運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1980-02-19 第91回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月十九日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 戸沢 政方君 理事 西田  司君    理事 八田 貞義君 理事 山本 幸雄君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 則武 真一君    理事 中井  洽君       天野 公義君    池田  淳君       中村正三郎君    丹羽 雄哉君       畑 英次郎君    吹田  愰君       宮下 創平君    土井たか子君       野口 幸一君    竹内 勝彦君       森田 景一君    東中 光雄君       木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁長官官房         審議官     石川  丘君         環境庁長官官房         会計課長    神戸 芳郎君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 本田  正君         環境庁自然保護         局長      藤森 昭一君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君  委員外出席者         外務省国際連合         局企画調整課長 小西 芳三君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    越川 文雄君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     山本 雅司君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      大高 英男君         運輸省港湾局環         境整備課長   高田 陸朗君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部日         本鉄道建設公         団・本州四国連         絡橋公団監理官 黒野 匡彦君         建設省道路局企         画課長     沓掛 哲男君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 二月十二日  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七号)  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策)      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 私は、環境影響評価法について、しぼって質問を申し上げたいと思います。  まず、そのものずばり最初にお尋ねいたしますけれども、この環境アセスメント法をこの国会提出すると約束なさっておるわけでございますが、ずばり言っていつ提出なさるのか、お尋ねしたいと思います。
  4. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境影響評価法制化は時代の要請でもございますし、環境庁の悲願でございます。現在、党の政調それからまた政府部内におきましても、内容等につきまして鋭意検討いたしております。私といたしましては、一日も早く関係機関の御了承を得まして、そして国会提出をさしていただくべく最大限努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  5. 馬場昇

    馬場委員 一日も早くということでございますが、報道されておるところによりますと、官房長官が、総理提出をするという予算委員会の言明に従いまして、折衝中の通産環境両省に対しまして、今週中に案をつくってしまえ、今週中に国会提出をするように準備をしてください、そういう要請があっておるやに私は聞いておるわけでございます。  具体的に聞きますけれども、今週中に成案ができて国会提出できるのかどうか。
  6. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  一月二十三日に自民党政調環境部会におきまして、関係省庁との折衝に入ってよろしいというゴーサインをいただきまして、自来今日まで関係省庁といろいろ検討がなされております。またさきの衆議院予算委員会における総理大臣の御答弁を受けまして、内閣官房におきましてもいろいろ検討がいまなされておるさなかでございますので、御了承賜りたいと思います。
  7. 馬場昇

    馬場委員 二十三日までに提出するようにという指示は、官房長官から通産、特に環境庁にあっておるのかどうかということと、昨日政府・与党の会議で出すということは決めたということですが、この国会をながめてみますと、政府方針としては、提出法案というのはどんなに遅くとも三月十四日の閣議で決めるのが最終だということを聞いておるわけですけれども、その三月十四日の閣議には間に合うのかどうか、もう少し具体的に聞いておきたいと思います。
  8. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  本日も八時半から自民党環境部会が開かれまして、今日までの各省庁との経過等について環境庁から御説明を申し上げ、また官房長官を中心といたしまして、内閣におきましてもいろいろと調整がなされておられます。私といたしましては、ともあれ一日も早く国会提出をさしていただきますように最大限努力をいたしますので、重ねて御理解を賜りたいと思います。
  9. 馬場昇

    馬場委員 一日も早くというのは、これはもう四回流れておるわけだから、四年間一日も早く、一日も早くと大臣は皆言っておられるわけですけれども、それで出ていないのです。  だから、私は聞きますけれども、もう三月十四日の閣議法律国会に出すのは大体最終のぎりぎりだということで、各省庁そういう方針を持っておるようでございます。だから、具体的に聞いておきますけれども、三月十四日の閣議には決定して出す段取りに、ぎりぎりのところ間に合うのかどうかということを聞いておきたいと思います。
  10. 土屋義彦

    土屋国務大臣 重ねてお答えきせていただきますが、先生の御要望の線に沿うように誓って最大限努力をさせていただきますので、御理解を賜りたいと思います。
  11. 馬場昇

    馬場委員 いま一日も早くという大臣気持ち、ただ三月十四日がぎりぎりじゃないかという私の質問に対して、その線で努力するんだという答弁を受けたのですけれども、私はきょうは、早く出せということも必要ですけれども、それ以上に問題は内容が大切であるということについて御質問を申し上げてみたいと思います。住民の側から見て、これは悪いんだ、そういう法律であれば出さない方がいいわけですから、早くりっぱなものを出してもらいたいということで、その内容についてお尋ねをしてみたいと思います。  大臣は、本国会所信表明の演説の中でこういうことをおっしゃっておられます。環境行政というのは「公害から国民の健康と生活環境を守るとともに、かけがえのない自然を保護し、さらに快適な生活環境を確保するという重大な使命を担っております。」こういうことをこの場所で言われました。そして「開発事業等実施に当たって環境影響評価を行うことは、環境汚染未然防止を図る上で、不可欠であり、その制度化は、国際的な趨勢となっております。」こういうことも言われました。そしてさらに「環境行政の推進に当たっては、国民の声に耳を傾ける」こういうこともおっしゃって、そしてどんな困難があろうともより高い環境の質の実現に向かって誠心誠意全力を尽くす覚悟である。環境行政をやる方針としてこのような所信表明があったわけでございますが、環境アセスメント法をつくるというその基盤に、いま言われたような方針をきちんと堅持してやっていただけるかどうかということについてお尋ねします。
  12. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境庁に課せられました使命先生のお説のとおりでございまして、まずもって人間の健康保護、命を守ること、それからまた生活環境保全、それから公害防止ではなくいたしまして未然防止、そしてよりよき環境をつくる、これがわが環境庁に課せられた使命であろう、私はかように確信をいたしておる次第でございます。特にこれから、何と申しましても公害が起きてから手当てをするのじゃなくいたしまして公害未然防止、これに力を入れてまいらねばならぬと思います。  さような意味におきまして、環境アセスメント環境影響評価法制度化、これは大変重要なことでもございますし、これに対しまして地域住民意見を反映させるということもまた大事なことでございまして、私といたしましては、昨年中公審から出されました答申の線に沿って、この法制化に対しまして全力を傾け、努力いたしてまいりたいと思います。
  13. 馬場昇

    馬場委員 大臣、このアセスメントの、今度の国会に出そうとしていま準備をしておる環境庁案というものは、骨子でもいいのですが、あるのですか。あったら示してください。
  14. 金子太郎

    金子政府委員 私どものつくっております骨子、ございます。お手元にお届けいたしたいと思います。
  15. 馬場昇

    馬場委員 ずっとさかのぼってみますと、五十一年ごろからこの問題の準備をなさっておるわけでございますが、五十二年に第一次試案というのを出しておられるようですし、同じ年に第二次試案というのも出しておられるのですが、私も承知しておるのですけれども、この第二次試案なんかを見てみますと、まさに環境アセスメントとしては姿も影もないような、骨抜きの形骸化した案のようでございます。こういう内容アセスメントが制定されますならば、これはもう開発行為を是認して、アセスメントのトンネルを通ったというだけで、公害をたれ流してもいいという免罪符としての機能しか果たし得ないような悪法だ、こういうぐあいに住民から批判がされました。だから、今度の骨子というのは、この五十二年ごろ発表されました試案というものは、いま言ったような批判住民から受けているわけですが、これよりも前進しておるのか後退しておるのかということで、私、まだ骨子を十分調べていないものですから、その第一次試案、第二次試案、五十二年に出されたのと今度の骨子というのは、住民側から見て前進しているのか後退しておるのか、どっちですか。
  16. 金子太郎

    金子政府委員 私ども前進後退ということをみずから評価するのは非常にむずかしいわけでございますが、五十二年の案とは、その後の各省折衝などございまして若干変わっているものでございます。しかしながら、昨年四月十日に中公審から御答申いただいた「環境影響評価制度のあり方について」という答申には忠実に沿ったものであると考えております。
  17. 馬場昇

    馬場委員 私は、五十二年当時の案よりも今度の骨子後退しておると実は思うのです。いま後退しておるか後退してないかわからぬけれども、変わっているとおっしゃったのですけれども後退しておると思います。  そこで、具体的に一、二質問を申し上げてから、また本論に入りたいと思うのですけれども、今度の案というのは、計画を立案する段階評価ですか、それとも実施する段階評価になっておるのですか、そのことが第一点です。  それから第二点は、住民参加が十分保証されておる案になっておるのですかどうですかということが第二点。  それから、環境影響評価技術審議会というのが前の案にはあったのですが、今度はあるのかどうか。そうしたら人選はどうなのか。その審議会に、たとえば開発を差しとめるだけの権限が与えてあるのかどうか。  内容、幾つもありますけれども、主な点三点について、今度の骨子説明してください。
  18. 金子太郎

    金子政府委員 第三点の審議会は考えておりません。  それから、第二点の住民参加につきましては、環境影響評価準備書、いわゆるドラフトができました段階でこれを公告いたしまして、住民縦覧に供することといたしておりますが、その縦覧期間中に関係地域住民に対する説明会を開くということにいたしております。そして関係地域住民から意見書提出される期間として、その一カ月後のさらに二週間というものを考えております。それから関係都道府県知事市町村長等意見あるいは主務官庁などの意見を徴しました上で最終的な環境影響評価書というものをつくりまして、再び公告、縦覧を行う、こういうような仕組みになっております。  それから、さかのぼった御説明で恐縮でございますが、第一点につきましては、計画段階アセスメントという要素はちょっぴり含んではおりますが、基本的には実施段階におけるアセスメント、こういう仕組みになっております。
  19. 馬場昇

    馬場委員 非常に重大な後退をしておるようでございますが、いま最後におっしゃいましたように、立案段階評価でなしに、ちょっぴりそれがあるというような話ですね。実施段階評価が主だ、これじゃ話にならない。  それからまた、住民参加最初公聴会をやるというようなことでしたが、それがいまの話によりますと説明会になってしまっておる。これは言われなかったのですけれども、この説明会も、事業者の責めに帰しないような理由で開かれないような状態になったら開かなくてもよろしい、多分こうなっておるのじゃないかと思うのです。  それからまた、この審議会もなくなってしまっておる。  ものすごい後退後退を重ねたような内容になっておるようでございます。こんなのならつくらない方がかえっていいぐらいに思うのですが、その背景について、少し政治的になりますけれども、聞いておきたいと思うのです。  大臣、この法律をめぐっていまずっと後退後退を重ねておりますが、私は、この法案準備段階でものすごい不純な動きというものを感ずるのです。  まず第一点は、環境庁が非常に、長官が言われたような環境行政基本ではなくて、そこからアセスメントをつくるというのじゃなしに、ものすごい政治的な配慮でつくろうとするし、そして政治的な配慮内容後退させておる、こういうことがございます。それで、伝えられるところによりますと、東京都の鈴木知事のやってくれという要請がものすごく強い、こういうことが伝えられておるわけです。そしてまたその東京都の鈴木知事の意向を受けて、環境庁なりあるいは自民党なり政府なりで、その判断というのが政治判断です。伝えられるところによりますと、美濃部都知事が出した評価案、これを鈴木さんが破棄した。そこでいま東京都で美濃部案でもってアセスメントをつくってくれという直接請求住民運動が起こりつつある。署名運動でも起こりますと、ちょうど参議院選挙の最中にこれが突き当たる。知事立場自民党立場というのは困る。そしてさらに環境庁案美濃部案よりもずっと後退しているのだ。環境庁案法制化する。国と同じような法制化東京都でする。非常に後退した案。そうすると鈴木知事立場も立つじゃないか。そういうような視点でもってこのアセスメント環境庁が今国会提出するのはよかろう。全然環境行政基本からではなしに、不純なそういうところがら今国会提出というのが考えられておる、こう伝わっておるわけですけれども、これについて長官のお考えを聞きたい。
  20. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先生が御指摘になられましたとおり、鈴木東京都知事自民党並びに官房長官のところへ一日も早く国で法制度化してもらいたいという要請に上がったということは、新聞等を通じまして私は承知しております。私自身は鈴木知事にはお目にかかっておりません。環境庁の諸君に対しましても、正々堂々とやれということを私は強く命じておる次第でございます。
  21. 馬場昇

    馬場委員 新聞によりますと、十六日、櫻内幹事長も同じことを発表しておりますね。それには、さらにもう一つ条件がつけ加わっておる。全国の自治体がばらばらで条例制定動きが出た、それが非常にいい条例をつくってもらっちゃ困るから基準をつくるんだ、そしてまた東京都の、さっき言ったような住民運動の直接請求運動が起こって追い込まれそうで困る、そういうことを堂々と幹事長表明しておるわけです。  この幹事長の物の考え方というものに対して、長官の御見解を聞きたいと思うのですが、いま長官は重大なこと言われました。事務当局については、正々堂々とやれと命令してあると言われましたが、実はおたく局長産業界説明に回っておる中で、ちゃんとそのことを言っておるわけです。これはいま環境庁法制化した方がいいんですよ、鈴木知事立場もよくなるんですよ、参議院選挙にも保守がいい、自民党がよくなるんですぞ、そういうことをおたく局長産業界説明に行ったときに言って回っている。これが正々堂々とした環境行政基本から出た態度ですか、どうですか。
  22. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  金子局長関係団体説明に参りましたことは、先生指摘のように事実でございます。しかし、私がお供してまいったわけではございませんので、何を申し上げたかわかりませんが、金子局長といたしましても、五度目でございますから、何としても今回は法制化してもらいたいということでいろいろ御意見は申し上げたのではないか、かように確信をいたしております。
  23. 馬場昇

    馬場委員 いま私は金子局長と名前を言わなかったのですが、大臣から金子局長が言って回ったということを言われましたので、局長、あなたはそういうことを言ったか、言わなかったのか。
  24. 金子太郎

    金子政府委員 説明過程におきまして、そのような客観情勢があり、そういう情勢が発展するのではなかろうかということを説明したことは事実でございます。
  25. 馬場昇

    馬場委員 これは長官、あなたが言う環境行政基本住民生活、健康を守る、環境を守る、純粋な気持ちでこの法律を出すのだ、そして正々堂々とそういうことをやれと命じられておる。いま局長は、選挙に有利ですよ、鈴木知事立場が有利ですよ、地方自治体がどんどんつくったら困るから、これは早くつくった方がいいですよ、そういうことを説明段階で言ったという。それはあなたの指示と合っておりますか、どうですか。
  26. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  そのような誤解を受けるようなことがあったといたしますならば、まことに申しわけないと思っております。
  27. 馬場昇

    馬場委員 誤解を受ける、また金子さんも誤解を受けるかもしれぬと思って、金子さんはそれを文章にしておるのですよ。文章にして持って回っておるのですよ。  もう一つ聞きます。いまちょっと言ったのですけれども、こういうことを言っている。各自治体環境庁案よりも厳しい条例が制定されるよりも、環境庁案法制化した方が開発に与える影響は少ない、こういうことを金子さんは言っているのです。言っているんじゃない、書いておるのですよ。そして、こういうことを言っている。この環境庁案法律をつくった、いわゆるアセスメント法、これ以上を自治体条例でつくったならば、これは違法である、それ以上はつくらせない、それ以上の条例をつくったら違法である、こういうことを説明して回っております。従来の環境庁の案というのは、国が法律をつくって、それ以上の上乗せした条例をつくることも可能だという態度であったのです。ところが、もう今度は、それ以上のものをつくったら違法だ、そういうことを文書に書いて持って回っているのですよ。  それで、その次何と言っているかというと、これ以上、たとえば川崎とかなんとかの条例ができている、これ以上の条例がいまあるところは、その条例の改正を含めて自治体を指導する、こういうことを書いておる。これは大臣どうですか。
  28. 土屋義彦

    土屋国務大臣 まことに申しわけございませんが、本人から答弁さしていただきたいと思います。
  29. 金子太郎

    金子政府委員 私が申しておりますのは、いわゆる条例による上乗せの問題でございます。国の法律によるアセスメントというものは必要である。アセスメント法が必要であるという理由一つとして、自治体自治体にまたがる大規模な事業を行う場合に、自治体ごと手続がばらばらであっては困るという問題があります。これは反対される各界とのいろいろな議論過程で、条例が制定されればそれではそれでいいではないか、法律にする必要はないではないかという議論がいろいろございましたので、いや、そうではない、そういう場合には統一的なルールを示すことが必要である、したがって、環境庁案においてはこの法律対象とする事業にかかわるアセスメント手続はこの法律によるということにすることが適当である、そうでなければかえって混乱が起きますということを申しまして、この法律手続と違う条例があった場合には、その条例適法性いかんという問題につきましては、その場合には法律規定が優先する、こういう答弁をしているわけでございます。
  30. 馬場昇

    馬場委員 あなたは、たとえば自治体側環境庁案より厳しい条例が制定されるより、法制化した方が開発に与える影響は少ない、こういうことを言っていますか。そして違法だとあなたは言っている。法律以上の自治体条例は違法だというようなことを言っている。きちんとそのように言っているのですか、どうですか。
  31. 金子太郎

    金子政府委員 いや、私が申し上げておりますのは、上乗せ禁止という規定を入れることがわが環境庁案として適当である、したがって、その環境庁案対象とする事業について、条例が別途の、より繁雑といいますか、上乗せ的な規定を定めても、それは法律解釈として無効であって、環境庁案手続を踏めばよろしいということを何回も説明しているわけでございます。  それから、第二点につきましては、私はいわゆる美濃部条例案というものは現実的であるとは思っておりません。確かに理想主義的な感じのするものであり、それなりの評価はあろうかと思いますけれども、いわゆるワーカブルなものではないのではないか。少なくとも現在の日本の現実といいますか、実情に照らして考えてみると適当なものではないのではないか。むしろこのように、私どものいわばささやかなアセスメント法案提出すらなかなか各省の御了承を得られないという現実を踏まえて考えれば、現在のわが国の国民的合意というものは、現在の環境庁案程度のところではなかろうか。馬場委員の言われますように、計画段階におけるアセスメントということに私ども参加できるようになるということは、私どもの理想であります。しかしながら、そういう理想的な状態に直ちに到達できるかというと、現実は決してそんなものではない。四年かかってもなかなか法案提出にこぎつけられないという情勢の中で、せめて実施アセスメントについて、現在程度住民参加規定というものを基本として、とりあえず――次善とは申しません。三善であり四善であり五善であるかもしれませんけれども、そういうものの国会提出にこぎつけたい。ついてはなかなか御納得いただけない方々に対する説明として申し上げておるというわけでございます。
  32. 馬場昇

    馬場委員 あなたは、自分が後退後退を続けて、そして本当に住民を、あるいは環境を破壊するような案をつくっておるという罪の意識というのは全然ない。いま私が言ったこととあなたの答弁は大分食い違っているのですよ。  もう一つ、こういうことを言っていませんか。まだたくさんありますよ。この法案は、野党の修正には絶対に応じない、こういうことをあなたは言っておりませんか。それからもう一つ、まだあります。絶対という言葉はあるかどうか知りませんけれども、応じない。この国会審議権を抑えるようなことを行政府のあなたは言って、産業界を説得して回っている。こういうことはどうかということと、そこで、このことを言った言わぬでは困るのです。あなたが書いて持って回った説明の要旨があるはずです。それをこの委員会に出していただきたいと思うのです。言った言わぬじゃ困るのです。私はあなたが持って回った文書を見ています。納得してもらうように持って回っているのですから秘密文書じゃないと思う。あなたが出した文書を直ちにこの国会に出していただきたいと思うのです。どうですか。
  33. 金子太郎

    金子政府委員 申しわけございません。  第一点につきましては、説明過程におきまして、環境庁案についてはわからないでもないが、これが国会提出されれば野党によって修正されるのではないか、それが困るという質問がありましたので、それは与党の方が修正をしないという御判断をされれば済む話である、こういう答弁をいたしたことは事実でございます。  それから第二点は、理事会の方で出せということでありましたら提出いたしたいと思います。
  34. 馬場昇

    馬場委員 委員長にお願いいたしますが、理事会で出せと言われればこの委員会に出すという局長答弁であったので、ぜひこの委員会にその説明文書を提出するように取り計らってもらいたいと思います。
  35. 河野正

    河野委員長 この件は、後ほど理事会で協議をいたします。
  36. 馬場昇

    馬場委員 結局、私がいま感じますのは、環境アセスメント法を、五回目ですから、国会に出したい、その気持ちはわかるのです。しかし、いままで積み上げてきた国民のための環境行政というものを取引にして売る、こういうことはこういうぐあいに改めますから、産業界の言うことを聞きますから、アセスメントの国の法案を出すことを了解してください、内容もあなた方の言うとおりにいたしますから出してください、こういうような姿勢で終始しておる。私は最近の環境庁の姿勢というものはそう思います。言うならば、言葉は適切でないかもしれませんけれども、本当に操を売って物を取るというような感じがしてしょうがない。過ぐる一年の流れを私が見てみますと、たとえばNO2の基準の緩和の問題だって、水俣病の新次官通達の期日の問題だって、また認定促進の臨時措置をつくった問題だって、また環境開発に対していろいろ後退しているという批判がある。それだって無縁のものではない、私はこういうぐあいに思うのです。  そこで、その中の一つとしてもう一つ聞きたいのは、公害の健康被害補償法の問題について、この文章の中には触れてあるのです。これは――その前に言いたいのは、たとえば指定地域を縮小する問題だとかあるいは六歳以上のぜんそく性気管支炎を通達でもって外したいとか、いろいろ批判される動きがあったわけですけれども、これはいま一応取りやめだということになっているようでございますけれども、この健康被害補償法の改悪さえ取引の材料に使おうとしておる。そうしてその文章の中にはこう書いてある。「通産省から公式に要請があれば、環境行政全般の立場に立って慎重に検討する」被害補償法というものを前に書いて、そうして正式に申し出があれば検討する。これは後退ということの前提でこういうことが行われておるわけであります。さらにこの中には、法律をつくる中で具体的にこれをやるときには、「柔軟で合理的な環境影響評価が行われること」を期待する。柔軟で合理的な運用を行うことを期待するなんということを言っておるわけでございます。こういうことについては、これは事実ですから、もしそうなるとしますと、本当に環境アセスメント法の成立のために環境行政国民の財産というものを返上してしまう、操を売ってしまうのだ。さらに法律内容がこういう内容であれば、開発免罪符にしかならぬ。環境を守るということにならない。私は公害行政の自殺行為であると思うのです。そうしてまた現在の状況を見てみますと、それだけの環境庁の姿勢だものだから、産業界等は環境アセスメントを人質にとっておりながら、国民が積み上げた環境行政の財産を、こいつもよこせ、こいつもよこせ、こいつもよこさなければこのアセスメントにはオーケーしないぞ、こういういたけだかな態度産業界はとっておる。大臣、こういうことは、あなたが大臣のときに環境アセスメント法を出すのはいいけれども、その失ったもの、そして内容後退、これなら出さない方がいいです。そういうことについて大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
  37. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えをさせていただきます。  ただいま馬場先生から大変厳しいおしかりを受けまして、私は責任の重大さというものを本当に深く痛感いたしております。  先ほど来の御答弁にもございましたとおり、金子局長が経団連等関係機関にお願いに参りましたことは事実でございます。それからまた本年二月の初めに電事連の会長、経団連の委員長、関西経済連の委員長等が大臣室へ見えまして、アセスメント法制化は時期尚早であるという意見が述べられました。私はこれに対しまして、皆さん方はどのようなお考えを持とうとも、環境庁といたしましては、中公審答申の線に沿ってこれを法制化いたすべく最善の努力をいたしますということを申し上げておるようなわけでございまして、いろいろ御指摘のような点もあろうかと思いますが、ともあれ精いっぱいがんばってまいりますので、ぜひひとつ御理解を賜りますようお願いいたします。
  38. 金子太郎

    金子政府委員 環境行政のあり方につきましていろいろ御心配いただきます点は、私どももありがたいと思っておりますが、公害健康被害補償制度の見直しとアセスメント法とを取引するといいますか、パッケージにするといいますか、そういうことは全然考えていないわけであります。  私どもが言っておりますのは、何はともあれアセスメント法を出すことが最優先の課題である、後退であるとかなんとかいう批判はありますが、いまこの法律がないところに法律を出すことに一つの大きな意味がある、それをやりたいと思うから同意してもらいたい。公害健康被害補償制度は、発足以来六年を経過いたしまして、初めから割り切りの上に割り切りを重ねてつくってまいりました制度でございますので、この時点においていろいろな角度から見直せという話があります。それは制度の主管者として検討するにやぶさかではないが、実はまだ正式に通産省から検討してくれという話は来ていませんよ、産業界検討しろ、検討しろとおっしゃるけれども来ていませんよ、来ればそれは正式に検討はするけれども、その際も慎重にやります。そこで、私が経済団体に行って申しました本意は、皆さん方はアセスメント法は絶対いやで公害健康被害補償制度は早く直せ、そういうお立場でいいのですか、私はそれはいただけないと思いますよということを強調しておったわけであります。  それからもう一つは、取引の御懸念ということはよくわかりますけれども、過去数年来あるいは環境庁発足以来だと思いますが、産業界ないし通産省側でそういう取引をしようという態度はみじんもないわけでありまして、またもしも取引ということが可能であれば、過去において行われていたかもしれないわけでありまして、そういう御心配は、相手がその気が初めから全然ないわけでありますから、ないというふうにお考えいただきたいと思います。
  39. 馬場昇

    馬場委員 あなたの言うことは全くの詭弁ですよ。そしてまた、あなたは産業界みたいにこの委員会で開き直っている。その文書を出してからまたきちっと言いますけれども大臣、この人は自分が操を売っているのを知らないのですよ。そのくらい感覚がおかしくなっています。この文書を見たら、だれでもそう思いますよ。この人はそれをやっている。(「それをみんなに配れ」と呼ぶ者あり)それは後で配るようにしてもらいます。この文書を見て、また皆さんで議論してもらいたい。  いまあなた方のやっていることは、結局免罪符になるようなことですよ。それで法律が通ったら、私は反対です。なぜかと言うと、皆さん方が取引してつくって、そして悪いこういうアセスメント法が通って開発がどんどん行われていくとなると、これは開発を行ってよろしい、悪いことよろしい、環境を破壊してよろしいという免罪符にしかならぬ法律ですよ。また文書を持ち回ってやったということは、正々堂々とやらせたという大臣のあれになっておりません。私は金子局長の責任を聞いたいと思うのです。  そこで、局長、これはあなたのお考えが行き過ぎかどうかということと、もう一つ大臣に、この内容を私が心配しているように、絶対にいままでの環境行政アセスメントとを取引しないということと、このアセスメント内容は必ず国民の期待にこたえられるような、国民批判にこたえられるようなりっぱな内容をつくる、それに全力を挙げて大臣が取り組むかどうか、大臣の御見解を聞きたいのです。
  40. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  絶対取引はいたしません。  それから、内容につきましては、中公審答申をいただいておりますので、その答申に沿うように最善の努力をさしていただきますので、どうかひとつ御理解を賜りますようにお願いいたします。
  41. 馬場昇

    馬場委員 私が質問しているのは中公審答申じゃないのです。国民の期待と批判にこたえられるように、国民住民のそういう立場内容をつくってくれ、金子氏がやっておることは、長官の正々堂々とやれという指示に違反してはいないか、この二つはどうですか。
  42. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先ほど来御答弁申し上げておりますとおり、ただいま党並びに政府におきましても鋭意検討いたしておりますので、先生の御意見等踏まえまして最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  43. 馬場昇

    馬場委員 これは、その文書が出ましてから、またここで議論をしたいと思いますので、一応ここで保留をしておきたいと思います。  次に、経団連の動きについて一つだけお尋ねしておきたいと思うのですが、経団連が二月十三日の常任理事会で、提案反対の要望書を決めたということが伝えられておるのです。内容は、立法化は見送るべきだということでございますが、この要望書が環境庁に来ておるのかどうかということです。そしてこの立法化の提案を見送るべきだという理由の主なもの――たくさんは要りません。主な理由はこれだ、どういう理由で提案を見送るべきだということで要望書が出ておるのか、それについてお尋ねしておきます。
  44. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  二月十四日に、私にあてまして、経済団体連合会会長土光敏夫氏から「環境影響評価制度の立法化問題について」の意見、建議ということでいただいております。内案につきましては、局長の方から御答弁さしていただきたいと思います。
  45. 馬場昇

    馬場委員 内容については、局長答弁が長いから、重立った内容はこれとこれとこういうことで要望が出ておるんだということを簡潔に説明していただきたいと思います。  だから、私はこれは委員長に申し上げたいと思うのですけれども、過去四回の流産でございます。それで、その主な理由がこの経団連、産業界にあるんです。この意思を体した通産省、政府の中では、そういうことで四回も国民の要望の法律が流れる、今回もまたこういう態度をとっておられるということで、本当にこの公害法案提出がおくれるようであれば、これは国民立場から、経団連にも黙っておれない、国会立場からも黙っておれないというふうに私は思います。そういう意味で、いますぐということでございませんけれども、この法案提出がおくれるようでありますと、私は経団連の首脳をこの委員会に参考人として呼んで、ぜひ真意をただしたい、こういうことを考えておるわけでございますので、この辺の取り扱い方についても、委員長によろしくお願い申し上げたいと思います。
  46. 河野正

    河野委員長 その点については、後ほど理事会で協議をいたします。
  47. 金子太郎

    金子政府委員 経団連の反対論は二つございまして、一つは、科学的な手法というものが確立されていない段階では法制化は時期尚早である、二つ目は、住民参加規定についてもまだ未熟だと思うので時期尚早である、こういう点でございます。
  48. 馬場昇

    馬場委員 いま経団連の反対理由に、科学的な評価の手法というのがまだ確立していないというようなことがあります。そして住民参加のこともあるようでございます。  そこで、これは外務省に聞きたいんですけれども、外務省がアメリカの国務省に対しまして、この環境アセスメントの問題で問い合わせをやっているようでございます。これは外務省は何のためにアセスメントの問題についてアメリカの国務省に問い合わせをしたのか。それで国務省から回答が来ておるようでございますが、その回答の内容の、このアセスメントにかかわる部分について内容を示していただきたいと思うのです。
  49. 小西芳三

    ○小西説明員 昨年の十月でございますが、在京の米国大使館の方から私どもの方へアプローチがございまして、去年の国連総会、これは三十四回総会ですけれども、そこに一つの決議案をアメリカとしては出したい。その内容は、国境を越える環境影響評価についてのガイドラインのようなものを、これも国連の一部なんですが、国連環境計画というものがケニアにございます。そのケニアにある国連の環境計画でそういうものを研究させるという関連で、日本の支持を得たいというアプローチがございました。それはエードメモワールという形で参ったのですが、それを私ども読ましていただきまして、環境庁及び通産省と協議をいたしまして、その中で三点につきまして説明をしてほしいということをアメリカに申し入れました。  一つは、現在そういう国境を越えるアセスメントの方法あるいは技術というものについて確立したものができているのかどうかという点です。  それから二番目は、国連の方でやはり海洋法の会議をやっておりますけれども、そこで海洋汚染の問題をやっておりまして、それとの関係がどういうふうになるか。  それから三番目は、各国の政府環境問題への取り組みというのが非常に違うんだけれども、その各国を通して共通の原則というものがうまくつくれるであろうかという三点について質問をいたしました。
  50. 馬場昇

    馬場委員 三点を質問なさったんですが、第一点に環境評価の手法、その技術、この問題を質問なさっているようでございます。これについてどういう回答が来ていますか。環境評価の技術とか手法ですね、それについての回答の内容を示してください。
  51. 小西芳三

    ○小西説明員 アメリカ側の説明によりますと、すでに世界の主要な国におきましては、この環境アセスメントの方法、技術というのは確立してきておる。したがって、その現行の技術あるいは方法によってこういう環境アセスメント、これは国境を越える問題ですけれども、そういうものを問題の所在をアイデンティファイする、あるいはその対策を講じていくということは可能であるし、そういう過程を経ながら、さらに将来その技術の改善ということを行っていくことができるのではないかというのがアメリカ側の回答でございます。
  52. 馬場昇

    馬場委員 その回答によりますと、これはいま国境を越えてということですが、この回答書を見てみますと、国境を越えない問題についても書いてございます。「環境アセスメントについては、その準備を可能とするだけの十分なアセスメントの方法と技術が現在あると考えています。」こういう内容もあります。そしてまた正規の手続で各国でもアセスメント制度がすでに制定されております。国の名前を大分挙げてあります。それで「アメリカ政府諸機関では一九七〇年以来、その諸活動に係る環境アセスメント制度を成功裏に運用」いたしております。そしてまた「環境影響評価のためのある種の技術を必要とするという問題ではないと考えております。」そして「現在ある諸技術を利用するという問題」であります。こういうことが回答として出てきておるわけですが、これは多分通産省にも環境庁にもお示しになったと思うのです。いま言った環境評価の技術問題について、経団連は、それは確立していないから反対だと言っているのです。ところがアメリカ等からもこういうものが来ていますし、環境庁通産省、この回答についてどう思われますか。まず通産環境の順に答えてください。
  53. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いま外務省の方から答弁がありましたように、アメリカは、環境アセスメントは既存のアセスメントの方法及び手法により可能である、特定の新技術を必要とするものではないという見解を述べておられるようでございます。私どもこの既存の科学的知見をもとに――アメリカの考え方というのは、既存の科学的知見をもとに、各国の実情に応じた方法で環境アセスメント実施することができるという趣旨を述べているのだろうと思います。問題は、それを具体的に制度にする場合にどのようにするかというところまで多分言及したものではないというふうに思っております。  実際問題として、科学的な予測手法をやる場合に、調査項目それから調査の方法、予測の手法、それから最後に、それをどう評価するかといったような一連の手続をとるわけでございますが、そういったプロセスというものを考えてみますと、そういう科学的な予測手法とかあるいは評価基準というものがどの程度まで確立しているかという点については、項目によって熟度が異なるのが実態であろうかと思われます。したがいまして、どの辺までのところで整理をしていくかということになりますと、制度化する場合にはいろいろ議論があるということでございますので、環境庁の御意見も伺いながら考え方を整理していきたいというふうに思っております。
  54. 金子太郎

    金子政府委員 アメリカ国務省の回答につきましては、私ども基本的には同じ意見でございます。
  55. 馬場昇

    馬場委員 私は環境庁にアメリカから来た回答書を見せてくれ、よこしてくれと言いましたら、これは外務省だから外務省に行ってくれと言って、私には環境庁は見せないのです。外務省に持ってきてくれと言ったら、まさにひっ切れ紙みたいなのに何書いてあるのかさっぱりわからぬようなやつを持ってきたのです。私はここに全文を英文と日本文で持っているのですけれども、外務省にお聞きしますけれども、こういうものは全文を見せてはいけないのですか、秘密ですか。本当にこういうのは関心がありますし、こういう審議にも必要なんですけれども、こういう全文を見せない、提出をしないというのはどういう理由ですか。
  56. 小西芳三

    ○小西説明員 私ども、扱っておりますいろいろな書類の性質によるのですけれども、先ほどちょっと申し上げましたように、この紙の性質は、最初参りましたエードメモワールもそうですが、それから私ども質問に対する回答もそうなんですが、国連で決議を出します事前の段階の関係国の打ち合わせの文書という性質のものでございます。したがいまして、これを出すということで、これはアメリカがその決議を通すためにいろいろ作戦の一部として考えている文書でございますので、もちろんアメリカの了解をとって何ら支障がないということであれば差し支えないのだろうと思いますけれども、一般的に考えれば、その決議ができる前の段階の打ち合わせの文書というのは大体秘の扱いをしております。
  57. 馬場昇

    馬場委員 文書取り扱いは大体秘の扱いということですけれども、これが秘になるかどうかわかりませんけれども、問題はこの環境アセスメントをこの国会提出する、提出しないということ、そしていま産業界が反対しておる。この文書を出すというのは、やはり通産省が外務省を通じてアメリカに聞いて、できれば技術は非常にむずかしいんだというような回答が来ればいいなというような気持ちで出したんじゃないかと思う。ところができるんだときたものだから、これは困ったというような形で、やはり公表したくないという立場ではなかったんだろうか。私に対する回答は、環境アセスメントに関する米側ペーパーについて、何を書いてあるかさっぱりわからない。こういうメモが来たのですけれども、そういう産業界並びに経団連は技術がしようがないんだと言う、あるんだという回答ではこれは困るというようなことで秘にしたんではないかと思ったのですけれども、ぜひこういうことはきちんとなるべく公開するようにお願いしておきたい、こういうぐあいに思います。  そこで、時間もございませんが、まだまだこの問題はいまからでございますけれども、最後に、五度目ですから出してもらいたい、成立させてもらいたいという気はあるけれども、繰り返しますけれども長官、このことによって既存の環境行政を取引してみたり後退させてみたり、そういうことは絶対ないように、――しないとおっしゃいました。そしてまたこの内容が、国会にせっかく出して、こんなのはだめだとすべての野党から反対され、そうして産業界を守るような、環境を破壊するような、健康を破壊するような案であればわれわれは反対するわけですから、せっかく出したわ、国会で反対されて通らなかったわ、こういうことにならないように、本当にこのことで何にも失ってはいかぬ、いや、このことを通じながらさらに環境行政を進めなければならぬ、そして国民住民批判にこたえる、期待にこたえる案で満場一致でここで通る、そういうようなりっぱな案をぜひ出していただきたいということを申し上げておきたいと思います。資料の問題については保留しておいて、出たらまた議論したいと思います。  それでは時間も参りましたが、もう一つ別な問題について申し上げたいと思います。それは、大臣公害の海外輸出の問題についてでございます。  実は、ここに資料が一つございますが、中部ジャワのケンダル県というところにスマラン・ダイヤモンド・ケミカル社というのが一九七五年六月に創設されました。日本側からは三菱商事三〇%、昭和化工四〇%、そしてインドネシア側がヒンドラコ・ダルマ社、これが三〇%の出資によってその会社が設立をされておるわけでございますが、これはクエン酸石灰を製造して販売しておるようでございますが、これが工場北側のジャワ海に至る地域で排水をたれ流しをして、水田や養魚池に物すごい公害被害を出しておるわけでございます。その排水によりまして水田、養魚池や井戸が汚染をされて被害を受けておるわけでございます。そういうものにつきまして、これは通産省と両方に聞くわけでございますけれども、いろいろいきさつがございまして、一九七八年の八月九日に会社と住民とスマラン市、三者の間で次のような取り決めが交渉の結果行われております。三カ月以内に公害排水をとめること、会社は住民に飲料水を配給すること、住民に損害賠償すること、こういうことが決まっているのですが、実はこれが実際行われていない、こういう実情があるわけでございます。  それからもう一つ、これは新聞報道によりますと、マレーシアのペナンのペライ工業団地の日系企業が公害をたれ流しておるという記事が出ております。これは日消連が政府に申し入れておるわけでございますので御承知と思いますけれども、同工業団地内にある日本農薬系のACMは無処理の廃液をたれ流しておる。また新日本製鉄系のマラヤワタは焼却炉に集じん機をつけていない。排水処理も不十分だ。また東レ系のペンファイバーなども公害をたれ流しておる、こういうような記事も出ておるわけでございます。  だから、一々の問題については御存じであるかということと、内容は知っておられればそれでいいわけですけれども、そこで私が質問したいんですけれども、まず第一は知っておるか知っていないかという問題が第一点でございます。  それから第二点は、やはり日本の企業が進出していって公害をたれ流すわけでございますから、これは国際親善の問題とか、大変な国際問題にもなるわけでございますので、こういう被害を出す企業あるいは出すおそれのある企業、こういうものが進出をする場合についてはどのような行政指導とかいうようなものをとっておられるのか。  それから第三は、こういう事実が起きたときにどのように日本政府としては指導なさって対処なさっておるのか、公害の海外輸出という点について、以上三点お尋ねしておきたいと思います。
  58. 大高英男

    ○大高説明員 ただいまお話がございました中で、インドネシアのスマラン・ダイヤモンド・ケミカル社につきましては私どもの所管でございますので、お話しさせていただきます。  本件につきましては、関係者より事情を聴取いたしましたところ、五十二年の二月と五十三年の七月の二回にわたりまして、それぞれその時点で集中豪雨がございました。そのときに工場の排水が付近の川に流れ出しまして、隣接地域に被害が生じたことがございます。それで本件につきましては、五十二年の事故の場合につきましてはすでに関係者との間で補償問題が解決しております。さらに五十三年七月の事故の場合につきましては、現在市当局に裁定をお願いしておるところでございまして、その結果を待ちまして対応することといたしておるわけでございます。  この事故の後、こういった事故の再現を防止するために、排水の貯水池の補強でございますとか排水処理装置の改良等を実施いたしておりまして、その後はもちろんトラブルはないと聞いております。今後につきましては、現地の事情に応じまして適切な措置を講ずるよう、本邦の親会社を通じまして指導していく所存でございます。
  59. 馬場昇

    馬場委員 私が持っておりますレポートとは大分違うようでございまして、集中豪雨があったから二回被害があったんだということでございますが、これはずっと現在も排水は続けておる、被害も現在も出ておるということでございますし、だから住民は、たとえば水の配給も一カ月でストップされたので、水を求めて毎日一・五キロぐらいのところを歩いて水くみに行っておる。そしてまた破壊された養魚池はアシが生い茂り、多くの住民は失業して村を離れておる、こういうぐあいにレポートを私は聞いておる。私の聞いておるのとあなた方の調べられたのとは全然違う。突発の二回の集中豪雨の被害だけだということですが、全然違うようでございます。だからぜひこれはもう一遍調査し直していただきたいと思うのですが、やはり海外にこういうような企業が進出するときには、公害問題について、たとえばどうなさっているのか。あるいは全然指導しないのか、指導なさっておるのか。そういう点についてもぜひ十分な指導を行われるようにお願いいたしたいと思います。これは時間がございませんので、問題を提起しておきたいと思います。後日議論いたしたいと思います。  次に、これは水俣の問題ですけれども、水俣湾には、御承知のようにまだ水銀を含んだ汚泥がいっぱい堆積しておりまして、いわゆる水俣湾ヘドロ処理事業というものが行われるようになっておるのですが、これは住民のいろいろな裁判等の訴訟によりまして、現在進行していないのですが、この水俣湾ヘドロ処理事業、今後どういうぐあいにしてこの事業を遂行する計画であられるのか。これは環境庁からと運輸省から聞いておきたいと思います。  それからもう一つ、いまチッソ救済のために熊本県は物すごい県債を出して救済をしておるわけでございますが、この県債を議決するときに、水俣工場というものが縮小したり撤退したりしては、熊本県が莫大な県債を出して補償する意味もなくなるというようなこともあって、水俣工場というものを再建整備をする場合に雇用の減退を起こしてはならない、雇用減退を含めながら水俣の地域経済に悪い影響を与えてはならない、そのような立場でチッソはもちろん水俣を撤退してはいけないし、工場を撤退させてはいけないのですけれども、再建計画をつくるべきだという附帯決議がありまして、そのことはまた知事知事名で会社にも申し込んでおるわけでございます。近いうちにチッソが再建計画を出すというぐあいに伝えられておるのですけれども、その再建計画がいつ出るのか。とともに、その内容は雇用減退がないような、そして地域経済に悪い影響を与えないような、そういうことで通産省も指導するという、何回も約束なさっておられるわけですが、その指導が貫かれた内容が出てくるのかどうか、この点について質問しておきます。
  60. 馬場道夫

    馬場政府委員 水俣湾のヘドロ処理事業でございますが、御承知のように水俣湾の底質除去の工事につきましては、仕切り網の設置を五十二年の十一月に終了したわけでございますが、その後、同年の十二月二十六日に地域住民から熊本地方裁判所に工事の差しとめの仮処分申請が行われまして、昨年五十四年の十月十六日に結審をいたしたわけでございまして、近く判決が行われるという予定であると聞いておるわけでございます。  したがいまして、現時点におきまして事業実施の見通しにつきまして意見を述べることは差し控えたいわけでございますが、環境庁といたしましても、本事業は水銀を含みます有害ヘドロを除去いたしまして、水俣湾の環境を復元するという非常に重要な意義を持つ事業でございます。そういう意味で、私どもも熊本県並びに事業を行います運輸省とも密接に連絡をとりながら、この事業が安全に、また円滑に推進されるように、いろいろ私どもとしても努力をしてまいりたい、こう思うわけでございます。
  61. 高田陸朗

    ○高田説明員 水俣湾の堆積汚泥処理事業についてでございますが、水俣湾における水銀によって汚染された堆積汚泥については、住民の健康の保護、環境の浄化などの観点から早急に除去するとともに、除去工事に当たっては二次公害を発生させないよう十分配慮する必要があります。このため事業主体である熊本県は、処理計画の策定に際して学識経験者、関係行政機関などから成る委員会を設けまして検討を行うとともに、工事着工後においても十分な監視を行って、二次公害防止に万全を期することとしているわけでございます。このうち水俣湾における主たる工事については、運輸省の第四港湾建設局が熊本県からの委託により実施することとなっておりますので、第四港湾建設局に対しても慎重な施工を行うよう指示してまいっております。  以上のような配慮により二次公害の発生は防止できるものと確信しておりますが、昭和五十二年十二月二十六日に一部の住民から、工事の安全が保障されないということで、工事差しとめの仮処分申請が熊本地方裁判所の方になされました。現在、この仮処分にかかわる裁判が進行中でございますが、四月十六日にこれに関する判決が出ることとなっております。  具体的な現地着工時期につきましては、熊本県の意向を十分尊重して、受託者である第四港湾建設局が判断することとなっておりますが、地域住民の大部分の方々が強くこの事業実施を望んでおられることでもありますので、早急に平穏かつ円滑に着工がなされるよう第四港湾建設局を指導してきておるところでございます。
  62. 山本雅司

    山本説明員 馬場先生指摘の第三点のチッソの中期計画でございますが、これにつきましては、先ほど御指摘のとおり、従来から県債発行その他の状況を勘案いたしまして、地域経済に悪影響のないような形で鋭意検討するようにということを指導してきたところでございます。先ほど御指摘のございましたように、熊本県知事から会社あての要請というものも私ども承知しております。そして会社側といたしましては、現在、計画最終段階の詰めに入っていると承知しておりまして、ごく近い時期にこれが私どもにも相談があり、また県の方にも相談があるというように期待しております。
  63. 馬場昇

    馬場委員 いまのチッソの中期計画についてでございますが、いま通産からのお話によりますと、地域経済だけおっしゃいましたけれども、これは雇用の減退がないようにということをわざと抜かされたのか、失念されたのか、そのことが一つ。  それから、近いうちにというのは、二月中くらいにその中期計画が出るのかどうかというのが第二点です。  それから、ヘドロ処理につきましては、私もよく知っておりますけれども、裁判を起こした人たち、四月十六日に判決があるのですけれども、そういう人たちが一番関心があるわけですから、そういう人たちとの対話といいますか、意見を聞くというか、これなしにはまたうまくいかないと思うのです。こういう人たちとの対話というのを、ぜひ政府、県一体になってやはり進めなければならないと思うのですが、この点についての御見解を重ねて質問します。
  64. 山本雅司

    山本説明員 ただいまの雇用の減退の問題につきましては、意識的に外したわけではございません。ただ、改善計画の中で現在の人員、千名弱と称しておりますが、これが当面一人も減らないかどうか、そこらは現在いろいろ詰めている段階と承知しております。  それから、第二点の具体的な時期でございますが、これはきわめて近い時期にということで私どもの方に話がございますが、具体的に二月中かあるいは三月にかかるか、その点はまだ確認をとっていない段階でございます。
  65. 馬場道夫

    馬場政府委員 水俣湾におきますヘドロの処理事業でございますが、大変大事な仕事でございますし、また地域でも大変関心を持っている事業でございます。そういう意味におきまして、熊本県におきまして十分円滑にこの事業が進行できるように努力をしていただくように私どもも努めてまいりたいと思っております。
  66. 馬場昇

    馬場委員 時間が参りましたのですが、いまの点につきまして、特に通産にも、問題は、経済に与える影響と言いますと、その基本一つにやはり雇用を減退させては何にもならないわけですから、この辺について、一人も減らすなとかいうことは、一人なんかということは問題にならないのですけれども、ぼくはふやしてもらいたい、そして、新規事業を持っていってあそこをふやしてもらう、そして、あそこで罪を償ってもらうというのが現地住民気持ちだということをぜひ知っておいていただきたいと思いますし、ヘドロ処理につきましても、これは二次公害でも起こったら大変なことでございますし、そういう心配がまだあるわけですから、そういう点については、ぜひ地元の人たちとも十分理解し合うように話し合いをしていただきたい。強行着工ということが行われてトラブルを起こさないようにぜひお願いしておきたいと思います。  時間が参りましたので終わります。
  67. 河野正

    河野委員長 島田琢郎君。
  68. 島田琢郎

    島田委員 大臣が述べられております所信につきまして、きょうは主として大臣環境行政に取り組む基本的な姿勢、それと具体的にお進めになろうとするお考えの幾つかについてお尋ねをしてまいりたい、こう思うわけであります。  大臣は、この所信表明の中で、「私は、昨年十一月環境庁長官に就任以来、この問題に取り組んでまいりましたが、いまさらながら任重くして道険しと責任の重大さを痛感」しておる、こう述べておられるわけであります。そこで「任重くして道険し」と、これは歴代の長官もこういう表現は用いていないのでありますが、特に土屋大臣がそのようにあえて述べられた、こういうことはそれなりの理由があるだろう、こういうふうに私は思うのでありますが、単なる言葉遊びではなくて、あなたの人柄から考えて、さもありなんというふうな理解も私は一面するわけでありますが、「任重くして道険し」こういうふうにお感じになった環境行政、あるいは環境庁内部の問題について、どのようにお考えになっていらっしゃるのか、まずそれをお聞きしたい、こう思います。
  69. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  私が所信表明の中で任重く道険しと申しましたのは、責任の重大さというものを強調いたしたものでございまして、私は心の底からあらゆる機会にあらゆる場所で、任重く道険しということを申し上げておる次第でございます。  先生も御承知のとおり、先ほど来御論議のございましたアセスメント法案提出を初め、また代替エネルギーの開発環境との問題、また今日大きな社会問題となっております交通公害対策等々、幾多の重要な問題を抱えております。また環境庁におきましては、国民の皆様方に大変御迷惑をおかけいたしました不正経理の問題がざざいます。  そこで、私は環境行政の責任者といたしまして、今後も国民の健康の保護と生活環境保全及び公害未然防止に対しまして、誠心誠意全力を尽くして取り組んでまいりたいということでございます。
  70. 島田琢郎

    島田委員 大臣からお述べになっている気持ちとして、私はそれは理解はできるわけでありますが、しかし、気持ちとして理解するだけでは済まないいろいろな問題が環境庁をめぐってある。先ほどいみじくも馬場委員から指摘がされました環境アセスメントの取り扱いをめぐりましても、部内でも必ずしも長官の威令が行き渡っている、こういう感じでない部面が噴出をしておる。こう考えますと、お触れになったような不正経理をめぐります環境庁の威信の失墜、国民から見て環境庁に対する信頼というものはまさに地に落ちている、こういう実態にあると言えるのですが、そうであればあるだけに、やはり長官としても具体的に綱紀粛正に対しておやりにならなければならない点がたくさんある、こう思う。先ほどの馬場委員質問の冒頭で明らかになりましたように、大臣がお考えになっているのとは全く違った方向にあなたの部下は動いているということ一つをとってみたって、具体的に大臣がおっしゃっているような方向に流れていないのではないか。まずイロハのイのところから手をつけなければならない。こう考えますと、任重い、道は険しいだけのこぼし話ではこれは勤まらない、これが長官立場だ、私はそういうふうに思うのです。やはり毅然とした姿勢で長官としてのリーダーシップを発揮されて、部内をしっかりと統制されるということがまず基本でないか、こう思うのですが、残念ながら今度の長官所信表明の中には、一番大事な、われわれが聞きたかった点に一言も触れていないというのはまことに遺憾、こういう気がいたします。改めて、国民に対してこの点をどう釈明されようとするのか、お聞きをしたいと思います。
  71. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  今回の所信表明の中におきまして、不正経理の問題、綱紀の粛正等々を取り上げなかったことはまことに申しわけなく、率直に国民の皆様方に心から深くおわびを申し上げる次第でございます。  不正経理の問題につきましては、会計検査院から内閣に対しまして本件の報告がなされました十二月十四日、事務次官以下二十七名の職員に対しまして厳しい処分を行ったような次第であります。またその返還の問題につきましては、ただいま事務当局に対しまして、返還すべきものは誠実に返還するように厳命をいたしておる次第でございます。ただ環境庁は、先生御案内のとおり、十八省庁から職員が出向しておりまして、すでにおやめになった方もおりますし、またもとへ帰った方もおられますし、そういう点も含めてどうするか、いま鋭意検討いたしておるような次第でございます。この問題につきましては、誠意を持って解決をさしていただきますので、しばらく御猶予をいただきますようにお願いをいたします。
  72. 島田琢郎

    島田委員 私は、そういう具体的な点もさることながら、毅然たる姿勢で大臣としての任務を果たしていただく、こういう点で、特に歴代長官にないあなたの誠実さというものを一面買っているという立場から、しっかりおやりいただきたい、これが国民の負託にこたえる長官の姿勢だ、こういうふうに考えてあえてこの点に触れたのであります。  考えてみますと、環境庁はまだ発足以来八年を経過したにすぎませんから、いろいろな試行錯誤もあるではありましょうけれども環境庁自体の運営に当たっての整理されない部門を残しながら環境行政に当たっておられるという一面の努力と苦労について、私は評価するにやぶさかでありませんが、しかしながら、環境庁というのはどの省庁よりも身ぎれいで、そして公正な官庁でなければならないというのが国民の等しく期待するところであります。それあるがゆえに本国会におきましても、将来は特別委員会という位置づけではなくて、常任委員会に昇格させるという話さえも出てくるわけであります。それぐらい重要な省庁だ。長官以下職員の人たちについても、環境庁に籍を置いている限りそういう精神で行政が貫かれていかなくてはならないのはいまさら私が言うまでもないことであります。ぜひひとつ国民の疑惑にしっかりとこたえ、綱紀の粛正はどの省庁にも先駆けて環境庁がおやりになるんだ、こういう点で改めて長官がその決意に立たれることをぜひひとつこの際希望いたしておきたいと思うのです。  とりわけ環境政策のあり方については、いま申し上げましたように、国の政策全体とのかかわりの中でまだ幾つかの疑問点、そしてそれに対する試行錯誤といったようなものがあるということもこれは否定できないと思うのですが、たまたま環境アセスメント中公審答申の中でも、最後のくだりでこんなことが述べられているのは、私は注目しておかなくてはならぬと思うのです。  答申そのものというよりは――たとえば「環境影響評価法制度化を巡って種々の論議があるのは」、現にあるわけであります。先ほどもその点が明らかになりました。「国の政策全体における環境政策のあり方、その中における環境影響評価の位置付けが必ずしも明らかでないことにもよるものと考えられる」と言って環境アセスメントに触れて特に中公審が述べている点は、その意図するところはいろいろあるでありましょうけれども環境行政全般にわたる整合性、他の政策との整合性といったようなことが指摘されているとすれば、私はなおのこと、整合性という立場からだけ環境行政が進められていっていいかどうかという疑問点ももちろんあるわけでありますけれども、この辺のところはやはり毅然とした態度環境庁がリードしていく、そういうことがなかったら、たとえばこのアセスメント法一つ取り上げてみても、このようにジグザグして、なかなか形になってこないのではないかという点を側面では指摘をしているというふうに私はこの中公審答申を受けとめているのであります。それがまさに指摘をした点なんでありますが、私は改めて、具体的にアセスメントの問題については、おおよそのところ馬場委員から触れておりますから、余り重複したことは避けたいと思いますが、この際、二、三の点についてだけぜひ明確にしておきたい、こう思うのです。  金子局長がメモを持って業界に説明に当たった、こういうことでありますが、その結論等は言えないまでも、その経過の中で、そういうことならこの法案提出に賛成するという感触があったのかどうか、ここのところは非常に重要な点でありますから、明確にしておきたい。
  73. 金子太郎

    金子政府委員 先ほど馬場委員から言われましたメモは、実は経済団体で私が配付した資料とは別でございまして、その後でさらに了解を求めるために経済団体の事務当局の方においでいただいたときに渡したものでございます。  ところで、御質問の本論でございますが、私が一生懸命説明いたしたのでございますけれども、理論的な反駁は余りなくて、要するに法制度化しなくてもいいのではないか、なぜ法制度化しなければいけないのかよくわからない、あるいは法律というのは一度できてしまうと、おかしなところがあって直してもらいたいと言ってもなかなか直らないものだから、法制度化は困るとか、そういうようなこと、あるいは先ほどもございました、国会提出されて厳しい審査を受けるおそれがあるとか、そういうような御質問が多くて、問題点についての議論は余りなかったというか、むしろ異論は余りなかった、こういうことでございまして、最終的には、残念ながらあなたの理屈もわかるし気持ちもわかるけれども、同意するわけにはいかない、こういうことでございました。
  74. 島田琢郎

    島田委員 それではまだ業界としては反対の態度を変えていないということですか。
  75. 金子太郎

    金子政府委員 例年に比べて厳しい反対だとは思っておりませんが、反対であるという点については変わっていないようでございます。
  76. 島田琢郎

    島田委員 金子メモについてはどういう感触を――いま含めてお話をされたのか、それともそれは別なものとしての……。文書にしたものをさらに補強するという立場で出されたものか、その点はどうですか。
  77. 金子太郎

    金子政府委員 私が一回目に経団連、関経連等に参りましたときに配付して説明しただけでは――そのときの質問あるいはその後の非公式な接触を通ずる質問などでさらに五つ六つ質問があるようだ。それで実は二回も三回もやりたい、とことん議論を尽くしたいと思ったのですが、一回で終わってしまったものですから、それで事務当局の方においでいただいて議論をしましたときに参考までに渡した、こういうものでございます。
  78. 島田琢郎

    島田委員 委員長にお願いいたしますが、この金子メモもあわせて本委員会提出するよう求めたいと思います。これはできますね。
  79. 金子太郎

    金子政府委員 私といたしましては、経団連、関経連で最初に配った資料、これは非公式とは申しましたけれども、外部に出して別におかしくないものだと思っておりますが、二度目に、経団連等の再質問を予想してつくったものについては全く非公式のものでございましたので、できれば御勘弁いただきたいというふうに思っております。
  80. 島田琢郎

    島田委員 私は金子メモの方をより重視したい。ぜひひとつ本委員会提出をされるよう委員長から取り計らいを願いたいと思います。
  81. 河野正

    河野委員長 その点も後ほど理事会で協議いたします。
  82. 島田琢郎

    島田委員 なるべくわれわれの議論に間に合うように手続をとっていただきたい。委員長、早く出すようにしてもらいたい。それも含めて理事会一任ということですか。
  83. 河野正

    河野委員長 それも後ほど理事会で協議をいたします。
  84. 島田琢郎

    島田委員 それではその点は保留いたします。  この際、通産省にお伺いしますが、通産省はいま環境庁が用意をしているアセスメント法の中身についてどういう点が問題だというふうに考えているのですか。あわせて、いままで強硬に反対をしてきたその理由をお聞かせ願いたい。
  85. 島田春樹

    島田政府委員 お答えを申し上げます。  いま具体的にどの点がというふうな御質問でございますけれども、御案内のように、現在この法案につきましては環境庁と鋭意議論をしておるところでございますので、具体的にどういう点というようなことを申し上げるのは、現段階では差し控えさせていただきたいと思います。  私どもといたしましては、現在環境庁アセスメント法案について環境庁と鋭意検討中でございますので、当省としまして、実際にこの環境アセスメントを行う事業を所管する立場でもございます。したがいまして、そういったものが円滑に行われる必要があるという見地もございますので、そういう見地から検討してまいりたいと考えております。
  86. 島田琢郎

    島田委員 中公審答申全体は、もちろん環境庁の諮問に従っての答申でありますから、私どもが従来主張してまいりました中身とはずいぶん違った諮問がなされている。たとえば住民参加の問題一つをとってみても、われわれが考えているような住民参加の方式ではない。これは先ほど馬場委員からかなり鋭く指摘がなされた点であります。そもそもこのアセスメント法の最も大事な理念といいますか、柱になるのは住民参加の問題でありますから、ここのところが、いま通産省もその内容について言を左右にして明らかにしようとされておりませんが、それはすべて今後の工業立地あるいは施設等にかかわります立地の前提の条件として、住民理解が得られなければこれはだめなわけですから、そこのところが緩められてしまえば、この法案はまさに骨抜き法案になってしまう。ここが私どもいま心配しておる点です。  伝えられるところによれば、こういう点も住民参加という表現が削られて、住民関与というふうな形に置きかえられているというふうに聞いていますが、これではこの法案の今後の効果が疑われるし、さらにまた一番大事なところが骨抜きされるような法案だったら、アセスメントの法としての体をなさないものだと私は決めつけざるを得ないわけです。この点については、大臣から明確に具体的に、ここのところは守るというお話はありませんでしたけれども、ほかにもいろいろ問題はあるけれども、この一点にしぼって、大臣からそこのところはしっかり守るのだというお考えが示されなければ、私は理解ができないのであります。重ねて、アセスメントの大事な部分については何が何でも守るのだという点で明確なお考えを示していただきたいと思うのですが、いかがです。
  87. 土屋義彦

    土屋国務大臣 島田先生がお述べになりました点は、環境影響評価の中でも重要な柱でございますので、私どもといたしましては、関係省庁並びに党関係の同意を得るように、最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  88. 島田琢郎

    島田委員 先ほどから再三にわたって中公審答申に沿うようにと言うものですから、私は長官の姿勢を危ぶむのであります。この点は馬場委員からも、そうではない、住民のサイドに立って理解が得られるという、そこが大事なポイントではないか。中公審答申は、そういう点では、私に言わせればかなり骨抜きの答申でありますから、これに沿ってでは、いま私が指摘した点について担保できないと思うのです。この点はいかがです。
  89. 土屋義彦

    土屋国務大臣 ただいま先生がお述べになりました点は、一番重要な点でございまして、これに対しましては、政府部内あるいは党におきましてもいろいろな意見がございまして、ただいま調整をいたしておりますので、御理解を賜りたいと思います。
  90. 島田琢郎

    島田委員 その調整が気に入らぬのでありまして、毅然とした環境庁としての姿勢を貫くということでないと、調整段階ではそれはもう調整されてしまうという心配が十分あります。そこのところは毅然としてやるのだということで理解してよろしいですか。
  91. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  前向きで取り組んでまいります。
  92. 島田琢郎

    島田委員 どうも言葉のもてあそびみたいな話で、私はいまの御答弁でも理解ができないのと、心配が残るのでありますけれども、また別な機会に譲ることにして、先へ進まざるを得ません。  ところで、交通公害対策についてでありますけれども大臣は、この所信表明の中で「総合的な交通公害対策を樹立したい」こう言っているのであります。これはどうもずっと調べてみますと、歴代長官、やはり同じようなことを述べておられるようであります。毎回毎回、大臣がかわるたびに同じような文句を並べているのでありますが、この交通公害というのは、最近の交通のふくそう化に伴い、いろんな点で公害が発生しているというのは非常にゆゆしきことであり、住民立場から、この交通公害対策をぜひ樹立してほしい、そのためには、幾つかの整理すべきものは整理してもらいたい、こういうふうな意見や要望があるのでありますが、この際、これもまた言葉だけ、スローガンだけの問題として処理するのではなくて、おっしゃっているような総合的な交通公害対策というものをやはり具体的に進めていく必要があると思うのですが、その青写真はあるのですか。
  93. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  私は、この問題につきましてはもう全く先生と同意見でございまして、環境庁といたしましては、交通公害対策は一九八〇年代の重要な課題でございます。  私自身、地元のことで大変恐縮でございますが、お許しをいただきたいのですが、埼玉県内は何しろ渡り廊下でございまして、大型トラック、ディーゼルカーによる大変な迷惑を住民の皆さん方が受けておりまして、私自身が身をもって体験しております。  そこで私は、昨年長官を拝命いたしまして間もなく、物流対策も含めて、東名高速道路、首都圏と近畿圏を結ぶ川崎インターチェンジを視察いたしまして、大型トラック、ディーゼル車等によって騒音、それからまた振動、大気汚染、七公害のうちの三つまで同時に被害を受けておる実態、沿道の住民の皆さん方が大変御迷惑を受けておるあの姿を見まして、本当に御同情を申し上げたような次第でございます。  現在、環境庁におきましては、総合的な対策を樹立しようということで検討会を設けまして、庁内におきまして鋭意検討いたしております。要するに、これまでやっておりまする騒音や排気ガスの規制、それからまた速度の制限、遮音壁や緑地帯をつくるといったような対症的な療法ではなくして、やはり総合的な対策を立てていかなくちゃならぬ。かように私も深く痛感し、そこで学者や専門家の方々の意見をひとつお伺いしようということで、交通公害問題に関する懇話会というのを設けまして、一月二十一日に第一回目の会合を開いたような次第でございます。まだ意見集約されたわけじゃございませんが、いろいろな議論の中で、たとえば発生源対策の強化、特に大型トラックとかディーゼル車等、また道路周辺の土地利用の適正化とか、また物流がどうもトラックに偏っておるような傾向もあるので、これからは船舶だとかあるいはまた貨車等に振りかえるような対策を立てたらどうかといったような意見が述べられたような次第でございます。大変有意義な会でございましたものですから、いずれ三月になりましたらば、もう一度開いて、学者や専門家の先生方の御意見を承り、そしてまた庁内の検討会の意見も踏まえて、総合的な対策につきましてどうしたらいいか、中公審に対しましても諮問をいたしたい、かように考えております。
  94. 島田琢郎

    島田委員 いまの懇話会のお話は、環境庁内部の機関として設置されたということですか。
  95. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  私の私的懇話会でございます。環境庁の内部に設けました。
  96. 島田琢郎

    島田委員 長官は歴代長官とちょっと違っているのは、歴代長官は長期的な対策としてと、こう言っているのでありますが、あなたはその上に中をつけました。「中長期的な」、やや期間が縮まったという感じです。この持つ意義は大きいと思うのですが、その一つの手だてとして、部内における検討会を設けて、さらに長官の諮問機関の役割りとして懇話会を設けて、その第一回の会合を開いた、非常に有意義であった、こういうお話であります。しかし、総合的な交通公害対策を進めようとすれば、ここにもお述べになっているように、環境庁立場から言えば「環境保全の観点から望ましい交通体系」こういうことになるのでありましょうが、いまのような交通の実態は、それを単なる「環境保全の観点から望ましい」とだけ言っても、なかなか進まない場合があると思う。もちろんあなたがリーダーシップを発揮されて、環境保全の観点から望ましい交通体系を整理する、こういうことでなくてはいけないと思うのですが、ひとりよがりであってはなかなかうまくいかない、こういう点もあるし、また「都市構造への転換を促すような新たな施策について」と、こうなりますと、ますますもってなかなかにして環境行政だけの立場でこれが推進できないという悩みに恐らくぶつかるだろうと思う。それは毅然としてやるといってもなかなかその辺はむずかしい問題が含まれてくるだろう。とすれば、もっと幅を広げて、やはり関係する省庁が総体的にこの問題に取り組むという、そのことに環境庁がリーダーシップを発揮されるというふうな、そういう体系づくりが私は必要だと思うのですが、私のこういう考え方は間違っているのでしょうか。
  97. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先生お説のとおりでございまして、一環境庁だけでこれほど社会問題となっている大きな問題を解決することはできません。環境保全の面からの交通対策もさることながら、また都市構造への転換を図るとか、いろいろな大きな重要な問題でございますので、関係省庁密接な連絡をとりまして、これが対策に全力を傾けて努力をいたしてまいりたいと思います。御指摘の点につきましては、いろいろ検討さしていただきたいと思います。
  98. 島田琢郎

    島田委員 そこで一つだけ聞いておきたいのですが、いま大型自動車の問題に大臣からもお触れになりましたけれども、現状はどうなっているのか、事務局の答弁で結構であります。
  99. 三浦大助

    ○三浦政府委員 ただいま先生の御質問は、大型トラックという言葉がございましたが、大型トラックの窒素酸化物の規制、こう理解してお答え申し上げたいと思います。  トラックあるいはパスあるいはディーゼル車に対します窒素酸化物対策と申しますのは、五十二年十二月の中央公害対策審議会の御答申で目標値が二段階に分けて示されておるわけでございます。  その第一段規制と申しますのは、もうすでに五十四年から実施されております。あるいはまた自動車公害防止技術評価検討会の第一次の報告を踏まえまして、中量あるいは軽量ガソリン車に対します第二段規制というのは五十六年度から実施ということで、昨年の八月に告示をしてございます。  大型トラックあるいはバス、こういった重量ガソリン車、ディーゼル車につきましては、約四百万台くらいの対象がございますけれども、第一次報告におきましては、技術的に非常にむずかしい問題がありまして、第二段階規制のめどを得るに至らなかったわけでございますけれども、その後引き続き技術評価検討会をやっておりまして、これは五十年代中には規制に入ろう、こういう合意があるわけでございますが、いまこの窒素酸化物対策は非常に急を要する問題でございますので、私どもといたしましては、五十年代のできるだけ早い時期に、もう二年でも三年でも早くひとつ規制に入りたい、こういうことでいま作業をしております。  すでに普通自動車につきましては、厳しい規制がかかっておりますので、これをもってこの大型トラックの問題の第二段規制を実施しますれば、一応自動車問題はここで一区切り、こういうことになるわけでございます。
  100. 島田琢郎

    島田委員 次に、公害健康被害補償制度の問題についてであります。  これも先ほど馬場委員からアセスメントとのかかわりにおいての疑義が述べられて、明快に大臣からそういうことはございませんという答弁をもらったのでありますけれども、近くこの一部改正が委員会に提案されてまいりますので、その時期に詰めた話はしたいと思うのですが、巷間伝えられるところによりますと、ぜんそく性気管支炎の取り扱いの問題が取りざたされておるわけです。この点については私ども大いに疑義のあるところであって、疑わしきは補償するという公害補償の原則に立って考えるならば、いま検討されているような中身というのはよほど用心をしてやりませんと、この制度に水を差すという結果になりかねないので、この点を念のためもう一度、いまの進んでいる状況、それから環境庁としての考え方というものをこの際ひとつ聞いておきたい、こう思うのです。  具体的に言えば、この気管支炎の症状というのは、医学的にいろいろ問題が提起されてきたという経過は私もよく承知しているところであります。しかし、お医者さんの立場で言う分類の仕方というか鑑別の仕方といいますか、そういうものと、現に補償を受けるそういう関係者の立場からとでは大いにギャップがある、こういう事態が生まれることは予測されるわけです。したがって、その取り扱いを慎重にしていかなければならないことは言うまでもないことでありますが、そういった点なども今後大いに議論を私どももしなければいけないわけであります。単純にいま年齢区分というものを引き上げていくというか、新たにこれをつくる、設けるというか、そういう考え方に立っていくということは、私は結論から言えばきわめて時期尚早であるというふうに考えている。この点の私の意見も含めて考えを述べていただきたい、こう思うのです。
  101. 本田正

    ○本田政府委員 ぜんそく性気管支炎の問題につきましては、いま先生のお話の中にも指摘いただきましたとおり、病名として医学的に非常に問題があるということが従来から言われておりましたために、一昨年の秋から委員会にお願いをいたしまして、検討してもらった結果を、そういう要望がかねてからございました全国の四十一の地域の認定審査会の先生方に御報告をしたわけでございます。ごく最近では五ブロックに分けておりますけれども、一番最後はこの十五日に終わりましたが、認定審査会のブロックの会議にその報告書を提示いたしまして、そして先生方の意見を聞いてまいったばかりでございます。いろいろの意見が出ております。御指摘のように、医学的な問題につきましては、まず御異論がなかったと私どもは解しております。しかしながら、六歳以上になるとぜんそく性気管支炎というのはいろんな検査をやることによって正しい病気に分類できるんだ、つまり鑑別できるんだということに関しましては、それでいいという御意見もございましたし、いや、いや、六歳まで待たなくてももっと五歳とか四歳で鑑別ができるんだという御意見もございました。しかし、六歳になっても、六歳以上にもやはり例外を設けるべきである、そういったいろんな意見があったわけでございます。私どもは、したがいましてそういった御意見を聞いたばかりでございますので、十分その御意見をこれからそしゃくしていきまして、いろいろ検討を加えていきたい、かように存じております。
  102. 島田琢郎

    島田委員 ところで、ぜん気と言われます、つまりぜんそく性気管支炎のただいま認定されております患者数は一体どれくらいか。ついでに全体の数字、気管支ぜんそくあるいは慢性気管支ぜんそく、気管炎あるいは肺気性の気管支炎といったような分類になるわけでありますが、現在の認定患者というのはどれくらいになっているのですか。
  103. 本田正

    ○本田政府委員 現在何月何日という最終的なきちっとしたあれは持っておりませんが、若干数字が違うかもしれません。いわゆる大気系の疾病の公害患者の合計が約七万五千五百名でございます。そのうちにぜんそく性気管支炎は九千四百五十八名、若干数字がちょっと時点のとり方で変わってくると存じますけれども。それから慢性気管支炎が一万五千百名でございます。それからいわゆる気管支ぜんそく、これが四万八千百二十名でございます。それから肺気腫と言われます疾病が約二千七百五十名、こういうふうになっております。
  104. 島田琢郎

    島田委員 現に、いまの御説明によれば、ぜん気と言われる認定患者は約一万人に近い人たちがおるということでありますから、この取り扱いについては、取り扱いというか鑑別、分類をいたしていく際の区分の仕方というのは非常に慎重を要する、前段で私が申し上げたとおりであります。しかしながら、いまのお考えで、すでにブロック会議等の意見もあって、六歳未満で区分すべきだという意見やあるいはもっと年齢を下げるべきだといったような意見どもある、そして従来の考え方に立つべきだという意見も若干あった、こういうお話でありますが、このようにまだいろいろな意見がそこにあるとすれば、それを統一して判断をするというようにことは重大な誤りを犯す、こういう危険性があるので、ぜひひとつこの問題については、いずれ改正法が出てまいりました段階でも、単なる期間延長といっただけの単純な議論で済まされない現在の進行の状況があるようでありますから、その機会にまた議論をすることにいたしますが、私は警告だけいま申し上げておきたいが、不用意な取り扱いをすることがないように厳にひとつ慎んでもらいたい。そういう考え方に立って、すでにこれらのことが報道されるに及んで、この患者の間にも動揺が見られる、こういうふうなことだって心配されているわけであります。制度上の問題としてあんまり大臣も細かくこのことまで御認識をされるということはないかもしれないが、たとえば近くこの委員会検討をしようといたしております公害健康被害補償制度の問題そのものにも、いまそういう議論が一面であるということの理解に立って、ぜひひとつ慎重を期してもらいたいということを申し上げておきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
  105. 土屋義彦

    土屋国務大臣 慎重に取り組んでまいります。
  106. 島田琢郎

    島田委員 通り一遍の答えしか返ってこないんで、せっかく立ってもらった意味もないみたいな話でありますが、あなたのまじめさでやってもらうということを期待しながら、この問題余り深追いしないことにいたしたい、こう思いますが、いずれまた時を改めて議論をさしてもらいます。  次に、自然環境の保護という問題でありますが、私は、この国会の前の臨時国会のときにも、自然を守る、とりわけ国立、国定公園の問題を取り上げまして、この点に対する長官の考え方を聞き、時あたかも予算の時期でございましたから、まず言葉じゃなくて態度で示してもらいたい、こういう意味を込めて予算の問題にしっかり取り組んでもらいたいということを具体的に幾つか提起をいたしたところでありますが、この際、昨年の国会におきまして自然公園にかかわります美化管理財団というのをつくる、すでにこれは発足を見たようでありますが、おおよそ一年近く経過をいたしましたので、この財団の果たしてきた意義と役割りあるいは評価というものがいろいろ環境庁内部にもあるだろうと思います。この際、あんまり細かなことまで触れるということは避けておきますけれども、昨年つくられました自然公園美化管理財団の仕事の範囲というのは一体どのくらいになっているのか、そして結果から見て、将来の見通しとしてどのようにこの仕事が進められていくのか、その辺のところをまず大まかにお話を聞きたい、こう思います。
  107. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御質問のございました自然公園美化管理財団は、昨年の六月二十九日に設立が認可されまして、自来四カ所において事業実施をしております。この財団の主な業務は、もちろん名前のとおり自然公園、特に国立公園内における美化、清掃ということを主な目的にいたしておるわけでございまして、利用の多い、そしてまた清掃上問題のあるようなところにつきまして、環境の維持、駐車場の管理とかその他の施設の維持管理というものに援助すると同時に、地域における清掃その他の美化のための活動に対して援助をするということ、あるいはまたこれは今後の問題に属すると思いますけれども、自然環境保全するという思想の普及という啓蒙活動についても逐次事業を拡大していく、こういう考え方で進めておるわけでございます。  財団の活動は、先ほど言いましたように四カ所で始まりましたが、この開始の時期はそれぞればらつきがございまして、まだ継続中でございまして、十分な評価はいまなすべき時期では必ずしもないかと思いますが、今日までの実態からいたしまして、私どもが当初予想いたしましたような線に沿いまして、国ないしは地方公共団体の手の届かないような非常にきめ細かな施策についていろいろな措置を進める、あるいは地域の美化清掃団体に対して補助をするという意味で、当初予想しましたような線に沿いまして健全な発展の途上にある、かように考えておる次第でございます。
  108. 島田琢郎

    島田委員 そこで、財団の中身について聞きますけれども、国はこれに幾らか出資をいたしましたね。全体でどういう状態になっていて、その経理の内容はどうなるのか。  それから、財団の構成でありますけれども、会長とか理事長とかいうのが配置されているわけでありましょうが、当初こういう財団あるいは公団、事業団は役人の天下りだといったような点が巷間の話題になっておりまして、美化財団についてもそういう危惧の念を持って見られるようでは、今後の仕事を進めていく上で非常に問題であると私ども考えていたわけでありますが、そういった構成は一体どうなっているのか。  さらには、従来国立公園の所在の地域においては観光にかかわります組織がありまして、それらが一手に引き受けていろいろ仕事をやってきた。それは美化にとどまらず、施設等についてもそういう点が地元で行われていたわけでありますが、従来ありますそういう仕事とのかかわりから言うて、この財団の意義あるいは仕事というのはどういうふうにかかわっていくのか、その点についてひとつお聞きをしたいと思うのでありますが、重ねて本年度の一応の目標等についても説明を加えてほしいと思います。  その場合は、地元として県自体が財団に対する出資もするという条件がついているようでありますが、県の熱心さといいますか、これに対する責任の持ち方というのも非常に重要になってくるわけでありますが、その辺についても整理されていくという見通しがあるのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  109. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  第一点の、この財団設立に関しまして国が行った補助、出資でございますが、これは国庫補助としまして五千万円を支出いたしております。  なお、関係四道県でございますが、これは五つを予定しておりますが、現在四道県が実施をしておりますので、そこからの出資金は各一千万円ということで四千万円になっておるわけでございます。あとは財団自身の駐車場の管理から得られます収入によりまして経理をしてまいる、こういうことでございます。まだ年度中途でございますので、詳細な収支の状況を御説明申し上げるまでに至っておりませんけれども、当初の計画からややおくれたものもございますので、収入等につきまして若干当初の計画よりも下回っておりますけれども、それもおおむね九〇%程度の収入を上げておるという現状でございます。  第二点の、この財団の機構等でございますが、御承知のようにこの財団は、国、地方公共団体の手の及ばないようなきめ細かい施策を実施をするということでございまして、そのためには広く民間のいろんな協力を賜らなければならないということもございまして、機構の上でもそうした面の特徴を備えておるわけでございます。会長はサントリーの取締役社長である佐治敬三さんでございます。理事長は公害防止事業理事長の城戸謙次でございます。その下に、東京に本部がございまして、ここに職員を配置をいたしておりますし、四つの道県におきましては事業実施するために四支部を置いております。現在本部、支部を合わせまして、全体で十三名の職員が事業の推進に当たっている現状でございます。  第三番目の御質問は、既存の地域団体等との関係いかんということでございますけれども、この点につきましては、私どもも、この財団の使命を円滑に実施していくためにはどうしても既存の地域におきまして国立公園の管理、美化ということに協力をしてくださっているそうした地域団体との連携を十分に行っていかなければならないというふうに考えまして、事業開始の前提としまして、そうした地元との話し合いを十分に実施をするということでやってまいってきておるわけでございまして、今日までその辺の関係は円滑に進んでおるのが現状でございます。  地域団体との主なかかわり合いは、現在、この美化管理財団ができるまでの間、国立公園の主要な利用地における清掃というものを受け持ってきたのは、その地域の自主的な団体でございまして、それに対して国が補助金を交付して、その清掃を実施してもらってきている、こういうのが現状でございまして、それとのかかわりが大きいわけでございますけれども、この財団が、そうした既存の団体との関係では、清掃を受け持ってこられた団体に対しまして、財団の収入の中からこれに還元する、交付をする、補助をする、こういう形で既存の団体の清掃活動を援助し、その規模を拡大するというふうに物事が進んでおるわけでございまして、財団の活動がそういう形で円滑に地元との結びつきになって進められているのが現状でございます。  第四番目は、財団のこれからの目標でございますが、五十四年度におきましては、五つの地域において実施をするということで進めてまいりましたけれども、現在のところ、四つの道県におきましてこの事業が進められておるわけでありまして、あと一つにつきましては、調整をして至急その実施に入りたいというふうに考えておるわけでございます。今後五カ年間に大体三十カ所くらいの地域においてこの財団の支部活動を実施したいと考えておるわけでございます。五十五年度におきましては六カ所程度実施したい、かように考えておるわけでございまして、それらを進めるに当たりましても、先ほど申し上げましたような既存団体との関係その他につきまして十分調整を図るのはもちろんでございますし、また関係の府県に対しましても十分な事前の連絡を図って円滑にスタートさせたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 島田琢郎

    島田委員 いま地域団体に対する助成ということを言われましたけれども、一体どれくらい助成が行われているのですか。その団体の数は幾つくらいですか。
  111. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 五十四年度は、先ほどもお答え申しましたように、まだ事業を本格的に年度を通して実施というところにはなっておりませんので、本年度におきましては、まだこの活動はそう活発ではございませんが、事業実施しております四つの道県におきまして、たとえば支笏湖畔におきましては、国立公園支笏湖運営協議会という地元の協議会に対して百二十万の助成をやっております。それから十和田湖につきましては、十和田湖国立公園協会という地元の団体に対しまして同額を助成をいたしております。日光湯元につきましては、栃木県美化推進協議会というものに対しましてやはり同額の補助をしております。上高地につきましては、上高地を美しくする会というものに対して同額の助成を行いまして、合計四百八十万ということになっております。
  112. 島田琢郎

    島田委員 さらに、美化清掃団体というのは、いま助成されている団体、この美化管理財団のかかわり以外のところでも地元の団体があって、幾つかこれは助成をしているところがあるようですが、この点についてちょっと御説明ください。
  113. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 御指摘は、地元におきまして国の補助等を受けまして国立公園の清掃に当たっている団体がただいま申し上げましたもののほかにも確かにございます。今日の状態におきましては、他にそういう団体が多くあるわけではございません、実施地域におきましては。それらとの関係につきましては、ただいま国が補助金を交付をしまして、そういった団体の清掃を助成しているわけでございまして、これは補助率四分の一ということで、他の四分の一は都道府県、そのさらに四分の一は市町村、それからその当該団体が四分の一ということで、四分の四の事業規模で実施をしておるわけでございますけれども、これとの財団のかかわり合いを申し上げますと、ただいま申し上げましたようなことでもって、率はちょっと正確ではございませんけれども、この四分の四のほかに財団がさらにおおむね四分の一に相当する程度の補助を出すということでございまして、従来四分の四の規模で行われた事業が四分の五の規模になって実施をされる、こういう結果に相なるわけでございます。
  114. 島田琢郎

    島田委員 そうすると、財団に直属する部分の清掃を地域団体でもそれはそれとしていままでどおりやっていって、そのほかに上乗せをする、つまり四分の五にする、こういうことだということですね。
  115. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 基本的には先生仰せのとおりでございますが、今後の問題としまして出てくると考えられます問題は、地元がその四分の一を負担をして実施をするということに困難を感ずるところがあり得るかと思います。そうした場合には、その清掃を地元と十分な話し合いを前提にいたしますけれども、財団自身が清掃のその事業を引き受けるということもあり得るかと思います。したがいまして、財団が地元団体にかわりまして国の補助、県の補助、市町村の補助等を受けて、それから自分の自己資金も四分の一以上を出しまして、そして従来の規模以上の形で清掃を引き受けるということもあり得ると思います。お金で出すか、自分が引き受けるか、この二つの形があると思いますが、いずれにしましても、従来以上の清掃事業の強化拡大に資する方向で物を考えたいという、こういうふうに考えております。
  116. 島田琢郎

    島田委員 私が言いたいのは、従来この清掃団体はそれなりの一つのシェアを持って仕事を進めてきたわけであります。いま二つの考え方で、前向きにより清掃美化が行われるように努力をするのだという、その目的を述べておられますが、私はそれは結構なことで否定するのではないのでありますが、既存のこういう団体との間で財団がトラブルを起こすようなことでは所期の目的が達成できない。そこのところは話し合いで解決をしていく、こういうことでありますけれども、長い、国立公園を守るという立場努力をされてきたこういう地域の団体というのは、それなりの一つの見識を持って地元で活動されてきた、こういうことがございますから、そういう点を十分勘案しながら、財団が一体どういう態度で個々の地域の美化清掃に当たればいいのかという点についての手法というのがやはり幾つかあって、それはあくまでもこの地域の団体の意見というものが尊重されていかないといけないのではないか。この点を私は考えるから、でき得るならば仕事の一つの割り振りといいますかシェアをつくって、従来のそういう団体が十分活動できるようなそういう体制づくりもあわせ進めていくべきではないか。たかだか国の五千万くらいの出資、助成で、全国の三十を目標にしている国立公園の清掃美化に万全が期せられるなどということはなかなかこれはできないことだろう。私は、万全を期すべく体制をきちっと整えてやるべきだ、こういうふうに考えますけれども、そこに移行する過程でそういういろんな地域とのトラブルなどが起こってくるようではこれは困るわけでありますから、ぜひ慎重を期してほしい、こういうことを考えていまお尋ねをしたわけであります。このことには特にお答えの必要はございません。  そこで、この際、国立公園あるいは国定公園の指定というものは、いまのこの環境庁のスケジュールの中では、ふやしていくというふうな方向にあるのか、その点についてはいかがですか。
  117. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  国立、国定公園につきましては、すぐれた自然景観を保全し、これを適正に利用するという目的から考えまして大変重要なものでございますので、環境庁といたしましては、ぜひこうしたものを増加させるという方向で物を考えたいというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、現在の状況からいたしまして、五十三年に環境保全長期計画というものを環境庁努力目標として設定をいたしておりますが、それによりますと、国立、国定、都道府県立の自然公園を含めまして全体で五百六十五万ヘクタール、国土の大体一五%程度を目標に設定を進めたいというのが努力目標として設定されております。現状におきましてはこれが五百十九万ヘクタール、国土面積の大体一三・七ということでございますので、努力目標として考えられているところには若干及ばないところがございますが、私どもはこれを国立公園、国定公園におきましてできるだけ目標に近づけるような方向で努力をしてみたいというふうに思っております。いろいろ条件がありますので、私どもの目標必ずしも達成が容易とは考えませんけれども、その方向はぜひ進めてみたい、こういうふうに考えております。
  118. 島田琢郎

    島田委員 前国会で私は管理員の増員と待遇改善ということを言いました。少し予算は伸びているようでありますけれども、期待された管理員の増員というのはわずか一名の増にとどまった。これで国立公園の管理全般に当たるというのは、これはなかなか大変なことだ。とりわけ待遇の改善等につきましては、山の中の仕事でありますから、理解のできないようないろいろな難問題にも突き当たる。ときには事故あるいは災害なども起こる。こういう状態があるわけでありますから、これらの立場でお働きの皆さん方の待遇というものは十分手厚くすべきだ、こういう考え方を依然私は捨てていないのでありますが、どうもたった一人増員といったようなことでは、まことにこの先さびしい気がいたします。しかも、機動力の充実といった点についてはお粗末にすぎる、こういう感じで現場を見ておりますが、思い切ってやはり国立公園の管理体制を強化するという観点に立って今後ひとつ努力をしてもらいたい、こういうふうに考えています。  たとえば、機動力の一つの例を挙げますれば、自動車でありますけれども、聞くところによると、前輪駆動の小さな車が若干配置されているという程度にすぎない、こういうことでありますが、やはり相当な馬力のある車というものが現地の実情から見て必要なんであります。こういう点についてももう一遍検討し直してもらいたい。  また、国立公園の所在地といっても、いまもお話にありましたように五百二十万ヘクタールに及ぶ広大な面積の管理でありますから、やはり人員の配置についても機動力の充実についても相当配慮を加えていかないと、ただ管理事務所があります、管理員がおりますといった程度に終わってしまっては、それこそ意味をなさないものでありますから、この点についてはぜひひとつ思い切った対策を進めてほしいということを重ねて私は要求として申し上げておきたいのですが、大臣、いかがです。
  119. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  ただいま先生から、現場で働く人たちに対しまして大変温かい御激励を賜りまして、ありがとうございました。  実は、かつて先生がこの問題を取り上げられましたものですから、私は中部山岳国立公園の管理事務所も訪問いたしまして、私なりに実態を把握いたしてまいったような次第でございます。今年度何としても二名確保しようと思って人員も努力をいたしたのでございますが、一名だけ認められたようなわけでございます。先ほど来、いろいろお述べになられました御意見等も踏まえまして、今後一生懸命努力してまいりたいと思います。
  120. 島田琢郎

    島田委員 ところで、これは自然保護局長が委嘱しているのですが、局長委嘱によります自然公園の指導員というのが制度としてあるわけであります。これは全国でどれくらいいるのですか。
  121. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 島田委員御指摘の自然公園指導員は、設置要綱に基づきまして自然保護局長が委嘱する制度でございまして、三十二年に創設されましたが、現在全国で千九百五十五名配置をされております。
  122. 島田琢郎

    島田委員 これらの約二千名に及びます指導員というのは、どういう役割りあるいは権限があるのか、さらには報酬といったようなものが与えられているのか、行動する場合の行動費などというのはどういうふうになっているのか、いかがですか。
  123. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 自然公園指導員は、その本質が民間のボランタリーな御努力にまつということでございまして、事業内容といいますか、職務の内容としましては、国立、国定公園内の自然保護とその利用、これの適正化を図るという見地からいたしまして、動植物の愛護であるとかあるいは自然環境の美化、清掃であるとか、あるいは事故の防止、あるいは利用者の指導というふうな、権限といいますか、そういったものを伴わない事実上の御指導をお願いし、また適正なこれらに関する情報を集めていただくというふうなことを趣旨にしてお願いをしているわけでございます。  そうした性質上、国がこれに対して特別な報酬等を差し上げるということはいたしておりませんけれども、その身分というものを明らかにするために、バッジであるとか手帳であるとか、腕章であるとかいうようなものを差し上げまして、その活動上の便宜に資していただいておるというのが現状でございます。  なお、そうした無償の活動でございますので、私どもとしましては、これらの方々に対する適切な、何といいますか、これに報いる道というものは何だろうかというふうにいろいろ考えておりますが、この点に関しまして現在は表彰制度というようなものを用いまして、この方々の無償のとうとい行動に対していささかでも報いるというふうな形をとっておるわけでございます。  大変広い国立、国定公園の範囲の全域にわたりまして、こうした方々の御努力というものによりまして、管理員の活動と相まって公園の保護管理の面で大きな働きをしているということを私どもは大変感謝をいたしておる次第でございます。
  124. 島田琢郎

    島田委員 ボランティア精神に寄りかかってと、こういう実態であるということが端的に言えると思うのです。それはそれで、山に生き山で死のうというくらいの山男たちが多いわけでありますから、その高邁な精神を考えますときに、局長が最後に言ったように、まことにありがたい存在であるわけでありますが、しかし、現実はなかなか厳しくて、山に入ろうとすればやはりそれなりの経費もかかる。ガソリンをたいて車で行かなくてはならない。またいろいろと苦情とか、あるいは観光客との接触の段階で権限がないだけに悩みも大きい。自分の仕事を捨ててシーズン中は山に行き、こもりきりにならなければならぬといったような、そういう事態にいまこの千九百五十五名の皆さんは置かれている。表彰状一本で済ますというそういうたぐいのものではない厳しい内容を持った指導員であります。ひとり自然公園指導員だけではなくて、国立公園の指導員だけではなくて、この種のボランティア精神によります奉仕の団体というのはたくさんあるわけですけれども、私はそれでよしとするというわけにはいかぬのではないか、こういうふうに思うのです。とりわけこの指導員という、指導の限界からもう一歩突っ込んで、山を守るというそういう立場に立っている点では、管理員の諸君とも比肩して劣らないだけの責任感と行動力が現に望まれているし、それを果たしているわけであります。大臣表彰なのか局長表彰なのか私はわかりませんが、表彰状一本で、はい、ありがとうございましたという、まあ気持ちのあらわれとしてそれを否定するものではないけれども、それだけで一体済むのかどうかということに、私は山に入ってこの実態を見ながら実は強く感じているところです。将来ひとつ御検討願いたい、こういうふうにきょうは言いおきまして、質問の終わりの時間が来ましたからこれでやめますけれども、ひとつ世の中からこういう制度すらも認識されていない縁の下のまた縁の下の力持ちみたいなこういう人たちにも、やはり環境庁としてもしっかりしたものを対策として将来お立てになるということが必要だということを重ねて強調しておきたいと思います。  以上で私の質問を終わりにいたします。
  125. 河野正

    河野委員長 この際、午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――     午後二時十五分開議
  126. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。
  127. 古川雅司

    ○古川委員 私は、去る二月十二日の本委員会で、環境庁長官から所信表明がございまして、その長官の御決意に関連をいたしまして、数点にわたってこれから質問を進めてまいりたいと思います。  最初に、いわゆる環境政策、環境行政基本的な問題点についてでございますが、所信表明の中でも、長官は、非常に重大な決意とともに、今後とも誠心誠意、最大限努力を払いたいというふうにおっしゃっているわけでございます。ただ、今後の環境問題をどのように考えていくかという点につきましては、環境政策あるいは環境行政の役割りそのものを問い直していく必要があるのじゃないか。高度経済成長がもたらしたわが国の公害、あるいは環境破壊につきましては、一九七〇年前後には全国に広がり、いわゆる反公害運動も各地で展開をされてきたわけでございますが、政府もそうした中で環境庁を新設して、国民からも環境行政の前進が期待されている、それなりに成果も上げていることは一応評価をしたいのであります。  最近、特に二酸化窒素に関する環境基準の緩和を初めといたしまして、環境行政後退の姿勢が目立つのではないか、あるいは公害の被害者や住民運動団体の厳しい批判もそういう点に集中をしているわけでございますが、長官はこの点をどのように認識をされて先般の所信表明に及ばれたのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  128. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先生もお述べになりましたが、今日、廃墟の中から立ち上がったわが国が世界に誇る目覚ましい繁栄をなし遂げておりますが、その反面、人類の敵と申しましょうか、多くの公害が発生いたしまして、国におきましても、これと取り組んでいくために昭和四十二年に公害対策基本法が制定され、さらに四十五年末の国会においてこれらの法律の改正が行われ、抜本的な法体系が整備されてまいった次第でございます。四十六年に環境庁が誕生いたしましてちょうどことしで九年目を迎えたわけでございますが、この間、政府、地方公共団体、また国民が一体となって努力してまいりました結果、今日におきましては一応危機的な状況から脱することができたと申し上げられるのではないか、私はかように考えております。  私といたしましては、環境行政が今日後退しておるとは考えておりませんが、今後国民の御期待に沿うように、誠心誠意、全力を尽くして努力をしてまいりたいと思います。しかしながら、より高度化、多様化しておる国民の要望に十分にこたえ切れない点がありますれば、謙虚に反省をしなければならない、私はかように考えております。先刻来御答弁申し上げましたとおり、今後ともアセスメント法制度化や、また大きな社会問題となっております交通公害対策、また閉鎖水域におきます富栄養化等々の問題と真剣に取り組み、国民の御期待に沿うように努力をしてまいりたいと思います。
  129. 古川雅司

    ○古川委員 環境行政が最近後退しているかいないかということにつきましては、また後ほど具体的に触れていくわけでございますけれども、そこで、わが国の公害対策基本法によるいわゆる公害の概念と、それから国際的に使われておる環境汚染、そこにはかなりずれと申しますか差異があるわけでございまして、これを日本では典型的な七つの公害として限定的に規定しているわけであります。しかし、一九六五年の国連経済社会理事会における定義では、より広角的と申しますか、広義に公害ということをとらえているわけでございまして、その辺の基本的なことは、今後のわが国の環境行政においてどうとらえていくかということが重大な問題になってくると思うのでございますが、長官はこの辺をどう認識しておられますか。
  130. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境行政は非常に間口が広くて一概にぴしゃりとこれというわけにはまいりません。何と申しましても、国民の健康の保護、国民の命を守る、それからまた生活環境、自然環境保全、それからまた公害未然防止、またよりよき環境をつくるいわゆるアメニティー、これらの問題と私は今後真剣に取り組んでまいりたいと思います。
  131. 古川雅司

    ○古川委員 わが国の高度成長の過程で著しい公害と自然破壊を経験してきたわけでありますが、いま私がお伺いをいたしましたいわゆる公害の定義、そしてまた典型的な七公害規定をしている、一つの枠をはめているという、これが今後の環境行政にとって支障にならないのかどうか。ことに中央公害対策審議会答申におきましてこのような述べ方があるわけでございます。「長期的展望の下に、より総合的な環境保全に係る理念の確立に努め、これを国の諸般の政策の中に明瞭に位置付けるとともに、必要に応じ環境保全全般に係る法体系について基本的な再検討を進める必要がある。」という表現もあるわけでございますが、この公害の定義も含めて、今日の段階環境保全の全般について基本法の見直しも含めて考える必要があるのではないかと思いますが、この点いかがでございますか。
  132. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境保全対策は、単なる公害防除のみならず自然環境保全もあわせて推進すべきものであることは当然であります。公害対策基本法におきましても、公害防止に資するよう緑地の保全、その他自然環境保護に努めるべきことをあわせて定めております。また昭和四十七年には自然環境保全法が御案内のとおり制定され、自然環境保全基本理念、その他自然環境保全に関し基本となる事項が定められております。また今後とも、これらの法律及び関連諸施策の適切な運用によりまして、総合的な環境保全対策の推進に努めてまいる考えであります。直ちに環境保全基本法を制定しなければならないといったような考えは持っておりません。
  133. 古川雅司

    ○古川委員 私たちの生活を取り巻く環境というのは、時代の推移とともに非常に変化をしておるわけでございまして、これに対応していかなければならない。現在の環境行政一つ規定や枠の中では、そういった点は公害の定義そのものからしても非常に支障を来すのではないかということが一番心配されることでありますし、特にエネルギー問題との関連については、後ほどまたお尋ねをいたしますけれども環境行政というのはいつもむしろ一歩先を考えていかなければならない。これまでの後追い行政ということでは今後の環境行政というのはあり得ない。そういう意味で、公害防止あるいはその他良好な環境保全のために随時見直しをしていかなければならないし、またせめて五年ぐらいの区切りの中で一つの目標あるいは目的というものを設定しながら総合計画あるいは年度計画というものを、そうしたきめの細かい施策の中で環境行政というものが行われなければならない。そういう意味で私は御質問を申し上げているわけでございまして、その辺ちょっと長官とずれがあるようでございますが、その辺いかがでございましょうか、御認識を伺っておきたいと思います。
  134. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先生の御意見と全く同感でございまして、従来のように、ただ単に公害が発生したから防止するというだけではなくいたしまして、公害未然防止、そしてやはり長期的な、総合的な対策を立てて、今後これらの問題と取り組んでまいらねばならぬ、私はかように考えております。
  135. 古川雅司

    ○古川委員 以下、具体的にお伺いを進めてまいります。  環境影響評価法、いわゆるアセスメント法の提案についてお伺いをいたします。  長官は、所信表明の中でも、「その法制度化に向けて最大限努力をしていく覚悟であります。」というふうにお述べになっております。その後いろいろな推移がございましたけれども、今月の十五日、衆議院の予算委員会におきまして大平総理が、このアセスメント法案を今国会提出するよう最大限努力をするという確約をされました。  この総理答弁を引き出すにつきましても、環境庁長官通産大臣との意見の相違が改めてまた大きく浮き彫りにされたわけでございますが、総理のこの答弁を受けて、その後長官はどのような具体的な決意を新たにしての作業に着手されたか、説明をいただきたいと思います。
  136. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境影響評価法制化は、時代の要請でもございまして、環境庁の悲願でございます。歴代の長官が何といたしましても法制化をいたすべく今日まで大変な努力をなされてまいったわけでございますが、ついに日の目を見るに至らなかった次第であります。昨年、私と前上村大臣との引き継ぎ事項の中でも第一番目に取り上げられました大きな問題でございますし、またすでに川崎市それからまた北海道におきましては条例が制定されておりまして、全国各地方自治体等からも、八四%以上のところから、一日も早く国において法制化してもらいたいという強い要請も受けておりますし、また先生御案内のとおり、五十四年の四月には中央公害対策審議会におきまして、速やかに法制化を図るとの答申も得ておる次第でございます。それからまた、先ほどお話がございましたとおり、さきの衆議院の予算委員会におきましても、総理大臣の方から最大の努力をするという答弁がなされております。  私といたしましては、現在自由民主党の政調環境部会、また政府部内におきましても、鋭意検討がなされておりますので、一日も早くこれらの関係機関の御了承をいただきまして、国会法律として提出でき得ますように、最大限努力をいたしてまいりたいと考えております。
  137. 古川雅司

    ○古川委員 いま私は環境アセスメント法案についていろいろお尋ねを進めているわけでございますが、この総理答弁、そしてまたただいまの長官答弁からして、これはもう今国会法案として提出をするという前提に立ってお伺いを進めていってもいいのか――ということは、それがまだあいまいであるということになりますと、その内容にまで私は触れるわけにいきませんので、この辺をまずはっきりしていきたいと思います。過去四回にわたっての日の目を見なかったという経緯もあるわけでございまして、かつて山田久就長官のときに、わが党がこの環境アセスメント法案の早期国会提出を申し入れたことがございます。これは非公式な話ではございますけれども、すでに三回も流産をしてという話が出ましたときに、流産じゃないのだ、まだおなかに入ってないのだから流産も何もありませんというような話が出てまいりまして、私はいまふっとそれを思い出したわけでございますけれども、今回また国会提出を見送るというような事態が起こるといたしまして、これは流産なのですか、それとももうすでにちゃんとおなかに入っていて、あとは生み出すだけという状況なのですか、その辺の長官の御認識はいかがでございますか。
  138. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  まだおなかに入っているとまでは申し上げられないと思いますけれども、実はけさも八時半から自民党環境部会におきまして、この問題につきましていろいろ検討がなされましたし、また内閣官房におきましても、官房長官が中心となりまして各省庁間の調整に入っておるようなわけでございまして、いましばらくの間お時間をいただきますようにお願いをいたします。
  139. 古川雅司

    ○古川委員 これまで法案国会提出に至らなかった説明はいろいろいただいてきたわけでございますが、特に政府間のさまざまな調整の問題を強調しておられたわけでございます。長官のいまの御答弁を伺っておりますと、政府間の調整というよりも、むしろ自民党部内の調整、ここが法案提出へのかぎになるというような印象を非常に受けるわけでございます。その点はいかがでございましょうか。
  140. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  自民党は幅の広い政党でございまして、賛成の方、消極的な方、反対の方といろいろございまして、何とかひとつ一日も早く御了承いただこうということで鋭意努力いたしております。御了承願います。
  141. 古川雅司

    ○古川委員 私は現在の状況、そしてまた長官の御決意のほどからうかがって、今国会中の法案提出はまず間違いないという前提に立たせていただいてお伺いを進めていきたいと思うのであります。  まだまだこれから細かい詰め、いわゆる関係省庁との意見調整が残っている。そしてまた自民党部内の一部の方々に対する説得の努力も必要であるということは御答弁からうかがえるわけでございますが、そうした過程を通して、いわゆるこれまで持っておられた環境庁案なるものが、国民住民サイドから見て、見直しという名によって後退をするのじゃないか。一応の基準を引けば、中公審答申を最低限堅持しなければならないレベルといたしますと、あるいはそれも危ないのじゃないか。そういう後退の妥協をしながら法案提出ということになりますと、これはまた大きな期待を裏切る結果になるわけでございまして、提出という決断に至った段階において、後退のための巻き返しと申しますか、環境庁案を一歩も二歩も後退させるような動きが、これから日ごとに熾烈になっていくのではないかということを私たちは一番心配しているわけでございますが、この点いかがでございますか。
  142. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先ほども答弁申し上げましたとおり、私といたしましては、昨年の四月に中公審から答申をいただきました線に沿って、法案として提出できますように、最大限努力をいたしてまいります。お誓い申し上げます。
  143. 古川雅司

    ○古川委員 法案は提案されたわ、それがいわゆる骨抜きという形では、大変意味がないわけでございます。それを先ほど私は述べたわけでございますが、五十一、二年当時の一次案、そして二次案と申しますか、その辺に比べましても、現在すでに大きく後退しておるわけでございます。  その内容としては、一つには大規模開発事業法案の適用対象から除外するということであるとか、あるいはまたガス事業を除外し、都市計画事業は都市計画法に基ついてアセスメント実施するというような内容、さらには環境庁長官は、主務大臣意見を聞く、が協議するに改められたという。そのほか公聴会の開催を知事判断にゆだねるというような点、これは当初から比べると後退が繰り返されているわけでございます。いずれもいわゆる開発事業に支障を来すという、この法案提出に反対をする方々の意見を入れたものとしか言いようがないわけでございますが、いま私は具体的に幾つか内容を申し上げましたけれども、そういう意味で、現在ふところに温めていらっしゃる環境庁案なるものがまだまだ後退を迫られるのじゃないか。この点は非常に心配な点でございますから、特に具体的にお答えをいただきたいと思うものでございます。
  144. 金子太郎

    金子政府委員 ただいま御指摘のとおり、五十二年度まで私どもの考えておりましたいわば理想的といいますか、高い望みを持ったといいますか、そういう案に比べて、現在の案が大分変わっているということはそのとおりでございます。これは各省庁との折衝過程におきまして、やむを得ずそういう考え方ですり合わせを行ったということでございますが、現在私どもが考えております案は、昨年の中公審答申の線に忠実に沿いまして、必要な住民関与手続、その他を織り込んだものであるというふうに考えております。
  145. 古川雅司

    ○古川委員 どうも歯切れが悪いような感じがするわけでございますが、それでは具体的にお伺いいたしますけれども、はっきり申し上げて、通産省を筆頭にした――これは法案提出に対する一つのネックになっているわけでございますが、その内容については電源開発の立地ということが問題になっているようであります。その条項の取り扱い、これに対して環境庁案では、電源開発は主務大臣いわゆる通商産業大臣事業者の委託を受けて環境影響評価手続をでき、環境庁長官は主務大臣が指針を定める場合協議を受けることができるというふうにしているのに対して、通商産業省の方では、エネルギー危機を一つ理由として――これは大変な問題ではありますけれども、この条項を削除するかあるいは特例事項を設けるべきであるというような形で意見を出しているというふうに聞いておりますが、この点はいかがでございましょうか。
  146. 金子太郎

    金子政府委員 通産省側の御意見は、ことしの段階では私どもはまだ正式にいただいておるわけではございません。現在までのところは、私ども法案説明に対する質問という形でいろいろ意見が出ておりまして、正式にどこをどのように直せという段階にまでは来ておりません。
  147. 古川雅司

    ○古川委員 これは去年やことしから始まった政府部内の調整ではないはずでございまして、すでにこうした議論は尽くしているのじゃないかと私たちは考えます。しかし、現に今国会においてこの法案提出するということになりますと、これに一番大きな抵抗感を持っている通産省としては、こうした要求を突きつけてくることは考えられることでありまして、これは正式にまだ通産省の方から何の申し入れもないということになりますと、これは仮定の論議になって大変申しわけないのでございますが、長官にまず御決意を伺います。  いわゆるエネルギー危機を理由にして、先ほど私が読み上げました電源開発の条項について、これを削除するかあるいは特例事項を設けなさいという要求が出てきた場合、これをどう扱うか。あるいはこれをのまなければ、依然として通産省としてはこのアセスメント法国会提出をのめない、了解できないというような態度に出てきた場合に、長官としてはこれをどう受けとめられますか。
  148. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  実は、一月二十三日に自民党政調環境部会におきまして、各省庁との協議に入ってよろしいというゴーサインをいただきまして、ただいま各省庁と、通産省も含めて鋭意検討がなされておるような次第でございます。  先ほど御指摘のエネルギーとの関係につきましてでございますが、石油にかわる代替エネルギー、これは国を挙げて利用拡大には大いに力を入れてまいらねばなりませんが、あわせて、何と申しましても、えてして忘れられがちな環境保全に対しましても十分な配慮をしていかなければならないと私は考えておるような次第でございまして、その点につきましては、慎重に取り組んでまいりたいと思います。
  149. 古川雅司

    ○古川委員 いま私が御質問申し上げた点は、これは現在の環境庁が考えていらっしゃる案からは非常に大きな後退を迫られることでありまして、いわゆる通産省の言い分を受け入れるか受け入れないかというような非常に重大なかぎになってくると思うのでございますけれども、その辺の腹をしっかりしておいていただかないと、これは全く骨抜き法案提出ということで妥協してしまうことになる、これを私は一番心配するわけであります。もう少しはっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  150. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  もう先生の御指摘のとおりでございます。私は腹にはっきり決めて、ひとつがんばってまいりたいと思います。
  151. 古川雅司

    ○古川委員 ちょっと質問の方向を変えます。  ここに「附属文書(口上書)についての一九七九年十月二十三日付東京質問に対する合衆国の回答」という文書がございます。これは「合衆国国務省により用意された環境アセスメントに関する日本政府質問に対する回答です。」という断り書きがついているわけでございますが、これは外務省がアメリカに対して質問書を出したそれに対する回答というわけでありまして、これはどういう意図から外務省がこういう質問を発せられたのか、御説明いただきたいと思います。
  152. 小西芳三

    ○小西説明員 午前中の会議でちょっと申し上げましたように、国連で決議を出すという話がございまして、そのイニシアチブをアメリカがとりたい、そういう関係でアメリカの考え方を盛り込んだエードメモアールという紙を外務省の私どもの方で受け取りました。これは国境を越える環境影響についてのアセスメントに関するものでございましたので、関係省庁でございます環境庁及び通産省に諮りまして、その結果まとまりましたものを三点米国側に対して照会いたした次第でございます。
  153. 古川雅司

    ○古川委員 その点はわかりました。  この回答書の位置づけといいますか、アセスメント法案提出という問題に絡んで、これはどのような意味を持つものか。この内容につきましては、全文を申し上げるのは時間の都合でできませんけれども、たとえばこういう表現がございます。「環境アセスメント手続制度化とは、環境影響評価するため現在ある諸技術を利用するという問題なのであり、先に示した口上書でも述べているように、環境影響評価のためのある種の技術を必要とするという問題ではないと考えております。」というような一項。あるいは後段の方になりますが、「原則の開発とそれを実行する実質的な措置を通じあらゆる国が環境アセスメントに関する進展しつつある管理技術の経験を得ることによって利益を得ることを期待しています。」というような表現等が特に目立つわけでございます。  いまの外務省からの御答弁によりますと、環境庁そしてまた通産省と事前に打ち合わせをして質問書を出したということでございますが、環境庁にとっては、これは法案提出の上で非常にあたりまえといいますか、筋の通った回答を得たことになりますが、通産省としては、本来の主張からすればかなり逆行する回答となっておりますけれども通産省においでいただいておりますので、このアメリカ合衆国の国務省の回答をどう受けとめていらっしゃるか。特に重点的にお答えいただきたいのは、本来環境アセスメント法というものは、技術が未確立であるために法案として提出すべきではないという主張を繰り返しておられたわけでございますが、そのいわゆる反対論がここで成り立たなくなるのじゃないかという感想を私たちは持つわけでございまして、その点も含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  154. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  いま外務省からも御説明がありましたように、アメリカは、環境アセスメントは既存のアセスメント方法及び手法により可能である、特定の新技術を必要とするものではないという考え方を持っておるようでございます。私どもといたしましても、これは既存の科学的知見をもとにして、各国の実情に応じた方法で環境アセスメント実施することができるという趣旨を述べられたものであろうというふうに考えておりますが、わが国でも、従来から最新の科学的知見を用いてできる限りの範囲で環境アセスメントは行われておるわけでございまして、そのことは法制化との関係ということとは別個の問題であろうかというふうに思います。  問題は、アセスメントの場合に、御承知のように調査項目、調査の手法あるいは予測の手法、それから最後にはそれをどう評価するかといったような一連の手続を踏んで予測をするわけでございますが、そういった一連の手法というものにつきまして、調査の項目、内容によりまして非常に熟度の高いものから熟度の低いものといろいろなものがあるのが実情であろうかと思います。したがいまして、それを制度化する場合に、どういったような整理の仕方でその辺の、何といいますか、考え方を整理していくかということが必要なわけでございまして、環境庁の御意見もいろいろ伺いながら、私どもとしても、そういった考え方を整理していく必要があるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  155. 古川雅司

    ○古川委員 私はまずアメリカの国務省の回答書から持ち出したわけでございますが、ここで環境庁にお答えをいただきたいのでございますけれども環境庁は、この環境アセスメント法制化に対して、環境問題を法律面から研究をするという作業をされたわけであります。それが環境庁中公審へ諮問をしたその諮問の基礎になったと私は見ているわけでございますが、この研究の一部を東京大学法学部教授の加藤一郎先生に委託をしていらっしゃるように伺っております。ただいま通産省から御見解を伺ったわけでございますが、この加藤一郎先生は、通産省あるいは電力業界などが環境アセスメントの技術的手法が未熟であるため時期尚早だという主張を繰り返していること、これを理由としてその法制化に反対しているということに対してこう述べておられる。アメリカでは一九七〇年以降、NEPA、アメリカの国家環境政策法のもとで環境アセスメント実施されているし、わが国でも個別法や行政指導によって環境アセスメント実施する例が増加し、それがかなり普及している。環境アセスメントの事項の中には技術的手法がすでに確立しているものが少なくない。また逆に言えば、いつになったら技術的手法や客観的、科学的基準が確立されたというのか。具体的、積極的提案なしに時期尚早と言うならば、単に時間の引き延ばしのための議論にすぎないというふうに見解を示されているわけでございます。  これは私は環境庁に対する一つの応援のエールのつもりで読み上げたわけでございますが、そういったことも含めて、先ほどの通産省の御見解に対して反論をしていただきたいと思うのであります。
  156. 金子太郎

    金子政府委員 技術的手法の確立と法制度化の問題につきましては、この法案を推進する上での最大のネックといいますか、問題点であることは先生指摘のとおりでございます。確かに技術的な事項については、まだ確立されていない分野が幾らでもある。これはいわば科学の宿命みたいなものでございまして、技術手法が確立されるのを待ってということになりますと、未来永劫ということになるのではないか。ですから、各国ともアメリカのように割り切って、現在までに確立している技術的手法に基づいて環境への影響がどのようであるかということを判断をする。それ以上の高いもの、あるいは多くを望むということは、むしろアセスメントそのものをスムーズに発展させていく上の障害になる場合もある。そういうことでございまして、現在の科学的知見でははっきり結論の出ないような事項、問題等については、たとえば事業実施後も引き続き追跡調査をやるとか、モニタリングネットワークをつくるとかいうようなことをいたしまして、若干の歳月をかけて経験的に実際の影響をはかって、その上で事業者と被害者といいますか、関係者との間で何らかの調整を図る、そういうようなことも実務上すでに踏み切っているわけでございまして、それは法制化の支障になるものではないというふうに考えております。
  157. 古川雅司

    ○古川委員 通産省にお伺いいたします。  アセスメント法の制度の立法化問題についてのメモが一月二十三日付で経団連の環境安全委員会から出されております。御存じであろうと思います。その点をまず一つ確認をいたします。  その内容は二つの骨子がございまして、一つ環境影響評価のための科学的、合理的な予測手法、評価基準が十分確立されていない、これが反対の一つ理由。したがって時期尚早だということは、先ほど加藤先生意見も交えて申し上げたところでございます。  もう一つ骨子は、いわゆる過去の原子力発電に関するシンポジウムや公開ヒヤリングなどの例を挙げて、アセスメントの立法化が反対のための反対の運動にかえってかっこうの道具を与えることになるおそれがあるという指摘をしているわけでございます。どうも通産省がこのアセスメント法国会提出に非常に消極的であり、これまで反対論を並べてこられたのはここに問題が集中しているのじゃないかというように考えられるわけでございます。これが二点。  特に、住民の反対、訴訟を誘発し、開発事業実施の障害になるというふうな認識がはっきりしているとすれば、これは通産省以外の他の関係者である、たとえば建設省であるとか運輸省であるとか農林水産省、こういったところで、もうそれぞれ高速自動車道であるとかダムであるとかあるいはまた新幹線であるとか、そうした数々の事業を抱えているわけでございまして、こういったところが通産省と同じような異は唱えていない。まして、訴訟がふえるとか反対運動のかっこうの道具になるというような主張はしていないわけであります。それぞれ意見は持っているでしょうし、一〇〇%同意をし、満足をしているとは、そこまで私は申し上げませんけれども、少なくともこれらの関係省庁が同意をしている。なぜ電力立地の問題を抱えた電力会社との関係のある通産省だけが特殊なのか、特別な状況にあるのか、その辺をこの際はっきりしておいていただきたいと思うのであります。
  158. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  第一のお尋ねの点でございますが、先ほどのメモでございますが、これは経団連の内部の考え方を何かまとめたメモというふうなものだというふうに聞いております。いまの、それじゃその中身についてどうなのかというお尋ねでございますが、現在環境アセスメント法案につきまして私ども環境庁と協議中でございます。いろいろ政府部内で議論されているところでございますので、いまの考え方について一々私の方からそれについてコメントするというのは差し控えたいというふうに思うわけでございますが、私どもといたしましては、従来、たとえば電気の場合であるとすれば電源開発に関して昨年六月に実施要綱も、これは環境庁とも御相談いたしまして定めて、環境アセスメント実施を鋭意行っておるわけでございます。  私どもといたしましては、そういったようないろいろな経験を通じまして、環境アセスメントというものが円滑に行われていくためにどのようにしたらいいだろうかという考え方でいろいろと検討し、環境庁意見を申し上げよう、こういう考え方でございます。
  159. 古川雅司

    ○古川委員 重ねて追いかけてお伺いをするようでございますが、端的に言ってこのアセスメント法を成立させることによって、特に通産省と関係を持つ諸開発事業に支障を来す、あるいは住民の反対運動を増長させるものだというふうな御認識は依然としてまだ根強くお持ちでございますか。
  160. 島田春樹

    島田政府委員 お答え申し上げます。  開発をしていく場合に、地域住民理解を得るということは当然の前提でございまして、それなくしては開発というのはスムーズにいかないということはわれわれとしては従来から十分認識しておりますし、したがいまして、従来行っております実施要綱におきましては、そういう点については十分配慮しているわけです。問題は、その制度にした場合にいかなる方式というものが最も適しているかという点につきましては、私ども環境庁の御意見も十分聞いて検討していく必要があるというふうに思っております。
  161. 古川雅司

    ○古川委員 他の省庁省庁だとおっしゃればそれまでになってしまいますけれども、先ほど私お伺いしました建設省とか運輸省あるいは農林水産省、ここでは一応の同意と申しますか、評価をしているわけでございまして、なぜ通産省が関係する開発事業等についてだけ問題になるのかということにはお答えがなかったわけでございます。  さらに、時間がございませんので、結論的に一つお伺いをいたしますが、もう一つは、いわゆる環境アセスメント法が成立することによって、その内容についてはまたいろいろ問題がありますけれども、かえってそれが住民との円滑な合意を得る場、理解を求める場になる、あるいは正確な情報を提供をし、正常な対話をする場づくりになるという御認識はいまの段階でお持ちになっていらっしゃいますかどうか、この点をお伺いして、通産省への御質問は以上にいたします。
  162. 島田春樹

    島田政府委員 環境アセスメントを行っていく場合に、当然これが円滑に行われるということが必要であるわけでございまして、そういった見地から、どういった法案のあり方というものが望ましいのか、そういうものを慎重に検討していきたいと考えております。
  163. 古川雅司

    ○古川委員 けさほど各委員からも御発言がございましたが、大臣、これからの具体的なスケジュールについて御予定のほどを改めて御披瀝いただきたいと思います。
  164. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  先ほども答弁申し上げましたとおり、党におきましては、政務調査会の環境部会が中心となりまして、党内の意見調整をやっております。環境庁といたしましては、関係省庁といろいろ話し合いをやっており、さらに総理の命を受け、官房長官が各省庁との調整と申しましょうか、いろいろ話し合いをやっていただいておるようなわけであります。
  165. 古川雅司

    ○古川委員 総理は最善の努力をすると予算委員会答弁をしておられるわけでございますから、先ほど来、私、いろいろお伺いをしてまいりましたけれども、これはあくまでアセスメント法案提出が今国会じゅうにあるというふうに理解をしてまいりました。長官もそのような決意で臨んでおられるわけでございまして、その悲壮な決意をまたさらにあおるのは大変失礼でございますけれども、今国会でまた見送りということになったときの長官のお立場はいかがでございましょうか。
  166. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  さようなことのないように最善の努力をいたします。
  167. 古川雅司

    ○古川委員 時間がございませんので大変残念ですが、次の項目に移らせていただきます。  昨年十二月二十一日に、五十三年度に全国の常時監視測定局で測定をした八種類の大気汚染物質について集計、分析をした結果を発表しておられるわけでございますが、特に二酸化窒素の状況が非常に注目をされております。以下、大気汚染の問題について伺っていきます。  まず最初に、この状況について御説明いただきたいと思います。
  168. 三浦大助

    ○三浦政府委員 二酸化窒素の汚染状況について申し上げますが、二酸化窒素につきましては、全国的な汚染状況は、大体年々横ばい状態ということで続いてきております。五十三年度におきまして、環境基準のゾーンの上限、つまり日平均値の〇・〇六ppmという数字がございますが、これを超えた高い濃度の測定局というのは、一般環境大気測定局で七・六%を占めておったということでございまして、これは東京湾岸それから大阪府等に集中しておったわけでございまして、五十三年度はこれら東京湾岸、大阪府において二酸化窒素によります汚染の悪化が認められた、こういうことでございます。
  169. 古川雅司

    ○古川委員 ただいま御説明をいただいたとおりでございますが、二酸化窒素について状況が非常に悪化をしておるわけでございます。日平均値〇・〇六ppmの基準を超えた測定局、これは前年の四十一局に対して七十五局、しかも五十三年度に新たに基準をオーバーした局が五十三局というふうにも御説明をいただいておるわけでございますが、こうしたいわゆる大都市を中心とした高濃度の汚染でありますけれども、この深刻化した状況、これはどういう手段でこれに対応しようとお考えになっているのか、その措置についてひとつ御説明をいただきたいと思うのでございます。
  170. 三浦大助

    ○三浦政府委員 二酸化窒素の汚染悪化の原因でございますが、まずこの原因究明をしなければならぬと思っておりますが、これにつきましては、五十三年度の冬季の気象が非常に安定しておりまして、汚染物質が拡散しにくかったということが大きな原因だと言われておるわけでございます。これは都道府県からの報告でそういうお話を聞いておるわけでございますが、ただ、大都市等におきましては、工業出荷額等を見ますと依然として伸びておりますし、いろいろな原因が考えられるんじゃないか。もちろんこれは自動車の排気ガスの問題もございます。したがいまして、私ども現在この原因究明に当たっておるということでございまして、これらの非常に高い汚染濃度を示しました測定局に、現在担当官を派遣して、実態の究明、原因究明に当たっておる、こういうことでございます。
  171. 古川雅司

    ○古川委員 原因究明も非常に大事なことでありますけれども、日本の自動車の普及率、これは他国に比べて可住地面積に対する密度がきわめて高いわけであります。これが原因だと言ってしまえばそれまでなんですけれども、石油の消費率も非常に高いし、午前中の御質疑の中にもありましたが、いわゆる大型車の問題がここに浮かび上がってくるわけでございます。原因の究明は、その辺までもうあらあらはっきりしているんじゃないですか。大型車の規制というところまでまだ踏み切れない状態なのか、その辺はいかがでございましょう。
  172. 三浦大助

    ○三浦政府委員 原因はいろいろ考えられますので、目下その原因を究明中でございまして、それがわかった段階で次の手を打とうと――大型車の問題は、もちろんこれは窒素酸化物ばかりでなくて、いろいろ騒音対策もございます。これは交通公害対策の観点からの問題もございますが、いま窒素酸化物に限って申しますと、原因究明をしたところで、その原因を究明して次の対策を考えたい、こういうふうに考えております。
  173. 古川雅司

    ○古川委員 その対策については、これは長官所信表明の中でも強調をしていらっしゃる個所でございますし、急がなければならないわけでございますけれども、こうして複合的な原因がある場合に、えてしてその対策というのはなかなか進みにくいわけでございます。  たとえば、こういう問題についてはどうかと私一つお伺いしたいのですが、いわゆるディーゼル車が排出をする黒煙、その中に発がん物質が含まれているのではないかという疑いが出てきたわけでありまして、この点についてアメリカのエネルギー省は、日本側に対して年間六百万ドルで五年間、総額三千六百万ドルをかけて共同研究をしようという申し入れがあったというふうに伺っておりますが、これは、結果的には日本側はこの共同研究を断ったというふうに私は聞いております。誤りであればひとつ訂正願いたいと思うのでありますが、共同研究でなく、ただ単にデータの交換だけに最終的には落ちついたようであります。その経緯の御説明をいただきたいと思いますし、この黒煙の健康への影響、その調査というのは、やはり独自にお進めになっているのかどうか、その状況はどうなっているのか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。
  174. 三浦大助

    ○三浦政府委員 黒煙の取り組みの問題でございますが、ディーゼルの黒煙につきましては、現在その汚染度を五〇%以下に抑えようという規制をしておるわけでございますが、このところディーゼル黒煙と、ただいま先生指摘の発がん物質の関連が非常に注目をされてきておるのも事実でございます。  そこで、私ども五十五年度からディーゼル黒煙の排出の実態、それから生体影響調査研究、こういうものを行いまして、必要な対策を検討するために、五十五年度の予算案の中に四千二百万円ばかり計上してございます。これは初年度でございます。  それから、ディーゼル黒煙の健康影響につきまして、アメリカから共同研究の申し入れがあったという話も、私はそういう話聞いておりますが、これはアメリカにおきましてもかなり調査研究が進められていると聞いておりますので、今後必要に応じてアメリカの環境保護庁との間で情報交換を行うように検討していきたいと考えております。これにつきましては、日米環境保護協定というのがございまして、現に日米共同研究として、光化学大気汚染とか、そういう問題をやっておりますので、その一環の中でやっていこうということを考えております。
  175. 古川雅司

    ○古川委員 長官、この問題を私はいま急に提起をしたわけでございますが、お聞きになっていて、そういう情報、資料の交換という程度でこれは済まされる問題なのか。アメリカからの呼びかけもあり、共同研究というような本腰を入れた取り組みが必要になっているのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、この点いかがでございますか。
  176. 土屋義彦

    土屋国務大臣 大型車、ディーゼル車等の交通公害対策は一九八〇年代の環境行政の最大の課題と私は考えておりますので、日米間の共同研究等につきましても検討させていただきたいと思います。
  177. 古川雅司

    ○古川委員 その点、よろしくお願いいたします。  大気汚染に関連しまして、けさほどの質問とまた重複をして恐縮でございますが、ぜんそく性気管支炎の認定要件についてさらに長官からはっきりした御見解を確認しておきたいと思います。  二月一日に財団法人国際医学情報センターから新しい認定要件について示唆を受けたわけでございます。「本疾患は二歳以下の者に多くみられるものであり、六歳未満のものを認定の対象とすること」、これは裏を返して言えば、けさほど御指摘がありましたとおり、六歳以上については認定の対象外とするというふうに受け取られるわけでございまして、非常に不安とまた心配をする声があるわけでございます。これは非常に誤解も招きやすい問題でございますので、長官は慎重に対処するというふうに発言をしておられますが、慎重に対処するというよりも、むしろ六歳以上を認定の対象外にしてしまうというようなことはあり得ないとはっきり御答弁をいただければ、長官の真意が理解できるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  178. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  けさほど来御答弁がございましたとおり、環境庁といたしましては、一昨年来、専門家の先生方七人に対しまして、医学的見地からいろいろと御検討願いたいということをお願いいたしましたことは事実でございます。  また、関係方面の意見を聴取する一環といたしまして、このたび認定審査会のブロック会におきまして委員の意見を聞いたところでございます。まだその意見が本庁の方に上がってまいっておりませんので、いずれ上がってまいりましたならば、いろいろ検討させていただきまして、その上で判断をさせていただきたい、かように考えております。
  179. 古川雅司

    ○古川委員 六歳という一つの線を引いているわけでございまして、その辺が心配の種だということを私申し上げたわけでございますが、報告が出てきて検討するということになりますと、その報告ももっともだということで、六歳以上はこの際対象外にしてしまおうというようなことになるという心配はまだまだ残るわけでございまして、そういうことはないといまの段階ではお答えになれませんでしょうか。
  180. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  先生の御意見も踏まえて、慎重に検討させていただきたいと思います。
  181. 古川雅司

    ○古川委員 ではよろしくお願いいたします。  次の項目に移ります。エネルギーと環境の問題について若干お尋ねをしたいと思います。  申し上げるまでもなく、わが国のエネルギーの需給関係というのは非常に逼迫をしているわけでございまして、今後新しい事態に対処するために、いわゆる長中期的な石油代替エネルギーの開発利用、石油の重質化対策の推進、そういった対策がいま講じられているわけでございまして、これはエネルギー政策上のさまざまな課題もさることながら、これに伴う環境保全問題も非常に重大な政策課題になってきたと思います。通理省の総合エネルギー調査会需給部会というところ、エネ調と通称言うそうでございますが、ここで五十四年の八月三十一日に「長期エネルギー需給暫定見通し」というものをお出しになっているわけでございますが、文字通り暫定でございますから、この一つ試案に基ついて、たたき台にして、これからある程度現実に即したもう少しかなり正確性を帯びたと申しますか、エネルギーの需給見通しが立つものと思いますけれども、この資料は大体こういう方向で今後エネルギーの需給を考えていくんだというふうに私たち考えてよろしいものでしょうか。あるいはこれから出てまいりますいわゆる正確なと申しますか、決定的な見通しとそう大きな差異はないというふうに理解をしてもよろしいでしょうか。
  182. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 お答えいたします。  昨年の夏に発表いたしました「長期エネルギー需給暫定見通し」につきましては、ただいまのところいろいろな情報、いろいろな知見から見まして、大体このような方向に向かうものと考えておるわけでございます。
  183. 古川雅司

    ○古川委員 重ねて通産省にお伺いいたしますが、今国会と聞いておりますけれども通産省から石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案なるものが提案されるというふうに聞いております。この法案の第三条二項に、石油代替エネルギーの供給目標を定め、当初通産省案では、供給目標は「代替エネルギーの開発の状況その他の事情を勘案して定めるものとする。」というふうにありました。これを環境庁の強い要求によって「その他の事情を勘案し、環境保全に留意しつつ定める」というふうに変わったようであります。  いま私が読み上げました、通産省からお出しになる代替エネルギーの法案と、長期エネルギー需給の見通しは、同じ次元で考えてよろしいかどうか。と申しますのは、環境庁からのたっての要請もあったわけでございますけれども環境保全に留意をしなければならない、してほしいという要請を踏まえての見通しであるかどうか。「暫定」がついておりますから、あくまで暫定でありますけれども環境保全についての配慮がどのようになされた上でこうした見通しができたか、その辺の御説明をいただきたいのであります。
  184. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案の中で、いま先生がおっしゃいましたように、石油代替エネルギーの供給目標、それから導入の指針を定めることになっておりますけれども、それを定めるに当たりましては、各種の石油代替エネルギーの有する特質に応じまして、その供給数量の目標、それから事業者の導入の指針等を検討していく必要があると考えております。この場合、政府といたしましては、現下の厳しいエネルギー情勢のもとにおきまして、環境保全には十分配慮しなければならないと考えております。エネルギー供給の確保に責務を有する当省といたしましても、このような考え方でエネルギー政策と環境政策との調和を図っていく必要があると考えております。  このような見地から、今国会提出いたします石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律案におきましても、石油代替エネルギーの供給目標、それから導入指針の策定に際して環境保全に留意するということを規定した次第でございまして、いわばあるべき方針を率直に明文化したということでございます。
  185. 古川雅司

    ○古川委員 この通産省がお出しになりました「エネルギー需給暫定見通し」は、一々内容を御説明いただきますと非常に長時間にわたりますが、少なくとも輸入石油を五十二年度七四・五%から七十年度には四三・一%まで下げる方針である。その石油にかわって水力、石炭、液化天然ガス、原子力、地熱、太陽熱などに代替し、新エネルギーの開発を進めていくという計画になるわけでございます。エネ調がお出しになったこの暫定見通しを受けておると私は理解をするのですが、環境庁としては、その考え方に即しながら、これから問題を検討しようというふうに伺っております。  去年の六月、環境庁内にエネルギーと環境の問題検討会を設けたと伺っているのでございますが、私の誤解がありましたら訂正をいただきたいのですが、暫定ではあれこうした需給の見通しが出てきて、それを受けて、さあ環境問題についてどうしようかというふうに立ち上がられたのか。  と申しますのは、たとえば石炭の利用拡大一つにいたしましても、その対策は基礎調査であるとか業種別の実態であるとか、アセスメントシミュレーションであるとか、これからの問題が非常にメジロ押しになっているわけでございます。立地という問題もございます。したがって、こういう需給見通しが先行して、それが政府の新エネルギー対策ということになり、環境保全の問題がその後を追っかけていくという印象を最初から受けるわけでございます。今後通産省が政府のいわゆる正確に近い、暫定ではない見通しを立てる段階において、環境保全には留意するとおっしゃっておりますけれども環境庁意見あるいは環境庁の主張というものが乗りにくいという印象を非常に強く受けてならないわけでございますが、この点いかがでございますか。
  186. 金子太郎

    金子政府委員 私どもが庁内に検討会を設けまして、中長期的な視点から、できるだけ総合的にエネルギーと環境政策の問題に取り組んだというのは、暫定見通しが発表される大分前でございまして、たしか六月か七月ごろだったと思います。と申しますのは、その前の段階で暫定見通しなどをつくるということが閣僚協レベルで決定されまして、それに刺激されたといえばそのとおりでありますけれども、そのさらに前の前提として、石油情勢が非常に逼迫し、石油サミットが開かれる、ああいう情勢になってまいりまして、石油の輸入量なども天井を切られる、そういう中で代替エネルギーの開発が相当行われるであろう。これに対して、お説のとおり、環境庁環境政策のサイドから、後追い的に、対症療法的に追っかけるということではいかぬ。したがって、事前に勉強して、統一的な考えに基づいて、出てくる問題に随時対処していきたい、こういう考え方で始めたものでございます。
  187. 古川雅司

    ○古川委員 せっかく通産省においでをいただいているんで、さらにもう少し詳しく伺いたいのでありますけれども環境保全公害防止という観点から考えますと、いわゆる代替エネルギーの内容についてはいろんな不安が残るわけであります。石炭一つにしてもおわかりのとおり、SOxにしてもNOxにしても、あるいはばいじんにしても、いわゆる石炭がらといいますか、燃えかすの処理にしても、環境保全しながらなおかつ利用を拡大していくということはなかなかむずかしい。それから地熱の利用一つにいたしましても、現在のいわゆる浅部といいますか、浅く掘って、そこから地熱を取り上げて発電に利用していく、これも限界ができてきているわけでございまして、いわゆる深部に掘り進めて、そしてその熱を利用していかなきゃならない。この点の技術の確立も、まだ現段階では実用の段階ではない。石油の重質化ということ、あるいは原子力の問題も特にそうでありますが、そういうさまざまなことが数々あるわけでありまして、もし通産省が、この将来の長期にわたるエネルギーの需給の見通しを、暫定としてではなく、永久に確固たるものをつくるということになれば、環境の問題が大きくその前にはだかつてくるというふうにお受け取りになるんじゃないかと、よけいな心配をして差し上げることになるかもしれませんけれども、その辺のところ、また一面からいうと私たちとしては非常に心配をしているわけでございまして、環境保全の問題、公害の問題を押し切って代替エネルギーの開発に突き進んでしまうのではないか。きょうは大臣をお呼びしているわけではございませんので、大変大上段に振りかぶってきついことを申し上げますけれども、その辺、通産省の部内としてはどう受けとめていらっしゃいますか。
  188. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、石炭火力の問題、地熱発電の問題等々、どれをとりましても非常に大きな公害上の問題を含んでいるわけでございます。その問題を避けて通るわけにはまいりませんので、われわれといたしましても、その立地に際しまして十分な配慮と、それからふだんからの研究開発によりまして、それを乗り越えていきたいという決意でございます。
  189. 古川雅司

    ○古川委員 大臣所信表明の中で、この点についても触れていらっしゃるわけでございまして、当然八〇年代の環境行政にとってこれが最大の課題になるのではないかというふうに考えますが、所信表明の上にもさらに御所見と御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  190. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  石油等エネルギー問題、これまた一九八〇年代の環境行政の最大の課題であろう、かように確信をいたしておる次第でございます。先ほども申し上げましたとおり、代替エネルギーの利用拡大、国策といたしましても大いに推進をいたしてまいらねばならぬと思いますが、あわせて環境保全に対しましては、十分な配慮をしていかなければならないと私は考えておるような次第でございます。環境庁基本的な考えといたしましては、公害防止に関しましては、環境基準の維持の達成を図るという原則を堅持いたしてまいりたいと思います。  特に、代替エネルギーの問題でございますが、地熱発電、これは先生御案内のとおり、全国に約二十七カ所の国立公園、五十一カ所の国定公園がございます。こういうところへ関係をしてまいるわけでございますが、これがむやみに開発されるということになりますと大変なことになります。五万キロワットの地熱発電所をつくるのに、地形によってそれぞれ違うと思いますけれども、大体後楽園の五、六倍ぐらいの土地を要するというふうにも聞いております。一たん自然が破壊されますと戻ってまいりません。さようなわけで、今日まで通産省と環境庁の間に全国六カ所は認めるということに相なっておりまして、今後地熱の発電につきましても、慎重に対処してまいりたいと思っています。
  191. 古川雅司

    ○古川委員 次に、自然環境保全計画倒れと申しますか、環境庁は、当初原生自然環境保全地域を全国に十カ所、それから自然環境保全地域は、これは自然環境保全審議会が四十八年――古い話でありますが、四十八年の十月に自然環境保全長期計画として、六十年には都道府県も含めて国土面積の二%を自然環境保全地域にするという答申を出しているわけでございますが、この当初の計画どおり地域指定ができているのかどうか。  きょう林野庁はお呼びしておりませんけれども、制度発足の当時は、公害問題への世論の目が非常に厳しくて、勢い自然保護の観点から環境庁に譲歩しなければならないというようなそういう姿勢で進めてきたわけでございます。最近になりまして、保安林の全面解除ではなくて、保安林を含んだ重複指定なら別だがというような、いわゆる環境庁と林野庁との調整が非常に難航しているという現状を私たち耳にしているわけでございまして、こういった問題点を含めて、この辺の調整をどう図っていかれるのか、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  192. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま御指摘のございましたように、自然環境保全法に基づきます原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域の指定につきましては、残念ながら私どもが五十二年に自主的な努力目標として設定いたしましたいわゆる環境保全長期計画に掲げる目標には到達をいたしておりません。環境保全長期計画におきましては、国の定める原生自然環境保全地域、それから自然環境保全地域、都道府県が指定する分、これらを合わせまして国土面積の約二%、これは厳密には一・六%でございますが、おおむね六十万ヘクタールというものにまで拡大するということを自主的な努力目標として決めたわけでございます。  現在の状況を申し上げますと、国の指定分につきましては、本年度末までの間に原生自然環境保全地域が五カ所、面積にして五千六百三十一ヘクタール、自然環境保全地域が五カ所、四千八百八十九ヘクタールということで、合計十カ所、一万五百二十ヘクタールとなる予定でございます。都道府県の方が指定いたします自然環境保全地域は、数字がやや古くて恐縮でございますが、五十三年度末で七万四千八百三十一ヘクタールということでございまして、本年度末には合計八方五千ヘクタールというふうになるわけでございますが、これは国土面積に比較しまして約〇・二三形ということでございますので、長期目標、これは六十年目標でございますが、それに比べますと相当下回っておるわけでございます。しかし、五十二年度に設定されました長期目標は、六十年度を目標といたしておりますので、相当下回っておりますけれども、私どもとしましては、この努力目標の達成に、相当の困難は伴うと思いますけれども、これに向かってできるだけの努力を続けてまいりたい。  御承知のように、自然環境保全法に基づく保全地域といいますものは、従来の自然公園法に基づく国立、国定公園等のように、保護と利用というものを両立させるという考え方ではなくて、どちらかと言えば保全ということを非常に重視して、そこにおける行為を厳しく規制するという考え方に立っておりますので、その面からいきまして、地域における林業とか工業とかあるいは漁業とかいったような産業との各種の調整行為が非常にございますので、私どもが自由に物をやるということはできない現状でございます。しかし、私どもとしましては、先ほどの努力目標に向かいまして粘り強く努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  193. 古川雅司

    ○古川委員 最後に、残された時間内でPCBの処理の問題についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。  環境庁通産省にわたると思いますけれども、四十三年ですからもう十二年前に、全国で一万三千人の中毒患者を出したいわゆるカネミ油症事件の原因物質であるPCBでございます。いまだに兵庫県の高砂市の鐘化の高砂工場に約五千七百トン、三重県四日市の三菱モンサント四日市工場に九百二十六トン、これは昭和四十七年に回収をされたまま、八年間貯蔵タンクに入れたままで保管をされているということでございまして、環境庁としては、環境汚染という観点からどう受けとめていらっしゃるのか。地元としては、万一地震が起こったときとかあるいはタンクに亀裂が生じ破損をした場合にはどうするのかとか、そういう不安を抱いているということが地元から報告されております。その点についての環境庁のお考えと、これからこれをどうするのか。  それから、これは通産省の御所管だと思いますが、PCBの洋上処理委員会というのができて、オランダからオーシャン・コンバーション・サービス社という会社と提携をして、これを海上で焼却をする専用の船をチャーターしているというふうに説明を伺っております。これはいまだに貯蔵されておりまして、その焼却の作業はまだ進んでいないわけでございますけれども、これはどうするのか。五十五年度はどうなっていくのか。いつできるのか。それから洋上で焼却処理という問題についても、これはいままで経験がないわけでございますけれども、オランダに委託をしたということも一つ疑問でありますし、洋上の焼却処理について、その場所はどこであって、恐らくそのどこであるということについては公表されておりませんから、問題が起こっておりませんけれども、その場所が明らかになれば、またその周辺から非常に大きな不安の声が上がるのじゃないかというふうに思うわけでございます。その辺すでに、たとえば漁業関係者等との調整は事前に進めているのかどうか。その辺も含めてお答えをいただきたいと思います。  時間がございませんので、答弁だけをいただいて、私の質問を終わります。
  194. 馬場道夫

    馬場政府委員 PCBの問題でございますが、ただいま御指摘のとおりまだ液状の廃PCBが保管をされているわけでございまして、長期にわたって保管をされている現状は必ずしも好ましいものではないわけでございます。私ども環境庁といたしましても、環境保全上問題のない方法で早期に処分をすべきものであると考えておるわけでございます。ただいま御指摘のございました洋上焼却もその一つの方法でございまして、通産省等が中心になりましていろいろ技術的な検討も行いまして、ほぼ安全な形で処分し得る見通しもついておるわけでございます。そういう意味で、私どもといたしましても、関係省庁十分調整、連絡をとりながら、早期にこの処理が実現するように努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  195. 越川文雄

    ○越川説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の液状廃PCBの洋上焼却につきましては、私どももできるだけ早く行うべくこれまでも努力いたしてまいったわけでございますけれども、これを実施いたします上からは、まず安全かつ確実にということが何といっても大前提になるわけでございます。そういうようなことから、私どもといたしましては、社団法人の産業公害防止協会というところに学識経験者また漁業関係の方々にもお入りいただきまして、そこで先生指摘のございました研究委員会を設けて鋭意検討をいたしてまいったわけでございます。  その結果から、オランダのパルカナス号、これは世界的にもこういう液状の廃棄物の焼却につきまして非常な実績を持っております。またアメリカのEPAの関係しているプロジェクトなんかにもこの船が活用されるというようなことで、非常に実績を持っておるということ等から、私どもといたしましては、委員会でそういうものの活用ということを十分検討していただきました。その結果、パルカナス号を使いまして洋上焼却するということは安全に行えるのではないかというような一応の見通しをいただいたわけでございます。  その後、私どもといたしましては、現実にこれをいかにして実施していくかということについての検討をいたしてまいっておるわけでございますけれども、特に環境保全の面あるいは安全性の面等につきまして実施上の問題点を現在詰めておる段階でございます。  なお、昨年末に民間事業者の方でオランダの船を具体的にチャーターすべく仮契約をいたしました。しかしながら、先方は非常に需要が多いというようなこともございまして、配船スケジュールが非常に込んでおるというようなことから、残された問題点について検討する十分な時間的な余裕がわれわれに与えられなかったというようなこともございまして、結局正式契約には入れなかったという事実もございます。しかしながら、私どもといたしましては、現在も引き続き残された問題点について検討をいたしておりますし、これは先ほど申し上げました研究委員会を中心に検討いただく。また焼却場所等につきましても、研究委員会の場でもって漁業関係の方あるいは関係省庁の方からの御意向をお聞きした上で検討をしていただくというようなことになっておるわけでございます。  そういうようなこと等を今後とも鋭意行いまして、もちろん再度船のチャーターをするための努力あるいは漁業関係の方々との調整というようなものも行いまして、できるだけ早い機会に安全に実現し得るようにということで、われわれも努力していきたいと思っておるわけでございます。
  196. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  197. 河野正

    河野委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時四十五分休憩      ――――◇―――――     午後五時二十一分開議
  198. 河野正

    河野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。則武真一君。
  199. 則武真一

    ○則武委員 大分他の委員の方も質問なさいましたけれども、私は、環境影響評価法案について、長官の決意のほどをさらにお伺いをしたい、こういうふうに思っております。  いろいろな障害があったということが再三出ておるのですけれども環境庁が公式にアセスメント法案に言及して八年、さらに法案として議論され出して五年、こういうことであります。歴代長官の名前を挙げますと小沢さんや石原さん、山田さん、上村さんと代々にわたってこの問題が出て、四度にわたって流産をしておるということ。しかもその問題点は、経済界の総本山である経団連がこれに一貫して反対をしてこられた。いわば過去四回にわたるアセスメント法案の流産の経過は、環境庁が経団連に屈服をしたということに見られるわけです。そういう意味で、そういう経済団体の圧力に屈服しないで今度こそ本当に法案をつくるのだ、こういう点での長官の決意のほどをまずお伺いいたしたいというふうに思います。
  200. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  先刻来申し上げておりますとおり、環境影響評価法法制化は時代の要請でございまして、私どもは何といたしましても今国会に出していただきまして、法律として制定させていただきたいということで、環境庁挙げて、全力を傾けて努力をさせていただいておるような次第でございます。ただいま党並びに政府部内におきましていろいろ反対、賛成意見等々もこれあり、鋭意検討をいたしておるような次第でございます。私といたしましては最大限努力をいたしまして、この法制化に取り組んでまいりたいと思います。
  201. 則武真一

    ○則武委員 長官も相当同じことを繰り返していらっしゃるのですけれども、問題は、私はやはり経団連の要求に過去四回屈服しているということについて、まず長官はそれを認められるのかどうか。そしてその辺の反省と決意がないと、今度も経団連は反対の意向を表明し、環境庁へ申し入れておられるわけでありますから、単に自民党との調整とか、他の省庁との調整という問題ではないのであります。そういう点で対経団連についての決意のほどを、さらにお伺いしたいと思います。
  202. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生、大変恐縮でございますが、過去の経団連との事情につきまして、私よく承知をいたしておらないのでございますが、私が長官になりましてから、昨年末以来、経団連の代表の方々も直接大臣室にお見えになりまして、時期尚早であるということを訴えておられるわけでございますが、その節、私といたしましては、何といたしましても今国会法案を出すべく最善の努力をいたしますということも強く訴えてあるような次第でございます。
  203. 則武真一

    ○則武委員 そこで、問題になってくるのは、過去四回にわたって法案が日の目を見なかった決定的な理由は一体何であったか。しからば今度はどうしてもつくるのだ、できるとおっしゃるわけですね。今度どうしてもできるのであるならば、過去流産をした問題は一体どう処理されたのかという問題になってきます。皮肉な見方をすると、過去流産をしたときには、いろいろ経済界等がチェックをするような問題があったけれども、今度はそういう経済界がチェックをするほどのものがない、十分に経団連の意向に沿った骨抜きの法案になってきたのじゃないか、こういう問題もあるわけであります。  そこで、簡単でよろしいが、過去の流産に至った経過で、経団連が一貫して反対した点は何々だったのか、今回の問題はもう二つ出ていますからいいですから、ひとつ過去の四回の問題点を出してください。
  204. 金子太郎

    金子政府委員 五十一年と五十二年は、経団連の反対という感じはほとんどございませんで、関係各省の強い反対という印象が強うございました。私は当時官房長でございましたから、詳細なところまでは承知いたしておりませんが、公共事業実施官庁及び電源開発監督官庁のいわば上に環境庁が立つような印象を法案内容は与えたということで、各省から皆いわば総スカンを食ったという感じでございます。それで、三回目の五十三年度に考え方を改めまして、そのときにできた案が、現在私ども各省と協議している案と全く同じでございます。五十三年度のころは、経団連がどういうふうに動かれたか、恐らく一度ぐらい陳情においでになったぐらいではなかろうかと思いますが、当時は雇用問題が深刻化する折から、景気の回復を急がなければならない、その過程アセスメント法ができると電源開発事業が進まない、こういうようなことが大きな理由だったのではなかろうかと思います。昨年の流産は、むしろ自民党内における御賛同、各省折衝していいというようなお許しがいただけないままに時期が来てしまったというようなことだったかと思っております。したがいまして、経団連にまで出向きまして、法案内容はこうなんだという説明をいたしましたのはことしが初めてでございます。
  205. 則武真一

    ○則武委員 それではその辺の具体的な点をさらに少しお伺いしたいのですが、つくるからにはやはり有効なものでなければならない。これは当然のことです。何が何でもアセスメント法ができればいいというふうなものではないので、それが良好な環境を守り、さらに取り戻していくということに役に立つということでなければならない。そういう点で有効な法案準備されているのかどうかという問題になってきます。私どもは、その点では何が有効な法案なのかということについていろいろな問題があると思いますけれども、少なくとも実効性があるものでなければならない。アセスメントをやっても、それはただ形式的に手続としてやっただけで、アセスメントの結果がどうであろうとも、開発計画等が変更にならないというようなものであってはならないというふうに思うのです。そういう意味で、いまこれから用意されておる法案の実効性という点で、開発事業の変更とか縮小とか中止をアセスメントの結果により規制をしていくという条項が用意されているのかどうかということをお伺いいたします。
  206. 金子太郎

    金子政府委員 御承知のとおり、アセスメントには大規模な開発事業計画などの、たとえば本四架橋みたいなものですが、(則武委員「結論だけでいいですよ」と呼ぶ)現在の法案中公審答申の線に忠実に沿ったものと考えておりますが、その中公審答申及び現在の法案内容において、環境に重大な影響があり、その内容について問題がある場合には、当然当初の事業計画の変更等が予期されているものだというふうに考えております。  何となれば、準備書をつくりまして、関係住民意見を聞いて、最終的に評価書をつくるわけでございますから、準備書即評価書にならない場合が多いであろうと考えられますから、したがって、そういう担保はあるというふうに考えております。
  207. 則武真一

    ○則武委員 結論だけちょっと明確にしてください。開発事業の変更とか縮小とか中止をする規定法案の中にちゃんとあるのですかないのですか。
  208. 金子太郎

    金子政府委員 それを命ずるような規定はございません。
  209. 則武真一

    ○則武委員 ないんですね。  それじゃ有効な法案のもう一つの大きい柱として、長官、午前中から論議になっていますが、やはりこの問題自体が住民運動といいますか、住民環境を守れという声から起こっておるわけでありますから、そういう点で住民参加という問題が一つの重要な要件になってくるだろうというふうに私は思うのですが、聞くところによると、公聴会等は結局説明会にすりかえられておるというふうになっておるんですけれども、本当にこの住民参加という問題について、提案されようとしておる法案はどういう表現と規定になっていますか、そこのところだけちょっと明確に答えてください。
  210. 金子太郎

    金子政府委員 事業者調査予測及び評価をやりまして、環境影響評価準備書をつくります。その準備書は公告をいたします。また縦覧に供します。縦覧期間中に説明会を開催いたします。そして縦覧期間が経過してから二週間という期限を置きまして、関係地域住民から意見書提出されることを保証いたしております。そして事業者は、その意見書知事、市町村長あるいは主務大臣等の意見を踏まえて最終的な環境影響評価書をつくります。そしてその評価書を公告、縦覧に供します。その期間が終わるまでは工事に着工しない、こういうたてまえになっております。
  211. 則武真一

    ○則武委員 住民参加をするということについてどういう規定があるのかということをお聞きしておるのですけれども公聴会を開くということをなぜ説明会に切りかえられたのかということでお答えいただいてもいいのですが、どうも私は住民参加ということが結局なくなってきておるように受け取るのですけれども、その辺はどうですか。結論だけ明確にしてください。
  212. 金子太郎

    金子政府委員 現在の法案の体系は、住民参加という言葉を使うのはあるいは適当ではないかもしれません。何となれば、当該事業の決定に住民参加するかというと、そういうことは規定してないからであります。住民意見を聞くというところでございまして、したがって、住民関与という表現の方が適当だという意見もございます。
  213. 則武真一

    ○則武委員 結局住民参加という言葉がないというふうになっております。  もう一つ、やはり有効なアセスメント法案が兼ね備えておかなければならない条件として、三つ目に、私は公正で科学的なものでなければならないと思うのですが、先ほどから答弁にありました環境影響評価準備書とか評価書というふうなものが公正で科学的である、妥当性があるということについて、一体だれが審議するのか。それを審査する第三機関、そういうものが当然必要になってくるのですけれども、そういった公平で科学的な評価書であるかどうかを審査する審査機関を必置するような法案になっているのかどうか、イエスかノーかだけ答えてください。
  214. 金子太郎

    金子政府委員 第三者審査機関は置いておりません。
  215. 則武真一

    ○則武委員 私は、以上の三つの質問をしたのですが、こういうことが兼ね備えられていないなら、一体それが本当にアセスメント法という名に値するのかどうかということを非常に危惧するのであります。現実法案が出てからさらに細部について詰めてまいりたいと思いますけれども、私はさらにもう一、二ちょっと聞いておきたいと思います。  七大公害について対象項目にするんだということが言われておりますが、環境というものは、文化的な、歴史的なものも含めてさまざまな環境があるわけで、人間はそういう中で生きておるわけであります。そういう意味で、この七つに限定をされているのか、さらにそのほかの、私がいまたとえばとして挙げた歴史的な遺産、そういう環境をも守るということが含まれているのか、これもひとつイエスかノーだけお答えください。
  216. 金子太郎

    金子政府委員 自然環境保全ども入っておりますから、典型な七公害よりも相当広い範囲のものを考えております。
  217. 則武真一

    ○則武委員 それからもう一つ、これは住民参加の問題とうらはらの問題ですけれども、さまざまな過程アセスメントがやられて、そこのいろいろな資料が国民に対して公開をされることが非常に重要じゃないか。そのアセスメントが公正であるか妥当性を持っているかということは、一つ一つの事実によって構成をされておるのであります。そういう点でアセスメント法の中に国民に対する資料の公開というような問題がうたわれているのかどうか。これもひとつイエスかノーかでお答えください。
  218. 金子太郎

    金子政府委員 準備書と評価書は公告することになっておりますが、それ以外については特に規定を設けておりません。
  219. 則武真一

    ○則武委員 結局私がいまちょっとお聞きしてみても、やはり私どもが期待をするアセスメント法とは相当ほど遠いといいますか、これならば経団連も納得されるんじゃないのかみたいな気がしないでもないような気がするのです。ひとつ詳細はまた御提案になってから論議をしてまいりたいというふうに思います。  いずれにしても、おつくりになるからには、私はやはり有効なものでなければならぬと思います。この点については、私は、長官も同感をしていただけるんじゃないかと思うのですが、有効なものをつくっていただけるのかどうか、再度ひとつ最後に長官の決意をお伺いしておきたいと思います。
  220. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生の御指摘の点も踏まえて、関係省庁とも折衝してまいりたいと思っております。
  221. 則武真一

    ○則武委員 それでは私、次の問題で質問さしていただきますが、財団法人本州四国連絡橋自然環境保全基金という問題があります。この問題について若干の質問をさしていただきます。  まず長官、瀬戸内海環境保全特別措置法という法律があります。第三条には、「政府は、瀬戸内海が、わが国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民がひとしく享受し、後代の国民に継承すべきものであることにかんがみ、瀬戸内海の環境保全上有効な施策の実施を推進するため、」云々というふうに最高の形容詞を使った瀬戸内海環境保全特別措置法があるわけであります。そういう点で、瀬戸内海は日本で最初に国立公園に指定された地域であります。国立公園の発祥の地でもある。そういうところでいま瀬戸大橋の架橋が着工をされ、大々的な自然破壊がいま進んでおるのであります。  そこで、一つお伺いをいたしたいのですけれども、瀬戸内海環境保全特別措置法にまつまでもなく、当然今度の瀬戸大橋の着工に当たって、良好な自然環境を守り、また工事によってやむを得ず破壊したところは修復をするということが全国的な課題になってくるわけでありますが、まずそういうことが国民的課題であるというふうにお考えですかどうですか、長官の決意をお伺いします。
  222. 土屋義彦

    土屋国務大臣 先生御案内のとおり、一たん自然が破壊されますと、それをもとへ戻すということは大変なことでございまして、国民一体となって自然を守っていくということは大変大事なことである、かように考えております。
  223. 則武真一

    ○則武委員 環境庁長官の決意はお伺いしたのですけれども、この橋は建設省がむしろ中心で、鉄道橋と併用橋でありますので運輸省も一枚かんでいらっしゃるということでありますが、きょう御出席をいただいております建設省並びに運輸省も、この国民的課題という観点でこれから橋をおかけになり、また環境保全のために万全を期すという決意を持っていらっしゃるのかどうか、この点をお伺いしておきたいと思います。
  224. 沓掛哲男

    ○沓掛説明員 建設省におきましても、瀬戸内海がいま先生おっしゃいましたような国立公園内の非常にすぐれた景観を有しておるところでございますので、本四連絡橋の工事に当たりましては、できるだけその影響を少なくするよう、また工事によりまして直接影響を受ける自然環境上の問題につきましては、公団がみずからこれに対処していくよう努めておるところでございます。
  225. 黒野匡彦

    ○黒野説明員 ただいま環境庁、建設省、両省庁より御答弁のありましたとおり私どもも考えております。
  226. 則武真一

    ○則武委員 そこで、具体的な問題に立ち入って質問いたしますが、この本四連絡架橋に伴う環境保全基金という問題が具体化されてすでに久しい時期が経過しております。いろいろな経過がありますけれども環境庁からいただいた年表風のこの経過資料によりましても、一九七八年の九月二十八日に環境庁、建設省、運輸省の間で架橋建設についての条件で四項目の合意というのがあるわけでありますが、この四項目の合意の中に、その第三項目に明確にこの環境保全基金の設立がうたわれているのであります。これが事実上の架橋の同意の条件というふうになっていると思うのですけれども、そういうふうに解釈していいのでしょうか、長官の方からお答えいただきたいと思います。
  227. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  ただいま先生指摘のとおり私ども理解をいたしております。
  228. 則武真一

    ○則武委員 そうすると、着工に当たっては、この環境保全基金を設けて修景やいろいろな用地買収や必要な事業をやっていくのだということになってくるのですけれども、着工後いま一年四カ月が経過をされておりますが、いまもってこの基金が設立されていないのであります。だとするならば、当時多くの県民たちは、こういう基金ができて多額の資金を投入して自然の景観をもとへ戻すというふうなことが行われるということがあるから着工に同意をした、地元の住民感情はそうであります。地方自治体における、また議会等における御意見もそういう方向だったと思うのです。そういう意味で、それでは一年四カ月たってもまだこれができていないということは、とにかく二年前しゃにむに着工にこぎつけるための一つの隠れみのだったのか、本当につくるのかどうか、こういうことになってくるのですが、後でまた質問いたしますので、そうじゃない、本当につくるんだということであるならば、ひとつ長官の方からそのことだけ明確にお答えをいただきたい。
  229. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  本年度内に設立をいたしたい、かように考えております。
  230. 則武真一

    ○則武委員 そうすると、本年度といいますと三月三十一日までということになりますが、いつできるのでしょうか。
  231. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  基金の設立につきましては、わが国で初めてのケースでもございますし、また実施する範囲も橋の工事の進捗に伴っていろいろ変化も起こることでもございまして、初めての事業ということで関係省庁寄り寄り検討をいたしておりましたわけでございますけれども事業計画調整等に思わぬ日時を要した、こういうことでございますが、ただいま大臣答弁されましたとおり、近々私どもを含めまして三省庁及び香川、岡山両県並びに本四連絡橋公団を構成員とします最終的な協議会を開きまして、三月のできるだけ早い時期に発起人の会合を開いて設立の準備を進めたい、かように思っております。
  232. 則武真一

    ○則武委員 非常に具体的な回答をいただいたわけでありますけれども、御存じのように、地元のマスコミ等の報ずるところだけを追ってみましても、去年の七月にはできるんだ、いや遅くとも秋にはできる、いや十二月の二十一日には本決まりだというふうに日にちまで出ていますけれども、すでにこれもまたアセスメント法案じゃないですが三度にわたって流産をしております。三月上旬に発起人会を開いて発足するということについて、今度こそ本当にこれは信用していいのでしょうか、再度お答えください。
  233. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答え申します。  近々連絡協議会を開きますが、それはすでに実質的ないろいろな合意を得ておりますので、そこで最終的な調整を図り、三月の、まだ日時は決めておりませんが、できるだけ早く発起人会を開きまして、間違いなく大臣答弁のとおり発足をいたすつもりでございます。
  234. 則武真一

    ○則武委員 私もいろんな要綱について若干の資料を環境庁からいただいております。事務的にはほとんど準備ができておるように私は思うのですが、発起人会を三月上旬に招集をされるということになりますと、たとえば会長さんがどなたか、理事長がどなたか、事務局長がどなたか、岡山、香川に支部をつくり支部長を置くそうでありますが、そういうものはどなたになるのか、おおよその人間やスタッフが決まらないことには動かないと思うのですが、そういう案をすでに持っていらっしゃるのか、よろしかったらひとつ人事構想についても若干お聞かせいただきたい。
  235. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 御質問ではございますが、これは協議会に諮らなければなりませんので、公式にはなかなか言いにくいところでございますけれども、私どもは、この協議会の会長には、発起人会で御了承を得られるならば、私どもの自然環境保全審議会の会長をしておられます林修三先生にお願いをしたいというふうに思っております。もとよりこれは発起人の御了承を得なければなりませんが、そういうことになるならば大変よろしいんではないであろうか、こんなふうに考えております。  なお、その他のメンバーにつきましては、いずれにしましてもこの発起人会、協議会等で正式に決めなければならないことでございますので、ひとつ私の口から申し上げるのはお許しをいただきたい、こういうように思います。
  236. 則武真一

    ○則武委員 それでは問題は具体的な事業内容なんですが、地元では、すでに御存じかと思いますが、備讃瀬戸の三ツ子島では橋脚のためのもう島全体をつぶすような工事も進んでいます。釣りの客が非常に多い地域でありますが、釣りもできないとか、いろいろな問題が出ておりますけれども、現地からいろいろな要望がもうすでに出ておるわけであります。どういう事業がやってもらえるのか、緩衝緑地帯をつくるとか、釣り場をもとのように修復して、磯にして釣り場になるようにしてほしいとか、架橋地地点の沿線をなるべく早く用地買収をして、乱開発ややたらとホテルが林立するようなことにならないように用地買収が一番急ぐのじゃないかとか、砂利採取地が非常に大きく山はだが削られておる、そういう跡をどう修復するのかとか、観光公害、乱開発への不安を含めて、地元の期待と保全事業に対する要求がもう出ておるわけであります。こういう点について地元の声を幾らかでもつかんでいらっしゃるのかどうか。またいま私が申し上げたようなものは、用地買収等を含めてすぐにでも今年度から着工していただけるのかどうか。そこら辺もひとつ見通しを聞かせていただきたいというふうに思います。
  237. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  この基金の運用及びそれを含む当該地域の自然環境保全内容につきましては、たびたびの地元、県を含む連絡協議会の幹事会において十分地元の御意向も伺っておるところでございます。したがいまして、私どもとしましては、当初の目的に沿いまして、架橋に伴う自然環境保全のための各種の事業に対する助成等をいろいろ考えておるところでございます。  ただ、これはただいま申し上げましたように、残念ながら設立の時期がおくれてまいりましたので、本年度内には必ず発足をいたしますが、年度内に直ちに、たとえば土地の買い上げの助成とかいうふうな具体的な措置に入ることは、遺憾ながら困難かと思います。したがいまして、本年度は、架橋に伴う自然破壊を防ぐという意味で、いろいろな啓蒙とか普及とかいうふうなことにつきまして努力をするということにとどめまして、来年度、新年度に入りまして、実は私ども環境庁がこの基金に対しまして委託費を、調査の委託をいたしたいと考えております。これは金額は二千万円強でございますけれども、その経費をもってこれからいかなる事業計画していったらいいか、現在私どもも協議会でいろいろの御要望を伺っておりますが、それが具体的にはどういうことなのか、どういうスケジュールで、どういう手順で何をしていったらいいか、こういうふうなことについてやや長期の見通しを持つという努力をする一方、当面緊急にやらなければならない事業につきましては、来年度早々にも実施をしてまいりたい、こういうふうに考えて進めたいと思っております。
  238. 則武真一

    ○則武委員 時間がないので、最後に一問だけ聞きます。  問題は、その基金のお金なんですが、六億円で出発をし、これを二十億円にされ、ざっと百二十億円ぐらいな規模で、自然の修復を中心にした、環境を守る、取り戻す事業をなさるというふうに伺っておりますが、大体そこら辺の事業規模がどうなっているのか。そういう二十億くらいまで基金をふやしていって百二十億くらいな規模の仕事をやられるのかどうか、そこら辺の問題が一つ。  それからもう一つは、すでに岡山県も香川県も五十四年度予算で、一般財源をもって各一億円の拠出金を予算に組んでいらっしゃる。なおかつ、国が一年間ほったらかしておるために、そのお金は浮いておる。一方では、着工してどんどん自然は壊している、こういうことでありますから、早急に仕事もやっていただかなければなりませんが、問題は香川と岡山の両県は一般財源で、いわば税金でもって一億円ずつ拠出して自然を守ろう。ところが、その基金に参加をするはずの環境庁と運輸省、建設省は寄付金をもってこれに充てる。何か業界からお金を集めてこれをやられるそうでありますが、なぜ地元の自治体は一般財源で義務的に拠出し、国の方は寄付金というふうな特定財源をもってこれに充てられるのか。むしろ国のプロジェクトであるからには、国が責任を持って予算を組んで修復の中心に、先頭に立つべきじゃないのか、こういう疑問もあるのですが、そこら辺の問題がなぜそうなっているのか。  それから、それでは環境庁や建設省や運輸省は所定の、環境庁が一億円、運輸省と建設省で三億円というふうに伺っておりますが、その寄付金を三月上旬の発足までに集め切れるのかどうか。それがないと発足しても、お金のない基金が仕事ができるわけじゃないのでありますから、ひとつそこら辺の見通しを明確にしていただきたいというふうに思います。  そして最後に、これはお答えは要りませんが、私の意見は、やはり保全事業をやる前に一番大事なのは、土地の早期な買い占めじゃないかというふうに思います。乱開発から良好な環境を守るためにも、早急にこの問題をやらないと、何をするにしたって土地が要る。またもう一つは、何をするにしても地元負担、自治体負担になっておるわけでありますから、そういう地元負担にならないように早くいろいろ保全事業で手を打っていただきたい。この二点は要望にとどめておきたいと思います。  前段の数項目の質問について最後にお答えをいただきたいと思います。
  239. 藤森昭一

    ○藤森政府委員 お答えを申し上げます。  この基金が構想されるに至った背景は、先生よく御存じのことと存じますが、ああした国立公園の非常にすぐれた風景地に膨大な橋がかかるということに伴いまして、いろいろな環境影響が恐れられるわけでございますけれども、それを保全し、乱開発を防ぐ、こういったために私ども国、環境庁はもちろんでございますけれども、それから私どもの制度でカバーできないところにつきましては、事業者である本四公団が膨大な投資をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。これは、すなわち国及び公団は、この問題についてみずから直接大きな事業をしなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  ところが、私どもの行う施策につきましても、公団が行う努力にしましても、あるいは法令上の制約とかそういうものがございまして、どうしてもきめの細かいところまでいきかねるところがあるわけでございます。そうしたきめ細かいところに対しまして、この基金によりまして、関係者の協力によって醸成されました財源で、そうしたきめ細かい努力をしていこう、こういうことでございます。したがいまして、背景としましては、国及び公団が非常に大きな投資をして、なお及ばないところを民間の努力でと、こういうのが基金の構想であり、その発足の背景でございます。  したがいまして、この点につきまして、私どもは各省庁の協議の過程におきましても、いま言ったような趣旨から言いまして、三省庁はそれぞれの努力において、そうした民間の努力というものをお願いするという意味で努力をしようというのが協議の内容であったというふうに私どもは承知をしておるわけです。その線に沿いまして努力をしてまいっておるわけでございまして、(則武委員「結局金は集まっておるのですか、そこが一番大事」と呼ぶ)環境庁につきましては、はっきり確約をいただいておりますし、建設省につきましても、その御努力を願っております。運輸省に関係がございますが、これは私どものいま承知しているところでは、おおむね五十五年度、来年度ということになろうかと思います。したがいまして、五十四年度発足の当時の規模は四億ということになろうかと思います。五十五年度中に五億になることを見込んでおります。その規模でスタートをし、先ほど私が御答弁申し上げましたように、国が支出をいたします二千万円余の調査費によりまして、この基金の事業の規模というものを逐次明確にしていく、こういう進みぐあいになってまいると思います。
  240. 則武真一

    ○則武委員 終わります。
  241. 河野正

    河野委員長 東中光雄君。
  242. 東中光雄

    ○東中委員 いわゆる六歳以上のぜんそく性気管支炎患者の切り捨て問題についてお伺いしたいと思いますが、報道によりますと、この見直しが凍結されたともあるいは見送りになったとも言われておるわけでありますが、環境庁の真意を長官にお伺いしたい。
  243. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えいたします。  環境庁におきましては、一昨年以来、七人の専門家の先生方に医学的立場から検討を依頼をいたしたような次第でございます。また環境庁におきましては、実務医家、現場で患者さんを診ておられますお医者さん方の御意見も承ろうということで、全国各ブロックに分けてお願いをいたしまして、いろいろ検討されました結果、まだ文書が上がってきておりませんが、それらの文書等も慎重に検討いたしました上で最終的な判断をいたしてまいりたいと考えております。
  244. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、一応見直しをやろうということで意見を聞いたけれども、まだ見送りを決定したわけではないということですか。
  245. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  さようでございます。
  246. 東中光雄

    ○東中委員 新聞で報道しているのは違うということになるのですね。そういうことですか。
  247. 本田正

    ○本田政府委員 ぜんそく性気管支炎の問題は、従来からいろいろ問題があるために、むしろ認定に携わっている先生方の中から、四十七年に出た通知に基づく認定が非常にやりにくくなっているということから、何とか検討してくれ、こういう御意見に基づいて、先ほど長官申しました七人の先生方にぜんそく性気管支炎についての医学的な検討をやっていただいたわけです。ですから、そういったものを、ブロック会議等を通じましてこういうふうにできましたということを御報告し、かつは御意見をただいま聞いたばかりでございます。そういったことでございますので、その御意見を受けて、これから慎重に検討してまいりたいと存じております。
  248. 東中光雄

    ○東中委員 患者さんの方から非常に大きな反対運動が起こりました。全国五カ所での認定審査会のブロック会議でも、多くのお医者さんが、混乱を起こすということで非常に大きな反対意見が出てきた。そういう中で、環境庁は見送りということを決めたのだと報道されておるわけですけれども、実際はまだそこまでは行っていない、文書で上がってきてないから最終的な結論はできてない、こういうふうに言われていると思うのであります。現場の状態をよく見て、そして六歳以上はまれだからということで一まれだったら、まれにしか出てこないだけのことであって、まれだからもうやめてしまうというふうな切り捨て制度というのは絶対許されぬと思うわけです。  それに関連をして、認定の基準にかかわる問題です、大気系の場合ですけれども。認定基準の変更などをやるときは、全国審査会それから審査会のブロック会議の討議にかけていく。専門のお医者さんの意見を聞くのも結構ですよ。しかし、同時に現場で実際にやっておられる人の意見を聞いて進めていくというふうにすべきだと思うのですが、その点、今後の運営も含めていかにお考えですか。
  249. 本田正

    ○本田政府委員 今回は、まさにぜんそく性気管支炎については先生おっしゃったような方法でやってまいったわけでございます。御存じのとおり、公害病と言われます大気系の四疾病、すなわち気管支ぜんそく、慢性気管支炎、肺気腫、それに今回のぜんそく性気管支炎、この中でぜんそく性気管支炎だけが、認定の要件と申しますか、認定に当たっての病名が、疾患群であるわけでございますから非常にあいまいであったということであるわけです。他の三疾病は比較的、たとえば気管支ぜんそくと言いますと、高音性の喘鳴を伴いますし、非常に呼吸困難を伴うということで、わりと診断が普通の医療機関においても容易なわけでございます。したがって、慢性気管支炎とかあるいは気管支ぜんそくとか肺気腫というような、ぜんそく性気管支炎以外の三疾病については、現在のところ認定要件的なものを設定するという考えは持っておりません。
  250. 東中光雄

    ○東中委員 一般的に言っているのですが、基準そのものの変更というような場合には、全国審査会なりブロック会議なりに、今度は意見を聞かれたわけですね。それで反対意見がどんどん出てきたわけですけれども、今後もそういうふうに聞くというふうに、問題が起こった場合ですよ、実際にやっておられる人たちの意見を聞くというふうにするかどうかということを聞いているのですが……。
  251. 本田正

    ○本田政府委員 大変医学的あるいは技術的な問題になりますと、認定審査に当たっていられる先生方というのは四十一地域、十五名ということでございますので、全国で六百名ほどになります。一般論とおっしゃいましたけれども、実はそういう先生方から、今回のぜんそく性気管支炎はひとつ学者の意見を聞いてみてくれ、こういうことでございましたわけで、非常に高度と申しますか、そういった疾病の分類とか定義とかいったものに関することは、どうしてもやはり相当の専門家の御意見を聞かないといけないと思います。そういってできてきたものは、やはり今回みたいに認定審査に当たっている先生方に意見を聞いてみるということは一般論として当然必要なことじゃなかろうかと存じております。
  252. 東中光雄

    ○東中委員 そういうふうに現場の実際の衝に当たっている人たち、全国審査会及びブロック会議、それぞれの意見を聞くようにぜひすべきだ。そういう方向でいくということですから、そのことを強く要求しておきたいのです。  同時に、全国審査会もしくはブロック会議の中身が必ずしも公にされていないわけですね。本田部長は、全国審査会は百五十名からの会議だから何も隠してやっておるわけじゃないというふうに答弁されておるのですが、隠してやっておるのじゃないけれども、公表もしないというのじゃなくて、会議の資料は少なくともこういう委員会なんかで要求したら出すというふうにされるべきだと思うのですけれども、その点どうでしょうか。これは今後の問題になりますが……。
  253. 本田正

    ○本田政府委員 今回の場合は、まず、先ほど申し上げましたようなことで、専門家の意見を取りまとめていただいて、そして宿題みたいなかっこうになっておったものですから御報告申し上げたわけです。決して秘密とかそういったものじゃございません。一般論で言いますと、そのデータの、検討する内容の性格にもよると思いますが、それはケース・バイ・ケースで考えていかざるを得ないのじゃなかろうかと存じております。
  254. 東中光雄

    ○東中委員 全国審査会あるいはブロック会議の中身を一般的に公開するようにということを私要求しているのですけれども、ケース・バイ・ケースで考えるということですから、要求すれば出すこともある、しかし秘密じゃないと言っているのですから、出さぬこともあるということの方はひとつ取り消しておいてください。
  255. 本田正

    ○本田政府委員 いまちょっと私、御質問の趣旨を、全国の認定審査会のブロック会議等に出したときのそこからはね返ってくる意見をここで出せ、こういうお話でございましょうか。(東中委員「はい」と呼ぶ)失礼しました。文書になって意見が上がってくるというような性格ではなくて、各五ブロックで幹事になる市あるいは県において取りまとめていただいたものが何らかの形で集約されてくると思います。しかしながら、このブロック会議には私どもの職員もずっと出ているわけでございますから、どういう意見があったかということの大略は現在キャッチしております。
  256. 東中光雄

    ○東中委員 それを出すかと聞いているのです。どういうものがあるかと聞いているのではなくて、そういうものが上がってきた場合にその資料を国会へ出しますか、出すようにしなさいと言っているのだから、するとかせぬとか言ってください。秘密じゃないと言っているのだから、出しますねと聞いているのだから、そうしますと言えばいいんですよ。
  257. 本田正

    ○本田政府委員 いろいろな意見がありまして、賛成の意見、反対の意見等々があるわけです。しかし、その意見の取りまとめというのは、比重がかからないような、たとえばこういう項目についてはこういう意見があった、こういう項目についてはこうだったということなので、取りまとめるのが今回の場合非常にむずかしいのではなかろうか。ただ項目的に言うことはやさしゅうございます。そういった資料で差し支えなければ、どういう意見があったということは項目としてまとめることができますので、御要求があればお願いしてもよろしいかと存じます。
  258. 東中光雄

    ○東中委員 こういうことを非常にやかましく言うのは、患者切り捨てというのが財界の戦略の一環として出されてきておる。それだけにはっきりとしておかなければいかぬと思うのです。私はその資料を持っているわけですが、長官、ちょっとこれを見ていただいた方がいいと思うのです。  この文書は、「公害健康被害補償制度改正問題に対する今後の取組み方五十四年四月十六日」「取扱注意」こう書いてあるのですが、これは昨年六月の自動車工業会の企画部会で配付された経団連の資料であります。これをちょっと読んで憤慨をしたり驚いたりということなのですけれども、どういうことが書いてあるかと言いますと、この公害健康被害補償制度について、「制度廃止(終熄)を目標に、段階的に改善を図ってゆく。」「まず、(イ)指定地域を減らす、認定も出来るだけ絞る、(ロ)汚染に関係ないものは積極的に本制度から排除することにより、全体の所要額をへらす方向にもつてゆくことを主眼とする。」全部読んでいたら時間がかかりますが、「最終的には本制度は廃止し、残った患者は別途の経過立法ないしは他の制度に引継ぐ。(例えば、健保、労災等、他の社会保障制度の中で救済する)」これが基本的な考え方だと言っているのです。中には、「老齢患者の取扱い」については「(例えば、平均寿命を超えた場合の死亡者の取扱い)」これは「検討課題とする。」こんなことまで書いてあるのですね。ひどい話なんです。そして「大気汚染改善の事実を踏まえ、(イ)指定地域解除の実施、(ロ)曝露要件見直し」「(ハ)指定四疾病の見直し、の三点を当面の重点目標とする。」とある。これは「取扱注意」です。  これはいわば公害発生源としての経団連の責任なんていうものはどっかへ追いやってしまって、切り捨て、制度の廃止というところへ進めようとしている。適用はどんどんしなきゃいかぬけれども、そういう患者が出てこないようにするということが大切なのに、制度はあっても適用する人がおらなくなるように、とにかく補償額を減らす、とにかく認定はなるべくしぼる、こういうふうな発想ですね。全く驚くべきことだと私は思うのですが、長官、こういう発想についてどのようにお考えになるでしょうか。
  259. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  私どもには関係のないことでございます。私どもは制度の主管者といたしまして、医学的、科学的にいろいろ検討させていただいておることは御理解をいただきたいと思いますが、いま直ちに指定地域の解除をするとか、切り捨てをやるといったようなことは考えておりませんので、御理解を賜りたいと思います。
  260. 東中光雄

    ○東中委員 それは関係のないことには違いないのですけれども、経団連はこういう態度でいるんだということです。たとえば認定をできるだけしぼる、そのために曝露要件を見直す、指定四疾病の見直し、喫煙患者の切り捨て、老齢患者の切り捨て、こういうふうなことが項目的に出ているわけですが、まさか環境庁がこんなことを考えておられるとは思いませんけれども、どうですか。
  261. 本田正

    ○本田政府委員 私、いまの現物を見るいとまがございませんでしたけれども内容を聞いて大変驚きでございます。いろいろ意見があるのは事実でございますけれども、それほどの意見があるということは全く驚きでございます。制度の主管者として、健康被害補償法にいろいろ問題があるのは承知いたしておりますが、長官が申しましたように、決してそういった観点から検討しているわけではございません。それはどういう観点からかと言いますと、やはり目的にございますように、あくまでも患者の迅速かつ公正な保護を図るという目的に沿って法の運営が円滑にいくようにという観点からの検討はいたしておりますけれども、いまおっしゃるような御意見に基づいてやっているということはみじんもございません。
  262. 東中光雄

    ○東中委員 驚きだとおっしゃいましたけれども、これは驚きだけじゃなくて、怒りを感じなきゃいかぬ問題だと私は思うのです。公害発生源側の経団連が、被害者側の患者の人たちに対してこういう態度で臨んできているというのは、本当にひどいと思うのですね。平均寿命を超えた認定患者への補償はせぬでもいいようにしようかということを検討課題に挙げておる。これは全く冷酷な資本の論理で、私はむしろ怒りを感じておるわけであります。  ところが、先ほど来の六歳以上の打ち切り問題というのは、ここで経団連が「指定四疾病の見直し」と言っているその一つであるというふうに私たちは思うわけです。異論があるかもしれませんけれども、これはもう客観的にそうなるわけですから、四疾病のうちの一つであることは間違いないわけで、それに対しての見直しということになってきている。  また、財界はこれまでは公費負担の導入というのを強く主張してきた。しかしこの文書によりますと、「今後は公費導入よりむしろ「汚染と関係ない認定患者は本制度からはずしてゆくこと」を主張する。」と書いています。いまの六歳以上の問題もこれに一致しているわけです。そういう方向になっているわけです。  もう時間がありませんからこれでやめますが、私はこの前、もう二年ほどになりますか、経団連が経団連月報の中で「政府も本制度の見直しの必要性については基本的に了承」していると書いておるということで、それをお示ししてここでいろいろ申し上げたことがあるのですけれども、まかり間違っても、政府基本的に了承しているというふうなことを向こう側に書かれるようなことのないように――あなたは驚きだと言われているけれども、その驚きがいつの間にやら政府側も了承しているんだというふうなことを言ってくるようになってきて、実際にそういうふうに進んでいくということになったら大変だと思いますので、そういう点をはっきりとしてもらいたいということで、いまの六歳以上の問題及び公費負担の問題も含めて環境庁の所見を伺いまして、時間ですので質問を終わりたいと思います。
  263. 本田正

    ○本田政府委員 説明の時間がなくて十分御説明できなかったのですけれども、このぜんそく性気管支炎という病名の問題が問題になりましたのは、いろいろな病気の集合体であるために、これを鑑別診断をやって明確化できれば、それぞれの疾病に応じた適正な医療もできるわけでございます。ぜんそく性気管支炎というのは、幾つかの病気の寄り集まり、あるいは一つあるいは合併したもの、そういった疾患群を言うわけでございます。したがって、現在の医学で鑑別が可能になるということになりますと、その治療の面でも患者管理の面でも非常に有利になるし、現行の通知が反復性気管支炎だけを言うのだという非常に厳しい、鑑別ができるという前提に立った考えであるために、もう少し疾病の枠を広げたらいいのじゃないか、そういう医学的な内容たくさん含んでいるわけでございます。非常に説明が不十分でまことに申しわけございませんけれども、そういった観点から検討が進められたことでございます。  したがって、今回のブロック会議の御意見でも、医学的な事項については全くと言っていいほど異存はございません。六歳以上の取り扱いについては、それはもっと年齢を下げるべきだとか、いや、四歳、五歳にやるべきだとか、六歳以上のことを特別に配慮すべきだとか、いろいろな意見があったのは事実でございますが、医学的な中身というのが主体である、発想が主体であるということを御理解賜りたいと存じます。
  264. 東中光雄

    ○東中委員 いま申し上げたこれについて……。
  265. 本田正

    ○本田政府委員 健康被害補償法がいろいろ問題があるということを承知しているということは先ほど申し上げました。が、決してそういったものがあるからとかいうことで検討しているというわけではございません。制度の主管者として、法の運用があくまで円滑にいくという観点から、今後とも検討いたしていきたいと存じております。
  266. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、質問を終わります。
  267. 河野正

    河野委員長 中井洽君。
  268. 中井洽

    ○中井委員 大臣所信表明に対して、幾つか質問したいと思います。  私もまず最初環境アセスメント法案について、大臣もすでに何回も何回も御答弁で大変でございましょうが、お答えをいただきたいと思います。  私どもは、新聞等で今回もなかなかむずかしいのじゃないかというようなニュースあるいはいろいろなところから、御努力をいただいておるけれども、なかなかむずかしいという話を聞いておりましたところ、急転直下法案自民党内あるいは政府内でもう一度調整をされるという動きを承りまして、先ほどから質疑の中でも大変興味深く聞かせていただいたわけでございます。これらのつい最近の動きあるいは国会における過日の予算委員会での総理大臣答弁等は、法案を今国会に出すのだ、こういった前提で行われておる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  269. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  去る一月二十三日に自由民主党の政調会の環境部会におきまして、各省庁との折衝に入ってよろしいというゴーサインが出まして、これを受けて環境庁におきましては、ただいま鋭意関係省庁折衝いたしておる次第でございます。実は、きょう党の環境部会が開かれまして、その経過の中間報告、あわせてこの環境影響評価法制化の問題につきましてもいろいろと論議が交わされたような次第でございます。  また、先生指摘の、委員会における総理大臣発言等をも踏まえて、内閣におきましても官房長官が中心となりまして、関係省庁調整に入っておるような次第でございまして、私といたしましても、今国会に是が非でもひとつ法案として提出をさせていただきたいということで全力投球をいたしておる次第でございます。
  270. 中井洽

    ○中井委員 過去四年間ずいぶん御努力をいただいたと思うのでありますが、その四年間に比べて、今回いまの情勢法案提出実現の可能性が一番大である、こういう状況にあると判断してよろしゅうございますか。
  271. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  過去のことにつきましては、私余り理解をいたしておらないのでございますが、いろいろ聞くところによりますと、多少前途が明るくなってきたような感じを受けておる次第でございますが、しかしながら、一面厳しい面もございますので、ともあれ私どもといたしましては気を緩めないで、環境庁職員一体となって、心を一つにしてこれが法制化努力をしてまいりたいと思っております。
  272. 金子太郎

    金子政府委員 私も折衝の片方の当事者でございまして、また政治的な動きについてはよくわからない点も多いものですから、しかとしたことは申し上げられませんが、比較的ことしは可能性があるのではなかろうかというふうに思っております。
  273. 中井洽

    ○中井委員 私どももぜひ出してほしいし、出てくることを期待しているわけでありますが、先ほどの通産省の局長答弁等を聞いておりますと、過去と何ら変わらない問題点が残っておるし、あるいはまた相変わらずの必要のないというような御意見であるように私ども判断をいたします。そういった中で、これから何日かの間に御折衝なさると思うのでありますが、先ほど各党の方々からいろいろと御質疑がございましたように、いまの案というものを一歩たりとも譲らずに折衝なさっていくのか、あるいはどうしてもいま出さなければこれからなかなかむずかしい、こういうふうに御判断をして、思い切った妥協もしながらでも出す方がいいのだという形で折衝をお進めになるのか、大変お答えしにくいかもしれませんが、大臣の心づもりをお聞かせをいただきたいと思います。
  274. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  私といたしましては、昨年の四月に中公審から答申を受けました線に沿ってこれが法制化に最善の努力をいたしてまいりたいと思います。
  275. 中井洽

    ○中井委員 これ以上聞くのもくどいようでありますけれども、私は、大臣、出せるものならいまの案を、まだ正式にお見せもいただいておりません、お話を承るだけでありますけれども最大限の御努力をいただいてお出しをいただきたいと思うのであります。その点について再度御答弁をいただきたいと思います。
  276. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  重ねて、最大限努力をいたしますことをお誓い申し上げます。
  277. 中井洽

    ○中井委員 金子局長、いろいろな原案、先ほど言いましたように、私どももまだしかとお見せをいただいておりませんが、先ほどの通産省等との折衝が出てこようかと思います。その中で、環境庁として譲れない線というものが幾つかあろうかと思うのです。問題点になっているところと、環境庁としてはこれを譲ってしまったのでは結局法案としては成り立っていかないじゃないか、このようにお考えの点を幾つか挙げていただきたいと思います。
  278. 金子太郎

    金子政府委員 私どもがここまで各省との折衝段階で譲ってまいりまして、もうこれ以上譲れないという一番大きなポイントは、やはり住民参加ないしは住民関与と言われる点でございまして、この点については、わが国の実情あるいは関係各省の強い要望を入れて二年前に現在の案にいたしておるわけでございますから、現在の案を譲るわけにはいかない一番強いポイントだと考えております。  それから第二点は、やはり法律条例との関係でございまして、都道府県をまたがる大規模な公共事業等については、手続とか範囲とかいうものが統一されていることが必要だと考えますので、その辺はぜひ私どもの原案を守らせてもらいたいというふうに考えております。  それから、科学的な手法の問題がいろいろございますけれども、これも国際的に考えましても国内的に考えましても、電力業界だけの特殊事情というものはほとんどないのではなかろうか。またこの問題は、先ほどからも申し上げておりますように、法制化、若干の問題はもちろんあろうかと思いますけれども、それが法制化の妨げになる問題ではないのではなかろうか、こういうふうに考えております。  いずれにいたしましても、開発事業実施の前の段階環境への影響をよく吟味して、まずい点があればそれを修正させるという現在の中公審の線は守ってまいりたいというふうに考えております。
  279. 中井洽

    ○中井委員 ありがとうございました。また法案が出された段階でいろいろと質問等をさせていただきたいと思います。法案提出できるよう御努力いただくことを重ねてお願いをいたしまして、ほかの問題へ移ります。  先ほどの他党の皆さん方の質疑の中で、局長や大気保全局長答弁に、健康被害補償制度の中でいろいろと問題があるという御答弁もありますし、また金子さんの御答弁の中でも、この制度は割り切りの上に割り切りを重ねてつくった制度だ、こういう御発言があったわけでありますが、それぞれどういう点でこの制度に問題があり、あるいは割り切ってあるんだとお考えになっていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思います。
  280. 金子太郎

    金子政府委員 技術的なことは環境保健部長が申し上げますが、私が私の立場から非常に大きな問題があると思っておりますのは、実は現在五百億以上の賦課金を全国の固定発生源、ボイラー等でありますが、これの設置者で、あるレベル以上のSO2を排出している企業から、企業あるいは事業、場合によっては官公庁なども入りますが、こういうところから徴収いたしておりますが、その約半額強が指定地域外の固定発生源から取っている。その指定地域外においては、患者が認定されて給付を受けるというようなプラスになることが何にもない。四十年代の環境問題が危機的な状況にあったときには、指定地域外のすべての企業がそういう制度であっても、いわば文句を言わないで毎年毎年賦課金を払ってくださいましたけれども、少しく環境の状況が改善されてまいりますと、指定地域外でそういう一方的な冥加金的なものを払うのはどうも理屈に合わないということを言い出す者がすでにあらわれております。  二つ目は、指定地域の中でも黒字地域というものがあります。この黒字地域は、自分たちが集めているあるいは払っている賦課金が大阪とか東京とか名古屋にいくのはおかしい、したがってその料率を下げろ、こういうことを言われるわけでございますが、こういう動きが広がってまいりますと、率直なところ、この制度が空中分解するのではないか。したがいまして、財界があれを直せ、これを直せと言われますが、私に言わせますと、それはいずれも小手先的な修正ないしは改善意見にすぎないので、その基本を一体どう考えるのかということが非常に懸念される、こういう立場にございます。
  281. 本田正

    ○本田政府委員 四十九年九月にこの健康被害補償法ができたわけでございます。そのときに、いまお尋ねの割り切りとかあるいは制度としての割り切り、どういったものがあるかということでございますが、まず指定地域、いや、その前に、個々の因果関係を問わないということでございます。したがって、先ほど局長から申し上げましたように、全国からお金をいただくということに相なるわけでございます。個々の因果関係は問えない、したがって問わないという一つの割り切り。さらには地域を指定するという、その地域内ではいわゆる大気の汚染がひどく、地域外であれば空気がきれいである、こういう割り切り方。さらには公害の疾病を四疾病、四つの病気を指定するという割り切り。さらには暴露要件といいますか、その指定地域の中に住んでいる人たちが、生まれてすぐの人たちあるいはお年寄りの方、よそに通勤する方々、いろいろその暴露要件というものがございます。そういったものもある意味では一つの割り切りだろうと思います。そういったいろんな割り切りの上に成り立っている制度でございます。現在危機的な空気の悪い状態を脱しまして、こういう現状みたいなことになりますと、ずいぶんと当時割り切った制度というものがぎくしゃくしてまいるわけでございます。そういった点につきまして、法の運用、運営ということが円滑にいきますように、制度の主管者としていろんなことから検討が必要であろう、こういうふうに考えております。
  282. 中井洽

    ○中井委員 いま金子局長からお話がありました金額、あるいは黒字地域なんというお話もありましたが、たしか二年ほど前でしたか、社会党の水田議員からもちょっと水島地域のことでそういうお話がございました。ひとつ各地域のそういう賦課金の額あるいは使われている金額、そういったものを資料として私どもにお届けいただけますか。
  283. 金子太郎

    金子政府委員 この資料の取り扱いは、私ども大変申しわけないのですが、神経を使っておりまして、各地域別収支というものはいままでのところ公表いたしておらないわけでございます。この扱いにつきましては、理事会の方に御相談申し上げたいと思いますので、御寛容いただきたいと思います。
  284. 中井洽

    ○中井委員 それでは理事会にお任せをするといたしまして、こういういろんな割り切り、それはそれでも私は制度としてやっておられるから結構だと思うのでありますが、何年かたつたびにそういうものを一つ一つ充実をさせていく、あるいは科学的なもので見直していくという態度も必要であろうかと私個人は考えております。そういった意味で、過日の委員会でも少し議論をしたのでありますが、先ほど東中先生のお話のございました気管支性ぜんそくの六歳以上の認定を行わない云々ということについての見直し、これも一つ見直しとしてどういう方向に行くのか、興味を持って見ておったわけでありますが、どうも新聞だけを見ていますと、環境庁のやっていらっしゃる、考えていらっしゃることが揺れ動いているような感じがいたします。先ほど御答弁があったわけでありますが、もう一度いまどういう形になっておるのか、あるいは環境庁としてどうしようと考えていらっしゃるのか、御答弁をいただきたいと思います。
  285. 本田正

    ○本田政府委員 ぜんそく性気管支炎の問題は、実は全国に四十一の指定地域がございまして、十五名以内から成る審査委員の方々がおられるわけであります。毎年全国会議を開きますと、必ず出る問題の一つにこの問題があったわけでございます。もう数年来、ぜんそく性気管支炎という病名はきわめてあいまいであって、審査に当たって、患者認定に当たって非常に不都合な面があって困っている、何とか学者の意見を聞いてこの病名をよりはっきりしてくれぬか、こういう御意見が毎年毎年あったわけでございます。おととしになりますか、一年ちょっと前の十二月にようやく七人の委員の専門家にお願いいたしまして、一年かかってまとめていただいた結果が、いまのぜんそく性気管支炎という病名は非常に厳しいわけでございます。反復性気管支炎だけを言うのだというふうに非常に厳しく言っているわけです。というのは、その鑑別も十分できるはずだ、こういう観点から通知が成り立っているのですけれども、それでは余り厳し過ぎる、もっとたとえばアレルギー性気管支炎とか小児期ぜんそくとか、そういう本当の気管支ぜんそくとまでは鑑別ができぬけれども、そういったグループに広げるべきだという御意見。さらには、大体ぜんそく性気管支炎というのは二歳までに呼称するのが適切な病名であって、それ以上になるとおいおいとそういうあいまいな病気はなくなるはずである、こういう御意見。さらには、これがやがて六歳になると小学校一年になりますから、いろいろな検査に、たとえばたんを出しなさいと言えば出せる、ふきなさいと言えばふける、そういった検査に耐えられる年齢に達するので、鑑別が容易になる。ほかのたとえば気管支ぜんそくとか慢性気管支炎とかあるいは気管支拡張症とか、そういったれっきとした病気に鑑別ができるはずである、そういったきわめて医学的な御検討をいただいたわけです。そうやって病気をはっきりさせることはどういうメリットがあるかといいますと、患者さん方が、たとえば本当のぜんそくかもしれない。ぜんそくであれば、これは気管支炎じゃないから抗生物質なんか打つのは間違いでございますし、気管支炎であれば、これはぜんそくの薬じゃなしに抗生物質を与えるとか、そういった適正な患者管理もできやすくなる、そういったきわめて医学的な観点から御意見がまとまってきたわけであります。そういったものを審査会にかねてまとめてくれという御要望であったために御報告している。いろいろな意見が出たのも事実でございます。その意見を踏まえて慎重に検討してみよう、こういう段階でございます。
  286. 中井洽

    ○中井委員 大臣、本田さんの話を前も聞いておりますと、そのとおりだなと思うのであります。いまも聞くと、そのとおりいけばいいじゃないかと思うのでございます。新聞後退かというようなことで出て、いや、取りやめだなんというと何をやっているのだ、こういうかっこうの外野席から見ていて非常にばかばかしいような形になるわけであります。何か環境庁のそういった姿勢というものが、発表のされ方が悪いのか、発表の仕方が悪いのかわからぬのでありますが、非常に私は残念な気がいたします。そういったことについて感想を承りたいと思います。
  287. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  ともあれ、私が環境行政の最高責任者といたしまして、この問題につきまして正式に記者会見もやっておるわけでもございませんし、まだ詳しい報告も承っていないような状況でございます。慎重に対処してまいりたいと思います。
  288. 中井洽

    ○中井委員 私は前から申し上げておりますように、こういう公害問題というのは本当に科学の力をかりてやっていかなければなりません。科学で全部解明できるまでにはまだまだ時間もかかるわけでありますけれども、とにかく科学がそういうことであるというならば、思い切っていままでの形を変えていく、私はこれも必要であろうかと思います。そういった意味で、私どもは、環境庁の皆さん方があちこちの資料を集められる、あるいは医学的なデータを集められる、あるいはお医者さんからいろいろな御意見を聞く、そういった形で、現在の科学においてこれは一番正しいあるいは進んでおる方向だ、こう言われたら、それを信頼する以外に実はないわけであります。その発表がいろいろな形でなされて、しかもその後何かぶらぶらしているような状況、これが私どもの目に映るというのは非常に残念であります。どうぞそういった意味で十分御注意をいただいて、科学的に自信のあるものは堂々とお進めをいただきたい、このように御要望を申し上げます。  あと二つだけ所信表明の中でお尋ねを申し上げます。  この所信表明の七ページから八ページにかけましてエネルギーのことに触れられております。「これに対しても環境保全の面からの配慮を加え、」こういうことでございます。エネルギー面に環境保全から配慮を加えるというのはどういうニュアンスであるのか、あるいは具体的に何かお考えであるのか、その点についてお尋ねをいたします。
  289. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさせていただきます。  御案内のとおり、石油にかわる代替エネルギーの利用拡大、これはもう国を挙げて強力に推進をいたしてまいらねばならぬと思いますが、その反面、えてして忘れられがちな環境保全に対しまして、やはり私は十分な配慮をこれまたいたしてまいらねばならぬ、かように考えておる次第でございます。環境庁といたしましても、今後の基本的な考えといたしましては、まずもってこの環境基準の維持達成を図るという原則を堅持いたしてまいりたいと思います。  それからまた、自然環境保全に関しましては、国立、国定公園内の特別地域等における開発は避けることを基本としてまいりたい、かように考えておるような次第であります。
  290. 中井洽

    ○中井委員 どうもどういう意味でエネルギー面の配慮か、私まことに申しわけないですけれども、全然わかりません。こういうことでありますか。エネルギー問題が社会の第一面に出てきて非常に論議される、そのときに、かつてのように公害問題というものがなおざりにされて進められないように努力をする、こういうことをお書きになっておると理解してよろしゅうございますか。
  291. 土屋義彦

    土屋国務大臣 さようでございます。
  292. 中井洽

    ○中井委員 それではもう一つだけお尋ねをいたします。  四ページと、また八ページにも出てきておるわけでありますが、「発生源に対する規制だけでなく、さまざまな政策手段を組み合わせ、総合的な対策を検討する」こういう言葉がございます。私はそのとおりであろう、このように思います。道路の問題あるいは都市の問題、あるいはたとえば私の郷里なんかに行きますと、いま盛んに畜産公害なんという言葉が使われております。かつては牛が臭いの豚が臭いのはあたりまえであったのに、農村で一番きらわれているのは畜産農家で、畜産農家が本当に大変な公害対策をやっておる。こういうことに対してどういう対策をとっていくか。本当に公害という面だけではなかなか解決しない面があろうかと思います。大いに環境庁としてはこういう方向でおやりをいただくのは私は結構だと思います。しかし、そのときに、たとえばアセスメント法のように他の省庁と兼ね合いがあるいは触れ合いが出てくると、なかなか環境庁は物が言えない。あるいはこの委員会で何度も何度も質問をいたしましたけれども、地盤沈下法のように、つくらなければならないし、やっていくと言いながら、各省庁との折衝あるいは連絡になりますと、環境庁は本当に弱い立場に追い込まれて対策がとれない、私はそういう状況であろうと思います。したがって、こういうふうに総合的な対策を検討する、これはこれで非常に結構なことでありますけれども環境庁あるいは環境行政というものが各省庁間の縦割りのなわ張り行政の中でもみくちゃにされておる現状の中で、土屋長官はどのようにしてこれから必要となってくるこれらの総合的な政策を進められようとされておるのか、お考えを承って質問を終わりたいと思います。
  293. 土屋義彦

    土屋国務大臣 お答えさしていただきます。  先生一つの例として申し上げるのでございますが、今日特に自動車の交通公害、中でも大型トラック、ディーゼル車等が社会的な大きな問題となっておりますことは御案内のとおりでございます。今日まで自動車公害に対しましては、たとえば速度制限をするとか遮音壁をつくるとか緑地帯をつくるとか対症的な療法がなされてまいったようなわけでございますが、これからは何と申しましても土地利用の適正化あるいはまた都市構造を含めた抜本的な、総合的な対策を立ててまいらねばならぬと思います。しかしながら、このような大きな問題は一環境庁だけでは解決でき得ない問題でもございます。先ほどの地盤沈下の問題も、先般衆議院の予算委員会におきましていろいろ論議がなされたのでございますが、今後、関係省庁なわ張り争いを捨てて、十分連絡をとりながらこれが対策に取り組んでまいらねばならぬ、私はかように考えております。
  294. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  295. 河野正

    河野委員長 これにて国務大臣所信に対する質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  296. 河野正

    河野委員長 次に、内閣提出公害健康被害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由説明を求めます。土屋環境庁長官。     ―――――――――――――  公害健康被害補償法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  297. 土屋義彦

    土屋国務大臣 ただいま議題となりました公害健康被害補償法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  公害健康被害補償法は、相当範囲にわたる著しい大気の汚染または水質の汚濁の影響により健康が損なわれた人々に対して、その迅速かつ公正な保護を図るため、各種補償給付の支給等を実施することとしております。これらの実施に必要な費用のうち、慢性気管支炎等の非特異的疾患に係るものにつきましては、大気汚染防止法に規定するばい煙発生施設等を設置する事業者から徴収する汚染負荷量賦課金を充てるほか、自動車に係る分として、昭和四十九年度から昭和五十四年度までの間におきましては、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を充てることとされてまいりましたが、今回、昭和五十五年度から昭和五十七年度までの間の措置を定めるため、この法律案を提案した次第であります。  次に、この法律案内容について御説明申し上げます。  今回の法律案は、昭和五十五年度から昭和五十七年度までの間において、政府は、引き続き、大気の汚染の原因である物質を排出する自動車に係る費用負担分として、自動車重量税の収入見込み額の一部に相当する金額を公害健康被害補償協会に対して交付することとするものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  298. 河野正

    河野委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十四分散会      ――――◇―――――