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1980-04-23 第91回国会 衆議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十三日(水曜日)     午後三時四分開議  出席委員    委員長 塩川正十郎君    理事 中島源太郎君 理事 野田  毅君    理事 堀内 光雄君 理事 渡部 恒三君    理事 清水  勇君 理事 渡辺 三郎君    理事 近江巳記夫君 理事 神崎 敏雄君    理事 宮田 早苗君       天野 公義君    越智 通雄君       大塚 雄司君    粕谷  茂君       鴨田利太郎君    熊川 次男君       田原  隆君    辻  英雄君       中村  靖君    丹羽 雄哉君       橋口  隆君    原田昇左右君       深谷 隆司君    水平 豊彦君       粟山  明君    石野 久男君       後藤  茂君    上坂  昇君       新村 源雄君    渋沢 利久君       中村  茂君    山本 幸一君       長田 武士君    木内 良明君       中川 嘉美君    小林 政子君       正森 成二君    中井  洽君       横手 文雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  大平 正芳君         通商産業大臣  佐々木義武君  出席政府委員         外務省経済局次         長       羽澄 光彦君         通商産業政務次         官       梶山 静六君         通商産業大臣官         房審議官    尾島  巖君         通商産業省通商         政策局長    藤原 一郎君         通商産業省通商         政策局次長   真野  温君         通商産業省貿易         局長      花岡 宗助君         通商産業省生活         産業局長    児玉 清隆君         工業技術院長  石坂 誠一君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君         資源エネルギー         庁石炭部長   高瀬 郁彌君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   浦野 烋興君     丹羽 雄哉君   水平 豊彦君     中村  靖君   渡辺 秀央君     熊川 次男君   中村 重光君     中村  茂君   松浦 利尚君     新村 源雄君   安田 純治君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   熊川 次男君     渡辺 秀央君   中村  靖君     水平 豊彦君   丹羽 雄哉君     浦野 烋興君   新村 源雄君     松浦 利尚君   中村  茂君     中村 重光君   正森 成二君     安田 純治君     ————————————— 四月二十一日  公益法人及び会員の経営する結婚式場写真部の  地元優先委託等に関する請願(長谷川正三君紹  介)(第四三四三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  石油代替エネルギー開発及び導入促進に関  する法律案内閣提出第三五号)  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六八号)  中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律  案(内閣提出第六九号)      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。清水勇君。
  3. 清水勇

    清水委員 まず、改めてということになりますが、本法制定の中心的な課題は何かということについて、最初大臣から所信を述べていただきたいと思います。
  4. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 この法律をつくりましたのは、御承知のように脱石油時代に備えまして、わが方としては石油にかわるエネルギー開発しなければいけないので、その開発するための中心的な機構あるいは開発目標、そのためのスケジュール等を公的に規定いたしまして、そして力強くエネルギー政策を進めたいというのがこの制定趣旨でございます。
  5. 清水勇

    清水委員 ところで本法について、私はずっと見ているわけでありますが、一章、二章はいわば石油代替エネルギーに関する基本法的な規定だと思います。三章以下で新機構について規定を行っている、こういうふうに見ております。と同時に、この法律を一口で言うと、前半で供給目標について定めておりますし、後段で新機構、つまり供給目標と新機構の二つの柱から成り立っている、こういうふうに理解をいたしておりますが、そうした理解でよろしゅうございますか。
  6. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりでございます。
  7. 清水勇

    清水委員 そこで、いま申し上げた供給目標というものについて見ると、第二条の定義原子力が含まれていることがこれまでの審議で明らかになっております。  そこで参考までに聞いておきたいと思いますが、本法原子力かかわり合いを持つ条文、私の認識と食い違いがあってはいけませんので、どんなものがあるか一応挙げてもらいたいと思います。
  8. 尾島巖

    尾島政府委員 お答え申し上げます。  まず原子力に関する条文といたしましては、第二条の定義におきまして、石油代替エネルギーの中に第二号におきまして「石油を熱源とする熱に代えて使用される熱」ということで、原子力によって生じます熱につきまして石油代替エネルギーとして定義づけております。  それから次に第三条におきまして、供給目標を定めてこれを公表しなければならない。その第二項におきまして「開発及び導入を行うべき石油代替エネルギー種類及びその種類ごと供給数量目標」というふうになっておりまして、われわれといたしましては当然この「開発及び導入を行うべき石油代替エネルギー種類」の中に原子力が含まれるものと思っております。  それから第三項におきまして「供給目標のうち原子力に係る部分」につきましては、科技庁の方でやっております「原子力開発及び利用に関する基本的な政策について十分な配慮」をしなければならないという配慮条項を置いております。  それから新機構業務のところでございますけれども、三十九条で新機構技術開発を行うことになっておりますけれども、この技術のうち「(原子力に係るものを除く。)」ということで、原子力にかかわる技術開発をはっきりとこの新機構業務から除いております。  以上の点だと思います。
  9. 清水勇

    清水委員 そこで、いま四点にわたって挙げられているわけでありますが、そのうちの三条三項、これまでの審議の中でもいろいろと議論がございましたが、どうも思うに、具体的に何を言わんとしているのか、わかるような気もするが、不明確な点もなしとはしない。そこでこの際、複雑な言われ方ではなしに、簡潔直截に三条三項について大臣から言わんとする点を明確にしていただきたいと思います。
  10. 森山信吾

    森山(信)政府委員 最初に、私から法文上の解釈につきまして説明をさしていただきたいと存じます。  三条規定は、そもそもの規定代替エネルギー供給目標をつくる規定でございまして、その際に、原子力発電関係供給目標も包含されるわけでございますから、通産省の一方的な判断で原子力発電等供給目標をつくるのではなくて、原子力基本法に基づいた配慮が必要でございますよと、こういう規定を織り込んだものでございます。したがいまして端的に申し上げますと、供給目標の作成に当たっては原子力基本法との関連を十分配慮すべし、こういう規定を織り込んだものというふうに解釈いたしております。
  11. 清水勇

    清水委員 そうしますと、この三条三項というものは、いわゆる原子力研究開発について、これについては原子力基本法の定めるところによって推進をする、そこでこの点を通産大臣十分配慮といいましょうか、よくわきまえろといいましょうか、そういう立場発電等について考えなさいよという、いわば一種の訓示規定であるということになるのですか。
  12. 森山信吾

    森山(信)政府委員 三条規定は、原子力研究開発のことを言っているわけじゃございませんで、代替エネルギーといたしましての供給目標を決める規定でございますから、研究開発とは関係なしに、供給目標を定める際に原子力基本法の精神にのっとって定めなさい、こういう趣旨というふうに了解いたしております。研究開発は別個の問題というふうに考えております。
  13. 清水勇

    清水委員 そうしますと、いまの点で言えば、少しかみ砕いてお聞きをすると、三条三項は原子力開発については関係がない、かかわりを持っていない、こういうふうに言われるように思いますし、原子力研究開発については原子力基本法の定めるところに基づいて本法とは別に行われているのだ、こういうふうに理解をしていいわけなんですね。大臣、どうですか。
  14. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まさに御指摘のとおりでございまして、あくまで三条供給目標をつくるという規定で、その関係におきまして、三項におきまして原子力基本法との調整を図るという規定を置いたというふうに考えられるわけでございます。
  15. 清水勇

    清水委員 ただいまの点で、無論長官大臣意見食い違いはないと思いますが、大臣、いかがですか。
  16. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 長官説明のとおりでございます。
  17. 清水勇

    清水委員 そうしますと、原子力推進というような意味合いに読み取られる条文といいましょうか、表現といいましょうか、そういう部分がなしとはしないようにどうしてもうかがわれる。だからそういう点については、たとえば法文を修正するとかあるいは削除をするとか、誤解のないように明白にしていくことが非常に重要だと考えるわけなんでありますが、その辺のところはどんなふうにごらんになっておりますか。
  18. 森山信吾

    森山(信)政府委員 法案を提出させていただきました政府サイド考え方といたしましては先ほど来申し上げたとおりで。ございまして、いま清水先生から御質疑のございますように、問題点、いろいろと解釈のむずかしいような点もございましたので、私ども考え方を明確に申し上げたつもりでございます。法案提出をいたしました政府サイドといたしましては、この御質疑によりまして政府の基本的な考え方が明確にされたのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  19. 清水勇

    清水委員 政府サイド所信のほどはわかりましたが、いずれにしても審議をする私ども立場から見るといささか適切を欠く文言等がございますので、そういう点は修正をするなりあるいは附帯決議等々を通して誤りのないよう明確にしなければならないというふうに考えておりますから、政府十分意のあるところを尊重していただきたい、こういうことを申し添えておきたいと思います。  さて今日まで、考えてみますと本委員会での審議石特との連合審査あるいは参考人の貴重な意見陳述等をいただくなど、長時間にわたる審議を重ねてまいりましたし、そうした中で、幾つかの問題点とかあるいは政府の行う政策についての注文なり問題提起なりあるいは政策にまつわる提案なりが行われてきていると思います。そこで、本法案の審議も最終の段階をいま迎えているわけでありますから、この機会に私は締めくくり的な意味幾つかの点について改めて政府所信をただし、はっきりさせるものははっきりさせていきたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。  まず、「長期エネルギー需給暫定見通し」を立てるに当たって、依然として石油依存をする度合いというものが大きい現状でございます。ところが、今回のアメリカの対イラン制裁政策わが国が同調をするということに対して、イラン政府リアクションという形で、すでに具体的にわが国への原油供給ストップをするといった対抗措置がとられておりまして、供給の安定的な確保を期するという点で見ると重大な情勢の変化が起こってきつつある、こういうふうに思います。また、原油確保の環境がいよいよシビアな状況が予測をされる、こういうふうに思いますが、これに対してここ二、三日来の政府対応策を見ていると、たとえば備蓄を取り崩すことによってカバーをする、あるいはアメリカ融通を依頼する、こういったことが行われているようでありますが、現実の問題としてIEAにおける緊急融通スキームといったものの発動を正式に要請をしているということはまだ承知をしておりません。いずれにしても、そういった点を含めて具体的にこの事態にどう対応するのか。特に私は、今回の供給ストップというイラン政府措置というもののもたらす国民の心理的な不安、これがかなりかき立てられているやに見ているわけなんですが、これを軽視しておくといわゆる第二、第三の石油ショックというような現象を引き起こすことにもつながるのではないか、こんなふうにも見ておりますので、この辺について少し具体的に、最近の情勢に対する大臣対応とその所信をお聞かせいただきたい、こう思います。
  20. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、イラン側からする原油供給ストップという問題につきましてお答えをしたいと思います。  私どもは、原油供給ストップしたという見方は実はしていないわけでございます。御承知のとおり二月に二ドル五十値上げをいたしまして、四月一日からさらに二ドルないし二ドル五十の値上げをしたい、こういう意思表示がございました。現下の国際的な石油需給関係、あるいは日本国内におきます物価動向から判断いたしまして、この四月一日からの二ドル五十の値上げにつきましてはどうも合点がいかないということで、値段交渉をしようという申し入れをしたわけでございます。元来原油価格の決め方は、産油国が一方的に決めることができるという契約条文があるわけでございますけれども、いま申し上げたような理由で、この際さらに大幅な値上げをするのはいかがなものかというクエスチョンをイラン側にぶつけましたところが、話し合いに応じてもよろしいということになりまして、現在話し合いが行われておるわけでございまして、私どもは全く値段交渉上の問題というふうに考えております。日本企業で十二社がイランから直接取引で買っておりますけれども、これまでそのうちの七社が価格交渉に入ったわけでございますが、なかなか交渉が妥結せずに、その分の船積みがとまったということでございます。二十二日から二十四日まで、きのうからあしたまで残りの五社につきましての価格交渉が現在進行中でございまして、この分はまだ話し合いの最中ということでございますので、原油ストップするかどうかはまだはっきりしないということでございます。そもそもいわゆるLCベースの話でございまして、そのLCのアメンドをしないと船に積むことをイラン側がオーケーをしない、そういう状態がいま起こっておるということでございまして、供給ストップしたという見方は私どもは実はしていないわけでございます。  ちょっと細かな話になりますけれども、重油とかあるいはLPG等の積み荷は続行しておるという状況もございますので、まさに原油につきましての価格交渉が難航しておる、こういう考え方を持っておるわけでございます。これはアメリカの対イラン政策とは全く関係なしに、日本価格の面でイラン側と現在交渉中の事態がなかなか妥協に至っていない、こういう現状ではないかというふうに把握しておるわけでございます。  そこで御質問の、そういうことになってイランからの石油現実にとまった場合にどうなるかという問題につきましては、私どももいろいろ対応を考えておりますけれども、いまここで具体的な内容を申し上げるにはちょっとタイミング的に早過ぎるのではないかということでございまして、私どもはあくまでも価格交渉が難航いたしておるという立場でございますので、その価格交渉を粘り強くイラン側と続けていく、いわゆる純経済的あるいは純商業的な商場から価格交渉を粘り強く続けていくということを今後ともやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  21. 清水勇

    清水委員 どうもいまの長官答弁によると、いかにもコマーシャルベースストップをされているんだ、決して政治とのかかわり合いではないんだ、したがって粘り強く価格交渉等をやることによって打開をしたいというような、かなり楽観的といいましょうか希望的といいましょうか、答弁であったというふうに思います。が、しかし、現実的にはイラン政府がしばしば繰り返して表明をしているように、日本なりEC諸国なりがアメリカの対イラン制裁政策に同調する、これに支援を与えるといったような場合には何らかのリアクションをとらざるを得ない、その中では当然原油供給ストップも含まれる、こういうことを主張をしているわけでありますから、私は、いま長官の言われるような見方だけでこの事態を見過ごすということはやはり将来に問題を残すことになるのではないかと実は思わざるを得ないわけなんです。また同時に、いまたとえば別な理由でとまっているんだけれども、だからと言ってあれこれ取り急いで対応を進める段階ではない、こういうふうに言われるわけですけれども、しかしながらマスコミ等の連日にわたる報道等を通じて、多くの国民は心理的にまた大変な事態が起こるのではないのか、こういった深刻な受け取め方をしていることもまた事実なんです。そこからはかり知れざる影響あるいはショックといったようなものが現出をされないという保障は実はどこにもない。そうこう考えると、やはり必要な場合には緊急融通規定等発動IEAに求めるなり、いろいろな方策を講じて、少なくとも安定的な供給については万遺憾なきを期し得るんだといったようなことが具体的にとられる必要があるんではないか。  また同時に、大来外務大臣ECから帰ってこられているわけでありますが、対イラン問題について具体的な相談を重ねてきておられる。ここは外交の場じゃありませんからそれに一々言及をすることはいたしませんけれども、いずれにしても事態は重要なといいましょうか、重大な方向に推移しつつあることだけは事実なんですね。そういう中で、わが国はいずれにくみするということではなしに、たとえば第三の道をたどりながら何とか事態の解決のために、人質問題等を含めて積極的な努力をする、こういう立場があってしかるべきだと思うわけでありますが、それはそれとして、前段に申し上げた点について再度政府のはっきりした所信といいましょうか、見解といいましょうか、お聞かせをいただきたい、こう思います。
  22. 森山信吾

    森山(信)政府委員 石油の問題は、国民生活あるいは経済活動にとりまして大変大きな役割りを果たすものでございますから、いま御指摘のように産業界国民皆様安心感を与える、不安な念を起こさせないことが大変重要な政策課題になっておると思います。  そこで、私どもは、もちろんエネルギー政策を担当させていただいております部局といたしましていろいろな勉強は続けておるわけでございますけれども、いま私ども余り周章ろうばいといいましょうか、あわてふためくといいましょうか、そういうことをする方が国民皆様産業界皆様にかえって不安感を与えるのではないか。大変失礼な言い方でございますけれども泰然自若としておるのが一番いい方法ではないかということでございます。何もせずに泰然自若としていて茫然自失ということになると大変でございますけれども、あらゆる方法検討しておりますけれども、いかにうまく原油を調達し、産業界国民皆様方にこれを安定供給するかという考え方に立って泰然自若、悠々としておるというふうに温かい目でごらんいただければ、私どもはそれなりの懸命の努力をしてまいるつもりでございます。  その中身につきましては、いろいろ戦術戦略もございますので、この席で申し上げさせていただくことは差し控えたいと存じますけれども、その点はぜひひとつ御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  23. 清水勇

    清水委員 意のあるところはわからないわけではありませんから理解もいたしますが、ただ、いずれにしてもマスコミ等の場を通して言えることは、イラン供給がとまる、そうすると備蓄を取り崩して半年カバーするなんということがどうも連日のように伝えられるわけですね。いよいよそこまで来たのかといった印象で見る国民の方が多いわけなんですね。だから泰然自若で乗り切る、これはこれで一つの見識だと思いますけれども、しかし、現実にはそういうものがマスコミ等を通じて広がっていることもまた事実なんだ。だから、この辺については十分ひとつ配意をしておいてもらいたいと思います。     〔委員長退席堀内委員長代理着席〕  さて次に、石油代替エネルギーの対象とも言うべき石炭について、これからの需給暫定見通し等を見ても、海外炭依存する度合いが次第に増大をしていく傾向を示している。この点で考えなければならぬことは、かつて石炭から海外石油にそのエネルギー源依存する、それが第一次石油ショックを通してエネルギー供給構造の上に著しい影響、強い言葉で言えば破綻と言うべき状況を引き起こしている。こういったことを振り返り、反省をしてみるときに、たとえば海外炭等について一定の依存をせざるを得ない状況は否定いたしませんけれども、その開発についても、輸入についても、よほど秩序のある長期的な見通しを持った開発輸入体制を持つことが非常に肝要になるのではないのかと思うわけでありますが、この点についてどういう対処をされるお考えであるのか、改めてひとつ聞かしていただきたい。
  24. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  海外炭開発につきましては、まず民間の活力を十分活用して、民間主導型でやっていくのが一番いいのではないかと考えております。その際、政府としては資金面等でバックアップしていく。第二点は、国際協調を前提として業界の自主調整を進めるような指導をしていくことが中心だろうと思います。  現在これを受けまして、国内では電力会社十社によります共同開発会社ができております。それから、経団連の中に海外炭開発輸入をどうするかということの機構ができております。また、海外炭の中で一番多いのは電力用でございますので、火力発電をいかに進めていくかというところでも検討がなされておりまして、現在どういう形でコールチェーンをつくっていくかということが議論されております。  コールチェーンというのは、まず調査、探鉱、開発を含む供給ソースをどう見つけていくかということであります。それから第二のステップは、産炭国インフラ整備をどうしていくか、それから内外の輸送手段コールセンターを含みますが、そういうものをどう整備していくかということをシステムとして考えなければいかぬということで、いろいろの場で検討が行われているのが実情でございまして、それらの検討を待った上で政府としてはいろいろな資金面でバックアップしていくことを考えております。
  25. 清水勇

    清水委員 時間の関係もありますからくどく言いませんが、そこで石炭を考える場合、これは石炭だけに限定する話ではありませんけれども、今後のエネルギー政策全般を通して見ていかなければならないという視点の一つに、私は国内資源活用という点に重きを置くべきではないか、国内資源活用を最優先すべきであると考えております。  たとえば石炭について言えば、例の二千万トン生産体制を維持確保していくことは無論のことでありますけれども自然循環系エネルギー等についてももっとその供給の量を積極的に伸ばしていく、そういう意味国内ソースによる自給率の向上を図っていく、こういうことが期待をされてしかるべきではないのかと思います。  この際ちょっと付言すると、政府の需給見通し等によると、新エネルギー供給目標について、たとえば六十五年度に五・五%、七十年度に七・六%というような数字を挙げておられるわけでありますが、これはどうもいささか消極的なんではないか。現時点の研究開発の水準等からいってこのくらいだというふうに控え目に抑えておられるのかもしれぬけれども、これはもっとその自給率を引き上げていく、向上を図っていくという積極的な姿勢があっていいのではないかと思うわけですが、この点はどうでしょう。
  26. 森山信吾

    森山(信)政府委員 国内資源を優先的に考えた方がいいのではないかという御指摘は全く私も同感でございます。  そこで、いま御指摘になられましたいわゆる自然循環エネルギー的なものに政策のウエートを置くべきではないか、こういうような考え方を私どももとっているわけでございます。ただ、御指摘のとおり「長期エネルギー需給暫定見通し」におきます新エネルギーの期待分が五・五%と、確かに低目に出ておりますけれども、これは技術開発のテンポ等、あるいは企業化の段階を考えまして昨年の八月につくらせていただいた暫定見通しでございまして、いま御審議いただいておりますこの法案の中で、新エネルギー開発機構というところで特に重点的に取り上げたいと思っておりますのは、たとえば太陽熱でございますとか地熱あるいは水力の開発等々、いわゆる自然循環エネルギー的なものが大変多く取り上げをされておるわけでございます。そういったものを政策課題として重点的に配慮していくことによりまして、御指摘のような国産エネルギーの尊重という考え方につながってくるのではないかという考え方を持っており、そういった面に十分配慮をしながら政策課題を進めていきたいと考えております。
  27. 清水勇

    清水委員 いま長官も、俗に言われるサンシャイン計画といったようなものにも触れられながら、自然循環エネルギーに力を入れていきたいのだ、こう言われるわけです。そこで、さきに示されているたとえばサンシャイン計画の推進に要する加速的な費用はかなり膨大な額になっていると思うわけであります。この点について私前にも、予算委員会でありましたかあるいはこの委員会でありましたか忘れましたが、大臣に資金の確保について十二分な留意を払うべきではないか、そうでないとせっかく言われるものが絵にかいたもちに終わってしまうことになりはせぬか、こういうふうに言ったことがあるわけであります。いずれにしても資金確保についてどういう配慮が払われているのでしょうか。
  28. 森山信吾

    森山(信)政府委員 代替エネルギー開発のための資金といたしましては、今後十カ年間に八十兆円の規模が要るのではないか、こういうふうに言われておるわけでございます。これは代替エネルギーというものを本当に実用化するための総合的な資金であるわけでございますけれども、現在私どもが御審議をいただいております新エネルギー開発機構は、その中で特に技術開発をして企業化を促進する必要があると思われるものを限定的に取り上げまして、加速的な意味でのデベロップメントを図らせていただくということでございまして、言ってみますと、その八十兆と言われる総資金額のうちの中核的な部分になる分野を分担させていただきたいということでございまして、その分野は大体三兆円ぐらい要るのではないかと考えておるわけでございます。  これを財源的に考えますと、いわゆる石油関係の税、石油税、それから電源開発関係の税、電源開発促進税、これを期待いたしておるわけでございまして、現在大蔵委員会でも御審議いただいておると思いますけれども、そういった石油と電力の方の税をもって賄わせていただきたい、その三兆円のうちの半分を新エネルギー開発機構で使わしていただきたい、こういう考え方を持っている次第でございます。(発言する者あり)
  29. 清水勇

    清水委員 いま隣でも委員がいろいろ言っているわけでありますが、実際問題としてサンシャイン計画に限らず、新エネルギー開発について加速的にその推進を図るのだと言われるのですけれども、これから十一年間ですか、総体で三兆である、それから新機構に限定をして言えば一兆五千億である、トータルをしてみれば何兆という数字が出ますけれども、単年度に割っていくと非常に少額なものと言わざるを得ない。にもかかわらず、新エネルギーあるいは代替エネルギー開発等を通して二十一世紀のエネルギーをつくり出していくのだ、こういう観点がしばしば強調されているわけですけれども、どうも私は、言われるほどに財源的資金的に十分であるかといえば、十分ではない、もうちょっと、一段とてこ入れを要するのではないか、こんな感じを率直に持つわけですけれども、この点はいかがでしょう。
  30. 森山信吾

    森山(信)政府委員 代替エネルギー開発段階的に見てみますと、一つはまず基礎的な試験研究があると思います。それから、それをパイロットプラント的に発展させるという段階一つあると思いますし、さらにはそれを実用化するという段階があると思います。実用化が行われまして初めて代替エネルギーとしての効率を発揮するわけでございまして、このプロセスを全部総合いたしますと、先ほど私が申し上げたような金額になるわけでございます。  ただ基礎研究は特定の分野、それぞれの専門の分野でやっていただき、企業化もそれぞれの分担に応じてやっていただく、その中間段階技術の発展を加速的に行わしめる、こういう役割りの機能が現在ないのが大変残念なことだということから、私どもは現在法案をお出しいたしまして御審議いただいておるわけでございます。  三兆円という金額が代替エネルギー開発の総資金量から見まして大変少ないというふうな御印象を持たれるかもしれませんけれども、それはいま申し上げたような論理によるものでございまして、加速的に発展させる中核体の存在、これを三兆円という金ではかるという考え方もございますけれども、あとはいかにそれをうまくデベロップさせるか、言葉をかえますならば新機構の運営をどうするかということと大変密接な関係にあるということでございまして、少なくとも国民の税金をいただいて発展させるためには効率的な運用をさしていただく、できるだけ効率性のある機構にさしていただきたいというのが私どもの念願でございます。税金としていただく分は余り大量にお願いするのも問題でございますので、必要最小限の資金をお願いいたしまして、それで最大限の効果を発揮するような努力をさしていただきたいというのが私どもの念願でございます。
  31. 清水勇

    清水委員 さて、第七条に「財政上の措置等」についての規定がございます。私はここで、たとえば小水力の開発推進といったことを初めとして、いわゆるローカルエネルギー開発あるいはその利用という事業について、その位置づけをかなり高くする意義があるのではないか、こういうふうに思います。そして具体的に地域エネルギー推進の事業を担当する地方公共団体等に対してはそれにふさわしい必要な財源措置を講じていく、こういうことがないと十分に政策効果を発揮しがたいのではないか、こういうふうに言わざるを得ませんが、どうでしょうか、地域エネルギーの重視あるいは開発、それとのかかわり合いで財政的な措置、これは非常に不可分のものだと思うわけですが、どんなふうに予定をしておりますか。
  32. 森山信吾

    森山(信)政府委員 代替エネルギー開発の中で、先ほど申し上げましたような自然循環的なエネルギー開発を重点的に考えていきたいということから申し上げますと、いま清水先生のおっしゃった点はまさに重要な問題ではなかろうかと思っている次第でございます。もちろんスケールメリットという観点に立ちますと、規模の利益を追求すべく大がかりな代替エネルギー開発をやる必要がございますけれども、それを補完するものといたしまして自然循環的なエネルギー開発、そういったものはどうしても地方公共団体等の手によって促進されるという面が強いわけでございまして、ローカル性といいましょうか、地域の特殊性に応じた自然循環的なエネルギー開発を行っていく必要がある。そうなりますと、地方公共団体等に対する財政的な措置というものが大変重要な問題となって浮かび上がってくるわけでございます。  私どもも昭和五十五年度からその点に着目いたしまして、初年度は大変わずかな金額でございますけれども、一億八千万円ほどの補助金を用意いたしまして、現在申請のございます十八都道府県に対しましていわゆる調査費的な補助金を計上させていただいたわけでございます。もちろんわずかな金額でございますから、これ自身でどうこうという問題はございませんけれども、少なくとも地方公共団体が今後どういった地方の特殊性を生かしたいわゆるローカルエネルギー開発をしていったらいいか、そういったものにつきましての調査費でございますので、それから出てまいります事業費等につきましては十分なる手当てを今後の課題として考えていく必要があるのではないか、こういうふうに認識をいたしております。
  33. 清水勇

    清水委員 次に、新機構業務に関連をしてお尋ねをいたしますが、第三十九条に掲げる業務のほかに、たとえばコールセンターに対する必要な長期低利資金などの融通をいまも開銀等を通じてやっておられますが、これをさらに積極的に進めていく、あるいは将来もっと大がかりな、国も参加をするようなそういうコールセンターの設置というようなことを想定した場合、政府が出資のできるような規定を持つというようなことも検討されていい課題なのではないのか、こんなふうに思うのですが、いかがでしょう。
  34. 高瀬郁彌

    高瀬政府委員 お答えいたします。  コールセンターにつきましては、先ほど御説明いたしましたように、コールチェーンの一番末端の重要個所だということは認識しております。しかし、現在のところ開銀の長期低利の融資で対処することが一番好ましいのではないかと考えております。現在それを受けまして、北海道地区、九州地区において基本計画の作成をしております。その作成が終わった段階で今後それをどう運営していくかという点を検討するわけでございますが、現在のわれわれの見通しでは、この開銀の低利融資で十分対処できるのではないかと考えております。
  35. 清水勇

    清水委員 現在の時点ではあるいはそうかもしれませんが、将来にわたってたとえば出資のできるような検討をする、私はそういう必要が必ず起こるだろうと思いますので、大臣長官もおられますが、この点は十分考えておいてもらいたい、こういうふうに希望を申し上げておきます。  それから次に、業務の中に石油代替エネルギー開発に関する情報の収集であるとかこれの提供といったようなものを含めておく考えはないか。たとえば、長官が言われるようにこれからローカルエネルギー等開発に一定程度の期待をかけていく、こういう場合に、どうしても全国的視野に立った情報等を地方公共団体がそうたやすく確保できるというふうには思えない。こういうところへ情報提供というサービス業務を持つということは非常に意義のあることではないのか、私はそういうふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
  36. 森山信吾

    森山(信)政府委員 全く御指摘のとおりでございまして、私どもも、幸いにして本法案を成立させていただきました暁には、新エネルギー開発機構がそういった業務を十分行うような考え方機構の整備を図ってみたいと考えております。
  37. 清水勇

    清水委員 次に、改めてここで私が言うまでもないことですけれどもエネルギーの安定的な供給確保を図っていくという場合、代替エネルギー開発という面で成果を期するということが重要なテーマであることは言うまでもありません。しかし、同時に省エネルギー政策の効果的な推進は、私は欠くことのできない課題ではないかと思うのです。昨年省エネ法が制定を見ているわけです。工技院を中心にムーンライト計画等、省エネ技術開発等に努力を払っておられるわけでありますが、どうも昨今の風潮で言うと、いわゆる石油代替エネルギー開発に取り組む姿勢に比較をすると、省エネに取り組む姿勢といいましょうか、力の入れ方といいましょうか、私は少し弱いのじゃないかという感じがしてならないわけです。だから、こういう点はやはり強化をしていく必要がある。と同時に、国民運動的な立場でしばしば省エネ対策などというものを進められるわけですけれども、たとえば何とか月間などというようなものを設けられてやられるだけではなしに、最近通年的なことも対策として考え始めているわけですが、私は、省エネルギーの持つエネルギー政策上の大きな役割り、こういうことに思いをいたすときに、省エネルギーというものにもっと力を入れるときにきているのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  38. 森山信吾

    森山(信)政府委員 現在私ども政策一つのベースといたしております「長期エネルギー需給暫定見通し」は、御承知のとおり輸入石油をどう見るかという考え方一つと、それから省エネルギーをいかにうまく強化するか、この二つの考え方を前提といたしまして代替エネルギー開発に取り組もう、こういう基本姿勢を持っておるわけでございます。別な観点から申し上げますと、一九八〇年代のエネルギー政策課題は、代替エネルギー開発、省エネルギーの強化、それから石油対策の推進、こういう三つになろうかと思います。したがいまして、私どもが考えておりますたとえば代替エネルギーの長期的な供給目標というものも、いま申し上げましたような政策課題に支えられて初めて達成されるという基本的な考え方を持っておる次第でございます。輸入石油につきましては、国際的な合意もございますから、たとえばことしは五百四十万バレル・パー・デーで天井ということになっておりますし、それから昭和六十年には六百三十万バレル・パー・デーということが国際合意で一応セットされておりますので、そういう前提に立った石油政策推進していきますけれども代替エネルギー開発との関連におきまして、省エネルギーの一層の強化ということにつきましては当然の課題だというふうに受けとめておりますので、十分配慮してまいりたいと思います。  なお、省エネルギーに関します技術開発の現況及び将来の見通し等につきましては、工業技術院長から答弁をいたしたいと存じます。
  39. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 御指摘のとおり、省エネルギー関係技術開発、これは非常に重要なものであるというように認識しておるわけでございます。現在のような厳しい財政事情のもとにあるにもかかわらず、今年度の予算は八十一億円になっておるわけでございまして、これは前年度に比べますと二・八倍の伸びでございます。ですから、伸び率から申しますとムーンライトの方がサンシャイン計画より大きいということが申し上げられるかと思います。  研究開発の重点といたしましては、やはり大型の研究開発を必要とするような高効率のガスタービンを開発するとか、あるいは廃熱をどう利用するか、そういう技術だとか、MHD発電を継続してやらしていただくわけでございますが、今年度からさらにこれに加えまして、いわゆるロードレベリングと申しますか、電力のピークと使用量の少ない時期とのバランスをとるために、電気を貯蔵する仕組みの開発を行いたいというように思っておるわけでございます。  なお、ムーンライト計画は、それだけのみならず各企業のいろいろ技術開発をなさっておられる省エネルギーのいろいろな成果をできるだけ早く促進するために、いろいろな意味の助成も行っておるわけでございまして、たとえば五十三年度からクーラーの消費エネルギーを少なくするための研究開発を行いまして、どうやら二五%ぐらいの節約目標を近く達成できるのじゃないかというような状況にもなっておるわけでございます。
  40. 清水勇

    清水委員 そこで、具体的な問題として一つ申し上げたいのですけれども、すでに実用化を見ているソーラーシステム、こういったものの広範な普及というものは、一面では省エネルギーといいましょうか、新エネルギーとしての活用といいましょうか、非常に意義があるというふうに私は思うのです。そのためには大臣努力をされたと思いますが、今年度から個人住宅に対して低利資金を融資する、地方公共団体等に対して二分の一の補助をする、こういうことになったわけですけれども、私は、これではまだ十分な波及効果を期待することができないんじゃないか、こう思うのです。ですから、年来の通産等の考え方である、たとえば個人住宅等に対しては二分の一程度の設備費に対する補助、地方公共団体の建てる施設については三分の二程度の補助等を講ずる、あるいは一般民間住宅等の建築について断熱材等を使う場合には、これはもうコストアップになるわけですから、たとえば金融上ないし税制上等で色をつける、こういうようなことが具体的に助成策として今後考えられていくことが非常に望ましいのではないか。大臣に言わせると、今後への大きな飛躍のために今年度は腰をかがめているような発想でこの前言われたことがございましたが、その点はどんなふうなお考えでしょう。
  41. 児玉清隆

    児玉(清)政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、ソーラーハウスの普及促進が非常に代替エネルギー対策として、特に民間が自主的にやるものにつきましてきわめて重要な成果を上げるであろうということ、それから、これを政策的にも十分支えてやる必要があるという点についても御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても何らかの助成策ということで、財政当局といろいろ折衝を重ねたわけでございますけれども、予算折衝の過程でいろいろ活発な議論をやりまして、そしてでき上がりましたのが三本柱と申しますか、第一は、まず公共施設については補助でいこうということで、これは二分の一という補助が達成されたわけでございますが、一般の民間の住宅及び事業用の施設につきましては低利融資でスタートしようということでございます。これの低利も、たとえば個人用の住宅で申しますと五分五厘というきわめて効果的な低い水準でございますので、これで二十二億円の利子補給を行うための補助ということで、金額の確保と同時に、金利水準の思い切った引き下げということでスタートすることになったわけでございます。  それから、長期的に見ますと、こういった施策も特に普及促進のためのPRが非常に重要で、ございますので、そこら辺の指導、普及、啓蒙事業というものを手広く展開するための施策費ということで、メニューといたしましては相当程度手広くやろう。それから対象といたしましても、公共施設のみならず一般の住宅、それから事業用施設といったものに初年度からこれは思い切った拡大を行っておるわけでございまして、今後事の重要性、それから事態の推移を見まして、これの拡充強化ということにつきましては、先生御指摘のように十分私ども努力しなければいけないというふうに考えておりますが、何分にもスタートの年でございますので、なるべく早く、しかもスムーズにできますような審査基準の簡略化とかそういう点にも力を入れながら、まずスタートさせよう、このように考えておる次第でございます。
  42. 清水勇

    清水委員 最後に一点だけお尋ねをして終わりにいたしますが、供給目標の策定について、その整合性なり的確性を期するという意味で、各年次ごとのたとえば代替エネルギー開発をめぐる実態について明らかにする、あるいは予定どおりに進む場合もあるし進まない場合もある、そういう場合の隘路なり問題点なりを指摘するといったようなことは非常に重要な課題ではないかと私は思うのです。  また同時に、前の質問でも申し上げましたけれども、本来これだけの重要な新機構が、運営委員等の人事が通産大臣の任命人事になる。本来ならば国会承認人事であることが望ましいとさえ思うわけでありますが、現実にはそうはならないというかかわりからいって、一定程度新機構業務について具体的に国会がかかわり合いを持っていく一つの接点というような意味からも、私は新機構業務並びにエネルギー問題全般についての、エネルギー白書とでもいいましょうか、そういったようなものが国会に報告をされていく、こういったことが非常に望ましいのではないかといべふうに思うのですけれども、この点をお伺いして終わりにしたいと思います。
  43. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 毎年の通産政策の柱といいますか、皆様大臣所信として申し上げるわけでございますけれども、その中で、特にエネルギー問題が中心でございますから、いまお話しのようにいままでの計画がどういうふうに進捗しているか、どこに問題があるか、その問題の解決のためにどういうふうに取り組み方をしていくつもりか等を明確にして、そして御批判なり御叱正をいただくのが大変重要なことだと思っております。
  44. 清水勇

    清水委員 終わります。
  45. 堀内光雄

    堀内委員長代理 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。  引き続いて近江巳記夫君の質疑に移ります。
  46. 近江巳記夫

    ○近江委員 非常に大きなイラン問題が起きております。大来外相がお帰りになったわけでございますが、通産大臣として、きょうはエネルギー閣僚会議にも出席されているわけで、外相の報告を受けられたわけですが、それに関して、イラン問題に対する対策を協議されたと思うのでございますが、まず、わが国政府としてこの問題にどのように対処されるのか、どういう話し合いになったのか、まず基本的な方針をお伺いしたいと思います。
  47. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 きょうはお昼、イラン問題に関する関係閣僚会議というほどでもないのですけれども、集いがありまして、大来外務大臣が帰ってきたものですから、ヨーロッパで各国の外相とそれぞれ接触を重ねてきたわけでございますので、その経過を聴取いたしました。新聞等に出ておりますことと大差ございません。それを踏まえまして対応策を考えて、あす八時半から再度集まりましてわが国対応策を固めていきたいというふうにただいま計画してございます。
  48. 近江巳記夫

    ○近江委員 もちろん対応策をとられるということはわかるわけですけれども、少なくともこの問題に対する閣僚会議をなさっているわけですね。基本的な姿勢、基本方針はどういうことなんですか。
  49. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 問題の焦点になっております人質問題は、これは何と申しましても国際法に違反した問題でもあり、基本的な世界秩序に対して脅威を与えている問題でもございますので、これをできるだけ早く解放してもらいたい、そのためにはわれわれも協力を惜しんではいけないということにつきましてはかねがね申し上げているとおりでございます。それに関しまして、武力的な発動というものはこの際避けて、平和裏にその人質の解放ができれば一番よろしいのではないかということに対しましては、これはもちろんまた欧州側も異論があるわけではございません。そういう態度から、アメリカ側もそういう挙に出ないように、イラン側にも早く人質の解放をしてもらいたいというのが基本的な態度でございまして、それを具体的にどう進めるかということでいままでいろいろ進めてきたわけでございます。
  50. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣、ちょっとお願いしておきたいのですが、語尾が聞き取りにくいところがあるのです。むずかしい点があると思うのですけれどもゆっくりと、非常に大事な問題ですのでひとつ御注意をお願いしたいと思います。  この前の十八日の委員会で私が質問しましたときに、大臣ECと協調してやっていくんだ、ECを助け舟のような感じでお話しされていたんです。ECの外相会議が二十一、二十二日開かれる、ただ待ちの姿勢だけでいいのか。資源のないわが国の置かれた立場というのは、資源のある、自給自足のできるアメリカとは条件が違うわけです。ですから、そういういろいろな立場、そういうことについてただ一方的に、ECが外相会議で決めたそれにそのまま同調していくんだ、そんな安易なことでいいのか、少なくともわが国の意思というもの、考え方というものを外相会議で決定する上において大きく反映しなければいけないのじゃないかということを私は申し上げた。そのことがまた政府首脳に伝わり、急遽大来外相の派遣ということになったと思うのですけれども、大来外相がEC外相会議に出発をしたそのときの背景というものはどういう、私が質問した時点ではまだ外相を派遣するとかそういう話は全然出なかったわけですね。急遽、一転して派遣ということになったわけです。その間のいきさつにつきましてちょっとお伺いしたいと思うのです。
  51. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、リスボンの外相会議で決めたことをわが方にも同調してもらいたいというお話がございまして、もちろんわが方としても拒むべき理由はございませんから、テヘランで大統領に申し入れをして、いつどういう方法で人質を解放するのかというリスボン会議の結論を持ちまして各国大使がそれぞれ行動しておったわけでございますけれども、その経過を踏んまえまして各国大使はそれぞれ本国に帰ったわけです。私ども日本の和田大使も帰ってまいりまして、そのときお会いしたてんまつを詳細お聞きしまして、それを聞いた上で対処するという態度にしておったのでございますけれども、ちょうどECの外相会議が開かれるということでございますので、ヨーロッパ側の各国の情報はそれぞれ出先機関からちょうだいしておりましたけれども、しかしこの際は先ほど申し上げましたようなわが方の基本的な態度というものをヨーロッパ側にも伝えて、緊密な連絡をとる必要があろうということで急遽外務大臣がヨーロッパに参ったというふうに承知してございます。ちょうど大来外務大臣をヨーロッパに派遣するというときは、私も大蔵大臣もそれぞれ国会の、参議院の委員会でございましたかこの委員会でございましたか、その会議には加わっておりませんので、いま申し上げましたのは私の推測でございますけれどもわが国の態度を伝え、しかも緊密な連絡を向こうととりながら事態を善処していきたいという趣旨で直接外務大臣が出向いたもの、こういうふうに承知しております。
  52. 近江巳記夫

    ○近江委員 このEC九カ国の外相理事会におきましてコミュニケが採択されておるわけでございますが、これに対して通産大臣はどういう評価をなさっているか、まずそれをお伺いしたいと思います。
  53. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 先ほど申しましたように、きょう外務大臣が帰ってまいりまして、各国の外相の意向もよくわかりましたし、またECの外相会議では新聞でも御承知のような決議がなされたのでございますから、そういう情勢を踏んまえまして、先ほど申しましたようにただいまそれに対する対処方法をさらに具体的に固めつつございまして、あす八時半からその検討をしたいということになってございます。
  54. 近江巳記夫

    ○近江委員 こういうEC諸国の方針に対して原則的に同一歩調をとられるわけですか。
  55. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 その点も踏んまえまして、ただいま各省間で原案と申しますかつくっているはずでございまして、その原案を基礎にいたしまして、あすの朝関係閣僚で対応策を決めたいというふうになっております。
  56. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたは全部いわゆる待ちの答弁ばかりしておるわけですけれども、総理はこういうふうに言っているんですね。わが国も多少の犠牲を払うことはやむを得ない、こういうふうに述べておられるんですよ。これは石油供給停止も覚悟の上ということじゃないかと思うのですね。これについては通産大臣としてはどう思うのですか。
  57. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私の方のいまの石油の船積みの問題は、先ほど来長官がるるお話しいたしましたように、去年から引き続いて供給価格交渉に入っているわけでございまして、去年の十月にも上げ、十二月にも上げ、この二月にも上げまして、また上げるという状況でございますので、ただいまの世界の油の需給状況、言うなれば緩和したような状況下において、わが国の物価問題あるいはイランのたび重なる値上げに応じた場合には、恐らくは他のOPEC諸国も追随するおそれがあるのではないかという点等を考えますと、なかなか簡単にも応じられませんので、そういう点を篤と相手方と折衝するようにということで、業界対業界の話でございますから、第一次の折衝が終わり、先ほどもお話がございましたようにいま第二次の、第二グループと申しますか、日本側の企業と向こうの公社との折衝を始めるところでございます。
  58. 近江巳記夫

    ○近江委員 価格の問題ということで、わが国としてはいわゆる純粋な経済問題だということで統一見解を出しておられるようですけれどもアメリカあたりの報道を見ておりますと、非常に勇気ある行動だというように非常に高く評価をしておる。イランだって単なる経済的な問題だけじゃない、制裁の一環として向こうは受け取っておるというようなこともいまいろいろ報道されておるわけです。モインファル石油相は、イランに敵対的行動をとる国に対しては永久に石油供給しないと革命評議会の決定というものを明らかにしておるわけであります。こういうことからいきますと、今後ECと足並みをそろえるというようなこともあした相談するとおっしゃっておりますけれども、いずれにしても総理が、わが国も多少の犠牲を払うことはやむを得ない、こう述べているのですが、あなたも総理と同じ考えなのですか、どうなんですか、いまの状況からいって。
  59. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 犠牲の内容にはいろいろな種類があると思いますけれども、いまお話しのございましたような石油の船積み問題あるいは価格問題に関しまする経過は以上のとおりでございます。
  60. 近江巳記夫

    ○近江委員 経過は以上のとおりでございます——いまはとまっておるということでございますね。今後こういうイランの対日供給というものは、少なくとも五十二万バレル、これが長期化していくとどういう影響が出てくるか、これはかなり影響が出ますよ。一カ月二カ月ということになってきますと、当然今後のそういう状態というものを考えたときにおいて、一番エネルギーを預かる通産省・エネルギー庁として、しかもあなた方は最高責任者ですよ。どういう対応を考えておられるのですか。これは価格の問題、経済的な問題と言いながら、イランはもうすでに積み出しストップでしょう。現実影響が出てくるのですよ。どういう対策を考えておられるのですか。
  61. 森山信吾

    森山(信)政府委員 イランの油が現実に船積みされなくなったのは四月二十一日からということでございます。すでに交渉いたしました七社の分につきまして、四月二十一日以降の船積みについての出荷停止という処分でございまして、昨日からきょうあしたにかけまして三日間、第二グループという五社につきましての価格交渉が現在行われている段階でございまして、この分につきましてどういう対応がとられるかにつきましてはまだ予断を許さないということでございます。したがいまして、現段階におきまして、イランから完全に供給がとまったという判断をいたしますことはやや早計ではないかということでございますし、先ほどもちょっと申し上げたわけでございますけれども、重油でございますとかLPG等につきましてはまだ商売が続いておるということでございまして、イラン日本との関係が完全に切れたという認識は私ども持っていないわけでございまして、原油価格につきまして価格条件が折り合わないということで船がとまっておるという判断でございますから、対応策といたしましては根気強く価格交渉に臨むということが最大の対応策ではないかと思うわけでございます。ここでイランの油を完全に切ってしまうということは対応策ではないということでございまして、イランの油をいかにうまく安定的に購入するかということ、価格交渉を粘り強く続けていくかということが最大の対応策ではなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。     〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕
  62. 近江巳記夫

    ○近江委員 その価格交渉という点で、日本は純経済的な問題で価格交渉をやっておる。ところが先ほど申し上げましたようにアメリカを初め、いわゆるECもそうだと思うのですが、日本のそういう行動については勇気ある行動だと評価しておる。アメリカではテレビでばんばん報道をしておる。イランだって同じようなそういうとらえ方をしてきているわけです。その価格交渉は粘り強くやりたいと日本側が言っても、イランは制裁の一環だと見たときには切ってくるわけでしょう。そういう見通しについてはどうでしょうか。
  63. 森山信吾

    森山(信)政府委員 商売上の取引問題でございますから、私ども政府立場見通しを申し上げることはなかなか困難な面がございますけれども、いま近江先生の御指摘のように、アメリカでの反響あるいはイラン側での反響、これは必ずしも政治的な問題というとらまえ方だけではなくて、日本が純粋経済問題あるいは純粋商業問題としてこの問題を取り扱っているということはアメリカでも報道されておりますし、また、イランにおきましても日本側が今回行っておる措置はそういった考え方に基づくものであるという報道もなされておるというふうに私どもは聞いておるわけでございまして、ここで一番大事なことは、日本政府が現在考えておりますこと、あるいは日本企業が実際にやっております行為が、全く商業ベースの行為であるということを内外に鮮明にすることが一番大きな問題ではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  64. 近江巳記夫

    ○近江委員 内外にそのように声明するということを言っていますけれども現実にいろいろなマスコミ機関で報道されておるのは、アメリカあたりはそうではない。非常に勇気ある行動である、いわゆる制裁の一環のようなとり方をしているわけです。そういうことで、あなたがおっしゃった非常に粘り強い交渉というものがいつまで続くのかという点におきまして、私は非常に不安を持っておるわけです。国民も非常に不安を持って見守っておる。  そこで、大来外相帰国後の動き等を見ておりますと、今後ECと共同歩調で行こうという線がきわめて濃厚であります。そうなってきますと、イランからの原油ストップということは、恐らくそういう方向に来るのではないか、こういう心配がある。それに対して、少なくとも日量の一〇%を頼っておるわけです。これに対して政府国民の最悪の場合の不安にこたえる何らかの対策を考えておかなければならぬ。そういう不安にどうこたえるのですか。エネルギー庁長官、最悪の場合どういう対処ができるのですか。
  65. 森山信吾

    森山(信)政府委員 最悪の場合という御指摘は、恐らくイランの油が完全にとまった場合という意味ではないかと思うわけでございますけれども、そういった最悪の事態を回避するというのがいまの日本政府のポジションでございます。したがいまして、いまここで最悪の場合にこういうふうな対策を講じますというふうなことをこの場で申し上げることが、日本政府政策を遂行する上におきまして支障になるのではないかという考え方があるわけでございます。もちろん私どもエネルギー政策を担当いたしております部局といたしましては、いかなるケースになっても対応できるような対策というものは常日ごろから考えていなければならないわけでございまして、そういった考え方におきます作業はずっと継続的にやっておるわけでございます。いまその考え方を申し上げまして、最悪の事態になった場合にはこうなりますよということを申し上げますと、せっかく日本政府といたしまして問題の平和的な解決ということにつきましての願望を持っておるときに、そういった最後の手段の明示をするということになりますと、その政府考え方に大きな支障を来すおそれもございますので、はなはだ申しわけない仕儀でございますけれども、そういった最悪の場合の対処の仕方の具体的な中身につきましては御勘弁をいただきたい、これが私どもの偽らざる心境でございますので、よろしく御理解を賜りたいと思います。
  66. 近江巳記夫

    ○近江委員 質問者に陳情するわけですからね。いずれにしましてもエネルギーを預かっておる通産省でありエネルギー庁でありますから。国民が非常に不安に思っているわけですから。ところが、備蓄があるから二百日とまっても大丈夫だとか、国会では私たちがこのように質問しておったってあなた方は一言も言わない。そういうあれはどうなっているのですか。いろいろと報道されていますね。二百日とまっても大丈夫だ、これは大丈夫なんですか、どうなんですか。
  67. 森山信吾

    森山(信)政府委員 備蓄は現在民間、国家備蓄合わせまして九十五日あるということが私どもの大きな心の支えになっていることはもう間違いのない事実であるわけでございますけれども、この備蓄があるために何日間もつかということにつきましては、私ども考え方は持っていないということでございます。
  68. 近江巳記夫

    ○近江委員 いずれにしましてもアメリカわが国のそういう情勢というものは、資源のないわが国ですから、何回も申し上げておりますようにアメリカ関係も大事である、しかしそうした石油産出国、特にイラン等の関係もきわめて大事な問題です。ですから、ただ単にアメリカの言うままについていけばいいんだとかECの言うままにいけばいいんだとか、そういう安易な気持ちであってはいかぬということを私は何回もここで申し上げている。私が指摘をして初めて大来外相もECへ行ったわけですよ。そういうなまぬるいことでは困るということを言うのです。ですから、本当にわが国立場というもの、何とか人質解放もさせ、平和的な解決に向かうわが国のとるべき何らかのそういう道があるのじゃないか、このように思うのです。そういうことを真剣に考えてやっていただきたい、これは特に要望しておきます。  それで、法案のことにちょっと入りたいと思いますが、まず一つはサンシャイン計画を中心としますこの新エネルギー技術開発、これは従来工業技術院を中心として電源開発株式会社等が国の委託を受けてプラント建設等をやってきたわけですけれども、今回この特殊法人を新設をする積極的な理由は何ですか。従来の方式では欠陥があるわけですか。いまでもりっぱにやっているわけですよ。きのうも参考人意見をいろいろ聞きましたけれども、非常にりっぱにやっておる。その点はどうですか。
  69. 石坂誠一

    ○石坂政府委員 現在まで電源開発に委託してまいりました研究開発については、私どもも十分いろいろの成果を上げていただいているというように認識しておるわけでございます。ただ、御承知のとおり今後エネルギーの危機を迎えまして、新エネルギー対策のいろいろな技術を相当大規模に開発をしていかなければならないという状態に直面いたしまして、現在の電源開発という組織の中で、付帯業務としてそういうものを取り扱っていくということはどうも適当ではないという認識に立っておるわけでございます。
  70. 近江巳記夫

    ○近江委員 本法によりまして、従来の暫定見通しにかえまして供給目標通産大臣が策定して閣議決定することになるわけでありますが、閣議決定ということになってきますと、従来の単なるそういう努力目標ということではなくなって、実現すべき課題ということになってくるわけでありますが、そういう点からいきますと昨年八月の暫定見通しの各項目はかなり下方修正というものをしなくちゃいけないのじゃないか、このように思うわけですが、これは、そうしますと総エネルギー供給量の減少ということに通ずるんじゃないかと思うのです。また、この場合、新経済社会七カ年計画との関係、暫定見通しで想定しております経済成長率の関係、これはどのように変わってくるのですか。
  71. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のございました「長期エネルギー需給暫定見通し」を今後どういうふうに扱っていくかということからお答え申し上げますと、本法案の中で規定されております供給目標、これを作成する際の一つのベースになるのではないかというふうに考えております。御指摘のとおり、現在の暫定見通しは閣議決定を見るものではございませんので、そういった意味では一つ努力目標という考え方があるわけでございますけれども、従来から総合エネルギー対策推進閣僚会議におきましてもこの暫定見通しをベースにいたしました対策の検討等を行っておりましたので、現実の問題といたしますればかなり権威のあるものという考え方を持っておったわけでございます。しかしながら、今後の代替エネルギー開発の重要性という問題にかんがみまして、本法案の中では、この際通商産業大臣がつくる供給目標につきましては閣議の議を経た上で通産大臣が公表するということで、言ってみますと一つの見識をより強く持ってもらおうという観点からそういう対策をとらせていただきたいというふうに考えるわけでございます。  そこで、御指摘政府の七カ年計画との整合性の問題等につきましては、現在のところ私ども供給目標はその性格上大体十年ぐらいの期間でつくらせていただきたいと思っておるわけでございます。代替エネルギー開発には相当長期間懐妊期間がかかりますので、少なくとも十年ぐらいの期間を置いて目標をつくりたいわけでございますけれども政府の持っております経済社会計画が七カ年間ということでございますので、余りまたかけ離れた期間にいたしましても問題があるという観点から、七カ年計画をベースにいたしまして、一応十年ぐらいの目標でやらせていただきたいということでございまして、もちろんこの十年で代替エネルギー開発推進されるわけはございませんので、二十年、三十年という長期展望に立った上での十年間ということで、その十年につきましては七カ年計画との整合性、具体的には経済成長率等の調整を十分図ってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  そこで、八月に答申いただきました需給暫定見通しにつきましては、そういう考え方に基づきまして、新たに本法案によって通商産業大臣目標を定める際には十分なディスカッションをいたしまして、暫定見通しをベースにした新たなる観点での供給目標というものをつくってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  72. 近江巳記夫

    ○近江委員 暫定見通しがベースであり下敷きであるということは理解できますけれども、そうなってきますと、事実上からいきますとかなりの下方修正になるわけでしょう。それはもう細かい数値を見なくてもそれは言えると思うのです。いかがですか。
  73. 森山信吾

    森山(信)政府委員 若干の修正を要する点は幾  つかあろうかと思います。
  74. 近江巳記夫

    ○近江委員 若干の修正というのはどういう点ですか。何でしたら私が一つ一つの項目をいきましょうか。あなたの方が答えるのが早ければもうあとは時間の関係で省きますから。どういうところを修正するのですか。
  75. 森山信吾

    森山(信)政府委員 たとえば原子力等につきましては、昭和六十年に三千万キロワットという目標を暫定見通しでは立てておるわけでございますが、電気事業審議会等におきましては二千八百万ないし三千万というような考え方を示しておりますので、そういったそれぞれの専門の部局で考えておられます数字というものを前提にいたしまして再検討をする、こういう意味でございます。
  76. 近江巳記夫

    ○近江委員 原発についてはそのように変わってくるだろう、こうおっしゃっておる。あと各項目をいきますと、海外石炭も相当変わってくるわけですね。六十五年度五千三百万トンの需給の内訳を見ていきますと大きな問題点があります。石炭火力の建設計画、脱硝技術開発見通しコールセンター、大型専用船等の受け入れ体制の整備計画、五千三百万トンの対日供給見込み、供給地のインフラ整備計画、いろいろそういう点からチェックしていきますと、政府のそういう数値は大変変わってきますよ。LNGの問題にしたってそうでしょう。私はこれ全部計算して出しておる。あなたは原発だけおっしゃっておるけれども地熱だって問題ですよ。これはそんな計画どおりいきますか。そういう暫定見通しあるいは経済七カ年計画にしたってメスを入れていかなければならぬわけでしょう。もう少し詳細に答えてください。いま原子力だけしかあなたは答えていませんから。
  77. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 暫定見通し中の電力施設につきまして、暫定見通しを立てた時点からいままでの若干の変化について御説明させていただきます。  暫定見通しは昨年八月に立てたわけでございますが、その後昨年十二月に電気事業審議会の需給部会が開催されまして、そこにおきまして暫定見通しをもとにいたしまして電力に関しての需給見通しを立てたわけでございます。そこにおきましては、たとえば原子力につきましては二千八百万、キロワットないし三千万キロワットというように、ある程度の幅を持たせてその目標を掲げたわけでございます。これをことしの三月の時点でさらにいろいろと実現可能性等を見まして検討いたしますと、たとえば原子力につきましては二千八百万キロワットをわずか下回る程度の達成ではなかろうかというふうに見通されております。また、石炭火力等につきましては、昨年八月の時点におきましてはおおむね一千万キロワットというふうに見られていたわけでございますが、これは一千万キロワットを少し上回る計画が三月時点において出されております。また、御指摘のありましたLNGにつきましては三千二百万キロワットという計画でございましたが、現在時点におきましてはこれは三千二百万キロワットを上回り、三千三百万に近い線までいく計画を立てておるところでございます。また、御指摘のありました地熱につきましては、五十万キロワットないし八十万キロワットというものを六十年に想定しておるわけでございますが、これにつきましてはその下限に少し近づいた数字というふうなものが現在時点では計画されておるわけでございます。また、これももちろん計画でございまして、今後一層努力しなければ達成することがなかなかむずかしいことは承知しておるわけでございますが、現在の計画につきましてはこれをぜひとも六十年において実現すべく、最大限の努力を払ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  78. 近江巳記夫

    ○近江委員 ですから、そういう数値というものにつきましては、本当にあらゆる精密なそういう中できちっと出していかないと、見直し作業というものをきちっとやっていかないと国民が混乱するわけですよ。努力目標ばかり掲げて実際は本当にできていない。原子力というものは私たちはもっとシビアに安全性なり環境の問題等を考えていきますと、進み過ぎだと思うのです。一つ一つの項目についてもっと国民意見というものを反映した押さえ方というものをやって、きちっとした対策というものを出していただきたい、このように思うのです。これは要望しておきます。  それから石油代替エネルギーの利用促進につきまして、第五条で通産大臣導入指針を策定して、これに基づいて工場に対して指導、助言を行うことになっておるわけですが、この対象となる工場の規模、想定される数、指導、助言のための体制、誘導するための具体的な助成策というものについてはどのようにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  79. 尾島巖

    尾島政府委員 第五条におきまして工場、事業場に対しまして導入指針というのを定めて公表することになっておりますが、この対象事業場をどの程度の規模にするかということにつきましては、今後法案の成立後慎重に検討してまいりたいと思います。と申しますのは、代替エネルギーを工場、事業場に導入する場合には、その代替エネルギー供給状況、それから技術水準、使用設備、立地条件等いろいろな状況を勘案いたしまして、それに適した代替エネルギーを経済的に技術的に導入できるという可能性を見きわめつつ、導入指針をつくっていかなければならないわけでございまして、そういう意味から詳細な検討を必要とするというふうに思っておりまして、今後慎重に検討してまいりたいと思っております。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 慎重にやるのはあたりまえですよ。大体こういう法案を出してきているのですから、いま私が言ったように、大体どのくらいの工場の規模であるとか想定される数であるとか、そういうものくらいは大体わかっているのでしょう。それを聞いているのですよ。物事は、どんな法律でも運用するのは慎重にやるのはあたりまえなことですよ。慎重にやりますという答弁だけですよ、あなたのいまの答弁は。大体のことを聞いているのですよ。
  81. 尾島巖

    尾島政府委員 先ほど申しましたように、一番重要な、配慮をしなければならない状況といたしましては、石油代替エネルギー供給状況、これが技術的、経済的にその事業場において石油にとってかわる状況になっているかどうかということだろうと思います。そういう意味におきまして、いま考えておりますのは石炭、LNGというような代替エネルギーでございまして、これをどういう地域のどういう工場について導入し得るかということをしさいに検討してまいりたい、こう思っておりまして、先生がおっしゃるように、ある一定規模の工場を機械的にとらえて対象をどのくらいというようなことは、ちょっといまのところそういうように画一的にやるのは無理ではないだろうか、こういうふうに思っております。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういう地域の選定であるとか、そういうこともやはりこういう質疑の中で明らかになってくるわけですよ。だからそういう中身を言いなさいということを言っているのですよ。これはまた次にいきたいと思いますが、そういうように答弁というのは、こちらの聞いていることに対して中身のある答弁をしていかないと、抽象的なことを聞いたって仕方ないのですよ。  民間からの資本金を六億程度当初見込んでおられるわけですけれども関係業界というのはおのずから範囲があると思うのですけれども、業種別にはどういうふうな割り振りを考えておられるのですか。
  83. 森山信吾

    森山(信)政府委員 民間の出資につきましては、現在政府出資の六億円と比べまして恥ずかしくない金額を出していただきたいということでお話を申し上げておりますが、具体的な出資の形態といたしましては、経団連でまとめて一本化していただこうという考え方を持っておりまして、その中の具体的な業種につきまして、どの範囲が包含されるかにつきましては今後の折衝にまつところが大きいということでございまして、金額も、おおよその金額は先ほど申し上げましたように政府出資と余り見劣りしない金額、それから具体的な業界につきましては経団連で業種別に話をかけるということでございまして、いまの段階でこの業界、あの業界というふうな決定はされていないというのが実情でございます。
  84. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、もう経団連におんぶに抱っこで、頼みますよとぽんと渡すわけですか。政府としては大体こう思うという腹案はないのですか。いかがですか。
  85. 森山信吾

    森山(信)政府委員 代替エネルギー関係の仕事でございますから、経団連の中におきましてそういった関係の深い業種、たとえば電力あるいは石炭、鉄鋼、機械等々の業種には当然話が行ってしかるべきだというふうに私どもは考えておりますけれども、そういった考え方につきましては現在経団連と話を進めておるという段階でございます。ただ、本法案がまだ御審議中でございますので、具体的な出資の細目までは決まっていないということでございますが、ごく大ざっぱな内々の話といたしましてはそういった考え方で話を進めておるということでございます。
  86. 近江巳記夫

    ○近江委員 この新機構の定員は三百二十七名ということを聞いておるわけです。代替エネルギー開発ということになってきますと、今後そのテーマは非常に多岐になってくると思うのですが、その場合、定員の枠の問題ですけれども、これはどんどんふやしていかれるというような構想があるのですか。定員についてはどういうふうに考えていますか。
  87. 森山信吾

    森山(信)政府委員 政府機関として発足をさせていただきたいということで現在お願いしておるわけでございます。財源といたしましては税金をちょうだいする考え方でございますので、できるだけ定員は簡素化いたしたいというのが基本的な考え方でございます。そこで、いま御指摘のように、初年度におきましては三百三十七名の定員をお願いしておるわけでございますが、この定員で十分であるというふうには考えられないわけでございます。ただ、いろいろな開発のテーマがふえるに従いまして逐次人員を増強していくという考え方もございますけれども、その研究のテーマが始終変わっていくという要素もございますし、ある程度目的を達成いたしましたものは次のテーマへシフトしていくという考え方もございますので、そういった考え方を織りまぜながら定員の問題につきましては対処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  88. 近江巳記夫

    ○近江委員 新エネルギー開発というものは非常にリスクを伴うわけでございまして、効率的な開発をやっていく場合においては国際協力というのは非常に重要な問題になろうかと思うのです。それで、この機構業務範囲にはこの点の規定がないわけですけれども、これについてはどういうように考えておりますか。
  89. 尾島巖

    尾島政府委員 新機構の目的は十一条に規定されておりますけれども、これは一つ技術開発一つは地熱及び海外炭の資源開発、「その他」といたしまして、「石油代替エネルギー開発等の促進のために必要な業務を総合的に行うこと」ができるようになっております。  先生御指摘のように、技術開発を進めていく上では国際協力に基づきます共同研究が非常に有効な手段だとわれわれは思っておりまして、この目的を達成するための業務一つとしてそういう共同研究、共同開発を考えていきたい、こう思っております。
  90. 近江巳記夫

    ○近江委員 この財源につきまして、電源開発促進税の税率を上げるということについてはわれわれは反対であります。少なくとも代替エネルギー開発という問題は、これは国の非常に大きな柱だと思うのです。これは一般財源から堂々と投入すべきだと思う。また、上げなくても現在ある税制の中でも、たとえば石油税の中で、道路財源なんというものは二兆三千億ですか、ございますが、これなどは十年計画を一年延ばしただけで、いまの時点で二兆三千億あるわけでしょう。そういう振り向けをやるとか、政府全体でそういうふうに取り組む姿勢が大事だと思うのです。いま、電力料金だってガス料金だって上がって、庶民は大変な打撃を受けておる。そういうときに安易に税率を上げて一般国民からそれに振り向けようというのは、これは非常によくない発想だと思うのです。  これについては今後かなりの財源が必要視されているわけです。何兆円という額ですね。一説では三兆円とか、もっと要るだろうとか言われておるわけですから、いまのようなそういう安易な考え方を続行するのではなくして、通産大臣を中心としてその財源のあり方について、政府全体で重大な反省を持ってひとつ取り組んでいただきたい。その決意を大臣にお伺いして質問を終わりたいと思います。
  91. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御説のように、総力を挙げて努力してみたいと思います。
  92. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 速記を中止してください。     〔速記中止〕
  93. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 速記を始めてください。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本幸一君。
  94. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 久しぶりですな。  先般来、本委員会で同僚の皆さんから大変傾聴に値する御意見や御質問を承って敬服しております。したがって、私は心配しておりまする二、三の問題をきわめて大ざっぱに総理を中心に伺ってみたいと思います。  まず第一に、石油確保に欠かせない外貨の事情であります。現在の外貨の手持ちは何ほどなのか、あるいは五十四年度の外貨の赤字が伝えられておりますが、それはどの程度なのか、お答えいただきたいと思います。
  95. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  現在の外貨の持ち高は百八十億ドル見当でございます。
  96. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 ちょっと答弁が落ちていますが、五十四年度の赤字はどの程度ですか。
  97. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 五十五年度でございますか、五十四年度でございますか。(山本(幸一)委員「五十四年度の一年間」と呼ぶ)五十四年度はたしか百億ドルを少し切った程度だと思います。
  98. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 ちょっと私どもの計算とは幾分違いますが、余り議論に時間をかけては悪いから飛ばしますけれども、私の知る限りではOPEC諸国との貿易収支のみの赤字を見てみますと、五十四年の一月から十二月までの一カ年間約二百五十億ドルですね。それから五十五年の一月一カ月だけで約三十五億ドルの赤字になっております。そこで五十五年度OPEC諸国との貿易収支で一体どれほどの赤字が見込まれるのですか、お伺いします。
  99. 藤原一郎

    ○藤原政府委員 ちょっといま手元に数字がございませんので、後ほどお届けいたします。
  100. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 それでは大平さんにお尋ねしますが、「長期エネルギー需給暫定見通し」、これによりますと、向こう十年間をとってみても今後毎年三億から三億六千万キロの石油確保を必要としております。現在の買い入れ価格を単純に計算してみましても、これはもう六百億ドルからあるいは七百億ドル。今後価格が上がりましょうから、さらにその開きが大きくなることは間違いないと思います。  他方、昨年のOPEC諸国との貿易実績を見ると、輸入総額に対して輸出総額は三分の一に満たないわけですね。したがってその実績どおり計算いたしますと、ことしは約四百億ドル前後の赤字がOPEC諸国との貿易で見込まれる、こういう事情だと思います。いま、御承知のとおり日本の貿易姿勢がとかく非難を受けておるわけですが、そういうときに今後貿易でこの大量の赤字を埋めることができるかどうか、これはひとつ総理にお伺いしたいと思うのです。
  101. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 仰せのとおり、わが国が必要とする原油は需給見通しでもごらんいただくとおり大量なものでございまして、これの支払い外貨というものは今年度でも六百億ドル前後になるのではないかと言われておるわけでございまして、これを貿易その他の収入で賄ってまいるということは至難のことであることは私もよく痛感いたしておるところでございます。そのためには外向きの環境といたしまして、OPECその他の産油国に集まりました外貨を先進国その他消費国にどのように還流していくかという世界的な課題があるわけでございまして、それはそれとしてIMF等を中心といたしましていろいろ措置していかなければならぬと思います。わが国といたしましては、じみちにエネルギーの節約に努め、熱効率を上げるということに産業面におきましても生活面におきましても努力をして、できるだけ外貨をセーブしていかなければならぬと思いますけれども、しかしいずれにいたしましても最終的には貿易を通じまして代金を確保してまいるということでなければならぬわけでございます。そのことはわが国の経済の持つ活力、生産性を向上させる力、産業構造を改革していく力、要するにわが国の経済の活力にかかることと思うのでございまして、過去におきましても規模の差こそあれ第一次石油危機以来われわれはその困難に耐えてきたわけでございまして、技術の革新を通じて生産性の向上を通じまして、あるいは徹底的なエネルギーの効率を上げる措置を講ずることによってこれに対応してきたわけでございまして、いま山本さんが御指摘のように、いまわれわれが直面しておる課題は過去の石油危機と違いましてスケールが数段大きい規模の圧力になってきておるわけでございまして、これは容易ならぬ課題だと思いますけれども、われわれはこれに耐えるだけの活力を日本の経済は持っておるものと確信するのでございまして、政治の力でそれをどのように動員していくかという課題が私どもが直面しておる課題ではなかろうかと考えております。
  102. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 いろいろ御答弁がありましたが、私の心配がそれで除かれたわけじゃないと思います。いろんな御答弁のほかにもっとやはり貿易の多角化、こういうことに真剣に力を入れなければならぬのじゃないか、こう思います。しかしそのことを言っておりますと時間がかかって、あとの同僚の質問にも差し支えをいたしますから今後に譲ります。ただひとつ大平さん、待ちの政治ばかりやらぬで、こういうときには積極的に取り組んでいただきたい、私は大変に外貨の心配をしている一人であります。  次に、御承知のとおり本来エネルギーの危機は第一次オイルショック以来始まっておるわけですね。ところが七年目の今日やっと代替エネルギー法案が提出された。これはどうも遅過ぎるんじゃないですか。言うならば怠慢のそしりを免れない、こういうことも言えると思うのです。私はこの際大平総理にその心境を伺いたいと思うのですよ。率直に言ったら七年もたってやっと出すようなことで一体どうなのか、こういうことであなたの考え方を伺いたい、こういうことですね。
  103. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 率直に申しまして、石油というものが戦前、戦中、戦後を通じまして一バレル二ドル前後でいつでもどこでも必要量を賄うことができたということでございましたので、われわれは安心いたしまして産業も生活も石油にたっぷりつかってしまうということ、その方が経済的で便利で効率的でございますのでそういうことをいたしたわけでございまして、そのことについて反省がないかというと、それは確かに大きな反省をしなければならぬことであると思っております。  第二に、ところが数年前に第一次の石油危機を迎えたわけでございますが、それから今日まで、石油の危機が叫ばれながら、必要とする原油確保につきましてはともかくほぼ予定どおり確保することに成功いたしたわけでございます。数量的にはほぼ予定どおり確保できたと考えておるわけでございますので、政府民間確保できるものであればこの便利な原油確保して、いまのいままでやってまいりました手法で経済を営む、生活を営むということを考えがちになることもあながち非難するに当たらないことだと思うのでございますが、問題は、これから先一体われわれが予定どおり、節約もするし代替エネルギー開発もするけれども、しかし何といっても大宗は石油に仰がなければならぬが、それが一体予定どおり入るかどうかということにつきましては全く確信が持てない、そういう状況であることはやはり心配を山本さんも共通にしていただいておるんじゃないかと考えるわけでございます。したがって、これまでのように漫然と石油に頼る、これが便利だからいま着ておる布子は脱がない方が体にいいから、このまま脱がないんだということをかたくなにやっておるわけにいかぬと思うのでございまして、まず思い切ってこれは省エネ政策をやらなければならぬし、省エネ技術開発を思い切ってやらなければならぬことが第一だと思いまするし、大変おくればせになったじゃないかと言われますけれども代替エネルギー、これはずいぶん経費もかかることでありますし、手間もかかるし時間もかかりますけれども、この開発に一段と工夫をこらしていかなければならぬのじゃないか。同時に、産業の構造、生活の様式というような問題までもひとつ新たな観点から考え直していくということが、もうのっぴきならぬ課題になってきておるんではないかということでございまして、そういう問題意識につきましては政府部内におきましてももうすでに確立しておるわけでございまして、それをどのように政策に手順よく実行に移してまいるかということがわれわれの課題になっておるということを御承知いただきたいと思います。
  104. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 総理、私時間ありませんから、あなたの演説よくわかりますが、申しわけないけれども結論だけおっしゃってください。  いまのお話で、あなたもこれは遅きに失するということをお認めになったと思いますから大変結構だと思います。それから同時に答弁の中にあったように、代替エネルギー開発導入もしょせんはやはり石油確保が当面前提になっておりますね。これは十年先をちょっと政府側の資料を拝見しても三億六千万キロ余を確保する、こういうことですから、だからやはり当面の間しばらくは石油確保が前提ですね。そういうことになりますと、これは石油確保にいまあらゆる対応をする必要がある、これは総理の意見と私は一緒だと思います。通産大臣も先般来この委員会で、私ははっきり表現は記憶がありませんが、目標達成に全力を挙げなければならぬ、しかしながら道程はかなり厳しい、いわば不安を隠せないような御答弁があったのです。私も全くそのとおりだと思うのですよ。いまの国際情勢を見ると、中東だけを見てもOPEC諸国石油資源がいま直ちに枯渇するとは私は思いませんよ。しかし有限であることは事実ですからね。それから、産油国価格操作の手段として生産制限をやってくる可能性もないとは言えませんね。さらには国際石油資本の操作も考えられますね。あるいはまた、米ソのエネルギー支配による世界政策の意図だってうかがわれますね。また、アフガン問題で米ソの対立が一層激化してくる、そうなると場合によれば石油入手が困難になる、こういう事態もないとは言えないと思うのです。特に、お互いが承知しておりますように、要するに産油国地域の政治的、軍事的な不安、これは大変なものだと思うのですよ。場合によると本当に石油が入手困難になる事態がないとも限らぬ。現にイランにおいては先ほどからいろいろ意見を聞いておるけれども、結論的に言えば、現実にはストップになっているのですから、そういうような不安材料がたくさん重なっているわけですね。したがって、私はOPEC依存する石油確保目標が本当に可能かどうか心配するわけです。総理はそういう心配をお持ちなのかどうか、この際伺っておきたいと思うのです。
  105. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 OPECというよりは、むしろ中近東に必要とする原油の四分の三を仰いでおる、日本の必要とする総エネルギー源の半分を中近東に仰いでおるというようなことは、いかにもこれは不安定なことでございますので、先ほどあなたが言われたように、これを極力多元化していくということが目標でなければならぬと存ずるのでございまして、中国でございますとかメキシコでございますとか、そういった方面へ漸次話を進めておる。非常に大きな期待はまだ当面持てませんけれども、せっかく始めておるわけでございますが、それは当面の供給の多元化でございまして、根本は先ほども申しましたように、全体として脱石油の方向にいろいろ施策をしていかなければいかぬことは当然だと思っております。
  106. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 総理の決意もよくわかりましたが、とかく計画とか目標というものは崩れがちが多いのです。ところが、日本の安全のためにも食糧とエネルギーはその最たるものですね。これがもし計画が崩れるとこれは大変な問題になる、こういうことが予想されます。  いま総理も、もっと多元的にいろいろ考えておる、こういうお説です。その中に中国の問題が出てきましたが、私はやっぱり石油の不安を一歩でも二歩で解消するに万全の策を講ずる必要がある、そのために中国との共同開発が当面緊急な課題じゃないか、こう思っています。  そこで、私が五十一年に訪中した際、中国側の説明を聞きますと、近代化の一環として大慶油田程度の規模のものを向こう十二、三年間に十一カ所開発したい、実用化したい、こういう説明がありました。そうしますと、私は数量はわかりませんが、当時の大慶油田の量の約十倍程度というものが大体予想されるわけですね。しかし中国といえどもなかなかそれは困難な問題で、現に数カ所手をつけておりますが、思うとおりにいかぬということもこれは私どもよくわかっております。わかっておりますが、同時に中国は、当時日本との共同開発にはかなり意欲的な発言をしておりました。積極的な発言をしておりました。その後の情報については私自身は詳しくはありません。ありませんが、最近伝わるところによると、渤海南部あるいは中部にわたって日中共同開発事業が進められて、そのほかに華北地区の共同開発話し合いも進んでおる、こういうことを聞いております。  通産大臣が近く中国へ行かれるらしいですが、こういうことが中国との話し合いの重要な課題になるのですか。テーマになるのですか。それも伺っておきたいと思います。
  107. 森山信吾

    森山(信)政府委員 中国との共同開発の問題につきましては、いま御指摘のとおり渤海湾の開発をめぐりまして現在話が進んでおるということでございまして、近く日本側の新会社の設立が期待されているところでございます。  それから、いま御指摘のございました内陸部の開発につきましては、従来は中国側は内陸部は中国自身の単独開発でやる、こういう基本姿勢を持っておったようでございまして、その後若干考え方が変わってきたという話も聞いておりますけれども日本側といたしますれば、中国側から一緒にやろうじゃないかという話が持ち込まれますならば、積極的にこの問題に取り組んでいきたいという基本的な考え方を持っております。  近く通産大臣も訪中されるということもございますので、こういった問題等も含めまして、中国側の考え方がだんだんと明らかになってくるのではないか、それに応じた対応をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  108. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 大体私が承っておることと同一だと思います。  そこで、恐らく私どもの浅い知識でも、中国の内陸部だけでも日本の使用量の二十数カ年分があると伝えられております、あるかないかわかりませんが。それに大陸棚等々の開発をやり出せば相当な量の魅力がある、こういうことになると思うのです。したがって、私がここでお伺いしたいのは、一体尖閣列島の地域、この開発についてどういうふうな考え方を持っておるのか。中国はかねてから尖閣列島の共同開発には、先般同僚の石野さんが触れましたように非常に意欲的ですね。積極的な発言をしております。日本は沈黙を守っておる。この理由が私にはわからないのですがね。なぜ沈黙を守っておるのか、それを伺いたいと思うのです。これは総理の方がいいのじゃないですか。長官では、これは政治判断ですから総理に伺いたいと思います。
  109. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 尖閣列島はわが国の固有領土であるという立場日本政府としては持っておるわけでございます。それで、われわれが現にいま有効な支配を及ぼしておりますけれども、この問題につきまして中国の見解はやや違った見解を持たれておるようでございますけれども、これを国際的な問題にしようという態度はとっておられないようでございます。  そういう前提でここの石油資源の開発というものを考えるにつきましては、本来大陸と沖繩方面との間の大陸棚資源の開発問題という国際法上の問題があるわけでございまして、それに対して大陸からの自然延長説をとるのかあるいは中間説をとるのかという場合、つまりその問題につきまして双方がともかくも意見開発のために一致しまして、ともかく共同開発はこういう前提でやろうじゃないかということができないと仕事にかかれないのではないかと思うのでございまして、石油開発を考える前に、この大陸棚の資源の問題について、どのように処理するかという問題を両政府の間で話し合っていかなければならぬと思っておるわけでございます。われわれはそれを取り上げて差し支えないのではないかと考えておるわけでございまして、外務当局にも機会を見てそういう問題を双方の間で話し合ってみるというようにしてみてはという慫慂もいたしておるわけでございますが、まだ具体的に中国側とそういう話をしたという報告は聞いておりませんけれども、そういう問題をまず開発当局でなくて外交当局でやっていただくということが先でないかと考えております。
  110. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 時間がありませんから、もう結論だけ申し上げたいのですが、要するにいまの答弁は、かいつまんで言うと、領土の帰属問題が容易でない、したがって中間線の線引きも困難だ、こういう外交上の問題があるということですね、一口で言うと。そうじゃないですか。ところが実際には、私が指摘するまでもなく、中国は日本やメジャーと渤海のみならず黄海、珠江沖の探鉱開発にいま手をつけているわけですね。そうすると尖閣列島はその中間なんですよ。なぜその中間の尖閣列島に政府は消極的な態度をとっておるのか、これが要するにいま御答弁のあった領土問題、中間線の線引き、ここに障害がある、こういうふうに私どもは聞いております。この理屈はわかるのですが、これは外交上の議論にかかわるので遠慮申し上げたいが、一言で言えば石油確保が重要だということになれば、私は領土問題は日本民族にとって重要問題です。一日も早く日本の帰属であることが明らかになることを期待しております。しかしながら、これには中国が発言しておるようにかなりの時間がかかることも間違いないのですね。石油問題は差し迫った緊急の問題です。したがって、ぜひひとつ、総理はいわば領土問題と石油問題とは全く切り離して、そして共同開発をするんだという合意に向かって積極的に取り組んでいただきたい。これをおやりになりますか。いまの答弁では、何か聞いているとおやりになるようにも聞こえたのだが、そういう姿勢でおやりになりますか。
  111. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 私どもの見ているところでは、中国側も石油石炭開発には非常に熱心でございまして、同時に日本との協力でやりたいという気持ちも非常に強いものを持っておりまして、渤海湾につきましては具体的になってきておりまするし、いまエネルギー庁長官が申しましたように陸上の開発につきましても、数カ所問題として検討いたしておるようでございます。  それからちょっと言葉は、東シナ海、南シナ海という言葉、いま中国は必ずしもそういう言葉を使っていないようでございますけれども、あの地域につきましても開発したいという気持ちを、あなたがおっしゃるように中国側も持っておると思うのでございます。したがって、仰せのようなことをいまから中国と話をしてやれないことはないと思いますけれども、当面渤海湾を始めたばかりでございまするし、また、いま具体的に問題になっておるプロジェクトもいろいろあるようでございまして、相当日中間におきましては開発問題について計画が進んでおるようでございます。したがって、いま南の方についてやる仕事がないというような問題は問題ではないと私は思っておるわけでございますので、やるべき時期、タイミングが熟しますならばそういう相談を持ちかけてみるということに私はやぶさかでございません。
  112. 山本幸一

    ○山本(幸一)委員 ほかにまだたくさんあるけれども飛ばしまして、要望的に申し上げておきますが、私はいろいろ困難な事情があると思うのですよ、領土問題と絡んで中間線の線引きがむずかしい。そういう困難な事情があるにしても、そういうことを理解の上で共同開発をしなければいけない。そういうことを十分われわれは理解して、当面緊急な石油確保のために、私は共同開発に積極的に取り組むべきだと思う。要は、これはやはり総理大臣の政治的決断にかかっているのですよ。あなたが決断すればできるのですから。したがって私は、日本の将来を考えあるいは日中両国の利益を考えてみて、やはり今後こういう問題に積極的に取り組んでいただきたい。  時間がありませんからそれだけを申し上げて終わりたいと思います。
  113. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 石野久男君。
  114. 石野久男

    ○石野委員 総理にお尋ねしますが、いまの尖閣の問題でございますが、山本委員からもお話しのように、総理の決断の問題でございますし、この問題はちょうど華国鋒主席が来月来られますが、むしろ総理はそういうところで下話でもすることの必要性があるのじゃないかと思いますけれども、総理にはその用意がございますかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  115. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 いま、先ほどもお話がございましたが、日中間で石油あるいは石炭等で共同開発の問題は大きな共通の課題になっているわけでございます。したがって、この問題を今度の華国鋒主席の訪日において触れないというようなことはあり得ないと思うのでございまして、いずれにせよ早晩この問題についての討議を私どもは進めなければならぬと考えております。その場合、どういう手順でやってまいるかという問題はございますけれども、この問題を回避することはできないと思っております。
  116. 石野久男

    ○石野委員 この点につきましては、時間もありませんから努力を要望しておきたいと思います。  石油代替エネルギー開発導入の問題に関しまして、もう時間がありませんので私は一つだけお聞きしておきたいのですが、二十一世紀に臨んでわれわれがエネルギーをどういうように確保するかということになりますと、やはり依然として石油輸入に頼る面が非常に大きいと思います。しかしいまのような状態でおけませんから、当然その輸入石油を漸減すると同時に、非石油エネルギーというようなものにある程度のウエートをかけていかなければいけない。そしてそれらのものは、私ども党の考え方では、石油については大体三分の一ぐらい、非石油で三分の一ぐらい、あと三分の一ないし四〇%ぐらいのものは国内で自給するという体制を考える、それがいわゆる代替エネルギーに対する国内の方策でなければならない、こういうように考えておりますが、こういう考え方につきまして総理はどういうふうにお考えでしょうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  117. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 エネルギーの自給力の向上につきましては、石野さんおっしゃるとおり私どもも重大な関心を持って推進していかなければならない政策目標だと考えております。石炭に限界がございますので、自然その他のエネルギー源を求めていかなければならぬと思いますけれども、大変細かいものをたくさん、多彩に開発していかなければいかぬという課題になると思いますけれども、極力自給力を向上していくという目標は見失ってはいかぬと考えております。
  118. 石野久男

    ○石野委員 細かいことを余り言う必要もございませんけれども、いわゆる自然エネルギーといいますか、クリーンなやはり再生可能なエネルギーに依拠しようとしますと、相当きめの細かい手当てをしなくちゃいけないと思います。これはたとえば太陽熱だとか風力だとか、海洋温度差、波力、バイオマス、あるいは発電ロスによるエネルギーをどういうふうに活用するかという問題、それから水力の活用、地熱の活用、この種のものについて代替エネルギーを考える場合には、政府が積極的に政策面において、特に財政面における協力体制、支援体制、そういうものの決意がありませんとこれはなかなかできないだろうと思うのです。  で、法案が出ましたこれを見ましても、その方向性というものについて政府努力姿勢というものがどうも弱いような感じがいたします。やはり代替エネルギーにつきましては、この種の問題について特に国民全体の総力を結集してエネルギー打開の道を考えていく、大企業とか大資本だけに依拠するのじゃなくて、地域の自治体とかあるいは一般の国民の協力というものに対して、政府の財政的協力、政策的協力というものを切実に要請していると私は思っているのです。そういう点について、これは何としても政府にその決意がないといけないと思います。細かいことは時間がないので言いませんが、総理はそういう面に対して、本年度予算の中では必ずしも十分じゃございませんが、来年度予算等においては積極的に財政協力体制というものを組み込んでいくという決意がございますかどうか、そういう点も御所見を承っておきたいと思います。
  119. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 財政支援がないと代替エネルギー開発を期待できないことは仰せのとおりでございまして、ことしも相当思い切って予算を計上させていただいたつもりでございます。ただ、一方において財政再建途上にございますので、一般会計から大きな財源を割愛するというようなことは至難のことと思うのでございまして、これには、財源確保におきましては特別の工夫をしなければならぬと考えております。ことしもそういう工夫をいたしたつもりでございまして、今後もその財源確保には一段と努力を重ねていかなければいかぬと考えております。
  120. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 渡辺三郎君。
  121. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 石油代替エネルギー法案審議をして、これから石油だけに頼れないという状況の中で、代替エネルギーをできるだけ早く、しかも大量開発しなければならないという法案審議を進めてきたわけでありますけれども、先ほど山本委員も言いましたように、第一次オイルショック以来すでに七年、いま初めてこの法案が出されておるわけでありまして、そういう意味では、先ほど総理からもいろいろお話ございましたけれども、ちょうどそのときにイランのような大問題が出たわけであります。いずれにしましてもわが国の必要石油量の一〇%を超えるそういった量をイランに頼ってきたわけでありますから、いまここで価格の問題がいろいろあっても、完全にストップという事態になれば、これは当面何としても大変な問題ではないかというふうに考えざるを得ません。もちろん民間、国家備蓄を合わせて準備してきたものの取り崩しとか、あるいはアメリカとの関係でいろいろその不足分については補う準備も進めなければならない、こういうことが言われておるようでありますけれども、しかし、これは単にアメリカの経済制裁、これに同調をするという立場だけではやはりどうにもならない状態ではないかというふうに考えるわけであります。  それで、時間がありませんから問題を一点にしぼってお聞きをするわけでありますけれども外務大臣がきょうお帰りになって、そして総理を初め、当面のこの重大問題についていろいろ見通しを立てられ、対策を立てられたのだろうというふうに考えますけれども、これについて総理としてはどのように対処をなさるおつもりなのか、政府の見解をお聞きしたいと思います。
  122. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 外務大臣がきょう帰ってまいりまして、EC外相と意見交換を遂げてまいりました。その後ECの方の閣僚理事会の結論も出たようでございます。  で、これは要するに、基本的には人質問題の平和的解決ということを促すためにEC並びに日本が協調して、共同の行動をとってイランを説得していくということ、同時にアメリカには、軍事力の行使というようなことが万が一にもないように要請していくということにおいて各国とも認識は帰一しておるようでございます。  されば、さしあたってどういうような措置を講ずるかにつきましては、このECの外相会議の決定も踏まえまして、明朝政府の方でも相談をいたしまして、何ができるかという問題を具体的に相談していかなければいかぬと考えておるわけでございますが、渡辺さんが御心配のエネルギーの問題は、いままでのところECとの話の中でも出ていないわけでございまして、いまイラン石油公社と日本石油会社の間に値上げ交渉をめぐって問題がございまするけれども、これは当面の人質問題を確認いたしましたイラン問題とは別個の、経済問題としてとらえておるわけでございまして、これはこれとしてしんぼう強くイラン側に再考を求めていくことにいたしたいと考えておりまして、いままでとってまいりましたこと、いまからとろうとすること、当面エネルギーの問題というものには関係がないように御承知を願いたいと考えております。
  123. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 人質問題の解決のために、これは総理おっしゃるように、間違ってもアメリカが軍事力の行動というふうなことに走ることのないように、日本日本立場において、特に総理は近くカーター大統領とも会われるわけでありますから、日本立場に立って御努力をいただきたいと思っておりますのは、これは国民全般の願望だと思います。  それから、いまおっしゃいました三十五ドル原油、これは純粋に価格の問題でイランとの折り合いがなかなかつかない、こういうふうに日本は繰り返し言っておるわけでありまして、私どもやはりそこに基礎を置いてこの問題については粘り強く話し合いを進めていただきたいというふうに考えておるわけです。ただ、残念ながら、アメリカの方はこの人質問題と絡んで、三十五ドル交渉の問題で、いわば結果的にはイランが一時的に石油ストップする、日本がこういうふうな状況になったことはアメリカに対する全面的な協力だというふうな評価もやはりアメリカとしてはやりたいのかもしれませんし、現にそういうふうな発表もしておるようであります。これに巻き込まれるという形になりますと、どうしても石油の問題が絡んで日本イランとの関係が一層険悪な状況になりかねない、この点が非常に心配になるわけでありまして、この点については政府はいままでの立場をきちんとおとりになるようにぜひとも要望したいわけであります。  そこで、これに関連して一つお聞きしたいと思うのですが、アメリカが求めている経済制裁といいますか、そういうことと関連をして、日本イラン向けの輸出の抑制、この問題を検討しておるというふうに私どもは仄聞しておるわけであります。その場合に、行政指導による規制なのかあるいは貿管令に基づく規制なのか、これは私は後に非常に尾を引く問題だろうというふうに考えておりますので、せっかく総理がお見えでありますから、貿管令の規制というところまで日本は踏み切って、イランに対するいわば輸出抑制、悪く言えば経済制裁みたいな形のものをおとりになるつもりなのかどうか、この点の今日段階における考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  124. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 ECの外相会議でも、当面とるべき措置といたしまして、いま呼び返しておるところの大使を任地に帰しましてイラン政府に対する説得を続ける、同時にイランに対する査証の発行等、イラン人の入国等につきまして無条件にやるのではなくて、一応審査していくというような、私細かいことはわかりませんけれども、査証の手続の進め方について慎重にやるというようなこと、あるいは外交官の要員を若干減員してまいるというような、つまり非経済的措置をとりあえずは考えなければならぬのではないか、経済措置といたしましては、新たな信用を供与するというようなことは遠慮をしようじゃないかというようなことのように私どもも聞いておるわけでございまして、その限りにおきまして、私どもがいままで考えて措置しておりますることとそう軒輊があるわけじゃございません。したがって、これから日本政府が何を考えてまいるかということにつきましては、先ほど申しましたように大来君の報告を踏まえた上で慎重に考えて決めたいと思っておりまするけれども、いま国民経済に非常に御迷惑をかけるというようなことはまだわれわれの検討の中にはないわけでございます。ただ、事態が非常に進んでまいりまして、事態が仮に万一なお深刻になってきた場合、そういう場合はまたヨーロッパ諸国と日本は相談を続けていかなければならぬと思っておりますけれども、私どもといたしましては一日も早くこの人質問題というものがイランの自省によって解決するということにとりあえず一生懸命に全力を挙げたいと考えておりまして、余り深刻な事態にならぬように全力を挙げなければならぬと考えておるわけでございます。  貿管令云々というような問題は法律解釈の問題、法律運用の問題もございますけれども、同時に実態問題として経済に与える影響も大きいわけでございますので、これは慎重に考えていかなければいかぬと考えております。
  125. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 総理の退席される時間もあって何分でも短く協力しろというお話でありますから、私はあと一つだけ御意見を申し上げて終わりたいと思います。  先ほど申し上げましたように、エネルギー石油だけに頼れない、どうしても新しいエネルギー開発しなければならない、こういう意欲で今回の法案が出されたと思いますけれども、ただ、先ほど来同僚委員も言っておりますように、財政的にもあるいは組織体制の面でも必ずしもまだ十分ではないと思います。したがって、これは簡単には開発できないものが技術的にも数々あるわけでありますし、私はその点は十分に承知をしておりますけれども、それだけになおかつ一層力を入れてクリーンなエネルギー開発のために政府が全力を挙げる、そのためにはことし一年、来年というだけではなくして、財政的な問題も十分に措置をするというふうな立場に立って、この法案国民全体が望むような方向で運用されるようにぜひとも力を入れていただきたい。このことを最後に強く要望申し上げまして質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  126. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 近江巳記夫君。
  127. 近江巳記夫

    ○近江委員 代替エネルギー法案はいよいよ終局に近づいておるわけでございますが、何といいましてもこれは本当に長期間かかると思います。そういう意味におきまして石油の問題というものはわが国の最も重要な問題だと私は思います。そういう中でいまイランとの問題が出ておるわけでございますが、本日のいわゆるエネルギー問題の閣僚会議におきまして大来外相の帰国報告を受けられたと思いますが、ECわが国との間におきまして考え方のずれはあったわけですか、総理にお伺いしたいと思います。
  128. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 特にECとわれわれとの間に考え方の違いはございません。
  129. 近江巳記夫

    ○近江委員 EC外相理事会におきますコミュニケが発表されておるわけでございますが、この点につきまして総理としてはどのように評価されておられるか、まずお伺いしたいと思います。
  130. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 ECが国際社会に対しまして責任を感じると同時に、アメリカに対する友邦といたしましてそのような対応をこの時期に一致してとることになったということは、それなりに評価していいことだと考えておりまするし、日本といたしましてもかねがねECと協力して意見調整を遂げてまいりましたので、今後共同歩調をとりながら事態の平和的な解決に協力していく素地ができたのでないかとこれを評価いたしております。
  131. 近江巳記夫

    ○近江委員 EC諸国の方針に対して、いま総理は原則的に同一歩調をとるということをおっしゃったわけでございます。そうしますと、EC諸国におきましては二段階制裁というものを決めているわけですね。これにつきまして、わが国としては共同歩調をとるということをおっしゃっているわけですから、この第一段階における制裁というものはそういう方向で行かれるわけですか。
  132. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 五月十七日をめどにいたしまして、イラン政府において人質解放への解決を求めるということで、それまでを第一次の措置としてとりあえずやるべきことを決めておるわけでございます。それ以後どうするかということにはまだ触れていないようでございまして、いまわれわれが問題にいたしておりますのは、その第一次というか、当面暫定的にやるべきことでございます。われわれといたしましては、そのECで決められました暫定措置と大体において歩調を同一にいたしまして対イランの説得に当たり、アメリカへの自重を求めるということにいたしたいと考えております。そういう過程を通じて解決されることを強く望んでおるわけでございまして、五月十七日までに事態が解決するよう強く期待をいたしておるところです。
  133. 近江巳記夫

    ○近江委員 この第一次案を見ますと、一、在テヘラン各国大使館員、各国駐在イラン外交官の相互削減、二、イラン国民の実質的入国制限、三、対イラン兵器禁輸、四、対イラン新規輸出、役務提供契約不締結等を遅滞なく実施し、五月十七日まで、いま総理がおっしゃったわけですが、それで人質解放を図っていく、こういうことなんですか。
  134. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 仰せのとおりでございまして、とりあえずとる措置につきましては、可能な限り日本の方でも共同歩調をとっていきたいと考えまして、具体的なことをこれから相談していきたいと思っています。
  135. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまイランわが国の間におきまして、価格の問題で現実イランは船積みを停止しているわけですね。御承知のとおりでございます。日本政府としては、統一見解として純粋な経済問題であるということを声明なさっておられるわけでございます。ところが、イランの方では外圧として受け取っておりますし、アメリカにおきましては、日本の態度については対米協調である、勇気ある行動であるという報道が、テレビ、マスコミ等を通じて大々的に報道されておる。こういう状況の中でイランが非常に硬化してきておる。特にモインファル石油相は、イランに敵対的行動をとる国に対しては永久に石油供給しない、こういうふうにも言っているわけですね。こうなってきますと、いま総理がおっしゃった、EC諸国と共同歩調をとるというようなことになってまいりますと、こういうイラン石油相の発言等も考えまして、現在問題になっておりますこの価格交渉、これは単なる経済問題ということじゃない、大きな問題として受け取られてくる。  そこで総理は、わが国も多少の犠牲を払うことはやむを得ないというようなことをおっしゃったこともちらっと私聞いておるわけですが、これは石油供給停止も覚悟の上ということですか。ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  136. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 今度の日本向け石油の積み出し停止というような問題でございますが、これをどのように見るか、それは別にいたしまして、わが国といたしましてはこれは経済的な問題、つまりイランの公社と日本石油会社との間の値段交渉の行き詰まりという問題ととらえておるわけでございまして、その姿勢は変えるつもりはないわけでございます。われわれといたしましては、従来の値段イラン側から供給が受けられれば喜んで受けるわけなんでございまして、日本といたしましては、これはいまの時節柄いかにも高過ぎるじゃないかということを言っているにすぎないのでございまして、それだけの問題として処置していきたいと考えています。
  137. 近江巳記夫

    ○近江委員 わが国立場はそうでありましても、いま申し上げたようにアメリカの受け取る受け取り方、イランの受け取り方、これは皆違うわけですね。そしてまたEC諸国と同一歩調をとると、第一次制裁に入るわけですね。そうなってきました場合、イランの対日供給の禁止ということもこれはあり得るわけですね。それは覚悟なさっているわけですか。
  138. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 私どもイランに対しまして人質の解放によって事態の平和的解決を促しておるわけでございまして、それ以外に考えていないわけでございまして、石油問題をこれにひっかけて考えるというようなことは、日本からはいたしたくないわけでございます。
  139. 近江巳記夫

    ○近江委員 私もかつてイランへ行ったことがありますが、イラン国民性なりいろいろなことから判断しますと、力と力の対決といいますか、そういうことでいきますと問題の解決というのはきわめてむずかしい。日本はかつてない非常に困難な問題にいま直面しておる。わが国は本当に大変な問題に直面した、私はそのように感じるわけです。  そこで、総理は今度アメリカに行かれるわけでございますが、その日程を見ましたら、四月三十日に日本をお立ちになって米国着、五月一日には米国を立ってもうメキシコにお着きになる。五月四日にメキシコを立ってカナダにお着きになる。そして五月七日にはカナダを立って、五月八日日本着、こうなっているのですね。いまや日米間で話し合う問題というのはいまほど大事なときはないと私は思うのです。こういう御日程で、これだけの大事な問題を話し合うことができるのでしょうか。外交の日程というのは、スケジュールは変えがたいことは私もわかりますけれども、これだけの大事な問題でございますから、日程の変更等をなさって、カーター大統領とも真剣な話し合いをなさることが大事ではないかと私は思うのですが、いかがでございますか。
  140. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 日米間には不断に連絡がございまして、毎日のように意見交換を遂げておるわけでございます。とりわけ首脳会談を想定いたしまして、それまでに整理しておかなければならぬ問題の整理を急いでおるわけでございまして、言いかえれば現にもう、今日ただいま首脳会談は始まっておるとも言えるわけでございます。これが済みますと後でまたそのフォローアップを遂げて、相互の関心のある問題の処理を適切にやっていく手はずになるわけでございます。したがって、頂上会談というのはまことに頂上会談でございまして、すそ野から頂上に至る過程におきまして、いろいろな問題がいろいろなレベルにおいて討議されて、整理されておるわけでございまして、そのエッセンスを私どもの会談で確認し合うということでございまして、長いにこしたことはございませんけれども、それに必要な時間はとって責任を果たさなければならぬと考えております。
  141. 近江巳記夫

    ○近江委員 総理も御承知のように、アメリカはいざとなればすべての面で自給自足のできる国です。わが国は資源のない国です。また、わが国EC諸国の間におきましても事情は違うわけです。特にわが国の置かれた立場というものは本当にどこの国よりも厳しい状態にあると私は思うのです。それだけに特に私はカーター大統領と総理とのこの首脳会談というものにつきましては、いまだかつてない大事な会談になる、このように思うわけでございます。  そこで、いろいろな情勢分析なりお話し合いがあろうかと思いますが、特に私は一つ申し上げたいのは、アメリカはいわゆる軍事行動というものについて非常にちらつかせておるわけですが、もしもアメリカが軍事行動というようなことに走ってまいりますと、たとえばホルムズ海峡のあの辺のところを閉鎖ということになってくれば、これはもう対イランだけの問題ではない、中東にこれだけのエネルギーを仰いでおる日本としては死活にかかわる問題にもなってくるわけです。したがいまして、カーター大統領にお会いになったときは、どんなことがあっても軍事行動には出るなということを最強調して申し上げていただきたい、このように思いますが、いかがでございましょうか。
  142. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 仰せのとおりでございまして、アメリカには強く自重を求めなければならぬと思いますが、同時に、それをやるにつきましては、ECとも協力いたしまして、平和的解決のためにできるだけ手助けをいたして、イランの説得に当たるということもあわせてやってまいる必要があろうかと思うのでございまして、そういう手だてをいま講じておるところでございます。
  143. 近江巳記夫

    ○近江委員 総理から強く要請するということをおっしゃったわけでございますが、重ねて私からも要望いたしておきます。  それで、総理は、この外交日程からいかれて、たとえ短い期間であっても十分実りあるものにできるという自信のほどを示されたわけでございますが、いまその頂上会談に臨むための作業はすでに開始されておるとおっしゃっておる、確かにそのとおりだと思います。そこで、かつてない、言うならばこれだけの大きな問題を抱えて訪米なさるときはいまだかつてなかったと私は思うのであります。  そういう点におきまして、これはわれわれ野党の首脳に対しても、いろいろな野党のそういう考え方なりいろいろなことが、広く国民を代表して私たち出していただいておるわけでございますから、当然その意見をお聞きなさるということはきわめて大事じゃないかと思うのです。そういう構想はお持ちでございますか。
  144. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 野党はそれぞれ外交政策につきまして御政策をお持ちになり、お立場があるわけでございまして、われわれといたしましては、われわれのとる外交政策に関しまして野党等に共同の責任をとっていただくというようなことはできるだけ慎みまして、われわれの責任においてわれわれの問題をまず解決しなければならぬと思うのでございます。しかしながら、事が重大でございまして、国の運命のために山を移すような決断を迫られる、選択をせなければならぬというようなことになりますると話は別でございまして、当然野党のお力をかり、一緒に難局に当たらなければならぬということになるべきものと思うのでございまするけれども、いまの段階は、自由民主党とその政府において精いっぱい努力をいたしまして、できるだけ御心配をかけないように処理してみたいと考えております。
  145. 近江巳記夫

    ○近江委員 いまの段階ということをおっしゃるのは、出発までにそういう首脳会談なり何なりをやる意思はない、こういうことでございますか。
  146. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 首脳会談をお願いするという、いまの段階でわれわれが考えておる問題は、首脳会談で御相談申し上げねばならない事態であるというほど重大とは考えていないわけでございまして、私どもの責任で処理していきたい。ただ、とてもわれわれの手に負えないほど重大な選択を迫られるというようなことになりましたならば、野党のお力をどうしてもかりなければいかぬようになるんではないかと思いますが、いま、われわれの責任で、御心配をいただかないようにひとつやりおわせなければならぬと決意をいたしておるところでございます。もとより出発に当たりましてはごあいさつには参上いたしますけれども、まだ御相談を申し上げなければならぬという段階ではないと思っております。
  147. 近江巳記夫

    ○近江委員 かつてない私は重大な時期に直面しておると思いますので、総理の御判断を強く要請しておきたいと思います。  それから、カーター大統領にお会いになるときに、当然このイラン問題、これは最大の焦点だと思いますが、その他オリンピック問題を初め種々の問題があろうかと思いますが、どういう課題をお考えになっておられますか。
  148. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 どういう課題を、話題を話し合おうというように決めておるわけではございませんで、国際情勢等、二国間の問題等から双方に関心がある問題をいま両方で整理をいたしておるところでございまして、最後の頂上会談に何が残っていくか、そのときの情勢いかんにかかると思っておりまするが、当然、いま言われたように、イラン、アフガンに対する対応の問題、一連の問題がございますが、そういった問題、六月のサミットを前にいたしましてこれにどのように対応するかという問題、それから日本アメリカとの間に二国間の問題として二、三の問題がございますけれども、そういった問題は当然話題になるのではないかと思っています。
  149. 近江巳記夫

    ○近江委員 アメリカ日本との間に横たわる、いま二、三の問題ということをおっしゃったわけですが、日米貿易摩擦の問題だとかいろんな問題もあろうかと思うのですが、どういう問題ですか。
  150. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 自動車問題でございますとかあるいは電電調達問題とかいうような問題が、経済問題として日米間の関心事になっておるわけでございます。防衛力整備の問題等につきまして、アメリカからこれまでも、具体的なことではございませんけれども、強い要請もございます。そういった問題は当然われわれの話題になることと思っております。
  151. 近江巳記夫

    ○近江委員 石油エネルギーの問題、これは国の死活にかかわる問題だと思うのです。そういう点におきまして今後、代替エネルギー等もこの法案が成立し、今後推進もできると思いますけれども、しばらく、まあ長期間になろうかと思いますが、やはりこの石油の問題は一番大きな問題です。  そういう点におきまして、各国の首脳を見ておりますと、フランスのジスカールデスタン大統領は一年間で十六回いわゆる産油国に行っている。総理は何回行かれましたですか、それをひとつお考えになっていただきたい。  総理は、今回アメリカとカナダとメキシコへ行かれる。メキシコにつきましては、この前の委員会で私の質問に対して、十月ごろには日量十万バレルに達する、第一船はこの四月から出る、恐らくこの次は二万五千バレルぐらいだという話もされておりました。カナダは、御承知のように今後ウランの問題あるいは石炭の問題、オイルシェールの問題あるいはタールサンドの問題、いろいろあります。この三カ国というものにつきましては、資源の問題から考えましても非常に重要な国でございます。このメキシコ、カナダに対して、特にエネルギーを初めとしてどういうお話を特になさろうとなさっておりますか。
  152. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 先ほど山本さんの御質問にもお答え申し上げましたように、石油危機が起こりまして以来数年たちましたけれども政府は予定どおり必要とする石油確保に成功しているわけでございます。したがって、もしそれが成功していないのでございますならば政府をお責めいただいて結構でございますけれども、われわれはやるべきことはちゃんとやってきたつもりでございますし、今後もやってまいるつもりでございます。中近東との交際におきましても、油をお願いすれば油外交だという非難を受けるのであります。われわれは中近東との間に長い信頼関係をつなぎまして、末長き交際をお願いいたしておるわけでございまして、油の供給におきましても今日までわれわれの期待にこたえて御協力をいただいておるわけでございます。今度私はメキシコ、カナダに参りまするけれども、もちろんこの両国ともわが国とは資源関係におきましてきわめて相互補完の関係にございまするし、その関係はますます濃密になろうといたしておりまして、わが国にとりましては大変大事な国でございます。もちろん資源確保につきまして、安定供給につきまして御協力を仰がなければならぬことはもとよりでございますけれども、そればかりではございませんで、日本とこの墨加両国との深い信頼のきずなをいよいよかたきものにするために、あらゆる側面から理解と信頼を深めてまいるべく参上いたしたいと考えております。
  153. 近江巳記夫

    ○近江委員 その点は総理のおっしゃるとおりだと思います。両国間の関係の緊密というものについては、特に今後力を入れていただきたいと思います。  それから、供給先の多角化ということにつきまして、中国の、いままではどちらかといいますと海での開発ということになっておりましたが、内陸部の開発についての要請が来ておるのじゃないかと思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
  154. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 内陸部の共同開発の問題もどんどん話題になってきておるようでございまして、われわれといたしましてはフィージビリティースタディーを遂げまして、協力をすべきものは協力してまいるという姿勢で臨みたいと思います。
  155. 近江巳記夫

    ○近江委員 イラン政府はソ連と経済協力に関する取り決めを行ったということも伝えられておるわけですが、これに対して政府はどういう情報を得られておりますか。
  156. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 四月二十一日にソ連とイラン政府との間で経済協力に関する協力議定書について合意ができた、近く調印がされるのではないかという情報はキャッチしておりますけれども、詳しいことはまだ存じておりませんで、そういう情報だけを得ておりますので、まだコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
  157. 近江巳記夫

    ○近江委員 この問題については、総理も本当に真剣にやっていただいておると思います。しかし、ひしひしとそういう深刻な状態というものが迫ってくるように私は思うのです。国民も非常に不安といら立ちを持っていると思うのです。  そこで、わが国イランから日量五十万バレル、一〇%の供給を受けておるわけでございますが、今後これが最悪——そういうことがあってはならぬわけですけれども、なった場合一体どうなるだろうか、国民は非常に不安を持っているわけです。一部報道によりますと、現在備蓄が官民合わせて九十五日分あるから、二百日くらいとめられても大丈夫だろうとか、あるいはIEAの緊急融通制度について非常にいい感触を得ておるとか、アメリカの方から何らかのそういう話があるとか、いろいろなことが言われておるわけですが、この点については国民が非常に心配しておるものですから、どういうようなお考えをお持ちになり、対応をなさるおつもりですか、万一の場合を考えて。
  158. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 去年の一月から三月までイランからの石油供給は停止したわけでございます。今回も不幸にいたしまして値段が折り合いがつきませんで、先方が積み出しをとめるというような事態に立ち至っていることは非常に残念だと思うのでございまして、われわれといたしましては、近江さんがおっしゃるとおりこれを断念しないで、先方の再考をしんぼう強く求めていきたいと考えておるわけでございます。しかし、現実に停止されるということになりますと事柄は重大でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、ただいまは、三月末現在、政府並びに民間備蓄九十五日分を用意いたしてございますので、当面経済の運営に支障はないものと思うのでございます。かたがた石油のマーケットはいま比較的緩慢でございますので、供給の多角化を図っていくことが全然できないというような事態でもないと心得ておるわけでございまして、当面石油会社といたしましてもいろいろ措置するでございましょう。政府もいろいろ考えてまいりまして、国民に御迷惑をかけないように、不安を与えないようにしなければならないと考えております。
  159. 近江巳記夫

    ○近江委員 時間がありませんから終わります。
  160. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 神崎敏雄君。
  161. 神崎敏雄

    ○神崎委員 エネルギー問題を考える場合に重要なことは、エネルギー供給基盤の自主的強化が何よりもその基本に位置づけられるかどうかであります。具体的な政策としては、第一に国内資源開発、復興、第二に自主的資源外交、第三に自主的な新エネルギー技術開発など、こういう政策が貫かれなくてはなりません。エネルギーの安定供給の最大の保障は、資源の開発の面でも、技術開発においても、また外交においても自主性を貫き、わが国の安定供給基盤を強化することであります。総理もこの点を認められるかどうか、まずお伺いいたします。
  162. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 仰せのようにエネルギー政策にとりましては技術開発が非常に大事な柱であると承知いたしておりまして、自主的な技術開発もとより大事でございますが、国際的な協力を推進してまいることも必要だと思っておりまして、これは新代替エネルギー開発ももちろんでございますけれども石油を省くエネルギーあるいは省エネルギー技術開発におきましても、これは同様にやはり火急のわれわれの課題と考えておりまして、そういう方向に政府努力をいたしておるところでございます。  それから、技術開発はもちろんでございますけれどもエネルギー源確保につきましても自主外交によるべきではないかということでございますが、仰せのとおりでございまして、各国の、友好国の協力に漫然期待しておるというようなことではとてもいけないわけでございます。わが国が進んで困難な隘路を打開して求めていかなければならぬことは当然でございまして、共同開発におきましても、わが国の資金と技術を傾けてこれに当たるという工夫もいま各方面でいたしておりますことは御案内のとおりでございます。
  163. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ところで、カーター・アメリカ大統領がことし一月、一般教書その他で示した八〇年代の新戦略と言えるものを見るとき、われわれの外国石油に対する依存わが国の安全保障にとって紛れもない現実の危機だとの意識で、ペルシャ湾地域を支配しようとする外部勢力による試みはアメリカの死活的利益に対する功撃とみなし、軍事力を含むいかなる必要手段をも行使して撃退する、このことを強調している点はきわめて重要であります。つまりアメリカは、ペルシャ湾地域の石油を死活的利益にかかわるものとして、軍事力を行使して中東原油確保、支配しようとしているのであります。そうして日本と西欧諸国に同調を求めております。しかし、フランス、西ドイツなどの西欧諸国の反応は必ずしもカーターに全面的に同調してはいない。また、イスラム諸国緊急外相会議、一月二十七日から九日の間ですが、この決議や宣言は、アメリカの圧力を批判していることも周知のとおりであります。  いずれにせよ、産油国との対応には何よりも自主性と対等平等の関係が必要です。自主性なくしては産油国からばかにされることはあっても信頼されることはないと言うべきであります。アメリカに追随して産油国を敵対視する政策では、わが国石油問題に深刻な事態を招くことは明らかであります。真に国民経済的な立場に立って、アメリカに追随した外交、内政はとらない、こういうふうに総理は明言できますか。イラン石油値上げを拒否したが、これはアメリカに同調したのではないのか、こういう点をお伺いいたしたいと思うのであります。
  164. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 アメリカが、半年近くも五十名の同胞外交官が人質になっておるというにかかわりませず、忍耐を重ねて平和的解決に努力してきたということは理解して差し上げなければいかぬことと思うのでございまして、アメリカは何も軍事力を振り回しておるわけでは決してないのでございます。しかし忍耐には限度があって、万一アメリカが軍事力を行使せざるを得ないというようなことになる事態は大変不幸な事態でございますので、私どもとしてはそういう事態にならぬように、この事態の平和的解決のためにできるだけ努力をしていかなければいかぬのじゃないかと考えておるわけでございます。人質問題は、イランアメリカとの間の問題であるばかりでなく、国際秩序の基本にかかわる問題でもございますので、こういった問題の平和的解決のために、日本がヨーロッパ諸国と協力してまいることがアメリカ追随であるというように言われますことは言われなきことでございまして、そういう評価はお取りやめいただきたいものと思うのであります。  今度のイランの三十五ドル原油のオファーに対しまして、日本石油会社がこれに対してイランに再考を求めておるということでございますが、わが国がいまそういう高い原油を買うということは経済上非常に重大な事態になりまするし、また、世界の石油事情におきましても、わが国がそういう高値に手をつけるというようなことはマナーとして決してほめられたことではないということでございまして、アメリカの慫慂によるものというような曲解は差し控えていただきたいと思います。
  165. 神崎敏雄

    ○神崎委員 与えられた時間が二十分ですから反論をやれないことをきわめて遺憾に思います。  引き続いて質問を続けますが、カーター政権のイランに対する制裁措置が、人質解放を目的としたものと言えるかどうかも大切な問題であります。昨年十一月二十七日、カーター自身次のように述べています。アメリカイラン関係で問題になっているのは米国の名誉であり、それは人質四十九名の生命よりも重要である、こう述べております。ことし四月八日付のニューヨーク・タイムズは、カーター大統領は人質よりもむしろ自分自身を救うために行動を起こしたと言えようと報道しているのであります。つまり、カーター大統領の選挙対策の見地からの措置であるということも言えるのであります。昨日、言えばきのうきょう、政府イラン原油値上げ拒否はアメリカヘの協調ではなく、純経済主義に基づくものだと弁明しておられますが、しかし、伊東官房長官アメリカに対して油の供給を要求すると発言したことからもそれがごまかしであることは明らかであります。いずれにせよ、石油よりアメリカが大切という発想は断じて許しがたいものであります。わが国国民的利益を優先する立場に立つべきであると思うのですが、重ねて御答弁を求めます。
  166. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 わが国の国益を終始踏まえて対処いたしておるつもりでございます。私ども十分力はございませんけれども、終始国益を踏まえて処理いたしておるつもりでございまして、それ以外のことは考えていないわけでございます。私はカーターさんの政策をここで弁護する立場にございませんから、かわって答える立場にございませんから、日本といたしましては日本の国益を踏まえてちゃんとやっておりますということを申し上げたいと思います。
  167. 神崎敏雄

    ○神崎委員 当然でございます。  次に、原子力発電に関して伺います。  御承知のように、昨年三月、アメリカのスリーマイル島の原発事故は、炉心が溶けた、いわゆる炉心が溶け出すメルトダウン寸前の事故でした。これまで、こういう事故は落下するいん石に人が当たって死亡する確率よりも低い、実際にはゼロに近い、無視してよろしい、こう言ってきたのであります。つまり起こり得ないことが、あるはずのないことが起こったのであります。あるはずがないことが起こったということは、原発は安全であるはずだったのがそうではなかったということを証明したものであります。総理もそういう認識を持っておられるでしょうか。
  168. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 私は、原子力行政におきましては安全性の確保が第一だと考えておりまして、そのために最大の関心を払って努力を続けておるわけでございます。原子力技術の専門家でございませんので確信を持って申し上げる自信はございませんけれども、安全性確保について最善を尽くしておるということと、そういうことに対して国民理解を得ながら原子力行政を推進していきたいんだという考えであることだけは御理解をいただきたいと思います。
  169. 神崎敏雄

    ○神崎委員 重要なことは、小さいミスが次々と重なった複合的な事故だということです。したがって、わが国が教訓とする場合、複合事故としてとらえているかどうかであります。政府は二回にわたる調査団を派遣しました。そして、五十二項目の点検項目をつくり、これに基づいて点検し、成果を上げておると宣伝をしております。しかしミスが重なり合うという事態を想定していない、一つ一つのミスをないものと決めてこれにかかっておる、これではお話にはならない。複合事故を点検項目の中心に据えていると言えない以上は、日本は大丈夫だろうとは言えないのではないでしょうか。この点総理はどういう御認識を持っておられるか伺いたい。
  170. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 わが国原子力安全委員会でお話しのように調査団を出しまして、その結果問題点をしぼってそれに対する判断をいたしまして、そしていままでの原子力行政と申しますか、原子炉そのものに対する安全を確立するためにはいかにすべきかという解答を出しまして、それに応じまして、たとえますればいままでは運転中の検査あるいは制御、インスペクト等が必ずしも十分でなかったのじゃないかということで、特に運転中に対する配慮、人的配慮等も加え、あるいは万が一の場合、私どもはないとは思いますけれども、そういう場合に備えての対策等も充実いたしまして、何よりもまずあの教訓をわが国に生かそうということで、いままでかかりましてその対策は私どもはほぼできたものと考えております。
  171. 神崎敏雄

    ○神崎委員 相変わらずちょっとわからないのですけれども、時間がないので残念です。  さらに重要な点は、原発の安全対策が原子炉の安全装置だけに頼れないということです。炉心の放射能が外部に漏れ出す事故も避けがたいということを証明したのであります。この点で、さきの予算委員会でわが党の不破議員が満足な避難計画、その体制のない日本の恐るべき実態を批判したことはきわめて重要でございます。そのとき総理は、「いまの御指摘には、重要な、いろんな示唆に富んだ御指摘がございました。政府といたしましても、慎重にかつ周到にこの点については配慮してまいる」と答弁されました。いわば指摘の重要性を認められたのでありますが、その後どういう措置をおとりになったのか伺いたいのであります。
  172. 児玉勝臣

    児玉(勝)政府委員 原子力に関します防災対策といたしましては、原子力安全委員会のもとにございます災害対策専門部会におきまして鋭意その審議は進められておるところでございます。現在、当面の問題としてはどうするかということにつきましては、昨年七月に当面対処すべき事項といたしまして専門家の派遣、それから医療チームまたはモニタリングチームの派遣というようなことを決めておりますので、それによって当面は十分な対応ができる、そう考えております。
  173. 神崎敏雄

    ○神崎委員 重ねて重要な点は、スリーマイル島原発は今日に至るまで原子炉格納容器内にたまった大量の放射能汚染水等、ガスの除去さえできず、復旧には建設費を上回る数千億円の費用と、四年から五年の歳月が必要と見られていることです。  こうした点を考えますと、原発の経済性という点でも問題が表面化したことは明らかであります。政府の原発は安いという宣伝は、アメリカの大事故を無視した危険なものだと言わざるを得ないのであります。この点総理はお認めになられるかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  174. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 原子力発電の経済性の問題でございますけれども、御承知のように、一般的には燃料費のウエートが石油あるいは石炭の火力に比較しまして段違いに小さいわけでございますので、その発電コストは当然油が高くなるに従いまして相対的に低くなるのは明らかでございまして、特に最近の原油価格の高騰によりまして、経済的な優位性はさらに高まっていると思っております。  ちなみに試算でございますけれども、昨年の九月に試算いたしました計算によりますと、両方とも七〇%利用率を稼動率と考えておりますが、石油火力は一キロワットアワー大体十一円若干でございます。原子力の方は七円から八円程度でございまして、御承知のようにその後去年の暮れからことしの一月にかけまして原油は大変な値上がりをしたわけでございますから、それを踏んまえまして五十五年の一月の時点でこれを計算いたしますと、石油火力の方はキロワットアワー十五円幾ら、原子力の方は大体前と同じでございますので、ほぼ倍近い開きになっていると考えてございます。
  175. 神崎敏雄

    ○神崎委員 きょうはせっかく総理に来ていただいて、最後の質問でございますので総理から御答弁願いたいと思うのですが、わが国が今日のように石油中心に転換していった過程を見ますと、国民経済的見地かつ長期的観点からではなく、資本の利益という見地から、しかも国際石油資本、特にアメリカ石油資本への従属、依存を深める過程であり、長期の見通しもなく無計画的に石油への転換が進められたことはいまや明白であります。この過程での重要な教訓は、自主性の欠如と資本の利益、資本主義的効率本位という点、これにあると思います。私はそう思うわけでありますが、石油代替エネルギー開発導入それ自体はわが党も早くから政策的に明らかにしてきたことでありますが、しかし石油よりも安いかどうかが一番の基準になるとか、自主性という点での確固とした保障がないとかあるいは安全性の点でもまだ研究分野の原発の促進とか、きわめて重要な点で従来の政策と何ら変わっていない。この点はわが党としてはエネルギー危機の解決に向かうものとはとうてい評価できないのであります。  そこで、総理、かつて石炭液化技術では世界的に高い水準であったにもかかわらず、その成果を水に流してしまった事実を反省して、石油化学の動向など目先の動きに惑わされずに、長期的観点で新エネルギー研究開発に国として取り組みを強化するということを約束できるかどうか、最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  176. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 冒頭にお答え申し上げましたように、エネルギー政策推進に当たりまして、あらゆる領域にわたって技術開発の必要性は政府としても十分認識しておるところでございます。いま仰せになりました技術につきましても、政府といたしまして十分留意いたしましてその推進には当たりたいと考えるわけでございまして、石油中心でやってまいりましたことは事実でございますが、これと並行いたしまして、脱石油を一方において図りながら新しいエネルギー源開発に特段の力をいたさなければならぬし、その中核は何としても技術開発であることは仰せのとおりだと考えております。
  177. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 宮田早苗君。
  178. 宮田早苗

    ○宮田委員 総理が日程の都合で時間が切迫しておるようですから、協力するという意味でただいまから三点ばかり続けて質問いたしますので、それに対して総理の明確な御答弁をお願いをいたします。  まず一つは、いままで質問者が触れておりましたイラン問題についてであります。石油値上げということではございますけれども、実態といたしましてはアメリカの制裁措置、これを日本に対しまして同調を求めてきた、それに対するイランの報復措置ではないか、私はこう思っておるところでございまして、問題は、たまたま総理が訪米されるわけでございまして、そうなるとアメリカの制裁措置によってわが国イランが報復的な措置、しかも石油の輸出禁止をしたということに対しまして具体的にアメリカに対して何らかの要請をすべきではないか、こう思うのです。たとえばアメリカが中心になっておりますメジャーの割り当てをふやすとか、あるいはまた別な石油に対するルートを開くとかいうような要請を具体的に求めるべきじゃないかというふうに思いますが、そういう用意がございますかどうかということがまず一つです。  もう一つ原子力の問題についてでございます。どうもこれからの代替エネルギーの中心は原子力に置かざるを得ないのじゃないか、こういうふうに私どもは思っておるのです。今度できます代替エネルギー、いわゆる新エネルギー開発の中心は、やはり海外におきまするところの炭鉱開発というものが当然に中心になりましょう。しかし、これとても相手の国のことでございますし、いろいろな違いから合弁会社一つつくりましても相当日数が必要になります。きょうこのエネルギー法案が決まったといたしましても、あす新しいエネルギーが入ってくるわけじゃないのです。やはり三年先、五年先になるでしょうし、極端に言いますと十年先でないと新しい石炭は入ってこないのじゃないか、こう思う。そうすると、いまでも窮屈な石油事情に対しまして、ある程度の代替エネルギーを発見しなければならぬ。そのときに原子力促進というのが非常に必要になってくるのじゃないか。ところが、政府のとっておられます政策措置は、もちろん安全問題というのは非常に大切でしょうけれども、私どもから見ますとどうも消極的過ぎる、いわゆる抽象的過ぎる、こういうように思いますけれども、この際思い切ってこれの打開の方法を考えていただかなければならぬ、こう思います。  もう一点は、わが国石炭開発の問題です。もちろんこの新しい法案海外の炭鉱開発ということが中心でしょうけれども、さっき言いましたとおり、それはなかなか手間暇のかかることです。ところが国内炭の問題につきましては、一応方向として二千万トンという一つの方向が決められておるにもかかわらず、その二千万トン体制がなかなか確立できないというのが現状と、こう思っております。逆に日本の炭鉱から出ます炭は、言うならば貯炭という形でどんどんふえつつあるという矛盾が生じておるわけでございますから、そういうことでなしに、二千万トンを完全に消化するという方法、あるいはまたその体制がそれによって確立するという具体的な考え方というのが当然にこの際必要になってくるのじゃないかと思いますが、わが国国内におきますところの炭鉱開発、特に二千万トン体制の確立ということについて、総理、この三点について明確なお答えをしていただきたいということです。それで終わります。
  179. 大平正芳

    ○大平内閣総理大臣 イラン問題でございますが、今度の三十五ドル原油に対する交渉の行き詰まり問題、これはイランの対米報復の一環じゃないかという御指摘でございますが、イランがどうとっておられるか別にいたしまして、われわれといたしましてはあくまでこれは経済問題として、そのらち内におきましてしんぼう強くイランの再考を求めていきたいと考えております。と同時に、われわれはそういう問題があろうとなかろうと供給源の多角化を進めなければならぬ立場におるわけでございまして、アメリカわが国供給源の多角化に協力していただくことも考えなければならぬと思うのでございまして、そういう考え方で対米交渉には当たりたいと考えております。  それから、第二の原子力問題でございますが、仰せのとおり、他の代替エネルギー開発というのは容易ならぬことだと思うのでございまして、とりあえず信頼性の高い、間に合う代替エネルギー源といたしましては、原子力に頼るということが一番手っ取り早い方法であることは御指摘のとおりでございまして、原子力発電の運転の効率化、建設のスピード化等も進めなければならぬと思いますが、これは申すまでもなく安全性を確保しながら、地元の協力も十分得ながら進めなければならぬことは当然でございまして、われわれといたしましては十分な配慮を加えながら、原子力開発には特段の配慮を、努力を払ってまいりたいと考えております。  第三の国内二千万トン体制の推進の問題でございますが、二千万トンにまだ及ばない状況におりますことは御指摘のとおりでございまして、せっかく国内にある重要な資源でございますので、これを活用してまいるということは御指摘のとおり大事なことだと思いますが、それに対しましてどういう手だてを講じなければならぬものか、そういう点につきまして私は素人でよくわかりませんけれどもエネルギー政策当局において検討に値する課題であろうと存じ、御提言を受けましたその点は十分検討させてみたいと思います。
  180. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 以上をもちまして本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  181. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 この際、本法律案に対し、清水勇君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合四派共同提案に係る修正案、また、神崎敏雄君外二名から、日本共産党・革新共同提出に係る修正案が、それぞれ委員長の手元に提出されております。  両修正案について提出者より順次趣旨説明を求めます。清水勇君。     —————————————
  182. 清水勇

    清水委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  案文についてはお手元に配付をいたしてあるとおりであります。  修正の第一点は、第三条第三項中「内閣総理大臣推進する原子力開発及び利用に関する基本的な政策」を「原子力基本法第二条に規定する基本方針に基づいて行われる原子力に関する基本的な政策」に改めることでありまして、原子力研究開発につきましては本法とは別の体系で行われるものであることを明確にする趣旨のものでございます。  修正の第二点は、「財政上の措置等」に関する第七条に、政府は「国内に存する石油代替エネルギー源の地域の特性に応じた開発及び導入促進について十分に配慮しなければならない」旨の規定を加えるものでありまして、ローカルエネルギー開発及び利用の促進を図ろうとするものであります。  修正の第三点は、第三十九条の機構業務範囲の規定に、「石油代替エネルギーに関する情報の収集及び提供を行う」業務を加えるものでありまして、機構石油代替エネルギーに関する情報センター的な役割りを果たさせようとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。  (拍手)
  183. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 次に、小林政子君。
  184. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案に対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付いたしておりますように、その内容の第一は、わが国の今日のエネルギー危機を招くに至った過去の経緯にかんがみ、国民生活の民主的、平和的発展を保障するため、国内エネルギー資源を特に重視する必要があるとの立場から、本法案の「目的」に国内エネルギー資源の積極的活用を明記させ、代替エネルギー供給目標にも、他と区分してわが国における自給率を明確にすることとしております。また、国内開発推進するため、石炭鉱業合理化事業団はこれを存続させることとし、本法案中、同事業団の解散と、新エネルギー総合開発機構が同事業団の業務等の承継などを定めた部分を削除することとしております。  第二に、新エネルギー総合開発機構を民主的、自主的に運用し、もって国民生活に積極的に役立つようにするため、運営委員会の民主的構成を図ること、また、機構技術開発の国際交流を進めるとき、技術開発による成果をわが国が自主的に活用できるようにしなければならないことを機構に義務づけること、業務の委託を受ける企業技術開発による成果を私物化することを防止するために、受託企業に対し監督官庁の立入検査ができるようにすること、及び機構の運営委員の任免、予算、事業計画等を国会承認案件とすることとしております。  第一二に、安全性や技術等の面が未確立である原子力発電については、安全利用技術が確立されるまでの間は代替エネルギー定義から除外するものであります。  以上が主な修正点でありますが、日本共産党・革新共同は、今後二十一世紀にわたる長期間、わが国国民生活安定の基本であるエネルギー政策に基本的かつ重大な方向性を示すものとして本法案をきわめて重視しているものであります。  わが党は、日本エネルギー危機を真に打開するために、新エネルギー技術開発促進はもちろんのこと、国内資源開発、自主的資源外交の確立、エネルギー浪費の抑制を積極的に推進を図ることを提起してきましたが、政府が今回提出した代替エネルギー法案では、エネルギー危機の真の解決に向かうものとは評価できないとの理由から修正案を提出した次第でございます。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いをいたします。(拍手)
  185. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 以上で両修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  186. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 日本共産党・革新共同から討論の申し出がありましたが、先ほどの理事会で協議の結果、大多数の意見により、御遠慮願うことといたしたいと存じますので、御了承願います。  石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案並びに清水勇君外三名提出の修正案及び神崎敏雄君外二名提出の修正案について採決いたします。  まず、神崎敏雄君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  187. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたしました。  次に、清水勇君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  188. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  189. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 起立多数。よって、本案は、清水勇君外三名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  190. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 次に、本案に対し、近江巳記夫君外三名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合四派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を求めます。近江巳記夫君。
  191. 近江巳記夫

    ○近江委員 提案者を代表いたしまして、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     石油代替エネルギー開発及び導入促進に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、一段と流動的な様相を深めている国際エネルギー情勢現状と今後の推移にかんがみ、現在及び将来にわたるエネルギーの安定供給確保するため、省エネルギーの徹底、省エネルギー技術開発促進石油供給先の多角化、石油自主開発促進等を図り、石油代替エネルギー開発導入においては、国産エネルギー及び自然循環エネルギーの最大限の活用配慮する等、総合エネルギー政策の一層の推進を期するとともに、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 石油代替エネルギー供給目標の策定にあたっては、関係省庁間の連携を密にし、整合性のある的確な目標を定めるとともに、エネルギー問題に関する国民各層の理解と協力を深めるため、エネルギー白書の作成・公表について検討すること。  二 石油代替エネルギーのうち原子力については、本法とは別に原子力基本法の体系によるものであることにかんがみ、本法の運用においては特にこの点に留意すること。  三 国内石炭の二、〇〇〇万トン生産体制を維持するため、石炭鉱業の現状と今後の展望、二年後には石炭対策関係法律の期限が到来する事情等にかんがみ、新たな石炭対策を早急に検討し、その推進を図ること。  四 石油代替エネルギーのうち海外に賦存する石炭、LNG等については、円滑な国際協力の推進を図るとともに、秩序ある開発輸入体制の整備に努めること。  五 新エネルギー総合開発機構の運営については、極力効率的なものとするよう努めるとともに、民間の有能な人材の確保民間の活力を十分活用すること。また、技術開発の委託先の選定及び新エネルギー技術の実用化については、特定の事業者にかたよらないよう公正な運用に十分留意すること。  六 新エネルギー総合開発機構業務については、技術開発の進展に応じ、新規テーマの採択、スタッフの増強等その拡充強化に努めるとともに、今後、必要に応じコールセンターに対する出資の業務についても検討すること。  七 ソーラーシステム等実用化段階に達した新エネルギー利用の普及を促進するため、必要な措置の充実を図ること。 以上でございます。  附帯決議案の各項目につきましては、委員会審議及び案文を通じ御理解いただけるものと存じます。何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  192. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  採決いたします。  本動機に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  193. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 起立多数。よって、本動議のとおり、本案に附帯決議を付すことに決しました。     —————————————
  194. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  195. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  196. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 この際、佐々木通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。佐々木通商産業大臣
  197. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、対処する考えでございます。      ————◇—————
  198. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 この際、内閣提出中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律案、以上両案を便宜一括して議題といたします。  両案の趣旨説明を聴取いたします。佐々木通商産業大臣
  199. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  中小企業信用保険制度は、信用力の不足する中小企業者に対する事業資金の融通の円滑化を図るため、信用保証協会の行う債務保証についての保険制度として創設され、現在約八兆円に及ぶ保険規模に達しております。  最近の中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しいものがあり、信用補完の面におきましても、中小企業の資金需要への的確な対応の必要性がますます高まってきております。  本法律案は、このような観点から中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、付保限度額の引き上げであります。最近の中小企業者の資金需要の大口化傾向に対処するため、付保限度額を普通保険につきましては現行の五千万円から七千万円に、無担保保険につきましては八百万円から一千万円に、さらに特別小口保険につきましては二百五十万円から三百万円にそれぞれ引き上げることといたしております。  第二は、新技術企業化保険制度の創設であります。中小企業が今後健全な発達を遂げるためには、新技術開発及びその企業化を推進することがきわめて重要であります。このような観点から、新技術企業化を行おうとする中小企業者の信用力を補完するために、新たな保険制度として新技術企業化保険を創設することとしております。この保険の付保限度額は一億円、てん補率は八〇%となっております。  第三は、倒産関連保証制度における倒産をした者の範囲の拡大であります。連鎖倒産防止のための倒産関連保証制度は、現在会社または個人が倒産した場合に、その関連中小企業者に対して適用されることとなっておりますが、組合等が倒産した場合も本制度の適用があるよう、倒産をした者の範囲を拡大することとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、中小企業倒産防止共済法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昭和五十三年四月に発足した中小企業倒産防止共済制度は、中小企業の連鎖倒産を防止するため、取引先企業の倒産により売掛金等の回収が困難となった共済契約者に対し、その積み立てた掛金の十倍の範囲内で共済金を簡易迅速に貸し付ける制度であります。  最近の中小企業を取り巻く経営環境は、倒産件数が高水準で推移する等、依然として厳しいものがあります。このため、中小企業倒産防止共済制度につきまして、中小企業の実情に即した制度の改善を行い、共済契約者の利便の増進及び利用者の増加を図ることにより、中小企業の連鎖倒産の防止を積極的に図ることが必要となっております。  かかる観点から、今般、中小企業倒産防止共済法の改正を提案することとした次第であります。  次に、本法律案の要旨につきまして御説明申し上げます。  第一は、共済金の貸し付け限度額を引き上げることであります。  最近の中小企業者の取引先企業の倒産により生ずる回収困難額の実情にかんがみ、共済金の貸し付け限度額を千二百万円から二千百万円に引き上げることとし、このため、共済契約者が積み立てることのできる掛金総額の限度を百二十万円から二百十万円に引き上げることといたしました。  第二に、掛金月額の限度を二万円から五万円に引き上げることとしております。これにより、掛金総額の引き上げにもかかわらず、最短の積み立て期間は六十カ月から四十二カ月に短縮されることとなります。  第三に、共済金の貸し付けを受けた者の負担を軽減するため、長期的に見て共済収支に余裕財源が生じる場合には、借り受けた共済金を完済した者に対し、完済手当金を支給できるよう措置いたした次第であります。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。  以上でございます。
  200. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて両案の趣旨説明は終わりました。  両案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  201. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  流通問題小委員会において、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいとの小委員長からの申し出がございます。  つきましては、小委員会参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る五月六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時二十八分散会