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1980-02-20 第91回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月二十日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 塩川正十郎君    理事 堀内 光雄君 理事 渡部 恒三君    理事 清水  勇君 理事 渡辺 三郎君    理事 近江巳記夫君 理事 神崎 敏雄君    理事 宮田 早苗君       天野 公義君    小川 平二君       越智 通雄君    大塚 雄司君       粕谷  茂君    鴨田利太郎君       田原  隆君    橋口  隆君       原田昇左右君    水平 豊彦君       粟山  明君    上坂  昇君       渋沢 利久君    中村 重光君       山本 幸一君    長田 武士君       木内 良明君    中川 嘉美君       森田 景一君    小林 政子君       中井  洽君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐々木義武君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      正示啓次郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     橋口  收君         通商産業大臣官         房審議官    神谷 和男君         通商産業省産業         政策局長    宮本 四郎君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君         資源エネルギー         庁長官     森山 信吾君         資源エネルギー         庁公益事業部長 安田 佳三君         中小企業庁長官 左近友三郎君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ————————————— 二月十九日  中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三三号)  中小企業事業団法案内閣提出第三四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林政子君。
  3. 小林政子

    小林(政)委員 私は、電気料金の問題とガス料金値上げ問題を中心にして何点かにわたって質問をいたしたいと思います。  初めにお伺いをいたしたいことは、政府通産省が二月一日に認可をいたしました北海道電力値上げ申請に対する査定に伴っての件でございます。  平均三八・八三%の値上げでございますけれども、これに対して査定では三四・二三%、こういう認可でございましたけれども、特に減価償却とかあるいはまた一部減価償却に対しても、定率法申請に対して全部定額法査定をするとか、あるいはまた配当などについても一〇%の申請ではあったけれどもこれを八%に抑えるというような、こういう内容だというふうに聞いております。これによって公租公課、あるいはまた配当にかかわる法人税だとか、こういった問題をも含めて減額したと言われております。その内容についてもひとつ御説明をいただきたいというふうに思います。
  4. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大分細部にわたる問題でございますので、政府委員から御説明申し上げます。
  5. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 北海道電力につきましては、二月から実施に入ったわけでございますが、この査定に当たりましては、ただいま先生指摘になったような点、いろいろの査定をいたしたところでございます。  まず、申請は三八・八三%でございました。この点は、原価計算期間を当初二年間ということで算定をいたしておりました。しかし、油の価格の今後の動向が非常に不確定であるというような情勢等も踏まえまして、原価計算期間につきましてはこれを一年半に査定したところでございます。一年半と申しますのは、二月からの実施でございますが、原価計算計算に当たりましては半期を単位といたさなければなりませんので、昭和五十四年の十月から五十六年の三月までという一年半をとったところでございます。  それから次に、人件費でございますが、これは、昨年の関連事業の賃上げの実績等を見まして、申請の比率より査定したところでございます。  燃料費につきましては、石油につきましては、先行き原油価格上昇は見込まずに、その査定段階までの原油価格引き上げだけを織り込んで査定いたしました。その先行きの油の公定価格上昇というものは見込んでおりません。  また、為替レートにつきましては、査定前直近三カ月平均という線を基本といたしまして、諸情勢を含めて各種の方法計算いたしまして、二百三十七円ということに査定いたしたところでございます。  減価償却費につきましては、定率償却導入についての申請があったわけでありますが、北海道電力は五十三年度決算におきましても現実定率償却実施いたしておりません。そういう状況におきまして新たに定率償却導入するということにつきましては、これは電気事業審議会料金制度部会の答申がありますものの、そういうものも両方勘案いたしましたが、現実定率償却導入してないという点を見まして、これにつきましては定率償却は採用しないということにいたしたわけでございます。  また、公租公課等関連いたしまして、御指摘配当率につきましては、これを八%に抑えるべきというようなことではございませんが、諸般の情勢を勘案いたしまして、配当率については八%というふうに想定したということでございます。  その他、消耗品諸費等の経費につきましても厳しく内容査定し、その結果、価格改定率につきましては三四・二%ということに相なったわけでございます。
  6. 小林政子

    小林(政)委員 原油価格引き上げは織り込まなかった、いわゆる先の見通しというようなものは現時点で抑えたのであるというような御答弁でございますけれども、これはいつの現時点ということになるのか、それからそのときの価格は大体どのくらいになるのか、この点について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  7. 森山信吾

    森山(信)政府委員 原油の代金の見方につきましては、先ほど公益事業部長から御答弁申し上げましたとおり現状価格に据え置く、こういう姿勢をとったわけでございますが、その現状価格と申しますのは、私ども査定をいたしました時点、つまり一月の初旬、中旬に現実に入りました価格ベースにして査定をしたということでございます。  それから、一言説明をさせていただきたいと存じますが、据え置いたという考え方ではございませんで、私どもは、本院でもたびたび申し上げておりますとおりに、ことしの原油価格動向は昨年ほど大幅な値上がりはないのではないかという見通しを持っておりますので、そういう意味で、意識的に値上がりを見込みながらも現状に据え置いたという考え方ではございませんで、ことし一年間、つまり五十六年の三月までの原油価格につきましては大幅な暴騰はなかろうという前提で、そういう見通しのもとに査定をした、こういうことでございます。
  8. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、一月二十三日に値上げ申請が出されておりますいわゆる東京電力などの八電力会社に対しても、大体これと同じような態度査定をする、このようにお考えになっているのですか。
  9. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げました北海道電力の際の原油価格と若干違っておりますのは、先生承知のとおり二月に入りまして、イランがニドル五十セント値上げをしたわけでございます。それからインドネシアがある程度値上げをしたわけでございまして、この分が北海道査定の場合と若干情勢が変わったということでございます。私どもといたしますれば、そういった一連のいわゆるGSPと称します産油国政府公式販売価格、そういうものが昨年の十一月ごろから連動して上がってまいりましたけれども、それの連動分残りがいま申し上げましたイランインドネシアではなかろうか、こういう感じを持っておりまして、そこでとりあえずのGSP連動価格アップはここで一応上げどまりと申しましょうか、そういう状況にあるのではないかということでございまして、八電力査定は二月の上昇分を織り込んでおりますから、北海道の場合とは若干違う。しかし、年間を通しましての価格動向につきましては同じような考え方でございますので、それをベースにいたしまして査定に臨みたい、こういう考え方を持っております。
  10. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、たとえば減価償却方法定額法でやるとか、配当についても八%というような査定実施する、このようにお伺いをいたしたわけでございますけれども、そうなってきますと、結局燃料費だとか減価償却だとか資本費というものは、具体的に申請よりもどのくらい圧縮することができるのか、この点についてまずお伺いをいたしたいと思います。
  11. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず原価計算期間につきましては、先ほど公益事業部長が答弁申し上げましたとおり、北海道電力の場合は二年の申請を一年半に圧縮したわけでございますが、残りの八電力は一年間ということで申請が参っております。したがいまして、査定対象は一年間ということで査定をいたしたいと思います。そこで一年半と一年の違いが出てまいります。  それから、償却方法につきましては、北海道の場合は、査定定率償却法導入を認めなかったわけでございますが、これは実決算におきましても北海道電力定率償却法を全く採用していない。つまり定額償却法で実決算をしておる、こういうことから定率法導入を見送ったわけでございますが、八電力につきましては、一部に定率法を実決算として採用しておる部分がございます。これは八電力共通いたしまして機械設備の一部に定率法導入しておるという実績がございますので、その点を勘案いたしまして、どういう査定をするかは今後の課題として検討してみたい。  それから、いま御指摘配当率の問題につきましては、北海道の場合は五十四年度は六%、五十五年度は八%、こういう査定をしたわけでございますけれども、これは原価計算期間が一年半ということもございまして、五十四年と五十五年につきましては差別の扱いをしたわけでございます。残りの八電力につきましては、先ほどお答えいたしましたとおり一年間の原価計算期間でございますから、どういう取り扱いをするかにつきましては直ちに北海道の例をそのまま適用するという考え方はございませんけれども、別途の観点査定はいたしますが、基本的な考え方はいま申し上げたとおりでございます。
  12. 小林政子

    小林(政)委員 今回の電気料金値上げ問題については、国民の中から、これは非常に大幅な値上げであるだけに国民生活に大きな影響を与える、こういう観点から非常にいろいろと問題が出てきております。国会予算委員会でも問題になりましたように、燃料費水増し申請あるいはまた減価償却やり方だとか、あるいは事業報酬制あり方だとかいう点をめぐっていろいろ問題になっておりますけれども、私はやはりまず電力八社の内部留保一つの大きな問題であろうというふうに思います。  この中で、前回七六年の値上げから七九年九月末の中間決算、この間に、八電力ですけれども三千四百六十三億円も積み増しがあるわけですね。しかもその前の、前々回の七四年の値上げのとき、それから七六年の値上げの二年間の内部留保積み増しというのは、八社で調べてみますと六百四十億円の積み増しである。実に今回の積み増し額は五・四倍というような非常に大きな積み増しになっているわけですから、この内容についても、公益事業あり方としてまず積み増しを吐き出す、こういうことが当然やられるべきではないだろうか、そしてその上に立って、どうしてもということで申請を出すというならこれは筋が通ります。ある程度わかりますけれども、ともかく前回積み増しをさらに五・四倍もふくらましておいて、それを吐き出そうともしないで今回の大幅な値上げということは、私は絶対に許すべきではないんじゃないか、このよに思っております。こうした中で退職給与引当金の問題、これ一つをとってみましても、実際には東京電力の場合で言いますと税額累積限度額目いっぱい組んでおります。そして事実東電の場合には、五十三年度実際に使用した額というのは百三十四億円、期末残高は千二百九十三億円、こういう状態ですし、関西電力使用した額が百二十一億、期末残高は六百六十三億、中部電力では使用額七十五億で期末残高が七百五十一億、こういった膨大な退職給与引当金、この実績積み増しなどを見てみると、何らかこれについては取り崩しをさせるべきではないだろうか、このように思いますけれどもお答えをいただきたいと思います。
  13. 森山信吾

    森山(信)政府委員 ただいま御指摘になりました内部留保は、五十四年の上期末で八社合計で一兆一千二百九億円になろうかと思います。ただ、この内容を細かく観察いたしてみますと、いま先生が御指摘になりました退職引当金等も含めまして幾つかのものがあるわけでございますが、そこに法律で定められまして取り崩しの不可能なものというものがたくさんあることが一つの事実としてございます。  そこで、小林先生の御指摘は、取り崩し可能なものは取り崩すべし、こういう御意見ではなかろうかと拝聴したわけでございますが、私どもの試算では取り崩し可能なものが一兆一千二百九億のうち三千三百九十億程度あるのではないか、こういうふうな見方をいたしております。これは当然に取り崩すべきものというふうな理解を持っておりまして、私どももそういう指導をしておるところでございます。  電力会社は、御承知のとおり五十三年度に差益の還元を一部行ったわけでございまして、その際の公約といたしまして、五十四年度いっぱいは料金改定を行わない、こういう公約を行ったわけでございますが、その限度がことしの三月末に来るわけでございます。五十四年度のおしまいがことしの三月でございますから、五十四年度中にいま申し上げました三千三百九十億円の内部留保を取り崩さないと恐らく五十四年度の決算はできないのではないか、こういう見方を私どもはいたしておりますので、いま御指摘の取り崩し可能なものは五十四年度中に全部取り崩しが行われる、こういうことを私どもは見込んでおる次第でございます。
  14. 小林政子

    小林(政)委員 その中には、いま私が一つの例として出しました退職給与引当金も含まれているのでしょうか。
  15. 森山信吾

    森山(信)政府委員 退職給与引当金につきましては、これは先生承知のとおり、会社側労働者に対します債務性の強い準備金でございますので、法律上も一定の目的以外には取り崩すことができないという規定がございます。ただし、五十五年度の租特法の改正によりまして、限度額五〇%を四〇%に引き下げる、こういうことが現在国会で御審議中でございますので、それに対応した措置は講じなければならないと思いますけれども、先ほど申し上げました取り崩し不可能な方の分類に入っておりますので、先ほどお答えいたしました三千三百九十億の方には退職引当金は含まれていない、こういうことでございます。あくまでもこれは会社の一方的な判断で取り崩し得るものはすべて取り崩しをすることが適当である、こういう判断を持っておるということでございます。
  16. 小林政子

    小林(政)委員 私は、やはり退職給与引当金の問題については、これは当然実態から見ても、具体的にはいま期末残高というものが現金で保管されているということではなくて、内部資金として活用されている、あるいは法律でその職員の半数の人たち退職をするということを想定して税引きで組まれている、こういうものは、やはりこれだけ大きな問題としての値上げをこれから国民に押しつけるというようなやり方をしようとしているのだったら、査定の中ではっきりと取り崩すという態度指導としてもやるべきではないだろうか、このように思っております。ぜひその点も取り入れていってもらいたいというふうに思います。  それから、もう一つ原価をふくらましている問題は、何といっても私は過大な設備投資だと思うのです。この過大な設備投資について東京電力の例を引きますと、五十五年度の設備計画、これの投資総額は一兆二千三百七十三億円という非常に膨大な額です。しかし、前回値上げをした五十一年の設備投資計画総額は五千二百七十八億円、実に、これに対して二・三四倍という膨大な設備投資計画がここでやられているわけですし、しかもその内容はどういうことになっているのかというので見てみますと、主要な原因は原子力発電、これの拡充工事計画しているということ、あるいはまた建設をするというようなことで、五十一年度では五百七十四億円だったのが、五十五年度では一挙に四・七倍の二千六百九十何億というようなふくれ上がり方をしているわけです。私は、こうした供給の義務があるからということで過大な設備をどんどんつくっていくというようなやり方、まして安全性の確保も、はっきりとまだ不安が残っているという事態の中で、原子力発電所に膨大な投資を行うというようなことが、結局は料金計算原価をふくらましていく、そしてそれが国民負担をふやしていくというような、こういう結果になっているわけですから、この問題についても何らかの形でやはり過大な投資というものは抑えていかなければいけないのじゃないか、このように思いますけれども、いかがですか。
  17. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いま先生が御指摘になりましたように、今後の電源の開発ということの観点に立ちますと、設備投資計画は着実に実行していかなくちゃならぬものだというふうに考えておるわけでございます。  そこで、電気料金との関連設備投資のことを申し上げますと、恐らく小林先生の御指摘は、建設予定あるいは建設中のものを料金算定に入れることの可否についての御指摘ではなかろうかと思うわけでございます。これは私ども建設勘定と呼んでおるものに該当するものでございまして、先ほどお触れになりました事業報酬率八%というベースの、事業報酬の際の資産の中にこの建設勘定を入れることの是非につきましての御意見ではなかろうかと拝聴したわけでございます。  今回の値上げ申請に当たりまして、建設勘定資産につきましての算定申請に入れてございます。私どもはこの資産あり方につきまして、有効かつ真実なるもののみを資産とみなすという査定方針を持っておりますので、八電力から申請されました建設勘定資産内容につきましては、今後の検討課題として査定を加えていきたい、こういうふうに判断をいたしております。
  18. 小林政子

    小林(政)委員 予算委員会の中でも問題になりましたけれども核燃料の三十年を超えるというような貯蔵がされているという問題について、東京電力ではどうなっていますか、お伺いをいたします。
  19. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 今後の原子力発電規模の増大を考慮いたしまして、電力会社相当核燃料を保有しているわけでございますが、その核燃料が今後何年間装荷するのに要する量に相当するかに  ついて申し上げるならば、総体として見ますとおおむね四、五年程度というふうに考えております。いろいろ、三十二年というようなお話もございましたが、私どもいろいろ計算いたしてみますと、おおむね四、五年程度というふうに考えております。
  20. 小林政子

    小林(政)委員 じゃ、具体的に伺いますけれども核燃料について、五十三年度東京電力が実際に現在使用をしている核の燃料費というのは百三十一億円でしょう。そして、これがさらに今度は、まだ稼働はしていない、あるいはまた原子炉には入っているもの、あるいは加工中のものだとか貯蔵中のものだとか、こういうものは結局五十三年度までに四千百六十億円、それだけ実際に残高を持っているわけでしょう。これは一体何年に相当するのですか。いまおっしゃった三年とか四年とかですか。どういうことなんですか。
  21. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 ただいま先生がおっしゃった数字はちょっといま私の手元に持っております数字時点が違いますので、その時点の違いはお許しいただきたいと思います。たとえば東京電力について申し上げますと、五十三年度末の核燃料資産額としましておおむね三千億円程度ではないだろうかというふうに思います。そして、五十三年度末に装荷されております核燃料というものは、おおむね六百億円ぐらいだというふうに想定されます。ところが、装荷されましたものがどの程度期間使用されるかということを計算いたしますと、これにつきましては、おおむね二年程度というふうに考えられます。したがいまして、現在の規模でそのまま使用するとどの程度期間使用になるかということを考えますと、それだけで言いますとおおむね十年程度ということになろうかと思います。ただ、現在、原子炉建設中でございますので、そういう今後の増加等を考えますと、これはおおむね四、五年、四年ないし四年前後ということになるんではなかろうかというふうに考えております。  ただ、核燃料が、どの程度期間分保有しておるかということを考えます場合に、消費量としてどの程度あるかかということを見ますよりは、むしろ何年分の装荷量があるかという、装荷する方から見る方がむしろいいのではないかというふうに考えておりますが、ただいま金額のお話が出ましたので、消費量をとって御説明いたしましたが、消費量をとってみましても五年程度ではなかろうかというふうに考えております。
  22. 小林政子

    小林(政)委員 東京電力の五十五年度の設備計画の中に、五十五年度に核燃料を千百五十三億円新たに購入する、こういう資産が入っているんですね。そして実際問題として事実いまもう相当燃料貯蔵されているという中で、また新たに千百五十三億円も購入をするということは、投資をふくらましていくということは、先ほどお話があったように、結局は八%の事業報酬を掛けて、そしてそれが莫大な負担になっていくんだということから考えますと、この問題については、こういう貯蔵しているものが相当長期にわたってあるんだとすれば、これはやはり取りやめた方がいいんじゃないか、このように思いますけれども、そういうお気持ちはありますか。
  23. 森山信吾

    森山(信)政府委員 予算委員会不破先生からその点に関します御質問がございまして、三十年を超える貯蔵量があるんではないか、こういう御指摘があったわけでございます。その見方につきましては、ただいま公益事業部長から御説明いたしましたとおり、装荷の率の問題あるいは原価見方の問題、それから原子力発電所の個所の増加の問題等々を考えますと、私どもは必ずしも三十年を超えるものではない、こういうふうに判断をしておるわけでございます。  御承知のとおり、核燃料と言いますものは、ウランの粗鉱から始まりまして、精錬、転換、濃縮、再転換成形加工、こういった非常に長い経過をとって装荷されるものでございますから、相当長い月日を要します点はぜひ御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、いまおっしゃいました設備投資計画の中に新たなる核燃料購入分を追加しておるではないか、こういう御指摘に対しましては、先ほどお答えいたしました事業報酬ベースになる資産という見方をいたしておりますので、会社側申請いたしましたものと、私どもが有効かつ真実なる資産として判断するものとは必ずしも一致しないということでございまして、それは査定対象にはなります。しかしながら、会社側が、いま申し上げましたように相当長い期間を要しまして核燃料準備をするという前提のもとに申請をしてきたということでございまして、ただいま小林先生から御指摘になりましたのは、会社側申請ベースお話をされたのではないかと思うわけでございますが、それに対しましては私どもは私どもなりの査定をする、こういうことでございます。
  24. 小林政子

    小林(政)委員 ともかく料金の非常に大幅な値上げを抑えていくためには、具体的にむだを省いて厳正な査定を行う、こういう立場を貫いてもらわなければならないと思うのです。この点についてまず大臣にひとつお伺いをいたしたいと思います。
  25. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 査定に当たりましては、お話のように厳正な態度で、前提条件といたしましてはあくまでも経営努力をどの程度したかという合理化の点をよく吟味いたしまして、そうして原価主義に基づきまして厳正にやるべきだ、これはお話のとおりだと存じます。
  26. 小林政子

    小林(政)委員 それでは、次に今度は、電力料金値上げというものが国民生活にどんな大きな影響を与えているのか、こういう観点から大臣にお伺いをいたしたいと思います。  現在申請が出ております電力八社の平均値上げ率は電灯で五五・六六%、電力で六八・四三%、平均して六四・四%、こういう内容でございますけれども、この値上げ率に見合う増収額は、八社全体の総額でどのくらいになるのでしょうか。  それからまた、同時にいまガスの値上げ申請も行われております。この内容も、東京、大阪、東邦瓦斯、このアップ率は平均五二・一%と言われておりますけれども、この三社の増収額は一体どのぐらいになるのか、この点についてお示しをいただきたいと思います。
  27. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 東京電力について申し上げますならば、今回の申請どおりの値上げによります増収額は一兆三千五百三十二億円でございます。
  28. 小林政子

    小林(政)委員 私は、八社全体をお聞きしたのです。
  29. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 大変失礼しました。  八社全体で申し上げますならば、増収額は四兆一千三百十五億円程度でございます。
  30. 小林政子

    小林(政)委員 ガスはどうなっていますか。
  31. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 三社合計で約三千億円でございます。
  32. 小林政子

    小林(政)委員 私の方でも調べてみたのですよ。ところが、数字が全然違いますね。私の方の数字があるいは若干狂っているのかもしれませんけれども、少なくとも電力の場合には八社で四兆二千百五十五億八千四百万円、それからガスの場合は四千五百八十二億円、これを両方足しますと結局四兆六千七百三十八億円、こういう額になるわけです。もし数字が違っていれば御訂正をいただきたいと思いますし、私の方の数字が間違っていれば後で訂正をしたいというふうに思います。四兆六千億というような膨大な額が結局は増収額ということで国民料金という形ではね返ってくる、これは相当大きな影響が出てくるのではないか、私はこのように思いますけれども、具体的に大臣はこういう問題についてどのように受けとめていらっしゃるのか。ともかく四兆円を超えるという、こういう内容について大臣はどうお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  33. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 このたびの値上げ申請の主たるものは、お話のように燃料費値上がりが主でございまして、これに円安を加えますと、寄与率として大体八十数%でございます。あるいは、お話のございました資本費と申しますか、これなどを合わせますとほとんどそれで埋まっているような状況でございまして、要するに会社の経営自体の合理化ではいかんともしがたい、燃料自体が上がるものですからどうにもしようがないということで、先ほど長官からもお話がございましたように、四月までは値上げしないということで、現在内部留保を取り崩して、食いつぶして、そして生き長らえているわけでございますけれども、それに対しまして、どうしてもそういう収入がなければ会社としては経営が成り立っていかない、言うなれば電気料金の安全な供給というものができないということでございます。もちろん申請のままで許可するつもりはございませんけれども、しかし申請の理由はそういう理由でございまして、それが一体どの程度物価等にはね返るかという問題に関しましては、経済企画庁長官から御説明いただいた方が適当かと存じますけれども、せっかくそういう申請を受けましてただいま査定中でございますので、その収入増が今後どういうふうに変化していくか、これは査定の結果によるものだと思っております。
  34. 小林政子

    小林(政)委員 大臣、私は何か非常に納得できないですね。そういう内部留保の問題も、取り崩しもしていないでしょう。それで値上げはやむを得ない措置なんだ、こういうことを大臣が決めてかかるということは、私は、大臣は一体どっちを向いて政治をやっているのだと言いたくなるのですよ。国民の方に顔を向けているのか、それとも電力会社の方に顔を向けているのか、私はいまの答弁は非常に不満だと思います。大臣の姿勢が問題だと思います。政治姿勢を明らかにしてください。
  35. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、別に国民のことを考えないなんということはもちろんございません。きのうも繰り返し答弁申し上げましたように、物価の値上げ料金値上げ国民生活なり他の産業の生産活動に重大な、広範な影響を及ぼすことはよく承知しております。したがいまして、なるべく影響を少なくするというのは一番よろしいことでございます。しかしながら、さればといって、いま日本が追い込まれている一番大きい問題は何かと言いますと、物価の問題もございます。ございますけれども、同時にエネルギーをどういうふうに確保していくかという問題が、日本の経済あるいは社会にとって一番基本的な問題ではなかろうかと思っております。したがって、いままでの油にかわって、これにかわる原子力なりLNGなり石炭なりというものに切りかえていくということになりますと、これは膨大な設備投資というものが必要でございますし、それをなし遂げるためには経営が健全でなければその任にたえられないわけでございます。言うなれば、電力を将来国民のために確保していくということであれば、いままでのような石油だけではだめなのでございまして、その任務を達成できないのでありますから、どうしても会社に対する経営の健全性というものを確保していかなければならぬ、これがやはり公共事業に対する国の責務だと思います。その両方をにらみながら、それではどちらが主か、どちらが従かという問題よりも、両方とも満足するような状況査定を進めていくというのが一番正しいのだと私は思いますので、お話のようにどっちがどっちだというよりは、むしろ両方をできるだけ満足できるように査定を厳格にしていくべきだというふうに考えております。
  36. 小林政子

    小林(政)委員 ともかく、燃料の水増しをやったりこういうことをやっている状態の中で、大臣、そこらはきちっと歯どめをかけてもらわないと、国民は通産大臣に安心してお任せをするという気持ちは起きないですよ。この問題は一般家庭に、中小企業者にあるいは電力を使うすべての企業にどれほど波及効果が大きいかという点について、これは非常に重要な問題だというふうに私は思っています。  私どもの方で、二十アンペアで月百九十キロワットアワー使う、東京電力の場合で試算してみますと、標準家庭の場合、一カ月の電気代の増額分だけで二千百三十一円なんですよ。年間に直しますと約二万四、五千円。ガスも大体同じような状態になります。ガスの場合は、七十立方メートルの消費をする標準家庭の場合、その負担増は一カ月二千五十三円。これは一年間に直すと二万二、三千円余りの負担増になるのですよ。これはいままで払っている上にふえるわけですから、もう本当に五万円近くの負担増になるわけです。  これは経済企画庁長官にお伺いいたしますけれども、この電気、ガスの値上げが消費者物価に与える影響という問題についてどのようにごらんになっていらっしゃるのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  37. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 先ほど来通産当局と質疑応答されましたように、電力、ガスは最も重要なエネルギーとして、その安定的供給を確保するという要請と、この際やむを得ない外部的要因から起こってくる値上げでございますけれども、これは国民生活、また企業の経営あるいは物価全体への影響というふうな点から大変むずかしいということは御指摘のとおりでありまして、それらをにらみ合わせながら、原価主義にのっとってぎりぎりのところでこれを解決しなければならぬ、こういう考え方でただいま通産当局がヒアリングをやっておられ、これから公聴会、私の方へ御協議がありますれば物価安定政策会議等にも御意見を聞く。また国会の御意見は一番大事な御意見として拝聴しておるわけでございます。そういう段階でございますので、この申請が一体どの程度認可せられるかという予測をいま立て得ないことは御了解を願いたいと思います。  しかし、仰せのとおり、これは大変大きな影響を与えますので、私の方でも試算をいたしておりますが、仮に電力会社料金を一割上げ、またガス料金も同じように一割上げるとして試算をいたしますと、きのうもこの委員会で申し上げたのでございますが、電気料金では〇・一八%、ガス料金では〇・〇九%、このような試算をいたしております。これが間接的にどういうふうに波及するかということは、いろいろ複雑な経済機構の中でございますし、需要供給その他の関係あるいは省エネルギーの実効というような点から、これを見通すことは大変困難でございますけれども、とにかくいわゆる便乗的な値上げを抑止するということが非常に大事な点でございますので、公定歩合の引き上げ、財政の健全な適正な運営、そしてまた個別物資に対する厳重な調査、監視体制を確立する、またその他の物資についても適時適切なる対応をする、こういうことで消費者物価に対する影響を極力少なくするように全力を尽くしておるというのが今日の私どもやり方でございます。
  38. 小林政子

    小林(政)委員 公共料金値上げはここのところメジロ押しですし、ともかく国鉄が平均五・二%の値上げ申請を行い、すでにもう申請が出されている国内航空運賃、これも二四%から四十数%というように、あるいはまたたばこが上がる、郵便が上がる、こういう公共料金値上げ、それにさらに大きな企業が電力料金値上げというものを見越して、あるいは石油が上がったというような時点の中で大幅な値上げを行おう、こういう動きも出てきています。たとえば新日鉄の場合、二月一日に大口需要家向けの鋼材価格を、何か新聞で見ますと四、五月積みからトン当たり九千円前後値上げを行いたい、このようなことも報道されておりますし、平均価格に対してこれは一〇%の値上げだというふうにも書かれております。こうした物価押し上げ要因、こういうものを考えますと、いま大臣が監視体制をとってということも言われましたけれども、私は鉄鋼だとかアルミだとか、こういうものも便乗値上げの動きというものは厳重に抑えていかなければいけないのじゃないか、このように思います。監視体制というのは具体的にどういうことをおやりになろうとしているのか、お伺いをいたしたいと思います。
  39. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 私の方では各省庁、これは日本銀行とかあるいは公正取引委員会も入っていただいておりますが、物価担当官という方々を幅広く各省庁にわたってお願いをしておるわけでございます。その関係が中央、地方を通じまして組織を一体的に運営をしておるわけでございます。いわゆるモニター制度、これを中央から地方にわたってやっておりまして、通産省にも、また私どもの系統の組織にもございますし、地方公共団体にもございます。相当数の方々をお願いしております。消費者の代表その他も入っていただいておる。こういう方々によって、たとえば灯油の問題とかあるいはいま御指摘原油価格高騰から、その末端の価格がどうなっておるか、また野菜関係等についても農林水産省の系統でやはり同じような組織がございます。そういうことを常に動員をいたしまして、中央における情報を末端に流しまして、海外からの素原材料の値上がり、それが中間製品にどう波及していくか、末端の完成品、消費者価格へどう波及していくか、こういう点についても中央、地方一体の関係で情報を交わし合って、そして便乗値上げに対処していく、こういうことでございます。  各商品別、たとえば鉄鋼についてどうかというふうな点は通産当局からお答えをいただく方が適当かと考えます。
  40. 小林政子

    小林(政)委員 それもあわせて大臣にお伺いしたいと思います。  いま本当に原材料が上がる、電気料が上がる、こういう事態の中で、結局は大きな企業は新しい価格体制、いわゆるそれを製品価格の中に織り込んでいくというような動きが、先ほど例に出した新日鉄の例だとかアルミだとか、そういうところでやられているわけです。しかし考えて見れば、それも回り回って結局は消費者物価を押し上げていく、こういう要因にもなっていくわけですし、やはり電気の問題というのは国民生活全体にとって非常に重要だということが言えると思います。とりわけ中小企業の場合、これはもう製品に転嫁できないですね。私の近くにおります足立のメッキ屋さんの話を聞きましたけれども、九十五キロワットの契約で年間二百八十万円の電気代を支っていた。ところが今回このとおり値上げがされるということになりますと、百七十三万円もさらに出費がふえるのだ、こういうことを言っておりましたし、メッキ屋さんというのはそれを製品価格の中に織り込んで、転嫁をするというようなことはとてもじゃないけれどもできない、こういうことでこれから一体どうしたらいいのだろう、このままでいったらつぶれちゃうのじゃないか、こういうようなことまで言って、非常に不安に思われている様子で、私は胸の痛む思いでございました。また、ある食料品店の場合も、これは業務用で三キロワットと家庭用の三十アンペアの電灯とを併用している、こういうお店でございましたけれども、結局年間三十七万六千円のアップになる。これではもう成り行かない、こういうことを言っております。そのほか美容院だとか食堂だとかクリーニングだとか喫茶店など、電気代が値上げされた場合に、自分のところの商品というものを上げれば結局お客は離れていってしまう、首つりのような状況になってしまう、こういう不安が非常に広がっているのです。これは何とか手を打たなければ大変な事態になるのじゃないか、私はこのように思いますけれども、とりわけ中小企業の立場に立って大臣はどのような対策を立てようとされているのかということ。  それから時間がなくなってまいりましたので、もう一つこれも具体例でございますけれども、今度のこの料金値上げで最も手痛い打撃を受けるのは、何と言っても一つは年金生活者や身体障害施設や福祉施設だろうと思うのです。こういった場合に、これも私はある地元の老人ホームを訪ねましてお話を聞いてきたわけですけれども、ここでも非常に負担が大きくなる。そして実際問題としてはもう成り立たないというようなことを盛んに言っておられました。  このように、国民全体に大きな影響が出てまいります電力料金あるいはガス料金、こういったものについての中小企業対策や福祉対策、こういう問題に何か特別の手だてをいまとろうとしているのかどうなのか、この問題についてお伺いをいたしたいと思います。
  41. 森山信吾

    森山(信)政府委員 二つの問題の御提起がございましたので、私からお答えを申し上げたいと存じます。  一つは中小企業の方々に大変なインパクトがあるのじゃないかということでございました。私どもも大変心の痛む問題だというふうに受けとめております。中小企業の場合は二つのアプローチがございまして、一つ先生承知のとおり電気料金の中には電力料金と電灯料金と二つございます。いまお挙げになりました例は恐らく電力料金の方に該当するのではないかと思うわけでございますが、私どもかねがね申し上げております電気料金原価主義あるいは公平の原則という立場に立ちますと、政策的な配慮をする余地は全くない、こういう大変冷たい表現にならざるを得ないわけでございますけれども、やはりそこに中小企業の方々に与えるインパクトということを考えますと何らかの対策を講じなければいかぬだろう、こういう気持ちはしているわけでございます。しかしながら、電気料金の取り扱いで何らかの差別をするのがいいのか、あるいは省資源、省エネルギーという観点からの、できるだけ電気の量を使用しないような方法があるのではないか。たとえば中小企業の方々が設備投資をされますときに、特に省エネルギー型の機械を購入されるときは、税制上あるいは金融上の恩典措置を講じて差し上げる方がよろしいのではないか、こういう考え方を持っておりまして、電気料金そのもののアプローチではなくて、そういった側面的なお手伝いをさせていただきたい、こういう気持ちを持っているわけでございます。  以上が電力料金の場合でございますが、電灯料金につきましては、御承知のとおり現在三段階ございます。一段階目が毎月百二十キロワットアワーまでの分で、第二段階が二百キロワットアワー、それ以上が第三段階ということでございまして、中小企業の、特にサービス業に従事しておられます方々は第三段階目の料金の適用を受けるというのが実情でございます。そこで問題になりますのは、第一段階目の料金をどうするか、これがよく御承知のナショナルミニマムと称する料金体系でございまして、これは平均料金よりも幾らか安くするというのが過去の政策でございますし、今回の料金査定に当たりましても、そういったナショナルミニマムの考え方をとっていきたいという気持ちを持っております。  そこで問題になりますのは、いま申し上げたナショナルミニマムの方をある程度値上げの幅を抑えていくという政策をとりますと、第三段階目の、つまり中小企業の、特にサービス業に従事しておられます方々に対する料金の適用が相対的に高くならざるを得ない。ということは、電灯料金全体を原価主義で計算いたしますから、どこかの部分で安く抑えますと、どこかの部分にそのはね返りが来るということでございまして、いわゆるナショナルミニマムに重点を置くのがよろしいのか、あるいは第三段階目の中小企業の方々に重点を置くのがよろしいか、これは大変政策的に判断を要するところでございまして、私どもも大変頭を痛めておる、こういうような感じを持っているわけでございますが、いずれにいたしましても電灯料金の取り扱いにつきましては、三段階制の中でできるだけの解決を図っていきたい、かように考えておるところでございます。
  42. 小林政子

    小林(政)委員 料金制度の問題については、私もその三段階制がとられているということは知っておりますけれども、少なくとも原価主義という枠内でいまそれをやろうとすれば、おっしゃったようなそういう考え方が出てくるのですよ。いまのようなこういう事態の中で、国民生活に重大な影響を与えるという中で新たな発想ができないのか。電気料金は確かに原価主義でいままでやってきました。そして、それはそれなりにわかります。しかし、少なくともいま地方税の免税点になっている二千四百円、東京電力でいえば百四十六キロワットアワー、この水準までぐらいはやはりナショナルミニマムを適用すべきではないかという見解を私は持っております。  それに、いままでの答弁ですと、ともかく中小企業の方々にはある程度上がってやむを得ないのだ、こういうふうにしか私には聞こえないのですよ。いまどんどん倒産しているのですよ。その上に追い打ちをかけるように電気料金が大きな負担になってくる、こういう問題を考えるときに、本当に政策的にもいまのままのやり方の踏襲で一体根本的にこの問題を解決ができるのかどうなのか。国民全体がこのような状態に陥っているという中で、本当に何らかの抜本的な新たな発想を経済の面でもしていかなければならぬのじゃないだろうか、こう思いますけれども、大臣に最後に答弁をしてもらって終わりたいと思います。
  43. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 段々のお話をちょうだいしておりまして、私、大分胸の詰まる思いがするわけでございますけれども、最後に御指摘のございました第一段階の限度より上がった場合には税金面でアジャストをしたらいいじゃないかという御議論がきのうの予算委員会でも出まして、自治省の大臣からもお答えがございました。あらゆるそういう工夫をいたしまして被害を最小限度にいたすべきだということには変わりございません。多方面からの施策を講じてみたいと思っております。しかし、お言葉を返すようで恐縮ですけれども、そういう面もございますが、日本全体の経済自体が、このままのエネルギーの状況ではやがて石油でまいってしまうぞということはもうわかりきっていることでございますから、これに対する対策というものもどうしても講じていかなければならぬ。これは日本の厳然たるエネルギー政策だと私は思います。でございますので、くどいようでございますけれども、物価の面とエネルギー政策と両立するように厳正な査定をしてまいりたいという所存でございます。
  44. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 神崎敏雄君。
  45. 神崎敏雄

    ○神崎委員 先ほどから小林議員も指摘いたしておりましたが、今回の電力料金値上げ申請がきわめて大幅になっておる。その原因の一つ資本費の高騰があります。その要因は、原子力発電関係費が大きな比重を占めていることにあると言えます。政府も原子力発電の比重を高めていく方向を打ち出しておられますが、そこでまず伺いたいのは、原子力発電のどういう点がすぐれているのか、簡潔にお答え願いたい。
  46. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 先生承知のように、最近資源の有限ということが叫ばれておりまして、なかんずく石油資源につきましてはその有限性が大きく取り上げられているところであります。原子力発電につきましては、そういう資源の問題に対する対応と、それから今後の長期的に見たエネルギーの確保の観点から見まして、これはすぐれているというように考える次第でございます。なお、最近におきますように石油の価格上昇してまいりますと、原子力発電の方はコスト的にもきわめて有利になってきたということが言えるかと思います。
  47. 神崎敏雄

    ○神崎委員 六年後の昭和六十年には二千八百万キロワットから三千万キロワットにするという目標だと聞いておりますが、すると、現在の千四百万キロワットから見て、つまり一年間に百万キロワットの原発を二つ以上つくるというものですが、これは間違いありませんか。
  48. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 私ども、長期的なエネルギーの需給を見通しまして、昭和六十年度におきましては、ただいま先生がおっしゃいました二千八百万キロワットから三千万キロワット程度まで原子力発電を拡大してまいりたいというふうに考えております。したがいまして、それを年率にいたしますと、おおむね三百万キロワット程度増加ということに相なります。
  49. 神崎敏雄

    ○神崎委員 原子力発電百万キロワットは、七〇%の利用率でも百四十万キロリットルの石油に値すると言われておりますが、この点も間違いありませんか。
  50. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  51. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ところで、発電所は電気エネルギーを生産しています。しかし同時に大量のエネルギーを消費しているという面もありますが、この点も認められますね。
  52. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 原子力発電所につきましては、他の熱源を燃料といたします発電所と同様に各種の資材を投入しあるいは燃料準備しなければなりませんが、それらにつきましてはエネルギーがかかっているというふうに考えます。
  53. 神崎敏雄

    ○神崎委員 では、百万キロワットの原子力発電所は何キロリットルの石油を消費するのでしょうか。先ほど設備利用率七〇%で百四十万キロリットルの石油を生産するに等しい、こういうふうにお答えがありましたが、しかし原発を稼働させるためにはどれだけのエネルギーを消費するのか。いわゆるエネルギー消費もあるわけですから、それをお聞きしたいのです。
  54. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 ただいま目の子で計算いたしますので、しばらく時間的余裕をいただきたいと思います。——目の子の計算であるいは間違いのある場合もあろうかと思います。その際はお許しいただきたいと存じますが、十万キロリットル程度ではなかろうかというふうに考えます。
  55. 神崎敏雄

    ○神崎委員 目の子の計算で、十万キロリットルですか。目の子の計算というようなことで、これは一体どういうことなのか。目の子の計算をおやりになるのにしばらく答弁がとまっておって、そして出てきた答えが目の子の計算なんですが、それでは後の質問に続けていくことができないのだが、要するにそういうことは具体的に計算してない、こういうことなんですね。どうですか。
  56. 安田佳三

    安田(佳)政府委員 原子力発電所をつくるのにどの程度の石油を使用するか、あるいは年間にいたしましてどの程度になるかという計算は正確にはまだいたしておりません。
  57. 神崎敏雄

    ○神崎委員 そこに重大な問題があるのです。これは後で論理を展開しますが、そういう計算をしないで原発オンリーのようなこういう幻想を振りまく。予算委員会ではわが党の不破書記局長がいわゆる安全性の問題を中心に追及しましたが、私はコスト的な問題を中心にこれからこの問題を聞いていきたいのです。  問題は、原油そのものを何とかして少なくしていきたい、そのために原発だ。ところが、原発をやることによってその原油が想像以上に浪費されるということになれば、一体どこにメリットがあるのかというようなことから考えてみて、安全性はさておいて、そういう観点から見てもこの原発という問題についてはもっと重要な問題がある。そこで、そういう試算はもうすでに用意されているものだ、だからこうなんだ、こういうようにおっしゃっているというふうに今日まで理解していたのですが、いまお聞きしたら目の子の計算しかないし、それを追及すればまだやってない、こういうようなことになってきたわけでございます。そういうことで、これから国民にどういうような形でそういう観点に立った説得、PRをしていかれるのか、責任ある答弁をしてください。
  58. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほど公益事業部長から御答弁申し上げましたのは、ただいま先生からキロリットルに直しての建設に係る石油の量あるいは操業にかかわる石油の量につきましての御質問がございましたが、その換算につきましての手持ちの資料が若干不足いたしましたためにお答えが手間取ったわけでございます。  私どもは、政府全体といたしまして試算をいたしておりまして、これは財団法人政策科学研究所というところに委託をいたしまして、いま御指摘建設に係る石油との比較あるいは操業中の石油との比較、こういうのを出しておるわけでございます。簡単に御披露申し上げますと、原子力、特に軽水炉でございますが、軽水炉の建設にかかわります石油の量は、確かに御指摘のとおりある一定の量を期待せざるを得ないわけでございますけれども、その軽水炉が完成いたしまして、稼働する期間中の石油代替性というものを比較いたしてみますと、大体十六倍程度の優位性があるのではないか、こういう試算を得ておりますから、冒頭に公益事業部長お答えいたしましたとおり、石油にかわるエネルギーとしての原子力発電所の優位性は確立されておる、こういう判断をしておる次第でございます。
  59. 神崎敏雄

    ○神崎委員 外国の学者グループで、研究所などでこうした研究を行っているというのですが、これは御存じですか。
  60. 森山信吾

    森山(信)政府委員 イギリスのチャップマン氏の御報告というのは承知いたしております。
  61. 神崎敏雄

    ○神崎委員 御存じであればこれからの論議もかみ合うと思うのですが、外国ではこの種の試算が幾つか発表されておるのであります。一九七六年、ロンドンの雑誌「エコロジスト」で、ある研究グループ、すなわち「エネルギー・紀元二〇〇〇年」グループですが、これがアメリカ、フランス、イギリスの原発開発計画を検討した結果、アメリカやフランスでは原発がエネルギーの純生産部門であるよりも、石油など既存のエネルギー源を食いつぶす純消費部門になる可能性があるという測定値を得ている、こう伝えております。イギリスの物理学者ピーター・チャップマンは一九七五年、九つの種類の原子炉型を分析対象にいたしまして、その分析結果を発表しているようであります。  もう一つ、一九七六年七月二十七日の「エコノミスト」誌では、国学院大学の室田武氏がチャップマンの基礎データを用いて試算した論文を発表しております。それによりますと、四年間に稼動中の原発が二倍に拡大していくという急速な開発計画の場合、原子炉の利用率が四〇%ならば、百万キロワットの原発を建設しても、純粋の生産エネルギーは十万キロワットになるかならないかの程度にすぎないとしております。そして重要なことは、これまでのエネルギーコストの分析において、放射性廃棄物を処理、保管するのに必要なエネルギーが計算されていないことだ、こう指摘しております。石油に置きかえるエネルギーがなぜ原子力でなければならないのか、原子力で置きかえることができるという理由は世界のどの開発当局も十分に説明し得てない、こう述べております。  さらに、同じ「エコノミスト」誌で、プルトニウム研究会会員の高木仁三郎氏が日本の原発計画について試算したものを発表しております。その計算前提条件は時間の関係で省略いたしますが、その結論によれば、仮に十五年間、平均利用率六〇%という理想状態を保ったとしても、百万キロワットの原発は四十四万キロワット分しか意味しない。しかも、この場合、開発研究、安全のためのエネルギー、さらに廃棄物処理のエネルギーを含んでいないというのです。  大臣、多分大臣はこの種の諸論文をすでにお読みになっていると思うのですが、大臣の率直な所感をここで伺っておきたいと思うのであります。
  62. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は、いまあなたがお読みになった日本の学者の皆さんの報告は聞いておりませんけれども、先ほど長官からお話ございましたように、英国のチャップマンの報告、あるいは日本の政策科学研究所で一九七七年に出しました報告等によりますと、消費したエネルギーのカロリー、原子力発電所建設あるいは運転中のカロリーその他と比較いたしますと、発電量と投入量を比較いたしますと、原子力発電の方が抜群に多いのでございます。逆のケースも出ております。
  63. 神崎敏雄

    ○神崎委員 ちょっと最後がわからぬのですが、恐縮ですが、私は大阪でございまして、大臣の方言がちょっと……。
  64. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は秋田でございますので、言葉で食い違ったのかもしれませんけれども……。  先生はもちろん政策科学研究所の論文も、それからチャップマンの報告も御存じの上の御質問だと思いますけれども、資料で見ますと、その両報告は先生のその後の日本の学者の皆さんが発表した論文の結論とは逆になっているように考えられます、こう申しておるのでございます。
  65. 神崎敏雄

    ○神崎委員 もう一つ御紹介いたします。  これは一九七九年十月十五日、朝日新聞社から発行された小出五郎氏の「超石油エネルギー」という本です。この本には、アメリカのエネルギー分析研究所のロッティ博士の分析が紹介されています。それによりますと、三%の濃縮ウラン一トンを製造するためには、石油換算二千八百七十トンのエネルギーが要る。また、沸騰水型の原子炉百万キロワットを備えた発電所を建設して、設備利用率四〇%で三十年間運転したとすると、発電電力量は九百二十六億キロワットアワー、石油換算で七百七十三万トンのエネルギーを生産する。しかし、消費するエネルギー量は三百三十五万トンもあり、差し引き純生産は四百三十八万トンにすぎないとしております。  このように、すでにエネルギーの収支コストの試算は数多く行われております。そのすべてをいま認めるかどうかは別にいたしまして、やはり原子力発電を推進していく上で、原発が生産するエネルギー量だけでなく、原発が消費するエネルギー量も先ほどから申しておりますように国民の前に示して、真に国民経済的に見て有効な道を国民的合意を得て進めていくというのが政治だと私は思うのです。それがまた政治のとるべき正しい姿でもある。政府のエネルギー需給見通しや電源開発計画にはこの点が欠落している。これは明らかであります。つまり原子力発電が大きな比重を占め、ウラン濃縮や再処理も自国で行うことを展望しているが、それが果たして本当に石油の節約になるのか、石油づけになっておるわが国の現状から考えるとき、これは十分証明されておらない。されないままでただこの道を急速に進もうとしておる、こういうのが現状であります。  安全性の面でもエネルギー効率の面でも、実は科学的証明なしに巨額な資金を投下し、結果が料金負担国民に強いていく、こういう現状にあるとき、大臣、わが国におきましても責任ある機関でエネルギー収支の分析を行うべきである、こういうふうに思うのですが、そういう意思がありますかどうか、ひとつ国民にわかりやすく説明していただきたい。
  66. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 大変不勉強で恐縮でございますけれども、私の持っておる資料は先ほど申しました二つの資料でございまして、それ以外の資料はよく研究しておりません。したがいまして、御指摘のございました資料等を中心にいたしまして、役所の方でもひとつ鋭意研究させてみたいと思います。  それから、原子力発電の消費したエネルギーとその他のエネルギーとの対比の問題もさることながら、それでは原子力発電が各国で一体どういうふうになっているのだという点を、私少しやはり御認識いただきたいと存じます。  私、去年の十二月十日にパリのIEAの会議に出席したのでありますが、その際要路の皆さんからお聞きしたのですけれども、フランスは御承知のように日本とエネルギー事情は非常に似ております。フランスはあと五年で全発電の半分は原子力発電でやりますと、これは軽水炉ですね、十年後には三分の二を原子力発電でやります、自余は石炭でやりますということで、油は一切使わぬ方針でただいまどんどん進めております。英国のハウエル・エネルギー相も昼飯のときそばにおりまして、私に申すのには、英国はいよいよ軽水炉の開発に踏み切りました。これで発電をやることにいたしました。北海であれほどの油田を発見してなぜ原子力発電をやらなければいかぬのですかという質問をいたしましたところ、大体十五年くらいで発見した油も峠を越える、どうしても原子力発電に頼らざるを得ないということで、閣議決定をしてただいまパリに来たところですというお話をしておりました。帰りに私はモスクワに寄りまして、モスクワでちょうど貿易省の次官という方がお迎えに来ておりましたのでいろいろお話をしましたところ、ソ連でもエネルギー消費の増加率は毎年四%だけれども原子力発電は四〇%の率で上がっているのだ。帰ってきて有沢先生に聞いてみましたら、倍々と増加する計画だそうでございます。将来の油の需給状況を考慮して、いまから猛烈な勢いで原子力発電に踏み切って進めていることは事実ですね、ソ連の原子力調査に行った皆さんも確実にそうおっしゃっていますから。米国も、御承知のように例のスリーマイルアイランドの状況で一時はとめておりましたけれども、その後カーター大統領が声明を発しまして、半年以内に再開に踏み切るということで、これからまた始めるようでございます。そういう状況でございますから、日本自体もエネルギー資源の何にもないところなのですから、やはり原子力の方に進むべきじゃなかろうかという感じもいたします。  ただ、しかし仰せではございますから、いま申しましたエネルギー自体のバランスシートというものは、各分野の、発電なら発電を中心にいたしまして少し検討してみたいと思いますので、御指摘の資料がございましたらどうぞひとつお貸しいただければ大変ありがたいと思います。
  67. 神崎敏雄

    ○神崎委員 とにかく大臣、やはり値上げが問題になっていることが一つあります。同時にそれの根拠が原油の高騰あるいは原油の輸入見通しの問題、そういうようなことから将来に向かっていわゆるエネルギー源の主たる施設といいますか、機関といいますか、そういうものを原発の方へ移していこうという流れの中で、逆に原油がたくさん消費されて、事志と違うような状態のところにいく過程でそこに膨大な投資をされる、その投資がすなわち電力料金として国民の方へ浴びせられてくる。先ほど小林議員も三十何年間の核燃料の問題を紹介していましたが、そういう問題から見ても、これはやはり国民のコンセンサスを得るためにももっとやらなければ、つくるのもいいが、つくるためにはそれ以上うんと消費があるようじゃ何にもならない。ただでき上がってくる量だけを試算されているが、そのでき上がってくる量を得るために消費する量の方は目の子勘定で、まだ何も試算していないということでは国民は納得しないし、そのことがまた大きな値上げの根拠になっているということになれば大変な政治上の責任でもあり、行政上の責任にもなる。したがって、いま大臣非常に謙虚に御答弁いただきましたので、この問題はこれで終わりますが、また研究しているものがあれば貸してほしいというならば、ここに持っておりますから読んでいただいたら結構でございますが、そういうことで、この問題は大きな今後の問題として私は提起しておきたいと思うのであります。  そこで次に、公取委員長おられますね。伺いますが、先般写真用カラーフィルムの同調値上げについて調査されるという意向が発表されました。その後の状態についてどういうふうになっているか、伺いたいと思います。
  68. 橋口收

    橋口政府委員 写真用のカラーフィルムは同調値上げ対象品目に掲げられておるわけでございますが、これにつきましては現在予備調査の段階でございます。予備調査と申しますのは同調値上げ法律の規定に該当するかどうかの調査をするわけでございまして、該当するという認定ができまして初めて値上げの理由の報告を徴収するということになるわけでございまして、まだ予備的な調査の段階でございます。
  69. 神崎敏雄

    ○神崎委員 該当するかどうか調べているということは、該当しそうな容疑があったから調べておられるのだと思うのですね。該当するという容疑がなかったら調べないでしょう。該当するような容疑がおたくの方で見られたのでしょう。だから調査に入られたのでしょう。どういうことをやったのですか。該当しそうだと思うので調査に入ったのだから、調査をやるためにはどういうことを——悪いことをしたら警察に引っ張られますね。引っ張って調べておるんだけれども、悪いことをしたから引っ張ったのでしょう。どんなことをやったのですか。それをいまの過程で聞いているのです。
  70. 橋口收

    橋口政府委員 同調的価格引き上げの、容疑という言葉をお使いになりましたけれども、これは容疑というお言葉は必ずしも適当でないと思うのでありまして、同調的値上げが悪であるという前提ではございませんで、法律の規定に該当する場合には値上げの理由の報告をしていただくということでございます。したがいまして、御承知かと思いますが、当該商品につきまして年間の生産額が三百億円以上になる業種であって、しかも上位三社のシェアが七〇%を超えるものにつきまして、首位事業者を含む複数以上の事業者が三月間の間に同額同率または近似の額、率の値上げをした場合に報告を徴収するということでございますから、一体三月以内の値上げであるのかどうか、それから近似の額、率であるかどうか、そういうことについて調査をいたしませんと理由の報告ということにはならないわけでございまして、いまそういった法律の要件に該当しているかどうかということについて調査をいたしているわけでございます。それを予備調査と申しております。
  71. 神崎敏雄

    ○神崎委員 私の調査によりますと、富士フィルムと小西六写真は印刷用フィルムについても大幅な値上げ通告を行い、しかも出荷制限をしているようでございます。たとえばフジのリスVO百枚入り、サクラのリスOS百枚入りの場合、昨年二月に五万四千二百四十円が十一月には六万六百四十円になり、・さらにことしの三月一日から五〇%値上げ、続いて四月一日には三月値上げの五〇%を値上げするということを通告しております。しかも品物がないとして、昨年の販売実績を基準に割り当て出荷をしているようであります。しかし富士フィルムに注文して、ないと言われた印刷業者の方がサクラの代理店に注文いたしますと、精版カメラと自動現像機を買ってくれるなら六十本売ってもよいと言われたというのです。本当に物がないのかどうか、業者は疑問と怒りを訴えております。こうした実態を御存じでしょうか。
  72. 橋口收

    橋口政府委員 いまお尋ねがございましたのは印刷用のフィルムでございまして、先ほどお答えいたしましたのは一般写真用のカラーフィルムでございますから、これは同調的値上げ対象品目にはなっておらないケースでございますけれども、いまお話がございましたように、銀の価格が高騰したということでフィルム関係が全般的に値上げの状態にあるということは承知をいたしておりますし、印刷用フィルムにつきましては三月一日に約五〇%、四月一日にも五〇%の値上げを行うという新聞情報は承知をいたしておるわけでございます。いまも申し上げましたように、フィルム全般につきましては最も典型的な寡占的なマーケットでございますし、同調値上げ対象品目にもカラーフィルムにつきましては該当いたしておりますし、それからいわゆる独占的状態にも該当する業種でございますから、富士フィルムあるいは小西六の企業行動と申しますか、ビヘービアにつきましては日ごろから関心を持っておるところでございまして、いまお話がございましたような出荷の制限、売り措しみ等、それ自体を法律上の問題にすることは独禁法上はむずかしいかと思いますが、ただ、いまお話がございましたように、たとえば一種の抱き合わせ販売を行っておる、あるいは業者が共同して出荷を抑制しているということがあれば、これは当然独禁法に該当するわけでございますから、そういう事実があるのかないのか、それから、おっしゃいましたようにメーカーそれ自体がそういうことをやっているのか、中間段階でそういう行為があるのか、その辺もきわめる必要がございますが、いずれにいたしましても寡占的なマーケットでございますから、重大な関心を持って対処いたしたいというふうに考えております。
  73. 神崎敏雄

    ○神崎委員 印刷用フィルムの場合、いまおっしゃったように独禁法上の同調値上げには該当しない、こういうようなことになっているわけですね。しかし、いまおっしゃったように大手フィルムメーカーがこうした行為をやっているということについては、やはり大手フィルムメーカーに対して、いまも委員長言われたのですからそれ以上言う必要もないと思うけれども、関心を持っているとおっしゃったことにこっちも期待しますが、関心をお持ちになったら、こういう上乗せみたいなことをやってくるような行為が事実あればこそ業者が訴えているのですから、すぐ調査に入ってください、入りなさいということを要求したいのですが、いいですね。
  74. 橋口收

    橋口政府委員 十分検討いたしたいと思います。
  75. 神崎敏雄

    ○神崎委員 終わります。
  76. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて神崎敏雄君の質疑は終了いたしました。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  77. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中井洽君。
  78. 中井洽

    ○中井委員 エネルギー庁にお尋ねをいたします。  大臣の所信表明演説の中にもございましたけれども、こういったエネルギー事情の重大な時期にかんがみて石油備蓄を今後とも増大していく、続けていくという計画でありますが、九十日の備蓄計画並びに政府の一千万キロリットルの備蓄を二千万キロリットル、やがては三千万キロリットルにふやしていくといった方針、これはこれで結構でありますが、この点について幾つかお尋ねをしたいと思うのであります。  この民間で九十日、政府で目標として三千万キロリットルといった数字はどういったことを根拠にお決めになっておるのですか。
  79. 森山信吾

    森山(信)政府委員 石油備蓄の問題につきましては、御承知のとおり、先般、昭和四十八年のいわゆるオイルショックの際に先進諸国、これはIEAが中心でございますが、今後の対産油国対策としてある程度の備蓄を持つことが先進国としての強味になるという判断がございまして、その際にいろいろな議論が行われたわけでございますが、一応の目標として九十日をめどに備蓄の積み増しをしようではないか、こういう国際的合意がなされたわけでございます。それを受けまして、わが国におきましても民間ベースで九十日の備蓄をする方が適当であろうという判断がございまして、先生承知の石油備蓄の法律をつくらしていただきまして、それが裏づけになりまして現在九十日備蓄に向かって着々と進行しておるということでございます。  そのほかに、いわゆる国家備蓄という概念が出てまいっておりますが、この国家備蓄という概念は必ずしも世界的に先進国の中で統一された見解ではないわけでございまして、それぞれの国におきましては、備蓄の形態が国家的な管理のもとに置かれている国もございますし、あるいは民間の備蓄に任されておるところもございます。わが国で申し上げますと、九十日の備蓄を先ほど申し上げましたように民間ベースで備蓄していただくということでございますけれども、現在の日本の石油関係企業のいわゆる許容範囲から見まして、九十日が一応のアッパーリミットではなかろうかという判断がございますが、九十日だけではどうも頼りないということもございますから、それを超える分については国家で備蓄をする方が妥当ではなかろうか、こういう結論のもとに現在国家備蓄をいま御指摘のように三千万キロリットル、これは現在衆議院で審議をいただいております五十五年度予算案の中に調査費を計上しておるわけでございまして、現在のところは二千万キロリットルの線で国家備蓄の増強に努めておる、こういう状況でございます。
  80. 中井洽

    ○中井委員 将来、石油の世界的な事情あるいは私たち日本が石油を大変輸入しやすい状況が出てきたときも、こういった国家備蓄あるいは民間備蓄を九十日、そして三千万キロリットルという数字を守りながら続けていく、こういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  81. 森山信吾

    森山(信)政府委員 将来、石油の需給関係が大変緩和した場合においても備蓄をする必要があるのかという御指摘でございますけれども、短期的に見ますとある程度の需給緩和がある年があるだろべと思うのでございますが、中長期的に見ますと、石油は枯渇の方向に向かっておるというのがいまの常識ではなかろうかと思っておる次第でございます。  ちなみにIEAの見通しを申し上げますと、一九八〇年、つまりことしは供給の方がある程度上回りまして、数字で申し上げますと、先進国の需要が五千百十万バレルくらい、それから供給が五千百三十万バレルくらいの見通しでございますから、ことしに関する限りは若干の供給オーバーになろうと思いますけれども、一九八五年には一日当たり百二十万バレルほどの不足を生ずるのではないか。それから、一九九〇年になりますと一日当たり六百二十万バレル程度の不足を来すのではないか。こういう見通しがございます。さらに、最近非常に危惧されておるわけでございますが、ソ連、東欧圏の動きでございますが、御承知のとおり現在のソ連、東欧圏は百万バレルほど輸出をいたしておるわけでございますけれども、これがあと五年以内のうちに逆に百万バレルから二百バレルほどの輸入国になるのではないかという見通しがございますので、現実にそういうかっこうになりますと、先ほど申し上げました一九九〇年に六百二十万バレル不足するというその不足の上にまた不足の分が積み増されるという危険がございます。したがって、中長期に見ますと石油はやはり枯渇するものであるということから、備蓄は先ほどもお答えいたしましたとおり、産油国に対します先進国としての一つのバーゲニングパワーということから、一時的な需給の関係にこだわらずに、中長期の観点から備蓄政策は進めていくべきものではなかろべかな、こういう判断をしておる次第でございます。
  82. 中井洽

    ○中井委員 私も、のど元過ぎれば熱さ忘れるという形で、石油事情が緩んだ、もう備蓄はいいんだ、こういう形にならないように、常に九十日あるいは三千万キロリットル、そういうものは持ち続けるんだ、こういう姿勢というものを堅持していただきたい、このように考えておるわけであります。  もう一つ、逆に石油の輸入がとまるというか、非常に苦しくなってきたときにこの備蓄というものを出していく、あるいは放出していく、そのときの放出の、まあ民間でありますから、民間は民間なりにやっていくのでありましょうけれども、放出先の重要度あるいは順番、そういったものも御計画としておありですか。
  83. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず民間備蓄の場合は、御指摘のとおり民間で保有をしておる石油でございますから、これはたてまえといたしますと民間の企業の判断に任せる、こういうことになろうかと思います。ただし備蓄を取り崩すような状況ということは、裏返して申し上げますと、石油の輸入が大変困難になっておる、また需給関係が大変バランスを欠いておるというときでございますから、これまた単に民間の企業の自由な判断で備蓄を取り崩すというわけにもまいらないだろうという気持ちは持っております。したがいまして、一次的には民間企業の方の御判断でございますけれども、その前提となる私どもの意思というものも相当に働かせるといいましようか、それをベースに民間の企業の方の御判断を得たい、こういう考え方を持っておる次第でございます。  それから国家備蓄につきましては、これは何といいましても国全体の利益のために備蓄をしているわけでございますから、やはり国全体の利益に還元するような方法で備蓄というものを放出しなければならないだろうということがございまして、これもまず第一条件といたしましては先ほどお答え申し上げましたとおり、石油につきましての需給の大変な問題が生じたときと、石油の供給に不足を来すおそれがあるとき、こういうような表現で私どもは考えておるわけでございますけれども、これの放出の方法、基準につきましては、別途私どもの方の内規がございまして、原則的に申し上げますと、いま申し上げたようなプリンシプルのもとに運営をするわけでございますけれども、御承知のとおり国家備蓄につきましては、それぞれ石油会社から購入をして国家で管理をしているという仕組みがございますので、その仕組みにのっとった逆の放出方法、つまり備蓄をする際の購入方法と裏返しの状態が出てくると思いますけれども、ただ、そこにおきましても民間備蓄で申し上げましたとおり、やはり一つのプリンシプルというものがなければならない、こういう判断のもとに今後の課題として対処してまいりたいということでございます。
  84. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、民間備蓄、国家備蓄ともに放出のときには通産、内閣、そうしたものが関与して放出を決めていくんだ、こういう御答弁のように思うわけでございますが、どういう状況に石油事情が追い込まれたときに放出というものを考えるんだ、そういった基準がございますか。
  85. 森山信吾

    森山(信)政府委員 一般的に申し上げますと、石油の供給が不足し、または不足するおそれがある場合ということでございますけれども、具体的な基準といたしましては、先生承知の石油需給適正化法という法律がございます。そういう法律の発動をしなければならないような事態というのが、まさに先ほど私がお答えいたしました一つの基準になるのではないか、こういう考え方を持っております。
  86. 中井洽

    ○中井委員 それは量的にも価格的にもそういうことがあり得るわけですか。価格状況あるいは量の状況という両面からで御判断をなさるのですか。それとも量だけですか。
  87. 森山信吾

    森山(信)政府委員 端的に申し上げますと、価格と量の両面だと思います。ただ、現在のように価格が大変上がっておるというときにその問題にどう対応するかという問題が出てまいるわけでございますけれども、現在の原油価格値上がり産油国サイドの値上げということで、ございまして、そこに投機性の問題がないという判断がございますから、単に価格だけでいまの石油が不足するときあるいは不足するおそれがあるとき、こういうふうな判断はできないということでございまして、最初にお答えいたしましたとおり、量の問題と価格の問題をやはりリンクさせて考えなくちゃならぬのじゃないかなと、こういうふうに考えております。
  88. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、もう一度確認いたしますが、国内の石油製品あるいは石油の価格、そういったものの上昇に投機の疑いというものがあるときには、民間備蓄、国家備蓄の放出というものについて考える、このように了解してよろしゅうございますか。
  89. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答えいたしました中に、石油需給適正化法の発動をするときが一つの基準になるだろうというふうに申し上げましたが、石油需給適正化法の発動がまさに価格面のことも入っておりますので、不当に高くなるおそれがあるというときは、当然にいま先生指摘のものは考え得るというふうに判断いたしております。
  90. 中井洽

    ○中井委員 ここに長期エネルギー需給暫定見通し、中間報告という形でございます。この中で、石油に対する依存度というものを減らしていく、代替エネルギーをどんどん開発していくんだ、そういった長期の計画が載せられております。それらのことについて幾つかお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に石炭でありますが、石炭を大いに使っていく、これはこれで結構であります。ただ、一つ心配なことは、石炭の公害技術の開発の点であります。現在、日本の石炭、海外から輸入した石炭でも結構でありますが、国内で火力発電としてこの計画のような形でどんどん使っていった場合の公害問題、公害対策というもの、これを十分とられているのかどうか、その点について御説明をいただきたいと思います。
  91. 森山信吾

    森山(信)政府委員 海外炭の輸入計画につきましては、先生お示しのように長期エネルギー需給暫定見通しの中に織り込まれておるわけでございます。たとえて申し上げますと、六十年に一般炭二千二百万トン、六十五年に五千三百五十万トンと、大変膨大な量の石炭の計画を組んでおるわけでございますが、公害対策といたしましては、三つのアプローチがあるんじゃないかと思っております。一つは、硫黄酸化物の問題、それから窒素酸化物の問題、それから集じん、じんあいをいかにうまく集めるか、この三つだと思います。窒素酸化物あるいは硫黄酸化物等につきましては、現在いわゆる湿式の排煙脱硫装置あるいは脱硝装置等は技術的にも完成いたしておりますが、よりよい公害防止対策ができるんではないかということでございまして、現在乾式の排煙脱硫装置の技術を開発すべく、補助金等を用いまして技術開発に取り組んでおるという状況でございまして、先ほど申し上げました長期需給計画の中で、公害防止と供給目標が乖離をいたさないような考え方のもとに、リンクをした政策を推進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 中井洽

    ○中井委員 集じんはどうですか。
  93. 森山信吾

    森山(信)政府委員 集じんにつきましては、これまたある程度の技術確立もできておりますけれども現状におきましてやはり満足すべき状態であるかどうかということになりますと、必ずしも十分であるということも考えられませんので、さらに補助金を活用いたしまして電気集じんにつきましての技術レベルの向上に取り組みたい、こういう姿勢を持っております。
  94. 中井洽

    ○中井委員 こういう計画で、石炭石炭という形でふやしていかれる、それはそれで結構でありますが、それと同時に、かつての石油コンビナートのような公害問題が起きないような形での公害防止レベルの技術の開発を大いに進めていただきたい、このように思います。  同じくその中に地熱のことが出ております。五十二年度で十五万キロリットル、六十年度でそれを二百二十万キロリットルという形で上げていくのだ、こういう御計画のようでございます。これまた御承知のとおりだと思いますが、地熱発電のできるところというのはおおむね国立公園、国定公園、自然公園、こういったところにございまして、この利用について環境庁と通産とでなかなか意見の対立のあるところであると私どもは承っております。きのうも実は公害の委員会で環境庁長官にただしましたところ、国立公園、そういったところの中では認めていきたくないんだ、こういったことをはっきりと言われるわけであります。そういった点についての環境庁との調整がうまくいって、六十年にはこういう形で地熱発電ができる、あるいはそういう公園内ではやらないんだ、こういう形で、ほかのところでこの二百二十万キロリットルというものを確保していきたいとお考えになっておるのか、その点をお尋ねいたします。
  95. 森山信吾

    森山(信)政府委員 地熱に対します私ども計画上の数字は、いまおっしゃったとおりでございます。  そこで、御指摘のとおり、地熱の開発個所が往々にして国立公園等の地域に競合するという問題がございまして、私どもは環境庁と御相談をしながら、環境破壊に万全の注意を払うという姿勢のもとに、開発地点をある程度環境庁と御相談をして、現在六カ所で開発を行っているわけでございますが、その後どうするかという問題がございます。ただ、先生承知のとおり、最近地熱開発上の技術がかなり進んでまいっておりまして、いわゆる環境保全上も問題のないというような技術の開発ができますれば、必ずしも国立公園の中での開発は認めないということにもならないのではないか。要は環境保全に対する配慮を十分することによりまして、地熱開発の促進を図るということでございます。確かに現状におきまして開発の面だけで推進いたしますと、環境保全の問題が生じてくるという危険性が。ございますので、その点は環境庁と十分御相談しながら、環境破壊につながらないような技術開発を待ちまして地熱開発を推進してまいりたい、かような基本姿勢を持っている次第でございます。
  96. 中井洽

    ○中井委員 私も二度ほど地熱発電所を見させていただいております。他のエネルギーに比べて大変クリーンな面が多かろうと思います。力そのものは非常に小さいわけであります。しかし、それでも大変環境を大事にしなければならない地域に多いという残念な事実もあるわけであります。したがって、いまお話がありましたように、できる限り環境面に留意をしていく、あるいは技術開発を進める中で大いにこれを計画どおりお進めをいただきたいと思います。  大臣お見えになりましたので……。  この暫定見通しの中で原子力の比重というものが非常に高められていく、こういう計画でございます。私どもは、それはそれで安全性に大いに留意をしていただいて御配慮をいただきたい、このように考えておるわけでありますが、現実にいま日本の状態を考えますと、もろもろの住民との兼ね合いといった関係で、原子力発電あるいは原子力開発というものがこの計画どおりいくのかどうか、そのことに非常に危惧の念を抱いているわけでございます。先ほど神崎先生の御質疑の御答弁の中で、大臣は、フランスはすごい、ソビエトもすごい、こういうふうにどんどんやっておる、こういう事情もひとつ御勘案をというお話がございましたが、そういった諸国はどんどんやっておる、日本は少しも、私ども判断からするとおくれぎみではないかという感じがあります。  この事情につきましては、国民原子力というものに対して特別のアレルギーを持っておる、したがって、私どもは十分慎重にやっていくのはあたりまえだ、このようには思いますが、やはり諸外国に比べておくれているのは否めない事実だと思います。そういった意味で、政府自体の原子力開発に対する熱意というものが諸外国に比べておくれておるのではないか、そういう気がいたしますが、その点は大臣どうでございますか。
  97. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私、御承知のように初代の原子力局長を仰せつかったのでございますけれども、私の記憶では、その当時は言うなれば大変気合いがかかっておったのですが、途中で油が安く多量に出だして油時代に入ったわけですから、しばらく原子力の方は足踏みというかっこうであったのは否めません。しかしその後、やはり日本としては原子力に踏み切って進むべきだということで、軽水炉を中心にしていままで進んでまいりました。やってみますと、お話のように安全性の問題等を中心といたしまして、主として立地問題でいろいろ障害が出てまいりまして、予定どおり進まなかったことはお説のとおりでございます。  今後どうかと申しますと、私はやはり日本は、今後はいま以上に原子力発電に力を入れて進めていくのが一番よろしいのではなかろうか、本命は原子力でなかろうかという感じがしております。それをどう進めるのだということになりますと、また少し長くなりますから、これからも従来以上に推し進めていくべきだという決心だけ一応御披露申し上げておきます。
  98. 中井洽

    ○中井委員 決心だけ言われてしまうとあれでありますが、たとえば、いま電力各社が原子力発電をやりたいということで地元にお願いをしておるけれども、なかなか同意が得られない、あるいはまだ結論が得られないという形で、原子力発電所が幾つかそういう状態で置かれておると思うのであります。そういったところに対して、国として原子力発電原子力開発というものを進める上で具体的にどういう援助をなさっていくのか、その方策をお尋ねしたいと思います。
  99. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 何と申しましても一番の問題点は、やはり原子力安全性をどう確保するか、あるいは信頼性をどういうふうに回復するかという問題に尽きると思います。  安全性の問題を今後進める上におきまして、やはり三つの問題が大変重要ではないか。一つは、原子炉そのものが安全だという原子炉工学的な立証をきちっとするということ、二番目は、オーソリティーがこれが安全だという審査をして証明を下した場合には、それに信を置くという審査機構の権威、三番目は、それを受ける住民の御理解というのが必要だろう。  第一番目の安全性の問題に関しましては、日本は御承知のようにドイツや何かと違って、アメリカの軽水炉をどちらかというとそのまま輸入してまいりまして、そしていろいろ事故が起きて、その事故を炉をとめては解剖してという繰り返しをしてまいりました。ドイツなどは、御承知のように、同じ軽水炉でありますけれども、徹底的にこれを壊して、そして自分の力で安全な炉につくりかえていった。ですから、炉は自分の技術の成果になっているわけでございまして、アメリカで何か事故が起きてもドイツを初めヨーロッパの炉は全然とめません、別の炉だという頭でございますから。日本はそれに比してやはりみずからの技術じゃないものですから、向こうがくしゃみをすればすぐかぜを引くというようなかっこうになっておるわけですね。ですから、やはりいままでいろいろ故障があったのを、いかに今後の安全の問題に結びつけるかということが一番大切だと思います。言うなれば、原子力研究所自体としては、あれは三本柱の一つとして安全性そのものをいろいろな実験炉を使いましてずいぶん集積しておりますし、それから各電力会社の炉自体も故障でとまっては材料に欠点があるのか、あるいは運転その他に欠点があるのか、いろいろ欠陥をずいぶん資料、材料としては集積しているはずでございますから、そういうものを集大成して、そして日本の炉としてはこれが一番よろしい、安全だというものをやはりこの際つくるべきだという感じがしますね。いま通産省の方が中心になりまして標準型の炉をいろいろ模索しておりますけれども、こういう行き方というものが一つの行き方でなかろうか。日本自体でもう安全に対しては完全に自信があるという独自の技術ができていきますれば、これはまず一つの大きい前進になると思います。  それからもう一つは、審査機構の権威の問題ですけれども、これは御承知のようにドイツとかフランス等ヨーロッパでは、この人が安全だと言えばもう安全だという信頼感が非常にあるわけですね。日本もおととしでございますか、行政機構の改革で安全委員会というものをつくりまして、安全を専門に審査する委員の皆様が主になりまして、私自体もいまの委員の皆さんは、これはやはり日本としては最大だと思いますね、あの皆さんが丹念に審査をしてこれでよろしいということになればまずまずいいんじゃなかろうか。しかも二重機構で、まず実用炉に関しては通産でスクリーンをして、そしてそれを持っていって安全委員会でダブルチェックするわけでございますから、非常に丹念なチェックの仕方でもありますし、また権威あるものだと思います。ですから、従来とは違って、非常にそういう面では日本の原子力を進める上における機構そのものも整備しているんじゃないか。  問題はやはり最後の国民の、住民の理解を得る努力でございますけれども、これに関しましては、やはり引き続き従来以上にエネルギッシュに、しかも絶えず対話等を通じまして理解を深めていくということが大変重要だと思います。  その三本が相拮抗してまいりますれば、必ず日本は原子力に対しましてもっと進み得るんじゃなかろうか。幸い、アンケート等をとってみますと、国民のこれに対する支持率が非常に高まってきております。もう昔の比ではございませんですね。たしか七、八〇%になっているはずですけれども、大変な支持率になってきているように記憶——あるいは数字は少し違っているかもしれませんけれども、そういう感じがいたしておりますので、もう一歩みんなで努力すれば進み得るのじゃなかろうかという感じがいたします。
  100. 中井洽

    ○中井委員 どうも大変失礼なんですが、三分の一ぐらいわからないものでありますが、大体理解をさせていただいて先へ進みます。  六十年に原子力で三千万キロワットに持っていくんだ、こういう計画でございますが、現在各地で原子力発電というのは立地の段階で住民の御理解が得られないという形でずいぶんとまっているのがございます。そういったところの原子力発電所が順調につくられておったら三千万キロワットに六十年でなる、こういう計算なんですか、あるいはいまトラブルがあってなかなか電調審まで上がってこない、そういったものを除いてこの三千万キロワットにできるとお考えなんですか。それとも、ペーパー上原子力というものをここまでしていかなければならないんだとしてあるのですか。どちらでございますか。
  101. 森山信吾

    森山(信)政府委員 お尋ねの昭和六十年におきます見通しが三千万キロワットでございまして、私ども計算でまいりますと、電調審を通りまして現在着工中のものが七基、それからまだ着工しておりませんけれども、電調審は通っておるというものが七基ございますので、それを合わせますと二千八百万キロ程度になるのではないかということでございます。この三千万キロワットの六十年の目標は二千八百万ないし三千万という幅をもった数字でございまして、ここに掲げておりますのはその上限の方を出しておるわけでございます。ただ、二千八百万キロワットのときと三千万キロワットのときの操業率の問題あるいはキロワットアワーの計算ということになりますと、先ほど申し上げました数字で整合性はとれておるということでございます。
  102. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、私は余り専門家じゃないものですからもう一度確認をさせていただきますが、いまの状態で原子力発電の開発がいけば六十年のこの見通しは達成できる、こういうことですね。操業率も含んで達成できる、こういうことでございますね。
  103. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いまお答え申し上げました二千八百万ないし三千万と言った場合の計画上の三千万と若干違うじゃないか、こういう御指摘がよくあるわけでございますけれども、それはキロワットアワーの調整で達成できます、こういうふうに申し上げたわけでございますが、ただ問題は、先ほどお答えいたしました電調審を通りまして現在着工中のものあるいはまだ着工できてないものが七基ございますから、そういったものの竣工が予定どおり完成したという前提に立っての数字でございますから、確かに御指摘のとおり、現在進行中の七基プラス未着工の分の七基、これらの完成について相当な努力を払わなくちゃならぬ、こういう前提があるわけでございます。  つまり、先ほど来申し上げております三千万キロワットの目標というものは、現在電調審を通ったものをベースにして計算をはじいたわけでございますから、電調審を通ったものが必ずしもスムーズに完成されるかどうかにつきましては、若干の疑問なしとしないところもございますので、私どもは全力を挙げまして、電調審を通過したものについての完成に最大の努力を払わなくちゃならぬ、こういうことを申し上げた次第でございます。
  104. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、この六十五年に書いてあります五千三百万キロワットの原子力数字というものは、何を基準として、どういうものを基礎として、見通しとして数字を立てられたわけでありますか。
  105. 森山信吾

    森山(信)政府委員 六十五年と七十年の数字につきましては、これは将来の問題でございますから、電調審を通ったものという前提は立てられないわけでございます。したがいまして、私ども電気事業審議会の方で電源の開発につきましての中間答申をいただいておりまして、いま申し上げました中間答申に基づく電源開発計画というものをベースにはじきますとこういった数字になるということでございまして、ベース電気事業審議会の中間報告ということがベースになっております。
  106. 中井洽

    ○中井委員 大臣にお尋ねをいたしますが、六十五年あるいは七十年の需給暫定見通し数字が変わることもあるし、いろいろありましょうけれども、たとえば原子力なら原子力の項に関してこういう数字を達成するために最大限努力をしていくのだ、政府はこれに対して最大限力を注いでいくのだ、こういうつもりであると理解してよろしゅうございますか。
  107. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 そのとおりに理解していただければ大変ありがたいと存じます。
  108. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。  それでは次に移ります。  そういうエネルギー対策の一つの大きな手段として、やはり省エネルギー対策というものに取り組んでいかなければならない、このように考えるわけであります。しかし、一般国民の立場から見ておりますと、たとえば昭和四十八年のオイルショックのときにもにわかに省エネルギー対策ということが言われて、深夜テレビはやめようとか電灯は小まめに消そうとかいろいろな話が出てまいりました。今回また深夜テレビはやめようとか深夜スナックの営業は控えたらどうかとか電気は小まめに消せとか、何かそういう形でムード的に呼びかけがある。それはそれで国民のエネルギー節約ということで本当に考えなければいけないのでありましょうけれども、私は何か根本的なエネルギー対策と違うような感じがあるわけであります。通産省は通産省で技術開発やらあるいは中小企業の融資等、そういった面で省エネルギー対策というものをお考えになっているようでありますが、世間一般から見ると、何かオイルショックが来たときだけ国民に節約してください節約してくださいと呼びかける、一年たつとすぐ忘れてしまう、そういった感じがありありとあるわけであります。本当に省エネルギー対策、たとえば深夜のスナックならスナックをやめればこれだけエネルギーというものが節約できるのだ、そのかわりそれをやめた人たちに対してはこういう形で補償するのだというはっきりとした方針といったものを立ててやっていく、そういったことが必要だと思うのでありますが、そういった政府の省エネルギー対策のあり方ということについてひとつお考えをいただきたいと思います。
  109. 森山信吾

    森山(信)政府委員 省エネルギーにつきましての考え方は、現在二通りあるのではないかと思います。一つはいま先生が御指摘になりましたように、一種の国民運動といたしましての省エネルギー運動でございますが、もう一つは、やはり中長期に見ました省エネルギー対策というものが必要なのじゃないか、こういう感じはいたしております。  国民運動的なものとしましては昨年五%の節約、さらにはことし七%の節約ということの呼びかけをいたしておりますが、これは私どもの期待といたしますと、先生指摘のとおりそういう省エネルギーというものが生活のパターンになるように気長に呼びかけていきたいという気持ちが一つございます。しかしながら、そこで期待されます省エネルギーは、一〇〇%達成いたしましても七%という問題がございます。片やエネルギーの需要というものは今後も大変に増大が見込まれるわけでございますので、そういう面から考えますと、七%程度の省エネルギーではとても増大する石油需要に対応できないという問題がございますので、先ほど来先生のお示しの長期エネルギー需給暫定見通しによりますと、昭和六十年には一二二%の省エネルギーを達成したい、あるいは六十五年には一四・八%の省エネルギーを達成したい、こういう計画を持っているわけでございます。これを解決する手段といたしまして、昨年国会で成立させていただきましたエネルギーの使用の合理化に関する法律というのがございまして、これをベースにいたしまして私どもは中長期の省エネルギー対策に取り組みたいということでございました。これは御承知のように一般工場に対する措置あるいは建築物に対する措置あるいは機械器具等に対する措置、こういったものを含めまして、先ほどお答えいたしました国民運動的なものとリンクして先ほど申し上げた数字の省エネルギーを達成したい、こういう基本姿勢を持っている次第でございます。
  110. 中井洽

    ○中井委員 恒常的に中長期的な省エネルギー政策というものを追い求めていく、これはもう石油事情がよくなっても気を緩めることなしにやっていただかなければならないと思うのであります。  しかし私が申し上げたいのは、国民運動的な省エネルギーというものが、四十八年のときもそうでありますが、私はいつもちょっととんちんかんな感じがしてならないわけでございます。たとえば去年ですかおととしですか、通産大臣が着用された省エネルックとか、全くばかばかしいようなものが出てくるわけであります。本当に通産省があるいはエネルギー庁が国民の先頭に立って省エネルギーということをやっていただきたい、やらなければ大変なことになる、こういう運動をやられるなら通産省みずからも省エネルギーというものを、隗より始めよという言葉もありますが、お取り組みになるべきだと思います。通産省そのものがそれでは省エネルギーということを国民運動的な観点からどのようにおやりになっていらっしゃるのか。たとえば通産省自体だって、あるいは政府の中だって大変な乗用車を持っていらっしゃる。この乗用車を本当に回数を減らす、台数を減らすあるいはディーゼル車にかえていく、こういったことをやってこられておるのか。あるいは、自分で言うのもおかしいですが、たとえばこの委員会だって省エネルギーだと言いながら、ごうごうと電気がついて、大変なことであります。そういったことから、やはり自分たちから始める、そういった方向をまず打ち出すべきだと私は思うのであります。いつでも政府がお決めになると、通勤に車は遠慮してください、あるいは夜は早く寝てください、国民生活にしわ寄せを持ってくる、そういう省エネルギー対策しか出てこない、そこが私は非常に残念な気がするわけであります。そういった点について大臣のお考えを承りたいと思います。
  111. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように、古い言葉ではございますけれども、率先垂範と申しますか、みずからえりを正して国民にお願いするというのが当然のことだと思います。お話のようにまだ反省する点は多々あろうと思いますから、今後もみずから顧みて直すべきは直していくという進め方で進めたいと思います。  それから、お話のように、いわば目につくような消費の仕方、節約の仕方、これに対してはどうしてこう手ぬるく感ずるかと申しますと、私もどうも初めは不思議でございましたけれども、いろいろお話をお聞きしますと、いまの省エネルギーは、先ほどの中長期のように法律に基づいてやっていくのはいいのですけれども、そうでないのは需要面を法律の根拠もなしにただ節約してもらいたいという、いわばお願いをして、国民の良識に訴えて自発的な御協力をいただく、そういうていのものでございますから、考えようによっては大変手ぬるいような状況かと思います。ですから、場合によっては、罰則も何もないわけでございますので強制しようもないわけでございますけれども、ものによってはあるいは消費節約のための法律みたいなものが必要かもしれません。しかし、いまの状況では需給関係は御承知のようにそれほど心配をしておりませんので、一番極端な例でいきますと、供給面を縛れればそれは黙っておってもおのずから節約はできていくわけでございますけれども、その方は一切発動せぬことで進めておりますので、非常に手ぬるいように見えますけれども、やはりそういう際には国民運動というような一つの運動で国民の自発的な御協力をいただくという方法が一番最善かと思…まして、ただいまそういう方向で進めておる次第でございます。
  112. 中井洽

    ○中井委員 そういう国民運動を進めていただくのは結構でありますが、くどいようでありますが、人にだけ犠牲を払わして自分たちは余り省エネルギーに協力をしていない、そういうことじゃなしに、官公庁あるいは政治、行政、そういったところの立場の者がまず最初に省エネルギーというものを実行していく、そういった姿勢で国民運動というものにお取り組みをいただきたい、このようにお願いをいたしておきます。  経企庁長官がお見えでございますので、物価のことで少しお尋ねをいたしたいと思います。  卸売物価が前年比二〇%上がるというような大変な物価上昇の危険性というものがある状態であります。その中で各種公共料金値上げ申請というものがメジロ押しになっております。過日、公定歩合が物価対策ということで引き上げられたことにも見られるように、大変物価の面が懸念をされるわけであります。  まず最初に、このままでいきましたら、昭和五十四年度内政府御計画の四・七%という物価上昇見通し、これは達成可能とお考えでございますか。
  113. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 お答えいたします。  おっしゃるとおり原油高、それから海外からのいろいろ重要な物資の高騰、そこへ円安、こういういろいろの条件が重なり合いまして、海外からのいわゆる輸入インフレの波が大きく押し寄せていることは御指摘のとおりであります。われわれといたしましては、それを何とかして食いとめて、ホームメードインフレに発展させないように、これに全力を尽くしております。  政府は、総合的な物価対策を昨年の十一月二十七日に決めまして、いまはそれを着実に実行する、厳しく実行する、こういう段階でございます。  財政の面では、来年度の予算、本年度の年度末の予算について国債の減額を行っておる、それから公共事業について五%の保留を実行した、こういう面がございました。また、金融の面におきましても、いまお話のように公定歩合を、来年度予算審議の過程でございましたけれどもあえてこれを実行した。私はこの英断に対し、金融当局に心から敬意を表しておるわけでございます。しかし、実行されたばかりでまだ金利の調整も済んでおりませんので、円レート等はなかなか期待どおりに至っておりませんけれども、私は、こういうことにはまだしばらく情勢をよく見ていくべきだという期待を込めて今回の措置を高く評価しておるわけでございます。  なおそのほかに、個別の物資対策、これは通産当局がいま申し上げた原油あるいはその他の重要な物資、これらにつきましていわゆる中間製品、完成品、消費者物価への波及という点を厳しく調査、監視をされて、必要に応じて備蓄の放出というふうな手段も講じよう、こういうふうな態度をとっておられるわけでございますし、私はそれに大きく期待をいたしております。また、農林水産省におかれては、野菜価格等について、これは春野菜の繰り上げ出荷、あるいは契約栽培のものをこの際出荷奨励する、あるいは海外からの輸入を増加する、あらゆる手を打ってやっております。  そこで、一部に、この一月の消費者物価、二月の最近の状況等から、もう七%ぐらいあるいはそれ以上じゃないか、こういうふうな御指摘予算委員会等でもございましたが、これは瞬間風速というやつでございまして、年度全体としては私は当初の目標、すなわちこれは四・九であったのですが、それよりも内輪の四・七%を何とかして守り通せる、また通さなければならぬ、こういう基本的な考え方で、各省庁また各方面の一致した努力をお願いしておるわけでございます。
  114. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、五十四年度内の四・七という目標に向かっていまの体制の中で十分対処をしていく、そして実現可能だ、このように確信をしておられるということでございますね。
  115. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 そのとおり御理解をいただきたいと思います。
  116. 中井洽

    ○中井委員 五十五年度の物価、政府の計画では六・四%以内にとどめるということでありますけれども、いまのお話にもございましたように、円安の傾向あるいは公共料金値上がり、あるいはいま現在行われておる卸売物価の高騰なんかは、私はかなり先取りをした値上げも行われているのじゃないか、こんな気がするわけでありますが、これから各種公共料金値上がりが続いた後の値上げ、それがひいては消費者物価にはね返ってくる、こういった状況を考えますと、六・四%ぐらいで本当にとまるのかといったことを非常に心配するわけであります。いまちょうど春闘のシーズンであります。まじめに働いている労働者たちが物価高、物価の上昇というものを、政府の見通しというものもある程度信用しながら、大半がまあまあ八%という非常に穏健な形での要求を掲げていまやっているわけであります。この見通しが狂うということになれば本当に大変なことになると私は考えます。  そういった観点から、経企庁長官として、まあ早いのでありますが、六・四%というものは可能だ、あるいはまた可能にしていくためにこれからどういう対策をとっていくのだ、その点についてお聞きをしたいと思います。
  117. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 御指摘のように、来年度の経済運営の基本的な問題は物価の安定を図っていくことであることは、総理を初め各閣僚ともにたびたび申し上げておるところであり、私はその物価担当の重責を担いまして、ただいま御指摘の点については非常に御心配をかけ、また御協力を願わなければならぬ立場から厚く御礼を申し上げたいと思うのですが、私どもは物価を安定させることが経済安定成長の一番基盤であるという認識から、先ほどの公定歩合の引き上げ、また財政の健全な姿への再建の措置、こういうことをやっておるわけでございまして、いま御指摘のように卸売物価がだんだんと消費者物価に波及してくるではないか、また公共料金値上げがメジロ押しではないか、そういうふうな点については確かに本年度に比べまして来年度は一層厳しい情勢にあることは御指摘のとおりだと思います。しかし、私どもはそういう問題を克服して、いま申し上げたように何とかこの目標を達成し、経済の着実な、また堅実な発展を図っていかなければならぬ、また雇用問題を解決していかなければならぬというふうに考えまして、いま努力をいたしております。  そこで一四・七に対して六・四は若干高目でございます。それは仰せのとおり、本年度の後遺症といいましょうか、だんだん波及してくるものあるいは公共料金値上げ等を織り込みますと、この辺はまあある程度御勘弁を願わなければならぬ目標値になっておるわけであります。昨日、宮田委員からも新経済社会七カ年計画では五%と言っておるじゃないか、ああいうのはできないかというふうな御指摘もございました。この点は、いま申し上げたような思わざる原油の騰貴等がございましたので、来年度については若干高い率で見通しを立てたわけでございますが、それではそれはどうかという点については、われわれは予算関連の公共料金等についても、各省庁に御協力をいただきまして、ぎりぎりのところへ上げ幅それから実施時期等について調節をいたしまして、その方のCPIへの影響は〇・八ぐらいというふうな想定をいまいたしております。これから一番大事な電力、ガス等の問題になりますけれども、これまたただいま通産当局が厳しく原価主義の基本方針のもとにいろいろと御検討を加えておられるわけであります。やがて私どもの方に御協議がありますれば、物価安定政策会議等にも意見を聞きまして、また国会の御意見、これを大いに貴重な参考といたしまして、エネルギーの安定的供給の確保、しかも物価、国民生活、その他の企業への影響という各般の点をにらみ合わせて、十分妥当な結論に持っていきたい、かように考えて努力をいたしておるわけでございます。
  118. 中井洽

    ○中井委員 いまお話のございました電力、ガス、これらの値上げにつきまして、通産大臣の所信表明の中で「原価主義の原則に立って」云々という言葉がございます。それと同時に、新聞等を見ますと、昨今の物価の急上昇、こういったものを危惧して政策的にかなり削っていく、こういう話等も伝わっております。また、いまの経企庁長官お話もございましたように、国民生活の面、こういったものも加味をされて判断をしていく、こういうお話もございます。そういった中で、本当に原価主義でいくのか、逆に、電力会社の苦しさというものはわかるけれども、この際思い切って政策的に政府が抑え込もうとしていく、こういうように考えておるのか、その点でお返事をいただきたいと思います。
  119. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 午前中にも同じような御答弁を申し上げて恐縮でございますけれども電力あるいはガスの料金値上げという問題は、与える影響が産業のみならず、民生一般に関しまして非常に重大でもあり、また深刻な問題だということはよくわかっております。したがいまして、物価が上昇しないように、影響をなるべく少なくするように、できるだけ圧縮してという考え方に別に変わりはございません。しかしながら、それではとことんまで何でも削ればいいかというと、そういうわけにもいきませんので、やはりいま日本の置かれましたエネルギー政策、先ほど来るる御質問、御指示がございましたが、何と言ってもこれから日本が生きていくためには、未来永劫油に頼っていくこともできませんので、少なくとももう五、六年の間にこれに対する対策というものを十分整えて、そして油が枯渇しても日本経済は拡大あるいは維持できていくという経済的な安全保障を確立するためには、どうしたっていまの石油火力から原子力なりLNGなり石炭なりに切りかえていかなければならぬ。切りかえる道を、査定して予算を立ててみましても膨大な金になるわけでありまして、だれがやるかと言いまして、これは電力会社そのものがやっていくわけでございますから、電力会社自体がそれをやる能力がなければ日本のエネルギー政策は立っていくわけはございません。ですから、どうしてもそういうエネルギー政策を日本の将来のために確立し、遂行していこうとすればするほど、電力会社あるいはガス会社の経営の基礎というものを確実にしていかなければいかぬという二律背反的な要求があるわけでございまして、そのいずれをとるやと言っても、いずれもこれは重要な問題でございますから、片方をとって片方を犠牲にしていいかというと、そうはまいりません。そういう両面を踏まえまして、と言って会社が地域独占にかまけて経営努力というものを忘れておったのでは問題になりませんから、あくまでも経営の合理化というものに対してどれほどの真剣さを持ってやっていたかという点を前提にいたしまして、そして法律原価主義あるいは公平主義というものは認められておりますから、これに違反するわけにまいりません。ですからこの原価主義にのっとりまして、公正、厳正に査定してまいりたい、そういうことでせっかくいまヒヤリングとかあるいは公聴会等を通じまして査定に入る段階になっております。
  120. 中井洽

    ○中井委員 大臣のお話が出たついでにお尋ねするわけでありますが、電力、ガス等の値上げ申請の場合に行われます公聴会でありますが、新聞等を見ますと、このごろはずいぶん独自の説明会あるいは消費者団体が主催する説明会へ電力、ガス各社が出ていって説明をしておる。私は、これはこれで結構であろうと思うのでありますが、法律で決められた公聴会そのものが逆に言えば形骸化をしておる、こういうおそれが、あるのではないかと思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  121. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私もその点心配だったものですから、着任早々、どういうやり方をしているんだということで詳しく仕組みを聞いてみました。大変これは苦心した仕組みでございまして、しかも意見を持っている皆さんの意見を粗漏に扱うなんという仕組みには決してなっておりません。  ちなみに、公聴会の仕組みを私よりも担当官から御説明申し上げますので、御理解いただきたいと思います。
  122. 森山信吾

    森山(信)政府委員 公聴会は電気またはガスの供給規程の改定認可をする際に行うものでございまして、これは法律に基づくものでございます。そこで、私どもは賛否それぞれの立場からの陳述を得たいということを目的にいたしまして広く公募しておるわけでございまして、それぞれ陳述人あるいは傍聴人と両方の立場の申し込みがございます。これを厳正に抽せんいたしまして行っておるわけでございますから、決して形骸化が行われておるというふうには考えていないわけでございます。  それからいま先生指摘のございました、企業が説明会をやっておるではないか。これは私どもの立場といたしますと、国の行います公聴会と別個に、広く国民の皆様方に理解をしていただくためにはそういう制度も必要ではないかということでございまして、会社説明会を開いていただいているわけでございますが、できるだけ私どももその説明会には参加をさせていただいて、実質的に公聴会にかわるものを広く行うことがより皆様方の御意見を反映することになるのではないか、こういう気持ちで取り組んでおる次第でございます。
  123. 中井洽

    ○中井委員 経企庁長官にお尋ねをいたしますが、大変余談で恐縮なんですが、電力、ガスの値上げということに関してはそういう形で法律で公聴会がやられる、あるいはまた説明会等も盛んに行われる。いま森山さんからお答えがありましたように、大いにそれはやってもらうべきだ、こういうことであります。たとえば同じ、このころは法定制が外れております国鉄なんかの値上げに関して、こういった制度というものをお考えになられたことがありますか。あるいは経企庁長官として、国鉄なんかの値上げに関してこういった制度というものが必要であるとお考えではございませんか。
  124. 正示啓次郎

    ○正示国務大臣 御指摘のように民主的といいましょうか、ことに最近のように物価問題が国民各層から大変大きな関心を持たれておるときに、こういう方式、方式といいますか、これはもう大変大事な点だと心得ております。国鉄運賃あるいは私鉄、バスの運賃、これらにつきましても私は公聴会が開かれておるというふうに承知をいたしておりますが、調べてみますと、たとえば国鉄につきましては運輸審議会が必要と認めた場合、こういう規定がございまして、これは運輸省設置法第十六条かと思います。これは、最近としては五十四年四月十二、十三日に公聴会が開かれておるようでございます。それから私鉄、バスにつきましても運輸審議会が必要と認める場合というようなことで、大手の民鉄あるいは六大都市のバスについて開催された事例があるようでございますが、私どもはできるだけこういう機会に本当に利用者のきめ細かな御意見を拝聴して、せっかく国鉄の再建を図っていくためにはそういう御意見を十分取り入れるべきである、こういう考えを持っております。
  125. 中井洽

    ○中井委員 時間がございませんので……。  私は国鉄のおっしゃる公聴会はちょっと電力、ガスの公聴会と違う、このように理解をいたしております。そういった意味で違うお答えをいただいたような気がいたしますが、それならばついでに、経企庁長官として、たとえば国鉄やたばこの値上げ、これに対しても御意見をおっしゃる立場であろうと私は思います。電力、ガス値上げについて本会議等あるいは各委員会の御質疑を聞いておりますと、いま通産大臣の御答弁があったような形でまあまあ認められようとしておる。その前提条件として経営の合理化、効率化というものを強く求めていくんだ、こういうお話がございます。先ほどの省エネルギーと同じでございます。電力、ガス、民間企業で私はそれなりの努力もされておる、このように考えております。しかし公社、こういったところの立場の値上げについてもっと厳しく政府内から経営合理化の姿勢というもの、声というものを上げていかれるべきだ。世間では何と言っても国鉄なんかの放漫経営、これに対する憤りというものは本当に激しいものがございます。一番行政改革が必要とされておる国が、民間企業に経営の合理化をせいなんということを言う前に、みずから自分たちの内部に向かって経営合理化、こういった声を物価担当の大臣としてぜひ上げていただきたい、このことを要望いたしまして、次の質問に移らしていただきます。  かねてから新聞等で大変話題となっておりますアセスメント法について通産大臣にお尋ねをしたいと思います。  この法案が話題となってからもうすでに五年であります。この五年の間に政府間の調整あるいは自民党サイドの調整がつかずに、国会へ提出されることなしに今日まで来たわけでございます。今回も、私どもは外から見ておりますとなかなかむずかしい情勢であった、このように考えておりましたところ、十八日前後ですか、そのころから急に何か法案を提出するという前提での環境庁あるいは通産省等政府内部の調整というものが始められた、このように聞いておるわけでありますが、通産大臣、今回この法案が、提出ということを前提に環境庁と通産省とで話し合いが始まっておる、このように理解してよろしゅうございますか。
  126. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 御承知のように一省あるいは一庁で法案を提出する際には関係各省に事前にお諮りして、そして調整をとって、その上で自民党の方にも諮り、法案を提出するいうのが従来のパターンでございます。そういう意味におきまして、環境庁の方からアセスメント法案を提出したいのでひとつ協議、検討をお願いしたいというお話がございましたので、私の方といたしましてはいままで法制化するということ自体に大変深い疑義を持っておったのですけれども、いまお話の、先般の予算委員会で総理大臣から御答弁もこれあり、その意も体してそれでは検討に入ろうということで、ただいま環境庁からの説明を聞きまして、そして問題を整理しているところでございます。
  127. 中井洽

    ○中井委員 どんなところに通産当局としてこのアセスメント法は問題があるとお考えでございますか。
  128. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 私は毎日国会に来ていますので、両省の詰める濃度といいますか、あるいは問題点がどういうところにあるかまだ詳しく聞いていません。あるいは私から逆に指示をしたりということになりますと、担当官自体もあれでしょうから、むしろわが方にはわが方の従来の考え方がありましょうし、環境庁には環境庁の考え方もあるだろうと思いますから、その問題点を詰めさしているところでございます。
  129. 中井洽

    ○中井委員 私は公害の方の特別委員もやっておりますので、通産当局の方のお考えよくわかっております。何回も、三年同じことを聞かしていただいております。通産大臣のお考えを聞くのはめったにないことでございます。まことに恐れ入りますが、おわかりの範囲で結構でございます。どことどこにいま環境庁の考えているアセス法というのは問題がある、このようにお考えか。
  130. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 きのうこの商工委員会お話申し上げたのですが、まず一つは、私自体の考えでございますけれども、アセスメント自体に対する技術的な手法あるいは評価基準というものが整備されてないのじゃないか。物によっては大変整備したものもございます。しかし物によってはまだ非常にはっきりしないものもあると思います。その間大変濃淡が多いように見られます。  一つの例を挙げますと、きのうは温排水の例を挙げたのですけれども、火力発電をやる場合温排水が問題になる。そこで、温排水の物理的な拡散の状況等はわかります。わかりますけれども、それではそれが生態系にどういうふうな反応を示すかといったようなことに対しましては、私はまだまだ手法も標準もできていないと思います。たとえば温度はどのくらいのときはどういう反応を示すか、流れがこのくらいのときはどういう反応を示すかという問題、少し応用問題になってきますとどうにもならぬ。そういう問題がもし未解決のままに法律化した場合に、一体法律等にはどういうふうにそれを盛るだろうか、どういう解決をしていくだろうかという点が非常に疑念なものですから、むしろそういう問題に関しましては従来のような行政的な一つの運営でやった方がよいのじゃなかろうかという実は感じがしています。法制化というのは非常にむずかしいのではなかろうかという感じがいたしますので、それをいま、提案者は環境庁でございますから、環境庁からひとつよく聞いて、そして疑問は疑問として出してお互いに検討してみなさい、こういうことにしています。この点が一つでございます。  それからもう一つは、こういう問題の解決に対する住民の参加の仕方等が大変——先ほど来公聴会のお話がございまして、それぞれの分野ではみんな公聴会あるいは説明会等で従来とも進めておるわけですけれども、私は原子力関係でこういう面では大変苦労いたしました。公聴会が開けないような場合もしばしばあるわけでございます。あるいは委員が行って殴られたとか、大変いろいろな経験がございますので、そういう紛争の解決に役立つような住民参加の方式というものはどういう方式が一番よろしいか、それもひとつよく環境庁の意見を聞いて、そして調整するものがあったら調整したらどうでしょうかといったようなこととか、いろいろそういうことが問題になってくるのではなかろうかと思っています。
  131. 中井洽

    ○中井委員 数年間通産当局がこの法案に対しておっしゃってこられた点を大体お述べになったと私は思います。しかし、この法案のことでもう五年間、新聞あるいは論評、私ども野党が言う、そしてそのたびに逆に通産当局は悪者になっていく。通産がつぶした、こういう形で理解をされる。それが逆に住民運動等に悪影響が出てきていないか、このことを心配いたします。いま、アセスメントを実施するための手法、技術などが確立されていないというお話がございましたけれども、それじゃへ理屈を言うわけでありますが、通産が行政指導としておやりになっていらっしゃるいろいろな原発やら火力発電のアセスメントは技術、手法というものがきちっと確立されているのかといったら、それだって確立されていないのであります。通産の行政指導としてやっていることはいいので、環境庁のやるものは科学的に確立されていないからだめだ、そんなのはちょっとだれも納得のいかない理由であろうと私は思います。  住民参加の問題にしても、これは日本の国民全体の成熟度の問題もあろうかと思う。それは私どもだってああいう参加の仕方、公聴会やいろいろな会が暴力ざたで踏みにじられておる、大変けしからぬことだと考えております。しかし、それだからといって、一部にそういう動きがあるからといってそれを避けてしまう。避けてしまって、法律じゃなしにとにかく通産が行政指導でやっているいまの形がいいのだということでいつまでも押し通していいものかどうか、私はそのことを心配するわけでございます。  これから調整が始まりますが、大臣として、いままでのようにつぶすための検討じゃなしに、どういう形であろうと極力法案として出すために通産当局に環境庁と検討せよ、こういう形でお命じになる、このことをどうぞひとつお約束いただきたいと思うのですが、いかがですか。
  132. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 全くそのとおりの素直な気持ちでいま指示して、検討に入らせております。
  133. 中井洽

    ○中井委員 立地公害局長さんお見えでございますが、いまの大臣のお話を聞いていかがでございますか。
  134. 島田春樹

    ○島田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣から御答弁ございましたが、事務当局といたしましても現在環境庁と鋭意検討をやっておるわけでございます。今後とも誠心誠意検討してまいりたいと思います。
  135. 中井洽

    ○中井委員 局長さん、くどいようでありますが、最大限法案を出すための検討をする、このことを大臣としてはお約束いただいたように私は思います。通産当局としてそういった形で環境庁と検討する、このことをもう一度お約束いただきたいと思います。
  136. 島田春樹

    ○島田政府委員 もちろん環境庁の方から法案を提出したいという前提でこちらに御相談があるわけでございますから、その環境庁の御意見を承りまして、私どもの方としてもいろいろ議論はございますが、検討してまいりたい、こういうことでございます。
  137. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  138. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて中井洽君の質疑は終わりました。  引き続いて中川嘉美君。
  139. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私は、まず中小企業の対策に関連いたしまして若干の御質問をしたいと思います。  昭和五十四年四月二十四日の閣議で了承された中小企業白書、この中の「中小企業の一層の発展のために」、すなわち中小企業が厳しい経済環境を切り抜けていくために次の四点が挙げられているわけであります。それを見てみますと、多様化する消費者ニーズに多品種、少量生産で対応する。第二点としては、経済の国際化に合わせて輸出市場の多角化、海外投資などを進める。第三点として、地域社会の発展のため経済、社会的役割りを担う。第四点が働きがいのある職場を国民に提供する。このように四点が挙げられているわけですけれども、これらの点に対して政府としては具体的にどのような取り組みを今日まで見せてきたのか、個々の対策をどのように進めてこられたのか、まずこの辺をめぐって御答弁をいただきたいと思います。
  140. 左近友三郎

    ○左近政府委員 いま御指摘のように、昨年の中小企業白書で四点の問題点を挙げております。われわれとしては、中小企業白書をまとめるに当たってそういう点を非常に痛感したわけでございます。したがいまして、それにつきましては五十五年度予算でこれに対する対応策を整備していこうということで、昨年の八月末に大蔵省に予算要求をしたわけでございます。その内容につきまして、ことに年末の予算の折衝で認められまして現在当院で御審議願っております予算案に載っておるものについて御説明をいたしたいと思います。  まず第一点の国民ニーズの多様化に対応するという問題につきましては、やはり国民ニーズが非常に多様化しておるということから、人材の養成あるいは技術の開発ということでいろいろなニーズに的確に対応することが必要であろうということで、まず第一にはそういうソフトな経営資源を充実する、人材養成をするという意味で中小企業大学校というものをつくろうということでございます。これは、従来中小企業振興事業団にございました中小企業の研修所を拡大、発展いたしまして、こういうものをつくって中小企業の方々に十分に勉強していただく、また後継者の方々の教育をいたしたいというふうに考えております。  第二点は、中小企業の技術アドバイザー制度の創設というのがございますが、これは、中小企業の技術を発展させるために、各府県にございます公設の試験研究所に、民間で技術について非常に熟達しておる方、たとえば大学の先生とか大企業を定年退職した方、こういう方々をいわば嘱託にお願いいたしまして、そうして中小企業の相談に応ずるという制度を新設することにいたしております。  それから技術改善費補助金、中小企業が技術改善をする場合の補助金制度がございますが、従来は程度の高い技術に対する補助金ということでございましたが、改良というふうな程度の簡易な技術改善についても定額の補助をできるようにするというようなことを考えております。  そのほか、情報を豊富に供給するという意味において、各県に中小企業の情報を集中的に扱う地域情報センターをふやしていくということも考えております。これは五十四年度から実施しておりますが、さらにこれを増加させていくということでございます。  商業についても、商店街の近代化というふうな施策を充実することを考えておるわけでございます。  第二点の国際経済環境への対応ということでございますが、円高の時代には円高に対する対策法をつくりまして、円高緊急融資等をやってまいったわけでございますが、その後の環境変化に対処するために、昨年の国会で御審議、決定していただきました産地中小企業対策臨時措置法を活用いたしまして、かつ各輸出産地が国際情勢の変化に対応した活路を切り開くことに対する助成の道を講ずることにいたしておりまして、五十四年度は七十七カ所の産地を指定いたしましたが、五十五年度はさらに百十カ所の産地を指定しようということを現在検討しているわけでございます。  それから海外投資については、ジェトロに現在いろいろ情報提供をお願いしておりますので、これを拡充をしていきたいというふうに考えております。  それから第三の、地域経済の変化に対する対応ということにつきましては、特定不況地域の臨時対策法を一昨年制定していただきまして、構造不況に悩む地域に対する対策を実施しておるわけでございますが、さらに来年度の予算については、地場産業の振興対策費というのを追加いたしまして、まだ産地を形成するに至らない地場産業についても、各県の協力を得てそれを調査し、それに対する振興策を練っていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それから第四点の、雇用情勢の変化に対処するということにつきましては、若手後継者の育成あるいは中小企業の従業員の資質向上のための海外研修事業あるいは先ほど申しました中小企業振興事業団の研修事業というようなものを実施しておりますが、さらに労働省においてもいろいろな対策を講じておられますので、労働省とよく提携をしながら実施していきたいというように考えておるわけでございます。
  141. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 いま御答弁をいただいたわけですけれども、こういったことは中小企業がこの厳しい経済環境を切り抜けるための施策として掲げられているわけですので、ひとつその点を十分踏まえての御努力を願いたいと思います。  ここで、最近の中小企業の現状について若干伺いたいと思います。  製造業について見るならば、生産水準は大企業、中小企業ともに過去の最高のピーク時、四十九年ですけれども、これを上回って上昇傾向に入っている、こういうことであります。     〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕 しかしながら、大企業の生産水準の回復の度合いに比べて中小企業の方は低い回復でしかない。さらに、中小企業庁試算の規模別の生産指数でいきますと、業種別で見た場合に、一般機械あるいは電気機械、精密機械等は大幅に生産の上昇が見られる反面、金属製品あるいは輸送機械、窯業・土石、石油・石炭製品あるいは繊維、木材・木製品等について見ると、過去の水準に達しないほど低迷をしているのが実情である、こういうことであるわけです。  いま申し上げた規模別の工業生産指数で見ますと、二、三例を挙げてみますけれども、五十四年の十一月を例にとってみても、五十年を一〇〇としまして、輸送機械について見ると一〇二・六、石油あるいは石炭製品は一〇七・六、繊維が一〇六・四、木材とか木製品が一〇五・一、こういったぐあいに、過去の水準に達しないほどの低迷と、さっき私が言ったとおりの実数が出ているわけです。中小企業全体の生産水準が上がってきているとはいうものの、このような業種間の格差が存在するということは、中小企業の厳しい現状というものを端的に物語っているのじゃないかと私は考えるのですけれども、これらの問題に対する政府の見解をここで伺っておきたいと思います。
  142. 左近友三郎

    ○左近政府委員 中小企業全体につきましては、過去の最高の水準を上回っておるということでございますが、金属製品とか輸送機械、窯業・土石、石油・石炭製品あるいは木材・木製品、繊維というようなものにつきましては御指摘のとおりでございまして、まだ過去の最高ピークには達してないということでございます。中小企業というのは非常に数も多いし、業種も多いものでございますから、マクロで考えるときと個々業種別に考えるときと相当違ってくる。ことにこういう時代になってまいりまして、石油を初めいろいろな原材料価格上昇ということになりますと、これの上昇の影響も業種によって異なってまいります。それからまた、たとえば輸送機械は先ほど御指摘のとおり全体としては過去の最高ピークにいっていないのですが、これをまた船舶を抜きますと自動車が中心になりますので過去の水準より高まるというふうに、非常に細かく上下がございます。したがって、われわれとしてはマクロの対策だけでは不十分であって、個々の業種の内容を見ながら対策を進めていきたいということでございます。ことに最近のように原燃料価格上昇が非常に利益率の低下を来しておりますので、われわれといたしましてはマクロの対策のほかに、業種ごとにもいろいろ検討を進めたいということで、そういう点からも、先ほど申しましたように業種ごと、産地ごとの対策を進めていきたいということで、細かい対策の中心を、産地ごとの対策をこれから推し進めていきたいというふうに考えているところでございます。
  143. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 生産水準の回復がおくれている業種にとっては、最近の経済環境というものは不安材料ばかりである。これら中小企業の先行き不安に対しての政府の対策、いま御答弁をいただいたわけですが、やはりこういったことは常に抽象的に取り扱われるのではなくして、ただいまの御答弁等に沿った業種別に具体的な対策が講じられていかなければならない、この点をひとつこの際、強く要望をしておきたいと思います。  次に、景気の先行きが懸念される中で、中小企業の倒産が昨年の秋以来増加傾向にあるわけです。本年一月の倒産件数を見ますと一千百八十八件、前月より減ってはいるものの、前年同月比を見ると、昨年の八月から六カ月間ずっと連続で上回っているというのが実態であるわけです。このように倒産が増加傾向に入っている原因について、政府はどのように考えておられるのか、御説明をいただきたいと思います。
  144. 左近友三郎

    ○左近政府委員 中小企業の倒産が五十三年度は五十二年度に比しまして少なくなりましたが、五十四年度はまた多くなりまして、暦年で申しますと五十二年が最高でございましたが、五十四年が史上第二位という件数になっております。  その原因でございますが、例の第一次石油ショック以後一昨年までの不況の影響、それから円高の影響ということで、中小企業も非常に苦しい経営を続けてまいりました。その傷が、その後いろいろカバーをしておったけれども、最近に至って持ちこたえられなくなったということが倒産の大きな原因だと思いますが、そのことは、一つはやはり昨年を通じて金融引き締めをだんだん進めてまいったことが影響をしておると思います。  また最近憂慮されますのは、石油価格引き上げあるいは円安傾向ということで、原材料価格が急激に高騰いたしております。しかもこれに対して、中小企業は力が弱いためになかなかそれを製品価格へ転嫁ができないということがございますので、こういう点で倒産がだんだんふえてきたのではなかろうかということを考えておりますが、この点については今後十分対策を講じていかなければいけないというふうに考えているところでございます。
  145. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 このままでいきますと二月、三月、これは前年の手形決済の集中によって、三月危機とまで言われるように倒産の増大というものが懸念されるわけで、政府はこの際倒産防止対策、こういったものを強力に講じる必要があるのじゃないかと考えるわけですが、この点についてどのような措置を講じられるか、具体的な御説明をいただければと思います。
  146. 左近友三郎

    ○左近政府委員 現在講じております倒産防止策につきましては、まず第一に政府系の中小企業の金融機関によります中小企業倒産対策緊急融資制度というのがございまして、これについては倒産の問題が起こりますと緊急に従来の一般の枠を超えて融資をする、必要があれば低利融資をするという制度がございますので、これを活用しておるわけでございます。  それから同時に、金を借りる際に担保がないということで借りられないというような点がございますので、これは例の倒産関連保証というものを、信用保証協会による特別保証制度というものを講じておるわけでございます。  それから、これは倒産に瀕した場合にということじゃなくて、平生から倒産に備えるということで中小企業倒産防止共済制度というのがございますので、これを皆さんにひとつ加入をしてもらうということを考えております。  そのほか、個々の企業が倒産に瀕するというときに、やはり最寄りの商工会議所で相談に乗るということを五十四年度から始めまして、現在、全国の主要な商工会議所七十四カ所に倒産防止特別相談室というのがございまして、そこにいけばいろいろな相談に乗って、できるだけ倒産を回避するようなことを指導するということをやっております。  以上のような点でございますが、さらに来年度につきましては、このような制度をさらに拡充するということで、たとえば倒産対策緊急融資制度も恒久的な制度にして備えるということ、それからいわゆる信用保証協会の枠も付保額を引き上げるというようなこと、それから倒産防止共済制度につきましても改正をいたしまして、貸し付けの限度をふやすというようなことを考えております。それから、倒産防止特別相談室も現在よりもずっと数をふやすというようなことを考えております。また、政府系の中小企業金融三機関の資金量も十分ふやしまして必要に応ずるようにいたしたいということで、金融を中心にいろいろな相談その他の制度を活用いたしまして、今後のふえるであろう倒産をなるべく未然に防ぐように努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  147. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 次に、公定歩合につきまして若干伺っておきたいと思います。  昨日、公定歩合の引き上げが行われたわけですけれども、通産省は今回の公定歩合の引き上げに対してどのような考え方を持っておられるか、大臣おられますので、大臣から一言御答弁をいただきたいと思います。
  148. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 今後の公定歩合の引き上げに関しましては、私ども考えますのに、物価が特に卸売物価を中心といたしまして非常な上昇速度をたどっておりますので、これに対して抑止措置をするというのがねらいだと思います。したがいまして、実効の上がることを祈念しておるわけでございますけれども、通産省側といたしましては、最近におきまして重要物資の需給あるいは価格動向といったようなものがどうなっているかということを、省内でそれぞれの担当官が集まりまして分析、監視をして、要すれば商品ごとに機動的な対策を実施していこう、こういう構えで進めておるところでございます。  そこで、お話の公定歩合の引き上げによって、できればこういうことのないようにということは、一つはせっかく民間の設備投資意欲が旺盛になって、それが国内景気上昇のてこになっているわけでございますから、せっかく伸びてきた景気回復の原動力が冷却しないように、できますれば長期資金等の面で格別な配慮が願えないものだろうかということ、もう一つは、何といっても、お話のように経営基盤の弱い中小企業にしわ寄せされますと大変でございますから、中小企業に対しましてはきめの細かい配慮をお願いできないものだろうか。同時に、上げてそのまま、情勢が変わってきても今度下げるのに対しては非常に渋るということでは困りますので、情勢の変化に応じて弾力的な公定歩合の操作をしてもらいたいというふうな、三つぐらいの希望を持ってそれぞれのところにお願いするものはお願いし、指導するものは指導しつつございます。
  149. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 お答えいただいたわけですけれども、景気の先行きそのものは至って暗いわけで、ただでさえ景気の頭打ちが心配される中で一段の引き締め強化が産業界の活力を弱める、先行きの景気落ち込みを加速させるような事態になるということも実は明らかなわけで、景気と物価両にらみの機動的な政策運用に引き続いて、最大の努力を払うべきだと私は思うわけです。  いまいろいろと御答弁をいただいているわけですけれども、政府としてこういったところをにらみ合わせた施策は、もう少し具体的にどのような施策を講じるかということを、こういった背景を踏まえた御答弁をもう一度いただきたい。いまちょっと三点ばかりいただいたのですけれども、こういった背景を踏まえての御答弁を願いたいと思います。
  150. 宮本四郎

    ○宮本(四)政府委員 先ほどの大臣の答弁にもございますように、わが国の経済設備投資、個人消費、輸出の増加など、当面のところは着実な拡大傾向を持っておりますけれども、御存じのように物価について、消費者物価は安定しているというものの卸売物価が非常に高い上昇を示しておるわけでございます。もちろんこれらの大部分の原因はいわゆる海外要因でございまして、原油値上がりを中心とするものではございます。したがいまして、このような環境から公定歩合が引き上げられたとは思うのでございますけれども、私ども先生指摘のとおり物価のもう一つの隣の問題といたしまして景気の動向があろうかと存じます。私どもは、従来から経済の安定的成長を維持する、雇用の改善に努める、あわせて物価の安定を図るという基本方針を持っておったわけでございますけれども、今後の経済先行きにつきましては、私どもといたしましては必ずしも楽観を許しておりません。したがいまして、通貨、金融当局においても、今後の経済動向によりましては公定歩合の運用、金融政策の運用につきまして弾力的に対処してもらいたいと思っておる次第でございますし、当省といたしましても、今後ともこの方針に沿ったラインで行政を展開してまいりたいと考えております。
  151. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 昨年の三たびにわたる公定歩合の引き上げから、企業そのものの金融というものは非常に逼迫しておる。今回の第四次公定歩合の引き上げによって一段と金融逼迫が懸念されるわけですけれども、すでに金融面の引き締まりで中小企業にとっては選別融資の強化、これなどから一段と厳しい状況に追いやられる、こういうことも当然懸念されるわけです。政府はこういった状況をどう認識しているのか、また、中小企業の資金繰り悪化にどのように対応していくか、この点について明らかにしていただきたいと思います。
  152. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり昨年の秋以降の金融引き締めということから、中小企業について資金繰りの悪化という現象が出始めていることは事実でございます。また、先ほどお話にありました倒産件数の増加というものも、こういう問題が影響しておるというふうにわれわれは考えておるわけでございます。したがいまして、今回の公定歩合の引き上げに伴いましても、実は何とかこういう中小企業に対してしわが寄らないようにということで、大蔵省に対しましては金利の引き上げあるいは預金準備率の引き上げということで、金融を引き締めるに当たっても中小企業にしわが寄らないような対策をぜひやってもらいたい、そのためには市中金融機関の貸し出しタイトというものも十分考えてもらいたいということを要望しておるわけでございますし、また中小企業庁自体といたしましても政府系の中小企業の金融機関、商工中金、国民公庫あるいは中小公庫でございますが、こういうものとかあるいは信用保証協会、これは各県にございますが、これに対しまして、中小企業の経営状態に十分配慮して融資を遅滞なく行うようにということで指導していきたいというように考えておりまして、こういう政府系金融機関というものの活動によって、中小企業が引き締まりというもののしわ寄せを受けないような措置を今後講じていくというふうに考えておるわけでございます。
  153. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 このように中小企業の資金繰り悪化ということ、先ほども指摘したわけですけれども、こういうときこそ政府系金融機関の果たす役割り、こういったものがますます重要になってくると私も思います。ここ数年間で、公定歩合の引き上げ及び国金あるいは中小企業金融公庫の基準金利の関係というものはどのように推移をしているか、その推移そのものについて明らかにしていただきたいと思います。
  154. 左近友三郎

    ○左近政府委員 国民金融公庫、それから中小企業金融公庫の基準金利は現在八・二%でございますが、これについては民間金融機関の長期のプライムレートと大体同率にするというのが原則でございまして、現在も興長銀の貸しておりますプライムレートが八・二%でございますので、それにならっておるということでございます。ただ、この金利を決めるに当たりましては、そういう長期プライムレートを勘案するほかに、こういう政府系の中小企業金融機関の原資でございます資金運用部の金利の状態がまた一つの問題点になっております。したがいまして、現在は八・二%でございますが、今後これをどうするかということについては、長期プライムレート、それから資金運用部金利がどう決まるか、これはもうしばらくたって決まると思いますが、それを勘案しながら大蔵省と相談をして決めていきたいというように考えておるところでございます。
  155. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 今回の公定歩合引き上げに伴って政府系金融機関の基準金利が引き上げられるとすると、中小企業の資金繰りというものはますます圧迫を受けるのではないかということになるわけですけれども、最近の報道によりますと、「政府系金利も上げ」といった記事が手元にありますが、その中の一部を読んでみると、「中小企業金融公庫や国民金融公庫の中小企業向け貸出金利は、中小企業の収益を圧迫しないよう配慮し、上げ幅を〇・三—〇・四%程度に抑える考えである。」云々、それからその先のところに、「中小企業向け融資については1〇・五—〇・六%も上げると、ようやく盛り上がってきた中小企業の資金需要の回復の芽を一挙につみかねない2昨年七月の公定歩合引き上げの際に圧縮した分について、ととし一月に追加的に引き上げている3通産省や自民党内に上げ幅圧縮を求める空気が強まっている——などから他の一般の基準金利の上げ幅よりも圧縮する考えが有力となっている。」このように報道されているわけですけれども、先ほども御答弁の中で、中小企業にしわが寄らないように大蔵省と折衝し云々というところがあったわけで、三月危機と言われる今日、倒産の懸念もされている中でありますので、中小企業に対しては基準金利の据え置き、こういったこととかあるいは特別の配慮を講ずる必要があるのではないかと私は考えますけれども、この点についてお考えを伺っておきたいと思います。
  156. 左近友三郎

    ○左近政府委員 御指摘のとおり、中小企業に対する貸出金利は極力上げないというのが望ましいわけでございますが、先ほど申しましたように長期プライムレートが幾らに決まるか、あるいは政府系金融機関の原資であります資金運用部金利が幾らになるかということによってこの辺は考えなければいけないということがございますので、今後、先生指摘のような精神を持ちながら、大蔵省ともいろいろ折衝をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  157. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 これは少なくとも中小企業向けに十分な配慮をという立場から申し上げているわけで、ただいまの御答弁にあったように、強力な折衝をここで重ねて要望しておきたいと思います。  次に伺いますけれども、政府系金融機関における中小企業に対する返済猶予の状況はどのようになっているか、ここでもしお手元に資料があればお答えをいただきたいと思います。
  158. 左近友三郎

    ○左近政府委員 最近の中小企業の資金繰りの悪化を反映いたしまして、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫の返済猶予は相当高い水準になっております。一例を挙げますと、中小企業金融公庫では、五十四年度の第三・四半期、つまり十月から十二月まででございますが、この直貸しの延滞金額が五十億六千五百万円ということになっておりまして、その前の期、つまり第二・四半期に比べまして約九億円ぐらい増加をしております。また国民金融公庫におきましては、これは非常に件数が多いものですから件数で表示をしておりますが、五十四年度の同じく第三・四半期の返済猶予の実施件数は一万六千四百五十五件ということでございまして、第二・四半期が一万三千二百三十九件ということでございましたので、それに対して相当上回る水準になっておるということでございます。     〔堀内委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、例年やはり年末に返済猶予を希望するというのが非常に多いわけでございますので、前年と比較いたしますとそれほどふえていないということでございます。しかし、いずれにしてもこの返済猶予が前期に比してふえているというのが現在の事実でございます。
  159. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 このように返済猶予が増加して、いるということは、やはりとりもなおさず中小企業の経営というものが厳しいということを示しているわけです。経済環境の悪化等を勘案して、中小企業に対する返済猶予、金利の据え置きとか引き下げ等、特別にこういったことを考慮する必要があるのじゃないかと思いますけれども、この点についてもいま一度御答弁をいただきたいと思います。
  160. 左近友三郎

    ○左近政府委員 従来とも政府系金融機関に対しましては、こういう非常に困っておる中小企業に対しては、その内容に応じて返済猶予等の措置を講じて、中小企業の窮境をなるべく緩和するようにという指示をいたしております。今後、こういう点で資金が詰まってくるというような事態のときにはやはりそういうことをまた徹底をさせまして、十分な対策が講じられるようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
  161. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 年度末を迎えるに当たって、政府系金融機関の貸出枠、これは中小企業の要求に十分沿えるような資金の確保が行われているかどうか、この点はいかがでしょう。
  162. 左近友三郎

    ○左近政府委員 政府系三機関の昭和五十四年度の第四・四半期の資金計画、つまり一−三月の資金計画でございますが、これが三機関合計で一兆一千八百億程度ございまして、これは前年に比べますと約二三%強の増加でございます。したがいまして年度末になりましてもこの資金枠は十分あるというふうに考えられるわけでございます。
  163. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 中小企業者が国金とかあるいは中小企業金融公庫など政府系金融機関に貸し付けの申し込みをしてから、いわゆる審査が行われて実際に貸し出されるまでの期間、これは現在どのくらいであるのか、基本的な質問になりますけれども、この点をお示しをいただきたいと思います。
  164. 左近友三郎

    ○左近政府委員 国民金融公庫につきましては、資金も少額でございますし、また短期の資金というようなことでございますので、審査も比較的迅速に進められますので、大体平均してでございますが、申し込みから貸し付けまで約二十日間程度でできるというのが実績になっております。  それから中小企業金融公庫でございますが、これは申し込みを受け付けましてから貸し付けの決定までの期間平均で大体二十五日ということになっておりますけれども、ただ、中小公庫の場合は設備資金が多うございます。また運転資金でも長期の運転資金を対象といたしておりますので、いずれも金額が相当多いということから、正式に申し込みを出していただく前に事前にいろいろ御相談をするという場合が非常に多いわけでございますので、事前に若干時間がかかるということと、それからまた貸し付けを決定いたしましても、実は担保を設定していただいて、設定した後でお金を実際にお渡しするということになりますので、その期間もまたつけ加わる。前後に若干準備期間とそれから後の処理の期間が要りますので、事前の相談を持ちかけられてから実際にお金が手に入るまでは二十五日よりはもっとかかるということでございますが、極力こういうものを短縮をいたしまして、中小企業の方のなるべく早く金を借りたいという御要望に沿えるように今後も指導してまいりたいというように考えております。
  165. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 中小の方は現実には二十五日というようなものじゃないわけで、具体的な例を挙げていけばきりがないわけですけれども、中小企業者が緊急に資金を必要とする場合でも、特に現場の声を聞きますと、実際に金がおりるまでに大変な日数がかかって困っているというのが実態である。せっぱ詰まった中小企業の実態からして速やかに資金融資が行えるように努力する必要があると考えますけれども現実にただいま御答弁いただいたより期間がかかっているという立場に立って、ただいま申し上げた資金融資ということに政府はどう現実に対応されるか、先ほどの御答弁、二十五日ということはちょっと私は現実には考えられないのじゃないかと思うのですが、もう一度この対応について御説明をいただきたいと思います。
  166. 左近友三郎

    ○左近政府委員 確かに御指摘のとおり現実に中小公庫で金が入るのは、先ほど申しましたように事前の相談、それから事後の処理というもので相当程度時間がかかっておるということは事実でございます。政府系の中小企業の金融機関というものの責務は、やはり中小企業の方が資金不足に悩んでおられるものに迅速に対処するというのも一つの任務でございますので、今後一層この期間を短縮できるように指導してまいりたいと思っておりますし、そういう点で各機関がどのように現在しておるか、あるいは将来どういうふうに努力しようとしておるかということを絶えずウォッチしてまいりたいというふうに考えております。
  167. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 石油価格上昇に伴う原材料の高騰とか、あるいは電気料金を初めとする公共料金値上げ、こういったことからインフレが懸念される中で、やはり中小企業を取り巻く経済環境というものは、三月危機と言われるように悪化をたどる一方である。政府がこのような情勢下にあって中小企業の経営安定のための最大の努力を払われんことを、この問題の最後のところで強く要望をしておきたいと思います。  中小企業のことについては本日のところはごく基本的なことを伺ったにすぎないわけですけれども、次の問題に移ってまいりたいと思います。  やはりエネルギー問題がこのところ多々議論に上っておるわけですけれども、二、三点私の方からも伺っておきたいと思います。  エネルギーの中でも電気は国民経済とかあるいは国民生活にとってきわめて重要なものですけれども、現在電気料金の大幅な値上げをめぐって国民の非常な関心を集めているところで、私は今後の電気事業に対する政策のあり方、こういったものについて二、三質問をしてみたいと考えております。  一つは、石油の先行き見通しが不確定なこともありますが、何よりもむずかしい問題で、それは今後に予想されるところの電力需要の増大、これにいかに対応していくか、いかにして安価な電力を安定的に供給していくか、こういう問題だと思います。各委員からも同じ角度からのいろいろな御質問があったかと思いますが、今後の電力需要一つとってみても、昭和五十三年度末の電源、これは一億一千七百六十五万キロワット、これを七年後の六十年度で見てみますと一億七千九百万キロワットというふうに非常に増大するわけで、ここまでしなければ需要に応じられなくなってしまう、こういうことになってくるわけです。したがって、五十三年と六十年をいま申し上げましたけれども、この七年間で六千一百万キロワット、こういった発電所をつくらなければならない、こういうことになると思うのです。これらを満たすために大変な設備投資資金、これが必要となるわけですけれども、大体現在百万キロワットの発電所を一つつくるのに二千億円を必要とすると言われているわけですから、この七年間に発電所をつくる費用だけで、この計算でいきますとざっと十二兆二千億円、こういう数字になるのではないかと私は思うわけですが、まずこういう考え方について間違いがないかどうか、御確認をしていただきたいと思います。
  168. 森山信吾

    森山(信)政府委員 私ども電気事業審議会からいただきました答申によりますと、五十三年度末の電源といたしまして一億一千七百六十五万キロワット、それから六十年度で一億七千九百万キロワット、六十五年に二億三千百万キロワット、七十年に二億七千七百万キロワットというような答申をいただいたわけでございます。私ども電力の長期安定供給という立場からただいま申し上げました答申に基づきまして、この答申の線に沿った電源の開発に努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございますが、お示しになりました建設コストにつきましては、キロワット当たりにつきましての概査はいたしておりますけれども、先ほど御紹介申し上げました答申ベースで電源の開発に従いまして、どれだけの投資額になるかというのは答申上は御意見をいただいてないという実情がございます。
  169. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 そこで、そういうふうな御答弁が返ったわけですけれども、現在値上げ申請の出ている八社のいままでの実績計画数字、これを見てみますと、設備工事資金の推移ですけれども、これは八社です。五十年度一兆三千五百三十八億円、五十一年度が一兆七千九百七億円、五十二年度が二兆六十一億円、五十三年度が二兆六千六百三十一億円、そして五十四年度が二兆六千八百六十六億円、推定です。それから五十五年度になりますと、これは計画ですけれども、三兆四千百九十二億円、前年比で二七・二%増ということになっていますけれども、合計で十三兆九千百九十五億円、これが五十年から五十五年の六年間ですね。こういう膨大な数字になるわけです。しかもこれが今後六十年以降もふえ続けることが確実である上に、電源立地、これがますます遠隔地になって、送電のための費用とかあるいは発電設備そのものの価格値上がりをするということであるならば、これはもうまさに膨大なものになろうと思うわけです。先ほど来見ております電事審の需給部会の、これがいまの十二月の分ですね。この電源構成見通し、これを見ますと、こうした見通しに立ってそして今後の設備投資を進めていくとすると、昭和六十年度末までの投資額というのは一体幾らになって、そしてその資金調達はどのようなことになるのか、余りにも膨大なわけで、この点について先ほどの前段の質問に対してはそういう数字が出ておりませんという御答弁ですけれども、この点をお聞かせいただきたい。電力会社だけの力で本当にこのようなことができるのかどうか、こういう点を伺っているわけなんで、お答えをいただきたいと思います。
  170. 森山信吾

    森山(信)政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、電事審の中間答申といたしましては、資金面につきましての見通しの御意見をちょうだいしてないわけでございますけれども、別途の観点からそれなりの計算はできるわけでございまして、まさに御指摘のとおり膨大な資金を必要とするわけでございます。  そこで、資金の調達をどうするかという御指摘ではなかろうかと思うわけでございますけれども基本的に現在の電力会社がいわゆる私企業体制で行っておりますので、企業の調達能力というものに対しまして期待をするわけでございますが、これまた膨大な資金とのリンクにおきまして、単に企業努力だけで資金の調達ができるかという問題に逢着いたします。そこで政府といたしましては、いわゆる政策金融的なもの、たとえて申し上げますと開発銀行融資というものもございますし、あるいはたとえば社債の発行限度をほかの私企業と比べまして相当大幅に引き上げる等の努力もする必要があるのではないかということでございまして、御承知のとおり特例法をつくっていただきまして、現在は資本金の四倍まで社債が発行できるというようなことを考えておりまして、そういった面を加味いたしながら御指摘の膨大な資金需要に対応していく、こういう姿勢をとっておるところでございます。
  171. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほど申し上げたとおり、百万キロワットの発電所をつくるのにやはり二千億円かかるということ、これはもう間違いない数字だと私は見ているわけですけれども、まだまだ将来に向かってどうせふくらんでいくことは間違いないわけで、これで先ほどの七年間の一応の概算をはじいてみても、差が六千百万キロワットです。五十三年度末一億一千七百六十五万キロワット、六十年度末一億七千九百万キロワット、このように先ほど申し上げたわけで、この差が六千百万キロワット。したがって、二千億円を掛けるわけですから、これはだれが計算したって十二兆二千億円という数字が出てくるわけです。いま御答弁いただいた企業の調達能力という点についても、果たしてどれだけあるのやら、全くこれだけの膨大な数字を目の前にして、それこそあらゆる手を政府として打っていかなければこの実現はおぼつかないわけで、見通しに対する資金調達の裏づけ、こういったものがあいまいなようなことであってはならないわけで、見通しに応じた設備投資が本当にできるのかどうかということを私たちは心配しているわけですね。こういったことも踏まえながら次の質問に入っていきたいと思うのです。  電気事業の抱えているところのもう一つの苦悩、この大きなものというのは、新エネルギーの研究開発あるいは省エネルギー技術の研究開発、こういったものがあるわけで、太陽エネルギー、地熱エネルギーあるいは石炭エネルギー、水素エネルギー、海洋エネルギー、さらには気象エネルギー、これらの開発はどれをとってみても非常にリスクの大きい、しかも先ほど来申し上げているように膨大な資金を要するものである。電力業界では今後十年間に代替エネルギーの開発資金、こういったものも含めて電気の安定供給に要する資金というものは約六十兆円、こういうふうな金額になるということを言っておりますけれども、もちろん政府としてもここ数年来エネルギー対策に力を注いでこられたということもわかっておりますし、また五十五年度予算ではエネルギー対策費が一千億円以上ふえて四千二百四十一億円、こういった金額が計上されている。また四十九年度には電力会社の電源立地が容易に確保できるように電源開発促進税、さらには電源開発促進対策特別会計、こういったものが新設をされて、地元の公共団体に交付金が出されるようになった、こういうわけですけれども、五十五年度ではさらにこの電源開発促進税、この税率を従来千キロワットアワー当たり八十五円から三百円と大幅に引き上げて、従来の電源立地の問題だけではなしに、水力とかあるいは石炭火力、地熱、太陽エネルギー、原子力、こういった石油代替エネルギーによる電源開発の研究やあるいは建設に助成をしょう、こういうものであります。そのほかサンシャイン計画、これによって新エネルギーの開発に取り組んでいることも知っているわけですけれども、いずれも今後のエネルギー政策としてはすべて重要なことと言わざるを得ないわけです。  しかしながら私は、これらの施策が規模としてまだまだ非常に小さいと思うわけで、先ほども述べましたとおり今後十年間にエネルギー関係、特に電気では六十兆円を要するというのに、政府の予算が五十五年度でも四千億円程度である。しかもこの中には石炭関係の振興費ですね、むしろ失対費と言ってもいいのじゃないかと思うのですが、こういったものが一千億円以上も入っているという現実であるわけです。今後電力業界が安価な電気を安定的に供給していくためには、国として以上述べた開発のためのリスク、こういったものをもっと肩がわりをしてやる必要があるのじゃないか。そうすることが今後の電力政策のあるべき方向ではないかと私は考えるわけですけれども、その点をめぐって、できれば大臣の御答弁を含めてひとつ御回答をいただきたいと思います。
  172. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大臣から答弁を申し上げる前に私から事務的にお答えをしておきたいと思います。  ただいま御指摘のございましたように、代替エネルギー開発にことしから取り組むということもございまして、石油税の転用それから電源開発税の増徴という問題もございまして、初年度は千百七十六億円という予算を代替エネルギー開発に充てたいということでございます。エネルギー全体といたしますれば、先生指摘のとおり四千数百億という予算が計上されておりますけれども、そのうちで特に代替エネルギーの開発というところに焦点を当てまして、ただいま申し上げたような数字を予算案の中で計上させていただいたわけでございます。  もちろんエネルギー全体に要するコスト、資金需要といいますものは、先ほどお話のございました電力関係等の膨大な資金も含めまして六十兆ぐらいの需要があるのではないか、こういう想定がございますけれども、これに取り組む姿勢といたしましては、国の金で投入すべき分野と、それから先ほど来申し上げております民間ベースで調達する資金の担当部門と両方あるわけでございまして、私どもが現在考えておりますのは、国が分担すべき部分に対しまして相当思い切った助成をしていく必要があるのではないかということでございまして、先生が御指摘の新しいエネルギーの開発につきまして、国が相当なリスクを負担する、あるいは肩がわりする必要があるのではないかということにつきましては、私どもも全く同感に考えておる次第でございます。  そこで私どもがいま取り組もうといたしております新しいエネルギー開発の姿勢は、民間の方にお任せしておったのではなかなか達成が困難なものにつきまして、企業化ができる前段階までの技術開発につきましての助成を国が行う、その成果を受けまして民間の方がそれを実際に応用していただく、こういう姿勢でございますので、開発の危険、リスクは国でめんどうを見る、こういうような基本姿勢を持っておるところでございます。
  173. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お説のとおりだと思います。リスクの強い新しい開発に対しては国がやはり思い切って投資すべきじゃないか。一つの例でございますけれども、私フランスに参りまして、再処理とかあるいは高レベルの廃棄物の処理とかあるいはFBR、高速増殖炉等が非常に、世界で一番進んでいますので、アメリカよりもどうしてそう進んだんだという質問をしましたところ、向こうの担当大臣が答えるのには、国が思い切ってそういうリスクの多いのに金をつぎ込んで、しかも継続的に長い間続けたんです、それが成功したんですという話でございました。私、大変教わるところが多いと思いまして、やはりそういうものじゃなかろうかと思っております。
  174. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 電力は一電力会社のものでないということはもう言うまでもないことなんですけれども、安定供給、これは国の政策として当然行うべきものである。したがって、電力会社負担し切れないほどのリスクというものを負う場合には、やはり電力の安定供給のために国がそのリスクをカバーしてやるのがむしろ当然であるという立場から、私もあのように発言をしたわけですけれども、御答弁を踏まえて、今後とも真剣な検討を十分加えていただきたいし、また、施策を講じられることを要望をしておきたいと思うわけです。  いずれにしても、今後の電力行政なり政策のあるべき方向は、電力電力会社だけに任せておくんじゃなくて、国が積極的に参加していって電力の供給が円滑にできるようにすべきだ、こういうことを先ほど来申し上げているわけですけれども、電源の石炭への転換にしても国内炭だけでは全く不可能である。石炭への転換を図るためにはまず石炭の輸入ですね、これを行わなければならないわけですけれども、この外炭の開発輸入にしても大変なリスクを伴う問題である。いま電源開発株式会社が石炭専焼の発電所をあちこちにつくっているようですけれども、何せこの事業規模が非常に小さいんじゃないかと私は思うわけです。この電源開発株式会社昭和五十四年度の設備資金ですが、総額一千四百六十一億円。調達方法としては、資金運用部六百八十四億円、簡保資金百億円、政保債が百八十億円、借入金及び自己資金、これが四百九十七億円、こういう内容になるわけですけれども、この一千四百六十一億円という総額、これを見てみますと、先ほど私は冒頭に五十四年度の設備工事資金の数字、二兆六千八百六十六億円、こういう数字を挙げたわけですが、これに比べて二十分の一にしか相当しない、このように非常に事業規模というのは小さいんじゃないかと私は思うわけです。この程度のことではなくして、もっと財投資金を入れてやるべきじゃないか、そして外炭の開発輸入ですね、こういったことも電発にやらせてもいいのではないかと私は考えるわけですけれども、むしろそうすべきだと思いますけれども、この点はどうですか。
  175. 森山信吾

    森山(信)政府委員 電発につきましての石炭利用の活用をもう少し図ったらどうかという御指摘は、全く私どもも同感でございます。現在、国内炭を中心にいたします火力発電所が四カ所ございますが、そのほか、御承知のとおり九州の松島で海外炭火力を中心といたしました石炭火力の建設を推進しておるところでございます。それから竹原の火力三号につきましても、その大宗をオーストラリアと中国からの海外炭に依存するという考え方がございますので、これにつきまして大いに推進をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。さらに、ことしになりまして、九電力会社が一体になりまして石炭資源開発株式会社を設立したわけでございます。これは御承知のとおり、海外炭の開発のための新会社を設立したわけでございますが、この会社に電源開発株式会社も参加をしていただきまして、現在電発を含めます十電力会社で海外炭の開発輸入に大いに努力をしたい、こういう姿勢を持っておるところでございます。
  176. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私は先ほどから、国が電力の安定供給に積極的に参加をすべきじゃないかということを再三申し上げてきたわけですけれども、そこでもう一、二点御質問をしておきたいと思うわけです。  それは、水力発電や地熱発電、これも多々御議論があったと思うのですが、これはクリーンでしかもすべて国産である。ところが水力発電は石炭火力に比べて建設費が非常に高い。でき上がってからのランニングコストというものはこれが一番安いわけですけれども、当初の建設費が非常に高いということ。大体一キロワット当たりの建設費が火力で十五万円、原子力で三十万、水力で四十万円くらいだというふうに言われているわけですけれども、こうしたことから電力会社はなかなか水力発電に手を出さないというのが実情であるわけです。揚水発電にしても同様の実情にあるようですけれども、実は揚水発電所の建設はもっと力を入れなければならないじゃないかと私は思っているわけです。近年、真夏のピーク時の最大電力量、これがだんだん先鋭化してきているということと、電力会社はそのピーク時に合わせて発電所をつくらなければならないということですから、必然的に年間の負荷率が落ちてくる。ちょっと古い数字ですけれども昭和四十年には七一%であったものが五十年には六一%。一〇%も落ち込んでいる。これも電気料金の上がる大きな要因じゃないかと私は思うわけです。ですから、ピーク時対策としての揚水発電所をもっとつくらなければならないのじゃないかということですけれども電力会社は資金の関係からやりたがらない。地熱発電所はどうかというと、これは調査費とか、それから井戸を掘っても十本に一本くらいしか当たらないということで、公害問題などもあってリスクが非常に大きいわけで、これも電力会社は手を出したがらない。  こういった事情にあるようですけれども、政府としてはこれらの実態、これらの点をどういうふうにとらえているのか。一遍にずっと申し上げてはなんですので、この点についてひとつ政府の立場からの御説明をいただいてみたいと思います。
  177. 森山信吾

    森山(信)政府委員 水力と地熱の御指摘がございましたが、揚水発電に力を入れろという御指摘はまことにごもっともなところだと思います。ちなみに、私どもが持っております長期エネルギー需給暫定見通しによりますと、五十二年度の実績で揚水が八百五万キロワットでございますけれども、六十年にはこれを千九百五十万キロワットまで上昇させたいという願望を持っておるところでございます。なお、一般水力につきましては、千八百十万キロワットの実績に対しまして、六十年に二千二百万キロワットの開発を行いたい、こういう見通し計画を持っておるところでございます。しかしながら、御指摘のとおり、一般水力につきまして建設コストが高いということもございまして、なかなか計画が思うように進まないという問題も事実でございます。  そこで私どもは、一般水力につきましての計画の遂行を図るためには、新たに中小の水力開発関係に力を入れる必要があるのではないか、こういう意識を持ちまして、五十五年度の現在御審議中の予算案の中におきまして中小水力開発費補助金等の制度を導入したいというふうに考えておるわけでございます。さらに、開発銀行の融資制度につきましても、一般水力発電所に対します融資対象を拡大いたしましてその充実を図りたい、かように考えているところでございます。  それから、御指摘のございました第二点の地熱発電につきましては、五十五年度より開発企業が行います調査井の掘削に関する補助金制度を創設いたしたいというふうに考えておりますし、また、近く御審議をいただきたいと思っております新エネルギー総合開発機構、ここにおきましても、開発資金に対する債務保証あるいは民間開発を誘導するための各種の地熱開発、資源調査等を実施してまいりたいということでございまして、御指摘のとおり、水力、特に中小水力あるいは地熱開発につきましては積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  178. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 わが国には未開発包蔵の水力とか地熱はまだまだ四、五千万キロワット程度はあると言われているわけでございますけれども電力会社がいろいろな事情から手を出さないわけで、せっかくわが国にあるクリーンでしかもランニングコストの安いこれらのエネルギーを活用しない法はないのではないかというふうに私は思うわけです。ここに国としての政策がなければならないと私は思うわけですが、先ほど来申し上げておるように、国がもっと財政資金を投入して電力の供給に力を入れる、こういうふうにすべきではないかと思います。電発にこうした役割りを果たさせるべきではないかと私はここでさらに思うわけですけれども、そうすることが将来の電気料金電力供給の安定を図る道ではないかと思うわけです。この点重ねて御意見を承ってみたいと思います。
  179. 森山信吾

    森山(信)政府委員 電源開発株式会社が設立されました目的は、まさに先生指摘のとおり、九電力体制の補完的なもので、あるいは開発の非常に困難なものを財政資金を投入いたしまして開発をする、こういう目的のために設立されたわけでございますから、私どもといたしますれば、やはりそこに九電力ではなかなか達成できないような問題の電源開発につきましての、補完的な役割りというものは依然として大きなものがあるのではないか、こういう考えがございますので、御指摘の線に沿いまして電発の活用については十分考えを進めてまいりたい、かように存ずる次第でございます。
  180. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間が来たようですので、最後に一問だけ申し上げますが、いま電発の件についてお話をいただきましたけれども、かつて昭和二十六年に非常な渇水があって停電が続いた。当時は水主火従の電力供給体制であったわけですけれども、こうしたことから国として大規模な水力発電所をつくらなければならなかった。そうした大規模な水力発電所は当時の土木技術ではなかなか困難であったわけで、しかも膨大な資金が必要であった。ただいまも御答弁の中にありましたけれども、発足したばかりの九つの電力会社にやらせることが非常に困難であったわけです。そこで国費による電源開発株式会社が設立されたということなんですけれども、これにアメリカの土木機械などを持ってきて佐久間ダムとかあるいは御母衣ダムなどをつくらしたわけですが、電発は当時の電力危機を救ったのであるという記憶が私たちにはあるわけであります。こうしていまでは一千万キロワットもの発電所を有するまでになっているわけですね。今後電発の役割りというものはもっともっと重要度を増さなければならないと私は思います。こういったことについて、最後に再び伺っておきたいと思うのですけれども、この政府の電力政策の今後のあるべき方向、これをいま一度伺って私の質問としたいと思います。
  181. 佐々木義武

    佐々木国務大臣 お話の電源開発促進法を当時つくりました一人でございますので、あの電源開発株式会社をつくった当時の状況を思い起こしてみますと、お話のとおりでございます。ただ、数県にわたるような長い大きい川の開発には、お話の点ばかりでなしに水利権の処理という大変やっかいな問題がございまして、そういう点もかみ合わせますと、あるいは東京電力と東北電力とまたがったり、いろいろむずかしい問題がありますので、むしろ別の特殊会社をつくって開発させた方がいいのではないかというので電源開発株式会社というものをつくったわけでございます。お話のように非常に効果を奏したと私は少なくとも考えてございます。日本の水力開発に対しましては、あれなしにはいままでのような成果はおさめ得なかったのではないかという感じもいたします。  したがって、今後の問題でございますけれども現状は九電力の、民間のいわば活力のある、効率の高い運営をするための九分割の点は、これはまた今後の電力行政を進める上に大変重要なことでございますから、それはそれといたしまして、その線は崩さずに、いまやっております電発の補完的な役割りというものをもっと強化していくというためにはどうしたらよろしいか、大変重要な点だと思います。いろいろ考えておるようでございますけれども、今後とも補完的な機能をさらに果たすために、たくさん問題がございますから、そういう点に対して進むように指導してみたいと思っております。
  182. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 終わります。
  183. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて中川嘉美君の質疑は終わりました。  引き続いて、上坂昇君。
  184. 上坂昇

    ○上坂委員 初めにちょっと頼みがあるのです。  それは、電力会社から料金改定申請書が出されて、それを通産省がいろいろ検討して査定して、ある一定の、恐らく申請どおり認めないという形で、きのうの新聞を見ますと四〇%台にしぼるというような報道が出ておりますが、いずれにしても申請書そのままは恐らく認めないだろう、こう思われますが、やはり値上げ率が減るということだけは確実だと思います。北海道電力の場合も同様でしたけれども、三八・八%の値上げ申請に対して三四・二三%に抑えられた。  そうしますと、これは電力料金値上げの場合には申請書を出して、それを通産省が検討して認可をする、こういう形になりますから、査定をしたパーセンテージなりあるいは内容について、電力会社に勧告をするのかどうかわかりませんが、勧告みたいなかっこうで、これで出しなさいというかっこうになるのじゃないかと思うのですね。そこで結局もう一回申請書を出し直すかっこうになってくると思うのです。その出し直された申請書に対しては、われわれが要求すればもらえるかどうか、この点についてお伺いをしておきたいのです。
  185. 森山信吾

    森山(信)政府委員 申請書の出し直しというお話でございますが、これは認可と同時期に行うものでございますから、もちろん私ども認可対象になりましたものは公開をするという仕組みを考えておりますので、当然に再申請されました内容はオープンになると思います。
  186. 上坂昇

    ○上坂委員 それでは、北海道電力の場合にはもう決まったと思うので、まずそれを先にひとつ提出をしてくれるように、委員長からお取り計らいをいただきたいと思います。
  187. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いまお答え申し上げましたとおり、再申請査定とはイコールのものでございますので、私どもといたしますれば、査定をして認可したものにつきましては御提出申し上げることができると思います。
  188. 上坂昇

    ○上坂委員 北海道電力は。
  189. 森山信吾

    森山(信)政府委員 北海道電力につきましては御提出申し上げます。
  190. 上坂昇

    ○上坂委員 わかりました。  それからもう一つ先に聞いておきますが、共同電力というのが二十数社あると思うのですが、この共同電力会社は卸電気業者ですから、本来はいまの電力会社に売ってそこから出ると思うのですが、たとえば二社で資金を出してつくっている場合には、その場合の株式数に応じてとか何とかいう比率で企業に対してそのまま売電はできますか。
  191. 森山信吾

    森山(信)政府委員 共同発電の場合の形態はいまおっしゃったような形態もございますし、いわゆる卸電気事業者としての資格を持ったものは電力会社に売電をするわけでございますけれども、特定の需要家に売る目的のための共同発電もあるわけでございますので、一概にいま先生のおっしゃったようなことにはならないと思います。二通りの方法があると思います。
  192. 上坂昇

    ○上坂委員 そうしますと、いわゆる卸電気事業者としての認可をもらっている場合には、電力会社オンリーに全部渡す、売電するわけですね。そしてそうでない場合には、企業独自で自家発電というかっこうでやる場合を私は聞いたのですが、その場合にはもちろん自分のところで使うのでしょうけれども、そうでない場合でも卸電気事業者の認可をとっていない場合があるということ、そうしますと、そういう種類分けは何社ずつくらいあるのですか。     〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕
  193. 森山信吾

    森山(信)政府委員 共同発電の形態をちょっと御説明申し上げますと、一般電気事業者に電気を供給する場合に、いわゆる卸電気事業者ということになるわけでございまして、これは電気事業法第三条で決められているわけでございます。  それから、共同発電が電気の一部を特定の需要家に供給する場合、営利を目的として供給する場合と、営利を目的としないという場合と両方あろうかと思いますが、営利を目的として供給する場合には電気事業法第十七条の許可を受けるということでございます。  それから、現在卸電気事業者でございます共同発電は十八ございまして、火力発電所のみを有するものが十六、水力発電所のみを有するものが一、両方有するものが一ということでございまして、十八ございます。  そこで、卸電気事業者といたしましていわゆる九電力に卸をするという場合に、一〇〇%卸をするということではございませんで、多くを卸業者として九電力に売るケースで、その残りを自分のところで使う、あるいはほかのところに持っていくというような形式と、先生の御指摘のように自己の目的に使うために、いわゆる自家発電というものと形態が二通りある、こういうことを申し上げた次第でございます。
  194. 上坂昇

    ○上坂委員 次に、電気料金の問題でお伺いしますが、今度の八社の値上げ申請平均が六四・四%、一番高いのは中国電力で、一番低いのは電灯だと四国、電力だと北陸というふうに思いますが、差を見ますと電灯で約一五・七%になりますね。それから電力で約二一二%の差が出てくるわけですが、こういう差が出てくるということについて、公共料金でありますからどうも少し納得がいかないわけでありますが、こういうのはやむを得ないのだ、これがえらい差が出た場合には一体どうなってしまうのか、そういう差は絶対出ないのだという保証はあるのかということ、この辺のところを説明をしていただきたい。
  195. 森山信吾

    森山(信)政府委員 御指摘のとおり申請段階におきまして大変なばらつきがあるわけでございます。これは電源構成が違うということに起因するわけでございますので、現状におきましては一応やむを得ないところかな、こういうふうに考えておるところでございます。ただ御指摘のとおり、地域によりまして電力料金に差が出てまいりますとこれは大変な問題があるということでございまして、そこに競争原理を働かせるという要素もございますし、現在九電力体制をとっております一つのメリットといたしましては、競争原理ということもございます。かつては地域間の格差が大変にあったわけでございます。一番高いところと一番低いところの料金の差が大変ある時代があったわけでございますが、現在はだんだんとその格差が埋まってまいっておりまして、現在はほとんどその差がなくなってきておるのではないか、こういう実情でございますので、そういった地域電力間の格差を解消することが一つ指導基準ということになっておる次第でございます。
  196. 上坂昇

    ○上坂委員 そうすると、内容をずっと検討して、個々にここのところは余り高いからちょっと合わせろというかっこうでやると、内容的には各社のいろいろな問題が違ってくるので、これもちょっと矛盾する問題が出てくるのじゃないかという感じがするんですね。そこで九電力会社のいまのあり方自体がやはり根本的に問題になってくるので、本来ならば電気料金は全国一律でやってもらわないと実際困ると思うんですね。北海道と九州、暖かいところと寒いところではいろいろな形で生活費も全然違ってくるわけですから、そういう意味でせめて電力料金くらいは使うところでは皆同じようなかっこうになってくるようにできないものか、こういう考え方があるわけですが、いかがでしょう。
  197. 森山信吾

    森山(信)政府委員 確かに電気料金がばらばらで、高いところと低いところとあるということでございますと問題になるのじゃないかと思います。そこで先ほど申し上げましたとおり、できるだけ電力会社間の料金格差を少なくするというのが一つ指導基準でございまして、と申しましてもやみくもに高いところを抑えつけるあるいは低いところを高くするということではございませんで、そこはやはり原価主義の範囲内でその調整を行うということでございます。いま上坂先生から御指摘のございました線を推し進めてまいりますと、料金のプール制あるいはそれに至らなくともせめて燃料のプール制を考えたらどうかという議論に逢着するわけでございまして、その議論といわゆる九電力体制の議論とをどう調整していくかというのが一つ課題になっているところでございます。私どもは、先ほどちょっと申し上げましたように、やはり九電力体制が、一つの競争原理ということを考えましても、経営上はいわゆる私企業形式のメリットがあるのではないかと考えておりますが、ただ、いまおっしゃっておられますように幾つかの弊害も出てまいっておるわけでございます。     〔堀内委員長代理退席、渡部一恒一委員長代理着席〕 そこで、広域運営という問題を考えまして、地域間の融通性の問題もございますし、たとえば中央電力協議会というものを設けまして、その下に全国を三ブロックに分けまして、それぞれの地域で融通し合うことを検討する、こういうような仕組みで、できるだけ九電力体制の弊害を避けながら九電力体制のメリットを伸ばしていく、こういうかっこうで現在検討をしておるという実情でございます。
  198. 上坂昇

    ○上坂委員 方向としてそういう方向でやられることは結構ですが、たとえば設備なんかにしても、立地条件で、ヒンターランドといいますか電力供給の範囲、あるいは九電力が分かれている地域的な条件、そういうものによってそれぞれ選択方法が変わってくるわけですね。しかし、原発をいっぱい持っておるところは安いとか、火力をいっぱい持っておるところは高いとかいうかっこうになっていってしまうと、これは結局そのたびごとに非常に格差のあるものが申請をされるというような状況になってくるということになれば、これは問題があると思っていまのような問題を提起をしたわけであります。  そこで、資本費の問題でありますが、資本費減価償却事業報酬になると思うのです。減価償却のものについては、定額法から二分の一程度定率法にしたという問題で、これは先ほどからいろいろ問題になっておりますから省きますが、東電のこれを見ますと、五十五年度で原発で千百五十三億円多くなっていて、これが設備ですと二基でありますが、東電の場合、私はこの間福島原発に行ってみたが、これは大変な炉で、年がら年じゅうとまっている欠陥炉だからとめた方がいいだろうというふうな認識をしてきましたが、原発の場合非常に稼働率が低いわけであります。この原価計算の中に入ってくるもので、現在発電をしていない、電気を発生していなくても投下資本という形でここへ織り込まれてくるということになると、国民の方は電気はもらってないのだけれども、結局電気料金の中では負担をしていかなければならない、こういう問題が出てくるので、査定をする場合にはここのところはどんなふうに考えていかれるのか、その辺のところをお聞かせいただきたいと思うのです。
  199. 森山信吾

    森山(信)政府委員 いまの御質問は、事業報酬関連する御質問だろうと思います。事業報酬と申します概念は、もう先生よく御承知のところでございますのであえてくどくどしく申し上げませんが、いわゆる他人資本と自己資本に対するフェアリターンというのが事業報酬の概念でございまして、やはりそこに他人資本的なものあるいは自己資本的なもののフェアリターンを期待するという考え方からいたしますと、建設途上にあるもの、これは他人資本の場合もございますし自己資本の場合もございますが、いずれにしても相当な資金を投下して建設をするわけでございますから、発電をしてないということのために直ちに資産としてみなさないということは、かなり問題があるのではないかということでございます。  そこで、今回の八電力料金値上げ申請に当たりましては、いま申し上げましたような考え方建設勘定に計上されておるもの、すなわち建設途上のものについても資産とみなして、それを事業報酬の中に入れて申請をしてまいっておるわけでございます。それをどの程度を認めるかということにつきましては、私どもは特別監査をいたしまして、現在建設勘定として計上されているものが本当に真実かつ有効なものであるかどうかの確認をした上で査定をするということでございますが、建設勘定中のものはおおむね二分の一が資産に計上されるというのが普通の仕組みになっておるわけでございます。先ほどのお話にございました東電の場合等につきましても、同じような考え方申請されたものに対して私どもは十分な査定をする、こういうことになろうかと思います。
  200. 上坂昇

    ○上坂委員 東北電力の場合を見てみますと、女川原発がいま認可になって手がけ始めたわけですね。これについて建設資産というものが出てきますが、ここで先ほど言われた建設勘定が千四百六十九億三百十九万円というふうになっております。これは去年始めて何年後に完成するのだかわからない。それにもかかわらず、電力値上げのときはこれが二分の一なら二分の一でも入ってきて、そして決まってしまえばことしから取られてしまうわけです。それでそのまま取られていくということになると、どうも納得がいかないという感じがするわけです。こうした全然動かないものでもつくればいいんだということになると、ほかのところでは、これはだれでもかれでもみんな使うから何となく納得せざるを得ないのだけれども、一部でしか使わないようなものの場合には一体どうなるのかというような感じがします。民間会社のような民間会社でないような電力会社の場合だけは認められる。しかも膨大な設備投資をして赤字になるのかと思ったら、赤字にならないで、ちゃんと八%の利益は認められて一〇%の配当はやる。こういう形が保証されているということになりますと、負担するのは需要者の方だけじゃないか、こんな感じがしてならないわけです。この辺のところをひとつ納得いくようにお話しいただきたいのです。
  201. 森山信吾

    森山(信)政府委員 建設中のものまで電気料金に入れるのはどうかという御指摘でございますが、確かに一つの御意見としてはごもっともな御意見だろうと思います。国民のサイドから見まして、発電をしておるものに対する原価負担するということならわかるのだけれども、まだ発電をしてないものについてまで料金負担するのはどうだろうかという気持ちも十分わかるわけでございますけれども、いま先生がいみじくもおっしゃいましたように、原子力発電その他の発電にいたしましても相当期間かかるわけでございまして、その長期間かかるのは、やはり将来の電源開発のための建設としての作業を進めているわけでございますから、その分を原価上全く省いてしまいますと、これまた電力の安定供給という考え方からしますと若干の問題があるのではないか。ただ、おっしゃるように建設中のものまで、まだ発電してないものまで全部料金の中に入れてしまうのはどうかというお気持ちもよく理解できますので、先ほど申し上げましたように私どもの論理もございますから、半分は資産として認めていく必要があるのではないか。ただ、その半分にいたしましても、やみくもに建設勘定に入っておるからそれを全部そのまま認めるというのではなくて、そこに客観性を帯びたもの、つまりどなたにでも理解していただけるような、本当に真実かつ有効なものだけしか入れない、こういう姿勢は強くとる必要があるのではないかということでございまして、いま先生の御指摘になった一つのお気持ちと私どもの申し上げておる論理との接点が二分の一ということでございまして、しかもその二分の一として認める資産につきましても、たびたび申し上げますように十分な査定をしまして特別監査の結果、本当に有効だと思われる資産についてだけ二分の一を認める、こういう姿勢をとらせていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  202. 上坂昇

    ○上坂委員 いまの建設資産の中身でありますが、東北電力の場合、女川発電所のいわゆる協力金と漁業補償をいろいろ含んでおり、これが百十億円あると聞いているわけです。そうすると、こういうものが全部この中に入っているのかどうか、その点が一つです。  それからもう一つは、これは電力会社全体で、特に原発を持っている会社でありますが、ドル減らしへの協力というかっこうでウランの大量買い付けをやったのではないかと思うのです。その場合、いわゆる核燃料の契約分、その中には、完全にこっちへ入ってきているものもあるのか。いわゆる受け取ってしまったものなのか、それともまだ契約先に置いてあるのか。契約で何年。ことに持ってくる、こういうかっこうになっているものがあるのかどうか。もしあるとすれば、外国に燃料があるというようなものまで全部こういう電力料金の中に入ってくるというかっこうになっているものについては、一体どういうふうに考えたらいいのか、この辺も疑問なんですね。
  203. 森山信吾

    森山(信)政府委員 まず、女川の補償費の関係につきましては、これはまだ詳細ヒヤリングをいたしておりませんけれども、恐らく仮勘定の中に入れてきておるのではないかと思います。企業とすれば補償費は当然に建設に伴う費用だ、こういう見方をしておるのではないかと思うわけでございますけれども、ただ、むやみやたらに補償しまくった、それを、これだけ補償したから電気料金にはね返らせてくれということは妥当でないと思います。したがいまして、一定の基準というものがあると思いますから、客観的に認められる補償費というものは、これはやはり電気料金に加算をする必要があるのではないかと思いますけれども、客観性を超えたと思われるようなものにつきましては、厳しく査定をしていくということになろうかと思います。  それから、二段目におっしゃられました核燃料の問題につきましては、確かに日本にもうすでに持ってきておるものと、それから一部外国にまだ残っておるものとございます。しかしながら、外国に残っておるものにつきましても、先ほど先生がおっしゃいましたように、ドル減らしの観点もございまして、これは資金を払っておるわけでございますから、まだ買ってないというわけではございませんで、お金は払っておるということでございまして、たまたままだ外国に置いてあるということでございますから、その部分につきましても一応所有権は電力会社等に移っておりますので、その分につきましての資産計上は電力会社としては申請対象としておるということでございますが、ただ、その申請されましたものの資産にどの程度加算をしていくかということは、査定上の問題になってくるわけでございます。
  204. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで今度は、中に修繕費というのがありますが、原発の場合には年がら年じゅう修繕ばかりしているわけですね。一年じゅうずっと、三年も続けて修理しているところもあるわけです。そうなりますと、いわゆる定検——それをみんな定検定検と呼んでいるわけでありますが、この定検中の修理費というものについて、通産省、エネルギー庁は一体この期間の定検については幾らかかったんだという資料を持っておられるか、お聞きしたいのです。
  205. 森山信吾

    森山(信)政府委員 原子力発電所の個々の定検の修繕費の実績につきましては、私ども承知していないわけでございますけれども、大体どのぐらいかかるだろうかという想定はできます。一回当たりが二十億円から三十億円程度になっておるのではないか、こういうような数字をおおむね把握をしておるところでございます。
  206. 上坂昇

    ○上坂委員 私たちは、この修繕費というのは相当多いので、原発は余りふやさない方がいいということを言っているのだけれども、どんどんふやす傾向にあるから、そうすると修理費がだんだんかさんでいくので、これからの電気料金値上げの非常に大きなファクターを占めるおそれがある、そこで、この修繕費については厳正なチェックをする必要があるだろうと思うのです。  それで私は、資料として、各原発ごとに定検をやったら一体幾らかかったんだ、これを全部報告をさせることが必要じゃないかというふうに思っているので、これをぜひやってもらいたいというふうに思うのです。そうすると欠陥炉であるか欠陥炉でないかというのがよくわかるから。そうすると欠陥炉というのは一番危ないわけだから。  とにかく、原発というのは年がら年じゅう——正常に運転しているときはいいのですよ、何だっていいのだけれども、年じゅうとまってあっちこっち故障したりなんかということは、材質なり建設技術なりあるいは運転技術なり、すべてが未熟だということなんですね。未熟であるということは安全でないということなんです。危険だということなんです。ですから、それで年じゅうとまっているものはもうやめて、これはつぶした方がいい。その方が資産としてもいいし、電力料金査定をする場合ももっと安く査定できるわけですから、こういうもう動かないものはどんどんつぶしてしまった方がいい。電力はつぶすわけにいかないから運転をしないようにするしかない。とめてしまう、こういう形がどうしても必要だと私は思っているのです。  私はいつも疑問に思っているのですが、原発の場合、建設をするでしょう、建設をして一年もたたないうちに、半年ぐらいの間にもうとめなくちゃならないというかっこうになって、一年か二年目の稼働が五〇%以下に下がる、あるいは三〇%になるなんという、そういう工場を普通の会社が持っていたら、これは一年で倒産。ところが、電力会社だけは絶対に倒産しない。こんなばかなことはない。ただ、みんなに電力を送らなきゃならないからという形で容認をされているだけなんです。だけれども、やはりそれはおかしいと思うのですね。だからそういうところまでチェックをすることが私は必要だと思うのです。その辺はどうですか。
  207. 森山信吾

    森山(信)政府委員 修繕費の問題は、実はこれは原価計算上の問題と、それから電力安全性の問題と両方の観点から考えてみなくてはならぬ問題だろうと思います。特に原子力発電所の場合は、その必要性が強いのではないかと思うわけでございます。私ども原子力発電所に対しまして一番期待することは、何といいましても安全性の確保ということでございまして、その安全性の確保の見地から定期検査も厳重にいたしておりますし、それから、少しでもトラブルが起こりますと、それに対して慎重な配慮を加えるということもございまして、たまには操業率が大きくダウンをする、こういう問題がございます。それで、修繕費をある程度けちりますとそういったことにひびが入りかねないという問題もございますので、その間の安全性の確保という観点を十分配慮しながら修繕費の問題を検討していこう、こういうのが基本姿勢でございます。  それから、修繕費がかなり高くなっておるのは、原子力発電所の修理に金がかかるのではないか、こういう御指摘でございますけれども、今回の八電力申請を見てみますと、修繕費全体のうちの原子力関係の修繕費は大体一二%程度でございまして、約一割が原子力の修繕費ということでございます。  それから、いわゆる修繕費比率というのがございます。これは修繕費総額の電気事業固定資産の帳簿価格に対する比率でございますけれども、この比率が八社合計で、五十三年度実績で四・八二%でございますけれども、今回の申請では四・三八%ということでございまして、むしろ実績よりやや低目に修繕費を出してきておるという実情がございますことを御理解賜りたいと思うわけでございます。
  208. 上坂昇

    ○上坂委員 通産省からいただいた資料をちょっと見まして、たとえば東京電力の場合、人件費が二千五十九億円、修繕費になると一千九百五十五億円、ほとんど大した違いがない。それから支払い利息になると、実にこれが二千十一億になってしまっている。利息と人件費が同じになってしまうわけですね。関西電力の場合は支払い利息と修繕費が人件費を上回ってしまっている。これはほかの原発を持っていないところと比較するとやはり大変違うですね。私はそういうところに原発の問題があらわれているのじゃないかという感じがしてならないのですよ。だから、修繕費とか何かというのは非常に重要な問題になるような感じがします。  東北電力はいま女川しか持っていませんが、これはいま全然動いていない。そこでは人件費は七百四十一億で修繕費は四百二十八億なのです。それから支払い利息は五百二十七億、これはまた三千億も四千億円もするような原発をつくるからこういうふうになってくるのだろう。これは五十三年度ですね。五十四年度は支払い利息が半期で二百七十四億ですから、これを倍にすれば五百五十億になりますね。こういうふうに物すごくふえてきているというところに私は非常に大きな問題が出てくるのじゃないかと思います。この点は指摘しておきます。  それから、電気料金の問題で、電源開発促進税というのは非常に不合理だと思うのです。電源地でもなく電源開発の候補でも何でもないところの全国の人たちが、みんな一律にこれを払っていかなければならないという実におかしな税金だと思うのです。だから、これは本当はやめた方がいいのです。そして財源を別に見つけていくようにしなければいけないと私は思っているわけでありますが、いかがですか。私は東北電力のをちょっと見たら、三十四億一千五百三十八万円いわゆる代行で取っているわけですね。徴収しているわけです。札びらでひっぱたいて原子力をつくっていくようなやり方をしないで、やはり別なところに財源を見つけて、こういうおかしなものはやめていくような方向に進むべきではないか。大臣がいなくなったから困るのだけれども、こういうのは大臣に聞かなければならなかったのだが、長官、ひとつ答えてください。
  209. 森山信吾

    森山(信)政府委員 大臣にかわりまして私からお答え申し上げたいと存じます。  ただいま御指摘の電源開発促進税でございますが、キロワットアワー当たり八銭五厘といいますものを今回三十銭に値上げをさしていただきたいというお願いをしているわけでございます。これは何と申しましても電源開発のためあるいは新しい代替エネルギーの開発のために、国民の電気をお使いいただいている皆様方に消費者負担、需要者負担という考え方で御負担をいただくということでございまして、やはり新しいエネルギーの開発に取り組むためには、直接的に目的税といたしましてこういった税金を負担していただくのが一番いい姿ではないかという感じがしているわけでございます。一般的な議論といたしまして、御指摘のように一般財源から賄ったらどうかという御指摘もございますけれども、電気を使う人がエネルギーの開発に金を投入しておるという意識を持っていただくという意味でも、こういった目的税は必要なのではないかということを私どもは考えまして、五十五年度の予算案の中で御審議をお願いしているところでございます。  それから、いま上坂先生が御指摘になった点は、こういった電源開発促進税は、国民全体が負担をしておるにもかかわらず、使われますお金が電源開発の地域にだけ偏っておるのではないか、こういう御指摘だと思いますけれども、これまた電源開発をするために地域の方にはいろいろと御迷惑をおかけするわけでございます。その迷惑料というわけではございませんけれども、そういった電源開発促進のためにはそこに福祉的なものあるいは地域住民の方に何らかのリターンがあるというような考え方も必要ではないかということでございまして、広く国民の皆様方から御負担をいただいたお金を電源開発のために投入するにはいまの制度が最もよろしいのではないか、こういう考え方で私どもはやらしていただいておる、こういう実情でございます。
  210. 上坂昇

    ○上坂委員 時間がなくなるから、迷惑料の問題について議論していると大変なことになってしまうからやめますが、しかし迷惑がかかっているから金をやる、そこはやはりおかしいので、本当は迷惑をかけないようにしなければいかぬ。最初から迷惑がかかることがわかっているものをつくるということが大体間違いなので、迷惑のかからないものをつくらなければならない、つくるとすればですよ。その辺のところはここでやるとあと三十分、一時間かかってしまうからやめます。  ところで電気料金は、本当は家庭や福祉関係のような非営利に使うものについてはうんと安くしてしまうということが心要だ。だから全然上げないというふうにしないといけないのではないかと私は思うのです。これはたとえば電灯の方は電力消費量の中で二四・四%しか使っていないのだけれども料金収入の中では三二・五%も負担させられている、こういうふうに言われているわけです。そうすると、先ほど小林委員の方からもいろいろありましたが、福祉関係でも何でも非常に困っているわけですね、そういう人たちの生活が非常に悪くなるという形で。この点についてはいま答えていただきたいと思うのです。  それから電力多消費産業の問題について入りたかったわけでありますが、公取委員長予算委員会の方に御出席になるということでありますから、いまの問題だけちょっと答えてもらって、電気料金はやめます。
  211. 森山信吾

    森山(信)政府委員 電灯料金が不当に圧迫されているのではないかという御指摘がございますけれども、これはやはり一つ原価構成ということを考えますと、そこにおのずから差が出てくることは当然ではなかろうかと思う次第でございます。と申しますのは、電灯は主として家庭でお使いになるわけでございますが、それに要します工事その他の経費を考えますと、電力料金よりはかなり割り高になるということでございまして、過去の趨勢から見てまいりますと、どうしても電力料金に対しまして電灯料金の方が割り高になっておるというのが実情でございますが、灯力格差と申しまして電灯料金電力料金の差をできるだけ縮めていくというのが、先ほど来申し上げております一つ指導基準でございまして、今回の値上げに当たりましても、値上げ寄与率は燃料費が一番多うございまして、約八二、三%程度燃料費の高騰が寄与するということでございますから、燃料費の高騰ということになりますと電灯も電力も同じようなバランスになりますから、今回は電力料金値上げの幅の方が大分大きいということでございまして、灯力格差は幾らか縮まってくるのではないかということでございます。  それから電力多消費産業に対する政策的な配慮の問題につきましては、これは原価主義というたてまえ、公平の原則というたてまえからしますと、そういうところに対しまして特別扱いをするということは、現実の問題としてなかなかむずかしいということがございます。しかしながら、御指摘のように電力を多く消費する産業にとりまして相当なインパクトになることも事実でございますから、従来からございます特約制度を活用いたしまして、できるだけインパクトをやわらげていきたい、そういうふうに配慮を払いたいというふうに考えている次第でございます。
  212. 上坂昇

    ○上坂委員 電力多消費型の産業についてはいろいろ問題があるので、時間がありませんからこの次に回します。  そこで、公取委員長にお伺いしますが、最近の報道で中央繊維興業というのが昨年暮れあたり倒産したということを聞いておるわけですが、その原因というのは紳士服の売れ行き不振で返品が殺到している、大量の在庫を抱えているためだ。ところが、この返品の大半というのがいわゆるPB商品である。プライベートブランド品というのは、御承知のように百貨店あるいはスーパー等が注文をする方でありますが、その注文をしてつくらせて、自分のブランドで売っているものについて返品をするような傾向がふえてきたという報道があったものですから、最近の大型店の横暴は目に余るものがあるので、この点についていろいろ御努力を願っていると思いますが、どんな方向でいま対策を立てておられるか、お伺いをしたいと思います。
  213. 橋口收

    橋口政府委員 百貨店、スーパー等の大規模小売店が、プライベートブランドの商品の納入を受けて販売をいたしました残品につきまして返品をするという問題でございますが、返品につきましては、百貨店、スーパー等につきましては昭和二十九年にいわゆる特殊指定というのがございまして、商品に瑕疵があるとかあるいは注文品と違った商品を納入したとか、そういう場合に返品をされるのはやむを得ないと思いますが、理由のない返品の場合には独禁法に違反するということが明瞭に決められておるわけでございます。これはプライベートブランド商品であろうとノーブランド商品であろうとあるいはナショナルブランドであろうと、返品一般に通用する原則でございます。ただ、いま先生がおっしゃいましたように、最近はいわゆるプライベートブランドというのがふえておりますので、これは一体どういう納入形態であるか、鈍然たる委託販売であるのか、委託販売でなくて買い切り販売であるのか。まあプライベートブランドでありますから当然買い切り販売ではないかと思うのですけれども、そういうことになりますと、ますますもって返品をするということは理由がないわけでございます。それから、一昨年から百貨店、スーパー等につきましては、いわゆる押しつけ販売とかあるいは協賛金の強要につきまして強い指導をやってまいったわけでございますが、最近いろいろなニュースによりますと、押しつけ販売とか協賛金につきましては、公取の監視が厳しいために違った形態で納入業者にしわ寄せするというようなこともニュースとして聞かれておるわけでございまして、その一つ方法がいわゆる返品問題ではないかと思うわけでございます。  そこで、昨年百貨店協会、それからチェーンストア協会も押しつけ販売と協賛金につきましては自主申し合わせというのをいたしておるわけでございまして、果たして自主規制がそのとおり行われているかどうかにつきまして、行政としてはフォローアップをする必要があるわけでございます。そこで、二月の下旬、間もなくでございますが、納入業者にアンケート調査をいたしまして、押しつけ販売、それから協賛金の状態につきまして把握をいたしたいと思っておるわけでございますが、そのアンケート調査の項目といたしまして、実は返品の実態につきましても回答を期待いたしておるわけでございます。約五千五百ぐらいの納入業者の事業所にあてて調査票を出すように予定をいたしておりまして、その中に返品の問題も含まれておりますので、この回答を集計いたしますと、最近における百貨店、スーパーと納入業者との関係における返品問題の全貌が明らかになるのではないかというふうに思っているわけでございまして、そういう実態を把握した上でしかるべき措置をとりたい。それからもう一つだけ申し上げますと、発注の形態によりましては下請代金支払遅延等防止法にも触れるのではないかという感じがいたします。  いずれにいたしましても下請代金支払遅延等防止法に触れない場合には、本則に戻って独禁法の問題としてこれは十分対策をとるべき問題だというふうに考えております。
  214. 上坂昇

    ○上坂委員 きょうの新聞だったと思いますが、いわゆる書店の再販の問題で、ある程度合意に達したような記事が出ていたわけですが、これはかなり合意に達する見込みがあるというふうに委員長お考えですか。
  215. 橋口收

    橋口政府委員 出版物の流通問題につきましては、昨年の十月に公正取引委員会から改善の試案を提案いたしておりまして、それを中心として現在出版四団体との間に折衝を重ねておるところでございます。それで、きのう某新聞に最近の状態につきましての記事がございましたが、いろんな項目がございまして、まだ折衝途上の問題もございますけれども、大体大筋において出版界の御希望を是認するという態勢になっております。  ただ、細かいことを申し上げますと、いわゆる出版物につきまして、値引きではなくて図書券その他の景品をつけるという問題がございます。これにつきましてはわれわれの方としましては、景品なりあるいは割引券の付与ということは公正競争を害さないという見解を持っておるわけでございますが、四団体の方は公正競争規約というものをつくりまして、これは公取委が認定をして初めて公のものになるものでございますが、公正競争規約をつくりまして、その中で景品の供与につきまして一定のルールをつくりたい、こういう御要望があるわけでございます。この内容につきましては、どういう程度あるいはどういう内容のものを織り込むかは今後の問題であると思います。しかし、全体としましては出版界の御要望なりあるいはお考えというものに沿って対処できるのではないかということは、逆に申しますと、われわれの見解も相当大幅に入れていただいているということで、おおよその妥結点が発見できるのではないかというふうに考えております。
  216. 上坂昇

    ○上坂委員 公取委員長、お引き取りになって結構です。  大型店の問題についてお伺いしますが、中小企業体質強化資金助成制度というのを、これは仮称になっておりますが、五十五年度の中小企業施策の重点の一つとして設けられたようであります。これは大型小売店舗の進出でいま非常に悩んでいる中小小売店対策あるいは下請中小企業対策というものも入っていると思いますが、この場合中小企業の分野法との関係のいわゆる生産業者、これらもこれに含まれるかどうかということについてお答えをいただきたい。  それから、この資金は一体どういうときに使えるものか、これを具体的に示していただきたい。
  217. 左近友三郎

    ○左近政府委員 来年度から実施しようといたしましていま計画をしておりますこの中小企業体質強化資金でございますが、大体四つの項目についてやろうということでございます。一つは、大型店等の進出対策融資ということでございます。それからもう一つは下請中小企業対策融資、それからあと地域産業対策融資、組合共同事業対策融資ということでございます。  御質問の、大型店以外の大企業進出、いわゆる分調法の問題になるような問題につきましても、この大型店等進出対策融資ということで、ここに商業の関係では大型店、それ以外のものについては大企業の進出というものを織り込むようにいたしております。  それで、実際にどういう場合にということでございますが、商業の場合に考えておりますのは、昨年来いろいろ現地の事情などをわれわれは伺いましたときに、大型店の進出が例の大店法の調整によって大きな影響がないことが決まって、実際に進出してきたときに考えてみると、確かに過度の影響はないけれども、やはり自分らも進出してきたら、たとえば店舗を改造するとかあるいは品ぞろえを変えるとかということで、大型店と正当な競争をやるについてやはりある程度の運転資金なり設備資金が要る、あるいはまたそういうことを契機に消費者の方々の小売店に対する非常な要望も出てくるということでございますので、そういう大型店の進出した後において小売店としての近代化を進めるということが当面必要になってくるということでございますので、そういう場合にこの資金を融資をしたいということでございます。
  218. 上坂昇

    ○上坂委員 こういう制度を設けることについて別に反対はしません。むしろ賛成しますけれども、ただ問題なのは、いま大型店が、特に商業の場合大型小売店がもう何か洪水のようにめちゃくちゃに進出して、地域を荒らし回っていると言ってもいいと思うのですね。     〔渡部一恒一委員長代理退席、委員長着席〕 そういうときにこういうものを設けるということは、通産省の姿勢が悪いからそういうふうに勘ぐられちゃうのかどうか知らないのですが、どうも大型店向きにいろいろ施策をやったりする傾向があるので、そこで大型店が進出しやすいようにこれをつくって、そしてしてもいいのだという方向にこれを利用されるおそれがある。こうなったら、これはかえってアブハチ取らずで、大変な問題になると思うのですね。したがってチェックの方も厳しくやる。そしてやむを得ず進出したものに対しては、それはいま言ったように正常に育っていくような形に持っていくのだ、こういう形で私は運用してもらいたいと思うのです。その点の心構えをお聞かせいただきたい。
  219. 左近友三郎

    ○左近政府委員 中小企業庁といたしましては、中小小売商が大型店のむちゃくちゃな進出によってじゅうりんされるということがないように、中小小売商の味方になって擁護しようという立場でございます。したがいまして、この融資制度が例の大店法の調整に何か影響を与えるということはあるべきではないと考えております。むしろ大店法は厳格に運用していただく。そして御指摘のとおり、その大店法で支障がないと決まった上において大規模店と中小小売店が競争する場合に、しかしそういう場合でも中小小売店には援助をする必要がある、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。しかしながら、そういう誤解を与えてはいけませんので、これの運用に当たってはその点は厳に注意をしていきたいと思いますし、この融資制度の運用は各県が中心になってやりますので、県にも十分その趣旨を伝えたいというふうに考えております。
  220. 上坂昇

    ○上坂委員 時間が来ましたから、最後に商調協の構成ですが、最近過剰に指導する傾向が見られているわけですね。たとえば、せっかく構成されていていま問題が起きて審議しているのにもかかわらず、改選期が来たからやめさせるとか、中の委員を取りかえなければだめだとか、商工会議所の常任になっている者は外さなければいけないとか、二年間の任期なのだからこれは改選をしなければいけないとか、何かやたらにやっているわけですね。これはあちこちに見えているわけです。ところが、大店舗審議会の方のメンバーをこの間もらったのですが、会長、副会長なんというのは大店舗の法律ができたときから六年も全然かわらない。地方でもかわっていないわけですよ。それにもかかわらず、現実に一番地元の問題を取り扱っている人については、とやかくかえろとかだめだとか言ってチェックをしていくということは、私は非常に悪い指導の仕方だと思っているわけです。したがって、通産省の商調協の構成についての根本的な、基本的な考え方というのは一体どこにあるのかということを明確にお示しをいただきたいと思います。
  221. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘の商調協の構成、その運営と申しますものは、大店法の実施運営に非常に重要な影響を持っておりますので、私どもといたしましてもできるだけ法の運用の精神に沿ったような地元の意見の反映、取りまとめができるような商調協になってほしい、そういうものを適正に運営してほしいという観点から、商工会議所あるいは商工会等に一定の考え方をお示しいたしまして、そのような理想に近い商調協にできるだけ早く持っていりていただくようにお願いをしておるわけでございます。基本的には、やはり法律にございますように中小小売商業との調整というのが主眼でございますので、地元の小売商業者の意見を適切に代表するような委員の方々をそろえていただくと同時に、消費者利益というもの、流通の近代化というもの、それを受ける側の意見も適正に反映する必要があろう。さらにはこれらの意見の調整という意味で、学識経験者、中立的な委員もほぼこれらが均衡するような形で、しかもおのおのについての意見を代表しあるいは公正の立場で中立的に物を考えられるような方々をぜひお願いして委員になっていただくように指導しておるわけでございます。  この基本的な考え方について、かなり具体的な事例を示して私ども指導いたしておりますが、それほどしゃくし定規な形で物事を進めていこうとは考えておりません。ただ、中央での考え方というものが、末端に参りますと、御指摘のようにややもいたしますとかなり硬直的になる例もございますので、その辺につきましては御指摘の点を踏まえて今後適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  222. 上坂昇

    ○上坂委員 注意をしておきますが、地域というのはいろいろな条件があるのですよ。たとえば生産工場の非常に多い地域もあるし、それから商業が本当に主体になっている地域もある。みんなそれぞれの条件が違うわけです。  それからもう一つは、そこに選ばれる人というのは、やはり商工会議所なりあるいは市役所なり、そういうところの人が、十分この人はそういう事情はわかっているのだというかっこうで、それぞれの立場から選ばれていると思うのです。それを、全国九州から北海道まであるのに、東京にいて通産省が、この人なら非常に中立的な考え方を持っているのだとか、この人は大変正当な見識を持っているのだなんて、そんな評価はなかなかできるはずはないと私は思うのですよ。ですから、そういうできるはずのないことを地域に押しつけていくというようなやり方をすることになると、これは大店舗に加勢しているのだな、こう思われるから、そういうことは今後絶対にやらないように、本当に地域の実情の中から選ばれてきたということで、現地に行くなり何なりして問題を十分把握して、そこで指導するなら指導するようにしてもらいたいというふうに思うのです。  それからもう一つは、現在申請が行われて、それについて討議をしている最中にメンバーをかえなさいなんということの絶対にないような指導をしてもらいたい。これはぜひ要望します。これにひとついい答えを出してもらいたい。
  223. 神谷和男

    ○神谷政府委員 私どもここから各地元の委員の選出について、具体的にこの人がいいとか悪いとか言えるようなポジションにないことは十分了知いたしております。基本的な考え方は、できるだけ公平な組織にする、こういう考え方でひとつ現地で適切な方を選んでいただきたい、こういう考え方で進めております。例示その他を出しますと、ややもいたしますとそれがひとり歩きすることがございます。そういうものは十分参考にはしていただきたいと思いますが、やはり地元が自主的に決めていただくべきものだと考えております。  それから委員につきましては、二年で一応交代をしていただく。余り固定いたしますことについてのいろいろな御意見もございますので、これを原則といたしておりますが、委員の交代等につきましては、交代期あるいはその他の事情を勘案しながら考えてほしい、こういう形でやっておりますので、地元の実情を一番よく考えておられます商工会議所、商工会等の方々が通産局等によく御相談あるいは御事情の説明等をいただきながら進めていただければ、われわれは特に常識と異なるようなものを硬直的に押しつけるつもりは毛頭ございません。
  224. 上坂昇

    ○上坂委員 時間がオーバーしてまことに申しわけないですが、いまの問題で、これは厳重にやってもらうようにお願いしたいと思います。  それから、大店舗というのは進出するのに一平米当たり一万円使うことになっている。ですから、大変なお金を使って、これは原発じゃないけれども金でほっぺたをひっぱたいて進出をする傾向があるわけですね。それからもう一つは、最近はいわゆるナショナルスーパーがお互いに競争しているものだから、片一方をつぶすというかっこうですから、手段を選ばないやり方をする。そのとばっちりで今度は地元の中堅スーパーなり何なりも全部やられてしまう。こういうかっこうがあるということ。この点をひとつよく見ておいていただきたいと思うのと、大店舗の審議会ですが、これは余りに人数が少ないですね。しかもいま言ったようにずっと六年もやっている。ここのところは全然改善しないから、出すと、ひどいのになると、九州の方ではゼロ、ゼロ、ゼロという回答をよこしたのに、ゼロの回答ならばゼロにしてしまえばいいのに、申請のほとんどを認めてしまっているような決定をするというようなことが言われておって、大店舗審議会、これは中央と言わず地方と言わず非常に不信が強いわけです。したがって、地方の商調協のメンバーなんというのを頭に置かないで、通産省はむしろそういう大きなところに頭を使って、そこら辺の悪いのは退治してくれるように私はお願いしたいと思います。その辺ちょっと。それで終わります。
  225. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御指摘のように最近大規模店舗の届け出の数も多くなってきております。景気の動向等も反映いたすことは事実でございますし、また法律改正前若干駆け込みを抑えておった反動等もございますので、短期的な数字でどうこうは申し上げられませんが、先生指摘のように大規模店舗同士の争いのとばっちりを受けて、中小小売業の生存そのものに影響を与えるというようなことは避けなければならない問題だと考えておりますし、またその種の問題を調整するために大店法があると考えておりますので、それらは流通の近代化それから小売商業の安定、しかし進歩を求めながらの安定を調整するという形での法律の厳正、公正な実施を行っていきたいと考えております。  大店舗審議会の先生方、私どもはりっぱな方と考えてお願いをいたしておりますし、また中立委員を主体にいたしておりますのでやはりある程度の知識経験が必要でございますので、地元代表の方々とはまた違った観点から、余り短期で動かすのはいかがかと思っておりますが、審議会のメンバーにつきましては内閣の方からも一定期間での交代が全般的に要請されておりますので、私どもそれは念頭に置きながらりっぱな方々に審議会の委員になっていただきまして、公正な結論を出していただき、私どもといたしまして法律の趣旨に沿った適正な運営を行ってまいりたいと考えております。
  226. 上坂昇

    ○上坂委員 終わります。ありがとうございました。
  227. 塩川正十郎

    ○塩川委員長 これにて上坂昇君の質疑は終了いたしました。  これにて通商産業大臣及び経済企画庁長官の所信に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十二日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十五分散会