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1980-03-26 第91回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月二十六日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 小沢 一郎君 理事 國場 幸昌君    理事 渡辺 紘三君 理事 竹内  猛君    理事 渡部 行雄君 理事 瀬崎 博義君    理事 渡辺 武三君       池田 行彦君    上草 義輝君       大野  明君    谷  洋一君       中島  衛君    中村  靖君      三ツ林弥太郎君    村岡 兼造君       井上  泉君    小野 信一君       木間  章君    中村  茂君       松本 忠助君    井上  敦君       中島 武敏君    和田 一仁君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡辺 栄一君  出席政府委員         建設政務次官  竹中 修一君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省都市局参         事官      吉田 公二君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 関口  洋君  委員外出席者         厚生省公衆衛生         局企画課長   三井 速雄君         厚生省社会局保         護課長     佐藤 良正君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         厚生省社会局老         人福祉課長   大西 孝夫君         労働省職業安定         局雇用政策課長 野見山眞之君         参  考  人         (雇用促進事業         団理事)    水谷 剛藏君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 三月二十一日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   河村  勝君     和田 一仁君     ————————————— 三月十九日  東京湾岸道路計画の再検討等に関する請願(小  川国彦君紹介)(第二六〇六号)  同(新村勝雄紹介)(第二六〇七号)  東京湾岸道路環境対策に関する請願小川国  彦君紹介)(第二六〇八号)  同(新村勝雄紹介)(第二六〇九号)  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (渡辺武三紹介)(第二六八二号) 同月二十二日  首都高速道路中央環状線完成促進等に関する  請願越智通雄紹介)(第二八〇八号)  都市開発法改正に関する請願渋沢利久君  紹介)(第二九二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  幹線道路沿道整備に関する法律案内閣提  出第二七号)  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  幹線道路沿道整備に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。瀬崎博義君。
  3. 瀬崎博義

    瀬崎委員 「沿道整備道路道路管理者は、道路交通騒音により生ずる障害防止を促進するため、沿道整備と併せて、必要な道路構造改善推進その他の措置を講ずるものとする。」こういうふうに幹線道路沿道整備法には定められているわけであります。ここに言われている「道路交通騒音により生ずる障害防止」、これができる道路構造に改造するようそれを推進すべきだ、こういうふうな概念道路関係法に明記したのはこれが初めてではないかなと思っているのですが、いかがですか。
  4. 山根孟

    山根政府委員 法文上道路関係の法令で明記したのはこれが初めてでございます。
  5. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今回の沿道整備を主目的とした法律の中に、道路構造においても騒音公害防止する努力をすべきだ、こういうふうな概念を初めて導入されたわけなんですが、その主たる理由はどういうことであったわけですか。
  6. 山根孟

    山根政府委員 お尋ねの点は、この法案の第三条でございます。これは道路管理者としての一般的な責任と申しますか、そういう精神を表明いたしたものでございます。いわば、道路管理者の一般的な幹線道路整備に当たっての責務規定であるということでございます。
  7. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が問うているのは、もちろん第三条にはそういう責務規定はありますが、第七条で、先ほど局長がお認めになったように、道路構造の方でも防音効果の上がるようにそういう改造を推進すべきだということを初めて挿入された、初めてこういうものを法律にうたい込んだ。主として沿道整備目的とする法律ではあるが、道路構造についてもこういう考え方でやるべきだ、これは沿道整備道路に限っての話ですけれども、こういうふうになってきた理由はどこにあったのか、こう聞いているのです。
  8. 山根孟

    山根政府委員 ただいまのお尋ねは第七条の規定でございます。この第七条は、第三条の規定を前提といたしまして、沿道整備道路指定がなされた道路における道路構造改善等に関する具体的な道路管理者責務を定めた規定でございます。これは沿道整備道路指定が行われますならば、関係市町村により沿道整備計画が決定をされ、沿道計画的な整備が行われることとなるわけでございますが、道路管理者としても、これとあわせて道路構造改善等を図るべき必要があればその推進等に努めるべきことを明確にいたしたものでございます。  なお、この第七条に言います「その他の措置」と申しますのは、本法に規定をしております緩衝建築物についての費用の負担防音工事助成等措置を適切に行うことを含めまして、道路交通騒音により生ずる障害防止に資する道路管理行為一般を言うものであるという考え方をいたしておるわけでございます。
  9. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私の尋ねていることの答弁にはどうもちょっとなっていないようなんですが、建設省が毎年発行しているこの「道路行政」という本を見ましても、一番新しい五十四年版では、「道路構造対策」として「自動車交通に伴う公害防止対策としての道路構造上の配慮道路計画による対応とともに、道路管理者が行う最も主要な方策である。」というふうに述べているわけですね。この点では過去の道路行政文書には見当たらない新たな態度が生まれているんではないか。これは私たちは前進的に評価しているわけですね。  その騒音対策について見ますと、高架構造それから遮音壁、植樹帯環境施設整備などが道路構造の中に含まれる性質のものだというふうに道路構造概念が拡大されるといいますか、それが私は正しいと思いますが、そういうふうな考え方のもとに通達等で行われてきているわけですね。そういうことは本来、でき上がってしまった道路に対してそこから起こる騒音公害を防ぐために沿道整備をやるのももちろん必要だし、いま新たにこの法律を出したことは前進だが、本来は道路をつくる際に初めからこの交通騒音により生ずる障害防止道路構造の主要な要素の一つにすべきだ、道路構造一般原則にすべきだ、こういうことではないか、こういうふうに建設省自身も考えているんではないかと思うのですが、いかがですか。
  10. 山根孟

    山根政府委員 まず、私ども考え方としては、道路構造をどのように考えていくかということになりますと、やはり沿道との関連を抜きにしては構造も決められないわけでございます。先ほどおっしゃいますように・沿道との関連におきましてあるいは道路構造主体となります土工関係と申しますか、切り土、盛り土といった比較的のり面等をゆったりとることができるような場所、これについては植樹等措置も講じ得るわけでございます。一方、かなり土地利用が進んでいるようなところでは、高架構造あるいは堀り割り構造、これは地形等に応じてそういった構造上の対処が必要になるわけでございます。一方、これに対する環境施設帯と私ども呼んでおりますが、環境施設帯の設置ということも、道路構造の一部分として道路管理者がある条件のもとではこれをつくるべきである。そういうように、ただいま先生が幾つかお述べになりましたことを、道路構造の一環として実はすでに導入をして整備をしてきているわけでございます。  ただ、都市地域になりまして、沿道利用もなされる、また一方幹線道路交通も確保しなければならぬというところに、実は特にこの法案が必要である。つまり、合理的な土地利用ということを一方では図りながら、幹線道路交通騒音障害防止する、これを市街地の望ましい形成という観点からも、同時達成するためにはいかなる方策が必要であるかというところで、過去のこれまでやってまいりました道路管理者としての考え方を、その総合的な施策でもって対応していこう。それに対して、道路管理者がいかほどの措置がとれるかということでいろいろ検討してまいり、都市計画審議会あるいは道路審議会の御答申を踏まえながら御提案を申し上げた次第でございます。
  11. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そういう政府側考え方一定変化は、道路整備五カ年計画の第一次から第八次までのいろいろな文書変化にも読み取れると思うのですね。第七次道路整備五カ年計画の中に、初めて「生活環境改善」という概念が見え始めてくるように思うのです。道路規模の拡大にもかかわらず、これを著しく上回る自動車台数の増加により、騒音大気汚染などの交通公害の問題を引き起こすに至った、そのためこの解決がきわめて重要な課題となった、こういうふうに述べているわけですね。そうして、第八次のときに道路整備緊急措置法改正されたわけですけれども、それまでは「目的」の欄に「自動車交通の安全の保持とその能率の増進とを図り、もって経済基盤の強化に寄与する」ということで、もっぱら道路利用する車の安全な交通維持能率のよい交通ということが主体になっていた。そこに新たに「生活環境改善」が加えられたわけですね。このときの「目的改正理由はどういうことであったのか、いま一度聞いておきたいと思います。
  12. 山根孟

    山根政府委員 道路整備緊急措置法改正におきましては、第八次道路整備五カ年計画根拠法規となるものでございますが、まさにこの「目的」では、生活環境改善に資するということを一つ理念としてうたっておるわけでございます。先生指摘のように、自動車交通の確保ということに関連をいたしまして、交通安全、交通事故対策の問題、それから交通環境の問題というのは同時に考えてまいらなければならないし、また交通混雑の問題が逆に一面では交通公害をもたらしている、こういうこともあるわけでございます。そんなことから、交通安全、生活基盤生活環境発展基盤維持管理、こういった五つの施策をひとつ総合的に考えてまいろうという観点から、その大きな項目の一つとして「生活環境改善」というものを挙げたわけでございます。
  13. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大臣に伺いたいわけなんですけれども、今回提案された沿道整備法で初めて、沿道整備道路に限ってではあるけれども法律に、道路構造として騒音公害防止する構造であるべきだということが明記されてきた。それから、いろいろな行政指導の内容として、生活環境に留意して道路構造を変えていくということが行われている。それから、先ほど申し上げました道路整備緊急措置法では「目的」を改正して、理念として道路はかくあるべきだということをうたっている。  ところが、道路関係法基本法ともいうべき道路法を見ますと、第二十九条の「道路構造原則」、これがまさに基本的な道路構造概念規定だと思うのですが、ここでは道路構造は「通常の衝撃に対して安全なものであるとともに、安全かつ円滑な交通を確保することができるものでなければならない。」と規定されているだけなんです。結局、丈夫な道路をつくれということ、それから要は車の立場に立って円滑な交通が確保されること、これが道路構造の使命だというわけですね。ですから、いま政府現実にやりつつあること、部分的に、技法的なところに騒音公害防止概念構造に入れてきたということからいけば、当然もう一歩進んで、道路基本法ともいうべき道路法の「道路構造原則」の中にも、道路公害を起こさない道路をつくる、あるいは周囲の生活環境にマッチした道路構造であるべきだということがうたわれてしかるべきではないかと思うのですね。そういう検討をぜひやっていただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  14. 山根孟

    山根政府委員 道路法の第一条の目的におきましては、まさに「公共福祉」ということをうたっておるわけでございまして、そういった観点からは、私ども道路行政を進めます場合には環境問題も考えてまいるということになるわけでございますが、一方また二十九条の道路構造原則としては、先ほど先生がおっしゃいましたような規定になっておるわけでございます。  私ども現実に、環境との関連におきまして、道路構造の面におきましてもいろいろな配慮をしてやっておるわけでございます。次第にこれが定着をしてまいります過程におきまして、仮定であるわけでありますが、定着をいたしますならば、やはりこの考え方としても、またこれが具体化されます道路法第三十条に関連をいたしますことも見直していかなければならぬ、そういう事柄ではないか、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
  15. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいま局長が申しましたように、従来とも実質的には考慮の外に置いたわけではないわけでございまして、十分な配慮をしておったわけでございますけれども、今後におきましては、やはり私は検討すべき課題ではないかというふうに考えるわけです。
  16. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この点は、日弁連の公害対策委員会第三部会の方からも、この法案が出された機会に、道路そのものに対して、道路管理者構造上、本来公害を出さないように考えてつくるべきだという提議があるわけですから、それを含めて、ぜひいまの検討を実らせるようにお願いしたいと思います。  次に、少し具体的な話になるのですが、この法案作成に当たり、自治体と縁が深いというよりも、自治体がその衝に当たるわけでありますが、どういう範囲の自治体協議されたのか、あるいは意見の聴取をされたのか、伺ってみたいと思います。
  17. 山根孟

    山根政府委員 特に都市部幹線道路におきまして深刻な問題になっております国道四十三号、兵庫県でございます。それから東京都の環状七号、国道一号の岡崎、国道二十三号の名古屋及び四日市、こういった各所におきましては、実はここ二、三年の間それぞれの都県並びに関係市町村とそれぞれの道路管理者がいろいろ打ち合わせをいたして、一体どういうぐあいに考えていけばいいかということをいろいろ検討してまいったものでございます。
  18. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この前、同僚の中島議員が、東京の主として住民サイドに立っていろいろと問題点指摘したのですが、私も東京、愛知、埼玉、神奈川の自治体の方にもどういうふうな意見があるか聞いてみたわけなんです。大半は、考え方は大変結構だが、しかし本当に実が上げられるかどうか、そういう点で余り過大な期待を持っていない、こういうような答えが返ってきているわけですね。そういう意味で言えば、この法律効果が出るか出ないかは今後の法律運用、あるいは政令の定め方、通達等の処理の仕方等に係る面が多いと思うのです。こういう点、政府としても一定の自信は持っておるのだろうと思いますが、お考えも聞いておきたいと思うのです。
  19. 山根孟

    山根政府委員 私ども昭和五十年代に入りましてからも、いろいろな緩衝建築物でありますとか、その他いろいろな施策を講じてまいったわけでございますが、何さま制度的な仕組みが確立されてなかったということ、まだ日が浅いといったようなこともありまして、なかなかこれまでの施策だけではどうも進捗を見なかった。実はこの反省の上に立って都市計画中央審議会並びに道路審議会答申を得、さらに先ほど申し上げました懸案地域公共団体方々ともお打ち合わせをし、また住民方々の御意見参考にしながらこの法律案作成をし、一方では開発行為に対する届け出勧告制度というようなことと同時に、道路管理者としてできることをいわば集大成をしたわけでございます。  もちろん、私どもこの制度だけでこれを解決するということではなくて、再開発事業でありますとか、公園事業でありますとか、そういったことを沿道整備計画の中に組み込むことによって、より総合的な施策推進できるようにという運用をぜひやってまいりたいという点を実は考えておるわけでございます。また同時に、この制度そのものは、既設の道路に対するのみならず、やはり新改築される道路についても必要な場合には適用することによって問題を未然に防止すると申しますか、道路整備都市づくりとがうまくマッチをするような形で進めてまいりたい、こう考えておるわけでございますが、いずれにいたしましてもこれの運用につきましては、沿道整備協議会などの活用によりまして、道路管理者地方公共団体等が十分な協力体制をとり、いろいろな手法を投入をして制度実効が上げられるようにしたい。  まずとっかかりは懸案になっておる地区、先ほどのような地区をモデルとも考えまして、やることによって一つの実績をごらんをいただきながら進めていく、こういうことが特に大切ではなかろうか、こう考えておるものでございます。
  20. 瀬崎博義

    瀬崎委員 余り活用されないのではないかという懸念一つとして、沿道整備道路指定要件の問題なんですね。たとえば、一号要件の一日四万台から五万台、これは政令事項なんでしょうが、しかし大型車が多い場合ですと、一号要件の四万台を切っても、逆に今度二号要件騒音の方では十分政令要件を満たしている場合も出てくるだろう。そういう場合に、三つとも満たさなければいかぬというふうなことはどうか。さらに三号要件土地利用状況基準は一体どうなるのかというふうな懸念も出ているわけです。  先ほど申し上げました口弁連公害対策委員会の方の指摘を見ましても、都市計画街路に限るのは不十分ではないか、片手落ちではないか、あるいはまた騒音基準さえ決めておけば、改めて交通量指定要件に加える必要は本来ないのではないか、騒音防止という観点からいくならば、こういうふうな要望も出ているわけです。これらを踏まえて今後の政令づくり、あるいはまた三号要件政令事項ではありませんが、実際の行政指導では十分弾力的な運用をして、法律が活用される道を講じてもらいたいと思うのです。いかがでしょう。
  21. 山根孟

    山根政府委員 沿道整備道路指定要件考え方でありますが、やはり幹線道路としていわばその都市にも広域的な観点から不可欠な、しかも大量の交通を処理すべき道路、そういう地域がまさにまた問題になっているという観点から、自動車交通量というのが一つ要件に上がってこざるを得ない。もちろんその中にはただいま先生指摘のような全体の交通量と同時に、騒音に大きな影響を及ぼすであろう大型車台数、これは幹線道路の性格という面からも、交通量と同時に、大型車交通量という点も第一号の中に含めて指定をしてまいらねばならぬ、こういうふうに考えております。  それから第二の騒音レベルの問題、これはまさに生活環境に著しい影響を及ぼすという点から、騒音レベルというものはどうしても必要不可欠な要件になってまいる。  それから第三は、やはり沿道土地利用との関連におきまして、住居等集合状況に係る要件が必要になってまいるわけであります。沿道土地利用という観点から、たとえば青山通りでありますとか銀座通りというのは、あれはいわばそれなり道路沿道とが一応適合と申しますか、調和のとれた形になっているわけであります。そういった土地利用上の要件というものも考える必要があるということであるわけです。  私ども、これらの政令の一応の素案を持っておるわけで、これから各省の協議をいたす段階になろうかと思いますが、やはり当面、現段階において対策を講じてまいらねばならぬという、対策が必要かつ適切と考えられる道路が含まれますように十分検討してまいらねばならぬ、こう考えておるわけでございます。
  22. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それから、沿道整備計画内の土地の買い入れの申し入れがあっても、東京都など場所によっては数十坪の小さな土地でも億単位の金になる場合だってある。その上にちょっとしたビルでも建っておれば数億、十数億というふうな買い物もすぐ出てくる。そうなると、結局金の手当てができないで、地区計画をしてしっぱなしというふうなことになるおそれもある。こういうところから、財源の裏づけに対する要望が強いのです。ぜひ買い取り資金の残り三分の一についての裏負担等の問題は考慮しなければこれまた実効が上がらないではないかという心配があります。  その点と、こういう一号、三号、三号の、要件、比較的一、二号というのはそれでも測定はしやすいのですが、三号要件建設省基準の出し方によっては調査だけでも大変なことになる。そういう調査費などを全部自治体に持たされたのではこれもまた非常に重荷になって進まない場合もある。だからそういう調査費等についても法律の円滑な施行のためには配慮されるべきではないか、こういう意見を聞いております。  以上二点、答えていただきたいと思います。
  23. 山根孟

    山根政府委員 第一点の、土地等買い取りに関します裏負担の問題でございますが、私ども考え方としましては、沿道整備計画を決めますのはやはり市町村である、それから第二には、道路交通騒音により生じます障害防止にとどまらず、実はこの沿道整備が図られることは市町村区域内の多様な地域整備を行うべき立場にある市町村にとってもそれなりのメリットがあるという点、それから第三には、都市計画で定められました国道改築に係る国の負担割合地方道改築に係る補助率がいずれも三分の二であるといったことを総合的に勘案して、実は三分の二以内ということにいたしたものでございます。  一方、残る三分の一については、市町村通常、起債により対応するものと考えておるわけでございますが、沿道計画的な整備公的事業のみならず届け出勧告等の誘導による民間事業によってもかなり推進されるものであるというぐあいに考えておりますし、沿道整備計画区域内の土地すべてが買い取りの対象となるものではない、また土地買い取り所有者申し出に基づきまして行われるものでありますが、沿道整備計画の策定時の一時期に集中するとは限らず、また順次行われていくというぐあいに考えますので、この間に資金回転もある程度可能なものと考えられるのではないか、こういった点から、この三分の一の裏負担が一般的に問題になるとは考えておらないのでございます。  地価の高いところと申しますのはそれなりにまた都市のポテンシャルも高いところであるわけでございまして、またそれなり土地利用高度化が図られるべきところでもあるわけでございます。しかしながら、こういった制度の円滑な運用を図るため、一方ではまた都道府県等に対してもあわせ貸しの問題やらいろいろ行う、あるいは沿道整備計画の中でのいろいろな公共施設等公園等との計画と相まってひとつ資金回転をうまくやっていくということで対処してまいらねばならぬ、こう考えておるわけでございます。  それから第二点の、第三号の土地利用要件でございますが、これについては、住宅等立地状況や今後の都市化動向等を総合的に勘案して、やはりこれは現地の実情に即して判断してまいらねばならぬ、こう考えております。
  24. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ちょっと私の質問したことと答えがずれているのですが、時間の関係があるのでまた何かの機会にただしたいと思います。  最後に、今回の沿道整備法については私どもも評価をして、もちろん賛成するものではあるんですが、先ほども、私も申しましたし、それから局長の答弁の中にもありましたように、新設の道路にでもこの法律の適用を考えるとおっしゃったぐらいであるし、ですからなおさらのこと事後処理、後追いということではなしに、初めから、道路をつくるときに騒音公害の極力起こらないような道路構造をとっておく、そういう環境との接点も道路構造に取り込んでおくということが、そのときは多少手間がかかり金がかかるように見えても、長期的に見れば最も合理的である、こういうふうに思うわけです。そういう立場からきわめて具体的な例が一つあるので、これについて政府の努力を要望したいと思うのです。  昨日、西大津バイパスの藤尾地区騒音公害問題について、関係する茶戸町と稲葉台の代表の方が局長にも直接陳情されたわけですね。お聞きいただいたとおりであります。  この西大津バイパスの藤尾地区というのは問題の三井寺トンネルの手前なんでありますが、すでに一部は供用開始されておりますし、また先線の工事用の車両が相当通っております。この付近はちょうどすりばち状になっておりまして、その山腹に住宅がびっしりと張りついておるわけです。ちょうどすりばちの底を西大津バイパスが住宅の間を縫うような形で走っているわけなんですね。地形的にも騒音が非常に拡大して住民に被害を与えるということは、五十三年十一月二十四日、大津の山田市長が建設省あてに「西大津バイパス建設に伴う藤尾学区茶戸町並びに稲葉台地区環境保全について」という要望書を出した中にも書かれております。「御賢察のとおり、当該藤尾地区は地形的特異性から、周辺住民道路供用開始後の環境問題に対する取り組みは、切実なものと思われますので」、御存じのことと思います。  しかもこの地域はすぐ付近を逢坂山に向けて相当な勾配のついた国道一号線、名神高速、そのアクセス道路、さらにはこれら各道路と西大津バイパスとを結ぶインター、京阪電車、国鉄、集中して走っているわけです。だから西大津バイパスがないものとした場合の暗騒音でも、これは建設省調査で五十一ないし六十四ホンも出ているというふうな地域であります。しかもこの西大津バイパス四車線の両側に二車線の市道が走っているというきわめて悪条件。しかも交通量も、もし百六十一号バイパス全線が開通いたしますと、名神と北陸縦貫道あるいはまた国道一号線と八号線を利用するよりも、阪神−北陸間はむしろこの百六十一号バイパスの方が近くなるし有料区間がきわめて短いということもあって車はこちらの方に殺到すると思うのですね。ですから、そういう将来のことも十分に考慮して万全の対策を講じてもらいたい、こう思うのです。  具体的には、一つは、五十三年八月に滋賀国道工事事務所が一応の調査をしているのでありますが、これは交通量の将来予測等に相当問題があるように思います。これは見直してもらいたいということ。第二点は、その見直しの結果と周辺の地形、道路の配置等十分配慮した上で、特に住民要望しております防音壁についても忍び返しをつけた吸音効果のある材質のものを使うこと、あるいはもともとが非常に環境のよい住宅地でありますから、植樹等もあわせて施して周辺の住宅環境にマッチさせること、こういう点今後住民とよく協議相談をしながら、まさに交通騒音により生ずる障害防止を促進する道路構造改善をいま手を打っておいていただきたい、こう思うのであります。答弁を求めて終わります。
  25. 山根孟

    山根政府委員 お答え申し上げます。  交通量の見直しの問題でございますが、現在、昭和五十二年の全国道路交通情勢調査の結果に基づきまして将来交通量について推計を行っている段階でございまして、この結果に基づきまして環境影響に関する再計算を行いまして対策の見直し案を再度地元の方々に御提案を申し上げるような段取りにいたしたい、こう考えております。  御指摘の忍び返しをつけた遮音壁の設置あるいは植栽などによる環境ないし心理的圧迫感の軽減あるいは景観の保全、こういった点に対する配慮、等につきましては、ひとつ現地に即して十分この実施可能なものにつきまして積極的に進めてまいりたい、かように考えておるものでございます。
  26. 北側義一

    北側委員長 井上敦君。
  27. 井上敦

    井上(敦)委員 幹線道路沿道整備に関する法案関連してでございますが、さきの十二月五日の建設委員会におきまして、私は渡辺大臣にその所信をお伺いいたしました。その際「昭和五十二年十一月に閣議決定を見ました第三次全国総合開発計画におきまして、全国的な幹線交通体系の長期構想としまして、一万キロメートル余りで形成されます高規格の幹線道路網を提唱いたしておるわけでございます。建設省といたしましても、この基本的な考え方を踏まえまして、昭和五十四年度より近畿自動車道の紀南延伸を含めまして、高規格幹線道路網に関します調査に着手をいたしておるところでありまして、この調査の結果を待ちまして今後の方針を考えてまいりたい」というように御答弁がありました。非常に喜んでいるところであります。  いま、さきの委員会でも発言しましたが、新宮市、そして東牟婁の七町村、加えて隣、西牟婁郡の串本も含めて新しい定住圏構想に指定されたばかりであります。ここの一市八町村の共通の要望事項、そしてどの市町村も第一に掲げているのが高速自動車道路の紀南延伸になっております。那智勝浦町における福祉エリア構想、総事業費二百億円をかけたこの成果も、また新しい定住圏構想の成功するかどうかも、一にかかってこの道路網の整備が大きいわけであります。現状のままでありますと、きのうの建設省方々のお話などを聞いてみると、紀南に来るには五十年じゃなくて八十年もかかるんじゃないかとさえ私感じた次第であります。  大臣にぜひ要望したいのは、和歌山県の過疎地域十五町村ありますが、その十四の町村はいずれも南紀であります。那智勝浦町は、白浜と並んで和歌山県の二大観光地を形成するわけでありますけれども、大体一昨年百三十万から百三十四万ぐらいの宿泊客が、昨年は九十万ぐらいに激減をしております。そういう中でこの延伸の問題について一昨年、当時の渡海建設大臣が御坊市に来られまして、その促進の総決起大会というんですか、県知事を初め超党派の大きな集会が持たれまして、この紀南延伸早期促進を約束されております。期待が大きいわけであります。  引き続きぜひこの促進に当たっては、大体国鉄は和歌山県紀伊半島は白浜まで単線一本でありますけれども、白浜の向こうの田辺までは複線化がされているのであります。問題は田辺から新宮までの膨大な紀南の僻地、ここはまだめどが立っていない状況であります。そういう点で、高速も結局白浜まででとまってしまって南まで来ないのじゃないかというのがみんなの心配になっているところであります。特に関西新空港の建設に伴って、和歌山県は警戒的白紙の状態とかというような態度をとっているようでありますけれども、高速をどこまで持ってきてもらえるのかということとかかわってこの問題にどう最終的な態度を決めるかということもあるそうですが、その場合も、白浜からずっと新宮まで、南の人たちは高速も結局白浜までしか来ないのじゃないかというような不安が依然あるわけであります。そういう点で、大臣答弁されました「この調査の結果を待ちまして今後の方針を考えてまいりたい」その一つに新宮から、紀南からも両端起工を始めるという方策についてもぜひ御検討いただくことをまず最初に要望しておきたいと思います。  大都市においてはこういう幹線道路網の整備騒音などその対応が迫られている一方、僻地の道路網をどのように整備していくのか、重要な課題であると思います。そこで和歌山の南部にかかわる四十二号線の整備について、現国道整備について現況どういう進捗状況であるのか、よく言えばそれぞれの事業計画のめどはどのように立てておられるのか、これが一点であります。  二点目は、建設省直轄になっております北山村に向けての道路の取りつけであります。御存じのようにこの北山村は和歌山県の飛び地になっております。三重県と奈良県にそれぞれ囲まれているところに位置しているわけですが、ここもいわゆる瀞峡として国立公園で有名なところでありますが、まさに和歌山県から三重は道路は不通区間であります。長い間の悲願になっているところであります。この道路の不通区間における取りつけの対策はどうなっているのか、これが二点であります。  まず最初にこの二点、御答弁をお伺いしたいと思います。
  28. 山根孟

    山根政府委員 国道四十二号の状況はただいま先生が御指摘のとおりでございます。  私どもといたしましては、まず北の方、和歌山の方から参りまして海南までは近畿自動車道の和歌山線がすでに供用いたしておるわけでありますが、これに接続をいたしまして海南−湯浅道路国道四十二号のバイパスとして、日本道路公団によりまして一般有料道路事業として整備中でございまして、これは五十八年度の完成を目途に事業を進めておるところでございます。  直轄の事業につきましては、やはり交通混雑の著しい区間においてその解消を目的といたしまして田辺バイパス、先ほどお話しのありました那智勝浦におきましては局部改良、新宮市広角地区におきます現道拡幅の事業を現在進めております。  また、交通安全対策といたしましては、有田市内におきます二車線の有田バイパス、防災対策として日置川町内におきます日置川局部改良、耐荷力の不足しております熊野大橋の対策として新熊野大橋架橋の事業を実施中であるわけでございます。  有田バイパスにつきましては、五十一年度から用地買収に着手をいたしまして、有田大橋は五十三年度から下部工事を実施してきておりまして、これまで約四十億円の事業費を投入をいたしております。五十五年度はこのバイパス分の用地買収を、このほか有田大橋等の工事を継続する予定にいたしておるわけでございまして、地元の方々の協力を得まして、五十七年度末には供用できるようにいたしたい、こう考えております。  それから田辺バイパスでございますが、これは六・六キロのバイパスでございまして、昭和四十七年度に着手をいたしまして、総事業費約百五十億円のバイパスでございますが、現在終点側の名喜里から事業を進めておりまして、県道水上−田辺線までにつきましては五十四年度に用地取得を完了し、工事の進捗を図っておるわけでございまして、これまで約四十五億円を投入いたしておるわけでございます。五十五年度は引き続き工事を行いますほか、万呂、橋谷地区の用地取得を進めまして、県道田辺−川上−湯浅線までの早期供用を図るべく事業を進めてまいりたい。  日置川の局改でございます。これはバイパス案を前提にして、昭和四十九年度に事業化をいたしたわけでありますが、かなりいろいろ問題があるわけでございまして、当面緊急を要する交通安全対策、防災対策という面から、やはり現道を生かした対策を選択をすべきではないかということで、現在その計画を固める作業を実施しておりまして、その計画がまとまり次第事業を行いたい、こう考えておるわけでございます。  それから那智勝浦局改でございますが、幅員の狭い既設トンネルの隘路打開を目的といたしておりまして、昭和四十八年度に着手をいたしたわけでございます。現在まで小狗子トンネルの関連の事業を主に進めてきておりまして、これまでに約十三億を投入いたしております。五十五年度は小狗子トンネル前後七百メートルを供用するほか、大狗子トンネル前後の用地買収を促進したいと考えておりまして、今後も引き続き事業の促進を図ってまいりたい、早期に供用を図りたい、こう考えております。  広角拡幅でございますが、四十八年度から事業化をいたしまして、現在までに鴻田地区の用地及び工事を進めてきておりまして、これまで約二十二億円を投入いたしておりまして、五十五年度も引き続き鴻田、橋本地区の用地取得を進めるほか、鴻田地区の六百二十メートルを供用したいと考えておりまして、引き続き未整備区間の事業を進めてまいりたい。  新熊野大橋でございますが、先ほども申し上げましたように総事業費三十一億円でございまして、五十四年五月十五日には新熊野大橋の供用を図ったところでございますが、引き続き紀宝町側の取りつけ道路の拡幅を進めてきております。現在用地交渉を鋭意進めておるわけでございますが、地権者の方々の協力が得られれば本年秋には取りつけ道路の拡幅、供用を図りたい、かように考えておるわけでございます。  第二点の国道百六十九号の奥海地区の現状でございますが、五十二年度からいまお話のございました交通不能区間の改築に関する調査に着手いたしておりまして、路線の検討、地質調査等を実施しておりますが、ちょうどこの地区は北山川沿いの吉野熊野国立公園地内を通過することになるわけでございまして、また地形も急峻であります。環境調査構造調査等を十分行った上で事業実施のための計画を策定してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  29. 井上敦

    井上(敦)委員 あわせていずれも半島南部の幹線道路整備状況についてでありますが、三百七十一号、すでにことしの夏高野龍神スカイラインが完成の予定と言われておりますが、これに直結する龍神工区の問題。さらに龍神の丹生ノ川から中辺路町に至る間、交通不能区間があります。これの見通しはどうなのか。これが一点であります。  二点目は、三百十一号、全国の三大古道の一つ指定された田辺から本宮の熊野古道の整備はかかって三百十一号の整備いかんによるわけであります。これはどうか。  それから百六十八号は紀南から五条を通して奈良、大阪、京都に抜ける幹線道路の二本のうちの一つであります。もう一本は百六十九号であります。これらのいずれも超僻地と言われるところの幹線道路整備状況について、進捗状況、今後のめどをそれぞれお聞かせいただきたいと思います。
  30. 山根孟

    山根政府委員 まず三百七十一号でございます。先生お話しのように、田辺市を起点として紀伊半島のほぼ中央部を北上いたしまして、高野町を経て橋本市におきまして一般国道二十四号に接続する国道でございます。  現在、本路線につきましては、中辺路町及び龍神村において改築事業を実施しております。中辺路町につきましては、交通不能区間解消事業としてのバイパス整備を進めておりまして、昭和五十四年度は事業費八千八百万円をもちまして改良工事を実施しております。また龍神村につきましては、有料道路高野龍神スカイラインの供用が昭和五十五年の八月に予定をされておるわけでございますが、これにあわせまして、支障のないよう現道の整備を鋭意促進をいたしております。昭和五十四年度におきましては、事業費十一億九千三百万円をもって事業を実施しておるわけでございます。昭和五十五年度におきましても両事業の継続実施を図る予定でございます。  次に、三百十一号でございます。三重県の尾鷲市を起点といたしまして、和歌山県の本宮町、中辺路町を経まして上富田町で一般国道四十二号に接続をする国道であるわけでございます。この路線におきます主要な事業といたしましては、中辺路町の滝尻、大川地区及び本宮町におきます現道拡幅及びバイパス工事でございます。  昭和五十年代に入りましてから鋭意事業を進めておるところでございまして、昭和五十四年度にはそれぞれ事業費六億三千百万円及び四億一千万円をもって工事の促進を図っておるところでございます。また、中辺路町の福定、近露地区昭和五十四年度から新たにバイパス事業に着手したところでございまして、五十五年度におきましてもそれぞれ継続実施を図る予定でございまして、この三百十一号及び三百七十一号につきましては、特に重点を置いて整備を進めているところでございます。  それから次にお話しになりました百六十八号でございます。百六十八号は新宮市から十津川沿いに北上して大和高田に至ります国道でございますが、本宮町におきまして現道拡幅による改築事業を進めておりまして、昭和五十四年度は事業費三億九千五百万円をもって用地買収、改良工事及び舗装工事を実施をいたしておりまして、昭和五十五年度におきましても、前年同様各工事の継続実施を図ってまいる予定にいたしております。  百六十九号は、新宮市を起点として北山川沿いに北上いたしまして大和高田市に参ります国道でございますが、これにつきましては北山村におきまして現道拡幅による整備を進めておりまして、昭和五十四年度は事業費七千四百万円をもって改良工事を実施し、昭和五十五年度においても前年同様に工事の促進を図ってまいりたいと考えております。  いずれもかなりな残事業がありますので、お力を得まして鋭意事業の促進を図ってまいりたい、かように考えております。
  31. 井上敦

    井上(敦)委員 終わります。
  32. 北側義一

    北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  33. 北側義一

    北側委員長 次に、公営住宅法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木間章君。
  34. 木間章

    ○木間委員 ただいまから、いま議題となっています公営住宅法の一部を改正する法律案について、意見を交えながら幾つかの質問をさせていただきたいのであります。  まず、渡辺建設大臣お尋ねをするわけでありますが、住宅基本法の今日の進捗状況はどうなっているかということであります。  健康で文化的な生活を保障するために、住宅に困っている低所得者層に安い家賃の賃貸住宅を給付しようと戦後間もなく全国の市町村で取り組まれてきましたし、また昭和二十六年に公営住宅法も制定されたのであります。自来三十年の変遷を経てまいりました。その間、住宅問題をめぐる諸課題が惹起いたしましたし、また、その都度政府におかれても国会においても、精力的にその問題に対応してきたところであります。しかし、基本的なものがないだけに場当たり的といいますか、どうしてもその場逃れの施策が中心であったろう、そういった事実は否めないのであります。  そういった意味で社会党からもまたそれぞれの政党からも、中心的な基本法的な、そして建設基準のあり方、あるいはまた公営住宅に関する中心課題を求めるべきである、こういったことで住宅基本法の制定を要請されてきましたし、また大臣委員会でもその旨の発言もされてまいったと思うのであります。しかし、今日なお提案されていないのでありますが、そのお考えがいまもなお変わらないものか、また基本法の作業がどのように進んでおるのか、ひとつ御所見を賜りたいと思うのであります。
  35. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 八〇年代の住宅政策につきましては、現在第四期住宅建設五カ年計画の策定をいたしますために、住宅宅地審議会に対しまして「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基本的体系はいかにあるべきか」ということを諮問いたしまして、御審議をいただいておるところでありまして、これと並行いたしまして、住宅基本法につきましては、その内容として、住宅政策の基本的理念、住宅建設促進のための施策の方向と住宅政策の基本的事項につきまして検討を進めていただいているところでありまして、その検討の結果を踏まえまして、住宅基本法を進めるようにいたしたいと考えておる次第でございます。
  36. 木間章

    ○木間委員 大臣の方から、いま準備作業に入っておる、こういうことでありまして、きわめて早い機会に提出されるものと期待を申し上げておきます。  そういったことで、あわせて、今年度で終わろうとしております五カ年計画も、いよいよ第四期の立案中である、こういう所見も承ったのでありますが、この基本法の骨子なり第四期住宅建設五カ年計画のことにも関連をしますので、若干基本的な問題について質疑をいたしたいと思うのであります。  まず、この作業の中で住宅不足の認識をどのように持っておいでか、お尋ねをしたいのです。それは、今年度で終わります第三期計画は順調に進んでいるという資料も見受けられるのでありますが、私は、必ずしも順調だとは言い切れない側面を持っておるだろう、こう指摘せざるを得ないのであります。全体計画では三百五十万戸、そして達成率は一〇六・八%ということですが、自力で住宅が求められない、住宅に困っている低所得者層に対する公営住宅は一体どうなのか。ここにやはり住宅政策の基本がなければならないだろうと思っておるわけであります。公営住宅の当初計画四十五万戸に対しまして達成率は七八・二%であります。公営住宅を福祉政策の一環として民生安定のためにやっておるということであれば、当然一〇〇%の達成がなされなければならない、このように判断をするわけでありますが、その公営住宅の一〇〇%に達していない実態といいますか中身といいますか、ひとつ住宅局の方での現状のとらえ方をお尋ねしたいと思うのであります。
  37. 関口洋

    ○関口政府委員 いまの第三期住宅建設五カ年計画の中で五十五年までの計画を含めましての達成率につきましては先生指摘のとおりでございますが、こういう公営住宅の建設のおくれというのは、主として大都市地域で発生しておる現象でございます。なぜおくれておるかという理由でございますけれども一つには用地取得難ということがございますし、第二は、公営住宅の建設に伴います関連公共公益施設の整備につきましての地元の公共団体との調整がおくれておる。第三に、周辺市街地の層住環境整備保全という観点からします周辺の住民の方との調整、こういうものが難航いたしておりますので、それが大都市地域での公営住宅の建設のおくれを招いている、かように考えております。
  38. 木間章

    ○木間委員 大都市での公営住宅建設が思うように進まなかった、そしてその原因は都市問題である、このように局長はお答えになっておるわけであります。確かに都市問題は大変悩みの深い問題でありまして、必ずしも建設サイドだけでは対応し切れない側面を持っておると思います。ですから政府各省庁がそれこそ一丸となって対応していかなければならない問題であろうと思いますし、本当にやる気なら私はできるだろうとまた思っておるわけであります。  それからまた住宅問題に限って申し上げてみますと、やはりいまの国と市町村との関係におきまして、土地問題については地元で取得をしなさい、こういう形で行っておるところに一つの問題があるのではないか、つまり、土地問題に対しても国の助成措置をされていかれるならばかなり進むだろう、こうも実は私は思っておるわけでありますが、そういった意味で土地取得に国庫補助の糸口を見つけ出せないものかどうか、局長のお考えをお聞きしたいと思います。
  39. 関口洋

    ○関口政府委員 現在の土地取得時に対する国の助成措置について御説明させていただきますと、昭和四十四年の法の改正によりまして土地取得費は起債対象とされております。それ以前はおっしゃるとおりの国庫補助制度があったわけでございますが、それを復活してはいかがかという御意見かと思いますけれども、起債対象としたことに伴いまして、家賃収入補助制度を設けまして地方公共団体に助成をいたしております。この家賃収入補助制度は、地方の財政負担なりあるいは入居者の家賃負担という面から地代相当額を国から補助することにいたしておりまして、四十四年以前にありました用地費補助と同様の効果を上げております。したがいまして、私どもの認識といたしましては、先ほど用地取得難ということを大都市地域で挙げましたが、これは財政措置であるよりも現実の問題である、現実にどうしたらいいのかという点が問題であるという認識でございます。  しからば、それを打開するためにはどういう方向を考えておるのかという点でございますが、先生先ほどいみじくも都市問題というふうにおっしゃいましたが、私どももやはりそういう認識で取り組んでいかなければならない、かように考えております。したがって、大都市地域での公営住宅につきましては、従来比較的立地条件に恵まれて低度の利用しか図られていない古い公営住宅の建てかえなり、あるいは再開発の一環として公営住宅も確保していく、こういう方策について真剣に取り組んでおるような次第でございます。こういう方向によって用地取得難を解消してまいりたい、かように考えております。
  40. 木間章

    ○木間委員 これからも努力をされていくということでありますが、少なくとも全国平均を見ても二・五倍の競争なのであります。大都市においてはあるいは政令都市が六・五倍とか東京都は十三・何倍とか大変な住宅不足が訴えられておる、その実態をつかんでおられるわけでありますから、たとえば大都市計画をしておったが、いろいろの立地条件がそろわなくてやむを得なかったとするならば、それらの余力を地方都市に回すことも一策ではないだろうか、このようにも考えておりますので、それらも含めてこれからの努力を期待を申し上げたいと思うのであります。  次に、賃貸住宅の中で、公営住宅、公社住宅、公団住宅等があるわけでありますが、これらの入居基準といいますか、大変不明確であろうと思っております。したがいまして、これらの振り分けについてもっとすっきりされたいと思うのでありますが、どのように感じておられるかお伺いをしたいのであります。  一つの例を申し上げてみたいと思いますが、家賃の面から見てもこれらのものは渾然となっておるのです。一番収入の低い層には公営住宅が給付されておりますし、その限度をはみ出す部分については公社ないしは公団住宅があろうと思いますが、家賃の面からいっても公営住宅はそういった意味では当然一番安くなければいけない。ところが、逆転現象が起こっておることを指摘せざるを得ないのであります。ここに東京都の家賃表を持っておりますが、これを見ておりますと、公営住宅と東京都の公社住宅との家賃が軒並みに逆転現象を起こしております。しかも、それは第一種住宅との関係においてそうでありますが、一番安くなければならない二種住宅と公社家賃との逆転現象も起こっておるわけであります。ですから、私は、仮に割り増し家賃が加算をされていきますと、低所得者層の家計に占める困窮度といいますか、大変な実態があらわれていくだろう、このように指摘せざるを得ないのでありますが、局長どのように受けとめられておるかお伺いをしたいのであります。
  41. 関口洋

    ○関口政府委員 現在のいわゆる公営、公社、公団各住宅の入居基準でございますけれども、それはいま御指摘ございましたように、まず公営住宅につきましては、住宅に困窮する低所得者に対する供給でございますので、そういう観点から所得分位の下から三分の一までの方々を対象といたしまして、それに対応した収入基準を定めております。一方、公団住宅なり公社住宅は、公営住宅に比べますと比較的上位の都市の中堅勤労者を対象として家賃を設定いたしまして、その支払いが可能な収入をもって下限の収入基準とするという考え方で整理をいたしております。  そこで、いまお話のございましたいわゆる逆転現象という問題でございますが、これはたとえば公営と公社との間について生じておるのではないかという御指摘かと思います。実はそれにつきましては家賃改定についての問題が原因をなしておるわけでございまして、公営住宅につきましては法律上明白に家賃を改定していくという根拠規定がございまして、それに従いまして必要に応じて家賃の改定をいたしてきておるわけでございますが、公社住宅につきましては、いわゆる維持修繕費等のランニングコストの上昇分だけを家賃改定として計上するということになっておりますので、地価あるいは建築費が上昇する場合に公社住宅の家賃が公営住宅の家賃より低くなるという現象が生ずることは制度面からもうかがえる現象でございます。  しかしながら、これらの事象は、先ほど申しましたように公社住宅の家賃が低額所得者を対象とします公営住宅の家賃より低くなることは好ましくないと私ども考えておりまして、現在、これら家賃変更の問題を含めまして公的賃貸住宅等の家賃制度全般のあり方につきまして住宅宅地審議会でせっかく御審議をお願いしておりますので、その審議結果を踏まえまして制度改善検討してまいりたい、かように考えております。
  42. 木間章

    ○木間委員 局長、そうではないのですよ。と申し上げますのは、本来公営住宅の家賃をどうやって決めるのが原則なのかということについて意見交換をしてみたいと思いますが、公営住宅法本来の法体系は建設原価にその家賃を求めておるのであります。公営住宅法第十二条第一項で、家賃は国庫補助等を控除した工事費を償還年限等で割り返した額を超えないことを明記しておるのであります。そしてまた、十三条第三項では、家賃の変更については第十二条一項に規定する額を限度とする、このようになっておるのであります。ところが最近は家賃がどんどん値上がりをしておる。この傾向は、その後の政令改正でこの工事費の限度額の枠をどんどん外してきたからにほかならないと言わざるを得ないのであります。昭和四十四年に法改正が行われまして、「「工事費」とあるのは、「建設大臣が定める方法で算出した推定再建築費」」と読みかえられております。そして、しかも家賃の変更基準は毎年九月に建設大臣が定めるものとされておる。ここに大きな家賃上昇の原因があったろうと私は指摘せざるを得ないのであります。  確かに物価は変動してきております。大変残念なことでありますが、その間政府それなりに手だてはされておったと思いますが、特にその中で土地問題は異常であったろうと思います。しかし、極論かもしれませんけれども、物価問題を入居者に転嫁をすることは許されないと思います。家賃で負担をしてもらおう、私はとんでもないことだと申し上げざるを得ないのであります。  そしてまた、この前、沿道整備法の集中審議のときにも指摘を申し上げたのでありますが、きわめて重要な、根幹的な金額決定を政令で扱うというのは、私は許されてはいけないと思うのであります。やはり、値上げをしなければならない情勢が起こったら起こったで、委員会で集中的に審議を行い、そして値上がりの原因も究明をしながら、その対応策を求めていくというのが本来のあり方であろうと思うわけです。  ですから、私もにわか勉強で大変不見識でありますが、わかったようなわからないようなこの推定再建築費主義というのは、やはり大きな今日的な原因を持っておりますし、いま東京都の公営住宅条例を見ておりましても、最近条文改正をされまして、国の基準に準拠しております。ですから、こういった珍現象が起こってくるのであろう。ただいま局長の御答弁をお聞きしておりますと、公営住宅の家賃決定はむしろ正しいんだ、そして、逆に公社住宅なり公団住宅に問題があるんだという意味の御発言があったので、きわめて残念だと思うわけでありますが、私は、そういった意味で、いまの家賃決定のあり方についてもっと真剣に考えてみるべきときなのじゃないだろうか、このように指摘せざるを得ないのであります。ひとつ局長のお考えをお尋ねします。
  43. 関口洋

    ○関口政府委員 まず、公営住宅の家賃は国の補助によりまして低廉なものとなっておりますが、建設当初に定められた家賃のまま据え置いておきますと、いま先生指摘のとおりに、物価が上昇した場合には、当該家賃ではまず適切な維持、修繕もできなくなるという問題が一つ発生をいたします。     〔委員長退席、竹内(猛)委員長代理着席〕  それから第二に、いわば新しく建設される公営住宅の家賃に比較いたしまして、据え置いておきますと著しく低額にとどまることになりまして、仮にその間の住宅の効用減ということを考慮するといたしましても、同一階層の低所得者に対する家賃という面で新旧間に格差があるということは、はなはだしく公平を欠くことになるのではないか、かように私どもは考えておるような次第でございます。  そういうわけで、こういう公平さを欠くという状態を是正するということを公営住宅の家賃について行っておるわけでございまして、決して値上げをするだけが目的ではないということにつきまして御理解を賜りたい、かように考えております。
  44. 木間章

    ○木間委員 確かに公平か公平でないかというのは最近の国民の重要な関心事でもあるわけです。ですから、私は、この物価の値上がりをただ黙ってといいますか、旧態依然たる家賃でこれからもいくべきであろうということを言っておるのではありません。やはりそういった状況が生まれてくれば、委員会委員の皆さんの意見も率直に聞いていく、そして建設省のお考えも出していただく、そういった中でお互いに対応をされていかなければならないと申し上げておるのであります。政令大臣権限でおやりになるというのは、行政当局がひとりでどんどこどんどこ歩いていく、極論かもしれませんが、こう言わざるを得ないのであります。したがいまして、そういった建設工事費を中心にして決めていくのか、あるいは新しい推定再建築費でいくのか、ここに私なりの意見を先ほどから申し上げておるところでありまして、ぜひそういった意味での認識も賜りたい、こう思っておるところであります。  いずれにいたしましても、一番安くなければならない公営住宅の、しかも第二種住宅が公社、公団の家賃よりも高い、割り増し料を含めない本来の月額家賃がすでに高くなっておるというところに私はゆゆしき問題があると思うのです。ですから、できれば土地の取得費も、後々交付するのではなくて、その都度やっていくべきであろうということを冒頭申し上げてまいったわけでありますから、そういった意味でのこれからの御検討もお願いを申し上げたいと思うのであります。  次に申し上げたいのは、低所得者層のために給付されておる公営住宅の中に、さらに一種、二種の区分がなされておるのであります。この一種、二種を見た場合でも、建設助成に対して、あるいは三分の二、二分の一という国庫補助の莫大な差異が生じておりますが、こういったものは外すべきではないだろうか、あるいはもっと広い住宅を欲しい、こういった国民のニーズからいっても、その一種住宅、二種住宅は、中身においては私はそう差異はないと思っておりますが、こういった問題についての局長のお考えをお尋ねしたいと思うのであります。
  45. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅の一種と二種の区分は、ただいま先生指摘の国庫補助率でまず差がございます。一種は二分の一、二種は三分の二でございますが、ただいま先生の方から規模につきましてはどうなっておるのかというお尋ねがあったかと思いますのでお答えさせていただきますと、五十五年供給分の中層耐火について例を引きますと、一種は七十平米、二種は六十六・七平米でございまして、若干の差はございますけれども、そう大きな差はございません。  そこで、一種と二種の区別を外すべきではないかという御意見かと思いますが、これにつきましては、実は公営住宅そのものが低額所得者を対象とすることは先ほど来御説明しておるとおりでございますけれども、一種と二種につきましてはその収入基準を変えております。     〔竹内(猛)委員長代理退席、委員長着席〕 どちらかと言えば、二種の方が一種よりもさらに低い収入階層の方に入っていただくという立て方をしておるわけでございますが、これらを外したらどうかという点につきましては、今後の公営住宅の果たすべき役割りというものと密接に関連がございますので、現在住宅宅地審議会に諮問をして御検討をお願いしております「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基本的体系はいかにあるべきか」という課題の中の一つとして十分検討をさせていただきたい、かように考えております。
  46. 木間章

    ○木間委員 この件に関しましては、市町村でも外してもらいたいという要望が出ておるはずでありますし、先般住宅団地の自治会の皆さんともお会いをしたのでありますが、異口同音に言っておいでるわけであります。というのは、収入の基準におきましても、若干残業等をしますと直ちに一種、二種の異動が出てまいってきておりますし、また先ほど局長からお答えいただきましたように、坪数におきましてもほとんど差異がない、こういった状況であるわけですから、ぜひ基本法なりあるいは第四期計画立案の作業の中で十分に御論議をいただきたい課題でもあるわけであります。  では次に移らせていただきます。  今度の一部改正法は、公営住宅にも単身者の入居をやっていこう、いわゆる門戸を開いていこうということであるわけであります。そこで、厚生省の方がお見えになっておると思いますが、現状のひとり暮らしの老人対策についてどういった処置等がなされておるのか、お尋ねをしたいと思うのであります。
  47. 大西孝夫

    ○大西説明員 お答えをいたします。  現在厚生省におきましては、ひとり暮らし老人に対しまして、一つには家庭奉仕員、いわゆるホームヘルパーの派遣を行っております。それからいま一つ、似たものでございますが、介護人と申しまして、主婦等のボランティアの方に登録をいただきまして、近くに住むひとり暮らしの老人が一時的に病気等になった場合に、三、三日めんどうを見ていただくという趣旨の介護人の派遣制度がございます。また一つには、安否の確認等のための福祉電話の設置ということを行っております。  なお、そのほか、ひとり暮らしの老人でも非常に体が弱っているという方のために、日常生活用具と申しまして、特殊ベッドでありますとか便器でありますとか、そういう日常生活用の特殊な器具の貸与ないし給与をする事業も行っております。
  48. 木間章

    ○木間委員 そこで、いま少し細部にわたってお尋ねを申し上げたいのであります。  ホームヘルパーの制度も、国民の私たちの生活の中にはなじまれてきた制度でありますが、しかし最近の市町村の窓口の皆さんのお話を聞きますと、このホームヘルパーの制度に大変悩みが多いんだということが訴えられております。先般、私の出身であります高岡市にもお伺いをしてまいりました。最近特にホームヘルパーのなり手がない、後補充がきかないということを切実に訴えられております。それは仕事がお年寄り相手という特殊の性格も持っておるでしょうし、それからまた、仮にお年寄りの身の回りを、あるいは話し相手をするのが大変好きだとおっしゃっておっても、経済状況その他でなかなかやっていけないという悩みがホームヘルパー御本人からも出ておるわけであります。そこで、ホームヘルパーの国からの助成措置がどうなっておるのか、そして保険制度や年金制度や退職金制度がどうなっておるのか、そういったものについての厚生省のただいまの実情をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  49. 大西孝夫

    ○大西説明員 お答えをいたします。  まず家庭奉仕員事業は、基本的にその事業の位置づけといたしまして、市町村の固有事務という位置づけをいたしております関係で、その市町村独自の、いわゆる職員として採用している場合と市町村社会福祉協議会等に委託している場合とございます。この両者の形態があり得るわけでありますが、その際の勤務形態等につきましては、常勤の職員のところもありますし、非常勤、それからいわゆる嘱託、賃金職員というように、勤務形態は非常にまちまちになっております。これらに対します国の助成事業といたしましては、年々、給与の改定等は行ってきておるわけでありますが、五十五年度におきましては、年収でございますが、年額で百十六万六千四百円ということになっております。  今後とも、この助成額の引き上げには鋭意努力をしてまいる考えでございますが、御指摘のように、ホームヘルパーになり手が少なくなってきた、あるいは所によっては回転が非常に速いということで、私ども、この問題を非常に深刻に受けとめておりますし、今後このヘルパー制度の充実に鋭意努める考えでございます。
  50. 木間章

    ○木間委員 もう一遍申し上げてみたいのでありますが、先ほど課長がおっしゃられたように年額百十六万六千四百円、月平均にいたしますと、十万円を切れておるわけであります。高岡市の話ですと、そのほかに、正規職員に見合ったというのもなんでありますが、夏、年末に一時金も出してあげたい、あるいは退職されるときには退職金も一般職員並みとはいかぬけれども、何とかしてあげたい、そういった努力をされておるようでありますが、これはしょせん市町村負担になっていくわけであります。また、保険制度もされておりません。高岡市の場合は社会福祉協議会の雇い人ということでなっておるわけでありますから、身分にも大変不安定要素を持っておるわけであります。ですから、これらの福祉施策のいまさらながらの低さにお互いにびっくりするわけでありますが、いよいよ公営住宅も単身入居、六十歳以上のお年寄りも入れていこうということになってまいりますと、きわめて重要なかぎを握っておるのがこの福祉施策であろうと思うのであります。また、介護人の制度やあるいは福祉電話、また福祉ベルというのも各市町村のアイデアでやられておりますが、しかしこれとて、近隣のといいますか、コミュニティー的な連係がないとなかなか達成できない大変な事業の中身も持っておるわけでありますから、そういった問題についてもこれから十分な対応をお願いしたいと思うのであります。  それから、建設省にお伺いをするわけでありますが、住宅監理員とか管理人とかいう制度があるやにお聞きするわけでありますが、この管理人なり監理員なりの制度について、まずお尋ねをしたいと思うのであります。
  51. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅監理員制度は、公営住宅法の二十三条に規定されておりまして、条文をそのまま読み上げますと、「事業主体は、公営住宅及び共同施設の管理に関する事務をつかさどり、公営住宅及びその環境を良好な状態に維持するよう入居者に必要な指導を与えるために公営住宅監理員を置かなければならない。」二項で「公営住宅監理員は、事業主体の長がその職員のうちから命ずる。」こういう制度になっております。
  52. 木間章

    ○木間委員 いま局長から御答弁いただいたように、監理員は市町村の職員が、つまり住宅課の職員が担当されておるわけであります。そこで、市町村が管轄されております公営住宅の全体の管理を行うわけでありますが、なかなか少数の職員で全体の対応ができない現状があります。そこで勢い、各団地ごとに管理人というのを市町村は委嘱をしてやっております。この管理人も最近はそれぞれが勤務を別に持っておる、そういった中での業務でありますから、これもまたなかなかなり手がないという現状であります。たしか国の財政処置として月千五百円の助成がされておりますが、五十五年度値上がりをして千五百円であります。私は先ほどからホームヘルパーの問題にいたしましても、財政問題を出すわけでありますが、お金がすべてを解決するものではないことは申し上げるまでもないと思いますが、そういった管理人についてもなかなかなり手がない。いよいよ門戸を開いていこうということになりますと、これらのホームヘルパーの皆さんやあるいは管理人の皆さんの果たす役割りは新たに付加されていきますから、大変重要な任務になっていこうということでありますから、ぜひそういった対応をお願いをしたいと思っております。  次に移らしていただきます。  五十歳以上の単身女性を入れたいということであります。この五十歳の年齢制限を考えられておる、その根拠があればひとつお聞かせ願いたいと思いますし、できれば四十五歳まで下げてはどうか。すでにそういった陳情なり意見等も出されておるわけでありますから、それらについてお尋ねをしたいと思いますし、あわせて、単身女性ということでありますが、男は、だめなのか、こういったことについてもひとつお聞かせを願いたいと思うのであります。
  53. 関口洋

    ○関口政府委員 単身入居に当たりまして、女性につきまして五十歳といたしました理由は、あるいは本来の考え方からしますと、老人を六十歳以上といたしておりますので、それと同じ扱いをすればいいのじゃないかという点に議論もあろうかと思いまして、私どももいろいろ検討をいたしましたが、女子につきましては、今回の第二次世界大戦によりまして、結婚対象の男子を数多く失った結果、余儀なく独身生活を送らされてきたという御主張が背景にございますので、そういう社会的事情を考慮いたしまして、年齢を逆算いたしますと、ちょうど終戦時十五歳以上の方を考えれば、こういう御主張に対してお答えできる、かように考えまして、それから三十五年を足して五十歳ということにさしていただいたわけでございます。そうしますと、今度は、いま先生お話しのとおり、もうちょっと下げて四十五歳までという御要望がございますけれども、私どもといたしましては、いろいろ慎重に考慮した結果でございますので、当面これでスタートをさしていただきたい、かように考えておるような次第でございます。  なお、それならば今度は男子について何かもう一遍配慮を払うべきではないかといういま御意見がございまして、あるいは勤労青少年のことを先生念頭に置いて言われたのではないかと思いますので、その点について答弁をさしていただきますと、勤労青少年につきまして、特段の配慮をという声が過去においてあったことは事実でございます。今回の法の改正に当たりまして、私どもその点もいろいろと検討したわけでございますが、これは一般的に申し上げまして、いわゆる若い単身の方は比較的入居には恵まれております。それからまた、勤労青少年の方はいずれ結婚をされまして世帯を持たれれば、そのときに公営住宅の入居資格があれば入っていただけばよろしいわけでございますので、特段に勤労青少年を対象として今回考える必要はなかろうというふうに考えております。  なお、念のため申し添えておきますと、公団住宅につきましては、従来から勤労青少年の方もお入りいただくいわゆる独身寮をつくっておりますので、公団の方がそういう役割りを担っておりますので、その辺も考えまして、勤労青少年は検討の対象から外した、こういう経緯がございます。
  54. 木間章

    ○木間委員 制度がこれから始まろうとするわけでありますから、五十歳以下の女性単身者も入れたい、四十五歳にという御意見も申し上げたわけでありますが、これから実行に移されまして、その事業の推移を見ながら、将来に向けて御検討いただきたいと思うのであります。  次に、身体障害者の受け入れの問題についてお尋ねしたいと思います。  身体障害者にもいろいろの方々がおいでになるわけでありますが、特に車いす利用方々がたくさんこれまたおいでになるわけであります。車いすの方々を入れる場合に、いまの住宅構造ではなかなか困難ではないだろうか、受け入れのための改善の対応も出てくるだろうと思いますが、そういったものに対する決意をひとつお聞かせ願いたいことと、それから平家建ての住宅であれば懸念も少ないわけでありますが、中層くらいになりますと、これら身体障害者の方々を三階、四階に入っていただくというのも実情なかなか忍びないのでありますが、そういったものについてのお考えをお聞かせ願えれば、こう思っております。
  55. 関口洋

    ○関口政府委員 私ども、身体障害者の方を含めまして、従来、単身世帯でない、通常の世帯でございますが、世帯を形成しておられる方につきましては、特定目的公営住宅ということで供給してきた実績がございます。そういう経験を踏まえて、いま先生指摘の、車いすの方たちのためにどういう措置を講じたらいいのだろうかという点につきまして、考え方を申し述べますと、屋外スロープであるとか、便所、浴室への手すり、それから玄関のドアを引き違いドアにした方がいいというような経験を積んでおりますので、こういうものを生かして所要の改善措置を行った上で入居していただけるように、いろいろこれから検討を進めてまいりたい、かように考えております。  それから、いわゆる鉄筋の集合住宅の場合、できるだけ一階の方へという御指摘につきましては、私どももそういうふうな考え方で各事業主体協議をいたしております。
  56. 木間章

    ○木間委員 要望しておきますが、特にいま門戸を開こうとしておるお年寄りの方あるいは身体障害者の方は、一般の民間アパートからはその都度はみ出される大変弱い立場に立っておられたと思います。ですから、公共の場でこれらの方々に手を伸べるということは私はむしろ遅きに失した、こう申し上げておるわけでありますが、これからの希望は多いだろうと思いますから、ぜひ、いま局長おっしゃられたように、対応をひとつお願いをしたいと思います。  そこで、集合住宅の場合のいま一つ考え方を申し上げてみたいと思います。  中高層の場合に、私も当初不勉強でありましたが、その一棟全部があるいは一種住宅か二種住宅かということになっておるようであります。いま単身者を二種住宅に入れていこうということにお考えのようでありますが、そうしてまいりますと、四階建ての一棟全体がそういった方々のために開放されることになるわけであります。  そこで、先般も団地自治会の皆さんといろいろ意見交換をしておったのでありますが、自治会側からいっても、そういった形のむねができ上がると、大変対応に苦慮をすると言われております。つまり社会構成は、お年寄りもおいでになれば若い人もおいでになる、あるいは身体障害者もおいでになれば普通の方もおいでになる、そういったのが今日の地域社会づくりであろう。ところが、その一むね、何戸になりますかわかりませんが、全部がそういった方々で占められると、大変対応が困難だ。特に、先ほど福祉政策でも申し上げたのでありますが、たとえば愛の一声運動というのが最近盛んに行われております。正常な方が、朝夕の通勤の合間にお隣のおばあちゃんのところへひょいと顔を出して、元気ですかという一声をかけていく。これは、そのむねにいろいろの方々が住んでおられて初めてできるわけでありますが、三階のある部屋にお年寄りがひとり静かに暮らしておいでになる、三階全部がそうなっておる、こうなっておりますと、お互いに声をかけようにもなかなかできない。最近の新聞紙上にも、大変悲惨な事例が出ております。  ですから、せっかく建設省がおやりになるこれらの事業にそういったことが起こると、私は、仏つくって魂入れず、こう言わざるを得ないのでありまして、むしろ、最近おやりになっておりますこの二種住宅の住戸改善事業といいますか、これらもこれから取り入れていただいて、たとえば身体障害者の方は一階に入っていただく、お年寄りは二階に入っていただく、三階、四階は普通世帯を入れていく、こういったような手だてが必要でないだろうか、私はこう実は考えております。局長のお考えをお尋ねしたいのであります。
  57. 関口洋

    ○関口政府委員 非常に貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。私どもが各事業主体と御相談しております過程の中でも、いま先生が御指摘のようなことは指摘を受けております。  そこで、いわば中高層の集合住宅、これを全部単身向けに充てるのではなくて、一、二階をそういう身体障害者あるいはお年寄りの方に充てていただき、三、四階は、これは当面二K以下の狭いものを予定しておるものでございますから、世帯向けには御不自由をおかけしますので、それはおっしゃるとおりの住戸改善事業によって上の方は改善する、こういうことを考えまして、いわゆる団地全体あるいは一むね全体として単身者と一般世帯のバランスのとれた、俗に言う良好なコミュニティーを形成するように十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  58. 木間章

    ○木間委員 それでは、最後に大臣にお願いを申しておきたいと思いますが、今度の法改正で、単身のお年寄りあるいは身体障害者、そして五十歳以上の御婦人の方々に門戸を開こう、私も、大変喜ばれる制度であろう、こう思っておりますが、この事業が完成をされていくという舞台裏には、建設サイドの御努力もさることながら、厚生サイド、福祉サイドの御努力、協力もなければならない、このように先ほどの幾つかの中でお互いに確認をしてきたところであります。ですから、これらがより定着されるように、国民の皆さんから喜ばれるようになっていくには、ぜひ両省の御協力がなければならないと思うのであります。そこで、建設省は厚生省とより以上に連絡を密にしていただきまして、この事業達成のために前向きで進んでもらいたいと思いますが、建設大臣の決意をひとつお伺いして、終わらせていただきたいと思うのであります。
  59. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 大変御理解のある御意見を拝聴いたしまして、非常に感銘をいたしておりますが、公営住宅への単身者入居を実施するに当たりましては、厚生省とも密接に連絡をいたしまして、よく協議をいたしてきたところでございますけれども、老人、身体障害者等が疾病等によりまして、日常生活に支障が生じ、また介護が必要というような場合におきましては、厚生行政の担当部局の対処が必要となってまいりまして、入居後の管理につきましても、今後十分な連絡調整を図りまして、万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  60. 木間章

    ○木間委員 終わります。どうもありがとうございました。
  61. 北側義一

    北側委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————    午後一時九分開議
  62. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公営住宅法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として雇用促進事業団理事水谷剛藏君に御出席を願い、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  64. 北側義一

    北側委員長 質疑を続行いたします。井上泉君。
  65. 井上泉

    井上(泉)委員 いま雇用促進事業団の方においでを願っておるわけですが、雇用促進事業団の建てる建物はどういう範疇に属するものか。住宅の区分で民営か公営か。
  66. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅ではございませんで、私どもの五カ年計画の分類上は公営、公庫、公団、それと並ぶ政府施策のその他の住宅の範疇に入る、かように考えております。
  67. 井上泉

    井上(泉)委員 その他の施策に入る住宅といっても、やはり住宅には区分があるでしょう。その他の住宅というのはないんでしょう、住宅の区分というものは。それならこの規制は、監督官庁といいますか、監督するのはどこがやっていますか。
  68. 関口洋

    ○関口政府委員 雇用促進事業団の監督官庁は労働省でございますので、労働省の方でお願いしております。
  69. 井上泉

    井上(泉)委員 その場合に、雇用促進事業団がやる住宅が、五十五年度の計画では五千戸、それは三DKである、こういうことでこれもこの住宅建設五カ年計画の一環として建設を行ってきておるということになれば、やはり国が定めた五カ年計画の中の一つであると同時に、この資金は国の貸し金であるということから考えれば、これは公営に準ずる住宅ではないか。  それと同時に、建設計画については建設省がこれをどうするかということについての検討作業を行っている、第三期住宅建設計画の結論等を勘案しながら検討することとしていると、一体これはいま建設省が何を検討しているのか。労働省の管理であるのになぜ雇用促進事業団の住宅を建設省検討して五千戸というものに決めたのか、その辺はどうですか。
  70. 関口洋

    ○関口政府委員 ただいま申し上げました政府施策住宅のうちのその他の住宅には、正確に申し上げますと厚生年金の住宅であるとか、いまお話のございました雇用促進住宅、あるいは建設省、私どもで行っております農地所有者等賃貸住宅、特定賃貸住宅等があるわけでございまして、これらを含めて五カ年計画の中でその他の住宅ということで位置づけておるわけでございます。したがいまして、検討しておりますことは、先ほど来申し上げておりますように、今後の公的住宅のあり方につきまして私どもの方で検討しておりますので、その結果を待ちまして改めて関係省庁と御相談をして次期五カ年計画の策定に入っていきたい、こういうことを申し上げたわけでございます。
  71. 井上泉

    井上(泉)委員 そうすると、雇用促進事業団の住宅というのは、分類としてはその他と書いてあるけれども、公営住宅の範疇に属するということには間違いないのじゃないのかね。
  72. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅と申しますのは、先生御案内のとおりに、公営住宅法による住宅でございます。そういう意味で公営住宅ではございません、いわゆる一般的な言葉で申しますと、公的住宅という中に含まれておる、こういう関係に相なっております。
  73. 井上泉

    井上(泉)委員 そうすると、事業団の家賃とかいうようなものは、事業団が独自に決めるのですか。
  74. 野見山眞之

    ○野見山説明員 お答えいたします。  雇用促進住宅の家賃につきましては、工事費を基礎にいたしまして修繕費、管理費その他の経費を含めまして家賃を算定いたしておるわけでございまして、一般的には第二種公営住宅の家賃の水準にほぼ匹敵するものと考えております。
  75. 井上泉

    井上(泉)委員 その雇用促進事業団の現在の住宅戸数というものはどれぐらいになっておって、どれぐらいの家賃を徴収しておるのか、その辺を明らかにしていただきたいのですけれども
  76. 野見山眞之

    ○野見山説明員 お答えいたします。  雇用促進住宅の現在までの建設戸数は十一万七千四百十六戸でございまして、五十五年度につきましては五千戸を予定いたしております。  それから、家賃収入でございますが、五十三年度、これは決算ベースでございますが約八十億円、五十四年度の見込み約百億円になっております。また、家賃でございますが、種類によって違いますけれども、二Kの場合が家賃三千六百円から九千七百円、二DKの場合が八千円から一万八千円、三DKの場合が一万三千九百円から一万九千七百円、以上のとおりでございます。
  77. 井上泉

    井上(泉)委員 雇用促進事業団の住宅への入居者の資格、そしてまた促進住宅の建設地、どういうところに建てるのか、そういう点について、雇用事業団せっかく来ていただいておるのですから、水谷理事から御答弁願いたいと思います。
  78. 水谷剛藏

    ○水谷参考人 お答えいたします。  雇用促進住宅の入居基準でございますが、第一には移転就職者であることということになっております。ただ、実際にはその後いろいろな変動もございまして、移転就職者その他の労働者であることというのが一つの条件になっております。したがって、この場合にはむしろ労働者であることというのがかなりシビアに解されておりまして、次の第二の、住宅に困窮していることという場合も、労働者である場合にはかなり弾力的に移転就職者の方は考えられるというようになっております。それからもう一つの条件は、同居の親族を有することということになっております。これも一般的な基準でございまして、最近では内部の運営基準など多少変えまして、単身者についても多少の道を開いております。それから、雇用期間が著しく短くないこと、つまり日雇いの方々ではないということが一つの条件になっております。  大体そのようなことが入居基準でございますが、そのほかに、当然のことでございますが家賃の支払い能力があることとか、あるいは入居に当たりましては確実な連帯保証人を有することというようなことになっております。  それから、どういうところに建設するかということでございますが、建設市町村までの決定は原則として労働省でいたしておりますが、これは当該地域の労働力の需給状況あるいはこの住宅の本来の趣旨である移転就職者用宿舎ということからいたしますと、移転して就職する労働者がよりよけい多くいるような地域であることというようなことになっておるかと思います。さらにこの場合も、当然のことですが、住宅困窮の状況とかそういうことも多少加味されて建設市町村が決められるということになっております。  次に、当該市町村内でどの土地に決定するかということになりますと、当該市町村と事業団の方と協議いたしまして、土地の入手の状況とかその他を勘案の上、建設地を決定するというような段取りでいたしております。  以上でございます。
  79. 井上泉

    井上(泉)委員 私は雇用促進事業団の理事長に出席を求めてあったわけですが、そこで十時ごろに雇用促進事業団に電話したところが、外で会があっていないと言う。それなら副理事長はどうかと言うと、副理事長も一緒に行って、会が終わってから国会の方へ呼ばれておるから国会の方へ回る、こういうことでした。私は質問事項で打ち合わせをしようと思って電話したけれどもそういう答えであったのですが、きょうここに、これは理事で見えられておるわけですが、理事長はどうして来られないか、まことに不都合千万だと思うのですが、そういう外で会があってと言う。十時十五分ですから、本来ならば何ぼ遅い役人でも十時十五分には来ておるわけですが、どうもでたらめじゃないか。そう思うわけですが、なぜ理事長きょうは来なかったのですか。
  80. 水谷剛藏

    ○水谷参考人 大変申しわけございませんが、理事長はよんどころない用事で来られないという事情を承ってまいったわけでございます。それで私に出席するようにということで、雇用促進住宅に関しては担当理事でございますので出席さしていただいたわけでございます。
  81. 井上泉

    井上(泉)委員 担当理事といっても、それなら担当理事が来れないときは担当職員が来たらいいということになるじゃないですか。同じことじゃないか。よんどころない用事というのは守秘事項ですか。どういう会があって出ておるということを言えない会ですか、よんどころない会というのは。
  82. 水谷剛藏

    ○水谷参考人 大変申しわけございませんが、私が聞いておらないということでございます。
  83. 井上泉

    井上(泉)委員 これは建設省が管轄じゃないですけれども、大体雇用促進事業団というものがこういう住宅建設をやっておるのだから、私は公営住宅法改正に当たっては、やはり審議の過程というものも承知してもらいたい。だからそういうことも含めて事業団の理事長を呼んでおるわけだ。そういう点でも、理事長が出席せずに、そしてまたいま私は聞いてないというようなことでは済まされない。私は理事長を呼んでおる。この委員会理事長が出席するのを労働省の所管だからというようなことで横着決め込んで出てこぬというふうなことなら、これはまた次の機会にお聞きをしたいわけですが、住宅建設というものについては、私が資料を要求したときでも、こういうことで建設省検討作業を行っておるというから、だから雇用催促事業団の住宅建設については建設省が一番責任がある。責任がある以上は、私は今日この行政機構改革の中で、こういう雇用促進事業団の住宅建設というようなものは——建設省の所管の中で宅地開発公団とかあるいは住宅公団を合併をしてやるというようなことを言われておったのですが、そういうこともあわせて考えたらどうだろう、こういうように思うわけですが、大臣どうですか。
  84. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 やはり緊密な連絡をとって、整合性を持って進めるべきであろうと思っております。
  85. 井上泉

    井上(泉)委員 緊密な連絡をとることはいいですけれども、そういうふうなことをあっちでも住宅をやり、こっちでも住宅をやる。ひとつ住宅建設については建設省の所管の中へ移すようなことも行政改革の一環じゃないかと思うわけですが、これは大臣遠慮して、他省のことだからといって遠慮した気持ちでお話ししているのでしょうか、ひとつ率直な御見解を承りたいと思います。
  86. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 遠慮しておるわけじゃございませんが、それぞれの所管もあり、また予算も抱えておるわけでございますから、それぞれの立場で住宅の促進は図っていかねばなりませんけれども、その間におのずから当然緊密な連絡を図り、なお政策としての整合性は保つべきである。かように考えております。別に遠慮いたしておるわけではございません。
  87. 井上泉

    井上(泉)委員 雇用促進事業団は帰って結構です。私が出席を要求した方が来てないので非常に憤慨にたえぬわけですけれども、また別になにしますから。大体こういう特殊法人の管理者というものは、自分は安住をしておるかち誠意がなさ過ぎる。  そこで住宅局長お尋ねをするわけですが、その他の住宅を含めて、準公営的な住宅を含めますと、いま日本の住宅はどれくらいあるのでしょうか。わかっておれば——わかってなければ、また次の機会に。
  88. 関口洋

    ○関口政府委員 ストックの状況といたしまして、いまその他の住宅がどのくらいあるのか手元に資料を持ち合わせておりませんので、早急に調べまして御返事をさせていただきたいと思います。
  89. 井上泉

    井上(泉)委員 いま雇用促進事業団の住宅の家賃も聞いたわけです。公団住宅の家賃その他あるわけですが、大体公営住宅法では「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸すること」これが一番の目的です。そうすると家賃というものは非常に大事ですが、家賃を決定する原則、基本というものがなければいかぬわけです。何を家賃決定の原則としておるのか、その点をまず承りたい。
  90. 関口洋

    ○関口政府委員 家賃の決定につきましては、公営住宅法第十二条の規定によりまして、当該公営住宅の工事費をベースといたしまして、以下「修繕費、管理事務費、損害保険料及び地代」これらのものを総合して決めるということに相なっております。
  91. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことは、個別でそれぞれの原価というものがわかるのですから、つまり原価主義、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  92. 関口洋

    ○関口政府委員 当初の家賃決定では原価主義で行っておる、かように御理解いただいて結構でございます。
  93. 井上泉

    井上(泉)委員 原価を算定するに当たって、国庫補助率というのは原価の中に入れておるのですか、のけておるのですか。これは当然のけるべきだと思うのです。
  94. 関口洋

    ○関口政府委員 国庫補助金は原価の中から控除いたしております。いわば国庫補助を受けたもの以外のもの、これを原価として計算いたしております。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 家賃を決定するに当たって推定再建築費というようなことを政令でなにしておるのですけれども、こういうことを推定再建築費ということでやると、家賃をだんだん上げていくようなことになるのです。これは原価主義と相反した行為じゃないですか。
  96. 関口洋

    ○関口政府委員 家賃の変更につきましては十三条で規定されておりまして、「物価の変動に伴い家賃を変更する必要があると認めるとき。」第二号で「公営住宅相互の間における家賃の均衡上必要があると認めるとき。」第三に「公営住宅について改良を施したとき。」こういうときに家賃の変更ができるという仕組みに相なっております。これはいわば変更に当たりまして、「第十二条第一項に規定する限度をこえて家賃を定め又は変更しようとするときは、公聴会を開いて利害関係人及び学識経験のある者の意見を聞いたうえ、建設大臣の承認を得なければならない。」というのが二項でございますが、三項でもって「建設大臣政令で定めるところにより住宅宅地審議会の意見を聞き建築物価の変動を考慮して地域別に定める率を当該公営住宅の工事費に乗じて得た額を」云々ということで、この場合にはいわゆる公聴会等が省略される、こういう立て方になっております。
  97. 井上泉

    井上(泉)委員 なるほどこの十三条ではそういうことを書いてあるのですけれども、そのことは、最初局長が言われた家賃の原価主義というものから今度は抜け道をここでつくったわけでしょう。もとの原価主義に徹した場合には、物価が上がったからといってこんなに家賃を変えるとか、そう簡単に変えられるものじゃないじゃないですか。
  98. 関口洋

    ○関口政府委員 先ほども木間先生に御答弁申し上げましたとおりに、公営住宅の入居階層は法定されておりまして、それぞれの収入限度でもって決めるということに相なっております。そういう同じ階層の人が、たまたま古い家に住んでおるために、新しくできた公営住宅に入られる方よりも非常に低い家賃で入れるということは、先ほど申しましたように不公平感を醸成しますので、公平感を保持する上からこういう家賃の変更は必要である、かように考えておるような次第でございます。
  99. 井上泉

    井上(泉)委員 それではこれの解釈のしようによっては、家賃の変更というものも、自治体がひとり歩きして、おれのところの公営住宅はこれぐらいの家賃にする、こうするというふうに勝手に家賃を操作するようなことにいま現在の状況はなっておりはせぬですか。
  100. 関口洋

    ○関口政府委員 自治体が御自分の意見だけで家賃の変更をするということはふさわしくないわけでございますので、まさにそういう意味で公営住宅法第十三条の規定があるわけでございます。  これが公営住宅法規定でございますが、一方、公営住宅の使用料につきましては、大体条例でお決めになっておる公共団体が多うございまして、公営住宅法とは別の体系になりますけれども、条例の変更ということでそれぞれの議会でも御審議いただいて、それで適正なものになるように担保しておる、かように考えております。
  101. 井上泉

    井上(泉)委員 それはもちろん自治体ですから、条例をつくって家賃を定めるのは当然のことですけれども、条例で定めたから家賃を上げてよろしいということには、公営住宅法の本来の精神からいってならないのだと思うのです。やはり家賃というもののあり方をもっと国の方で定めなければいかぬ。こういうふうに政令にゆだねるとか、事業主体の意思、その解釈によって家賃が動かされるというようなことのないように、もっと法的にこれをくくるというようなことを考える必要はないでしょうか。
  102. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅は過去長い間にわたってつくられてきておりますし、またこれからも各年度ごとに相当数の供給をしていくわけでございますが、これらのものを一律に法定化して額を決めるということはかえって実情にそぐわないのではなかろうか。むしろ私どもの方は、この当初家賃の決定の仕組み、あるいは家賃変更の仕組み、これを法で担保いたしまして、その枠内において各事業主体がそれぞれまた地方議会の御審議を経て決めるというのが一番実情に適したやり方だ、かように考えております。
  103. 井上泉

    井上(泉)委員 政令で推定再建築費というようなことに置きかえてやってくるから家賃がどんどん上がっておるわけですが、やはり家賃というものは、全部原価主義ということでやっていけば、当初から建設費というものははっきり決まっておるし、その中から国庫補助を除いたもので決めていくということになれば一番問題がないと私は思うわけです。それを、再建築しなくても、再建築したらこれだけの金が要るというような推定の形のものが、家賃を設定する物差しの中に入るということは間違いだと思うわけですけれども、これは私の意見が間違いでしょうか。
  104. 関口洋

    ○関口政府委員 問題は、くどいようでございますけれども、家賃というものを当初のままに据え置くのがいいのかどうかという問題が基本的に横たわっておるのではないか、かように考えます。私どもといたしましては、建設当初の家賃に据え置くということになりますと、現在供給する公営住宅の家賃との間にはなはだしいアンバランスが生ずる。しかも入居階層はそれぞれ低所得層でございますから、できるだけ同一の負担が望ましいわけでございますので、そういう考え方に立ちまして家賃の変更が必要だということで、公営住宅法の中にもわざわざ規定を設けておるわけでございます。問題は家賃の変更のそういう仕組みをどういうふうにしたら合理的かという考え方でいろいろ検討しました結果、過去から現在に至るまで、先生のお言葉に従えば推定再建築費でございますか、こういう方式で算定していくのが一番合理的だというふうに考えまして、それに従って措置をしておるという状況でございます。
  105. 井上泉

    井上(泉)委員 公営住宅に居住する人たちにとっては家賃というものが最大の重荷になっておるわけなので、その家賃算定というものはいいかげんなことであってはならないと私は思うわけです。そういう点についてはまた次の機会になお論議を深めていくようにしたいと思います。  公営住宅は法律目的にもあるように生活困窮者、低額所得者に限定されておるわけですが、いま日本の生活保護世帯がどれくらいあって、そして公営住宅に居住しておるもの、自分の持ち家に居住しておるもの、一般の民間の家を借り上げておるもの、この三つに区分されると思うわけですが、その三つの数字というものはおよそどの程度になっておるのか、厚生省の保護課長に御答弁願いたいと思います。
  106. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 お答え申し上げます。  五十三年度の調査によりますと、被保護世帯の住居の借家等の割合でございますが、総数が七十一万三千百世帯でございます。そのうち自家に入っておる世帯が十九万五千九百二十世帯、全体の中で二七・五%ほどになるわけでございます。それから第二種公営が八万二千五百四十世帯で、パーセントにいたしまして一一・六%、それから借家、借間の世帯が二十八万六千八百二十世帯ございまして、これが約四〇・二%でございます。そのほかが十四万七千八百二十世帯、率にいたしますと二〇・七%でございますが、これは病院に入院したり社会福祉施設に入所しておるものということでございます。
  107. 井上泉

    井上(泉)委員 そのことは圧倒的多数がこういう公営住宅に入らずに民間の個人の家を借りておる、こういうわけですが、およそ借りておる家の家賃の平均というものはどれくらいになると調査をされておるのか。さらには、公営住宅の入居者の平均家賃はどれくらいであるのか、そのことをお示し願いたいと思います。
  108. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 お答え申します。  全体の平均家賃というのが出ておりませんが、割合から申しまして、家賃が千円以下が大体八・八%、それから千円から九千円までの世帯が五〇・五%、それから二万円から一万八千円が二九・四%、一万九千円から二万七千円が八・六%、二万八千円以上が二・七%の割合でございます。
  109. 井上泉

    井上(泉)委員 生活保護家庭の保護費の中における住居費の限度額というか、これは幾らですか。
  110. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 生活保護の中の住宅扶助の御質問だと思いますが、この決め方は地域ごとに、特に第二種公営住宅の家賃の最高額と民間借家、借間の家賃の実態とを勘案いたしまして毎年地域ごとに限度額を設定いたしております。五十五年度にいたしますと、家賃の最高限が、級地が三級に分かれておりますが、一、二級地の最高が三万四千六百円、三級地の最高が二万五千七百円でございます。
  111. 井上泉

    井上(泉)委員 いまあなたが説明したように生活保護家庭の四〇%のものが民間の恐らくかなりぼろの住宅に生活しておるのじゃないかと思うのですが、こういうふうな困窮者に対して生活保護者の住宅政策というようなものを厚生省の方ではどういうふうにとらえておるのかということが一点。さらに厚生省としては、さっき木間委員の質問の中にもあったように、公営住宅に居住する人の中には身体障害者の方も相当数おるわけですが、そういう身体障害者が居住しやすいような条件の公営住宅の建設を建設省に、このくらいの身体障害者がおる、生活保護家庭の中にはこれだけの者がおるが、それが入れるような障害者用の住宅を建築物の中にこれこれ入れてもらいたいとかいうような要請をされて、生活保護家庭の住宅というものに対処しておるのかどうか、厚生省のいわば住宅政策といいますか、住宅の行政の方針をお聞かせ願いたいと思います。
  112. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 二点ございましたが、最初に低所得階層の住宅政策ということでございます。これにつきましては公営住宅の増設等が主として中心になろうかと思います。毎年度の公営住宅の建設計画の中では建設省から御協議をいただきますので、なるべく低廉な、しかも快適なものを設置していただきたいということで協議をいたしましてお願いをしておるということでございます。  それから、身体障害者向けの住宅のお話でございますが、実はこれにつきまして身体障害者の実態調査ということで五年ごとにいたしておるわけでございます。実は前回の調査が四十五年ということで、その後五十年に計画をいたしましたが、種々な事情で中止になりました。ことし、実は五十五年度に身体障害者の住居の状況であるとかあるいは希望であるとかそういうものをとっておりますので、この辺直近のデータを踏まえてまたお願いしたいということでございます。なお、心身障害者の関係の各行政機関が協議をいたします心身障害対策協議会、これは総理府に設置をいたしております。そこにおきましては、たとえば必要な住宅環境であるとかあるいはむしろ道路の問題とかそういうものを総合的に検討しておるということでございまして、そういう中でいろいろお話を願っておるというような状況でございます。
  113. 井上泉

    井上(泉)委員 身体障害者に対する対策というもの、これはずいぶん前から問題になっておるわけです。そこで、その実態調査を四十五年にやったときには一体どんな状態であったのですか、身体障害者の住宅事情は。
  114. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 失礼ですが、ちょっといま手持ちの資料がございませんので、後ほどお届けいたしたいと思います。
  115. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、あなたたちは厚生行政を行うに当たって、これは国として義務としてやらなければいかぬと考えておるのか、国として恩恵としてやっておるのか、どっちですか。
  116. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 身体障害福祉法並びに、心身障害対策基本法の中にございますように、心身障害者の生活を守り、それからしかるべき設備環境を設置するのは国の責任でありまた義務である、こういうような条文がございますが、それに基づきまして実施をいたしておるということでございます。
  117. 井上泉

    井上(泉)委員 国の責任であり国の義務であるという考え方に立つならば、現在公営住宅の中に身体障害者用の住宅というものが一体何戸つくられておるのか、そのことを教えていただきたい。
  118. 関口洋

    ○関口政府委員 五十四年度を例にとりますと、約六百戸建設をいたしております。
  119. 井上泉

    井上(泉)委員 おかしいじゃないですか。建設省答えができるのに厚生省が答えができないということは、一体厚生省というのは何をするところか、こういうことになるわけですが、恥ずかしゅうないですか。
  120. 関口洋

    ○関口政府委員 先ほど厚生省の課長から御答弁しましたように、全般的に広く、第二種公営住宅につきましては公営住宅法第三十条の規定によりまして厚生大臣協議をいたしておりまして、双方の意思の疎通なり連絡を十分緊密に図っていくという体制にいたしております。そういうわけで、たまたまいま厚生省の方に手持ちの資料がなかったもので私どもから適宜答えさせていただいたような次第でございます。
  121. 井上泉

    井上(泉)委員 厚生省は手持ちの資料がないと言っても、大体それくらいのことはそういう業務をしておる行政官としては常識だと私は思うのですよ。そして、四十五年に調査をしてその後まだ調査をしてないという。身体障害者に対する施策の立ちおくれというものが世論として非常に指摘をされておるわけだし、また、食べることと着ることと住む家のこと、これは人間が生きていくための三つの要件である。その三つの要件に対して対策を立てていくということから考えても、私は厚生省が口では国の義務だとか当然やるべきことだとか言いながらも、やるその根性は、おれらがやってやるという恩恵的な姿勢じゃないかと思う。だから厚生業務というものが前向きにいかない、後追い後追いになっていく。そのことを私は非常に不満に思うわけですが、たとえば厚生省では生活保護家庭の中で、持ち家でなしに、公営住宅にも入ってない悪い住宅環境で生活をしておる家庭の住宅問題を解決するためには大体これだけのものが要る、これだけのものをこれだけの計画で達成、それは一遍に全部のものを充当することはむずかしいかもしれぬけれども、少なくとも公営住宅の建設の計画の中には、何年たったら一定の救済の措置がとれる、いまの四〇%が全部一〇〇%この公営住宅に入れるような状態になるというようなことは不可能でしょうけれども、何年たてばそういう住宅の問題が解消できる、こういう計画というものはやはり厚生省としては持つべきではないでしょうか。持っておるとするならば説明していただきたい。
  122. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 お言葉を返すようですが、生活保護のサイドからは現金給付という形で対処いたしております。したがいまして、いまの何戸必要かというふうな問題につきましては、いまのところ手持ちがございません。したがいまして、各年度それぞれ、たとえば住宅の事情であるとか、あるいはその賃金の状況であるとか、こういう調査をいたしておりますが、その中で、さっき申しました借家、借間の状況とかというようなデータをとっておりますので、なおその辺の詳細については後刻機会を見て調査をいたしたい、こう思っております。
  123. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、厚生省も保護課長ではだめだ、いろいろ身体障害者の問題もあるし、生活保護者の問題もあるし、雇用の関係もあるから、社会局の局長に来てもらいたい、こういう要請をしたけれども局長はいろいろ用事があって来れないということで、保護課長を出すから、こういうことですから……。それは生活保護費が現金で支給することになっておることはあなたが答えるまでもなく常識としてわれわれは承知しておるのですよ。しかし、生活保護者の家庭に現金として金は出すけれども、幾ら金を出しても、こういう状態だから、これを何とかせねば国としての責務が果たせない、住宅もこんな状態では困る、だからせめて保護者家庭を公営住宅の中へ入れるためには、これだけのものを年次別にやってもらいたいというようなことがなければ、ただ金さえ出せば生活保護の仕事ができておる、厚生業務ができておる、あなたはこういう解釈ですから、日本の厚生事業というか、厚生行政というものが恩恵的なものであって、本当に憲法で保障されておる健康で文化的な生活を営むに足るだけの要件をつくろうとしないじゃないですか。やりますか。
  124. 佐藤良正

    ○佐藤説明員 特に低所得関係の住宅についてはさらに改善しなければいかぬということは御指摘をまつまでもございません。  公営住宅の建設につきましては、先ほど申しましたように、毎年の公営住宅の建設計画の中で一応の配慮を申し上げておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、さらに実態を詰めまして、適切なものに調査等の機会を通じて持っていきたい、こういうことでございますので、御了承を賜りたいと思います。
  125. 井上泉

    井上(泉)委員 建設省が公営住宅を建設するに当たっては、盲めっぽうに公営住宅を建設しておるというわけではないと思います。今日、公営住宅を願っておる、そしてまた公営住宅を充実せねばならないという国民の課題というものにこたえるために、いろいろ工夫をして公営住宅の建設計画というものは定められておると思うわけですが、そういう中で、いま公営住宅はどれくらい建てたら一定の公営住宅としての充足が果たされるのか、そういう試算をされたことがあるでしょうか。あるとするならば、ひとつお示しを願いたいと思います。
  126. 関口洋

    ○関口政府委員 私どもは、毎五カ年計画を立ててそれに従って仕事を行っていることは先生御案内のとおりでございます。  問題は、五カ年計画を策定します場合に、先生がおっしゃいましたように、それぞれ地域の実情に即した公営住宅なら公営住宅、公団住宅なら公団住宅ということで考えていかなければなりませんので、そういう意味で、従来から各都道府県と絶えず意見交換をしながら五カ年計画の策定をし、さらに毎年のその実行に当たっても公共団体との意見交換を重視いたしまして仕事を進めてきておるわけでございます。  そういうわけで、今後ともできるだけ住宅建設が地についたものとなるように、それぞれの公共団体との緊密な連絡体制をとってまいりたい、かように考えております。
  127. 井上泉

    井上(泉)委員 これはローカルのことを言うて恐縮ですけれども、いま住宅局長がお話をされたのですが、現在の公営住宅の総数というものが百七十一万戸、こういうことで出ておるわけですが、私はずっと見たところが、四国四県の中で、高知県の場合には七千八百戸、これはお隣の徳島も一万五千戸を超しておるし、愛媛は二万戸、香川は一万五千戸に近い、こういう中で、これは県から公営住宅を必要とするという要請がなかったものか、あるいはその要請があったけれども建設省の方で高知県は必要がないと見てこれだけに抑えておるのか、そのどちらか。必要がないとするならば、住宅の需給状況はどうであるかということをあわせて説明願いたいと思います。
  128. 関口洋

    ○関口政府委員 高知県の公営住宅のストックと申しますか、現存するものは約八千戸で、全県下の住宅数の約三%でございます。これはいま先生が御指摘になりました全国の公営住宅数約百七十二万戸、全住宅ストック対比五%に比べれば若干少ないのでございますけれども、最近の建設実績で申し上げますと、五十一年度から五十四年度までの四カ年間で二千五十二戸を建設されております。これはただいまの全国ベースの第三期五カ年計画に対応します高知県のお立てになっております計画二千六百戸に対しまして進捗率は七九%でございまして、現在の建設は順調に進んでおるもの、かように私どもは考えております。  なお、高知県の公営住宅の建設戸数につきましては、従来から県市の要望を十分配慮して御協力申し上げておりますので、今後とも県市と相談を重ねて、県市の要望にこたえるように最善の努力を払っていく所存でございます。
  129. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、高知県が全国で二番の低さにあるということから、これは公営住宅についてどういう位置づけをしておるものだ、こう思ったわけですが、いまの二千五十一戸を建てておる計画というのも、これも何を根拠にしてやっておるのかわからぬので、その点についてはなお県当局の意見を聞いてみたいと思うわけですが、どこの場合でも私は公営住宅というものは必要である、公営住宅をもっとやってくれ、大臣も住宅政策については特別の重点施策としていつの場合にも話をされるわけですが、そういう点から考えても、公営住宅の建設の促進に当たっては、こういう建設省関係だけでなしに、私が前段質問申し上げたような雇用促進事業団もやっておる、あるいはいろいろな関係で住宅建設というものがあちらの方でもこちらの方でもいろいろとやられておるわけですが、それを総合的に管理、指導するような体制というものを建設省が持ってやるべきではないか、これは建設省だけの考えではいけないと思うわけですけれども、そういうこと。それで家賃というものもばらばらであってはならないし、原価主義に徹した家賃の立て方、あるいは公団住宅にいたしましても、今日公団住宅の居住者というものが高い家賃の中で非常に苦しんでおる、そういう場合に、公団住宅に住んでおる人がこういう経済情勢の変化の中で生活保護家庭に転落をした、そういう場合には、これはもう当然住宅家賃というものは払えなくなるわけですが、そういうようなものについての救済措置もあわせて考えるべきではないか。つまり、国の住宅政策というものを建設省で一元化するというようなことにならないものか。それから家賃の体系にしても、よるべき法律一定法律というものを制定したらどうか、こういうように思うわけですけれども大臣の所見を承りたいと思います。
  130. 関口洋

    ○関口政府委員 くどいようでございますけれども、私どもとしましては、五カ年計画の策定というものを通じましてそれぞれの関係行政機関との打ち合わせを緊密にいたしまして、国の政策として住宅政策が位置づけられるように最善の努力を払っておるところでございますが、なお今後とも努力を払ってまいりたい、かように考えております。  それから、家賃の問題でございますが、家賃の問題につきまして公営住宅法ではかなり詳細の規定を設けておりますが、ほかの法規、特に先ほど御指摘のございました雇用促進事業団等の家賃につきましては、まことに申しわけございませんけれども、今日、私、まだ勉強いたしておりません。およそ広い意味での公的賃貸住宅でございますから、公的賃貸住宅の家賃のあり方、こういうものがいかにあるべきかという点は、ただいま住宅宅地審議会でせっかく検討をお願いしておるところでございますので、その答申を待ちまして具体的にどういうふうに考えていったらいいか、改めて検討をさせていただきたい、かように考えております。
  131. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほどもお話がございましたけれども、日本の行政組織の現状からいきまして、それぞれの所管あるいは予算によりまして各方面から住宅政策が推進をされることは決して好ましくないことではないと思うのでございますが、問題は、住宅政策という観点からその総合的な施策が図られねばならぬということでございますから、その点につきましてはさらに私どもも十分検討をいたしまして遺憾なきを期するようにし、全体としての住宅政策が前進を見るように配慮をいたしたいと思います。  なお、家賃の問題につきましてはいま局長も御説明いたしましたけれども、これは特に公営住宅等にとりましては重要な要素をなしておるわけでございますから、この点につきましてはさらに、ただいまお願いしております住宅宅地審議会等におきましても十分ひとつ御検討を願うようにいたしまして、今回新しくスタートいたします第四期住宅五カ年計画におきましては、一層明確なる姿勢で対処できるようにいたしたいと思います。  なお、先ほど高知県の実情等についてのお話がございましたけれども、私はかねて申し上げておりますように、低所得者層あるいは流動層に対しまする公営住宅の立場というものは十分認識をいたしておるつもりでございますから、そういう意味におきましては今後とも鋭意努力をいたすつもりでございます。この具体的な位置づけにつきましては、ただいま進めております審議会におきましても十分御検討願っておりますけれども、それらの経過を踏まえまして万全の体制を確立いたしてまいりたいと思います。なお、各県あるいは自治体市町村でありますが、そういう地域要望に沿っておるというふうに私は承知をしておりますけれども、それらにつきましても今後十分な配慮をするように指導いたしてまいりたい、かように考えております。
  132. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣は、住宅問題については特にいろいろな会合の場所でもよく言われておるわけですが、公営住宅法をつくったときにも、これは住宅に困窮する低額所得者に対する政策としてこの法律が生まれたわけですが、いまその事情というものはいささかも変わってないし、むしろ今日では、住宅に困窮する家庭がますます増大をしつつある状況にあるので、少なくとも、いろいろ困難な財政事情はあろうとも、こういう住宅政策で国民の願望を達成するようにする。するということはどうかと思うけれども、努力をするという、一つ建設省としての努力目標を今度この五カ年計画の中にかなり思い切って、住宅政策の展望といいますか、そういうものを明示をしていただきたいと思うわけですが、その点についての大臣の見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  133. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまの御意見、きわめて傾聴すべき御意見であると思いますし、そういうような意味におきましては、公営住宅の持っておりまする立場というものも十分に踏まえまして、なお現在行われておりまする審議会の結果等も十分に配慮いたしまして、住宅政策の前進につながるように努力をいたしたいと思います。  なお、公営住宅の建設につきましては、いろいろ議論の中で出てまいりましたように、やはり関連公共公益施設等に関連いたしまして、地方公共団体が用地取得その他でいろいろ御苦労をいただいておるわけでありまして、それらの障害の排除につきましてもできる限りの努力をいたしまして、公営住宅が円滑に建設が推進をされますように格段の配慮を払ってまいりたい、かように考えております。
  134. 井上泉

    井上(泉)委員 どうもありがとうございました。
  135. 北側義一

    北側委員長 松本忠助君。
  136. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 公営住宅法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質問をいたしたいと思います。  公営住宅につきましては種々の問題がございまして、各方面でいままでもいろいろ論議をされてまいったところでございます。今回、公営住宅法の一部改正ということで二項目の改正が行われることになりました。その内容につきましては、第一に、単身者等の入居ということでございます。このことにつきましては、私ども公明党も以前より主張してまいりました。その実現を目指してまいったわけでございます。わが党が公営住宅法の一部を改正する法律案を提案いたしたことがございますが、その第四の中にも、「公営住宅の入居資格について、新たに単身者の入居を一定の条件のもと、認めることとしました。」こういうふうにわが党でもすでにこの問題についてはやっているわけでございまして、それが実現できるわけでございますので、この点は非常にいいことだと思うわけでございます。また第二の点は、建てかえ工事の基準の緩和、これも現下の情勢からいたしまして当然ということでございます。良質で低廉という公営住宅の持つ特質に合致するように改正されるならば一応問題はないと思っているわけでございます。  そこで、これ以外に改正すべき、あるいはまた検討を要すべき事項はなかったかどうかということでございます。また、大臣におかれましては、本法の改正に当たりまして今後の公営住宅のあり方についてお考えになったことがあろうかと思うのでございますが、これらの点につきましてお考えをまず大臣に承りたいのでございます。
  137. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 公営住宅は、住宅に困窮する低額所得者に対しまして、低廉な家賃の住宅を供給することを目的としまして、その供給の促進に努めているところでございますが、老人、身体障害者世帯に対しましては、特定目的公営住宅を供給して、これらの世帯の優先入居を図っているところでございます。  また、最近の住宅事情を見ますと、全体といたしましては、居住水準の着実な向上が進んでおるというふうに認識をしておりますが、大都市の借家居住世帯を中心に居住水準にはなお問題が残されていることも承知をいたしておりますし、今後とも引き続きこれら借家居住世帯の居住水準の向上を図ることに努力をいたしてまいりたい。これが今後の住宅政策上の重要な課題であるというふうに考えております。したがいまして、公営住宅の役割りにもなお大きなものがありまするので、今後とも十分な配慮をいたしてまいらなければならぬというふうに考えております。  なお、昭和五十五年度におきましても、新たに家賃対策補助制度の創設を図っておりますし、また単身者入居の道を開くためにただいま御審議をお願いしておるような次第でございまして、公営住宅制度の適切な運営ということは非常に重要でございますから、今後とも意を用いてまいりたいと考えております。  なお、第四期住宅建設五カ年計画の策定に先行いたしまして、住宅宅地審議会に対しまして「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基本的体系はいかにあるべきか」という課題をもちまして諮問をいたしておりまして、ただいま御審議をいただいておるところでございまして、その審議の結果を踏まえまして、住宅政策におきまする今後の公営住宅、公共賃貸住宅の位置づけを具体的に明確にいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  138. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、第三期住宅建設五カ年計画の進捗状況について局長にお答えをいただきたいと思います。  昭和五十四年、五十五年、これは実績でなくて計画ではございますけれども、全体では進捗状況は一〇六・八%ということでございまして、公営住宅の進捗率は五十四年度、五十五年度の計画のとおりにできたとしても七八・三ということでございます。これらの中で公団住宅に至りましては、五五・八%、きわめて低い水準になっております。この原因についてはいろいろ先ほど来の質問でもございました。都市への人々の過度の集中あるいは用地難、地価あるいは建設資材の高騰等々ございまして、なかなかこれが計画どおり進んでいない、こういう状態であることはわかるのでございますけれども建設省としてはどのように受けとめていらっしゃるか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  139. 関口洋

    ○関口政府委員 まず第一点の御指摘の、用地取得難の問題でございますが、これにつきましては、建てかえを推進するということによって解決を図っていくということが一つの方向でございます。  第二の関連公共公益施設の整備につきましては、関連公共費を五十五年度九百億に増額いたしていただいておりますので、これらを適切に使いまして、地元との調整が円滑に行くように最大の配慮を図ってまいりたい、かように考えております。  なお、そのほかに周辺住民の方との調整の問題がございますが、これにつきましては、たとえば公営住宅の建てかえに当たりましても、建てかえ計画をきちんと説明するというような仕組みをビルトインいたしておりまして、事前説明の徹低、こういうものによって乗り越えてまいりたい、かように考えております。
  140. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、この公営住宅の建設促進の一番大きなネックは私は国庫補助率の問題ではなかろうか、こう思っているわけでございます。この点について私どもがかって公営住宅法の一部を改正する法律案を提案いたしました節にも、公明党の案では、第一種公爵住宅は現行二分の一を三分の二に、第二種の公営住宅は現行三分の二を四分の三に、こういうふうに国庫補助率の引き上げを盛り込んだところの改正案を提案をいたしているわけでございますが、こうした点についてはいかがでございましょうか。
  141. 関口洋

    ○関口政府委員 国庫補助率の引き上げは、恐らく家賃が、入居者の負担との関係で適切になるようにという御配慮から、かつて御提案になられたものと承っておりますが、私どもは、それにかわる措置といたしまして、五十五年度から家賃対策補助制度を創設いたしまして、いわゆる公営住宅法によって計算されます家賃限度額と、それから、実際に公共団体が諸般の情勢を考慮して決定されます家賃との間に開きが出てくる傾向がございまして、これが五十四年度まではもろに地方公共団体負担になっておったわけでございますが、五十五年度からその差額の二分の一を補助する家賃対策補助制度を創設いたすことといたしておりますので、そういうものによって今後円滑に進むもの、こういう期待をいたしておるような次第でございます。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ことしの五十五年度の予算の中では、家賃対策補助というのは七億八千三百万、こう思いますけれども、この計上の根拠になっている数字は何ですか。
  143. 関口洋

    ○関口政府委員 家賃対策補助制度のねらいは、ただいま御説明したとおりでございますが、これらの必要性を調べてみますと、これはおおむねの傾向でございますから、個々の場合では違ってまいりますけれども、家賃限度額と、決定される家賃との間に差を設けなければならない理由といたしまして、やはり土地価格の問題が非常に大きな要因を投げかけております。そういう問題が生じますのは、おおむね大都市圏に多いわけでございますので、家賃対策補助制度は、どちらかと言えば、大都市圏における公営住宅の建設をスムーズに乗せるもの、これに役立つもの、かように期待をしております。
  144. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 具体的にその問題で私お伺いしておきたいのでありますけれども、最近の東京都の場合、公共住宅の建設費について見ますと、一戸当たりの用地及び建築費用は約二千万円になっております。これを基礎にして家賃を決定すると、低所得者の入居は非常に大きな負担になる、そのことはいまお認めになったとおり。そこで、東京都としましては、その対策といたしまして、家賃対策補助制度というのをすでに創設をいたしております。政策減額を行っておりまして、入居者の負担の軽減を図っているのが実情でございます。この場合の政策減額を行った分が、すべて御存じのように超過負担になっております。東京都といたしましては相当の負担となっておるわけでございますが、この超過負担を解消するのには、七億八千三百万程度では、これはとてもじゃないけれども、これは全国的な数字でございますし、東京都だけでも大変な超過負担をしているわけでございますが、こういう点についてどのようにお考えでございましょうか。
  145. 関口洋

    ○関口政府委員 先ほど申し上げましたように、この家賃対策補助は、公共団体負担軽減を図るために、限度額家賃と実際の決定家賃との差の二分の一を補助する制度でございますから、やはり二分の一は地方公共団で負担していただかなければならぬわけでございます。問題は、予算計上額が少な過ぎるのではないかという御指摘かと思いますが、これは私どもの方で積み上げて計算しておりますので、金額的には不足はないもの、かように確信をいたしております。
  146. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 地方自治体の実情を十分御存じだと思って私は期待しておるのでありますけれども東京都が現在本当に大変な赤字を抱えている。そういう中で、いま言ったような低所得者の方々に対しても都営住宅に収容するためにいろいろ苦労していらっしゃる。その問題を、いまもお話が出ましたけれども、国と地方自治体の標準工事費の違いということ、これをもう一遍申し上げておきたいと私は思うのです。  五十五年度予算を例にとって具体的に調べてみますと、国の標準工事費では、第一種の中耐、四ないし五階建て、一戸当たりが六百九十七万円、これでも前年比八・九%アップにはなっています。平米当たりにいたしまして九万九千五百七十八円増となっておるわけでございます。これは国のです。東京都の方はどうかというと、八百三十七万二千円で前年比一二・一%アップしているわけであります。平米当たりで十一万九千六百円、こういうふうに見積もっているわけでございます。近年、実施単価に非常に近づいてまいったことは私も認めないわけではございませんけれども、実施単価に比べまして標準工事費というものは著しく低いということは、もう大臣御存じのとおりだと思うわけでございます。こうしたものが超過負担を拡大することになります。結論を言えば、標準工事費を実施単価に見合った額に引き上げなければ、とうていこうした公営住宅は建設できないのではなかろうか、私はこう思うわけでございますが、この点、いかがでございましょうか。
  147. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅の標準工事費の設定に当たりましては、実態調査の結果に基づきまして、構造別、地域別に実態に即した単価となるように努力をしておるところでございますが、いま御指摘のございました東京都の場合の例で御説明させていただきますと、昭和五十四年度におきまして、東京都が工事発注をされました時期が、実は第四・四半期に集中しておる。なぜこういうおくれを招いたかと申しますと、先ほど来御説明しております地元との調整の難航等がその原因でございますが、いずれにしましても、第四・四半期に集中しましたために、年度途中の木材なり生コンクリート等の主要資材の高騰の影響を受けまして、五十三年度に比較いたしまして、先生指摘のような超過負担率が増大したというケースも発生しておるということは、われわれもよく承知をいたしております。  このような状況にかんがみまして、昭和五十五年度におきましては、標準工事費の検討に慎重を期するとともに、生コンクリート等の石油関連の特定資材が高騰いたしまして、事業主体が請負金額を変更する事態が生じた場合は、特例加算制度運用等によりまして、国庫補助額を増額いたします方針でただいまのところおります。一方、できるだけ工事費の高騰を防ぐ意味で、工業化工法あるいは規格部品の積極的活用、さらには発注の平準化、こういうことによりまして、工事費の安定に努めるよう事業主体とも十分協議してまいりたい、かように考えております。
  148. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣御存じのとおり、この第二次のオイルショックといいますか、油が非常に高くなる。そのために、建築資材、生コンあるいはまた棒鋼、こうしたものの値上がりが一般に伝えられておりますし、私もこの問題は当委員会でも取り上げてまいりました。そういうものに対して、本当に間髪を入れず施策をしていただかなければならぬわけでございまして、いまの局長の御答弁である程度理解はできますけれども、なお私は、こうした超過負担を抱え込んでいるところの地方自治体に対する、もう少し現実に対応するところの施策が迅速に行われるようにお願いをいたしておきたいと思うわけでございます。  それでは、次に移ります。  大臣が、先ほど第四期の住宅建設五カ年計画のお話をなさいました。現在諮問中でありまして、いずれこの答申が出てくると思うわけでありますが、五十三年の住宅統計調査で、全国に二百七十万戸という空き家があるという報告が出ております。一方、住宅需要の実態調査では、全国民の三八・九%の世帯が住宅困窮を訴えている現状がございます。こうしたことから見ましても、私は、第三期の五カ年計画というものは、まさに失敗であったと言わざるを得ないと思うのでございますす。したがいまして、今後の住宅供給は、特に居住水準の質的向上に重点を置いたところの新たなる五カ年計画を策定しなければならない、このように思っているわけでございます。建設省が、いま大臣からお話があったように、第四期の五カ年計画の策定をなさろうとして諮問中だということでございまして、その諮問を待たなければはっきりしたお考えが出てこないのではないか、御答弁がないのではなかろうかと思いますけれども、要するに、この第四期五カ年計画というものを、基本的な考え方というものに対しては、大臣はどのようにお考えでございましょう。なお、公営住宅の建設を、その中ではどのように位置づけていくのか、あわせてお答えをいただきたいと思うのでございます。
  149. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 ただいまの第四期住宅建設五カ年計画の策定に当たりまして、建設大臣の基本的な考え方でございますが、私は、それぞれの五カ年計画の策定は非常に大事でございますけれども、それに先立つ、いわゆる住宅建設の哲学といいますか、基本的な考え方をまず決めるべきではないかというかねての意見でございまして、すでに野党の一部におかれましても、そのような趣旨のものをお考えになっておるわけでございます。建設省におきましても鋭意検討を続けてきておるようでございまするけれども、いまだその結論を見るに至っていない現状でございます。そういう意味におきまして、私は、まず住宅基本法、これは仮称でございますけれども、そういうものはやはりこの際考えるべきではないか。それらの基本に合わせまして具体的な五カ年計画を策定すべきである、こういう方向で指示をいたしております。  そこで、八〇年代の住宅政策につきましては、そういう意味におきまする第四期住宅建設五カ年計画を策定しておりますけれども、そのために住宅宅地審議会に対しまして「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基一本的体系はいかにあるべきか」ということを諮問いたしまして御審議いただいておりますことは、先ほど以来申し上げておるところでございます。したがいまして、私は、この審議とあわせまして、住宅基本法(仮称)につきましての内容として、住宅政策の基本的な理念、もう一つは、住宅建設促進のための施策の方向等、住宅政策の基本的な事項につきまして御検討を願っておるところでありまして、それらの検討の経過を踏まえまして、私といたしましては、できるだけ早い機会にこの基本法、仮称でございますが、案をまとめたい。せっかくただいま勉強をさせておるところでございます。
  150. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 わが党も、昭和四十三年、四十五年、四十八年、五十二年、こういうふうに住宅基本法というものを私ども公明党も提案をいたしております。政府の方では住宅基本法、仮称と言っておりますが、私どもは是が非でもこの住宅基本法というものをつくらなければいけない。そして国民の住宅権を保障するところの国の責任を明確にして、住宅に対する国と地方の供給体制の明確化、居住水準の設定、宅地供給あるいは財政金融措置、住宅白書の国会提出等々、住宅問題解決への基本的方途を明確にしたところの住宅基本法、これをぜひとも成立させたいということで提出をいたしておりますが、いままで成立をいたしておりませんことは非常に残念に思っているわけでございます。  いま大臣から、仮称住宅基本法というものを考えているということでございます。しかし、そのことに非常に前向きに取り組まれる姿勢は私どもも歓迎するところでございますが、先ほど申し上げました二つの調査からもわかるように、空き家がある程度大量にあると言っても、国民の三八・九%というものは住宅困窮を訴えているわけでございます。われわれはこうした点にもっともっと注目をしなければならないと思うわけでございます。いままさに良質で低廉という住宅が少ないということが問題になっているわけでございます。そうしたところから、公共賃貸住宅の役割りというものは非常に重大であろうと私は思います。こうした点を念頭に置いてこの理論づけをするという住宅基本法であるならば、われわれも大いに評価できるわけでございます。国民が自分の家を持ちたいというそういう希望を持っている、持ち家志向という点からいいましても、国民が自分で自分の家を建てたい、これは当然の話であります。しかし、その財力の余裕がない、土地を買おうと思っても大変だというところから、そういう考えを持ちながらもできないでいる、これが現状でございます。  そうした中におきまして、国民に家を建てさせよう、そっちの方でがんばってくれ、公営住宅は二の次だなんという考えを置かれたんではまことに困るわけでございます。これは、まさに建設省が、国民が住宅を持ちたいというその希望に一生懸命努力している、そこにちょっと乗っかって、そっちの方でつくってくれれば公営住宅の方は後回しでもいいんだということになりますと大変でございます。公共賃貸住宅を柱としたところの住宅基本政策、こういうものをぜひとも立てるべきではなかろうか、私はこう思っておりますので、再度この点について大臣のお話を伺いたい、次に具体的な問題に入りたいと思いますので。
  151. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 先ほど以来いろいろ申し上げておりますけれども、国民のニーズとしては持ち家志向があるということも事実でございますから、これにはこれなりの対処をしていかなければならぬと思っておりますが、公営住宅等のいわゆる公的賃貸住宅の持っております意義、なおその必要性というものにつきましては十分認識をしておりますし、そういう意味におきましては、それぞれの地域、また国民のニーズに沿いましたようなバランスのとれた住宅政策を推進してまいりたい、基本的にはそのように考えておりますが、具体的には審議会の経過を踏まえまして第四期住宅五カ年計画を策定したい、かように考えておるわけでございます。
  152. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、次に局長に伺いたいと思いますが、冒頭大臣に、今回の法改正の二点以外に検討すべきことはなかったかとお伺いしたわけでございますが、以下私が申し上げる点についてはどのようにお考えか、お答えをいただきたいと思うわけでございます。  今回の改正で入居の対象が広がりました。戦傷病者、六十歳以上の者、身体障害者、生活保護の受給者、五十歳以上の女子の単身者、こういう者が対象者になったわけでございます。公営住宅に入居できるようになった、大変喜ばしいことでございますが、在日外国人の取り扱いについては検討されたかどうかということでございます。一部の公共団体ではこれを認めているところもございます。少なくとも永住権を確保されている方で住宅に困窮されている方が相当いるのではないかと思いますが、この点に対してはいかがお考えでございますか。
  153. 関口洋

    ○関口政府委員 在日外国人の方の取り扱いでございますけれども、従来から、先生指摘のとおり、公営住宅につきましてはすでに一部の地方公共団体において一定の外国人の入居を認めてきたところでございますけれども、本年の二月八日に、住宅金融公庫、日本住宅公団を含めまして公的住宅に係る在日外国人の取り扱いにつきましてそれぞれの関係機関あてに通達をしたところでございます。  在日外国人の公営住宅への入居につきましては、原則として永住許可を受けた方あるいは日韓協定に基づく永住許可を受けた方並びに旧日本国籍を有する方で法律に基づき本邦に在留している方及びそのお子様について認めるということにいたしておりますが、それにしましても、それぞれの事業主体におきまして地域の住宅事情なり入居を希望される外国人の事情等を総合的に勘案した上で、本年の四月一日から実施される予定になっております。なお、今回公営住宅の単身入居につきましてお願いをしておるわけでございますが、この場合もこの通達と同じ取り扱いでまいりたい、かように考えております。
  154. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 こういう方に対する道も開いてあげるべきではないかと私は思うわけでございます。  もう一つ、今回の法改正によりまして単身入居の対象となる方の中に戦傷病者あるいは身障者といった方々があるわけでございます。そうした方々に対するきめ細かな配慮というものをどう考えているか。また、対象になる住宅の規格及びストック、こういったものはどういうふうな状態になるか、この点についてお答えをいただきたいと思うわけでございます。  実は、本法の審議に当たりまして、私も現に居住している方々のところをお訪ねいたしまして、いろいろと伺ってまいったわけでございます。最近竣工いたしました東京都営住宅の北区桐ケ丘のW地区でございます。ここに身障者用の住宅が建設されておりまして、私も見てまいりました。車いす用の緩やかなスロープを上がってまいりますと、ドアが横開きになります。そうしてそのまま車いすに乗ったまま部屋の中に入る、部屋の中に入りますと、これも部屋が平たんになっておりますので寝室の方にもあるいは炊事場の方にも手洗い所にも車いすに乗ったままで行けるようになっておりまして、まことに行き届いた設計のもとにできておるわけでございます。ところが、恐らく本法の対象になる単身入居できるという方々、戦傷者あるいは身障者という方々がこれから入れるというところはこういう住宅ではなくて、いままでのいわゆる普通の方々が入っておいでになったところの部屋を、そうした部屋が空いていればこういう方々も入れる、したがいまして、車いすのままでは部屋の中には入れません。入り口の幅も狭い、改造しなければならない。車いすを使用するという方々にとっては法は改正されても現実には入居できないわけであります。こうした点をどのように対処されようとしているのか、この点について局長のお答えをいただきたい。
  155. 関口洋

    ○関口政府委員 今回の単身入居に当たりまして、身障者の方、戦傷病者につきましてその対象としたいということは先生指摘のとおりでございますが、そのほかに六十歳以上の老人あるいは五十歳以上の女性の方等を含めまして、対象戸数は約四十万戸ぐらいが、これは全体ででございますが、考えられるというふうに思っております。そのうちで毎年約三万戸程度の入居者の入れかえがございますので、その三万戸を優先的にこれらの単身入居に充てていきたいというのが私ども考え方でございます。そういう意味では、御指摘のとおりに既存住宅への入居をお願いするわけでございますので、そこで設備の改善につきましてどういう考え方をとるかという点が問題になってまいるわけでございますけれども、身体障害者の方につきましては、それぞれの障害の程度に応じましてかなりきめ細かな配慮を必要とすることは御指摘のとおりでございまして、その点は従来から特定目的公営住宅につきましてかなり経験を積んでおりますので、それらをベースにして所要の改善措置を考えていかなければならぬだろうというのが原則的な考え方でございます。聴覚について障害を有しておられる方につきましては、玄関等のブザーにかわりまして警報ランプの設置等が必要となりましょうし、それから、視覚について障害をお持ちの方につきましては、浴室、便所への手すりの設置、こういうものの改善措置が要るんではなかろうか、また肢体の不自由な方につきましては、先生指摘のとおりに、浴室、便所への手すりであるとか屋外スロープであるとか、それから車いすの利用を前提とした各種施設の設置等の改善、こういうものが必要になろうかというように考えております。
  156. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうした改造をして、戦傷病者あるいは身障者というようなお気の毒な方々を収容できるようにすることは大変結構なことであるし、当然そうしなければならぬと思うわけでございますが、そうすればするだけ、やはり国の補助があると言っても、改造には費用がかかるわけで、そうしたものがすべて地方公共団体負担になる、こういう点があるわけでございます。この点の負担、改造する費用に対しては、相当なものをやってあげなければならぬ。新しくつくるよりもむしろ改造する方が費用がかかる、これは常識でございます。そうした点から考えても、改造という問題に対しては特段の配慮をしなければならぬ、こう思いますけれども、いかがでございましょうか。
  157. 関口洋

    ○関口政府委員 現在の補助制度の仕組みが、実はいまのような改善を含めまして、補修部門につきましては原則として家賃あるいは公共団体の方で負担をしていただいております。そこで、それでは公共団体にまた超過負担を強いることになるのではないかという先生の御指摘でございますが、この辺につきまして各事業主体協議しておるわけでございますが、まず入居に必要な改造の費用等が今後明らかになってまいりますので、その時点で改めて検討させていただきたい、かように考えております。
  158. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ぜひひとつその十分な対応を示していただきたいと思います。  次に二十三条の四の関係でございます。建てかえ事業施行要件の緩和についてでございますが、除却すべき公営住宅が市街地または市街化が予想される区域内の〇・一五ヘクタール以上の一団の土地に集団的に存していること、こうなっているわけでございます。この要件につきましても、私は緩和する必要があるのではなかろうかと思うわけでございます。現に、われわれの知っている東京都の地域に存在するものでも、千五百平米の規模がないために法定建てかえができないでいる、こうした状態のものが多々ございます。この点を緩和いたしまして、建てかえ事業の促進を図るべきだと思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  159. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅の建てかえ事業は、先生御案内のとおりに、中高層住宅に建てかえることを原則といたしておりまして、面積要件は千五百平方メートルと相なっております。これは、旧住宅が木造住宅で、十戸程度の団地規模のもの、それを建てかえまして中層の住宅一棟二十戸程度が建設できるという規模を考えまして、千五百としておるわけでございます。なお、住宅地区改良法によります改良地区指定基準も同様に千五百平方メートル以上と相なっておりますので、現在の率直な気持ちを述べさせていただきますと、住宅地区改良法との関係等もございまして、当面千五百平方メートルで進みたいと思いますけれども、せっかくの先生の御指摘でございますので、将来に向けてよく検討をしてまいりたい、かように考えております。
  160. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 こういうところが非常に散在しているので、私は条件緩和をして、ぜひともそういうところにせめて二十戸でもいいから建てた方が、本当に住宅に困っている方々のためになるのではなかろうかと思います。そうした点で、ぜひ前向きに検討をしていただきたいと思います。  次の問題は、先ほどからいろいろと話になりましたように、公営住宅の建設の問題で、用地の取得難あるいは地元住民の反対、こういったいろいろの問題がありまして、遅々として進んでおりません。しかしまた、公営住宅の建設が進まないばかりでなく、既存の住宅の利用、管理の面にも大きな矛盾があるのではなかろうかと私は思います。  まず家賃の問題ですが、国庫の補助分を除いたところの建設費をもとにして算出決定する、こうなっております。建設費の値上がり、これは先ほどから話が出たとおりでございます。これがそのままずばり反映をいたしまして、年々値上がりをいたしておる。この結果、大阪府におきましては、われわれの調査では、古い第一種住宅が一万五千円程度であるのに対して、最近の第二種住宅では二万円以上という逆転現象が出ているのでございます。  それから第二点としましては、所得制限が非常に低目に決められておりますために、新婚のサラリーマンでも入居資格がない、こういったケースがございます。一方、所得の捕捉が困難な個人営業者は有利であるというようなアンバランスもあるというふうに言われているわけでございます。そこで、入居基準限度は、第一種で標準四人世帯三百七万五千円、こうなっておるわけでございますが、この基準限度を引き上げるべきではなかろうかという点が第二点でございます。  第三点は、入居基準となるところの所得制限については、全国一律でなくて、大都市ではもっと引き上げるようにいたしまして、この点を地方公共団体に任せてはどうか。すなわち、地域別の所得水準の格差というものがあるのですから、これを考慮すべきではないか、こういうふうに思いますが、この三点についてお答えをいただきたい。
  161. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅相互間の家賃のアンバランスの問題でございますけれども、これにつきましては、御指摘のような事態が起きないように、それぞれ家賃改定を行っていくべきではないか、かように考えております。  それから、第二点の公営住宅の収入基準の引き上げの問題でございますが、これは公営住宅が一種、二種を問わず、いわゆる低所得層向けの住宅でございますので、従来からいわゆる所得分位、五分位表がございますけれども、これの一番下から数えて三分の一までを対象とするという考え方で、一種の場合、二種の場合につきましてそれぞれ収入基準を設けておるような次第でございます。  問題は、所得の状況が年々変わってまいりますので、収入基準につきましても改定をする必要が生じてくるわけでございまして、そういう各公共団体からの要請を受けまして、実は昨年改定したばかりでございます。したがいまして、現在収入基準につきましてはほぼ適正なものに相なっておる、かように考えておるような次第でございます。  それからもう一つ、最後に先生から御指摘の、収入基準につきまして、それぞれ地域ごとに所得水準が違うのだから、公共団体に任せたらどうかということがございました。実は私どももかつてそういうことができないかということで検討したことがございますが、率直に申しまして、所得は国ベースでは一本でよく把握されておるのでございますけれども、県別の所得というのが、いろいろの統計の制約その他がございまして、まだはっきりしたものがつかめなかったという、これはまことに事務的、技術的な問題でございますけれども、その辺の難点が一点ございました。  しかしながら、それらのものも、これから将来に向けては逐年整備されていくものと思いますし、そうすれば所得の県別把握も可能になるという時代が到来した場合にしからばどうするかということでございますけれども、実はその辺の問題も含めまして、たびたび申し上げて恐縮でございますけれども、住宅宅地審議会の検討にお願いしておりますので、その検討状況を踏まえて改めて取り組みをさせていただきたい、かように考えております。
  162. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私も、ちょっと古い資料でございますし、私の調査でございますので申し上げたくなかったのでありますけれども、なかなか地域別の所得水準の掌握ができていない、こういうお話でございますけれども、これはちょっと古い数字でございますが、四十九年の経済企画庁発表の県民所得統計というのがあります。これは全国平均を一〇〇といたしまして、東京圏が一二三、大阪圏が一一五、中部が九六、九州が八三、東北は七九、こういうふうになった数字を私承知いたしております。四十九年でございますからもう五、六年たっているわけでございますし、これよりももっともっと都市というものは高くなり地方というものと格差が出ていることがわかっておりますが、こういう数字も古い数字ではございますけれどもあるわけです。私は、こういうものを考えてみて地方公共団体に任せた方が実情に合うのではないかと思いますので、この点を再度申し上げておくわけでございます。  それから第一種と第二種の区別の問題でございます。この問題は、いまも局長の御答弁の中に、いわゆる公営住宅というのは所得階層の下位三分の一、これを対象にするというようなお答えもございました。すでに西欧の諸国におきましては全住宅総数の二〇%ないし三〇%はこうした低所得階層のために確保してございますが、残念ながら日本では六%程度でございます。現在、第一種と第二種の区別というものは床面積では三・三平方メートルの差があるわけです。そのほか第一種だから特によく、第二種だから雑につくってあるというようなことはないわけでございます。面積がわずか一坪違うだけでございます。  本来住宅というものは所得によるものでなくて家族構成によるべきものではなかろうかと思うわけでございます。そうした意味におきまして、所得によっていま区別をつけておりますこの第一種、第二種というものの区別を廃止すべきではないか。先ほども申し上げましたように逆転現象ということもあります。こうしたものを考えてみましたときに撤廃をすべきではなかろうか。その場合、逆転現象の場合で言いますと、所得の低い第二種の方々が第一種の人よりも高い家賃を払っているという現状があるわけでございます。こうしたことを考えてみましたときに、政策的な配慮も必要であろうと思いますけれども、根本的にはこの第一種、第二種は将来廃止すべきではないか、こう思うわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
  163. 関口洋

    ○関口政府委員 第一種、第二種の間で規模その他の格差を余りつけるべきではないという点につきましては私どもも同じ考え方で進んでおります。  そこで問題は、第一種と第二種の区分を存置するかどうかという問題でございますけれども、実は第二種公営住宅につきましては、先ほども別の機会に御答弁しましたように、現在の公営住宅法では厚生大臣協議してその運営に遺憾なきを期するということに相なっております。その理由は、たまたま逆転現象も生じたところもあるかもしれませんけれども、本来第二種公営住宅は第一種よりもより低所得層の方々、特に生活保護受給者との関連その他を考えて建設を進めなければならないので、ただいまの公営住宅法では厚生大臣との協議を行うことに相なっておるわけでございます。その辺を受けまして実は国庫補助率に差がございます。これはもう先生御案内のとおりに第一種は二分の一、第二種は三分の二ということで補助率にも差があるわけでございますので、これらのものを一挙になくした場合、そういう全般的ないわゆる厚生福祉行政との関連その他も考えなければなりませんので、慎重に考慮をさせていただきたい、かように考えております。
  164. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほども二十三条の四の建てかえの問題のところで触れましたけれども、公営住宅の空き家率というものが大阪府では六%、東京都では四%弱、こういうふうに上っているという数字がございます。その多くは老朽住宅と言われているわけでございまして、こうした耐用年数を経過したところの公営住宅が約十四万戸あるというような話も聞いております。こうした耐用年数経過後の建てかえをしなければならないというようなものの建てかえ事業、これを促進するためにも具体策を新たに考えるべきではないか、いわゆる戸数増、都市整備の面からのメリット、こういうものを考えて中高層化の建設をすべきではないか、こう思います。  もう一点は、公営住宅建設のネックとなっている用地の取得難に対処するために、用地取得に対する国庫補助制度を復活してはどうか。この二点についてはいかがでございましょう。
  165. 関口洋

    ○関口政府委員 耐用年数の過ぎた住宅につきましては積極的に建てかえを推進せよという御意見につきましては、私どももそういう前提で考えております。ちなみに公営住宅の建てかえ事業によります建設戸数は年々増加いたしておりまして、昭和五十四年度では約一万三千戸の計画と相なっておりまして、総建設戸数の二割弱を占める状況に相なっております。  しからばその推進策いかんということでございますが、ちょっと古い話で恐縮でございますけれども、まず四十九年度から建てかえ事業の基本計画の策定、説明会の開催等に要する経費に対しまして補助を行っております。それから五十土年度から建てかえ事業に伴い、現入居者の移転に必要な費用を、さらに五十三年度からは建設工事期間中の現入居者の仮住居として民間住宅等の借り上げに要する費用をそれぞれ国庫補助対象としまして、現に入居されておられる方あるいは周辺住民の方の理解と協力を得やすくするように努力をしてまいったような次第でございます。さらに今回の法の改正によりまして建てかえ事業の施行要件を緩和していただいて、一層その促進を図ろうとするものでございまして、当面今回の措置によりまして建てかえ事業の推進が図られるもの、かように考えております。  それから、公営住宅の用地費につきまして国庫補助制度を復活したらどうかという御意見でございますが、実は四十四年度に国庫補助制度から地方債制度への切りかえに伴いまして家賃収入補助制度をつくっていただき、実際上公共団体及び入居者に負担とならないように財政措置を講じさせていただいております。それで、それをもう一遍国庫補助に戻すかどうかという点でございますが、実際上この家賃収入補助制度が従来の国庫補助制度にかわる機能を果たしてそれが定着をしておりまして、公営住宅の建設にとって障害となっておりませんので、いま直ちにはそういうことは必要ないもの、かように考えております。
  166. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほどの御答弁にもあり、いまの御答弁の中にもありましたけれども、家賃対策補助、これは今度の予算では七億八千三百万、こういうふうに計上されております。予算が現実に成立しているわけではありませんけれども、この七億八千三百万というものは各都道府県別に一体どれぐらいの数字になるのか、私はお伺いをしてみたい。東京の現状から見てこれは全部東京にもらったって足らないぐらいなんです。こうしたものを考えてみたときに、私は、この問題についてはもう一遍その資料を、後で結構でございますが、府県別にどれぐらいの割り当てになるかについてお答えをいただきたいと思います。  時間もございませんので、最後にまとめまして細かな点について四点ほどお伺いをいたしたいと思います。  それは公営住宅の入居者でございますが、家具類につきましては火災保険がつけられておりますが、住宅部分は公共住宅でございますのでつけられません。したがいまして、火災が起きましたときに原状に戻さなければなりません。焼ける前の姿に戻さなければなりません。それが責任でございます。したがいまして、これを担保することができないという方々がございます。この点をどのように解決をしたらよろしいか、こういう悩みがございます。  第二点は、老齢の御両親が定年退職後も共働きをしていたわけでございますけれども、最近勤め先の会社が減量経営ということで失業しました。収入がなくなりました。一方、お子さん、この方は四十歳過ぎている方でございますけれども、奥さんが亡くなられましたので、この際両親と同居しようということになったわけでございます。こういう希望を持っているわけでございますけれども、なかなかこれが同居できない、こうした事情の場合は、私は速やかに同居できるようにすべきではなかろうかと思うわけでございます。  それから三点目に、年をとった両親を引き取ってお世話したいという公共住宅に入居している方がございます。この方は、現在御夫婦それから子供二人、子供といいましてもこれは未就学児でございませんで、小学校の高学年でございます。現在、二DKに入っておりますけれども、せめて三DKあるいは三LDKに移転できないか、こういった希望を持って私のところに相談に見えられたわけでございますけれども、これも現状ではなかなか解決ができないでいるわけでございます。  それからもう一点は、公営住宅の建築様式のことでございますけれども、冬季に窓から太陽光線が入ってくるように建築すべきだ、こういうふうに居住者が口々に言うわけです。これは建て方次第でできるわけだ、こう素人の方々でございますが、現に入っている方が口をそろえて言うわけでございます。省エネルギー時代だというのに午前中から電灯をつけて、そしてストーブもつけている、こういう状態。そして一遍入ってしまいますと、勤め先の関係もありまして現在の住宅事情からは移転が不可能でございます。私は思いますのに、建築設計の段階で十分考慮して建てたには違いないのでありますけれども、こうした不平不満というものを全入居者が持っている都営住宅がございます。こうした状態を考えましたときに、何とかしてこういう方々に対してももう少し太陽光線が、せめて冬場入るように設計できなかったものか、こう思うのでございます。私は、十分設計建築の段階で考慮をしたんだとは思うのですけれども、現に入っている方が口々にこう直せばできるじゃないか、こういうことを言いますと、これは東京都の問題かもしれません、国の問題ではないと思いますけれども、こうした問題に対する指導監督というものがやはり必要ではなかろうかと思うわけでございます。  もう一点つけ加えますのは、非常に狭いスペースでございますので、東京のように緑の少ないところでは窓のところにベランダがあればそこに緑でも置きたい、こういう声が多いわけでございますけれども、ベランダもないというようなことでございます。  こうしたことで、一遍入ってしまいますと他にいいところがあってそこに移転できるというような状況ではございません。こうした点が多々ございますので、現在のこの制度上の問題あるいは建築上の問題、いろいろな問題をまだ公営住宅は抱えているわけでございます。最近建築されます住宅についてはかなり改善はされておりますけれども、こういう悩みを抱えながらもやむを得ず入っている人が多い、こういう点をひとつ御承知願いたいと思いますが、いまの四点につきまして局長から具体的にお話を承れればありがたいと思います。  なお最後に、大臣、こういう公営住宅の現状を十分御認識をいただきまして、さらに新しい住宅建設を進めるためにも勇気を持って前向きに取り組んでいただきたいことを御要望申し上げまして、最後に大臣のお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  167. 関口洋

    ○関口政府委員 まず火災保険の問題でございますけれども、公営住宅の火災保険は公営住宅の所有者である事業主体が加入することとなっております。むしろこの制度で入居者にとってどういう御不便があるのか、いま直ちには私も判断できませんので、改めて御相談をさせていただきたいと思います。  それから、老親と同居される場合あるいは年をとられた御両親を引き取られる場合、これらの場合の対応策につきましては、もし仮に住居を変えられる必要が起きた場合には公営住宅の枠内で対応するか公団住宅で対応するか、さらにはたとえば中古住宅の取得等含めて対応されるか、そこら辺はそれぞれの方の御事情もございますので、一律にお答えすることが困難でございますが、何か特段の事情等がございましたら改めて御相談をさせていただきたいと思います。  それから、冬季の日光の確保の問題でございますが、これは設計基準その他に留意するように改めて今後とも公共団体の指導に努めてまいりたい、かように考えております。
  168. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 本改正によりまして公営住宅制度の従来の懸案でありました単身入居の問題等も解決することになるわけでございますが、今後とも公営住宅の建設促進あるいは管理運営の適正化等につきまして一層の努力をいたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  169. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 終わります。
  170. 北側義一

  171. 中島武敏

    中島(武)委員 今回の公営住宅法の一部改正によって、老人、障害者などの単身者が公営住宅へ入居できるようになったのは、これまでの関係者、関係団体の熱心な運動が実ったものだと思うのであります。もちろんわが党もこのことを強く要求してまいりました。建設省がここへ踏み切ったことについて、私は率直に評価をしておるわけであります。  この一部改正によって制度としての道が開かれたというだけでなくて、当然実効が上がらなければならないと思うのです。いや、むしろ実効あらしめることがきわめて大切だと思うわけであります。この点で、まず大臣の所見を伺いたいと思うのです。
  172. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答え申し上げます。  今回の単身者入居の道を開くに当たりましては、関係行政機関、地方公共団体、学識経験者等とも十分協議をしてまいったわけでございますが、本制度が実現をいたしました暁におきましては、入居の推移を十分見守りつつ、真に実効ある制度となるように運用してまいりたいと思います。本日の審議の過程におきまする御意見等につきましても十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  173. 中島武敏

    中島(武)委員 単身者入居の問題についてお尋ねしたいと思います。  「老人、身体障害者その他の特に居住の安定を図る必要がある者として政令で定める者」というのがありますが、この「政令で定める者」の中にはどういう人を予定しておられますか。
  174. 関口洋

    ○関口政府委員 政令で予定しております方々は、戦場病者、六十歳以上の方、身体障害者、生活保護受給者、五十歳以上の女子の方、以上でございます。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 厚生省企画課長はまだもう少し到着に間があるようでございますので、それでは引き続きこれに関連しての問題をお尋ねいたします。  「身体障害者」と言う場合には、身体障害者すべてを対象にしておられるのかどうか、まずこのことをお尋ねしたいと思います。
  176. 関口洋

    ○関口政府委員 従来から身体障害者を含む世帯向けに特定目的住宅として建設をしてまいりましたが、ここでは具体的には四級以上の方に入居を願っております。したがいまして、それとの均衡もございますので、四級以上の方を予定いたしております。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 四級以上でございますね。私は、これの基準というのは、できるだけ多くの方が入れるということがやはり非常に必要だというように思っておるわけであります。この点では、障害者の方にいろいろ希望意見がございます。入居が介助を必要とするというふうに思われるんじゃないか、しかし自分は大いに自立して生活していきたい、こういうふうに考えている障害者の方もずいぶん多いのです。その点では、これはちょっと厚生省にもいまの点お尋ねしたいのですけれども、基本的な考えはどんなふうに考えておられますか。いま四級というお話がありましたが、四級でいま私が言ったような人たちは全部吸収されるということになりますか。
  178. 板山賢治

    ○板山説明員 身体障害者の方で、家庭や地域で生活をしようと考えられる方は、障害の程度、あるいは日常生活の能力、あるいはその市町村におきます家庭で生活するためのいろいろな条件の整備、こういうものが相伴いませんと、仮に家庭で生活をしたいと考えられましてもなかなか家庭での生活を実現することができません。従来でありますと、身体障害者の療護施設でありますとか、重度更正援護施設、こういったところに入らざるを得なくなっておったわけでございますが、最近は在宅福祉対策というものが少しずつ整備されてまいりまして、障害の程度あるいは生活能力の程度、これと在宅サービスというものがうまくマッチいたしますると家庭での生活が可能になる、このように考えられます。でございますので、一概に何級以上の者が入れるとか、あるいは同級以上の重度の障害者は施設に入るんだというふうに決めることはできないと思います。地域の実情によりまして障害者の生活能力、そういったものを勘案しながら、建設担当部門と福祉担当部門とがよく相談をして、家庭で、あるいは公営住宅に入れるかどうか、この辺の判定をすることが適当ではないか、私どもそのように考えております。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 その際に、先ほども言ったように広く入れる対象者となれるように、よく協議をして決定をしてもらいたいと思います。  後でまた戻ってきますけれども、次に、供給計画の問題について伺います。  今度の法改正によって、対象者数とそれから対象住宅が年間どれくらい発生するかという問題についてまず伺いたいと思うのです。
  180. 関口洋

    ○関口政府委員 対象住宅の総戸数は約四十万戸というふうに考えておりますが、入っておられる方のいわば毎年の出入りは約七%でございますから、年間三万戸程度が単身向けに振り向けられるものと、かように考えております。  一方、先ほど申しました政令で予定しておる方のうちで現に住宅に困窮しておられる方がどの程度おるのかということでございます。これは実は私どももごく粗い、俗に言う推測程度しかできませんけれども、その程度でお許しいただけるとすれば、約四十万人程度いらっしゃるのではないか、かように考えております。
  181. 中島武敏

    中島(武)委員 いまの推定でいきますと、四十万人で三万戸ということになりますと、単純計算しますと十年では全部の希望を満たすことはできない。そういう点では制度をこういうふうに改正したこの際に、この制度を真に生かすという点から言うならば、供給の側の方をももっと改善をするということが必要なのじゃなかろうかと思うのです。そういう点では昭和五十五年度の計画の中には入れておられるかどうか。それからまた、これから新たにつくられる住宅建設五カ年計画、この中には少なくとも入れなければならないのじゃないかと私は思うのですけれども、この点は局長の方ではどのように考えておられますか。
  182. 関口洋

    ○関口政府委員 公営住宅の単身入居に踏み切る際に、確かに新規供給の道の見当をつけた上で踏み切った方が万般の準備体制を整える意味でよかったかもしれませんけれども、私どもとしましては、先ほど来申し上げておりますように、当面既存住宅のうちの小規模のものを単身用に振り向けるということが焦眉の急務だと考えて踏み切ったような次第でございます。それで当面これで運用をしてまいりまして、ある程度経験を積みましてから、新規供給策が必要かどうかも見きわめた上で、新規供給が必要だということになれば踏み切らしていただきたい。それが次の五カ年中に到来するかどうか、この辺はもう少し検討させていただきたいと思います。
  183. 中島武敏

    中島(武)委員 今度制度がこういうふうになって非常に喜ばれておるのですよ。そういう人たちに、大臣も冒頭言われたように実際に効力あらしめるということになりますと、制度的には道は開けたけれども、しかし結局は入れないんだなということになりますと、これは希望に沿わないことになりますので、局長は大変慎重な答弁をされて、まずやってみてそれでというお話です。それもわからぬわけではありませんけれども、新しい五カ年計画の中では、これはどうですか大臣、この辺はちゃんとよく検討するというところへほぼ行くべきじゃないですか、どうですか。
  184. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 今後のあり方は、いま局長が言いましたように今後の推移を見て当然検討していかなければならぬと思いますが、五カ年の問題につきましては、御承知のようにいま審議をいただいておるわけでございますけれども、こういう御審議をいただきまして法案が成立をするということになってまいりますれば、当然これは勉強をする必要があるというふうに考えております。
  185. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、管理の問題について伺いたいのです。  これは新しく制度を設けたと申しますか、身体障害者、お年寄りその他の方が入られるということになりますと、私は管理問題というのが非常に問題になってくると思うのです。  まず一つは、高齢の方が入られる、あるいは障害者の方というような場合に、特に高齢の方の場合ですけれども、病気とか入院しなければならないとか、介助の必要が発生するとか、こういう問題が続出するように思うのです。その点で管理問題について建設省は何か特別な措置というものを考えておられるかどうか、まずこの点をお尋ねします。
  186. 関口洋

    ○関口政府委員 お年を召した方が単身で入られるわけですから、御病気になられた場合にどうするかということの対応策は十分検討しておかなければならぬことだというふうに私どもも考えております。実はこの辺がいろいろと単身入居問題につきまして踏み切る場合に、各事業主体との協議に一番手間取ったと申すのは変でございますけれども、慎重に御相談したところでございます。私どもは住宅を提供するわけでございまして、これは基本的に厚生省が御担当になっておられるような施設とは性格を異にしてまいることは先生御承知のとおりでございます。したがいまして、その辺の問題は結局、ある程度日常生活を御自分で営まれる方に入っていただくという前提で考えるといたしまして、それはそれとして、万一病気等になって俗に言う寝たきりという状態になった場合には、各事業主体でそれぞれ厚生担当部局と十分相談をして、適切な対応策をとってまいる、いまのところかように考えております。  それからもう一つは、そういう状況でございますから、日常各人それぞれの入居者の状況をよく把握しておかなければいかぬじゃないかという御指摘かと思いますが、これも余り行き過ぎるのもいかがかと思いますけれども、私ども原則といたしまして管理人制度をしいておりますので、その管理人の方にお願いするよりしようがないわけでございます。ここで午前中から議論になっておりますように、実は入居していただく住宅の配慮というものをどうするかという問題が一つございます。午前中からの御議論を要約いたしますと、仮に一棟なら一棟全部にお年寄りの方に入っていただくのではなしに、通常の世帯とお年寄りとが同じ棟に入っていただくという方がいいのじゃないかという御意見が非常に強かったわけでございまして、私どももそういうふうに考えているわけです。これは決して逃げるわけじゃございませんが、そういう意味で御近所の方にも何くれとなく御注意いただくということがどうしても必要だろう。そのほかにそれぞれ厚生担当部局の御協力を得まして、ホームヘルパー制度その他が活用できるものならばそういう方面との御連絡も密にして対処してまいりたい、かように考えております。
  187. 中島武敏

    中島(武)委員 またここでお尋ねしたいと思うのですが、先に厚生省の方にお尋ねします。  いま厚生省の方とも連携をしてという趣旨の御返事がありましたので、この場合に考えられるのは、まず一番大きいのはホームヘルパーの制度です。しかし、これはもう厚生省でも御存じと思いますけれども、いまだんだんホームヘルパーのなり手がなくなってきているのが実情であります。一体どれだけの手当を出しているのかと思って調べてみましたところ、年間百十五万円という話であります。東京都の場合は革新都政時代にこれに上積みをして出すということをやっておりましたが、今度は削ろうというのでちょっと問題になっておる、こういうことであります。こういう制度も、もっと改善をしなければいけない。たとえば手当一つの問題でももっと改善をしませんと、実際にはなり手がなくなって要求に応じられないというふうになろうかと思うのです。百十五万円といいますと月十万にもならぬわけですね。この点、厚生省の方ではどういうふうにしていけばよろしいと考えておられるのか、ここをお尋ねしたいのです。
  188. 大西孝夫

    ○大西説明員 お答えをいたします。  ホームヘルパーにつきまして、御指摘のように現時点で助成額は、五十五年度予算でございますが、百十六万六千四百円、このほかに活動費が年三万円あるわけでございますが、月に直しますとおっしゃるように十万ということになります。この給与その他勤務条件につきましては、従来から私どもといたしましても改善に努めてきておるわけでありますし、今後ともその改善に努めてまいる考えでございます。ただ、ホームヘルパーの事業は基本的には市町村の固有業務という位置づけをいたしておりまして、国の補助はそれに対する奨励的な補助であるという関係もございまして、従来から私どもとしても処遇改善に十分努めてはおりますが、たとえば市町村の職員として置かれているヘルパー程度の十分な給与を国の補助で見ていくということはなかなかむずかしい面もございます。しかしながら、現時点でそういうヘルパーが市町村の職員である場合と社協の職員である場合と勤務形態も市町村によってまちまちであるというような実態につきまして、もう少してこ入れをして、これからの高齢化社会にふさわしい制度にしていく必要があるということで、今後私どもの老人福祉対策、ないし身障も含みますが、重点課題一つであるという認識は持っておりますし、その方向で努力をしたいと思っております。
  189. 中島武敏

    中島(武)委員 市町村の事業であるからといって軽視することなく相当思い切ってこれは力を入れませんと、問題が発生してくる、解決がつかないということの繰り返しになると思うので、この点はひとつ厚生省の方でも大いに力を入れてもらいたいところであります。  同時に、また住宅局にお尋ねしますが、先ほどの局長の答弁で、管理人にお願いをしなければならぬだろうというお話もありました。ところでその管理人ですけれども、これがまたなり手がなくなって、ずいぶんと減っているということを局長は御存じでございますか。
  190. 関口洋

    ○関口政府委員 実は私の申し上げました管理人は公営住宅法に基づく監理員でございます。そのほかに、先生がいまおっしゃいました管理人は、それぞれの各事業主体がそれぞれ団地のお世話役として団地入居者にお願いしておる方を指しておると思いますが、これらの方がいろいろお仕事の関係上余りめんどうなことはかかわりたくないというような傾向があることは承知いたしております。しかしながら、その辺をそれぞれの事業主体が苦労しながら運営に努力しておるというのが実態でございます。
  191. 中島武敏

    中島(武)委員 東京都の場合一体幾ら不足しているかということを聞きますと、五十四年十二月末で五百七十三人不足しているというのです。これは大変な数なんです。一体どれだけの手当を出しておるのかということを調べてみましたら、月に八百円から三千四百円という話なんです。これは受け持ちの戸数によってこれだけの手当の開きが出てくるのですけれども、人によっては、ええっと言うものです。これは月ですか、日ですかという質問が返ってくるようなくらいのわずかな手当しか出していないわけです。この管理人さえもいま申し上げたように大変不足をしておる。しかし、だんだん都営住宅は老人世帯がふえてくる。そこへもってきて単身のお年寄りの入居も今度の制度でできてくるということになりますと、ここで住宅局としても、思い切って特別な任務を持った管理人というようなものを考えなければいかぬのじゃないかという気がするのです。片やホームヘルパーなどを強化するということとあわせて、一日に何回か見回りをして何かがあればすぐ連絡をとってあげるというようなことを任務とするそういう管理人のことをも考慮に入れなければいけないのじゃないか、考えなければいかぬのじゃないか、そういうふうに思うのですけれども局長はこの点はどうですか。
  192. 関口洋

    ○関口政府委員 ふだんお仕事を持っておられる方にお願いするというのではなかなか限度があろうかと思います。したがいまして、公営住宅法では正規の——正規のというとおかしいのでございますけれども、それぞれの事業主体の職員が監理員として任命されまして、いろいろな団地状況の視察あるいは入居者の方のお世話というものをしておるわけでございますが、そういう正規の職員をふやすことができるかどうか、この辺につきましてはこれからの状況の推移を見ながらそれぞれの事業主体協議を重ねてまいりたい、かように考えております。
  193. 中島武敏

    中島(武)委員 これを置くとしましても、これまた自治体負担でというようなことになりますと、先ほどから議論されておりますように、自治体はこれまた負担ばかり大きくなってくるというのは申し上げるまでもないのです。  ちょっと関連して、この際伺っておきたいのですが、都営住宅、公営住宅の建設に当たって起債の充当率は従来九五%だった。これを五十五年度からたしか八五%にしていると思うのです。これは東京の場合でいいますと、一〇%起債の充当率が下げられたということだけで超過負担が十七億円出るというわけであります。そうなりますと、ますます都営住宅をつくらないという方向に自治体は向かわざるを得なくなってくる。この際、やはり自治体負担が重くならないように起債充当率なんかをもとに戻すということが必要なんじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  194. 関口洋

    ○関口政府委員 御指摘のとおりに昭和五十五年度の公営住宅建設事業の起債の充当率につきましては九五%から八五%に引き下げられておりますが、これは昭和五十五年度の地方の財政収支が今年度と比較して好転するという見通しに基づいて、地方財政の健全な運営を図るという方針から全般的にとられた措置である、かように私どもは理解をいたしております。  そこで、これが公営住宅の建設の推進に大きな支障を来すじゃないかという御意見の中に、お言葉を返すようで申しわけないのでございますが、超過負担という言葉をいま先生使われましたけれども、私どもはこういう場合から来る公共団体負担は超過負担とはいえないのではないか、かように考えております。これはそれぞれの公共団体の財政状況によりまして確かに一〇%減らされたら苦しいというところもあるかもしれませんけれども、全体のバランスを図るという趣旨から講じられた措置である、かように御理解を賜りたいと思います。
  195. 中島武敏

    中島(武)委員 これは、また言葉を返すようですが、超過負担と呼ぶか呼ばないかというのではなくて、実際上の自治体負担が大きくなるという問題なんです。ですから建設省としては実態をよく見てもらわなければいかぬ。だんだん地方自治体の方は金があるようになってきたなんという評価をしておられるようですけれども現実は大変な実態になっているのですから、そこはちゃんと考えて、八五%なんというふうに下げていくのではなくて九五%、またもとへ戻すというようなことも十分考慮していただきたい、そう思っているわけであります。  それで、管理の問題にかかわってなんですけれども、実は私の住んでおります近くに桐ケ丘住宅というのがあります。これは昭和二十九年に建設されたわけですから、もうすでに古い人は二十五、六年この団地に入っている。現在は五千戸を超える団地になっております。ところが、古い公営住宅というのは独身のお年寄りが非常に多くなってきてしまっているというのが実態なんです。実情を申せば、掃除のやり手がなくなったとかあるいは廊下の電球が切れても取りかえることもできないとか、あるいは病気が重くなっていても一月も周りの人が気がつかないで打ち過ぎてしまったとか、あるいはこれは具体的なことですけれども、桐ケ丘のW地区というところですが、息子さんと一緒に住んでいるわけですけれども、昼間は息子さんは勤めに出ていてお年寄りが一人でいるわけであります。最近も火災事故が二件発生したのです。一人はこのことがもとで焼死され、一人は焼死にまでは至らなかったのですけれども、こういう事故が起きる。それからまた、桐ケ丘のE地区というところでは、お年寄りがいわば恍惚現象を呈していらっしゃる。娘さんがいらっしゃるのですけれども、娘さんが出勤するに当たっては、まるっきりかぎがあかなくなってしまうのも困るので外側からなわで縛って、いざというときには外側からはあくような措置をとって勤めに出なければならない。本当に聞くも悲惨な状況が生まれてきているわけであります。保育園の応募率なども、聞くところによれば〇・九になった。小学校もだんだん生徒数が減って空き教室ができてきている。ですから、いわばこういう古い団地、桐ケ丘なんかでももうすでにお年寄りの町になった、私どもも近くに住んでおりますのですよく行きますから、そういう感じを受けるわけであります。これは何も桐ケ丘団地だけではないのです。もう十年もすれば方々の団地が同じような運命に見舞われることは間違いのないところであります。そこへ今度また単身のお年寄りが入居できるという、このこと自身は先ほど申したように大変よいことだと思いますが、しかし、団地がだんだん老人社会になってくるというわけであります。私は、一体こういうままにしておいていいのかという疑問を感ずるといいますか、率直に言って、このままではいけないなということを感じるわけであります。もっと団地をよみがえらせる、もっと町をよみがえらせるということが必要なんじゃないかと思うのです。そういう点では、これは何も桐ケ丘団地だけに限ったことではありません。全国の古い団地はみんなこういう状態でありますし、これから先のことを考えれば、みんなこういうふうになっていくという問題であります。  そこで、厚生省に、こういう場合に、町をよみがえらせていく、団地をよみがえらせるためにはどうしたらよいかということで、どんなことをお考えになっているのか、ちょっと聞いてみたいものだと思うのであります。
  196. 大西孝夫

    ○大西説明員 お答えいたします。  非常にむずかしい問題かと思いますが、そういう特殊な場合を除きましても、一般的に今後老人の数がふえて、特にそういう公営住宅等が老人社会に近い景観を呈するようになるということは、やはり私どもとしても想定しなければならぬだろうと思います。  その際に、私どもとしてできることは何だろうかということでございますが、まず一つは、その方々が生活していく中で必要なサービス、ニードを満たすサービスを受けられる、そういう福祉網といいますか、福祉サービス網を整備していく必要があろうと思います。そういう意味で、まず福祉事務所あるいは民生委員という関係機関が、常時そういう方々と接触をもちながら、生活上支障がないかどうかということを側面から見守り、必要ならばそういうサービスを提供できる体制を整えていくことが、老人の皆様方自身の生活の上で必要であろうと思います。  ただ、それだけでその社会がよみがえるかということになりますと、それはまた別問題であろうと思いますが、そういう場合に、いま私どもも考えておる問題の一つに、三代世帯あるいは世代間交流という問題がございますが、その地域が孤立して、いわゆる閉ざされた老人社会にならないように、その周辺の地域とも交流を盛んにできるような、そういう意味で、いろいろな集会施設でありますとか、コミュニティーセンター、その他老人と若い世代が交流できるような場所をつくっていく、それを私ども立場からすれば、生きがい対策というような見地から、やはり必要なもの、あるいはそういう組織というものをつくっていくということが当面の課題になるのではないかというふうに考えております。  十分な答弁かどうか知りませんが、私どもサイドからすればそういう方向が一つの方向ではなかろうかと思います。
  197. 中島武敏

    中島(武)委員 建設省のお考えはどうでしょう。
  198. 関口洋

    ○関口政府委員 実情から先に申し上げますと、都営の桐ケ丘団地は、昭和二十九年度から昭和五十一年度にかけまして建設された中高層、百四十六棟、約四千四百戸の非常に規模の大きい公営住宅の団地でございまして、このうち建設が古い住棟、具体的には、二十九年建設分で御説明させていただきますと、これに中層四階で二棟あるわけでございますけれども、そのうちで、何か老人世帯が多い住棟では四〇・六%ぐらい入っておられるということは承知をいたしております。  それで問題は、先生のお言葉に従えば、これをどうよみがえらせていくかという問題でございますが、一つの方向は、ただいま厚生省から御答弁申し上げましたように、老人世帯の方が家に引きこもることなく積極的に付近の方と交流していただくということで、老人の方々にも生きがいを持っていただくということがまず必要なことではないか、かように考えます。  それから、私ども立場からいたしますと、午前中来の議論でも御指摘ございましたように、一棟の中が全部老人世帯になるということはいろいろの観点から問題があろうかと思いますので、まさにこういう場合には、今後こういう住棟があいた場合に、積極的に若い人たちに入っていただくような募集その他に努めまして、俗な言葉で申しますが、老若が入りまじった意味での、いわゆる健全なコミュニティーとしてよみがえるように考えてまいりたい、かように考えております。
  199. 中島武敏

    中島(武)委員 厚生省も建設省もそれぞれに考えておられるということですが、私はこんなふうに思うのです。  まず、お年寄りだけで実際にもうひとり暮らしで、二DKのがらんとしたところに住んでおられる方がいらっしゃるかと思うと、また、その二DKで家族何人もがぎゅうぎゅう詰められているというような矛盾もあるんです。私は、二DKあたりだったらもう一間建て出して、ふろもつけるというようなふうにして、大きな家族でも住むことができる、こういうような措置をも考えなければいかぬのじゃないか。それからまた、そういうところとお年寄りだけ一人になったところと交換をしたりして、有無相通ずるようにする必要もあろうか。あるいはまた、いまは契約の名義人でないとそこに住むことができなくなるわけですが、世帯分離などということも考えてよいのではないか。つまり結婚されても、そこから出ないでも、その団地でどこか住めるようにする、スープの冷めない距離で一緒に御飯は食べる、それから行き来もいろいろとやっているというような、そういうこともいまや考えていきませんと、従来のように、結婚したらほかのところへ出なければならないのだというのではなくて、その団地に住める、そうすれば行き来も自由でありますし、食事も一緒にとることができる。そうなってくると、だんだんこの町がよみがえってくるということになるのではないかと思うのですよ。  そのあたりももういまや検討をしなければならないところへ来ているのではないかと思うのですが、どうですか。これは局長と、大臣の考えも聞きたいなと思うところなんです。
  200. 関口洋

    ○関口政府委員 いわゆる町というものがいろいろな階層の方が住まれて初めて町らしくなるというのは、これは定説のあるところでございます。  問題は、多摩ニュータウンのように人口三十万というような新都市を建設していく場合は私どもはそういうことに配慮をいたしておりまして、したがって、供給される住宅のタイプも、持ち家あり賃借ありいろいろなものをまぜてつくっておりますが、そういういろいろなタイプの住宅を供給するのも、まさに先生が御指摘のように、いろいろな階層の人、年齢層の人、あるいは世帯分離でも余り遠くへ行かずに近所に住めるというようなことも配慮して供給に努力してきたつもりでございますが、いかんせん、御指摘の具体の団地につきましては、それほど大きくもなく、また戸数にも限りがございますので、おっしゃいますような、分離した場合にどこか適当な空き家があってそこにはいれるようにあっせんできるものかどうか、その辺、私もちょっとまだ見当がつきませんけれども、もしそういうことも考えられるならば、やはりあわせて考えた方がベターではないかという感じはいたします。
  201. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 具体的に都営桐ケ丘団地のお話が出ておりますけれども、私は、今後の高齢化社会に対処しまして非常に重要な問題だと思います。私どもは、そういう意味では高齢化社会に対処する住宅対策というものも当然真剣に考えておるわけでございますが、お話しのような問題については、いろいろいま具体的なお話も出たわけでございますけれども、たとえば二Kあたりの公営住宅に一般の方が入っていただけるかということになりますと、いろいろ工夫を要する問題もあるのではないか、そういう意味で、こういう問題につきましては、この団地のみでなく、今後予想されるケースだと思うわけでございますので、十分ひとつ勉強させていただきまして、そのようなことが杞憂に属するような——なかなかむずかしい問題はあろうかと思いますけれども、大いに勉強させていただきたい、こう思っております。
  202. 中島武敏

    中島(武)委員 厚生省企画課長が来られているようですから、話を戻しますが、先ほど、今度新しく政令で定める単身入居の対象者として予定しておるのが、戦傷病者、六十歳以上の者、身体障害者、それから五十歳以上の女子、それから生活保護受給者でございますか、というお話だったのですが、私は、この中に原爆の被爆者を含めるべきではないかというように思うのです。  もともと、この原爆被爆者のことを考えますと、アメリカが広島、長崎に原爆を落としてからすでに三十五年がたっております。しかし、いまなお全国で三十万人を超える被爆者の方が、肉親を失い、生活基盤を破壊されたというだけではなくて、原爆症のために苦痛と不安に満ちた毎日を送っておるわけであります。広島、長崎に対するアメリカの原爆投下というのは、明らかに国際法違反の行為であると思います。すでにこれによって生じた損害に対して、すべての被爆者とその遺族の方は、アメリカ政府に対して損害賠償を要求する権利があると私は思います。  しかし政府は、平和条約の第十九条のa項で、アメリカに対する損害賠償請求権を放棄いたしました。政府は、社会保障の枠にとらわれることなく全面的な国家補償を行う責任があると思うのであります。  そこで、厚生省にお尋ねしたいのですけれども、この原爆被爆者の方々をどういうふうに位置づけておられるのか、まずここをお尋ねしたいのです。
  203. 三井速雄

    ○三井説明員 公衆衛生局の企画課長でございます。  従来から原爆の被爆者に対する対策につきましては、厚生省といたしましては、この人たちの障害というものが放射能によって起こった特殊な障害であるという観点に立ちまして、そういった方々現実障害に着目をいたしまして、特別な社会保障として、原爆医療法、それから原爆特別措置法といったような具体的な現金給付を支給する制度で被爆者の援護対策を行っているところでございます。
  204. 中島武敏

    中島(武)委員 社会保障の対象者として考えるという場合にも第一位にランクされなければならないんじゃないかというように私は思っているのです。そういう点では、建設省の方でも、戦傷病者の方を含めているのですから——これは私、結構なことだと思います。やはり原爆被爆者の方をもこの際政令の中に含めるべきじゃないかというように思うのですが、大臣の見解をお尋ねします。
  205. 関口洋

    ○関口政府委員 戦傷病者の方を政令の対象といたしましたのは、あるいは身体障害者の方とどういう区分のもとにこれを考えたのかという御質問かと思いますので、その点についてまずお答えをさせていただきますと、戦傷病者の方の中には障害者手帳の交付を受けられていない方も多い、かように伺っております。なお、戦傷病者につきましては同じように手帳が交付されておりまして、範囲もはっきりいたしておりますので、政令で戦傷病者の方を予定しておるような次第でございます。  しからば、戦傷病者を政令の対象の予定としているならば、原爆被爆者も予定すべきではないかという御質問でございますけれども、私どもがいま政令で予定している方は、大きく分けますと、老人の方であるとか、あるいはただいま申しましたように身体に障害をお持ちの方、あるいは生活保護を受けられておる方というような方々を対象としておるわけでございます。そういう方々と比べますと、この原爆被爆者の方は、原爆の被爆という事実はございますけれども、まだ、それが実際に生活面でどういう影響を受けておられるかにつきましてはいろいろ分かれておられるようでございます。現実に身体に欠陥を生じてお困りの方がおられるとすれば、まあ身体障害者の範疇の方に入りますし、また、日常の職業等になかなか従事できないということであれば、生活困窮者の方として入居を認められるわけでございます。  そういうふうに分類していきますと、この原爆被爆者の方につきましてどういう観点から政令の対象としていいのか、私どもまだ考えがまとまらなかったので、先ほどは挙げなかったわけでございます。そういうわけで、なお今後とも具体的には厚生省とも十分協議をして、その上で結論を出させていただきたい、かように考えております。
  206. 中島武敏

    中島(武)委員 いまの問題ですが、厚生省の方はどんなふうに考えますか。私の考え方は先ほど述べました。厚生省の見解をお聞きしたい。
  207. 三井速雄

    ○三井説明員 原爆援護対策を所管しております担当の省といたしましては、もちろん、被爆者の方々について各般の手厚い措置がとられることを希望するわけでございますけれども、具体的な問題におきまして、この公営住宅の入居の問題につきましてどういうふうにするかということにつきましては、これから建設省から具体的に政令段階で、どういう人たちが具体的な対象になるかということが決まってくるわけのように考えておりますので、建設省のお考えも聞きつつ検討してまいりたいと考えております。
  208. 中島武敏

    中島(武)委員 後で協議をするのは結構だと思いますが、厚生省としてももう少ししっかり、ちゃんとやらないといかぬ。言っていることはわからぬことはないでしょう。  それから建設省の方も、何か、むずかしい、むずかしいということばかり答弁しているのじゃなくて、この際やはり公営住宅の入居資格が得られるというように考えていくべきだと思うのです。もう一回。どうも、さっきの答弁は消極的に聞こえたので、もっと前向きに検討するぐらいの答弁は出てきてもいいと思うのだけれども、どうだろう。
  209. 関口洋

    ○関口政府委員 厚生省ともよく御相談をし、実は私どもまだ被爆者の方の生活の実態につきまして詳細を承知いたしていないものですから、その辺も厚生省から教えていただいて取り組んでまいりたい、かように考えております。
  210. 中島武敏

    中島(武)委員 障害者の住宅問題についてお尋ねしたいと思います。  これも先ほど来問題になっておりますが、この制度で入居に道を開かれたとしても、実際に入れないということになりますと、何にもならないわけです。そういう点では、身体障害者の場合に建物のどういう改造を考えておられるのか、建設省に伺いたいと思うのです。
  211. 関口洋

    ○関口政府委員 障害者の方の入居に当たりましてどういうふうな配慮をするかという点について御説明をさしていただきますと、障害の程度によりましていろいろきめ細かく配慮しなければならぬというふうに私ども考えております。  まず、聴覚に障害をお持ちの方につきましては、玄関等のブザーにかわり警報ランプの設置等の改善策、それから視覚系統に障害をお持ちの方につきましては、浴室、便所への手すりの設置等の改善策、それから、肢体が不自由な方につきましては、浴室、便所の手すり、屋外スロープ、車いす利用を可能とする各種施設の設置等の改善、こういうものが検討の対象に入っております。
  212. 中島武敏

    中島(武)委員 この点は厚生省ともさらに相談をして、いわゆるいまの特目住宅でやられているところに大いに近づけるという方向で御努力を願いたいと思います。私も特目住宅における車いす障害者の方々のところをよく見ているのですけれども、既存のところを改造するというときには、なかなか困難もあることはわかるのですけれども、やはりその方向にできるだけ接近をするということをやりませんと、せっかく入居の資格があっても入居ができなくなるということになりますので、ぜひひとつこれはそういうふうにしていただきたいと思います。  それから次に、建てかえ問題について幾つかお尋ねをいたします。  この法定建てかえが、面積要件で言いますと、千五百平米以上というようになっています。それで、先ほどからお話がありましたから質問を簡単にしますけれども、実際に東京都などの場合には、面積要件、それから戸数要件に欠ける団地の建てかえをやっているところが実際の半分ぐらいあるわけであります。そういう点からいうと、私はこれはもっと面積要件を引き下げるべきではないかというように考えるわけであります。  また、建てかえる期間の移転費などをいま出しておりますけれども、しかし移転費だけではなくて、これは東京都の場合でいいますと、協力費なども出しているわけであります。その点でも協力費なども補助対象にするとか、できるだけ自治体負担にならないように、もっと政府の側から配慮をするべきではないかというように考えるわけであります。つまり、面積要件をもっと下げるということと、それから、実際に移転費以外にも出している協力費などに対しても補助対象にする。どちらも自治体負担になることでありますから、その辺は実情に見合ったふうに要件も下げる、したがって補助対象にもする、こういうふうにいくべきじゃないかと思うのですが、局長はどうでございますか。
  213. 関口洋

    ○関口政府委員 面積要件の件に関しましては、失礼でございますけれども、これも簡単に答弁をさしていただきたいと思いますが、先ほど来申し上げておりますように、やはり中層住宅一棟が建設できる規模あるいは住宅地区改良法との並びの問題、こういう問題がございますので、ただいまのところ千五百平方メートルで妥当なものと考えておりますけれども、せっかくの御指摘でございますので、将来に向けてさらに検討してまいりたい、かように考えております。  それから、助成措置の中でもう少し補助対象の項目をふやせという御意見でございますが、この点実は私ども東京都からそういう協力費を払っておるとか、それがどういう考え方だというようなところまで、まだ具体的に詳細承知しておりませんので、これも今後私どもも勉強して、必要があれば対応策を講ずるというふうにさしていただきたいと思います。
  214. 中島武敏

    中島(武)委員 もう一つ要件である戸数要件の方について伺いますが、政令では木造の場合に一・七というふうにされようとしているのですけれども、これは結論からいいますと、大都市の場合には、東京の場合ももちろんそうですが、実態に合わないのじゃないかと思うのです。といいますのは、建てかえる場合に、児童遊園とか遊び場とかあるいは道路の拡幅だとか環境整備にかなりの部分をとられるわけであります。そういう点では、木造建てかえの一・七というのを、実情に合わしてもっと下げるべきじゃないかというように考えるのですが、この点についての見解を伺います。
  215. 関口洋

    ○関口政府委員 建てかえの対象となる団地は、いまさら申すまでもなく、非常に良好な立地条件を備えておりますので、できるだけ高度利用を図っていきたいという観点から、かつては二倍にしておったのでございますけれども、建てかえる住宅の規模が拡大してまいりましたので、先生指摘のとおりに、在来のものが木造であれば一・七倍まで緩和したい、かように考えておるような次第でございます。  そこで問題は、建てかえ事業を予定している土地区域におきまして、道路、公園、その他の都市施設に関する都市計画が定められているというように、特別の事情がある場合にはどうするのだということでございますが、これにつきましては、その実情を考慮いたしまして、最低限住宅戸数を超えれば足りるものとして運用してまいりたい、かように考えております。
  216. 中島武敏

    中島(武)委員 これは申し上げるまでもないのですけれども、建てかえの目的というのは、公営住宅法に書かれてあるとおりだと思うのです。つまり、地方公共団体は、公営住宅の建設を促進し、及び公営住宅の居住環境整備するため必要があるときは、建てかえを大いに進めるようにしなければならないということが書かれているわけであります。この点、建設の促進戸数ということだけではなくて、やはりもう一つ目的である居住環境整備ということをもっとうんと考慮する必要があるということであります。現実に建てかえをしたところは、そこの居住者の子供たちだけじゃなくて、また居住者だけじゃなくて、近所の人もいろいろと利用をするわけであります。児童遊園にしろ、遊び場にしろ、何にしろそういうふうになっているわけであります。そういうところを広くとるということになってくると、一・七という数字に達しないという場合が出てくるのですね。ですからそこのところを十分考慮すべきじゃないかということでありますが、どうですか。
  217. 関口洋

    ○関口政府委員 先ほどお答えしましたとおりに、道路、公園、その他の都市施設に関する都市計画が定められているというような特別の事情がある場合には、その実情を考慮してまいりたい、かように考えております。
  218. 中島武敏

    中島(武)委員 時間ですので、終わります。
  219. 北側義一

  220. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 今回の公営住宅法の一部を改正する法律案改正の趣旨につきましては、賛成の立場を明らかにいたしておきますが、わが国の住宅政策の中におけるいわゆる公営住宅の位置づけというものは、一体どのようにお考えでしょうか、お伺いをします。
  221. 関口洋

    ○関口政府委員 五十三年に行われました住宅需要実態調査あるいは住宅統計調査、これを四十八年時点と比較してみますと、一番の特徴は、いわゆる最低居住水準未満の居住水準しか有しない方の割合が非常に減少してきたということでございます。そういう意味から、私どもは、住宅の質もかなり改善されてきたという認識に立っておりますが、さはさりながら、まだかなり多くの方が、最低居住水準未満の住宅にお住まいを余儀なくされております。今後の公営住宅を含めました公的賃貸住宅の供給は、この最低居住水準未満にお住まいの方、そのうちでも、特に四、両人世帯を形成しておられる方に重点を置いて供給を進めていくべきではないか、かように現在のところ考えております。そのうちで公営住宅につきましては、低所得層の方に対する住宅供給の役割りを担っていくべきもの、かように考えております。
  222. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ちょっと質問の趣旨に回答が合っておりませんが……。つまり、わが国の住宅政策の中で、持ち家政策とか、あるいは公庫、公団住宅政策あるいは公営住宅政策、こういうものがあるわけでありますけれども、一応言われておりますのは、所得階層別に一応の区分をして、そして公営住宅はいわば低収入の方々、これらを対象として建てておる、こういうことですね、実際は。  そこで、御承知のように、わが国の全体の経済的な立場から見ていきますと、自由世界では第二位だ、こう言われながらも、きわめて貧弱な住宅に住んでおる。これを欧米人からの批判するところによれば、いわばウサギ小屋に住む働きバチだ、こういうふうに言われておるわけですから、その彼らが言うウサギ小屋というのが、いわばこの公営住宅に相当するのではないか、こういう気がするわけですね。だとするならば、所得階層はやはり低い者に照準を当てながら行っていく住宅政策の一部ではあっても、一応経済大国に見合うその住居水準まで引き上げていくということが必要ではないだろうか、こう考えるわけですが、その辺では、これは確かに予算との関係もございますから一挙にはいきませんけれども、方向として、第三期住宅建設五カ年計画の中で、量よりも質だ、こういう方向が打ち出されながらそういう政策がとられてきているわけですが、現実に一体どうなんだろうか、こう見ていきますと、それらの批判をかわすような質的向上があっただろうかと見ていくとそうではないんではないか、こういう気がしてならないわけでございまして、もっと根本的に考えていかなければならぬ。  そこで、先ほど来も問題になっておりましたが、その住宅政策と福祉政策との関係ですね。いわば福祉施設の足らざるを住宅政策で補っていくというような考え方に立ちますと、非常に大きな問題が出てくるのではないだろうか。したがって、福祉政策は福祉政策として、やはりこれは十分に配慮してもらわなければならぬし、そういう弱者の方々を公営住宅に収容すること、そのこと自身は結構でございますけれども、その辺の関係の調整をうまくしていかないと、看護人、ホームヘルパーというような制度、それらが果たして完備しておるのか、あるいはばらばらに入っていらっしゃる公営住宅にいろいろ住民的なアンバランスも生じてくるでしょうし、そうした場合のそういう看護体制というものが万全ではないし、むしろそれは福祉施設できちっとしたお世話をしていくという方がより合理的ではないであろうか、そういうふうに考えるわけですね。だから住宅政策と福祉政策との混同ということは、一見、住宅政策の中で福祉的な問題を推進していくということは必要ではあっても、それらが主になってまいりますと、非常におかしな問題が出てくるのではないか、こう考えるわけですが、その辺はいかがお考えでしょうか。
  223. 関口洋

    ○関口政府委員 私どもが担当しておりますものはあくまでも住宅でございまして、社会福祉施設ではないということは、これからもよく念頭に置いて行動していかなければならない、かように思っております。したがいまして、今回の単身入居に当たりましても、その辺をいろいろ配慮いたしまして、実際に入居していただく方は、日常生活にある程度支障のない方、そういう意味では、自立的に行動できる方、こういう方を対象として考えてまいりたい、かように考えております。
  224. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 入居時においては、確かに自立的に行動ができる、こういう方であっても、やはり高齢者ですから、いずれは寝たきりになられる方もおられるでしょうし、その施設的なお世話をしなければならぬというものが当然出てくるわけですから、その場合をおもんばかれば、やはり福祉施設の充実ということが必要なわけですよね。ところが、福祉施設が十分に整っていないと、どうしても公営住宅の一部をそういうふうに割いていかなければならぬ、こういう関係に陥ってくるわけですけれども、しかしそれだけでは本当の意味の福祉政策の推進にはならぬだろう。福祉施設に収容できなかった方々が、今回の措置によって一応は公営住宅の方にも救われるという方が出て、それはそれなりに結構だと私は思うが、それだけで事足りるということにはならないのではないだろうか。基本的には、いま申し上げましたようなそういう方向でやはり考慮をしていくべきではないか、こう考えるわけです。  その点は先へおきまして、したがって、そういう今回の措置によって、いろいろ社会的弱者の入居資格ができてまいるわけでございますが、それはそれなりに私は結構だと思います。しかし、それのための補完的な政策もあわせて行っていかなければいけないであろう、こう思うわけですが、この入居資格そのものはいいとして、たとえばそういう人々を入居させる対象の住宅といいますか、公営住宅の中にもいろいろあるわけですね。だから一体、どちらのどのような公営住宅を、その人々を収容する対象住宅と考えておられるのか、この辺はいかがですか。
  225. 関口洋

    ○関口政府委員 結論から申しますと、一K、一DK及び二K程度の既存の公営住宅、これを考えております。しからば、なぜこういう小規模な公営住宅を単身者向けに振り向けていくのかということでございますが、これらの住宅はいずれも、先生先ほどの御指摘にもございましたように、現在の目から見ると、要するに世帯向けの公営住宅としては手狭である、だから、むしろこういう小規模の公営住宅は単身用に振り向けていった方が住宅政策としてもベターだという考え方で、いま申し上げたような方向で物事を考えておる次第でございます。
  226. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その公営住宅の中でも狭隘な小さい住宅をこれらの人々に割り当てていくんだ、こういう考え方でございますが、戦後つくられたような非常に狭隘な住宅、本当に住宅が不足しておった時代に、やむなく質よりも量だという立場でつくられていった住宅、それがたまたま経済の発展とともに国民の生活水準が上がってくる。それに準拠してやはり世帯用としては手狭になったので今度はこれを単身者に振り向ける。単身者だけならいいのですが、いわば社会福祉施設的なものにも利用していく、こういうことです。問題は、私は非常に矛盾があると思いますのは、そういう狭隘な住宅は、いわば今回の法律改正によっても考えられておりますような建てかえ施行の対象戸数ではないだろうか。それらは当然、早晩建てかえ施行がせられていくべき劣悪な住宅と言わざるを得ないんですね、実際は。だから、そういう方々をそこへ収容していくということが早晩問題になってくるのではないか。つまり、次の建てかえ施行の時点でそういう問題が出てくるかと思いますが、その点はいかがですか。
  227. 関口洋

    ○関口政府委員 いま先生が御指摘のような点が、率直に申しまして私どもがいままで検討に時間を要したところでございますが、そこで出ました結論から申しますと、建てかえ事業は主として木造等で耐用年限の二分の一を経過して居住性能の低下した公営住宅を対象とする。一方、規模は小さいと申しましても鉄筋等で建てられたもので、まだ経過年数が耐用年限の二分の一に満たないというために当面建てかえ事業の対象とはしなくてもよろしい、引き続き相当の期間使用可能な住宅が約四十万戸ございますので、それを単身用に振り向けていきたい、かように考えておる次第でございます。
  228. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 全国で約四十万戸とおっしゃいましたが、その四十万戸が果たしてうまく配置をされているだろうかと見ていくと、そうではないんではないかという気がしてくるんですね。ある一地方に偏在をしてくる。だから入る人が特定をされる。入っていただく家屋がまた特定をされてくる。ところが、そういう入っていただく人々が、ある地方に偏在しておればいいですよ。たまたまそこにたくさんあったというふうに合致すればいいわけですけれども、そううまくはいかないじゃないですか。全国では四十万戸あって、たとえば対象人員が四十万人おる、ここだけは符合するわけですけれども、果たしてそれでうまく収容できるかというとなかなかそうはいかない。入りたい地区にはなかった。とてもじゃないがあんな遠くの方へはわしはよう行かぬ、こういう問題が当然出てくると思います。たまたま自分の村にそういう公営住宅で小規模なものがあった、こういう人は結構ですが、入りたくても入れないという人が当然出てきますね。そうしますと、非常に不公平な状態がここに現出をしてくるわけですが、そういうところには別の対策として福祉施設の建設を急ぐとかなんとか、そういう配慮がおありの上でそうおやりになるのか。いま聞いておりますと、四十万人の対象者がおる、たまたま四十万戸あるんでこれでうまくいくんだというように聞こえるわけですけれども、そうはどっこいうまくいきませんぞということを言っているわけですよ。
  229. 関口洋

    ○関口政府委員 単身者の数が実は四十万人と申し上げているのも、先ほど来お答えしておりますように本当に概数でございまして、正確に需要実態を把握した数字ではございません。したがいまして、その地域的な分布その他についても今後募集の過程で把握していきたいと思っております。  そこで、地域的な偏在問題が生じた場合どう対応するのかという点でございますが、その場合に、おっしゃいますように、社会福祉施設等の建設をにらみ合わして、その上でなおかつ新しいものが必要だということになれば、その時点で私どもは判断をしてまいりたい。当面は、実はいま申しましたような既存の鉄筋のものは、早くから手をつけておりました大都市地域に主としてございます。それからまた、一方いま私の頭の中にあります老人だとか身体障害者の単身の方が多いのも、都市部と地方部と分けてみますとやはり都市部に多く、その中でも大都市部に多いんじゃなかろうか、むしろ地方部におきましては、いわゆる家庭基盤がしっかりしておりますので、老人なり身体障害者が単身でお住まいになるというケースは比較的少ないんではなかろうか。そうだとすれば、いま申しましたように、大都市地域を主力にいたしまして今後募集の状況を見ながら将来の方向を考えていけば当面間に合うんではないかというのが現在の私どもの判断でございます。
  230. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 これで終わります。
  231. 北側義一

    北側委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、来る二十八日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会