運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-04-22 第91回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十二日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 玉生 孝久君 理事 西田  司君    理事 八田 貞義君 理事 島田 琢郎君    理事 馬場  昇君 理事 古川 雅司君    理事 則武 真一君 理事 中井  洽君       池田  淳君    中村正三郎君       丹羽 雄哉君    畑 英次郎君       吹田  愰君    宮下 創平君       土井たか子君    野口 幸一君       草川 昭三君    竹内 勝彦君       東中 光雄君    木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      関   守君         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁自然保護         局長      藤森 昭一君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         林野庁長官   須藤 徹男君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君  委員外出席者         青少年対策本部         参事官     阿部 宏彌君         警察庁刑事局保         安部少年課長  古山  剛君         文部省大学局医         学教育課長   川村 恒明君         文部省体育局学         校保健課長   島田  治君         厚生大臣官房国         際課長     金田 伸二君         厚生省公衆衛生         局結核成人病課         長       大池 真澄君         厚生省児童家庭         局母子衛生課長 福渡  靖君         林野庁林政部管         理課長     平賀  滋君         林野庁指導部計         画課長     松田  堯君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    越川 文雄君         建設省都市局都         市高速道路公団         監理官     後藤 国臣君         消防庁防災課長 山越 芳男君         日本専売公社総         務理事     小幡 琢也君         日本専売公社理         事       立川 武雄君         日本国有鉄道旅         客局サービス課         長       猪俣 為久君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十二日  辞任         補欠選任   森田 景一君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     森田 景一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
  3. 土井たか子

    土井委員 きょう私は与えられました時間の中で、大体三つのテーマを質問させていただきたいと思います。  まず最初に御質問申し上げるのは、国定公園、これは林野庁によりまして自然休養林にも指定をされている地域についての問題でございますが、まずお伺いしたいことは、大阪府にございます箕面国定公園、これは箕面自然休養林でもございます。その設定意義と申しますか、設定の経過について、まずあらましの御説明を承りたいと思います。
  4. 須藤徹男

    須藤政府委員 お答えいたします。  明治森箕面国定公園は、明治百年を記念いたしまして、昭和四十二年に厚生大臣指定いたしました。その後、同公園内の国有林野昭和五十二年に大阪営林局長林野庁長官の承認を得て自然休養林指定したものでございます。  当該自然休養林は、国定公園区域でもあり、その維持管理大阪府知事及び神戸営林署長主体となりまして、あわせて箕面市長箕面観光協会等十二団体で構成されております明治森箕面国定公園保護管理運営協議会の協力を得て実施をしているところでございます。
  5. 土井たか子

    土井委員 この明治の森というのはどういう趣旨なんでございますか。
  6. 須藤徹男

    須藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、明治百年を記念いたしまして、当時高尾国定公園箕面国定公園指定したというふうに聞いております。
  7. 土井たか子

    土井委員 明治百年を記念して東京の方は高尾、いまおっしゃったとおり大阪の方は箕面、その二カ所を指定されたわけですが、やはり森を指定されるについては、何らかそれに対する意義国民に対して持ってもらおうという趣旨があったに違いないと思うわけでありますが、その間の事情はどうでございますか。
  8. 須藤徹男

    須藤政府委員 先生承知のとおり、これは林野庁所管ではございませんで、当時の厚生省所管指定事務が行われておりますので、現在の環境庁所管ということになろうかと思います。
  9. 土井たか子

    土井委員 所管環境庁と振り切られてしまうというのは、ちょっと私は異議があります。自然休養林というのはどうなんですか、林野庁でしょう。したがいまして、国定公園自然休養林というのはオーバーラップしているのじゃないですか。そしてこれが明治の森として指定をされているのじゃないですか。この明治の森を指定をされた意義と申しますか、それは明治百年を記念してに尽きるかもしれませんが、やはり国民に対してある意義を持たせようというところに意味があるのだろうと思います。どういうところにその趣旨がございますか。
  10. 須藤徹男

    須藤政府委員 先ほど申し上げましたように、箕面につきましては四十二年に国定公園指定されておりまして、自然休養林指定いたしましたのは、まさに国有林部分につきまして五十二年に指定をしておるわけでございます。つまり自然休養林と申しますのは、自然の山野におきますレクリエーションに対します国民要請にこたえるために、国有林野事業一環といたしまして、林業経営国土保全との調和を図りながら、一定の地域内の国有林野を積極的に自然休養の場として自然探勝、登山、ハイキング、キャンプなどの利用に供しようとするものでございます。したがいまして、森林主体とした風景のすぐれた地域で、森林レクリエーションの場として現在利用されておる森林または将来利用されることが確実に予想される森林指定するということにいたしておるわけでございます。
  11. 土井たか子

    土井委員 そこでひとつその相互間の関係をお伺いしたいわけですが、国定公園自然休養林とは一体どういう関係になっていますか。
  12. 須藤徹男

    須藤政府委員 たまたまここは国定公園と一部の地域がダブっておるわけでございますが、国定公園指定意義自然休養林設定意味とは多少違っておるわけでございます。
  13. 土井たか子

    土井委員 ちょっといまの御答弁ではわかりませんね。多少違っている、さようでございますかというわけにいかないのです。どのように違っていますか。
  14. 須藤徹男

    須藤政府委員 自然休養林につきましては、ただいま私からお話ししたとおりでございまして、国定公園指定につきましては、私ども所管でございませんので、どういう意義があるかは担当の方に聞いていただきたいと思います。
  15. 土井たか子

    土井委員 国定公園指定をされるというのは、法的根拠はどこにあるのですか。これは所管林野庁ではないはずでありますから、担当の方にお伺いをいたしましょう。
  16. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答えを申し上げます。  国定公園指定は、自然公園法に基づきまして、都道府県申し出によりまして環境庁長官指定をいたします。その対象となりますものは、国立公園に準じますすぐれた景観地、これを保護し及び適正なその利用を図るという目的でございます。
  17. 土井たか子

    土井委員 すぐれた景観地でありその自然を保護するということが、国定公園として指定をされるときの内容としては非常に重要な内容になってくるわけなんですね。  さて、その国定公園の中で自然休養林制度林野庁としては持っていらっしゃるわけですが、自然休養林について法的根拠というのは一体どこにあるのですか、自然休養林として指定をするという法的根拠は。いま国定公園はわかりました。自然公園法に基づいて、これは環境庁長官が行われる一連の事務がございます。自然休養林の方は、法的根拠はどこにあるのですか、そしてその趣旨は何でございますか。
  18. 平賀滋

    平賀説明員 お答えいたします。  ただいま自然休養林法的根拠お尋ねでございますが、自然休養林国有林野事業一環として行われているわけでございます。したがいまして、国有林野事業経営計画一つとしまして、経営規程等でその施業方法を定めているわけでございますが、その施業の定め方としまして、まず地帯区分をいたしますが、そういった地帯区分一つとしてレクリエーションの森というのは位置づけられているわけでございます。  若干具体的に申しますと、林地区分として第一種林地、第二種林地、第三種林地というふうに分かれてございます。第一種林地と申しますのは、自然公園あるいは保安林等そういった法的制限の強い地域でございまして、したがって施業についても特別な配慮をする、そういう地域でございます。その第一種林地一つとして自然公園区域が定まっているわけでございます。
  19. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁では、国有林野事業一環としてという御答弁でございましたが、私がお尋ねした法的根拠ということになりますと、何法の何条の何項というところまでひとつその根拠があればお示しをいただきたいと思うのです。いかがですか。
  20. 平賀滋

    平賀説明員 国有林野事業につきましては、直接規制する、事業そのものについての規制法というのはございません。国有林野会計法とかあるいは国有林野法というようなもので、国有林野事業の経理なり土地等管理方法についての規制はございますが、管理事業といたしましては、強いて言いますれば設置法上そういうことを林野庁がやるということでございまして、お尋ねのような国定公園に類似したような法的根拠を持って定めているものではございません。
  21. 土井たか子

    土井委員 そうすると、確かな法的根拠はないけれども、しかし、一応自然を保護する、自然の山野というものを保護する、また国定公園にあるすぐれた景観というものを保全していくというふうなことに矛盾してはならないというのは、言うまでもなく鉄則であろうと思うのですが、この点確認をいたしましてよろしゅうございますね。
  22. 平賀滋

    平賀説明員 国定公園について設定されました自然休養林につきましては、当然自然公園法等法的規制がかかるものであるというふうに承知しております。
  23. 土井たか子

    土井委員 この自然休養林設定内容として、林野庁長官からかつて通達があったようでありますが、この通達内容も含めて、施業計画施業方法、それから施設内容、それについてひとつあらましの御説明をいただきたいと思います。
  24. 松田堯

    松田説明員 お答え申し上げます。  森林施業につきましては、いま御説明いたしましたように、国定公園施業方法との調整をしているわけでございますが、この明治の森の箕面自然休養林につきましても、施業区分といたしまして風致保護地区風致整備地区施業調整地区と三つ地帯区分をしてございます。風致保護地区につきましては、自然環境を厳正に維持、保存するといった観点からの施業をいたします。風致整備地区につきましては、積極的に風致維持、助長を図るという観点からの施業方法をとります。それから最後の施業調整地区につきましては、風致的配慮のもとに木材生産も可能であるといった方式の施業を行うものでございます。
  25. 土井たか子

    土井委員 いまのは施業計画施業方法について御答弁をいただいたわけですが、いわゆる特一、特二、特三という分類の仕方もそれについて言えるかと思います。  さらに、いま施設内容についての御答弁がなかったのですが、これはどうなんですか。
  26. 平賀滋

    平賀説明員 施設計画概要についてお答えいたします。  施設計画としましては、園地自然探勝路、その他連絡のための府道等があるわけでございますが、まず園地につきましては、国が一カ所、大阪府十カ所、計十一カ所の計画が立ててございます。それから自然探勝路につきましては、大阪府において九路線、約二万メーターの計画が立ててございます。その他府道三路線、市道一路線、林道四路線等についての計画がございます。
  27. 土井たか子

    土井委員 こういう自然休養林は全国にどれくらいの数があるわけですか。
  28. 平賀滋

    平賀説明員 現在まで九十二カ所指定してございます。
  29. 土井たか子

    土井委員 この自然休養林設定については、当然地域住民であるとか関係地方自治体とのいろいろな意見調整というのが大事だと思います。住民からの要求と無関係で事を運ぶということであっては設定趣旨にかなうものじゃないとわれわれは考えますが、そういう地域住民、それから地方自治体自然休養林設定に当たって意見調整というのはどういうふうに行われるのですか。
  30. 平賀滋

    平賀説明員 お話しのとおり、地域におきまして自然休養林等を新たに設定する場合におきましては、地方公共団体あるいは住民等意見と十分調整する必要がございまして、そのため休養林指定の仕方としまして、休養林のための管理運営協議会というものをあらかじめつくりまして、その場におきましていろいろ御討議をいただいて指定をすることにしてございます。
  31. 土井たか子

    土井委員 いまこの箕面について言うならば、地域住民の方々からいろいろな要求書が出ているわけであります。地元の住民要請も出ているわけでありますが、こういうことについては、林野庁としては十分に事の内容について御承知おきであるはずだと思いますが、御存じでしょうね。
  32. 平賀滋

    平賀説明員 箕面自然休養林につきまして、種々の要望が住民の側から出ているということにつきましては承知しております。
  33. 土井たか子

    土井委員 幾度かにわたって出されているのを全部御承知おきになっているということをもう一度確認をさせていただきますよ。よろしいですね。全部御存じですね。
  34. 平賀滋

    平賀説明員 全部ということについては確かかどうかわかりませんが、その趣旨についてはまずほとんど了知しているというふうにお答えいたしたいと思います。
  35. 土井たか子

    土井委員 先ほど自然休養林そのものについての施業計画施業方法についてお尋ねをしたんですが、具体的に箕面地区について施業計画地帯区分施設計画、それはどのような内容になっておりますか。
  36. 松田堯

    松田説明員 お答え申し上げます。  箕面国定公園につきましては九百六十三ヘクタールでございますが、そのうち国有林は五百九十ヘクタールでございます。五百九十ヘクタールのうちの五百七十一ヘクタールが自然休養林でございます。先ほど申し上げました風致保護地区が八十ヘクタール、風致整備地区が二百二十一ヘクタール、施業調整地区が二百五十四ヘクタール、そのほかに施設地区が十五ヘクタールでございます。  なお、関連して申し上げますが、この地域はほとんどすべてが水源涵養保安林にも指定されているわけでございます。  施業方法につきましては、風致保護地区につきましては原則禁伐でございます。ただし、修景の必要があるときには植栽を行うことができるということになっております。それから風致整備地区につきましては、伐採原則として択伐率一〇%以内の択伐ということでございます。ただし、修景線と私ども呼んでおりますが、景色の見通しをよくするといったことの必要上、択伐によることが適当でない場合には一伐区一ヘクタール以内での皆伐ができることにしております。更新天然更新によることが原則になっておりまして、必要な場合には植栽も可能、こういうことでございます。施業調整地区につきましては、択伐も皆伐も可能でございますが、択伐につきましては、択伐率三〇%以内ということにいたしております。それから皆伐の場合には、一ヘクタール以内の皆伐ということにいたしておりまして、伐区を十年以内に連続させないといった小面積分散伐採方法をとることにいたしております。更新につきましては、択伐の場合は天然下種更新でございますが、皆伐につきましては、杉、ヒノキ等人工植栽を行うということにいたしております。
  37. 土井たか子

    土井委員 あらましのことをいま承ったのをひとつ前提として、いまから少し質問を進めたいと思いますが、国定公園に関します公園事業というのは、府県知事決定することになっておりますか、どうでございますか。
  38. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答え申します。  国定公園公園事業は、自然公園法の規定によりまして、都道府県知事決定をするということになっております。
  39. 土井たか子

    土井委員 いまおっしゃったのは自然公園法の第十二条第三項だろうと思うのですが、この箕面地区についての事業計画というのは、どのような経緯になっているわけですか。
  40. 松田堯

    松田説明員 国有森施業方法につきましては、地域施業計画がございまして、五年度ごとに十カ年の施業計画を組むことになっております。現在、この箕面自然休養林につきましても、五十四年度第三次地域施業計画が組まれておりまして、その中で、その編成の際に施業方法等につきましては環境庁協議をいたしてございます。
  41. 土井たか子

    土井委員 いろいろ協議ということをいまおっしゃっているのですが、公園事業ですね、国定公園に関する公園事業、この公園事業の中には国有林なんかの森林所有者が行います伐採であるとか造林などは入っているのですか、入っていないのですか。いかがですか。
  42. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答えを申し上げます。  公園事業内容といたしましては、公園の自然を保全するための各種の施設、それから利用を増進するための施設ということでございまして、森林伐採その他の計画というものは公園事業内容には入っておりません。
  43. 土井たか子

    土井委員 そうすると、もう一度ここを確認しておきますが、公園事業の中には国有林等森林所有者が行う伐採造林等は入っていない。もう一度確認しますよ。よろしゅうございますね。それは入っておりませんね。
  44. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答え申します。  国有林伐採等につきましては、それぞれの土地所有者の行う計画でございますので、知事決定します公園事業内容とはなっておりません。
  45. 土井たか子

    土井委員 そうすると、万事ここの国有林については、林野庁所管で事がゆだねられるというかっこうになることはいまの御答弁からしても明々白々だと思うのですが、この府県知事なんかに対して伐採造林等計画策定段階について協議調整をすること、それからさらに実施段階において協議調整をすることなどというふうな問題が具体的にあるようでありますが、こういうことは一体どういうふうになっていますか。
  46. 須藤徹男

    須藤政府委員 その地域施業計画策定する際に、都道府県あるいは当該市町村意見を聞くことになっております。したがいまして、計画を作成する段階で、すでにそういう意見を十分尊重して計画を作成するということにいたしておるわけでございます。
  47. 土井たか子

    土井委員 そうすると、都道府県知事決定をする公園事業の中では、この伐採とか造林等国有林について所有者が行うわけであって、何ら公園事業の中には入らないけれども施業計画をつくる際にいろいろ林野庁との間で協議調整をなさるということが具体的にある、こういうかっこうなんですね。そう理解してよろしゅうございますか。――首振ってないで、ちょっと一声、声を出しておいていただかないと……。
  48. 須藤徹男

    須藤政府委員 失礼いたしました。  そういうことでございますが、なお御理解をいただくために御説明申し上げますが、たとえば国定公園には地種区分というのがございます。第一種特別地域、第二種特別地域、第三種特別地域、御承知のとおりだと思いますが、たとえばこの自然休養林地帯区分でございますが、これもやはり全く一致はいたしておりませんけれども国定公園指定趣旨にのっとりまして地帯区分をしておるわけでございまして、先ほど計画課長から御答弁申し上げましたように、たとえば第一種特別地域に相当する地域が七十八ヘクタールございます。私ども設定いたしております風致保護地区が八十ヘクタールございます。それから第二種特別地域に相当します地域が百二十四ヘクタール、それに相当します風致整備地区が二百二十一ヘクタール。ございます。第一二種特別地域に相当しますのは三百八十八ヘクタールございますが、私ども施業調整地区に相当しますのは二百五十四ヘクタール、ほぼ公園計画地種区分に応じまして私ども施業計画の基準になります地帯区分をやっておるわけでございます。したがいまして、いまの御質問のように、この計画策定の際に、市町村あるいは都道府県意見を十分聞いて策定をするということになっておるわけでございます。
  49. 土井たか子

    土井委員 いまの長官の御答弁を承りまして、少し確めたいことがございます。  それは箕面地区公園整備計画内容が、どうも当初計画された内容と、後に変更してきたようであります。その箕面公園整備計画内容で、当初計画内容をひとつここで聞かせていただきたいのです。主なる施設の名前と、そしてそれの概要、そうして何より実施主体区分実施予定年度、これについてお聞かせくださいませんか。
  50. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答え申し上げます。  土井先生御指摘のございました公園事業というものの前提になります公園計画というものが決められておりますことは御存じのとおりでございますが、この計画公園指定時に決定をされておりますが、この計画の主な内容、細かいものがございますが、内容としましては、歩道園地駐車場というふうなものが主体でございまして、これらは計画でございますので、年次区分等あるいは実施主体が何であるかということは、この計画では決められないわけでございまして、これが公園事業という段階にブレークダウンされましたときに、どういう主体がどういう計画実施をするかということが決まってくるというのが制度の実態でございます。
  51. 土井たか子

    土井委員 その事業にブレークダウンされてから、どういうふうにその計画内容というのは決まっていったわけですか。さっきお尋ねしたとおりで内容についてひとつ御説明を伺います。
  52. 藤森昭一

    藤森政府委員 大阪府の決定しました公園事業といたしましては、歩道駐車場、ビジターセンター、給水施設、それからトイレというふうなもののほかに案内板のようなもの、こういったようなものが計画内容となって実施をされております。
  53. 土井たか子

    土井委員 当初の主なる施設名、それと概要、それから先ほど言った実施主体区分、それから実施予定年度ですね。これは一つ一つ、具体的には後々大切なことになりますから、当初計画内容をひとつ明らかにしていただきたいのです。いまここでおわかりになりますね。
  54. 藤森昭一

    藤森政府委員 大阪府知事の立てました事業計画内容につきましては、大変申しわけありませんが、現在資料を持っておりませんので、お答えを後ほどさしていただきたい、かように思います。
  55. 土井たか子

    土井委員 では、それは資料としてまず出していただきたいと思いますが、きょう一回限りでなくて、私は次回もこの問題については続行して質問する予定にいたしておりますから、次回までにひとつその点はきちっと段取りをしていただきたいと思います。  さて、この当初の整備計画が後に変わったようです。たとえば駐車場について当初計画を見てまいりますと、実施主体は国または大阪府となっていて、実施予定年度は五十二年度以降となっていたものが、後に実施主体大阪府に変わりまして、しかも五十二年度以降と変わったのです。またごみの焼却炉の設置について、十カ所分を国が全部四十九年度以降設けるということとしていたのを、後に全くやらないということになってしまったのです。こういうふうに当初の整備計画が変わってしまったという理由は一体どういうところにあるのですか。当初の整備計画を変更したという、その変更趣旨と、なぜ変わったかということ、それをひとつ御説明賜ります。
  56. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答え申し上げます。  国定公園事業計画及びその事業実施というものにつきましては、ただいま申しましたように、知事段階で決められるわけでございますが、整備につきましては、たとえば府が行う場合におきましても、二分の一の国庫補助を交付して行う、こういうふうな助成措置を講じておるわけでございますが、当初の事業予定どおり進行しないということによりまして、事業計画の変更ということは時たまあることでございまして、大阪の場合も、そうした各種の事情によりまして、当初計画どおり進まないというふうな事態があるのかというふうに考えております。
  57. 土井たか子

    土井委員 しかし、どうもいまの御答弁というのは釈然としませんね。整備計画が当初組まれていたのが、後に内容がなぜ変更させられたかということについて、しかとした御答弁にはなっていない。後にどういうふうに変わったかという概要などについても、それは先ほど申し上げたとおり当初計画と同様にひとつ文書として提出を要求します。よろしゅうございますね。  さて、どうして国の実施予定というのが大阪府に肩がわりされたり実施予定年度が繰り延べになったのか、この理由というのはどの辺にあるのですか。当然国がやらなければならない実施予定というのを大阪府に肩がわりさせて、端的な表現をとると、押しつけたというかっこうになっていると申し上げてもいいと思うのですよ。それから予定年度というのが繰り延べになった、こういうことについての理由はどういうところにあるのですか。
  58. 藤森昭一

    藤森政府委員 お答えを申し上げます。  先ほど申し上げましたように、大阪府の決定しました事業計画の詳細につきましては、後ほど資料として提出をいたします。  ただいまこの詳細についてお答えをできないのは申しわけございませんが、制度的に申しますと、国定公園につきましては、公園事業は、都道府県計画を立てまして、そして都道府県が執行するというのがたてまえでございまして、国が行うということにはなっておらないわけでございます。したがいまして、そういった府県の執行するものに対しまして、国は補助を自然公園法の規定に基づいて行う、こういうことでございますので、この計画内容の変更というものがあるとすれば、国が変更したということではございませんで、大阪府が変更したということになるわけでございます。  ただ、その詳細につきましては、ただいまお尋ねもございましたので、後刻その辺につきましても御説明を申し上げたいと思いますが、私ども承知しておるところでは、箕面国定公園の基幹的な施設につきましては、それぞれの整備が進められている、かように報告を受けております。
  59. 土井たか子

    土井委員 いま基幹的な整備はそれぞれ進められているという御答弁が出てまいりましたけれども箕面地区公園利用客の状況というのはどういうことかというのをまずお尋ねしておいて、次にいきましょう。いまどれくらいですか。
  60. 藤森昭一

    藤森政府委員 箕面国定公園利用者は年間約二百万人でございます。
  61. 土井たか子

    土井委員 これは恐らくこれからふえる一方だろうと思うのですね。  ところで、いま整備は着々とでき上がっていっているということをおっしゃっておりますが、私はここに地図を持ってきたのですが、この施設内容で十一カ所園地計画をされておりますが、その中で完成をしているのはわずか三カ所にしか過ぎないのですよ。ところが私が持ってまいりました案内用のパンフレットは、いろいろあるのですが、全部で十六種類ぐらいあるようです。国が出しているもの、府が出しているもの、私鉄が発行しているもの、いろいろ案内用のパンフがあるわけですが、いま手元にあるのは、明治森箕面国定公園保護管理運営協議会が出しているパンフです。ところが園地十一カ所全部が整備されているような案内図になっておりますけれども、しかし、いま完成しているのはそのうちのわずか三カ所なんですよ。ほかは全部未整備なんです。利用客はこのパンフの案内に従って楽しみにしてここに来る。しかし園地ができ上がってないのです。未整備のままなんです。このパンフを環境庁長官ひとつごらんをいただきたいと思うのです。これをごらんになりますと、これは「新設」と書いてあるでしょう。この「新設」というところの表示は全部まだ未整備なんです。ほかのパンフも全部同様であります。これは着々と整備ができておりますなんておっしゃることからしたらおかしいのじゃないですか。国民住民をだますものですよ。これはうそつきパンフと言ったっていい。実態は整備は着々とというわけにいかない、こういう事実をお認めになりますか、どうですか。
  62. 藤森昭一

    藤森政府委員 大阪府が国定公園公園事業として確定いたしましたものにつきましては、私が先ほど申し上げましたような状態でございますが、一方先生が御指摘になりましたように、この中には休養林の整備の内容がございます。それにつきましては、私どもは直接には承知をしておりませんが、このパンフレット私もまだ拝見しておりませんが、恐らくそういった公園事業計画休養林計画とをあわせた内容をPRしているのではないだろうか、かように考えます。
  63. 土井たか子

    土井委員 そうすると、いまの御答弁を承っていると、休養林の整備が未整備であるがためにこういうことになっているとも聞こえてくるような答弁であります。よろしいですね、これは林野庁の責任になります。林野庁、こういうことに対してどのように責任をいまからおとりになりますか。
  64. 平賀滋

    平賀説明員 お答えいたします。  園地整備計画につきましては、先ほど申し上げましたとおり国有林内十一カ所計画してございます。そのうち国の一カ所につきましてはすでに実行しており、大阪府の十カ所について二カ所実行されているというのは御指摘のとおりでございます。これは自然休養林施設計画として設定しているものでございますが、当然当該地域国定公園地域でもございますので、所管大阪営林局におきましては、国定公園利用計画と申しますか、ただいま御案内の事業計画にあわせてそれを休養林施設計画としているということでございます。
  65. 土井たか子

    土井委員 非常にたどたどしい御答弁なんです。これは恐らく府の方に何でもかんでも押しつけたようなかっこうになっているから、利用計画についても十分な進捗状況を見ないという現状になってきているのじゃないですか。そのパンフが出た当時から今日に至るまで、園地などは未整備のままもう全然変わっていない。これはただただ住民からしてみると一体どうなるのかという感じであります。このうそつきパンフがいっぱい出回っているのですが、このパンフのたぐいについては営林署や営林局の方も関係ありますよ、先ほどのは営林局、営林署も入っている協議会ですから。したがって、こういうパンフに対しての責任はどういうふうにおとりになりますか。住民はこれを見れば、このとおり信じてまいります。国民はこのとおり信じますよ。
  66. 平賀滋

    平賀説明員 御指摘の管理運営協議会と申しますのは、国定公園の保護管理運営協議会でございまして、事務局は大阪府において取り仕切っているところでございます。営林局につきましても、そのメンバーの一人として入っているものでございまして、御指摘のような事態につきましては、先ほど環境庁の方から御答弁したとおりでございますけれども、営林局といたしましても、こういった計画について府と協力しながら逐次進めるよう図ってまいりたいと考えております。
  67. 土井たか子

    土井委員 逐次進めるようとおっしゃるまではみんなうそつきパンフが横行するのですか。これはやはりパンフのあり方というのともっと真剣にまじめに取り組んでもらわぬと困りますよ。どうですか。これはいまのパンフのままで配布しておいて何ら構わないという御認識ですか。
  68. 須藤徹男

    須藤政府委員 ただいまのパンフレットの話は、私は初耳でございますが、実際にできてないものをできておるというようなパンフレットはまことにまずいわけでございますから、私どもといたしましても、その協議会のメンバーの一人といたしまして、大阪府のそういう事務局に対しましてよく事情を聞いてみたいと思いますし、その趣旨について間違っておれば訂正するように申し入れをしたい、こういうふうに考えております。
  69. 土井たか子

    土井委員 聞いてみたいと思いますし、間違っておれば訂正するようにというふうな御発言ですが、これはのんき至極ですわ。このパンフというのはいろいろ出回っているのです。しかし、この内容は同じなんですよ。これは未整備なものをあたかももうでき上がっているがごとき表示になっているのですから。――ちょっと長官、その後ろにまでパンフが回ってきていますからよくごらんください。そういうことに対しては一回現地で調査をしてみてと長官はおっしゃるから、ひとつぜひ調査をしていただかなければなりませんけれども、事ほどさように、営林署にいたしましても営林局にいたしましても、この問題についていいかげんだと申し上げたいと思います。――どうですか長官、ごらんになりましたでしょうか。
  70. 須藤徹男

    須藤政府委員 ただいま拝見いたしましたが、これは「既設」と「新設」というふうに分けてございますが、この「既設」の方は間違っていない、三カ所のようでございまして、「新設予定」と入れておけば間違いなかったと思うのですが、この辺がどうもちょっと不親切だと思います。
  71. 土井たか子

    土井委員 と入れておけば間違いなかったという字面の、字で言うと二字があるかないかのことじゃないと思うのですよ。そういうパンフをあたりまえのような顔をして配布された姿勢と申しますか、事に対処する気構えと申しますか、林野庁としてはいいかげんなものだということを言わざるを得ないのです。語るに落ちたりという言葉がございますが、全く林野庁全体がこの自然休養林に対してどういうふうな姿勢で臨んでいらっしゃるかということも何だかわかるような気がしてなりません。長官、よろしゅうございますか、その辺はひとつはっきりしていただきますよ。
  72. 須藤徹男

    須藤政府委員 私も初めてこれを見ましてびっくりしたわけでございますが、林野庁全体がでたらめだという御発言に対しましては、非常に抵抗を感ずるわけでございますが、一九七二年のパンフレットでございますから八年前のパンフレットでございまして、先ほどお話がございましたように、その当時と何ら変わっていない、三カ所しかできていない。私も初めて聞きましてびっくりしておるわけでございますが、私ども自然休養林に対します姿勢がそのようにでたらめだというふうに言われますと、大変困るわけでございますが、国定公園自然休養林がダブっておるという関係で、その辺の責任の所在が非常に不明確ではないかというように私ども考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、今後そういうことがないように、私どもとしましては直してまいりたいというふうに考えております。
  73. 土井たか子

    土井委員 国がやるべきこの事業に対して、お互いが縦割り行政の中で責任のなすり合いだけはひとつなさらないように、これは環境庁だの、やれこれは大阪府だの、林野庁が知ったことじゃないというふうなことだけは。そういうことになってまいりますと、住民に対しては責任がある姿勢とは言えませんから。  そこで、この地域施設利用上のことで自治体であるとか住民からの要請があって、そしてそれについてあらましのことは知っているというふうなことをおっしゃったわけですが、その御存じになっていらっしゃるはずの問題の中で、これはいろいろございますけれども、わけても一つお確かめをしたいのは、現在遊休施設となっている研修所がございます。元大阪営林局の研修所ですが、これを地域住民の方々から、また自治体の方から自然教室として有効活用を図って、林業資料館として一般公開してはどうかというふうな要求が上がっていることは御承知だと思いますが、これに対してどういうふうな措置をお考えになっていらっしゃいますか。
  74. 須藤徹男

    須藤政府委員 ただいまお話がございました研修所は、この当該施設の上流に大阪府によります箕面川治水ダムが計画されまして、昭和四十七年から工事が始まりまして、工事用の自動車の通行による騒音等によりまして研修環境が悪化したために廃止したのでございますが、そこで展示施設の御要請がございますけれども、展示施設につきましては、この区域に、ちょうど研修所の隣あたりだと図面の上では拝見いたしますが、大阪府のビジターセンターがございまして、新たに研修所を活用して展示施設を設ける必要性には乏しいのではないかというふうに私ども考えておるわけでございます。
  75. 土井たか子

    土井委員 そうすると、この要求に対しては消極的なお答えを現在は持っていらっしゃるというかっこうになるのですか。
  76. 須藤徹男

    須藤政府委員 そのとおりでございます。
  77. 土井たか子

    土井委員 将来にわたってこれを検討してみようというお気持ちはありませんか。
  78. 須藤徹男

    須藤政府委員 ただいま使っておりません施設でございますので、何か有効に使えるということがございますれば、大いに協力をしていきたいというふうに考えております。
  79. 土井たか子

    土井委員 もう一つ、元箕面製品事業事務所を自然休養林の管理事務所として整備をしてはどうかというふうな要求住民、自治体の方から出てまいっておりますが、この点はいかがでございますか。
  80. 平賀滋

    平賀説明員 旧製品事業所を管理事務所に使用したらどうかということでございますけれども、ただいまのところそういった計画は具体的にございません。
  81. 土井たか子

    土井委員 それも将来にわたって検討してみようというふうなお気持ちはありますか。いかがです。
  82. 平賀滋

    平賀説明員 施設の有効利用につきましては、先ほど長官が申し上げましたとおり、その地域にふさわしい目的に活用するということについては協力したいというふうに考えております。
  83. 土井たか子

    土井委員 総じて、自治体や住民からの要請が出てまいっておりますこの内容に対して、それでは国はどのような姿勢で受けとめていこうというふうにお考えになっていらっしゃるかというところをひとつお聞かせくださいませんか。
  84. 須藤徹男

    須藤政府委員 要請にはいろいろございますが、一つは、箕面ダム建設に伴います利用実態、環境の変化を踏まえて早急に公園計画地帯区分の見直しを実施することというのが一つございますが、箕面ダムの完成は五十七年というふうに聞いております。それによりまして利用者の実態等が相当変わってくると思います。その際に、自然休養林地帯区分につきましても、公園計画地種区分との関係がございますので、大阪府と十分協議をいたしまして、見直す必要があれば見直していきたいというふうに考えております。  また、地帯区分ごとに森林造成の具体的計画策定し、積極的に推進を図ることということがございますが、これにつきましては、先ほど計画課長から御答弁申し上げましたように、地帯区分ごとに施業方針が決まっておりまして、それについて具体的に現在も進めておるわけでございますから、現在の方針どおり進めていきたいというふうに考えております。  それから、松枯れ被害木の完全伐倒駆除の実行により松の緑を保護することということがございますが、これはこのとおり伐倒駆除を実行していきたいというふうに考えております。  それから四番目は、ただいまございました元研修所の有効活用ということでございますし、五番目は製品事業所を自然休養林理事務所へということでございますので、いま御答弁申し上げたと  おりでございます。  それから、これらの計画樹立、実行、維持管理の民主的運営を図るため、自然保護団体、林業労働者の代表を管理運営協議会に参加させること。これは先ほど御答弁申し上げましたように、十二団体によります管理運営協議会、これは国定公園でございますが、管理運営協議会ができておりますので、その内容等私ども承知いたしておりませんけれども、できるだけ地元の意見等が十分反映するような協議会であってほしいというふうに考えておるものでございます。
  85. 土井たか子

    土井委員 五十七年に箕面のダムができ上がりますと、その環境も変わるのでという前提で、いろいろその環境に対応した内容に措置をとっていかなきゃならないというふうないまの御答弁だったのですが、完成を待たないと何ともならないというかっこうなのですか。ダムの建設はいま着々と進んでいるのですね。これと並行して考えていくということが実は必要なんじゃないかというふうに私どもは考えます。  それで、いまのダム建設の実情、経過、それが公園計画実施に対してどういうふうな影響を与えるか、そういう問題に対していまどういうふうに現状は考えていらっしゃるのですか。
  86. 須藤徹男

    須藤政府委員 これは公園計画との関連がございますので、私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、ダム建設によりましてその辺の状況が一変するわけでございますし、また利用の実態も現在とは変わってくるであろうということが考えられるわけでございまして、その時点において地帯区分の見直しをやれば十分であるというふうに私ども考えておるわけでございます。
  87. 土井たか子

    土井委員 十分であるかないかという問題が、実は具体的にいろいろあるだろうと思うのですよ。それは林野庁御自身の所管の問題になりますから、この点を明らかにしていただきたいと思うのに、森林造成計画がございます。この森林造成計画というのはどうなっているのですか。それからその施業方法というのは一体どういうことになっているのですか。
  88. 松田堯

    松田説明員 箕面自然休養林につきましては、古くから森林施業の歴史がございます。現在七六%が杉、ヒノキ等の人工林になっております。天然生林といたしましては、広葉樹の中にアカマツが混生している状況といったことで、これが二十数%ということでございます。  それから、風致維持向上と林業生産との調和を図りながら森林施業というものを決めておるわけでございますが、現在の森林施業といたしましては、主伐はございません。すべて間伐でございます。約千四百ヘクタール、六千立方程度の間伐、十年間でございます。この計画がございまして、それを十年間それぞれ年次配分をいたしまして施業を行っている状況でございます。
  89. 土井たか子

    土井委員 今後の実施の見通しについてはどういうことになるのですか。
  90. 松田堯

    松田説明員 施業といたしましては、なるべく年次的にばらつきのないような形で事業を実行するというのが理想でございます。特別の条件の変化のない限り、先ほど申し上げました間伐の指定量を十年間で満度に実行するということをねらいといたしまして施業を継続してまいりたいと思っております。
  91. 土井たか子

    土井委員 国会で質問申し上げて御答弁をいただく席では、これは口頭での御答弁ですから、聞いておりますと、それはさらりさらりと何のことはないのですね。なるほどというふうな御答弁をこの場所では聞かされるのがいつもの調子でありますけれども、実は現地に行くと、いまおっしゃったようなことが実際問題どうなっているかを見たときに、聞くと見るとは大違いというのはよくあるのです。これは箕面の場合がまさにそうだろうと私は思う。  いま私は一つの文書を持ってまいりましたが、「第三次地域施業計画の樹立に関する意見書の補足説明」というのが営林署長から局長に出されているのです。七八年十月のことでございますが、「明治の森設定当時の経営姿勢を打ち出す事」という項目になっておりますね。この「林業経営の場としての重要性」というのがどうも消極的になってきたのではないかという意味の文章がこの中にあります。「林業経営の場としての重要性」というのが一つと、二つ目には「国民の保健休養の場としての重要性」というのが書いてあるのですが、この「二本柱のもと、両面の調和の上に立って経営する立場で、諸施策を進めて来たが、現時点でふりかえって見ると、後者のみ優先させた感が強い。」とちゃんと書いてあるのですよ。「林業経営の場としての重要性」というのがどうも第二次的、第三次的とずいぶん軽く見られているという感がぬぐい切れないというふうな気持ちも込められているのではないかと私は読みながら思っています。  現状を見ると、なるほど木の植え方がずんずん減っていっている。自然休養林ということからいたしますと、四季の景観を備えているということがやはり大事な要件じゃないかと思うのですね。森林が荒廃していっているというのは、恐らくは手抜きがあるんじゃないかということを考えざるを得ません。これは法律的な根拠とかいろいろそういう問題じゃなくて、私は技術的な問題だろうと思う。国みずからがやったら、恐らくはもっと違いが出てくるんじゃないか。自然休養林の中について言うならば、林地所有者がみずからこのことに対して行うということになれば違うんじゃないだろうか。  それは具体的に言えば、立木のままで売り払うことが実は法上は可能です。民間の人たちがこの中に入って、緑を育てるとか森林を育成するというふうなことは抜きに――民間の企業というのは商売をすることが第一義でございますから、そういう点からすると、あたりがこういうことのために造林、保育の実態から大変後退していっているんじゃないかということがうかがえるのですよ。これは本来、法律が命じているわけじゃないけれども、こういう自然休養林の場合は、その森林所有者がみずから緑を育成するという立場で事に処すべきだと思われますが、どのように考えていらっしゃいますか。
  92. 須藤徹男

    須藤政府委員 その点につきましては、先生おっしゃるとおりだと思いますが、当該地区はすでに七二%が人工林になっておりまして、これを百年伐期ということで現在施業方針が立てられております。したがいまして、現在は間伐時期でございまして、間伐を進める。その他の残りました天然林につきましては、広葉樹を主体といたしまして中に松が混在をしておるという実態でございまして、天然林につきましては、できるだけ天然更新によって更新を図っていくという方向でございまして、修景のための植栽は必要があれば計画するということになっておりますが、現在修景のための植栽は行われていないという実態でございます。したがいまして、間伐を進め、かつ天然林の天然更新を期待する伐採、つまり択伐でございますが、これを進めるという方針で進めておるわけでございまして、御指摘のような、やるべきものをやらないというかっこうではないというふうに考えております。
  93. 土井たか子

    土井委員 ただ、やるべきものをやらないというのではないとおっしゃいますが、これはやり方の問題だろうと思うのですね。やり方の問題が大いにあるのではないかと私は思います。したがって、そういうことからすると、経常的な伐採というのは直営直用によって実施するということが本来の趣旨じゃないかというふうに私は思うのですが、長官、この点はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  94. 須藤徹男

    須藤政府委員 本来直営直用によるべきだということではなくて、直営直用をやることが望ましい地域は直営直用でやってまいりますし、また直営直用では非能率でどうにもならないというような地域につきましては、立木処分等のやり方をやっておるわけでございます。したがいまして、その地域によって特徴のあるやり方をしていくというのが基本的な考え方でございます。
  95. 土井たか子

    土井委員 いま、地域によってということをおっしゃいましたが、きょう承っておりまして、この箕面国定公園については、自然休養林施設等も含めまして、国の中でも林野庁が責任を持つべきところ、大阪府が責任を持つべきところ、これについての配分から具体的な計画内容についてまで、もう一つどうもはっきりしかねるところがまだまだあるようであります。ひとつ国がやるべきものに対しては積極的に早期に実施するということを考えていただきたい。その節、みずからの責任を放棄することなく全うするという意味で、まず林野庁が事に処していただくということが基本的な問題だろうと私は思います。長官、この点よろしゅうございますね。
  96. 須藤徹男

    須藤政府委員 森林施業につきましては、まさにおっしゃるとおり私どもの本職としてやっていくことでございます。それで、大阪府との協議につきましては、例の公園計画に基づきます施設の面であろうと思います。これはそれぞれ分担をしてやるということに相なっておりますので、御了解を賜りたいと思います。
  97. 土井たか子

    土井委員 住民要請が先ほど来取り上げられて、私自身も質問させていただいたわけですけれども、その趣旨に基づいて早期に計画変更すべきものに対してはそういう措置を講ずるというふうなことについて、これはお約束いただけますね。
  98. 須藤徹男

    須藤政府委員 先ほどの要請書に対しますお答えはしたわけでございますが、その中で将来の計画を変更しなければならぬという問題が起きますれば、当然変更しなければいかぬということでございます。ただ、この箕面ダムに関連しますものにつきましては、その時点で変更する必要があれば変更するということにいたしたいと思っております。
  99. 土井たか子

    土井委員 さて、環境庁長官国定公園ということになってまいりますと、これは長官関係をするところであります。この自然休養林の問題と国定公園という関係林野庁からいろいろ協議がある、連絡があるというかっこうだろうと思いますが、そうでございますか、実際は。
  100. 藤森昭一

    藤森政府委員 私からお答えをさせていただきます。  当初に申し上げましたように、国定公園公園計画は、都道府県申し出によりまして環境庁長官決定をいたしますし、そのもとにおける事業計画といいますものは都道府県知事実施をする、こういうことになっております。  それで、元来この公園国有林が非常に大きなウエートを占める公園でございまして、このことに関しましては、林野庁の御協力がなければこの公園指定はできなかったものだというふうに私どもは考えております。個々の細かいことにつきましても、私ども自然公園法上の規定に基づきまして、林野庁とは絶えず円滑な連絡を保っておる、こういう状況でございます。
  101. 土井たか子

    土井委員 それにしても現状は、ひとつ現地に行って見ていただきたいと思うのですが、環境庁が緑したたる国定公園であるとお思いになっていらしたら、あにはからんやそうではないという実態が現地に待っているわけであります。口頭での協議というのは相当あるに違いないと思うのですけれども国定公園指定されるということになってくると、すぐれた景観とか自然の山野を保護するということがどうしても主体になるということでございますから、林野庁ともそういう意味での協議を一層やっていただく、このことは環境庁長官よろしゅうございますね。
  102. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  明治百年を記念いたしまして計画されましたこの明治の森箕面公園が、利用者の方々の御期待に沿い得ないということであっては申しわけないと考えております。先ほど来藤森局長から答弁がございましたとおり、この利用施設の整備につきましては、都道府県知事事業主体となって事業を施行することとなっておりますが、今後は大阪府の公圏計画の再検討の結果も踏まえ、またきょうは長官がお見えになっておりますが、林野庁とも今後十分連絡をとりながら、先生の御意見も踏まえて対処してまいりたい、かように考えております。
  103. 土井たか子

    土井委員 林野庁の方も、現地に直接足を運んでいただいて現状を把握してくださるように要望いたしておきます。その上で、私は次回も引き続きこの質問を続行させていただくことを予告させていただいて、この件に関する質問をひとまず終えたいと思います。ありがとうございました。  さて、二番目の問題に移りたいと思いますが、昭和五十三年の七月十一日に環境庁から「二酸化窒素に係る環境基準について」という告示が出まして、いわゆるN02に対しての規制緩和の問題が具体的に打ち出されたわけであります。このN02の国の基準が、一日平均値〇・〇二PPmから〇〇四ないし〇・〇六PPmに緩和されたことに対して、科学的根拠がないということで、各自治体で専門家会議等を設けて検討を進められているということがいま現実ございますが、このことは御承知になっているはずだと思いますけれども御存じでしょうね。
  104. 三浦大助

    ○三浦政府委員 そういう御議論のある自治体があるということは承っております。
  105. 土井たか子

    土井委員 あれだけ強気で、しかも大急ぎであわてて環境庁が打ち出されました規制緩和については、当時から疑義があったのです。科学的根拠という点からしたって問題ですけれども、ましてや環境庁自身が中公審に対して環境基準の問題を諮問せず出されたという手続からのいきさつからして、どうもそれは国民の目から見ると、おかしいおかしいという大変な批判があったことは御存じのとおりなんですが、現状、このN02の内容に対して各自治体がいま総量規制についての作業を進めていらっしゃると思うのですが、その実態はどういうことになっていますか。
  106. 三浦大助

    ○三浦政府委員 窒素酸化物の総量規制の導入に向けての準備ということで、いま自治体の方は動いておるわけでございますけれども環境庁といたしましては、二酸化窒素に係ります環境基準に照らしまして、対策の緊急度が高い、すなわち一日平均〇・〇六PPmを超える地域の中で、工場、事業場が集合しておったりあるいはばい煙発生施設ごとの排出規制では環境基準の達成が困難な地域につきまして総量規制の導入を図る、こういうことになっておるわけでございますが、このために、昨年度、東京都、神奈川県、愛知県、大阪府、それから兵庫県、福岡県、この六地域につきまして、総量規制の導入のための具体的な調査をやっておるというのが現状でございます。したがいまして、現在その調査結果を取りまとめているところでございまして、今後はこの調査結果を踏まえて速やかに総量規制の導入をするように作業を進めていこう、こういう考えでおるわけでございます。
  107. 土井たか子

    土井委員 そうすると、環境庁みずからは、速やかに総量規制を進めていこうということで、いま鋭意作業に取り組んでおられる真っ最中だというふうに考えてよろしゅうございますね。おおよその結論というのはいつごろ出されそうでございますか。
  108. 三浦大助

    ○三浦政府委員 現在、昨年度の調査の取りまとめを都道府県段階でやっておるわけでございます。この結果が恐らく四月いっぱい、今月いっぱいで出てくるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その後、今年度はこの調査結果の検討、それから規制手段とか規制の具体的方法の検討、こういうことを早速始めていきたいというふうに考えております。
  109. 土井たか子

    土井委員 そうすると、もはや総量規制そのものについて、総量規制をやることがいいのか悪いのかというふうな段階じゃないので、総量規制をやるべくして、これは現に作業を進められている最中だというふうに理解させていただいてよろしゅうございますね。
  110. 三浦大助

    ○三浦政府委員 私ども五十二年度の測定結果を踏まえて地域区分をやっておるわけでございまして、ただいま申し上げた地域につきましては、〇・〇六を超える地域という非常に高濃度汚染の地域でございます。したがって、これを昭和六十年までに〇・〇六より下げようということでやっておるわけでございますから、当然総量規制実施するという前提のもとにいま調査をやっておるわけでございます。
  111. 土井たか子

    土井委員 社団法人で産業公害防止協会というのがあるようでありますが、通産省御出席をいただいておりますが、この存在を御存じでいらっしゃいますね。
  112. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  産業公害防止協会でございますが、産業公害防止協会は、大気汚染あるいは工場排水等の産業公害の防止に関する各種の調査研究あるいはいろいろな技術指導というような事業を行うことを目的にいたしまして、昭和三十八年に設立されました公益法人でございます。
  113. 土井たか子

    土井委員 社団法人ですね。
  114. 島田春樹

    島田政府委員 はい、さようでございます。
  115. 土井たか子

    土井委員 この産業公害防止協会がN02環境濃度測定局等検討委員会というのを設けておられることについては御存じでいらっしゃいますか。
  116. 越川文雄

    ○越川説明員 二酸化窒素についての環境濃度の測定につきまして技術的な検討をすべく委員会が設けられてございます。
  117. 土井たか子

    土井委員 このNO、環境濃度測定局等検討委員会はいつ設立をされたのですか。
  118. 越川文雄

    ○越川説明員 本年の二月でございます。
  119. 土井たか子

    土井委員 本年の二月八日ですね、発足をしたのは。そうしてこの委員会自身はどういうふうな財源で賄われることになっておりますか。
  120. 越川文雄

    ○越川説明員 五十四年度およそ六千万円の予算というふうに承知しておりますけれども、その一部は産業界からの負担をいただいておるようでございます。
  121. 土井たか子

    土井委員 このメンバーに通産省の立地公害局の課長、また工業技術院の標準部の課長などが委員として入っておられることを御承知でいらっしゃいますか。
  122. 越川文雄

    ○越川説明員 私自身委員として参画いたしておりまして、工業技術院の人間もメンバーに加わっておることを承知しております。
  123. 土井たか子

    土井委員 幹事の中にさらに通商産業省立地公害局の方が入っておられる。幹事の中にさらに工業技術院の標準部の方が入っておられる。また工業技術院の公害資源研究所の方が入っておられる。これについても御承知おきでいらっしゃいますね。
  124. 越川文雄

    ○越川説明員 正確にはあれでございますけれども先生御指摘のようなメンバーが一部入っておるというふうに思います。
  125. 土井たか子

    土井委員 先ほどおっしゃった所要資金の中の一部を産業界が拠出をしているというふうなことについて、その産業界のメンバーはどういう人たちが入っているのですか。
  126. 越川文雄

    ○越川説明員 私が承知しておりますところでは、たとえば電気事業連合会であるとか、鉄鋼連盟であるとか、そういったようなところがございます。
  127. 土井たか子

    土井委員 ここに私はその資料を持ってまいりましたが、まずN02環境濃度測定局等検討委員会のメンバーを見ますと、この委員の中にいまの公害防止指導課長、それから工業技術院の標準部の方、それから工業技術院公害資源研究所の方などが入っておられる。そして特別参与として、これは産業界の方々が席を占めておられるわけですが、日本鉄鋼連盟、電気事業連合会、日本自動車工業会、石油連盟、日本化学工業協会、石油化学工業協会、日本瓦斯協会、セメント協会、それぞれこのお名前を読んだ限りでは、御承知のとおり、業界の中でもN02に対しては規制緩和を切に望んでおられる側の立場の方々ばかりであります。鉄鋼とか電気とか自動車とか石油、主だったところは全部ここへ入っている。そしてさらに通産省の方と一緒に、産業界の鉄鋼、電気、自動車、石油、化学工業、石油化学工業、ガス、セメント、それぞれの代表の方が幹事として一堂に名を並べていらっしゃるわけであります。こういう構成でこの検討委員会で検討が行われるかっこうになっているわけです。しかも、これは産業界から拠出されるお金によって賄われる。この財源の中には、日本自転車振興会の補助金もあるわけでありますけれども、昨年度は産業界からも拠出を受けている。昨年度といってもことしの二月に発足しているわけですから、ことしの二、三月というわずか二カ月の間に約六千四百万円というお金がこれに使われているわけであります。  これはどうなんですか。まずお尋ねをしたいのですが、環境庁いかがですか。この総量規制の問題についても、こういう測定局等の検討についても、本来専権は環境庁にあるというふうにわれわれは理解いたしておりますが、この点を確認させてください。
  128. 三浦大助

    ○三浦政府委員 ただいま先生の御指摘の研究会ですか、どういうことをやっているか、中身を私ども全然存じませんが、実は私けさ新聞を見まして、そういう中身かなということを初めて知ったわけでございます。  ただいま御指摘のような機器の点検と申しますか、きょう新聞に載っておりましたような測定局の配置の問題とかいう問題になりますと、私どももうずっと国の予算でいままで測定局の配置という問題も検討してきておるわけでございます。あるいはまた測定機器の評価あるいは保守、点検といった問題につきましても、国の予算でいままでやってきておるわけでございます。たとえば測定局の配置なんかは、測定値の地域代表性に関する研究ということで、年次計画を持って研究を続けて常に評価をしてきておりますし、あるいはまた測定器の評価の問題につきましても、自動測定器の精度に関する研究というようなことで、保守管理マニュアルの作成等も含めてずっと国の予算で検討を続けて、正しい測定ができるように、正しい評価ができるようにという研究は常にやってきておるつもりでございます。
  129. 土井たか子

    土井委員 いま御答弁のとおりで、研究内容としては、N02の環境濃度の測定局の設置位置であるとか、局地的な問題をどう取り扱うかとか、広域的な問題をどう取り扱うかという問題などがその中に入るわけです。さらに測定器の保守管理の問題等を研究課題、内容としているようでありますから、これはいままさに環境庁が専権として作業をお進めになっていらっしゃる中身に違いないと思うのです。今回のこの委員会がどういうふうな役割りを果たすかということは、まず財源の上からいっても明々白々、これは何とか規制緩和をということを考えられる立場の方々からお金を受けて研究するわけでありますから、この内容からすれば、総量規制について緩和をしていく、場合によったら総量規制を振り切れということに使われるのじゃないかというふうなことがこの関係から早くも考え得ることであります。財界、産業界からお金を受けて研究する、こういうことについては環境庁どのようにお考えになりますか。
  130. 三浦大助

    ○三浦政府委員 その研究の目的、その他中身につきましても、私存じ上げませんが、私どもは既定方針どおり、高濃度汚染地域につきましては、総量規制の導入という方針でやっていく予定に間違いはございません。変更はございません。
  131. 土井たか子

    土井委員 環境庁としては既定方針どおり間違いないということをおっしゃるのですが、これは財界からお金が出て、しかも「現在、東京等大都市六地域でNOX総量規制導入の可否について調査が進められている。」というふうな前提で、総量規制の可否を検討することを目的としておられる研究なんですよ。だから、こういうことからすると、やはり財源に研究の内容が縛られるということは言うまでもないことでありまして、そういうことからすれば、規制緩和の立場に立つ産業界からのお金を受けて、そのための研究をやるということ以外ないと私は思うわけでありますが、この問題についてどのようにお考えになりますか、環境庁
  132. 三浦大助

    ○三浦政府委員 この研究会を設置した目的、その他の中身を私詳しく存じ上げませんので、ひとつ中身を十分調べさしていただきたいと存じます。
  133. 土井たか子

    土井委員 しかし、そもそも産業界からお金を受けて役人がこういう問題を研究するということは好ましいんですか。大体役人のお仕事というのは、法律で決められた行政行為を税金によって行うということが本旨じゃないですか。事もあろうにN02に対して規制緩和を強く要求している産業界の立場、つまり大気汚染という点から言ったら加害者ですよ。加害者側からの資金を受けて役人がN02について考えるなんというのは一体どういうことかということになります。環境庁長官、これをお聞きになっていてどうお思いになりますか。
  134. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  通産省の方がどのようなお考えでおやりになっておるか、私といたしましてはよく理解ができ得ませんが、もう環境庁といたしましては、環境行政の使命に徹しまして総量規制の導入に向かって全力投球いたしてまいります。
  135. 土井たか子

    土井委員 しかしいまの、加害者的立場に立つはずの産業界からお金を受けて役人がいろいろ研究作業を進めるというのはどのようにお思いになりますか。
  136. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 誤解を受けるようなことはやらない方がいいと思います。
  137. 土井たか子

    土井委員 産官一体という言葉がございますが、いままでこれはいろいろ問題になってきたんです。今回のこの研究内容を見ると、これはどっぷりと、もう産官癒着というよりも一体と言わなければならない。例の空出張どころの騒ぎじゃないと私は思っているのです。役人の姿勢としてもってのほかだと思うのですよ。この内容からすれば、場合によったら公務員の職務違反にも問われる趣がありますよ。誤解を生ずるようなことは慎むべきだというふうな環境庁長官の御発言でございますけれども、これは一般的に言ったらそういう表現も通用するでしょう。しかし、本来N02の問題について言うならば、この発生源であるところの、大気汚染で言うならば、いわば加害者であるところのそれぞれの産業界の主たるメンバーから資金を仰いでこういう研究をやるということ自身許されてしかるべき問題ではないと私は思うのです。こういう姿勢というのは当然疑いを持たれてしかるべき問題である。また、いま通産省がこういうことでこの問題に臨まれるということは、環境庁の専権に対しても、これを尊重する姿勢ではない、このように問題として把握されますが、どのようにお考えになりますか。
  138. 三浦大助

    ○三浦政府委員 何遍も同じ御答弁で恐縮ですが、私どもその中身をよく存じ上げておりません。私どもは私どもの方針に従ってやってまいるつもりですので、ひとつ御了解をいただきたいと思います。
  139. 土井たか子

    土井委員 環境庁環境庁として所期の方針に従ってそれを進めていくから御了解を願います、こうおっしゃるのですが、五十五年二月八日付の産業公害防止協会から出されている「N02環境濃度測定局等検討委員会設立について」の案文について読んでみますと、こういうことが「研究体制」というところに書いてある。「委員会の下部機構としてワーキンググループを設置する。なお、委員会およびワーキンググループの活動推進にあたって産業界の協力を得る。」とちゃんと書いてあるのです。よろしゅうございますか。この「委員会およびワーキンググループの活動推進にあたって産業界の協力を得る。」ということを研究体制として含んでおられるこの検討委員会の中に、国立公害研究所の方が入っておられるのです。所期の方針を貫くと環境庁としては終始一貫先ほどからお答えになりますけれども、これには国立公害研究所の方が入っておられるのです。委員の中にも幹事の中にも入っておられます。これはいかがでございますか。
  140. 金子太郎

    ○金子政府委員 ただいまの件につきまして、私どもが調べました事実関係お答え申し上げたいと思います。  本年一月の下旬に、国立公害研究所の研究者に対しまして、この検討委員会の委員に就任してほしいという打診がございました。それに対しまして、国立公害研究所として正式の手続を踏まなければ回答はできませんという連絡をしたようでございます。次に二月の八日に検討委員会の第一回委員会が開催されたそうでございますが、その後、委員の委嘱状を持って国立公害研に来られたそうでございます。国立公害研におきましては、審議会とかこの種の検討委員会の委員の委嘱を受けるべきかどうかという場合には、国立公害研究所の中に人事委員会というのを設けてございまして、その人事委員会の議を経て許可があれば委員に就任するという仕組みになっておりますが、現在まで、そのための人事委員会は開かれておりません。したがって、正式の回答はなされていないということでございます。  なお、調べましたところ、二月十三日の第一回幹事会及び三月十五日の第二回幹事会に国立公害研の者が出席したという事実はございません。
  141. 土井たか子

    土井委員 今日まで、そういう人事的な関連における会議が持たれたことがないということをおっしゃいましたが、研究体制という点から申しますと、まず委員がございまして、それから産業界からの特別参与というのがございまして、さらに幹事というのがそれぞれございます。通商産業省の場合などは、委員にまず課長が、そして幹事の中に立地公害局の方が入られるという、いわば組織的な入り方でありまして、組織として入っておるという感じがする。ただいま国立公害研究所の方は当日は出席をしたという事実はないという言いわけめいた御答弁でございますけれども委員の中にもその名があり、幹事の中にもその名があるから、両者を総合的に考えますと、この文章からしたら組織的としか言いようがないのです。組織としてこの問題に対して入っておられる。したがって、そういう点からいったら、特に公害の発生源であるN02に対して緩和を強力に進めてほしいという立場の財界から資金を受けて研究をやるという関係になってくるわけなのです。先ほど来環境庁としたら、当初の姿勢を崩さない、崩さないの一点張りで御答弁をなさっておりますけれども、しかし、いかに抗弁なさろうと、この文書からすると、名前が載っているのですから疑義をぬぐうわけにはいかないのです。金子局長、もうよろしいです。環境庁長官、この問題について何らかの御見解がおありになってしかるべきだと思います。いかがですか。
  142. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私も実は率直に申し上げまして、けさほど新聞を見まして本当に驚いたようなわけでございますが、ただいま金子局長からの御答弁で、環境庁の職員は出席をしておらないというふうなことではございますが、いずれにいたしましても、先ほど来御指摘のような性格の委員会に環境庁の職員が参加するというようなことは問題がある、私はかように考えておるような次第でございます。
  143. 土井たか子

    土井委員 それで、長官としては今後どのような措置をおとりになるおつもりでございますか。
  144. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど金子局長から出席をしておらないという御答弁でございますので、私といたしましては、この事実関係をよく確認いたしまして、この問題に対処してまいりたい、かように考えております。
  145. 土井たか子

    土井委員 通産省の方は、やはり組織的にこの中に入っておられるという感を私は持っておるわけですが、これはどういう目的で、どういうつもりでこういう委員会の中に入って、いろいろと作業を進めるおつもりでいらっしゃるのですか。
  146. 越川文雄

    ○越川説明員 本委員会の目的は、先ほども答弁申し上げたのでございますが、二酸化窒素の地域環境濃度をより適切に把握する、そういったようなことを目的といたしまして、必要な技術的事項について検討しようというようなものでございまして、特に総量規制の可否について検討を行うというようなことを目的にいたしておるものではございません。こういったような調査につきましては、いろいろな立場からさまざまな研究を行う、あるいは検討をしていくということは、私どもといたしましては意義のあることと考えておる次第でございます。
  147. 土井たか子

    土井委員 大変平然と言われるのですが、総量規制の可否について検討するものではないとおっしゃいますが、そうすると、この委員会設立の趣旨に反してあなたはこの委員会に入っていらっしゃるという感じになりますよ。「委員会設置の趣旨および目的」のところにはっきり明記してあることを読みましょうか。「既に予定されている規制の効果を勘案して昭和六十年度における環境濃度を予測することにより総量規制の可否を検討するものである。」と明記されています。それでもなおかつ総量規制の可否を検討するものではないというふうに御認識になっていらっしゃるのですか。これは本来はもう環境庁の専権事項として、いま作業が着々環境庁の手によって進められている問題に対して、組織的に通産省としては産業界からお金をもらって、その産業界の立場に従って事を進めるというふうなかっこうになっていっているわけなんですよ。ちゃんと「活動推進にあたって産業界の協力を得る。」と書いてあるのですからね。通産省は弁解の余地がなかろうと思います。
  148. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  先ほど越川課長からも御答弁申し上げましたけれども、この文書の「趣旨および目的」のところにずっと書いてございますが、一番最後のところを見ていただきますと、要するに、ずっと環境NOxの問題についていろいろと検討していく場合に、一番重要な問題として残っている問題があります。それは技術的な問題として、NO2の環境濃度の測定局の設置位置の問題、あるいは測定器の保守管理、こういったような問題についてはいろいろ技術的な検討をしていく必要があるだろう。そういう問題につきまして、この団体は、要するに社団法人でございますけれども、いろいろな有識者を集めて勉強しようということで、こういうことをやろうということでございます。したがいまして、こういった技術的な問題につきましていろいろ勉強をして、さらによりよきといいますか、技術的な検討を深めるということにつきましては、それは必ずしもいまおっしゃったような趣旨のものではないというふうに考えておる次第でございます、
  149. 土井たか子

    土井委員 どうもよくおわかりになっていらっしゃらないようですね。先ほど来、環境庁としては、測定局の位置であるとか、測定器の保守管理の問題に対しては、環境庁の専権だというふうに明確に答弁をされているのですよ。その問題にじかに、直接当たるというふうなことを内容にして、目的としては総量規制の可否を検討するというところに置かれているこの委員会が、加害者である立場の産業界からお金をもらってやっているわけですね。よろしゅうございますか。研究は自由だとおっしゃる。通産省の役人は何をやってもいいんですか。加害者の立場に立って、それを弁護するための行政というのが果たして国民のための行政なんですか。これは大間違いだと思っていますよ、こういうことをやるということは。しかも、昭和五十五年度も約五千万円の予算がもうすでに組んであります。さらにこの仕事を続行されようとしている。産官一体というも余りあると私は思うのです。お金をもらってどっぷり産業界の中につかっているかっこうじゃないですか。産業界がみずからこういうことに対して研究したいとお思いになるのなら、産業界でおやりになればいいわけであって、その中に通産省のお役人や環境庁のお役人が入ってやるなんというのは、これは筋違いもはなはだしいと私は思うのです。これは通産省、間違っていますよ。環境庁も、名前だけ連ねたというふうにおっしゃるかもしれないけれども、ここに名が出ているということは大変疑惑を招きます。私のこういうふうな認識に対して御見解があれば、ひとつ長官の方から承りたいと思います。
  150. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  ちょっと先生お聞き取り願いたいのでございますが、このN02環境濃度測定局等検討委員会に環境庁の国立公害研究所の小川靖なる者が名簿に載っておりますが、国立研におきましてまだ許可を出さないうちに、社団法人産業公害防止協会の方で名簿を発表したということをいま報告を受けたのでございますが、私といたしましては、事実関係確認いたしまして対処してまいりたい、かように考えております。
  151. 土井たか子

    土井委員 産官一体の中で、最近アセス法案の行方というのもいろいろ憂慮をされているわけなんです。よろしゅうございますか。さきに一連の健康被害についての見直しの問題がアセス法案との取引に使われるんじゃないかといういきさつが非常に取りざたされたことは、長官も御承知のとおりなんです。今回のこういう動きを見ておりますと、NOXの総量規制に対して、これを見送るということをアセス法案について取引の材料に使おうとしているのではないか、通産省はまたまたこういうことに対しての体制をつくりつつあるのではないかというふうな憶測もできるわけなんですね。まさかそんなことはあってはならないことでありますから、それはよもやと思うわけでありますが、長官、その点についてはきっぱりとおっしゃることができますか。
  152. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私はもう口癖のように、環境庁の職員に対しましては、環境庁の職員たる誇りと自信を持って、そして国家、国民のためにがんばってくれ、私もみずから先頭に立って最善の努力をいたしますということをお誓いを申し上げておるようなわけでございまして、さようなことはない、かように信じておるような次第でございます。  総量規制の問題につきましては、私が先頭に立ち、そして部下を督励いたしまして、最善の努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  153. 土井たか子

    土井委員 環境庁もいろいろ研究、検討を重ねられたといたしましても、大体こういう作業の中で整えられていくデータであるとか、あるいはいろいろな問題点に対する指摘というものが出てまいりますと、これに対してやはりいろいろと対応していかなければならないというかっこうになるわけですね。いま環境庁はすでに総量規制に対しての作業を展開中です。通産省の方がこういう作業を、産業界からの資金でもって環境濃度の測定局等を検討されるというふうな作業、これは私は間違っていることだと思います、役人としても大変間違ったことをやっておられると思いますけれども、片やこういうことをやられていても、これに対しては何ら関係ないというふうにお考えになっていらっしゃるのか、こういうことをやっちゃならないということを通産省に対して環境庁の立場で物を言われるのか、いかがなんですか。――大臣ですよ、これは政治問題だから。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  154. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 この問題につきましては、今後十分通産省とも話し合いながら前向きで対処してまいりたいと思います。
  155. 土井たか子

    土井委員 長官、よく前向き、前向きとおっしゃるのですが、同じ方向を私たちが向いていれば前向きもよくわかるのですが、本当に同じ方向を向いているかどうかというのは、私にはときどきよくわからなくなるときがあります。その前向きとおっしゃる中身を具体的にひとつここでおっしゃっておいていただかないと、事は国民の目から見ると大変重大な問題ですよ、産官一体の問題なんですから。こういうことでずいぶんとN02の中身もねじ曲げてきた、こういう疑惑を持っている国民からしますと、いよいよ総量規制までねじ曲げられる。アセスメント法案だって住民のためではないんだ、万事が産業界本位に事が回っているんじゃないか。このときに環境庁というのは一体どういう立場で環境行政を行ってもらうのかということに対して、半ば不安と半ば期待というものが入りまじって混在しているわけです。したがって、前向きとおっしゃる中身をひとつ長官の方からもう一言明確におっしゃっておいていただかないと、これは国民の立場から考えますと、いま申し上げたような状況がございますので、ひとつはっきりお答えをお願いしたいと思います。
  156. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 先ほど来、担当局長の方から総量規制の問題につきましてるる御答弁申し上げましたとおり、この問題につきまして私は前向きで国民の立場に立って最善の努力をする、こういう意味でございますので、ぜひ御理解を賜りたいと思います。
  157. 土井たか子

    土井委員 それはいいんですが、相変わらず抽象的な――これは通産省がこういうふうなことを片や作業として進められるということについては、それは勝手だというふうに振り切られるのですか。やはり事環境庁の専権ですよ、問題は。いかがなんです。
  158. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  中身はよくわかりませんので、明確な御答弁を申し上げられないのでございますが、いずれにいたしましても、私は遺憾なことである、かように考えております。
  159. 土井たか子

    土井委員 その遺憾なことであるという内容を、やはり具体的にこの事柄に対してひとつお示しをお願いしたいと思うのです。したがいまして、環境庁としては、はっきり総量規制の線はゆがめない、それからさらに、産業界からお金を出してもらって総量規制を見送るべくいろいろな研究をやるがごとき感を与えるようなこの研究には一切関与しない、さらに、何省といえども、産業界から資金をもらって、役人が役人の立場でこういう作業に関与するというふうなことは本来許されるべきことではない、こういうことをひとつ確認をさせていただきたいと思いますが、いずれも大臣は御同感でいらっしゃいますね、いかがですか。
  160. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  同感でございます。
  161. 土井たか子

    土井委員 この問題については、それでは後で環境庁の方にも文書を提示しまして、具体的な把握をさらにお進めいただくようにお願いをしたいと思います。  三つ目の問題に入ります。通産省、どうもありがとうございました。  私、ここに一九七九年の「暮しの手帖」六十一号を持ってまいりました。ここに東京の環状八号線の杉並区高井戸付近の道路わきの情景が写真に載っておりますので、ひとつまずごらんをいただきたいと思います。環境庁長官、その写真をごらんになってどうお思いになりますか。
  162. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私も、こういう実態を自分の地元の埼玉県内を飛び歩いておりまして、よく見ておりますものですから、これは何とかしなくちゃならないのじゃないかということをいままで考えてまいっておるような次第でございます。
  163. 土井たか子

    土井委員 それは一言で言うと、空きかんをどのようにして処理をするかという問題ですね。そべだと思いますが、環境庁長官は、その空きかんの処理について何らかのお考えや御見解がすでにあるならば、まず承らせていただきたいと思うのです。
  164. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 私的なことにわたって大変恐縮でございますが、先月の三十日に、私のうちの前を流れておりまする一級河川古利根川の空きかんの回収に、一般市民に参加して、私も空きかんの回収に努力いたしたのでございますが、参加した人たちの話によりますと、私たちが一生懸命汗水たらして空きかんの処理をした後、夜中に来てまたそれを投げていく人がおる、道義地に落ちたと申しましょうか、本当に残念だという生の声を聞きまして、私も驚き、これは何としても地方自治体、国一体となって取り組んでいかなくちゃならないのじゃないかな、こういうようなことを率直に私も感じておるような次第であります。
  165. 土井たか子

    土井委員 いろいろ廃棄物、いわゆるごみが出されます中で、最近とみに増加をしておりますのがこの空きかん問題なんですね。いまここで御答弁の中でも、大臣御自身が御苦心をなすっておることをお述べになったわけですが、大体どれくらいの空きかんが捨てられているかというのを五十三年度について見てまいりますと、飲料用の空きかん、これは鉄鋼製品統計年報のかんの生産量を見て推定いたしまして、日本全国で約九十億個と言われているのです。また別の試算では、日本缶詰協会の調査がございます。同じ五十三年度、果実飲料かんとコーヒーかんだけで五十六億個と言われております。先ほど写真を見ていただきました「暮しの手帖」によりますと、同じ五十三年度で飲料かんが八十八億個。いずれにいたしましても、この五十年ころから急激にふえてまいっております、廃棄物の中では王者になっているのがこの空きかんなんです。  この空きかんの処理について、それぞれの地域で、いままで大変苦労をされてこられておる方々があちこちにございます。たとえば先日新聞でも紹介をされましたが、京都においては、観光地であるというふうなこともその発端にございましょうけれども、観光コースの中でも有数の場所にございます嵯峨野で、お寺の住職の方が中心になって美しい嵯峨野を守る会というのを五十年の十月につくられて以来、空きかんの回収処理について大変に具体的な政策をいろいろ勘案しながら運動を続けられておる。これはやっぱり運動なさるからこそ、こういう具体的な考え方というのも出てこようと思うんです。全国見てまいりますと、こういう件数を挙げていったらたくさんあると思うのですが、豊橋では「五三〇」と書きましてゴミゼロ運動というのを展開されている方が、住民運動としてあるわけであります。中には四十三団体も入っておられるということにもなっております。また町田市においては、もうすでに四十八年からあきかん回収条例というのを自治体の条例として制定をされておりますけれども、この町田市におきましても、廃棄物の中の空きかんに対して取り扱いをどう進めるかという大変な苦労が、運動をしながら、地域の婦人団体や子供会の間であるようであります。  大臣も御承知のとおりに、この衆議院の前事務総長であります藤野重信さんが亡くなられたのは、日本アルプスの上高地の穂高連峰でございました。亡くなられたときに、背中のリュックの中から出てきたのは、山に行って、心ない人たちが捨てる空きかんを全部回収して、自分の背中にあるリュックの中に入れながら山を歩かれているのが歴然としてわかるようなさまだったというのを聞いて、私たちは実に感銘を受けたんです。  各地で各様のいろいろな苦労があるわけですが、要は、条例で取り締まるという方法もありましょうし、やっぱり消費者である立場から、もう一度これを再生産の方向で回収することを考えてはどうかということで工夫されている向きもございましょう。大臣自身は、どういうふうな空きかんの処理が望ましい姿、形というふうにお考えになりますか。
  166. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 私は、率直に言って、これは非常にむずかしい問題だと思います。しかしまた、これはやらなくちゃならない問題だ、かように考えておるのでございますが、やはり何と申しましても地方公共団体の協力を得て、何らかの形で国も一体となって進めていくのがいいのじゃないか。思いつきのような御答弁になって申しわけないのですが、現在そんなようなことも考えておるような次第であります。
  167. 土井たか子

    土井委員 大臣、いま思いつきのような答弁だとおっしゃいますが、そもそもこういう空きかんが廃棄物の中でふえてきた理由はどの辺にあるとお考えになっていらっしゃいますか。
  168. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申します。  わが国が戦後廃墟の中から立ち上がってまいりまして、大変な経済成長をなし遂げ、国民生活も豊かになってまいりまして、国民の嗜好と申しましょうか、そういう方面に非常に要望が強くなってきたということじゃないか、かように考えております。
  169. 土井たか子

    土井委員 同じ容器でも、びんの場合なんかはリターナブル容器として、また再使用ができるわけですね。かん入りの場合なんかワンウエー容器というふうに申し上げていいと思いますが、使い捨てのかっこうになるわけですね。これは利用者からすると、ある意味では便利だということになるかもしれませんが、何よりもメーカー側からすると、非常につくることに対して妙味があると申しますか、企業者側、メーカー側の立場に立って考えると、ワンウエーというのは、続々これを促進することがより企業者の利便にかなうという面があるという向きをお考えになりませんか、いかがですか。
  170. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  そういう面もあると思います。
  171. 土井たか子

    土井委員 しかし、そのいまお認めになったようなことの結果、これを処理することに対して大変な予算をかけている。いわば税金をこれに使っているわけですから、予算をかけているというかっこうになるわけですね。そしていまのところは、生産される、流通過程に乗る、消費者の手に入る、そして廃棄する、廃棄されると、これは埋め立てに持っていかれるのか、清掃行政の枠の中でいろいろ処分をされるというかっこうになるのですが、大体ブリキかんで百年、アルミかんは五百年だそうであります。腐らずにそのままごみであり続けるというかうこうなんです。だから、これは全く難物の廃棄物だというふうに申し上げていいのですね。いまのようなかっこうのままでこの生産、流通、消費、廃棄という過程を考えてまいりますと、単に廃棄物として処分をしてしまって済む問題ではなさそうに思います。莫大な税金がこれには使われるというかっこうにもなりますから、何とかその点を廃棄物として出さない方向でリサイクルを考えるというふうな考え方が、この節大切になってきているのじゃないか、省資源時代でもございますから、こういうことを大臣としては受けとめてお考えになるお気持ちはありませんか。いかがでございますか。
  172. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  最近、世の中の見直しと申しましょうか、全国的にリサイクル運動というのが起こっておるということを私は承知をいたしておるのでございますが、先生の御意見、全く同感でございます。
  173. 土井たか子

    土井委員 そういたしますと、日本ではこれに対しては町田市の四十八年のあきかん回収条例なんかがございまして、その内容からいたしますと、まだまだ――この問題に対してどのように考えられるかというふうなことが具体的になるのには、やはり住民運動がこの内容についてどう考えるかということで推移をしていくのでございましょうが、同様の条例が三鷹市にも現にあるようであります。  ただ、これを動かしていくのに、アメリカにおいてオレゴン州などですでにとられているデポジット制度というのがございます。これはどういうことかと言ったら、どんな容器にも預かり保証金が組み込まれて売られるのですね。容器を返すと保証金が返ってくる仕組みになっているのです。必ずその容器にそのことが表示されるようになっているのです、保証金が。強制的賦課金制度というふうに申し上げてもいいかもしれません。このことはオレゴン州においてはかなり効果を発揮いたしておりまして、環境はきれいになる、しかも消費者からすると、やはり消費者運動の一つとしてこの制度を現に活用しておられるようであります。  片やワシントンの方は、この廃棄をするということに対して罰金で、罰則を設けて事に処するという法律を用意されているようでありますけれども、これなどはごみの投棄が禁じられたところでの違反者には最低十ドルの罰金を加えるとか、それから州と自治体は高速道路や公園など公衆の立ち寄るところにはごみかごを設置してごみを回収する義務があるとか、そういうふうなことがこのワシントン州の散在ごみ防止法、罰則を用意した法律の大体中身になっているようであります。  さて日本では、条例をすでに用意されている自治体、京都市などは今年度中に空きかん回収条例を制定しようということで、大変いま精力的に作業をお詰めになっているようであります。京都市散乱ごみ対策協議会などというのも設けて、それとまた並行して条例案をつくるのに法律、政治、経済、工学関係の学識経験者や専門家が入って専門委員会もつくってやっておられるようであります。しかし、国段階で考えてまいりますと、長官、これに関連する法律が現にございますか。いかがでございますか。
  174. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  このような問題は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律上の廃棄物の回収の問題になるかと思います。
  175. 土井たか子

    土井委員 その法律の分野になるのですが、しかし、その法律でも、その処理責務というのはもうひとつ明確に規定されていないのです。この法律がつくられたのは御承知のとおり四十五年。当時、空きかんについての認識はいまほどございませんで、廃棄物の中にいまの空きかんのさまをちゃんと考えながらこの法律が用意されたとはとても言えない。したがって、この法律だけで処理しようとすると、これに対する十分な処理という  ことがなかなかできかねるというかっこうになるわけですね。空きかんの場合は、廃棄物として他に放ってしまえばそれでよいということではないわけですから、したがって、これに対しては、相当検討を加えていかなければならないという課題になると私は思うのです。いままでこの法律に関連した厚生省通知というのがございますが、御存じですか。
  176. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  申しわけございませんが、存じておりません。
  177. 土井たか子

    土井委員 昭和四十六年の十月十六日に厚生省から各都道府県知事と政令市の市長あてに出されている通知がございます。その中で「事業者の責務」ということについて「廃棄物が産業廃棄物に区分されるか一般廃棄物に区分されるかにかかわらず、全般的に処理責任を有するものであること。」それからまた「事業者は、その事業活動に伴って生ずる製品等が廃棄物となった場合において、市町村の清掃事業等が処理困難な事態に至らないようにしなければならないものであること。したがって、地方公共団体において容器、包装その他の問題に関し、事業者に対し、廃棄物処理の立場から指導又は助言を行なうことができること。」というのが出ているのです。これは都道府県知事と政令市の市長あてでございますから、政令市でない市、たとえが町田市、三鷹市なんかそうですね。それらの市長は大体この通知の対象者ではないのだけれども、こういう通知の趣旨からすると、もっともっと考えられることを先取りして、条例化して、何とか住民の中でこういう問題に取り組むということを具体的に自治体としてしっかり位置づけていこうという歩みがあったわけですが、こういう現実の条例の果たす役割りについては、長官としては評価をなさいますね。いかがでございますか。
  178. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど京都初め町田市等々の問題を取り上げられて、先生からいろいろお話がございましたが、特に世界に誇るこの観光文化都市京都におきまして、一市民の皆さん方の御熱意、生の声が条例を制定するまでにまいりましたことは、私といたしましては高く評価をいたすような次第であります。
  179. 土井たか子

    土井委員 条例制定については、それを評価されるというお立場で長官は臨まれるのですが、今度京都市が制定する予定にされております空きかん回収条例の中身は、出てみなければわかりません。しかし、一応一般的に考えられる内容とすると、やはり実効性あるものにしようとすると、いままでの町田市の条例や三鷹市の条例になかった罰則までも用意しないと本当に実効性は上がらないのじゃないかという考え方もございます。そういうことからすると、国の方の法律、現行法が、それに関連する部分が全く欠如いたしておりますために、欠陥と申し上げてもいいと思いますが、そういうことに対して罰則までも用意して条例で臨むということが現状としてはむずかしいということでもございます。  そこでひとつ環境庁長官環境庁の中にこういう問題に対しての研究班と申しますか、検討委員会と申しますか、この空きかんの問題に対して、これはいろいろな廃棄物の中でもこれからいよいよ深刻化するであろうというふうに私は思うのです。先ほど環八の写真を「暮しの手帖」の一ページを繰って長官に見ていただいたわけでございますけれども、事は東京都内だけの問題ではございませんで、全国どこに行きましても空きかんで景観が損なわれている。それからさらには、子供たちに対しても安全性が損なわれる。つまり足にけがするとか、手にけがをするとか、いろいろな状況も出てまいっておりますから、廃棄物に対するこの問題は、どういうふうに解決したらよいのか、回収をどういうかっこうでしたらよいのか、これは大変国民的課題だと思うのですね。先ほど申し上げたとおり、環境庁とされては、そういうことに対する検討の特別のチームと申しますか、プロジェクトチームと申しますか、そういうものを組んでひとつ考えてみようというふうなお考えを長官としてはお持ちになりませんか。いかがですか。
  180. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生先ほど来御指摘のとおり、これは厚生省にも関係する問題でもございますので厚生省ともよく協議をしながら、また前向きと言うと怒られますので、環境庁内に検討会でもつくるように考えてみたいと思います。
  181. 土井たか子

    土井委員 時間が参りました。終わりたいと思います。ありがとうございました。
  182. 島田琢郎

    島田委員長代理 草川昭三君。
  183. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  まず最初に、アセスのことについて少しお伺いをしたいと思うわけでございますが、環境庁は環境影響調査のアセスメント法案の骨子を本日の朝、与党の方に提示をされたというようにお伺いをするわけでございます。これは過日の十八日に関係閣僚会議で大筋が合意をされて、二十一日までに成案を得るということになっておったようでございますが、各省庁間の調整がつかなかったと聞いておるわけであります。結局骨子だけ提案をされたと伝えられておりますけれども、今日の時点における各省庁間の調整上の問題点は一体何であったのかということをまずお伺いしたい、こう思います。
  184. 金子太郎

    ○金子政府委員 調整上残っております問題は、一番大きいものは法制的な詰めでございまして、たとえば都道府県知事が準備書に対して意見を言う場合に、都道府県知事自体がアセスメント法で言うところの事業者である場合がかなりあるわけでございますが、そうしますと、知事事業者としてつくった準備書に対して、知事意見を言うことになります。その場合に、知事知事意見を言うということを法律上定めることが妥当なのかどうなのか、機関委任知事の行った、つくり上げた準備書に対して団体委任知事意見を言うということは、法律的な意味があるのかないのか、こういうような問題の細かい詰めは若干法律制度的にまだ詰まっていないというようなことがあります。  その他主務大臣の問題等細かい問題が、実は法制的にもむずかしいということでもございまして、なお法制的な検討を中心に検討を続けているという状況でございます。
  185. 草川昭三

    草川委員 いまいわゆる地方自治体というのですか、各地域のいわゆる責任者の方々の声をどのように反映をするかという問題等が出たと言われておりますが、それだけが今日の未調整の問題だとは実は私どもも判断がしづらい点があると思うのです。いわゆる事業主体の主管庁との間の調整というもの、たとえば通産を初めとする運輸、建設、そのような主管庁との間になお問題があるのではないだろうかと思うのですが、そのようなところは調整がついたのかどうか。もしもついておったとするならば、骨子という形だけで、大ぶりのままで与党に対する提示ということにはならなかったのではないだろうか、こう思うわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  186. 金子太郎

    ○金子政府委員 いわゆる主務大臣の問題の例などはまさに各省と各省との関係の問題でございまして、したがいまして、各省との間で若干、特に責任及び権限に関する事項等について問題が残っているというのが実情でございます。
  187. 草川昭三

    草川委員 私どもは議事運営だとか国会対策という面ではございませんからあれでございますが、少なくとも今度の国会の日程という点を考えていくとするならば、きょうの段階調整が最終的についていないということは、今国会での法案成立ということについてはかなり疑問視されるのではないかと思うのですが、その見通しを原局としてはどのようにお考えになっておみえになりますか。
  188. 金子太郎

    ○金子政府委員 私どもとしては、とりあえず与党との調整を図りつつ一刻も早く国会に提出できるように努力をいたしたいという二とで、一生懸命努力いたしておるところでございます。
  189. 草川昭三

    草川委員 ことしの予算委員会でいまのような御答弁に対して各党の方々が大変強い不満を出され、どちらかと言えば環境庁を激励するような形で、予算委員会の最終場面で一つの踏ん切りがついたようなこともあったと思うのでありますけれども、そういう予算委員会でいわゆる後押しを環境庁にしたような形にしてみては、その後の最終的な詰めのあと一歩という点がわれわれにとって非常に歯がゆいというのでしょうか、非常に不安な面も出てくるわけでございまして、あるいはまた伝えられるところによりますと、非常に基本的な、環境庁主導型で環境庁長官が物を言うというようなことについても、どうもその点があいまいになってきたようでございますし、いわゆる住民参加という問題について、他の省庁が非常にこれをきらうというような問題も出てくるわけでございまして、あるいはまた公聴会の問題等を含める学識経験者の取り扱い等をめぐっての問題もかなり具体的に論議をされまして、こういうことならば、かえってこの法案について提出をしなくてもいいではないだろうかというような声すら一部に出てきておるわけであります。これは決してわれわれの本意とするところでは。ございませんけれども、この最終的な詰めのいまの論議こそ国民が一番知りたいところではないだろうか。その詰めの内容こそわれわれは将来のアセスの根本的な姿勢として判断をしたいところでございますが、いま一歩の御答弁をお願いをしたい、こう思います。
  190. 金子太郎

    ○金子政府委員 環境庁といたしましては、昨年の四月に中央公害対策審議会からちょうだいいたしました答申の線を守り抜くという決心で事務折衝をしているわけでございまして、現在までのところおおむね中公審の線は守ることはできたと思っておりますし、場合によりましては関係地域の決め方を事業者と考えていたものを知事さんに決めてもらう、それによって法的安定性が高まるというような、中公審の線よりは少なくとも私どもの考え方としては望ましいと判断されるような点が幾つか出てきております。  ただ、現在は何と申しましても、多数の関係省庁となお事務折衝をやっている最中でございまして、私ども折衝の一方の当事者でございます。こういう点について、環境庁はこういうことをがんばっているんだというようなことを折衝の過程におきまして公的な場、あるいは外部に申し上げるということは、折衝そのものを不調にするおそれがあると申しますか、折衝の空気を悪くすると申しますか、そういうようなこともございますし、政府部内の折衝のプロセスは結論が出るまで待っていただけないだろうか、こういうのが私の率直なお願いでございます。
  191. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  環境影響評価法案の国会提出に当たりまして、各党からそれぞれの立場に立っていろいろ御激励を賜りまして、まことにありがとうございました。  去る三月二十八日の閣僚協におきまして要綱を御決定いただき、そしてその後関係各省庁におきましていろいろと詰めを行いまして、去る四月十八日に大筋において決定がなされまして、実は本日自由民主党の環境部会も朝開かれまして、御説明を申し上げたのでございますが、明日も環境部会を開いていただきまして、私といたしましては、党の了承も一日も早く取りつけて、そして閣議の決定をいただき、国会へ出さしていただくべく現在最大限の努力をいたしておるような次第であります。     〔島田委員長代理退席、委員長着席〕
  192. 草川昭三

    草川委員 いまも局長がいみじくもお話しになったわけでございますが、環境庁が今度で五度目の国会にアセスを提案をするという悲願に近いものがあるがゆえに、かえって関係各省に気を使い過ぎておるのではないか、いまの答弁がまさしくそれを表現しておると私は思うのです。気を使い過ぎるということ、いわゆるそれは妥協し過ぎるということになると思うのでありまして、本来の基本的な姿勢というもの、スタンスというものを見失ってしまう、こういうことになるのではないかという危惧があるわけでございます。そこら辺がかえって開発業者の方に、事業主体側の方に利用され過ぎるのではないだろうか、こういう免罪符にかえってなってもらっては困るというような危惧を、この段階にこそ払拭する姿勢がほしいと私は思うのです。だから、あくまでも目的と手段を見失わないように私は強く要望を申し上げておき、本当にこれはきょう、あすの基本的な命題でございますし、各担当者の方々も土曜、日曜返上で徹夜で各省との詰めをやっていただいておるという話も聞いておるわけでございますから、これはまさしくわが国にとっても歴史的な一つのことになるわけでありますし、当初環境庁が大上段に振りかぶった姿勢というものを見失わないようにやっていただきたい。これは私は強く要望を申し上げておきたいと思います。  そこで、きょうは、後の方にも実は関係をするわけでございまして、このアセスの論議の中にも出てくるわけですが、ひとつ住民運動というものに対する長官の見解を私はぜひお伺いをしておきたいと思うわけでありますけれども、環境破壊により直接の被害を受けるのは、いろんな問題があるわけでございますが、いずれにいたしましても、そこの地域住民であると思うのです。その地域住民の生存権なり環境権を侵害するということは、だれにどういう権力があったってそれはできっこないわけですし、それはできないと思うわけです。そういう立場からこの住民運動というものが出てきておるわけでございますけれども、その住民運動というものを、かつて行政が先取りするという言葉がありました。行政が先にクイックアクションで問題提起をし、それを抑えていくのが行政ではないだろうかという意味の論議がございましたが、先取りということがだんだん薄くなってまいりました。そういう意味で、この住民運動というものがかえって行政側から疎外されていくようなことになっていくとするならば、それは私は本来の目的解決には役に立たないという意見を持っておるものでございますが、長官の御意見はどうでしょう。
  193. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  事業を進めるに当たりまして、何と申しましても地域住民の方々の理解と協力なくしてこれを進めてまいるわけにはならないと思っております。さような意味におきまして、関係地域住民の環境影響評価過程の関与は、この制度の重要な柱と私は考えておるような次第でございまして、今回の法案の要綱におきましても、関係住民は準備書の縦覧期間一カ月間、またその満了の日の翌日から起算いたしまして二週間を経過する日までの間に事業者に対しまして準備書について意見を述べることができることといたしておりますし、また公聴会の開催等の規定も設けておるような次第でございます。これらの仕組みを通じまして、環境保全上適切な住民意見は、この事業計画にも反映されるものである、私はかように考えておる次第であります。
  194. 草川昭三

    草川委員 このアセスについての発言はこれで終わりますけれども、いま住民意見は十分反映されるというお言葉でございますし、先ほども地方自治体の方にある程度のジャッジというのですか、判断を渡すと言うと言葉が悪いわけでございますが、そのようなニュアンスの御発言もございましたが、私は基本的には環境庁主導型でアセスというものを取り上げていただいたわけでありますし、そして環境庁長官が各省庁をそれぞれある程度セーブをするという力があってこそ本来の意義があり、住民側も安心をするのではないだろうか。いわゆる住民側の不安というものに十分受け答えられるような体制がいま必要だ。だからこそ、私の所属いたしておりますところの公明党の場合も、環境アセスに対して繰り返し繰り返し促進方を要請し、ことしの予算委員会の中でもこの問題を大きく取り上げてきたと思うのです。そういう視点の問題がここ一両日中に、特に本来は政令事項で決められるべき内容も、私は各省庁の問でいま論議をされておると思うのでありますけれども、その本来は政令事項で論議をされるべき内容を、どういう論議があるのか、はっきり申し上げれば、われわれにも公開をしていただく、そしてそういう論議が積み重なった上で法案というものが国会提出になる、そしてその国会の場で十分論議をしながら、修正をするとかいろいろな意見反映をすることがいま最も大切ではないだろうか、こう思っております。そういう姿勢があるわけでありますから、いまも長官の方からもいろいろなお話がございましたが、一体私がいま質問をしたような立場を十分理解をしながら、環境庁は進められるのかどうか、決意を一言聞かさしていただきたいと思います。
  195. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私は、今日まで折衝の過程におきまして、金子局長に対しましても、環境庁長官が物を言えないような内容の法律であっては困るということを厳しく命じて今日に至っておるような次第でございます。何しろ先生御案内のとおり、わが国におきましては類例のない初めてのようなケースの法律でございますので、関係省庁においてもいろいろな意見がございまして、伊東官房長官の大変な御努力、関係閣僚の御協力をいただきまして、やっとここまでたどりついたようなわけでございますが、もう最後の詰めに来ておりますので、先生の御意見も踏まえまして、一生懸命やらしていただきたい、かように考えております。
  196. 草川昭三

    草川委員 では、ぜひそういう立場でがんばっていただきたい、こう思います。  さて、きょうはいまからたばこの害という問題について、いろいろな方面にわたって御質問をしたいと思うのでございますが、たまたま本日からたばこの方も値上げになりまして、新聞等で見ますと、きのうまで消費者の方々が大変買い占めというのでしょうか、安い間にたばこを買うというようなこともあったようでございます。WHOが、日本に大分以前からたばこの害の問題について問題提起をしてきておるわけでございますし、またことしは特に、喫煙か健康か、いずれを国民の皆さんは選ぶのかという、一つの世界的な問題提起の年にもなっておるわけでございますので、世界保健デーの趣旨にのっとって質問をしたいと思うのでございますが、せっかくのことでございますから、環境庁長官にまずお伺いをいたします。  いま、この健康という立場に立てば厚生省の問題ではございますけれども、われわれの生活環境の中で、空気を汚す、あるいはたばこの煙によって、副流煙というのでしょうか、受動的な喫煙というのでしょうか、他人に大変な害を与えるという問題提起がずいぶん出ておるわけであります。  私は、ここに英国のポスターも持ってきたわけでございますが、小さな子供さんがたばこを吸っておるポスターでございます。たばこの煙に満ちた部屋では、子供は吸わないのだけれども、周囲が吸えば子供が吸ったと同じですよなんというのは、これは英国のポスターなんですね。これは日本で言うならば、厚生省以外の環境庁のような役所がこういうものを出しております。これはアメリカの対がん協会でございますけれども、たばこはあなたとすべてのものを汚染をしますというような、目で見て大変わかりやすいようなものを出しておるわけであります。  たくさんのポスターがございますから、これは追って皆さんに御提示を申し上げますけれども、世界保健デーというものが一面あるわけでございますし、環境庁長官としては、個人的にはたばこを吸わないというように私はお伺いしておるわけでございますが、個人の問題ではなくて、どのような御見解か、お伺いをしたいと思います。
  197. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  実は、個人的なことで大変恐縮でございますが、私も終戦当時ちょっと軍隊にとられまして、当時はたばこをよく吸っておったのでございますが、それから以後というものは、現在は吸っておりません。  それで、たばこをお吸いになる方にはちょっと失礼かと思いますが、えてしてたばこの好きな方はあたり構わずぷかぷか吸って、吸いがらをまたぽいと捨てていったり、大変周りの人々にも迷惑をかけておることはどうかなというふうに私は個人的にも考えておるような次第であります。
  198. 草川昭三

    草川委員 大変明快な答弁でございまして、アセスのときよりは一段と力がこもった答弁でございまして、私どもも改めて長官に敬意を表するわけでございますが、環境庁としても、私どものこの問題提起ということを十分理解をしていただいてやっていただきたいと思うわけであります。長官の方の質問は、また最後にお伺いしますから、どうぞ御休憩なさって結構でございます。  今度は厚生省にお伺いをいたします。  これは国際課になるのでございましょうか、世界保健デーというものの記念の中央集会が開かれております。これは四月四日でございますが、第三十二回世界保健デー記念中央大会、これは国が主催をされたのか、どこが主催をされたのか、あるいはどういう趣旨でやられたのか、お伺いをします。
  199. 金田伸二

    ○金田説明員 お答えいたします。  この世界保健デーの記念行事といたしましての中央大会、御指摘のとおり四月四日に開催いたしておりますけれども、主催は、厚生省と健康づくり振興財団、読売新聞社でございます。  その趣旨といたしましては、ことしはWHOが世界保健デーのテーマといたしまして「喫煙か健康か選ぶのはあなた」という標語を定めておるわけでございますけれども、この中央大会でシンポジウムを開催いたしまして、喫煙問題に対して、その健康に与える影響等について正しい知識の普及を図るということで開催したわけでございます。
  200. 草川昭三

    草川委員 WHOの呼びかけ、その趣旨に協力をしてやられたと思うわけでございますけれども、やられるなら、やはり私は厚生省なり健康づくり振興財団なりでぴしっとやっていただきたいと思うのです。もちろん特定の新聞社の方々と御協力なさるのは、それなりの影響力を与えることになるわけでございますけれども、事は世界的な行事に協力をするわけでございますから、特定の新聞社ではなくて、全報道機関に協力を呼びかけてやることが趣旨ではないでしょうか。特定の新聞社の方々と御協力をなされば、他の新聞社の方々は、どうしたってそういうものに対して同様に対応ができないことは常識ではないでしょうか。厚生省という健康を預かる役所としての、しかもWHOという世界的な、わが国も大変なお金を負担して協力をしておるこの機構に対する取り組みとしては、私はそこが納得できぬと思うのですね。しかも、このパネラーというのですか、シンポジウムの講師の依頼を専売公社を通じて依頼をしたというようにわれわれは聞いておるわけでございますが、その点は事実でございますか。
  201. 金田伸二

    ○金田説明員 お答えいたします。  このシンポジウムの講師の選定に当たりましては、関係各方面の御意見を参考といたしまして、医師、心理学者など、専門家のお立場からの科学的な検討を行うということと同時に、やはり国民の間にある喫煙問題についての多様な考え方、価値観というものもある程度反映することができるように配慮いたしました。いま御質問の専売公社等の御意見も伺い、かつ、省内の関係の有識者の意見等も伺いながら、最終的にパネラーを選定いたしたわけでございます。
  202. 草川昭三

    草川委員 大体、そういういまの御答弁を聞いただけで、厚生省の基本的な姿勢がWHOに対する協力の姿勢ではないと思うのですよ。専売公社の顧問をしてみえる講師の方が二人参加をされてみえるわけであります。専売公社を何か目のかたきにしておるようでございますけれども、WHOのマーラー事務局長の「第三十二回世界保健デーによせて」の呼びかけでは、こういうことを書いておるのですよ。これは厚生省御存じのとおりだと思うのですが、「喫煙は、健康を害する原因のうちこの世で最大の予防可能なものであります。現在増加している喫煙は、たばこ製造会社の販売攻勢のまととなって」云々と書いてあるわけです。わが国ではたばこ製造会社というのは専売公社と置きかえていいわけでございますが、そういうように公社の方としては、現在の体制からいって、どうしても売り上げをふやしたいというのは当然だと思うのです。そういうシステムの当事者に対して、WHOの喫煙か健康かどうなんだというのは、どちらか選んでくれという立場じゃないのですよ。WHOというのは、明らかに喫煙は害だからという前提がある言葉なんです。その姿勢というのは明確なんですよ。しかも、専売公社というたばこを製造するところはどうしても売ろうとするところがあるから、これを否定する立場に立っておる。そこへのこのこと出かけていって、あなたの方でどういう講師がいいのですかという姿勢一が、WHOに対する厚生省の姿勢がもう全然できていないということだと思うのです。厚生省というのは、いわゆる大蔵省と違うわけですよ、専売公社と違うわけですよ。だから、それこそいまの環境庁のように、困難な中でもとにもかくにも必死になってアセスをつくろうといって、片一方の役所は努力をしておるわけですよ。厚生省はどういうことがあったって、やはり国民の健康を守る立場の中から一つの問題提起をしようといってこのシンポジウムをやるわけですから、これはおかしいんじゃないでしょうかね。その点どうでしょう。
  203. 金田伸二

    ○金田説明員 先ほどお答え申し上げましたように、確かにこの世界保健デーの行事のねらいは、喫煙と健康問題についての正しい知識を深めるということでございまして、私どもそういった観点から、専門家の先生方を各方面の御意見を伺いながら選定したわけでございます。しかし一方、現実の社会におけるそういった喫煙問題ということもある程度踏まえながら、正しい健康の知識を普及したいということで開催したわけでございます。
  204. 草川昭三

    草川委員 だから、厚生省は世界保健デーについての姿勢が全然間違っておるわけですよ、いまの答弁でいいますと。WHOはそういう立場じゃないのですよ。もっとはっきりと言っておるし、ここにございますのは、三月十三日、厚生省公衆衛生局長が「喫煙と健康の問題に関する衛生教育について」という通達都道府県に出しておるわけです。非常にりっぱな通達ですよ。「第三十二回世界保健デーにおいては、「喫煙か健康か選ぶのはあなた」を標語と定めその行事を実施」しておる、各市町村にもやれということを言っておるわけでございますが、「WHOも指摘しているように喫煙は肺がんをはじめ、心臓病やその他の呼吸器疾患等と密接な関連があることが認められており、喫煙を抑えること、特に、青少年に喫煙の習慣を身につけさせないようにすることは」大変重要なことであると言って、片一方では明確に厚生省はやめなさいという立場でやっておるわけですよ。いいか悪いか論議をしてくれなんということを言っているのじゃないのですよ。だから、本家本元で専売公社推薦の二人のパネラーが出てきて、そして明らかにWHOの方向とは違う立場のお話をされるということは、わかってない、全然理解をしてない、こういうことになるのじゃないですか、この点の食い違いはどう思われるのですか。
  205. 金田伸二

    ○金田説明員 私どもとしては、この喫煙の健康問題に与える影響について皆さんに正しい理解を持っていただくということで、このシンポジウムを開催したつもりでございます。御了承いただきたいと思います。
  206. 草川昭三

    草川委員 何回聞いても答弁にならぬですね。だから私、厚生省で何か今度の世界保健デーについての呼びかけの具体的なアピールのポスターがないかといって探したのですが、ないのですよ。もちろん集会のポスターはありますよ。ところが、ここにありますのは、いまお見せしたものとは違うわけですが、これはフランスですか、喫煙は他人の鼻先を襲いますとかいって非常にわかりやすいポスターを出しますね。これはほとんどのところがいわゆる役所なんですよ。これはポーランド政府です。たばこがピストルのような形になって、自分で命を捨てるというようなもの。これは全部それぞれの名前が保健庁とかで積極的に呼びかけをしておるのです。これは別に日本の厚生省のことだけを言っておるのではなくて、世界が大体そういう感じなんですね。たばこが非常に好きだという香港なんかを見ても、香港政庁がこういうポスターを出しておるわけです。厚生省はそういうポスターが一枚もないのですね。これはずいぶん探したのですよ、各市町村なんかも。いまも申し上げましたように、これは対がん協会ですから多少違うのですけれども、お国の金を出してアメリカの対がん協会が出しております。こういうのを見て、少なくとも日本のポスターを二、三枚持ってこようと思ったのですけれども、残念ながらないのですね。厚生省、他の役所の方もお見えになりますが、本当に禁煙のポスターをこういう形で配った例があるのですか。つくられた例がございますか。
  207. 大池真澄

    ○大池説明員 お答え申し上げます。  ポスターという形で私どもが制作したものはございません。
  208. 草川昭三

    草川委員 厚生省は幾ら予算が少ないといったって、禁煙なり嫌煙なり、あるいは後ほどお伺いをいたしますけれども、いわゆる妊産婦の喫煙の害なんというのはずっとデータが出るわけでございますが、そういうポスターを一枚ぐらいつくったっておかしくないと私は思いますよ。ところが、いまお話がございましたように、つくったことがないというところに、せっかく公衆衛生局長が三月十三日にりっぱな通達を出しても、それは死文になってしまう。そして事務次官名で二月十八日に世界保健デーに対する呼びかけのいろいろな説明が出ておりますけれども、結局具体的なアクションが起きないわけです。末端の保健所の先生方だとかあるいは有識者の方々が個人的な範囲内で警鐘乱打をしておるにすぎないわけです。ところが一方では、製造販売元の方は力がありますから、テレビを使うあるいはいろいろなアピールをするわけでありますから、いまから質問を申し上げますけれども、喫煙率というのは、特に若い子供さんたちだとか若い女性の方に喫煙率がふえてくるというゆゆしき状況というのが現実には生まれてきておるわけですよ。だから私は、基本的に、せっかく世界保健デーというものが始まって、WHOの方も呼びかけをやっておるわけですから、厚生省も本気になって取り組んでいただきたい。特に、たばこは単なる嗜好品から公衆衛生の場にもういまは問題は移りつつあるわけですよ。そういう基本的な考え方をぜひつかんでいただきたい、私はこういうように思うわけです。  余りこの点について時間をとっておるとあれでございますから、これは専売公社になりますか、最近の喫煙の実態と健康への調査について質問をします。  専売公社が二十歳以上の男女を対象に喫煙調査をしていると思いますが、この喫煙率というのは、昭和四十一年をピークにして、男性八三・七%、女子一八%をピークとして、わずかながら下降傾向をたどっていると言っておりますし、それが事実かどうか。あるいは男女別に見ると、男では若い人ほど高く、四十歳以上は年々喫煙率というのは低下傾向であると伝えられております。あるいは女性は、二十歳代の女子の喫煙者が最近五%も上昇傾向にあると言いますし、特に女子学生の上昇が目立っておる、こういうことを言っておりますが、これはどうでしょう。
  209. 立川武雄

    ○立川説明員 お答えいたします。  専売公社は毎年一万三、四千名の成年者をランダムに抽出いたしまして、いま先生質問の喫煙者率の調査をしております。おっしゃるとおり昭和四十一年台をピークにいたしまして、平均的には漸減の傾向にございます。ただし、女子につきましては若干ふえてまいりましたけれども、昨年度の調査では減ってきております。男子につきましては、四十一年をピークにいたしまして、逐年減ってまいりまして、昨年の調査では八三%弱の方が吸っているという状況でございます。  なお、御質問にございました二十歳代が喫煙者率が高い、四十歳代が比較的低いといった傾向は、そのとおりでございまして、二十歳代の喫煙者率は、高かったのが減る傾向もまた強いという傾向でございますけれども、依然として喫煙者率は高いといった傾向にございます。  それから、女子大学生の喫煙者率が多いという傾向があるかということでございますけれども、私どもランダムに調査をいたしておりまして、サンプルの数が非常に少のうございます。たまたまある年次に女子の学生という方の調査をいたしましたら急にふえたという実績はございますけれども、明くる年になりますと、調査対象が変わってまいりまして、それほどふえてないといった傾向でございまして、女子の大学生がふえているといった事実は、私ども調査でははっきり申し上げられないというふうに考えております。
  210. 草川昭三

    草川委員 では、これは今度厚生省になると思いますが、妊婦の喫煙と胎児の関係についてお伺いをしたいのです。  国立がんセンターの平山部長もかねがねいろいろなデータを出しておられますが、厚生省として、妊娠中に喫煙を続けた妊婦から未熟児が産まれる率が高いという調査を、五十二年あるいは五十三年、五十四年とやっておみえになると思うのです。この結果が近く出ると思うのでございますが、あるいは五十三年の傾向がそのまま五十四年に出る方向になるのか、あるいはもし影響力があるというような結論がまとまったとするならば、厚生省としてどのような対応をするのか、お伺いしたいと思います。
  211. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えをいたします。  御指摘の研究でございますが、昭和五十二年度から五十四年度まで研究をお願いをしております。この中で、現在は五十三年度までの中間報告のような形で整理をされておりますが、ここでは妊娠期間中喫煙を続けた妊婦からは早産児、これはいわゆる月足らずで産まれる子供でございますが、早産児、それから低体重児、これは在胎期間に対しまして体重が小さい、こういう子供でございますけれども、そういう方が妊婦の喫煙量の増加とともに発生率が増加する傾向にある、こういうことが推測されております。  五十四年度の研究成果は、いまのところでは一応五月の下旬にはまとまりまして報告されるというように聞いておりますけれども、ここでの傾向は、五十三年度までの研究の傾向とそう大きくは変わらないだろうという予測は持っております。  したがいまして、その研究報告書を受けた段階で、私どもも、先ほど草川先生がおっしゃいました公衆衛生局長通達を受けた形で、具体的な資料としてそれを活用し、そして現場での保健指導等が十分に行えるように指導してまいりたい、このように考えております。
  212. 草川昭三

    草川委員 妊産婦の喫煙量に比例して早産児、低体重児が産まれるということを初めてこういう場で言っていただいたわけでございまして、非常に重大な一つの方向だと思うのです。局長通達に基づいて教育の徹底なり周知徹底を、何らかの通達を出して、全国の保健所等を通じてやっていただきたいということを私は要望します。これは何らかの通達が出るんですね。
  213. 福渡靖

    ○福渡説明員 私どもが通常行いますのは、そういう客観的な資料については、資料を送付するという形で文書で送っております。それをもとにして十分な教育をするようにという行政指導をあわせて行うつもりでございます。
  214. 草川昭三

    草川委員 ぜひそれはやってください。続いて、いま非常に話題になっておりますのは、中学生、高校生の喫煙の実態が非常にふえておるのではないだろうかということが言われております。いわゆる未成年者喫煙禁止法という法律があるわけでございまして、二十歳未満は一体どの程度吸っておるのか、吸っていないのかというのは、これはなかなか調査しづらいわけでございますが、たとえば未成年者の補導人数でもいいわけでございますが、最近の傾向はどうか、これは警察庁の方にお伺いしたいと思います。
  215. 古山剛

    ○古山説明員 お答えいたします。  昨年一年間で二十歳未満の喫煙少年を補導いたしました数が三十四万三百三十七人でございまして、前年に比べまして三万四千十三人、パーセントにいたしまして一一・一%の増加になっております。そのうち高校生は十二万六千九百五十六人でございまして、全体の三七%を占めております。それから中学生は二万四百八十二人で六%ということで、高校生と中学生を比較いたしますと、高校生の方が比較的多い、こういう数字でございますが、前年との比較におきましては、高校生は七・四%の増加でございますけれども、中学生は二一・二%と非常にふえておりまして、低年齢化の傾向が目立っている、そういうことが言えると思います。
  216. 草川昭三

    草川委員 先ほど専売公社の方は、調査の結果を若干申されたわけでございますが、いまの警察庁のお話等を聞いておりましても、やはり中学生に喫煙が非常にふえてきたという方向、あるいは総数で三十四万、これは補導というのは余りいい言葉ではございませんけれども、少なくとも三十、四万人の方々が何らかの注意を受けたということは、これは非常に重大な問題提起ではないか、こう思うわけであります。  総理府の方として、青少年対策の重点的な防止活動をどのように考えておみえになるのか、あるいは毎年七月に青少年を非行から守るという意味での強調月間があるわけでございますが、ここの中で、喫煙者が増加しておる事実を踏まえて、目で見てわかるような喫煙が有害だというような教育を重点的にやったらどうかと思うのですが、その点についてどのようにお考えになられますか。
  217. 阿部宏彌

    ○阿部説明員 お答えいたします。  先生の御指摘がございました青少年を非行から守る全国強調月間でございますが、毎年七月を一カ月間強調月間と定めまして、関係各省庁の参加を得まして、青少年を非行から守るための諸施策を実施いたしてございます。  最近、青少年の非行という形で、たとえば凶悪な殺人事件とかシンナー、覚醒剤といった非行とか万引き、窃盗青少年といった大変多種多様な非行が発生いたしておりまして、しかも、四十八年以来でございますが、増加の一途をたどっておる状況にございます。昨年は、非行の状況は戦後最高という形に至ってございまして、そういうようなことを背景にいたしまして、関係各省庁の参加を得まして、総理府が主唱いたしてこの強調月間を実施することにいたしておるわけでございます。  青少年の喫煙問題でございますけれども、特に中学生あるいは高校生の喫煙の状況を見ますと、大変数多くの少年の喫煙の状況がうかがわれるということでございますので、先ほど先生がおっしゃいましたいろいろな問題がございますし、また同時に、非行という観点からも喫煙問題を取り上げる必要があろうかと存じております。したがいまして、この強調月間の中に先生御指摘のような問題も含めまして取り上げて、われわれといたしましても努力していきたいと存じております。
  218. 草川昭三

    草川委員 単純に非行化と喫煙を短絡させることについては、私は反対でございますけれども、少なくとも教育の中身で、あらゆる機会に喫煙に対する害というものをわれわれは義務として子供に周知することが非常に必要だと思うのです。ぜひそういう立場でやっていただきたいと思います。  同時に、これも非常にわかりやすい被害ではございますが、消防庁にお伺いするわけでございますが、最近のたばこによる火災の損失というものの件数なり金額はどのようになっておるのか、お伺いします。
  219. 山越芳男

    ○山越説明員 お答え申し上げます。  消防庁の取りまとめました火災統計によりますと、出火原因別の件数では、たばこによるものが一番多くなっております。最近の三年間におけるたばこを原因とする火災の件数及び被害金額でございますが、昭和五十一年は八千八百十四件、百七億三千二百万円、昭和五十二年は九千六十九件、百二十億九千百万円、昭和五十三年は九千九百二十件、百三十億九百万円となっております。割合で申し上げますと、総出火件数に対して昭和五十一年は一四・一%、昭和五十二年は一四・二%、昭和五十三年は一四・一%でございます。  消防庁といたしましては、このような状況を踏まえまして、全国の火災予防運動等の中で、たばこによる出火を減少させるべく努力をいたしておるところでございます。
  220. 草川昭三

    草川委員 一つの例ではございますが、大変な金額になるわけでありまして、ますます小さい子供さんのときからたばこの害というものを訴えていかなければいかぬと思うのです。そういう意味で文部省にお伺いをいたします。  基本的に私どもが申し上げていることを、青少年の教育の場でどのように受けとめておられるのか。あるいはまた、現在保健の時間でそれなりの教育をしておられると思いますが、各教科書を取り寄せてみてもその幅は非常に少ないのですね。甘いものでも食べ過ぎると大変ですよという程度の考え方なんですね。指導要領なんかを拝見しておるわけでございますが、多少は触れられておりますけれども、まだ不足しておるような感じがいたします。ぜひこれからの、たとえばホームルームの時間だとか養護教育の時間帯の中で喫煙の害をあらゆる面から取り上げていただきたいと私は思うのですが、この点についての対応はどうですか。
  221. 島田治

    島田説明員 学校での、特に中学、高校生の喫煙の防止の問題については、御指摘のとおり、一つは保健教育という面から、また一つは非行防止との関連という面から、学校現場でも、もちろん文部省も相互に一体となって非常に苦慮しながら進めておるわけでございます。  なお、御指摘のような害の問題について、私どもとしては、仕組みとしましては、一つは教科の保健のところで教える。それからもう一つは、教科以外の、これは今度の改定でも力を入れているわけでございますが、特別活動の中での、特にホームルームというか学級指導の時間を十分に活用してまいりたいと思います。第三点は、学校にはそれぞれ保健室がございまして、養護教諭さんががんばっていてくれるわけでございますが、そういう養護教諭さんの個別指導あるいは養護教諭さんから学級担任を通じた指導というような線をもっと進めてまいりたいと思っておるわけでございます。特に、ことしから養護教諭さんについて、実技面というか、もっと実務内容的なものでの講習会も新たに従来の講習会に加えてブロックでも行うというふうな踏み出しをいたしておるわけでございますが、この未成年者に対する喫煙の害の問題については、そういう場面でも積極的に取り上げて配慮を促してまいりたいと思っておるわけでございます。
  222. 草川昭三

    草川委員 ぜひ文部省の方で子供さんの間に基本的な教育ができるようにお願いを申し上げたいと思います。  それで、文部省の大学局の方、お見えになっていますか。-この前、私ども厚生省の方に国立病院の待合室に対する禁煙という通達を出していただいたわけですが、文部省関係の大学病院の対応が非常におくれておると思うのです。大学病院の対応はどうされるのかお聞かせを願いたいと思います。
  223. 川村恒明

    ○川村説明員 ただいま御指摘の国立大学の付属病院におきます喫煙の取り扱いでございますけれども、これは治療上の必要もございますし、火災予防の観点からも、その規制については従前から努力をしておるわけでございますし、ただいま御指摘のように、昨年のこの委員会でもこの取り扱いについて御指摘がございました。  私どもは、早速国立大学の付属病院長会議等でこの問題を重点的に取り上げまして、各大学の、特に外来の待合室における喫煙の規制について指導してまいったわけでございます。その結果、昨年の時点では、付属病院三十三院の中で、喫煙室の設置であるとか喫煙区域指定等の措置をとっておったものが十四病院、パーセントにして四三%程度でございましたけれども、その後重点的に指導いたしました結果、現在では三十五の病院の中で二十六の病院でそういうふうな喫煙室の設置とか喫煙区域指定等の規制措置を講じておるというのが現状でございます。
  224. 草川昭三

    草川委員 三十五のうちの二十六となっておるわけでございまして、まだパーフェクトではないわけで、たまたま古い建物もあるわけですから、一概に直ちにとは言いませんけれども、基本的にこれも文部省所管でございますから、これらの促進方を強く要求いたします。  さて、専売公社に御答弁を願いたいわけでございますが、大体いま私が申し上げましたように、周囲の態勢は非常に喫煙の害ということについてそれぞれ取り組んでおられますし、あるいはたばこの失火という問題について、社会的にも大変損失を与えておるというような例があるわけでございますが、私は何よりもたばこの有害表示の問題について、専売公社が頑強にたばこの吸い過ぎには注意をしましょうという程度の有害表示で終わっておることに非常に強い不満があるわけであります。何回か申し上げておりますけれども、専売公社としては、そのように判断をしていないという立場でございますが、先ほどいろいろと申し上げましたし、ここにもスウェーデンのたばこだとか、アメリカのたばこだとかいろいろなたばこを持ってきておりますが、ほとんどがタールは何%だとかあるいはニコチンは何%だとかいうような有害表示を全部しておるわけです。こういうことについて専売公社は依然として一種類の表示にこだわりますか。あるいは数種類の、複数の表示をしろということをWHOは勧告しておるわけでありますが、事ここに至っても頑強にそれを固守しますか、その点どうですか。
  225. 小幡琢也

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  たばこの包装の注意表示の文言でございますが、これにつきましてはいろいろ御意見が寄せられておりますし、また先生おっしゃいますように、諸外国の例、強弱いろいろございまして、その辺も調査いたしまして表示いたしております。  ただ、私どもは別にこだわるわけではございませんけれども、現在の「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という表示につきましては、いろいろ経緯もございまして、特に昭和四十六年の専売事業審議会の答申及びその当時の国会の審議の経緯もございまして、いろいろと多くの御意見を伺って、そういう注意表示にしたといういきさつがございます。  ただ、その当時は当時でございまして、現在においてはそれを変えたらどうかということになるわけでございますが、私どもの立場といたしましては、ああいう非常に狭いスペースのところに書く文言でございますから、短い文章でわかりやすいようなものがないかということをいろいろ検討しているわけでございますけれども、現在の吸い過ぎ注意の表示、これは喫煙者の方の念頭にもずっと定着してまいっておるということなどを考えますと、ほかにいい文案があればともかく、現在のところでは、まあこの表示で一応妥当なものではないかというふうに考えているわけでございます。かたくなにこれにこだわるわけではございませんので、ほかにも適切な文言があるかどうか、今後もなお各方面の御意見を広く聞いてまいりたい、このように考えております。
  226. 草川昭三

    草川委員 私どもいい意見というのは何年か言っているのですよ、専売公社に。これは去年も言っておるように、このスウェーデンのなんというのは、狭いと言ったって同じたばこの箱の大きさですよ。たばこを吸わない人は吸う人よりも平均寿命が長いと書いてあるのですよ。いい文句じゃないですか。すぐにだってこれは採用できますよ。「ハイライト」は日本のたばこでしょう。アメリカでつくっているのには、非常にこれは有害だと書いてあるのですよ。いまの態度は全然答弁にならぬですよ。われわれは何回とこの問題を提起をしておるのですが、必要を認めぬと言い切っておるのです。一言でいいですけれども、われわれがもっといいアイデアを持ってきたら採用しますか。本当に聞きますか。それだけ答弁してください。
  227. 小幡琢也

    ○小幡説明員 この問題につきましては、ちょっと申し落としまして恐縮でございますが、危険であるという表示あるいは有害であるという表示につきましては、私どもの立場としましては、実は健康問題は昭和三十二年から専門の医学関係の方に研究を委託しておりまして、二十何年間やっております。ただ、これにつきましては、予防医学の立場からいろいろ御意見があることは承知いたしております。肺がんとか呼吸器疾患、心臓疾患その他いろいろな角度から研究いたしてもらっているわけでございますけれども、いまの段階におきましては、喫煙と健康への影響問題は非常に複雑な絡みがございましてなかなかむずかしい。そういうわけで、まだ結論が出ていないという段階でございますので、そういった専売公社の立場におきまして、いま専売公社としてそれをはっきり有害であると書くのはなかなかむずかしいという事情にございます。
  228. 草川昭三

    草川委員 全然答弁にならぬのですよ。ここに日本専売公社の「喫煙と健康に関する委託研究報告概要」の資料が(I)(II)とある。五十三年度の資料です。これは未公開ですけれども、五十二年三月、「喫煙の場所制限に関する研究」、これは全部日本専売公社の研究資料ですよ。この中にはそれぞれ肺がんに関する結果だとかいろいろなことが全部科学的に実証されているのです。専売公社が言っておるわけですよ。こういうたくさんのお金をかけた研究資料を専売公社は出しておるのですよ。だから、たばこに表示ぐらいしたっていいじゃないですか。タールが少なければ健康にいいとかいう宣伝だって外国ではあるのですよ。いつまでも吸い過ぎに注意をしようしようということを何年も何年も専売公社がやるというのはおかしいですよ。こういうような資料を出しておきながら一体何ですか。その点はどうですか。
  229. 小幡琢也

    ○小幡説明員 委託研究の結果につきましていろいろ研究成果が出ております。これにつきましては、先般来大蔵委員会でもそういった成果を発表せよ、公表せよという御意見がございまして、公社といたしましても、そういった内容をこれからはわかりやすく国民の皆様に公表していきたい、このように考えております。研究成果はいろいろございますが、それを短い文章で端的に言うということは非常にむずかしいことでございまして、そういうことで、私どもはパンフレットとかそういうわかりやすいものを、たとえばたばこサービスセンターなどに置きまして、そういった正しい情報の普及ということは考えていきたい、こういうふうに対処したいと思っております。
  230. 草川昭三

    草川委員 あなた方そう言うけれども、外国の例では一々書いてあるのですよ、タール分の内容まで。それがなぜできないのかということをわれわれはくどく言っておるわけです。  時間がございませんので、最後に国鉄にいきます。  国鉄の各車両に禁煙車をぜひ設けてもらいたい。これも諸外国の例があるわけです。諸外国の例にあるようにぜひやってもらいたいと言っておるわけですが、「ひかり」号についての禁煙車両は何月からどのようにやられるか、お伺いをします。簡単に答弁してください。
  231. 猪俣為久

    ○猪俣説明員 お答えいたします。  ただいま新幹線は「こだま」号に禁煙車がございますけれども、「ひかり」号につきましても、本年十月のダイヤ改正の機会に、自由席に一両禁煙車を導入する方向で現在作業を詰めておる段階でございます。
  232. 草川昭三

    草川委員 自由席に一両禁煙車を十月から実施をするということがいま明らかになったわけでございますが、その場合は自由車両は増車することになりますか、どうなりますか。
  233. 猪俣為久

    ○猪俣説明員 サービス上やはりたばこをお吸いの方、たばこの煙の苦手な方がひとしく同じような着席のチャンスといいますか、そういうものを得られますように、現在ダイヤ改正の作業の中で「ひかり」、「こだま」の輸送力のいろんなつけ方の問題、調整の問題につきまして検討しております。その中で最終的に、たとえば現在の「ひかり」号の自由席は四席ございますけれども、それをシーズンによりまして変えるのか、あるいは通年現状のままにするのか、あるいは少し指定席との割合を変えるのかというふうなことにつきまして、現在検討いたしておりますけれども、一号車に禁煙車を導入するということについては内定しておるわけでございます。
  234. 草川昭三

    草川委員 現在のところ、そういう答弁よりは出ないと私は思いますけれども、ぜひ全体的な編成ということを見直していただいて、自由席四両しかございませんから、そのうちの一両ということになりますと、それはありがたいわけですが、また乗客同士のトラブルがあってもいかぬわけでありますし、日本の現状の段階の中では、全体の編成を見直していただき、コンピューターの端末の機能が限界だとは言っておりますけれども、やろうと思えばやれるはずでありますから、ぜひ指定席にもこの問題が採用されるようにしていただきたいというように私は思うわけであります。  きょうは時間がございませんので、細かいことは言いませんけれども、国鉄に乗るのは何も大人ばかりではございません。特に幼児、病人、体の弱い人、そういう人たちが長時間の間一つの車内に閉じ込められるわけでありますから、昔のように窓が自由意思によってあかないわけでありますから、非常に苦悩があるわけであります。国鉄は、たばこを吸う人ももちろんお客さんでありますが、吸わない人というのは、これもまた大変な数がおり、特にいま申し上げましたように、弱い人、病気の人、子供、こういう方々がいるわけでありますから、そういうサービスということをより優先にしていただきたい。少なくともヨーロッパ等の例もあるわけでありますし、それがまた将来の方向になる。あるいは東北新幹線のように新しい路線ができる場合には、積極的に取り組む必要がある。これはもう真剣に考えていただきたいということを私は要望いたします。  時間が来たようでございますので、最後に環境庁長官に、私、実は議院運営委員会の方にもお願いをしておるわけでありますが、国民の体のことを中心に論議するような社会労働委員会、あるいはまた本当に環境行政等を真剣に論議をする公害環境特別委員会――汚い空気ではいい政治は生まれぬと私は思うのです。きょうのように、ひとつきれいな空気の中でやって、日本の政治が十分よくなるようなことを願いたいわけでありますが、環境問題を論議するこの委員会で、できたら将来、禁煙の一つのルールができるように、あるいはまた、いま私が申し上げたようないろいろな点を環境庁長官に、環境週間というのも目の前に来ておるわけでありますから、環境行政として、この種のものをどのように将来採用していただけるかお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
  235. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 この喫煙の問題につきまして、先ほど来関係各省庁からいろいろ意見が述べられたようでございますが、ともあれ環境庁といたしましては、人の健康にかかわる問題でもございますので、今後、この普及啓蒙に協力をいたしますように最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。  なお、環境週間の問題についてお触れになりましたが、今回は第八回目に当たります。そこでいろいろ行事を考えておりますが、環境庁といたしましては、広報等を行う際に、喫煙の問題につきましても配慮してまいりたい、かように考えております。
  236. 草川昭三

    草川委員 どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  237. 河野正

    河野委員長 この際、午後四時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後一時五十五分休憩      ――――◇―――――     午後四時二十六分開議
  238. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。東中光雄君。
  239. 東中光雄

    ○東中委員 建設省から出席をお願いしているのですが、団地、住宅地域を貫通する幹線道路の建設は極力避ける方針だ、そういう方針でやってこられておると思うのですが、阪神高速道路、大阪-高槻線の建設計画について、大阪市の大淀区の中津コーポの住民が、そのコーポの真横を通る大阪-高槻線の建設について強く反対しておって、これは環境を著しく悪くするということで、毎年予算編成期に建設省や阪神道路公団に対してはがき等を送って、予算化しないようにという要望をしてきておるのであります。  建設省もよく御承知だと思いますが、五十五年度の予算は、この建設計画を全額削除をされたと思うのですが、これはこの計画を白紙撤回するつもりでやられているのか、この間の事情について伺いたい、こう思います。
  240. 後藤国臣

    ○後藤説明員 大阪-高槻線につきましては、昭和四十五年に新規着手路線として予算採択されまして、四十五年度の予算といたしましては三億円を計上したわけでございます。四十六年に、ただいま御質問のありましたように、地元住民から大阪府公害審査会に、公害紛争処理法による調停が申請されまして、審理の間、ずっと予算を計上しながら流用または繰り越しの措置をとりまして現在に至ってきたわけでございます。  昭和五十五年度の予算編成に際しまして、御承知のような厳しい財政事情がございます中で、大阪-西宮線その他の重要路線に資金を効果的に投入する必要がございました。また大阪府の公害審査会の調停が現在中断をされておりまして、その再開の見通しが立っていないということもありまして、五十五年度の事業計画におきましては、大阪-高槻線の予算はゼロということにしたわけでございます。ただ、前年度五十四年度の繰り越し分を使用することが可能でございますし、また五十五年度予算につきましても、事業計画を変更いたしまして使用することもできる。仮に使用が可能な事態になったらそういうことになるという考えでございます。したがいまして、この措置によりまして、いままでの大阪-高槻線に対する考え方を特に変えたということはない、このように考えております。
  241. 東中光雄

    ○東中委員 この問題については、私も七十一国会で質問をし、建設政務次官が現地へわざわざ視察に行かれて、そしてこの住宅環境というのは、大阪市がこの中津コーポをつくって、淀川沿いの非常に環境のいいところだ。そしてこの淀川流域というのは、中津地域は特に野鳥の生息地として非常にすぐれている。こういう自然環境が残っておるのは非常に珍しい状態というふうな地域に、こういう高速道路が住宅のすぐ横、これは高層住宅ですが、すぐ横を通るというのは、環境保全という面で非常に問題があるということで、内海建設政務次官のときでしたか、善処するという答弁があったわけです。だから私は、いまこの機会に、そういう環境保全という方向からも、高速道路をつくってそれにカバーをするとか、いろいろそういうことも計画の中に上がってきておったようですけれども、それだけじゃなくて、抜本的に見直しすべきではないかというふうに思っておるのですが、そういう点で幹線道路の計画配置の関係環境保全という両方の観点から見直し検討をされる、そういうことはないのかどうか。ぜひ私は検討し直してもらう必要があるのじゃなかろうか、こう思っておるのですが、どうでしょうか。
  242. 後藤国臣

    ○後藤説明員 住民の生活環境を良好に維持するということは、都市計画の目的の一つでございますから、都市計画関係者といたしましては、十分それに配慮してまいっているわけでございます。ただ、もう一つ都市活動、業務活動の円滑を確保するということも都市計画の目的でございまして、私どもそれを片一方だけをとるということではなくて、両々相まって何とか調和してやっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それで、大阪-高槻線につきましては、確かに淀川沿いの非常に景観のいいところでございまして、できることならば維持したい。しかし、大阪都心部の交通を円滑に処理するためには、そこに高速道路を通すこともまたやむを得ないのではないかということで計画されたわけですが、大阪府公害審査会の調停の段階におきまして、御承知のように、昭和五十年でございますが、大阪市のマスタープランの改定の際に、この大阪-高槻線の必要性というものを再検討したらどうかという提案が調停委員と申請者からございまして、翌五十一年に大阪市側もこれに同意いたしまして、マスタープランで明らかにするまでは調停を延期する、中断するということになっておるわけでございます。  私どもといたしましては、以上の経緯にかんがみまして、まずこの大阪-高槻線の必要性というものを大阪市のマスタープランの中で位置づけて、位置づけてと結論を申し上げるのはなんでございますけれども、結論が出た後に、それを含めて、環境問題を含めて検討いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  243. 東中光雄

    ○東中委員 ちょっといま言われていることがよくわからぬのだけれども、マスタープランの中に位置づけてというのは、まだ位置づけていないわけでしょう。(後藤説明員「はい」と呼ぶ)だから、進めるという方向ではいまのところは行ってない、ストップ状態といいますか、そういうことになると思うのですが、その場合に、必要性ということをまず決めて、それから環境を考えるのじゃなくて、必要性と環境保全と両方を総合的に考えて、何もここを通さぬでもいいじゃないか、特に湾岸道路ができるとかいろいろほかの計画が進んできているようですから、そういう点で総合的に考えて、根本的な見直しをひとつぜひしてほしいという住民の非常に強い要求でありますので、いかがでしょう、その点。
  244. 後藤国臣

    ○後藤説明員 大阪市の高速道路網でございますが、将来のビジョンといたしましては、この大阪―高槻線と申しますのは、環状線の一部という考え方で位置づけられていたわけでございます。そういう環状線の一部としてどうしても必要であるかどうか。計画段階では必要であるということで、もし必要であるとすれば、この路線が比較的環境上も影響が少ないのじゃないかという考え方で計画されたわけでございます。その見直しの結果、必ずしもこの路線が必要でないのだということになれば、これは問題がないわけでございますけれども、やはり必要であるということになれば、やはりほかの路線との比較検討も含めて検討しなければならないわけでございます。まずその前提の必要であるかどうかというのが公害審査会でも問題になっておりますので、まずその前提条件を解決していただこうというのがわれわれの考え方でございます。
  245. 東中光雄

    ○東中委員 では、建設省どうも御苦労さまでした。  今度は本来のアセスメントについてお聞きしたいのですが、もう五年目を迎えての今回のアセスメント法ですが、いよいよ大詰めに来ておるようであります。ところが最近の動きとして、どんなものでもいいからとにかくアセスメント法を出せ、出すこと自身に意義があるのだというふうな主張が一部でされておるような傾向があります。本来アセスメント法は、公害大国とまで言われたような悲惨な公害被害や環境破壊を未然に防止するというところに最大の意義があるわけですから、私たちは、アセスメントは公正で科学的なものであること、同時に、住民参加が十分に保証されること、公害や環境破壊のおそれのある開発は厳しく規制される、こういうアセスメントでなければならないというふうに主張をしてきたし、いまもそう考えておるわけであります。  ところが、政府案はこうした点が全く保証されておらぬ。現在政府が行政措置として行っている発電所、道路あるいは新幹線等々のアセスメントをこの法律で追認するだけだということになりそうで、どうも名前だけのアセスメントではないか。逆に、あの問題になりました、金子局長が財界に出されたという、いわゆる金子メモというのによりますと、開発はこれで、このアセスメント法をつくることによって、かえってスムーズにいくのだ、あるいは訴訟の場合にも、公害発生の立証責任が事業者から住民に転嫁されるという趣旨のことが書かれてあります。そうなりますと、これは開発の免罪符ということになって、いま批判が非常に強く出ているわけであります。  こういった公害規制ということが、実は開発を円滑に進めていくための免罪符というふうに役立つのでは、全然性格が変わってくるわけでありますので、こういう点について、まず政府案で本当に公害と環境破壊を防止する、それを規制するということができるのかできないのか、一番大筋の問題をお聞きしたいと思います。
  246. 金子太郎

    ○金子政府委員 アセスメント法案は、まだ関係省庁と協議を続けている段階でございますので、なろうことなら政府案が決定され、国会審議の始まった段階でより正確に申し上げたいと思いますが、いまの段階では、この法案を作成するに当たりまして、環境庁としてぜひこういうものにしたいと思っております基本的な点について、私どもの考え方を申し上げるのが限度ではなかろうかと思いますので、まずその点について御理解を賜りたいと思います。  私どもが現在ぜひまとめたい、つくり上げたいと思っておりますアセスメント法案の基本的な仕組みといたしまして、大規模な、また環境に著しい影響を及ぼす事業を行う場合には、事業者が許可を得る前に必ずアセスメントを行うことを義務づける、そしてそのアセスメントをいろいろな方面の意見を踏まえてなるべくいいものにつくり上げて、そして国がやらせるアセスメントでございますから、それが何らかの形で行政になるべく的確に反映できるような仕組みにしたい。そこで、許可等の行政処分を行う場合には、事業者にやらせたアセスメントの結果を十分審査して、その環境に及ぼす影響などどういうことになっているか、評価書の内容がどう、環境庁長官意見がどうということをよくよく勘案した上で、本来の行政処分、すなわち公示をしていいというような許可がおりる仕組みにしたい。要するに、国がアセスメントをやらせるからには、国が着工などの許可をする場合には、それが的確に反映されるような仕組みにしたい。そうすれば、公害の未然防止に非常によく役立つ、こういう仕組みを考えているわけでございます。
  247. 東中光雄

    ○東中委員 先ほど申し上げましたような開発がスムーズにいくとかあるいは訴訟の場合に公害発生の立証責任が事業者側から住民側に転換が行われるというふうなアセスメントをやっておけば、この法をつくってやっておけば、そういうものに事実上転換していくというふうな考え方が金子局長のメモの中に出ておるわけですけれども、そういう考え方でいったら、これは私、実はアセスメント法が開発の免罪符になるというふうに思うのです。これはやはりそこのところは踏まえなければいかぬ勘どころではないか。公害防止ということを、あるいは環境保全ということを目的にして、そのためのアセスメントでなければいかぬので、開発促進のために、あるいは促進と言ったら語弊があるかもしれぬが、メモによりますと、円滑に進めていく、同じことですからね、そういう観点から見ておったらいかぬのじゃないか。  この五十五年三月二十八日の環境影響評価法案に関する関係閣僚会議の法案要綱の第一の目的を見まして、なぜこういうことになるのかなあと私は思っておるのですが、たとえば「事業実施に際し、公害の防止及び自然環境の保全について適正な配慮がなされることを期する」、こうなっていますね。公害を防止するあるいは自然環境を保全することを目的にする、そういう観点からこれは取っ組むべき性質のものではないか。公害対策基本法の目的、これはもちろん法の目的ですから、アセスメント法と同じであるわけはないわけですけれども、しかし、はっきりと公害防止あるいは公害対策の総合的推進を図る、こういう観点から問題が提起されておるわけですが、こっちは「適正な配慮がなされることを期するものである」、だれが配慮をするのかといったら事業者が配慮するわけです。文章上はそうなっていませんけれども、そういう意味ですね。こういう姿勢に私はやはり根本的な問題があるのじゃないか、こう思っておるのです。むしろこれは事業者サイドに立って「適正な配慮」という形に転換してきているというふうに思わざるを得ぬのですが、その点どうでしょう。
  248. 金子太郎

    ○金子政府委員 ただいまの表現でございますが、自然環境保全法の目的におきまして「自然環境の適正な保全」、こういう規定がございまして、私どもはそういうところから「適正な配慮」という書き方をしてもいいのではないかと考えたといういきさつがございます。
  249. 東中光雄

    ○東中委員 それは全然違うんじゃないですか。  「自然環境の適正な保全」というのは自然環境の保全が目的なんで、ここでは「適正な配慮がなされる」、だれが配慮するのかといったら事業者のことを言っているんじゃないですか。自然環境を保全するあるいは公害を防止する、ここが勘どころでなければいかぬのに、事業者の「適正な配慮がなされることを期する」、ここに大きな問題があるということを言っているわけであります。作文の問題ではなくて姿勢の問題なんです。そのことをまず一つ指摘をしておきたいのです。  それで、きょうは余り時間がありませんが、このアセスメント法と条例との関係について聞きたいのです。先ほど言いました三月二十八日の関係閣僚会議での法案要綱では、第四の「その他」という項目の中の五と七に条例との関係について挙げられておるわけですが、これは三月二十八日付ですが、その後検討されておるように聞いておるのですが、変更されたことがありますか。あるいはこの第四の五と七はそのままですか。
  250. 金子太郎

    ○金子政府委員 なお関係省庁から意見が出ておりますので、最終的に固まっているというわけではございません。
  251. 東中光雄

    ○東中委員 この五と七について、まだこれも決まってないということですか。
  252. 金子太郎

    ○金子政府委員 五と七についてなお関係省庁から意見が出ておりますので、最終的に決まったということではございません。
  253. 東中光雄

    ○東中委員 そうしたら、これは一応関係閣僚会議のものであって、法案要綱として確定したものでないことは、私たちも承知しておりますけれども、条例との関係において五、七に関係省庁から問題が出ているということですが、どこからどういうことが出ておるのですか。一応発表されたものについてまた変わるのだったら、変わるということで認識をしないと、質問前提を欠きますので、明らかにしてください。
  254. 金子太郎

    ○金子政府委員 政府部内で折衝中のことでございますので、詳細については御容赦いただきたいと思いますが、本件についてなお意見が出ているということは事実でございますし、また要綱で固まったものにつきましても、その後改善を加えるべきであるという合意が関係省庁の間で成り立った場合には、それを一部改めるという場合もあり得るわけでございます。
  255. 東中光雄

    ○東中委員 これは関係閣僚会議として、法案要綱として一応われわれも環境庁からもらったのですが、それはまだ変わるかもしれぬ、どう変わるかわからぬというのだったら、関係閣僚会議で一応決めたことというのは、本当の要綱の素案みたいなものですか。どういうことになるんですか。まだ中でそんなことをやっているんなら、こんなもの出さなければいいじゃないですか。どうなっているのですか。これはちょっと解せぬですね。
  256. 金子太郎

    ○金子政府委員 たとえば三月二十八日の要綱では、公告、縦覧あるいは関係地域決定は、最終的には事業者が行うという組み立てになっておりましたが、その後、関係省庁がいろいろ検討いたしました結果、公告、縦覧は知事が行うことに改めておりますし、関係地域決定も最終的には知事が行うというふうに改めておりますので、要綱につきましても、合意が成り立つならば一部変わるということはあり得るということを申し上げたわけでございます。
  257. 東中光雄

    ○東中委員 それなら私がいま言っているこの三月二十八日付要綱の第四「その他」の項の五と七、条例との関係、それについては、いま言われたのでは触れてないわけですから、このままなのか、この条項についても関係省庁から意見が出ておるという状態になっているのか、関係省庁というのは、たとえば自治省なら自治省ということなのか、ちょっとそこらの間をはっきりさせてもらえませんか。
  258. 金子太郎

    ○金子政府委員 政府部内でなお折衝をして、これからまとめようという段階でございますから、どこがどうということは申し上げかねますが、この条項について、なお一部意見を言われているところがあるというのは事実でございます。
  259. 東中光雄

    ○東中委員 この条項についてもそうだというのですね。金子局長、どうもえらい慎重過ぎる発言をされるので、隔靴掻痒の感がしてわかりにくいのですが、一応ここで私たちのいただいた五項、七項について、特に七項ですが、「事業者が行う対象事業以外の事業について、地方公共団体が条例で環境影響評価に係る必要な規定を定めることを妨げるものではないものとすること。」こうあるわけですが、これは法律が対象とする以外の事業についての条例制定権を定めたものだ、そう読めるのですが、結局それはあたりまえのことなんで、この規定は念のために入れてある、入念規定といいますか、そういうものだと思うのですが、そうではございませんか。
  260. 金子太郎

    ○金子政府委員 先ほどから申し上げておりますように、現段階はまだ各省と折衝して、法律をこれからつくり上げ、最終的に決めていこうという段階でございます。法案として最終的にまとまったものであるというふうには申し上げられませんので、具体的なお答えはできかねますけれども、法律と現に制定されております条例との関連につきましては、たとえば条例で行われているアセスメントとの関係ども含めて、これから十分検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  261. 東中光雄

    ○東中委員 私たちに渡された関係閣僚会議の要綱というのは、三月二十八日付のこれ自体としては決まっているわけですからね。閣僚会議で要綱として決めたわけでしょう。それはまた変更されていくかもしれぬ。だから変更される先のことは別として、この決まっている三月二十八日付の要綱に書いてある末項第四「その他」の七というのは、私がいま申し上げたような趣旨ではないのかということを聞いているわけです。これはまた変わるかもしれぬ、それはそういうふうに聞いておきましょう。しかし、すでに出されているもの自体について言えば、そういうことではないのかということを聞いているわけですから。いかがですか。
  262. 金子太郎

    ○金子政府委員 法律の解釈といたしましては、その法律全体の流れの中で当該条項をどういうふうに理解するかというふうに考えられますが、本件につきましても、ほかの条文が固まってまいりませんと、最終的なことはなかなか具体的には申し上げられないというふうに考えております。
  263. 東中光雄

    ○東中委員 これは閣僚会議が決めた要綱ですから。各省庁の関係局長会議じゃなくて、閣僚会議で一応こういうふうに決まった。これは最終稿ではないかもしれません。しかし、そのことは、いま局長の話で十分承知しておるのですけれども、この段階で決まった法律案要綱の考え方というものをいま私はただしているわけですから。現にこういうふうに印刷して、私たちの手にも入っているわけですから。この一番末項の第四の七、「事業者が行う対象事業以外の事業について、地方公共団体が条例で環境影響評価に係る必要な規定を定めることを妨げるものではないものとすること。」というようなことが入っているわけですから。その趣旨は、この閣僚会議に出席されて、それでやろうということを決められた長官ですから、金子さんみたいに何を言っているのかわからぬのじゃなくて、はっきり言うてくださいよ。どういうことですか。
  264. 金子太郎

    ○金子政府委員 私どもは、この法案を作成するに際して、このような法律と条例との関係に関する条項では、こういうようなことを織り込みたいというようなことを考えている、それが実情でございますが、この条文に関連して申し上げますと、この法律で対象とする領域、すなわち事業者の行う対象事業でございますけれども、これにつきましては、事業者に対する義務づけとして、法律で必要な手続などを定めてまいりたい。そこで、対象事業につきまして、条例を制定する必要が生じないように、また二以上の地方公共団体にまたがるような事業について、ばらばらな条例ができたのでは混乱が生じるおそれがありますので、整合性のとれたものが必要である。そんなことを考えながらこういう条文をつくってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございまして、まだ関係方面の最終的な審査を経たというようなものでもないということを御理解をいただきたいと思います。
  265. 東中光雄

    ○東中委員 どうも何を言っているのかさっぱりわからない。もっと端的に言ったらどうですか、いわゆる入念規定だと。だれが続んだってそう見えるじゃないですか。事業については、地方公共団体が条例で必要な――対象外のことについてやるのは自治体に任しておく、法律で対象外になっている部分もどうだというようなことをやったらおかしいのは決まりきっているのですから、それは念のための規定だ。  ただ問題は、五に書いてある「地方公共団体が、当該地域の環境に影響を及ぼす事業について環境影響評価に関し必要な施策を講ずる場合においては、この法律の趣旨を尊重して行うものとすること。」という要綱の規定ですね。これはどういうふうに考えておられるのか、そこのところどうでしょう。
  266. 金子太郎

    ○金子政府委員 要綱におきましては、この法律の対象とするもの以外については条例の制定を妨げるものではないといたしておりますが、そういう場合を含めまして、地方公共団体が環境影響評価に関していろいろな施策を講ずる場合には、一つには国の制度との整合性というものを保つことが一般的に必要とされるのではないか。国が公共事業などで環境に非常に大きな影響を及ぼすようなものについて、アセスメント法をつくって事業者などにいろいろなことを義務づける、そういうものと、より環境影響の比較的小さな事業に対する地方公共団体のいろいろな施策というものにアンバラが生じない方がいいのではないかということ。あるいは先ほども申し上げましたように、二つ以上の地方公共団体にまたがるような、これは大体大規模な事業が多いわけでございますけれども、そういう場合に、手続が違うために不都合が生じるおそれがない方がいいのではないか、こういうことをかねがね私ども考えておりまして、こういうような考え方を法案に織り込みたい、このように考えている次第でございます。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  267. 東中光雄

    ○東中委員 非常に抽象的な微妙な言い回しをされておりますので、端的に聞きますよ。  いま川崎市には公害条例があります。いまこの要綱で示されているようなアセスメント法と比べると、対象事業は大幅に重なります。しかし、規制という点で言えば、説明会あるいは公聴会また評価の対象項目、日照とか電波障害等も入っている。それから審査書の作成というようなことも、現に施行されておる川崎市の公害条例があるということですね。現に施行されて、公害防止のためにその地域の状況に応じた努力をして、公害都市川崎の公害をなくしていこうということで地方自治体が行政を進めている。それに対して、この法案要綱で示されているような法律が出てくれば、対象事業が一緒の場合は、その条例はどうなるのか。この法案要綱の考え方からいけば、それはどういうふうになるのですか、その考え方を聞きたいのです。
  268. 金子太郎

    ○金子政府委員 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、この部分に関する条文が最終的に固まったというわけでもありませんし、それからこのような条項は、この法律案におけるほかの条項との絡みといいますか連関といいますか、そういうものにおいて法律の効果が確定してまいるわけでございますので、いま法律案をつくっている段階あるいは要綱を示したという段階ではっきりしたことを具体的に申し上げるということはできかねますけれども、法律と現に制定されている条例との関連につきましては、先ほども申し上げましたように、十分に検討してまいりたいと考えている次第でございます。
  269. 東中光雄

    ○東中委員 それは局長、あなたは自分の答弁がぼくの言うていることに答えてないということを百も承知の上でそれを言っておられると思うのだけれども、法案の審議をいまやっているのじゃないのです。しかし、こういう要綱が閣僚会議の名前で発表されている。要綱で言われている法律の思想は、これで確定したものでないということももう何遍も聞いたのです。しかし、二十八日付で決められたこの要綱の考え方からいけば、――変更されるかもしれません。変更されたら、それはその時点の問題になるわけですけれども、二十八日時点で発表されたものがあるのだから、それでいけばどうなるのかということを聞いているのであって、それも具体的に川崎の例で、現にある市条例のことについて言っているのであって、法律のあるところへ条例をつくるかどうかという話をしているのではなくて、現に公害防止という観点から非常に大きな役割りを果たしてきている川崎市という公害のひどい地域での、こういう自治体でつくった条例がある、それに対して、この要綱の考え方でいけば、この要綱に基づく法律ができたとすればどういうことになるとこの要綱で考えているのかということを聞いているのですからね。あのときこう言うたのとできたときと違うじゃないかと、そんなことぼくは言うわけがないですよ。そういう審議をするということが必要だからこそこういうのをやはり発表されているのでしょう。決まってないのだからと言うんだったら何も発表することないじゃないですか。俗に第二次案とか第三次案とか四次案とかいろいろ言われていますね。そういうのを発表されるというのは、一応そういうことで、あとなお検討するなら検討するということでいいから、この段階でどうなんだということを聞いているのですから、もっとフリーに話をして、そして法律制定についての国民の関心も高め、より正しい公害防止、環境保全に役立つようなアセスメント法をつくっていくべきじゃないか、そういう観点から聞いているのですから、どうでしょう。  この要綱でいけば、川崎市の条例はどうなるんだ。この第四の五の中にあるような「必要な施策を講ずる場合においては、この法律の趣旨を尊重して行うものとすること。」、ずいぶん問題になっている条項ですからね。こういう「法律の趣旨を尊重して行うものとすること。」というのは、前からある条例は尊重して行っていることにならぬから、それはもう無効だあるいは違法だというような考え方がこの要綱の考え方なのか。そうじゃなくて、それは同じ公害規制という方向に向いているのだから、手続面で規制が少しきついというふうなあるいは住民参加の度合いが非常にきついという点はあっても、大きな市では尊重してやっているのだからいいということになるのか、これではわかりませんので、この思想はどうなっているのですかということを聞いているのですから、素直に答てください。
  270. 金子太郎

    ○金子政府委員 繰り返し申し上げますが、環境庁としては、こういう方向で条例との関係に関する条文を固めてまいりたいということで各省と相談をして、その過程におきまして、一応三月二十八日にそのような要綱ができたという段階でございますので、その時点におきまして、ほかの条文が固まったわけでもございませんし、川崎の条例との関係については意見を申し上げることはできかねる、こういうふうに考えている次第でございます。
  271. 東中光雄

    ○東中委員 三月二十八日の段階の要綱についての意見というか、要綱の考え方について聞いておるのに、その要綱についての考え方が後で変わるかもしれぬから、発表したけれども、そのことについては言わないというのだったら、これは本当に何といいますか、公害というような非常に切実な人の健康、命にかかわるような問題について一応まとめたことについて、そのまとめた内容に全く触れない、これは環境行政あるいは環境庁の立場としてはあり得べからざる立場だと言わざるを得ぬと私は思うのです。こんなのなら発表せぬとけばいいのです。  東京都でいまアセスメント条例の制定で直接請求がやられております。そのことは金子局長もよく御承知で、金子メモの中にも書いておるようであります。これが、鈴木都政になってあの条例の議会からの撤回が承認された。自民党、公明党などの賛成で撤回されたというのですが、いまそういう条例の直接請求がずっと進められている。そのときに、この法律ができたら地方住民の運動としてやっているのが一遍にパアになってしまうかもしれないんだというふうなことがアセスメント法作成ということでやられておる。しかも、その内容についてはさっぱり触れない。法律ができたら条例との関係についても、金子局長はさっぱり内容について触れない。これでは地方自治あるいは住民の運動というふうなものを一体何と心得ているのかということにならざるを得ぬです。いま金子さんは、東京都の条例請求、これは美濃部都知事時代に提案したものですから、内容環境庁としては十分御承知だと思うのです。このアセスメント条例は、この三月二十八日付のアセスメント法要綱でいけば、第四の五の規定からいくとどうなるのですか。もしそれが条例請求をやって――社会党さんもやっている。総評さんもやっている。うちのところもやっている。ところがそれが、この法律ができたらもう欠陥条例、違法条例というふうになってしまうんじゃないですか。そういういわゆる上乗せ分が入っているから、あるいは対象事項が一緒だからということで、そういう地方自治、住民運動というものは全部飛ばされてしまうということになりかねない。そういう性質を持っていると思うのですがそうじゃないのですか。
  272. 金子太郎

    ○金子政府委員 大阪で、関経連で説明資料に出したメモというのは、誤解を招くようなところがあるという御指摘を国会で受けましたので、その後回収、撤回いたしておりますが、その真意は、現在わが国でアセスメントについてさまざまな考え方がある、それで政府がアセスメント法案を固め、国会審議を通じその成立を図ることができれば、一応アセスメント制度に関するコンセンサスというようなものが出てくるのではないか、そういうことはある意味では非常に大事なことではなかろうか、こういう趣旨を申し上げたわけでございますが、現在行われております直接請求の問題に関しましては、政府の立場から意見を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  273. 東中光雄

    ○東中委員 もう時間がないから、時間かせぎをやっておるつもりかどうか知らぬが、これはもうあなた、金子メモと言われている、関経連で渡したというあれは、持っていったという文書、これは撤回したとか撤回せぬとかいうような問題じゃないんですよ。そこに書いてある内容局長のメモとしてあったということが、その内容が問題なんですよ。だから、都条例について言うならば、「鈴木知事の与党である都自民党はいうまでもありませんが、美濃部知事の与党であった都公明党の都議会における立場はさらに微妙にならざるを得ず、また、鈴木知事も……苦しい立場にたたされる。」さらに「本年七月の参議院選挙を控え、美濃部条例案を住民の直接請求によって制定しようという一部の動きもあることから、鈴木知事及びその与党に対する政治的な批判材料として利用されるおそれもあります。」こんなことが書いてあるのですよ。行政府がこれから立法しようかというときに、地方自治のことについて、その政党の動きまでこんなものを書いて何で財界へ持っていくのですか。そういうことまで考えているということ自体がもうすでに行き過ぎておるんですよ。  アセスメント法について言えば、長官、これはもう申すまでもないことですけれども、五回目ですわね。政府は、私は議院運営委員会におるから、いつも提出予定法案の中に入っておって、今度も入っておって、三月中旬中には提出するという国会への約束があって、それで今日に至るも出さない。ただ、そのことで官房長官は何とかして出したいんだと言うて、たびを重ねてこういう要綱をわざわざ発表したのですよ。そして発表しておきながら、これについて聞くと、まだ意見が出ておりますのでと何にも言わない。これで一体今国会に出すつもりなんですか、あるいは政府が約束しておったことを実際に果たせるのですか。金子局長答弁では、もうそんなことは全然、こんな閣僚会議なんか、閣僚が寄ってやったにしても、事務当局としては、それはまだ検討中だからもう問題にならぬのだ、一言もこの内容については触れないということになっているんですが、長官、いいかげんなものは出さぬ方がよろしいですよ。だからというて、いいかげんなものであるかどうか、公表したことについての答弁さえまともにしないという姿勢で一体出せるのかどうか、このアセスメント法について一体どう考えておられるのか、長官意見を聞いて、時間がありませんので、質問を終わります。
  274. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  この問題につきましては、先生が御指摘のとおり、歴代の大臣も何としても法律として国会に出したいということで御努力なされ、私の代になりましてから、前上村長官の引き継ぎの事項の中でも冒頭取り上げられまして、さらにまた昨年の四月に中公審の答申もいただき、また地方の自治体等からも速やかに国において法制度化してもらいたいという強い要請も受けまして、今日に至っておるようなわけでございますが、おかげさまで三月四日に政府部内に関係閣僚会議を設け、何回か関係閣僚会議を開きまして、そして三月二十八日に要綱を決定をしていただきまして、また四月十八日に大筋の了解を得まして、ただいま最後の法的詰めと申しましょうか、法制局を中心といたしましていろいろ話し合いがなされておるようなわけでございます。片や党におきましては、本日二度目の環境部会も開きまして、いろいろ党内に対しましても御説明を申し上げました。また続いて明日、党の環境部会を開いていただくことに相なっておるわけでございますが、私といたしましては、何といたしましても今国会に提出をさせていただきますように、最大限の努力をいたしておるような次第であります。
  275. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですからやめますが、それは長官ちょっと違いますよ。局長答弁とまるっきり違いますね。局長は項目の内容についてまだ意見の詰めができていないのだ、こう言っているのですよ。いま言われたのは、法制局の関係の要綱を法案にすることについての詰めをやっているみたいに長官は言われたんですけれども、それは大分違いますね。どういうことなんですか。
  276. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 何しろこの種類の法律というのは、わが国といたしましては初めての法律でございますので、まだ関係省庁間におきましても、細部の点について意見の一致を見ない点もあることは事実でございます。そういう点についてのいろいろな法的な詰めを行っておる次第であります。
  277. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  278. 島田琢郎

    島田委員長代理 次回は、来る二十五日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会