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1980-04-03 第91回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月三日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 岡田 利春君    理事 田中 六助君 理事 山崎  拓君    理事 山崎平八郎君 理事 山下 徳夫君    理事 中西 積介君 理事 細谷 治嘉君    理事 多田 光雄君 理事 稲富 稜人君       麻生 太郎君    北口  博君       倉成  正君    三枝 三郎君       田中 龍夫君    野田  毅君       三原 朝雄君    渡辺 省一君       川俣健二郎君    鍛冶  清君       吉井 光照君    三浦  久君       小渕 正義君  出席政府委員         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         労働省職業安定         局失業対策部長 加藤  孝君  委員外出席者         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     廣瀬 定康君         参  考  人         (東京電力株式         会社常務取締         役)      田尻 正實君         参  考  人         (日本鉄鋼連盟         副会長)    奥村 虎雄君         参  考  人         (日本セメント         株式会社専務取         締役)     橋本 重輔君         参  考  人         (日本石炭協会         会長)     有吉 新吾君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 岡田利春

    岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として、東京電力株式会社常務取締役田尻正實君、日本鉄鋼連盟会長奥村虎雄君、日本セメント株式会社専務取締役橋本重輔君日本石炭協会会長有吉新吾君の御出席をいただいております。  この際、委員会を代表して参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  わが国は第一次エネルギーの大方を海外石油に依存しておりますが、中東の政治、軍事情勢不安定性や、OPECの資源温存政策、高価格政策強化などを考え合わせますと、今後のエネルギー情勢は大変厳しいことが予想されます。  したがいまして、わが国においても脱石油ということから、代替エネルギー政策の推進の一環として、石炭利用促進を目指して所要の石炭施策を推進しております。  当委員会は、昭和三十六年設置以来、政府とともに石炭安定供給対策に努めてまいりましたが、御高承のとおり、わが国石炭鉱業には適正在庫を大幅に上回る貯炭問題を初めとする諸問題が山積しており、その解決が急がれております。  また、今後の石炭需要拡大に応じて、国内炭利用とあわせて海外炭輸入計画的に拡大していかなければなりませんが、そのためには輸入体制の確立を初めとする諸問題を早急に解決しなければならないと考えます。  つきましては、参考人各位には、これらの問題について忌憚のない御意見をお述べ願うとともに、今後の石炭政策に対して御提言を御披瀝いただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  なお、参考人各位からの御意見は、議事の都合上十五分以内にお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。  それでは、まず田尻参考人お願いいたします。
  3. 田尻正實

    田尻参考人 私、御紹介いただきました東京電力田尻でございます。  諸先生方には、平素から電気事業に対しまして格別の御支援を賜っておりますことを、この席をかりまして厚くお礼を申し上げたいと思います。また本日は、大変お忙しいところを貴重なお時間をちょうだいいたしまして、石炭に関する私の意見を申し上げる機会を与えていただきましたことにつきまして、これまた厚くお礼を申し上げます。  それでは私は、第一に電力における一般炭需要見通し、第二に海外炭調達考え方とその体制、第三に国内炭見通し最後石炭政策へのお願い、これらにつきまして私の考えを述べさしていただきたいと存じます。  まず第一に、電力における一般炭需要見通しについてでございますが、日本電力エネルギー内訳は、キロワット・アワー・ベース昭和五十四年で水力一六%、原子力一三%、火力七一%となっておりますが、そのうち火力内訳石油五二%、LNG一五%、石炭四%となっております。これでおわかりいただけますように、一言で申し上げますと、現在日本電力はなお過半石油に依存しておるわけでございます。これに対しまして、御高承のとおり、近時、世界石油供給制約はますます強まり、IEA決議東京サミット宣言等を受けまして、私ども電気事業火力燃料多様化にせっかく全力を注いでおるところでございます。  最近、九電力及び電源開発会社電力十社で取りまとめたところによりますと、石炭原子力、それにLNGなどでいわゆる脱石油拡大し、十年後の昭和六十五年度では、石炭昭和五十四年度の四%から七%増の一一%へ、原子力は一三%から一七%増の三〇%へ、LNGは一五%から一〇%増の二五%へとそれぞれ著増する見通しとなっております。また水力は、それ自体といたしましては、昭和六十五年度昭和五十四年度の一・三倍となりますが、構成比ではいま申し上げましたような他の燃料著増の裏として五%減となり、地熱一%となります。一方、石油につきましては、昭和五十四年度の五二%から大きく三〇%減の二二%とする見通しとしております。つまり電気事業といたしましては、石油火力への依存を現在の過半から十年後には四分の一以下に下げることを意図し、原子力LNGに加え、石炭に大きな役割りを果たさせようとしておるわけでございます。  この場合、石炭の引き取り量につきましては、昭和五十四年度は約七百七十万トンでございますが、五十五年度は百四十万トン増の約九百十万トンを計画しており、六十年度、六十五年度につきましては、電気事業審議会目標値であります、つまり六十年度千四百五十万トンないし千六百五十万トン、六十五年度三千八百万トンないし四千二百万トンに沿って計画をしております。  現在電気事業は、昭和五十四年度の約七百七十万トンのうち約七百五十万トンが国内炭でありまして、また昭和五十五年度は約九百十万トンのうち約七百八十万トンが国内炭でございまして、それぞれ国内生産一般炭のほぼ八割を引き取っておりますが、今後の計画数量は、ただいま申し上げましたとおり、巨大な数量に上りますので、国内炭供給力を考えますと、これが調達のほとんどを海外に求めざるを得ないこととなります。  次に、海外炭調達考え方とその体制についてでございますが、御高承のとおり、ここ数年来、世界エネルギー情勢石油中心として全く不透明な情勢にあります。この中で、供給秩序が構造的に一変し、いわゆるGG、DDと呼ばれる新しい販売ルート供給ルートが日を追って増大してまいっております。この供給側動きは、売り主側が大きな安定したマーケットに直接販売する、つまり安定販売ということを強く希望しているということにほかならないわけでございます。  一方、電力長期安定供給最大の使命といたします電気事業にとりましては、発電用原料となる燃料長期安定確保が、即電力安定供給につながるわけでございまして、山元と直結すること、つまり山元開発参加することが重要なこととなってまいります。  こうして、ただいま申し上げましたように、需要側供給側がお互いの希望に即して結びつく、そこに初めて市場秩序化市場安定化が生まれてまいるものと存じます。  それから、もう一つの問題は、石炭火力わが国エネルギー多様化の主柱の一つにするには、かつての石炭の単なる復活ではなく、海外炭導入の全く新しいシステムづくりが必要でございまして、そのためには、次のような条件の総合的な整備を早急に進めていくことが肝要であるということでございます。  すなわち、第一に、立地促進、そのための脱硫、脱硝、除じん技術等を総合した環境技術開発実用化。第二に、国内、国外にわたる輸送港湾備蓄基地としてのコールセンター等整備。第三に、大量の灰処理対策。これはまことに巨大な量でございまして、電力使用量から見ますと、六十年度霞ケ関ビルの約五、六杯、六十五年度では実にその倍の十二、三杯に及ぶしろものでございます。それから第四に、安定調達のための調達先分散化。これらを整合性を持って進めてまいるということでございます。  私ども電気事業は、こうした考え方を実行するためには、各社において個別に対応してまいりますよりもい九電力及び電源開発会社電力十社をもってこれに当たる方が、安定調達経済調達リスク分散のために有効適切であると考えまして、去る一月、石炭資源開発株式会社を発足させました。電力十社は、この会社を通じて長期的には海外炭需要の約半分を開発導入することを目標としております。  なお、今後安定調達を図ってまいりますためには、御高承のとおり、エネルギー問題が国内的にも国際的にもきわめて高度にふくそう化しておりますので、これは電気事業のみでは対応できるものではございません。そのため、電気事業石炭に関係する業界はもとより、官民の新しい協調のもとに、国際的にも共同化を多角的に進め、秩序ある対応を図ってまいりたいと存じております。  こういう意味合いから、電気事業は他業界とも協調して、オーストラリアとの間にすでに日豪石炭会議を開催しておりますが、また今年からはアメリカとの間にも日米石炭会議を開催することといたしております。  次に、国内炭見通しについてでございますが、国内炭の引き取りにつきましては、電力はこれまでも国の政策にできるだけ御協力申し上げてまいりましたが、さきにも申し上げましたとおり、昭和五十四年度で約七百五十万トン、昭和五十五年度で約七百八十万トンを引き取る見通しでございまして、これはそれぞれ国内生産一般炭のほぼ八割に上るものでございます。  電気事業といたしましては、経済的、安定的供給が得られますよう、国の御指導を仰ぎながら、今後ともできるだけ増量引き取りの方向で努力してまいりたいと存じております。  最後に、石炭政策へのお願いでございますが、せっかくの機会をいただきましたので、諸先生方一言お願いを申し上げさしていただきたいと存じます。  申し上げるまでもなく、エネルギー安定確保とその価格の安定は、国民経済及び国民生活の安定に直結するものでございます。特に海外一般炭につきましては、電気事業にとりまして脱石油化の太柱の一つとするものでございます。この導入に当たりましては、さきにも申し述べましたとおり、調達はもとより、立地環境インフラ等、各面にわたって多くの緊急かつ困難な問題がございますので、これらに対しまして、電気事業としてはもちろん一層真剣に取り組む所存ではございますが、諸先生方におかれましても、何とぞこの上とも特段の御高配を賜りますよう、特にここにお願いを申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
  4. 岡田利春

    岡田委員長 ありがとうございました。  次に、奥村参考人お願いいたします。
  5. 奥村虎雄

    奥村参考人 私、御指名をいただきました日本鉄鋼連盟の副会長奥村でございます。  石炭対策につきましては、かねてから本委員会の諸先生方には格別の御配慮をいただいておりますが、本日はまた、石炭対策に関連いたしまして、最近における鉄鋼生産原料炭需給見通し及び原料炭価格動向につきまして、鉄鋼業界としての立場から申し述べる機会を与えてくださいましたことに対し、心から御礼申し上げる次第でございます。  まず最初に、鉄鋼生産及び需給について御説明いたします。  御高承のとおり、昭和四十八年末の石油危機が発生するまでは、わが国経済高度成長とともに、鉄鋼生産年率一一%を超える増加を示してまいりましたが、四十八年度粗鋼生産一億二千万トンをピークといたしまして後退を続け、その後はようやく一億トン台の大台を維持する程度にとどまっております。その減少した主な理由は、第一には、民間設備投資大幅減退、さらには各鉄鋼需要部門における鋼材消費単位減少傾向に起因するものでございます。  五十四年度につきましては、幸い若干の明るさを見せ始めておりますが、これは公共事業伸び悩みとはいえ、比較的高い水準を維持した上、鉄鋼需要誘発効果の大きい民間設備投資がようやく盛り上がりを見せ始めたことなどにより、予想を上回る上昇となったためでございます。また、内外鉄鋼市況も一応堅調に推移したことにより、本年度に関する限り、鉄鋼業界の業績も久しぶりに回復基調を示しております。  しかしながら、昭和五十五年度日本経済を想定いたしますと、政府、日銀は本年三月に公定歩合の第五次引き上げを実施し、ついに過去最高水準に並ぶ年九%に引き上げられましたほか、公共投資抑制中心とする総合物価対策を発表いたしましたが、こうした景気引き締め強化によりまして、年央以降は経済成長が鈍化することは必至の情勢と見られております。  このような経済環境を反映いたしまして、鉄鋼国内需要見通しにつきましては、五十五年度の前半はまずまずの情勢でありますが、後半は落ち込むというのが一般的な見方でございます。  一方、鉄鋼生産の約三分の一を占めます輸出について申しますと、国内需要と同様、大きな増加は見込めない状況でございます。  世界鉄鋼需要は、一九七八年から八五年まで年率三%程度増加すると見るのが一般的な見方のようでありますが、そのうち先進工業国鉄鋼消費年率二%強にとどまるのではないかと見られております。深刻化する石油問題とインフレの高進に対しては、各国政府はいずれも景気抑制措置によって対処しようといたしておりますし、これは先進工業国共通の現象となりつつあるように思われます。特にアメリカにつきましては、昨年秋口以降不況色を強める中で、再び輸入制限動きが台頭しつつあることが注目されるのでございます。中でも米国最大鉄鋼会社でございますUSスチール社は、EC七カ国の鉄鋼メーカーを相手といたしまして、本年三月二十一日ダンピング提訴を行いました。わが国鉄鋼業界としても、その成り行きにつきましては深い関心を持たざるを得ない次第でございます。  以上の内外情勢を分析いたしまして、当鉄鋼連盟が最近取りまとめました鉄鋼需要見通しによりますと、昭和五十五年度は、対前年度比三・六%減の一億九百万トン程度に落ち込む見通しになっております。ちなみに、この生産水準昭和五十一年度とほぼ同じレベルにございます。しかし、最終成品であります鋼材ベースで比較いたしますと、鋼材圧延総合歩どまり五十一年度の八六%から五十五年度には九一%に向上するものと考えておりますので、同じ粗鋼量一億九百万トンでありましても、五十五年度には五百五十万トン分の鋼材が余分に生産されることに、相なります。つまり歩どまりの向上によりまして、コスト低減と同時に省資源、省エネルギーが同時に達成されるというわけでございます。  昭和五十六年度以降の鉄鋼生産見通しにつきましては、現在業界を挙げて鋭意その作業をしておるところでございますが、特に石油入手量あるいは円レート変動など不確定要因が多いために、作業は困難をきわめておるという情勢でございます。しかし、GNPや鉱工業生産指数伸びに対しまして、素材である鉄鋼寡消費化傾向は各需要業界を通じて今後も進むものと思われますし、また自動車等耐久消費材についても、需要一巡あるいは国内普及率上昇傾向等から見まして、鋼材消費伸び率の鈍化は避けられないとする見方が一般的でございます。したがいまして、内需全体としては、せいぜい微増程度でありまして、さらに楽観を許さない輸出見通し等を総合勘案いたしますと、従来のような量的拡大は、今後とうてい期待し得ないというところでございます。  次に、鉄鋼業における石炭使用状況について御説明申し上げます。  御高承のとおり、鉄鋼業で使用する石炭は主として高炉に装入するコークス原料でありますので、装入原料の重圧に耐えるため、特に粘結性を必要とするものであります。いわゆる製鉄用原料炭と言われまして、一般炭、すなわち燃料用石炭とは明確に区別されております。また、粘結度程度によりまして、強粘結炭と弱粘結炭とに格づけされておりますが、わが国では現在強粘結炭は全く産出されておりません。残念ながら、現在のコークス製造技術では、まだ弱粘結炭だけでは高炉用コークスはつくれませんので、米国豪州、カナダ、ソ連、中国、ポーランド等から輸入される強粘結炭を国産及び外国より輸入する弱粘結炭に適宜配合して、大型高炉に適した一定の強度を持ったコークスを製造しているのが実情でございます。  昭和五十四年度における原料炭使用量は、五千九百五十万トンと見込まれておりますが、その内訳は、輸入炭が五千三百万トン、国内炭が六百五十万トンであります。参考までに申し上げますと、これまでに原料炭を最も多く使用した年は昭和四十九年でありまして、そのときの数量は六千五百八十万トンに達しておりました。したがいまして、五十四年度は、ピーク時に比べますと六百三十万トン下回っております。  いま少し掘り下げて御説明申し上げたいと存じますが、原料炭需要量を決定する要素は、御承知のように、第一には鉄鋼、とりわけ銑鉄生産量でございまして、第二にはコークス比でございます。  第一の粗鋼生産の五十五年度見通しにつきましては、すでに先ほど御説明申し上げましたとおり、一億九百万トン程度と、五十四年度を若干下回るものと思われますが、粗鋼生産に必要な冷鉄源、これは銑鉄とかあるいは鉄くずを意味いたします。冷鉄源在庫が五十四年度に大量に食いつぶされたということがございますので、それを補てんする意味からも、粗鋼は減産いたしますけれども、銑鉄は、五十四年度の八千四百五十万トンとほぼ同量の生産が必要になるものと思われます。  第二の要素であるコークス比につきましては、五十五年度は五十四年度見込みの四百三十キログラムを十キログラム程度上回るものと予想しております。  御存じのとおり、コークス比と申しますのは、銑鉄一トンをつくるのに必要なコークスの量のことでございまして、これまで鉄鋼業原料コスト低減を図るため、コークス比の引き下げにあらゆる角度からの技術革新を行ってまいりまして、現在の全国平均で四百三十キログラムという記録は、高炉効率性経済性におきまして世界一を誇る水準でございます。  コークス比を引き下げる一つ対策といたしまして、従来コークス代替として、高炉羽口から重油を吹き込みまして、コークス使用量、ひいては原料炭使用量減少を図ってきたわけでございます。  重油供給が潤沢でありました昭和四十六年度は、全国平均銑鉄一トンに対しまして五十六キログラムの重油を吹き込んでおりました。五十三年度は三十五キログラム、さらに第二次石油ショック以降、重油吹き込みの一層の削減が進められまして、現在では二十キログラム台に減少しております。重油減少分は、結局コークスで補てんせざるを得ませんので、これが先ほど、五十五年度コークス比が五十四年度に比べて十キログラム程度増加すると予想した理由でございます。  重油にかえてコークスを使用いたしますと、総合エネルギー単位は短期的には増加いたしますが、石油供給制約重油価格の大幅な値上がりに対処するためには、種々の技術的な困難はございましても、何とかこれを克服して、高炉におけるオールコークス化、あるいは別の表現をかりれば、オイルレス操業を実現する必要があり、これがため各製鉄所は懸命な努力を払っているところでございます。  最後に、原料炭価格動向について申し上げます。  御承知のとおり、高炉各社は、従来、国内石炭会社経営実情を勘案いたしまして、国内原料炭の値上げを行い、また国鉄運賃等流通コスト上昇分は別途負担することなどによりまして、できる限りの協力をいたしてまいったつもりでございます。  しかしながら、現在、国内原料炭価格は、品質的に見て、ほぼ同等の豪州弱結炭価格に比べますと、国内炭は一トン二万円に達しているのに対しまして、やや円安傾向を示しております昨今の一USドル約二百五十円をベースとして計算いたしましても、豪州弱結炭は一万三千円程度でありますので、内外炭の間には約七千円の価格差が生じております。  なお、豪州弱結炭価格は、一九七九年、一九八〇年の二カ年契約をいたしておりまして、オーストラリアドルで三十七・六ドル内外で決定をいたしております。したがいまして、本年度日本着CIF価格は、円レートあるいはバンカーオイル価格推移いかんでは、多少の変動はあるかもしれませんが、大きく変わることはないと見ておる次第でございます。  さらに、五十六年度以降の内外炭価格差見通しにつきましては、現時点では申し上げることはきわめてむずかしいのでございますが、国内炭との比較におきましては、生産性相違等から見て、国内炭コスト上昇の方が大きいと考えられますので、このままでは、内外炭価格差はさらに拡大していくものと予想せざるを得ない次第でございます。  さて、最後に申し上げたいのは、産業界における重油から石炭、特に海外一般炭への急激な転換に伴いまして、石炭買い付けを行うときに、もし海外出炭状況や鉄道、港湾施設の能力、またわが国における受け入れ体制整備状況等を考慮することなく過当競争が行われた場合には、入荷数量増加を実現することなく、いたずらに価格のみが先走って急騰する結果に終わることを危惧するものでございます。  したがいまして、石炭転換及び海外炭買い付けば、計画的かつ段階的に実施に移す必要があると考えます。諸先生方におかれましても、エネルギー需要石油から石炭にシフトしている現状にかんがみ、国内石炭生産も逐次一般炭生産に重点を置く体制転換することを目途として、思い切った措置をとるよう、御指導、御協力をいただきたいのでございます。  以上申し上げましたところにより、最近の鉄鋼業原料炭問題についての考え方を御理解いただけたと存じますが、高炉メーカーエネルギー消費の実に七五%を占める原料炭価格問題は、鉄鋼経営の根幹をなすものであることを重ねて申し上げまして、私の陳述を終わります。ありがとうございました。
  6. 岡田利春

    岡田委員長 ありがとうございました。  次に、橋本参考人お願いいたします。
  7. 橋本重輔

    橋本参考人 私は、日本セメント橋本でございます。  セメント業界は、現在焼成用燃料C重油から石炭へと転換を図っておるところでございます。本日は、その現状問題点を申し述べまして、関係諸先生方の御理解と御支援お願いする次第でございます。  日本セメント産業は、御承知のとおり自由世界第一位の生産を行っております。その数量は、五十四暦年実績、昨年の実績でございますが、約九千万トンでございます。  セメント産業は、電力鉄鋼に次ぐ典型的なエネルギー消費産業でございまして、五十四暦年におきましては約七百五十万キロリッターC重油と約百十万トンの石炭を消費しております。これは重油に換算いたしますと、全体で約八百二十万キロリッターとなります。  したがいまして、コストに占める燃料費製造コストの約四五%を占めており、セメント業界にとりましては、燃料単位低減燃料安定供給の確保が最大の課題となっております。  昭和四十八年の第一次オイルショック以降、燃料C重油は値上がりが続いたため、セメント各社ともエネルギー単位の引き下げに真剣に取り組んでまいりました。そして技術革新と相まって、焼成設備を熱効率のよいSP付キルン、これは後で若干御説明いたしますが、SP付キルンと、さらにその改良型であるNSP付キルンヘと転換を進めました結果、四十八年度にはセメントートン当たりの焼成用C重油の消費量が、すべてトンクリンカー当たりといいますか、トンセメントと換算していただいても結構ですが、一トンつくるのに百十リッターかかったものが、五十四年、昨年には八十七リッターまで低下しております。これはこの六年間に約二〇%強の燃料節約を行ってきたことになります。  ここで、先ほど申し上げましたSP、ニューSPというものについて若干時間をいただきまして御説明しておきますと、昔は回転がまという煙突を横にしたようなかまで入口から石炭を入れて、われわれ若いころは石炭だけでたいておったのですが、熱効率が悪いので、後半部のいわゆる乾燥部分をスタティックなサイクロンのついたようなもので浮遊乾燥の機構でつくるものがSPというものでございます。そしてその後いろいろいま御説明申し上げましたように、非常に熱管理とかそういうものがうるさくなりましたので、かまから全量たかないで、かまのしりといいますか、後ろの方に別に助燃装置をつけまして、そして燃料を吹き込むところをかまの前と後ろと二カ所にするというような方式を採用したわけです。そしてこの方式によりましたことによって、現在でも世界で一番燃料消費量は少ないのでございますが、非常な省エネルギー化を図ってきた歴史がございます。簡単に申し上げますと、SP、NSPというのは、そういう省エネルギー化の努力の結集だと解釈していただければ結構だと思います。  しかしながら、一方C重油価格は一時原油価格の安定と円高により鎮静化していましたが、昨年のイラン内紛を契機としたいわゆる第二次のオイルショックにより再び急騰し、昨年年初の価格に比べ、八月には約二倍、本年一月には約三倍、現在で約三・五倍くらいになりますが、大幅に値上がりし、なお今後も値上がりが予想される状況となっております。  加えて昨年上期は産油国の供給削減の影響で、国内C重油需給は逼迫し、関係官庁の御努力にもかかわらず一部の工場ではセメント生産をストップせざるを得ない状態となったところもございます。  このようなコストの半分を占めるC重油の高騰と供給不安に対処しつつ、今後ともセメントの安定供給の責任を果たしていくためには、かなりの設備投資と要員増加を伴いますが、石炭焼成への転換が必要と判断した次第でございます。  幸いセメント産業は、製造開始以来、第一次のエネルギー転換期の昭和三十七、八年ごろまでは石炭焼成を行ってきた実績があり、かつ石炭灰もそれ自体セメント原料として活用されることから、灰捨ての必要もないため、業界全社を挙げて急速なテンポで石炭への転換を図ってきたところでございます。  この石炭転換のためには、受け入れ、貯炭、乾燥・粉砕設備、燃焼設備から公害防止設備に至る一連の設備投資が必要でございます。このため五十四年度は約百億円の投資をしてまいりましたが、今後はさらに一千億を超す資金が必要となるものと見込まれております。この一千億円を超す投資は、セメント業界の規模から見て巨大な投資でございますが、今後公共投資の停滞から需要伸び悩みが予想されるセメント業界にとっては、体質改善の一環としてぜひ必要不可欠な投資と考えております。  次に、石炭使用量でございますが、五十四年度実績見込み約百四十万トンに対しまして、今後は石炭石油価格差石炭の入手可能性等にもよりますが、五十五年度は五百万トンから六百万トン、五十六年から五十七年度では約一千万トン程度と、急速な転換を進める計画を持っております。このうち二割から二割五分は国内炭を使用し、残りを豪州、中国その他から輸入することを予定しております。しかしながら、セメント業界にとってこのような大量の原燃料を直接海外から輸入することは全く初めての経験であり、また供給国側の体制の問題等もあって、実際に輸入される数字は多少減少することも考えられます。  さらに、セメント業界の購入する一般炭価格でございますが、豪州からの輸入価格は、最近のエネルギー情勢を反映して欧州、東南アジア等からの買い付け急増から上昇を続けており、最近業界豪州で成約いたしております五十五年度価格は、六千五百キロカロリーのものでフレート必要経費等を上積み勘案いたしますと、トン当たり一万五千円から一万六千円、それくらいの相場が臨海工場の着価格と見込んでおります。  一方、これに対し国内炭は、三月現在京浜、阪神地区を平均した基準価格は六千五百キロカロリーで一万七千二百八十円、いずれも単位はトンでございます。でございますから、輸入炭に比べ千五百円から二千円程度割り高という計算になりますが、セメント業界としては、供給ソースの分散と、国内炭は品質のばらつきが少なく、当面供給が安定していることから、使用量の二割から二割五分の国内炭を購入する予定でございます。  次に、セメント業界石炭を使用するに際しての問題点と、国に対する要望を一、二申し上げたいと存じます。  まず第一に、多額な設備投資に対する国からの援助のお願いでございます。これはすでに関係御当局の御理解によって、石炭転換への設備投資については低金利の融資が決まりつつありますが、業界石炭転換のための設備投資は今後増大していくことになりますので、一層の御配慮をお願いいたしたいと思います。  第二に、コールセンターの問題でございます。セメント産業は、従来国内原料のみを使用してきた等の関係で、大量の石炭を荷揚げ、保管する設備がないため、大型船による石炭を受け入れ、国内工場向けに小ロットで配送するためのコールセンターが必要となりますが、現在のところ一部鉄鋼会社あるいは石炭会社の揚げ設備の余力を利用した兼業のコールセンターが存在するのみでございます。今後増大する石炭需要に対応するためには本格的なコールセンターが必要でございます。関係当局におかれましても検討中と聞いておりますが、早急な実現を要望いたす次第でございます。  最後に、セメント業界として今後輸入炭に対処する姿勢でございますが、先発のユーザーであります電力鉄鋼業界と緊密な連絡を保ちながら、秩序ある石炭輸入体制の確立等共通する問題の解決に努力を続けていく所存でございます。  以上、簡単にセメント業界石炭使用の状況と今後の見通し問題点等につきまして御説明申し上げました。諸先生方の御理解と御支援を切にお願いいたしまして、本日の陳述を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  8. 岡田利春

    岡田委員長 ありがとうございました。  次に、有吉参考人お願いいたします。
  9. 有吉新吾

    有吉参考人 日本石炭協会会長をいたしております有吉でございます。  石炭政策につきましては、かねてから本委員会の諸先生並びに関係御当局には格別の御配慮をいただいておりますが、本日はまた石炭業界の立場から発言する機会を与えていただきましたことを心からお礼申し上げる次第でございます。  石炭業界にとりまして、昭和五十二年から今日までの三カ年は苦難の年月でありました。  国際為替市場における円高の影響及び景気の後退により需給の破綻を来し、貯炭は五十一年度末五十五万トンでありましたのが、五十三年度末には三百四十五万トンに達し、この二カ年間に二百九十万トンの増加を見せ、そのため資金対策、貯炭場対策に苦労を重ねました。  やむを得ず五十四年度には各社それぞれ生産抑制し、落ちつき見込みは千七百七十万トンでございまして、これに雑炭を加えて供給は千八百七十万トンと見込まれます。需要鉄鋼業界の六百五十万トン引き取りと電力業界のたき増しとそれぞれの御協力をいただきましたので、ようやくバランスを保って貯炭増加を免れ、五十四年度末の貯炭は三百五十万トン程度と予想しております。その内訳原料炭一般炭半々でございます。  こうした需給情勢のために、収支は再び悪化してまいりました。昭和五十年の第六次政策によりまして収支均衡回復が明示され、政府御当局の御尽力と需要業界の御協力によりまして炭価改定を実施していただき、五十二年度後半には五社平均ではほぼ収支相償うに至りました。  しかるに、五十三年度及び五十四年度は、労働組合には三%そこそこの低いベースアップでがまんしてもらう一方、私どもは懸命な合理化努力を払いましたが、コスト増は避けられず、これを賄うだけの炭価改定が困難でありましたので、再び赤字に転落し、やっと借入金によってつないでいる状態となっております。  さて、ようやく最近になって石油価格の高騰に促されて、需要業界石炭転換が急速に進められるに至り、石炭への日差しが見えてまいりましたが、国内炭の収支は依然として赤字であり、このままでは行き詰まり、再生産体制の維持が困難になることは必至でございます。  五十五年度需給見通しについて申し述べますと、出炭は千七百九十万トンで、雑炭を含めて供給は千八百九十万トンの見込みであります。需要面では鉄鋼にはただいま議会で御審議いただいている予算によりまして貯炭対策交付金が決定をいたしますれば、六百六十万トンの引き取りをお願いいたし、電力では苫小牧、松島の両新設火力向けの引き取りを始めていただけますし、またセメント、紙パルプの石炭転換による御使用が実現してまいりますので、総需要は二千万トン強が見込まれまして、貯炭は百数十万トン減少する見込みと相なりました。  五十六年度以降も出炭はほぼ千八百万トン程度で推移するものと考えられ、五十六年度末までには過剰貯炭も解消すると思われます。  しかし、事収支に関しましては、前述のような赤字でございまして、五十五年度電力料、金利を初めとする諸物価高騰によるコストアップ要因が重なり、五十四年度炭価アップ前でトン当たり約千六百円の赤字と見込まれます。この赤字の解消こそ国内炭維持の大前提として取り上げていただきたいというのが私どもの願望でございます。  具体的に申し上げますと、原料炭につきましては、輸入弱粘結炭は現在では国内炭より約七千円安となっており、格差の幅がやや縮まってまいりましたが、しかし、鉄鋼、ガス、コークス各社には国内炭引き取り協力によりまして多額の負担をおかけしている状況でございます。五十五年度政府予算では貯炭対策交付金が計上されておりますが、私どもも一般炭シフトも含め負担軽減のために努力いたしますので、内外炭の値差の縮小を図るよう対策強化につきまして、御検討願いたいと存じます。  一方、一般炭、特に電力用炭につきましては、石油より割り高であったときにおきましても、設備能力いっぱいまで御使用いただいてまいりましたが、昨今の石油価格の高騰によりまして、現在では北海道内陸発電所におきましても、揚げ地発電所におきましても、油より国内炭の方がトン当たり一万円以上割り安となっております。しかし、私どもは従来から国の助成を受けてきた産業でありますし、かねてからの主張どおり、石炭経営がどうにか回っていくような炭価にはしてくださいということで、トン千六百円だけ引き上げてくださるよう電力業界にはお願いしてきたのであります。しかし、今回の電力料金改定の申請におきましては、その基礎として織り込まれました炭価は、私どもの要望とは大きく離れているやに仄聞しておりまして、これでは依然として大きな赤字が残るのでございます。  石油よりはるかに安いのでありますから、私どもは何とか私どもの最低の要望を実現させていただきたいと思います。そしてこのことが電力コストに及ぼす影響は、他の要素に比べますればわずかではないかと思うのであります。  需要業界におかれましては、石炭火力発電所の増設、セメントの石炭使用転換促進による需要拡大に努めていただきたいと思っております。  今後の石炭引き取りにつきましては、外国炭の場合にはエスカレート条項を盛り込んだ長期引き取り契約が結ばれるのが普通でありますので、国内炭を長期展望に立って運営していきますためには、政府御当局の御指導も得まして、需要業界目標値を協定し、個々の需要家との間に外国炭と同じように長期契約並びに合理的炭価ルールの設定されることを私どもは希望しておりまして、この線に沿って今後御相談申し上げたいと存じております。  今後急増いたします石炭需要を満たすためには、外国炭の輸入増加は当然でありますが、国内炭優先使用の原則のもとに国内炭を育成していただきたくお願い申し上げる次第であります。  最後に、海外炭開発についてでございますが、石炭業界といたしましても、需要業界協力いたしまして、その安定した開発輸入に努力いたす所存でございますので、よろしく御支援お願い申し上げます。  これで私の陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  10. 岡田利春

    岡田委員長 ありがとうございました。  以上で参考人各位の御意見の開陳は終わりました。     —————————————
  11. 岡田利春

    岡田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  この際、質疑者各位にお願い申し上げます。  質疑の際には、あらかじめ答弁を求める参考人を指名して質疑を願います。  また、参考人各位お願い申し上げます。  御発言の際には、その都度、委員長の許可を得て御発言をお願いいたします。また、参考人委員に対し質疑することはできないことになっておりますので、御了承願います。  それでは質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中六助君。
  12. 田中六助

    田中(六)委員 四人の参考人の方、非常にお忙しいところをありがとうございます。  早速質問に入らせていただきます。  先月の二十六日、二十七日、フランクフルトでベネチアサミットの準備会議があったわけでございます。東京サミットでも、やはり中心課題はエネルギー問題、特に石油の割り当ての問題が、個別にするかトータルでするかという大きな問題になったわけでございますが、イタリアのサミットでも、やはりエネルギー問題が中心課題のようです。フランクフルトの準備会議ではエンゲルマングループ、エンゲルマンという人は西ドイツの経済省のエネルギー総局長でございますが、その人の提案によりまして、石油というものをどういうふうに取り扱うかということから出発して、火力発電が一番石油を多量に消費しているということ。しかも、非常にロスが多い、もったいないということから、電力関係に石油を使うのを全廃したらどうか。さらにLNGについても同じような考え方を提示しているわけでございます。  日本は御承知のように、火力発電において石油への依存度というのが五八%ぐらい、イタリーがそれに次いで、五〇%をちょっと上回っておるのです。西ドイツが七%、米、英が一七%ぐらいでございまして、この数字から見ましても日本が非常に多い。そういう世界的な観点からも石油の問題を迫られているのですが、日本におきましても、やはり脱石油、したがって、石炭転換しなくちゃいかぬということが至上命題になっておるわけです。これは、ただいまの参考意見でそれぞれ皆さんがあらゆる観点から指摘しておるとおりでございますが、私はじっと考えてみますと、十数年前石炭をやっておったから、セメントの場合でもそうですが、石炭にかわっても何とかなる。ただ金が足りない。設備投資をするのに金がないというのは、皆さんみんなそう思っている。幸いに政府が低利の融資の金をやっておるからというのでございますが……。脱石油、それで石炭転換するのですが、企業側として、場当たり的で非常に先見性がなかったという反省がなければならないと私は思うのです。こういうことでよかったのか。世界の中で、五八%も火力発電にそういうものを使っておった。たまたま日本はいろいろな条件でそうなったんだと言えばそれでおしまいでございますけれども、企業家の精神として、そのようなことがあったという反省がどこにあるのか。そういう反省点についての基本概念がなければ、またエネルギー革命がどこかであったときに、また変に同じようなことを繰り返すんじゃないかという懸念がございます。したがって、そういう点につきまして、四人の方々がそれぞれどういうふうにお考えか、いままでの来し方もそうですが、将来また変に、何か石炭にかわってどうなるかというようなことを懸念するわけでございますので、その点が一点と、それから、これから石炭にかわるんですが、この石炭についての見通し、自分たちはどういう考えを持っているのかという二つの点についてそれぞれお答え願いたいと思います。
  13. 田尻正實

    田尻参考人 田中先生から御質問いただきましたのでお答えを申し上げたいと思います。  まず第一点につきましては、燃料転換過程に対する一つの歴史的展望あるいは構造的展望、こういうものに対する反省が企業側として不足しておったんじゃないかという御指摘でございまして、これはまさに先生のおっしゃるとおり非常に大きなポイントでございまして、私どもさらに反省を深くしておるところでございます。  顧みますと、日本電力エネルギーは、御承知のとおります水主火従ということでスタートしたわけでございます。もちろん水主である以上日本の水でございまして、国産エネルギーということで終始してまいりました。その次の段階には火主水従。国の経済、民生が発展しまして電力需要が増大するに従って、水力だけでの電力供給では不足である、したがって、とりあえず水主火従ということで火力の方は予備、補充という位置づけでございましたけれども、いま言いましたような経済の伸長に伴いまして主客転倒しまして、火主水従という時代に入ったわけでございます。このときの火というのは石炭でございまして、これまた国産石炭でございます。そういう意味で、これまた国産エネルギーということで電気がおこされてきたわけでございます。  しかし、産業の動向、それから石炭の持つ環境上から見た諸問題あるいはその経済性、こういったことから、油の伸長とともに経済的な敗退を遂げまして、当時、幸か不幸か世界はまさに豊富、低廉、安定という石油時代に入ったわけでございます。したがいまして、これはマーケットメカニズムのおもむくところに従って石油主体の電力燃料構造ができ上がってきたわけでございます。  そしてさらに、この石油が、量的にも、あるいはその供給に対する世界情勢からの不安定性、こういった点からもだんだんと再考慮しなくてはならぬということで、脱石油ということを電気事業としては考えてまいりまして、その第一発としましては、原子力をおこし、早急にこれを推進、拡大していくということ、第二には、LNG導入してこれを拡大し、環境対策にも十分に対応していこう、こういう姿で、原子力LNG、こういう時代に入ってきておるわけでございますが、さらに最近の、御指摘いただきましたような世界情勢のもとで、石油はいよいよ量的にもあるいはこれからの展望からいいまして、いわゆるノーブルユースという方向でこれを愛惜し、使用していかなければならぬという方向が世界的にも是認され、強調されてきておりますので、それに比例しまして、われわれはいよいよ原子力の推進、LNGの推進、これに加えて石炭をもって太柱の一つにしたい、こういうことをいま考えてまいっておるわけでございます。そういう意味では、昔はよかれあしかれいわゆる主となる燃料があった。水主火従の水、火主水従の石炭あるいは油主ということで石油といういわば大黒柱がありましたけれども、これからは原子力にしましても、なおかつ将来の電力エネルギーを大きくしょっていくというわけにはいきませんし、LNGにつきましても、先ほど申しましたような割合でございまして、石炭につきましてもいかに努力しても、やはりそのシェアとしては六十五年度では電力で一一%、先ほど言いました原子力でも三〇%、LNGでは二五%、こういうことで、これからはいわゆる主のない燃料構造をもって電力安定供給を構築していかなければならぬという時代に入ってきたわけです。  これを一口に申しますと、多極化時代に入ってきた、こう申さなくてはなりませんけれども、現実の姿としては、多極化というのはわれわれの努力目標であって、現実のただいまの姿では無極化である。石炭も現在は四%にすぎない、原子力も一三%にすぎない、LNGも一五%にすぎない。そうしてさらに努力をしましても一一%、三〇%、二五%、こういうものは十年後の六十五年におきましてこれを実現しようというわれわれのこれからの努力目標でございまして、現にこれが与えられておるものではありません。そういう意味で、いわば無極化から多極化を実現する努力こそがわれわれに課せられた使命である、そうしてさらに、来世紀にわたっていわゆる主となるエネルギー開発しまして、そうして日本の将来にわたる、国の独立と民族の存続を図る上でのナショナルセキュリティーの根本であるエネルギーの主をつくり出していかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、それまでに至る間はこの無極化を一日も早く多極化に実現しまして、この総合の中で日本電力燃料の安定を構築、発展していかなければならぬ、このためにあらゆる努力を傾注しなければならぬ。  そういう意味で、田中先生から先ほどからも痛烈に、反省が足らぬ、こういう御指摘をいただきましたが、まさにおっしゃるとおりで、そのお言葉をそのまま私どもいただきまして、今後の決意をさらに新たにする戒めといたしたいと思います。  以上をもってお答えといたします。
  14. 奥村虎雄

    奥村参考人 お答えいたします。  鉄鋼業界につきましては、従来から高転炉方式という方式を採用いたしておりまして、高炉からできた銑鉄を転炉で鋼にする、こういう方式でございます。したがいまして、高炉にはコークスが必要である、コークスをつくるために原料炭が必要である、こういうことで、鉄鋼会社で使います総エネルギーの中に占める石炭の比重というものは、先ほど御説明申し上げましたように、高炉会社について申しますと七五%は石炭依存である、こういう意味合いにおきまして、過去百年近い日本の近代製鉄の歴史の中で石炭はずっと優位を占めておったということでございますが、ただ、最近になりまして高炉がだんだんと大型化してまいりました。最近では四千立米以上の高炉日本では二十本以上もあるというようなことでございまして、こういうふうに世界でも類のない大型高炉を持っておる国ということになりますと、たとえば高炉の安定操業であるとかあるいはその経済性であるとかいう意味合いから、一部の高炉の中に重油を吹き込む方がいいんじゃないかという技術的な見地もございまして、ここ数年来重油の吹き込みをやっておったわけであります。ただ、最近のように脱石油ということに相なりましたので、何とかこの吹き込みの数字を減らすことができないだろうかということを各社とも真剣に検討いたしまして、先ほども申し上げましたが、最近では銑鉄一トンつくるのに一番多いときは五十リッターくらい吹き込んでおりましたが、現在では平均二十リッターくらいの吹き込み量に減らしております。さらに完全に石油を吹き込まないでできないかどうかということを技術的に検討するために、主要各社大型高炉につきましてもオイルレス操業をやってみようということで、試験的に現在もやっておるということでございまして、将来もし技術的にも支障がないということになりますれば、さらにその二十リッターは減ってくるという可能性はございます。ただ、技術的な安定操業ということが可能であればということでございますので、この辺は将来の試験結果によって決定をされるということに相なります。  それからなお、鉄鋼会社で使います油の使い道は高炉だけではございませんで、加熱炉でありますとか、圧延関係でも加熱のために使用しておりますが、これらの油の使用量につきましても、ここ数年極力減らそうという努力を続けてまいりまして、昭和四十八年ごろには、日本全体の製鉄会社で使っております石油類全体で千五百五十万キロリッターぐらい使っておりましたが、五十三年度実績は九百二十万キロリッターに減っております。四割減ということになっておるわけでございまして、国策に沿いまして極力脱石油を図ろうということで大きな成果を上げております。  このように、基本的には石炭中心でございますが、その中でも、一部石油に依存しておりました部分を支障のない限り極力減らそうという努力を現在も続けておるということでございます。
  15. 橋本重輔

    橋本参考人 ただいま田中先生から御指摘のありました二点につきましてお答えいたしたいと思います。  まず冒頭に、セメント企業の石炭といいますかエネルギーに対するウエート、そういうものから若干御説明いたしておきますと、私どもは先ほどの御説明のように、確かに多消費型産業でございますが、使っておりますC重油というのは、C重油でも三級ございまして、その一番劣悪な部分でも済むような、一種の産廃的な要素のものもかなり使えるというような面だとか、それからトータルの総使用量につきましても、現時点では一般炭しか使わないのですが、先ほど電力鉄鋼さんの御説明がありましたように、日本全体で五年なり十年先を考えました場合には、セメントの占めるウエートというのは相対的には非常に低いものになると思います。ただ当面、これは政府の御指導並びに国策もございまして、脱石油というような方針で、非常に転換しやすい面をセメント産業というものは持っておりましたので、非常に転換が急速に進みましたことが、本日参考人として呼ばれた理由だと思っておりますが、相対的にはウエートが低いということは事実だと思います。  そういう前提に立ちまして、先ほどの田中先生の、企業としての見通しの甘さというような点につきまして、私ども業界といたしましても、こういうふうになるだろうというような感触といいますか、そういうものは確かに持っておりましたのですが、ただ、それをどうしたらいいかというようなことにつきましては、力の不足もございましたし、ただいま先生がおうしゃったとおりだと思います。  内容を申し上げますと、内部ではLNGを使ったらどうかとか、それからオイルコークスを使ったらどうかとか、それから石炭にしたらどうかとか、いろいろな観点から原価その他をはじきまして、事前に検討はしておりましたのですが、いずれにしても、セメント企業というのは純然たる民間の企業でございますので、やはり採算を外して物を考えるということはできませんので、踏み切れないといいますか、そういう面があったことは否めないと思います。  次に、石炭についての見通しの件でございますが、ある面でセメントの供給責任というのは、これは素材産業でございますからどうしてもありますので、エネルギーにつきましては、まず第一に考えなければいけないのは、安定ということが、番大きなことだと思います。これは先ほども御説明申し上げましたように、国内炭を二割なり二割五分使うというのも、一にそういう安定供給という面で使わせていただいているわけでございます。安定供給並びに値段、品質、こういうものが今後、私どもとしてはやはり一番大きな問題になりますし、将来、石炭についてどういう見通しかという点につきましては、私どもの立場でこうなるということでなしに、原価面からいいましても、ここしばらく安定して石炭というものの方にどうしても志向せざるを得ないんではないか。これは私どもセメント産業がオイル・ショックの前までは全量石油であった場合とちょうど逆の事態になりつつあるというような感じがしております。ここしばらくは、いま言ったいろいろの関係から、石炭の方へ全面的に志向するような方向にあると思います。  以上で終わります。
  16. 有吉新吾

    有吉参考人 ただいまの第一点の反省の問題でございますけれども、私どもは石炭業界でございますので、終始、国内にある唯一の資源、これをこういうふうにつぶしていいのかということで来たわけでございまして、反省と申しますれば、力が足りなかったということを反省をしておるというのが実情でございます。私は、むしろユーザーさんが石炭から油にどんどんかわられたという、これについての反省というものも必要かと思うのであります。これは国を挙げて反省すべきじゃないか、政策の貧困である、こういうふうに私は思っておるわけでございます。エネルギー政策がない、その辺を反省すべきである、こういうふうに思っております。  私どもは七百からあった炭鉱をどんどんつぶしまして、現在は二十七になってしまっております。私の友人に、学校を出てずっと石炭に携わり、石炭化学をやってきた大学の教授がおるのでありますが、私どもが炭鉱をどんどんつぶしておりました三十七、八年のころ、アメリカを回って帰ってまいりまして私のところに寄りまして、アメリカではいま石炭液化に取り組んでおる、それからメジャーが盛んに石炭鉱区を買収しているんだ、日本はどういうことだ、こういうふうな話をしていったことがありますが、まさにそういうふうな世界の情報と申しますか、全然そういう見通しがないというその辺をもう一遍みんなで反省すべきではないか、私はこういう気持ちを持っておる次第でございます。ですから、いまここに来てもう一遍ひとつ本腰入れて考えていただきたい、これは関連をしたお願いでございます。  それから、石炭の将来をどう見ているか、こういうことでございますが、御承知のように、化石燃料といたしましては、油に比べればもう圧倒的に多いのでございます。一九七八年に発表されました世界石炭埋蔵量は十兆トンというのが大体通り相場になっておりまして、経済的に可能である可採炭量というものは六千億トンぐらいである、こういうふうに言われておるのであります。その十兆トンの中にお隣の中国が幾ら入っておるかといいますと、一兆トンという数字で入っておるのであります。ところが、昨年発表されました、この出所を私ちょっと忘れたのでございますが、最新のなにによりますと、中国側が出しております数字は、中国だけで十兆トンである。十倍であります。七八年では中国だけで可採炭量一千億トンと出しておるのでありますが、昨年出されました数字は二千億トン、こういうふうになっておりまして、私は、資源のリザーブという点から申しますと、石炭というものは非常に頼りになるのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、日本の最近の計画におきましても、一九九〇年、いまから十年先ぐらいには、一般炭を五千万トン見当海外から輸入するというような形になっておりますし、二〇〇〇年におきましては、八千万トン以上の石炭をと、こういうふうな考え方が示されておりますが、私は、三千万トンとかその辺ぐらいまでは灰捨ての問題とか、環境立地問題は何とか克服できるのではないか、こう思っておりますけれども、やはり石炭をクリーンなものにして使うということを考えなければならぬわけでございますが、石炭液化にいたしましても、石炭をガス化いたしまして、それからメタノールをつくって持ってきたらどうか、こういうふうな計画にいたしましても、いずれもクリーン化の方法でございますが、大分先のことのような考え方を一般にされておりますけれども、私はそんなに先ではないという気持ちを持っておるわけでございます。  いまアメリカでやっております、私どもも協力しようとしておりますSRCIIにいたしましても、六千トンのプラントが八三年いっぱいにでき上がりまして、八四年からそのモジュールプラントを動かす、こうなっておりますので、それがうまくいけば、それを五系列並べればこれが商業プラントになるわけでございますし、八〇年代の後半とか九〇年代になりますと、液化油とかガス化から出た燃料とか、こういう形で相当持ってこれるんじゃないか。しかも、油がこういうふうに、いますでにバレル三十何ドルでございます、こういう形になってまいりますと、そういうことをますます経済的にも可能にする、私はこういうふうに考えておる次第でございます。  なお、国内炭の問題でございますけれども、国内炭が高い、高い、これもいままでのなにでございますが、油が上がってまいりますと、外国炭も、いずれにしてもこれは燃料でございますので、やはり需給の関係からいいますと油につれまして高くならざるを得ない。現に一般炭のごときはすでに国内炭と余り値差がないというようなところまで来ておりますし、私はいつも言うのでありますが、将来、十年先に四千万トンとか五千万トンというものを輸入するという計画を考えますときに、国内にあります二千万トンというものを仮に全部エネルギーとして使ったら、これは相当のウエートを占めるのじゃないかと考えておるわけでございます。  それからもう一つは、国内炭は高い、高いという考えが皆さんの頭にこびりついておるわけでございますけれども、私どもと同じように深い坑内の石炭を掘っておりますイギリスとかドイツとかフランス、こういうところの国内炭の値段と私どもの国内炭の値段はどうなっておるか、この辺を調べてみますと、為替レートの問題もございましょうが、円換算いたしますと、イギリス、ドイツ、フランス、いずれも日本国内炭よりも高いのです。こういうふうなことでございますので、広く海外石炭もあわせて石炭というものを考えていくと同時に、ひとつ国内炭というものをもう一遍本気で評価していただきたい、こういうふうに考える次第でございます。
  17. 田中六助

    田中(六)委員 委員長、私、一問しかやっていませんので、時間を超過しておりますけれどもよろしくお願いしたいということと、参考人の皆さん、いろいろお答え願ってありがたいのでございますが、できるだけ短くお答えを願いたいと思います。  田尻さんと有吉会長にちょっとお尋ねしたいのですが、石炭資源開発会社というのを一月何日かにおつくりになったようであります。これは電発を含めて十社で構成しているのですが、石炭企業関係が入ってないのですが、技術とかその他の面で何となく私ども素人には問題が残るような気がしますが、その点いかがでしょうか。御意見を承りたいと同時に、有吉会長からも石炭業界の面から……。
  18. 田尻正實

    田尻参考人 お答え申し上げます。−先ほどからるる申し上げましたように、電力における石炭の使用計画は長期にわたって非常に大きな展望を持っておるわけでございます。これをいかに国際的にも国内的にも秩序あるマーケット、安定したマーケットの中で整々として調達し、その安定調達を通じて電力安定供給をどう果たしていくかということを考えますときに、最近の豪州にその一例がすでに出てきておりますけれども、各人各様にてんでんばらばらに買いに行って買いあさるというようなことでなしに、特に電力の場合は公共事業でありますし、公営事業でありますので供給責任がありますから、安定確保という点からは九社が一致し、さらに電発を含めて十社をもって秩序ある対応をしていきたい。一方、そうすることによってバーゲニングパワーというものも確保したい。そうして先方も安定した大きなマーケットと直接結びつきたいという希望を切に持っておるわけでございまして、こういう両方の希望をベースにしまして、この石炭開発会社、一月につくりました私どもの会社が現地に入りまして開発をするということによって安定確保を一層期待していきたい、こういうことでございます。  ただ、その場合に、先ほども申し上げましたように、単に電力会社だけで進められるものでありませんので、これに対しましてはいよいよ現地で開発に参加して現実のプロジェクトを起こしていくという場合には、そこで専門の石炭産業その他関連のいろんな方々の御援助をいただかなければならぬ、このように考えております。こういう御援助をいただき、さらにまた国際的にもメジャーを含め向こうの独立会社その他とも共同して多角的にこれに対応して、そうして総合的な安定確保というものを構築していきたい、このように考えております。
  19. 有吉新吾

    有吉参考人 ただいまの新しい会社ができますときに、石炭協会としましては、石炭サイドが加わった方がいいのじゃないかということで、電事連の方に参加したい、入れてくれないかという話を持ち込んだのでございます。しかし、今度つくられました新しい会社石炭を買う会社であり投資をする会社なんだ、こういうことでございまして、これだけは電力だけでひとつ構成したい、こういうお話でございました。ただ、先ほどの話にありますように、現地でプロジェクトごとに企業体をつくりますときには、これはぜひ石炭側の協力を得たい、こういうふうなことでございますので、私どももぜひそういう形において、やはりもちはもち屋でございますので、協力をできたらと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  20. 田中六助

    田中(六)委員 次に、コールセンターの問題ですが、秩序があって、しかも安定供給ができるというようなことでコールセンターという構想がもうすでに昔からあるわけですが、政府が行政指導をやっていろいろやっているのは二つとか三つとかいうようなことなんですが、このコールセンターは大体どの程度あれば、満足というまではいかぬ、コストも費用もかかるわけでございますので、そういう点について、有吉さんどういうふうにお考えでしょうか。
  21. 有吉新吾

    有吉参考人 私、詳しいこの石炭の配送関係、需給関係の想定はむずかしいのでございますが、瀬戸内というのはやはり非常にむずかしいのじゃないかと思いますので、やはり北と南に一つぐらいずつつくるというような、そういうことじゃないかと考えております。
  22. 田中六助

    田中(六)委員 それから、石炭の基準価格の問題でございますけれども、いつも私ども気になることでございますが、これは合理化法の五十八条では、結局販売価格の基準額は通産大臣がこれこれこういうことで「基準額を定めなければならない。」つまり石炭鉱業審議会の意見を聞いてやるわけでございますけれども、現実としては石炭の業者と鉄鋼あるいは電力、そういうようなところが話し合いをずっと進めてどうだこうだとやってきておるわけです。特に先ほどの電力料金の値上げの問題でも、たとえばその条件、要素といいますか与件といいますか、たとえば円の値段をとってみても二百四十二円、それが円高になるか円安になるかまだまだ流動的なのにそうフィックスして、しかも将来は円高になるであろうというような想定のもとにやっておるわけでございますが、そういうものを加味しても、この石炭の基準価格というものを決めるのにいつもトラブルがある。この五十八条というのは合理化法が改正になっても残るようでございますけれども、この点について何か新しい手法、何か変わった、何か西独方式をいま有吉会長は言っておりましたけれども、こういう基準価格の決定について何か参考人の御意見がございましたらと思いますが、全部の方にお聞きするのもあれですが、田尻さん、奥村さん、有吉さんそれぞれの御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  23. 田尻正實

    田尻参考人 石炭の基準価格の設定の仕方につきましては、先ほどもお話がありましたように、西独の例等いろいろございますが、日本の場合におきましては、まず第一に、基準価格という前にいまの国内鉱山における適正生産はどうであるかということを考える必要があろうかと思います。そこで、経済的であり、かつ女定的な供給ができるというベースがまず保障される、そういう前提の上でどういう価格を考えるかということになると思います。  ただ、先ほども有吉参考人からお話がちょっとございましたが、油の値段が上がったから石炭の値段も上がっていいじゃないかという御発想に対しましては、これは若干短絡的な問題があろうかと私は思います。IEAのランツケ事務局長も、石炭は油と違った世界マーケットであるから、そこにおけるコンペティティブな価格が形成されなければならぬ。そのためにさらにIEAに石炭会議をつくって、その政策提言を仰ごうということで、石炭産業諮問会議というのが今回つくられまして、四月下旬にはその会議が持たれることになっておるわけでございます。  そういった石炭における独自の事情を織り込みまして、特にこれは労働集約産業でございますので、労働費というものをベースに考えながら、その他経済的なインフレ条件といったものを勘案しながら、適正に考えられるということが望ましいのではないかと思います。  ただ、電力の側から一言お願い申し上げたいのは、いずれにしましても、電力は認可料金のもとで努力しておるわけでございますので、やはり適正な価格——石油のような今日の混乱したマーケット、マーケット作用もなさないこういった状況の中での価格、こういったものに煩わされないで日本の事情を篤と御勘案をいただきまして、国におかれましてもいろいろと御検討いただきたい、このようにお願い申し上げたいと存じます。
  24. 奥村虎雄

    奥村参考人 原料炭についての考え方でございますが、原料炭一般炭と違いまして、カロリーだけではございませんで、粘結性その他のいろいろな炭質の点もございますので、現在の価格の決め方の点につきましては、品質において大体日本原料炭と同等な海外原料炭を基準にして決める、こういう運用がなされておるわけでございます。したがいまして、その値段は、先ほど言いましたように、現在内外の比較において国内の方が七千円ぐらい高いということでございますが、従来これの為替レートの関係等が非常に変動しておりますので、過去におきましては二、三千円高という時代が続いておったわけでございます。しかし、そのぐらいの値差でございましたら、国内にそういう資源を持っておるということ、またそれが海外原料購入の交渉のための非常な材料にもなる、安全性の点から言っても国内にある程度資源を持っていることは必要である、いろいろな見地がございまして、若干の高い値段は甘受しようという方針で来ておるわけでございますが、今日のように為替レートの関係で値差が非常に拡大してまいりましたので、これは業界だけで負担する限界を超えておるとわれわれは考えておるわけでございます。したがいまして、できれば西ドイツあたりのように、その価格差を国においてある程度補てんをするという方向をぜひお考え願いたいということをかねてからお願いを申し上げていた次第でございます。  そういう現状でございまして、原料炭については国際的な貨物であるということから、海外の値段と非常に隔絶した値段であることは困ることになろうかと思います。したがって、原料炭については、同じ程度の品質のものの値段を基準にするという従来の方針を引き続いて堅持していただきたいと考えておる次第でございます。
  25. 有吉新吾

    有吉参考人 ちょっと誤解を生んでは困りますので……。  先ほど田尻参考人は、油が上がったから石炭は上げてしかるべきだという考えをしているのは間違いだ、こうおっしゃいましたが、私はそういうことを言っているわけではございません。確かに石炭市場と油の市場は違うのであります。したがって、油と同じになると言っているわけではございませんで、一般的なエネルギーが不足しておる状況におきましては、そういうふうに引っ張られることは間違いない、こういうふうに私は言っているわけでございます。  なお、これは国内問題にすぐ関連いたします。さっき申しましたように、油よりも石炭の方が一万円以上安いのですけれども、私どもは一万円だけ上げてくださいと言っているのではなしに、千六百円上げてくださいと申し上げておるのでございまして、その辺は誤解をされませんようにひとつお願いしたいと思います。  それから、基準価格の問題でございますが、私は、結論的にはやはり残してもらいたいと思っております。これはもともと石炭業界が、石炭が売れないものですから、とにかく金にかえなければということで、いよいよ窮況に陥る、そういうことに対する対処策といたしまして、電力用炭販売株式会社というものをつくって一元的に買い上げ、そしてそこを通して、一定の値段で、安売りしないというのがたてまえだったとたしか覚えておりますが、現状におきましては、いろいろな政策と絡み合わせまして石炭企業の経営をどう判断していったらいいのか、その一つの役目をなすのが基準価格なんでございます。したがって、一般炭とか原料炭、それから一応自由市場でありますセメント用の石炭とか、需要家さんによりまして事情が違うわけでございます。したがいまして、たとえば電力用でございますれば、電力料金をどうするかという問題と関連する、それから鉄鋼業さんであれば内外炭の格差を政府の助成、予算でどう見るかということに関連するわけでございます。一方、セメント業界にはそういうものはないわけでございますが、こういうふうに石炭が足りなくなったからといって、とにかく幾らでも高くセメント業界に売っていいのかと申しますと、これはやはり何らかの基準価格というものがあった方がいいのではないか。その根本は、さっきから言いますように、日本石炭業界が何とか回っていくような考え方のもとに、政策と合わせてそういう基準価格というものを考えていただきたい、こういうことでございます。
  26. 田中六助

    田中(六)委員 石炭をめぐる問題は非常にむずかしくて、皆さん方に対する反省あるいはそういうものも私は指摘してみたわけでございますけれども、もちろん行政指導をしている政府も、十数年間で六次にわたる石炭審議会の答申を求めて、また秋には第七次をやろうかやるまいかというようなことで、日本石炭産業はスクラップ・アンド・ビルドで、自然条件、労働条件などがよその国よりも非常に複雑でございますし、非常にむずかしいことでございますが、エネルギー問題というのは、それほど重要なことであるし、また日本には唯一の資源石炭ということでございますので、その点も、ただ役所がどうのこうのということだけではなく、皆さんで十分考えてほしい問題でございます。  そのほか、SRCの問題、あるいは褐炭液化の問題など、将来の石炭液化についての展望などもいろいろお聞きしたいわけでございますけれども、私の持ち時間ははるかに超えておりますし、同僚の皆さんのこともございますので、これで終わらしていただきます。
  27. 岡田利春

    岡田委員長 午後は零時四十五分から再開することとし、この際、休憩いたします。    午前十一時五十一分休憩      ————◇—————    午後零時四十八分開議
  28. 岡田利春

    岡田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑を続行いたします。細谷治嘉君。
  29. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 参考人の皆さんには御多忙な中おいでいただきまして、貴重な意見を拝聴さしていただきました。ありがとうございました。  お述べになりました御意見中心にいたしまして、若干御質問申し上げたいと思います。ただ、時間が限られておりますので、いろいろ述べたいことがおありと思いますけれども、ひとつ簡潔に御答弁いただけたらと、こう思っております。  私の質問の前提というのは、今日の世界エネルギー事情、こういう問題を考えますと、何といってもやはりエネルギーの安全保障をどう確立するかということが大変重要だ、こう思っております。今度の国会で代替エネルギーということについて法律案も出されておりますし、あるいは予算もある意味では重点的につけられておるわけでございますけれども、私は、もっと代替エネルギーの中で石炭の重要性ということを位置づけなければならない、強調をしておくべきではないか、こういうふうに考えております。  申すまでもなく、日本エネルギーの唯一の資源というのは石炭だ。これをとことん活用していく。同時に、長い間培いました日本の採炭技術、こういうものをグローバルな意味において生かしていく、これが今日非常に大切な問題点ではないか、こう思っております。そういう意味で、順を追うて具体的に御質問したいと思います。  まず最初に、田尻さんにお尋ねいたすわけでございますけれども、四人の参考人の御意見を拝聴いたしまして感じたことは、これからやはり国内炭優先という原則はもちろんでありますけれども、海外炭にどうしても依存していかなければならぬ。そういう際に、やはり御指摘のように秩序ということが大変重要だと思うのでありますけれども、その秩序というのが統一的にいくのかいかないのか、これが非常に重要な問題点であろうと思うのです。田尻さんのお言葉に、山元開発参加する必要がある、こういうことから石炭資源開発株式会社、こういうものを発足させた。これは田中委員の御質問にもございました。こういうようなことについて、時間がございませんから掘り下げた議論はできませんけれども、もう一度山元に対する開発参加という問題と、こういう石炭資源開発株式会社というものが、今日までの供給者であり、採炭技術を持っている石炭協会あるいは政府、こういうものとどういうふうに絡み合っていくのか、この辺がひとつ大変重要なポイントではないか、こう思っております。これがお尋ねいたしたい第一点でございます。  それから、第二点の問題点は、それぞれが最大限の努力をいたしてコストの低下に努めることは当然でございますけれども、石炭協会の方からはぜひ千六百円の値上げをお願いしたいという切なる声が出されております。先般、電気料金というものが、北海道電力はちょっと早かったのでありますけれども、八電力について許可がされました。この電力料金の値上げの中に織り込まれておる炭価の是正というのが、有吉参考人の言葉にありましたように、必ずしも十分ではなかったのではないか、こういうような気もいたします。この二点について、田尻さんの御意見を拝聴いたしたい、こう思います。
  30. 田尻正實

    田尻参考人 それではお答え申し上げます。  第一点につきまして、海外炭開発会社山元参加するのはどういう意味か、こういうことでございます。これはもう一度繰り返しになりますけれども、先ほどから申し上げましたように、電力一般炭需要量は、電気事業審議会計画に基づきましても非常に大きな数量になっております。これは先ほど申し上げたとおりでございますが、こういった大きな数量をいかに調達するか。もっと申しますと、今後の世界における一般炭のマーケットの最大なものは、これはアメリカを除けば日本であるということになるのは必定であります。世界的なマーケットの中にこれほど大きなウエートを持つ、こういうウエートのある大きな購買をどのように秩序立てて獲得していくかということになりますと、各社がばらばらに行って競い合うということではいたずらに値段をつり上げるだけである。それから向こうの安定供給ということも期せられない。高値だけが唱えられて玉はこれに伴わない。こういう問題が出てくるわけでございまして、もし仮にでもそういうことが起きた場合は、私どもは燃料安定確保しなければ電力安定供給はできないわけでございますので、万が一にも電力供給に支障が起きてはこれは一大事でございます。そういう意味で、まず需要を組織化するということが第一であるりと考えるわけでございます。それで九電力、電発を合わせたこの需要を組織化して、そうして産炭国との間に秩序ある、しかも安定的な関係を結んでいく。それには向こうの山の開発にまで入っていかなければ、一般のマーケットにありますいわゆる単純買炭ということになりますと、安定供給という面からきわめて不安になりますし、値だけがスポット的に上がってくる、こういう問題がありますので、私どもは山に入りましてそのエクイティーを取得しまして、向こうと抱き合って山を開発し、安定生産をし、そしてその利益を分かち合う、そういう姿で両者の関係を良好な関係の中で進め、そうしてそれによる安定供給を通じてさらに両者の関係を改善していく、こういうスパイラルな関係をつくり上げていきたい。これこそが安定供給、しかも経済確保のベースである、このように考えるわけでございまして、そういう考え方から、先ほど申し上げましたような、私どもがっくりました石炭開発会社にそういう役割りを果たさせよう、こう考えておるわけでございます。  それから、第二点の御質問でありますが、千六百円の値上げ要求ということでございます。私ども、先ほども申し上げましたけれども、非常に厳しい国民の監視の中で、しかもまた政府御当局、それに諸先生方からも厳正なる御指導を賜りまして、今回料金の値上げを御認可いただいたわけでございますが、その中で、われわれとしてはもう一度ふんどしを締め直して、経営体質の立て直しをしなければならぬ、こういう状況の中にございますので、どうか国内炭につきましても、先ほども言いましたように、油のマーケット構造そのものが崩れてしまっておるいまのような状況の中の油価格ということでなしに、世界を通ずる、石炭マーケットに通用する妥当な価格を基準にして、それとコンペチブな国内価格というものをぜひ私どもは御期待申し上げたいし、一方、またこの実現のためには国の御助成を特にお願いを申し上げたいと思います。そういう中で私ども電力はできるだけ努力はしますけれども、おのずからいまのような状況の中で力が足らずという実情にありますので、この点もぜひ御理解を賜りたい、こう存ずる次第でございます。
  31. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 もう一遍ちょっとお尋ねいたしたいのでありますけれども、いま現地山元で資金を投入していく、そしてエクイティーを確保する、これは安定確保のために絶対に必要な条件だと思うわけでありますけれども、今日の、たとえばオーストラリアの石炭を見ましても、日本がここ数年必要としておる外国炭を確保するということは量的にも容易ならぬことだというふうに考えられるわけです。量の不足をこれから確保していく、そして出たものについてエクイティーに基づいて外国炭を国内に持ってくる、こういうことだと思うのですが、いずれ技術なりそういうものについては石炭協会等の協力あるいは政府の援助等を必要とするでありましょうが、それで間違いなく安定供給への道を歩むことができるのかどうか、もう一度お答えいただきたいと思うのであります。
  32. 田尻正實

    田尻参考人 お答えを申し上げます。  御承知のとおり、最近の新聞紙上などから見ましても、石油メジャーが石炭鉱区をほとんど押さえてしまったとか、日本だけでなしにヨーロッパからも買い手が殺到しておる、そして値段がどんどんつり上がっておる、そして玉は逆になくなってきておるというような状況の中で、おまえは石炭安定確保が今後ともできるのか、こういう御質問でございますが、私どもは幸いにたくさんの申し入れをメジャーからも、あるいは独立鉱山会社からも、商社からもいろいろな筋から話を受けておるわけでございますけれども、いずれにしましても、電気事業といたしましては石炭に関係のある他の業界ともよくよく協力し、また官民の新しい協調のもとに、単にメジャーに限らずこれらを取り込んで、共同化を多角的に進めて安定確保を進めていく、そしてその進める中心としては日本石炭資源開発会社中心にして、これをわれわれ十社が強力にバックアップしていく、こういうことで進みたいと思います。特に当面の六十年までの所要炭につきましては、幸いに電力動きが早かったわけでございまして、それまでのものはすでに確保しております、問題はそれ以降のものでございますが、それにつきましては、先ほど言いましたようにエクイティーを取得して開発導入を図っていく、こういうことで安定確保を図りたい、こう考えております。
  33. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 ちょっとまだ納得できない点がございますけれども、時間の関係もございますから次に進めさせていただきます。  奥村さんのお話の中に、国内炭につきましてはこれからは一般炭にシフトしてもらいたい、こういう言葉がございました。このことはどういうことを意味するのか。鉄鋼は外国炭に圧倒的に依存しているわけでございますけれども、国内炭を必要としないのかというようにもとられなくはないわけでありまして、こういう点について真意をひとつお聞かせいただきたい、こう思います。  もう一つは、どうも海外へのエネルギー転換によりまして買い付け競争が激化しておる、したがって価格の急上昇が心配される、こういうお言葉がございました。私も、第二次の石油ショックを受けまして石炭というのにメジャーが大々的に手を入れてきておるということもありまして、そういう買い付け競争の激化というものが現にもう起こっておるのではないかということを若干懸念いたしております。そういう私の懸念は、いまのところ皆無である、こういうふうにお思いなのか、ややそういう傾向があるのだ、こういうふうに認識されておるのか。  以上二点についてお答えいただきたいと思います。
  34. 奥村虎雄

    奥村参考人 ただいまの御質問の第一点、一般炭にシフトするということの意味でございますが、私の申し上げた趣旨は、いまの日本国内で産出しております原料炭を現在以上に減らしていこう、あるいはゼロにしよう、こういう意味ではございませんで、ただ、現在一般炭需要が非常に拡大し、海外からも一般炭輸入を拡充していこうという機運でございますから、そういったときに国内石炭につきましてもできるだけ一般炭をふやした方が、日本石炭業界のためにもなるのではないか。一方、原料炭について考えてみますと、先ほども申し上げましたように、現在同じ程度の品質を持っている弱粘結炭と比べますと、日本国内の弱粘結炭は七千円前後高いという現実がございますので、もしその価格差がそのまま続くといたしますと、これ以上の引き取り数量の増大ということは実際問題として経営上非常にむずかしい点がある。したがいまして、もし一般炭需要が増大するということであれば、むしろそちらの方の需要に見合うように生産の重点も一般炭重点に志向した方がいいのではないかということを申し上げたにとどまっておるわけでございます。  それから第二点の、海外一般炭開発導入に伴いまして過当競争のおそれがある、これによって価格が急騰することを懸念するということを申し上げましたが、われわれ豪州から海外原料炭の半分に近い数量を現実にいま買っておりますし、豪州方面といろいろと直接折衝しておりますさなかに、一般炭につきましてかなりいろいろな買い付け競争があるような話も現地で聞くわけでございます。それに伴いまして価格の急騰を見るおそれが現に出てきているのではないだろうかというふうな懸念を持っておるわけでございます。したがいまして、この際、秩序ある買い付けということに徹していただく必要があるのではなかろうか。この点につきましては、原料炭の方におきましては、世界の各地から供給ソースを多角化するというようなことで、現在では四十数%を豪州から買っておりますが、そのほかに、先ほど申しましたようにアメリカ、カナダ、中国、ソ連、ポーランド等から原料炭を買っておるわけでございまして、そういった長年の経験等もぜひ御参考にされて、秩序ある開発輸入に今後徹していただくことが必要ではなかろうかということを考えておるわけでございます。現にこういったことで鉄鋼業界の過去の経験等も電力、セメントなどの代表の方々と現実に懇談会形式等によりましてお話し合いをしておるようでございますので、これによりまして所期の目的が達成されることをわれわれは願っておる次第でございます。
  35. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 先ほどお話がございましたコークス比、昔は大体五百キロを超しておったものが、いまは四百二、三十、あるいは粗鋼から鋼板等に鍛造していく、圧延をしていく場合の能率でかなり技術的な改良が行われたということを承りまして、たゆまない努力を高く評価いたすわけでございます。日本の鋼の質が世界でも優秀だと言われる点については、私は一昨年ですかオーストラリアに参りましたが、圧倒的な量というのがオーストラリアの石炭でありますから、その辺石炭の問題とも絡んでおる。技術的な努力もありますし、石炭からコークスをつくるときに、それをどうブレンドするかというようなこともあると思うのでありますけれども、いずれにいたしましても、原料炭をどう確保するかということは大変重要でありまして、電力会社の方は一つの株式会社をつくった。一般炭原料炭の違いがあるということだけでなくて、やはり炭鉱の開発あるいは技術を入れていくということについては、ある意味では国として一元的な方向を選択していかなければならぬのじゃないか、こう思っておるわけでありますが、こういう点については電力電力一般炭一般炭原料炭原料炭、こういう方向がいいのか、あるいは一元的に開発していった方がいいのか、この辺についての御見解を簡単にお聞かせいただきたいと思うのです。
  36. 奥村虎雄

    奥村参考人 鉄鋼業界原料購入あるいは鉄鉱石の購入も同じだと思いますが、これは長年の体験に基づきまして、開発導入までの段階におきましても、たとえば調査段階におきましては各製鉄会社の共同調査あるいは共同開発開発されました後の港湾、鉄道の建設に対する現地での協力体制、あるいはこれに対する専用船の大型化あるいはそれに対する共同配船というような各メーカー同士の協力ということが非常に大きな効果を上げまして、原料コストダウンに大きな寄与をしておるということがございます。またそれによりまして価格の不当に引き上げられることをチェックするということも、非常に大きな効果を上げたということで現在進んできておるわけでございまして、こういった経験等を今後の一般炭開発導入につきましてもぜひ参考にしていただいて、効果を上げていただくようにということを念願しておる次第でございます。  今度新しく一般炭につきましても一元的な会社を建てられるということでございますが、一般炭については、原料炭と違いまして、炭質その他の問題で原料炭よりは比較的問題は複雑じゃないと思います。と言いますのは、鉄鋼石炭につきましても銘柄の数が百銘柄ぐらいございまして、非常に複雑多岐にわたっておるわけでありますが、これを適当なぐあいにブレンドして最も適した固さのコークスをつくり上げるという非常に複雑なブレンド技術というものがあるわけでありますが、一般炭につきましてはそれほどむずかしい問題もなかろうかと思います。したがいまして、一元的な会社をつくりまして導入されるという場合にも、原料炭ほどむずかしい問題はないんではなかろうかという感じがいたしますので、この会社が今後うまく運用され、また開発につきましては、従来の知識、経験をさらに活用されるという方向で進まれることを期待しておる次第でございます。
  37. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 次に、橋本さんにお尋ねしたいのですが、セメント業界では最近急速に石炭への転換ということを進められておるようでありますけれども、この転換計画、年次別に転換率等も織り込みながら、どういう御計画なのか、具体的に御説明いただきたいと思います。
  38. 橋本重輔

    橋本参考人 お答え申し上げます。  ただいまセメント業界転換計画を年次別に御説明いただきたいというお話だったので簡単に申し上げますと、昨年五十四年度で、転換率で申し上げますと約一〇%でございます。五十五年度、本年度でございますが、これが計画どおり参りますと三六%でございます。それからあと五十六、七年度になりますと、確度は若干問題があると思いますが、現在考えておりますのは、大体七二、三%を考えております。  以上でございます。
  39. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そういたしますと、かなり急激に多量の石炭が必要だ、こういうことになるわけでございますけれども、お言葉の中に、一部工場では生産ストップが起こっておる、こういうような意味のお言葉がございました。石炭不足のために現実にそれが起こっているのかどうか、いかがですか。
  40. 橋本重輔

    橋本参考人 お答えいたします。  それは先ほど冒頭の説明の中で私の発音が悪かったことだと思って御容赦いただきたいと思いますが、昨年の七月ごろ石油が非常に暴騰いたしまして、高いだけではなしに、品物がなくなって、石油が買えなくなったわけです。石油のためにストップした事例が一、二ございます。そういうことでございまして、石炭でございませんので御了承いただきたいと思います。  終わります。
  41. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そういたしますと、現状ではセメントの操業率というのは大体八五%程度が適正だというふうに言われておると思うのでありますけれども、重油の際のああいうショックは別といたしまして、石炭の不足で操業が落ちておる、こういうことはないと理解してよろしいのですね。
  42. 橋本重輔

    橋本参考人 現在のところございません。  終わります。
  43. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 そこで、次にお尋ねいたしたい点は、本格的なコールセンターをという強い要請がございました。いまはそういうものが皆無である、わずかに石炭会社等の貯炭場をお借りする以外にない、こういうことでございますが、それ以前に、石油から石炭への急激な転換が行われるわけでございますので、鉄鋼なりあるいは電力の方、電力は大したことはないのですけれども、それぞれ外国炭についてのいままでの実績というのがありますけれども、セメントはほとんどないと思うのです。言ってみますと、石炭需要家としては新参者ということになるわけであります。この辺について、外国炭を八〇%程度確保したい、こういうことでありますけれども、確実なめどというものをお持ちですか、いかがですか。
  44. 橋本重輔

    橋本参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃるように、セメント業界としては一、二の会社では実績もございます。しかしながら、全般として見ました場合には、先生の御指摘のように新参者でございます。したがって、石炭を購入する手だてその他の点について、電力とか鉄鋼さんにいろいろ教えていただきながら、現在のところ手配しておるような状態でございます。  その見通しにつきましては、大体のところ、現在購入希望に対して七割ぐらいは見通しがついております。あとのものについては、現在いろいろ交渉中だとかそういうような問題がございまして、完全に問題なしとは思いません。若干これから解決すべき問題が残っているように思います。  以上です。
  45. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 大体七割五分か八割ぐらいを輸入したいということでありますが、現在七割程度はめどが立っている、こういうことでありますから、あと一歩というところでありますが、これもやはり買い付け競争が起こりますと、セメントなんというのは燃料が四五%もコストの中に占めるということをお聞きしておるわけで、大変なことだと思うのです。そういう点では、御意見のとおりやはり秩序のある輸入体制の確立、こういうものが国全体として一元的に配慮され進められることが私は必要じゃないかと思っておりますが、そのように理解してよろしいんですね。
  46. 橋本重輔

    橋本参考人 お答えいたします。  先生のおっしゃるとおりだと思います。そしてまた業界としてもそういう方向で現在努力しております。  以上です。
  47. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 次に、石炭協会の有吉さんにお尋ねいたしたいのでありますけれども、石炭供給する側として一冒頭私が申し上げたように、私は石油代替エネルギーの柱というものは、大黒柱というのは、原子力と言う人もありますけれども、今日のいろいろな点を考えますと、やはり石炭がかなりの責任を負うておると思うのです。そういう点で、もっと代替エネルギーを確保する意味において、石炭政策的な力点を置くべきだ、こういう見解を持っております。  これについて有吉会長はどうお考えか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  48. 有吉新吾

    有吉参考人 私も全くそのとおりでございまして、今後のエネルギーの中に石炭の占めるシェアというものは相当大きく見ていくべきではないか、こういうふうに考えておりますので、私ども石炭業界としましては、国内炭、国外炭を含めました総合的な、もう少し腰を入れた政策を期待したいと思っております。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 第二点は、御意見の中に、貯炭対策交付金というものが今度の石炭会計の予算の中に入っておるわけでございますが、この予算が決定すれば、大体あす決定する見込みでありますけれども、鉄鋼の大体六十六万トンの引き取りということは確定的で、そういうものによりまして、現在三百五十万トン程度の貯炭を持っておりますけれども、大体五十六年度ぐらいになりますと百数十万トンぐらいの貯炭になるだろう、こういうお言葉がございました。  この貯炭対策交付金について、率直なところどういうふうに御理解なさっておるのか、お聞きしたいと思います。
  50. 有吉新吾

    有吉参考人 貯炭対策交付金は、貯炭の消化を目的といたしまして、現在貯炭になっております原料炭の中から、基準量を超えて、その貯炭をユーザーさんに引き取ってもらいましたときに、その貯炭の引き取り分につきまして外国炭との値差、六千七百五十円だったと思いますが、これを国が補助する、こういうふうなことでございまして、それによりましていま大体話を決めていただいておりますのは、基準量が六百二十万トンでございます。それに貯炭のそういう措置による引き取りを四十万トン加えまして、五十五年度は六百六十万トン引き取っていただく、こういうことで話が進んでおるわけでございます。  私どもは、もともとはそういう貯炭の消化ということでなしに、ベースからあります外国炭との格差をひとつ政策的に考えていただきたいというのが私どものお願いであったのでございますけれども、これは予算の関係とかほかの産業に与える影響とか、こういうことで貯炭の引き取り分だけというふうに限定されたわけでございます。  以上でございます。
  51. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 私の頭の中には、たとえば五十四年度は三十万トン、五十五年度はお言葉のように四十万トン、こういうことで交付金があるわけでございますが、結果としては、今日約七千円ぐらいの値差があるので、もっと助成をしていただきたい、こういう御意見かどうか。実は意見の中で私もちょっと意味が具体的にわからないので、この辺のことじゃないかなと思うのでありますけれども、四ページのところに、「五十五年度政府予算では貯炭対策交付金が計上されておりますが、私どもも一般炭シフトも含め負担軽減のために努力いたしますので、内外炭の値差の縮小を図るよう、対策強化について御検討願いたいと存じます。」こう書いてございます。  これを素直に読みますと、四十万トンという交付金、これをもうちょっと強化していただきたい、こういう意味が含まれておるのではないかと理解するわけです。たとえばヨーロッパにおけるイギリスなり西ドイツの例もございますが、今度いわゆる電源開発促進税というものとの絡みで、従来だんだん追い詰められておりました石炭予算というのも、やや裕福というわけじゃありませんけれども、ちょっと肉が入りかけたというのが五十五年度予算ではないかと思うのです。この辺の絡みで、私の理解が誤っているのか、思い過ごしなのか、あるいはどうなのか、ひとつ供給者側としての率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
  52. 有吉新吾

    有吉参考人 率直に申し上げますと、六百何十万トンという原料炭の引き取りにつきまして、外国炭との格差を何らかの予算措置によって考えていただきたいというのが私どもの希望でございます。西ドイツにおきましては、日本と同じように内外格差というものが大きくございまして、これに対しましてただいま国内炭原料炭につきましては、トン当たり四十九ドイツ・マルクの財政補助をやって内外炭の格差を埋めておるわけでございます。  なお、この一般炭シフトをも考慮してと申しますのは、そういう予算措置ができませんので、先ほど申しました貯炭引き取り以外のものにつきましては、内外炭の格差というものはそっくり需要家さんの方でおんぶしていただいておるというようなかっこうになっておりますので、採算的には多少問題はございますけれども、一般炭需要が相当ふえてきておりますので、原料炭のユーザーさんの方にできるだけ迷惑をかけるのを少なくして、一般炭の方にシフトをする、そういうことも努力をいたしますが、内外炭格差については、ベースからちょっと考えるという西独式の考え方をひとつしてほしいというのが本音でございます。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 意味がわかりました。  次に御質問いたしたい点は、五ページでございますけれども、「今回の電力料金改定の申請におきましては、その基礎として織り込まれた炭価は、私どもの要望を満たすには至っていないように仄聞しておりまして、これでは依然として大きな赤字が残るのであります。」こうおっしゃっております。電気料金の改定の中に、申請それから査定が行われた結果、私の調べでは大体九百五、六十円程度織り込まれておるのではないか、こう思っております。千六百円と比べますと、大体六割ぐらいですか、そういうことのようでございますけれども、どうしても石炭会社が最低限の経営を進めていく、そして供給者としての責任を全うしていくという場合に、赤字が長く続くということは困るわけでありますが、内部努力が第一に必要であることは申し上げるまでもございませんけれども、そうだといたしますと、千六百円という切なる声とはなお六、七百円の差がございます。こういう問題についてどうするかという具体的な問題。それは西ドイツのような方式もあるでしょうし、あるいは全体の中で対応していくということもあるでしょうし、あるいは需要家の御協力をいただくということもあるでしょう。いろいろありますけれども、せんじ詰めたところは、その辺をふさいでいただきたい、こういう御意見と承ってよろしいですか。
  54. 有吉新吾

    有吉参考人 私ども、電力会社さんの申請の内容というのは見せていただけませんので、よくわかりませんけれども、私どもいろいろ聞くところによりますと、先生のおっしゃいますように、大体私どもの要望の六割見当しか入ってないのじゃないか、こういう気はいたします。  私ども、これにつきまして、予算はいまどんどん進行中でございますし、予算措置をということを急に言いましてもなかなかむずかしい問題じゃないかと思います。一に、需要家さんに何とか考えていただきたい、こういうことを重ねてお願いをするつもりでございますし、予算の方でそういうことができるようであれば、さらにこれも役所の方にお願いをしたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  55. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 その次にお尋ねいたしたい点は、国内炭につきましても、エスカレート条項を盛り込んだ長期引き取り契約、こういうものを締結いたしたい、こういうお言葉がございました。全体としては値差の問題等がありますけれども、石炭もちょっと売り手市場になったというふうに、環境がそうだろうと思うのであります。長期取引契約を国内炭についても結ばないと不安があるのか。これはもちろんいまはいいけれども、従来の経験からいって、二年、三年この先が心配だということもあるでしょうけれども、この長期引き取り契約を結びたいということはどういうことなんでしょうか。
  56. 有吉新吾

    有吉参考人 需給状況は、おっしゃいますように、昔と非常に変わってきておりますので、長期契約によって何らかの引き取りを確約をしていただかないと困るという、いま一般的にそういうふうな状態ではないのでございます。ただ、原料炭につきましては、先ほどからの御説明のように、必ずしも国内炭が欲しいという、そういう状態にはないわけでございます。一方において欲しいというところもございますし、一方においてそんなに欲しくない、こういうこともあるのでございますが、やはり私どもといたしましては、政策産業として生きているわけでございますので、めちゃくちゃな値段で供給するとかそういうことでなしに、さっきから言いますように、安定した、とにかくやっていけるような経営ということを主眼にしております。  そういう意味で、各需要業界ごとにある一定の長期的な姿でどうなっていくのか、この辺をひとつはっきりさせまして、そうして一番の問題は、毎年毎年炭価の問題で決まらないのでございますが、外国炭につきまして、ある一定の条件を決めて、こういったものは価格に見るという、そういうなにがあるわけでございますので、こういったものは長期契約と結びつけて考えないとむずかしいわけでございます。そういうことで、新しい局面に対応いたしましてひとつそういうことを御相談申し上げていきたい、こう思っている次第でございます。
  57. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 先ほど田尻さんのお言葉にもあったわけでございますけれども、たとえばオーストラリアの石炭を確保したいということで、十七の鉱区についてエクイティーを締結した。大体最大限は四九%でございましょうけれども、そこまでいかぬ。大変失礼な話でありますけれども、石炭協会は余り資金はお持ちにならないと思うのです。そこで、資金は別として、自分で技術を提供していく、そして採炭をしていく、こういう場合にエクイティーというのは、その国の体制の問題もあるでしょうけれども、信用するに足るのでしょうか。  たとえば、そこの国の体制まで変わらぬにしても、政権が変わっていった場合に、最大の問題であるエネルギー問題についてのそこの政権の姿勢が変わってきた場合に、これも将来にわたって保証されますか。この辺、長い間カナダなりあるいはオーストラリアなり、あるいはこれから中国とも関係を持とうとする有吉さんにちょっとお尋ねしておきたい、こう思います。
  58. 有吉新吾

    有吉参考人 国によりましていろいろでございますけれども、私どもがいままでアメリカ、カナダ、オーストラリア等につきまして、エクイティーに参加いたしましたそういう実例から申しますと、その国柄といたしまして、そういう私権と申しますか、こういうものにつきましては、実にこれは厳重でございますし、これを勝手に侵害するとかそういうことは私はいままで経験したことはございません。東南アジアとかそういうことにも関係を持っておりますが、この辺がまだ具体的になっておりませんし、果たしてアメリカ、カナダ、オーストラリアほどに信頼の置けるものかどうか、これは非常に問題だと思います。したがいまして、そういうカントリーリスクに対しましては、何らかの一つの保証措置と申しますか、たとえばインドネシア国立銀行に保証してもらうとか、こういうふうなことはやはり必要であるのではないかと思っております。中国の場合も、これもいま進めておりますが、これまたどこまで信頼していいのか、信用ならぬという話から出発しますと、すべて問題は進まないと思うのでございますが、いままで保証方式で、石炭以外の企業で中国に進出をいたしておりますコンペンセーション方式、これの場合には金額的には何十億程度の小さなものでございますが、大体において中国の人民銀行、いわゆる日本銀行に相当する銀行が保証いたしております。そういうふうなやり方でやっていきたいと思っておりますし、私は、中国の場合は再々参りまして考え方を聞いておるのでありますが、金の問題等についていろいろ片づけなければならぬ問題があるのでございますけれども、約束の履行というような問題につきましては、相当私は信用すべきではないか、こういう感じを持っております。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷(治)委員 時間が参りましたので、最後に、好むと好まざるとにかかわらず、国内炭優先主義を貫こうと貫くまいとにかかわらず、いずれにいたしましても、外国炭を、一般炭原料炭等多量にこれから持ってこなければならない、輸入してこなければならぬ、こういうことになりますと、コールセンターというものが大きな問題になってくるわけであります。これは日本の産業配置の問題なり、国土計画なり、いろいろな関連があって、国として真剣に取り組まなければならぬ問題であることは明らかでありますけれども、それをどういうシステムにするのか、大規模なコールセンター、それから小口のものとかいろいろ考えられるでしょうけれども、これも大きな問題だと思うのです。石炭なり電力等は長い歴史を持っておりますけれども、セメントさんの方は、ついぞほとんど重油に頼っておりましたから、ないと思うのですが、代表してひとつ橋本さんから、コールセンターの望ましい姿を一言お聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  60. 橋本重輔

    橋本参考人 お答えいたします。  コールセンターの望ましい姿ということなんですが、先ほど来御説明申し上げておりますように、セメントの場合には、現在のところ比較的クローズアップされているのですが、先々は使用量の割合としてはそう大きな割合ではございませんので、当面セメント業界として、立地条件だとかそういう立場で、業界としての希望だとか、そういうものを申し上げたいと思います。  まず第一番目に、セメント業界としては、先ほど申し上げましたように、五百万トンから六百万トン程度のものが実際欲しいわけでございますが、これについては、大体見通しは現在は立っております。立っておるというか、電力鉄鋼さんの御協力を得まして、そこのあいているところを借りさしていただくというような形で何とかなると思います。しかしながら、来年以降になりますと、電力鉄鋼さんの方がそうふえるというわけではないのですが、逆に私どもの方がふえますので、不足するような事態になりかねないというふうに考えております。したがって、そこら辺につきましては、いろいろ政府並びに皆さん方の御協力を得まして、時期的にはできるだけ早く救っていただくことをこの席をかりてお願いいたしたいと思います。  二番目に、しからばどういう場所が好ましいかということなのですが、これは将来の数量的なものを見まして決めないといけない問題でございますし、ただいま先生がおっしゃいましたように、日本全体の産業配置という観点から最終的には決定されると思いますが、セメント業界という立場で申し上げますと、セメントの生産県と消費県とはかなり食い違っております。生産県といいますか、生産の地方といたしましては、やはり一番大きいのが九州でございます。その次に中国、関東と、大体この三つがセメントの生産中心地でございます。したがいまして、私どもといたしましては、北九州になると思いますが、九州並びに中国、それから関東以北、できればこの三つほどにつくっていただきたいということでございます。  なお、蛇足になりますが、コールセンターというのは、今後も問題になると思いますが、ブレンディングといいますか、原料炭一般炭に落とすとか、いろいろな問題がございますけれども、そういうものをブレンディングするような機構ができますといろいろな面でメリットも多いと思います。現在のところはコールセンターというよりむしろ単純な置き場程度のものなので、おつくりになります場合には、その辺もやられますと経営的にもうまくいくと思いますし、またわれわれもできればそういうものを希望いたしたい。  と同時に、いま一つは、私どもの方は数量的に多い。しかも、その八割近くを海外に依存するわけでございます。ところがまあ人の国の悪口を言うのは申しわけないのですが、豪州あたりでは海の天候の問題だとか、それから日本と違いまして、この間もストライキその他で長期間船が滞船するとか、いろいろな不確定要素がかなりございますので、ある程度ストック的な意味も含めまして御配慮いただければ幸甚と存じます。  以上です。
  61. 岡田利春

    岡田委員長 次に、鍛冶清君。
  62. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 本日は、各参考人の皆様には朝から貴重な時間をおいでいただいて、いろいろ御意見を承らせていただきまして、さらにはまた、引き続いて当特別委員会のために質疑にもお残りいただいて御協力いただいたことを、最初に心から感謝を申し上げるものでございます。  どうも、後から出る宿命的なものがありまして、お尋ねしようと思っておりましたことは田中先生や細谷先生があらあらとお尋ねになりまして、いま私も大変困っておるのでありますけれども、何点かについてお尋ねをいたしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。さらに、若干お尋ねする内容で発言が立ち入り過ぎるというようなこともひょっとしたらあるかもわかりませんが、決して他意はございません。私は、エネルギーが今後大変問題になる中で、石炭日本である唯一のものだと言っていいぐらいだ、こういうふうに思っておりますし、そういう中でいままで計画に組み込まれております国内炭のいわゆる二千万トン体制、これは絶対に確保する中で、その需要もきちっと確保する、こういう体制をまずとった上で、大いに海外炭を活用するということで輸入もしながら国内の産業を興隆し、また技術を大いにふるいながら日本の国というものは発展しなければならぬだろう、こういう立場、考え方に立っておりますので、仮にいろいろ立ち入ったお話になったとしても他意はございませんので、その点もあらかじめお断りをして質問に入らせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  御意見をお述べいただきました順序で質問をさせていただきますが、まず田尻参考人にお尋ねをいたします。  先ほどから開発の問題でお話がございました。これは多少重複することになるかもわかりませんが、私たちは新聞等を通じたり、いろいろな伝聞によって、石炭開発については現在から乗り出したのでは遅きに失しているのではないだろうか、要するにメジャー等が相当に石油から転換をして手を打って、鉱区も押さえてきておる、こういうふうに聞いているわけであります。そういう中で、ことしの一月から開発に対する会社も発足をなさってやられるということでお話があったわけでありますが、いまからこの石炭資源開発株式会社等の発足をされ、開発に取り組まれての現実の見通し、それから実際にいいところが確保できて、石炭安定供給に具体的にどの程度役立つのだろうかということについて一抹の危惧があるわけでございます。その点について最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  63. 田尻正實

    田尻参考人 お答えを申し上げます。  いまから出ていって間に合うのか、こういう御質問でございます。なるほどメジャーの石炭への進出は、すでに数年前からとうとうとして行われております。しかし、メジャーが主たる鉱区をほとんど席巻しておるというわけでもありませんで、世界でも屈指の石炭会社がございますし、あるいはそのほかの政府、州政府といったものの所持した鉱区、こういったものもあります。いずれにしましても問題は、メジャーにしろあるいはそういった独立石炭会社にしましても、その石炭を売るということが目的なわけでして、メジャーの進出は、言葉が悪いのですけれども、単に他国の領土を占領する、そうして自分の統治下に置くという意味ではないわけです。これは自分が売るというのが主たる目的でございますので、そこで一番大きな問題は、先ほどからるる申し上げましたように、購買者である、しかも非常に大きな購買者であるわれわれ電力がいかに需要を組織して相手と安定的な、そして秩序ある関係を結ぶかということでございます。したがいまして、私どもは、まず安定的な確保をするためにはソースの分散化を図っていこうというのが大きな考えでございまして、中国あるいはオーストラリア、北米、カナダあるいは南ア、こういうふうにソースを分散することによってリスクを避けていくということと、その分散したソースの中でどの地点あるいはどの業者と関係を結ぶかということは、当然われわれとしては慎重な検討と選択を経て決めるわけでございますが、その結果、相手を選定した以上は、先ほど言いましたようにシェアを持ち合って、共同運命の姿で両方の利益を増進していく、ともどもに協力し、苦労を分かち合いながら、なおかつともどもに利益を共有していくといった関係をつくっていこう、そういう関係をつくることによってさらにスパイラルに先方の安定供給の関係を増進させる、誘導するというようなことを考えておるわけでございまして、われわれの対応いかんによっていまからでも決して遅くはない。いかに早くても乱軍の姿でなだれ込んでは逆にマイナスである、したがって決して遅くはない。ただ対応の仕方いかん。それにつきましては’先ほども言いましたように、これは電力だけで対応できるものではありません。これは石炭に関係のある他の産業の方々の御援助もいただきながら、さらに新しい官民の関係の中で、しかも相手のメジャーあるいは何というものを一概にそういうことだけで拒否するということでなしに、多角的に共同化を進めて、そうしてマーケットの安定化秩序化を図り、それを通じて安定確保を図っていこう、このように考えております。
  64. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはむしろ国を挙げて応援をする中でやっていくべきことだと思いますし、またいまの御答弁にもございましたように、官民の新しい協調、他業界との提携ということもおっしゃっておられるわけでありますが、この提携、話し合いというのは、これは話し合いから始まるような気がいたしますけれども、そういった具体的な取り組みというものは、姿勢だけでなくて実際にもうおやりになってお進めになっていらっしゃるのか、そこらあたりお聞かせ願いたいと思います。
  65. 田尻正實

    田尻参考人 お答え申し上げます。  実は、特に豪州におきましては、最近ヨーロッパがかなり強い買い姿勢を示して進出しております。日本からももちろん非常に強い姿勢で買い進出をしておるわけでございまして、そういうことの結果として去年の秋ごろからにわかに価格が高騰してきた、こういった姿になりますと、先ほども言いましたように、世界でも第一のマーケットを擁する日本が国の利益、ナショナルインタレストあるいはナショナルセキュリティーを確保する上からも将来ゆゆしい問題が残る。そういうことをまずスタートのときから摘み取るというような考え方につきましては、私ども、鉄鋼さんあるいはセメントさんの各社とも忌憚のない意見の交換をしまして、そういう考え方については皆さん完全に一致しております。その後も具体的な取引が現に進んでおるわけでございますが、そういう個別の取引にお互いが関与するというわけではございませんけれども、各社同士でできるだけ情報を交換しながら、しかもアドバイスできる限りはアドバイスし、協力できる限りは及ばずながら御協力申し上げる、そういうかっこうで秩序ある対応をしようということをいま検討し、話し合っておるわけでございます。
  66. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この件につきましては、いまも御答弁にありましたように、直接国民の皆さんの生活に響いてくる問題でございますし、わが国の中での競争によってつり上げられたということであると国民にとっても大変マイナスになると思いますし、大きな立場からぜひともよく話し合いの上で統一した形でできるだけ安いものの輸入を確保するという形で御努力をお願いしたい、これは御要望申し上げておきたいと思います。  今度は国内の方で石炭を使うということについて。国内炭電力関係でもずいぶん使って努力をしておられるわけでありますが、含めて海外輸入炭を使うということで、これから電力業界でも相当の投資がやられていくと思うわけでありますけれども、そういう中で、先ほどの意見陳述の中で、そのことがかつての石炭の復活であってはならない、整合した新しいシステムづくりが必要であるとお述べになっていらっしゃいますので、そこらあたりの御決意があってやっていらっしゃると思うのですが、いろいろな意味を含めて中途半端な形でいくわけにはいかないだろうというような気もいたしますし、石油も場合によれば、変な言い方で、それがそうなるかどうかわかりませんが、たとえば尖閣列島あたりを将来開発してばっと出てきた、日本石油が仮に潤沢にある期間は出るようになったということがないとも限りませんし、そういう場合に、そういう投資は、場合によれば余りしない方がよかった、これはざっくばらんな話でありますが、そういう感じで、私は経営は素人でございますからわかりませんが、そういう形でもし何かの要素があったり、代替エネルギーが、ほかの形が早く完成されるということが出てきた場合に、その投資がむだになる。それじゃいかぬから、適当にという、変な言い方で失礼かもわかりませんが、そういうことであってはならないような気がいたしますし、そういった面についてはいかがでございましょうか。
  67. 田尻正實

    田尻参考人 お答え申し上げます。  鍛冶先生のいまのお話は、午前中田中先生からも御指摘いただきまして、事業体の方でエネルギーの変遷に対する展望、それに対する見通しが甘いという御指摘がございましたが、いわゆるエネルギー革命という姿で進んで今日にまいったわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、私どもは今日エネルギーの無極化時代に立っておる。多極化時代でなしに無極化時代、大黒柱がなくなって、いまや天井の重さを小柱で支えなければならない。ところが、その小柱がまだ立ってない、こういうような状況になっておりまして、これからは何としても従来のような一つの大黒柱に荷重をかけるというのでなしに、エネルギーの小柱、これをたくさん建てて、全部でしょう、その総合によって荷重を支える、こういう政策をとらなければならないし、またどうしてもそれしか道はないと私は確信しております。  今日私どもは、電力としては、まず代替燃料として原子力に全力を挙げておりますけれども、先ほども申し上げましたように、六十五年におきまして原子力がやはり三〇%しか持たない。あるいはLNGについて必死にやっておりますが、これも二五%しか持たない。石炭一生懸命やっても一一%、つまり、エースのない野球チームというようなことで、一人一人が全力を挙げて、その総合の中で一点取って勝ち越すのだ、そういうような燃料構造の時代に突入しておりますので、比喩的に申し上げますと、一九八〇年は、そういう意味では、エネルギー紀元元年である、エネルギーの多極化の紀元元年である、そういう認識の上に立って、私どもは石炭をもう一度システマチック、総合的なシステムとして取り戻すということを考えておりまして−取り戻すということはちょっと間違いでございまして、そういう総合された新しい石炭というエネルギーを創出するのだ、そういう覚悟で対応しております。したがいまして、仮に尖閣列島に油が出ても、あるいは仮に何かが出ても、それ一つで従来のようにいわゆる大黒柱になり得る燃料はあり得ない、こういう認識に立っております。したがいまして、この上とも代替燃料の推進について私どもは努力を必死に重ねるわけでございますけれども、諸先生方からもどうかひとつ格別の御援助を賜りたいと懇願申し上げる次第でございます。
  68. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 御決意承りました。ありがとうございました。  鉄鋼の方にお願いをいたしますが、奥村参考人にお尋ねをいたします。  先ほど来いろいろと御質疑の中で承っておりまして、国内炭の確保、いわゆるお使いいただく原料炭の問題、一般炭への移行その他いろいろ含めてお話を伺っていて、確かに経営というものは赤字になれば大変なことでございますので、経営ということが加味された中での御議論で、私たちはどうこうということではなくて、むしろこれはたくさん引き取りをお願いする中で、国内石炭の二千万トン体制の確保というものをやっていただきたいという中でのお尋ねでありますが、むしろこの引き取りというものが何か非常に消極的で、ほかに肩がわりしてもらった方がいいぞというふうな感じにも受け取れるわけでございますが、そこらあたりのお考えはいかがでございましょう。
  69. 奥村虎雄

    奥村参考人 私の発言があるいはそういうふうに受け取られるおそれがあったかもしれませんが、われわれの基本的な考え方といたしましては、現在行われております二千万トン出炭体制というものを基本的に否定するものではございません。ただ、現在のような一般炭についての需要が大きくなったときには、それに若干重点を置いて原料炭一般炭との出炭比率を少しずつ変えていただいた方が全体として見て合理的なやり方ではなかろうか、こういう意味合いにすぎないのでございます。  ただ、原料炭について言いますと、先ほどのように海外との格差も相当開いておりますので、そういう現状から見て、現状以上に増加引き取りがなかなかむずかしい、そういう意味合いでございます。御了承願います。
  70. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ずっとお引き取りいただいた数量等も、過去の数字ずっと見させていただいておりまして、五十四年度での生産量からいきまして、数字ちょっとここに持ってきておりませんが、五十四年は六百五十万トンですか、見込みになっておるようでありますが、以前四十年代の終わりのときに同じぐらい生産されたときに、やはり相当上回った形で引き取りをやっていらっしゃった。いろいろなお話の中で、技術的な問題も改良されてきて、いろいろとあるようでありますが、私たち素人考えで考えまして、もう少し、若干ぐらいは努力を願ってお引き取りを願えるんじゃないだろうかというふうに考えるわけでございますが、重ねてで大変失礼でございますけれども、その点いかがでございましょう。
  71. 奥村虎雄

    奥村参考人 過去において一番国内炭を多く引き取った実績は一千万トンぐらい引き取ったことがございます。昭和四十九年だったと思います。それからだんだん減りまして、現状の六百五、六十万トンというところになっておるわけでありますが、一千万トンを引き取ったころは価格差がこんなにひどく開いておったわけではございませんで、千円内外の格差でございましたので、経済的な問題は比較的少なかったわけでございます。したがいまして、少々高くても、これは愛国心の発露であるというふうな認識のもとに御協力を申し上げたという経緯がございますが、何せ七千円も開いてまいりますと、愛国心だけではなかなか経営を乗り切れないということもございまして、かたがた最近のような情勢になりましたので、一般炭の方に少し重点を置いていただきたい、こういうことでございます。
  72. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 こういう言い方を申し上げては大変失礼かもわかりませんが、先日も石炭部長との質疑の中でお尋ねをしましたら、国の関係で石炭関係にいろいろとお出ししているのがやはり五百五十億ぐらいに予算的には上るようです。これももとをただせば国民の皆さんの税金でございますし、いわば官民挙げて、国民の皆さんも含めてこの国内炭の確保ということには努力をしているという姿がそういう形にあらわれているんだというふうにも思いますし、ひとつそこらあたりも御理解をいただいて、経営努力の中でできる限りひとつ国内炭原料炭の確保ということについては御努力をお願いいたしたいと思います。  それから、海外とのいろいろな石炭輸入問題で先ほど来から質疑が交わされておりますが、やはりそれに大変なれていらっしゃるというよりも経験が深いのは鉄鋼関係であろうと思いますし、さらには企業の比重からいっても、今後のいわゆる業界その他官民あわせての協調の中での話し合いで一番やはり重鎮としていろいろと話し合いのかなめになられるのは鉄鋼関係ではないかと思いますが、こういう話し合いについて、先ほど電力の方の田尻参考人にお尋ねをしたのと同じ内容になりますが、ひとつぜひ御努力をいただきたいわけでございますが、その点について一言だけお答えをいただければと思います。
  73. 奥村虎雄

    奥村参考人 ただいまのお話でございますが、先ほどもそれに触れたことがございますが、今後の一般炭海外からの開発輸入に当たりまして、鉄鋼業界として何らかお役に立つようなことがございましたらぜひひとつ協力をさしていただこうということで、それぞれの業界とお話をしておるわけでございます。  たとえば引き取りについての向こう側との折衝のやり方等についての苦心談等をお話しするだけでもお役に立とうと思いますが、なお具体的に、たとえばコールセンターを設置するようなときに、大型の専用船の着く岸壁は製鉄会社の岸壁ぐらいしかいまございません。アンローダーも大きなものを持っておりますので、その余力さえあれば極力そういう荷揚げ設備を利用していただいて、もし貯炭場に余力があれば使っていただくことも考えようではないかということを先般の五社長会でも話を出したわけでございますので、今後それが進むに従いまして、できるだけ業種間の協調体制を考えてまいりたいと思っております。
  74. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ありがとうございました。  次は、セメント関係でお尋ねをいたしますが、先ほどからのお話を伺っていまして、大変急テンポで石炭への転換を図っていらっしゃる。さらには五十七年ですか、さっきお話を聞きました五十七年には大体最終的にそういう切りかえも終わるというようなお話でございました。それはぜひおやり願いたいのですが、ただ、先ほどの御答弁の中で、ここしばらくは石炭への依存云々というふうな御答弁がちょっとあったと記憶しておるんですが、ここしばらくはというようなことになると、これはまた後で何かあったら、これ何かにかえちゃうのかなというふうにも意地悪く聞こえるわけでございますが、そこらあたりのお考えはいかがでございましょう。
  75. 橋本重輔

    橋本参考人 お答えいたします。若干言葉が足りなかったかと思いますので、補足を兼ねましておわびしておきます。  エネルギー事情が今後どういうふうに変わるかというのは、私どもの業界では発言権もありませんし、これは政府の方針その他国際的な事情によって変わると思います。これは石炭から油にかわりましたときも同じでございます。したがいまして、私どもとしては、これは業界として全体の意見というわけにはいかないんで、社によってこれは異なると思いますが、全体的な趨勢としてどうしても石炭の方へ転換せざるを得ないといいますか、その基本は、やはりかなり過当競争業界でございますし、そこいら辺で経済的なものを追求いたしますと、どうしても石炭の方へ行かざるを得ない。ところが一方、たとえばわれわれとして使いますのは、ああいう粉炭よりは液体の方が操作だとか安定性だとか低質炭を使えるとかいろんな面でぐあいがいいので、現在電発さんやほかの企業でもモデルプラントその他をつくっていただいておるのですが、COMだとかああいうようなものがうまくいきますれば、あるいはそういう方向にいくかもわからないというような意味を含めまして、若干含みを持たした発言をいたしましたので、誤解を生んだものと思います。  それでよろしければ答弁終わりたいと思います。
  76. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 国内炭使用量を二〇ないし二五%にしたい、これは安定供給を得るためにも必要だというふうにおっしゃっておられたと思うわけでありますが、これは安定供給を得るために必要だという内容は、一歩立ち入ればどういうことになるのか。それからやはり国内炭を確保し、大変経営の上ではデメリットもあるのかもわかりませんが、二〇ないし二五%でなくてもっと上回った形で使用するという方向はできないんだろうかというふうにも思うわけですが、そのあたりについてお聞かせ願いたいと思います。
  77. 橋本重輔

    橋本参考人 お答えいたします。  ただいまの御質問の趣旨は、現在二割から二割五分国内炭を使っておるがもう少しふやせないかという御質問の趣旨だと思います。  まず一つは、技術的にどうかという問題なんですが、いきなり国内炭一〇〇%ということは、質によってはできると思いますが、しかしながら、揮発分の多い炭の場合だとか粘結質の高いものだとか、非常に高いものですと習熟だとかブレンドだとかいろんな操作技術が要りますので、いきなりというわけにいきませんが、漸増程度のものであれば可能だと考えております。しかしながら、増量は可能ということに対する若干のはどめ的なものと申しますと、いわゆる安定供給という意味で説明を先ほど申し上げたのですが、この意味はソースの多様化ということをねらっておるわけです。  たとえば、先ほども申し上げましたように、豪州炭のコンスタントな輸入、事実私ども困りましたのですが、予定がストのために入ってこないとか、そういうような場合だとか、いろいろなメリットもあると同時に、今度は価格的な値差といいますか、そういうものが当然問題になると思いますが、その点を兼ね合いいたしまして、大体現在のところ二〇から二五%というのは適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  78. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 海外からのことは初めてということで言っていらっしゃいました。ほかの鉄鋼電力業界の方にもいまお尋ねをしお願いをしたわけですが、この話し合いについてはしっかりとやっていただきたいと思うのですが、この点についても一言お答えを願いたいと思います。
  79. 橋本重輔

    橋本参考人 海外炭輸入につきましては、一、二の会社につきましては、先ほど申し上げましたようにすでに軌道に乗っております。しかしながら、業界全体といたしましては、かなり後から石炭転換計画したようなところがございまして、もう大方いいところは話がついているというようなことで、あっちやこっちや話をしましたり申しわけないのですが、いろいろ若干混乱ぎみなところがあったことは事実でございます。現在のところ、先ほどから電力さん並びに鉄鋼さんの方のお話がございましたように、いろいろと石炭購入についての大先輩の御指導を得まして、徐々にそこら辺は秩序ある購入という方向に向かっております。そしてまた今後私どもも努力したいと考えております。  以上です。
  80. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは新聞報道ですから真偽はわかりませんけれども、やはりセメント業界買い付け石炭の値が上がったというような話がちらっと新聞に出ておりまして、真偽はわかりませんけれども。やはり先ほどから申しましたように、業界の皆さんが本当に秩序ある協調の中でなるべく安い石炭を入れていくという形に努力されることが、国民の皆さんの生活にも大きく寄与することになるということでございますので、大変いろいろとむずかしい面もあると思いますけれども、ぜひともひとつそこらあたりの実現を図って推進をお願いいたしたいと思います。大変ありがとうございました。  最後に、石炭関係でお尋ねをいたしますが、国内炭需要というものも上向くという形、貯炭も減るという形が出てきているようでございますが、実質貯炭もなくし、その中でいわゆる二千万トン体制と言われる形ができても、需要が大体それに伴っていくのではないかというふうな感じがややできてきつつあるとは思うのですが、実際そういう二千万トンを国内で確保できる状態になったときに、現在の石炭業界で対応というものはできるんでございましょうか。
  81. 有吉新吾

    有吉参考人 供給はできるだろうか、こういう御質問だと思うのでございますが、二千万トンというそういう程度供給は将来にわたって続け得る、こういうふうに思っております。
  82. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そこで、石炭会社の関係については、大変こういうふうに国内需要も上向いてくるという状況の中で、貯炭もありますから、その解消も含めて、さらにはいままでのいろいろな赤字というものの累積があるために、いろいろと悲観的な話が多くて、私どももいろいろ聞いていて心を痛めるわけでありますが、もう一面逆に言えば、やはりいろいろ各界からいわば大局的な援助もいただき、さらには先ほど申し上げたように、国民の皆さんも一人一人やはり突き詰めて言えば予算を出すという形の中で協力体制をつくっているということでございますから、先ほど細谷議員からもちらっと言われておりましたけれども、いわゆる石炭業界における合理化といいますか、相当苦労してはやられておると思いますけれども、果たしてどこまでいけば本当にいい形で成るのかということになると、いろいろお話を伺っても不安な面がずいぶんございまして、そういった点についてちょっと変な立ち入った御質問になるかもわかりませんが、ここらあたりどの程度までいけばきちっとした——国の方にしろいろいろなことにしろ、単純に言えば、赤字になっているのを全部そこでということにもなりましょうが、ぎりぎりどこらあたりまで、さらには内部的にそういう合理化といいますか、きちっとした形で対応する余地はないのか、そこらあたりを含めてひとつお考えをお聞かせ願えればと思いますが……。
  83. 有吉新吾

    有吉参考人 いまのお話のように、国民の皆さんの税金を使っておるわけでございますので、私どもといたしましてもできるだけの合理化努力はしなければならぬと思っております。やってきておるつもりでございます。過去の実績をごらんになっていただきましてもわかりますように、能率が逐年わずかではございますが改善されてきておる、こう思っておりますし、大体平均深度がもう六百メートルなんというようなことになっておりまして、ほかの産業と違いますのは、御承知のように年々その稼行の場所が深くなり遠くなるわけでございますので、その能率を上げた分がそういうものによって打ち消されていくという、そこが一番つらいところでございます。でございますけれども、その点につきましては一生懸命努力をしてきておりますし、そうしなければならぬと思っております。  ただ、需給がこういうふうに相当変わってきたのでございますが、陳述にも申しましたように、にもかかわらず消費というものは依然として好転をしないわけでございまして、去年、おととしと一般が六%台のベースアップであったにかかわらずわが石炭業界は三%そこそこのなにに抑えましてきておりますが、いつまでもそういう状態というものは、やはり労働力を確保するとかそういうところに一つ問題があるわけでございますので、国並びに需要家さんの御理解と御協力お願いしたいと思っております。問題は、いつも積み残しの赤字がありますので、いかにも毎年毎年大きな炭価アップをお願いしているように見えるのでございますが、過去の積み残しの赤字がございませんでしたら、その年だけのコストアップでございますと、そう大きな額にはならないのでございます。  それから、この五十五年度あたりのコストアップの大きな要因は、電力料が上がりますことによってトン三百五十円ぐらい上がるのです。金利が上がることによって百円ぐらい上がる、労災保険料が上がることによって百五十円ぐらい上がる、こういうものだけで六百何十円上がるわけでございます。そういうふうなことでございますので、私は、需給もこういうふうになりましたし、もうけるとかそういうことはおよそ考えておりません。何とか回っていくだけのことを一遍してくだされば、次の年からはモデレートな炭価アップというような、そういうところに落ちついていくのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  84. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大変失礼な御質問になったかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。きょうは本当に私の持ち時間にも大変貴重な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。
  85. 岡田利春

    岡田委員長 次に、多田光雄君。
  86. 多田光雄

    ○多田委員 四人の参考人の皆様、お忙しい中どうもありがとうございます。  すでに長時間にわたって同僚議員からいろいろ御質問がありましたので、なお二、三、私の立場としてお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  私は、お伺いする前に、質問の立場といいますか、ちょっとそこを御理解いただきたいと思うのです。  こういう深刻なエネルギー危機を迎えますと、どなたもナショナルセキュリティー、国の安全とか、あるいはまた石炭見直しということを口をそろえておっしゃるわけです。言わないよりは言う方が私は結構なことだというふうに思うのです。ただ、言われている内容を聞きますと、果たしてこれがナショナルセキュリティーになるのか、従来と同じ道じゃないかという疑惑が一層強まってくるのです。これは率直に私は申し上げます。それから石炭見直しといいますと、何か外炭まで含めて石炭一般を尊重するということが石炭見直しみたいにとられるのですね。当委員会ができたのは、外国石炭をどうするかということが中心じゃなかったのです。日本石炭を生かすのか殺すのか、生かすのであればどうするのか、殺すのだったらどうするのかということが中心で当石炭特別委員会もできたというように思います。ですから、私はあくまでも国内石炭を重視するという立場からお伺いしたいということをまず冒頭申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど与党の田中委員の方から、こういうエネルギー危機の中で、脱石油の方向で業界も責任を感じないのかという質問がありました。私は、第一にやはり与党政治が最大の責任を負うべきだということなんです。同時に、私は業界にも責任があると思います。この業界には、電力、それから鉄鋼、それからまた当の石炭業界はこれは含まれているというふうに私は考えるのです。なぜならば、先ほど来言われておりますように、ナショナルセキュリティーはわかるけれども、結局マーケットメカニズムに落ちてしまうのですね。マーケットメカニズムというのは、業界ですから、利益が上がらなければ何を買ってもいいということになってしまう。言えばそこなんですね。これは業界としては当然だろうと思うのです。しかし、それを政治がまるのみにしておったのでは、これは政治の意味がないわけです。政治はそういうことも含めて、やはり国家百年の大計を立てていくというのが政治の責任だと思うのです。そういう意味では、第一の責任はやはり政治、あるいはまた、私は長年続いた与党政治に最大の責任があるというふうに考えます。  同時に、先ほど申し上げましたように、業界にも責任があると言いましたのは、中小企業じゃございません、お集まりの鉄鋼の皆さんもあるいは電力の皆さんもセメントの皆さんも、いわば日本の経済を牛耳る大手中の大手でございます。そして政治にも大きな発言を持っていらっしゃいます。経済にも大きな発言を持っています。そういう皆さんが政治に責任があるというだけでは私は済まないのじゃないかという立場からお伺いしたいということを、まず冒頭に申し上げておかねばならないと思っています。  そこで、石炭協会の有吉参考人に冒頭お伺いしますが、現状で二千万トン維持ということが可能かどうかということです。すでに五十四年度は千七百七十万トン、雑炭を入れて千八百万トンと言われていますけれども、まず出発はここが大事だと思いますので、ひとつ時間もありませんので簡単にお答え願いたいと思います。
  87. 有吉新吾

    有吉参考人 二千万トン維持の問題でございますが、私はその程度の出炭は今後維持していけるであろう、そういうふうに考えております。五十四年度は千七百七十万トン、雑炭を入れまして千八百幾らというような、そういうことでございます。これは貯炭がたまりまして、これ以上貯炭の負担にはたえられないということで、各社とも生産を調整いたしました。そういう結果でございます。確かに二千万トンにまだ達しておりませんけれども、需給がこういうふうになってまいりまして、社によりましては一部構造改善等の設備投資に取りかかっておりますので、ある程度の増産も可能ではないかと思っております。ただ、御承知のように炭鉱のそういう設備改善は相当の年月を必要といたしますので、それができ上がった暁には二千万トン近くになるのじゃないか、こう思っております。
  88. 多田光雄

    ○多田委員 ほぼできるということですけれども、そのほぼが、千九百万トンから千八百万トン、それから千七百万トンと下がってしまったわけです。そしていま三百万トン以上の貯炭を持っておられるわけですが、もう少し正確に述べていただきたいと思うのです。ほぼではなくて、二千万トンを下らずとか、二千万トン以上といういままでのあれがあったのですけれども、少なくとも二千万トンという線はずっと維持できるのかどうなのか。それから困難であるとすれば、何が最大のネックになるのか、その辺をもう少し突っ込んでお話しいただきたいと思うのです。
  89. 有吉新吾

    有吉参考人 確実に幾らという数量は申し上げにくいのでございますけれども、ただいま協会傘下の会社におきまして増産関係の設備投資をやっております。それによります増産というものは、ほぼ五十万トンから六十万トンではないかと思います。それで、五十四年に生産調整をやりましたが、その生産調整をしない姿でまいりますと、雑炭も含めますと約千九百万トンぐらいになりますので、これに二、三年先に五、六十万トン加わりますと、二千万トンをちょっと割った千九百五、六十万トンは大体いけるのじゃないか、こういうふうに私は考えております。  それで、その原因は何かということでございますが、一部、労働力というようなそういう問題もございますけれども、炭鉱の場合には、やはり設備容量によりまして出炭規模というものが制限される、そういうなにがございますので、やはりそういう設備改善というものが一つ中心になっていくのじゃないかと思うのでございます。巻き上げ機の容量をふやすとか、これも一つでございますが、あるいは労働者の就業時間を長くするために電車の速度を速めるとか、そういう一つの改善策、こういうものが中心じゃないかと考えております。
  90. 多田光雄

    ○多田委員 そうしますと、大体千九百五、六十万トンということになりますと、一般炭原料炭の割合ですね。いまは大体原料炭が六百万トンちょっとですね。ことしは六百六十万トンぐらいでございましょうか。あとは一般炭ということになりますが、大体こういう比率は変わりませんでしょうか。
  91. 有吉新吾

    有吉参考人 現在もうガス、コークスにも原料炭はいっておりますので、それを合わせますと、原料炭生産は八百万トンちょっと超すのじゃないかと思います。今後千九百五、六十万トンになりました姿におきましても、特別の政策的な銘柄変更をやりませんならば、大体現在と同じような一般炭原料炭の割合であろうと思っております。
  92. 多田光雄

    ○多田委員 そこで、電力田尻参考人にお伺いしたいと思います。  私は率直に伺いますが、ここ二十年見まして、日本石炭産業がこれほどやせ細ってきたのには、やはり鉄鋼電力の影響というのは非常に大きいというふうに思うのですね。といいますのは、日本石炭の炭価は、私は国際的に見て高いとは思いません。果たして農家の方でも米価を決めるときに生産費を償う、これが一番の大義名分になっているのですね。ところがいまの炭鉱の場合、炭価が生産費を償っているのかという問題なんですよ。この点について田尻参考人、大体これで償っているというふうにお考えでございましょうか。まあほかの企業のことで、産業のことですから、余り露骨に言えないかもわかりませんけれども、参考にひとつ聞かしてください。
  93. 田尻正實

    田尻参考人 申し上げます。  いまの国内炭の炭価でやっていけると思うか、こういう御質問だと思いますが、実は私、最近の石炭産業の採炭の状況、特に山の深さあるいはそれに対する保安施設の状況、あるいは生産性あるいは労働構造、そういったものについてつまびらかにしておりませんので、やっていける、やっていけないということはちょっと私としては申し上げることができませんので、お許しをいただきたいと思います。  ただ、電力石炭離れしたのは、どうも電力に責任の一半があるぞ、こういうおしかりでございますが、これはけさほども申し上げましたけれども、時あたかも豊富、低廉、安定というあの油時代がやってまいりまして、それに乗りまして日本はかってない経済成長を遂げたわけでございますが、いわゆる高度成長のその陰に環境破壊、環境汚染という問題、これが非常に大きな問題として出てまいったわけでございます。東京電力といたしましても、石炭から離れた最大の原因は、石炭が油との経済的な角逐において敗退したということもさることながら、やはり公害対策に対して石炭では地元の方々のお許しがいただけない、こういうせっぱ詰まった状況にまで追い込まれたというのが原因でございまして、そのときわれわれとしては、それでは環境対策にもっと努力すべきではなかったか、その上で石炭を維持すべきではなかったか、こういうお話になると思いますけれども、そのときは脱硫あるいは脱硝あるいは防じん、こういったものにつきまして、それなりの努力はいたしました。特に東京電力の場合は、最大環境改善手段として、当時原油よりは三割も値が高かったLNG導入しまして、環境改善に寄与するよう努力してまいったわけでございますが、ただ、環境改善技術が当時まだまだ確立されてなかった。現在においてもまだ十分というところまでいっておりませんけれども、当時はなおさらそういう状況でございましたので、こういった諸般の状況の中から、やはり石炭から離れざるを得なかったという事情につきましては、ぜひ先生の御理解を賜りたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。
  94. 多田光雄

    ○多田委員 その辺の事情はわかりました。  エネルギー革命と称されて石油がどんどん入ってくる中で、いわゆる先進国と言われる工業国がなべてそうなったのであれば、私は余り文句の言いようもないと思うのですけれども、確かに資本主義国の場合は同様に油が主体になったことは事実なんです。ただそのなり方が違うのですね。日本のようにまだ五千万トン掘れる、資源がないないと言いながら、五千万トン掘れていたのですから、あのままもし続けていたならば、私はやはり四千万トンやそこらは現状でも続けられたのだろう、こう思うのです。ところが、たとえば同じ工業国でも西ドイツとかイギリスなんかは、いまだに三割、四割のエネルギー源を石炭に依存しているという状況でございましょう。アメリカなんかは、石油日本に売り込んでいるときに石炭局をつくって、早くもアメリカ系のメジャーは世界の優良炭鉱を買いあさるという、いわば先見の明のある処置をとった。ところが日本石炭をどんどん取りつぶしていったわけですよ。私があえて取りつぶすと言うのは、これは業界一体となったからです。日本の財界が一体となって進めたということは紛れもない事実なんですね。そしてここまで裸になってしまったわけですよ。私はその意味で、先見がないというのは企業にもあるということを先ほど同僚議員が言ったのは、そのとおりだというように思うのです。  そこで、そういうものを踏まえて安い炭価になりましたのは、ともかく原料炭は外国炭、まあコークスはつくらなければなりませんからやめるわけにいかない。電力のように全部石油にかえるわけにはいかない。だからいやでも応でも石炭を使う。その石炭は、外炭の方が安いというので外炭をどんどん買っていく。そして逆に石炭の方は鉄鋼に向かって、お得意ですから、買ってもらわなければならないから、ともかく卑屈と思われるくらい頭を下げてしまう。それに合わせて生産もいくわけです。それから電力もそうでございましょう。かつては膨大に使った電力、それがどんどんやめていく。そして石油に一番切りかわりましたね。そうすると今度は、電力経営を言われるままに大体やっていく。その中間に政府が立って、今度また政治の力で基準炭価なんか押しつけるということになって、本当の市場の正常なルートの中で石炭がつくられていったわけじゃないですね。まあそれでいけばもっと落ちたかもわからないけれども、そういう異常な炭価の決め方の中にあったと思うのです。ですから私は、ちょっときょうここで皆さんの御結論をいただくわけにいきませんけれども、ここまで国内炭需要が高まっている今日、重荷があるのですよ。先ほど有吉参考人が言われておりましたように、かなり膨大な赤字をしょっているわけです。その赤字を国民の税金でいまなし崩しにしているのです。だから炭鉱としては、国民にも顔向けできない、お得意にも顔向けできない、いわばそういう立場だと私は思う。そしていまこれだけ需要が広がったけれども、なお立ち上がることがなかなかむずかしいというのは、そこに苦しさがあると思うのですよ。私は何も有吉さんに味方して言っているわけじゃありませんけれども、実際そうなんですよ。  そこで私は、これだけしょった赤字を鉄鋼とか電力、こういう日本の代表する産業界がひとつ銀行筋と相談していただいて、国の責任だけじゃなくて、やはり皆さんの業界全体の知恵と力を出し合って、何とか石炭の持った赤字を幾らかでも軽減してやるというようなことをひとつやる、あるいはまた政府と御相談なさるというような、大所高所の措置をいまおとりになっていただけないだろうかというように思うのです。なぜならば、たとえば企業もそうですけれども炭鉱労働者の場合は、私はここで企業の名称を申し上げることはできませんけれども、賃上げが半分しか上がらないところがあるのです。ある大手の企業ですよ。一人の労働者が百万からの未払い金を持っているところがあるのですよ、一人の労働者じゃなくて一つの企業で何万という労働者が。そこまで落ち込んでいるわけですね。ですから私は、本当に国内炭を見直すという皆さんの善意があるならば、ぜひそういう善意を寄り集めていただいて、日本国内石炭の立て直しのまず一つの仕事として、そういう炭鉱業界がしょっている、これは同時に、そこから労働者の低賃金とかいろんなことが出るわけなんで、ひとつそういう工夫をしていただけないかどうか。これはもちろんここでお一人で結論を出すわけにはいきませんけれども、そういうことで御尽力いただけないかということをお伺いとお願いをしたいのですが、いかがでしょうか。これは鉄鋼の方にもひとつお願いしたいと思います。
  95. 田尻正實

    田尻参考人 お話の前段にありました、どうもなだれを打って石炭離れをしたのは日本だけじゃないか、こういうおしかりがございましたが、しかし、経済性の問題と、それからやはり一番大きな問題は何といっても公害の問題でございまして、御承知のとおり日本は面積の三割しか、可住面積はない。そこに一億一千六百万の人間がこれだけひしめいて、これだけの経済成長を遂げてきた。これに対する環境規制というものは世界に類のない厳しさでもって望まれておる。こういう状況の中では、われわれといたしましては、経済性もさることながら、当時の技術をもってしては、この環境基準に対応できなかったという事情をもう一度ぜひひとつ御理解を賜りたいと思います。  それから、いまの石炭産業を助けるためにいま一つ踏ん張ってもらいたい、こういうお話に対しまして、私どもは従来からも政府の御指導を賜りながら、国内炭引き取りにつきましては最大の御協力をしてまいったわけでございまして、五十四年−五十六年につきましても、一般炭生産の約八割を引き取っておるわけでございまして、ことしは去年に比べて約三十万トン増量引き取りになりますし、五十七年におきましては五十四年に比べて約百万トン増量引き取りになる、こういう計画を私どもは持っておるわけでございまして、最大の努力をしておりますし、なおそれから先にわたりましても、前向きにできるだけの努力をしたい、そういう気持ちに変わるものではございません。  ただ、やはり私どもも私企業でありますし、同時に認可料金のもとで、しかも厳しい認可料金のもとで経営を維持し、そうして先ほどから申し上げましたようなエネルギー無極化時代に極を立てて対応していかなければならぬ、こういう大きな責任と、それに基づく投資を背負っておるわけでございますので、われわれとしても身を削って経営の合理化を徹底して、前向き投資を盛んにしていこう、こう思っておるわけでございますけれども、そういう重荷をしょっておるという中で、やはり国内炭といえども経済性、それから供給の安定性につきましてもぜひ御努力を賜りたいし、一方、またこれに対して従来も国の大変な御援助をいただいてまいったわけでございますけれども、今後も国の御援助を賜りたい、こう考える次第でございます。
  96. 奥村虎雄

    奥村参考人 ただいま電力の方からお話がありましたことと同じ考え方でございますが、われわれといたしましても、現在七千円からの格差のあります国内原料炭をあえて犠牲を忍んで引き取っておるわけでございまして、トータルで言いますと数百億円の犠牲を甘受しておる、こういうことになろうかと思います。  現在、国内石炭鉱業経営が非常に苦しいという実情は十分承知しておるわけでございますが、需要家の方におきましても、いま申しましたような犠牲を忍んでおりますし、石炭鉱業の方におきましても、ぜひひとつ合理化にはさらに一段の努力をしていただきたい。それでもなかなか解決できない部門につきましては、国の絶大な御援助を願いたい。三者いずれも協力をして、これを何とか打開していかなければいけないのじゃないかとわれわれ考えておるわけでございます。これは非常に大きな問題でございまして、われわれ需要家だけで解決はもちろんできませんので、通産省の石炭鉱業審議会の政策委員会等の場におきまして、今後十分検討をしていっていただきたいと考えております。よろしくお願いします。
  97. 多田光雄

    ○多田委員 これは電力田尻参考人にお伺いしたいのですが、昭和五十四年度電力施設計画、これによりますと、五年後の六十年度末には石炭火発を四十四基、九百九十五万キロワット、約一千万キロ、これに増加する予定になっております。この間の五年間、現在は三十七基、四百四十一万キロワットと伺っているのですが、五年間で十基、五百六十七万五千キロワット、これを増加する。この間休廃止するものもあるわけですが、そうしますと、約一千万キロワットの電力に必要な一般炭が、五年後には約二千万トンの石炭が——約ですよ、これは。必要になってくるわけですね。この二千万トンに当たってどうなるかというと、先ほどの有吉参考人の陳述によりましても千九百万トン台。そして大体一般炭原料炭の差はそう大きな開きはないとすれば、国内炭供給はせいぜい約一千二百万トンがぎりぎりだろう。これはぎりぎりに言って、そうなりますね。そうなりますと、あと八百万トンどうするのかという問題なんです。六十年度一般炭輸入は、エネ調の長期見通しによりますと、昭和六十年には一般炭が二千二百万トンの輸入予定です。この二千二百万トンの輸入の中からセメントが約七、八百万トン必要でございましょう。これは先ほどおっしゃいましたように一千万トン必要だ。その中から二〇%から二五%国内炭ということになって、仮に二〇%としても、八百万トンの輸入一般炭を使うということになりますと、輸入電力用炭はぎりぎりになるんじゃないかというふうに私は思うのです。  そこで、お伺いしたいのは、海外からの輸入あるいは開発輸入ということですが、この五年間で、六十年度までにどの程度輸入計画しているのか、あるいはどこの国から輸入されようとしているのか、あるいは炭価をどの程度見込んでおられるのか、そういう点、ひとつぜひお聞かせいただきたいと思うのです。  なぜなら、いまのように非常に経済が動いておりまして、そして円高円安、こういうとき、非常に変動が激しいわけですね。そういうときに電力用炭の百万トン違いますと、セメントに影響する、パルプに影響する、その他に影響するわけです。どちらかが傷がつくという、もっと逼迫したことになりはしないかというふうに私は思うのです。  それともう一つは、先ほど田尻参考人は、メジャーと抱き合わせで、一緒になってと言いますけれども、メジャーの持つ力というのは大変な力でございまして、抱き合わせではなくてだっこされるわけですよ。これはもう当然の目に見えるところなんです。そうしますと、この日本の幾らかの投資、一五%か二〇%かわかりませんが、開発輸入でもそうこちらの思うようにはいかないだろう。それはもういままで食うか食われるかですから、目に見えるようなんです。そういう中で果たして一般炭が皆さんの希望されるように入るような予定になっているのかどうか、それが心配なんです。ですから、五年間でどういう開発輸入あるいは輸入の契約を結んでおられるのか、それをちょっと御説明いただきたいと思います。
  98. 田尻正實

    田尻参考人 おっしゃられるとおり、国内におきましても需要が重畳しております。したがいまして、その不足分につきましては海外から導入せざるを得ないことは御指摘のとおりでございます。ただしかし、いまの需要をできるだけ鎮静させるということから、たとえば鉄鋼さんがお持ちになっておるあるいはお手当て済みになっておる海外の炭の弱粘分について、これを一部一般炭向けに向けられないかというようなこと、あるいは電源開発がすでに手当てしております炭の一部を、たとえばセメントさんに融通できないかとか、こういった譲り合い、協力をしながら、いわゆる需要の重なりを抑えていくという努力をまず内部的にはしていきたいと考えております。そのために、現に各社間でそういう基礎的な情報交換はしておるわけでございます。それでもなおかつ不足のものにつきましては、当然購入をしなくちゃならぬわけでありますが、まず開発輸入するといってもそうやすやすとはいかないぞということでございます。これは御指摘のとおり、全くやすやすといくものでなしに大変な仕事でありますし、山を開発するということは、同時にその山から炭を港頭まで運び、港頭の港湾施設、港湾能力によって、ちょうど喉頭がんにかかっているというような状況ですと、ヒンターランドにたくさんの炭があってもなかなかこちらに出てこない、こういう問題もあり得るわけですし、たくさんの問題が港頭を含めて山元にあります。それから、これを受け入れる日本側におきましても、やはりインフラの整備というような問題もございます。あるいは鉄鋼さんのバースあるいは貯炭場を一部御利用させていただくというようなことも、場合によっては可能な限度においてお願いしなくちゃならぬという問題もありますが、いろいろ問題が錯綜しております。  しかし、いずれにしましても、メジャーが日本電力マーケットに非常に着目をしておるということは間違いはありません。これは私の想像でなしに、私自身が世界のメジャー、たとえばシェル、BP、CFPあるいはアメリカのメジャー、こういったメジャーのトップと話したその印象からも、何としても安定マーケットである日本と長期の安定的、しかも相互援助関係をぜひ持ちたいということを私は幾つかのメジャーのトップから申し入れを受けておるわけでございまして、そういう意味ではやはりエネルギーというものは、超長期の展望の中で協力関係こそが安定供給ベースである、こう考えるわけでございます。先生がいまおっしゃられましたことは、まさにわれわれが肝に銘じてかからなくてはならぬ点ではございますけれども、それほど私は悲観はしておりません。
  99. 多田光雄

    ○多田委員 時間がありませんが、いまメジャーが日本電力に大変注目しているということは、かつて二十年前、二十五年前メジャーが日本石油消費地として最大の眼目を置いたのと何にも変わらないのですよ。いま電力にどんどん石炭を買ってもらう、しかし、五年後十年後どういう力関係、それが政治にどういう影響を与えていくかということは、当然そろばんをはじいておられるのではないかというふうに思います。その点で私は安心はできないわけであります。いまお伺いしても非常に不安定です。だから、日本エネルギーの半分を国内炭で賄えなんて言ったらこれは夢物語です。しかしながら、大事なことは、乏しいエネルギーを、最大国内炭を活用していく。まだまだ活用できるものがあるんです。私は、時間がありませんから聞きませんけれども、日本の大手石炭がまだ未開発鉱区を持っていることを十分承知しております。それも金がないからできないのです。国も金を出さなければならないから消極的なんですよ。そういう意味では、私は単に石炭業界だけじゃなくて、エネルギーを多消費する業界こそ力を合わせて日本石炭を守っていく。そして先ほどいろいろ話し合いということを言われました。結構ですが、いまその石炭を掘ることに苦心をしている石炭業界の、私は約一千億ぐらいと見込んでいるんですが、もっと多いですか、二倍ぐらいになりますか、そういう重荷も業界として何とかもう少し知恵を出し合って幾らかでも軽くしてやる。国と相談して、国民の税金で払うんじゃなくて、業界自身がそういう措置をとるということが、その姿勢が本当に資源が乏しくてもナショナルセキュリティーを守る構えになるのじゃないか。そうでなければ、どんなに多極化と言っても、七十年になってみたらエネルギーの大半は依然として外国任せのエネルギー、外国から買うエネルギーなんです。調べてみたら、国内で取れる水力石炭、わずかの太陽エネルギー、地熱を合わせれば一五、六%の自給率なんです。依然として海外依存なんですよ。そういう中で、本当にないんだから買わざるを得ない。買う態度も問題なんです。だから私は、本当にそういうナショナルセキュリティーを守るためには業界の皆さん自身がやり方において検討してもらいたい。先ほど申し上げましたように、石炭業界は困っているわけですから、本当に国内石炭を掘るためには皆さんが有無相通じていただくということが私は大事なことじゃないかというふうに思います。その一点を私はきょうお伺いすると同時に訴えたくて少し申し上げたわけであります。ぜひひとつ私どもの意のあるところをおくみ取りいただいて、国内石炭の一層の堅実な発展のためにお力をお願いしたいことを申し添えて終わりたいと思います。
  100. 岡田利春

    岡田委員長 次に、小渕正義君。
  101. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 民社党の小渕ですけれども、きょうは参考人の方は大変長時間御苦労さんですが、余り時間をとらせませんで端的にお尋ねいたしますので、ひとつ端的なお答えをいただきたいと思います。     〔委員長退席、中西委員長代理着席〕  まず、先ほどから特に問題になっておられた電力業界の件でございます。田尻さんにお尋ねいたしますが、先ほども御説明の中で十年後石炭火力の割合を現在の四%から一一%に引き上げていく、こういうことでのいろいろ数字があったわけでありますが、そういうことでありますと、それだけ石炭火力の発電所の能力を上げるわけですが、この中における既設のものを改造してやる分と新設されてそういう石炭火力をふやしていくという分とあるのじゃないかと思うのです。大まかで結構ですから、大体どの程度そういうものがあるのか、それをひとつお伺いしたいと思います。
  102. 田尻正實

    田尻参考人 それじゃお答えいたします。  大体現在の火力はほとんどすべてもう石油だきになってきております。この石油だきのかまを石炭だきにかえるということになりますと、これは新設火力を建設すると同じ費用と手数がかかるわけでございますが、ただ、ほんの一部につきましては、石炭石油と両用だきができるというかまが若干残っております。これは文字どおり若干でございまして、これは石油から石炭へほとんど重点的に移行していくという計画を現に実行しております。これはもう文字どおり若干でございます。
  103. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 要するに、そうしますと、現在の石油だきを石炭にかえていくにはかなりの金が、新設と余り変わらぬような金がかかるので、どちらかというと新設分を新しく石炭火力にしていく、こういうことですね。
  104. 田尻正實

    田尻参考人 これからの新設火力は、これはIEAの勧告もありますし、またサミットの申し合わせもございまして、これは石油ではない、LNGかあるいは石炭あるいは原子力、こういうことになります。     〔中西委員長代理退席、委員長着席〕  それでは、もう現に石油ででき上がっておる火力は、どこまでもそのまま継続するのかということになりますと、これは去年のIEAの閣僚理事会におきましても、油火力の禁止ということがすでに決議されておるわけでございますから、これはやはり逐次ベースロードからピークステーションに移していくし、さらにこれを石炭火力に、いわゆる石炭利用技術の開発環境技術開発と相まちながら石炭転換していく、こういうことになろうと思います。
  105. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 あと一つお聞きしたいのです。  要するに、石炭火力をする場合において一つの問題になるのは貯炭場ですね。私の聞いておる範囲では、百万キロワットの場合には約五万坪ぐらいの貯炭場が要するのじゃないか。それからあと一つは、灰の処理、捨て場といいますか、これがまたやはり百万キロワットぐらいで三十万坪ぐらい要るのじゃないか。こういうふうな敷地面積をかなり多量に必要とするわけでありますが、そういう面で、現在のこの石炭業界の中で、そういう将来計画とあわせてこういった敷地、貯炭場、特に灰捨て場、これが一番大きな課題ではないかという感じがするわけですが、そこらあたりに対する一つ計画的な中におけるめどは立たれているのかどうか、その点お尋ねいたします。
  106. 田尻正實

    田尻参考人 お答え申し上げます。  けさほども申し上げましたとおり、われわれの石炭使用計画を実施していくためには、大量の灰処理対策を樹立しなければ、炭を持ってきてもたけない、そういう実情にあるわけでございまして、これには従来は大体浅い海を埋め立てたり、あるいは沼沢地を埋め立てたりというかっこうでやりましたけれども、これからは、たとえば昭和六十五年時点でのわれわれの消費計画から見ますと、けさほども申し上げましたように、霞ケ関ビルを升にして十五杯ぐらいは灰が出てくる、これには抜本的な対応をしないとやっていけません。これはいわゆる国の国土計画という観点からも対応していかなければならぬのじゃないか、こういうことで、やはり国のいろいろな御配慮を賜りたい、こう考えておるわけでございます。  それから、やはり貯炭場につきまして、これも大量な面積が必要なわけでございますので、けさほどからも話が出ましたけれども、どうしても大量の炭を持つところのコールセンターを何としても大々的に持ちたいと電力としては考えております。これは東に一つ、西に一つ、せめて東西一つずつ大きなものを持ちたい。そして、外国炭を持ってくる以上、外航船で持ってきますから、大型船が各火力発電所のサイトに着桟するということはきわめて不経済でありますので、そういう大型が着くコールセンターをつくり、そこから各火力サイトへの二次配送を図っていく。そうすることによって、さらに火力発電所のサイトの培養を刺激をしていく、こういうことを考えております。現にいま北海道電力では苫東地区におきましてコールセンター構想を立て、着々と進んでおりますし、九州電力におきましても崎戸地区に大きなセンターを建設しようとして、これまた順調に進んでおります。これを単に北海道電力、九州電力の貯炭場でなしに、オール日本石炭対策における石炭基地として機能するように、私どもは地元の電力会社のその対策動向の進展に沿いながら、私どものいま申し上げましたような日本石炭対策の基地という意味合いまでこれを高めていきたいということを希望しております。  なお、これにつきましては、またお国からの絶大な御援助もぜひ賜りたい、こう考えておるところでございます。
  107. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 あと一つだけお尋ねします。  先ほど、設備費としては、現在の石油だきを火力に改造するのに新設と余り費用が変わらぬのでというお話がありましたが、しかし、石油専焼はもう許されないような情勢にだんだん来ていることは間違いないわけですから、そういう意味で考えますならば、やはり若干費用面の比較が必要でしょうけれども、新設火力をつくるとなれば、少なくとも最低四年から五年かかる。現在の石油だきを火力に切りかえていくのには、大体一年近くあればできるのじゃないかと思います。需要その他考えると、やはりそういう角度からもこの問題は考える必要があるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。
  108. 田尻正實

    田尻参考人 全く先生のおっしゃるとおりでございまして、これから新設火力につきましては、電力としても立地について最大の努力をしておりますけれども、いま計画中のものは、そして進行中のものはそれとしまして、新しくここで起こすとすれば、やはり十年近くかかるというような状況でございますので、われわれがさらに石炭をもっともっと繰り上げ、しかも使用量もさらに拡大していく、そういう努力はわれわれ自身としてもしていかなくちゃなりませんし、世界情勢もまさにそういう情勢が加わってくると私は考えておりますが、そういう意味で電気事業としてもせっかく努力しておるところでございますので、立地の促進につきまして、またこれに伴う環境問題につきましても、諸先生方から格別の御援助を賜りたいと存じます。どうかよろしくお願い申し上げます。
  109. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 どうもありがとうございました。  次に、セメントの代表者の方にお尋ねします。  先ほどからいろいろ質問されておりますので、一点だけ質問しますが、これから切りかえていくための施設費として約一千億程度見込まれるというお話であったようでありますが、大体これの金融面におけるめどはつかれておるのですか。そこらあたりに対する資金対策、それだけ一点にしぼってお尋ねいたします。
  110. 橋本重輔

    橋本参考人 お答え申し上げます。  金融のめどがついていると言うことは非常にむずかしいのですが、セメント業界としては、一年、二年ではないのですが、四、五年にわたっての約一千億というのは非常に大きな金額でございまして、現在でも経営面からいってもセメントトン当たり千円以上の金利を払っているわけなので、金融の原価の負担という面と、それからこれだけ金融事情、いまのままとは思いませんが、こういう事情ですと非常に借りにくいというような点もございますので、今後われわれも計画をする段階で金融機関と相談してまいりたいと思いますが、いろいろな意味からいって代替エネルギー法案、これから御審議いただくことになると思いますが、ひとつできるだけ先生方の御協力を得て円滑に金融面をつけさせていただきたいというふうに考えております。  以上です。
  111. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 次は鉄鋼業界の方に御質問いたしますが、先ほどから高炉におけるオールコークス化、別の表現をかりればオイルレス操業を実現する必要があるため、これを各製鉄は懸命な努力を現在払っておる、こういうお話がございましたが、具体的に一体どういうことを指されておるのか、何か非常に技術的にむずかしい問題であられるのかどうか。私も素人ですから余りわかりませんけれども、何かあと別な角度からわかりやすい面があったら、そういう点ちょっとお尋ねしたいと思うわけであります。  それからあと一つ、あわせて、これは先ほどからもちょっと触れられておりましたが、鉄鋼業界としては、できれば石炭は、原料炭は全部国外でということがちょっとここに触れられておりまして、何ですか、若干のあれもあっておったようでありますが、価格の面からそういうふうに言わざるを得ない、企業ベースとしてもわかると思いますが、品質的な面でちょっとお尋ねしますが、国内原料炭海外原料炭との品質的な面では大体どうなっているのか、やはり違いがどこにどうあるのか、価格の面で言われたのは理解しますけれども、そこらあたり、ちょっとこの二点をお答えお願いいたします。
  112. 奥村虎雄

    奥村参考人 御質問の第一点のオールコークス化という意味でございますが、これは高炉についてのことを申し上げたわけでございまして、現在高炉は六十数本の高炉がございますが、現実にいま稼働しておりますのはそれのうち四十何基ということでございます。その中で、大体大型の高炉が動いておるわけでございます。その大型の高炉世界日本が一番よけい持っているわけで、四千立米という大型高炉でございます。これは昔は千立米から千五百立米ぐらいが大型だったわけでございますが、現在ではそれはもう小型の高炉に近い、現在は四千立米以上を大型高炉とわれわれは呼んでおりますが、昔は全部コークスで操業をしておりました。したがって、そこには油を吹き込む、重油を吹き込むということはやっておりませんでしたけれども、だんだん高炉が大型化してまいりますと同時に、これを安定操業をするためには、一部重油の吹き込みをした方が技術的にいいと言われまして、かたがたちょうどほかの産業界も油にだんだん移向する時期でございましたし、油の方が若干経済的にも安いという時期でございましたので、一時銑鉄一トンつくるのに五十キログラム近いぐらいの吹き込みをしておった時期がございますが、ただ現在、極力脱石油だということになりまして、これを何とかゼロに近くまでやれないものだろうかということで、いま懸命な努力をしておるということを申し上げたわけでございますが、技術的にはやはりゼロだとどうもまだ安定操業上問題がある。現在二十キログラムぐらいの吹き込みをやっておりますが、これ以下にするとちょっと問題が起こるのではないかという懸念も実はないわけではございません。ただ現在、斎藤鉄連会長は、脱石油を徹底的にやるためにはオイルレス製鉄所をつくるということを一つのモットー、標語にいたしまして、技術陣を督励しておるわけでございます。したがって、大型高炉についても全然重油を吹き込まないでひとつやってみろということで試験操業を現在やっておるわけでございます。果たしてそれが永続的にうまくいくかどうかということは、これからの実験結果によって判定をされるわけでありますが、ある程度減らすことは可能であるということは大体いけそうでございますが、ゼロにまでできるかどうか、これは試験結果によりますが、それを目標にいまがんばっておるということでございます。  なお、製鉄所で使います油は、高炉だけではございませんで、加熱炉であるとか圧延機に一部使っておりますが、これはいろいろ重油を使いましたり、あるいはその他の油を使っておるケースもございます。それで、全体としては現在九百万キロリットルぐらいの油を製鉄所は使っておるわけでありますが、こういうことも極力あらゆる面の石油を減らす努力をして、極力製鉄所としてオイルを少なくするという努力をいま重ねておる、こういう意味でございます。  それから第二点の、国内原料炭は使わないようにするという表現があるがというお話でございますが、国内原料炭をゼロにしたいという意味ではございませんで、国内で産出される石炭二千万トン体制、この中の原料炭一般炭とのウエートを、今後は一般炭の方にウエートを高くする、シフトする、重点を若干ずつ置きかえていくというふうなことをされた方が、いまの一般炭需要が非常に強くなっている時期でございますので、その方がいいんではなかろうか。われわれも過去において一千万トンぐらいの原料炭国内から買っておりましたが、現在六百五十万トンぐらいになっておりますが、これをゼロにしたいと言っているわけではございませんで、この数字あるいはそれに近い数字を将来も、一般炭の産出に伴って原料炭もどうせ出るということでございますので、できる限りの御協力は申し上げたいという気持ちには変わりございません。  原料炭の中で、海外原料炭国内原料炭との違いはどうか、こういう御質問でございましたが、原料炭の中には強粘結炭、粘結性の強い石炭と、弱粘結炭というものがございます。それで、昔は日本におきましても北松炭田等で強粘結炭が一部出ていた時期がございますが、現在では国内では全然産出はいたしません。したがって、いまわれわれが買っております六百六十万トンの炭は全部国内では弱粘結炭に該当いたします。その弱粘結炭の中でも、流動性その他いろいろな品質の相違も若干はございますが、日本の炭と性質、品質においてほぼ類似しているものは豪州の弱粘結炭でございます。そういったものを国内輸入いたしまして、さらに強粘結炭アメリカ、ソ連その他から輸入いたしまして、上手にブレンドをして均一のかたいコークスをつくっていくということが一つの技術でございますが、こういった点について、長年の経験によって各社とも非常に苦労をして、各国から多角的なソースからそういった原料炭導入して、まぜて使っておるという現状でございます。
  113. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 もう質問の時間が来ましたので、あと一点だけ、石炭協会の有吉さんにお尋ねしますが、簡単で結構ですから、端的に御質問いたします。  現在の石炭産業の中での労働力確保問題については、この前労働省の行政当局では、まあまあいまのところは何とか問題はないようなことが言われておったのですけれども、私が山元あたりの人たちのお話をいろいろ聞きますと、やはり若い人がなかなか入ってこないし、そういう意味で、特に第一線で働く熟練労働者の養成ということについては、かなりこれは長い目で育てていかなければいけない、経験が非常に物を言うような業種であるということを聞いておるわけであります。そういった点で、要するにみんなが全体的に、社会全体が山元離れといいますか、石炭離れしていたような社会風潮の中で、技術者の養成ということがなかなかむずかしいのではないかということをいろいろな話の中から私は感ずるわけでありますが、そこらあたりについて、端的で結構ですから、何か石炭業界として、現在はそれで何とかいけるとか、それとも何かあったら問題があるならあるなりに、その点の御見解を承りたいと思います。
  114. 有吉新吾

    有吉参考人 労働力確保の問題は、かつての石炭撤退の最中のころに比べますと大分改善されておりまして、離職者がどんどん多くてどうにもならぬ、こういう状態ではございません。しかし、有力な若年労働力を確保するということは相当困難を感じておるというのが実情でございまして、これはやはり石炭需給状況がこういうふうに変わったとはいいながら、いまだに石炭というものにつきまして、その将来について、一生を託していいのか、こういうことに対する不安と申しますか、魅力がないと申しますか、そういうことが一番大きな原因ではないかと思っております。  それで、定着をしないということが、おっしゃいますように私ども一番心配いたしておりますのは炭鉱の保安でございまして、保安を第一にということを言っておりますが、しょっちゅうかわられるということは保安訓練上も非常に問題があるわけでございまして、その意味からも石炭の基盤をひとつ安定をさせていただく、こういうことを切にわれわれはお願いをしておる次第でございます。
  115. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  116. 岡田利春

    岡田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
  117. 岡田利春

    岡田委員長 引き続き、政府当局に対する質疑を行います。小渕正義君。
  118. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 政府の「長期エネルギー需給暫定見通し」の中で見ますならば、昭和六十五年度までに、石油代替エネルギーの比率を現在の七十五対二十五から五十対五十とする基本目標を実は立てられているわけでありますが、この中で、特に原子力の比重を約一〇・九%、約一一%までに引き上げる計画が、実際に全体的なエネルギー計画の中であるわけでありますが、現状の、特に最近の状況を見ますならば、とても計画どおりに原子力の比重を高めることは困難ではないか、私はこういうふうな感じがするわけであります。したがって、「長期エネルギー需給暫定見通し」でいきますと、六十年度における国内炭が約二千万トン、六十五年度も約二千万トン、海外炭が六十年度で一億百万トン、六十五年度で一億四千三百五十万トン、こういうふうに火力の依存度がこの計画の中に入っているわけでありますが、要するに、私、これを見ますならば、火力依存度と原子力との関係は相関関係になるだろうと思うわけであります。したがって、そういう点で果たして現在のこういう実態から言って、原子力発電というのはきわめて立地難、その他いろいろな問題を抱えて、計画どおり進んでいないような状況の中で、政府原子力発電の比重をこういう計画どおり高められるというふうに思われているのかどうか、これは石炭火力との関係が非常にありますので、そういう角度から御質問申し上げた次第でございますので、その点について御見解を承りたいと思います。
  119. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御案内のとおり「長期エネルギー需給暫定見通し」というのは、まず第一点は、東京サミットの合意を踏まえて、国際的な義務を果たすというのが第一点。それからかつ、中長期のエネルギー安定供給をどういうふうに確保するかということを目指した内容でございます。これは官民挙げて最大の努力と協力をして達成するという方向でやっているわけでございます。特に問題になりますのは、石油代替するエネルギーが問題になるわけでございますが、原子力以外の石炭につきましては、現在火力発電の増設を計画的にやる。そのほかの利用拡大を図るためのガス化とか液化技術を徹底的にやる。またLNGにつきましては、今後導入を図るための開発導入体制整備とか需要の組織化を図るというようなことを前提でつくられているわけでございます。特に有望視されております原子力につきましては、今後問題となりますのは、安全性、信頼性の向上を図るということでございまして、この目標達成に全力を傾注するという姿勢でございます。あの「需給暫定見通し」では、たしか六十年度で三千万キロワットという計画に相なっているかと思いますが、昨年十二月末の電気事業審議会の検討では、二千八百万キロワットから三千万キロワットを目標とするということに相なっているわけでございますが、現下の見通しでは、その下限の二千八百万キロワットは可能ではないかと見込んでおります。その二千八百万キロワットというのは、現在すでに運転中のものが千五百万キロワットでございますし、あとの千三百万キロワットというのは、現在すでに建設中のもの、準備中のものでございますので、それを考えると、電事審で考えている最低限二千八百万キロワットは見込まれるのではないかと考えております。
  120. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ただいま具体的数字でわかりましたけれども、今日までのいろいろな新聞報道その他からわれわれが知る範囲の中では、原子力発電というものがかなりおくれているのじゃないかという率直な感じがしたわけでありますし、あわせて、原子力というのは、これは着工から十年かかって初めてでき上がるというしろものでありますから、そういう意味では、いまの段階で、場合によっては見直す必要があるのじゃないかという意味で質問したわけであります。いまの状況では、一応何とか下限の目標達成は可能ではないかという説明でありますが、その点、特にこういつたエネルギー関係では、火力発電にしても原子力にしましても、先ほど火力発電は立地その他を考えると十年ぐらいかかるだろうと言われたのですが、最短でも四、五年かかるわけでありますから、そういう意味では、やはり計画の見直しというのですか、場合によっては、予定の推移状況によっては計画の見直しということも早急にやるということも必要じゃないかというふうに思っている次第であります。したがいまして、そういう点で一応お尋ねしたわけであります。この点、特に御意見として申し上げておきたいと思います。  次に、代替エネルギーの中での原子力LNG等がいろいろ立地難、その他LNGに至っては価格等が高騰するという関係から、何といいましても、石炭についてはまだ貯炭や灰捨て場やその他敷地の問題、脱硫装置、脱硝装置、いろいろの問題はあったにいたしましても、世界的に一番豊富なエネルギー資源であるのは石炭だと私は思います。したがって、そういう意味ではこれからの代替エネルギー中心は、やはり石炭に置かなくてはならぬのじゃないかというふうに私なりに考えるわけですが、そこらあたりについての当局の見解をお尋ねしたいと思います。
  121. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  石炭エネルギーというのは、今後エネルギー供給の中で一定の役割り分担を果たしていくということは確かだと思います。しかしながら、この十年でわが国環境条件がかなり変わってきておりますので、十年前と同じような対応ではなかなか利用可能にはならないんじゃないかということでございます。先生御指摘の灰捨て場の処理とか、それからNOx、SOxの対策等々ございまして、その辺の解決なくしては石炭利用はなかなか現実化しないというふうにわれわれは考えております。
  122. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほど東京電力田尻さんですか、環境基準がわが国世界にもまれなくらい厳しいと言われておりましたが、しかし、そういう状況にあっても、現在そういう中で一番問題である脱硫、脱硝、こういった技術はもうかなり実用化まで来て問題ないんじゃないかというふうに仄聞をしているわけでありますけれども、この点についてどのようにお考えなのか、実態をどのように把握されているのかお尋ねしたいと思います。
  123. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  まず、環境技術としては大きく脱硫技術と脱硝技術に分かれるかと思います。  脱硫技術は湿式法というものが現在ありまして、これは現に実用化されております。その結果、脱硫率が九〇%程度ということでかなり性能が高いわけでございます。しかしながら、この技術には若干欠点がございまして、大量の水を使うという問題がございます。それから排水処理に二次公害的な問題が起きるということでございます。それからここから出てきますのが石こうでございまして、この処理がかなり問題になっているわけでございます。当面のような使用量でございますと量が少ないために余り問題にはなりませんけれども、大量ということになると立地上の制約がかなり出てくるというのが問題でございます。  これら、先ほど御説明した湿式脱硫技術の問題点が解決される技術としまして、乾式脱硫技術というものがございます。それは現在実用化を急ぐということで研究をしておりまして、今年度から国の委託事業で五十八年度ごろを目標といたしまして大型の実証プラント実験をしたいということでございまして、その規模は大体十二万五千キロワットにつけ得るということでございますので、これは完全に実証試験かと考えられます。  それから第二点は、脱硝の技術でございまして、これは窒素酸化物対策でございます。  まず第一点は、低NOx燃焼技術と言いまして、発生するNOxを少なくするたき方の問題でございますが、これはかなり改善されておりまして、現時点で達成の見込みがついております。さらにこれを一段と低めるために低ダスト方式と言いまして、高温集じん機で一度ちりを取りました上で脱硝するという技術でございますが、これはほぼ見通しがついております。現在、これを北電の苫東火力に設置をするという予定で考えております。  それから、今後大容量のものが問題になるわけでございまして、これについては電発の竹原一号で五十七年度ごろに実用化するということでいま実証技術確立というために研究をしているという段階でございます。  それから高ダスト方式と言いまして、もっと手っ取り早くする方法でございますが、これにつきましては、現在研究をしておりまして、ここに問題になりますのは触媒を使うわけでございまして、触媒の寿命とか触媒の再生等が決め手になるものでございますので、それらの点につきまして現在パイロットプラントで試験実施中であるということでございまして、それを踏まえた上で実用化のめどが立つように研究を進めていきたいというふうに考えております。
  124. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いまのお話では、脱硝装置はかなり実用化されているようなお話でありましたが、特に海外炭ですかは脱硝装置が国内炭よりも余分に——そういう意味では脱硝が比較的多いので、そういう点が一番ポイントになるのじゃないかと思いますが、先ほどからも、参考人のときのお話にも出ておりましたが、これからの世界的なエネルギー需要の中で、石油だき発電は禁止するという方向にある程度行くので、新聞報道等によりますとかなり厳しくなっていくんじゃないかと思いますし、そういう点からいきますと、現在のわが国火力発電の中における重油中心の既設の設備の中でも、私は一部の施設を追加することによって、早急にこういうふうなものが石炭火力に移行できるんじゃないか、こういうふうなお話も私は聞いておるわけでありますが、ここらあたりに対する、先ほど東京電力の方のお話では、金が新しくつくるのと変わらぬほどかかるから一つ問題点だと言われておりましたが、そのようにまでお金がかかるのかどうかちょっと私は素人でわかりませんけれども、一部の新しい施設を追加することの中で、そういうものにどんどん切りかえ可能だ、こういうようなお話も私はある程度聞いておるのでありますが、ここらあたりについて、もう少し行政当局としての確信のあるところをつかんでおられれば御説明願いたいと思います。
  125. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、脱石油時代を迎えまして、既設の石油火力といえども石炭転換へ方向づけするということは、私どもに課せられた課題でございます。  ただ、先ほどからお話にございますように、既設の石油火力石炭火力転換いたします場合に、すでに石油火力用に設計されたボイラーを石炭火力用に転換するために、ボイラー等は一応全面的に取りかえる必要がございます。それから第二番目として、スペース的な問題でございますが、貯炭場、灰捨て用地あるいは脱硝、脱硫等の環境対策設備、それから石炭受け入れ設備、すなわち港湾設備でございますね、そういったスペースの問題がございます。このほかに、石炭火力問題として出てまいりますのは、環境への影響等万全を期するわけでございますけれども、何せ発電所立地問題全体にかかわることでもございますけれども、やはり地元の理解といいますか、同意を得る必要がございます。  このように、石油火力から石炭火力への転換には多くの問題があるわけでございますけれども、当省といたしましては、御指摘の既設石油火力といえどもできるものについては極力転換を図ってまいりたいというところで種々の政策を検討しておるところでございます。  以上でございます。
  126. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いろいろ問題があるけれども、そういういろいろな政策を検討されているという御説明でしたけれども、要するに、そういう貯炭場の問題、灰捨て場の問題があり、また今度は新しい切りかえに当たっての設備の一部改造化、そういう意味での設備費の負担、こういういろいろな問題があるわけでありますが、これらの問題点を考えた場合に、これをただ電力業界だけに任せておっては、私はなかなか問題解決の促進は図られないと思います。確かに行政当局としてもそういった意味での強力な行政指導を行うと思いますけれども、やはりこういった問題等については、もう少し行政当局が腰を据えて、設備の負担の問題に対しましても、またいろいろな用地等の問題に対しましても、やはり総合的な強力な行政指導というものがやられないことには、これを電力業界だけに任せておっては、どうしても促進のテンポが遅いのじゃないかと私は思うわけであります。そういう意味で、ひとつ行政当局としても、これらに対するいま一段の強力な指導というか助成というか、そういう考え方がありましたらひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
  127. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、石油火力石炭火力転換するというのを早急に進めるということが政策上の重要課題だとわれわれは確信しております。現に、代替エネルギー法案はその趣旨でいま作成されておりまして、それを受けます新機構では、油から石炭転換をしますセメントについては、すでにそういう対策を織り込んでいるわけでございます。  しかし、油火力石炭火力転換をするという点についての困難性につきましては、先ほど課長の方から説明があったと思いますが、この具体的な内容としては、ボイラーの改造とか環境保全対策に必要な設備の増設、それから先ほど言いました貯炭場とか灰捨て場とかかなりの費用負担が出てくるわけでございます。こういう問題を促進するためには、政府としては側面からそういうものを助成していくことが必要かと思いますが、これは今後の課題として検討してまいりたいということでございます。しかし、現在のところ、具体的な転換計画がセメントほどまだ固まっておりませんので、予算措置は今後の問題として検討させていただきたいというふうに考えます。
  128. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 業界がそういう転換計画をまだ出されていないということもあったようでありますが、やはりしりをひっぱたいても、政府としては指導の中でこういう問題を早く着手させるような努力をひとつ期待をしておきたいと思います。  それから、新しい代替エネルギーの中の一つの問題としてCOMがあるわけです。このCOM関係はもう実験段階を終わったというふうに聞いておりますが、これのこれからの実施計画等について、現在どこまでいっているか、そこらあたりの状況をひとつ御説明いただきたいと思います。
  129. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  COMの技術開発につきましては、やはり石炭のガス化とか液化より早期に実用化が期待されるという観点に立ちまして、昭和五十年度からすでに研究を開始しております。われわれの利用関係の開発技術といたしましては、短中期重点課題ということで取り組んできたわけでございます。技術的な観点で見ますと、製造、輸送、貯蔵、燃焼等の面では基本的技術問題はすでに解決しております。問題は、実操業規模でどういう結果が出るかということで、実証段階にいま来ているわけでございます。  それで、まずそれを適用するのは電力でのCOMの実用化を考えようということでございまして、石油火力のCOM転換を目指しまして、五十五年度から石炭だきの設計ボイラーに適用するという実証試験をしたいということでございます。  第二点は、これと並行いたしまして、油だきの設計ボイラーに適用できるかどうかという観点に立ちまして、今後実証試験をしたいということで、いま設計に着手したいというふうに考えております。これは電力関係でございます。  そのほか、他産業でも利用可能ということも考えられますので、五十三年度からは、鉄鋼用の高炉吹き込みの重油にかえ得ないだろうかということで、現在パイロット試験を実施しているということでございます、五十五年度から現在稼働中の高炉での重油吹きの全量をかえることができないかどうかということについての実証試験をしたいというふうに考えております。これらの実証試験の結果が良好な段階で、これをどう実用化につなぎつけるかということは、今後の代替エネルギー法案の中での今後の具体的な業界に対する指針の一つになるのではないかと考えております。
  130. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは次に、先ほど申し上げました「長期エネルギー需給暫定見通し」の中で、これは六十五年度までの見通しが一応掲げられておりますが、この中で新燃料油、新エネルギー、要するに石炭液化というような問題だと思いますが、六十年度に五百二十万キロリットル、〇・九%、六十五年度に三千八百五十万キロリットル、全体の中に占める割合としては約五・五%の代替エネルギー需給見通しというのがこの計画の中で出されておるわけでありますが、現在のこれらの開発状況からいって、果たして六十五年度のこれだけの目標の実現が可能なのかどうか、でき得ればもっとこれが早められるような状況には考えられないかどうか、そこらあたりについての実態をひとつ御報告いただきたいと思います。
  131. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  「長期エネルギー需給暫定見通し」の中で新エネルギーという位置づけが与えられているものは、石炭液化、太陽エネルギー、新燃料油等のいわゆる新しい技術開発を前提とした燃料でございまして、数量につきましては先生御指摘の数字になっているわけでございます。政府といたしましても、石炭液化技術等の開発は積極的に現在進めております。さらにソーラーシステムの普及促進を図るということで最大の努力をしているわけでございますが、現段階の技術開発のテンポを考えますと、これを完全に達成することに最大の努力を集中することが当面の官民挙げての目標というふうにわれわれは理解いたします。  ちなみに、数字で御説明いたしますと、液化でいきますと、ソルボリシスとか溶剤処理法とか直接液化法、こういうものは大体一トンないし二トンのプラントでございますので、今後これを逐次ステージを上げて二百五十トンとかいうところに持っていくことによって実用化に近づくのではないかというふうに考えております。
  132. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その中で、特に石炭液化の問題でちょっと申し上げますが、現在石炭液化は大体三つの流れというか系統というか、そういう中でそれぞれ開発技術が進められていると思います。それぞれの特性があり特徴があるとは思いますが、こういうふうなばらばらの形でそれぞれ自発的に競い合うということが、ある面ではいいかもしれませんけれども、こういうふうなやり方が問題を解決するのに果たして有効だろうかどうかという感じもなきにしもあらずであります。この三つのものがそれぞれの特徴を持ってやられていると思いますが、そういった点について別に問題はないのかどうか。それぞれに一つのポイントを与えてやるのではなしに、それぞれがそれぞれの状況でやるということだけで果たしてどうだろうかという素人なりの考えがあるわけでありますが、そこらあたりについての状況と、あわせてこれらに対する国としての資金的な対策はどの程度やられているのか、そこらあたりをひとつ説明いただきたいと思います。
  133. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 まず液化の関係の進捗状況を御説明いたします。  石炭液化の早期実用化を図るということで、従来からサンシャイン計画の一環ということで、わが国独自の三つのプロセスについて技術開発をしております。  それから第二番目は、大型プラントの早期実現を図るということで、エネルギーに関します日米科学技術協定に基づきまして石炭液化共同開発に取り組んでおる。これは新聞紙上で出ておりますSRCIIというものでございます。  これらの液化技術開発といいますのは、わが国独自でやっておりますのは、まだ研究室規模の段階のものでございまして、今後の発展としましては、第一には各種石炭の適用可能性をどう考えるかという問題、それから製品構成をどう弾力的に変更できるかというような検討を進めていかなければならないわけでございまして、現段階でこの三つのプロセスのうちどれがすぐれているか、それからどれに集中したらいいかということはなかなか決めかねるのが現状でございます。したがって、今後これらの研究開発がかなり進みまして、その結果を見た上で各方式をどういう組み合わせなり連携で考えていくかということは、今後の問題になるかと思いますが、いずれにしても、実用化に近づけば近づくほど資金負担が大量になりますので、その辺を考慮に入れながら、有機的連携のあり方等について今後検討していかなければならないのではないかと考えます。  それから、資金対策の面でございますが、何分にも実用化規模に近くなりますと、相当の資金負担になってくるかと思います。したがいまして、財源措置をするということで、いま国会でお願いしております石炭石油特別会計の改正を行っていただいておりますが、その中の代替エネルギー勘定という新設される勘定の中でこの液化プロセスを見ていきたいということを考えております。
  134. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は長崎で石炭液化のソルボリシス法ですか、これをやっているところを見せてもらったのです。それで実験段階では一応終わりまして、あとはいろいろな次のパイロットプラントまでの過程についての取り組みをされているようでありました。直接的なお話をお聞きしたのですけれども、こういうことを言われているのです。  問題は、いま三つの流れでやられているわけですが、どの炭を液化するか、国内炭をやるか、海外炭をやるかによってまた大きく条件が変わってくる。それからあと一つは、液化の重点を軽質油にするのか重質油にするのか、それをどちらにするかということでまたこれが変わってくる。そういう意味で、現在の段階ではどれでもともかくやれるようにということに話がいくものだから、そういう形の中ではどうしてもかなり長期間を必要とする、こういう話を実は聞いたのです。だから、確かにあらゆる石炭をあらゆる条件の中で液化していくという中でのそういう総合的な研究開発も必要でしょうけれども、緊急的な、どれにはひとつどの炭で、重質油を中心にもっと進めていくとか、どれの方法はどの炭を中心にして軽質油なら軽質油を重点にやるとか、何かそういうテーマ、ポイントをしぼることによって現在の、いまはそれぞれ三つ取り組まれている開発技術が、かなりテンポが速く実用化されるのではないかというふうに私なりに受けとめたわけですけれども、そういう点ではいままだ研究段階、それぞれが三つともそれぞれの手法でやられているわけでしょうけれども、そういう総合的なものは一応おくとして、それはそれなりにやっていただくとして、早く実用化段階にいくためには、そういうポイント別にもっと促進させたらいいのじゃないかという私は率直な素人なりの考えを持ったわけでありますが、そこらあたりについてはいかがでしょうか。
  135. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  技術開発でございますので、かなりねらいを定めてやっていることは確かだと思います。しかし、何分にも現在時点では反応試験が中心でございまして、どういうものが炭種として適当かということも含めてまだ検討している段階でございまして、当面その研究を網羅的にやった上で、具体的な次のステップの焦点が定まってくるのではないかと思います。現在何分にも、利用可能な炭種をどうするかということを念頭に置きながら、それから経済性とか技術的検討というものを総合的にやっている最中でございまして、その辺の研究がある程度まとまった段階で、先生の御指摘になります太いねらいがつくのではないかというふうにわれわれは考えております。
  136. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これは私はずぶの素人ですから、このことでいろいろとやかく言うことは差し控えますが、ただ、実際これを担当されている関係者の人たちの意見を総合すると、やはりそういうことにどうしても問題がしぼられたような感じがしましたので、そういう意味で申し上げたわけであります。ひとつポイントを決めてもらって、これをやれということになれば、もっとスピードを速めていかれるということを率直に言われておりました。現在までは、国内炭のある炭をやって、開発もそれでめどがついた。それでは今度豪州炭をやった場合にはとてもいまのところめどがつかぬ、こういうことでしたけれども、あわせてそういう油、重質油か軽質油かによってもまた違ってくる、そういうことをひとつそういう関係者の参考的な意見としてお聞きしておっていただきたい、かように思うわけであります。  それから次に、これも先ほど参考人の方もいろいろ話が出ておりましたが、要するに、いずれにしてもこれから石炭安定供給体制をどうするかということは、私はきわめて大事な問題であろうと思うわけであります。したがって、これに対して前回の石炭部長の説明では、民間の活力を生かしながらやっているのだということを言われておったようでしたけれども、やはりこれは長期的な視野に立って考えるならば、何らかこれに対する政府としての方針が示されていいんじゃないかというような感じがするわけでありますが、この点に対する御見解がありましたらお伺いしたいと思います。
  137. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  海外炭開発導入につきましては、政府としては従来から民間の活力を生かした民間主導型でやるべきである、そういう中で長期安定策を確立するという方針をずっととってきているわけでございます。しかしながら、民間だけでは十分でない側面もございますので、民間の自主開発のために、政府としても資金面等のバックアップで所要の諸政策を行うということでございまして、これにつきましては、今回の代替エネルギー法の中で新たに体系を整備しているわけでございます。  二番目といたしまして、やはり秩序ある開発が必要でございますので、海外の各供給国との間の国際関係をどう持っていくかということについては、陰ながら指導していくという体制整備しております。また業界間の調整も必要であるということでございますので、その辺も陰ながらバックアップするということでございます。  なお、先ほどから出ております電力十社によります共同会社の設立という問題が、現に一元化といいますか、秩序ある開発をするという点で設立をされておりますし、また経団連の内部には海外炭輸入問題懇談会というのがございまして、これは業界間の調整並びに国際間の調整をするということで民間ベースですでにスタートしております。  それから、五十四年六月には総合エネルギー対策推進閣僚会議の決定に基づきまして官民共同で石炭火力開発促進会議というのをつくりまして、ここでいろいろな御議論をいただいておるということでございまして、実体的には民間主導でやっていただいておるわけでございますが、政府といたしましても、陰ながらそういう面でのアドバイス、指導をしておるというのが実情でございます。  また、国内の引き取り体制につきましても、コールセンターの設立とか外航船、内航船の整備等の流通機構の整備については、関係省庁といま十分な議論を詰めているという段階でございます。
  138. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 海外炭については、民間主導型に対して政府が手助けをしていくという立場の中でそれぞれやっていく。あわせていま御説明ありました、それぞれの機関の中での自主的なそういうものがいろいろ持たれているということと、閣僚会議の中でもこの問題が話し合われている、こういう話でございましたけれども、それはそれなりに私も結構だと思います。ただ、民間主導型でやることは結構ですが、やはりそれぞれの商社が競い合って、張り合って、一ころ新聞紙上をにぎわしたように、豪州炭の買いあさりということで日本がまた石炭価格をつり上げる、そういう批判を浴びるような現象が一時出たようでありましたけれども、そういうことをさせないためにも、秩序あるそういった体制をどうつくるかということでは、民間ベースだけでなしに、政府もいま一歩踏み込んだ施策が必要じゃないかなという感じが私はするのであります。  特に、いま豪州炭等を中心にして、それぞれのルートの中で安定的な開発まで含めた話し合いが行われていることはわかりますけれども、これは一つの例でありますが、いかに石炭の出所だけを押さえても、積み出す港をほかのところから押さえられたら、これは何もできぬわけですね。油の場合、エクソンの世界戦略の中では、そういう形の中であれだけ大きくなったわけですから、鉄道はエクソンが押さえて、油を持たなかったのが結果的にあれだけ成長したのもそういうことがあったわけでありますし、私が聞いたところでは、やはりそういった大きな長期的な世界戦略、エネルギー戦略の上に立って、石炭の山を押さえるというよりも、そういう港湾市を新しく押さえていくような戦法をとっておるような話もお聞きしておるわけでありますから、そういう意味では、この前から新聞紙上等にも出ておりましたように、やはり豪州なら豪州の社会資本にまで協力し合っていくような形をとらないことには、安定的な供給体制の確保というのは無理ではないか、困難ではないか、そういう一面が非常にあるのではないかと私は思います。  したがって、そういうことを考えますならば、やはり政府ベースといいますか、政府も何らかの形で入った中においてそういうことを進めないことには、民間ベースだけで果たしてそういった問題まで含めて長期的な秩序ある安定供給体制が確立されるのかどうかなという意味では疑問と思うところがあるわけでありますが、そういった意味を含めて、いま一歩私は、政府がそういう長期的な、油の二の舞いじゃなしに、本当にのど首を押さえられて、どうにもならぬような形にしないためにも、長い目で見た思い切った政府の施策というものがこの際とられなければどうにもならぬのじゃないかという気がするのですけれども、そこらあたりに対していかがでしょうかね。もう少し政府は、これからの長い将来にわたるわが国エネルギー対策一つとして、このことは欠かすことのできない問題だと思いますので、そういう点でひとつ何かございましたらお聞かせいただきたいと思います。
  139. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように、やはり生産、それから内陸交通、港湾、積み出しの外港、それからコールセンター、需要家、こういう形でつながってくるわけでございますが、これはわれわれ通常コールチェーンの確立ということで整理しているわけでございます。その中で一番大きくて金額のかかるのはインフラストラクチュアの整備であることは確かでございます。それにつきましては、すでに民間ベースでは原料炭についてはかなり実績とノーハウがございまして、現在も、一般炭につきましては輸出国との間で、その辺の進め方をどうするかということについてすでにかなり具体的に話が進められております。したがって、その辺がかなり煮詰まった段階で、政府としては輸銀等の資金などを念頭に置きながら、また別の民間資金の調達等について陰ながらバックアップしていくということは内々考えているわけでございまして、それがある程度具体的になった段階で具体的な行動をとりたいというふうに考えております。
  140. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 このことで私も議論するあれがありませんから、しかし、後世に悔いを残さぬような長期的な視野に立った対策をぜひひとつ御検討いただきたいということだけを申し上げておきたいと思います。  次に、国内炭海外炭との価格差についてでありますが、これからのわが国石炭は年間二千万トン体制がずっととられていく計画でありますが、これは現実問題といたしまして、海外炭国内炭価格差がある限りにおいては、二千万トン体制以下にとられたとしても、これに対する何らかの対策を立てないことには、やはり貯炭ばかりがふえていくことになりはしないかという懸念を持つわけであります。したがって、国内炭海外炭との価格差をどうするかということについての何か具体的な措置が考えられておるのかどうか、ここらあたりをお願いします。
  141. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  国内炭の活用につきましては、従来から国内炭の優先引き取りを原則にするという方針で進めてきているわけでございます。格差の調整につきましても、従来から石炭需要者に相当の負担をお願いしながら協力を得て、価格調整を含めた量的問題を解決しているわけでございまして、今後もこの立場に立って具体的な解決を図っていきたいというふうに考えております。
  142. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 強力な行政指導で優先的に引き取る、そういったことも大事でしょうけれども、根本的な価格差調整の問題をひとつ考えておかないことには、ただ、業界にそれぞれの協力お願いするだけでは無理があるんじゃないか、私はこういう感じがするわけであります。海外市場がいろいろと変化がありましょうとも、しかし、どうしても競争力から言いまして国内炭の場合、先ほどからも触れられておりましたように非常に深いところ、深層部に行って掘らないかぬという悪い条件の中に置かれているわけでありますし、海外炭はどちらかというと露天掘りという形の中でどんどん掘られるわけでありますから、いかにわが国石炭産業の労働者の労働生産性が高いと言われても、この価格差だけは解消できないのじゃないか、私はかように思うわけでありまして、そういう意味での問題の解決が長期エネルギー対策と同時に必要欠くことのできない問題だと私は思うわけであります。したがって、この点に対して、そういう業界におんぶされてやるということも一面では大切でしょうけれども、もっと根本的なこういった価格差解消対策というものを実は考える必要があるんじゃないか。  私もまだ専門的なことではわかりませんけれども、西ドイツがとっているような、価格差調整についての対策として海外炭に一部課税をしながら、そういうものの差益の中で何か調整をしていくという話もあっておったようでありますが、ただ、業界の善意に甘んじていくというやり方でなしに、根本的な、国内炭海外炭というような必要欠くことのできない問題としてずっと永続的に出てくる問題ではないかと思いますので、そういう意味で、抜本的なこれらの価格差調整という問題についての対策が、エネルギー対策の欠くことのできない一面として、これから必要ではないかと私は思うのでありますが、そこらあたりについての当局の御見解を承りたいと思います。
  143. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  現在、政府内部、それから関係者の間で議論をしている中では、現在考えておる方式がかなり現実的な案ではないかということにいまのところ落ちついております。  それから、先生御指摘のような御意見もあるということは聞いておりますが、いずれにしても重要な問題でございますので、引き続き検討させていただきたいというふうに考えます。
  144. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ともかく長期エネルギー対策として現在取り組まれているわけでありますから、この問題もその側面として欠くことのできない問題だと私は思います。そういう意味で、ひとっここらあたりで、場当たり的でない、長期的な視野に立った根本的な解決策を講じられることを特に期待しておきたいと思うのであります。  最後になりますが、先ほどもちょっと石炭協会の方にお尋ねしたのでありますけれども、前回もお尋ねして、問題ないというように言われたのでありますが、私も山元の方たちにお会いした際にいつも聞かせられることは、これからの石炭産業における基幹要員の確保、これは熟練労働者並びに技術員といいますか、係員とかの名称で言われておるようでありますが、そういった中間における技術者の養成といいますか、そういう問題が非常に大事な問題ではないかと私は思うのであります。特にそういった点では、前回も申し上げましたけれども、簡単に半年ぐらいですぐ熟練者になっていくのと違って、やはり第一線に働く人についてはかなりの経験というのが一つの貴重な要素ではないかと私は思いますし、また坑内的な生産技術を高めるという意味でも、そういう中間管理層といいますか、技術員の養成というのは大事な問題ではないかと思います。ここらあたりは、行政当局は、現在の雇用の需給状況の中では、まあまあ不足しておらぬということを言われておりましたが、ただ、量的なものではなしに、質的なものを高めていくという意味では、何か石炭のそれぞれの企業の中で、一部の企業は養成所みたいなところをつくってやっているところもあるようでありますが、全体的にはそこまでの体力は持たないと思いますから、私は、石炭産業の技能者、技術者の養成についても、国なりの何らかの施策を持ちながら促進させるということが必要ではないかという気がするわけでありますが、それらに対して行政当局としての御見解があれば承りたいと思います。
  145. 高瀬郁彌

    ○高瀬政府委員 お答えいたします。  石炭鉱業の人材、特に係員の確保問題というのは、今後炭鉱が坑口から遠くなり、かつ深くなるという状況を考えますと、まず保安確保の面、生産力の維持の面で相当重要なキーポイントになるというふうには考えております。今後の石炭鉱業の長期展望を考えますと、やはりこの面での努力を今後していくことが必要であるというふうに考えておりまして、従来から企業サイドでは自主的に努力はしておりますが、そのほかに、政府といたしましても、技術開発の面では急傾斜採炭の機械化とか掘進の自動化というようなことをやっております。  それから、教育面で見ますと、通産省が調査員制度を持っておりまして、そこで作業者に対する管理技術の指導をやっております。それから保安技術講習所での保安技術職員の養成、そのほか鉱山保安センターという機構がございまして、そこで保安技術者の教育、それから保安に関する有資格者教育、新入者に対する基礎教育などを進めているわけでございますが、現在石炭業界でも新たな観点に立って、今後の教育のあり方について検討しているやに聞いておりますので、その結果、検討の内容を見た上で、政府としても必要とあれば何らかの措置を考える方向で検討させていただきたいというふうに考えております。
  146. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いま御説明を承りましたけれども、要するに、そういう人的な面で、しかも質的な面で、石炭産業というのが結果的には敗退せざるを得ないような状況になってはいけないと思いますので、特にそこらに対するきめ細かい施策を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 岡田利春

    岡田委員長 これにて小渕正義君の質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  148. 岡田利春

    岡田委員長 この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。  商工委員会において審議中の内閣提出、石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律案について、同委員会に対し、連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  149. 岡田利春

    岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会につきましては、商工委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。次回は、明四日午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十七分散会