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田中(美)
委員 あれもこれもだめ、これもできない、そして一番悪いやり方をとっている。よそが全部変わらなければ変わらないというのだったら、政治体制が政権交代にでもならない限りはできないと言われる御返事だと思います。
もう時間がありませんので、次の
質問にしたいと思います。ただ、原価主義をとるように強く私たちは要求だけをしておきます。
日本の
医療が治療
中心の
医療だということは、あらゆる人が言われているわけです。これはもう何とか一歩踏み出さなければならないことだというふうに思います。それは、先ほどあなたがおっしゃいましたように、やはり老齢化に伴い慢性の病気が出ている。そういうものが非常に
医療費を増大させている面もあるわけですね。健康管理と予防というものをもっと日本の
医療制度の中に入れていってほしいというのが私の
意見です。それはお年寄りが
医療費をたくさん使うということを私は文句を言っているのではなくて、予防や健康管理というものを十分に中年層から、もちろん若いときからしでいかなければならないわけですけれ
ども、そうすればむしろ
医療費が減るだけでなくて、お年寄りになっても健康で生活できるということは、
国民にとって本当に幸せなことだと思います。なかなか
医者にかからないで手おくれになっていくというような状態で、寝たきりになってから
医療費をたくさん使うということは本人にとって幸せなことではないと思うのですね。
それで、この間
医療小
委員会のときにもちょっとそういう話が出ました。岩手県の沢内村とか長野県の八千穂村とか高知県の野市町とか、こういう事例が出されておりますが、この長野県の八千穂村の二十年の経験というので佐久総合病院長の若月俊一さんが論文を書いていられます。この中にずっと統計が出ているわけですけれ
ども、これを見てみますと、ここでは徹底した検診
事業をしていらっしゃる。全戸にわたっていろいろな組織をつくって、村の人たちに力もかりて、全村挙げて村民の健康管理というものを積極的にやっているわけです。これは診療所だけでなくて村挙げてやっていることはもう御存じだと思います。これによりますと、八千穂村は三十四年には全国の一人当たりの総
医療費の一・五倍だったんですね、三十五年も横ばいで一・五倍ですけれ
ども、それが三年目には〇・九七というふうに下がってきているんですね。それからというものは、ジグザグしておりますけれ
ども、大体七〇%、八〇%というふうに全国の総
医療費よりも少ないのです。ここは非常にお年寄りの多いところなわけですから、全国の総
医療費よりも少し高くて普通なわけですけれ
ども、それが八〇%ぐらいに下がっているわけですね。これは私は健康管理、予防というものがいかに
医療費を少なくしているか、そして健康が保たれるということでお年寄りの幸せにもつながっていることだというふうに思うのです。一・五倍だったものが八〇%になるということは
一つの社会的な実験だと思います。これを全国にすぐ当てはめるということは確かに暴論かもしれません。しかし、単純に当てはめてみますと、約十兆円の
医療費が六兆円に減るということですね。これで若月先生が言われていることを、簡単ですのでちょっと読んでみますと、「村の有病率をみると、感染性疾患などは別にして、総体的には、案外に減っていない。」有病率は減っていないんですね。「減っているのは「手遅れ
患者」なのである。恐らく、それに大きく原因しているであろう、村の国保の総
医療費が著しく減ってきたのである。現在の健保財政ではとても「予防
給付」などできない、と
厚生省は言うが、八千穂村の一人当り総
医療費が検診
事業を始めてから「いかに低くなったか」を表でみると一目瞭然である。」この論文の表を私は写しまして、何%に減っているかということを自分で
計算して表の横にずっとくっつけてみたわけです。そうすると、一・五倍が約八〇%ぐらいに減っているということですね。こういう
考え方というものはもう実験としても出てきているわけです。ですから、これが国の
医療としてどうかということを
厚生省は
考えるべきだと私は思うのです。こういうものを
考えた上で健康保険をどうしていくかというふうに
考えていかなければならない。もしあれならば、こういうものを取り入れることと
改正と一緒に行くということもあるかもしれません。しかし、そういうことは何もやらないで
国民負担だけでやっていこうというのはまさに逆行しているというふうに思います。また、新聞などによりますと、軽い病気は外来で、重い病気は入院で、確かに
国民一人一人の心情からいきますと、自分の財布だけを見て、自分の人生設計だけ
考えている
国民にとっては、確かに重い病気になったときには自分の財政ではやっていけない、しかし軽い病気はせめて自分でやろうか、
国民は非常にまじめなんですね。出せる範囲なら出そうか、こういう心情があることは事実です。そうしたまじめな心情というものを逆手にとって、軽い病気は七割
給付にするとか八割にするとか、重い病気は十割でやっていこうというような形で
国民に健康保険の改悪案を幾らかの修正をしてのませようとする。いまの沢内村を見ましても、これはおたくで聞いた
数字ですけれ
ども、受診率は上がっているんです。八千穂村だって受診率は上がっているんです。
医者にかかりやすくなっている。若月先生のおっしゃるように、手おくれ
患者が減っているんですね。それが
医療費を減らしている。軽い病気は自分の
負担でやれということは、手おくれ
患者を出すということになると思います。ですから、入院と外来とを分けて、軽いときは外来で自分でやれというような発想というのは根本的に間違っている。そういう点で今度の健康保険の
改正案というものは全く認められない、全く逆行している。大切なところからぐっと逆行している。それをちょっと修正したからといって、なぜこれが
改正になるでしょうか。逆にこちら側に行かなければならない、ぐっとマイナスにいっているのがまだもとに戻ってこないわけですから、こういう健保の
改正案というものは私たちは絶対に納得できないし、
国民の大多数も納得できないと思います。
大臣、その点についてはどのようにお
考えになりますか。