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1980-03-19 第91回国会 衆議院 社会労働委員会医療保険制度に関する小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十九日(水曜日)     午後二時五分開議  出席小委員    小委員長 戸沢 政方君       越智 伊平君    瓦   力君       住  栄作君    八田 貞義君       箕輪  登君    山崎  拓君       前川  旦君    村山 富市君      平石磨作太郎君    浦井  洋君       田中美智子君    米沢  隆君  出席政府委員         厚生大臣官房審         議官      竹中 浩治君         厚生大臣官房審         議官      幸田 正孝君         厚生省保険局長 石野 清治君         社会保険庁医療         保険部長    此村 友一君  小委員外出席者         社会労働委員長 葉梨 信行君         厚生省社会局老         人保健課長   古市 圭治君         社会労働委員会         調査室長    河村 次郎君     ————————————— 三月十九日  小委員田中美智子君同月八日委員辞任につき、  その補欠として田中美智子君が委員長指名で  小委員に選任された。 同日  小委員竹内黎一君同日小委員辞任につき、その  補欠として八田貞義君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員八田貞義君同日小委員辞任につき、その  補欠として竹内黎一君が委員長指名で小委員  に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  医療保険制度に関する件(老人保健医療制度に  関する問題)      ————◇—————
  2. 戸沢政方

    戸沢委員長 これより小委員会を開会いたします。  医療保険制度に関する件について調査を行います。  本日は、前回政府から説明を聴取いたしました老人保健医療制度に関する問題について調査を進めることといたします。  前回説明いたしました資料等につきまして質疑の申し出がありますので、順次これを許します。  それでは、慣例に従いまして、ひとつ自民党の方から順次一巡をしたいと思いますので、簡潔に質疑応答をお願いいたしたいと思います。議題以外のことはひとつ御発言は遠慮していただくことにいたしまして、よろしくお願いいたします。自民党の方からどなたか一人か二人ぐらい老人医療問題について御質疑がございましたらどうぞ。山崎拓君。
  3. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 ではまず、昭和五十五年度の予算編成の際に、老人保健医療制度の新設を五十六年度等において考えるということを厚生大蔵両省の間でそういう覚書が交わされたということですが、その内容について御説明いただきたい。
  4. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 五十五年度予算の最後の大臣折衝、三役折衝段階でいわゆる覚書と称する厚生大蔵大臣合意を見たものがございますが、このうち老人保健医療に関しましては、老人保健医療制度につきまして五十五年度には現行どおりとするけれども、五十六年度に向けて老人保健医療制度の基本的な見直しをするということで両大臣の間で確認がされたものでございます。  その内容といたしまして、全体について制度の基本的な見直しをいたすわけでございますが、財政調整受益者負担導入保健事業拡充等も含めて基本的な見直しをする、関係審議会諮問をしてできるだけ早く結論を見出すというような内容でございます。
  5. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 そうしますと、現在見直しを行うということについて厚生省としては、財政調整といういまお話がありましたが、財政調整でやるのか、あるいは新しい制度をつくるのか、その辺のところの基本的な取り組み方というものは決まっているのですか。
  6. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 現行老人保健医療制度につきましては老人保健医療問題懇談会意見書を初めといたしまして、各方面から、医療費保障への偏重あるいは保健サービス一貫性の欠如あるいは費用負担の不均衡、こういった問題点がすでに指摘をされておるわけでございます。私どもといたしましては、これらの問題点の解消を図り、健康な老後を保障するためどうすればいいかということで各般見地からすでにいろいろな点で検討し、これからも検討いたしたいと考えておるわけでございますが、その際にどういう形で今後考えていくのか、主な検討のポイントを申し上げてみますと、一つは、制度の立て方をどうするか。いまお話にございました現行制度のままで不十分な点を拡充強化するということでよいのか、あるいはまた老人だけ特別の制度として別建てにした方がいいのかといったような点でございます。  それから、二番目には、保健事業、いわゆるヘルスサービスでございますが、健康教育健康相談健康診査その他が考えられるわけでございますけれども、この保健事業範囲内容をどういうふうに考えていくか。  それから、第三番目には、費用負担あり方。現在費用負担に非常に不均衡を生じておる。特に国民健康保険加入者負担が非常にかかっておるというような御指摘があるわけでございますが、国民各層老人医療費保障について必要な負担を公平に分担をしていただくということでございますが、そのための方策の一つとして財政調整という方式もあるだろうと思いますが、そういうことも含めまして費用負担あり方というのが第三の検討の柱。  それから、四番目に、一部負担をどういうふうに考えていくか。  五番目に、老人保健医療制度関連のございますたとえば老人福祉でございますとか、あるいは一般公衆衛生サービスでございますとか、もっと広く言いますれば年金、雇用、こういった問題があるわけでございますが、こういった関連施策との関係をどう考えるか。  いま申し上げましたような五つぐらいの問題が中心になろうかと思いますけれども、こういうものを中心に今後鋭意検討を進めていきたいというのが現在の段階でございます。
  7. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 その制度の立て方の問題ですが、現行制度をベースとしてそれを補完していくという考え方と新しい制度をつくるという考え方、両方あるといういまのお話だったのですが、この問題に関心の深い諸団体、たとえば先ほどお話が出ましたような国保とか健保連あるいは医師会等々のこの問題に対するいろいろな考え方があろうかと思うのでありますが、総じていま国民世論的なものでありますが、それはどういうふうに判断しておられますか。どういう方向を求めているのか、その点どうです。
  8. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 いまお話のございました健保連あるいは国保中央会日本医師会、それから各政党でもいろいろと御検討になられまして、それぞれ構想を御発表になっておるわけでございます。健保連国保中央会等につきましては、おおむね老人のための特別の制度創設をいたしまして保健サービスあるいは医療リハビリテーションといった包括的なサービスを行う、費用負担につきましては国費、公費のほか別の財源もそれぞれ検討するというようなのが、大まかに申し上げまして国保中央会なり健保連のお考えだろうと理解をいたしております。それから、日本医師会でございますが、日本医師会は、医療保険の各制度地域保険に統合をする、その上で四十歳以上の予防給付を行うための老齢保険制度というものを創設をするというようなお考えであろうかと思っております。  老人のための特別の制度をつくるという御主張が、私ども感じでは幾らか多いのじゃなかろうか、いろいろの関係方々の御意見の中ではそういうお考えが多いのではなかろうかという感じは抱いております。
  9. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 いまお話がありました包括的な医療サービスということで保健事業ということが指摘されておるわけですけれども、現に全国市町村の中には保健事業をやっておられるところがあると思うのです。そういう市町村においてどういう実績が上がっているか。老人医療費を低下せしめるような効果的な保健事業の実態といいますか、その点について調査しておられると思うのですが、どうですか。
  10. 古市圭治

    古市説明員 総合的な老人保健医療対策効果というものを何を指標に見ていくかという形が一つむずかしいということがございますが、端的な話で老人保健医療に対する受ける側の安心感というものが非常にその地区にはある、それからまた、その結果いわゆるいま問題と言われております医療費保障への偏重ということでなくて保健予防事業バランスのとれた支出が行われているというようなこと、その成果から見て一人当たり老人医療費がたとえば県平均全国平均より低くなっているというような地区は何か所かございまして、そういうことからたとえば沢内村、よく例に出されますが、そこの例で見ますと、受診率岩手県内でもほとんど最高に近い。一番高い。しかし、非常に早期にかかるものですから、一人当たり医療費というのは非常に安い。そういうことから相対的に老人医療費県内ではほとんど最低のランクになる。いつでもかかりやすく行くけれども、行ったときには健康相談等で対応して安くなっている、そういう地区がございます。そこでは病院長健康管理課長を務めていて、総合的な老人保健医療体制がとられている、保健婦活動が盛んである、そういう例がよく紹介されておりますが、先般の行政管理庁の老人医療に対する監査の中の報告におきましても、医療費が相対的に安い市町村を見たところ、そこの地区では健康診断それから保健婦による訪問指導等が活発に行われていたということから、現在の老人保健医療制度というものについてバランスのとれた方式効果的ではなかろうか、このような御指摘もいただいているわけでございます。
  11. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 今度の新しい老人保健医療制度をつくるに当たりまして、かねてから医師会が言っているプライマリーケアなるものを取り入れるという方向だろうと思うのですが、プライマリーケアなるものの定義は何です。どんなことですか。
  12. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 プライマリーケアでございますが、翻訳といたしまして初期医療と申しますか、プライマリーケア定義につきましていろいろ御議論があろうかと思いますけれども一つは、住民と直接接する地域の第一線で医療を担当する、そういう医療であるということ、それからまた単に狭い意味での診療と申しますか治療と申しますか、そういうことだけでなくて、ふだんから健康管理を含めた幅の広い診療を行うというようなことも、一般プライマリーケアという言葉の中で考えられているようでございます。いろいろお考えの違う方もあろうと思いますが、私はそんな理解をいたしております。
  13. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 要するに、今度の新しい仕組み考えるに当たってはプライマリーケア考え方を取り入れる、そういう積極的な方針はお持ちでございませんか、どうなんですか。
  14. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 従来からいろいろ御指摘をいただいております点の一つといたしまして、総合的な保健医療対策が必要である、健康管理から治療リハビリテーションまで一貫したものが必要であるという考え方でございますが、その点が先ほど申し上げましたプライマリーケアの第二点の考え方に通ずるものでございますし、また今後新しい制度あるいは新しい施策として考えていきます場合に、地域医療の中にいかにうまく溶け込んだ形で老人保健医療対策考えていくかということがやはり大きな問題であろうかと思いますので、そういう観点からもプライマリーケアと言われておる考え方につきまして十分理解をし、プライマリーケアというものがいろいろの点で効果の発揮できるような形のものを、私ども、今後新しい制度考えていく中でそういうことも十分踏まえてまいりたいと思っております。
  15. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 予算編成の際に、大蔵省と厚生省が最終的に覚書を交わして、五十六年度までの間に老人保健医療制度について見直しを行うということにされました背景の中には、いろいろなことがありましょうが、一つは、増高する医療費、なかんずく老人医療費対策をどうするかという問題意識があったと思うのです。  その具体的な対策一つとして、一部負担制度導入問題があったと思います。この問題について、国民世論はまさに二分されておる感じがするのですが、私ども政治家といたしまして、国民に接する機会は官僚の皆さんよりも頻度が高いわけなんですが、私は、国民の声として一部負担制度導入すべしという考え方の方が強いというふうに、日ごろの政治活動を通じましてはだで感じておる者の一人です。  そういう国民世論の動向についてどういうふうに受けとめておられるか、お伺いします。
  16. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども制度全体として基本的な見直しをいたしたい。その全体の見直しの中で、いまお話のございました一部負担をどう考えていくかということで検討いたしてまいりたいわけでございますが、その際にも、お話がございました国民合意がどういう形で得られるのかという点が一番重要でございます。  五十五年度の厚生省事業一つといたしまして、いわゆるグリーンペーパーと称しております、一般国民並びに有識者につきまして当面の厚生行政重要課題について御意見を伺うという計画もございます。このグリーンペーパーの中には当然老人医療費の問題も織り込んで実施することになろうかと思いますが、それらを通じましてもう少し幅広い国民各層あるいは有識者方々の御意見を把握いたしてまいりたい、そんなふうに考えております。
  17. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 日本世界に誇るべき成果として、国民平均寿命世界第一級の水準であるということがあると思うのです。それはもちろん今後ともそういう方向で発展せしめていかなければならぬわけです。したがって、財政上の見地からだけこの問題を論ずることは間違いだと思いますし、慎重を要することであります。しかし、そういう基本的な国民の健康の問題を損なわずに、やはり現在の医療制度の中でしばしば問題視されるような社会的な現象がございますが、そういうものについてきめ細かく問題をつかまえられて、合理的な一部負担制度導入ということについては積極的に取り組んでもらいたいというふうに私は考えております。  そこで、五十六年度からぜひ老人保健医療制度などの改革なりあるいは新しい出発なりをやってもらわなければいかぬと思うのですが、その日程といいますか、五十六年度に出発せしめるためのこれからのスケジュールはどういうふうな段取りで考えておられますか。
  18. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 現在私ども老人保健医療制度の詰めの点で一番最初に考えておりますのは関係審議会でございますが、幸い社会保障制度審議会には各般関係方々がほとんど入っておられますので、社会保障制度審議会にできるだけ早く御諮問申し上げまして、社会保障制度審議会審議を早く始めていただきたいということを当面考えております。なお、もちろん厚生省におきましても、それと並行いたしまして、先ほど申し上げましたような問題点中心厚生省としての煮詰めもやってまいりたい。できますれば、社会保障制度審議会の御答申をできるだけ早い機会にいただきまして、それらを踏まえまして五十六年度予算案編成に間に合うように厚生省としての結論を見出していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 山崎拓

    山崎(拓)小委員 終わります。
  20. 戸沢政方

    戸沢委員長 それでは、時間の都合上、次へバトンタッチさせていただきます。村山富市君。
  21. 村山富市

    村山(富)小委員 一つは、きのうでしたか、参議院で社会党の質問に答えていますね、社会保障制度審議会白紙諮問したいと。白紙諮問したいというのはどういう意味なんですか、わかればお答え願いたいと思います。  もう一つは、老人保健医療制度の問題は、公に議論になってずいぶん久しいわけです。私が記憶している範囲でも、たしか齋藤厚生大臣田中厚生大臣、それからずっと歴代の大臣と必ずと言っていいぐらいに委員会議論されているわけですが、それなりにそれぞれの大臣の立場で見解は表明されているわけです。そして最終的に、遅くとも五十五年一月から実施をしたい、こういう答弁を行っていたわけですね。先ほどお話がございました老人保健医療制度考える上での五つか六つの柱についても、それぞれ検討が若干ずつされて、一応の見解も述べられているわけです。そういう経過があるのにもかかわらず白紙諮問をするというのは一体どういうことなのかということを聞きたいと思います。そして、そういう経過を踏まえて、そういう答弁までしておるにもかかわらず今日まで日の目を見ずにおる理由、原因は一体どこにあるのかということについて、お聞きしたいと思います。
  22. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 いまお話がございましように、老人保健医療問題につきましては、厚生省といたしましては五十一年の二月に厚生大臣私的諮問機関といたしまして老人保健医療問題懇談会を設置いたしております。これが一年半の御審議の上で、五十二年の十月に意見書をいただいておるわけでございます。厚生省といたしましては、その時点から、厚生省の中に準備室をつくりまして、そこで鋭意検討をしてまいったということでございます。その間に、当時の小沢厚生大臣から小沢試案ないしは小沢構想、あるいは昨年でございますが、当時の橋本厚生大臣から橋本構想橋本試案というものが公表されておるわけでございます。  私どもといたしましてはそういう経過の中で、老人懇意見を踏まえ、また各層からお出しいただいております種々の御提案を踏まえて鋭意検討をいたしてまいっておるわけでございますが、残念ながら現時点におきましては、国民各層合意をいただけるような案が厚生省としては用意ができていないということでございます。  一方、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたようなこと、あるいはまたこの問題は非常に緊急を要する問題であるというようなことから、各般関係者方々がほとんど入っておられます社会保障制度審議会にできるだけ早く御諮問申し上げまして、その制度審議会での関係方々の御意見を踏まえながら、厚生省としての検討もさらに続けていきたいという考え方で、現時点では残念ながら厚生省としましてのある程度の考え方をお示しして御諮問申し上げるということが非常にむずかしい段階でございますので、いわゆる白紙と申しますか、包括的な形で御審議をお願いし、御意見をいただきたいという形の、まだその内容を詰めておるわけではございませんけれども、そういう包括的な形の諮問という可能性が非常に強いというのが現状でございます。
  23. 村山富市

    村山(富)小委員 いまお話がありましたように、老人保健医療問題懇談会、これを五十一年の二月につくっていますね。そして、それに諮問をして答申を得て、そして厚生省の中に準備室をこしらえてやっているのでしょう。結論方向も案も、何も出ないものですか。この小沢試案というのは、その答申を踏まえ、厚生省に設けられた準備室の中で検討を加え、その成果を踏まえて出しておるわけでしょう。全然関係ないわけですか。
  24. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 老人懇意見書でございますが、五十二年十月に厚生大臣あてに出されておるわけでございます。この老人懇意見書は、御承知のように、大まかに申しまして、一つは、健康教育あるいは健康増進からリハビリテーションまでの一貫した総合的な老人保健医療対策を確立することが必要だ、まずそういう考え方が出されておるわけでございます。そのほか各論的な事項につきましては、たとえば費用負担方法等につきましては、若干のアクセントはございますけれども五つばかりの方法を列記いたしまして、どれを採用すべきであるかは今後の検討にまつというような形の内容になっておるわけでございます。したがいまして、先ほど申しました総合的な老人保健医療対策を確立するという場合にどういう制度の立て方なり仕組みが適当であるかというものは、老人懇としての結論は明確には出ておりませんが、それを受けて厚生省なら厚生省検討するという形になっておるわけでございます。  そこで、小沢構想でございますが、確かに老人懇意見書基盤に置きましていろいろお考えになられました上で、当時の小沢厚生大臣が御発表になったものでございます。もちろん老人懇とは無縁のものではございませんし、むしろ老人懇基盤に立ったものという理解はできようかと思います。ただし、いま申しましたような老人懇意見書内容でございますので、老人懇意見書から出てくる考え方というものが即小沢構想である、あるいは小沢構想に近いものしかあの老人懇意見書からは出てこないということではございませんで、老人懇意見書基盤にいたしましても、現在の制度をほぼそのまま残した上で必要なものを拡充強化していくというような構想も成り立つ可能性は十分あるわけでございます。老人懇意見書小沢構想はそういう関係にあると私ども理解をしておるわけでございます。
  25. 村山富市

    村山(富)小委員 では、その老人懇答申を受けて、そしていまお話があったように、たとえば費用負担の問題にしても幾つかの事例を上げて、この場合はこうなるといったような問題点の提起をしておるという問題があるでしょう。そういう問題を受けて厚生省の中に準備室をこしらえて、そしてどれぐらいの期間か知らぬけれども検討を加えていったのですね。準備室検討を加えたその方向とかなんとか、全然ないのですか。
  26. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 老人懇意見書を踏まえまして、準備室中心種々検討をいたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、検討の柱と申しますか、最も大きな検討項目というものが五つばかりあるわけでございます。そのそれぞれの検討項目につきましてどういうことが考えられるか、たとえば制度の立て方ということであればどういうことが考えられるか、あるいはまた費用負担でございますればどういう方法があり得るか、その場合の問題点はどういうことかというような点につきましては、各般見地からいろいろな検討を加えておるわけでございます。しかし、現在の段階では、先ほども申し上げましたように、これが厚生省としての考え方であるということで大方の国民各層合意をいただけるようなまとまった考え方をつくるまでには現在のところ至っていないという状態でございます。
  27. 村山富市

    村山(富)小委員 そうしますと、国民的なコンセンサスを得る、合意を得るというのは一体どういうことなんですか。たとえば、社会保障制度審議会諮問を行い、そこから答申を得た、それもやはり一つ合意を得たという背景になるでしょうね。ですから私は、いままであなた方がとってきた経緯を振り返ってみてまた同じことを繰り返すのじゃないか、こういう気がするわけですよ。どうですか、その辺は。
  28. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 老人懇意見書につきましては、私どもとしては、むしろそれを基盤にして検討するということで、老人懇意見書を横に置いたというふうな形では決してございません。それは先ほど説明申し上げたとおりでございます。今回、仮に社会保障制度審議会に御諮問申し上げまして一定の結論、御答申をいただきました場合には、私どもは、新しい制度ないしは施策について厚生省としての考え方制度審の御答申に沿ってつくりまして、それを実行に移すということでございます。
  29. 村山富市

    村山(富)小委員 よくわからぬけれども厚生省自体考え方というのは全然もうないわけですね。
  30. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 これは何度も繰り返して申しわけございませんが、現時点におきましては、いろいろの検討は続けておりますけれども厚生省としてまとまった考えは現在のところでき上がっていない。仮に社会保障制度審議会に包括的な形で御諮問申し上げたといたしましても、私どもといたしましては、それで私どもはそれ以降は検討しないということではもちろんございませんで、並行いたしまして私どもとしても鋭意検討し、煮詰めをしていく。その過程で、もし社会保障制度審議会での審議の状況に応じましていろいろ御指示がございますれば、それぞれの時点におきまして、その時点までに私ども検討いたしました経過なり内容というものは逐次審議会の場でも御披露して、審議の御参考にしていただく。したがいまして、私どもとしては制度審に仮に御諮問申し上げたといたしましても、厚生省としての考えをまとめることをあきらめると申しますか、やめると申しますか、そういう考えは毛頭ございませんで、並行して厚生省としての考え方の煮詰めを鋭意続けていきたいということでございます。
  31. 村山富市

    村山(富)小委員 さっき挙げたような柱の問題点というのは、もう何年も前からそれぞれの角度から議論をしてきている問題ですよね。それはもう内容的には一歩も前進がないわけですね、一つは。  それから、さっきもちょっと質問がございましたけれども、たとえば今度の新しい年度の予算編成の際に、老人の一部負担の問題とかあるいは所得制限の強化の問題とかいうのが仮に大蔵筋から出たとしても、それに対してどう対応するかというのは、いま緊急の問題として老人保健医療制度の問題が問題になっている、その全体の見直しなりとらえ方なり考え方があって初めてこの問題はどう処置をするかということができるのであって、これを単独に取り出してこれだけどうこうすればいいという問題にはならぬと思うわけです、緊急の課題としてあるわけですから。そこらのとらえ方というのはどういうふうに考えていますか。
  32. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 その点につきましては全く私どもも同意見でございまして、老人保健医療制度考える場合に、たとえば一部負担、たとえば所得制限だけをとりまして議論をするのは適切ではない。むしろ、先ほど来申し上げておりますように、いろいろの問題点に立脚をいたしまして制度全体のあり方考える中で、一部負担なり所得制限なりはどうするのかということが当然のことだろうと思いますので、その点につきましては全く同意見でございます。
  33. 村山富市

    村山(富)小委員 そうしますと、厚生省大蔵省と覚書も交わされ、五十六年度予算編成の際にもう一遍検討することになっている、その覚書と、これから白紙諮問をしようとする厚生省考え方と、関連はどうなのですか。
  34. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 いわゆる覚書でございますが、その中でも、要するにその基本的な見直しを進めるというのが一番基本的な考え方でございまして、その基本的な見直しを進める中に、たとえば財政調整でございますとか、受益者負担導入でございますとか、保健事業の拡充、そういったものも含めて基本的な見直しを進めるということでございますので、覚書に照らして申しましても、考え方としては全体の見直しの中でそういった問題を含めて検討するということでございます。
  35. 村山富市

    村山(富)小委員 そうすれば、何も覚書を結ばなくたって、社会保障制度審議会というのは総理大臣諮問機関でしょう。一厚生省諮問機関じゃないでしょう。それに政府が諮問をするのに、そんな覚書を結ばなければならぬ理由はどこにあるのですか。それはそんなことでなくて、一部負担等有料化の、所得制限の強化の問題についてもう一遍検討するという覚書であって、それはおかしいのじゃないですか。それは白紙社会保障制度審議会諮問をするのならそんな条件をつけるわけないですよ、覚書なんていうのは。それは一体どういう関連があるのですか。
  36. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 このメモでございますが、世間で覚書と言われておるわけでございますけれども、これは厚生大臣予算委員会その他の場でいろいろ御答弁申し上げておりますように、覚書というよりは、現在の時点において大蔵大臣厚生大臣の認識を確認し合ったというような性格のもので、むしろ政府部内あるいは政府・自民党の内部的な文書と理解すべきであろうかと思います。この覚書が仮にあろうがなかろうが、私どもといたしましてはできるだけ早く老人保健医療制度につきましての結論を見出す必要がございますし、したがいまして、そういう考え方のもとで社会保障制度審議会にできるだけ早く御諮問申し上げるということが必要だ。ただし、このいわゆる覚書の中身につきましても、いま申し上げましたように、決して私ども厚生省独自の考え方に反するものではなしに、厚生省自身がいままで考えておりました基本的な見直しというものをできるだけ急ぐ、その場合にこういう問題も含めて検討するということで、私どもも従来から、その基本的な見直しの中で一部負担なり何なりという問題も当然その中身として検討する考え方でございましたから、この覚書があるから社会保障制度審議会諮問するとか、検討するとかというようなことではございませんで、むしろ厚生省自身として検討もし、御諮問も申し上げる、たまたまこの覚書内容もそれに合致をするというような理解をいたしておるわけであります。
  37. 村山富市

    村山(富)小委員 いやいや、ぼくが言っておるのは、内閣総理大臣諮問機関である社会保障制度審議会白紙諮問をしたい、こう言っているわけでしょう。ところが、予算編成の過程で厚生大臣大蔵大臣とが、内輪の話にしろ何にしろ、これは一般的には全部知っているわけですからね。老人医療問題の一部負担と所得制限の問題について五十六年度予算編成のときにもう一遍聞くようにという覚書が交わされておるということは、全然白紙とは言えぬことなんじゃないですか。やはり一つの制約になるのですよ。だから、それは全然関連がないのか。むしろあなたが説明したように、すべてを含めて老人保健医療制度あり方について基本的な見直しをするのですということの覚書ですということなら、何もそんな覚書なんかつけなくてもいいじゃないですか、そういう意味で私は聞いているわけです。
  38. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 先ほども申し上げましたように、いわゆる覚書内容といたしまして書かれておりますものは、基本的見直しを進め、五十六年度に所要の制度改正の実施を図る、その前に財政調整あるいは受益者負担導入保健事業拡充等を含めて基本的見直しを進めるということに覚書内容はなっておるわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、老人保健医療制度の基本的な見直しというのが覚書の主たる内容でございまして、それにこういう問題も含める。私どもは、社会保障制度審議会に対しましてもし御諮問申し上げるといたしますれば、今後の老人保健医療制度の基本的な方向はいかにあるべきかというような形で恐らくは御諮問申し上げることになろうかと思います。したがいまして、基本的な内容につきましては両者は矛盾するわけでもございませんし、覚書社会保障制度審議会の御審議に何かの枠をはめる、あるいはそういう影響を及ぼすというような心配はないのではないかというふうに私どもとしては思っております。
  39. 村山富市

    村山(富)小委員 この白紙諮問をするというのは、老人保健医療制度の問題の基本的なあり方について諮問する。さっきあなたから御説明があった幾つかのうちの柱の問題点がありますね。その問題点はこういうところであるというふうなかっこうで柱を立てて諮問をするのか、それとも全然白紙ですか。
  40. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 具体的にどういう形で御諮問申し上げるかということにつきましては、実はまだ現在時点では結論が出ていないわけでございます。ただし、先ほど申し上げましたようなことでございますので、恐らくは厚生省の案というものをお示しして御諮問申し上げるというのは非常にむずかしいということでございます。その際に、私どもといたしましては、ただ単に今後の基本的方向いかんということで御諮問申し上げるということだけではなしに、現在、制度審委員方々といろいろ御相談、御協議をさせていただいておりますけれども、その中でも、現在までの厚生省検討経過から、たとえば、問題点というものはどういうものがあって、それについて厚生省としてはどういう検討を加えてきたのか、そういう点は事前に十分審議会説明をしてもらいたい、そういうものに基づいて制度審としてスムーズに諮問を受け、そして議論に入るということ、そのための非常に参考になるのではないかというような御指示、御注文がございますので、私どもとしては、当然そういうことは十分御説明申し上げて、その上で御諮問申し上げるという形、そういう過程は踏みたいと考えておるわけでございます。
  41. 村山富市

    村山(富)小委員 これは法案絡みになって大変恐縮ですけれども、いま国会に提案されている健康保険改正案を審議するにしても、老人医療保険がどうなっていくのかということがつかまえられぬとなると、これは審議にならぬですよ、本当を言ったら。それは重大な関係があるわけですから。それに健康保険もあるし、国民健康保険もあるし、それぞれの保険団体の財政には重要な関係があるわけですから、それがたとえば五十六年にこういう方向保健医療制度が仮につくられる、そうした場合に、健康保険全体の審議には、やはりそれを見通して審議する必要があろうし、重要な関連もあると思うのです。  ですから、本気になって健康保険の制度の改善を図っていこうというのなら、こういう問題も含めて一緒に議論をしていくか、前段でこういう問題の見通しを立てて議論をしていかなければ議論にならぬというようにぼくらは思っておるのですが、そういう意味で、もう少し厚生省考え方を出してもらわないと困るんじゃないかというように思いますから、そういう意見だけ申し上げておきます。
  42. 戸沢政方

    戸沢委員長 次は、平石磨作太郎君。
  43. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 いまの蒸し返しになりますけれども、結局、老人保険制度を新たにつくるか、あるいは財政調整でいくのか、いずれにしろ、老人医療というものについては現状のままではいけない、こういう認識に立って先ほどからの話がありましたが、小沢大臣の、五十四年の秋ごろには実施をいたします、こういう答弁があるわけですね。だから、その答弁がある以上は少なくとも別建て保険をつくって実施をしよう、そして小沢大臣のあの構想から見ましても、恐らく大臣というよりも厚生省当局が、この答申に基づいて別建てをつくる、そして五十四年の秋ごろには実施をすると当時は腹を固めておられると思うのですが、どうですか。
  44. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 小沢大臣が五十四年の秋から新しい老人保健医療制度を実施したいという答弁をされたのは、いまお話しのとおりでございます。もちろん厚生省といたしましては、小沢大臣の御指示に沿いまして、そういう方向で参りたいということで非常に努力をしてまいったわけでございますが、この点は大変申しわけないことでございますけれども、いろいろ検討をいたしました末に、五十四年秋の時点では、とても実施をできるような、つまり国民のコンセンサスを得られるような案が間に合わなかったということでございまして、小沢大臣の御答弁、御発言にもかかわらず、現時点に至るまで厚生省としての考え方がまとまり切れていないという点につきましては、これはもうまことに申しわけないと申し上げる以外にないわけでございます。
  45. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 そうすると、間に合わなかったということは、その意思をまだ持っておるということですね。
  46. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 できるだけ早く老人保健医療制度の基本的見直しをいたしまして、新しい制度なり新しい施策なりをつくりたいという点は、もちろん現在もそういうことで鋭意作業を進めておるわけでございます。しかしながら、小沢構想そのものにつきましては、これは当時の小沢大臣が試案ということで構想を御発表になったわけでございますので、私どもとしては、十分その案も踏まえて検討はいたしておりますけれども現時点において、小沢構想そのもの、あるいはいわゆる別建て方向検討しておるということではございませんで、それらも含めて現在検討しておるということでございます。
  47. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 非常に答弁があいまいなんですが、結局、厚生省の意思がわからぬわけです。皆さんわからなかったと思うのです。経過的に考えてみますと、いま言った大臣答弁がある、そしてそのことが間に合わなかった。間に合わなかったら、間に合う時期はいつごろかというように出てくるのが本当だと思うのですね。ところが、いまたびたび御答弁にあったように、白紙諮問にかける。こうなりますと、もう全く案はつぶれてしまった、そしてどうぞひとつ御意見を賜りたいという、いわばもう投げた、こう理解をせられても仕方がないと思うのです。  厚生省一つの機関として、日本の社会保障制度、それから老人医療についても責任官庁として、私はそういう態度はどうも理解できない。だから、どろをかぶっても、あるいはいろいろと波紋が出ても、やはり一つの案は示すべきだと思う。そういう案もようつくらないというような状態だから、大蔵省から横やりが入るわけです。  だから、この大蔵の方から出てくる案というもの、いわゆる大蔵省が描いておる案というものは、やはり財政調整的な面が出てくる。先ほどの御答弁の中であったように、いわゆるリハビリも含め、あるいはプライマリーケアも入れ、そして保健制度としての老人医療という総合的なものを描いておられるのなら、そういった一つのビジョンというものを示さないと、大蔵あたりから財政的な面だけの頭で、一部負担の増大あるいは所得制限の強化、こういった形で、老人保健というものを考えた、そういう頭に描いたことでなしに、単なるお金の面だけから切り込んでこられる。だから、いままでの厚生省の態度が優柔不断であって、しかも案を示さないから、もうしびれを切らして、来年度予算に一太刀切り込まれたと思うのです。そのようにお考えですか、どうですか。
  48. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 老人保健医療問題の検討に当りまして、これも先ほど来申し上げておりますように、一部負担あるいは財政調整といった点だけを取り出して検討する、あるいはその点だけで物事を考えていくということは決してあるべき姿ではございませんで、全体の見直し、全体の検討の中でそういった問題をどう考えていくかということが適切でございますので、私どもといたしましては今後も財政当局との協議におきましては、そういう考え方であくまで進めてまいりたい。  次に、小沢案、それからまた御承知のように橋本案という形で二つの案が出ておるわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど老人懇意見書、それからその後出てまいりました、そういうお二人の大臣の試案、これらも踏まえて現在検討いたしておるわけでございます。  また、制度審との関係におきまして白紙諮問というのは非常に無責任ではないかという御指摘でございますが、実は制度審委員方々の、諮問の問題でいろいろ御相談を申し上げておる過程におきましてもそういう御意見、御議論が非常にあるわけでございます。確かに通例御諮問申し上げます際には厚生省の何がしかの考え方をまとめて、それに基づいて御諮問申し上げるというのが通例の形であることは十分承知をいたしておるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますようなことで現在厚生省としてのまとまったものをどうしてもお示しができない。しかしながら、そういう包括的あるいは白紙と言われるような形で仮に御諮問申し上げたといたしましても、私どもとして鋭意検討を進めまして、それを必要に応じて、もちろん国会で御要望がございますれば国会にも御説明を申し上げ、同時に制度審からも御要望がございますれば、それぞれの時点で私ども考え方を御説明さしていただく。仮に白紙諮問というようなかっこうで御諮問申し上げたといたしましても、諮問をして制度審に任せるんだというような考え方では毛頭ございません。あくまで私どもは私どもなりの検討をいたしまして、それぞれ必要に応じて御披露し、御説明し、御審議の参考に、あるいは材料にしていただくという姿勢で続けていきたいと思っておるわけでございます。
  49. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 非常に抽象的で一つもわからぬわけですが、そういうお考えはるるお聞きしましたので非常にわかるわけですが、これが非常に作業が遅い。しかも、今度また新たに保障制度審議会白紙で持っていく、こういう形になりますと、作業というものが非常におくれる。だから、五十六年度の予算編成時といったような時期までに果たしておたくの方で頭に描いておるようなものができるかどうか。いままで相当精力的に長いことかかっていろいろと検討したが、・案が示されない。また、今度は保障制度審議会から御意見がありましたら、それを踏まえてつくります、こうおっしゃってはおりますけれども、果たしてそれができるんだろうかといったような心配があるわけです。  この点については制度審がどの程度の時間で答申が出てくるものか、あるいはもう答申はできない、われわれが厚生省の前を切って答申するわけにはまいらぬ、仮にそういったようなことが出てきた、これは厚生省自身として案をつくらなければならぬというようなことになるかもわからぬし、そこらを考えたときに、五十六年度の予算編成時までにそういったものができ上がるというような自信はどうでしょうか。
  50. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 いまお話がございましたように、厚生省としてのあるまとまった考え方をお示ししないで制度審なら制度審に御諮問申し上げる、それではこれは短期間に審議がなかなか進まない、ことしというよりは二年とか三年とか非常に長い期間がかかるのではないかというような御意見は、実は制度審の各委員方々とこの諮問問題につきまして私ども御相談させていただいております過程で、全く同じような御意見あるいは御指摘があったわけでございます。しかし、私どもといたしましてはきょういろいろ申し上げておりますようなことをるる申し上げまして、何とかスムーズに諮問を受けていただき、かつまたできるだけ早い時点において答申をいただきたいというお願いをいましきりに申し上げておるわけでございます。制度審の各委員方々から最終的にそれじゃわかったというようなお返事はまだいただいておらないわけでございまして、厚生省としての案は示せないが、こういう形でいろいろと御説明もし、対応もさせていただきたいと思っておりますので、ぜひ早い機会にスムーズに諮問を受け、審議に入っていただきたいということを現在いろいろお願いし、御相談をいたしておるという段階でございます。  私どもといたしましてはそういうお願いをさらに重ねてまいりまして、できるだけ早い機会諮問審議ということに入っていただくようこれからもぜひとも努力をしてまいりたい。いずれにいたしましても、私どもといたしましては、五十六年度の予算編成時までに厚生省としての結論を出したい、その際には当然制度審からの御答申もいただいて厚生省としての案をまとめたい、そのために最大限の努力を現在しておるというのが現状でございます。
  51. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 そうしますと、これは制度審の方がどのくらい作業を急いでくれるか、これも未知数です。それから、期待されるような案が出てくるかどうか、これも未知数です。そうしますと、やはり私の考えでは、残酷なようなんですけれども、結局これで引き延ばされていくという一つの根拠がここにできたということになる。来年の五十六年度の予算までに、案を御自分でつくるのならできますよ。御自分でつくるのならできますが、諮問白紙でかけた、そしてこれがまだ出てきませんのでと、こういうような形で引き延ばしの一つのものがここへ生まれたのではないかという心配がある。そして、仮に五十六年度の予算編成時に間に合わなかったとした場合は、もう大蔵省は待てません、こうなりますと、頭に描いておるような理想的なものよりも、むしろ財源面からそういうチェックがかかってくる。これは厚生省として防ぎ切れぬことになる。私は厚生省、恐らくそこへ来るのじゃなかろうかという心配があるのですよ。だから、私、厚生省に申し上げたいことは、なるほど諮問もさることながら、諮問が出なかった、あるいは諮問が間に合わなかった、そのときになし崩し的にそういう形のものだけで老人保健医療というものが行われるようなことになったのでは、これは大変なことになりますので、私は厚生省に、みずからの案というものは持たない、これはわずか一年の間ですから、恐らくその事態になるのじゃなかろうか、こう思うわけです。だから、いま出ておる健保の問題にしましても、これは大きな問題ですから、抜本改正へ持っていくためにもやはりそういった老人医療というものを、まず厚生省はみずからの案というものを示すように作業を進めていただきたいと私は思う。そしてできれば、厚生省のみずからの考え方というものを、白紙でなしに制度審に示す。そして、時間は少ないですけれども、これで間に合うように御答申をいただきたい、研究をいただきたい、こういうことをやっていただかないと来年困ることになると私は思う。そういうことにならないように私心配をするわけですが、どうでしょうか。
  52. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 厚生省といたしましても、老人保健医療制度というものが非常に緊急の課題であると十分自覚をいたしておりますので、厚生省として、五十六年度予算編成に間に合うように何がしかの結論は得たい。それで、その場合に、先ほどから繰り返し申し上げておりますように、幸い、社会保障制度審議会関係方々のほとんどが参加しておられるわけでございますので、厚生省の案が煮詰まらない段階ではございますけれども、できるだけ早く御諮問申し上げまして、各般関係方々が参加しておられる中でいろいろ御審議を進めていただくことが今後の方向を見出すためにも非常に必要ではなかろうか。同時に、いまお話のございましたように、いわば白紙の形で御諮問申し上げることによって、期間が非常にかかるという点は委員からも御主張があるところでございまして、それにつきまして、私どもとしては、白紙でそのまま制度審審議にゆだねるということでは決してございませんで、私どもは私どもなりに、考え方の煮詰めのために作業は急ぐわけでございます。その過程で必要に応じ、御指示に応じて厚生省検討経過なり内容なりというものを御説明、御提示することによりまして、いわば形式的には白紙かも一しれませんが、短期間に御結論が得られるような、そういうものを御説明しながらやっていきたいという考えで現在おるわけでございます。
  53. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 大変くどいようですけれども、もしおくれた場合は、厚生省自身で来年までにこしらえますか。そうしないと、覚書関係で、これは覚書大臣が判をついておるのです。これはその方向に行かざるを得ぬでしょう。それを総合的な中での一部負担、総合的な中での所得制限、これならいいですけれども、そうでなしに、その面だけをやられるということになりますと、これは非常な抵抗も出てくると思います。だから、厚生省は、いま申し上げたように、少なくともそれまでに案をつくらなければいかぬ。もしおくれる場合は、みずから来年に間に合うようなものをつくりますか、どうですか。
  54. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 現在の時点におきましては、私どもといたしましては、できるだけ早く制度審に御諮問申し上げ、その御答申もいただいて、それを基盤として厚生省案をまとめる、その作業を五十六年度予算編成に間に合うようにぜひ進めたいということで、制度審にもお願いをしているわけでございます。したがいまして、現在はそういう方向で最大限の努力をしてまいりたいという考え方でございます。
  55. 平石磨作太郎

    ○平石小委員 もうこれで終わりますが、いまの御答弁では、結局作業がおくれる一つの糧になったわけでございます。だから、まだ出てまいりませんから、しばらくお待ちくださいというような形にならざるを得ないと思いますよ。これは要望です。  以上で終わります。
  56. 戸沢政方

    戸沢委員長 各党代表一人ずつというようにお願いしておりますので、御協力をお願いいたします。  次は、浦井洋君。
  57. 浦井洋

    ○浦井小委員 老人保健医療制度なんというようなものは、いままでも、いま議論されていたように、公費医療であろうと社会保険であろうと、そういう制度、それから医療そのもの、それから福祉、こういうものがミックスされておらなければならぬわけですね。それがこの間いただいた老人懇意見書にもそういう精神で貫かれておるというふうに思うわけですが、そういう観点でちょっとお尋ねしたいのです。  いまも話を聞いておりますと、竹中審議官、形式的には白紙かもしらぬけれども、なるべく早く答申がいただけるようなというような話で、何かマジックみたいな、魔術があるんかいなというような感じがするわけですが、少なくとも政府の態度として、審議会諮問をするのに、煮詰まっておらないからとか、国民合意が得られておらないからというような言い方で、白紙的な諮問をするなんというようなことは全く厚生省としては恥ずべきことであって、きわめて無定見、無責任だと私は思います。だから、この点については、もういろいろ言いませんけれども、本当に日本厚生省というのは一体どうなっているんだろうかということを指摘しておきたいと思うのです。  そこで、なぜそういうふうになったのか、いろいろな原因があるだろうと思うのですけれども、やはり考え方の上でしっかりしておらないのではないかと思うのです。そこで私、各論的に二、三質問と、例によって資料の要求をしたいと思うのですけれども一つは、老人医療費の無料化が四十八年一月から実施されておるでしょう。すでに七年たつわけです。だから、その七年の間に、それまでに比べて、老齢者、高齢者の健康なりあるいは生命というようなものが具体的にどういう影響を受けたのか、そういうのをいろいろな角度から厚生省としては検討しておるのかどうか。これはどうですか。
  58. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、私どもとして把握をいたしておりますものは、たとえば国民健康調査によります有病率でございますとか、あるいは患者調査によります受療率というものにつきましては、たとえば六十五歳なり七十歳以上の方について、それが年次的にどう推移してきたかというような資料は把握いたしておるわけでございます。ただ、いま先生の御質問は恐らくそういう統計、もちろん統計になるわけでございますけれども、現象的にあらわれた受診率とかあるいは受療率ということではなしに、老人の健康度そのものがどういう推移をしてきたかについて資料なり何なり持っておるかというお話ではなかろうかと思います。結論から申し上げますと、残念ながらそういう意味での資料を持ち合わせておりません。ただ、断面的にたとえば老人健康調査というようなことで、たしか昭和五十一年でございましたか五十二年でございましたか、数は少のうございますが、かなり綿密な老人の健康についての調査をした例がございます。しかし、これはその時点でのものをとらえただけでございまして、お話しの、たとえば四十七年以前のものと以降のものときちっと比較できるような形でのそういう調査資料は持ち合わせをいたしておりません。
  59. 浦井洋

    ○浦井小委員 たとえば平均余命とかそれから死亡率であるとか、そういうところから老人医療費の無料化がやられたために非常に延びたというようなデータを出してほしいわけです。これはどうですか。ここでもし手持ちがなければ後で資料を出していただきたい。
  60. 古市圭治

    古市説明員 御承知のように、いわゆるゼロ歳平均余命というのは最高に延びておるわけでございますが、そうでなくて、たとえば六十五歳、七十歳、八十歳というそれぞれの平均余命というものは一般的にそれを延ばすことは非常にむずかしい。トータルで延びているのはいわゆる乳幼児死亡率が改善されたからトータルで延びているのだ、こういうことでございますから、最近の各年齢層の平均余命も毎年若干ながら延びているということで高齢者の平均余命も延びているということは事実でございます。ただ、それを内部で一度検討したことはあるわけでございますが、老人医療の無料化をしたその時点からそれがどう影響したかというのは判然といたさない。ただ、現在でも高齢者の平均余命は延びている、そういう実態はあろうと思います。資料は提出できます。
  61. 浦井洋

    ○浦井小委員 できるだけ老人医療費の無料化の制度と連動させた、リンクをさせたような形で、われわれにわかりやすいようなかっこうで資料を出していただきたいと思います。よろしいですね。
  62. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 いまの浦井先生のお話でございますが、重ねてあれでございますけれども、たとえば年齢階級別の平均余命でございますとか死亡率等でございますが、この資料は資料といたしまして年次的な推移はあるわけでございます。したがいまして、それと老人医療費の支給とはどういう関係にあるかという資料はないわけでございます。たとえば、過去の四十年なら四十年以降五十三年なら五十三年までの老人の平均余命の推移あるいは老人の死亡率の推移、こういう資料でございましたら御提出することは可能でございます。
  63. 浦井洋

    ○浦井小委員 それを出してください。  それから、患者調査などによるものになるのかな、要するに年代ごとの傷病量の変化、こういうようなものも、厚生省としては老人医療費の無料化の制度というものはどんなところから圧力がかかっても断固として守っていこうというふうに思っておられると私は確信しますけれども、そのためにはこれだけメリットがあったんだ、国民の生命と健康を守るのに非常によかったんだというデータを意識的に出せるように努力しなければいけないのと違いますか。
  64. 古市圭治

    古市説明員 三月五日に配付させていただきました資料で、いわゆる傷病量の推移という国民健康調査の方でお示しした、二十四ページでございますが、これで見ていただきますと、十月三日から五日まで三日間、全部カレンダー式に病気であるか否かというのを聞いておるわけでございまして、昭和四十七年から五十三年まで数字が出ておりますが、百人の中で総数では十三人、それから大体十一人という形で、国民全体の傷病数はこの間ではそう変わっていないわけでございます。これは六十五歳以上の老人についても同じでございまして、大体三十三、四、五というあたりでございます。百人の中で三十三人が病気であるということでございます。  しかし、その人たちがどれだけ医療機関に受けられたか、医療機会があったかというのはもう一つ前の表でございまして、これは毎年七月の第二水曜日に行っている患者調査でございますが、これでごらんになっていただきますと、四十五年というのが一番下の点線でございます。老人層におきましては、いわゆる傷病量はあったけれども受けられなかった高齢者の受療率、それがどんどん高くなってきているという形で五十二年、五十三年というのはピークになっておりますが、もう大体いっぱいのところまで来ている。各年齢層を通じて、老人医療費の無料化制度のおかげで受けたい人は一応全部受けられるところまで来たという事実がここにあらわれているかと思います。  これでいわゆる健康度はどうかというようなことはむずかしゅうございますが、いわゆる傷病量それから受療の量というものの変化はこの二表で推測できると思います。
  65. 浦井洋

    ○浦井小委員 だから、私が言ったようなことをもう一遍まとめて資料としてわかりやすいかっこうで、解説つきで出していただきたい。
  66. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 できるだけ作業さしていただきたいと思っております。
  67. 浦井洋

    ○浦井小委員 それから、いまも向こうの方からお話が出ていましたけれども、これは高齢者対策に限らない、成人病対策だろうと思うのですが、例の岩手県沢内村とか長野県八千穂村、それから高知県野市町、こういうところでは健康管理を意識的にやって非常に成果が上がっておる。その結果として、一件当たり医療費が低下をして、国保財政も非常によくなったということは有名な話であります。だから、こういうやり方が皆さん方がひそかに思っておられる本当の意味での老人保健医療対策の基本だろうというふうに私は思うわけなんですけれども、少なくともこの三町村でいいです、具体的にどういう努力をして、どういうことを実施をして、そしてどういうふうにデータが変化をしたのかという資料を出してほしいと思うわけです。よろしいですね。  それから、もう一つついでにいま言うなら、私これもはっきりつかんでおらぬですけれども、秋田県では脳卒中半減対策というのをやっておるわけですね。これのやり方なりそれのデータの推移、これもひとつ出していただきたい。これはよろしいですか。
  68. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 いまお話しの沢内村、八千穂村、野市町のデータ、これは老人と申しますよりも恐らく成人層を中心にした健康管理だろうと思いますが、それと秋田県の脳卒中対策、可能な限り資料を集めまして提出さしていただきたいと思います。
  69. 浦井洋

    ○浦井小委員 その次の問題ですけれども、この間NHKの「ルポルタージュにつぼん」という毎週やっているんですかね、あそこで京都の双ケ岡十全会病院、いわゆる老人専門病院が最近あっちこっちで話題になっておるわけなんですよ。なぜこういう病院が繁盛し、そこへ老人が蝟集するわけですか。
  70. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 十分なお答えにならないかと思いますが、一つは、前回から御説明申し上げておりますように、有病率の高い、受療率の高い老人というのが非常にふえてきておるということで、国民全体の医療需要が総体としてかなりの伸びを示しておる。したがいまして、一部では老人がなかなか入院しにくい、病院の側でなかなか受け入れていただけないという面も一つあろうかと思います。それからもう一つは、老人を抱えておる家庭の問題というようなものも一つあるのではなかろうか。そういった点から、お話がございましたように、主として老人を受け入れる病院というものが最近増加の傾向にあるということではなかろうかと思っております。
  71. 浦井洋

    ○浦井小委員 こういう存在を必ずしも全面的に否定できないと思うのですよ。やはり根本は、私は制度的な欠陥がこういう必要悪的な現象を生んでおるというふうに思うわけです。ところが、そういう医療機関の実態を厚生省としてきちんと把握をしておられるのかどうか。私、これも資料を要求したいのですけれども、これは把握しにくいでしょうけれども、こういう俗称老人専門病院と言われるようなものが一体どれくらいあるのか、何床あるのか、そこに入っておられるお年寄りの数とか、一件当たり医療費とか、平均入院日数、それから医師や看護婦がその医療機関でどういう配置状況にあるのか、これを調べて資料として出していただけますか。
  72. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 病院の中身の問題でございまして、厚生省といたしましては医務局が主として所管をいたしておるわけでございますが、たとえば都の養育院の付属病院のような、みずから老人の専門病院と称してやっておられますところにつきましては、ある程度個別の資料を、たとえば都の養育院の付属病院にお願いをして出していただくというようなことは可能であろうかと思います。しかし、先生がいまおっしゃいますような、言うなれば、むしろ結果的に老人の入院患者が実態として多い、必ずしも都の養育院の付属病院のような形で病院側がお考えになっていたわけではないんだけれども、結果的に老人の患者が多いというような病院につきましては、恐らくは行政的にもどこがそういうことであるかという把握は非常にむずかしいのではなかろうかと思うのです。医務局の方に言ってみまして、可能な範囲内で出させていただきたい。その辺の問題につきましては資料が非常に乏しいのではなかろうかという感じを持っておりますが、医務局に話をしてみたいと思います。
  73. 浦井洋

    ○浦井小委員 この辺はかなり世論も注目をしておりますし、全国的な把握と同時に典型例みたいなものを、別に固有名詞を出していただいてもいただかなくても結構ですから、N病院とかいうようなかっこうで結構ですから、ひとつ厚生省全体として努力をして、できるだけ実態をわれわれに資料として出していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。よろしいですね。
  74. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 個別例としてはなかなかむずかしかろうかと思いますが、努力をさせていただきたいと思います。
  75. 浦井洋

    ○浦井小委員 それとその次、それにかかわるのは、結局施設ケアとしての厚生省の一番の目玉商品である特養ホームが、まだまだ非常に不十分であるというところがこういう異現象を生んでおるわけですから、これをもっと増設しなければならぬわけなんですけれども、その特養ホーム、そこに入っておられるお年寄りの有病率、これと、それから実際上、特養ホームというのは病気を持っておらないというのがたてまえではあるのですが、しかし実際には動脈硬化であるとか高血圧だとか心臓の病気であるとかリューマチであるとか神経痛であるとか、そういうのがあるはずですから、そういう人たちがどれくらいおられるのか、どんな病気が多いのか。それからもう一つは、そういう特養ホームに医師がどれくらい常勤として配置されておるのか、それともいわゆる非常勤で嘱託で来ておるのか、その辺の数字、これは出せますか。
  76. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 特別養護老人ホームにつきましては、御承知のような、社会局の老人福祉課が所管をいたしております。いま先生お話しのうちの後者の方、つまり医師の配置状況、専任等の別、これは資料があると思います。  それから、先にお話のございました特養入所者の有病率という問題につきましては、私が知っております範囲では、厚生省がやった調査というのはないんじゃなかろうかと思います。ですから、厚生省としての資料の持ち合わせばなかろうかと思いますが、施設協議会等で独自で行われた調査があるいはあるかもしれませんので、その辺のところはもしございましたら提出させていただきたいと思います。
  77. 浦井洋

    ○浦井小委員 資料、すぐに頼みます。  それから、そういう中で、その次の問題は、いま竹中さんも言われているように、核家族化してきて、そして特養ホームがない、病院は引き受けてくれない。そこで、老人専門病院みたいな奇現象が出てくる。一方では、家の中で寝たきりでほたらかしになる。そして、それに対する家族の看護、介護で家族じゅうが疲れ果てるという悲惨な状況が新聞の社会面をにぎわしておるわけですね。だから、これに対して手を打たなければならぬということになると、老人懇意見書にも出ておりますように、在宅の公的ケアが非常に大事になってくるだろうというふうに私は思うわけです。一応のかっこうだけは厚生省がしておられるようですけれども、やはり訪問看護というのが非常に大きな柱になるだろう。これを国としては制度化しなければいかぬと思うのですよ。この訪問看護の制度化の見通しは一体どうなんですか。
  78. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 訪問看護の問題は、すでに数年前からいろいろ御議論があるところでございますが、私ども特に社会局の立場で考えてまいりますと、まずどういう形で、つまり訪問看護と申しますか、在宅老人の看護の問題についてだれがやるか、だれがと申しますのは、たとえば市町村がやるのか、あるいは病院がやるのかというような問題がございます。それからまたもう一つは、一体訪問看護という言葉で呼ばれておる中身は何なんだろうか、あるいは現在、日本市町村が単独で、あるいは一部の病院がやっておられる訪問看護というものの内容は何なのかというようなことでございます。  内容の方について申し上げますと、多くの場合行われております中身は、たとえば看護そのものを提供すると申しますか、つまり必要があれば二十四時間在宅患者につきっきりで看護を提供するというような形では実際上行われておりませんで、むしろ内容といたしましては、看護の仕方を家族なりあるいは老人御本人なりにお教えをしまして、そのことによって床ずれができないように、あるいは床ずれが少しでもよくなるようにしてあげるとか、あるいはまた機能回復訓練の仕方を各御家族なり老人御本人に教えてあげて、そのことによって機能回復を図る、つまり看護そのものを提供するというよりは、どちらかと言いますと看護の仕方なり機能回復訓練の仕方を家族なり老人に教えてあげるというような面がかなり強いのではないかというのが一点。  それから、だれがやるかという点につきまして、社会局として検討いたします範囲におきましては、これはやはり市町村にやってもらうのが適切ではなかろうか。市町村がやるとすれば、ますますいまの内容の話でございますけれども、そういうやり方を教えてあげるという形の方が市町村事業としては非常になじみやすいのではなかろうかというようなことから、先生御承知のように、五十三年度でございますか、在宅老人家庭看護訪問指導、そういう事業で発足をいたしておるわけでございます。中身は、いま申し上げましたように市町村がやる、そして保健婦を派遣をする、そして内容はそういうことを教えてあげるということに主体を置いておるわけでございます。  社会局といたしましては、当面の間、いまのような形で実施をいたしまして、その推移を見たいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 浦井洋

    ○浦井小委員 そういう国の認知がおくれているためにいろいろな要望が出て、各市町村、自治体で単独事業としてやっているところがたくさんありますね。これが全体として厚生省で把握できておるのかどうか、これも資料要求になるのですが、これは社会局の方かもしれぬけれども、一覧表はできますか。
  80. 古市圭治

    古市説明員 現在、おっしゃるようにいろいろな事例ごとに当たっているわけでございますが、全体的な調査というのはやったことはございませんので、現在われわれの承知している範囲内でその資料を集めているということでは可能かと思います。
  81. 浦井洋

    ○浦井小委員 範囲内というのは、たとえばどれぐらいの市町村の数なんですか。
  82. 古市圭治

    古市説明員 実施方法で、市町村がそのために専従のいわゆる保健婦なり看護婦を雇っているという形式と、常に正規の職員の方が成人病の家庭看護という一環でやっているというのがございまして、いつも成人病家庭訪問という中で実態的にはそういうこともやっているというところもあるわけです。たとえば先生御指摘のような、多分東村山とかああいう典型的な事業となると、そう数は多くないというふうに思います。
  83. 浦井洋

    ○浦井小委員 ずっと一覧表でできるだけ全部を網羅して出ますか。
  84. 古市圭治

    古市説明員 東村山的に典型的な形でやっているというものについてひとつ資料を当たってみて、幾つ拾い出せるかということはわかりませんが、やってみたいと思います。
  85. 浦井洋

    ○浦井小委員 私が言っているのは、典型例というよりも、それも大事だけれども、同時に全国でどれくらいやられているかということも知りたいのです。それはできるだけ努力してくれますか。
  86. 古市圭治

    古市説明員 はい。
  87. 浦井洋

    ○浦井小委員 そうしたら、それで大体終わるのですけれども古市さん、日本医師会で寝たきり老人問題委員会というのが設置されて、おたくも委員になっておられる。第一回の会合をやられたというようなことも記事で見たりするのですが、これは一体どんなことを、いつごろまでに結論を出したいというようなことをねらっておられるわけですか。
  88. 古市圭治

    古市説明員 趣旨は、私が出た範囲内で承知しておりますのは、やはり寝たきりの人みずからは自分たちのためにこうしてもらいたいという主張をするすべを持たないということに対して、医療専門家である日本医師会の方が何がしてあげられるかということをひとつ検討してくださいという趣旨で設置された委員会だ、こう聞いております。現在まで三回委員会が行われておりますけれども、それでは、いわゆる周辺の問題点というのを一応現在洗って出して、それに対する対策というのは来年度に引き続いてさらに検討する必要があるという形で、短期間では問題が複雑なのでこの結論は出ない、さらに検討したいというところでいまのところはやっております。
  89. 浦井洋

    ○浦井小委員 もう終わりますが、その周辺の問題では、たとえばどういう問題があるのですか。
  90. 古市圭治

    古市説明員 端的な例で申しますと、福祉と、それから先生おっしゃったように、医療との接点になるわけですから、そこの有機的な連携というのをどのようにすべきかというのが一つ。それからもう一点、現場で非常にお困りだと、こう申しますのは、老人本人はいわゆる最終まで家にいたい、濃厚な医療を受けるとしても極端に言えば家で死にたいと思っておる、それを看護する家族は一日でも早く病院に入れたい、同じ家族の中でそこが非常に意識が分かれているところに第三者がいわゆる在宅看護なりに入った場合にどうやるのかというのが非常にむずかしい。その二つが私の理解では基本的な問題だというふうに出されておると思います。
  91. 戸沢政方

    戸沢委員長 時間が大分たっておりますから、簡潔にお願いいたします。
  92. 浦井洋

    ○浦井小委員 もうやめますが、要するにこういうような各論的に申し上げたようなことが、実態を把握をして一つ一つに対する意見を持って、そういうものが総合的に組み合わされて、本当の意味での老人保健医療対策というようなものになるわけなんで、そういうことをやらないと、いや小沢試案だ、橋本試案だ、あげくの果ては審議会白紙諮問をするというようなていたらくになるわけなんですよ。そういう点で、きょう少なくとも私が要求した資料をきちんと取りまとめて、われわれにわかるような形にして早く出していただきたい。このことを要望して私、質問を終わります。
  93. 戸沢政方

    戸沢委員長 米沢隆君。
  94. 米沢隆

    ○米沢小委員 かなりいままで問題が出ていますが、ちょっと重複しますけれどもお尋ねをしてみたいと思います。  老人保健医療の今後のあり方等について、先ほどから話が出ておりますように、小沢試案とか橋本試案とか出てきたわけです。小沢試案ができたときには、単なる小沢先生の個人的な外野席の見解ではなくて、少なくとも保険局なら保険局の気持ちまであの試案の中には入っておったと理解をしなければならぬと思います。橋本先生のお話のときには、やはり厚生省橋本試案らしきものが一番ベターであるという認識の上に立ってああいう試案が発表されたというふうに理解を私たちはするわけです。しかし、結果的には結論が出ない。種々それぞれ問題点を抱えておる。したがって、思案投げ首、結果的には社会保障制度審議会白紙諮問をする。しかし、専門家の皆さんがある程度のめどが立てられないものを社会保障制度審議会に出したところで、どろをそこにかぶってもらうだけの話であって、実際はそう簡単に結論が出るものじゃない。ひょっとしたら、こんなものもあればこんなものもあるという形で出てくるかもしれない。そっちの方が強いだろうという感じが私はするわけです。そうなれば、老人医療あり方等について今後本当に制度化していくという気持ちがあるならば、最終的に厚生省がどろをかぶらないとどうしようもないというところに来ておるのじゃないか。だから、皆さんの腹一つだ。そういう決意が本当にあるのかないのか。厚生省はいろんなところに諮問をして、その答申を得てどうだとか、みんなそういうやり方で、どうも厚生省自身判定官になっておるのだ。それはちょっとおかしい。参考までに御意見を聞かせていただくというのが諮問であって、そこから出てきた中身について具体化してそれが政府案になるなんというのはちょっと私は主客転倒している考え方だと思います。私はあらゆる問題でそういう認識を持っております。  そういう意味で、どれくらいの期間を経て出てくるかわかりませんけれども、今度こそ厚生省はどろをかぶられるかどうか、それをまず聞きたいと思います。
  95. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 先ほど来いろいろ御説明申し上げておりますように、老人保健医療制度の問題につきましては、厚生省といたしましてもきわめて緊急を要する重要な課題だと思っておるわけでございまして、たまたま覚書の問題等はございますけれども、これが仮になくても、厚生省としてはできるだけ早く五十六年度予算編成に間に合うようにやりたい。その点につきましては、先ほど先生のお話の中に、どろをかぶる、あるいは本気かというお話がございましたが、厚生省挙げて五十六年度の予算編成までに何がしかの結論を見出すという覚悟と申しますか、構えと申しますか、省を挙げてそういうことで考えておるわけでございます。ただ、残念ながら制度審にこうだというふうに厚生省としてまとまったお考えを提出することは現段階ではできない。できないけれども、これも先ほどから申し上げておりますように、諮問のしっ放しというようなことでは絶対ございませんで、厚生省としての検討、煮詰めはこれからも鋭意やる、必要に応じてその成果なり経過なり内容なりというものを全部審議会の場で御説明をして審議を進めていただくということでございますので、決して無責任な、あるいは本気でないというようなことはなく、省を挙げて構えておるということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  96. 米沢隆

    ○米沢小委員 ほぼ決意についてはわかりました。あとは例の覚書、本来老人医療あり方先ほどおっしゃった基本的な問題をどう進めていくのかという問題と、覚書の中身は大蔵省が福祉の見直しという観点で何とか財源負担を少なくしたいという気持ちのあらわれの覚書、われわれはそう考えておるわけです。したがって、白紙諮問を出されると言われましても、基本的な見直しをする過程で、この場合の覚書などは、大蔵省が老人保健医療の要綱みたいなものまでつくって出したわけですから、少なくともそこらがたたき台になっていろんな大蔵省の考え方がいろんな委員の皆さんの意見の中に反映されることはあたりまえだ、そうならざるを得ないであろう、そう私は思っておるわけです。五十六年度の予算に間に合うようにとおっしゃっても、八月には何かサマーレビューとかなんとかやるのでしょう。十二月末までには大蔵省と折衝してそれなりの形をつくらなければならぬというのならば、十月前後にはもうできておらなければいかぬわけですよね。しかし、社会保障制度審議会あたりで、そこまでに間に合うような答申が出るかといえば、私は不可能だろうと思います。しかし、やってもらって可能であればそれにこしたことはありませんが、この際、やはり皆さんが意図されておる老人保健医療の今後のあり方にびしっと考え方を示される。それが示されない場合には、努力をされても十二月まで何にもできないとするならば、少なくとも大蔵省的感覚の福祉の見直し受益者負担だとか所得制限だとか、そのあたりは突っぱねる、突っぱねることができるというふうに理解してよろしいですか。
  97. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 この問題につきましては、これも先ほど来申し上げておりますように、いわゆる覚書内容におきましても基本的見直しをやるということが中心的な事項でございまして、その際に、財政調整受益者負担あるいは保健事業の拡充といったものを含めて基本的見直しをやる、こういうことでございます。私どもは従来からあくまでもそういった問題、特に一部負担あるいは財政調整といったような問題は、あくまでも全体的な構想、全体の見直しの中で初めてそういうことにも触れる。それだけをつまみ出して議論するということは不適当であって、あくまで全体の構想の中でどう考えるかということでございますので、そういう考え方は今後とも堅持していくつもりでございます。  確かに、先生おっしゃいますように、制度審の方でなかなか時間がかかるじゃないかという御議論は、先ほども申し上げましたように、制度審の内部で非常にあるわけでございまして、それにつきまして私どもはるる御説明し、お願いをしておる。私どもとしては何とかひとつできるだけ早く、言葉は悪うございますが、白紙になるかもしれませんけれども諮問をさしていただいて、またいろいろな観点で私どもも努力をいたしまして、それによって五十六年度予算に間に合うように適切な時期に御答申がいただけますように、私どもとしても大いに努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  98. 米沢隆

    ○米沢小委員 重ねて大変恐縮ですけれども結論が出ない間は受益者負担とかいわゆる新たな所得制限とかいうようなものはひとり歩きしないというふうに考えていいのですね。
  99. 竹中浩治

    竹中(浩)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、私どもといたしましては、老人保健医療制度の全体の検討、全体の見直し、その中で一部負担あるいは財政調整といったようなことは検討するということでございますので、その考え方は今後とも堅持をしてまいるつもりでございます。
  100. 米沢隆

    ○米沢小委員 審議会答申が出るのもこの制度をつくる大前提ですが、そのほかにたとえばいろいろなところで、今度の健保法改正案が通らない限り老人保健医療については余り言及できないというような答えが厚生筋から出ておるわけですが、この老人保健医療、いまから審議会答申をしてもらうために審議をしてもらうというその作業と同時に、現在の健保改正法案と老人保健医療制度との関連性をどういうふうに認識されておるのか、局長に聞きたい。
  101. 石野清治

    ○石野政府委員 これは前から申し上げておるのですが、現在の医療保険制度全体の構築を考えてみますと、やはり被用者保険制度をどうするかというのがまず基本にございまして、その周りに国民健康保険とかあるいは老人医療の問題、そういう問題がある、こういう認識をしておるわけです。それは御存じのとおり、医療保険制度の中の約過半数は被用者保険制度、これをどういうふうにするかということが方向が決まらないで周りの問題だけをやっていくわけにいかない。したがって、被用者保険制度の中で一番中心をなします健康保険制度の改正の方向というものをぴしっと決めて、そしてその上で同時に老人問題とかそれから国保の問題とか引き続いてやっていきたい、こういうことは前から申し上げているとおりなんで、その考え方につきましてはいまも変わっておりません。
  102. 米沢隆

    ○米沢小委員 これはお互いに関連するので、今度の健保法改正案が通る、通らない、あるいはどういう修正になるかによって老人保健医療に影響するところもあれば、老人保健医療あり方が基本的に決まった後で健保法のあり方についてまた考え直さなければいかぬところも出てくる。両者ぼくは相互関係にあると思いますね。どうでしょう。
  103. 石野清治

    ○石野政府委員 そこは見解の相違になるのかもしれませんけれども、私の方の医療保険制度考えています基礎というのは、やはり被用者保険制度あり方というものをぴしっと決めて、そしてその上でその周りの問題を全部構築していくという考え方は、これは崩すわけにいかないと思うのです。確かにおっしゃるように、老人保健医療制度がどうなるかということもそれは関係がないと言えませんけれども、やはり根っこの思想だけはきちっとしまして、その上で周りの問題は徐々に解決していくということは譲るわけにいかない、こう思います。
  104. 米沢隆

    ○米沢小委員 それで、そういう問題ともちょっと絡むのですが、例の退職者継続医療の問題ですね。これは老人医療制度小沢試案でも橋本試案でも医療給付については七十歳以上だ。予防給付については四十歳とか六十何歳とかありますけれども、少なくとも医療給付については七十歳以上ですね。ところが、やはり七十歳に至るまでの者がかなりいろいろな制度の中で大きな医療費負担をせざるを得ない部分を占めておる。これは否定できませんよ、数字からいっても。たとえば、いま定年制なんといっても五十五歳から六十五歳の間にばらまいているわけで、実際には六十歳まで定年が延長されたとしてもそれから後五年間ですね。六十五歳なら五年間、七十歳ならば十年間、この分はやはり組合健保から抜け出た人も国民健保に入らざるを得ない。あるいは家族になって家族と一緒に診療を受けざるを得ない。その分はやはりある程度いろいろな制度の中で老人医療費みたいなもので大きなウエートを占める部分であることは事実ですね。この発想も老人保健医療制度を何とかしなければならぬという一つの大きな問題は財政負担をどうするということも大きな柱でしょうから、そういう意味じゃ退職者医療等、少なくとも組合健保から出てきた者についてはある程度そこでめんどうを見させていくということも財政負担を軽くするという意味では大きな貢献をするものだと私は思います。そういう意味で私は老人保健医療制度議論する前に、退職者継続医療というのかな、そういうものもある程度めどを立てていった方が議論はスムーズにいくのじゃないかと思うのですが、その点はどうなんでしょうか。
  105. 石野清治

    ○石野政府委員 確かに、十四項目の中にも健康保険法の改正問題と絡んで退職者の医療制度という問題について検討するというふうになっておるわけです。これはいろいろな技術的な問題は抜きにいたしまして思想的に大きな問題が一つありますのは、各母体であります健康保険組合あるいは政府管掌健康保険、そういうものがそれぞれ現在給付の面におきましても負担の面においても格差があるわけです。その格差をそのまま退職者医療の方に続けなければならないのかという一番基本的な問題があります。それをどう解決するかということを決めないと、この問題については、はい、わかりましたというわけにはいかないということだと思うのです。現在の各制度に格差がなければ、御案内のとおり、一つ制度として成り立つと思うのですけれども、やめた後までも格差を続けていかなければならないかとなりますといろいろな批判も出てまいります。そういう意味でこの問題についての対処の仕方が非常にむずかしいかなというのが率直な意見でございます。
  106. 米沢隆

    ○米沢小委員 その格差の是正がなされないと退職者医療については思いが至らないというのじゃなくて、いま格差があったままでも入っていって、それで格差是正をしてその時点で変えていってもいい、こうなるわけですよ。どうなんですか。
  107. 石野清治

    ○石野政府委員 私の方が今度出しております健康保険法の改正というのは、まさに格差の是正という問題が一番頭にあるわけでございます。その格差是正というのは、本人と家族だけではなくて、やはり各保険間の格差というものをある程度ならさなければならない。そのためには、現在の政府管掌健康保険あるいは健保組合というもののあり方議論していかなければならない。それが財政調整という問題に出てきている、こういうこともございまして、その方向を見定めないで退職者医療問題を言及するのはどうかな、こういう感じでございます。
  108. 米沢隆

    ○米沢小委員 先ほどからお話を聞いておって確かにおっしゃることもわかるのですが、たとえば、答申された答えが財政調整になろうが、あるいは一部負担みたいな形になろうが、結果的には、出す方にとったら今度の健保法改正でどれだけ金を出すか、プラス老人医療のために制度そのものから財政負担をするか、あるいは個人個人が金を出すか、トータルの論議、出す方からしたら一緒なんですよ。だから、トータルの議論としてでないと、本当は健保だけが前歩きしてそれが決まらないとだめだという議論はちょっと考え方がかた過ぎるんじゃないかと思うのですが。
  109. 石野清治

    ○石野政府委員 私の説明が十分じゃなかったので、誤解を受けていると思いますけれども老人医療費については、現在の保険制度をそのままにして、老人医療費についてだけ財政調整を行うという考え方をもしとるとしますと、おっしゃるように、健康保険法の改正をやっても、その問題についてまた新たな負担をたとえば政府管掌についてはやらざるを得ないとかいう問題が出てまいります。したがいまして、私の方が考えておりますのは、そういう財政調整によって老人医療費負担するという考え方にもし立つとするならば、これは健康保険法の改正問題については非常に関連が出てくるなということでございまして、無関係と申し上げておるわけじゃないわけでございます。したがいまして、その辺で趣旨はおくみ取り願ったと思いますけれども、私ども考え方はやはり先ほどからちらちら言っておりますけれども、単なる財政調整という形でこの老人医療問題を解決すべきではないという思想に立っておりますので、そういう点で私の方は、いまの医療保険制度の改正というものをまずやっていただいて、そして、その問題の上に立った問題として老人医療の問題を処理したい、こういうことでございます。
  110. 米沢隆

    ○米沢小委員 わかりました。
  111. 戸沢政方

    戸沢委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三分散会