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1980-03-04 第91回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月四日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 岡田 利春君    理事 田中 六助君 理事 山崎  拓君    理事 山崎平八郎君 理事 山下 徳夫君    理事 中西 績介君 理事 細谷 治嘉君    理事 多田 光雄君 理事 稲富 稜人君       麻生 太郎君    北口  博君       倉成  正君    三枝 三郎君       野田  毅君    三原 朝雄君       渡辺 省一君    川俣健二郎君       中村 重光君    鍛冶  清君       吉井 光照君    三浦  久君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    福原 元一君         工業技術院総務         部技術審議官  山中 正美君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 二月十三日  石炭鉱害認定による小野田市西之浜一区の復旧  促進に関する請願(吉井光照君紹介)(第八二  〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 岡田利春

    岡田委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中六助君。
  3. 田中六助

    田中(六)委員 石炭鉱業審議会の第六次答申が出てすでに五年になりますが、いままで第六次答申が出るまでは十余年間あるわけですね。その後、この答申案内容が多少ちぐはぐになっているんじゃないかと思うと同時に、石炭をめぐる現状という、つまり総合エネルギー中心にいたしまして、石炭の位置づけというものを第六次答申で言っているわけです。しかし、この五年間ずいぶんエネルギー問題の政府のアプローチの仕方、それから環境、そういうものは変わっておると思いますが、第七次答申ということでもないんですけれども、何かそういうものについて新たな考えがありますかどうか、お尋ねしたいと思います。
  4. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 第六次答申は五十年七月だったと思いますが、その後、石炭をめぐる環境というのは一昨年から激変をしております。しかも、環境石炭にとって明るい兆しが出ているという状況でございますので、われわれ事務方としては、少なくとも五十五年度の上期中には石炭鉱業審議会に今後の石炭のあり方についての諮問をしてはどうかということを内々検討中であります。
  5. 田中六助

    田中(六)委員 そうすると、いわゆる第七次答申というようなことを石炭鉱業審議会にそれとなく打診しておるということでございますので、それを基本にして新たなエネルギーの総合的な考えというものが打ち出されるわけでございましょうから、私どもはそれを期待しておきたいと思います。  第六次答申の中で三本の柱があるわけです。一つ石炭生産性を向上させる、つまり二千万トンの維持、それから海外炭開発輸入、三番目が石炭利用技術開発ですか、そういう面があったわけでございますが、まず、石炭のその三本柱の一つであります石炭生産維持、これはもちろん二千万トン体制維持を言っているわけだと思いますが、果たして生産が二千万トン維持できているかどうか。それからそういう環境といいますか、炭鉱夫の問題、いろいろございますが、二千万トンの生産維持という点についてはいかがですか。
  6. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生の御質問を要約しますと、最近の需給状況を御説明した方が手っ取り早いかと思います。  二つ需要供給の側面で考えなければいけないわけですが、答申後は確かに生産の方が快調でございまして、需要がないという状況でございました。しかし、最近はむしろ生産の方が停滞して需要拡大基調にあるという構造変化が出ております。  五十四年度見通しを見ますと、当初はやはり鉄鋼業界景気回復がおくれるなど、それから鉄鋼生産の停滞、それから内外炭格差というのが拡大する状況でございますので、やはりある程度需要は低迷するというふうに判断をしておりまして、五十四年度につきましてはある程度生産を抑制する、それから生産構造を、やはり原料炭から一般炭への傾斜をかけていくということを考えざるを得ない、そう考えたわけでございます。  一方、需要対策としましては、やはり需要確保対策のために増加引取交付金制度をつくりまして、これをてこにいたしまして需給の均衡を図るということを考えたわけでございます。そういう状況で、昨年来かなりの需要増がございまして、対前年度百万トンの増ということになっております。その結果、貯炭が三百五十万トンほどございましたのが約二十万トンほど減ずるという傾向が出ております。その後、セメント中心とします石油から一般炭への傾斜がかなり計画的に進んでおりまして、セメント業界二十四社の調査をいたしますと、五十七年度までにはほとんどが油から石炭にかわるという状況でございます。そういう状況考えますと、少なくとも五十六年度には需給は均衡し、むしろ供給が不足するということでございますので、その方向での何らかの対策をしていきたいと考えております。  しかしながら、原料炭につきましては依然として貯炭が増加しております。したがいまして、原料炭については、原料炭を払い出すための施策を五十五年度用意しておりますので、それによって二年間で原料炭貯炭水準を百万トン程度に抑えたいというように考えております。
  7. 田中六助

    田中(六)委員 いまの石炭需給状況は、全部とは言いませんがかなりわかったつもりですけれども、この中で基準炭価の問題がどうしても頭に残るわけでございますが、五十四年度基準炭価というものは決まったわけですか。それから五十五年度はどういう展望を持っておるのか。  と申しますのは、北海道電力の重油と石炭との単価の格差を見ますと、五十二年度基準炭価から見た場合、北海道電力トン当たり約八千円くらいですね。それから電発の高砂などを見ますと四千五百円ですか、そういうような格差があるわけでございますし、だんだん石炭が格安になっておるというような面を見ますと、やはり問題が思わぬところから出ておるような気持ちがするわけです。したがって、そういう点で五十四年度基準炭価、それから五十五年度展望、そういうものをできるだけ詳しく説明してください。
  8. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 五十四年度炭価交渉でございますが、需要拡大のためにユーザーといろいろな話をしたわけですが、需要拡大との絡みもございまして、炭価の方になかなか話がいかなかったというのが実情でございます。しかしながら、最近ようやく需要業界合意が得られまして、二月二十六日に石炭鉱業審議会需給価格専門部会というのがございますが、そこで御決定をいただいたというのが実情でございます。  その内容は、ざっと申しますと五千カロリーの石炭、これは積み地でございますが、この石炭についてはトン当たり約二百五十円、それから六千カロリー、これは揚げ地でございまして、この石炭価格については三百六十円上げる、原料炭については五十三年度価格据え置きということになっておりますが、実際は石炭鉱業に約二百五十円程度のペイがあるという形になっております。それから三番目は、流通経費につきましては、原料炭一般炭とも実額を見るということに決まっております。それを受けまして、その実施時期を下期、五十四年十月一日以降とするということに決定を見ております。  五十五年の炭価見通しでございますが、五十五年については引き取り量については内々ほぼ話が詰まっておりまして、問題は今後の価格をどうするかということでございます。しかしながら、今後の賃金水準動きとか物価等コスト面のサーべーがまだ済んでいないということ、それから国内炭需給状況の変動がございまして、その辺の情報がある程度不確定だということで、現段階でどういうことにするかということを御説明することはきわめて困難かと思います。しかしながら、石炭企業経営というのはかなりまだ赤字がございますので、経営の安定を図るということから、石炭鉱業審議会の場を活用しながらユーザーさんと今後詳細な詰めに入りたいと考えております。しかしながら、われわれの希望としては、五十四年度のように二月という時点ではなくて、早い時期に炭価の決着を見たいと考えておりまして、その方向で最大の努力をしたいと考えております。
  9. 田中六助

    田中(六)委員 五十五年度炭価ですが、五千カロリーがまだ千三百円でしたか、赤字解消見通しとしてぼくは聞いたことがあるのですが、それから六千カロリーで千六百円か、原料炭が二千円くらいアップすれば大体赤字が解消するというようなことを言っておったわけです。これは昨年の暮れにぼくは聞いた話です。そういうことを考えるときに、そういう時点、それから石油石炭との価格差というようなものを考えて、そういう点はリーズナブルな線かどうかお聞きしておきたいのです。
  10. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま先生説明のありました数字は、石炭業界が他の需要業界現状説明ということで説明した数字でございます。その数字につきましては、われわれもある角度から査定をしておりまして、数字は若干それより下目になっております。しかしながら、特に石炭価格というのは電力料金に相当な影響があるわけでございますので、電力料金水準議論地場産業である石炭産業経営の問題、電力会社経営等々を複合的に考え決定するわけでございますので、単に油との相対価格のみで炭価決定するわけにはまいらぬというのが実情でございます。
  11. 田中六助

    田中(六)委員 いつも石炭基準炭価を決めるときに、ユーザーとの問題がいろいろあるでしょうけれども、非常にもたもたしておる。それから時間がかかるというようなことから考えますとき、合理化法の五十八条だったか、通産大臣石炭鉱業審議会意見をもとにして基準炭価を決めるのだというようなことになっておるのですが、この条文から見ると、むしろ積極的に通産大臣がやらなければいけないのじゃないかとぼくは解釈しております。ところが基準炭価を決める場合、いつもユーザーと、それから鉱業権者と申しますか、販売業者と申しますか、租鉱権者、そういうような連中との話し合いで非常に——それは自主的にやらせるという観点からすれば、私企業でございますので、それでもいいという解釈も成り立つでしょう。しかし、いつもユーザーとそういう連中との話し合いをどんどんどんどん進めておいて、後からのこのこ通産省並びに通産大臣が出るというような手法、この手法に私は毎年疑問を持っておるのですが、この点どうですか。
  12. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘の点は非常に理解できるわけですが、単に価格の問題だけであればそういう議論も相立つかと思います。しかし、価格と量というのは相対的な動きになっておりまして、最近の需給状況下では、やはり価格よりも当面は量の方をこなしていかなければ二千万トン体制とか経営が成り立たないということでございまして、その辺を総合的に考えますと、やはりユーザーの引き取り量の問題と価格の問題を同時並行的に解決しなければ石炭鉱業の収支につながらないという事情でございますので、われわれとしては、従来の手法でやはり需要業界との十分な会話をしながら、コンセンサスを得ながら価格と量を同時決定する方が現実的な解決ではないかと考えております。
  13. 田中六助

    田中(六)委員 まあ考え方の相違でしょうけれども、そういう条文があることだから、そこら辺をミックスしてうまくやってほしいと思います。  それから、いま第六次答申の三本の柱と申し上げましたが、輸入炭の問題と、それから石炭利用技術確保、この二つを勘案しての質問でございますけれども、現在SRC IIの問題、それから豪州炭、つまり褐炭液化利用、こういう問題が非常にクローズアップされておりますが、福田前総理とカーター大統領との会談、それからボン・サミットでの日独英三国の石炭液化技術と申しますか、そういうものに対する一つ考え方がまとまったのですが、これらを中心とする技術開発についての現状はどういうふうになっていますか。
  14. 山中正美

    山中説明員 石炭液化技術開発現状でございますが、先生も御案内のように、石炭液化早期実用化を図るために、従来からサンシャイン計画におきまして、わが国の自主技術開発するために一応三つプロジェクトを計画しておりまして、現在一トンないし二トン、一日当たりでございますが、これのプラント建設中ないしは設計中でございまして、一部運転をしましてそのデータをとっておるところでございます。  さらに、先ほど先生も御指摘のように、日米科学技術協力協定に基づきまして石炭液化協力実施しておりまして、この大型プラント早期開発を目指しておるところでございます。  以上でございます。
  15. 田中六助

    田中(六)委員 この液化問題についての新年度予算における予算の裏づけというものはどうなっておりますか。
  16. 山中正美

    山中説明員 一応国内自主技術開発につきましては三十億六千万円を現在予算委員会審議していただいております。それからSRC IIにつきましては七十四億六千六百万円、それからEDSにつきましては四億七百万円でございます。
  17. 田中六助

    田中(六)委員 SRC IIの問題、それから豪州炭、つまり褐炭液化についての開発問題について非常に将来の展望がいい方向にあるために、競争もあるのでしょうけれども、いろいろな評論家も問題にしておりますし、新聞紙面も最近にぎわしているのですが、問題は、例の三井グループとそれから神戸製鋼、コミニックとかいうのですか、ああいうグループとの問題があるわけで、まずSRC II開発計画はどの程度具体的になっているかが第一。  第二は、いま申し上げましたSRC II並びに褐炭開発をめぐっての三井グループコミニック、その二つの、争いと言えばなんですが、どうしても展望をめぐって競争しているわけですが、これが国益に余りいい影響を与えないんじゃないかという気もするわけで、この二点についての政府が把握しておる現実というものを御説明願いたいと思います。
  18. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 私の方からSRC II開発状況について御説明いたします。  このプロジェクトは昨年五月に日米科学技術協力協定の締結後、国際協力の一環ということで進めてまいったわけでございますが、相手国としましては日、米、西独の三国でこのプロジェクトをやろうじゃないかという検討が開始されたわけでございます。しかし、これは何分にも約十四億ドルのプロジェクトでございますので、やはり相当な政府負担をお願いをするということに相なるわけでございますので、この問題をめぐりまして昨年の十二月に総合エネルギー調査会国際協力問題分科会というところで御審議をいただきまして、その結論としまして、このプロジェクトナショナルプロジェクトとして官民一致してやれという御決議をいただいたわけでございます。  それを受けまして、現段階では民間が主体で参加するわけでございますが、その組織づくりをいま行っておりまして、その視点としては、ナショナルプロジェクト実施するにふさわしい組織体ジョイントベンチャーをつくるという方向で、これは財界の方を中心としていま編成づくりに進んでおります。その中には当然先生指摘のありました三井グループも入るかと思います。  それから、これは民間の話でございますが、政府としましてもやはり権益の保護等のものがございまして、まず第一に詳細設計はどういうふうになるかという問題を詰める。それから技術成果の帰属をどう配分するかということ等につきまして、いま鋭意検討を進めているということでございます。現段階では、これらの条件が合意に達した段階でこのプロジェクトに正式に参加するということをいま予定しておりまして、少なくとも本年度、五十五年度予算は七十四億ついておりますので、それが有効にかつ日本国益につながる方向で運用ができるという体制づくりをいまやっておるというわけでございます。
  19. 山中正美

    山中説明員 豪州褐炭有効利用でございますけれども、二月に豪州政府代表ビクトリア政府代表が参りまして、私どもといろいろと打ち合わせをしておりますが、豪州ビクトリア州の褐炭有効利用につきまして、来年度一応褐炭有効利用についてという予算が四億円ぐらいついておりまして、この予算を使いまして、一応豪州あるいは中国の褐炭有効利用検討していきたい、こういうふうに考えております。  なお、コミニックグループ三井グループ関係でございますが、コミニックグループは一応ビクトリア政府共同いたしまして褐炭液化共同技術開発をしようというポジションでございます。それから三井グループはもっぱら八三年ないし八四年に一応コマーシャルプラント建設を開始したい。いずれにしましてもビクトリア州の褐炭は非常に膨大な量がございまして、そういうことで二つプロジェクトも共存し得るのではないかと一応考えておりますが、さしあたり豪州並びビクトリア政府考えておりますのは、褐炭液化についての共同技術開発日本とやりたい、こういうポジションを持っているようでございます。
  20. 田中六助

    田中(六)委員 そのほか住友グループどもあるでしょうけれども、いつも日本過当競争というものが私ども気になるわけで、そうしますと、世界のメジャー、つまり大資本の石油エネルギー関係がたくさんあるのですから、それに利用されて結局はアブハチ取らずになるというようなことも考えられますので、その点政府行政指導をうまくやっていただくことをお願いして、その問題は終わります。  次の問題でございますが、石炭六法と言われておる問題は関係者には一番重大な関心事でございまして、それぞれ早ければ五十六年度、五十七、五十八というふうに年を追ってそれぞれの法案が廃止になる。特に合理化法は、合理化事業団がすでに新機構に加味されるということはもう決まっておりますし、いろんな点で関係者は、いい面もありますけれども、やはり重大な関心、心配、そういうものを持たざるを得ないわけでございます。  大臣にお尋ねしたいんですが、これらの法案についてどのようにお考えか、お聞かせ願いたい。
  21. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 田中さんも御承知のように、私、戦後経済安定本部時代配炭課長石炭生産課長、合わせまして三年か四年くらいやっておりますので、この問題にかかわり合いの深い一人かと存じております。したがいまして、この諸法案に関する期限が来た後どういう措置をするかという問題でございますけれども、現在検討中でございますが、産炭地の実態あるいは鉱害復旧現状あるいは石炭鉱業実情等勘案して、冒頭申し上げましたように、私自体も過去の責任者の一人ででもございましたので、そういう点もかみ合わせて十分考慮の上、最善の道を選びたいと思っています。
  22. 田中六助

    田中(六)委員 この石炭六法について大臣は十分考え最善の道をとりたいということでございますので、最善の道をとるということにウエートを置きまして私は理解したいというふうに考えます。  いずれにいたしましても、石炭をめぐる諸問題は、これからも非常に日本の将来のエネルギーにとっても強い関心事でございます。先ほど石炭部長からお答えがございましたが、第七次答申というようなものを秋ごろまでに何とかつくりたいということでございますが、ちょっと気になるのは、石炭鉱業審議会メンバーですね、これが私に言わせれば、一次から六次まで、あるいは今度七次と言われているが、ほとんど変わっていないんじゃないかという気がします。人の名前を一々言うことは失礼でしょうが、この石炭鉱業審議会メンバーというものはその後どうなっておりますか。
  23. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま資料がなくて正確にはお答えできませんが、若干の若返りはしているつもりでございます。しかしながら、石炭につきましては、かなり経験をした方が現在のところ少のうございまして、その辺もありまして、先生指摘のように少し古いという御意見もあるかと思います。
  24. 田中六助

    田中(六)委員 経験者が少ないということから少し古い人もおるかもわからぬというのは、それはちょっとおかしいので、私は非常に古い人ばかりじゃないかという気がしております。やはり新しい時代に即応したものを考え出して——七次答申というのは、もうまさしく一次から七次まであることであるし、新しい時代革袋には、やはり新しい人を盛り込むということで、新しいアイデアを出していくことが必要じゃないかと思いますので、どうかその点、十分大臣もお考えくださることをお願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  25. 岡田利春

    岡田委員長 次に、中西績介君。
  26. 中西績介

    中西委員 通産大臣所信表明におきまして、昭和五十五年度を「代替エネルギー元年」と位置づけていますけれども、昨年末のエネルギー需給見直し計画によれば、石炭依存度がさらに高まってきています。そういう意味では、エネルギー源としての石炭見直しの点から石炭復興元年とも言えると思いますが、その見解についてお答えいただきたいと思います。
  27. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、イランの問題以来、第二次の石油危機と申しますか、そういう時代に入っておるわけでございまして、現在のみならず、ここ数年後には恐らく油の需給関係が国際的にも非常に緊迫したものになるだろうというのが一つの定着した世界的な見解だと考えております。したがいまして、日本は脱石油時代という概念で、何とかして石油にかわる代替エネルギーを早く研究開発して、そしてエネルギー面では不安のないように経済運営をしたいというのが念願でございまして、しからば石油にかわるものは何だということになりますと、国内的にも国際的にもほぼ定着しつつある一つ見解として、やはり原子力発電あるいはLNG、石炭等がこれにかわる主流かと思います。そのほかに、ごく短期的と申しますか中期的には、地熱とか太陽熱とか風力とかいろいろ考えられますけれども、これは量的には、先ほど申しました三つのものに対してしばらくの間補完的な任務をする性格のものだと思います。したがいまして、石炭の持つ意味は、従来とは違った非常に大きいウェートを持って世界的にも見直されつつございますし、日本自体もそういう方向で、国内炭のみならず海外炭も合わせて、これの開発をどうするか、あるいは石炭の技術的な利用をどうするかといったような問題が、国策として非常に大きな問題になりつつあるというふうに考えておる次第でございます。
  28. 中西績介

    中西委員 代替エネルギーの問題で、原子力並びに石炭を主流として考えるということでありますけれども原子力問題等についてはまだ意見がありますが、きょうはそれは一応おきまして、後日に回します。  いずれにいたしましても、石炭を重要視するということについては、いまの答弁のとおりでありますが、さらにこれらの国内炭等をめぐる問題については、早急に見直し等を進めていただくと同時に、開発等につきましてもこれからまたお考えいただきたいと思います。これはまた後で触れていきたいと思います。  そこで、五十四年度石油消費節約についてお聞きしたいと思いますが、東京サミットでは五%の目標を設定しました。その実行はどうなっているのか、この点をお伺いしたい。
  29. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、五%の節約問題は去年スタートしたわけでございますけれども、去年の十月一日現在で実績調査をしましたところ、大体八四%程度実施率を上げてございます。その後さらに節約強化の機運が熟してきておりますので、ただいまのところはほとんど計画どおりに進んでおるのではなかろうかというふうに見ております。これはオーバーオールに燃料油等の販売量の実績等から勘案いたしまして、そういうふうに判断できるわけでございますけれども、今年度になりまして、去年の暮れでございますか、閣議で大平総理大臣がみずから発言いたしまして、五%節約をさらに七%まで強めようじゃないか、そのための諸般の準備を進めてもらいたいという御命令がございましたので、それに従いまして、ただいま七%節約の実施に移っております。  これは一つには、理論的な根拠もあるのでありまして、成長率を四・八%にして、しかも油の輸入がサミットあるいはIEAで去年の十二月十日、私も出ましたけれども、閣僚理事会ではっきり国の義務として五百四十万バレルというものが決まりましたので、その両方を踏まえますと、どうしても七%の節約というものが必要になってまいりますので、総理の命令もこれあり、七%に踏み切りまして、ただいま実施中でございます。  その五%と七%の差異がどこにあるかと言いますと、大体三点が主でございます。一つは室内の温度を十九度を十八度まで下げるということ、それからいわゆる省エネルギー法でありますけれども、あれが実施になりましたので、それに基づきまして各工場の省エネルギー手段をさらに強化しようということ、それからもう一つは、油にかわって石炭を代替にしようというので、ボイラー等の改造を急がなければなりませんので、ボイラーの改造のために予算も計上いたしまして、ことしから非常に大きく進めてございます。特にセメント等はほとんど石炭に切りかわっているような現状で、鉄鋼も大体それに近い状況になっております。この三つが、五%から七%にかわりますものの大きいものでございます。
  30. 中西績介

    中西委員 七%の節約の具体的なものにつきましては、いま十八度に温度を設定するとか、あるいは手段の強化、さらにまた改造予算等の説明がありましたけれども、この方向性と、セメントなり鉄鋼なりこういうところで具体的に実施しておるようでありますけれども、五十五年度内に見通しとしてどうなのかというところあたりはどうでしょう。
  31. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、五十五年度の計画七%でございますが、五十四年度五%との差は、実数から申し上げますと、石油に換算いたしますと五百万キロリッターでございますが、これを、二百万キロリッターを民生用と申しましょうか、先ほど大臣がお答えいたしました暖房の温度を一度下げるということによりまして達成いたしたいというのが第一点でございます。それから第二点といたしまして、産業部門、生産部門の削減につきましては、電気事業におきます燃料転換を約百万キロリッター、それからいま先生の御指摘セメント、鉄鋼といった分野におきます節減を約二百万キロリッターというふうに見通しておるわけでございます。  そこで、その達成の見通しについてという御質問でございますけれども、これは二つのアプローチがあろうと思います。一つは、各産業におきますコスト計算といいましょうか、いわゆる原単位向上という観点からの会社側の自主的な判断という問題があろうと思います。それからもう一つは、開発機器と申しましょうか、いわゆる設備投資におきますところの省エネルギー型の機械の開発の推進という問題からのアプローチがあるのではないかということでございまして、御案内のとおり、開発銀行等を通します省エネルギー型機器の開発につきましての財政資金の提供、こういう面からのアプローチによりまして、先ほど申し上げましたような数字の達成を図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、さらに中長期の立場から、この省エネルギー動きというものは考えていかなければいかぬということもございますので、先ほど大臣が答弁いたしましたいわゆる省エネルギー法、エネルギー使用の合理化に関する法律というのを昨年の十月から施行させていただいておりますので、この法律をてこにいたします省エネルギー運動というものが中長期の立場から展開されていってしかるべきではないか、こういうような観点から進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  32. 中西績介

    中西委員 そこで、石油供給についてお尋ねしたいと思いますが、クウェートの二五%減産、それからサウジの日産九百五十万バレルから八百五十万バレルへの生産ダウン、これが予想されるわけでございますけれども、五十五年度中の供給見通し、これはどうなっているでしょうか。
  33. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 五十五年の供給見通しにつきまして、まず世界全体のマクロの、グローバルな立場での見通しを申し上げますと、大体五千百十万バレルぐらいの需要というふうに見込まれております。それから供給が五千百三十万バレルの見込みでございまして、その中のOPECの生産がおおむね三千万キロリッター程度というふうに見込まれておるわけでございます。したがいまして、数字の上から申し上げますと、需要供給のバランスは供給の方が少し多いというようなこともございますので、五十五年は世界的に見ますと需給はおおむねバランスがとれるのではないか、こういうような考え方でございます。  それを日本に当てはめました場合にどうなるかということでございますが、先ほど大臣の答弁にもありましたように、五十五年度サミットでの合意が五百四十万バレル・パー・デーということでございまして、これは御承知のとおり輸入の上限でございますので、五百四十万バレル・パー・デーということを年率に換算いたしますと約二億八千万キロリッターということになります。昭和五十四年が同じように五百四十万バレル・パー・デーでございまして、二億八千万キロリッターということでございまして、昨年はほぼ計画どおり輸入がされておりますので、ことしも大体同じような量の確保はそうむずかしいことではないのではないかというふうに考えております。  先生御案内のとおり、原油の調達につきましては、いわゆるメジャーから入ってくるもの、あるいは日本石油企業が直接取引をするもの、あるいは自主開発原油と申しまして本邦の企業が開発したものを引っ張ってくるというケース等があるわけでございますが、昨年は大変その媒体が大きく変わりまして、年の初めに六五%ほど依存いたしておりましたメジャーの比率が五〇%ぐらいに落ちております。日本の企業が直接買ってくるいわゆる直接取引、DDと言っておりますけれども、あるいは政府間取引、GG、こういったものの比率が上がってまいっておりますので、もちろんメジャーに依存する度合いが五〇%ございますからこの比率はばかにならない数字でございますけれども、メジャーとのつながりというものを十分配慮しながらも、本邦の企業が直接取引できるような、あるいは政府間の取引が推進できるような方向に政策の重点を置きまして五十五年は原油の調達を強化してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、現時点で判断いたします限り、特段の大動乱が起こらない限りは、五十五年の原油につきましても先ほどお答えいたしました二億八千万キロリッターの見通しはほぼついておるような段階でございます。
  34. 中西績介

    中西委員 お答えのように、変わりはないだろうという見通しのようでありますけれども、いずれにいたしましても、これは国際的な情勢等からいたしますと大変不安定な様相というものがあるわけです。予測しにくい部分があるわけです。したがって、この石油消費は、わが国の実績から見ましても、またEC諸国に比べまして備蓄する量というものは日本の場合は少ないわけですから、この点どのように判断するのか。そして望ましい備蓄量はどの程度をこれから見通していくのか。特に五十五年度あたりは量的に、またあるいは日数的に消費率がずっと下がってくるわけですから、そこら辺の関係もあると思いますけれども、明らかにしてほしいと思います。
  35. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 御案内のとおり、現在、先進国、特にIEA加盟国の平均を申し上げますと、ことしの一月一日現在で百三十五日分でございます。それに対しまして、日本の備蓄が十二月末現在で九十九日分ございますので、平均よりは大分下回っておるということでございます。  そこで、中西先生指摘のとおり、備蓄の増強を少なくとも先進国の平均値に近づける努力をすべきではないかという御意見に対しましては、まことに同感でございまして、私どもは備蓄をいわゆる民間備蓄といわゆる国家備蓄、この二つから現在考え方を進めておるわけでございまして、民間備蓄につきましては、御高承のとおり、備蓄法によりまして九十日というのが一応のめどになっているわけでございます。民間の力というものを考えました場合に、九十日という数字というものをこれ以上ふやすことが果たして妥当なのかどうかという問題もございますので、当面は国家備蓄を増強するという考え方で、先ほど申し上げました欧米先進国の平均値に近づけようということが当面の努力目標になるのではないかというふうに考えます。  国家備蓄につきましては、現在五百万キロリッター、七日分の備蓄がございますけれども、最終的には私どもは三千万キロリッターの国家備蓄を数年のうちに実現したいということでございまして、第一期、二期、三期というふうに分けまして増強計画を考えておるわけでございます。第一期につきましては一千万キロリッター、第二期につきましては二千万キロリッター、第三期の三千万キロリッターにつきましては、ただいま衆議院の予算委員会で御審議中の予算原案の中に三千万キロリッターへの増強のための調査費を計上させていただいておりますので、予算が認められますならば三千万キロリッターに向かって努力を続けてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ただ、ごく短期間、ことしにつきましてのことをちょっと言わせていただきますと、ことしは、先ほど申し上げましたように、需給のバランスが比較的落ちついたところでバランスしておるという状況でございますので、価格の方もそれに比例いたしましてそう大きな変動はなく推移するのではないかというのが私ども見通しでございます。そこで備蓄用の油というものを各国が競争して買いに出るということになりますと、世界の需給状況に相当な影響を与えまして、それがまた原油の価格にはね返るという危険性もございますから、確かに備蓄の努力をすべきではございますけれども、ことしに限って言いますと、余り無理に買い急ぎをしますと、そういった面の問題も出てくるのではないかという危険性がございますので、やはり備蓄は、先生指摘とおり、中長期の観点から着実に進めていく必要があるのではないか、こういうふうに考えている次第でございます。
  36. 中西績介

    中西委員 いずれにいたしましても、安定化させるための施策としてこのことは必要でありますし、さらに検討を重ねてほしいと思います。  そこで、エネルギー価格のバランスについてお答えいただきたいと思いますが、このバランスについては急激に変化が見られますし、四月期における原油、それからサルファ一%以下のC重油、灯油、国内石炭豪州炭、LNG、LPG、このカロリー価格見込みについてどうなっておるのかお答えいただきたいということと、あわせまして内外炭価格差見込み等について答えていただきたいと思います。
  37. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘いただきました石油と他の代替エネルギーのコスト比較でございますが、コストでございますので利用形態によっていろいろなばらつきがございます。したがって、単純に比較できないのが実情でございます。しかしながら、今後ふえてきますのは原子力石炭、LNG等でございまして、これは主として電力用燃料ということになります。電力用燃料として、発電コストという形で比較することは計算上できるわけでございまして、これをモデルということで計算をいたしますと、一キロワット当たりで見ますと石油火力は十一円程度になるのではないかと思います。それから原子力が七ないし八円程度、それから石炭火力が十一円程度ということでございますが、これはあくまでも発電所の規模だとか立地条件、それから環境費等いろいろなものをどう見るかによってがらがら変わってきます。モデルということで計算するといま御説明したような数字になるということでございます。
  38. 中西績介

    中西委員 いま言うように、がらがら変わると言うけれども内容的にある程度価格の点については明らかにしておかないと、将来的に石炭なり、これをどう推進するかに当たって非常に重要な中身がこの中にはあると思うのですね。ですから、そこら辺は余り変化が大きいのでわからぬということで一口で済ますのではなくて、もう少し検討してやるべきではないかと思うのですけれども、この点についてどうでしょう。
  39. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 先ほど石炭部長からお答え申し上げましたとおり、前提の置き方が大変むずかしいということで、確たる数字を申し上げにくいということでございますが、重ねて御質問ございましたので、私から幾つかの前提条件を置いた上での作業の結果を御披露しておきたいと思います。  カロリー当たりに換算いたしまして、原油の方が四円六十銭、それからLNGが三円五十九銭、LPGが五円六十銭、国内炭が二円七十四銭、それから豪州炭が二円、こういう数字が出ております。ただし、先ほど申し上げましたとおり、これは幾つかの変動要因もございますし、前提条件もございますので、ただいま現在で、カロリー当たりに換算した場合の比較が以上申し上げたような数字でございます。
  40. 中西績介

    中西委員 内外炭価の価格差についてはどうなっているのか、この点……。
  41. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 これは一般炭で御説明いたしますと、国内炭が、東京揚げ地渡しで一万六千四百四十円、六千カロリーのものでございます。それと同じ対応にはなりませんが、豪州炭の六千五百カロリーのものは一万三千十円ということになりまして、カロリー換算いたしますと国内炭が二円七十四銭、豪州炭が二円ということで約七十四銭の差があるということでございます。
  42. 中西績介

    中西委員 ただ問題は、豪州なりから輸入する際に、大型輸送船を使って輸入してくるわけでありますけれども、これを今度さらに小分けして需要に応じて持っていくということになりますと、実際的に必要に応じての各地域における価格、そこら辺についてはどういうふうになっているのでしょうか。
  43. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 われわれコールセンターのときに勉強した結果では、内航船が運賃その他で二千五百円程度かかるのではないか。いま御説明した豪州炭の六千五百カロリー、一万三千十円というのは、この二千五百円をプラスした金額でございます。
  44. 中西績介

    中西委員 そこで問題は、今年度、期中における原油価格三十五ドル水準とも予想されておりますけれども、この点についてこれからどうなっていくのか、この予測、見通しをお知らせいただきたいということと、さらにまた八電力の電力料金改定が申請されておりますけれども石油価格見込みについてどのようになっておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  45. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 まず第一点の、五十五年度中に原油価格がどうなるかという御指摘につきましては、私どもは、端的に言いますと、ことしの二月から三月にかけて入ってまいります通関のCIF価格が三十ドルをある程度上回るところで落ちつくのではないかというふうに考えておりますが、その数字に、年間を通しまして大体大きな変化はないのではないかという想定をしているわけでございます。  その根拠といたしましては、先ほど来お答えいたしましたとおり、ことしに関します限り、世界の需給情勢は大変バランスがとれておるということもございますし、それから各国の備蓄が百三十五日平均で達成されておるという両面から考えまして、それぞれの国がこれ以上大幅な買い付けをしない限りは需給は落ちつくという前提に立ちまして、そういう見解をとっておる次第でございます。  なお、価格につきましての考え方二つございまして、いわゆるGSPと称します産油国の政府の公式販売価格と、先生よく御承知のスポットマーケットの両方ございますけれども、スポットマーケットが昨年の暮れをピークにいたしまして、年が明けましてだんだんと下がってきておるということも一つの配慮条件ではなかろうかというふうに考えております。一時四十一ドル七十五セントぐらいまで高騰いたしましたスポット物が、現在三十六ドル五十セントぐらいまで下がっております。これも若干の変動はございますけれども、恐らく三十六ドルから七ドルぐらいでスポット物が推移するということになりますと、先ほどお答えいたしましたとおり、ことし一年を通して見る限りは、そう大幅な変動はないのではないか、こういうような考え方を持っておる次第でございます。  それから、第二点でお尋ねのございました八電力の料金申請に当たりましてどの程度石油価格を見込んだかということにつきましてお答え申し上げますと、各社別にばらばら変わっておりますけれども、平均いたしてみますと、原油に換算いたしまして三十四ドルから三十五ドル程度の全国平均価格ということをベースにして、それぞれ各社別に油種構成に応じた申請をしているわけでございます。この三十四ドルないし五ドルという数字は、ことしの原油価格が五%ないし一〇%年度間に上がるのではないかというのが電力会社見通しでございまして、私どもは、先ほどお答えいたしましたとおり、そんなに大きな変動はないのではないかということを見通しておりますので、電力会社と私ども見通しの読みが若干ギャップがあるということでございます。
  46. 中西績介

    中西委員 いまお答えになった三十四ドルないし三十五ドルという電力会社の見込み、これはもっと高かったのじゃないでしょうか。
  47. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 いわゆる消費価格と申しまして、発電所でたきます油の値段はおっしゃるように高いわけでございますけれども、ただいまお答えを申し上げました三十四ドルないし五ドルというのは、平均の価格はどうなるかということを前提にいたしまして、つまりオールジャパンのCIF価格を前提にいたしまして、それから各社がそれぞれどういう油種を使っておるかということによって展開をしてまいりますと、発電所当たりの消費価格はかなり高くなってくるということでございます。  やや具体的に申し上げますと、CIF価格プラス石油税あるいは関税あるいは備蓄費あるいは防災対策費、そういったものを織り込みまして山元——山元と申しますか発電所元に到達いたします価格は高くなる、こういうことでございまして、私ども議論の前提にいたしますのは、各社それぞれ油種構成が変わっておりますけれども、平均して議論する場合に、オールジャパンの原油をどう見るかということを常にスタートの考え方にいたしまして、このスタートの考え方が、先ほどお答えいたしましたとおり八電力は五%ないし一〇%上がるという見通しを持っておるのに対しまして、私どもは先ほど来るる申し上げたとおり、そう大幅な変動はあり得ない、ないのではないか、こういう見通しを持っておりますので、そういう考え方を現在持っておる次第でございます。
  48. 中西績介

    中西委員 この価格の問題については変動がないという見通しのようでありますけれども、きょう時間がありませんので、具体的な指摘なりいろいろなことができませんけれども、さらにまた後日に回したいと思います。  そこで、先ほど高瀬石炭部長の方から答えられましたように、内外炭価格差一般炭で以前に比べるとこのようにわりあい接近してきておる。それであるにもかかわらず、昨年十二月末の貯炭が、原料炭が百七十二万トン、一般炭が同じく百七十二万トンで合計いたしますと三百四十四万トンになっておる。先ほどの答弁の中で明らかになりましたように、この点二十万トンだけ減っておるという答弁のようでありますけれども、これらについてさらに見通しとしてどうなのか。そしてこの面から言いますと、むしろ生産貯炭が多かったということで縮小させておるわけですから、そこら辺とのかかわりについてどのようにお考えなのか。
  49. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 貯炭状況について御説明しますと、五十四年十二月末でございますと、貯炭は三百四十四万トンございまして、これは十一月に比べて五万トンの増ということになっております。したがって、原料炭で百七十二万トンそれから一般炭で百七十二万トンということが貯炭になっております。この間、先ほども説明いたしましたように、鉄鋼との引き取り問題がかなり難航しておりまして、その結果若干引き取りのベースが落ちておる。それが下期から、ことしの五十五年一−三月で増量の引き取りが約束どおり行われることになっておりますけれども、その効果が出てくるということが第一点。  それから、セメント業界の油から石炭への転換というのが、われわれが想像したよりかなり早いピッチできております。したがって、そういうものの引き取り増を加えますと大体二十万トンぐらいの減になるというのがいまの見通しでございます。  今後の見通しでございますが、われわれは去年の十二月ころ一般炭需要をどう見るかということで検討をしたわけでございますが、その間セメントについて相当の石炭への転換があるだろうということで検討しましたが、その数字は約百九十万トンくらいと予想しておったわけでございます。しかしながら、最近セメント業界中心として各種のヒヤリングをいま実施している段階でございますが、そのヒヤリングの結果では、相当の量の需要増が見込まれるということになっておりまして、この辺につきましていま再度精細な調査をして需要を明らかにしたいと考えております。  それから、当初予想しておりませんでした紙パルプ等の業界の石炭転換もかなり具体性を持ってまいりましたので、そういうことでいきますと、われわれの試算では、大体五十六年度ころには国内炭需要として約二千万トン程度需要が計画的に出てくるのではないかと見ております。それとの均衡を考えながら生産力の強化等を考えていきたいということでいま作業を進めている段階であります。
  50. 中西績介

    中西委員 もう一つ五十五年度予算石油から石炭転換設備に開銀による金利五%の融資を盛り込んでおります。五十五年度の設備転換の見通しはいまちょっと触れられましたけれども、計数的なものあたり、もしわかればこの点を明らかにしてほしいし、さらに五十五年度石炭需給見込み、この点については、五十六年度に二千万トン程度になるのではないかというのだけれども、この一年間のかかわりというのは大変重要な中身を持っておると思うのですが、この点、国内原料炭あるいは一般炭、輸入の原料、一般、こういうものについて明らかにしていただきたいと思います。
  51. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先ほど需要の点では御説明いたしましたが、先ほど私が御説明したのは五十六年度ころには確実になるのじゃないかということでございますが、いまセメント等について調査をしておる段階でございまして、それが幾らの数字になるかというのはいまのところわからないわけでございますが、昨年の十二月に考えておりました百九十万トンを大幅に上回ることだけは確かと思います。  一方、供給の方でございますが、確かに五十四年度生産の抑制ということで若干生産をスローダウンしたわけでございますが、来年の需要状況考えますと、これをフル回転してもいいのではないかと考えられますが、清水沢炭鉱の閉山等がございますので、余り大幅な供給源での拡大はないと見ております。  そういう状況下で考えますと、やはり五十四年度末、したがって五十五年三月に三百万トンをちょっと超えるような貯炭が、五十五年度では二百万トン前後に落ちつくのではないかといま見ておるところでございます。
  52. 中西績介

    中西委員 そこで、大体上向きの状況になってきておりますけれども、先ほども言いましたように、貯炭が非常に多くなったということを理由にいたしまして生産の縮小さえもやっておる現状、そういう状況でありますから、これからまた相当量が必要だというときに、その矛盾がいろいろ出てくると思うのです。これはまた後の方で就労人員の問題だとかいろいろな問題とあわして問題になると思いますので、そこら辺でまた触れたいと思います。  そこで、基準炭価については先ほど説明があっておりましたけれども、正式に公示する時期はいつになるのか、そしてさらになぜこのようにおくれていくのか、先ほど言うように、調整なりいろいろあるだろうと思うけれども、その根本的なものは何なのかということをもう一度お答えをいただきたいと思います。  そしてさらに、北海道電力炭価の織り込み額、あわせまして炭種別の炭価見通し、この点についてどうでしょう。
  53. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 告示の点でございますが、先ほど御説明しましたように、二月二十六日の石炭鉱業審議会で御決定をいただいたわけでございますが、これは官報に告示ということになりますので、その事務手続をいま進めている段階でございます。したがって、近くとしか言えませんが、近く告示になるだろうと考えております。  それから、価格交渉がどうして難航するかという点でございますが、これは貯炭が多かったということ、それから海外炭との格差が非常に大きかったということで、石炭業界生産構造、体質を考えますと、やはり引き取り問題、量の問題に重点を置かざるを得なかったということでございます。そういう量の拡大の絡みもありまして、価格交渉のアプローチがおくれおくれになったということでございまして、五十五年度につきましては、ほぼ量については話し合いが基本的にはついておりますので、五十五年度については五十四年度のようなおくれを見せないような方向で努力していきたいと思います。(中西委員「答弁が残っている」と呼ぶ)
  54. 岡田利春

    岡田委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  55. 岡田利春

    岡田委員長 どうぞ。
  56. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 電力料金炭価織り込みに際しての検討でございますが、やはり石炭生産コストの動向をいろいろ勘案して査定するわけでございます。その結果が電力料金石炭の燃料費ということで織り込まれておるのは確かでございますが、具体的な価格は、今後五十五年度の引き取り交渉にいろんな影響が出てくることも予想されますので、ここで公表することだけは差し控えさせていただきたいと思います。
  57. 中西績介

    中西委員 それでは一応これを追うということはいたしません。  そこで、先ほどもちょっと申し上げておりましたように、二千万トン体制について五十五年度になれば相当の進みが見受けられるけれども、しかし、依然として生産の側では生産縮小等もあったということもありまして、これは大変な状況になってきつつあるわけです。そういう中で、北炭清水沢鉱の場合、閉山をするということでこの前から中間の報告を聞いておりますけれども、その間における労使交渉の中で、ここ数日の状況と、さらに労使の対立点が那辺にあるのかということを明らかにしていただきたいと思います。
  58. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 清水沢の閉山問題でございますが、五十三年七月の北炭の修正再建計画では一応清水沢炭鉱は五十五年度上期末に閉山をするということを前提として計画ができておるわけでございます。その計画はいずれにしても労使の話し合いの結果できた計画でございまして、そういう状況でございますが、現在の時点ではやはり五十五年四月末ころを予定しておりまして、若干早まるというのが実情でございます。これは坑内の採掘の進展に伴いまして、炭量が総体的に減少してきたということが判明しておりまして、これを受けまして労働組合が二月上旬に調査をいたしまして、やはり炭量はそうない、したがって四月末閉山をせざるを得ないという合意には達しているわけでございます。  しかしながら、いまもめている最大のポイントは、閉山をするかしないかということではなくて、閉山に伴う退職金を幾らの金額にするかということ、それから退職金の支払いの仕方をどうするかということをめぐって労使がいま交渉しているという段階でございます。
  59. 中西績介

    中西委員 対立点はいま説明のとおりわかりましたけれども、ただその場合に、炭鉱の閉山の条件、これらを見ますと長い間の慣行と実績がいままであるわけです。このことは政府の皆さんも御存じだと思いますが、北炭の場合は再建途上にありまして、この点が非常に危惧をされる点なんです。したがって、対立点がこのようになっておるということも含めて解決をするということになれば、従来の実績をいかに尊重するかということが重要な課題になってくるのではないか、こう思うわけです。したがって、もしこれがうまくいかないと、配置転換なりいろいろ今後の問題として大きく問題を残すということになるわけでありますから、この点について政府考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  60. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  閉山にまつわる諸条件の問題というのは、われわれとしては基本的には労使の自主的交渉で解決されるべきものだというふうには考えております。しかしながら、北炭の再建計画にはユーザー、金融機関、政府等がバックアップしていくということでございますので、やはりこの交渉の過程を静かに見守って、トラブルのないような形に持っていきたいとは考えております。現在までのところ、この諸条件をめぐって激烈な対立があるというようなことはまだ聞いておりませんので、もう少し推移を見守りたいというように考えております。
  61. 中西績介

    中西委員 この点は先ほども申し上げましたように、内容的に労使関係の中に直接介入ということになるとこれは大変なことでありますから、このことは十分気をつけていただきたいと思いますけれども、ただ問題は、いままでの再建途上における使用者側に対する皆さんの指導なりそういうことから考えますと、資金的な問題等含めて後々に問題が残るわけですから、この点がある程度見通しなり保証がされないと、混乱がずっと引き続いて起こっていくということになるわけですから、さらにこの点注意をしていただいて、直接介入はすべきではありませんけれども、十分留意をしていただきたいと存じます。  そこで問題は、北炭の場合には賃金だとか期末手当、これが他の鉱山と大きく格差がありまして、この点はもうお認めになると思いますが、ただ問題は、これから将来を考えるときに、労働力の確保あるいは生産の向上などを考えてまいりますと、この賃金あるいは期末手当を他山と大体比肩する状況にまで復元がされなければ今後の経営は困難になってくるのではないかと思いますが、この点についての政府なりの見解はどうでしょう。
  62. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 北炭の再建につきましては、経緯を若干御説明いたしますと、労使が一体となって自己努力をする、それを受けてユーザー、金融機関それから政府協力してこれを守り立てようということでこれがスタートしたわけでございます。しかしながら、その後約一年半たっておりますが、修正再建計画の実施状況というのを見ますと、真谷地は大体計画ラインに乗っております。しかし、北炭夕張炭鉱それから幌内炭鉱はかなりの出炭減でありまして、この結果やはり損失が相当大きく出ております。この間の資金不足が約百億弱ということでございまして、これを埋めるためにユーザー、地元公共団体それから金融機関、政府等のいろんな手当てということで、資金対策をぎりぎりやってきたというのが実情でございます。したがって、北炭系列各社というのは、まず第一に自力再建の道を歩むために、やはり計画ラインの生産をする、それから合理化等の努力を達成するということが当面の緊急課題だと思います。したがいまして、われわれとしては、当面修正再建計画で約束されております労働条件を守るというところに力点を置かざるを得ないというのが実情でございまして、他の大手に直ちに復元するという状況じゃないということを御了解願いたいと思います。
  63. 中西績介

    中西委員 労働条件はある程度守るということなのですが、これは政府委員も御存じのとおり、労働者側も合理化を達成するということにいままできわめて協力をしてきたわけですね。したがって、いま言うような賃金の面でも手当の面でもずいぶん低い状況に立ち至っておる。ですから、そういう諸条件の面におきましては、十分対応しておるにもかかわらずこういう事態になっておる。しかも、すでに退職しておる人たちの場合、退職金未払いが五十億になんなんとする、こういう多額な金額になっておる。これは大変な社会問題だと私は思うわけです。したがって、これらについても、あわせて将来的に支払いができる見込みが果たしてあるのか。そして先ほど申し上げましたように、労働条件を引き下げないようにしながらやるとすれば大変困難な状況があるわけでございますけれども、これらについての政府見解をお聞かせいただきたいと思います。
  64. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  北炭各社は、一応五十四年度は何とか越せるという実情下にございます。したがって、われわれとしては五十五年度をどう展望するかということでいま作業を内々しているわけでございますが、現在までのいろいろな資料で調べますと、北炭については、五十五年三月までには五十二年以前の退職金は整理できるというのが実情でございます。しかし、五十三年度、五十四年度に発生しております退職金未払い分は、先生指摘の金額に近い数字でございます。その大部分未払いにならざるを得ないというのがいまのところの実情でございます。われわれとしては、いま北炭に五十五年の生産、資金等の実施計画の検討を指示しているわけでございますが、この中では、未払い退職金をできるだけ早く解決する方向検討するようにいま指示している段階でございます。しかしながら、北炭の置かれます実情考えますと、五十五年度中に外部条件が非常によくなったとはいえ、全額を支払うというのはなかなか困難ではないかと見ております。しかしながら、いま北炭で検討している段階でございまして、何年度分まで整理するかどうかということは、ここでお答えできないのが実情でございます。
  65. 中西績介

    中西委員 検討中であるので、具体的には回答は出てきておりませんけれども、この点は先ほども申し上げましたように、労働者にとっては死活問題でありますし、そして二千万トン体制に向けてのこれからの体制づくりのためにも、このような山を残しておくということになりますと、将来的に大きな障害になる可能性だってあるわけですから、いち早く措置をするように、さらに指導を強めていただくようにお願い申し上げ、要請をしておきたいと思います。  そこで、第三次の肩がわり以降、三井、三菱、住友、北炭、太平洋、松島、この六社の系列会社まで含めまして、閉山規模と人員はどうなっておるのか。なぜ私がこのことを申し上げるかと申しますと、将来二千万トン体制をさらにどう強化していくかということになってくると、現在までの状況等を十分分析する必要があるわけです。そういう意味で、この規模あるいは人員、できれば将来的なものを含めて、分析があればお聞かせいただきたいと思います。
  66. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  第三次肩がわりというのは、四十八年五月でございました。それ以降の閉山炭鉱というのは約六炭鉱でございまして、閉山規模にして二百四十九万二千トン、人員にして三千九百七十二名でございます。  将来の供給体制につきましては、先ほど中長期の石炭供給について審議会等で御議論をいただかなければいかぬということを前提としまして、現在各社からヒヤリングをしている段階でございます。したがいまして、どういう形に今後持っていくかということは、そのヒヤリングの結果を踏まえた上で検討してまいりたいと思います。
  67. 岡田利春

    岡田委員長 北炭の分は幾らですか。
  68. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先ほど御説明したのは、三次肩がわり以降の全国のものでございますが、北炭に限って言いますと、四炭鉱で閉山規模が百三十九万三千トン、人員が二千九百三十七人ということで、第三次肩がわり以降は北炭が圧倒的なウエートを持っているということでございます。
  69. 中西績介

    中西委員 そうであれば、あとまた北炭を再建するに際しまして、このようにどんどん合理化によって離れていく人、そしてさらにまた賃金が低い、こういうすべての諸条件が整っておらないということになると、あと残る北炭の経営そのものにまた大きく影響が出てくるわけですから、先ほど申し上げましたように、十分配慮していただいて指導していただくように要請を申し上げたいと思います。  次に、二千万トン体制維持するということになれば、現状の中でこれを確保するというのは大変困難な状況にあると思うわけです。そうなってまいりますと、開発可能な炭田調査が、いままでずっと進められてきたと思うのですけれども、現在のエネルギー情勢とあわせ考えてまいりますと、果たして開発可能な地域があるのかどうか、この点についてお答えいただきたいと思います。
  70. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 国内炭の新規開発につきましては、五十年、五十一年ということで、二年間にわたりまして全国の未開発炭田の調査実施したわけでございます。その結果出てきたものが二カ所ございまして、比較的、相対的に有利だと考えられるところが二カ所ございます。それについては五十二年度以降、開発にまつわる、たとえば公害問題であるとか、漁業権の調整とか、土地利用等の関係、交通体系等の諸問題を一応詰めてまいったわけでございます。結果的にはやはり環境権問題、それから土地利用問題等解決しなければならない問題がかなりございまして、現在それらを踏まえていろいろな検討をしているというのが実情でございます。
  71. 中西績介

    中西委員 そうすると、はっきりしたいのですが、まだ結論が出ておらないということなのか、それともいま言われたようないろいろな条件からして困難だという考え方なのか、どちらなんですか。
  72. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 一番困難な点は環境と土地利用関係でございまして、これにつきましては地元市町村の間でなかなか調整がつかないのではないか、この辺が非常に困難な点でございます。もう一つは、山の中でございますので、公共公益設備を新たにつくらなければならない。これについての負担を地方公共団体にお願いをしないと、かなり高いものになってしまうという問題がございまして、その辺をどう克服できるかというのが今後の細かい詰めかと思います。
  73. 中西績介

    中西委員 それでは決してできないということの結論ではないし、まだあいまいさがあって検討中である、こういうことで理解をしてよろしいですか。
  74. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いまの段階では、困難の度合いを表現しますと、どちらかというとかなり困難だというふうに感じております。
  75. 中西績介

    中西委員 そのことと相まちまして、炭層などの地質条件から炭鉱の格差というのは今後ますます広がっていくと思いますね。そこで、炭鉱の深部移行化を含めてこの格差を埋めなくてはならぬと思うのですけれども、この点についてはどうなんですか。
  76. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 石炭鉱業というのはやはり自然条件でかなり左右される点がございます。特に深部移行に伴って、それから石炭賦存条件等によりまして損益に格差が生じておるということは事実でございます。われわれとしては、格差がある程度合理的なものであるならば、ある程度政策的な形で穴埋めをしなければいかぬだろうというふうに考えておりまして、現に安定補給金の制度の中では立地条件的に一番格差が生じやすいという石狩炭田地域には少しかさ上げをしておるというのが実情でございます。この格差の問題というのは、単年度でとらえるか、長い目でとらえるかという問題がございますが、この辺はやはり今後検討の対象となりますが、当面は企業格差を消す努力をしていただかなければいかぬということでございまして、われわれとしてはその辺の結果を踏まえた上で慎重な検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  77. 中西績介

    中西委員 いずれにいたしましても、この格差についての将来的なかさ上げなり助成をすることによって、補給をすることによって生産を高めるということは大変重要な中身になってくるわけでありますけれども、さきの新開発問題とあわせまして、これからこの二千万トン体制維持というのはますます困難になる可能性があるわけですね。ところが需要関係になりますと、この面はさらに拡大をされていこうという状況にあるだけに、この石炭政策のあり方というのはいま大変重要な時期に来ていると私は思うわけです。そういう意味で、これから以降の方針等についてどのようにお考えなのか、大臣にお答えいただきたいと思います。
  78. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 冒頭私から御回答申し上げたと存じますが、油の状況が大変厳しい、現在もそうですし、将来はさらに厳しくなる見通しでございますから、日本としては何としても脱石油時代に備えていまからエネルギー政策を進めなければなりません。その際、石炭の問題は特に重要性を増してくるわけでございまして、これは日本だけでなしに、世界的な規模で大変重要性を増してきております。特に日本石炭が唯一の資源と申してもいいくらい、エネルギー資源と申しますと石炭しかないわけでございまして、この貴重な国内炭をそういう際に役立てるということが大変重要なことだと思いますので、従来にも増してその重要性を認識しながら行政を進めていきたい、こういう考えでございます。
  79. 中西績介

    中西委員 時間が来たようですが、一つだけ最後に、先ほど田中委員の方からもお聞きいたしました石炭に係る六法の問題ですが、いよいよ二年後には期限切れになる、こういう可能性があるわけであります。その点については最善の努力をするというお答えがあったわけでありますけれども、ただ問題は、この点についてはこの五十五年度で一定の見解がとられなくてはならぬ、こういう時期にもうすでに来ておると思いますね。先ほど申し上げましたこの石炭関係についても、そしてそれに伴う合理化法の問題、さらにまた産炭地振興法一つを取り上げてみましても、鉱工業を計画的に発展をさせる、こういうことで目標設定をしてやってきたわけでありますけれども、この点はまだまだ多くの問題を残したままになっています。しかし、考えてみますと、この際に工場団地をつくるということだけでもって終わっておるのではないか。誘致なりいろんなことはある程度やっておりますけれども、しかし、その前の基盤整備が本格的になされていないのではないか。たとえば道路網にいたしましても、その地域における道路についてはある程度充足をされたけれども、今度は経済圏をつなぐ広域にわたる面における点では非常にこれは落ちておるわけですね、国道の整備なり、あるいはいま問題になっています鉄道の関係をではこれからどうするのかという問題等を含めて。こういう基盤整備等を含めての将来に向けての計画なり、こういうものがいままで不十分であったのではないかという気がしてなりません。  さらにまた、炭住改良問題についてはまだ緒についたばかりでありまして、その数からいたしましても四千戸足らずの状況であるということからいたしますと、まだ残っている数からすると、これはもう気の遠くなるような話なんです。そういうことがあれば、いままでのこの二十万の臨時交付金の金額をかさ上げするとか、あるいは現在制限している部分をさらに数を拡大するとか、そして積極的にとり得る体制をどうしたらいいのかということを見直さなくちゃならぬ時期にも来ておると思うのです。  さらにまた、鉱害復旧について見ますと、見通しは当初四十七年度に千七百億を推定した。ところが現在二千四百億程度五十四年度分で背負い込むわけでありますけれども、しかし、これを見直したり、あるいは残存鉱害量などをずっと調査するということになりますと、恐らくいままでに必要な財政上の措置、これくらいにはなるんじゃないかというような気もするわけです。  こういうことをずっと考えてまいりますと、炭鉱離職者問題についても、やはり依然として問題はそのまま放置されております。そしてむしろ失業者対策でなしに、これに就職をするというような状況すらも出てきておりますだけに、この石炭六法をどうこれからしでいくのか。そしてそれに対する特別会計、特に重油関税を中心とする財源措置などを含めて大変な問題があるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、五十五年度で一定の目安をつけるという体制をとる必要があると思いますが、これらの点についてどのようにお考えなのか。大臣、もう一度そこら辺お答え願い、もし細かい点があれば部長の方からお答えいただきたいと思います。
  80. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど田中委員にお答えしたとおりでございまして、六法の期限後の措置に関しましては、ただいま検討を開始してございます。先ほども申しまして恐縮でございますけれども、できるだけ善処したいということで、十分諸般の事情を考慮しながら検討を進めたいと存じます。
  81. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 具体的な進め方について若干御説明したいと思います。  先生指摘のように、特に地方について見ますと、個々ばらばらに計画がつくられていた感は否めないと思います。したがいまして、県に、どういう形のマスタープランを住民みずからつくるのか、その辺の御構想をお聞かせ願いたいということをお願いし、かつわれわれも、産炭地域それから鉱害復旧実施状況についていろいろな調査をしている段階でございます。それらのいろいろな考え方がまとまった段階で、法律の問題を含めていろいろ議論を進めていきたいというふうに考えておりまして、鉱害復旧なり産炭地の中長期の問題を考えますと、残された十年内外でどうするかという緊急性がございますので、多角的な検討を進めて、その結果を踏まえた上で法律の改正を含めたものを考えていきたいというのがいまの考え方でございます。
  82. 中西績介

    中西委員 この点につきましては、先ほども申しましたように、より具体的に、そして将来に夢なり希望なりが持てるような体制をつくるということになれば、ただ単にこれを補完するということだけではなしに、新しい筑豊をつくるという方向考えなくちゃならぬと思うのですね。復興というと原形に復旧すればすべて終わるというような考え方ではどうすることもできぬわけですから、この点を強く要請をいたしまして終わります。
  83. 岡田利春

    岡田委員長 これにて中西績介君の質問は終わりました。  次に、鍛冶清君。
  84. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 先日、大臣所信表明をしていただきました。昭和五十五年度、一九八〇年の開幕に当たって、八〇年は「代替エネルギー元年」と位置づけて、石油依存から脱却を急いで、力強い政策展開を図る、石炭にもこれから力を入れていくというような表明がございましたが、最初に、これらの代替エネルギーの今後の展開、見通しと政策の展開等について、大枠の中でのお話を大臣から承りたいと思います。
  85. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 代替エネルギーに関しましては、先ほども申し上げましたように、石炭、天然ガス、原子力が三本の主力であることは否めない事実だと存じます。それに加うるに、最初は補完的な意味しか数量的には持ち得ないと思いますけれども、地熱とか太陽熱とかあるいは風力とか小水力とかいろいろそういうものの開発があると存じます。  そこで、原子力開発体系は、機構あるいは予算的な措置等も整備しておりまして、世界に劣らぬぐらいただいま進捗していることは御承知のとおりでございます。しかし、それ以外の問題に関しましては、国の力の入れ方というものはまだ必ずしも十分とは言えない状況でございましたので、今年度を期しまして新しい代替エネルギー開発を思い切ってやろうじゃないかということで、まず考えられますのは財源措置でございます。その財源措置をどうするかということで、御承知のように石油税の使途の拡大あるいは電源開発促進税の強化と申しますか、増税と申しますか等を図りまして、まず財源を確保し、おおむね十カ年で二兆ぐらいをめどにいたしまして財源を確保いたしました。これをどういう機関で実施するかという開発主体が大変問題でございまして、行財政の整理のさなか、大変苦しいときでございましたけれども、大方の御理解をいただきまして、エネルギー総合開発機構というものを新設することにいたしました。この機関を中心にいたしまして、先ほどの大財源をもととして、いままで申し上げました諸代替エネルギー開発してまいりたいという意味から申しまして、私は、今年は言うなれば「代替エネルギー元年」と称しても差し支えないのじゃないかということで、そういうふうに命名したわけでございます。
  86. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 その後で大臣は「総合エネルギー政策の一環として石炭利用促進を目指して引き続き石炭政策を推進」するというふうにおっしゃっておられるわけでありますが、ほかのいろいろなエネルギーについては、先ほど議論もございましたので省略をして、石炭のことで直ちにお尋ねをしたいわけであります。  私は、先ほどの質疑の中で伺っておりましても、石炭はこれから明るい見通しが出てきたということは十分感ずるわけでございますけれども、根本の政府の姿勢と申しますか、食糧などと同じように自給率をアップする、または確保できるものはちゃんとしておくということが、特に食糧、エネルギーに関しては基本的には絶対必要である、私はこう思います。そうしないと、もしあらゆる物がストップしたときに、日本の国は舞い上がってしまうというふうなことにもなりますし、そういう意味合いから、エネルギーとして出る唯一のものと言っていい石炭についての従来から言われております二千万トン体制、あるいはそれ以上でいいのかどうかわかりませんけれども、そういったものは最低限必ず確保するというふうな姿勢がまず大変必要ではないか、私はこういうふうに思うわけです。その上に立って「国内炭生産を長期的に」持続する、こういうふうに大臣もお述べになっておられるのだろうと思いますけれども、その点についての姿勢並びに長期的維持ということについて再度お尋ねをいたします。
  87. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 石炭政策全般に関しましては、先ほどもお話ございましたように、まず国内炭をどうするかあるいは海外炭開発輸入をどうするか、あるいは石炭の技術的な利用、COMとかあるいは石炭液化等に対してどう対処していくか、あるいは先ほど来お話がございました産炭地区の振興問題等をどうするか、そういうふうに大体四つぐらいに問題が分かれるだろうと考えております。  その一番初めの御質問でございます国内炭をどうするのだという問題に関しましては、その重要性に関しましては、先ほど来申し上げたとおりでございますので、重ねて申し上げませんけれども、私自体の感じでは、戦争直後のような何でもいいから掘ればいいという行き方でなくて、資源を温存しながら生産を保持していくという秩序ある行き方が一番好ましいのじゃないか。言うなれば、二千万トン体制維持していくということが大変重要だろうというふうに考えております。
  88. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 「長期エネルギー需給暫定見通し」が出されましたが、その中でも昭和六十年それから六十五年、こういったところで二千万トンは確保するということで出ておるわけでありますが、先ほどの質疑の中で、いま第六次の石炭政策によって進められているわけですけれども、第七次として審議会に諮問をしたい、こういうふうなことでございました。これで二千万トンを割るとかいうふうな話は出てこないと思いますが、念のためにお聞きしておきたいのですけれども、諮問の中で二千万トン体制というものは確実に維持していくというお考えかどうか、これをお答えを願いたい。
  89. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現在まだ諮問していない段階でございますが、われわれとしては、やはり国内炭をある程度維持していかなければいかぬという基本的方向で物を考えていきたいというふうには感じております。
  90. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 中西議員の質疑の中でちょっと触れていたように思いますが、確かに昭和五十年からは二千万トン体制というものがペースが落ちてまいりまして、五十年が千八百六十万トンですか、五十一年が千八百三十三万トン、こういうふうに落ちてきて生産量がだんだんスローダウンしたような形になってきておるわけですが、先ほどのお話で二千万トンというものが五十六年にはもう生産量を確保しても需要の方を含めて大丈夫だというふうな話が出てきておったわけですけれども、私は石炭を掘る方は大変素人でございますが、いままでスクラップ・アンド・ビルド化がスクラップ・アンド・スクラップというふうに非常に悪口も言われてきたこの政策の中で、さらにはまた鉄鋼の不況とかいうような流れの中で二千万トンを掘る体制を、生産する方の側では非常に厳しく合理化も図り、いろいろな点でこの対策を打ち出してくる中で、現在果たして二千万トンを確実に生産するという状況が、これは必ず生まれてくるとおっしゃっていたようでありますが、そうなったときに二千万トン、すなわち貯炭もゼロになって、そして生産量も二千万トンというものは、現在の日本の炭鉱二十五ですか七ですか、実際稼働しておる炭鉱がフルに活動して、また現在の労働人口の中でそれは完全に確保できるのかどうか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
  91. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  二千万トン体制維持というのは、現在のわが国におきます炭鉱の置かれている自然条件を考えますと、第一点は自然条件的にはかなりむずかしい。自然条件的にかなりむずかしいというのは、特にかなり深くなってまいりまして、保安を最優先にして採炭をしていくということになりますと、拡大基調はなかなかむずかしいだろう。  それから、先生指摘の労働者の確保問題も一つのネックになるかと思います。しかし、われわれとしてはそのネックを可能な限り解決して二千万トン体制維持に努力したいと考えているわけでございます。
  92. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 したいという願望で、できるというふうなお答えでなかったので、そこらあたりは大変心配なわけでありますが、それが中西議員の新鉱開発という質問と関連をしてきたのであろうと思うわけです。どうしても二千万トンというものは非常にむずかしいというふうにいまの御答弁で感じますが、そうなりますと新鉱開発ということもぜひ必要であろうというふうにも思うわけですが、いろいろな困難はありましょうが、必ず開発させていくというふうに指導なさっていかれる方向であるのか、その点をお聞きいたしたいと思います。
  93. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 新鉱開発の件でございますが、先ほど御説明しましたように、新鉱開発という事業を達成するためには、かなりの制約条件を一つ一つつぶしていかなければいけないというふうに感じております。したがって、現段階でいますぐという議論にはなかなか結びつかないのではないかというふうに感じておりますが、われわれとしては諸条件が熟したときに着工可能になるような形の体制整備は進めておきたいというふうに考えております。
  94. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 二千万トンの生産といいますか、貯炭を含めてかもわかりませんが、五十六年には国内で二千万トン必要になるであろうというふうにおっしゃっていて大変うれしい限りですが、その中での貯炭の解消、これは具体的にどういう形になっていくという予測を持たれておるのかお尋ねいたしたい。
  95. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現在三百五十万トン貯炭がありまして、本年度末には三百二、三十万トンになるのではないか、それは原料炭一般炭に分かれておる、半分半分という感じになっております。そして原料炭につきましては、現在のところ鉄鋼の需要が大幅に伸びるという見通しはございません。したがって、原料炭貯炭を吐き出す政策を別途やろうじゃないかということで、五十五年度分としまして四十万トンを外炭並みに売るという政策をいま用意したわけでございます。これを二年間続けますと約六十万トンになります。百万トンを切るくらいの数字になってくる。一方、一般炭につきましては、当初から計画しておりました苫東火力の建設がほぼ終わって、ことしから引き取りが始まります。それから松島火力、それから竹原、砂川四号、これが全部計画ラインに乗ってきます。そこで電力需要として伸びるというのが第一。それから先ほどるる御説明しましたセメントの油から一般炭への転換がかなり速いスピードできております。一般炭については、いまの価格状況を前提としてもある程度需要がついていくということを見込んでおるわけでございます。
  96. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 一般炭需要が伸びてきて、国内炭の引き取りの需要というものは、あるいは御答弁あったとおりに推移していく可能性が強いのじゃないかというような気はずいぶんするわけでありますけれども、問題は、いまおっしゃったように、原料炭の方ですね。これは当面今回貯炭対策販売促進交付金という形で四十万トン分二十億二千五百万円の計上を新しくされて、それの促進を図られている。来年度もそれをやりながら貯炭を減らすという方向でありますけれども、やはり原料炭は伸びそうにないというふうな御答弁がちょっとあったわけですが、やはりこれは鉄鋼関係が関連してくると思いますけれども、その中で、先ほどの、私への御答弁ではございませんでしたけれども、そういう引き取りについて、いわゆる需要の方ですか、それについては大体話し合いができておるのだというふうな御答弁があったと思うのであります。その鉄鋼関係、いわゆる原料炭需要等についての話し合いというものもきちっとできて、国内炭のいろいろネックとなっておった問題は解消できるという形に話がなっておるのかどうか、そこらあたりをお聞かせ願いたい。
  97. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  先ほど需要について話がほぼついたというのは、当面の五十五年についてどうするかということはほぼつきまして、それを踏まえた上で今後の供給体制需要体制をどう詰めるかという議論に相なるかと思います。その際、やはりセメント等の需要がふえてまいりますが、セメント需要というのはかなりの高品位を要求します。したがって、原料炭から若干セメント用の石炭へ転換をするということも念頭に置きながら需給バランスを考えていきたいというふうに考えております。
  98. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そうすると、鉄鋼関係というのは余り期待ができにくいということになりますか。
  99. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  鉄鋼の原料炭需要決定づけるのは粗鋼生産の伸びでございまして、鉄鋼が一番底でありましたのが一億トンの粗鋼生産でございましたが、現在一億一千万トンをちょっと超えた水準に上っております。しかし、鉄鋼業界のいろいろな推定を見ますと、それが著しく大きくなるという推定はございません。一方、結局技術開発のためにコークス比が低下するという現象もございまして、やはり過度に鉄鋼に依存した生産構造というのはいろいろな問題を将来に残すであろう。     〔委員長退席、細谷(治)委員長代理着席〕 したがって、早目に高品位のものをセメントに回すような生産体制に変えた方がいいのじゃないかという方向でいま検討が行われております。
  100. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大変細かい話になって申しわけないのですが、私は鉄鋼の方をいじめるとかなんとかいうのじゃなくて、やはり全般的な国内炭需要をしっかり確保して、そして二千万トン体制を守るというのが、これは国益の上から必要欠くべからざるものであろうと思いますし、その中でやはりいろんな形で官民一緒になって、政治家のわれわれも一緒になって協力をし合いながら、国内炭原料炭確保というものはすべきであろう。一般炭よりは原料炭の方が将来先行き大変厳しいような感じがいたしますので、そういう立場からお尋ねをしているわけでありますが、鉄鋼業界に依存するわけにいかないというようなことでありますけれども、一応の引き取りの基準量というのもお決めになっているようですが、新聞報道なんかを見ますと、基準量もどうも多過ぎて引き取りはむずかしいんだ、大変いろんな形で負担するというのは厳しいというふうなことも言われているわけでありますが、そこらあたりについての話し合いというのは現在なされておるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  101. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  鉄鋼との引き取り問題が最大難航しましたのは五十三年の前半でございます。そのときの状況を言いますと、鉄鋼業というのは、世界的な不況の結果、粗鋼生産を一億トン前後に落とさざるを得なかったという状況でございます。それに対して、一方原料手当ての方は一億三千万から四千万でしてしまったという状況、それから当時は日本におきます一番円高の厳しいときでございまして、海外炭との格差が非常に大きくなった。そういう事情を反映いたしまして、いろんな議論があったことは確かでございます。しかし、幸いなことに粗鋼生産も主向き、それから石炭事情が世界的に変わってきた状況下でございますので、五十三年度と現時点ではかなり対話につきましては円滑にいっておりまして、五十五年度につきましては、ほぼ大まかな話がついておるというのが実情でございます。
  102. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大体通産関係でもって、ほかの省もあるかもわかりませんが、石炭二千万トン生産維持するために、また需要維持するために、いろいろと予算をつぎ込んでいろいろな形でやっていらっしゃると思いますが、そのすべての金額を足し合わせまして、五十五年度予算の中でほぼ総額どの程度になるのか、お尋ねをいたします。
  103. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 石炭予算のうち二千万トン体制にまつわる問題としましては、石炭合理化安定対策という項目がございます。その内容は、一つ石炭企業経営基盤の強化に金を使う。それから第二点は合理化、たとえば坑道掘進の補助金だとか保安確保費補助金、いわゆるコスト補助と保安等を守るというもの、それからもう一つの大きい柱である需要確保をどうするかというもので構成されておりまして、その総額が五十五年度予算でいま御審議願っている中では五百三十二億という数字になっております。
  104. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 いまお答えいただいた五百三十二億というのは、通産関係で努力した、財源の厳しい中で努力しながら出されておるお金でありますけれども、一番もとをたぐっていきますと、やはり国民の皆さんの税金、一人一人が血の汗で納めた税金から出ておるということになると思います。そういう意味で、いわばこの二千万トン確保ということについては、国民の皆さんも自腹を切って、一生懸命立ち直ってほしい、がんばってほしいということで、そういう予算が繰り込まれておるということにもなると思うわけですね。そういう立場から言いまして、やはりわれわれは鉄鋼関係にもひとつ何とかもう少し需要引き取りというもの、確かにこれは企業ですから収支のバランスの問題もありますし、みすみす損になるものを買っていくというのは、これは商売上から言えば、経営上から言えば全くばかげた話かもわかりませんが、それだけやはり国民の皆さんも、また行政の方の通産当局の皆さんも含めて、それくらい膨大な予算をつぎ込んで援助をしているという形にとっていただけるならば、やはりそこらあたりの需要というもの、これは新聞報道ですから真偽はわかりませんけれども、基準量も受け取れないし、不況が続いた中でそれは受け取れないというようなことで、新聞では「高炉各社ヒジ鉄」というような大変厳しい表現で出ているわけです。     〔細谷(治)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、さっき部長が御答弁になった粗鋼の生産も、いまの新聞記事は昨年の九月四日付で出ている記事の中にあるわけでございますけれども、この時点のときに、ちょっと話があれこれいたしますが、まだ鉄鋼関係は、ほかの新聞報道等を見ましても、不況であるというふうな感覚の報道が多かったようです。また通産当局もそういうふうな受けとめ方をされておったのじゃないかと思いますが、実際にふたを開いてみましたら、本年の一月にはむしろ粗鋼生産は戦後たしか二番目か三番目ぐらいに好景気というか、生産量がふえたというふうな結果になっておったわけで、それはちょうどたしか、ちょっと資料を詳しく持ってきておりませんけれども昭和四十九年か八年かごろの生産と匹敵するようなものを鉄鋼関係ではなさっておられるようです。それのときに引き取った国内炭原料炭というものは、現在よりも大幅に上回っておったとたしか記憶しているわけでありますけれども、そういう中で、再度繰り返すようですが、国民のわれわれ、行政当局を含めて、二千万トン国内炭確保ということでがんばっているわけですから、あの当時のことを考えれば、もう少し鉄鋼関係で努力をしていただいて、何とか需要をふやすようにしてほしいというのが国民の皆さんの願いでもあろうと思うのでありますが、こういう方向について、再度ひとつ通産当局で話し合いをする中で、国内炭原料炭の引き取りをふやすという形にぜひ話を進めていただきたい、こう思うわけですが、その点について再度お尋ねをいたします。
  105. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先ほど御説明いたしましたように、需給構造は大幅に一般炭への傾斜を深めております。しかも、セメントの方は高品位の石炭を要求しておりますので、やはりそちらの方に一義的に量の問題は整理したい。しかし、石炭の収支というものから考えますと、価格が問題でございまして、価格については応分の負担を鉄鋼さんにお願いしたいということでお話を続けておりまして、現に鉄鋼さんの石炭企業への価格面での負担というものは約五百億ぐらいございまして、その範囲内で御協力を願うような形でいまいろいろお話をしているわけでございます。全体の流れとして見ますと、鉄鋼さんの場合は量よりも価格の点について御協力を願いたいという方向で対処していきたいというふうに考えております。
  106. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ひとつそこらあたりの努力はしていただきたいと思います。  昨年予算計上しておりました増加引き取り交付金というものトン当たり二百五十円も、その程度では必要ないというようなことで、とうとうこれは流れたというようなことのようでありますけれども、今回それにかわるものとして原料炭貯炭対策販売促進交付金というものが盛られているわけでありますが、これについての消化ということについては、話し合いというものは大体できておるのかどうか。ここらあたりも、再度、大変念を押すような質問でございますが、お答えをいただきたいと思います。
  107. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えします。  その点につきましては、鉄鋼といろいろ話を詰めまして、ことしの引き取りがまだ確約になっておりませんけれども貯炭制度を含めて去年よりも十万トン多い六百六十万トン程度はお願いできるのではないかということで、いま交渉しております。
  108. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 その問題はちょっと時間がたちますので一応おいて、努力をお願いいたしたいと思いますが、これから一般炭需要というものはふえてまいりますし、海外炭も、当然これは国内炭二千万トンを確実に確保した上で、私は海外炭というものも大いにこれは利用していかなければならない時代に入った、こういうふうに思うわけでありますが、この一般炭のわが国における需要増加に伴って、海外から、特に豪州あたりが一番中心になるようでありますけれども、やはりいろいろと一般炭確保——まあ原料炭を含めてでありますが、確保するために、相当いろいろと日本の業界で競合しながらやってまいりますと、かつて石油でスポット買いで高く買って、日本はけしからぬというふうな海外からのいろいろなおしかりがあったわけでありますが、そういう状態が出てくる可能性があるのではないかというような気がするわけでありますが、そこらあたりについて通産省のお考えと、もしそうであるとするならば、その問題にどういうふうに対処されるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  109. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 豪州石炭について若干御説明いたしますと、豪州は約七千二百万トンの石炭生産をしておりまして、そのうち七二%に当たる三千九百万トンを輸出しているわけでございます。しかしながら、いま石炭の貿易市場は原料炭にのみございまして、一般炭はまだ形成されていないという実情でございます。今後これをどうしていくかというところが最大のポイントになるかと思います。  最近は石油の値上がり、不足を反映いたしまして、環太平洋の東南アジア諸国とかEC諸国が石炭、特に一般炭のスポット買いに回っておりまして、これが引き金になって一般炭価格が上昇傾向を見せております。しかしながら、現時点では供給余力がございませんので、今後供給余力をふやすとすれば、新鉱開発をせざるを得ないというのが実情でございます。したがって、われわれとしては、安い石炭を長期的に安定的にとらなければいかぬということでございますので、いま、鉄鋼、電力、セメント民間ユーザーの中で秩序ある輸入体制をどうするかということについて御議論をいただき、着々とその成果が上がっているということでございます。  それから、もう一段高いレベルで、経団連の中で石炭問題懇談会というのがございますが、これにつきましては、今後豪州とのおつき合いを民間ベースでどう具体的に進めていくかということが行われておりまして、それらを積極的に支援し指導することで対処していきたいというふうに考えております。
  110. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 日本は、社会的に見ましても対策が後手後手であると言われがちでありますし、私もそう感ずるのでございますので、そこらあたりを含めて、ひとつ後手後手にならないよう先手先手で手を打っていく必要があろうと思います。ぜひそれはお願いをいたしたいと思います。  それから、また最初に戻るようで大変恐縮でございますが、二千万トン体制、これは今年度石炭鉱業安定補給交付金を見ますと、どうも五十五年度生産量が一千七百九十九万トンという形になっているようでありますけれども、これは恐らく貯炭を解消するという方向考えたとしても、どうも予算に組まれるには、通産当局で本当に二千万トンというものをお考えになって政策というものを考えられているのだろうかというふうにちょっと疑問に思うのですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  111. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  五十五年度の安定補給金の予定額につきましては、先生指摘数字のように相なっているわけであります。現在の各社からのヒヤリングをもとにしますと、生産計画では大体この数字で足りるのではないかと見ております。  二千万トン体制とのギャップの話でございますが、この安定補給金の対象生産量というのは、統計によって出てくる数字を全部対象にしておりません。四十八年四月以降に仕事を許されたものについては、安定交付金の対象になっておりませんので、その辺が差の大きい原因かと思います。
  112. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 石炭を掘る側につきましては、時間がないのでこの程度にとどめたいと思うわけでございますが、大臣に二千万トン体制——これは確実に貯炭をなくし、生産がきちっと二千万トン行われ、その需要も、きちりと引き取りの方も行われるという形が二千万トン体制だと思っておるわけでありますが、この点について、大変失礼な念押しかもわかりませんが、大臣から確実にやるというお答えがいただければと思いますが、最後に御答弁願いたいと思います。
  113. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 需要供給に比して劣っている場合には大変むずかしいのでございますけれども、いまは旺盛な需要に支えられておりますから、政府として皆さんと協力すれば、私は二千万トン体制というものは確保できるのではないかというふうに考えておりますので、努力してみたいと思います。
  114. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはしっかり努力をお願いしたいと思います。  それでは石炭六法の問題です。先ほどから質問の中にも出ておりましたが、いよいよ期限切れが参ります。これについて先ほどから努力をして大体延長させていくというふうな御答弁と私ども承っておったわけでございますが、特に産炭地域振興臨時措置法というのは五十六年十一月十二日、来年度にはもう期限切れになります。当然来年度の通常国会にはこの延長の法案が出てこなければならないわけでございますが、具体的にはそういう方向でいまお進めになっているのかどうか、お尋ねをいたします。
  115. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 現在石炭六法の中で期限が一番早く来るのは産炭地域振興臨時措置法でございます。これをどう取り扱うかということにつきまして、いま内部検討がすでに開始されているわけでございます。その検討結果を踏まえた上で、延長問題を含めて検討していきたいというふうに現在考えております。
  116. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では、ほかの五法についても、特に炭特法、離職者問題もございますけれども、鉱害の復旧問題、これは特に私の地元の田川地域、筑豊地域では非常に問題になっておるわけでございまして、筑豊地域の死活問題、生き死にの問題につながってくると言っても過言ではないと思います。ある町なんかを見ますと、当初予算には石炭六法関係予算が五〇%を上回るというようなところもございまして、これはもう基幹産業的なというと大変表現がどうかとも思いますけれども、それくらいの重みを持った形で産炭地域には受け取られておりますし、この問題の存続は筑豊地域、旧産炭地域については死命を制する、死活問題と言っても言い過ぎではない、こういうふうに思っておるわけでありますが、そういう中で昨年の七月から鉱害残存量の見直しも行われているようでございますけれども、具体的な残存鉱害に対する見直しのやり方等について、大変立ち入った質問ですが、お聞かせ願えればお答えをいただきたい。さらにそれはいつごろ煮詰まった形で結論が出てくるのか、できればお聞かせを願いたいと思います。
  117. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生の御指摘のように、鉱害の問題は残存鉱害の実態を把握し、それから議論を展開するのが筋だと考えておりまして、その点に立ちまして、昨年の七月からすでに調査を開始しております。現在調査費を出しまして、その調査費の集計をやっている段階でございます。今後はそれを踏まえた上で現地調査などを実施いたしまして、その結果を再検討した上で法律の改正を含めて検討させていただきたいというふうに考えております。
  118. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 調査内容について、やはり一番地元で要望が行われておりますのは、過去の金銭賠償済みのもの、これはやはり当時わからないままに調印の判を押したという方も非常に多くて、その後鉱害等によって悩まされておるというような現状のところが大変多いわけで、そこらあたりの見直しもぜひお願いしたいという要望が非常に強いわけです。  それから、よく第二次復旧鉱害と言われるのですが、復旧した後でまた鉱害が起こってみたり、いろいろな形のものが出てきたりしております。それから線の引かれているのが浅陥というのですか、浅いところの陥没地帯、深度五十メーターでしたかのところまでで線が引かれているようでありまして、そこの微妙な地点で非常に鉱害が起こっているというようなところもございまして、そういうものは認定の中に入れてほしいというような声もございます。また赤水等の問題もございます。こういったいろいろな問題について、現実に大変困っているものですから、地元から強い要望が出ているわけでありますが、そういったものは今回の見直しの中で含めて検討をされているのかどうかお尋ねをいたしたいと思います。
  119. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 いま先生の御指摘の金銭賠償済み物件、それから復旧済み物件だと思いますけれども、新規の採掘に伴う災害とか赤水とか、それから浅所陥没等々の問題が、今後鉱害復旧に当たって大きい問題の一つになることはわかっているわけでございます。その辺を念頭に置いた上で、法律制度になじむかどうかを検討した上である程度の対処をしていきたいというふうに考えております。
  120. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私ども話し合いしておる中で、特に金銭賠償済みのものが非常によく出てくるわけであります。いま総枠でお答えいただいたわけですが、そこらあたりは具体的にはどういうふうな形で対処されているのか、再度お伺いをしたいと思います。
  121. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 金銭賠償済みの物件につきましては、実態を調べますと、お気の毒な例もかなりございます。しかし、厳密な法律論を展開いたしますと、解釈上なかなかむずかしい点というのもございます。したがって、現時点では、今回の調査では、具体的な対象に入れないで、臨鉱法で読める範囲のものを調査するということに現在進めております。しかし、お気の毒な件があることは重々わかっておるわけでございまして、現行法の体系の中で読めるものについては、何らかの配慮が可能であればしていきたいというふうに思います。
  122. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 昨年でしたか、官民合同の鉱害調査団を欧州に派遣されたようでありますが、これは見直しと関連して何か役に立たせるためにお行きになったのか、そしてその結果は生かせるものがあるのか、お聞かせを願いたいと思います。
  123. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 昨年参りました海外調査団のねらいは、一つは、鉱害法の見直しが念頭にございまして、やはり法制度の進んでいる西ドイツ、イギリス、フランス、それから鉱害の処理技術、これを調べる、それから全体の鉱害賠償、鉱害処理問題の体系を再レビューする必要があるだろうということで派遣したわけでございますが、現在のところこの報告書を取りまとめ中でございますが、なかなか示唆に富んだ点があるということは間接的に聞いております。
  124. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 時間も参りましたので最後にいたしますが、鉱害復旧並びに産炭地域の振興に対しては、特に石炭六法の延長についていろいろと努力をなさっているということをいま伺いました。また金銭賠償を含めて大変前向きに取り組もうという姿勢もお持ちのようでございます。こういったものをひとつぜひ入れながら、地元の要望を取り入れながら、鉱害復旧が十分にできる形がとられるようにこの六法の延長についてお考え願いたいわけでございますが、この点について最後に、これも大臣からひとつ御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
  125. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど申し上げましたように、諸般の事情を十分考慮しながら検討を進めたいと思っております。
  126. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それでは質問を終わります。大変ありがとうございました。
  127. 岡田利春

    岡田委員長 これにて鍛冶清君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  128. 多田光雄

    ○多田委員 私の時間は大変短いので、政府エネルギー政策の基本的な問題についてきょうはお伺いしたいと思っております。  エネルギー問題がいわば政治の焦点になって、今国会でも総理を含めて関係閣僚からエネルギー政策についていろいろ伺っておりますし、また今年度エネルギーに絡む予算についてもしさいに勉強させてもらいました。しかし、率直に言って、私、政府エネルギー政策には従来以上の、実は不安といいますか、そういうものを持たざるを得ないのです。  そこで、大臣にお伺いしますが、日本エネルギーは非常にもろいとかあるいは不安定だとか言われているのですが、そう言われる根拠について、もしそういう弱さがあるとすれば、大臣はどの点にあるとお考えになっているのか、伺いたいと思います。
  129. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何と申しましても、安くて便利な石油エネルギーの大半を依存する、しかも、その石油国内にはほとんどないというところが一番根本だと思います。
  130. 多田光雄

    ○多田委員 通産省の出しているこの「コール・ノート」ですね、これも私見せてもらったのですが、おっしゃるとおり世界で一番石油に依存している。しかも、その石油が、まあ一〇〇%と言っていいぐらい外国から輸入しているというここにあるんじゃないかという大臣の御指摘、私はこの点については賛成なんです。昨年ごろから大平総理が、八〇年代は濃い霧の中にあるとかいうふうにおっしゃっていましたけれども、まさにエネルギーがそうじゃないかなと思っているのです。なぜならば、その大宗を外国に依存しているわけですから、日本の国だけでエネルギーの計画はなかなか立ちがたいという状況ですね。ですから、当然これは八〇年代が霧の中にさまようのは私は無理もない、こう思っているわけです。  一つは、そこに私は根本の問題があると思うのですけれども、なお立ち入ってお伺いしますが、エネ庁が昨年「長期エネルギー需給暫定見通し」を立てたわけです。この中で、たとえば石油以外のエネルギー代替エネルギーというふうに述べておりますね。政府のある役人が、代替エネルギーという名の石炭と自嘲的に言っておりましたけれども石炭も含めて全部代替エネルギー、こうなっているわけです。ところがその代替エネルギーの中で、原子力は五十二年の八百万キロワットから六十年には一躍三千万キロワット、それから七十年にいきますと、これは十五年後ですが、七千八百万キロワットという途方もない伸び方をしているのです。それから新エネルギーですね、これは五十二年の三十一万キロリットルから六十年には五百二十万キロリットル、こういう伸び方をしているのです。一体、仮に六十五年を目安としても、代替エネルギーがここまで伸びるという自信を本当に総理はお持ちになっているのかどうなのか。伸びないというと、石油の占める率がフィフティー・フィフティーにならないわけですよ。ならないというと、東京サミットの約束がある。こういうジレンマを持っていると私は思うのですが、しかし、石油エネルギー源の半分を占めるまでになるためには、いま言った原子力や新エネルギーあるいは海外石炭開発、とりわけ一般炭はもうべらぼうの伸び方ですね。これは驚異的と言っていい伸び方ですよ。これが果たして可能と思って政府は認めておられるのかどうなのか、これは大臣にお伺いしたいと思います。
  131. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まず、一番重要な点は、油の輸入の上限が国際的に決まっているということですね。ことしも決まっておりますし、六十年度は六百三十万バレル、これもあるいは変わるかもしれない、それ以上、上に伸びるという見通しは余りないわけでございます。ですから、従来と違って、その前提条件を頭に置いて進めないと、エネルギー政策というのは決まらぬと思います。従来はややもすると油にしわを寄せて、足らぬところは油で何とかしょうという安易な気持ちがあったのですけれども、もうそれが許されない。ということになりますと、それにかわるべきものは何か、それに到達するのが国策として一番根本でございますから、まず従来とは非常に違った国策と申しますか、政府の気構え、心構えも変わってこざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。  そこで、いま原子力発電は大変過重ではないか。それじゃなぜ過重か。やろうと思えばできるのです。一番のネックは立地です。立地を許されないから、反対派があるものですから進めない。  それじゃ海外はどうなっているのかと申しますと、私は去年の十二月十日にパリのIEAの会議に出まして、大変ショッキングでございました。たとえばフランスなど日本と非常に似たエネルギー事情で油は一滴もございません。でございますから、フランスは思い切って原子力発電に頼りまして、五年後には全発電の半分、十年後には三分の二が原子力です。そして残りは石炭でやっていく、油は使わぬ。従来の、油を使うのを全部切りかえるということで、幸い国民の理解といいますかあるいは技術に対する信頼度が非常に高い国でございますから、国内的に反対はなしで思うように——いろいろあるようですけれども克服して、現在はたしか二カ月に九十万キロぐらいの発電がどんどんできつつございます。決して抽象的なプランじゃなくて、現実にどんどんできていっている。  あるいは英国は、御承知のように北海で海底油田を国運を賭して成功して、それで満足しているのだろうと思ったところが、そうでなくて、英国のエネルギー大臣の話によりますと、いまから軽水炉——英国は御承知のようにガスクーリングの発電炉ですから、それを軽水炉に切りかえて原子力発電を進めたい、あなたのところは油があるからいいじゃないですかと言ったら、いやそんなことはない、十五年先にはだんだん減っていくのだ、いまからこれに取り組まなければいかぬということで、しかも長い間、三十年近く培ってきたガスクーリングをやめまして、日本と同じ軽水炉に踏み切って開発していくわけです。  帰りにソ連に寄りまして、モスクワに寄りました。モスクワの飛行場にソ連の貿易省次官でございますか、来ていただきましていろいろ話す機会がございました。ソ連は世界でも一番原子力発電に思い切った力を入れている国で、御承知だと思いますが、毎年前年に比較して四割ふえますね。帰ってきて有沢広巳さんなんかに聞きますと、確かにそのとおりだ、倍々とやっていくのだ。ソ連は八五年ぐらいからぼつぼつ油は輸入しなければならぬ。特に東欧諸国を養っていくためにはどうしても油の輸入に頼らざるを得ないということになっておりますので、それに備えて猛烈な勢いで原子力発電をやっていることは事実でございます。  一方、アメリカはどうかと申しますと、スリー・マイル・アイランドであのとおりでございまして、いままではカーター政策で足踏みしておったのですけれども、去年の暮れにカーター宣言が出まして、半年以内に再開しろということで、また軽水炉の原子力発電に踏み切ったわけです。  というような世界の情勢でございまして、この三千万キロワットというのは多いか少ないかという議論の前に、何とかしてこれを国民の総意、協力で達成すべきだというふうに皆さんがなっていただくのが一番ありがたいことじゃないかと私は考えております。でございますから、日本のように何にもエネルギー資源のないところは、せめて原子力あるいは石炭あるいはLNG等をこれから計画どおりできるように進めるべきじゃなかろうかということで、ただいまのところでは三千万キロワットには若干落ちますけれども、しかし、計画中のものばかりじゃなしに、現に建設中のものもございますので、私は、やりようによりましてはこの数字は達成できるのではなかろうかというふうに期待を持っております。これは資本主義の計画経済ですから、言うなれば目標数値でございまして、ゴスプランといったような、力で進めるという計画じゃございませんから、それは若干の上下があるのはやむを得ぬといたしまして、まずこういう目標で努力していくのが大変必要なことじゃないかと考えております。  それからLNGでございますが、LNGは御承知のようにただいま世界のホープの資源の一つになっておりまして、この目標は、資源の所在等を明確にいたしまして、そして御承知のように、これは二十何年、三十年という長い計画で採掘し、冷やして液体にして持ってくるわけですから、出産地と申しますか産地への考慮なしにこの計画を立てたのであれば、これは大変疑問ですけれども、そうじゃなくて、その方の手当てが大体つき、これは非常に金のかかる仕事で、しかも、需要者は御承知のように電力、ガスが主力でございますが、そういうところが主になって問題を進めておりますので、大体私は計画どおりいくのじゃないかと思います。  問題は石炭でございますけれども石炭はむしろ、国内は二千万トンが限度でございますから、海外の石炭をどうするかというところにくるわけで、これも粘結炭は大体従来どおりそれほどふやす必要はないわけでございまして、一般炭をどうするかという問題でございます。一般炭になりますと、豪州、華北、カナダ等が主力だと思いますが、これは必要な分はいまから手当てをしていけば必ず達成できるものと私は思います。  したがいまして、そのほかいろいろありますけれども、この三つの主力の問題は、若干の上下はあるにしても、これから力を合わせて進めていけばまずまずやっていけるのじゃなかろうかという感じが私はしてございます。
  132. 多田光雄

    ○多田委員 御答弁の短い大臣に大変長い御答弁をいただいて、大臣の決意の一端は私はわかりますけれども、しかし、それだけでは目標を達成できるあかしにはならないのじゃないかというふうに私は思うのです。  それから、大臣はいま、それは目標ですから若干達成に違いがあるだろうとおっしゃいましたけれども、大きな目標を立てれば立てるほど予算がそれに付随していくのですね。その予算の消化はどこかと言いますと、この間政府から何人も来てもらって調べたのだけれども代替エネルギーでも何でも、海外での研究、ほとんど大きなメーカー、商社あるいは企業、そこに出している研究費ですよ。代替エネルギーを見たらまずまず大変な金をそういう企業に出しているわけです。だから何でも大きければよかろうというのではなくて、大きくすると予算がついていく、その予算がどこへ流れていくのか、こういう問題がありますので、私は何も目標を大きく決めたからいいというふうには思いません。  私がなぜ疑問を持つかと言えば、一つ一つ厳密に検討したら非常に不安定だと私は思うのですよ。大体原子力だって稼働率は一体どうなのかとか、それから先ほど原子力に反対する者をまるで異端者のような発言をなさっていましたけれども、それがいまの社会的な事情なのですよ。ソ連がどうあるか、フランスがどうあるかと言われるならば、北欧でもって原子力発電所をつくるかどうかでもって時の内閣が倒れた経験さえつい二、三年前にあるのです。だから私は、そういうものが一つの大きな障害になっているということは、皆さんの立場から言えばわかるけれども、そういうものを無視できない。無視できないからまた電源開発でもって大変な予算を組まれたわけだけれども一つ一つ検討していったら大変不安定な内容だと私は思うのです。  それから、目標の達成について言いますと、第一次のエネルギーショックのときに予算委員会で相当問題になりました。そのときの議事録を私はいま持ってきているのですけれども国内石炭を投げたということ、それから何でこんなに二年かそこら、数年で日本国内石炭を投げて海外のエネルギー源に頼るようになったのかという質問に対して、時の田中総理は、こういうことを言っているのです。石油が非常に安く入ってきた。だから、安い石油が金さえあればいつでも得られるという考え方、そこには確かに問題があった。問題があったからこういうことになっているのだ。その言やよしですよ。それから、こういうことも言っているのですね。これからエネルギーの問題はやはり五年、十年、三十年、できるだけ長期にわたって俯瞰的、鳥瞰的に物を見る、物を平面的に見てはだめだ、もうけ本位に見てはだめなのだ、こういうことも時の総理は言っているのですよ。それからこういうことも言っていますね。総合エネルギーの立場で、ただ短期的に見て安いとかいうような状態で律すべき問題じゃない、もうそういうことは国民各層の理解もいただけるようになった。そして、日本国内石炭をやはり考えなくてはいかぬ、こう言って二千万トンのレールを引いたのですよ。これだけは間違いなく達成します。そしてこうまで言っている。二千万トン以上なのです。二千万トンじゃなくて、二千万トン以上なのです。こうまでみえを切ったのです。これは中曽根通産大臣も同じことを言っているのですよ。ところがその国内石炭がどうかと言えば、もう千八百万トン台ぐらいになっているでしょう。それは皆さんから言えば、資本主義国だからなかなか思うようにいかないというふうにおっしゃっているわけで、これは後で伺いますが、そういうものを私は持っているわけなのです。  ですから、大臣の決意は決意として伺っておきますけれども、非常に不安定だと思う。たとえば海外石炭の輸入。日本国内石炭には余り手当てをなさらないで、海外石炭開発輸入だとか、あるいは石炭液化の問題については巨額の金をいま出されておるわけですけれども、たとえば大平総理がこの間オーストラリアに行った。オーストラリアは御存じのとおり石炭が非常に多い。それから原子力の原料にしても非常に豊富なところだということで、いろいろそういう点話し合われてきたというふうに伺っているのですけれども、仮にあそこで開発、輸入する。そうすると、港まで道路をつくらなければならぬ。港も積み出しをやらなければならぬ。たとえばどれだけの量かと言えば、一般炭で七十年には八千五十万トン輸入しなければいけませんね。大体オーストラリア、中国でしょう。そうすると、オーストラリアあたりから三千万トン、四千万トン仮に輸入するとすればどれだけ膨大な設備を必要とするか、大臣、これはおわかりになっていただけると思うのです。船で運ぶ。一万トンやそこらの船じゃ足りませんね。あの二十万トンタンカーをつくったように、相当大型の一般の石炭を積むものを考えなければならない。そうすると、今度はコールセンターが必要になってくる、揚げ地が問題になってくるわけですね。こうなってくると膨大な経費を使って、いまは安いと言っているけれども、果たしてその時点になって、外国の開発する石炭が、量はある程度安定的にできたけれども、値段はどうかと言えば、決して皆さんがおっしゃっているほどの値段ではないのじゃないかというふうに、私はいまから手のひらを見るようにわかるのですよ。そしてそのときには国際的ないろいろな経済事情も違って、石炭の取引というものはもっと厳しくなってくるだろう。それから昨年、私ども共産党で発達した資本主義国の代表を呼びまして理論会議をやったのです。そのときオーストラリアから来た代表がこう言っていました。オーストラリアの石炭のいいところはほとんどメジャーに押さえられてしまったのだ。これは「コール・ノート」の二百十八ページにもそういうことを書いています。大体いいところは、オーストラリアにおいては、石油のエクソン、シェル、BP、カルテックスなど、メタルのアマックス、リオチント、プレイサー、アサルコなど大企業が進出し、全実収炭量の三八%をメジャーが押さえるに至っている。この結果、一九八五年のオーストラリアの生産の七六%に影響を与える。これは皆さんの書いたものですね。そこへわれわれが割り込むわけでしょう。日本のいまの大手も多国籍的な企業化しているわけです。それについてオーストラリアの代表はこういうことを言っておりました。オーストラリアの国民も、やはり自国の資源主権、民族主権を行使してこういうメジャーの資源の支配には非常に強い不満をいま持ちつつあるのだということを言っておりました。私はいずれオーストラリアもそういう資源を守る運動が起きていくだろう。これは歴史の発展の方向として不可避なんです。そういうことを考えますと、海外石炭開発、輸入というものも決して楽なものを持ってない。そういうことは政治家ならわかるのです。ですから、私は先ほどできるのかということを再三念を押したのですが、これは改めて私はまた別途大臣なり政府にひとつ細かに聞きたいと思います。  きょうは、特にその意味国内炭の見直しの問題についてお伺いしたいのですが、四年前、私も石特にいまして論争したときには、政府石炭二千万トン以上に努力しますと言って、まだ幾らかの力を感じました。このごろはそういう気迫を感じませんね。あのころはまだ新鉱開発をやるのだ、宗谷だとか釧路まで名前を挙げて言っておりました。ところが去年ころあたりからそういう新鉱開発なんという声はもう聞こえなくなってきた。国内でまだ数十億トン掘れる石炭があり、埋蔵総量は二百何億トンと言われておりますけれども、経済性で数十億トンと言っている。三十五億トンとか四十億トンと言っております。これも当時の中曽根通産大臣は、経済事情によってはもっと多くなるだろうということも言っているのです。つまり炭価が安いから、その価格でもって炭量がこうだと言っているわけですから、国際的に石炭の値段が上がってくれば、またその炭量がふえるわけです。そういうことを通産大臣が当時言っているのです。それだけのものを持ちながら、それを掘る努力を半ば放棄したと私は見ている。そして石炭重視だと言うその石炭重視の中身は、外国炭に依存する。非常に危険をもはらんだ海外に依存する。これはさっき大臣は、石油は海外依存だと言うけれども、同じ危機を今度のエネ調の内容を見ても私は感ずるので、非常に長くなりましたけれども、申し上げているわけです。  国内炭を軽視している問題で、今度は北炭の夕張新鉱の問題と、その前に、清水沢が閉山することになりましたが、これは部長にお伺いしますが、閉山の最大の理由はどういう理由なんでしょうか。
  133. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 まず閉山につきましては、五十三年度修正再建計画で九月に一応閉山を予定して計画ができたというのが実情でございまして、最近に至りまして鉱内の炭量の実態が減少してまいりました。九月閉山を四月中に閉山する、繰り上げるということに相なっておるわけでございます。  理由としては、やはり採掘可能炭量が総体的に当時より減少しておるという実態が出てきたからであります。そのほか、全体の北炭の再建におきます新鉱の生産立て直しの意味でも、やはり若干人が足りないということも配慮されているかと思います。
  134. 多田光雄

    ○多田委員 炭量がないと言うけれども、それは政府がじかに調べて炭量がないという結論を下されたのですか。
  135. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 北炭の再建につきましては、二つの側面で常に坑内に入っております。といいますのは、ここ一年半ほど生産がかなり順調でございませんでしたので、それをチェックし、指導するということで、通産局の職員が常々入っております。その結果の情報、それから北炭から具体的に事情を聴取した結果で見ますと、やはり経済的、技術的に無理ではないかというふうに判断したわけでございます。
  136. 多田光雄

    ○多田委員 やはり私は、こういう大事な問題を政府自身が責任を持って調査する必要があると思うのです。会社と労働組合が調査したから、それをうのみにして炭量がなくなったというのは、私は非常によくないと思うのです。なぜなら、巨額の金を交付金として閉山する山に出しておるのです。国民に対する責任からも、そしてまた本当にエネルギーのセキュリティーを守るという立場からも、本当に炭量がないかどうか調べてみる必要があるのじゃないか。いつも会社の言い分をうのみにしてほとんど閉山を認めているのです。  これは大臣にひとつ伺いたいのですが、その前に、私も北大であるとか、それから札幌のいろいろな人に聞きました。かつて北炭にいた技術者にも聞きました。いまの清水沢は、確かにいま掘っている切り羽の行く先には五万トンぐらいしかないだろう、こう言っているのです。しかし、あそこには東部の開発区域があるでしょう。これは今度新鉱から手をつけるということですが、それはそれとしていいけれども、ちょうど清水沢の市街地の下、大体四、五百メートル下、ここに一層掘っておるところがあった。そこは鉱害だという理由で会社でも掘らないのですよ。つまりそこを掘ると市街地の下だから何か事故でもあったら大変だということなんです。ところが、これは専門家に聞いたら、たとえばフライアッシュを坑道にぶち込むという技術だってあるじゃないか、問題はそういうものを追求しないで、安直にいま掘っておる山に石炭がないから閉山する、ここに政府国内石炭に対する非常に無責任さ、そういうものをわれわれは感ずるんだということを異口同音に専門家が言っているのです、一つの例として挙げれば。  だから、私は、大臣にお願いしたいということは、われわれは税金の中から何十億という閉山交付金を出すのですよ。その場合に、山に石炭がないからやめるという場合に、果たして本当に石炭があるのかないのか、これを政府自身が専門家を連れて行って綿密に調査をする、会社の言い分や、会社と労働組合が調査したというのも結構だけれども政府自身が自信を持って本当に炭量がないというようにするために、これからの閉山の申請に当たってはそういう措置をとる、それが国内石炭を大事にしていく一つの安全弁になるんじゃないかと私は思うのですが、大臣、そういう措置をとることをお考えになりませんか。
  137. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 さっきからエネルギー論が全般的な議論ばかりあったのですけれどもエネルギーの問題は、やはり数量とタイムというものをあわせて考えないと国の政策になりませんので、これは釈迦に説法でございますけれども、そういう際に、くどいようでございますけれども、五百四十万バレルというのは一体何ぞや、これが一番中心問題だったわけでございまして、これは国の責務、それ以上は買っちゃいけない、買えないですよという限度なんでございまして、したがって、それをフォローする意味で四半期別に各国が報告を出し、それをIEAで吟味する、モニターする、そしてさらにそれ以上オーバーするようであれば国は法律を発動しても抑えろという申し合わせになっておるのです、いままでやったのは。ですから、油は入れようといったって入ってこないのですよ、もう一定限度以上は。ですから、経済は伸びなければいかぬ、エネルギーは必要だ、そのかわり何で、どのくらいの量でそれをカバーしていくかという量とタイムというものを考えていかなければどうにもならぬ。先生のおっしゃることに別に反発するわけではございませんけれども、いまおっしゃるのも、開発してもどれくらい出ますか。とてもそういうものでは日本の国は養ってまいれません。でございますから、オーバーオールな計画を立てて、そして時間と量を考えながらこういう計画にならざるを得ないじゃないかというのが私どもの計画なんでありますから、この線はこの線として一応進めてまいることにして、いまおっしゃる国内の炭量、可採炭量をどういうふうに判定するかという問題でございますけれども、私、部分的ないまのお話の清水沢付近の炭量がどうかということはわかりません。知りませんけれども、しかし、私も長い間、冒頭申し上げましたように石炭生産課長を経済安定本部で戦後やっておったのですから、当時の記憶をよみがえらせますと、そんなに日本が豊富な炭量があるとは常識的にもなかったのでございますし、その後もそれが、炭量がどんどんふえておるというふうには理解しておりません。しかし、貴重な資源でございますから、おっしゃるように、できるだけ乱掘をしないで、一定の二千万トンなら二千万トンというものは維持していくということは当然必要だと思いますので、その線は崩さぬことで今後とも進めたいと存じます。  さしあたっての清水沢付近の炭量に関しましては、私は余りつまびらかでございませんので担当官から御説明申し上げますけれども、ただ国が、と言っても結局これは地質調査所しかないわけでございまして、そこが探査をすればもっともっとあるはずだという御議論に対しましては、一応御意見としてちょうだいいたしまして研究してみたいと思います。
  138. 多田光雄

    ○多田委員 冒頭に述べた石油の輸入の問題は、もう決まっているのだということを言われますとまたもとへ戻りますので、時間がなくて私はこの点は後へ譲るということを言ったのですけれども、一番大事な問題は、私どもはこう思うのですよ。  独立した国が一つの国を防衛する権限というのはあるのですよ。そのために膨大な軍事費を出すわけです、日本の防衛がいいかどうか、これは別問題ですけれども。よくエネルギーの安全保障ということを使うのですね。こういう外国依存になった根底が問題だと私は思っているのですよ。それにさかのぼるというと時間がありませんのでやめますけれども、どこの国よりも貴重なエネルギーを捨てて、そして安ければよかろうということで石油におんぶした。しかも、その石油日本に大量に入れているのはメジャーでしょう。石油の値段が上がって、メジャーに対して規制しろと言っても、それもようなさらない。だから、一番大事な石油が八〇年代に、冒頭に言ったように外国依存ですから、そういう霧の中をさまようのはあたりまえのことなんですね。ないものを入れなければならないのはあたりまえのことなんです。しかし、その入れ方は、もっと自主的な入れ方があるだろう。いまから七、八年前です。共産党はDD原油だとかGG原油をもっとやれ、こういうことを主張したことがあります。いまだんだんその量がふえてきているのは結構だけれども日本国内石炭を大事にするという政治的な構えと、同じ取引であっても直接取引をして、そしてメジャーの支配から脱却していくという政治姿勢と、私は同じだと思うのです。そういう点に欠けるところがあるから、今回またわずかでも石炭を掘らなければならない。たとえば私は先年ルーマニアに行きましたら、こういうことを言うのですね、日本は資源がないと言うけれどもまだ石炭があるじゃありませんかと。なるほどルーマニアでは日本国内で取り上げないような泥炭まで取り上げてやっていますよ、あそこは日本よりもっとひどいから。さらにまた、昭和三十二年にフランスのソフレミンという石炭調査団が日本に来て調べて、相当な量があるということを言っているのです。当時、七千万トンずつ毎年掘れるのだという膨大な報告書まで出しているでしょう。これもあの第一次石油ショックのときにわれわれは取り上げたのです。価格が合わないからやめたのだということを中曽根さんが言っているのですよ。第一に価格の問題だ。だから、そういう苦い反省の上から、時の総理も、安ければよかろうというので何でも外国のものを買っていたのはやっぱりまずかったということを言っている。だから私は、その言葉どおりなら正しい。結果はそうならないのです。ないものは入れなければなりません。入れ方も自主的な入れ方をしなければならない。私はあえて時間内でこれを言ったのは、ないのだから外国から入れなければならないだろう。国内には、言われるとおり、ないと言う。しかし、まだ三十億トン、いまから四、五年前のあれでもあると言っているのですよ、時の通産大臣が。だから、そういうものを掘るという姿勢が本当の日本エネルギーの安全性を確保していく道にもなるのだということを、これは事務屋でなくて政治家の佐々木通産大臣にそのことを訴えているのです。  そういう一つの中身として、国内炭に対して簡単に閉山を許さないという姿勢こそが国内の資源を大事にするという政治につながっていくということで、先ほどの大きなエネルギー問題からいま清水沢の閉山の問題について私は伺っているところなんです。そういう意味で、もっと国内石炭を大事にしていく。もちろん、いま四千万トン掘れ、五千万トン掘れというのはむちゃなことでしょう。しかし、二千万トンより一歩でも前進していく、あるいはまた一方的に企業が閉山交付金を欲しくて閉山していく、そういうときに、できるだけ国内の資源を守り、これを発展させていくという立場で、政府が交付金を出すのですから、そういう意味から調査するというのはあたりまえのことだと思うのです。それをやらないということは、やっぱり姿勢の中に、外国から買えばいつでも入るのだ、オーストラリアから一般炭も今度は入るようになる、そういう姿勢があるから、国内炭は金がかかるからと言って投げていくのですよ。先ほど言った、一国の安全のためには膨大な金を使う。それと同じような意味で、経済の中軸になるこのエネルギーの安全のために本当に金を出すのだったら、私は国民は賛成するだろうと思うのです。いまの石炭を見たってそうでしょう。閉山交付金だとか何か、ともかく後始末の金ですよ。掘っていくという金は本当に微々たるものですよ、一千何百億かの予算の中で。そういう政治姿勢にいま立たないと、また何年後かに同じ轍を踏むことは間違いないのです、先ほどのオーストラリアの話じゃありませんけれども、  それから、一方的にしゃべってあれですけれども、新鉱開発で、労働力不足ということも前から言われたことですね。新鉱に、北炭にわれわれは二百億からの援助をしたわけでしょう。大臣、当時あれは一日に五千トン掘るという目標なんですよ。そういう山をつくるから、いろいろな問題があっても政府は乏しい中から金を出したわけでしょう。いま四千トンでしょう。これは大問題ですよ。条件が悪いから四千トンしか掘れないなんて安閑としておれる問題じゃないのです。五千トン掘るという目標に二百億からの金を出して、ところが四千トンしか掘れない。その問題を本気になって追求なさったことがあるのでしょうか。そういう中に、国内炭を軽視して、安ければよかろうという外国炭をどんどん買っていく、そうして日本エネルギーの安全性を損ねるという従来のエネルギー政策がそのまま今日も生きているのです。ですから、この問題で、私はもう時間がありませんから終わりますけれども、ひとつ閉山に当たってはもっと真剣な態度で、国内炭を守る立場に立っていただきたい。そうでなければ、どんなにエネルギーの目標を描いてみたところで、同じような危機がまた訪れるということは私は間違いないと思う。なぜなら、それぞれの国で自国の資源を大事にする、民族の主権や資源を守っていくというのは、歴史の必然の法則なんですよ。だから、アラブ諸国もそうでしょう。オーストラリアだって必ずそうなるですよ。中国だって必ずそうなるですよ。売らないというのじゃなくて、もっと厳しくなるのです。私は、その点、ぜひひとつ大臣考えていただきたいと思うのです。  最後に、日本石炭が高いのは深部に入っていくからと何年も前から部長から聞いている。深部に入って危険なんだ、掘りづらいんだ、だからそのために労働力がなくなるわけでしょう。そうだとすれば、清水沢のような山はちょうどいいですから、前に一度私ここでお願いしたことがあるのですが、試験鉱にしたらどうかということです。ソ連にしてもイギリスにしてもフランスにしても試験鉱を持っているのです。オーストラリアも持っているのです。その試験鉱をつくって、そこで深部の再開発や保安の問題を本当に研究していくという体制を、外国の開発に巨額の金を使うのなら、その一部を使って、それぐらいのことで、この民族的な資源の国内石炭を守っていくという措置も考えていただきたい。これは私の提案ですけれども、この点についてひとつ大臣の最後のお答えをいただきたいと思うのです。
  139. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 先生指摘の、今後の国内炭維持していくためには技術開発、特に保安の技術開発が最大の問題だと思います。これにつきましては、従来からその体制について検討が行われまして、結論として、現在の財団法人の石炭技研を使う、それと工業技術院の傘下にあります公害資源研を改組いたしまして、そこの設備を拡充する、それから大学との連携を密接にするということで進めてきておりますが、現場実験というのは、やはり石炭保安の技術については必要欠くべからざるものでございますが、それについては保安の技術開発委託費という制度がございまして、それで現場実験を大学、技研、それから山元の協調でやって進めていくという体制をしいておりますので、新たに現時点で試験炭鉱をつくってやるよりは、現在の体制をもっと深めていった方が効果的だというふうに考えておるわけです。
  140. 多田光雄

    ○多田委員 そういうことで全然進んでないから、思い切った措置をとってもらいたいということを私は言っているわけです。  時間が来ましたからこれで終わります。
  141. 岡田利春

    岡田委員長 これにて多田光雄君の質問は終了いたしました。  次に、稲富稜人君
  142. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、持ち時間がわずか三十分でございますので、簡単にかいつまんで要点のみをしぼりましてお尋ねをしたいと思います。  去る二月十三日に、本委員会において通産大臣所信表明がございました。その所信表明の中で、まず、わが国の石油依存度は、世界で最も高い国の一つである、よって、これからの脱却を急がなければいけないということをはっきり明言されております。さらに、よって「五十五年度を「代替エネルギー元年」として位置づけ力強い政策展開を図ってまいりたい」。さらに、政府としても総合エネルギー政策の一環として石炭利用促進を図る、このため石炭政策を推進していく。さらに、よって「具体的には、貴重な国産資源である国内炭生産を長期的に維持するよう努めてまいる」こう申されております。  私は、石炭政策に対する大臣の非常に熱意のあることを高く評価し、敬意を表しながら、この大臣所信表明に対する具体的な問題について二、三点お尋ねをいたしたい、かように考えております。  まず私、冒頭にお尋ねいたしたいと思いますことは、国内炭維持のため今後ともに二千万トン体制維持されるということが十分考えられておるかどうか、この点をまず承りたいと思うのでございます。このわかり切ったことをなぜ私はお尋ねするかといいますと、御承知のとおり、国内炭の二千万トン体制は第五次政策の中で確認をされまして、四十八年のオイルショック以降、第六次新政策の中で、総合エネルギー政策の中に組み込まれ、さらに石炭が将来本格的に利用されることを考慮して、安定供給の一環として石炭を可能な限り活用することになっておるのであります。しかし、今日の状況を見ますと、その精神は本当に生かされておるかどうか、こういうことさえも疑われます。すなわち、二千万トン体制は名目だけに終わっておるのではないか、こういうことでございます。御承知のとおり、掘っても売れない石炭が存在するという現状では、全く、二千万トン体制というものが将来存続されるかどうか、ここに私は大きな疑惑を持つのでございますので、こういうような実情を踏まえながら、大臣は本当にこの二千万トン体制というものを、所信表明で申されましたように、石炭を前向きに、どういう姿勢で取り組んでいこうというような考え方を持っていらっしゃいますか、この点を特にこの機会に承りたい、かように考えます。
  143. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ごろも申し上げたのですけれども国内炭あるいは国際炭、海外炭と申しますか、に対する認識、需要等は、イランの問題発生以来急激に変化したことは申すまでもなく御存じのとおりだと思います。特に、国内炭の面から申し上げますと、需要は従来と違いまして非常に強くなってきておるということ、これは鉄あるいはセメント等がボイラーを油から石炭に切りかえつつある。その他の産業も政府自体もそれを奨励しておるわけですから、漸次そういう傾向になって、したがって、国内炭に対する需要というものは大変ふえてきておるということ、この需要が強いということは、やはり一つの非常に大きいインセンティブになるのではないかというふうに感じます。従来のように需要のないところへ出炭をして、そして貯炭をふやすといういき方では、これは出炭する側も、これはおのずから気合いと申しますか限度がありましょうし、今度は事情が違ってきておるわけですから、そういう点では、従来と同じ方式で各メーカー、需要家に割り当てる際でも、ずいぶん違ったいき方がとれるのじゃないかという感じもしますから、二千万トンそのものの体制維持のためには、これが一番新しい一つのファクターとして見ていっていいのじゃないかと考えるわけでございます。  それから、石炭利用面もずいぶんこれから変わってくるのじゃないか。液化などは少し先の話ですけれども、混炭方式なんというものは、どうせ早くやらにゃいかぬものでございますから、順次油と石炭をまぜて使うというこの方式だけは急激にまた伸びていく性質のものだし、また伸ばさにゃいかぬと思います。そういう面からいたしましても、需要の面でずいぶん変わってきたことにもなりますから、二千万トン、いまは若干、御承知のようにそこまでいっておらぬのは残念でございますけれども、しかし、この目標達成は別にそう心配することなしにいけるのじゃないかというふうに、少し楽観かもしれませんけれども考える次第でございます。
  144. 稲富稜人

    ○稲富委員 私が承りたいのは、その二千万トン体制というものを維持していかなくちゃいけない。これはどうしてもやはり積極的に維持するという、大臣、意欲はお持ちになっていると思うのでございます。その意欲を達成するためにどういうような具体的策をやっていくかということが石炭産業にとって最も必要なことだ、かように考えます。そういう点から、私先刻申しましたように、非常にこういうような貯炭がある。本当に坑内に働いている方たちが、石炭産業は非常に重大である、国策としての石炭産業の必要性を認識しながら坑内に下がる。出てくると、その貯炭の山が山ほどある。それを見るときに、果たして自分たちがこの石炭産業の苦しい事業に携わっておりながら、それじゃそれほどわれわれの石炭というものを国は要求しているのかどうか、こういうような疑惑を持つと、おのずから生産意欲も薄くなってくると私は思うのでございます。こういう点は非常にこれは重大な問題である、かように考えます。  二千万トン体制を確立するためには、今日の貯炭の問題をどうするかということは、非常にこれは積極的に考えていかなくちゃいけない問題ではないか、かように考えます。こう考えますと、いままでは国内炭貯炭がすでに三百四十八万四千トンあるということをわれわれは承っておるのでございます。すなわち、原料炭が百七十五万四千トン、一般炭が百七十二万七千トン、こういうような貯炭が生じておるのでございます。こういうような貯炭現状をどう消化するか、非常にこれは大きな問題であると思うのでございますが、これに対してはどういうような具体策をお持ちになっておるか、この点もこの機会に承りたい、かように考えます。
  145. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 国内炭貯炭につきましては、先生おっしゃいました数字でほぼ間違いないと思います。  これは五十三年度末の数字でございますが、現在セメント中心として一般炭がかなり荷さばきがふえております。そのほか電力用での一般炭のたき増しがかなりございます。それから鉄鋼の引き取りも、昨年並みにしていただいたということで、本年度末は昨年度末に比べまして約二十万トンの減少という見通しでございます。五十五年度以降が大変革の年になると思います。特に電力については、五十五年度に運開するのが北海道電力の苫東厚真というところで、これで大体六十五、六万トンの需要が創出されます。それから電発の松島一号、それから逐次、電発の松島二号、竹原の三号、ことしから着工するであろう北海道電力の砂川四号ということで、入れ物の方が一般炭では計画的に出てくるということでありますし、それから先ほどから御説明しておりますセメントの油から石炭への転換がかなりのハイスピードで来ておりますので、ここ一、二年で一般炭についてはむしろ不足ぎみという感じに相なるのではないかと見ております。それから原料炭につきましては、なかなか需要増の期待が現時点では見通せません。したがって、原料炭貯炭をいかにして吐き出すかというところが一つの政策課題ということでございまして、ことしの五十五年度予算でいま審議いただいている内容の中に、国内原料炭貯炭を吐き出すために二十億程度予算措置をして、それで約四十万トンの貯炭吐き出しをしたいというふうに考えております。それを五十五、五十六と二年間で整理いたしますと、その対策と、それから原料炭一般炭への若干の転換ということを背景にしますと、原料炭は約百万トンの水準に落ちるのではないかというふうに考えております。  その手だてを二つ組み合わせますと、五十六年度にはほぼ二千万トン程度需要規模になるのではないかということでいま検討を行っているというのが実情でございます。
  146. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、この機会に承りたいと思いますのは、政府は去る二月十五日の閣議におきまして、脱石油の基本法となる石油代替エネルギー開発及び導入の促進に関する法律案というものを御決定になったということを承っております。この法律によって石炭産業がどう好転するか、石炭産業が期待する点はどこにあるか、この点について、簡単に、要点だけをひとつ御説明していただけば結構でございますが、その点を承りたいと思うのでございます。
  147. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 国内石炭産業維持安定の基本法というのが現在あります石炭鉱業合理化臨時措置法でございます。これにつきましては、法律期限が五十七年三月に来るわけでございますので、これを念頭に置きながら新しい施策を考えながら合理化法の延長改正の詰めをしていきたいというふうに考えます。したがって、今度の新機構との関係では、直接、法律体系が別でございますので、あんまり関係はないと思います。現在、新機構ができましても、新機構で行われます国内炭の施策というのは、現在の合理化法の体系で現行どおり継続していくという形に相なっております。
  148. 稲富稜人

    ○稲富委員 この法律の内容を見ますると、やはりこの法律の中には、政府は大規模事業場、工場等に対しては、代替エネルギー導入可能な事業場、工場について導入計画の指針を提出させるとか、あるいはこれに対して政府は指導、助言することによって、国内炭利用については特に強力な指導、助言をしてもいい、こういう点もうたってあるとわれわれ知るのでございますが、そういう点から見ると、私たちは、これに対しては、あるいはセメント産業に対するとかあるいは電力、鉄鋼等に対する問題に対して強力なる指導、助言をもってこの国内炭の消費拡大に充て得るのだ、こういう期待も持つわけでございますが、いま部長のお話によりますと、そういう期待もされないということでございますが、この点私たちは非常に期待を持つわけでございますが、いかがでございましょう、その点伺いたい。
  149. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 ちょっと誤解を招いたと思いますが、合理化法石炭産業生産の側面をどうするかという助成措置でございます。いま先生の御指摘になった点は、石炭需要をどう造出するかという需要側面の話でございまして、われわれが先ほど御説明した数字は、そういう効果が出るとかなり一般炭需要が起きる、それを念頭に置いて中長期を考えると、石炭産業需要面での体制はかなり整備されるであろうということでございます。そういう面では期待しているということであります。
  150. 稲富稜人

    ○稲富委員 この法律が成立することによって、われわれは石炭産業の消費拡大の意味から相当の期待をできるということも期待を申し上げたいと思うのでございます。  それで、ここでお願いしたいと思うことは、現在、先刻申しました三百四十八万四千トンの貯炭のうち約八十万トンというのは三池炭です。原料炭が百二万一千トン、一般炭が七十八万四千トン、こういうように三池炭が半数以上の貯炭をなしているという状態でございますが、これに対しては、三池炭を火力の発電等に使用するというような特別な処置をすることが必要ではないかと思いますが、こういうことに対してはどういう考えを持っておられるか、承りたいと思います。
  151. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 貯炭対策の具体的対象として問題なのは、先生指摘のように三池炭の問題でございます。何分にも三池炭はサルファが非常に高うございます。したがって、通常の石炭火力という形では燃料として不適でございます。しかし、技術的には鉱害防止施設をつくればいい。それからその地域内における環境容量があれば処理できるわけでございますが、結局、現在のところでは環境容量の問題で地元の御協力がなかなか得られないというのが実情でございます。したがって、われわれとしては、三池炭につきましては、三池炭専用の火力を考えると同時に、環境問題に余り縁のないといいますか、産業としてはセメント業界がございます。セメントの方に大量に使ってもらうような形で、いまセメント業界といろいろアプローチをし、かつ石炭業界間でのシェアの配分をやり直しておるというのが実情でございます。
  152. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは、これに対して余り繰り返しておりますと時間がありませんので、次の問題に入ります。  次は、石炭再編成政策上から見ました今後の海外一般炭の大量輸入の問題でございます。  これは、先刻からもしばしば論議されておりますように、海外炭の大量輸入というものは当然起こってくると思うのでございます。これがわが国の国内炭への影響、輸入体制というものがどういう影響をしてくるかということは非常に大きな問題であると思うのでございます。特に私は、もう時間がありませんので締めくくりを申し上げますが、今日、代替エネルギーとしての石炭というものは、世界各国とも見直されておるということは御承知のとおりでございます。それで、その一般炭を求めて世界各国は豪州に殺到しているということも承っております。そういう結果から、最近豪州炭等も非常に値上がりをしておる、こういうようなこともわれわれは承っておるのでございまして、こういうような状態でいけば、将来海外炭の上昇というものもまた予期しなければいけないのではないか、こういうこともわれわれは考えられます。そういう点から、すでに今日、国内におきましていわゆる鉄鋼とか電力とかセメントとか紙パルプとか、こういうような業者間においてもすでに懇談会を結成して、秩序ある輸入体制をとろうというような協議も模索されておるようでございますけれども、聞くところによりますと、これもなかなか足並みがそろわないでおるということも承るわけであります。こういうことを続けておりますと、一方には英国とかあるいは東南アジアとか、こういうところからの買い付けも行くといいますと、ちょうどかつての石油地におきまする買い上げのように、その取引というものが狂乱状態を生ずるようなことになりますと、やはり日本が値上げをいたした、こういうことになって、世界各国から石油と同じような批判をされるようなことにならないとも限らない、かようなことを私は憂慮するわけでございます。  それで、この際、政府に申し上げたいと思いますことは、こういうような各産業、各企業がお互いに出先においてそういう競争をやらないためには、政府みずからが乗り出して、強力なる指導をすることによって、あるいは量あるいは価格の問題等も調整する、こういうようなことをおやりになることが非常に必要ではないか、こういうことを憂慮したしますので、われわれは石油の轍を踏まないように、この点を、この際、わが国として考えなくちゃいけないのじゃないか、こう思いますので、この点に対して大臣から特に承りたい、こういうように考えます。
  153. 森山信吾

    ○森山(信)政府委員 資源との結びつきの問題は、先ほど来議論がございましたけれども、私どもは、資源的な結びつきというのは、単に資源だけで結びつくという考え方ではなくて、もう少し広い形での結びつきというのが今後のエネルギー外交の展開上は必要であるのではないか、こういう考え方を持っているわけでございます。過去に石油につきまして、石油を一方的に産油国から買って、それに対する見返りは余りしない、こういうような苦い経験も持っておりまして、遅まきながら石油につきましてはしかるべき外交手段をいま考えているわけでございますけれども、いま御指摘石炭につきまして、たとえばオーストラリアの問題あるいは中国の問題あるいはカナダの問題等々が出てまいりますと、よりワイドな形での結びつきということを考えまして、単に石炭なら石炭だけを買いに行くことによりまして、その買い入れの秩序化ということ、これはもちろん必要でございますけれども、それだけでは済まない問題があるのではないか。もう少し広い形での国と国とのおつき合い、そういうことを通して今後の資源の確保を図っていく。資源産出国も、日本に対しましてそういう結びつきを持つことが安定した資源を供給するという考え方になってくるのではないか。こういうのが私どもの基本的な哲学でございまして、そういった大きな哲学の中におきまして、ただいま先生から御指摘のありましたように、買い付けをする人たちができるだけむだな競争のないような秩序ある買い付けをするような指導は十分してまいりたい、かように考える次第でございます。
  154. 稲富稜人

    ○稲富委員 最後になりますが、私たち承知しておりますことは、御承知のとおり、国内炭における石炭技術というものは、日本石炭の技術というものはもうすでに世界のトップにあるということも承っております。しかるにもかかわらず非常に価格が高いということは事実でございます。この原因というものは、やはり坑内掘りであるということとか、あるいは非常に石炭が深部化しているとか、あるいは遠距離輸送であるとか、こういうようなものが原因しているということ、これはもう否定できないのでございます。こういう点から見ますと、オーストラリアのような露天掘りとか、こういうものと比べますと全く比較にならない問題であるのでございます。そういう点を考えて、私たちは今後、日本国内炭をどう有効に生かしていくか、こういうことに対しては、私は、積極的に取り組まなくちゃならないのじゃないか、かように考えます。  われわれが聞くところによりますと、西ドイツではすでにエネルギー中心石炭だ、こういうことで石炭政策の強化を図っている、あるいは電力燃料は石炭を主力とする、こういうようなことで今日まで乗り切ってきたということも聞いておるのでございますので、この点を考えながら、われわれは、何とかしてやはりまず国内炭をできるだけ活用する、国内炭で足らないものはやむなく海外炭に求めるとしながらも、国内炭をどうして生かしていくか、この資源をどうするか、これは非常に重要な問題であると思うのでございまして、わが国の石炭政策上最も基本的な問題であると思うのでございますので、この点は特に大臣としての決意のほども承りたい、かように考えます。
  155. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も大臣になるまで実は余りつまびらかでなかったのですけれども石炭は統制がまだ残っておりまして、海外から入ってくる石炭は全部統制下に入っております、許可制度になっておりますから。それと国内炭とのコンバインをしながら、各需要家がどういうふうになるかということは、通産省の所管の一番大きい石炭政策だと思います。したがいまして、お話しのように、国内炭海外炭との混炭と申しますか、使い方をどうするかという点も踏まえまして、国内炭はもちろん最優先に買わなければいかぬわけでございますから、それを考えつつ海外から入ってくる炭をどう配分するか、これがお話しの一番重要な点だと思います。そういう点はあくまでも国内炭を優先に考えつつ海外炭との組み合わせを適当にさせまして、そして冬の需要に備えたいということでまずしばらくやれるのじゃないか。私はむしろもっと突っ込んだ行き方の方がいいのじゃないかと考えておったんですけれども、担当の皆さんに聞いてみますと、いやいや、いまの行き方の方がいいんですというかえってしっかりした立証をするものですから、それでしばらくやってみたらどうかというふうに考えております。
  156. 稲富稜人

    ○稲富委員 それで、われわれは国内炭を安全確保しながら生産量を増すということは、何といいましてもやはり保安体制だと思うのであります。保安体制を確立する費用というものは、積極的に国がめんどう見ながら、保安体制だけは確立して、安心して従業し得るような体制をつくってやることが、私は最も必要だと思うのでございますが、この点に対しましては、特に政府として保安体制をどう確立するかということを考えてもらいたいと思うのですが、この点どういう用意があるか承りたい。
  157. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 保安の問題につきましては、やはり国内炭維持する最大の基本だとわれわれは考えておりまして、予算措置の面におきましても毎年伸び率を最高にしております。それから研究開発についても相当の量、補助金で支出というのが普通ですが、これは委託費という形でまる抱えにしているというようなことで、技術面、予算面で強化するということをやっております。そのほか、保安を間接的に守るための監督官の巡回密度もかなり上げるということで、そういう面での補完もするということで、最終的に指標としては、災害率という数字がございまして、これが従来は百万人当たり四百とか五百という数字でございましたが、最近は百を切る炭鉱が出てきたということでございまして、これが労働意欲につながり、かつ生産の増につながっているというのが実情でございます。  私、直接所管しておりませんので、それ以上お答えできないのですが、大体概括的にはそんなことだと思います。
  158. 稲富稜人

    ○稲富委員 それでは最後に、これは先刻から各党の代表によっても述べられておりますが、御承知のように、産炭地での一番大きな問題は、すでに期限切れになろうとする石炭関係の六法の延長というものが希望されております。これは各党とも言われております。これに対してはいま実態調査中であるということでございますけれども、その結末はついていないのでございますから、これに対してはひとつ前向きで延長方を図る、こういうことで処してもらうということが最も必要かと思いますので、この点はひとつその結果があらわれますことを——特に大臣としての意のあるところを承りまして、私の質問を終わることといたします。
  159. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど来お答えしたとおりでございまして、ただいま検討中でございますが、さらに諸般の事情を考えまして検討を続けたいと思います。最善の道を選びたい、こういうふうに思っております。
  160. 稲富稜人

    ○稲富委員 それではこれで終わります。
  161. 岡田利春

    岡田委員長 これにて本日の質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十四分散会