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1980-02-12 第91回国会 衆議院 公害対策並びに環境保全特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月十二日(火曜日)     午後零時三十六分開議  出席委員    委員長 河野  正君    理事 戸沢 政方君 理事 西田  司君    理事 八田 貞義君 理事 山本 幸雄君    理事 島田 琢郎君 理事 馬場  昇君    理事 古川 雅司君 理事 則武 真一君    理事 中井  洽君       天野 公義君    池田  淳君       田原  隆君    橋本龍太郎君       畑 英次郎君    吹田  愰君       宮下 創平君    野口 幸一君       竹内 勝彦君    森田 景一君       東中 光雄君    木下敬之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 土屋 義彦君  出席政府委員         公害等調整委員         会委員長    青木 義人君         環境庁長官官房         長       正田 泰央君         環境庁長官官房         審議官     石川  丘君         環境庁長官官房         会計課長    神戸 芳郎君         環境庁企画調整         局長      金子 太郎君         環境庁企画調整         局環境保健部長 本田  正君         環境庁自然保護         局長      藤森 昭一君         環境庁大気保全         局長      三浦 大助君         環境庁水質保全         局長      馬場 道夫君         通商産業省立地         公害局長    島田 春樹君  委員外出席者         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ――――――――――――― 一月十四日  公害健康被害補償法に基づく指定地域解除反  対等に関する請願飛鳥田一雄紹介)(第二八  号)  同(田口一男紹介)(第二九号)  同(中野寛成紹介)(第三〇号)  同(井岡大治紹介)(第一六〇号)  同(近江巳記夫紹介)(第一六一号)  同(沖本泰幸紹介)(第一六二号)  同(島田琢郎紹介)(第一六三号)  同(竹内勝彦紹介)(第一六四号)  同(春田重昭紹介)(第一六五号)  同(森田景一君紹介)(第一六六号)  東京湾岸道路環境保全対策等に関する請願  (上田哲紹介)(第三一号) 同月十八日  公害健康被害補償法に基づく指定地域解除反  対等に関する請願岩垂寿喜男紹介)(第三二  七号)  同(新村勝雄紹介)(第三二八号)  同(野口幸一紹介)(第三二九号) 同月三十一日  公害健康被害補償法に基づく指定地域解除反  対等に関する請願河野正紹介)(第三五一号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三五二号)  同(塚本三郎紹介)(第三五三号)  同外四件(横山利秋紹介)(第四〇〇号)  同(小川国彦紹介)(第四三六号)  同(土井たか子紹介)(第四三七号)  同(安藤巖紹介)(第四八七号)  同(小林政子紹介)(第四八八号)  同(中路雅弘紹介)(第四八九号)  同(東中光雄紹介)(第四九〇号)  同(正森成二君外二名紹介)(第四九一号)  同(三谷秀治君外二名紹介)(第四九二号) 二月六日  東京湾岸道路環境保全対策等に関する請願  (始関伊平紹介)(第五六一号)  公害健康被害補償法に基づく指定地域解除反  対等に関する請願大出俊紹介)(第五六二号)  同(則武真一紹介)(第六〇九号)  同(中島武敏紹介)(第六一〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 一月三十日  公害健康被害補償法改悪反対等に関する陳情  書(第八二号)  公害環境行政推進に関する陳情書  (第八三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  公害対策並びに環境保全に関する件(公害対策  並びに環境保全基本施策)      ――――◇―――――
  2. 河野正

    河野委員長 これより会議を開きます。  公害対策並びに環境保全に関する件について調査を進めます。  まず、国務大臣から環境行政に関する所信を聴取することといたします。土屋環境庁長官
  3. 土屋義彦

    土屋国務大臣 第九十一回国会における衆議院公害対策並びに環境保全特別委員会の御審議に先立ち、環境行政に関する私の所信を申し述べ、委員各位の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  環境問題は、国民生活とのかかわり合いがきわめて深い問題であります。そして、この問題を取り扱う環境行政は、公害から国民の健康と生活環境を守るとともに、かけがえのない自然を保護し、さらに快適な生活環境確保するという重大な使命を担っております。  私は、昨年十一月環境庁長官に就任以来、この問題に取り組んでまいりましたが、いまさらながら任重くして道険しと責任の重大さを痛感をいたしております。  わが国環境行政を顧みますと、公害対策基本法制定以来、すでに十二年、また、環境庁発足以来、はや八年が経過しました。  この間、政府は、地方公共団体協力し、激化するに至った公害防除、また、急速に失われつつあった自然環境保護に真剣に取り組んでまいりました。その結果、今日では、幸いにしてかつてのような危機的な状況を脱することができました。しかしなお、環境基準達成維持に向けて一層の努力を払っていかなければならない分野が残されており、自然環境につきましても、その適切な保護が依然として重要な課題となっております。  また、現在深刻な問題となっている交通公害閉鎖性水域における水質汚濁の問題に見られるように、公害のあらわれ方も、生産活動に起因するものばかりでなく、人口及び社会経済活動都市集中に起因し、日常生活に関係するものの比重が増してきております。このような問題に対処するためには、単に発生源に対する規制だけではなく、さまざまな政策手段を組み合わせ、総合的な対策検討する必要があります。  そして、今後の環境行政推進するに当たって何よりも基本としなければならないことは、環境汚染未然防止していくことであります。  開発事業等実施に当たって環境影響評価を行うことは、環境汚染未然防止を図る上で、不可欠であり、その制度化は、国際的な趨勢となっております。  特に、わが国は、かつて著しい環境汚染経験しており、この苦い経験を踏まえ、環境汚染未然防止に万全を期すことが、環境庁に課せられた大きな責務であると考えております。  さらに、環境保全についての国民の意識は、公害防除にとどまらず、自然の緑や水辺に恵まれた潤いのある快適な環境実現を求めており、これに対応した施策推進することも、今後の重要な課題であると考えております。  私は、環境庁長官として、以上のような基本的認識に立って、次のような事項重点として、環境行政推進誠心誠意最大限努力を払う所存であります。  第一に、長期的総合的な視点に立った環境政策展開を図ってまいりたいと思います。  経済安定成長への移行エネルギー需給構造変化等社会経済条件変化を踏まえ、一九八〇年代の環境政策基本的方向について展望を行うこととしております。とりわけ、エネルギー問題は、わが国が当面する非常に重大な問題でありますが、これに対しても環境保全の面からの配慮を加え、かつての公害の苦い経験を繰り返さないようにしてまいらねばなりません。このため、中長期的な視点も踏まえて、総合的な検討を行うこととしております。特に、石炭利用拡大に伴って大気環境への影響などが懸念されますので、調査検討を進めるとともに、必要に応じ、各般の措置を講じてまいる所存であります。  また、よりよい環境を積極的に確保していくため、快適な環境づくりのための施策検討を進めるとともに、身近な自然との触れ合いを図るための施策拡充地域特性に応じた環境管理推進を図ることとしております。  第二に、環境汚染未然防止の徹底であります。  各種開発事業等実施に当たっては、環境影響評価を行い、環境保全を十分に配慮すべきことは、だれしもが認めるところであります。すでに各方面におきまして環境影響評価実施されておりますが、環境庁としましては、その法制度化に向けて最大限努力をしていく覚悟であります。  また、われわれの日常生活に深いかかわり合いを持っておりまする化学物質に関しましては、環境汚染未然防止するため、その安全性の総点検調査を進めてまいります。  第三に、公害防止対策について、さらに積極的な推進を図ることといたしております。  自動車、航空機、鉄道等による交通公害は、地域住民の日々の生活にとって、きわめて深刻な問題となっております。私は、交通公害対策が今後の最重点課題の一つであると考えております。  この問題の根本的な解決を図るためには、まず現在行われておりまする自動車を初め各交通機関ごと発生源対策周辺対策等を一層拡充強化することであります。さらに、中長期的な対策として、環境保全観点から望ましい交通体系都市構造への転換を促すような新たな施策について重点的に検討を行い、総合的な交通公害対策を樹立し推進していくことが必要であります。  また、特に問題の大きい大型自動車について緊急に講ずべき対策検討する等交通公害対策の確立に向けて本腰を入れて取り組んでまいりたいと考えております。  次に、大気汚染防止につきましては、これまでに固定発生源自動車について、数次にわたってその規制強化を図ってきたところであります。その結果、大気汚染状況は、全体的にはかなり改善されてきましたが、なお、環境基準達成維持に向けて今後一層の努力が要請されております。  特に、窒素酸化物対策につきましては、環境基準に照らして対策緊急度の高い地域において実施中の調査の結果を踏まえ、固定発生源について総量規制導入を速やかに図る所存です。また、ディーゼル車重量ガソリン車等の第二段階の規制に向けて引き続き技術評価を進める等対策強化促進を図ってまいることといたしております。  さらに、長期的な観点から各種大気汚染物質対策を最適な手順で進めるための手法の検討ディーゼル排出ガス影響調査等を行い総合的な大気汚染対策推進してまいります。  水質保全対策については、閉鎖性水域における水質保全の問題が、当面の最重要課題であります。現在問題となっておりまする有機汚濁富栄養化の現象は、産業活動に起因するもののほか、われわれの日常生活に起因するものもかなりの比重を占めており、これら多様な発生源に対応した総合的な対策推進が要請されております。  このため、東京湾、伊勢湾瀬戸内海の三海域につきましては、すでに昨年六月に総量削減基本方針を定め、現在これに基づき、関係都府県において実施のための準備が進められているところであります。水質総量規制の早期かつ円滑な実施に向けて今後とも努力してまいりたいと考えております。  これら海域と並んで、湖沼における環境保全対策推進が急務であります。湖沼は、河川や海域に比べて環境基準達成がおくれており、今後特に強力に対策を講じていく必要のある分野と考えております。湖沼特性に応じた水質管理指針策定のための調査検討を行うとともに、特に早急に総合的な対策が要請されている琵琶湖について、総量規制導入に向けて調査を行うこととしております。  また、近年、内湾、湖沼等において富栄養化及び赤潮による障害が特に問題となっております。これに対処するため、瀬戸内海における燐削減対策に引き続き、伊勢湾においても必要な調査を進め、その削減方策検討するほか、赤潮発生機構総合解析調査を進める等その施策強化を図ることとしております。  以上のような諸対策のほか、地盤沈下対策を初め、騒音振動及び悪臭対策廃棄物対策海洋汚染対策等についても、一層の充実強化を図ってまいりたいと考えております。  第四に、公害による健康被害者の救済のための施策推進であります。  公害による健康被害を受け、苦しんでおられる方々に対しまして、その迅速かつ公正な保護を図るよう万全を期すことは、私たちの努めであります。  このため、公害健康被害補償制度の円滑な実施に一層の努力を傾注してまいる所存であり、特に、補償給付支給等に必要な財源を引き続き確保するため、所要法改正をお願いしているところでございます。  水俣病対策につきましては、水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の円滑な実施等により認定業務促進を図るとともに、国立水俣病研究センター研究体制充実強化を図ることといたしております。  第五に、自然環境保全であります。  自然は、生命をはぐくむ母胎であり、人間生活に限りない恩恵を与えてくれます。また、自然は、一たび失われると回復が著しく困難であり、この貴重な自然を守り育て、後世に伝えることは、私たちの大きな使命であります。  この使命を果たすべく、長期的な視点に立って、自然環境保全対策をさらに積極的に推進してまいる所存でありますが、特に、今後の施策展開に当たりましては、すぐれた景観やかけがえのない自然の保護と並んで、私たち日常の暮らしに潤いと安らぎをもたらす身近な自然との交流の場の確保にも力を注いでまいりたいと考えております。  このため、都道府県立自然公園内の国民休養地に対する施設整備助成拡充を図るとともに、首都圏自然歩道整備のための調査を行うことといたしております。  また、鳥獣保護対策につきましては、国設鳥獣保護区を中心としてその充実を図ってまいりたいと考えております。  最後に、国立公害研究所充実強化等環境行政の基盤の充実であります。  複雑多様な環境問題に適確に対処し、長期的な視点に立った環境行政推進していくためには、その基礎となる科学的知見の蓄積が必要不可欠であります。  国立公害研究所は、昨年設立五周年を迎え、国際的に見ましてもきわめて高い水準の研究所に育ってまいりましたが、今後とも一層の充実強化を図ることといたしております。  また、環境問題の国際的な広がりにかんがみ、この分野における国際的な協力強化にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  以上、私の所信の一端を申し上げましたが、環境行政推進に当たりましては、国民の声に耳を傾けていかなければならないことは、言うまでもありません。  今日、経済安定成長への移行エネルギー需給構造変化等わが国社会全体が大きな転換期を迎えております。私は、このような情勢のもと、どのような困難があろうとも、国民の健康の保護生活環境及び自然環境保全という環境行政の原点に立って、より高い環境の質の実現を目指して誠心誠意全力を尽くす覚悟でございます。  本委員会及び委員各位におかれましては、環境行政の一層の推進のため、今後とも御支援、御協力を賜りますよう心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
  4. 河野正

    河野委員長 以上で国務大臣所信表明は終わりました。  次に、昭和五十五年度環境庁関係予算説明を求めます。正田官房長
  5. 正田泰央

    正田政府委員 昭和五十五年度の環境庁関係予算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十五年度総理府所管一般会計歳出予算要求額のうち、、環境庁予算要求額は四百四十八億五千三百三十六万二千円であり、これを前年度の予算額四百二十四億九千七百四十三万円と比較すると、増加額は二十三億五千五百九十三万二千円であり、その増加率は五・五%であります。  次に、予算要求額の主要な項目について御説明いたします。  第一に、公害対策について申し上げます。  まず、環境保全企画調整等経費については、環境影響評価制度を確立推進するための経費瀬戸内海環境保全対策推進する経費及び公害防止計画策定推進する経費のほか、新たに、一九八〇年代における環境政策展望検討するための経費及び石油代替エネルギーとしての石炭利用拡大に伴う環境影響について総合的に調査検討する経費等、これらを合わせて四億六千五百九十四万円を計上しているところであります。  次に、公害健康被害補償対策費については、公害健康被害補償制度の円滑な実施を図るほか、水俣病認定業務促進することとし、これらの経費として百八十七億六千九百八十八万円を計上しております。  公害防止事業団につきましては、事業団事業運営に必要な事務費等助成費として三十九億七千二百十六万円を計上しております。  次に、大気汚染等防止対策経費については、新たに、石炭の消費の増大等に対応して大気質についての汚染防止対策調査検討を行うほか、窒素酸化物対策として、総量規制の円滑な実施を期して発生源における窒素酸化物総量測定方法を確立するための調査検討実施するとともに、健康影響調査を行うなど、大気汚染物質対策推進を図ることとし、また、交通公害防止対策推進するため、新たに大型車について緊急に講ずべき施策検討を行うとともに、従来に引き続き、自動車公害騒音振動及び悪臭についての対策推進するための調査を行うなど七億七千九百四十二万円を計上しております。  水質汚濁防止対策経費については、富栄養化及び赤潮対策として、新たに伊勢湾燐削減のための実態調査を行い、また、湖沼環境保全対策として、湖沼特性に応じた水質管理指針策定のための調査検討及び琵琶湖について総量規制導入するための調査を行うほか、従来に引き続き、総量規制の実効を期するため、所要調査について助成するとともに、瀬戸内海環境保全対策及び水質管理についての対策等推進するための調査を行うなど九億八千七百七十八万円を計上しております。  このほか、地盤沈下及び廃棄物対策費として一億一千八百八十一万円、土壌汚染防止及び農薬対策費として二億六百九十一万円をそれぞれ計上しているところであります。  次に、公害監視等設備整備費については、地方公共団体監視測定体制等整備に必要な経費として十一億九千三百四十七万円を計上しております。  公害防止等に関する調査研究推進のための経費については、科学的な調査及び試験研究を一層促進するため、総額四十四億五千八百五十九万円を計上しております。  このうち、国立試験研究機関等公害防止等試験研究経費として三十二億四千八百四十四万円を環境庁において一括計上し、各省庁試験研究機関等における試験研究総合的推進を図ることとしております。  また、光化学スモッグに関する調査研究費及び公害による健康被害大気汚染水質汚濁自然環境保全等に関する調査研究費として九億七千七百六十七万円を計上し、必要な調査研究を進めることとしているほか、環境保全総合調査研究促進調整費として二億三千二百四十七万円を計上し、関係省庁が所管する各種環境保全に関連する調査研究総合的調整を図ることとしております。  さらに、科学的な行政推進するため、国立公害研究所の機能を充実強化することとし、これに必要な経費として四十二億三千二百七十万円、国立水俣病研究センターに必要な経費として三億二千四十二万円、公害研修所に必要な経費として一億二百九十一万円を計上しております。  第二に、自然環境保全対策及び施設整備について申し上げます。  まず、自然環境保全対策及び自然公園等維持管理等経費については、五十三及び五十四年度に実施した自然環境保全法に基づく自然環境保全基礎調査の結果について集計、整理等を行うほか、新たに首都圏自然歩道整備のための調査実施するなど十億三百三十七万円を計上しております。  このほか、交付公債による民有地買い上げ制度の運用に必要な経費として九億九千五百二十一万円を計上しております。  鳥獣保護については、国設鳥獣保護区の管理強化を図るほか、特定鳥獣保護事業及び渡り鳥の保護対策推進するなど一億八千百四十二万円を計上しているところであります。  さらに、自然公園等整備を図るため必要な施設整備費として三十一億八千二百五十三万円を計上しております。  以上が環境庁予算概要でありますが、このほか、建設省所管予算として、国立公害研究所等施設整備のため十九億七千百五十九万円、国庫債務負担行為六億八百五十三万円がそれぞれ計上されております。  以上をもちまして、昭和五十五年度の環境庁関係予算の御説明を終わります。
  6. 河野正

    河野委員長 次に、各省庁昭和五十五年度環境保全経費等について、便宜環境庁から説明を求めます。金子企画調整局長
  7. 金子太郎

    金子政府委員 各省庁昭和五十五年度環境保全経費等概要について御説明いたします。  まず、歳出予算について御説明いたします。  昭和五十五年度における環境保全経費総額は一兆一千六百六十四億円であり、前年度の当初予算に比べ四百十億円、三・六%の増加となっております。  このうち、一般会計分は、一兆三百七十九億円であり、前年度の当初予算に比し百七十七億円の増加となっており、また、各特別会計分は一千二百八十五億円であり、前年度に比し二百三十四億円の増加となっております。  次に、事項別に主要な項目について御説明いたします。  第一に、各種基準等の設定としては、環境庁大気汚染防止対策に係る経費三億三百万円、水質汚濁防止対策費一億三千二百万円など、総額九億六千四百万円を計上しております。  第二に、監視取り締まり強化のため、総額七十五億三千三百万円を計上しております。  このうち主要なものは、環境庁公害監視等設備整備経費十一億九千三百万円、環境庁厚生省通商産業省等に計上されている化学物質安全確保対策費五億円、運輸省自動車公害審査体制強化費二十七億八千六百万円、海上公害監視取り締まり体制強化費二億六千九百万円、警察庁の公害関係事犯取り締まり強化費三億六千八百万円などであります。  第三に、公害防止事業助成のため、総額百十一億四千百万円を計上しております。  このうち主要なものは、環境庁公害防止事業団助成等経費三十九億七千二百万円、農林水産省畜産複合地域環境対策事業費二十七億八千七百万円、漁場環境保全対策費十七億八千万円、養殖共済赤潮特約事業費六億百万円、通商産業省金属鉱業事業団事業運営費九億九千八百万円などであります。  第四に、公害防止関係公共事業等推進のため、総額九千七百二十四億六千二百万円を計上しております。  このうち主要なものは、建設省等に計上されている下水道事業費六千八百九億五千八百万円、公共用飛行場周辺及び防衛施設周辺における騒音問題に対処するため、運輸省の八百九十六億五百万円、防衛施設庁の七百六十九億四千三百万円、厚生省運輸省等に計上されている廃棄物処理施設整備費七百六十三億七千三百万円、地盤沈下対策として農林水産省地盤沈下対策事業費六十一億九千万円、通商産業省工業用水道事業費三十三億三千九百万円、建設省等緩衝緑地整備事業費五十一億一千九百万円、通商産業省休廃止鉱山鉱害防止工事費四十一億一千六百万円、運輸省海洋環境整備事業費二十五億五千三百万円、港湾公害防止対策事業費二十二億九千七百万円、農林水産省等公害防除特別土地改良事業費十六億六千五百万円などであります。  第五に、公害防止調査研究推進のため、総額四百三十億六千九百万円を計上しております。  このうち主要なものは、環境庁国立公害研究所経費四十二億三千三百万円、国立機関公害防止等試験研究費三十二億四千八百万円、通商産業省大型工業技術研究開発費七十五億八千万円、新エネルギー技術研究開発経費七十一億二千二百万円、通商産業省等省エネルギー技術研究開発経費六十九億七千八百万円などであります。  第六に、公害被害者保護対策充実のため、環境庁公害健康被害補償対策経費百八十七億七千万円など総額で百九十五億九千五百万円を計上しております。  第七に、自然保護対策推進のため、総額一千五十六億八千百万円を計上しております。  このうち主要なものは、環境庁自然公園等施設整備費三十一億八千三百万円、建設省等の公園事業費七百九十七億二千五百万円、古都及び緑地保全事業費二十三億五千五百万円、文部省の史跡等の買い上げ及び整備費八十二億九千六百万円、運輸省の港湾環境整備事業費三十一億五千二百万円、運輸省等の海岸環境整備事業費二十七億七千九百万円などであります。  第八に、その他として、総額で五十九億四千万円を計上しております。  次に、公害防止関係財政投融資の概要について御説明いたします。  昭和五十五年度における公害防止関係財政投融資は、貸付規模等において、総額一兆三千五百四十二億円を予定しており、前年度の当初計画額に比べ、百十一億円の増加となっております。  機関別の内訳としては、公害防止事業団が契約規模で六百八十億円、日本開発銀行が貸付規模で八百二十億円、中小企業金融公庫が貸付規模で五百三十億円、国民金融公庫が貸付規模で七十五億円、大阪国際空港周辺整備機構が事業規模で四十億円、金融鉱業事業団が貸付規模で三十四億円、農林漁業金融公庫が貸付規模で三十億円、日本私学振興財団が貸付規模で七億円をそれぞれ予定しております。  また、地方公共団体の下水道整備、廃棄物処理施設整備等の事業を推進するため、地方債計画において一兆一千三百二十六億円を予定しております。  最後に、環境保全関係税制改正措置については、公害防止用設備、無公害化生産設備及び廃棄物再生処理用設備の特別償却制度について、適用期限の到来するものは二年延長し、あわせて対象設備の範囲の縮減及び償却割合の引き下げを行うこと等を内容とする改正を行うこととしております。  以上をもちまして、昭和五十五年度の各省庁環境保全経費等説明を終わります。
  8. 河野正

    河野委員長 以上で予算説明は終わりました。  次に、昭和五十四年における公害紛争の処理に関する事務の概要及び昭和五十五年度公害等調整委員会関係予算説明を求めます。青木公害等調整委員会委員長
  9. 青木義人

    ○青木政府委員 公害等調整委員会が昭和五十四年中に行いました公害紛争の処理に関する事務及び昭和五十五年度総理府所管一般会計公害等調整委員予算案について御説明申し上げます。  まず、公害紛争の処理に関する事務の概要について申し上げます。  昭和五十四年中に当委員会に係属しました公害紛争事件は、調停事件百八件及び被害と加害行為との間の因果関係について判断を求められた原因裁定事件一件の計百九件でございます。  その内訳は、水俣病に関する調停事件九十一件、大阪国際空港騒音被害に関する調停事件十七件、仙台湾における養殖ノリ被害原因裁定申請事件一件でございます。  昭和五十四年中に処理が終結しましたものは、水俣病に関する調停事件三十五件、申請人数八十八人でございます。これらは、水俣病と認定された患者に対するチッソ株式会社の損害賠償について、患者個々人ごとに具体的な支払い金額等を定める調停を成立させたものであります。  その他、終結を見ていない事件につきましては、目下鋭意手続を進めているところであります。  次に、全国の公害苦情の実態について申し上げます。当委員会調査によれば、昭和五十三年度の総苦情件数は、約七万件となっております。この苦情件数は、四十七年度をピークに以後減少を続けましたが、昭和五十二年度以降は、ほぼ横ばい状態となっております。これを公害の種類別に見ますと、騒音振動に関する苦情が最も多く、三六%を占め、次いで、悪臭二二%、大気汚染一五%、水質汚濁一四%の順であり、これらで全体の八七%を占めております。  以上の結果を踏まえ、当委員会といたしましては、公害苦情相談指導者研修会等の実施公害苦情処理の参考資料の作成、配布、あるいは個別の事案についての指導、助言等、地方公共団体が行う公害に関する苦情の処理について積極的に指導等を行っているところであります。  引き続き、昭和五十五年度の公害等調整委員会の予算案につきまして、その概要を御説明いたします。  昭和五十五年度の総理府所管一般会計歳出予算案のうち公害等調整委員会の予算総額は、三億五千七十五万円でありまして、これを前年度の当初歳出予算額と比較いたしますと、七百七十八万円の増額となっております。予算案の内訳は、当委員会に係属する事案の審理及び一般事務処理等のための経費五千九百万円、公害苦情の実態を調査し、その処理についての指導、研修及び情報提供等を実施するための経費三千百五十三万円のほか、人件費であります。  以上が昭和五十四年中に公害等調整委員会が行ってまいりました公害紛争の処理に関する事務及び昭和五十五年度の予算案の概要でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。
  10. 河野正

    河野委員長 以上で公害等調整委員会の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時九分散会