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1980-03-25 第91回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十五日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 玉生 孝久君 理事 戸沢 政方君    理事 西田  司君 理事 八田 貞義君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 則武 真一君    理事 中井  洽君       天野 公義君    池田  淳君       田原  隆君    中村正三郎君       丹羽 雄哉君    橋本龍太郎君       畑 英次郎君    吹田  愰君       宮下 創平君    小川 国彦君       兒玉 末男君    土井たか子君       野口 幸一君    竹内 勝彦君       森田 景一君    栗田  翠君       木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房管理室長   関  通彰君         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁長官官房         審議官     石川  丘君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 本田  正君         環境庁自然保護         局長      藤森 昭一君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君  委員外出席者         議     員 馬場  昇君         科学技術庁原子         力安全局核燃料         規制課長    佐竹 宏文君         国土庁水資源局         水資源計画課長 和気 三郎君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 長谷川慧重君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   田中  収君         水産庁研究部漁         場保全課長  伊賀原弥一郎君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      大高 英男君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   熊野 英昭君         資源エネルギー         庁石油部精製課         長       加藤 昭六君         資源エネルギー         庁公益事業部水         力課長     飯島  滋君         運輸省航空局飛         行場部長    山本  長君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     伊藤 俊美君         建設省河川局河         川計画課長   渡辺 重幸君         建設省河川局開         発課長     堀  和夫君         建設省道路局企         画課長     沓掛 哲男君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大島 哲男君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 委員の異動 三月二十五日  辞任         補欠選任   土井たか子君     兒玉 末男君   野口 幸一君     小川 国彦君   東中 光雄君     栗田  翠君 同日  辞任         補欠選任   小川 国彦君     野口 幸一君   兒玉 末男君     土井たか子君   栗田  翠君     東中 光雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  水俣病問題総合調査法案馬場昇君外二名提  出、衆法第一九号)  公害対策並びに環境保全に関する件      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  この際、馬場昇君外二名提出の水俣病問題総合調査法案を議題とし、提案理由説明を聴取いたします。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場議員 私は、提案者を代表いたしまして、水俣病問題総合調査法案につきまして、その提案理由及び主要な内容について、御説明申し上げます。  水俣病は、世界最大水汚染公害であり、その被害は、原爆被害に匹敵する人類経験した最も悲惨な被害であると言われています。  水俣病問題について、その広さ深さを正しく総合的に把握し、その対策を樹立することは、被害者に対する救済対策の完全を期するだけでなく、人類の未来に対する今日の行政の責務であります。  今日までの水俣病問題に対する行政対応は、不十分であったばかりでなく、不作為があったと言っても言い過ぎではないのであります。また、行政想像力の追いつかない事態があったため、有効な手を打つことができなかった点も多くあるのであります。  そのため、水俣病の事実判明後二十年を経過した今日において、言語に絶する水俣病医学的病像さえも今なお未解明であり、被害の全体像及びそれが及ぼした影響等について実態が明らかではありません。水俣病問題は、いまだ混迷の状態にあるのであります。  水俣病の前に水俣病はなかったのであり、水俣病のあとに水俣病があってはならないのであります。  水俣病問題は、総合的な実態把握なしには完全な対策は樹立されません。水俣病問題解決の遅滞をなくし、不作為を解消し、住民の健康が守られ、環境が改善され、豊かな社会生活が営まれるための、完全な水俣病対策が樹立できるための基礎となる総合調査を行うことがこの法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、この法律目的は、水俣病健康被害及び環境破壊等医学的生物学的調査はもちろんのことでありますが、さらに、水俣病が及ぼした社会学的、経済学的、政治学的、教育学的等の各分野への影響とその実態を総合的に調査を行い、その全体像を明らかにしようとするものであります。  第二に、調査目的を達成するために、政府総合調査計画を定めることとしていますが、水俣病問題は、住民、特に被害者の心に立った調査及び対策でなければなりませんので、総理大臣は、住民、特に被害者代表を含む水俣病問題総合調査審議会意見を聞かなければならないこととし、住民意見が十分反映された総合調査計画としなければならないこととします。  第三に、調査実施関係県が行うことにしていますが、関係県知事は、国の総合調査計画に基づき、実施計画策定することにしています。実施計画を定めるに当たっては、国が調査計画策定に当たって行った精神で行うことは当然ですが、住民の意向を反映させるために、特に、調査に当たっては関係住民説明し、理解を得るようにしています。  第四に、調査のため、工場事業場等に立入検査ができるようにしています。  第五に、総理大臣は、毎年、知事の報告に基づく実施状況を国会に報告し、国民の理解を求めるとともに批判を受けなければならないこととします。  第六に、調査に要する経費は全額国の負担としています。  第七に、水俣病問題総合調査審議会委員は、被害者中心とする住民代表関係自治体代表及び学識経験者の三者構成関係行政機関の職員を加えて構成することにしています。委員選任は民主的に行うことは当然であります。  第八に、この法律は五年間の時限立法でありますが、十分な調査が終わらない場合は、法改正で延長が議論されるのは当然であります。  以上が本案の提案理由及び主要な内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  以上です。(拍手)
  4. 河野正

    河野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。      ――――◇―――――
  5. 河野正

    河野委員長 公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑英次郎君。
  6. 畑英次郎

    畑委員 私は、この際、河川環境保全の問題に関連いたしまして御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  御案内のとおり、環境行政の対象としましては、ただいま水質保全局、そういう組織の中にございまして、河川水質汚濁防止法に基づきまして、河川に対しましては、いわば排水規制ということが中心にこの対応策がなされておるやに理解をいたしておるわけでございます。  私の申し上げたいことは、水質汚濁防止に関しまして、いわゆる排水規制を十分にやっていくこと、これは重要なことであることは言うまでもございませんけれども、私ども率直に考えまして、問題は河川水量とのかかわり合い、これに対する環境庁行政指導といいますか関与度合い、これがほとんどないのが現状ではあるまいかと私は理解をいたしておるわけでございますが、この河川流量につきまして、環境庁のお立場にございましては、どのようなお立場あるいは見解をお持ちになっておられるか、まず第一点お伺いをしたいと思います。
  7. 馬場道夫

    馬場政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御質問にございましたように、河川水質保全のためには汚濁源発生源対策も重要でございますけれども河川流量問題、これまた非常に大事な問題でございます。現在、私ども環境庁といたしましては、工場等排水規制あるいは下水道の整備等によりまして河川環境基準の達成、維持を図るということが基本で、そのためにいろいろ努力をいたしておるわけでございますが、これらの対策に加えまして、河川におきます水量維持、確保がなされますように、河川流況改善と申しますか、そういうことを図ることが非常に大事であろうかと思います。そういう意味からいたしまして、私ども両々相まって河川浄化ができるというふうに考えておるわけでございまして、そこで私ども、やはり河川流量の問題につきましては、建設省等に十分御配慮をいただいて、そういう面でいろいろの対策を打っていただきたいというふうに思うわけでございます。
  8. 畑英次郎

    畑委員 いま局長のお立場でいみじくも御発言がございましたが、いわば建設省の方に御配慮を願ってという程度の表現に終わったわけでございます。私は、これは建設省のお立場では、河川法に基づきます、まあ法に基づきました行政指導あるいは行政がなされておると承知をいたしておるわけでございますが、これほど環境保全の問題が重要視されました現段階におきましては、この流量につきましても、やはり環境庁のお立場それなり発言もし、言葉をかえて申し上げれば責任を持つということが私は大切じゃないかというふうに思うわけなんで、その辺が現在果たして環境庁の方におきましてはどの程度、各主要河川と申し上げてもよろしいと思いますが、流量につきましてのデータあるいはそれに対する今日までのかかわり合い度合い、一、二具体的な例がございましたらお示しを願いながら現状理解せしめていただきたいと思うわけでございます。
  9. 馬場道夫

    馬場政府委員 私ども流量の問題につきましては、率直に申し上げまして関与度合いは小さいわけでございますけれども、ただ、いろいろ建設省関係河川審議会の前の段階であるとかあるいは主要河川、特に水資源開発に絡みますいろいろの審議会関係等におきましては、あるいは基本計画を決定するという段階におきましては、私ども意見も申し上げているわけでございます。ただ、河川流量等に関しますデータにつきましては、私ども自体調査は非常に乏しいのでございまして、やはり建設省なりあるいは県の河川管理者の方からいろいろデータをいただいておるという状況でございます。
  10. 畑英次郎

    畑委員 ただいまお話がございましたような実態ということを、私もある意味におきましては懸念しながら問題を見詰めさせていただいておる一人なんでございますが、そういうようなお立場の中で、河川法精神も、やはり流水の正常な機能が維持されるということが一つの大きな柱であることは言うまでもないところではないかと思っております。  さような意味合いの中にございまして、私は再度お尋ねしたいわけでございますが、その程度環境庁のお立場でのかかわり合い度合いでこのまま推移して差し支えがないというお立場をおとりになっていらっしゃるのかどうか、なおまた、将来に対するかかわり合い度合いがどうあるべきか、あわせてお答えを願いたいと思います。
  11. 馬場道夫

    馬場政府委員 私どもも、河川水質保全のために、発生源対策と並びまして河川流量の問題、非常に大事だろうと思っておるわけでございます。特に最近におきます都市周辺河川都市だけに限りませんけれども、いろいろ河川流量問題が非常に水質保全の上から大きな問題になっておるわけでございまして、私どもも積極的にその辺の問題も建設省なり関係機関とも十分連絡をとりながら対処してまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  12. 畑英次郎

    畑委員 実は、私ども大分県でございますが、具体的な例を一つ申し上げますと、大山川という川がございますが、これは終戦後、昭和二十七年に、当時の村が電力会社に対しまして同村の地域河川全量を売却しておるというケースがございます。いわゆる水は一滴も流さなくていいというような契約内容でございます。この当時の大山川というのは、御案内のとおり例の蜂之巣城で有名な松原、下筌ダム関連河川でございますが、私は、この一つの具体的な例をもってしましても、その際は県知事の認可あるいは行政指導の中でかような契約がなされたと思うわけでございますが、かようなケースが大山川ケースだけで終わっておれば不幸中の幸いであるというように考えますが、従来の産業優先というたてまえからしました場合には、河川の一行政区域全量を、売る方も売る方だし、買う方も買う方だというように私は申し上げた方がいいと思いますが、そういうような契約が今日現存をいたしておる。それを踏まえまして、最近では建設省の方におかれましても、余りにも河川現況がひどいということで、これは当時の建設省九州地建局長さんがかなり勇断をもちまして、いわゆる従来の発電用に回しました水の一部を河川本流に流そうというような作業がただいま進められつつあります。非常に結構なことではないかというように私は思うわけでございますが、そういう中で、やはり一度買ったものを返すのだから、あるいは補償の問題、いろいろ地元にもそれなりの関心があるというように思っておりますが、まず一点お伺いしたいのは、ただいま申し上げますように、河川全量を売却するというような契約が今日有効であるかどうか、この辺につきましての御感想なり御意見を、ただいま申し上げたお話ですからなかなかお答えがしにくいかもしれませんけれども、お伺いしたいと思います。
  13. 馬場道夫

    馬場政府委員 大変むずかしい問題でございまして、どうも環境庁立場からは大変お答えしにくい問題でございまして、河川管理をやっておられる建設省の方からお答えいただいた方がよろしいのではなかろうかと思います。
  14. 畑英次郎

    畑委員 私は確かに建設省お答えになるべき筋合いと思います。ただ、環境行政の中でこれを問題としてとらえないということであったのではぐあいが悪いと思いますので、これはやはりひとつ積極的に問題を掘り下げていただきたいと思うわけでございます。そういう意味合いで、まずいま建設省のお立場お答えを承りたいと思うわけでございますので、よろしくどうぞお願いします。
  15. 堀和夫

    堀説明員 お答えいたします。  水利権の問題に絡んだ話でございまして、権利関係でいきますと非常にむずかしい話ではないかと思います。河川法でも公益上支障がある場合には補償措置とかそういうことをやる規定はあるわけでございますが、私ども、現実を踏まえまして、新たな水の量をふやすとか、そういうことの問題については、治水利水一貫した河川総合開発観点からやるという対応が一番望ましいというふうに思っておりまして、新たな開発をやる際に、そういういままでの問題も関係者十分打ち合わせ協議いたしまして、新たな開発の中で吸い上げて対応していくということで、先生指摘の大山川につきましては、松原、下筌ダムの再開発事業ということで積極的な検討をやっておるところでございます。
  16. 畑英次郎

    畑委員 私は、最近の建設省のお取り組みも、ただいま課長さん御発言のような前向きの積極的なお取り組みがなされておるわけでございますが、私の立場から言わしていただければ、河川には当然淡水魚の問題等もございますから、かようなケースが他にないことを実は願っておるわけでございまするけれども、いまお話のございましたように、この辺の今後の取り組み、従来の経緯はございましても、今日の価値観あるいはあるべき姿というものを踏まえましてのお取り組みを願いたいというように要望を申し上げておきます。  なお、河川法関連いたしまして、今後水資源開発といいますことは、今日の油の問題、非常にエネルギー問題で国民的な課題になっておるわけでございますが、福岡市に見られましたような水不足の問題、これに関連しまして、水資源開発という問題は、私は積極的に行うべきであるという立場をとっておるわけでございます。そういう中にございましても、いろいろ事前に想定されます種々の問題点、あるいは過去の経験に照らしましていろいろ問題点が出ておるわけでございますから、そういう問題の解決には、従来以上に一層行政側におきましても関係者が熱心に取り組み解決を急がなければ、水資源の正しい開発は私はあり得ないというように考えるわけでございます。そういう中にございまして、全国的に話題を呼びましたこの蜂之巣城の絡み合いの松原、下筌ダム、そのでき上がりましたダムに、ここ数年来予期しなかった淡水赤潮が出ておるわけでございます。建設省の方におかれましても、非常に御熱心にこの解決には努力をされておるやに承知をいたしておるわけでございます。なおまた、環境庁の方におかれましても、閉鎖的な水域と申しますかあるいは湖沼地域湖沼に対しまして最近では種々データをお集めになりまして、今後の対応策を積極的に進めていきたいというようなお取り組みのようでございます。  そこで第一点。ダム淡水赤潮の問題。これは全国的な問題にもなりつつあるのじゃないかというように私は承知しておりますが、この淡水赤潮につきましての建設省の御理解度合いをこの機会にお伺いし、なおまたその対応策、ただいま進めております内容をお知らせを願いたいと思うわけでございます。
  17. 堀和夫

    堀説明員 お答えいたします。  一部のダムにおきまして、貯水池の水質富栄養化に伴いまして赤潮発生しておるというダム建設省所管ダムであるわけでございます。これらのダムにつきましては、現在赤潮発生機構解明について調査を進めておるところであります。  なお、先生指摘松原ダムについては、赤潮原因プランクトンでございまして、これが春発生するということでございまして、松原ダムにおきましては五十三年度末に試験的にプランクトン採集処理船を建造したところでございます。それで五十四年三月から四月にかけて試験的に稼働いたしまして、これは赤潮発生した水を吸い上げまして、フィルター並びに遠心分離機で除くということで、現在試験をやっておるところでございます。
  18. 畑英次郎

    畑委員 私の承知しております範囲では、この赤潮対策につきましては決め手はないというような今日の――学問的にもさようなことであるというように伺っておるわけでございますが、その辺いかがでございましょうか。
  19. 馬場道夫

    馬場政府委員 先ほど建設省の方からお話がございましたが、ダム湖その他の湖沼におきまして富栄養化が進行いたしまして、いわゆる淡水赤潮発生がいろいろ見られるわけでございます。筑後川水系におきましても、いまの下筌、松原ダム以外にも寺内ダムであるとか日向神ダムとかいろいろあるわけでございますけれども、この淡水赤潮につきましては発生機構が必ずしも十分解明されているわけではございません。こういうダム湖あるいは琵琶湖のような大きな湖にもあるわけでございますけれども、私どもそれにつきます調査検討を進めておるわけでございますが、昨年来淡水赤潮検討会というものを設けまして、学識経験者に集まっていただきまして、その発生メカニズム検討いたしておる段階でございます。  やはり基本的な原因は、窒素、燐等に伴います富栄養化にあることは間違いないと思うわけでございますけれども、それがどういうメカニズムで急激に発生をしてくるかという点につきましては、まだいろいろの説があるわけでございます。したがいまして、その辺の解明が第一に重要なことでございますが、やはりその対策といたしましては、富栄養化を防止するという観点からいろいろな対策をやっていくということで、周辺発生源対策といたしまして、特に生活排水等対策、それかろまたダム性格等によりましてはしゅんせつ等もあろうかと思います。そういう意味で、私どももそういう発生機構解明を一方でやりながら、ダムなり湖の性格に応じました、いわば水質浄化診断書と申しましょうか、そういうものを策定をいたしましてきめの細かい対策をとってまいりたいと思うわけでございます。
  20. 畑英次郎

    畑委員 私、先ほど申し上げましたように、学問的にも淡水赤潮はまだ未解決分野が多いというように伺っておるわけでございますが、さような理解の中で環境庁あるいは建設省、それぞれ御努力をいただいておると思いまするけれども、引き続き積極的なお取り組みを願いたいと思っております。  そういう中で、ただいま申し上げました内容との関連の中にございまして、いわゆる従来産業振興立場から水力発電の占めるウエートが非常に高かった。これから先の発電につきましては、発電用水見直し、こういうような時期ではなかろうかというように考えるわけでございます。なおまた、これは私の地元大分県の玖珠川現況から具体的な例を申し上げますと、玖珠町という一つの町の中に発電所が四、五カ所ある。でございますから、先ほどの大山川ではございませんけれども玖珠川にもほとんど水がない。いわゆる発電用水に取られてしまっておるというような関係でございまして、私はこの際、通産サイドの方にお伺いしたいわけでございますが、揚水発電という方にウエートをかけていくべきではなかろうかと思いまするけれども、この辺で発電用水見直し、あるいはまた、これは建設省の方にお伺いしたいわけでございますが、先ほど申し上げました大山川あるいは各河川の定点の維持流量といいますものを建設省サイド、なおまた環境庁サイドでも各河川につきまして把握をしておくこと、あるいはその数値を決めておかれる必要性がある今日の姿ではないかと私は思いまするけれども、この辺につきまして、まずエネルギー庁の方からお伺いしたいと思います。
  21. 飯島滋

    飯島説明員 ただいまの御指摘でございますが、水力発電所をつくるときには、そういった河川維持用水についての配慮は当然行っていかなければいけないのではないかというように考えております。現在では水力発電所をつくる場合に環境審査一つずつ行っておりますが、そういった点につきましても、環境庁あるいは建設省と十分御相談しながら、こういった問題が起こらないような対応策を講じながら開発は進めておるわけでございます。  それから、いま先生水力揚水発電所の方に主体を置くべきではないかという御指摘でございますが、それは電力の需給の観点からどうしても水力は必要でございますので、揚水発電所の比重が高くなってくるのは当然かと思います。ただ、現在のような石油事情でございますし、一般水力の開発というのも国内エネルギー確保という観点から非常に重要だと思いますので、そういった環境配慮しながらできるものは開発していきたい、こういうように考えております。
  22. 畑英次郎

    畑委員 ただいまの課長さんのお話のとおり、最近はさような配慮がそれぞれ関係の機関でなされておるというように私も理解をいたしております。  ただ問題は、先ほど申し上げましたように、過去の例におきまして、あるいは過去の契約の中で河川の本流本川に一滴も水を流さないというような形の契約、こういうものに対します補償といいますか、そういう問題も絡み合いの中から出てまいりますけれども、これは一般論ではなかなかお答えがしにくいかもしれませんけれども、私は現在の社会情勢あるいは価値判断、そういう中では、いわゆる全量を売却する、買う方も売る方も問題があったというふうに私は認識をいたしておりますが、こういうものに対する取り扱い――私は、見直しをする中で、まず、並行的に各河川維持流量を定点で決めるべきだという考えを私自身持って主張したいわけでございますが、この辺に対する建設省サイドのお考えはいかがでございましょうか。
  23. 渡辺重幸

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のように、河川におきまして正常な機能を維持するために流量が必要であるということは御指摘のとおりでございます。過去におきまして、そういう事例があったということは承知しておりますけれども、新しい河川法におきましては、河川法目的一つとして、流量の正常な機能の維持というのが掲げられているわけでございます。したがいまして、建設省では、工事実施基本計画を定めます場合に、その河川の基準地点を設けまして、その地点で正常な機能の維持のために必要な流量というものを明らかにしていきたいというふうには考えておりますが、すでに河川というのは非常に利用が進んでおります。また日本の河川は、御承知のように洪水時と渇水時の流量が非常に差がありまして、これをこの法律に基づく基本計画に明記するというのは、利水者の利害関係もございまして、なかなか十分には明確になっていない点がございます。しかし、建設省といたしましては、なるべくこの維持流量を明確にしていこうということでこれまでも努めてまいりまして、現在百九水系中三十二水系につきましては、今後調査検討するものを含めまして、一応の流量を定めてまいったところでございます。今後もその方向で努力してまいりたい、このように考えております。
  24. 畑英次郎

    畑委員 各河川とも、さような意味合いで、環境保全を踏まえました維持流量といいますものをぜひひとつ速やかに設定を願いたいと思います。  なおまた、最近では各河川におきまして、それぞれ関係住民の方からも、この維持流量のしかるべき数字をというような具体的な要望等がなされていることも御案内のとおりでございますので、積極的なお取り組みをお願い申し上げておきます。  そういう中で、この水問題に関しましては、維持流量等の問題にかかわり合いのある問題で、先ほど来のお答えを伺っておりましても、建設省あるいは通産省、そして環境庁――残念ながら今日までのところ、環境庁かかわり合いがすべてにわたりましてその度合いが低い、さように私は感じ取っておる一員でございます。正しいあるべき姿の水資源開発あるいは発電の問題、こういうものは積極的にやっていくべきだという立場を私は当然とっているわけでありますが、あわせて環境庁がもっと積極的に関与できるような、しなければならない今日の状態ではないかというように考えておりますことを申し上げたいと思います。  なおまた、ただいま九州では、いわゆる筑後川の流量の問題がいろいろ論議を呼んでおります。御案内のとおりでございます。有明海における毎秒四十トンあるいは四十五トンの問題、これは筑後大堰直下の流量でございますが、この問題に関連しまして、国土庁における筑後川のフルプラン、これを作成されます段階の国土庁サイドにおける環境庁との打ち合わせの度合い、この辺について御説明を願いたいと思います。
  25. 馬場道夫

    馬場政府委員 筑後川のフルプランの問題でございますが、水資源開発法に基づきまして国土庁が基本計画を立てる、あるいはこれを変更するというような場合には、私ども当然協議にあずかっているわけでございまして、その際に、いま先生がおっしゃられたような河川水質保全を図る立場からいろいろ意見を申し上げている段階でございます。
  26. 畑英次郎

    畑委員 いまお答えがありましたように、意見を申し上げるというような環境庁のお立場で差し支えないのかどうか、この辺もう一遍お伺いしたいと思います。
  27. 馬場道夫

    馬場政府委員 意見を申し上げてと言いますと大変あれでございますけれども、私ども環境保全立場からどうすべきかというようなことも積極的に提言もいたしますし、またこうしてほしいというようなことも含めていろいろ協議をし、環境庁立場を主張しているわけでございます。
  28. 畑英次郎

    畑委員 最後に長官にお伺いをしたいわけでございますが、ただいまお聞きのとおり、各河川維持流量の問題、従来これは建設サイドあるいは通産サイドの方が主導権をおとりになって仕事がなされておった、やむを得ない背景があったというように私は理解いたしております。これから先、あるいはこの時点におきましては、ただいまの内容につきましてはかなり見直しを加えまして、いわば環境庁が主導権を握ってやっていくべき分野が多いというように考えるわけでありまして、これらはただいま問題になっておりますアセス法の関連精神の中にも当然入ってくる問題であろうかというように考えております。この辺、いわゆる維持流量の問題、河川の量的な問題、これに対する環境庁のお立場、あるいは長官としての考え方、所信をお伺いしたいと思います。
  29. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来先生の御質疑を拝聴いたしまして、維持流量の問題初め水資源開発の問題、大変重要な問題でございまして、今後環境庁といたしましては、環境保全立場からもさることながら、積極的に進んで会議等に対しましても参加いたしまして、発言すべきことはどしどしと発言をしてまいりたい、かように考えております。
  30. 畑英次郎

    畑委員 終わります。
  31. 河野正

  32. 兒玉末男

    兒玉委員 最初に環境庁長官にお伺いをいたしますが、すでに長官のお手元にも報告書が参っておると思うんですけれども、大隅開発に関する、宮崎県側が約二カ年間、五千万円の莫大な金を投じてつくりましたアセスメント報告書が、実は関係機関が専門的な立場から分析をしたところ、六十カ所以上も記載事項にミスがあり、あるいは数値が基準の三倍以上もあるにもかかわらず、全くでたらめな評価をしている問題など、これらの問題が公的な機関では去る三月十三日の県全協議会、十四日の串間市議会でも取り上げられまして、関係地区住民の、県のアセス報告は一体何なのかという根強い不信の念がいま巻き起こっております。  私も一昨日、実は串間に参りまして、関係者が二百名ほど集まりまして、これに関する検討、研修の席上に参加しましたが、宮崎県側のこのような見苦しい状態を、われわれ出身県の議員として、公の場で物も言いたくないくらい恥ずかしい話でございますが、このように重要な環境事前評価報告書というのが余りにもミスを犯しているということは、今後の環境行政上も全く県民の信頼を失っていると思わざるを得ないのであります。  一体県はどういうふうな調査機関に依頼をしたのか、無責任と言わざるを得ないのでございますが、今後の環境庁行政指導ということが十分に問われると思うんですが、どう対応をお考えになっているのかというのが第一点。  第二点は、先般も申し上げましたように、現在志布志港が公有水面埋立法によって、大隅開発の第一号予定地の中にある百五十ヘクタールのうちの九十八ヘクタールが埋め立てられようとしておりますが、先般の予算分科会では、環境庁関係ないとあえて言われましたが、これを否定される根拠は一体何であるのか。  同時に、きわめて悪質な法の悪用によって、国定公園の指定解除を行う措置がとられているが、これは許されない行為だと考えるわけであります。もちろん先般長官の御答弁もいただいておりまするが、今回宮崎県が発表したこのアセス報告書の多くのミスの問題とも関連がございますので、以上三点について環境庁長官の御見解を承りたいと存じます。
  33. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  宮崎県の問題につきましては、私、新聞報道を通じまして承知をいたしたのでございますが、この新大隅開発計画に関連する環境影響調査は宮崎県が独自に行ったものでございまして、環境庁といたしましては、この計画につきまして、将来仮に政府といたしまして何らかの意思決定が行われた場合には、鹿児島県側とあわせて環境保全上の観点から所要の意見を述べる等の対処をして県を指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。  それから、志布志湾の問題でございますが、昭和五十四年の志布志港の港湾計画の改定に当たりましては、鹿児島県及び運輸省から、この計画の改定は新大隅開発計画とは別個のものであり、通常の港湾計画として必要な限度の拡張計画であるという説明を受けておりまして、環境庁といたしましてもそのように理解をいたしておる次第でございます。また、環境庁といたしましては、この志布志湾の計画改定を承認するといたしましても、それがすなわち新大隅開発計画に対しまして前向きであるということを意味するものではないと思っております。今回の志布志港内の公有水面埋め立ての検討を行うに当たりまして、この方針に変わりはございません。  なおまた、新大隅開発計画につきましては、環境庁といたしましても重大な関心を持っておりまして、慎重に対処いたしてまいりたいと思います。  また、国定公園の問題につきましては、従来繰り返し御答弁を申し上げておりますとおり、方針は変わっておりませんので、御理解を賜りたいと思います。
  34. 兒玉末男

    兒玉委員 環境庁の主管的な対象ではないので、環境庁長官としては鹿児島県側の報告をそのまま正直に受けとめられているものと私は理解するわけでございますけれども、現地住民が見ますと、大隅開発の第一号用地が百五十ヘクタール、ちゃんと食品工業等の指定用地になっているわけです。それがいままで、五十三年に鹿児島県側が宮崎県側の立場を無視して県独自のアセスを発表したことについて、宮崎県側がやかましく言いまして、そんな勝手なアセスは認めるわけにいかないということで、今度宮崎県側が腰を上げて、実は二年がかりで評価をしたわけであります。そういう相関関係から考えてみましても、長官としては環境庁という立場から、この埋め立ては関係ないというふうにはっきりと言われましたけれども関係漁民、住民、市町村民は、鹿児島県側のやり方は余りにもごまかしの、ずるいやり方ではないのか。一号用地を同じ目的で埋め立てをし、同じ施設をつくろうとする予定であるのに、全く開発関係ないと断言する法的根拠は一体どこにそれを見出すべきか。これは環境庁の所管ではございませんけれども、今後、国定公園解除の問題と関連がありますので、この際、環境庁としては、県側の意見だけでなくして、期成同盟の意見も十分聞いておかないと、長官の言われた答弁が、後日それはまやかしであったということが必ず指摘をされる日が来ると私は確信を持つわけであります。これらの点については、鹿児島県当局だけの意見ではなくして、たしか二月の二十一日であったと思うのですが、期成同盟等が関係の報告書を含めて長官のところに提出されていると思うのですけれども、長官としてこれを十分読んでいただきまして、今後そのような過ちがないように十二分の対応を要望したいと私は思うのです。  それからもう一つは、宮崎県側が発表しましたアセスに六十数カ所も記載ミスがあるということは、単なる表現上のミスということでは許されない問題であります。環境庁としても、宮崎県側のこの報告書の内容について専門家等の意見を聴取して、地域団体の指摘する問題が間違いであるかどうかの確認はする必要があるのではないかと思うのですが、以上二点について長官の御見解を承ります。
  35. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先般、地元の代表の方々が環境庁へお見えになりまして、その陳情の内容等につきましては私もよく承知をいたしておりまして、早速係官を現地に派遣いたしまして、地元の皆様方の御意見をいろいろ承ったり、また環境庁立場からも調査をさせていただきました。今後も、地元の皆様方の御意見を承りながらこの問題に対処いたしてまいりたいと思います。  それから、宮崎県側が宮崎県の独自の立場において環境影響評価を行った件につきましては、環境庁といたしましても、今後連絡をとりながら対処してまいりたいと思います。
  36. 兒玉末男

    兒玉委員 ちょっと答弁が不足であったように思うのですが、宮崎県側の報告書の内容というのが、専門的立場から見た場合に六十数カ所のミスがはっきり指摘されております。その点については環境庁としても、地域団体の指摘しているミスがそのとおり間違いであるかどうかという確認はしておかれる必要があると思うのですが、その点はいかがでございますか。
  37. 金子太郎

    ○金子政府委員 宮崎県側の調査報告書は私どもまだいただいておりません。また、そのような重大なアセスメントの報告書に初歩的な非常に大きなミスがあったとすれば、それははなはだ遺憾なことであるというふうに考えております。  それから、環境庁として誤りを指摘するというような問題に関連してでございますが、私どもは、もしも県の方から調査、予測、評価などの技術的な問題について相談に乗ってくれ、あるいは指導をしてもらいたいという要請があればそれに応ずるつもりはございますが、現在までのところ、そういう要請もないというような状態でございます。
  38. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、大阪に本社のある旭化成が宮崎県日向市の臨海工業地帯に、研究の成果を踏まえて濃縮ウランプラントの設計をし、ここに実験段階工場を設置しようとする報道がなされております。これは一般素人としては、濃縮ウランと言えば原子爆弾を連想し、また放射が人体に与える影響あるいは海水汚染等の問題に常識論として疑念を持つものでありますが、関係する機関、通産省なり科学技術庁なりがいわゆる認可をするまでのチェック機能といいますか、ただ申請があったからオーケーというわけにはいかないでしょうから、どういうようなチェックの行程を経て認可の段取りになるのか、まず第一点お伺いをしたいと存じます。
  39. 佐竹宏文

    ○佐竹説明員 規制当局であります科学技術庁からお答えさせていただきます。  旭化成のウラン濃縮プラントは、現在研究開発段階にあるものでありますので、原子炉等規制法上は核燃料物質の使用として規制されることになると思われます。このプラントの建設、運転に当たりましては、まずウランの使用の目的、使用の方法、使用の期間、それから使用量、それから使用施設、それから貯蔵施設、それから廃棄物を廃棄いたします廃棄施設等を記載いたしました使用許可申請書を科学技術庁長官に提出し、許可を受けることになっております。  科学技術庁といたしましては、この許可に当たりまして申請内容が原子炉等規制法に定めます基準、四つございますが、一つは「核燃料物質が平和の目的以外に利用されるおそれがないこと。」、二つ目は「原子力の研究、開発及び利用の計画的な遂行に支障を及ぼすおそれがないこと。」、三つ目は「使用施設、貯蔵施設又は廃棄施設の位置、構造及び設備が災害の防止上支障がないものであること。」、四つ目は「核燃料物質の使用を適確に行なうに足りる技術的能力があること。」について厳重な審査を行うこととなっております。  特に、災害の防止上支障がないかどうかについては、必要に応じ科学技術庁に置かれております原子力安全技術顧問の意見を徴しつつ十分にその安全性を審査することとしております。すなわち、この安全審査におきまして、放射能が人体に影響を及ぼさないこと、またその地点における過去の地震歴等を調べまして、それらから判断いたしまして施設の耐震設計が十分なものであること、それから施設内の放射線測定の方法ですとか、機器が適当なものであるかどうかについて十分確認することになっております。またプラントが運転開始されました後も、必要に応じまして核燃料物質の使用の状況調査いたしまして安全確保に万全を期すつもりでございます。
  40. 兒玉末男

    兒玉委員 通産省が所管事項でございますが、通産省としてはどういうふうな申請が出される段階対応されようとするのか、見解を承りたいと思います。
  41. 熊野英昭

    ○熊野説明員 お答え申し上げます。  ただいま科学技術庁の方から御答弁ありましたように、安全性のチェックその他の規制面は科学技術庁の方で御担当になるわけでございます。  本件は、旭化成工業におきまして、昭和四十七年以来自社の研究開発といたしましていわゆる濃縮ウランを化学交換法でつくる、こういう研究を進めてまいっております。これまでのところ、いわゆるベンチスケール、小規模での運転試験はきわめて順調に進んでおりまして、この実績を踏まえてモデルプラントの建設、運転を行うために必要な準備をやっておるわけでございます。先ほど先生から御指摘ございましたように、そのモデルプラントを宮崎県の日向市の細島地区にございます旭化成の自社敷地内に建設するべく検討中であるというふうになっています。  通産省の立場でございますけれども、通産省といたしましては、こういう非常にすぐれた研究開発でございますので、これを育成していくということで、科学技術庁と協力いたしまして、助成対象として現在国会で御審議をお願いしております予算の中に補助金の計上をさしていただいているわけでございます。  本件にかかわります安全性の問題につきましては、先ほど科技庁から御説明ございましたように、原子炉等規制法に基づきまして、使用の許可を得て建設が行われることになるわけでございますけれども、許可を得た後も、規制当局としてのチェックの目も配られると思いますし、当然のことながら旭化成工業自体も、その規則等に基づきまして厳重な管理を行っていくことになろうかと思います。それはそれといたしまして、安全性等について、私どもがどういうふうに現時点で一般的に考えているかということを簡単に御説明さしていただきたいと思います。  本モデルプラントの規模は、先ほど来御説明しておりますように、研究開発用のプラントでございますので、実用段階に比しましてワンユニット当たりの規模は数十分の一という小さなものでございます。またそれをワンユニットだけ建設、運転をして研究を続けていくということでございます。それから基本的にこのプラントは、やはり研究開発でございますので、いわゆるリサイクルシステムあるいはクローズドシステムと申しますか、原料を入れまして微濃縮されましたウランと、ウラン235というものがウエートがふえますと同時に、他方減損ウランと申しますけれども、ウラン235の比率が減ったものがございますけれども、それをまた原料として繰り返して使っていく、こういういわゆるリサイクルシステムを採用いたしますので、安全管理の点ではきわめて容易でございますので、基本的に放射能等が人体に及ぼす影響はないというふうに考えております。  ただ、周辺環境への配慮ということは当然のことながら行う必要があるわけでございますけれども周辺環境への影響といたしましては、基本的に大気への影響、それからもう一つは排水の関係、先ほど御指摘のような点だろうと思いますけれども、まず大気関係について申し上げますと、このプラント自体が完全に密封されましたコンクリート建屋の中で設置されますし、それから先ほどから申し上げておりますこのプロセスは、ウランの粉じんとかあるいはウランのガスとかそういったものを生じないような工程でございますので、いわゆる大気への排出というものはあり得ないというふうに考えております。  それから、水質関係についてでございますけれども、これも先ほど来繰り返し申し上げておりますように、リサイクルシステムあるいはクローズドシステムというかっこうで行われますので、運転中外部へウラン溶液の排出を行うようなことは一切ございません。ただ、これ自体研究開発目的でやるわけでございますから、点検でございますとかあるいは分析、解析のために溶液からサンプルを抜き取るということは当然あるわけでございます。その際も溶液につきましては一度容器に受けとめた後に十分処理を行いまして、またそれを行ったものを再度貯蔵して分析モニタリング等を行ってから関係法令を、これは国の関係法令あるいは県の規制等ございますれば、そういった関係法令、規制基準を十分に遵守した上で一般の排水とともに排出することになろうかと思います。  以上、申し上げましたとおり、基本的に本件は研究開発段階であるために規模が小さいこと、それからクローズドシステムとかそういったことで放射能等の周辺環境への配慮は万全でございまして、環境の汚染等の心配はないもの、こういうふうに考えております。
  42. 兒玉末男

    兒玉委員 それで、私三点ほど一般の住民が疑問を持つような点ですね、たとえば日向灘は地震地帯でございます。地震が発生した場合に運転中の機能が破壊するということは十分予想されます。それについてはどういうふうな対応をするか。地域住民がわかりやすい、核燃物質というのは非常に専門的な用語であって、そういう数字の羅列ではなかなか地域住民理解しない。それに対するところのわかりやすい解析。  それからもう一つは、常時運転中の――先ほどの説明では大気への影響はないということでございますが、海水への排水は、私は廃液は当然あると思うのですね。その場合に、廃液の濃度というものが、たとえば光化学スモッグのように、あるいは温度のように一般市民が常時数値が読めるような一般大衆への広報施設ですね、それによってなるほどこれならば安心だ。私はやはり施設の整備ということが今後環境保全立場からも強く要望されるわけでございます。同時にまた、関係団体への説明等の場合でも、単なる抽象的な表現や数字の羅列ではなくして、図解によって、本当にこれは安全であるという理解ができる対応をしなければ、なかなか地域住民理解と協力を得ることは困難ではないかと私は思うのですが、それに対する対応。  それからもう一つは、このような原子力関係の機関というのは、環境庁設置法の対象事項になってないわけです。これは環境への影響が多分にあるわけでございますが、どうして環境庁設置法の対象事項の中に原子力関係が全然入ってないのか、この点、私は環境庁設置法を読んだらないので不思議に思うわけですけれども、これはやはり法律改正等を通して、核燃物質なり原子力関係についても、当然環境庁の所管事項の中にその項目があってしかるべきではないかと思うのですが、これについては環境庁長官の答弁も求めたいと存じます。  以上、申し上げます。
  43. 熊野英昭

    ○熊野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘の点は幾つかあったわけでございますけれども、第一点が地震等に対する心配の問題だと思います。それから第二点が排水による海水汚染のおそれはないか、それから第三点が監視をどういうふうにやっていくのか、それから第四点が地元等への十分な説明が必要ではないか、こういう御指摘があったと思いますので、その点につきましてまず私の方から通産省としての考え方を御説明させていただきたいと思います。  まず、第一点の耐震性の問題でございますけれども、本モデルプラントの耐震性につきましては、旭化成工業といたしまして、もちろんのこと十分な解析を技術研究所等で行いまして、その結果を設計に反映することとしております。一方、モデルプラントの建設につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、原子炉等規制法に基づきまして使用の許可を得て行われることになるわけでございますけれども、その際、先ほど科学技術庁の方から御答弁申し上げましたように、必要な耐震設計、地震対策等につきまして所要のチェックあるいは指導が行われることになろうかと思います。もちろんこの点につきましては、私ども通産省といたしましても、旭化成工業に対しまして必要な指導は十分に行ってまいり、保安対策について、旭化成はもとより、国としても万全な配慮をやっていく必要があろうかと考えております。  それから、第二の排水による問題でございますけれども、これは先ほどもちょっと触れましたように、本プラントはシステムそのものがクローズドシステムになっております。したがって、運転中は外部への溶液の排出は一切ございません。ただ、運転中はございませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、点検とかあるいは分析、解析をするために溶液のごく一部をサンプルとして抜き取る必要がございます。この際は、当然、その点検あるいは分析をした後に溶液は容器に受けとめまして、必要な処理を行って再度貯蔵し、それから貯蔵したものについて分析モニタリングを行って、その上で関係法令、規制等を十分遵守した上で排出することとしております。特にウランにつきましては厳しく回収を行いまして、海水に排出する際には、ウランの濃度は、もともと御案内のように海水の中にはウランが十億分の三程度含まれております。したがいまして、海水に放出する際には、もともと海水の中に含まれておる濃度、ただいま申し上げました十億分の三程度のごく微量な濃度以下にするように旭化成工業の方では検討しておる次第でございます。  それから、ウラン以外に当然このプロセスの過程で酸化剤とか還元剤といったふうな薬品も使うわけでございますけれども、これらにつきましても、水質汚濁法で言いますところのカドミウムとか水銀等のいわゆる有害物質は一切含んでおらない状況でございます。したがいまして、排水による海水汚染については影響を及ぼすおそれはないというふうに考えておる次第でございます。  それから、第三の御指摘は、この監視をどういうふうにするかということ、あるいはウラン濃縮の危険性といったことなどと考えますけれども、ウラン濃縮と申しますのは、先生十分御案内のように、天然ウランの中に実は――天然ウランというのはウラン235という同位元素とウラン238という同位元素が含まれておるわけでございますけれども、そのうちウラン235が実は天然ウランの中には〇・七%程度含まれておるわけでございます。この比率を、発電用の燃料として使用するために三%程度に高めるわけでございます。これは基本的に、連続的に核分裂をするようなことはないわけでございますので、危険なものではないわけでございます。したがって、問題は基本的にはないと思いますけれども、当然のことながら、原子炉等規制法に基づきまして、同法の規定に従いまして管理区域あるいは周辺監視区域内におきまして放射線の計測を十分に行うことは当然のことでございます。こういうことで監視は十分にやっていけるというふうに考えております。  それから、御説明でございますけれども、以上申し上げましたように、安全対策につきましては基本的に十分やっていけるものと判断しておりますし、また規制当局におきまして十分なチェックが行われるわけでございますので、問題はないと思っておりますけれども、国と申しますか、私どもといたしましても、本件につきましてすでに県の関係部局に対しましては所要の説明を行ってきているところでございますけれども、今後とも必要に応じまして県当局に対し十分な誠意ある説明を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。よろしく御理解をいただきたいと思います。
  44. 佐竹宏文

    ○佐竹説明員 お答えいたします。(兒玉委員「ポイントを簡潔に、時間がありませんので」と呼ぶ)はい、わかりました。  耐震につきましては、先ほど申しました原子力安全技術顧問の中には耐震の権威もおられます。また耐震設計に当たりましては、当地における過去の地震歴も調べます。また科学技術庁といたしましても、このような研究施設の審査実例がございますので、十分対処できると考えております。  それから、海水の濃度ですけれども、法令に定めます許容濃度は、放射線医学あるいは生物学、遺伝学、それらの世界的権威から成る国際放射線防護委員会の勧告に基づきまして、わが国におきましても放射線審議会、原子力委員会の審議を経て法令の濃度が決まっておりますので、これ以下に保たれれば安全上問題はございません。  それからまた、常時一般の方にウランの濃度を表示できないかという御質問でございましたが、これは、海水に微量に含まれますウランは、連続的測定が現在の技術では困難であります。排水の一部をとりまして蒸発乾固し、化学処理してから測定することになりますので、やはり結果が出るまでは二、三時間がかかることになります。したがいまして、即時に表示するようなことは現在の技術では無理でございます。
  45. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、公害対策基本法第八条では、放射性物質による環境汚染につきましては、「原子力基本法その他の関係法律」によることとされ、科学技術庁が原子力行政の一環として一元的に所管するところとなっておりますので、この点を御理解を賜りたいと思いますが、先生の御意見、大変貴重な御意見でございますので、私といたしましてもいろいろ勉強させていただきたいと思います。
  46. 兒玉末男

    兒玉委員 時間があとわずかでございますが、二点だけ見解を賜りますが、科学技術庁に申し上げますけれども、排水状況の結果を測定するには三時間ぐらいの時間がかかるということでございますが、三時間要する、要しても結構だと私は思うのです。その状況が常時関係住民団体に理解される方法をとっていただきたいということを申し上げたわけです。即刻ということではなくても、三時間で化学反応が出れば、その状況がこういう状況だということを、これはやはり原子力基本法第二条の公開の原則から考えても当然の義務ではないか。そのことなくては安全性の確認を知るよしがないわけであります。その点、今後十分実施の段階で御配慮をしていただきたいということが第一点であります。  それから第二点は、環境庁長官に申し上げますけれども、先般宮崎県側が発表した報告書は環境庁の方には届いてない、こういう金子局長の御答弁でありましたが、県の方に申しまして、新たに修正した報告書が出た場合には、必ず環境庁の方に報告するように私の方から県知事に連絡しますので、その際、ひとつ環境庁においても再度のミステークが起きないように十分な御配慮を私は要望するわけですが、以上の点について見解を承りたいと思います。
  47. 熊野英昭

    ○熊野説明員 ただいま排水についてのモニタリングができないかという先生の御指摘でございましたけれども周辺環境におけるモニタリングにつきましては、必ずしも法律上は義務とはなっておりませんけれども地元の御要望に従いまして、旭化成あるいは規制当局とも十分御相談をしながらできれば所要の指導を行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  48. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  宮崎県知事の方から御要請等がございましたならば、その時点におきまして十分御相談をさせていただきたいと思います。
  49. 兒玉末男

    兒玉委員 終わります。     ―――――――――――――
  50. 河野正

    河野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  公害対策並びに環境保全に関する件調査のため、本日、日本道路公団理事大島哲男君を参考人として意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 河野正

    河野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  52. 河野正

    河野委員長 質疑を続行いたします。小川国彦君。
  53. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、きょう環境庁建設省、道路公団、関係省庁の出席を得まして、東京湾岸道路の公害環境対策の問題について質問をいたしたいと思います。  東京湾岸道路につきましては、東京湾岸に沿いまして目下建設が進められているわけでございますが、建設省、公団においては、湾岸道路の建設によって関係地域住民に公害を与えないよう環境対策に十分考慮を払われておると思いますが、その点については、建設省、公団、それぞれそういう点の配慮はどのようにしながら工事を進めておられるか、まずその点をそれぞれお伺いしたいと思います。
  54. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  東京湾岸道路の大気汚染と騒音の予測は、昭和五十三年七月に出されました「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針について」の事務次官通達に基づきます環境影響評価技術指針(案)及び同年十月に出されました技術指針細目・道路事業編(案)に沿いまして、騒音の予測並びに大気汚染についてはNO2の予測を行っております。  例で申し上げますと、千葉市の真砂地区での予測結果では、騒音につきましては、対策として、東関東自動車道には両側に先折れ型の八メートルの遮音壁と、中央分離帯に五メートルの遮音壁を設置することとし、国道十四号には高さ二メートルの遮音築堤と、一部地区におきましてはさらにその築堤上に高さ三メートルの遮音壁を設置することとしておりますので、現況の騒音レベルは改善されまして、現在よりもよくなります。一部の高層ビルの上方の階を除きましては、東京湾岸道路に起因いたします騒音は環境基準以下になると予測いたしております。  また、二酸化窒素の予測についてでございますが、自動車排出ガス規制の効果によりまして、東京湾岸道路に起因いたしますものは、道路端で年平均値〇・〇〇五ppm、道路端から約七十メートルから百メートル離れております住宅地では〇・〇〇二ppmと予測され、それに将来のバックグラウンド濃度としては、自動車排出ガス規制、これはほかの道路の部分でございますが、その効果も考慮いたしまして、おおよそ〇・〇二三ppmと予測しておりまして、これらを合わせても〇・〇二五ppm程度で、環境基準の年平均相当値の〇・〇三ppmを下回ることを予測いたしております。
  55. 大島哲男

    ○大島参考人 道路公団では現在湾岸道路の工事をやっておりますが、その環境影響につきましては、先ほど建設省課長から説明いたしましたように、建設省から出されました指針に基づきまして事前評価をやっております。現在の対策は、これもただいま課長が申しましたような方向で進めておるわけでございます。
  56. 小川国彦

    小川(国)委員 次に、環境庁についてお伺いいたしますけれども、公害のない環境ということは、具体的目標で定めると、最近千葉県臨海部の公害防止計画というものが承認されたわけでありますが、当然これに定めた目標値が公害のない環境ということになろうというふうに思われますが、この点は環境庁としてはどのように御判断をしておりますか。
  57. 金子太郎

    ○金子政府委員 千葉臨海の公害防止計画は、旧計画が五十三年度で終わりましたので、先般の閣僚会議におきまして、五十八年度まで新しい計画を再びスタートさせていただくことができたわけでございます。その中におきます大気の関係、なかんずくNO2につきましては、五十八年度を目途に環境基準を満たす。それは〇・〇四から〇・〇六のゾーンの中という意味でございますが、そのように目標値が設定されているところでございます。
  58. 小川国彦

    小川(国)委員 そういたしますと、建設省ないし道路公団の行う道路建設についても、環境庁のこのゾーンの中に当然含まれなければならない、こういうふうに理解されると思うのですが、その点はそのように判断してよろしゅうございますか。
  59. 金子太郎

    ○金子政府委員 それは公害防止計画の性格ともかかわるものでございますけれども、これまでのところ、目標年度に目標を決めまして、その達成のために最大限の努力をするという方式をとってきておるところでございます。
  60. 小川国彦

    小川(国)委員 建設省にお伺いしたいのですが、千葉県においては湾岸道路は県の公害防止計画に適合させていくということを答弁しておるわけでありますし、それからもう一つ、いま環境庁も公害のない環境というのは県の公害防止計画の目標であるというふうに言っておられるわけですが、建設省もこの目標に適合させた対策が当然講ぜられるべきであると思いますが、その点についてはいかがでございますか。
  61. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  大気汚染につきましては、東京湾岸道路に起因するNO2の濃度予測を行っております。その結果は、自動車排出ガス規制の効果によりまして環境基準を下回ることとなっておりますが、当地区の大気質全体の保全につきましては、固定発生源の排出規制及び自動車排出ガス規制等による総量規制、都道府県公安委員会が行う交通規制等の総合的対策が必要であるというふうに考えております。
  62. 小川国彦

    小川(国)委員 ところで、そういうふうに建設省の方ではおっしゃられるわけですが、千葉県の昭和六十年における排ガス規制というものを見込んでも、湾岸道路による汚染というものは非常に激甚な状況を呈しておりまして、工場とかビル、そういうものの汚染をゼロにしても県の目標は達成できないということを千葉県でも発表しているわけであります。特に車による汚染が五〇%を超えておりまして、工場による汚染の一二、三%を超えた五倍近い汚染、こういうことを千葉県では発表をしているわけであります。つまりすでに回答した公害のない環境目標というものは、いまの計画では排ガス規制を見込んでも達成できない、こういうことを千葉県では発表しているわけであります。その点について何らかの対策を考えないと、千葉県の言っている目標が達成できない状況というものが現出してきているわけでございますが、建設省としては一体こうした千葉県の発表に対応する対策というものはあるのか。固定した施設の五倍も、この自動車による汚染というものが五〇%を超えているという状況の中で、道路建設を現状のような形で進めていくということでは、とてもこの千葉県の言っている状況の改善にはならないわけで、その点をどう解消する見通しがあるのか。その点をひとつもう一度明確に御答弁願いたい。
  63. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  少し数値を申し上げてみたいと思うわけでございますが、これは真砂地区あるいは若松団地の例でございますが、東京湾岸道路を発生源といたします、これは自動車から発生するということになるわけでございますが、二酸化窒素濃度の予測を行ったわけでございます。これによりますと、昭和六十年における年平均値で見てみましても、道路に一番近いところで〇・〇〇六ppmとなっております。いま環境基準といたしましては、これは日平均値でございますが、〇・〇六でございますか、これを年平均にいたしますと〇・〇三になるわけでございます。したがって、〇・〇三に対して東京湾岸道路の沿道において、この東京湾岸道路から発生する二酸化窒素は約五分の一程度になるわけでございまして、したがって、やはりその地域のバックグラウンドというものをきれいにしていくということがぜひ必要で、先ほど申し上げましたように、自動車はもちろんのこと、固定発生源の排出規制、それから自動車排出ガス規制による総量規制、それから交通規制といったような総合的な対策によってこの目標が達成されるというふうに考えております。
  64. 小川国彦

    小川(国)委員 大変な道路公団ないし建設省の思い過ごしの数字が発表されているので実はびっくりしているわけでありますけれども、東京湾岸道路の交通量というのはこれから十三万台の交通量が見込まれている。そういう状況の中で、いま言われた汚染は二酸化窒素に関しては道路上で〇・〇〇六、これは言わば離島の佐渡島における大気の状況です。それからまた道路から百メートルぐらい離れたところで〇・〇〇四ないし〇・〇〇二ppmの年平均値というのは、もうほとんどの日が南極大陸と同じような大気の状態になっている。全く汚染が起こらないような数字を示されているのですけれども、この十三万台もの自動車交通量を見込んだ中で、佐渡島や南極大陸と同じような状況を現出せしめるということを一体建設省はどうして可能だというふうにお考えになっているのか、その関係をもう少し具体的に――総量規制でどうなるということじゃなくて、千葉県が言っているように、自動車の排ガスだけで五〇%を超えるという実態の中で、この道路建設によって当然十三万台もの交通量になってくるわけですから、その実態を踏まえて、こうしたすばらしい環境条件が現出するように思われるのですか、一体どうしてそれを現出せしめることができるのか、もう少し具体的に答弁を願いたいと思います。
  65. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  大気汚染をどういうふうにして計算したかということでございますが、この地域においては、これから六車線の高速道路が入るわけでございまして、現在国道十四号に交通が通っておるわけでございますが、そういうものを踏まえて予測モデルで予測を行っております。大気汚染につきましては、差分モデル式、またこれを補完する意味でプルーム・パフ式というような拡散モデル方程式を利用いたしまして予測を行った結果でございます。
  66. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれも予測というようなことで発表されているのですが、それでは、皆さんの方で現実に自治体の千葉市等が測定している数値等については検討なすったことはございますか。
  67. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  真砂地区の大気汚染の現状につきましては、地方自治体で近傍に設置しております一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局の実測結果から把握するとともに、真砂地区におきましては、昭和五十三年十月二十七日から同年十一月九日までの十四日間について日本道路公団で実測を行っております。  その結果を御報告いたしますと、いま申しました検見川小学校における五十三年度の測定結果では、NO2の日平均値の年間九八%値でございますから、普通日平均値と使っておる言葉ですが、これが〇・〇六七ppmとなっております。それから日本道路公団の真砂地区で行いました実測結果、これはいま申しましたように、五十三年十月二十七日から十一月九日の十四日間の平均値でございますが、これは道路の沿道で行ったものでございます。これは一時間値の日平均値でございますが、この最高が〇・〇四六ppm、最低が〇・〇一八ppm、平均で〇・〇三二ppmというふうになっております。
  68. 小川国彦

    小川(国)委員 あなたの方では何か一般環境測定局なんて言っておりますが、これはどこで測定なすったのですか。具体的に測定なすった機関はどこでございますか。
  69. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 検見川小学校のものにつきましては、千葉市で一年間継続して実施したものでございます。
  70. 小川国彦

    小川(国)委員 そういたしますと、千葉市の測定したもので、真砂側の稲毛公務員住宅の十五日間の測定によると、最大の日平均値〇・〇四ppm、それから〇・〇六ppmというような新環境基準の上限値を二酸化窒素に関して八日も超えている、こういう事実は確認しておられますか。  それからさらに、この中には〇・〇九四、それから〇・〇九〇ppmというような、いわば倍近い高い数字も出ている。一年の風向からして、真砂側より影響が少し少ないと予想される検見川小学校ですらすでに環境基準を超えている、こういう実態があるということ、こういう事実は御存じでございますか。
  71. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 いま先生おっしゃられた数値そのものについては、私存じ上げておりませんが、いま申しましたように、検見川小学校で行いました一般の環境大気測定局によります結果から見ても、先生が言われたようなことではなかろうかと思います。ただ、いま先生がおっしゃられましたのは、日平均値をおっしゃられたのか、年平均値をおっしゃられたのか、わからなかったわけでございますが、日平均値であれば、環境基準は、〇・〇四から〇・〇六でございますし、もし年であれば、その半分くらいが相当する数字でございますので、その辺、ちょっと私わかりませんでしたのですが……。
  72. 小川国彦

    小川(国)委員 私が伺ったのは、日平均値です。日平均値でまいりまして、新環境基準の倍近い数字が検見川小学校で出ている、こういう事実を皆さんの方は確認しておられるか、こういうことを伺っているわけです。
  73. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 いま先生おっしゃられましたのは日平均値ということでございますが、そういたしますと、環境基準といたしましては〇・〇四から〇・〇六ということになりますので、おおむねその範囲内ではなかろうかというふうに思います。
  74. 小川国彦

    小川(国)委員 環境基準の倍の数字が出ているというのが――あなたの方は、都合のいいところだけ発表なさっているようなんですが、千葉市の測定した中に〇・〇九四とか〇・〇九〇というppmで、新環境基準の倍近い数字がデータとして出ている、そういう実態把握されているかということを聞いているわけです。
  75. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  いま先生がおっしゃられましたような数値が、たとえば十二月九日とか十二月十四日という日に起こっておるようでございますが、そのほかに逆に低い日もございまして、〇・〇三二とか、その辺の前後の〇・〇二九とかいろいろありまして、私たち年の日平均値と言う場合は、一年の日平均の九八%値をとることにいたしておりますので、確かに日によりましては、先生おっしゃられたような高い数値があらわれている日もございます。
  76. 小川国彦

    小川(国)委員 もうすでに日平均値で環境基準の倍の数字が出ている、そういう状況ですから、もっと徹底した対策を考えなきゃならない。特に昭和五十年になりますと、全国で二番目の光化学オキシダント濃度をこの地区では出している。こういう事実については御認識なすっておりますか。
  77. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 五十年におきまして、検見川小学校でオキシダントが非常に高かったということは存じております。
  78. 小川国彦

    小川(国)委員 その数字等についても把握されておりますか。
  79. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 大変申しわけありませんが、いま数値についてちょっと記憶いたしておりません。
  80. 小川国彦

    小川(国)委員 非常に不勉強だと思うんですね。いま全国的にいろんな道路網が建設されている。建設省の考え方というのは、道路さえつくればいいという、いわゆる建設省ぺ-スの考え方だけで、それが国民生活全体に対してどういう影響を及ぼすのかという環境問題、そうしたものを加味してなければ、いま交通問題は環境問題を抜きには考えられないという状況に来ていると思うんです。各地におけるいろんな自然破壊の道路建設というものが全国的にも問題になっている。自然破壊だけではなくて、これは人間の環境破壊の問題を露呈しているわけです。  しかも、いま建設省は大変不熱心で、昭和五十年度のオキシダントの状況など見ますと、全国で一番は神奈川県の横浜で、磯子区の総合庁舎というところでは〇・三九ppmを記録しているんです。これは昼間一時間値の最高値でございます。そして千葉の検見川小学校が第二位で〇・三五ppmを記録しているんです。さらにまた昭和五十一年度においては、同じく千葉の桜木小学校が全国一で、〇・二九ppmを記録している。こういうように、千葉市のオキシダントの発生状況を見ても、全国一、二という状態が千葉市の中で起こっている。先ほど申し上げたように、一日の日量測定の中でいけば倍近い二酸化窒素というものが数値としてあらわれている。オキシダントにおいては全国一、二位。  こういう状況のところへもってきて、さらに現在の二倍の交通量をここで見るということになりましたら、一体この公害の目標値は達成できるのかどうか、われわれは非常に危惧の念と、むしろ恐れの念を強くするわけです。その点について、建設省は確たる見通しを持っているのかどうか。いま伺ってみると、オキシダントの発生状況把握してないようでは、私は環境問題についてはきわめて不熱心であるというように思わざるを得ないのですが、この点の環境基準の判断というものについて、もう一度ひとつ、その辺をどういうふうに配慮して考えているのか、伺いたいと思います。
  81. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  建設省といたしましても、沿道環境の保全ということには最も意を尽くして現在道路工事を行っておるところでございます。計画の段階から供用中におきましても、沿道に及ぼす環境影響というものは最も重要な課題として把握し、沿道の良好な環境の保全に努めているところでございます。  そこで先生いま、そういう中にさらに多くの車が入ってきて、ますます悪くなるではないかということでございますが、もちろんこれは先生御存じのこととは思いますが、自動車の排出ガスの規制によりますと、昭和五十三年四月から規制されたものは、昭和四十八年四月以前のものに比べますと、NOxの排出ガス量は八%に低減いたします。現在かなり減ったものもございますが、現行ではまだ過去の、相当悪いガス、NOxを大量に出す車もたくさん走っておるわけでございますが、こういうものが漸次、五十三年四月に規制された車に移っていくことによって、交通量は幾分ふえてはまいりますものの、全体として自動車による排出ガスは、NOxにつきまして見た場合、いまよりは悪くならない、改善される方向にあるというように考えております。
  82. 小川国彦

    小川(国)委員 非常に楽観的な、希望的な判断をしているわけなんですが、千葉県の見方では、湾岸道路による汚染はひどい。それからいま建設省のおっしゃっている排ガス規制を見込んでも、これは国による自動車公害対策の手が打たれなければ問題の解決はできない。そのためには道路の構造、それから交通の流れ、土地利用、道路利用、こういうことで対処していかなければこの問題の解決はできないというふうに千葉県は言っているわけです。環境庁としてはいかがですか。
  83. 三浦大助

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  先ほど来の先生の御質問、この地域につきましては衆議院の予算委員会の分科会でも取り上げられた問題でございまして、私どもこの地域データを県の方からいただいておりますのを見ますと、かなり高い地域というふうに認識をしておるわけでございます。これにつきましては、現在環境庁といたしましては、この一月に道路公団から県の方に環境影響調査報告書が提出されておるという話を伺っておりまして、現在県の方でこの調査検討を行っているということもございますので、これは県の方とも十分連絡をとって対処してまいりたいというふうに考えております。  また、先生先ほど御質問の中で申されました交通の問題につきましては、自動車の排ガス規制、交通量の規制、それから沿道整備、こういうことで環境庁の方は対処してきておったわけでございますけれども、何といいましても激増をいたします交通量、全国で年間二百万台ずつ年々ふえておるわけでございまして、これに対処をするためにはもうこの三つのNOx対策ではとても太刀打ちできない、こういうこともございますので、これにつきましては、先生いま申されました交通の流れの問題あるいは道路構造の問題あるいは沿道整備、土地利用の問題、ひいては都市の構造という問題もございます。この点につきまして、総合的にこれらの対策をやってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  84. 小川国彦

    小川(国)委員 いま建設省、公団もお聞きになったと思うのですが、結局千葉県も環境庁も、交通の流れを考えていかなければこの問題の根本的な解決はできないということをおっしゃっているのですが、この点の御認識はなさいますでしょうか。
  85. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 いま先生もおっしゃられましたように、道路構造の問題、それから交通の流れ、沿道の土地利用、いずれも非常に重要な課題であるというふうに思っております。そういう点で、道路構造につきましては、この地区においてもわれわれとしてできます最大の努力を払っておるつもりでございます。たとえば遮音壁を設けるあるいは築堤するあるいは植樹するというような問題。それから流れの問題につきましては、この東京湾岸道路そのものが、千葉、東京、関東内陸部といったところの交通を処理する上で欠くことのできない重要なものだというふうに思っております。また、沿道整備にかかわる土地利用につきましては、今国会に幹線道路における沿道整備法案を出して御審議いただいておるところでございます。
  86. 小川国彦

    小川(国)委員 問題の理解といいますか、建設省環境庁のおっしゃっていることの本質をどうも理解されてないように思うのですが、その点はまたさらに次の段階でただしていきたいというふうに思います。  もう一度環境庁にお伺いをしたいのですが、湾岸道路による汚染というものは、住宅地で建設省の言うような〇・〇〇二ppmになるかどうか、専門的立場での見解を伺わせていただきたいと思います。
  87. 三浦大助

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  道路公団が実施いたしました環境アセスメントにつきましては、当庁の方はこれに関与をしておらなかったわけでございますが、これは先ほど来の御質問を伺っておりまして、先ほどお答えの方でも出た数字でございますが、この地域につきましては、平均値としても環境基準の上限値に近い〇・〇五九という数字を私ども持っておるわけでございまして、そういう意味で〇・〇〇二という数字は、よほど厳しい対策をしなければ非常に困難ではないだろうかというふうに考えております。ただ、道路公団の方で行った環境アセスメントにつきまして、私の方に連絡がございませんでしたものですから、現在、千葉県の方に出ております環境影響調査報告書、これは千葉県でいま検討しておるわけでございますが、この辺について私どもも千葉県の方にいろいろ聞いてみたい、また道路公団の方とも今後いろいろ折衝して、よりよい環境をつくっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  88. 小川国彦

    小川(国)委員 もう一つ環境庁に伺いますが、建設省の言うように、本当に昭和六十年に窒素酸化物排出量が五分の一になるかどうか、この点はいかがですか。
  89. 三浦大助

    ○三浦政府委員 私ども建設省の方の調査のあれを持っておりませんので、どういう方法で五分の一になるというその計算方法はわかりませんですが、環境基準の上限値に近い現状を考えますと、今後、私どもとしましてはやらなければならぬことがたくさんございます。自動車の排ガス規制はトラックなどの大きな問題がまだ残っておりますし、かなりいろいろな施策をしなければなりませんので、これが五分の一になるかどうかということは、私わかりませんが、私どもといたしましては、ともかく昭和六十年までには〇・〇六を超えるような地域はなくそうじゃないか、こういうことでいまいろいろ策を練っておる段階でございます。
  90. 小川国彦

    小川(国)委員 ここで環境庁長官にちょっとお伺いしたいのですが、いまの道路公団なり建設省の進め方を見ますと、環境庁行政指導を無視しているというか、現実に環境庁に相談がない。環境アセスメントの問題についても、いま局長さんが答弁しているように、平均値においても環境基準の上限値に近いというぎりぎりのところへ来ている。そこへまた新たに交通量の倍増という問題をこの湾岸道路の建設の問題で控えているわけです。ところが環境庁にはアセスメントの相談がなく、国の省庁でありながら国に相談がなくて、千葉県にその書類を提出している、こういうような状況であり、もう一つ昭和六十年に窒素酸化物が五分の一になるということについても、環境庁の方としてはその筋道がわからないと言われるような状況なんですね。ですからこれは、道路建設に伴い一番重要な周辺住民への環境対策というものについて建設省が国の省庁としての環境庁を認めていない。いまの答弁から推して、そういう行政の進め方をしてきているのではないかと私は思う。そういう点では、環境庁の長官として、環境アセスメントの問題についても、あるいはまたいまの窒素酸化物の排出量の問題についても、これは環境庁にきちんと相談をして、環境庁行政指導を仰ぎながらこの問題に対して再検討させるべきじゃないか。千葉県に出した資料を環境庁が見るなどということじゃなく、環境庁にきちんと書類を提出させて、環境庁としてもこれを検討するという、日本の自然環境なり国民の生活環境なりを守る環境庁としてのそういうお考えがあって当然ではないか、こういうように思うのですが、環境庁長官の見解を承りたいと思います。
  91. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来先生の御質疑を拝聴いたしまして私は非常に深刻に受けとめておる次第でございます。実は私、私的なことにわたって恐縮でございますが埼玉県でございまして、埼玉県も自動車の渡り廊下と申しましょうか、交通公害等々で県民が非常に悩んでおりまして、そこで昨年私は長官を拝命いたしましてから、早速東名高速道路の川崎インターチェンジを中心といたしまして物流対策も含めて、特に大型車、ディーゼル車等を中心として視察をいたしまして、典型七公害のうちの三つの公害、騒音、振動、大気汚染等々を占めておって沿道住民の皆さん方が大変御迷惑を受けておるという実態を、私なりに理解をいたしまして、早速交通問題に対する懇話会というものを専門家、学者の方に御参加をいただきまして設けまして、去る一月二十三日に第一回の会合を開き、そしてまた四月になりましたらば中ごろ第二回目の会合を持とうということでいま準備を進めておるわけでございます。  私が感じましたことは、交通公害問題は何としましても総合的な対策を立てなくてはならないということを深く痛感をいたしておる次第でございます。先ほど先生指摘のとおり、この問題はなわ張り根性を捨てて、各省が真剣になって取り組んでいかなくちゃならない、このことを私は本当に心の底から、骨の髄から深く痛感いたしたような次第でございまして、今後も関係各省と十分連絡をとりながら、環境基準維持、達成が図られますように、最大限の努力をいたしてまいりたいと思います。
  92. 小川国彦

    小川(国)委員 大臣も埼玉といういわば非常に交通量の多い、国を縦貫する道路を抱えている地元のいろんな声を直接お聞きになっていらっしゃるんで、非常に千葉県の湾岸道路の問題についても身近にお考えをいただいて大変うれしく思うわけでございますが、私どもこの問題については、数年来この東京湾岸道路をめぐる沿線の住民から切実な交通公害の問題を訴えられているわけです。ただ、現状においては非常に問題の解決が遅々としておりまして、住民からは切実な要望が出されていますが、一方では建設省、道路公団はそれに耳をかすことなくどんどん工事だけが進行しておる、こういう状況があるわけです。したがいまして、いま大臣がお話しになりましたように、各省庁のなわ張りを越えて各省庁の連携をとっていただく、これが一つの前進であると思いますが、さらに環境庁もひとつ建設省地元との間に入っていただきまして、現地調査をしたり、それから先ほど来建設省側の答弁の中で、環境庁と意思疎通を欠いている点については十分連絡を密にして、環境庁行政としての指導に当たっていただきたい、こういうふうに考えますが、この点はいかがでございましょうか。
  93. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生の御意見を踏まえまして、今後最大限の努力をいたしたいと思いますが、近くでございますから、でき得れば私も現地を視察をさせていただきたいと思います。
  94. 小川国彦

    小川(国)委員 大変積極的な御答弁をいただきまして、この地域としてもこの問題の早期解決を願う立場から非常に喜ばれると思いますので、ぜひ早期に大臣の現地調査を実現させていただきたいということを要望申し上げたいと思います。  それからさらに、この問題につきましては、先ほど環境庁の三浦大気保全局長さんですかからいろいろ御意見を賜って、私ども現状認識というものを環境庁が非常に理解を持っておられる点に意を強くしているわけでございますが、千葉県が主張しておりますように、今後この湾岸道路の建設によって交通量が集中する。そういう状況になってまいりますと、その沿線の環境目標が、自動車交通公害が五〇%を超えているという状況の中ではなかなか環境目標が達成できないということを千葉県がはっきり言っているわけです。  そういう中で、私ども現実の対応として幕張、検見川、稲毛地区、それからもちろんその中に真砂地区も入るわけですが、こういう湾岸の人たちの強い要望としては、ここに国道三百五十七号線と東関東自動車道というのが二本入ってきているわけです。従来そこにはまた県道も市道もございますが、いわば自動車道が何というのですか東京駅の列車のホームのように何本も何本も入ってくる。こういう状況になってきているので、それを一本でも外すことができればそれだけ自動車公害をなくしていくことができるんじゃないか。そういう意味から国道三百五十七号線というものを分離できないだろうか。これを東京湾の湾岸沿い、いわば海寄りの方にずらしていくならば、ここは埋立地でございまして、人家密集地を避けていわば埋め立て緑地の中を道路が通るようになる。一本の道路を人家密集地帯から外すことだけでも自動車のいろいろな公害の規制に少しでも寄与させることができるんじゃないか。  それからまた、花見川横のランプがございます。このランプもいわば人家密集地の中につくられるランプでございますから、当然渋滞その他によってここもいろいろな公害の発生源になってくる。このランプの設置個所も、先ほどと同じように幾らでも埋立地の緑地の中に建設が可能であるということになれば、この国道三百五十七号線の海寄りへの移転とかあるいはランプの位置の移動、そういうことを考えてまいりますと、東京湾の気象状況からして、海の先端を走らせた方が住宅地の環境を守る点、特に逆転層が生じ高濃度となる冬というのは九〇%以上北風が吹いている。そうしますと、風下というのは、いわば海の方が風下になってくるわけで、風下に国道三百五十七号を移すということは、道路の集中、公害の集中を避け、人家の環境を守るについては現状の計画より得策じゃないか、こういうように言われているわけなんですが、こうした点について環境庁の方の見解あるいはまた建設省の見解ですね、それぞれひとつ承りたいと思います。
  95. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 御説明いたします。  ただ、先ほど来私の説明が十分でなかった点もございましたので、一言だけ補足させていただきますと、建設省といたしましても、当然この昭和四十七年六月六日閣議了解されております「各種公共事業に係る環境保全対策について」に基づきまして事務次官通達をつくり、その技術基準によっていろいろ環境評価等を実施しておるものでございます。  それからもう一つ、東関東自動車道の周辺環境基準の五分の一という数字でございますが、これは実は先ほども申し上げましたように、東京湾岸道路を発生源とする二酸化窒素濃度のみでございまして、当然そのほかにもバックグラウンドがこれに加算されることになるわけでございますので、仮に東京湾岸道路を通る自動車から発生する二酸化窒素だけの濃度を予測したならば、それは年平均で〇・〇〇六が沿道の一番濃度の濃いところで、仮にそういうものを環境基準に相当する年平均値の〇・〇三と比較したらばという数値を申し上げたものでございます。  それから、いま先生おっしゃいました三百五十七号をずっと一番海側に出して、東京湾岸をぐるりと回るように千葉の方へ延伸してはということでございますが、実はこの当該地区においての埋立地の海岸部に国道を移すことにつきましては、周辺の土地利用、それから千葉航路等の横断、これは千葉航路を横断する場合、川崎製鉄の前の埋立地にこちら側から行くためにも一キロを超える長大橋が要りますし、さらにこの埋立地から向こう側へ渡るためにも二キロ弱の大きな橋梁が要ることになろうかと思います。そういう非常に巨大な構造物が要ること、あるいは港湾施設への影響、それからこの道路の前後の取りつけでございますが、たとえば三百五十七号を分岐させる場所、さらにそれを千葉の方へ行ってから向こうの国道につける、その取りつけ部などをどうするかという問題、そういう検討すべき課題が非常に多うございまして、現在まだ具体的な計画というよりも構想の域を出ていないものでございまして、私たちとしては非常に超長期の問題というふうに考えておるわけでございまして、いますぐの問題にはなかなか役に立たない。一つの道路をつくるには、計画を始めましても十年から二十年近く大きなものについてはかかりますので、あくまでも現在のこの中で最大の努力を尽くして環境保全を図っていきたいというふうに思っております。  それから、花見川のインターのランプのことでございますが、このランプは成田向けのインターでありまして、その設置位置は最も近い真砂地区の県営住宅より見ましても約七百メートル離れておりますので、これによります当該地区の環境に与える影響は少ないものというふうに考えております。
  96. 三浦大助

    ○三浦政府委員 お答えいたします。  私ども環境基準が守られればよろしいわけでございまして、そのためにはもし〇・〇六というものを超えるような事態になりますと、これは総量規制をかけなければならぬという問題がございます。  現在、私ども非常に高い地域、〇・〇六を超えるような地域、つまり六地域につきましては総量規制をかけるかどうかの検討のための調査を今年度やっておるわけでございまして、千葉県につきましては、現に県自体でいろいろな調査をしておるということを聞いておるわけでございます。したがいまして、非常に高い地域につきましては、もちろんこれは全国的な対策でございますが、一番問題の多い大きな自動車の排ガス規制を急ぐとかいろいろ問題はございますが、個々の地域のこういう問題につきましては、交通の規制とかあるいは物流対策まで含めて、ともかく環境基準を守っていただくという方向で何らかの方策はないだろうかということをいま検討しているわけでございます。
  97. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも役所のやる仕事というのは、私、後手後手に回るような感じがするわけなんですよ。道路をつくってしまってから交通規制をやろう、物流規制をやろうと言っても、道路をつくってこれは通るなと言うわけにはいかないと思うのですよ。ですから、道路をつくる時点において、この道路をつくったらどれぐらいの交通量になって、それがどういう公害を発生していくかということを予測して、道路の建設というものを考えていかなければならないのじゃないか。ですから、おっしゃるように、環境庁は守られればいいということでございますけれども、予測される事態というものは、やはり先手を打って環境庁としてもそれに対する行政指導をすべきだし、建設省においてもこれからの問題ということならば、これからの問題の中に当然環境への影響というものを考慮に入れて検討を加えていくべきじゃないか。これからの検討段階という問題であるなら、なおさらタイミングとしても期間も十分あるわけですから、そういう面については環境庁建設省ももう少し将来予測というものをぴちっととらえて現状から対策を出発させる、こういう考え方を持っていただきたいと思うのですが、その点もう一度御答弁を願いたいと思います。
  98. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  建設省といたしましても、先生おっしゃられるとおり、この東関東自動車道については、供用時に交通量がどれくらいになるか、そしてそれによるNO2とか騒音がどのようになるかということを一応予測いたしまして、地元の方々にもその数値等も十分御理解をいただくよう、ここに持っておりますようなこういうパンフレットをつくりまして、各家庭の方にも皆さん見ていただいておるわけでございまして、今後ともこういうふうな形で事前に環境を評価し、それを地域の方々に見ていただいて、御理解をいただいた上で事業を進めていくというふうにやることを考えております。
  99. 三浦大助

    ○三浦政府委員 この地域の問題につきましては、すでにもう計画されたものでございまして、私どもはこういう問題があるということを後で知ったのでございますが、そうは申しましても、いま建設省、道路公団あるいは県の方とも積極的にひとついろいろ申し上げることは申し上げて調整をとっていきたいと考えておりますが、今後につきましても、先生おっしゃるような方向でひとつ積極的に意見を申し上げていきたいと思っております。
  100. 小川国彦

    小川(国)委員 そうした環境庁の調整連絡をひとつ徹底させていただいて、ぜひ環境庁意見を加味した道路行政になっていくように、これは建設省側も受け入れ体制をもって臨んでいっていただきたい、こういうように思います。  先ほど建設省説明の中で、環境影響評価技術指針というものがあって、それで評価をして工事を進めている、こういう答弁があったわけですけれども、この項目の中に、硫黄酸化物とか浮遊粒子状の物質とか光化学オキシダント、こういうののアセスメントはおやりになっていないように思うのですが、この点は検討されているのかどうか。  それからもう一つ建設省や公団の関与した計画の中では、海側への道路変更が可能と思われる検討がなされている。その中には、川鉄に用地確保を依頼しているところがあるということも仄聞しているわけですが、そういう事実もあるのかどうか、この二点をもう一度ひとつ伺いたいと思います。
  101. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  先生、最初の硫黄とそれから浮遊とオキシダントについては、先ほど申しました建設省の技術基準には測定するようにはなっておりません。一番問題になりますCOとNO2と騒音、そういういわゆる環境の骨子になるもの、特に道路を整備していく上において環境影響を及ぼすおそれの大きいものについて実施するようになっております。  それから、川鉄の前のそういう埋立地に道路幅をとるように申し入れているというようなお話でございますが、実は私ちょっとそこまで確認してまいりませんでしたので、正確にはお答えできないわけでございますが、この三百五十七号が分岐したごく近い部分には五十メートル程度の幅で都市計画決定された部分が一部あるかに存じておりますが、それから先についてそういうことがあるというふうには私は思っていないのですが、この点についてはまた確認した上で先生に御報告させていただきたいと思います。
  102. 小川国彦

    小川(国)委員 皆さんの方で環境影響評価技術指針というものを持ってやっておられるようなんですが、建設省の関東地建としてあるいは公団の東京第一建設局として、それぞれ湾岸道路についての調査委託をされておられる、そしてその報告文書ができてきているということを伺っているのですが、そうした調査はなさっていらっしゃるのかどうか、その資料はおありになるのかどうか。     〔委員長退席、島田委員長代理着席〕
  103. 大島哲男

    ○大島参考人 道路公団と建設省と一緒になりまして環境影響評価報告書というものを作成いたしました。これは先ほどの指針に基づきまして千葉県に提出した分でございます。
  104. 小川国彦

    小川(国)委員 そのほか、広域シミュレーションについて調査委託をしていることはございませんか。
  105. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  広域シミュレーションについてはやっていないというふうに思っております。
  106. 小川国彦

    小川(国)委員 私ども仄聞しているところでは、皆さんの方の建設省ないし公団が先ほどの環境影響評価技術報告書ですか、それ以外にも民間に広域シミュレーションを委託しているやに聞いておりますが、建設省においても公団においてもそういうことはございませんか。
  107. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  固定発生源も含めた意味での広域シミュレーションは行っておりません。
  108. 小川国彦

    小川(国)委員 どうも前提がついているのですが、固定発生源以外のものではいかがですか。
  109. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 大変申しわけないのですが、私帰りまして、そういう点きちんと調べた上でまた先生に御報告させていただきたいと思います。私自身確認してきておりませんでしたし、何人かの担当者がおりますが、いまここでその辺はっきりしませんので、私帰って地方建設局あるいは公団等も全部調べた上で御報告させていただきたいと思います。
  110. 小川国彦

    小川(国)委員 その調査報告がございましたら国政調査権に基づいて当委員会に提出していただきたいと思いますが、その点はよろしゅうございますか。
  111. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 帰って調べまして、外部に出せるような資料にまとまっておればそういうふうにさせていただきたいと思います。
  112. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれにしましても、これも公害の問題の一環で、しかも国の予算を使ってやっているものですから、これは調査があったら当委員会に提出するように委員長からもひとつお取り計らいを願いたい。  それから、先ほどの環境影響評価技術報告書の中では硫黄酸化物、浮遊粒子、オキシダントについては調査をしてない、いわばCOとNO2と騒音についての調査で、硫黄酸化物や粉じんは調査をしてないという御報告ですが、これは評価書の中に入っているというふうに伺っているわけなんですが、入っているものをここで発表しないのかどうか。入っているものなら当然答弁されるべきだと思うのですが、それが入っているのかいないのか、この点もひとつ明確にしておいていただきたい。
  113. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 いま申しました硫黄酸化物あるいはオキシダント、浮遊粒子物質等についての現状把握は行っておりますが、これについての予測は、非常に多くの要因が絡みますし、現在適切な予測方法がございませんし、またこういう面に及ぼす自動車の影響は少ないというふうに考えまして、将来の予測は行っておりません。
  114. 小川国彦

    小川(国)委員 いずれにしても現状把握をしておって、しかも予測がつかないというのは私は怠慢だというふうに思うのですよ。総合的に対策を講じていくならば、当然評価書というものをきちっとつくるべきだし、現状あるものについても、いまの非常にあやふやな話では私ども困るので、この評価書も私どものところにひとつ提出を願いたい、こういうふうに思います。
  115. 大島哲男

    ○大島参考人 提出いたします。
  116. 小川国彦

    小川(国)委員 それでは、それを提出願ってからさらに検討したいと思います。  それから、先ほど皆さんの方から現地にPRもしているということを伺いました。確かに私ども「東関東自動車道について真砂地区のみなさまへ」という文書を見ましたが、その中で、トンネル化ないしはシェルターというような問題について地元住民から非常に強い要望が出ているんですが、これをつくると二次公害を与えることになるということを文書の中で出されているんです。二次公害とは一体どういうことを指しておられるのか。
  117. 大島哲男

    ○大島参考人 シェルターの入り口におきます騒音の集中あるいは排ガスの集中を指しております。なおまた、それに伴いまして、仮に施設を設けますと施設から発します騒音なども考えております。
  118. 小川国彦

    小川(国)委員 それは第二次公害という表現は適切ではないんではないですか。いわば副次公害的なもので第二次公害という表現は適切ではないんではないですか。第二次公害の定義というものをどういうふうに建設省は考えていらっしゃるか。
  119. 大島哲男

    ○大島参考人 ただいま申しましたような事項につきまして二次公害という言葉をつけておるわけでございます。先ほども申しましたように、トンネル出口におきます騒音あるいは排ガスの集中を二次公害と申しておるわけでございます。
  120. 小川国彦

    小川(国)委員 これは環境庁、少し教えてやってもらいたいと思うのですが、騒音とか排ガスが集中するということは二次公害と言うんでございましょうか。
  121. 三浦大助

    ○三浦政府委員 私ども余り二次公害という言葉は使ったことはございません。
  122. 小川国彦

    小川(国)委員 建設省、これだけの文書を何万部刷って地域住民に配られたんですか。予算をどれだけかけたんですか。
  123. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 この「真砂地区のみなさまへ」というものは約一千部刷って皆さん方にお配りしたそうでございます。  それからなお、シェルターの点をちょっと補足させていただきますと、いま言ったほかに、非常に長大になりますと交通安全上の問題も出てくるので、私たち総合的に見て、さらに次の公害が起きることをここでは仮に二次公害というふうな言葉を使ったのだと思っております。
  124. 小川国彦

    小川(国)委員 二次公害というのは、新たな化合物等によって起こるのを二次公害と言うので、これは私は副次公害というふうに言うのが適切じゃないかと思うのです。だから、そういう二次公害なんという新たな公害の発生が起こるような、そういう言葉の使い方自体、建設省の独走でこの公害対策をやっていますからこういう問題点になると思うのですよ。ですから、そういうものを地域住民に配ること自体、建設省ちょっと不見識なんじゃないですか。
  125. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 お答えいたします。  決して建設省の独走というわけではございませんで、先ほど申しました昭和四十七年六月六日の閣議了解に沿って、事務次官通達でさらにその細則を決め実施しておるものでございます。こういうふうに配りましたのは、できるだけ沿道の皆さんに実態をよく御了解をしていただいた上で、私たちのつくる道路の建設に御協力を願いたいという趣旨で、従来からも行っておるものでございます。
  126. 小川国彦

    小川(国)委員 環境庁の用語にないようなものをつくって、非常に誤解を受けるようなことは私は十分慎んでもらいたいと思うし、そういう点はもっと考え直していかなければならないのじゃないか。  それから最後に一つ、いま問題として出てきておりますシェルターの問題ですが、世界で二番目に長い中央高速の恵那山トンネル、それから笹子トンネル、それから関門トンネル、それから東京湾岸道路の海底トンネル、八重洲のトンネル、至るところでトンネルないしはシェルターによって公害除去をしていこうという方針が出されているのですが、いま建設省が言っているように、そういうものが二次公害を引き起こすというようなことになってくると、いまある施設というものを一体放置していいのかということになるのですが、環境庁としてはこの点どういうふうにお考えになりますか。
  127. 三浦大助

    ○三浦政府委員 これは少し私の方で検討させていただきたいと思います。
  128. 小川国彦

    小川(国)委員 環境庁検討くださるということでございますから、当然これは建設省、公団の方でも――シェルターの設置による効果というものは私ども各地に見られるわけです。特にこれに要する費用というのはPPPの原則、いわゆる汚染者費用負担の原則ではないですけれども、高速料金を十円上げれば、そういう中でこの費用の捻出も考えられるのじゃないか。すでに道路の面積が一九七五年で九十七万ヘクタール、住宅地の九十四万ヘクタールをも上回って、土地不足から人間の建物が上に高く上がらざるを得ないような状況になってきている。人間の住んでいるところより道路の方が面積が多い、こういう状態が起こってきている。そういう中から見ますと、道路財源の三兆二千億という予算があるのですが、これを道路建設だけではなくて、環境対策のこういったシェルター対策などにも向けていくべきじゃないか。これは大臣にこれから取り組んでもらいたい一つの課題というふうに考えるのです。目的税で三兆二千億の道路財源の税がございます。それはいま道路建設一方にだけ使われておりまして、先ほど来論議になっております周辺住民なり自然環境なり生活環境を守る財源には全く見られていないという実態があるわけです。この予算は、道路建設の一環ですから、当然そういう中から環境対策費というのも見るべきではないかというふうに思いますが、大臣としてはその辺いかがでございましょうか。
  129. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 先生の御意見は大変貴重な意見でございますので、これからいろいろ勉強させていただきたいと思います。
  130. 小川国彦

    小川(国)委員 シェルター建設の問題について、先ほど環境庁からも検討してくださるという答弁をいただいておりますが、建設省においても、いままでのいろいろな環境評価の問題、それから今後の公害発生のおそれ、そういうものを含めて、シェルターの問題について環境庁を含めての協議、検討を願いたいと思いますが、その点はいかがでございますか。
  131. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 シェルターにつきましては、先生おっしゃいましたように、たとえばこの近くですと鳥山で設けております。この場合は、その道路のすぐそばに住宅があること、またシェルターの延長が二百四十五メートルというふうに比較的短いこと、また地域の事情から見て局部的な影響が少ないなど、そういう条件のもとで行われたものでございます。  ここにおきましては、一応、先ほど来申しましたような遮音壁あるいは築堤、植樹、そういうふうな総合的な対策でこういうものをある程度やっていけるというふうに思っておりますので、シェルターのようなものをつくりますと、非常にクローズドされたところでございますので、交通安全上もいろいろ問題が出てくるし、いま申しましたような出入り口のいろいろな問題が出てまいりますので、私たちとしてもこういうものを設ける場合は慎重に検討した上行っておるところでございますが、先ほど環境庁さんの方からもそういうふうな御答弁ございましたし、私たちとしてももう一度検討させていただきたいと思います。
  132. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  133. 島田琢郎

    ○島田委員長代理 土井たか子君。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 昨日、二十四日に、燐を含む合成洗剤の追放について環境庁政府機関での使用自粛を打ち出されたというニュースは、洗剤追放の運動を起こしていままで努力してこられた住民の方々からすると大変朗報だということで受けとめられております。長官が御就任以来一貫して、国民とともに、住民とともに公害追放のために努力するということを言われたことが具体的に動いていっているんじゃないかということも、これは実感として感じられるという声も聞こえてきているわけでございますが、実際問題といたしまして一、二点少しお尋ねをしておきたいことがございます。  それは、有燐洗剤を使用しない、これは制度に先駆けて一つの運動を起こすということでございますから、いわば車の量を規制するということに先駆けてノーカーデーなどをつくってやってみようというふうな一連のあの動きとも似通ったものがあるのではないか、こういうふうに考えられるのです。もちろん、このことは従来の行き方に比べますと一歩前進であるということは言うまでもありません。ただしかし、そうすると、いっこの問題が具体的に制度化されていくかということがどうしても気になるのです。  そこでお尋ねをしたいのは、滋賀県の例の琵琶湖富栄養化防止条例というあの問題がきっかけになったということが、今回の合成洗剤追放の動きの中に十分あるわけですが、滋賀県の場合は水がめだという固有の事情がありまして、この理由に対して、環境庁としても十分にその理由をお認めの上でこれに対しての対応策というのが必要だというふうなお考えがあったであろうと思いますが、そうでございますね。
  135. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生指摘のとおりでございまして、滋賀県の琵琶湖は千三百万になんなんとする近畿圏の人たちの水がめでございまして、燐、窒素等によりましてプランクトンがふえまして、そして水質が汚濁されまして、県におきまして県民の同意を得て条例を制定されたわけでございますが、環境庁といたしましては、やはり水質保全立場から、滋賀県がとられた措置を高く評価をいたしておる次第でございます。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 滋賀県の琵琶湖以外の全国の閉鎖性湖沼あるいは海域、各地ではこの問題についての取り組みはどのような状況になっているというふうに環境庁としては掌握をなすっていらっしゃいますか。
  137. 馬場道夫

    馬場政府委員 琵琶湖の富栄養化防止条例が制定されまして以後、各都道府県におきましていろいろな措置がとられておるわけでございますけれども、現在二十五県程度が何らかの形で措置をされているわけでございますけれども、その中で同じような湖等を抱えましたところにつきましては、住民サイド、市町村長サイド、あるいは県のサイドといろいろな形で協議会等を設けまして、湖の富栄養化を防止しようということで協議、対策が進められているというように承知しておるわけでございます。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、滋賀県の琵琶湖の場合には、富栄養化防止条例というふうなものがつくられたということを非常に評価して、着目されて、今回のような措置をおとりになっていくという、いわば一つのきっかけにもなっているわけですから、全国的に閉鎖性湖沼あるいは海域において、ああいう条例が恐らくは住民の側からの声を受けてつくられていく気配もあるわけですね。それぞれの地域での条例制定並びに条例の実施について、環境庁とすれば十分バックアップしておやりになる気がおありになるかどうか、いかがでございますか、長官。
  139. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  私はこの問題につきましては深い関心を持ちまして、大臣就任直後、霞ケ浦を初めといたしまして東京湾を視察いたしましたのでございますが、参りましたその地域関係市町村も大変深い関心を持っております。また先生指摘のような問題もこれから全国的に広がってくるような感じも深くいたしておるのでございますが、推移を見ながら対処してまいりたいと思います。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 推移を見ながら対処とおっしゃることはわかるのですが、基本的な姿勢として、やはりそれぞれの条例に対して環境庁としてはバックアップするという姿勢で取り組まれるかどうかという点なんです。よろしゅうございますか、大臣。それは十分にバックアップしておやりになるということでしょうね。
  141. 馬場道夫

    馬場政府委員 私ども、琵琶湖の場合もそうでございましたけれども、県からいろいろ御相談なりあるいは自治体から御相談等もございますれば、水質環境を保全するという観点からいろいろな面で御協力をいたしておりますし、また今後ともそうしたいと思っているわけでございます。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 それは向こうから相談があればということなんですけれども、もちろん越権的な差し出がましいことというのは差し控えるべきであるかもしれませんが、しかし、それぞれの条例についてその自主性を認めて、よもやそういう条例に対してこちら側から、つくるべきでないとか、そういうことは考えるべきでないというふうなことはおっしゃるまいと思いますが、その点、大丈夫でしょうね。
  143. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  それぞれの県によりまして事情等も違いますので、余り環境庁からくちばしを入れることもどうかと思いますが、いろいろ御相談等受けました場合には積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 その積極的というところ、少しそれはいろいろな意味があるわけでございますけれども、継続してこの問題についてはさらに質問を次の機会に取り上げたいと思いますから、そちらの方に回したいと思いますが、実は報道によりますと、このいろいろな制度化については、六十年度に総量規制ということを目標としておやりになるようなことが出てまいっております。法的にこれを規制するということが非常にむずかしい問題であるということは、私たちも従来の経緯からして承知しているつもりでございますけれども、やはり何といっても水質汚濁防止法、それから瀬戸内海環境保全特別措置法等々でこの燐の規制というものが具体的に組み入れられないと、これはいろいろな運動を起こしましても、具体的にこれをきちっと水質保全という点から規制を加えていくということにはならないのですが、これは法の改正に向けてどのようなことをいま環境庁としてはお考えになっていらっしゃるわけですか。
  145. 馬場道夫

    馬場政府委員 総量規制の問題でございますが、一部六十年度という報道もございますけれども、私ども六十年度と決めているわけではございません。先生承知のように、瀬戸内海環境保全特別措置法によりまして、行政指導で燐の削減を図っていくという方針が五十五年度から、本年度から五カ年を目標にやっておるわけでございまして、私どもそういう推移なりあるいはその他の推移を見まして検討したいと思っておるわけでございますが、総量規制を実施する場合に現行法で対応できるのかどうか、たとえば上水道の水源になっておりますようなダム湖、そういうものは現在の総量規制の法律では読みにくいんではなかろうかというように考えておるわけでございますし、また濃度規制をやって次に総量規制に進むという現在の法体系で読めるのかどうかという、一気に総量規制に進む場合にそういう問題が読めるかどうかといういろんな問題がございます。したがいまして、私ども行政指導なりいろんな段階を踏みながら総量規制についての検討を行ってまいりたいというように考えておるわけでございます。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 確かに総量規制に一足飛びになるというわけにはなかなかいかないだろうと思うのですね。しかし、これは過去の経緯からいたしますと、住民運動、地方自治体のいろんなこれに対する対策の方が先導したかっこうで今日まで進んでまいっております。しかも実情はどんどん深刻化していっております。そういう中で、やはり総量規制に向けて、少なくとも水質汚濁防止法などでは物質の一つに加えて、これを努力目標的な問題としていままで取り上げてきたということ以上には出ておりません。規制対象としてこの燐を取り上げるという段階ではまだないはずであります。したがいまして、そのことを具体的にどうお考えになるか。いわば住民運動や地域のテンポの方がどんどん先行して、環境行政の方が一足どころかずいぶんこの点については出おくれ、それからさらにおくれをとるというか、つこうになっていくという気配や心配があるわけでありますから、その点をひとつ具体的に明確にお答えいただいておきたいと思うのです。いかがでございますか。
  147. 馬場道夫

    馬場政府委員 私ども富栄養化問題が現在の水質行政の中で一番重要な問題であるという認識を持っておるわけでございます。そういう意味におきまして鋭意検討しておるわけでございますが、そこで私どもも手をこまねいているわけではございませんで、燐、窒素等につきまして環境基準、排水基準の設定の検討もやっているわけでございますが、それの一つの前の段階といたしまして、まず環境中の燐の目標レベルをつくるとか、あるいは湖の管理のための指針をつくるとか、そいう作業を現在やっておりまして、たとえば燐の目標値につきましては、ことしの夏ごろまでに結論を出したいというようなことで、学識経験者に集まっていただきましてやっているわけでございまして、私どももそういうものを一歩ずつ積み重ねながら富栄養化対策をさらに充実をさせるという努力を続けておるわけでございまして、今後ともさらに一層努力したいと思っておるわけでございます。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 時間の制約がありますが、いま指針とおっしゃいましたが、その指針というのは、これを準環境基準というふうに読んでよろしゅうございますか、指針の内容というのは。この夏ごろまでにとおっしゃった……。
  149. 馬場道夫

    馬場政府委員 環境基準というわけにはまいりませんが、いわば環境基準を設定する一つ前の段階のものというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、いろいろそういう御苦労がございますけれども、やはりテンポの上から言いますと、不十分なものを早くつくるというのは困りますけれども、しかし、こういうことに対していろいろな研究を十分に重ねながら、スピーディーにやっていただくということが目下非常に大事な問題になってまいっております。総量規制というのは六十年を期して――これは必ずしも六十年度ということではない、早ければ早いほどいいのだというような趣旨を込めておっしゃったに違いないと私は思うのですが、テンポが、過去のいきさつからしますと、環境庁取り組みは少し遅きに失するきらいがございますので、ひとつ鋭意努力のほどを特に申し上げたいのですが、いかがでございますか。
  151. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほども御答弁申し上げましたとおり、私は、霞ケ浦とか東京湾を視察いたしまして、こういう閉鎖性水域における汚濁の解消は大変重要な問題でございますので、前向きに真剣にひとつ取り組んでまいりたいと思います。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 精神心得みたいなことだけをきょうはおっしゃっているにすぎないわけですから、いつごろというのは、まだ具体的に浮上いたしませんけれども、最後に一問だけお伺いして終えたいと思います。  今回は有燐洗剤についての問題でございました。ただ、燐を含んでいなければそれでよいということでは必ずしもなさそうであります。無燐合成洗剤にも毒性があるということが学識経験者の間からも指摘をされてきているわけですね。しかし、今回の動きがございますと、恐らくメーカー側は一層力を入れて、たとえば非イオン界面活性剤など混合した無燐剤を開発するであろうというふうにも思われます。この点は、消費者の立場からすると非常に気にかかる点でございますけれども、合成洗剤を対象にして、これを使わないという方向で持っていくことが、本来あるべき姿ではないかと思うんですね。大臣はどのようにお考えになりますか。
  153. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 大変専門的な問題でございまして、率直に申し上げまして御答弁がちょっとしにくいのでございますが、厚生省にも関係する問題でもございますので、厚生省等ともよく相談しながらひとつ勉強さしていただきたいと思います。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 時間ですから終わります。ありがとうございました。
  155. 島田琢郎

    ○島田委員長代理 この際、本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ――――◇―――――    午後四時二十三分開議
  156. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  157. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず、環境アセスメント法案の早期提出問題で、今月の十一日、わが党及び社会、民社三党代表によって長官のところへ要請に行きました。長官は、十八省庁にもまたがる法案であるため調整に時間がかかっておる、なかなか困難だと説明しているようですけれども、これはもう長官もこういう立場になって重々御承知のとおりで、六年越しのこの法案、いまさら調整に時間がかかると言っても言い分が通らないと思うのです。一体どういうところに、環境庁努力の不足なのか、あるいはこの法案の成立に反対し、調整に何ら熱意を示していない他の省庁、通産省を初めいろいろなものがあると思いますけれども、その調整の話し合いがついていないのか、その辺のところで、一体どういう見通しでこの法案が成立していくのか、ぜひひとつ今後の見通しを最初に述べていただきたい、こう思う次第でございます。
  158. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  環境影響評価法案につきましては、さきの自民党と三党との話し合いの結果、自民党から内閣に話がございまして、三月四日に内閣に閣僚協を設置していただきまして、三月十三日に第一回の関省庁の局長会議をすでに八回にわたり開催をいたしまして、問題点ごとに鋭意調整を行い、本日第二回目の関係閣僚会議を開催をしていただいたような次第でございます。  その結果、論点は相当整理されてまいっておるのでございますが、なおかなり調整を要するので、引き続き局長会議また閣僚会議等を精力的に開催していただきまして、私といたしましては、もうできるだけ三月いっぱいをめどに、でき得れば法案の国会提出をさせていただきたいと思っておるのでございますが、各省庁間にいろいろむずかしい問題等もございまして、法案の大綱ぐらい出さしていただきたいということで、ただいま最大限の努力をいたしておるような次第でございます。環境影響評価手続における地方公共団体の関与のあり方、また条例との関係等につきまして、鋭意各省庁の間に調整を図っておるところでございます。  先生、今回五回目ということでおしかりを受けたのでございますが、率直に申し上げまして、今回初めてテーブルに着いて各省庁間で話し合いに入ったようなわけでございまして、各省庁の間にいろいろな意見が出ておるということも御理解を賜りたいと思う次第でございます。
  159. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 報道によれば、本日二回目の会議、こういうことでございましたが、その中で、前回からも六つの懸案、こう言っていますね。そのうち、対象事業の範囲であるとか基本的事項と指針、免許などの行政処分との関係、地方公共団体の関与のあり方、こういった面で事務的にどうなのか、こういった調整の見通しがどうなってきているか、こういった報告があったわけです。また後藤田自治相から、地方自治体の関与のあり方に関連して、必要に応じてということならば公聴会開催の規定を盛り込んだらどうか、こういった発言もあったやに伺っておりますが、この点に関してまず最初に、この六つの課題というのは一体何ですか。
  160. 金子太郎

    ○金子政府委員 御説明申し上げます。  アセスメント法案につきましては、検討しなければならない課題は各省ごとに数十項目に及んでおりますが、その中で共通してかつ非常に大きな問題と考えられるものをまず抜き出しまして、これが解決されなければこの法案をまとめることはなかなかむずかしい、そういう考え方で第一回目の閣僚協議会に御報告申し上げましたもの、それがこの六つの項目でございます。  それは、対象事業の範囲、基本的事項及び指針、地方公共団体の関与のあり方、この法案と条例との関係、免許等の行政処分との関係都市計画法の一部改正、こういうような点が特に大きなかつむずかしい問題である、こういうことでございました。
  161. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは、その最後の後藤田自治相の発言に関して、さきの発言でも、条例による上乗せ権限を認めるべきである、こういうように発言しています。また必要に応じて、今回、公聴会の開催の規定を盛り込むべきだ、こういうように見解を述べていますけれども、私は、地方自治権上当然の規定である、こう考えますが、この点非常に重要な問題でございますので、長官の御見解を伺っておきたいと思います。
  162. 金子太郎

    ○金子政府委員 事務的なことを先に述べさせていただきます。  上乗せ問題につきましては、現在までのところ、上乗せという言葉を使うのは適切ではないのではないか。この法案は事業者にいわばセルフコントロールを義務づける性格がございまして、その事業者に幾つかの手続を行うことを義務づけておるわけでございますが、この法案の対象事業になった場合には、その義務づけられる手続について条例等で加重されることはおかしい。もしも加重するならば、加重していいということをこの法律に明確に書くべきであろうという点については、おおむね各省間でコンセンサスが成り立っていると考えております。  問題は、この法案が対象としていない事業について、アセスメントの手続をどの程度この法案でコントロールできるかという問題でございまして、大方の考え方は、この法案がアセスメントの対象事業として国として関係もあり、環境に及ぼす影響の非常に大きいものをつかまえまして、そして事業者に必要な手続を義務づけるわけでございますから、それよりも、規模の小さい事業等については、おのずから条例で手続を義務づける場合に、この法案で決めている手続とバランスのとれたものでなければおかしい、その趣旨を法律に書くべきではないか、こういうのが大方の考え方でございますけれども、なおかつこの点については、条例の自主性という立場から技術的になお問題が残っているのではないかという異論がございます。その辺が現在議論を詰めているポイントでございます。
  163. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 この問題で、特に環境庁が他の省庁のいろいろなプレッシャーに屈するというような形で、アセスメントのアセスメントというような形で非常に後退をしていくような内容になってはいけませんので、ぜひこの要望にあるような本当に強い熱意で当たっていかなければならない、こう思う次第でございます。いまの後藤田自治相の考え方も含めて、今後、こういった細かい面まで、本当に本来のアセスメントとして取り組んでいく考えがあるのかどうか、長官の見解を聞いてこの問題を終わりたいと思うわけであります。
  164. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 何と申しましても、環境行政は国民の理解と協力なくして推進することはでき得ませんので、この問題は、本法案の中でも重要な問題でもございますので、前向きに検討いたしてまいりたいと思います。
  165. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 時間の都合で、次の問題に移ります。  特にエネルギー危機が叫ばれている中で、琵琶湖の周辺にかなり大量の天然ガスが埋蔵されているといった面が明らかになってきております。これはどんな種類のもので、どのぐらいの量があるのか、まず通産省にお伺いしたいと思います。
  166. 加藤昭六

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  琵琶湖周辺に埋蔵していると言われます天然ガスは、メタンを主成分といたしますガスで、これが地下水に溶けた形で、賦存しているいわゆる水溶性天然ガスでございます。こうした水溶性天然ガスは、先生案内のように、現在千葉県あるいは新潟県等で生産されております。この地区の埋蔵量でございますが、この算定基礎となります試掘がまだ行われておりませんため、現段階におきましては埋蔵量については推定されておりません。
  167. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 通産省の資源エネルギー庁がすでに助言、指導を行って、試掘井の深さを推定する重力探査、こういったものが行われた、こういうふうに聞いていますが、その辺の内容を御説明ください。
  168. 加藤昭六

    ○加藤説明員 琵琶湖周辺の天然ガスにつきましては、滋賀県がほとんどの地域につきまして鉱業権を保有しております。滋賀県は現在五十三、五十四年度の二カ年にわたりまして、琵琶湖周辺の約二千平方キロメートルにわたりまして重力探査を実施しております。この重力探査の結果は、県の天然ガス調査研究委員会、これがことしの初めから発足いたしましたが、ここにおいて現在検討されております。これまでに行われた重力探査はかなり大まかな調査であったこともありまして、今後も引き続きこれらの解析、それから精密な探査が必要であると県から聞いております。
  169. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これだけエネルギー危機が言われておるときでありますので、これはもう当然各方面で期待をかけておると解釈していますが、通産省としてどれくらいの期待を持っておるのか、その辺の状況を、見通しなりそういった面を含めて、今後どういうふうにやっていくのか。千葉県や新潟県のいままでの経験があるわけでございますし、同時にまた、近畿圏においてこれだけのものが出てくるとなると、相当力を入れていかなければならない、このように解釈しますけれども、どのような見通しを持っておりますか。
  170. 加藤昭六

    ○加藤説明員 先ほど申し上げましたように、滋賀県がこれまでに実施しました重力探査は比較的大まかな調査でございまして、県としても今後さらに調査を続行して評価をしていきたいという予定でございますので、現段階では通産省といたしましても評価を行うことは差し控えたいと存じております。
  171. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これは蒲生郡安土町の一部民家では、すでに自家用に暖房、炊飯等にこの天然ガスを利用していると聞いておりますが、その実態説明してください。
  172. 加藤昭六

    ○加藤説明員 先生指摘の蒲生郡安土町でございますか、ここの下豊浦地区というところで二戸の農家が昭和二十年代より炊事用に少量の天然ガスを自家利用していると聞いております。なお、自家利用の場合は鉱業法等の規制を受けておりませんので、どの程度の量が自家用として利用されているか、私ども把握しておりません。
  173. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 これをどう開発利用していくか、これは今後の問題だと思います。そこで、それだけの力を入れてやっていくからには、千葉県やあるいは新潟県の例等も考えて、国として補助金などの体制はどういうように考えておるのか、またいままではどんなふうに他の県においてやってきたのか、今後の取り組み方を説明してください。
  174. 加藤昭六

    ○加藤説明員 国は、一般的に鉱業権者等が天然ガス探鉱のために地質調査あるいは試掘を行う場合には、一定の最高限度を設けまして、補助率を五〇%と置いた天然ガス探鉱費補助金を交付しております。本件につきましては、この制度に基づきまして、滋賀県が先ほど申し上げました五十三年度及び五十四年度二カ年に行いました重力探査に対しまして合計約八十五万円の補助を行っております。
  175. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 環境庁にお伺いしますが、こういうような場合、天然ガス等を利用していく場合、琵琶湖周辺等は非常に環境の大事なところでございますね。そういう中で今後開発利用していく上において、過去の例等も見て環境破壊という面でどんなふうにとらえておりますか。
  176. 馬場道夫

    馬場政府委員 天然ガスの採取によります環境への影響で私ども一番重視しておりますのは、地盤沈下でございます。先生承知のように、地盤沈下につきましては公害対策基本法によりましていわゆる典型七公害の一つになっておるわけでございますが、その中で、鉱物の採掘のための土地の掘削によるものは同法の対象になってないわけでございますが、ただいま御説明のありました水溶性天然ガスの採取に伴います地盤沈下につきましては、天然ガスの溶存地下水のくみ上げが主たる原因でございまして、土地の掘削ではないわけでございますので、公害対策基本法の典型七公害の中に入ることになるわけでございます。ただ、公害対策基本法制定以前から、鉱害の防止という観点から鉱山保安行政の一環といたしまして、通産省で末端の行政機構を含めまして保安監督等の所要の措置を講じておりますので、公害対策基本法制定後も、鉱山行政の歴史的な経緯なりその特殊性から、もっぱら鉱害の防止という観点から通産省で所管をしておるわけでございます。ただ、私ども調査は、当然地盤沈下地帯として調査をしておるわけでございます。そういう意味で、天然ガス採取も含めまして通産省とも十分な、あるいは滋賀県とも密接な連絡をとりまして、周囲の環境影響を及ぼさないように考えてまいりたいと思うわけでございますし、その他また、水質面に対しましても十分な措置が講ぜられるようにいろいろ配慮をしてまいりたいと思うわけでございます。
  177. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 通産省の方にその件に関してお伺いします。  千葉県、新潟県の両県はこの天然ガス開発に関しては先進県ですね。もう十数年前から地盤沈下防止実験等が行われて、これが各方面から注目されております。これと同様に、琵琶湖の周辺が天然ガスの開発によって地盤沈下していくようなことがあっては、これは大変なことですね。この点をどう考えていくか。同時に、天然ガスを採取しても地盤沈下を起こさないような方法がないものかどうか。地盤沈下防止実験の成果を踏まえ、その対策、見通しを通産省として明らかにしてください。
  178. 加藤昭六

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  まず一般論でございますが、天然ガスの開発に当たりましては、鉱業権者は、鉱業法に基づきまして、あらかじめ開発の井戸の数とかあるいは間隔あるいは生産数量などを定めました施業案を通産局長あてに認可申請いたしまして認可を得るというふうなことになっております。水溶性天然ガスの場合は、その主たる生産地でございます、先生案内の千葉県、新潟県での開発につきましては、通産局長は、開発が地盤沈下に与える影響などが非常に問題であるということがございますので、県知事と十分な検討をした上でこの施業案の認可を行っているということでございます。  この琵琶湖周辺での水溶性天然ガスの開発利用計画、これにつきましては、もし仮に滋賀県がこの開発利用計画を立案する場合におきましては、国といたしましても、この新潟県あるいは千葉県等の経験を踏まえて十分な助言、指導を行っていきたい、こう考えております。  また、こうした地盤沈下の対応策でございますが、具体的には千葉県あるいは新潟県でとられている方策といたしましては、排水規制あるいは坑井の、井戸の間隔整備あるいは揚排水の還元、圧入の強化、さらには採取の制限あるいは禁止というふうな措置がございます。
  179. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは燐の問題で若干質問をさせていただきます。  燐を含む合成洗剤の使用制限運動、これはさきの琵琶湖の富栄養化防止条例の制定に関連して各都道府県で広がりつつあるわけですけれども、まず、いまかなり各地方自治体におきましてそれの制限なり、あるいはまたいろいろ協力をしてもらいたいということで呼びかけなり、いろいろな形で洗剤を燐を含まないものに変えていこう、こういう動きがあるようでございますけれども、この実態を最初に明らかにしていただきたいと思います。
  180. 馬場道夫

    馬場政府委員 燐を含みます合成洗剤に対します各種の規制の動きでございますが、琵琶湖におきます富栄養化防止条例制定以降、各自治体におきましていろいろな形で合成洗剤に対する対策が行われておるわけでございますが、私どもが現在つかんでおります状況から申し上げますと、合成洗剤につきましての対策推進要綱を定めるとか、いろいろな形で何らかの対策を行っておるところが、内海なり内湾あるいは湖沼等閉鎖性水域、そういうものを抱える府県を中心に二十五都府県に上っております。それから対策検討中のところが十五道県でございます。  そういう状況でございまして、対策内容といたしましては、公共施設等で燐を含む合成洗剤の使用を自粛するというようなものが多いわけでございますが、その他一般住民に対します啓蒙等があるわけでございます。そういう形でやっておる状況でございます。
  181. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、環境庁が昨日燐を含む合成洗剤の使用自粛、追放ですね、これを打ち出したことは環境庁にとって近来にない英断であると深く敬意を表しますが、しかし、これもかなりおくればせの措置のように感じます。環境庁の本庁、出先機関で使用中止を決定したこと、それはそれとして評価するものですが、しかし、他省庁がこれにならって初めて国としての燐を含む合成洗剤の追放をする姿勢が明確にされると思うのですね。したがって、環境庁は精力的に他の省庁に協力を求めていかなければならないと思います。そして国全体が使用中止を早く決定していくことが重要なことであります。それでまた、本日の閣議で各大臣の理解を求めるんだ、こういうふうにも言われておりますが、どんな感触だったのか、その点も含めて長官の御決意をお伺いしたいと思います。
  182. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  富栄養化防止のための協力依頼につきまして、昨日官房長名をもって各省庁に対しましてお願いをいたしたような次第でございます。  実は、私、昨年長官を拝命いたしまして、特にこの問題を重視いたしまして、霞ケ浦を初めといたしまして東京湾を視察いたしまして、私は深くこの富栄養化の防止対策ということを痛感をいたしたような次第でございますが、御指摘のとおり、本日の閣議におきましても各閣僚に対しまして協力方を強く要請をいたしたような次第でございます。
  183. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 また通産省にお伺いしますが、消費者団体等が今回の措置を一様に歓迎しながらも、合成洗剤そのものを禁止していかなければならないんだ、こういう意見もかなり多いんですね。そして石けんの方に転換を進めるべきだ、したがって、その意味では片手落ちだ、むしろ無燐合成洗剤自体が果たしてどういうものなのか、界面活性剤そのものにも問題がある、こういうふうに言われています。いろいろ批判されている中で、この無燐の合成洗剤というものをどうとらえていますか。これの性能その他も含めてどのようにとらえておるか。同時に、消費者団体等はむしろ全面禁止して粉末の石けん、こういったものに切りかえるべきだ、こういう意見もございますが、この面もあわせて、どのように考えておるか、お伺いしたいと思います。
  184. 大高英男

    ○大高説明員 お答え申し上げます。  通産省といたしましては、従来より品質等の点で消費者の利便を損なわない範囲で合成洗剤に含有されます燐の低減化を推進してまいったところでございます。先ほど先生指摘のように、最近では各地方自治体等でそれを一層進める運動があるわけでございます。私どもといたしましては、そういった観点から低燐化の極致でございます無燐洗剤というものが市場に一部出てまいりましたことは望ましい方向だと考えておるわけでございますが、その性能面につきましては、在来の有燐洗剤と比較いたしましてほぼ同程度の性能を有するものであるというふうに聞いておる次第でございます。
  185. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その内容に関しては、これは厚生省ともいろいろやらなければなりませんので、また次の機会に譲ります。  そこで、国民に対して無燐、低燐の洗剤や石けんの使用について指導、啓蒙していくのだ、こういうように環境庁として考えておりますね。具体的にはどういうように指導、啓蒙していくのですか。
  186. 馬場道夫

    馬場政府委員 私ども、特に閉鎖性水域等におきまして富栄養化現象が顕著でございますので、そういう総合的な富栄養化対策の一環といたしまして合成洗剤中の燐の低減あるいは無燐化等を言っておるわけでございます。そこで、極力低燐のものあるいは無燐のもの、あるいは洗剤の使用につきましていろいろ啓蒙、指導していくというような環境庁の方針を決めたわけでございますが、私ども政府なり政府広報機関なりあるいは私ども関係の団体、そういうものを通じましていろいろ啓蒙をしていくということが一つの方法でございますし、また、たとえば瀬戸内海を例にとりますと、瀬戸内海の環境保全特別措置法で現在各県が具体的な燐の削減対策を講じておる次第でございますが、そういう中で、やはり一環といたしましてそういう問題もいろいろ啓蒙していく、そういうようなことで私ども環境庁といたしまして都道府県の指導をしてまいりたいというように考えておるわけでございます。
  187. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、一部の消費者団体は、先ほど私が述べたとおり、合成洗剤の追放を主張していますね。そして燐の問題は富栄養化の問題ですが、この合成洗剤そのものがいろいろと人体にも影響があり、また水質も悪くしていき、あるいは魚介類その他にもいろいろと影響を与えていくのだ、こういうように言っておるわけでございますけれども、そういう中で、もしもこの合成洗剤を国として禁止をするとなった場合には、これは石けんを使うことになるわけですね。そうなってくると、今度はヤシ油等を含めて石けんの原料の確保、生産能力の点で国民の洗剤需要に対応できるのか、あるいはコストの面、そのほかの面でどうなのかという面で疑問点が出てくるわけでございますけれども、その点は通産省どういうふうに考えておりますか。
  188. 大高英男

    ○大高説明員 粉石けんの主原料でございます牛脂とかヤシ油というものは天然の油脂でございますので、それらは非常に供給の弾力性に乏しいという点がございます。それに加えまして、そのほとんどを輸入に頼っているというふうなことでございます。したがいまして、急激な需要の増加ということになりますと供給上の問題が起こってまいりまして、その製造に支障が出るおそれがあるということでございます。
  189. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 長官、そういうふうになってくると、この有燐洗剤を国も追放ということは、どうも石けんの方に持っていこうという考えではなくて、いままでどおり洗剤を低燐なり無燐といったもので、いま相当反対が消費者団体等にあるわけですが、それにほおかむりしたという形になると思いますけれども、無燐の洗剤ならば構わないのだという方向で今後ともそのまま進めていくのですか、それとも、いや、そういった面もまだ疑問があるのだから、そうじゃなくして、石けんの方をもっといろいろと考慮に入れていかなければならない、そうなってくると生産の面やコストの面やいろいろな問題が出てくるわけですけれども、それにどう対応していくか、こういった二つの面が考えられてくると思いますけれども、長官としてどっちの方向に持っていこうと考えているのですか。
  190. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 今回発表いたしました有燐洗剤の使用自粛等の措置は、閉鎖性水域における総合的な富栄養化対策の一環といたしまして盛り込んだものでございます。  それから、先ほど先生指摘の合成洗剤の安全性の問題等につきましては、厚生省とも今後よく連絡をとりながら、知見の集積を図ってまいりたいと思う次第でございます。  それから、将来石けんに切りかえていくのかという御指摘の点につきましては、今後十分検討しながら対処してまいりたい、かように考えております。
  191. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 では琵琶湖の問題に移りますが、この滋賀県の富栄養化防止条例はいよいよ本年七月から実施されますね。国としてこの問題を、これだけ全国的に波動を起こしていった、やはりそれだけの大きな評価をしなければならない重要な立場であると私は考えております。いよいよそれが実施されるわけですね。そこで、国としてこの問題をどうバックアップしていく考えですか。
  192. 馬場道夫

    馬場政府委員 滋賀県の琵琶湖富栄養化防止条例が七月から施行されるわけでございますが、私どももこれが円滑に施行されることを期待をしているものでございます。そういう意味におきまして、滋賀県としていま施行のための準備をいろいろ努力をされておるわけでございますけれども、私どもも国として、環境庁としてできるものがあればできるだけの支援、協力をいたしてまいりたいというように思うわけでございます。
  193. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 昨年度初めて淡水赤潮調査費として予算がついたわけですね。そういった形で五十五年度またついていく。じゃ、淡水赤潮調査費としての予算でどのように調査が行われ、実績としてどのような結果が掌握できたのか、その経過を説明してください。
  194. 馬場道夫

    馬場政府委員 淡水赤潮対策につきまして、五十四年度から淡水赤潮対策調査費というものを計上いたしまして、この問題の対策に資するために実態調査なりあるいは機構解明等の調査検討を進めておるわけでございます。そこで、その発生機構解明のために昨年の九月に淡水赤潮研究会というものを設けまして、専門家に御参集をいただきまして調査研究を進めておるわけでございます。ほぼ月に一遍あるいは二月に一遍程度のことで、東京なりあるいは大津等で開催をいたしておるわけでございますが、それと並行いたしまして淡水赤潮対策調査を滋賀県と民間機関に委託をいたしまして実施をいたしておるわけでございます。  そこで、五十四年度におきましては予算額は約千五百万円でございますが、滋賀県にお願いしておりますのは、いろいろのプランクトンを毎日調査していただくとか、あるいは定点調査あるいは培養試験とかウログレナの元素分析、そういうものをお願いをしておるわけでございますが、それと同時に、内外の文献等の収集をいたしておるわけでございます。  そこで、こういうような性格のものでございますので、一年たったからそこで何らかの成果が出るというわけにはなかなかまいりませんわけでございまして、私どもある程度の期間続けなければいかぬだろうというように思っておるわけでございまして、五十五年度におきましても、滋賀県その他のところに委託をいたしまして、さらに調査を継続してまいりたいというように考えておるわけでございます。
  195. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 前長官の上村さんが琵琶湖における総量規制を五十六年度にも実施したい意向の旨を発言しましたですね。これはこういう考え方で今後とも進めてまいりますか。
  196. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  環境庁といたしましては、琵琶湖の水質保全の重要性にかんがみまして総量規制の導入について検討を進めてまいりましたが、五十六年度の導入をめどに総量規制の実施に必要な琵琶湖における汚濁物質の移動、それからまた拡散等について五十五年度から具体的な調査を行うことといたしておる次第でございます。  五十五年度の予算につきましては、湖沼環境保全対策検討調査のうち琵琶湖の総量規制に係る予算は四千百九十九万七千円余でございます。
  197. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 実質的な琵琶湖等の総量規制のための調査研究、これがいよいよこの五十五年度から行われてくるわけですね。いま長官に予算まで説明していただきましたが、これはやはり五十六年度はもう一年ですから、これ果たして本当にできるのかな、こう考えるのですけれども、どういうプロセスで調査研究をしていきますか。
  198. 馬場道夫

    馬場政府委員 ただいま長官から御答弁ございましたように、五十六年度の導入を目途にいたしまして五十五年度から調査をしたいということでございますが、私ども五十五年度と五十六年度、五十六年度にも調査をいたしたい、前半になりますかあるいはもうちょっとずれますか、いずれにいたしましても五十五、五十六年の一定時点まで調査をいたしたいというように考えておるわけでございます。  そこで、既存の資料もある程度あるわけでございますし、滋賀県におかれましてもいろいろ調査データもあるわけでございますが、やはり総量規制を実施するとなりますと、さらに詳細なデータ等も必要とするわけでございまして、滋賀県に対しましては琵琶湖に流入いたしますもろもろの汚濁の発生調査を五十五年度あるいは五十六年度にかけてやっていただく、あるいはその他の委託によりまして、湖流の調査であるとか、水位の調査とか、あるいは多層といいますか上層、中層、下層等のいろいろの水質調査とか、あるいは河川底質等の調査、そういうものを含めまして、いろいろ琵琶湖におきます汚濁物質の移動、拡散等につきましてのより具体的な調査をいたしまして、五十五年度の末には何とか方針を決めてまいりたいというような考え方をいたしているわけでございます。
  199. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、この総量規制、まあ一応はCOD、これを行っていくという考えでございますが、この琵琶湖等を飲料水源として利用しておる近畿一千三百万の大事な水がめですよね、これが年々汚れてきています。赤潮はことし出れば四年連続ですか。本年七月から富栄養化防止条例がいよいよ施行されていくわけでございますけれども、それがすぐに成果が出てくるかといえば、決してそういうものではないと思います。  県の試算では、燐は家庭系が四八%、工業系が二九・三%、農業糸が一三・九%、自然系が八・八%、窒素では家庭系が三三%、農業系が二二・一%、工業系が一八%、自然系が二六・九%、これで見ると農業排水も工業排水も、いずれも琵琶湖汚染の元凶というか大変なものです。そういう中で、農業排水あるいは工業排水といったものを今後どのように規制をし、そして本当に命の水がめを守っていこうとしているのか。まずとりあえず環境庁としては、こういうような大事な飲料水源であるようなところの洗剤、これは家庭系ですね。家庭系のものには取り組みました。今度は農業あるいは工業といった面をどうとらえていこうとしているか、これの見解を最初に明らかにしてください。
  200. 馬場道夫

    馬場政府委員 いまの御質問お答えする前に、先ほど私、年度を一年間違えて御答弁申し上げましたので、訂正させていただきたいと思います。  五十五、六年と調査いたしまして、先ほど五十五年度末に方針を決めたいと申しましたけれども、五十六年度末の間違いでございますので、御了解いただきたいと思います。  ただいまの御質問でございますが、おっしゃるように、農業関係なり工場排水等のウエートそれなりにあるわけでございます。そこで農業関係につきましては、その中で特に畜産等につきましては、現在でも農林水産省等を通じましてやっておるわけでございますが、畜産排水については極力公共用水域に出さないで土壌還元するという形でリサイクルを図っていくことが環境保全のためにも非常にいいわけでございますので、そういう方向でこれからも大いに指導していくということになろうかと思いますし、また一般農業につきましても、施肥料の適正化の指導であるとか一般的な農作業管理の面の適正化等が必要であろうと思います。  それからまた、工場排水につきましては、今回の滋賀県条例におきまして排水規制を、基準を設けまして規制をするということでございますので、そういう意味におきまして、その規制が実効が上がるような形にしなければならぬと思うわけでございまして、そういう面で排水の、特に燐の排水処理技術の問題、これは私どもの方も現在予算をいただきまして、処理技術の検討を業種別に行っているところでございまして、そういう面で私どもの方もお手伝いをしながら進めてまいりたいと思うわけでございます。
  201. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 先ほどの総量規制の実施ですけれども、長官の言われたように、五十六年度をめどというのは、これは変わっていませんね。要するに五十六年度じゅうということになれば、五十六年度末にも実施ということになるわけですけれども、先ほどのようなプロセスの問題から考えて、それをめどにしていくことをもう一回ここではっきりさせてください。
  202. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げたとおりでございます。  それから、ちょっと先生、先ほど申し上げたとおり、私は霞ケ浦を視察いたして痛感いたしたのでございますが、あそこも生活排水が約四〇%、農業排水、特に畜産が三〇%、それから産業排水が三〇%ということを聞いてまいったようなわけでございまして、総合対策と申しましょうか、先ほど局長の方からもるるお話がございましたが、私は、何と申しましても生活環境の整備、下水道事業の推進ということにも力を入れてまいらねばならないと思いますので、今後建設省等ともよく連絡をとりながらこれらの問題と取り組んでまいりたいと考えております。
  203. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 建設省に関してはぜひいまのことを――私はこの後で質問をしたいと考えていますが、その意気でそのように長官にお願いしたいと思います。  それで、もう一点だけここではっきりさせておきたいのは、この総量規制、燐、窒素、この面に関しては、飲料水源ですから、こういう面に関してはどうしていきますか。
  204. 馬場道夫

    馬場政府委員 今度私どもが五十六年度をめどに考えておりますのはCODの総量規制でございまして、燐、窒素の問題は当然課題としてあるわけでございます。  そこで、私ども現在、燐、窒素等につきましていろいろな検討を行っておるわけでございますが、窒素についてはまだ技術的に未解明の点が大変多いわけでございまして、実現にはかなりの時間がかかろうかと思うわけでございます。とりあえず燐につきましての環境基準なり排水基準等を設定することが一つの課題でございまして、そのためにいろいろ検討を行っておるわけでございますが、その前の段階といたしまして、燐について環境中の目標レベルを設定したいということで、これまた学識経験者の方にお集まりいただきまして急いでおるわけでございます。  そこで、将来の問題といたしまして、燐についての総量規制制度の問題があるわけでございますが、これはそういうような一連の段階を経て、順次そういう準備を整えながら検討をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  205. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 それでは建設省、お待たせしました。  いまの長官のお言葉を踏まえて、特にこの琵琶湖の浄化のために、これはみんな飲んでいるのですから、下水道整備を急ぐこと。燐、窒素の除去などといったものになりますと第三次処理を行うことが不可欠となってきます。これは莫大なお金がかかりますね。いまの地方自治体等におっかぶしていくような、そういった体制ではどうにもならない。現在進められているのが、いわゆる矢橋の人工島のところで下水道が計画されていますね。湖南中部流域下水道計画においても第三次処理を前提で工事が進められているのであります。そうしてこれだけの大変なコスト増となり、これを完全に実施していくとなると相当な費用がかかっていくわけです。したがいまして、この面に関して三次処理を行って、そして可能な限り清らかな処理水にして放流していかなければ――今度はその放流していくのは瀬田川に流れていきますね。それが淀川に行く。これは大阪、兵庫、みんなこの水を飲んでいるわけです。そうなっていきますと、この流域下水道に対しての三次処理施設の建設費やランニングコストの助成をどうしても行っていかなければならないと思います。建設省の見解をお伺いしたいと思います。
  206. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 琵琶湖周辺の下水道整備につきましては、先生も御存じのように非常におくれておりまして、現在のところ五%程度の整備しかなされておらないわけでございます。これは欧米に比較いたしましてもおくれておるわけですが、それが二七%ですから、それよりもはるかにおくれておるという状況でございます。そういう点を踏まえまして、建設省といたしましては、まず面的な整備を図っていくということを基本にいたしまして下水道整備を図っておるわけですが、その基本的なものとしまして、琵琶湖周辺につきましては、四つの処理区に分けまして流域下水道事業を実施いたしております。それに関連いたします公共下水道も、あわせて進めておるわけでございますが、いまのところ、まず面的整備を急ぐということをする必要があるのではないか。  それと、湖沼関連いたします富栄養化の問題でございますが、それの原因になっておりますのが窒素、燐ということでございますけれども、現在の下水道の二次処理におきましても二〇%から四〇%程度の除去ができるということでございますので、二次処理をまず重点に実施いたしまして、琵琶湖に関しましては、先ほど御指摘がございましたように、飲料水等で非常に重要な水源でございますので、さらにそれ以上の対策ということも必要になろうかと思いますが、二次処理の進捗状況を見まして、三次処理の問題については検討をしていきたいというふうに考えております。  それから、三次処理の助成等の問題でございますが、現在も三次処理の制度化はなされているわけでございますが、現在行われておりますのは、BOD、SSを中心にいたしましたものでございまして、そのほかに、先ほど御指摘がございました窒素、燐の問題があるわけでございます。これにつきましては、制度化といいますか、それが完全にはなされてはおりませんが、先ほど環境庁の方からもお話がございましたように、燐の問題については技術的なめどがついておりますので、そういった点を中心にいたしまして、次の五カ年計画におきまして検討をしてまいりたいと思います。
  207. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ランニングコストの助成はどういうふうに考えますか。それをちょっと答えてください。
  208. 伊藤俊美

    ○伊藤説明員 ランニングコストの問題につきましては、三次処理に限らず、各自治体におきまして非常に苦労をしながら運営をいたしておるわけでございます。現在のところは、維持管理費の問題について助成をするという体系にはなっておりません。三次処理の問題、これは水質源等重要な水域につきましてはどうするかという問題があろうかと思いますが、いまのところは、ランニングコストを助成するという検討はなされておりません。
  209. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もうこれで終わりますが、長官、こういう実態なんですよ。長官の熱意はわかるのですが、さあ今度は、先ほどのアセスメントと似たようなものになってくるのです。他の省庁といろいろと連携をとっていくと、そこで腰砕けなんということで後退をしていくようであってはなりませんので、こういった命の問題ですから、そういうところは、特にこの三次処理を含めて、ランニングコストを含めて、総量規制、そういった面も含めての意欲的な体制を整えていかなければなりませんので、ひとつもう一度、最後に長官の御決意を聞いて終わりますから、よろしくお願いします。
  210. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、琵琶湖は千三百万になんなんとする近畿圏の人たちのとうとい水がめでございます。その点も踏まえて、私みずから建設大臣に対しましても強く要請をいたしてまいります。
  211. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 ありがとうございました。
  212. 河野正

    河野委員長 則武真一君。
  213. 則武真一

    ○則武委員 私は、鹿児島県の新大隅総合開発計画、いわゆる志布志開発問題について若干お伺いをいたしたいというふうに思います。  この問題については、すでにわが党の東中委員の方から二回ほど質問をしていただいております心繰り返しませんが、この質問中心は、いま出されておる志布志港港湾改訂計画、これが事実上新大隅総合開発計画の一号地に当たる部分に埋め立てをしていくという計画でありますが、なし崩しの新大隅総合開発計画の着工だ、こういうことを指摘をしたわけであります。もしそうであるならば、新大隅総合開発計画全体のアセスメントを行うべきではないのか。また同時に、いま提出されておるこの港湾計画改定にかかわるアセスメントというものが、とうていアセスメントと言えるようなしろものではない、きわめてずさんなものであるということを指摘をしてきたわけであります。ところが政府は、こういった問題について、まともに十分御答弁がないまま、昨年の三月の港湾審議会で、この港湾改訂計画が承認をされ、さらに昨年暮れには、公有水面埋立法に基づく埋め立て申請がとうとう出されてきたということであります。まさにいまこの埋め立て申請が認められようとしておる、こういうふうに伺っております。  そこでひとつ環境庁にお伺いをいたしますけれども、この港湾改訂計画のときのアセスメントと、それから埋立法のときのアセスメントについて、当時の上村企画調整局長は、こういうふうにおっしゃっています。「港湾審議会環境庁委員として申し上げました意見なり要望というのは、審議会委員としての意見、要望になるわけでございますが、それについて積極的に、申し上げました実効性を担保するのが公有水面埋立法の規定であるというふうに私ども理解しておるわけでございます」、これは参議院での答弁を引用さしていただいたんですけれども、こういうことになると、基本的にもうこの埋立法のアセスメントもオーケーだというふうにもとれるんですけれども、港湾審議会で述べた点と同じなんだということになると、もういまさらあれこれ言う必要ないというふうにもとれるわけなんです。  こういうことになると、これは大変なことであります。港湾審議会の時点での環境庁の判断に誤りがなかったのかどうか。またいよいよ埋め立てということになった場合に、基本的な問題はないのか。もちろん、この港湾法と埋立法とは別々の法律でありますから、こういう問題についてそれぞれ別々のアセスメントの検討を行うべきだというふうに思うわけであります。こういう点で、ぜひひとつ明快な御答弁をお願いしたい。港湾内での埋め立てということになると、もう港湾審議会ですべて片がつくようにもとれるわけなんですね。ここのところをひとつそうでないならないということをまず明確にお答えいただきたいと思います。
  214. 金子太郎

    ○金子政府委員 埋め立てにつきましては、どういう工法をとるかというような問題を初めといたしまして、港湾審議会委員として意見を述べる場合とは、また技術的にあるいはほかの面からも違った立場というものはあり得るわけでございまして、私ども現在協議を受けておりますので、慎重に検討を続けているところでございます。
  215. 則武真一

    ○則武委員 つまり埋立法に基づくアセスメントで重大な問題が出てくると、港湾審議会のときに通ったこととはまた別だ、こういうふうに理解をしたらいいんですか。
  216. 金子太郎

    ○金子政府委員 埋め立ての工法などにつきまして、新しい埋め立て問題、固有の問題が出てまいりますれば、その観点から処理をするのは当然であるというふうに考えております。
  217. 則武真一

    ○則武委員 それでは、埋め立ての段階環境庁として問題があれば意見を述べていただくというふうに理解をさしていただきます。  次に、お伺いいたしますけれども、昨年の三月の港湾審議会環境庁が述べておられる意見の中にこういうのがありますね。「安楽川以南の海岸の自然景観というのは、この湾の景観を構成する重要な部分である、」こういう表現であります。この安楽川以南というのは、いわゆる新大隅総合開発計画の主要な部分である二号用地、三号用地の予定地であります。環境庁意見にはそれなり意味があるというふうに私は思うのです。この意見の解説を求められた環境庁はさらにこういうふうにおっしゃっています。裏返して申し上げれば、安楽川以南の海岸は重要な地帯であるから開発は認めないといいますか、そういう方向で考えられる地帯である、こういうふうに参議院で述べておられるわけです。環境庁のこういう御意見というものが、今回のアセスメントの中でどのように反映をされているのか、まずお伺いしておきたいと思います。
  218. 金子太郎

    ○金子政府委員 現在運輸大臣より意見を求められております志布志港内の埋め立てにつきましては、埋立地の規模とか形状などから判断をいたしますと、現況調査及び環境影響の予測評価の対象範囲には、安楽川以南の全部といいますと切りのない話でございますけれども、安楽川以南の一部地域も含まれるのは当然だというふうに考えております。  したがいまして、安楽川以南の今回の埋め立てとの関連影響のある地域、区域については、十分環境影響に留意いたしまして慎重に検討したいと考えております。
  219. 則武真一

    ○則武委員 それではさらにそのことと関連してお伺いしますが、今回出されておりますアセスメントは、前の港湾計画に比べると非常に膨大だということは私もざらっと拝見してわかります。しかし、環境庁が述べていらっしゃるように、安楽川以南の海岸は重要な部分であるというような表現が一切ないのですね。一般的に「志布志湾奥域の景観について見ると、海側から湾奥沿岸の白砂青松の自然風景が特徴的」こういう表現、そしてその中で、「ダグリ崎などの岩石海岸、枇榔島等の景観がすぐれている。」こういうふうな強調がなされています。こういうふうに拝見しますと、環境庁意見であるところの安楽川以南は重要だから開発は認めないのだというようなニュアンスから見ると、全く別のところの北の方のダグリ崎とか枇榔島というようないわゆる新大隅総合開発計画の直接的な対象地域でないところが重要だということをアセスメントの中で強調していらっしゃる。もちろん私は、そのアセスメントで強調されておる枇榔島やダグリ崎が重要でないということを言っておるのじゃないですよ。私はどちらも重要だと思うのですけれども、そういう点で昨年の三月の環境庁のさっき確認した意見というものが、このアセスメントには反映をされていない、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
  220. 金子太郎

    ○金子政府委員 私どもまだ最終的な結論を出したわけではございません。審査中でございますので、結論的に申し上げるのは御容赦いただきたいと思います。  ただ、ただいま御指摘の点は、私どもも貴重な御意見として参考にさせていただきたいと思います。
  221. 則武真一

    ○則武委員 少なくとも環境庁として開発を認めたくない地域だということを国会で正式に述べていらっしゃる地域が、地元から出されたアセスメントにない、こういうことを私は拝見して、これでは環境庁意見が無視されておるようなアセスメントになっているんじゃないか。こういう環境庁意見を無視するようなアセスメントについては、当然環境庁意見をお出しになるだろうという立場から質問をしておるのですけれども、もしお出しにならぬということになると、全くこれまで何をおっしゃっていたのかという環境庁の存在意義を問われることになってくるわけでありますから、私はそういう意味で、このままのアセスメントでは絶対に認められない、こういうふうに思うのですけれども、重ねてひとつお伺いします。
  222. 金子太郎

    ○金子政府委員 今回のアセスメントのできが百点であるか、七十点であるか、何点であるか、私どもまだ結論は出しておりませんけれども、仮にそのアセスメントの範囲などにつきまして問題があるといたしましても、私どもは公有水面埋立法に基づく協議に対する環境庁長官意見が的確でなければならない、こういう立場から、たとえば安楽川以南の区域について影響があるのかないのかというようなことをチェックした上で返事をいたしたいと思っております。
  223. 則武真一

    ○則武委員 影響があるのかないのかじゃなくて、環境庁自身が影響があるということを述べていらっしゃることを先ほど確認をしたわけでありますから、アセスメントにそういうことが触れられていないということは、環境庁がこれまで出された意見を無視するようなアセスメントになっている、無視されているのですよということを私は強調しておるわけです。その辺ひとつ十分にチェックをお願いいたしたいというふうに思います。  次に移りますけれども、アセスメントの中身と同時に、この港湾改訂計画というのは、事実上の新大隅総合開発計画の着工ではないかという問題であります。もしこれがそうだとするならば、新大隅総合開発計画全体のアセスメントは一体どうなるのかという問題になってまいります。この点、環境庁は一般論として、全体計画の部分を取り出したアセスメントは適当でない、今回の港湾計画改定と新大隅総合開発計画は別個のものである、こういう解釈に立っておられる。そしてそれは単なる民間の事業者が言っておるのじゃございませんで、これは議事録ですが、「その自治体の最高責任の立場にある知事さんがそういうことをおっしゃっており、港湾審議会にお出になりました副知事からもそういうふうな表明があったわけでございますから、環境庁としては、それを信じて物事を判断してまいるという立場をとるのは当然」こういうふうに参議院で上村さんは答弁をしておられるのですね。信じるか信じないかがこれから問題になってくるのですが、港湾計画の改定というアセスメントは、こういう立場からすでに認められた。やはりここで鹿児島県当局の説明を信じて、いよいよ埋め立てのアセスメントに当たっても、これは新大隅総合開発計画のものとは別個だ、こういう環境庁の考え方に変わりがないのかどうか。先ほどの委員質問にもございましたけれども、私はちょっとおかしいと思うのですが、ここの点をもう一回確認をしておきたいと思います。
  224. 金子太郎

    ○金子政府委員 本件につきましては、私どもの大臣からも再三御説明申し上げておりますように、志布志港の港湾計画の改定というのは、現在の志布志港が能力的にもうパンクすることが見えてきている、したがって当該志布志港の拡張そのものはやむを得ない、こういう立場で限定的に私どもも同意したという筋合いのものでございまして、その際に、私どもが新大隅開発計画についていわばなし崩し的に了承を与えたというふうにとられることを避けるために、港湾審議会の場におきまして鹿児島県自身も新大隅開発計画の一環としてこれをやりたいと言っているのではないという説明をしていただいて、それを確認した上で私どもも同意している、こういう工夫といいますか努力をしているわけでございます。そこのところはお認めいただきたいと思いますし、また私どもの大臣が再三申し上げておりますように、この港湾計画の改定を承認するとしても、これは環境庁が新大隅開発計画に対しまして前向きであることを意味するものではないわけでございます。この方針は公有水面埋め立ての検討に当たっても変わりはないということを再三大臣からも申し上げている次第でございます。
  225. 則武真一

    ○則武委員 お言葉ですけれども、鹿児島県知事は、新聞報道などでお伺いしますと、みずからの政治生命をかけるということで、新大隅総合開発計画に執念を燃やしておられるようであります。また、今度の港湾改訂計画の着工、埋め立てという問題は、この新大隅総合開発計画を推進していらっしゃる地元の方々の中では、事実上の新大隅総合開発計画の着工だ、大歓迎だ、ちゃんとそういうふうにとっていらっしゃるのですね。だから、知事がどういうことを言ったかは別として、これはやはり疑わしい限りだというふうに思うのです。現にこの港の状態を見ても、こんな大規模な港が必要なのかどうかという問題が出てまいります。当然これは新大隅総合開発計画の中での港湾、三万トン級の船が着く港湾だということでなければならぬ、そうしないと筋がつながらないと思うのですね。こういう点で、環境庁は非常に信じるということが好きなんですけれども、皆さん方が幾ら信じても、地元の賛成派も反対派もだれも信じてないのですね。反対派は事実上のなし崩しの着工だと言っていま四百通からの意見を寄せていらっしゃる、推進派はこれによって新大隅計画が着工するのだ、もろ手を挙げて歓迎だと言っておる、こういう状況なんです。  そこで私は、論争しておっても仕方がないので、一つの事実をまず明確にしておきたいと思うのですが、この計画の中で、大型港湾の必要性という点で貨物の量を推計をしておられます。この港湾計画によると、昭和六十年を最終年度として、農水産品は、五十二年の実績の五千トンに比べて、六十年には百三十二万八千トン、驚くなかれ二百六十五倍になるというのですね。こういうべらぼうな計画というのは、新大隅計画の第一次産業の純生産額の五百六十八億円から見ても、非常にこれを乗り越えたような計画になっている。そういう点で、この港湾計画ではテンポをさらに五年早めて昭和六十年に八百四十七億の第一次産業の純生産額があるのだというような数字合わせが行われておる。こういう点で、計画が別々のものでないということが数字の上で出てきております。  それから、新大隅計画を前提とした計算で貨物量をさらに見ますと、鉱産品、金属機械工業品、化学工業品のいわゆる三品目合わせて六十年の貨物量百五十万トンというふうにこの計画でなっていますね。そのうちセメントが四十五万四千トン、砂利が五十五万六千トン、自動車が二十三万六千トン、三つで約八割。このセメントと砂利の推定取り扱い量を割り出すために港湾計画改定の資料では、昭和六十年度の大隅地域での公共投資額を七百億円というふうに見積もっております。ところが、私この大隅計画の方を拝見しますと、これも年平均公共投資が五十一年から六十五年の十五年間で七百億円、そして最終的には一兆四百四十七億というふうになっています。だから、結局この青表紙も白表紙の大隅開発も中身は同じなんですね。こんな私のような素人が見てもわかることを環境庁は、知事が言うから信じる、別々の計画だ、まだそういう子供だましみたいなことをおっしゃるのでしょうか。はっきり書いてあるわけですから、ひとつ明確に答えていただきたいと思います。
  226. 金子太郎

    ○金子政府委員 詳細な点につきましては、目下運輸省の説明をお聞きして検討している段階でございますから、ただいま御説明いただきました点も十分にわきまえた上で私どもなりの結論を出したいと思っておりますが、昨年、一昨年の段階で私が説明を受け、私なりに判断をしたときの感触で申し上げますと、新大隅の二号地はたしか造船、機械だったと思いますし、三号地は石油精製等であったと思います。一号地の後背地に大規模な畜産団地を幾つかっくるとか、あるいは後背地において各種の公共事業が予定されているとかいうこととの関連で、食品工業その他幾つかの工場を誘致する、こういう計画になっていたように思います。当初の計画は、現在の埋め立て申請の九十八ヘクタールだったと思いますが、それに比べてさらに大きなものだったと記憶いたしております。そういうような点から判断いたしますと、数字が全く同じというのはおかしいかもしれませんが、ほぼ一号地があの地区の後背地の畜産の振興あるいは各種公共事業の実施の受けざらとして使われる場所でもある、こういう理解は成り立つのではないかと思っております。  なお、私ども、先ほども申し上げましたように、これから慎重に検討する段階でございますので、御説明いただきました点を十分参酌させていただいて意見を固めたいと思っております。
  227. 則武真一

    ○則武委員 最後に、皆さんが幾ら信じても、別個のものではない、一つのものだということを私は申し上げたのですけれども、慎重に御検討いただければ結構だと思います。  いずれにしても私は、別個のものだという前提はもう崩れてきておると思うのです。やはりそうであるならば、新大隅計画全体のアセスメントというものを早急にやっていかなければならないし、そういうこと抜きにこの港湾改訂計画なり埋め立て計画に基づくアセスメントでゴーを出すということは、大変悔いを残すことになると思いますので、あるいはインチキなやり方については、いま出されておるアセスメントは内容もずさんであるということは明確でありますけれども、私は当然認めるべきではない、こういうふうに思うわけであります。この志布志湾一帯は宮崎県とも絡んでおり、宮崎県側からたくさんの意見が出ておることも御存じだと思います。そういう点で、鹿児島県の言いなりになるような形でこれが進行してはならないし、一つの湾が二つの県にまたがっておるという場合には、関係住民意見を分け隔てなく十分聞いていただく必要もある、このことを強調しておきたいと思うのです。  最後に、長官の御決意をお伺いしたいと思うのですが、御存じのように、この志布志湾の白砂青松は、三保の松原や天の橋立と並んで日本の三大松原と言われる美しい海岸であります。もちろん国定公園でもある。こういうところへいよいよなし崩し的に大規模開発がいま着工されようとしておるのだというふうに思うのですけれども、この提出されておるアセスメントに対する長官の見解をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  228. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど来局長からるる御答弁ございましたとおり、今回の港湾計画は新大隅開発計画とは別個のものである、さように私は理解をいたしておる次第でございます。  それからまた、御指摘の日南海岸国定公園の志布志地区は、国定公園といたしましてもきわめて重要な地域と考えておりまして、これを安易に解除するようなつもりは毛頭ございませんことを明確にお答えをさせていただきます。
  229. 則武真一

    ○則武委員 終わります。
  230. 河野正

    河野委員長 栗田翠君。
  231. 栗田翠

    栗田委員 私は、先日二月五日の予算委員会分科会で富士ライオン・サファリの問題を取り上げましたけれども、きょうはその内容を続けて質疑をさせていただきたいと思っております。  富士ライオン・サファリの建設、開園をめぐって、地域住民の皆さんが何に不安を感じていらっしゃるか、またどんな問題点があるか、未解決の問題も数々多くあるということなどについては先日私は申し上げまして、大臣もすでにお聞きくださったはずでございます。富士山の自然の保護ということは、これは全国民の願いであり、特に私は静岡県民でございますから、美しい富士の姿と富士山ろくの自然を守っていくということについてはことさらの要求を持っておりまして、これは県民みんなの願いだと思いますが、伺えば大臣も静岡県の御出身というお話でございまして、先日も予算委員会の分科会でこのライオン・サファリの開発問題で質問をいたしましたときに、私個人としてはこのような開発は好ましくないと大臣はおっしゃったわけでございます。恐らく同じような気持ちで、富士の自然や環境を守るという立場でおっしゃっていると思いますけれども、好ましくないとおっしゃられましたその理由をもう少し詳しく伺わせていただきたいと思います。
  232. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先生お述べになりましたとおり、私的なことにわたって大変恐縮でございますが、私も二十まで伊豆の下田で育ちまして、富士山に対しましても深い愛着を持っておるような次第でございます。申し上げるまでもなく、富士山はわが国を象徴するものでございまして、率直に申し上げまして、このようなところに気候、風土も全く異なる異国のライオンなどを持ってきてサファリのようなものを開設することはふつり合いであるというような素朴な疑問から、私の個人的な感想を申し上げたような次第でございまして、具体的な規制等につきましては、それぞれの分野行政法規の運用によりまして対処されるべきものである、かように考えておるような次第でございます。
  233. 栗田翠

    栗田委員 気候、風土の異なるところへライオンなどを持ってくるというお話で、私もその点は本当に問題だと思いますし、反対運動をしていらっしゃる方たちも、富士山にライオンは似合わないということが一つのスローガンになっております。実際、富士山は、静岡県は暖かですが、山ろくになりますとかなり寒いわけでございまして、そういう意味から言っても熱帯の動物がああいうところへ来るということは問題です。  それと同時に、富士の開発はサファリの問題だけではなく、いまかなりひどい状態になっていると私は思います。県などが調査しましたデータによっても、いま富士の中腹までの開発は、東富士演習場は除きましても、レジャーランドだとかサファリパークだとかゴルフ場だとか、それから墓地だとか、いろいろなものが開発をされておりまして、大規模開発が各市町村に占めるに至った面積を調べてみましたら、富士山ろくにあります都市、小山町が七・二九%、裾野市で七・六%、御殿場市で四・一%です。しかも、六六年から七八年度までの開発承認累計が全県下で五百二十一件、一万四千二百八十六ヘクタールなんですけれども、この四分の一が富士山ろくの五つの市と町に集中しているというのが実態のようでございます。災害の危険度から見ても、それから自然度から見ましても、開発の望ましくない地域がこの富士の山ろくで八六%もあると言われておりますけれども、サファリだけを見るのではなく、山系、水系全体にわたって社会的に開発問題というのは検討すべきだと思います。特に大臣は、環境を守るという立場では国の最高の責任者でいらっしゃいますし、個人的に好ましくないとお考えになるのと同時に、富士の自然を守るという立場からも積極的な御指導が可能な立場でいらっしゃるし、またぜひとも積極的な御指導をいただきたいと思います。私どもは期待しておりますが、その点について大臣はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  234. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お説のとおりでございまして、自然が一たん破壊されますとまた再び戻ってまいりません。そこで、われわれはみんなと心を一つにしてこれから自然を守っていかなければならない、かように私は考えておる次第でございます。  特に富士山は、先ほど来申し上げましたとおり、わが国を代表する景観であるほか、その一帯は自然環境のすぐれた地域が多く認められるところでもございまして、可能な限りこの保全が図られることが望ましいと考えますので、自然公園法の適正な運用を図るとともに、公園の区域外の地域開発に対しましても、自然環境の保全の見地から、必要に応じまして、関係県に対しましても積極的に助言を行ってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  235. 栗田翠

    栗田委員 大変心強い積極的な御答弁をいただきました。  引き続きまして、柿田川の汚染の問題で伺いたいと思います。  あの柿田川の美しさについては大臣も恐らく御存じでいらっしゃると思いますけれども、ライオン・サファリをつくります小泉ライオン・サファリ会社が県へ出した報告書、いわゆる山本報告と言われていて、いろいろ問題になっている報告書でございますが、これを見ましても、アンモニア性窒素などによる水汚染の検討はしていますけれども、ビールスや細菌などによる水の汚染の検討はされていないようでございます。先日、予算委員会分科会で、県はビールス汚染について検討しているだろうかということを伺いましたが、あのときは調査されていなかったようでお答えがございませんでしたけれども、その後調査なさったと思いますが、いかがでございますか。
  236. 馬場道夫

    馬場政府委員 お答え申し上げます。  ビールス等の調査につきましては、その後県ともいろいろ打ち合わせをいたしたわけでございますが、県におきまして特別の調査は行っておりません。
  237. 栗田翠

    栗田委員 ビールスによる水質汚染の研究というのは、いま国内的にも国際的にもどのような水準にあるのでしょうか。
  238. 長谷川慧重

    ○長谷川説明員 お答え申し上げます。  一般論といたしまして、伝染病の感染経路といたしましては、先生案内のとおり、たとえば赤痢とか腸チフス、ポリオというようなものにつきましては、汚染されたもの、たとえば食品なり水なりを口から摂取することによりまして、すなわち経口感染によって感染が起こる。それからインフルエンザのような疾病につきましては、呼吸器系を通じて感染する場合、あるいはそれ以外にたとえば痘瘡のように接触によって感染する場合、日本脳炎みたいに蚊などの昆虫によって感染が起こる場合と、いろいろな感染経路があるわけでございます。したがいまして、先生ただいまお話のございましたようなウイルスなり細菌、寄生虫というような病源微生物が水を汚染いたしまして、その汚染された水をそのまま摂取すれば、そこに個体の免疫なり抵抗性の問題はあるわけでございますけれども、感染が起き得るという事例は考えられるわけでございます。わが国におきましても、そういう下水等の水の検査からコレラ菌の検出あるいは腸チフス菌を見つけまして、そこから保菌者の発見というような事例もあるわけでございますし、外国におきましても、たとえばアメリカにおきましては下水などからポリオウイルスとかコクサッキーウイルスの検出、あるいはイギリス、アメリカ等におきましては同じように下水等からコレラ菌の検出という事例が報告されてございます。
  239. 栗田翠

    栗田委員 私はさきの分科会の中でも、動物の持っている人畜共通の細菌やビールスまた寄生虫の問題などを例を挙げて質問いたしました。そして、特にアフリカのライオンやトラのような動物は輸入に際してまだ検疫がされていないという事実も御答弁いただいているわけでございます。実際にはこのライオン・サファリの場合、柿田川という静岡県東部の地域五十万人の方たちが飲んでいる水源地にライオン・サファリが置かれることになっておりまして、そこに三百三十五頭という動物が放し飼いにされて、ふんや尿をたれ流すということになるわけです。しかも、あの地域は火山地帯でございまして、水がしみ通りやすいところだということから、ウイルスがもし地下に浸入した場合には危険なのではないだろうか。意外な、いままでは研究されていないけれども、大量の水による集団感染、感染症なども起こるのではないだろうかということを先日例を挙げて質疑をしているわけでございます。実際にアメリカのカリフォルニア州のリバーサイドなどで給水を通じての大型の集団感染が起こったとか、また五十二年三月には岐阜県で中学生七百人中百余名が罹患したわけですが、水を調べたら大腸菌などは出ない水だ、しかし、大ぜいの人が一斉に病気になった、あるいは未知のビールスかもしれないということが問題になっているということを聞くわけでございます。いまお話を伺いますと、そういう水汚染による感染の例はあるとおっしゃっておりますけれども、そういたしますと、今度のこのライオン・サファリが設置されるについて、動物の持っている菌や寄生虫から汚染されるのではないだろうかという住民のおそれというのは、決して架空のものではなくて、十分警戒するに足るだけの問題だと思いますけれども、その辺はどうお考えになるでしょうか。
  240. 田中収

    ○田中説明員 水道水源の汚染につきまして県の見解をただしておるわけでございます。富士サファリ・パークの計画におきまして、静岡県におきまして地下水汚染防止の観点から、設置者に対しまして動物の屎尿を集めて、あるいは畜舎の屎尿、これを高度処理をするということを聞いております。それから、動物の健康管理のためには、獣医師を常駐させるということを聞いております。また地下水の水質につきましては、定期的な監視を行う等のことにつきまして強い行政指導をいたしておるというふうに県は申しております。したがいまして、地下水の汚染及び水道によります人畜感染の心配はないということで私たちは県の報告を受けておるわけでございます。  以上でございます。
  241. 栗田翠

    栗田委員 そんな報告の聞き方をなさっていると困ると思うのですが、さっきもお話がありましたように、県は水の、水質のウイルス汚染については検討していないのです。ですから、たとえばアンモニア性窒素などで汚れるだろうかとか、大腸菌なんかはどうだろうかということなどはいろいろやっているようですけれども、ウイルスについてやってないのです。やってないのに安全である。これは、いまかなりな権威の方でもこの水質のウイルス汚染の問題はなかなかむずかしいのだとおっしゃっているのに、県が検査しないで、検討もしないで大丈夫だと答えているということ自体、実に問題でございます。  それから、いま県は慎重にそういう問題で対処しているからとおっしゃいましたけれども、それじゃ重ねて伺いますけれども、先日の分科会で伺ったときに、まだわからなかったとおっしゃっておりました井戸水に大腸菌群が出た問題、三月五日の朝の新聞に報道されたために御存じなかったようでございますけれども、これはその後調査をなさっていかがでしたか。
  242. 田中収

    ○田中説明員 その件につきまして調査はいたしました。昭和五十五年の一月二十一日に起業者が裾野市が立ち会った水質採取をいたしまして、七本の観測井のうち一号井と二号井から大腸菌群が検出されたということでございます。その点は事実でございます。  しかしながら、その後採水施設、具体的に申しますとじゃ口を取りつけたということでございます。前回大腸菌が出たときはじゃ口がなかったわけでございまして、バケツを使ったという事実を確認いたしております。その後、同様に起業者が裾野市の立ち会いで二月十八日に水質試験を再度行っておりますが、この際はじゃ口から直接採水びんで採水したという報告がございます。さらに二月二十七日に静岡県の衛生研究所がみずから採取して水質検査をいたしました。  それらの二月十八日及び二月二十七日の採取いたしましたものの水質検査からは大腸菌が検出されておらないという報告を受けております。したがいまして、今後観測井によります定期的な水質監視が行われました場合には、これで十分対応ができると考えております。
  243. 栗田翠

    栗田委員 いまバケツを使ったというお話がありましたけれども、大体水質の検査をするのにバケツを使ってやるということ自体が大変問題で、ずいぶんずさんなやり方をしていると思います。そしていまの御答弁を伺いますと、何かバケツを使ったから大腸菌が出たので、バケツを使わなかったら出ないようなお話ですけれども、そういうことですか。原因をどういうふうに考えていらっしゃるのか。また、ちょっと時間がありませんので簡潔にお答えいただきたいと思いますが、こういう事態についてどういう指導をなさっていらっしゃるか、それもまとめてお答えいただきたいと思います。
  244. 田中収

    ○田中説明員 今後は県が、専門家が直接取水するというふうに改めたと聞いております。
  245. 栗田翠

    栗田委員 私の伺っていることに答えてくださらないものですから、つまり、そうしますと、まだ原因ははっきりしないわけですね。
  246. 田中収

    ○田中説明員 水質については今後継続して調査してまいりますので、その辺のことの原因がわかってくると考えております。
  247. 栗田翠

    栗田委員 大変直接お返事いただかないのでわかりにくいのですが、いまのお返事を解釈しますと、まだ原因ははっきりしてないということのようですね。  それで、いまここに「環境保全に関する協定書」、これは県と裾野市とそれから会社側で結んだ協定がございます。これを見ますと幾つかの条件がございますが、「大腸菌群は、検出されないこととする。」という一つの条件があるわけです。そしてもしこういう条件に違反した場合はということで、「甲は、当該指示事項が履行されるまでの間、営業時間の短縮、営業停止その他必要な措置を乙に申し入れるものとする。」つまり県は会社側に申し入れるものとする、こういうことになっております。現在はこのライオン・サファリはまだ開園されていないのですが、準備段階ですでに大腸菌群が出て、しかも、まだいまのところ原因検討過程であるというわけですから、そうしますと、本当に住民の納得のいく大腸菌の出どころ、それがわかるまでは、しかも、それがもし人のふん尿とかその他のことで地下水にしみているならなお問題ですけれども、開園はそれまでは許可すべきではないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  248. 馬場道夫

    馬場政府委員 ただいまの件でございますが、確かに御指摘の裾野市との間の協定書を見ますと、処理水、これは放し飼いを除いた処理水につきまして、確かにおっしゃるように大腸菌群は検出されないことということになっておりまして、観測井の水質につきましては大変あいまいな規定でございますけれども、公園開園前の観測井の数値に基づく測定結果を確保するというような条項で、これをどう読むかという問題であろうかと思います。したがいまして、直ちにこのことが開園延期の理由になるかどうか、協定書の内容から見て直ちにいくかどうかにつきましては、なおいろいろ問題があるところではないかと思うわけでございますが、ただ、少なくとも大腸菌が検出をされたわけでございますし、その後の検査では、厚生省から御説明がございましたように採取方法を改善をいたしまして、検出されていないわけでございますけれども、ただ私ども、やはりこういう検出されたという事態がございますので、そこは今後の検査の体制なりそういう問題をやはりもっと強化すべきじゃないかというように思うわけでございます。  現在、協定では通常二カ月に一回の調査ということをうたっているようでございますけれども、やはりこの調査の頻度を増す、あるいは集中的な連続採水をやるというようなことによりまして、もっと追跡をしてみる必要があるのではなかろうかというように考えているわけでございます。
  249. 栗田翠

    栗田委員 これは大問題でありまして、処理水というのは、つまり屎尿を処理した水ですね。それから大腸菌が検出されないものとする。ところが今度出たのは井戸水から出ていますからね。まして処理水そのもので大腸菌が出ないということではなくて、もう地下水として流れている水から出たということです。ほかのものについていたんだという解釈も県の方ではずいぶんしていらっしゃるようですが、そうでなくて井戸水から出たというのはなお問題なんです。それが流れていって飲料水になるわけなんですから。だから、これは処理水から出ないものとする、出たら営業停止を含むというわけですから、まして井戸水から出て、開園しないうちに出たんだということになれば、作業員なんかがちょっと入っただけで出た、開園して何万という人が来て、動物も何百匹と入ったということになったらどういうことになるだろうかと、住民が不安に思うのはあたりまえでして、それはあいまいなお返事をなさっているより、これは強力に水質を保全するという立場からも、環境を保全するという立場からも、国としては指導をなさるべき問題だと思うのですが、いかがでしょうか。
  250. 馬場道夫

    馬場政府委員 先ほど申し上げましたように、必ずしも原因がはっきりしない面がございますので、そういう意味原因究明、それからそのための検査体制の強化というようなことが必要であろうかと思います。私どもも、このことにつきましてはすでに静岡県の方に指示をしております。
  251. 栗田翠

    栗田委員 どうも歯切れの悪いお答えなんですけれども、時間がなくなってまいりましたので、余り丁寧に伺っているわけにいかないのですが、もう一つ、前回質問いたしましたときに、地震の場合、動物を囲っている防護さく、フェンスの下が地崩れ、地割れなどを起こした場合どうなるのだろうか、これについては設計は十分そういうことを検討しているのだろうかということを伺いました。その後その辺についてもう一度改めて、検討していらっしゃると思いますし、またどうなっているのかということを伺いたいと思いますけれども、そのことについて御答弁いただきたいと思います。
  252. 関通彰

    ○関(通)政府委員 お答えいたします。  猛獣等の危険動物の防止対策一般につきましては、四十八年に制定されました動物の保護及び管理に関する法律によりまして、都道府県等の地方公共団体が規制をするということになっておりまして、富士サファリの場合も、この法律の規定に基づきまして静岡県が具体的な指導をしてまいってきているわけでございます。国でも一般的な施設の基準を設けておりますが、静岡県におきましては、昨年来そういう専門家の助言も得まして、具体的な指導、たとえて申しますと、猛獣セクションのさくは二重にする、あるいはサイ等のセクションにつきましては、さくの外にさらに空堀を設けるというような具体的な指導をしてきているというぐあいに承知しております。  それから、地震についての関連でございますが、あの地域は大規模地震の対策地域に入っておりますので、昨年の十二月に大規模地震対策特別措置法の政令の改正をいたしまして、地震に際しての応急計画をつくることを義務づけるということもいたしております。
  253. 栗田翠

    栗田委員 時間がなくてまことに申しわけないのですが、その応急計画というのはまだできておりませんね。半年後ですね。
  254. 関通彰

    ○関(通)政府委員 現在ほぼ成文ができておりまして、県とサファリ側で最終的な打ち合わせをいたしております。開園までには計画ができるように指導したい、かように考えております。
  255. 栗田翠

    栗田委員 最後になりますけれども、いま応急計画が大分できているというお話なんですけれども、これは地震になったときに動物を動物舎へ入れるとか、そういうようなことだろうと思います。私の調査した限りでは、フェンスの下の地崩れ、地割れについては、直接その設計の中に計画は入っていない。またそういうことを規制する法律はないはずでございます。あの現地は、地面の下がもし割れた場合は、幾らさくで囲ってあっても、動物が下の穴から出られるわけですから、これは実に危険な状態になるわけですね。このことについてもちょっと伺いたいのですが、もう時間ありませんのでやめますけれども、こういう実態なんです。  それで大臣、最後に伺いますけれども、いまの水の問題にしましてもいろいろ問題がありますけれども、何か本当に納得のいくような対策が十分とられているとは思えませんし、それから地震問題は計画をこれから出させていくのだという状態になっておりますし、住民が不安に思っていることさまざまあると思います。山本知事も、いまならば開園は許可しなかったのにと言っておられるという状態なんですけれども、こういう事態の中で本当に住民の安全と自然を守るために、富士の環境を守るためにぜひ御指導をいただきたいと思います。  それからもう一つは、ぜひ大臣、富士サファリを一度見に行っていただけないでしょうか。いらっしゃってくだされば私もお供をさせていただきたいと思いますが、そのこともあわせて伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  256. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  先般の分科会で動物の排せつ物によるこの汚水の問題をお伺いいたしまして、私もこれは大変な問題だということで、早速私自身が県の方へも連絡をとりましてただしましたところ、観測井戸を内と外に七カ所設けまして、そして月に一遍ぐらい水質検査をし、もし問題がございましたならば、中止をするなり適切な処置をとるという回答をいただいたような次第でございますが、環境庁といたしましても、今後県に対しましても強力な指導強化をいたしまして安全対策と取り組んでまいりたいと思います。  それから、現地を見に来ないかというようなお話でございますが、それも大事なことでございますが、ただいま国会開会中でもございますし、私といたしましては、環境保全の面からの指導を強化してまいりたい、かように考えております。
  257. 栗田翠

    栗田委員 終わります。
  258. 河野正

  259. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 まず、運輸省の方にお聞きいたしたいのですが、泉州沖の関西国際空港建設に対して周辺の地方公共団体の反対があると聞いていますが、それはどのような理由で反対がなされているものでしょうか。
  260. 山本長

    ○山本説明員 お答えいたします。  四十五年から四十八年にかけて大阪府議会並びに堺市から大阪府の南の方面にございます八市、五町、十三地方公共団体において反対決議あるいは反対請願の採決という形で議会において反対の意思を表明をしております。理由はわれわれ反対決議の文書を見て判断するしかございませんけれども、騒音、大気汚染、それから電波障害といった交通公害並びにアクセス道路による大気の汚染、それから海上空港でございますので漁業への影響、こういったものを懸念して反対決議がなされた、こういうふうに理解をしております。
  261. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 そのほかの何か団体で反対とかをやられているところがありましたら、その理由等をお聞かせいただきたいのですが、公共団体以外の住民団体等。
  262. 山本長

    ○山本説明員 あの周辺の労働団体とかあるいは社会団体といいますかというようなところで決議といいますか、そういったものではございませんけれども、反対の意思を表明をしておる団体がございます。
  263. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 そういったところの反対は、環境公害に対する反対がその中心理由のようでございます、この公共団体も含めて。空港を建設するためにはそのような考え方を持っておられる団体やそんな人々の理解が必ず必要と考えておりますが、その点どうでしょうか。
  264. 山本長

    ○山本説明員 関西国際空港の空港計画というものを固めてまいります段階で、先生質問のこの環境問題をも含めまして関係の府県と合意を得た上で決定する、こういうふうに運輸省の方針はそういう方針をとっておるわけでございます。したがいまして、環境問題だけではございませんけれども、全般にわたって地元との合意を得た上で決定する、こういうふうな態度でございます。
  265. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その方々の合意を得るためには反対の根拠を聞いたりしながらいろんな話を進めなければならないと考えておりますが、この方々の反対の多くは埋め立て工法で建設すると考えて反対されているのが多いんじゃないかと考えておるわけです。二月十六日の予算委員会でわが党の岡田議員の質問に対して浮体工法も並行して慎重に審議すると答えておられますが、浮体工法による建設がなされた場合の環境影響についてどのような調査を今後考えておられますか。
  266. 山本長

    ○山本説明員 先生の御質問の中にございました反対の意思表明というものでございますけれども、一番大きなものは地方公共団体のものであろうかと思いますが、これは先ほど申し上げましたように昭和四十五年から四十八年にかけてのものでございまして、関西国際空港について航空審議会で泉州沖という候補地の答申がございましたけれども、これの審議会における審議の以前から審議中にかけてのものでございます。私たちはその答申を受けて関西国際空港について調査をいたしてまいりましたのはその後でございますが、その段階で、このアセスの問題を含めまして、空港の計画については、先ほど申し上げましたように地元三府県の合意を得て決定する、こういうことでございまして、この三府県の意思によりまして地元の意思というものを代表していただく、こういうふうな考え方で進めてきておるわけでございます。  それからもう一つ、浮体工法による環境影響について調査すべきじゃないかという御質問でございますが、四十九年の航空審議会の答申は先生は御存じと思いますけれども、「埋立工法を主体とすることが最適」である、こういう答申を受けております。その後、五十二年でございましたか、その後の技術開発というものを受けまして浮体工法による検討も進めるべきだ、こういうことになりまして両方の検討を進めてきておるわけでございます。  そういう経緯でございますので、従来やってまいりましたいろんな調査というものにつきましても、埋め立てに関する項目が比較的多いということは事実でございます。ただ、浮体工法につきましても、やはり環境影響というものを考えますと、浮体を支えるドルフィンと言いますが、支柱を海底深く多数打ち込むというふうなこともございます。こういう意味での土質の調査というものも必要になってまいりますし、それから潮流がどう影響するかといった面、それから漁業にどういう影響を与えるかといった面、それからこれは浮体も埋め立ても同じでございますが、大気の汚染問題、騒音の影響の問題、こういつたものがやはり浮体関係についての環境影響という面であろうかと思いますが、この面については、いま申し上げました項目につきましては、運輸省は埋め立て、浮体という工法のいかんにかかわらず調査をしてきております。そういった調査データをいま取りまとめ中でございますが、そういった調査が浮体についての環境影響評価ということについて十分役立つ、かように考えておる次第でございます。
  267. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 浮体工法についても、十分に調査審議を尽くして後に工法の決定をなされるのが当然の順序であろうと考えますので、この辺について重なると思いますが、いま一度お答え願いたいと思います。
  268. 山本長

    ○山本説明員 現在航空審議会の建設工法小委員会という場におきまして、関西国際空港について採用すべき工法に関しまして慎重な審議がなされておる段階でございます。御質問環境への影響というものもその場合の十分なる審議事項でございますが、同時に、やはり空港として使用するわけでございますので、空港機能といいますか、その面に与える影響、それから建設技術というものについてのやはり十分なる審議、工事中、完成後の環境への影響、それからやはり地元に与える経済的な影響あるいは工費、工期、維持費といった経済的な面の検討、こういったものを多角的な面から総合的に判断をすべきだ、こういうふうな考え方から、現在慎重な審議がなされておる段階でございます。
  269. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 そういった点については、ぜひそういう方向で必ず十分な審議を尽くしてやっていただきたいと思います。その辺に関しまして、いろいろな比較の問題のときに金銭的な面も出てきたりするでしょうし、まだどちらが高いとは全然わかってないと聞いておりますけれども、この点について環境庁長官にちょっとお聞きいたしたいのですが、これからのこういった大規模工事、そんなものは相当環境面というものを重点にやっていかなければならないのではないかと考えておるのですが、長官の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  270. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 お答え申し上げます。  現在運輸省が行っておりますところの環境影響調査は、運輸省が関係府県との協議に入るための調査であると聞いておりまして、環境庁といたしましては直接関係をいたしておらないのでございますが、何といたしましても国を挙げての一大プロジェクトでございますので、環境庁といたしましても深い関心を持ってまいりたい、かように考えております。
  271. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 空港建設に伴う環境影響の問題と、埋め立て工法で建設した場合の問題点となる点について本日は明らかにしていただきたいと考えて、次の質問を行わせていただきたいと思います。  まず、運輸の関係にお聞きいたしますが、現在、航空審議会では、関西国際空港の建設工法を選定する検討が進められており、埋め立て工法によって関西空港を建設する場合は、埋め立て土量は約六億立方メートルと言われ、海底地盤は底なしの軟弱地盤という問題の多い個所であり、沿岸埋め立てではなく、沖合い五キロメートルに人工島をつくるというプランですから、まさに人類が地球上でかつて経験したことのない大規模な難工事となることは明らかであります。  私は、公共事業の実施を環境影響との関連から判断する場合、為政者として、少なくともまず、人類の受け継いできた自然という貴重な遺産をいたずらに破壊しない、二番目に、開発の途中で公害など市民生活の福祉を阻害しない、三番目に、開発後に公害の後遺症を残さない、こういった心構えを持つべきであろうと考えておりますが、この点をお聞かせ願いたい。
  272. 山本長

    ○山本説明員 一般的な話といたしまして、そういった環境保全の見地から十分な配慮をすべきであるという点は、そのとおりかと存じます。
  273. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 埋め立ての場合、大量の土砂が山から海中に、しかも短い年月の間に移動するのでありますから、陸地も海も環境が一変することは必至であります。山が大きく削り取られ、土砂が沿岸まで運ばれることによって、自然は破壊され、住民社会生活は建設現場の渦中に置かれて平穏をかき乱されます。一方、沖合い五キロメートルの水深約二十メートルのところでは、地盤改良のための砂ぐいの打ち込みやコンクリートミルクの注入によって、ヘドロ層に手が加えられることになり、さらに大量の石材や土砂が投棄されることによって、作業船はふくそうし、浮き上がったヘドロと投入される土砂によって、大阪湾内の海は濁り、魚類は追い出され、人工島ができれば、潮流が変わり、海象が変化し、多くの環境上の弊害は避けられません。  関西空港の建設予定地点は、水深が深く、海底地盤が悪いので、埋め立て工法には適していない場所でありますから、これにかわる工法として浮体工法が検討されているわけで、浮体工法は、運輸省の調査によっても、技術の安全性の検討で建設は可能という結論が出されている確立した技術であります。浮体工法であればほとんど環境影響の面の心配は起こらないと思います。  そこで、環境影響観点から判断する限りは、埋め立て工法よりも浮体工法の方が環境影響が少ないと思いますが、部長はどういうふうに思われますか。
  274. 山本長

    ○山本説明員 両工法については、埋め立て工法をとる場合には、土砂を採取しなければならない、運搬をしなければならない、海底、海水における汚濁というものもやはりある程度は避けられない、こういった状況があり、一方、浮体については、そういった土を取るということがございません。建設中におけるいろいろな漁業への影響というものについては、やはり埋め立てと同じような問題があるかと思いますが、一般的に言って、環境への影響という先生の御質問観点からだけ見るならば、その影響は埋め立ての方が大きい、こういうことは言えると思います。
  275. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 五十四年二月に航空局が発表された「関西国際空港調査実施状況について」によりますと、五十一年度と五十二年度に実施された各種調査の概要紹介であり、五十三、五十四年度の調査結果はまだ発表されておらないようです。  このうち、環境影響調査としては、一、「騒音・振動」、二、「大気汚染」、三、「水質汚染・汚濁」、四、「景観・植生等への影響」、五、「海岸利用への影響」、六、「水産への影響」、七、「海上交通への影響」の七項目が挙げられています。  その内容を見ると、ほとんどすべてが「検討しています」とか「今後検討することにしています」という書き方をされておりますが、調査が進行中か、今後に残されているものばかりと言っても過言ではないと思います。  そこで、質問さしていただきます。  航空審議会関西国際空港部会の建設工法小委員会では、来る四月四日に環境問題の専門家を参考人として呼んで意見を聞くことにしているそうですが、どういう分野の人を呼ぶのですか。
  276. 山本長

    ○山本説明員 環境関係の有識者と申しますか、専門家の方を四月四日の建設工法小委員会にお呼びいたしまして意見を聞くということになっておりますが、環境関係の専門家の意見を聞くのはその日だけとは限られておりません。四日もその一日であろうと思います。その日に来ていただける方について現在折衝をしておるのでございますけれども、特に海の関係、海洋水理といいますか、その関係の方に来ていただきまして、海の濁りの関係、潮流の変化の関係、そういったものについて御意見をお聞きすることができるのではないかというふうにただいま考えております。
  277. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その四日以外に、どういった方を呼んでどういうふうにやろうという何か計画がありましたら、お聞かせ願いたい。
  278. 山本長

    ○山本説明員 小委員会の方で環境関係についてできるだけ広く専門家の意見を聞きたい、こういう御意見がございまして、事務当局といたしまして、小委員長の御了解も得ながら、人選といいますか、御依頼を進めておる段階でございます。現在、それ以後についてまだ確たる人選に至っておりませんけれども、漁業への影響の問題、あるいは埋め立てを前提といたします場合における山の環境の変化の問題、こういった問題についても専門家の意見をお聞きしたい、こういうふうに考えております。
  279. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 七項目せっかく挙げておられるのですから、その七項目について漏れなくそういった専門家の意見を聞いてやっていただきたいと考えております。  五十三、五十四年度に実施された環境影響調査の結果は、詳細のデータも含めて一般に公表すると思いますが、どういった形で、いつやられるのですか。
  280. 山本長

    ○山本説明員 両年度にわたりました調査を現在地方局において取りまとめをしておる段階でございます。取りまとめを終わりましたならば、並行して審議が進んでおります空港計画案に対する環境影響評価案とでもいうべきものにいたしまして、関係の府県にも協議をする、あるいは関係の省庁にも調整をお願いする、御意見を聞く、こういうふうなことになろうかと思います。
  281. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 実施状況についてのレポートの環境影響調査の第四項の「景観・植生等への影響」には「さらに、土砂採取および土砂採取後の環境に与える影響調査にあたっては騒音・振動・粉じん・大気・水質ならびに植生・地表水・微気象・地下水・地質・景観の諸点について検討するとともに、防災についても検討を加えることにしています」と書いてあります。  その植生について聞きたいのですが、新聞の報道によると、万博関連事業などで削り取られた北生駒山系は二百十ヘクタールにわたる砂漠状態となっており、六甲山系も住宅団地の開発によって、神戸市須磨区の鉢伏山北西側が山はだをさらし、兵庫県は一千万本植樹運動を唱えようとしていると報ぜられています。開発のために山を削ったら、その跡がどうなるかは全国枚挙にいとまのないくらい数多くの例があると思いますが、荒れた山はだをもとの緑に戻すには土取りの十倍の年月がかかると言われ、再び植生を回復するには客土をしなければならないと考えております。  そこで、環境庁にお聞きいたしたいのですが、北生駒山系における土石採取後の問題について、どのように対処しておるのか。またこの場合、表土の客土の実態はどのようになっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  282. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のございました北生駒山系におきます土石採取の問題につきましては、その相当部分が現在金剛生駒国定公園の中に指定をされているところでございまして、その中で現在相当な土石の採取が行われております。この北生駒地域全体で、五十三年度の実績でございますけれども、百ヘクタールにわたりまして十二業者によって年間百五十万トン程度の土石の採取が行われたという結果でございます。こうした採石の地域の今後の取り扱いにつきましては、現在、私ども、国土庁を中心にいたしまして、林野庁それから建設省、この関係省庁でもって共同いたしまして五十四、五十五年度の二年度にわたりまして、北生駒地域保全整備計画調査というものを実施をいたしております。  私ども環境庁といたしましては、大都市近郊の国定公園における自然環境の保全ということと、大都市住民の健全な野外レクリエーションの場を確保するという観点からいたしまして、その調査の結果を踏まえまして、すでに大阪周辺で希少なものとなりつつあります緑地が保全されますように、この関係省庁や大阪府とも協力をして対応してまいりたいというふうに考えております。  なお、先生のお尋ねのございました表土の問題でございますが、一般的に言いまして、国立、国定公園の中におきまして土石を採取いたします場合には、表土を廃棄するのではなくてリザーブさせておきまして、採石が終わりました後、それによって埋め戻しをして、その上に緑化の措置を講ずる、こういう指導をいたしております。本件の場合におきましても、大阪府がそのような指導をいたしておりますが、表土が足りない場合には当然のことながら客土をしなければならない、こういう結果に相なると存じます。
  283. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 大量の土石を採取した後には客土が必要と考えておるのですが、環境保全上の見解を環境庁からぜひお聞かせ願いたいのです。ただいまのお答えの中でもう一度確認のようになるかもしれませんが、緑をもとに再現しようと思えば表土が必ず必要である、そしてその表土が足りないときは客土しなければならない、こういう見解だと受けとめてよろしゅうございますか。
  284. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 私ども、採石の跡地は原則としてこれを緑化をして修復をする、これを基本原則として臨んでおりますので、ただいまお尋ねのございましたように、取り除いておきました表土を埋め戻しても足りない場合には、必ず客土をいたさなければならない、かように考えております。
  285. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 飛行場部長にお聞きいたしたいのですが、関西空港のために土取りをした跡地にはどのくらいの客土が必要と考えておられますか。もちろん埋め立て工法でやった場合のことですが。
  286. 山本長

    ○山本説明員 何立米の客土が必要であるかという数字を現在持ち合わせておりませんですが、土取りをするという場合のやり方といたしましては、表土を取り除く際にそれを保留しておきまして、土取りが終わりました後でそれを客土として敷きならす、こういうことが必要であるという調査になってございます。
  287. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 私の方で聞いております土取りの予定である和泉葛城の山系は、岩山で発破をかけて採取するようになるので、表土の保存は無理ではないかというふうに聞いておりますが、この点はどうお考えでしょう。
  288. 山本長

    ○山本説明員 土砂を採取いたしますときに、樹木を伐採し、抜根をして、表土を取り除き、残留をして、それから発破をかけて土を取る、こういうことを考えておるわけでございます。
  289. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 そういったふうなやり方をしたときに、どのくらい金がかかるといったこともちゃんと計画の事前にわかってやられるおつもりですか。
  290. 山本長

    ○山本説明員 もちろんそういった工事の方法をとることによる経費というものは、建設費の中に織り込んで考えていかなければならないと考えております。
  291. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 私どもの計算ですから御異論もあるかもしれませんけれども、約七百ヘクタールとして厚み五十センチ、三百五十万立方メートルほどの表土と思われる部分が必要だと考えておるのですが、こういったものが不可能な場合に、いまの御計画では必ず取り除いた部分で十分のような表現でございましたけれども、万が一足りなくなった場合には、ここに膨大なはげ山が出てくる、こういうふうに考えられますので、どうかその辺は環境庁の方も、この点につきましては、それが工法を決めるときの一つの争点であって、事前に十分な計画がなされておらなければならないと私は考えるのでありますが、その辺御見解がいただけたらと思います。
  292. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 御指摘のような線に沿いまして、環境保全の万全を期するという見地から考えてまいりたいというふうに思っております。
  293. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 では問題が変わりまして、大阪府泉南郡は背後に和泉葛城山系を控えているために、特有の気候、風土を備えていると聞いております。昨年大阪湾を襲った台風十六号の際は、泉南地方ではこの山のおかげで被害を免れたのだそうでございます。関西空港を埋め立てでつくるため、この和泉葛城山系を九十メートルとか百メートルとかの高さまでそろえるように一、二の地域でも高いところを削り落としてしまったら、どのような気候、風土の変化が起こると予想しておられますか。
  294. 山本長

    ○山本説明員 土砂の採取によりまして山系の気象条件がある程度変化する、こういうことは考えられることでございます。これは山の裏と表というところによりまして局地的な気象の強弱といいますか、というものがございますから、そういった面が、たとえば山が削られるということによりまして気象がならされるというふうな変化があり得ると思います。そういったところから、土を取るとした場合の土取り場所の選定ということにつきましては、この山系の主要な尾根といいますか主尾根といいますか、といったところだとか、あるいは市街地に近いいわゆる前山と申しますかを避けて、これらの間にある山地を候補地とする、こういった環境への影響、気象への影響を小さくする措置をやはりきめ細かく配慮していくということが必要であろうかと思います。
  295. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 現実に、具体的にそこの山がどうなるというふうなことはまだ計算されていないということでございますか。
  296. 山本長

    ○山本説明員 土取り場所につきましては、工法自身が確定しておりませんので、一般的に大阪湾のあの沿岸からある一定の範囲におきまして候補地となるであろうところについて調査は実施しておりますが、具体的にこの山を取るというようなことにつきましては、運輸省も決めておりませんし、もちろん発表してもおりません。そういった関係から、その具体的なものに即する調査といいますか、ということはただいまやっておりません。
  297. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 その辺を私は非常におかしいと考えておるわけです。具体的なものがわかって、その影響をはっきり計算して、それから工法を決めるんだと私は考えております。いまのは逆になるんじゃないですか。その辺について、まず運輸省の考えを聞かしていただきたい。
  298. 山本長

    ○山本説明員 土取り場所をどこにするかということを運輸省として公にするというわけにはまいらないという事情は御理解願いたいと思います。  ただし、そういった山系の状況がありますときに、一般的な気象の変化というものがどうなるかということについては調査はいたしておるのでございます。
  299. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 公表するかしないかじゃなくて、安全だということをはっきりさせるためには具体的なものが要るでしょう。ですから、それはそこの土地が値上がりするとかいろいろな問題が絡んでくるから事前に言われないというのは結構ですが、当然その決定をするまでにその辺は間違いないということがわかっていなければいけないと思いますが、環境庁長官、こういった環境の問題を、具体的なものもしないままに、大方よかろうで工法が決定されていいものだとお考えですか。
  300. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 先ほど来御質疑を聞いておりまして、私も率直に言ってちょっと理解ができないような面があります。
  301. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 話が同じところにいったりしますので、一般的なものになればちょっと細かな問題を聞きたかったのですけれども――一つ聞いてみましょう。  岬町の方では、通称マゼと呼ばれる南西風が吹くそうですが、これの変化についてはどう考えておられますか。
  302. 山本長

    ○山本説明員 地域における風の状況というものについては、気象条件の調査ということでやっておると思いますが、先生が言われたマゼという風について知っておるかと言われますと、私は存じません。
  303. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 そんな、全部細かいことを知っておられなければとは思いませんけれども、これは、決定はしてなくても、いま予定されておると思われる地域のことでございますから、どうか十分に御検討をお願いいたしたいと思います。  それでは水産庁にお聞きいたしたいのですが、先ほどの航空局の調査によれば、空港予定地の海域は、大阪湾や和歌山県沿岸を通じてイワシシラスの漁獲高が最大の場所で、年産二十五万から三十三万キログラムの水揚げ高となっているわけであります。空港埋め立て工法で建設したとしたら、こういう漁業はどうなるとお考えでしょう。
  304. 伊賀原弥一郎

    ○伊賀原説明員 何分にも非常に大きな埋め立てでございますが、この件につきましては運輸省の方で非常に詳しい影響調査をいまやっておられまして、まとめておられる段階だと聞いております。  それで、いまの段階で、例示を挙げられましたが、後でちょっと申し上げますけれども、一般的に水産業全体の受ける影響について確としたことを申し上げられる段階にはいまないということでございます。運輸省の方から報告が出ました段階で詳細に検討をしていきたいというぐあいに考えております。  それから、先ほど先生の方からシラスについて約二十五万キログラム、まあ二百五十トンということになりますが、シラスにつきましては大阪府全体で千八百トンぐらいの漁獲量がございます。いま先生おっしゃったのは二百五十トンぐらいでございますが、恐らくこの中心のところがそのくらいだということのお話じゃないかと思います。府全体としてはもっと多うございます。
  305. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 高松空港を生島沖に埋め立てて建設しようというプランがかつてあったときに、イカナゴの生息というか、産卵地であるということでやめてしまった例があるようですが、関西空港は高松空港の六、七倍という大きな規模になりますから、こういう問題というのは非常に大きな問題となると考えますが、いまお聞きになられたように、水産庁も運輸省のアセス等が出てからといったふうな考えでおられるようでございますし、環境庁についてもいろいろなものが運輸省のアセスを待っておるように聞こえます。  私は、きょうの質問に当たりまして、その埋め土は、この資源の少ない日本で埋め立てるための土というのは有限な資源ではないかと考えたわけです。そしてこの日本全土にどの程度の有限な、埋め立てに利用できる土があって、どういった大きな計画でもってやっておるかということを聞いて回ったのですが、どこも知らないということでありました。私は、この関西空港の予定されておるところは大変海が深いので、こんな深いところを有限な土砂で埋めるのは不経済ではないかと考え、いろいろな方の見解を聞いて回ったのですが、そこまでに至ってないように聞いております。水産の意見を聞きましても、十分な調整ができていないようだし、環境庁にしましても受け身なような感じがいたしますので、どうかこういった大きな問題は、全国民の財産として、この空港も一その周辺だけじゃないと思います。だから、全国民の財産としてのこういった大きな問題の考え方というものをどこかでまとめてやっていかれるのがいいと思いますが、今後の課題と思いますが、どうか関係しているところが一緒になって話せるような形を考えていただいて、今後国民の期待にこたえる空港建設に向かって進んでいただきたいと考えております。  最後に、長官、関西新空港については、環境影響上、先ほどから申してきましたような重大な問題がたくさん山積みされております。環境庁の対処方針をお示しくださいまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  306. 土屋義彦

    ○土屋国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたとおり、これは何と申しましても国を挙げての大変大きな大事業でございますので、御指摘にもございましたが、関係省庁とよく連絡をとりながらこの問題と真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  307. 木下敬之助

    ○木下(敬)委員 どうもありがとうございました。
  308. 河野正

    河野委員長 次回は、来る四月八日火曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時散会      ――――◇―――――