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貞家政府委員 実は、
株主総会の権限、
運営をいかにするかということは
議論が非常に分かれておりまして困難な問題だと思うのでございますが、ただいま御
指摘のような
改正試案の
内容になっておりますのは、これまた決定いたしたわけではございませんけれ
ども、これは別に総会屋対策という観点からそういう案が出たわけではございません。報告
事項になっておりますので、もし総会屋というものの弊害があるといたしますと、その点はこれによっては解消されないことになるのではないかと思うのでありますが、こういった案が出てまいりましたのは、
大会社におきまして大衆
株主というものが非常に多くなってまいりまして、
経営に対する関心も
一般に非常に薄くなっているというような現象が見られるわけでございます。非常に専門的な
事項につきましては必ずしも関心を持たないというような形になっているわけであります。そこで、この
試案の
考え方と申しますのは、
株主総会の権限というものを、つまり
株主総会において
決議すべき
事項は現在の
株主においても理解が可能であり関心を持ち得る面に限ることにしよう、その反面、その権限とされた
事項につきましては、これを理解させるための方法を講じ、権限を十分に
行使させようというねらいがあるわけでございます。
そこで貸借対照表、損益
計算書の作成あるいはその適宜の判断ということになりますと、非常に専門的技術的な知識が要求されるわけでありまして、それに対する細かい知識というものも、
一般大衆化した
株主に求めるということは必ずしも適当ではないのではないか。むしろ専門家である監査役の判断を得た上でこれを
株主に開示するようにする、そして
株主から取締役の責任追及を容易にするというようなことを
考える
方向で解決するのが望ましいのではないかという
考え方に立っているわけでありまして、貸借対照表、損益
計算書につきましては会計監査人及び監査役が監査すべきものというふうに
大会社についてはなっているわけでありますので、会計監査人の選任は
株主総会でやる、それから監査役につきましては複数の監査役、それから社外監査役というものを強制するということによって地位の
独立性を強化いたしまして、専門家による監査権限というものを強化していく。一方、
株主総会につきましては、
配当に直接関係のあります利益処分だけを総会の
決議事項といたしまして、その他につきましては、会計監査人、監査役の適法とする
意見があった場合におきましては、
取締役会限りで確定するということにいたします。と同時に反面におきまして、会計監査人の選任をする、それから、総会の招集通知には
会議の目的のほかに参考資料等を添付しなければならないというようなことにいたしますとか、
議決権の
行使を容易にするとともに、あるいはこれも
議論はございますけれ
ども、質問権、提案権というものをはっきり定めまして、
株主の権限の強化を一方では図ることにしよう、こういう
株主の権限の合理化と申しますか、本当に
株主として権限を
行使するにふさわしい
事項を
株主総会の権限とすることによって合理化していこうというのがこの
試案のもとになっている
考え方でございます。これが小
会社になりますと、やや様相が違ってまいりまして、
株主が少数でございますし、
同族会社その他におきましては、
会社の経理
内容につきましてもこれは熟知しているというような点がございまして、これについて
株主総会は権限を持たないでほかの専門家の
意見によるというような方法をとることは適当ではないというようなことで、
大小会社の区分をしているというのが、この
試案のような
考え方が出てまいりましたもとになる
考え方であろうと思うわけでございます。