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1980-04-09 第91回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月九日(水曜日)     午後零時三十二分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 沢田  広君 理事 村山 富市君    理事 有島 重武君 理事 木下 元二君    理事 玉置 一弥君       石橋 一弥君    大野  明君       三枝 三郎君    玉生 孝久君       水平 豊彦君    井上  泉君       草野  威君    三浦  隆君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   後藤田正晴君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         警察庁交通局長 池田 速雄君         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         建設省都市局参         事官      吉田 公二君         建設省道路局長 山根  孟君  委員外出席者         法務省保護局観         察課長     大島 孝夫君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      三井 嗣郎君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 三月二十七日  辞任         補欠選任   楯 兼次郎君     後藤  茂君 四月九日  辞任         補欠選任   非上 一成君     井上  泉君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     井上 一成君     ————————————— 三月二十六日  交通遺児対策等に関する請願外一件(新井彬之  君紹介)(第二九九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 石田幸四郎

    ○石田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野中英二君。
  3. 野中英二

    野中委員 最初に、国家公安委員長所信表明について二、三質問を申し上げたいと思っております。  所信表明最後のところに、交通事故防止対策を強力に推進し、自動車交通人間生活との調和のとれた車社会建設のために努力する所存であります、こういうふうにうたっておられるわけでございますけれども人間生活自動車交通との調和一体どういうふうにおとりになるのか、真っ先に所信をお伺いしておきたい、こう思うわけでございます。
  4. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御案内のように、交通安全対策基本法に基づきましての交通安全対策第二次の計画最終年度にことしは当たっておるわけでございます。そこで、交通の問題というのは大変幅の広い問題でございますし、ことにまた、今日四千万のドライバー免許者がおる。いわば車がわれわれの生活の中に溶け込んで一体になっておるわけでございます。ところで、それに伴う事故が残念ながら多発をしておる。ここ九年ばかり、おかげさまで各方面の御理解、御協力によって、いわゆる交通死者というものは、四十六年当時に比べると半分強にまで減ってきておるわけでございますが、しかし、何といっても六十万人の死傷者が今日出ておるわけでございますので、生活の中に一体となっておる車、しかし同時に、他方、やり方によってはこれはいわば凶器に化するわけでございまするので、そこらの調和を図りながら事故をできるだけ減少させたい。最終年度目標は、交通死者の数を少なくとも半分にしようという目標を立てておりまするので、ことしもそういった目標に向かって全力を挙げたい。それがためには、一つは、交通安全のための施設整備。もう一つは、ドライバーがともかく四千万人おるわけですから、そういった方の教育といいますか、啓蒙といいますか、それに伴う理解協力を求めていくということ。もう一つは、最後担保の手段として悪質な者に対する取り締まり強化する。その取り締まり強化の対象は何かと言えば、今日交通弱者の被害が相変わらず多いわけでございます。子供さんとかあるいはお年寄りが多いわけでございます。したがって、それの保護全力を挙げるということ。同時にまた、このごろの大ぜい若い連中が集まって集団的にやっておる悪質な暴走族取り締まり、こういうようなことを事故を減少する最終担保としてやっていきたい。  ただ、いずれにいたしましても、こういった問題は総合的な幅の広い施策でございますから、何よりもかよりも国民皆さん方のすべての方に今日の状況をよくお話もし、御理解を得て、そして生活の中に入った車、それに伴う危険の排除、これを総合的な観点から施策を進めていきたい。かような意味合いであの所信の中に申し上げた次第でございます。
  5. 野中英二

    野中委員 大変懇切な公安委員長からの御説明がございましたが、人間生活との調和ということで施設の問題あるいはドライバー教育問題等等、あるいは弱者救済に至るまで御説明があったわけでございますが、施設の中できょうは特に強調をいたしておきたいことは、交通標識の問題であります。なぜならば、われわれが安心して静かな環境のもとに睡眠をとりたい、こういうことになりますと、当然のこととして公安委員会としては、現況においてはとにかく交通標識において一方通行をやる、こういうことでやってこられたわけでございます。  そこで、この交通標識の問題について質問をしておくのでありますが、これには規制標識令に基づくところの標識というものがありますし、それに準ずるものがあるわけでございます。公安委員長御存じですか。子供が寝そべっておりまして、その上に星が立っている、そういう標識があるのですよ。ところが、その標識を私はいつも通勤しておる間に見ておったのですが、このごろ、いつの間にかそういう標識がなくなってしまった。こういうことを考えますと、これは一体人間生活との調和というものを考えているのだろうか、こういう気がしてならないわけでございます。そのことについて公安委員長、もしおわかりでなかったら、かわって御答弁を願いたい。
  6. 池田速雄

    池田政府委員 御質問標識については不勉強で存じませんので、申しわけございませんが、道路標識につきましては、それぞれ道路交通法あるいは道路法等の規定に基づきまして正規のものが決められておるわけでございます。そのものにつきましては、やはり違反等につきましてそれぞれの罰則が科せられる等の強制力が課せられるわけでございますので、そういった法的な意味のある標識とそうでない標識があると思いますが、その標識をどなたがお立ていただいたのかわかりませんが、あるいは自治体でお立ていただきましたのかあるいは町内で自主的にお立ていただいたのかわかりませんが、それぞれの標識意味等につきまして、法的な意味を持つもの、そうでないもの等がございますので、おのずから立てられる場合と立てられない場合と出てまいろうかと思いますので、指導によりまして、紛らわしいものがあれば、強制力を持たないもので立てるにふさわしいものでないということであれば取り除く等の措置をやっている例があるいはあるかもしれません。一般論でございますけれども、お答えいたします。
  7. 野中英二

    野中委員 まことに残念のきわみでございます。これではとても交通安全をお任せするわけにいかなくなった。これは安眠ゾーン標識でありまして、私、きょうもまた警察庁に確かめておいたのです。こういう標識があったのだがと言ったら、ちゃんと答えてくれましたよ。ですから、これは勝手に自治会長が立てたというものではないのですよ。その標識、これは後ほどまた建設大臣に御質問申し上げるわけでございますが、欧米と比較してみますとまことにずさんな立て方だ。非常に近距離になってから右へカーブあるいは左カーブという指示標が出ているということが交通事故につながっていくわけでございます。したがって、安眠ゾーンのことは後から勉強していただくことにしまして、いまこの交通標識というものをもう一度検討なさる意思があるかどうか、改めてお聞きしておきます。
  8. 池田速雄

    池田政府委員 標識につきましては、国民にわかりやすく、しかも見やすいということが必須の条件でございますので、設置等につきましては十分留意してまいりたいと思います。いま御指摘標識につきましては、本標識あるいは予告標識、そういうものの活用あるいは立てる場所の選定の問題、立てましたものの管理の問題、いろいろ検討すべき点があろうと思いますので、十分検討させていただきたいと思います。
  9. 野中英二

    野中委員 標識については後ほど建設大臣の方にさらに詳しく御質問申し上げることにいたします。  今度は、大変御苦労願いまして、この九年間ずっと交通事故が減ってまいりました。この点につきましては、交通安全に関する各省の努力というものを認識し直さなければならないと私は思っております。大変感謝いたします。しかし、ここで問題になっておりますのは、先ほど公安委員長お話しになりましたように、一番の交通弱者と言われる歩行者あるいは自転車乗用者死者数が依然として多い。これは五十四年度中のものですけれども歩行者は二千九百一人、自転車乗用者死者数は千七人ということで、歩行者の方が三四・三%、自転車の方は一一・九%という数字を示しておるわけでございます。これを外国に比較いたしますと、歩行者死亡者数というのは、五十一年度でございますけれども、アメリカは一六・三%、西ドイツは二六・九%、フランスは一九・四%、こういうことで、各国と比較して日本歩行者死亡率というのは大変高いわけでございます。これに対する対策をどういうふうにこれから見直していくか、いわゆる新しくつくられ、来年から始まる今度の安全基本計画の中にどういうふうに織り込んでいったらいいだろうか。あるいはまた老人層を見ましても、前年度に比べて二・三%ふえておるわけです。六十歳以上が全部で二千八十二名。こういうふうに、歩行者であるとか、老人であるとか、これが交通事故の災害に遭うという率が一番多いわけでありますから、この交通弱者と言われる老人歩行者、これを徹底して抜本的にもう一度計画を見直す、そういう必要があるのではないかと思いますので、再度これを御質問申し上げておきます。
  10. 池田速雄

    池田政府委員 いま御指摘のとおり、子供老人等につきましては、御案内のとおり、四十五年が死者が一番ピークでございましたけれども、その四十五年を一〇〇にいたしますと、全体の死者数はいま五〇・五%まで減少してきておるわけでございますが、子供につきましては五一・一、それから老人につきましては五六・五といったようなことで、まだ減り方が少ないというのが現実でございます。  それから歩行中で見ますとやはり四八・六まで下がっておりまして、歩行中という形態だけ見ますと減り方は多いわけでありますけれども、やはり全体の中で占める比率と申しますのは英国よりも多い。英国は大体同じような形でございますけれども、そういう高い比率を占めておるわけでございます。したがいまして、いわゆる弱者対策というものをこれからの対策中心にやはり据えていかなければならない、こういうふうに考えております。したがいまして、関係機関、団体とも協力いたしまして、子供老人中心といたします歩行者及び自転車利用者交通の安全を確保いたしますために、安全教育の面ももちろんでございますが、これはもちろん子供等に対する教育のほかに、何よりもドライバーの心構えを含めましてそういった安全を徹底させるというようなこと、街頭におきます保護誘導活動強化するというようなこと、それから生活ゾーン等をもう少し強力に推進いたしまして、交通規制の面も含めまして安全な環境をつくるといったような対策等をまず第一に置きまして、これからの計画中心にも置いてまいりたいと考えております。
  11. 野中英二

    野中委員 次に、今度は建設大臣の方に御質問申し上げますけれども先ほど生活環境整備、そして交通安全、その調和のとれた車社会をつくる、こういうことで建設省の方は、第八次道路整備五カ年計画、これを見ますと、生活基盤整備ということをうたっているわけでございます。そこで、バス路線のうち、すれ違いの非常に困難な路線が五万九千キロある、こういうことをうたっているわけでございます。そして五カ年間に一万二千キロを整備するというふうにうたってあるわけでありますけれども一体どれだけ今日まで進捗をしてこられたかということを御質問申し上げておきたいと思います。
  12. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  地域住民のいわば足とも言うべきバスの問題でございますが、このバス路線につきましては、第八次道路整備五カ年計画におきまして重点施策一つとして取り上げておりまして、積極的にその整備を進めているところでございますが、事業の内容といたしましては、すれ違えない区間解消、それから円滑な運行確保するための待避所設置、それから市街地におきます円滑な運行確保するための現道拡幅、それともう一つ重要な点は、防災対策があるわけでございます。  五十五年度事業におきましては、バス路線整備として約八千八百億円を計上いたしておりまして、その推進を図っていくことにいたしております。また、通勤、通学輸送交通の多い地方中心都市等におきましては、バス利用への積極的な誘導を図るために、全国都市を選びましてバス路線総合整備モデル事業を新たに実施をいたすことにいたしております。  こういった各般の施策をいたしておりまして、現在、すれ違えない区間解消としては千五百九キロメートル、待避所設置等千二百四十九キロメートル、市街地等における円滑な運行確保といたしまして二百二十九キロメートル、安全な運行確保のための防災対策として二千九百四十七カ所について五十五年度におきましては事業実施すべく、鋭意その進展を図っているところでございます。
  13. 野中英二

    野中委員 いや、私は数字が聞きたいのですよ。第八次道路整備五カ年計画のうちで、こういう目標を決めたのですから、何%の進捗率か、局長、教えてください。
  14. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  五十三年度から五十五年度までの事業量でございますが、すれ違い困難な区間解消といたしまして四千七百二十八キロメートル、緊急対策としての、先ほど申し上げました待避所、視距の改善等、これは特殊改良実施をいたしておりまして、この事業量が四千三百九十二キロメートル、渋滞区間解消といたしまして二百五十九キロメートル、乗りかえ機能強化といったような駅前広場整備といったようなことに関連をいたしまして四十八カ所、防災対策といたしまして一万五百二十五カ所という事業量がこの三年間に図れるというぐあいに考えておりまして、五カ年計画におきます全体の進捗率といたしましては、それぞれ数字がございますが、これらをまとめますと、冬季交通確保等を含めまして五六・四%という進捗に相なるわけでございます。
  15. 野中英二

    野中委員 いま大臣もお聞きになりましたように、五六・四%の進捗率でございます。念のために、私の方が用意いたしました資料から言いますと、建設省道路整備五カ年計画をつくられまして今日まで第八次になるわけでございますが、第一次計画において達成したものは七〇%、これは建設省全体でございます。交通安全というふうに限定したものではありません。第二次が五二・八%、第三次計画が五五・六%、第四次が五六・六%、第五次が五〇・六%、第六次が六〇%、第七次が八三・一%、第八次が五十四年度現在で三七・六%という数字でございまして、建設省プロパーの仕事も目標どおりお達しにならないわけでございます。  ましてや——ましてやと言うと語弊が出るかもしれませんが、建設省所管の第二次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画進捗状況をずっと見ますと、第二次の五十一年から五十四年まで、先ほどから私が問題にいたしております交通弱者と言われる歩行者、この歩道整備は四九・九%しか達成されていないのですよ。こういうふうなことを考えて、さらに大臣は、所信表明の中でこうおっしゃられている。「昭和五十五年度は、厳しい財政事情ではございますが、より一層強力に交通安全対策推進を図ってまいる所存であります。」と書いてあります。しかも、どういうふうにしてこれを達成するのかといえば、「道路を新たに建設する場合におきましては、交通安全対策基本法の精神にのっとり、交通安全施設等の完備した道路整備することとしております。」こういうふうにうたっておられるのです。したがって、交通安全施設というものに重点を置いて建設されるわけでありましょうが、いまも私が申し上げましたように、なかなか目標が達成できない。しかも、大臣のおっしゃられたとおり、本当に厳しい財政状況であります。どうやって第二次安全施設等整備事業の五カ年計画を達成するか。御存じのとおり、もう本年一年しかないのでございます、今度は第三次に入るわけでございますから。そういうことで、大臣、恐縮でありますが明快な御答弁をお願いしたいと思います。
  16. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は所信表明でそのような考え方を申し述べておるわけでございますが、昭和五十五年度は第二次交通安全五カ年計画最終年度でありますことは御承知のとおりでありまして、特定交通安全施設等整備事業費千四百五十八億円をもちまして、歩道自転車道立体横断施設等整備を進めることといたしておりますし、また道路改築事業におきましても、交通安全を確保する観点から、事業費六千百五十二億円をもちまして、小規模バイパス建設、あるいはまた現道拡幅などを実施することにいたしておるわけでございます。  さらに、交通安全にかかわる施策としまして、道路防災対策事業踏切道立体交差化事業、大規模自転車道整備事業、あるいは自転車駐車場整備事業、また基幹公園及び緑道整備、これらを強力に推進をいたしますと同時に、道路交通に関する情報の収集あるいは提供体制強化、こういうことをあわせまして、ひとつ鋭意推進してまいる、こういう考え方でおるわけでございます。
  17. 野中英二

    野中委員 大変財政上の問題がございまして容易でないと思いますが、ひとつ地球よりも重いという人命のために、総力を挙げて建設省も御努力を願いたいと思うわけであります。  次に、先ほども触れました標識のところへ戻りたいと思っております。  予算でも何でも、計画をつくり、目標をつくり、標識がないと努力できないわけでございますが、実は英国大使館科学担当参事官H・A・J・プレンティスさんと評論家犬養さんでやった「日本道路」という対談があるのでございます。それを見ますと、日本標識というものは見にくい、標識の出し方が悪いんですね、こういうふうに言っておりますし、またプレンティスさんは、「日本道路が走りにくい原因には、もう一つやはりサインの出し方、道路標識が非常におそまつだということがありますね。」こう言っているのです。後ずっと会話が続いているわけでございますが、この道路標識の出し方が大変お粗末だと思っておるわけです。とにかく走っていって、たとえば国道一号線からそれてしまったのか十字路へ行ってわからなくなってしまう場合がある。したがって、道路標識というものが明確に、このラインを走っていけば一号線に間違いないんだということであれば安心してドライバーが運転できるわけです。ところが、ちょっとカーブの近くへ来て標識がぐっと出ている、あわててブレーキを踏む、ドライバーによけいな神経を使わせているわけです。ですから、もうちょっと早くからその標識を出す。しかも、その標識の出し方が左側に出ているというようなことで非常に見にくい場合がある。街路樹があって見づらい。道路の真ん中へ出てくるというのも一案でありましょうし、あるいは道路自体にたとえばカラー舗装してジョイント部分を、この白いカラー舗装の方へ走れば一号線間違いなしというような一つのアイデアもあるわけでございます。ですから、道路標識全体をひとつ考え直していただけないだろうか。これは大変お金のかかることなんですけれども公安委員会道路管理者である建設省、これを考えていただければドライバーの負担もどれだけ軽くなるだろうか。また、本当に道を知らない人たちが旅行される場合にも安心して行けるんじゃないだろうか。もう一度見直していただきたいと思うのですよ。一時より案内板にしても、建設省のものもよくなった、大きくなってきました。よくなってきましたが、まだまだ不十分だと思うので、この辺を道路局長にお願いします。
  18. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘の点は、案内標識の問題であるわけでございます。私ども道路標識全般につきまして考えておりますことは、やはり道路機能を十分発揮いたしまして、運転をなさる方の安全もこれによって図られるわけでございますので、先生指摘の点も含めまして鋭意その整備に最善を尽くしているわけでございますが、整備に当たりましては標識種類、様式、設置場所等を規定いたしました道路標識区画線及び道路標示に関する命令に基づくとともに、具体的な設置に関する基準といたしまして、昭和五十三年に道路標識設置基準を設けまして適正な設置に努めているところでございます。  今後とも道路交通状況等に留意をいたしまして利用者の安全と利便に資するよう道路標識整備推進してまいりたい、こう考えているわけでございますが、やはり先生指摘のようないろいろな点がございます。したがいまして、私ども五十年度から試験的に標識週間というものを設けまして、五十三年度からは全国に及ぼしまして、たとえばただいま先生指摘の、標識種類ごと設置状況がどうであるとか、お話のありました設置場所設置の間隔といったような問題、それから新たにこういう標識を必要とするのではないか、こういったような点につきまして、道路管理を担当する職員道路管理を担当しない職員あるいは道路モニターの方都合三名で一組の班を編成いたしまして、チェックリストに基づいていま申し上げましたような点をチェックして、それで所要の改善に役立てよう、こういうような試みも実はいたしておるわけでございます。こういったことから具体の場での問題を抽出をして改善をする、こういうことに一層努力を払ってまいりたい、かように考えるわけでございます。
  19. 野中英二

    野中委員 次に質問をいたしますことは、一体歩道自転車が通っていいんでしょうか。
  20. 池田速雄

    池田政府委員 公安委員会規制によりまして自転車通行可規制をいたしておりますところは自転車が合法的に通れるということになっております。
  21. 野中英二

    野中委員 そこで御質問申し上げたいのです。  この対談を見ますと、こういうことを言っているんですよ。これは五十三年に都市センターのインタビューで東京に住んでいる六十五歳以上の高齢者のうち百四人が次のように答えたものです。というのは、一番こわいのは自動車じゃないんだと、自転車のこわさを非常に指摘しているわけなんです。してみますと、これは歩道自転車道というものを区別していかない限りにおいては実効が上がらない、こういうふうに私は考えておるわけでございます。この辺を明確に警察庁の方から聞き、建設省もこの自転車道歩道建設のために全力を傾倒されるようにお願いを申し上げたいんです。この区分を早く明確にしていただきたい、こう思います。
  22. 池田速雄

    池田政府委員 互いに相対の関係にあるわけでございますが、自動車自転車ということになりますとやはり自転車保護しなければいけないということで、自転車事故も大変多うございますので、歩道の広い場所あるいは自転車の大変需要の多いような場所につきまして歩道自転車通行可の処分をするわけでございますが、その場合にはできる限り歩道に線を引きまして自転車歩行者が交錯しないようにしているわけでございますけれども、残念ながら物理的に歩道の幅員等狭い場所もございまして、完全に分離できてないというのが実情でございますので、でき得る限りそれぞれの専用帯がつくられることが望ましいというふうに考えております。
  23. 野中英二

    野中委員 建設省答弁は時間がかかりますから、これは要望にしておきますよ。第八次道路整備五カ年計画には、歩行者自転車利用者の安全で快適な通行空間の拡大とりっぱにうたっているんですよ。だから、この空間の拡大を実施してくれなければ、作文だけじゃ困るんですよ。それを要望しておきます。  次の質問は、過般の交通対策特別委員会におきまして、「交通遺児に対する援助の問題で、もう一点、建設省サイドでも計画をお立てになっていらっしゃるそうでございます」が、という草野委員質問に対して建設省は、「関係公益法人でございます道路施設協会が検討いたしております交通遺児就学援助事業について御説明させていただきます。」ということで、新しく公益法人である道路施設協会が交通遺児対策に乗り出したということを御答弁になっているわけでございます。このことについては大変問題点がありますので御質問を申し上げたいと思っております。  私の仄聞しておるところによりますと、これは高速道路上の問題のように聞いておるわけでございます。したがって、この高速道路上における死亡者の遺児に対する修学資金、こういうことで、建設省としては大変知恵をしぼって交通遺児救済のための努力をなされたというふうに私は一応評価するのです。評価しますが、これは大変な問題があるのです。たとえば、東名高速道路がございます。それから首都高三号線。こういうところがジョイントしていますね。あれはやがて東北縦貫自動車道路もジョイントすることになる。あるいはまた常磐高速道路もジョイントするということになる。そうするとジョイントされているところの明確な線というものが一体あるのでしょうか。それはどういうふうに規定されていて、どういうふうに位置づけてあるのでしょうか。
  24. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  いまお話のありました、たとえば東名高速道路と首都高速道路とのジョイント区分がどうなっているか、こういうことでございますが、道路法上は、東名高速道路は高速自動車国道でございまして、その区域はそれなりに定められておる。首都高速道路は、道路法上また別の性格の道路として位置づけられておりまして、その境目につきましては、それぞれ明確に区分をされているということでございます。それぞれの道路の区域は標識でもわかりますが、図面上明確になっておるということでございます。
  25. 野中英二

    野中委員 そこでこういう偶然の事故を想定した場合、たとえばAという車とBという車がこのジョイントのところでぶつかった。片や首都高三号線、片や東名高速道路、こういう場合に、死者がA、B両方から出た。その家族に高等学校へ進学している子供がいる場合、その修学金はどうなるのですか。東名に入っているA車だけですか。三号線の方はだめなのですか。こういう将来問題になるところを明確にして、たとえば東名とのジョイントのところ、あるいは首都高速とのジョイント、そのエリア、三百メートルなら三百メートル、五百メートルなら五百メートル、それはいずれも包含して見るのだ、そういうものをきちんとしておかなければ将来問題が起きるでしょう。そういう考えもなく、どうしてこういうものをまず第一にお認めになったのですか。公益法人施設協会だからとおっしゃられても、ここは前田さんがやっているでしょう。でもこれは監督権があるのでしょうか、ないのですか。ないのなら私は何も申し上げない。
  26. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  道路施設協会は建設大臣の認可法人でございます。しかしながら事業計画等の審査につきましては、日本道路公団が実施をいたすたてまえになっております。
  27. 野中英二

    野中委員 それではもう一度くどいようですが、建設省は間接的にしかないのですが。道路公団は監督するあれはありますね。そうすると施設協会の方は建設省の意向は反映できないのですか。
  28. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  建設省としてももちろん指導をいたすべきは当然でございます。
  29. 野中英二

    野中委員 それでは建設省も指導権があるものと認めて、次の質問に移ります。  きょうは総理府総務長官が来ていないので困ったのです。実は昭和五十五年度の交通遺児貸し付けについての予算要求をしたのでございます。そこで高校生三千八百人について認めていただきたいということを大蔵省に要求したわけでございます。ところが、これは認められないということで否認された。否認されたら突如として施設協会でやってきたのですから、施設協会というのはもうかるところだなと思うのでありますが、同時にまたこれは政府のピンチヒッターかと思ったのであります。いずれにしても、もし間接的にでも指導権があるとするならば、これは政府自体の意思統一がなされていないのではないだろうか。片やこういう予算要求をすればだめでございますと没にして、片や公益法人の方は認めていくというようなことは、一体何を基準にしてこういう予算を立てられているのか、私は思想統一がされているかどうか本当に迷うのです。  そこで、きょうは総務長官がおられませんから、国務大臣としてひとつどちらかが答えてください。とっちですか。——では渡辺国務大臣、お願いいたします。
  30. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 交通遺児の問題というのは、私どもが非常に関心を持たねばならね事業だと思っております。そこで、私がいま全体の問題についていろいろ言う立場はどうかと思いますが、少なくとも交通遺児の援護につきましては、御承知のように、各省におきまして各般の施策が講じられておるわけでございます。今回高校生についての枠の拡大について予算が計上されなかった経緯につきましては、率直に申しまして私はよく承知をいたしておりません。いずれ財政事情等もあったのではないかと思いますが、私どもが今回実施することにいたしました修学援助事業は、お話がございましたように、道路公団が管理をする道路におきまして道路利用者に対するサービスを実施している財団法人の道路施設協会の独自の事業として実施をしよう、こういうものでございまして、いわば地方公共団体等において実施をしておりますいわゆる個別の遺児育成制度というのがございますけれども、これと似たような性格のものだというふうにお考えいただけばいいのではないかと思います。この修学援助事業道路管理者の立場から遺児の育英制度に基本的に取り組むというものではなくて、財団法人の好意的な事業建設大臣の立場から指導していくというふうに考えておりますから、さよう御理解をいただきたいと思いますが、基本的な交通遺児援護施策につきましては、これは政府全体の問題でございますけれども、その推進を図るということは当然でありまして、われわれが今回指導いたしてまいりましたこの一連の措置がその一助になればというふうに私どもは考えておる、これが現状でございます。
  31. 野中英二

    野中委員 率直な国務大臣渡辺先生の御答弁でございますから、これ以上追及をいたしませんが、局長、いま言ったエリアの問題はどういうふうにされるのですか。交通遺児修学援助事業についてというこの道路施設協会からのあれを見ますと、「道路公団が管理する道路において交通事故により死亡された方のお子さんで、」云々ということが書いてあるわけでございますから、これは道路公団が管理する以外には拡大できないのでしょうか。
  32. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 これは今日までのところ私どもいろいろ検討いたしておりまして、実態をよく把握することと、それから今度やります道路施設協会のこの制度が定着をする、それらをよくかんがみて処理をしたいと言っておりましたけれども、いろいろ検討をしてみますと、首都高速道路及び阪神高速道路におきましてもそれぞれ協会を持っておりまして、そこで若干の配慮ができるのではないかというような感触を得ておりますので、なるべくそのようなことを実施するようにしたいと思いまして公団と関係団体でいま協議をしておる、こういう状況でございますから、なるべく前向きに推進をするようにしたい、かように考えております。
  33. 野中英二

    野中委員 ありがとうございました。どうかその辺は運用の面でひとつ寛大な御高配を願いたいというふうに思います。  次に、事務手続の問題でございますが、イロハニホとこうありまして、「所得税非課税証明 税務署長発行」「住民税非課税証明 市町村長発行」「住民税均等割納税証明 市町村長発行」、それから「生活扶助者証明 福祉事務所長(又は町村長)発行」と、こう書いてある。これは大変結構な話なんですよ。結構な話なんですが、ここにまた問題があるのです。  というのは、これは御存じのとおり自賠責がございます。それから任意保険がございます。そこで、高等学校へ進学しているお子さんを持っておられるとするならば、当然その父兄というものはもう四十歳以上であります。四十歳から五十歳にはなっているはずであります。これは推測ですよ。ところが、その人たちがもし自賠責保険がもらえるとするならば、これは二千万円もらえる、しかも任意保険に入っておれば三千万、約五千万からの所得が出てくるわけです。いまそこで打ち合わせしているのはこれは非課税と書いてあるからいいだろう、そんなことはわかっているんですよ。それは所得税法九条においてこういう保険金は非課税とすると書いてあるんですよ。だからおたくの方はこう簡単に書いたのだけれども、私がいま質問しようとするのはそういうことじゃないんです。これはほかとの保険の関係をにらみ合わせていかなければならないんですよ。何のために運輸省がつくった自賠責保険があるのか、あるいは任意保険があるのか。ですから、これの本当の恩恵をこうむるとすれば、それは保険金が入らない自損事故者なんだ。それだけがこの二十万円の恩恵をこうむるにすぎないということなんです。しかも、これだけもらったとしても、これはほかとの大変なアンバランスが出てくるわけです。死ぬんなら高速道路で死ねということに将来なりますよ。それをこの間も私は質問をしておいたのでございますが、この保険金の問題というものも考えなければいけない、労災保険の問題も考えなければいけない、あるいは警察の賞じゅつ金との関係においても考えなければいけないんです、これは社会福祉の一環なんですから。それをおたくの方だけが取り込んできて、ああいいことをした、いいことをしているんだというような、そんな気持ちでこれをやられたら困る。これはほかとの保険の関係、福祉関係、労災関係、それをすべてにらみ合わせてやらなければいかぬと思うんですよ。そういうことで何の検討をして——これは思いつきでやったのですか。賞じゅつ金だって、今度の法律改正でやっと上がってきているんですよ。警察官が命を捨てて公共の安寧秩序を保つためにやっても、片方は自賠責、そして任意保険、これによってやっているとまた上積みだ一それは考え方としては正しいとぼくは思うよ。思うけれども、やはり公平というものも考えていかなければいかぬと思うんですね。お答え願いたい。
  34. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  御指摘いただいている点はよくわかるわけでございまして、私ども今後どう実施をしていくかという段階でいろいろ検討させていただきたいと存じます。
  35. 野中英二

    野中委員 そこで、まことに申しわけないのですが、今度はお願いなんです。  せっかくつくったこういうものを私はやめろとかと言うんじゃなくて、もう既設のものがあるんですよ。たとえば自動車事故対策センターであるとか、あるいは交通遺児育英会とか、こういうものがあるのでございまして、それだけのお考えを持って自動車事故遺児の救済という温かい気持ちがあるならば、ここに私は資金を出していただきたい。いまとにかく運用益の中から修学児童への貸付金だけでも十五億七百万円なんです。これもまだまだ必要としているわけなんです。そういうこともありますので、ひとつ建設大臣お願いをいたしますが、この辺とにらみ合わせて、それは公団がやってくれるのも結構でしょうけれども、現実に既存のこういう機関があるのでございますから、その機関に一本化を図っていただければありがたいんじゃないだろうか、その方が公平を期していけるんじゃないだろうか、そういう気がしてならないのでございますが、ひとつ御高配を願いたいと思います。
  36. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 高速道路で起きます交通事故は、死者比率が非常に多いというので今回とりあえずこのような措置をとろうとしておるわけでございますから、今後この制度がどのように実態として把握できていくかということもあると思いますが、せっかくの御意見でございますから、今後慎重にひとつ検討させていただきたいと思います。
  37. 野中英二

    野中委員 お願いいたします。  保険のことも聞いておこうと思ったが、委員長、これで終わります。
  38. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、井上泉君。
  39. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、幾つか質問を申し上げたいと思いますし、きょうはこの委員会には建設大臣公安委員長も、二大臣がお見えという大サービスですから、ひとつ実りある委員会としての結果を生みたいと思うわけです。  まず最初に、簡単なことであるし、また非常に好感を持って受けられておる問題として、全国の信号機を省エネ対策ということで、警察庁が通達を出して昼間とか夜間、夜間の交通量が減少したときには信号機を点滅する、あるいは電球を百ワットから低電力の七十ワットに取りかえることによって省エネ対策実施された。     〔委員長退席、有島委員長代理着席〕  高知県なんかの場合でも、そういうことをすることによって電力の値上げ分が相殺され、それだけ経費節減になるし、そしてまた、車の流れがよくなるし、交通量がないのにいつも一たん停止をしなければならぬということがなくなるので、エネルギーの消費量も減るし、ドライバーの方も非常に喜んでおり、それによって事故の発生状況も増加したということではなしにむしろ減少の傾向にある、こういうことが地方新聞に出ておりましたので、これは高知県の警察本部の知恵か警察庁の知恵かどっちだろうと思うて、一昨日高知県の警察本部へ行って話を聞くと、これは高知県の警察本部の知恵ではありません、警察庁の知恵です、警察庁の方からそういう指示をいただいてやっておるという話でありまして、そうするとやはり警察庁の方には利口者が多いかという感触を得たわけです。  これの普及状況を聞いてみますと、四国四県を例にとりますと、高知県が七五%で、その他の県では五〇%あるいは四〇%ということでばらばらな状態にあるわけですが、この警察庁の通達に基づく信号機の措置が現在どの程度実行されておるのか。それについての積極的な指導というか、この通達の実施方を強く要請されたらどうかと私は思うわけなので、まずその点を御説明願いたいと思います。
  40. 池田速雄

    池田政府委員 一月現在で全国の信号機は約九万一千基ほどございます。申すまでもございませんけれども、信号機は交差交通から生じます交通事故の防止に大変大きな役割りを果たしておるわけでございますが、同時にその運用に当たりましては、交通状況等に即応した合理的なものにする必要があるだろうと考えておるわけでございます。そういった観点にあわせまして、省エネルギーという観点も加えて、夜間特に交通量が少なくて特別に問題がないという点については、見直しの一環といたしまして、信号機の点滅を採用することも一つの方法であるということで、全国に注意を促したわけでございます。  その結果、それぞれの個所によりまして、これなら交通安全上も問題がないということで検討されました結果、全国で現在約一万七千基、パーセンテージで申しますと一八%程度になろうかと思いますけれども、それらの信号機について点滅運用を実施しておるわけでございます。  ただ、この実施に当たりましては、先ほど来申し上げましたように安全を第一に考えますので、夜間も交通量の多いところ、特に車のみならず、場合によりましては歩行者等も、交通量のあるところについては運用等はやはり慎重にしなければいかぬだろうということで、逐次いま検討されておるところでございます。  なお、省エネルギーという点については、信号灯器について効率を落とさない範囲で何とか合理化できないものかということで、歩行者用の灯器については、百ワットから六十ワット程度に落としましても効率が落ちない、若干の装置を加えますと落ちないということで、切りかえを実施いたしておりますし、現在、全歩行者用灯器の七七%近くがすでに切りかえられておるという実情でございます。  また、車両用の灯器の電球についても百ワットから七十ワットに切りかえて、そのかわり中の装置を若干かえるというやり方によりまして、光度の落ちない電球を開発済みでございますので、逐次これを全国的に使用するようにしてまいりたいということで指導いたしております。
  41. 井上泉

    井上(泉)委員 私は非常にいいと思うのです。電力料金だけでも五十億以上も使われておるのが、今度値上げになりますと八十億近くになるわけでありますから、省エネ対策の面からもそのことは結構なことだと思うわけです。  しかし、大体警察というところは、上の言うことはずっと末端まですぐ浸透するものですが、この通達を見ると、八月に通達を出して、いま四月ももう中旬ですが、そういう状況の中で、高知県でもこういうことを始めたのも私はごく最近ではなかろうかと思うわけです。全国的に見てもこの趣旨はまだまだ徹底していないのではないかと思うわけです。  そういう点についても、せっかくいい通達を出したその通達が、末端では半年たってやっと取り組みが始まるということではなしに、いいと思うことは早く実行させるような指導というか、指示系統が警察だからもっとすっきりしておるものだと思うわけですけれども、これを見ると十分でないと思うので、その点についての警察庁の御見解を承りたいということ。  さらに、昼間点滅なりしていくと、色彩が、太陽の光線に反射して青か赤かの見分けができないという場合もまた一面生じはしないか。そういう点はドライバーにとっても非常に危険だし、省エネによって色彩現示が低く、事故を起こさないようにするためにはドライバーに対してもこのことを周知をさすということが必要ではないかということ、さらにもう一点、最近地方で、高知県で行っておることですけれども、バイクが昼間走行する場合に点灯して走行しておる、そうすると向こうから見ても光っておるからああバイクが来ておるということを歩行者はすぐ確認ができるわけなのでこれもいいことだが、これも高知県の警察本部が考えてやったことかと思うと、これは九州でこういうことがあって非常によかったから、だから高知県もこれを取り入れてやっていると案外よさそうな、こういうふうな見解が表明をされたわけです。大体七〇%程度はバイクの乗用者が電気をつけておる、そういう昼間もライトをつけて走っておる、こういう話ですが、そういうライトをつけてやったらどうなと言っても、実行する七〇%の者は大体交通安全に注意をする人たちだと思う。そういうことを言われてもライトをつけない三〇%の者は大体交通安全というものに対しては不熱心な者ではないかと思う。だからこういうことがいいということであるならばこれを普及させる、もちろん警察庁としてはこれに対する調査結果というようなものも検討されておると思うわけですが、そういう点もあわせて御説明を承りたいと思います。
  42. 池田速雄

    池田政府委員 信号機の点滅運用につきましては、やはり一つ実施がおくれておりますのは交通の実態それから切りかえました場合の影響、そういうものを慎重に見きわめてやっておるということが一つございますが、それからさらにまた機械的な装置をかえる、こういった技術上の問題がございまして時日を要しておるのが実情でございますので、これからも安全を確保しながら合理化という方法で強力に進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、第二の二輪車の昼間点灯の問題でございますけれども、これにつきましては昨年の秋の交通安全運動の期間中に実は熊本県で試験実施始めたわけでございますが、やってみて相当の効果がある、こういう提案ございまして、現在九州の各県あるいは広島、兵庫、京都、和歌山といったような県で試験的に実施しておるというのが実情でございます。こういう問題につきましても実はやはりその場所の、場所といいますか交通の場でのいろんな状況環境というものがそれぞれ地方性もございますし事情が違うといったような事情もございますので、画一的にということにはまだいろいろ検討すべき問題があるんじゃなかろうか、たとえば効果測定をもう少し広い範囲でやったらどうだあるいは車の性能の問題、特にバッテリーの問題等につきまして技術的な問題もあるようでございますのでいま慎重に検討いたしておる段階でございますので、いいということになりますとそれをどういう方法でやるかといったような問題等も含めまして十分検討いたしておるところでございます。
  43. 井上泉

    井上(泉)委員 公安委員長にお尋ねするわけですけれども、こういう交通関係の通達にしても八月に出したのがいまごろやっと実施をし始めたというような状況ですが、大体公安関係とか警備関係の通達ならもうきょう言うたことはあしたは高知で行われるということですが、どうもこういう交通関係になるとルーズでいわばどうでもいい、通達がいつまでに実行されようと通達は一遍出してあるからそれでよかろう、こういうことで、交通安全対策のこういう問題を軽視をするという結果が、通達を出して半年も経過した今日やっとそういうこと。それからバイクの信号の点滅にいたしましても、何カ月も前にそういうことをやっているんだから、毎月統計をとっているんですからすぐわかるわけだから、そういうことに迅速に対応するような交通指導、安全指導というものをさすべきじゃないかと思うのですが、長官の御見解を承りたいと思います。
  44. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 仰せのように警察の場合は末端までの浸透が早うございます。ぱしっと行く組織体でございます。ただ問題は、やはり交通関係というのは人命に関するものでございますので、なかなかその点が警察としては基本はやはり人命の尊重ということでやらざるを得ないので大変憶病でございます。その点はひとつ御理解を願いたいと思うのです。したがって、御質疑のような点については通達が流れれば各県としては、信号の点滅であればこの場所一体どうであろうか、あの場所がどうであろうかといったようないわば一種の試験実施、そういうようなこともやって効果を十分見ながらそれぞれの県でやっていく、こういう性格の仕事でございまするので、去年の八月のが所によれば五〇%、場合によれば七〇%というようなでこぼこができておるんじゃなかろうか、こう思います。したがって、これは仕事の性質の問題ではなかろうかな、大変警察がこういう問題憶病なんだということも御理解をしていただきたい。  なお、省エネの問題は、実は私はいま聞いておって八月からやっているとは知らなかったのですけれども、私はことしの一月だと理解しているんですけれども、一月に閣議決定がございまして、省エネのための対策をそれぞれの官庁でできるものからやれ、こういうことで、警察は交通管制センターの整備の問題、それから系統化、感応化の問題、同時にまた使用電球を性能を落とさないような形で内部の一種の装置を取りかえることによって省エネの対策をやっていこう、こういうようなことで実は一月から本格的に実施しているものと私自身はさように理解をいたしております。
  45. 井上泉

    井上(泉)委員 次に私は、最近道路工事をするときに安全対策というものが本当にとられて道路工事がなされておるかどうか。これは建設省の方もよく安全対策のことは指導されるわけですけれども、実際たとえば赤坂の宿舎からすぐおりていったところに交番がありますが、交番のところからずっと坂を上がる方向に道路工事をしておるわけで、いまどうなっておるか知りませんけれども、この間も私帰るときにこれはどこを通ったらいいのか、とにかく歩道には物をいっぱい置いてある、それからあちこちに看板はそのまま置いてある。そうするとどうしても歩道は通れないから、今度は車道へ出ないといかぬ。車道に出るとあそこは御承知のように車がいっぱい通るわけですから、そうすると車道を歩いておって車にはねられたという場合には歩行者が責任の一半を背負わにゃいかぬ、こういうことになるが、こういう安全対策歩道設置工事をされておる、このことはいいんですけれども、それを施工するに当たってやはり歩行者歩道としての安全を確保するために、たとえば車道の方に暫定的な歩道設置するとか歩道待避所のようなものをつくるとか、何かそういうようなものをされたらどうか、こう思うわけですけれども、どうも工事中の道路というものが余り道路法とかあるいは道交法等の制限を受けるそういう規定に沿うたやり方でないのが多いようなので、こういう点についてもやはり国家公安委員長建設大臣、両相それぞれ考えてもらわなければならぬことですが、きょうは建設大臣がお見えになっておるので、特に工事関係のそういう安全対策というものについて建設省はどういう指導をされておるのか、大臣の御見解を承りたいと思います。
  46. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お話しのような問題は非常に留意をしなければならぬ問題だと思っております。実は道路工事におきます災害の防止ということにつきましては、「市街地土木工事公衆災害防止対策要綱」、これらによりまして、歩行者歩行できる幅の確保あるいは標識、安全さく、保安灯、これらの設置、あるいは工事の施行時間等につきましてなるべく障害の起きない時間を選択するというような配慮をする指導を行っておるわけでございます。お話しのような事案は、たまたま私ども耳にするわけですけれども、今後とも工事の施工者に対しましては、歩行者の安全確保が徹底するということを考えまして十分指導してまいるようにしたい、こう考えております。  具体的なことにつきましては、必要でありますれば局長から説明をさせたい、こういうふうに思います。
  47. 井上泉

    井上(泉)委員 ここの個所はこうだというようなことについて申し上げるにしては余りにも個所が多いのでそういうことは申し上げませんけれども、たとえば赤坂でやっておる工事等についても、歩行者が通るべき歩道を工事しておれば必然的に歩行者が通れるところをつくるのが常識だと思うわけです。そういうものがないところに対しては、隣に交番もあるんですから、やはり警察庁の方もそういうことについては注意を発する、建設省がやることだからというのじゃなしに注意をするとかいうような考え方を持って交通安全の対策を進めてもらいたいと思うのですが、委員長、どうですか。
  48. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御指摘のような例も間々あると思います。それだけにそういう点については建設省の方とも一層連絡を密にして十分な処置をとりたい、こう思います。  ただ、率直に言いますと、井上さん、一升びんのところへあふれ出るほどのいまの交通量というところに基本があると私は思いますね。大変むずかしい。したがって最近は、御指摘のような点もあると思いますけれども道路工事等も非常に注意してやっていただいているように私は思います。たとえば余りに交通が頻繁なところであれば夜間の工事に切りかえるとかいろいろやっていますが、今度は夜間に切りかえた付近が安眠妨害と言ってやかましいといったようなことで、大変御苦労の多い仕事をなさっておると私は思います。しかしそれなりに、通行人の安全確保が何よりも重要でございますので、御指摘のような点についてはこの上ともに十分注意してまいりたい、かように思います。
  49. 井上泉

    井上(泉)委員 次の問題に移るわけですが、大臣所信で、道交法の施行後一カ年間の運用状況を発表し、最近交通事故の死亡者が非常に減少してきたということを言われておるわけですけれども、ところが事故発生件数とか負傷者数は逆にこの二、三年はずっとふえてきておるわけです。これを減少さすためには道交法の運用を厳正にやって、そうして交通事故防止に努力をせねばならぬと思うわけです。そういう事態というものは、死亡事故が減っておるということはつまり交通事故安全対策が進んできた、こういう理解をしておるといつまでたっても交通事故の総体的な減少にはならぬと思うのですが、その点について国家公安委員長としての所信を私はこの際承っておきたいと思います。
  50. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 交通事故死の数が半分強程度までこの十年間に減っておるわけでございまして、これはそれなりの努力を警察もし、また何よりも国民皆さん方理解協力の結果である、こう私は思っております。しかし中身を見てみますと、これでいいというわけにはまいりません。ことに先ほど言いましたように、子供さんであるとか老人であるとか、立場の弱い方の被害がふえておる、同時にまた負傷者等も相変わらず総数六十万人という大変な数でございますので、一層ともに事故の防止と、もう一つは、交通の秩序の確立といいますか流れをスムーズにするといった道交法の第一条に決められておる基本の線に従って警察は警察なりに努力をし、同時にまた総合対策でなければなりませんので、各方面との連絡も十分にいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  51. 井上泉

    井上(泉)委員 私は何回となくこの委員会で無車検の車が走っておるということについて指摘をしたところでありますけれども、逆に増加をしておる。無車検の車が走るということがいかに危険な交通事故につながるかはもうはっきりしておるわけです。それなのに無検査の車が依然としてふえておる、こういう実態について運輸省は余りにも無感覚ではないか、こう思うわけですが、どういうふうにこういう無検査車の横行を整理をしようとされておるのですか、いつまでたっても整理されぬが。
  52. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 車検切れでございますけれども、私どもは従来から警察御当局と協力いたしまして街頭検査等を行いまして、その結果、無車検車の排除に努めておるわけでございます。それ以前にはステッカーというものを発行いたしまして、このステッカーで外部からこの車は車検があるかないかということを一目瞭然にする、そして本人の意識を高めて無車検の車を運転させないということを道路運送車両法を改正いたしましてやっておるわけでございます。しかしながら、ただいま先生指摘のように無車検の車が運行するという実態はなかなか変わらないわけでございます。それで、そうした対症的な方法だけじゃなくて、もっと根本的と申しますか、私ども対策といたしまして五十二年度から、もうすでに車検は切れているけれども登録をされておるという車があるわけでございまして、とりあえず三年以上期間が切れているというような車のリストを全部洗い出しまして、こういう車は恐らく自動車税その他の税金も払っていないであろうという想定のもとに県税当局にも協力をしていただきまして、これらの車の排除に努めておるわけでございます。  実績を申し上げますと、五十二年度には全国で二十二万三千八百四十四両という車を調査いたしまして、そのうちでもうすでに使ってないということで、しかも実体がない、わからないというようなもの一万三千四百十五件につきまして職権抹消をいたしております。それから五十三年度は二十二万三千十二両につきまして調査いたしまして、同じく九千六百七両の職権抹消をいたしておるわけでございます。  ただいま申し上げましたように、現在のところは車検期間が三年以上切れているというものについてやっておりますけれども、この調査が一応一段落いたしますと、さらに、車検期間の切れている期間の短いものにつきましても調査してそれぞれの処置をしたい、そのように考えておるわけでございます。したがいまして、そういう段階になりますと相当の無車検車というものが排除される、そのように考えておる次第でございます。
  53. 井上泉

    井上(泉)委員 車検が三年も切れているものをいまやっておるということですが、車検が三年切れておっても車に乗ることは構わないのですか。一年切れておっても三年切れておっても……。
  54. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 道路運送車両法によりまして、車検が切れておりますと運行はできないということになっております。それではなぜそういう車があるかと申しますと、たとえば中古車の置き場にある、すでに検査が切れているというような車が相当数あるわけでございまして、車検が切れたら必ず登録を取り消さなければならないという規則には現在なっておりません。したがいまして、県税当局でもそういう車については当然把握をされておるわけでございまして、私ども、そういう車の排除につきまして、県税の台帳とも照らし合わせて、私どものファイルと申しますか、いま電算化しておりますので、そういう記録を照らし合わせてやっておるということでございまして、三年過ぎたものが運行しておるという意味ではございません。
  55. 井上泉

    井上(泉)委員 無車検の車が運行されておるということはお認めになっておる。報告されたとおりです。無車検車を運行する運転者というものは、運転者としての資格に欠けておるということで、これと運転免許との関係は、警察庁はどういうふうにやっておられるのでしょう。
  56. 池田速雄

    池田政府委員 昨年一年間を例にとりましても、無車検車運行で検挙いたしました件数は二千五百五十四件でございますけれども、五十三年に改正していただきました道路交通法の施行に伴いまして、こういった運転者につきましては社会的な責任を明確にするために、道交法上の行政処分ができるという対象に加えていただいておりまして、無車検で六点の点数をつけられております。したがいまして、停止の処分をいたしておるところでございます。
  57. 井上泉

    井上(泉)委員 無車検の車を運行されておる場合、それが判明したときには警察庁は運転免許に対する行政上の処分を行っているのですが、車両の管理はユーザーがもっときちっと責任を持たなければならぬし、ユーザーの自主的な対応を待っているから、いつもこういうことが繰り返されなければならない。私は、そういう点からも運輸省が無車検の運行に対してもっと厳正な態度で臨むようなことをしなければ、いつまでたっても無車検の車が横行することがやまないと思うのです。これはいつも言われておることですけれども、もっと徹底したこれの禁止の措置はとれないものか。無車検の車を運行するのはしようがないのですか。
  58. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 先ほど申し上げましたように、車検が切れた場合におきましても登録を取り消すということにはなっておらないわけでございます。したがいまして、私どもは車検が切れたということがわかりましても、その方が将来また車をお使いになるという意思表示をされた場合には、これを職権で抹消するわけにはまいらない、こういうことでございます。  しからば運輸省としては手だてがないではないか、こういうお話になろうかと思いますけれども道路運送車両法では検査を受けないで、有効な検査証の交付を受けないで運行した場合の罰則というものは別に定めておりまして、この罰則によりますと、六カ月以下の懲役または一万円以下の罰金、そういうことになっておるわけでございます。
  59. 井上泉

    井上(泉)委員 道路交通法警察庁の所管でやられておるわけですが、車検の責任者は運輸省でしょう。そうすれば、いろいろ法律に不備な点がある、これは現行法ではしようがない。しょうがないと言ったら、やはり法律を改めるとかいうようなことをして、登録を取り消すとか登録を抹消するとかというように、法律を変えてでも社会的な悪の行為に対しては厳正に対処すべきではないでしょうか。無車検の車に乗っておって、たまたま警察に見つかって警察官に検挙されて、そこで処分を受けるということは、警察が当然やることだから、現在やっておる。しかしそういう無車検の車の状態が何千台ではなしにもう何万台もあるということ、ちょっと街頭検査しただけでも三千件を超すたくさんの車が出てくるわけですが、ひとつ警察庁あたりに協力を願って、一斉に街頭を走っておる車の車検なんかの調査を、抜き打ち検査とかいうようなこともやられるとか、あるいはまた、現行法では無車検のものを徹底的に取り締まることができないというなら、現行法を改正するとか、そういうふうなことができないでしょうか。
  60. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども自身といたしましても、街頭におきまして警察御当局の御協力を得まして取り締まりはやっておるわけでございます。しかし何分にも一人手の問題等もきざいまして、なかなか徹底しないというのが実態でございます。  ちなみに、五十四年度の春、秋の交通安全運動期間、あるいは年末の輸送安全の総点検期間中に、私ども取り締まりといいますか、街頭で指導を行いました件数が約四万件ばかりございます。そのうちで二百十三件が無車検であったという結果が出ておるわけでございます。したがいまして、私どもとしても全然手をこまねいているわけではございませんけれども先ほどから御説明をいたしますように、自動車の登録制度と検査の制度がちょっと変わっております。といいますのは、使うか使わないかというのはあくまでも使用者の御意思であり、登録というのはその車の所有権を公証する、こういうことになっておりますので、その方が財産としてお持ちになるということについては、いまの法律ではできないわけでございます。  法律を改正してやれ、こういうお話でございます。そうしますと、要するにある一定期間、たとえば先ほどの中古車のように商品として置いておくという場合に、それがいかぬということには、ちょっといまの法律のたてまえから申し上げましてできないわけでございます。したがいまして、私どもとしては、それではどういう方法をとるかということでございますけれども、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、ステッカーというものをつけて一目瞭然にしておるわけでございますけれども、こういうものをさらに今後改善をして、実際に無車検の車が運行をしにくくする、できなくする、そういう方法で検討してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  61. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたの話を聞いておると、全くお先に期待が持てない、お先真っ暗とまでいかなくとも、将来期待が持てないようなことですが、車を所有しておる者と車を使用する者との違いがあるからこれはできない。車を所有しておるということと車を運行さすということは別だから、だから車を運行しなければ車検が必要ないから置いてあるというならば、しかし、その車は使用するがために、いわゆる陳列品つまり飾りに置いておるわけじゃないですからね。商品として置いてあるから、商品として置いてある以上はやはり車検というものがそことくっついていなければいかぬし、くっついていなければ、それを何か義務づけるようなことはあなたらの知恵でできないはずはないですよ。私が役人だったらそんなことを考えますよ。やはり行政者としては国民のそういう声にこたえて、どうやったら一番無車検車を排除することができるか、そういうことを考えなければいかぬ。警察庁の方が省エネの関係も含めて点滅をしたらどうだ——絶えず行政のやっておることが金科玉条のようにそれをずっとやっているのではなしに、やはり改善をしていって、無車検の車なんというようなものは日本道路の上は走らさぬ、走っていない、こういうふうにやることが、これは運輸省の出先はそれぞれ各県にもあるわけですから、陸運事務所もあるわけですから、そういうところをかなり動員をしてやってもある程度の成果は上がると思うわけです。これは、大体無車検の車をたとえば昭和五十五年度じゅうにどれだけ整理ができるという一つ目標でもお立てになったらどうですか、予算をつくると同じように。無車検の車は今年はこれだけに減らすよ。そういうような目標をお考えになるお気持ちはありませんか。
  62. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども把握できますのは、先ほど申し上げましたように、私どもの登録ファイルに入っております車両約三千七百万台ございますけれども、この三千七百万台が、どの車が検査がいつの時点で切れているかということは把握できるわけでございます。ただ、町の中を走ります車とその車とは部分的にしか一致しないわけでございまして、その中のごく一部の車が市へ出る、こういうことでございます。したがいまして、何年度に無車検の車を何%にするという目標は、そういう実態から申し上げまして、目標としては立てにくいわけでございます。  ただ、先ほど来申しているように、実際に町へ出にくい措置というものは当然あるわけでございます。先生からもう少し頭を働かせろという御指摘がございましたけれども、私どもそういう方途につきまして、従来からもやってきておりますけれども、今後さらに検討をさしていただきたい、そのように考えております。
  63. 井上泉

    井上(泉)委員 私もまた機会を見てもっとこの問題について御質問申し上げたいと思います。  次は保険の関係ですが、これも無保険の車がたくさんおるわけです。特に交通事故を擬装して生命保険、損害保険を詐欺する事件というものは後を絶たないだけではなしに、もっと金額が大きくなって殺人まで計画的にやられるようなほど、保険金の詐欺事件というものが続発をしておるわけですが、五十四年度じゅうに交通事故を擬装して生命保険とか損害保険、こういうふうな保険金の詐欺事件というものは何件くらいあって、金額にしてはどれくらいになるか、その辺ひとつ御説明願いたいと思います。
  64. 池田速雄

    池田政府委員 昭和五十四年につきましては、まだ実は集計できておりませんけれども、五十三年の数字で申し上げますと、交通事故にかかわります保険金詐欺事件の検挙の件数が千二百二件、検挙人員は八百五十六人でございます。なお被害額は、未遂を含みますけれども約十億六千万円、こういう数字になっております。五十四年につきましては、個々の特異な事例につきましては、その都度報告を受けておりますけれども、その件数等から考えますと、五十四年中は五十三年よりもさらに件数、金額も上回っているんじゃなかろうかというふうに考えますし、さらに御指摘のような殺人事件まで絡んでおるような事件も発生しておる状態でございます。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 交通事故を装って保険金を詐取する、こういう悪質な事件というものが五十三年よりも五十四年は確かに増加をしておる、こういう警察庁の御答弁ですが、私は保険金詐欺の不正の防止対策について、監督官庁の運輸省、大蔵省、農林水産省に、それぞれ業界と連絡をとって事故防止に全力を尽くせということを言ったときに、それは尽くします。こういう答弁をいただいておるわけです。しかし、毎年減るどころじゃない、ふえておるわけですが、業界に具体的にどのように指導しておられるのか。さらにはまた、損害保険業界とあるいは農協共済との相互間においても、情報交換というようなものも積極的にやる必要があると感ずるわけでありますので、保険のことについては大蔵省の方で、それぞれの所管の省から御答弁を願うと時間をとりますので、監督官庁の一番の元締めの大蔵省から、ひとつ保険金の詐欺防止の対策について承りたいと思います。
  66. 松尾直良

    ○松尾政府委員 御指摘の不正事故防止のための指導でございますが、昨年来こういった問題が保険制度の根幹を揺るがす大きな問題であるという認識のもとに、関係業界あるいは警察御当局とも連絡をとりながら、いろいろな措置を講じてまいりました。  まず自賠責の関係でございますが、自賠責保険は、公的な性格という点から見ましても、不正事件の防止は特に重要でございますので、具体的な査定等に当たっておりますものとして自動車保険料率算定会、これの全国調査事務所が具体的な査定を行っておりますので、まず調査事務所の体制といたしまして、たとえば特定の職員が特定の地域を持つとか特定の大口契約者と常にタイになっておるというような結びつきがとかく不正事故を生む温床になりがちな面もございますので、そういった人員配置の関係での適正化、さらには事故証明書をコピーで提出をされるというような場合には、必ず原本の所在の確認を行うとか、さらに加害者の請求の場合には、被害者に対しまして支払い前における示談の有無の確認をするとか、支払い後における示談金額、領収の有無の確認を行う、こういった指導を行ってまいりまして、各調査事務所の運営の健全化を図ってきておるところでおりますし、また、自動車保険料率算定会の本部に監査室というのがございます。これによります自主監査というのを強化してまいっておるわけでございます。  それから任意の自動車保険、民間の損害保険業界の関係におきましては、五十三年十一月の制度改定の際に、保険約款上被保険者の事故が発生した場合には、直ちにそれを保険会社に通知しなければならない、また保険契約者が保険金の支払いを請求する場合、従来は人身事故あるいは一部の物損事故についてだけ事故証明書の添付が要求されておったのでありますが、人身事故、車対車の事故、接触による物の損壊を伴う事故につきましても必ず事故証明書を提出しなければならぬ、こういうことに改めたわけであります。また、修理をする場合には、修理に着工する前に保険会社の承認を得なければならない、そういった措置をとってまいりました。これはいわば保険金支払い段階におきます適正化でございますが、もう一つ重要なのは、入り口と申しますか保険契約の段階におきまして悪質者というものを何とか排除できないかということでございまして、この点につきましては、情報交換制度というものを損害保険業界あるいは生命保険業界におきまして逐次発足をいたしております。さらに、いろいろな情報を集めるという意味におきまして、地元の警察との連絡を密にするということで業界と警察との連絡協議会を設置するというようなことで情報交換等を行っておるわけでございます。それから、先生指摘になりました関係業界全体を通ずる情報交換ということが望ましいわけでございますので、終局的にはそういった生損保さらには各種の共済一体としました情報交換制度をつくり上げていくことが必要ではないだろうか。ただ、この経費その他の問題がございますので、とりあえずできるところからこういった情報交換制度を発足しておるところでございまして、今後とも入り口並びに保険金支払い段階におきます適正化ということについて、私ども十分指導してまいりたいと考えております。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう指導をされてはおられますけれども、年々この保険金詐欺というものがふえておるわけです。そこは指導を受ける側の体制も不備であるし、さらには、情報交換というようなものもむしろ積極的に損保業界あるいは農協共済、これらがやるというようなことにならなければだめだ、こう私は思うわけです。保険金の詐欺事件は、交通事故ばかりではなしに、住宅ローンにしてもあるいはその保証保険あるいは火災保険、これで数百億に上っておるわけなので、こういう不正事故を防止するために少々経費が要っても、今日の保険金詐取の金額から見れば微々たるものであるわけです。最近新聞紙上もにぎわしております住宅ローンの詐欺事件等につきましては、また所管の建設委員会で私は建設大臣にこれに対する処置等について質問をすることにいたしたいと思うわけですが、こういうことは、要するに保険金のもとというものはやはり被保険者が出しておるわけですから、こういう大切な財源が詐欺によって食われておるわけです。詐欺によって食われないようにするために、やはりこれは私は業者任せではいけないと思う。そこで、大蔵省、農林水産省がこれに対する対策にいま一歩強く踏み込むべき必要がありはしないか、こう思うわけなので、その点について、再度大蔵省と農林水産省の担当者、そして特に農林水産省の方には、損保業界と農協共済との情報交換についてはどういう考え方を持っておられるのか、あわせて承りたいと思います。     〔有島委員長代理退席、委員長着席〕
  68. 松尾直良

    ○松尾政府委員 まだまだ事故がふえてきて指導が十分ではないのではないかという御指摘でございます。自動車事故以外にもいろいろな保険金事故が次々あるではないかという御指摘でございます。それぞれの点につきまして、先生指摘のとおり、これは保険会社自体といたしましても経営の基盤に響く問題でございますし、そういうことを防止するためにコストをかけるということをきらっておるということでは決してございませんで、情報交換制度にすでにコストをかけるというようなことを始めておるわけでございます。歩みが遅々として遅いというおしかりもあろうかと思うのでありますが、こういう事故をできるだけ根絶をするということで私どももより強力に指導してまいりたいと考えております。
  69. 三井嗣郎

    ○三井説明員 ただいま先生からお尋ねのございましたとおり、保険金の不正支払いを防止するということは、保険会社同様農協系統の共済につきましても非常に重要なことと考えているところでございまして、これまでにもいろいろそういうことのいわば不正防止ということになりますように契約の引き受けにつきまして諸般の注意をする。たとえば高額契約につきまして諸般の注意を払う、あるいは俗に飛び込みと申します窓口契約などにつきまして慎重な配慮をするなどの件につきまして指導もいたしてまいったところでございますが、最近農協関係につきましては、相互扶助の組織であるということで、組合員主体の関係もございまして、比較的件数としては大きくはございませんが、しかしまだまだ発生している状況にございますので、ただいま先生の御指摘もございましたとおり、情報交換の問題につきましては特に積極的に行う必要があろうかと考えております。この点につきましては保険業界の方の御理解も得ることが必要でございまして、これまでにも一部手についてまいってきているところでございますが、まだ全面的な情報交換を十分やるというところにまでは達していないところでございまして、今後関係の省庁の御協力も得ながら私どももそのことについて一層努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  70. 井上泉

    井上(泉)委員 この保険金の詐欺というのは、十億、二十億でなしに、いろいろなものを含めますと私は膨大な金額になるのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、この膨大な金額を、特に住宅ローンというようなあれでも何十億も詐取をしてやっておるというようなことを報道として聞くわけですが、ひとつ、保険会社の各社別と言ってもそれは大変だと思うわけですけれども、上位十社ぐらいで被害状況事故別に分けて資料として大蔵省所管の保険会社、損保会社からそういうものを出していただく。それから農協共済もやはり保険金詐欺による事故というのがどれくらいあるのか、これはわかっておるだけ、ここ数年来のものを資料として提供していただきたい、このことの申し入れをいたしたいと思いますが、その資料は出せるでしょうか、大蔵省。
  71. 松尾直良

    ○松尾政府委員 事故別というのがどの程度細かくとれるかという点、ただいまちょっと自信がございませんが、できるだけ御趣旨に沿った資料を用意するという方向で御協力いたしたいと思います。
  72. 三井嗣郎

    ○三井説明員 ただいまお求めのございました資料につきましては、全共連が把握している限りのものをできるだけ御提出いたすようにいたしたいと思っております。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 時間が参りましたので、私、もう一点、自動車保険による事故救済、負傷事故等に対する医療費の問題について、これはこの前も言ったのですけれども、医療費が百二十万円の傷害保険金では足らなくて、それができない場合には、今度は社会保険なりあるいは国民保険で後の治療費を出す。だから、そのことは国民保険の財政にも非常なしわ寄せを与えておるし、そして健保にも非常なしわ寄せを与えておるわけなので、そしてまたその治療の実態というのも、前からも言ったのですが、運輸省の関係の自賠による医療費とそして労災による医療費あるいは一般の社会保険による医療費、これが非常に段差、格差がある。そういう中で、自動車損害保険による負傷に対する保険金というものが非常に低額なために、各種保険にしわ寄せがいっておるという事実というのは、これは損害保険業界を監督しておる大蔵省としては認識をされておると思うわけですが、やはりひとつ保険金の見直しというものをなすべきではないか、そして自動車事故で起こったものはやはり自動車保険で始末をするような制度を確立すべきじゃないか、こういうふうに思うわけなので、その点を保険部長から承りまして、私はきょうの質問を終わりたいと思います。
  74. 松尾直良

    ○松尾政府委員 先月の当委員会において先生から御指摘がございましたときにお答え申し上げましたとおり、これは運輸省、厚生省とも絡んでおる問題でございますし、かねて先生指摘の医療費の問題について三省協議会でいろいろ検討を進めてきたところでございますし、傷害保険の限度額あるいは他の保険との関連をどう考えるかという点は前回もお答え申しましたとおり、御指摘の点を踏まえて今後十分勉強してまいりたいということでございます。
  75. 井上泉

    井上(泉)委員 どうもありがとうございました。
  76. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、沢田広君。
  77. 沢田広

    ○沢田委員 引き続いてどうも大変御苦労さまであります。休憩時間も与えないようで申しわけないのでありますが、ひとつ暫時お許しをいただきたいと思います。  まず、公安委員長にお伺いいたしますが、今年度に入りまして公安委員会を開催されたのかされなかったのか。あるいはあなたが御就任になられて公安委員会はどのぐらい開催をされたか、その開催された場合における主要な眼目となった事項は何であったのか、お聞かせいただければ幸いだと思います。
  78. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 公安委員会は、定例日が木曜日でございます。したがって毎週開いておりますが、臨時、重要な事案の場合には、たとえばどこそこで大きな事故があったとか、あるいは大事件が発生をしたといったようなときには臨時の会議を開く、かようなやり方をやっております。−ただ、私は残念ながら就任以来公安委員会に出席をしましたのは恐らく四、五回だと思います。これは決して怠けているのではございません。その間じゅう国会に出ておりますので、国会が優先ということのお許しを得ておる。したがって、その後は全部経過を官房の方から詳しく報告を聞く、かようなことでございます。  何を議論をしたかといいますと、毎週毎週の警察の各部局に関係しておる重要事項はほとんどすべて各局長から公安委員会へ報告をして、そしてそれに対して各委員から御指示——もちろん御指示といいましても、公安委員会というのは個々の事件についての指示権はございません。全体の管理だけ、つまり基本の方針だけを示すということでございますので、そういうお立場は各委員さん十分御承知の上で、それはこのような方針がいいんじゃありませんかといったような御指示をその都度いただいておる、かような次第でございます。
  79. 沢田広

    ○沢田委員 公安委員長にお伺いをいたしますが、公安委員長は富山県におられ神奈川県におられ、あるいはまた警察関係はベテランでずっとおられ、特に官房副長官等も歴任をされたのであります。各府県におられて警察官の非常にアンバランスの問題にはお気づきになられなかったかどうか。これは私の年来の主張なんでありますが、非常に根拠がないと考えるわけです。もし根拠があれば、どういう県はどういう点数で何人になったのだ、そういう算式、算出根拠があるならばそれを示していただきたいし、何だか上積み上積みで、適当に増員になったときだけその分を継ぎ足ししているという形で、抜本的な一つの基本方針というものはできてないのじゃないか。また、あなたが自治省の税務局長時分から警察庁の官房長が三十七年ですから、当時の時代の自動車交通状況と今日の状況とは違う。また刑事警察においても違う、警備警察においても違う。そういう要素を考えた場合に、その配分というものは新たな立場で考えるべきではないのかというふうに思いますけれども、そのアンバランスの問題と配分についてどうお考えになっておられるか、お伺いいたします。
  80. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問の中にございますほどいいかげんなものではございません。ただしかし、同時にまた御質疑の中にあるように、緻密なそろばんをはじくとでもいいますか、言葉は悪うございますが、そういうふうなことできちっとしておるとは私も考えておりません。ただ、各都道府県の警察官の数を決める際には、一つは人口、面積それから地形、犯罪の発生状況、それと交通事故状況、こういったような各般の状況を考慮しながら各県の警察の定数は決める、こういうことになっておるのですが、こういうものは御承知のように何といいましても過去の実績といいますか沿革といいますか、それがあるわけでございます。それだけに、いまおっしゃったようなきちんと数字的に正確にはじくことがなかなかできない面があるわけでございます。どうしても根っこというものがあるのだ、その上に上積みをしていっているというのが実態でございます。  ただ、この増員を配分する場合に一番厄介なのは、いま過密、過疎の現象が非常に激しいわけです。したがって、過去の基礎の上に積み重ねていく場合に、一例を言いますと、一番数の多いのは外勤警察官なんですね。ところが過疎になったからといって、それでは駐在所なり派出所なりを減らすことができるかというと、これ、減らすことができないわけなんです。ところがどんどん人口が集まってくる、そこへそれじゃ必要な分だけを積み重ねていくことができるかというと、これまたなかなかそれだけの増員が認められないといったようなことになる。これは県と県の間にその実情がございますと同時に、同じ過疎の県の中においても県庁所在地その他の集中する町があるわけですね。そこらについてもまた、やはり県庁所在地と郡部との間にそういうアンバランスができるといったようなことで、なかなかおっしゃるような意味合いで、正確に私はこのようにやっているので間違いありませんというお答えはできない、それをお答えすればうそになるというふうに考えますが、実情はできる限り、先ほど言いましたような実態に合わせながら、警察官が足りませんから、毎年毎年の努力の積み重ねでアンバランスの是正に努めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  81. 沢田広

    ○沢田委員 なかなか算出はむずかしいというのですが、今後の課題として、やはりそれぞれの都道府県が、自分の県民の数、犯罪件数あるいは交通事故件数、それに見合った警察官であるという納得をさせるということは必要だと思うのですね。少なくともいままでの状況で納得するという条件はないですね。ですから、行財政の整備なり改革ということも一つの大きな柱になっておりますが、そういう意味において、あるべき姿をつくる、そして、それと実数との差をいま直ちに埋めろとは私は言いません。しかし、五十四年度なら五十四年度の実績からいけば、こういう姿の人数があなたの県のスタイルですよ、それに向かって努力してもらう。あなたの県はこれだけ少ないです、これは将来に向かって増員をするように努力します、やはりそういう一つの納得をさせる線を与えてやるということはできないでしょうか。
  82. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 沢田さんおっしゃるようなことは大変重要なことだと思います。それで、一遍検討さしてみたいと思います。  ただ、いま警察が全国の警察官の数を増員要求している基本は、大体一人当たりの負担率、五百人に一人という計算をいたしておるのでございます。ただ、私は先日も長官に、おまえさん、五百人に一人もええけれども、五百五十人にしないか、これだけ人口がどんどんふえておりますし、五百人ということになると大変な数になるので、とても財政上むずかしい、したがって、五百五十人ぐらいでがまんができないのか、検討してもらいたい、同時に、いま例の週休二日の問題が出てきておりますから、これとの関連の問題もあるし、それらを含めていま一度検討をし直してみてくれないかと、こう話をしてございますので、いま沢田さん御説のような点も踏まえて、よく警察の事務当局で計算をしてもらおう、かように考えます。
  83. 沢田広

    ○沢田委員 次に、建設大臣おいでになっておりますが、道路建設省がやる、交通になると警察がやる、その車両は運輸省がやる、その車両をつくるのは通産省がやる。この道路と警察、運輸省、同時に通産省、こういうあり方が、日本交通体系を議論をする場合に適当な体制だと思われておりますか。
  84. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 日本の現在やっております行政の組織については、縦割りということでいろいろ御批判もある場合もございますけれども、また一面、それぞれの所管の責任について関係者は全力を挙げておりまして、それなりに私は成果が上がっておるものと思いますが、そのような関連いたしました行政については、十分連絡を密にいたしまして調整を図りながら全体としての成果を上げなければなりませんので、それは少なくとも関係各省、大臣を初め関係者がそのような意識を持つて当たらなければならぬと思います。そういう意味で、いろいろ検討すべき問題はあると思いますけれども、現在、端的にこの制度は悪いと言いましても、それじゃそれにかわるべき制度はどういうことかということでありまして、私ども、それらの問題につきましては、この際簡単な結論を出すことは困難ではないか、私はこう思っておりますが、いずれにしても、十分連絡調整を図って目的を達成しなければならぬのではないか、かように考えております。
  85. 沢田広

    ○沢田委員 建設大臣にお伺いするのははなはだ失礼な質問なんですが、国道とは何ぞや、都道府県道とは何ぞや、それから市町村道とは何ぞや、ちょっと解釈を明らかにしていただきたいと思います。
  86. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  道路法で道路種類ごとに規定をいたしておりますが、いま御質問のございました一般国道でございますが、一般国道は、高速自動車国道とあわせて全国的な幹線道路網を構成するものでありまして、法律で幾つかの条件が示されておりまして、現実には政令でその路線を指定したもの、こういうことになっております。  次に、都道府県道でございますが、地方的な幹線道路網を構成する、こういうことになっておりまして、法定条件が定められておりまして、都道府県知事が路線を認定したものということになっております。  市町村道につきましては、市町村の区域内に存する道路で、市町村長がその路線を指定したもの、こういうことになっております。
  87. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、隣の町内に行くのは国道ではないということにはなりますね。隣の町に行くのに国道を通過をするということは本来の姿ではない、こういうことになりませんか。
  88. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  これは一般には道路網全体として機能を発揮するわけでございまして、もっぱら市町村の中の交通を処理する道路あるいは各市町村間を接続し、連絡をいたしまして交通の目的を達する、あるいはさらに、それよりも長い交通があるわけでございます。しかしながら、ごく一般的には、一つ道路にいま申し上げました三種類交通が混在をするという場合もあるわけでございます。これは個々具体の場合に異なっておりまして、隣の市町村に行くのが、ある場合には都道府県道であるという場合もございますし、ある場合には一般国道の場合も現実にはあり得るという状況でございます。
  89. 沢田広

    ○沢田委員 いまあなたが読んだのは、では、何なんですか。国道とは全国的な幹線道路をいう、こういうことでしょう。それが主たる目的なんでしょう。隣の町内へ行くのが目的ではないですね。少なくともそのことは間違いないことでしょう。全国的な幹線道路として国道はつくられておるわけですね。私の表現をもってするならば、都道府県から都道府県、それから都道府県をずっとつなげて全国的な交通網の道路を国道という。隣の町内に行くのが国道ではないということでしょう。どうですか。
  90. 山根孟

    山根政府委員 基本的には仰せのとおりでございますが、なお、国道の場合には「国土を縦断し、横断し、又は循環して、都道府県庁所在地その他政治上、経済上又は文化上特に重要な都市を連絡する道路」等と、幾つかの法定要件があるという状況でございます。
  91. 沢田広

    ○沢田委員 だから、国道は国道としての目的意識を持ってつくられている。都道府県道は都道府県道としての目的意識を持ってつくられている。その目的意識に沿った交通が可能かどうかということが、今日きわめて重要なことだと思うのですね。そのことについての原則的な見解は、道路関係を含めて両方から、国道は国道としてあるべきである、その目的に達するために交通というものを考えていくべきである、それから都道府県道は都道府県道としての役割りを果たす目的を主体としてその交通を考えるべきである、こういう解釈については、これはそれぞれからお答えをいただきますが、簡単にその点の見解を承りたいと思います。
  92. 山根孟

    山根政府委員 道路網を構成いたします高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道、それぞれのネットワークにはそれに応じた交通を考えまして、それにかなった道路の構造を考えて、改築なり整備を進めるという考え方をとっておるわけでございます。
  93. 沢田広

    ○沢田委員 答弁に出てこないところを見ると、大分弱っているらしいのですが……。ですから国道には国道としての目的の交通というもの、今度は交通の方で聞くのですが、交通にするべきじゃないか。国道というのは、じゃ何だ。全国網を結びつける道路である。とすれば、隣の町内に行くための道路ではない。とすれば、右折、左折というものはおのずからそこに限定をされてくる。そうすれば当然、一カ所でいいか二カ所でいいかわかりませんけれども、都道府県と都道府県を結ぶ幹線道路である。それならば、その都道府県に一カ所か二カ所の右折、左折があれば、あとは都道府県道を通って市町村道に行けばいい、その市内は市町村道を今度は行けばいいという、この基準を守っていくという交通規制は可能かどうか、できないかどうか、この点ちょっとお伺いいたしたい。
  94. 池田速雄

    池田政府委員 ただいままでの建設省の方の御説明は、恐らく本来の法律上の目的に即して、そういう法律上の区分のある道路がそれぞれ設けられておる、こういう御説明であったと存じますが、現実の道路は、先ほどお話がございますように、道路網でそれぞれ接続いたしております。したがいまして、そういった道路の性格というのはもちろん尊重しながら、抽象的にこういうことを言っていいかどうかわかりませんが、私ども交通の現実から考えます場合に、理想的にはいわゆる幹線道路、それからそれに準ずるような準幹線道路、あるいは生活圏内を通ります生活道路式のもの、大きく分けますと、そういう三つの道路に区分されるのじゃなかろうかというふうに思います。したがいまして、私どもといたしましては、先ほど来御質問のございましたような法律上の道路の性格ももちろん考えなければなりませんけれども交通の実態、また実態を理想の姿に近づけるにはどうするかという、もちろん循環の問題もございますけれども、その中で現実に即して、それぞれの道路によりよい機能を持たせながら交通規制をやりたいということを考えております。
  95. 沢田広

    ○沢田委員 話を若干変えます。  私は埼玉ですから笹目を通って参りますが、国道の方が四十五秒で、横断する道路の方が一分という信号が二カ所ぐらいあるのですよ。少なくとも、いま言った国道というものの位置づけが那辺にあるのか。これは、直轄事業負担金を取るためにどうしても地元の市長なり知事なりの意向を組み入れなければならないという弱みがあるから、国道の方の車がうんと渋滞して、四十五秒の信号でいる。片っ方の横断する方の市道は、市と市をつなぐ道路は一分間の通過地帯である。こういう、私から見ればばかげた現象が、これは少なくとも国道じゃないですね、そういうものがあるわけです。これはどうですか。これは大臣に聞くよりは、交通の担当者としてそれは妥当だと思っていますか。それから、直轄事業負担金を取る弱みというものがどうしてもこういう問題に起きてくるということの観念性をどう解釈しますか。ひとつお伺いしたいと思います。
  96. 池田速雄

    池田政府委員 御質問の個所は埼玉と東京とを結びます笹目橋付近の交通の問題だろうと拝察いたしますけれども、御案内のとおり、国道十七号のバイパス、恐らく片側三車線でまいっておりまして、笹目橋も同じく片側三車線だと思いますが、そこを渡りますと、右に参りますと川越街道の方に参りますけれども、直進いたしますと片側四車線でまいりまして、三園二丁目の交差点で左折いたしますと都道の二百一号線、中仙道に至ります道路でございますが、直進いたしますと首都高速五号線のランプウエーに入る道路があると存じます。  この三園二丁目の交差点が大変混雑しておるという実情にございまして、最近の調査によりましても、午前七時から午後七時ごろまでの十二時間で四万七千台という交通量がカウントされております。しかも、午前中ラッシュ時は都心に向かう車が大変多いというような事情がございまして、三園二丁目の交差点を頭にいたしまして、長い場合には二・五キロぐらいの渋滞が続くというような報告を受けております。この原因といたしましては、いま申し上げました、左折いたしますと二百二号、こういうことになるわけでございますけれども、そこと首都高の高島平のランプウェー、これが最初は二車線でございますけれども、最終的には少し参りますと一車線になっておるというような状況がございますのと、実は付近に西高島平の駅がございまして、そこを通ります歩行者が大変に多い、こういうことで、この横断者の多い横断歩道につきまして歩行者保護も図らなきゃいけない、こういったような事情から、この交差点の信号につきましては大変苦慮した操作をやっておるところでございますけれども道路管理者等とも打ち合わせをやりまして、その都度その都度できる限りの努力はしておるけれども、絶対数がとにかく多くて、現状ではいまの策が最善であろうという報告を受けております。
  97. 沢田広

    ○沢田委員 実は泣き言を聞こうと思ってたわけじゃないのでありますが、とにかく苦しい状況だということだけはよくわかりました。  そこで若干話を変えますが、国家公安委員長、あなたも車に乗られると思うのですが、高速道路に乗られてもあるいは普通の道路に乗られても、四十キロとか五十キロとか標識がありますね。現実問題として、そのキロ数を守って車が走っていると思っておられますか。
  98. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 多少のアローアンスはあるようですが、なかなか守りにくいのが実情でございます。
  99. 沢田広

    ○沢田委員 あの標識には制限速度と書いてありますね。制限速度というのはそれ以下で走れという意味だと、日本語ではそう解釈するのですが、ところが、実際にはそれより十キロぐらい上までは大体許容のスピードである、こういうふうに常識的に言われております。  私がいまここで特に公安委員長にお願いしたいのは、守られない規則をつくるほど意味のないことはないし、そこに運が悪い、ネズミ取りにつかまれば運が悪かった、あるいは警察官にとめられれば運が悪かった、こういう一つのやけっぱちな感情を国民に植えつけるだけである。やはり守られる制限速度というものを設定する必要があるのではないか。いまスピード違反を取り締まっているところを見ましても、大体十キロ以内は取り締まりの対象から外しちゃっていますね。五十キロのときには六十キロオーバーでないと取り締まり対象に入れていない。そうすると、あれは制限速度ではなくて標準速度ですね。ですから、制限速度というものは、すべての国民がいずこの場所においても守られる速度が示されなければならない。日本坂トンネルじゃありませんけれども、どうせ守られない規則、そういう安直な制限速度を設定すべきではないと私は思いますが、この点いかがでしょうか。
  100. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。まさにそういうやり方でなければならぬと思いますが、どうも警察というところは、いま交通事故が多いものですから、大変憶病なんですね。だから、四十キロという制限速度でなしに、五十キロにしてもいいではないかと言っても、そういう点は一線とすればなかなかやりにくい面があるように思いますが、これはきちんとやるべきであろうと私は思います。そのように指導いたしたいと思います。  ただ、警察のものは全部罰則がかかるわけですね。おまえさんのスピードは何キロだと言ったときに、いまは大分機械がよくなりまして正確になっておりますけれども、必ずしも正確でない時代があったわけですね。そこで、これは罰則がかかりますし、よく争いになるものですから、どうしてもこれはある程度の、十キロぐらいのアローアンスを見なければいかぬ。そういうことで従来来ておったと思いますが、理論的といいますか、理屈を言えばこれはもう沢田さんのおっしゃるとおりだと思います。なるほど制限速度が余りにも低過ぎるという点はございますので、そういう点はよく事務方の方にも私の方から話をしておきたいと考えます。
  101. 沢田広

    ○沢田委員 では、現実の体制に改めていくというふうに理解をしてよろしゅうございますか。——首を縦に振っていますから、ここまで来ていただくのも恐縮ですから、そこで一応おいておきます。今後は当分の間、この発言があった後、四十キロ、五十キロについては改正されるまでの間は一つの標準であるということにどうもなるようでありますが、警察当局としては、速やかに実態に即応するように訂正していただきたいと思います。  次に、財政の関係の問題で両方にお伺いします。  道路をつくる経費、そこを走る車、つくられる車両、一応三つあります。現在の日本の国土で、全体的には十兆円ぐらいになるでしょうが、それぐらいの投資をしていきます全体的な経費に対して、財政的に道路交通、車両というものはバランスがとれているのかどうか。  現在の道路建設していく場合の財源、それを通る車両あるいは土地の購入、それから車両にかかる経費、ガソリン代、こういうものを考えましたときに、果たして現在の道路行政、交通、車両、この三者は財政的にどういうバランスをとっているのであろうか。私はいろいろな本を見ましたが、なかなかその数字が出てきていないのであります。当局の方で、道路を走るものの原因者負担というものもあります。国の分がどの程度負担するのが正しいのか、自動車がどの程度負担するのが正しいのか、あるいは車両がどの程度負担するのが正しいのか、あるいはそれを使う燃料が負担するのはどの程度が正しいのか、このアローアンスを、ある程度の目印をつくるべきではないか、これが総合交通体制のまず第一歩でなければならないのじゃないかという気がしてなりません。現在のところはそれぞれ別々に投資しているわけでありますから、なかなかその総体的な計算はされていないようでありますが、もし数字があったらお知らせいただきたいし、お考えがあったらひとつお答えをいただきたいと思うのであります。財政的なバランスは果たしてとれているのかどうか、こういう質問であります。
  102. 山根孟

    山根政府委員 先生の御指摘の点は大変むずかしい問題だと思うわけでございます。道路自動車それからその運用と申しますか、そういう各段階でどう負担をする、バランスがどうかということになりますと、道路サイドから申しますと、道路施設をつくり上げていく、あるいはそれを維持管理するのに一体どういう負担をしていくべきか、負担があるべきかということに相なろうかと思います。  車は当然、各私人がそれなりの負担をすることに相なるわけでありますが、道路財源の場合には国及び地方それぞれにおいて、国の場合はガソリン税、揮発油税及びLPGの二分の一相当額が道路整備の特定財源となるというような、地方においても同様な特定財源制度があり、その特定財源の負担が全体の投資に対していかほどの割合になっているかということがあるわけでありまして、その観点では、そのそれぞれの道路種類ごとに投じられている特定財源の投入額、あるいはひっくり返して申し上げるならば、一般財源の投入額等については、過去からの投資が決定をされ整備が進められてきた過程において、それなりの合理性があるのではないかというぐあいに考えております。
  103. 沢田広

    ○沢田委員 これは突然だったからお答えにくかったと思いますが、いま私が言おうとしていることは、公平な負担を目指して道路行政なり交通体系は今後進まなければならないのではないかということを一応の原則、原点に置きまして、公平な負担とは何ぞやという原点に戻って、それぞれ担当部門が当たっていかなければならないのではないか、自分だけのエゴでは済まされない時代に来ているということを私は言おうとしたわけです。  それから、公正な運行、これが次に求められることだと思うのです。公平な負担、同時に公正な運行。そこで公安委員長一つ……。  マイカーはいまの日本の現状では禁止がなかなかむずかしいようですね。だとすれば、通勤時間帯の電車と同じように、九時までは貨物はやめてもらって、とにかく首都圏内の近郊については九時までは貨物のいわゆる人車は禁止をして、九時以降にしてもらう。マイカーを禁止できればこれまた話は別ですが、できないならば、九時まではマイカーの通勤時間帯にしておく。これはもちろんバスも入ります。そして貨物は九時過ぎでなければ東京都内のいわゆる人車は許可しないという時間帯の運行計画を考える時期に来ているのではないかという気がいたしますが、この点、お考えいただけないかどうかひとつお答えいただきたいと思います。
  104. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今日、大都市内等については交通状況はもう飽和状態に来ておりますから、どういうやり方をやるかはいろいろなやり方があると思います。いまお話しのように、トラックはどうとかマイカーはどうとか、いろいろやり方があるでしょう。あるいは番号によって奇数、偶数といったようなこともあります。しかし、基本は大量輸送機関を優先させることが先であろうと思いますが、いずれにいたしましても、自動車交通等については総量規制の問題を検討を始めなければならぬ時期に来ておるのではないかと思います。そういった時期でございますので、ただいまお話しのような点も十分考慮いたしまして、検討を進めてまいりたいと思います。
  105. 沢田広

    ○沢田委員 では、それは次回までなりにそれぞれ御検討願って次の問題に入らせていただきます。  これは大臣に来ていただいて聞く問題ではないのかもわかりませんが、さらに認識を深めていただきたいという意味を含めて申し上げます。  先般、「自動車運転者の労働時間等の改善基準」通達が出されて、トラック輸送の運転時間が変えられましたですね。いわゆるトラック輸送の労働時間等の改善基準というものが出されました、御存じですね。この改善基準が果たして妥当なのかどうかということなんです。走行キロ四百五十キロまたは九時間以上、こういうことのようでありました。また継続ハンドル四時間ぐらいになったのですが、「所定労働時間は、休憩時間を除き、一日について八時間、」「また、変形労働時間制をとる場合には、」云々というふうに特別措置を講じてあるわけです。  私は、結論的に言いますと、昔のかごかきじゃないけれども、二百キロなら二百キロ行ったら運転手をかえて輸送してもらったらどうだ、言うならば、東京から行くとして二百キロ、浜松なり静岡なりに行ったら、車はそのままでいいでしょう、そのかわり運転手は交代して次へ行ってください、そういう方法はとれないかというのが基本の主張なんであります。そうでないと、幾らこういう規則をつくってみたって、実際には底抜けなんです。そうすれば、その人が電車に乗って帰るか別のトラックで帰るかは別として、二百キロなら二百キロ行ったらもう交代、そして次の二百キロ地点で乗り継ぎをしていく、昔の宿場みたいになってしまいますが、こういう制度に貨物輸送は基本的には考えていくべきじゃないか。同じ運転手が十二時間なり二十四時間乗っていって危険が伴わないというのはうそですよ。それから、労働衛生学的にいっても非常に健康を害する、寿命が短くなる。ですから、もしどうしても長距離輸送をするならば、運転手を交代させていくという配置をする、駅伝みたいなものですが、中継点には運転手を置いておいて、そこから次に運転をしていく、こういう制度が考えられないかどうか、これはどこの担当になるのかわかりませんがひとつお答えいただきたいと思うのです。
  106. 池田速雄

    池田政府委員 警察としての立場から申し上げますと、道路交通法上安全な運転を期するために、過労運転につきましては禁止規定がございまして、違反については罰則もついておるわけでございます。  いまお話しのような、時間を明定して規制をするということにつきましては、やはり労働政策上の問題があろうかと思いますので、時間規制あるいは運行のやり方等につきましては、私どもとしては道交法の立場でそこまで規制するのは問題があるのじゃなかろうかと考えております。ただ、実態といたしまして、過労運転は、私どもも予防し、あるいは違反があれば検挙するという立場でございますので、こういう基準が設けられたわけでございますけれども、そういう具体的な基準がつくられるということは、私どもにとりましては大変ありがたいことだと考えております。
  107. 沢田広

    ○沢田委員 時間がなくなりましたが、この基準でもし運転された場合に、変形勤務時間の場合にどの程度労働衛生学的に障害が生じるかということは交通関係では研究しておりませんか。労働科学研究所では恐らくそれぞれ検討されていると私は思いますが……。
  108. 池田速雄

    池田政府委員 一般的な内容につきましては、私どもの方では検討いたしておりません。専門家の方の御意見を聞くという立場でございます。
  109. 沢田広

    ○沢田委員 だけれども、あなたの方で今度この勤務時間の指定はしたわけでしょう。それには根拠があるわけでしょう。
  110. 池田速雄

    池田政府委員 これは労働省の方でお決めになられたことでございます。
  111. 沢田広

    ○沢田委員 じゃあなたの方では決められたものをそのまま守っているだけである、こういうことにしかすぎない、こういうことになりますか。
  112. 池田速雄

    池田政府委員 私どもの方では、道交法上の規制といたしましては過労運転の禁止という規定がございますので、その場合に大いに参考にさせていただいている、こういうことでございます。
  113. 沢田広

    ○沢田委員 じゃこれはまた別に呼んで、四時間規制なり労働衛生学的な意味も含めて質問をしていきたいと思います。  ただ、交通の方の関係でお願いしたいのは、こういう長距離輸送をする場合には健康診断をする、この程度は最低限度守っていただけないかということなんですね。特に三十歳を過ぎてまいりますと、その一人の病気なり一人の傷害で事が済みませんで、より多くの大衆に迷惑がかかることにもなりますので、簡単なものであってもいいから、とりあえず運転前に健康診断を受ける、血圧をはかるとか何かしてそれから運転の乗務に入る、これはもう国鉄あたりもそうしなければいけない時期に来ていると私たちは判断していますが、こういう慣行をつくらないと、万が一脳隘血になったあるいは何かが生じた場合に多くの人に迷惑を及ぼすことになるわけです。トラックも同じように、過労運転を禁止する以上、事前に健康診断を受けさせてそれから乗務させる、こういう慣行をつくることは必要なことじゃないかということですが、これは何か努力していただけますか。これはどこが担当ですか。労働ですか、公安委員長、ベテランなんだからひとつお答えいただきましょう。
  114. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 御質問の点は労働行政の範囲に入りまするので、私の方から労働省の方に、こういう御指摘があったのでひとつ検討してもらいたい、かようにお伝えをしておきたいと思います。  ただ、沢田さんに私、一遍検討していただきたいことがあるのです。  先ほど来の質問を聞いておりまして、それは過労運転はいけません、それから運転手を過酷な労働条件に置けば事故が起きるのですからそれはよくないと思いますけれども、その前に交通の秩序、鉄道は一体どういう運行をするんだ、フェリーは何をやるんだ、長距離貨物はどこまでだといったようなことが基本じゃありませんか。大体九州の端から北海道の端までトラック輸送なんて、省エネルギーの上から言ったっておかしいと思う。そこらを一緒に研究させていただきたい、私はかように思います。
  115. 沢田広

    ○沢田委員 質問を終わりますが、私はこの前の質問でも、二百キロで制限しなさい、こう主張をしたわけです。いわゆるトラック輸送は二百キロ、それ以上は貨物輸送、こういうふうに分離をしていかなければこれからの日本のエネルギー対策はできませんということを実はこの前の委員会で言ったのですが、きょうはそのことは触れないで、わざわざ違った立場で言ったので、十分検討しているつもりであります。さらに私も検討いたしますが、当局でもひとつ善処していただくようお願いいたしまして私の質問を終わります。
  116. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、有島重武君。
  117. 有島重武

    ○有島委員 御承知のように、ただいま交通安全週間の期間中でございます。  国家公安委員長に承っておきたいと思うのですけれども、一九八〇年代、時代のかわり目と言われておりますけれども、ことしの交通安全週間に、例年と特に違うというか、何か著しい一つの成果が期待できるでしょうか、いかがですか。
  118. 池田速雄

    池田政府委員 安全運動につきましては、年がかわりましてもそれほど基本的に大きな違いはもちろんございませんけれども、たまたま昨年の春は五月十一日から二十日までの期間といったような点もございまして、ことしは四月六日の日曜日から十日間実施しているわけでございますけれども、ちょうど新入学、新入園児の初めての登校、登園という時期とも重なりますので、特に歩行者自転車等の保護でございますが、入学、入園児につきましても誘導あるいは保護あるいは教育といったものを徹底することを重点にやっておる次第でございます。
  119. 有島重武

    ○有島委員 公安委員長に承りたい。  学童のお話がありました。歩行者の話もありました。何か特に文部省とよく話し合っているとか、そういうようなことをやっていらっしゃるのか。具体的な成果というものを御発表になる御所存がおありなのかどうか。
  120. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 交通安全運動は御承知のように総理府が主催しまして、関係官庁すべてが参加しておりますので、もちろん学童等の問題につきましては文部当局、私どもの方すべてが一体になって、総理府で調整していただきながら全国運動を展開いたしておるような次第でございます。
  121. 有島重武

    ○有島委員 昨年の十二月でございましたか、本委員会におきまして、私はシートベルトのことを問題にいたしました。われわれ、できることから始めていかなければならないわけでございますけれども建設大臣並びに国家公安委員長、シートベルトを着用していらっしゃるかどうか。たとえばきょうなどはいかがであったか、これを伺っておきたいと思うのです。建設大臣、いかがですか。
  122. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 着用するように努めておりますが、本日は、残念ながら不注意でございまして、いたしておりません。
  123. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 まことに申しわけございません、率直に申します、使用したことはございません。
  124. 有島重武

    ○有島委員 私も努めてやっているわけなのです。これは距離によりまして、余り短いところはやりませんけれども、二十分以上乗るような場合には、ぼくは努めてやる。この前もこの中で質問した、タクシーについているかどうか。知らぬ人もいたわけですが、大概タクシーにもついているわけなのです。いかがでございましょう。このシートベルトの問題なんかも明らかに所信表明に連動するようなことになってくるのじゃないかと思うのですけれども、みずから範を示されてはいかがかと思うのですけれども、後藤田さん、いかがでございますか。
  125. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 十分気をつけてまいりたいと思います。
  126. 有島重武

    ○有島委員 気をつけてというお話でございます。こんなことをしつこく聞くのはおかしいけれども、やりますか。それで、公安委員長のみならず、まずお役所の方々にひとつやれ、こういうふうに号令を下していただいた方がよろしかろうと思うのですけれども、いかがですか。
  127. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 これは安全のためには大変重要なことでございますので、役所にもそのように勧めたい、私自身もそういう努力をいたしたい、かように考えておるわけでございます。  私、実際はいままで一回もつけたことがないというわけではありません。高速道路のときはやっております。ただ、私は三回事故の経験があるのです。私だけがけがをしない。あとはみんなけがをしたのです。それはどうしてかと言いますと、私は車に乗ったら一切居眠りしないというのが昔からの鉄則でございますので、うつらうつらしている人はみんなけがをするので、私はそれでいままで免れておるのですが、さらに安全ベルトをつければなお安全だと思いますので今後は十分気をつけてまいりた、かように思います。
  128. 有島重武

    ○有島委員 建設大臣はいかがでございましょうか。建設省の方々に御推奨いただけるでしょうか。
  129. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 そのように努めてまいります。
  130. 有島重武

    ○有島委員 大蔵省の方に伺います。  シートベルト着用者への保険上の優遇というようなことについてこの前御質問いたしました。検討をしておくというようなことでございました。何か検討していただいているのでしょうか。——大蔵省、いまいらっしゃってないということなので、それじゃこれは保留にしておいていただいて、委員長の方から大蔵省にひとつお聞きをいただきたい。お願いいたします。よろしゅうございましょうか。
  131. 石田幸四郎

    ○石田委員長 はい、後ほど相談をいたします。
  132. 有島重武

    ○有島委員 国家公安委員長所信表明をこの間拝聴いたしました。運転免許保有者が四千万名を超えたわけでありまして、こうした状況の中で新しい交通秩序の確立を期す、こういうことでございました。先ほどからこの種の質問がございましたけれども、総合的なものであるというようなことがありました。何か新しい交通秩序と言われるもの、何か目玉のようなものがあるわけでしょうか。それとも全般的に、いまできるところからどんどん進めていく、そういうようなことなんでしょうか、その辺を伺ってみたい。
  133. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 以前から事故防止の方策としてよく言われているのが三つのEですね。スリーEという施策を言われているのです。一つはエクイプメント、これは要するに道路を含めた安全施設、ことに日本の場合には事故の原因はやはり交通混合なのですね。これはやはり分離をするということが基本でなければなりません。ただ何分にも日本状況は、土地も狭いし、道路網が複雑ですし、歩道と車道を区別しろといってもなかなかできない面もあるという困難な面もありますけれども、そういった面はだんだんよくなってきておると私は思います。これが一つです。あるいは警察関係の安全施設もあります。もう一つはエデュケーション、つまりこれは一般の方々に対する啓蒙の問題、同時にまた四千万の運転免許者がふえたわけですから、それらの方に対する安全の教育あるいは運転免許証切りかえの際の十分な点検といったようにいろいろございましょう。そういったエデュケーションの面と、もう一つはエンフォースメント、これは取り締まりでございます。取り締まりの面は、警察として一番考えなければならないのは、交通取り締まりというのは何だということなのです。罰則があるからおれは取り締まるのだといったのでは困る。これは、交通取り締まりというのは事故を減少させるのにはどのようにすべきか、交通の流れをスムーズにするのにはどのような規制のもとでやるのがいいのかといったような基本を踏まえまして取り締まりに従事をしないと、取り締まりのための取り締まりに落ちてはいけないといったようなこと、こういった三つが私は基本だと思います。  そこで、目新しいやり方としては何だ、こういうことの御質問でございますが、それは私はやはりそのときどきの事故の実態の分析から始まらなければならぬと思います。そうすると、いま一番多いのは何かと言えば、先ほど来お答えいたしておりますように、子供さんともう一つはやはりお年寄りなんですね。これはやはり交通事故から守る、それがための警察活動ということでなければなりません。それからもう一つは、やはり最近非常によくなりましたが、依然として酔っぱらいとかいろいろな運転があるわけですから、そういった悪質な違反ですね。ことにまた暴走族等もございますから、こういった暴走族の運転なんというのはまさに狂気の運転と同じですから、こういうものに重点を志向をしていくといったようなことで取り締まり面を強化をしていく。こういった三つの施策を、幅広い施策にならざるを得ませんので、関係省庁と十分協議をしながら、御協力を賜りつつ、事故防止に努めていきたい、かように考えておるわけでございます。
  134. 有島重武

    ○有島委員 ほぼわかりました。  二番目におっしゃった事故の実態の分析ということについてでございますけれども、これも先ほど話題に出ておりましたけれども、現在歩行者自転車の弱者の死亡率が高いということでございました。そこで、このパーセンテージが日本は四六・二%である、イギリスが四〇・一、西独が三六・三、スウェーデン三二・〇、フランス二三・七、アメリカ一八・三、こういう資料をいただいておりますけれども、これはベルギーの研究財団だそうであります。  ところで、これはどうしてこういう違いが出てくるんだろうかということについては、これは警察の方でも研究なさっているんじゃないかと思うのですけれども、こういった事故実態の分析といいますか、あるいは逆に言いますと安全性の分析といいますか、何がゆえにこれは率が少なくて済んでおるのか、こういうようなことについての御研究の一端を教えていただきたい。
  135. 池田速雄

    池田政府委員 いま御指摘いただきました国際比較の問題につきましては、七六年のベルギーの交通安全研究財団の資料をもとにいたしまして、日本の場合には実は警察統計は、二十四時間でとっておりますので、それを三十日以内の死者数に一応の数字で換算いたしまして比較しておる数字だと存じますけれども、それによりますと、人口百万人当たりの死者数でまいりますと、日本が一番成績がいい、こういうことになってまいっております。しかし自動車十万台当たりの死者数ということになりますと七番目、こういうことになりまして、一位がスウェーデン、アメリカ、イギリス、ノルウェー、イタリー、オランダといったような順番になってくるわけでございます。また、それを道路利用者別に比較いたしました場合、先ほど指摘のとおりでございまして、日本の場合は、歩行者自転車につきましては死者が一番高い、その次にイギリス、それからノルウェー、オランダといったような順番になっております。したがいまして、これは人口、車の台数等母数によりまして比較の仕方が違うと思いますけれども、基本的には日本はイギリス型であるということが言えようかと思います。大陸型というよりはイギリス型である。つまり、島国でございまして、ある程度国土面積が限られておりまして、やはり車と人の分離の問題、イギリスの場合には分離の方は行き届いておりますけれども、それでもやはり市内での、住宅地等での問題が多いやに聞いております。したがいまして、マクロに見ますとイギリスと非常に似ているということでございますが、その他の大陸の国等につきますと、歩行者事故が起きますのはほんの住宅地内にほとんど場所が限られている。しかし、その一点だけをとってみますとまたそこでは大変歩行者事故が多いといったような実態がございます。つまり、町と町の間につきましてはほとんど歩行者がいないのが実態だというような特徴等はあろうかと思います。そういった意味で、日本といたしましては、一番近いのを、諸外国の事例も参考にするわけでありますけれども、それぞれの地域で見ます場合と国全体で見ます場合と、やはり比較しにくいところがございますので、われわれ勉強いたします場合には、場合によりましては、似たような地域をとりまして、たとえば都市でございますと似たような都市、そういうもので比較してまいるのが大変われわれの参考になっておるというのが実情でございます。
  136. 有島重武

    ○有島委員 私たちのいただいている資料では、日本に限って申しますと、県別のそういった資料はいただいているわけです。警察のお調べでは、日本における事故発生というものが、地域の種類といいますか、高速道路周辺とか、あるいは商店街云々とか、あるいは学校周辺とか、そういうような分類のデータというものはありますでしょうか。
  137. 池田速雄

    池田政府委員 県別の統計がございます。それから、都市の場合、人口十万人当たりの比率を出しております統計がございます。それから、信号機のございます場所、その付近と、信号機のない場所等との統計、そういったものはございます。
  138. 有島重武

    ○有島委員 お聞きのとおりでございますけれども、せっかく新しくさらに強力に、いままでの努力とはもう一歩質の違う努力をこれから踏み出していこうというときでございますけれども、実はいまちょっと私素人考えで御指摘を申し上げただけでございますけれども、やはり地域の特性といいますか、集中的にここのところは起こりやすいのだというようなことが地域地域ではマークされておるわけでございますから、そういったところにひとつ着目していくような御指導というものがどうしても必要なんじゃないかというふうに思うのですけれども公安委員長いかがですか。
  139. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 いま交通局長は簡単なお答えしかしていなかったようですけれども、私はもう少し詳しい分析を警察庁はしていると思います。それは表通りが多いのか、高速道が多いのか、そしてそれぞれの高速道の事故の特徴はどういうところにあるとか、あるいは裏通りがどうなのか、商店街がどうとか、学校周辺はどうとか、私はこれはみんなあるはずだと思います。いま簡単にお答えをしたにとどまったのだろうと思いますが、各警察署等へ行けばおわかりのように、全部管内の地図にどういう地点でどういう事故が起きているのかというのは、みんな針で全部ずっとやって、それに即応した交通安全対策を講じておるのが現状でございます。まさに御説のとおりなんで、そういった分析に従って適切な交通安全施策をとらすようにいたしたい、かように思います。
  140. 有島重武

    ○有島委員 いまのアピールしていただく資料もそういったところまで目が届いてくるような時代になっているのじゃないのだろうか、これが一つです。  それから、先ほど最初に言いましたけれども、文部省との話し合いというようなことが当然できておるんだというお話でございましたが、いわゆる三つのEの中の二番目のエデュケーションというのは、別に学校教育を通じてということではなしに、広い意味教育であったろうかと思うのです。しかし、広い意味教育であっても、子供を通じて、学校を通じてのアピールといいますか教育といいますか、これはやはり効果を上げようとすれば相当上がる分野であろうかと思います。地域の警察と学校の校長さんとがよくお話し合いをしていらっしゃるという場所も間々聞いているわけでございますけれども、私なんかの知っておりますところでは、先生が大変熱心なところは大きな成果が上がっているわけですね。たとえばお子さん方に地図を書かせまして、学校が真ん中にある、自分の家はどこだ、一つ入れるんですね。そしてどういう道を通ってくるかと書かせるわけです。それで親と一緒にその道を歩いてみろ、こういうことになるわけですね。親御さんはこういうところを歩いておったのかということで、特に父親はびっくりするらしいですね。それから今度は、どこまで遊びに行くのか、また地図に書かせる、そして家で見せる。三年生、四年生ぐらいになりますと、こんな紙の外にはみ出てまで行動半径が広くなっておるのか、そういうことを親御さんも認識なさるようであります。一方、子供のことでありますから、自転車なら自転車についてはブレーキの点検だけはよくしろ、これだけをその年一年間徹底したということでそのかいわいの事故が本当に減ってしまったというようなこともございました。ですから、これはむしろ、教育者側からの注意というか子供たちを守り抜いていこうという情熱にかかわることかもしれませんけれども、成功例を少しお集めいただいてこれもまた大きくアピールなさることがよろしいのじゃないかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  141. 池田速雄

    池田政府委員 貴重な御示唆をいただきまして、大変ありがたいと存じます。  御案内のとおり、特に幼稚園、小学校等につきましては、入学、入園の前から先生方、PTAのお母さん方と婦人警察官等が中心になりまして、まず通学、通園路の設定と申しますか下見と申しますか、そういうものを大概の場合決めていただきまして、その通路に従って通園、通学をしてもらうといったことから始まりまして、それぞれの季節あるいは交通の状態の変化なり環境の変化なり生徒の発育に応じて御協力いただきまして、その都度協議会を持って学校のみならず地域社会で子供たちを守っていただいているという個所も大変多うございます。  それから小学校の上級生、中学生になりますと今度は自転車という問題が入ってまいりますので、自転車の問題を中心にまたいろいろ御相談いただき、御協力いただいて地域の安全を図っていただいておる。その場合に、先ほど指摘のありましたように案外自転車でも相当遠くへ出ていて、いままで気づかなかったところに盲点があるなどということを、交通安全のみならず防犯的な意味も含めましてお気づきになりまして、いろいろお話しいただいてみえる先生方もございます。  それから高等学校になりますと、今度はそろそろ車の方の、特に二輪が入り口でございますけれども、免許の関係がございます。高校生になりますと大分指導がむずかしゅうございますけれども、うまくまいっておりますところでは二輪車の免許を取ります場合でも教育的な見地から取るというようなこと、その運行管理、車の管理につきましても親御さん、先生方と十分連絡をとってやれているという成功例もいろいろございます。  そういうふうに地域全体の盛り上がりの中で学校を中心にした盛り上がりというのが一番成果を上げておると思います。そのほかにまた職場を中心とした交通安全の盛り上がりも相当成果を上げている事例が多くありますので、御指摘のような事例等よく調べまして、できるだけ多くの方々にそういった面での広い教育というものの中で交通安全も取り上げていただくようにお願いしたい、こういうふうに考えております。
  142. 有島重武

    ○有島委員 国家公安委員長、いま池田さんからお話があった、池田さんは前に校長さんですか副校長さんですか教育に携わっていらっしゃった、警察学校の方の教育者だそうですけれども、警察の取り締まりで成果が上がったということでございますけれども、いい方をほめる、これが大切かと思うのですね。そういうような御意向はいかがですか。
  143. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。そのような方針で従来もやっておりますが、今後ともその方針を踏襲して成果を上げたい、かように考えます。
  144. 有島重武

    ○有島委員 次の問題に行きます。  道路防災対策の問題でございます。建設省では一般道路に一千百六十六億、有料道路に対して十九億という予算をおつけになっているようでありますけれども、この中で昭和四十六年から全国的に危険個所の総点検をなさった。これは四十八年に見直しをなさったということでありまして、特にその結果に基づいて緊急に整備を必要とするところ約一万五千カ所くらいでございますか、これについては五十一年度末におおむね完了しているということになっております。このことについて、それからまた再度見直しをやっていらっしゃるやに聞いておるのですけれども、この辺の事情について承っておきたい。
  145. 山根孟

    山根政府委員 御指摘のように飛騨川事故を契機といたしまして防災対策には万全を払ってきておるわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、ごく最近におきましては昭和五十一年に点検を実施いたしまして、一般、有料四万五千六百二カ所の要対策個所が出てまいりました。これにつきまして五十四年度末までに二万五百八十二カ所の解決が図られたという状況になっております。  なお、防災対策の対象とすべき危険個所そのものにつきましても、本年に入りましてから九月末を目途に再点検するように指示をいたしたところでございます。
  146. 有島重武

    ○有島委員 去る四月一日、ついせんだってでしたけれども、東名高速道路におきまして落石の事故がございました。その原因の究明に当たっていらっしゃるということでございますけれども、どういうふうな原因であったのか、それからこの個所は総点検の場所に当たっておったのかどうか、この点はいかがでございますか。
  147. 山根孟

    山根政府委員 原因につきましては現在調査中でございます。この個所は、先ほど申し上げました五十一年に点検をいたしました個所に該当しておりません。五十一年に点検をいたしましたときには、特に異常が認められておりませんで、危険個所としての取り扱いは行っていなかった個所でございます。
  148. 有島重武

    ○有島委員 それでは、ここに限らず、点検をした後でもって事故の起こっておるようなところがほかにございますか。
  149. 山根孟

    山根政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、的確にお答えできないわけでございますが、とりわけ高速道路につきましては大変大きな事故につながるということから、高速国道の管理をいたしております日本道路公団におきましては、構造物、のり面、トンネル、舗装、排水施設等の巡回点検を実施いたしまして、損傷や異常を早期に発見し、必要な維持補修を行うように実は努めておるわけでございます。私ども、この危険個所の点検、これに対する対策ということと同時に、日常の補修、点検といたしまして、路面やのり面の状況、ガードレール等の汚損等を日常点検するというようなパトロール、排水施設や水路の状況、のり面の洗掘、照明の点灯状況などについて定期的に点検をするパトロール、特にいま御指摘の問題になっております橋梁や排水施設、のり面等の破損状況等について、梅雨季、台風季の前後、集中豪雨、地震発生時等、臨時に点検を行います特別巡回、こういうことを通じて、実は早期発見に努め、早期対策をあわせて実施しているという状況にあるわけでございます。
  150. 有島重武

    ○有島委員 今回の落石事故のように、点検の結果としては問題はないということであったのだけれども、実際にそういうことがあったわけですね。それはいま究明中であるということでございますけれども、点検は実際にはだれがやるのですか。
  151. 山根孟

    山根政府委員 これは、担当しております管理事務所の職員、必要に応じましてはコンサルタント等を動員してやるということにいたしております。ただ今回のような石積み擁壁の場合には、かなりむずかしい問題があるようでございまして、そういった点を含めて、いまいろいろ調査をしているという状況でございます。
  152. 有島重武

    ○有島委員 点検ミスと申しますか、点検してオーケーを出す。オーケーを出したのだけれども、もし事故が起こったということになりますと、点検をした人は責任をとらされるというか、何か罰則があるというか、そういうことはあるのでしょうか。
  153. 山根孟

    山根政府委員 これは一般には点検につきましては一次的には外部的な診断ということでございますので、その限りにおいてある一定の基準のもとでやるということでございますので、特に罰則というようなことは考えておりません。
  154. 有島重武

    ○有島委員 大臣、いかがでございましょう。私たちとしては点検をしていただくのは、大ぜいの人たちの命がかかっておるのだから、熱心にやつてくれているであろうと思いたいわけでございます。しかし数が多くなりまして、予算も回る、そういうことになりますと、そんなことは思いたくないけれども、いいかげんな人がもしも出てきたということになると困ると思うのです。従来はそうであった、従来はみんな善意でやってくれるだろうということで来たから、これからもいいであろうと思いたいけれども、まさにここで話題になっておりますように、時代の変わり目であります。この辺で何かもう少しがっちり点検を責任を持ってやるような制度といいますか、そういうことをお考えになる御用意はありませんか。
  155. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 いま局長答弁をいたしましたが、私は皆相当責任を感じてやっておるものと思っておりますけれども、いま先生お話のようなことから言いますと、非常に重要な結果を招くわけでございますが、お話の件につきましては、今後よく勉強させていただきたい、かように考えております。
  156. 有島重武

    ○有島委員 それでは、御提言申し上げたことを含めて、ひとつ御勉強いただくということと承っておきましょう。  日本坂トンネルの火災以来約一年になるわけでございます。この間トンネルの総点検、速度の規制であるとかそういったことを行ってまいったようでありますけれども、これらの事故一つの教訓としていろいろな点を改良していくというようなことでございました。この事故の教訓をどのように受けとめ、どのように生かしておるのか、このことについて建設省の方にも承りたいし、それから警察庁の方にも承りたい。
  157. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十四年七月十一日に発生をいたしました日本坂トンネル事故にかんがみます今後の私ども考え方でございますが、日本坂トンネルにつきましては、火災発生後直ちに被災状況等調査いたしまして、関係機関と協議の上で復旧に努め、施設の改良も行いまして、九月九日に開通をいたしたわけでございます。その他のトンネルにつきましては、日本坂トンネル事故発生後直ちに消火施設、警報設備等の整備及び作動状況について総点検を実施するとともに、水底トンネル等につきまして、警察等関係機関と合同で危険物積載車両の一斉取り締まり等に協力させていただいたわけでございます。交通対策本部におきましては、昭和五十四年十二月二十日付で「トンネル等における自動車の火災事故防止対策について」決定をされまして、トンネルにおける消火、警報設備等の整備の充実、トンネルにおける交通規制強化、危険物の運搬に関する規制強化等について、緊密な連絡のもとに対策推進することとされましたので、私どもとしましては、この決定の趣旨を踏まえまして、トンネル非常用施設設置についての基準の検討を進めますとともに、可変式情報板の設置推進、危険物積載車両に対する指導、取り締まり強化関係機関との連絡協調体制の整備等に留意をいたしまして、トンネル等における自動車の火災事故防止の徹底を期するよう、各道路管理者を指導しているという状況にございます。
  158. 池田速雄

    池田政府委員 ただいま建設省の方からお話ございましたとおり、道路管理者と警察、その他関係機関協力いたしまして、点検をやったわけでございますが、その結果、日本坂トンネルにつきましては、トンネル内の速度規制を八十キロから七十キロに強化いたしておりますし、トンネル内の進路変更の禁止の措置、あるいは非常通路標示等を初め、各種の案内標識等を設けるなどの措置を講じておるところでございますが、やはり運転者のマナーの問題もございますので、高速運転の基本というものをよくわきまえて運転してもらわなければまた事故を繰り返すということになりかねませんので、安全速度を守る、あるいは十分な車間距離をとる、割り込みをしない、わき見運転をしない、路肩を走行しないという五つの原則の励行と定着化を強力に指導いたしておるところでございます。  なお、日本坂以外の道路等につきましては、高速道路で八十九のトンネル、それから一般道路自動車専用道路、これは高速道路以外の自動車専用道路でございますが、合わせまして三百五十二のトンネルの点検をいたしました結果、新しく規制等につきまして見直しをいたしました個所が、速度規制につきましては三十三カ所、はみ禁規制につきましては十八カ所、駐停車禁止の措置を講じましたところにつきましては六カ所、大型自動車通行禁止措置をとりましたところ一カ所、自転車歩道通行可能措置をとりましたところ一カ所、チャッターバーによります分離を図りましたところ一カ所といったような成果を上げているものというふうに考えております。
  159. 有島重武

    ○有島委員 一年もたってしまいますと、こっちは一生懸命覚えているつもりでいるのですけれども、通っていく人たちはほとんどお構いなしで昔ながらという感じがするわけでありまして、やはりあれだけの大惨事を本当に交通安全全般の一つの教訓にしていくためにはどうしたらいいか、これはやはりもう一工夫しなければならぬところじゃないかと思いますね。  それで、東名高速道路、一日の平均通過台数が二十五万台と言われております。特に夜間の通行、これはさっきも話題になっておりましたけれども、大型車の長距離が非常に多いわけでございますね。それでこれは通る方が悪いんだ、少しは考えなければならぬという議論もございますけれども、現実の問題としては通っているわけでありまして、この大型車の駐車場が非常に不足である。そのために過労運転が行われておる、あるいは私ども、現実を見てまいりましたけれども、路肩のところで駐車しているわけですね。こういったものについて一体どうしていくのか、真ん中のグリーンベルトゾーンを削ってしまって少し広くするとか、そんなような、相当乱暴じゃないかと思うのですけれども、これは一体どういうふうにしていくのか、一つの方針がおありになるか、これはどちらに聞いたらいいでしょうか、建設省ですか、建設省の方に伺います。
  160. 山根孟

    山根政府委員 一つ対策施設面にあろうかと存じますので、私の方からまずお答えさしていただきます。  一般に高速道路、高速自動車国道の場合でございますが、これの休憩施設としては、駐車場、便所等の施設を備えましたパーキングエリア、これを約十五キロメートル間隔、さらに、給油所、食堂などの施設を加えたサービスエリアを約五十キロメートル間隔に配置をいたしまして、走行車の利用に供しているところでございます。  先ほど先生おっしゃいましたように、東名あるいは名神高速道路におきましては、大変利用交通量がふえてまいっておりまして、パーキングエリア、サービスエリアの利用度が高まり、特に都市近郊の一部の休憩施設では飽和状態を呈しているというのが実情でございます。  こういった観点から、昭和四十八年度から、先ほどお話のありました施設の中の園地の部分、アイランド等を駐車マスに切りかえる一次改良を実施をいたしておりまして、五十四年度までに東名、名神高速道路におきます駐車スペース、駐車マスは、供用当初に比べまして四四%増加をさせてまいっております。しかしながら、なお不足をしている。特に大型車に対しての問題がございます。  こういったことから、利用状況に応じまして休憩施設の駐車スペースをできるだけ増大をしてまいりたい、こう考えておりまして、五十五年度には現在の港北パーキングエリアにおきまして、新たに用地買収を行いましてパーキングエリアを増設いたしたい、パーキングスペースを拡大いたしたい、こう考えておるところでございまして、今後とも可能な限りこの改良計画を進めてまいりたい、こう考えておるわけでございます。ただ、何さま新たに用地を取得する等、大変むずかしい状況もございますので、いろいろな工夫をしながら駐車需要にこたえてまいりたい、こう考えておるところでございます。
  161. 有島重武

    ○有島委員 大臣、御承知でしょうけれども、掛け算、割り算じゃどうにもならないと思われるのは、ピークがあるわけなんですよね。それも込み合う個所というのがあるはずですね。日によってもあるわけで、需要と一口に言われたけれども、需要というのは、せっかくつくったが、いつもはがらんがらん、こんなむだなものと思われるようなことも起こると思うんですね。にもかかわらず、やはりそれだけの遊びといいますか、道路というものの概念が、すぐに通して走れればいいんだというようなところが、いわゆる道路というものの概念をもう一遍考え直すというようなことにつながっていくんじゃなかろうかと思うわけなんですね。そうでないと、また新たな予算の獲得というようなことも、大蔵省の掛け算、割り算に遭ってむげに退けられてしまうというようなことがあるかと思うのですけれども、大げさに言えば発想の転換というようなことをやはり大臣もお考えいただいておるでしょうか、いかがですか。
  162. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまのお話は、いわゆる駐車場のお話でございますが、これは時間的にも恐らく夜明けとか、あるいは東京になるべく近いところとかいうことになりまして、非常に混雑をしておるというようなことでありまして、非常に重要な問題でありますから、いま御説明いたしましたように、これに対しましてはいろいろ困難な問題もありますけれども、できる限りの対策を立てたいと全力を挙げておるところでございまして、そういうような意味では、私は道路環境は、いろいろな意味から私どもは配慮をしていかなければならぬと思っております。今回、たとえば道路につきましても、環境整備の制度を新しくつくろうと思っておりますけれども交通安全対策等の意味におきましても、今後は一層配慮を進めまして、道路全体として成果の上がるような結論を出すように努力をしたい、その点につきまして十分努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  163. 有島重武

    ○有島委員 せっかくお答えいただいてまたくどく言うのは恐縮でございますけれども、どうしてもお役所としては、いままでの概念の上にいろいろ工夫をしてしまおうということしかできないと思うのですね。ですから、せっかくのグリーンベルトも、運転者の精神衛生の上から言えば非常に貴重なことであろうかと思うのですけれども、背に腹はかえられないので、削ってしまえ、こういうようなことにならざるを得ない。だから、道路というものの概念をもう一遍考え直してみようじゃないかというようなことを大臣から一声かけてもらえば、大変また勇気づくのであろうと思うのです。そういった意味で申し上げたのですけれども、いかがでございましょうか。
  164. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 広い視野に立ちまして道路には取り組んでまいりたい、そのように指導してまいりたいと思います。
  165. 有島重武

    ○有島委員 もう時間ですから、あと一問で終わります。  やはり高速道路の問題なんですけれども、高速道の、私がじかに体験しておることであります。墨田区、江東区、あっちの方をずっと通っております首都高速の七号線なんですけれども、これはラジオの交通情報なんかでも必ずと言ってもいいほど、錦糸町料金所のところが何キロか、三キロだ、六キロだ、八キロだ、こういう渋滞になるんだと、これは慢性化してしまっているわけです。京葉道路の方から首都高速へ入った。そうすると、錦糸町のインターまでは八キロの間ずっと出られないわけですね。それで混んでまいりますと、途中のインター、たとえば小松川インターなんかも、何かバックしながら出ていくような人までいるわけなんですね。こういうような状況があるということは、建設大臣もあちこちで御存じかもしれないけれども、これは何とか解消したい、何かうまい手があるのか、お考えがおありなのか、これは最後に承っておきたいと思うのです。
  166. 吉田公二

    ○吉田政府委員 お答え申し上げます。  東京と千葉方面との交通需要が非常に大きなものでございまして、その中で首都高速道路の七号線が一番幹線になっております関係上、ここの交通需要は非常に大きいわけでございまして、先生指摘のように、特に上り線につきまして渋滞の発生が高いということは、私ども承知しているわけでございます。この解決策ということでございますけれども、とにかく交通需要が非常に大きいわけでございますので、二つの考え方を私どもいま考えているわけでございます。  当面、交通のキャパシティーをふやすという意味で、現在建設中の湾岸線というものをなるべく早く完成させまして、そちらの方に流していく交通ということで、交通の転換を図っていくことを早期に進めたいということが一つと、もう一つは、道路公団とかその他道路管理者と連絡を密にいたしまして、道路の複数の選択ができるような場合に、広域的な情報をうまく流して、どういうふうに選択していくかというようなことを図って、なるべく有効に道路のキャパシティーを使っていくということが当面考えられるところでございます。  さらに本質的に申しますと、これはちょっと先の議論になりますけれども交通の大きな問題は、都心部に交通が流れ込むという量が非常に大きいわけでございますので、なるべく都心部をよぎる交通を転換させる意味におきますいわゆる環状道路整備していくということで、たとえば葛飾ー江戸川線を整備していくとか、そういったものも早期に進めまして、広域的な対処をしていくというふうに考えているわけでございます。
  167. 有島重武

    ○有島委員 終わります。どうもありがとうございました。
  168. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、木下元二君。
  169. 木下元二

    ○木下(元)委員 私は、道路欠陥と車両の強度不足による死傷事故の問題についてお尋ねします。  北海道道である釧路鶴居弟子屈線というのがあります。この道路で昨年八月二十七日に、この道路の鶴居村通称芦別橋の欄干に乗用車が激突しまして、死傷者三名を出した交通事故がございます。この事故についてお尋ねしますが、事故発生当時の事故現場の気象状況事故を起こした乗用車の社名、型、年式、事故の概況と推定事故原因及び被害状況を御説明願いたいと思います。
  170. 池田速雄

    池田政府委員 御質問事故でございますが、発生日時が昨年の八月二十七日のお昼、十二時ごろとなっております。気象状況は当時小雨であったというふうに記録されております。問題の芦別橋というのがございますが、御指摘道路、幅員がほぼ八メートル程度の道路でございまして、中央線とそれから外側線がほぼ一メートルのところに両方引いてある、こういう道路でございます。アスファルト舗装の道路というふうに聞いております。そこで東京居住の主婦の方が運転されまして、子供さんお二人を乗せまして進行中に、橋の欄干に激突して子供さんお二人が亡くなられ、当事者は負傷されたという事案でございます。  事故原因につきましては、当事者の供述によりますと、進行中水たまりの水がフロントガラスにはねてまいりまして、そのためにろうばいしてハンドルを切り間違えたと思う、こういう供述がされているように聞いております。
  171. 木下元二

    ○木下(元)委員 この場所では、この事故と相前後して、この事故と同種の事故が起きておりますが、その事故発生時の気象条件、事故の概況等について説明願いたいと思います。
  172. 池田速雄

    池田政府委員 昨年の九月二十七日の午前十時十五分ごろでございますけれども、天候は雨というふうに記録されているようでございます。当事者は札幌市居住の男性の運転手でございますが、単独乗用いたしまして運転中、今度は向かいまして左側の欄干に衡突してけがをされたという事案でございますが、     〔委員長退席、有島委員長代理着席〕 御当人がけがをされております関係上、まだ御当人の供述を得られておりませんので、警察の捜査はまだ済んでおりません。
  173. 木下元二

    ○木下(元)委員 同じように欄干に突き当たったということです。同じように雨が降っておったということです。八月二十七日の方の気象条件は小雨であったように言われましたが、私が聞いておるのでは、どしゃ降りの雨であったように調べておるのでありますが、この点はいかがですか。
  174. 池田速雄

    池田政府委員 私どもの方は小雨と聞いておりますが、まだ詳しい点につきましては私ども詳細に聞いているわけではございませんので、この点につきましては、どしゃ降りなのか小雨なのか、いま確実なところは御返答できない状況でございます。
  175. 木下元二

    ○木下(元)委員 昨年八月二十七日の事故、被害者は神春江さんという方でありますが、この事故について警察としてはどのような処分、措置をおとりになったのか。検察庁に送検をされたのか、容疑は何か、そしてまた運転免許停止などの行政処分は行ったのかということなどを伺いたいと思います。
  176. 池田速雄

    池田政府委員 事案は、釧路地方検察庁に業務上過失致死の容疑で送致いたしております。なお、行政処分の点につきましては、住居地が東京でございますので、釧路の公安委員会から東京に移送されまして、現在審理中と聞いております。
  177. 木下元二

    ○木下(元)委員 行政処分は保留になっていると聞いているのですが、ちょっと違うようですけれども、送検されたということですが、この事故は不起訴になったのではないのでしょうか。
  178. 池田速雄

    池田政府委員 処分結果につきましては、私どもの方はまだ聞いておりません。
  179. 木下元二

    ○木下(元)委員 起訴されたということは聞いておりませんですね。
  180. 池田速雄

    池田政府委員 起訴されたということも聞いておりませんし、処分がされたかどうかという点につきまして私どもの方もまだ照会いたしておりませんので、その点については不明でございます。     〔有島委員長代理退席、委員長着席〕
  181. 木下元二

    ○木下(元)委員 私は本人から聞いておるのでありますが、これは不起訴になっておる。通常の場合ですと、二人が死亡しておるわけでありますから不起訴ということは考えられないわけでありますが、不起訴になっておるということであります。不起訴の理由は定かではありませんが、これはこの運転手を起訴できない理由があると私は思うのです。本件事故は、道路の欠陥と車両の安全強度不足などが複合して死傷事故に至ったものではないかと思われます。警察としては本件事故調査に当たって、当然道路の欠陥や車両の強度不足などについても調査をしておると思うのでありますが、いかがでしょうか。
  182. 池田速雄

    池田政府委員 交通事故につきましては、実況見分をやりまして、その後、関係者からの供述等を聞き、その結果を判断しまして送致あるいは行政処分等の措置をとるわけでございますが、本件につきましては、ちょうど入院されたようでございまして、約二週間近く、一週間余りでございますか、正確な日時は覚えておりませんけれども事故発生時にすぐ調書を作成したのではなくて、ある程度負傷が回復されてから事情をお聞きしております。その当時の調べによりますと、当事者のお話では雨が降っていたということと、それからある場所に来たときに水たまりがあった、その水たまりの水がはねてフロントにかかったのでハンドルを切り間違えた、こういう供述になっておると聞いております。なお、車につきましては、一年ぐらい前に購入されまして、その後六カ月の整備をやっておった。それからちょうど一月ぐらい前でございますか、この車を使って北海道に旅行をするのでということで、もう一遍車両の点検を受けられたという供述があったというふうに聞いております。
  183. 木下元二

    ○木下(元)委員 本人から事情聴取をされたのは当然でありますが、私が聞いておるのは、本人が述べておったように水たまりがある、そしてそこを走行中にその水たまりの水がはね返ってきたといった事情について、現場の状況に即して調査したかどうかということを伺っているのですが、調査していないなら結構です。
  184. 池田速雄

    池田政府委員 実況見分をいたしておりますので、そのときに、道路に車のわだち痕がある。わだち痕と申しますのは若干のくぼみでございますが、それがあったということは認識しておるようでございます。それから車につきましては、大破いたしておりましてそのまま保管していたわけでございますが、御本人の供述によりますと、いままで運転中変わったことはない、こういうようなことでございましたので、車につきましての鑑定と申しますか、捜査等はやっておらないということでございます。
  185. 木下元二

    ○木下(元)委員 実況見分は行ったけれども、再現テストもやっていないということであります。  そこで、この自動車交通の安全確保という問題は、大きく分けまして、人の面、道路の面、自動車構造の面、この三つの観点から互いに密接な連携をとりながら進める必要があると思うのであります。これは、中央交通安全対策会議が第二次交通安全基本計画の構想として打ち出した考え方であります。基本計画では、「道路交通事故原因の総合的な研究調査推進」という項目があります。この項目の中で次のように述べております。「有効な交通安全対策を樹立し、これを適切に実施するためには、その基礎として交通事故の原因を総合的に究明し、その成果を総合的に活用することが不可欠である。このため、交通事故データの統計解析を諸側面から進めるとともに各種の方法による実態調査を積み重ね、施策実施に直接結びつくような解析方法を開発することにより、交通事故とその発生に関連する諸要因との関係を総合的に解明し、交通の安全に関する施策の検討、立案等に役立たせる。また、関係国立試験研究機関の事故解析を担当する部門間の連携を強化するとともに、交通事故の諸要因に関する諸統計の充実を図る。」こういうように述べております。  事故調査に当たっては、こうした方向に沿って交通事故原因を総合的に究明するべきであります。そしてその成果を今後の交通安全対策に総合的に活用するように、現在の事故調査のやり方を抜本的に改善すべきではないか、こういうように思うわけでありますが、いかがですか。できれば国家公安委員長からも御答弁をいただきたいと思います。
  186. 池田速雄

    池田政府委員 事故原因の究明につきましては、各種の観点から見まして、自後の施策に資するということは当然のことでございますので、道路上の問題がなかったか、あるいは車両の原因に問題がなかったかという点につきましては、そういった原因が認められるものにつきましてはもちろん統計もとっております。ただ、原因追及と申しますか、いわゆる原因と、それから法上の人間の行為に対する評価というのを受けるわけでございますけれども、その辺の均衡の問題とはおのずからバランスの問題があろうかというふうに考えております。
  187. 木下元二

    ○木下(元)委員 北海道道釧路鶴居弟子屈線の釧路方向に向かって芦別橋手前付近は道路が陥没をしておりまして、雨が降った後雨水がたまり、大変危険なのであります。本件事故は、この水たまりに時速五十五キロ前後で突っ込んできて、その衝撃で雨水がフロントウインドーに鉄砲水のようにはね返って、あわててブレーキを踏んで、スリップして芦別橋の欄干に激突をした、こういう事故であります。道路法二十九条は、道路の構造の原則として述べておりますが、「道路の構造は、当該道路の存する地域の地形、地質、気象その他の状況及び当該道路交通状況を考慮し、通常の衝撃に対して安全なものであるとともに、安全かつ円滑な交通確保することができるものでなければならない。」と定めております。この個所は明らかに道路の構造の原則に違反しておると思われます。警察としてはこうした状況を事前に承知していたと思うのでありますが、いかがでしょうか。本件事故調査に当たって、事故再現テストを当然すべきであったと私は思うのでありますが、この点も含めてお答えいただきたいと思います。
  188. 池田速雄

    池田政府委員 事故の多発場所等につきましては、事故防止という観点からいろいろな対策を講じるのは当然であろうと思います。したがって、そういう点から考えまして、道路管理者等とも相談いたしまして、現在危険地帯ということでございますか、そういったような旗等を立てまして警戒的なことをやっておるというふうに聞いております。  事故原因につきましては、先ほども申し述べましたように車轍痕はある。ただそのくぼみの程度というものは、車轍痕でございますから、道路に沿ったみぞの跡でございますけれども、そのことによって生ずる、通常の走行の状態であれば、十分な注意義務を尽くしておったならばそういうことは避け得たであろうという観点のもとに送致いたしておるというふうに聞いております。
  189. 木下元二

    ○木下(元)委員 その現場検証というようなことでさっきもお尋ねしているのですが、この事故再現テスト、そういうことはおやりになる必要はなかったのでしょうか。これは単に過失の有無を判断するという上だけでなくて、この事故調査をさっきも言いました第二次交通安全基本計画に沿った、そういう方向のものとして事故原因を究明するという観点からも私はやるべきではなかったかと思うのですが、この点はいかがですか。
  190. 池田速雄

    池田政府委員 当該場所に関します事故につきましていろいろ調査いたしましたけれども、過去三年間、事故発生はその場所におきましてはこの二件だけであるというふうに聞いておりますので、その必要を認めなかったものではないかというふうに考えます。
  191. 木下元二

    ○木下(元)委員 どうも現地の警察がこの道路状況を十分に承知していないのではないかというふうに私は思うのです。もしそうだとすれば私は怠慢ではないか、再現もやらないような事故調査のやり方に問題があるのではないか、こういうように思います。  ここに実は再現テストをしたときの写真があります。これはことしの初めのある晴れた日に、芦別川の水をポンプでくみ上げて、雨が降った後と同じような状態を再現したものであります。写真をちょっと見ていただけますか。
  192. 石田幸四郎

    ○石田委員長 どうぞ。
  193. 木下元二

    ○木下(元)委員 その写真の一、二、三というのがありますね。この光っている部分が水がたまっている部分であります。ちょっと見ただけでは水がたまっていることに気がつきません。どしゃ降りの雨が降っているときは、水たまりがあるかどうかもはっきりわからないような状態である。それから四、五、六、七の写真、これはその水たまりに時速三十キロ、四十キロ、四十五キロ、五十キロで突っ込んだ場合に水たまりが、このたまり水がどのようにはね返るかをテストしたものであります。五十キロ以上で突っ込むと、たまり水がフロントウインドーにはね返って、思わずブレーキを踏むのは当然ではないかと思われます。事故調査ではこの運転手の神春江さんはこの点を強く主張しましたけれども、なぜこの再現テストをやらなかったのでしょうか。道路に欠陥があったということはこれでお認めになりませんか。いかがですか。
  194. 池田速雄

    池田政府委員 現場検証、実況見分を二回にわたってやっておりますので、捜査としては十分な手続を尽くしておるというふうに考えております。
  195. 木下元二

    ○木下(元)委員 いや、その捜査というよりも、私は検挙だけじゃなくて事故調査をするということについて不十分さがあるのではないかということを指摘しているんですよ。この個所の陥没その他道路の構造について、専門の測量士を入れていわゆる縦断勾配や横断勾配を測量しましたところ、道路構造令にも違反している疑いが濃厚であります。この陥没したところの横断勾配、この横断勾配については道路構造令で定めがあるわけでありますが、その横断勾配は道路構造令で定められた標準をずっと上回っております。しかも排水設備は設けられておりません。設けられていないから水がたまっているわけですよ。これも道路構造令違反ですね。その結果こういう雨水が非常にたまる状態がつくられて事故が起こっておる。これは道路構造令違反であることはお認めにならないのですか。あるいは道路の欠陥、道路の瑕疵という点ですね、これは明らかではございませんか。
  196. 池田速雄

    池田政府委員 現場の実情から見ますと、いま仰せのような点は道路管理者の方の道路管理上の問題であろうかというふうに考えております。
  197. 木下元二

    ○木下(元)委員 道路法は道路の保全等について四十二条で「道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もって一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。」と定めております。本件事故について道路管理者というのは、北海道道でありますから北海道庁でありますが、この管理責任を追及すべきであると思います。同時に同種事故の再発を防止するために、道路管理者に対して欠陥個所を直ちに補修させるべきではないかと思います。建設省警察庁からそれぞれ今後どのようにされるかを明らかにしていただきたいと思います。
  198. 山根孟

    山根政府委員 釧路鶴居弟子屈線の芦別川にかかります橋梁の取りつけ部分の問題でございますが、主要地方道といたしまして、北海道においてその建設管理を行っているものでございます。御指摘の個所において昨年の八月二十七日、九月二十七日に自動車による事故が発生をいたしておるわけでございますが、御質問のような点の問題はないというぐあいに聞いておるわけでございますが、事故当時の状況等は現在十分把握されておりませんので、早急に道路管理者であります北海道に現地の状況調査させたい、かように考えるものでございます。その結果をまちまして補修等についても検討してまいりたい、かように考えます。
  199. 木下元二

    ○木下(元)委員 地元の北海道新聞には、この事故が起こった後、さっき申しましたようにこれは二件事故が起こったわけですが、その当時の新聞でありますが、北海道警察と道開発局が「独自に道路診断を行い何らかの安全対策を講じることにしている」というふうな記事も出ておるわけなんです。これは非常に問題がある。私は建設省がよく指導をされて調査もされ、安全対策の万全を期してもらいたいと思うのです。ひとつ大臣、この点についてぜひ万全を期してやっていただきたいということをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  200. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 検討してまいります。
  201. 木下元二

    ○木下(元)委員 それから国家公安委員長もおられますが、警察庁として、ここで起こった事故二つありまして、後の方の事故は捜査中ということでまだ結論が出ておりませんが、やはり事故原因を十分考慮してもらいたいと思うのです。  それから、この事故だけでなくて、やはり一般的な問題として、交通事故の捜査に当たって、単にその事件を検挙するということだけでなくて、やはり道路の瑕疵等についても、事故原因の調査を尽くすという観点からも十分に調査をきわめていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  202. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 事故捜査に当たりましては、おっしゃるように、車の整備がどうであったとか、あるいは道路がどうであったとかいったようなことは、当然警察としても一留意しなければならぬ点であろうと思います。もちろん交通安全ということから見れば、先ほどお話しのように、人の問題、それと車の問題、道路の問題、これは相関関係がありますから、そういう意味において安全を確保するということは当然ですが、ただ、警察の場合の捜査は、御案内のように道路交通法というのは運転者というものの当然の注意義務というのが前提になってでき上がっておる法律であるということも御理解を賜りたい、かように思います。
  203. 木下元二

    ○木下(元)委員 それから、この問題だけでなくて、全般的に道路の欠陥によって生じた事故件数、これは昨年一年間でたとえばどのくらいあったのでしょうか。
  204. 池田速雄

    池田政府委員 統計上私ども一が事故原因として道路障害によります死亡重傷事故件数としてとっておりますのは、五十四年が百八十二件でございます。
  205. 木下元二

    ○木下(元)委員 それは死亡重傷事故だけですね。軽傷とか、あるいはそれに至らない事故については入っておりませんね。
  206. 池田速雄

    池田政府委員 死亡重傷事故だけでございます。
  207. 木下元二

    ○木下(元)委員 それから、それは道路の欠陥だけによって生じた事故のことでしょうか。あるいはそのほかのいろいろな条件も加味されて起こった事故も含むのでしょうか。たとえば本件で申しました神春江さんの場合、これも含まれておるのでしょうか。
  208. 池田速雄

    池田政府委員 原因をとります場合に、第一原因から複数の原因をとって統計へ載せるわけでございますが、これは事故防止の必要上とるわけでございますので、いま申し上げました数字は第一当事者の第一原因、こういうことでございます。
  209. 木下元二

    ○木下(元)委員 神さんの場合は含まれているののですか。
  210. 池田速雄

    池田政府委員 含まれておりません。
  211. 木下元二

    ○木下(元)委員 こういう神さんの場合なども含むと、相当な件数に及ぶようでありますが、こうした道路の欠陥によって事故が生じるということはゆゆしき問題でもありますので、ひとつ速やかにこういう道路の欠陥等を補修して、事故が起こらないように、これもひとつ万全の対策をお願いしたいと思います。大臣よろしいですか。
  212. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 当然なことでありますから、できる限りの努力をいたしたいと思います。
  213. 木下元二

    ○木下(元)委員 それから、本件死亡事故は、車の強度不足、とりわけサイドドアの強度不足に重大な原因があると思われます。  本件事故車は日産セドリックSGLEのハードトップ型であります。ハードトップが衝突時に車内の乗員の安全を守る上で重大な弱点があることは、業界では常識になっております。たとえば、日産の「モーターエージ」のナンバー五十七によりますと、ハードトップは「ボディー全体の箱形断面で支えることになるから著しく不利」であり、「衝突や転覆のとき乗員を守り切れない」とはっきり言っております。ハードトップがクーペやセダンに比べサイドドアの強度が不足し危険であることは、運輸省が十分承知しているはずだと思います。この点はいかがでしょうか。  警察も、これまでの車種別、形態別の事故調査の解析で、ハードトップがクーペやセダンと比べて重大な死傷事故につながる率が高いことを承知していると思うが、いかがでしょうか。
  214. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども、ハードトップの車が特に車体強度上問題があるというふうには認識しておりません。
  215. 池田速雄

    池田政府委員 特定の車両別の事故統計は警察ではとっておりません。
  216. 木下元二

    ○木下(元)委員 そうした事故統計をとっていないのは、私さっきも指摘しましたが、明らかに第二次交通安全基本計画が指し示した方向に反すると思うのですよ。運転手の過失責任だけを追及するというような事故調査は速やかに改めるべきであります。  運輸省は、特に問題ないというような答弁もされておりますが、私そうではないと思うのです。  本件事故による車両の損傷がどの程度あったかについて、事故当時の現場写真があります。五十五キロのスピードで走行中に急ブレーキをかけて橋の欄干にぶつかっただけで、サイドドアは約五十センチ陥没をいたしております。ここに写真があります。ちょっとこれを見ていただきたい。この五から八まで、下の写真は警察で撮った写真のコピーであります。それから、ちょっとこれも見ていただきたい。これを見たら非常によくわかる。  この事故現場の調査に当たった警察官も、サイドドアががんじょうだったら死亡事故にはならなかっただろうと語っておるのです。その写真、よく見てください。五十センチへっこんでいるのですよ。運輸省はこれでも問題ないと言うのですか。
  217. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども先ほど先生の御指摘がございましたように、事故調査というのをやっております。ただ、全部の事故を徹底的に解析調査するというわけにまいりませんので、ある期間、たとえば二十日間とか一月とかそういう期間を区切りまして、そのかわり徹底的にこれを追跡調査をやっておるわけでございます。これは四十八年からずっと毎年実施しておるわけでございますけれども、そうした調査結果の中からいろいろ事故の原因等をつかみまして、今後の車両の安全のために役立てていこうということで調査をやっておるわけでございます。当然その中にはハードトップの車の側面衝突というのも何件かございます。それからハードトップでない車の側面衝突というものもございます。そういうものを解析した結果から見まして、私ども特にハードトップが危険であるという結論には達しておらないわけでございます。
  218. 木下元二

    ○木下(元)委員 このサイドドアの強度については、欧米の自動車先進諸国ではすでに安全基準を定めております。アメリカでは、ドア外板から十八インチへこむまで静荷重をかけたとき、六インチへこむまでの平均抵抗力は二千二百五十ポンド、十八インチへこむまでの最大抵抗力は空車重量の二倍または七千ポンド以上という安全基準を七三年一月から実施しております。さらに、近くこの基準強化すると言っております。オーストラリアでも七七年一月からサイドドアの強度に関する設計基準が施行されております。ボルボなどでは、サイドドアにパイプを入れて自重の六倍以上の荷重に耐え得るような構造になっております。ところが、わが国では約十年前の七二年九月の運輸技術審議会で、側面ドアの強度について、昭和四十八、四十九年度中に新たに保安基準を設けるべきであるとの答申を受けながら、今日に至ってもなお保安基準を設けようとしていないのであります。これは一体どういうことでしょうか。これは怠慢ではありませんか。
  219. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 ただいま先生指摘のように、四十七年の運技審答申ではサイドドアの強度を決めるということの御答申をいただいております。それは当時、いま御指摘になりましたようなアメリカのNHTSAの基準が四十八年、四十八年と申しますのは一九七三年でございますけれども、七三年から実施をするということで、わが国でもそういう規制をしたらよかろうということで御答申をいただいたものとわれわれは理解しております。しかし、その後私ども調査した範囲におきますと、一九七三年の七月に、ミシガン大学ハイウェー・セーフティー・リサーチ・インスティテユートというところから側面衝突事故における乗員の損傷程度の分析とドアの変形度を調査した結果、サイドドアのビーム、いま先生パイプとおっしゃいましたけれども、パイプとかはりとかを入れるわけでございますけれども、これが傷害や侵入量に有効であるとは言えなかったという調査結果も出ておりますし、わが国の国内メーカーのテストでも同様な結果が出ておるわけでございます。したがいまして、そういうことを勘案した結果、少なくとも将来の問題として規制するのであれば、このアメリカの静的な試験と、衝突というのはダイナミックな問題でございますから、これが相関がないという結果が出ておるわけでございますから、もし今後の問題として規制をするのならばダイナミックな方法による新たな試験方法というものを開発しなければならない、そのように考えている次第でございます。
  220. 木下元二

    ○木下(元)委員 余り時間がありませんので詳しく申しませんけれども、アメリカがどうのこうのと言われますが、いろいろ方法はあると思うのですよ。どういう方法をとるかは別として、この七二年の運輸技術審議会の答申でははっきりと側面ドアの強度について答申が出ておるわけですよ。これがもう全く不問に付されて何もされていないというのは怠慢以外の何物でもないと私は思うのですよ。  しかも、詳しく申しませんけれども、たとえば七二年の十二月に出た「人と車」という雑誌でありますが、飯塚良政氏、これは元運輸省の自動車局におられた方ですが、この方も書いておられますね。「側面のドアは一枚板なので、出会い頭の衝突の際は非常に弱い。このため、側面のドアはいろいろ工夫して、強度の高いものにする必要がある。」という指摘もしておるのですよ。こういう指摘があるのに何らされていない。これは一体どういうことなのか、私は非常に疑問に思うのです。  わが国の自動車保安基準は、欧米の自動車先進諸国の安全基準と比べたとき随所に穴があります。サイドドアの強度、前面ガラスの取りつけ強度、ドアロックの強度、燃料系の防火、電気系の安全性、内装品の難燃性、こういうものについての保安基準が定められておりません。  昭和四十六年の中央交通安全対策会議の第一次交通安全基本計画は、交通安全関係の規格について「国際水準以上の規格とすることに努める」と定めております。運輸省としては少なくとも欧米の自動車先進諸国の安全基準並みまたはそれ以上の保安基準を速やかに定めるべきであると思います。運輸技術審議会が答申しない部分がある場合には、その部分については行政の責任で保安基準を定めるべきであると思います。運輸省いかがでしょうか。
  221. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども自動車の安全基準を考える場合に、まず第一に考えますのには、事故をいかにして起こさないかということがまず第一義的に必要なわけでございます。まずそのための基準をつくる。それから二番目には、もし事故が起こった場合に、被害をいかに少なくするかということを安全基準に盛り込むわけでございます。しかし、その要求というものはいま先生が御指摘になったことも含めてもっと多くの項目があるわけでございます。いまの技術水準ですべての項目を同じような高いレベルで満足するという技術がございますれば、これはそれで可能なわけでございますけれども、少なくともいまの技術ではそれぞれの要求が外律背反あるいはトレードオフというような関係にございます。したがいまして、私どもはそれぞれの国、わが国で言えばわが国の交通事故の実態に合った、どれが最も必要かということに重点を置いて保安基準を定めておるわけでございます。そういう意味におきまして必ずしも欧米の基準とは一緒ではございませんけれども、少なくともわが国で使う自動車としての安全性につきましては決して欧米に遜色がないもの、そのように考えておる次第でございます。
  222. 木下元二

    ○木下(元)委員 運輸技術審議会の答申にもこたえられていないという点で、いまいろいろ弁解がましく言われましたけれども、私はその答弁に納得できません。いろいろ質問したい点がございますが、もう時間が来ましたのでまた次回まで保留したいと思います。
  223. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、三浦隆君。
  224. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族対策についてお尋ねいたします。  交通安全対策基本法によりますと、第三条に陸上等交通の安全に対する国の責務が規定されています。では、暴走族の暴走行為に対して現在国はどのような総合的施策を策定し、またこれを実施しているのでしょうか。大臣の御所見を承りたいと思います。
  225. 池田速雄

    池田政府委員 最近の暴走族は、暴走行為あるいは対立抗争といったような事案に加えまして、一般市民を巻き込んだ暴力行為や取り締まりの警察官に対します公務執行妨害事案等引き起こすなど、凶悪化の度合いを強めておる現状にございます。  こういった実態にかんがみまして、警察におきましては、暴走族の総合対策ということで各都道府県警察本部におきましては警察本部長を長といたします暴走族総合対策本部を設けまして、警察の総合力を挙げて所要の警戒、取り締まり等を行っておるところでございますけれども、同時に関係の各省庁あるいは団体、市民等の協力を得る必要があるということで教育関係はもちろん、車両行政をつかさどっておられます陸運当局あるいは道路管理者等とも緊密な連絡をとりながら、根源的な解決を図っていくべきであろうということで、警察の取り締まりとあわせまして総合的な措置をお願いしておるところでございます。
  226. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 昭和五十三年度の道交法改正以降本年三月に至るまでの暴走族の婿集状況及び昨年の暴走族の対立抗争事案の発生状況についてお知らせ願いたいと思います。
  227. 池田速雄

    池田政府委員 昨年の暴走族の蝟集走行人員の現状でございますけれども、出ました人員が十三万四千六人、こういうことになっております。蝟集の回数が二千四回でございます。五十三年度は二十九万一千五百三十九人が出まして、二千七百回の蝟集回数がございました。したがいまして、回数、人員につきましては大幅に減ったわけでございますけれども、その内容が悪質化した、こういう現状にございます。  これに対しまして、警察といたしましては、昨年は一万十四回、延べの警察官にいたしまして百万三千四百六十六人の警察官を出動させております。これは五十三年は六千三百十三回の出動で八十一万五千八百四十一人の出動でございますので、対象は少なくなったけれども、悪質化しておりますので、警察官の出動状況は多い、こういうことでございます。一なお、暴走族の対立抗争事案の発生状況でございますけれども、五十四年は五十八件、二千二百五十一名が関与いたしております。五十三年は四十六件、千九百八十六人、前年の五十二年は六十九件、四千二百三人、こういった数字になっております。
  228. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 昨年の十二月の統計を見ますと、五十三年度に比べてふえていると思うのですが、いまの御説明ですと減っているということですが、少なくとも昨年の十二月は一万三百十二人の検挙数であり、五十三年度は千三百三十人でしがなかったというふうに報告がありますが、どうでしょうか。
  229. 池田速雄

    池田政府委員 取り締まり状況でございますけれども、昨年、年間を通じまして一万八千六百四十五件の取り締まりをいたしております。これは五十三年は二万三千八百五十一件でございますので、検挙の総数としては減っておりますけれども、うち逮捕の人員を見ますと、昨年は逮捕いたしましたのが三千六百六十二人でございまして、五十三年は二千五百六十二人でございますので、逮捕者がふえておるということでございますが、事案がそれだけ悪質だというふうに考えております。
  230. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 当初はこの道交法六十八条の改正によりかなりの効果が期待できたと思うのですが、昨年の十二月の蝟集状況その他は現実にふえてきているわけです。すなわち、これらの人々は、年齢が十六ないし十九の方に、わりあい若い世代にまとまっていますので、そういう人が年をとるとひとりでに消えていって、新しい世代が年をとるとまたふえるということでは、法の改正を伴いながらもその効果が次第に薄れてきているのじゃないかというふうに思うのです。  すなわち道交法六十八条を改正して、さらにまた百十八条一項三号の二によって罰条も強化はされているわけですけれども、私はまたふえてくるのではないかというふうに思います。このままでは、ことしの夏から秋にかけまして、また暴走族による一般市民に対する投石事犯、ガソリンスタンド等における集団窃盗事件、シンナー乱用事犯等悪質な行為が行われるおそれがなしとしないのじゃないかというふうに思うのですが、そういう見地に立っての新しい施策というふうなものを警察では特にお考えになっていらっしゃるでしょうか。
  231. 池田速雄

    池田政府委員 先ほど申し上げましたように、各県に警察としては最高の取り締まり体制でございます本部長を長といたします対策本部をつくりまして、警察の各部門、交通だけでなくて防犯あるいは刑事、外勤、こういった総合力を行使いたしまして警察が直接当たるわけでございますが、関係各機関の協力も得、しかも暴走族につきましては市民の協力が、ぜひ必要でございますので、暴走行為を見ない、させないといったようなスローガンを掲げまして、市民の協力をも得ているわけでございますが、いま御指摘のとおり、対象が大多数が少年でございまして、お話のように、ある年齢に達しますと、そこから抜け出る者が多いけれどもまた新規の者が入ってくるといったような点も多うございますので、少年の補導といった観点からも十分に留意してこれに当たっておるというのが実情でございます。
  232. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 警察の取り締まりは、確かに大変な警察の出動があったし、車の出動もあったし、さらに法令も強化されている点では、この辺ではもはや一種限界に近いのではないかという気がするわけです。  それはまた後に質問させていただきまして、とりあえず、暴走族によりまして、昨年の法令別の検挙状況、どうなっているかということ、また、検挙を通じて道交法違反なり刑法犯あるいは特別法犯等で特に憂えられる点があるとすれば、それはどこにあるのか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  233. 池田速雄

    池田政府委員 先ほど申し上げました取り締まり状況の一万八千六百四十五件の内訳を見てみますと、道交法違反で検挙いたしましたのが一万六千四百四十一件でございまして、これは五十三年に比べますと、五十三年が二万二千三百十四件でございますから、五千八百七十三件のマイナス、こういうことになっておりますが、逆に刑法犯につきましては、一千百三十七件でございまして、五十三年の八百四十六件から比べますと、二百九十一件のプラスということになっております。大幅に増加しております。また、その他の特別法犯につきましても、七百三十四件で、五十三年の五百十一件に比べますと増加しておるわけでございますし、暴力行為処罰法等を見ますと三百三十三件で、五十三年の百八十件に比べますと大幅にふえているわけでございます。  こういった、単に車を集めて蝟集して走行するといったような状況だけでなくて、本当の非行少年化しつつある実態があるという点が、まことに憂うべき点であるというふうに考えております。
  234. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 次に、暴走族の検挙に伴いまして、運転免許の行政処分状況、どうなっておりますでしょうか。
  235. 池田速雄

    池田政府委員 五十四年中におきます新しい規制のできました共同危険行為等の禁止違反につきましては百二十三件、二千四百五人の検挙を見ております。そのうち行政処分が済みましたのは千四百二十件でございまして、うち免許の取り消しが四百三十件、停止処分にいたしましたのが九百九十件でございます。
  236. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族に対する行政処分としては免許の停止処分が多くて、取り消し処分が少な過ぎるような気がするのですが、もっと取り消し処分というのを強化した方がいいと思いますが、どうでしょうか。
  237. 池田速雄

    池田政府委員 行政処分につきましては、御案内のとおり点数制度を採用いたしておりまして、この処分につきましては一応九点という点数を付しておるわけでございますので、直ちに取り消しという点数にはなってないわけでございます。ただ、その他の違反あるいは前歴等がございますと取り消し等の対象になる、こういうことでございますので、いましばらく運用を見まして、その実態等を見きわめながら、将来検討すべき点があれば検討してまいりたいというふうに考えます。
  238. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族が暴走行為に使用したオートバイとか自動車の措置は現在どのようになされているのでしょうか。
  239. 池田速雄

    池田政府委員 暴走族が車両を使用いたしまして各種の不法事犯を引き起こした場合には、違反者の検挙にあわせまして、必要に応じまして当該車両を差し押さえあるいは領置いたしておりますけれども、また、これらの車両につきましては改造等の事例が大変多うございまして、不法に改造いたしておるということになりますと車両法上の違反になりますので、陸運当局の御協力を得ましてこの車を鑑定していただいておりまして、車両法の違反になるかならないかという鑑定をしておるというのが実情でございます。
  240. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 そうすると、その車を改造しなかった場合どうなんですか、普通の車を普通に使いまして、ただそれが暴走族の暴走行為として不法に使われたというふうな場合、そのまま単に免許証だけの問題で済むのか、進んでその自動車なりオートバイは使用できないような状況というか、何らかそういう措置をお考えになっているのでしょうか。
  241. 池田速雄

    池田政府委員 犯罪の用に供した物件ということで捜査上必要な場合には検察庁へ車も送致いたしておりますが、その必要がないと認められました場合にはそういう措置はとっておりません。
  242. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族の行為というのは一応八月なり十一月ごろまでかけて多いわけでして、その使用するオートバイなり自動車を、警察なりどこかが保管する措置をとれば、事実上その若い人たちは動けなくなるのじゃないかという気がするのですが、どんなものなんでしょうか。
  243. 池田速雄

    池田政府委員 車と人が結びつくからああいう状態が出るというのは御指摘のとおりでございますが、現在の制度では、人につきましては免許という形で運転できる者、できない者を法上区別するということになっておりますので、その辺の法的な措置として、当該車を云々ということについてはまだ十分検討しなければならない、いろいろな問題が解決しなければ、いまの法制度のもとでは、そのことによります車の領置ということは困難な点が多いのではなかろうかというふうに考えます。
  244. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 年齢の若い層がオートバイなりの免許をとって、そしてまた親御さんあたりから買ってもらって使っているわけです。全面的に若い年齢の人にはとらせたくないような気もするのですが、それが事実上できないとするならば、仮に免許をとっても実際には車を使えなくすればいい、本人にとっても家庭にとっても社会にとってもプラスなんじゃないかという点では、ひとつ前向きに御検討いただきたいというふうに思います。  次に、暴走族の暴走行為に伴う被害を受けた方に対する国家補償というふうな問題で御質問させていただきます。  暴走族取り締まりのため、警察官などの延べ動員数及び車両台数はかなりの数に上っています。この結果、暴走族の暴走行為をかなり抑え、その効果を上げているわけですが、半面、かかる警察行政作用、また警察の取り締まりとはかかわりなく、暴走族同士の対立抗争の乱闘に巻き込まれまして、特別偶然の損失を受ける国民が生じて、自賠法だけでは救われない、国家賠償を受け得ない場合も生ずると思うのですけれども、その対策はどうなっていますでしょうか。
  245. 池田速雄

    池田政府委員 住民の方が職務執行中の警察官からの協力要請に応じられまして、不幸にして災害を受けられましたような場合、あるいは警察官がいない現場におきまして暴走行為等によりまして人の生命に危険がある、それを助けるということで災害をお受けになったような場合でありますと、警察官の職務に協力援助した者の災害給付に関する法律というのがございますが、その法律が適用になろうかと思いますけれども、そうでなくて、偶然乱闘に巻き込まれたというような事態でございますと、その相手の当事者、不法行為をやった者の責任、こういうことにならざるを得ないのじゃなかろうかというふうに考えます。
  246. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それが現在の法の大変な不備なんじゃないかと思います。もちろん民法七百九条によって、故意または過失によって他人の権利を不法に侵害した、そうした場合の因果関係を立証すれば確かに損害賠償はできるのですけれども、それがむずかしいからこそ自賠法その他が生まれてきているのだというふうに思うわけです。あるいは昨今の犯罪被害者に対する給付法案が審議されようとしておるのもそこにあると思うのです。現実に暴走族によってオートバイなり自動車にひかれれば、その方は気の毒であるけれども、一応自賠法によって、逃げようと逃げまいと二千万の金がもらえる、あるいは上積み的な任意保険なり任意共済からその上もらえるわけです。たまたま自動車なりオートバイからおりて、その対立でもってけがをしたり殺されてしまうと一遍でゼロに等しくなってしまうではないか、同じような暴走族の乱闘であっても、片方には二千万円という評価があって、片方は実質上ゼロになってしまうじゃないかということなんです。すなわち被害者に対して故意を立証する責任というのはなかなかむずかしいです。しかも今日の憲法あるいは法体系では、加害者の方には金のかからない国選弁護人を置くことができて、被害者の方は有料の弁護人を置かなければならぬというふうなこともあるし、いま審議されているそうした被害者救済の法にしましても、これは死亡者なり重傷者だけを対象とするのであって、軽傷者は外れておるという点では、暴走族によって被害を受ける対人的な補償法はいままさに法の谷間にあると言ってもいいのじゃないかと思うのです。さらにまた進んで、それでは対物的なものになったらどうするか。ある商店の前で暴走族が暴れておる、おやじさんがそれをとめようとしたところ、おやじさんはけがするわ、店は壊されてしまった、その商店を償うという法律もいまないのじゃないかと思いますが、どうでしょう。
  247. 池田速雄

    池田政府委員 御指摘のような場合にそれを救済する法律がない、国によります救済を受ける手だてがないというのは、御指摘のとおりだと思います。
  248. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 これはやはりないでは済まないのじゃないだろうかという気がするのです。少なくとも今日までの憲法二十九条を中心とする適法な行為による損失補償だとか、憲法十七条をもととするいわゆる国家賠償法によるそうした過程では救い切れないもの、まさに危険責任というか、結果責任というふうなものを問うた新立法というものがむしろ考えられてもいいのじゃないだろうかというふうに思うのですけれども、どうなんでしょう。
  249. 池田速雄

    池田政府委員 この点の問題は、暴走族に関連する問題だけでなくてきわめて一般的な問題だろうと思いますので、私の方からの答弁は御勘弁いただきたいと思います。
  250. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 実際的には、暴走族が現実におるわけですね。それに対しての警察の取り締まりがあっても、現実にはなかなかなくなろうとしないわけです。しかも、各県各市の方では一般市民が巻き込まれるのだと現実に嘆いて、いろいろな決議文が出されているわけです。しかも、決議文を出しているのに、実際には救われないでは済まないだろうと私は思います。何か早急に検討されてほしいような気がいたします。  次に、法務省の方にお尋ねいたします。  保護司は暴走族としてリストアップされた者に対して現在どの程度の範囲まで、あるいはまたどのような保護処置をとられているのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  251. 大島孝夫

    ○大島説明員 お答え申し上げます。  保護司は、保護観察所長の指示を受けまして、家庭裁判所で保護観察処分に付され、または少年院に送致されまして仮退院を許されて保護観察を受けております暴走族少年に対しまして指導監督、補導援護を行っております。  この種の暴走族少年の数は、昨年四月末現在でございますけれども、九百三十名に及んでおります。かような状況でございまして、これに対しまして保護司は、これらの少年に対して少なくとも月二回以上の接触を保ちまして、保護観察に付されました当初約束をいたしました事柄、これを私どもでは遵守事項と呼んでおりますけれども、この遵守事項を守るように指導監督し、また必要に応じて家庭環境の調整あるいは就職、就学の援護、そのような活動を行っておるのでございます。  それで、保護司はその活動の状況、それから結果を毎月保護観察所に報告をいたします。保護観察所は、それを受けまして、適切な指示を与え、あるいはまた保護司と協力をいたしまして少年の指導に万全を期しておる、暴走族、暴走行為から足を洗うように指導に努めておる、かような状況でございます。
  252. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 昨年の暴走族として検挙された総数が一万八千六百四十五件、そのうち道交法の件数が一万六千四百四十一件でして、ほとんどが道交法違反となっているわけです。しかも、その道交法のうちでも、スピード違反なり整備不良、信号無視あるいは追い越し等では単に反則金ぐらいで恐らく済んでしまっているだろう。家庭裁判所までもいっておらぬということです。それからまた、お酒で酔っぱらった運転とか無免許でしたならば、これは免許の問題までいくあるいは場合によっては家裁までいくかもしれませんが、しかし、それでも必ず家裁に送られて、それが保護観察その他の保護処分になるとは限らないわけであって、現実的には、そうしたこれまでの保護司のお世話になるという段階の人は暴走族としてリストアップされた者のほんのわずかでしかないと思うのです。  そういう点では、保護司に頼らないで、新しい視点でもっていま早いうち、暴走族になりそうな予備軍的な人たちに対する何か新しい指導が私は必要となってくるのではないかと思うのです。特に年齢が十六歳なり十九歳という若い人たちですから、これに対して、家庭だとか学校だとか働く職場の人々がそういう若い人たちをよく見守っておけば、かなり事前に防ぐことができると考えるわけです。  この場合に、場合によっては、少数者ですが保護司の方の仕事と重なる場合もございますけれども、いまの保護司の方もお忙しいと思えば、そして圧倒的多くは保護司の領域とは違うわけですから、むしろ新しく、そういう何か、仮に交通保護司とでも名づける制度を確立いたしまして、暴走族専門に、そのリストアップされた家庭に定期的に、たとえばその方が訪ねていくというふうにして、しょっちゅう連絡をとっておりますと結構防げるケースが出てくるのではないかと考えるわけです。  時間でもございますし、また理事会としても私、どなたにも諮っておりませんのでここでは発表を差し控えますが、一応そうした意味で、私の個人的な私案的なものもこしらえてみたわけでございますが、いずれ御検討していただくような用意がございますでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  253. 大島孝夫

    ○大島説明員 大変貴重な御提言だと存じます。  ただ、法務省の立場といたしましては、私どもの対象となります少年は、司法機関によって決定のなされた少年を対象とする、また保護司はさような者に対して指導監督できる、こういう権限が与えられておるわけでございますから、ただいまの先生の御提案の趣旨はまことに貴重なものと存じますけれども、これはたとえば民間のボランティア活動といったような形で推進されることが適当かと存じます。  それからもう一つ保護司という言葉でございますけれども、これは保護司法という法律によりまして定められておることも御承知のところでございます。また新たにただいまおっしゃいました交通保護司という名称を使いますと、現在活動しております保護司との混同が考えられますので、交通保護司という名称は適当ではないと考える次第でございます。
  254. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 これは名称は特にこだわるものでは一切ないのでして、保護司の場合には法務大臣から保護観察所を通じてボランタリー的に人が選ばれてやられているわけです。私のは、むしろ警察サイドの方から民間色を強く打ち出して、たとえば交通安全協会あたりから推薦された人を中心として同じようにボランタリーとしての活躍の中でやっていただければいいのではないか。確かに警察がリストアップされた方のところへ訪ねていくと、やはり行き過ぎとして問題になるかもしれませんし、また学校にしましても、校長さんなり受け持ちの教員が自宅まで回るというのは大変困難でありますから、そういう意味では民間色を強めた新しいものが打ち出された方がいいのではないか。これは法務省よりもむしろ警察サイドでも御検討いただければありがたいと思っております。  まだあるのですが、時間でございますので、次は建設省の方にお尋ねをしたいと思います。  交通環境整備一つについて、建設大臣は、道路交通の安全確保、特に交通安全に関する事業に積極的に取り組むことを所信で述べております。  昭和五十四年度の建設白書によりますと、大都市の幹線道路網について「これまで都心部から放射状に広がる道路中心整備が進められてきており、交通の分散に資する環状道路整備が相対的に立遅れているため、周辺地域から周辺地域へぬける交通も都心部を通らねばならず、」「また、大型トラックが都市内に流入していることが市街地における沿道環境を悪化させる大きな要因となっている。このため、臨海部において通過交通や大型車を市街地から迂回させ、物資の流通の合理化や港湾機能の効率化を促進するための湾岸道路、及び内陸部において放射道路をつなぎ周辺地域から流入する交通の流れを分散させ通過交通を迂回させるとともに、内陸周辺部へ流通センター、工業団地、住宅団地等の適正な配置を誘導することにより広く有効な土地利用を促進させるための骨格となる環状道路整備を緊急に行う必要がある。」と指摘しています。この点についてその後どのような検討がなされているのでしょうか。また、現在整備が行われている東京湾岸道路進捗状況と完成のめどについてお尋ねしたいと思います。
  255. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまの環状道路の問題につきましては私も非常に関心を持っておるところでございますが、お話しのように大都市におきます幹線、環状道路整備は、都心方向に集中する交通を適切に分散導入することになるわけでありまして、都心に起点、終点を持たない交通をバイパスさせるというような、大都市圏の均衡ある道路網体系の確立にとりましては必要不可欠なものであろう、私は先生の御意見と同じような考えを持っております。  建設省といたしましては、これら環状道路整備を第八次五カ年計画におきましても重点的に進める方針を持っておりまして、首都圏におきます東京湾環状道路あるいは東京外郭環状道路、中京圏におきます名古屋環状二号線、これらを初めとする大都市環状道路建設促進を図ってまいりたい、かように考えておりますが、具体的なことにつきましては局長から御説明をさせたいと思います。
  256. 山根孟

    山根政府委員 東京湾環状道路進捗状況等についてのお尋ねでございますが、この道路は富津市から千葉、東京、横浜を経まして横須賀に至ります百六十キロメートルの幹線道路でございます。現在すでに約百三十キロメートルについて都市計画決定を行っておりまして、一般部分につきましては、一般国道三百五十七号として建設省直轄で、専用部につきましては日本道路公団及び首都高速道路公団で事業実施いたしているものでございます。なお、都市計画決定がなされていない区間につきましても鋭意調査を進めております。  このうち、千葉市検見川から東京都大田区昭和区間につきましては、成田空港関連で、千葉市幕張から東京都大井埠頭間の三十四・七キロメートルを一般部と専用部を乗り継ぐ形で昭和五十三年一月に緊急暫定的に供用したところでございます。現在、いま申し上げました区間のうち、検見川から市川市高谷までを東関東自動車道として昭和四十七年六月に整備計画を決定しすでに工事に着手しておりまして、昭和五十六年度の供用を目途に事業を進めておるところでございます。高谷から西の部分につきましては、首都高速道路公団が高速湾岸線一期区間を五十八年度、二期区間を五十六年度に完成させるということを目途に事業の促進を図っているところでございます。なお、これらの整備に合わせまして、関連する一般国道部分を直轄事業として進めております。  次に、横浜地区でございますが、横浜市の鶴見区生麦から同市の中区本牧埠頭間の横浜高速湾岸線、通称ベイブリッジと言っておりますが、これを首都高速道路公団におきまして昭和五十五年度に大黒埠頭側の下部工に着手いたしまして、昭和六十年度完成を目途としてその事業の促進を図ることといたしております。このほか、直轄事業で、横浜市金沢沖の埋立地におきます工場、住宅の立地に伴い、同地先の湾岸道路の一般国道部分の整備昭和五十三年度から着手いたしておりまして、すでに二・六キロメートルの供用を図ったところでございまして、引き続き事業を促進いたしておるところでございます。  なお、横浜—横須賀道路の一部、二期区間、横浜市朝比奈から横須賀市の衣笠に至る区間でございますが、これにつきましては五十七年度の完成を目途に日本道路公団において鋭意事業を進めているという段階にあるわけでございます。  以上でございます。
  257. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 時間でございますが、まだ幾つか残っておりますので、申しわけありませんが一つだけさせていただきたいと思います。  次に、地方圏における道路整備対策についてお伺いします。  地方の生活圏内の交通を支える都道府県道及び市町村道の実延長比は、昭和五十三年四月現在、都道府県道一一・八%、市町村道八四・五%で、両者合わせて九六・三%に達します。しかるに、五・五メートル未満の道路が、都道府県道五五・六%、市町村道八八・五%であり、うち交通不能区間は、都道府県道三・五%、市町村道二八・五%に達しています。  これでは、ミニマムとして道路が備えるべき水準の確保も不十分な状況です。特に、一般道路の中で八割以上も占める市町村道については、改良率、舗装率とも大変に低い水準にあり、第八次道路整備五カ年計画達成後の五十八年三月末においても、改良率二七・六%、舗装率四一・七%にしかならず、しかも現在、道路延長に比例し、やはり交通事故件数も多く、四二・九%で、他の道路における件数の比率を大きく引き離しており、きわめて憂うべき状況にあります。今後、地方におきます人口増とその定着化によるモータリゼーションに伴い、交通事故の多発、交通混雑の様相はますますエスカレートすることが予測されます。  また、避難路、災害の遮断といったような防災スペースあるいは上下水道、ガス、電気といった都市施設を収容するスペースとしての空間機能に着目してみましても、人間居住の総合的環境整備の見地からも、高度経済成長のひずみを受けて整備がおくれてきました地方道の整備は急務を要する問題であり、抜本的対策を検討すべきと考えるのですが、この点についての御見解を承りたいと思います。
  258. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 地方道につきましては、先生お説のように私ども非常に重視をいたしておりまして、これまでも着実な整備を図ってまいった次第でございます。  第八次五カ年計画におきましても、道路交通の安全確保及び国民生活に必要な基盤を整備するための地方道、特に市町村道に重点を置きまして、その整備に鋭意努めてきたところでございます。その結果といたしましても、市町村道事業につきましては第七次五カ年計画に比較いたしますとすでに予算を相当投入いたしまして、約倍になっておりまするが、五十五年度予算では、厳しい予算の中でありますが、七%の増額をいたしておるところであります。  お話しのとおり、市町村道等の改良率あるいは舗装率は低い水準にございますけれども、今後とも道路網体系の一環として計画的にその整備推進してまいりたいと思います。また、それに必要であります道路財源の確保等につきましても一層努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  259. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 それではもうしばらく、道路工事の施行についてお尋ねします。  道路整備がおくれております現状で、道路の不法占拠、不法使用さらに道路工事及び占用工事の増加によりまして、不必要に道路交通を悪化させていることも少なくないと思います。  後者の道路工事執行要領については、昭和三十七年八月に建設省道路局長都市局長より各都道府県知事及び五大市長あて通達が出されていますが、工事施行及び工事期間の決定の遵守など、最近の事情について御説明いただければありがたいと思います。  またついでに、上下水道、ガス、電気、電話などの諸工事が相互の連絡調整もなく、各自ばらばらに行われることが多く、そのための道路工事の施行による交通の渋滞ということもよく見られるところです。  そこで、交通渋滞の解消とあわせて、行財政改革が強く叫ばれている今日、経費の削減を図るため、これを統合して一括工事とすることを原則とすることはできないのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  260. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  占用工事その他の工事の執行につきましては、先生指摘のような通達をもちまして、鋭意協議会等を関係者と持ちまして、交通になるべく支障を与えないような形の調整を行っておるわけでございますが、ごらんいただきますように、土地利用の進展等に伴いまして、やはりそういったガス、電気等の供給も一方ではやらなければいかぬというようなことから御迷惑をおかけしておる次第でございますが、協議会の場を一層活用いたしまして進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  なお、共同溝等の整備によりまして、そういった供給管、供給施設等につきましては、その中に収容して、そのかわりなるべく掘り返しがなくて済むという施策も一方で進めておるという状況でございまして、今後ともこういった道路の掘り返し等に伴います、あるいは道路工事に伴います問題につきましては最善の努力をしてまいりたい、かように考えます。
  261. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 行財政改革の点からもう少し突っ込んで実はお尋ねしたいのですが、時間も超えておるようでございます。御迷惑をかけておりますので、これをもちまして質問を終わらせていただきます。
  262. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次回は、来る十六日水曜日午後零時三十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会