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津島委員 院長もそのような
検査の
効果が広く広がっていくことを期待しておられるようで結構なことでありますけれ
ども、またこの
検査報告、
大変皆様方の労作でありますから、よく読んでみるといいことがたくさん書いてあるわけでありますが、私は、毎年
報告を出して読んでもらうことを期待するだけでは不十分な気がしてしようがないのであります。この
検査報告、これは
憲法上の要請で出されているにもかかわらず、これをまともに読んでいるのは
国会議員でも
決算委員会の
理事ぐらいじゃないかと思うのですね。
そこで
一つの例を挙げてみましょう。
大蔵省、
不当事項と申しまして、これは五十二年で見ますと、「上記の百九十八
税務署において
納税義務者等五百五十五人から租税を
徴収するに当たって、
調査が十分でなかったため、
徴収額が不足していたものが五百二十一
事項」約十一億云々、こういうことが書かれておりまして、「(
説明)」で「
源泉所得税に関するもの」「
配当(四十九
事項)、
給与等(三十二
事項)」と、こうありまして、「
源泉徴収義務者は
配当、
給与等の
支払の際、また、未払の
配当及び
利益処分の
役員賞与については
支払の
確定した日から一年を経過した日においてその
支払があったものとみなして、
源泉所得税を
徴収し、原則として
徴収の日の属する月の翌月十日までに国に納付することとなっている。」ところが調べてみたら
納税の
告知をしてないじゃないか。
さて
院長。この同じ
事項、同じ文章ですよ、これが一体何年間この上に、ここに載っているか
御存じですか。まあ
御存じだろうと思うのです。毎年毎年出ている。これは私
自身、昔
法人税課長をやっておりましたから、その当時はもっとこれはすごかったんだ。もう一件十万くらいのやつから
税務署ごとにみんな
掲記されまして、何か鬼の首をとったように、やったやったと、こういう御
指摘があった。そのときに私
ども強く
検査院の御
理解を求めたのは、
検査院も千人
足らずの
職員で非常に苦労しておられるように、
国税当局も限られた五万人有余の
職員で所期の
目的を達成しなければならぬ。そうすると、
税務職員が最も
効果を発揮するようにこれを活用したいということは、結局
外部事務に
調査に出すことなのですね。しかも、こういう大きな
日本経済の
規模に発展をしてきたわけでありますから、その大きな
経済規模の中でできるだけ
大口、悪質な
事案について集中的に
職員を投入して
摘発をする。野党の
皆さん方と同じように、私も
税務行政の
立場からいえば大
企業を中心として
大口、悪質をたたかなければいかぬという信念を当時持っていた、いまでも持っておるわけでありますけれ
ども。そうしますと、一件五万、十万の
配当、
給与の
課税漏れを一々ここに
掲記されるということを気にして
内部事務に人を割けばその分だけ
大口、悪質の
事案の
摘発がおくれるということを再々御
指摘申し上げて、五十二年、五十三年の最近のこの御
指摘を見ますと、昔よりもずいぶん簡素な形で
不当事項として
報告をされているので、行間に
検査院の姿勢があらわれているということで私は
評価をいたしたいのであります。
そこで、
税務行政を進めていくには、できるだけ
大口、
悪質重点主義で
職員を活用していくには、何といっても
実地調査にできるだけ出てもらう、そして簡単な
調査ではなかなか
非違事項が発見できないような巧妙でしかも大がかりなもの、あるいは
対外取引を悪用しておるようなものに
重点的に
職員を投入しなければいけないわけであります。そういう
税務行政をやっていきますと、なかなか出張した、
調査に出た
効果がすぐにその年には出てこないのです。これは非常に丹念な、しかもしんぼう強い資料の収集をやって初めて
目的を達することができるわけであります。ところが、かつては、それ
検査に行った、毎年の
決算書を持ってこさせる、これは出てないじゃないかというようなこと、あるいは非常に細かい
決議書の誤りとか、そういうものを御
指摘いただくのは大変ありがたいわけでありますけれ
ども、人間のやる
仕事だから、これは
税務職員でも間違いがないとはいえない。そういう点にばかり
重点を置いていかれますと、本当にやるべきところに
職員の注意あるいは精力を向けられないということがありますから、私の
経験からも特に
検査院の御
理解をお願い申し上げておきたいのです。
それでは、いま私がここで読んだような、
支払い配当が
確定をして一年たっているのに
告知書を送っていないような
ケースをどう扱ったらいいかという問題があります。これは
中小企業で、御承知のとおり
配当は
確定はしているけれ
どもなかなか
支払いをしないというような
ケースもあって、これは
中小企業、ことに
同族会社の場合にはたくさんの
事案が出てくる
可能性があるわけであります。
そこで
税務署はどういうやり方をするかといいますと、一年に何回か
内部事務をやる
期間を設けて集中的に
処理をする。だから、その
期間に当たらないときに
検査に
おいでになると、たくさん机の上に積んであるわけでありますね。たくさん机の上に積んであるものをやってないではないかと言われると、これは
非違事項、
不当事項になりかねない。だからそういうことよりも、むしろ毎年ここに出てくるような問題を能率的に
処理するにはどうしたらいいかという
観点から、
検査院と
国税当局で
協力をされる
可能性があるのじゃないか。たとえば国税庁で
源泉徴収関係の
配当、
給与等についての書類をずっと調べて、集中的に
処理をしてしまう
期間を設けて能率的な
処理をやっていく。
検査院の方は、できればそういう能率的な
処理がうまく機能しているかどうかということをサンプルをとって
検査に
おいでになる。そうすることによって
税務当局の方もそういう能率的な
処理をやる、また
処理をするときにはできるだけ
適確にやるという
方向に向かっていく、だろうと思うのでございます。一例として、一件一件の
非違事項、たとえば二万、三万の
非違事項あるいは
決議書の中で
特別償却の扱いが五万、六万欠けていたということ、これも大事ですけれ
ども、それよりも
税務行政全体としてより効率的になっていくような
方向に
検査権限を行使していただいた方がいいのではないか。また、その行使の仕方も、
税務当局も
協力をして、効率的な
税務行政の運営ができるような
検査をお
考えになってはいかがであろうか、御
提案を申し上げる次第であります。
きょうは
源泉徴収の
内部事務の
処理について
集中管理、
集中処理をさせて、その上に立った
検査をされたらいかがかという御
提案を
一つ申し上げたわけでありますが、
検査院の方の御感触をお伺いしたいと思います。