昨年六月の金融制度調査会答申においても明確に述べられておりますから、予定されておる銀行法改正案には、政府としては、この答申を尊重して銀行営業年度について年一回の決算制に移行する内容を盛り込んで提出するものと理解してよろしいでしょうか。
  16. 米里恕

    米里政府委員 お尋ねの銀行営業年度の問題でございますが、御指摘のように、商法改正後、一般企業においても一年決算としているものが次第に大勢を占めるというような情勢になっておりまして、金融機関につきましても一年決算制に移行したいという要望も非常に強いし、これまた御指摘がございました金融制度調査会審議しました結果も、答申の中で一年決算に移行することが適当であると考えるという答申をいただいております。こういった御趣旨に沿いまして、今度の銀行法改正に当たりましては、一年決算ということに向けて適切な措置を講じたいというように考えております。
  17. 玉生孝久

    玉生委員 それは結局十分お考えいただいておるということですね。  会期末を控えまして、これから酒論議を始めたいと思うのであります。ちょっと不謹慎かもしれませんが、風雲急を告げている中にこういうゆとりも大変大事だと思うのであります。  ことしの内閣は、お酒内閣だと言われるくらい酒に関係する閣僚がずいぶんたくさんおいでになるわけでありますが、貝原益軒先生は「酒は天の美禄なり」「少く飲めば陽気を助け、血気をやわらげ、……甚だ人に益あり、多く飲めば又よく人を害すること酒に過ぎたるはなし」、こう言っておいでになるわけであります。酒の特性を簡潔に文学的に表現をしておるものでありますが、他面において、酒に含まれるアルコールの致酔性、酔っぱらうということが人間の中枢機能を麻痺させる性質を持つものであることは御承知のとおりであります。過度飲酒によって個人及び社会にいろいろな悪影響が数多いのでありますが、現在のように社会が高度化し、複雑化するに伴いまして、過度飲酒社会に及ぼす影響が多いのはもちろんでありますけれども、酒が他の食品と異なっているんだ、だから国民経済上特殊の機能を持つものという視点から、特別な扱いが位置づけられておって免許制度というものがあると思います。現状は、酒税保全の見地から製造業者または販売業者酒税を完納する立場を持っておりますので、事業者としてはある程度の顧客層を保持できない店舗があると大変なことになりますし、過当競争になりますし、租税の滞納が生ずるおそれがないとは言えないわけであります。  結局、酒の問題というのは、お役所は酒税追求という観点からでありまして、業者の方は利潤追求というものが根本になっておるものですから、それをどういうふうに調整して、そして免許制度を続けていくかということが問題になっておるわけであります。そういうふうな理由で、酒の致酔性が種々社会影響を及ぼしておるという公益的な視点に立って、ただ市場機構だけに任せておいてよいものではない。だから、いまは免許基準あたりも再検討する時期にあるんじゃないか、こういうふうにも思うわけでありますが、酒類の小売免許について主に御答弁願いたいと思います。
  18. 小泉忠之

    小泉(忠)政府委員 お酒の小売免許の問題でございますので、大臣の御了承をいただきまして事務当局の方から御答弁申し上げたいと思います。  御指摘のように、現行の小売の販売業の免許は、制度といたしましては昭和十三年から免許制度というのがしかれておりますが、最近では昭和三十八年に免許基準、形式的ではございますが客観的な基準を設けまして、原則としてそれに準拠いたしまして免許の可否を決めておる、こういう実情でございます。昭和三十八年に制定されました免許基準でございますので、先生指摘のように、その後必要に応じて若干の改正は四回ほど加えて現在に至っておりますが、何といっても基本的な事項はやはり制定時のままで現在まで推移してきておるということでございますが、その間十年以上の期間がたち、経済社会的にもいろいろな面で変化がまいっております。高度成長から安定成長へまいっておるとか、あるいは酒類の面で申し上げますと、酒類の消費量も十年あるいは十五年をとりますと、約倍にふえておるというような状況もございます。それから、物価水準もかなり変化いたしてきておりまして、酒類価格の変動あるいは流通界に対するマージン、これも上昇いたしておるというような状況をもとにいたしまして現時点においてごらんいただきますと、実情にそぐわないんではないかというような御意見もまことにごもっともなことでございまして、否定できない面があるわけでございます。  しかしながら、この免許制度につきましては酒税法の九条、十条に基づいて私ども可否を判定して適正な運用を行っておるわけでございますが、これにつきましては、極端に申しますと、従来から二つの御意見がございます。一つは、消費者サイドからの御意見でございまして、消費者サービスの改善あるいは消費者の利便を図るということのために、この免許制度についてはできるだけ緩和すべし、できればこれを撤廃せよというような御議論が一方にございます。また他方では、流通界が主でございますが、あるいは酒税保全のためという目的もございますが、流通業サイドからは高率の税負担をいただいておる財政物資である、あるいは御指摘ございましたように、致酔性飲料であるといういわば酒の特性から、さらにはまた中小企業の対策といいますか保護の見地から、この規制を強化すべきであるという両論がございまして、この免許制度は御指摘のようにもともと酒税保全を目的とするものではございますけれども、この酒税保全と同時に消費者保護という見地、両面をにらんで運用してまいっておるわけでございますが、結果といたしましては、職業選択の自由に対するある程度の制約であるということで、やはり酒類販売業者の経営の安定ということと同時に、消費者の利益とサービスに結びつくような形でできるだけ運用すべく努力を続けておるわけでございます。  御指摘のように、最近の経済環境から拝見いたしますと、販売業者の方々もそれぞれかなり苦心して営業を続けておられるという状況は十分私ども承知いたしておりますけれども、いま申し上げましたように、免許基準の改正につきましては全く相反する両論があるということでございますので、これを厳しくするような方向で改正するということはなかなかむずかしいという実情でございます。  なお、現在免許の運用につきましては、やはり地域別の状況が非常に大事であるということで地域別に酒類の需給の状況を慎重に検討して運用しておる。これは実際上は税務署長がその管内の需給の状況検討いたしまして、新たに免許するという場合には既存業者の経営を圧迫することのないように、酒税保全の見地から問題があるという場合にはやはり免許を差し控えるというようなことも考慮いたしながら、消費者の利便も一方で配慮して運用しておるということでございますので、今後とも現行基準の運用の面でこの問題をカバーしてまいりたいというふうに考えております。
  19. 玉生孝久

    玉生委員 日本の国で一人当たりのお酒の消費量というのは、四十八年には七十八・二、四十九年には七十五・五、五十年には七十八・五、五十一年には七十六、五十二年には八十一・二、五十三年には八十三・一、こういうふうに大体横ばいを続けておるわけですね。しかし、一方において酒類小売免許がどのくらい出されておるかとなりますと、大体十六万から毎年一千件ないし千五百件新しくおりておるんじゃないだろうか。それで、需給のバランスから言いますと、酒は多様化しておることは事実でありますが、それはビールから酒にかわったとか、ウイスキーの売り上げが伸びてビールが落ちたとか、そういう話はよくありますけれども、酒の消費量というのは余り変わらぬわけですよ。だから、免許がふえていく分だけ、どっちかと言いますと利益がそれだけ減ってくるわけですからね。そういう点についてどういうふうにお考えでしょうか。
  20. 小泉忠之

    小泉(忠)政府委員 最近五年間の酒類の消費の状況を、釈迦に説法でございますが申し上げますと、最近――特に最近でございますが、全体の酒類といたしましては一応は伸びております。  五十四年の暦年で御説明申し上げますと、数量で一・九%の伸び、五十三年度は三.四、五十二年度は八・〇というようなことで、停滞しながらも若干の伸びは続けておる、こういう実情でございます。  それに対しまして、免許販売場数は御指摘のように全国で十二万八千件ということで五十三年度末になっておりますが、毎年新規に免許を付与すると同時に廃止の方がございます。廃止、変更の方がございまして、ネットで御説明申し上げますと、大体五十三年度は千八十六件、五十二年度は千二百四十八件ということでございまして、伸び率でごらんいただきますと、一%を切っておるということでございますので、消費の伸びに応じた場数の増加は必要とはいたしましても、地域別に社会構造がいろいろ変化しております。都市化、過疎化、こういった面も地域別に判定した結果がそういう形になっておりますので、販売場数がむやみにふえておるということはないと思います。
  21. 玉生孝久

    玉生委員 しかし、販売場数がむやみにふえないけれども、大量販売するスーパー、生協、デパート、こういったものがやはりそういう面では非常に業界を圧迫しているのじゃないでしょうか。そういう面になりますと、スーパーあたりはどっちかといいますと、お客の吸引力が非常に強いものでありますし、それから贈答品を扱うのはデパートが一番多いでしょうし、生協といいますと、これはどっちかというと、員外利用を認めるという付帯的なものがなければいま免許をおろしていないでしょう。そういうふうなことを全部考えてみますと、それぞれスーパー、デパート、生協というのはやはり言うに言えない力を持って、そして商圏が大きいし、吸引力も強いし、そういう点では非常に大きな力を持っておる、こういうスーパーの免許の出願件数あたりはどんなふうになっていますか。そして、免許がおろされた実態はどうですか。
  22. 小泉忠之

    小泉(忠)政府委員 御質問のとおり、スーパー等大型店と申しておりますが、地域的にも影響力が非常に広範囲にわたりますし、お客の吸引力も非常に強い、しかも、その営業状況は、酒の販売とそのほかの商品との兼ね合いにおいていろいろの形がある、こういうことでございますから、現在、私どもといたしましては、やはりその可否の判断は国税局長が引き取るという形で、全般の状況をさらに高度に判断して結論を出すというような仕組みになっております。  それで最近の状況でございますけれども、やはり消費の状況の変化を反映いたしまして、かなり出願の件数は出ておりますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、年間、免許の件数の増加分は千件内外、新規免許の許可数は二千三百件程度になっておりますが、五十三年度で説明申し上げますと、そのうちで大型店についてはそれの五%以内といいますか、かなり低い形といいますか、そういうことで百件前後の不可の実情になっておるわけでございます。これはやはり消費者の利便も考慮しながら、周辺の小売店の経営状況も十分に検討した結果、そういった形で消費者のニーズにもこたえながら、流通界の経営状況をも酒税保全の見地から判断した結果だと御理解いただければ大変ありがたいと思います。
  23. 玉生孝久

    玉生委員 これは三十二年の五月に参議院の大蔵委員会で決議がしてあるわけですね。スーパー等の免許については小売酒販組合の意見を尊重せよ、そういうふうになっておるわけでありますが、片一方は、スーパーという何でもあるぞというのが経営方針ですから、酒の免許はどうしても欲しいし、片一方では、付近の小売業者が反対するのは当然だと思うのです。そういうふうな点はどのように指導されておるわけですか。
  24. 小泉忠之

    小泉(忠)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、地域の需給状況は税務署長が判断するわけでございますが、さらにこれを国税局長が引き取って全管的な見地からこれを判断するというのが基本でございます。さらに加えまして、御指摘のように昭和三十二年の五月には参議院の大蔵委員会から附帯決議として、この税法の執行に当たって酒類業界安定に資するために免許等については当該組合の意見を徴することという御指示がございまして、運用といたしましては、事実上の案件はそれぞれ個々にございますが、概括して申し上げますと、大型店の進出についてはかなり周辺に与えるところが大きいわけでございまして、周辺の小売のお店の方々の反対がかなりあるというのは率直に言って事実でございます。したがいまして、これを組合の方々に意見を十分徴するという形で何度もこの意見の調整、ネゴシエーションをいたしまして、決定は国税局長がいたしますが、その過程でいろいろな状況についての判断の整合性を図るということで処置をいたしております。
  25. 玉生孝久

    玉生委員 それはよくわかるわけでありますが、地元の小売酒販組合等の意見は十分尊重してもらうようにお願いしておきます。  それから酒の安売りでありますが、これは地方に行きますと、メーカーはどうしても酒の売れ行きが悪いと直売、直々売、結局卸の手数を省いて消費者に安く売るということはありがちなんです。適正なマージンを乗せてやっていればいいのですけれども、生産者価格が一番下のもとの価格ですから、それに卸手数料、小売手数料というものを含めて販売されて普通のルートに乗るわけですが、いまのような地元において弱小メーカーは直売、直々売をやる、そういうことは消費者優先ということから言うと非常にいいことなんです。しかし、それは体系を乱すという点から見ますと余りいいことじゃないわけですよ。そういう点はどういうふうに指導されていますか。
  26. 小泉忠之

    小泉(忠)政府委員 御質問の酒の価格につきましては、これは本来自由価格でございます。各販売の方々あるいはメーカーの方々の自由に決定するということが原則でございますが、事実上はやはりかなり、八割、九割、一定の価格帯に収敵するということが事実としてございます。そこで、販売価格の問題でございますが、これは私どもといたしましては酒税保全という見地もございまして、やはり仕入れ価格を下回るような販売価格で販売することは、長期的にも消費者に対する酒類の供給につきましても問題が残るであろうし、酒税の保全という見地からも問題がございます。したがって、従来から私どもといたしましては、基本的には業者の方々の自主的な価格決定にまつ以外にないわけでありますが、極端な場合につきましては、仕入れ価格を下回るというような場合には側面からこれを指導するということは部分的には行っております。ただ、酒類の需給の関係が地域的にもアンバラがございますし、全国的に申しましてもかなり需要が成熟段階に入って停滞してきているというような状況で、販売流通界の皆さんには不必要な競争を招くというようなことがないように、私どもは全般的な見地から啓蒙的な指導をしておるということでございます。
  27. 玉生孝久

    玉生委員 どっちかといいますと、安売りもとめられないし、かといって安売りを認めておると、酒税保全という立場からいってとんでもない逆なことになりますから、その辺はよく考えていただいて、ときどきいま新聞等に言われておるような公正取引委員会で論議されておるようなことが、消費者の側からも、それから酒販業者の側からも、両方ともに何かちぐはぐな感じを与えることがないように指導していただきたいと思います。酒は、地方の酒造メーカーは、生産者価格であっても、仕入れ価格は上回っていないわけですから、これはどっちかというと、適正なマージンかどうかというのはわかりませんけれども、仕入れ価格よりも下回っておるはずはないわけです。そういう点につきまして、ひとつ今後とも十分御指導をしていただくように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  28. 増岡博之

    増岡委員長 佐藤観樹君。
  29. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 このところ、毎日、防衛費の増強の問題が新聞をにぎわしておるわけでございます。しかし、正直申しまして、当大蔵委員会にいる各委員の方々から見ると、いや、そんなに新聞がキャンペーンを張るほどわが国の財政は余裕があるだろうかということについては、きわめて疑問を持つものでございますし、また、国際情勢がきわめていろいろな意味で緊迫をしているときに、いまのようないわば新聞のつくり出したような世論でこのままいくということは、きわめて危険な通を私たちは行くと思います。その意味で、財政を預かる大蔵大臣を中心にいたしまして、その考え方をお伺いをしていきたいと思います。  それに先立ちまして、まず第一番目に、きょうは五月十五日でございますけれども、五十四年度のわが国の財政の収支じりは一体どういうふうになっていくであろうか。もちろん、出納期間が、全部整理できますのが六月の末でございますから、まだ若干期間がございますし、また、三月期の大法人の決算が出ていないので、その点はかなりまだ見通しのわからない点はあろうかと思いますけれども、そこはベテランの高橋主税局長でございますので、ある程度推測も含めながら、五十四年度の収支じりについてまずお伺いをしていきたいと思います。  まず第一点は、五十四年度税収状況は大変好調だったわけでありますけれども、どんなような状況で、いまの状況からいきますと、自然増収が最終的に一体どれくらい出るだろうかという点についてお伺いしたいと思います。
  30. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 補正後で予定をいたしております税収予算は、一般会計で二十三兆三千九百六十億円でございます。これに対しまして、三月までに収納をいたしました一般会計の諸税は十九兆八千二百五十四億円でございます。したがいまして、補正後予算額に対して八四。七%が収納済みでございます。この割合を前年度の同じ時期と比べてみますと、前年度は八三・二%入っておったわけでございますから、一%半だけ進捗割合が高くなっております。  前年の三月末までに入りました税金の総額に比べまして、ことしの三月末までに入りました税金の累計の伸びが一九.五%と相なっております。補正後予算が対前年の決算額に対する伸び率は一七・三%でございますから、延べの累計の対前年の伸び率からしますと、約二.二%上回っているということでございます。これは四月になりまして判明をいたしました五十四年分の申告所得で、これが土地の譲渡を中心にかなり好調でございました。推計にわたりますが、恐らく土地の譲渡は前年の譲渡所得の税額の三分の一以上増加しておるのではないかということがございまして、その結果、いまも仰せのありました五月末に入ってまいります、主としてこれは大法人ということになりましょうが、三月決算の大法人の税収状況いかんということにかかってくるわけでございますが、ただいまお答えいたしておりますように、累計の税収で補正後予算額一七・三%の伸びがあるところ一九・五%でございますから、約二%現在までに税収全体としては予算を上回ることであろうかというふうに思います。  五月分の法人税は、私どもの前年の実績で申しますと一兆八千億くらいあるわけでございまして、金融業なり電力事業なり、かなり収益の悪いと思われるところもございます半面で、かなり輸出利益が上がっておる業種もございまして、これは現在ある程度実態調査をしておるわけでございますが、まだそれを集計して、ここで正確にどういう見込みになるであろうということを申し上げるまでに至っておりません。  繰り返しになりまして恐縮でございますが、税収は補正予算額をある程度と申しますか、かなりの程度上回るだろうと思いますけれども、その計数をこの公の席で申し上げさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思いますので、お願いをいたしたいと思います。
  31. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 三月末の状況を見ますと、法人税が対前年同月比に対して二八・六という状況になっているわけですね。一般的に考えて三月期法人が大変多いわけでありますし、大企業が多いですから、影響は非常に多いですけれども、いま主税局長、悪い部門も挙げられたけれども、全体的に見て三月期法人だけが格別悪くなるわけはないわけですから、その意味では、先ほど挙げられた補正後に比べて二・二ポイント上回っているというのは、私は最終的には、五月末は二・二ポイント上回るというのはそのまま延長していいのではないだろうか、ひょっとうまくすれば、それはさらに上向きのカーブになるのではないだろうかと見ていいのではないだろうかと私は思うのです。話かた目にして二・二で見ましても、二十三兆三千九百六十億に対する二・二を計算してみますと、五千四百四十七億円という数字が出てくるわけでありまして、いわばうれしい誤算が出てくるのではないだろうかと思いますが、いかがでございましょうか。
  32. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 銀行なり電力事業なり、決算が悪いものがかなりあることは事実でございますけれども一般的には、御指摘のように法人の収益は引き続いて好調のようであります。五十四年度の補正予算税収額の推計をいたします際には、当時の経済企画庁、それから関係の産業官庁とのいろいろなヒヤリングの結果、年がかわりましたくらいの段階から景気がやや下向いてくるかという感じで推計をしておったわけでございますが、生産なり消費なりの動向を見ておりますと、依然として昨年の憂以来の好調が続いておる、そういうことがございまして、法人税収も五月全体として収納して集計をいたしてみますと、いまも仰せにありますように、わりと高い水準を示すことかと思います。前年度決算後の税収は十九兆九千五百二十五億、約二十兆でございますから、二%で四千億、二%半で五千億、これはいまお話しのような数字でございますが、どのくらいの数字になるか、ちょっと私もいまのところ、五月末に入ってまいります法人税が大きいだけに、いまここでお答えをいたすことが非常にむずかしいということをお許し願いたいと思うわけであります。
  33. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 担当の主税局長として、まだ未確定の部分があるからそういう御答弁になるのは私も理解できるわけでありますが、恐らくそんなに悪い状況にはないだろう、ここで恐らく税収が、二十兆に対して二・二ですから、約四千四、五百億上がってくるだろうと見ていいのではないかと思います。  それから、主計局の方で、不用額は大体どれくらい立てられそうか。新聞の報ずるところ、どういう計算をしたのかわかりませんけれども、四千七百億くらいは不用額として立てられるのではないかと出ているわけでありますが、その点いかがでございますか。
  34. 禿河徹映

    禿河政府委員 五十四年度の不用額につきましては、現在まだ集計が終わっておりませんので、実は何とも申し上げられませんし、またちょっと手元に資料もございませんものですから申し上げにくいわけでございますけれども、私がちょっと聞いておりますのでは、不用額総体といたしましてたしか四千億ぐらいのものはあるのではないかな、かように考えております。
  35. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それで理財局長は帰られましたか。――結構ですが、国債の未発行分が五千七百八十億円あるわけですね。そうしますと、いま挙げた税収で大体四千四百億ぐらい思いもよらぬ自然増収が補正後に対して入ってくるだろう。それから歳出カットで約四千億、ですから八千四百億、これはみんなかた目の数字ですね。それから、その中からまず国債の未発行分を引きます。八千四百億から五千七百億引くわけですから二千七百億円、この中から地方交付税交付金を除きますので、恐らく最終的には五十四年度の収支じりというのは若干黒が出てくるのではないだろうかということが予想されるわけであります。この剰余については、法律上、国債整理基金に二分の一入れるということでありましたけれども、これはたしか大平大蔵大臣のときだと思いましたけれども、赤字国債を発行している段階では、剰余が出た場合には全額国債整理基金に入れるということに当委員会答弁としてなっているわけであります。いま一応挙げた数字は仮定でありますので、結果が黒になるかどうかはまだ最終出納整理をしてみなければわかりませんけれども、大方の予想としては、ある程度の剰余が出てくるのではないかということが推しはかられますが、その際には、当時の大平大蔵大臣答弁どおり、五十五年度への剰余金ではなくて、これは国債整理基金に全額繰り入れるというふうに理解をしていてよろしいか。大臣、いかがでございますか。
  36. 竹下登

    竹下国務大臣 すべてが仮定に基づく数字ではございますものの、かくあることを期待して、その期待が現実化した場合は、いまのような御指摘の方向に沿って措置をしたいと思っております。
  37. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 二番目に、前の委員の方から五十五年度予算の話があり、成立して執行してまだ一カ月たつかたたないかのときで来年度の話をするというのも、鬼が笑う以上に笑い転げるかもしれませんけれども、しかし、冒頭お話をしましたように、防衛費の増強ということが大変大きな来年度の課題というふうに新聞が報じている中で論ずる問題でございますので、また、聞くところによりますと、あしたからサマーレビューを始められるということも聞いておりますので、そういった意味で、また参議院選挙もあり、増税という問題が当然大きな問題になってくる昨今でございますので、五十六年度予算策定のフレームワークについて少しお伺いをしておきたいと思うのであります。  まず第一に、五十六年度税収でございますけれども、主税局長にはそういった意味で大変酷でありますが、五十六年度の場合に、常識的に考えて、五十五年度よりもそうよくなる要素というのは、一般的にいってまあないのではないか。細かい景気の局面の話をすればいろいろな議論があると思いますけれども、しかし、いずれにしろそういい情勢にはないということは私もそれなりに理解をするし、主税局長としても恐らくそうなるのではないかと思います。しかし、前提として経済七カ年計画あるいは財政収支試算ではじいた経済成長率、これを後からの数字では名目一一・四%と見ておりますけれども、話を丸くいたしまして一〇%の経済成長率、そうして租税弾性値を一・二といたしますと、税収は簡単にいって一二%の伸びだろうということが一応基本的に考えられる。こうしますと、一二%伸びたといたしまして、五十五年度をもとにしますれば二十九兆六千億という数字がはじかれる。そうしますと、五十五年度の伸びといたしまして、税法を何も変えない場合には三兆二千億の増収ということが考えられるのでございますけれども、まず第一のフレームワークとして税収の伸びはこんなものですよ。しかし、景気は恐らく下降局面にあるだろうという前提を考えておいてよろしいかどうか。その点いかがでございますか。
  38. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 これはお答えの大変むずかしい問題でございます。先ほどもお答えを申し上げておりましたように、五十四年度補正後予算額を上回った税収が出てまいるだろうというふうに思いますが、これが五十五年、五十六年とかけて、時間をかけて土台になっていくかどうかということがまず一つ問題であろうかと思います。先ほど委員からお話のありました数字で四、五千億というのを借用させていただきますと、その中にはかなりいわば前倒し的な要素がないわけではない。たとえば酒の値上げというものが二月以降いろいろ取りざたをされておりましたので、三月に入りました酒税は一月出荷分でございますが、これが数量で申し上げますと三割ぐらい伸びておるわけであります。酒の消費の状況からしてそんなに酒税がふえてくるというのは、これはいわば駆け込み需要ということの一応的な要因かという感じがいたします。  それから第二に、申告所得税で土地の譲渡所得、これは大ざっぱな数字で申しますならばたしか七千億円ぐらい税額をいただいたわけでありますが、これが五十五年度、五十六年度もそういうような数字になるかどうか、これは私ども全く見込みを立てる力を持っておりません。  法人税につきましても景気の好調ということを申し上げましたけれども、これは生産の諸統計等からも推測いただけますように、電力なりガスの値上げの前に駆け込み生産と申しますか、かなり操業度を上げて生産の高水準を維持しておる。その結果増益が出てまいったということも指摘できるかと思いますし、予想外の円安で輸出利益が上がったという一時的な事情もございます。こういうものはいわば五十五年度税収が五十四年度に引っ越しをしてきた前倒し的なものというふうに考えられないものでもありませんので、二十六兆四千百十億という五十五年度予算に一二%を掛けますと三兆二千億ばかりの増収になりますが、それだけであるのか、それに土台として本年度自然増収分を加えてさらにそれを伸ばしたものが予想できるのか、いまちょっとここではなかなか責任を持って申し上げられないと思いますが、全部が全部、申し上げております五十四年度自然増収が一時的なものというふうにも思えませんので、これから先、主として法人の収益状況というものについて慎重に見守ってまいりたいというふうに思います。
  39. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 その意味では、確かに主税局長の言われることはよくわかるので、むしろその三兆二千億の五十六年度の対五十五年度に対する増収よりも、五十六年度の場合には減る要素の方が多いのではないかということはある程度私もわかります。  二番目に、収入の国債発行額の問題です。それで五十九年度までに赤字国債をゼロにしようということで単純に計算をしていきますと、特例法のときに審議をいたしましたように、五十六年度も五十六、五十七、五十八、五十九ということで考えていけば、一年間に一兆八千億円ずつ国債発行額を減らしていかなければならぬ、こういうことになるわけであります。これは幸いにして五十四年度、先ほど言った前提で五千七百八十億円の国債の未発行分を発行しないと、五十四年度は五十四年度の当初に対してちょうど一兆八千億ばかり減額をしたことになるわけでありますけれども、特例法のときにもずいぶん審議をしましたけれども財政再建というのはわが国財政といいますか経済一つの大きな柱の課題でございますから、どうやっても来年度も、少なくも五十五年度とった一兆円以下で国債を減らすというわけには政治課題としてもいかぬだろう。私たちは一兆八千億円減らしなさいと言っているのでありますけれども、現状況で、大蔵大臣、この国債発行額の減らす金額、決意、これはいかがでございますか。
  40. 竹下登

    竹下国務大臣 御指摘のとおり、五十四年度の発行すべきものを発行せずして済んだときという仮定、前提におきますと約一兆八千億、こういうことになります。そうすると、初めに一兆円ありき、こういうことでやりました五十五年もなお五十四年に比べれば史上最高の発行額となるではないか。したがって、いまの段階で五十五年度すでに成立させていただきました予算そのものの中において、今後ともそういう状態が生じたら、もちろんそれを心から期待しておるわけでありますが、減額に充てなければならぬ。そうして、今度は五十六年度予算につないでいくわけであります。したがって、きょう私は委員会でいろいろな御議論を聞きながら、少々夜遅くなっても、できればあしたサマーレビュー宣言を閣議でお願いをして、そのときに可能なことならば、初めにン兆円の減額ありきという姿勢であした臨みたいと思っておりますが、幾らでいくかということになりますと、ここでにわかに申し上げるだけの自信がございませんが、いまの御指摘等をわれわれの貴重な参考として、初めにありきという姿であした臨みたいなと念願、かつ悲願、かつ決意であります。
  41. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 竹下さんも政治家であり、またうちの部会長がいつも言っておりましたように、後世の歴史にたえ得る大蔵大臣として、参議院選挙後も、どうなるかわかりませんけれども、少なくもこの財政を預かる以上は大蔵大臣を留任をさせなければいかぬのではないかという新聞の論調もありました。私もこのごろ大蔵大臣が一年ずつ交代するのはまことにいかぬ、局長もそうそうかえてはいかぬという論者でありますけれども、いずれにしましても、財政がこれだけ大きな問題を抱えておるときに、政治家として大変な決意で私との論議の中で初めに一兆円ありきという発言をなされ、五十五年度実行をされたわけでございまして、その意味では非常に敬意を表するわけでございますが、この時世の中で五十九年度に赤字国債をゼロということを目標としている限りは、少なくも政治家として五十六年度も一兆円を切って減額をするということはできないと考えるのが常識であろうと私は思いますが、それは常識だと思っておいてよろしゅうございますか。
  42. 竹下登

    竹下国務大臣 政治家としてはかくあるべきだとは私も思っております。
  43. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 次に、歳出の方でございますけれども、いわゆる当然増経費、これもなかなか大変な状況だと私は思うのです。五十五年度の当然増経費から分析して、五十六年度の出然増経費というのは一体減る要素があるの、だろうか。五十五年度の当然増経費が五十四年度に対して三兆八千六百七十六億という数字が出ておるわけでありますが、これより減る要素が一体あるだろうか。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕  たとえば地方交付税、これは減りようがないわけですね。大体ここで一兆円くらい出てくるのじゃないだろうか、当然増経費がふえるのではないか。  それから国債費についても、既往分と、それから五十六年度たとえば十三兆二千七百億という発行額に一兆円減らしたといたしましても、新聞が出している数字でありますが、一兆五千億円くらい当然増経費がさらにふえるのではないだろうか。  それから一般歳出でありますけれども、これも国庫債務負担行為をある程度繰り延べをするといっても、福祉関係で年度が一年加わったごとにふえる支出というものがございますから、これがどのくらいふえるのかわかりませんが、過去の推移をずっと見ましても、一般歳出も、もちろん予算の伸びとの関係もございますけれども、大体一兆五千億前後の当然増経費というものを考えていかなければならぬのじゃないだろうかということを考えますと、地方交付税の約一兆増、国債費の一兆五千億増、一般歳出が一兆五千億増といたしますと、約四兆当然増経費がふえてくるのじゃないだろうか。もちろん丸い数字でありますけれども、こう見ざるを得ないのではないかと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  44. 禿河徹映

    禿河政府委員 五十六年度におきます当然増経費を現段階で見積もるということは実は大変至難なことでございまして、もう少し年度が進んでまいらないと私どもも一応の見通しも立てがたい、こういう状態ではございますが、ただいま先生の方から御指摘がございましたような感じは、率直に申しまして私どもも大まかに持っております。  まず、当然増経費の中の第一の地方交付税でございますが、これは五十六年度税収、特に三税の収入がどうなるかということによって非常に動くものでございますので、これは現段階でちょっと大まかなところもつかみにくいという状態でございますが、いずれにいたしましても、三税収入の三二%が地方にいくという現行制度のもとにおきましては、仮にこの三税がふえてまいればやはりこれが当然増経費として浮上してくる、こういうことに相なります。  それから国債費につきましても、本年度あるいは来年度国債発行額が実際どうなるかということによって動いてまいりますが、先ほど御指摘がございましたように、仮にの話でございますが、仮に五十六年度が五十五年度の発行予定額に対して一兆円くらい減る、こういうことでいきますと、大ざっぱに申しまして、現行の発行条件を前提といたしますと恐らく一兆数千億というものはふえていくであろう、かように考えております。  以上二つを除きました一般歳出の当然増経費でございますが、これも実は大変見積もりがたい経費でございますが、たとえば過去三年の一般歳出の当然増経費の数字を申し上げますと、五十三年度が約一兆五千六百億、五十四年度が約一兆四千七百億、五十五年度が約一兆三千七百億、こういうことでございますので、五十六年度におきましても、大勢にそう大きな変化がないとすれば、どうしても一兆四、五千億の当然増経費一般歳出の面であるであろう、かように考えております。
  45. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そうしますと、いままでのところを整理しますと、歳出でふえるであろうというのは、いま禿河次長が言われましたようにいろいろな前提を置いて、私もその前提のもとで話をしているわけでありますが、当然増経費は地方交付税の方が約一兆円と見る、国債費を一兆五千億増と見る、一般歳出を一兆五千億増と見ると、これでもう四兆ですね。それにたとえば国債を一兆減らすということになりますと、これに一兆を足して五兆、ところが、歳入の方は、主税局長からお話があったように、どう高く見積もっても三兆二千という数字は、これはむしろ高目の数字ですから、ここで足りなくなるのが一兆八千億円、全く  一般歳出を従来どおりの五十五年度の横ばいにいたしましても、新しい政策経費というのをゼロにいたしましても、これだけ足りなくなってくる、こういう計算になりますね。それはよろしいですか。もちろん、それはいま言ったように、さまざまの仮定を置いた数字であり、また丸い数字であることはもちろんですが、そういう前提に立たざるを得ないということになりますが、それでよろしいですね。
  46. 禿河徹映

    禿河政府委員 交付税の方が実は税収との絡みが直接でございまして、これが何とも私ども申し上げられませんが、それ以外の経費の増、それから国債をどの程度発行するのかということの絡みで申しますと、計数的にはいまお話しのようなことに相なろうと思います。
  47. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 この中で、地方交付税は、ありがたいことに、もし税収がふえた場合はこれはむしろふえてくるわけですので、これはここから減らない。国債費は、それは確かに五十六年度、たとえば一兆円減らせば五十六年度の分は減りますし、それから過去の返済分がありますので、その分だけ幾らか減りますけれども、しかし、累積がかなりありますので、それもそんなには減らない。強いて言えば、当然増経費のところをばっさばっさとやるかといいますけれども、私もことし五十五年度予算をつくるときにかなり検討してみたけれども、そんなには大きく減らせるものではない。それが当然増経費でありますから。ということになってきますと、残りのざっと一兆八千を一兆三千にしてもいいです、数字はいいですが、とにかく一兆八千なり一兆五千というものは、原則的にこれは増税で賄わないことには収支は合わぬという結果になるわけですね。一体、これを何で、どの増税で行うかということは恐らくこれからも税調で、ありますから、これは出てこないと思いますが、しかし、大臣、ここも政治の問題ですが、六月六日から参議院選挙がある。国民にとりましても、大蔵省も盛んに財政再建ということをPRなさっているわけですね。しかし、それをいまのような状況で、政策経費をゼロにしてもこれだけ足りなくなるという状況では、不公平な税制の是正といろいろな形での増税、こういうことにならざるを得ないわけで、もしこれを避けようと思えば、赤字国債をさらにふやして逃げるかというようなことになるので、それはやらぬという前提に立てば、そういった意味で、不公平な税制を是正していく、さらに増税をどこかのところにしていくということにならざるを得ないわけであります。これは、負担をするのは国民でありますから、その意味では参議院というまさに国政の選挙で、大蔵省があれだけ財政再建ということをPRなさるなら、やはり国民の皆さん方にこのことも十分理解をしてもらわなければならぬだろうと思うのであります。そういうことから言うならば、一体どういう方々にどういう税をお願いするかということを参議院選挙という国政選挙の中にやはりテーマとして入れていくということが、従来大蔵省財政再建のパンフレットもつくられて、あるいは主計局長もあるいは主税局長も全国に派遣をなさっていろいろ説明をした、絶好の機会というのは実はこの参議院選挙だと私は思うのであります。  したがいまして、政治の課題として、従来のような税調のペースではなく、たとえば残った、ことし、五十五年度にやると新聞に報道された酒の税あるいは自動車重量税あるいは法人税、こういったものを率直に参議院選挙の中で、国民の皆さん方はどうですかと出されるというのが、やはり財政再建の手だてとして必要であるし、また政治の課題だと私は思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
  48. 竹下登

    竹下国務大臣 参議院選挙という大きな国政選挙が、国民に、政治、そしてそれの扱う財政、そうした問題についての選択の場として大きな意義を有しておるということは、私も異議はございません。  この問題につきましては、政党政治のたてまえ、それぞれの党からそれなりの政策というものが国民に訴えられるということであろうと思いますし、私も党人でございますから、そういうことでしかるべきであると思っております。  ただ、私どもがいま財政当局として考えておりますのは、まず、きわめて近い機会に可能な限りサマーレビュー宣言をさしていただく。そのときには、いま佐藤委員の御指摘になりましたような、財政の置かれておる環境というものをこれから国民の皆さん方に積極的にPRしていかなければならないというその方針も含めて、できればそういう閣議了解をいただきたい。  したがって、この財政再建というものを考えてみますと、私はいろいろな物の考え方があろうかと思います。税制調査会から、五十五年度税制改正に関する答申の中で、引き続き税制あり方については検討しろ、こういうことも言われております。と同時に、国会決議というものがあって、あの国会決議は、歳入歳出両面からまさに国民各界各層の意見を徴して財政再建の手法を探るべきである、こういうことがうたわれておるわけでございますので、それこそ私は、まず現状の置かれておる厳しい環境というものを国民の皆様方に理解していだだいて、そうして財政再建の手だてを、これだけの、まず、出るを制するということをやってみましたが、さらに出るを制する方向でこのような決意を持っておりますということを理解していただいた上でないと、私は、新しい負担を求めるという環境は非常につくりにくい。したがって、現状の認識と国民の理解と協力を求める機会がこの参議院選挙ではなかろうか。具体的に増収を図るための特定な税目を並べて、別に私が増税男と言われるとか言われないとかは別といたしまして、そういうことよりも、現状認識そのものを国民の皆様方の理解と協力を得ていくという姿勢で、これは選挙とは別問題として、財政当局としては進んでいかなければならぬし、政党政治としては、それぞれの立場から、それに対する具体的な政策もまたこれはまさにメニューとして並べて、国民の選択にゆだねる、こういうことになるのではないかな、こういうことを考えておりまして、そうしてそういう方向を打ち出すのもきょうの貴重な議論、それできょう一般質問をやっていただいたかなというふうにも考えたのでありますが、最も近い機会にそうしたサマーレビュー宣言のようなものをするにしても、貴重な意見がここで得られるのではないか、そしてその環境の厳しさを国民の皆様方に周知徹底して理解と協力を求めていきたい、こういうことでございます。
  49. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 片面、与党としては、あるいは政府としては、選挙の前に逆に出したくないという気持ちも私もわからぬわけではないし、いま大蔵大臣の言われることも一面ではわかります。ただ、国民の側になると、やはり増税といういわばショックがないと、その前段の財政状況現状、これを理解するというところまでいかぬというのが現実ではないかなと私は思うので、しかも、いわば国民の皆さんの理解を得る絶好の機会は参議院選挙だと思いますので、その意味で現状を知ってもらうと同時に、その上にこうするんだというメニューを出して国民の皆さん方の御批判なり理解を縛るというのが正しいやり方ではないかと思います。  それにつきまして、実は新聞で見ましたところ、自民党さんの方は四月十六日の政務調査会の部会長会議で参議院選挙の公約の大筋を決めたということで、その「財源の充実」という項目の中で、一として「経済成長の持続による税の自然増収確保 景気回復基調を定着させて経済の安定成長を持続させ、国、地方の税の自然増収を確保する。」これはそのとおりだと思うのであります。二番目に、「現行税制体系による税の増収確保税負担の公平を図るとともに、現行税制のもとに増収を確保する。」という項目があるのですね。これは与党の参議院選挙の公約でございますから、しかも政調会というそれなりの重要な機関を経た公約でございますので、私はそれなりの重みがあると思うのであります。  そこで、与党が現行税制のもとに増収を確保するということは、一般消費税(仮称)ですね、大蔵大臣の通例語によりますと、これは入ってないんだ、しかも参議院選挙でございますから、考え方はいろいろあろうかと思いますが、今度選ばれてくる方はそういう前提のもとにやるのですよということですから、これから六年間縛るのか、あるいは次の参議院選挙までの三年間か、いろいろ議論はあるにいたしましても、いずれにせよ与党の選挙公約でございますから、それなりに竹下大蔵相を縛る重要な決定だと私は思いますけれども、それは国民の側からして見るならば、大蔵省も了解をしたんだな、一般消費税は少なくも次の参議院選挙がある三年間は出てこないんだなというふうに理解をしていいんだな、こういうふうに考えてよろしいのでしょうね。
  50. 竹下登

    竹下国務大臣 現行税制体系の中で税の増収を確保するという努力は、租税特別措置等々、税負担の公平を図るため、俗に言われた不公平税制ということについては税制調査会等におかれても一段落したものとの評価はいただいておりますものの、税そのものは絶えずそういうところへ着目していかなければならぬ問題でございますし、そうして国会で出ました税に対する議論はまさに正確にまとめて政府税調の方へも必ず御報告申し上げるという方針もとっておりますだけに、私は現行税制体系による税の増収を確保する努力はしなければならないことであると思います。それで、現行税制のもとに増収を確保するということは、恐らく新税というものを逆な立場から否定された表現とでも申しましょうか、そういうふうな理解の仕方で受けとめております。
  51. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 それは大蔵大臣としてもそういうふうに受けとめているというふうに理解してよろしいですね。
  52. 竹下登

    竹下国務大臣 財政当局を預かる者といたしましては、そのときどきの状態に応じましていろいろな施策を弾力的に行うだけの幅とか余裕とかはおのずから存在すると思います。しかし、政党内閣のもとにおいて政党の決められた選挙公約は非常に重いものであるという理解の上に立っておることは事実であります。
  53. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで、手続的にはいま税調でも企業税制あり方等も検討しておりますし、そういった意味では、五十六年度の増収策については、まだこれから、秋ぐらいから税調で審議をすることになると思うのでございますけれども、先ほど前提を置きながら、どう見ても一兆八千億ぐらい足りぬということになると、常識的に見て法人税のアップ――これは新聞の報じたところでありますけれども、五十五年度からもと言ったんだけれども、このときには準備金もいろいろ整理もあったから、あるいは参議院選挙があったからかどうかわかりませんが、見合わされておるわけです。財政をやる当大蔵委員会の者とすれば、だれでも五十六年度は法人税の何がしかのアップを考えるのは常識だと私は思うのであります。それに対して来年度は景気が下降局面にいくだろうということになると、財政当局としても逡巡なさるという気持ちはわかると思うのであります。  きょうは経済企画庁に来ていただいたのですが、たとえばいま法人税を一%アップしたときには約二千億円増収になると言われているわけです。これは余り細かい数字だとなかなかデータも出にくいかと思うのでありますが、たとえば二%、四千億円増収をしたときに、経済成長率に対しては一体どれくらい足を引っ張るものだろうか、設備投資がある程度その部分で削られたり、労働者への賃金を抑えたり、企業収益が悪くなったりということで経済が萎縮をすることも考えられるし、それが歳出に回っていくことによって景気の下支えをするという片面もあるので、相殺の問題もありましょうし、経済企画庁として、たとえば二%、四千億円増収した場合に、経済成長、景気に与える影響というものは一体どんなものだろうか、この点について一度お伺いしたいと思います。
  54. 廣江運弘

    廣江政府委員 いま先生は数字を挙げられまして、大体法人所得を二十兆ぐらいの前提でお話しになったかと思いますが、一般に法人税増税が景気にどういう影響を及ぼすかということにつきましては、常識的に見ますと、それが企業収益を通じまして設備投資、そして景気に若干の影響を持つというふうに考えられるところでございますが、これを考えますときには、先生もいまいみじくも御指摘になりましたが、大体二つのことを考えておかないといけないと思います。  一つは、法人税を上げるといいますと、それは心理的な影響もございますし、先ほど言いましたような企業収益という面を通じての影響もあるわけでありますから、一体どのくらい上げるのかということが大きな要素になると思います。  それからもう一つは、上げた法人税の税収を一体歳出に使うのかどうかといったようなこともあります。さらには景気の局面ということもございましょう。こうしたものをいろいろかみ合わせまして検討しなければいけないところで、それを歳出に使うことによって、場合によれば景気刺激的にも働きましょうし、あるいは中立的にも働きましょうし、抑制的にも働くわけで、いま先生は数字を挙げて、これでGNPに対して成長に対してどのくらいという御質問になったのですが、そういう意味では私の言いましたような状況で大変むずかしい要素が含まれておりますし、いまこれを一義的にどうこうと言うのはきわめてむずかしいので御寛恕を願いたいと思います。
  55. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 たとえば二%、四千億上げたとしますと、一体設備投資がどのくらい減るだろうかというある程度の計算は経済企画庁にはあるのじゃないですか。
  56. 廣江運弘

    廣江政府委員 先ほどもお答えをいたしましたように、法人税をこれだけ上げた場合に、それがストレートに設備投資にどう効くか、そして景気にどう効くかということは、一般的に一義的には算定が非常にむずかしいわけでございます。といいますのは、設備投資は、先ほども言いましたように心理的な要因もございますし、循環的な局面ということもございますし、そのときの経済の要請ということもございますし、あるいは法人の資本ストックのいかんといったこともございまして、なかなかむずかしいものですから、いま先生の御質問に直にお答えする資料は持ち合わせてないというのが現状でございます。
  57. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 ただ、いま審議官のお言葉の中に、使い方いかんによっては、これがマイナスになるし、あるいは中立的にもなるし、景気刺激にもなるということ、これはあるわけですね。ただ、ぬぐえないのは心理的影響ですね。これはもう増税した場合やっぱりぬぐえないと私も思いますし、収益面でのマイナスはあるけれどもそれが経済全体の中で今度はどういうふうにわが社に返ってくるだろうかというのは、なかなかこれはむずかしいと思うのです。しかし、いずれにしろ、単純に、法人税をアップしたら景気の足を引っ張る、もちろんそれもアップの率によりますが、それだけとも簡単に言えない。使い方によってはアップをしても景気刺激になり得る場合もあるということもあり得ますね。それはよろしゅうございますね。  そういう前提で、これは大臣にお答えいただくのがいいのか、主税局長にお答えいただくのがいいかわかりませんけれども、いずれにしろ五十六年度税制改正の際には、法人税のアップというのは、だれが見ても、少なくも財政をやっている者から言えば、当然第一に上がってくる柱である、課題である、こう思うのは常識であると考えておいてよろしゅうございますか。
  58. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 少し話が戻るようで恐縮でございますが、五十六年度予算編成するに当たりまして税制をどういうふうに仕組んでいくかということの検討は、当然のことでございますが、年度末になって翌年度経済情勢が見通せ、また財政需要につきましてもある程度の見込みがついた段階で具体的に入っていくわけでございます。したがいまして、四月から始めております企業課税の小委員会での検討は、いわば制度として法人税の基本的仕組みなり、それに伴う会計上のいろいろな計算の方法なりというものがどういう経済的な影響を持つのか、外国の税制との国際化ということが言われておりますが、それとの中でいまの制度が果たして有効かつ適切なものであるかどうかという、こういう検討をいたしておるわけであります。  歳出が四十二兆円ございまして、税収が二十六兆円でございますから、主計局の方で、また大蔵省全体としてどこまで歳出が抑えていけるのか、これが予算を決める場合に一番大きな影響力を持つ。二十六兆四千億の税収がどれだけ五十六年度に伸びるということを推定できるのか、これもオーダーとしてはその次に大きなものでございます。その辺が定まってまいりませんと、どの税目をどういうふうにさわるとか、国民に御負担をお願いするとかという検討には入るための準備が足りないわけでございますから、国会が終わりました段階で、先ほども大臣お話しになりましたように、税制調査会に国会での御議論を全部御報告をいたしまして、それから検討に入っていくわけでございますが、いままでたびたびお答え申し上げておりますように、五十六年度財政事情歳出歳入全体を見回してみまして、財政事情公債の発行を減らしながら健全な財政をつくっていくためにやむを得ないというような段階が来ます場合には、法人税率の引き上げ検討というものは避けて通るわけにはいかないであろう、これはいままでたびたび申し上げておるとおり承知しております。
  59. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 こう見てきますと、来年度予算の、あしたからサマーレビューに入ると言われますけれども、伸び率というものは相当きついものにしていかなければいかぬだろう。地方交付税と国債以外のいわゆる一般歳出、これは伸び率ゼロぐらいで考えてちょうどではないか。そんなに一兆も二兆も簡単に増税できるわけじゃありませんので、あしたから始まるサマーレビュー一般歳出の基本は伸び率ゼロであるというぐらいに腹をくくってかからなければならぬのだと思いますが、いかがでございますか。
  60. 禿河徹映

    禿河政府委員 サマーレビュー方針につきましては近く閣議におきまして各閣僚の御了解を得るというところでございますが、現在、私ども事務当局として考えておりますのは、五十六年度におきましても極力公債減額を行い財政再建を進めていくというためには、やっぱり一般歳出につきましてその伸びをほぼ横ばいにするぐらいのことを目標にして取り組んでいかなくちゃいかない、かように考えております。
  61. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 そこで、そういう財政の中で、いま新聞が防衛費をGNPの一%にしようという論議を盛んに報じているわけでありますけれども、そもそもGNPの一%という仮定自体が、きょうもっと細かく議論すればいいのですが、時間がかなり迫ってまいりましたのであれですが、余り意味があることではないのであって、五十一年の十一月に決めた閣議決定というのは、アッパーリミットをGNPの一%にしようという話であって、政策課題でも何でもないわけです。それがGNPの一%というのがいわば額の方が先行しちゃっている防衛論議というのは、財政をやる当委員会の者にしてみれば大変私たちはおかしな議論だと思うのであります。  そのことも大きな問題がありますけれども、いま禿河次長からお話があったような前提を考えてみます場合に、GNPの一%というものを先行きせるとなりますと、一体どれぐらいの負担増というのを今後考えていかなければならぬのか。特に、〇・九%という五十五年度予算を維持するということにいたしましても、このGNPの伸び率というのは仮定といたしまして財政収支試算を使いまして一一・四%伸びるという前提でやっている話でございますから、この〇・九%維持をするというだけでも、GNPが伸びるだけそのまま伸びるわけでありますから、予算の中では一一・四%伸びなければいかぬ。いま次長からお話があったように、一般歳出は原則的には横ばいぐらいにしなければいかぬというときに、防衛費だけが二・四%も伸びるということになるわけでありますから、大変なことになるわけであります。そこで、たとえば中期業務見積もりを五十八年度で、つまり一年繰り上げてやろうとした場合、もちろんその際にはそれはGNP一%という総額の中に入っている話だと思いますので、一体今後どれぐらい負担をしなければならぬのか、その点、特に予算の対前年度伸び率との関係において、大体わかっておりますが、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  62. 禿河徹映

    禿河政府委員 中期の業務見積もりとは別にいたしまして、先ほどお話がございました仮に防衛関係費の対GNP比を一%とした場合の防衛関係費の伸び率ということを申し上げますと、その前提は先ほどお話がございましたたとえばGNPの今後の伸び率を一一・四%にするとかというふうなことでまいりますと、五十六年度に仮にGNP比一%といたしますとすれば、防衛関係費が二三・八%伸びなくてはいかぬとか、あるいは五十七年度に一%に持っていくという場合には五十六年度以降一七・四%の伸び、五十八年度に一%とすれば五十六年度以降十五・四%、五十九年度にするとすれば一四・四%の各年度の伸び、仮に六十年度に一%というふうに持っていけば、各年度一三・八%の伸びを防衛関係費において図らなくてはならない、かような計算に相なります。
  63. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 いま次長からお答えいただいたように、原則的に、いま五十六年度予算考えた場合でも、一般歳出はほとんど横ばいではないかというときに、防衛費だけを六十年度までかけてGNP一%ということを想定いたしましても一三・八%、五十六年度でやろうと思うと二三・八%、いずれにしろ二けたの伸び率を防衛費についてやらないことにはGNP一%というのは達成できないということになるわけですね。こんなことを、一般歳出、教育なりあるいは福祉なり公共事業なりというものを伸び率ゼロにしておいて、防衛費だけこういうように二けたの伸ばしをしなければならぬということをするためには、あらかじめ、たとえば概算要求の段階で防衛費だけは別枠ですよ、どうぞ防衛庁の中期業務見積もりのとおり好きにやってくださいというぐらいの別枠にしなければ、とてもこれはできることではないし、私はまたそんなことはやるべきことではないと思うのであります。そこで、概算要求が七月の末でございますか、各省庁に対して出されると思うのでございますけれども、この各省庁に出される概算要求についての対前年度比伸び率の上限というものを指し示すときに、防衛庁だけに対しては、防衛費に限ってはこの上限とは別枠ですというようなことをいまの財政事情からやれることはあり得ないと私は思いますが、大臣、いかがでございますか。
  64. 竹下登

    竹下国務大臣 結論から申しますならば、おっしゃる趣旨を肯定することになるわけでございますが、基本的な考えといたしまして、昭和五十一年十月二十九日の国防会議閣議決定、この防衛計画の大綱、すなわち質的な充実向上を基本として、その具体的な実施に際しては、そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ行うものとされていることは御承知のとおりでございます。最近の厳しい国際情勢のもとにおきまして、防衛力の整備について真剣に検討をする、こういうことは政府といたしましても申し上げておるところでございます。したがいまして、やはり基本的には五十一年十月二十九日の国防会議閣議決定の方針は今日厳然として残っておるというふうに思います。  そうして、いまおっしゃいましたように、これからお許しをいただいてサマーレビューをやりましたり、いろいろな努力をしていくわけでございますが、結論からいって、防衛費によらずこのものについてだけは別枠でございます、こういうことだけは――とると、五十一年の基本的な考え方自身にも逆行することになると思いますので、その姿勢はとる考えはございません。
  65. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 わかりました。大平総理も、答弁をよく聞いてみますと、限りある財政の枠内で、五十六年度予算で、アメリカの要求というのか自主的にやるのかわかりませんけれども、こたえるということになっているので、そのあたりが、財政のことについてはどうも余り新聞も報道せずに、前の方だけ、結論的な五十六年度予算でこたえるということばかり報道するようで、それは財政のとても負い得ることではないと思いますので、ひとついま竹下大蔵大臣が言われた答弁を貫かれて、当然、公共事業なり福祉なり文教なりが防衛費の大幅な増額によって削られるというようなことのないように、私たちも今後も監視をしていきたいと思いますし、それからいまのような新聞報道、世論づくり、これに対して、ひとつ大臣が言われておりますように、財政はこういう現状でございます、防衛費だけGNP一%という形でふやすということは、いまの財政からはとてもできませんということも含めて、いわゆる財政再建のパンフレットというものの中に入れるお考えはございませんですか。
  66. 竹下登

    竹下国務大臣 御案内のように、その後一%を超えざる範囲内にという決定の仕方がございますので、その精神はこれから貫くわけでございますが、もろもろのPRの資料の中に、特定の予算の費目を固定させればこのようになりますというPRの仕方がいいのか悪いのかについてはもう少し検討させていただきたい課題ではなかろうかと思います。
  67. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 財政が大変厳しい中で私たちが大変頭を痛めておるときに、防衛費だけがこうやってGNP一%というのがひとり先走って歩いていくということについては、財政を預かる当大蔵委員会の私たちとしましては、これは大変憂慮すべきことだと思います。きょうは大臣から明確な、そういった別枠にすることではないという御答弁がございましたので、この問題はそれだけにしておきたいと思います。  そして財政が大変厳しい中で税の執行に携わってもらいます国税庁の職員の方々の問題について若干お伺いをしていきたいと思うのであります。大変時間が迫っておりますので、国税庁の方にお伺いをいたしますが、一つは、国税庁も五万二千人体制というのでずっときておるわけでありますけれども、最近税務職員一人当たりの処理をしなければならぬ件数、これは納税者が大変ふえております。それで私もう少し細かくやれば、たとえば確定申告の、いま一千万円以上になっておりますけれども、あれはたしか私が議員になって二年目ぐらいだと思いますので、昭和四十五、六年に五百万を一千万にしたんじゃないかと思います。ですから、私は個人的にはこの一千万を一千五百万にしてもいいんじゃないかと思っておるのであります。少しそういう簡素化もしていいんじゃないか。私のように国会議員の歳費しかない者が一々確定申告をしなければならぬというのも、結局、税務署にそれだけ負担がかかるわけでありますのでと思いますけれども、それは別といたしまして、いずれにしろ納税者数が非常にふえているわけです。しかし、税務署の職員の体制は人数からいったら同じだということで、そういった意味では大変負担がふえていくであろうと思います。  それから、最近報道されておりますように、脱税というのが大変多い。一体、最近の脱税というのは増産所得の割合から見て、割合というのか階層別というのか、たとえば一千万円以下の増差所得はどのくらいの割合で、一千万から五千万、五千万から一億、百億以上の増差所得というのはちょっとないでしょうからね、その辺のところの資料があれば、いま状況がどうなっておるのか。いずれにしろ徴税の執行に対する環境というのは、私はますます厳しい状況になっているんじゃないだろうかと思いますので、その辺簡単にちょっと御説明いただきたいと思います。
  68. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田政府委員 簡単に御答弁させていただきます。  ただいまお尋ねの最近の脱税の状況に関連いたしまして、増差所得の状況がどうなっているかということでございますが、     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕 私の方では、ただいまおっしゃいましたような所得階層別にはその状況を業務統計としてただいまとっておりませんものですから、残念ながらお答えしかねる状況でございます。  なお、最近における処理すべき、あるいは処理しなければならない納税者数等の状況がどのようになっておるかという状況でございますが、まず四十九年と五十三年のこの五年間を比較して概況を申し上げますと、申告所得税につきましては、四十九年は四百九十九万人の納税者がおりましたが、五十三年におきましては五百三十七万人に増加しております。法人税につきましては、同じく四十九年に百四十四万社おりましたのが、五十三年につきましては百六十七万社になっております。資産税につきましては、対象とすべき者が五十五万人おりましたのが、五十三年度におきましては六十四万人、間接税につきましては、対象とすべきものが四十二万場と計算されておりましたのが四十九万場、こういうふうに全体的に著しい増加を示している状況でございます。
  69. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 どの数字を見ましても大変ふえている。とりわけ申告所得税については大変大幅にふえているわけですね。  そこで、いろいろなこともお伺いをしたいのですが、時間がありませんので、そういう状況の中で税務職員の持っている問題というのは、税理士さんに聞いても、まあ毎年毎年国会で法律を変えてくれるものですからということで、大変法律自体が複雑でもございますし、また、税というのは本当に森羅万象にわたるんですね。あらゆるケースというのが考えられるわけで、主税局長の頭の中というのはどういうふうになっているんだろうかというふうに、常々大変敬意を表しているわけでありますけれども、そういった複雑な問題があるし、それから、納税非協力団体もありますし、またそういった意味での困難性がある。  まず第一に、私は、一番最大なものは、人様から見れば、これは来てもらわなくてもいいという仕事というのは、大変やりにくい仕事だと思うのですね。毎朝起きてみて、これからまた調査に行く、どうせ歓迎されるところはないわけで、その意味では大変な仕事を負ってもらっているわけで、しかし、これがないことには国はやっていかれないわけですので、その意味で、私はこういった方々にそれなりにこたえていかなければならぬと思うのであります。  それで、人事院にお伺いいたしますけれども、また人事院勧告が八月半ばぐらいに恐らく行われるんだと思うのでございますけれども、税務水準差の問題。大体春闘が一段落しましたので、これから民間調査を始められて、いろいろその点を勘案をされて勧告されるのだと思いますけれども、この税務職員の持っている困難性、複雑性あるいは責任性、あるいは不快な目で見られるという特殊な業種について大変理解をいただいて、今日までいろいろと御努力をいただいたのでございますけれども、今日までこの税務水準差について、各等級をとりまして、大体平均一〇.三ぐらいでこの七、八年きているわけであります。しかし、昭和三十二年の一三%に比べますと、落ちてきているわけなんで、その辺のところを、ますます環境が厳しくなってくる中で、いろいろな形でこの税務水準差をさらに拡大をしてもらうということを考えてもらわなければならぬのではないかということがまず一つであります。  それともう一つは、この税務水準差を等級別に見ますと、五等級が一番税務水準差が一三%ぐらいになって高くなっておるわけでありますけれども、この税務水準差をつける根拠というのは、これはいわゆる給与法の第十条に言うところの「人事院は、俸給月額が、職務の複雑、困難若しくは責任の度又は勤労の強度、勤務時間、勤労環境その他の勤労条件が同じ職務の等級に属する他の官職に比して著しく特殊な官職に対し適当でないと認めるときは、その特殊性に基き、俸給月額につき適正な調整額表を定めることができる。2前項の調整額表に定める俸給月額の調整額は、調整前における俸給月額の百分の二十五をこえてはならない。」ということで、アッパーリミットを百分の二十五というふうに置いているわけですね。  そうすると、いまの税務の実態からいって果たして――五等級というのが一番高く水準差がついているわけでありますけれども、税務の実態からいって、いま読み上げた第十条に書いてある複雑、困難、責任の度合い、勤労の強度ということからいくと、私の知識では、三等級あたりが一番その意味で――現実に三等級では、まだかばんを持って調査に行く、それから部下を指導しなきゃならぬ、そういった意味での責任とか、あるいは勤労の強度、複雑性といったものからいきますと、三等級ぐらいが一番本来ならこれは水準差というのは高くなければならないんじゃないだろうか、私の知り得るいまの税務職の方々の実態からいくとそう思うのでございますけれども、その点についてはいかがか。  以上二点、まずお伺いをしたいと思います。
  70. 長橋進

    ○長橋政府委員 お答えいたします。  まず税務職員の水準差の問題でございますが、水準差ということになりますと、税務職職務全体といたしまして、行政職に比較してどの程度の有利性を与えるかということでございます。  これについては、いろいろ経緯、沿革等もございまして、当初はかなり高い水準差を持っておりましたけれども、御指摘のように、今日の段階でございますと、俸給表全体といたしまして一〇・三%というかっこうになっております。  これは税務職員の職務の専門性、困難性そのものに対する評価が変わってきたんじゃないかというような見方もあるいはできるかと思いますけれども、決してそうではございませんで、俸給表の中で見ますと各等級ごとに分かれておりまして、したがって、税務職員の中の配分といたしましては、その職務自体の高く評価するという問題もございます。したがって、たとえば等級を一段階高く評価していくという問題もございますので、必ずしも一概に率が下がった分だけ下がってきたということにはならないかと思いますけれども、しかし、客観的事実といたしましては、水準差が下がってきておるということがございます。  この点につきましては、従来から、なるべく行政職に対する有利性を確保するように努力してまいりましたし、ことしの給与勧告でどうなりますかは、御指摘のように調査しての上でございますので、具体的なことは申し上げかねますけれども、従来どおりの努力の姿勢というものはそのまま持ち続けてまいりたいというふうに考えております。  それから、各等級間の比較の問題でございますが、この調整額ということになりますと、これは同じ職務の等級に属する官職相互間で、同じ等級に属しておるけれども、やはり職務の困難性ということから考えますと若干差をつけていいんじゃないかということで、同じ職務の等級に属する官職についての調整措置でございます。いわゆるその水準差ということになりますと、俸給表全体ということになりますので、したがって、調整額といわゆる水準差ということにつきましては、そういう性質上の違いがあろうかと思います。  それから、第二点のお尋ねの、等級で言いました場合に、本来三等級をもっと高くすべきではないかという御指摘でございますが、三等級ということになりますと、国税局で申しましても、代表的な官職としましては課長級ということになりますし、税務署について見ましても、特に困難な業務の課長ということになりますので、したがいまして、税務職員としてのその職務の特殊性とかあるいは困難性ということについてはもちろんございますけれども、その税務職員の中で相互を比較いたしますと、やはり現場の、しかも第一線で直接賦課徴収業務に携わる方と比較してみました場合に、上位等級の方というのは、どちらかといいますと行政職に類似するような一面も出てまいりますので、したがいまして、等級相互間で見ますと、やはり率が下がってくるというのはやむを得ないのではないだろうかというふうに考えられます。  しかし、率ではそうでございますけれども、御存じのように、額について言いますと、三等級の場合二万四千円ということでございまして、やはり税務職員の中では高額の有利性というものを与えられているというような状況でございます。
  71. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 このあたりは実は国税庁にお伺いするのもなかなかむずかしいかとも思うのですが、三等級でも統括官になって現実に税務調査に行く、調査もするし、その上、部下をいろいろな形で内容的にも指導する、あるいは質問も出てくればいろいろ教えるという問題、それから、いま局長が言われるように、確かに行政的ないろいろな管理監督的な仕事もあろうかと思うので、なかなかこれを国税庁にお伺いするのもむずかしいと思いますが、五等級の場合には責任がないとは言いませんが、おのおの一人で調査に行かれる場合が当然あるわけですから、その意味ではそれなりの責任を負っていらっしゃるのだけれども、五等級の場合は部下まで指導なり何なりという場合はほとんどないのじゃないだろうか、それが私は実態じゃないかと思うので、その意味で三等級ぐらいをもう少し上げていかなければいかぬのじゃないか。もし、いま給与局長が言われるように、そういう観点からいくと、三等級と五等級の間の四等級ぐらいがいわゆる給与法十条に言うところの調整額の意味を一番兼ね備えているのかなという気がしますので、これはなかなかむずかしいことだと思いますが、もしコメントでさましたら次長いかがですか。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
  72. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、過去五年間を仮にとってみますと、あのように調査対象とすべきものの人員あるいは納税者の数がふえている状況でございます。しかしながら、国税としては全体の調査のレベルを落とすわけにはいかないということから、一人当たりの年間の調査件数をとりましても、その間にやはり相当の増加を示している状況でございまして、ただいまおっしゃいました三等級の問題でございますが、率直に言わせていただきますと、ただいま署におきまして統括官あるいは上席の調査官、こういうところは、内部事務もある程度見ていかなければならない、あるいは調査から帰ってきたものの内容も全部聞いて調べなければならない、そして自分も場合によっては出ていかなくてはならないということで、最も過重になっているのではないかという心配をわれわれはただいま現実にしておる状態でございます。こういう点につきまして、人事院の方にもいろいろと御説明を申し上げまして御理解を賜るようお願いしている状況でございますが、われわれといたしましては、できれば三等級以上の者につきまして、ただいまおっしゃいましたように、水準差がその下よりもずっと下がっております状況につきましてきめの細かい御配慮を願えれば、このように考えている次第でございます。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 佐藤観樹

    ○佐藤(観)委員 人の仕事の評価というのは大変むずかしい仕事だと私は思うのです。そこで、これも答えが出ることとは思いませんが、いま国税庁次長お話もありましたので、人事院の方においても十分いまの全体的な、これだけ財政事情が厳しくて、国税の職員の方の執行状況も大変厳しい状況になっている全体的な状況とあわせて、いま次長からお話があったような職務の内容等も今後一層ひとつ検討してもらって、何しろ国税庁職員というのは、毎朝起きて、よし調査だという気にならぬと、さぼってくれればくれるほど正直言って納税者側にしてみればありがたいというのが実感の仕事ですから、その辺のところは十分人事院でも評価しているよという意思がそれなりに通ずるような答えを出していただくようにお願いをしまして、終わりにしたいと思います。
  74. 増岡博之

  75. 坂口力

    坂口委員 来年度予算がらみのお話につきましては、いま社会党の佐藤議員から多くの議論がございまして、私がお尋ねしようと思っておりましたこととかなり重複をいたしておりますので、その落ち穂拾いをやりながら四十分ばかりの質問をさせていただきたいと思います。  いまも防衛問題についての議論があったわけでございますが、五十五年度の防衛予算は約二兆二千三百億円でございまして、これは新聞等で報ぜられておりますように〇・九%ということでございます。五十六年にGNPがどれだけになりますかちょっとわかりませんけれども、一応新七カ年計画におきましては五・七%ということになっておりますが、一応五%ということにいたしますと、大体五十六年は二百六十兆円前後になるのではないかと思います。もしその〇・九二%ということになれば二兆三千九百億円くらいになるはずであります。〇・九三%ということになりますと二兆四千二百億円くらいになるはずでございます。もし、これが一%ということになりますと二兆六千億円前後になろうかと思います。そういたしますと、先ほどもいろいろ議論がございましたが、〇・九二%といたしますと、昭和五十五年よりも千六百億円、〇・九三%ということになりますと千九百億円、もしも一%ということになりますと三千七百億円くらい五十六年度は増額しなければならないことになるのではないか、私が計算をいたしますと、そういう数字が出てくるわけでございます。  そこで、非常に厳しい財政の中でどうするかということになるわけでございますが、その議論の前に、大平総理がカーター大統領と会見をされまして、日米首脳会談の中で中期業務見積もりというものを前倒しにしていくということが話し合われたのかどうか、合意されたのかどうかということが一つの議論の前段階になるだろうと思います。真剣に検討するというふうに大平総理はお答えになったという話もございますし、また、外務大臣は具体的な合意はなかったというふうにも発言をされているやに聞いているわけでございますが、これは財政問題として非常に重要な問題でございますので、その日米首脳会議内容につきましては、大蔵大臣にも少なくとも料々の説明はあったであろうと思うわけでございますが、大臣は、日米首脳会談の中でこの問題についての合意とまでいったかどうかは別にいたしまして、かなりな話し合いがされたとお聞きになっておりますかどうか、まずそこからお聞きしたいと思います。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 総理が本会議で行いました帰国報告というものにあらまし示されておるところでございますが、防衛問題につきましては、大統領より、これまでわが国のこの面での努力を、いろいろな事情もありながらここまで努力をしておることを多とし、そして日本の国内的な制約は十分理解しておるが、これから政府部内の計画というような表現での達成をこいねがうというような趣旨の発言があった。政府部内の計画とは何ぞやということでいろいろ議論してみましたが、やはりそれは中期業務見積もりのことを指したものではなかろうかと一応統一して理解をいたしております。これに対しまして、総理からは真剣に努力するという答えを申し上げまして、防衛問題に関する首脳会談の時間というものは大変短くそれだけのものであったという御報告を承っております。
  77. 坂口力

    坂口委員 私も総理大臣の報告を本会議で聞かせていただいたわけでございますが、本会議場で聞かせていただいた感じとしては、なかなか理解できにくい表現であったように記憶をいたしております。後で新聞等をもう一度読みながら、いま大臣がお答えになりましたようなことなのかなと私も半ば想像も含めて実は考えていたわけでございます。外務委員会におきましてこの防衛論議がかなりやられているわけでございますが、外務大臣公共事業を削ってでもと、こういうふうに発言になったという記事が出ているわけでございますが、いささか外務大臣としてははしゃぎ過ぎではないかと私は思うわけでございますけれども、この辺の取り組み方について大蔵大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  78. 竹下登

    竹下国務大臣 現下の国際情勢から見まして、防衛論議というものがそれなりに起きて、そして防衛力そのものの充実、なかんずく質的充実というものが必要なものであるという議論が私はあり得ることであるという認識は持っております。しかし、昭和五十一年の防衛力の大綱を国防会議または閣議で決定いたしておりますその線を私は遵守して予算編成には対応すべきものである、すなわちそのときどきの財政経済事情に応じて他の費目との調和を図りながら予算編成に臨むべきものであるという基本的な考えはやはり貫き通すべきものである。そして総理も報告にも申しておりましたように、あくまでも日本自身が自主的に決めることであるという報告もあっておりましたので、私はそのような方向を守るべきものであるというふうに考えております。
  79. 坂口力

    坂口委員 もう少し大臣の国防に対する認識をお聞きしておきたいと思いますが、私ども予算編成のときに、非常に財源の苦しい中におきましても福祉予算だけはひとつ切らないでほしい、これはいつも大蔵大臣にお願いをしているわけでございますが、これは一つ予算に対する物の考え方であるわけであります。大蔵大臣としては、防衛費というものをこれからどうしていくかということにつきまして、限られた枠の中の財源で、ここを若干ふやそうとすればどこかを若干へこまさなければならない、もしもそれをやらないのならば、現在の国債の発行を減額するのをある程度見合わさなければならない、いずれかをやらざるを得ないわけであります。それともまた、先ほどから議論がありましたように、どこかで増税を図るか。増税か、あるいは国債発行額減額をどうするか、あるいは他の財源を削るか、そうしなければ、ここをふくらまそうと思っても出てこないわけでございまして、この防衛費というものの比重を、たとえば外務大臣の発言にもございましたが、公共事業とか、あるいはまた福祉関連予算とか限定はいたしませんけれども、他のものと並べてみましたときの比重としてどのように位置づけておみえになるのかということを、大きな議論で結構でございますので、承っておきたいと存じます。
  80. 竹下登

    竹下国務大臣 これは非常にむずかしい問題でございますが、防衛力の整備ということが必要であるという認識の上に私どもはまず基本的には立っております。しかし、これが予算編成に当たっては、あくまでも五十一年の防衛計画の大綱というものの決定した趣旨を踏まえて行うべきである、したがって、そのときどきの財政事情と他の予算との調和を図りつつということになっておりますので、その調和というようなものは、全部を現在の水準に維持することが調和であるのか、あるいは現在の水準に若干の上がり下がりがあっても総体的な政策運営の中における調和としてそれをとるのかということになりますと、非常にむずかしい議論になると思うのでございます。しかし、私は、予算編成に当たっては、この予算をふやすためにこちらの予算を削るべきだという考え方ではなくして、総合した選択肢の中で調和を図っていくという考え方で臨むべきものではなかろうかというふうに理解をいたしております。
  81. 坂口力

    坂口委員 私も防衛議論というものが必要なことは認める一人でありますし、そのあり方とかいう問題につきましては、きょうは大蔵委員会でもございますから別におくといたしまして、財政問題だけに限って議論をしているわけでございますが、いま大臣がおっしゃったいままでの調和の延長上で考えるのか、それとも新しい調和を生み出す立場考えるのか、こういうことであろうと私も思います。大臣のお気持ちとしては、新しい調和を生み出していく、そういう考え方の中でこの防衛予算というものを考えていきたい、こういう御発言であるというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  82. 竹下登

    竹下国務大臣 私が申しておりますのは、一つ財政再建という大前提の課題、そのスタート台の上に立っておる場合、防衛費と言わず、すべてが調和の中に、編成枠の中に存在しなければならぬという基本的な考え方でございますので、防衛費を基準としての調和というような物の考え方で、少なくとも財政当局はその考え方で臨むべきものではないではないかという基本的な認識であります。
  83. 坂口力

    坂口委員 どうも禅問答みたいになってまいりまして、話がだんだんややこしくなってまいりますけれども、具体的な数字で申しますならば、いま話題になっておりますように、来年度予算におきましては防衛費を少なくともGNP比〇・九三%ぐらいまでは持っていかざるを得ないという、そういう考え方が一方にあるわけでございます。もしも、そういたしますと、先ほども数字を申しましたように、少なくとも千九百億円ぐらい、約二千億円ぐらいの新しい財源をそこに生み出していかなければならないのではなかろうか。もし一%ということになれば、三千七百億円前後の数字をそこに埋めなければならないということになるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。私、一応来年度のGNPの伸びを五%というふうに見ておりますから、低目に見積もってそういう計算をいたしておりますから、五・七%で見ましたらこれがもう少し伸びるわけでございますし、あるいは六%ぐらいだったらさらに伸びるわけでございますので、若干の数字の違いはあろうかと思いますけれども、少なくともいま申しましたぐらいの財源は新しくここに加えていかなければならないことだけは事実でございます。それを非常に厳しい財政の中でやっていきますためにどうするかという問題があるわけでございまして、これは主計局の次長さんからお答えをいただいても結構でございますが、ひとつ具体的な問題でこれをどういうふうに位置づけておみえになるのか、そしてやろうと思えば可能だというふうにお考えになっているのか、その辺ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  84. 禿河徹映

    禿河政府委員 いま坂口先生が挙げられました数字、ちょっと私ども手元にございませんけれども、お伺いしておりますと、そういう前提のもとで計算された数字として確かにそういう数字に相なるであろうかな、こういうふうに承ってはおります。ただ、これも御承知のとおり、来年度予算ということに相なりますと、現在の厳しい財政事情のもとにおきまして、各種の経費というものをいろいろ検討いたしまして、そして全体のバランスとか、あるいは優先順位とかいうものを予算編成の過程におきまして政府部内におきまして十分検討して予算を作成するわけでございまして、私ども段階におきまして防衛費あるいはその他の特定の経費につきまして、それが実際上どういう予算の姿になるのか、それの財源をどういうふうにして求めていくのかという具体的なことは現段階で申し上げられるような状況ではございません。
  85. 坂口力

    坂口委員 外務大臣が、先ほども申しましたように公共事業を削ってでもというような発言をなすったという具体的な問題が出ているものでございますから、私もあえてここにお聞きしたわけでございますが、これは非常に具体的な問題が外務大臣から出たそうでありますので、もう一度大臣にだけお聞きをして、そして次に移りたいと思いますけれども、そうしますと、こういう外務大臣の発言は、それはなかなか大蔵大臣としては受け入れられない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 国務大臣としていろいろな意見を述べられることは、それは私は許容の範囲内にあることだと思います。しかし、仮にもし所管大臣が、自分の所管する予算と他の省の所管する予算とを対比して、あの予算をこちらへ持ってくるべきであるという発言をすることは、私は好ましいことではないと思っております。ただ、現実問題、どのような御発言をなすったかということを私も新聞程度でしか知りませんので、正確なお答えになるかどうか、仮定のお答えにすぎないかと思いますが、私はそのように考えております。
  87. 坂口力

    坂口委員 ぜひひとつ、これからまた議論になっていくであろうと思いますが、例年サマーレビュー等が行われまして、その後には老人医療費の問題でございますとか、あるいはまた児童手当の問題でございますとか、福祉の切り捨ての話が必ず出てまいりまして、そしてまたそれを自民党の方である程度修正をしてというようなかっこうのいいところを見せてというような芝居が繰り返されるわけでございまして、ぜひことしもそういうことにならないように、サマーレビュー大いに結構でございますけれども、防衛費の問題が出てまいりましたときに、一番先に一番切りやすいところの福祉から切っていこうじゃないかというような話にならないように、これは強く要望をしておきたいと思います。  さて、この問題このくらいにいたしまして、あとの時間、個人年金の問題につきまして少し触れさせていただきたいと思いますが、昨年、郵政省から新種の年金を出したいという話がございまして、そしてこれが少なくとも見送りになったわけでございますが、一応これは五十六年度には実現されるというふうに見てよろしゅうございますか。
  88. 竹下登

    竹下国務大臣 この郵政省の個人年金構想につきまして、私ども最終的に大臣折衝まで行ったわけでございますが、基本的な考え方の中に私どもございましたのは、民間が一生懸命これが拡充の努力をしておられるところへ政府機関がそれをさらに取り上げるという、まず大原則の上において議論をいたしたわけでございます。したがって、結果から言いますと、引き続き検討をするということになっておりまして、いまその検討の過程でございますので、これを五十六年度に実施するということを言える状態には今日なおないというふうに御理解をいただきたいと思います。
  89. 坂口力

    坂口委員 公的年金というものが存在をいたしております現在におきまして、この個人年金の問題を積極的に進めることがどうかという議論があることは私もよく承知をしているわけでございます。この個人年金のことを言います場合に、個人年金というものをつくることによって一方の公的年金というものがないがしろにされることはあり得ないという前提の上でなければならないと思うわけでございまして、私も公的年金というものはさらに充実をしていかなければならないという前提の上で、なおかっこの個人年金という制度も並列して存在していいのではないか、こういうふうに考えるわけでございまして、そういった意味で昨年郵政省からお示しになりました個人年金のいろいろの制度というものは一石を投じられた、こういうふうに私考えているわけでございます。  いま大蔵大臣がお述べになりましたように、民間保険会社初めその他金融機関等におきましていろいろ努力をされていることも私ども存じておりますが、しかし、いま一つ個人年金としてインフレにたえ得るものでなかったということもまた事実でございまして、郵政省から示されましたものがこれがインフレに強いと言い切れるかどうか、若干疑問はございますけれども、しかし、いままでのものよりは一歩前進をした内容ではないかというふうに、昨年末でございますか、私、見せていただいて受け取った一人でございます。したがいまして、民間金融機関において――民間金融機関という言い方が少し広過ぎれば、民間保険会社と言った方がより適切かもしれません。民間保険会社におきましていろいろの商品をお出しになっておりますものがいままでのような状態であれば、これは十分に努力をしてきたとは言いがたいというふうに私は考えるわけでございます。もし、大臣が郵政省から示されたものを、これはまだ正式に認めているものではない、それはなぜかならば民間が非常に努力をしておるのだからそのことも十分考慮に入れなければならないというふうにおっしゃるのであれば、私は民間に対してももっと積極的に新しい商品、国民のニーズにこたえる商品を出すべきではないか、かように考えているわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  90. 竹下登

    竹下国務大臣 民間も、最近、私見ますと確かに努力をしてこられて、対前年伸び率等を見ますと、かなりの伸びになっております。したがって、なおこれが適正な商品等に対しての努力をされることが好ましいという御意見には私も同感でございます。  私どもが強く反対したと申しましょうか、合意を見なかったゆえんのものは、一つは、先ほど申しましたように民間の分野に政府として進出する必要があるかどうかという問題が一つございました。それと、郵便局自体でそれに対してどれだけの魅力を持つであろうかという問題も一つございました。それからもう一つは、中身に入りましたときに、国民の皆様方からお預かりした預金を少なくとも政府が運用するというときにおきまして、いわば元本保証のあるものならば許容の限度内にあるけれども、たとえば金を買うとか、土地投機をするとか、株式を保有するとかいうところになりますと、いわゆる安全、有利、確実の運用ということの範疇の外に出やしないか、こういう議論もいたしたわけでございます。  そこで、協議の段階でだんだん詰まりまして、株式はやめたあるいは土地投機はやめたとか、いろんな議論が今日も継続しておるようでございますけれども、個人年金というものを公的年金を補完する意味において進めていくという体制全体は私は結構なことだと思いますけれども、それを郵便局が行って、そして本当に安全、有利、確実の運営の中でそのような高利回りの運用ができるかどうかという点についても、まだまだ議論を詰めてみなければならぬ課題じゃなかろうかなというふうに思っておるところであります。
  91. 坂口力

    坂口委員 私は郵便局の側についておるわけでもございませんし、銀行側についておるわけでもないわけで、こういう制度ができることを強く期待している一人でございます。私の手元に五者案というのがございまして、(「いわゆる五音案だ」と呼ぶ者あり)私のはいわゆるはついておりませんで五者案になっております。ごしゃごしゃしてややこしいものでございますけれども、「老齢化社会の進展に対応し、公的年金の補完として老後生活の安定を図るため、郵政省による個人任意年金制度を次により昭和五十五年度中に発足させる。」こういうことになっておりまして、最後に大蔵大臣、郵政大臣内閣官房長官、三人の名前で昭和五十四年十二月二十八日というものがございます。これを見せていただくと、郵政省による年金制度というものが間もなくできるのかなという感じを私は持ったわけでございます。いま大臣がおっしゃいましたその運用の仕方でございますとか、いろいろの問題があることも中に書かれておりますので、そうしたことはこれから議論をされるのでしょうけれども、大枠としてはこういう制度というものを発足させるとなっておりますから、これはできるのかなというふうに私は認識をしたわけでございます。いままでも個人年金制度としては郵政省の中にすでにあるわけでございますし、新しい種類のものをつくるかどうかという議論になるのだろうと思いますが、これができるかどうかということに先ほどから議論になっております民間の保険会社の方の商品の問題が絡んでくるとするならば、私は早急に民間の方にもこれに匹敵する、あるいはこれ以上の製品をつくるべくひとつより努力をするように、やはり大蔵省の方からこれは叱咤激励をしてもらわなければならない問題ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  内容はともかくといたしまして、現在国民が望んでおりますのは、公的年金というものができる限り成熟をして、そしてより老後の生活にたえ得るものになることを期待しているわけでございまして、これが中心であることはもう初めにも申しましたとおり変わりはないわけでございますけれども、しかし、これから老齢化社会を迎えまして、それだけではやはり心もとない、自分でもやっていこうというプラスアルファをお考えになる人が、少なくともこれだけはインフレに余り目減りのしていかない、インフレに強い、そうしたものができないだろうかということを願っておみえになることも事実でございまして、このニーズにこたえていくということは国会としても非常に重要なことではないかというふうに思うわけでございます。  そこで、この新しい製品が郵政省管轄でできるのかあるいは民間の方でできるのか、あるいは両方でできるのかは別にいたしまして、こうしたものに税制優遇というものがないところに、いままでの民間におきますところの商品が広がらなかった原因の一つがあるというふうに私も考える一人でございます。したがいまして、この財政難の折から優遇税制というのはいささか言いにくいときではございますけれども、しかし、こうした優遇税制をつくることによって個人年金を充実をさせ、それによって将来計画を持つということによってそれぞれの人がそのときそのときに消費の拡大に励んでいくということになるならば、それは景気にも影響をしてくることでございますし、何らかの形でこれははね返ってくるしろものではあることは間違いないと思うわけでございまして、そういう意味からいたしますと、やはりほかのものは別にいたしまして、事年金にかかわるものだけは優遇税制というものも考えていかなければならないのではないかというふうに私は思っておりますが、その辺のお考えをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  92. 竹下登

    竹下国務大臣 議論として最もポイントの一つの議論でございます。いわゆる五者案というものにも「個人任意年金制度の普及を図るための政策減税については民間の個人年金の取り扱いと同一にする」と、仮に郵便局でできたといたしまして、そういうことが言われておりますが、いま御指摘のように、現下の厳しい財政状況のもとでこれだけは別という形で政策税制として拡大する余地が本当のところあるだろうかどうだろうかという問題も、やはり私はいま一度も二度も議論をしてみなければいかぬ課題だ。確かに、それが私どもの念頭にある大きなポイントの一つであることは事実でございます。  それから、いまお話しになりました民間の個人年金保険は、確かにいろいろ努力をされて、まさに対前年伸び率が金額にしますと二四五%、件数でいくと一八五%というところまでいまきておりますので、それなりの努力も、私どもはいま非常に注視してこれを見ておるわけであります。  本当に議論がございますのは、株式、不動産は、五者案で見ますと、投資は行わない、こういうことになっております。が、対象を電力、ガスの公共事業株とか貸付信託、投資信託、譲渡性定期預金、円建て外債というところまでは広げたらどうだという案になっておりますので、それが、郵便局はやはり政府機関でございますから、そこまでいくのがいいことなのか悪いことなのか、元本保証のあるものならば別といたしまして、その辺で両者の意見をいろいろ調整しながら、検討が鋭意かつまた断続的に続いておるというような状態でございます。
  93. 坂口力

    坂口委員 これだけにいたしますけれども、ぜひ早急にこれも検討をしていただいて、いま申しましたように、どこでやられるにしろ税制問題もあわせてひとつ御検討をいただきたいということをお願いをしておきたいと思います。その税制問題についての検討につきまして、ひとつ検討するという御答弁をいただければそれにこしたことはございません。  それから、五十五年度中ということでございますが、これは今後のスケジュールというものがもしもわかっておりましたらこの際に承っておきたいと思いますし、いまは先ほど述べられた程度で断続的にやられている状況で、今後のスケジュールがわかっていなければそれでも構いませんが、最後にもう一言だけ大臣からお聞きをして終わりにしたいと思います。
  94. 竹下登

    竹下国務大臣 このいわゆる五者案というものの中に政策減税についても書かれてありますので、われわれ大蔵、郵政、内閣官房がそれぞれ署名いたしました五者案を基本として、引き続き調整の上、成案を得ることとするということでございますから、検討対象にはもとよりあるわけでございます。これのスケジュールの問題につきましては、いまにわかにいつごろまでにと言うだけの準備ができておりません。
  95. 坂口力

    坂口委員 ありがとうございました。これで終わります。
  96. 増岡博之

    増岡委員長 午後二時三十分再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十五分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十二分開議
  97. 愛知和男

    ○愛知委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を続行いたします。沢田広君。
  98. 沢田広

    沢田委員 午前に引き続き、大蔵大臣その他関係の人、大変御苦労さまであります。主としてサラ金関係の問題について、若干、ここで総まとめにしてひとつお答えをいただこうかと思います。  その前に大蔵大臣、ことしの長者番付というのがたくさん新聞で報道されました。長者番付のそれぞれの御氏名も職業も書いてありますが、これをまずごらんになってどのように大蔵大臣考えになられたか、突然ではありますけれども、五十四年度の所得の状況というものを見て、印象として、これからの不公正税制などに当たってどういうふうに手直しをしていったらいいのだろうか、ここではどうしたらいいかということまでは言えないにしても、考え方なりを一曹お答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  99. 竹下登

    竹下国務大臣 見せていただいたときにとっさに感じましたのは、ははあ、上原さんが一番だな、こういうことであります。それからずっと見ているうちに、無職の人とか不動産あるいはたばこ小売等々の人の内容も、やはり土地の問題であろうなというふうに感じました。それから次には、各県別の所得ベストテンを見てみますと、私どものような比較的担税力の低い地方になりますと、お医者さんだな、こういう感じが率直にいたしました。
  100. 沢田広

    沢田委員 いみじくも言われましたものが、日本の税制の中における不公正税制と言われている――何もよけい取ったから悪いと私は申し上げているのではない、やはり取れる人がたくさん取ることは当然のことであるかもわかりません。しかし、そういうものが本当に自分の努力なりだけで取ったものなのか、あるいは税制上のいわゆる不公正というものによって得たものなのか、その辺がやはり政策的なものの信憑性が問われるものだろうと思います。ある新聞には「医師長者 この算術・奇術」こういうような見出しで、二千五百万円まで七二%、二千五百万から三千万円七〇%、四千万から五千万まで五七%、しかも、「薬卸トンネル会社」、こういうようなことで指摘をされているところであります。こういうような指摘をひとつぜひ次回の税制調査会等においても、もし大蔵大臣必要ならこれを置いていきますけれども、ぜひひとつ参考にして税制調査会で御審議をいただきたい、こういうふうに思いますが、いただけるかどうか、その点だけお聞かせいただきたいと思っております。
  101. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 重要な御指摘でございますので、税制調査会に報告をして今後の税制審議の資料とさせていただきたいと存じます。
  102. 沢田広

    沢田委員 それからまた、先日の報道で、サラ金でお互いが保証人になり合って三千万円借りたということで、二家族が心中して、生き残った方もおられるようでありますが、これはどういうことでこういうふうなことになったのか、お互いに保証人になり合って三千万円までも借りられた仕組みというもの、その点を若干ひとつ後でお聞かせをいただきたい。いますぐと言われても無理だと思っておりますから、これはいま出した問題ですから、どうしたら三千万円までお互いが保証人をし合いながら借りることが可能であったのか、また、その借りるのに当たって、貸した側はそのことを承知の上でやったものなのであろうか、その点ひとつ、いまわかっていたらばその中身をお知らせをいただきたい、こういうふうに思います。もしなにでしたら、中身は後で警察などの方に問い合わせてお答えをいただければ幸いだと思います。  続いて、実は大蔵大臣に聞くわけじゃないのですが、いままで五十一年からずっとサラ金の問題、延べで合計二十八人ぐらい質問なりを行ってきております。その中である程度、これは皆大臣の答えを実は抜き出してみたのであります。質問に対する大臣の答えを全部記録をしてみまして、それは実はそちらに行っていると思うのでありますが、ないものもありますが、現在のこのサラ金の被害の現状をどう見ているか、そして、このまま放置する政府方針であるのか、この点がひとつ質問なんです。それの前段としては、六省連絡会議であるとかあるいは通達であるとか、若干長くなって申しわけありませんけれども、特に前の大臣のときには、十七番目にありますが、やる気があるから調査しているんだ、鋭意迅速に処理すると、こういうふうなお答えも、これは速記録に残っている大臣の言葉なのであります。そういうことを踏まえて、ひとつサラ金のこの状況で、サラ金の規制法というものについて、あるいは正常化、こういう言葉が正しいかと思いますが、そういうものに対して、政府方針についてお考えを一言お聞かせいただきたい。
  103. 竹下登

    竹下国務大臣 このサラ金規制法、私も経過をいろいろ聞いてみますと、確かに各省に関係があるということで、それで内閣官房でございますか、審議室でございますか、においてこれが世話をやくことになって検討が重ねられた。しかしながら、出資法上の上限金利とかいうようなことで各省の意見がまとまらぬ。そこへもってきて議員立法の形で八十七、八十八国会で与野党から提案された。それを見ますと、私どもは、逃げるという意味じゃございませんが、まさに議員提案の方がなじむ課題だなということを、素直に私もそういう印象を受けました。したがって、そういうものがある種の合意に達して成立するというようなことを心から期待しておるというのが現状でございます。確かに政府部内でいろいろやってみても、なかなかこれは意見のまとまる課題ではないから、総じた政治の場という方が妥当ではないか、素直にそういう気がしておりますことを申し述べます。
  104. 沢田広

    沢田委員 大臣、これからしばらくはお休みになっていただいて結構でございます。  いままでの国会の質疑の中で示された条件で、お答えになられた事項で、どういう状況に進んでいるかということであります。一つは、利息制限法立法の趣旨は変える意思はないか。正しいものと考えているのかどうか。それから、いわゆる超過部分に対して有効性、任意性、無効性、こう三つの意見があります。そして内閣審議室等においてはこの超過部分に対しての任意性なり無効性なり有効性、しかし、最高裁の判決はいわゆる超過部分の無効性、こういうことで言われているわけでありますから、当面の委員会段階ではなかなか意見が相違をしているようでありますが、いま現在はどう考えているのか。  以上、お答えをいただきたいと思います。
  105. 青山正明

    ○青山説明員 まず利息制限法の立法趣旨を変える意思はないのかというお尋ねでございますが、利息制限法は、申し上げるまでもなく、契約の利率が一定限度を超えました場合に、その私法上の効力を否定することによりまして借り主という弱い者の立場を保護しようということにあるわけでございまして、私どもといたしましてこの利息制限法の趣旨を利息制限法を改正することによって弱めるというようなことは現在考えていないわけでございます。
  106. 沢田広

    沢田委員 続いてはどこですか。――では、どなたが答えていただくかわかりませんが、その後、この貸金業の適正利潤というものについて、ここへ若干、五十四年十月現在の試算の中身がそちらにもいっているだろうと思うのでありますが、A社とわざわざしておきました。利息の売り上げが一〇〇%としますと、人件費が一四・九、広告費が六・九五、支払い利息が一三・三、経費が二四・二、この中は地代であるとか厚生費であるとか通信費で、営業利益が四一・四六、貸し倒れの損失は三・五八、そして経常利益が三七・八八、こういうふうになって、この中身は、融資残額が十四億、資本金は七千万円のある会社である。こういうことでありますが、この点の適正利潤というものについて、われわれから見ると非常に膨大な利潤を生んでいる状況になっているわけです。それ以外に、二十五社のA、これは一億円の貸し出しの分類によりますと利益率一三・一四、Bクラスになりまして一億から五億までの貸し出しによります会社、これは三十七社で利益が大体二一・六〇、Cランクになりますと五億から十億、これの利益は二三・四〇、Dのクラス、これは十億から二十億ですが三二・〇一、Eクラスになりまして二十億以上の貸し出しをやっているところは三九・七八、こういう状況になっております。これらを考えてみて、サラ金というか貸金業という業種に対する適正利潤というものがいかにあるべきか、この状態は正常だとお考えになっておられるかどうか、この点お伺いをいたしておきたいと思います。
  107. 米里恕

    米里政府委員 貸金業の適正金利、適正利潤の問題でございますが、これは一概にどうと申し上げることは非常に困難だと思います。  まず、御承知のように、非常に規模のぱらつきが多いという業界でございます。小さいものは数百万円、大きいものは四百億というのがございますが、そのぐらいのばらつきがございます。それから業種の中身が非常に複雑でございまして、これは先生よく御承知のとおりでございますが、不動産担保、動産担保、手形割引、無担保、無保証あるいはこれを複合的に営んでいるというような、内容が非常に種々さまざまである。そこへそれぞれ調達しておられるルートがさまざまでございますので、調達金利もさまざまである。あるいはまた取引先によりまして貸し倒れによるリスクも非常に安定してない。こういったようなものから、いかなるものがコスト的に平均的であり、いかなる適正利潤が妥当であるかということを一般論として申し上げることは非常に困難であろうかと思っております。
  108. 沢田広

    沢田委員 その答弁は、この前の議事録も同じような答えをしていまして、私は具体的な例を挙げてこの状態をどういうふうに考えているかということを聞いているわけなんで、一般論を聞いているわけじゃない。いかがですか。
  109. 米里恕

    米里政府委員 いま具体的にお示しがございましたが、こういったものが利潤を幾ら得るべきかということを具体的に申し上げるのは非常に困難であろうかと思います。  御承知のところかと思いますが、御参考までに申し上げますと、いわゆる四大業者につきまして私どもが直接当たりまして調べました結果がございますが、これでいきますと、資金量に対して約一〇%ぐらいの利潤率というような結果もございます。しかし、これは先生よく御承知のとおり、かつて関大の上田先生がモデル試算をされまして、利潤率一一・〇%というようなものを発表しておられますが、これに対しまして全金運の方は非常な反論があるというようなこともございまして、お示しになった事例に当たりましても、それではこういった条件のもとで何%が適正利潤かということを申し上げるのはなかなか困難であろうかと思います。
  110. 沢田広

    沢田委員 一般的な営業行為と比較してこれが妥当なものなのかどうか、A社というのは四社のうちの一つなんですよ。大手四社の一つを私は挙げたわけです。この前も若干問題になったところでありますが、それを挙げたわけなんでありまして、その状況から見て三七・八八%という経常利益を上げている状況というものは、何としてもサラ金業が、人件費の割合から見ましてもあるいは広告費の割合から見ましても、経費なんというのは、これは地代と厚生費等で二四%占めているなんということは、事実上相当膨大な――厚生費というような名目で一・二%も挙げております点も、きわめて、中身は調べてみればこれは問題があるのじゃないかと思われるわけです。  ただ、損金の実態を見ますと、マルイトですか、これが一億六千三百万円、それからプロミストラストが二億六千万円、それからレイクが一億四千五百万円、武富士が八千万円、これがいわゆる損金として挙げられている実態です。これが比率が三%程度であるということになるわけですね。大きく見ても三%。大きい会社で貸し倒れというのは、Eクラスになりますと二・三七%にしかなってないんですね。そうしますと、それの客体というものはどれだけ大きいかということになるわけでありまして、いまあなたのおっしゃった答弁では、いまのサラ金の行政を進めていく上においてきわめて不十分ではないかという気がいたします。ひとつ反省を含めていただいて、そのようなことで、何か野放しにしておくことがあたりまえであるがごとき答弁は私は理解しがたいものなんでありまして、現在の状態に対して前向きなのか後ろ向きなのか、いずれにしてもその姿勢を示していただかなければならぬと思いますので、あえてお答えをいただきたいと思います。  しかし、その次の問題にいってからにしていただきたいと思います。  実は、五十三年三月の通達のその後の状況についてですが、金融機関の公共性の性格にかんがみ、社会的信頼を損なうことのないように慎重に配慮が必要である、こういう通達が出されました。特に、貸金業者の高金利による云々、利用者の利益を不当に害することのないよう、社会的批判を受けている行為を助長することのないよう自粛せよ、こういう通達が出されました。これに対して、十分でなかった点について再検討を行う旨の回答がありました。その回答のあった後どうしたのか、その点お答えいただきたいと思います。
  111. 米里恕

    米里政府委員 お示しのございましたように、五十三年三月、貸金業者に対する融資につきまして金融機関が十分慎重にこれを行うようにというような通達を出したわけでございます。特に、貸金業者の高金利による融資、過当な収益の追求、その他利用者の利益を不当に害するものとして社会的批判を受けている行為を助長するおそれのある融資について厳に自粛を図る必要があるということで、その後、一つは量的な面で、サラ金業者に対する融資について特に問題があると思われます金融機関については、自主的に見直しを行うように個別の指導を行っております。特に、金融機関の検査の際に、サラ金業者に対する問題のある融資がございました場合には、個々に指導しておるということをやっておりますし、逐次効果が上がっておるというふうに私ども考えております。
  112. 沢田広

    沢田委員 前の答弁が抜けていたことと、再検討を行うという回答をした後の具体的な事実関係を、考え方じゃないんです、その事実関係はどういうふうに措置をしてどういうふうにやったのか。では、どこの県とどこの県に言ったのか。どこの業者とどこの業者には指導したのか。これは委員会で答えたあなたの答弁なんであります。あなたの答弁に対して、その後具体的にどう再検討し、具体的にどう行為をしたかということを聞いているわけですから、そういう抽象的な答弁を求めているのではないということを念頭に置いてお答えいただきたい。
  113. 米里恕

    米里政府委員 前の答弁を落としまして失礼いたしました。  適正利潤の問題でございますが、これは結局、適正金利をどこに決めるかということで当然のことながら利潤幅が違ってまいるということでございまして、適正金利についてはこれも政府内でいろいろな考え方がございます。ただ、これはずばり一本で理論的に出てくるものではないというように考えられますので、結局、最後は判断の問題として、現在の実績その他を見ながら適正金利を決めることによって、もちろんその場合には現在よりも引き下げる方向ということになろうかと思いますので、その結果、利潤の縮小にもつながっていくというような形のアプローチではないかと思います。  貸金業者に対する金融機関の貸し出しの抑制という五十三年三月の通達のその後の状況でございますが、数字で申し上げますと、貸金業専業者に対する貸出実績は、五十四年九月末に、設備、運転両方合わせまして二千六億八千百万という数字になっております。サラ金専業者だけに対する貸出実績をとってみますと、五十四年九月末で四百三十億四千七百万円、こういう数字になっております。これが五十四年三月末、半期前をとりますと、貸金業専業者に対する実績は二千二十三億五千三百万という数字が出ておりますし、サラ金専業者につきましては同じく五十四年三月末で四百四十三億二千八百万、わずかではございますが、貸金業専業者に対する実績は若干減っておるわけでございます。  ただ、問題は、こういった量の問題というよりは、個別に質の悪い融資を行うことがないようにというような角度から検査なり行政指導ということを行っておりますので、具体的な検査に当たりましても、その融資の担保審査状況、そういったようなものを十分チェックしておるという状況でございます。
  114. 沢田広

    沢田委員 あなたのは答弁になっていないのです。この委員会においてこういう質問があったんです。こういう質問があって、これではかえって都道府県に出した通達としても幾らかでも緩めることになりはしないか、だから、これはかえってブレーキがかかってしまうおそれもあるというようないろいろないきさつがあって、再検討してやります、あなたはこうお答えになった。再検討を行うという回答があった。速記録を見たらあるんです。私は速記録の中から拾ったんだから。そしてあなたは、再検討してやりますと言って、その再検討の具体的なアクションは何だったのかということを聞いているので、そんなことを聞いているわけではない。時間が限られているのですから、何とかピントを外していれば時間がたって終わるだろうなんて思っていられたのでは困るので、後でまたひとつお答えいただきたい。具体的にはどういう再検討をやって、どういう行動をとったのか。そのことをこの委員会に対する答弁の責任としてお答えをいただかなければならぬ、こう思うのです。  次に、高金利規制、登録制か、あるいは免許制等への移行、それから行為規制の問題、これは各党の意見もほぼ一致していることなんでありますが、一番合った形の法律にしたい、こういう答弁をされております。一番合った形の法律にしたい、ここまでは各党の意見も、それから政府の方の意見も一致をしている、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  115. 米里恕

    米里政府委員 さきのお答えでございますが、先生が言っていらっしゃいますのは、ちょっと私誤解しておるのかもしれませんが、五十三年三月の銀行貸金業者に対する融資抑制の通達の話としてよろしゅうございますか。(沢田委員「いいですよ」と呼ぶ)それからその後五十三年九月に、これはちょっと違った話になりますが、庶民金融業協会に対しまして大蔵省から貸金業あり方についての通達を都道府県あてに出しております。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕 あわせまして、その後、五十四年十一月にさらにその徹底を図るという通達を出しておりまして、現在議員立法で各党の御意向に盛られておりますような内容につきまして、共通の部分について庶民金融業協会あるいはそのアウトサイダーに対して適切な措置をするように銀行局長名で都道府県知事にお願いしておるという状況でございます。
  116. 沢田広

    沢田委員 私の方もそこのところ若干ずれて物を申し上げたと思いますが、これは各金融機関、生命保険、そういうものが五十三年三月の通達で、いわゆる貸金業その他のところに融資をすることは避けたい。それは、大口規制ではないけれども、そういうところへ貸し付けをしていくことは自粛させたい、こういうことに対する再検討だったわけです。それが守られているかどうかということですよ。金融機関がそういうところへ貸し出しをしていくことについての自粛が守られているかどうか。これはまた後にします。  それから続いて、内閣審議室で行われております六省間の連絡会議は、五十二年に持たれましてその後何回持って、どういう討議をしたか。この点ひとつ総理府の方からお答えいただきたいと思います。
  117. 宮島壯太

    ○宮島説明員 お答え申し上げます。  関係省庁、すなわち法務、大蔵、自治、警察、経済企画庁及び総理府の関係六省庁が連絡会を持ちまして、第一回が五十二年九月に発足いたしました。五十三年十一月まで十三回開催をしております。その間、犯罪の防止及び取り締まり上の問題点あるいは金融行政上の問題点、それから高金利規制及び処罰の問題、消費者保護の観点からの問題、そういった各般の問題を検討してまいりました。それからまた、全国庶民金融業協会連合会等の関係方面からの意見の聴取も行ったわけであります。  なお、この連絡会は五十三年十一月の十三回目で終わりまして、その後、今度は内閣官房が中心となりまして貸金業問題に関する関係省庁の意見の調整、いわゆる調整会議を始めまして、それを四回開きました。その間、自民党においてサラ金小委員会が設けられ、自民党としての法案の作成にかかられましたので、そこにおいて関係省庁からの意見の聴取を求められ、御協力をしてまいったところでございます。
  118. 沢田広

    沢田委員 あなたの方ではまとめようという意思があるのですか。どことどこが食い違っているわけですか。それとも全部合わないのですか。
  119. 宮島壯太

    ○宮島説明員 合わないといいますか、貸金業規制で問題になります大きな点は、上限金利の水準をどの程度にしたらいいかという問題と、いわゆるグレーゾーンの取り扱いをどうするかといった問題等について、先生も御承知のように最高裁判所の諸判例との調整もございますし、これらの問題は高度の政治的判断が必要だということで、立法府の御判断を仰ぐのがいいのではないかという判断に立っております。
  120. 沢田広

    沢田委員 政府部内としては、いま言った二つの問題でどこの省が最高裁の判例を破ってもいいと言っているのですか。意見が合わないと言っているところは、結局、判例を破って合法化をしようというのはどこの省ですか。
  121. 宮島壯太

    ○宮島説明員 これは政府部内の意見調整の場、いわゆる意見を形成していく場でございますので、恐縮ですが、どこの省庁というのは控えさせていただきたいと思います。
  122. 沢田広

    沢田委員 どうして言えないのですか。そのための連絡会議でしょう。自民党は自民党の意見があるのはわかっていますよ。あなた方はあなた方の意見があっていいわけでしょう、行政と立法と違うのだから。あなた方の意見としてはどうなのかということをいま聞いているのです。何もあなた方がそれでまとまらない理由はないでしょう。あなた方は公務員なんだから、最高裁の判例が出ればそれを守らなければならないのは当然の義務でしょう、国会が法律改正しない限りは。だとすれば、そこで意見の食い違いが起きることはあり得ないはずじゃないですか。
  123. 宮島壯太

    ○宮島説明員 貸金業規制する場合に一方で行為規制、書面交付、それから貸出条件を明示しろという義務を課す、その場合に利息制限法の、任意に支払った場合にその金利をどう扱ったらいいか、一方で行為の規制をかけますから、それとワンセットにして任意に支払ったいわゆるグレーゾーンの扱いをどのように考えたらいいかということが表裏一体となって問題になるわけでございます。その場合に、方向といたしましては任意ゾーンを認めていく必要があるのではないかという意見が非常に強く、しかし、その場合には現行の利息制限法についての最高裁の判例がありますから、それとの問題が出てくる。それをどう扱うかは高度な政治的判断を仰ぐという意味で国会の御審議、議員提案でやっていただくのが一番適当ではないかというような議論になったわけでございます。
  124. 沢田広

    沢田委員 そんなこと、いつ言いましたか。この委員会で議員提案でまとめてもらった方がいいなんという政府答弁をいつやりましたか。
  125. 宮島壯太

    ○宮島説明員 委員会でそういう答弁を私、したと申し上げているわけではございません。調整会議でどのような議論が行われたかという御質問でございましたので、調整会議の中でそういった意見が出たということを申し上げたわけでございます。
  126. 沢田広

    沢田委員 それは大臣もいるけれども、行政府は行政府として一定の限界がある。だから、これまではなりました、この部分についてはペンディングにしてどうしても議会にお任せしなければならないでしょう、それならまだ素直だ。それだったらそれまでの成果を報告したらいいじゃないですか。しらばくれているということはどういうことですか。また利息制限法に関係する分野については、あなた方は手が触れられない。触れられない部分については、いろいろ議論があったが、この点は手が触れられない、立法府の方において善処してくださいと、じゃ、なぜ素直に言ってこないのですか。しらばくれているのですか。われわれが言うまで黙っているのですか。態度がきわめて悪いと思う。しらばくれて、十三回も会議を開いて結局そのことだけでもめていたのでしょう。われわれがこう言ってから、その点だけはあったのだ、もし言わなかったらまだしらばくれているつもりでしょう。どうなんですか。
  127. 宮島壯太

    ○宮島説明員 先ほど申し上げましたように、連絡会議はまず犯罪の防止及び取り締まり上の問題とか、先ほど申し上げました幾つかのテーマで実情を聞こうということで始まったわけでございまして、グレーゾーンをどう扱うかとか、上限金利をどうするかという問題は、十三回の終わった後の調整会議で問題になったことでございまして、そればかりやっていたわけではございません。
  128. 沢田広

    沢田委員 とにかく答弁になっていないよ。連絡会議を持って内閣審議室を窓口にして調整してやりますということがこの委員会答弁の中から出てきてあなた方はやるようになった。どこまでいっても障害があったというならば、素直にそれは大臣に報告するなりして委員会に報告しなければ物事が進まないじゃないですか。大臣内閣審議室の窓口ははなはだけしからぬと思う。昼寝していたのじゃないかと思うんだね。そういうようなことで、結果的にはわれわれの委員会の意図をちっとも体してやっていただいてはなかったことになるわけなんでありまして、いままでできた報告だけは内閣審議室の方で速やかに提出してもらえますか。
  129. 宮島壯太

    ○宮島説明員 いままでの連絡会議審議状況については、いろいろな意見を聴取したり、問題点検討したりした経過的なものでございまして、お出しするような性格のものではないと私は判断するのですが、いかがでございましょうか。
  130. 沢田広

    沢田委員 どんなお粗末なものであろうと、十三回もエリートの皆さん方が、しかも各省のチャンピオンが集まってつくったものをわれわれは貴重なものとして拝見させていただきたいし、また貴重なものとして拝読したいと思う。ぜひ御提出をいただいて、あなた方がどれだけ熱心にやってくれたのか、これだからやはり国家公務員はりっぱなものだ、こういうふうにわれわれも評価をしたいと思うので、ぜひひとつお出しをいただきたい、これはまげてひとつお願いをしたいと思います。
  131. 宮島壯太

    ○宮島説明員 私、一存ではこれは答弁をすることはできませんので、関係各省とも相談の上、先生の御趣旨をよく関係各省に伝えまして検討させていただきたい、このように思います。
  132. 沢田広

    沢田委員 また、委員会の方でも理事の皆さん方、後でひとつ御相談いただくよう、委員長にもお願いをいたします。  それから、都道府県知事に通達を出しました。これはさっきのものと若干重複をいたしましたが、都道府県知事はこれを貸金業に関する――これは後の方の問題に関係いたしますけれども調査権もあるし、立入権もあるし、そういうものがありながらどの程度までこれが徹底をしたのか、利息制限法のPRも行う、こういうことも答弁をしておられたが、具体的にはどういうPRをしたのか、この二点、お答えをいただきたいと思います。
  133. 米里恕

    米里政府委員 先ほどちょっとお答え申し上げましたが、五十三年九月に通達を出しまして、都道府県知事を通じまして各庶民金融業協会に対しまして、一つは貸付条件の店内掲示、二番目が広告、三番目が書面交付等の業務規制について会員等への指導を図っていただきたいということを都道府県知事にお願いしたわけでございます。  その後、いろいろ事態を再検討いたしまして、五十四年十一月に再び通達を発しまして、上記通達、五十三年九月の通達の一層の徹底を図りますとともに、現行定款上の金利を一層引き下げるように努めさせていただきたい、あるいはまた庶民金融業協会に加入していない貸金業者、いわゆるアウトサイダーでございますが、等の指導を十分行っていただきたい等々の内容を盛りまして通達を去年の十一月に発したわけでございます。  その後、それがどういうふうに行われておりますかということを直接私どもも幾つかの県について実態調査をしておりますが、調査いたしましたのは十の都道府県でございます。十都道府県のうち六つの都道府県につきまして、いずれも金利引き下げの措置をかなり実質的に講じておりまして、大阪、秋田、宮城、大分の四県を除きます東京、愛知、広島、青森、福岡、兵庫といったような十都道府県のうちの六都道府県ではかなり立入調査も実施しております。それから、他の四県、大阪、秋田、宮城、大分でございますが、これにつきましては、苦情の多い業者を呼び出して実情を聞いたり、事案に対応して指導を行っておるという調査結果が出ております。いずれにいたしましても、この通達で指示いたしましたPRあるいはまた実地調査、定款金利の引き下げということについてはそれなりの効果を上げつつあるというふうに私ども考えております。
  134. 沢田広

    沢田委員 五十三年の九月ごろ実態調査はまとまる、こういう結果がまとまりますということで近々発表する予定であるという答弁がなされております。これは五十三年十月十三日の答弁でそう言われているのでありますが、今日、実態調査は発表していただけるものと理解をいたしておりますが、いかがでしょうか。
  135. 米里恕

    米里政府委員 五十三年十月に実態調査としてまとめましたものができ上がっておりますので、後ほど先生のところへお届けしたいと思います。
  136. 沢田広

    沢田委員 国会もこの日になって、これからよこされたのでは、この国会ではどうにもならぬということであろうかと思うのでありますが、できるならば、あれだけ理事の皆さんも苦労されて何とかまとめようとしておられた中に、こういうものが出ているんだが参考にして決めてほしい、行政府はそういう姿勢で臨んでほしかったということで、頂門の一針として受けとめておいていただきたいと思います。  続いて、出資の受け入れ等の取り締まりに関する法律がありますが、これには貸金業者の実態調査のため報告を徴し、調査をさせる。それから立入調査あるいは報告徴収の権利を持っている。これで実態調査をやったのかもわかりませんけれども、この実態については、今回が初めてなのかもわかりませんが、その点についてはどういうふうになっているのか、また、これを事実上どんどんと進めていくという点についてはどうなっているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  137. 米里恕

    米里政府委員 先ほど申し上げました五十四年十一月の通達の際にも、必要に応じて報告、立入調査をやるということを都道府県知事を通じまして庶民金融業協会等に連絡してもらっておるわけです。その後、都道府県知事の段階でかなりの数の実態調査をやっておられるというふうに聞いております。  一、二例を申し上げますと……。
  138. 沢田広

    沢田委員 例はいいです。後で出してください。  続いて、これも簡潔にお答えいただきたいと思うのですが、脱税の関係では、法人六百六十九件のうち不正が二七・四%、二十億の脱税、個人が三百八十四件、六三%、件四百三十万円の脱税。それの種類の主なものは皆簿外帳簿であり、簿外資金である、こういう結果が出ているということでありました。この時点に立って、今日までこの実態に伴ってどういう措置を講じたのか、これも簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  139. 矢島錦一郎

    ○矢島政府委員 貸金業につきましては課税上問題が多いということで、国税庁といたしましても、貸金業を営む法人ということは重点業種ということに指定いたしましまして、できるだけ充実した調査をしておるというのが実情でございます。先ほど先生おっしゃいましたのは五十一事務年度の法人の実態でございますが、貸金業調査実績を見ますと、法人の場合で五十三事務年度、もうちょっと新しい数字になりますが、八百七十八件調査を行ったうち、約二割について不正計算を出しておる。不正計算一件当たりの不正所得金額は一千二百三十万一千円ということで、業種別順位では第二位の状況になっておる次第でございます。個人につきましては、一件当たりの申告漏れ所得金額は四百八十七万六千円ということで、業種別順位では十四位でございますが、貸金業調査が非常にむずかしいということを考え合わせますと、手前みそではございますが、一線職員は一生懸命やっているというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  140. 沢田広

    沢田委員 その御苦労に対しましては敬意を払います。今後もさらに鋭意その努力を重ねていただきたいと存じます。  この関係の質問はあと実は十何問かあるのでありますが、時間の関係もありますので、最後に、公取に来ていただいておりますので、公取にだけ質問をして次の質問に入らせていただきます。  サラ金を初めといたしまして、消費者の信用全般につきまして広告、表示の問題を検討する、実質年率を表示するなどの規制案をまとめました、こういう答弁がありました。その後、各省庁の意見を参考にしてやりたい、こういうことでありましたが、各省庁の意見はどうなったのか、そしてこの実質年率を表示するのこの決定は、具体的にはどう効果をあらわしていくのか、お答えいただきたいと思います。
  141. 矢部丈太郎

    ○矢部説明員 公正取引委員会におきましては、サラ金を初めとする消費者信用全般の融資費用の表示につきまして、消費者保護の観点から消費者に誤認される表示を不当景品類及び不当表示防止法に基づきまして不当な表示として指定いたしました。これは四月十二日に官報に告示いたしまして本年の七月一日から実施する予定でございます。この案をつくるに当たりましては約二年ほどかかったわけでございますが、その案の過程で大蔵省を初めといたしまして関係省庁とは十分意見を調整いたしまして、できるだけ意見を取り入れて作成したわけでございます。
  142. 沢田広

    沢田委員 もう時間がなくなってきましたが、最後に貸金業者の自主規制の助長に関する法律というのができているわけです。この各項目をもっと生かしていくという姿勢をとっていただきたいというのが一つ要望――質問より要望になりますが、本当は質問したいのですが、第八条である「会員の名簿の閲覧」、第九条の「報告及び資料の提出の要求」、あるいは第十条の「指導、助言又は勧告」、あるいは第十一条の「監督命令」、こういうような項目をもっと生かしていく、こういう姿勢をとっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  143. 米里恕

    米里政府委員 現在各都道府県知事の監督のもとでそれなりの努力はしているものと了解しておりますが、今後ともに一層御趣旨に沿って努力していきたいというように指導していきたいと思います。
  144. 沢田広

    沢田委員 続いて、違った質問で申しわけありませんが、これは大蔵大臣、いままで御休憩いただいたのでありますが、今度は大蔵大臣の方になるのですが、いま物価の上昇も非常に多いのでありますが、給与所得――大蔵大臣でなくても、これは事務的なことかもわかりませんが、給与所得控除金額、これが現有百五十万以下四割、百五十万から三百万、六十万に三割、三百万から六百万までは百五万に二割、それから六百万以上は百六十五万に一割、こういうのが基準になってできているのですが、すれすれの線になりますと相当でこぼこもできているし、追い越しというものもできているわけであります。これだけ電気が上がり、ガスが上がり、それぞれ経費が非常に家庭経済を圧迫してきている実態に対応して、給与所得控除が何%かの――税収がのどから手が出るほどほしいこの時期ですから、これはまたむずかしいとは思います。気持ちの上ではわかるけれども実際はできないというのが大蔵大臣のいまの心境であろうということはわかるわけです。わかるのだけれども、これだけガスが上がり、電気が上がり、公共料金がみんな上がっていっている状況の中で、実際の給与所得者の場合のこの給与所得控除というものを、サラリーマン減税だなんという形でどうこうというつもりはありません、実際にかかっている経費でいって若干引き上げるということは必要な今日的な条件ではないのか。実際問題として、これは一般の二百五、六十万の所得の人、あるいは三百万ちょっと超えたぐらいの所得の人の経費というものを、どこが圧迫されるかといえば、結果的には生活費が圧迫されているという実態なんですね。ですから、そういう実態に対応して、給与所得控除という、課税所得金額を出す場合の金額でありますが、法律の第二十八条の二項、三項、こういうものについて若干の弾力性といいますか、何%かの引き上げ、こういうものは考えられないのだろうか。その点ひとつお答えいただきたいと思います。
  145. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 申し上げるまでもないわけでございますが、給与所得控除を認めております趣旨は、主として勤務に伴う必要経費、これの概算控除ということであると思います。もう一つ大きな意味を持っておりますのは、給与という所得と他の所得、資産性の所得とのバランス、この二つであろうかと思います。それで昭和四十九年度に大改正をいたしまして大幅に引き上げたわけでございます。それまで七十六万円ということで頭打ちになっておりましたのを、百五十万円までは四割、それから百五十万から三百万の間は三割、三百万と六百万の間は二割、六百万を超えまして、今年度お認めいただいた改正で一千万までは一割、一千万を超えますと五%、最低五十万円ということを給与所得控除としてやっておるわけでございます。五十五年の総体の課税給与収入というものは百五兆円でございますけれども、その中で三十三兆六千億円というものは給与所得控除として引かれているわけでございます。その割合は三一・九%ぐらいになると思います。給与所得控除の意味がそういうことでございます。  そこで、私ども給与の勤務に伴う必要経費を実額でやってみたらどうなるか。家計費の調査等念いろいろ使いましてかなり広範に、たとえばレインコートから小遣いから、ボールペン、万年筆、書籍のたぐいに至るまで給与者の実額の経費と認められるものをできるだけ広範にとってみますと、これは給与収入の大小――これは所得の一分位から五分位でございますから、大きいと言っても限度はございますけれども、各分位を通じまして大体一〇%を前後しておりまして、ほぼ一一%ぐらい。したがいまして、いま申し上げておりますように、平均して三一・九%に上る給与所得控除というものが持っております本来の勤務に伴う必要経費の概算控除という趣旨からいたしますと、この率を引き上げるということにつきましては、外国の立法例等もあわせ考えてみましてもそういう答えを出しにくいというふうに思いますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
  146. 沢田広

    沢田委員 では、それは了解したということでありませんが、一方で、この前も言いましたように、あなた方も結婚式に行く場合もあるだろうし、お葬式に行く場合もあるであろうと思う。今日のこの華やかさといいますか、非常に放漫といいますか、豪華といいますか、とにかくそういう状況が続いているわけです。政府自体として、新生活運動ではないが、ああいう形態をなくしていく中で、ある私の知り合いの方は結婚式が十何組かあってもう今月はどうしても借金でやらなければ過ごせない、一万円以下は持っていけない、こういうような悲鳴を上げている人も一般の中にはありました。そういうようなことから見ると、逆にそれはもしだめだとするならば、一方の生活の中を全体的な社会構造の中で詰めていけるという新生活の運動というものも同時に並行的に進められないと、あなたのおっしゃっていることがやはり実態にそぐわなくなってしまうということになると思います。だから、ああいう華美といいますか華やかさというものは、一生に一度だからその御本人にとってみればそうありたいと願うでしょう。しかし、いまの結婚している人は行くのは外国旅行であるし、華やかさはもう昔とは雲泥の差である。それを、否定しようとは思いませんが、何か返し物なんというものはなしにするとか、あるいはそういうようなものを、あなたがしろとは言いませんけれども政府部内でもっと徹底をして、国会議員も花を出さなくなったので大分助かったと言われている実際の声もあるわけですから、そういうようなことでやはり実質的な低下をというか、お互いが楽になるように一実質的になっていくように、ひとつこれは今後あなたの方から口火を切って、各省にしていただきたいと思いますが、あと時間の関係で、それは今度は一緒にお答えいただきます。  不公正税制改正なんでありますが、これは来年度に向けてひとつお答えをいただきたいのです。車の重量税を上げたいなんということが新聞に出ておりました。これは道路だけの財源ではなくて一般財源にしたい。これは建設省は向こうはち巻きで反対するだろうと思っておりますが、しかし、いずれにしてもそういうことで出ておりました。いま述べられた医師の優遇税制についても、これは検討する条件が来ているのではないか。それから法人税の引き上げも明年度税制改正においては必要な要件になってきているのではないか。さらに土地のこれだけの長者番付を見まして、土地の再評価についてやはり見直す時期に来ているのではないか、こういうふうに考えますが、その点いかがでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  147. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 堅実で将来の展望を持った生活を目指さなければならないというのはまさに御指摘のとおりでございまして、私ども税制を担当いたしておりますきわめて限られた職務の範囲ではございますけれども、ただいまの御趣旨につきましては、十分そのようなことを考えに置いて今後検討を進めていきたいと思います。  重量税その他、項目をお挙げいただきました。五十六年度どういうような予算編成状況に相なりますか、これから後の経済の推移、さらには歳出節減合理化の進み方のぐあい、自然増収の期待の状況というものにかかってくるわけでございますので、個別の項目を挙げまして、どういうものをどういうスタンスでどのくらい国民負担をお願いをしなければならないようになるのか、いまお答えを申し上げることは大変むずかしいわけでございますけれども、現行の税制の中でそれの見直しによって税制全体の公平さというものが増していくようなことにつきましては、常時国会での御議論も十分承りまして検討を進め、税制調査会にもお諮りをしてまいりたいと思います。  ただいまお挙げいただきました法人税率の問題につきましては、午前中もお答えをいたしておりましたように、五十六年度予算編成事情によることでございますけれども、その際に検討対象として避けることはできないであろうと思います。  ただし、土地の再評価の問題は大変むずかしい問題であろうと思います。再評価をするのであれば、企業資産全体をどうするかという問題でございますが、かって再評価税を実施いたしました際のように、物価が数百倍に上がっておる、したがって、減価償却がもはや無意味になっておる、そういうときに償却資産、土地を含めての再評価をやったわけでございますけれども、現在は土地は非常に値上がりはいたしておりますけれども、減価償却資産の方は、まだ物価の上昇からしますと、ほぼ二倍くらいかと思います。その中で、土地についてだけ再評価すべきかどうかという問題が一つ。それから、未実現のキャピタルゲインについて課税をするかということの問題が一つ。保有税として考えてみますと、固定資産税の評価水準というものをいかに現実の取引価格に近づけていくかという工夫がまずあってしかるべきではないのか。理論的にいろいろな問題を含んでおりますけれども、かって五十二年に税制調査会でも、いまお挙げになりました問題についてすべて検討をしていただいております。今後とも検討を進めてまいりたいと存じます。
  148. 沢田広

    沢田委員 大蔵大臣、サラ金の方の規制についてはもっといろいろあったのですが、結果的には半分以下で終わりましたけれども政府の方もこの段階において与野党でなかなか意見が一致しないから放置しておるということで泣きをみている人、あるいは人命を落としている人も現実にいるわけでありますから、政治とはやはりその段階において最善の道を選ぶということだと思うのですね。ですから、哲学ではない、だから、現在の段階においてとにかくお互いの最高の最大公約数を持ってそれで処理をするというのが、ベターを求めるわれわれの任務だと思うのです。ぜひひとつ大臣の英断をもって、次の国会にはこれが成立でき得るような方法で政府も積極的にそれぞれ党内をまとめていただきたい。これは自民党の大臣という立場も含めて、頑強な自民党の方々もおられるようでありますから、ひとつ最高裁の判例は判例として尊重していける立場の中で御判断をいただくようお願いを申し上げ、実態調査については今会期中に御配付をいただきたい。それから、内閣調査室の資料についても後で理事会にお諮りをいただいて御提示をいただくようお願いいたしまして、質問を終わります。
  149. 増岡博之

  150. 庄司幸助

    庄司委員 まず大臣にお伺いします。  きのうの各紙の夕刊、いずれも平和相互銀行の四百三十三億円の裏保証の問題を取り上げております。この問題を考えてみますと、大光相互銀行の問題、それから昨年の徳陽相互銀行の問題、いずれも相互銀行の信用を失墜させるような大問題だろうと思うのです。これでは相互銀行に対する国民の信頼を失うような結果になるのじゃないか。この点で相互銀行は最近大変乱脈なうわさが絶えないわけですが、どのような態度でこの相互銀行姿勢を正していかれるのか、これは大臣から簡潔にお答え願いたいと思います。
  151. 竹下登

    竹下国務大臣 平和相互の問題につきましては、同行が一部の新聞等で報道された件につきまして日銀の記者クラブで対外的な説明を行ったという報告は受けております。  その報告によりますと、当行の未計上の債務保証は昨年三月末で約四百三十億円に達していたということ、これは正式な貸借対照表に計上すると債務保証が異常に大きいとの印象を与えるので、これを避けるために、許されるものでないと知りながら行ったこと、しかし、これらの債務保証の実施に当たっては、当行は十分な審査を行い、担保も徴しており、回収については懸念はないので、当行の経営にいささかの影響も及ぼすものではないこと、また昨年九月期決算で、これらの未計上の債務保証はすでに回収したり、当行の貸し出しに振りかえたり、正規の貸借対照表に計上したりすること等によって、処理済みであること、これがきのう説明があった記者会見の内容でございます。  公共的使命を有する金融機関が再び本件のような問題を起こしたことは――再びと申しますのは、前にいま挙げられましたようなことがありましたから、まことに遺憾なことでありますので、今後かかる問題が発生することのないよう相互銀行業界の基本的体質というものにメスを入れて指導監督を十分にやっていかなければならないと考えております。
  152. 庄司幸助

    庄司委員 それではきょうの本題に入りますけれども、やはり相互銀行の体質の問題に絡んだ問題点なんです。  具体的な問題を申し上げてみます。  例の浜田幸一前代議士とラスベガスの賭博ツアーに同行したりした、非常に密接な関係のある東通、この北見晴男社長らのグループがイースト・ジャパン株式会社、ここの公園墓地開発計画に絡んで、イースト・ジャパン社の役員である地主さんたちの土地を担保に入れさせて巨額な資金づくりを行っている。これに昨年問題を起こした徳陽相互銀行がその社会的使命を逸脱した疑いの貸し方をしている事例があるわけです。問題の公園墓地計画は千葉県の成田市の赤荻というところの成田メモリアルパークです。  簡単に経過の概要を述べますけれども一つは、昭和五十年の五月に千葉市高品町などのイースト・ジャパン役員らの土地を担保に、現在同社の社長である大塚林さん、この人を債務者として千葉県の信用農協連等から三十億円借り入れた。それから二つ目は、さらに、昭和五十三年の四月に、大塚林氏のお父さんである大塚治郎氏たちの所有の千葉市有吉町の土地七万三千百八十五平米、ここに根抵当権者を徳陽相互銀行として限度額三十五億円の根抵当権を設定させて、これに基づいて東通が徳陽から三十億円現実に借り出したわけであります。  三番目は、その金の一部を使ってイースト・ジャパンに成田市の赤荻の土地四十三万七千八百八十平米を買収させた。本年三月、その土地にまた徳陽相互銀行を根抵当権者として東通を債務者とする限度額五十億円の根抵当権設定が行われたわけです。この事実はすでに一部報道されたわけです。大蔵省としても、あれほどの報道がされたわけですから、当然に事情を聞いていると思いますが、その事実を承知しているかどうか、ひとつ担当の方からお答え願いたいと思います。
  153. 米里恕

    米里政府委員 御指摘のございました徳陽相互銀行が東通という会社に対して融資を行ったという問題でございますが、これは個別の金融機関の個別取引の問題でございますので、余り私どもから詳しく申し上げられる立場にないわけでございますが、東通へ徳陽相互銀行から融資を行っておる。その融資というのは、御指摘のございました成田メモリアルパーク霊園の開発事業に関連してのものであるという事実は承知しております。
  154. 庄司幸助

    庄司委員 これは個別の事例だから話しにくいとあなた方はおっしゃいますけれども、登記簿はだれでもとれるのです。だから、これは調べる気になれば、何も大蔵省でなくたってわれわれだって登記はとれるのですから、こんなことぐらいは明確に御答弁があってしかるべきだと私は思うのです。根抵当権の設定にしても、これは登記にちゃんと明確なのです。そういう点で、事実はとにかくお調べになったのですね。
  155. 米里恕

    米里政府委員 事実は調べまして承知しております。
  156. 庄司幸助

    庄司委員 実は、これは千葉農協連の融資の分も入りますけれども、ほぼ二十三億円がどうも行方不明になっているような感じがするのです。地元の地主の土地を担保に入れさせて担保転がしというようなやり方をやって、すでに六十億円の融資を信連やあるいは相互銀行から受けた。さらに五十億円の融資を受けようとしているわけです。そのうち何ぼ融資されたかは私わかりませんけれどもね。そうしますと、何だかんだと総額百十億円です。ところが、関係者の話を伺いますと、一回目の千葉信用農協連から借りた三十億円、そのうちの約半分は、北見氏らのグループの一員である伊藤正さんという方がいらっしゃいますが、この霊園の名目上の経営主体となる常圓寺というお寺さんの宗教法人としての認可を受けるための工作金に使った。大分相当の金額であります。十五億円も法人認可を受けるための工作費を使うなどというのはおよそ考えられないわけでありますが、債務者である大塚林さんには渡っていないということなのです。  それから、二回目の徳陽からの融資の三十億円、このうち二十二億円は、成田市の赤荻の土地購入費として担保提供者であるイースト・ジャパンの役員の地主グループに渡されている。しかし、残りの八億円、これについては諸経費にかかったと称して東通が押さえたままとなっているようであります。それからさらに五十億円の根抵当権設定を徳陽にしたわけでありますが、これについても東通側は、今後の霊園開発の造成工事にかかる、こういうふうに言っているわけです。ところが、これは別の調査によりますと、五十億円はかからないのじゃないか、三十五億円ぐらいじゃないか、こういう数字もあるわけです。  以上申し上げましたように、地元の地主らの土地を担保にした融資のうち、すでに二十三億円が北見氏らに押さえられて行方不明となっている。これは今後の五十億円についても同様の事態が発生する可能性があるわけです。これらの融資については、特に徳陽の融資についてはこういう新聞報道もあるわけです。こう書いてあります。「関係者の話によると、霊園づくりは浜田氏側近の一人といわれる不動産業者A氏」、これはどうも伊藤正さんらしいのですが、「四十六年ごろ着手。その後、買収資金の調達に困って浜田氏に頼んだ。A氏が事実上の経営者で、買収作業を担当している東京・築地のB社幹部の証言によると、浜田氏は徳陽相銀の最高幹部と「一晩徹底的にやり」、融資を決めてきてくれた、という。」これは後でも別な件でまた出てきますけれども、この件についてはこれだけのことを申し上げておきます。  ですから、これらの不明金がどうも政治資金づくりに使われたのじゃないかという疑いもあるわけであります。あるいは個人所得になったのじゃないかという疑いもあるわけです。この点同じ報道では、「融資が決まったあと、浜田氏に「相当高い謝礼が支払われた」とのB社側の証言もある。「東通」の幹部の一人は「浜田先生には世間並みの相場で(リベートを)出している。」こういうふうに書かれております。そういう点、政治資金に回ったか、あるいは個人消費に回ったかわかりませんけれども、これは国税庁として重要な問題ですから、報道をされたわけですから、当然お調べになっていると思いますが、お調べになっていますか。
  157. 矢島錦一郎

    ○矢島政府委員 東通に関する税務調査でございますが、個別の問題にわたりますのであれでございますが、最近は調査を実施しておりません。同社が大口の土地取引を行ったと言われております昭和四十年代の後半には税務調査を行ったことがあるやに聞いておりますが、内容も非常に古い時代のことでございまして、調査事績なんかも全部廃棄されておるということで、さっきお話のありました使途不明支出金の分についても確認できないわけでございます。それ以上のことは個別にわたる問題なので答弁は差し控えさせていただきたいと思います。  いま先生からお話がありました新聞記事の問題、これは承知しておりますし、それからただいまいろいろお話がありましたことにつきましては、いま初めて伺ったわけであります。  個別の問題について申し上げることはお許しいただきたいと思いますが、一般論として申し上げれば、私どもといたしましては、納税者につきまして各種の情報資料というものを絶えず収集いたしまして課税の公平に努めているという立場でございます。いまおっしゃった情報も一つの資料の重要な情報として関心を持ってまいりたいというふうに思います。
  158. 庄司幸助

    庄司委員 私が申し上げたのは、昭和五十年五月の件、それから五十三年四月の件、それから本年三月の件でありますから、時効にはかかっておりませんから、一般論としてはあなた方関心を持って調べる、こう申されておりますから、古いことは、時効の分はともかく、時効になっていない分はひとつ関心を持って調べていただきたい。これはもう一遍御答弁願います。
  159. 矢島錦一郎

    ○矢島政府委員 先生いま重ねての御質問でございますが、個別の問題、あくまでも調査するかどうかということは、そこまではお許しいただきたいと思いますが、適正な課税をしていくというのは私たちの立場でございます。繰り返しになって恐縮でございますが、重要な関心を持ってまいりたいというふうに思っております。
  160. 庄司幸助

    庄司委員 次に申し上げたいのは、相互銀行については大口規制の条項がありますが、どうも政治が絡んで大口規制すれすれの融資がやられているような疑いがあるのですね。  いまから申し上げますけれども、徳陽相互銀行の東通への貸し付けば、先ほど申し上げたように、この件に関するだけでも五十三年四月に二十五億円、それから五十四年三月五億円、合計三十億円、これだけもうすでに貸し出されております。これはある資料で、明確な北見さんの判このついた、内容証明についての回答書でありますが、これでもみごとに証明されております。  このほかに、根抵当権、これは五十三年四月の残りの分で五億円、五十五年三月の分が五十億円、合計五十五億円であります。  そこで、個別の問題ですが、東通についての判明している三十億円については大口規制ですね、四十七億円を超えてはいないわけですが、しかし、徳陽の昨年九月期の手形貸し付けが千四百八十四億円、この二%に相当しております。手形貸し付けの一口平均は九百八十九万円でありますから、これに比べても異常に巨額なわけです。  それから、同社の有価証券報告書を拝見しますと、支払い承諾、債務保証ともいっていますが、これは融資量の五千百七十七億円の二七・四%に当たる千四百十七億円であります。これは五十四年の九月期で、非常に高いわけです。これはほかの相互銀行との比較もやってみました。五十四年三月でありますが、相互銀行全体でまいりますと、融資量に対する支払い承諾は一四・四%というのが平均です。ところが、徳陽の場合はこの融資量に対する支払い承諾は、五十四年三月期で四二%になっておりますね。  それからまた、昨年の裏保証の事件があるわけです。これは東北財務局で調べてみると、東北財務局管下の百二十五行平均の一二・三%をはるかに上回っている。まして根抵当権の設定額が八十五億円でありますから、大口規制には直接抵触するものではないにしても、とにかく相当上回る異常な額じゃないか。しかも、これには政治的な圧力があった、こう報道されているわけです。だから、この件も大蔵としては事情を調べて、皆さん方が出しておられる通達に照らして厳重な指導をやらなければだめじゃないかと私は思うのですよ。  それから不動産の投機に対する規制の通達も何遍も出ております。ところが、徳陽相互銀行の不動産業に対する貸付割合というのは非常に多いのです。これは五十四年三月末で、相互銀行全体の平均は七%でありますが、徳陽はその倍以上の一五・三四%であります。私は明らかに異常だと思うのです。しかも昭和四十七年ごろの土地投機、土地転がし、田中角榮氏を先頭にしたああいう事態で地価がどんどん高騰する。これは銀行社会的使命からいって明らかに逸脱だと私は思うのです。こういう指導は、通達の出しっ放しで後はやっておるのかおらないのか、それから徳陽についてやっているのかどうか、これを御回答願いたいと思います。
  161. 米里恕

    米里政府委員 幾つかの点の御指摘がございましたが、まず一つは、徳陽相互銀行の東通に対する貸し出し、融資でございますが、これが大口融資規制に違反あるいは違反するおそれがあるのではないか、こういう御指摘でございます。  そこで、現状を見てみますと、細部にわたって申し上げることはできませんが、この徳陽相互銀行の東通に対する融資額はほとんどが支払い承諾でございまして、直接徳陽相互から東通に貸したものではなくて、他の金融機関が貸したものに対して支払い承諾を行っておるというものが大部分でございます。現在、大口融資規制規制考え方でありますが、支払い承諾は一応含んでいないいう考え方になっておりますので、現行の大口融資規制に違反しているということにはならない状態であるかと思います。  その次に御指摘がござしましたのは、しかし、相当根抵当を設定しているじゃないか、したがって、この根抵当ぎりぎりまで貸したら大口融資規制違反になるのではないか。これは支払い承諾でなしに、ダイレクトに根抵当まで貸しましたら、それは大口融資規制の違反になるという可能性があることはおっしゃるとおりだと思います、現実にはそういう形にはなっておりませんが。しかし、根抵当権が非常に大きいから、大口融資規制の限度を超えた根抵当を設定しているから必ずそれは大口融資規制に至る可能性が強いというものでもない。今後いかにその根抵当の範囲内で貸し出しを行っていくか、融資量に比べて根抵当をかなり大幅に余裕を見て取るという場合も間々ございますので、今後この根抵当いっぱいに直貸しを行わないように私どもとしては十分注意していく必要はあろうかと思います。  それから、この大口融資規制につきまして、直貸しだけでなしに支払い承諾を含めるべきではないかという御意見はあり得ると思います。それは  一つ問題点であるというふうに思っております、現在はそうなっておりませんが。この支払い承諾というもの、債務保証というものを今後どういう形で行政上あるいは制度上取り込んでいくかということは重要な課題であろうかと思います。  そこで、現在、御承知のように金融制度調査会中小企業金融専門機関についての御審議をお願いしておるわけで、今後だんだん突っ込んだ議論を行っていきたいと思っておるわけでございますが、そのうちの一つとしてこの債務保証というものを、あるいは大口融資規制と関連して、あるいは関連なしでどういう形で制度考えていったらよいであろうかということが実は私どもの持っている問題点一つにございます。今後調査会の御意見を聞きながら、制度問題としてあるいは行政問題としても検討してまいりたいと思っております。  それから、土地融資でございますが、土地融資につきましては、御承知のように何度か通達を出しておりまして、厳しく指導しておる、いやしくも投機的な土地資金の貸し出しが行われないようにということで何度か通達を重ねてまいっておるという状況でございます。この通達に沿いまして行政及び検査に当たりまして個別の業態を見まして厳しく指摘、指導をしておる段階でございますが、今後とも十分気をつけて行政を行ってまいりたいというふうに考えております。
  162. 庄司幸助

    庄司委員 厳しく指導はもう前からおやりになっているはずなんですね。昭和四十七年の通達、それから国土庁から出た要請にこたえた通達、これは昭和五十年です。それで、なおかつ徳陽相互銀行が東北六県の他行に比べても倍ぐらい、倍以上ある。その他全国の銀行と比べてもそのぐらいある。これは指導がしり抜けになっているんじゃないか。何か大蔵省と徳陽相互は――前は例の相互銀行会長をやっていましたからね。どうもそういう点での甘やかしがあるんじゃないかというような気が私はするのです。現に地元の徳陽相互銀行のお得意さんの話を聞いても、われわれ百万、二百万借りるのでさえも、問い合わせやら、判この国と言われるぐらい判こをべたべたつかされて、本当に四苦八苦して金を借りているのに、あんなふうに土地投機には金を出している。これは地元の中小零細の業者から非常に評判悪いのです。この点厳重に規制してもらわないと、地価高騰にもつながりますからね。それから、土地の投機、転がしでもってぼろもうけを博する、こんな社会的に通らないあれを許しておかないように厳重に指導してもらいたいと思うのです。  それから次に移りますが、銀行が金を貸す場合は、相当その会社の経営内容を調べて貸すべきだと私は思うのですよ。ところが、当時の東通を見てみますと、まともな会社としての体をなしていないのです。たとえば五十三年四月に三十五億円の根抵当権を設定した。東通へは二十五億円の融資がやられたわけですが、会社登記を見ますと、五十二年二月から五十三年二月までは役員もいない状況なんです。これは会社登記をごらんになればわかります。しかも、ようやく五十三年三月に五十二年二月の役員退任登記をするというような状況の休眠会社なんですね。それからことしの三月に五十億円の根抵当権を設定したときも、信用調査会社、これは名前は私は言いませんが、信用調査会社の報告書を持っております。これですがね。これは五十五年の報告も五十三年の報告も、いずれも前途多難が見込まれる、霊園分譲についての見通しがきわめて困難だ、しかも赤字を抱えておる会社だ、こういう指摘があるわけです。そうすれば、当然に、年間欠損領の五千万旧、こういう状況も出ております。五十四年度末です。こういうところへ、なぜ担保があるからといってやたらに金を貸すんだろう。中小零細の業者だったらこれはなかなか大変なんですよ。それで業態を一々調べられて、根掘り葉掘り聞かれてやられる。ところが、こういう会社にはどんどん金を貸す。これは私は相当乱脈な融資じゃないかと思うのです。そういう点でどうも政治の力が働いていると報道されておるわけです。しかも具体的に浜田幸一前代議士の名前を出してですね。しかも、そういう中で二十億円以上の事業資金が行方不明になっている。こういう資金づくりに相互銀行が手をかしている状況というのは、私はまことに寒心にたえないと思うのです。こういう点は御調査なすったのかどうか。銀行の金の貸し方、経営内容をよく調べて、実態をよく調べて金を貸しているのか。これは東通の問題です。個別の問題だというんで、あなた方はまた回答を拒否されるかもしれませんが、その点ひとつ御答弁願いたいのです。
  163. 米里恕

    米里政府委員 この徳陽相互が東通に融資いたしましたのは、先ほど来お話が出ております成田メモリアルパーク霊園の開発事業に関連してでございます。この成田メモリアルパーク霊園というものは、これもちょっと先ほどお話が出ましたが、東通が常圓寺というお寺と共同事業契約を結んで行う、資金面は東通が引き受け、県の開発事業許可はこの常圓寺というお寺が五十四年の十二月に取得したものであります。  徳陽相互が東通に融資をいたしましたのは、この成田メモリアルパーク霊園という開発事業計画が適正なものであるかどうかというチェックが、まず一つ必要でございます。もう一つは、担保能力があるかどうか、この二つが主たるものだと思います。担保能力につきましては、先ほどお話が出ましたように、かなりの根抵当権を設定しておる。事業計画につきましては、この成田メモリアルパーク霊園でございますが、これはいろいろ見方があるのかもしれませんが、首都画の現在の墓地需要から見まして、将来事業完成後に相当の売り上げが見込まれるというように経営判断、審査の過程で判断しまして、事業計画も適正なものであるということで融資をしたというふうにわれわれは聞いております。
  164. 庄司幸助

    庄司委員 何か大蔵省までがどうも東通の肩を持っているような感じがするのですけれどもね。  じゃ、もう一つ申し上げましょう。いまの成田のメモリアルパーク霊園の問題は後でまた申し上げますけれども、このほかに徳陽相互銀行の宮城県石巻市での融資の問題があるのです。これも報道されました。ここにも東通が顔を出すのです、北見晴男さん、それから監査役の方が。宮城県の石巻市で特殊法人の東北開発株式会社、これが養殖漁業の事業のために十年間の転売禁止条件つきで東北水産増殖株式会社に売った土地、これは約十八ヘクタールです。これも東北増殖が養殖業に失敗したのにつけ込んで、北見さんや東通の安江さんが代表取締役あるいは監査役として乗り込んで、それを契機に徳陽がその土地に対する根抵当権を六億円から十七億円に引き上げたのです。これはもう少し具体的に申し上げますけれども、この東北水産増殖はもともとは東北開発が石油基地をつくろうとして失敗した土地、それを七千五百万円ぐらいで買ったわけですが、そこで地元の業者や岩手県の農協関係の方が一緒に集まって養殖業をやろうといってつくったのです。そこで土地を買った。ところが、なかなかうまくいかないのです。そういう中で実は徳陽相互銀行の現在社長をなすっている早坂啓さん、この人が昭和四十八年五月三十日に取締役に就任されるのです。つまり送り込まれているわけです。この人が送り込まれたら根抵当権が三億七千万から六億まで引き上げられたのです。さらに北見さんや安江さんが、北見さんが代表取締役、安江さんが監査役で乗り込んだ。ここでほとんど前の方はすぱっと役員をやめているのです。こうやって東通株式会社系列になってしまうのです。北見さんが就任なすったのが昭和五十二年の十一月五日であります。ところが十一月十八日、約半月後にはこの根抵当権が六億から九億に上がる。それから五十三年九月二十日には十七億円まで引き上げられる。六億から十七億円まで上がったのです。これも報道によりますと、浜田幸一前代議士が関与していると言われております。そうしますと、ここで十七億が東通関係です。それから、成田の土地が何だかんだいって三十五億と五十億円、八十五億円、相当の額になります。それから東通系列の融資額だけ見ても、会社の名前は違っても四十九億円になるわけです。実質的に大口規制をオーバーしているのではないか、こういうふうになるわけです。  それからこのほか徳陽相互について言うならば、これも新聞報道に載ったのですが、石巻市で衆議院議員選挙に出て落選して、暴力団の組員に買収資金を渡して逮捕された相沢正巳という方がいるのです。この人が相沢海運をつくって北東公庫の融資を受けて、その上で協調融資を徳陽も三億五千万ほどやったのです。これについても北東公庫の融資条件から外れたお金の使い方をしている。しかも船会社の前身は以前四十億円ぐらいの負債を抱えていた。現在では十億ぐらいらしいのだけれども、こういう経営内容も調べない。しかも明らかに東通という土地転がしの会社、ことしの十月五日にはもはや買い戻し契約の期限が切れるのです。現在平米当たり税務署の路線価格でも四千八百円ぐらいと言われておりますが、これが三倍ぐらいにはね上がることは間違いないのです。七千五百万で買った土地が何だかんだいって二十七億円ぐらいになる日が、あと四、五カ月で、目の前にぶらさがっているわけです。こういうところに東通が乗り込んできて、しかも政治的な背景があって土地転がしがやられる。こういうところに相互銀行が金をどんどん貸すけれども一般庶民にはあのとおり渋い。しかも歩積み両建てはこのごろやらないにしても、あの定期積金は、庶民から言わせますと日掛け、月掛け、命がけ、こう言っております。これは余りにもひどいのではないか。この点についてどう思われますか。
  165. 米里恕

    米里政府委員 東北水産増殖という会社に関して、徳陽相互が取引があることは存じておりますが、いまお述べになりましたようないろいろな個別の事情につきましては、実は私どもよく承知しておりません。十分状況調査いたしまして、もし必要があれば適正な行政指導をすることになろうかと思います。
  166. 庄司幸助

    庄司委員 それで先ほど出ましたメモリアルパークの問題点であります。  あなた方は東通の言い分を御信用なすっているようでありますが、ここにも大きな問題があるのです。墓地の経営については厚生省の通達によって、永続性と非営利性が確保されなければならない、こう書いてあります。それから、原則として市町村等の地方公共団体でなければならないし、これによりがたい場合にのみ宗教法人、公益法人に限り必要とする範囲内において新設を許可するものとする、こうされております。今回の事例のように名目上だけ宗教法人を立てて、実際には営利目的の不動産会社が墓地の開発を行うというのは、前述の通達の趣旨からいっても逸脱しているのです。  さらにメモリアルパークヘの債権が不良債権になる可能性があることを私は指摘しておきたいと思うのです。このメモリアルパークは、千葉県のゴルフ場などの開発事業指導要綱に基づいて公園墓地としての大規模開発を四十三・七八八ヘクタールで五十四年十二月二十八日に許可された。そのうちの十五・一ヘクタールが墳墓用地とされているわけです。これはお墓一万基に相当する。しかも東通の計画だと二万基にする計画もある。この経営生体である常圓寺さんでは千葉県内の誕生寺系の二十六カ寺をまとめる、こう言っているわけです。墓地経営については、某地、埋葬等に関する法律によって別途県知事の許可が必要であります。ところが、私どもが調べてみたら、現在まで許可申請は出されておりません。この点について千葉県の環境指導課、ここではこう言っているのです。墓地の場合、一、永代使用料が妥当だ、二、墓地の希望者と比べて妥当な数の計画であることが必要であり、かつ不特定多数を対象とした宣伝は行わないこと、三番目は、許可したものは三年以内に完成の見込みがあること、こういう許可の条件になっているわけです。需要として見込まれているのは、千葉県の環境指導課の話ですと、五百基から千基くらいが妥当な規模なんだ、こう言っているのです。だからといって、これではだめだからといってゴルフ場に転用しようとすればこれはできないわけです。現在申し込み受け付け中の千葉市八千代中央霊園は一区画三平米で二十万円です。平米約七万円、千基つくったとしても二億円ちょっとにしかならないのです。それに三十五億なり五十億なりの根抵当権を設定して金まで貸している。その中の一部は行方不明になっている。こういう点で不良債権になることが明らかだ、あるいは明らかと言わないにしてもその疑いが強い、こういう金の貸し方や根抵当権の設定あるいは債務保証、これをやるというのは私は問題ではないかと思うのです。  大光相互の問題だって、去年のあの徳陽の裏保証の問題にしろ、今度の平和相銀の問題にしても、私は調べていませんけれども、陰にはこういう問題がやはり必ずあるんじゃないかと思っているのです。これじゃ、私は、銀行社会的な使命が達成できない。こういう事態になれば、すでに東通が徳陽から憤りている三十億円の返済もきわめて困難になる。その結果、担保となっている千葉市有吉町の大塚氏の土地も取られる危険性が多い。結局、北児氏らのグループだけが得をして、地主はまる損させられる、こういう結果になりかねないのです。善良な地主らに見通しのない事業をけしかけて、これらの浜田元議員のグループ、ファミリーですね、これだけが巨額な利益を上げるようなやり方に相互銀行が手をかすのは、きわめて私は問題だと思うのです。ぜひひとつこの点も調査して強い指導をするように要請するわけですが、どうなんですか、大臣もいなくなったんですがね。
  167. 米里恕

    米里政府委員 成田メモリアルパーク霊園の開発事業なるものが前途どういう見込みが強いのかということにつきましては、私は判断できませんが、当該金融機関はこれがかなり将来は発展するだろうというように見てそういった判断のもとで貸した、こういうことでございます。もし、おっしゃるように、これが非常に不良債権化する可能性が強いかどうかということは今後の推移を見ていかなければわかりませんが、私ども、御指摘でもございますので、今後の検査行政を通じまして十分ウォッチしてまいりたいというふうに考えております。
  168. 庄司幸助

    庄司委員 最後にいままでのやりとりを聞いていての大臣のひとつ御感想なり御決意を一曹簡単にお伺いしておきます。
  169. 竹下登

    竹下国務大臣 最初申し上げましたとおり、相互銀行の持つ体質、そういうものに対して厳正に対応して今後の遺漏なきを期したい、このように思います。
  170. 庄司幸助

    庄司委員 終わります。
  171. 増岡博之

  172. 正森成二

    ○正森委員 財政再建国債の問題というのは非常に国民の関心の深いところですが、最近、新聞を見ておりますと、今年度十四兆二千七百億円国債を発行することになっておりますが、その発行額を一兆円ほど減額してほしいという要望を都銀がその協議会でしたやに報道されております。そういう事実があるのかどうか、あるとすれば大蔵省としてはどういうふうに対応しようとしているのか、簡単に御説明ください。
  173. 渡辺喜一

    渡辺(喜)政府委員 一部の新聞にいまおっしゃるような報道がございました。ただ、これは現段階におきましては、あくまでも報道の域を出ないわけでございまして、私どものところには、はもとより口頭でもそういう申し入ればまだ参っていないわけでございます。ただそういう正式な申し入れはございませんけれども、いろいろな機会に私ども銀行の幹部等と接触することはあるわけでございますが、そういうときに雑談等を通じまして、金融機関のいまの国債引き受けというのは、一方において預金が思うように伸びないという状況のもとで大量の引き受けを続けていくということはかなり大変だということは常々伺っておるわけでございます。  今後、果たしてそういう要求が正式に出てまいるのかどうか、これもまだ私どもとしてはわからない状況でございますが、そういう実情については十分認識をしておりますので、御案内のように、五十四年度年度の過程を通じまして発行計画額の圧縮ということに努めてまいったわけでございます。今後とも、そういう機会があれば、あるいは可能性があれば、国債の発行減額ということについては優先的な配慮を行っていきたい、こういうふうに考えております。
  174. 正森成二

    ○正森委員 これはいままでに同僚委員がお聞きになったことで重複いたすわけですが、大蔵大臣から伺いたいと思います。  さきの五月二日の大平・カーター会談で、伝えられるところでは防衛力の増強について着実かつ顕著というような要望がされて、それに対して真剣に努力するという意味の大平総理の意向の表明がされたやに伺っております。それが約束であるのか、あるいは努力、検討であるのかという点について本会議でもいろいろ議論がございましたが、いずれにせよ一致しておるのは、来年度予算で答えを出さなければならないということについては総理も御異存がないようであります。  さらにまた、八日の衆議院の外務委員会では大来外務大臣が、来年度予算編成で防衛費の増額がなかったら日米の信頼関係に影響があると思うという意味の答弁をされたやに報道されております。この大来外務大臣答弁がもし正しいとすれば、毎年防衛費は一定の額増額しているわけですから、それにもかかわらず増額がなければアメリカに対する信頼関係に影響があると言われるのは、従来の増額では事足りない、つまり伝えられるところ、中期業務見積もりというのを一年繰り上げるという意味で、昭和五十八年度ぐらいにはGNP比一%にするというような、それを肯定的に含んだ防衛費を盛り込んだものでなければ対米関係の信頼関係に影響があるという意味の重大な発言であろうかと思うわけであります。  そうなりますと、私ここにちょっと持ってまいりましたが、大平総理大臣がタイム誌の二月二十五日付ですかに英文で発表をされましたが、防衛費を増強しようと思えば赤字国債増発するか、増税するか、あるいは国民関連の費用を削るかという三つの選択しかないということを言われたわけですから、大蔵省としても重大な決心を持って対処しなければならぬ、こういうように思うのですね。そのことにつきまして、もちろん予算で答えを出すと言うておられるのですから、まだ半年以上あると思われるかもしれませんが、サマーレビューなどをやろうというふうにおっしゃっているわけですから、特に先ほどの答弁では初めにン兆円ありきということで何兆円とは言われませんでしたけれども国債を減らさなければならないという決意にはお変わりないようですから、あすを控えて閣議前におっしゃるということはなかなか困難だと思いますが、大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
  175. 竹下登

    竹下国務大臣 明年度予算全体につきまして、これは四党の申し合わせ等におきましてもサマーレビュー等を行うべし、こういうことにもなっておりますし、サマーレビュー宣言とでも申しましょうか、外向けにはそういう言葉になろうかと思いますが、実際には閣議において各閣僚の協力を要請する、こういうことになるわけであります。その際、私は、防衛費と言わず、いわゆる特定した費目というものがサマーレビューの例外に置かれるというものではないという認識の上に立っております。  それから、昨年渡辺局長が申しておりました初めに一兆円ありきというような姿勢は、昨年の場合は十一月そのことが閣議で了解された、それを少なくともサマーレビュー開始以前にそれなりの了解をいただこう、一つの目標というものを可能な限り提示しようという考えに変わりはありません。
  176. 正森成二

    ○正森委員 ある意味では、シビリアンコントロールというのは、防衛予算大蔵省が査定する場合に、他の政策との整合性からこれを見直していく、それをさらに内閣で責任を持って予算編成し、それが国会で予算委員会、本会議を通じて審議されるというところに非常に大きなシビリアンコントロールの一つの側面があると思うのですね。ですから、そういう意味で、大来外務大臣が、先ほどの同僚委員の表現ではややはしゃぎ過ぎであるというような表現もございましたけれども、幾ら議員ではないとはいえ、外務大臣である以上、単なる技術外交官ではなくて政治家であるはずであります。その政治家が他省庁の予算を削ってもこうすべきであるというようなことを軽々に発言するということは、少なくとも国務大臣としては適当な発言だとは思われません。そういう点については、非常にえんきょくな表現ではございましたが、大蔵大臣も一定の御意見がおありのようでございましたので、特に財政を所管する大蔵大臣としてのやはり全局をにらんだ御決断というものを希望しておきたいというように思います。  次に、銀行関係の過当競争について、時間がございませんので、残された時間若干質問をさせていただきたいと思います。  あるいは違っておるかもしれませんが、私の承知しておりますところでは、昭和四十年の五月十二日ですか、銀行局の「金融機関経営の刷新について」というような通達が出されておるようであります。それの「(3)表面的な業務の拡大に重点をおいた業務指導の自粛」というところを見ますと、  (イ) 営業店の指導を過大な預金目標の設定割当等により行なうこと、あるいは、表面上の計数のみによって営業店等の考課を行なうこと等を取り止めること。また、○周年記念、支店開設記念あるいは○○円達成等の特別の資金増強運動を全廃すること。  (ロ) 預金、貸出等の計数は、金融機関経営の基礎であるだけでなく、重要な経営指標でもあるので、粉飾操作等によりこれがゆがめられることのないよう措置すること。等々と定めておるようであります。こういう銀行局の考えにはもちろん変わりはありませんね。
  177. 米里恕

    米里政府委員 四十年の五月に御指摘のありましたような通達を発しております。もちろん、現在におきましても、金融機関として預金増強に対しまして過度の競争を行うということは、金融機関の堅実経営に対する社会的信頼にかかわる問題であるということで、考え方は全くこの当時と変わっておりません。
  178. 正森成二

    ○正森委員 先日、私が銀行関係の従業員と大蔵省に陳情を行う立ち会いをいたしましたときにも、銀行局長及び銀行課長、中小金融課長も同席していただいたわけですが、そのときに数々の違反事実が挙げられまして、一度通達を出しておるのだから再度通達を出すというのはいかがであろうか、しかし、個々の問題点というのを言ってもらえればこれは個別に指導いたしますという意味の御回答だったと思うわけであります。ところが、なかなか個々の指導ぐらいでは間尺に合わないぐらい各地でいろいろなことが行われておるという訴えがわれわれのところに来ております。  たとえば、これは地銀の例ですが、千葉銀行などでは非常に過当競争で預金を獲得するという行動をやらされるわけですね。私のところに来ておる陳述書を見ますと、行員が見込み客に紹介カードを渡して、そして預金をとってこい、とってこい、こういうことになる。その優秀者の手記が行内雑誌の「ちばぎん」というようなのに掲載されるというようなことで、それが非常に時間外労働を課したりして行き過ぎであるという訴えであります。  私、ここに持ってまいりましたが、これは非常に膨大なものでとても全部を読むわけにいきませんが、「私の「顧客紹介運動」実戦記 第一ラウンド優秀賞受賞者の手記」と、こうなっておるのですね。これの一部を読みますと、「私もその一員として、とにかくやれるところまでやってみようという心構えで、銀行から帰ってから夜、自宅の近隣を、日曜や週休には車で知人、縁故者を訪問し、直接カードを手渡しでお願いするようにしております。」こう書いているのですね。つまり、家に帰ってから後や日曜日や週休にやったので成績を上げたということで、それを優秀者の手記だ、おまえらも見習えということで書いておるわけです。「学校の恩師の家にお願いに行くとき、くだものをおみやげに買い、その八百屋にもついでにお願いする。」とか、「床屋へ行って頭を刈りながら、床屋にお願いする。」とか、こういうのは商売熱心で結構だと思うのですが、その次を見ると、「自動車を追突されて、これも何かのご縁でしょうからとお願いする。」こう書いているのですね。ここまでいくと、私も思わず読んで噴き出したのですけれども、これは書いた人には、まさに命がけであります。  それから、全部は読みませんが、いろいろやっておるのですね。別の人は「「女は女同士」は効果大」で、「私自身ほとんどなにもやっておりません。家内と妹がやってくれた」、成績を上げると賞金が出るのですね。「ですから当然賞金は「モトがかかっているのよ」のひとことで家内にガバっとつかみとられ、あとは今までの経費やお礼で相当の赤字。」という打ち明け話をしておるとか、あるいは逆にミイラ取りがミイラになって、これは勝浦という支店の女性行員ですが、お父さんまで協力して車でカードを配ってくれたということを言うた後で「第一ラウンドの間に私は、保険に入れられてしまいました。というのは、紹介カードを出したところが保険の外交員だったのです。」と言うてミイラ取りがミイラになって「紹介カードを使って定期をやってきたので保険に入ってくださいということで、断るに断りきれず、入ってしまったというわけでした。」こう書いてあるのですね。  これはほんの一例を読んだだけですが、そういうように非常な努力をやっておる。これは明らかに、その一部は勤務時間外の不払い労働をやらされておることだ。  それだけならまだいいのですが、ここに提出されておる資料を見ますと、それでもなかなか預金の成績が上がらないというときは、今度は粉飾をするということで、たとえば千葉銀の茂原という支店では、去年の九月二十九日には三十七億八千五百万円の純現金があったことになっておる、報告ではそうなっておる。ところが、翌営業日である十月一日に現送した額は五億一千万円にすぎず、しかもその日の純現金残高は四億三千六百万円に激減している。これは十月一日だけで、現送を別にして二十八億三千九百万円の現金が減ったことを意味している。十月一日にも当然入金はあるはずですから、実際には前記の額以上の現金が支払われていなくてはならない。これはいかに月初とはいえおかしい。これは結局、たとえば大蔵省でも禁じられている小切手や手形などを現金とみなして実質預金を粉飾するようなやり方ではないか。これと同じようなことが、市川支店では二十七億三千二百万円以上、柏支店では二十六億円以上の現金が十月一日、一日だけで支払われている計算になる、こういうことが書いてあるわけですね。ここに私は出しませんけれども、実績表という内容も出ているわけですね。こういうようなやり方というのは、国の金融上の統計数字にもこれが積もり重なれば誤りを与えるということにもなるので、私はこういうやり方が、これはいま千葉銀だけの例を挙げましたが、ほかにたくさんあるのですが、これは、是正するために相当強力な指導を個々の銀行に、あるいは地銀協会とか、しかるべきところに再度おっしゃる必要があるのではないかと思うのですが、いかがです。
  179. 米里恕

    米里政府委員 いろいろ御指摘がございましたが、考え方は私どもも全く同じでございます。四十年に通達が出ました後、五十一年になりまして全銀協で再度行き過ぎた預金獲得行為の自粛の徹底のための申し合わせをいたしまして、いろいろ御指摘のございましたような特別な預金増強運動はやらないとか、あるいは計数操作の絶無を図る、これは粉飾とおっしゃったことに当たるかと思いますが、それから、いたずらに過大な預金目標を設定して営業店を指導するというようなことは自粛する、いろいろ自主的に自粛要綱を決めているわけであります。金融機関はサービス業務でございますし、本源的預金の獲得に精力を使うということは、その範囲では本来の業務でございますから当然だと思いますけれども、これが行き過ぎた過当競争になるということは、私どももはなはだ望ましくない。金融機関あり方として、そういった預金量とか資金量とかいうものを相互に比較して、どっちが上だ下だというようなビヘービア自体がそもそも非常に問題なんで、むしろそういうことよりはサービス業としてそれぞれ他にない独自の個性を持った行き方というものが当然今後の金融機関全体のサービスのあり方であろうかと思います。そういった趣旨、特におっしゃいましたような粉飾操作というのはまことに好ましくないというふうに私ども考えておりますので、今後とも十分直接あるいは協会を通じまして指導してまいりたいと思います。
  180. 正森成二

    ○正森委員 労働基準局も来ておられると思いますが、いま私が申し上げたところでも、うちへ帰ってから、夜あるいは日曜、祭日に勧誘に行くという手記ですね、それを私が読みましたが、たとえば東邦銀行では、ボーナス時期に女子行員が出勤途中に勧誘に回り、集金もしているが、時間外手当は払われていないとか、あるいは女子行員が週六時間の労基法上の残業規制を超えて働いておる。それを隠すために、六時間以下ということで次の週あるいは次の月などに繰り下げておるとかいうような訴えが、私ここへ持ってまいりましたが、これは企業の中からの内部告発なんですね、これだけたくさんあるわけであります。こういう点については労働省の耳にも入っていると思いますし、それから昨年の六月二十一日にわが党の安田議員が質問した中で、たしか労働省の担当官が、面接明示的にこの日家に帰ってからこれだけ預金獲得しろというように言うたのでなくても、実質的に家に帰ってからやらなければならないような業務内容を暗黙裏に包括的に指示しているというような場合には、それもやはり業務として残業手当を払うべきであるという意味の答弁をなさっているんですね。こういうようなお考えは現在も堅持しておられるのかどうか、あるいはまた、いま私が若干二、三の例を述べましたような労働基準法違反の事実等に対して、銀行だからということで何か特別の対策をとっておられるのかどうか、ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  181. 岡部晃三

    ○岡部説明員 銀行におきます労働時間の実態につきましては、労働省におきましても関心を持っておるところでございまして、五十二年にも全国的な調査を行ったところでございます。そこで出てまいります問題は、一つは、いわゆるサービス残業問題と申しますか、休日あるいは通常の出勤前あるいは残業といったところで、労働時間に算入すべきか否かということが非常に争われるケースが多いというふうな実態でございます。この判断は、もとよりケース・バイ・ケースになろうかと思います。そのサービス残業なるものの内容が、真に自発的にその人物が行っているものであれば、これは労働時間とはいえないわけでございますが、しかしながら、これは実質的に会社の指揮命令によって行われているというふうに認められる、つまり強制がそこに働いているという場合には、これは労働時間になるわけでございます。いま御指摘のような点の中で、たとえば週六時間を超えて女子職員が残業をさせられているということになりますと、これは明らかに労働基準法違反でございます。ボーナス時などに出勤途上で勧誘をするという行為はサービス残業になるかどうかというあたりは、これまたケース・バイ・ケースの問題であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、私ども、通常の定期監督あるいは申告監督等に基づきまして、法律違反がもしあれば、それを是正するということは言うまでもないところでございます。
  182. 正森成二

    ○正森委員 時間でございますので、あと一つだけ指摘しておきたいと思いますが、銀行局長お話ししましたときに、通達をもう一度出すというのはあれだから、個別指導は幾らでもするからというようなお考えを聞かしていただいたのですが、たとえば、ここに内部告発があるのですが、福岡銀行では、六月から八月、十一月から一月の間、ボーナス獲得と称して、行員個人の名前を記したボーナスカードを配布し、配布枚数、獲得額をチェックしている。この期間に数回、全員が外交日を設定し、五時以後全員で団地などヘチラシ、ティッシュペーパー、カードなどを配布した。これは明らかに全銀協自粛通達に違反しており、五十四年六月十九日北九州財務局の柴田金融課長は改善指導を行うと言明した。ところが、その後山田支店において、支店長が全員会議を招集して、内部のことを財務局へ言い上げた者がいる、どういうことか申し開きせよと詰問を受け、全員から糾弾を受け、支店長は、この外誘活動は通達違反にはならず、今後も行うと言明、その後五十四年十二月にも数回行った。そして、これを財務局へ申し出たと思われる行員は、財務局まで何で行ったか、きさまいつから大蔵の人間になったんだと職場でつるし上げが行われた、こういうように報告してきております。あるいはまた、ことしの三月三日に、いろいろ差別行動をされている行員が福銀から不当差別をなくす三・三総行動の集会、デモ行進に参加したところ、この五十一歳の行員は、翌日職場に出勤すると、営業室内で突然勇子行員七、八名に取り囲まれ、おまえきのう何をしてきたか、などと険悪な雰囲気の中で詰問され、きさま、たたき殺すぞ、おれ、だけではない、みんなもたたき殺したい気持ちじゃ、などと脅迫され、身の危険すら感じる状態だった、本件については人権擁護委員会へ救済を訴えている、こういうように内部告発がされております。  そこで、私は銀行局、特に大蔵省全体にもお願いをしたいのですが、通達が出されておっても守られない。そして銀行協会の自粛の決定が行われても守られない。個別に大蔵省へ言うてきてもらえば指導すると言うて、そのとおりやれば、今度は言うていった人がつるし上げられるというようなことは、まさに無法地帯であって、公共事業である銀行、しかも非常にスマートな、ホワイトカラーの典型であると思われている銀行のあるべきことでは絶対にないと思うのですね。ですから、こういう問題について、私は大蔵大臣にもぜひお願いしたいのですが、こういう傾向は、単に地銀だとか、きょうは時間の関係で相銀のことは申しませんでしたが、そういうところだけじゃなしに、都銀の一流中の超一流の第一勧銀や三菱やあるいはそのほかの住友銀行なんかも、もう組んずほぐれつやっておる。「週刊現代」に出ているのですね。非常におもしろい記事が出ております。時間の関係で読むのは省略いたしますけれども。こういうように、一位とか二位とか四位とかいう、そういう都銀が同じようにやっぱりやっておるというところは非常に問題であります。  そこで、大蔵大臣にぜひお願いしたいのですが、銀行局長などを指導されて、行き過ぎがないように、そして正常な企業の競争が行われるようにぜひ御配慮願いたい、こういうように思いますが、いかがですか。これで終わります。
  183. 竹下登

    竹下国務大臣 ある種の競争原理の中で、それが預金者へのサービスとかということにつながることはそれなりに意義があることであろうと思いますが、過当競争、行き過ぎというような点については、御趣旨の線を踏まえて今日までも銀行局当局が指導しておりますが、指導を一属強めていきたい、このように考えます。
  184. 増岡博之

    増岡委員長 竹本孫一君。
  185. 竹本孫一

    ○竹本委員 きょうは大臣に二、三伺って終わりにしたいのですが、最初に、IMFにこの聞お出かけになって、その暫定委員会におきましていろいろ御努力をいただいたようでございますが、ある意味においては、われわれが期待しておりました代替勘定の問題で、もう少し前進ができると期待をしたわけですけれどもそうでなかったというようでございますが、いかなる事情によって代替勘定の構想が出発できなかったかという点について、大臣の見たところ、感じたところをお聞かせを願いたいと思います。
  186. 竹下登

    竹下国務大臣 これはあるいは国金局長から正確にお答えすべき点も補足の意味においてあり得ると思うのでありますが、代替勘定の創設の目的は、SDRを中心的準備資産に育てること、そして国際通貨情勢の安定に資すること、そういう意味におきまして、わが国といたしましては、代替勘定の創設については基本的に支持をしてまいりました。私どもの発言も、小異を捨てて大同につくべきである、どういうふうに訳されたか私もわかりませんけれども、そういう趣旨の発言をいたしたわけでございます。ところが、結果として、委員指摘のように、これは国会流に言えば継続審議、こういうことになったわけでございます。いま少し前進するのではないかという期待を私は持っておったことも事実であります。ただ、多数の国がこれを支持しておるということは事実でございますし、IMF理事会等における討議を通じて、いずれは合意ができるものではなかろうかと思っておるところでございます。  暫定委員会の討議においては、主として預託された資金の価値保証の方法と金利負担あり方をどうするかという点で、素直な感じで申しますならば、米国と他の先進国との意見にまだ開きがあるということが一つ。それからもう一つは、いわゆる開発途上国の皆さん方にとっては、それよりもっと先にやることがありはしないかというような空気も幾らかあったというようなことで、から言いまして、合意を得ることに至らなかった。しかし、詰めた議論をすると、みんな悪いことだとは言わないわけでございますので、私も、この次の総会までというような期限を切るというようなことも提案するかどうか考えてみました。しかし、期限を切ってということにも必ずしもなじまない。したがって、まさに、日本の国会流に言えば継続審議になった、こういうことであります。
  187. 竹本孫一

    ○竹本委員 国際金融局長おいででございますが、いま大臣からポイントだけを言われたわけですけれども、この問題をめぐって、一つはアメリカの立場、それからIMF自体の立場、それから途上国といったような国々の立場、それらをそれぞれどういうふうに見て理解すればよろしいか。  それからもう一つは、日本自体の立場を総論的にはいま大臣からお話がありましたけれども、あるいは途上国の立場に対する理解の面において、あるいはアメリカのわがままとは申しませんが、要求等について日本自身としてはどういうふうに評価し、どの点までが協力できるのかといったような問題について、見られたところの経緯を、参考になるような御意見があろうと思いますが、お聞かせを願いたい。
  188. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ただいま大臣が申されました創設の目的のところでございますが、現在ドルが基軸通貨である。これが、一国の通貨を基軸通貨にしていると、国際通貨の安定はなかなか図れないという認識、これは第一に、大臣がおっしゃったように、SDRを中心的な準備資産にする、育てていくという考え方、これは大体現段階の現実的な案ではないかということ、それから、そうすることによって、国際通貨情勢が安定するということ、これは、ただいまのアメリカなり日本の立場なりあるいは後進国の立場なり、それぞれ共通した利益になる点だろうと思います。それで、わが国の場合、ヨーロッパの各国はEMSの中に入っておりまして、比較的ドイツマルクにしても日本の場合と違って友達がおるわけでございますが、私どもの場合には、端的にドルとの関係でドルの動きの影響を非常に受けるというようなことがあるわけでございます。  それから、ただいま申しましたように、一国の通貨に基軸通貨を依存していることによって、変動があるということもこういうことから考えると、日本としては、できるだけこういうものができることが利益になるのではないかということは言えると思うわけでございます。アメリカの方から見ますと、ちょうどこのころ、余り理論的ではございません、ドルが非常に強くなっておったわけです。若干楽観論もあったのではないがと思います。したがってアメリカの専門家の間では、何とかしてこういうものをつくっていった方がアメリカの利益にもなるという認識は根底にあるわけでございますが、当面は、ちょうど二月の中旬ごろからずっとドルが強くなっていったわけです。そういうふうなことがあるものですから、小異を捨てて大同につくという竹下大蔵大臣の呼びかけに対してなかなかアメリカの方も寄ってこないというような事情がございました。  それから、後進国の方から見ますと、いまの、大臣がおっしゃいました、ファイナンシャルバランスと言っておるわけですが、金利の差とか、価値の差損とかというようなものを埋めるのにどういうふうな費用分担をやるかという場合に、金をどう使うかという問題があるわけでございますが、後進国も、金を使うことには必ずしも反対しないのですが、例のオイルマネーのリサイクルの問題で、IMFにSFFという補完的融資制度というような融資の制度があるわけでございますが、こういうようなものの金利をまけるためにそういうものを使えとか、あるいは代替勘定をつくるんならSDRを後進国にもっと分けろとか、独特の立場からのバーゲンのいろいろな意見があるわけでございます。それで、そういうような各国あるいはグループのいろいろな議論がありまして、結局、私の感じでは、ドルがいまも比較的強いわけでございますけれども、そういうようなことで若干昨年の二月から、二月の暫定委員会、それから九月の総会のときの暫定委員会のときよりも緊迫感が薄らいだというようなことから継続審議というような方向で決着したのではなかろうかと思います。コミュニケには明確に合意された部分もあるというふうに述べておりまして、読み上げてみますと、勘定の財務バランスの維持のための取り決めを含め、幾つかの解決さるべき問題が残っている点にも留意したということが書いてございますけれども、構想の多方面にわたる諸特徴につき暫定的な合意に達したことにも留意したというふうに、両方書いてございます。大体そんなところでございます。
  189. 竹本孫一

    ○竹本委員 この問題は、議論をしておると世界経済全体を論じなければならぬことになりますから、ぼくはもう五時にやめるという予定だったものだから余り深く入れませんが、ついでに伺っておきます。  一つは、アメリカのドルのたれ流しが六千億ドルと見るべきか八千億ドルと見るべきか、いろいろと意見もあるようですけれども、そういうドルが世界の通貨の安定を一番妨げておる、そういうことからまた代替勘定という構想も出てきたと思うのですけれども、そういう場合に、先ほど大臣からもお話がありました金利負担の問題にしても、あるいはその他の危険負担の問題にしても、アメリカが自分の責任で出していった、たれ流していったドルですから、アメリカが相当の責任を当然背負うべきであるという態度立場というものはもう少しはっきりすべきではないかと思います。その点はどうかということです。  それから第二点としては、ドルはこれから強くなるという説と安くなるという説といろいろある。日本の円もそうです、相関関係がありますから特にそうですが、全体として見れば、ドルが強くなる。先ほどもお話が出ましたが、余り強くなっても困るわけです。しかし、また弱くなり過ぎても困るのだが、見通しとしては、IMFその他を通じてごらんになったところ、ドルはより以上強くなるのか、あるいは弱くなる方向に見ておられるか、そういう感触がおありで、言えるならば承っておきたい。  と申しますのは、その六千億なり八千億ドルというものが、ドルがあるいは安くなるということでまた出てきて暴れ始めると、世界経済の通貨安定というものはほとんど不可能に近い。そういう心配の立場から、ドルの将来はどういうふうに見守っていけばよろしいかという点について、お考えがあれば承りたい。
  190. 竹下登

    竹下国務大臣 非常にむずかしい問題でございますが、まず最初の問題につきましては、アメリカがそれなりの責任においてリスクを負担すべきだというような主張は、日本はおおむねそういう線の主張でございます。  いま国金局長から述べましたのは、たまたまあの当時比較的ドル高の基調にあった、それが一つは若干のちゅうちょ、逡巡をした要因になったのじゃないかという気がいたします。その後の推移を見ますと、これは竹本先生承知のとおり、いま入りましたのが、きょうの終わり値が二百二十七円五十銭。そうしますと、これはおもしろい評価が書いてありますが、最初二百二十九円で寄りつきまして、きのうのロンドンの終わり値が二百二十六円六十五銭、ニューヨークが二百二十八円二十五銭。そこで最初は、サウジ原油価格引き上げ発表からドル全体に強含み、円も欧州の二百二十六円台からニューヨークでは二百二十八円台に下落、こういう寸評、評価をしました。いよいよ終わり値のところでは、サウジ原油値上げニュースの影響が言われたが、その後、意に介されなかった。意に介されなかった、市場が余りこのことに関心を示さなかったという意味でございます。  したがいまして、きょうは朝早くからECからお客さんが見えまして、いろいろないわゆるドルに対する見方を話しておりましたが、結論から言いますと、四月中旬以降、円とドイツマルクとスイスフランの主要通貨に対してドルは下落してきて、そうして米国経済が、政府の要人がどこかでそういう演説したとか、すなわちリセッションに入ったと宣言をしたとか、まあ宣言をしたしないは別といたしまして、そういう見方を受けて米国金利が急速に下落したということが主因であると思います。  相場の水準として、いまのところ先般米国が金融引き締め政策を強化する前の昨年十月の前半の水準にとどまっておるわけです。全部を見てみますと、まさにそういう傾向にございます。昨年の十月の前半の水準というものが二百二十九円五銭でございまして、それがずっと経過して、きょうはそのときに比べると〇・七ポイント円高になっておるわけであります。それをずっと調べてみますと、ドイツマルクもそのときに比べて〇・二ポイント、これが新しい、あしたまた少しどうなりますか。それから、スイスフランもその当時から比べてずっと改善をして、いまマイナス一・九というようなところまできておる。だから、相対的に三国の主要通貨に比較して、いまのところ十月前半の水準というようなところまできておる。したがって、いまの相場で直ちにドル危機だとは率直に言って言えないと思います。したがって、米国の金融引き締め策の浸透に伴って、それがインフレ抑制にどういう効果を上げていくか、そういうことがドルの安定につながって、ひいては国際通貨情勢の全体が安定していくという効果をいま期待しておる。だから、この現象だけを見てドル危機だ一ただ十月末に返ったというふうに理解すべきじゃないか、こういう感じでございます。
  191. 竹本孫一

    ○竹本委員 私は、大体円ドルのレートは二百二十円プラス・マイナス十円くらいのところに落ちついてほしいと個人的に思っているのです。幅は大体二十円くらいのところですね。たとえば百円上がってみたり、本当は下がっておるのかしらぬが、とにかく五十円また動いてみたりして余りにも動揺が激し過ぎるので、やはり国際通貨を論議される場において、どこへ抑えるかということは非常にむずかしいのだけれども、何よりもまず第一にフラクチュエーションの幅をもう少し圧縮することに対して各国の協力をもう少し合理的にシステム化する必要がありはしないかと思っておりますので、希望を申し述べておきます。  それから、いまの問題と若干関連しますが、ここで日本の金利水準を下げろ、まだ早いという二つの意見がある。いずれも財政にも経済にも円レートにも全部大きな影響がありますが、その点について、日銀の総裁は日銀総裁の立場でいろいろ言っているようですが、大蔵省として、あるいは財政立場としては、国債の問題も先ほど議論が出ましたけれども金利負担は少ないほどいいに決まってますが、いまどういう考え方でおられるか、結論だけで結構です。お伺いしたい。
  192. 米里恕

    米里政府委員 わが国の金利の問題でございますけれども、確かに、おっしゃるような最近の海外金利の動向あるいは為替相場の動向というものがございますが、先般第五次公定歩合引き上げを行いました基本的な考え方は、あくまでも物価中心という考え方でございます。卸売物価はなお依然として対前年同月比当たりは非常に高い水準にございますし、消費者物価はむしろある意味では四月以降卸売物価波及の影響というものがかなり懸念されるという状況にございますので、そういった物価情勢から考えまして、当分の間はやはり第五次公定歩合の効果の浸透状況を見守るべきではないかというふうに考えております。
  193. 竹本孫一

    ○竹本委員 これで終わりますが、これは要望ですが、いまの金利水準の問題、それから、これからサマーレビューも始まるという予算編成の問題について一口要望を申し上げておきたいのですが、要するに政治というものは、ぼくは昔からこの席でもよく言うのですが、政党性悪説を言ったりして皆さんにしかられる場合もあるのだけれども、やはり政治は選挙ということもあるし、また解散という説も出ているが、そういうようなわけで、政治的配慮というものはいろいろまた庶民の声も聞きながら考えなければならぬと思いますが、しかし、経済には経済の法則というものがある。したがいまして、政治の圧力や政治の単なる配慮だけから経済の基本原則を曲げてはならぬ、曲げるということはインフレへの道であり、財政で言えば財政の破綻の道であるという意味で、ひとつこれは大蔵大臣、最も新鮮な感覚で、国際的な感覚をつけて帰られたわけですから、なおさら基本の経済の原則というものは貫いてもらいたい。  金利の問題も、いま銀行局長がいろいろ言われましたけれども、やはり金利には金利一つの法則がありますから、余りわいわい言ったところで政治的にこれを決定しない方がよろしい。  それから、特に予算がこれからサマーレビューでありますので、これはきょうは数字は申し上げませんが、国債の発行を一兆円減らすか二兆円減らすかといった問題も含めて、この辺で日本財政の再建についてもう少しいままで以上に真剣に、深刻に問題を受けとめなければならぬではないか。第一、私はサマーレビューに対して希望するわけですが、予算というものは毎年ふえていかなければならぬという考えがぼくは間違っておると思うのですね。私はここでたびたび言いましたけれども、前年度に比べて二四、五%も予算を毎年毎年ふやしていった。あの辺から日本のインフレへの道が決定的になった。坂にも上りの坂もあれば下りの坂もある。そういうような意味で、予算だって伸びるときもあれば縮むときもあってよろしい。補正予算でふくらますときもあれば、実行予算で減らす場合もあってよろしい。ところが、日本は、いまの政党のあり方の問題とも関連しますが、とにかく予算というものはふやすばかりである。上り坂一本でいく。そして最後には谷底に一遍におっこちるようなことにならないように、これからのサマーレビューについてはいままで以上に厳しくやってもらいたい。そしてまた経済の原則、私はこの間もちょっとそういう失礼な言い方をしたけれども、いま不確実性の時代だなんて言われておりまして、何もかも確かに不確実だけれども、一番確実なことは日本の財政の危機だと思うのですね。これほど危ないものはない。しかも、これが破綻するということの確実性が一番強い。その点をいかに阻止するかということは竹下大蔵大臣の政治的手腕に対する非常な期待がかかっておるわけですから、その辺をひとつ厳重に対処していただきたい。  要望と、御意見もちょっと伺って終わりにいたします。
  194. 竹下登

    竹下国務大臣 まず最初の、竹本先生が個人的意見だがいわゆる二百二十プラス・マイナス十、こういうことをおっしゃいました。そういうワイダーバンドのような形の意見も私は傾聴に値する意見であると思います。  次の問題につきましては、先生がかねておっしゃっているいわゆる政党エゴイズム、そのよって支えられる背景の中でとかく政党エゴイズムというものが出て、経済の原則を歪曲することは私もわからないわけじゃございませんけれども、それだけに議会制民主主義の中でいろいろな政党が議論をし合って、それを是正して、結局チェック・アンド・バランスしているのではなかろうかというような感じもいたしますが、御意見については私も異論をはさむ考は全くございません。  それからサマーレビューにつきましては、確かに、不確実性、不透明性の時代の中において、確実なことは、老齢化社会がやってくるということ、そしてまた現在が公債依存度の高い財政危機であるということ、この厳粛な事実は踏まえて対応していかなければならないと思います。
  195. 竹本孫一

    ○竹本委員 終わります。
  196. 増岡博之

    増岡委員長 次回は、来る二十七日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会