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1980-05-08 第91回国会 衆議院 商工委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年五月八日(木曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 堀内 光雄君 理事 渡部 恒三君    理事 清水  勇君 理事 渡辺 三郎君    理事 近江巳記夫君 理事 神崎 敏雄君    理事 宮田 早苗君       天野 公義君    浦野 烋興君       小川 平二君    小里 貞利君       越智 通雄君    大塚 雄司君       鴨田利太郎君    辻  英雄君       橋口  隆君    深谷 隆司君       船田  元君    保利 耕輔君       水平 豊彦君    粟山  明君       渡辺 省一君    渡辺 秀央君       石野 久男君    後藤  茂君       上坂  昇君    渋沢 利久君       中村 重光君    山本 幸一君       木内 良明君    権藤 恒夫君       中川 嘉美君    森田 景一君       小林 政子君    安田 純治君       中井  洽君    横手 文雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 伊従  寛君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁石油部長   志賀  学君         中小企業庁長官 左近友三郎君         中小企業庁計画         部長      中澤 忠義君         中小企業庁指導         部長      植田 守昭君  委員外出席者         大蔵省銀行局中         小金融課長   小田原 定君         国税庁間税部酒         税課長     十枝 壯伍君         参  考  人         (中小企業振興         事業団理事長) 斎藤 太一君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 五月八日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     小里 貞利君   粕谷  茂君     船田  元君   田原  隆君     保利 耕輔君   原田昇左右君     渡辺 省一君   森田 景一君     権藤 恒夫君 同日  辞任         補欠選任   小里 貞利君     浦野 烋興君   船田  元君     粕谷  茂君   保利 耕輔君     田原  隆君   渡辺 省一君     原田昇左右君   権藤 恒夫君     森田 景一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第八九号)      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として中小企業振興事業団理事長斎藤太一君の出席を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 塩川正十郎

    塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
  5. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣どうですか、イラン制裁の問題で貿管令発動するといったことがもう相当固まってきたように報道されているわけです。しかもあなたの判断ということのようですが、どうして制裁の音だけが大きく聞こえてくるのだろうか。問題の円満な解決ということに何とか最大の努力を傾けていくというようなことは、おやりになっているのかやっておられないのか知らないけれども、そういうことについての情報というものが余り伝わってこない。通産大臣、ひとつそこらの動きをお聞かせいただけませんか。そして、貿管令発動というのは私は無理だと思う。国民経済の健全な発展といったようなことが、どうしてこのイラン制裁をすることによって期待されるのだろうか、拡大解釈であるというように私は考えるのです。率直なあなたの見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  6. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 貿管令発動は別に決めたわけでも何でもございません。いろいろ法的な解釈の問題とか、勉強はしておりますけれども、別にいつから発動するといったことを決めてはおりません。十七日までの期限で御承知のように人質問題の見通しがつくかどうか、それを踏まえましてECの外相会議が開かれるわけでございますので、その結果を見た上でなければ、こちらの方はまだ態度を決めているわけでも何でもないのでございまして、どの新聞か知りませんけれども通産省としましてはまだ態度を決定した問題でも何でもないことを、繰り返すようでございますけれども申し上げておきます。
  7. 中村重光

    中村(重)委員 あなたがいまここで決めたのだというはっきりした答弁をなさるであろうとは私は考えていなかったから、いまのような答弁よりも、私がお尋ねをしたことについて、研究をしているということですが、国民経済の健全な発展ということが貿管令の目的というか、法解釈はそこにあるわけです。したがって、イラン制裁ということは即石油が入らない、石油はいまでも価格の問題という形でとまっていますが、石油が入ってこないということになってきたら日本の国内は真っ暗になってしまうのですね。ですから、国民経済を守るなどということとは逆な形になる。そういうようなことがあってはならないと私は思うのです。研究をしていらっしゃるということであるから、研究をされている現状において、それらの点はどう判断をしておられますか。
  8. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 繰り返すようでございますけれども研究しておるだけでございまして、中村先生のお説はお説としてちょうだいしておきます。
  9. 中村重光

    中村(重)委員 そう木で鼻をくくったような答弁ではなくて、私もあなたに突っかかっているわけではないのですから。お説はお説としてと言うが、私はこう思うのだけれどもと言っているわけで、あなたの方としてはどうなんですか。でき得るならば貿管令発動というような形にならないようにしていくことが好ましいとお考えになっているのだろうと思うのです。それから、拡大解釈ということになるのではないかということについては、いまあなたはお説はお説として伺うと言ったのだけれども、あなたの方としてはこれは拡大解釈になるのではないかなといったような懸念は持っていないのですか。
  10. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほどから申し上げましたように、人質問題が片づけばそれでよろしいわけでございますから、人質問題が片づくか片づかぬかという問題は、ヨーロッパの数カ国と日本の大使が向こうに申し入れまして、結果を待っているわけでございます。したがいまして、その結果によるべき問題でありまして、お説のようにその事前に問題が処理できればこれにこしたことはございません、発動する必要も何もないわけでございますから。こう答える以外にしようがないと思います。
  11. 中村重光

    中村(重)委員 国際的な問題だから、あなたが慎重な答弁をされるということはそれなりに理解ができるのです。ただ、私がこう申し上げているのは、イデオロギーとかなんとかで申し上げているのではないのです。あなたも心配しているだろう、私も心配をしている。だからそういったような考え方の上に立って言っておる。これは制裁ということだけが大きく音が聞こえてくるのです。この人質問題というのはこの前も私は指摘をしたのだけれども、なぜ人質問題というのが起こってきたのか、そういった原因究明もあるだろうし、だから大国大国としての謙虚な態度というものも必要になってくるであろう。そうしなければ国際的な平和というようなものは期待できないわけなんだから、それらの点についてはともかく原因究明も行い、アメリカ反省を求めるところは反省を求めていく、そして円満な解決ということ。おっしゃる人質の解放というものは当然これはなされなければいけないのだから、そのことについて強い力で圧力をかけてこれを解決をするというようなやり方は、どこかにまた大きな混乱を引き起こす原因をつくり出すということだけは私は間違いないと思うので、それらの点については十分ひとつ日本もみずから主導権を発揮するところは主導権を発揮して、そして対処していくということを強く要請をしておきたいと思います。  それから、神谷審議官がお見えですが、先般商品取引員許可更新があったわけですが、ずいぶん慎重な態度をとって、農林省とも連携をとりながらこれを実行したようでございます。最近商取業界のいろいろの業績不振といったような点から、この取引員倒産をするというようなことが相当伝えられているわけですが、この点調査をしていらっしゃいますか。
  12. 神谷和男

    神谷政府委員 御指摘のように、登録更新に当たりましては、消費者保護の観点からその業務の遂行状況についてよく調査をいたしますとともに、対象者財務内容等について慎重に調査をいたしながら、若干体質改善の必要なものにつきましては一定の措置、報告あるいは取引状況について一言で言えば安全運行するような行政指導をしながら体質改善に努めておるところでございますが、一部御指摘のように問題のある社があるというふうに承知いたしておりますので、これらにつきましては取引所を通じながら実態を聴取しつつ、当面第一義的には自助努力財務体質改善、立ち直りを図るよう指導しておるところでございます。今後状況は十分フォローしてまいりたいと思っております。
  13. 中村重光

    中村(重)委員 許可制に移行したときも、ABCの三つにランクづけをした。ところが、Aにランクされたものがどんどん倒産をしていく。やはりそれらの点を、なぜにAにランクされるいわゆる通産農林両省が最も優秀、優良と見た企業倒産をしたのだろうか、どこに原因があったのかということは当然反省として、今回の更新に当たっては対処したのであろうと私は思うのです。むしろあなたが現職におつきになります前にすべての準備はでき、そういうことであなたは十分把握をしておられないと思うのだけれども、改めてひとつ調査をされて、今後そのような事態が起こらないように十分最善を尽くしていくということが必要だろうと思いますから、そのことを強く求めておきます。  通産大臣、この低経済成長体制の中で特徴的にあらわれた現象という点で、どのようなことを挙げることができますか。
  14. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 中村先生、まことに恐縮でございますけれども、もう少し、どういう趣旨かよく聞き取れなかったものでございますから、恐縮でございますけれどももう一遍お願いします。
  15. 中村重光

    中村(重)委員 これは常識的に考えてみて、中小企業と大企業との競争激化中小企業同士競争激化、それからスーパー等進出といったようなこと、それから最近は、私は先日の当委員会においても申し上げたのだけれども、フランチャイズであるとかあるいはミニスーパーであるとか、しかもこれらが都会だけではなくて、相当人口密度の高い町村等にもどんどん進出をしていくといったようなこと、それから農業団体なんというようなものが、私どもが予想だにしていなかったともかく直販体制といったようなことで、もう一般の総合商社並みのことをやっていくといったようなこと等、私は特徴的にあらわれた現象であるというように考えるのです。それに対してどう対処していくのかというようなことは、これは少なくとも通産大臣として一番頭の痛いところであろうし、また相当強い研究と決意を持って対処していくということでないと、このあらわれた現象というものを解決をすることにはならない、そのように私は思うのです。ですから、ひとつあなたから、それらの点に対しては具体的に申し上げたから、対策を含めて考え方を聞かせていただきたい。
  16. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も先般山形県に参りました際にお話しのような問題が起きておりまして、農協という看板でいろいろな大企業が出資をしているような話がございました。その問題に対して対処方法がないのかというと、いまの法規ではどうにもならぬというお話で、これは大変困ったことだな、そういう問題に対してどう対処していくか、法的な整備が必要であれば、それも政府としてやはり考えざるを得ないのじゃないかという感じがして帰ったのでございますけれどもお話しのようにいままでの法規で救済できるものであればそれでもよし。それでは解釈その他も大変むずかしいし、新しい何か法的な一つ措置が必要だとあればつくらなければいかぬものじゃなかろうかという感じもいたしまして、御承知のようにいまの法規だけでお話しのような問題を全部カバーできるかといいますと、なかなかそうもいかぬような時勢になっているような感じがしております。
  17. 中村重光

    中村(重)委員 これは長官からお答えいただいて結構だけれども、五百八十一万事業所という中小企業の中には、大企業競争をしても負けないぐらいの中規模的なものもありますが、かと言って生業型の、実に小規模零細な企業というものが圧倒的多数なんで、非常に多様である。それだけに多様な政策配慮というものがなされなければいけないと私は思っているのです。その点に対しては白書もお出しになっておられるのでしょうが、相当長い間それらの点については研究し、白書もおつくりになった。私も、まだ正式にお出しになっていらっしゃらないのでしょうからそれは十分見ていませんけれども新聞報道等を通じてでも知ることができるわけですが、若干甘いという見方もしておるように私なりに受け取っているわけです。ですから、あなたからひとつ政策配慮という点について考え方を聞かしていただきたい。
  18. 左近友三郎

    左近政府委員 ただいまお話しになりましたように、今後の経済、八〇年代の経済というものを考えてみますと、やはり過去のような高成長は望めないというのが現状でございます。そのほか国際関係国民のニーズの多様化等々いろいろな現象が起こりまして、そういうことを考えますと、やはりそういう企業間の競争が厳しくなる。ことにいま御指摘のように大企業中小企業との間の競争が厳しくなる、あるいは中小企業間の競争が厳しくなるということが考えられます。そしてその時点におきましてやはり弱い、中小企業の中でも弱い層というものをどういうふうに持っていくかということが非常に大きな問題になろうというふうに考えておるわけでございます。今年の中小企業白書にもそのような分析をしておりますし、また、実は八〇年代の中小企業政策のあり方につきまして中小企業政策審議会でいま検討していただいておりますので、その検討の結果を待ちましてそれに対する対策考えたいと思っておりますが、われわれの基本的な考え方は、中小企業の中でも自立できる、積極的に活動できるものはますますそれを促進するけれども、弱い中小企業についてはその不利の補正をいたしまして、そして現在からますます競争が厳しくなってくる中でいろいろな対策を講じて、半面大企業の横暴を抑えるという政策をとるとともに、また他面零細な中小企業振興を図るという両面の政策でもって、弱い中小企業を将来日本中小企業の中で大いに発展できるようにいたしていきたいというように考えているわけでございます。白書につきましては現状分析でございますので具体的な政策は出ておりませんけれども、八〇年代のビジョンにおきましてはそれに対する政策の方向も明らかにしていきたいというように考えておるところでございます。
  19. 中村重光

    中村(重)委員 日本ぐらい中小企業関係法律制定されている国は先進国家の中ではありませんね。     〔委員長退席渡部(恒)委員長代理着席〕 しかしどうも動かないんだな。法律の本数は非常に多いんだけれども実際動いているのは数少ないということ。それと、立法化をし制度化したかと思うとそれを追い越すような商魂たくましい企業動きというものが出てくるのですね。一概にそれは非難すべきものじゃない、やはり活力というものは必要なんだから。だからそういう中でいま長官がお答えになったようなバランスのとれた政策配慮というものがなされなければいけないと思うのです。  それと、いま地方時代ということが言われているのです。これは言葉としては定着をした。しかも政府の方から相当地方時代というようなことを強調する。大平総理は総裁になります前に、日本は非常に中央集権的なんだ、これを地方分権化しなければ地方産業発展もあり得ないし文化の向上もできないんだということを言い切った。私はこの間予算委員会自治大臣に、地方時代とは何かと聞いた。地方時代とは、現在の中央集権的なものを分権化していかなければならない、改めなければならないと考えています、これが地方時代です、こう言っているのです。総理も言う、自治大臣までこう言っているのです。また通産行政の中においても地方自治体権限をできるだけ移譲していこうというような動きもなきにしもあらずなんです。大店法の一種、二種というようなことにしておるのは一つの例として私は受け取っているわけなんですが、しかし、この際思い切って地方自治体権限を移譲していくというような、具体的な検討に入ってみなければならない段階にあるのではないかというように実は考える。地方の実情、地域振興バランスのとれた行政推進といったような点からそのことが必要であると私は考えているわけなんですが、それらの点に対してはどうなんですか、大臣
  20. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 確かにお説のとおりだと思います。たとえばエネルギー問題一つ例にとりましても、ローカルエネルギーなんというものはかつてあったわけではないのでありまして、これがだんだん地方の自治体を通じてそういうものの成長、開発をひとつしてもらおうじゃないかという空気になっておりまして、地方地方でそれを受けまして大変活発にことしあたりから、いわば一種活力として動き出しているような状況でございまして、アメリカなりヨーロッパ地方制度までいかないにしても、地方のある程度の行政権財政権の強化というものがこの際は必要じゃなかろうかという感じは私もいたしております。
  21. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど私は農協の問題を取り上げたんだけれども通産大臣国会議員農協の気に食わぬことを言ったらえらいことになると言って、農協の気に入らないことを言うことはちゅうちょするという政治家が非常に多いわけなんだ。ところが最近の農協事業推進の態様というのか、余り度が過ぎているんじゃないかと私は思うのだな。不動産業をやる、マンション等建設、ともかく数え切れないぐらいで、まさに総合商社そのままだ。ガソリンスタンドなんかもそうですよ。農協農協法に基づいて農民に対するところの福祉、福利の事業を行うということになる。ガソリンスタンドなんというものは国道筋スタンドをつくって既存の中小スタンドというものが圧迫されるというような、そういう姿というものは適当な行き方ではないと私は思っている。いまのような農協やり方をいたしますと——信用事業をやっているところの労働組合労生協組合員の住宅の建設等々についてはいろいろと世話をしているようですが、これは当然な話なんだね。ところがいろいろな団体生協でもそうなんだ。生協員外利用は認められていない。農協は二〇%の員外利用が認められている。ところがこの二〇%の員外利用というものも決算をしてみないとわからないのだ。これは二〇%か五〇%の員外利用をしているかどうかわからない。そうすると農協がそういうように無秩序に、農民から預っている金を利用してどんなことでもやるということになってくるならば、今度は生協も、われわれの方にもそのことを認めなさいということになるだろう。いろいろな団体がそういう形になっていく、こういうことは好ましい姿であるというように考えられるんだろうか。今日、低成長下におけるところの中小企業、これに活力を与える。この中小企業の勤勉、努力、そのことが今日の経済を支えている原動力であるというようにすら私は考えているんです。これを押しつぶしてしまうような現象というものは何としても是正されていかなければならぬというように思っているんです。これらの点に対しては通産大臣、あなたはどうお考えになりますか。
  22. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 農協には農協本旨、設立の趣旨というものがあるはずでございまして、その本旨から考えますと、他省に属する問題を批判するわけではございませんけれども、しかしお話しのように少し本旨にもとったと思われるような事業もやり過ぎるんじゃないかという感じはします。
  23. 中村重光

    中村(重)委員 森山長官もお見えですが、ガソリンスタンドで、揮発油販売業法というものの制定をして登録制というものをつくったんです。この登録制それなりに私ども審議を行ってきたわけですが、この登録制が現在の状況からして正しく運営をされているというようにお考えになっていらっしゃるのかどうか、登録制とは何か、そのことについてひとつ考え方をお聞かせいただきたい。
  24. 森山信吾

    森山(信)政府委員 お話しのとおり揮発油販売業法におきましては登録制という制度をとらしていただいておるわけでございまして、これを認可制あるいは許可制にすべきか登録制にすべきかということは大変な議論があったわけでございますし、先生からもたびたび貴重な御意見を拝聴したわけでございますけれども、現在のところは登録制ということで運営をさせていただいているわけでございます。いろいろメリット、デメリット考えまして登録制ということに踏み切らしていただいたわけでございまして、私どもは現行の体制ではいまの登録制が最もふさわしいのではないかという気持ちを持っておりますけれども、間々その登録制のデメリット的なことも見受けられないわけではございませんので、そういう点につきましての十分なる補強工作を講ずることによりましていまの制度を存続させていただきたい、こういうふうに基本的に考えている次第でございます。
  25. 中村重光

    中村(重)委員 揮発油販売業法制定は、実際は無印というものが当時出回っておった、非常に競争状態で、価格競争でもって落ち込んでいく、ましてや無印が出回っているということがさらに拍車をかけるということ。全くいまの現象は百八十度変わってきたわけだ。だからしてこの揮発油販売業法ということ、いま自民党の中でも登録制の問題、ガソリンスタンドの問題についていろいろと何か規制を加えるというのか、あるいはさらにこの拡大をしようとするのか、いろいろ研究をしているように伝えられているのだけれども盲点があるんですね、長官。     〔渡部(恒)委員長代理退席中島(源)委員長代理着席登録制で認められなければならぬ。これは販売をすることはできないですね。ところが届け出によって設備を行うことができるのです。この間も農協一つそういうことをやられた、通産局は書類を受け付けたんだ。相手は設備には相当の金をかける。してみると既成事実ができ上がってしまった、これを認めなければならぬという形に追い込まれてしまうのですよ。そうすると登録制というのは何だということになってしまうのだな。だから私はこれは盲点だと思うから、届け出工事着工設備をつくることに着手するという行き方は、これはひとつ改めていかなければいけないのではないだろうか、こう思うのです。それらの点に対してはどうお考えになりますか。
  26. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほど私がお答え申し上げました中に、ある種のデメリットがあるというふうに申し上げた点がいま中村先生から御指摘の点であろうかと思います。つまり登録を受けなければならないわけでございますが、その前にすでにガソリンスタンド建設に着工いたしまして、それから申請をしてくるというケースが間々見受けられるわけでございまして、これが結果的に登録要件に該当しておれば問題はないわけでございますが、これは結果論として問題ないわけでございますけれども、あらかじめ届け出をする前に建設に着工をして、それが登録要件に合致してないということになりますと大変な問題になるというような問題意識を持っております。  そこで私ども通産局を指導いたしまして、あらかじめ届け出あるいは建設に着工される前に通産局へ事前の御相談をしてもらいたい、こういう指導をしなさいということを周知徹底させておるわけでございますけれども、御指摘のとおり必ずしもそれが一〇〇%守られてないという現実のうらみもございますので、その点につきましてさらに一層の強化に努めてまいりたい、このように考えております。
  27. 中村重光

    中村(重)委員 これは指導行政だけではだめなんです。だからどうしても法的整備が必要になってくるだろうと思うのです。直ちにそういう整備の検討を加え、そして速やかに結論を出して法的整備をやる必要があるということを私は申し上げておきます。行政指導ではどうすることもできないのです、相手が強い力を持っている場合においては。これはもう現場は大変なんですから。  さて、私は先ほど農協の多様な事業の進め方ということについて批判的に申し上げたのですが、農協がなぜにそういうことをやるかということになってくると、やはり今日の流通、それから物価高、そういうものを私は見逃してはならぬと思う。やはりできるだけ安いものを欲しい。生産者というものは幾らで自分は生産して幾らで売ったかということを知っている。ところが小売店で販売されている価格というものは、生産者が販売した価格とはもう大きな開きがある。これは流通経路というものはきわめて複雑なんだということでは話にならないといったようなことが、農協のそういう生産者を守っていかなければならないという考え方の上に立って、そのためにはやはり消費者にできるだけ安い品物を提供していかなければならないんだ、そういう善意な考え方というものが、事業をやると非常に活発な事業活動ということになって、どうも行き過ぎだという形になっているということも肯定をしなければならぬと思う。それに引きかえて中小企業というものは私は本当に団結力が弱いと思う。それと、いま審議をいたしております中小企業協同組合等の場合においても同じなんです。もう二十年を数えてきている、中小企業団体等が法制化されて生まれてまいりましてから。国としても相当きめ細かい施策を講じられた、助成措置も講じておられる。しかし中小企業団体というのが本当に活力ある活動をしているだろうか。私は残念ながらきわめて不活発だと申し上げざるを得ない。また中小企業庁においても、何回か申し上げたことがありますが、農林水産省なんかにおいて生鮮食料品等の販売についてモデル商店街等をつくって、相当活発な活動というものを中小零細企業に対して促している、それが消費者の利益を守っている、そのことが中小企業の経営安定にもつながっていく。中小企業団体というものがもっと活発に活動して国や地方自治体との連携を密にして、そして直接的な助成措置であるとかあるいは誘導政策というものを推進していくということになるならば、中小企業というものはもっと合理化、近代化されて、流通機構とか流通経費というものも削減をされて、そして経営を健全化していくことは、私は可能であると思う。その点に対しては中小企業庁の取り組みも弱いということを指摘しなければなりません。  いま協同組合法に対する改正法案を私ども審議をいたしておりますが、まずこういった個々の問題についても改めるところは改めなければならないけれども、基本というものをしっかりしておかなければどこかを少しずついじくってみたところで活発な活動を促すことにはならぬ、私はそのように思います。その点はどうお考えになりますか。
  28. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業者が今後の発展を図るためには、やはり団結をいたしまして組織化をし、組合をつくって大企業にも対抗し、またみずからの発展を期待するというのが中小企業対策の基本的な考え方でございまして、そういうことから、現在御審議願っております中小企業等協同組合法も昭和二十四年に制定されて、自後その組合活動を強化してきたわけでございますし、組合運動そのものは実は戦前かち引き継がれてきたわけでございます。したがいまして、非常に古い歴史を持ち、また中小企業政策の基本として運営をしておるわけでございますけれども、いま御指摘のとおり必ずしもこの運動なり個々の組合活動が非常に活発であると言い切れない分野のあることは事実でございます。そういうことでございますので、われわれといたしましては中小企業団体中央会等を通じまして、組合活動を活発化するということを逐年政策として取り上げてまいりまして、現在では組合対策推進ということで、五十五年度予算では三十四億ぐらいを計上いたしましてやっておるわけでございます。ことに最近の状態では、組合自身の活性化と申しますか、組合員自身の活力を増すということから、人材の養成とかあるいは情報の浸透というような分野の充実を期しておるわけでございます。そういうことでございまして、われわれといたしましても、今後の中小企業対策一つの大きな柱は組合対策というふうに考えておりますので、今後とも組合を活発に活動させるような施策を十分講じてまいりたいということを考えておるわけでございまして、また今回の法律の改正もそういう一環として必要な改正をお願いをしておるというのが現状でございます。
  29. 中村重光

    中村(重)委員 私は、先ほど地方自治体に対する権限移譲といういろいろな例証を挙げて実は申し上げた。そういったことについての具体的な答弁というものがなされていないわけだな。だから大店法を五百平米に下げていわゆる二種をつくったときに、地方自治体では三百平米というのを条例でもって規制をするというような形があった。ところが法制局の見解としては、千五百平米以上の場合に三百平米ぐらいで条例化しているということは違法ではないということで、今度五百平米に引き下げたという場合に、地方自治体でやっている条例というようなものはこれでもう廃止してもらうというような期待というものが通産省にはあったのだと私は思っているのですよ、ところがフランチャイズの問題とかあるいはミニスーパーであるとかいろいろなことが出てきてみると、これはもう廃止どころではなくてむしろ強化をしていかなければならないというようにすら考えられるわけですね。それらのことに対しては、私は地方自治体と連携をとりながら地域の実情というものを把握をし、地方産業発展地方振興を期していく必要があるのではないかというように申し上げたわけですが、そういう具体的な問題とあわせて私の提起に対してはどうお考えになりますか。大臣を初めそれぞれひとつ、具体例を挙げて申し上げたのだから、お答えをいただけませんか。
  30. 神谷和男

    神谷政府委員 大店法の改正の経緯につきましては先生指摘になったとおりでございまして、私ども五百平米まで下がりました段階におきましては、大店法の法律が対象としておりますものに関しましては大店法の運用によって調整をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございますが、ただきわめて小規模な店舗その他において、地方自治体固有のコミュニティーづくりの観点から、別途の条例その他による調整あるいはその他のコントロールを行うというケース、これは法律先生のおっしゃったような問題もございますし、また独特の要請というのもあろうかと思います。特に小売商業でございますので、末端の需要者につなぐパイプであるという面を強調いたしますと、地方独特のニーズあるいは特性というものがございます。仕入れその他の面から見たり、あるいは店舗の大きさによって商圏の広がり等を考えますと、小単位の自治体においては対処しがたいというような問題もあろうかと思いますので、現在大店法では五百平米以上をそういう形で法律で規制をしておるわけでございますが、それ以下のものに関しての地方の条例その他は固有の要請に基づくものと考えられますが、別途憲法の営業の自由その他等を勘案しながら適切に考えていくべき問題であろうかと考えております。  全般の動向につきましては私ども常時ウォッチをしてまいりたいと思っておりますし、先生指摘のように地方独得のニーズに基づき、地方のコミュニティーづくりという観点から主として考えるべき問題と、調整の手法あるいは流通の合理化といったような観点で、全国的規模でとらえるべき問題を二つに分けまして、その複合の度合い等を見ながらケース・バイ・ケースで考えてまいりたいというふうに考えております。
  31. 中村重光

    中村(重)委員 長官、寄り合い百貨という制度があるのですよ。ところがどうも活発ではない。だから寄り合い百貨であるとか共同スーパーといったようなものをもっと活発に助成もし、誘導もしていくというようなことをされる必要があるのではないか。協同組合中央会であるとか、商工会であるとか、ここらに農業団体のような形で相当活力を与えて、活発な動きをさせていく必要があるだろうと私は思うのですね。  東京にはほとんど私は姿を見ないのだけれども、ぼくの県なんかは生鮮食料品を販売する市場というのが非常に多いのです。これに対して農林省が定額補助であったのを今度定率補助に改めた。それで一億円の金をかけて市場をつくるということになってくると、前は定額であったから二千万円以下であった、今度は四千万円も五千万円もという形になってきて、さらにそういう市場形態というものが促進されるということになってきた。そうすると共同仕入れなんかもある。安く仕入れてコストも下がる。消費者にも安く提供する。消費者はあっちへ行ったりこっちへ行ったりする必要はない。私は中小企業庁はもっと力こぶを入れてこういうことをおやりなさいということを口が酸っぱくなるくらいに実は毎回申し上げている。  そこで、中小企業の担当庁である中小企業庁の長官は閣議に出席するくらいの力のある長官でなければいけないということになってくるが、あなたに私は言うのじゃないのだけれども、「夕官」だと言われたってしょうがないくらいにしぼんでおる。だからどうなんですか、あなたもいつまでも中小企業庁長官であられるわけじゃないのだけれども、最後の花を咲かせるぐらいに活力を与えるような何かを書いて、これを残していくというような迫力のある一つの構想をこの際練って、そしてそれが実践されるというようなことをおやりになる意思はありませんか。
  32. 左近友三郎

    左近政府委員 いま実例にお挙げになりました小売店の共同化事業、いわゆる寄り合い百貨店等につきましては、中小企業の高度化事業といたしまして振興事業団が金利としても非常に有利な二・七%、貸付期間も非常に長いというものをやっておりますし、特別事業といたしましては無利子の金も貸してやっておるということで、相当全国各地に進出しておりまして、ちょうど一昨日の夜でございましたか、NHKでも放映しておりましたけれども、広島県の三次市で地元の小売店の方々が寄り合い百貨店をおつくりになって、それも二カ所できたのですが、そのことによって三次市にいわゆる大規模店舗の進出を阻止し得たという例を放映していたわけでございまして、それについては高度化事業の無利子の金を借りてやったということを言っておりましたけれども、そういうものが現実にだんだんできてきております。したがいまして、われわれは今後もこうした政策を充実してまいりまして、中小企業のために努力をしてまいりたいと思っております。  なお、一般的な中小企業対策につきましては、先ほど申しましたように現在八〇年代の中小企業政策はいかがあるべきかということを中小企業政策審議会で御審議を願っておりますので、これは今月末あるいは来月早々結果が出てくると思いますので、こういう形で今後の政策の展望、それから過去の政策反省というものをいたしまして、中小企業のために中小企業庁が何かお役に立つというものを大いに推進していきたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 中村重光

    中村(重)委員 それはあなたがいまお答えになったように、マル経資金であるとか、後で来られる振興事業団の扱っている高度化資金、特別高度化資金、これは非常にいい制度なんです。ところが問題点は、高度化資金の方は地方自治体に対する負担というものをフィフティー・フィフティーから低くした、国の負担を大きくしたのだが、特別高度化資金はフィフティー・フィフティーだから、地方自治体の財政的な面からなかなか受け入れることができないのだ。富裕県の方はいいだろうけれども、弱小県というのはなかなかできない。ここへアンバランスができてくるということもあるわけだから、現在八〇%のうち国が四〇%、地方自治体が四〇%、どちらも負担割合が五〇%だから、この負担割合を大蔵省とも強力に折衝して国の負担割合をもっと引き上げる、あるいは地方自治体が金が出しやすいような、素地はありますから、そういうことをひとつ検討して実施に移していくということをおやりになるように強く要請をしておきます。  法律の中身について申し上げるのですが、内容的には必要なことばかりでして、むしろ改正が遅きに失したということです。ですからこれは私どもは賛成でありますが、問題は、火災共済にいたしましても、この団体を十分指導していくのでないとこの共済の掛金というものを他に流用して、むしろ業務上横領というような形にすら判断されるような事例も多いですから、そこら辺あたりを十分注意をして遺憾なきを期してもらいたいということを申し上げておきます。  それから役員の選出方法、これも実情に即するような改正であるというように評価を私はいたしております。これはどうなんですか、異議ありということになってくると、選考委員をもって選ぶか投票にするかという場合、大体原則として投票ということにしなければならないのですけれども、そこらあたりは関係ないのですか。その点をひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。一般的な常識としては投票という声が出ると投票にしなければならぬということですが、そうじゃなくて、出席者の多数決によって何かそこで決めるというような形でもって運営をしようとお考えになっているのか。やり方いかんによっては民主的な運営を阻害するということになりますから、そこらの考え方をひとつお聞かせをいただきたい。  これは簡単な問題ですから全部言います。  休眠組合の方もそうですが、四十九年でしたか、商法改正をやりましたね。これに準じて休眠組合の整理をおやりになるのだろうと私は思っているのだけれども、その点はそうなのかということ。  余り一遍に言ってしまうと答弁がしにくいだろうから、ここらあたりで一遍答弁してください。     〔中島(源)委員長代理退席委員長着席〕
  34. 左近友三郎

    左近政府委員 まず第一点の火災共済協同組合の問題でございますが、これは一般の協同組合以上に多くの人の掛金を預かりまして、いざというときに備えるということで非常に公共的な色彩が強いわけでございます。したがいまして、監督につきましても一般の事業協同組合以上に強くしておりまして、この検査とか監督とか変更命令ということにつきましては保険業法を準用しております。つまり一般の保険業と同等の監督をしておるということでございますし、そのほか事業方法書とか共済約款等々の認可を受けることを義務づけておるというふうないろいろなことがございます。そしてまた、大蔵省の財務局と通産局とが共同いたしまして立入検査等々もやっておるわけでございまして、こういういろいろな一般の組合以上の厳格な検査、監督ということによりまして、公共性の高いこの組合が円滑な運営ができるように、われわれは今後も気をつけてまいりたいというふうに考えております。  それから次は選任制の問題でございますが、従来は選挙というのが原則になっておりまして、その選挙にかえて指名推選制をとることができるということになっております。指名推選制というのは、いまお話のありましたように、指名推選をいたしますかということを総会で諮りましたときに、一人でも反対がございますと指名推選制ができなくて選挙しなければいけないということに現在なっておるわけでございますが、選任制というのは、役員の候補者を推選する方法を定款であらかじめ決めておくわけでございます。たとえば地区別に推選委員をつくって推選するとか、あるいは業態別に決めるとか、これは定款で決めるわけでございます。そういう役員の推選者、推選母体というものをつくっておきまして、その推選母体から役員の名簿を構成いたしまして、役員名簿を一体として総会にかける。その場合に役員名簿についての決定は多数決ということになるわけでございますので、この場合におきましては一人の反対が出たから役員は選挙に移行するということはないわけでございます。ただ、そのときに理事会等で役員の名簿を提出いたしますと、あるいは場合によっては非民主的なことが起こる可能性もないわけではございません。したがいまして選出母体は理事会以外のもので、いま申しましたようないろいろな例があると思いますが、選出母体を決めまして、その選出母体から役員の候補者を選出させるというふうなことによって非民主的にならないような方法を考えていきたい、これは模範定款例その他によってこの点を指導していきたいというふうに考えております。  なお、選任制を導入いたしましたけれども、従来の方法ももちろんとり得るわけでございまして、それは組合の実情に応じて定款によって決めればいいということでございますので、全部選任制に移行するというわけではもちろんございません。  それから、休眠組合の整理は御指摘のとおりでございまして、昭和四十九年の商法改正で休眠会社についての整理というものが出されております。あるいは昭和五十四年には民法改正によりまして休眠法人の整理の規定も整備されておりますが、そういう整理にならってやるということでございます。
  35. 中村重光

    中村(重)委員 役員の選出の方法、確かにいま一人でも反対したらということで運営がむずかしい点があることは私も認めるのです。かといって、ボス化しないようにやらないと、これから中央会に対する協同組合——私が先ほど申し上げたように、中小企業活力を与えるということは団体そのものに活力を与えていかなければいけない。そうするといろいろな事業をやっていくようになる。また、法律もそういうように改めるとごろは改める。無数の法律があるものだからあっちこっちひっかかってなかなかうまくできないんだけれども、やはり中小企業の無数の法律の整理統合、見直しということも考えてみなければならぬ段階にあると私は思うのです。前の法律はそのままにして新しいものをどんどんつくっていって積み重ねる。そして法律そのものがお互いに牽制し合って、中小企業活力を与えるのではなくて阻害をするという現実があるということだけはお考えにならないといけない。ぼくらも、超党派的に国会の場でも見直しをしてみる必要があるとすら考えているわけです。だからしてそういうことも必要になってくるのです。ところが現状はこういう形であるのですから、活発な活動をさせるということになってくると役員の選出のあり方なんということにもいろいろむずかしい問題が出てまいります。ですから、非民主的にならないように、民主的な運営がされるような指導をやっていただくように強く要請をしておきます、この改正案には賛成をしますから。このことをつけ加えておきます。それから休眠組合の場合の債権債務の関係というようなもの、これは四十九年の改正によると十年間登記事務等を行わなかった場合ということだから何も問題は起こってこないのだろうけれども、整理に反対とかなんとかといった形が出てきた場合はどうなるのでしたかな。ここらをひとつ……。
  36. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいま申されましたように、十年間登記がなかったという組合につきましては解散したものとみなすということになるわけでございます。解散したものとみなされますと、解散の後は清算法人に移行するわけでございまして、そうなりますと、清算の目的の範囲内においてのみ事業活動が行えるということで、通常の事業活動は行わないということになるわけでございます。  そこで、先生の御指摘の点は、そういった場合に何か問題が起こるかということでございますが、たとえば自分で過って十年間登記しなかったが、実際には組合を継続したいんだ、法律がよく浸透していなかったというふうな場合には、三年のうちにわれわれは継続したいんだということを特別決議いたしまして、行政庁の認可を得ればそこでもう一度継続できるというふうな救済規定は置くことにしております。そういうことによりまして、過って、うっかりしていたために解散したものとみなされて実は組合の意思に反するような結果になるということは防ぎたいというふうに思っております。
  37. 中村重光

    中村(重)委員 権利阻害にならないようにそこらは十分慎重にやってもらいたいと思います。  それから、団体からは組合員の出資口数制限の緩和をしてもらいたいとかあるいは組合員の脱退の自由を制限してもらいたいとか、いろいろな要請を政府も受けておるでしょうし、私どもも受けるわけですが、口数の制限を余りやりますと特定の者が権限を持ち過ぎて、それこそ運営自体が非民主的になるという可能性がありますから、この点の改正は現状においては必要ないと私は思っているわけです。それから加入、脱退の自由の問題、これはあくまで自由である。ところが、脱退の際に団体に財産があるときに問題が起こるおそれがあります。そこで、組合員の脱退に対する持ち分の払い戻しについては四十六年一月六日付でもって指導部長からでしたか、通産局であるとかあるいは都道府県に対して指導通達が出ているのですね。ところが、その前に四十四年の最高裁判決というものが出ているわけです。この判決は時価でもって払い戻しをしなさいということになっています。通達は、全部でなくても一部でも定款で決めればよろしいよということになっていますから、この点は四十四年の最高裁の判決を十分検討した上で、この通達のとおりやることは矛盾がない、こういう確信の上でおやりになったのだろうと思っていますが、そこは大丈夫でしょうね。
  38. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいまの脱退の場合の持ち分の払い戻しにつきましては、法律の二十条におきまして「組合員は、脱退したときは、定款の定めるところにより、その持分の全部又は一部の払戻を請求することができる。」というふうな規定がございます。これを受けまして従来からいわゆる模範定款例等によりまして指導してきたわけでございますが、最高裁の判決が出る前の段階におきましては、模範定款例等におきましては二つの方向が指導の方向としてあったわけでございます。一つは、こういった請求があったときには全額を払い戻すという方法でございます。それからもう一つは、出資額を限度として払い戻すということも模範定款例にあったようでございます。  ところで、この全額を払い戻すという場合に、解釈といたしましては、その持ち分の全額というのを簿価で評価するかあるいは時価で評価するかという問題があり得るわけでございますが、当時の一般的な行政庁の解釈といたしましては簿価で評価するという考え方をとっていたようでございますけれども、この判例によりまして、全額を払い戻すという場合には時価によるのが相当であるということでございまして、そうなりますと、いま御指摘がございましたように払い戻しの高が大変に多くなりますし、後の組合の運営にも支障を来すということになりまして、そういった背景を受けましてこの通達が出ております。  この通達におきましては、「組合の実態にかんがみ、組合の健全な運営の確保を図る必要があるときには、定款で持分の一部の払戻しを定めることができる。」そしてその場合に、その 「額の下限は出資額とし、定款において、それを上廻る額を適宜定めることは差支えない。」そういうふうな解釈をいたしました。したがいまして、この通達によりまして、先ほど申しました最高は時価で全額と、それから最低は出資額の限度ということのほかに、その中間におきまして、たとえば出資額プラス諸準備金というふうな形態もございますし、その他組合の実情に応じまして適宜定めてよろしいという指導通達でございますが、中間の形態も取り得るということを明らかにしたということがこの通達の背景とその内容でございます。
  39. 中村重光

    中村(重)委員 割り当ての時間が参りましたからこれで終わります。  ただ、申し上げておきますが、今回はこの程度の改正ということで私どもも了承をいたしますが、先ほど強く申し上げましたように、中小企業団体にもっと活力ある活動を展開してもらうために、助成、誘導、あらゆる努力をされる必要がある。私は過保護を求めているのではないのです。だけれども、今日の経済体制の中で中小企業の果たす役割りが非常に大きくなってきたということ、そのため団体の方も責任を持ってこれに対応していくということでなければなりませんが、通産中小企業庁としても十分な誘導政策、直接に金融、税制あるいは財政面からのいろいろな助成ということがなければならない、そういうように考えます。それから地方自治体との連携というようなもの、権限を移譲すべき点は移譲していく、大胆にひとつ対処していく必要がある、そのことを強く求めますが、最後に大臣からお答えいただいて私の質問を終わります。
  40. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 なかなかむずかしい問題ではございますけれども、ごもっともな御意見だと思いますので、さらに研究させたいと思います。
  41. 塩川正十郎

    塩川委員長 これにて中村重光君の質疑は終了いたします。  引き続いて清水勇君の質疑に入ります。清水勇君。
  42. 清水勇

    ○清水委員 いま中村委員からもるる中小企業の、とりわけ共同組織の強化のための助成に政府が特段の力を入れるようにという指摘があったわけでありますが、私もそのとおりだと思います。  言うまでもなく、中小企業の置かれている経済基盤はきわめて脆弱でありますから、それゆえに力を合わせて団結をする、相互扶助等の活動を通しながら全体的に経済活動の機会を強めていく、こういう努力中小企業者が自助努力として展開をしていることは申すまでもないわけです。  しかし、現実の問題として、中小企業をめぐる環境の厳しさ、あるいは企業競争がだんだんに厳しくなるというような矛盾も抱えている等を考えてみると、おのずから自助努力にも限界があると見なければならない。そこで、どうしても政府行政を通して中小企業、とりわけそうした共同組織による活動に対する助成策を強める、このことが喫緊の要事として今日要求をされていると思うのです。  先ほども長官がいみじくも触れられておりましたが、今日の中小企業政策の柱の重要な一つがこうした協同組合等に力をつけるための助成にあるのではないか、私はこういうふうに考えているわけでありますが、当面そういう観点で、具体的にどこに重点を置いて政府は施策を進めているのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
  43. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 中小企業の共同化、組織化という重要性に関しましてはお説のとおりだと思います。  それに対しまして政府はどういう助成をしておるかという問題でございますけれども、一般会計に組織化対策費というものを計上いたしまして、中小企業団体中央会の指導員及び職員の増員、組合の行う活路開拓調査指導事業あるいは人材養成事業等に対して補助等を積極的に推進しているところでございます。また、財政的な援助ばかりでなしに、金融面におきましては、御承知のように商工中金あるいは振興事業団等を通じまして組合に対して資金の貸し付けを行うほか、税制面におきましては法人税率の軽減等の諸措置を講じまして、組合の保護、助成に遺憾ないように努めているつもりでございます。
  44. 清水勇

    ○清水委員 いま大臣から、団体に対する助成施策あるいは金融、税制の各般にわたる施策を通じて、共同化等の面で特段の配慮をしているというふうなお話があったわけであります。     〔委員長退席渡部(恒)委員長代理着席〕 私もそのことを否定するものではありませんが、たとえばいま中央会というお話がございましたが、この共同組織に対する指導という役割りの面で見ると、中央会等の果たしている機能というものは非常に大きいのではないか。そこで、いまもお話のあった、たとえば指導員であるとか相談員であるとか、最近は情報センター等を設置をすることを通して、そのスタッフなどといった人的要請もかなり出てきているわけですけれども、ちなみに言うと、五十五年度の予算編成に当たって、中央会に限らず、中小企業団体等からこの種の要求がずいぶん出ているわけですけれども、結局のところ通産中小企業庁もかなり努力はされたと思います。思いますが、財政事情等を理由に財政当局からかなり削られている。削られている部分というものは、結局それだけ十分な手だてが今後の組織化活動等の面で果たし得なくなるという隘路につながっていくわけなんです。  ですから私は、せっかくいま大臣が強調されるように、中小企業指導のウエートの大きさから言えば、財政事情があるにしても、やはりこの種のことについては犠牲にしないというような角度でさらに今後積極的な努力をしてもらわなければならない、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  45. 左近友三郎

    左近政府委員 いま大臣からお答えがありましたように、中小企業対策の中で組織化対策というのは非常に重要な柱でございますし、中小企業団体中央会を通じまして中小企業の組織化を推進するということがわれわれの基本的な政策でございます。したがいまして、これに対するいろいろな経費を年々予算で要求をしておるわけでございます。  この五十五年度は、全体的に政府の財政施策というものから考えましてそう大きな伸びは望めないというようなことになっておったわけでございますが、しかしその中でも、たとえば、これは一般的に言えば人件費等はふやさないということがありましたけれども、この中小企業団体中央会の指導員等々は、もちろんわれわれが予想しただけとれたわけではございませんけれども、人件費も増額を認めてもらえるというようなことで、われわれも一生懸命に財政当局に理解を求めてやってきておるわけでございます。ただ、御指摘のありますように、確かにまだまだ満足すべき状態ではございません。したがいまして、今後いろいろな組織化のための経費、ことに今後は人材の養成というようなところが、こういう変動する時代におきましてはしっかりした人を養成するということが一番重要になってくると考えられますし、また、過去の実例を見ましても、優秀な組合というものは必ず優秀な人材によって支えられておるという実例もございますので、そういう点でのいろいろな政策努力をわれわれもいたしまして、予算も十分獲得するように努力をしていきたいというふうに考えております。
  46. 清水勇

    ○清水委員 大臣、「組織は人なり」という言葉がございますね。いま長官も人材確保の重要性について強調されておりますけれども、私は、中小企業等の協同組合の運営が、たとえばたくさんの休眠組合を抱えているとか、これにはいろいろな事情がありますから後で別途聞きますけれども、休眠とは言わないまでも、非常に活動が不十分であり不活発である、それゆえに個々の組合員の組合に対する魅力が乏しい、こういった悪循環を重ねているというケースを間々見るにつけても、やはり組合に適材を得るということが非常に重要な課題なんではないかと思うのです。  ところが、現実の問題として、膨大な数の協同組合等を持っている、これに対する、たとえば中央会に限らず、指導要員といいましょうか、指導員でも相談員でも何でもいいのでありますが、そうしたスタッフはりょうりょうとしてなかなかカバーするほどの数を確保していない。その辺から、俗な言葉で言えば十分めんどうが見られないというところから、申し上げたように組合が不活発な状態に低迷を続けている、こういう一つ原因もあるのじゃなかろうかという気がしてならないのです。  そういう折に、たとえば中小企業団体だけではできがたい適材の確保のための人材の養成、先般も中小企業大学校を新たに設ける、地方公共団体とタイアップをしてできるだけの努力をするということなどをさらに強化をするように、私も中小企業事業団法案の審議の際に指摘をしたケースもございますけれども、いずれにしても、適材を得れば組合の活動がある程度活発化される。活発化されれば事業範囲も必然的に広がっていく。広がっていけば組合経営それ自身もある面で合理的に改善をされ、効率的になっていく。当然そこから組合員の組合に対する新しい期待なり魅力なりというものが生まれてくる。こういうことになるのだろうというふうに思うわけです。     〔渡部(恒)委員長代理退席委員長着席〕  そこでこの際、特段に人の問題、人材確保の点等について、大臣、先頭に立ってさらなる努力を行うべきじゃないか。必要な資金面の助成だとか人員の配置、言葉の上ではなしに、ひとつ今年度が無理ならば来年度においてはその十全を期するといったような決意のほどを伺わしていただきたいと思います。
  47. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私も選挙区でいろいろ協同組合などつくらしてみたのですけれども、お説のように長く続く、しかも大変魅力を持つという状況にはなかなかならぬようでありまして、やはりお話のように、根本は人を得ているかどうかというところに問題の焦点があるようでございまして、指導者のよろしきを得、あるいは役員等が適切な、共同の責任を持つような組合でありますとこれは伸びるわけでございますが、やはり人をどうして得るかということと、どうして組合に魅力を持たすかという点が一番中心かと思います。でございますから、いままでのように販売とか購買の共同化という問題ばかりでなくて、いまお話のございましたような情報、何といっても狭いところでございますから広い情報が入ってこない。したがって、情報が入ってくるところに対しては大変興味を持つという、これはもう当然のことでございます。あるいは新しいニーズをみずからつくっていくというようなこととか、あるいはお話のように研修その他でお互いに切磋琢磨するというふうな、中小企業庁でことしから大きく取り上げましたソフト的な面を注入していかぬと、大体やることだけやったという限度まで来ているのじゃないかと私は思いますので、むしろそういう面で活路を開いていくのが大変よろしいのじゃないかというふうに考えております。
  48. 清水勇

    ○清水委員 同時に私は、組合員がたとえば協同組合等に魅力を持ち、あるいは期待を抱くというような条件を確保していくためには、やはりそれにふさわしい、つまり組合に加入しているにふさわしいメリットというものがなければならないと思うのです。何にもなくて訓示的なことを幾ら言ってみたって、それはなかなか共同の力を発揮するなんということにはならないと思うのです。そういう点から言えば、たとえばせっかく通産なり、とりわけ中小企業庁等が努力をしている官公需の問題、適格組合等をつくって優先的に中小企業者が官公需を確保する、組合を通じて仕事が分配をされる、そういうことが現実に進められていけば、そこに組合の存在というものに大きな期待を持ち、また依存心が起こる、当然のこととして組合活動が活発にならざるを得ないというふうに私は見るわけです。  ところが、たとえば建設業界なんかの場合には、御承知のように建設業法等で一括受注の禁止なんという条項がありまして、そうした適格組合等に対しても仕事を流さない。あるいは何も建設業界のみならず、全般的に、中小企業庁でも把握されておられるでしょうが、中小企業の各種団体が要望をされるようにはどうも思うように官公需が手に入らない、こういうような隘路が続いているわけですね。こういう点については、法制度をあそこまでつくっているわけですから、画竜点睛を欠くことのないような指導が伴い、そういうものが反映をして共同組織に対する活動へ力がわいていくといったような、そういう面での——ただ銭だとか税制だとかということだけではなしに、そういう面での指導なり助成なりというものが行政的に払われていいのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
  49. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 官公需等に結びつけるというアイデアは私も大変結構なアイデアではないかと思います。その点から考えてみますと、組合の指導者と申しますかが、みずから広く交友を求めて官公庁等に結びついていくという努力があれば自然そうなるわけでございまして、現にそういう努力をしている組合は大体うまくいっているようですね。大変結構なアイデアではないかと思います。
  50. 清水勇

    ○清水委員 長官、何かありませんか。
  51. 左近友三郎

    左近政府委員 いま御指摘のとおり、やはり組合というものを結成するということによって非常にメリットを生ずるということがまた組合の発展に拍車をかけるということで、今後の対策として非常に重要だと思いますし、ことに官公需適格組合の制度につきましては、われわれも毎年官公需の方針をつくるときに、それの促進を関係各省にも絶えず働きかけておるわけでございます。  官公需適格組合に認定いたしました数も年々増加をしてまいりまして、五十四年度には大体三百を超えるということにもなりましたし、それから受注額も年々増加を来しております。しかしながら、先ほど御指摘がありましたように、増加しているといいましても全体の官公需のウエートから言えばまだまだ努力すべき点があるとわれわれも思います。したがいまして、官公需適格組合の問題につきましては、毎年各省を集めまして官公需の目標をつくるというようなこともございますし、またその後のアフターケアもやっておりますが、そういうときにこういうものが十分活用できるように指導し、あるいは発注元であります各省に要請をしたいというふうに考えております。  なお、そういう意味では今後組合について官公需問題のみならず、いろいろな面での活動の分野をわれわれも用意をしたいと思います。最近の、たとえば昨年国会で御審議を願いました産地振興対策でも、実は各地域の産地振興の中核は組合がやるということになっております。そういう点でも今後の組合の活動が中小企業者の活路を見出すために十分活用できるような、いろいろな制度なり助成なりを進めてまいりたいというふうに考えております。
  52. 清水勇

    ○清水委員 各論といいましょうか、改正案の中身に入る前にもう一つだけ聞いておきたいのでありますが、いずれにしても今度の改正は、一つは火災共済協同組合の事業範囲の拡大、二つは役員選出方法の弾力化というのでしょうか、そういう問題、三つ目は休眠組合の整理ですね。ところが、私がかねて中小企業団体あるいは中央会等から聞いておりますたくさんの注文、恐らく政府にも出ていると思うのですけれども中小企業等協同組合法の各般にわたる改正というものが強く求められてきていると思うのです。ところが、かなり時間をかけられて調整をされたのだと思いますが、結論としてはいま申し上げた三点にしぼられて今回提案をされている。そこで、なお法見直しを必要とするような条項等も私はあると思うわけでありますが、そうした今後の取り扱いなり、この三点にしぼったという経緯について、ひとつ簡明に聞かせていただきたいと思います。
  53. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業等協同組合法は昭和二十四年に制定されましたが、その後昭和三十年に改正をいたしました。それ以降は大きな改正は全然やらなかったということで、二十年以上改正しなかったわけでございます。一つは組合の運営についていろんな御意見がございますが、その御意見の中にはやはり組合の本体、本旨に関するような問題というようなことで、非常に改正のむずかしい内容を含んだ御意見もあったわけでございます。したがいまして、改正しようといたしますと非常に議論の多い問題に取り組まなければいけないということで、従来いろいろ議論をされましたが、二十年以上改正ができずに来たわけでございます。  そこで、しかしながら八〇年代を迎えて経済の状態も変わる、組合としても新たな飛躍をしなければいけないという時代だとわれわれは感じてきたわけでございますので、何とか改正をいたしたいということで、昨年の夏以来研究会を設けまして、中小企業庁とか商工中金とか中小企業振興事業団とかあるいは全国中央会とか、いろんな方に集まっていただきまして検討いたしました。また、火災共済に関しては、大蔵省、中小企業庁、それから全日本火災共済協同組合連合会等々ともよく相談いたしました。そこで、非常にむずかしい問題に引っ張られて、当面やらなければいけない問題まで改正をしないというのでは困るのではないか。それではとりあえず今回は当面必要なものを選んで改正をしよう、しかしながら、今後検討点はいろいろあるわけでございます。先生も御存じのとおりでございます。それについては今後も十分検討を続けていこう、そして、その検討点の中にも非常にむずかしい問題と、それから、もう少し検討すれば煮詰まるだろうという問題もございます。そこで今後の態度も、余り慎重になり過ぎて必要な改正を行わないということではいけないのではないか。ですから今後も検討を続けて、改正点がはっきりしたものについては逐次改正していくというような態度をとったらどうかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。したがいまして、今回は去年以来の検討によってとりあえずこの三点を選び出したわけでございますが、これでわれわれも十分であるとは必ずしも考えておりません。今後また十分検討を続けて、そして各方面の意見を合わせて改正案ができましたものにつきましては逐次改正していく、そして組合法というものを絶えず時代に合ったものにしていこうというふうに考えているわけでございます。
  54. 清水勇

    ○清水委員 いまの長官答弁に関連をして、たとえば今後法改正等を準備をする場合に、組合員の資格要件等についても見直すべき必要に迫られるのではないかと思っておりまして、この点はきょうは一番最後の場面でちょっと質問をしようかと思っておりますが、十分ひとついま長官が述べられた点に留意をされて、鋭意検討を続けていただくことを希望しておきたいと思います。  さてそこで、火災共済についてちょっとお尋ねをいたします。  率直に言いますと、損保会社なり農協とか生協の同種事業なりと比較をして、これまでてん補範囲一つをとってみても、あるいは共済金額の限度額を見てみても、あるいは掛金と給付金の関係を見ても、ことごとく不利と言いましょうか、条件が悪いという状況であったと思います。実は火災共済協同組合の事業が伸び悩んでいる。余り組合員に、つまり加入者に魅力を与えてきていないという原因は、いま私が列挙をしたような点にあるのじゃないかというふうな気がいたします。  そこで、念のために聞いておきたいのですけれども、今日全国的に加入状況はどういう程度になっているのでしょうか。
  55. 植田守昭

    ○植田政府委員 この火災共済協同組合は、火災のための共済組合ということで三十二年にこの法律の改正を行いまして制度化されたものでございますが、現在組合の数は、都道府県単位のいわゆる地区別組合が四十一組合、それから業種別の組合が二組合、合計四十三ございます。この業種別は綿の製造とみその関係でございます。それからさらに、再共済を行う連合会ができておる、こういうことでございます。それから現在の状況を見ますと、組合員数は約八十三万人でございまして、契約高が四兆二千億、それから年度の収入共済掛金が約百二十億円ということになっております。
  56. 清水勇

    ○清水委員 そこで、私が先ほどお尋ねの際に触れた、今度てん補範囲を拡大をする、こういうことなんですけれども、具体的な提案によると、火災のほか新たに「破裂、爆発、落雷その他の省令で定める偶然な事故」、こういうことにしようというわけですね。そこで、ここで言う省令の中身、「偶然な事故」の中身について現在どのように予定をされているのか。それから、そのようにてん補範囲を拡大をした場合、他の損保会社なり共済事業とおおむね均衡を保つことができる程度に条件が改善をされると見ているのかどうか、この点を承りたい。
  57. 植田守昭

    ○植田政府委員 今度の改正で、私どもがいわゆる「省令で定める偶然な事故」ということでいま考えておりますのは大体次のようなものでございます。  火災のほかに破裂、爆発、それから落雷、それから物体の落下とか飛来、衝突というふうなものによる損害、それから四番目に、建物内の給排水設備に生じた事故から来る水ぬれ、それから騒擾とかあるいはいろいろな集団行動等による被害、それから盗難、それから風水雪害、大体そういったようなところを今回いわゆる総合共済ということの内容として考えているところでございます。  それから、この改正によりまして、今後ほかの保険等と比較してどうなるかということでございますが、今度の改正によりましててん補範囲も拡大いたしますし、それからまた、従業員につきましても契約者になることができるように拡大されますので、私どもといたしましては、これによりましてかなり契約の増加が見込めるのではなかろうかというふうに考えております。  なお、先ほどから、先生から、どうも給付内容が悪いのではないかというふうな御指摘があるのでございますが、私どもといたしましては、たとえばほかの民間の損保会社と比べまして、この掛金はむしろやや低いのではないか。これは、御承知のように組合でございますので、営利事業ではございませんから、剰余が出た場合には利用分量配当ということで配当されますし、そういったことも勘案いたしますと、むしろ掛金は一般の損保会社よりも安いのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、ほかのいろいろな共済、たとえば生協で行っております労済というふうな、共済としても大変規模の大きな強力なものがございますが、それらとの比較ということもございますが、若干そういった共済と違う点は、この共済はいわゆる個人のみでなく、企業が入りますから、中身はややいろいろなケースがございます。したがいまして、地域とか業種とかあるいは建物の種類も、当然のことながら耐火構造、準耐火構造あるいは木造と、これは個人の場合もございますけれども、そういったいろいろな、多様な形態がございますので、そういった形態を勘案いたしまして実態に即した掛金を定めているわけでございまして、一律的に比較するとか、平均値で比較するというふうなのは必ずしもなじまないような面もあることも御了解いただきたいと思います。
  58. 清水勇

    ○清水委員 いまるる説明があって、省令で定めようと予定をしている内容について触れられておりますが、結局地震は含まないわけですね。そして、ついでですから申し上げると、私、さっき言葉が少し足りなかったかもしれませんが、条件が悪いと言っている意味は、一つは、たとえば限度額、ただし書きで弾力性を持っているようではありますけれども、表向きたとえば現行は百五十万。あるいは純資産の百分の十五ですか、というふうに低い数字で頭打ちをされている。ところが個人という立場でとってみても、損保に限らず、他の同種の共済事業等を見てもかなり共済限度額が高いわけですね。ですから、一朝有事の場合にどっちへ飛びつくかというと、そっちの方に緊急避難を求めるというような傾向がどうしても出てこざるを得ない。そういうような意味で、多少条件が不利なんじゃないかというようなことを言ったのであって、その掛金が云々というようなところにアクセントを置いて私は申し上げたつもりではないので、その辺はひとつ誤解のないように。そして、少なくても法改正までやって中小企業者のための相互扶助事業としてこの火災共済を何とか育てていこう、こういうのであれば、ぼくはやはり他の同種の共済事業と均衡がとれるような、あるいは匹敵するようなそういう水準に内容が高められる、こういうことでないと、なかなかPRをし、周知徹底をしたって思うように加速的な加入増というものは望み得ないのではないか、こういうことを老婆心ながら感じますので、その点で……。
  59. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいま契約高が百五十万円とか、あるいは純資産等の百分の十五というふうなことで非常に低いのではないか、確かに百五十万円という数字は、現在の物価水準から見ますと大変低い数字でございますが、ただ、先生も御承知のように、この法律ではただし書きによりまして、行政庁の認可を得れば実情に応じた額が定められることになっておりまして、現実の運用は、われわれは相当現実に即した運用をしているわけでございます。それにつきましては、もちろん組合の正味資産、規模の大きいもの、小さいものがございますから、余り危険な小規模な組合に大きな負担をかぶせるということは問題でございますので、そういった資産に応じて定めておりますけれども、たとえば現在で最高のところを見ますと、耐火構造などにおきましては、引き受け限度額は二億二千五百万円までという数字にもなっているわけでございます。これは恐らく工場等も考えられますのでそういった数字になるわけでございますが、あるいは木造におきましても四千五百万とか、そういったものも大きいところではやっているわけでございます。小さいところでも木造は二千万程度は引き受けられるようにしておりますので、こういった点ではほかの共済と比較しまして決してバランスを失っていないというふうに思っているのでございます。  ただ、先ほども指摘がありましたように、法律に百五十万円と書いてありますのは、いかにもこういった性格のものは、時代の推移によりまして変わっていくものでございますから、今回の法律改正では、法律でそういった金額を定めるという仕組みをやめまして、省令でそれを定めていくような仕組みにしていただきたいということで、改正案はそういうふうに直して御審議を願っているわけでございます。
  60. 清水勇

    ○清水委員 いずれにしても中小企業者の自主的に行う火災共済事業、これが実り多い成果を上げていくということは大いに望ましいことでありますから、それを支えるような法改正でなければならぬ、こう思います。  しかし、同時に、火災共済事業を行う損保会社を初め、さまざまな競合する事業もあるわけでありますから、そういうことを思えば、ただPRをする、周知徹底をすればおのずから加入者がふえるなどという甘い判断は、これはもうとうていできるものではない。そこで、無論中小企業者の自助努力を促すということはさらに必要でありましょうけれども、同時に、この法改正を機に、政府としてはこの事業を一層発展をさせるためにどういう点に新たな助成策を追加されようとしておるのか、何か具体的なものがありましたらお聞かせいただきたい。
  61. 植田守昭

    ○植田政府委員 この共済組合につきましては、特別に、たとえば補助金を出すとかそういうふうな助成策は講じておりません。ただ、やはり先ほどから長官あるいは大臣からもいろいろお話がございましたが、これからはやはり人材とかそういった面が何といいましてもこういった事業の中心でございますので、全国中央会等を通じました研修でございますとかあるいは組合自身における人材の訓練あるいは研修、こういったものは従来もやってきておりますが、今後とも十分指導してまいりたいと思っております。御承知のように、こういった共済事業というのは大変むずかしい問題を抱えております。たとえば損害の査定でございますとかそういった問題もあるわけでございますから、専門的な研修なり訓練ということが当然重要でございますので、そういった点は今後ますます推進していきたい、こういうふうに考えております。
  62. 清水勇

    ○清水委員 それでは、ここで一つだけ聞いておきたいことがあるのですが、火災共済協同組合とすれば、いかなる不測の事態が起こっても、契約をしている給付金が円滑に給付をされるといった保証がなければ加入者にその責めを果たすことができぬわけでありますから、そういう立場で、たとえば危険準備金の積み立てを義務づける、これはあたりまえのことだと思います。しかし、そうだとすればそれに見合う税制面での優遇措置が十分に配慮をされる。ただでさえ力の弱い中小企業者の組織の行う事業なんですから、そうした積み立てが円滑に行い得るような、そういう一面での優遇措置が配慮をされる。また同時に、さっき連合会というお話がございました。無論危険分散のためには再共済ということが欠くことのできない制度でありますが、現状再共済の実態はどんなふうになっているんでしょうか。
  63. 植田守昭

    ○植田政府委員 再共済につきましては、現在いわゆる日火連というところに再共済をしているわけでございますが、その方式といたしましては、単位組合が引き受けた契約のうちである部分をその組合が自分の責任において共済する、そのほかの部分は再共済に出すという指導をしております。そういうことで再共済の形を極力生かしまして危険を分散するようにしているわけでございます。五十三年度末におきます実績は、この日火連の再共済収入は約二十六億円ということになっております。支出面では二十三億円ということでございます。  それから、異常危険準備金の積み立てについての税制上の問題でございますが、現行制度におきます火災共済協同組合が異常災害に備えるために積み立てますいわゆる異常危険準備金につきましては、損金算入が認められているわけでございます。ただ、この措置は、いままでの制度でございます火災のみを共済事故とする事業につきまして制定されてきました制度でございますので、今回の改正によりましていわゆる総合共済になりますと、範囲が少し離れてきますので、その点につきまして当然に損金算入がそのまま移行して認められるというふうになる筋合いでもないという点がございます。しかし、この点につきましては、当然われわれといたしましては従来のような同様の措置が認められることが望ましいことでございますので、今後、これは五十六年度の税制問題になろうかと思いますが、十分税務当局とも折衝いたしまして、この点での恩典が十分受けられるようにしたいというふうに考えております。
  64. 清水勇

    ○清水委員 後段に言われた税制上の優遇措置、これについてはひとつ大臣も十分留意をいただいて、今後財政当局とも折衝をしていただくように強く希望を申し上げます。  さて次に、役員選出方法についてちょっとお尋ねをいたします。  私、冒頭に人材確保のことについてちょっと触れましたけれども、協同組合の運営を活発にする、協同組合に力をつけていく、そのために適材を役員として選び出すというようなことは非常に重要な課題であることは私も否定をいたしません。ただ問題は、役員選出方法を、言ってみれば楽に選出できるような制度に改めれば組合の運営が円滑にいくかのような錯覚を仮に持っているとすれば、これはぼくはちょっと考え違いなんじゃないかと感ずるわけであります。ですから、先ほどの説明を承っていてもそうでありますが、現在でも指名推選制という制度があるわけです。たとえば選考委員会を設置をする、もしくは理事長が指名をするというようなことがやり方として許容されている。しかし、それをもってもなかなかうまくいかない、こういうことになっているわけでありますから、何かぼくは組合役員の選出がスムーズにさえいかれれば、後組合の運営も円滑にいくんじゃないかといった発想でこの選任制というものが提案をされているんだとすればこれはちょっと場違いな感があるんで、この辺まず真意をお聞かせいただきたい。
  65. 植田守昭

    ○植田政府委員 今回役員の選出方法につきまして御審議をいただいておりますのは、現行の役員の選出方法が、どうしてもいろいろな要望がございまして改善したいということに発しているわけでございます。つまり現在は原則が無記名投票ということになっておりまして、その変形といたしまして総会の出席者中に一人の異議もないときには指名推選制という方法をとることができることになっているわけでございます。この指名推選制が入りましたのは法改正で入ったわけでございますが、その趣旨といたしましては、小さな組合におきましてはみんなお互いに顔も知っておりますし、そういった場合に一々総会で投票ということもないではないか。むしろそういった場合には投票をやめまして、指名推選という形で全会一致で出した方が実際的ではないかというふうなことで入った経緯があるわけでございます。ただ、最近のようにいろいろと大きな、多人数の組合も出てきておりますし、それからまた組合のやる事業が非常に高度化し、複雑化してきますと、なかなか投票しようと思いましても人の顔がわからない、それからまた組合の業務も非常にむずかしくなってきますので、役員はチームワークを非常に重要視されるわけでございます。たとえば経理担当もいなければなりませんし、いわゆる営業担当もいなければなりませんとか、財務担当も必要、場合によっては渉外とかPRとかということもあるいは必要な場合もあるかもしれませんが、そういったチームワークで役員をセットとして選定する必要がある、こういうふうな要求からどうしても選任制というものを必要とする状況が生まれてき、かつまた要望が強まっているわけでございます。ただ、私どもはこの選任制度を改めればそれですべてがうまくいくということは全然考えておりません。むしろこの制度を改めることが事柄の出発点でございまして、この出発点に立ちまして、後はもちろんこの運用を厳正にするとかあるいは十分指導していくとか、そういうことで出発点を出発いたしまして、いかにしてうまく運営していくかということは今後の問題でございますので、その点は先生と全く同意見でございます。
  66. 清水勇

    ○清水委員 選任制については私も了承をいたしておりますが、ただ、ここで選任制をとることによるメリットということはいまの御説明である程度理解ができるわけでありますが、しかし、一面ではそれを通じて選挙制というものを弱めていく、薄めていく、例外的なものにしていくというようなことになると、ぼくはそこから新しいデメリットが起こるんじゃないかと感ずるんです。実はこの間も長野県の中央会の専務といろいろこれらについて話し合ったわけですけれども、どこにもあるということじゃありませんが、しかし例外的にはボスといわれるようなそういう役員がいて、組合の運営を壟断をし、文字どおり組合を私物化するような、そんなていたらくの者もなしとはしない。こういうケースについて見た場合に、それをチェックをする、そういう悪徳役員をはじき出していくという点から言えば、最も民主的な方法というのはやはり選挙によるべきだろうと思うのですね。そして選挙を通して役員を選ぶということは、そうした組合運営を私物化をするようなあり方をチェックをするという、一つのチェック機能さえ果たすんじゃないか。ですから私は、選任制は理解をいたします。理解をいたしますが、だからといって選挙というものの持っている民主的なよい面、これを形骸化をするようなことがあってはならない、こういうふうに思うわけでありますが、いかがでしょう。簡潔でいいです。
  67. 植田守昭

    ○植田政府委員 確かにこの選任制は、運用を過てばいわゆるボス化というふうな問題が起こってくる懸念はなしとしないと思います。それで、私どもといたしましては、模範定款例のところで十分指導いたしまして、役員を総会に出す場合に、理事会だけで勝手に出すということは避けまして、その前に広く組合の中から、たとえば地域割りで選出母体のメンバーを出すとかあるいは業種ごとに代表者を出すとかいうことの中から役員を選考いたしまして、それで選考された者を理事会を通じて出すということにしたい、そういうことによりまして、広くバランスのとれた選出母体からの意見が反映できるような方式をとっていきたいというふうに考えております。
  68. 清水勇

    ○清水委員 十分留意をしていただくことを要望しておきます。  時間の関係もありますから、次に休眠組合の条項についてお尋ねをいたします。  私の県の状況をちょっと聞いてみると、組合は千八百余存在をしている、このうち約八百が休眠組合である、休眠組合の七、八割が所在不明という状況であると聞かされて実はびっくりしたのです。それで、びっくりしたついでに全国的にはどうなのかということを聞いてみると、全国的な趨勢も似たり寄ったりじゃないか、こういうことを聞かされたわけなのでありますが、こういう膨大な休眠組合が現に存在をしているということは、戦時中の統制組合だとか施設組合、これが戦後看板を塗りかえて協同組合になる、届け出だけでオーケーだったわけですからそれでずっとくる。ところが、大してやる仕事もなくていまのような実体不明という状況になる。ですから、私は今後設立をされる組合についてはこの種の傾向が起こるとは思わないわけです。ただ、一面では、長野県で言えば約八百くらいある休眠組合のうち、五%くらいは指導のいかんによっては再建の可能性があるというふうに分析をしているわけですね。そうだとすると、私は一概に休眠組合だということで即整理対象にするということはいかがかと思うのです。たとえば実体がないとか所在不明であるという組合については、整理をすることによって何の問題が起こるとも思いませんが、しかし中には再建可能な組合もあるということだとすれば、その辺は十分吟味をして手続を踏むようにしなければいけないのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょう。時間がないものですからできるだけ簡潔にお願いします。
  69. 植田守昭

    ○植田政府委員 おっしゃいますように、休眠といいましても、十分事業を継続できる意思と能力があるものにつきましては、今後とも、たとえば中央会等を通じまして十分指導いたしまして再建計画を立てさせ、そして事業を再開するように努めさせたいと考えております。
  70. 清水勇

    ○清水委員 もう一つ、いまのことに関連をしてお尋ねをしておきたいのは、たとえば中小企業者が新たに協同組合を設立をするという場合に、同業種の実体不明の休眠組合が存在をしていることが新たなる設立の障害になっていくというケースが間々あるわけですね。私が申し上げているように、実体もない、所在も不明だ、こういったものについては、ここで解散をさせるというのはむしろ遅きに失するぐらいのことだと思っているのですが、いまのような新しく設立をしようというようなことを想定をしてみると、そうした実体不明、所在不明の組合についても五十六年十月一日をもって解散と認めるというわけでしょうか。
  71. 植田守昭

    ○植田政府委員 五十六年十月一日現在で、十年間登記に全然出てこないというのを一括して解散したものとみなすわけでございますが、そのときに、一年以上ございますので十分PRをいたしまして、そしてそのPRによりまして気がついたものは当然出てきますから、そういったことはないようにしたいというふうに考えております。  それからもう一つは、万一そういうことが起こりましても、三年以内に特別決議をいたしまして、われわれはやはり継続するのだということを言ってくれば、また行政庁の認可によりまして継続を認めるという救済規定もございますので、その点は万々問題がないように運用していきたいと考えております。
  72. 清水勇

    ○清水委員 実は私はいま部長が説明されたのとは逆の話を聞いたのです。つまり実体もない、所在不明だというようなものを来年の十月一日まで存在をせしめておくということは、新たに組合を設立をしようとする中小企業者に対して、それまでの間時間の空費をさせるというようなことになりはせぬか。だから、たとえばさっき申し上げたように再建の可能性のあるようなもの、これはもう見ればわかるわけですから、その辺を少し区別できないのか、こういうことをちょっと聞いたわけなんです。
  73. 植田守昭

    ○植田政府委員 いまの御指摘ですと、一年間も待たせておくのはちょっと時間がかかり過ぎるという点があろうかと思いますが、これはもろ刃のやいばになる点がございます。余り早くやりますとPRが浸透しないで、生きているものを殺してしまうという問題が起きますので、私どもはそこをやはり慎重に、一年間ぐらいはとらなければならぬと思います。  ただ、先生の御指摘の問題につきましては、この法律を通していただければ、できるだけ早くPRに入りまして、現在余り活動をしていなくても、そういう意思と能力のあるものは早く登記なり何なりの活動を始めるようにというふうなPRを始めますから、そういうことを通じまして、やる意思があり能力のあるものが動き出してくるということは十分指導するチャンスはあろうと思います。
  74. 清水勇

    ○清水委員 もろ刃のやいばになる懸念のあることは事実ですから、その点は十分配慮していただかなければなりませんが、一面では、新たなる共同組織を持ちたいという意欲にもどうこたえていくか、この点両々相まってうまく行政的に配慮をしていただくように要望しておきたいと思います。  さて、現行法では休眠組合について改善命令を出すわけですが、この改善命令に違反した場合に初めて解散を命ずることができるという仕組みになっておるわけですね。ところが、今度の改正案では、正当な理由がなくその事業を一年以上停止をしているものについては即座に解散命令が出せる、こういうことにしようとされるわけですが、その辺の理由といいましょうか、根拠はどこにあるのでしょうか。
  75. 植田守昭

    ○植田政府委員 これは端的に申しますと従来の指導の経験から来ているわけでございますが、当事者にその意思がないものに対しまして改善命令、つまり再建計画を立てろというふうなことをやることは、当事者にその意思がないものでございますから、やりましてもなかなかその段階で時間が空費してしまう、しかもそれを経てでないと解散命令をかけられないということになりますと、従来のわれわれの指導の経験からいたしますと、大変な労力といいますか、労力をいとうものではございませんけれども、なかなかこういった組合は理事長もどこへ行っているかわからないというふうなことがございまして、実際問題として大変なことになります。そういうこともございますので、そういった場合には直接に命令がかけられるようにしよう、ただ、その命令をかける場合にはもちろん弁明の機会を供与しなければならないことになっておりますから、決して抜き打ち的に、知らない間に首を切られておったというふうなことにはならない仕組みはちゃんと設けているわけでございます。
  76. 清水勇

    ○清水委員 そうしますと、正当な理由なく活動してないものについては解散を命令する、それで結構だと思いますが、反語ではありませんけれども、正当な理由があるときというのもあるのでしょう。その場合にはどうするのですか。
  77. 植田守昭

    ○植田政府委員 休眠状態であるかないかというのはもちろん調べてみなければわからないわけでございまして、たとえば毎年一回財務諸表その他行政庁に届け出る義務がございますが、これが二年も三年も来てないとかいうふうなことになりますと、そこへ手紙を出しまして、一体どうなっているんだというふうなことから始まります。そうしますと、所在がわからなければ返ってきてしまうとか、そういったときにいろいろな手だてを尽くしまして状況を調べるわけでございます。状況を調べまして、あなたの組合はもうやる意思があるのかないのかということを問いまして、やる意思があるということになれば、そこでそれでは再建計画をつくってみてくださいという再建指導に入るわけでございまして、抜き打ち的にやるわけではございませんから、その前にいま申しましたような形で十分何回も繰り返して接触するわけでございますから、そういったことで、その点は御心配はないような運営が十分できるというふうに考えております。
  78. 清水勇

    ○清水委員 それでは、時間もありませんから、法案についての質疑はこの程度にとどめまして、冒頭にちょっと触れておきましたが、今後の法改正あるいは法の見直しといった点に触れて、時間の許す範囲で一、二所見を申し上げて御検討を煩わしたい、こう思います。  さっきもちょっと触れましたように、組合員の資格要件についてなんですけれども、サービス業について考えてみますと、御承知のように資本金は一千万円以下、常用従業員は五十人未満、これが中小企業者であるとなっていますね。だがしかし、これはその両方を満たさなければならないということになってない。その片っ方だけ満たせば中小企業者という定義にはまるわけですね。だから、前に分野法の問題で私何回も意見を申し上げたことがあるのですが、資本金が何億だ、しかし従業員数は五十人以下である、それがためにサービス業などでは当然大企業とみなすべきであるにもかかわらず、いま言った五十人以下なるがゆえにこれが中小企業者であるということになって、実は中小企業者に重大な影響を及ぼしているというようなケースが間々あるわけです。同じような意味で、たとえば組合員の資格要件についていまのような状況ではぼくはやはり問題を残しているのじゃないかと思う。ですから、資本金なり従業員なりのいずれかを満たせばいいというのではなしに、せめてその両方を具備するものを中小企業者と言うとか、資格要件とするとか、そういう形で、ぼくはこの際中小企業者の定義というものについて再検討すべき時期に来ているのではないのか、こう思いますが、いかがでしょうか。
  79. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業者の範囲ということで、中小企業基本法にいわゆる定義として挙げられておる数字は御存じのとおりでございますし、これは昭和四十八年に資本金の部分が少し改正をされて現在に至っておるわけでございます。ただ、一つは、資本金をたとえば一億というのがいいかどうかというような問題も現在出ております。それからいま御指摘のありましたように、従来は中小企業の定義をいたしまして、いろいろな施策を講ずるに当たって、主としていわゆる振興といいますか、中小企業を助成する側面の法制が非常に多かったわけでございます。そういう場合にはなるべく中小企業の範囲に該当する部分が多い方が助成の範囲が広がるのでいいのではないかというふうな判断があったようでございます。したがって、いまのようにいずれかに該当すればいいということもそういうことから来ておるのだろうと思います。ところが最近に至りまして、たとえば大店法とかあるいは分野調整法という、そういういわば大企業中小企業への圧迫を排除するというふうな法制も出てまいりまして、そうなってきますと、どの程度大企業の範囲を決めたらいいかということもまたいろいろ問題になってきております。  以上のいろいろな点がございますが、現在の中小企業の定義といいますか、中小企業の範囲と申しますか、それについては時代の変化に応じてやはり検討すべきじゃないかというふうな感じ中小企業庁としても持っておりますが、ちょうどいま中小企業政策審議会で八〇年代の中小企業のビジョンを検討している中でもそういう議論が起きております。この中小企業政策審議会では恐らくこの五月末か六月に結論を出していただくことになっておりますが、その中では、具体的にじゃどういうふうに改めていくかというようなところまではなかなか御検討が進まないので、いろいろ考えるべきであるような御意見にとどまるのではないかというふうにわれわれは推察しておりますが、そういうふうになりましても、やはり一遍この際定義問題についてはわれわれも検討すべきであるというふうに考えておりますので、そういう中小企業政策審議会の御意見がもし出ますれば、この定義の検討に入りたいと思っております。その際には、いまの御趣旨の点もひとつ考慮の要件に入れましていろいろ検討してまいりたいと思っております。この点は、いま申しましたように、助成の面で考えるかあるいは規制の面で考えるか、いろいろな側面がございますので、これは今後十分内容として検討していきたいというふうに考えております。
  80. 清水勇

    ○清水委員 ぼつぼつ時間が参りますから最後に一点お尋ねをいたします。一つは、協同組合法の七条二項、三項の関係なんです。公取からもお見えだと思いますが、この七条二項、三項によると、組合が独禁法二十四条の一号の要件を備えていれば、この組合に大企業者も公正取引委員会届け出て加入することができる、つまり組合員になることが認められている、こういうわけであります。私は大企業者のすべてを悪だなどと断定をするものではありませんけれども、しかしこれまで大店舗法であるとか分野調整法の審議に際してさんざん議論がございましたように、低成長経済という時代に移行して以来、とかく中小企業者の分野に大企業者が参入をする、いま長官が言われるように、中小企業者を大企業者が圧迫するといった事例が枚挙にいとまがございません。そういう状況一つのバックグラウンドとして考えた場合に、たとえば前向きな大企業者が下請など中小企業者の行う相互扶助に好意を示す、そしてみずからもこれに加わって相互扶助の実を上げようというようなケースのあることも否定はいたしませんけれども、しかし大方の流れとしては、たとえば大企業者が組合に入るような場合に、えてして下請関係等を通して組合の運営に重大な影響をもたらすなどということがあるのではないか。したがって、公取は二十四条の一号に該当するかしないかという判断をされるだけであって、その後のアフターケアについて、大企業者がどういう動きをしているかというところまで監視をされておらないとぼくは思うのですけれども、その辺の実態と、それから、中小企業庁としてはいま私が申し上げた心配事等についてどういうふうに受けとめておられるのか、これが一つ。それからもう一つは、協同組合に中小企業者が加入をするあるいは加入をしようとする、そういう行為に対して元請である大企業者が下請である中小企業者に、そんなところに入らない方がいいぞなどと言うような、つまり加入を妨害をするなどというケースがございます。これを放置をするということは、組合への任意加入という大原則をいわば侵害することになるわけでありまして、労働組合なんかでいえば不当労働行為ということで処罰の対象になるわけですが、これは企業者のことでありますからそうはなっておりませんけれども、不当な行為であるということについては間違いないのであって、その辺を何らかの法的措置を講じて制裁といいましょうか、そういう行為をさせないという禁止規定といいましょうか、講ずる必要がありはしないのか、こんなことも感ずるわけでありますが、その点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  81. 伊従寛

    伊従政府委員 先生指摘のように、もし大企業中小企業協同組合に入っていて問題になるようなことをする、小規模事業者の相互扶助に反するような行為をする場合には、中小企業等協同組合法の百七条で公正取引委員会はその大企業を脱退させるように組合に勧告することができるというので、もしそういうふうな弊害があった場合には公取に申し出ていただければ大企業を……(清水委員「申しわけないがもうちょっと大きな声で」と呼ぶ)失礼いたしました。御指摘のような、大企業が加入している場合、これは中小企業等協同組合法の七条三項に基づきまして公正取引委員会届け出ているわけでございますが、ただ届け出が出ているということだけではなくて、中小企業等協同組合法の百七条で、もし大企業がそういう協同組合に入りまして弊害を起こしているということになりますと、公正取引委員会としましてはその大企業を組合から脱退させることができる権限がございますので、そういう弊害がございましたら公正取引委員会の方に言っていただければ検討することになります。
  82. 植田守昭

    ○植田政府委員 親企業が下請に対して加入することを拒むといいますか、妨害するというふうなケースがあるというお話でございましたが、当然そういったことはあってはならないわけでございます。これを法律で何か禁止するというふうなことがなじむかどうかということは、私もちょっとにわかに判断しかねるのでございますが、しかしいずれにしましてもそういったことはよくないことでございますから、私どもは十分そういったものにつきましては目を光らせまして指導していく、これはもう当然しなければならないというふうに考えております。
  83. 清水勇

    ○清水委員 それでは以上で私の質問を終わりますが、最後に要望ということになりましょうが、実は先ほど長官も、八〇年代の中小企業のビジョンということについて中小企業政策審議会にいま検討を求めている、こういうことでございます。間もなく何らかの答申が出るであろう、こういうことでありますが、いずれにしても、佐々木通産大臣大臣に就任をされて以来、とりわけ低成長下における中小企業の経営基盤が非常に揺らいでいる、そういう状況のもとでいかに経営基盤を強化するか、そのために政府がいかなる施策を講ずるかということは、まさに重大な政治課題であるというようなことをしばしば強調されておるわけでありますから、こういう立場から、たとえば法制上の問題についてもあるいは税制なり金融なり個々の施策といった問題についても、先ほども中村委員ちょっと触れておりましたが、今度の国会でも確かに五本の中小企業関係法案を私ども審議をしてきている。わが党の国対などでも、中小企業国会みたいでまさに大したものだという一面の評価があることは事実なんですが、ただ問題は、数が多ければいいというわけじゃないんだ。その中身が伴わなければなりませんし、また制度が動かなければならない、こういうことだと思いますので、ひとつ両々相まってこれから八〇年代を迎えて非常にシビアな環境でありますから大いに奮励努力をしていただく、こういうことを希望するわけでありますが、決意のほどを承って終わることにいたします。
  84. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 まさしく御指摘のとおりでございますので、そういう御指導を踏まえまして一大決心をもって臨みたいと思います。
  85. 清水勇

    ○清水委員 終わります。
  86. 塩川正十郎

    塩川委員長 午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ————◇—————     午後二時十一分開議
  87. 塩川正十郎

    塩川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木内良明君。
  88. 木内良明

    ○木内委員 先日、私は、当委員会における倒産防止共済制度審議の中で、今後のあるべき中小企業対策に触れまして、主に倒産の今日までの推移と今後のいろいろな情勢というものを勘案した上での倒産傾向とその防止ということについて種々質問を行ったわけであります。  本日また、この中小企業等協同組合法等の改正案審議に当たりまして、まず八〇年代という時代の流れの中における対中小企業施策はいかにあるべきかという点についてお聞きをいたします。  いまや石油問題を初めとする国際政治の現状はますます激動と不安定の様相を色濃くしてきておりまして、わが国中小企業の存立と今後の健全な発展というものも、よほど真剣な取り組みが行われない限りきわめて厳しいと言わざるを得ません。  第一に、エネルギー価格の高騰による原料高、採算割れ、またエネルギーそのものの入手の困難といった諸要件が予想されるわけであります。さらに国際化の一層の進展で、輸出に頼っている国内の産地は、近隣の中進国、発展途上国などの追い上げなどでその実情はますます厳しくなってくると思われます。逆に、輸入は近隣諸国の経済発展によって増大するという、いわば輸出、輸入の両面ではさみ打ちとなるわけでありまして、こうした点など、今後八〇年代のわが国中小企業を取り巻く環境は決して楽観を許さないものがあるわけであります。  まず、政府はこうした中小企業を取り巻く経済環境にどう対応していかれるのか、お聞きをいたします。
  89. 左近友三郎

    左近政府委員 八〇年代の経済の環境というのは、先生も御指摘のように大変厳しいものがあるわけでございます。そういう厳しい時代に対応して中小企業がいかに生きていくかということが課題でございますが、翻って七〇年代を見てみますと、七〇年代も実はニクソン・ショックあるいは第一次石油危機あるいはその後の不況、円高というふうに、大変いろいろな問題が相次いで起こったわけでございますが、その中にあって、中小企業日本経済の基盤として非常に努力をいたしまして、第一次石油ショック後の経済運営が世界で一番うまくいったと言われるのも、実は日本にそういう非常に厚い中小企業の層があったからであろうというふうにわれわれは考えておるわけでございまして、しかもその中小企業の中で環境にうまく適応した中小企業発展をしておるというような現実がございます。したがいまして、八〇年代を見通しましても、やはり変動する環境に的確に対応できるような中小企業体質をつくっていくというのが一番必要であろうというふうに考えるわけでございます。したがって、そういう点でむしろ具体的な設備をどうつくるとかということではなくて、時代時代の変化に柔軟に対応できるという経営力、しかもソフトな面での経営力というものをつけていくというのが一番必要であろうということで対策考えておるわけでございます。  しかし、いま申しましたように、七〇年代で非常に日本経済に貢献したとはいいますけれども中小企業というのはやはり大企業に比しましていろいろな面でなかなか力が及ばないという点もございます。したがって、中小企業政策といたしましては、やはり国の政策といたしまして中小企業を援助いたしまして、そうして中小企業が的確に時代に適応できるように、自主的な努力をうまく遂行できるような手助けを中小企業政策がやるということが主眼であろうかというふうに考えておるわけでございまして、その点で、現在、八〇年代の中小企業のあるべき施策ということで、中小企業政策審議会で御検討願っておりまして、これは今月末ないしは来月ぐらいには結論が出るかというふうに考えておりますが、そういう結論を踏まえまして、今後もこの八〇年代の中小企業対策をますます発展させていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 木内良明

    ○木内委員 今月末か来月中にはその具体的なものが提出されるということでございますので、またそうした内容に踏み込んでの審議も当然今後の経過の中で行われるわけであります。  それはそれとしまして、今回のこの法案の改正内容を含めて、昨年の七月以降、組織制度研究会並びに中小企業政策審議会組織小委員会等において、この具体的な内容についての検討が重ねられてきたわけでございまして、火災共済事業、休眠組合の取り扱い、また役員の選出に関する点について、こうした機関において合意を得たとされているわけであります。予定どおりいけば今月中旬が会期末ということでありますけれども、当初私どもが今国会提出予定法案の検討をいたしました段階では、この法案が予定に入っておらなかった、会期末近くになってにわかにこれが提出されたわけでございまして、その点まず私は率直な疑問を感ずるわけであります。今国会に最初提出される予定でなかった、これがこの時期になっていわば駆け込みのようなニュアンスを私は持つわけでありますけれども、この点はどうでしょうか。
  91. 左近友三郎

    左近政府委員 御案内のとおり、政府が法案を提出する際に、内閣で整理する場合に、提出予定法案と検討法案という二つに分けて当初各省が出すわけでございますが、検討法案というのは、提出をすべく進めておるけれども、内容の詰まり方がまだ最終的ではない、こういう意味で検討法案になっておるのだろうとわれわれは理解をしておるわけでございます。  実はこの法案につきまして、先ほど申し上げましたように、昨年の八月以来各種の機関におきましていろいろ内容を検討したわけでございます。ということは、この組合法というのはもう二十年以上改正をしていない状態であったわけでございまして、その間に時代も非常に変化をいたしました。したがいまして、その組合法の改正についての要望、ことに中小企業の方々あるいは団体の方々の御要望が非常にたくさんございまして、その中にはこの組合運営の基本に触れるような問題もございますし、あるいは物によってはこの法律を改正しなくても、指導といいますか運用でいけるものもあるわけでございます。そういうものをいろいろ仕分けをいたしまして議論をしてきたわけでございますが、その検討法案ということで出した時点では、まだ最終的にそれではこれとこれを今回の改正にお願いしようというところが決まってなかったわけでございます。  しかるところ、いろいろ議論をいたしまして、今回はこの三点、今回改正をお願いしております三点にしぼって改正をお願いしよう、そうして、ほかにもいろいろ問題はあるけれども、そういう問題については今後検討を続けて、また将来成案を得られたときにこの法律の改正をお願いしよう、しかし緊急を要するし、また関係方面の同意を得られたものをとりあえず三点改正案を出そうということになったわけでございますが、その時点が提出予定法案を出す時点より少しおくれましたのでこういうことに相なったわけでございますが、その後につきましては所定の、政府の方の閣議等も経まして国会に御提案をしたわけでございますので、現時点におきましては、すでに御審議をいただいております他の法案と同じような、政府意見としては確定をしておる内容でございます。
  92. 木内良明

    ○木内委員 提出までの経緯について明らかにしていただいたわけでありますけれども、さらに提出のタイミング、今国会にどうしてもという必然性というものもある意味では感じられるわけであります。この必然性のバックグラウンドとなる八〇年代の国際情勢の激動の中におけるわが国の中小企業経済であるとか、あるいはまたそのほかの諸要件というものもあったように思うのです。この辺のとらえ方をどうされているのか、それをまず一点お聞きいたします。  それから、いまの長官の御答弁にございましたところの、いろいろと山積した法律の内容についての問題がある中で、今回は何点かにしぼった、とりあえず具体的な項目を挙げて、緊急に改善すべきだという観点である。さらにまた積み残しの、改善されるべき内容についての掌握もあるわけでありまして、こうした残りの問題点については、それではごくごく近い将来、今日まで長い間改正が行われなかったわけでありますけれども、今後そのほかの諸問題について具体的にどういうタイムスケジュールで改善をされようとしているのか、この二点についてお聞きをいたします。
  93. 左近友三郎

    左近政府委員 第一点につきましては、八〇年代を迎えて、従来も組織化といいますか、組合活動が中小企業対策の大きな柱として推進をされてきましたけれども、こういう時代になりますと、ますます中小企業が団結をして事に当たるという必要性が非常に大きいわけでございます。たとえて言えば、産地振興というような問題でも組合を抜きにしては考えられないというようにわれわれは考えておるわけでございます。そういう意味におきまして、この時代にやはり組合の力を強化することが一番必要であるということで三点を選んだわけでございまして、その中には、火災共済組合のように、ほかの共済事業をやっているものに比較しても事業範囲が狭過ぎるとかいろいろありまして、早くそういうものを改善しなければ健全な発達が望めないというふうなものもあるわけでございます。あるいは選任制の問題にしても、組合の整理にいたしましても、こういうことが従来組合の健全な発達に障害になっておったということがあるわけでございますし、またこれについては関係者も皆こういうものを改善する、しかも改善の方途を改正案にお願いしたような内容で改善するということについて、意見の一致を見たわけでございますので、そういう三点を決めたということでございます。  それから今後の問題でございますが、先ほども申しましたように、いろいろな御要望の中には、組合の運営の根幹に触れて相当突っ込んだ議論をし、またがっての運用、かつての歴史をも勉強しないと解決のつかない問題もございますし、あるいはもう少し議論をすれば解決のつくような問題もございます。したがいまして、全部を一挙に改正しようといたしますとまた改正の時期が非常に後にずれてしまうという感じもございますので、今後は検討を続けながら、意見の一致が見やすいものとそうでないものと逐次類別をいたしまして、そして改正のできそうなものが成案を得られればその都度早く改正を進めていくというふうに、一時に解決するというのではなくて、段階的に解決するという形で改正を進めていきたいというようにわれわれは考えておるわけでございます。
  94. 木内良明

    ○木内委員 段階的に改正を進める第一歩が今回の提案であるというふうに思います。時期的なめどについては明示されませんでしたけれども、今後の法改正の時期的なめど、これについてはいま言及できませんか。
  95. 左近友三郎

    左近政府委員 現在の時点で関係方面の意見の一致を見た案というのが、現在お願いしておる三点でございます。あとの点につきましては、やはりこれからの詰めでございますので、いつごろということはなかなか決めがたいのではないかというふうに考えております。ただ、事柄によりまして急いでやらなければいけないというものもございますし、それから相当長期にわたって十分検討してやらなければいけないというものもございますので、先ほど申しましたように幾つかに仕分けをしてやりたいと思っております。したがって、急ぐものは極力早くやりたいというふうに考えておりますが、いまのところ、これこれについてはいつというふうにはっきり時期を明示するということはなかなかむずかしいというので、われわれとしてもいまのような考え方ということをお話をいたしまして御了承願いたいというふうに考えておるわけでございます。
  96. 木内良明

    ○木内委員 了承いたします。  中小企業は、一般に大企業と比べて規模が小さく、信用力あるいは技術力などの面でもきわめて不利な立場に立たされる場合が多いことは言うまでもないわけでありますけれども、この中小企業の組織化対策というものはこうした弱点を克服するため、中小企業者が互いに相寄りまして生産性の向上を図り、あるいは対外交渉力の強化を図ることにその目的があるわけであります。中小企業庁としても、このような観点から中小企業の組織化を積極的に、内容についてはつまびらかな検討は必要ではありますけれども、恐らく推進をされてきたものと思いますが、この法案の審議に先立って、まず中小企業の組織化の現状はどうなっているか、お聞きします。
  97. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいま御指摘がありましたように、中小企業が共同してその力をつけていくというために、組織化対策はわれわれも大変力を入れているわけでございますが、現在の組織化状況を申し上げますと、中小企業等協同組合法あるいは団体法に基づきます組合の数は約五万五千程度になっております。種類別に見ますと、協同組合が一番多くて四万五、六千、あとは企業組合の五千とかあるいは商工組合関係が二千というふうなことになっております。  なお、これを中小企業の組織の加入率という見方で見ますと、製造業の場合が約三八%、それから卸売業が三〇%、小売業関係が二二%というふうな状況になっております。
  98. 木内良明

    ○木内委員 いま中小企業の組織化の現状についてお聞きをしたわけであります。この時代状況の中で、中小企業をめぐる経済の諸環境というものが、今後いろいろな側面で変化をすることが予想されるわけでありまして、今日までの長い期間における組合が付与されていた使命に加えて、新たな時代に適応すべき役割りが要求されてくると思う。この新しい時代の展開の中での組合の役割りをどのように政府としてはとらえられておるのか、この点をお聞きします。
  99. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業対策の中で組織化対策というものは、個々の中小企業としては力が弱いけれども、団結して事に当たれば相当なことができる、中小企業振興一つのかぎとして組織化対策が進められておるわけでありまして、そういうふうに共同して事業を行うということのメリットについては、過去三十年、営々として続けられてまいりましたし、今後もそのメリットを生かしてやるという基本的な方向は変わらないわけでございますが、今回の白書にも分析しておりますが、その事業の内容に立ち入って考えてみますと、従来はやはり共同して施設をつくって、そしてその共同した施設によって、個々の中小企業ではやれないような大量生産をやるとか、そういう規模のメリットを生かすというふうな事業が多かったわけでございますけれども、今後ももちろんそういう事業を十分やらなければいけませんが、そういうことについてはある程度実績が出てきておりますが、今後はむしろ共同して人材を育成するとか共同して市場の状態をつかむとかいうふうな、いわばソフト面での共同した活動というものをこれからますます充実しなければいけないだろうというふうに考えております。これは先ほど申しましたように、中小企業自体がソフト面での経営力を強化するということが必要だということを申し上げましたが、そういう面でも個々の中小企業がやるということについては、いろいろうまく行き届かない点があるということが多いわけでございますから、組合というものをそういうソフトな経営資源の充実に大いに活用するというのがこれからの課題ではなかろうかというふうに考えておりますし、われわれもそういう点で、たとえば五十五年度予算についても、人材養成とか情報化の浸透とか、そういう面の促進を図るような予算を充実しておるわけでございます。
  100. 木内良明

    ○木内委員 確かにいま長官言われましたように、そうした組合の持つ役割り、これが徐々に変わりつつあるというのが現実の姿だと思うのです。五十三年度の中小企業白書で共同化に関する分析があるわけです。五十三年十一月時点の調査ですけれども事業協同組合の共同事業の実施状況を見ると、従来とは異なって、ソフト的事業の実施割合がハード的事業のそれを上回るに至っている、いまおっしゃったことです。すなわち、従来の物的生産性向上から、企業経営の質的向上を目指す共同事業へと重点が移行しているというふうに思われます。  そうした点を考えますと、今後の組合のソフト的機能の充実ということが大事になってくる。そうしますと、今回のこの法改正の内容に盛られた点と、いま言われた組合の体質といいますか、今後の方向性というものが変わってくることの関連が、あえてお答えいただくとどのようなことになるのか、お聞きします。
  101. 左近友三郎

    左近政府委員 今回の協同組合法の改正につきましては、先ほどから申し上げましたように、従来からの御要望の中でとりあえず推進すべきものであり、かつ関係方面の意見が一致したというものでございまして、直接的にソフトな問題について非常に寄与するというような改正ではございませんけれども、しかしながら、火災共済の事業の範囲を拡大をするというふうな点とか、あるいは役員の選任制を取り入れるというふうな点とかいうものについては、やはり今後そういう経営力を増加するためにプラスになる面ではないかということで、直接効果というよりは組合の体制強化ということを通じて、ソフト面の強化が図られる素地をつくるという意味があろうかというふうに考えるわけでございます。
  102. 木内良明

    ○木内委員 そうした時代の変遷に応じた組合の体質行政指導を通じて行うというふうな積極的な取り組みの姿勢をいまお聞きしたわけでございます。経済の高度成長時代には、中小企業は商社や親企業の走る方向についていけばよかった。その指導なり要求に合わせて追随するだけでも相当の成長を期待できた時期が確かにあったわけであります。組合の運営も、官庁の指導に従うことが状況考えれば容易だったわけであります。組合員も好況の中ではそうした時代的認識といいますか、問題意識を余り持たない傾向も確かにあったかもしれない。それが現在のように不安、動揺の時代になってまいりますと、業者としてもあるいは組合としても、いまの行政指導を受け入れる姿勢、これも大事でありますけれども、同時に組合自体から発生する問題意識あるいはまた諸要求というものをみずからコンセンサスをつくって、そして主体的な組合運営を行っていくという姿勢も当然必要になってくると思う。いま長官お答えいただいた行政指導という能動に対して受け身の組合の体質から逆に、いわゆる能動的な体質に強化を行う意味では、こうした措置というものも私は必要ではないかと思うのです。どうでしょう。
  103. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおりだと思います。従来は、たとえば中小企業近代化をとりましても、近代化促進法等で、もちろん組合とか中小企業者の御意見も伺いますが、むしろ業種ごとに国が関与いたしまして一つの計画をつくり、その計画に乗っかっている人々に対して援助をするというふうな、中央において計画をつくるというのが先行するというような行政が中心になっておりまして、それはその時期なりに非常に大きな意味があったわけでございますが、今日の状態になってまいりますと、むしろ組合の問題にすれば、組合自体の判断、組合自体の計画というものをまずつくってもらって、その計画のいい計画について国が応援するというふうな、組合の自主性を生かすという点が非常に必要になってくるだろうと思うわけでございまして、その考え方のまず第一着手といたしまして、昨年産地振興の法案も決めていただきましたけれども、あの法案に基づく産地振興対策というのは、個々の産地の組合がみずから振興策をつくる、そして、その振興策を生かすためにわれわれが助成をする、こういう方式をとったわけでございますが、今後各部面においてむしろ自主的にいろいろな判断をし、自主的な計画をつくっていただく、そしてそれを国が応援するというふうな方式を十分活用して取り入れていきたいというふうに考えるわけでございます。
  104. 木内良明

    ○木内委員 具体的な改正案の内容について触れていきたいと思います。  初めに火災共済の問題であります。現在、火災共済協同組合の共済事業というものは、民間の損害保険会社、農業協同組合あるいはまた消費生活協同組合等に比べて、てん補範囲あるいは契約者の範囲などにおいて不利な状況になっている。具体的にこの不利な状況をどう掌握され、また、今回のこの改正によってどの程度これがカバーし得るのか、あわせて今回、従来の火災に加えて破裂、爆発、落雷その他の事故というふうになっているわけでございますけれども、それだけで果たして十分かどうか、これ以外に考えられる要因はないか。たとえば地震による損害等も当然考えられるわけでございますけれども、こうした点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  105. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいま御指摘がありましたように、今回、火災のほかに破裂、爆発、落雷その他省令で定めるものを一括して共済するという制度にするわけでございますが、これは御承知のように、損保会社とかあるいは他の共済組合におきましては、すでに多かれ少なかれ行われていることでございます。そういった意味では、今回の改正は大体横並びにしていくということでございます。しかし、これを行うことによりまして、従来火災だけであったということから範囲が広がるわけでございますし、それからまた、従業員を契約者の対象に加えますので、それによりまして本制度も一段と発展への契機をつかめるだろうと私ども思っております。  ただ、ただいまもちょっと御指摘がございましたが、地震が入ってないじゃないかということでございますが、地震につきましては、今回も検討はしたのでございますが、いまのこの制度から見ますと、支払い能力その他問題がまだ十分でないということもございます。それからまた、地震の場合は、地震が発生したときに一挙に大量な事務を瞬間的に処理しなければならないという問題もございまして、なかなかそういう体制がまだできていない。さらにまた、地震が一挙に出た場合には、たとえば例をもって申しますと、東京都の現在の組合員に一人五十万円支払うといたしましても二百五十億くらいになりますが、現在のところ、全国で収入金が百二十億程度でございますので、現在のシステムあるいは基盤ではまだ十分それにたえ得られないというふうな状況がございまして、地震につきましてはなお今後の検討課題ということで残されたわけでございます。
  106. 木内良明

    ○木内委員 地震が除外されたということで、その原因となる理由についてもお聞きをいたしました。容易に理解ができるところでございます。しかし、今後これもやはり検討の課題としてぜひとも前向きに取り組んでいただきたいということを要望いたします。  あわせて、従来この共済事項の範囲を火災のみにしぼっていたものが、間口が広がって、対象事項というものがふえたということについては、私は一定の評価をしていきたいと思います。  次に、共済契約者の範囲の拡大ということについてお聞きをいたします。  まず、共済契約者の範囲を拡大して、組合員たる法人の役員、組合員の使用人をその対象とし得ることとしたわけでございますけれども、この理由について一点。  それから、従来も組合員だけでなく、組合員と生計を一にする親族、組合員たる組合を直接、間接に構成する者も火災共済事業の対象とし得ることとなっていたわけでございますけれども、こうした方々の利用状況がどうなっているか、お聞きします。
  107. 植田守昭

    ○植田政府委員 今回、使用人あるいは役員も対象とすることにしたわけでございますが、その理由といたしましては、この制度が、もともと中小企業の経営の安定ということを目的としているわけでございますが、そのためには、従業員につきましてもその共済の対象とするということが趣旨にかなったものであるということでございます。それからもう一つは、他の共済制度でも従業員を認めているというのが一般であるというふうなこと。さらには、広げることによりまして、共済協同組合の経営の一層の安定にも資することができるというふうなこと。それにもう一つ、何よりも要望も非常に強いというふうなことを踏まえまして、今回、役員及び使用人を対象として追加したわけでございます。  なお、現行制度におきまして、いわゆる親族あるいは直接、間接構成者というものが利用できることになっておりますが、その利用状況を見ますと、五十三年度の末で、全体の七十四万件のうちでこれらのものは四千件というふうな実績になっております。
  108. 木内良明

    ○木内委員 今回の制度改正によって、いままで触れてまいりましたけれども、損害保険等に比較しての不利な条件というものが、決して十分ではありませんけれども、部面的に改善はされるようになるわけであります。今後とも同種の保険あるいは共済との競争状況が続く中で、中小企業者の相互扶助という制度本来の趣旨を全うするためには、加入者の増加等によって火災共済協同組合の経営基盤の強化を図っていくことがどうしても必要になるわけであります。これは、やはり経営基盤の強化ということに根差した具体的な方策が精力的に講じられていかなければ、本制度改善ということも生きてこない。具体的にはどういった方法を考えておられるのか、また、その体制はどうなっているのか、お聞きします。
  109. 植田守昭

    ○植田政府委員 この制度の改正が認められますと、いま申しましたように範囲が拡大するわけでございますから、いろいろな点で従来よりも有利な運営ができるようになりますが、もちろん座していたのではなかなか発展が望めませんので、今後、特に人間の養成等を中心といたしまして組合の強化を図る。そのために、従来からも行ってきておりますけれども、研修その他の訓練も行いつつ、十分充実した人材によって堅実な経営がなされるようにしていきたい、そういう点が中心になろうかと思っております。
  110. 木内良明

    ○木内委員 役員の選出方法について聞きます。  現在、中小企業等協同組合法に基づく役員選出方法として、選挙制とその変形としての指名推選制が採用されているわけであります。現行制度に至るまでの役員選出方法についての制度の変遷といったもの、こうした過去の実績、教訓を踏まえて、今回の改正案を出されたというふうに私は思います。この点についての経過はどうであったか、まず一点。  それから、新たに選任制を設けなくても、従来の選挙制と、さらにまたその例外として指名推選制で十分対応できるのではないかというふうな指摘も実はあるわけでありまして、この点について選任制を追加する理由もお聞かせいただきたい。
  111. 植田守昭

    ○植田政府委員 組合の役員選出の歴史的な状況のお尋ねでございますが、この中小企業等協同組合は、明治の時代からの伝統をくみます大変古い制度でございますが、明治三十三年にできました産業組合法から始まりまして、ずっと戦前あるいは戦後間もなくの昭和二十一年の商工協同組合法あたりまでは、いずれも選任制が採用されておりました。その後、昭和二十四年にこの協同組合法が制定されました際に、無記名投票、現在の投票制ができたわけでございます。その後、昭和三十年に至りまして法改正がなされまして、組合員が非常に少数の組合につきましてはお互いに顔も知っているわけでございますから、無記名投票ということもかえって煩瑣であるというふうなことから、指名推選制が制度化されて現在に至っているわけでございます。しかし、この指名推選制はそういうことで入ったわけでございますが、最近のように組合も非常に大型化したものができてくる。あるいはその事業が複雑化してきますと、指名推選制もなかなかうまくワークしないという問題が起こってきております。それと申しますのは、非常に組合員の数が多くなりますと、投票といいましても、だれを投票していいかわからないという問題が一つございます。それからまた、事業が非常に複雑になってきておりますので、役員もいろいろとチームワークのある役員、たとえば経理担当理事でございますとか営業担当理事でございますとか、それぞれのエキスパートをセットとしてそろえなければならないというふうな問題が出てきたわけでございます。そういうことで、この役員をセットとして選任したいという要求が非常に強くなっているわけでございますが、ただ、現在の制度の指名推選制はいい制度であるのでございますけれども、総会で全員一致でないと認められない。一人でも反対が出ますと無記名投票に返らなければならないということがございまして、方々でいろいろとこの問題で役員の選出につきましてトラブルが起こりましたり、あるいはまた、そういったことがもとで信用を失墜するとかいろいろな問題が出てきておりますので、その点を改善する。この要望にこたえまして、今回改正しようとしているわけでございます。  なお、農協とか環衛組合等もそういった制度を持っておりまして、それに従った改正をお願いしている、こういうことでございます。
  112. 木内良明

    ○木内委員 私の、本法案の審議に与えられた時間は三十分でありますが、きわめて短時間で不本意でございますが、国会運営上の事情であわただしいこの雰囲気の中でありまして、とりあえず私の質問はこれで終わらせていただきます。(拍手)
  113. 塩川正十郎

    塩川委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  114. 塩川正十郎

    塩川委員長 では、速記を始めて。  近江巳記夫君。
  115. 近江巳記夫

    ○近江委員 国会全体の問題がございまして、そういう関係で委員会がしばらく中断したわけでございますが、話し合いがつきましたので、質問を木内君に続いて続行いたしたい、このように思います。  まず初めにお伺いしたいことは、この火災共済組合の設立をいたしまして、それから推移の問題、現在の中小企業者の加入状況及びこの火災共済が果たしてきた役割りについてはどのように評価をされておるか、この点についてまずお伺いしたいと思います。
  116. 植田守昭

    ○植田政府委員 火災共済協同組合は、火災による損害を埋めるための、もっぱら行う組合といたしまして三十二年にできたものでございますが、現在の状況を申し上げますと、都道府県単位の地区別組合が四十一組合、それから業種別の組合が二組合、合計四十三組合ございます。そのほかに再共済を行う連合会がございまして、これが昭和三十五年から設立されております。  なお、加入者等を見ますと、組合員数が約八十三万人、それから契約高が四兆二千億、年度収入共済掛金が約百二十億円ということになっております。  これの果たした役割りと申しますか、成果につきましては、この制度はもともと中小企業の福祉の向上という趣旨によってできたものでございまして、中小企業が寄り集まりましてこういった福祉事業を行ってきたということで、長年の間におきましていろいろな意味で中小企業の福祉向上に貢献してきたと思っております。今後は、この改正がもしお認めいただければさらにこの発展を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  117. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうしますと、これは四十一都道府県ですから、まだ行われていない県があるわけです。これは私の調査では京都、石川、沖繩、栃木、徳島、鳥取ですが、これは間違いないかどうか、この行われておらない県に対してはどういう指導をされてきたかという問題なんですね。国の制度はこのように確立されておりながら、いまだに実施されておらない県がある、これについてはどういう事情なんですか。
  118. 植田守昭

    ○植田政府委員 現在六つの県でまだ設置されておりませんが、これらにつきましては、それぞれその現地の事情と申しますか、そういう状況がございましてまだ未設置になっております。  われわれといたしましては、何よりもまず各県におきます盛り上がりを見まして、それを側面から援助していくということで指導してきたわけでございますが、ある程度設置に近くなりましても、なかなかもう一歩のところで設立までこぎつけられない。率直に申し上げまして、たとえば人事上の問題があるというところもあるというふうに聞いておりますし、あるいはまたがって事協の形で行っておったけれども、不幸にして経営に行き詰まりがきたということで、再び結成するということについてちゅうちょしているとかいうふうな個々の事情はあるようでありますが、今後とも中小企業者の盛り上がる力をできるだけわれわれも側面から援助いたしまして、できるだけこういったものの結成を進めるようにしていきたいと考えております。
  119. 近江巳記夫

    ○近江委員 昭和三十二年にできているわけですね。もう二十三年でしょう。今後こういうようにしていきたいとおっしゃていますが、いままで二十三年あるわけですよ。その間に、こういう法律に基づくりっぱな制度ができておってこれができないということについては、この制度自体に欠陥があるとか、もちろんその場所場所でいろいろな問題があるにしても、少なくとも国がこういう施策を定めてやっておる以上はいいわけでしょう。だから、こういう六つの府県でやっておらないというのは重大な欠陥があるからと違いますか。それについてはどういう反省をしておりますか。
  120. 植田守昭

    ○植田政府委員 確かに二十年以上たっているわけでございますが、この間徐々にではありますが設置がふえてきているわけでございます。この数年ちょっと設置がございませんが、たとえば五十一年には岡山、前年の五十年には秋田、岐阜あるいは四十九年には福島というふうに、徐々に盛り上がりが結実しているところはできてきているわけでございますので、私どもも今後も一層努力いたしまして、そういった盛り上がりの出てくるところにつきましては設立にこぎつけ得ますように支援していきたいというふうに考えております。  どういう欠陥があったかということにつきましては、私もいま直ちに一般的な欠陥ということで申し上げる点を思いつかないのでございますが、やはりいろいろな事情が各県にあるようでございますので、その辺も十分踏まえまして、今後努力していきたいと思っております。
  121. 近江巳記夫

    ○近江委員 各県に種々の事情があるということをいまおっしゃったわけですが、それでは具体的に京都、石川、沖繩、栃木、徳島、鳥取についてはどういう事情があるのですか。
  122. 植田守昭

    ○植田政府委員 たとえて申し上げますと、石川県の場合は、三十二年以前に事業協同組合という形で火災の共済をやっておった経験があるようでございますが、それが不幸にして経営が行き詰まったという経験がございますので、もう一遍立ち上がって設立しようという機運がなかなか出にくい状況にあるというふうに聞いております。あるいはまた京都の例で申しますと、これは法律ができる前から市と府でできておりまして、その辺の調整の問題等があるように聞いております。あるいはまた鳥取県の場合、私どもが伺っておりますのは、これはある意味では裏日本共通の現象でございますが、いわゆるフェーン現象等がございますと非常に事故率が高いというふうに言われている向きもございまして、そういったようなことからこういう保険的な事業に対して若干ちゅうちょするという傾向があるというふうに聞いております。あと人事上の問題というふうなことも伺っている点もございますが、その辺につきましてはつまびらかなことは現在私も十分承知していない点がございます。  すべてについての十分な御説明でなかったかもしれませんが、おおよそいま申しましたような状況がそれぞれあるというふうに伺っております。
  123. 近江巳記夫

    ○近江委員 特徴的な原因については大体お述べになったように思いますが、しかしまだ栃木であるとか徳島であるとか沖繩であるとかは答弁がないわけですね。今後指導しますと言ったって、こういう制度がありながらなぜ行われておらないのか、そういう原因をはっきりつかまなければ指導のしようもないでしょう。だから官僚の答弁というのはいけないと言うのですよ。抽象論なんです。今後努力しますと言っても、何を努力するか、どういう点で行き詰まっておるか、そういうところもつかまずして、それでは本当の指導というのはできないのですよ。特に中小企業のそういう指導というものは、現地現地でそれぞれ特徴もあるわけですから、的確にあなた方がきちんとつかんで、こういう点が欠陥である、だからこういう点をこうしなさいと指導をし誘導をしていく、すべての制度についてはそういう姿勢が大事なんです。ですから、今後はもっときめ細かに各地の状況というものをおつかみになっていただきたい、これは特に申し上げておきます。長官よろしいですか、答弁してください。
  124. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおりだと思います。十分今後そういう趣旨に沿って促進方を図っていきたいというふうに考えております。
  125. 近江巳記夫

    ○近江委員 それではそうしてください。  それから確認しておきますが、事業協同組合で火災共済だけをやっている組合が幾つあるのか、こういう組合に対してどういう指導をされてきたのか、これについてお聞きしたいと思います。
  126. 植田守昭

    ○植田政府委員 事業協同組合で火災共済のみを行っているというのは五つほどあったと記憶しております。これらにつきましては、事業協同組合の所管省がその衝に当たりまして、監督を行っているというのが実情でございます。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういう五つの組合だけがやっておるのですけれども、それをいろいろ指導なさっておられて、どういう問題点が浮かび上がってきておるのですか。
  128. 植田守昭

    ○植田政府委員 問題点といたしましては、私ども特にこういう問題で事故を起こしているとかいうふうなことは聞いておりませんが、いずれにしましてもこういった火災共済というふうな問題は特殊なものでございますから、所管の衝に当たる者といたしましては十分な監督をしていかなければいけないと思っております。ただいまのところ、特別にこれらのところがいわゆる事故を起こしたというふうなことは伺っておりません。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 問題というとあなた方はすぐに事故ということに短絡に結びつけるのですよ。私が言っておる問題というのは、事故も含めてですけれども、こういう経営上の問題であるとか、どういう点を苦しんでおるのか、苦しんでおるならば助けてやらなければいかぬわけですね。そういう点を私はお聞きしておるのですよ。
  130. 植田守昭

    ○植田政府委員 事業協同組合そのものは御承知のようにたくさんあるわけでございますが、その中で火災共済を行っている事業協同組合ということになりますと、非常に数が限定されるわけでございますが、これにつきまして、いま現在非常にこういう点で困っているというふうなことを私どもとしては実は十分つかんでいないというのが実情でございまして、所管省を通じて、あるいは所管の県知事を通じて監督がなされているわけでございますが、いまのところそういう情報には接していないというのが率直なところでございます。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 これもあなた方の掌握不足ですね。少なくともこの法案が出ておるわけですから、やはりつぶさにこういう機会にあなた方は総点検をして問題をつかむのですよ。そういう所管官庁であるとか知事がやっております、それは間接じゃないですか。それを無責任というのですよ。その点は十分反省をしていただきたい。特に申し上げておきます。  それから契約件数、契約高、これは先ほど御答弁があったわけですが、一件当たりの平均契約高の推移についてはどうなっておりますか。また今回の改正によりまして、総合共済を行うこととなるわけでございますが、今後の見通しはどのようになさっておられるか。その点についてお伺いしたいと思います。
  132. 植田守昭

    ○植田政府委員 一件当たりの数字につきましては、ただいまちょっと資料を用意しております。  もう一つの点でございますこれからの見通しでございますが、今回の改正がもしできますと、てん補範囲が総合共済までいく。それからもう一つは契約の対象が従業員あるいは法人の役員に及ぼされるということで、私どもはかなりこの契約は伸びる可能性があるというふうに思っております。いままでの伸び率の経緯等を踏まえまして、一応これは全くの試算でございましてなかなか見通しはむずかしいのでございますが、一応試算しましたところでは、改正をしないのに比べまして昭和六十年段階で二五、六%程度伸びるのではないかというふうな一つの試算をしております。  それから契約の一件当たりの平均契約高でございますが、これは五十三年の実績で申し上げますと、五百六十九万三千円という数字が出ております。五十年が三百九十六万、四十五年が百六十八万二千円というふうなことになっております。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 やはりこういう制度を充実していくということにつきましては、今後中身の充実と同時にやはり加入の促進ということを図っていかなければいけないと思うのです。今回の改正によりまして確かにそれだけの要素はできるわけでございますから、これはあくまであなた方の試算ということでありますが、ぼくらが感じております点からいきますと、ちょっと低いように思うのです。ですから、こういう改正をやるわけですから、いま申し上げたように充実の要素としてさらに今後加入の促進をしていく。それには中身をよくしなければ加入の促進も図れないわけでありますから、両方相まってさらに努力をしていただきたい、特に要望をいたしておきます。長官どうですか、この点は。
  134. 左近友三郎

    左近政府委員 確かに契約の実態を見ますと、もう少し契約額というものも向上させるという必要があろうかと思います。今後十分こういう点についてわれわれの方も指導の努力をいたしたいと思います。先ほどいろいろ御注意もございましたが、十分御注意を体しまして今後の事に当たりたいというふうに考えております。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 このてん補範囲といたしまして、火災、破裂、爆発、落雷等があるわけですけれども、そのほかのものにつきましてどういうものを考えておられるかという問題であります。「省令で定める偶然な事故」、そういうように書かれておるわけでございますが、地震であるとか中小企業者の自動車事故等は対象にするのかしないのか、この辺の問題についてお伺いしたいと思います。
  136. 植田守昭

    ○植田政府委員 「省令で定める偶然な事故」といたしましては、破裂、爆発、落雷のほかに、建物の外部からの物体の落下、飛来、衝突、倒壊、それから建物内の給排水設備に生じた事故による水ぬれ、それから騒擾とかこれに類似の労働争議あるいは集団行動というふうなもの、それから六番目に盗難、それからもう一つは風水雪害、こういったようなことを現在考えております。  それで、御指摘の自動車関係とかあるいは地震でございますが、この自動車関係等につきましては、火災共済の組合員につきましてはその事務処理能力等々も勘案いたしまして、現在のところはいま申し上げましたところまでの総合共済を行うのがまず着実な第一歩であろうというふうに考えまして、この範囲にとどめたわけでございます。  それからまた地震につきましては、その財政基盤の状況から見まして、地震の共済ということになりますと遺憾ながらその財政的な状況が現在許さない、あるいはまた事務処理体制からいたしましても、地震という問題は一時に大量の案件が起こりますので、非常に迅速かつ大量の事務処理を必要とするわけでございますが、目下のところそういった体制まではいってないということになっておりますので、今回はこれにとどめまして、これはさらに今後の検討課題、あるいはまた力をつけていきまして次の段階での問題というふうに私ども考えております。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 これにつきましてはひとつ十分検討していただきたい、これを特に申し上げておきます。検討していただけますか、長官
  138. 左近友三郎

    左近政府委員 本問題は引き続き検討を続けていきたいというふうに考えております。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 火災共済金額の制限につきまして一人百五十万円ということになっておるわけでございますが、今後どういうように変わっていくのか、見通しについてお伺いしたいと思います。
  140. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいま申されましたように、現行規定では百五十万あるいは純資産の百分の十五のいずれか低い額というふうな規定になっておりますが、現在の規定でもただし書きで、行政庁の認可を受ければこの限りにあらずということになっておりまして、実はそのただし書きがいま事実上きいているわけでございます。今回の改正法案におきましては、法律でたとえば百五十万円というふうな実額を定めますことは時代動きあるいは物価の動き等々からいたしまして必ずしもなじみにくいと思いまして、省令で定める率ということにしております。省令ではどういうふうに定めるかは今後検討することになりますが、ただいま考えているところでは、たとえば耐火構造の建物あるいは準耐火の建物あるいは木造の建物等によりまして危険率も違いますので、若干割合を違えたものを設けまして、それによって運用していくというようなことを目下考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 実情というものをよく踏まえて金額の設定ということはお考えになる必要があろうかと思います。こういう点今後考えていくということでございますから、さらにひとつ実情を踏まえたそういう額を考えていただきたい。これは要望しておきます。  それから次に休眠組合の問題でございますが、現在この休眠組合、所在不明の組合等につきましてはどのように把握されておられるか、また組合別ではどのようになりますか。
  142. 植田守昭

    ○植田政府委員 現在、中小企業等協同組合法あるいは団体法に基づいて設立されております組合の数は約五万六千程度になっております。それで休眠組合の状況でございますが、全組合数約五万六千のうち事業を休止中のいわゆる休眠組合は一万二千組合に達しております。これを種類別に見ますと、事業協同組合関係が最も多くて約九千三百、企業組合が二千四百、商工組合が百二十、協業組合が六十ということになっております。なお、ただいま申しました一万二千の休眠組合のほかにいわゆる所在不明の休眠組合、所在のわからない組合というのが一万程度ございますので、これをすべて合計いたしますと総計五万六千組合のうちで約二万二千組合が休眠化しているというのが実情でございます。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 数字を聞くたびに私も驚いているわけでございますが、これだけ多くの休眠組合が発生しました背景、理由というのは一体何ですか、また同時に、行政庁はこれまでどういうような指導をなさってこられたのですか、その点についてお伺いしたいと思います。
  144. 植田守昭

    ○植田政府委員 このような膨大な休眠組合ができてしまったということは、何といいましても一番大きな理由は、昭和二十年代には認証で設立が認められるという認証時代というのがございまして、昭和二十四年から三十年までの間でございますが、この時代に設立された組合が先ほどの休眠組合の過半数、五五%程度を占めております。これが非常に大きいわけでございますが、そのほかの理由といたしましては、現在業務改善命令とかあるいは解散命令の規定等がございますが、必ずしもこれがよく、効率的に働かなかったという点、それからまた中央会等を通じまして改善指導、あるいはその意思のないものについては解散指導等を行ってきてもいるのでございますが、そういった業務改善命令をまず出さないと解散命令を出せないとか等々の問題もございまして、たとえば全国中央会で解散指導をいたしましたけれども、六百程度しかこなし切れなかったというふうなこともございまして現在のような状況に立ち至っているわけでございます。そういった点を踏まえまして、今回御審議をいただいている法案におきましては、いままでたまった大量の休眠組合を一括して整理すると同時に、今後そういった問題が再び起こらないように条文の整理をしていただくということで御審議をいただいているわけでございます。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 これだけの膨大な休眠組合が存在するわけでございますが、どういうような弊害が出ておるんですか。われわれも何点か聞いておりますが、いかがですか。
  146. 植田守昭

    ○植田政府委員 弊害といたしましては、何と申しましても一番大きいのは、たとえば新しい組合をつくります場合に、設立発起人等は皆さんいろいろ御苦労なさいまして創立総会にこぎつけて設立するわけでございますが、その後で登記所に登記に行きますと、そこに実は設立しようとする組合と同じ名称のものがすでに登記されているあるいは類似の名称のものが登記されているというふうなことがございます。そういたしますとその組合に解散してもらうかあるいは自分たちが名称を変えてまたもう一遍手続をやり直すか、そのどちらかを選ばなければならないわけでございます。解散していただくという場合には、登記面から見ましてたとえば理事長の住所を訪ねていくとかということになるのですが、その所在もわからないというふうなこともありまして、そこで大変な手間暇をかけまして、もう一遍再出発するまでに相当の年月といいますか、長い月日を経過しなければならないというふうなことが伝えられているわけでございます。そういったような弊害を今回のこの整理によりましてぜひともなくさなければいけないというふうに考えているわけでございます。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 現行法におきましても業務改善命令を発動して違反者には解散命令をすることができるわけでございますが、これまで改善命令を発動したのは何件ぐらいあるのか、これはいかがですか。
  148. 植田守昭

    ○植田政府委員 業務改善命令の発動状況は三百六十四組合ということになっております。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 これだけの休眠組合があり、こういう法律の規定がありながら三百六十四組合ということについては、いろいろとむずかしい点もあったと思いますが、非常に放置してきたという感がぬぐえないわけです。これについての反省はございますか、いかがですか。
  150. 植田守昭

    ○植田政府委員 これだけのたくさんの休眠組合ができてしまったわけでございまして、これにつきましては行政庁といたしましてはもっと努力すべきではなかったかという点もあるわけでございます。しかし、そういうことでわれわれといたしましても何とかこれを減らしたいということで、全国中央会等と一緒になりましていろいろと解散指導なり業務改善指導なりをやったことはやったんでございますが、先ほどからも申し上げておりますように、指導しようと思いましてもなかなか住所がわからないというようなもの、あるいは休眠しておりますと理事その他がなかなかその気を起こさないということで指導が非常にむずかしい、あるいはまた解散命令をかけようと思いましてもその前に業務改善命令をかけなければいけないということもありまして、そういったところに非常に難点があって進まなかったというのも事実でございます。一方、中央会といたしましては毎年毎年一千組合程度が新しくできてきますので、この設立指導という方はまたそれはそれで十分やらないといけないわけでございまして、その両方を抱えているということに非常に能力の点もございまして思うようにならなかったというのが実情でございます。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろと理由を聞けばまあ御苦労もわかるわけでございますが、いずれにしてもりっぱな中小企業庁をお持ちになり、そういう中央会もお持ちになりやっておられて現状がやはりこういうことですから、いままでのことは十分反省をされて今後の法律に基づいてりっぱな運営をやっていただきたい、このように思います。  それから休眠組合の整理につきまして、五十六年の十月一日を基準日とされておるわけですが、その理由及び最後の登記後十年となさった理由につきましてお伺いしたいと思います。
  152. 植田守昭

    ○植田政府委員 後の方の御質問の、最後の登記から十年という方から申し上げますと、これにつきましては役員の任期が三年でございまして、改選ごとに登記することになっておりますが、十年間登記しないということは少なくとも三回の登記を行わなかったということでございます。こういったものについては解散したものとみなそうということでございますが、これを十年といたしましたにつきましては特別の根拠というのはございませんが、商法で四十九年に行いました同様の措置もやはり十年ということでやっておりまして、この期限にならったというのが実情でございます。  それから五十六年十月一日という期日の問題でございますが、この休眠組合についてみなし解散をするわけでございますから、万一事業を継続しているにもかかわらず、うっかりして解散とみなされてしまったというふうなことが起こりますと、それはやはり大変問題でございますので、私どもといたしましてはこれを実施するに際しましては十分のPR期間をとりたいということでございます。そのために十分の時間をとったというのが一つございます。  それからもう一つは、十月一日と申しますのは、登記所が会社の決算の時期等々との関係で比較的業務が年間を通じては少ない時期であるというようなこともございまして、そういったようなところから十月一日を選んだということでございます。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 十分にPR期間をとるためにやったと理由の一つに挙げておられるわけですが、十分のPRというのはどういうようにPRするのですか。あなた方のPRでまだ漏れて知りませんでしたというのがまた出ますよ。どういう徹底したPRをするのですか。
  154. 植田守昭

    ○植田政府委員 PRにつきましては、やはり中心は中央会系統、これが組合の指導機関でございますので、全国中央会あるいは府県の中央会、それから商工会とか商工会議所のような各種の団体、こういったものを通じまして十分のPRをしたいと思っております。ですから、当然われわれが行っておりますテレビ等のPR媒体も通じましてPRしていくということにいたしたいと思います。  それからPRしてもやはり漏れるものが出るのではないかというふうな御指摘でございますが、私どもはそういう点も確かに心配でございますので、それにつきましては法律で手当てをいたしまして、一遍みなし解散になったものでも三年のうちに特別決議をして継続したいということで行政庁の認可をとれば、もう一度継続できるという救済規定は設けております。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 解散登記は行っておりますけれども、所管行政庁に解散の届け出のない組合が私の聞いている範囲では四千三百五十一組合あると言われておるわけですが、これはどういう扱いになるのですか。
  156. 植田守昭

    ○植田政府委員 前回行いました調査によりますと、四千三百五十一組合が解散の登記はされていましたが行政庁への届け出を怠っていたというケースがございます。これらの組合につきましては、調査の結果解散の登記が確認されましたので、直ちに行政庁のいわゆる組合台帳に解散した旨を記録するという処理をいたしてあります。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 変更登記等の登記手続を怠っておりながら活動しておる組合はどのくらいあるのですか。
  158. 植田守昭

    ○植田政府委員 これにつきましては、登記状況につきましては正確には把握いたしておりませんが、活動組合のうちには登記を怠っている組合も若干は存在するかもしれないというふうに思っております。  なお、本改正法施行前に十分なPRを行いまして、このような組合が一括整理の対象とならないように配慮していかなければならないと思っております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 これも十分な把握をしておらないということがいま明らかになったわけですが、いずれにしてもとにかく抜け穴だらけである、そういう実態をよく再認識をしていただきたいということを申し上げるわけです。  それから、一年以上事業を停止していると認める判断の基準は、一体これは何ですか。
  160. 植田守昭

    ○植田政府委員 一年以上事業を停止しているかどうかということにつきましては、いろいろと手続を経て調べなければならないわけでございます。私どもといたしましては三年あるいは五年程度の間に、毎年提出することとなっております決算関係書類、その提出がなされていない組合に対しましては、所管の行政庁から督促の通知をしようと考えております。督促の通知をいたしますと、相手に届かない場合には当然返送されてくるわけでございますが、その場合には登記簿上の住所等十分照合いたしまして再度督促の通知を行う。それでも返送されてきたような場合には、今度はたとえば代表理事の自宅とかそういうふうなところへ通知を行うということをやるわけでございます。督促の通知が相手方に届きますと、相手方に正当な理由があるかどうかというふうなことをこちら側に連絡してこさせまして、そしてその段階で事業を継続する意思もないという組合には中央会を通じまして自主解散の指導をまずいたしまして、それが困難ないし不可能な組合につきましては解散命令をかけるという手だてで実施していきたい、こういうふうに考えております。
  161. 近江巳記夫

    ○近江委員 この改正案が成立した場合、休眠組合の今後のスケジュールというのはどういうふうになるのですか。
  162. 植田守昭

    ○植田政府委員 この休眠組合の整理に関する規定につきましては、この法案の附則で、「公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。」ということになっております。今後のスケジュールといたしましては、先ほども申しましたが、一括整理を行う旨、五十六年十月一日付で実施することにつきまして十分にPRを行いまして、そして一括整理の方を五十六年十月一日付で実施いたしまして、さらにその後につきましては、いわゆる恒久的措置として今回所要の条文の整理をお願いしておりますが、それによりまして今後休眠組合の累積が生じないように措置してまいりたい、こういうふうに考えております。
  163. 近江巳記夫

    ○近江委員 本当に本法の改正によりまして、今後につきましては休眠組合をなくすことができるのですか。どういう自信をお持ちなのですか。     〔委員長退席渡部(恒)委員長代理着席
  164. 植田守昭

    ○植田政府委員 今回の改正がお認めいただけますと、いわゆる休眠組合について業務改善命令を前置する必要がなく解散命令が出せるようになる、これは非常に事務処理上効率的な処理ができるようになると思います。それからまた、組合の代表権を有する者が欠けているときなど、従来ですと解散命令を出す場合にも通知をしなければならなかったわけですが、通知をいたしましても所在不明とかそういった場合には返ってきてしまうわけでございます。それを今後はいわゆる公示送達によることができるようになりますので、そういったことで休眠組合の整理は非常に円滑化されるということになろうと私どもは思っております。そういうことで、現在の二万二千に及ぶ大量の休眠組合を、まず大部分を一括整理で整理いたしまして、それから後は恒久的な措置を十分有効に活用することによりまして再びそういうものがたまらないようにしていくというふうに考えているわけでございます。
  165. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと、役員選出につきましてお伺いしたいと思います。従来のいわゆる選挙制では組合運営というものは円滑にいかないということを以前に聞いたことがあるわけですが、その理由は何ですか。現状等につきましてお伺いしたいと思います。
  166. 植田守昭

    ○植田政府委員 現在の役員の選出方法は、原則が無記名投票になっております。ただ、その無記名投票のいわば変形といたしまして指名推選制という形をとることもできるようになっておりますが、指名推選制をとる場合には、それをとることについて、指名推選制でやってよろしいかということを総会にまず諮るわけでございます。その場合に一人でも反対があるとそれが実行できないということになります。幸いに指名推選制をとることについて全員の了承が得られれば、選考いたしまして、十名なら十名の役員を総会に指名して推選するわけでございますが、今度そこでまた一人反対するということになりますとこれが認められない。つまり指名推選制をとる場合には二度の全員一致の関門をくぐらなければならないわけでございます。それで不幸にしまして二度目の関門と申しますか、指名推選の方法をとることについては賛成を得られたけれども、二度目に具体的に諮った場合に反対されたという場合には、もう一度無記名投票に戻らなければならないというふうなことで、大変そこで混乱が起こるわけでございます。そういったようなことが非常に信用を失墜することにもなりかねないというふうなことで、以前から選任制の採用についての強い要望があったわけでございます。そういうことで今回お願いしているわけでございます。
  167. 近江巳記夫

    ○近江委員 選挙制と選任制のメリット・デメリット、これについてはどのようにお考えですか。     〔渡部(恒)委員長代理退席、堀内委員長代     理着席〕
  168. 植田守昭

    ○植田政府委員 メリット・デメリットということでございますが、選挙制と選任制に分けてその状況考えてみますと、選挙制はいわゆる民主的な選挙という形をとるわけでございますが、現在の組合は非常に仕事の内容が複雑化してきておりますし、あるいはまた大型な組合も多くなっておりますので、役員を選ぶ場合にチームワークのとれた役員をセットとして選ぶ必要があるという要請がございます。たとえば経理担当の理事であるとか販売担当の理事であるとかいうふうにバランスのとれたチームを選ぶ必要があるのでございますが、選挙制の場合ですと必ずしもそれがそういかない場合がある。その辺に民主的ではありますけれども、実際問題として現在の複雑あるいは大型の組合の理事あるいは役員団と申しますか、役員チームを選ぶには難点があるというのが一つ考えられる選挙制のデメリットだろうと思います。  選任制につきましては、それとうらはらの関係になりますが、チームワークのとれた役員構成が期待されるわけでございます。そういった意味でメリットがあるわけでございますが、ただ気をつけなければなりませんのは、運用を誤りますと俗に言うボス的な支配といったことになりかねないという点も確かにあるわけでございます。この辺がメリットとデメリットではないかと思います。私どもが選任制を採用するにつきましては、いま申しました運用を誤らないようにいたしたい。具体的には役員を選任する場合に、それを理事が勝手に選んで出すということにいたしませんで、組合員の中からバランスのとれた形で推選会議といいますか、そういったメンバーを選びます。具体的に言えば、たとえばそれが地域的な組合であれば各地域から代表を出す、それからまた業種別の組合であれば、その業種の中の企業規模に応じてバランスのとれたように推選人を出すというふうな形で、そういう人たちが集まりまして役員をセットとして選びまして、それを理事会を通じて総会にかけるというふうな形で、万一にも民主的な運営が侵されないように歯どめをかけていきたいというふうに考えております。
  169. 近江巳記夫

    ○近江委員 この指名推選制というのは残されるわけですね。どうですか。
  170. 植田守昭

    ○植田政府委員 指名推選制は先ほど申しましたように選挙制の一つの変形という形で、今後も残ります。これは指名推選制が入ったときの経緯にもございますように、小さい組合に特によくなじむ形でございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、組合員の人数が少ないという場合にわざわざ無記名投票をするまでもないのではないか、お互いによく知っているのだから、そこで指名推選制という形でよければみんなで話し合って、それがいいのではないかということで、これは改正によりまして入った条項でございます。これはそういった規模の小さい組合におきましてはいまでも大変よく使われておりますので、このまま残したい。それから今度お願いしております選任制は、どちらかと言えば大きな組合になじむ形でございますので、そういったところは両方とも残します。ただ、残すと申しましても勝手にその都度都合のいい方をつまみ食い的にとるということは考えておりませんで、いずれにしましても、どちらをとるかにつきましては定款にもしっかり定めまして、それでやっていただくということを考えているわけでございます。
  171. 近江巳記夫

    ○近江委員 役員選出の方法がこのように変わるわけですね。私たちが一番心配するのは、本当に民主的な運営ができるかどうか、こういう問題なんです。政府はひとつその点については十分配慮をして、加入者にとってそれが不幸になるというようなことにならないように指導を徹底していただきたい。これは特に要望しておきます。  それから、大体こういう休眠組合がこれだけ膨大な数ができるということにつきましては、人的基盤が弱体で、組合組織の整備、組合経営の合理化、近代化、こういうものが非常におくれておったわけですね。とりもなおさず政府の指導のずさんさというものが出ておったことが一番大きな原因だと私は思うのです。今後あらゆる機関等を網羅しまして、政府自体も根本的にそこに原因があるのだということに留意をして、りっぱな協同組合が育成できるように尽力していただきたい。最後に大臣に決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  172. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 仰せのとおり間違いのないように指導監督していきたいと思います。
  173. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  174. 堀内光雄

    ○堀内委員長代理 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。  引き続いて安田純治君の質疑に移ります。安田純治君。
  175. 安田純治

    ○安田(純)委員 午前中から同僚委員がいろいろな角度から本法案の内容について、あるいは関連する事項について質疑をいたしましたので、私は若干の問題点について伺いたいと思います。  まず最初に、午前中の質疑の中で中村重光委員が改正案の三十六条、つまり登記を十年間しなかった組合のみなし解散の質疑をされましたときに、御答弁の中に、法律を知らなかったために登記手続を怠った場合などの救済措置としてその後三年間継続の決議をすればという救済規定があるのだ、そういうふうにお答えになったようですけれども、それで間違いございませんか。
  176. 植田守昭

    ○植田政府委員 三年間のうちに継続の特別決議をして行政庁の認可を得れば再び継続できるというふうになっております。
  177. 安田純治

    ○安田(純)委員 いや私が聞いたのは、法律を知らなかったために登記手続をしなかったとか、そういうような人たちのためにというような御答弁があったように伺いますけれども、それに間違いございませんかと確認したのです。つまり、実際活動しておるのだけれども、しかしいろいろな法律を知らなかったりなんかして登記の手続を怠っておったという組合のために、三年間継続の決議をすれば生き返るという規定を設けたのだという御答弁があったようにちょっと聞いたのですが、そうじゃないのですか。法律を知らないためにということじゃないのですか。
  178. 植田守昭

    ○植田政府委員 あるいは私の御説明が適当でなかったかもしれませんが、そういう人のために設けたということではございませんで、今度こういうみなし解散の規定を設けまして、十分のPRをするわけでございますけれども、それにもかかわらずうっかりしているということも絶無ではないと思いまして、そういった場合にはもう一遍継続し得るような救済措置を設ける、こういう趣旨だと思います。
  179. 安田純治

    ○安田(純)委員 そのうっかりしている人のためにこの規定を設けたとすれば、みなし解散があったときに何らかの方法で該当組合に通知をしなければならないと思うのです。事前にテレビでPRするとか、先ほど近江委員の発言に対していろいろお答えもありましたけれども、それだけうっかりしている人なんですから、登記を十年も怠っておったということでみなし解散された場合、何か通知の方法をとるわけですか。おたくはみなし解散になりましたよということを通知しますか。
  180. 植田守昭

    ○植田政府委員 個別の通知は考えておりません。
  181. 安田純治

    ○安田(純)委員 そうなりますと、十年間も活動しながらまじめにいろいろ総会もやり、議決もしたり、役員をかえたりしておっても、どだい登記をしなかった、そういうのはいわばうっかり組合になるわけです。十年間もうっかりしていたのが、自分のところがみなし解散になったかどうか個別の通知は受けない。一般的なPRだけだ。それで三年間のうちに気がつくことを期待するというのも、何か本当に偶然に気がつけばということになるような気がするのです。したがって、みなし解散になったときには、何かあと三年の間に継続の議決をすれば蘇生できますよというようなことを個別に通知する方法をお考えになりませんか。
  182. 植田守昭

    ○植田政府委員 設例が必ずしも適当ではないのかもしれませんが、私どもといたしましては、これから一年有余の十分なPRによりまして、通常の場合ですとまずそれで大丈夫ではないか、むしろ、私のうっかりという表現が適当かどうかは知りませんが、それこそがまことに希有のことではなかろうかと思っているわけでございまして、まずそういうことのないように十分なPRをしていきたい、こういうふうに考えております。
  183. 安田純治

    ○安田(純)委員 そうすると、あくまでも個別の通知はする気がない。法律にはしろとはどこにも書いてないわけですね。商業登記法九十一条の二でやっても、あれは支店の所在地の登記所に通知するだけですからね。個別の通知ということはどこにもないので、それは何かの形でおやりになる気はございませんか。
  184. 植田守昭

    ○植田政府委員 目下のところそういう点は考えておりません。
  185. 安田純治

    ○安田(純)委員 十年間何かの事情で全く登記の手続といいますか、協同組合などの事項について登記所に近づかなかったような組合がもし存在する——まあ存在することが前提でしょう、法律の条文がつくられるということは。不存在なことについて条文をつくるというのはあり得ないはずでありますから、そういうことがあるということを前提にして、十年間登記所に近づかなかった組合のみなし解散及びその救済規定を設けたわけですから、実際はレアケースになるかもしれませんけれども、しかしやはり個別の通知を何らかの手段で今後検討していただきたいと思います。これは一おたくの方でも突然の質問ですから、午前中からの質疑を聞いておって私はこれはちょっとというので伺ったわけですから、ぜひ今後検討していただきたいということを要望しておきます。  次に団地の協同組合。団地で、高度化事業などをする、卸売団地とかありますけれども、この集団化事業にはどのような種類があるのか、まず伺いたいと思います。
  186. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 集団化事業の種類でございますが、現在四つ種類がございまして、工場等集団化事業、店舗等集団化事業、貨物自動車ターミナル等集団化事業、倉庫等集団化事業、以上四つの事業がございます。
  187. 安田純治

    ○安田(純)委員 このそれぞれ四種類の団地の団地化の目的は何ですか。
  188. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 以上四つの事業は、それぞれの冒頭の名称が示しておりますように、工場あるいは店舗、貨物自動車ターミナル、倉庫、それぞれ対象の事業は違いますけれども、いずれにいたしましても過密問題その他の事情から郊外へ新しい土地を求めまして、そこで中小企業者が集団化いたしまして事業の効率化あるいは近代化あるいは生産等の環境整備、こういう実績を上げるという目的でございます。
  189. 安田純治

    ○安田(純)委員 考えますに、この四種類の団地については、いま御答弁があったような一般的なといいますか、メリットのほかにも、各団地の種類ごとによっては別ないろいろな効果があるだろうと思うのですね。たとえば工場団地でいえば、公害なんかが発生するおそれのある工場を一カ所にまとめることによって社会公共のためにも非常に役に立つことにもなると思いますし、また卸商団地の場合には集積の利益といいますか、いろいろ同じような店が一カ所にあって非常に便利だというようないろいろなことがあると思うのですね。それぞれの団地によってはそういう副次的なと言ってはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、メリットもあるというふうに思うのです。それに関連して後から若干伺いますが、これらの団地の協同組合について、土地及び施設の所有権はだれに帰属しておりますか。
  190. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 原則として一括して組合に所属しております。
  191. 安田純治

    ○安田(純)委員 高度化事業の融資を受けた場合に、その償還期限前にはそういうことになるでしょうが、償還後の場合はどうなるかということ、それからその場合にも各組合員の専用部分と共用部分と出てくると思うのですが、共用部分の場合はどうなるかという点を伺いたいと思います。
  192. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 償還後、組合がその目的を達した場合には組合員にそれぞれ分離分譲するということでございますが、共用部分につきましては組合が引き続き所持するという関係になるかと思います。
  193. 安田純治

    ○安田(純)委員 償還後組合員の私有となった土地、施設について、これは譲渡の自由を制限することは日本国憲法上もできないと思いますが、かといって、譲渡の自由を無制限に認めると、団地としての、先ほど四種類の団地の話がありましたが、それぞれ団地化のメリットがあるわけですけれども、償還後の個人有といいますか、私有になった土地や施設について譲渡の自由を無制限に認めると団地としての機能を阻害するに至るおそれがあるのではないか。まだこの事業は始まってからそんなにたっていませんから、全部償還を終わったなんというところはないので問題は出てこないかもしれませんけれども、しかし一般的には考えられるわけですね。せっかく団地をつくったけれども、今度は譲渡の自由を認めていればその後はどこへ転売しても勝手だ。先ほど御答弁があった団地のメリットを阻害するということが出ると思うのですが、その対策をどのように考えていらっしゃるか。  これは二つの場合に分けて考えられると思うのです。たとえば組合員の意思に基づかず、組合員はそのまま譲渡しないで続けたいんだけれども倒産その他の理由によって債権者なりあるいは競売なりでほかの人が参入してくる、こういう形の場合と、組合員本人が譲渡してどこかへ移るとか商売がえするとか、積極的にいわば別の人を参入させるという場合と二種類あると思うのですが、それぞれについて対策はどのようになされておるか、伺いたいと思います。
  194. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 高度化資金の償還が済んでおる組合はまだほとんどございませんので、現在、高度化資金の償還前の団地組合の集団化事業に対してどのような措置をとっておるかということをまず御説明したいと思います。  先生が御指摘になりましたように、組合員努力にもかかわらず倒産に瀕しまして事業を閉鎖せざるを得なくなったという場合には、第一の手段といたしましては、その組合を構成しております組合員がなるべく協力いたしまして団地を形成するに足る的確な代替企業を見つけまして、域外からその団地に入居するようにあっせんする、そういう形で解決する場合が相当数ございます。大部分の場合はそういう形でございます。しかし、代替企業がすぐに見つからない、相当の準備期間が必要な場合がありますので、事業団といたしましては、貸付金の一部につきましてその間は償還を猶予するというような制度上の特例を認めております。また、そのような組合によります自主解決努力を側面的に援助いたしますために、昨年度、五十四年度におきましては倒産企業施設の先行取得制度を創設いたしまして、この制度を活用することによりまして団地組合の運営を支障なく進めるという制度も採用しております。  また、事後的に、高度化融資の償還後の団地機能の保全を進める場合があるわけでございますが、この場合、本人が他の組合員あるいは他の事業者にその施設なり土地を売るというような場合も出てくるわけでございますけれども先生指摘になりましたように、それは団地機能の維持という面から申しますと決して好ましいことではございません。したがって、その事業の共同化あるいは集団化の目的に沿いますように組合員相互が相談いたしまして、団地機能の魅力と申しますか、共同施設を整備するというような形で、団地機能を保全するという形で努力していただくということかと思っております。
  195. 安田純治

    ○安田(純)委員 先ほど言われた四種類の団地それぞれについて、いまお答えがあったような共用施設の整備充実といいますか、中身は大分違うと思うのです。現在全国に設置されておる団地それぞれについて見ますと、共用部分を押さえてみたところで、土地を売って、その共用部分については余りお世話にならなくてもいいようなところにしか共用施設がないというような形の団地もあるようであります。たとえば卸商団地の場合に、共同展示場とかあるいは全体の管理棟みたいなものがありますけれども、償還後自分の物になった土地を売って、全く業種の違うものが入ってきた場合に、展示場なんか使わなくてもいいやと言われればそれっきりであります。しかし、じゃあ道路は組合員しか使わせないかというと、そうはいかないと思うのですね。外部からお客さんも入ってくるわけですから、一般公衆の通行する道路だということになります。駐車場も共用部分で押さえておって組合員以外には使わせないことにするかとか、いろいろ団地の種類によって押さえるところは違うと思うのですが、共用施設を組合で持っておって、その共用施設を利用することによって団地内に張りついた各土地、施設の利用価値が非常に上がると一般的には言えるわけだけれども、そのお世話にならなくても済む人に入ってこられるとどうもちょっと困るのですね。ですから、何かそこに団地としての機能を持続させ発展させていくいろいろな方策を考えてやらなければならないのではないかというふうに思うわけでありますが、これは立法的には非常にむずかしい問題だと思いますので、いますぐこうするというお答えは出ないかもしれませんけれども、ぜひ御検討いただきたいのですが、いかがですか。
  196. 左近友三郎

    左近政府委員 いまの御指摘まことにごもっともな点がございます。実はわれわれもこの点をいろいろ検討しておりますが、本来の趣旨から言いますと、団地を形成するというのは、ある時期、つまりお金を借りる時期だけに団地を形成するというのは本末転倒でございまして、集まって共同的に事業をやる、それは必要な場合にはお金を借りますけれども、継続的に事業をやるというところに組合による組織化というのは意味があり、その意味があるからこそ事業団が低利の金を貸しておるわけでございます。したがって、お金が返せたらもうばらばらになるというのは、本来共同的な事業としての意味としてはやや欠陥があるということになるわけでございます。ただし、現実の問題として、いろいろそういう事態が起こりかねないという心配がございまして、ことに団地を苦心をしてまとめてきた指導者については、大変そういう点を心配をなさっておるわけでございます。  そこで、われわれはそういう制度本旨に従って、これをやはり設立のときから、さらにその後の運営を通じて団結を強固にするようないろいろな指導をしていく必要があるということを考えております。実は、この協同組合法の改正に当たっても、こういうことを担保するために、この組合の加入、脱退の自由というような問題を、こういう点に限って制限してはどうかという御提案なり御意見もあったわけでございます。ただ、加入、脱退の自由というのは組合の民主的な維持ということの基本原則、いわば協同組合の中の基本原則でございますので、これに触れるのもまたわれわれはどうかというような感じもいたします。したがいまして、そういう現実に即して今後十分検討いたしたいということでございまして、これは中小企業庁のみならず、振興事業団も現実に貸し付けに当たってそういう点で悩んでおるわけでございますので、今後、事業団、中小企業庁、十分検討いたしまして、何らかの実質的な解決ができるような方途を見出したいというふうに考えております。
  197. 安田純治

    ○安田(純)委員 確かにおっしゃるように協同組合であり共同事業であるわけですから、みんなで力を合わせて共同の仕事をしていくのが本旨でありまして、確かにおっしゃるとおりが理想なんですが、頭数をそろえないと一定の規模にならぬということから、組合員がすべて同じ方向に意思が一致して始まったかどうかわからぬわけです。だから、償還が終わって自分の名前になったら、途端にそれじゃもうこれは自分の財産として売ってしまえという組合員だっていないとは限らない。途中で心変わりする人もいるでしょうし、最初からそれで加入する人もいるかもしれませんけれども、これをチェックする方法が何もないわけです。非常に熱心に発起人的にやった人だけが二階に上がってはしごを外されたみたいになっては大変なことになりますので、その辺はぜひお考えをいただきたいわけであります。協同組合の理想ばかり言ってたって、現実にそういう人が加入し、あるいは途中で心変わりするということはあり得るわけですから、そうすると組合の維持を一生懸命やっている人だけが孤立していってしまって、団地がくしの歯が欠けたようになってしまっては困りますので、その辺は十分にお考えいただきたいのです。  加入、脱退の自由についてはずいぶん強い要求があったようでありますけれども、これは確かにおっしゃるようになかなかむずかしい問題で、そこで縛るのはむずかしいと私も思いますけれども、何らかの方法でひとつ、団地の機能が長い間に失われないように、ぜひ魅力ある組合、ソフトウエアの点で魅力ある組合をつくっていくということはもちろん大切ですけれども、物的な問題でも、今後設立する場合に、たとえば団地のレイアウトで要所要所を組合の所有にしておくとか、そのことによって組合に協力しないような人はそこの土地を買ってもなかなか利用のメリットがないように、うまくいくかどうか、それは種類によって違いますけれども、ひとつ考えてやっていただきたいというふうに思うわけです。  ところで、団地としての機能を維持、発展させるために、助成措置を講ずる必要があると思うのですけれども、先ほど言われましたような倒産などによる場合の先行取得とか、いろいろな問題を除いて、そのほかの助成措置はどういうものがございますか。
  198. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 集団化事業につきましても高度化事業の一環でございますので、振興事業団あるいは府県による長期低利の融資というものが助成の根幹でございます。その内容は、六五%の融資比率で十五カ年の長期返済期間というものでございます。
  199. 安田純治

    ○安田(純)委員 それは団地にまとめて設置するときの話でしょうけれども、そうではなくて、設置された団地の機能を維持、発展させるための助成措置に何かあるかということを聞いているのです。
  200. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 組合員の維持を図るという面には、一つは、倒産する企業の施設が虫食いになりまして穴があいてはいけませんので、県によります倒産企業施設の先行取得事業という形で、一時県がその脱落した組合員の土地を保有するということに対しまして、貸付限度一〇〇%、金利四・三%の長期肩がわり資金を供給するということがございます。  もう一つは、その地域環境の施設を保全するために、地域環境保全施設取得事業というものがございますが、これも貸付限度八割、金利は無利子という形で、従来の制度よりも今回改善をしておるというものがございます。
  201. 安田純治

    ○安田(純)委員 後の方はいわゆる緑地帯などの設置だろうと思うのですが、緑地帯以外にもいろいろ対象になり得るのでしょうか。たとえば共用部分ですが、ことに公共施設に当たる部分、道路とか下水とかありますけれども、それは県道なり市道なりであれば当然市や県がやるのでしょうけれども、そうじゃない部分なんかも、これはいわばお客さんも入ってくる、いろいろな人が入ってきますから、たとえ私道みたいになっておっても公共的な施設と言ってもいいと思うのです。全くそこの店の人だけが出入するわけではない。そういう場合に、こういう公共施設に当たる部分の設置、維持、管理に対して現在助成措置があるのかどうか、ないとすれば今後その対策をお考えになる気があるのかどうか、その点伺いたいと思います。
  202. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 この地域環境保全施設取得事業の対象として考えておりますのは、緑地が主体でございますけれども、それ以外にも、付近の住民等の対策考えまして、公園でございますとかあるいはグラウンド等も対象になるというふうに考えております。しかしその維持、運営費につきましては、組合が主としてこれを利用するものでございますので、組合の経費としてサポートしていただくということになっております。  その他の改善と申しますか、制度改善等につきましては、今後引き続き研究させていただきたいと思います。
  203. 安田純治

    ○安田(純)委員 こうしたいわば公共施設に当たる共用部分といいますか、これについての助成は今後引き続きぜひ継続して助成の対象を拡大するように御努力をお願いしたいというふうに思います。  それから、ちょっと質問が別なことになりますが、役員の選任制度の新設の理由については先ほど同僚委員が伺いましたけれども、選挙が民主的な理想であることは言うまでもないと思うのですが、それだけでは実際に合わぬ場合もあるというので役員の選任制度というのを設けたと思うのですが、この場合のチェック方法といいますか、選挙の場合には民主的な組合員の意思が反映するけれども、機能的には必ずしも実際に合わない場合も出てくるという先ほどのお答えでした。機能の方を余り尊重しますと今度は余り民主的じゃないといいますか、組合員の意思を反映しないような独裁的な内閣みたいなものができてしまったりする危険もあるということになりますので、その辺のバランスの問題があると思うのです。  そこで、そのチェックの方法はどういう形で考えていらっしゃいますか。
  204. 植田守昭

    ○植田政府委員 ただいま申されましたように、選任制を導入する必要性、これは私どももあると考えているわけでございますが、その場合の問題をどうやってチェックしていくかということでございますが、私どもがいま考えておりますのは、たとえば模範定款例というようなものを出すことになりますが、それによって指導しようと思っておりますのは、推選会議のようなものをつくりまして、そこで役員を推選させる。初めから理事会がつくるという形でなくて、推選会議でつくったものを理事会をスルーして総会にかけるという形をとりたいと思っております。  それで、その推選会議ないしは推選母体というもののつくり方につきましては、個々の組合によって事情が違いますけれども、たとえば地域的な組合につきましては地域の偏りのないように各地域から出ていただく。あるいは業種的なものでありますれば企業規模ごとにバランスのとれたメンバーの選出を考えるとか、あるいは異業種的なものであれば業種ごとに代表を出すとかいうふうな形で推選会議的なものをつくらせまして、それによって推選していくという形をとることを考えているわけでございます。
  205. 安田純治

    ○安田(純)委員 次に、いわば魅力ある協同組合を育成していく必要がありますし、まさに協同組合としての理念、理想を実現するようにしていかなければならないと思うのですが、そのことと関連してちょっと伺います。中小企業団体の組織に関する法律や、現在議案になっております協同組合法によって設立されている団体の、業務上関係のある外郭団体はどのようなものがあるのかということを伺いたいわけであります。  まず通産省の管轄分では、中央会と、それから協同組合については通産管轄の事業を行う協同組合が対象だと思いますけれども通産の方にお伺いしたいと思います。
  206. 植田守昭

    ○植田政府委員 いわゆる外郭団体という言葉の意味もいろいろあろうかと思いますが、それはそれといたしまして、正直のところわれわれも実態を十分把握しておりません。そういう意味で、ここで網羅的に申し上げることはできないのでございますが、仮に外郭団体と申しますか、それを同一業界におきまして組合という形とそれから社団法人的な形の団体が併存する形を考えてみますと、私どもの所管で言いますと、たとえば〇〇工業協同組合連合会的なものと、同じ業種で今度は何々工業会とかいう社団的なものがあるというふうなのはわりあい気がつくわけでございます。固有名詞を挙げるのはあれかもしれませんが、たとえば鋳物関係で申しますと鋳物工業会的なものがございますし、あるいは工業組合連合会というようなものもございます。あるいは協同組合連合会と工業会的なもの、あるいは協会という名称のものもあるかと思いますが、そういったようなものがあろうかと思います。そういったものは、それぞれ目的が違うのだろうと思いますが、たとえば協同組合的なものは、御承知のように経済行為が中心になろうと思いますし、工業会的なものにつきましても、個々の工業会によって一律ではないかもしれませんが、たとえば情報収集的なものにあれを置くとかいうことがあろうと思います。それからまた工業会的なものは、概して言えば大企業も一緒に入っているという場合が普通ではなかろうか。協同組合の方は小規模企業、こういうことになろうかと思います。
  207. 安田純治

    ○安田(純)委員 では、大蔵省の方来ていらっしゃると思いますが、たとえば中小企業等協同組合法による信用組合が大蔵省の管轄分になると思います。信用組合連合会については、全国信用組合中央協会というものがあるように伺っておりますが、そういうものがあるのですか。
  208. 小田原定

    ○小田原説明員 信用組合の関係では、ただいま先生おっしゃいました全国信用協同組合の中央会という民法上の公益法人がございます。
  209. 安田純治

    ○安田(純)委員 これは中小企業だけが入っているわけじゃありませんけれども、それで、中小企業等協同組合法によって設立された団体ではございませんが、たとえば商工会の連合会を見ますと、協力会というものがあるそうであります。この業務の内容を聞きますと、調査事務といいますか、コピーの機械のあっせんとか、各官庁なんかでいろいろな刊行物を出しますけれども、そうしたもののあっせんなどをやって手数料もいただいておるというような話も聞くわけであります。  試みに、商工会の組織等に関する法律の五十五条の八の一、二項を見ますと、こうしたことは全部商工会の本来の業務に入っていていいはずではなかろうか。調査事務はもちろんのこと、そうした情報の収集、伝達といいますか、広報、こういうものに刊行物のあっせんなんかも入るのじゃなかろうかと思うのですね。ところが、これはわざわざ、いわば外郭団体といいますか、協力団体といいますか、つくっておるようであります。  そこで、本法で設立される信用組合に話が返るわけですが、信用組合中央協会の仕事の中身というのは、どういう中身でしょうか。
  210. 小田原定

    ○小田原説明員 全国信用組合中央協会の事業の内容でございますが、同協会の定款に定めるところによりますと、信用協同組合の発展並びに業務の改善に資するための調査研究、資料の収集及び統計の作成。次に、信用協同組合事業改善に関する立法及び諸法令改廃等に関する関係官庁その他に対する意見の表明。三番目に、信用協同組合業務に関する講習会及び講演会の開催。四番目に、信用協同組合に関する図書及び刊行物の発行。五番目が、会員相互の啓発、向上のために必要な事業。最後に、その他この協会の目的を達成するために必要な事業。こういうことになっております。
  211. 安田純治

    ○安田(純)委員 仕事の中身はわかりましたけれども、私が先ほど例に挙げた商工会の場合には、商工会自体がやってもいいような仕事をどうも協力会がやっているように見えるのですが、この信用組合連合会は、中小企業等協同組合法の第九条の九の中に、やってはならないと禁止されている事項がありますね。たとえば、協同組合連合会の中で会員の預金または定期積み金の受け入れなどをやるところは、その他の事業を行うことができないというように、制限されていますね。  そこで、信用組合連合会は、この法九条の九の二項に当たる連合会になるわけですか。
  212. 小田原定

    ○小田原説明員 私、先ほど答弁の際に、全国信用組合中央協会と申し上げましたが、これは民法上の公益法人でございまして、その内容について先ほど御答弁申しました。  いま先生がお引きになりました中小企業等協同組合法九条の九の方は、中小企業等協同組合法に基づいてできております全国信用協同組合連合会というものでございまして、これは中企法に基づく連合会で、これは金融業務を主としている連合会、これと全然別の、民法上の社団法人としての中央協会がある、こういうことでございまして、両者を御混同しておられるのじやないかと思います。
  213. 安田純治

    ○安田(純)委員 いや、私は混同していないので、質問が、一つは中央協会の仕事の中身を聞いて、一つは今度は、連合会の方が九条の九の二項の、いわゆる金融業務を扱うといいますか、連合会はそういう協同組合連合会なのかということを聞いたので、混同しているわけじゃないのです。この次にその質問が入るわけです。つまり、いまのお答えのように、もしこれが九条の九の二項の連合会であるとすれば、ほかの事業はできないわけですね。連合会の方はそういうことになりますね。そこで、それと似たようなといいますか、名前は協会ですが、民法上の公益法人の方が調査とか会員相互の地位の向上とか、いろいろそういう仕事をやるということになると思うので、これは先ほど私が例に挙げた商工会の連合会と商工会の協力会との関係とはちょっと違いますね。そのことを確認したかったわけです。ですから混同しているわけじゃないのです。  ところでこの民法上の公益法人の財政はどういうふうにして運用しておりますか。
  214. 小田原定

    ○小田原説明員 この中央会は、会員でございます単位信用組合から分担金を徴収いたしまして、それで先ほど申し上げましたような事業の経費に充てている、こういうことでございます。
  215. 安田純治

    ○安田(純)委員 信用組合の方でお金を出しているわけですね。これは寄付行為として出している、社団法人だから、違いますか、常に運営費といいますか、これを各信用組合が負担しておるということなんですか、そうでしょう。
  216. 小田原定

    ○小田原説明員 中央会に入っているためにその会費として、平たい言葉で申し上げれば会費として各組合が経費を拠出しておる、こういうことでございます。
  217. 安田純治

    ○安田(純)委員 ところで、協同組合法の五条三項を見ますと、「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」と書いてありますけれども、これは、協同組合法の実施については通産省が設置法によって管轄しておるようでありますので、通産省に伺いますが、この立法趣旨は何ですか。
  218. 植田守昭

    ○植田政府委員 この協同組合の場合は、その目的が経済団体ということで、小規模企業が相互協力をいたしまして経済事業を行っていこうというのが本来の目的の組織体であるわけでございますが、そういった見地から特定の政治的な行為というものから中立といたしまして、経済問題あるいは相互扶助の問題に専念させよう、そういう趣旨ではないかと考えます。
  219. 安田純治

    ○安田(純)委員 そこでちょっと伺いたいわけですが、もちろんこの協同組合法の五条三項は、組合という言葉を使っていますから、定義上信用組合も入るわけですね。この信用組合の中で、特定政党に政治献金を出しておる。特定政党というとちょっと言葉が言い過ぎかもしれませんけれども、実際上特定政党に資金を供給しておる政治資金団体国民協会というのだそうですが、ここにたとえば昭和五十三年度で言うと、信用組合自体がストレートに出しておる金額がございます。たとえば、新潟県信用組合が十八万円、都留信用組合十一万円、これはストレートに信用組合が出しております。それから民法上の公益法人かどうか知りませんが、北海道信用組合協会、これが十二万、今度は先ほどの民法上の公益法人でしょうけれども、全国信用組合中央協会が二千万円出しておるわけであります。この国民協会の次のそのお金の行き先というのは大体報告になってわかっているわけで、これは複数であるかもしらぬけれども、特定の政党に流れていっているわけであります。そうなりますと、たとえば中央協会の場合には、民法上の公益法人だから、信用組合あるいは連合会それ自体ではないと言うけれども、お金は全部負担しているわけですね。民法上の公益法人が何か別のことをやってもうけて出しているのじゃないと思うのです、先ほどの御答弁だと。結局信用組合からのお金がそういう形で特定政党へ、これは複数であっても特定であることは間違いないですから、毎年いろいろな形でいっておる。ということになると、この第五条第三項の立法趣旨が阻害されてくるのではないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。
  220. 植田守昭

    ○植田政府委員 会費の流れその他どういう状況になっているか、いま先生の御質問は、一応はお聞きしておりましたが、私も十分あれできませんが、直接的には公益法人である中央協会でございますか、この問題であろうかと思いますので、その点では直接の問題ではないと思いますが、なおこの問題につきましては、実情によりましても解釈は分かれるところかもしれませんが、法人格といたしましては社団法人ということで、直接の問題にはなっていないのではないかというふうに思います。
  221. 小田原定

    ○小田原説明員 中央会は、ただいまの指導部長の御答弁にもございましたように民法上の公益法人でございまして、これが政治資金を寄付するということは、政治資金規正法から見ますとその所管の問題かというふうにも考えられます。そういうことで、これは直接には政治資金規正法を所管しております自治省が御答弁なさるべき筋のことかと思いますが、御参考までに申し上げますと、そういう協会の寄付というものは政治資金規正法に照らして、その法の範囲内のものではないかというふうに私ども聞いております。
  222. 安田純治

    ○安田(純)委員 私は、政治資金が適当であるかどうかというよりは、信用組合、この場合には信用組合ストレートでいきましょう。     〔堀内委員長代理退席委員長着席〕 都留信用組合あるいは新潟県信用組合などが五十三年度の表に載っているわけですが、この場合どうですか。この場合でも、私は政治資金がどこに流れているかが問題だというのではなくて、五条三項から見ていかがかと聞いているのですよ。五条三項は「組合は、特定の政党のために利用してはならない。」つまり組合の金だって同じことですね。組合の運営はもちろんのこと、お金、これも特定の政党のために利用するのはおかしいのじゃないでしょうか。組合それ自体が出しているところがある。これについて大蔵省の御答弁はいかがですか。
  223. 小田原定

    ○小田原説明員 結局、先生指摘中小企業等協同組合法の五条三項の規定と、それから政治資金規正法の各条の規定との解釈をどう解釈するかという問題ではなかろうかと思いますので、法制を解釈する立場にございません私からは答弁を差し控えさせてもらいたいと思います。
  224. 安田純治

    ○安田(純)委員 私は自治省の役人に聞いておるのじゃないのです。大蔵省が直接管轄しているのでしょう、信用組合は。中小企業等協同組合法の実施自体は通産省ですけれども、その協同組合の中身によっては各省が分担しているわけです。信用組合については大蔵省が当然指導監督すべきであると思うのです。ですから、その意味で、中小企業等協同組合法五条三項の問題として聞いているのですよ。政治資金規正法として適当かどうかということでなくて、特定政党に利用してはならないと書いてある。これが「特定の政党のために利用してはならない。」という規定に当たらないのかどうか。あるいは仮に解釈に分かれがあるとすれば、そのような解釈に分かれが生ずるような業務をやる、つまりお金を支出する行為、これ自体は少なくとも適当ではないのじゃないか。ストレートに中小企業協同組合法第五条三項に違法、違反ということになるかどうかは別として、そういう解釈が分かれるような場合には、これはそのお金の支出について、余り適当な業務の遂行とは言えないのではないか。それから場合によっては、解釈によってストレートに違法になるかもしらぬ。ですから、信用組合自体がストレートにこういう政治資金の表に載っておるわけですからね。そういうお金を出して、それは一たん国民協会というところに集めて、そこから特定の政党に行くわけですけれども、それは毎年やっていることですから、国民協会に出せばどこに行くかわかっているわけですね。行く先が全くわからぬで、アメリカに行くかもしらぬなんということはあり得ないわけですから、いままでの経過から見て。当然、知りながら支出するわけですよ。知らないとは言わせない。そのことを大蔵省が黙って見ておるというのは余り適当ではないのじゃないかと思うのですが、違法であるかどうかというのが一つ。それから、違法でないとも、いろいろ解釈が分かれる、あれは国民協会なんだから、その段階では特定政党じゃないのだ、その後、国民協会がどこへやるかおれは知らぬ、毎年の流れを見ればわかっているのだけれども。そういう詭弁が成り立つとしても、少なくとも解釈について非常に疑問が起きる。とすれば、余り適当な信用組合の金の支出ではないのではないかというふうに思うのですが、その二つについてお答えいただきたい。違法であるかどうか、あるいは不相当であるかどうか。
  225. 小田原定

    ○小田原説明員 国民協会という、公益を目的としている法人だと思いますが、ここへ、中央協会も公益を目的とする公益法人で、ここから行くというのは、法律解釈論としては民法上の任意法人が支出しているわけでございまして、特に法律上の問題としては問題はないのじゃないか、こういうふうに考えます。  単位の信用組合の件でございますが、これも国民協会、法律上違法かどうかという問題ではないのじゃないかというふうに解釈しております。当、不当の問題は、本席では私、答弁を差し控えさせてもらいたいと思います。
  226. 安田純治

    ○安田(純)委員 当、不当の問題は答えられないというのですか。全く考えがないということですか。まさか奨励する気はないんでしょうね。どんどん政治資金を献金しろなんということは、これはまあ言えないと思うんですね。ただ、この程度のものだから、世間もやっているからおつき合いだとか、判例によれば、営利会社で株主が背任だと言っても、あれは世間的なつき合いの献金だから、そこまでは背任にならぬというような判例もあるようですが、しかし、よそがやっているからといって、もしこれが余りよくないことであれば、スピード違反と同じことで、よそがやっているからといっていいという理由にはならぬので、ただ情状酌量の問題になるだけですわな。よくないということは言わざるを得ないと思うんですよ。  そういう意味で、私が伺っているのはこの問題だけではなくて、要するに魅力ある協同組合をつくることの一つの側面としてこういうことがある、これはやはり監督官庁としては正していくべきではないかということ、が一つありますし、それが全体の質問の趣旨ではございませんで、もう一つは、実はこれは通産省の方にも聞いていただきたいわけですが、先ほど挙げました商工会連合会のように、自分のところで調査もできればあるいは情報の収集、提供なんかも法律事業目的に入っておるわけですね。ところが、それと同じようなことを、今度は外郭団体といいますか、協力会というものがあって、つくらせて、そして本のあっせんなんかをやって手数料をもらっているということになりますと、せっかく協同組合法が、いろいろ助成もするし、そのかわり規制もいろいろあるわけですな。それで、信用組合みたいになりますと、今度は組合員の預金の受け入れなどをする事業はほかのことはやってはいかぬということになっている。それで、やれない部分を今度は外郭団体をつくってやらせるということになると、これはもう全くしり抜けになってしまうんですね。しかもその外郭団体は、先ほどから大蔵省の方が盛んに、いわば追及を免れる壁みたいな形で、これは別法人だとかなんとか言っていますから、まさにこれは別につくれば行政官庁はなかなか監督できない。あるいは民法上の公益法人であればそれなりの主務官庁が監督することになるのでしょうが、協同組合法上の問題としてはなかなか手が及ばぬという問題が出ますね。そうなると、せっかくこの協同組合はこういうことはやれないのだとか、この協同組合はこういうことはやれますよと言っているのに、同じことを別な外郭団体にやらせて手数料を取るとか、そこからまた政治献金も出ているんですよ、商工会の方も。それは本法の問題と直接関係がありませんから、商工会連合会の協力会が政治献金を出したかどうかきょうは言いませんけれども、そういうことになってきますと、せっかく協同組合法でこの連合会はこういうことをやれる、この連合会はこういうことはできないのだと決めてみたって、それを今度は外郭団体なりあるいは別法人なるものにやらせればツーツーだ。しかもその費用は、実際上は全部連合会の組合員である信用組合なりあるいは事業協同組合なりが持つ、こういうことになったのでは、いろいろ規制したり何かしてもしり抜けになっちゃうのじゃないかということですよ。だから、その辺の外郭団体と協同組合法に基づく設立された協同組合あるいはそれの連合体ですね、これとの関係について、監督官庁としてぜひきちっとけじめをつけて指導監督をしていただきたいということがお願いなんです。その例として実はいま政治献金の問題を出したのでございますが、その点いかがですか。
  227. 左近友三郎

    左近政府委員 最初に、いま担当部長からお答えいたしましたように、外郭団体というのもいろいろございまして、全くその構成員が合致しているもの、あるいは先ほどのように工業会と協同組合のように構成員が若干違う、そしてまた事業も違うというようなものもいろいろございます。いま御指摘の場合は、構成員も全く同じであって、本来ならば一緒にやれそうなものを別にするのはどうかというような御指摘であろうと思いますし、また法律上、ある協同組合はこういうことをやってはいけないと書いてあるにもかかわらず、いわば実際的には別の団体がそれをやってしまうというふうなことについては、これは法律上の問題は別といたしまして、実際上の組合の発達ということから考えますと奨励すべきことではないというふうにわれわれは思います。ただ、そういうふうに外郭団体というのはいろいろな事態がございます。したがいまして、御指摘趣旨もわれわれもわかりますので、ひとつまた組合の実態に当たりまして、そしてまた、組合が健全な発達をする。その協同組合法にいろいろの決めがあるのは、やはりその協同組合が健全な発達をするために必要な範囲なり何なりを決めておるわけでございますから、そういう趣旨に沿うように今後十分調査の上やっていきたいと思いますし、これはいま御指摘のように、実は実際の指導監督ということになりますと法所管の中小企業庁のみならず、関係各省それぞれございますので、関係各省にも注意を喚起いたしまして、ひとつそういう点について誤りなきを期したいと考えております。
  228. 安田純治

    ○安田(純)委員 その辺、ぜひよろしくお願いしたいと思います。私は、外郭団体は一切不必要だとかなんとか言っているわけじゃありません。本当に協同組合法の理想を追求し、これを実現するためにぜひ必要な協力的な団体があるのはいいと思うんですよ。脱法行為的にあるいはワンステップを置くためにそういうものを監督官庁が及ばなくなるようなところにつくって、それをしてやらしめるということで、協同組合法の理想から逸脱していくことはうまくないのではないかと言っていることですから、外郭団体全部やめろとかなんとか言っているわけじゃございません。その点は当然のことながら強調しておきます。  さて、こういう点でいろいろ中小企業団体についての行政指導をきちっとやっていただきたいと思うのですが、この行政指導のあり方についても若干御注文申し上げたいわけですが、行政指導は適時適切に行わなければならないことは当然だと思うんですね。また、今度は逆に、余り権力主義的に、威迫とかおどしですね、こうしたことになって及ぶのは、これは行き過ぎだと思うわけですよ。その点は非常にバランスがむずかしいわけでございます。  ところで、大蔵省のお酒の関係の方、来ていらっしゃいますね。——酒の小売業の免許を、自動車の運転免許のように三年で書きかえるということは、大蔵省の方針としてあるのですか。
  229. 十枝壯伍

    ○十枝説明員 酒類業につきましては、酒税保全等の観点から免許制度が採用されているわけでございますけれども先生承知のように、現在の制度には免許についての有効期間というのは特に定めはございません。したがいまして、いわゆる更新制にはなっていないわけでございまして、ただ、この制度について、業界の内外におきましていろいろな意見があることもまた事実でございます。特に、酒類業の中で、酒類販売業につきまして更新制を採用したらという意見が一部にあるということは私ども承知しておりますが、酒類業の免許制度というのは、それに携わっている酒類業関係者にとって非常に大事な制度、基本的に重要な制度であるとともに、私どもの酒類行政の立場からしても基本的な制度でございますので、これについていますぐどうするということはいろいろ問題もあるということで、慎重に対処する必要があると考えておりまして、特にいまこの問題について具体的な検討をしているという状態にはないということでございます。
  230. 安田純治

    ○安田(純)委員 そういうお答えですけれども、仙台国税局のある課長は、酒販小売組合の例の安売りなんかの規制の規約ですか、あの解説の講演の中で、運転免許のように三年で切りかえると断言しているのですね。私はそのテープを持っています。はっきり断言しているのですよ。運転免許証のように三年で書きかえるようになる、その書きかえのときに組合員たる自覚を高めるようにしたいということを講演の中で言っている。これははっきりテープに入っているのです。私も聞いたのですけれども、そういうことをおっしゃっているのです。それで業界では大変問題になっているわけです。これは、酒販組合自体は協同組合法の組合じゃありませんけれども行政指導のあり方の一環として私伺うのですが、大蔵省としてはそういう方針は決めていないとすれば、これはある意味では威嚇なんですね。威嚇といいますか、虚偽の事実を申し向けということになるかどうかわかりませんけれども、どうもそういうことがあったのではまずいのではないかと思うのです。  時間がありませんから、まず大蔵省に対しては、事実仙台国税局のある課長さんが福島県内の講演ではっきりそういうことを言っておりますから、何か不審でしたら私のところに来ていただけばテープも聞かせます。はっきり断言していますが、大蔵省はそういう方針はないのだということを明言されたのですから、実態を調べてください。  それで、通産省の方々に申し上げますけれども中小企業等協同組合法で設立された組合ではないけれども、中小小売商の団体でいまこういうことが行われているわけですが、どうも権力的な行政指導といいますか、これは好ましくないと思うのです。適時適切にやるということと、いま悪い例に出したような形でやるのとは全然別物だと思います。今後中小企業のあり方について、ことに中小企業協同組合の発展について、適時適切な行政指導をしていただくと同時に、行き過ぎがないようにもまた十分注意していただいて、組合の自主性というか自律性というか、これを尊重していただくなら十分尊重していただくようにお願いをしたいと思います。  時間が来ましたので、実はそのほかにも大蔵省の方を呼んで多少聞くことになっておりましたけれども、最後に長官なり大臣に、この中小企業行政指導のあり方についてお考えを伺って質問を終わります。
  231. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業振興あるいは中小企業の組織化の推進ということが、これからの中小企業行政の大きな柱になっておりますが、中小企業の組合の方々をいろいろ指導をする、これは法律一つ枠が決まっておりますが、実態に応じていろいろな指導をする必要があるわけでございますが、その過程におきましては、従来とも説得ということを中心にやっておりまして、おどかすとかなんとかという趣旨考えておりません。  ただ、中小企業の組合の指導につきましては、中小企業庁あるいは各省のみならず、府県にもいろいろお願いをしておるというようなことがございまして、全国いろいろなところでいろいろな指導が行われておりますから、絶えずそういう点は自粛自戒をしなければいけないということは十分考えておりますので、機会があるごとに関係方面にも注意を促したいというふうに考えております。
  232. 安田純治

    ○安田(純)委員 終わります。
  233. 塩川正十郎

    塩川委員長 これにて安田純治君の質疑は終わりました。  引き続いて中井洽君の質疑に入ります。中井洽君。
  234. 中井洽

    ○中井委員 協同組合法の一部を改正する法律案に沿って、何点か簡単にお尋ねをいたします。  最初に、先ほどもお答えがあったのでありますが、協同組合は現在五万六千ぐらいの組合の数があるということであります。しかも、その組織率でいきますと、製造部門は何%というお答えがありましたけれども、大体三〇%から四〇%の間の組織率である。中小企業振興の大きなポイントであります共同化あるいは組合化、組織化ということが、大体どのぐらいのパーセントまで高まれば中小企業政策として十分であるとお考えになっておるのか、あるいは大体現状ぐらいの。パーセントでいいのだとお考えになっていらっしゃるのか、その点について最初にお尋ねをしたいと思います。
  235. 植田守昭

    ○植田政府委員 現在におきましては、事業協同組合の加入率が製造業で三八%あるいは小売業で二二%、まあ二〇%ないし四〇%ぐらいのところでございます。これが何%まで行ったら理想であるか、これは大変むずかしい問題でございまして、正直に申しまして私ども数字的なターゲットはいま持っておりません。ただ、この組織化問題というのが、中小企業にとって今後とも重要な政策分野であることは間違いございませんので、常に金融、税制等も含めましてこれをバックアップする体制でやっておりますし、今後もやっていくつもりでございます。私ども、これはターゲットをつくってやるというのは必ずしも適当でないのじゃないか、やはり自主的に盛り上がる力となって高まっていくことが望ましいわけでございまして、そのための支援材料は金融とか税制とかで送っていく、こういう立場でいくべきではないかと考えております。
  236. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、組織化されておる状態としてはまだまだ低い状態で、これからも大いに組織化のために努力を続けていく、こういう認識でよろしゅうございますか。
  237. 植田守昭

    ○植田政府委員 今後ともこれを高め、かつ内容を充実していきたい、こういうふうに思います。
  238. 中井洽

    ○中井委員 今回休眠を法改正によって廃止していく、こういうかっこうでありますが、認証時代の休眠組合は別にして、五万五千の現在の数の中で、つくられていながら実質的に活動していないとつかまれておる組合数はどのぐらいでございますか。
  239. 植田守昭

    ○植田政府委員 休眠組合は全体で二万二千程度ございまして、そのうちの五五%が認証時代でございますから、約一万ということになろうかと思います。
  240. 中井洽

    ○中井委員 なぜそんなに多い組合が休眠してしまうのですか。
  241. 植田守昭

    ○植田政府委員 いろいろと中央会その他を通じまして指導はしてきたのでございますが、ただいま御審議願っております条文のところにもございますように、解散指導なり業務改善指導というものが、条文的にもなかなかワークしにくいということもございまして、十分整理できなかったというのが実情でございます。今後とも十分そこは努力したいと思います。
  242. 中井洽

    ○中井委員 私は単純に、わからないものですから、なぜそんなに多いのですか、どういうことが大きな理由であるとお考えですかと聞いているだけです。
  243. 植田守昭

    ○植田政府委員 四十九年に商法で整理したときには、商法は一挙に十七万五千の休眠会社を整理したわけでございます。それに比べてどうということではございませんが、それからまた民法も昨年やっておりますが、どうしてもこういった組合あるいは法人につきましては、事業が終わって、後をちゃんと整理して、解散登記をしてやめるというのは実際問題として少ないという一つの自然のあれがあるのではないかという気がいたします。あとは条文その他でもう少し今度の法案のように変えていただきますれば指導がやりやすくなる、こういうふうに思います。
  244. 中井洽

    ○中井委員 一万数千、四五%が実質上休眠している。お話であるとほとんどが事業を終わってしまって廃止の届けをしていない、そのままの状態で置かれているから休眠だ、こうおっしゃいますが、現実はどうなんですか。つくってはみたけれども実際活動できなくて、そのまま置いてあるとかそういうかっこうで眠っているのがたくさんあるんじゃないですか。そういうことはありませんか。
  245. 植田守昭

    ○植田政府委員 設立して余り動いていないというのもあると思います。それから、何年か事業を行いまして一応事業目的を達したとかあるいは途中で解散といいますか、メンバーが散り散りになるというふうなこともあろうかと思いますので、一義的ではないと思いますが、そういった場合も当然あろうかと思います。
  246. 中井洽

    ○中井委員 大体の数字で結構ですが、去年設立をした組合の数というのは大体どのくらいか。それから、各中央会で設立の御指導やらなさっているわけでありますが、そこへ現実的に組合をつくりたいと言うてきた数はどのくらいか、そのところをおわかりいただける範囲でお答えいただきたいと思います。
  247. 植田守昭

    ○植田政府委員 設立された組合の数は毎年大体一千というふうになっております。それから、どの程度相談に来たかというのは、私ただいま統計的な数字を持っておりませんのでお答えできないので、御了承願いたいと思います。
  248. 中井洽

    ○中井委員 組合の中で、たとえば事業協同小組合というのがありますね。それがいま実質では五十もいっていないのではないか思うのです。これなんか少ないというのはどういう理由ですか。
  249. 植田守昭

    ○植田政府委員 小組合につきましてはたしか二十年ほど前の法律改正で入ったように記憶しておりますが、その後おっしゃいますように余り活発に動いていないというのは事実でございます。その辺は、小さい企業が入って共同事業をやるという理想で法律改正されたわけでございますが、なかなか現実がその理想どおりいかなかったということになろうかと思いますが、私もいまここで十分御納得いくような具体的な理由はちょっと申し上げられないのでございますが、非常に小さい組合という場合に、リーダーその他で必ずしもうまくいかない点があるのではないか、そういうふうなことも考えますが、もう少しそこは勉強してみたいと思います。
  250. 中井洽

    ○中井委員 私も幾つか組合をつくってやったらどうだということで、御相談に行っていただいたり何やらするわけですが、現実になかなかむずかしゅうございましてでき上がりにくい。その最大の理由は、うじゃこし過ぎるんじゃないかと思うのです。うじゃこしいというのは関西弁で申しわけないのですが、大変ややこしいのですね。御指導いただいている方はそれはそれなりに御熱心に御指導いただいておる。私はそのことを文句言っているわけじゃありません。しかし中小企業の経営者あるいは先ほどの小企業の経営者が一緒になって何かやって、金融も一緒に広い範囲で受けようじゃないか、こういうことで簡単に仲間が寄ってやりかける。その初め一回ぐらいの説明会やら何やらは喜んで行っているのですが、そのうちにだんだんむずかし過ぎて一人抜け二人抜け、あるいはそんなにめんどうならもうやめてしまえという例が非常に多いような感じが実は実感として私はあるわけなんです。先ほどからお尋ねをいたしていますと、眠っておるということについてはこれといった理由を御認識されているわけでもない、あるいは協同小組合がどうして三十か四十ぐらいしかないかということもはっきりとつかんでいらっしゃらない、こういうことであろうと思うのですが、私は、制度としては非常にいい制度で、先ほど御答弁ありましたようにこれからもどんどん組織化ということを伸ばしていく必要があるにもかかわらず、根本のところで中小企業の経営者がそういう組合をつくってやれない問題があろうかと思うのであります。指導の人をふやし、研修をされているということもわかりますが、中小企業の人たちを育成し、組織化していくんだという大前提に立って、通産省並びに中小企業庁はもう少し現実に組合をつくるときに柔軟な姿勢でつくる、そしてつくらして何か物を一緒にやらしていくということが大事なんだという発想に立って御指導いただけないかと思うのですが、その点長官いかがでございますか。
  251. 左近友三郎

    左近政府委員 御指摘のとおりでございまして、組織化の指導というのは現実に即してやらないと、理想に燃えて出発いたしましてもなかなかうまくいかないという例は間々私らも見聞きすることでございます。そこで、各都道府県の中央会あるいは全国中央会というようなところに組合の指導員というものがございまして、設立の指導、運営の指導をやっておりますが、そういう方々が大変御苦労してやっておられますけれども、十分現実に即した、また現実というのが時代によって時々刻々と変わるわけでございますから、そういう指導ができるようにいたしたいということで、実は組合の指導員の研修事業というのを従来もやっておりますが、今後もその研修事業というものを強化いたしまして指導が適切になるような方針を進めてまいりたいというふうに考えます。
  252. 中井洽

    ○中井委員 重ねて言うようでありますが、ぜひ組合をつくって組織化をしていくんだということを重点にお考えをいただいて、法律というものはきちっとあるわけですけれども、その条文に合う合わないという余り枝葉末節のことにとらわれずに——とらわれないでと言うと私ども立法の府の者としては少し言葉が過ぎるかもしれませんが、御指導いただくように重ねてお願いを申し上げておきます。  今国会、中小公庫の改正案やらきのう通りました倒産防止の一部改正やらあるいは信用保証の制度の改正やら、またいまやっております協同組合の一部改正やら、中小企業関係の法案の改正がずいぶんあったわけであります。しかしこれらはそれぞれ一部数字の手直しみたいな形で、抜本的に見直しをするとかあるいはさらに内容を充実するとかいう法律改正ではなかったような気が私はいたします。政府ではかねてからいろいろな制度の中で中小企業制度の問題、改正について御議論をなさっておられて、今回一致した点だけ出してこられたというふうに承っておるのですけれども、今後、先ほど申し上げたようなことも含めてどういう方向へ中小企業の助成策というものを変えていこうとされておるか、それをどのようにお考えになっていらっしゃるか、そこのところを御説明いただきたいと思います。
  253. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業対策と申しますのは、昭和二十三年に中小企業庁が発足以来いろいろな努力をいたしまして各方面での施策が充実してきておるわけでございますが、しかしながらまた時代自身も非常に変わってまいります。八〇年代というのは、しばしば御指摘がございますように一つ中小企業にとって非常に機会が多い時代ではあるけれども、また中小企業に対して非常に厳しい時代でもある、そのときにどのようにして今後中小企業が生きていくかということについては、新しい施策が用意されなければいけませんし、また、従来の施策についての反省がなければいけないというふうに考えております。また、施策が多くなればなるほど施策の間の連携といいますか、そういうものを統一的な方針においてやらないと混乱が生ずるということも、実は先ほどから御指摘を受けておるところでございます。そういうふうないろいろな側面がございますが、われわれといたしましては必要が生じ、やらなければいけないと思えば即座にやっていくという意味でその時々に検討し、そしてまたその検討結果を実現していくという姿勢をとりたいということを考えます。組合法でも、先ほどから申し上げましたように意見が合えば逐次やっていくというような形で、今後も必要な法律の改正とか施策の改定というようなものはめんどうがらずに、適時適切にやっていきたいというように考えておるわけでございます。
  254. 中井洽

    ○中井委員 適時適切にというお答えで、本当にそのとおりだと思うのであります。過日の委員会でも質問したのでありますが、その改正の中で中小企業の枠をもう少し広げるというお考えはないかというお尋ねをしたわけでありますが、今回もぜひこの点について御要望を兼ねて質問したいと思うのであります。  もう言うまでもなく、中小企業といいましてもどんどん発展して、中小企業の枠を超えた企業もたくさんありますし、また大いにあってほしいわけであります。それにもかかわらず、ここ五、六年、一億円以下あるいは従業員数三百人以下という形で中小企業の枠がはめられておる。大企業は大企業でどんどん世界的な企業になっていく。その間にあるところが非常に苦しい状態にあるのではないかと私は思う。それはそれでいろいろな制度で助けやらが行われておると思うのですが、この際、中小企業の数字的な枠の拡大をお図りいただく、こういうことについての中小企業庁長官のお考えはいかがでございますか。
  255. 左近友三郎

    左近政府委員 中小企業の範囲につきましては、昭和四十八年に改正があった以後改正されておりません。その間経済状態も大分変わってまいりました。したがいまして、これについては経済の実態に合うような見直しを行う必要があるのではないかというふうにわれわれ中小企業庁自身も考えておりましたところ、現在、中小企業政策審議会で八〇年代の中小企業のビジョンについて御検討願っておる過程においても、委員の方々からもそういう御意見も出てきたわけでございます。この中小企業政策審議会の御意見は今月末ないしは来月中ぐらいにはまとまると思いますが、その中では、恐らくたとえ御意見があっても具体的に幾らにすべきであるというような御意見までは出てこないと思います。したがいまして、そういう御意見を聞いた上で、引き続きでは具体的にどういう数字にすべきかというふうな点について、われわれとしてはもし中小企業政策審議会の御意見が出ましたならば引き続き検討を進めまして、なるべく早く結論を得た上で、これまた法律事項でございますので改正案という形でまた御審議をお願いするということにいたしたいというふうに考えております。
  256. 中井洽

    ○中井委員 次の問題に移ります。  組合をつくって、大体が商工中金に組合として十五億、組合員として一億五千万円なんという範囲でお金を借りて、連帯保証というかっこうでいっているわけであります。組合をつくるときから、実際にでき上がって、そういう融資を起こしていただいて事業をやる、その過程でずいぶん人が減っていくわけであります。あるいはまた融資上のその後の連帯保証なんかのトラブル等、事業そのものは一緒にやっていかねばならぬけれども、やむを得ず抜けていくというような組合も数多く私どもは見聞きしているわけであります。いま実際商工中金が膨大な融資を行っていらっしゃると思いますが、去年一年間でこういう組合に対してあるいは組合個人に対して融資なさった中で、どれぐらい返還がされない、償還がされないトラブルがあったか、数がおわかりでしたら教えていただきたいと思います。
  257. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 商工中金の場合、返済猶予の実績でございますが、五十三年度の数字で申しますと三千二百八十四件、金額で申しまして千三十七億円の返済猶予の実績になっております。
  258. 中井洽

    ○中井委員 それらの数字は、ほとんど残りの組合員の方々の連帯保証という形で商工中金は返済をお求めになっているわけでありますか。
  259. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 ただいまの数字は、商工中金の全貸し出しの中に占めます返済猶予の数字でございまして、その返済猶予を行ったもののうち、組合員の連帯保証がついておるものがどのくらいの割合を占めておるかということは、ちょっと資料からは出てこないわけでございます。
  260. 中井洽

    ○中井委員 商工中金に対する御指導の中でぜひひとつお考えいただきたいのは、善意で組合をつくって、そしてだれも倒産するとか夜逃げするなんということを思わずにやっておって融資が行われる。しかし、こういう情勢でありますから起こる。そういったときの後の連帯債務の問題で、組合が事業そのものは非常にうまくいっていながらがたがたするという例をこれまた私どもよく聞きます。銀行は一つの金融機関でありますから、もちろん契約というものをきちっと履行されなければいかぬと思うのでありますが、その後連帯保証によって債務が生じた、それによって事業そのものがおかしくなる、あるいは残りの組合員の経営自体が変なふうに曲がっていく、そういったことがないような形で、それぞれ現地でこれまた柔軟な形の御指導をいただけるように私どもは強く要望したいと思うのであります。その点についてお考えどうですか。
  261. 左近友三郎

    左近政府委員 商工中金は組合金融機関ということで、組織化を促進するために組合に資金を融資するというのが主目的でございます。もちろん金融機関でございますから、いまおっしゃいましたように契約に従っていろいろなものを取り行われなければいけない。全国の中小企業者あるいは組合のお金を預かっているわけでございますから、運営を確実にやらなければいけないという面はもちろんございます。しかしながら、一般の金融機関とは違う点は、組織化というもの、組織金融というものを担っておるという点でございますから、担保の実行その他に当たりまして組合の運営が危うくなるとか、そういうふうなことになりますればこれはまた問題でございます。ですから、これについては金融の確実性と申しますか、ルールにのっとってやるということももちろん必要ではございますが、その趣旨考えながら具体的にケース・バイ・ケースにおいて、組合の運営というものに阻害を来さないような、うまくいけばむしろ組合の運営を促進するような運営をやっていかなければいけないということは商工中金も常に心がけておるところでございますけれども、その点につきましては、いまも御指摘がございましたので、十分商工中金にも指導いたしまして、中金の存立意義をはっきりさせたいというふうに考えます。
  262. 中井洽

    ○中井委員 最後に二つだけまとめて御答弁いただきたいと思います。  火災共済協同組合の改正に関してでありますが、現在四十三あるのです。これらの組合はそれぞれ財政的な運営が十分いっているのか、この点が一つであります。  第二点は、先ほど御答弁の中で、六十年までに二六%の増を見込んでいるというお答えがございましたけれども、本当にいまの改正ぐらいでこの数字が達成できるのかどうか、あるいはこれからその数字以上に発展するのかどうか、私どもは心配いたしております。内容の充実等についてはそれぞれ委員の方から御意見があったわけでありますが、組合員外の火災共済の適用あるいは利用ということ、たとえば農協のように組合員外にも適用してずいぶん発展をしてふえているわけであります。そういった思い切った改正ということまで考えて増加を図る考えがないかどうか、その二つについてお尋ねをして質問を終わりたいと思います。
  263. 植田守昭

    ○植田政府委員 今回の改正で私ども一つの試算といたしましては、改正がなかった場合に比べて二六%程度伸びるのではないかというふうに考えております。従業員等にも適用の範囲が広がりましたので、今後そういうふうに努力していきたいと思います。  それからいわゆる員外利用を認めるべきではないかということにつきましては、この制度がもともと中小企業の経営の安定なり福祉の向上ということで行われておりますので、まず私ども中小企業を中心に考えていきたい。今回はその組合員である中小企業の従業員まで広げようということでございます。員外利用ということになりますと、中小企業以外のあらゆる人が入り得る形になりますので、従来の体系なり趣旨がそこで変わってきますので、私ども員外利用という形をとらないで、こういった従業員に限定するという形をとったわけでございます。  財政につきましては監督その他も大蔵省と共管でやっておりまして、十分心配がないように指導しておりますが、いまのところ特に問題があるというふうなものはございません。
  264. 中井洽

    ○中井委員 大臣一つだけお尋ねをいたします。  先ほども中小企業庁長官にお尋ねをしたわけでありますが、制度的にも中小企業政策というものは、日本の場合ずいぶん御努力をいただいてきめ細かいものになってきておると思うのであります。しかし、膨大な数の中小企業者がおられます。あるいはこれからの経済の変動は大変なものがございます。今後、中小企業政策というものを通産省としてどのように御発展をさせていくと大臣は個人的にお考えか、これが一点であります。  もう一つ、とってつけたようでまことに申しわけございませんが、イランとの問題でいろいろと言われておりますが、イラン中小企業の方がずいぶん輸出をなさっております。通産省ではこの状況等をお調べになっておると聞いておるわけでありますが、現実的にイランに対する中小企業の輸出状況等を十分把握をなさっておられるのかどうか、この二つをお尋ねいたします。
  265. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 中小企業に対する今後の考え方でございますけれども、先ほど長官もどなたかに申し上げましたとおり、いま言うなれば日本経済は大変な一つの変革過程にあるのじゃないかと思います。特に産業構造の改善と申しますか、あるいは後進国との産業調整の問題とか、あるいは地方中心主義といったようないままでと変わった一つの方向が強く出てきておりますので、そういう変革過程に柔軟性を持って対処していくためには、何と申しましても中小企業の経営基盤を強化するということが一番重要なことだと思います。その強化する対策いかんということになりますといろいろございまして、ただいま審議会等で審議しているわけでございまして、近く結論が出るそうでございますが、そういう結論が出ますればそういうものを踏んまえまして今後新しいと申しますか、施策を講じていきたいと思います。  それから、イラン向けの中小企業関係がどういう状況になっておるかという問題に関しましては、私も若干知っておりますけれども、詳しくは長官から御説明させます。
  266. 左近友三郎

    左近政府委員 イランを初め中近東向けの中小企業製品の輸出というのは、陶磁器とか金属洋食器等々相当増大しております。中小企業白書でも、調査をいたしました結果、従来対米輸出をしておった中小企業製品が市場転換ということで中近東に相当転換をして、それが成功しておるという事例が挙がっております。具体的にいまどのくらいという数字はちょっと手元にございませんが、ことしになって前年に比べて相当な増加を示しておるというのが現実でございます。
  267. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。
  268. 塩川正十郎

    塩川委員長 中井洽君の質疑は終了いたしました。  以上で本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  269. 塩川正十郎

    塩川委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  270. 塩川正十郎

    塩川委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  271. 塩川正十郎

    塩川委員長 この際、本案に対し、堀内光雄君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議日本共産党・革新共同及び民社党・国民連合五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。渡辺三郎君。
  272. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 提案者を代表いたしまして、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、中小企業等協同組合等の健全な発展を図る見地から、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 協同組合等の役員選出が民主的な運営の下に行われるよう十分指導するとともに、人的基盤の強化によって組合組織の整備、組合経営の合理化・近代化等を図るため、人材の養成・研修等に関する諸施策の推進と拡充に努めること。  二 火災共済協同組合の共済事業への加入者の増加を図って経営基盤を強化するため、本改正を含めた共済制度の積極的なPR、共済事業の弾力的な運営、サービスの改善等が行われるよう、組合に対する指導助言を進めるとともに、共済事業及び再共済事業に関する適切な税制措置等を講ずるよう努めること。    なお、今後における事業経営基盤の充実安定に対応して、例えば地震による損害等も対象とする等、てん補範囲の拡大等について検討すること。  三 協同組合等の官公需の受注機会を増大させるため、適格組合の育成強化、組合に対する官公需発注情報の提供等の施策を推進し、組合における受注体制の整備及び受注能力の向上等を図ること。 以上でございます。  附帯決議案の各項目につきましては、本委員会審議及び案文を通じ御理解いただけるものと存じます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  273. 塩川正十郎

    塩川委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  堀内光雄君外四名提出の動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  274. 塩川正十郎

    塩川委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  275. 塩川正十郎

    塩川委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 塩川正十郎

    塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  277. 塩川正十郎

    塩川委員長 この際、佐々木通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐々木通商産業大臣
  278. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、中小企業の組織化対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。
  279. 塩川正十郎

    塩川委員長 次回は、来る十四日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十九分散会