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1980-02-20 第91回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年二月二十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 北側 義一君    理事 小沢 一郎君 理事 大坪健一郎君    理事 國場 幸昌君 理事 渡辺 紘三君    理事 竹内  猛君 理事 渡部 行雄君    理事 伏木 和雄君 理事 瀬崎 博義君    理事 渡辺 武三君       池田 行彦君    上草 義輝君       大野  明君    谷  洋一君       中島  衛君    中村  靖君      三ツ林弥太郎君    井上  泉君       小野 信一君    木間  章君       中村  茂君    貝沼 次郎君       松本 忠助君    井上  敦君       中島 武敏君    和田 一仁君  出席国務大臣         建 設 大 臣 渡辺 栄一君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 園田 清充君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       谷村 昭一君         国土庁長官官房         審議官     柴田 啓次君         国土庁土地局長 山岡 一男君         国土庁水資源局         長       北野  章君         国土庁地方振興         局長      四柳  修君         建設政務次官  竹中 修一君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設大臣官房会         計課長     杉岡  浩君         建設省計画局長 宮繁  護君         建設省都市局長 升本 達夫君         建設省河川局長 稲田  裕君         建設省道路局長 山根  孟君         建設省住宅局長 関口  洋君         建設省住宅局参         事官      大田 敏彦君  委員外出席者         大蔵省銀行局銀         行課長     足立 和基君         自治省行政局行         政課長     中村 瑞夫君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     澤田  悌君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     有賀虎之進君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     櫟原 利嗣君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     今野  博君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大竹 達哉君         建設委員会調査         室長      川口 京村君     ————————————— 委員の異動 二月十九日  辞任         補次選任   上草 義輝君     澁谷 直藏君   井上  泉君     阿部 助哉君 同日  辞任         補欠選任   澁谷 直藏君     上草 義輝君   阿部 助哉君     井上  泉君     ————————————— 二月十八日  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出  第三二号)(予) 同月十三日  中国縦貫自動車道早期完成に関する請願(加  藤六月君紹介)(第八一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 北側義一

    北側委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、日本住宅公団総裁澤田悌君理事有賀虎之進君、理事櫟原利嗣君理事今野博君及び日本道路公団理事大竹達哉君に参考人として御出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 北側義一

    北側委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 北側義一

    北側委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡部行雄君。
  5. 渡部行雄

    渡部(行)委員 まず、建設大臣にお伺いいたしますが、八〇年代の幕明けに際して、日本経済見通しは不透明であると言われ、また、激動の年代であるとも言われておるわけでございます。  そこで、この八〇年の経済見通しと、そこにおいて果たす建設行政役割り、あるいはそれに対するあり方としてはどうあるべきか、こういう問題について、まずお伺いいたします。
  6. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 渡部先生にお答え申し上げます。  ただいまお話しの、最近の経済情勢のもとにおきます建設行政あり方でございますが、御承知のような財政事情の中から、昭和五十五年度財政再建の第一年ということで、財政的にも非常に厳しい情勢でございますが、そのような中におきまして、いままでのような公共事業伸び確保するということは非常に困難になっております。また、景気につきましても、一応自律的な拡大基調は維持できるというような見方もございまして、公共事業伸び昭和五十四年度並みというところで抑制をされましたことは御承知のとおりでございます。しかし、私は、公共事業は基本的には着実に実施をすべきものであるし、またコンスタントに実施をすべきものであるということを日ごろ主張しておる立場でございまして、基本的には社会資本整備に対する国民の需要に十分対処をし、また中長期の整備計画に基づきまして、計画的な整備を進めることが必要であると考えております。なお、御承知のとおり、国際的にも非常に社会資本充実はおくれておりまして、今後とも社会資本ストック充実に積極的に対処する必要があると思っておりますので、そういうような意味におきましては、今後とも一層努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  7. 渡部行雄

    渡部(行)委員 社会資本充実を積極的にやってまいりたい、こういうお話で、そのとおりになされていくならば私も賛成でございますが、実際今度の建設省予算を見ますと、必ずしもそうではないのではないか、こういうふうに思われるわけであります。しかも、いま日本経済は一ドル二百四十三円から二百五十円くらいの円安という通貨情勢を背景として、そこに原油値上がりという非常に困った情勢に直面しておるわけであります。したがって、こういう中では、原油値上がりというものが日本国内物価にもろにかぶってくる、こういうことは否めない事実であろうと思います。そこにもってきて、電気、ガス料金の値上げを初め、あらゆる公共料金が上げられ、また上げられようとしておる。こういうことではまさに火に油を注いだような状態でありまして、卸売物価は異常な高騰を続けておるばかりでなく、これは必ず消費者物価に反映してまいるわけでございます。したがって、ことしは後半相当インフレが進行することは間違いなかろうと思います。  そこで、政府は、このインフレを何とか抑えなければならないということで、一つには公定歩合引き上げ、もう四回にわたってなされました。また、預金準備率引き上げ、あるいは貸出金利引き上げ、またマネーサプライの操作、そういうものを通して金融引き締めをもってこれに対処しよう、そして一方では財政緊縮化を図って設備投資やその他の生産活動に冷や水をぶっかけるようなやり方で臨んでおるわけです。  確かに、通貨流通と物の流通という大きな観点からすれば、そういう政策もわからないではありません。しかし、こういうやり方で、いままで積極財政、そして公共事業景気牽引力としてなされておったその政策から、一転して今度は公共事業を後ろにした、まさに質的な政策転換を図ろうとしておるわけでございます。こういう中では、私は本当にインフレがこれだけで阻止できるだろうか、非常に疑問であります。  そればかりではありません。問題は、この政策転換の中でどの階層どういう業種、どういう部分犠牲になっていくかということをよく検討しなければならないと思うわけであります。  そういう点では、御承知のように建設資材も非常に高騰を続けておりますし、また建設業界においても物が上がる、そして中小以下の零細業者は、仕事が始まって初めて現場に自分のストックした材料を運ぶのではなくて、建材屋から直接そこに運ぶような、全く余裕のない自転車操業をしておるのが実態であります。そういう中で、契約時よりも実際仕事をする場合には物価が上がっておる。そこにもってきて今度は自転車操業の一番大事なチェーンの役割りをする金融というものが相当のブレーキをかけられると、ここに倒産というものが必ず起きてくるのではないか。現実にいままでの統計の中でも、公定歩合引き上げ企業倒産というのは、ある程度並行して出ておるのが実態であります。  そうして考えますと、中小以下の企業に対して何か細かい対策がないと、ここが一番犠牲の最たるものになるのではないだろうか。しかも、そういう中小零細の中に働いておる労働者は失業のやむなきに至るというようなことが予想できますので、それらに対する大臣対策をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  8. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えします。  私もそのような経済情勢また財政金融あり方の中で、いわゆるしわ寄せを受けるものが零細中小企業に及ぶのではないか。これは建設事業に限りませんけれども、全体として私どもは留意せねばならぬ問題であると十分考えておるつもりでございます。  そこで、建設省はただいま先生おっしゃいましたような中小建設業保護育成を図るという観点につきましては、いろいろと配慮いたしてきておるわけでございますが、特に中小建設業者受注機会確保を図るということにつきましてはいろいろ努力をいたしておるところでありまして、特に発注標準というものを決めておりますが、極力そういうものの遵守を図って、受注機会のバランスを図ってまいりたい。  もう一つは、極力、できるものは分割発注によりまして、大企業のみでなく中小企業者受注のできるような努力を続けていく。なお、事業によりましては、共同請負制度というようなものも活用していく。これらの制度を極力関係機関に指示をいたしまして、中小企業建設業者受注をする機会をふやすように最善の努力をいたしておるわけでございますが、もう一つ下請代金支払いにつきましては、元請下請関係合理化指導要綱というものも決めておりまして、それによりまして、支払い等に関して不適正な事例が生じないようにということにつきましては、十分業界指導いたしておるわけでございます。  もう一つお話のございましたように、今後金融が引き締められていくという中で、いろいろな倒産その他の問題が心配されるわけでございますが、私どもといたしましては、中小建設業者金融ということにつきましては、その円滑化を図るために、特に政府系金融機関によりまする中小建設業向け融資枠というものの拡大につきまして一層努力をいたしてまいりたいと思いますが、これらの措置を講じまして、いままでも努力をしてまいりましたが、お話のような昭和五十五年度に向かいましては、いろいろ留意すべき点がたくさんございますから、われわれも努力をしてまいりたいと思います。たとえば五十四年度上半期におきましては、私ども従来よりも少なくとも中小企業受注機会をふやすという努力を続けてまいりましたけれども目標としては五十四年度上半期四四・七%を目途といたしておりましたけれども上半期におきまして実績といたしましては四六・四%というような経過となっておりますが、今後は先生のおっしゃいますようなことにつきましていろいろ注意をすべき点がございますので、ひとつ十分その点に留意をしてまいりたい、かように考えております。
  9. 渡部行雄

    渡部(行)委員 大臣は、私が先ほど申しました政策転換の最も犠牲になる部分というのは中小零細企業であり、中でも建設業界に非常に強い、こういうことはそのままお認めいただけるのでしょうか。
  10. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 そういうことにならないような注意努力を私どもは払わなければならぬ、こういうことを申し上げました。
  11. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ならないように注意をするということはわかりますが、ただ、現実にいま政策はそのように転換されて、過去の経験から推して考えるに、ここが私は一番ポイントだと思うのです。それを認めてかかるのと、ならないようにという注意もまずその認識一つの前提になるのではないだろうか、こんなふうに考えられますので、重ねてひとつこの建設業中小以下が非常に大変な情勢である、こういうことを認められるかどうかということでございます。
  12. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 零細中小企業と一口に言いましても、いわゆる経営基盤の非常に脆弱な企業もございますし、またそういう意味におきましては、経営あり方というものにつきましてもいろいろ十全でない企業もございますから、もちろんそういうような意味におきまして最近の倒産事情というようなものについて、私もいろいろと注意をいたしておるわけでございますけれども、そういう懸念のあることは私どもといたしましても十分認識をしておかなければならぬと思っておりますので、その点十分な関心を持って努力をしてまいりたい。認識は十分いたしておるつもりでございます。
  13. 渡部行雄

    渡部(行)委員 認識は十分しておられるということですが、今度の公共事業を見ますと、一般公共事業費がゼロ成長になっております。しかしこのことは、一般予算全体が一〇・三%伸びているのに公共事業費はゼロであるとなると、逆に実質的には一〇・三%の減であると認識していいのではないか。そうすると、建設資材が非常に値上がりしている中で、また労働賃金もこれから上がろうとしておるわけです。日本の五十五年度卸売物価見通しが九・三%、これに対して建設資材はことしの五十五年一月現在で前年比一九・三%上がっているわけでございます。建設材料の平均としては一六・二%、こういうふうになっておりまして、相当の高率で上がっておる。これがまた末端の消費価格にもはね返るわけです。そうなると、予算はゼロだが仕事の量では相当マイナスになってくるのではないだろうか。つまり伸びゼロということは、逆に仕事の量あるいはそこに働く雇用の範囲というものが狭まるのではないだろうか、こういうふうに考えられますので、この点について大臣の御意見をお伺いいたします。
  14. 丸山良仁

    丸山政府委員 計数の問題でございますから、私からお答えさせていただきます。  ただいま先生お話のございましたように、確かに来年度予算は名目で本年度予算と同様でございます。しかしながら、御承知のように一月の十一日に閣議決定がございまして、五%の留保という措置がとられております。これは当然経済変動によりまして今年度中に解除することもあり得るわけでございますが、もし解除されたといたしましても事業の執行は来年度にならざるを得ない。いまからではそういうことになると思います。そういうことになりますと、五%を留保いたしますと、ことしの量と比較いたしまして五%が翌年度にいくわけでございますから、大まかに申しまして一〇%の増になるわけでございますから、名目的には本年度予算の一〇%の増、こういうことになるわけでございます。一方、先生のおっしゃいましたように物価その他は、現在では一六・数%建設資材は上がっておりますが、われわれの見通しでは、まだ確たることは申し上げかねますけれども、大体八%前後で来年はいくのではないか、このような試算をしているわけでございます。そういうことになりますと、本年度実質予算量と来年度実質予算量はほとんど同額になるのではないか、こういうことでございまして、われわれといたしましては必ずしも満足できる数字ではございませんが、それほど業界に支障があるようなことにはならないのではないかということを期待しておるわけでございますし、先ほど大臣から御答弁のございましたように、予算の少ないときには中小企業の方に重点を置いて発注をするという施策も積極的に講じてまいりたい、このような施策によりまして、中小企業に対してましては余り御迷惑のかからないような施策を積極的に進める考えでございます。
  15. 渡部行雄

    渡部(行)委員 実質的には五十四年度と大して変わりはないようになるだろうとおっしゃいましたが、原油値上がりの波及というのはむしろこれからでありまして、第二次エネルギーの値上がりもこれからであります。そうなると、そういうものが資材にはね返るのは明らかでありまして、それがいまでも一六・数%上がっているのがどうして八%台に抑えることができるだろうか。もちろん、政府卸売物価見通しは九・三%、消費者物価が六・四%という見通しを立てておりますが、しかしこれはその他の財界等の意向なんかを見ますと、これを超えるだろうという見方もあるようでございますし、私は、どうも八%台に抑えられるという確信ある説明にはなっていないのではないかというふうに思われるわけであります。しかも、その間で、中小零細企業に対する施策も十分考慮していくというお話でございますが、だとすれば、ここにあるようないわゆる租税特別措置法問題等についても、この部分については据え置くとか、何かそういう極端な変化をもたらさないような配慮が必要ではないか。たとえば、中小企業公害防止施設特別償却特別措置を廃止するということになっておりますが、ますます経済的に苦しくなれば、これは裏を返せば、もう公害防止施設はサボるということにはね返ってはいかないだろうか。それからまた、中小建設業者等機械特別償却率を六分の一から百分の十四に引き下げるという問題もありますし、さらにはこの中小建設業等貸し倒れ引当金の特例という問題についても、貸し倒れ引当金について割り増し繰り入れ率を二〇%割り増しから二八%割り増しに引き下げた上、その適用期限を二年延長するというふうになっております。こういうふうに中小企業以下の条件はますます悪くなっているのが事実でございまして、これでは先ほどの細かい中小零細企業に対する配慮というものについての一つ答えにはならないのではないか、現実には逆の方向をいっているのではないかと私には思われるのでございますが、いかがでしょうか。
  16. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  五十五年度税制改正につきましては、いまお話がございましたように、一部の減税措置の見直しが行われまして、ただいま先生のおっしゃったような措置がとられたわけでもございますけれども、私どもとしましては、絶対に必要な貸し倒れ引当金割り増し繰り入れ率の二カ年延長、こういうものについては残存をしてもらったわけでございます。  なおまた、新しく減税措置といたしまして、とびとか土工工事業を営む業者建設工事現場建設機械動力源の用途に使用する軽油につきまして、最近軽油が非常に高くなっておりますので、本年度から新しく減税措置等も考慮していただくようにしてまいりました。それで、こういう税制につきましては、ほかのいろんな横並び等もございましたけれども必要最小限度のものは絶対に残していただく、こういう方針で臨んだわけであります。
  17. 渡部行雄

    渡部(行)委員 それではさっぱり答えになっていないと思うのです。  私の言っているのは、この政策転換しわ寄せが、特に建設業界の中でも中小零細企業に非常にしわ寄せされてくる。だから、それに対する対策として、もう少しここを保護する、そういうものがあってしかるべきではないか。しかるに、現実政策ではその条件がますます悪くなっているのではそうならないのではないかという質問ですから、その辺に対してひとつお答え願いたいのです。
  18. 宮繁護

    宮繁政府委員 先ほど大臣から、中小建設業対策につきまして企業体質改善あるいは受注機会確保についてお答え申し上げたところでございますけれども、いま少しく詳しく具体的にお答えしたいと思います。  中小建設業の数は、四十七万業者のうち九九%以上でございます。で、まず体質の強化を図るためには私ども協同組合等組織化を進めることが必要だということで、この指導に力を入れておりまして、最近では中小業者の約三割程度の方が協同組合をつくっていただきまして、共同施設をつくるとかあるいは共同資材を購入する等の事業活動をやっていただいております。  また、先ほど大臣がお答えしました金融の問題につきましても、政府系中小企業金融機関建設業に貸し出します比率は毎年高まってまいりまして、数年前は六、七%でございましたけれども、いまは全産業に対します建設業貸出残高が九%程度になっております。貸付残高といたしましても、三機関で数年前は五千億以下でございましたけれども、現在は九千九百億というような金額にもなってまいっております。その他、特に担保能力のない中小建設業に対します融資の道といたしまして、建設業振興基金から債務保証をやっております。それから建設業前払い保証事業会社が特定の金融機関に資金を預託いたしまして、その見返りといたしまして中小建設業融資をしていただく、こういうことで、担保能力のない中小企業金融のてこ入れをやっております。  それから、やはり何と申し上げましても、中小企業みずから体質改善を図っていただくことが重要でございますが、個々の業者だけでやるのは大変でございますので、団体ぐるみ近代化をやっていただこうということで、近代化目標あるいは近代化の手法、近代化事業のメニュー、こういうものを決めまして、団体ぐるみ近代化努力を続けていっていただいております。  なお、そのほか経営改善指導というのをやっておりまして、業種別経営改善指針をつくりましていろんな経営指数につきまして目標を設定していただく、あるいはまた一人当たりどの程度受注目標にして経営努力をしたらいいか、こういう点、きめ細かく指導もいたしております。  なお今後とも、御指摘のように厳しい経済環境のもとで中小建設業大変でございますので、さらに一層努力いたしていきたいと思っております。
  19. 渡部行雄

    渡部(行)委員 この四十七万業者というのは、いまの日本建設工事一切の中で適正な数なのか、多過ぎるのか、その辺についての御判断と、それから建設労働者は、五十四年度並み雇用の吸収ができるのか、あるいはその雇用が少し減るのか、その辺の判断をお願いしたいと思います。
  20. 宮繁護

    宮繁政府委員 四十七万業者の数が多いか少ないかということでございますけれども、いろいろな見方があろうかと思いますが、私はかなり多いんじゃないかと思っております。ただ、一定の資格があれば許可をするという制度のたてまえになっておりますので、新規参入がかなり多いわけでございます。それで、先ほども申し上げましたように、やはり個別の業者の方々もそれぞれ努力をなすっておりますけれども共同化を通じまして何とかみんなが立ち行かれるように努力を続けていきたいと思っております。  それから、労働雇用数でございますけれども、五十五年度横ばい程度、大体五百数十万人ということになろうかといまのところは見込んでおります。
  21. 渡部行雄

    渡部(行)委員 業者の数は確かに多いじゃないかというお話ですが、そこで、こういう資本主義社会では、経済は波のように高まったり静まったりと申しますかそういう形で動いていきますから、その中で大ぜいいれば、経済活動が冷え込んでくるとその多い部分倒産したり、あるいははじき出されて排除されていくというのは自然現象だと思うのです。だからそういうものが起きるたびに常に社会的な問題となっていくわけで、それをどういうふうに防止していくかというのが政治ではないか。したがって、そういうものを防止するにはやはり一定程度業者数とそれから労働者の量というものをはじき出して、そしてその業者が好況のときにはばっとあわぶくのようにふくれないように、そこに一つの秩序、節度というものを持たせる、そして今度不況期にもそれほど犠牲にならないようにしていくというのが重要ではないだろうか。そのためには、やはり特にこういう五百万からの労働者を抱える建設業というものは、経済の変動に耐えられるように好況期にも余り背伸びをしない、そうして秩序ある一つの建設方法というものを考えていくべきではないかと思いますが、この辺に対する御見解をお願いいたします。
  22. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 この点は考え方の問題でございますから私から申し上げますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、元来公共事業というものはコンスタントに、しかもある程度伸びを持って着実に実施をすべきである、こういうのが私どもの考え方でございます。来年度予算につきましても、先ほど官房長から申し上げましたように、予算全体としましては建設省としてはほぼ前年並みということになっておりますが、もっとも、これから三月までどのように経済が推移するかということにもよりますのでいまから予測はできませんけれどもお話のございましたように、もしも現実の問題として来年度これが使えるということになりますれば、切れ目のない、また実質的にはある程度事業量を確保することができるということでございますから、当面の問題といたしましては、私どもも何とか、それらの心配の問題が現実の問題にならないように努力していくことが可能ではないか、こういうような考え方を持っておるわけでございます。
  23. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次には予算の執行のあり方についてでございますが、昨日ですか、東京新聞に、後ろ倒しでやっていきたい、こういうような趣旨のことが載っておったのですが、確かに五十五年度は下半期に一番大きな経済的危機がやってくる、危機と申しますか、大変な事態がやってくる、そういう点で、それに対処する意味ではそういう後ろ倒しというやり方も理解はできるんですが、しかしこれを全国一律にされると、私どもの住んでおる豪雪地帯あたりでは大変なことになってしまうわけです。ですから、むしろ雪の降る東北等については早期発注でいって、雪の降らない方は後ろ倒しでもいいのではないか、そうして全体的にバランスをとっていくということがきめ細かい政治になるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  24. 丸山良仁

    丸山政府委員 まさに先生のお説のとおりでございまして、従来から建設省におきましては、豪雪地帯等につきましては申すまでもなく工期の制約があるわけでございますから、事務的手続その他を積極的に進めまして早期発注を行うというような形で行ってきたわけでございまして、今後ともその方針は変える考えはございません。
  25. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ぜひそのようにお願いいたします。  そこで、次に工事費単価の引き上げが今回行われたわけですが、これは公共事業全体に単価引き上げがなされたのか、それとも公営住宅、公団住宅だけの問題なのか、その辺をまず明らかにしていただきたいと思います。
  26. 丸山良仁

    丸山政府委員 工事費の単価につきましては、公営住宅等につきましては戸数でやっておりますから、やはり単価を引き上げないとそれだけの戸数が建たないということで単価を引き上げております。それから河川事業、道路事業等につきましては、これは金額でございます。したがいまして、発注の際にはその実勢に応じたそのときの単価で発注するということでございまして、予算上、河川、道路等についてどれだけの単価というような決まりはいままでもないわけでございますから、そのときの実勢価格で発注するということになるわけでございます。
  27. 渡部行雄

    渡部(行)委員 発注する際に一応工事費の見積もりをするわけですが、その際、労働賃金については三省協定をもって当てておると思います。しかし、これは現実に調べてみると必ずしも三省協定どおりに支払われていないところも相当あるわけです。そうなると、一応見積もりの場合に労働賃金だけはその労働者に支払うということを前提として見積もったのですから、これをピンはねするというのはある意味では業者の横領になるのではないだろうか、こんなふうに考えられるわけです。資材等の見積もりは、これは一つ業者の腕で、建材屋との話し合いで単価より安く買う場合もあるでしょうし、または前に安く買っておいたストックの資材を使う場合もあるでしょうから、この辺はそういう問題は出ないと思いますが、事賃金の問題についてはどうも私はそんなような感じがしてならないわけで、これについての御見解をひとつお願いしたいと思います。
  28. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  いまお話のございましたように、設計単価の労務費につきましては、農林水産省、運輸省、建設省の三省で年に二回、約十六万人の労働者の賃金を実際の賃金台帳から抜き取りまして調査を行いまして、その結果に基づきまして設計の労務費を積算しておるわけでございます。この調査結果は、ボーナスあるいは保険料、税金を含めました八時間当たりの平均的な賃金水準を示すものでございますので、この賃金から税とか社会保険料等を控除したいわゆる具体的な手取り賃金とは異なっておるものでございます。  なお、個々の労働者の賃金につきましては、労働条件とか熟練度等によりまして決定されるわけでございまして、この調査結果はその平均的なものでございますので、個々の賃金との間には差異が存在することになろうとは思います。  それで、御指摘の、予定価格を積算する場合の労賃そのものが労働者に払われるように何らかの保障措置はどうかという御質問でございますけれども、これは予定価格の中の積算の基礎となりました労務賃金でございまして、個々の業者はそれぞれまた経営努力をいたしまして、機械化も進めるでありましょうし、いろいろな工夫もなさるでありましょうから、これだけの賃金が必ずこの予定価格の中に積算されておるということを示すこと自体もまた、予定価格の秘密性の保持という点からも問題がございますので、ちょっとむずかしいと思います。しかし、私どもも三省の協定の単価が実勢単価と乖離することのないように十分これからも注意をしていきたいと考えております。
  29. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私の言っているのは、少なくとも労働者の賃金を査定して、それ以下で使うということは悪いのではないか。機械を使って省力すれば、それだけまた、逆に言えば高い賃金を支払えるわけです。そういう企業ほど高い賃金が支払われていいはずだ。ところが省力しながらもなおかつ安いということは、これは目を光らせて監督していかないと、そういういま局長の言われたようなことでは、業者だけが喜んで、それじゃ労働者は一体だれが救ってくれるのかということになってしまうのではないか。その辺に対して御見解をお願いいたします。
  30. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  私どもも、労務者の方々に対して労働の質量に対応した適正な賃金が当然支払われるべきであるとは考えますけれども、個々の賃金額にまで私どもが介入するのはいかがなものかと考えます。しかし、先ほど申し上げましたように、適正な賃金が支払われること、あるいはまた賃金の不払い等が絶対ないというようなことにつきましては、十分今後も指導を続けていきたいと思っております。
  31. 渡部行雄

    渡部(行)委員 私は介入せよとは言っていないのです。指導をしてくれということを言っているので、ここは間違わないでもらいたいと思います。したがって、重層下請のために、末端の本当に労働者を使う業者が最後に賃金のピンはねをしなければ営業を継続できないところまで追い詰められてきておる、こういうような状態をまずもってなくさないと、どうしてもこの問題は解決しないと思うのですよ。だから、そういう点でこの重層下請に対する適切な指導、それから労賃に対する指導をお願いしたいと思います。その程度はできると思いますが、どうでしょうか。
  32. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  適正な賃金が保障されるように十分指導をしてまいりたいと思っておりますし、それから、労務管理全般につきましても、指名の際にそういうことを十分審査いたしまして、ちゃんとした業者が指名に入れるような十分な指導を今後も続けていきたいと思っております。
  33. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次は、住宅政策の問題についてでありますが、公営住宅の家賃対策補助制度を創設されましたが、この中の家賃限度額というのはどのようにして決められるのか、また、入居者の負担能力というのは何をもってはかろうとされておられるのか、その中身についてひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  34. 関口洋

    ○関口政府委員 家賃限度額につきましては具体的な算定方式を毎年決めておりますので、それに従って各事業主体が算出をするという仕組みに相なっております。  それから、入居者の負担能力の問題でございますが、この点につきましては、ただいま具体的に詰めておる段階でございますけれども、現在私どもが考えておりますのは、全国的な入居者の平均的な家賃の負担限度というものを定めてまいりたい。たとえて申しますと、公営住宅には一種と二種とあるわけでございますし、その一種の家賃は、入居者に大体一六%平均的に負担していただくように、あるいは二種の場合は一五%を負担限度と考えておりますので、そういうことを考えながら具体的に詰めておる状況でございます。
  35. 渡部行雄

    渡部(行)委員 次に、これは大臣にお伺いいたしますが、八〇年代の住宅政策としての展望、それから、これから公営住宅、あるいはその中でも賃貸住宅に重点を置かれるのか、または分譲に重点がかかっていくのか、それとも個人住宅に重点がかかっていくのか、あるいはそれらをどういうふうに均衡させて調和させるか、こういう問題について御見解をお伺いしたいと思います。
  36. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 八〇年代の住宅政策の基本につきましては、御承知のように五十六年十月予定をいたしておりますが、次の住宅五カ年計画等におきまして具体的にそういうような内容を盛り込んでまいりたいと考えておりまして、ただいまいろいろ検討いたしておるわけでございます。  特に、お話のございましたいわゆる持ち家あるいは借家というようなことにつきましては、御承知のとおり基本的には国民の需要動向に即して施策の方向を決めるべきものであるというふうに私は考えておるわけでございまして、特に公的な援助によります住宅の供給ということにつきましては、大都市地域を重点として、低所得者あるいは社会的流動層、こういうものに対しまして必要な量の公的賃貸住宅を供給してまいらねばならぬと思っております。また、持ち家志向の強い層に対しましては長期低利の融資を行う、あるいは公的分譲住宅を供給する。そういうような意味で、地域の特性あるいは国民の住宅需要というようなものの動向に即しまして、バランスのとれた住宅の供給を図ってまいりたいと思っております。特に、国民の持ち家取得に対します強い需要等もございますので、これに対しましては公庫融資住宅、こういうものが、無抽せん方式等もございまして大幅に伸びておるわけでございますが、これに対して公営住宅あるいは公団賃貸住宅等の戸数が余り伸びていない、これが現実だと私は思いますが、これにつきましては、御承知のように関連公共公益施設整備というようなものについての負担でありますとか、話し合いでありますとか、そういうようなものが地方公共団体と事業主体という間に円滑を欠いておる面もございまして、あるいはまた用地の取得難という問題もございますが、そういうような意味では御承知のように公共関連施設の補助等もことしは五割増、九百億を五十五年度としましては予定いたしておるわけでございまして、そういう意味では今後ともこういうような仕事が円滑にできますように努力いたしたいと考えております。  そういうような意味で、私どもといたしましては、ある程度国民の需要動向というものに即しまして、またそれらの地域の特性に応じまして、賃貸あるいは持ち家というようなものがバランスのとれた形で実現していきますように今後とも努力いたしたいと思いますが、具体的に今後の措置といたしましては、いま申しましたような五カ年計画の中で具体的に取り上げてまいりたい。  また、私といたしましては、従来いろいろ御意見もございましたけれども、住宅政策の基本となるべき姿勢につきましても、その機会にはっきり委員会の皆様にお諮り申し上げるように努力をしたい、こういうつもりでおるわけでございます。
  37. 渡部行雄

    渡部(行)委員 そこで、いま住宅はだんだんよくなってきておるわけですが、その反面、賃貸住宅の場合は家賃がやはり相当高くなってきておる。こうなると、相当の給料を取っておる者でないと入れなくなってきている問題もあるわけです。ですから、その際にむしろ低所得者層をもっと考えた、ある場合には家賃の一部を補助しても入れられるような方法をこれから考えていかないと、一定以上だけが救われて、それ以下の者はなかなか公的な温かい恩恵に浴することができない、こういうふうになってくると思うので、その辺に対する対策と、それから、やはり何といってもこの持ち家をつくる場合に一番問題なのはいまの地価の問題だろうと思います。地価の上昇は、全くこれは物価の中でも最もひどいものでございまして、この地価上昇をどういうふうに抑えたらいいのか、地価公示制度を生かしてというようなお話もあるようですが、しかし、これは現実には何らの歯どめの役割りにはなっていないわけです。現実の土地の取引というものは地価公示価格よりもはるかに高いし、またこういうものが地価抑制の対策とはなり得ない。イギリスなんかは開発によってふえた分の価値は国が徴収するというようなことがなされておるやに聞いておりますが、何らかそういう地価抑制という積極的な施策が望まれているのではないか、その辺に対する大臣の考え方。あるいはこれは国土庁長官になるかもしれませんが、現在の土地政策、これを総合的に日本全体をながめて、将来どういうふうに住民の配置をしていくか、その中における宅地の供給をどういうふうにしていくか、こういう問題をやはり全国的な視野で考えていかないと、せっかくの定住圏もなかなか本物にならぬのではないだろうか、こんなふうに思われますので、ひとつ御意見をお願いいたします。
  38. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 必要でありますれば、詳細のことにつきましてはまた局長から説明いたしますが、基本的な考え方について申し上げますと、特に低所得者層等に対しまする公営住宅の家賃等が、御承知のような資材等の高騰によりましていわゆる建設コストがかかることになってまいりました。そのために、算出をいたしました家賃等が相当高額なものになってくる。したがって、それに入居する人たちの負担にたえられないというようなことから、公共団体におきましてもある程度その家賃を引き下げておる、そういう現実があるわけでございますから、したがってそれは地方団体の負担に帰することになるわけでございますから、五十五年度におきましてはその差額につきましてある程度の補助をするということを実施いたしたい。五十五年度予算にはさように組み込んでおる次第でございます。  なお、いま土地の問題がございましたけれども、私はいろいろな経緯があったと思いますが、基本的には、やはり国土利用計画法等が施行されまして以来、いわゆる思惑による土地の買い占めというものは実施をいたしましてもそれはなかなか採算に乗るものではございませんので、それよりもむしろ需給のアンバランスによるものである。したがって、供給を促進しなければならぬ、私はそういうふうに考えておりまして、五十三年、五十四年、五十五年と土地税制の改正等も行われたわけでございますが、私はそういう意味で五十四年度の改正は優良宅地の条件が非常に厳しくなり過ぎたというふうに思っておりまして、今回の改正は必ずしも私どももこれで全部いいとは思っておりませんけれども相当な前進であると評価をしておりまして、この税制の改正をあわせまして総合的な宅地供給を推進したい。国土庁のお立場でまた御説明があるかと思いますが、私どもは、そういう意味では民間あるいは公的機関によりまする宅地の計画的な開発というものも進めてまいりたい。あるいは先ほど申しましたが、関連公共公益施設等の補助も進めてまいりたい。あるいは調整区域の中におきまするいわゆる宅地に適した地域等に対しましては、極力線引きの見直し等も図ってまいりたい。  それから、市街地におきまする再開発、特に今度は法律も出していただくわけでございますが、再開発によりまして宅地が供給されますような措置も講じてまいりたい。特に私は、将来とも市街地におきまする農地というものが進んで宅地に供給されるということがございませんと、大幅な宅地供給というものはなかなかむずかしいと思っておりますから、このことにつきましては今後とも積極的にひとつ努力をしたい。次官を中心といたしまして具体的にいま努力をいたしておりますが、そういうような総合的な施策の一環として税制も取り上げておるわけでございますから、そのような方法で宅地供給の拡大努力をいたしまして地価の安定も図ってまいりたい。そして、宅地の供給というものもひとつ全力を挙げて努力をいたしまして、住宅問題にも大いにひとつ前進を見るようにいたしたい、こういう基本的な考え方でおるわけでございます。
  39. 園田清充

    ○園田国務大臣 私に対するお尋ねは二つあったかと思いますが、いまの都市対策については建設大臣から大体御答弁があったとおりでございますが、基本的にはやはり、都市に対する人口の流入を抑制しながら地方に分散を図っていくということが、第三次国土総合開発計画の中での定住構想でもございます。  そこで、まず定住構想の進め方の基本についての考え方から申し上げますと、いまのように過密過疎を解消する。そして、現在私どもは全国に四十のモデル圏域をひとつ設定したいということで各都道府県にお願いをして、四十の地域のモデル圏の設定をお願いし、検討を進めていただいておるわけでございますが、これが六月ごろには大体私どもと協議に入れる段階に到達すると思います。そこで、それぞれの地域の特性に応じた居住環境を整え、雇用条件の整うような地域を設定し、その中で私どもは、特定事業として国が推進すべきものについて六月からの話し合いの中で進めてまいりたいと思いますが、その場合に国土庁としては、関係省庁の連絡会議を設定いたしまして、優先的にモデル定住圏に設定された地域の事業に対して協力をしていくということで、政府の意思の統一を図っておるわけでございます。  なお、地価の問題につきまして、この機会にせっかくの御質問でございますので、実は私の方から逆にお願いを申し上げたいのですが、御承知のとおり、一月一日を期して地価公示をいたしておりますが、全国の一万七千の地点を選定して地価公示をいたしておるわけでございます。ところが地価の取引の場合に、どちらかと言うと、この公示価格をよく御承知の向きでなくしてお取引になっているものがたくさんあるような気がいたします。そこで一時期は、たとえば東京で申し上げますと、都庁だけに公示価格の台帳を縦覧に供するということで設定をいたしておきましたが、いま区から区の出張所まで実はごらんいただきますと、大体この地点が幾らならばこれが幾らの適正価格であるということが、お取引の場合の参考に供せられるようなことでやってまいっておりますし、それから年に四半期ごとに五百五十の地点で、県庁所在地並びに人口十万以上の都市の価格動向について抽出的に調査もいたしております。あわせまして、一般調査として価格の動向に特にいろいろ注意しなければならない点について二百十三地域を調査をしながら、土地価格の動向というものに対しては、建設大臣からお話があったように、厳しく監視を続けております。もし投機的な取引が始まるというような事態になりますと、立法の趣旨を踏まえまして、各都道府県知事とよく協議をしながら、遺憾のない国土利用計画法の運用を期してまいりたい、かように考えております。
  40. 渡部行雄

    渡部(行)委員 時間が来ましたのでこれを最後にいたしますが、この三全総やモデル定住圏計画というようなものがあり、また一方では田園都市構想というようなものがあって、この関係というのは非常に不鮮明であります。しかも中には、広域市町村圏とか、あるいはその他農林水産省では農林水産省の一つの農業振興地域など、いろいろそういう枠をかけているのですが、これとそのモデル定住圏の整合性はどういうふうに図っていかれるおつもりか。また、特に日本の均衡ある開発ということになりますと、大都市はもう過密状態にございますから、これを実際に地方に分散していくにはどういう手だてを考えておられるのか。  特に私がこの際お願いしておきたいのは、地方が栄えていくにはどうしても物の流通速度というものを速めていかなければならない。そのためには高速道路を早期に促進して完成してもらわないと、ますますおくれてしまうわけです。都市は高速道路が完成し、田舎の方ではさっぱり進まないということでは困りますので、地方における高速道路の早期促進ということを特にお願いいたします。  それから最後に豪雪問題ですが、実際、今度の豪雪については、いままで特別豪雪地域の指定をされた市町村よりも指定漏れになったところが物すごく降っておるわけです。具体的に言えば、喜多方市ではもう一メートル七十六センチも降っておりまして、しかもそれはわずか二、三日のうちに集中的に降るわけですから、こうなると全く町は死んだ状態になってしまうわけです。こういうところに対しては、何か臨時にでも早期に除雪費の補助を出すなり、あるいは特別交付税を交付するなり、緊急の対策措置というものを講じてもらわないと大変に困る。しかも除雪費というものは、いま人夫賃が一人で一日、安いところで八千円、高いところが二万円、こういうことになっておりますので、そういう実情を十分御推察願って、緊急の対策をお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  41. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 あと、細部が必要でありますれば、また局長から御説明をいたしますが、いま道路はもう相当いいんじゃないかというようなことが、予算委員会でもお話が出ましたけれども、地方はまだまだ道路整備は不十分でありまして、いま先生がおっしゃいましたように、いわゆる産業基盤の基礎といいますか、そういう意味と、それから国民生活を安定するという意味において、今後とも充実する必要がある。特に地方の物資の交流その他、お話しのように、私どもといたしましては地方道整備というものに努力をしてまいらなければなりませんし、特に私が最近感じておりますのは、国道のバイパスというものがいま大変問題になっておるわけでありまして、そういう意味におきましては、私どもは一層努力をしてまいらなければならぬと思っております。  それから、豪雪のお話がございました。これはまた関係者からお答え申し上げると思いますが、従来は過去の実績に基づきましてそれぞれ適切な措置を講じておるわけでございまするけれども、新しい事態が生じてまいりますれば、当然政治は生きておらにゃならぬわけでありますから、それらの問題に対しましては、私は機敏に対処していかなければならぬと思います。  それから、建設省としては、地方生活圏という形でいままで取り組んできておりますが、今度は定住圏構想ということになってまいりまして、田園都市構想と絡みましてモデル定住圏というものを取り上げておるわけでありますから、それを私どもといたしましても、五十三年度、五十四年度それぞれ十カ所程度指定いたしまして、重点的に公共事業を推進するという形をいまとっておるわけでございますが、詳細が必要でありますれば局長から説明をさせたいと思います。
  42. 園田清充

    ○園田国務大臣 ただいま渡辺建設大臣から御答弁がございましたとおり、実はそれぞれ、自治省では広域市町村圏、建設省では生活圏というようなことで、いろいろ御設定があるようでございますが、特に建設省の場合には、私どものモデル定住圏と全く圏域を異にするところはないようにという御配慮をいただいて御協力をいただいております。ただ、おっしゃったとおり、やはり私どもは交通幹線網の整備ということが地方振興の基本的な条件であるという考え方で問題と取り組ましていただいておることは、御指摘のとおりでございます。  それから、豪雪地帯に対する対策でございますけれども、これは山形県が二月の七日、それから新潟県が二月の十六日、県に対策本部を設置をせられました。それから、与党である自民党からは、たしかきょう調査団が現地に出ておるようでございます。あわせて野党各党から、実は国土庁に対してどうだというふうな、いろいろ現地の事情について御配慮いただいたことで、その都度国土庁としては野党に対する報告もさしていただいておりますので、ここしばらく状況を見さしていただいた上で、御指摘のとおりのような対策をとらなければならないならば、各省庁等と協力をして、御指摘のような対策をとりたい、こう考えております。
  43. 渡部行雄

    渡部(行)委員 ありがとうございました。
  44. 北側義一

    北側委員長 小野信一君。
  45. 小野信一

    ○小野委員 小野信一です。  先ほどの先輩委員と重複する要素がたくさん出てまいりましたけれども、新人でありますので、親切なる答弁をまずお願いしておきます。  戦後、不足住宅が四百二十万戸と言われてきたわが国の住宅事情も、近年ようよう量の時代から質の時代に移行したと言われております。確かにこの十年間に、住宅は平均規模で一・二倍に広がりました。百世帯当たり百八戸の住宅が確保されております。ところが、住宅に困っていると考えられる世帯を調査いたしますと、昭和四十八年には一千三万世帯、三五・一%でありました。昭和五十三年には千二百五十六万世帯、三八・九%と逆に拡大しております。寝室と食堂が一緒であったり、しかも夫婦と子供の寝室が同じであったり、ローンや家賃が収入の三〇ないし四〇%に及んでいる住宅事情を見るときに、わが国は、良質の住宅ストックや家計費負担から見て住宅難であるとの認識が必要でないのかと私は考えます。したがって、国としては国民のこれらの要望を十分に踏まえて八〇年代の住宅政策の策定に当たらなければならないと考えます。  そこで、わが国の住宅政策の課題をちょっと考えただけでも、土地対策、土地再開発問題を中心として、金融税制、法律の見直しと問題が山積しております。  そこで、建設大臣にお尋ねしますけれども、わが国の住宅事情の現状をどのように認識し、今後住宅政策をどのような方向に進めようとしておるのか、またすでに作成された政策に何をつけ加えてこれを補充しようとするのか、大臣の所見をお伺いします。
  46. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私どもも基本的には先生のお考え方に賛成でございまして、ある程度量的には、たとえば二百七十万戸というものが世帯を上回っておる、こういう事態にまでこぎつけましたことは事実であると思っております。  問題は、今後住宅の質の問題をいかに取り上げていくか、こういう段階だと思いますが、今後の具体的な施策につきましては、先ほど申しましたようにいろいろいま検討にかかっておりまするけれども、次のいわゆる五カ年計画の中で具体的に取り上げてまいりたいと思っております。また、その基本的な考え方等につきましてもできる限り早い機会に皆様方にお諮りをいたしたい、こういうふうに考えております。  御承知のように昭和五十三年に実施されました「住宅統計調査」というのがございますが、これによりますと、戸数面での量的充足は進んでおるのだ、また居住水準も着実に向上しておるというふうにうたっておりますが、大都市圏の借家世帯を中心に問題が残されておる、こういうふうに言っておるわけでございます。その居住水準の改善というものが重要な課題であると私は認識をいたしております。  もう一つ五十三年に実施いたしました「住宅需要実態調査」というのがございますが、これによりますと、国民の住宅に対しまする要望というものが住宅の規模、設備という面から、日照、通風、公害、いわゆる住環境というもの全般に広がりを見せておるわけでございまして、持ち家取得による居住水準の改善というものに対する要望が非常に強いというふうに承知をいたしております。  このようなわが国の住宅事情は、量的充足は一段と進んでおりますし、また一面、私は質的にもかなり改善されたものと思っておりまするけれども、なお質の改善には国民の要望が根強いというふうに認識をしております。したがいまして、今後ともこれらの国民の住宅に対しまする需要動向というものについて十分これを見きわめてまいりたい。そういう意味では、適切な施策を推進いたしまして、良質な住宅の供給を図り、引き続きまして居住水準の着実な向上を図ってまいるように努力をいたしたいと考えております。  特に住宅政策を推進いたしまする場合に、やはりそれに必要でありまする宅地の供給という問題が非常に大きな前提となるわけでございますから、先ほども申し上げたわけでございますが、私どももそういう意味では宅地供給の拡大ということにつきまして全力を挙げて取り組んでまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  47. 小野信一

    ○小野委員 住宅問題の解決の基本は土地供給の点であるということについては異存がございませんし、地価の高騰もまた大きな問題になってくるだろう、こう考えます。もちろん基本的には供給不足が地価の高騰を招いておることには間違いありませんけれども、このごろの急騰は、供給不足だけでは考えられない要因が出てまいっておるのではないか、こう考えます。  建設省は、地価の高騰の原因についてどのような分析をしておるのか、供給不足プラス他の要因について調査あるいは分断の結果の御意見を聞かしていただきたい、こう思います。
  48. 山岡一男

    ○山岡政府委員 地価の問題でございますので私から御答弁させていただきたいと思います。  私ども、地価の高騰の原因につきまして、大きく分けまして三つのパターンがあると考えております。  一つは効用の増でございます。これは交通体系が整備される、それから公共事業が進捗する等によりまして住宅土地の品位、品質、品等が上がる、そういうものでございまして、そういう効用の増による値上がり相当ございます。たとえば東京で申しますと新玉川線の沿線等の値上がり等はまさにその典型的なものでございます。  それからもう一つのパターンといたしましては、投機的な土地取引によるものがございます。これは先行きの値上がりを期待いたしまして、土地を転がしてその差益を得るというような最も悪い投機的土地取引というのがあるわけでございますが、四十七、八年当時、一億総不動産屋と言われましてわが国内で横行いたしました。幸いにして、現在のところはいろいろな対策を講じておりますので、私ども、こういうものは原因としては見られないと思っております。  それから残る一つのパターンが、先生おっしゃいました需要と供給のギャップでございます。いろいろと三全総等で期待をいたしております供給量に対しまして、実際の、現実の需要に対しまして供給が相当おくれておるというのが現状でございまして、目下の急務といたしましては、そういうふうな供給不足を何とかして解消するというのが一番の対策であろうと思います。  それから、それ以外にも何か要因はないかということになりますと、これはいわゆる水準とか、オールジャパンという問題で問題になる話ではございませんけれども、たとえば最近の例で申し上げますと、ミニ開発の横行というようなものが一つの原因だと考えております。ミニ開発につきましては防災上の問題だとかそれからいろいろな問題もございますけれども、私ども土地を担当する者といたしましては、特にああいうふうな零細な土地でございますので、土地だけでは売れない、必ず上物をつけて建て売りをするというのが横行しておりますが、上物と一緒に売るということになりますとある程度地価を上乗せいたしましてもペイするという問題がありまして、そういうようなものが現在ある程度地価のつり上げに影響を与えていることは否めない事実だと思います。国土法の網にかかります二千平米以上のものにつきましてはそういう例は一切ないと思いますけれども、その下の方でそういう問題が起こっておるという点が一つございます。  それから最近の事例といたしまして、大都市近郊、特に東京の近郊で非常に住宅地の値上がりが著しいという問題がございますが、その中には需給ギャップの中の最も顕著なあらわれといたしまして、一つの空き地が出ますと相当業者が集まりまして、いわゆる買い進みでございます。正常な取引価格を超えて競りのような買い方をする、そういうものが他の方に一部反映をしていくだろうというふうなことが起こっておるわけでございます。派生的に、局部的にはそういう問題がございますが、全般としての地価高騰の原因といたしましては、先ほど申し上げました効用の増を一部含みながら、需給ギャップが一番の大きな要因であるというふうに分析いたしております。
  49. 小野信一

    ○小野委員 大臣、ミニ開発の具体的な例を申し上げますけれども、都内の中野区若宮町で五十三年の秋に約三百三十平米、百坪の分譲住宅が売り出されまして、この百坪の中に五棟建てられた。突っ込み道路と呼ぶ私道が一本あるだけで、一区画五十六平方メートル、十七坪です。この超ミニ住宅にも驚くのですが、それ以上に驚異なのが地価のべらぼうな高騰です。周辺の公示価格が坪五十二万円から五十五万円と公表されておるのですけれども業者は地価を二倍以上の百十五万円と計算して、分譲住宅に上乗せしております。日本全国、国のレベルで見ますと、まだこれらの問題が公示価格に影響しないのかもしれませんけれども、大都市圏ではミニ開発が地価に非常に大きな影響を与えておることは事実です。したがって、国民の持ち家制度に対する欲望を充足しなければならないと同時に、このミニ開発によって起こる地価の高騰もまた大きな障害になっておるわけですので、これに対する建設省なり国土庁の方針を示していただかないと、国民の政治への不安はますます大きくなっていくと考えられます。改めて、ミニ開発に対する考え方をお聞きいたします。
  50. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいまお話がございましたミニ開発につきましては、防災上あるいは環境上の問題について国土庁の方からも御説明がありました。これに対します当面の措置といたしましては、都市計画法によります開発許可の対象規模、現在一千平米となっておりますけれども、これを知事の判断で三百平米に引き下げることが可能でございますが、これにつきましては都道府県等の執行体制に問題があるということで、なかなか引き下げが行われておらないような実情でもございます。私ども、府県、市町村にかなり指導いたしておりまして、現在のところ七十五市町村が三百平米まで引き下げておるというような事情でございます。なお、建築協定の活用というようなことも考えられまして、これらにつきましても都道府県を指導いたしておるところでございます。  基本的には、このミニ開発をどういうふうに計画的ないい環境の宅地開発に誘導していくかということでございますが、現在のところ、関連公共公益施設整備に対する助成を強化するとか、あるいはまた低層で軒がつながっておりますタウンハウスの方式で、敷地は多少狭くとも共同の空間地を確保できるような低層連檐方式の住宅の開発、これらにつきましての指導をするというようなことをやっております。  なお、たとえば東京都の江戸川区におきましては、開発指導要綱によりまして、一戸建ての場合は敷地最低七十平米、マンションの場合も一戸の占有面積を最低七十平米にするというような行政指導も行っておりますけれども、これらの行政指導をさらに強めていきたいと考えております。  また、この誘導政策と関連いたしまして、都市計画法を改正いたしまして、地区建設計画の導入を図りまして、いい環境の敷地、住宅が建設されるような誘導施策を現在検討しておるところでございます。
  51. 小野信一

    ○小野委員 専門的になりますのでなにですが、早急にミニ開発に対する規制を強化していかないと、将来、二十年なり三十年後にスラム街が出現するのではないかとさえ危惧される実態であります。われわれの子孫のために早急に適切なる配慮をお願いしておきます。  次は、政府予算作成に当たり、財政の再建を柱にして、増税と公共料金の値上げを主張してまいりました。ところが、土地税制だけは三年連続で緩和策をとってまいりました。すなわち、五十三年度には二七%の適正利益率の廃止。これは見方によれば、デベロッパーは土地でどれだけもうけてもいいということにもなります。さらに五十四年度には、個人の土地長期譲渡所得を中心に緩和策がとられました。具体的に言いますと、四千万円の譲渡所得に対して以前は千百五十八万円、二九%の税金であったのが、緩和によって七百八十万円に下がりました。税率は一九・五%です。五十五年度政府案はさらにこの課税を緩和して、四千万以下ではすべて二〇%課税とし、現行二千万以上は四分の三総合課税であったのが、今度は四千万から八千万円までは二分の一課税、八千万以上で初めて四分の三の総合課税となるわけです。  そこで、大臣にお尋ねしますけれども、五十三年の譲渡益課税の緩和が行われたとき、建設省は素早く、宅地供給は六百ヘクタールふえ、地価は五%下がると試算して新聞発表いたしました。実際は従来よりどれだけよけいに供給され、何%程度の地価抑制の効果があったのか、その後具体的に計算しておるのかどうか、計算しておるとすれば発表していただきたいと思います。
  52. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘のとおり、昭和五十四年度税制の改正におきまして、個人の長期譲渡所得のうち、優良な住宅地等のために土地等を譲渡した場合について課税の軽減措置が講じられました。この改正は、素地供給量の増大を通して宅地供給の増大を図ろうとしたものでございます。当時、一定の仮定のもとに、どの程度の宅地の供給量がふえるかということを試算した数字を発表したことがございます。もとより土地税制は宅地供給に非常に大きな影響を持ちますけれども、元来この宅地供給の量的な把握につきましては、需給の関係は、経済情勢あるいはまた一般の物価動向等が非常に複雑に影響しておるために、一義的には、計量的に把握することはなかなか困難でございますけれども、いま申し上げましたように一定の仮定のもとに試算をいたした数字でございます。  それで、この制度は五十四年度から適用されたものでございまして、この供給増加の効果につきましては、現在の段階ではまだ確実に把握をいたしていないような状況でございます。
  53. 小野信一

    ○小野委員 具体的にはまだ把握していない、こういうことでありますけれども、ある与えられた条件の中で算定したことだけは間違いない、こうお聞きしまして、次にお伺いします。  今度、昭和五十五年度実施される一連の緩和策は、過去の経験を基礎にして算定されるものと考えられます。したがって、いま建設省が考えておる条件の中で、具体的に土地供給は何ヘクタール期待し、土地抑制効果は何%と計算しておるものなのか、計算しておるとすれば発表していただき  たいと思います。
  54. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいまも御説明いたしましたように、宅地の需給は経済情勢、まあ好況不況の程度、あるいはまた金融情勢、金利の状況あるいは引き締めの程度、また物価、特に建築資材とか地価の動向が複雑に絡み合って影響を及ぼしているものでございます。  それで土地税制と宅地供給との関係を、先ほども申し上げましたように、一義的にこれだけの土地税制を改正したからこれだけ宅地の供給量が出るということを計量的につかむことは大変むずかしいわけでございますが、過去の例を見ますと、二〇%の分離比例税率でありました昭和四十九年、五十年の二年分の長期譲渡所得課税金額は約四兆四千億でございました。これが四分の三の総合課税が導入されました昭和五十一年、五十二年の二年分の金額は約三兆円に減少しております。このことは、税制と土地供給との関係を考える場合の一つの参考になるものと考えております。来年度の個人譲渡所得課税の改正案によります宅地供給促進効果を数量的に把握することはきわめてむずかしいものであります。それで、経済情勢の変化、先ほど申し上げました金融情勢の変化等に基づきまして結果が相当異なるものと考えられますけれども、今回の改正案によりまして土地の流動化が促進されることは確実でございますし、相当量の供給増につながるものと考えております。  なお、今回の土地税制改正のもう一つの主要な点でございます三大都市圏の既成市街地内の土地を中高層耐火共同住宅の建設のために提供した場合、買いかえ制度の創設が図られました。これは急務となっております大都市の既成市街地の土地の有効利用の促進に相当な効果があるものと期待しているところでございます。
  55. 山岡一男

    ○山岡政府委員 税制改正が地価の抑制にどれぐらい働くかという御下問でございましたけれども、これも税制によります地価抑制効果を計量的に申し上げるということは大変困難な問題でございます。ただ、一つの指標として御報告しておきたいと思いますが、売買による土地取引件数の推移でございます。これは四十八年ごろに三百五十万件、それから四十九年二百八十万件と、そのころ多かったわけでございますが、その後五十年、五十一年、五十二年、この間は二百五十万件で横ばいで推移をいたしました。五十三年以後逐次税制改善等も行われておりますが、五十三年におきましては二百六十五万件、それから、五十四年におきましては二百七十六万件、やはり二百五十万件の時代から比べますと十五万件とか二十六万件とかふえてまいっておるというのが一つの状況でございます。さらに五十四年の届け出等によります実際の土地の異動状況につきまして東京圏を見ますと、件数で一二・六%増、面積で二九・六%増というようなことになっておりまして、このうちどれだけ税制改正の効果で上がったかということにつきましては今後分析を要するわけでございますが、私どもは過去の例から見ましても、そういうふうなもので税制の改正が土地の異動なり供給の方に向きまして相当効果を上げておるというふうに期待をしております。ただそれが何%であるかというようなことにつきましては、どうも計量的には大変むずかしいことでございますので試算ができておらないわけでございます。
  56. 小野信一

    ○小野委員 五十三年度の譲渡益課税の緩和の場合には、建設省は速やかに六百ヘクタール、五%の地価の抑制ができるという発表をいたしました。今回の場合にはこの発表の、具体的に証明できないためになかなか発表していただけないのは残念でありますけれども、私は五十三年度から土地の地代の上昇その他を見ますと、具体的に効果がなかったのではないかと考えられるのですけれども、それ以上に大きいのは地主に対する優遇措置、これが非常に税の公平という面から大きく国民感情を揺さぶっております。したがって、この問題はどのように取り扱うべきものなのか、大臣の所見をお伺いします。
  57. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 まず第一番に、この前六百ヘクタールとかいろいろ申し上げたということでございますが、その間の事情は私もよくわかりませんけれども、実は先ほど計画局長申し上げましたように、五十三年度のいろいろ御検討いただいた問題、特に五十四年度税制改正は五十四年度になってこれが適用になっておるわけでございまして、まだ具体につかんでおらぬと申しておりますが、実はいま調査も進めておるわけでございますから、そういうものをつかみまして、いずれ御報告をいたしたいと思っております。このことにつきましては後ほど局長から数字を申し上げたいと思いますが、宅地開発の許可をとりました実績が、五十一年と比べまして五十三年度相当にふえておるわけでございますから、その数字は後ほど申し上げたいと思っております。  それからもう一つ、税の問題でございますが、これはいわゆる従来ともやってまいりました重課の基本的な枠組みはそのまま維持をしておるわけでございまして、長期譲渡の分についてのみこれを改正していくわけでございますから、緩和と言えば緩和でございますけれども、いわゆる思惑等によりまして非常に地価が上がったときにとりましたいわば懲罰的な意味も含めました税制が行われておったわけでございまして、しかも全部でなく、その一部をもとに戻すということであります。私ども、その点は十分御理解をいただくように努力せねばならぬと思いますし、先ほどもちょっと申したわけでございますけれども、私どもはこの税制だけで宅地供給が進むとは思っておりませんが、これを含めた一環として総合的な宅地供給というものを拡大するために私どもも全力を上げねばならぬ、かように考えておるわけでございます。  数字わかりましたら、ちょっと局長から。
  58. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答え申し上げます。大臣がお答えしたとおりでございますけれども、補足的に数字を御説明いたします。  私どもが宅地供給の先行的な指標と考えております開発許可の面積あるいは区画整理事業の認可面積の推移を見てみますと、開発許可のうち特に住宅の建築の用に供する目的で行う開発許可面積を見ますと、これは昭和五十一年が底でございまして三千五百八十ヘクタールというような数字でございましたけれども、五十三年度におきましては五千三十五ヘクタールというふうになっております。また区画整理事業の許可面積は、昭和五十年が底でございまして四千八百四十四ヘクタールでございましたが、五十三年度では六千七百九十八ヘクタールというふうに逐次持ち直しておる、こんなふうに考えております。
  59. 小野信一

    ○小野委員 大臣、四十五分までの時間でありますので、大臣に対する最後の質問をいたします。  土地税制の緩和には二つの大きな問題点があるのではないかと考えます。その一つは税の不公正です。土地はいつまでたっても投機の対象になっておるということです。二つ目は宅地供給と地価抑制に効果がなかったのではないかということです。三年続けて税金を緩和しましたけれども、宅地供給はふえておらないと私は考えますし、地価も下がっておらない、こう見えます。もし今回の税制緩和によって地価が横ばいにもならない、急上昇をしていくとすれば、われわれ政治の責任というものはどう感すればいいものなのか、非常に大きな責任を感じざるを得ません。住宅金融公庫融資の削減や金利の上昇で住宅取得能力が落ちて、これが緩和されるだろうというような甘い期待は許されないのではないかと思います。余りにも急上昇であります。改めて大臣の決意をお伺いしておきます。
  60. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私はやっぱり地価の安定ということは、これは私どもの立場からいきますと、基本的な政策の課題でございますから、私どももそういう意味では地価の安定に努力をしなければなりませんが、そのためには、私はやはり宅地供給というものを推進しなければならぬ、こう思っておりますので、先ほど申しましたように、税制改正が行われますが、それを含めました総合的な宅地供給策をひとつ推進をいたしまして、宅地供給を推進することによりましてバランスも図り、そして地価の安定に全力を挙げたいという考え方を持っておるわけでございます。
  61. 小野信一

    ○小野委員 最後に大臣に要望しておきますけれども先ほどの三つの地価の上昇の原因のほかに、私は不動産業者の過当競争があるのではないか、これは甘い条件で許可が済むので一年に三千業者ぐらいふえております。したがって、これに対する対策も考えていかなければならないだろうと考えます。もう一つは、過剰流動性があるのではないか。銀行の不動産業者に対する貸出残も、かなり急激に伸びております。これもまた一つの原因と考えられます。もう一つは、公団や自治体の土地の買い入れが周囲の公示価格を無視して買い入れるという、これまた大きな原因になっていると考えます。これらは国の政策の中で阻止できる、抑制できる問題点でありますので、大臣、早急に対策を立てて地価抑制のために全力を傾注していただきたいことをお願いしておきます。  次に、国土庁長官にお尋ねいたします。  五十三年の春先から不穏な動きを示してきた地価は、五十三年の秋以降に急上昇し始めました。このことによって、売り主も買い主も、土地を買ってさえおけば損がない、もうかるという土地神話が復活したのではないかと危惧されるような実態であります。六大都市の住宅の地価は、五十三年九月で一年前より七・七%上昇いたしました。その間の消費者物価は三・七%の上昇ですから二倍強です。五十五年の一月には前年対比公示価格で一七%の上昇と発表になりました。  私は、そこでお聞きいたしますけれども、田園都市構想あるいは定住圏構想あるいは住宅建設五カ年計画、これらを実現するためには、どうしても政府は土地問題に真剣に取り組まなければならないことは間違いありません。ここで国土庁長官の土地政策に対する、地価対策に対する方針を、決意を改めてお聞きいたします。
  62. 園田清充

    ○園田国務大臣 大都市圏における、特に住宅地における地価の強含みの動きが出ておることは御指摘のとおりでございます。それに対する対策につきましては、建設大臣からるる御答弁を申し上げたこととほぼ私どもの考え方は一致するのでございますが、まず税制の問題としては、局長答弁にもございましたとおり、やはり投機的な土地取引というものをどう抑制をしていくかということで、従来の重課の方式はこれをそのまま枠組みは壊さずに、長期的な土地の所有者に対して線引き内における農地の宅地化をどう促進するかということも大きな課題の一つだと考えております。  そこで、今国会でぜひひとつ御審議願いたいということで考えておりますことは、農住組合(仮称)ということで国土庁としては各省庁の意見を調整しておるところでございますが、やはり継続的に農業をやろうとおっしゃる方には、農地として私どもは基盤の整備を進めていかなければならないだろう。同時に、後継者難その他の問題からして、では宅地供給に回そうという方には、区画事業的なもので宅地としての供給を願っていくという方向で、総合的に、課税対策の問題と含めて推進していくことが一番大事なことではないかというふうに考えております。  なお、長い展望の中で問題を考えていろいろ各省庁と検討いたしておりますが、私どもも、御指摘のとおり、地価が、昔は金がいいか土地がいいかというときに、遺産の場合でも金がいいということでもらったのが、今日では土地をくれというふうな傾向があることは決して否定をいたしません。そこで、いかに地価を抑制していくかということと同時に、供給の増を図っていくかということが今後の問題だ、こう考えておりますので、いま申し上げましたようなことを含めて、地価の安定対策にひとつ強力に取り組ましていただきたいと思っております。
  63. 小野信一

    ○小野委員 市街化区域内の農地の問題が答弁にありましたので、数字として申し上げておきますけれども、市街化区域内の農地は全国で二十三万ヘクタール、第三次住宅建設五カ年計画で必要と見込まれておる新規住宅供給面積が六万九千ヘクタールでありますから、約三・五倍になります。特に住宅不足が著しい三大都市圏では九万六千ヘクタールあります。五カ年計画で年平均六千七百ヘクタールを新規に必要としておりますから、十四年分あります。政府が、長官が、真剣にこれらと取り組むつもりであるとするならば、住宅不足は解決するということになるのであります。改めて長官の決意のほどをお伺いしておきます。
  64. 園田清充

    ○園田国務大臣 御指摘のとおり、三大都市圏における約九万ヘクタール、その中で今後住宅地として供給できるものが、現状でたしか八万ヘクタール近くあったと思います。そこで、御指摘の農地をどう宅地に供給していくかということにひとつ全力投球をして、知恵をしぼって御期待に沿うようなことで努力をさせていただきたいと思います。
  65. 小野信一

    ○小野委員 強力なる指導性を心からお願いしておきます。  長官が地価対策として国土利用計画法に基づく規制区域指定の実現に熱意を持って検討されておることを新聞で拝見いたしました。確かに国土法の第十二条に規制区域の指定という規定がございます。しかし、その権限は知事に与えられております。ただ、十三条には、内閣総理大臣が指示ができ、かつ知事が指示された措置を講じないときには、みずから手続を経て措置することができるとなっております。しかし、ここで問題となるのは、指定の要件であります。十二条も十三条も、投機的売買及び地価の高騰とその要件を記しております。いずれか一方ではなくて、地価の高騰が投機的売買によって引き起こされたと判断することが必要になっております。国土庁は現在その有無を何十地点かで調査されておると聞いておりますけれども、この投機的売買をどのような尺度で見られるのか、第一にお聞きしておきます。  また、国土法で言う著しい地価の上昇とは何%程度の上昇を考えてこれを適用しようとするのか、見解をお聞きいたします。
  66. 園田清充

    ○園田国務大臣 後段につきましては局長から御答弁をいたしますが、前段の問題について、恐らく一月十八日の記者会見のことではないかと思います。これは同日、御承知のとおり国税庁の税務の面から見た地価の評価の数字が新聞に出ていまして、そこで御指摘のとおり土地価格も強含みで動いているではないか、国土庁長官どういう考え方があるのかということでございました。  そこで、まず国土利用計画法の立法の趣旨でございますけれども、議員立法なすったときに、当時の委員長から、地方自治というものを尊重してこの法の運用に当たれということが政府側に強く要請をせられておるのでございまして、その点を踏まえまして、私としても記者会見の席上、各都道府県知事と連絡しながらということを実は付言して申し上げておいたのでございます。そこで、今日も決して申し上げたことの後退はいたしておりません。あくまで地価の価格というものは抑制する努力をしていかなければならない、そのためには国土庁独自の地域的な調査も進めますし、各関係知事とも綿密な連絡をとりながら対策を進めておるということをひとつ御理解を賜りたいと思います。  後段につきましては局長から答弁をさせます。
  67. 山岡一男

    ○山岡政府委員 国土利用計画法の十二条の発動要件につきましては、先ほど先生のおっしゃったとおりでございます。土地の投機的取引、それは先ほど申し上げました将来他に転売をして、その間における地価の上昇による価格差益を享受することを目的とした土地取引というふうにわれわれ解しておりますが、そういうものが相当の広がりにわたりまして、そのほぼ全域にわたって反復、継続的に、かつ集団的に行われるという場合が想定されております。ここで地価が急激に上昇するというような場合のことでございますけれども、国土利用計画法によります土地取引の規制制度ができましたのは、御案内のとおり四十七年、四十八年ごろのわが国の全地域、全地目にわたりまして三〇%を超す地価の急騰があったというようなことを緊急に抑制したいという御判断があったものでございます。そのために、国土利用計画法による規制区域の指定につきましては、地価の急激な上昇というだけではなくて、投機的な土地取引が集中して行われているということが条件になったとわれわれ理解いたしております。  一般に地価の急激な上昇ということになりますと、いろいろな考え方があろうと思います。預金金利と比較する場合、消費者物価と比較する場合等がございますけれども、規制区域の指定要件としての地価の急激な上昇ということにつきましては、先ほど申し上げましたような立法の趣旨からいたしまして、当該地域における従来からの地価の趨勢、それから全国の地価の趨勢等を考慮しながら、あくまでも投機的な土地取引との関連におきまして当該地域の実情に即して具体的に判断さるべきものであるということでございまして、一律に何%以上という基準は定められておりません。  それで、一つの基準といたしまして法第十六条というのがございます。これは規制区域を指定いたしました後で、物価の変動に応ずる修正率というのを掛けまして、一たん地価が凍結いたしますが、その間のものは認めるという程度の修正率でございます。その考え方は、全国の総合消費者物価指数、これを八割と見まして、それから卸売物価指数の中の投資財指数、これを二割と見まして、三カ月ごとの風速を比べ合わせまして検討するということになっておりますけれども、それが直ちにそういうような基準になるというようなものであろうとも考えておりません。それはあくまでその地域の社会的地域の実態に即して総合的に判断されるという基本のことが一番の問題でございまして、このことは一たん知事さんが指定をされまして、指定をされました後でも土地利用審査会にかけまして、その土地利用審査会がそういう情勢判断されまして、知事さんの判断にノーと申しました場合には告示の時期にさかのぼってその効力を失うということにされております。これは、一律の基準ということではなくて、判断を尊重して行うという法の趣旨であろうかとも解されておるわけであります。しかしながら、そういうものにつきまして絶えず投機的な土地取引があるのかないのか、現に起きておらないのかということについての監視をすることは非常に重要でございます。したがいまして国土利用計画法施行以来、毎年規制区域指定のための事前実態調査というのをやっております。これは全国で二百二、三十カ所についてやっておるわけでございますけれども、さらにその監視を強めたいということでございまして、来年度予算からは特別な濃密調査をやるというようなことで二十四地域分ぐらいの予算を取っております。  そういうようなことで、絶えず地価の監視をしながら、投機が起こるということであれば、これはむしろ投機ということが一番大事な問題でございますので、投機の状況が起きましたらある程度の地価の上昇を、何%ということにこだわらないで、おそれがあるという場合も法律に書いてございます。そういう場合には十分そういうものの発動ができるように、地方公共団体との間に緊密な連絡をとってまいりたいと考えております。
  68. 小野信一

    ○小野委員 確かに投機的売買の判断の基準といいますか、その決定はむずかしいと思います。たとえば、昭和四十七、八年ころのときのように、一部の業者が土地転がしをやった事実があります。また、坪一万円で買った土地を直ちに二十万円で売ったという例もあります。こうした極端な例は今日なかなか見つからないのではないかと考えます。そこで問題になるのは土地評価の問題であります。  国土庁は、公示価格あるいは適正価格と二つの価格を持っております。毎年大々的に発表されるのは公示価格でありますけれども、その中間的な報告として地価変動率の動向を毎年一月に集計しております。ことしは年率で一七%の上昇と発表になりました。ところが、大手業者であるミサワホームが約五百地点で対象として調べた実際の取引価格の上昇率は、東京で平均二七%と発表になりました。土地対策の総括官庁である国土庁が調べたものよりも一〇%も高いのであります。そうなりますと、国土庁のこの公示価格はどのような意味を持っておるものなのか、私どもにとってはその存在価値が疑われるのであります。改めて長官の、この実態と公示価格との差、そして今後これに対する是正の方向をお聞きしたい、こう思います。
  69. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在公的に国土庁で発表いたしております地価の動向につきましては、いま先生おっしゃいました地価公示、これは毎年、一月一日と一月一日の比較をいたしまして四月ごろに発表いたします。基準日は一月一日でございます。それから、都道府県にお願いいたしまして都道府県の圏域内の調査地点につきましての都道府県地価調査、これは毎年七月一日を基準日といたしまして九月ごろに発表になります。それから、その間をつなぎまして三カ月ごとに中間動向調査というのをやっております。中間調査につきましては、そういう地価公示地点の中から全国で標準的と思われます五百五十地点を選びまして、それにつきまして公表いたすものでございます。三カ月ごとの分でございますので、ちょうどことしのように第四・四半期まで発表いたしますと、一・四半期から四・四半期までを掛け合わせますと大体年間の率が出てまいる。この出てまいりました率は、今度一月一日の分として四月に公表いたします地価公示の分とほとんど大差がないというのが過去の実績でございます。調査の点につきましてはそのようなものをやっておるということでございます。  それから、地価公示の性格でございますけれども、地価公示につきましては、独立性を有します土地鑑定委員会、これは国土庁の付属機関でございますけれども、ここには国会承認で任命をされました七人の委員がおられまして独立の権限を行使しておるわけでございますが、毎年一回、都市計画区域内の標準地につきまして二人以上の不動産鑑定士または不動産鑑定士補の鑑定評価を求めまして、その結果を発表いたすものでございます。その場合の、正常価格と申しておりますけれども、これは先ほど来出ておりましたような買い進み価格もしくは売り進み価格、そういうふうなものを捨象いたしまして、取引事例比較法、収益還元法、それから原価法、いわゆる鑑定評価の方式にのっとりまして、二人以上の鑑定士が判定をいたしまして、それを土地鑑定委員会の方で認めまして公表するものでございます。私ども、その場所におきます、そういうふうな売り手市場でもない買い手市場でもない、どちらにも偏らない客観的な交換価値を示すものだというふうに考えております。  しかしながら、先生おっしゃいますように、実際の土地の取引価格につきましては、当事者の特殊な動機、それから特別の事情等に左右されまして成立することも多い場合がございます。たとえばどうしても営業上の場所的利益を確保するというために、銀行が角地を買わなければならないといって買い進むような場合、それから先ほど来出ましたミニ開発のように、上物と一緒であればペイするということで、ある程度割高な土地を買い進む場合等がございます。しかしながら、地価公示の価格を規準とした価格という場合には、そういうふうなものにつきまして一応捨象をして考えております。地価公示をやります場合には、全国で数万件に及ぶいろいろな土地取引を全部実査するわけでございますけれども、その中で、そのような買い進み的なものにつきましては一応捨象いたしまして、先ほど申し上げましたような収益還元法、原価法とあわせて、取引事例法を適用して価格を判定しておるというものでございます。  それから、ミサワホームの発表のお話がございましたけれども、ミサワホームの方は、これは私も呼んで聞いてみたわけでございますが、これは店頭価格ということでございます。不動産業者に電話で問い合わせ、もしくは、不動産の宅建業の店頭に参りまして写してきたという金額でございまして、いわゆる呼び値であるということは認めておられます。したがいまして、そういうふうな呼び値で商売ができるわけではございませんと、明瞭なお話がございました。  地価公示につきましては、現在のところ法的な効果といたしましても、地価公示法には一般の土地取引の指標としなさいという意味の訓示規定もございますが、同時に第三章に「公示価格の効力」という章を設けておりまして、現実の問題といたしましても、不動産鑑定士が鑑定評価を行う場合の規準ということ、それから、公共事業実施におきます土地の取得価格の算定、収用委員会の裁決の場合の補償金額の算定の場合の規準、それからさらに、国土利用計画法によりまして土地取引の許可制もしくは届け出制を行うわけでございますが、その場合の価格の規準というふうに示されております。  ただここで、少し長くて恐縮でございますが申し上げておきたいのは、その場合の規準ということでございます。いわゆる基準ではなくて、規準というのをことさらに使っております。特に地価公示法の中には、十一条でございましたか、「公示価格を規準とすることの意義」というのを一条設けております。どういうことかと申しますと、現在の地価公示は、単にその地点と価格を挙げておるだけではございませんで、その場所の形状、周囲の状況、周りの公共施設の状況、駅までの距離、容積率、それから地域、地区の区分、さらにはガス、水道、下水道の敷設状態等が書いてございます。したがって、そういう条件のところでこの地点は幾らだというのが公示の内容でございます。この「規準とする」という意味は、それと比べましてもっと駅に近いから高いとか、道幅が広いから高いとかいうようなことで比べるわけでございまして、そういうふうなことで比準をいたしますと、地価公示がたとえば十五万円とございましても、四十五万円という基準価格が出る場合もございます。これは私どもは地価公示法上の適正価格というふうに考えております。そういうふうなことで地価公示が運用されておりまして、私ども、十分役に立っておるのではないかと思っております。
  70. 小野信一

    ○小野委員 親切なる答弁、ありがとうございます。ただ、特殊なる例も、大量になりますとそれは普遍的なものになってまいりまして、平均価格でいきますと明らかに二十数%の上昇率になっていることだけは間違いありませんので、以後厳重なる監視をお願いしておきたいと思います。特に問題になるのは、実際の取引価格が公示価格プラス二十万、以前は十万から十五万の上乗せで取引されておったものが、現在は公示価格プラス二十五万あるいは三十万、こういう価格で土地価格の上昇を免罪する基準になっておるというところに問題があります。改めて検討をお願いしておきたいと思います。  次に、五十三年度に土地税制の緩和が行われて二七%の適正利潤率という課税の基準がなくなってまいりました。そして取ってかわったのは、常に実際の取引価格に追従して決定される適正価格であります。なぜ国土庁はこれに賛成したのか、私はいま不思議に思っております。先ほどの投機的売買という国土法上の用語についても、二七%という基準があれば一つの明確な尺度がここであらわれておるはずです。国土庁がみずから尺度を外しておいて、今度は尺度のないままに調査して規制しようとするのは、私は本末転倒だという感じがいたします。国土庁の言われる適正価格とは、市場価格に連動されて、現在行われておる土地投機には何の尺度にもならないと私は考えます。いかがなものでしょう、改めてお答えを願います。
  71. 山岡一男

    ○山岡政府委員 五十三年の改正で、従来の適正利益率というのを適正価格に切りかえたわけでございます。これは私どもも主張をいたしたわけでございますが、ここに申しますいわゆる適正価格と申しますのは、国土法がいま現在適用されております届け出制、事前確認制の中で、具体的な取引に当たりまして価格の内容までチェックをいたしております。先ほど申し上げましたとおり、価格の内容をチェックいたします際には、先ほどの国土利用計画法によりまして地価公示価格を規準とした価格でチェックをすることになっております。したがいまして、地価公示価格をもとにいたしまして、それと比準をいたしまして、この場所ではこの分が適正であるということで決めた価格ということでございます。  そうなりますと、二七%というのは、これはやはりいろいろな借入金の利子その他も全部含みまして適正な利益率はこの程度だなということで昔決められた数字でございますけれども、それと地価公示から比準をした価格と、これを適正だと申しておりますが、ほとんど一緒になる場合が多いと思いますけれども、実際の問題として二つの価格があることになります。国土利用計画法による審査を経たものにつきましてはその適正価格というものがあるわけでございますから、その範囲ならば、十分にそういう公募要件の緩和の要件たり得るというふうに考えたわけでございまして、国土利用計画法の適正な運用のもとで行われる適正価格であるというふうに御承知願いたいと思います。その場合も、さらに国土利用計画法では二千平方メートル以上のものにつきましてそういう価格介入をいたしておるわけでございますが、税法上では千平方メートル以上というふうになっております。そこの千平方メートルと二千平方メートルの間のものにつきましては、これは特別にその土地部局が関与をいたしまして証明を出すということで径庭を保っておるわけでございます。
  72. 小野信一

    ○小野委員 時間も参りましたので、長官、私の質問の中から私の意をくんでいただきまして、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、土地の問題、地価の問題を解決することが最も近道であろうかと考えますので、一層の努力を心からお願いして終わります。
  73. 北側義一

    北側委員長 午後零時四十分に再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後零時四十三分開議
  74. 北側義一

    北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。松本忠助君。
  75. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 去る二月の十三日に、建設大臣国土庁長官の所信の表明を伺いました。本日は、両大臣の所信の表明に対する質疑をするわけでございます。現在、建設大臣予算委員会出席中でございますので、先に国土庁長官から所管の事項に対してお伺いをいたしたいと思うわけでございます。  まず、何といっても現下最も緊急を要する重大な問題は何か、こうなりますと、それは三大都市圏、地方都市の地価、宅地の供給の対策であろうと思うわけでございます。こうした問題は、国民的な強い要望がございます。しかも緊急な課題でございます。このことはもう申すまでもございませんが、建設大臣も当面の諸施策の第一にこの問題を挙げておられます。また国土庁長官も、第一番目には定住圏構想、これは国土庁の看板でございますから当然のことといたしまして、「第二は、総合的土地対策の推進であります。」こう述べられておるわけであります。「宅地に対する需要が大都市地域を中心に依然として根強い一方、それに対する供給が停滞していることが主因となって、最近、大都市地域の住宅地の地価が強含みに推移しております。」こういうふうに長官も述べられているわけでございます。  そこで、お尋ね申し上げたい点でございますが、まずこの発言の根拠、長官が所信表明にこの言葉を書かれた根拠は一体何か、私ども推測いたしますと、このことは、国土庁が去る一月三十一日に発表されましたところのいわゆる五十五年の公示地価の動向速報、ここにあると思うわけでございます。  昨年の住宅地の全国平均の上昇率が、四十八年のいわゆる地価狂乱時のあのとき以来初めて二けた台に突入をしているわけでございます。御存じのように、一一・五という数字が出ているわけでございます。特に、三大都市圏の住宅地はほぼ倍の上昇率を示しております。まさに地価は、警戒期から高騰期に入ったと私どもは受けとめているわけでございます。と申しますのは、実際に取引されるところの実勢地価というものは御存じのように不動産業者の間では公示価格の二倍と言われております。公的調査結果を上回るのが常識だとされております。  ことしの春に入りまして早々に発表されましたところの民間機関の首都圏、近畿圏の地価分布調査結果概要、これによりますと、首都圏、いわゆる東京通勤圏の地価相場は昭和五十四年一年間で三〇%以上値上がりした地域が首都圏全体の三分の一にも及び、一〇%以内の値上がりにとどまった地域は六%にすぎない、このように分析があるわけでございます。このことは、公示地価を上回る数値で実際の取引が行われているのであって、国土庁の五十五年の公示地価の動向速報が誤りだと私は言うのではございませんけれども、この実際に行われている取引の地価、こういうものを長官はお認めになりますかどうですか、この点についてひとつまず最初にお伺いをいたしたいわけでございます。
  76. 園田清充

    ○園田国務大臣 ただいまの御質疑でございますけれども、これは私の所信の中にも申しましたとおり、特に住宅地域について地価が強含みで動いておるということは、率直に認めざるを得ないと思います。
  77. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私がいま申し上げましたいわゆる不動産業者の売買がおたくの方の発表しているところの公示価格の倍以上である、こういう実勢、そういうものを長官は本当に認識をしていらっしゃいますか。
  78. 園田清充

    ○園田国務大臣 午前中私の方の土地局長から答弁をいたしましたとおり、若干強含みで動いているということは、先生御指摘の中にもございましたとおり、一月の私ども調査の段階でもそれぞれの上昇率を示していることは、率直に認めます。  ただ問題は、では何が基準か適正価格かということになってまいりますといろいろ議論のあるところでございますが、私どもは、機関的にやはり不動産鑑定士が鑑定をし、それが土地鑑定委員会の議を経て私どもに報告されるものを公示価格としての変動率としてとらえていくことが大事であり、同時にまた適切であるというふうに理解をいたしておるわけでございます。だからといって、いま申し上げましたとおり、じゃ公示価格どおり地価が動いているかというと、強含みで動いているという事実、これは否定はいたしません。
  79. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 長官もこういう実態を御存じであることがわかりました。  御存じのように、私が心配しております点は、今回の国土庁の公示価格の動向速報を見ますと、宅地の全国平均上昇率が先ほども申し上げましたが一一・五でございます。上げ足にはずみがついてきた、こういう点を私は心配するわけでございます。御存じのとおり、五十三年は六・五でございますから、四十八年の三四・七以来初めての二けた台の伸びでございます。特に東京、神奈川、埼玉、兵庫、こうした県におきますところの住宅地は倍の上昇率を示しております。三大都市圏が群を抜いて高く、特に東京圏の一六・四、名古屋圏の一三・六、大阪圏の一二・九の順序でございます。さらにこれを細かく県別に言うならば、東京都が一八・二、神奈川が一六・七、埼玉が一五・九、兵庫が一四・一、以下千葉の一三・八、愛知の一三・六、大阪の一二・九、こういう順序になっております。先ほど述べましたけれども、実勢地価はこの二倍でございます。  そこで、まず、地価がこのように上昇する原因、それは一体どこにあるのだろうか、そしてまた今後地価の動向につきまして国土庁はどのように見ておられるのか、長官にお尋ねを申し上げたいわけでございます。
  80. 園田清充

    ○園田国務大臣 一月の調査の結果を私どもなりに踏まえておりますことは、午前中も土地局長から答弁をいたしましたとおり、実は土地の価格が上昇する場合に三つの大きな要因がある。一つは効用増と申しますか、交通が便利になったとか道路網がよくなったとかいう効用増によって価格が上がる場合、二つ目はやはり投機的な動きが出てきたときに必ず土地は上がっていくということ、それからもう一つは需給のギャップというものが土地価格の上昇につながるというのが、大きな三つの原因だと思います。その中で、特に三大都市圏においては、最大の原因はやはり需給のギャップということであり、供給増をどう図っていくかということが今後の大きな課題だと思いますし、そのために税制の問題でも長期、短期ということで供給の増を図っていくということから今回改正をお願いいたしておりますし、あわせまして、午前中も御指摘がございましたとおり、この三大都市圏の中にある農地をどう宅地につないでいくかということが、私どもは問題解決への大きな一歩だというふうに考えておりますので、農住構想ということで実は法案の提出も準備をいたしております。よろしく御検討賜りたいと思います。
  81. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま長官が述べられましたように、いわゆる需給ギャップというものが中心にあって、それにいろいろの要素が絡んでいる、これはわかるわけでございます。要するに、上げ足が非常に急ピッチになってきておりますね。この上げ足を見て私どもが考察いたしますのに、三〇%台の値上がりをしました四十七年、四十八年当時の地価の動きと非常に似ているのではないかと思うわけでございます。まさに狂乱地価の再燃が起こるのではなかろうかと危惧するわけでございます。いまいろいろの御説明がございましたけれども、宅地の需給ギャップ、このほかにも、昨年四月以降特に住宅融資拡大に乗りまして需要がふえて不動産業界もマンション用地を買いあさった、これが地価水準を押し上げたということが言えると思うわけでございます。また、三大都市圏の宅地難を反映して業者が地方都市にもぐっと進出していった、さらには商業地が約五年ぶりでございますけれども動き始めた、いろいろございます。また、そのほかに、例年、地価がやや鎮静する十月以降も、昨年は石油価格の値上がりによるインフレ気構え、こういったものが続いた。こういったものの幾つかがありまして、そしていま長官が言われたようなこともあるでしょう。私は否定はいたしません。そうしたものを見まして、この問題があると思うわけでございます。そこで、高騰する原因に対して、政府が一体本腰を入れて取り組んできたのかどうか、私はこの点を申し上げてみたいと思うわけであります。  御存じのように、宅地開発のブームがございました。そして、国民がみんなマイホームを持ちたい、そういう切なる希望にこたえて政府が本当に取り組んできたのかどうか、こういうふうになりますと、この国民の気持ちに逆行するような政策をとったのではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、私が具体的にお伺いしたい点は、要するに宅地の供給が、いわゆる三大都市圏と言ってもいいですが、非常に下降線をたどってきておる、この点を具体的に数字をもってお示しをいただきたいと思うわけでございます。特に私が要望いたしますのは、昭和四十七年以降、すなわち狂乱地価の現出したあの後から最近までの状態として、どのように宅地供給がカーブを描いて、下降線で、そうして現在のように宅地の供給難というような事実になっておるかを、ひとつ数字をもって御報告を願いたいと思う。
  82. 山岡一男

    ○山岡政府委員 宅地の供給につきまして一番多かったのが四十七年、全部で一万四千五百ヘクタール、ミディアムグロスの供給がございました。その後五十二年までは漸減いたしまして、トータルで九千三百ヘクタールとなっております。
  83. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その中で特に公的なもの、民間のものあるいは区画整理によるもの、こうあるわけでございますけれども、私はその中で特に民間のもの、これがどのような下降線をたどっているかについてお伺いをいたしたいと思います。  いまお話しになったように、四十七年が一万四千五百、五十二年が九千三百ということは六四%でございます。そこまで落ち込んでしまった、こういうふうに言えるわけでございますが、民間の方は一体どういうふうになっておりますか。
  84. 山岡一男

    ○山岡政府委員 民間の供給につきましては、四十八年二千百ヘクタールというのを頂上にいたしましてだんだん下がっておりまして、現在四千百ヘクタール、五十二年の状況でございます。約四四%だと思います。——どうも失礼しました。民間供給、四十七年が最高でございまして八千二百ヘクタール、それが現在四千百ヘクタールということでございまして、四四%ぐらいに減っておると思います。
  85. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま訂正があって御報告があったように、四十七年が八千二百、四十八年以降ずっと下がってきております。四十八年は若干上がったわけです、八千三百ですから。しかし四十七年の八千二百に対して五十二年が四千百ということは、大ざっぱに見ても半分でございます。四四%とかなんとかいうお話がありますけれども、八千二百に対して四千百ということは半分。このように宅地供給が減っている。この問題は、私は政府がいかに宅地対策に対して真剣に取り組まなかったか、その結果ではないか、このように思うわけでございますけれども、反論がございましたら伺います。
  86. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  反論ではございませんで、一応いまお話しのように、宅地の供給量が四十七年度をピークといたしまして減少してまいっております。その理由は、一つは、市街化区域の農地等の宅地への利用の転換が非常に停滞しておる。この原因はいろいろございますけれども一つは、やはり土地を資産として持つことの非常に有利なこと、あるいはまた最近におきまして土地を持っておられる農家の方が資金需要がなくなりまして、ほとんどこれを手放す動機がないというようなことが原因かと思いますし、それから御承知のとおり都市近郊の市町村におきましては、人口抑制ということで団地お断りというようなこともございますし、これはまた同時に公共団体が非常に多くの公共公益施設の費用負担をかぶるというようなことで問題になっております。それからまた、午前中もお話がございました土地税制が土地の流動化に対して抑止効果を持っておった、こんなことが原因として挙げられるわけでございますが、こういう点につきまして私どもではまず対策をいろいろ考えておりまして、一つは、計画的な宅地供給を促進する意味で長期的な宅地需給の見通し作業をやっております。これは府県別の段階までおろしまして需給をバランスさせよう。バランスしない場合は、それに対して適切な措置をとろう。そのほか、大臣からもるる総合的な宅地対策を進めるということを御説明しましたけれども、非常にむずかしい問題でございますが、全力を挙げて取り組んでいる次第でございます。
  87. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いろいろいわゆる宅地供給対策を展開する。それについて国土庁も、建設省も苦心をされていることはよくわかります。しかし私は、国土庁は、これはことしの二月の一日の事務次官の発言が新聞に載っておりますけれども、土地税制が緩和されれば宅地供給がふえて価格上昇は鈍化する、こういうきわめて希望的な観測が言われていることが新聞に載っております。長期譲渡を中心としたところの土地譲渡益の課税の緩和、この措置だけで土地供給は促進されないと見ているのが一致した一般の意見と思うわけでございます。また土地税制の緩和そのものについても財源難の中でなぜ金持ちだけを対象にして減税するのか、こういうところに問題があり過ぎると思うわけでございます。こうした安易な緩和措置などこれを画策せずに、私は国土利用計画法の効果的な運用を図るべきじゃないか、こう思うわけでございますが、この点についていかがでございましょうか。
  88. 山岡一男

    ○山岡政府委員 国土利用計画法では現在届け出制、その変形といたしまして事前確認制をやってまいっておりますが、十分効果を上げておると思っております。
  89. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 効果を上げている、こう自信を持ってお答えになりました。大変結構でございます。私どもはそのようには認識はいたしておりません。後から聞こうと思っていたのですけれども、大体国土利用計画法というもの、四十九年の六月二十五日に施行されておりますけれども、これは一体どういうことを背景としてそのとき法律が制定されたか、特にこれは議員立法でございます、そういう点からもひとつその当時のことを振り返って私お伺いをしておきたいと思います。
  90. 山岡一男

    ○山岡政府委員 当時四十七年、四十八年やはり過剰流動性をバックに全国の全地域、全地目で非常に土地の高騰を見ました。例を挙げて申しますと、住宅地域が四十八年では全国で三四・七%、商業地域が二三・六%、準工業地域三〇・七%、工業地域は二八・四%、平均いたしまして三二・四%、二年続いて三〇%を超す高騰があったわけでございます。全地域、全地目にまたがることでございまして、特にその原因がやはり投機的取引によるものであったということが一番の大きな問題だったと思います。
  91. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ごりっぱな御答弁であります。投機的な問題が起きた、起きそうになった、それを何としても防がなければならない、こういうところがら議員立法としてあの国土利用計画法というものが制定をされたわけでございます。いわゆる一億総不動産屋、ああいう時代は再び起こしてはならない、こういう考えでございます。  そこで、大蔵省来ていますか、このいまお話がございましたような狂乱地価を再現させないためにも投機に走る動きというものはぜひとも抑えなければならないと思うわけでございます。四十七年、四十八年の狂乱地価を現出させたのはいわゆる企業の土地買い、企業が土地を買い占めに走った、そしてそれに対して銀行さんの方でも不動産向けの融資が、どんどん貸し出しをした、こういう事実があったと思うわけでございます。私どもが心配をいたしますのは、今回も非常に地価が騰勢、特に宅地が騰勢を示している。こういう地価の上昇に対しまして、金融面からも、何としてもかつてのような狂乱地価を起こさせないようにするためにも規制をするのが当然と思うわけでございますが、現時点で大蔵省としてはどう取り組んでいらっしゃるか、また銀行が現在どれくらい土地向けの融資をしているか、あわせてお答えを願いたいし、この問題に対してそういう状況が起きるというようなことがあったときに、どのように銀行としては、大蔵省としては対処されるか、この点をあわせてお伺いをいたしておきたい。
  92. 足立和基

    ○足立説明員 お答えいたします。  先生いま言われましたように、四十七年を初めといたしまして、数次にわたりまして、私ども金融機関の土地取得関連融資につきまして通達を出しまして、土地投機を助長するような融資の自粛ということをるる述べてきておるわけでございます。五十年には国土庁の土地局長からも、そのような投機的な土地取得関連融資を抑制してほしい、こういう御要請がございましたので、その旨もまた金融機関の方に御連絡申し上げておるところでございます。昨年の二月七日にまた土地投機を助長するような融資について厳に抑制してほしいという連絡を各金融団体代表者に対しいたしまして、特に昨年二月八日から土地関連融資の動きを監視するために各金融機関に対しまして、各四半期ごとに土地関連貸出実行状況というものの報告書を提出するように通達をして、現在その指導の徹底を図っているところでございます。  現在のところ、不動産業に対しましての銀行の貸し出しはどうなっておるかということでございますが、全国銀行ベースで不動産業向けの融資残高は、昭和五十四年十一月末現在、これがいま一番新しい数字でございますが、九兆四千五百三億円でございます。これは総貸し出しが百三十九兆六千二百二十九億円ございますので、それの六・八%に当たっております。  この不動産業向けの貸し出し、これの推移をながめてみますと、四十七年度のいろいろ抑制の通達を出しました当時は、大体七・九%であるとか七・八%であるとかいうようなレベルでございましたが、数次にわたる通達を出しまして指導いたしました結果、現在はいま申し上げましたような六・八%というような水準にまで下がってきております。今後ともこのような動向については十分注視してまいりたいと考えております。
  93. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大蔵省としてもかつての狂乱地価を再現しないようにいろいろ手配をなさっていることについては私も結構だと思うわけでございます。確かに昨年の二月七日その連絡を出して以降、報告を求める、そしてさらにはまた十分に注意をしているようでございますけれども、また再びこのようなことになりますと大変でございますので、一層この点については、四半期ごとに、三カ月置きでございますから十分把握できると思いますけれども、この体制を崩さないで厳重にひとつ見ていただきたいと思うわけでございます。  そこで、先ほども同僚議員からの質問がございましたが、長官に一つお尋ねいたします。  一カ月前のことでございますが、一月十八日、先ほども話題になりました、閣議後の記者会見で、投機的動きが出ればというふうに限定しながらも、関係知事に対して国土利用計画法の適用を指示しなければならない、国土庁でも現在同法適用を検討中だ、地価騰貴抑制に強い決意を持っている、こう述べられたわけでございますね。このことは先ほどの質問でもお認めになっておりますのでわかるわけでございますが、その後二月の八日になりまして、公示地価が発表後でございます、強い決意を持っているはずの大臣が一転して、私どもの正木政審会長が予算委員会で質問をいたしたときの答弁でございますが、国土利用計画法の十二条、十三条の規制区域の条項を発動すべき時期に来ている、こういうふうに正木政審会長が質問をいたしました。その質問も、時間的にも経過しておりまして、残り時間が少なかった、こういう問題もございまして、長官がいろいろと長々した答弁をなさっている間にも、正木君からはやるかやらないかでいいです、やるかやらないかどっちなんだということを聞かれたわけでございます。そのときに長官がいまの状況で見ると投機的売買はないので国土利用計画法の発動をする必要はない、こういうふうに答弁をされているわけでございます。しかし私は、長官のこの間お述べになりました所信表明の総合土地対策の前段のところを先ほど読みましたが、後段のところには「このような状況に対処するためには、投機的な土地取引の抑制に万全を期するとともに、宅地供給の促進を図ることが基本であると考えております。」というふうに書いてございます。こういう字句があるということ、このことは投機的な売買が行われるおそれがある、こういうふうなことを長官もお考えになっているからこそ、投機的な土地取引の抑制に万全を期するのだ、こういうふうに言われていると思うわけです。  そこで私は、かつて埼玉県の大宮市の近郊、上越・東北新幹線が分かれるところに、伊奈町でありましたか、あそこで非常に地価が急騰したことがございました。そのときにもこの問題を当委員会で取り上げたことがございます。しかし、あのときは全く局地的な問題でございました。しかし今回のこの東京都の一八・二%、こういう数字はまさに投機的売買が多分にあるからこそ、こういうことが起こりつつあるわけです。このままで鈍化すれば結構な話でございますけれども、まさにこれは上向いている、騰勢を示している、こういうふうにしか考えられないわけでございます。  こういう点から考えまして、長官はいまの時点においても投機的な売買はない、またはそのおそれもない、だからこの国土利用計画法の十二条、十三条の条項の発動というものは考えない、こういうふうな結論なのでございましょうか、改めてお尋ねを申し上げるわけでございます。
  94. 園田清充

    ○園田国務大臣 数字的な問題と局部的な問題については局長から答弁をいたしますが、正木政審会長から、予算委員会で御指摘のような御質問がございましたことも事実でございます。また、私自体が一月末日における国土庁の調査の結果を踏まえて、現状のところ広範囲にわたる投機的な取引はないと思うという御答弁を申し上げたことも事実でございますが、と同時に、さっきここでも御答弁申し上げましたとおり、やはり立法の時点において、議員立法だけに政府側に対して、地方自治のあり方というものからして、地方自治体の意思を尊重しながらこの運用を図っていけという御注文がついていることも事実でございます。  そこで、私どもとしては、御指摘のとおり国民生活に及ぼす地価の影響というものがいかに重大であるかということで、常に土地価格というものには監視の目を光らしていく必要があるということからして、全国的に地方自治体と緊密な連絡をとりながら、監視を続けていることも事実でございます。  また決意は、正木政審会長に表明をいたしましたとおり、広範な問題にわたって土地取引が行われるということであれば、国土利用計画法の立法の趣旨を踏まえながら、自治の精神を尊重しながらこれに対応していくという決意も、今日変わりないことを重ねて申し上げておきたいと思います。
  95. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もうくどくどしく国土利用計画法の十二条、十三条を引用する必要もございませんけれども、幸いといいますか、この十二条、十三条の発動ということがいままでございません。適用を受けたケースというものは皆無でございます。しかし「土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの」こういうふうに書いてあるわけでございます。  そこで、具体的な基準がなければならないと私は思うのでございますけれども、たとえば地価が前年に対して何%上昇すれば高騰と言うのか、投機的取引が集中的に行われると言っても何を基準にそう見るのか、こういうことですね。この国土利用計画法を実施するための基準というものは、あるとは思いますけれども、念のためにお伺いをいたします。
  96. 山岡一男

    ○山岡政府委員 国土利用計画法第十二条の指定要件でございますが、土地の投機的取引が相当の範囲にわたり集中して行われ、及び地価が急激に高騰する事態に対処しということになっております。その場合の、相当範囲にわたり集中して行われるといいますのは、相当の広がりを持つ地域、一応は市町村単位ぐらいと思っております。ほぼその全域にわたり投機的取引が反復、継続的にかつ集団的に行われる状況であるというふうに考えております。それで、実際の地域の範囲は市町村単位等が適当と考えておりますけれども、具体の地域における経済的、社会実態によって判断されるというふうに思っております。  それから地価が急激に上昇しということでございますが、これは当該地域におきます従来からの地価の趨勢それから全国の地価の趨勢等を考慮して判断されるということでございまして、何%上がればという基準は定められておりません。特に知事さんのそういうふうな全般的な判断が一番の基礎でございまして、そのためにもし知事さんがそういうことを決意なさいましても、後で土地利用審査会の覆しがあるというような法制になっておりまして、何%という一律の基準は期待されていない、あくまで投機との関連において判断されるというふうに考えております。
  97. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私もその点は承知しておりますが、やはり一つの小さな市町村単位というよりむしろいまは東京全体、いわゆる三大都市圏おしなべて、特に東京はこの地価の高騰が激しいというような情勢にあるわけでございますので、これらの点についてやはり地価の鎮静を図るためにも、高騰を防止するためにも、この国土利用計画法の十二条の発動というものについては十分に慎重の上にも慎重に、しかし勇断をもってやらなければならないと思うわけでございます。  そこで、建設大臣がお戻りになりましたので、建設大臣は恐らく所管外だと言われるのじゃなかろうかと思うのでありますけれども建設行政、住宅宅地行政というものに対しては御関心があるのが当然の話でありますので、まずこの国土利用計画法の十二条、十三条の発動という問題に関して、大臣としてはどのようにお考えになりますか。
  98. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 お答えをします。  いま国土庁長官からも御説明がございましたが、もともと国土利用計画法の運用につきましては国土庁長官の所管でございますが、建設省としましても住宅政策を進めてまいりまする場合にやはり宅地の問題が大きな前提となりますし、またそういう意味におきましては地価の安定ということは非常に重大でございます。したがいまして、宅地供給を促進するという意味におきまして地価の安定が必要であることは申すまでもございませんので、これは上がってからいろいろなことをやっても意味のないことでございますから、必要であれば規制区域の指定を行うべきであるというように私は考えておりまして、いろいろ御調査も願っておるようでございますから、その辺のことにつきまして十分な御検討をひとつ願わなければならぬ、かように考えております。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私も大臣の言われるように、上がってしまってからやっても間に合わないわけですから、やはり未然に防止するということから、この時期はあるいはもうちょっと見なければならぬと言われるかもしれませんけれども、やはり発動は考慮しなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  ところで、国土庁長官はどのようにお考えでございましょうか。
  100. 園田清充

    ○園田国務大臣 午前中土地局長も答弁申し上げましたとおり、実は土地価格の特に要注意という地点が二十四カ所ばかりございます。そこでこの二十四カ所の地点については、私どもとしては特別地域として綿密な調査を現在進めておるということで、御指摘のような問題で国土利用計画法の適用ということを常に頭に置きながら、腹に据えながら地価の抑制については努力していかなければならないというふうに決意をしているわけでございます。
  101. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまお答えになった二十四カ所、私はここでどこですかとは聞きません。そんなことをすると大変なことになりますから聞きませんけれども、わが党としても竹入委員長が一月二十八日の代表質問の中で、地価を抑制するためにこの国土利用計画法の規制区域指定の積極的な適用を図るべきだというように訴えております。また先ほども申し上げましたように、正木政審会長も予算委員会の総括質問の中で、十二条、十三条の規制地域の条項を発動すべき時期に来ている、こういうふうに申し上げているわけでございまして、われわれの考えもまさにそのとおりでございます。これ以上地価が高騰するおそれがある東京都などにつきましては、大英断をもって伝家の宝刀を抜いてはどうか、私はこう申し上げたいわけでございます。病気にかかった難病の方々も、いろいろ薬を与えても治らない場合があります。そうしたときに、ショック療法なんというのをやりましてきちっと治ってしまった例なども聞くわけでございます。ここで伝家の宝刀を抜くぞ抜くぞと言っていていつまでも抜かないと、今度はさびついてしまって抜けなくなってしまう。ですから私は、一遍抜いてみてはどうか、そしてこの発動によって地価の高騰を抑えることができたならば、これは大変いいのではなかろうかと思うわけでございます。現在の地価の高騰を踏まえて、政府が国土利用計画法の運用強化を図るために、具体的にその二十四カ所についても十分対応策を考えていって、事前にそういうおそれがあるという——おそれがあることだけでもこの発動はできるわけでございますから、そういうおそれがある、徴候が出てきた、こういうときには即刻この問題については発動するように、ひとつ長官の英断を希望いたしましてこの問題を終わりたいと思います。いかがでしょうか。
  102. 園田清充

    ○園田国務大臣 いま私どもとしては、二十四の地域を特別調査地域として、動向について実は厳重な調査をいたしておるところでございます。調査の結果を踏まえながら、立法の趣旨である自治体の長である知事の意向等も十分そんたくしながら、国土利用計画法の適正な運用を図ってまいる決意でございますので、決意だけは変わらないものであるということでひとつ御了承願いたいと思います。
  103. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に移ります。  建設大臣出席でございますのでお伺いするわけでございますが、建設省はその名前が示すとおりに道路、橋梁あるいはダム、住宅、こうしたものの建設を初めとして、河川の改修等、さらにその維持、保存、こういうものを所掌とする役所でございます。  そこで、これらの建設について、最近資材が非常に高騰しているという気配が見えるわけでございます。昨年一月とことしの一月を比べますと、主要な建設資材が非常な値上がりをしているわけでございます。その値上がりの状況を一応お伺いをし、さらにはことしの九月ごろ、大体これから半年後でございます、その時期においてはどれぐらいに値上がりするということが予想せられるのか、この点をひとつお示しをいただきたいと思うわけでございます。
  104. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  最近の建設資材の価格動向につきまして日銀の卸売物価指数で見ますと、全体としまして昨年同期に比べて二八%程度の上昇となっております。特に、原油価格の影響の大きいセメント、アスファルト、それから生コンクリートは、日銀の卸売物価指数によりますと、五十五年の一月においてセメントは一五・四%、アスファルトは八六・七%、生コンクリートは一二・二%の上昇となっております。さらに、昨年末には今後石油の騰勢が続くものと見て、セメント各社は二月の中旬以降トン当たり三千円程度以上の値上げを発表しております。今後、生コンクリート、アスファルト等についても年度末から新年度にかけて値上げが予想されます。また木材等につきましても、昨年の春から夏にかけまして原木の産地の価格が高騰いたしまして、それに円安傾向が加わるということで、製材、合板ともかなり値上がりをいたしております。それから、小形棒鋼等につきましては輸出が大変好調でございまして、じり高傾向をたどっております。最近は鉄くず価格の高騰もございまして一段と強含みでございます。なお、現在通産省におきましては高炉ビレットの放出等も検討いたしておりまして、かなりな力を入れてこの価格の安定に努めておるところでございます。  さて今後、これから秋にかけましてどの程度値上がりするかという点でございますが、大変むずかしい御質問でございまして、私どもは、今後の価格の動向は二つの要因があると考えております。一つはコストの要因ともう一つは需給関係でございます。コストの要因につきましては、原油価格の動向がどうなるか、あるいはまた円がドルに対してどういう価値を維持するか、さらには電気料金の引き上げ等も話題に上ってきておりますし、いろいろな要因がございますが、現時点ではどの程度のはね返りが建設資材にあるかということの予測を立てることは困難でございます。ただし、需要供給関係につきましては、昭和五十五年度公共事業予算見通し、あるいはまた民間設備投資の今後の見通し等から見まして、それほどの建設投資の伸びというものは期待ができないのじゃないかと考えております。ですから、少なくとも資材に対する需要が非常に大きくて、供給力を上回って、そのために値上がりをするようなことはないのではなかろうかと考えております。
  105. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 特にいまのお答えの中にありましたような油の問題でございますけれども、御答弁になったように、軽油とかアスファルトとか、こういうものが倍近い値段まで上がっているわけですね。こういうものはまた建設資材としても、消防法の規定からいって保管もできませんし、やはりそのときそのときに買わなければならない。また、生コンのごときも当然同じことが言えるわけでございます。  そこで、労務賃金の値上がりの面は、これはどうなんでしょうか。いま上がっておりませんか、おりますか。昨年の一月とことしの一月と、これを対比して伺いたいと思います。
  106. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  労務費につきましては、毎月勤労統計から見ますと、ここ数カ月、大体前年度に比べまして二%程度の上昇率になっております。
  107. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 労務賃金の値上がりが二%程度に抑えられているということは大変結構なことでございます。  そこで、大臣ひとつ伺いたいのですが、四十八年、四十九年のいわゆる石油ショックのときのような値上がりから比較すれば、まだまだそれほど高騰しているわけじゃないと思うのですけれども政府としては、やはりインフレ再燃、これを恐れるわけでございます。特に公定歩合引き上げ、これも予算審議のさなかにこういうことが行われたということは前代未聞、初めてのことでございます。こういうことを考えますと、大平内閣としてもこの物価の問題には非常に神経を使っている、こういうことになるわけでございます。それも、いわゆることしの七月に行われるところの参議院選挙、この参議院選挙前に物価が上がるということは自民党が選挙に不利だというところから、こういった公定歩合引き上げ、日銀と全くどんぴしゃっと合ってしまったというふうにわれわれ考えるわけでございます。この辺はいかがでございますか。
  108. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 やはり物価の安定ということはもう基本的な問題でございまして、選挙のあるなしにかかわりませず、物価の安定は私どもも最大の努力をしなければなりませんし、特に建設関係におきましても、御承知のような情勢下でございますが、極力そのような資材高騰を刺激することのないような配慮をしながら執行いたしてまいりたい、かように考えております。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 計画局長にお伺いすることになると思いますが、五十五年度公共事業でございますが、発注の時期というもの、前半後半に大別いたしますとどちらが多いわけでございますか。
  110. 丸山良仁

    丸山政府委員 五十五年度発注につきましては、これからの経済情勢あるいは物価の動向等を慎重に配慮しながら決めていかなければならない問題でございまして、現在のところ、そういうことは決めてないわけでございますが、過去の例で申しますと、促進の年には上半期に大体七〇%程度、通常年度で六五%程度、抑制の年には五〇%台、こういうような形になっております。
  111. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 確かに前半七〇%ないしは低いときでも六〇%程度のものが契約できるわけでございます。ことしは特に予算そのものが、レベルは同じでございますけれども繰り延べが五%ある、こういうところから四、五、六ぐらいは工事はそのまま続いていくと思うのでありますが、五十五年度公共事業につきまして、発注時期というものが前半といっても六月以降だ、こう私は思うわけでございますね。その間は繰り延べのものでやっていけるとしても、七月に入りますとやはり事実上の契約をしなければならぬ。そうなりますと、予算書に計上されているところの工事単価においても、いまのお話のようにこれから非常に油が上がることも懸念されるわけでございますし、予算書に盛られたものと相違が出てくるんじゃなかろうか。そういう点どれくらいアップが見込まれるものでございましょうか。予測でございますから非常にむずかしいかもしれません。
  112. 丸山良仁

    丸山政府委員 先ほど計画局長から御答弁申し上げましたように、この予測は非常にむずかしい話でございますけれども、われわれといたしましては、政府経済見通し卸売物価が来年度九・三%、消費者物価は六・四%、こういうようなことを言っておるわけでございまして、これらを参考にいたしましていろいろと試算をしたところでは、工事費は昨年度に比べまして八%程度値上がりがあるのではないかと考えておるわけでございます。
  113. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 私はその八%に抑えられれば結構だと思う。私どもも決して物価が上がることを好んでおるわけじゃございません。極力物価を抑えなければいかぬことは当然でございます。果たして八%に抑えられるかどうかということは非常に危惧があると私は思うのでございますね。そういうところへ、いわゆる契約時と実際上工事をしようといったときに価格の開きが出てくるんじゃなかろうか。これが大いに建設業者の方々にとってはマイナスになる、不安の要因になる、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、建設省原油値上がり一つの理由といたしまして、セメントとか生コンとか、五十五年度からの公共の工事に使うこれらの建設資材値上がりした場合に、建設会社に対して当初の契約価格に値上がり分を上乗せして支払うというような救済措置をとることを決めよう、こういうようなことで二月十四日に中央建設業審議会が開催された、そこで諮問をした、こういうふうな話を聞いているわけでございます。建設省がこうして救済措置をとるということは四十八年のあの石油ショック以来のことで、非常に注目を集めているところでございますけれども、この諮問に至るまでの経緯並びに諮問の内容、こういうものについて御説明を伺いたいと思うわけでございます。
  114. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいまお話しの標準請負契約約款の問題でございますけれども、実は中央建設業審議会が、公共工事につきましては昭和二十五年、民間の工事につきましては昭和二十六年に標準請負契約約款を決定いたしまして、建設大臣に対して勧告がなされたわけでございます。その後経済社会情勢の変化に対応して、公共工事の標準請負契約約款を四十七年までに数次の改定、民間の方は三十一年までに改定を行ってきたわけでございます。しかし、すでにもう十年近い年月もたっておりますし、建設工事の請負契約をめぐるいろいろな事情経済状況、社会状況等も変化してまいりました。そこで中央建設業審議会といたしましては、この約款の改定を行う必要があるということを決定いたしまして審議に入ったわけでございます。  本件の審議につきましてはかなり長い期間を要するということで、しかも専門的、複雑な重要な事項を含んでおりますので、法制小委員会というものができまして、今月の十四日審議の段取りを決めまして審議に入ったわけでございます。ところがいま先生御指摘のように、最近における石油価格の高騰に伴いまして資材価格が上昇してまいった。しかも今後の見通しがかなり不透明であるというような点でいろいろ問題が懸念されます。そういう意味で、現行の約款ではこういった異常事態にうまく対応できないのではないかということで、これに対しても検討しようということになりまして十四日に検討が行われたわけでございますけれども、いまだ結論には至らず、次回以降の小委員会の審議を待つこととされております。
  115. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そういう価格の高騰によりまして業者が赤字になる、これは何とかしなければならない、当然のことだと思うわけでございますけれども、そうした措置を仮にとることになったとしたときに全体の資材が上がることになる、これが引き金になっていろいろな資材が値上げされるようなことになるのではなかろうかというおそれが私はあると思いますが、この点はどうでございましょうか。
  116. 宮繁護

    宮繁政府委員 原油価格の高騰に伴います中間生産品とか最終生産品に価格がどう転嫁されていくかというのは、それぞれの資材の需給関係その他によりまして決まってくるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、先行きが非常に不透明で、そのために私どもの方としましても適正な予定価格がなかなか組めない。それから業者にいたしましても資材の先行きが非常に不透明でございますので、どの程度の価格であれば入札に応じていいかというようなことも大変問題になるわけでございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、この場合に、契約時にあらかじめ資材確保して備蓄することが困難なような資材、したがって売り惜しみとか買いだめ、あるいはまたさらには投機というようなことが行われることのないような資材に対しましてこういう措置をとってまいりたい。ただし、その他の資材につきましては発注をいたしますときに適正な価格を査定いたしまして、それによって適正な価格で発注しようと考えております。
  117. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この問題はこれから相当に検討をしなければならない問題が多々ございまして、私もこの問題について関心を持っているわけでございますが、中小企業建設業者というようなものはやはり工事の期間というものが一年未満に限られているようなものばかりでございます。そういうものにも適用されるのでしょうか、どうでしょうか。この辺をひとつ確かめましょう。
  118. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  先ほど私、言葉が足りませんで、現在の標準請負契約約款におきましても工事の規模が大きくて十二カ月以上にわたるような工事につきまして、十二カ月を過ぎた段階で資材値上がり等で工事費が上がったような場合、三%以上の値上がりでございますと、発注者がその費用を負担するというようなことになっております。こういった大規模工事はそういう措置があるわけでございますけれども、ただいまお話しのような中小建設業の場合には工期の短い単年度事業が多いわけでございます。したがいまして、しかもその都度資材確保するという中小建設業者の工事につきましては、いま議論しておりますような措置はかなり有効に働くのではないかと考えております。
  119. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 自治省にお伺いしたいんですが、このいわゆる建設資材の価格スライド契約というものが、まだいま検討中でございますけれども実施された場合、地方自治体としても公共の工事に相当の影響を与えることになるのではなかろうかと私は思うわけでございます。そういう場合にどのようにお考えになっているのか、またこの問題に対して建設省との間に協議が行われたのかどうか、この辺はいかがでございます。
  120. 中村瑞夫

    中村説明員 御説明を申し上げます。  ただいまの資材値上がり等の場合における地方団体の契約の問題でございますが、この点につきましては、先ほど建設省の方から御答弁がございました中央建設業審議会のつくられました公共工事標準請負契約約款、これが建設省の方から地方団体の方に示達をされまして、およそこれに準拠して各団体の約款等をつくるようにということが行われておりまして、私ども必ずしも実態をつまびらかにいたしませんけれども、多くの地方団体におきましてこれまでそのような形でやってまいったものと思います。したがいまして、もしいま御審議の行われておりますような改定が、結論が出まして実施をされるということになりますと、地方公共団体におきましても従来の例にならいましてこれに対応するということになろうかと思います。ただ、御意見の中にもございましたように、これらの事業につきましては地方公共団体が補助金を受けて工事を行っておるのがたくさんございますので、そういった場合に、仮にいまほどのような措置がとられるとするならば、国の方におきましてもしかるべき御措置あるいは御指導を賜りたい、このように存じておるわけでございます。  なお、この問題につきまして自治省との間に協議が行われたかということでございますが、私、行政課長でございまして、その辺の問題につきましてはあるいは財政関係等で話があったのかもわかりませんが、行政系統のものとしては伺っておりません。
  121. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この問題についてはまだいろいろと私はお伺いしたいことがございましたけれども、もう時間がございませんので、あと一つだけ、中小河川、特に都市の中小河川の問題についてお伺いをして終わりたいと思います。  建設大臣も所信表明の中で述べられておりますが、「わが国の国土は、洪水等の自然の脅威に対してきわめて弱い体質を持っておりますので、重要水系及び中小河川の改修、砂防及び地すべり対策事業等を推進して国土の保全を図ってまいりたいと存じます。特に、都市河川につきましては、流域の開発に対応した総合的な治水対策を促進してまいる所存であります。」こういうふうに述べられております。  こうしたことを踏まえてと思いますが、特に五十五年度予算の中で都市河川の総合整備事業費の補助が新設されることになっております。対象河川として、東京都の中心部を流れるところの隅田川の白鬚西地区が挙げられております。十分の三の補助率を定めております。こうしたことは、河川事業それから市街地の再開発事業、こういうものを一体的に施行するということによりまして低地域、いわゆるゼロメートル地帯に対する浸水に対しまして、安全性の向上、土地の有効利用、こういうものを図るためにこの補助が行われることは私は大変結構だと思います。むしろ遅きに失したのではなかろうかということでございまして、この実現に一歩前進を期待しておるわけでございます。厳しい財政事情の中で、御承知のように河川関係の予算も前年比較でほぼ一〇〇でございますか、そういうような数字と伺っておりますが、非常に厳しいわけでございます。  こういう中で特に私が心配しておりますのは、都市の河川の問題でございます。この問題はしばしば私も取り上げておりますし、いまここで改めて昨年の被害の模様等を聞いても始まりません。しかし、都市のいわゆる中心部を流れているような河川に対して事故が起こる、温水をする、そうしたことによって住民の生命、財産に危害が加えられる、これは本当に何とかしてこの問題の解決をしなければならない、こう思っておりまして努力をしているわけでございます。  こういう中で、都市河川の今後の課題といたしまして私は一つ提案をしておきたい点があるわけでございます。たとえば東京で例をとりますと、神田川あるいはまた石神井川、こういった河川の能力の明示が必要になるのではなかろうかと思うわけでございます。すなわち、流域におけるところの開発の仕方、土地利用のあり方、こういったものを明示すること。つまり、それぞれの河川の能力というものが明確であれば、その能力を超えるような事態が発生する、これは許すことができないというふうにしなければいけないのではなかろうか。そうしたことがそれぞれの河川において明確になっていれば、能力を超えるような状態に対しては回避させるような手段をとる必要があるんではなかろうか。無秩序な開発、また、本来持っていたところの潜在的な遊水能力、保水能力を損なうことがないようにしなければならないのではなかろうか。こうしたことはもちろん一朝にしてできるものではございませんし、やはり地域住民の理解と協力が前提であることは当然でございますけれども一つの提案として、洪水のはんらん予想区域、こういうものを設定する、洪水のはんらん予想地域というものを公示するというようなこと、これはこれから非常に重要な課題となるのではなかろうかと思われるわけでございます。少なくとも、こうした地域のこれ以上のスプロール化を防止する意味からも検討すべきことではないかと思うわけでございます。提案を含めまして大臣のお考えを聞いておきたいわけでございます。  時間も迫っておりますので、この問題もあわせてお答えをいただければいいわけでございますが、昭和五十五年度の一般会計予算、ただいま一般質問の審議中でございます、いずれ日を経まして分科会、こういうふうに進行してくるわけでございますが、御存じのように社公民三党で予算修正の動議が提出される予定でございます。組み替え動議まで発展するかもわかりません。今後どのように発展するかわかりませんけれども、それはそれといたしまして、ただいまも問題となりました都市河川の治水対策、改修というものは、非常に厳しい財政状態の中であっても一層促進させなければならない。これの受けざらづくりが非常ににおくれている。下水道は整備したけれども中小河川の方が整備されていない。いつもいつも被害を受けるところは全く同じようなところが受けているわけでございます。そうしたところから私御提言を申し上げましたし、また同時に、この予算審議に当たりまして、われわれの希望するところは、一刻も早くこうしたいわゆる市街地におけるところの中小河川の溢水によるはんらん、こういうものは防止しなければなりませんので、こういう点に対して大臣がどのようにお考えでございますか、二点についてお答えを伺いまして終わりにいたしたいと思います。
  122. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 具体的なことは後ほど局長から申し上げたいと思いますが、私は都市河川対策というものは非常に重要視いたしておるわけでございます。  御承知のように、昭和五十四年度から総合治水対策特定河川事業制度というものを発足いたしておりまして、非常に厳しい公共事業予算ではございますけれども、そういう点については特に配慮をしてまいりたいと思っております。そういう意味におきましては、機構の問題等も非常に簡素化が言われておりますけれども、私どもは五十五年度におきまして都市河川課を設置するということで、制度自体もそのような体制を整えましてこれにしっかり取り組んでまいりたいと考えておる次第でございますから、その点御了承を願いたいと思います。  具体的なことにつきましては局長から御説明させたいと思います。
  123. 稲田裕

    ○稲田(裕)政府委員 都市河川の対策でございますが、昨年も先生からの神田川、石神井川のはんらんの御質問のときにお答え申し上げましたが、都市への人口集中が非常にに激しい、特に低地域への進出ということ並びに上流水源地域での開発というのが相乗効果を上げて被害を大きくしているというふうな状況にあるわけでございます。これにつきましては、ただいま大臣から申し上げましたように特定河川制度というのを五十四年度から始めまして、流域の保水機能等を維持しながら、なおかつ緊急に計画的に治水の整備を図っていくという事業を行っておるわけでございますけれども先ほど先生から御提案になりましたはんらん区域等における土地利用の計画的な実施という面につきましては、私の方の河川審議会におきまして総合治水対策委員会というのがございまして、これから五十二年の六月に中間答申をいただいております。それは、治水施設の緊急整備計画の策定、それから河川流域の持つべき保水、遊水機能の確保、それから、水害に対し安全な土地利用方式及び建築方式の設定等を骨子といたします答申をいただいておるわけでございまして、これを受けまして私ども省内に総合治水対策協議会というのを設置いたしておりまして、これの方策の具体化につきまして内部で検討を進めてまいっておるところでございます。  なお、特定河川制度が五十四年度に発足いたしまして、九河川あるわけでございますが、来年度また新たに一河川入れまして、五十五年度十河川の予定で進めるわけでございますが、その中の六河川におきまして各流域ごとに協議会の準備会を設置いたしております。この準備会と申しますのは、私どもの出先並びに関係の市町村の関係者の方々にお集まりいただきまして、ただいま先生御提示になっていらっしゃるようなはんらん予想区域等につきましてどういうふうにあるべきかというふうな問題点等につきまして、現在何回かの協議を重ねてまいっております。それから、さらにそれを受けまして、その土地の利用の仕方がどうあるべきかという具体の案につきましていろいろ検討を進めてまいっておるわけでございますけれども、何分複雑ないろいろな問題が絡み合っております。したがいまして、これを実態的に具体におろしますにはいろいろな問題点が出てきておりまして、これら準備会での問題点を集約いたしまして、それを受けまして省内の協議会等でこれをこなしてから、実態的にどういう運用をするかというのを今後検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  124. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先ほど大臣からお答えがありましたように、行革を非常にやらなければならないときに特に都市河川課を置いたということ、その上非常に前向きに取り組んでいただいていることに私ども敬意を表するわけでございます。確かに地方へ参りますと河川のはんらんもございますけれども、そうしたこととまた違いまして、都市における中小河川のはんらんというものは全く本当に残念なことだと思います。欧米のいろいろの都市を視察いたしましたけれども、欧米の方では余り都市の河川のはんらんというものは聞かない。東京においては例年のごとく行われているわけでございまして、この問題に対して都市河川課を置いて前向きに取り組んでいこうという熱意に対して私は敬意を表しますけれども、どうかひとつ予算の面でも十分御配慮をいただきたいということをお願い申し上げまして、終わりにいたします。
  125. 北側義一

    北側委員長 瀬崎博義君。
  126. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最初に、行政改革に関連した質問を行います。  昨年の十二月七日の建設委員会で一連の天下りの問題を指摘いたしました。建設省が八百億円を出資して日本住宅公団を設立した。ここの役員総数十四人中十一人が天下りだ。次いで、日本住宅公団が二億四千万円を出資して団地サービスをつくった。ここの役員数十六人中九人が天下りである。今度は、その団地サービスが一千万円を出資して団地開発をつくり、ここは役員五人中四人が天下り。さらに、一千万円を出資して関西団地開発をつくって、ここは役員五人が全員天下り。さらに、一千三百万円を出資して宅地開発技術サービスをつくって、ここは七人の役員中三人が天下り。特に建設省、住宅公団、団地サービスと天下っていった林隆善専務に至っては、公団から見て孫会社とも言うべき団地開発、関西団地開発、宅地開発技術サービス三社の社長も兼任しておったというわけでありました。  こういう私の指摘に対して建設大臣は、「常識的に考えまして、果たしてこれでいいだろうかということは多少の懸念は持たざるを得ない」、これが事実であるとすれば「非常に奇異な感を抱かざるを得ない」との感想とともに、「いまお話しのような問題につきましては、やはりこれだけ行政改革が叫ばれておるときでありますから、本当の意味におきまして実効の上がるようにわれわれ努力してまいりたい、」とお答えになっているし、公団総裁の方も「実態をよく調べまして、常識外れのことがあったら当然是正すべきだと考えております。」という答弁であったわけであります。  そこで、まず天下りの実態を確認されたのかどうか。特にこの林隆善氏のように、団地サービスの専務をやりながら、さらにその下の三つの会社の社長も兼任している、一体どんな勤務状態が行われているんだろうか、これも調べられたであろうと思います。そして、こういう膨大な役員が必要なのかどうかも検討してもらいたいということも申し上げました。どの点が非常識であったとお考えになっているのか、またどこをどう改めたのか、また改めようとしていらっしゃるのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  127. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 細部はまた総裁を初め関係者から申し上げると思いますが、基本的なことを申し上げます。  先生お話しのように、いわゆる公団子会社、孫会社等の問題につきましては、昨年末以来住宅公団に事実の調査を命じておるわけでございます。その調査の結果によりまして、宅地開発技術サービスに大手建設会社の社員が出向し、工事監督に従事しておるという点でございますが、もちろん同一会社の工事監督に従事しておるようなことは、もちろん監督義務に背馳しないように配置をしておるわけでございますけれども、誤解を招くということ自体もよくないわけでございますから、出向職員は順次減少いたしまして、年度内には大手建設会社からの出向社員はこれをなくするように、公団を通じまして同社に措置をとらせるようにいたしておるわけでございます。  もう一点、多数の役員が必要かというような点につきましては、それぞれの会社について調査をいたしたわけでございますが、それぞれの役割りを担当し、必要なものであるというふうに判断はいたしておりますけれども、なお、団地サービス専務がいわゆる孫会社三社の社長を兼務していたという点につきましても、これらの代表取締役社長を辞任する旨の本人の申し出を関係会社が了承した旨実は報告を受けておるわけでございます。したがって、建設省といたしましては、引き続き、公団関連会社が常識的に考えていいと思っておるといたしましても、このようないわゆる疑いを持たれるあるいは批判を受けるということはよろしくないことでございますから、そのことのないように私どもは公団を指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  128. 澤田悌

    澤田参考人 御質問の点、ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますが、公団といたしましても、前回、一つの常識を基準として判断し、正すべきものは正してまいりたいという趣旨のお答えをいたしておったわけでありまして、その後実態をよく調べまして、ただいま大臣からもお話がございましたように、誤解を招くようなことは当然改めるべきものでありまして、宅地開発技術サービスの建設会社からの出向職員につきましても、これは会社ができまして内容が、陣容も充実しておりませんので、技術的にも専門家を外部から援助のために受け入れて、そしてそれを繰り回してサービスするという体制をとったわけでありますが、これは当然ある時期には解消すべきもので、内部のスタッフをもって事に当たるのが当然でございますが、おおむね三月中にそういう職員は全員原会社に復帰させるという体制になっておる次第でございます。  それから、団地開発株式会社等三社の問題につきましてもいま大臣お話のとおりでありますが、団地サービスの役員、専務であります者が三社の社長を兼務してこれはそれぞれスタートしたわけでございます。最初は小さい会社でございますが、だんだんと仕事がふえ、内容が充実いたしてまいりますまでの役員陣の形づくりという意味もあったわけでございますけれども、それにしても親会社の団地サービスの専務が三社の社長を一律に兼務するということも、これは常識から見て御指摘の点を十分考えなければなりません。それで、実はもう実効上は一月中にこの専務は関連三社の社長を辞任いたしておるわけでございます。このように、御質問の趣旨を私ども十分くみ取りまして、逐次改めるべきものは改めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  129. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もちろんこの問題は現在の出向社員の引き揚げと、それから林専務が孫会社三社の社長の兼務をやめたというだけで済む問題ではないと私は思うのです。もっと本質に立ち入って、安易に出資して安易に天下り人事を行って次々に会社をつくるというこの根源が絶たれなければならないと思うのです。この点は篤と、監督責任のある建設大臣の方で今後とも指導は強めていただきたいと思うのです。  いままで私どもが取り上げてきたのは、住宅公団グループの中で、いわば縦の系列といいますか、住宅公団、団地サービス、そして孫の団地開発等々の線を指摘しているわけでありますが、それ以外に今度は、団地サービスと横並びで、住宅公団の出資している子会社がほかにもまだたくさんあることがわかってきたわけです。株式会社グループが七つと財団法人のグループが三つです。財団法人ですからこの場合は出資金でなくて、基金に対する出捐金になっていますね。  まず、株式会社の方を見ますと、問題の団地サービス、それから新都市センター開発株式会社、高蔵寺ニュータウンセンター株式会社、筑波新都市開発株式会社、それから株式会社北摂コミュニティー開発センター、平城ニュータウンセンター開発株式会社、新都市サービス株式会社とあるわけであります。その役員構成を見ますと、七社で役員総数八十四人、このうち政府及び公団あるいは団地サービスなどの天下りあるいは横滑りが二十二人で全体の二六%を占めている。金融機関の役員、大概社長などが名前を連ねているのですが、これが十九人で二二%、その他ということになります。しかし、いま申しました役員総数はあくまで非常勤も含めてであり、かつまた非常勤が多いのであります。むしろ常勤だけをとりますと、ほぼ一〇〇%近くが公団あるいは団地サービスあるいは政府からの出身者というふうな状態になっておりまして、結局は公団あっての新都市センターでありニュータウンセンターである。まさに公団の下部機構という感じが人事の面からは濃厚であります。  資金の面から見ますと、株式会社七社の出資金合計は七十億円で、このうち金融機関が二十七億で四〇%を出資しておりまして、次いで多いのが住宅公団の二十億五千万円、三〇%になっています。  結局、公団は天下りポストをつくり、金融機関は出資することによって、特に政府保証の会社といいましょうか、公団保証の会社といいましょうか、そこへ出資することによって安定した利息がかせげる、こういうふうな図式と見られるのですね。  そして、団地サービスを除きますと、いまのところ皆赤字会社という形ですね。これは不動産投資が多いからでしょう。その赤字にもかかわらず、金融機関は膨大な金を貸しておりまして、何と七社締めまして、支払い利息は年間五億五千六百万円ということになっているのです。これはやはりそういう公団とか政府の後ろ盾があって初めて金融機関も貸すことができるし、赤字でもこれだけの金利が払われていく、こういうことではないかと思うのです。  また事業目的の方から見ますと、団地サービスとその他の六社を見ましても、大規模な団地という表現を除きますと、施設の建設、管理、託児所、児童施設、店舗、倉庫、車庫、駐車場、通信施設、損保代理業及び自動車損害保険の代理業などが共通しているわけですね。つまりどこがやっても、どちらがやっても実質上問題のないような類似性を持った会社になっているわけであります。  一方、住宅管理協会の方は、関東、関西、茨城と三つあるわけであります。これは三つとも常勤役員というのはたった一人であります。そしてすべて住宅公団の出身者であります。まさに住宅公団の一機構、こういうふうに見られるわけですね。  しかも団地サービスと住宅管理協会の違いがどこにあるのかなと探せば、委託を受けて事業をやるかやらないかというだけの違いです。たとえば成田ニュータウンのごときは施設整備それから管理を住宅管理協会がすべてやっているわけであります。これは団地サービスとのダブリというだけではなく、一連の開発会社などの機能も果たすことになっているわけですし、またこの管理会社は、先ほども言いましたように、本来住宅公団が直接やるべき、たとえば管理主任の業務などもやっているようであります。ですから住宅とその環境整備を一体となって建設し運営することが最も望ましいという観点からするなら、本来住宅公団が総合的に行うべきではないか、また住宅公団にはそれだけの機能もあり、また能力もあるはずだ、私はこう思うのですね。それを、同じような機構とか組織とかいうものをどんどんつくり、複雑にし、役員ポストをふやしていく、まさに行政簡素化に逆行していると私は思うのです。団地サービス自体も発足当時は本当にちゃちな、と言ったら失礼ですけれども、ささやかな会社にすぎなかったのですが、急成長いたしまして、いまや政府、公団の最大の天下り先になってしまったわけですね。同列のいまの子会社について言いましても、いまは確かに常勤役員ポストは非常に少ないのです。だけれども、これがいずれひとり歩きをしだんだん肥大化していきますと、また第二、第三の団地サービス化していって天下りポストがふえていくのみ、こういうことになる可能性も十分あると私は思います。機能の点あるいは体制、組織の面で非常に類似性がある、こういう場合には何とか簡素化できないものか、こういう点で真剣に考えることが行政改革の大事な点ではないかと私は思うのですね。こういう点、大臣としてひとつ検討していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  130. 関口洋

    ○関口政府委員 ただいま先生が御指摘になりました新都市センター以下のいわゆるニュータウンセンターの会社、これは、事情は御案内と思いますけれども一つのまとまった団地をつくるという場合に、私どもは居住者に御不便をおかけしないように、初めから店舗だとか事務所だとか、いま先生がお挙げになられたような施設を先に整備しておきたい。ところがこれらを通常の民間会社でやるとすれば、非常にリスクが大きいので引き受け手がない、そういう観点からこういうものを設けておるような次第でございます。  また、その次に御指摘になりました管理協会でございますけれども、管理協会の中身につきましては、これもただいまお話がございましたように、全般的な団地の環境の維持、整備を図っていくという使命を担っておるものでございます。  それで、こういうものに公団が出資をする場合は、ただいま申し上げましたように、住宅団地居住者の利便に供する施設あるいは居住環境の維持、改善に関する事業というようなものに限定して出資をする。それでその出資に当たっては、公団法三十二条の二の規定によりまして、建設大臣の認可を受けて出資をするということにいたしておるわけでございます。そういう意味から、私どもといたしましてはあくまでも団地居住者の利便の向上を図るという観点から、これらの関連会社なり協会がそれぞれその設立目的を十分達成されるように、今後とも指導をしてまいりたい、かように考えておるような次第でございます。
  131. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま住宅局長が説明したような仕事なら、これは住宅公団でもできる仕事であるし、あるいはまた少し工夫すれば改めて住宅公団の仕事につけ加えることも可能なわけで、何もわざわざ別の組織や体制をつくってやるまでもない、こういうふうに私は説明を聞きながら思っているわけです。大体建設大臣は、住宅公団と宅地開発公団の合併というものをぶち上げていらっしゃるわけでしょう。これだって初めから機能がダブっておったのではないけれども、行政簡素化を言う以上は、類似したものについて何とか工夫をして、簡素化した体制で効率のよい仕事をしようというような趣旨から出発されたのだと思います。いまもお聞きになったと思いますが、あの仕事なら、いまの住宅公団と団地サービスと、まさに類似しているわけです。こっちの方、出資した会社、天下り会社の方は聖域だと手をつけない、これでは行政簡素化がきわめて片手落ちだ、こう言わざるを得ないと思うのですが、大臣の御決意はどうでしょう。
  132. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私はかねて申し上げておりますように、ここまでまいりますと、従来はそれなりの目的を達成しておったといたしましても、このような社会情勢の中で行政改革が叫ばれ、また、住宅公団と宅開公団の統合を図ると建設大臣といたしましてももう方針を決めておるわけでございますが、そういう段階でございまして、ただいま次官を中心といたしまして、統合に対します具体的な内容を詰めつつあるところでございますから、そういうような意味におきましては、今後とも目的を達成するように、いろいろ公団——これはまた公団が一層指導していくということではございまするけれども実態に触れましてその必要性、そのあり方、これらを含めて十分私どもが検討いたしまして、簡素にして目的の達成できるような仕組みにしてまいりたい。当然のことでございますから、大臣といたしましてはその方向で努力をいたしたい、かように考えております。
  133. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ここでちょっと委員長の御了解を得て、資料を配らせていただきたいと思います。——今度は日本道路公団関連の問題であります。  道路公団が出資しております会社が四つあるのですね。いずれも高速道路ターミナル会社でありまして、一応そこに表をつくっておきました。現在営業をやっておりますのは、東北高速道路トラックターミナル、北陸高速道路トラックターミナル、九州高速道路トラックターミナルであります。東北は資本金が五億八千百万円で、この二〇%は道路公団出資であります。北陸の場合は資本金二億三千八百万で、同じく二〇%が道路公団、九州の場合五億三千九百万の資本金で、これも同じく二〇%は道路公団出資なのです。それから、役員の体制を見ますと、この表にありますように、少ないところで七人、多いところで九人という体制になっておりますが、ここもいわゆる常勤役員というのはそれぞれ一人ずつしかいないわけです。この一人というのは、全部日本道路公団の天下りになっておるわけであります。ちなみに、ここへは書いておりませんが、職員数を見ますと、東北の場合が六人、北陸の場合と九州の場合が四人ずつであります。ですから、結局公団天下りの役員の個人企業に資本を投下してやったような、こんな感じがするのです。これは独立した会社というような体制だろうかという懸念をまず持ちます。  さらに、特に問題だと言わざるを得ないのは、この営業開始している三社が三社とも大きな赤字を出し続けている。東北高速道路の場合は二億一千万円の赤字であります。累積赤字です。北陸高速の場合が一億九百万、それから九州高速道路の場合が一億七千七百万、こういう数字です。兵庫の場合は未営業ですから一応除外して話を進めたいと思います。  こういう赤字の原因を、ただ単に初期投資が大きかったからやむを得ないのだ、これで済ましていいものだろうかどうか、いかがですか。
  134. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  現在日本道路公団等が出資して設立しておりますトラックターミナル会社、これは四社ございまして、そのうちの三社がただいま先生の御資料のとおりでございます。営業中の三社につきましては、経営状態は必ずしも順調ではございません。この経営の不振の原因は、本来トラックターミナルの事業そのものが収益性が大変低いという点が第一、それから当時、これは第七十二回国会であったかと思いますが、高速自動車国道のネットワーク形成の考え方がたしか昭和六十年度を一応の目標にしておったときでございまして、そういった事態から現在かなり経済情勢が変わってまいってきております。そんなことから、実は事業自身も現在初期の段階にあるといったことが基本的な原因であるわけでありますが、しかしこのトラックターミナル、高速自動車国道のインターチェンジに接続をいたしまして、都市内交通と高速自動車国道との分離をする、都市内の交通混雑あるいは交通環境の改善等に期待する役割りあるいはインターチェンジ周辺の土地利用の問題、流通の合理化といったことに対することから申しますと、やはり公共性という点が大変大きいわけでありますから、そういった観点を一方で踏まえながら、しかし一つの会社ということでスタートをしておるわけでございますから、それなりの採算性は重視をしなければならない。こういった公共性と採算性という観点から、当時の情勢からかなり変わっておるという点につきまして十分見直しを行いますとともに、経営改善施策について検討していかなければならない、こう考えるわけであります。ただ、当時どういう考え方で経営をやっていったらいいか、これはいろいろ議論があったところでございます。
  135. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に赤字傾向が今後どうなるかということの一つ見方なんでありますが、私どもが調べた東北高速道路についてのみでありますが、ここは現在郡山と仙台南と二つターミナルを持っておりますね。免許申請時点の収支予想を見ますと、五十三年度の場合には、郡山の場合ですが、三千五百万円の赤字と予想されておるわけなんです。ところが、実際の決算を見ますと、五十三年度は五千四百十五万円の赤字を出しているわけでありまして、予想に比べて一・五倍に上っているわけです。それから、仙台南の場合はもっと大きくて、免許申請時点の収支見積もりでは五十三年度は二千二百万円の赤字と予想しているんですね。これが実際の決算では五千四百十二万円の赤字になって、実に二・五倍に上っているわけなんです。ですから、これは先行き相当厳しいということを私は示しているんだろうと思うのですね。  その上、もう一遍表の方を見ていただきたいのでありますが、真ん中辺に「道路公団保有未利用地」という項を挙げておきました。それは、そもそも道路公団は相当広大なトラックターミナル用地を確保しているわけなんです。  まず仙台南の場合で言えば、道路公団が確保している土地は全部で九万六千平米あるわけですね。このうち現在仙台南のトラックターミナルに賃貸ししているのは一万九千平米にすぎないのです。なお公団の手元に未利用地として七万七千平米残っているわけです。これの投資額が幾らであるかは、残念ながら資料が得られなくて計算できませんでした。そこで、一応現在公団が東北高速道路に賃貸ししている値段でどのくらいの賃貸料が生まれるか計算してみたのです。これは平米年千五百五円でありますから、七万七千平米ですと一億一千五百八十八万五千円という数字になる。つまり、これだけ公団側から見れば入るべき賃貸料が入っていないということになり、また逆に東北会社の方から見れば、まともに、この土地用意してあるんだからお前のところで抱いておけなんと言われたら、これだけの賃借料が払えるような状態になるのはちょっと想像ができないわけですね。  同じような意味で、郡山のトラックターミナルの場合も、公団が現在すでに確保しておりますのは八万六千平米で、このうちターミナル会社に貸しておりますのは三万六千平米なんです。現在未利用のまま公団の抱えているのが五万平米ありますね。ここは平米年八百九十九円で貸しているようですから、これで計算しますと四千四百九十五万、こういう賃借料が発生してくるのです。  それから、北陸の場合ですと、公団は全部で六万九千平米土地を確保している。このうち北陸ターミナル会社に貸しておりますのは二万七千平米にすぎないのです。したがって、未利用のまま公団の抱えているのは四万二千平米あります。ここは平米年千二百八十八円の賃貸料のようですから、五千四百万円ほどの年間賃借料が発生してくる。  九州の場合は、公団は全部で七万七千平米確保しておりまして、九州ターミナル会社に貸しておりますのはこのうちの五万二千平米ですから、なお二万五千平米の未利用地を公団自身が抱えておって、ここは賃貸料が平米年六百七十五円ですから、年間千六百八十五万円ほどの賃借料が発生する。  ですから、現在各ターミナル会社で発生している赤字のほかに、道路公団自身がこのようないわばむだな負担を背負っている、こういうふうな現状があるわけであります。  しかも、そういう厳しい経営結果が出てくる最大の原因は、相当限られた土地しか公団はターミナル会社から金を取っていないのですが、そのトラックターミナル会社のつくった設備の中にも遊休設備が相当あるということなんですね。その表も下の方に挙げておきました。施設の利用状況です。  たとえば仙台南の場合を見ますと、まずターミナルは、分母が総施設量です。二十八バースあります。このうち利用契約されておりますのは、分子の方の八バースにすぎないのですね。三分の一以下しか利用されておりません。トレーラーヤードに至っては、二十台分用意されているのだけれども、五台分しか利用契約されていない。四分の一であります。駐車場に至っては、百一台分つくってあるのだけれどもただいま利用ゼロであります。仮眠室は二室あるけれども一室しか使われていない。貸事務所は三つつくったけれども一つも使われていない、こういう状況ですね。その周辺に広い未利用地がありまして、閑古鳥が鳴く状況のようであります。  郡山の場合、確かにターミナルの方は四十五バース中三十九バース、利用度はわりあい高いのでありますが、駐車場の方は二百一台分あるけれども八十七台しか使われていない。仮眠室は五室用意したけれども二つしか使われてない。貸事務所は二室あるが利用ゼロ。  それから北陸ターミナルの場合ですね。これは比較的利用度は高い方なんですが、それもターミナルと現場事務所ぐらいのことで、保管庫に至っては、二区画用意したけれども、これも全然利用されていない。駐車場の方は百十台分あるけれども、これも六十九台、半分しか利用されてない。  それから九州ですね。熊本です。この場合もターミナルの方は利用はほぼ一〇〇%だけれども、トレーラーヤードに至っては、十台分のうち三台分しか利用されてない。コンテナデポに至っては、千三百四十四平米もつくったけれども、これも全然利用されていない。駐車場は二百一台分用意して約半分ほどしか使われていない。仮眠室は十八室あるが、五室しか使われてない。貸事務所は一カ所あるけれども、これも利用はなし、こういう状況ですね。  相当な遊休施設を抱えているという現状がここにあるわけなんです。大臣がこういう状況を果たして御存じであったのかどうか、そのことと、こういう状況をごらんいただいて、これもやはり私は行政改革、むだを省くという点では当然の検討課題にならなければいかぬと思うのですが、いかがですか。
  136. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  トラックターミナル会社の経営ないしはインターチェンジ関連施設としての用地取得、そういった点でございますが、やはりある程度先行的な投資にならざるを得ないという点はあるわけでありますが、先ほど申し上げましたように、今後どういうぐあいに進めるかということは、慎重に検討してまいりたいと思っております。  それから、管理の主体でございますが、当初、公団の直営方式、それから運営委託方式、出資会社方式、財団法人方式、それから一般私企業方式、五つの類型が考えられたわけでありますが、組織効率の点から考えれば、日本道路公団直営が考えられるとはいいながら、日本道路公団は本来業務としての高速道路のネットワークの整備に集中をしなければならぬ、また、資金調達面及び運営効率といった点からはやはり出資会社が好ましいのではないか、さらに、地方出資、これは先生の資料にもございますように、公団、地方公共団体、それから日本ターミナル株式会社、そこが公的な出資で約半分を占めておりまして、残りの五〇%が民間出資、こういうことになっておるわけでございまして、地方出資も得られるといったような理由から、経済圏等も考慮いたしまして、ブロック別の会社を実は当初考えて、それでスタートをいたしたわけでございます。  こういった経緯もございますし、現在、交通需要の推移等も当初予期したよりはかなり低い状況でございます。そういう状況でございますので、当面は現行のターミナル会社方式の機構で、その推移を見守りながら、どう経営改善を図っていくかといった点に努力をしてまいらねばならぬ、こう考えておるところでございます。
  137. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 大臣はどうですか。こういう状況を御存じでしたか。
  138. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 いま道路局長が申したようでございますが、これは私はやはり道路公団の問題とか住宅公団の問題に限定したことではなくて、今回のように内閣挙げまして行政改革、効率化ということを考えておるときでありますから、こういうような問題も含めまして、私どもは十分ひとつ検討してまいらねばならぬというふうに思っております。
  139. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま大臣は全体の視野で考えると言われたが、これはぜひやってもらいたいと思うのです。道路局長は現行の仕組みを変えずに何とか経営改善したいとおっしゃいましたね。じゃそれぞれの経営に当たっている人が自分の会社をどう見ているか、それぞれの営業報告書が出ています。たとえば東北高速道路の場合ですと、「仙台南トラックターミナルの供用開始は、誠に時宜を得たものと思われましたが、遺憾ながら施設の利用は低調のうちに期末に至りました。不振の理由は、仙台地区における他施設との競合等いろいろな原因があるか」と思う、こういうように書かれているのでありまして、こうなってまいりますと、他施設がすでにあるのですから、果たしてうまくいくかどうか、初めからむだな投資ではなかったか、当然こういうことが考えられますね。九州の場合はどうか。「鳥栖トラックターミナルの建設の着手を当期に予定しておりましたが、」当期というのは五十三年度です、「計画どおりの利用者確保が困難となり、来期に延期」、それから「熊本トラックターミナルの施設利用向上には最善の努力を傾けましたが、既入居者の中から三バースの利用増を確保したものの営業開始以来利用いただいたユーザーが撤退し、ニバースの利用減を招き、」「五十三バースで、七七%の稼働率となりました。このため、年間平均利用バースは」「実質マイナス」となったという営業報告。それから北陸の場合、比較的よいように見えているところですが、「需要が徐々に回復してまいりましたが、貨物輸送量も伸び悩み運輸業者間の競争は一段と激化し、当期も厳しい状況が続きました。」「日本道路公団の強力な支援措置により、」やっと一〇〇%近い利用になってきた、こういうふうな報告なんです。兵庫の場合ですと、「いまだ貨物輸送量の伸びが少ないこと等の理由により利用に対する姿勢がやや積極性に欠けていました。したがって、当該ターミナルを建設するには、時期尚早である」という考えで着工するに至れなかったというような営業報告でしょう。いずれも、需要の少ないこと、それから利用者確保に苦労していること、企業的に見れば将来に向かって経営環境がきわめて厳しい、こういうことをうかがわせるような内容になっているわけですね。だから、これはやはり出発点の考え方に甘さがあったんではないか。このまま進めていって果たしてこれが——もとをただせば道路公団は国民の税金で出資してできた会社、これもそこが出資している会社であります。こういう財政の窮屈なときに、将来有効な運用に転換し得るかどうかはやはり大臣のようなもう少し広い視野で考えなくてはいけないのではないかと思うのですね。  そこで、そういう行政、財政のむだをなくすることが急務だ、こういう観点からこの問題をわれわれが見て、現在四カ所のターミナルがこんな状態であるんですが、それでもトラックターミナルの全国的な計画四十四カ所は建設しようとされるのかどうか、この点伺っておきたいのです。
  140. 山根孟

    ○山根政府委員 これまでの四地域と申しますか、四会社につきましては、地域的な事情、全体的には需要が当初予定していたまでいかなかったという点が致命的であるわけでありますが、また同時に、それぞれの地域に応じたいろいろな特殊性があったと実は考えております。たとえば仙台南トラックターミナルの場合にはこれに接続をいたします道路の関係が若干弱かったという点がございまして、兵庫の場合は同時に関連する物流関係等が一団地を形成している、中で一番立地条件はよかったわけでありますが、むしろそちらの方の立地がおくれてきたといったような事情があるわけであります。そういう事情にあるわけでございますが、これにつきましては施設の簡素化あるいは経費の節減などいろいろな改善策に最善の努力は尽くさねばならぬと考えております。  将来どういうぐあいに考えていくかということでございますが、先生御指摘の、当初私ども考えておりましたのは確かに四十四カ所というのを一応考えておったわけでありますけれども、しかし、現在民間が独自でやっておられるターミナルとの関連、その他、地域のそれぞれの需要、それから高速自動車国道を利用してのこういったターミナル利用の需要動向、そういった点、それから採算性、こういった点につきまして全国的な調査を行いつつ全体的な見直しを進めてまいらなければならぬ、こう考えております。
  141. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応見直しをやるということのようですけれども、現在公団がすでに用地を確保してしまっているのが、現在開業している西宮ですか、兵庫高速ターミナルを含めて四カ所以外に、七カ所あるというふうに聞いておるのです。このすでに用地を確保した分についてはいやがおうでも建設するつもりなのか、これも含めて見直しを考えているのか、いかがですか。
  142. 大竹達哉

    大竹参考人 ただいま政府から御答弁ありましたように、公団といたしましても来年度実態調査をいたしまして、今後の需要予測を踏まえた上で、先生御指摘のように、現在未開業の七カ所につきましても検討をいたしたいと考えております。
  143. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 それから、いまの開業または開業間近の四カ所についてもいまは一期の工事を終わっただけで、その周辺に広い未利用地を持っていますね。この未利用地、いま表に数字を挙げてある分ですが、これについて無理やりにでも全部計画をやってしまうのか、それとも一部はターミナルをやめて他の利用目的に転換する用意もあるのか、いかがですか。
  144. 大竹達哉

    大竹参考人 お答えいたします。  現在公団で所有している土地とターミナル会社に貸しつけております土地とは、先生御指摘のように相当開きがございます。現在保留しておる土地につきましては、ただいま各ターミナル会社がそれぞれ第一期工事として開業している分だけを貸してあるわけでございまして、それ以外の残土地につきましては第二期、第三期と将来計画のもとに公団として取得した土地でございます。したがいまして、今後実態調査その他を踏まえまして、今後のターミナル会社がどういう規模でやっていくかという計画とあわせまして、その土地の使用というものを考えてまいりたいと考えておる次第でございます。
  145. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 先ほどの道路局長の答弁はあくまで現在のこういう第三セクター方式というのでしょうか、独立した経営形態も守りながら経費節減等で対応すると言うんだけれども、私は現状では非常にむずかしい面もあると思うのですね。  そこで、四十九年に道路公団法の改正が行われたときのいろいろな議事録を見ますと、当時の菊池道路局長も、本来なら道路公団の直営でやるのが一番好ましいんだということも答えているわけですね。それから、たまたま私自身の指摘も見て、われながらいいことを言っていたなと思い出したのですが、「もうかりそうなところは民間業者がどんどんやってしまって、採算に乗るか乗らないかわからないような地域を公団が引き受けて」やることになるんじゃないかと言ったら、そんなことはないようにしますと言って、なってしまっているわけですね。共産党の言うとおりにしておいたら何でも間違いないなと思うのだけれども、そういう点で非常勤の見かけだけの役員数を整理するとか、いま一番いいと政府側も言っている公団が直営にする、こういうふうな一種の行政簡素化ですね、こういうことは考えられないのか。それから、新たな設備の投資、つまり拡張はよほど慎重にやって、軽々にやるべきではないと思うが、どうか。それから、役に立つつもりでつくったのでしょうけれども、専門家に聞くと、実際には全然利用の意味がないという施設が、先ほどこの表に挙げて説明したようなものにはすでにあらわれているわけです。こういうものについては何らかの形で有効利用に転換する方法も検討すべきではないかというふうに思うのですが、これはやはり政府の方針にかかわってくる問題だと思うのです。大臣いかがでしょう。
  146. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 道路局長がいろいろ御説明いたしましたが、いまいろいろ赤字であるとか、これはこの問題だけじゃございませんが、公共のいろいろな機関が赤字であるとか採算がどうとかということを言われますが、私はやはり、国民の税を預かり、そして仕事をやるわけでございますから、それは有効に、効率的にやらねばならぬということは当然のことだと思っております。しかし、たとえば民間でやって十分な成果が上がるのなら問題はありませんけれども、民間でやってもらえないけれども必要である場合もあり得るだろうと思いますね。特に公的に仕事をやる場合は、むしろ国民の福祉とか公共性という意味から言えば、ある程度国民のサービスという意味において必要な場面もあるのではないかと私は思います。いま特殊法人のようなものが大変な焦点になっておりますけれども、むしろそういうことにこだわらないで全体的に、果たして政府関係でやるべきものなのか、あるいは民間でそれは処理をした方がいいのか。あるいはその方が効率が上がる場合もあるわけでございますから、私はその辺は実態に触れて判断をせねばならぬ問題ではないかと思います。     〔委員長退席、伏木委員長代理着席〕  いまお話がありました問題は、住宅局長もいろいろ御説明しておりましたようでございますが、そういうような考え方に立って、宅開公団と住宅公団を統合いたしますといったことは、これは単に二つだけやればいいといったことではないわけであります。そういう全体を含めまして、建設省の関係しておりまするあらゆる場面につきまして、これは広範でございますから短時日にできない問題もありますけれども、そういうような意味も含めまして十分考えなければならぬ、こういうことを申し上げておるわけでございます。  いま、何か赤字だからとか採算がどうだということだけで解消すべきだという意見が、先生だけじゃありませんが、出ておりますけれども、国民のサービスの上で必要であるということであれば、ある程度のものは、国民のサービスのためにそれが有効であり、公共性があり、それだけの効果があるものであって必要であればやらんならぬ場合もあり得るのであって、ただ採算性だとか赤字だということだけで判断すべきものではない、私はこう思っております。そういう意味で、もう少し広い意味で、先生の御指摘になった問題のみでなく考えていくべきだというふうに私は思っておるわけでございますから、その点は御意見も段々ございましたけれども、住宅局長から申し上げましたように、いろいろ検討いたしたいと思っておるようでございますから、そういうような広い意味でこういうような問題につきましても真剣に検討をしてまいるべきだと私は思っております。
  147. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 ただ一つ議論の逆立ちがあると思いますので、これだけは私もはっきり指摘したいと思うのです。  もちろん、福祉や公共のために必要なものなら採算を無視してでも、あるいはむしろ積極的にやらなければいかぬということもあるでしょう。われわれはむしろそれを言っておるわけです。問題のトラックターミナルについては、必死になってお客さんをかき集めようとしても、そのお客さんが寄ってこないという状態、まさに必要があったのかなかったのかというのが問われているわけなんです。もう一つは、つくった施設そのものが利用者の要求にマッチしてないものをつくっているから使われないわけですよ。こんなものをつくっていいとは言えないだろう。まさにむだの最たるものだ。今後はこういう屋上屋を重ねてもらっては困りますということを指摘しているわけです。  時間の関係がありますので次の問題に移りたいと思います。  それは、特に大手建設業者の中で建設業法を無視した下請圧迫が依然として後を絶たないという点であります。その一つ、太平住宅ですが、殖産やあるいは電建と並んで積み立て方式の住宅専門会社では大手であります。滋賀県の小さな建設会社、びわこ建設というのが五十一年の四月からこの太平住宅の一次下請をしていたわけであります。大平住宅の下請契約の方式というのは、専属契約で一応三年間下請業者を拘束する一方で、個々の工事については特段の請負契約は締結しないで、太平住宅が建築主から受注した工事契約金額から一律に一七・五%を手数料としてピンはねして一次下請に発注するという方式だったわけです。赤字が累積していったびわこ建設は、五十四年四月の時点で二次下請の大工、左官、各工事業者材料納入業者等に対して約四千万円の未払いを生じてしまう。困り果てたびわこ建設の主人夫妻が太平住宅の大阪支店長に資金援助を頼みに行ったところが、逆に、二日後会社へ来いと言われて、行ってみたら、太平の方で用意されておりました、一つは専属工事店契約解約証書に捺印署名させられて、即日取引を全面的に打ち切られた。それから二つ目には、工事途中の建築については請負中途解約出来高承認書に署名捺印させられ、その途中出来高を一方的に低く査定された上、太平側の都合でむね上げが延期になっておりました建築に必要な加工済み木材約三百万円は出来高としては認めないということになった。それから三つ目には、元請太平が推奨して下請びわこ建設が太平から購入した資材、商品代金を事実上一方的に承認させられて、精算金より当該代金を控除精算され、異議ありません、こういう念書にも署名捺印させられ、びわこ建設が支払いのために太平住宅に振り出しておりました手形の期日が未到来にもかかわらず、解約時点ですべて工事精算金から差し引かれた。  こういうようなことが起こって、そのために、びわこ建設の経営はその日、つまり去年の四月二十四日から完全に行き詰まって、二次下請に対する多額の未払いが、未払いではなしに払う当てのない不払いという性格に変わっていった。  この事件は、幸いにして建設省の適切な指導で、元請太平住宅が一次下請のびわこ建設と二次下請四十二業者に対して追加精算金及び不払い救済金というものを払って解決を見たわけであります。この点は建設省努力と、結果的には太平住宅大阪支店長の対応は、われわれは評価しているわけであります。  しかし、北海道でもまた同じようなことが起こっておりまして、五十三年暮れから五十四年にかけて、太平住宅は、北海道フタバ建設に一次下請させるに当たりまして、やはり最低で一七・五%、最高で二二・一%もの暴利をピンはねしたわけです。その結果フタバ建設は倒産しまして、二次下請のニワ塗装店ほか三業者に対して七百六十一万円という不払い損害が発生した。  この件も、建設省の行政指導も入りまして、不払い額のうちの一定額が太平住宅により立てかえ払いされて一応の解決に至っております。  残る問題といいますのは、太平住宅で社全体の方針として、下請との間で誤った関係がつくられておった、これが基本的に改められたかどうかという問題なんです。  そこでまず第一点の質問なんですが、太平住宅は専属契約で一次下請を拘束して、個々の建築工事については建設業法に定める建設工事の請負契約は結ばれていなかったわけであります。では、どういうふうにして下請単価を決めたかといいますと、先ほどもちょっと触れましたが、太平住宅が建築主から受注してきた金額、そこから最低で一七・五%ピンはねした額になっていたわけです。北海道などはさらにその上、二〇%を超えるものもあった。一七・五%以下はないのです。太平だって当然、受注金額は相当安くとってきてあるのがあるはずなんですが、そこから一律一七・五%も引くということは、結局工事原価無視、下請の立場無視になるのじゃないかと思うのですね。一七・五%は大きな金額で、一千万円の家ですと八百二十五万円で下請にさせるわけですからね。そのこと自体も非常識な基準ではないかと思うのですが、こういうような元請と下請の基本的な関係に誤りがないかということをまず建設省に聞いておきたいと思います。
  148. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  太平住宅株式会社が下請業との関係で、いまいろいろ御指摘がございましたような遺憾な点で契約をしてトラブルを起こしたことは事実でございますし、先生からも御指摘がございまして、北海道の件あるいは滋賀県の件についても一応の解決の方向で動いているわけでございます。  ただ、いまお話がございましたように、専属契約をして、個々の契約についてははっきりした契約書も結んでいない点はまことに不都合でございまして、私ども個々の下請契約についてもちゃんと標準の契約約款もつくってありまして、それによって文書で契約を結ぶようにも指導いたしております。  それから、一七%以上の天引きでございますけれども、当然下請価格は適正な価格でなければいけません。こういう点も十分監視をしていきたいと思っております。  それから、下請代金の支払い等につきましても、かなり不当な点がございました。現在、太平住宅に対しまして、下請契約の改善方につきましてきわめて強い指導をしておりまして、一日も早くこういう点は改善させたいと思っております。
  149. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 個々の工事契約を結んでいない点は問題だという指摘はされましたが、その基本になっております専属工事店契約の内容がまた問題なんです。  時間が限られておりますので、私、少し個条的に申し上げますから、ちょっとメモでもしていただきながらお答えをいただきたい。  まず第一点は、「請負金の最終支払いは、太平住宅と建築主との間において債権債務に関する公正証書の作成並びに給付建物に対し、太平住宅を債権者として第一順位の抵当権設定登記を完了した後とする」、こういう条項もあるのですね。建設業法の第二十四条の五では、特定建設業者の下請代金の支払い期日は下請請負人が工事完成、引き渡しを申し出た日から五十日以内という規定があるわけです。私はこれには反しているのではないかと思います。  二つ目は、「下請はいかなる原因によるも、請書提出後物価または労賃の変動を理由に、請書の変更または解除をすることができない。」という規定があるのです。しかし、これは建設省も「下請負人の保護について」という通達を出しておって、「賃金又は物価の変動により請負代金を変更すべき場合にあっては、下請契約の定めるところにより、下請代金の変更の措置をとること」こう言っているわけですね。私はこれともそごがあると思う。  三つ目は、専属契約書では「下請は、太平住宅が割り当てた工事または命じた手間仕事の引き受けを拒むことはできない」、押しつけたら引き受ける以外にないのですよ。  それから、「下請は、太平住宅以外の自己契約による工事を請負する場合は、あらかじめ会社に届け出る義務がある」、つまり、太平以外の仕事をする自由が奪われているわけですね。  それから、「下請は、その請負に係る工事についての工事明細書、図面、仕様書に記載がない場合であっても、当然施工すべきものと認められる工事は無償でこれを施工しなければならない」、発注者側が明細書に落としたものでも当然施工すべきだという理由のもとに、何でもただでやらされるということがある。これは建設業法でいう「建設工事の請負契約の原則」の「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基いて公正な契約を締結」せよ、これに反しているのではないか。  四つ目には、同じく専属店契約の中には「下請は、太平住宅より配給することがある材料の使用を正当の理由がなくて拒むことができない」というのがあって、これがあるがために、推奨品という名目のもとに結局太平の支給資材を無理やり使わざるを得なくなってくるということになったのではないか。これは元請に対する「不当な使用資材等の購入強制の禁止」に触れるのではないか。  五点目は、「下請は、建物の工事中または完成後も、第三者に与えた工事上の損害並びに支払いに関して一切の責任を負担する」、つまり、何が起ころうと第三者に与えた損害は皆下請の責任だ。これでは、建設業法二十四条の六の「下請負人に対する特定建設業者指導等」なんというものは完全に吹っ飛んでしまうのではないかと思います。  また、最後に、契約の解除についても、「本契約は、太平住宅において任意解除することができる」、それだったら契約を結ぶ意味もなくなるのではないかという感じもするのです。  こういうふうな点について建設省がどういう見解を持っているのか、いまのような項目の一つ一つについても太平住宅にきちっと改めるよう指導しているのかどうかということを伺いたい。  そして、こういう契約でずっとやってきている太平住宅が、許可更新のときに許可を受けていること自身に私はどうも疑問があるのです。建設業法に反する下請契約を結んでいてもまかり通っている。こういう点では、小さい業者に厳しくするのではなしに、大手の業者建設業法を守っていない場合、許可業務がもう少し厳正に行われなければこういうことが直らないのではないかと思うのです。  以上のお答えをいただいて終わります。
  150. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいま下請契約におきますいろいろな問題点を御指摘いただきましたけれども、要するに、仕様書にない手直し工事等のサービスをやらせるとか、使用材料を購入店を指定して拘束するとか、施工等に係る責任を一方的に押しつける、あるいは物価、労賃の変動による契約変更の禁止をするとか、元請の一方的解除を行うとか、下請代金の支払い期日を施主との問の権利義務の終了後にしておるとか、非常にに不当、違法にわたる点がございます。こういう点につきましては、個々具体の契約事項について強く太平住宅株式会社に申し入れて指導いたしておるところでございます。  それから、許可の更新の際にも、私どもできるだけ情報をとりまして注意をいたしておりますけれども、特に大手、中小というような差別はいたしておりませんし、これからも、大手についてももちろんのこと、不当な点あるいは遺憾な点がありました場合にはぴしぴしと指導、監督をしていきたいと考えております。
  151. 伏木和雄

    ○伏木委員長代理 渡辺武三君。
  152. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は、最近問題になっております土地価格についてまず御質問を申し上げたいと存じます。  特に国土庁は、長官の所信表明の中でも、総合的土地対策の推進を掲げておられますが、その見方は、いわば需要と供給の関係だ、こういうことを主に考えておられるようでございまして、「投機的な土地取引の抑制に万全を期するとともに、宅地供給の促進を図ることが基本である」こういうふうに言っておられるわけですが、本来土地というものは、申し上げるまでもなく生産財ではございません。しかもわが国においてはきわめて有効面積が寡少でございまして、単に需要と供給の関係だけでこの価格を見ていくことには基本的な誤りがあるのではないかと思いますが、その辺についての御所見をお伺いしたいと思います。
  153. 山岡一男

    ○山岡政府委員 大変むずかしい御質問でございますが、先生おっしゃいましたように土地は生産財ではございませんで、ふえない、腐らない、位置が動かないというふうな特性を持っております。しかしながら、所有権を認められた財でございまして、経済財であることには変わりはないと私ども考えております。  国土利用計画法の施行に際しまして、不動産鑑定評価上特に留意すべき事項ということで土地鑑定委員会からの建議が出ておりますが、その中で述べておりますことの中を引用してみますと「土地は国民全体の限りある資産であり、土地に価格が生ずるのは国民にとって土地が有用であること、すなわち有限の資源として活用されることによる価値に基づくもの」であるというふうになっております。  現実の問題といたしまして、土地本来の値段というものはその位置、品位、品質、品等、それから、それの経済的な価値によって定まるということでございましょうが、そういうことを前提といたしまして、鑑定評価の基準といたしましては取引事例による方法、それから収益還元による方法、それから造成原価による方法、それらを十分現地の適切な対応によって価値を決めるべきであるというようなことを示されておるわけでございます。私どもそういうことを前提といたしますと、やはりそういう不動産鑑定価格等を基準にいたしまして、取引の実際の契約の際にいろいろと価格の規制等に介入していくという現行の制度が妥当であろうと考えておるわけでございます。
  154. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 土地の価格の基準についてはいまおっしゃるようにいろいろな要因があるのでございましょうが、しかし地価の抑制という面から考えていきますと、その特性いかんにかかわらず、有限なものでございますから、供給資源があるうちは結構ですが、まだ幾分そういうことでも済んでいくと思いますけれども、限度に近づいたというふうに考えていくならば、果たして需要と供給だけの関係でそれらを律することができるであろうか、私はできないであろう、むしろもっと抜本的な土地対策を考えておかなくてはならぬと思う。その抜本的な土地対策は、つまり供給資材がまだまだ豊富にあるうちに、十分に供給財源があるうちに当然そういうことを考えていく、そこにこそ政治の本当の目的があるのではないだろうか。ただ単に現象だけを追っておって、それの対策だけを考えていくということではいけないのではないか。しかも近い将来そういうことが想定をされる。人口が、明治時代から比べれば二倍、三倍とふえておりますし、労働力の雇用の面から考えて、失業を出さないようにするためには少なくとも数%の経済成長も必要だ、そういう状況から考えていきますと、需要と供給の関係だけではいずれ問題が起きてくる、だからやはりもういまから土地価格抑制のための抜本的な対策を確立をしておかなくてはならぬだろう、こう考えるわけですが、いかがですか。
  155. 山岡一男

    ○山岡政府委員 これも大変むずかしい問題でございますが、土地につきましてはそういうふうな経済的な取引のほかに利用の規制ということがきわめて重要でございます。したがいまして、国土利用計画法におきましても土地利用基本計画をもとにいたしまして、まず利用の規制、それから周囲における公共施設整備の状況、それから価格ということで介入をいたしておるわけでございます。  ただ、先生おっしゃいますように、基本的に考えるという場合に、私ども、やはり最後は憲法があろうかと思います。非常に高遠なことを申して大変失礼でございますけれども、憲法二十九条で定めております「財産権は、これを侵してはならない。財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。私有財産は、正當な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」この中で、いまの公共の福祉に適するという場合の法律の定められる限界というところが問題であろうと思います。現在の国土利用計画法はその憲法の中で最高のところをいっているのではないかと実は私考えておる次第でございまして、この法律の中で、十分にそういう制度についての努力をしていくのがわれわれの目下の任務であるというふうに考えておる次第でございます。
  156. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 憲法や法律というものは人間がつくるものであって、それがあるからできないのだという発想の仕方自身が実はおかしいわけであります。つまり土地利用計画法案を作成する時点でも論議の中で政府側の答弁は、現在の憲法上からいけば、インターチェンジをつくってその周辺に網をかぶせるくらいのことが最大限なんです、それ以上私有財産を云々することはできません、その時点ではこういう見解だったのですよ。われわれは、そんなばかなことがあるか、少なくとも法律なり何なりというものは社会情勢の変化によってその解釈も変わっていっておるわけですよ。画一的な解釈しかできないというものであるならば、きちっと決まっておるならば、裁判所はほとんど必要なくなる。しかし社会情勢の変化に伴って、たとえばいま言っているように、供給がもう限度に近づきつつある、しかし需要は消滅することはありませんね、そういう状態が想定できる、そういう状態の中ではどうしていかなければいかぬか、こういう発想が当然出てこなければいかぬわけですよ。それが、憲法があるから、民法があるからできません、これは役人的発想であって、それでは本当に激変する情勢の中で柔軟に対応することはむずかしい、私はそう考えるのだけれども、単にそういう法律を盾に——法律がいかなければみんなで変えればいいことでしょう、それは絶対不変のものじゃありませんよ。法律があるからこの情勢は変えられないのだ、こういう手法はできません、こういう答弁はおかしいわけであって、もしもその方が適当であって、もし法律が阻害をしておるというのならみんなで法律を変えていけばいいのですよ。そういうふうに思いませんか。
  157. 山岡一男

    ○山岡政府委員 法律が社会の中で生まれ、社会の中で生き社会の中で死ぬということはそのとおりだと思います。  ただその場合、私申し上げたかったのは、公共の福祉に適合する範囲内で法律でこれを定めるというのは憲法でございまして、その公共の福祉に反するかどうかの判断におきまして、私ども、現状で皆さんの、国民全部のコンセンサスがどの辺に得られるかという方向から見れば、現行の国土利用計画法の範囲内で最善を尽くすのがわれわれの任務じゃあるまいかと申し上げた次第でございます。
  158. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 その国土利用計画法案は議員立法であって、お役所が提案したのは、実際は日本列島改造論だったわけです。それじゃだめだというので国土利用計画法案が議員立法として提案され、それが可決をされた。そのときの発想も、いま申し上げておるように、土地の規制などというものは、私有財産をそういうふうに抑えていくことはとてもむずかしいのだ、したがって、高速道路をつくってインターチェンジのほんのわずかの間の規制ならば憲法上許されておるだろうけれども、たとえ首長といえども、ある一定の地域を限って規制をするなどということは憲法上許されないのです、こういう答弁であったのですよ。これは議事録を調べれば明瞭だと思います。われわれは、そうではないのだ、公共の福祉というものも時代によって変わってくるのですよ。だからいまの現状の中で、国民全体が非常に土地の高騰に困っておる、ならば一体どうすべきかということが当然出てくるのであって、それが本当に法律に抵触するというならば、今度は逆に法律自身を変えていくということでなければならぬ。それで結局は、その解釈しかできないんだと言っておった政府みずからがもっとその解釈の幅を広げたはずですよ。だからこそあの法律もできているはずですよ。  だからそういう論議ではなくて、そういう状態の中だから、いまこそ抜本的な土地対策が必要ではないか、それを確立しなければならぬときに来ているのではないか、私はこう質問しているわけです。それを、法律があるからだめです、こうおっしゃるからそういう議論に発展していくわけであって、あなたはどう考えておられますかということなんです。
  159. 園田清充

    ○園田国務大臣 土地局長がお答えいたしておりますものはいわゆる事務屋としてのお答えだと私は思います。先生からの御質疑は、政治論としてもう少し高い次元に立ってのお話ではないかというふうに私は承っておるわけでございます。  そこで、三全総で示しておりますとおり、やはり国土の高度利用という高い次元に立って大都市への人口の流入を抑制する、また工業等の都市への流入等を抑制しながらそれぞれ地方に定住できるように全体的な高い次元から問題をとらえて、そして土地政策というものも考えていくべきではなかろうか。ただ当面の問題といたしましては、限られた現在の三大都市圏の中で最も困っている、しかも価格が高騰している、これをどう対応して抑えていくかということになりますと、やはり私どもとしては総合的な土地政策ということで税制の問題から金融の問題、万般を含めまして価格の抑制に取り組んでまいらなければならないと思います。ただ問題は、やはりどう供給を促進するかということもその総合政策一つとして考えました場合に、供給が促進されるような税制の改正と、あわせて、それぞれの地域内に住んでいらっしゃる所有者の方の意思も尊重しながら宅地の供給への協力を願っていくというようなことで、政策的には農住構想というような姿で本国会で御審議を願おうということにいたしておるわけでございまして、十二分その辺のことは踏まえ、御承知先生からの御質問でございますので、私のかいつまんだ政治論での御答弁でまことに恐縮でございますけれども、ひとつ御理解を願いたいと思います。
  160. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 的確に答えていただきたいのですが、私はもうぼつぼつ抜本的な土地対策の確立が必要ではないでしょうかと、こうお尋ねしているわけですから。現状はいまいろいろの手法をやっていらっしゃいます。供給の促進だとかあるいは税制改善だとか、いろいろあるでしょう。それはもういずれは限度があると見ているのですよ。だからぽつぽつ抜本的な土地対策というものを考えていかなければいけない時期が来ているのではなかろうか、こう考えるからお尋ねしているのであって、どうもその辺が、現状のやっている手法だけでこれがすべてだというふうに聞こえてしまうから、そうではないだろうと、こういうことなんですがね。その辺の的確な御答弁をお願いします。
  161. 山岡一男

    ○山岡政府委員 現在でも、たとえば利用権と所有権の分別をして規制をすることを考えたらどうか、もしくは大昔のように班田収授の時代を思い出して、皆さんに適当な土地を分け与えたらどうか、いろいろな意見も方々で出ております。しかしながら私、いずれも余り実際的ではないと思っております。したがいまして、本心のところ供給促進、騰貴の抑制ということが現行一番大事な仕事だと思っておるわけでございます。
  162. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私は現状はそれでいいと言っているのですよ、現状はね。しかし、それにはもう限度があるから、やはり土地対策というものをもっと真剣に本当に根本的に考え直さなければいかぬじゃないだろうか。考え直す必要ないということですか、それだけでいいということですか。
  163. 園田清充

    ○園田国務大臣 現状はひとついまの土地局長の答弁でお許しをいただきたいと思いますが、では将来の問題としてこれでいいかということになれば、私どもは十二分検討しなければならない問題がたくさん残されておるという気がいたします。  そこで、国土庁長官、それはおまえの大臣としての発言かということで後でおしかりを受けるかもしれませんけれども一つの物の考え方としてとらえてまいりました場合に、たとえば土地を持っていて、そして持っていることが、たとえば農地として使用するとかなんとか使用目的があれば別ですけれども、土地の値上がりということを待たれるような姿の中での土地政策というものについては、私どもはここでもう一遍考え直し検討し直していく必要があるのではないかというふうに私見として持っていることをひとつ御理解願いまして、建設省、関係省庁とも十分相談をしながら、いま申し上げますように、土地が資産的な評価の中よりも、むしろ公共的な姿の中で使われていくような道を開いていく考え方が、将来ともに一つの検討をし、出てこなければならぬのではないか、出さなければならないのではないか、こう私は考えております。
  164. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 行政の怠慢が税金のむだ遣いに大きく関係をしているということをひとつ認識をしてもらいたいのですよ。つまり土地政策というものが怠慢に推移をしていきますと、いまのように非常に値上がりが激しくなってくるわけですよ。公共事業一つをとってみましても、たとえば建設省がやっております道路建設を見てみましても、道路というものはほとんど土地ですよね、土地問題です。つまり予算を幾らつぎ込んでも土地がどんどん上がっていけば、同じ予算でもある国は百キロできるところが、ある国では五十キロしかできない。日本では十キロしかできない、こういうことにつながってくるのですよ。それはつまりは国民が納めた税金がそういう政策の怠慢によって非常にむだに使われていくということにも通じていくと思うのですよ。だから私はそういう認識を持ってひとつしっかりやっていただきたいと思います。  そこで、次は道路問題に入りたいと思いますが、いま審議をされております予算審議を通じまして、特に財政が緊迫をいたしておりますから、総体的に予算が圧縮をされております。そういう中で、もう道路は全部整備できたんではないか、したがって道路特会であるガソリン税等はもう一般財源化して他に回すべきではないか、こういう意見がちょいちょい出ておるようでございます。私は少なくとも建設委員の諸君はそのような認識を持っておられないと思いますけれども、いかに日本の道路がおくれているかということは、もう私が言うまでもなく十分御理解をしていらっしゃるかと思います。いずれにしても日本は歴史的に見てみましても、つまり、欧米と違って馬車時代を経験いたしておりませんから、人力車からもう自動車に移っていった。ところが日本の道路の大半はまだそのような明治時代の道路が単に簡易舗装されただけというのが大方の道路であって、確かに整備をされた道路というのはありますけれども、それはほんの一部分にすぎない。ゆえに各地方自治団体からの要請というものも、道路整備というものが常に近年では第一位に上がってきていることは言うまでもありません。  ところが建設大臣の所信表明を拝見さしていただきますと、道路整備は第三に挙げてあるわけでございます。別に意図を持って第三番目に挙げられたということではなくて、あるいは三番目に重要だから三番目に挙げたということではないと思いますけれども、もう少しやはり道路というものの認識をしっかり持たなければいけないんではないか。本来道路というものが単に車が走るだけのものだ、こういう理解をすべきなのか。あるいは本当にわれわれ人間が生活をしていく上において当然必要なものであるのか。しかも道路というものには当然歩道が完備され、植樹がされ、日曜日には、アメリカあたりへ行きますとございますように、パークウエーのような家族団らんの広場にもなり、いろいろな用途に使われておる。しかも都市の中におきましては、ガスを敷設したりあるいは下水道を敷設したり、道路の中にいろいろそれらが共同溝として埋め込まれてきておる。そういうふうに非常に多方面にわたる有用な施設だ、こう考えていきますならば、これはもっと違った観点から出てくるのではないか。そういう意味では本当に建設省がそういう認識をしているのか、あるいはそういうPRをしているだろうか、こういう疑問が実はわいてくるわけです。私が予算委員会の論議を関心を持って見ていますと、もう十数回にわたってそのような意見が出てきておるかと思います。この辺はどうお考えでしょうか。
  165. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は、実は道路の必要性を最も痛感をしておる一人でございまして、大臣の所信表明の中で順序がああいうことになっておりますために、道路の重要性が軽視されておるのではないかというふうにおとりになっておるといたしますと大変なことでございます。これは、かねて所信表明いたします場合の順序としていままでの例に従っただけでございまして、そういうものではもちろんございません。  それから、私も大臣就任以来痛感しておりますことは、年間二百万台に及ぶ自動車の最近の増加の実態でございまして、まさに世の中は車社会でございます。そういうような意味において、予算委員会においても、道路はもう十分じゃないか、道路がよくなるから車がふえるのではないかというような極端な御意見もございまして、私もそれにつきましては、強く私の信念を主張しておいたわけでございますが、現状におきましては、恐らく道路整備は欧米に対しましても二分の一ではないかと思います。細かい数字は局長から申し上げると思います。  なお、バス路線にしても、恐らくすれ違えないのが半分ある。それから、道路の歩道の整備がされてないのもまだ半分は残っておる。私が最近特に感じておりますことは、市町村道等の生活道路は順次拡充しておりますけれども、いわゆるバイパスでございますが、これが最近非常に詰まってきておりまして、大変な社会問題まで惹起しておる、そういうふうに考えておりまして、道路の重要性は痛感しておりますし、私が就任以来大変強い御要請、特に先生方を先頭として強い御要請のありまするのは道路の整備でございます。恐らく委員会が視察においでになりましたときの内容も、私の承っておりますところでは八割、九割は道路である。そういう意味で、かつてオイルショック以来総需要抑制が行われまして、道路整備が一時非常な抑制をされました。ここ二、三年は景気対策がありまして、進めさしていただいたようでありますが、そういう意味でむしろ道路整備は当面非常な急務になっておるというふうに考えておりますから、その点はぜひ先生の御認識を改めていただきたい。大臣は非常に重要性を痛感をしておるわけでございます。  特に地方におきましては、道路の整備が非常に必要である。特に日本のように狭い、しかもまた山間僻地が多い、したがって平地が少ないわけでございますから、道路の整備が行われれば、狭い国土でありまするけれども、その活用というものはもっと期待ができるわけでございますから、そういう意味で、私は道路整備の必要性は痛感をしておるわけでありますから、ぜひ一層先生の御協力もちょうだいいたしたいと思っております。  詳しいことは局長が申し上げると思いますが、私の考え方をまずひとつ御理解をちょうだいしたいと思います。
  166. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 そこで、道路局長にお尋ねいたします。  現在第八次道路整備五カ年計画が進捗中でございます。本年度予算を見ていきますと、五十五年度の道路予算は前年度比で約二%の減ということになっております。この八次計画の進捗率を見てまいりますと、三年目で大体五七%というふうに推定をされておりますが、五カ年計画でございますから、本来あと二年で相当整備をしなければならぬ、こういうふうに考えるわけです。果たしてこれが達成できるであろうかどうかの疑問すら実はわいてくるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。  本来、第六次計画までは、五カ年計画は約三年間で達成をし、改定が続けられてきたというのがいままでの実績なんです。したがって、仮に五カ年間で一〇〇%達成をしたといたしましても、従来からの進捗度合いから見れば、相当程度おくれておるわけです。ましてやいまのような進捗状態で、果たしてあと残された二年間で第八次道路整備五カ年計画というものが達成できるであろうか、こう考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  167. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  第八次道路整備五カ年計画のうち、地方単独事業及び予備費を除きました二十兆三千億円の五十五年度までの達成率は五六・二%と見込まれます。地方単独事業等を合算した数字が五七%ということに相なるわけでございます。したがいまして、五十五年度政府予算原案の事業費をベースにいたしまして五カ年計画の達成をいたそうということに相なりますと、五十五年度を初項として八・五%の伸び率を要するということになろうかと思います。  先ほど大臣もお答え申し上げましたように、道路は日常生活、経済社会活動両面において欠くことのできない最も基本的な施設でございまして、国民生活の向上のため、今後さらに整備する必要があるものと考えております。したがいまして、第八次道路整備五カ年計画に基づきまして、道路交通の安全確保、生活基盤の整備、生活環境の改善、国土の発展基盤の整備及び維持管理の充実に係る各施策につきまして、それぞれの重要性を総合的に勘案をし、計画的に着実に整備を推進して五カ年計画の達成を図らなければならない、かように考えておるところでございます。
  168. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 先ほど共産党の瀬崎君から、共産党の言うことさえ聞いていれば日本の政治がよくなるのだというお話がございましたけれども、その人が実は予算委員会で、道路の目的財源というものは赤字国債を減少させる意味からも一般財源にせよ、こういう質問をしていらっしゃるのですよ。道路財源というものは、本来赤字国債にも建設国債にも実はお世話になっていないわけでございまして、すべてが車に乗っている人たち、国民が納めている税金、主としてガソリン税がそれに充当されておりますけれども、それによって車を使っていらっしゃる国民がほとんどと言っていいくらい、九〇%以上の道路財源というものを出しておる。それは自分自身が車に乗って走るのですから、みずからの走る道路を直してもらいたいという気持ちもあるでしょうが、それがたとえば全然目的の違ったほかのところに使われるとするならば、これはやはり相当問題であって、安易に赤字国債を減少させるためにそれを一般財源にしたらどうだ、こんな意見はとうていわれわれは受け入れられない問題だと思いますが、建設省はいかがお考えでしょうか。
  169. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  ガソリン税等の道路特定財源は、緊急に必要な道路整備の財源を賄うというために、受益者負担の見地から道路利用者に特別の負担をお願いしているわけでございます。そういった観点から現在道路整備水準が、先ほどもるるお話のありましたように大変貧弱な状態でございますし、したがいまして緊急に整備をいたさなければならないという事業がたくさん残されておるわけでございます。したがいまして、これを一般財源にと申しますか、他の目的に充当するということは、私ども道路行政を預かる者としてもとても納得できませんし、当然利用者の方々からも納得されないことじゃないか、こう考えるものでございます。
  170. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それではちょっと観点を変えまして、今度は住宅問題について大臣にお尋ねいたします。  大臣の所信表明の中で、関連公共施設整備については国庫補助の大幅な拡大によってその促進を図っていくんだ、こういうふうに述べておられます。ところで予算書を拝見いたしますと本年度は約九百億、確かに数字の上だけでは初年度三百億、去年が六百億、ことしが九百億で大幅に伸びておる、こういうふうに言われるつもりかもしれませんが、実はこの問題は昨年度ども予算修正の折衝の過程において、この関連公共施設予算が大変少ないではないか、だからこれをもっと大幅にふやせ、そのときにたまたまわれわれが要求いたしましたのが実は九百億であったわけです。本来それ自身は、折衝の過程では自民党政調会もそれを認めたのです。だから、その数字とことしたまたま符合いたしておりますが、それをもって大幅な拡大になったかどうかというのは、私はちょっと見解を異にするものでございますが、いかがでしょうか。
  171. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は、昨年の経緯は十分承知をいたしておるわけでございます。今回の建設省予算も、ごらんをいただくとわかりますように、公共事業全体としましては五十四年度並みでございまして、下水道、公園あるいは住宅、市町村道、これは伸びておりまして、河川もほぼ前年並みでありますけれども、道路はお話のように若干下回っておるわけでございますが、そういう中で三百億、昨年に対しまして五割増ということは、もちろんそういう意味からいいますと十分とは私も思いませんけれども、ことしの財政事情あるいは予算編成の過程から申しますと、昨年そのような経過もあり、そういう強い御主張もあった成果ではないかと思っておりまして、これを十分活用してまいらなければならぬというふうに私は考えております。
  172. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この関連公共施設の補助につきましては、実は非常に厳しい制限がついておりまして、だからこそその需要を満たしておるのだ、こう担当者は言うわけですが、そうではなくて、本来もっとやってもらわなくてはならないことはたくさんあるけれども予算が少ないからやむを得ずいろいろな厳しい条件がついておるのだ、こうわれわれは見ておるわけであって、そのために国民の負担が非常に多くなってきておる。これは市町村そのものも超過負担が非常に多くなってきておる。入居する人個人にも非常に多くかかってきてしまっておる。こういう現状があるものですから、ここはやはり見逃すことのできない問題であろう。したがって、そういう状況下にある関連公共施設というものは、本来は国なり地方自治団体が当然行わなければならぬものが、そういう事情からむしろ最終利用者である国民の上にかかってきておる、こういうことでございますから、そういう事情を十分に理解をされまして、さらにさらにそれを強化されていくようにお願いをしておきたいと思います。  次に、建設業の振興についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、その前に、建設業法の中に実は土木工事がその別表においていろいろ定められております。これらの工事はすべて免許制度になっておりまして、資格取得をして工事を行う、こういうことに取り決められておりまして、年々種目がふえてきておる、こういうものでございます。私は、国民の立場に立てば、これはしっかりした、免許を持った、熟練をした人に工事をしてもらうのは大変好ましいことだ、こう思うわけですが、反面、細分化されてきておる工事があるために、補修工事については大変な問題が出てきておる。と申し上げますのは、たとえば公団住宅などは、団地サービスでいろいろ問題になっておりますが、ちょっと雨漏りがするので見てくれないか、こういう電話がかかったとする。飛んでいきました人がよくよく調べてみたら、どうも壁から雨が漏っておる。ところが、いろいろ調べていくうちに、壁ではなくてパイプだった。原因はわかったのだけれども、おれはパイプの免許を持っていないのでやれないのだと言って帰っていってしまう。こういうことで補修業務そのものが、これは単なる一例ですけれども、いろいろあるわけですね。補修工事というのはちょこちょこっとあるだけですから、一人の人が行ってあれもやりこれもやり、こういう状態で国民にサービスをするということが好ましいわけですけれども、こういう業種別にきちっとしていきますとそのサービスが受けられなくなってくる。しかも、受けられないのみか、非常に高い工賃を払わなければならぬ。ちょこっとやってもらって、また人間がかわって来て違う工事をしてもらった、こういう結果が生じておる。さらに、建設業の方でいきますと、これらの種目別の免許者を全部そろえておかないと、すべてをオーケーとして補修業務に携わることができない、こういう問題が出てくるのですね。ところが、そんな中小の補修業者では全部を受けておるような人を網羅しておくということはなかなか困難だ、こういう状態があるわけでございまして、本来的に、その工事自身が無から建設をしていくという基本的な工事については、当然それはしっかりした人にやってもらわなければなりませんが、単なる補修工事というようなものはやはり一考することが必要ではないか。これは国民の面からもあるいは業者の面からもそういう要望があるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
  173. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  御承知のとおり、現在の建設業の許可は二十八の業種別に行われております。したがって、いまお話しのとおり、許可を持っていない業種に係る工事は、原則として施工することはできません。しかし、例外がございまして、一つは、本体工事に付帯した工事につきましては、許可を持っておらなくても本体工事と一緒に施工できます。それからもう一つは、請負代金が建築では六百万円、その他の工事については二百万円以下のような小工事の場合は、許可がなくてもできるわけでございます。それで、一般的に、小修繕等でございましたら許可がなくても実施できることにはなっております。いま、補修工事という種目を新たにつけ加えたらいいのじゃないかというお話がございましたけれども、そういたしますと、またこの補修工事という業種につきまして、補修工事をやろうとする場合には許可が要るということにもなりかねません。しかし、御提案の点は非常に重要な点でもございますので勉強したいと思いますけれども、いま申し上げましたような点も踏まえまして慎重に考えていかなければいけないのじゃないかと思っております。
  174. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 補修工事は一定の条件をつけておけばいいのではないか。つまり、本体そのものの改造だとかなんとかいうものはできないけれども、若干の、言ってみたらパッキンが悪くて、そのパッキンさえかえれば済んだというようなパイプ工事もあるはずなんですよ。それが補修工事なんです。だから、補修工事というものができるようにしておいて、その免許者は本管そのものを敷設したりそういうことはできないけれども、単なるパッキンの取りかえとかなんとかいうようなことは当然できるのだ。これも一例を挙げたわけですけれども、そういうことで十分可能ではないだろうか。それがないものですから、一々本免許を持った人がおらなくてはいかぬ。またその人でなければ工事ができない。法律を四角四面に解釈すればそういうことですから、これは国民へのサービスの上からもあるいは中小企業を育成するという点からも非常に問題があると私は思いますので、ひとつ十分御検討をお願いしたいと思います。  そこで、大臣は「建設業の振興」のくだりで「中小建設業者受注機会確保にも十分配慮してまいりたい」とおっしゃっているわけですが、具体的に言いますとどういうことなのでしょうか。
  175. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  一つは、非効率になるといけませんけれども、できるだけ工事を分割発注いたしまして、地元業者あるいは中小建設業者受注機会を与えるということ。それから、ランクづけを厳格に守りまして、大きい方の業者が下の方の業者が受けるような仕事に入ってこないような措置をきちっとやるということ。三つ目は、共同企業体ということで中小業者が連合いたしまして力をつけました場合には、かなり大きな工事も発注するような仕掛けをするということ、あるいは、ジョイントベンチャーと言っておりますけれども、大手と中小が組んで一緒になりましてかなり大きな仕事にタッチさせる。こういういろいろな手だてをいま講じておりますけれども、これからもさらに、こういう厳しい環境の中でもございますので、そういった点を推進していきたいと考えております。
  176. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 実態はどうなっているか、御存じでしょうかね。口ではそういうことが言えるのですよ。私もいろいろ調べておりますが、実態は必ずしもそうはいっていない。入札資格登録業者といいますか、それは仰々しくわあっと並んでおりますよ。工事事務所へ行って所長さんなんかに見せてもらいますと並んでおります。ところが現実は、それを公平に全部呼んで入札させるのかなと思うとそうではないのですね。特定の数社によってそれが牛耳られておる。いま分割工事発注とおっしゃいましたが、それはある一定の大手が引き受けてしまって、大手がやっておるのですな。分割して下請に出していますよ。だから中間的に搾取をされて、中小が非常に利益幅の薄い仕事をさせられておる、こういう状態なんですね。しかも、国の方からは公共事業であれば前渡金も渡されているにもかかわらず、中小の方へは相当長期な手形によって出されておる。それが実態なんですよ。だから口では分割発注できるようにするとかなんとか言う。確かに見ていきますとそういう実態があるように見えるのです。見えるのですけれども、本当はどうもそうではないのですよ。だから、現実にそうなるようにするには一体どういう方法があるのだろうかな、どうお考えになっているのかな、こういうことを実はお聞きをしたかったわけでけれども。いつの日にか私も一回質問したと思いますが、人件費そのものも非常に低いのですよ。低く見積もらなければ請け負われないような金額になってきておる。だから元請が受注をしたその単価の半分くらいの単価で下請に出されておるという例は幾らでもある。実際は枚挙にいとまがないくらいあるのです。ところが、その中小の方が直接受注しようとするといろいろな問題があって、なかなかそこに発注できない。出す建設省側も、そういう危険性のあるような中小に出すよりも大手に出しておけば間違いないや、その危険負担はすべて大手がやってくれるわ、こういう安易な気持ちかどうか知りませんが、どうもそういう方向が多い。それで協同組合なんかをつくってもらって、では実際にそこが受注するようにしようかと思いましても、なかなかこれはむずかしいのですね。ところが実態は、河川のしゅんせつなんかでも大手が請け負っておりますが、実際に工事をやっているのはほとんど中小企業ばかりなんです。分割してやっちゃっておるのです。そうすると、何のために大手があるかというと、何かもっともらしく管理をしなければいかぬとか、船を確保しなければいかぬから。ところが、船は本当にそうなっているのかなと思って見に行きますと、名前だけは大手の名前を書かしておりますよ。持ち主はだれかというと、みんな中小企業がそれぞれ買わされておるのですよ。それが実態なんですよ。これは私が興味を持って相当調べましたから幾らでもそれを実証することはできます。そういう実態ですから、中小企業建設業者受注機会確保は十分配慮していくと単におっしゃっても、なかなかそう実態はなっておりませんよ。だから具体的に本当におやりになるならば、やはりもう少し真剣になって取り組んでいただかないと、なかなか中小企業建設業を振興することはむずかしかろう、こう思うわけでございますが、御所見はいかがですか。
  177. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 具体的なことはまた局長が御答弁をすると思いますが、私はやはり分割発注ということが親切に誠実にやられれば、ある程度中小企業への発注というものが振り向けられるのではないか、その場合に大事な問題は、その仕事の性格によりまして、相当な施工能力を持っておるとか、いろいろな条件が必要になってきて、分割発注は避けなければならない。その辺の判断一つ大きな問題だと思います。先ほどもちょっと申しましたように、五十四年度上半期中小建設業者に対します発注率をある程度引き上げるという方向で努力をいたしまして、目標よりは上回ったと事務当局は説明しておるわけでございますが、率直に申しまして、私は中小建設業にもう少し仕事が行くようにすることについて、特に官公需の発注でございますが、そういうことにつきましては今後とも私ども留意をしてまいらねばならぬと思っております。  ただ、その場合に、私はまだいろいろ検討しておりますけれども、現在の建設業というものが四十七万あるというわけでございますけれども、その中で二十六万というのは個人のままでやっておる業者もある。零細という言葉にも届かないような業者も、許可制と言いながら実はあるわけでございますね。私ども建設業法を制定するときには、相当きちんとした形で建設業が成り立つようにということでたしか建設業法は当時制定をしたというふうに私は記憶をしておるわけでありますけれども、現在はすでにその当時の倍になっておるということでございますね。だから私は、業法そのものはそう簡単に改正というわけにいかないかもしれませんが、建設業法の運営という面においてはもう少し中身を検討した方がいいのではないかというふうに考えております。今後そういうような意味におきましては、建設業法と一口に言いますけれども建設業の内容というものについてもう少ししっかり検討してかからなければならぬのではないか。そういう意味で、私はいろいろな面から中小企業というものに受注機会がふえることにつきましては、特にこれから公共事業予算というものはそんなに伸びることは期待ができないかもしれませんので、そういう意味では一層真剣に検討してまいらねばならぬであろうというふうに考えております。具体的なことは専門の……。
  178. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それから、建設省がその建設業に対して、つまり安全操業度といいますか、そこの労務者がけがをしている率がどの程度あるのか、それがいわば発注にも影響するというようなことはございませんでしょうか。もし仮にあるとするならば、そういうやり方自身がどういうことになっていくかといいますと、元請が受けて下請に出しますね。そこへ行った単価はもういま申し上げておりますように元請が受けた半分ぐらいに減ってきておる。つまり安全対策費などというようなものにはおよそ意識が回らない程度になってしまっているのですね。そこで仮にけがをしたとしても、それは当然労災上の問題になるはずでありますけれども、それが逆にその労災隠しが行われてしまうのですよ。どこかほかでけがをしたことにしてくれないか、こういうことが親企業を通じ下請企業に対して指導がされていってしまう。しかも私のところはもう十年間災害は一度も起こしたことはありません、安全面については実に優良な企業でございます、こう言ってござる。しかし、実態を調べていくと、いまのような問題がたくさんあるのです。だから私は、建設省はその安全対策でそういうことを指示なさるのも結構ですけれども、もっと違った観点でそれは十分見ていかないと、不当な競争を起こさせるだけの対策は、逆に中小企業というものがいじめられる材料になっていってしまうおそれがあるし、また現実にそういうことがある、こういうことでございますから、むしろ逆に安全対策費というものはもう別枠で、安全対策には十分注意を払わなければいかぬのだ、それは付加されるべき費用だというくらいの指導が必要ではないだろうか。総枠の中でぐっと締めていきますと、しかもそれが受注関係に影響してくるとするならば、だれしもそのけがをしたのを隠そうとする。そういうことが全部中小企業しわ寄せがされていってしまうわけですから、その辺の安全指導というものにはもう一考を要すると思いますが、いかがでございましょうか。
  179. 丸山良仁

    丸山政府委員 いま先生お話のように、建設省といたしましては、安全対策を推進するという観点から、余り事故を起こす業者につきましては指名の際に配慮するというようなこともやっております。その結果、いま先生お話のような事態も生ずるおそれがあるわけでございまして、したがいまして、現在建設省におきましては五十三年度の工事につきましてその安全対策費を含めましたいわゆる仮設関係の経費の調査を行っておりまして、その解析結果をもとに、五十五年度より仮設関係の積算方法の改善を図るように検討中でございます。この中におきまして工事の安全に係る重要な事項は指定仮設といたしまして契約内容に明示いたしまして、その変更がある場合には請負代金を変更することによって工事の安全な施工ができるようにいたしたい。これがいわゆる業界で言っております別枠計上事項でございますが、そのような措置を新年度から講じてまいりたい、このように考えておるわけでございまして、もちろん建設省関係の都道府県の工事等につきましてもそのような対策を講ずるように指導をいたしたいと考えております。
  180. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 それでは最後に、これも所信表明の中に、開発途上国に対する経済、技術協力については、わずか三行ばかりで、海外活動を積極的に推進をしていくのだ、そして建設業及びコンサルティング企業の海外活動を促進していくんだ、こう述べておられますが、確かに国際協力の一環として、開発途上国に対する経済社会基盤の施設整備ということは大変必要になってきております。しかし、実際にはこの開発途上国に対する進出企業の危険負担というものは非常に大きなものがあると思います。特に最近のような中東等のあの激変する情勢の中では大変にリスクが大きくなってきておるわけでございまして、その辺の海外進出を促進をする、あるいは技術協力、経済協力を積極的に推進をするのだ、こうおっしゃっておりますが、実際の中身は一体どうなっているのだろうか。ただ単にそういうことをやれやれとおっしゃっておるのか。そのためには国もある一定のリスクを負担するのだ、そういうことを考えておるのでひとつやってくれないか、こういうことになっているのか。実態はどうもそうではないようでして、方針としてそういうことをお決めになっておる、企業そのもののリスクはほとんど全額その企業が持たなければならぬ、こういう形で実は海外協力が行われておるのではないか、こう思うわけですが、その辺はいかがでございましょうか。
  181. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答え申し上げます。  最近のわが国の建設産業の海外受注は大変拡大いたしてまいりました。これは御承知のとおり、石油の産出国がかなり工事を活発に発注しておりますとか、また先進諸国が発展途上国に経済協力というようなことでかなりの建設業をやっておるというような結果でございまして、建設業につきましても昭和四十七年ごろは五百億円弱でございましたが、五十三年度では五千六百億円というふうにかなり飛躍をしております。しかし、こういった建設産業の海外進出あるいは技術輸出につきましては、日本のいままでの輸出対策が、どちらかといいますと、物の輸出あるいはプラント輸出というのが中心でございまして、技術輸出の方には余り措置がなされておらなかったというような現状もございます。  そこで、いま御指摘のございました輸出保険につきましては、建設産業界の強い要望もございまして、最近におきまして輸出補償保険、それから海外建設工事保険が制度化されるといったようなことで、海外工事に伴います各種の危険をカバーするための制度充実されてまいりました。これらにつきましても、今後とも私どももさらに力を入れてまいりたいと思っておりますし、また輸出入銀行につきましても、延べ払い代金または長期の運転資金に対しまして、市中銀行と協調して融資を行うというような新しい制度もできてまいりました。今後ともこれらの充実についてさらに努力を続けてまいりたいと考えております。     〔伏木委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  183. 北側義一

    北側委員長 中村茂君。
  184. 中村茂

    中村(茂)委員 公共事業に関連して、まず二、三点御質問いたしたいと思います。  最初に、中央建設業審議会の法制小委員会で、公共事業の代金支払いについて建設資材物価スライド制を導入する、こういう結論を出したわけでありますが、予算委員会の一般質問で、井上委員からの質問で一応建設大臣の答弁を聞いたわけでありますけれども建設省としてはこの結論にどういうふうに対応しようとしているか、お聞かせ願いたいというふうに思います。
  185. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  中央建設業審議会におきまして、現在公共工事標準請負約款の見直し、あるいはまた民間の工事標準請負契約約款の見直しをやることになりまして、法制小委員会にこれが付託されまして検討中でございます。しかし、かなり基本的な問題を含んでおりますので時間がかかろうかと思いますけれども、当面の石油価格の高騰に伴います資材価格の上昇に対しまして現在の約款では適切な対応ができないのではないかということで、これらの検討も行われております。現在小委員会において鋭意検討中でございまして、この結果を待ちまして、関係省庁とも十分連絡して所要の対策を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。
  186. 中村茂

    中村(茂)委員 相当時間がかかると思うのですけれども、活用の仕方によっては非常に有効に作用することもあると思いますし、また時期とか内容によっては大変な事態にもなるのじゃないか、こういうことで、私の考え方を二、三点申し上げてこれからの対応に資していただきたいというふうに思うのです。  いずれにしても建設資材相当上がってきた。したがって、代金の支払い等についても、その公共事業が完成したときには相当値上がりのものを使わなければならぬ。それに対して対応していくわけでありますけれども、結果的には建設資材値上がりの追認になりやしないか。そこら辺のところにどういうふうに対応していくか、非常に心配であります。  それから二点目には、一年以上公共事業がかかったものに対応していくというふうにした場合を一応想定して考えてみると、一年以上事業をやっていくという大きな事業になっていけば、大建設業、ゼネコン、こういうところが代金の支払いというところに該当してくる。そうすると、大建設業の場合には有効に作用しますけれども中小建設業の場合にどうなるのか。特にこの大建設業の下で下請でやっているところ、一応下請におろして、そして後で代金の追加が来るわけですけれども、そういうものが下請に流されていくかどうか、そういうことが非常に心配になります。  それから、こういう制度をつくっていきますと、これは公共事業ばかりではなしに民間にどういうふうに波及していくだろうか、そういうことも心配になります。そのほか検討していけば、新しい制度でありますからいろいろなところに問題が出てくる。したがって、こういう問題については慎重に取り扱っていただきたい、現在のところはそんな考え方を持っておりますので強く申し上げておきたいというふうに思います。そこでもう一度、これについて皆さんの方で考えている利点というか、そういう点と、この影響がどういうふうに出てくるかという点について皆さんの方の考え方を明らかにしておいていただきたいというふうに思うのです。
  187. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  ただいま御説明しましたように、現在中建審において、どういう時点からどういうやり方でやるかということを御検討いただいておるわけでございますけれども、私どもとしましては、早い時期にこういう仕組みが実行できるようにしたいと考えております。  それから、どうするかという点でございますけれども、中建審でいろいろ議論が出ておりまして、備蓄のきかない資材、たとえばアスファルトであるとか生コンであるとか石油であるとか、そういったものについてやらないと、仮に備蓄のきく資材についてそういうことをやりますと、先生が御指摘ございましたように、価格上昇を招くおそれもあります。これは転嫁ができるというようなことで買いだめとかあるいは売り惜しみとかそういう事態も生じますので、資材をどういうものにするかという点非常に問題がございまして、これをいま検討中でございます。  それから、一年以上云々とお話がございましたが、私どもは、やっぱり中小企業は単年度の工事が多いわけでございますし、たとえばアスファルト舗装工事などというのはまた非常に工事期間も短うございますので、もちろんそういったものにつきましても、何らかの新しい措置ができました場合には十分適応できるようにしなければいけないと考えております。  それから、民間波及の問題でございますけれども、民間はまたそれぞれのお立場で長い商習慣がありまして契約もしておるわけでございますけれども、仮に先行きの不透明さがありますと民間の場合でもなかなか契約ができないだろうと思います。現に、去年の夏場の木材価格の上昇がありましたときには、工務店、大工さんは木材の単価を設定した契約はできないというようなことで、精算払いというような方法もとっておられたように聞いております。そういう点がございますので、民間につきましてもこれらにならったような措置がそれぞれの契約の段階でとられることになろうかと思います。
  188. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 具体的にはいま局長が申したとおりでございますが、私は、一番大事なことは正直者が損をするということにならぬようにすることである、こう思っております。それから、中小零細企業建設業者を救わなければならぬということでありますから、その点にある程度焦点を当てまして、約款の審議は相当時間がかかるとすれば、それまでは恐らく一年も一年半も待っておられないわけでありますから、そういう意味では、油等によりまして予想されまする事態に対処して万全の措置がとれるようなことは考えなければならぬと思っておりますが、いずれにしても審議会の答申を得ました上で、具体的にいま申しましたように対策を立てていきたい、こう思っておるわけでございます。
  189. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、建設資材について、ここのところ特に昨年の春ごろから急上昇をしているわけでありますけれども、二年程度建設資材値上がり状況について明らかにしていただきたい、こう思うのです。
  190. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  主要な建設資材の最近の価格動向について御説明いたします。  日銀の卸売物価指数等で見ました場合に、製材につきましては、五十二年が対前年に比べまして一・八%、五十三年は五・四%の減でございましたが、五十四年では三〇%というようなことになっております。それから、小形棒鋼につきましては、五十二年では五・三%前年に比べまして下がりましたが、五十三年では一四・七%、五十四年では一三・四%というような値上がりになっております。生コンクリートにつきましては、五十二年では七・八%、五十三年が一八・六%、五十四年が一〇・一%というような数字になっております。
  191. 中村茂

    中村(茂)委員 こういう建築資材値上がりと関連してくると思うのですけれども、ことしの一月十一日に閣議決定が行われていますね。「昭和五十四年度公共事業等の事業施行について」ということで、「物価動向に配慮し、公共事業等歳出予算現額の五%を当面留保することとする。」これは現実には建設省段階ではどういう形になっているのですか。
  192. 丸山良仁

    丸山政府委員 建設省の五十四年度予算現額は六兆九百七十八億円でございまして、そのうち第三・四半期末、十二月末までに発注いたしましたものが四兆九千九百十五億円、八一・九%でございます。したがいまして、第四・四半期に残りますものが一兆一千六十三億円、一八・一%になりますが、ただいまの五%の留保額は六兆九百七十八億円に対する五%でございますから三千四十九億円ということになります。それで、このような留保をいたしましても、昨年度、五十三年度の第四・四半期の契約実績が五千六百七十六億でございますから、本年度分といたしましては第四・四半期でなお八千十四億、四一%増の発注ができる予定になっております。
  193. 中村茂

    中村(茂)委員 現実にいま二月ですね。それで三月で五十四年度は終わるわけですけれども、この閣議決定というのは、五%をいずれにしても五十五年度に持ち越すということなんですか。
  194. 丸山良仁

    丸山政府委員 これは閣議決定の文書でもはっきりいたしておりますように、「今後情勢が変化し、解除することが適当と認められるときは、これを解除するものとする。」こういうことになっております。したがいまして、本年度いっぱい、すなわち来月中に経済情勢の変動がございまして公共事業を促進する必要がある、こういうことになりますとこれは当然解除されることになるわけでございますが、そのような事態でない場合には、これは必然の結果といたしまして五十五年度に繰り越されて五十五年度の当初から発注する、こういうことになると存じます。
  195. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの情勢では恐らく五十五年度まで持ち越される情勢ではないかと思うのです。そこで、公共事業というものについて、いままで公共事業景気物価の調整弁に使ってきたのじゃないかというふうに私は思うのです。こういう考え方というのは高度成長のときの考え方、手法だというふうに私は思うのです。いまもずっといろいろお聞きしてまいりましたように、景気を高めるために、それ公共事業だ、公共事業だとふやしていく。物価高騰してくれば今度公共事業を抑制だというふうにしていく。そういう形の中で、建設資材高騰すれば、代金の支払い物価スライド制を採用するというふうになってくる。公共事業というのは何も業者景気物価の調整なり業界のためにあるのじゃなくてやはり国民のためにあるわけですから、こういう公共投資を景気だの、それから物価だの、こういう調整弁に使っていくということはやはりきちっとした対応としては余りよくないのじゃないか。そういう意味では、大臣の所信表明の中でもそれに見合うことを若干触れているというふうに思うのですが、読んでみますと、「先行きについて警戒を要する物価の安定を図りつつ、景気の自律的拡大基調を維持することにより、国民生活の安定と着実な経済発展のための基盤強化を図ることが重要な課題であります。」とこう言っていますね。「景気の自律的拡大基調」。ですから、公共投資といっても、余りいわゆる景気だ、それ物価だということで支配されないような、一応安定的に公共投資、社会資本充実というものを図っていくというような予算の使い方をしなければいけない時期に来ているのではないか、私はそういうふうに思うのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  196. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 私は、本日申し上げておりますように、公共事業というのはコンスタントに実施すべきである、また社会資本充実という意味から言えば、御承知のように日本はまだ大変おくれておりますし、道路は恐らく欧米の二分の一、下水道は三分の一、公園は十分の一というようなことでございまして、非常に立ちおくれておるわけでございますから、そういう意味では社会資本充実ということは今後とも進めなければならぬわけでございますから、相当財政事情の厳しい中におきましても最小限度の伸びを持って着実に公共事業実施すべきという私の持論に変わりありません。ただ、今年度財政再建第一年ということでございまして、ある程度公共事業も抑制をいたしませんと予算全体の仕組みができないという事態でございましたので、これは万やむを得ず五十四年度並みということで一応ついておりまするけれども、私どもはそういうふうに考えておるわけでございますので、今後とも私どもとしては極力公共事業というのはコンスタントに実施をするということに努力をいたしたいと考えております。
  197. 中村茂

    中村(茂)委員 では次に、環境アセスメントに関連して若干お聞きいたしたいというふうに思いますが、環境アセスメント法案については長い間環境庁を中心にして取り上げられてきたわけですけれども、いま与党である自民党との間に今国会に出すとか出さないとかいろいろ論議されておりますが、この環境アセスメント法と建設行政とのかかわりについて、いままでの経過を含めて考え方をお聞かせ願いたいというふうに思うのです。
  198. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 基本的なことについて申し上げたいと思います。  私は予算委員会でも申し上げたわけでございますが、私ども公共事業と環境との調和を図るということはもちろんでありますが、建設省事業を円滑に施行するという意味におきましてもこれは非常に大切なことであると考えておりまして、昭和四十七年六月の閣議了解の趣旨にのっとりましてその対応に努めてきておるつもりでございます。  特に昭和五十三年七月の直轄事業及び公団事業につきまして「建設省所管事業に係る環境影響評価に関する当面の措置方針」というものを決定をいたしておりますが、これによりまして環境アセスメントを行っておりまして、御承知のようにすでに高速自動車国道、ダム、大規模宅地開発等につきましては建設省自体としてすでに実施をいたしておる次第でございます。したがって、私どもは環境アセスメント法案につきましては現在環境庁との間で事務レベルの調整を鋭意進めておるわけでございまして、私といたしましては前向きに対処するということをはっきり申しておるところでございます。  ただ、その内容としましてはいたずらに所管事業の執行が混乱をするとか、あるいは停滞をするというようなことがあっては困るのでありまして、そういうことのないような手続や技術的な内容が合理的かつ現実的なものであるということが私は必要だと思っております。そういう意味で現在行っておりまする当面の措置方針あるいは都市計画法、そういう既存の制度との間に十分な調整がなされることが必要であると思います、こういうふうに私は申し述べておるわけでございます。  そこで、都市計画にかかわりまする都市整備のための事業につきましては、本来良好な都市環境の形成を目的としておりまして、このために現行の都市計画決定の手続の中でも当該都市計画に係る事業が環境に及ぼす影響につきまして特に配慮を行っておるわけでございます。したがいまして、都市計画の決定につきましては住民参加の手続も決められておるわけでございますから、環境保全等に関しまする住民の意思を十分に聞いておるというふうに私どもは現在も考えております。  そこで、都市計画を決定をする事業に係りまする環境影響評価につきましては、都市計画法を改正いたしましてアセスメント法と同様の内容を盛り込んで行うのが適当である、こういうふうに考えております。以上であります。
  199. 中村茂

    中村(茂)委員 どうもまだよくわからないのですが、結論から言うと、環境庁の方で準備している環境アセスメント法が制定されますね。その際、建設省所管の都市計画事業についてはアセスメントを都市計画法に基づいて行っていく。それは環境庁の方と話がついている、こういうふうに理解していいんですか。
  200. 渡辺栄一

    渡辺国務大臣 この問題は具体的には局長から答弁をしてもらいますけれども、今度恐らくまとまるでありましょうアセスメント法案の中におきましても、あるいは附則等におきまして都市計画法に関する問題につきましてはその中でやるというふうに話がまとまっていくものというふうに考えておりますが、具体的には局長から説明をさせます。
  201. 中村茂

    中村(茂)委員 と言っても都市計画法というのは市街化区域、市街化調整区域、区域が一応決まっています、都市計画法で対応するとすれば。先ほど大臣の説明の中で前段でそれをやっておるというような表現があったので私はわからなくなったのですが、高速道とか一般国道とか、ダムとか、これは都市計画法ではかぶせることのできない地域でそういう問題があるわけです。ですから、都市計画事業で都市計画法に基づくものについては建設省の都市計画法を改正してそれに対応できるように持っていく。それからいま申し上げたその枠から外れるところについては、高速道だの一般国道だのダムについては、環境庁の方でいま整備している環境アセスメント法でいくのか。都市計画法の方は大体わかりました、そちらの方も含めて。
  202. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  いまお話しのとおり、都市計画事業は都市計画区域の中で事業決定をいたします。元来都市計画というのは良好な都市環境を形成すること自体を目的にいたしておりますので、環境庁の方で今度新しい法案ができましたら、それと同じような手続その他に基づきまして、都市計画法の中身を改正いたしまして実施する予定でおりますが、それで都市計画事業のほかの、いま大臣からお話しのございましたダムとか、高速自動車国道につきましては、環境庁でおつくりになる法案にのっとって環境アセスメントを進めていくことになります。
  203. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、結論からすると建設行政にかかわる問題は、全部建設省の方で、法案ができればそれに対応するものをそれぞれつくってこのアセスメント法に対応していく、こういうふうに理解していいんですか。
  204. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  建設省の所管の事業の中で、都市計画決定されるものは改正されました都市計画法に基づきまして環境アセスメントをやります。それで都市計画事業以外の大規模事業等につきましては、環境庁の環境アセスメント法に基づきまして環境アセスメントを実施いたします。
  205. 中村茂

    中村(茂)委員 それは環境庁と話し合ってきて文書か何かになっておるのですか。それともいま話し合っておる段階なんですか。どういうことになっておるのですか、中身は。
  206. 宮繁護

    宮繁政府委員 現在環境庁と事務的に詰めておりまして、都市計画決定されるものについては今度できる環境庁の法律の中で附則で都市計画法を改正することについて合意を得ております。ただ一部の事業に、都市計画決定以外の事業につきまして、規模をどうするとかあるいは地域をどうするとかあるいは条例で上乗せをする場合にどういう措置をするかという点につきましていま鋭意話し合いを進めておるところでございます。
  207. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、ここに分厚い本があるのですが、これは「建設省三十周年記念 国土建設の将来展望 建設省編」ということで、学者か何かいっぱい書いてあるのですが、これは飾りで書いたのですか、何かの役に立てようと思って書いたのですか。どういうことでこれはつくったのですか。
  208. 丸山良仁

    丸山政府委員 建設省も三十年を迎えるに当たりまして、これからの建設行政をどのように進めていくかということを真剣に考えなければならない事態に至っておるわけでございますが、それには世の有識者の方々の御意見を十分承りたい、それを印刷物にいたしましてわれわれ熟読玩味いたしまして、これからの行政に反映してまいりたいという趣旨からつくったものでございます。
  209. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、いずれにしてもこれからの建設行政の参考にしていきたい、こういうことですね。  そこで、少しお聞きしたいのですが、この中に「公共事業と住民参加」ということで、東京大学教授の西尾勝先生相当長文にわたって文献を寄せているわけです。私は、これを非常に興味深く読ましていただいたのですが、一口に言えば、これから特に公共事業をやっていく、開発していく、この場合に、住民の意向というものを十分取り入れた手法を考えていかなければなりませんよ、こういうことを言っているわけでありますが、そこで、先ほどから問題にしております環境アセスメント、これも恐らく住民参加というものをどういうふうにとらえていくかということが一番大きな焦点になるのじゃないか、こういうふうに私は思うのです。細かい点については触れませんけれども、その中で非常に私は建設省についても考えていただきたいということが具体的にあるわけなんです。ちょっと読ましていただきますと、  (一)すべての公共事業には被害者が生じると自覚すること。  (二)公共のためとはいえ、特定の人々に特別の犠牲を強いることは不当だと考えること。  (三)計画に時間をかけ、事業を急がぬこと。  (四)計画に関する情報を公開すること。  (五)自治体がもつ“まとめ役”としての役割を重視し尊重すること。  (六)少数派を無視しないこと。  (七)事業を総合的都市改造の観点から考えること。  (八)交渉担当部局に広い裁量の余地を認めること。  (九)交渉担当部局では、部内討議を尽して、見解を統一すること。そして一番最後の方で、機関参画方式の焦点、これは「構造の制度化」である。それから、聴聞、交渉方式の焦点は「手続の制度化」である。こういうふうに結んでいるわけですけれども、私はこれを興味深く見たというのは、それぞれのところで問題が起きていますけれども、いろいろ行って聞いてみると、この係官が来たときはこう言ったけれども、こちらの係官が来たら今度はそれを否定したとか肯定したとか、同じ係官が来ても行き違いがあって、それがトラブルのもとになっているという例も非常に多いわけです。だから、ここのところの(八)、(九)で、ある程度のそういう「交渉担当部局に広い裁量の余地を認める」とか、それから「部内討議を尽して、見解を統一する」というようなことを指摘しているわけですよね。それから、一番後段のまとめのところへきて機関参画方式の焦点は構造の制度化だというのは、直接住民参加ということで審議会の中に入る、それをいま認めてないわけですけれども、そういう問題は制度化だと、しかし聴聞とか交渉方式でいまやっているような方向で住民の意見を十分、物を聞いたりまたは要求してきたものを取り入れていくというのは手続の制度化だと、こう言っているわけですね。したがって私は、これからいまずっと申し上げてきたような問題が非常に大きな課題になりますので、特に大きく公共事業を担当している建設省としては、このいまずっと申し上げてきた点を配慮していただきたいと思いますし、せっかくこんな厚いのをつくって先生のりっぱな文献があるわけでありますから、指標として対処していただきたい、こういうふうに考えております。
  210. 丸山良仁

    丸山政府委員 私も西尾先生の論文は読ましていただいたわけでございますが、いま先生がお挙げになりました九点は、いずれもこれからわれわれが公共事業を進める場合には心していくべき問題だと考えております。特に、いま先生お話のありましたような地元折衝に当たる場合に、個々の意見がばらばらであるというようなことではならないわけでございまして、そのためには、交渉に当たる職員のディスカッションを行いまして意見の統一を図るとともに、研修その他によっていろいろと教育することも必要でありますが、特に、折衝に当たる場合は責任者が当たるようなことも必要だと考えておりまして、これらの点は十分配慮して今後の公共事業の推進に努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  211. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、次に高速自動車道について若干お聞きしたいと思いますが、高速自動車道の現在の推進状況について明らかにしていただきたいというふうに思います。
  212. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  五十三年度を初年度といたします第八次道路整備五カ年計画におきましては、縦貫五道の概成を目途といたしまして、五カ年計画期間内に千三百キロメートルを新たに供用いたしまして、五十七年度末の供用延長を約三千五百キロメートルとする計画でございまして、五十四年度末の供用延長は二千六百二十六キロメートルとなる見込みでございます。五十五年度におきましては、関越自動車道東松山−前橋間など新たに二百五十四キロメートルを供用いたしまして、五十五年度末におきましては二千八百七十九キロメートルとなる予定でございます。これによりまして、第八次五カ年計画に対する供用延長の達成率は五三%というふうになる見込みでございます。なお、五十七年度までに目下のところ三千五百キロメートルの供用を達成すべく、今後とも事業の促進を図ってまいるという状況にございます。
  213. 中村茂

    中村(茂)委員 高速自動車道一つとらえてみても、いま御報告ございましたように、いずれにしても整備計画の中で供用区間が五三%程度、言えば半分しか実際には……。計画からいけば基本計画から整備計画というふうにいくわけですから、これから相当な財源も必要ですし、それから、先ほどからずっと言っておりますように、地元の意見を十分取り入れていくという対応も相当必要になってくるというふうに思うのです。  そこで、具体的な問題について一点お聞きしたいと思うのですが、実は、私ども当建設委員会が九州に視察に行ったときに、大分県の別府のところを走っております九州横断自動車道、このところで、基本計画どおりにいけばちょうど別府の湯の元になっている上を走るので、もう少し計画変更をしてもらいたいという陳情がありました。これは私どもが行ったときの、委員会に対する正式の陳情でありますから、その後、この計画変更の要求がどのようになって、現在どんなふうに落ちついているのか、明らかにしていただきたい。
  214. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  九州横断自動車道湯布院−大分間三十九キロメートルでございますが、四十八年十月に日本道路公団に施行命令を発しまして、五十二年三月三十一日に路線発表を行いまして、地元協議を進めてまいっておるところでございます。現在までに約七割の区間につきまして中心ぐい、約二割の区間について幅ぐいの設置を完了した段階でございます。  先生おっしゃいますように、路線発表後に、別府市内の一部区間につきまして、高速道路の発表ルートに対して、山側にルートを振るような要望がございました。これを受けまして、日本道路公団におきまして、地元提案の山側ルートに関し技術的な検討を重ねてまいりました。私どもといたしましても、地元の方が来られまして直接いろいろお話を承ったわけでございます。現実にいろいろ検討してまいりますと、関連道路への取りつけ、地質の問題、とりわけインターチェンジがちょうどトンネルの中に入るような形になってまいります。しかも、高低差が大変あるというような点さらに温泉源との関連等から考えまして、総合的に考えて、やはり原計画のルートが最も最適ではないかと考えておるところでございまして、この計画ルートにつきましても、地元の県知事、市長等ともいろいろ御相談申し上げまして、一応この原案でいかしていただきたい、いこう、こういうことになっておるわけでございます。しかし、高速道路自身地域にいろいろな影響も大きく、先ほど来出ております環境等の問題がございますので、いろいろそういった環境対策その他につきまして、今後とも地元の方々とよく相談申し上げながら進めてまいるよう日本道路公団を指導してまいりたい、かように考えております。
  215. 中村茂

    中村(茂)委員 個々の問題ですからまた違う機会にやりたいと思いますけれども、いま言われた中で私ちょっと納得できないのは、地元の人たちは、湯の元になるところをちょうど通るから、湯源を荒らすから違うところに変更してもらいたい、こういうふうに言っているわけですけれども、いまのお話では、もとの基本路線にしたところの方が湯元を守っていけるから基本路線の原案にしている、こういうお話ですけれども、そうなってくると、余りにも意見が開き過ぎていてよくわからないのですが、そこのところはどうなっているんですか。
  216. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  当地帯は、一帯が実はいま温泉源になっておるところでございます。これらを比較考量して、地質上の問題は別といたしましても、どちらが泉源上影響があるか、こういう点についてはむしろ原案の方がより影響が少ないのではないか、こういう判断でございます。  ただ、これは一つの要因でございまして、問題は、冒頭申し上げましたような地質上の問題、インターチェンジの接続の問題等、交通安全上の問題といったようなことが基本にはあるわけでございます。
  217. 中村茂

    中村(茂)委員 いまの問題はまた後で個々にいろいろお話ししたいと思います。  それからもう一点、これも個々の問題ですけれども、関越高速自動車道の上越線というのがありますね。これは基本計画については群馬県の藤岡から更埴市までは四十七年の六月、それから更埴市から上越までは四十八年の十月にそれぞれ決定になって、今度整備計画については藤岡から佐久市まで五十四年三月に一応計画決定がなされている。あと佐久市から上越までは整備計画がなされていないわけでありますけれども、この佐久市から上越までの整備計画についてはどの程度に作業が進んでいるのですか。
  218. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございました藤岡から佐久の間六十九キロメートルは五十三年十一月に開催されました国土開発幹線自動車道建設審議会で整備計画が決定されたわけでございます。現在日本道路公団が実施のための調査を行っている段階でございまして、調査がまとまり次第路線発表の段階になりまして、それから事業化、こういうことになるわけでございます。  佐久から上越の間でございますが、現在関東地方建設局及び北陸地方建設局において整備計画の立案に必要な計画線調査等を行っておるところでございます。佐久から中央道長野線に至る間及び長野から上越に至る間は大変地形が急峻な地域でございますし、また中央道に取りつける部分の問題、これは先生よく御存じの問題でございますが、連結位置等について幅広く実は検討を行っているところでございます。基本的な方向が固まりました段階で、生活環境、自然環境、文化財等に対するいわゆる環境影響調査実施いたしまして、これに基づいて次の段階に進めたい。つまり審議会にお諮りできるような段取りに取り進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  219. 中村茂

    中村(茂)委員 終わりの方の語尾がはっきりしてないんだが、次の審議会にかける準備を進めたいということでございましょうか。
  220. 山根孟

    ○山根政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  221. 中村茂

    中村(茂)委員 次の審議会はいつ開かれるのですか。
  222. 山根孟

    ○山根政府委員 現在のところまだ日程等は定まっておりません。
  223. 中村茂

    中村(茂)委員 予測としていつなんでしょうか。私も調べてみたわけですけれども、四十八年の十月までは、これは石油ショックのときなんですけれども、毎年開かれておりますね。それから四十八年以降ずっと開かれないで、五十一年の七月に三年もたって開いているのです。そして二年置いて、先ほど話がありました、五十三年の十一月に開かれている。五十一年からどうも二年置きになったような気がするのですが、そうすると五十五年の十一月ごろことし開かれるのではないかという気もするのですが、これは全然予測もつかないですか。
  224. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  実は高速自動車国道の建設のペースと申しますか、どういう進度で進めていくべきかということに関連があるわけでございます。五十七年度末までに三千五百キロメートルの供用開始をすることを目途に現在進めていると先ほど御答弁申し上げたわけでありますが、現在整備計画が立案されております区間、つまり、先ほど先生のおっしゃいました五十三年十一月の審議会までに決定された区間が五千四百十五キロメートルでございます。したがいまして、約五千四百キロということになりますと、五カ年計画のペースでまいりますと、現在年間二百六十キロメートルという供用の進度ということになりますから、もしこの建設のスピードを維持するといたしましても、五千四百キロを供用するということになりますとかなり先になるわけでございます。それと、環境アセスメント等を行いつつ事業実施をし供用を図れる、こういうタイミングがいかほどであろうかということになりますと、やはり整備計画が策定されましてから少なくとも十年程度はかかる、こういった問題、それと財政上の問題、そういった三者を見比べながらやってまいるということになろうかと存じますので、そういった点につきましていろいろ検討を進めてまいるということになりますと、やはりこの時期をいつ設定するかということは、諸般の情勢を検討しながら、また、調査の進捗状況を見ながらでないとなかなか結論が出せないという状況でございます。
  225. 中村茂

    中村(茂)委員 少し前に戻りますけれども、藤岡から佐久市までは、先ほどお話がありましたように、審議会の整備計画についての採決は五十三年十一月ですね。それから、整備計画がきちっと策定されたのが五十四年の三月だというふうに私ども聞いているのですが、この整備計画ができて実施計画ができるまで、普通でいくと何年ぐらいかかるのでしょうか。
  226. 山根孟

    ○山根政府委員 お答え申し上げます。  おおむね二年程度でございます。
  227. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  228. 北側義一

    北側委員長 次回は、来る二十二日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十三分散会