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1980-03-19 第91回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月十九日(水曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 石田幸四郎君    理事 左藤  恵君 理事 佐藤 守良君    理事 中村 弘海君 理事 野中 英二君    理事 沢田  広君 理事 村山 富市君    理事 木下 元二君 理事 玉置 一弥君       浦野 烋興君    三枝 三郎君       玉生 孝久君    中島  衛君       水平 豊彦君    山村新治郎君       井上  泉君    沖本 泰幸君       草野  威君    村上  弘君       三浦  隆君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 地崎宇三郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      三島  孟君         警察庁交通局長 杉原  正君         防衛庁長官官房         防衛審議官   友藤 一隆君         経済企画庁物価         局審議官    坂井 清志君         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君         運輸大臣官房総         務審議官    永井  浩君         運輸省自動車局         整備部長    小林 育夫君         運輸省航空局長 松本  操君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   斉藤  隆君         警察庁交通局交         通指導課長   矢部 昭治君         警察庁交通局交         通規制課長   広谷 干城君         警察庁交通局運         転免許課長   森田 雄二君         通商産業省立地         公害局保安課長 柴田 幹夫君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     横山 太蔵君         運輸大臣官房審         議官      西村 康雄君         運輸大臣官房審         議官      永光 洋一君         建設省道路局道         路交通管理課長 三木 克彦君         消防庁危険物規         制課長     小池 次雄君         日本国有鉄道旅         客局サービス課         長       猪俣 為久君         特別委員会第一         調査室長    綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 三月十九日  辞任         補欠選任   楯 兼次郎君     井上  泉君   草野  威君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   井上  泉君     楯 兼次郎君   沖本 泰幸君     草野  威君     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 石田幸四郎

    ○石田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三枝三郎君。
  3. 三枝三郎

    三枝委員 きょうは大臣大変お忙しいところ出席を願いまして、お答えしてくださる、大変感謝しております。また、関係皆さんはいろいろと仕事をお持ちになっておりますのに、私の御質問にお答えしてくださるのですが、関係の方は私の質問のあれが終わりましたらどうぞお戻りになって、平生の業務をやっていただきたいと思います。余り縛りつけることは私は好みません。  そこで、大臣は半から運輸委員会が開始されるそうですが、二十分ぐらいありますので、まず大臣に、最初おいでになる間、基本的なお考え方なり御方針を伺って、それから後、細かい点については関係政府委員皆さん、その他の方にお伺いしたいと思います。  最近、北海道千歳空港が頻々として積雪による閉鎖あるいは欠航が多いというので、これは北海道における経済活動産業活動に非常に大きな支障を来す、あるいはいま千歳東京航空を使う利用客は八百万人に上っております。ちなみに国鉄は十分の一以下という統計が出ておりますが、そういった公共機関とも言える非常に公共性の高い航路になっております。そしていま千歳国際空港として整備をされ、定期的に海外に対して運航するための国際空港昇格についての希望を、地元経済界のみならず、北海道全体がそれを望んでおります。また、日本としてもそれは必要ではないかと私は思います。  きょう私が御質問を申し上げる趣旨の根本は、いま一番の問題であります物価対策、あるいは省エネルギー対策、これに関連して、余りにもいまのこの千歳空港状況——きょうそこにお配りしましたのは、先ほど冒頭に申し上げるのを忘れましたが、北海道経済団体の方で、海外における千歳とよく似ている空港の冬季における状況を視察するために組織をつくりまして、商工会議所の副会頭を団長とする、伊藤という伊藤組の社長でございますが、北海道経済連合会の幹部もしております、それに道庁、それから北海道開発庁、それから北大の関係の教授など約十名の視察の人が編成されて、つい最近行かれたその結果を皆さんにごらんに入れたのです。実は残念ながら、これについては恐らく航空局もまだ的確な資料を持ってないんじゃないかと私は思います。このミッションは、この一月二十三日から二月三日に至る間、そこのお配りした資料のようなところへ出かけまして、しかも、出かける前に外務省を通じまして正式のミッションとしてオーソライズされて行ったわけでございますので、関係政府機関は非常に好意的にまた積極的に実情を示してくれたわけであります。  私は北海道出身の代議士でございますけれども、御承知苫小牧の東部は、いま日本における今後最大エネルギー基地になるんではないか、民間の石油備蓄基地工事が進められておりますし、また、近い将来国家備蓄、原油の備蓄施設もしよう、さらには、十年後には本格的なコールセンターとして石炭の液化、ガス化商業ベースに乗った場合の北海道基地として、これはもう日本における最も大事なエネルギー供給源基地苫小牧はなると私は思います。そのそば千歳空港があるわけであります。  と同時に、御承知のように北海道は全国の二十分の一を占める広大な面積を持っておりますので、今後の発展については、日本では最後に残された希望の持てる土地だと言われておりますので、そういった観点で、この飛行場整備されるということは非常に大きな意味を持っていると思います。  と同時に、先ほどちょっと触れましたが、国の安全保障を総合的に考えるという点で、防衛はもとよりでありますけれどもエネルギー問題についての対策食糧対策、そういった点で、そして、さしあたって現在、省エネルギー並びに物価対策最大の課題になっておることはもう御承知のとおりであります。幸いに大臣は、北海道千歳を選挙区として持っておられます第一区の御出身でありますし、また、いま北海道民は、この大臣がいまおられるときに千歳国際空港化について必ずやってみせるという御方針が発表され、またそれが来年度の予算にまず乗っていくということになりますれば、これはもうそれこそ、あえてお世辞ではありませんけれども地崎空港というニックネームがつくぐらいの大きな仕事になるのではないかと思います。  そういう観点でお聞きいたしたいのでございますが、この表にありますとおり、ざっと見ましても、とにかく積雪凍結による空港閉鎖とか欠航は、同じようなところはまずどこもないのです。アンカレジでもこの九年間に一回あっただけでございます。ところが千歳につきましては、航空局の方でいろいろデータを出していただきましたが、欠航の回数が非常に多い。昨年五十四年一月から十二月まで千五百三十便が欠航されている。この中には千歳の上空まで来ておりられないで戻ってくるというようなことがあれば、これの消費する燃料価格はもうばかにならないものがあろうと思います。たとえば、これは機種によっても違いますが、大体往復で二十一トンから二十七トン使う。これはいまの価格で大体二百万円から二百六十万円の燃料を使っているわけであります。それがこちらから行って着陸できないために、ちょっと手を加えれば着陸できるのにそれが戻ってくる。乗っている人間経済活動なりその他個人のそれぞれの活動に対する影響はもとより、この省エネルギー時代で、しかも物価対策時代で、こういった大きなロス空港整備されないために行われていることは、国家にとっても大変大きな損失ではないかと思います。  昨年は千五百三十便、ことしに入りまして一月は二百六十三便、二月に百七十八便、三月が百十七便欠航されておりまして、私もことしになって四回ばかり、千歳空港で待ち合いをされたり羽田でストップを食った経験を持っております。夏における濃霧による欠航もありますけれども積雪による欠航が圧倒的に多いわけであります。  いま大臣おいでになる間だけ御質問いたしますが、この人たちは何を見たかといいますと、まず滑走路を見た。ここにありますアンカレジにしましても、カナダエドモントン、モントリオールの二つの空港におきましても、アムステルダム、ヘルシンキ、ストックホルムのアールランダ空港におきましても、これはすべて千歳条件が大体似ております。雪質がウエットであるとかドライであるといっても、北海道の一月、二月の雪質はウエットではないのです。私ども北海で生まれて育っておりますので、これは北欧やカナダアンカレジ雪質とほぼ同じだろうと思います。大体条件が同じです。ところが全部滑走路が二本なんです。二本を交互に使って、降るそばから高度の除雪機械をフルに使って、大体時速四十キロぐらいのものを五、六十台用意して、ここに書いておりますが、実際はもっと多いと言っております。そして、降るそばから除雪をしていく。そして発着陸させてやる。したがって、向こう凍結によるあるいは積雪によって飛行機がおりられないとか出られないということはまず考えられない。先ほど申し上げましたように、アンカレジでは九年間でたった一回あっただけだというぐらいの状況であります。  それから、空港にはそういった金がかかるわけでございますけれども、もちろん国費は入っておりますが、この空港の運営に関する費用のうち、着陸料その他、その空港に入ってくる金は全部その空港に充てるという原則をとっているのが大部分だそうであります。  除雪機械については後で細かにまた伺いますが、これはいまざっと申し上げたとおりです。  それから、滑走路凍結予防措置として尿素と砂を使っている。  それからもう一つ、これは後で聞きますが、除雪凍結防止のためにスノーコントロールセンターというものを持っている。千歳はいま御承知のように工事中ですが、軍民共管ということで、後で自衛隊の方にもちょっとお伺いいたしたいと思いますけれども、いまは運輸省の出先の千歳空港管制官自衛隊管制官の方と相談して、この程度ならもうやめようかとか維持できるだろうかというようなことで、降って二センチとか三センチ積もった上でそれから決めている。そういうスノーコントロールセンターといったものが効率的に動いている諸外国に比べて、その点の欠陥が私はあるのではないか。  積雪量とか何かもありますが、これはほとんど変わりがないということで、私は時間がございませんので申し上げますが、以上のような事情でございますので、いま整備中でございますが、将来国際空港にするには定期便を飛ばすわけですが、定期便にならないわけでありますから、いま申し上げましたようなことを踏まえて、ひとつ大臣の基本的な御方針をまずお伺いいたしたいと思います。
  4. 地崎宇三郎

    地崎国務大臣 時間がございませんので、まず総括的に御答弁申し上げたいと思いますが、千歳空港国際化につきましては地元の御要望が大変強いことを伺っております。国際空港にいたしますのには二国間の協定が必要でございます。お互いに乗り入れる場所等協定ができまして初めて国際空港化ができるわけでありますから、細かい内容については政府委員から答弁させますけれども、それが先決でございます。  なお、お話しのように防衛庁所管飛行場でございますから、その点についても十分想談しなければならない。  また、CIQの整備も図っていきたいと思いますので、私も地元でございますので、ぜひ国際化を進めていきたいと考えておるわけでございます。  なお、除雪問題で御質問でございますが、実際私も雪の関係地元へ帰れないということで大変困っておるわけでございまして、いろいろ御報告を聞きますとほかの国は非常に完璧な除雪をしておるということでございますが、その点についても、内容その他今後の方針について政府委員から答弁をさせたいと思います。  何と申しましても地元の御要望にこたえて、除雪対策あるいは国際空港化を積極的に進めてまいりたいと存じておりますので、御理解願いたいと思います。
  5. 三枝三郎

    三枝委員 大臣お忙しいところ、少し時間がかかりまして、どうもありがとうございました。  それではまず最初に、いま千歳国際空港に持っていくための運動をやっておりますし、大臣もいま大変前向きの気持ち、御方針を述べられましたが、国際空港に格上げするためには一体どういう条件を必要としますか。これをちょっと局長さんにお伺いしたいと思います。
  6. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  御質問国際空港というものの定義づけによってもいろいろ変わるかと思いますので、お答えがややむずかしいのでございますけれども、一般的に言いまして、国際便の出入りする空港国際空港というふうに呼んだといたしますと、成田とかあるいは大阪の空港のほかに、日本にも福岡とか鹿児島とか幾つもあるわけでございます。そういったたぐいの空港一つの特徴といたしましては、いま大臣申し上げましたが、外国との間に二国間の航空協定というものがございまして、その中で日本側としては、仮に千歳なら千歳を提供する、そのかわり相手の国からはどういう空港を取る、それがお互いに権益としてバランスがとれるというふうなことにいたしまして、したがって、こちらからも相手の国に飛んでいくが向こうからもこちらへ飛んでくるというふうにして定期便が飛び交うというふうになるのがいわゆる国際空港としての整った形ではないか。そのもう一つ前ぐらいの形になりますと、これも幾つか例がございますけれども国際線チャーター便がわりあい頻繁に出入りする空港、これはまだ定期便を飛ばすために適当な国との間にしっかりした約束事ができているわけではないけれども、非常に需要が多いということから、その空港出発地とする国際チャーター便がかなり多数頻繁に運航されるというような形も一つ国際化への第一歩ではないか、このように考えられます。
  7. 三枝三郎

    三枝委員 いま局長の御答弁の中に定期便というお話がございました。それから国際チャーター便という言葉があったわけですが、航空局からいただいた資料によりますと、昭和五十四年の千歳チャーター便は百四十三回、二万二千二百三十八名の旅客チャーター便によって海外に行っております。したがって、こういったチャーター便というのは定期便じゃないわけですからこれはこれでいいのですが、先ほど、最初局長の言われた定期便というのは一体どういうぐあいに考えたらよろしいのでしょうか。といいますのは、私の質問いたしましたのは、定期便というのは定期に飛んでいくということなので、定期便欠航状況、その辺のことに関連して、定期便ということになるための条件をもう一度お伺いしたいと思います。
  8. 松本操

    松本(操)政府委員 定期便の定義づけみたいなものをしかつめらしく申し上げますと、定時、定路線ということでございますから、一定地点の間を一定の時間割りに従って飛ぶということになりますが、国際線の場合には国内線のように毎日何便というふうなのはきわめてまれでございまして、週両便というのがおおむねの単位でございます。週一便とか週二便とかいうところから始まって、日米間のように非常に多いところは週七便、週十四便というふうなのもございますけれども、一般には週数便ということ。それが欠航を余儀なくされた場合にそれを定期便と呼び得るかどうかという点につきましては、もちろん欠航の率にもよるかと思います。年間を通じて極端に欠航が多くなってしまいますと、これはもはや定期とは呼びがたいので、不定期と言った方があるいはふさわしいのかもしれませんけれども、しかし理屈だけで申し上げますと、先ほど申し上げました二国間協定によって、わが国のAという地点外国のBという地点との間に週何便どういう飛行機を使って飛ばすということが約束として成り立って、それに向かって実行が行われているという形までまいりますと、定期便が運航されているというふうに理解はしてよろしいのではないだろうか。ただ、実際は、おっしゃるように極端に欠航率が多くなりました場合には、それの改善についての別途の努力というのは恐らく必要になってくるだろうとは思います。
  9. 三枝三郎

    三枝委員 いま欠航率というお話がありました。これは国際的にも国内でも定期便がいま飛んでいるわけですが、その欠航率の点で、私は先ほど申し上げましたが、千五百便もとにかく積雪のために昨年などは欠航している。これは国内便だけです。それから現在でも一月、二月とにかく二百便とか百便台とかの欠航をしている。しかも、これは統計のとり方によりますけれども、大体いま東京千歳札幌間の旅客数が、貨物は別にしましても八百万人を超えると言われている。東京鉄道局札幌鉄道局東京札幌間の推定は大体三十万足らずと、こう言われているわけです。ですから、これは言うなれば、国内の面で言っても、国鉄に匹敵する非常に公共性を持った定期便であろうと思います。もし国鉄の場合に、ちょっとストがあってあるいは何か事故があって環状線がとまったり幹線がとまれば大変な騒ぎになる。これはもう人の問題ばかりでなくて、貨物についても同様だと思いますけれども、いまの欠航率という点で言って、現状冬期間欠航状況、これはどんなものでございますか。  というのは、現在のままで、いま整備中でございますけれども、このままずっと工事を進めていって、そして、以上終わりということでいいものかどうか。それから二国間の協定でありましても、お手元にお配りしましたように、相手方は恐らくこういうところへも、たとえばアンカレジへ飛んで行き、経由していくということも多いと思いますが、先ほど言いましたように、ここの表にありますように、ほとんど積雪による欠航は考えられない。そういう点も考えまして、もう一度その点、欠航率ということで将来定期便としてこれはふさわしくないのだ、現状でもいまではだめなんだ、あるいはもっと改善しなければならないのだ、私は決して——気楽にお答え願いたいのです。と言いますのは、最終的にはことしの予算は非常に厳しかったのですけれども、この厳しい中でも省エネルギー意味で、また物価問題対策の面で、私はこれはばかにならないロスだと思うのですね。そういう点で実は皆さんのやりやすいように、立法府の立場の人間の一人としてこの問題を取り上げ、改善していきたい、そういう気持ちでお聞きしているので、ひとつ気軽にざっくばらんに、こう言われるとどうだとかああだとか、そういうことはありませんので、お答え願いたいと思います。
  10. 松本操

    松本(操)政府委員 欠航率ということで御質問でございますけれども、実は私どもの方では欠航率というふうな言葉を、別に忌むわけではございません、使わなくて、就航率と逆な言い方をしておりますが、私の持っております資料で見ますと、確かに千歳空港年間を通じて必ずしも就航率はよくございません。よくございませんというのは、一〇〇%というところが余りないわけでございまして、一例を申しますと、日本航空について調べてみますと、去年の四月からことしの三月、三月はよくわかりませんけれども、一番就航率のいいところで九九・八というのが去年の九月にございましたけれども、悪いところになりますと九二とかいうことになってしまうわけでございます。  ただ、この就航率を議論いたします場合に実は問題がございまして、目的地空港に行けないということは、これは飛行機の場合、残念ながら非常に気象状況等影響を受けやすうございますので、目的地空港に行けないということは避けられないわけですが、その場合に、その目的地空港のわりあい近間のところに代替空港がある。そこへ目的地変更をしておりてしまう。そこから陸上の交通手段でお客を運ぶかあるいは天候等の回復を待って目的地空港へまたもう一回飛び直すかというふうなことがあり得るわけでございますので、全体的な就航ということを考えます場合にはそういった代替性というふうなことも念頭に置いていかないといけないだろう、こういうふうには思います。ただ、残念ながら、現在千歳ほどの能力を持った空港ということになりますと、函館が辛うじて二千五百でございますからこれに対抗できるわけでございますけれども、それ以外になりますと、釧路もやや短いし、また気象条件も余りよくございません。夏場になりますと霧が多いというふうなことがございますので、千歳代替空港というのは現時点では余りかっこうなところがない。したがって、やむことを得ず出発地東京まで帰ってきてしまう。先ほど先生おっしゃいましたように、行きと同じだけの油を使ってむなしく帰ってくるということも間々あるわけでございます。  そこで、定期便というものを国内就航させます場合には、私ども、九〇%は少なくとも確保できる、九〇%以上が十分に確保できるということが担保されない場合には定期便としての免許はいかがだろうかというふうな配慮をするわけでございます。国際線の場合には私ども就航率というものをそれほど厳密に考えたことがないわけでございます。ということはまた逆に、国際空港と銘打つぐらいのところは大体九十何%という程度就航率は確保されているということを一つの常識として見ているということでもあるのかもしれません。したがって、千歳空港について現状を申し上げれば、遺憾ながら十分満足すべき状態だとは言いがたい。ただそれは、冬場のこういった積雪、結氷の問題もございますけれども夏場になりまして天候急変のために視程が不良になる、そのためにおりられなくなってしまうというふうな別の問題もあるようでございます。したがって、千歳の問題というのは、いま論じられておりますような積雪対策ということ、それからただいま私が触れましたような代替空港というふうなものを整備していくことによって、目的地まで来た旅客がむなしく出発地へ帰ってしまうというふうなことがないようにするというふうな点も、総合的な対策を考えていく必要があるのではないか、このように考えております。
  11. 三枝三郎

    三枝委員 これも先ほどお配りすればよかったのですが、もう皆さん手元にお持ちになっておりますが、夏場、昨年ですと六月に百三十二便欠航しているのです。これは、御承知のように北海道は梅雨がありませんけれども濃霧が発生しますので、ガスと言っておりますが、これによる数字だと思います。しかし、圧倒的に冬です。冬は霧はかかりませんから、雪なのです。  そこで、お配りしました二枚紙の資料アンカレジエドモントン、ドーバル以下ずっといずれも——千歳が北緯四十二度で、それよりみんな北のところです。それから、滑走路数は、ここに書いてありますように、いずれも二本ないし二本以上持っております。それで、いま千歳は二本持っておりますけれども、一本は航空自衛隊と共用しているはずです。向こうの管理下にあるというので、これは新しくいま整備中、工事中でございますけれども、その場合でも一本は騒音防止、公害防止のために使えないのじゃないかというような問題があるようでございます。しかし、いずれにしても、ここに書いてありますように、ほかはみんな二本以上持っている。それで雪が降り出したらすぐに、二枚目にありますような機械がフルに動くわけであります。そして完全に取ってしまう。どんどん降っていても、二本使っておりますから発着陸ができる。ですから、千歳もこれをそろえればそれをやれないことはないわけです。  それから年間利用客数は、アンカレジにしましてもいずれも千歳以下、五百九十五万ですから。千歳は七百万から八百万になろうとしているのです。そしてターミナルのビルの管理の運営とかコントロールや何かのあれは、大体向こう航空局に相当する運輸省ないし、アンカレジは公団方式になっている。  それから、積雪の量は確かに千歳は多いのです。多いけれども、一日の最多降雪量は、ここにあるように、千歳が三十二センチ、たとえばモントリオールのドーバルは三十八センチというので、千歳よりも少ないところが多いのですが、いま千歳では、まず二センチくらい降ると、もうだめということでとまってしまう。そういうわけで、これはやはり大同小異だろうと思います。それから平均の気温は、凍結関係ありますが、ここにあります平均の気温は、千歳はマイナス五・六度、ほかはストックホルムのアールランダ等を除いては全部千歳よりも低い。アンカレジなんかはマイナス八・三、エドモントンなんかはマイナス十度というようなことになっているわけであります。  それから二枚目の除雪の体制です。先ほども触れましたが、ここが私は問題だろうと思う。国際空港に昇格する前でも、現在でもこれだけの数の欠航便があるわけですから、これだけの車両を使えば完全に取れるわけです。同じようなことをやっているのに千歳だけができないわけじゃない。これはひとつぜひ検討していただきたい。  それから、先ほども言いましたが、そのための、スノーコントロールするステーションが設けられている。ここでいまの千歳の場合は中途半端な形になっているのですけれども、いま建設中、整備中ですが、現在はともかく、来年度の予算——現状でもこれだけのものをそろえれば、これは後で防衛庁との問題もありますけれども、話し合いによってこれはできるのだということは、あとは予算措置さえあればということになれば、これはできる限りのことを尽くしてもやるべきだ。それは省エネルギーの立場、物価問題の立場から、最大のいまの課題である、われわれは解決しなければならない、そういう任務を持っておりますので、やりたいな、こう思っておりますが、その点のお考え方をちょっとお聞きします。
  12. 松本操

    松本(操)政府委員 現在は、先生のお説の中にもございましたように、滑走路の方は防衛庁が除雪をするわけでございまして、民航用の、平行誘導路と、それから駐機場、エプロンと申しますか、そこら辺のところはわれわれの方で措置をする。防衛庁の方のお持ちの除雪機械は私余り詳しくございませんが、私どもの方はかなりの重装備を実は逐年整備をしてきておるわけでございます。ただ問題は、どういうふうな状態になったときに除雪を開始するのかどうか、スノーコントロールとおっしゃいましたが、そういったような点について、私ども実は過去数年にわたって千歳を使いまして、どの程度滑走路面に雪が残っていたらぐあいが悪いのか、あるいは残っていてもどういう状況ならば差し支えないのか。これは主としてタイヤとそれから滑走路との間の摩擦係数の問題でもございますので、そういうふうな点についてもいろいろな機械を滑走路の上で引っ張り回して観測、測定をいたしましたり、少しずつでも改善の方向への努力はしてきているわけでございますが、遺憾ながらこの問題は気象関係の問題、それから積雪の判断の問題、それから除雪をする能力の問題、後始末の問題、それと航空会社との間のコーディネーションの問題いろいろな面が絡むものですから、お説のようにスノーコントロールセンターのようなものがあればあるいはよりいいのかもしれません。現在のところは防衛庁と私どもの方が寄り寄り気象庁を交えて協議しながら一つの基準を見つけてやっているというのが実情でございまして、当面の問題としましては、先月の二十日過ぎから防衛庁の方でもいろいろと工夫をしていただきまして除雪能力をかなりスピードアップをしている。四十分程度滑走路除雪を終わるというところまで実は持っていっていただきました。それに対応して私どもの方も平行誘導路の除雪については最大のスピードアップを図るということをやっておるわけでございますが、ただ、残念ながら、そちらの方に手持ちの勢力を集中したものですから、エプロンの方がちょっとお粗末になっているというのがいまの状況でございます。  今後の問題としましては、来年度の予算をも含めまして、来年度ではございませんで、五十五年度はもう実行の問題になりますけれども、その実行の段階におきまして、いま問題になって残っておりますエプロン部分の除雪あたりをどうしていくのかというふうなところは、ことしの冬の経験をもとに、航空会社の方ともよく御相談をして当面の対策を立てていきたい、こう考えております。
  13. 三枝三郎

    三枝委員 いま摩擦係数のお話がありましたが、この表にも、実はさっき触れませんでしたが、摩擦係数を測定するのに、大体ここに出ている海外飛行場は十分ぐらいでやっておりますね。三十分というところはありますけれども、ほとんど五分以内とか十分、千歳は三十分くらいかかるということですね。  とにかく降ってきたら始まるのですから、降るそばから取っていく、積もってからではそれだけ——病人で言えば重体になってから医者に診せるのじゃなくて、軽いうちにもうやってしまう。降ったらばすぐ取ってしまうというので、考え方が根本的に違うわけですね。ですから、その点はぜひいまお話しのようなことで、できるだけ前向きでやっていただきたいのですが、せっかく防衛庁の方がおいでになっておりますからお聞きしますが、いま千歳空港のコントロールについて、千歳自衛隊はどういった役割りを持っておられるか、それだけちょっとお聞きしたいと思います。
  14. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  御案内のとおり、千歳には私どもの第二航空団が配置をされておりまして、防空任務あるいは訓練、要撃等の重要な任務に携わっております関係上、二十四時間ここは運用するということで、航空交通管制業務あるいはそれに伴います諸般の支援業務をやっております。したがいまして、こういった施設を公共の用に供するという指定が三十六年にございましたので、私どもといたしましては、任務遂行に支障を来さないように、あるいは民間航空の利便についてできるだけ御協力を申し上げるという観点から、こういった航空交通管制業務あるいはそれに伴います公共用施設の維持管理、先ほどお話がございました滑走路除雪等も含めまして、そのほか消防、それから航空救難、こういった関連の業務につきまして民間航空の方にも諸般の御協力を申し上げておる、こういう状況でございます。
  15. 三枝三郎

    三枝委員 大体役割りがわかりましたが、この北海道の視察団が行った空港そばにやはり軍の空港があって、これは発着陸は全部地下を使ってやっているということでございます。私は冒頭申し上げましたが、いま日本の持っている大きな問題は、いかにして国の安全を保障するか、これを総合的に見ていかなければならない。そういう意味で、エネルギーの問題とか食糧の問題がありますし、また、それに関連して現在最大の課題は、省エネルギーあるいは物価対策であります。と同時に、もとより基幹になるのは防衛問題だと思いますけれども、現在のように、足手まといと言うとおかしいですけれども、民間の空港のコントロールまでやらなければならないという体制は、果たして現在のような国際情勢のもとにおいていいものかどうか、これは私は検討を要するのではないかと思います。もう三年前、四年前の、私も北海道におりましたので知っておりますけれども、そのときといまとの日本の置かれている国際的な情勢、特に最近の北海道における立場というものは、まるっきり違うわけであります。そういう点で、後でもちょっと触れるのでございますが、防衛庁におかれましては、そういう点も含めまして、前から協定があっていま工事をやって整備をしておりますけれども、もう一度洗い直して、新たな観点からこれをまたさらによりよいものにしていくという配慮が必要ではないか、そういう希望を申し述べておきます。どうぞもう防衛庁の方、結構でございます。  それで次に、また戻りますが、実はこれは私が前にも質問したことがあるのですが、現状千歳でございますが、夏と冬は、今度は欠航の問題は別にして、ダイヤが違うわけであります。といいますのは、夏は朝早く向こうが一便飛んでこっちも一便が飛んでいく。ところが、冬はこちらの一便が飛んでいって、そしてそれが一便になって帰ってくる。今月からそうじゃなくなってきた。真冬はそうなんです。冬場は、零下十度以上になったり大雪が降る千歳に、飛行機を野ざらしにいまの状態では置くわけにいかないというので、いまは夏と冬とダイヤが違うのじゃないか、そう思います。これは非常に北海道における、また本州と北海道間における経済産業活動にも大きな影響を及ぼしておりますので、私は少なくとも格納庫なりそれから修理の施設、そういったものがいまゼロでありますので、ゼロと言うとあれですが、格納庫はありませんね。それから、整備をする施設がほとんどない。こういったものは当然、必要なものであれば、まあ予算に要求されておられると思いますけれども、いま整備中でありますので、ぜひ格納庫とそれから整備に必要な施設を、この際来年度でも要求されて、一日も早く実現されたいという希望を持っておりますが、いかがでございますか。
  16. 松本操

    松本(操)政府委員 いまお話しのダイヤの組み方は、これは私も余り詳しく承知はしておりませんが、日の出、日の入り等を踏まえて、夏と冬との間にはかなり大幅なダイヤの組みかえをしているのは事実でございます。  そこで、夜間駐機の問題になりました場合に、確かに千歳は、いままで御議論がございましたように、寒冷地、積雪地でございますので、格納庫があった方が便利であるということは言えると思います。  そこで、北海道の中でかなり頻繁に路線を持っておりますところ、たとえば東亜国内のようなところは現に格納庫を千歳に持っておるわけでございますけれども、その他の日本航空とか全日空とかいうところは、現在格納庫を持つに至っておりません。この格納庫自身は、国の方で整備するということではございませんで、各航空会社がそれぞれの必要に応じてつくるわけでございます。大阪なり東京なり、そういった整備基地になるところにはすでに持っておるわけでございます。したがって、今後各航空会社にも十分積極的な研究を求めていくようにいたしたいと思いますが、格納庫をやはり置いて、そこで整備をした方がダイヤの編成その他機材繰りにとっても便利であり、とりわけ旅客の方の便利を考えた場合に適切なダイヤが組みやすいとか、そういうふうなことが積極的に出てくるということであるとすれば、当然新空港の中には十分な整備エリアを予定しておりますので、その中に格納庫を含めた適切な施設を置いてもらうということになろうかと思います。
  17. 三枝三郎

    三枝委員 新空港の中にそういったものがあるようでございますので、それをでさるだけ早く実現するようにお願いしたいと思います。  それで、いま各航空会社に施設をさせるわけですね、国はやらない。私は航空会社はなかなか大変だと思うのです、燃料が高くなるし人件費も高くなるしということで。それで話が飛びますけれども、きょうの新聞に出ておりますように、電力料金の値上げを、五〇%を境にして経済企画庁と通産省は平行線で足して二で割る式で決定をしました。先般、やはり国内航空運賃の値上げが行われました。その過程を伺いますと、大変熱心に審議されまして、特に燃油費と航空燃料税及び空港使用料、この点が大変かさんできたということが非常に大きな値上げの要因になっております。関係各省十分に検討されて新しい値上げの料金になったわけですが、今後原油の価格がどのくらい上がるかわかりませんが、電力料金の場合は五十一年に上げて今回一挙に五〇%に持っていったということになりますから、これからの航空運賃については恐らくいまのままでしばらく続くというぐあいにいかないんじゃないかという見通しがあります。しかし一方、物価対策が私どもの大きな問題になっている、と同時に、省エネルギーもそれに伴って大きな問題になっているということは先ほど申し上げたとおりです。そういう意味でも、飛んでいって雪のために着陸できないで戻ってきて、先ほど申し上げましたように相当の燃料を使い、そして金も使うというようなことは非常にむだなことになります。  きょうは経済企画庁の方もおいでになっておりますので特に経済企画庁の皆さんにお願いいたしますが、経済企画庁は、物価に関する基本的な関係行政機関の政策、重要な計画について総合調査する権限を持っております。したがって、広く国内省エネルギーの点あるいは物価の点で、いま電力料金あるいは航空運賃、国鉄運賃などの公共的なもの、いわゆる公共料金が軒並みに上がっていって、それが国民の生活に大きく響くし、また日本全体の大きな問題になるわけでございます。いまの原油の価格がやがて四十ドルになるかどうかわかりませんが、現状でとまっているというぐあいには予想できませんので、今後たとえば格納庫を会社に持たせるという場合に、やはりその分だけの負担を会社はすることになり、さらに燃料も高くなるということになって、また運賃にそれがはね返る、それがまた利用客の生活にも響くということになるわけですから、その点は今後十分先を見通しまして、特に航空局といたしましては経済企画庁の物価局とは平素から十分に連絡を持って事を進めていただきたい。これは要望でございます。  それから冒頭申し上げました、北海道経済団体が中心になりまして、北大の専門の教授も中に入りまして編成してこのような調査をしてまいったわけですが、これはやがて局長さんのところやら皆さんのところに陳情に参ると思います。これはぜひ素直に、素直にと言うと悪いのですが、私も役人の生活をしておりますので、ついうっかりしますと、よけいなこと言うな、十分おれたちがやっているんだというようなことは万々ないとは思いますけれども、よくやっていただいたということで、しかも外務省がこれにオーソライズした正式なミッションとして行ったわけですから、十分にお話を聞いていただきたい。  さらに、私の要望は、航空局が班を編成しまして同じような状況のところ、何もこの連中の後を追うわけではないんで、独自の立場で十分に海外における、特に積雪寒冷の地における空港状況を視察に出して、その確たる根拠に基づいて今後の対策に資する必要があるのではないかと私は思いますので、そのお考えを伺いたいと思います。
  18. 松本操

    松本(操)政府委員 まず前段の積雪寒冷地の空港視察団の問題でございますが、この御出発に関連しまして私どももいささかお手伝いをした経緯もございます。したがいまして、非常に貴重なデータを集め、見聞を広め帰ってこられるわけでございますので、正式に御報告いただきました点においてはむしろ私ども徹底的に吸い上げさしていただこう、こう思っておりますし、いろいろな面で貴重な御意見を十分に今後の行政の中に生かせるようにしていきたい、こう思っております。  それから私ども自身の勉強の問題でございますが、言いわけじみてちょっとなんでございますけれども、雪が盛んに降ってくれるところでしかるべき空港という組み合わせがよくとれていないという面もありまして、確かに北欧、カナダ等の雪が日常茶飯事と言うとおかしゅうございますけれども、みんなが雪になれているというところに比べますと見劣りしている点は否めないと思います。したがって、先ほどもちょっとお答えしましたように、滑走路の摩擦係数の測定等についても最近はうちはタプレーを使っておりますが、これなどについてもいろいろと比較検討を繰り返しまして選んでいったわけでございますが、さらには摩擦測定のスピードアップを図るとか、こんなような面について従来も雪氷対策委員会というのを、内輪の委員会ではございますが持っておりまして、航空会社の専門家等も入れ、もちろん気象関係の専門家にも参画をしてもらってわれわれなりの勉強はしてきたつもりではございますけれども、何せまだまだ十分と言えるような段階に至っていないのも事実でございます。視察団を出す等の点も含めまして、われわれの方といたしましても北海道における空港問題というのはやはりこういった問題を抜きにしては発展を望めないわけでございますので、今後とも大いに積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  19. 三枝三郎

    三枝委員 大変温かいお考えの御答弁がありまして私も心から御礼を申し上げます。  航空局に関してはもうよろしゅうございます。  あと時間が五分くらいしかございませんので、要望だけを述べますが、ここは交通安全という観点で問題が取り上げられているわけでありますが、陸上のトラック輸送について、きょうは関係の総理府の交通安全の局長さんもおいでになっておられますが、近ごろ道路構造令に基づいて原則的に積載を入れて、軸量その他も含めて二十トンがスタンダードでトラックが走っているわけです。これは道路構造令は、その後改正はどんどんしておりますけれども、基本的な考え方は、いまの道路を二十トンの耐久力ということを前提にしているのと、さらに交通事故が非常にふえているということ、それから車が非常にふくそうしている、道路が整備されていない、そういったようなことで、依然として現状のようになっていると思います。しかし、私はこれはメーカーの検討はどの辺までなっているかわかりませんが、最近は軽量化の方向にいっていることは事実であります。しかし、少なくとも幹線道路については、枝葉の道路と同様に二十トンをスタンダードにしてトラックが走っている。平均的な話で、私の質問要望が的外れであったら、後日またそれぞれお伺いいたしますけれども、私はもしこれを三十トンなり四十トンをある路線に限ってこれは認める。ちょうどいま石油のタンカーが、五十万とか三十万トンというようなことは、最近は産油国の関係でだんだん走らなくなりましたけれども、かつてはやはり五十万トン、三十万トンのオイルタンカーが中近東からやってきて、たとえば日本石油は喜入のあそこへ入っておられる。そしてそれを積みかえて国内のいろいろなところに配置する。私は、いま例外的にトレーラートラックとか何かで大きいものは走っておりますけれども、原則的には二十トンというものが限度でトラックもつくられ、しかもそれが軽量化の方向にいっているということでありますが、もし三十トンのスタンダードにする、しかもそれは全部でない、主要幹線道路である、昼間混雑したり渋滞しているところを走らせたらまたこれは大変ですから、夜間なら夜間だけ走らせるというようなことを仮定して、メーカーが三十トンスタンダードにするのもこの場合よろしいぞということになった場合、これはいろいろ計量機械はコンピューターが発達しておりますので、五年先、十年先は省エネルギー観点からでも、物価の対策の面からいっても、検討に値する課題ではないかと私は思うのです。と申しますのは、昭和四十九年の第一次のあの石油ショックのときの十二月に、正月用品を神田の市場に九州から持ってくる。アローアンスが二十トンでも二十五トンぐらい積んでいる。それを正面切って警察でぐっと取り締まったら、これはもう一遍に正月用品が値上がりするというので、あのときはたしか一応いっときですけれども、正月用品の、生鮮食料品の値上がりを抑えるために警察庁は目をつぶったことがあったはずです。たしか四十九年のあの第一次の石油ショックの直後のときです。これは過積みの問題で、いま過積み、過積みと言って、これは全く過積みというのは二十トンだから二十五トン積むということなんで、それじゃ三十トンのものもいいぞということになれば過積みも解消されると私は思うし、むしろ私はそんな過積みの問題以上に省エネルギーの点であるいは物価対策の点で、そういったことが五年、十年先、しかも原油の価格はこれからもっと上がるのですから、通産省の方からいただいた資料によりますと、人件費が相当大きな面を、路面トラックその他については燃料は少ない、燃料のコストはそれほど大きな面を占めてないようでございますけれども、今後大きくなっても小さくなることはない、人件費はある程度抑えられても。そういう状況でありますので、これは課題であります。またの日に御質問を申し上げるかもしれませんけれども、一度検討していただきたいと思うのです。三十トンのトラックを使ってみる、そういった場合に、省エネルギーの点で、物価の点で、どういう相関関係でこれがプラスになるかマイナスになるか。そうしますと、私は、過積みの問題もある程度解決するのではないか、そういう要望をいたしまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  20. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、村山富市君。
  21. 村山富市

    ○村山(富)委員 私はこの特別委員会は初めてでもございますし、車のことについては全く門外漢で、素人でありますから、大変幼稚な質問をするかもしれませんけれども、まあそのつもりでお答えをいただきたいと思うのです。  交通安全対策につきましては、それぞれすぐれた能力をお持ちの方がそれぞれ担当されて、各般から対策を講じられている、こう思うのです。ただ、その政策なり対策がどのように具体的に行政効果を上げているか、こういう問題になってまいりますと、やはりいろいろ問題があるのではないかというふうに思いますので、そういう観点から幾つかの問題についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  仮に一つの例を申し上げますと、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法という法律がありますね。この法律によって、大型自動車は、その表示番号の指定を受けるわけですね。その表示番号を車に表示をして、見やすいようなところに表示をしなければならぬ、こういう条文があるわけです。ところが、街頭を走っております大型自動車を見ますと、たとえばシートでかぶされて字が見えない、表示が見えないとか、あるいは土砂で汚れてしまってもう見分けがつかないとか、そういう車が大変多く走っていますね。こういう措置法がつくられて、対策が講じられておるけれども、実際にはそういう状況をしばしば見受けるわけです。こういう場合に、そうした車の指導なり何かは一体だれがしておるのか。あるいは運転をする者、車の管理者等々が、朝、車が出発をする際に、やはりきれいに洗う、そして表示された表示が見やすいようにしていく、こういう心がけを持つことが、どれくらい車の事故を防ぐかわからぬ。こういうことがむしろ大事ではないかというように私は思うのですが、そこらの点はどういうふうにお考えですか。
  22. 矢部昭治

    ○矢部説明員 いまの土砂等の問題で、汚されまして、いわゆるナンバーが十分確認できないというものにつきましては、ダンプ規制法によりまして、表示番号等の表示義務違反ということで取り締まりをいたしておりまして、これにつきましては、これは一昨年の資料でございますが、三十五件検挙をいたしております。なお、そのほかに、指導、警告等あわせて行っております。
  23. 村山富市

    ○村山(富)委員 自動車のプレートナンバーというのですか、下についていますね。それのことですか。
  24. 矢部昭治

    ○矢部説明員 下についております、表示する表示番号のことでございます。
  25. 村山富市

    ○村山(富)委員 いま申し上げた措置法が特別につくられたというのは、トラックの場合なんか、大型トラックの場合なんかは見にくいですね。一般の車と違いまして、少し奥に入っていますから。ですから、特別にボデーに、わかりいいように、表示番号を決めで、その番号を表示しなさい、こうなっていると思うのですよ。私が申し上げましたのは、わざわざこういう措置法をこしらえて、そういう対策を講じておるのだけれども、その講じられた対策が実際の場面では往々にしてそういうものが多い。そういうものに対しては、一体どういうふうな指導をされておるのですか、だれがするのですか、こう聞いておるわけです。——これはぼくの方もだれに聞いていいか所管がわからぬからね。あなたの方もわからぬ。
  26. 石田幸四郎

    ○石田委員長 所管はどなたでしょうか……。
  27. 村山富市

    ○村山(富)委員 いま申し上げました意味はわかりますね。それはどこが所管をして、だれがどういうふうにするのかというのがわからぬわけですか。それはわからなければわからぬでいいのですが、いろいろな対策が講じられても、さっき申しましたように、その講じられた対策がやはり効果的に生かされてこなければ安全上の成果は上がっていかないのではないか、それが何よりも大事ではないかというように思いますから、そういう点は今後十分御注意をいただきたいと思うのです。  そこで質問に入っていきますが、一つは自動車の検車体制の充実と自動車整備事業の指導監督の強化についてであります。  指定自動車整備事業者の不正車検、不正整備あるいは自動車分解整備事業者の分解整備記録簿の横流し、こういった道路運送車両法違反事件が依然として後を絶たない現状にあります。しかも、こうした違法行為は相当長期間にわたってやられた後、警察によって検挙されたり、あるいはまた同業者の通報等によって発覚する場合が多いわけです。いまさら申し上げるまでもありませんけれども、人命を預かる大変大切な自動車整備事業でありますから、社会的責任も大きいと思うのです。そういう性格のものであるにもかかわらずこうした違反事件が後を絶たない、違法行為が後を絶たない、こういう現状にあると思うのです。こうした問題について運輸省整備事業者への指導監督体制の一層の充実強化を望みたいと思うのですが、なぜこうした違法行為が後を絶たない、根絶できないのか、また、整備事業者に対する指導監督体制の現状はどうなっておるのか、そういう問題について御見解を承りたいと思います。
  28. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生御指摘のとおり、指定整備事業者の不正事件とか、あるいは認証工場におきます整備記録簿の横流しというものがあるわけでございます。これに対しまして私どもは、指定工場に対しましては毎年工場の立入検査等を行いまして指導をする、同時に、検査員に対しまして研修を実施しているということでございます。それから認証工場につきましては、検査主任者の研修を毎年実施して、技術的な問題とあわせてこういう問題の指導をする。一方、業界団体であります整備振興会等を通じましてそういう不正事件の撲滅を図っておるというのが実態でございます。  しからば、そういう私どもの努力にもかかわらずなぜそういう事件が続発するかという背景でございますけれども一つには車が非常にふえておりますが、一方、整備工場というのが認証制度というのをとっておりまして、要するに申請をして一定の基準に達すれば自動的に認証がおりるという制度になっておりますので非常に工場数がふえております。と同時に、先生も御承知でございましょうけれども、最近は車の質が非常によくなりまして、整備しなくても走れるというようなことになってまいりまして、整備の需要量というのが非常に少なくなってまいりました。そういうことが絡みまして過当競争といいますか、非常に競争が激しくなっているという実態がこの整備業界にあるわけでございます。そういうことが背景になりましてこういうような不正事件が続発するということでございますけれども、いま御指摘のように人の命にかかわる問題でございますので、私ども、先ほど申し上げましたいろいろな施策を今後十分尽くしまして、そういうことがないように努力してまいりたい、そのように考えておるわけでございます。
  29. 村山富市

    ○村山(富)委員 いまお話を聞きますと、業界の過当競争が熾烈化して経営上やはり非常に苦しい。苦しさの余りそういうことが往々にして起こりがちになる。やややむを得ないととられるような御答弁もあったわけですが、もしいま規制をしているような措置が過酷で無理な点があればやはり直すべきだと私は思うのですよ。  ただ、ここでちょっと申し上げたいのは、こういう背景にあるからこのような違法行為が後を絶たない。何か違法行為を防止する方法はないだろうか。こう考えた場合、たとえば横流しの問題等については、あれはたしか振興会が業者に記録簿を売るわけですね。その場合に、その記録簿を購入する業者がどの程度整備能力を持っているかということが大体わかると思うのですよ。そこで必要以上に記録簿を購入するなというようなこともわかるわけですからね。そういうそれぞれの手続の中でチェックするような機能があればある程度防止できるのではないか。同時に、これは指定整備工場というのですか分解工場ですね、そこだけが罰せられて、そして横流しをもらって仕事をしたところは別に差しさわりがない、こういうことになっておるとすればやはり問題があるのではないかというように思いますから、現状の置かれておる実態の中にやはりこういう事犯が防止できない要因があるのではないか。もしあるとすれば、それはどういう対策を講じればチェックできて防止できるのかということがなければ、私はこれはやはり問題にならないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  30. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答えいたします。  まず分解整備記録簿のことでございますけれども、分解整備記録簿というのは、いま御指摘のように整備振興会を通じて配付しておるわけでございますけれども、これには一連の番号を入れまして、その番号によってどこの工場が使用したかということを明らかにしておるわけでございます。ですから原則としては、ある番号のものは、たとえば私でございますと、私が百番といたしますと百番は小林工場であるということは明らかになっておるわけでございます。したがいまして、よその工場がその百番の番号で使うわけにはまいらないということで、一応の不正防止の手段は講じておるわけでございます。ところが、いままで行われました事例というのは、百番小林工場の名前で全然別な人がその記録簿を使って修理するという事例でございます。そうなりますと、当然私の工場でいままで月に十台なら十台車検の整備をしていたものが来月から途端に二十台になるという実績があらわれるわけでございます。それはどういうような経緯でチェックされるかということになりますと、私どもでは検査のできばえの調査というのをやっております。したがいまして、そういう検査の実績が急に増加したようなものがありますれば、そういう点でチェックできるはずでございます。ただ整備需要というのは月によって非常に変動がございます。したがいまして、一カ月、二カ月の実績ではなかなかつかまえられないという問題があるわけでございますけれども、やはり三カ月とか半年とかの実績を見れば当然それは把握できるという体制にはなっておるわけでございますけれども、そういうことで発覚した例も実はあるわけでございます。ところが、やはりそういうことで全数つかまえられなかったものが通報なり、あるいは警察の方の手を煩わして発覚するというのが間々ある、こういうことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういう私どもの方でチェックできます範囲をもっと拡大するといいますか、機能を充実させまして、そういうチェックをしたい。そして、こういう不正の防止に当たりたいと思っております。  それから、横流ししたところだけが処罰をされて、受け取った方が処罰をされないのは不公平ではないかという御指摘でございますけれども、横流しをした工場というのは承認を受けておりますので、これは行政的にはそういう取り消しの処分があるわけでございますけれども、片一方は資格を持っておりませんので、行政的な処分としては何ら処分ができない、そういうことでございます。
  31. 村山富市

    ○村山(富)委員 これはやはり後を絶たない要因もあると思いますから、あらゆる角度から検討して、やはりチェック機能をもっと強化して、そして未然に防げるような措置も講ずる必要があると思いますから、今後ひとつ一層の検討を願っておきたいと思うのですね。  それから次に、自動車整備業界が最大の関心事であった自動車分解整備事業の新認証基準適用があったですね。新認証基準がつくられたわけでしょう。そのリードタイムがことしの二月の七日で終わったわけです。その結果を見ますと、そのほとんどの認証工場が改正基準に適合したことによって、認証基準の改正の目的であった整備業のレベルアップという方向へ条件が整ったというふうに受けとめられるわけですけれども、しかし、実際にその中身をよく調べてみますと、認証工場の新認証基準の適用をねらって二年間のリードタイムがあったにもかかわらず、期限寸前に駆け込み適用をやったために、九八・九%くらいの高い率でもって適合率が達成した、こういう状況になっておるように伺っているわけでありますが、こういう状況になっておる、最後まで認証がもたついたそういう原因は一体どこにあるのか、どういうふうに把握されているのか、その点について御説明いただきたいと思うのです。
  32. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答え申し上げます。  新認証基準に一日も早く適合するために、私どもといたしましては、これは機械の面と人の面と二つあるわけでございますけれども、人の面につきましては、整備士の試験を増加しております。通常ですと年四回の整備士試験を年五回にしております。それから講習の内容も変えまして、少し特別講習というようなものを実施いたしまして、できるだけ合格がしやすいような措置もとっておるわけでございます。  それから、機器の方ににつきましては、中小企業向けの低利の設備資金を導入をいたしまして、こういうことで一日も早く新基準に適合するというような措置を図って一生懸命努力をしたわけでございます。  しかし、先生御指摘のように、認証基準の適用期限ぎりぎりにやっと滑り込んだという御指摘でございますけれども、そして、その原因は一体何なんだ、こういう御質問でございますけれども一つの原因といたしましては、やはり中央段階におきましては、私どもがこの法律を改正するときには、改正の趣旨等を中央団体を通じまして末端まで十分徹底させたつもりでおりましたけれども、やはり本当の末端までなかなか徹底しなかったといううらみがあるのではないか。と申しますのは、ことしに入りましてからいろいろ各地におきまして、もう少し適用を延ばしてくれというような陳情が相当ございましたことから考えましても、やはり末端までなかなか浸透が図られなかったのではないかということが一つございます。  それから二番目に、機器につきましては、業者の間に思惑といいますか、認証の期限ぎりぎりになれば機械工具のメーカーの方でダンピングが起こる、非常に安く機械が手に入るであろうというような思惑が働きまして、最後まで買わなかった、こういうことが一つございます。  それから三番目の要因といたしまして、整備士の問題でございますけれども、人を一人ふやすということが零細な企業にとりましては非常に大きな問題でございます。それで、それについての不安が非常に大きかったということが一つと、それではいまいる工員の中からそういう整備士の資格を取らせるということがなかなかむずかしかった、こういうことがございます。  それから一方、人を採る余力がございましても、来る方の方が零細企業にはなかなか入りたがらない、そういう要因がございまして、それらが重なりまして、駆け込みというような状態になったものと思われます。
  33. 村山富市

    ○村山(富)委員 運輸省調査したところによりますと、現在、未適合工場数は八百三十六工場ある、この中ですでに事業廃止の申請を提出しているものが二百二十一、幽霊工場が二百二十、現在発注済みが百二十五、そうしますと、全くの未適合は二百七十くらい残っているということになるわけですが、こういう未適合の二百七十の工場等に対して今後どういうふうに行政指導をされるつもりか、どういう処置をされるつもりかお尋ねしたいと思うのです。
  34. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 いま先生御指摘の件数は二月七日現在の数字でございまして、二月末現在におきましては、近く適合予定工場が百九十四工場ございまして、いま現在全く見込みがない工場が六十三工場でございます。先生御指摘の二百七十が六十三に減っております。  今後どうするかということでございますけれども、これにつきましては、今後個別に私どもの陸運局、陸運事務所におきまして調査をいたしまして、悪質な者につきましては保安命令を発して、その命令に従わないものにつきましては取り消しあるいは事業停止等の処分をするということになろうかと思います。現在までにそうしたことで警告を発しました件数が二百二十八件、保安命令五十三件、処分のための聴聞を行いました件数が十三件ございます。
  35. 村山富市

    ○村山(富)委員 次に、いまも駆け込みの背景としての要因の説明がございましたけれども、自動車整備業界の中で七割ぐらいが従業員が五人以下の小企業である。しかも、その平均工員数等を調べますと二・七人ぐらいの零細小規模工場が大変多い。こういう小規模の状況にあるだけに、中小企業庁が最近発表した五十三年度の中小企業経営調査等によりますと、自動車分解整備事業の中で四〇%ぐらいが欠損企業である、こういうふうに言われているわけです。  先ほど来申し上げておりますように、交通安全対策上でも社会的に大変大きな責任を持ったこの種の企業がこういう現状にあることは大変問題ではないかと思うのです。同時に、最近の経済状況等を調べてみましても、依然として好況になっていく見通しもございませんし、そういう状況にあるだけに需要の変化等々があって、こうした企業に対する経済環境は一層厳しくなるのではないか、こういうことが想定をされるわけであります。そういう状況にあるだけに、最近のこうした業界の姿を見ておりますと、単に修理部門だけではなくて、むしろ関連の各種商品を販売する、こういう多面的な経営をしながら企業を守っていこうという状況になってきているのではないかと思うのですね。従来から、運輸省は保安の確保を重点にして指導してきておるし、そういうものを中心のものとして位置づけておったわけですね。ところが経営の形態がどんどん変わる可能性があるわけです。そういう状況にある整備工場等々に対して、これから先どういう指導方針を持っているのか、この種の企業というものはどういう姿が一番好ましいと考えておるのか、そういう見解について承っておきたいと思います。
  36. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 先ほどから御説明しておりますように、整備需要というのは非常に車がふえる割りにはふえない。ある人の試算によりますと、大体三〇%ぐらい工場の方が多くて需要の方が少ないという試算をされている人もあるくらいでございます。  それで、一九八〇年代というのは整備事業にとってはますます格差の大きくなる年代ではないかと私ども考えておるわけでございます。それはなぜかと申しますと、省エネルギーということで車が変わってまいります。最近では、外車の一部にはすでにアルミのボディーを使ったものが出てくるとか、エレクトロニクスと申しますか、そういう電子関係の機器が入ってくるとか、そういうことで非常に技術的にも新しい対応が迫られるということでございます。  一方、お客さんの側にも非常に変動があらわれてきておるわけでございます。ことに女性のドライバーが非常にふえたということで女性のお客がふえておる。それから、若いお客さんがふえておる。一部のアンケ−ト調査によりますと、四十代、五十代の方は車が壊れたときにどうするかというと、行きつけの整備工場へ持っていくのが圧倒的に多いわけでございます。若い方はその率がどんどん下がっておるということは、そういう定着した整備工場がないというような、そういうお客の変化もございます。したがいまして、今後どういうふうになるかということが非常にむずかしいわけでございます。  先生は、保安の面からだけいままで運輸省はやってきたじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもは必ずしもそうは考えておりません。と申しますのは、昭和三十九年から私ども中小企業の近代化促進法に基づきます指定業種にこれを指定いたしまして、近代化を進めて経営改善にも努力してきたわけでございますし、昨年からは新しい構造改善事業に入っておるわけでございます。そして、私はこれが最後のチャンスですよ、今回のチャンスを逃したならば企業として生き残れるかどうかわかりませんよと申し上げているわけでございますけれども、そういう意味では非常に厳しい時代ではないか。そういう時期に当たりまして、私どももあらゆる角度から整備事業を見直していきたいと考えておりますし、先生のいまのお話にありましたように、多角経営というのも一つの行き方だと思います。しかし、整備専業では生きていかれないかといえば必ずしもそうではない、まだ方途は私はいろいろあると思います。ここでは時間がございませんのでお答えできませんけれども、いろいろ方策はあろうかと思います。  そういうことで、私どもこの構造改善事業を通じまして新しい整備工場の行き方というものを一緒に考え、実施していきたいと考えているわけでございます。
  37. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは社会的に大変大事な仕事であるし、しかもきわめて零細な小規模企業が多いという状況にあるだけにむずかしい面もあると思うのですけれども、社会的変化に対応して健全な経営ができるということが法が遵守される最低の条件になると思いますから、十分検討を加えて指導してもらいたいと思うのです。  それから次に、ごく最近大阪の陸運局の管内で、トラックディーラー五社が、トラックの登録申請にかかわる不実記載の違法行為があって、道路運送法違反及び刑法の公正証書原本不実記載罪容疑に問われておる事件が発生いたしております。この種違法行為は昨年東京陸運局管内でも起こっておりますし、登録検査等にかかわる法令遵守に関して局長からも厳しい通告が出されております。  その内容を見ますと、「道路運送事業の適正な運営および道路運送に関する秩序の確立を阻害し、公共の福祉に反する行為であるとともに、自動車登録申請に不正な手段を用いる悪質な行為であり、誠に遺憾である」こういう内容の警告が出ているわけです。この種の違法行為は昨年一年間でどの程度の件数があったのか、どういう措置をとられたか。
  38. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 私ども聞いておりますのは東京と大阪の件でございます。
  39. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは違法行為で摘発された案件だけですから、目に見えない、表に出ないところはうんとあるかもしれませんね。  そこで、最近の傾向を見ますと、道路運送車両法によれば登録は所有者が行うことになっているわけですね。しかし、さっき申しましたようにディーラーが代理してこういう手続をしてあげる、これは言うなれば車を買ってもらったそのお礼も含めてサービスをする、買った方からすれば、その登録の手続は非常に複雑でめんどうだというのでやっていただくという関係が非常に強くなってきているわけです。そういう関係にあるわけですね。  この種登録に関する違法行為が次から次に起こることになれば、業界は混乱を起こしますし、俗に言われる白トラなんかがどんどんふえていくという傾向になっていくわけです。ですから、車の登録業務というものはきわめて大事だと私は思うのです。そういう意味で、この種の問題について運輸省は業界に対してどのような指導をされていたのか、これからどうするつもりなのか、そういう見解について聞いておきたいと思うのです。
  40. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答えいたします。  自動車の登録業務に関しまして先生御指摘のような不正行為がディーラーにおいて行われたということでございまして、まことに遺憾であると思います。  ただ、これはディーラーが代行しているから不正が起こるのではないかという御指摘かとも思いますけれども、実際の手続から申し上げますと、これはまず陸運事務所におきましては、増車あるいは車の代替というのは一つの認可が要るわけでございます。ですから、当然そこの段階でチェックがなされるということでございます。  それからその次には、車両が代替されるためにはもとの事業者の印鑑なり印鑑証明というものが当然添付されるわけでございます。ですから、運送事業者が知らない間に、ディーラーがそういう申請を行うということはあり得ないわけでございます。  ただ問題になりますのは、そういう事実をディーラーの販売員が知りながらあえてやるというところに私は問題があると思うわけでございまして、私ども、先ほど先生がお読みになりましたように、陸運局長から警告も出しておりますし、一つにはそういうディーラー、経営者の売らんかなという姿勢に問題があるということと、それから末端のディーラーの販売員のモラルと申しますか、そういうところに問題があると思っております。したがいまして、そういう販売団体を通じまして経営者の方に認識を新たにしていただくと同時に、末端の販売員の研修を強化するようにいま指導しているところでございます。
  41. 村山富市

    ○村山(富)委員 私の表現が悪かったかもしれませんが、これは代行するから起こるのではなくて、販売員と業者の行き過ぎた関係がこういうことを起こしやすい要因を持っているわけですから、そういう点は今後ひとつ十分指導してもらいたいと思うのです。しかしこれは、登録申請業務は運輸省の所管だけれども、販売業は通産省の所管になりますね、そうでしょう。ですから通産省も幾らか関係があるわけですよ。登録申請をディーラーが代行するという業務が多くなっていけばいくほどこの種の違法行為が起こり得る可能性を持っているわけでございますから、したがってやはり通産省の立場からもある意味ではもう少し正常化への指導をする必要があるのではないかというように思いますので、この際通産省の見解も聞いておきたいと思います。
  42. 横山太蔵

    ○横山説明員 お答え申し上げます。  自動車の流通業につきましては私ども運輸省と御一緒に共管ということになっております。ただいま先生御指摘の問題はひとえに運輸省の御所管の問題かと思いますが、先生おっしゃいました流通業界の健全化といったような観点からは、私どももしかるべく指導をしてまいりたいと考えております。
  43. 村山富市

    ○村山(富)委員 まことに抽象的な話で、指導する、指導しておると言うだけではなかなか正常化しない要因も持っているわけですから、もう少し現状を正確にとらえて的確な指導とそしてその指導を徹底させるということが大事ですから、今後ひとつ十分力を注いでもらいたいと思うのです。  そこで次に、昨年七月に東名高速道路の日本坂トンネルの中で車両追突事故がございました。特に火災の原因となった危険物の積載車両の取り扱いが大きな問題になっておったと承っているわけですが、その日本坂トンネルの事故は今後の交通安全対策上の問題として大変大きな教訓を残しておると思うのです。そこでその教訓を踏まえて、今後危険物の運搬に関する規制とか違法な危険物の積載車両に対する取り締まりとかこういうものに対する構え方、心がけ、心構え等を承っておきたいと思うのです。
  44. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  昨年の日本坂トンネル事故、御指摘のような大きな惨事を起こしたわけでありますが、いわゆる危険物というふうなものがこれの直接的な原因ということではなくてまだ幸いであったと思うのです。あれが本当に危険物が衝突して事故になった場合にははるかに大きな被害になるということでございまして、私どもこの危険物車両の通行の問題等につきまして、実はあの後、昨年の十二月でありますが、交通対策本部におきまして、危険物車両というもの——これはトンネルを中心にしてでありましたけれども、この対策がいろいろ協議をされたのでございます。  先生御存じのように、現在危険物は核物質、放射性物質から始まりまして、火薬類、高圧ガスそれから消防関係の危険物、いろいろな種類のものがあるわけでございますが、これの運搬につきましてはそれぞれ独立、主管の法律がございまして、それぞれの法律で決めてある。一部の危険物については警察がこれを停止をしたり検査をしたりあるいは経路について指示をしたりというふうなことができるようになっておりますが、それ以外のものについては警察の関与がない現状でございます。したがいまして、特にこれから大震災等の問題を考えてまいりますと、危険物のいわゆる道路輸送の問題が果たして現行法のままでいいかどうかというふうな問題、さらにはドライバーの資格、これも現在ドライバーの資格が法律上決められておりますのは火薬類だけでございます、それ以外は全く普通の運転手と同じ条件でございます。果たしてそういうことでいいのかどうかというふうな問題も含めまして、危険物車両のそういった通行方法その他の問題について道路交通という面から見てどうすべきかということについては、これから十分検討していかなければならない問題があるというふうに考えております。
  45. 村山富市

    ○村山(富)委員 いまお話がございましたように、危険物の運搬等に対する扱いにつきましては、危険物の対象物によってそれぞれ所管の省が違うわけですね。たとえば消防の危険物は消防法、毒物、劇物は厚生省、火薬類は警察庁、高圧ガスは通産省。そうすると、いま警察庁が一部だけ関与できると言ったのは火薬類だけですね。——そこで、その関係の各省にちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、いま申しましたように、扱う危険物の対象によって所管をする所管庁がそれぞれ違うわけです。その所管庁が、自分の省の所管である危険物がどういう状況でどの程度運搬されているかというような現状についてどの程度把握していますか。それぞれ関係する各省でお答えいただきます。
  46. 柴田幹夫

    ○柴田説明員 通産省の私どもの課で担当いたしております対象は高圧ガス関係のものでございまして、これはタンクローリーで輸送するということでございます。  これにつきましての実態でございますが、ガスの種類によりましてタンクローリーの台数も異なってまいりますけれども、一応五十三年八月現在でまいりますと、全体といたしまして四千十八台タンクローリーがございます。ガス別に申しますと、LPガスで二千七百十九台、それから液化酸素が四百十八台、それから液化窒素が二百八十一台、圧縮水素が百十七台、液化アンモニアが八十八台、その他といったところでございます。こういうような形で、タンクローリーの大半がLPGを運びますタンクローリーであるということでございます。  なお、LPGのタンクローリーにつきましては、最近時点での五十四年三月現在では三千八十四台といった数になってございます。  以上でございます。
  47. 小池次雄

    ○小池説明員 ただいまの件にお答え申し上げます。  現在消防関係の機関において許認可しておりますのは、昭和五十四年三月三十一日現在でタンクローリー四万九千四百二十七台ございまして、これにつきましては、消防法の規定によりまして、位置、構造、設備に対する許認可申請がありまして、当該市町村長が位置、構造、設備に対して検査し、それによって許可を与えておるというような数でございます。そのほかトラック等による一般の運搬車両でございますが、これにつきましては、運搬する危険物の薬品に対応する容器、それに対応してさらにまた梱包、これをそれぞれ規定いたしまして、積載方法、運搬方法、これにつきましては荷崩れ、転倒、落下等がないようなことを消防法の基準で決めてございまして、それぞれタンクローリー、トラック等による運搬車両の規制を行っております。特にタンクローリーによる運搬に対しましては危険物取扱者の免状を有する者が同乗しておらなければならないというような実態でございます。
  48. 斉藤隆

    ○斉藤説明員 お答え申し上げます。  先ほど私ども局長がお答え申し上げました火薬類の問題ともう一つ核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律によりまして、核物質等も警察に届けられるようになっておりますので件数を承知しておるわけでございます。  まず火薬類につきまして、昭和五十四年中に件数として九万一千六百五十二件の運搬がなされておったという実態でございます。  なお、核原料物質等の運搬の問題は、昨年の三月五日の法改正から届け出になりましたので、それ以後昨年じゅうで二百十四件の運搬がなされたという実態でございます。
  49. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは一般のトラックも含めてそうですけれども、特定の運搬する車両だけでなく一般車でも運べるわけですね。その場合に危険物を積載しているという標識をしなければならないことになっていますね。標識だけをしておけばいいわけですね。その手続は、それぞれ所管する省によって違うかもしれませんけれども、大体公安委員会なら公安委員会に届け出をして、公安委員会から許可と言うのですか何と言うのですか、これを受けるという手続になっているのですか、これはどうなっているのですか。
  50. 斉藤隆

    ○斉藤説明員 先ほどもお話ししましたように、火薬類でしたら火薬類取締法、それぞれの法律でいま先生御指摘の危険物の標示をするとか、それから運搬上の基準でいろいろな条件といいますか、それがそれぞれの所管法律で決められておるわけでございます。
  51. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、それは積載する危険物の対象によって所管する省がそれぞれ必要なものを決めてあるわけですね。それを運搬をするのがいいか悪いか、そこらの判断は別に必要ないわけですか。その基準に合致したと自分で判断をして、そして必要な標識をつけて運搬すれば、それでいいのですか。そこらの手続上の問題というか、取り締まり官庁の関与する機関というのはないのですか。
  52. 小池次雄

    ○小池説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたタンクローリーに関しまして例を申し上げますと、位置、構造、設備、その設備の中に表示が含まれておりまして、危険物であれば「危」というような大きな文字でもって書きまして、さらにまた「火気厳禁」とか「注水厳禁」とかあるいは水をかけてはいけないというような禁止の表示等も行わせております。  そのようにいたしまして安全な方法でもってローリーの運転をするというようなことになっております。さらにトラック等におきましてもドラムかんを積んで運ぶというような場合においては、やはり「危」というような大きな表示をいたしまして安全を図っているというのが実態でございます。
  53. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、私が質問しておりますのは、容器とか積載方法とか運搬方法とかいろいろな規制をつけているわけですね。設けてあるわけでしょう。運搬する場合に運搬業者が標識をつけて運搬しますね。それが規格どおりになっておるかどうかというような検査をしたり、表現が適切であるかどうかわかりませんけれども、それから許可をしたり何かするようなことは、危険物によってするところが違うのですかどうなんですか、どこでするのですかと、こう聞いているわけです。
  54. 小池次雄

    ○小池説明員 タンクローリーに関しましては、市町村長が消防法の規定によりまして許可を行っております。
  55. 村山富市

    ○村山(富)委員 あとは……。
  56. 柴田幹夫

    ○柴田説明員 私どもの所管しております高圧ガスのタンクローリー関係でございますが、これにつきましては、まず移動計画書というのを出させるわけでございます。これは通産局の方に出させることにいたしております。それが出てまいりますと何をするかということでございますが、私どもは道路法上の制限道路、それに加えまして高圧ガス取締法に基づきましてさらに制限道路というのを加えておるわけでございます。これは何分高圧ガスでございますので、各県の交通事情によりまして通っては好ましくないような場所があるわけでございます。したがいまして、この点につきましては都道府県の御意見を聞きまして制限道路というのを設けておるわけです。そこを通らないかどうかということをそこでチェックいたします。そういった結果につきましては関係省庁、すなわち警察とか消防といったところへ御連絡しておるわけでございます。  それからなお、タンクローリー、高圧でございますので、まずハードの面といたしまして、容器につきましての基準というものを設けてございます。それで、これはどういうことをやっておるかと申しますと、追突等一般に考えられるような衝撃には十分耐えられるような設計、肉厚でございますね、こういったものを決めてございますし、それから火災に遭っても爆発しないような安全弁の設置というものも義務づけてございます。また、タンクローリーの場合、転倒時とか衝撃を受けたとき比較的弱い部分として配管部分といったようなところがございますが、こういったものが折れました場合緊急遮断弁というのを設けてとまるようにするといったようなものも義務づけてございます。  それが容器でございますが、次に移動する場合につきましては、まず、大きなものを余りたくさん積んでは困りますので、容量の制限をいたしております。それからまた、高圧ガスの場合ですと過充てんが非常に問題になりますので、過充てんをしてはいかぬということで容器の容積の九〇%まで積みなさいというようなこともやってございます。それから、移動する際にはプロがついておらねばいかぬということでございまして、ちょっと先ほど警察の方で言われたのと実態が違うわけですが、われわれの場合は移動監視者を同乗させなければいかぬということです。この移動監視者と申しますのは、高圧ガスの製造に一年以上従事して経験を持っておる者あるいは高圧ガス保安協会で講習を受けた者、こういった資格者を乗せております。それから、二百キロメートル以上の移動をする際には運転手を二人つけなさい、こういった基準も設けておる次第でございます。こういった形で万全を期しております。
  57. 村山富市

    ○村山(富)委員 質問をしておる要点がよくのみ込めていないと思うのですが、そういういろいろな規格やら基準やら安全上必要な措置は決められておると思うのですよ。その措置が果たしてそのとおりに守られてやられておるかどうかという点検はだれがするのですか。
  58. 柴田幹夫

    ○柴田説明員 お答えいたします。  ちょっと足りませんで恐縮でございましたが、この点につきましては、まず容器関係につきましては、でき上がったときで検査をやっております。それから、一定の期間ごとに再検査を受けるようにしております。それから、移動の場合にそれがきっちり守られておるかどうか、この点でございますが、この点につきましては、警察の方、それから県、それから通産局、これが一体になりまして道路上で点検をやりまして、それで守らしておるということをいたしております。それからまた、業界の方も関係団体が集まりまして毎年自主検査をやっております。これは全国の百五十基地に充てんする基地がございますが、そこへ来たときに全部調べまして、それで合格していないと容器に高圧ガスを充てんさせない、こういうこともやってございます。
  59. 村山富市

    ○村山(富)委員 道路を運送する際の基準の考え方、とらえ方がいまあなたの説明と、あなたもいま警察と若干違うと言いましたけれども、違うじゃないですか。そうでしょう。そういうふうに各所管の省がばらばらでやられておるというところにやはり私は問題があるのだと思うのです。  そこで、きょうは大臣がいないからこれ以上聞いたって皆さんそれぞれよその省のことについてとやかく言うことはできないでしょうから、答弁は求められないと思いますから、いずれまた別の機会にこの問題は議論をしたいと思いますから、そういう問題だけこの際指摘をしておきたいと思うのです。  それから、もう時間もございませんので、最後にお尋ねしますが、最近地震対策が相当やかましく議論をされて、防災対策が盛んに強化の方向で問題を取り上げられておるわけですね。こうした地震に備える防災強化計画の中で、恐らくパニック現象を起こすだろう、こういうことが一番心配されて想定されておるわけです。事が起きてパニック現象が起こるのじゃなくて、起こる以前に、たとえば警告をした、予告をしたという場合にまたそういうような現象が起こるのではないか、こういうことがいろいろ議論されていますが、そうしたことが議論をされておるだけに、たとえばパニック現象がどのような形で起こるかどうかはともかくとして、そうした状況に置かれた際の危険物を積載した車両の存在というものは、きわめてまた問題になるのではないかと思うのです。したがって、いま防災対策が相当真剣に議論をされておるときだけに、そうした問題に対する危険物積載車両の扱い等について、何か具体的に方策を考えていますか。
  60. 広谷干城

    ○広谷説明員 お答えいたします。  先生からお話のございましたとおり、地震が実際に起こりました場合におきましてはもちろんでございますけれども、地震の警戒宣言が発令をされたというふうな場合に、一般交通に大変な混乱が起こるということは当然予想しなければならないわけでございます。特に、そういうふうな中にあって、危険物がこれだけたくさん道路上を往来をしておるということでございますので、警報なり地震の発生に伴います第二次災害の発生ということを十分覚悟してかからなければならぬわけでございます。  したがいまして、この対策をどうするかということは、関係省庁も含めまして、警察でも大変重要な課題として持っておるわけでございますけれども、ただ、これの対処の仕方をどういうふうにしていくかということにつきましては、いま御議論がございましたように、警察だけでできるという問題ではございません。したがいまして、私どもといたしましては、関係省庁と十分協議をいたしまして、具体的、個別的な、たとえて申しますと危険物の種類ごとに、あるいは運ぶ車両ごとに、個別具体的な計画を立てまして、第二次災害の発生を防止するということを基本的な方針といたしまして、十分に詰めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  61. 村山富市

    ○村山(富)委員 きょうは大臣やら総理府長官もいませんから、これ以上の質問はしませんけれども交通安全対策室長がおられるわけでしょう。総務長官にかわって答弁といったって、それはなかなかそうはいかぬかもしれませんけれども、いままでの議論を聞いておりまして、冒頭に質問しましたように、わざわざ大型自動車なんかの交通事故の防止をするための特別措置法がつくられて、そしてボデーに見やすいように表示をするということになっておるのだけれども、実際には皆さんもごらんになるでしょうけれども、シートがかぶっていて見えぬとか、あるいは汚れて見えぬとかいう場合がしばしばあるわけですよ。こういうものを一体だれが、どこが指導するのですか、こう聞きましても、皆それぞれ顔を見合わせて、わからぬわけですよ。そういう状況にあれば、私は、どんな対策を講じてみても、やっぱり安全上の効果は上がってこないのではないか。それはやっぱりいまの所管をする各省の縦割りの行政で、お互いの権限を侵さないというところに欠陥があるのか、あるいは法制度上問題があるのか、いろいろなところに問題があると思うのですけれども、そういう点は十分見直しをして、もう少し、ただ言葉や文章だけでなくて、実際に一般の社会の中に溶け込んで徹底できるような、そして交通安全が守られるような、事故が防止できるような、そういう対策を十分に考えていく必要があると思うのだけれども、最後にひとつあなたの決意を聞いて終わりたいと思います。
  62. 三島孟

    ○三島政府委員 最初に、一番初めの御質問につきまして、実は私から答弁するのは適当かどうかわかりませんけれども、ボデー表示の問題でございますけれども、ダンプカーの場合は、運輸大臣に届け出することになっております。出先では、陸運事務所ということになっておりますから、陸運事務所の方で業界の方を御指導いただいておると思いますし、また、私ども運輸省の方で育成指導しておりますダンプカー協会というのがございますが、ダンプカー協会を通じても指導しておりますし、また、警察が指導、取り締まりを通じて指導しておるということに相なろうと思います。  また、危険物の問題、確かに関係各省庁にまたがっておりますので、私ども必要によりまして関係各省庁と御一緒にいろいろ検討もしていく必要があろうと思いますし、昨年実は東名の事故が起きた際、関係各省庁と御相談して、危険物の規制を含めた交対本の決定を行ったわけでございます。その際にもいろいろ関係各省庁ともお打ち合わせしたわけでございます。  先生からお話がございましたとおり、いろいろな問題を検討する場合も、確かに日本の場合それぞれお役所が分かれておりますし、また関係各省にまたがることがいろいろ多うございますので、私ども総理府の立場といたしまして、必要に応じて関係各省庁と、総合調整という立場でいろいろ協議なり連絡をやってまいりたいというふうに考えております。
  63. 村山富市

    ○村山(富)委員 終わります。
  64. 石田幸四郎

    ○石田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後一時三分開議
  65. 石田幸四郎

    ○石田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上泉君。
  66. 井上泉

    井上(泉)委員 私はきょうは、運輸省航空局長もお見えになっておりますので、まず運輸省の方を先にお尋ねをしておきたいと思います。  五十五年度の地方空港整備計画が定まって、今度の予算にもかなり計上されておるわけですが、大体どういうふうなものであるのか、まずその整備計画の内容について要約をして御説明を願いたいと思います。
  67. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  昭和五十五年度は、いま実施中でございます第三次空整五カ年計画の最終年次にも当たるわけでございますが、国費五百五億円、これが地方空港整備費でございます。その五百五億円を投入いたしまして、航空輸送需要の増大に対応する航空ネットワークの整備をしていこう、これは二種、三種取りまぜて約五十七の空港について整備を図っていくことにしております。  これは幾つかの分類ができるわけでございまして、まず滑走路の延長または新設、これの継続事業といたしまして高知、鹿児島、大分、こういった十八の空港で引き続き作業を続けていく、それから新規に手をつけます事業といたしましては、北海道の女満別等二空港で新たに滑走路新設に手をつけようということにしております。  これらの事業のうち、長年やってまいりましたものにつきましては、たとえば鹿児島でありますとか山形でありますとか、六つの空港におきましては五十五年度の予算滑走路の延長または新設といった分を完了して、新しい形での運用開始ができるようなところまで持っていきたい、このように考えております。
  68. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう中で、これはローカルのことをお尋ねして恐縮でございますけれども、高知空港整備状況です。  この間、県議会で知事が、五十七年には大型機の発着が可能な状態にというような、見通しがある答弁をしておったようでしたが、高知空港整備の進捗状況、さらにはいま予定をされておる大型機の発着状態というものはいつごろが可能であるのか、その点について御説明願いたいと思います。
  69. 松本操

    松本(操)政府委員 お答え申し上げます。  高知空港につきましては、ただいま申し上げました整備計画の中に取り上げまして鋭意整備を進めておるわけでございます。当初用地買収等において多少問題があって難渋したのも事実でございますが、現在、恐らくこの三月いっぱいで用地買収についてはほぼ終わる見込みでございます。したがいまして、五十五年度の予算といたしまして三十七億余を投入いたしまして滑走路のための用地造成に取りかかっていきたいという段階に入っておるわけでございます。具体的には秋田川の改良、盛り土、こういったようなことをやっていきたい。そして私どもの見通しとしましては五十九年度いっぱいぐらいには全部の関係工事を終えて供用開始できるところまで持っていきたい、こう考えておりますが、これは千五百から二千メートルへの延長でございます。  いま先生おっしゃいました五十七年度中にも云々というお話は、県に非常に強い御要望があることは承知をいたしておりますが、恐らくこれは千七百メートルでとりあえず一部をジェット化していきたい、こういうお考えであると思います。ただ、この部分供用という問題につきましては、現在工程を詰めている最中でございまして、とりわけ滑走路の延長線上にあるちょっとした小山を削るというような問題も含まれておりますので、ここら辺のところをどういうふうな形で扱うかというあたりについて十分に詰めませんと具体的にお答え申し上げる段階でないわけでございますが、県の方のそういう強い御希望もございますので、新しく年度に入りまして早々、積極的に県の方とそういった作業工程を詰めていくようにしたい、このように考えております。
  70. 井上泉

    井上(泉)委員 高知空港の利用状況というのは、航空局長も御存じのとおりかなりな密度であるわけですが、そういう中で、空港整備されるに伴ってあの周辺の道路、国道、県道あるいは農道、幾つかの道路があの空港の周辺には非常にふくそうしておるわけですが、こういうふうなものについての交通安全対策空港整備に伴って当然考えねばならない問題だと私は思うわけです。そういう点についての配慮をなされて空港の拡張工事が進められておるのか、そして空港の完成と同時にその辺の整備も終わる予定であるのか、このことを御質問申し上げるわけですから、御答弁願いたいと思います。
  71. 松本操

    松本(操)政府委員 従来、とかく空港整備空港にだけ目を向けておったことを私ども強く反省しておるわけでございまして、いま先生の仰せられましたような空港のアクセス道路といったようなものは当然のことでございますが、そのほかに、この高知空港につきましてはYSからジェットへの転換でございますので、騒音対策につきましてもやはり前広に手当てをしていくということが必要であろうかと思います。騒音の問題につきましては、これは二種空港でもございますし、県の協力を得つつ私どもの方としても前広に手をつけてまいりたい、このように考えております。  それから道路交通その他につきましては、これは運輸省が直接にということではございませんけれども、この空港の位置決めをいたしますに当たっての県の方とのいろいろな御相談の中で、アクセス道路等については県の方で十分にめんどうを見てまいりたい、こういうことでもございましたので、今後私どもの方も県の方といろいろと打ち合わせをしていく中で、仰せにございましたようなアクセス道路関係のものについてもよくよく念を押しながら、空港はできたけれども取りつきが悪いというふうなことのないように十分な気を配ってまいるようにしてまいりたい、こう考えております。
  72. 井上泉

    井上(泉)委員 もう一点。局長のさきのお答えの中の、県が要求しているとりあえず五十七年度の千七百メートルという滑走路を利用してということについてのいろんな障害、山の切り取りとか、こういうような問題が解決すれば千七百の滑走路で一部供用開始の可能性というものは十分あり得るのですか。
  73. 松本操

    松本(操)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、詰めるべき問題が幾つかございますので、それを詰めませんと、私、ここで軽々しく御返事いたしかねますけれども、私が承知しております範囲で申し上げれば、千七百での暫定的な使用ということ自身、全く不可能ということではないようでございます。  ただ、最終目標の二千ということとの兼ね合いがございますので、その間にどういうふうな工程で詰めていけばいいのか、とりわけいまの山を削る問題もございますし、それから航空保安施設関係をどういうふうに間に合うような整備をしていくかという問題の両方が絡んでまいりますので、多少時間をかしていただく必要はあろうかと思いますが、県の希望も十分承知しておりますので、できる限りその方向で工程等を詰めるようにいたしたい、こう考えております。
  74. 井上泉

    井上(泉)委員 航空局に対する質問は以上で終わります。  そこで、私はきょう御質問申し上げようと思う主目的であります自賠責の保険のことについて大蔵省にお尋ねをするわけですが、さきに大蔵省からいただいた自賠責保険運用益の使途の内訳を見ますというと、最近の三カ年で百六十四億円も各損保会社に赤字社費てん補という名のもとに返済をしておる。これは各社別の契約金額、社費、そして赤字の数字が示されないままに、取り扱い高に応じて一律九〇%を還付しておるという実態ではないかと思うのです。交通事故も四十五年をピークに減少傾向にある中で、損保会社が赤字などとは考えられないのに、その上に手数料も千八百円から約倍に引き上げておる。  こういう中で、この運用益を回り回って株主配当にまで充当するような経理のやり方というものは妥当ではないではないか。そういうことについて、このような不明朗なことは速やかに是正をして、やはり百六十四億円の返還を求めて、交通事故の防止やその他の救急病院の充実、被害者救済等に当然使うべきであると思うのです。それをそういうふうな形で一般会社の赤字に充当するとか、いろんな形で会社へ還元をするようなやり方というのは、運用益の発生した原因から考えて、これは余りに企業寄りの、企業の勝手なやり方ではないかと思うわけですが、大蔵省、どうお考えですか。
  75. 松尾直良

    ○松尾政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり最近三カ年間で、先般資料として御提出いたしましたように百六十四億円がこの自賠責関係の赤字社費補てんを行っていることは事実でございます。この赤字社費補てんというのがどういう性格で、どういうルールで行われているかということをちょっと正確に申し上げたいと存じますが、御案内のとおり、この自賠責保険というのはノーロス、ノープロフィットということが法律で明確に示されておるわけでございまして、保険料の算定上、ほかの保険と違いまして一切利潤を見込んでいない。同時に、さりとてこれ持ち出しといいますか、ただ働きといいますか、これによってロスがあってはいけないということも同様でございまして、御案内のとおり法律に適正な原価を償うものでなければならないと、こう書かれておるわけでございます。  利潤を見込んでおりません反面におきまして、この自賠責の保険の経理というのは当然ほかの保険経理とは区分をして明確にいたしまして、この社費と申しますのは営業費、主として人件費、物件費になろうかと思うのでありますが、これが赤字になった場合に適正な原価を償わないということでございますと保険料を引き上げなければならないということになるわけでございますが、頻繁に保険料を引き上げるかわりにその発生した赤字を補てんをしていく、このこと自体先生も御理解いただけると思うのでありますが、いま先生の御発言の中にその補てんの仕方が不明朗ではないか、こういう御指摘がございました。これは実はいま申しましたように具体的な区分経理をいたしておりまして、各社別にこの赤字の実態を明らかにいたしまして、全社の赤字分の一割を足切りにいたしまして、一割を足切りにしておるということは、赤字をまるまる見るということは経営努力の意図をないがしろにするおそれがありますので九割を各社に割り振る。その割り振りのいたし方といたしましてそれぞれの会社の収入、社費というものに応じて実際に割り振る、こういうことにいたしておるわけでございまして、これを全体として見ますならば、現実に発生をした自賠責分の経費の赤字というものの九割を補てんをしてやっておる、こういうことでございます。  それから、先ほど来申しておりますように区分経理をいたしておりますので、この分がほかの配当に回るとかほかの分に回るということはないわけでございまして、自賠責によって生じました赤字の九割を補てんいたしておる、こういうことでございまして、もしこういう赤字補てんがなければやはりその都度この保険料の是正をしなければならぬ、それにかわるものというふうに理解をいたしてやってきておるわけでございます。  なお、最後に先生御指摘になりましたこの運用益につきましては、こうした赤字社費補てんを除きました分につきまして従来から交通事故対策あるいは救急医療対策等に充当してまいってきておるところでございます。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 自賠責審議会の答申では、その運用益を明確に区分整理をすべきである、いまあなたもそういう答弁をなされたわけですが、前にいただいた資料によってその点を確認するにしてはこれは不十分な資料でありますので、各社別にそういう運用益をどういうふうにして区分整理をしたのか、その資料をひとつ提示をしていただきたい。その資料に基づいてまた次の機会に当委員会で質問をいたしたい、かように考えますので、それを提出していただきたい。  そこで、昨年度の社費のてん補というものはいまから行うということになると予想されるわけですけれども、手数料も引き上げられておるので——手数料というものはそういうのをやる経費として手数料を決めておるから、だから私は、その手数料を引き上げた以上はそういうことをする必要はないのではないか、こういうように考えるわけですけれども、五十四年度においても引き続いてそういうふうなことがてん補なされなければならないか、そうすればその財源の使途はどのように考えておるのか、しないとするのならどう考えておるのか、その点をひとつ承りたいと思います。
  77. 松尾直良

    ○松尾政府委員 最初に御要請のありました区分経理の実態が十分わからぬではないかということで資料要求がございましたが、区分経理の実態、そういうことで詳細を別途先生の方に御報告申し上げたいと思います。  それから、手数料を引き上げたから今後はそういうものは出ないのではないか。これは御指摘のとおりでございまして、いままでそういう赤字社費というのが、全社的にこの経費が赤字になっておるというのは、先生おっしゃいます手数料、社費部分につきまして、保険料算定のときにかなり厳しく査定をしておったという面があるわけでございますが、そこのところの是正をいたしましたので、五十三年度分につきましてはこうした赤字社費というものは出ないのではないかというふうに見通されるわけでございます。そういたしますと、御指摘のとおり運用益というものがいままでよりも余裕があると申しますか、赤字社費補てん分というものは少なくとも要らなくなる分だけふくれるではないか、それをどう運用するのかというお尋ねかと存じます。  運用益の運用の仕方につきましては、従来からたびたび基本方針というものが自賠責審議会の方から出されておるわけでございます。一番古くは四十四年でございますか、さらに四十八年、五十三年と三回にわたって答申が出されております。これはそれぞれの三回の考え方、若干ずつ変化があるというふうに私ども理解をいたしておりますが、四十四年におきましては「今後は保険料負担の軽減にあてるほか、前述のように救急医療体制の整備充実等交通事故対策にも活用すべきである。」こういう答申をいただいております。これが四十八年になりますと「運用益については、保険収支改善のための財源にあてるほか、救急医療施設に対する助成、専門医育成のための援助等救急医療体制の整備充実、交通事故防止対策等に引き続き活用することが適当である。」という答申になっております。最も新しい五十三年につきましては「今後の使途については、保険収支の動向をも勘案し、将来の収支改善のための財源として留保しておくことを考慮するほか、救急医療体制の整備及び交通事故防止対策等への活用については効率的に行うことが適当である。」  この三つの時間的な関係におきます変化というものは、五十三年答申にございますように「将来の収支改善のための財源として留保しておく」というのが主たる今後の使途として審議会の方向づけがなされておるわけでございまして、私どもこうした審議会の答申を踏まえますと、基本的には将来の収支改善のためのバッファーとして残しておくということを中心に考えていくべきではなかろうか、こういうふうに考えております。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 そうなると、この運用益の利用方法といいますか活用方法というものは、預金という形の中で留保ということでいままでよりも額が非常に少なくなるということが予想されるのじゃないですか。
  79. 松尾直良

    ○松尾政府委員 いま読み上げました答申がございますように、中心はその収支のバッファーとして留保しておく、そのほか従来やっております救急医療体制とか、こういったものに効率的に使用するというのが審議会の意図ででざいまして、必ずしもその全部をリザーブとして積んでおくということでは考えておりません。
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 大蔵当局は、最初自賠責の運用益の答申については、いま部長が答弁されたような経過の中でやってきておるわけですが、ところが公立病院というようなものについては今日まで助成をされてない。そういうふうな公立の大学病院に五十一年に六十五億、五十二年に十八億、五十三年に二億と、こうやって公立病院に助成をされてない。さらに各答申もやはり救急医療体制ということについてのことを言っておる。最近の五十三年の答申でも「救急医療体制の整備及び交通事故防止対策等への活用については効率的に行う」という答申が、専門医の育成ということはなくなってはおりますけれども、専門医の育成ということがあればこれは大学へ出されるのは考えられるわけですけれども、もうそういう段階ではなしに、救急医療体制というものをもっと整備しなければいかぬということから考えますと、やはり今日地方中小都市における交通事故というものから相当数の脳関係の事故者が発生をしておるわけ・だし、そういう点からやはり貧弱な公立病院等についてもこういう救急医療体制の整備のために大蔵省の方としても当然考えるべきことではないか、また、考えるべきであるということを示唆した答申ではないか、こういうふうに思うわけですが、どうでしょう。
  81. 松尾直良

    ○松尾政府委員 この答申におきまして救急医療体制の整備ということをうたっておりますので、これはどこへということを特定いたしておりません。したがいまして、全国のあらゆる救急医療施設というものが一応考えられるわけでございますが、そうした中で、先生御指摘のとおり、いままで公立病院に対しまして助成いたしてこなかったということはどういう考え方に基づくかと申しますと、国公立の病院あるいは私立の病院含めまして全国に病院の数は非常にたくさんある。非常にたくさんのものが救急医療をやっておるわけでございますが、財源が限られておるというところから、最も効率的な使用といたしまして全国的な規模でこういう救急医療活動をやっており、かつその活動が民間の寄付等にかなり依存しております日本赤十字社と済生会というものにしぼって重点的にやってまいった。これらは地方にもそれぞれ支部があるということでもございますし、地方におけるそういう救急医療体制にも資する、こういう考え方であったかと思われます。別途公立病院等につきましては特別会計の方から若干の助成がなされてきたというようなことで、自然と分野調整と申しますか、民間の資金については民間の団体である赤十字と済生会へしぼってきたということではなかろうかと思われるわけでございます。  御指摘の公立病院等にも支出すべきであるという御意見、今後審議会等におきましてそういう御意見もあるということを踏まえてまた検討いただくことになろうかと存じますけれども、何と申しましても非常にそういう公立病院とか国立病院の数が多うございますので、限られた資金の中でそういうものに分散投資をするということがうまく対象をしぼるなり効率的な運用の点におきましていろいろむずかしい問題もあろうかと考えておりますが、地方の救急医療体制の充実という御指摘の点は十分踏まえてまいりたいと考えております。
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 公立病院等については、やはり一定の地域の医療の診療体制、治療体制の整備という義務があるわけです。ところが、今日公立病院としては軒並み赤字病院というのが多いわけです。しかし赤字であるといっても、やはり地域の住民の医療対策を進めるためにはそういうふうな設備というものも必要であるし、それがたくさんあるからもう切りがないからやめるというようなことではなしに、そこにやはり地域の特殊性とか地域の必要性とかそういう面からも、国民がどこの地域に住んでおろうとも安心のできる医療機関が存在するようにやはりそれぞれの部門において考慮していただかないとその地域の医療問題というものは解決をしないと思うわけなので、そういう点からもいままでも大学を中心にして脳外科の医師を養成するということを主眼に置いていろんな援助をしてきたわけですが、今日相当数の医師も養成をされつつある中で、地域における脳神経外科というものを充実さすために要求があればそれはやはり審議会としてもそしてまた大蔵省としてもそれの配分については当然考慮すべきことではないか、こういうふうに思うので、その点についていま部長から若干前向きな御答弁もいただいたわけでありますけれども、なおひとつこの運用益の利用についてそしてまた救急医療体制の整備について公立病院の位置づけというものを再認識をしていただきたいと思うわけなので、その点についていま一度御見解を承りたいと思います。
  83. 松尾直良

    ○松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、非常に全国で数が多い中でこれを重点的にうまく配分することができるかというような問題を含んでおりますので、地方の医療体制の充実という御趣旨は十分われわれも理解をいたしますし、審議会の諸先生方もそういう観点から全国的規模の組織という意味で日赤、済生会にいままで重点的に配分をしてきたのではないか、かように考えているわけでございます。  なお、先ほどちょっと触れました別途特会の方でそういった地方の公立病院への助成をいたしておるというようなこととの関連もいろいろまた検討すべきではないかというふうに考えております。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、大蔵省にいま要求した資料に基づきさらにはまたこの積立ファミリーの交通傷害についても担保範囲というようなことについて相当苦情が多いということを聞いておりますので、次回にはその資料を含めてから質疑をいたしたいと思うわけでありますが、何としても大蔵省という大きな保険会社との非常に密接な関係があるので、これは別に郵政省とKDDのような関係はないと思うわけですけれども、しかしややもすれば大蔵省が保険会社の言いなりになっておるというような印象も国民の間にはなきにしもあらずですから、やはりこういう自賠責の中で出てくる運用益の使い道については厳正に執行してもらいたい、こういうことを強く要望するものでありますし、そしてそれが手数料も上げたんだからもう余りそれを一般の赤字へ補てんをするとか、あるいはまた今度の答申が積み立てを将来予想される収支改善の財源として留保しておくとかいうようなことに重きを置いて、せっかくの交通事故対策への金の支出が少なくなるようなことになりますれば、これは自賠責保険の生まれた趣旨に反すると思うわけなので、そういう点についてもいま一度保険部長の御見解を承り、大蔵省に対する質問は終わりたいと思います。
  85. 松尾直良

    ○松尾政府委員 御指摘のとおり、この自賠責というものが強制保険でありまして、その意味では税金と同じような性格の保険料でございますので、その保険料というものはたまたまその一部が保険会社の経理にゆだねられているといたしましても、これは保険会社が勝手に左右できるものではなくてきわめて公的な資金そのものでございますので、これについて厳正な運用が必要であるということは全く御指摘のとおりでございまして、私どもも従来からそういう観点で監督、規制をいたしてまいりましたが、今後とも一層厳正な運用に努めたいというふうに考えております。
  86. 井上泉

    井上(泉)委員 運輸省にお尋ねしますが、自賠責保険の運用益がこの運輸省から出された資料によりますと滞留資金は五十三年度で九千二百億、運用益が二千四百億、五十五年度の交通遺児、修学援助、救急医療等に対する補助が約十六億とこういうようなことになりますと、このままいきますと滞留資金は一兆円以上になり運用益は三千億以上になる、こういうことが予想されるのですが、この資金を運輸省は今後どのように活用しようとしているのか、御説明願いたいと思います。
  87. 永光洋一

    ○永光説明員 お答えしますが、いま先生がおっしゃいましたように自賠責の特別会計におきましては約一兆の滞留資金がございますが、その滞留資金の過半はすでに現在事故が起こっておりましてその事故に対しましての将来の支払いに充てますいわゆる支払い備金、あるいは保険期間が二年ものというものもございまして、保険料は収受するけれどもその保険料収納は実は来年にわたるというようないわゆる未経過の保険料、そういうものの見合いがやはり滞留資金の中の過半を占めておりまして、それ以外のものがいま先生がおっしゃるように運用益の積み立てたものとかあるいはある程度の収支差の純利益とかいうようなものが一兆の中に含まれておるわけであります。  じゃ、いま申しました未経過保険料に対応するものだとかあるいは支払い備金に対応するもの以外のいわゆる純利益に当たるようなものというものにつきましては、やはり将来の保険収支の改善のための財源として、これは当然ユーザーから預かった金でありますし留保されるべきものと考えるわけでありますが、さらに先生おっしゃいましたように滞留資金の中のいわゆる運用益のたまりが相当あるじゃないか。これは実際上毎年大体五百億程度の運用益が出ます。この使途につきましては、これは先ほど大蔵省の方からもお話がありましたように、保険審議会の答申におきましても保険収支の動向を勘案し将来の収支改善のための財源ということに留保しておくことを考慮するほかに、いわゆる救急医療体制だとかあるいは交通事故防止対策への活用について効率的に行うことが適当である、こういうお話になっておりますので、今後とも運用益につきましてはそういう方向で対処していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  88. 井上泉

    井上(泉)委員 私はこの運用益の使い方というものについてもっと細かく質問を申し上げたいと思うわけですけれども、時間がありませんのでこれは次の機会にいま審議官答弁をされた内容が果たして実際的に行われておるかどうか、そういう点について引き続き当委員会で質疑をいたしたいと思うわけですが、ここで一つ自動車の九五%を占める自家用車については適性診断の恩恵にあずかっていない、そのことを外しておるわけですが、これは運用利息というものからユーザーに還元をするというそういう点からも自家用車の運転者の適性診断をやはり速やかに実施をして交通事故の防止というものをさらにより一層徹底さすべきじゃないか。これは自家用の車と営業用の車との事故率を考えますならば、自家用車の方が圧倒的に多いと思うわけなので、その辺の資料も私は持っておりませんからはっきりしたことは言えないけれども、やはり自家用車の運転者の適性診断を行う、ことに若い者の運転免許については慎重な審査のもとに免許証を交付するということにしなければいけないと思うわけですが、そういう点について運用益をもっと、お金をもっと使うというようなことは考えられないものかどうか、その点。
  89. 永光洋一

    ○永光説明員 先ほど運用益の話がございましたが、その中の一環としまして、自動車事故対策センターに対しまして、いわゆる適性診断業務その他のために大幅な助成を行っております。現在、確かに自動車事故対策センターが行っております運転者の適性検査、適性診断につきまして、事業用自動車の運転者を対象としておるケースが非常に多いわけでございまして、これはセンターの業務能力から見まして、運転者の膨大な数がありますし、それをすべて対象とすることが非常にむずかしいものですから、非常に輸送効率が高いといいますか、あるいは一人の運転者の単位当たりの走行するキロ数が非常に大きいというような観点から、事業用自動車の運転者にある程度しぼらざるを得なかったというような面があるわけでありまして、センターとしましても業務能力に支障がない範囲内では自家用の運転者の方々にも適性診断を受けていただくというような形にはいたしたいと思っておりますが、現実にはそういう形になっておるわけでございます。
  90. 井上泉

    井上(泉)委員 業務能力に支障のない範囲でやるということになると、これは何も強化にはならぬでしょう。業務能力が不足しているからできないというなら、やはり業務能力を強化するような方向を考えなければ、金はあるのですから、そのことを考えなければこれは意味をなさないと思うわけです。その点についても次回になお質疑をいたしたいと思います。  最後に、私は、この自動車保険の中で死亡事故あるいは負傷に対しても相当の金額が引き上げられておるわけですが、たまたま私の知人が事故に遭った。ところが相手は無免許で未成年である。事故は、信号無視、ひき逃げ、歩行者妨害、こういうようなことで、横断歩道進行中をやられた。やられたところが、百二十万までしかないのですから。ところが、最初の一カ月に九十三万円医療費が要った。それで十一月でもうすでになくなった。そうすると今度はお医者はこれに対して厚生省の社会保険で診療を受けなさい、こう言って、十二月から社会保険の診療に変わると、今度は医療費が全部ただであるだけではなしに、休業手当というものをもらえるわけです。ところが、今日の自賠責の保険でやるというときには、医療費でいっぱいであって、これは休業補償に類するものが何もない。その保険の中には休業補償の分も含まれておるといっても、これは医療費が足らぬから、そんなことでは問題にならぬわけで、それで、自動車事故に遭ったのを、金がなくなったから今度は健康保険でやらなければいかぬということになると、いわゆる健保の会計を赤字にしてくるのはあたりまえのことですが、こういう点に運輸省の方としては矛盾を感じてないか、問題として感じてないかどうか、そのことを承りたいと思います。
  91. 永光洋一

    ○永光説明員 先生のおっしゃいます点、非常にいろいろな問題を含んでおると思います。一つには、休業損とか慰謝料とかいうものと、それから治療費という関連が一つと、それから治療費の問題について、いわゆる自賠責の保険といいますか、自賠責から出る賠償の金というのが、いわゆる治療では自由料金といいますか、慣行料金で支払われますので、健康保険とこれは一応両立するわけでありますが、一般的に加害者なり被害者の方と治療機関とは一応健康保険でいくか、あるいは慣行料金でいくかということの話がありまして、大部分は自賠責の慣行料金でいく、ただ、ある程度の限度を超える場合に健康保険に切りかえるという実態があるわけでありますが、これは医療制度としてそういう形になっておりますので、実際上健康保険でなければならぬというような形ということもいろいろ問題があろうかと思いますし、適正な治療費である程度治療機関と被害者の方とが話をされて治療されること自体については、問題がないのではないかと思います。  もう一つの問題としまして、いわゆる百二十万の限度の中で、その三つの項目、いわゆる診療費と休業補償と慰謝料について、お互いが重複し合って、どちらかというと医療費によって他のものが食われてしまうというようなお話ではないかと思うのですが、これは一つの考え方として、三つの項目をそれぞれ限度を別々に設けて、医療費についての一つの枠を設けて、他のそれぞれのものについても枠を設けるという考え方もあるかと思いますが、仮にそういう形をつくりますと、仮に治療費が多ければ、限度を設けましても、その超える費用につきましては結局被害者の負担になるというような考え方になりましょうし、あるいは休業損や慰謝料が非常に少ない場合に、総支払い額が現状よりも低額となるような事態もあると思いまして、必ずしもその長短がはっきりしないのでございますけれども、総体から見れば、現状のような積算項目を一緒にした形での方が被害者サイドから見て一般的には問題がないのではないか、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。
  92. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたの言うこともはっきり聞き取れないのですけれども、あなたがもしけがした場合に、けがして入院した。それで百二十万では足りなかった。足らなくなってきたけれども、あとの治療費はこれは現実にもう社会保険で、健康保険に変えて治療を受ける。健康保険に変えた場合には、これはそこに休業補償の手当もある。ところが、一方、事故でけがして自賠責でやるときには、その百二十万の中にはそんなものが含まれておるといいながらも、百二十万ですら足らない。足らない現実にある。足らない現実にあるということは、やはり保険というものは、何のために保険というものは存在するか。被害に対してこれを補償するために保険制度というものはあるわけだから、それに矛盾を感じない、これはどうも変えなければならぬというような気持ちが起こらぬということは、一体どういうことだ、どんな神経だと私は思うのですが、あなたはそれは自分の財産があって、保険が少々少なかろうが治療を受けられるとしても、働き盛りの人がけがをして、そこで全然補償もない、それから加害者の方にそういう支払い能力も一切ない場合に、やっぱりそれは保険でそういうものに対する救済の措置というものは講ずるのが、これが保険制度としてはりっぱな制度としても生きるわけだと思うが、そういうことをいまやるということが適当だと思うが、そういう場合に、どこが適当ですか。しかもまた、それが自動車の損害保険で保障しなければいかぬものが厚生省の社会保険に頼らなければいかぬというようなこういうやり方というもの、これはもっと検討すべきじゃないですか。  もう時間がありませんので、私はこれ以上言うことはきょうはできないわけですけれども、いずれ厚生省の方も来ていただいて、そういう実態も、それについての厚生省の見解も聞きたいと思うし、それから医療費が、そういう支払い能力のない、保険にも掛けてないものは、いわゆる百二十万の限度以上は一歩も出ないでしょう、相手が補償能力がない場合には。補償能力がないからといって、被害者があなたのように生活を保障されている者はいい。しかし、生活を保障されてない者が交通事故に遭った場合に一体どうなるのか、どうするのか。それは生活保護があります、こう言って逃げるかもしれませんけれども、やっぱり保険制度として考えるならば、今日保険会計というものが赤字でどうにもならぬということならいざ知らず、今日これだけの利益を上げてきておる保険会計の状態にあるので、そういう点について、もっと自動車保険というものを考え直す段階じゃないかと私は思うわけですが、これは大蔵省の保険部長おいでですが、あわせて保険部長の見解も承って、私の質問を終わりたいと思います。
  93. 松尾直良

    ○松尾政府委員 傷害の関係につきまして、現在の限度額の中で賄えないという事例がいろいろ出ておるということは十分承知をいたしておりますし、そういう中で医療費に非常に食われてしまうという実態も十分承知をいたしておりまして、医療費の適正化ということにつきましては、かつて当委員会で先生の御指摘を受けまして、三省協議会というものでいろいろ医療費の検討を進めておるところでございます。傷害保険の限度額のあり方ということも含めまして、今後十分研究をしてまいりたいというふうに考えております。
  94. 永光洋一

    ○永光説明員 先ほど御答弁しましたように、治療費の問題につきましての件でございますが、先生おっしゃいます限度額のお話ということでございますれば、自賠責の限度額というのは死亡と傷害というのが一応基本的な保障ということで、全部これを補償として見るということでなくて、ある一定の線としての限度額をわれわれ設けておるわけでございますが、この限度額がどの程度が適正かということにつきましては、いま大蔵省の方からのお話がありましたように、その点につきましては検討さしていただきたいと思います。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 会議録を見てから、また質問します。
  96. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、沖本泰幸君。
  97. 沖本泰幸

    沖本委員 私は、きょう三点ほどに分けてお伺いしたいのですが、第一は暴走族の問題、それから、運転免許証にランクをつける必要はないかという点と、それからシートベルトの問題と、それから、道路の保安基準の速度計の警報装置の問題、その四つをお伺いしたいと思うのです。  まず最初に、五十三年の十二月の道交法改正後、これは主として暴走族に対応するための道交法改正に主眼があったわけで、その後、多少その効果が上がったように見えるわけですけれども、しかし、また次第にふえて、以前よりもっと悪質になってきたのじゃないかというものが、しばしばマスコミの面で見受けられたり、現実に私たちがそういう苦情に遭遇したり、あるいは運転者の方からも直接いろいろと話を聞かされるという点。それから、最近九州の、いわゆるシンナーで、主婦を殺した、この人も車が関係しておったわけですし、シンナーが最近しばしば問題になってきているという点ですね。それから、シンナーにしても覚せい剤にしても、一たんやめておっても、あるとき突然その症状が出てくるというおそれがあるという学者の話もあるわけでございまして、そういう点から考えると、単なるシンナー遊び、あるいは興味本位に覚せい剤を用いるという最近の傾向が、国民皆免許時代に入ってすべての人が車に関係してくる、こういうときを考えていきますと、単に暴走族の暴走ということだけにかかわらず、私たちの周辺にはいつ何どき車が凶器になるかわからないというものがひそんでおる。そういう状況がわれわれの周囲、環境の中に多分にたくさん出てきておるということになると、いわゆる国民の生命、財産の安全を保たなければならない、こういう行政の面からも、また政治の面からも看過できないと私は考えるわけでございます。それで、見るに見かねて道交法の改正という形になったわけですけれども、最近は四輪からまた二輪になってきているんじゃないだろうか、あるいは小集団に分かれてまたグループができてきているんじゃないだろうか、あるいはだんだんたちが悪くなってきて、警察から追い回されると逃げるのにスリルがある、そのスリルを求めるために、あえて逃げる、あるいは今度は、単独では何もできないのだけれども、集団化すると、とてつもないことをやり出してくる。  これは最近の話で、私がじかにタクシーの運転手さんから相当な大きな苦情としてやり込められたわけですけれども、大阪の御堂筋の一方通行を暴走族がシーズン、シーズンということはないけれども、土曜とか日曜とか、特に出る時期になると、逆に走り出すというのです。そうすると、危なくて一般の車はみんな散り散りに逃げ出すというのですね。まあ悪意もあるだろうと思うのですけれども、そういうときに限って警察の取り締まりがどっちの方をやっているのか、その辺にはいないというようなことですね。それで、その集団の暴走族自体が鉄パイプとかいろいろな凶器を持っているから、車を片っ端からつぶされていく。苦情の持っていきようもないというのと、それから、一、二台で文句を言ったって、たちまち囲まれて大変な被害を受けて、命にも及びそうだから、結局、当たらずさわらずで逃げていた方がむしろ安全だ。それでは野放しになってしまうじゃないかということ。ほとんど未成年であるということで、最近はマスコミでも世間の一般の風評でも、彼らもひとつ大目に見てやるとか、あるいは遊び場がないとか、ストレスの解消の場所がない、少年の不満のやり場がないからそういうところへ出てくるのだろうとか、一つはそういう一方的に認めてやるような風潮もあったわけですけれども、最近はそれもだんだん減ってきているような感じがあるわけですね。  それからあわせて、最近のドライバーの傾向、一般の市民的な傾向も、あえて信号に逆らうとか、自動踏切の場合は親から勝手にすれすれまでくぐっていく、大人の方からモラルを破壊していく、社会通念から外れていく。だから、むしろ信号をまじめに守ったらばかばかしいのだというような事柄が社会に非常に充満してきているということで、むしろちょっとした違反的な行為の方が社会に通用しておる。だから、まじめに信号を守ったり、あるいは一方通行を守って歩いたり、歩行者自体が交通規則を守っていくということがだんだん薄れてきている。それだけよけい交通事故犯につながる内容をはらんできているのじゃないか。広い意味で申し上げれば、そういうことが非常に多くなってきておる。  そこで、最近の青少年の車に対する魅力というのが、経済が豊かになった関係もあるわけですけれども、結局、車を買ってくれなかったら家出をするとか、両親をおどかして車を手に入れる。その手に入れた車を楽しみにして遊んでいく。あるいは車の修理工場に働いている人とか、ガソリンスタンドにいる若い人たちが、お休みになるとこういうことで暴走族化していくことにスリルを感じ、生活の気力を持っていっているというふうな面があるわけで、これじゃ、むしろ社会に非常に悪い、大変迷惑をかけることになり、犯罪者になっていくのだという傾向よりも、そういうものは、起きて初めてびっくりするような結果が出てくるのです。そういうものに対してどうするかということが大きな問題だと思うのですが、まず、その辺に対してのお考えを伺いたいと思います。
  98. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  暴走族の問題につきましては、先生からいまお話のございましたような点につきまして、実は私ども、単に交通問題ということでなくて、少年問題というものが一つの基本にあって、それがいまのような車社会というものの中でドッキングして暴走族という形になってあらわれているのではないかという感じで受けとめ、これに対する対策を考えておるわけでございます。  若干、お答えが長くなるかと思いますが、御指摘のありましたように、一昨年の道交法の改正で、暴走族が本当に見た目にも少なくなったという状態が、一昨年の十二月から去年の秋口まで約一年弱の期間続いたのでございます。それが、去年の秋ぐらいからまたぼつぼつと出始めたということでございます。いままでの暴走族と少し違った形の傾向として出てきておりますのは、年齢が——免許は十六歳から取れるのでありますけれども、同乗者ないしは運転する者が十五歳、十四歳というように、非常に低年齢化するという傾向が出てきておるわけでございます。それから内容が、大きな音を立てて走るという状況から、一般の人を巻き込んで——タクシーなどがそうでありますけれども、一般の車両あるいは通行人を巻き込んでこれに暴行を加えるというようなこと、あるいは取り締まりの警察官に対しまして公務執行妨害というような形、あるいは派出所等を襲撃するというような形になってきておるということ、それからグループが、かつては何百人というグループが多かったのでありますが、非常に小さくなりまして、いわゆる小グループに分裂をし、グループ同士の対立抗争という事実が大変顕著になってきておりまして、私ども、いまのこの状況を見ておりますと、単に交通の安全というふうな問題が中心にございますが、それからさらに、市民生活の平穏そのものに対する挑戦のようなものであるということで、道交法秩序はもちろんのこと、一般の社会秩序に対する挑戦をしようとする、いわゆる暴力集団であるという基本的な考え方でこれをとらえざるを得ないだろう。これはかつて、子供だからというふうな、ある意味で甘えのような一面で少年問題が取り上げられていった面もあるようですが、世の中の大半の少年というのはまじめにこつこつやっておりますので、そういう人たちから見ましても、また、一般の善良な市民に対しても、これはきちっと処理しなければならないという考え方で、実は従来も暴走族対策につきましては、私どももいろいろな対策を講じてきておりましたが、ことしになりまして、基本的に見直しをしようということにいたしたわけでございます。  一つは、警察内部の総合体制というものを考えよう、もう一つは、いわゆる暴走族についての総合対策、従来はどっちかというと、警察だけで物事をやってきておりますが、それを関係機関、団体との連携による総合対策というふうなものをぜひ進めていかないと、この問題は解決しないということでございまして、この二点の問題を柱にして所要の対策を進めよう。特に部内の総合対策ということの中心は、従来は交通というものが表に出て、いわゆる現象面を処理するということでございますが、これではだめだ、やはり私どもの内部にも少年問題を主管している部門がございますし、しかも暴力団が中に介在するような事案もあれば、さまざまの事案がありますので、暴走族については原則として各都道府県の本部長が責任者になってやってもらいたいという形に改めたわけでございます。  それから、情報、捜査、補導、各般につきましてそれぞれ班を設けまして、刑事が出てやるのがふさわしい部門、あるいは少年の係が出て事故補導でやっていくのがふさわしいような部門、いろいろな形で組み合わせをしながらやっていく。  それからもう一つは、この暴走族の事案を考える場合に、少年にとっての大変な魅力になりますのがいわゆる免許というものと車でございます。この免許につきまして、事案がありますと、当然私どもがどうしても行政処分その他でもって対応していく場面が出てまいります。こういう行政処分の時点で、これを徹底的に改善し、善導する、そういう機会として行政処分の講習その他の関係で徹底してやっていこうというふうな問題等がございます。あるいは犯罪の用に供した車の押収というふうな問題についても、積極的に取り組んでいこうというふうなこと等を中心にしてやっております。  それから、この事案につきまして保護者が従来余り御存じないというふうな面もありますので、保護者との関係、あるいは学校との関係、これにつきましては教育問題として自後の少年の将来に非常に影響するところが出てまいりますので、学校との関係につきましては少年部門がいろいろ工夫をしながらどこでどうやれば学校との関係でうまくいくのかというふうなことを考えながら、学校との連携を強化していくというふうなこと。  それからさらには、大阪等が非常に先駆的な役割りを実は果たしていただいたのであります。先生方の党の関係でも、大阪の場合には大変力を入れていただいてきました。大阪が例になりまして、全国的にそういう空気が広がっておりますのは、暴走族につきましての府民会議あるいは県民会議ということで、知事が中心になってこの暴走族問題を考えていただく、警察は必要な資料あるいは実態をそういう場で御説明し、関係機関でやれるものについていろいろやっていただく、暴走をしない、させないという環境づくりをしていただくというふうな総合対策というものを強化するというふうな形で、現場の処理とそういう関係機関、団体によります総合的な対策を講ずることによって、一朝一夕にはなかなかむずかしい面がありますが一この暴走族問題を考える場合に基本的に非常にむずかしいのは、十六歳から免許をとるようになってまいりますが、暴走族というのは二十歳過ぎてしまいますともう皆悪夢のような、なぜあんなことをやったのだろうという反省をしながらやめてはいきますが、次から次へと十五歳から十六歳の新手が出てまいります。そういう予備軍的なものが次々出てまいります。例の改正道交法のときに一ころ鳴りをひそめましたのは、ちょうどその当時暴走行為ということをやっておったそのリーダー格の者が、もうこれからはこういうことではだめなんだということをだんだん下に徹底をしておった。その幹部たる者がどんどんやめていって、新たにまた全く白紙でこの車社会の中に入ってくる、そこで車に対する魅力で車に乗る、それがグループ化していくというふうなことにつながっていくということのように思いますので、非常に息の長い問題であると思いますし、背景に少年問題というものがあるものですから一朝一夕に非常に行きにくい面はありますが、気長に、しんぼう強く体を張ってこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  99. 沖本泰幸

    沖本委員 もう一、二問でこの問題も……。せっかくお取り組みになっておるわけですから、十分に効果があるような方途を考えていただきたいと思いますけれども、たとえて言いますと、この間民放で東京都内の暴走族取り締まりの実況を放映しておりました。見ると、両方からはさみ打ちにしてとめて、免許証見せろというようなことをやると、相当反抗しているわけですね、運転席に乗ったままで。おれたちは未成年だからつかまっても大したことないんだ、事故を起こしても大したことないんだ。最近六法全書を読んで親を殺す計画をした子もいる、そういうのが出ているわけですが、これは一つ時代相とも言えるかもわかりませんが、それはそれなりにやはり行政の方が対応していかなければならない時代でもあるということになりますから、そういう点も十分研究していただいて効果のあるような取り締まりの方法——あるいは集団でやっているけれども、警察が取り締まりに集中すると散っていなくなってしまうというふうなイタチごっこ的なところもあるわけです。  そこで、一つのことでこれはやっていただいた方がいいのじゃないかと思うのですが、最近暴走族めいたことをして死に至っているというような事故は二人乗りが非常に多いんですね、ほとんど無免許という形が出ています。ですから、人の車を借りて無免許ということがあるわけですからせめてその辺で事故を防いで、将来ある青少年の命を守ってあげるためにも、無免許の者にわかって車を貸した車を持っている人の運転免許を取り上げて停止してしまうとか、当分の間車が使用できないような措置は警察の方で自由にできるのじゃないかと思うのです。ただ、取り調べた結果、申しわけないけれども知らない間に持って出たとか、その程度のことはやむを得ないかもわかりませんが、少なくとも、わかっておって無免許の者に乗せたという者がおったとしたら、それは厳重に取り締まっていただく、その分だけでも事故は防げると思うのですね。先ほど広範にわたってやるとおっしゃっておりました。そういう面も十分御検討いただいて、若い世代の人がいっときのはずみで皆おもしろがってやる、やってみた後で事故の大きさ、事件の大きさにびっくりする、そういうことをやはり政治や行政の世界から守ってあげるということも大事だと思いますので、大変だと思いますけれども、これからもますます力を入れていただきたいと思うのです。  それにあわせて、同じようなことが言えるとは思いますけれども、運転免許を持っている人はいま四千万人ですか、だんだん増加の傾向で国民皆免許に近づきつつあるわけで、こういうふうな内容から、全国民的なスケールのドライバーに対する行政を考えなければならないわけです。それに対する基本的な考えと、それから免許証の切りかえに何度も足を運ばせたり、非常に苦情の多い場面があるわけですね。もう免許証の取得の年齢がずっと低下してきていること、あるいはそれが一般的になってきていますから、昔のようなわずかな人たちが運転免許証を取得するということではないので、もっと平ったい意味合いの、講習を受けたり自由にそういう面ができるというふうにしていただきたいのですね。  先ほどのにも関連いたしますけれども、たとえて言うなら、二輪車の場合にタイヤが地面に接触しているところはわずか一点だけしか接触していないのだから、ハンドルを切り誤ると大変な事故になるとか、あるいは二十キロの車が物にぶつかったときには、ビルの高さからいけば何階から落ちただけの結果が出てきて体に影響するとか、そういうふうなところはこの前サーキットへ行って実際にそこの指導員から話を聞いてなるほどなあと思うこともいろいろあったわけですから、そういうふうな交通指導のところで社会的な一般の市民に指導していくとか、学校で指導するときにはそういう面をどんどん理解させていくということの方が事故防止の大きな役割りを果たすのじゃないかと思うわけなんですけれども、同時に、免許証の切りかえはもうと広げた意味のドライバー対策をお考えいただきたいということ。  それから、いまのところ個人営業しよう、個人タクシーになろうという方は三年なり五年なり十年なりの無事故の資格が要るということなんですけれども、そのほかでは、無事故の資格を取れるような非常に成績のいい、すばらしいドライバーが社会的に何の役割りをも果たさないわけですね。ずいぶん自負していらっしゃると思うのです。おれは安全運転をしているんだとか、おれは特に関心があるんだとかいうふうなお考えの非常に強い方がいらっしゃいますし、長年こういう交通に従事していらっしゃる免許証の汚れていない方々を表彰する、あるいは特殊な免許証のあれをするとかワッペンを渡してあげるとか、いろいろな方法があると思うのですね。そういうことによって特殊な資格を与えてあげる、また、そういう方がそういう自負の上から指導員的な役割りを果たしていく、あるいはそういう方々が、いま申し上げたような、衝突の場合何キロで当たると体にこれだけ影響が起きて死んでしまいますよとか、そういうふうな問題をうんと吹き込んであげてそういう人たちが町でいろいろ話ができる、そういうことをしていただくことが非常に大事じゃないかと思うのですね。だから、そういう面から免許証にランキングをつけていただくとか、そういう方法をお考えいただくことの方が私は大きい役割りを果たすんじゃないだろうかと思うのです。だからタクシーならタクシーの運転手さん、トラックならトラックの運転手さんで非常に優秀な方々には、運転しているときは腕章をつけて、あの人はプロ的な資格を持っている人だとか、そういう人のところではよけい自覚するし、事故が少ないでしょうし、ほかの人の無謀運転に対してもある程度のやはり予防的な力を発揮していただけると思うのですが、その辺に対するお考えあるいは方法をこれからおとりになるか、その辺を聞かしてください。
  100. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  先生先ほどお尋ねがありました、あるいは御意見等につきましては、私も全く同感でございます。  この免許行政あるいはドライバー行政に対する基本的な認識の問題でございますが、お話がありましたように、もうすでに四千百万人を超えるドライバーでございまして、しかも年々二百万人の新たなドライバーが年間に誕生する、こういう時代でございまして、この八〇年代というのは、本当に国民皆免許時代の幕あけとも言える年代になった、こういう基本認識で仕事を進めていくべきだろうと私ども思っております。  特に国民皆免許ということになりますと、かつてのような一握りのドライバーに対する行政ということではなくて、国民の皆さん方を相手にして、しかも交通の安全というものを確保していくには、どうしてもドライバーの理解と協力というものがないと不可能であるという認識に立って物事をやっていくためには、それ相応の行政施策というものがなきゃならないはずであるということでありますが、そういう世の中で、四千万も対象にしながら、その四千万の人が一回こっきりでなくて、常にわれわれ日ごろ接触をし、しかも何の事故も違反もなくても、三年に一遍は必ず更新という形でわれわれ接触をする、そういう行政というのは、他のどんな行政を考えてもない行政でございます。それだけに、私どもは、そういったドライバーの方の理解と共感を得るような、いわゆる本当の国民行政としてドライバー行政というものを考えていかなきゃならない時代になったというふうに思うのでございますが、いまの免許行政というのは、必ずしもそういう考え方で成り立ってない、いまの免許制度というのは、本当に過去のドライバー行政、免許行政、一握りのドライバーというものを相手にしておった時代の行政の考え方をずっと踏襲しているだけなんでございます。そこで、いろいろ交通警察の交通安全問題に対する従来の手法というのが、街頭監視とか、取り締まりというものから安全施設みたいなものにぐっと力を入れてきた、これが大体七〇年代までの施策の方向でございましたが、やはり八〇年代というのは、いよいよドライバー対策時代だという基本認識にいま立っておるわけでございます。  そういう認識のもとでいろいろ考えてみますと、その中の一つの大きな問題が、先生御指摘の更新でございます。更新でも、県によりますと、何回も足を運ばないと免許の更新がしてもらえないところがあるのも実態でございます。そういうことで、こういう忙しい日常生活の中で、安全面を考えながら、しかもドライバーにも合理的に更新ができる方策がないかということで考えたのが、このリアルタイムシステムの導入でございまして、これは幸いに国の方、財政当局でもそういう点が御認識いただけまして、昭和五十七年、再来年までに全国的に免許のリアルタイムシステムというものを導入することで、更新に行っていただきますと、更新時講習等を含めまして二、三時間で、その場で免許証を更新してお渡しすることができるというふうろなことも、いま制度として実現の方向に進んでおるわけでございます。これは一つの例でございますけれども、そういうふうな形で抜本的な改善措置を講じていかなきゃならないというふうに思っております。  それから、ドライバー対策の中での無事故、無違反ドライバーに対する対策でございますが、これは先ほど申し上げましたこと等に関連をいたしますが、従来の私どもの交通警察の対応の仕方というものが、非常に警察的な処理の仕方であったと言えばそれだけでございますが、取り締まりというものが前面に出ておりますので、事故を起こした、違反をしたというもののしかる方の処理はちゃんとやっております。そういう、これだけ混雑した交通状況の中で、まじめにこつこつ安全運転をずっと続けてこられた方をほめる方の仕事については、全く手が抜けておるのでございます。やはりドライバー対策あるいはドライバー教育というものを考えていきますと、教育効果というのは、あるときにはしかる、しかし、いいことをしている場合にほめるという、両面がなければ、ドライバー対策にならない。しかもこれだけの、四千万のドライバーということになってまいりますと、いいドライバーが悪いドライバーというものを排除していくような車社会に仕立てていかなきゃならない。  だとすれば、そういう無事故、無違反のいいドライバーというものを社会的に慫慂する仕組みというものを基本的に考えていかなきゃならないし、同時に、そういうドライバーは、それなりにきちっとした特典がある——いま一つの特典の例が、強制保険にはありませんけれども、任意保険には、いわゆる無事故、無違反の人にはだんだん料率が下がっていく、そういうメリット、デメリットシステムというものが保険行政に導入されておりますけれども、ドライバーの他のいろんな資格の面あるいは社会的な身分の面で、こういう無事故、無違反というのが善良なドライバーの一つの象徴として格づけができるような方策などは、ぜひ考えてみるべきではないか。  その一つの方策として、現在自動車安全運転センターでSDマークという、セーフティードライバーのマークを、本人の御要請によりまして発給をいたしておりまして、あなたはいつからいつまで無事故、無違反というのをカード化したものを出すようにいたしておりますが、これなどをもっと制度化していくというふうなこと、あるいは表彰をもっと体系化していくというふうなことを考えていくべきだろうと思いますし、また、その免許証をいわゆる級別でだんだん、いい免許証の色分けとかいうふうなものを考えたらどうかという御意見につきましても、非常に示唆に富むお話だと思います。  現在私ども、この前の道交法の改正の際に、本院からもいただきました附帯決議の趣旨にのっとりまして、これからの国民皆免許時代に対応したドライバー行政のあり方をどうするかということについて、民間の識者等で研究会をやらしていただいておりますが、そういう研究テーマの一つに取り上げて、これからのドライバー対策のあり方というものを基本的に検討をし、また先生方の御意見をいろいろ承って、よりよいドライバー行政に仕上げていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 沖本泰幸

    沖本委員 いまおっしゃったとおりであるわけですから、ひとつ十分検討をしていただくということと、やっぱりいま申し上げたことは、ただ表彰的なものに終わったり、ただ形の上だけということでなしに、社会的に十分評価されるような内容を伴ったものでなければ、そういう人たちの意欲が出てこないということになりますから、就職についても、あるいはいろんな点で、それによって人生に十分大きな効果が得られるというふうなところまで、至急に積み上げていただくことをお考えいただきたいのです。非常に優秀な方が銀行の車の運転手になって、結局銀行どろぼうをやった。この間そういうことがありましたけれども、これじゃ何にもならぬと思うのですね。そういうことでなしに、社会的に十分評価されて、社会から十分にその人の資格とされ、尊重されていく、職業にもそれが非常に明るい面になっていくような方式にしていただきたい、こういうふうにお願いします。  余り時間がございませんので、急いで御質問しますけれども、次にはシートベルトが、高速道路上ではそれを着用するようにと義務づけられており、一般道路ではさほどまででないということになって、高速では二〇%、一般では一三%程度していらっしゃるということですが、外国状況とあわせていまどういう現状にあるのかという点と、ずっと以前の交通安全の委員長で社会党の下平先生が、実際にシートベルトしておったらこんな大けがしなかったという体験もお話しになっていらっしゃったこともあるわけですし、そういうシートベルトをつけなければならないという面からいきますと、パトカーの乗員の方々はシートベルトを完全につけていらっしゃるのかどうか。あるいは運転を職業となさる方々がシートベルトをきちっとしていらっしゃるかどうか。たまにタクシーの運転手さんでしている方を見受けるのですが、ほとんどしていらっしゃらない。おまけに客席のシートベルトは後ろに突っ込んであるという、そういう点で一般的なシートベルトに対する認識というものがないわけですね。  だけれども、アメリカ映画をテレビで放映したりというようなのを見ると、ほとんどシートベルトをやっているのですね。その辺に国民性というのですか、あるいは行政の面から、そういう点が徹底しているのかどうかという点がもう一つつまびらかではないのですけれども、その点に非常に開きがあるような感じがするわけです。  ただ、ドイツではシートベルトで首をつったとか、シートベルトをしていることの方が生命が救われない場合が多いとかいうふうなことが出ている新聞記事があるので、その辺の点を十分つかんでいらっしゃるのかどうかという点と、これは一つの出来事だけであって、世界的にシートベルトは必要なんだ、そのために義務づけておるんだという点の説明と、そうであればいま申し上げたような点は大分違うような感じがしますので、その点はどうでしょうか。
  102. 斉藤隆

    ○斉藤説明員 お答えさしていただきたいと思います。  まず御質問の第一点の実態、わが国の現在のシートベルトの着用率は、先生の御指摘いただきましたように高速道路で二〇・九%、一般道路で一三・四%と、おっしゃられたとおりでございまして、シートベルトの着用率を調べ始めたのが実は昭和四十九年八月ごろからでございますが、そのときの状況と比べますと大体三倍くらいに上がってきておるという実情でございます。  それから、一体外国の着用率はどんな状況かというようなお話がございましたので、私どもの方で調べて持っておりますものでちょっと申し上げますと、特にヨーロッパが中心に発達しております。そういう面で進んでおるわけですが、オーストリア、これは先生の御指摘にもありましたように、法制化をしておるわけですが、ここが大体八〇%から九〇%、それからスイスがやはり八七%から九五%、これが一九七六年の時点の調査でございますが、これはいずれも法制化いたしております。  それから西ドイツ、これも法制化いたしておりますが、これは市内で三六%、郊外で五五%程度の着用率、これは一九七七年の調査でございます。  それからアメリカ、これはわが国と同様にまだ法制化はされておりませんが、これが同じく一九七七年の調査で見ますと、大体現在のわが国と同じように市内で約二〇%という状況ですから、ほぼ同じではないだろうかというふうに承知しておるわけでございます。  それから二番目に、先生から、ちょっとドイツのあれで首をつったというような点のお話もございましたし、また元委員長さんの実例のお話等もございましたが、シートベルトそのものが悪くて首をつったというよりは、むしろ正しいかけ方をしていなかったためにずれて首に来たという実例でございます。わが国でも首つりではございませんけれども、二点のものでずれたやり方をしていて内臓を損傷したという事例も幾つかあるようでございますが、ただこれは正しい仕方をしてなかったということに起因するもので、現実的にはシートベルトをすれば助かったであろうという実例、また現実問題として一台の車の中でシートベルトをしておった人としてない人がおって、同じ車で落っこった。シートベルトをしていた人は助かったけれども、してなかった人は車の外へ放り出されて亡くなったという事例等もございますので、シートベルトの効用というのは十分あるものであろうというふうに考えておるわけでございます。  それで、では先生の御質問の第三点にございました法制化の問題はどうなのかというようなお話もございましたが、これも先生の御指摘の中にもございましたように、法制化の問題につきまして私ども考えておるわけですが、やはりそれぞれの国によりまして車社会の歴史といいますか、国民性あるいは法で規制することによる認識の感じ方の問題、いろいろな背景もありますし、またわれわれがこの問題をやる場合にも十分そういった歴史的沿革等も考慮する必要があるものだというふうに考えておるわけでございまして、現時点において罰則等、そういった強制的な形でこのシートベルトの着用を、何といいますか言葉はあれですが、強いるよりはむしろモデル事業所を選んで、そこから広めていくとか、あるいはモデル地区を設定してそれから広めていくというような形の方がわが国の実情、現状にはきわめてマッチするのではないかという考え方のもとに、現在岡山県とか岐阜県とか特に熱心にモデル県に指定してやっております。その結果、一例を岐阜県で申し上げますと、岐阜県ではモデル事業所、これは五十二年から始めているわけですが、すでに八百余りの事業所がモデル事業所になって、マイカー、そこの乗務員も含めて約九〇%がつけておる。それからモデル地区でもやはり着装率が六〇%を超しておるといったような形で、ヨーロッパの法制をやっておる国とほぼ同様な着用率にまで上がってきておるという実態もございますので、現時点においてはむしろシートベルトをしていなければ端的に言うと恥ずかしいというような形でこれを盛り上げていく方がよろしいのではないか、かように考えておるわけでございます。
  103. 沖本泰幸

    沖本委員 それであればNHK、民放の中に刑事物がいっぱい出てくるわけですね。車の追っかけっこ、このごろのテレビにはほとんど出てくるわけですからね。そういう劇映画をつくったりあるいはパトカーが走ったりするいろいろな場面では必ずシートベルトをつけて走っているということがいつも出てくれば、あれつけなければならないんだよというふうに認識は十分出てくると思うのですね。その辺が、急に乗って急に飛び出たり、あれはほとんどつけてないのですね。それでは片っ方で一生懸命徹底していてもこんなことはできないと思うのですね。だから各放送局なりNHKなりにそういうことを話し合っていただいて十分活用していただくような方法をとって、国民の目によく触れるように、あれだったら安全なんだという認識はその辺が一番PR効果があると思うのですが、その辺をよろしくお願いします。  最後に、時間が五分ほど残ったわけですが、道路運送車両の保安基準の中で毎時百キロメートルから、軽自動車は八十キロから速度計を義務づけておるわけですけれども、こういう速度を示す計器をつけておって、超すとブザーが鳴るようになっておるわけですね。そうであれば、高速道路のスピードオーバーの事故を防ぐということだけでなしに、一般道路でも、四十キロの制限をしているとか五十キロの制限をしておるという地点での、追い越し等についての幅は考えることにしても、警報装置をつけていくことを義務づけるような形をとった方がむしろまだ交通安全を図っていけるんじゃないか、こういうことも考えられるわけですけれども、この点についてはいかがですか。
  104. 小林育夫

    ○小林(育)政府委員 お答え申し上げます。  お答えに入ります前に、いまの車についております警報装置について概略御説明申し上げます。  いまついておりますのは、軽自動車以外の車につきましては、百キロをちょっと超えた時点、と申しますのは、スピードメーターの誤差等もございますので、恐らく百二キロとか三キロとか、その辺から警報が鳴るわけでございます。これがスピードがだんだんオーバーしますと警報音が鳴る間隔が非常に狭まったり、あるいは音が大きくなったりということで、それ以上にスピードを上げないように警報をするという装置になっておるわけでございます。  いま先生の御質問は、それを四十キロなり五十キロなりのスピードでも働くように義務づけたらどうか、こういうことでございます。これは、まず技術的に申し上げれば、技術的には可能でございます。ただ、やります場合に問題が幾つかございます。まず一番の問題は、警報というのは一番危険な場合に鳴るというのが警報の本来の意味でございまして、常に鳴りっ放しになっておるということでは余り警報の意味がないわけでございます。それならば三十キロのときに一回鳴り、四十キロのときに一回鳴り、五十キロのときに一回鳴ればいいじゃないか、こういうお話にもなるかと思いますけれども、そうなりますと発進、加速の都度鳴る、すると非常に運転する方はやかましいということになってしまうわけでございます。それならば四十キロのところでは四十キロに切りかわるような装置を内部でつけたらいいではないか、こういう御議論になると思いますけれども、そうしますと今度は切りっ放しにしてしまうことで規制する意味がない、こういうことになるわけでございます。したがいまして、実際にこれを規制するということにいたしますと、そういう点をどういうふうにするかというようなことが非常に問題になるわけでございまして、将来、道路等のスピード制限によって何らかの電波の信号を出す、それを受けて車内の装置が働くというようなことになれば、連動してそういう働く装置というものも考えられないではない。現在、私ども、任意にそういうものをつけることにつきましてはある一定条件のもと、先ほど申し上げましたように百キロの警報装置と紛らわしくないような条件で、これはつけることを許可しております。  以上でございますので、そういう問題点が解決いたしますれば、私どもは可能だと考えております。
  105. 沖本泰幸

    沖本委員 時間がもうこれで終わったわけですけれども、いずれにいたしましても、交通安全のためにより以上に御検討いただいて、国民の安全を図っていただきたいということをお願いします。ありがとうございました。
  106. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、村上弘君。
  107. 村上弘

    ○村上(弘)委員 私は、先般関係大臣交通安全対策の基本施策について所信を表明されましたが、それに関連いたしまして、特に障害者と交通あるいは交通安全の問題、つまり、各種の障害者約二百五十万人、家族を含めますと八百万人、ボランティア活動など協力しておられる方々を含めると一千万人を超える方々の交通及び交通安全の問題についてお伺いしたいと思うわけです。きょうは所信を表明された大臣がおられないわけでありますが、大臣にかわってそれぞれ責任ある答弁を承りたいと思うわけです。  御承知のように、来年は完全参加と平等ということを中心テーマとした国際障害者年であるわけです。一月三十日の参議院本会議で共産党の宮本委員長が行った代表質問に対して、大平総理も、国際障害者年については、「実現すべき具体的目標につき、国連総会の決議を踏まえて、福祉、教育、雇用等各般にわたりまして障害者の参加を得ながら検討を進め、今後の施策の推進に努めてまいりたい」このように答えておられるわけです。  当然この立場で交通安全にかかわる各省庁も努力をしておられると思うわけですが、とりわけ交通安全の施策ですね、障害者対策としても、国際障害者年に対する対策としても、非常に重要だと思うわけです。  そこで、国連総会の決議全体をしっかり踏まえると同時に、交通問題が障害者年の中でどのように位置づけられているかということをしっかり踏まえてかかることが大事だと思うわけです。  まず総理府にお伺いしますが、国際障害者年の目的の中で交通問題がどのように位置づけられているか。それは御存じだと思いますが、前提としてお伺いしておきたいと思います。
  108. 三島孟

    ○三島政府委員 ただいまお話のございました国際障害者年につきましては、国連決議に基づきまして、現在それぞれ関係機関で準備を進めておるところでございまして、まだ詳細私ども承知しておるわけではございませんけれども、ただいまお話がございましたとおり、国連決議によりますと、国際障害者年のテーマを完全参加と平等ということにして、また、いまお話がございましたとおり、五つの大きな目的を掲げておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、交通事故防止を通じて障害の発生を予防し、また障害者が安全に道路を利用できるよう細かな配慮をすることは、交通安全の確保によって障害者の社会への完全参加と平等を図ることにつながるわけでございまして、国際障害者年の趣旨、目的に沿うものと考えておる次第でございます。
  109. 村上弘

    ○村上(弘)委員 国連決議では、国際障害者年の目的五つの中で、とりわけ(a)(b)(c)の第三項目ですね、(c)のところで、「障害者が日常生活において実際に参加すること、例えば公共建築物及び交通機関を利用しやすくすることなどについての調査研究プロジェクトを奨励し、」こういうふうにはっきりと交通問題を五つの目的の中に位置づけておるわけですね。そこをしっかり踏まえて、いま言われたような趣旨は当然必要であろうと思うわけです。  先般三月五日の予算委員会第三分科会で、野呂厚生大臣も、この完全参加と平等というテーマに基づいて、障害者が家庭や地域において一般の方々と同様に日常生活を営める社会をつくり上げるということが基本だ、その場合に、障害者を取り巻く社会環境は十分整備されていないということを認め、しかもその一番目に交通の問題を取り上げておるわけですね。交通の問題は、日常的に実際に社会に加わるための重要な第一歩である。障害者が実際に日常生活で完全に平等であるための第一歩は何か。交通なんですよ。これがよく整えられ、しかも安全であるかどうかということは、きわめて重要な問題であるわけです。先般も共産党の上田参議院議員が取り上げ、あるいは衆議院では工藤議員が取り上げましたが、このごろは駅でも橋上駅が多いですね。職安に就職のために行く場合でも、大変な苦労をしておるわけですね。ですから、こういう施設と、とりわけ安全の問題について、われわれは大きな関心を払わなくてはならぬと思うわけです。また、特に当委員会にも大きな責任があると思うわけです。  そこで、お伺いしたいことは、昭和五十二年、一九七七年の第三十二回国連総会の決議は、その前年に決めました、来年を国際障害者年とするという決議を確認した上で、一九七八年と七九年、つまり昭和五十三年と五十四年を準備の時期というふうに決定しているわけですね。そして、ことしと来年、一九八〇年と八一年は、行動計画を立てる年、しかも一九九一年までの十年間の行動計画国内計画を立てろということを決めて、それを国連に報告せよということになっているわけですね。  そうしますと、昭和五十三年、五十四年は準備期間に当たっておったわけですが、昨年の交通安全白書、昭和五十四年度版ですが、これを私ちょっと見せてもらいましたけれども、障害者の問題がほとんど出てこない。国際障害者年の準備などというものは全くないですね。まあ見落としがあるかもしれませんが、この中で、障害者の問題で出てくるのは、免許に関して四行、盲人用信号に関して二行、運転適性相談について六行、盲導犬と車いすに関する身障者の通行保護の問題について五行、合計十七行です。これが交通安全白書における障害者の扱いなんです。なぜこういう扱いになっておるのであろうか。一体総理府は、この交通安全白書を作成するに当たって、国際障害者年の準備の年であるということが念頭にあったのかどうか。特に、一番の当事者である交通安全対策室としては、どのような考えでいたのか、それをまずお聞きしておきたいと思います。
  110. 三島孟

    ○三島政府委員 交通安全対策を進める上におきまして、交通弱者対策ということがいま現在一番大きな重点になっております。障害者、それから老人、子供を含めて交通弱者対策を重点的に進めるということを基本方針にしておりますので、道路交通環境の整備を初め、交通安全思想の普及活動、交通安全教育、すべてそうした点を考慮に入れて施策を進めておるわけでございます。  いわゆる交通安全白書に身体障害者年のことが触れていないではないかという御指摘でございますけれども、昨年国会に報告申し上げましたのは、一昨年一年間の交通安全施策の状況を御報告したわけでございまして、実は障害者年のことにつきましてはまだその準備段階に入っておりませんので、一昨年の状況を御報告したものでございますので、触れてないわけでございます。
  111. 村上弘

    ○村上(弘)委員 一昨年というのは、昭和五十三年でしょう。五十三年、五十四年が準備の年なんです。それを五十二年に国連で決めているのですよ。それだから、全然念頭になかったということですよ。そういうことはやはり率直に認めてかかって、それではいかぬのだということを私は申し上げたいと思うわけです。  ついでに、それではいま作業中であろうと思いますが、昭和五十五年版には、弱者を第一にということはわかりますが、弱者の中でも、とりわけハンディキャップを持っている障害者のことは、五十四年度版のようなことではとても済まされないと思います。重要な一項目を設け、特にことしは計画をつくる年なんですからね、そういうことから言えば、去年のことをやるにしても、準備の年としての内容をしっかり踏まえたものをつくるかどうか、お聞きしておきたいと思う。
  112. 三島孟

    ○三島政府委員 十分その点を念頭に置きまして、関係各省庁と連絡をとりながら準備を進めてまいりたいと考えております。
  113. 村上弘

    ○村上(弘)委員 その点はしっかり確認をしておきたいと思うのです。  そこで、いま室長は、おととしのことあるいは去年のことというようなことですが、先般関係大臣が行った交通安全対策の基本施策に対する所信に、障害者問題もなければ、国際障害者年問題についても一言の言及もないのですよ。総理も、各般にわたり施策の推進に当たるとか、そのための対策室を設けるというようなことも出てきているわけでしょう。まあ五十四年度版には念頭になかったことは明白なんですが、五十五年度版の白書にはそれをしっかり位置づけるということを確認されたわけですが、大臣の所信表明の中で、これほど重要な問題について全く触れていない。これはきわめて重要だと思うのです。総理の所信にも沿わないじゃないか。  したがって、私は、先般行われた各大臣の所信表明は重大な欠陥がある、当然反省すべきであろうと思いますし、改めてこの所信の中にこの問題をしっかり位置づけるべきであるということを主張しますし、それらのことを担当者からも明確に進言すべきだと思うが、どうでしょう。これは総理府、建設省、運輸省、警察庁、それぞれお聞きしたいと思います。
  114. 三島孟

    ○三島政府委員 先般、当委員会で総務長官が所信を表明されたわけでございますが、確かに障害者対策につきまして直接的な表現は盛られておりませんけれども、私ども、この所信表明の中には当然障害者対策を含めての弱者保護対策は大変大事であるという趣旨は十分含まれておるというふうに考えておる次第でございます。
  115. 斉藤隆

    ○斉藤説明員 お答え申し上げます。  本委員会におきます公安委員長の所信表明の中においては、交通安全に対します基本的な方針を述べて、それに基づく具体的な問題には言及してなかったわけでございます。しかしながら、交通弱者、なかんずく身体障害者に対する交通安全対策の重要性というものにつきましては、私どももかなり力を入れて対処してきておりますし、今後とも対処してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  ちなみに、いままでどういうことをやってきてどういうことをさらに進めていこうかという点について言及させていただきますならば、大まかに言って五点ほどございます。  まず第一点は、交通警察懇談会、これは先般の道交法の改正の際にも、広く交通問題について国民各層の意見を伺うということで中央並びに各府県に設置をいたしておるわけでございますが、その中、さらには現在警察庁において運転免許制度の根本的な見直しを行うために免許制度研究会等を設けておるわけですが、その中に身体障害者の関係団体の代表の方に入っていただきまして、それぞれ具体的な問題をお聞きしながらそれを盛り込んでいくということをやっております。  第二点としては、先般の道交法の改正によりまして身体障害者、特に目の御不自由な方の安全対策ということで盲導犬の導入というようなことで法改正をいたしましたし、さらに細かな点になりますと、高速道路上でとまる場合には停止表示板を出すことを義務づけをしたわけでございますが、現実問題として、体の御不自由な方はその停止表示板を出したくても置きに行かれないというような御意見等もございましたので、そういう方々のために停止表示板でなしに停止表示灯というものでもよろしいというふうにして、そのための規則の改正を行ったというような形もやっております。  三番目に、安全施設の問題では、現在実施しております第二次安全整備五カ年計画の中で、身体障害者用のいわゆる目の御不自由な方のための、俗に言う盲人用信号機という関係で五カ年間で九百五十基を整備する計画を立てておったわけですが、大変御要望が強いということで、実行ではこれがさらにその計画を上回りまして千十六基を設置して、現在二千二百基以上つけておるというような状況もございます。  さらには四番目の問題といたしましては、先ほど先生がちょっとおっしゃられた中にもございましたように、体の御不自由な方の使用する車を駐車禁止規制から除外する標識、ステッカーといいますか、それを全国で約四万六千枚を交付しているという問題。  さらには五番目には運転免許証、これは身体障害者年にも関連するわけでございますが、社会的参加をよりしやすくするという意味での身体障害者の方に対する免許証の交付というような問題で、要するに特別な装置をした車について認めるといったような形。さらには、それらの人々がどういうふうにしたら免許がとれるだろうかといったような相談に応ずるための問題も積極的に行っておりますし、さらには試験場等においては、身体障害者の方が来てあちらこちら窓口を行かなくても済むように新しく都市部でつくっております試験場では一カ所で事が足りるようにするとか、あるいは身体障害者の方々の、まあ細かな話ですけれども、トイレに関する配慮をするとかといったような点で、具体的な面については従来もそういう方向のもとで対処してきておりますし、今後ともそういう姿勢でこれを進めていこうというふうに考えておるわけでございまして、大臣の所信表明の中に言及してなかったという御指摘がございましたけれども、それは基本的な事柄だけを申し上げたわけで、具体的な考え方等についてはただいま申し上げたような方向で鋭意努力をしておる現状でございます。
  116. 村上弘

    ○村上(弘)委員 どのようにやってこられたかということは後でも触れる機会がありますから……。  先ほど私がお聞きしたのは、所信の内容に重大な欠陥があるのじゃないか、まあこれはいまも、言葉では言っておらないけれども考えとしては入っておるのだと言っておられますけれども、そういうようなものではないということで私が指摘をしておるわけですから、改めてこれはつけ加えるべきじゃないのかということを問うているわけですから、その点のお答えをいただきたいと思います。
  117. 杉原正

    ○杉原政府委員 お答えをいたします。  先ほど企画課長から話をいたしましたように、所信表明というのは基本的な事項について触れておりますが、私ども、特にあそこの所信表明の中で人と車社会の調和というもの、そういうものを目指した車社会の建設ということを述べたのは、まさに身障者の問題等が中心になって表現をした所信であるというふうに考えております。
  118. 西村康雄

    ○西村説明員 運輸大臣の所信表明についてでございますが、運輸大臣の所信表明におきましては、交通安全対策に関する基本的な考え方を述べまして、そして続きまして、陸海空個別のそれぞれの対策という形で所信表明の構成をしておりますが、この施策そのものが交通安全の全般的施策で、特に陸海空それぞれの対策におきましても、交通機関なり交通活動そのものの安全ということが主になりました関係で、きめの細かい個別の対策までには十分触れ得なくて、その結果身障者対策について特に触れることがなかったことは御指摘のとおりでございます。  しかし、身体障害者の交通安全対策の重要性について、これをなおざりにしているわけでは決してございませんので、今後具体的な施策におきまして関係機関と密接に連絡をとり——これは陸上交通全般につきまして、たとえばいろいろな企画の問題その他、関係機関との連絡がきわめて重要でございますので、そういう意味で十分協調して対策を樹立してまいりたいと思っております。  ただ、先生御指摘のございました国際障害者年の国連決議でも言っておりますように、まず交通機関を利用しやすくするということが基本でございます。運輸の場合におきますと、これは交通安全、具体的に道路交通のように車と人とがいろいろな意味で一緒に行動するというところでの交通弱者対策という側面が強いわけでございますが、鉄道等の施設では、むしろまずいかに使うかということが施策の第一になるわけでございます。そういう点につきましては、むしろ交通安全に関する問題というより、そちらの面から問題を取り上げてこれを施策に反映させていくということがこれからの行き方として重要ではないか、そんなふうに考えております。
  119. 村上弘

    ○村上(弘)委員 所信の内容としては、精神としては含んでいるんだとか、重要性は心得ているとか、人と車の調和の中では、身体障害者問題はその中心問題だと考えているとか、あるいはいまの話では、利用しやすくするということを基本に考えているとか、いろいろお話がありました。それぞれそれとしてはいいです。しかし、精神において欠けておるのが言葉にもあらわれるということですから、その点は再度強調しておきたいと思うのです。  そこで、これからのことについてきめ細かくということも言われますが、基本的にも、かつきめ細かな面からも、この障害者問題、さらには国際障害者年の行動計画の具体化という点については、しっかりと対処をお願いしたいと思うのです。特に来年から始まります第三次交通安全基本計画、これはことしじゅうにつくるということになっておるわけですが、この五年間というのは、ちょうど国連の長期十年計画の前半に当たるわけですね。したがって、大変重要な意味を持ってくると思うのです。しかもこの中央計画の内容がどうなるかということが、都道府県の計画や市町村の計画のいわばよりどころにもなるわけですね。そういうことからいって、いま作業をしておられるであろう第三次交通安全基本計画の中に障害者の問題、とりわけ国際障害者年の行動計画を具体化するということを特に強調したいと私は思うわけですが、その点についてはしっかり位置づけるかどうか、そういう態度で臨んでいるかどうか、現在そういう作業はやっているかどうか、これについて総理府と運輸、建設、警察の各省庁のお話をお聞きしておきたいと思うのです。
  120. 三島孟

    ○三島政府委員 第三次交通安全基本計画につきましては、現在基礎的な調査研究をやっておる段階でございまして、新年度に入りましてから具体的な策定作業に入るわけでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、現在の交通安全対策を進める上においての一番の重点は、交通弱者対策でございます。かつまた来年には、国際障害者年も控えているわけでございますから、その点を十分念頭に置いて、それができるだけ第三次基本計画に反映できるように、私どもの方としても努力してまいりたいというふうに考えております。
  121. 杉原正

    ○杉原政府委員 先ほど室長からお話がありましたと同じ認識で、私どもも準備を進めていきたいと思っております。
  122. 三木克彦

    ○三木説明員 建設省といたしまして、第二次の五カ年計画の始まりに、交通安全計画の中に、交通安全施設の整備に当たっては、児童及び幼児の通行の安全を確保するため、特に通学、通園路について配慮するとともに、身体障害者の通行の安全を確保するため、私ども関係では、歩道段差の切り下げ、点字ブロックの整備というふうなことを目標としていただいているわけでございまして、引き続いて第三次五カ年計画におきましても、これに加えまして、斜路式の立体横断施設の設置あるいは高速道路サービスエリアにおける便所、その他の施設の設置、そういったものについて十分検討して、内容としていきたいと考えております。
  123. 西村康雄

    ○西村説明員 第三次交通安全基本計画は、現在総理府を中心といたしまして検討が開始されているわけでございますので、私どもも各省と十分協議いたしまして、この基本計画の中で十分身体障害者対策を反映させたいと思っております。  さらに、先ほどお話がございました国際障害者年に関します国連決議によりまして、国内委員会が設けられます。これは政府では、中央心身障害者対策協議会をこれに当てるという方針でございますが、そこで具体的にプロジェクトチームがつくられ、これまた関係各省がこれに参加いたしまして、特に陸上交通の諸問題につきましては、各省の緊密な連絡がないと有効な身体障害者の交通に関しての対策がとれない、交通が一つの経路でございますので、経路全般について一つのシステムに基づいてやるという見地が必要でございます。そういう意味で、これから各省と有効な対策というのを一緒に検討して、次の計画の中に反映させていきたい、そんなふうに考えております。
  124. 村上弘

    ○村上(弘)委員 ついでに、交通安全対策基本法二十四条では、指定行政機関の長は、毎年度、交通安全業務計画というものをつくらなければならぬことになっております。五十五年度業務計画について、指定機関がこの業務計画を立てるに当たって、やはり障害者の問題、さらには国際障害者年の行動計画の具体化をしていくということが非常に大事だと思うわけです。指定行政機関というのはたくさんありますけれども、一々あれですから、当然総理府の見解で各省庁も統一的にやると思いますので、総理府の方から、この五十五年度業務計画の中にそれを位置づけるかどうかということもお聞きしておきたいと思います。
  125. 三島孟

    ○三島政府委員 先ほどもお話し申し上げましたとおり、非常に大事なことでございますので、各省庁とも十分それを念頭に置いて検討されるものというふうに私どもは考えております。
  126. 村上弘

    ○村上(弘)委員 私がいままで交通安全白書あるいは各大臣の所信の内容、また第三次交通安全基本計画、さらには都道府県の安全計画、市町村の安全計画、さらには指定行政機関の交通安全業務計画、それぞれにわたって、障害者の問題をそれとして特別に項目を立て、また行動計画を具体化するということを強調したのは、現実は大変おくれておるからだということであるわけです。私は、日本の障害者に対する交通問題、とりわけ交通安全の施策の面では、一定のことはやられておりますけれども、ヨーロッパ諸国などに比べても、やはりきわめて貧困な状態にあるというように言わざるを得ないと思うのです。たとえば国鉄では、点字ブロックが設置してある駅が、全部の駅のわずか五%ですね。そして券売機の点字テープを設置してあるのが、大手の民鉄十四社の設置数のわずか五分の一しかない、こういうふうな状態であるわけです。もう絶対的に不十分であるということが言えるわけです。また、不十分ながらでもやられておる施策それ自体が、実際には障害者の実態に合っていない、こういう状況も多々あるわけです。たとえば点字ブロックが摩滅してしまっていたり、あるいは幅が狭くて踏み越えてしまうというようなことが起こったりしているわけです。  私、このことについてお伺いする前に、各障害者の団体の方々の意見や要望も聞いてきましたが、ずいぶんたくさんあります。  若干列挙的になりますが申し上げてみますと、運輸省関係では、一番多いのは駅舎に関するものですね。一つは、点字ブロックの設置をもっと促進してほしい。年間二十六駅で、全駅設置には二百年かかる、こんな状況ですね。また点字ブロックの幅が、たとえば新大阪駅なんか十五センチだ、だからまたいでしまうというふうな状態がある。それから摩耗や削れなどもある、これの再点検も必要だ。それから券売機の料金表示、この張る位置がばらばらで障害者は困っている。それから橋上駅の問題、これはエレベーター、エスカレーター、スロープなどが強く要望されている。それから聾唖者が言っておられることでは、列車の延着や事故がアナウンスでやられるためにわからないわけですね。電光板、掲示板をホームに掲げてほしい。あるいは階段の手すりを最下段にまでつけ、しかもちょっと平面のところを延長してほしい。それから、階段の手すりに点字で何番ホームの手すりなのかわかるようにしてほしい。あるいは、弱視者のために運賃や路線案内表示板を大体目の位置につけてほしいというようなたくさんのことがあります。  また、料金に関するものでは、割引手続の簡素化、障害者手帳の提示で割引ができるようにしてほしいとか、障害内容による格差の撤廃、たとえば一種では介護人、本人とも五割引だが、二種では本人のみであるとか、百キロ以内は全く割引がないとかというふうな問題がありますし、内臓障害や精薄者にも適用をという問題があります。これらは交通安全に直ちに直結しないものもありますが、こういう面でのそごが障害者の安全にかかわってくることが非常に多いということを言っているわけです。  それから建設省関係では、コンクリートブロックによる分離帯の改善ですね。高過ぎるという問題があります。それから高速道料金の割引をする場合に、ボランティアの人たちが一緒についていくことが多いんですね。そういう人たちにも適用できないものだろうか。これは完全なる参加にとって不可欠な条件でもあるし、またこういうことができないことからのいろいろな安全上の問題も出てきているということですね。  こういうすべての問題について全面的な計画を立て、具体化をすることが必要だと思うのですが、私は二、三のすぐできる問題について、一、二お尋ねしたいと思うのです。  一つは、現在警察庁が身障者使用車両に対する駐車禁止規制除外の標章を出しているというお話が先ほどありましたが、これが本人の車についているわけです。ですからボランティアの人などが介護する場合には、駐車禁止区域で駐車することはもちろんできない、こういうことになるわけです。そうしますと非常に不便であるし、そのためにいろいろな問題が起こっているわけですね。たとえば、現状では瑕疵障害四級以上の本人で車を持っている人にこの除外の証明書がつくわけですが、たとえば大阪市阿倍野区播磨町に原敏さんという五十五歳の方がおられます。無職なんですが、この方は免許証はあるけれども車は持っていない。そして障害は二種三級で、車を持っておれば証が交付されるわけですが、実際にはそういう状況ですから自由に行動できない。それでボランティアの方にお願いすることが多いのですが、家がちょうど学校のスクールゾーンにあるわけです。ですから、そこまで迎えに行けないわけです。そうすると、本人が松葉づえをついて駐車禁止でない地域まで出ていかなければならぬというような障害が生まれてくるし、雨の降る日なんか転倒するとか、こういう問題も起こってきているわけです。そういう状況に対して、たとえば、せめて援助、介護しているボランティアの人たちに対して何らかの形で駐車禁止の地域での適用除外ができないのかということが強く願われているわけですね。これについてはいろいろ検討もしておられるということを聞いておりますが、急ぐ必要があるのではないかということでちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
  127. 広谷干城

    ○広谷説明員 身障者の方々の駐車禁止除外の問題につきましては、先生からお話もございましたけれども、一昨年の六月までは、各都道府県でその都道府県の中で通用するといいますか、駐車禁止が除外になる標章を出しておったわけでございますけれども、御承知のとおり身障者の方々の日常生活の範囲も相当広範囲に広がるし、また日常生活のみならず行動の範囲が大変広がってきておるということで、全国共通の除外標章を各公安委員会で出す、こういう制度にいたしましたことは御承知のとおりでございます。ちなみに、現在幾らぐらいいるかということでございますけれども、全国で約四万六千枚の標章が交付されてお  る、こういうふうな状況がございます。  それで、この駐車除外も含めまして、身障者の方々に対する交通規制の解除の問題でございますけれども、駐車の問題につきましては、現在、御説明したような措置をとっておるわけでございます。それで、通行禁止道路への進入あるいはスクールゾーンへの進入の問題でございますけれども、現在の制度といたしましては警察署長の通行許可という制度がございまして、具体的な場合には警察署の方に御相談をいただきますならば、警察署長の方で、この道路は通行禁止になっておるけれども、それでは入っていただいてよろしい、こういうふうなシステムもできておりますので、この制度を御活用いただくことが一つの方策ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  128. 村上弘

    ○村上(弘)委員 ボランティアの方については……。
  129. 広谷干城

    ○広谷説明員 ボランティアの方が迎えに行く、それでどっちにしたって家のところまで行かなければこの人は動けないのだという場合には、ボランティアの方が警察署に行きまして事情を説明していただきますれば、状況によりまして警察署長が許可を出す、こういうふうな制度がございます。
  130. 村上弘

    ○村上(弘)委員 その都度ですか、恒常的ですか。
  131. 広谷干城

    ○広谷説明員 はい、その都度でございます。それから場合によりましては、たとえばボランティアの方が毎日行かれるとか、あるいは二日置きに行かれるとか、そういうふうな定型的な行為がございました場合は一回、一回行っていただくということじゃなしに、たとえば一カ月間これでやってください、こういうふうなシステムもございます。
  132. 村上弘

    ○村上(弘)委員 時間がなくなったのですが、ひとつ飛ばしまして、先ほど申し上げました手すりですが、大体階段が始まったところから手すりがつく。これは盲人の方には大変困難なことで、それでよくけがをする。ですから、ホームを並行に歩いてそれから階段にかかる一メートルぐらい手前から手すりをつけてほしい。これはやる気さえあれば簡単にできることですからぜひそういうふうにしてはどうかということと、たとえば東海道線茨木駅の階段は途中から手すりがあるのですが、下四段には手すりがついていない、こういうふうな実態もあるのですね。ですから手すりについて点検し、何番ホームだということが必要なところにはそれをつけ、同時に、一番下より少し手前からつけるようにすべきではないかということについてどう考えておられるか、どうされるか、お聞きしておきたいと思うのです。
  133. 猪俣為久

    ○猪俣説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘の駅の安全設備関係でございますけれども国鉄といたしましては、昭和五十一年度にそういうハンディキャップ者のための駅設備の標準的なものをいろいろ勉強いたしまして、それでもっていろいろ地方管理局を指導をいたしておるわけでございますけれども、たとえば手すりにいたしましても、先生いま御指摘になりましたように、階段には原則として両側につける。それから水平部につきましても、六十センチなり、場合によれば一メートル二十センチぐらいの設置を考えるという、一応原則は立てておるわけでございますが、駅ごとによりまして、ラッシュ時間帯のお客様の流動状況その他で、その原則的な設置によりますことが逆にまた別の危険を派生するというふうな状況の場合は、例外的なこともあり得るというふうな形でやっておるのでございますけれども、具体的にいまお話のありました大阪地区の駅につきましては、たとえば階段の途中に構造上若干出っ張りがあるためにそこで手すりをとめておりますとか、あるいは先ほどのようなラッシュ時の状況で水平部のところにないとか、そういうケースではないかと思いますけれども、事柄が安全に関することでございますので、もう一回その辺を再点検いたしまして、全体的なお客様の安全でどうすべきかということについて検討いたしたいと思っております。
  134. 村上弘

    ○村上(弘)委員 最後に、いまのお答えですけれども、第二次基本計画の中では、道路、車両などについての安全上のいろいろな計画はありますけれども、駅の構造に関しては全くそういう項目すらない。一番肝心な、一番安全上あるいは利用上注文が多い駅の構造に関しての項目そのものがないということは、非常に大きな問題だと思うのです。ですから、第三次計画の中では、当然、道路だとかあるいは車両だとかいう項目と同様に、駅舎に関する項目を一つ設けるべきじゃないかということを申し上げたい。  それから、全体としては、今度つくる第三次基本計画ですね、この計画に対して、先ほど来若干触れてきました実情であるわけですから、障害者の安全問題あるいは国際障害者年の国内行動計画の具体化、これをしっかり位置づける必要がありますし、それを本当に内実のあるものにするために、私はこの交通安全特別委員会でこの問題をしっかり検討することが必要じゃないかと思うわけです。第二次計画のときには、それが発効する直前に、三月三十一日に閣議で決定されるというようなことですから、これだったら府県だとか市町村はそれが出されるまではわからないわけですから、大変手おくれにもなる、こういう状況があるわけです。そういうことも考えますと、第三次計画については、早くつくるということと、それから案の段階で本委員会にも提示して、この委員会で大いに内容を充実させるというようなことも必要ではないか、こういうふうに思うわけです。  そういう点で、先ほどの駅の構造などの問題について第三次計画に位置づけるということと、それから早くつくって早く発表するという問題と、それから本委員会で審議すべきではないかということについては交通安全特別委員長にもその御努力をお願いしたいし、そういうことを改めて申し入れをされてはどうだろうかということも意見として申し上げたいと思うのです。  以上三つの点についてお伺いして、質問を終わりたいと思うわけです。
  135. 三島孟

    ○三島政府委員 第三次の交通安全基本計画につきましては、来年度に入りますと具体的な準備作業を本格的に始めるわけでございますけれども、その際は国会の場におきます御論議、学識経験者あるいは関係団体、各地方公共団体等の御意見、その他可能な限り各方面の御意見、御意向も十分参考にさせていただき、かつまた第二次の交通安全基本計画の実施結果等も踏まえまして、作成作業を進めていくこととしたいと考えております。  なお、作成時期につきましては、五十六年度予算等との関連もございますが、できる限り急ぎたいというふうに考えております。(村上(弘)委員「駅の構造の問題はどうですか」と呼ぶ)
  136. 西村康雄

    ○西村説明員 駅舎の構造上の安全問題につきましては、現在、五十五年度の交通安全業務計画を検討中でございますので、その中で具体的な問題点を煮詰めまして検討させていただきたいと思っております。
  137. 石田幸四郎

    ○石田委員長 ただいま村上弘君より御提議がございましたことにつきましては、後日理事会に諮りまして検討をさせていただきます。
  138. 村上弘

    ○村上(弘)委員 終わります。
  139. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次に、玉置一弥君。
  140. 玉置一弥

    ○玉置委員 最近のといいますか、ここ十数年になりますけれども、自動車の普及に関して、現在の免許制度、そして自動車教習所の制度そのものを見直していかなければならない時期ではないか、そういうふうに感じたのでございます。  特に、いまの免許保有者、かなりの数だと思いますけれども、そういう方々が、ある時期は中途段階からの免許取得ということがございましたけれども、最近ほとんど若年者、いわゆる免許取得年齢に達した方々が免許を取られるというふうな傾向に変わってきているというお話も聞いておりますし、また、特に若年者、まあ経験年数が少ないという面から、実際車に乗って、そして感じた、そういうものではなくて、新たに車に乗られる方が、交通安全という立場から見て非常に危険な状態にあるのではないか、そういうふうに思うのでございます。特に、最近暴走族でありますとかあるいはそれに似たような運転をされる方がときどきおられますけれども、そういうものがふえてきている。こういう現実を踏まえて、やはりこの時期に自動車教習所のあり方について検討をお願いしていきたい、そういう観点からいろいろな面で御質問をしてまいりたい、そういうふうに思っております。  まず、現在の自動車教習所、その中で指定教習所というものがございますけれども、最近数年間、あるいは数年間はわからなければ五十四年度あるいは五十三年度で結構でございますから、実態がどうなっているか、その辺についてお答えをお願いしたいと思います。
  141. 森田雄二

    ○森田説明員 指定自動車教習所の実態についてお尋ねでございますが、五十四年末、昨年末におきます指定自動車教習所の数でございますが、全国で一千四百一カ所、こういうことになっております。ここに勤務する職員の数でございますが、技能を教えます技能指導員が三万九百七十五名、学科の指導員が三千四十二名、それから、御存じのとおり指定自動車教習所というのは技能の検定を自分のところでやることになっておりますが、それの技能検定員が九千九百九名でございます。昨年一年間に指定自動車教習所を卒業いたしました者の数でございますが、約二百十九万名になっておりまして、これは昨年中に新たに免許を取った人の七九・一%に当たる、こういう数字が出ております。
  142. 玉置一弥

    ○玉置委員 現在、教習所の水準といいますか、それについては、従来自動車が普及する時期、過渡期において、いかに免許を取らせるかという方面から、いろいろな地域での教習所の数がふえてきた、そういうふうに私自身思っておりますし、事実そうだと思います。それで、いま一つ考えなければいけないことは、やはり自動車を運転する初心者に対して、現在の教習所そのものの影響力、教習所といいますか、教習所の教員の方でございますけれども、そういう方々の影響力が非常に大きいというふうに思うのでございます。昔は、たとえば貨物自動車を運転されまして、何年間かは助手という形で経験をされて、その中でいろいろな交通道徳とか交通法規とか、実際いろいろな場面での交通安全という教育がなされてまいりました。そういう成果がかなりあったわけでございます。そして、交通道徳に対しても、非常に厳しい暗黙のおきてといいますか、そういう状態に置かれてきて、またそれが非常にいろいろな大きな見えない面での効果を出していた、そういうふうに私自身聞いた面もございますし、また、自分で経験したところでもございます。そういう観点から考えますと、現在安全面、特に教育という面、あるいは実際に本当に初めての方が運転されるという危険な状態にありながら、安全教育というものが教習所の中でどういうふうに位置づけをされているのか、あるいはどういうふうにやっているのか、その辺についてのいわゆる制度としてのシステム、それが不完全ではないか、そういうふうに思うのでございます。そういうことから考えて、現在の指定教習所そのものの水準を上げていかなければいけないし、個々に言いますと、そこに働いておられる方々の資質の向上というものもやはり考えなければいけないと思います。  そこで、まずお聞きをいたしたいのは、現在の指定教習所に対して、どういうふうに水準の向上を図っていくか、現在やっておられることについて内容をお聞きをいたしたいと思います。
  143. 森田雄二

    ○森田説明員 指定自動車教習所の教習水準を向上させるためどのような対策を講じておるか、こういう御質問だと思いますが、指定自動車教習所の教習水準を維持し、向上させるということは、教習所の社会的使命の大きさから見まして、きわめて重要なことでございまして、全国の警察はかねてから運転免許行政の大きな柱の一つとしてこの問題に取り組んでおるつもりでございます。とりわけ昨年中はこの問題を交通警察全体の中の重点施策の一つとして掲げまして、指定自動車教習所に対する全般的な指導を厚くいたしますとともに、指導員や検定員に対する講習、これは法令によりまして、毎年一回行うことになっておりますが、こういう講習や研修会を充実することに努めましたほか、総合検査、これは教習所に対する警察、公安委員会の検査でございますが、総合検査や随時検査、さらには検定の立ち会い、そういったものを強化いたしまして、個々の教習所の実態に即した個別指導にも力を入れたところでございます。今後も力を緩めることなく、このような施策を継続していかなければならないと考えております。  制度の面の合理化、その余地は十分あると思います。いまの制度が完全無欠なものということはとても言えないのでございまして、合理化の余地は非常に大きいと思いますが、これにつきましては、昨年来作業を続けております運転免許制度全般の見直しの一環として検討を行っておる、こういうことでございます。  なおつけ加えて申し上げますと、昭和五十三年の三月に策定されました自動車教習所業に対します中小企業近代化計画というのがございます。これも各教習所における教習水準向上のための施策にいわば資金的裏打ちを与えるようとするものでございまして、警察といたしましてもその促進について種々の指導を行っておる、こういうことでございます。
  144. 玉置一弥

    ○玉置委員 指定教習所というのと、指定でない教習所というのがあると思いますけれども、指定教習所という、指定に値する基準ですね、それについてはいかがでしょうか。
  145. 森田雄二

    ○森田説明員 教習所の中から、その法令の基準に達しております一定のものにつきまして、その教習所側からの申請に基づいて公安委員会が指定する、こういうことになっております。  その基準とはどういうものかということですけれども、細かく物的、人的な要件を定めておりますとともに、あわせて、指定を受けようとする未指定の教習所は、指定教習所と同じような教習をやりまして一定の実績を上げた場合に、それを評価して公安委員会が指定をする、こういう仕掛けになっております。
  146. 玉置一弥

    ○玉置委員 指定教習所でないところは、公安委員会の指定でないから、当然技能あるいは教育に対して両方とも公安委員会が再検査といいますか、要するに、免許を取る場合に両方検定することになるわけですか。
  147. 森田雄二

    ○森田説明員 非指定の教習所は、これは法律上どういう位置づけになっておるかと申しますと、これは何ら法律に出てまいりません。したがいまして、法律上は、適宜の教習を行って、それで、ある段階で警察、公安委員会がやっております試験を受けさせるということでございます。  指定教習所の方は、さっきちょっと申し上げましたが、技能の検定を教習所自体がやりまして、技能の検定で大丈夫という判断をいたしますと、公安委員会は重ねてその人について技能の試験をしないで免許証を出す、こういう違いでございます。
  148. 玉置一弥

    ○玉置委員 現在二百十九万名が教習所を経由して免許を取られたということでございますけれども、先ほど申しましたように、だんだん若年層に免許取得人口が移ってきているということから、それと、大体ここ数年、これから先を見ますと、百五十万から百六十万が年間の取得人口になるというふうに言われておりまして、いまの実態からいきますと、現在の教習所の数が固定するとした場合に、教習所が非常に過当競争になるわけでございます。そういう面から考えて、これから、悪い言葉で言いますと、お客さんの分捕り合戦、そういう状態になるのではないか。  そこで、まず心配しますのは、いかに安易に取れるかということがセールスポイントになりまして、それが教習所への客寄せになるという方向に行かないかという心配があるわけでございます。そういう危惧を持っているので、いまから対処できるような体制をつくる必要があるのではないかというふうに考えまして、まず指定教習所そのものの教育内容あるいは教育レベル、その両面についてのある程度の規制が必要ではないかと思うのでございます。その辺についてはいかがでしょうか。
  149. 森田雄二

    ○森田説明員 指定自動車教習所において行われております教習のレベルでございますとかその内容につきましては、大変細かい定めをつくっておりまして、それは先ほどちょっと申し上げましたが、その教習水準を落としたりすることがないように、警察といたしましては細かい指導を行っておるつもりでございます。確かに先生がおっしゃいますような心配がないわけではない。現在の教習所の実態を見てみますと、大都会を中心とする地域では指定自動車教習所に入りたいと思いましても二カ月も三カ月も待たされる、時期が来るまで入れないというほどの過密状態のところもあります反面、若干過疎的なところでは共倒れを心配する声が、経営者の方からも出ておりますし、そこで働く労働者の方々からも出ておることは、私どもも十分承知をいたしております。こういう問題をどう考えていくかということは非常に大きな問題でございます、大事な問題でございますので、さっき申し上げました、いまやっております制度の見直しの中で十分エネルギーを注いで考えてみたいという考えでございます。
  150. 玉置一弥

    ○玉置委員 教習所そのものを規制するということもございますけれども、逆に悪い言い方をすれば、取り分がいまと変わらないという点になりますと、どうしても客寄せをする場合には、要するに普通の商品で言いますと値引きになりますけれども、そういう状態になりますと、今度は値引きのしわ寄せがどこへいくかということで非常に心配されるのは、資質の向上を図らなければいけない職員に回ってくるのではないか、そういう心配があるわけでございます。特に最近非常に過当競争の部分が地域的に出ておりまして、そのことが職員の労働時間の超過につながっている。それと、要するに勉強の時間がないといいますか、疲労こんぱいして頭が働かないで果たして人に安全教育あるいは技術教授ができるのかどうかという心配があるわけでございます。そういう観点から現在労働基準監督署なりあるいは関係当局の方で個々に御指導をいただいているようでございますけれども、さらに一歩進めて時間的な規制、要するに教習指導員の資格といいますか、それをもっと明確に打ち出すべきではないか。たとえばどういう資格が要る、そして授業内容については何時間、一人当たり何時間以内とか、そういう規定が歯どめとして要るのではないか、そういうふうに考えるのでございます。  それが一つと、それから現在指導員の養成という立場から見ますと、力のない教習所あるいは企業格差というのがいまだんだん大きく開いてきている、そういう中で果たして、ただ単に教習所と言うだけでそれだけの能力があるのかという、心配が出てくるわけでございます。やはり交通安全という国家的な動きの中で現在教習所が占める地位、それから考えますと、われわれとして非常に不安な要素が多々あるわけでございまして、それを解消していくために指導員の養成あるいは指導員の再教育という面から国のセンター的な、交通安全教育センターとかそういうふうな機関ができて、そしてそこを経由した者についてはそれなりの待遇改善があるとかあるいは別の面でのメリット、そういうものが出てくるようにしていかなければ、将来非常に資質の低下が拍車をかけて行われるのではないか、そういうふうに感じるのでございます。その辺についての御見解をお願いしたい。
  151. 森田雄二

    ○森田説明員 二つの問題について御質問でございます。  一つは、指定教習所職員の労働時間の問題でございます。確かに、指定教習所の職員の中から長時間労働を訴える声は少なくありません。何年も前からその話は聞かされております。私たちの基本的な考えを申し上げますと、冷ややかな法律論ということになるのかもしれませんが、指導員等の労働条件そのものとしてこれをとらえる場合、これは本来労使双方の自主的な交渉によって解決さるべきものでございまして、直接の所管行政庁としては労働省がある、これは言うまでもないことでございます。しかしながら、教習効果に及ぼす影響という観点からこれを見ますと、教習所を所管して交通安全を預かるわが警察としても大いに関心を持たなくてはいけない、そういう問題でございます。したがいまして、従来から教習効果に悪影響を及ぼすような恒常的な長時間の時間外労働につきましては、各警察、県警におきましてしかるべきルートを通じてこれを是正するような指導を行っておるところでございます。また、県にございます各教習所協会の連合会が中央にございますけれども、その連合会におきまして、現在、労働問題を検討するために研究部会を設けて研究を続けております。それからまた府県も、かなりの府県におきまして、労働基準局の指導を受けながら指定自動車教習所協会が労働時間のあり方についてかなり広く取り組んでおる。警察といたしましては、いま申し上げましたような基本姿勢を維持しつつ、適切な指導を側面的に、あるいは場合によったら直接に行いたいと考えておるわけでございます。警察が通達を発するか何かいたしまして何時間に決めてしまうのはどうかという御意見でございますけれども、アイデアとしてはそういうアイデアもあり得るとは思いますけれども、逆の面から申し上げますと、労働者の超過勤務の時数みたいなものを警察が奪ってしまうというのもこれまた問題なきにしもあらず、その辺の兼ね合いを考えながら対策を進めていきたいというのが考えでございます。  それからもう一つの教習所の職員の養成についての御意見、これは私たちにとっては大変ありがたい、結構な御意見を賜ったと思っております。現在、職員の養成方法は、確かに各指定教習所そのものとそれから県の協会等にいわば任せっ放しということになっておるわけでございます。四千百万人を超えるドライバー時代、その教育者としてきわめて重要な社会的役割りを担っておられます教習所の職員の養成、これが現状で満足すべきものなどとは私どもは決して思っておらぬわけでございます。こういう職員を含めて、交通に関する高度の教育を必要とする人たちにそれにふさわしい教育を行う、そういう機関がぜひ必要だと考えております。恐らく世界の先進国でこの種の施設、機関を持たないところは余りないんじゃないかというのが私たちの反省でございます。そのため、いま特殊法人として設立されております自動車安全運転センターが地方研修所という計画を進めておりまして、私どもといたしましても、何とかこの計画が実現をいたしまして、そういうところで先生お話しの教習所の職員の研修、養成を行うことができたらどんなによくなるかと考えておりますので、ひとつ先生あたりもぜひお力添えを賜りたいと考えておるわけでございます。
  152. 玉置一弥

    ○玉置委員 まあ、再教育というのは非常にむずかしいと思うのですね。ある程度こり固まった中でやっていくということでございますが、しかし現在の状況からいきまして、どちらかというと安全運転の教育よりも技能を優先されておる、そういうのが現在の教習所の実態でございますから、そのためにも安全運転という教科を設けるとか、あるいはいまの中でもしあれば時間を延長していく、そしてそれなりの専門員というものもやはり養成をしていかなければいけないし、一つ思いますのは、先ほど申しましたように、昔は運転手と助手というものがあって、本当に仕事のつながりもあって、なおかついろいろな面での教育というものがなされた。接する時間が非常に長いというのは技能指導者だと思います。そういう意味で、技能指導の方に、そういう安全教育という面でのいわゆる実地指導、そういうのを普及していただくようにぜひお願いをいたしたいし、また、われわれとしても、先ほど申しましたように、安全教育センター的ないまのお話内容については全面的に協力をしてまいりたい、そういうふうに考えておるものでございます。  次に、前回もちょっとお話を申し上げましたけれども、ミニバイクあるいは二輪車、小型車とか、いろいろな現在の運転免許制度について、検討がいろいろなされているというお話を伺いましたけれども、もうぼつぼつ内容が固まっているのではないか、そういうように思うので、今後われわれとしてどういう取り組みをやっていくべきか、そういう観点から、現在固まっている内容についておよその構想をお伺いしたいと思います。
  153. 森田雄二

    ○森田説明員 もうそろそろ二輪車の問題について構想が固まっているであろう、少し話をしろ、こういうことなんでございますが、残念ながらまだここで話ができるほど固まっていないのでございます。  確かに原動機つき自転車を含めまして、二輪については考えるべき問題がたくさんあるように思います。そのことだけが原因ではないと思いますけれども、原付自転車の事故あるいは死者は、ほかのものが全般的に減少を続けておる中でふえておる。これも理屈を申し上げますと、原付の台数だとか、原付に乗る人の数の伸びに比べれば減っておるという言い方もできるかもしれませんけれども、それにいたしましても、絶対数がふえておるというのは、見逃しにすることができない問題で、どこか改善すべき余地があるに違いないわけでございます。先ほどから何度も申し上げております免許制度の改正、見直しの中で、この問題を一つの柱といいますか、目玉にいたしまして、四方八方からいま検討しているわけでございます。  いまこの問題でやっているのはどういうことかと申しますと、非常に詳細な事故、違反の実態を調べております。もちろん事故や違反につきましては、もともと統計というのがあるのでございますけれども、そういう非常に細かな視点から物を見て参考になるというには、まだ若干統計のとり方に足りないところがありますので、各県に統計をとる作業をいま言いつけております。それを見ながら、何となく感じで、こういうふうにやった方がいいのじゃなかろうかというのがございますけれども、確固とした根っこがありませんと、ちょっと制度を変えましても、影響するところがきわめて大きいものでございますので、私どもは、そういう慎重な手続が必要ではないかということで、そういう作業をやっておるわけでございます。
  154. 玉置一弥

    ○玉置委員 非常に時間のかかることで、それと営業面で活用されている方とか、あるいは先ほども話がございましたように身体障害者とか、いろいろな面から考えて、かなり制約がされると思うのです。しかし、一番考えていただきたいのは、現在の運転免許取得時における適性検査、それが本当の運転技術だけではなくて、交通安全という面から考えて、果たして精神的にもある程度安定した方が取られる、そこまでいくかどうかわかりませんけれども、そのくらいある程度思い切った適性検査をしないとだめではないか、そういうふうに思うのでございます。実際に、車に乗ると人が変わるとよく言われますけれども、実際のところ、ある程度性格が出ているのだ、そういうふうに思うのでございまして、まず耐えることができない人は乗らないというくらいのところで決めていただきたい、そういうふうに思うのでございます。  それと、ミニバイクもそうなんですけれども、自転車も通じまして、本当の四輪車に乗られる方以外の、たとえば幼稚園から小学校、中学校含めて、自動車に直接関係のない方々の交通道徳、そして交通安全の意識、そういうものが非常に低いような感じを受けるわけです。実際、町を走っていましても、子供の飛び出しが多い。子供の飛び出しが多いということは、子供にも責任がありますけれども、当然保護者である母親あるいは父親、そういう方々の日ごろの教育に、やはり一部欠けているところがあるんではないか、そういうふうに思うのでございます。それと、学校方面におけるそういう教育の充実というものがない。そういう面から考えて、一つはやはり学校の中で正科として、こういう交通安全を、たとえば保健教育みたいなものと同じように位置づけてやらなければいけないのじゃないか、そういうように思いますし、また家庭の保護者、そういう方々においても、やはりもっと子供に真剣になって教え込まなければいけないんではないか。車が悪いというふうによく出てきますけれども、最近フランスでは、赤信号で飛び出したら——昔は車が悪かったんですけれども、最近では歩行者の方が悪いというふうに変わっておりますし、現実を十分認識をしていかなければいけない、そういうふうに思うのでございます。そういう面で、交通に携わっている方々だけではなくて、一般の方々に対しても制度として取り入れるくらいのつもりで、これから御検討をお願いしていきたい、そういうふうに思います。  それから、ちょっと漏れておりましたけれども、実は免許更新時におきます講習の内容につきまして、いろいろな話を聞いております。一つは、先ほど申しましたように、現在の教習所の資質の向上が図れれば、各警察署あるいは安全協会に現在出向いて更新の講習を受けてやっておられる、そういう機会を利用して逆にもっと教育ができるんではないか、そういうふうに思うのでございまして、自動車教習所における免許切りかえ時の講習についても御検討をお願いしておきたいと思います。  それと、一つは、現在の自動車教習所は、将来必ず受講者が低下していくであろう、そういう観点から、一部救済措置みたいなところもあるんですけれども、そういうところから考えても、やはりやっていかなければいけないではないか、そういうふうに思うのでございます。  それと、現在の免許制度そのものに対してある程度方針を明らかにしていただかないと、逆に教習所の方がついてこれないという可能性がございますので、なるべく早目に方針を打ち出していただいて、それなりに対応がとれるような期間を、猶予期間として設けていただくようにお願いをしておきたいと思います。
  155. 杉原正

    ○杉原政府委員 いずれもいろいろと示唆に富むお話をいただいておるわけでございますが、一つは、これからのドライバーのあり方というものを考えていきますと、従来、これは私どもの大変な反省でございますが、教習所の問題も含めまして、ドライバーに免許を出すというのの中心が、運転が上手か下手かというところに重点を置いた行政が行われておったんではないか。上手、下手というのはもちろん大事なことでありますが、むしろやはりドライバーとしての社会的な責任というふうなものを自覚してもらう。いろんな形のものがあろうと思いますけれども、そういうところに力点を置いた教育の仕方、そういう人がこの車社会に出てもらう、そして初めてドライバーとしての適格性があるという判断のできるようなそういうものでなければならない。  したがいまして、これからの教習所のあり方を考える場合も、単に運転が上手、下手ということも大事でありますけれども、先ほど先生から御指摘のありましたように、本当にドライバーとしての社会的な責任、交通安全というのはどういうものかというふうなこと、あるいは指導員なんかの教養の中身でも、たとえば運転心理でありますとか、そういうふうな事柄が従来余りない、単にハンドルさばきだけのことをやっておるというふうなことがあります。この点は教習所そのものも最近非常にそういうことにつきましての意識が変わってきつつあるということでございますので、教習所の方とも十分相談をしながら、それからまた指導員等のあり方についても、やはり指導員が社会的に本当に先生と言われるにふさわしい資格を取得し、しかも励みを持って教習所で仕事ができるような、そういうものにやはり仕立てていかなければならないというふうに思うわけでございまして、教科内容でありますとか、指導員あるいは検定員のそういう資格、教養、養成、そういう各般の問題について検討すると同時に、これだけの膨大な物的、人的なものをこれからさらに整備することでこれからの交通安全の問題にどう活用できるかというふうな点にも頭を向けながら考えていきたいというふうに思うわけでございます。  それから、第二点にありましたいわゆるこの車社会の中でドライバーでない方、子供、老人いろいろあるわけでございますが、やはりこれだけの大きな車社会になってまいりますと、子供がもう十六になるのを待って免許を取る、こういう社会の実態になりつつあるといたしますと、やはり子供の成長の段階に応じまして、いつどういうことをどういう形で教えるべきか。いまですと、ほうっておいていきなり免許年齢になるということで興味を持って二輪を乗り回すということではなくて、やはりそれぞれの成長過程に応じて、交通安全というのはどういうものであるかというふうなことを教え込んでいく、あるいは一定の段階では車のメカについての知識というふうなものも教え込んでいきながら免許を取っていく、そういうことが必要になってくると思いますので、学校教育とかあるいは社会教育の中でそういうものに子供の成長過程に応じてどういうぐあいに取り組んでもらうことが可能であるかという問題については、文部当局その他とこれからの車社会の問題として十分これから連携をとりながら考えてみたいというふうに考えております。
  156. 玉置一弥

    ○玉置委員 以上で終わります。  ありがとうございました。
  157. 石田幸四郎

    ○石田委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十四分散会