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1980-03-04 第91回国会 衆議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年三月四日(火曜日)     午前十時二十五分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 津島 雄二君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 永末 英一君       久保田円次君    東家 嘉幸君       羽田  孜君    上田  哲君       春田 重昭君    岩佐 恵美君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      長田 裕二君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     下邨 昭三君         科学技術庁長官         官房会計課長  永井 和夫君         科学技術庁計画         局長      園山 重道君         科学技術庁研究         調整局長    勝谷  保君         科学技術庁振興         局長      山口 和男君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君         科学技術庁原子         力安全局長   牧村 信之君         科学技術庁原子         力安全局次長  宮本 二郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       児玉 勝臣君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 高峯 一世君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省理財局国         有財産第一課長 田中 泰助君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     山田 正美君         会計検査院事務         総局第一局長  岩井  毅君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団理事         長)      野村 一彦君         参  考  人         (日本原子力船         開発事業団専務         理事)     倉本 昌昭君         参  考  人         (動力炉・核燃         料         開発事業団理事         長)      瀬川 正男君         参  考  人         (宇宙開発事業         団副理事長)  鈴木 春夫君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    合田 昌文君         参  考  人         (日本原子力研         究所理事長)  村田  浩君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 三月四日  辞任         補欠選任   矢野 絢也君     春田 重昭君 同日  辞任         補欠選任   春田 重昭君     矢野 絢也君     ————————————— 二月二十六日  昭和五十四年度一般会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和五十四年度特別会計予備費使  用総調書及び各省庁所管使用調  書(その1)  昭和五十四年度特別会計予算総則  第十条に基づく経費増額調書及  び各省庁所管経費増額調書(そ (承諾を求  の1)             めるの件)  昭和五十四年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(その1) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管科学技術庁)〕      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管科学技術庁について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本原子力船開発事業団理事長野一彦君、日本原子力船開発事業団専務理事倉本昌昭君、宇宙開発事業団理事長鈴木春夫君、宇宙開発事業団理事合田昌文君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 高田富之

    高田委員長 それでは、科学技術庁長官から概要説明を求めます。長田科学技術庁長官
  5. 長田裕二

    長田国務大臣 科学技術庁昭和五十二年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十二年度の当初歳出予算額は、二千二百四十二億六千三百三十九万円余でありましたが、これに予算補正追加額五億五千百六十四万円余、予算補正修正減少額六十七億六千百三十六万円余、予算移しかえ増加額六千三十一万円余、予算移しかえ減少額二十四億七千六百五十三万円余、前年度からの繰越額二億九千二百十一万円余を増減いたしますと、昭和五十二年度歳出予算現額は二千百五十九億二千九百五十七万円余となります。  この予算現額に対し支出済み歳出額二千百三十三億四千四百四十七万円余、翌年度への繰越額二億九千四百九十一万円余、不用額二十二億九千十九万円余となっております。  次に、支出済み歳出額の主なる費途につきまして、その大略を御説明申し上げます。  第一に、原子力関係経費といたしまして一千百三十七億八千五百八十四万円余を支出いたしました。これは、動力炉・核燃料開発事業団における高速増殖炉及び新型転換炉開発ウラン濃縮技術開発ウラン資源の探鉱並びに使用済み核燃料処理施設整備日本原子力研究所における軽水炉の工学的安全研究核融合研究多目的高温ガス炉研究等各種原子力関連試験研究及び各種原子炉の運転、日本原子力船開発事業団における原子力船「むつ」及び定係港維持管理放射線医学総合研究所における放射線による障害防止及び放射線医学的利用に関する調査研究民間企業等に対する原子力に関する試験研究の委託、原子力安全行政強化等原子力平和利用促進を図るために支出したものであります。  第二に、宇宙開発関係経費といたしまして七百四十三億五千八百四十八万円余を支出いたしました。これは、宇宙開発事業団における人工衛星及びロケット開発並びに追跡管制施設等整備航空宇宙技術研究所におけるロケット等に関する基礎的、先行的試験研究のほか、種子島周辺漁業対策事業助成等のために支出したものであります。  第三に、海洋開発関係経費といたしまして十五億七千六百六万円余を支出いたしました。これは、海洋科学技術センターにおける海洋エネルギー利用技術等研究開発実施及び潜水シミュレーター等共用施設整備並びに国が同センターに委託して行った大陸棚有人潜水作業技術研究開発等のために支出したものであります。  第四に、試験研究機関関係経費といたしまして、当庁の付属試験研究機関のうち航空宇宙技術研究所金属材料技術研究所国立防災科学技術センター及び無機材質研究所における各種試験研究実施及びこれに関連する研究施設整備並びに運営に必要な経費として九十二億一千六百十七万円余を支出いたしました。  最後に、重要総合研究の推進を図るための特別研究促進調整費研究公務員等資質向上のための海外及び国内留学経費、理化学研究所、日本科学技術情報センター及び新技術開発事業団事業を行うための政府出資金及び補助金科学技術庁一般行政費等経費として百四十四億七百九十万円余を支出いたしました。  以上簡単でありますが、昭和五十二年度の決算概要を御説明申し上げました。  よろしく御審議のほど、お願いいたします。
  6. 高田富之

    高田委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。岩井会計検査院第一局長
  7. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 昭和五十二年度科学技術庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  8. 高田富之

    高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  9. 高田富之

    高田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  10. 井上一成

    井上(一)委員 まず私は冒頭に、「あやめ二号」打ち上げ失敗により、当局が何をこの失敗から学び取ったかということについてお聞きをしておきます。
  11. 長田裕二

    長田国務大臣 去る二月二十二日に実験用通信衛星二号を打ち上げました。打ち上げは順調にまいりましたが、静止軌道に入る直前におきまして通信が途絶をいたしました。その後行方不明、現在その状況を私ども把握することができない状況でございます。失敗いたしました。その詳細等につきましては、実は関係者がいま総力を結集しまして、原因等究明に努めているところでございます。
  12. 井上一成

    井上(一)委員 経過についてはもっと詳しく報告を求めなければいけないのです。  私の尋ねているのは、その失敗はどのような原因で、たとえばこういう点で反省をしているとか、こういう点は変えていかなければいけないとか、もっと基本的な問題について何か当局に受けとめ方がおありだと思うのです。そのことについてまず基本的な見解をここで聞かしてもらって、その上に立って質問を進めていきたい、こう思います。
  13. 長田裕二

    長田国務大臣 昨年打ち上げました一号に引き続きまして二号、実験用通信衛星失敗したということにつきましては、私どもも相当重大に受けとめているところでございます。それの原因究明はしっかりやり、これを今後の開発に十分生かしてまいらなければならない、そのような心組みでおるところでございますが、それらの詳細につきましては関係局長からお答えを申し上げたいと存じます。
  14. 勝谷保

    勝谷政府委員 私ども事態をきわめて重大に受けとめておりまして、事故発生後直ちに臨時の宇宙開発委員会を開催いたしました。現時点でつかんでおりますデータは必ずしも十分でございません。今後できるだけのデータを集めることにいたしておりますが、宇宙開発委員会といたしましては、直ちに関係の第四部会事故原因究明をいたすことになりました。さらにその部会におきましては、従来のメンバーに新たに専門の委員を追加いたしまして、すでに第一回を開いておりますが、関係データが集まり次第原因究明をいたしまして、その原因に基づきまして新しい宇宙開発計画検討見直し等をいたすことになろうかと思うわけでございます。
  15. 井上一成

    井上(一)委員 鋭意その原因については調査をなさる、そういう取り組みについては了とするのですけれども、現在つかんでいらっしゃる点で、報道されるところでは、アポジモータ故障だということになっているのですが、その辺についてはいかがなんですか。
  16. 勝谷保

    勝谷政府委員 決定的な原因は今後の究明を待たなければ明らかになりませんが、先生御指摘のように、アポジモーターを吹かしますまではあらかじめ検討されております理論値の中ですべて衛星は順調に運行いたしておりましたので、アポジモーター点火後八秒で消息を絶ったわけでございますから、アポジモータに問題があるのではないかということは、現時点で言える一つ原因でございますが、先ほど申しましたように、あくまでも原因究明は慎重にいたさなければなりませんので、断定的には申し上げられないのが実情でございます。
  17. 井上一成

    井上(一)委員 わが国衛星開発については、その大半がアメリカ依存をしているという。むしろ方針としては国産化を図らなければいけないという方針を打ち立てていらっしゃるわけなんですけれども、現在ではその比率というのでしょうか、どれぐらいの比率を持っていらっしゃるのですか。
  18. 勝谷保

    勝谷政府委員 大体の国産化率を申し上げますと、NIロケットにつきまして五三%、NIIロケットについて五〇%、これを将来は次の段階で八〇%ないし、六十年度当初にはできれば一〇〇%に持っていきたいということで、いま検討を進めておるところでございます。
  19. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、その原因究明一つをとらえても、アメリカから完成品を輸入している、その輸入した完成品については中身が十分わからぬ、そういうことで原因究明におくれを起こしているのじゃないか、こういうふうに思うのです。その点はどうなんですか。完成品について中身まで十分知っているんだということが言い切れるのかどうか、その辺をひとつお伺いいたします。
  20. 長田裕二

    長田国務大臣 導入する企業におきまして内容の十分な理解なしに盲目的に取り入れるということはないと存じますけれども、しかし、起こるべきいろいろな事態に対して、どういうふうにそれが作用していくか、機能していくかというところまで詳細に把握した上で取り入れているかどうかということにつきましては、仰せのような問題もあろうかと存じます。
  21. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、打ち上げに対する取り組みも、前回の「あやめ」の失敗を十分配慮した中で今回取り組まれただろうか、このことについてはどうなんですか。
  22. 長田裕二

    長田国務大臣 詳細につきましては担当局長からお答えいたしますが、前回失敗は、第三ロケットが推力を持ったまま、しかも横に移っていくという機能が十分作用しないままロケット自体に追突した、そのためにロケットが若干の故障を起こしてよろよろと動いたらしい。その点につきましては、今回は十分な措置がとられ、一応その面では成功しておったと思うわけでございます。しかし、アポジモーターにつきまして似たような事柄も起こっているということを考えますと、一〇〇%十分に前回のいろいろな問題を生かし切ったのかどうか、そこらはまだどうも問題もあるような感じもいたしますが、それも含めましての究明などが今後なされていく、そのように考えております。
  23. 井上一成

    井上(一)委員 ロケットそのもの技術革新技術開発というものも当然でございます。そのことについてもさらにお聞きをしますが、たとえば具体的に事業団では失敗危険性というものを常に配慮しながらこの打ち上げに努力をなさっているわけなんです。前回は、宇宙保険の中で打ち上げ保険というのですか新しい保険を契約しているわけなんです。今回はそのことすらやっていない、なぜやらなかったのか。あるいはまた、そういう点については十分な配慮が欠けておったのかどうか、この点についてどうですか。
  24. 勝谷保

    勝谷政府委員 先回の「あやめ一号」を打ち上げますときは、実はこのたび打ち上げました「あやめ二号」の予備機が製作されておりましたので、さらに需要官庁と申しますか、実際の衛星によってミリ波研究をいたします役所の方から、ぜひこの星の成功を図ってほしいという要望等も強く出ておりました。  一方、保険市場におきましても、その直前アメリカで三発打ち上げました気象衛星放送衛星通信衛星等によって成功いたしまして、保険市場としても一応日本で成立をいたしておりましたので、その際、次の予備機を打ち上げる費用だけを保険に掛けたわけでございます。ところが、このたびは、すでに予備機がございませんので、さらに、このような全額国庫負担実験機につきましては、アメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても保険を掛けていない実情等々を考えまして、このたびは付保をしなかったということでございます。
  25. 井上一成

    井上(一)委員 一部では、予算原案当局で、大蔵当局でこの保険予算については厳しい対応であったというふうにも報じられているのですけれども、そういうことはなかったわけですか。事業団としてまず保険に掛けることに取り組まなかったということですか。
  26. 勝谷保

    勝谷政府委員 仰せのとおり、先ほど申しました理由で事業団がそういう決心をいたし、科学技術庁にも相談がございまして、私ども、そういう方向がいいのではないかということで決定をいたしております。大蔵当局には別段そのような指示をいただいてもおりません。
  27. 井上一成

    井上(一)委員 数字的な、ただ単にこの失敗というものは経済面だけではないと思うのです。あらゆる意味で大きな影響があるわけなんですけれども予算的にはこの失敗によってどれぐらいの額が損失を受けたのか。
  28. 勝谷保

    勝谷政府委員 お答え申し上げます。  この関係事業費は約百三十九億円でございまして、その内訳は、ロケットが四十八億円、人工衛星が五十八億円、打ち上げ費用二十一億円、追跡管制費十三億円となっております。前回の百三十九億円と合わせまして二百七十八億円になるわけでございますが、先回の打ち上げ費の保険料によりまして、実損二百五十億円ということになっております。
  29. 井上一成

    井上(一)委員 私は特に指摘をしておきたいのは、基本的に自主開発に向けての取り組みをより強固なものに、あるいは予算も含めてより中身を充実していくのかどうか、ただ単にいわゆるアメリカ依存した形の中でこの問題に取り組むならば、これは今回が終わりであってほしいわけですけれども、またぞろ私どもが危惧するような事態が起こり得る可能性もあるということなんです。たとえばさっきの、その原因だと思われるアポジモーターそのもの故障も、国産化を目指して五十四年度三億五千万ですか、国庫債務が七億円、あるいは五十五年度で四億円、国庫債務六億円と、いわゆる予算の中でそういう方向が示されているわけです。しかしながら、完成品を輸入していたものですから、技術についても完成技術導入しているという、私らはそういう受けとめ方をしているわけなんです。だから事故が発生してもその応用性というのですか対応性が十分でない、そういうことがさらにわが国技術開発前進を阻んでいるのではないか、こういうふうに思うわけです。まだまだ日本のその技術分野が十分熟成してないと言い切ってしまえばそれまでなんですけれども、そういうことであってはいけないので、やはり取り組みそれ自身を基本的に見直すべきではないだろうか、こういうことなんです。これについて大臣いかがですか、お考えを聞かせてください。
  30. 長田裕二

    長田国務大臣 全体的な問題点の所在の検討もまだ詳細に済んでおりませんし、私十分に自信を持って申し上げ切れる段階に立ち至っておりませんが、将来完全自主開発ということを目指しておることは、もう私ども一同の共通した意識でございます。それを進めていく過程で、また習熟していない部門自信のない部門、そういうところにつきまして、アメリカを主とした技術導入をやりながらその目標に進んでいるという段階かと存じます。  なお、管制の問題につきましては、従来アメリカによって打ち上げてもらった衛星あるいはわが国によりまして打ち上げた衛星、そういうものが大体順調に運行しているということなども考えますと、地上からの管制関係機能につきましては比較的わが国のその施設は順調にしっかり動いているのではないか、そのように考えている次第でございます。
  31. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、私はむしろ大臣技術的な知識とかそういうものについて問おうとは思わないのです。やはり基本的なものをアメリカ依存というけれども、それは四十四年なりあるいは五十一年ですか、アメリカとの宇宙開発に関する協力関係の公文書が交わされているわけなんです。しかし、それだけに頼っておって本当にわが国宇宙開発というものが前進するのか、こういうことなんですよ。私は決してそれだけでは前進を見ることはできないのではないだろうか。もっと極端なことを言えば、予算の額だって、本当に宇宙開発に取り組むならもっともっとバックアップしなければいけないということですね。そして、もう一つは、五十三年にも宇宙開発政策大綱が示されているわけです。開発計画決定をされているわけなんです。しかし、今回の失敗を契機に一度根本的に見直す必要があるのじゃないか、こういうことが私の考えなんです。それについての大臣の所見は、そうなんだ、あるいはその線に沿って内部的に、あるいは事務当局がそういう方向検討を加えていくのだということなのか、あるいは四十四年に協定を結んだその当時の見解あるいは五十一年の口上書、そういうかっこうでアメリカ依存した形の中で進んでいくのです、これからも進むのですということなのか。そんなことをしておるから、管制技術導入した場合には、中身がわからぬから原因究明にも手間取るわけなんです。どうなんですか。
  32. 長田裕二

    長田国務大臣 宇宙開発につきまして、日本によります自主開発目標とし、それに進んでいることは先ほども申し上げたとおりでございます。ただ一方では、宇宙開発、その利用面ということもございます。通信衛星放送衛星気象衛星等いろいろでございまして、そちらの方もそんなにゆっくりはしていられない。早くその宇宙開発の便益を日本自体に還元をしたい、持っていきたいということもございまして、そういう面から見ますと、自主開発、みずからの手によってすべてやっていくということによる時間のおくれというようなことなども考えられますし、私ども自主開発目標としながら、非常に困難な問題等につきましての導入等もやりながら、利用面開発面、双方を調整しながら宇宙開発を取り進めてまいらなければならないような状態だと存じております。
  33. 井上一成

    井上(一)委員 三日ほど前の報道によりますと、今回事業団西ドイツとの技術協定に入ろうということを予定しているというふうに報じられているわけなんです。このことについては、このとおりなのかどうか、あるいはどういうことについて、どの分野において西ドイツとの技術提携考えていらっしゃるのか。
  34. 勝谷保

    勝谷政府委員 実は衛星分野における基本的な技術といたしまして、三軸制御の問題がございますが、この三軸技術わが国でマスターいたします方向といたしまして、コマーシャルベース民間がそれぞれ技術開発方向メッサーシュミット方向とか、RCAの方向とか、GEの方向とか、それぞれの企業がそれぞれの相手と技術提携なり技術の交換なりをいたしておるのが実情でございまして、各企業がそれぞれの技術を完全にマスターいたしまして、さらに私どもの方でも航空宇宙技術研究所等々でそのような研究をあわせていたす方向でございますが、官民相まちまして、その技術のマスターを図っているところでございます。その報道は、そのような民間の動きの一部が報道されているということでございます。
  35. 井上一成

    井上(一)委員 事業団それ自身は、西ドイツとの技術導入というものについてはまだ踏み切っていらっしゃらないということですか。
  36. 勝谷保

    勝谷政府委員 本件は、もともと日本のある衛星メーカーとドイツのメッサーシュミットとの間の話でございまして、事業団は、報告は聞いているかもしれませんが、直接の当事者ではございません。
  37. 井上一成

    井上(一)委員 これはアメリカ技術導入ではやはり一つの壁にぶち当たって、何かその奥にまで入り切れない、そういう物足りなさというのでしょうか、あるいは今回の失敗をもっとわが国技術的な向上に転化して、いい面での活路にこの失敗を取り戻そうということで、むしろアメリカ依存から、西ドイツの持つ優秀な三軸制御技術導入は歓迎すべきではないだろうか、私はこういうふうに思っているのです。  ただ、それは企業間での取り決めだとかあるいはそういう交渉だということで片づけられる問題じゃないと思うのです。これはやはり事業団なりあるいは政府機関十分てこ入れをしなければいけない問題だし、そういう意味で、どうなんですか、方針はお決めになっているのですか。あるいは従前どおりの方針で行くのだというのか、この際若干の軌道修正はやむなし、そういう上に立って詳細な検討を加えているのだということなのか、これを私は聞きたいのです。大臣からお答えをいただきたいと思います。
  38. 長田裕二

    長田国務大臣 どこのどういう技術導入するかということにつきましては、私はまだ十分なデータも持っておりませんし、この面につきましては、私ども宇宙開発の目的にどういうところが一番沿えるか、それらにつきましていろいろな角度から検討した上でまいるべきことだと思います。第一には企業側が、また第二次的には宇宙開発事業団検討の上で取り進めていくことだと思いますが、私どもはまたその推移を見守りまして、お説のように何らかの偏見に、たとえば従来のいきさつにこだわり過ぎたりして正しい道を踏み外すことがないような、そういうことにつきましては、大変抽象的で恐縮でございますけれども、そういう面では今後注視しながら進んでまいりたい、そのように考えているわけでございます。
  39. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、非常に頼りないのですよ、そういう方針は。今回の二百五十億に近い莫大な資金を失敗という形で終えてしまうということは、これはよくないと思うのです。そんな頼りない中途半端な考えだからこそ日本宇宙開発技術は進展しないのだと逆に言い切られるわけなんです。もっと極端なことを言えば、たとえばアメリカのコントロールによってわが国技術開発が制約されていくのだということでいいのかどうかということです。そんなことじゃ、ぼくは決していいとは言い切れない。大臣どうなんですか。あらゆる国の優秀な技術導入考えていかなければいかぬわけです。いかがなんですか。
  40. 長田裕二

    長田国務大臣 どちらがすぐれているかどうか、あるいはまた、どこかではわかっていることでも、日本にはなるべく知らさないようにして、タッチさせないようにしているかどうか、そこらにつきましての評価などはまだ十分ではございませんので、日本の当面は衛星打ち上げが確実に行われる、あるいはまた少し長い目で見ますと仰せのような自主開発が早く行われるよう、そういうようないろいろな観点を込めまして関係企業なり事業団なり、そういうものが進めてまいるように私どもは十分見守ってまいりたい。必要な場合にはあるいは私どもの意見を差しはさむことがあるかもわかりませんが、そのような基本的な姿勢で臨んでまいりたい、そう思っている次第でございます。
  41. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ大臣、もう一度確認をするようですけれども、私ども大臣も含めて専門的な技術知識というものはお互いに薄いわけです。そういう意味ではどこの技術がいいとか悪いとかいうことは軽々に判断もできません。しかし、優秀な技術はどこの国の技術であろうともわが国は喜んでそれを進んで導入していくのだ、そのことに対しては政府も積極的な姿勢で取り組むのだ、こういうふうに理解をしてよろしいですか。
  42. 長田裕二

    長田国務大臣 基本的には全く仰せのとおりだと思っております。もっとも従来どういういろいろないきさつがあるかどうか、そういうことについては、これはまたその際考慮すべき事項には入ると思いますけれども、基本的にまさに仰せのとおりだ、そのような心組みで進んでまいりたい。日本宇宙開発が早く確実に達成される、そして技術自主開発がこれまた早く進む、そういうような観点から対処してまいる所存であります。
  43. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、私の承知しているのでは、たとえば世界最大のアルミメーカーであるアルコア社に発注していた事業団がそのアルミ合金のインゴットにストップがかかった、そういうことでわが国開発がおくれる、あるいは取り組みがストップ、制約を受けていく、こういうことになると、アメリカの一方的な措置でわが国宇宙開発取り組みがおくれをなすということになりますと、四十四年度から宇宙開発事業団に投入してきた総額の予算四千九百三十三億二千五百万という多額な投下資金が十分な効果を出さずにむだな形で終わってしまう、こういうことなんです。そういう意味からもさらに取り組みの基本的な姿勢をここで考え直すべきである。そのことが今回の「あやめ二号」の失敗から受けとめる大きないい意味での成果。結果的には失敗したけれどもその失敗を福に転化する、いい方向に転化さすためにそういう考えを持っていただかなきゃいけない。もう一度、技術導入については私と全く同感である——今度は政府自身取り組みは、私が指摘したような、あるいは私の考えているようにこの「あやめ二号」の失敗をいい方向に転化さそう、それは基本的に見直しをしていくんだ、その見直しは即もうアメリカからは全然手も出さないんだということを決して意味するんじゃないんですよ、私は。もう極端にアメリカのかさの下というのでしょうか、アメリカのフィールドというのでしょうか、そういう中だけの動きではなく、もっと広い分野から技術導入しあるいは協力していく、そういうことを基本的に変えていく、そういうお考えを持っていなければぜひ持ってほしいわけなんですし、持っていらっしゃるのならばそういう方向に進むのだ。個々の問題についてはいろいろ技術的な問題がありますから、基本的な方向としていかがでございますか。  それともう一つ、あわせて大臣に。危険性を常にはらんだ中での実験ですからその保険取り組み、私は何も保険を掛けなさいということをここで申し上げるのでもないのですけれども、やはり大事な国家予算を使ってこういうことに取り組むのだから、万が一にでもその失敗の折には被害を最小限度に食いとめられるように、損失を最小限度に食いとめられるような措置も講じておかなければいけないんじゃないだろうか。今後のそういう取り組みもまずは基本的な問題、そして具体的な一例として取り組みを、そこの二点について聞かしておいてください。
  44. 長田裕二

    長田国務大臣 開発の仕方、各方面からの導入の仕方等につきまして基本的な考え方は先ほど私が申しましたとおり、あるいは先生の御所見に同感でございます。ただ、先ほども申し上げましたように、従来の沿革の中に考慮しなければならないようなものがあるとすれば、それはそれなりに考慮を要するだろう、そういうふうに思っておりますが、詳細につきましては、担当局長からお答えいたします。  保険の問題につきましては、危険度が高いということはそれぼけ保険料も大変高いということになりまして、従来国の施設につきましては、余り保険を掛けておらないわけでございます。事業団のもの、あるいはまたそれに類するものということにつきましての方針につきましては、ただいまの御意見は十分私どもとして心してまいるべきことだと思いますが、全般の方針との絡み合わせで、さらにこれからの私ども検討事項とさせていただきたいと思います。
  45. 勝谷保

    勝谷政府委員 補足的に説明させていただきます。  先ほど先生御指摘のアルミ鍛造材の問題でございますが、実は宇宙関係の部品、完成品等々の輸入につきましては、日米通商航海条約の中で定められておりまして、この種のものについては米国からの輸出許可をとって輸入をすることになっております。その中で従来の部品はそのままで輸入ができていたわけでございますが、私ども、先ほど申し上げました最終段階への純国産のロケット開発をするために一部このアルミ鍛造材を第二段のタンクの素材として輸入をいたそうとしたわけでございます。ところがこれがあらかじめアメリカとの間で約束をしておりました協定外のものでございましたので、アメリカ側からどういうことでしょうかという問い合わせと同時に許可がしばらくおりなかったものでございます。この問題もその後相互に話し合いを進めまして、昨年の十月からの話し合いで米国側はわが方の方針を了とし、この当該品物が輸入されるということになっておりまして、その後は順調に作業が進んでいるのが実情でございまして、米国との関係ではこのように、あるものは現在の日本技術実情からいってブラックボックスの形で輸入をいたしておりますが、たとえばこのたび種子島で打ち上げをいたしますとき、ロケットのフライトコントローラーが実は必ずしもうまくいってないことが発見されまして、予定の日を繰り延べました。そのときに本件は、いわばブラックボックスに相当するものでございますが、直ちに日本側でその内容を開きまして米側の技術者と一緒に日本サイドでちゃんとしたものに組み直しまして、ロケットに関する限りはりっぱに打ち上げたということ等もございます。そのように、わが方の技術の進歩とともにアメリカサイドの技術を逐次わが方に公開してくれているのが実情でございます。私ども、できるだけ早く自国の技術開発力を高めまして、対等な立場で技術の交換ができるようにいたしたいと思っております。その意味では先ほどからお話しございましたアメリカのみならずヨーロッパの技術等もあわせて輸入をすることによって開発を進めてまいりたいと思っておるわけでございます。  さらに保険の問題につきましては、今後も政府の予算で一〇〇%いたすものは、これは純実験用のものでございますので、予備機がありますときはその関係予備機について国の予算で手当てをするか付保するかをケース・バイ・ケースで決めたいと思っておりますし、そろそろ民間の金が入ります実需要段階に入りますと、民間は実需要でございますから必ず打ち上げなきゃいかぬということで、その分については付保されるということになるのではないかと思います。それとともにわが国においてもこの衛星分野における保険制度が逐次確立されていくのではないかと私ども期待をしておるわけでございます。
  46. 井上一成

    井上(一)委員 いまの答弁で少し理解もできるのですけれども大臣、国の施設等については大体保険なんてかけておらないという、そういう発想というものは私はよくないと思うのです。国のものであるから、これは国民全体のものですから、より大事にしなければいけない。もし万が一そこに危険性があるなら、その危険性を少しでも支える、保障できる何かの策を講じていかなければならない。失敗したらまた次をつくったらいいんだという安易な発想がその背景にあるのじゃないか。これはちょっと大臣考えを変えてもらいたい、こういうふうに思うのです。そのことはいまの政府委員の答弁でわかりました。  余り時間がありませんが、私はさらに具体的な問題を一、二尋ねておきたいと思うのです。開発事業団開発計画の中で、特に私自身ロケット開発手順というものについて、フェーズAからEまであるわけですけれども、その設計段階での基本設計の中で十分な取り組みをここでやっておくべきではないだろうか、ここが大事じゃなかろうか、こういうふうに思うのです。そういうことについて、ひとつ当局考えを聞かしておいてください。  さらに、五十二年度においての出資金、いわゆる補助金ですね、この不用額が大分出ておるわけなんです。決算審議に当たって当然これは為替レートの変動等によって生じたものか、あるいはその他の理由で不用額が出たのか、この点について。  それから、やはり打ち上げについては、周辺漁民の対策費というものがここに起こってくるわけです。そういうことについては十分なされているのかどうか。  さらに、共同利用の施設設置事業、このことはもうすでにそれぞれの自治体、県の段階で要望が政府になされていると思います。鹿児島県、宮崎県、大分、高知、愛媛、広島等、そういう漁協関係施設等について、五十一年度から五十四年度までは広島を除いてそれぞれの県に助成を行ってきたわけですが、さらに五十五年度から五十九年度まで助成措置を延長してほしい、こういう強い要望があるわけです。恐らく、当然延長されるべきでありますから、延長されるというふうに理解しますが、このことについてもひとつ十分な対応をされるお考えをここで聞いておきたい、こういうふうに思います。
  47. 勝谷保

    勝谷政府委員 第一の、基本設計のところから日本で十分な技術を持たなければならないではないかという御指摘につきましては、御指摘のとおりでございまして、わが国の各衛星メーカー等々の基盤を背景に、宇宙開発事業団で十分なそのような能力を持つように進めているところでございます。逐次その基本設計の段階を国内で進めるようにいたしているところでございます。  第二に、不用額が立っている点は、まさに御指摘のとおり為替レートの問題でございまして、すべて不用はそのような原因から出ておりますが、一部人件費等で不用が立っております。これは当初と違う点で、ささやかでございますが不用が立っております。  さらに、漁協に対する助成の問題でございますが、これも御指摘のとおり予算要求をいたしまして、今後五カ年間続けてまいる方針でございます。
  48. 井上一成

    井上(一)委員 私はもう一点、ひとつ大まかに尋ねておきたいのですが、宇宙開発と同時に、海洋開発というものの重要性があるわけです。とりわけわが国は海に囲まれた、いわゆる世界でも非常に多面な、二百海里時代に入って、国土の十二倍以上も海域を持つそういう国に置かれているわけですから、そういうことを考えれば、海洋開発について十分な対応がなされるべきだ。とりわけこれまでは予算の上では非常にその取り組みが後進的である、こういうことです。深海開発については特にそういう点が見受けられるわけです。もちろん技術的な面も含めて、今後の取り組みをひとつここで聞かしていただいて、私の質問を終えたいと思います。
  49. 長田裕二

    長田国務大臣 海洋開発の問題は、御指摘のように、将来の日本にとりまして特に重要な問題だというふうに考えております。海洋関係は、漁業とか運輸とかいろいろ広い面も持っておりまして、それぞれが伝統を持ったりいたしまして、またそれぞれがいろいろ多くの問題を抱えているわけでございますが、科学技術庁が主として担当しておりますただいまの深海調査施設、あるいは三百メートル程度の潜水作業をし得る施設、そういうようなものの開発を強力に進めまして、さらに深海については引き続き六千メートル前後の深海での調査ども十分でき得るような体制を整えて、アメリカ、フランスなどにただいまのところ若干おくれております海洋開発のその面におきます研究開発を強力に進めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  50. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、私はさっきの宇宙開発でも指摘をしたのですけれども、ただ単なるちょびちょびの取り組みでは間に合わない、あるいはそれでなくてもこの面においては後進的位置づけにあるわが国はさらにおくれをとる、おくれてしまう、そういうことで、ただ単なる既成概念での予算編成ということよりも、思い切った予算をこういう分野に投入すべきである、そういうことが将来におけるわが国の発展というものが裏づけされるんだ、そういうことから非常に取り組みがまどろっこしいというのでしょうか、われわれの方から言えば。そんなことでどうするんだ、もっとしっかりやらなければいけないではないかということを言っているわけです。だから、もう宇宙開発での技術導入、海洋開発での技術導入、それがそのことによって国産化に踏み切るきっかけになったんだとか、もっともっとしっかりと政策を基本的に位置づけて取り組まないとだめだ、こういうことなんです。  もう一度そのことについて、そういう気概を持って今後予算折衝もやり、あるいは五十六年からでも、五十五年はもう何ですけれども、そういうことに取り組むんだ、あるいはそういう考えで海洋開発宇宙開発と同じように——もう遅いのですよ。私から言えばこんな時点にこんなことは遅いので、もっともっと三年も五年も前にこういう問題が論じられなければいけないし、そういう取り組みがなされなければいけない、そういうことを指摘しているわけなんです。  もう一度お考えを聞かしてもらって、今度はこれでやめておきます。
  51. 長田裕二

    長田国務大臣 海洋開発につきまして、先日海洋開発審議会の非常に広範にわたる、また希望多き豊かな内容を込めました答申がなされまして、ただいまそれらにつきまして関係省庁の間でも連絡会議を設け、対応を打ち合わせているところでございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろなところで従来の伝統なり実績なりを持っているということから、若干事務的な形での取りまとめ推進という面につきまして迫力を欠くうらみがないとはいたしません。そういうような意味合いも込めまして、少し新たな構想で広い視野から政府全体として取り組んでいく体制が必要ではなかろうか、そのような考え方でただいま事務的な打ち合わせの推移をも見守りながら、いつの日かそういう広い展望に基づく気魄のこもった体制をつくらなければならないのではないか、そのように考えておる次第でございます。
  52. 高田富之

    高田委員長 新村勝雄君。
  53. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 私は、最初に長官にお伺いをしたいのですが、現在の日本の科学技術の水準は先進国の中でどの程度の位置にあるのか、それをまずお伺いいたします。
  54. 長田裕二

    長田国務大臣 非常にむずかしい御質問でございますが、日本の国柄といたしまして、科学技術の水準を引き上げてそれを産業に移し、優秀な製品を適正価格で世界に供給する、そして民族がそれによって生きていかなければならない、そういう国柄からいたしまして、科学技術というものの推進が非常に大切だということは私ども常日ごろ考え、それの推進にいささかでも資するように努力しなければならぬと思っておりますが、どの程度の水準かと申しますと、部門によりましていろいろ違いまして、自動車とか精密機械とか電子関係などにおきましては、もう世界一流と言ってもよろしいかと思いますし、あるいは巨大な輸送機とか原子力とか宇宙とかそういうような問題につきましては、そういうことがなし得ない国も数多くあるわけではございますし、日本はかなり進めているという点では相当の評価がなされると思いますが、まだ第一流というところまではいきかねるのではないか。さらにまた、繊維とか合板とか、物によりましてはそんなに進んでいない、日本が十分な精力を持って取り組んでいるのかいないのかというような問題などもございまして、いろいろ部門によりまして違いますが、総体として見ますとかなりいいところまで来ている。相当高度なりっぱな製品もつくっている。われわれがいましばらく知恵と気力と資金とを投入して努力を続けるならば、いろいろの面で第一流のところまで達し得る可能性も十分持っている、そのように考えております。
  55. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 長官のお話のように日本はこれから科学立国といいますか、科学で基本的には国の経済を支えていかなければいけない、そういうような方向というか運命にあると思うのですが、そういう点から、一流とは言えないけれどもほぼ世界のトップレベルに近づいておるというようなお話でございました。  現在の日本の水準まで到達をするのは、いままでの国民の努力によってどうやらできたわけでありますけれども、あとトップから若干離されているそのおくれを取り戻して、完全にあらゆる分野でトップの地位を獲得をするということはなかなか大変だと思います。そういう点からして、日本の科学技術研究体制というか科学技術行政というか、これの確立をしていかなければいけないと思うのでありますけれども、どうもわれわれの見るところでは現在の日本の科学技術行政——科学技術研究そのものはこれは研究者がそれぞれの分野で真理の探求をするわけでありますから、その分野については政治権力の介入はないと思いますけれども研究を安心してやってもらうためには予算が必要である、あるいはまた機構が必要であるということで、科学技術行政は非常に重要なウエートを持つと思います。そういう意味での日本の科学技術研究体制の体系、これは必ずしも現在十分なものではないというような印象を受けるわけであります。そういう点についての長官の認識といいますか、御感想はいかがでございますか。
  56. 長田裕二

    長田国務大臣 大変むずかしい御質問だと存じますが、体制の問題としましては科学技術行政の取りまとめを私ども科学技術庁が責任を持たされておるわけでございまして、またいろいろな科学技術推進を図りますために原子力委員会原子力安全委員会宇宙開発委員会等を初めいろいろな委員会もございます。あるいはまたさらに最高機関として科学技術会議とかあるいは審議会とか、そういういろいろなものが数多くございまして、それらの機関が比較的活発に動いている、また相当の権威を持ち、世間にも高く評価されている。そういう意味合いにおきまして、私は、日本の科学技術行政の機構の面は決してこれで十分だとかなんとか申すつもりはございませんが、それぞれその機能を相当果たしており、また、これからも果たし得るような情勢にだんだんなってきているというふうに考えるわけでございます。  それから、ただいま御指摘のございました研究費につきましては、これはまだまだ十分とは申せないのではないか。国民所得との比較から申しまして、現在の日本の科学技術研究に対します投資は二・一%だ。ソ連が四・五八%、アメリカがたしか二・五%ぐらい、西ドイツが二・六%ぐらいのような状況でございまして、総体としましてもう少し、私どもとしては二・五%ぐらいを当面の、遠い将来とは申しませんが、当面の目標として研究投資の額をふやしてまいりたい。特に日本の特徴としまして、ほかの国々では、自由諸国におきましても国と民間が大体半々ぐらいずつ出しておりますのに、日本では国の研究投資といいますか、国が支出する研究費は三〇%に満たない。民間の方が七〇%以上出して今日まで来ている。しかも民間の方は、今後の経済情勢によりまして、いままでのように多くのものを、多くの比率を出し続けていけるかどうかということもだんだん問題になってまいりますので、もう少し国の積極的な研究への投資、経費の支出、こういうものを今後私ども実現していくように努力してまいらなければと、そのように思っておるところでございます。
  57. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 長官が科学研究の元締めをなさっておる。そして最高機関としては科学技術会議があるわけでありますけれども、これは総理が議長ということでありますが、この科学技術会議というのは、これは執行機関ではないのですね。これは総理の、あるいは政府の諮問機関だと思いますが、そういう点からして、長官がすべてを統括をされるといいましても、たとえば文部省の傘下には膨大な研究機関、あるいは日本の大半の頭脳もそこに集まっておられるわけであると思いますし、また各省には各省にそれぞれの研究機関があるわけでありますから、それらの各省庁に付属しておる研究機関と、全体を統括し調整をするという長官の権限との間の調整が、これは必ずしもうまくいっているのかどうか、その点疑問なわけでありまして、この際、諮問機関たくさんございますけれども、執行機関としての、行政機構としての科学技術の体制を再検討する必要があるのではないか。現在のような形をどこまでもやっていくことが日本の最高の科学技術可能性を引き出すために果たしていいのかどうかというようなこともありますけれども、その点はいかがでしょうか。
  58. 長田裕二

    長田国務大臣 御指摘のように、文部省は科学技術につきましても教育研究部門を担当しております。また、産業との結びつきの関係では、通産省、農林省、運輸省あるいは郵政省等、それぞれ関係の深いところもございまして、政府機関内部だけに限ってみましても、科学技術庁がすべて取り仕切るというわけではございませんが、総体としての調整的な役割りは果たしておりますし、また予算要求等につきまして重複を避けるための調整とか、あるいは順位をつけていくとか、そういうような調整機能はやっているところでございます。現在、理想的な形で動いているかどうかということにつきましては、まあ若干いろいろな問題はありますが、現在の体制のところでは比較的順調に動いているのではないかと思います。もう行政機構全体を込めまして日進月歩の状態でございますから、新しい情勢、新しい事態に絶えず即応しながら見直しをするということは必要だと考えておりますし、そのようにも今後私どもも心がけてまいりたい、そのように思っております。
  59. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、研究開発を進める上においての行政的な系統について、たとえば文部省の研究開発の機構に対して長官は直接これを指揮、命令をするということができるのかどうか。その場合に文部大臣とどういう協議をされるのか。また、ほかの省庁の研究機構とのそういう面での調整はどうされるのかを伺いたいと思います。
  60. 園山重道

    ○園山政府委員 お答えいたします。  先生御質問の文部省との関係でございますが、科学技術庁の権限、任務の中では、大学の研究に関するもの及び人文科学のみに関するものは範囲外として除かれておるわけでございます。したがいまして、先生御指摘のように科学技術庁が直接大学等の研究等についていろいろ申し上げることはできないわけでございますが、ただ、先ほどもお話の出ました科学技術会議、これは大学等も含めまして日本の全体の科学技術につきまして基本的な政策等を考えることになっているわけでございます。したがいまして、科学技術会議で出されます——五十二年にも十年間を見渡した科学技術政策の基本計画的なものをお出しになっておりますけれども、こういうものは日本全体に通用するものと考えておるわけでございます。  また、関係各省との関係につきましては、科学技術庁といたしましては全般的な科学技術に関する事務の総合調整等の任務、権限を持っておりますし、また、具体的には科学技術関係予算の見積り方針の調整というような権限もあるところでございます。こういった各種の手段、科学技術会議を初めとする科学技術庁そのものの権限、手段等を活用いたしまして、国全体としての科学技術研究開発が円滑に有効に進むように努力をいたしておるところでございます。
  61. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 科学技術会議の結論なり方針なりを各省庁に指示をするということのようでありますけれども、それならば科学技術会議、これは名前そのものがいいか悪いかは別として、科学技術会議を行政機構として確立をするというお考えはございませんか。
  62. 長田裕二

    長田国務大臣 行政機構ということになりますと実施の責任まで負うということになりまして、私は、個人的な見解でございますけれども、むしろ科学技術会議のようなものは、実施の端末のことまでは余り考慮しないで、大きな高い立場から、遠い視野のもとに、奔放と言えば行き過ぎでございますが、ときにはある程度思い切った提言などもしてみんなを引っ張っていく、そういうような機能が大変重要ではないか、そのように考えているわけでございます。
  63. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、もう一つですが、国の科学技術研究に対する予算が現状ではきわめて貧弱だと思います。そしてその内容も民間よりははるかにおくれているということでありまして、これでは科学立国を目指す日本としては大変お寒い現状だと思うのでありますけれども、これについてはやはり飛躍的な増強をしなければいけないと思いますし、特に民間よりもはるかにおくれているということは、これは一つの問題だと思います。民間研究というのは、各企業が、国家的な利益ということも考えるのではありましょうけれども、何といっても自分の企業の繁栄ということを考えるわけでありますから、したがって、研究開発についても、企業秘密ということがありましょうし、研究の過程であるいは成果についても公開しない場合が非常に多いと思います。したがって、研究そのものが閉鎖的になる、孤立的になるということでありまして、科学のあり方に反する行き方をとらざるを得ないというのが各企業のめいめいやっておる研究だと思うのです。そういう点からして、基本的な立場としては、国が十分に予算をとって国の立場で科学を進めていくということでなければ、国家百年の科学技術行政あるいは国のそれに対する対応の態度とはいえないと思うのですけれども、そういった点で、長官、先ほど努力されると言っておりますけれども、この点についての決意を伺いたいと思います。
  64. 長田裕二

    長田国務大臣 日本の場合に国の比率が比較的低いという問題は、あるいは軍事的な研究というものが余りない、なくて済んでいると申しますか、ないかあるいは非常に少ないということもあるかと存じますが、しかし、これから私どもが立ち向かわなければならない、組り組まなければならないたとえば核融合などにつきましても、実験炉をつくるまでにも四兆円もかかるとか言われているような、そういう巨大な新しいプロジェクトというものをやり遂げていかなければならないことなども考えますと、仰せのように、私どもは国の占める比率あるいは絶対額をもっと相当増大させなければならない、そのような覚悟で関係者一同取り組もうとしている次第でございます。御鞭撻のほどをお願いいたします。
  65. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 長官、ひとつ一大決意をもってこれを遂行されたいと思うのでありますが、お願いします。  それから、次にお伺いしたいのは、いろいろ問題になっております原子力船「むつ」の問題でございます。  「むつ」の建造及びその後のいろいろな経過がございましたけれども、それらに対して国が総額幾らの投資というか、金をお使いになったか、それをまずお伺いいたします。
  66. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  昭和五十三年度末までの投資額といたしまして、二百六十一億八千万円でございます。
  67. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そのうちで「むつ」は最初に大湊港におりまして、放射能漏れを起こし九州に回航されたわけでありますが、大湊港におって事故を起こした。それから、事故に伴ういろいろな補償等もあったと思います。それから、青森県におった段階での経費、それから回航に要した経費、それから佐世保に入ってから現在までの経費と、これを分けて伺いたいと思うのです。
  68. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 まず放射線漏れ事故を起こしまして以降大湊港に係留中に支出された経費でございますが、総額六十一億五千万円でございます。その内訳を申し上げますと、船体の「むつ」及び陸上施設維持管理のために約八億円、それから遮蔽改修あるいは安全性の総点検のための支出が八億七千万円、そのほかに一般管理運営費等四十四億八千万円。以上、合計六十一億五千万円でございます。それから大湊から佐世保に回航するための費用でございますが、これは約六千万円を要しております。その主なものは、佐世保港におきます接岸の岸壁にモニタリングポストを設置する費用二千六百万円ほか、「むつ」の熱料であるとかあるいは補助ボイラーの整備等々の費用でございます。
  69. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そして現在は佐世保重工の岸壁に係留されていると思うのですけれども、そうしますと、佐世保に入港したその手続ですね、地元とはどういう関係になっておるのか。それから、佐世保重工と事業団との係船についての契約、あるいは今後どういうふうにして修理をし、その機能回復をしようとするのか、それらについて伺います。
  70. 野村一彦

    ○野村参考人 お答えいたします。  五十三年の十月に佐世保に入りましたときには、地元の県、市、それから国すなわち科学技術庁、私ども事業団、長崎県の漁連、この五者でいわゆる五者協定というものを締結いたしまして、そして佐世保港で修理をするという約束をいたしました。それから佐世保重工との間におきましては、その当時から、入港いたします前から佐世保重工といろいろ折衝をし、佐世保重工もこれの修理をするということでやっておったわけでございますけれども、文書の契約というものはございませんで、実質的な合意はあったわけでありますが、佐世保重工において修理をするということで交渉を進めました。その後、昨年すなわち五十四年の六月ごろになりまして、佐世保重工の方から、自分の方が主契約者であることを辞退したいということでありましたので、当初は佐世保重工が主契約者で原子炉部分は三菱でやっておりましたが、主契約者がかわりまして、石川島播磨が船体、それから原子炉は三菱ということでやるようにしまして、両者との間でいま折衝を進めております。  それから、係留等に伴う費用につきましては、これも昨年の七月に七年ぶりでドック入りをしましたので、そのドックの入渠工事の契約と、それから岸壁等を使用いたしますので岸壁使用の契約等をやりまして、事務的にほぼかたまった金額にまとまったわけでございますけれども、最終的な契約締結に至りませんで今日に至っておる、こういう状況でございます。
  71. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、大湊を出港して佐世保に回航されたわけでありますけれども、その段階では、まだ行き先の佐世保重工とは細目についての協定は何ら行われていなかったということですか。
  72. 野村一彦

    ○野村参考人 私ども事業団といたしましては、回航に先立ちまして佐世保に連絡事務所をつくりまして、そこに職員を若干派遣をいたしました。佐世保重工の方でも「むつ」改修室という組織をつくられまして、そこと実質的に打ち合わせをしましていろいろ準備は進めたわけでございますけれども、これこれの条件で佐世保重工で工事をするという文書上の契約はございませんでした。
  73. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 佐世保重工はその後経営が大変悪化したということも言われておりますけれども、その経営の内容、それから佐世保重工が持っておる技術水準、それらについての検討はなされなかったのか。それから佐世保重工が当面の対象ではなくなったということでありますけれども、当初からそういうことが予想されていたのかどうか、全く将来の展望もなしに船をあそこへ持っていったのかどうか、そこらの事情をひとつ伺いたいと思います。
  74. 野村一彦

    ○野村参考人 最初、回航いたしますときには文書による合意はございませんでしたけれども、実質的には佐世保重工が船体部については主たる契約者となり、原子炉は三菱ということで契約をすべくいろいろ下交渉は進めておりました。したがいまして、回航いたしましたときにも、回航の直後に当時の科学技術庁長官が佐世保に参られまして、私もお供いたしたわけでございますけれども、県知事、市長、それから佐世保重工の社長にもお会いをして、そして佐世保重工での工事をよろしく頼むということで、それではやりましょうということでございましたが、御案内のように佐世保重工も再建途上の問題をいろいろ抱えておりまして、その後折衝した結果、佐世保重工の方から主契約者をおりたい、かわりまして石川島播磨の方が一定の条件でやりましょうということでございましたので、主契約者が交代をしたということでございます。
  75. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 佐世保重工が主契約者の座をおりたいと言ったのはいつの時点ですか。
  76. 野村一彦

    ○野村参考人 五十四年のたしか六月に、一応向こうから文書——必ずしも正式な文書とは言いかねるのですが、文書をもってそういう意思表示がございましたが、それが最終的に石川島播磨にかわりましたのは、私の記憶ではたしか九月ごろだったと思います。
  77. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうするとそれは前社長のときだと思いますが、当時の社長はどなたですか。
  78. 野村一彦

    ○野村参考人 五十三年に「むつ」が入港しましたときから現在の社長でございますので、その主契約者がかわりましたときも、もちろん現在の社長でございます。
  79. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 伝えられるところによりますと、佐世保重工の社長の就任については、政府がかなり肝いりをして奔走されたというようなことも聞いておりますけれども、それは「むつ」との関係を配慮されたのであるかどうか、これは長官からひとつ伺いたいと思います。
  80. 長田裕二

    長田国務大臣 私がいままで聞いておりますところでは、佐世保重工が非常に経営困難に陥った、地域産業の振興、そのような観点から坪内氏が社長に選ばれた、そのように伝え聞いておりますし、また本人に会いました際も、自分が佐世保重工の社長を頼まれたときには「むつ」の話は全然出ていなかった、なった後で「むつ」の問題があるということを初めて知った、そのように申しておりました。
  81. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 事実の経過を見てみますと、佐世保重工の経営悪化、あるいは引き続いてストライキがありましたね。ああいったことが「むつ」の総点検あるいは修理にかなりの影響を与えていると思いますね。その影響を与えている程度はどうお考えになりますか。
  82. 長田裕二

    長田国務大臣 労使関係のことで、私ども、余り立ち入ることははばからなければと思っておりますが、「むつ」の問題という観点から見ますと、私ども大変残念なことだったという感じがいたしております。もっとも、労使関係の問題がなければすべて順調にいったかどうかということは、これは全く仮定の問題でございますから何とも申せませんが、私ども、あの労使の紛争が続いております期間、少なくともその期間は「むつ」問題についての進捗が見られない、見ることが困難だ、そのような意味から、一刻も早く円満解決してくれることを切望しておったことは事実でございます。
  83. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 会社の再建については政府がかなり肩入れをされて、社長が就任をされたわけですね。ところが労使紛争についても、これは私どもの見るところでは、会社当局の労務政策の失敗あるいは会社の経営の失敗が大きく影響していると思うのですがね。そうしますと、政府としてはその点についても責任をとらなければならないと思いますし、また、それによって「むつ」の総点検や改修についてもかなり影響を与えたと思われるそういう経過からしても、政府はこの問題についてどういう責任を感じておられますか、それともどういう認識を持っていらっしゃいますか。
  84. 長田裕二

    長田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、労使の労働条件等に関する等、その他の事情もあったのかもわかりませんが、そういうようなことなどを中心としましての紛争でございますから、直接私どもがそれについてどうこうというようなことは、気持ちは先ほど申したように一刻も早く解決してくれることを切望しておりましたけれども、実は差し控えておった次第でございます。
  85. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしてその間「むつ」の修理については進行は全く見ないですね。どうですか。進行しておりますか。
  86. 野村一彦

    ○野村参考人 佐世保におきます「むつ」の遮蔽改修及び総点検につきましては、もちろん、その本工事の契約ができませんとなかなか進まないわけでございますけれども、まず総点検につきましては、部分的にハードウエアの点検とか、あるいはいろいろ機器の点検それから試験というようなものをやっておりますし、それから「むつ」の修理につきましては、設計を進めて勉強するということでやっておりますが、まだ本格的な着手には、特に修理については至っておりません。
  87. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 佐世保に行ってから相当の時間がたつわけですけれども、いまだに実質的な点検、修理が進んでいないということでありまして、これは大変残念な事態であります。そしてこれが、修理が済んだ後に果たして「むつ」の母港をどこにするのかということについてもまだ決まっておりませんか。
  88. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 佐世保に回航するに際しまして、母港問題というのはすでに問題であったわけでございますが、その改修の期間に鋭意新母港を設定するという方針で進んできているわけでございます。選定作業も大体煮詰まっている次第でございますが、あと、政府としての決断を待ちましてその最終的な決定に至りたい、かように考えている段階でございます。
  89. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 煮詰まっておるというお話でありますけれども、どういう方向でどこに決めよう、そういう腹はもうお決まりだと思いますが、母港について、いまお聞かせを願えませんか。
  90. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 まだ、最終的な検討段階でございますので、具体的なことを申し上げることは御容赦願いたいと存じます。
  91. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、原子力船「むつ」の修理が完了するのはいつであるのか、そして母港はいつお決めになるのか、その見通しを伺いたいと思います。
  92. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先ほど御説明申し上げました五社協定によりまして、修理は佐世保入港後おおむね三年以内にということになっておりますので、来年の十月半ば修理完了の目標でございます。理論的にはそれまでにという母港決定ではございますが、母港での若干の、あるいは場所によりましては大幅の工事が予想されますので、なるべく早く最終的な決定に至りたい、かように考えている次第でございます。
  93. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 最後にもう一点伺いますが、これは長官にお伺いをいたしたいと思います。  いまのエネルギーの最大の問題として、代替エネルギーを何に求めるかということが大きな関心事になっておりますが、最も有力な代替エネルギーとしては核融合が言われておりますけれども、この核融合日本における研究の現状、それから将来の展望等について伺いたいと思います。
  94. 長田裕二

    長田国務大臣 核融合研究につきましては、日本国内でも、各大学などでも行われておりますし、原子力研究所等におきましては非常に重要な項目としてこの研究を進めてまいりまして、十二月六日、茨城県内に核融合のための実験施設をつくることになりまして、その起工式なども行われたところでございます。核融合研究開発を進めることにつきましては、アメリカ、ソ連、西ヨーロッパ連合、それと日本と四グループで、ただいま、時に大いに協力し、時に競い合って、その研究開発を進めているところでございます。二十一世紀初頭ぐらいというのが大方の見方でございますが、学者によりましては、最近その見込みがいいから、もうちょっと早まるのじゃないかというようなことなども言われておりますが、いずれにしましても、御指摘のように、核融合開発に成功いたしますと、エネルギー問題につきましてのいろいろな面が解決をする、規制が解除されるというような点もございまして、私どもは、今後の科学技術研究開発の最も重要な項目の一つとしまして、ほかの三グループにも劣らぬ進め方をしなければならない、そのような心組みで取り組んでいる次第でございます。
  95. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 そうしますと、いま確定はできないと思いますけれども、おおよその経費、それから各研究チームが、これはもちろんお互いに連絡をし合いながら、研究の成果を公開しながらやっていくのだと思いますけれども、やはり総合的な力を発揮するには、個別の研究ではいけないと思いますけれども、そういう研究体制の今後のあり方、それからおおよその経費ですね、これをちょっと伺っておきます。
  96. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 核融合開発につきましては、原子力委員会核融合会議という組織をつくりまして、大学関係も念めまして、日本全体といたしまして、計画的、総合的に推進されているところでございます。  費用につきましては、今後約十年間、昭和六十二年ごろまでに六千七百億円程度の開発資金を投入する、それによりまして実験炉の手前までの段階に達するであろう、こういう見通しを持っている次第でございます。
  97. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 終わります。
  98. 高田富之

    高田委員長 この際、午後一時四十分まで休憩いたします。     午後零時四分休憩      ————◇—————     午後一時四十四分開議
  99. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  総理府所管科学技術庁について、午前中の決定に追加して、日本原子力研究所理事長村田浩君、動力炉・核燃料開発事業団理事長瀬川正男君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  101. 高田富之

    高田委員長 質疑を続行いたします。春田重昭君。
  102. 春田重昭

    春田委員 まず長官にお尋ねしてまいりたいと思いますが、これは午前中も論議されたわけでございますけれども、「あやめ一号」「二号」の失敗、非常に大きな話題になっているわけでございますけれども、この失敗により、今後の宇宙計画を長官としてはどう見通されているのか、この辺からまずお伺いしてまいりたいと思います。
  103. 長田裕二

    長田国務大臣 先日の実験用通信衛星仰せのように失敗いたしたわけでございます。それで、これの失敗原因、主として技術的な側面でございますが、これにつきましてはただいま鋭意検討中でございまして、これからにその経験というものを十分生かしてまいらなければと思っているところでございます。  それで、どういう結果が出てくるか、いまからそう予想するのも少し早過ぎるかもわかりませんけれども、非常に重大な思わざる結果でも出てまいったりするならばこれは別といたしまして、一応普通私ども予想し得る範囲内の状況でございますならば、今後の海洋観測衛星とか、あるいはまた実用通信衛星あるいは実用放送衛星、それぞれ相当重大な目的、機能を持っておりますし、技術的な心配というようなものが相当克服できるという状況になりますならば、これは今後の宇宙開発計画を取りやめるとか重要な変更を加えるとかいうことでなくて、教訓を生かしながら今後の計画を取り進めてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  104. 春田重昭

    春田委員 一応宇宙開発事業団から参考人の方がおいでになっておりますので、同じ質問をするわけでございますけれども事業団としてはどういう御認識を持っておられますか。
  105. 鈴木春夫

    鈴木参考人 このたびの実験用静止衛星、ECS−bでございますが、「あやめ二号」の失敗につきまして、この打ち上げが国民の皆様の大きな期待のもとに多額の国費を投じて行われたものであるにかかわらず、前回に引き続き再度このような事態を招きまして、宇宙開発事業団としてはまことに遺憾と存じておりますとともに、この場を通じまして国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第でございます。  現在、今回のふぐあい状況の把握と原因究明に全力を傾けておるところでございますが、二度と同種の失敗を繰り返さないために、原因究明と対策の検討に遺漏なきを期し、国民の皆様の信頼を回復できるように最大限の努力を払ってまいりたいと決意している次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  106. 春田重昭

    春田委員 事業団は過去何回か人工衛星を打ち上げているわけでございますけれども、過去打ち上げた回数と、それによって失敗した機数、成功した機数があると思うのですけれども、それを数字をもってお示しいただきたいと思うのです。
  107. 勝谷保

    勝谷政府委員 お答えいたします。  わが国における実利用を目指した宇宙開発は、昭和四十四年十月に宇宙開発事業団が設立されて以来、わが国において六個、米国において三個の人工衛星を打ち上げました。また、東京大学の宇宙航空研究所におきましては、昭和四十五年に第一号の試験衛星を打ち上げて以来、これまで十三個打ち上げております。このうちロケットの成功率は、十九回打ち上げまして十六回でございます。所定軌道への投入の成功率は、二十二回打ち上げまして十八回でございます。衛星機能の成功率は、二十二回打ち上げまして十八回でございます。  以上でございます。
  108. 春田重昭

    春田委員 私はいま、事業団に限ってということで質問したわけでございまして、事業団としては合計九回ですね。日本で六回、アメリカで三回ということになっておりますけれども事業団だけのいわゆる成功、失敗、これを分けて説明いただきたいと思うのです。
  109. 勝谷保

    勝谷政府委員 お答えいたします。  ロケットの成功は、六回中六回とも成功をいたしております。所定軌道の投入は、九回中七回でございます。それから衛星機能の成功は、九回中六回でございます。この九回中六回のうち二つは、このたびの「あやめ」の一号と二号でございます。
  110. 春田重昭

    春田委員 この原因究明でございますけれども、これは開発委員会の第四部会でこれから調査するということで午前中も御説明ございましたけれども、大体いつごろをめどにするのか、これがわかった段階で世間に公表するのかどうか、この点ちょっと明らかにしていただきたいのです。
  111. 勝谷保

    勝谷政府委員 過日の緊急宇宙開発委員会で、第四部会本件の徹底的究明を命じましたときの委員会の御意向は、四月末までに本件原因究明とその対策をとるようにということになっております。
  112. 春田重昭

    春田委員 それを公表するのですか。
  113. 勝谷保

    勝谷政府委員 何らかの形で公表することになろうと思います。
  114. 春田重昭

    春田委員 思いますじゃなくして、公表するのですか。はっきりしてください。
  115. 勝谷保

    勝谷政府委員 宇宙開発委員会の事務局をつかさどる者といたしましては、そのような方向で御進言申し上げたいと思っております。最終的には宇宙開発委員会が独自に御決定になります。
  116. 春田重昭

    春田委員 この「あやめ一号」と「二号」の失敗原因ですけれども、主たる原因といいますか、どこに原因があったのか。一号と二号の失敗した原因の違い、これを明らかにしていただきたいと思います。
  117. 勝谷保

    勝谷政府委員 先ほど申し上げました宇宙開発委員会の第四部会で、「あやめ」の一号につきましては、究明をいたしましたところ、ロケット衛星を切り離す機構においてふぐあいがございまして、ロケットの第三段と人工衛星本体が接触をいたしまして、その結果、アポジモーターで加速いたしましたときに電源がいかれたということになっておりますが、このたびは、衛星を切り離して以後、人工衛星が第三と切り離された後、軌道を回っておりますときの諸元は、あらかじめ計算しております理論値の中を正常に運行しておりますので、切り離しは正常に行われたと現在推測されております。しかしながら、アポジモーターを吹かしました地点で、八秒後に通信が途絶されましたので、原因は、その後の人工衛星そのものの、特にアポジモーター関係にあるのではないかという推測がされておりますが、これはかかって今後の検討にまつわけでございます。  くどいようでございますが、先回はロケット人工衛星の切り離し、言うなればロケットの側の原因、このたびは人工衛星そのものに原因があったのではないかと推測をいたしております。くどいようですが、これも今後の原因究明にまつわけでございます。
  118. 春田重昭

    春田委員 したがって、今回の「あやめ二号」に関しては、一号で起こしたそういう第三段ロケットの切り離しは一応正常に動いたけれども静止軌道に乗せるアポジモーターの時点で点火の後に事故が起こったということで、まあ若干の違いがあるわけですね。そこでこのアポジモーターというのは今後非常に重要になってくると思うのですけれども、新聞等の報道を読んでみれば、アメリカでは過去五十七回ですか打ち上げた、そのうち十回ぐらい失敗している。そのうちの半分がアポジモーターによって事故になっている、こういうことがその後言われているわけでございますけれども、この辺の調査といいますか、その辺の事業団としての十分なる点検といいますか、その辺の体制は十分だったのですかね。
  119. 勝谷保

    勝谷政府委員 先ほどお話しのように、四十数回打ち上げましたうちの十回の失敗がございまして、その十回のうち、五回がアポジモーター関係しておりましたということでございまして、このアポジモーター技術といいますのは、宇宙開発における最もセンシティブと申しますか、機密を要する重要な分野でございます。したがいまして、この分野開発は今後もわが国においても鋭意進めなければならない点でございますけれども、御存じのように、一方で、このアポジモーターを吹かしまして静止軌道衛星を静止させ、気象衛星を初めといたしまして、通信衛星放送衛星等、すでに人類の福祉といいますか、生活に直結する各種の実利用が行われているわけでございまして、きわめて重要な分野でございますし、すでに実利用に供されておりますし、五個の失敗はあるものの、今後も十分活用される分野でございます。それだけに、この衛星のメーカーからの出荷のとき、さらに出荷されたアポジモーター日本側で受け入れるときの受け入れ体制はきわめて重要でございます。  私ども現時点でそこらの技術日本側で完全にマスターされていませんので、自信を持って日本側でこれを受け取るかどうかということが問題になりますが、この点につきましては、むしろ生産者側の専門家に来てもらいまして、またはその専門的な技術を持っております人に受け入れ検査をしてもらう、そしてわが方の宇宙開発事業団でもこの分野への専門家を逐次養成をいたしておりまして、その人たちが受け入れ検査をいたしておるのが実情でございます。  今後とも、こういう技術については研究検討を進めまして、十分な体制をとりたいと思っておるところでございます。
  120. 春田重昭

    春田委員 この「あやめ二号」のアポジモーターのメーカーですね、どこの製品を使っていたのですか。
  121. 勝谷保

    勝谷政府委員 米国のアエロジェットというメーカーでございます。
  122. 春田重昭

    春田委員 そうしたら、エアロジェットから、今回打ち上げる前に、先ほどの局長の答弁では生産者側の専門家に来てもらったということでございますけれどもアメリカ側から来たわけですね。十分なる点検をしてわけですな。
  123. 勝谷保

    勝谷政府委員 実は宇宙開発事業団と三菱電機の間に契約がごございまして、この三菱電機と、アメリカのFACCと申します宇宙メーカーと、その下の先ほどのアエロジェットがこのアポジモーターを納入しているという関係にございます。ここらの受け入れ検査につきましては、実はFACCに、かつてアエロジェットにいました専門家がアポジモーターの受け取りのための検査員として移籍しておりますので、この人が実際の受け取りにタッチしたというように聞いております。
  124. 春田重昭

    春田委員 ということは、この衛星そのものに  つきましては、アメリカからそっくり入ったものをノーチェックで組み込んだという形で、日本としては調査といいますか点検は全然しなかった、こういうことですね。
  125. 勝谷保

    勝谷政府委員 実はアエロジェットで出荷をいたしますときに、日本のメーンコントラクターでございます三菱電機並びに宇宙開発事業団のこの面の専門家が立ち会いまして一応チェックをしておるわけでございます。そして、米側を出荷しまして日本側に入ってまいりましたときも日本側の専門家でチェックすると同時に、先ほど申しましたFACCの専門家にも立ち会わして、NASAで決まっておりますアメリカ宇宙局がやると全く同じ精密な受け取りの仕方で受け取りをしたと  いうことでございます。
  126. 春田重昭

    春田委員 先ほど十回失敗の中で五回がアポジ  モーターということになっていますけれども、この失敗したアポジモーターのメーカーはどこか調べましたか。
  127. 鈴木春夫

    鈴木参考人 アポジモーターにつきましては、製造はアメリカのエアロジェット社でございます。これは当初ETSのIIと一緒に六個製造されております。そのうちの二個が試験に使われております。残りの四個、それをETSIIとECS、それに二つずつ割り当ててございます。そういうふうにしてできましたものを衛星に組み込むわけでございますが、それらの試験は、まず第一にはエアロジェットで十分に試験されます。
  128. 春田重昭

    春田委員 そんなことは聞いてないんだよ、時間がないから。十回失敗したうち五回がそれが原因だと言われているでしょう。そのメーカーを調べましたかと聞いているんです。
  129. 鈴木春夫

    鈴木参考人 メーカーはエアロジェットでございます。
  130. 春田重昭

    春田委員 五回アメリカ失敗したのはどこのメーカーかと聞いているのです。
  131. 鈴木春夫

    鈴木参考人 アメリカ失敗しました五つの衛星と聞いておりますが、それぞれのメーカーについてはまだ十分調べておりません。
  132. 勝谷保

    勝谷政府委員 五回失敗のうち三回がアエロジェットで他の二回がサイヤコールと申す専門メーカーでございます。
  133. 春田重昭

    春田委員 いずれにしてもアポジモーターというのは今後の正式の路線には重要な機械部門になってくると思うのです。エアロジェットが世界有数のメーカーだとは一応聞いておりますけれども、そのほとんどの失敗がそういう形でそのメーカーの製品なんですよね。そういう点でそのメーカーのものだけを買う必要があるかどうかということは今後の検討課題じゃないかと私は思うのです。そこで、このアポジモーターにつきましては、わが国でもいわゆる自主開発といいますか製品化しようという動きがあるように聞いておりますけれども、そういう見通しはあるのですか。
  134. 勝谷保

    勝谷政府委員 非常にむずかしい分野でございますけれどもわが国においてもこの分野への国産化を目指すべくすでに開発費をつけて準備を進めているところでございます。
  135. 春田重昭

    春田委員 大体いつごろをめどに完成させようという計画なんですか。
  136. 勝谷保

    勝谷政府委員 現在の計画では昭和六十年代の初めを目標に準備を進めております。開発要素が多いために必ずしも約束はできませんが、現時点ではそういう目標で進んでおります。
  137. 春田重昭

    春田委員 どこの機関でこれは開発しているのですか。民間ですか。
  138. 勝谷保

    勝谷政府委員 宇宙開発事業団にその種開発予算がついておりまして、これをわが国における固体燃料専門メーカーでございます日産自動車と共同研究の形で進めておるところでございます。
  139. 春田重昭

    春田委員 ところで今後の人工衛星の計画でございますけれども、どういう計画になっているのか、わかっておる範囲内で御説明いただきたいと思います。
  140. 勝谷保

    勝谷政府委員 宇宙開発事業団関係開発計画について申し上げます。  昭和五十五年度には技術試験衛星IVをNIIロケットで打ち上げることにしております。さらに五十六年度にはNIIロケットで静止気象衛星二号を打ち上げ、NIロケット技術試験衛星三号を打ち上げることにしております。五十七年度にはNIIロケット通信衛星二号のaを、さらに通信衛星の二号のbを五十八年に、さらに五十八年には放送衛星二号のaを、五十九年には海洋観測衛星一号を、六十年には放送衛星二号bを打ち上げる予定でございます。
  141. 春田重昭

    春田委員 五十三、五十四でNIのロケットを使って「あやめ一号」「二号」が失敗したわけですね。原因究明されていないという形のままに五十五年度にはさらに大きなロケットNIIを使ってこのETSの衛星を打ち上げようとなさっておるわけでしょう。この「あやめ一号」「一号」の教訓というのはNIIに生かされるのですか。
  142. 勝谷保

    勝谷政府委員 実はNIロケット開発目的は、重量約百三十キログラム程度の静止衛星を打ち上げる能力を有するロケット開発するものでございまして、先ほど申し上げましたように、このNIロケットで「あやめ」の二号はロケットとしては十分に作動したことは先ほど御説明したとおりでございます。このほかにNIロケットにつきましては、従来もETSのI、ISS「うめ二号」さらに五十二年二月には「きく二号」、さらにはECSのaの失敗を生かしましてこのたびの二号で一応打ち上げを成功させたわけでございます。したがいまして、ロケットにつきましては、「あやめ」の一号における失敗を除きますれば、おおよそいままで正常に打ち上げ能力を見ておるわけでございます。したがいまして、この得られました技術を背景に次のNIIロケットに一歩前進することは可能ではないかと考えるわけでございます。静止軌道衛星を静止させる技術につきましては、従来五十一年に打ち上げました「きく二号」でも成功いたしておりますし、その後アメリカロケットは使いましたけれども、打ち上げました後には静止軌道にいずれも日本技術でうまく静止をさせております。したがいまして、そこらの技術をいろいろ考えますに、このたびの原因究明いかんによってはどのように方針を変えるかということは残っておりますけれども現時点ではNII路線に一歩進むことも可能ではないかということに私ども考えておるわけでございます。いずれもしかし、原因究明の後に最終決定を見るところにしたいと思っております。
  143. 春田重昭

    春田委員 ETSという衛星そのものは過去成功しているから今回一段階上がったということでございますけれども、やはり何といいますか一号、二号が連続して失敗しているわけですから、その失敗した中で、まだ手探りの状態の中で一段上のNIIに上げていいものかどうかという問題ですね。だから、この計画は「あやめ二号」が成功したならば、一段階上がっていわゆるNIIに上げてもいいと思うのですよ。ところが今回のように連続して失敗したわけでございますから、いわゆる  「あやめ三号」といいますか、こういう本当にロケットも成功し、衛星そのものも成功して初めて次のNIIの方に上がってしかるべきじゃないかと思うのです。宇宙開発というのは非常に未知の世界でございますし、いろいろなそういう失敗というのはつきものだと思うのです。そういう失敗を重ねながら一段ずつ上がっていくわけであって、計画どおりはいかないと思うのですよ。そういう面からいったら、当初計画案がずっと六十年まで立てられておりますけれども、五十五年度以降の計画につきましては、やはり連続して失敗したわけですから、見直す必要があるんではなかろうかと思いますけれども、どうでしょう。
  144. 勝谷保

    勝谷政府委員 御指摘のとおり、このたびの原因究明いたしまして、その上で決めることになっておりますので、先ほど申し上げましたのは現在私ども宇宙開発の計画として持っております計画でございますし、決定的な原因究明の結果の原因がなければその路線上を参ることになろうかという意味で申し上げておりますので、先生のように、原因究明の結果によっては変えざるを得ないかと考えております。
  145. 春田重昭

    春田委員 最後に保険契約の件で御質問いたしますけれども、いわゆる一号では入っていた、二号では入っていなかったということで、これも大きな話題になっているわけでございますけれども、年前中の答弁ではやはり「あやめ一号」の場合は予備機である二号があったのでつけたのだ、こういうことなんです。そこで、この保険の加入、不加入の最終決定権というのはどこにあるのですか。
  146. 勝谷保

    勝谷政府委員 そのフェーズ、フェーズで違うと思いますが、先ほど申し上げましたように、現時点衛星はいずれも国庫負担一〇〇%の実験衛星でございます。したがいまして、この実験そのものが一つ目標でございます。ところが、実利用になりますと、成功さすことが目標でございますから、成功を必ずさせるということになりますので、ユーザーサイドで保険をかける制度があらわれてまいりました。これがアメリカで出てきたわけでございます。御存じのように、アメリカのNASAでは、NASA当局保険をかけていないわけでございます。アメリカのユーザーが保険をかける。したがいまして、今後もわが国で実利用が出てまいりますればユーザーがかけることになろうかと思いますが、それまでの間どうするかという問題になろうかと思います。そのときのイニシアチブは、国庫予算保険をかけるときにはこの予算編成が重大な問題になろうかと思いますし、予算が終わった後、その後の状況で何といいますか節約をいたしまして捻出をして保険をかけるようなときには、これは予算を執行する立場にあります宇宙開発事業団がある程度お考えになり、そして私ども監督管庁と御相談の上お決めになろうかと思っております。
  147. 春田重昭

    春田委員 何か午前中は大蔵省の指示は全然なかったという話がございましたけれども局長の答弁を聞いたら、その予算がつかなかったら保険に入れないようなニュアンスに聞くわけですけれども、今後それだけの予算がつけば保険に加入した方がいいという局長の答弁なのですが、科技庁としては保険に入った方がいいという考えなのか、予算がつかなかったらやむを得ないという考え方なのか、その点どちらなんですか。
  148. 勝谷保

    勝谷政府委員 気象衛星放送衛星通信衛星のいま打ち上がっております三個につきましては、全額国の予算でございますが、アメリカロケットで打ち上げましたので、この際にどうするかという問題が生じまして、やはりアメリカサイドではユーザー関係がそういう保険をかけておりまして、かけたらどうかというアメリカのサゼスチョンもございまして、大蔵省とも相談をして予算措置を講じて保険をかけたわけでございます。そういう意味では今後も、全額国のものでも、その種のわが国における保険市場が確立してまいりますればその種のものも出てくる可能性もございますけれども、純実験的なもので、しかも予備機がないときにどうするかという問題は、やはり予算当局とも打ち合わせ、決めなくちゃいかぬと思いますけれども、私ども予備機がないときはかけない方がいいのではないかという気がいたしておるところでございます。
  149. 春田重昭

    春田委員 この五十五年以降の計画で八機飛ばすようになっておりますね。このうち保険をかけるべきであると局長の方で考えているのはどれとどれですか。
  150. 勝谷保

    勝谷政府委員 とりあえず気象衛星は近く上げることになっておりますが、これは予備機がございますので、保険をかけた方がいいのではないかと考えております。その他のものについては予備機がございませんので、かけるかどうか今後の検討にまたなければいかぬと思います。
  151. 春田重昭

    春田委員 「あやめ一号」では約三億近くの保険をかけて、保険料を入れて二十八億返ってきたわけです。そういう面では、それが二号に生かされたわけでございます。この保険の加入、不加入という問題、いろいろな論議があると思うのです。成功した場合はそれがむだになっちゃうわけですから、そういう点ではいろいろな論議があると思いますけれども、やはり宇宙開発というものは未知の世界にチャレンジするわけですから、リスクはつきものである。そういう面においては非常に莫大な予算がかかるわけですから、予備機があろうがなかろうがこれは保険をかけていくべきじゃないか。この一号、二号の例からとってみてもそういう感がするわけです。そういう点で、アメリカの例からいっても、アメリカの場合はほとんど保険をかけているわけです。日本だけがそういう形をとっているわけです。そういう点では保険の問題につきましては、今後事業団としても開発委員会としても十分この一号、二号のいわゆる教訓を生かしながら検討していただきたい、このように要望して、この宇宙開発問題につきましては終わりたいと思います。  時間がございませんので、続いて科学技術館の問題についてお尋ねしてまいりたいと思います。  公益法人の科学技術館というのがございますけれども、公益法人として申請され、そして許可になったのはいつなのか、それから設立されたのはいつなのか、それからその科学技術館の概要、設立目的、まとめて簡単で結構でございますから答えていただきたいと思います。
  152. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 お答え申し上げます。  日本科学技術振興財団は昭和三十五年の三月十五日に設立総会を開きまして、設立認可は同年の四月十五日になっております。  当初は科学技術振興財団の中に科学技術館の運営管理とテレビの放送、この二つを大きな柱といたしまして事業を進めてまいったわけでございますが、テレビにつきましてはその収支状況が思わしくない関係がございまして、その後これを昭和四十八年に分離いたしておりまして、現在は日本科学技術振興財団は科学技術館の運営を中心としまして事業をやっております。その目的は、科学技術振興に関する諸事業を総合的に推進し、わが国の科学技術水準の向上に寄与するということでございます。  主な事業は二、三ございますが、ただいま申し上げました科学技術館の運営、これは昭和五十二年度の入館者数約六十万人、主として中高校生でございますが、それを対象に技術館の運営をいたしております。それから、その他科学技術振興のための調査研究事業等をやっております。また、館内に大型電子計算機がございまして、これを利用いたしましてソフトウエアの開発等の事業をいたしております。全体の事業規模といたしましては、昭和五十二年度の収支は補助事業を含めまして約十一億円でございます。現在、勤務いたしております職員は、役員を含めまして約九十名でございます。  概況、以上の状況でございます。
  153. 春田重昭

    春田委員 この法人は北の丸公園に位置しているわけですね。この用地は国有地なんですね、確認しておきます。
  154. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 さようでございます。
  155. 春田重昭

    春田委員 この建物はどこの建物ですか。
  156. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 建物は科学技術振興財団の所有物でございます。
  157. 春田重昭

    春田委員 大蔵省の方にお尋ねしますけれども、こうした国有地に永久建造物の民間の建物を建てていいかどうかという問題、これはどうなんですかね。過去の例でそういうのがありますか。
  158. 田中泰助

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  皇居北の丸公園は国民公園でございまして、公園は行政財産ということで国が現在使っている財産でございます。その中で、その用途、目的に支障がない限り、その使用を許可するということは過去にも例がございますし、制度上できることになっております。
  159. 春田重昭

    春田委員 ところで国有地でございますから、借地になりますね。したがって、借地なら当然使用料を納めなければならないわけでございますけれども、この使用料の問題、正確に納められていますか。
  160. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 先ほど申し上げましたように、収支関係が大分悪うございました関係もございまして、この数年間延納、延滞いたしてきておりますが、現在、環境庁から納入告知が出されておりますのは昭和五十三年度分まででございますが、昭和五十二年度分まではすでに納入済みでございます。昭和五十三年度分につきましては、この三月末日までに納入することとしているというように科学技術振興財団の方から報告を受けているところでございます。
  161. 春田重昭

    春田委員 ところで、五十二年までは一応使用料は納められているわけですね。五十三年度以降はまだ残っているわけでございますけれども、この資料によりますと、使用料が決定したのが非常に遅いわけですね。大臣、ちょっとお聞きいただきたいと思うのですけれども昭和四十年、四十五年、これはまだ厚生省の時代でございますけれども、このときの使用料が何と昭和四十七年に決まっているわけです。したがって、三年おくれているわけですね。環境庁が四十六年七月一日にできました。したがって、ここから所管が厚生省から環境庁に移りました。環境庁がここから主管庁になりまして使用料を決定するわけです。ところが四十六年、四十七年、この両年度の使用料を決定されたのは何と五十年ですか——使用料を決定されたのは四十七年で、債権発生通知が五十年なんです。それから四十八年、四十九年、五十年、五十一年、この四カ年をまとめて五十一年六月十五日に決定したのです。これも三年ぐらいかかっているのです。それから五十二年、五十三年度も同じく——これはちょっと早いですね、五十三年十一月六日に決まっています。だから、長いので大体四年、短いので一年ぐらいかかっておるわけですよ。同じ使用料を決定するのに、ちゃんと台帳価格があるわけでしょう。一定の率を掛けていけば使用料なんかすぐ出るわけですよね。ところがこんなに長期間かかって使用料がやっと決定されて、しかも実際納付されたのはまた非常におくれているわけです。どういう背景があるのですか、どういう理由なんですか。
  162. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 科学技術振興財団の方からの状況をまず御説明申し上げたいと存じます。  ただいま先生から御指摘ございましたとおり、昭和四十四年度分以降の土地使用料の納入が大変大幅に遅延いたしております。その間、この土地の管理権につきましては、当初の昭和三十八年ごろは東京都の管理でございましたが、その後、所管が関東財務局に移りまして、そして四十六年の六月末までは厚生省がこれを管理いたしておりました。その四十六年の七月一日から環境庁が所管することに変わりまして現在に至っておるわけでございます。そういった所管関係等もございまして、四十四年から四十六年ごろは大変大幅に遅延いたしております。  遅延いたしました理由は、先ほども申し上げましたようにテレビ部門を中心とする収支の赤字が非常に大幅にございまして、大変資金繰りがむずかしいというようなことがございまして、事実上支払いが行えなかったという事情にあったわけでございまして、その後四十七年に一応これを催促されまして支払いをすべきであるということがございました。環境庁からいろいろお話がございまして、最終的には昭和五十一年に使用申請の再提出を要求されまして、この時点で財団の方から支払いにつきまして確認書を提出いたしております。それ以後、一応その確認書のラインに沿いまして支払いをいたしまして、先ほど申し上げましたように五十二年度までは一応支払いをしてきたということでございまして、財団の方から見ますと収支状況が大変悪かったものでございますから大幅に遅延してまいったという事情にございます。
  163. 春田重昭

    春田委員 これは、大蔵省が来ておりますけれども、要するに財団の経営状態がよくないから三、四年もおくらして決定しているというのですね。要するに国有地を使っているわけでしょう。大蔵省としては税金取るのが商売ですよね。こんな状態でいいのですか。
  164. 田中泰助

    ○田中説明員 お答え申し上げますが、科学技術館に対します土地の使用料につきましては、この土地が都心の一等地でもございますし、面積もかなり広うございますので、民間精通者の鑑定評価額に基づきまして使用料を決定しておるわけでございます。したがいまして、使用料の決定に幾分時間がかかるということもやむを得ない面もあろうかと思いますけれども、おくれることは好ましいことではございませんので、できる限り今後は速やかに処理するように指導してまいりたい、そういうふうに考えております。
  165. 春田重昭

    春田委員 これは環境庁が使用料を決定するわけでございますけれども民間の鑑定人が鑑定するわけですね。それで時間的な差があるということでございますけれども民間の鑑定人に依頼するのに三、四年もかかってしまうのですか。環境庁、お答えください。
  166. 高峯一世

    ○高峯説明員 使用料につきましては、いま大蔵省から答弁がございましたように、一つ民間精通者の鑑定評価でございますけれども、こういった場所、それから科学技術館のような公益的な事業をやっておるというような観点から慎重に大蔵省とも協議をいたしまして決めるという方式をとっておりますので時間がかかったわけでございます。今後はできるだけ早く努めるようにいたしたいと思っております。
  167. 春田重昭

    春田委員 慎重を期するのに大体三、四年かかっちゃうのですか。それがあたりまえなんですか。
  168. 高峯一世

    ○高峯説明員 過去、四、五年前でございますが、かなり時間がかかっておることは事実でございます。いろいろな観点からの慎重な検討がなされたということでございますけれども、最近できるだけ早くするように努めておるわけでございまして、今後できるだけ早くするようにいたしたいと思っております。
  169. 春田重昭

    春田委員 最近早くなったというのは、私が質問するから科技庁でも環境庁でもあわてたのであって、これは長官、そういう経緯を含んでいるのです。実際、使用料を決定するのは環境庁が大蔵省と協議して決めるのですが、主管庁は科技庁なんです。そういうあいまいな形で来ているわけです。  五十二年度まで支払われておりますけれども、五十二年度支払い状況からいったら、使用料は何と一億五千万も払われております。ところがそのうちの千六百万、大体一割近くが延滞料なんです。これは財団も悪い。要するに当然使用料を払うのにそれだけの蓄えがなかったらだめなんです。ところが告知されながら納めていないので延滞金を取られる。主管庁の科技庁もそういう点では全然ノータッチ、そして使用料を決める環境庁も大蔵省も全く能なしという形になっているのです。国有地が使われながら、何ともいいかげんな形になっているわけです。  そういう点できょうはもっと詰める予定だったのですが、時間がございませんので……。科技庁が認可した公益法人なんです。国有地は有効適切に使うためにもきちっとそういう管理はすべきじゃないかと思うのです。この財団法人の今後の使用料の問題につきましては、大臣としてはどう考えますか。
  170. 長田裕二

    長田国務大臣 科学技術庁としまして、今後の指導等につきまして十分留意してまいりたい、そのように考えております。
  171. 春田重昭

    春田委員 そういうことで、これはこちらが質問するまでは本当に野放し状態だったのです。やっとあわてて、そちらの方も大変だということでこういう配慮をなさっているみたいでございますけれども、そういう国有地の有効な利用のためにもきちっとしていただきたいと思うのです。  ところで、この財団は三十九年に設立されて今日まで非常に努力されておりますけれども、収支状態がよくないわけですね。何と言っても、この館を維持運営するためには入場者がふえなければならないわけです。ところが最近のデータをとってみたら、大体五十万ないし六十万ぐらいの年間入場者しかないわけです。川崎の方に東芝の科学技術館があるのです。ところがこの東芝の科学技術館、民間でございますし、また非常に遠方でございますけれども、何と年間二十万の入場者があるのです。一方は国の一等地であって、そして国が全面的に——全面的じゃないけれども、そういういろいろな応援、PRしながら年間六十万、財団として非常に努力をやっている跡がうかがえぬわけです。しかも出展内容は、何と三年前のものがずっと置いてあるわけです。東芝のものは新しい出品、新しい技術をどんどん導入しているものですから、見学者も非常に多い。聞くところによると、都内の遊覧コースの一カ所にもなっているみたいでございますけれども民間の方が注目を浴びて、これは全然さびれているわけです。こういう点で私は、入場者が伸びないのはこういう点に原因があるのではないかと思います。国が認可した以上はそういう点までチェックして、入場者が本当に年々ふえてくるようにしなかったらいけないと思うのです。  ところが反面、昭和六十年には茨城県で国際博覧会をやるみたいでございます。そっちには五百億も六百億も金をつぎ込むみたいでございますけれども、現在あるものについては全然保護をしてない。こういう非常に矛盾があるわけです。どうも茨城県の方は政治力が強いみたいでございまして、こっちは政治力が弱いから助成が弱いのかなという勘ぐりもこっちはしたくなるわけです。そういう意味では科学技術館の今後の運営については十分な御指導をいただきたいと思うのです。  そこで、財界の方たちがほとんどの会員になっておるわけでございますけれども、財界の方たちも、年間十二万ですか月一万円で賛助会費を出しているわけですね。だからずっと変わってないわけですよ。収入に対して入場者もふえてない。賛助会費もふやしてない。こういう傾向は怠慢のそしりを免れないと思うのです。そういう点で科技庁としては今後どういう指導をしていくのか、お答えいただきたいと思います。
  172. 山口和男

    ○山口(和)政府委員 ただいま先生からるる御指摘ございましたように、科学技術の振興につきましては、日本のような資源に乏しい国土の狭い国で今後発展を遂げていくためにはどうしても必要でございます。科学技術館がいろいろな種類の科学技術の展示をいたしまして、国民に、特に将来を担う児童、青少年を対象にした教育啓発活動をしてきておるということ、また、いろいろ関連する調査研究、セミナーをして、科学技術振興に大きな役割りを果たしてきておるという意味で、大変重要な事業であると認識いたしております。政府といたしましても、極力こういった事業を発展、拡大させていく必要があろうというように認識しておるところでございます。  ただいまのところ、ある程度の補助金の付与、また展示等につきましては、展示写真更新に要する展示更新費の補助等を実施いたしております。また、受託調査というような形で、調査事業につきましても協力をできるだけ進めていこうというようなことをいたしております。また、昭和五十三年度におきましては科学技術映画を科学技術庁で作製いたしましたが、その八本をこの科学技術館に寄贈いたしまして、その利用に供するというようなことをやってきております。  いろいろまだまだ十分であるかどうかという問題、御批判はあろうかと思いますが、今後とも広くこういった事業の拡大のために努めてまいりたいと存じておるところでございます。
  173. 春田重昭

    春田委員 いろいろ事業中身を充実してきていると言っていますけれども、現実には入場者数は減っているわけです。五十四年はまだ出ていませんけれども、五十二年で六十七万だったのが、五十三年度には六十一万に減っている。六万減っているのですよ。中身は変わってないのです。そういう意味ではどんどん御指導いただきたいと思うのです。  大臣にお伺いしますけれども昭和六十年、茨城県での科学技術国際博覧会というのが閣議決定されました。これが準備されておりますけれども、その構想の一端に、これが終わってからでございましょうが、科学技術博物館を永久記念館として残したいという話が出ているみたいでございますけれども、この話は出ていますか。
  174. 長田裕二

    長田国務大臣 昭和六十年に予定しております国際科学技術博覧会、実はそれにつきましては、テーマをどうするかとか今後の運営その他は、これから検討するところでございまして、その後のことなど、あるいはその開催の仕方などについて、地元なり関係者がいろいろな希望を持っておられるということは聞いておりますが、具体的なことはすべてこれから決めていく、そのような状況でございます。
  175. 春田重昭

    春田委員 これは新聞の報道ですからどこまで正確かわかりませんけれども、いずれにしても、  こういう話は地元では出たと思うのです。したがって、もしこういう形で永久的にこういう博物館を建てるとなったら、いまある科学技術館と全く同じような建物になってしまうのですね。ですから、いずれにしても、国のとうとい貴重な財産を科学技術館の方にも一部回しているわけですから、そういう点では二重投資にならないように、むだにならないように十分なる科技庁の監督といいますか、監察が必要ではないかと思います。そういう点で、いずれにいたしましても、この科学技術館は三十九年に建てられていままでは惰性できたような感じがするわけでございまして、今後十分なる手を加えて入場者もふやし、賛助会員の中央からも財界からも応援をいただきながら収支決算が黒字になるように、使用料も延滞金が取られないようにスムーズに納めるように今後十分なる御指導をいただきたい。この問題につきまして、最後に大臣の決意を聞いて終わりたいと思います。
  176. 長田裕二

    長田国務大臣 当初設立のときの構想なりなんなりはいろいろりっぱなものがあったのだろうと思いますが、その後どういうような事情によって御指摘のようなことに立ち至ったのか、そこらなどもどもよく検討いたしまして、今後の参考にさせていただき、また、今後の活用等につきましての検討を十分進めてまいりたい、そのように考えております。
  177. 春田重昭

    春田委員 一点だけ、ちょっと忘れていました。  民間の再処理会社の設立のうわさがあるわけでございますけれども、何か三月初めに設立されたということも聞いておりますけれども、どういう構想なのか。場所でございますが、いろいろ報道されておりますね。種子島とか徳之島とか、いろいろなところがちょこちょこ名前が出てきておりますけれども、この辺の見通しがわかれば御説明いただきたいと思うのです。
  178. 長田裕二

    長田国務大臣 日本の原子燃料の再処理は、ただいま東海村の動燃事業団で一部なされているわけでございます。大部分はフランスとかヨーロッパ諸国に委託してなされているわけでございますが、御承知のように、核燃料サイクルでの自主性をだんだん進めていく、そういうような観点から再処理工場の建設が民間の手によって取り進められてまいりまして、会社の設立もできた次第でございます。ただし、再処理工場をどこへ持っていくかとか、そういうようなことは実はかなり先の問題でもございますし、立地につきましての一般的ないろいろな事情等もございまして、まだ全く決定しているわけではございません。
  179. 春田重昭

    春田委員 終わります。
  180. 高田富之

  181. 原田昇左右

    ○原田委員 私は、科学技術庁に対しまして、まず原子力問題、それから研究開発の問題、それから自然災害防止としての地震対策についてお伺いしたいと思います。ところで、時間も余りございませんので、ひとつ御答弁は簡略に明確にお願いしたい。  まず長官にお伺いをしたいのですが、私は、石油の供給がきわめて不安定になった現在、日本の経済をさらに発展させ、われわれの豊かな国民生活を守っていくためには、どうしてもエネルギーを確保するということが最優先課題であろうと思うのです。つまりエネルギーの安全保障ができるかできないかということがわれわれの民族の浮沈にかかわっておるといっても過言でないと思うのですね。そういう意味考えますと、石油にかわるエネルギーとしての原子力は最も重要なエネルギーではないか。ところが、この原子力について、科学技術庁はその研究開発技術開発を主として受け持たれ、また原子力行政全体をにらむ原子力委員会をお持ちになっておるわけです。  そこで、いま日米間でも核拡散防止というようなことからいろいろな議論があって、日本が核燃料サイクルを確立する、あるいは資源を自主開発するということについてかなりの制約があるのではないかということが憂慮されておりました。また、こういったことについて科学技術庁はいろいろ御努力をなさったのですが、国際機関でもINFCEでいろいろ取り上げられてまいりました。こういう現状において、原子力開発についてもっともっと積極的にやらなければいかぬと思っておりますけれども、これに対する科学技術庁長官の決意並びに見通しについて所見をお伺いしたい。
  182. 長田裕二

    長田国務大臣 日本は、狭い国土で資源も非常に乏しい、そこに一億二千万に近づく日本人が相当高い程度の生活を現に維持している、これからさらに伸ばさなければならない、そういう国柄といたしまして、唯一の生きる道というとちょっと強過ぎるかもわかりませんが、ただいまのお説のように科学技術の水準を高め、これを産業に反映させまして、優秀な産業製品、工業製品を世界じゅうに供給して、その対価で高い生活を維持していく、これしか道がないと言っても言い過ぎではないだろうと思います。そういう観点からしまして、また、特にただいま御指摘がございました石油の価格がぐんぐん上がっていく、量もただいまのところ何とか世界的に需給のバランスがとれておりますが、年を追うことに窮屈になっていく、足りなくなっていく、そういう際にどうしていくかということにつきまして、科学技術全般、特に原子力を中心とする開発に最も力を入れていかなければならないところだと思います。  幸いにして、昭和五十五年度におきましては、電源開発促進対策特別会計をある程度強化いたしまして、それによって、科学技術庁はその約半ばを受けまして代替エネルギーの、主として原子力開発あるいは核燃料サイクルの確立あるいはまた核融合等々、原子力関係研究開発を進めやすい形をとることができましたのは大変幸せだったと思っておりますし、ある意味では当然のことであったとも申せるわけでございます。これからも研究投資、特に原子力開発、またその他の代替エネルギーの開発、そういうものの推進に非常に力を入れてまいりたい、そのように考えておるところでございます。
  183. 原田昇左右

    ○原田委員 長官の御決意のほどはよくわかりました。  そこで、いま核燃料サイクルにつきまして、核拡散防止という観点からアメリカがこれに非常に危惧を持って、再処理について日米間で折衝があったのは御高承のとおりでございますが、これについてINFCEの場で議論があって、この間結論が出たと聞いております。その結論によって一体日米間の暫定協定なり何なりというのはどういうことになるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
  184. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、INFCEが終了いたしまして、特にわが国が当初から主張しておりました核燃料サイクルの確立、そしてプルトニウムの燃料としての利用という立場が世界の大勢としていいではないかという方向にまとまったわけでございます。したがいまして、使用済み燃料の再処理の延期、あるいはプルトニウムを燃料といたします高速増殖炉開発の延期という政策を掲げましたカーター大統領の主張がINFCEの場においては一応退けられたというかっこうになっておりまして、そういう意味では、わが国の今後の原子力開発方向が正当づけられたとわれわれは受け取っているわけでございます。  ただ、このINFCEはあくまで技術的、経済的な分析の場という位置づけでございまして、各国の政策を拘束するものではないという大前提に立っておりますので、今後日本原子力政策の推進に当たりましては、日米あるいはその他の国との二国間の交渉が主体となっていく。また、ポストINFCEといたしまして、INFCE後のいろいろな世界的な枠組みがどのようにでき上がっていくか、こういうことに影響されるというふうに考えている次第でございます。
  185. 原田昇左右

    ○原田委員 INFCEで各国の政府の決定には拘束力はないんだ、こういうことですけれども、日米間の例の暫定協定というのが、二年間いまのままでやろう、そのかわりINFCEのために少し延長しましたね、あれはどうなるのですか。これは日米間で話し合いはまだしていないのですか。
  186. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先生御案内のとおり、東海再処理施設につきましては、ちょうど二年半前に九十九トンの枠内で運転を認めるということで、その期間もINFCEの検討期間にあわせまして、昨年の秋までということであったわけでございますが、INFCE自体が半年ほど延びましたので、この二国間の共同決定はことしの四月末まで自動的に延ばされたという経過をたどっております。  そこで、先ほども申し上げましたように、INFCEは確かに各国の政策を拘束するものでないという大前提ではございますけれども、そこで議論された内容というものはおのずから尊重されるべきだろうと私ども考えるわけでございます。日米間に問題をしぼりますと、やはり主張といたしましては、核不拡散という大原則と、原子力の平和利用というものは両立し得るものであるというわが国の主張と、その核不拡散に非常に危惧の念を強く抱いておる米国の立場という基本的な対立は必ずしも消え去ったというふうには考えられないわけであります。したがいまして、そういう基本的な立場の相違が二年半前に、ある妥協に達した。その妥協の期間がこの四月末で一応切れるということになるわけでございます。この点につきましては、この四月以降どうするかということについては、事務レベルで内々折衝が続けられておりまして、仄聞するところによりますと、米国のサイドといたしましては、現在日本の九十九トンの枠がまだ七十トン弱残っているという現実の姿をとらえまして、その枠が消化される期間、たとえば一年ぐらい現状のままで延期をするのはいかがなものかという意向を有しているやに伝えられているわけでございます。そういう米国側の意向も踏まえまして、現在双方で協議中というのが現状でございます。
  187. 原田昇左右

    ○原田委員 いまの局長のお話は大変不満なんです。INFCEでせっかく、アメリカからいわば詰め寄られて逃げ場がなくなったものだから、福田さんがサミットでINFCEをやろうということになって、INFCEの場でうまく成功したわけですよ。カーターの原子力政策よりは国際間の合意で、こういうことでやろうじゃないかということで、日本は非常にここで外交的に点数をかせいだと思うのです。それをもってアメリカに何で迫らぬのだ、そんなことじゃだめですよ。長官、ひとつちゃんと答弁してください。
  188. 長田裕二

    長田国務大臣 基本的に、カーター大統領のある種の理想主義的な原子力政策というものと、日本の利害というものが相反しまして、日本は核不拡散の理想は共鳴するけれども、平和利用の観点では、再処理もそれから高速増殖炉等のプルトニウムの利用もやらなければならない立場だということでずっと通してきていることは御承知のとおりでございます。そして、INFCEの場で日本の主張が通った。四月末までに期限が参りますので、今後交渉しなければならない、その交渉にどう対処するかということにつきましての、いま原子力局長のお答えということにつきまして、もっと歯切れよくしっかり、日本は既定方針で参ったのだから、その立場をもっと鮮明にするようにというお励ましのお言葉と承りました。私も気持ちといたしまして、考え方といたしましては全く同感でございます。  ただ、いま原子力局長がお答えしましたのは、枠としては一年分前後残っているということが一つと、現在日本ではあの際の取り決めによって現実に支障が起きておらないということと、それからアメリカの国内政情なども、ここで申すのは若干なんでございますけれども、その他の考慮などもございまして、いよいよ全面的にこちらの方の枠もなくなるような時期、政情の面からも、そういうような時期に、しっかりと四つに組んで、双方の主張を、あるいはアメリカももっと軟化しているかもわかりませんが、双方の主張をぶつけ合いまして、私どもとしては適正な結論を得るように大いに努力をしてまいりたい、そのような所存でございます。
  189. 原田昇左右

    ○原田委員 これについては、せっかくINFCEでああいう成果をおさめたのですから、あれを踏まえてアメリカの方に強く要請することをお願いしておきます。  それから次に濃縮の問題なんですが、これについてもアメリカから多少意見が出ておると聞いておりますが、これはどうなんですか。
  190. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 濃縮につきましては、アメリカからということではありませんで、むしろINFCEの場で、一国単位での濃縮工場の保有ということはいかがなものか、むしろ数カ国で、多数国間で一つの工場を持つというような形態が望ましいのではないか、それはむしろ技術の不拡散という観点からの議論であったようでございますが、そういう議論が一時大勢を占めまして、日本の立場がつらくなったという場面が実はあったわけでございますが、それを押し返して、日本のような大規模の原子力発電国は、一国でもって十分市場があるわけでありますから、一国単位の濃縮工場の保有が認められていいではないかという議論に変わっていったという経緯がございます。そういう意味で、一時やや苦しかった日本の立場が、押し返すことに成功したという場面があったわけでございます。  なお、アメリカが正式に、何か日本の濃縮について物を言ってきたということはございませんが、もし憶測するならば、そういうINFCEの場における議論と同じ意味で、技術の不拡散、結局核不拡散の観点からの危惧という点があるとすればあるというふうに想像されるわけでございます。
  191. 原田昇左右

    ○原田委員 そうすると、アメリカが、自分の方でウランの鉱石を出す分については、濃縮についてアメリカの同意をとるようにとかということを言い出しておるという話はないのですか。
  192. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 わが国のウランの主な輸入先は、カナダあるいは南アフリカといったような地域からでございまして、アメリカからの量はさほど多くないわけでございますが、現在のところ、濃縮は全量アメリカでやってもらっているわけでございます。したがいまして、現在日本に入っております濃縮ウランは、全量アメリカの手を経ておりますので、その点でその使用済み燃料の処置についてアメリカと共同決定、実質的には同意を得る必要があるというのが現状でございます。
  193. 原田昇左右

    ○原田委員 わかりました。そうすると、濃縮については何ら問題ないと了解していいですね。人形峠でやっている濃縮については、日本の自主的な考え方でどしどし進められるという状況にあるというように了解していいですな。
  194. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 政策的な問題としてはないと思いますが、あと市場の問題であるとか、そういう別の観点からの希望はあるかもしれませんが、これは別に政府間の話ではございません。
  195. 原田昇左右

    ○原田委員 そこで、自主開発をやる上に、いまのようなお話ですと濃縮もやれる、それからウラン鉱石、これはぜひ日本自主開発をやって、ある程度日本の自由になるウラン鉱石を相当数持たないと非常に弱いと私は思うのです。石油でさんざん痛めつけられておる現状を見ますと、ウランも、何か聞けば地下カルテルを結んで、生産国で石油をにらみながら価格のつり上げをやっておる由でありますので、ぜひ自主開発をやっていくことが必要じゃないかと思うのです。そういう意味で、動燃がニジェールでやっておられるのを私は非常に高く評価しておるのですが、この開発は、動燃は相当な予算がつき出しておりますが、いまどういうことになっておりますか。
  196. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 いまお話に出ましたニジェールにつきましては、動燃事業団が日仏共同で探鉱調査いたしまして、きわめて有望であるというので、すでに数年前にその実績に基づきまして、私どもは国内の民間会社を、電力、鉱山事業等の民間にニジェール開発の新会社をつくっていただきまして、現在、海外ウラン資源開発株式会社と申しますが、その会社でニジェールのアクータ方面ですでに開発に着手いたしまして、ことしから日本にウラン精鉱が届くという段階になりましたので、動燃事業団といたしましては、そういうふうに民間の進出ができました関係上、現在、私どもの探鉱の主力部隊はその隣のマリ方面に移って、マリで同様のサハラ砂漠周辺で探鉱を実施しております。大きな経過はそういうことでございます。
  197. 原田昇左右

    ○原田委員 そうすると、いまの民間の会社が、動燃が調査したのを開発して引き取る、こういうことになるのですが、経済性はどうなのですか。何か話によると、二万トンぐらい引き取るというので、一千万キロワットの十年分ぐらいの燃料が確保できる、こういう話ですが、値段とかなんとかということになると、経済的にはどういうことになるのですか。
  198. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 ただいま申し上げました海外ウラン資源の会社の方で開発を進めました結果、当初私どもが予想したよりも相当品位がよいために、ますます、経済性の面では当初の予定よりはるかによくなっておるようでございます。
  199. 原田昇左右

    ○原田委員 時間がないから詳細は省略いたしますけれども、私は、こういうプロジェクトは大いに推進していただきたいし、資源開発なんというのは失敗する方が多いはずのが、動燃は非常に努力をされて、ニジェールでいまのように思ったより非常にいいものが発見されたという、しかもそれが民間にうまくバトンタッチできて、所期の目的を達したということでございまして、四十億や五十億の予算で安いものだと思うのです。非常に結構な成果だと思いますので、今後ともひとつ大いにがんばっていただきたいと存じます。  それから、もう一つ動燃にお伺いしたいのですが、高速増殖炉、これは動燃がおやりになっておると思うのですが、これについてはどの程度進んでおられるのか。  もう一つ伺いたいのですが、フランスはどうなっているのですか。これは一番進んでいるのはフランスだというのですが、もう運転しているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  200. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 私ども動燃事業団は、十二年前にいわゆる新型動力炉開発を任務といたしまして発足したわけでございますが、新型動力炉といたしましては、新型転換炉とただいま御指摘高速増殖炉のこの二つに着手したわけでございます。その後、新型転換炉の方はきわめて順調に開発が進みまして、原型炉発電所「ふげん」というものが昨年の春以来本格運転に入りまして、現状はきわめて稼働率のいい成績を示しております。それからいま御指摘高速増殖炉につきましては、これはやはり技術開発としては新型転換炉よりかなりむずかしい仕事でございまして、私どももかなり悪戦苦闘いたしまして、まず最初に大洗の工学センターを使いまして、そこに実験炉「常陽」という名前をつけておりますが、これが現在、熱出力七万五千キロワットで二年ほど前から、一応実験炉としては順調に試運転を続けておるわけでございます。これに続きます原型炉発電所「もんじゅ」というものを私どもはかなり精魂を傾けて建設着手に努力しておるわけでございますが、何分にも日本で最初の高速増殖炉の発電所であるというような関係上、地元交渉もかなり時間を食いまして、地方自治体との関係も、いわゆる環境調査、それに基づきます環境影響審査が自治体で行われるわけでございますが……
  201. 原田昇左右

    ○原田委員 簡単にお願いします、結論だけ。
  202. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 その面も進捗いたしまして、私どもとしては、何とかして五十五年度予算で着工に着手したいという考えで目下努力しておるわけでございます。
  203. 原田昇左右

    ○原田委員 フランスはどうですか。動いているのですから……。
  204. 瀬川正男

    ○瀬川参考人 フランスの方は、私どもよりやはり十数年先に着手した関係上、すでに原型炉発電所は運転しておりまして、その次の実証炉発電所といいますか、スーパーフェニックスと言われておるようでございますが、これが現在は建設中という次第で、われわれよりやはり十年ぐらい先に進んだような状態かと思います。
  205. 原田昇左右

    ○原田委員 ぜひこれも推進していただきたいと思います。  それからトリウムについてなのですが、どうも世界のウラン資源を見ますと、やはり非常に限られておる。それに反してトリウムは、これから資源的にかなり開発できる可能性があるのじゃないかということで伺っておるのですが、問題は、トリウムを利用した原子炉というのは、構想の段階はあっても実際に調査もされておらぬということであります。アメリカでは少し前に実験したことがあるそうですが、溶融塩炉とかいうのですが、、これについても基礎的な調査くらいはやったらどうかと思うのですけれども、いかがですか。
  206. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 トリウムが資源的に相当有望ではないかというのはお説のとおりでございます。その量がどのくらいかということについては意見が分かれているようでございますが、少なくとも相当量の資源として存在するということは事実でございますので、ウラン資源にも限りがあるということを踏まえれば、次の資源としてわれわれは注目すべきであると思います。しかしながら、先生御指摘のように、トリウムサイクルの研究開発は、ウラン、プルトニウムサイクルに比べまして非常におくれております。技術的にもいろいろ問題があるのだということのようでございますが、少なくとも、御指摘のように、基礎的な研究の対象として注目すべきであるという御主張はそのとおりであるかと存じます。
  207. 原田昇左右

    ○原田委員 いま原研で二十一世紀の燃料と言われる核融合研究が行われておるわけですが、臨界プラズマのJT60というのですか、これの建設をこれからおやりになるわけですね。ところが、最近何か別の方法の方がもっといいのではないかという学説がいろいろと出ておりますが、一体臨界プラズマはいつまでおやりになるのか、ほかのシステムと比べてこれ以外はないのかどうか、その辺を研究所長にひとつお伺いしたい。
  208. 村田浩

    ○村田参考人 核融合研究でございますが、私どもはかねがねトカマク型と申しますもの、JT60がそれでございますが、長年これの研究開発をしてまいっておりますけれども核融合の方式としては、大きく分けまして、トカマク型のような磁場で閉じ込める方式と慣性閉じ込めというのと二つございまして、磁場閉じ込めにも大まかに分けますと四つくらいの違った種類がございます。わが国の中におきましても、大学等で、あるいは理研、電子技術総合研究所等で国の予算をいただいてそれぞれ研究しておりますが、現在私どもがやっておるということだけでなく、国際的な核融合研究の学者間の意見等におきましても、今日までの実績等から、将来核融合炉へつながる一番近い道はトカマク型であろうというのが現在の評価でございます。私どもも、過去十数年研究開発をやってまいりまして、その実績の上にJT60と申します臨界プラズマ試験装置を五十四年度までにつくりまして実証をいたすことにしておりますが、これは研究開発で申しますと科学的実証という段階でございまして、将来本当の意味で実用化につながるということは、その次に続きます工学的な実証という段階を経なければ確定的なことは申されな…と思います。したがいまして、ただいま申し上げました他の核融合の方式というものも並行して勉強はしなければいけない、こういうふうに思います。ただ、国の研究開発としましての重点は、現在のところアメリカ、ソ連、ヨーロッパ連合ともトカマク型に置いておりまして、その線で一致努力してまいりたい、私どもこう考えておるわけでございます。
  209. 原田昇左右

    ○原田委員 時間がございませんのであれですが、私はこのトカマク方式結構だと思います。大いにひとつ推進していただきたいと思います。  そこで、この前アメリカのスリーマイル島事件がありまして、原子力の安全性について一般にも非常に衝撃を与えたことは事実であります。これに対して、アメリカではケメニー報告というのがついこの間出たと聞いておりますが、こういった報告を見まして、日本がなすべき点、いままで足りなかった点というのがあるのかないのか、あるとすれば、一言で言えばどういうことだったのか、そしてそれに対してどういうようにやろうとしているのか、簡単にひとつ御説明いただきたい。
  210. 牧村信之

    ○牧村政府委員 先生御指摘のように、アメリカのTMI事故というものは、現在世界で実用炉として使われております軽水炉の安全性に対して非常に大きなインパクトを与えたことは事実でございます。アメリカにおきましても、事故後直ちにNRC等によりまして、いろいろこの事故原因あるいは改善策がとられておりまして、NRC自身のタスクフォースによる検討あるいは大統領直轄の……
  211. 原田昇左右

    ○原田委員 そんなことを聞いているのじゃないんだよ。ケメニー報告はわかっているんだ。その中で日本の参考になる点があるのかないのかと聞いている。そして、日本がやっていなかったところは取り入れてやらなければいかぬでしょう。それはないのですかと言っているんだよ。
  212. 牧村信之

    ○牧村政府委員 このアメリカ事故で一番問題になりましたのは、アメリカの原子炉の運転のあり方あるいはアメリカの規制の方法等に非常に大きな反省が出ておるのがアメリカの現状でございます。アメリカアメリカとして……
  213. 原田昇左右

    ○原田委員 アメリカじゃないんだよ。日本に取り入れる必要があるのかと聞いている。そんなものはみんなやっていますと言えばそれでいいんだよ。足りないところはこれだったと言えばいい。
  214. 牧村信之

    ○牧村政府委員 どうも失礼いたしました。それでは簡単に……。  私ども原子炉の安全性につきましては、事日本だけで済む問題ではございませんので、アメリカの経験を十分踏まえて、日本の原子炉の安全性確保をより万全にする必要があるという姿勢で、このTMIの事故対応を安全委員会を中心に関係行政庁で協議しつつ進めておるところでございます。  そこで、すでに行いました点は、現在日本で稼働しております原子炉をすべて総点検する、あるいはこの事故によりましてECCSの作動等に疑問が出ましたので、それの解析をする等の当面とるべき措置は十分に私ども行ったと思っております。したがいまして、現状におきまして、現在稼働中の軽水炉は慎重な運転と厳正な規制によりまして十分に安全に稼働できると思っております。しかし、この事故を踏まえて、いろいろさらによりよくするということが必要であろうかと思っております。  これにつきましては、安全委員会調査特別委員会で五十二項目にわたる改善点、問題点指摘されております。この中には、相当程度が日本の原子炉におきましてすでに改善が進められておりまして採用したものがございますけれども、それを踏まえて、なおよりよくするために、いま原子力安全委員会検討中でございます。この検討結果が出ました際には、さらに日本の原子炉あるいは新しくいま設置許可を求められております原子炉に改善をいたしまして、さらに万全なものにいたしたいということで、鋭意努力しておるところでございます。
  215. 原田昇左右

    ○原田委員 安全確保の問題はきわめて重要な問題でございますので、ぜひひとつ遺憾なきを期すようにやっていただきたいと思います。  ところで、研究開発投資全体の問題について伺いたいのです。  いま五十三年の科学技術白書というのを拝見しますと、五十二年にアメリカ技術輸出が一兆二千六百億、技術輸入が千二百億、ものすごい出超です。一兆円くらい。日本はどうかというと、二千七百五十八億輸入で、輸出はわずか六百二十六億で大変な入超。これは日本のテクノロジーギャップというか、技術ギャップがこういうところにあらわれてきているのだろうと思うのです。何も貿易収支でバランスしろということを申し上げているわけではないのですけれども日本のこれから生きる道はやはり研究開発投資に相当の費用を使って、そして未来を開く技術開発をやっていくということが大事だと先ほど大臣も申されたことに対して、私全く同感なんです。そこで、いま日本のGNPに対する研究開発費の割合というのは各国と比べるとどうなっているのか、そのうち政府支出の割合はどうなっているのか、それをちょっと簡単に説明してください、一言でいいですから。
  216. 園山重道

    ○園山政府委員 御説明いたします。  外国と比較できます数字で申し上げますと、昭和五十二年度の国全体の研究投資が三兆二千三百億でございまして、国民総所得に対する割合といたしまして日本は二・一一%、アメリカは二・五三%、西独は二・五八%、ソ連は若干不正確でございますが四・五二%という数字が出ております。またこの中で官民の負担割合でございますけれども日本は政府の負担割合が二七%、米国は五一%、西ドイツは四九%、こういう数字になっております。
  217. 原田昇左右

    ○原田委員 いまのは軍事費を含みませんね。
  218. 園山重道

    ○園山政府委員 ただいまの比率等は国防研究費を含んだ数字でございます。  国防研究費を除きました場合、国民所得に対する比率は、二・一一%と申し上げましたのが二・一〇%。政府の負担割合は、除きますと二六・七%ということで、これはほとんど変わっておりません。
  219. 原田昇左右

    ○原田委員 諸外国の場合はどうですか。
  220. 園山重道

    ○園山政府委員 諸外国の場合は、政府の負担割合で申し上げますと、アメリカが国防研究費を含んだ場合五〇・五%というのが国防研究費を除きますと三五・一%、西ドイツの場合は国防研究費を含みますと四八・五%が四五・三%ということになります。また、国民所得に対する比率で申し上げますと、アメリカが国防研究費を含みました場合二・五三%が一・九三%、西ドイツは二・五八%が二・四三%でございます。
  221. 原田昇左右

    ○原田委員 いま伺いますと、研究開発投資全体としては対GNP比で各国に対して若干おくれをとっておるけれども、そんなにひどく落ちているわけではない。しかし、これからその研究開発投資を大いにやって、資源小国だからそっちの頭脳で生きていこうというには、目標を三%ぐらいに引き上げるべく努力をしなければいかぬのじゃないか。さらに政府の役割りというか、その点では、各国から見ると軍事費を除いても半分くらいにしかなってない。政府は全くその努力をしてないと言われても仕方がないんじゃないかと思うのですね。もちろん政府の割合がふえるからいいというわけでは必ずしもないのですけれども、もっともっと政府がイニシアチブをとって研究開発促進をやらなければいかぬのじゃないか。私はかつて予算委員会で提案したことがあるんですが、日本研究開発について何か一つの基準になるような法律をつくって研究開発の振興を図れ。いまたとえば代替エネルギーについては代替エネルギー特会ができて、原子力を除いては何か通産省の方でつくるような機関がありますけれども科学技術庁はやはり全体を見ているんですから、代替エネルギーの問題もそうだし、ライフサイエンスの問題もあるし、いろいろなテクノロジーがあると思うのですね。これから人類の未来を切り開くくらいのつもりで、ひとつそういう観点から研究開発投資を促進する基本的な方向を示すフレームをつくりなさいということを提案したのです。そうしたら、その当時の大臣だったか計画局長だったか、前向きでやりますという御答弁はいただいておるのですが、三年か四年たっても何にもやってないというのが現状なんですよ。私ははなはだ遺憾だと思う。もう少し何かここで考える必要があるのではないか。  それからまたもう一つ、特に日本の場合は中小企業がこのごろかなり取り組み出しておるのです。ところが研究開発費が出ない。非常にむずかしい状況なんです。各自治体でかなり補助をしたりいろいろなことをやっておりますが、しかしこの辺ももう少しじみちに、引っ張り上げる努力をその基本法の中でやったらどうかという考えを私は持っているんです。ぜひひとつ、いままでのいろいろな制度がありますが、そういったのを一回レビューしていただいて政策として取り上げていただきたい。これは大臣からひとつ所見を伺いたいと思います。
  222. 長田裕二

    長田国務大臣 御指摘の点は私どもも全く同感でございます。ただ、それをどうやって実現するかということにつきましては、先ほども申し上げましたように、エネルギー関係原子力関係につきましては、一つの道が五十五年度に開かれて、相当成果が上がったと思っておりますが、その他の諸技術等の開発につきましての予算がそれほど激増したというわけではありませんし、私ども、ただいま御指摘のような点を今後も十分体し、その面の推進に力を入れてまいりたいと思います。なお、具体的にどうするか、何か新しい方法があるか、妙案があるかということになりますと、まだ十分思い当たっておりませんが、それらもあわせて努力をしてまいりたいと思います。
  223. 原田昇左右

    ○原田委員 ありがとうございました。
  224. 高田富之

    高田委員長 永末英一君。
  225. 永末英一

    ○永末委員 本日の決算委員会は大分アヤメの花が咲いたようでございますが、私もひとつ「あやめ二号」について質問をいたしたいと思います。  NIロケットがいままで数個衛星を打ち上げておりますが、その重さはそれぞれ幾らですか。
  226. 勝谷保

    勝谷政府委員 静止軌道百三十キログラムの打ち上げ能力ということになっております。
  227. 永末英一

    ○永末委員 いままで打ち上げた衛星の種類と、それが持っておるそれぞれの目的に従って中身があるわけですが、中身の重さと、その中身を包んでいる構造材料との重さ、それをひとつお知らせを願います。
  228. 勝谷保

    勝谷政府委員 お答えいたします。  技術試験衛星I型「きく」につきましては、重量約八十二キログラムのものをNIで打ち上げております。次の電離層観測衛星「うめ」につきましては、約百三十九キログラムのものをNIで打ち上げております。次に電離層観測衛星「うめ二号」につきましては、約百四十二キログラムのものを同じくNIで打ち上げております。次に技術試験衛星II型「きく二号」につきましては、約百三十キログラムのものを同じくNIで静止軌道に打ち上げております。次に先回の実験用静止通信衛星あやめ一号」につきましては、約百三十キログラムのものを静止軌道に打ち上げようといたしましてNIで打ち上げまして、失敗をいたしました。同じく実験用静止通信衛星あやめ二号」につきましても、約百三十キログラムのものをNIで打ち上げ、静止軌道に乗せようとして実は失敗をいたしたわけでございます。  なおNIの計画としましては、技術試験衛星III型を約三百八十五キログラムのものを、これは通常の軌道に回周をさすわけでございますが、同じくNIで打ち上げることになっております。  以上でございます。
  229. 永末英一

    ○永末委員 私の伺っているのは衛星の全体の重さではなくて、衛星にはたとえば技術試験というのは何か知りませんけれども何を試験する、電離層観測なら電離層観測の機器が入っているはずでございます。要するに、衛星の目的に合わせた中身、それをカバーしている構造材量の重さを聞いているのです。
  230. 勝谷保

    勝谷政府委員 衛星中身の主なミッションを申し上げますと、このたび失敗をいたしました実験用静止通信衛星あやめ」につきましては、静止衛星の打ち上げ技術の習得を行い……(永末委員「そんなこと聞いてないじゃないか。聞いていることをさっと答えなさいよ」と呼ぶ)衛星の中はミリ波等の周波数帯における通信実験を行うための各種のミッション機器が入っております。
  231. 永末英一

    ○永末委員 日本語というのはもっとわかりやすい。私は重さを聞いておるのに、目的を言っております。重さは研究しておらぬのですか。
  232. 勝谷保

    勝谷政府委員 先ほどから申しておりますそれぞれについて、八十三キログラムから百三十キログラムまで申し上げましたのが衛星の重さでございます。
  233. 永末英一

    ○永末委員 そのとおりです。あなたは私の言っていることがわからないのですか。衛星はそれぞれ目的がある。たとえば電離層観測衛星なら電離層を観測する機器がある。しかしそれだけでは飛べませんから、それをカバーしているものがある。「あやめ二号」でもその中にはいろいろな通信機器が入っておる。エレクトロニクスと概括してもいいかもしれませんが、その重さと、それを覆っておる構造材量の重さというのは、あなた方は全然考えないでいいことになっているのですか。それを知らしてください、こう聞いているのです。
  234. 勝谷保

    勝谷政府委員 申しわけございませんが、ここに各衛星につきましてのミッション機器とその覆いの構体についての重さの数字がございませんが、およそ三割程度がミッション機器で、構体が七割程度だと聞いております。
  235. 永末英一

    ○永末委員 長官、私が伺っておるのは、NIというのは要するにペイロードが百三十五キロぐらいですかね、それを打ち上げるために開発しているロケットなんです。そのロケットを用いていろいろな目的を持つ衛星を打ち上げる。そこで、それぞれの目的の衛星は百三十五キロ以内ぐらいのところでつくり上げますが、中に入れる機器は目的によって重さがいろいろ違うものが入っているはずですね。そこで、わが「あやめ」は、いまの通信ですか、今度はミリ波実験ですか、そのための機器を入れようとしておる。私どもは素人ですけれども、ある目的に機器を入れようとすれば、一定の目的に即した重さのものを入れなければならぬ。ところが、その構造材料、簡単に言えば側です、その側が強くつくられておらなければ、たとえば第三段ロケットに点火したときにその構造に無理があれば壊れますね。そういうことを考えてやっておるのかどうかということを聞きたいからいまのように、いままでNIロケットで打ち上げた衛星中身と側との重さを聞いておるが、違うことばかり答えておる。そういうことは科学技術庁では考えぬのですか。
  236. 長田裕二

    長田国務大臣 衛星を打ち上げます際に、その衛星を打ち上げる方のロケットの能力などによって目方の制約がございますし、その目方の範囲内で目的を達するためにいろいろな機械を入れたりいたします。打ち上がった後でも、静止衛星の場合ですと、静止軌道を走るための調整をするエネルギーを蓄え、それを必要なときに打ち出したり噴射したりして姿勢を制御する、あるいは地上のコントロールに従うために、またそれを受けたりする装置だとか、いろいろなものがありまして、先回の実験用通信衛星につきましてはまだこれからの分析に待つところでございますけれども、いろいろ言われておる中に、新しい任務を持たせる、そのためにかなり無理をして設計したことがなかったのかどうかということも一つのテーマだというふうに漏れ聞いておるわけでございます。たとえば側のようなものは、目的にどうしても必要な強度を保つ範囲内では極力軽くしていく、中の性能に関連するところに重点を置いていく、そういうようなことだと思います。
  237. 永末英一

    ○永末委員 その最後のところが質問に対する答えでございます。私が心配しておるのは——大体NIロケットというのは打ち上げるための機器で、上に載せる衛星はそれぞれ目的がある。さて一体NIロケットシリーズはもう一発打ったら終わりだというのですが、今回の「あやめ一号」「二号」の実験は、打ち上げるところに意味があったのか、衛星を回して、あるいは静止さして、それを使うところに意味があったのか、どっちなんですか。
  238. 長田裕二

    長田国務大臣 打ち上げるところにも十分意味がございまして、たとえば、前回、去年の失敗は三段ロケットを切り離した後で、その切り離したロケットが推力を持ったまま衛星に追突したというようなことなどがございますから、そういうことのないようにロケットとして完全に打ち上げるということも一つの大きな使命でございますし、それからまた、実験用通信衛星として、ミリ波というものが、宇宙と地上との通信連絡に使った場合にどういう特性があるか、どういう障害が時によってはあるかということを検討する、これもまた重要な任務であったわけでございます。
  239. 永末英一

    ○永末委員 二兎を追う者一兎をも得ずという昔からのことわざがありますわな。  あなたの方が宇宙開発委員会をしてつくらしめた宇宙開発計画昭和五十四年三月十四日付の中に「実験用静止通信衛星(ECS−b)」というところに、「実験用静止通信衛星(ECS−b)「あやめ」の打上げ結果の評価を踏まえ、同衛星の予備衛星または打上げ用N−Iロケットに必要な対策を講じ」とこう書いてある。これは二つともあかなんだので、もうNIロケットに必要な対策はやめですか。
  240. 勝谷保

    勝谷政府委員 宇宙開発委員会の第四部会で目下検討いたしておりますが、一号、二号とも失敗をいたしましたので、本対策でねらっておりますミリ波実験等々をどのような形でやるかということについて、結論を四月の末までに出すことになっております。
  241. 永末英一

    ○永末委員 私が聞いたのは、いまはロケットのことを聞いたのです。NIロケットに必要な対策というものはもう考えないのか。つまり、NIロケットに対しての実験がいままで重ねられてきた、いま長官のお話ですと、二つあるというわけですね。打ち上げるロケットのことも実験したいし、そこに積んでおる人工衛星についてそれぞれ目的を与えてそれも実験したい。今回は通信のためのミリ波というものを、余り過去やっておらぬそうでありますけれども、これを実験したい。いまそのNIの方は、この前、何かこうぶらぶらするおもりみたいなやつを、おかしかったというのでそれを改良したという話ですが、それをやったら今回の実験でNIロケットについてはもう手を加えるところはない、こういう判断なのか、まだやらなければならぬという判断なのか、どっちですか。
  242. 勝谷保

    勝谷政府委員 その点につきましてもこのたびの第四部会で結論を出しますが、私ども現時点での推定では、先回一号で失敗をいたしましたロケット部門原因究明して対策をとりました結果、現時点考える限りすべて順調にロケットは作動いたしましたので、一応の目的を達しているという認識を持っております。
  243. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、前回も今回も本体に組み込まれておりますこのアポジモーターが点火した後でおかしくなっておるのでございますから、第三段ロケットの点火まではこのNIロケットはもうよろしい、こういう判断ですね。
  244. 勝谷保

    勝谷政府委員 先回は第三段のロケット衛星を切り離す機構においてふぐあいが生じたわけでございますので、ロケット部分の失敗としての認定が下されております。したがいまして、このたびは衛星部門、先回はロケット部門という判定になろうかと思います。
  245. 永末英一

    ○永末委員 アメリカでこの十二月七日に、同じ会社でつくっておりますアポジモーターが点火後十五秒で電波通信がなくなって、わからなくなったということがあったと伝えられておりますが、これの原因はどういうことになっておるのですか。
  246. 勝谷保

    勝谷政府委員 アメリカのSATCOM3号の原因は、アポジモーターに基づくものだということだけは通報を受けておりますが、その原因についてはまだ報告に接しておりません。
  247. 永末英一

    ○永末委員 今回の実験はアポジモーター点火八秒後に通信が来なくなった、昨年は十二秒後に来なくなった、アメリカはSATCOM3号が、十二月七日にやって、これが十五秒後に来なくなった。いまの答えを聞いておりますと、そのアポジモーターに何かあったんだろうということを聞いておるが、詳しいことはわからぬ、そんな態度でいいのでしょうか。同じことが二回起こっておって、そのことがわかり、アメリカアメリカ人がつくったモーターを使っておって、われわれはそのつくったものを買うておるわけでしょう。われわれも検査したかもしれませんが、そのノーハウの細部にわたっては彼らが知っておるわけです。したがって、彼らはその原因についてはより真剣にやっておるはずだと私は思います。したがって、いまの答弁ぐらいで、アポジモーターに欠陥があったということであるがという程度でいいのでしょうか。長官、あなたはどう思いますか。
  248. 長田裕二

    長田国務大臣 実はこのたびの失敗につきましては、先ほどからも申し上げておりますように、これからしっかりした検討を加えて今後に大いに生かしていかなければと思っているところでございます。アメリカの先般の失敗の分析、解析が十分になされているかどうか、それが日本に来ているかどうか、私ただいまのところ十分存じておりませんのですけれども、恐らくアメリカがまだそこまでそれを完成していないとしますならば、アメリカも非常に力を入れてやっていることだと思いますが、何せ宇宙の三万六千キロばかりの上空でのことで、通信がとだえますと、今度はその衛星がどういう状況になっているのか、そのことが非常にわからなくなります。静止軌道を飛んでいるのか、どこかへ行っちゃったのか、それもどうもまだはっきり掌握できない、そのような状況でございますので、後の原因究明が大変困難だ、そういう事情もございますことも御了察いただきたいと存じます。
  249. 永末英一

    ○永末委員 三万六千キロかなたのことであるから、それを準備する人はやはり本当に真剣に慎重にやってもらわねばならぬ。国会が十日もとまって、二百五十億円何とかしようと思ったら大変なことです。国会対策は目を回してやっているわけだ。ところがぽんぽんと二発やったら二百五十億円どこかへいっちゃった。これは国民の目から見ると、三万六千キロあっちのことはわからないなんというようなことではなくて、全部これは税金ですよ。これは大変な問題です。ほかみたいにめちゃくちゃつくっておるわけではありませんが、これは本当に真剣になってもらわなければならない。  したがって、同じ状況のもとで起こった事故が「あやめ二号」の前に二つあったとすれば、それはやはりもっと検討して、今回の、二月二十二日ですか、発射しました「あやめ二号」の実験の前に検討すべきではないかと私は思いますが、その態度にちょっと何か抜けておるんじゃないですか。
  250. 勝谷保

    勝谷政府委員 実は、昨年の十二月六日に米国の東部射場から打ち上げました先生御指摘のRCAのSATCOM3号のアポジモーター点火後のふぐあいが発表されましたので、御指摘のように宇宙開発事業団といたしましても非常に心配をいたしまして、アポジモーターの点検につきましては特別点検をいたしたと報告を受けております。  特別追加点検をいたしました点といたしましては、衛星の構体全体については再点検、ノズル、フランジ部門についてのチェック、さらにセーフアーム装置取りつけボス部についての結合状態の確認等、この分野についての専門家の意見をもとに新たな追加点のチェックをいたしました。特別点検と申しておりますが、そのようなことをいたしたわけでございます。  しかしながらこのような結果になりましたので、やはり原因追求については今後十分いたさなければならないと考えております。
  251. 永末英一

    ○永末委員 SATCOM3号は重さ幾らですか。
  252. 勝谷保

    勝谷政府委員 おおよそ五百キログラムと聞いております。
  253. 永末英一

    ○永末委員 その五百キロの中で、この側と中身とはどういう比率になっておりますか。
  254. 勝谷保

    勝谷政府委員 手元に正確な資料がございませんが、おおよそミッション関係が三割、残りが、側が、構体が七割というように聞いております。
  255. 永末英一

    ○永末委員 この「あやめ二号」の中身をお答え願わないのでどうにもならぬのでありますけれども、私の聞くところによりますと「あやめ二号」の構造材料は九十キロ弱、それからエレクトロニクス、中身は四十キロ弱、このように聞いております。  そうしますと、たとえばSATCOM3号でいいますと、その側だけで二百十キロあるわけです。大きなペイロード、推力を持っておるロケットで打ち上げておる、にもかかわらずこれだけのことが起こっておる。アポジモーターそのもの故障か、アポジモーターを点火したことによって起こってくる故障か、この辺が問題なんです。  そこで、私は重さのことを申し上げておるのは、このミリ波の実験をやるのだということで、そういう目的に合わしたものを積もうとする。したがって、それを積もうとすれば、側についてはなるたけ合理的に、もう少し言葉を言えば薄くていいものは薄くていいという無理をしておる。そういうことがモーターそのもののところかどうか、その辺がなかなか、私は見てもわかりませんが、新しく点火して推力が加わる、そういうことでこうなっておるのじゃないか、こう思われる節があるのです。そんな気がしませんか、長官。
  256. 長田裕二

    長田国務大臣 そういうことなども頭の中にちらちらいたさないことはございませんが、いずれにしましても、私も素人でございまして、専門家の厳密な検討、その結果を待ちたいと存じております。
  257. 永末英一

    ○永末委員 私がこんなことを申しておるのは、最初あなたが言われたように、二兎を追っちゃいかぬ。つまりNIロケットNIロケットとして完成しなくちゃならぬことはあるけれども、何もペイロード百三十五キロぐらいのもので終わるのではなくて、すでにNII三百五十キロのものをやろうとしておられる。科学技術庁事業団をして一体どういう宇宙計画をやらそうとしているのかという基本問題に立ち返るわけなんですね。つまり、どれぐらいの推力のあるロケット、その上に積むものは何だ、これで何をしようとするかというところから出てこないとわからぬ問題だ。つまり、百三十五しかないNIロケットミリ波を積んでやるという計画は一体よかったのか。この辺のことはやはり考えてもらわなければ、機械の誤りだけを正してもだめですよ。政策を立てた人の責任を明らかにしていただかなくてはならぬ問題に来ておると私は思う。機械のせいではない。その機械に無理をしようとした政策の立案家というところに問題があると私は思うのです。お答え願いたい。
  258. 長田裕二

    長田国務大臣 恐らくそのようなテーマも関係者の間で検討されたと思います。そして、まず可能だという判断のもとに設計がなされて取り進められたと思いますが、あのような結果になりまして、その原因がどこにあるか、その内容自体の複雑さ等に伴う、ただいま御指摘の、たとえば側の薄さとかそういうようなところに原因があったのか、その他の事情であったのか、それらを込めまして十分検討をさしてもらいたいと存じております。
  259. 永末英一

    ○永末委員 これをコントロールする電波は公開ですか。
  260. 勝谷保

    勝谷政府委員 地上からの操作をいたしますコマンドについては公開いたしておりません。
  261. 永末英一

    ○永末委員 そうしますと、地上からのコントロールをするコマンド電波は公開しておらぬが、何か公開しておるのがあるのですか。
  262. 勝谷保

    勝谷政府委員 衛星によって実験をいたします周波数等については公開をいたしております。
  263. 永末英一

    ○永末委員 つまり同じ時点で、わが方の打ち上げた「あやめ」がどこか行ってしまった、こういう話でございまして、したがって、「あやめ」とわが方の管制するコマンドとの間を中断する何らかの力、電波が加わったのではないかというSFもどきの推測をした人がおりますが、そう思いませんか。
  264. 勝谷保

    勝谷政府委員 私どももそのような意見を耳にしたことがございます。しかし、私どもの推測では、先ほどから申しておりますようにアポジモーターを点火いたしますコマンドを出しまして応答が返りまして、そしてコマンドを打つと同時に着火したということははっきりデータでつかんでおりまして、その後八秒で通信が途絶しておりますので、われわれのコマンドのとおりに作動しておるという点ははっきりしているのではないか。したがって、その種妨害によってコマンドが打たれたということはないと考えておるところでございます。
  265. 永末英一

    ○永末委員 この衛星の発する電波の周波数、それはその時点では全く発信をしていないという状況ですか。
  266. 勝谷保

    勝谷政府委員 周波数は発信をしております。
  267. 永末英一

    ○永末委員 それを受けて何かすることは可能ですか。
  268. 勝谷保

    勝谷政府委員 同じ周波数で衛星に対して地上から通信をすることは可能でございます。
  269. 永末英一

    ○永末委員 それはあたりまえですな、電波は地球を飛んで流れていくわけですから。  そこで、先ほど言うたようなことは調査しませんか。
  270. 勝谷保

    勝谷政府委員 先ほど申し上げました衛星指令を発しますコマンドのコードと合致していない限り、妨害はできないという報告をいま受けております。したがいまして、私ども現時点では、そのような妨害は不可能ではないと考えておりますが、今後これも検討の材料にはなろうかと存じます。
  271. 永末英一

    ○永末委員 この打ち上げている衛星の周波数を公開している国は、ほかにもございますか。
  272. 勝谷保

    勝谷政府委員 一般的に、衛星の周波数はすべて公開しているようでございます。
  273. 永末英一

    ○永末委員 長官、いまのようなことで、これはいろいろなことが考えられるのでございますが、われわれのいままでの通信技術は、地上をはう有線であったり、あるいは地上施設による短波であったりというのですが、上へ上げますと、非常に広い地域におりてくるわけだし、東京から鹿児島というと遠いように思いますけれども宇宙衛星を使えばこれは同じことですね。  これはあなたの専門と違うかもしれませんが、いまの電話料は何と何とが要素になって値段が違うのでしょう。御存じですか。
  274. 長田裕二

    長田国務大臣 ただいまの最後の方の御質問は、どうも私、趣旨を十分理解いたしませんでしたが、最初の、何らかの通信の操作によって衛星故障が起きたかどうかということにつきましては、先ほど局長が申しました、アポジモーターを動かす指令を出したらそれに対する応答は確かに返ってきた。点火したら八秒後に通信が途絶したということでございます。いま私、担当者に、立ち上がる前に聞きましたのは、何らかの波長で、ある場合には衛星を爆破するというようなことも考えられておったか、そのための送信ないし受信のあれがあったかと聞きましたら、万一の場合に爆破するというような送受信の施設はなかったということでございますし、あの衛星故障が地上からの電波によって起きたとはまず考えにくいというような感じが私はしているわけでございます。  なお、電話料の問題につきましては、御趣旨をちょっとあれしましたので、また、余り科学技術庁関係でないことでございましたら、ひとつ御容赦を願いたいと存じます。
  275. 永末英一

    ○永末委員 長官は、おくにはどっちですかな。
  276. 長田裕二

    長田国務大臣 千葉県です。
  277. 永末英一

    ○永末委員 東京と千葉なら同じことですが、たとえば千葉県から東京へかける場合と大阪へかける場合と、電話料は違いますね。同じ時間かけても違う。それは日本の国内の電話料には距離という概念が入れてある。宇宙衛星は同じことですな、東京であろうと大阪であろうと。そういう意味合いで、いままで地上の施設に頼っている通信施設は、宇宙衛星が発達すれば様相を一変するわけですね。私は、だから宇宙衛星推進派なんです。先ほど来いろいろなことを申し上げましたが、要らぬことはやめとけと言うているのと違いまして、慎重に早うやれと言うているわけです。  そこでもう一つは、このごろ半導体はアメリカもあわを食うほど日本技術が発達しておる。宇宙開発につきましてはまだそれほどでもございませんから、まだいろいろなものを買っているわけでございますが、いずれわれわれもこれを取得しなければならぬものだと思います。  さて、先日、ある弱電気屋さんの機械で、日本語を英語に翻訳し英語を日本語に翻訳する、おもちゃみたいなものですが、そういうものがあらわれておりまして、これはすべて半導体のなせるわざだ。しかし、その半導体は何もそういう文字というシグナルを変えるというのではなくて音もまた変えるはずでございまして、それから絵というものはそういうシグナルの累積でございますから、そうなりますと、宇宙衛星を使って国際的なお互いの情報交換というものは非常に——もし情報交換が平和に役立つとしますと、宇宙衛星こそは平和を維持する最大の役割りを果たす、こういうことになろうと思うのですけれども、そういうことをお考えですか。
  278. 長田裕二

    長田国務大臣 現在計画にございます海洋観測衛星などは、海洋の温度とかあるいは潮の流れとかそういうようなもので、たとえば魚群の問題なども探知しようという目的もその一つに持っておるわけでございますし、測地衛星なんというものが出てまいりますと、地上のいろいろな状況、植物の状況その他地下の鉱物の状況、いろいろなものが衛星によって十分把握できる、そういうような機能どもいろいろありますようで、現実にも若干使われております。気象衛星につきましては御承知のとおりでございます。衛星開発が人類に相当の便益をもたらす、そのような観点から宇宙開発もとり進めている次第でございます。
  279. 永末英一

    ○永末委員 問題は、国際的になりますと、わが国と相手方、たとえば中国なら中国とファクシミリみたいなもので映像を取り交わそうというようなことになりますと、二国間の通信協定が必要ですが、わが国はどうも通信協定は余りしておらぬようです。科学技術庁は外務省と違いますから担当者ではないかもしれませんが、アメリカから部品をもらうには約束が要るわけでございますので、宇宙衛星でもそれを一歩進めれば通信協定ども必要だ。そういうものをやることによって、いまの宇宙衛星の働きもまた変わってくる。いまは何か国内通信のことだけを考えているような発想ですが、そうではなくて、先ほど私が申しましたように、音が映像に変わる、信号に変わる、映像もできる、そしたらわれわれとインドネシア、われわれと中国、われわれとソ連、われわれとアメリカとの会話映像の通信も可能になるわけですね。そうなりますとわれわれの発想が変わってくる。つまり打ち上げたもので自分のところだけとろうという発想ではなくて、ミリ波よりももっと範囲の大きな容量を持つ、そのためには大きな推力のあるロケットをつくらなければ上がりませんですね。そんなことはお考えになりませんか。
  280. 長田裕二

    長田国務大臣 宇宙開発に伴います問題は相当広く、かつ、いろいろ複雑な問題があろうかと思います。商業用の通信あるいはテレビ中継などにつきましては、御承知のように、インテルサットの衛星によりまして世界じゅうほとんど通信並びに中継ができるようになっております。また、地域衛星などにつきましても、協定の範囲内でやり得るようになっているかと思います。ただ、放送とかその他になりますと、国際間でいろいろ問題もございまして、なかなか自由にはやり得ない。日本の静止衛星というものも、たとえば通信をするなら主として日本列島を覆うような方向づけをしながら使っていくとか、放送衛星などにつきましても、そのような配慮あるいは措置が必要になっていると思いますが、これらは宇宙の秩序と申しますか、そういうような問題として国際間の大きな問題になっているわけでございまして、それらについてもおいおい、これはどちらの担当になるかという問題もございますけれども、国として前向きに取り組んでいかなければならないことだ、そのように考えております。
  281. 永末英一

    ○永末委員 われわれの国がいまの憲法を持ちつつ平和を維持するためには、この宇宙衛星を活用しつつ情報の交換があるということは非常に大きな平和手段だと私は思います。その意味合いで宇宙衛星開発についてはまさに真剣に取り組んでいただきたい、そのためにはこの「あやめ二号」の失敗、その前の「あやめ一号」の失敗、これは徹底的に解明をして、そうしてその反省の上に、慎重にして堅実なる早い進展をひとつ宇宙衛星開発になされんことを強く民社党は期待します。  終わります。
  282. 高田富之

  283. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 冒頭にお伺いいたしますが、船舶用の原子動力と申しますか、推進用の原子炉の開発計画がおありですか。
  284. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  船舶用のいわゆる舶用炉と称しておりますが、現在日本にございますのは原子力船「むつ」に積んである炉でございますけれども、その後の研究といたしまして、来年度から、原船事業団におきまして改良舶用炉、より高度な舶用炉を開発していこうという計画がございます。
  285. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは原子力船の第二船を想定してのことですか。
  286. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 第二船を前提としてということではございませんで、まず五年計画ぐらいで設計研究をやっていこうというところまで考えている計画でございます。
  287. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いままでその種の研究をしているところがありますか。
  288. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 わが国では、まだやっておりませんでした。
  289. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はかつて予算委員会でも取り上げましたが、二十年前、昭和三十三年に川崎重工が原子力潜水艦用の原子動力設計研究をしておった事実を明らかにしておるわけです。それから日本造船研究協会の原子力船委員会の第七研究部会、NSR七、ここで船舶用の加圧水型の炉の概念設計に関する試験研究をやっておる、御存じですか。
  290. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 申しわけございませんが、存じておりません。
  291. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ぜひ連絡をとってその研究内容を当委員会報告していただきたい。よろしゅうございますか。
  292. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 至急調べまして御報告申し上げます。
  293. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この際、念のためお伺いしておきますが、潜水艦に推進用として原子力を使う、つまり原潜を保有することは原子力基本法からいってできませんね。大臣のお考えを聞いておきたいと思います。
  294. 長田裕二

    長田国務大臣 原子力推進が一般化するまではそういう問題は考えない、取り上げないということになっているようでございます。まだ日本では一般化しておらない、そういうふうに私は判断しております。
  295. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 核拡散防止条約からいうとどうなりますか。
  296. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 核不拡散の立場からは、恐らく高濃縮の燃料が必要となってまいるかと存じますので、いろいろひっかかりが出てくるかと想像されます。
  297. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、平和利用に限っておるんじゃないですか、二十五年間。
  298. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 平和利用に限った場合には問題はないと考えます。
  299. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 問題ないというのは何が問題ないのですか。潜水艦に原子力を使うことがですか。
  300. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 潜水艦と申しましても、観念的には潜水商船といったものも考えられますので、そういうあくまで商用船に関しては問題はないと申し上げたわけでございます。
  301. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、いわゆる原子力潜水艦を言っておるのであって、海の中をもぐる商船のことを聞いておるんじゃないのです。ごまかさないでください。どうなんですか。つまり、武力としての潜水艦ですよ。
  302. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  原子力基本法によりまして平和利用に限られているわけでございます。それに律せられると考えます。
  303. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま私は核防条約の観点から聞いておるのです。——時間がありませんから、じゃ、その点は留保しておきます。これは問題になったところですから、そのぐらいのことは御存じであろうと思ったのですけれども。  それで、前回の質問の続きでございますけれども、原発の廃棄物でローの方ですね。海に捨てる方。この話はどことどの程度話が進んでおるか、御報告いただきたい。
  304. 牧村信之

    ○牧村政府委員 原子力発電所等から排出されます固体の低レベルの廃棄物につきまして、これの処理、処分の方法として海洋投棄をする計画があるわけでございます。この計画につきまして、国レベルでの試験的海洋投棄を近く実施したいという考え方のもとに各種の試験、研究を進めてまいりまして、その試験、研究が完了いたしましたので、実際の海洋投棄を試験的に推進したいということで計画を立てまして、われわれの計画と安全上の諸問題については全く悪影響はないという安全評価結果について御説明し、これについて御理解賜りたいということで、各種漁業者団体に現在お話を鋭意進めておるところでございます。
  305. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは東京からどのくらい離れたところで、どのくらいの深さのところを想定されておりますか。
  306. 牧村信之

    ○牧村政府委員 この海洋投棄の地点はまだ政府の方におきまして指定はしておりませんけれども、漁業界との話し合いがつきますと海域の指定を行う予定をしております。その候補地点としては約四カ地点の海洋調査実施しておりますが、海洋投棄に最も適しているであろうと考えております地点は、日本の関東から東南に約九百キロ離れた、深さ約六千メートルの海底に投棄することを考えております。
  307. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 東南九百キロの地点というと、わかりやすく言うと、サイパンとかグアムとか島がありますが、どういうところでございますか。
  308. 牧村信之

    ○牧村政府委員 少し正確に申し上げますと、北緯三十度東経百四十七度の地点でございまして、サイパン等の地域からはなお千キロ以上離れておろうかと存じます。
  309. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体いつごろをめどに決定になる模様ですか。
  310. 牧村信之

    ○牧村政府委員 ただいまの私どもの計画では、五十六年の春ごろに実施したいということで漁業者の方々の御了解を得るための折衝、しかしながらこの問題を実施するために、私どもの計画では、今国会におきましてロンドン条約の批准を外務省の方からお願いしておりますが、それに関連いたしまして海洋投棄の実施法でございます原子炉等規制法、障害防止法の一部改正をお願いしております。こういうものの審議状況並びに実はOECDの原子力機関というのがございますが、ここに海洋投棄を実施する際の国際的な監視機構がすでにできておりますが、これの加盟を待って私ども実施したいというようなことを考えておりまして、五十六年の春というのはそういう観点からはきわめてタイトの計画になっていることは事実でございます。五十五年度末に実施したいということでございます。
  311. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 二月の上旬に日独の原子力関係会議が行われたと、この前お伺いしましたが、明確にしていただきたいと思います。どういう機関の人たちが集まって話をしたのか。
  312. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 日本原子力産業会議の主催によります日本及び西ドイツ原子力専門家会合が、五十五年の二月七日から九日まで東京において開催されたわけでございます。  その際、西ドイツ側からはユーリヒの原子力研究所の理事長を団長といたしまして、官民合計十二名の者が参加しております。それから日本側といたしましては、大島恵一東大教授を団長といたしまして二十名参加しております。  中の議事概要といたしましては、両国の原子力発電開発状況のレビュー、それからINFCE、ポストINFCEについて、それから核燃料サイクルに関する国際制度問題、核燃料サイクルのバックエンド部門の戦略、それから新型炉の開発ということで、日本西ドイツの一般的な原子力に関する政策なりその対策に関する会合が行われたと聞いております。  なお、その西ドイツ側の中には研究技術省の者とかカールスルーエの原子力研究所の者とか、それから再処理会社の取締役というものが参加しております。
  313. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この一問で時間が来ましたが、西ドイツの方も再処理会社の人が加わっているし、日本側も、やがては再処理問題を扱うサービス会社が加わっておる。そこで当然再処理工場なり再処理装置のことが問題になったはずだとこの前指摘したわけですが、そういう点は念を押されましたか。
  314. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 原子力開発に関する問題の一つといたしまして、再処理問題についても討論がされております。
  315. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その際に、日本ではどういうところが大体いいんじゃなかろうかというような話が出たはずでありますが、その点をこの前聞いたわけですけれども
  316. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 その際、立地問題について具体的に言及したという事実はないようでございます。
  317. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一応これでやめます。
  318. 高田富之

    高田委員長 庄司幸助君。
  319. 庄司幸助

    ○庄司委員 私も「あやめ」の問題から伺いたいと思うのです。きょうはどうも宇宙デーみたいな感じですね。大変宇宙にふさわしい夢のようなお話もあったわけでありますが、私は具体的な問題から少し聞いてまいりたいのです。  実は、今度の「あやめ二号」の打ち上げ失敗、これは最初総論的に言いますと、いろいろな科学的な実験や研究の場合、失敗はあり得ることだ、その失敗を乗り越えて進むわけですから、それはそれとして一概に失敗失敗とだけは言えない問題もあるだろう。しかし今度の「あやめ」の打ち上げ、軌道に乗せるものが失敗したわけですが、この失敗は、一号やその他アメリカの教訓から学ぶならば、当然防止できた失敗ではないか。だから科学研究一般の失敗並みの扱いはできない、こういうふうに思っているわけです。  それで具体的な問題を一つ伺いますが、アポジモーター故障らしいとだけはあなた方はおっしゃっていますが、何かいままでのデータをお持ちじゃないかと思うのですよ。たとえばこういうことも言われています。原因究明の手がかりになるデータは幾つか入っている。第一は、アポジモーターの上部の運動が従来のものに比べて急上昇している、これが一つデータ。それから第二は、点火二秒後に衛星の速度が急に速くなっている点、こういう報道もあるわけですが、こういうデータはお持ちですか。
  320. 勝谷保

    勝谷政府委員 緊急の宇宙開発委員会の席上に、宇宙開発事業団からとりあえずのデータとして提示されました中に、先生いま御指摘の資料が入っております。
  321. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、やはり今度の主要な原因アポジモーター故障ないしは欠陥があったということとして追及してしかるべきだと私は思うのです。その辺いかがですか。
  322. 勝谷保

    勝谷政府委員 たびたび原因について報告いたしておりますように、アポジモーター点火後八秒で通信が途絶しておりますので、私どもやはりアポジモーター原因究明一つの重要なポイントになっておるという推定はいたしております。いずれにいたしましても、宇宙開発委員会の第四部会の専門家の先生方に四月まで各種のデータをもとにチェックしていただくことになっておりますので、その結論にまちたいと考えております。
  323. 庄司幸助

    ○庄司委員 確かに前回の分と今回の分、合わせて二百五十億、これは保険金入っての分ですから大変な損害です。先ほど委員から、二百五十億円ばかりの予算を積み上げるのに十日以上も国会でもたもたしたという御発言がございましたが、それは私も同感です。  それで、これだけ国費に損失を与えたわけですから、アポジモーターの受け入れの点検、これがやはりどうだったんだかという点がひとつ問われなければならないと思うのです。その点で事業団は、先ほど来のお答えですと、日本人としてはそれにたえ得るような技術者なりあるいは研究者なりはいらっしゃらない、それでFACCの元アエロジェットにいた技術者を頼んで点検してもらった、こういう御答弁です。ところが、元アエロジェットにいらしたかもしれませんけれども、FACCは、この会社自体は何もアポジの専門メーカーでもなければ何でもないのですね。だからそういう方に点検をお願いしなくちゃならないというのも、今度の場合だけでも百三十九億円ですから、これは大変な問題じゃないかと思うのですよ。その点で、あなた方FACCにいらした職員をどういう理由で信頼したのか。結果的にはこれは失敗したわけですから、この辺にひとつ問題があったのじゃないか、こう思うのです。その辺どうでございますか。
  324. 勝谷保

    勝谷政府委員 アポジモーターの点検につきましては、アエロジェットからの出荷の際、さらに日本側の受け入れの際、いずれも出荷検査並びに受け入れ検査、さらにこのたびは特別の検査をしたことは先ほど申したとおりでございます。さらに、検査をいたしますのがアエロジェットの検査員のみということではございませんで、宇宙開発事業団並びに日本側のメーンコントラクターでございます三菱電機につきましても一応その種の点検のできる専門家を逐次養成中でございまして、この専門家がそれぞれ決まっておりますマニュアルに基づいて出荷検査、受け入れ検査をいたしたわけでございます。さらにそれに加えて、先ほど申しましたような特別のきわめてデリケートな先端技術でございますので、その道の専門家もあわせ使わせていただいたということを申し上げたわけでございます。
  325. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、事業団いらしてますから伺いますが、このアポジモーターは完全なノーハウだ。ブラックボックスという言葉がよく使われていますが、そういうノーハウやブラックボックスについても、あなた方点検できる技術あるいは知識を持った職員が果たしていらっしゃるのですか。
  326. 鈴木春夫

    鈴木参考人 アポジモーターにつきましては、完全にブラックボックスというわけではございません。たとえばそれに似ているような三段につきましては、そういった検査などはわが方の手でやっております。そういった関係で逐次われわれの方もそういった技術者が育っております。しかし、ある特定のメーカーの製品でございますと独特の性質がございますので、それを一〇〇%私どもの方で判定はしかねる問題があるわけでございます。そういう点につきましては、メーカーにどうしても依存せざるを得ないというような実情でございます。
  327. 庄司幸助

    ○庄司委員 メーカーに依存したのじゃないのでしょう。FACCの職員に依存したのでしょう。それは間違えないようにしてもらいたいのです。私はFACCという会社はアポジモーターのメーカーじゃないのだ、こう申し上げておるのです。やはりそういう一つの抜け穴が、事故が忍び寄る抜け穴が一つあったのだということを指摘しているわけなんです。  その点で一つ契約上の問題を伺いたいのですけれども、契約上の瑕疵担保、これはどうなっているのか。何かお話を伺うと、引き渡し後一年以内に瑕疵が発見されればメーカーに有責だ、一年以上については故意または重大な過失がある場合にはメーカーに有責なんだ、発見後一年以内だ、そういう点ですね。「あやめ」のアポジの引き渡しはたしか五十三年の十二月十日と伺っていますが、どうですか。間違いありませんか。
  328. 合田昌文

    合田参考人 お答え申し上げます。  ただいまお述べになりましたように、製作請負契約書、これは衛星のaとbを同時に発注しておりますが、この契約書におきまして第三十条でございますが、契約物品の瑕疵について規定がございます。「引渡しが行われたときから一カ年担保の責を負わなければならない。」となっております。そうしまして事実関係でございますが、ECS−bの衛星の引き渡しにつきましては、衛星本体が五十三年の十一月の三十日、アポジモーターにつきましては五十三年の十二月十四日というふうになっておりまして、ただいまの契約条項との関係から申し上げますと、五十四年の十一月の三十日ないしは五十四年の十二月十四日をもちまして一カ年間の瑕疵担保期間が消えておるという状態でございます。  なお、続きまして同契約条項の第二項に「ただし、故意または重大な過失があった場合には、当該瑕疵を発見したときから一カ年担保の責を負わなければならない。」というふうになっておりまして、この第二項の適用につきましては、発見したとき、打ち上げ日であるとかあるいはその原因が確定してわれわれが認識したというときから一年間、この担保責任を追及するということができるわけでございます。これは衛星の例を申し上げました。
  329. 庄司幸助

    ○庄司委員 そうしますと、引き渡し後一年以内の期限は切れた。その一年間どういうことをやっていらしたのですか。瑕疵があるかないか、当然発見する義務はあると私は思うのですよ。五円や十円の買い物じゃないですからね。
  330. 合田昌文

    合田参考人 お答え申し上げます。  ただいま御説明いたしましたように、衛星本体及びアポジモーターは五十三年の十一月に納入になっております。納入後、筑波宇宙センター等におきまして、完全に機能を維持するような保管行為あるいは定期点検行為というものをずっとやりまして、このbの場合にはちょうどaが失敗しましてから一年後でありますけれども、そのときの打ち上げに完全に機能を発揮できるように維持をしてきたわけでございます。  なお参考までに申し上げますけれども、予備衛星の具体的な契約といたしましては、予備衛星の定期点検というような契約、さらに点検整備の契約であるとか、アポジモーターにつきましては六カ月ごとの定期点検であるとか、特にアポジモーターにつきましては十二月のRCAの衛星の問題もございまして、その際の特別点検を行うとか、いろいろな点検整備というようなことをやっておるわけでございます。
  331. 庄司幸助

    ○庄司委員 契約書をお出しいただけますか。
  332. 鈴木春夫

    鈴木参考人 メーカーとの間の契約書でございますが、中身に会社にいろいろ微妙な関係のあることもあるかと思いますので、検討させていただきたいと思います。
  333. 庄司幸助

    ○庄司委員 ここは決算委員会ですからね。しかも、あなた方の事業団がかせぎ出した金であなた方が打ち上げておるのじゃない。国費、いわば補助金ですよ、これをもらってやっていて、契約書を決算委員会に出せないのでは話にならないのです。決算になりません。これは長官、どう思いますか。
  334. 長田裕二

    長田国務大臣 企業間の取り決め等が中心になっているような感じもいたしまして、それらがどういうふうになっていますか、いま私それを判断する十分なあれを持っておりませんので、どうぞ……。
  335. 庄司幸助

    ○庄司委員 会計検査院来ていますね。——こういう契約ですと、これはおたくで調べて、一年間瑕疵担保のある期間をどうやっていたのかを会計検査院として調べる必要があるのじゃないかと思うのですよ。これは調べていただけますか。
  336. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 ただいま宇宙開発事業団につきましては実地検査中でございますので、早速お尋ねのありましたような件につきましては調査をいたします。
  337. 庄司幸助

    ○庄司委員 ひとつ会計検査院も重大な関心を持ってこれをひとつ調べていただきたいと要望しておきます。  それから長官、これはやはり決算委員会ですから、出していただくように早急に御検討いただきたいと思います。
  338. 長田裕二

    長田国務大臣 関係の向きと十分打ち合わせまして、格別の支障がないようでございましたら当然御趣旨に沿っていきたい、そのように考えております。
  339. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、一年以上経過したものについては、故意または重大な過失がある場合には有責だというお話ですから、しかも故意または過失の発見の一年後までは有効ですから、来年の二月までは有効だと思いますよ。ところが肝心かなめの「あやめ」の本体はもう宇宙の迷子になっている。そうすると、結局故意または過失、この瑕疵の発見のため全力を挙げるべきであると私は思うのですよ。私は決算的な観点から言っているのです。百三十九億円の損失を受けたのですからね。この点、前の「あやめ」はたしか保険がかかっていました。しかし、この過失の発見についてはどういう御努力をなすって、そしてその発見された過失または瑕疵についてメーカーに対して損害賠償の請求なり何かをなすったのかどうか、これをお答え願いたいと思うのです。
  340. 合田昌文

    合田参考人 ちょっとお断り申し上げますが、先ほど私読み違えたかもわかりませんが、例としまして衛星の製作請負契約の条項を読みましたが、契約相手方の故意または重大な過失となっておりまして、故意または重大な過失の場合に、それを私どもが発見したときから一年間責任を追及できる、こういうふうな規定になっております。  それで、前回の件でございますが、ああいうような現象が出まして、宇宙開発委員会でいろいろ慎重に審議されまして、結局、原因はヨーウエイト・アセンブリーにあるということが考えられるという結論が出たわけでございます。昨年の五月でございます。私どもはそれから後、いま契約条項との関係におきましてメーカーの責任をどうやって追及するか、追及できるかどうかという点を中心にいたしましていろいろ検討を続けたわけでございます。故意あるいは特に重大な過失というのは具体的にこれをどうやって実現できるか、どの程度の場合には追及できるのかというような点が難問でございまして、法律の専門家等ともいろいろ御相談をしながらいままで検討を続けておる、宇宙開発委員会がそういう結果を確定されましたのが昨年の五月でございましたので、その間、これからもなおそういう意味での検討を続けてまいりたいと思っております。(庄司委員「相手はどこですか」と呼ぶ)相手方につきましても、これは前回原因解明の段階で、事業団といたしましてもその原因がどこにあるかという点をいろいろただしたわけでございます。その間に、これこれこういう仕事なり作業についてはこういうふうにやっておるというような説明もありましたし、こういうような問題に関連するような若干の説明的なこともあったかと思いますけれども、いずれにいたしましても、私どもは、いま現在といたしましては、故意または重大な過失に基づいて契約条項によって相手方に対して責任を追及するという確定的な意思表示はまだやっておりません。
  341. 庄司幸助

    ○庄司委員 相手はどの会社だと聞いているのです。
  342. 合田昌文

    合田参考人 失礼いたしました。  三菱重工業株式会社でございます。
  343. 庄司幸助

    ○庄司委員 今度は相手はどこになるのですか三菱重工ですか、アエロジェットですか、もしそういう故意または重大な過失があると想定された場合ですね。
  344. 合田昌文

    合田参考人 いまアポジモーターを中心にしてのお話のようでございますが、アポジモーターを含めまして衛星本体全体の製作請負契約の相手方は三菱電機株式会社でございます。
  345. 庄司幸助

    ○庄司委員 いずれも三菱系統のようであります。  次の質問に移りますが、宇宙開発事業団は大体実用化の部門を担当する、東大の宇宙航空研は基礎研究部門を担当する、こういう区分けになっているようでありますが、そのとおりでありますか。
  346. 勝谷保

    勝谷政府委員 先生御指摘の線で大体いいわけでございますが、東京大学は宇宙科学の分野を中心に受け持っておりまして、宇宙科学分野に必要な科学衛星研究開発につきましては東京大学が担当いたしておりまして、そして従来の経緯等もございますので、ミュー3Sシリーズまでのロケットは東大で開発し、ミュー3S改をもってロケット開発を終了して、宇宙開発事業団ロケット開発は統一することになっております。なお、実用衛星につきましては宇宙開発事業団、さらにロケットについては宇宙開発事業団、そして人工衛星の追跡につきましては東大も含めまして宇宙開発事業団という仕分けになっております。
  347. 庄司幸助

    ○庄司委員 ひとつ長官に聞いていただきたいのですが、実はこれは日本学術振興会が発行した「我が国の学術」という、これは昭和五十年八月に出されたものです。文部省学術国際局編です。これを見てみますと、日本の科学技術の発展にとって基礎研究が非常におくれているということを指摘しているのですね。それでこういうことを言っています。「国家予算の支出による研究開発経費についても、近年国家プロジェクトとしての科学技術計画が着々と進行しているが、原子力開発宇宙開発、海洋開発などの開発事業への投資額に比べて、当該分野における基礎科学研究への投入度は、極めて少ない。例えば、宇宙関係経費でみると、昭和五十年度における実用衛星計画を中心とする宇宙開発のためのプロジェクト経費は七百七十億円であるのに対し、宇宙理学、工学の基礎研究を受け持つ東京大学宇宙航空研究所の事業費は六十五億円にすぎず、その割合は前者の一割に満たない。フランス、西ドイツなどでは、宇宙関係予算のおよそ三〇%が基礎研究にあてられている」そして「特に我が国の場合、速効的な開発を急ぐあまり、基盤の形成を待たず、外国の技術や製品を安易に導入する傾向が強く、これが我が国の科学技術の着実な発達を阻害するばかりでなく、予想しない開発上の支障をもたらすことになることに十分留意しなくてはならない。」こう言っております。さらに後の方でこういうことも述べていますね。いわゆる科学技術の輸出入の関係を述べた後ですよ。日本は輸入国だ、アメリカは輸出国だ、こういうことを述べた後で、「相手に与えうる一級の技術をもたなければ、相手から一級の技術を入れることもできない。」  私は、これを読んでみて、いまの「あやめ」の失敗というのはまさにこの点に該当しているんじゃないか。この点、科学技術庁の長官は何も宇宙開発だけをやっていらっしゃるわけではないですが、日本の科学技術の発展に文部省とともに一番責任をお持ちですから、こういう文部省の「我が国の学術」の指摘についてどうお思いになるのか。「あやめ」の二回の失敗についてこの指摘は全く当たっていると私は思うのです。たとえばアポジモーターの問題一つとっても、独自の点検能力を持っていない。だから「相手に与えうる一級の技術をもたなければ、相手から一級の技術を入れることもできない。」これはまさに当たっているのです。  宇宙開発事業団、せっかくおやりになっているんだろうけれども、こんなことを言って気を悪くしてもらっては困るのですが、世間では、あれは宇宙開発事業団ではなくて宇宙事業団だ、こういう酷評までなさる方がいらっしゃるのです。これはわが党が言っているのではないのですけれどもね。そういう科学技術の自主的な発展の問題、しかも基礎研究の問題、このすそ野がないと頂上にはたどりつけないのだ、そういう反省を今度の「あやめ」の失敗でやるべきじゃないか、こう私は思うのですが、長官どうですか。
  348. 長田裕二

    長田国務大臣 一般的な考え方といたしまして、日本で従来基礎研究的なものが余り重視をされなかった。商品生産か何かに結びつくようなところが非常に早く導入されてきた。そして、輸出の振興とか何かという成果になってあらわれたということも申されておりますし、それから、日本自体が自主的な技術をしっかり持って、相手と交換できるような、向こうも欲しがるような技術を持っておらなければならないという点についても全く同感でございます。  ただ、宇宙開発について申しますと、東大と宇宙開発事業団がやっておりまして、東大は主として学問研究の立場から、宇宙開発事業団は実用化とか試験的なものだとか何かもありますけれども、大きく分ければ実用化の方に向かっての分担でございますけれども、しかし、やはりそれのプロセスにおきましては、基礎研究的なものも両方に共通する面もずいぶんあろうかと思いまして、東大は目的が理学なり、その他科学の研究が目的だからと申し、片方は実用目的を主としていると申しましても、上げる手段、その他共通の面もずいぶんございますから、一概に金額の多寡をもちまして、基礎研究をおろそかにし、その利用というか応用というか、そういうところにだけ力を注いでいる、そう言い切るわけにもまいらないだろうと存じております。  それからもう一つ、急ぎ過ぎているからああいうことが起こるのではないかという御指摘につきましては、私どもも絶えず十分反省しなければならないと思いますが、同時に、世界で相当開発されております宇宙の利用というものが日本で、たとえば打ち上げ能力のために非常におくれるという場合に、従来やっておりましたようなアメリカの手を経て打ち上げるという行き方、早くその宇宙開発の便益を受けるという意味で、アメリカの手を経て打ち上げてもらうという行き方もあります。あるいは自主技術開発が望ましい、極力そうやっていくという過程で、両者の妥協としてこちらができるだけ自分の技術を使うけれども、ある部分については向こうのでき上がっているものを導入しなければならない、そういう過程もあり得るかと思うわけでございまして、しかし、確実に上げていかなければならないことも仰せのとおりでございますから、そこらのよい調和点を求めながら、そして宇宙の利用、自主技術開発、そういうものを目指しながらこの宇宙開発には取り組んでまいりたい、そのように思っております。
  349. 庄司幸助

    ○庄司委員 そこで、いわゆる実用衛星、これは確かに「ひまわり」のように毎日テレビで放映されて役に立って国民に喜ばれている衛星、あります。そういうものはそういうもので必要だ。これは私も認めるのです。ただミリ波の場合ですね。これが一体どこが急いでくれと言っているのだ、この辺がひとつぼくは問題があると思うのですよ。ミリ波一般は私どもも敵視も何もしませんけれども、ただミリ波で一番利用価値が多い会社を見渡してみますと、やはりKDD、あの悪名高い、この辺が一番望んでいる電波ですね。それから郵政省関係。だから口の悪い方は、どうもKDDとか郵政省一家のあれじゃないか。それが急がしたんだというような話もあるわけなんですよ。だから「あやめ二号」の失敗というのは多分に私は政治的な、そういう背景を考えざるを得ない。だからそういう点で、私見ですが、事業団が非常に中途半端なやり方をやっている。たとえば保険料の問題を見ても、これは国の研究費、補助金をもらっているのだから保険金は掛けないのだというような思想がありますね。だから、実用化を図るのだったら、あとそれを利用する方に負担してもらえばいいのですから、そういうかっこうで事業団事業団で妙な色気を出さないで、自分の実力に合って、採算ベースに合ったような、住宅公団だってそうですが、そういう行き方をして、なまじっかアメリカにおんぶに抱っこのようないまの状況、それで無理やり衛星を打ち上げようというような欲は出さないで、割り切ったらいいのじゃないか。そうして、基礎的な研究、これにもっと予算を投入していく。打ち上げだって私は何も一概にアメリカに頼むことを否定はしません、安上がりの場合もありますから。実用化の場合は遠慮しないで、技術がないのですから、打ち上げてもらったらいいのです。私は、この間の「ひまわり」は何ぼで打ち上げてもらったかわかりませんけれども、いまの二百五十億もかけて、そうして一本も上がらないというような不経済をやっているより、むしろその方が得じゃないか、こんな感じさえ、私見でありますが、するわけです。  そういう点で、事業団のあり方ですね、少し考え直す時期に来ているのじゃないか。どうもお話をいろいろ伺いますと、事業団には三菱電機からはどうかわかりませんが、同業関係でいくとNECとか、あるいはその他日産であるとか、こういうところからの出向社員が大分いらっしゃるようだ。何か企業が、自分たちが研究するのに国のお金を使って、そうして研究を進めて、あとはその帰属する利益は企業にも入っていく、これじゃちょっと私は考えものだと思うのです。その辺ひとつ御検討をいただきたい、こういうふうに思います。  それからもう一つは、そういう点で基礎研究の問題から、もう一つ事業団のあり方の問題から、あるいは打ち上げの問題やら何やら、全体的な問題をやはり日本の最高水準の方々に諮問する、たとえば日本学術会議もあるわけですから、そういった権威のあるところで、衆知を集めて、あり方を研究していく、基礎研究の発展の問題も含めて。こういうことをひとつ検討していただきたいと思うのですが、長官どうですか。
  350. 勝谷保

    勝谷政府委員 最初にちょっと補足的なことで恐縮でございますが、実は宇宙開発事業団と東大との関係は、宇宙開発委員会のもとに東大の先生も全部糾合いたしまして、決めた方針のもとに宇宙開発事業団事業を進めております点が第一、それから、先ほどおっしゃいましたミリ波の実験につきましては、むしろNIロケットの最終打ち上げの能力を示す一つの試験衛星といたしまして、一〇〇%国の予算でつくります衛星に、たまたまミリ波の実験という郵政省のプロジェクトが加わったわけでございまして、郵政省の方からぜひ早々にのせろという要求のもとにいたしたわけではございません。  以上補足説明をさせていただきます。
  351. 長田裕二

    長田国務大臣 衛星の打ち上げにつきましての経費問題等についてのお話もございましたが、実用衛星段階になりますと、ユーザーの、たとえば放送衛星ですとNHKなり何なり、それから実用通信衛星になりますと電電公社とかKDDとか、そういうようなものにも相当の分担をさせる。国も技術開発という観点から若干出しますけれども、いま申しましたような実用衛星になりますと、ただいまの予算の配分では、六割はそういうものが出す、四割を国が出すというような現在の状況になっております。  なお、民間企業側の人が事業団なり何なりに入っているという問題につきましてのお話がございまして、それについての見方はいろいろあるかと思います。癒着というようなことになるではないかというような面からの御指摘だと思いますし、そういう点にも気をつけなければならないという感じもいたしますが、同時に、これからいろいろやってまいります大きなプロジェクトになりますと、日本全体としてそんなに大ぜい有能な専門家がいるわけではないということにもなりますし、将来また大いに発展する産業ということになりますと、できるだけ各方面から、単に当面の利害とか癒着とかいう面ばかりでなくて、十分に熟練した者を多く得たいという、国全体としても好ましいという面も、ございまして、たとえば動燃事業団などにも民間からずいぶん参加しております。学界からも参加しておりまして、私は、今後の大きなプロジェクト、核融合だとかその他いろいろなことを考えますと、むしろ従来の企業間のセクショナリズム、あるいは官とか学とか、そういうようなセクショナリズムをできるだけ取り払って、衆知を本当に集め得るような、また、そこに行った人は昔のからをできるだけ捨てて、率直にそこの使命に精進する、そういうことによって全体の技術を発展させる、そういう方向もまた非常に大事だと思いますので、ただいまの御指摘、癒着の弊害というものも、それもそういうつもりで来たのじゃないと私は思っておりますけれども、そういう御指摘の点にも留意をいたしながら、しかし大きな方向につきましてはむしろそういう方向で、弊害なしに進んでいくことが望ましい面もかなりありますということをまた申し上げさしていただき、御注意の点は十分留意しながら、これから取り組んでまいりたい、そのように存じております。
  352. 庄司幸助

    ○庄司委員 もう一問だけお願いしたいのですが、実はいまの動燃の問題だっていろいろ問題はあるんです。きょうは時間がないですからやりませんけれども、そういう点での癒着の問題はあるし、前の、通産省でやっている大型コンピューターの問題だって、マル超ですね、この問題だってぼくも前に指摘したこともあるんですよ。そういう点は、ひとつくれぐれも注意してやっていただきたい。  それで最後に、原子力発電所の問題で、これは労働省もせっかくいらしておりますから、具体的な問題をほんの一つだけ伺います。  実は、宮城県の女川ですね、あそこでいま工事が始まっておりますが、二千名以上の労働者が入っている。ここでこの間事故が起きて、けが人が出た。これは道路が狭くて、しかもダンプやトラックがばんばん通るんですね。つい渋滞して、石巻の救急病院に運んだのだけれども間に合わなくて亡くなった、こういう事故があったのです。しかも、この間の福島の原発の下請労務者の被曝の問題もあります。これからそういう問題も女川にも起きると思うんです。起きる可能性があります。それからまた、下請労働者の問題では、きょうの新聞にも出ていますが、あの福島の大熊の原発ですね。足場用のパイプを蒸気タービンに落として、それで羽根が大分傷んだ、こういう事故が起きている。しかも、そういう労務者が相当被曝するわけですね。それに対して、私は、労働省の監督官が実際、全体を十分に見回って、そして労働者の安全を守る、生命を守るという点できわめて貧弱な体制じゃないかと思うんですよ。女川なんかの場合ですと、石巻の労働基準監督署の出張所みたいなところの管轄になると思いますが、そこには事務系でたった四名ぐらいしかいないようだ、と。これでは労働者の安全は守れないと私は思うんですよ。その点で労働省、原発問題を絡めて、若干性質は違いますよ、工事の件あたりはね。そういう点での体制をどうつくっていくのか、これをひとつ労働省に伺いたいし、もう一つは、通産省と科学技術庁に避難道路の問題——女川には避難道路はないのです。防災計画も立っていない。それから宮城県当局と東北電力が取り交わした協定書にも、防災計画の点についてはほとんど触れられていない。一言ぐらいです。実は七八年、宮城県沖地震があって、実は避難道路に該当するような有料道路があったのですが、これがもうめちゃくちゃに崩れてしまって、しばらく通行途絶なのです。しかも、この女川町内含めて十六キロ圏内に八万人ぐらいの人口がいて、車の台数もたしか五千台近くあると思うんですよ。それが一本道を通って、しかも狭い一本道を通って万一の場合は避難しなくちゃならない。スリーマイル島の事故の場合のいろいろな新聞報道や何かを見ておりましても、やはりこの避難の体制ですね、避難の道路を含めて、こういうものを具体的につくる必要があると私は思うのです。防災計画はいま策定中だ、と。これは科学技術庁も通産省もそうなのですが、この避難道路をやはりつくる必要がある。それから、今度風向きによっては、あの辺は海に逃げなければいけない場合もあるんですね。そういう場合はどうするのか、こういうことが全然なしに、しかも、スリーマイル島の事故を起こしたようなああいう危険性はいまだに去っていないわけですから、そういうものが強行されていくというところに、やはり国民が納得できない問題があるんですね。その辺で、女川の避難道路をつくるのかつくらないのか、検討しているのかしていないのか。それから、つくる場合は、県が県道としてつくって県費負担あるいは国の補助もあるだろうと思いますが、持ち出しがあります。私は、これはやはり原因者負担で、電力会社がそういうものをつくってしかるべきだ、こういうふうに思うわけです。その辺、ひとつ労働省と通産省、科学技術庁、それぞれお答え願って、終わりにしたいと思います。
  353. 山田正美

    ○山田説明員 お答えいたします。  労働基準行政の体制の問題でございますけれども、労働基準行政といたしましては、従来から労働災害の防止対策等を推進するために労働基準監督官あるいは産業安全専門官等の増員を図るべく努力をいたしてきているわけでございまして、五十五年度におきましても、労働基準監督官につきましては、数を申し上げますと三十人、産業安全専門官につきましては十一人というような形でふやそうというようなことを考えておるわけですが、今後とも引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、石巻労働基準監督署につきまして御指摘があったわけですけれども、増員等につきましては、全国的な局署の業務配分といいましょうか、そういう観点で検討しなければいけないわけですけれども、当面の措置としまして、石巻の労働基準監督署に機動力の強化という観点から、従来官用車一台を配付してございますが、それを一台追加して配付を二月二十日の時点でいたした次第でございます。  以上でございます。
  354. 児玉勝臣

    ○児玉(勝)政府委員 女川の原子力発電所に関します、災害の起こったときの協定でございますが、電力会社とそれから地方自治体との間で取り交わしております安全協定におきまして、その具体的な対策を立てるわけでございますけれども、その一般的な規定といたしまして、防災対策については、防災体制の充実強化を図るために電力会社は積極的に協力するものとするということになっております。したがいまして、女川の場合の個々の実情に合わせまして、地方自治体と電気事業者との間で、どういうような防災体制をとるかということがこれから詰められていくかと思います。この具体的な対策につきましては、運転を開始するまでに決めるということにしております。
  355. 牧村信之

    ○牧村政府委員 女川の原子力発電所におきましての原子力の災害対策の計画につきましては、他の原子力発電所と同様に、災害対策基本法に基づきまして運転開始までに定めることになろうかと考えておるところでございます。科学技術庁といたしましては、関係省庁と協力いたしまして、県の定めます防災計画あるいは地元の市町村が定めます計画につきまして、それぞれの役所の基本計画にのっとりまして指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  356. 庄司幸助

    ○庄司委員 これで終わりますが、きわめて不満な答弁です。物をつくってから計画を立てて、避難道路や何かをつくるような計画を立てる、こういう事後対策だけではだめなんで、私はやはり事前にやってもらいたい。若狭にしたって島根にしたって皆そうでしょう。しかもシェルターもない。こんな姿勢では私はきわめて不満ですから、後へ質問を保留しておきます。  終わります。
  357. 高田富之

    高田委員長 次回は、明五日水曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会