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1980-04-18 第91回国会 衆議院 大蔵委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月十八日(金曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 増岡 博之君    理事 愛知 和男君 理事 稲村 利幸君    理事 高鳥  修君 理事 綿貫 民輔君    理事 佐藤 観樹君 理事 山田 耻目君    理事 坂口  力君 理事 正森 成二君    理事 竹本 孫一君       麻生 太郎君    浦野 烋興君       越智 伊平君    大村 襄治君       工藤  巖君    熊川 次男君       玉生 孝久君    中村正三郎君       西田  司君    林  義郎君       藤井 勝志君    坊  秀男君       村上 茂利君    毛利 松平君       山本 幸雄君    伊藤  茂君       沢田  広君    島田 琢郎君       塚田 庄平君    山田 芳治君       柴田  弘君    古川 雅司君       宮地 正介君    多田 光雄君       渡辺  貢君    玉置 一弥君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  小泉純一郎君         大蔵省主税局長 高橋  元君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君         資源エネルギー         庁次長     古田 徳昌君  委員外出席者         外務省経済協力         局政策課長   坂本重太郎君         通商産業省通商         政策局総務課長 新井 市彦君         通商産業省通商         政策局南アジア         東欧課長    諸富 忠男君         大蔵委員会調査         室長      葉林 勇樹委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   椎名 素夫君     工藤  巖君   白川 勝彦君     浦野 烋興君   山崎武三郎君     西田  司君   山中 貞則君     越智 伊平君 同日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     白川 勝彦君   越智 伊平君     山中 貞則君   工藤  巖君     椎名 素夫君   西田  司君     山崎武三郎君     ――――――――――――― 四月十六日  一般消費税新設反対に関する請願外五件(伊  藤茂紹介)(第四一七一号)  同外三件(小川国彦紹介)(第四一七二号)  同(近江巳記夫紹介)(第四一七三号)  同(木内良明紹介)(第四一七四号)  同外二件(佐藤観樹紹介)(第四一七五号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第四一七六号)  同外一件(島田琢郎紹介)(第四一七七号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四一七八号)  同(瀬野栄次郎紹介)(第四一七九号)  同外一件(塚田庄平紹介)(第四一八〇号)  同(寺前巖紹介)(第四一八一号)  同(則武真一紹介)(第四一八二号)  同(松本善明紹介)(第四一八三号)  同(山原健二郎紹介)(第四一八四号)  同外一件(渡部行雄紹介)(第四一八五号)  医業の税制改善に関する請願三浦久紹介)  (第四一八六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に  伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加  盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法  律案内閣提出第四三号)  電源開発促進税法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四〇号)  電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油  対策特別会計法の一部を改正する法律案内閣  提出第四一号)      ――――◇―――――
  2. 増岡博之

    増岡委員長 これより会議を開きます。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。伊藤茂君。
  3. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 議題となっておりますIMF世銀、第二世銀増資関連をして質問をいたします。  国際的に外交状態も非常に緊張を強めている不幸な状態でありますが、経済面でも多くの問題が山積をしているというふうなことではないだろうかと思います。また、そういう中で、いま増資の対象となっている三つ公的国際機関の果たす役割りもいろいろと新たな課題を背負っているということではないかと思います。  まず最初に、この三つ国際機関増資関連をして、それぞれ具体的なことをお伺いしたいと思います。  まず国際通貨基金の問題でありますが、今度は暫定委員会大臣出席をされるということで大変御苦労さまなことでございますが、最近の国際経済状態の中でいろいろ新たな課題を打開していかなければならないということではないかと思います。一般勘定の払い込みも今度の増貧が進行いたしますと相当大きな規模になってくるわけでありますが、最近のオイルマネーリサイクルの問題、これも順調にいかないと世界経済が半身不随になるという結果も生むわけでありまして、また非産油途上国国際収支の悪化の問題も深刻さを加えている。そういう中で、いろいろ伺いますと、公的機関としてのオイルマネーリサイクルへの取り組みの問題、代替勘定設定条件緩和保有金の売却などいろいろと話題になっているようでありますが、当面するこれらの主要な問題について、今度の大臣出席をされる会議の中で、また日本立場からの提起として、どういう展望を持った努力をされるのでしょうか。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 国会のお許しをいただきまして、またいま閣議でも御了解をいただきまして、二十二日に委員会が終了いたしました後、出席をさせていただくことになりました。  IMF暫定委員会でございますので、今日まで、従来からのいろいろ提起されております問題についての御報告が当然のこととしてあろうと思うわけであります。その御報告に対しての私ども立場としての意見を述べたりするような機会があるわけでございます。  いま御指摘になりましたオイルダラーの還流問題というものは、これはまさに最も関心の深い課題であろうというふうに考えておるところであります。これにつきましては二つの面があると思うのであります。一つはいわゆる非産油開発途上国へのリサイクリングをどうするかという問題、それからわれわれいわゆる先進国とでも申しますかのオイルダラーの問題、この二つの面に分かれた議論がなされるのではなかろうか。基本的には、先進国の問題につきましてはそれぞれの国の経済運営の物の考え方が基調になると思うのであります。私どもといたしましても、いま経常収支等から考えてみましても、オイルダラーを何らかの形で還流さす、わが国にとりましても重要な課題でございますので、十分これに対しては関心を持って対応していこう。それで、必ずしもこれはその場で決定されるという性格のものではございませんので、あるいは十カ国蔵相会議等におきましてはお互い意見交換の中に有益な方途が模索できるのではなかろうかというふうに期待をいたしておるところであります。そうしていま一つのいわゆる非産油開発途上国の問題につきましては、なかなか民間ベースだけでできる状態にはないようになっておりますので、これこそお互い議論の中で、あるいは公的措置等の中でもこれに対する配慮を行う方法が、私はかなり深い議論が行われていくではなかろうかというふうに期待をいたしておるところであります。  いずれにいたしましても、この国会等におきまして諸般の議論をいただきましたことを踏まえて、そしてわが国の国益に沿った発言をしなければならぬ。用意おさおさ怠りなしというところまでいっておるわけではございませんけれども、私なりに身を引き締めて対応していきたいというふうに考えております。
  5. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 関連して二つお伺いしますが、用意怠りなくはまことに結構でありますし、何とかしなければならない大きな国際的なひずみがあるわけでありますから、恐らくこれから、この暫定委員会などから始まるさまざまの国際会議を経て、サミットを頂点とする国際的な御相談の中でずっとこの問題は大きな焦点となっていくのではないだろうかというふうに思いますし、そういう意味で言いますと、オイルダラーの還流の問題、それから南北問題後発途上国現状、これらを含めた何か円滑にいく国際システムをどう考えるのかというふうなことについて継続的に、日本役割りがだんだん強まっているわけでありますから、国際的に積極的な提案をするような研究なり努力政府としても当然やっていることだろうし、あるべきだろうというふうにも思います。特にやがて近づいてくるサミットに向けての大きな課題でありますから、それらを関係省庁を含めてどういうふうに追求をしていくのか、アプローチをしていくのかという問題を一つお伺いしたい。  それからIMFの昨年、一昨年の状況、もう揚げ超になっているという状況のようでありまして、今日の国際通貨制度の当面する問題からすれば、条件緩和の問題とか、きょうも新聞報道されておりましたが、代替勘定設定とか、いろいろ当然やるべき改善策として考えられている。それだけで一体どうなるのか。去年の東京サミットでも、大平さん、一生懸命南北問題を提起なさったけれども現状はますます厳しくなっているというような状況でありまして、それは具体的な問題ですから、結論的には言えないと思いますが、方向づけとしてどうお考えになっているかということをあわせてお答えください。
  6. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 前段の御質問でございますが、リサイクルの問題につきましては幾つかの場がございます。一つIMF世銀の場、こういうような国際機関の場がございます。それからもう一つOECDとかサミットとか、こういうような場がございます。それからもう一つグループ専門家研究グループがございます。  それで、第一次のオイルショックの経験がございますので、各国いずれも第一回に比べますとあわてふためくというようなことがなくて、経験を積んだ上に立って、第一次とは比較して新しい困難な条件がございますので、そういうようなものを踏まえた検討がなされております。  第二に、それに関連いたしましてどういう議論がなされているかということでございますが、IMFにおきましては拡大融資制度というのがございますが、こういうようなものの貸付期間を延ばすというような議論がなされまして、今回の暫定委員会で決着を見ると思います。  それから補完融資制度というのがございます。国際収支が急に悪くなった場合に一般的なIMFの引き出しとは別に貸すというような制度がございますが、これの利子市中金利並みでございますので、そういうような利子を借りやすいようにするというような検討が進められております。  それから世銀におきましては、大体道路とか港湾とか、そういうプロジェクトに基づいて融資をするのが原則でございますが、従来ともプログラムローンというような言葉で言われておりますが、そういうプロジェクトと直接結びつかない融資を大体総貸付額の五%ぐらいの範囲でやっておったわけでございますが、そういうようなものをどうするかという議論、これも新聞に出ておりましたが、構造調整融資制度というものの議論がなされておりまして、合同開発委員会あるいは暫定委員会あるいはG10の場でそういうような議論がなされると思います。  それから第二の問題の方でございますが、IMFにおきましては、御指摘代替勘定、その詳細は省略させていただきますが、そういうようなものの設定に向かって努力を積み重ねております。昨年の春の暫定委員会におきまして、十月のIMF総会暫定委員会までにこういう勉強をしろという指示がございまして、その結果が昨年の十月の暫定委員会報告となってまとまったわけでございますが、その報告の中に、今度の春のハンブルクの暫定委員会に対してプログレスリポートを出せ、より進んだ検討を出すようにという指示がありまして、主としてIMF理事会中心にいたしまして検討がなされて幾つかの問題点がしぼられております。そして今回の暫定委員会大蔵大臣がお集まりになって、何らかの方向づけができればやろうではないかというような方向が出ております。  以上でございます。
  7. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 国際通貨制度関連をして、最近までアメリカを先頭とする高金利国際競争と言われてきたわけですが、頭打ち安定化というふうな状況もあらわれているようです。それとも関連をして、円安傾向なわけですが、国際金融局長、当面の見通しとして、国際高金利時代、それから円安傾向に歯どめがかかったというふうに見ておりますか。
  8. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ちょっと回顧してみますと、五十三年の十一月一日にドル安というような問題に対処して、アメリカに対して三百億ドルの通貨安定対策をとられたわけでございます。十月三十日には円が百七十六円とか七円とか、そういう状況にあったわけでございますが、その後相当さま変わりがあったわけでございます。昨年のIMFが終わりました前後、十月ぐらいから、主として油の問題を中心にいたしまして円が安くなっていったわけでございますが、本年に入りましてイラン、アフガンのような政治的な問題、それからアメリカのインフレに対抗する高金利の問題、こういうような問題でドイツマルクスイスフラン、円、それぞれ安くなっていったわけでございます。その中でも、円は、たとえば三月一日からきょうまでのところで、ドイツマルクなりスイスフランと比べますと安くなった割合は圧倒的に小さいわけでございます。要するに円が強いわけでございます。そういうような状況にございます。それで昨今、四月に入りましてからようやくアメリカ金利頭打ち感が出てまいったわけでございますが、レートを考えます場合に、これも価格でございますから、外の方の理由が半分、それから国内情勢が半分、大ざっぱに言いますとそんなような感じで私は考えております。外の方の状況が、主として円安に引っ張っていった理由アメリカ金利高ということにあった。それは円だけではなくて、ドイツマルクスイスフラン共連れになっていったわけでございますが、そういうようなものがアメリカ経済の変化が出てまいりまして金利頭打ち傾向に出てきたというようなことから、たとえばけさ九時半には四十八円六十銭くらいになっておりますが、大変ドルとの関係では円は安定してきております。そこから先の問題なのでございますが、ただいま申しましたように、外の方の理由は若干円に有利に働いてきておりますが、なお不確定要因といたしまして、イランなりソ連との関係の問題とか、主としてOPECの油政策価格政策の不確定要因がございます。それからアメリカ経済動向についての見通しについていろいろな見方があります。これも非常に見通すのが困難であります。  片やあとの半分の国内の方の情勢でございますが、これは財政金融物価、景気両にらみから物価の方にウエートをシフトされるような政策がとられてきております。そういう内外の情勢から考えますと、円の動向は、いま申しましたように幾つかの不確定要因がありますので何とも申し上げられませんが、当面はまあまあの情勢にあるのではなかろうかと考えております。
  9. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 IMF関係して、もう一つ中国加盟が前から話題となっておりましたが、けさ報道を見ますと承認をされる方向に進んでいるというふうにうかがえます。IMF中国加盟するというよりも、これは連動して世銀の問題に大きなウエートがあるということは言うまでもないことだろうと思います。私は、経済大国であり、しかも非常に近い隣国の関係ですから、経済の面ではむしろ先輩として、あるいは友国としていろいろの対応をするというふうなことが当然であろうと思いますが、この一、二年来の経過を見ましても、中国経済発展も、工業化近代化という意味から言えば、まだ低位にあることは彼らも認めているところであります。いろいろな問題がこれから出てくるでありましょう。これらIMFあるいは世銀というような関係の中で、これを受け入れるかどうかという問題、それから受け入れた場合にこれらに対してどう対応するのか。将来世銀加盟をして融資とかなった場合でも、指導、アドバイスその他いろいろな問題が当然制度としてあるわけであります。日本としてこの中国加盟IMFから世銀へという方向にどういう姿勢で対応されますか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 きょう新聞でごらんになったと思うのでありますが、私どもの方へも報告が入ったばかりというような状態でございます。  IMF理事会は、中華人民共和国政府IMFにおいて中国代表することを決定した。中国IMFにおけるクォータは五億五千万SDRである、こういうことが公式な見解でございます。  今後の進め方につきましては、これからいろいろIMF理事会等で協議されることでございましょうが、そのおおむねの世銀の問題、いろいろな問題がございます。これにつきましては国金局長の方からお答えを申し上げます。
  11. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 いま大臣が読み上げられましたのを昨晩遅くIMF事務当局から受け取りました。  これの考え方でございますが、私どもといたしましては、日中国交を正常化し、日中平和友好条約を締結しているということ、それからIMFは.国連専門機関でございまして、七一年十月の中国代表権問題に関する国連決議が尊重さるべきであるということ、それから中国IMF参加に際しましてIMFの協定上の義務を履行するという表明があったということで、今回の代表権交代には賛成をいたしました。  それから第二点の、今後IMF中心とする世銀、第二世銀あるいは国際金融公社、四つの機関姉妹機関としてあるわけでございますが、それらに対してどのように対処するかという点でございます。  世銀に対しましては、目下のところ正式な加盟の申し入れを行ったとは聞いておりませんので、現段階では見通しとして確たることを申し上げられません。それで、マクナマラ総裁が訪中したという報道がなされておりますが、私どもの理解しておる限りにおいては、世銀活動状況加盟国義務等についての説明を行うものであるというふうに承知しておりまして、訪中の結果等その後の世銀考え方については、ただいま申しましたようなことで現在のところ承知をいたしておりません。したがって、第二世銀につきましては世銀との関連でまだ中国側の意向の表明もございませんし、現段階ではそのようなことで御理解をいただきたいと思います。
  12. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これからどうなるかわからぬということですが、社会主義の国でこの中国の申請、台湾にかわるということになるわけでしょうが、それからベトナム、ルーマニア、アラブですか、国際社会の中で何しろ東西関係緩和という、あるいはデタントの方向という方に向けても貢献するような取り扱いをすべきではないだろうかというふうに思うところであります。  それから、世銀と第二世銀関係をして一つずつお伺いしたいのですが、世銀日本との関係で言えば、三十年代の高度成長期日本がお金が足りないときには大変世銀のお世話になってさまざまの社会設備などがつくられたわけでありますが、いまは主要な資金調達国一つになっているということであろうかと思います。どの程度資金調達役割りを果たしているのか。正式の出資額などについては当然はっきりしているわけでありますが、そのほか世銀債の購入とか、日銀の貸し付けとか、あるいは私募債などの形で発行されるものとか、いろいろな関係があるわけでありますが、大体この世銀資金調達日本はどの程度規模になっているのだろうかということが一つ。  それからIDAについてでありますが、これも南北の協調がなければ世界経済の順調な発展はないし、矛盾は深まる。しかし、最近の石油事情の中で、先進国の方は厳しいけれども輸出を拡大するなどで石油の値段の値上がりをカバーしていく。しかし、LDC、LLDCの後発途上国はどうしようもないしわ寄せがいく。そして構造的に貧乏な国はますます貧乏になっていく。しかも、世銀報告などを少し読みますと、国内的な格差も依然として先進国に比べても広がったままというふうな矛盾もあるようであります。これらの状態をどうしていくのかということは文字どおり他人事ではありませんし、特に日本からすれば、南北関係、非常に深い経済のかかわり合いを持っているわけであります。今度の増資関連をして、これら構造的な問題、困難な問題でありますけれども、より進んだ対応策をどう持つべきなのか。また、どういう議題用意され、どういう提言が今後なされていくのかという問題ですね。特に日本立場からすればこれらの問題の比重は他の先進国よりも大きいわけでございますから、私は気持ちとしては、これらの問題を打開する中期、長期のプログラムぐらいを勉強して作成をして、そして諸外国にもアドバイスをするというぐらいの役割りを果たすべきなのではないだろうかというふうに思いますが、そういう世銀と第二世銀のことについて一つずつお伺いいたします。
  13. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 まず世銀資金調達に関しましてわが国役割りはいかんという点でございますが、出資金につきまして申し上げますと、五二年にわが国世銀加盟したわけでございますが、累計で十三億五千三百万ドルの出資をしております。それでシェアで見ますと、日本が四・一四になっております。米、英、西独、フランスに次ぎまして五番になっております。今回、ただいま御提案しております法案がお認めをいただければ、出資シェアは五・二二と上がってまいります。  それから二番目には、出資金以外の資金協力の点でございますが、七九年の六月末の数字しかございませんが、世銀の総借入残高は二百六十三億米ドルでございます。この中で日本の分は三十九億八千万ドルと一五%を占めております。他国を見ますと、アメリカが三七%、ドイツが二七%、スイスフランが一七%になっております。日本役割りがこの数字から見まして相当なものであるということがわかると思います。  それから第二に、IDAが低所得国に対してどのような貢献をしておるかという点でございますが、低所得国輸出所得分債務返済デット・サービス・レーシオと言っておりますが、これはだんだん低下してきております。一九七〇年は一人当たりGNPが三百ドル以下のいわゆる低所得国、これが大体デット・サービス・レーシオが一二・四でございましたが、七七年には七・六に低下しております。この間、これらの国に対するIDA融資は六億ドルから二十九億ドルと約五倍に増加しております。それでただいまのIDAの低所得国に対する貢献の問題でございますが、このような数字から見ても相当貢献をしておるところでございます。  それから第三点の後進国開発あるいは民生安定にわが国として何らかの提案をするということはどう思うかという御質問でございますが、これはIMFなり世銀なり、そういうような場におきまして日本国任命理事が出ております。そういう場で適宜議論に応じましてわれわれと連絡しながら日本意見を述べております。こういう場が一つあります。それからOECDなどにおきましても南北問題についての議論の場がございますが、そういう場合におきましてもわれわれの方の代表意見を出しております。  ちなみに申しますと、そういうような最近時点における低開発国経済発展なり民生安定について西独ブラント国連から委託を受けまして、御承知ブラント報告がまとまりまして、この秋の国連総会に向けてさらにいろいろな議論がなされております。別途、われわれといたしましては、そういう世界全体の経済がうまくいかなければ、貿易立国でやっております日本としては今後いろいろな苦しい問題が出てくるわけでございますので、そういう角度から国際関係の安定とか、あるいは低開発国の民生安定とか、あるいは経済発展とか、あるいは人材養成とか、そういう面についてわれわれの経験がそういう国に役に立つのではないかというような角度から、いろいろな提案をそういう場でいたすと同時に、いろいろな国際会議の場を通じましてそういうような発言をいたしております。もちろん、いろいろなそういう問題は日夜検討をし、勉強をしているところでございます。
  14. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう一つ具体的な問題で、これはむしろ外務省でしょうけれども、大蔵省もわかると思いますから伺いますが、ODAの問題です。いままで、福田さんが総理のときなどを含めていろいろな議論がなされまして、三年倍増、ドルベースか円ベースか、それから量と質両面でDAC平均に及ばず、OECD加盟国などでも落第生というような状態から何とか及第するように努力しようということが言われてきたわけでございますが、五十五年度予算の執行が順当にいけばこの計画がドルベースでは達成される見込みであるとか言われていますが、量の問題と質の問題で、国際的にも公約をされてきたわけでありますけれども、アンタイイングの問題あるいはグラントエレメントその他、質の問題を含めて、今年度の計画の執行では一体どういう見通しになりますか。
  15. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 五十四年度の数字がまだ出ておりませんので決算ベースではわかりませんが、暦年でございますが五十二年の基準年次が大体十四億二千四百万ドルでございました。これを五十五年に二十八億四千八百万ドル、倍にできるかどうかという御質問だと思うのでございますが、五十五年度のODAの事業予算が八千四百二億円でございます。米ドルのレートがいろいろありますが、ざっと二百五十円で割り戻してみますと、この二十八億四千八百万ドルは、執行率の問題がその間に入るわけでありますが、大体確実に達成可能ではないかと見ております。  それから、質の点はどうかという御質問でございますが、たとえば七六年にグラントエレメントが七四・九でございましたが、七八年には七五と、ほんのわずかではないかということもございますけれども、だんだんとグラントエレメントの増大について配慮がなされてきております。
  16. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いままでいろいろな具体的な問題を伺いましたが、それで実は考えるわけでありますけれどもIMF増資もなされる、それから世銀、第二世銀増資、あるいは資金調達の面でも日本は大きなウエートを増している。マクナマラ総裁もその発言の中で、シェアとボートの面では決まっているけれども資金調達全体の貢献度は日本は非常に高いということを感謝を込めて発言をされているようであります。またODAの面でもGNP第二位の国としてふさわしいかどうかといえばまだ問題も多いわけでありますが、世界の先進国の落第生と言われた状態から何とか及第点を目指して努力をしていこうということになっているのだと思います。そういう努力方向づけを一体どっちに持っていくのか。というのは、最近国際情勢もアフガン問題、イランの問題、その他非常に緊張を増しているという大変不幸な状態でありますし、日本がこれにどう対応するのかということも大きな問題であります。私、見ますと、最近の進行状況は非常に憂慮にたえない気持ちがいたしますし、多くの国民が、さらに緊張が深まる、あるいは日本が軍事大国を目指していくという方向に危惧の念を抱いていると思います。そういう中での日本の海外経済関係あるいは海外経済協力のあり方ということが一つ問題ではないだろうか。  この一年ぐらいいろいろと報道されたものをこのところ拾ってみたのですが、たとえば中越紛争に関連してベトナム援助の凍結、それからアフガン問題その他を含めてパキスタンへの援助の強化、前からのASEAN重視、ASEANの中もなかなか統一しないようでありますが、最近は国際的な緊張の問題とも兼ね合ってトルコへの援助を急遽拡大をするというようなことでありますし、後でまた伺いますが、イラン問題も何かカーターさんの大統領選挙に協力するかのようにいろいろと制裁その他それに従っていくというふうな傾向もあるし、それから対ソ制裁の問題、韓国との関係の問題はもう年来言われてきたことでありますから改めて言うこともないわけでありますが、日本の海外経済協力の話題となるようなことをずっと拾ってみますと、何か緊張が激しくなる、あるいは日本の外交方針、それから防衛力強化みたいな方向と軌を一にして進んでいるのではないだろうか、そういう懸念が私は非常にするわけでありまして、金額の面その他で日本ウエートが高まるけれども、一体どういう姿勢と方向づけで進んでいくのかということが大きな問題ではないだろうかと思います。  私は会議などで、前の西ドイツの首相であったブラントさんの話などを二年か三年に一遍ぐらい聞くわけでありますけれども、また、書いたものなどを読みましても、私は非常にりっぱな人であり、内容だということを感ずるわけでありまして、平和の哲学といいますか、そういうものを持ちながら、東西関係の面でも外交面でもヨーロッパの安全保障その他歴史に残る大きな努力をされましたし、最近は世銀グループマクナマラ総裁の委嘱によって、個人的な諮問機関ということのようでありますが、ブラントさんが、特にヨーロッパを中心とした総理経験者その他ハイレベルの方々に集まっていただいて、いろいろな検討をしたりなさっているようであります。そういう中で、これから新しい国際的な経済秩序をどう展望するのか、南北問題についても、いますぐ実現の現実的可能性があるかどうかは別として、南北サミットというふうな提唱とか、いろいろな積極的な提言もなさっているようであります。出版されましたらぜひ私も読んでみたいと思っているのですが、そういうブラントさんの話などを聞きますと、最近の状況は一体どうなんだろうかという気持ちが非常にするわけであります。  それで、まず最初に具体的な問題の前に、私は外交政策と海外経済関係というものは完全に分離されたものではもちろんないだろうとは思います。しかし、外交面でも日本は平和国家、平和憲法ですから、こっちの方に向けていくのが当然第一義的な努力であろうと思いますし、経済の面でも、外交とか防衛政策に追随をする方向ではなくして、経済協力を通じてデタントの方向努力をしていく。特に日本は資源のない国でありますから、日本のよっていく道は平和という方向しかないというのは、これは厳然たる事実ではないだろうか。最近の経済協力に関係をするさっき申し上げた一連の問題を見ますと、そういう危惧の念を深くするわけであります。  それから、大臣もこの間、防衛費の問題についても財政再建が第一義的に重要であるというようなことを質問に対して強調されておりましたが、きのうきょうのニュースなどを見ましても、訪米に向けて何か防衛力増強の方向に、またカーターの期待にこたえるように一歩踏み込んでいくという方向への世論操作とも受けとめられるような発言をされているというふうなわけでありまして、財政再建、国民生活擁護が第一であるというふうに当委員会で強調された大臣の姿勢を、閣内でも第一番の実力を持たれる大蔵大臣のポストでございますから、もっと強力に主張していただきたいというふうな気持ちもいたします。具体的な問題の前に、こういう不幸な国際緊張が高まろうとする中で、経済における国際関係あるいは対外経済協力、緊張を緩和する方向に持っていくというのか、あるいは国の方針だから当面の政策に従って次々とお金の面でもやらなければならないということなのか、その辺どういうお気持ちを大臣お持ちでございましょう。
  17. 竹下登

    竹下国務大臣 当然のことといたしまして、海外経済協力というものは先進国としての果たさなければならない重大なる使命の一つであります。しかし、基本的には途上国の自助努力というものをどのように支援していくかということに態度としてはあるべきであると思います。そして、その自助努力をいかにして支援していくかということが、それがまた日本の国益にもつながるものであらねばならぬし、ひいては世界経済全体の安定につながっていくべきものである。これが海外経済協力というもののわが国のとるべき基本的な姿勢ではなかろうかと思っております。  そこで、具体的ないろいろな問題がございますけれども、私は必ずしも今日いわゆる日本のエゴイズムとでも申しましょうか、日本独自の――国益ということは当然考えなければならぬわけでございますけれども方向そのものが非常に従来指摘されたような形からは脱却しつつあるのじゃないか。いまいろいろな御意見を交えての御質問でございましたが、確かにASEAN重視とでも申しましょうか、どういたしましても近い国というものはそういう立場に置かれるわけでございますけれども、先般のトルコの問題等を考えましても、ただ自分の近周りということではなく、やはり世界全体というような一つ考え方のあらわれがそこに出てきたのではなかろうか。  先ほど来西ドイツ経済援助政策に対する評価もございましたが、西ドイツ等が評価されておる点は、たとえばパキスタン、ASEAN諸国に対してもそれなりの協力がなされておる。すなわち近周りだけではないというような方向にこれから進んでいくのではなかろうかというふうに思います。御指摘のとおり、経済協力というようなものはその国の自助努力に対していかにして支援していくか、そしてそれがデタントにつながっていくものであるということが最も好ましい方向であると思っております。したがっていま対ソでございますとか、あるいは対アフガンでございますとか、先ほど御指摘がありましたベトナムの問題でありますとか、いろいろな問題が出ておりますが、それはやはり国際的な立場の中でわが国の国益なり世界経済全体の動向なりを勘案しながら対応していくべきものである。基本的に経済協力というものはその国の自助努力をいかにして支援するか、そしてそれがまさにデタントにつながるものであることが好ましいということは私ども意見としては同意見でございます。
  18. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 一般論の議論をするつもりはございませんけれども、何か国際経済関係も非常にむずかしいときだ。それから戦争と平和をめぐる条件も不幸にして非常に緊迫してきている。しかもなお危険な方向に流れが進もうとしているということに非常に憂慮を感ずるわけでありまして、やはり日本国際経済協力の面でも平和共存の方向を目指して、あるいは国際的に新しい秩序で発展をする。マクナマラ総裁も前のレポートで強調されておりましたが、絶対的貧困というものをどうなくしていくのか、片っ方に発展があり、片っ方により貧困があるという構造をなくしていく。何か特に日本が置かれている立場からしたら、そういう理念的なものを含めて政策を展開するぐらいの勢いで大臣も、またお役所の皆さんも対応するということが必要であるのではないだろうかという気が非常にするところであります。そういう中でちょっと目立って心配な問題があります。  通産省の方に、恐縮ですが簡単に考え方を伺いたいのですが、一つは最近のイランの問題。アメリカイラン関係は思いがけないほどまた緊張した状態になりまして、けさ新聞にもアメリカがさらに制裁を強化するという中身などが報道されておりますし、同盟国に対する要望も強まっている。日本の場合には率直に言って先般までは全輸入量の一〇%以上イラン石油を買っているということがありますから、当然、友好国としてイランとの関係を持ちたい。しかし、アメリカのごきげんも損じないようにしたいという板ばさみの気持ちもあるのだと思いますが、全体の方向としてはアメリカの要望に沿う方に流されている。日本の国益というのか、あるいは日本経済を守っていくというのか、そういう意味からすれば、むしろ逆の方向に流されているのではないだろうかという気がいたします。現実の問題としてこういう方向にこれが行った場合に、先般、石油需給見通しなどの経過も発表されたようでありますが、こういうことによって一体どういう影響を受けるのか、足りない分はアメリカに別に頼みましょうなんという話も通産大臣から言われておりましたが、全く自主性がない姿勢ではないだろうか。  それから、前から話題となっている三井グループイラン石油化学プロジェクト建設、政府出資二百億、開発基金で残りを用意されているわけであります。こんなことでもこのいざこざの中でどう延びていくのか、そのうち建設途上でスクラップになってしまうのではないだろうかという心配さえ出てくるような状況ではないだろうかというようなことを思うわけでありまして、もっと日本の主体性に基づいた態度を強調すべきではないか。アメリカに行ったら総理がいろいろと言われて帰るというのではなくて、率直に国際世論に日本立場を主張するというぐらいの面があっていいのではないだろうか。ヨーロッパの諸国に比べてもいじらしいほど日本は協力しているという状況ではないかと私は思います。理屈は別にして、どういう状況見通しになるのかということだけ通産省の方から経過を聞きたいと思います。
  19. 新井市彦

    ○新井説明員 先生御指摘の件でございますが、イラン関係、現存人質問題がございますが、今日まで解決が遅延しておりまして、これは非常に残念なことだというふうに思っておるわけであります。また、この人質問題は国際法に対する重大な違反であるということで、こういう観点からアメリカが次々にいろいろな措置をとってきているということは理解できるというふうに思っておるわけでございます。しかしながら、先生もちょっとおっしゃいましたように、わが国は原油輸入の一〇%余りをイランに依存しておりますし、さらにまたIJPC等重要プロジェクトを継続しておるということでもございますし、同国との友好関係を今後とも継続していきたいというふうに考えておるわけであります。  今後どうするかということでございますけれどもわが国といたしましては、事態の推移を見きわめつつEC等の友好国とも協調して対処していくということを検討しております。いずれにいたしましても、わが国といたしましては、国際社会に対する責任、わが国の国益といった方向を踏まえつつわが国の独自の判断に基づいて決定していくというのが今後の方向かと思います。
  20. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 もう一つ、ソ連に関係をして伺いたいのですが、アフガン以降、ソ連経済制裁などなどの同じような論理での動きになっているわけであります。院の決議もございましたけれども、私どももちろんアフガニスタンに対するソ連の侵入は容認することはできません。それに対応してとっている日本経済面での動きというのが、果たして一体どういう役割りか効果を持っているのか。ヨーロッパの諸国と比べてみても非常に疑問に思うわけであります。  これも御案内のとおりに、シベリア開発プロジェクト中心にして新規のプロジェクト供与をストップする、それから進行中のプロジェクトへの追加融資も中止をする、またほかの要素を見ながら新たな措置を考えていこうというふうな二月段階からの方針できているわけでありますが、最近いろいろ聞きますと、新聞でも報道されておりますが、また経済誌の論評でも言っておるわけでありますけれども、たとえばこの石油掘削設備プラントなどについてバンクローンがだめになりクレジットの供与がだめになったので、日本との契約はむずかしくなった。三菱重工ですか、三カ月待ってほしいと頼んだようですが、結局フランスにこの契約が振りかえになったという話を聞いております。それから大口径パイプとかトラクターとか相当多額の契約が進行していたようでありますが、たとえばトラクターなどについても、これも西ドイツに振りかわるとか、大口径パイプなどは日本でしかできないものもありますけれども、そうでないものについては、たとえば西ドイツがすでにオプション契約を進めているとか、国際的に共同歩調で経済制裁というたてまえであったんでありましょうけれども、実際には聞くところによりますと、一月下旬、二月の段階でフランスとソ連はこれらの契約に関係をしてゼネラルローンの新規交渉を基本的に合意をしているとか、ドイツなどでも大口径鋼管についてのバンクローンについての合意をしているなどとも伝えられているわけであります。そういたしますと、結局、日本アメリカに義理立てをしてさまざまの対策をとる。ところが、ヨーロッパの国が肩がわりをしてこの契約をとる。一体、制裁されているのはどっちなんだろうか。結局、日本がいろいろの経済関係で損をしたという事実だけが残るという現象が起こっているんではないだろうか。アメリカ自体にしても、食糧問題を含め、やっている措置が一体これはカーターの言うとおりに効果があるのか、あるいは逆目に出ているのかというふうな論評もあるわけであります。  また、こんなことをやっている中で、昨年財界首脳部も大挙参加して開かれた日ソ合同委員会の計画なども、全部バンクローンがだめでありますから、すべてストップをしている。こんなことを言ったら大体十五年ぐらいおくれて、しかも西欧資本主義国にそのシェアを取られてしまうということが固定をする、大変変な回りめぐりになるということが指摘をされているわけであります。こういうこともよく考えてやらなければならぬと思いますが、その辺もう時間もありませんから、ちょっと簡単にお答えください。
  21. 諸富忠男

    ○諸富説明員 お答えいたします。  アフガニスタン問題の発生の後、日本とソ連との貿易関係でございますが、先生御承知のように、一般の通常貿易については特段の変化なしに順調に進んでいるところでございます。  また、御指摘の大型の信用供与案件、こういったものにつきましては、わが国といたしましては西欧諸国との共同歩調をとっていくという基本的枠組みの中でケース・バイ・ケースで対処するというふうな方針で処理しているわけでございます。  それで、先生御指摘わが国が受注をしたプラント等につきまして西欧諸国が逆転受注をするというふうなケースにつきましては、私どもそういう事実は聞いてございません。  それで、今後でございますが、日ソ経済関係がいわゆる日本とソ連との一般的な関係の中に果たしている役割りというものが非常に大きくございます。こういう点を私ども十分に留意いたしまして、アフガニスタン問題そのものの事態の推移あるいはヨーロッパ諸国の動き等を見きわめながら、また日本の広い国益の見地に立ってわが国対応を今後とも考えながら対処してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  22. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間がありませんから、それ以上具体的な問題は聞きませんが、私の聞いておるのとずいぶん違います。やはりこれらの問題に対する日本対応、それからフランス、ドイツなどの対応、非常に違った対応現象が生まれているのが事実だろうと思います。  それからクレジットの供与という面での規制が現実にはなされているわけでございますが、それだけではなくてサプライズ、ローンの面でも起こっているいろいろな問題があるわけでございます。これらの問題につきまして政府レベルでも見通しのある、また国益を害しない、主体性のある対応ということを、こういう国際情勢ですから、他に流されることなく考えていただきたい。  最後に、一つだけ質問をさせていただきたいのですが、これは最近産油国向けの国債売却の問題、いろいろと報道されております。前に日本経済新聞などの報道では月間五百億ぐらいのベースでとか、政府、大蔵省、日銀含めて相談をしているとか、あるいは関係者を派遣して相談するとか、しているとか、あるいは先般も月間二億ドルぐらいのベースで考えていくとか、また理財局長のインタビューなどを見ますと、非常にその方向は結構なことであって歓迎すべき方向であるというようなことも言われております。  それで質問ですが、いまそういう金融面での、あるいは公社債など債券の面でのオイルマネーリサイクルという、直接還流、間接還流ありますから、計数的につかまえられないというふうには思いますが、直接還流の面について傾向としてどういうようにごらんになっているのかということが一つ。  それから相当大きな規模で、伝えられているような月間五百億円とか二億ドルとか、国債発行量全体に照らして見ても大きな量になるわけでございまして、それらを現実、具体的にすでに交渉なさっているのか、あるいはどういう展望を持っているのか。  それから産油国向けの直接国債発行という新聞報道もちょっとございましたが、そういうことも構想されているのかどうか。私はオイルマネーリサイクルというのは日本がいろいろいい関係をつくる意味で必要なことだろうと思います。ただ、国内で先般来議論になってまいりましたように、国債が売れない。OPECの方へ売れれば順調に予算で決められた国債の発行ができる、出口を求めるということでは財政再建上から言っていかがかという面もあると思います。それは私の気持ちでありますが、具体的に産油国と国債という問題について御説明をいただきたい。
  23. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 冒頭の御質問にございまして、大臣が御答弁になりましたが、私どもといたしましてはオイルダラーの還流に関します国際協調というような観点から、日本の国債がこれらの余裕資金を持っている国に消化されるということは大きな関心事でございます。  それで、最初に計数的にどういう傾向にあるかという問題でございますが、毎月国際金融局の方で発表しております非居住者によります対日証券投資というものがございますが、十二月の段階で約千二百億、一月に千億、二月に千二百億、三月は計数がまだまとまっておりませんが、十二月の前の各月に比べますと、相当大きなものになっております。これはもちろん流出入のネット額でございます。中身は、株式とか公社債、受益証券になっておりますが、その中に日本の国債が幾ら入っているかということ、それからもう一つは、いわゆるオイルダラーが幾ら買ってくれているかということ、こういう点になりますと、しばしば御質問を受けておるわけなんでございますが、金に色がついていないものですからなかなかわかりにくい。相手もダミーを使ったり、いろいろなことがございまして、具体的にはわかりづらいわけでございますが、こういう数字から見ますと、相当のものがあるのではないかと考えます。  それから第三点に、そういうものについてどういう道具立てを考えるかという問題を御指摘になっておるわけでございますが、たとえば三月の二日に円レートの安定対策といたしまして、アメリカ、西欧、スイスとの間の協調行動ということの一環といたしまして、四つの項目を掲げたわけでございますが、あれはそれぞれ余裕資金を持っている国に対してそういうような投資対象を提供できるのではないかという角度から考えたわけでございます。あの中に御指摘の国債は入っておりませんが、国債につきましては、いま申しましたように、最近時点における公社債の対日投資の数字がかなり大きくふえておりますので、そういう中で行われているのではないかと推測しております。  それから、日銀に関する記事でございますが、これは中央銀行同士の取引でございまして、私どもと密接な連携のもとにやってはおりますが、相手国側の問題等々がございまして、目下のところ具体的な御答弁を差し控えさしていただいております。  それから、日本の国債をOPEC等の余裕資金を持っている国に直接発行することについてどうであるかという御質問でございます。これは、率直に申して、国際金融局の領域ではないのでございますが、私どもとしても大きな関心を持っておりますが、目下のところは具体的なコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
  24. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 これで質問を終わりますが、大臣、二日だけ。とにかくこういう内外情勢ですから、日本経済面での諸外国との関係、あるいは経済協力が緊張激化に協力しないように、緊張緩和の方に貢献するように、大蔵省としてもぜひ配慮していただきたいと思います。
  25. 増岡博之

    増岡委員長 正森成二君。
  26. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私から、本法案について若干の問題を聞かしていただきます。  いま伊藤委員からも御質問がございましたが、中華人民共和国がIMFに正式加盟ということが報ぜられております。そこで、その問題について若干伺いたいと思います。すでに国金局長等からお答えになった点があるかと思いますが、重ねて伺いたいと思います。  まず第一に、今度中国加盟いたしますのについて、中華民国、台湾でございますが、これのIMF世銀に対する債権債務の承継がどうなったのか。それから、私の存じておりますところでは、経済統計の整備、公開、あるいはIMFによる経済審査の受け入れ義務、あるいは世銀によるプロジェクト審査のための資料提供義務、こういうような問題の解決が世銀から融資を受けるためには必要であるというように通常言われております。これらの点について、正式加盟ということになりますと、中国義務を引き受けたのかどうか、あるいはその点について何らかの解決がされたのかどうか、伺っておきたいと思います。
  27. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 最初の方の問題でございますが、台湾は、このたびの代表権交代に関する理事会決定に先立ちまして、IMFとの間にございます債権債務関係を整理したというふうに聞いております。  それから、後の方の問題でございますが、当然のことながら、IMF協定の中に御指摘のような、コンサルテーションに応ずるとか、あるいはIFSというIMFの統計がございますが、それらのもろもろの資料提出というような、義務の中にそういうものがございます。これらにつきましては、IMF事務当局が先般北京に行きまして、北京との間で、IMFに入るにはこういう義務があるよ、それからこういう統計が要るんだよという説明をやったやに聞いております。その席上の報告に基づきまして、先ほど大臣が申されましたIMF代表権交代というのが正式に決まったわけでございますので、私どもといたしましては、中国政府がそういうようなIMF義務を履行するというふうに理解しております。
  28. 正森成二

    ○正森委員 中華人民共和国は、言うまでもなく、みずからはまだ非常に貧しい国であり、第三世界に属すると言っております。しかし、非常な大国であることは事実であり、これは大きな影響を持つというように思っておりますが、一部には、中国が今度IMF加盟するのになりましては、恐らく、中国の資金需要から言いまして、IDA、第二世銀の主要な融資対象国になるのではないか。そしてまた、そのことによって、中国の資金需要というのは非常に大きいから、逆に第三世界あるいは発展途上国の中には、先進西側国の資金が中国に集中する結果、資金不足に陥るのではないかというような懸念があるようですが、そういう点について、わが国ではどう見ておりますか。
  29. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 御指摘のような意見なり、そういうようなことがあることは事実でございます。私どもといたしましては、現段階におきまして、IMF代表権交代がまず片づいた、そうしますと、当然に世銀、第二世銀、そういう問題が出てまいることは予想いたしますが、中国政府は、目下のところ、世銀に対して正式な加盟の申し入れを行ったというふうに聞いておりません。それで、これも同じく、先般マクナマラ総裁中国に行って、IMFの場合と同様、世銀に入るにはどういう義務があるかというような説明会をやったやに聞いておりますが、現段階におきましては、そういうような段階にございますので、大変恐縮でございますが、御質問に端的にお答えできない段階でございます。
  30. 正森成二

    ○正森委員 それでは後ほどまた触れさせていただくとして、これから若干法案の技術的な問題について御質問をしたいと思います。  まず第一に、IMF一般勘定の資金利状況についてごく簡潔に伺いたいと思います。四つに分けまして、一九七九年末現在で加盟国全体で資金利用はどのぐらいか、それを先進工業国とその他の先進工業国、開発途上国、こういうように分けてお答えを願いたいと思います。国の名前は要りません。
  31. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 先進工業国が八億一千二百万SDRでございます。それからその他の先進国が二十二億一千五百万SDRでございます。三番目の開発途上国でございますが、四十八億四千七百万SDRでございます。全体では七十九億七千五百万SDRでございます。     〔委員長退席、稲村(利)委員長代理着席〕  ちなみにウエートを申しますと、全体の七十九億七千五百万SDRを一〇〇にいたしますと、先進工業国が一〇・二%、その他の先進国が二九%、開発途上国が六〇・八%になっております。
  32. 正森成二

    ○正森委員 いま資金利状況を聞かせていただきましたが、総計で七十九億七千五百万SDR、それから一番必要とするであろう開発途上国が四十八億四千七百万SDR、こういうように伺いました。  そこで、私はかねがね疑問に思っているのですが、今般は、資金規模を現行の約三百九十億特別引出権から約五百八十六億特別引出権へ五〇%増額するのですね。ところがもともと三百九十億あるのに、七九年末の資金利状況を見ますと、大体五分の一程度であるということになっておるのです。これはいかなる事情によるものであろうか、私は私なりに考えておりますが、政府としてはどういうように考えておられるか、御説明願います。
  33. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 当然のことながら、三百九十億SDRというのはそのまま流動性を持って貸し付けに充てられない性格のものでございますので、そうなっております。
  34. 正森成二

    ○正森委員 いま簡単に答えていただいたのですが、それは本当の答えじゃなしに、Aの言い方をBの言い方に変えた答えなんですね。だから、もし本当にお答えいただくとすれば、流動性を持っておらないものであるとお答えになったが、それはなぜなのかということをやはりわかるように説明をしていただきたいと思います。
  35. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 例のリザーブトランシュ、それから一、二、三、四のクレジットトランシュ、ああいう当然御承知のような仕掛けになっておりまして、自分で自由に引っ張れるリザブトランシュ、これは簡単なのでございますが、一、二、三、四と上っていくに従って、コンディショナリティーやそれぞれの国の必要額等との対比で使われるわけでございます。それから、どういう通貨を使うかということも関連してくるわけでございまして、決して使わせないようにしているわけではなくて、国際的な協定の上でそういうふうな仕掛けになっておるわけでございます。
  36. 正森成二

    ○正森委員 つまり、国金局長が言われましたように、割り当て額のうち四分の一は通常、金で出資いたしますから、この範囲内ならゴールドトランシュといって無条件で借り出すことができる。しかしながら、それを超えてある国の外貨が欲しいというような場合には、最初の二五%までは無条件だけれども、特別の例外を除いて、それを超えるごとに――二〇〇%が限度でございましたか、そうすると、結局一二五%しか借りられない。しかもゴールドトランシュを使ってしまったら、第一、第二、第三、第四クレジットトランシュというのですか、それについては、引き出しの申し込みに当たって加盟国経済情勢政策についてIMFの審査が行われる、こういうのが原則なんですね。したがって、実際上は四分の一までは無条件に借り出すことができるから、各国とも借り出すのだけれども、それ以上になると、自主権を侵害すると言えば行き過ぎになるかもしれませんが、他国にとっては決して好ましくない、経済情勢政策についてIMFの審査が行われるということで、実際上資金を利用することができないようになっている。同時に、各国の割り当て額の最大限二〇〇%、つまりそのうちで使えるのが一二五%ということになりますと、これは割り当て額に左右されますし、本当に必要な国は割り当て額が少のうございますから、全部借りたところで知れているということになってくる。二つの制約があると思うのです。これをやはりある意味では解決いたしませんと、IMFIMFとしての本来の機能を果たすことができなくなって、それを何らかの他の機関に順次肩がわりさせていくということにならざるを得ないのですね。ですから、これらの点については途上国からも非常に不満が出ているというように私は思っておりますが、だからこそ新国際経済秩序というようなことも言われるわけです。わが国としては非常に大きな発言権を得つつあるというように全体としては思うわけです。こういう問題についてはやはり途上国の意見に耳を傾けて改善の方向を出していかなければならないと思うのですが、いかがですか。
  37. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 最初に、最近の石油値上がりで各国が国際収支の赤字に逢着しておる、それをめぐりまして御質問関連した基本的な考え方議論がなされております。これはファイナンスとアジャストメントということなんですが、わが国の場合も、率直に申して国内も借金、対外も借金で、当座は借金でつながざるを得ない。それで、ファイナンスという問題で、それをどうやるかという議論が片一方でなされております。ただ、一体それをいつまで続けられるのか、どうやってやっていくのか、そこでアジャストメントという議論が出てきておるわけであります。アジャストメントの内容は、ざっくばらんに申して、エネルギーの節約あるいは経済活動のダウンでありますが、そういうことをやらなければ借金は返せないわけですよ。そういう議論がいま非常に大きな問題になっています。  IMFの場合でございますが、借金をする以上、当然に、その借金をどうやって立て直すのかと、国内政策に介入してくるわけでございます。これを職場言葉でコンディショナリティーと彼らは言っておるわけでございます。たとえば先般のポンド危機のときに、イギリスはIMFから金を借りたわけでございますが、いろいろ小うるさく政策について注文がつく。そうすると、そういうのを見ていて、あそこから借りるのはとてもじゃないという雰囲気があるのかどうかということでございますが、片一方では、借金する以上、その借金をどうやって返すのか、それでなければみんなが迷惑することになるわけでございますから、そういう意味においてIMFのコンディショナリティーというのはそう簡単に――経済政策を人の借金でどんどん高めていくということをやる、そういうエゴイズムに立った経済政策をやっている国に対して、にもかかわらずIMFがどんどん金を貸してやるというような議論は、国際場裏で余りマジョリティーの意見にはなっておりません。御指摘のとおりでございます。しかしながら、片や、世界情勢がいろいろ変わっていくという議論が当然あるわけでございます。御指摘のような点が問題になっておりまして、たとえばコンディショナリティーにつきまして、後進国側から御指摘のような問題があります。それで理事会などで相当活発な議論がなされまして、昨年の三月に、たとえばスタンドバイの取り決めをやる場合、スタンドバイの取り決めの説明は省略しますが、これを一年でやっておるわけですが、必要があれば三年まで延ばすとか、それから基金がいまのアジャストメントを求めるわけですが、その場合に相手国の意見をいままでよりはよけい聞こうというようなこととか、それからどういうふうな政策をとれというポリシーのクライテリアを示すわけでありますが、できるだけ個々のものでなくてマクロ的な点から指導していこうというような点があるわけでございます。  付言しますと、こういうような本来オイルマネーリサイクルを民間金融機関中心にやっていこうというのが現在コンセンサスになっておりますが、その場合、IMFなり世銀なりがそういうポリシーガイダンスをやることによって、民間銀行の方も、安心してと言うと言い過ぎでございますが、民間資金の方も引っ張り出せるというような利点も片っ方にはあるわけでございます。
  38. 正森成二

    ○正森委員 私、新国際経済秩序という考え方がいまの発展途上国から出ておりまして、非常にもっともだと思っておるのですが、それはまた最後に伺うとして、次に円の引き出し状況、これは他国が円を一定の範囲内引き出しますと、逆の意味わが国のゴールドトランシュといいますかスーパートランシュといいますか、そういうポジションがよくなってくるわけですね。それはわが国の場合は、円の引き出し状況はどのぐらいであって、それはどの国が利用しているかをお答え願いたいと思います。
  39. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 四十五年に残高で二百十一億円あったわけでございます。五十四年にネットで千五百三十六億円、この間約七倍になっております。  国についてでございますが、IMFの約束で国の名前は言わないということになっておりますので、御容赦いただきたいと思います。
  40. 正森成二

    ○正森委員 IMFの約束であるということであればいたし方ございませんけれどもわが国の円の需要が非常に大きくて引き出されるということは、逆にわが国IMFにおける地位といいますか力が非常に強くなっているということの反映であろうというように思います。もしお答えいただければ、国金局長、国の名前はよろしいから、先進国とその他の先進工業国とそれから発展途上国という三つグループに分けて、その割合だけは国会で明らかにしていただけませんか。
  41. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 そういう分類ができてないそうでございます。
  42. 正森成二

    ○正森委員 そんな分類さえできてないというのはとても納得がいかないですね。非常にむずかしい分類じゃなしに、国の名前がわかっておれば一分か二分でたちどころに分類できることです。ですから、私どもとしては、国会質問をすれば、国の名前を言えないというのであれば、その程度のことは当然答弁されるのがしかるべきあり、しかも時間のかかることではない、こう思います。私の質問が終わるまでに分類をして答えてください。
  43. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 各国の外貨準備の構成の中にあるわけでございまして、それが発表されている国、されない国というようなことで、御質問が終わるまでとかということでなくて、集計は不可能のようでございます。
  44. 正森成二

    ○正森委員 それじゃやむを得ません。  それでは、IMFのSDR特別引出権の問題について伺いたいと思います。  これには二種の方法があるようですが、指定による取引、一九七九年度をとりまして、わが国が利用したかどうか、あるいは逆に指定されたかどうか、指定されたとすればどれぐらいであるか、指定によらない取引が二国間合意で行われますが、わが国の場合はこれがあるのかどうか、その内容について簡潔に述べてください。
  45. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 IMFの七九会計年度の間におきまして、これは五月-四月でございますが、IMF全体では、指定による取引が十億七千九百九十五万SDR、合意によるものが十五億三千三百三万SDR、合計二十六億一千二百九十八万SDR。わが国の場合でございますが、指定によるものが二千九百八十万SDR、合意によるものが五億SDR、合計五億二千九百八十万SDRございます。
  46. 正森成二

    ○正森委員 SDRの資産としての魅力を増すために、使用額には金利をつけることになっているはずであります。当初一・五%でございましたが、その後五%に引き上げられ、さらに一九七五年からは市場金利に合わせて米国、英国、ドイツ、フランス、日本、この短期金利の加重平均によって動く。もちろん、短期金利が九から一一の場合には五%に固定されているようですが、それより上がったり下がったりすれば五分の三の範囲で移動するというふうになっておるとのことを聞いておりますが、現在は金利は幾らになっておりますか。
  47. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 八〇年の四月一日から六月三十日までの間、一〇・二五%でございます。
  48. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、SDRの特別引出権についてもなかなか借りにくいようでありますし、金利も思ったよりずっと高いというような状態がわかったと思います。  次に、時間がございませんので、途中飛ばしまして質問をさせていただきますが、わが国は今度IDAにつきましても十七億四千万ドルですか、ドルで決まっておるのですか、法案では円で書いてあるようですけれども、金額が出ております。これはたしか全体の百二十億ドルの増資から見ますと一四・六%と報道されておりますね。これは第五次の増資の場合には、たしか七億九千二百万ドルで一〇・三%程度だったんじゃないかというように思いますから、非常な増額である。これはいかなる理由によるものですか。増額だけでなしにパーセンテージもふえておりますね。
  49. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 まず自国通貨で出します。それから二番目に、前回の増資のときと比べて非常にふえているのはなぜであるか。これは増資後の数字で申しますと、大体西独並みになります。これは先ほど来の御議論の中にございました開発途上国に対する日本の姿勢ということ、それからIDAあるいは世銀IMFにおきますわが国の国力相応の出資をしたいという考え方がございまして、これは国際場裏における発言権強化、出した金に比例して発言権があるわけでございますが、そういうことでそういう国際的な金融なり開発政策に対して日本の発言権を大きくしたいということ、そういうような観点から出たものでございます。
  50. 正森成二

    ○正森委員 そこで、資金を出すというのは、これはわが国の国際的地位から見て、一定の範囲協力する場合が多いと思います。ただ、私、新聞などで見ておりましても、たとえばアフガニスタン問題が起こりましたときに、いち早く一月十四日に同国向けの開発融資の支払いを停止、第二世銀ですね、というように報道されまして、わが国もこれに同調するということになったと思うのですが、その理由は、戦争のためにプロジェクトの実行を同行職員が監視できなくなったということになっておるのです、新聞では。しかし、一月十四日ごろというのは事件が起こって非常に間もなくで、国内でゲリラ戦その他が非常に広範に行われて、事業の監視ができないような状況であるかどうかというようなことは、世銀なんかにはなかなかわからないような時期じゃなかったか。それであるのに、いち早く融資の停止だけは早々とやるということで、本来中立的であるべき第二世銀のような活動が著しく政治的に左右されるものではないか。そういうところに、わが国が今回の増資の場合にはアメリカに次いで第二位、累計でも第三位ないし第四位というように金を出しておって、実際上政治的な差別、選別融資の中に入っておるという点については、やはり国民の中に一定の意見を持つ者がおると思うのですね。ですから、こういう融資停止を行う場合の条件というのは明朗なものでなければならないと思うのですが、この点について御説明を願いたいと思います。
  51. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 御指摘の点は、御承知のとおり、世銀協定の第四条第十項とか、あるいは第二世銀の協定の第五条第六項というようなところで、関係加盟国の政治的性格によって影響されてはいかぬという条文がございます。これは当然のことながら、御指摘になりました国々の場合も当然のことでございますが、これも御指摘になったとおり、私ども承知いたしておりますところでは、アフガニスタンの現状が新規融資を具体化するような状況にないというような判断に基づくものと聞いております。それで、融資承諾案件につきましても、プロジェクトの継続が困難であるとか、あるいは世銀職員がその実行を監督することができないとか、それからもう一つは、アラガニスタン政府からは、これまでのところ資金の引き出し請求が来てないというように聞いております。
  52. 正森成二

    ○正森委員 これは「海外投資研究所報」というところの一九七九年十月号だと思いますが、「世銀グループの一九七九年度の活動状況」という中に統計が出ておりますので、そこから見たものでございますが、世銀及びIDA融資承諾先上位五カ国という数字があります。  これを見ますと、たとえばブラジルは、一九七八年は一位で七億五百万ドル、それから七九年も二位で六億七千四百万ドル融資を受けております。これは世銀ですが。それからまたIDAでは、エジプトなどは常に上位五カ国の中に入っておるわけですね。  しかし、これらの国の経済状況というのをその他の資料によって見ますと、たとえばブラジルについて見ますと、非常に経済状態が悪化いたしまして、七九年には六五%という物すごい消費者物価上昇率を示しております。あるいはまたエジプトは、七八年には三〇%のインフレ率で、七九年はそれをさらに上回った。ブラジルについて見ますと、対外累積債務はすでに四百五十億ドルを超えると推定されており、七八年末の国債発行額は三千五百七十八億クルゼーロ、同年の同国の歳入額三千四百九十二億を上回るに至っておる。ブラジルの人口約一億一千万人のうち三千万人が絶対的貧困のもとにあり、東北部の労働可能人口の七〇%が半失業状態だと推定されている。サンパウロの八百万の人口の五二%、同周辺地域人口三百万人の七三%が、貧乏のため食事が十分とれないで栄養不足の状況にある。こういうように経済関係の書物には書いてあるわけであります。  このことは、現在もちろん世銀IDAなどが種々努力はしておるでありましょうが、相当融資を受けておるところについても、本当に貧困を絶滅するためには不十分であり、それ以外の、たとえば地主制度を改革するとかあるいはその他の条件を整えるということが必要であるということを示しているというように私は思うわけであります。  そこで、私は大蔵大臣にマクロ的な意味で伺いたいと思います。  新国際経済秩序という言葉は、七四年の第六回国連総会での新国際秩序樹立宣言、行動計画の策定、決定以来、世界経済を語る上で不可欠の概念となり、非同盟諸国の首脳会議に集まる八十数カ国の発展途上国を中心にこの樹立を目指す運動が大きな流れになっておることは御承知のとおりであります。非同盟諸国のコロンボ会議での経済宣言では、国際経済構造に見られる深刻な不平等と不均衡、また先進国発展途上国の格差の不断の拡大、貧困、飢餓、栄養不良、窮乏、無教育の危機の発展途上国での恒常化を指摘し、発展途上国の経済問題の解決には、新たな普遍的で公正な通貨制度の創設の必要を主張しております。  第三十二回国連総会でのワルトハイム事務総長報告の中で、世界の経常軍事支出のわずか五%に当たる資金を開発援助に回すだけで、第二次国際開発戦略の目標とした国民総生産総計の〇・七%の目標を完全に達成するのに十分であったろうと訴えております。  今日世界の軍事費は、日本の防衛五十四年版によれば、主要国三十カ国だけでも四千三百億ドルであります。仮にこの五%を開発援助の基金としても、これまでのDAC加盟国の累積出資額の三・五倍の基金ができることになります。  そこで伺いますが、私は、先進国、大国支配の国際経済秩序ではなく、各国の経済主権を確立し、平等、公平の関係を基礎とした国際経済秩序が必要であると考えます。わが党も提起しておりますように、膨大な世界の軍事費を削減して、この削減した部分を飢えと貧困に苦しんでいる開発途上諸国民への援助のための新たな基金とするような構想について、いかがお考えでございますか。また、国連を含め、新国際経済秩序の樹立の方向への大きな世界の流れについていかがお考えでございましょうか。最後に大臣の御所見をお伺いして質問を終わらしていただきます。
  53. 竹下登

    竹下国務大臣 この一九七四年の第六回国連特別総会決議、そうしてこれに対しましてわが国としては、いわばその報告書につきましては、従来からいろいろな論議を整理されたものでございままして、その報告書そのものは評価しておるという一言に尽きると思います。  ただ、個々の具体的な問題につきましては、それぞれの国の、大変に野心的とでも申しますか、そうした提案が非常に印象的に受けとめられるというところから、コンセンサスとなるということについては、私は、なお非常に問題の多いことではないかというふうに理解をいたしております。
  54. 正森成二

    ○正森委員 それでは、私としては非常にそのお答えでは不十分あるいは不満足でございますけれども質問を終わらしていただきます。
  55. 稲村利幸

    ○稲村(利)委員長代理 玉置一弥君。
  56. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間がございませんので、簡単に質問をして、お答えが出そろったところでやめたいと思いますので、よろしくお願いします。  国際金融機関にいろいろな形で出資をして、比率が一応ヨーロッパ並みに近づいてきているということでございますけれども、いろいろな通貨問題そして国際会議の中で、日本の発言権そのものが非常にまだ弱いような気持ちがするわけでございます。また国連の中におきましても、発展途上国の信頼度、そういうものがまだまだ薄いというふうに感じておりますし、また、発展途上国からの日本に対する期待感というものは、信頼度が薄い割りには大きい、そういうふうに感じております。  そこで、外務省の方にお伺いをしたいのでございますけれども、海外協力、海外援助、そういう中で、二国間で協定してやるのと、今回のように国際金融機関あるいはその他の国際機関を通じてやる場合のメリット、デメリット、それについてどういうふうにお考えになっていて、これからどちらの方向により力を入れていかれるのか、その辺についてお答えをいただきたいと思います。
  57. 坂本重太郎

    ○坂本説明員 ただいま先生御指摘のように、確かに、国際機関を通ずる援助につきましては、それぞれメリットとデメリットがあろうかと思います。  まずデメリットの方から申しますと、国際機関を通ずる場合には、その援助が日本の援助であるという印象を相手国につけることが非常にむずかしいということ、さらにはまた、国際機関の援助を通ずる場合には、機動的に援助を行うということがより一層困難であるというようなことなどが挙げられるかと思います。  他方、メリットといたしましては、国際機関を通ずる援助の場合には政治色がないということから、受け入れ国の方では受け入れやすいという問題がございますし、それからまた、国際機関を通ずる援助の場合には、国際機関が主になりまして相手国の経済経営全体についていろいろな助言をし、アドバイスを与えるというメリットもございます。  それから、場合によっては、非常にいやな問題、たとえば人口問題などにつきましても、国際機関の場合には二国間で言うよりは言いやすいというような問題等がございますし、それからまた、農業などの場合につきましては、国際機関を通ずる場合の方が非常に世界的なつながりを持って他の先進国とも協調してやれるというようなメリットがございますので、外務省といたしましては、それぞれメリット、デメリットをバランスにかけまして、双方の特色を生かしながら、二国間と国際機関を通ずる援助双方をかみ合わせながらやっていきたいと考えております。
  58. 玉置一弥

    ○玉置委員 大蔵省の方はどういうように考えておりますか。
  59. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 現状を見てみますと、日本の場合、七六年が三一・九、七八年が三〇・九、アメリカの場合は三四・五から三八・七とか、フランスが一四%台、西独が七八年には大体三五・五、イギリスは四二・一、DACの平均で七六年は三〇・五でございましたが、七八年は三四・〇。  これはたとえば、国際的にもかなり考え方の変遷がございます。特に、アメリカ国会は、御承知のようにバイ、マルチが多過ぎるという議論がしょっちゅうなされるわけです。  メリット、デメリットについては、先ほど外務省の方からの答弁がございましたが、どっちがいいのかというのは、そのときどきにかなり意見が変わっております。それから、国によって歴史的な背景とか地理的な背景とかあって、たとえば、いま申しましたフランスなんかはバイの方が大きいわけですね。マルチが小さいわけです。そういうようなことで、いま数字を申しましたように、大体日本は中位ぐらいのところへ来ておりますが、それは、外務省の方で答弁にありましたバイとマルチを現実的に組み合わせて考えていくというようなことかと思います。  ただ、こういうようなものは歴史とともに変わるものだろうと思うのですが、目下のところはそういうような考え方でやっております。
  60. 玉置一弥

    ○玉置委員 確かに、そのときどきの選択で方向が変わってくるということもあろうかと思いますけれども、たとえば、これはちょっと話が変わるのですけれども、今回イラン問題というものが発生をしておりまして、これを一つ例にとりますと、いままで経済協力あるいは技術援助という形で発展途上国に対して、たとえば二国間の協定というふうに考えた場合に、日本の場合は非常に民間先行型といいますか、どちらかというと、商社がいろいろなネタを探してきて、それを日本のプラントメーカーなりあるいは製造会社に話を持ちかけて、間に入って向こうの政府との話を決めてくる、それを日本政府が承認する、そういうような形が多かったかと思います。しかし、いろいろなヨーロッパ諸国の話を伺っていますと、やはり日本の商社の力というのはそれぞれ認めておりまして、ただ、相手国に対してどのような面で日本が援助をしていくかという方向がわからないといいますか、そういうようなことをよく聞くわけでございます。  そこで、日本の場合、民間先行であり、それが最終的にはいろいろな形で経済摩擦ということで諸外国とのぶつかり合いになる。しかし、これからはやはり発展途上国に対する援助という面では、政府と民間が共同で方向を見出して、いろいろな方法あるいは内容、そういうものについて協議をしていかなければいけないと思うのです。国際金融だけに依存しておりますと、先ほどのお話がありましたように、たとえ専門官というものがたくさんそろっておられても、あるいは相手方に、金融機関がいろいろ調査をされても、なかなか日本の意向というのは一切反映させられない、ただ円の指定があるかないかとか、あるいは全体プールの中の資金を使っていくということでございますので、日本にいたしても非常にメリットが少ないのではないか、そういうふうに思うわけです。そこで、やはりこれから、金融機関ではなくて、日本政府と民間企業、そういうものがタイアップしてそれぞれの国に対して何をやるべきか、また、相手方が何を希望して、それをどういうふうに消化していくのか、そういうことをやっていかなければならない時期ではないかというふうに思うわけです。  そこで、現在民間先行であり、たとえばイラン問題のようなものが起こった場合に、いわゆる危険負担という話が当然出てくるわけでございます。イランの場合には、民間ということで、三井物産を含めた三井系の会社が出資をされて、それにとりあえず政府が補助という、そういう形をとられましたけれども、これはいわゆる特例措置的なものです。  そこで、これから考えていかなければいけないのは、政府として単なるその都度の特例ということでやるのか、あるいは民間の危険負担ということで相手方との協力がしり込みされるということを防ぐためには、特例措置じゃなくて、やはり基準というものを設けて法的な措置ということを考えていかなければいけないと思うので、その辺で、外務省、大蔵省ともにこういう措置を将来考えているというような、要するに方向づけですね、それをお伺いしたいと思います。
  61. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ちょっと問題を整理してみたいと思うのですが、大変有益な御発言でございまして、援助、協力というような場合、御承知のように、無償援助から始まってずっといろいろな形態があるわけでございます。無償援助の次には円借、それから公的機関輸出信用、それからよその国のファイナンスを民間金融機関がやる、ドル建てのシンジケートローンを認めるとか、あるいは東京マーケットでよその国の国債を引き受けてやるとか、あるいはよその国の企業の金を引き受けてやるとか、いろいろなバリエーションがあるわけでございます。それで、御指摘のように、事業が大型化したり日本経済関係が深まるにつれていろいろな問題が出てきていることは事実でございます。その場合に、民間のイニシアチブをとるのはどちらかというと融資べースの方の話でございます。いわゆる援助の方は政府政府との関係になるわけでございます。それを、例のタイド、アンタイド、日本の民間の企業がどういうふうに消化していくかという問題になるわけでございますが、御指摘の方の問題はどちらかというと信用の方の問題になると思いますが、いまお話にありましたイランの三井石化の場合、自分でやるということで輸銀からもちろん金を借りたり株主金融を受けておりますが、そういうかっこうで出ていく。こっちの方のグループは、やはり民間企業の自主的な判断ということが本来かと思いますが、その場合に政府はどういうふうなサポートができるか。これは、一つは情報の提供とかあるいは相談に乗ってやるとか、具体的な金をどうこうするということでなくて、そういうような支援の方策もあり得るわけです。それから、他国が日本の東京でボンドを出して金を持っていって事業をやる、その場合に日本のメーカーから物を買うか買わないか、そういうことはかかわりない場合があります。豪州などの場合、いろいろなタイプの経済的な結びつきがございますが、そういうふうに金融手段がいろいろ多様化することによって御指摘のような問題をどういうふうに考えていくか。その場合に、なるべくオープンに、こういう条件があればこういう制度があるよという示し方が非常に大事だと思います、透明度を増すという意味で。たとえば基金の出資をする場合、いわゆる関連業界がこぞってやるとか、民間ベースではなかなか採算に乗らないとか、幾つかの基準が五、六年前に関係省の間でつくられておりますが、そういうようなものも時代とともに直さなければいかぬと思います。それから同時に、それ以外にもそういうものができればできるだけつくっていって、国の補助金の補助率みたいに、こういうことだったらこうだよと、政府は余りくちばしを入れない方がぼくはいいと思うのです。そういう輸出信用の場合にはやはり民間の自主性を第一義に考えるわけですが、そういう場合に政府の方で、こういう場合にはこういう援助ができるよというのをみんなの前に出すというようなことは非常にむずかしいのですが、御指摘のようにできるだけ具体化していく必要があると思っています。
  62. 坂本重太郎

    ○坂本説明員 ただいま御質問の件、民間ベース経済協力につきまして、これは民間ベースでございますので、基本的には民間企業が自主的に判断いたしまして、そしてまた、その責任において当該事業を遂行するというのが基本ではないかと思います。ただ、その民間ベース経済協力も、非常に相手国の経済開発に役に立つ、それからまたそれがひいては相手国との友好関係の増進ということにも非常に役立つ、こういう場合と判断されますので、外務省といたしましてもできるだけ側面的に協力をしてまいりたい、こう考えております。  現実に、最近でございますが、外務省内、本省におきまして大型案件等委員会、これは民間べースの大型案件につきまして委員会をつくりまして協力体制を整えております。それからまた在外におきましても、在外公館を通じまして側面的に協力してまいりたい、こう考えております。
  63. 玉置一弥

    ○玉置委員 時間がございませんので、あといろいろあるのですけれども、いまのをもうちょっと詰めて終わりにしたいと思います。  たとえば、イランで、アメリカに追従するようであれば日本に対しても制裁を加えるということがあります。しかし、その場合に、多分やられるのはいま投資されているいろんな設備の没収あるいは石油輸出禁止、そういうものが一番の主体になるのではないか、そういうふうに思うわけです。  そこで、いままで基準がない中で一部の特例ということで認められた今回のイラン石化に対する出資、この辺なんかでは本当に没収されますと、三井系にとっても非常に大きな損害になるということが一つと、特例としてどなたがどういうふうな形で決められたのか知りませんけれども、決定をされた方の重大な責任問題になるというふうに思うわけです。ですから、個人的というか、そのとき担当された方の重大な責任ということでございますけれども、そういう意味でもやはり法的な措置あるいは基準というものがないと非常に困る事態になるのではないか、そういうふうに考えます。  そこで、今回、もしイラン問題が最悪の場合に突入した場合、いままで投資をされた、あるいは決定をされた方々に対してどういう影響が出るか、責任も含めてお答えをいただきたいと思います。
  64. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 昨年の十月十二日に関係閣僚で決めていただいているわけでございます。先ほど外務省の方から大型案件というのが出ましたが、どういう場合に基金出資をするかというのは基準ができております。それに基づきまして関係閣僚の間でコンセンサスで決めていただくというような手順になっております。責任問題云々ということは、そういうことで一応政府の意思というかっこうでやるようにしております。  それからイランの具体的な問題でございますが、これは役所のなわ張りでいきましても通産省が一番詳しいわけでございます。私どもも知る限りで御答弁いたしますが、最悪の事態、こういうような問題、外交問題も絡んでまいります。目下のところは、基本的な考え方としては、アメリカ側の人質解放という線は、国際法違反であるし、人道上も許されがたいことであるという意味においてアメリカ政策を支持する。ただ、経済的な面につきますと、日本だけが云々という考え方はとり得ないわけでございます。ヨーロッパの方もヨーロッパだけでということはとり得ないというようなことで、私どもといたしましては、ヨーロッパ諸国の動向を見きわめながら考えていこうというような段階でございます。  非常にシリアスな問題なので歯切れの悪い答弁で恐縮でございますが、基本的な考え方はそういう考え方でございます。
  65. 玉置一弥

    ○玉置委員 民間先行ということで、民間が任意にやっていることに対して政府が援助をするという形になると思うのです。ただ、そうなりますと、政府というよりも閣僚会議等で相手側を自分の好みと言ったら語弊がありますけれども、どちらかというとそういう方向で相手先を、要するに融資対象を決定するということにもなりかねないと思うので、先ほどもありましたような透明な決定基準というものをぜひつくっていただきたいというふうに思うわけでございます。     〔稲村(利)委員長代理退席、委員長着席〕  それと、先ほどほかの方からの御質問の中にもございましたように、アフガン問題あるいはイラン問題、ともに日本が正面から受けとめ過ぎて、逆にヨーロッパ諸国に抜け駆けをされている、そういう事実がたくさんあるわけでございまして、それはアメリカとのいままでの関係から考えて正面の話としては当然そういう動きにならざるを得ない、そういうふうに思いますけれども、やはり実務面といいますか、実務面での運用、その辺で本当のヨーロッパとの協調ということを考えるならば、その辺の打ち合わせも十分していただいて、そして日本だけが取り残されないような、そういうこれからの外交政策というものをお願いしておきたいと思います。
  66. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 イランの問題についてちょっと言及させていただきたいのですが、なぜ基金出資をしたかということにつきましては、十月十二日の閣議の後で、その政府考え方を発表しております。  それで、考え方といたしましては、本来民間企業が自分のリスクと責任においてやっていくものであって、そういう性格でやってきた。ところがイランの革命が起こった。それで工事が遅延をいたした。民間の力だけではやっていかれないという状況が出てきた。その場合、日本イランとの国交関係の重要性ということから考えて、この際、政府がそういう特異な状況下に出てきた部分を支援するというような骨子のものでございます。  それから、後の方の問題でございますが、これはそれぞれの国と日本との間の関係、あるいは世界の中における当該国の立場、こういうようなものを政治、経済、外交を含めて総合的な判断をした上で、個々のプロジェクトについて具体的にプロジェクトの性格なり全体との意味合いなり見きわめまして、それぞれの専門省が集まりまして、外務省は外務省の議論を、通産省は通産省の議論、あるいは農林省が参画する場合もございますが、そういうような議論を尽くした上でケース・バイ・ケースに応じてやっていくという姿勢はかなり定着してまいったやり方になっております。
  67. 玉置一弥

    ○玉置委員 まだいろいろありますけれども、本会議の時間があるので、終わらせてもらいます。
  68. 増岡博之

    増岡委員長 古川雅司君。
  69. 古川雅司

    ○古川委員 ただいま議題になっております法案に関しまして、基本的な問題にしぼって若干お尋ねをいたします。  まずIMFでございますが、御説明によりますと、出資額を現行の三百九十億SDRから五〇%増額をして五百八十六億SDRに増額をする、これに従って日本出資額をふやすということでございますが、融資する際に、いわゆる改善計画の提出を要求しているわけでございまして、その計画も非常に厳しくチェックされるわけですが、その国の国内政策にも内容的に非常に厳しいさまざまな注文もつけるというようなことで、借り手側にいろいろ意見があるようでございますが、世界経済発展貢献をする見地というこの立場から、こういった実態をこれからどのように考えていかれるのか、まずこの点からお伺いしていきたいと思います。
  70. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 IMFの金を借りる場合にいろいろ厳しい条件がつくという点でございますが、私はこういう条件を厳しくする必要があると思います。ただ、それが国際経済が変転しておるわけでございますので、現実的に緩めるという必要がある場合も出てくる。そんなような議論がなされまして、昨年の三月、幾つかの緩和がなされておりますが、基本的には、みんなが出した金を借りて経済運営を立て直す、その立て直すものについてのIMFの指導というものはやはり必要ではないかと思います。
  71. 古川雅司

    ○古川委員 ですから、非常に基本的なことなんですけれども出資額を増額をして、なおかつ従来のこうした厳しい要件というものとその関連をどう考えていけばいいのか。ある程度、先ほど申し上げたその注文をつけていくことが非常に厳しい、したがって、借り手がないということについて、これから見直しをする方向にあるのかどうか、その点をお伺いしたかったわけです。
  72. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 幾つかの改善策がとられております。たとえば、拡大融資制度というのは八年でありましたのを返す期間を十年に延ばすとか、補完的融資制度金利を下げるかとか、あるいは一般的な方からの借り入れにつきましては政策ガイドラインを出す場合にマクロ的な手法を重視するとか、あるいは当該国の具体的な注文を十分念頭に入れてやるとか、そういうようなことがあります。  まあ借り入れをする国の方の問題もあるわけでございまして、できるだけ早く来させる、病状が悪化しちゃってから来ますといろいろ厳しいこともあるというようなことで、IMFの資金をふやすということはできるだけ早く来させるというふうな誘因にもなるわけでございます。
  73. 古川雅司

    ○古川委員 IBRD、世銀の方でございますが、昨年秋、資金量を現行の四百億ドルから八百億ドルに増額をしているわけでございまして、国際収支赤字に陥っている発展途上国の処置、自力ではなかなか立ち直れない諸国に対しての融資が重点であると思いますが、一つには、第二次石油ショックの後、外貨不足に陥っている非産油国、発展途上国を対象とするということ。二番目に、融資期間を一年ないし一年半の中短期の融資制度を設けるという点。三番目に、融資する際にはIMFと協力をして審査、国際収支経済全般の改善計画を提出させるという、こうしたいわゆるマクナマラ報告関連をしてくるわけでございますが、最終的には結論が出ているのかどうか私はまだ理解しておりませんけれども、この点について三点ほどお伺いしたいと思います。  一つは、日本政府として基本的にはこのマクナマラ報告に対してどういう態度なのか。  それと二番目には、この対象国としてケニア、フィリピン、トルコ、ボリビア、タンザニアなどがその候補に挙がっておりますけれども、これに対する日本の態度。  それから、IMFは、ある国が国際収支難に陥ったときに期間の短い資金を供給してきているわけでございますが、いわゆるこのIBRDによるマクナマラ報告に基づいた構造改善融資といいますか中短期の非産油国に対する融資考え方、分野調整の問題がいろいろ議論されておりますけれども、大蔵省としての見解を伺っておきたいと思います。
  74. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 三点につきましてお答えいたします。  日本の態度ということでございますけれどもプログラムローンを大体全体の貸付額の五%以下でやっておるわけでございますが、開発途上国の方はプロジェクトローンはいろいろ条件がつくのでプログラムローンをふやしてくれという意向があるわけです。その場合に、ただいま御指摘の構造調整融資とまあ日本語に訳しておりますが、こういうようなものは、先ほどのコンディショナリティーをつけるという考え方になっておるわけです。したがって、プログラムローンをいたずらにふやすよりは、そういう政策ガイドラインがついている構造調整融資制度をつくるという方が前向きではないかというのが第一点でございます。  それからもう一つは、IMFに似たような制度がある、IMFの方は義的には短期のものでございますが、似たようなものがあるわけでございますので、そこいらの分野調整をやる。  この二点の意見を私どもとしては持っておりまして、今度大臣がハンブルクに行かれる際には、そういうような対処方針で、認めるという方向ではありますが、そういう点を十分議論を尽くしてくれという対処方針にしたいと思っております。  それから二番目の問題でございますが、個別の国の問題はまだ制度そのものができてないわけでございますから、具体化しておりません。  それから第三点でございますが、IMFにつきましても基本的には短期のものでございますが、ただいま申しましたような世銀との境界領域分担論、こういうようなものはいま専門家同士の間で議論が進行中でございます。私ども意見も十分反映させるようにいたしたいと思っております。
  75. 古川雅司

    ○古川委員 特にいま三番目にお伺いした点についてでございますが、大臣が御出席になる四月末のIMF世銀合同開発委員会、ここで当然お考えをお述べになると思いますけれども、時期的にはすでにこれは詰め終わっているんではないでしょうか。
  76. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 ただいま申し上げましたような対処方針で臨むということでございます。
  77. 古川雅司

    ○古川委員 IDA、第二世銀につきまして、提案理由の説明によりますと、わが国増資額が十七億四千万ドル、これは増資総額百二十億ドルの一四・五%でございまして、第五次の七億九千二百万ドル、一〇・三%に比べると、額としては非常に大きくなっているわけでございます。これは西ドイツとイギリスを抜いて第二位ということでございまして、この点について若干お伺いをいたします。  今回アメリカは三一%といたしまして、これは対外融資は全体増資の四分の一程度に抑えるべきだというアメリカの議会決議を受けてのものであると言われております。それからイギリス、カナダにつきましては、これは国際収支が悪化をしているということによって出資率は前回より下回った、この分を主としてわが国が埋め合わせをした、したがって率としては非常にアップしたというふうに言われておるわけでございますが、累計では約一一労ということでございます。結果的にはわが国の発言力が非常に強化されたというふうに言われるわけでございますけれどもアメリカのこうした議会決議の背景、あるいはイギリスやカナダが前回より出資率が下回った、それが国際収支の悪化という傾向をとらえているわけでございます。日本国際収支の点においては決して楽観できる状況ではないと思いますけれども、こうした出資の増高傾向をどう御説明なさるか、伺っておきたいと思います。
  78. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 いろいろな考え方がございます。  アメリカの場合は先ほども議論がございましたマルチでいくのかバイでいくのか、そういうような議論等、対外援助についてかなり厳しい議論をやっております。ただ、四分の一というようなことでなくて、現在国会にやはり法案を出しているやに聞いております。  それから、わが国が肩がわりをされたのではないかというような見方でございますけれども、各国の経済規模とか貿易量とか対外援助の趨勢というようなものから考えまして、たとえばGNPで見ますと、IDAの拠出国の中でわが国は一五・二%というシェアを持っております。それで私どもとしても、先ほどの対外援助の姿勢からいってこのIDAという場を国力に応じたものとして考えようではないかという、むしろ私どもの方の積極的な観点から、出資ウエートが一一・五というのは西独並みになるわけでございますが、そういうような観点でやったものでございまして、御指摘のような点は今後いろいろ考えなければいけませんけれども、この段階におきましては私どものそういう積極的な態度、それから国際的な関係日本の地位を認めようというような角度から決められたものでございます。
  79. 古川雅司

    ○古川委員 同じくIDAに関しまして、西欧並みのシェアになりますと当然発言力もそれなりにふえてくるわけでございますが、これは先ほども他の委員から御指摘があったと思いますので重複するかもしれませんが、特に増資資金の配分なんかについて、米国政府がソ連のアフガニスタンの介入への対抗措置としてアフガニスタン向けのIDA融資の凍結を主張しているわけでございまして、さらにこれは加盟主要国に対しても働きかけをしているわけでございますが、対外援助の実施ということで、対外援助そのものの性格と相対して一段と政治色が取り込まれてくる、非常に強くなってくるということで、これは主要出資国の間での意見調整というのは非常にむずかしくなってくるのではないか。特に、また発言力が増せば増すほど日本立場というものが非常に大きな影響を与えることになると思いますが、特にそのアフガンの介入の対抗措置として日本がどういう態度をとるか、この点ひとつ明快に御答弁いただきたいと思います。
  80. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 まず最初に、国際機関融資の政治色の問題でございますが、世銀の協定とかIDAの協定に関係加盟国の政治的性格によって融資が影響されてはいかぬという条文がございます。当然ながら、アフガニスタンの場合もその例外ではないはずでございます。たまたまアフガニスタンの問題につきましては、新規の融資を具体化する状況にない。この理由として幾つかあるわけでございますが、プロジェクトの継続が困難だとか、世銀職員が実行を監督できないとか、あるいはアフガニスタン政府の方から資金の引き出し請求がないとかいうようなことでとまっておるというふうに聞いております。
  81. 古川雅司

    ○古川委員 大臣のこの点についての御見解も重ねて伺っておきたいと思います。
  82. 竹下登

    竹下国務大臣 アフガニスタン問題の場合を含めまして、世銀にしましても第二世銀にいたしましても、その取り扱いが加盟国の政治的性格によって影響されるという性格のものではないと私も理解をいたしております。  したがいまして、いま局長からお答え申し上げましたように、今度のアフガン問題自体は、現状ではそういう新規融資を具体化するような問題そのものが存在していないということ、それからアフガン自体から引き出し請求が現実問題としてないというふうな理解の仕方に立っておるわけであります。
  83. 古川雅司

    ○古川委員 最後に、法案からいささか離れまして恐縮でございますが、若干関連がありますのでお伺いをしておきます。  日本輸出入銀行、それから海外経済協力基金、さらに国際協力事業団、これは外務省の所管でありますが、こうした政府開発援助の供与の中枢機関があるわけでございますが、そうした外国政府に対する融資や海外における開発事業に従事する企業に対する投融資事業を行っているわけでございます。これは交換公文による政府間借款になるわけでございますけれども、いろいろ問題点が出てきているようでございますので、この際、お伺いをしておきたいと思います。  海外経済協力基金はトルコ政府のハサンウールルダム建設事業に直接借款を行っておりますが、トルコ政府国際収支の悪化によって援助した融資金の返済が困難になっているという事実、それから返済期間を延長、あるいは新規借款約十九億円を五十三年度に供与いたしまして原債務を返済させる方式をとっているものであります。  さらに、日本輸出入銀行はパキスタンに対して直接借款を行っておりますが、パキスタン政府国際収支の悪化によって援助した融資金の返済が困難になっております。この点は五十一年度七十七億円、五十二年度は五十三億円の返済期間を延長することになって債権をたな上げしている状態にございます。二、三例を挙げたわけでございます。  いずれにしても、こうした事実は、一応債権国会議で認められてはおりますけれども、これをまとめてまいりますと、繰り延べをしているものについては、対象国はインド、パキスタン、トルコ、インドネシア等について約千六百九十九億円、それから再融資をしているものについてはブラジル、チリ、アルゼンチン、インドネシアといったところで、まとめて四千九百億円という数字が上がっているわけでございますが、こうした多額の準備金、あるいはたな上げ、あるいは再融資というような非常に効率を欠く実態があるわけでございますけれども、それぞれ関係所管の省庁にわたるとは思いますが、あるいは直接大蔵省として御見解をお述べになるのもどうかと思いますけれども、財務当局としてこうした実態についてどういう見解を持っていらっしゃるか、お伺いをいたします。
  84. 加藤隆司

    加藤(隆)政府委員 御指摘のような問題がございます。これは一次産品の値段が景気の変動で非常に上がり下がりするとか、当該国の経済運営の問題も絡んでおるわけでございます。ただ、数字で見ますと、この五年間、最近時に至って急速にふえているということではございません。たとえば四十九年には二百億以上、五十三年には三、四十億というようなことでございます。輸銀法の中に十八条の二というのがございまして、主要な債務国がそういうような債務繰り延べとか再融資に応じた場合、その場合に限って輸銀も応ずる。要するに、国際的に集まって会社更生法みたいな議論をやるわけでございます。そういう場合に限って認めるというふうに法律的にも担保されておりますが、御指摘のような問題は私どもとしても非常に関心を持っているところでございまして、この法律の精神を誤りなく運営したいと考えております。
  85. 古川雅司

    ○古川委員 いま申し上げた点について、局長の答弁で十分だと思いますが、大臣から重ねてまた御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 まさに局長から述べたとおりでございますが、当該措置を求められた主要な債権国の全部または大部分において当該措置がとられることが確実であると認められたときに限り行うことができる、そういう精神を生かしながら、いまの問題は大事な指摘でございますので、私どもといたしましても今後とも十分注意していかなければならない課題であるという認識の上に立っております。
  87. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  88. 増岡博之

    増岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  89. 増岡博之

    増岡委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律及び国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  90. 増岡博之

    増岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 増岡博之

    増岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  92. 増岡博之

    増岡委員長 次に、電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次政府より提案理由の説明を求めます。竹下大蔵大臣
  93. 竹下登

    竹下国務大臣 ただいま議題となりました電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  初めに、電源開発促進税法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  石油依存度がきわめて高いわが国においてエネルギーの安定供給を確保するためには、石油代替エネルギーの開発及び導入を図ることが緊急な課題であります。このため、各種の施策を総合的かつ計画的に講じていくことが必要でありますが、その円滑な推進を期するには、これに要する資金を長期にわたって安定的に確保していくことが不可欠であります。  政府としては、その具体的方策の一環として、石油代替エネルギーの発電のための利用促進に要する費用については、これによる受益関係等を考慮して、電源開発促進税をもって充てることといたしました。  このような観点から、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、電源開発促進税を石油代替エネルギーの発電のための利用促進に要する費用にも充て得るように、その課税目的を拡充することといたしております。  第二に、その税率を、千キロワット時につき現行八十五円から三百円に引き上げることといたしております。  なお、この法律の施行期日は、昭和五十五年五月一日とし、六月一日以後に料金の支払いを受ける権利が確定される販売電気等について、適用することといたしております。  次に、電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。  石油依存度がきわめて高いわが国においてエネルギーの安定供給を確保するためには、電源の多様化並びに石油代替エネルギーの開発及び利用を促進することが急務になっているごとにかんがみ、政府は、このたび、電源多様化対策及び石油代替エネルギー対策に関する財政上の措置を格段に拡充強化することといたしました。  これらの措置に係る経理については、一般会計と区分して特別会計において行うこととし、このため、電源開発促進対策特別会計及び石炭及び石油対策特別会計についてそれぞれ所要の改正を行うことといたしまして、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、電源開発促進対策特別会計法の一部改正でありますが、電源開発促進対策特別会計を、従来の電源開発促進対策とほぼ同内容の電源立地対策に関する経理を行うための電源立地勘定と、新たに電源多様化対策に関する経理を行うための電源多様化勘定とに区分することといたしました。  電源多様化対策とは、石油代替エネルギーの発電のための利用を促進するための財政上の措置であって、新エネルギー総合開発機構に対する出資及び補助、動力炉・核燃料開発事業団に対する出資、発電施設等の設置または改造に係る補助並びに発電施設等の設置または改造を促進するための技術の開発に係る補助等をいうものとしております。  この会計においては、電源開発促進税の収入をもってその財源とし、電源立地対策及び電源多様化対策に必要な費用を勘案して、毎会計年度、予算で定めるところにより、電源立地勘定及び電源多様化勘定の歳入に組み入れるものといたしております。  第二に、石炭及び石油対策特別会計法の一部改正でありますが、特別会計の名称を石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計に改めるとともに、この会計を従来の石炭勘定と、石油及び石油代替エネルギー対策に関する経理を行う石油及び石油代替エネルギー勘定とに区分することといたしました。  石油及び石油代替エネルギー対策とは、従来の石油対策のほか、石油代替エネルギーの開発及び利用の促進のために通商産業大臣が行う施策に関する財政上の措置であって、新エネルギー総合開発機構に対する出資及び補助、石油代替エネルギーを利用する設備の設置を促進するための事業及び石油代替エネルギーの流通の合理化を図るための調査に係る補助、石油代替エネルギーに関する技術の開発に係る補助、日本開発銀行が行う石炭及び天然ガスの導入促進のための設備資金貸し付けの原資の貸し付け等をいうものとしております。  石油及び石油代替エネルギー勘定においては、従来の石油勘定と同じく石油に係る関税収入の部及び一般会計からの繰入金等をもって歳入とするものといたしております。  以上、電源開発促進税法の一部を改正する法律案及び電源開発促進対策特別会計法及び石炭及び石油対策特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由と内容の大要を申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  94. 増岡博之

    増岡委員長 これにて両案の提案理由の説明は終わりました。  次回は、来る二十三日水曜日午前十一時理事会、午前十一時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会