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1980-01-24 第91回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年一月二十四日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 津島 雄二君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 永末 英一君       石田 博英君    小里 貞利君       東家 嘉幸君    羽田  孜君       春田 重昭君    岩佐 恵美君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 原   徹君         防衛庁人事教育         局長      夏目 晴雄君         大蔵大臣官房長 松下 康雄君         大蔵大臣官房会         計課長     金成 圭章君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       名本 公洲君         大蔵省主計局次         長       吉野 良彦君         大蔵省関税局長 米山 武政君         大蔵省理財局長 渡辺 喜一君         大蔵省銀行局長 米里  恕君         大蔵省国際金融         局長      加藤 隆司君         国税庁次長   伊豫田敏雄君         厚生大臣官房長 大和田 潔君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  佐野 国臣君         大蔵大臣官房審         議官      梅澤 節男君         大蔵大臣官房審         議官      青木 英世君         大蔵大臣官房審         議官      宮本 保孝君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省銀行局保         険部長     松尾 直良君         通商産業省産業         政策局商務・サ         ービス産業室長 細川  恒君         自治大臣官房審         議官      花岡 圭三君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君         会計検査院事務         総局第一局長  岩井  毅君         会計検査院事務         総局第三局長  肥後 昭一君         会計検査院事務         総局第四局審議         官       西川 和行君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         日本専売公社総         裁       泉 美之松君         国民金融公庫総         裁       佐竹  浩君         日本開発銀行総         裁       渡邊 孝友君         日本輸出入銀行         総裁      竹内 道雄君         参  考  人         (日本銀行理         事)      中川 幸次君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   武田 誠三君         参  考  人         (日本中央競馬         会常務理事)  齋藤 吉郎君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫、  日本開発銀行日本輸出入銀行)      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、大蔵省所管日本専売公社国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本銀行理事中川幸次君、日本中央競馬会理事長武田誠三君、日本中央競馬会常務理事齋藤吉郎君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 高田富之

    高田委員長 それでは、大蔵大臣から概要説明を求めます。竹下大蔵大臣
  5. 竹下登

    竹下国務大臣 昭和五十二年度大蔵省主管一般会計歳入決算並び大蔵省所管一般会計歳出決算、各特別会計歳入歳出決算及び各政府関係機関収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、一般会計歳入決算について申し述べます。  昭和五十二年度歳入決算額は二十八兆四千六百九十四億六千八百九十万円余でありまして、これを歳入予算額に比較いたしますと三百三十六億三千九百一万円余の増加となっております。  以下、歳入決算額のうち主な事項について簡単に申し述べます。  第一に、租税及び印紙収入でありますが、その決算額は十六兆七千三百二十九億四千九百十六万円余で、これを予算額に比較いたしますと二千十九億四千九百十六万円余の増加となっております。これは、申告所得税等において課税額伸びが見込みを上回ったこと等によるものであります。  第二に、公債金でありますが、その決算額は九兆五千六百十二億四千九百八十三万円余で、これを予算額に比較いたしますと四千二百三十七億五千十六万円余の減少となっております。これは、租税収入等が見積もりより増収となることが見込まれたこと等により、公債発行額予定より減額したことによるものであります。  以上のほか、専売納付金五千五百五十九億二千二百二十四万円余、官業益金及び官業収入四十七億八千百三十八万円余、政府資産整理収入千五百九億八千百六十五万円余、雑収入八千五百五十一億八千六万円余、前年度剰余金受け入れ六千八十四億四百五十五万円余となっております。  次に、一般会計歳出決算について申し述べます。  昭和五十二年度歳出予算現額は三兆三千五百四十億五千八百九十八万円余でありまして、その支出済歳出額は三兆二千二百四十二億三千八百六十四万円余、翌年度繰り越した額は七十八億三千四百四十五万円余でありまして、差し引き不用額は千二百十九億八千五百八十八万円余となっております。  以下、経費のうち、主なものについてその概要を申し述べます。  まず第一に、国債費につきましては、国債整理基金特別会計繰り入れるため二兆三千百五十二億七千五百九十六万円余を支出いたしましたが、これは、一般会計負担に属する国債、借入金の償還及び利子等の支払い並びにこれらの事務取扱費財源に充てるためのものであります。  第二に、政府出資につきましては千三百十一億円を支出いたしましたが、これは海外経済協力基金等への出資であります。  第三に、経済協力費につきましては百三十三億二千九百四十七万円余を支出いたしましたが、これは、開発途上国等に対する食糧増産等援助等のためのものであります。  この支出のほか、食糧増産等援助費につきましては、相手国国内事情等のため三十七億七千五百八万円余が翌年度繰り越しとなっております。  第四に、産業投資特別会計繰り入れにつきましては、同会計の行う産業投資支出財源の一部に充てるため四百七十四億円を支出いたしました。  第五に、決算調整資金繰り入れにつきましては、同資金財源に充てるため二千億円を支出いたしましたが、同資金は、予見しがたい租税収入減少等により、一般会計歳入歳出決算不足が生ずることとなる場合に、その不足を補てんすることを目的として一般会計に設置されたものであります。  以上申し述べました経費のほか、科学的財務管理調査費国家公務員共済組合連合会等助成費国庫受け入れ預託金利子公務員宿舎施設費特殊対外債務等処理費アジア開発銀行出資米州開発銀行出資特定国有財産整備費特定国有財産整備諸費万国博覧会記念施設整備費及び資金運用部資金為替差損等補てん金として千三百六億九千三十五万円余並びに一般行政を処理するための経費として三千八百六十四億四千二百八十四万円余を支出いたしました。  なお、以上の支出のほか、公務員宿舎施設費及び特殊対外債務等処理費につきましては、四十億五千九百三十七万円余が翌年度繰り越しとなっております。  次に、各特別会計歳入歳出決算につきまして、簡単に概要を申し述べます。  まず、造幣局特別会計につきましては、収納済歳入額は百七十八億九千六百三十四万円余、支出済歳出額は百七十八億七千八百七十五万円余でありまして、損益計算上の利益は千二百十万円余であります。  この会計の主な事業である補助貨幣製造は三十三億枚、額面金額にして五百九十一億五千万円を製造し、その全額を発行いたしました。  次に、印刷局特別会計につきましては、収納済歳入額は四百七十一億八千百一万円余、支出済歳出額は四百二十五億七千八十二万円余でありまして、損益計算上の利益は五十四億二千三百八十万円余であります。  この会計の主な事業である日本銀行券製造は二十九億枚、額面金額にして九兆二千四百五十億円を製造し、その全量を日本銀行に引き渡しました。  以上、申し述べました各特別会計のほか、資金運用部国債整理基金貴金属外国為替資金産業投資賠償等特殊債務処理、地震再保険及び特定国有財産整備の各特別会計歳入歳出決算につきましては、さきに提出しております昭和五十二年度決算書等によって御承知いただきたいと存じます。  なお、貴金属特別会計につきましては、本年度をもって廃止し、この会計に属していた権利及び義務は一般会計に帰属させることといたしました。  最後に、各政府関係機関収入支出決算につきまして、簡単に概要を申し述べます。  まず、国民金融公庫につきましては、収入済額は二千九十七億九百十五万円余、支出済額は二千百十一億三千八百三十一万円余でありまして、損益計算上の損益はありません。  この公庫貸し付けば九十九万件余、金額にして一兆九千三百二十億八千二百四十万円余でありまして、これを当初の予定に比較いたしますと、四百九十億八千二百四十万円余の増加となっております。  このほか、住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫公営企業金融公庫中小企業信用保険公庫医療金融公庫、環境衛生金融公庫沖繩振興開発金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行収入支出決算につきましては、さきに提出しております昭和五十二年度決算書等によって御承知いただきたいと存じます。  これをもちまして昭和五十二年度における大蔵省関係決算概要説明を終わりますが、これらの詳細につきましては、さきに提出しております昭和五十二年度歳入決算明細書及び各省各庁歳出決算報告書等によって御承知をお願いいたしたいと存じます。  次に、会計検査院検査の結果、不当事項として、税務署における租税徴収に当たり過不足があった旨の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。これにつきましては、すべて徴収決定等適切な措置を講じましたが、今後一層事務合理化改善に努めたいと存じます。  何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。  次に、昭和五十二年度日本専売公社収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、たばこ事業概況について申し上げますと、昭和五十二年度製造たばこ販売数量は三千五十六億本余、金額にして一兆八千七百四億二千三百七十一万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において六十億本余、金額にして二百五十九億三千二百二十八万円余の減少となっております。  また、葉たばこ購入数量は二十五万九千トン余、金額にして三千二百九十一億八千六百十三万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において一万四千トン余、金額にして六百九十五億二千七百五十九万円余の減少となっております。  次に、塩事業概況について申し上げます。  昭和五十二年度塩販売数量は、一般用塩百升十三万五千トン余、ソーダ用塩五百九十四万三千トン余、金額にして合計六百九十三億二千四百八十四万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百十三万トン余、金額にして百九十大億四千九百六十七万円余の減少となっております。  また、塩の購入数量は、国内塩百五万二千トン余、輸入塩六百四十三万七千トン余、金額にして合計四百八十三億九千四百四十七万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百十六万九千トン余、金額にして百九十一億五千百二十一万円余の減少となっております。  次に、決算内容について御説明いたします。  まず、収入支出について申し上げますと、昭知五十二年度における収入済額は一兆九千四百五十三億四千七百三十八万円余であり、収入予算額の一兆九千八百八十五億四千百三十二万円余に比較いたしますと四百三十一億九千三百九十三万円余の減少となっております。  これに対しまして、支出済額は一兆四千五十億二千五百九十八万円余、翌年度繰り越した額は二百八十億三千二百九十八万円余、合計一兆四千三百三十億五千八百九十七万円余であり、支出予算現額一兆六千六十二億一千四百二十五万円余材に比較いたしますと、差し引き不用額は一千七百三十一億五千五百二十八万円余となっております。  次に、損益計算について申し上げます。  総収益一兆九千五百一億九千五百八万円余から、総損失一兆二千九百十四億八千三百十三万円余を控除した純利益は六千五百八十七億一千百九十四万円余であります。これから日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積み立てる利益積立金一千二十七億八千九百七十万円余を控除した五千五百五十九億二千二百二十四万円余が専売納付金であり、予定額五千四百五十二億八千百十三万円余に比較いたしますと百六億四千百十万円余の増加となっております。  以上が昭和五十二年度日本専売公社決算概要であります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  6. 高田富之

    高田委員長 次に、会計検査院当局から、検査概要説明を求めます。岩井会計検査院第一局長
  7. 岩井毅

    岩井会計検査院説明員 昭和五十二年度大蔵省決算につきまして検査いたしました結果の概要を御説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項一件でございます。  検査報告番号五号は、租税徴収に当たり徴収額過不足があったもので、これらの徴収過不足事態は、当局課税資料の収集や活用を的確にしていなかったり、法令適用の検討が十分でなかったり、納税者から提出された申告書に記載されている所得金額や税額の計算が誤っていたのにこれを見過ごしたりするなど、調査が十分でなかったことによって生じたものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 高田富之

  9. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 昭和五十二年度政府関係機関のうち、日本専売公社ほか一公庫及び二銀行決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  これらのうち検査報告掲記いたしましたものは、日本専売公社に係る本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項一件及び特に掲記を要すると認めた事項二件でございます。  まず、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、建築工事における鉄骨工場加工費等積算に関するものでございます。  公社が施行しておりました工場倉庫等建設工事十五工事について調査いたしましたところ、鉄骨工事における鋼材を加工工場で製作する場合に必要な経費並びに加工工場で製作しました鉄骨建築現場におきましてボルトで締めつけて組み立てる場合に必要な経費につきましては、公社が定めました建築工事積算基準に基づいて積算していましたが、この基準内容が、前者の経費につきましては、加工工場における製作と関係のない建築現場における加工内容をも含めて計算の基礎とすることとしていたり、また、後者の経費につきましては、ボルト締め電動締めつけ機で作業することになっているのに圧縮空気を動力とするボルト締めつけ機計算することとしていたりしていて、いずれも、工事費積算が実際に行われている工事施工方法に適合していないため積算額が過大となっていると認められましたので、この点につきまして当局の見解をただしましたところ、公社では本院の指摘に基づいて、その積算基準を実際に施工されている方法に適合したものに改めまして、今後の積算に適用するよう処置を講じたものでございます。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。  その一は、葉たばこ生産及び調達に関するものでございます。  製造たばこ主要原料である国内産葉たばこ昭和五十二年度における生産及び収納状況を見ますと、収納数量は若干減少していますが、品質面では上位等級品が全体の四二・五%となっておりまして、良質葉生産が行われていた四十七、四十八両年度平均五八・六%と比較して著しく低下しており、品質よりも多収穫を指向する耕作が行われているものと思量されます。  そして、同年度末の国内産葉たばこ在庫量は、標準在庫量二十四カ月分に対して三十カ月分となっております。また、その内訳を等級別で見ますと、上位等級原料標準在庫量にほぼ見合っているのに対しまして、下位等級原料は大幅に標準在庫量を超過しており、均衡を失したものとなっております。  このような状況のもとで、公社では五十三年度において国内産葉たばこ生産調整に着手しておりますものの、耕作者に対する影響から早急に調整を行うことは困難であるとし、また、価格体系の見直し、品質回復のための耕作者指導等に努力はしていますが、耕作者の多収穫指向はまだ十分に改まっているとはいえず、しかも公社生産された葉たばこ品質等級にかかわりなく収納することが原則となっていること、健康問題等喫煙に対する社会的関心の高まりなどにより、従来のように製造たばこ消費量伸びに多くを期待できない環境となっていることから見ましても、過剰在庫の解消、とりわけ下位等級に偏った状況の是正は容易でなく、今後もこの傾向がなお継続することが予測されます。  したがいまして、このような状況のまま推移いたしますと、過剰在庫による資金固定化、諸経費負担は今後も継続することになるものであります。  その二は、日本専売公社直営病院の運営に関するものでございます。  公社直営病院経常収支状況について見ますと、毎年度大幅な赤字でありまして、昭和五十二年度経常収支率三一・四%は、国家公務員共済組合連合会直営病院の一〇〇・五%に比べて著しく低率となっております。  また、職員等利用状況について見ましても逐年低下の傾向を示しており、また五十二年度における平均病床利用率三八・五%は、国家公務員共済組合連合会直営病院の八〇・一%、全国病院平均七九・九%に比べて低率となっております。  このような事態は、診療料金保険医療機関に比べ低廉であることや、全国的に医療水準が向上し、職員が他の医療機関を利用する傾向が強くなったことによるものと認められます。一方、公社としては他省庁の共済組合と契約を結び、診療対象増加に努めるなどしているものの、改善の効果が十分発揮されていない状況であります。  しかしながら、今後このような状態のまま推移いたしますと、日本専売公社の多額の財政負担が依然として継続することになるものであります。  以上のほか、国民金融公庫日本開発銀行及び日本輸出入銀行昭和五十二年度決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不出と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  10. 高田富之

  11. 肥後昭一

    肥後会計検査陶説明員 昭和五十二年度住宅金融公庫決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  なお、昭和五十一年度決算検査報告掲記しましたように賃貸住宅貸し付け等適正化について処置を要求しましたが、これに対する同公庫処置状況について掲記いたしました。
  12. 高田富之

  13. 泉美之松

    泉説明員 昭和五十二年度日本専売公社血算及び業務の概要を御説明申し上げます。  まず、収入支出決算について申し上げますと、収入済み額は一兆九千四百五十三億四千七百三十八万円余、支出済み額は一兆四千五十億二千五百九十八万円余、差し引き収入超過は五千四百三億二千百三十九万円余となりました。  これを損益計算面から申し上げますと、総収益は一兆九千五百一億九千五百八万円余、総損失は一兆二千九百十四億八千三百十三万円余、差し引き純利益は六千五百八十七億一千百九十四万円余となっております。  この純利益から日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積立金として積み立てる一千二十七億八千九百七十万円余を控除いたしまして、専売納付金は五千五百五十九億二千二百二十四万円余となりました。これは予定に比べ百六億四千百十万円余の増加となっておりますが、前年度に対しましては一千十一億八千八百六十八万円余の減少となっております。  次に、たばこ事業及び塩事業につきまして、それぞれの概要を区別して御説明申し上げます。  まず、たばこ事業でございますが、昭和五十二年度製造たばこ販売数量は三千五十六億本余でありまして、これは予定に比べ六十億本余の減少となっておりますが、前年度に対しましては百二十四億本余の増加となっております。  たばこ販売面におきましては、喫味の軽いマイルドセブンの新発売等によりまして、前年度に対し数量で四・二%、売上高で五・八%の増加となりました。  次に、たばこ製造面におきましては、たばこ工場の作業の合理化製造設備改善によって生産性の向上に努め、あわせて円滑な供給体制整備を図ってまいりました。  以上の結果、損益計算におきましては、総売上高は一兆八千七百四億五千百三十八万円余、売り上げ原価は五千二百九十七億五千六百三十七万円余、差し引き売り上げ利益は一兆三千四百六億九千五百万円余となり、これから販売費及び一般管理費一千百二十二億五千三百九十四万円余、たばこ消費税五千七百八十一億一千四百五十一万円余を控除し、さらに営業外損益五十七億九百五十五万円余を加えたたばこ事業利益は六千五百六十億三千六百十万円余となりました。これは予定に比べ七百三十三億四千八百八十二万円余の増加となっておりますが、前年度に対しましては一千四百九十六億一千七百四十二万円余の減少となっております。  たばこ事業の純利益がこのように前年度に対し大幅に減少いたしましたのは、たばこ消費税増加が著しいためでありまして、これは、たばこ消費税算定方式上、製造たばこ小売定価の改定の影響が一年おくれとなることによるものであります。  次に、塩事業について申し上げますと、昭和五十二年度塩販売数量一般用塩で百五十三万トン余、ソーダ用塩で五百九十四万トン余、合計七百四十七万トン余でありまして、これは予定に比べ百十三万トン余の減少となっており、前年度に対しましては十九万トン余の増加となっております。  以上の結果、塩事業損益計算面から申し上げますと、総売上高は六百九十三億二千四百八十四万円余、売上原価は五百二十六億二千六百五十八万円余、差し引き売上総利益は百六十六億九千八百二十六万円余となっております。  これから販売費及び一般管理費百四十三億九千八百八十四万円余を控除し、さらに、営業外損益三億七千六百四十一万円余を加えた塩事業利益は二十六億七千五百八十四万円余となりました。これは予定に比べ五十四億九百四十九万円余、また、前年度に対しましては四十億七千七百十七万円余、それぞれ増加となっております。  塩事業の純利益が前年度に対し増加いたしましたのは、昭和五十一年六月に実施いたしました一般用塩の販売価格の改定が昭和五十二年度において全面的に寄与したこと、及び諸物価の鎮静化等によりまして、売上原価の上昇が小幅であったことによるものであります。  次に、昭和五十二年度決算検査報告におきまして、会計検査院より不当事項として御指摘を受けたものはございませんでしたが、今後とも予算の効率的運用、綱紀の粛正等につきましてなお一層の意を用い、事業の運営の合理化を図ってまいりたいと存じます。  以上、簡単でございますが、昭和五十二年度決算及び業務の概要について御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  14. 高田富之

  15. 佐竹浩

    ○佐竹説明員 国民金融公庫昭和五十二年度の業務の概況について御説明申し上げます。  昭和五十二年度のわが国の中小企業の景況は、緩やかな回復基調にあったものの、年央以降の円相場の高騰もあって総じて不況感はぬぐえませんでした。  このような状況に置かれた中小企業に対して、当公庫は五次にわたる貸出金利の引き下げ、貸付枠の追加などにより積極的に対処してまいりました。そのほか主な施策として小企業等経営改善資金貸し付けの貸付対象の拡大を図ったほか、福井、上野、日立及び別府の四支店を新設しまして、中小企業者のために一層の便宜を図ってまいりました。  昭和五十二年度の貸付計画は、当初、一兆八千八百三十億円を予定しておりましたが、年末融資として二千二百六十億円の貸付規模を追加いたしました。その結果、前年度に比べ件数が三・八%増の九十九万件余、金額が一七・三%増の一兆九千三百二十億八千二百四十万円余の貸し付けを実行いたしました。  貸付種類別に貸し付けの実績を申し上げますと、普通貸し付けば、八十万二千件余、一兆八千三百五十一億三千六百三万円余、恩給担保貸し付けば、十八万七千件余、九百六十六億六千百九十一万円余、記名国債担保貸し付けば、一千件余、一億五千九百三十八万円余となりました。  なお、普通貸し付けの貸付実績の中には、生鮮食料品等小売業近代化資金貸し付け、流通近代化資金貸し付け等の特別貸し付けが二万七千件余、七百四十九億九千八百四十五万円及び小企業等経営改善資金貸し付けが二十三万六千件余、三千二百九十九億六千十万円含まれております。  一方、五十二年度において貸付金の回収が一兆五千四百六十八億九千二百五万円余、滞貸償却が二十一億七千六百二十三万円余ありましたので、五十二年度末現在の総貸付金残高は二百二十一万五千件余、二兆六千七百六十億一千四百七十三万円余となりました。  前年度残高に比較いたしますと、件数が一万九千件余の増加金額が三千八百三十億一千四百十万円余の増加となり、これを率で見ますと、件数で〇・九%の増加金額で二八・七%の増加となりました。  貸付金の延滞状況は、五十二年度におきましては延滞後六カ月以上経過したものが四百十二億四千八百十七万円余で、前年度に比べ百二十九億八千八百三十四万円余の増加となっております。総貸付金残高に対する割合は一・五%であり、前年度の一・二%に比べ〇・三ポイント増加しております。  昭和五十二年度の貸付資金の交付額は、一兆九千三百十六億三千七百十四万円余でありまして、その原資は、資金運用部からの借入金一兆一千六十六億円、簡易生命保険及び郵便年金特別会計からの借入金五百三十億円、一般会計からの借入令二百二十五億円のほか、貸付回収金等七千四百九十五億三千七百十四万円余をもってこれに充てました。  環境衛生金融公庫からの受託業務につきましては、五十二年度中における貸し付けの実績は十万一千件余、一千八百六十九億三千八百四十二万円余、回収額は一千百五十七億一千六百四十八万円余となり、五十二年度末残高は三十七万件余、四千二百九十六億一千百十五万円余となっております。  五十二年度中における収入、支出決算について申し上げますと、収入済み額は二千九十七億九百十五万円余、支出済み額は二千百十一億三千八百三十二万円余となりました。  損益計算について申し上げますと、貸付金利息等の総益金は二千九百二億三千八百六十七万円余、借入金利息、事務費、滞貸償却引当金繰り入れ等の総損金は二千九百二億三千八百六十七万円余となりました。との結果、利益金は生じなかったので国庫納付はいたしませんでした。  以上をもちまして、昭和五十二年度の業務概況の御説明を終わらせていただきます。
  16. 高田富之

  17. 渡邊孝友

    ○渡邊説明員 昭和五十二年度における日本開発銀行の業務の概要について御説明申し上げます。  まず、五十二年度資金の運用計画は、当初貸付規模八千六百億円を予定しておりました。  これに対する貸付実行額は、都市開発一千三百五十九億二千二百万円、地方開発一千三百六十億一千万円、国民生活改善一千五百三十二億九千五百万円、資源エネルギー一千百二十四億六千五百万円、海運二百億四千九百万円、技術振興六百九十四億四千万円、その他四百六十億五千万円、合計六千七百三十二億三千百万円となっております。  このほか、五十二年度におきましては一千五百四十六億六千二百万円の貸し付け承諾を行いました。  この結果、五十二年度資金による総貸し付け承諾額は八千二百七十八億九千三百万円となっております。  次に、五十二年度貸し付け運営の特色を申し上げますと、  都市開発については、都市交通の整備改善、市街地の開発整備及び流通機構の近代化に寄与する事業等に対する融資を引き続き拡充したこと。  地方開発については、九州、四国、中国、北陸の四地方の開発のための融資を引き続き強化するとともに、地方都市の機能整備、地方適地産業の育成、工業拠点の開発整備について特に留意したこと。  国民生活改善については、環境保全の観点から公害防止の推進を図るとともに、ビル防災、コンビナート防災等の推進のための安全対策設備に対する融資、都市ガスの高圧、高カロリー化設備に対する融資及び食品供給体制の近代化のための融資についても引き続き拡充を行ったこと。  資源エネルギーについては、原子力発電推進のための融資、石油の民族系企業育成強化を図るための融資、石油備蓄タンクに対する融資のほか、資源エネルギーの有効利用と産業の省資源・省エネルギー等を促進するための融資を積極的に行ったこと。  海運については、貿易物資の安定的輸送確保の観点から、計画造船による外航船舶の建造に対し引き続き融資を行ったこと。  技術振興については、わが国自主技術の開発促進及び技術水準の向上を図るため、引き続き国産技術振興融資、電子計算機振興融資等を行ったこと。  その他の融資については、新たに硫安対策融資を行う一方、引き続き工場分散、海洋開発及び福祉関連機器振興等の融資を行ったこと。などが挙げられます。  次に五十二年度における既往貸し付けの回収は、外貨貸付金の回収二十億六千七百四十二万円余を含めまして四千三百七十一億八千四百五十七万円余となっております。  また、このほか、国内資金貸付金について九億九千九百八十万円余の債権償却を行いましたので、五十二年度末における貸付残高は、国内資金貸し付け四兆九百四十六億八千九百七十九万円余、外貨貸し付け百二十七億九千五百二万円余の合計四兆一千七十四億八千四百八十一万円余となりました。  貸付金の延滞状況につきましては、昭和五十二年度末におきまして弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は三百十八億二千九百九十六万円余で、前年度末に比して十五億八千七百八十二万円余の増加となっております。貸付残高に対する割合は、前年度末と同率の〇・八%となっております。  また、五十二年度において、外貨債務の保証を行いました額は、航空に対する百九十四億一千百二万円余であり、年度末保証残高は二千八百十六億四千六百十六万円余となっております。  最後に、五十二年度決算概要について御説明いたしますと、一千百三十一億四千九百五十八万円余の純利益を計上し、このうち二百八十七億五千二百三十九万円余を法定準備金として積み立て、残額八百四十三億九千七百十八万日余を国庫へ納付いたしました。  なお、国庫納付金は前年度に比して七百四十二億六千六百六十四万円余増加しておりますが、増加の主な理由は貸し倒れ準備金の繰入率の改定によるものであります。  以上、五十二年度における日本開発銀行の業務の内容につきまして御説明申し上げた次第でございます。
  18. 高田富之

  19. 竹内道雄

    ○竹内説明員 昭和五十二年度における日本輸出入銀行の業務状況につき概要を御説明申し上げます。  まず、昭和五十二年度年度当初の事業計画において一兆二千八百三十億円の貸し付け予定いたしました。  これに対し昭和五十二年度の貸付額の実績は九千三百七十八億一千八百九十万円余で、年度当初の事業計画における貸付予定額に比較いたしますと二七%程度下回りました。なお、この昭和五十二年度の貸付額を昭和五十一年度の貸付額九千九百十八億八千七百二十九万円余に比較いたしますと五%程度の減少となっております。  以下、昭和五十二年度の貸付額の内訳につきまして、金融種類別に前年度との比較において申し述べます。  まず、輸出資金貸し付けは五千三百八十九億二十五万円で、昭和五十一年度の五千二百六十八億五千六百四十五万円に対し、百二十億四千三百八十万円の微増にとどまりました。これは、プラント輸出に対する貸し付けが順調な伸びを示したものの、船舶輸出に対する貸し付けが低調に推移したことによるものであります。  次に、輸入に必要な資金貸し付けは七百六十一億百二十一万円余で、昭和五十一年度の一千二百十三億九千三百九万円余に対し、四百五十二億九千百八十七万円余の減少となりました。  なお、輸入に必要な資金貸し付けの中には、昭和五十二年十二月より発足した緊急輸入外貨貸付制度に基づく貸し付け八十四億四千六百七十四万円が含まれております。  また、海外投資資金貸し付けは八百五十六億八千三百三十七万円余で、昭和五十一年度の一千三百億三千六百十二万円余に対し、四百四十三億五千二百七十四万円余の減少となりました。  このように輸入に必要な資金貸し付け及び海外投資資金貸し付け減少いたしましたのは、前年度に引き続き国内の景気低迷による原料資源に対する需要の停滞や世界経済の先行き見通し難などにより新規の資源開発案件が減少したことなどによるものであります。  このほか、外国政府等に対する直接借款に係る貸し付けは二千三百七十一億三千四百五万円余で、対象案件の大型化や信用形態の多様化という国際的な要請を背景にバイヤーズクレジット・バンクローンが増加したため昭和五十一年度の二千百三十六億百六十一万円余に対し、二百三十五億三千二百四十三万円余の増加となりました。  以上の結果、昭和五十二年度末の貸付残高は四兆一千八百八十六億二千七百四十九万円余となっております。  なお、この貸付残高のうち、弁済期限を六カ月以上経過した元金延滞額は五億七千八百五十七万円となっております。  昭和五十二年度の貸付資金の原資といたしましては、産業投資特別会計からの出資金五百二十億円、資金運用部資金からの借入金六千四百八十一億円、外国為替資金特別会計からの借入金八十四億四千六百七十四万円のほか、自己資金等二千二百九十二億七千二百十六万円余をもってこれに充てました。  以上申し述べました業務の運営により、昭和五十二年度の一般勘定の損益計算上における利益は三千七百七十八億九千六百十一万円余、これに対し損失は三千四百二十九億四千七百八十八万円余となりました。  この結果、一般勘定利益金は三百四十九億四千八百二十三万円余となりました。  一般勘定利益金は、うち二百九十一億五千七百十七万円余を法定準備金として積み立て、残額五十七億九千百五万円余を国庫に納付いたしました。なお、この国庫納付金は、昭和五十二年度において貸し倒れ準備金の繰入率の改定等により生じた利益から納付したものであります。  なお、既往のインドネシア債務救済措置の実施に関する業務につきましては、日本輸出入銀行法による貸付金の利息の特例等に関する法律により一般の業務と区分して特別の勘定を設けて経理することといたしておりますが、昭和五十二年度の特別勘定の損益計算上、一億一千七百二十一万円余の利益金を生じ、法令の定めるところに従い、これを全額同勘定の積立金として積み立てました。  以上、昭和五十二年度における日本輸出入銀行の業務の概況につき、御説明申し上げました。
  20. 高田富之

    高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  21. 高田富之

    高田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。
  22. 井上一成

    ○井上(一)委員 まず、大蔵大臣にお尋ねをしたいのですが、今日ほど、税金のむだ遣いあるいは行政の非効率、いろんな面で国民の関心を集めているわけでありますが、なかんずく財政危機が叫ばれているわけです。こういう折に、当委員会、とりわけ決算という重要な審議過程の中で、その決算審議の重要性を強く叫ばなければいけない。そういう意味で大蔵大臣は、決算審議の位置づけあるいは決算審議を通しての予算編成、財政再建の見通し、そういうものをどうとらえていらっしゃるか、まず冒頭に聞いておきたいと思います。
  23. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに今日ほど、あるいは過般の総選挙中等から、なかんずく具体的に空出張でございますとか空超勤でございますとか、その種の指摘を各方面から受けておることは十分承知をいたしております。したがって、そういう環境にあればあるほど、決算審議のときに指摘された諸問題を予算編成に対して生かしていかなきゃならぬというのが基本的な考えであろうかと思うのであります。  そうして、第二次大平内閣が成立いたしました初閣議におきましても、その種の綱紀粛正等の閣議決定が行われました。さらに省内におきましては、官房長通達等によって、予算の適正な執行を図るという形でこれらに対応しておるわけでありますが、冒頭申しましたように、決算審議等を通じて指摘を受けた問題が、予算編成の際にわれわれが基本的に踏まえて対応しなければならない問題である、このように自覚をいたしております。
  24. 井上一成

    ○井上(一)委員 いろいろの角度から予算編成に踏み切っていくわけですけれども、今日までの一つの形としては実績主義ということになっているわけです。大蔵原案が内示されて、各省の復活要求があって、あるいは諸団体の陳情、要求がある、あるいはその上に政治折衝を重ねていく、こういうことだけの繰り返しであっては、本当に財政再建に踏み切る予算編成ができるのであろうかどうか、こういうことを私は少し疑問に思うわけなんです。そういう意味で、五十五年度予算というものの取り組み、本当に財政再建に踏み出したんだと言い切れるのかどうか、この点については、大臣、いかがですか。
  25. 竹下登

    竹下国務大臣 いま井上さん御指摘のように、肩怒らせて、財政再建元年の予算を組みましたと言うほど私もうぬぼれてはおりません。  いろいろな経過の中で苦心をいたしたところでございますが、強いて御理解をいただくといたしますならば、当初予算でもって一兆円の公債の減額を行ったということが一つ。それからいま一つは、特に一般歳出におきまして五・一%という伸び率でございますので、これは昭和三十一年以来のことでありますので、縮減を図ったということに評価いただけるのではなかろうか。強いて言えばこの二つが、財政再建元年と胸を張るつもりはございませんが、一歩をしるしたというふうに評価、御理解をいただければ幸いである、このように考えております。
  26. 井上一成

    ○井上(一)委員 国債の発行一兆円の減額、まあ当初予算に比しての問題であって、実際は必ずしもそれだけで財政の立て直しが図られるんだというふうには私は思いません。もっと抜本的なところに、税金のむだな支出を何とか切っていかなければいけない。同時に、今日まで、決算等あるいは会計検査院等で指摘をされてきているのは、出しやすいところからの流用というものが余りにも多過ぎると思うのですね。そういう意味では、少し予算編成に当たっては、予算執行の効率化という点からしても、流用していく、そういうことで非常に問題があろう、むしろ執行については幾分幅を持たしておいて、そして真っ当な決算で真っ当にそれを出してくる。そして、そこで決算審議でこの是非を論じていく、そういうことの方がいわゆるよりガラス張り、より民主的予算の執行であり、予算の編成につながっていくのではないだろうか。そういう意味で、制度面での見直しということも今後の課題として検討に値するのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、大臣いかがでしょうか。
  27. 竹下登

    竹下国務大臣 私が大蔵大臣に就任いたしましたのは十一月でございますが、私ども大蔵省がそれ以前に、いわゆるサマーレビューを通じまして各省間との総点検期間というものを置いたわけでございます。それらの結果が支出の圧縮となった一つの大きなポイントではなかろうかというふうに思うわけでございますが、いまの井上さんの、各省にある程度の政策事項の中に幅を持たしてそれを決算の際に評価していくという物の考え方、それから、それとは別にまた財政民主主義のたてまえの中で一つ一つの支出を事前に予算審議の際に厳しくチェックしていくという意見と両方存在をいたしておるわけであります。したがって、私どもといたしましては、いまいつからどのような形でというようなところまで明言するまでに熟しておりませんが、五十六年度予算編成のためには、いまの財政再建の趣旨を貫けという御叱正にこたえるために、スプリングレビューから始めてそのような支出の正当性というようなものをさらに深めてまいりたい、このように考えております。
  28. 井上一成

    ○井上(一)委員 そこで、私はさらに五十六年度の予算編成に波及してお尋ねしたいのですが、いま申し上げたように、支出面での民主化、そしてガラス張りあるいは適正執行、そういうことをまず考えていかなければいけない。そのことはもうすでに国民の大多数が希望しているわけです。これは昨年の総選挙で、とりわけ税収のいわゆる歳入面を優先して検討した大平さんの政治指針というものが一定の批判を受けた、こういうことですでにおわかりであるわけなのです。その意味でさらに一般消費税という形での財源確保が論じられたわけでありますけれども、五十六年度も一般消費税は、やはりそういう形で財源確保の一つの制度として導入すべきでない。そしてまた、そのようなことは考えておらないという大蔵大臣の見解を私は期待するわけであります。端的に消費税導入、いわゆるより負担増を国民に押しつけていくということよりも一歳出面での工夫をすべきである。そういう見地から五十六年度一般消費税の導入というものは現時点ではもう考えもしないのだというお考えを持っていただいていると思うのですが、念のためにここで大臣からの所見を承っておきたいと思います。
  29. 竹下登

    竹下国務大臣 昨年の総選挙に当たりまして、いわゆる一般消費税というものが国民の側からヘジテートされたという表現を使っておるのでございますが、その実態を踏まえ、さらにもう一つ大事なことは、衆参両院におきまして財政再建に関する決議が行われたという事実がございます。したがいまして、私どもが今年度もその姿勢を貫きましたのは、財政再建とは入るを図って出るを制するという言葉で端的に表現されておりますものの、まず入るを図る前に出るを制するというところから予算編成に取り組もう、そういう姿勢で、新たなる税目によるところの増税というようなものを避けて五十五年度予算を編成いたしたわけであります。したがって、五十六年度というものはスプリングレビューから始めてまいりますが、五十五年度の予算が組めたというのは、いわゆる民間の自己努力による自然増収というものを見込むことができたということでございますので、これからの経済運営の中で、それらのものが容易に見込めるとは言いがたいという状態にありますだけに、歳出面において厳しい点検をすることはもとよりでございますが、歳入面においてもまたいろいろな配慮をしていかなければならないではなかろうか。しかし、この財政再建決議にもございます「いわゆる一般消費税」、私がこの決議の際に非常に苦悩いたしましたのは、一般消費税というのは一体固有名詞であろうか普通名詞であろうか、こういう議論をいたしたのでございます。したがってこれが普通名詞として、いわゆる消費税というものが、全部今後の財政再建の手法としてとられない形になった場合は、税体系そのものに問題があるというので「いわゆる」という言葉をお使いいただいたわけでございますので、いわゆる、言われる一般消費税というものによらない形で五十六年度予算も取りかからなければならないというふうに考えております。何としても国会決議というものが厳然として存在しておるというふうに思います。
  30. 井上一成

    ○井上(一)委員 そのような意思で国会決議を尊重し、かつ一般消費税の導入を図らずに財政再建に努力をしていただきたい、こういうふうに強く希望いたしておきます。  もう一点、税制度の問題で、いわゆる不公平税制という表現で指摘をされておる現行の税制度、これの是正の具体策を持っていらっしゃるのかどうか、この点について伺っておきたいと思います。
  31. 竹下登

    竹下国務大臣 不公平税制の是正という問題につきましては、五十五年度の予算編成に当たりましては、企業における租税特別措置ということを縮減することによってそれらの批判にこたえていったというふうに思っております。やはり税というものは、お互いどうしても不公平感というものが生じやすい性質のものでありますだけに、どれとどれというような形ではなく、絶えず不公平感というものがどこに存在しておるかということを見きわめながら、年度年度に当たって対応していかなければならない問題であるというふうに考えております。
  32. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに国債の問題で尋ねておきたいのですが、五十五年度は一兆円の減額をした。それはさっきも言われたとおりなのですが、五十五年度を踏まえて累計額でどれぐらいの発行額になるのですか。
  33. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 五十四年度の実績はまだ出ておりませんし、五十五年度は一応の計画でございますのではっきりした数字は申し上げられませんが、おおむね七十一兆ぐらいになろうかというつもりでおります。
  34. 井上一成

    ○井上(一)委員 七十一兆円。さらに私の試算では、今後二年間、五十七年度の試算では百二十二兆円ぐらいになるのではないだろうかというふうに思うのです。これはまさに財政を破綻するということは明らかな見通しを持つわけです。この問題に対して一体今後どうしていくのか、このことについて大臣の所見を承っておきたいと思います。
  35. 竹下登

    竹下国務大臣 国債発行の残高が、いま理財局長が申しましたように、およそ七十一兆になるではないか。そしてそれを逐年、五十九年にいわゆる特例公債発行額をゼロにしようというめどで努力をしていくわけでございますが、要は国債管理政策というものは、具体的な問題については事務当局から理財局長がお答え申し上げますが、まず、いかにして減らすかということを考えることが基本にあるべき課題ではなかろうか、このように思っております。
  36. 井上一成

    ○井上(一)委員 六・一国債と言われる国債の現時点でのあれが八十円あるいは八十五円というぐらいの形になるわけですね。いま言われる国債管理政策は、それでは今後どういうふうになさっていくのか、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  37. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 国債管理政策の基本は、何と申しましても、先生先ほどからおっしゃっておられますように、発行の量そのものを減らしていくということが一番基本だろうと思います。その方向に沿いまして五十四年度につきましては一兆二千二百億円、補正で減らすことにいたしておりますし、五十五年度につきましては、先ほど来申し上げておりますように、今年度の当初に比べて一兆円の減額ということをいたしておるわけでございます。ただ、それでもなおかつ十兆をはるかに超える大量の国債発行が続いておるということでございますので、今後ともできる限り国債の発行量を圧縮していくということがまず基本ではないかと思うわけでございます。  従来、できるだけ市場のニーズに応じた発行体制をとるということに心がけてまいったわけでございまして、国債の種類をできるだけ多様化していく。たとえば従来の十年債一本ということから五年の割引国債でございますとかあるいは二年、三年、四年というような中期の国債を発行するというふうなことをやってまいりましたし、さらにまた、発行方法につきましても、中期債につきましては一般の市中公募をするというふうなことを試みておりまして、できる限り種類あるいは発行の仕方等についての工夫をこらしてまいっておるわけでございます。  なおそのほか、市場の育成拡大というふうなことについても心がけてまいりまして、たとえば流通金融についての配慮をする、あるいは資金運用部が市場に参加するというふうなことをやってまいっておるわけでございます。今後とも金融情勢あるいは市場環境等に十分配慮しながら、国債の円滑な発行、消化、管理ということに心がけていきたいと考えておる次第でございます。
  38. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、もちろん国債発行額減少していくのがより望ましいことであるわけですが、いま言ったように、試算で百兆円を超えていくのだ、その中でやはり景気が沈滞していく、こういうことなんですね。これはもうすでに発表されている数字なんですけれども、中小企業の倒産件数は一カ月に千六百から千七百件にふえているわけなんですね。これは一年前に比べると、一年前が千三百件台ですから五割増しに近い倒産件数、それだけ中小企業がしわ寄せを受けている。あるいは消費者はみずからの消費支出を非常に切り詰めている。五十二年あるいは五十一年の約半分近い比率を占めているわけなんですね。五十四年十月の統計では、五十年度で一二・三であったものが五・六、もう半分以下に切り詰めていっている。もう非常に国民が始末をし、そしてみずからの苦しみを承知しながら努力をしている。片面、国の政治、国の財政政策が十分でないということを私はここで申し上げたいわけなんです。そういう意味ではもっと大胆に、この際、牛を見通した財政政策というものを打ち立てるべきではないだろうか、こういうふうに考えるわけです。なかんずく、もちろん物価対策にも絡んでいります政府の見通しが常に狂って、あるいは大幅に違っているということ、見通しの誤り、見通しどおりにおさまっていない、そういうことが言えると思うのです。国民にこれほど厳しい生活を押しつけながら、反面政府の財政政策というものが十分でないというところに私なりの不満があるわけですが、その点について当局の考えを聞かしていただきたいと思います。
  39. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに石油ショック以来、考えてみますと五十三年度予算、五十四年度予算が、いわゆる公共事業等の下支えによりまして、そのもとに民間の自律的努力というものが加わって、いま総体的には堅調であるというふうに見られるわけでございます。しかし、確かに御指摘のとおり、なかんずく卸売物価の点につきましては、外的要因と言えばそれまででございますけれども、大きく見通しと開いてまいりました。これがいずれにしても消費者物価へ年度終わりぐらいから五十五年度にかけて影響してくるということについては、当面景気と物価の両にらみというものを基本的なスタンスとしながらも、消費者物価に重大な関心、警戒心を払わなければならないというのは、私どもも同意見でございます。したがいまして、この民間の自助努力というものが自然増収を見積もることができて、予算が組めたということに対しては、これは少し下世話な表現になりますけれども、神様、仏様、民間様、こういうような表現をしておるところでございます。それに対応する財政というものも、やはり国民の理解を得るような姿勢でこれに対応していかなければならない。しかしながら、その自己努力の中にも倒産件数というものがふえておる、こういう御指摘でございます。これについては季節的な問題でございますとか、あるいはこの企業努力が、あの不況時に対応できなかったとかというような理由もあろうかとは思うのでございますけれども、私どもといたしましては、それこそ経済、金融情勢に対応して、まじめに経営をなすっておる企業が倒産されるというようなことがないよう、引き続き、きめの細かい配慮とそして近代化、構造改善等を一層促進していくための所要の措置をとっていきたい、このように考えております。
  40. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣がいま言われたように、卸売物価の上昇率についてはもう一七、八%、まあ驚異的な上昇率を示しているわけですね。これは、いずれ近い将来、その影響がもろに国民生活に響いてくる。いろんな意味で国民が努力をし、ただそれの努力あるいは犠牲に近い、そういうことの上にあぐらをかいた政府の財政政策では、私はこれはだめである。まあそういう意味で、ごく今日的な問題になりますけれども、電気、ガス料金が六、七〇%アップが申請され、かつそういうことが見込まれているんだということになりますと、さらにやはり物価対策という面で、私は大いに政治的な判断がここに必要になってくるんではないだろうか、こういうふうに思うのですね。そういう点については、大臣どのように考えていらっしゃいますか。
  41. 竹下登

    竹下国務大臣 物価対策について警戒を要しておらなければならぬということは、委員御指摘のとおりであります。したがって、予算編成に当たりましても、いわゆる公共料金の問題につきましては、それが集中して生活の中に大きな影響を与えないような形で諸般の考慮をしたところでございます。が、さらに委員御指摘のとおり、電気、ガス等の値上げ問題が出ておるということは御承知のとおりでございますので、これをただ一方的に、いまの事態は一切ストップだというような形で、後年度に一挙に莫大な負担がかかる形の値上げということも避けなければならないだけに、これは私の所管ではございませんが、幅とか時期とかについては厳正な査定で臨む、しかし、もろもろの円安でございますとか、あるいは原油価格の上昇でございますとか、そういうものから来るものを全然ネグって済ますわけにはならぬと一いうのが現状の認識でございます。
  42. 井上一成

    ○井上(一)委員 このことについては、やはり政府当局が国民の生活という現実問題を十分に踏まえた中で、景気対策、物価対策両にらみの上で検討を加えるべきである、とりわけ物価対策ににらみを置いて今後の経済対策全般に取り組んでほしい、私はこういうふうに考えます。  さらに続いて、日銀当局に尋ねておきたいと思います。  現在、都市銀行に対する貸し出し枠、貸し出し残は幾らですか。——それじゃ日銀がまだお見えでなければ、その以前に、農林省と中央競馬会お見えでございますか。——それじゃ、一昨日私の方から中央競馬会に対する何点かの質疑をし、その中で農林大臣からの明確な答弁もあったわけであります。とりわけ場外馬券売り場の建設協力金あるいは賃貸料の問題を指摘をいたしました。時間がありませんでしたので若干留保したわけでありますけれども、中央競馬会が建設協力金として現在までに、五十四年の十二月末までに貸し付けをなさった総額は一体幾らになっているのでしょうか。
  43. 武田誠三

    武田参考人 五十三年の十二月末現在で百二十八億七千五百万円でございます。この中には電話投票所の分も入っております。
  44. 井上一成

    ○井上(一)委員 私の調査では、いま理事長から五十三年ということでございましたけれども、五十四年の十二月末まででは協力貸し付け総額が百七十一億になるはずなんです。  さらに、いま手持ちの資金等もあるわけですけれども、それは別にいたしまして、一昨日も賃貸料が非常に不当に高い、こういうことを指摘しました。そして、具体的な数字についてはもう重複を避けます。特に私は、強く中央競馬会の姿勢を変えるべきであり、そして反省の上に立っての今後の取り組みをきょうはぜひ聞いておきたい。農林大臣の意見はもうすでに一昨日、奇異に感ずる、会計検査院はこの問題については調査の対象に、それぞれの所管の意見は明確にされたわけでありますけれども、中央競馬会の見解、そしてこのことに対する反省、この点について、ぜひここで聞いておきたいと思います。
  45. 武田誠三

    武田参考人 五十四年の十二月末現在の建設協力金の貸し付け総額は、先生のお話しのとおりでございます。私は一年前の数字を申し上げました。  それから一昨日、先生の御質問に対しまして、私の答弁の一部に疎漏な点がございました点につきましては、改めておわびを申し上げます。  それから、ただいま先生からお話しがございました場外売り場の建設等に伴います建設協力金の支出並びに場外売り場についての賃借料につきましては、私どもとしては今日までそれぞれ適正に処置すべく努力をしてまいったつもりでおりますが、先生方からもいろいろな御批判等もございますし、私どもとしてもより適正を期したいという気持ちを十分に持っております、監督官庁及び会計検査院の御意見も今後ございますと思いますので、それらの点も十分反省をいたしまして、私ども自身これらの点につきまして検討を深めてまいりたいというように考えております。
  46. 井上一成

    ○井上(一)委員 再度確認をしておきますが、中央競馬会は協力金はもとより賃貸料について今後検討をする、こういうことでございますね。
  47. 武田誠三

    武田参考人 お話しのとおりでございます。
  48. 井上一成

    ○井上(一)委員 わかりました。検討をされた結果あるいはその時点で私の方にその結果を報告してください。これは要望しておきます。  それじゃ、中央競馬会は結構でございます。  日銀がお見えになりましたので、日銀関係について先ほどお尋ねをいたしました都市銀行十三行への貸出枠と貸し出し残額をお答えいただきたいと思うのです。
  49. 中川幸次

    中川参考人 お答えいたします。  都市銀行に対します日本銀行の貸し出し残高は、昨年末で一兆六千五十六億円でございます。なお、その場合におきます全体の貸し出しは二水四千四百二十一億円でございます。
  50. 井上一成

    ○井上(一)委員 貸し出しのレートは、念のために聞いておきます。
  51. 中川幸次

    中川参考人 貸し出しのレートは六・二五%、公定歩合でございます。
  52. 井上一成

    ○井上(一)委員 これまた念のために聞いておきたいと思うのですけれども、地方銀行の場合と比較して、金利あるいはその他の条件では変わりはないわけでありますか。
  53. 中川幸次

    中川参考人 その他の条件、金利ももちろん関係ございません。関係ございませんが、その他の条件といいます場合に、一つこういうことがございます。戦後、都市銀行に対しまして貸し出しが非常にふえ過ぎましたために、昭和三十七年にそれまでの金融調節方式を改めまして、貸し出しの多い都市銀行十行に対しましては貸出枠をつくりました。それ以上の貸し出しはしないということにしてございます。それから、地方銀行あるいはその他の取引先に対しましては、一定の資金量以上の、あるいは業容が比較的いいところでございますが商手割引の枠をつくっております。都市銀行は全体としての貸出枠でございますが、商手の枠がございまして、それで資金繰りのいかんにかかわらず再割引を行っております。
  54. 井上一成

    ○井上(一)委員 都銀と地銀に対する貸し出しの総額の比率はどれぐらいになっているんでしょうか。
  55. 中川幸次

    中川参考人 日銀貸し出しは、金融の繁閑に応じまして残高がかなり移動いたします。常にこういう数字だとは限りませんけれども、たとえば昨年の十二月末の一兆六千億の数字で申し上げますと全体の二兆四千億を一〇〇といたしまして都市銀行は六六%、地方銀行は七%という数字になっております。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 金融政策の中で貸し出しというものが取り扱われていくと思うのですけれども、基準ともなるべきものがあるのかどうか。たとえば預金量によってその貸出額の上限を決めていくとか、そういうものがあるのでしょうか。
  57. 中川幸次

    中川参考人 地方銀行につきましてはございません。先ほど申し上げました都市銀行につきましては貸し出しの枠がございますが、地方銀行におきましては、たとえば一時的に非常に資金繰りが苦しくなる場合には、その資金ポジションの改善という指導をしながらその必要に応じて貸してまいります。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 いまの数字でも六六%対七%、私は短絡的にすべて結びつけたくはないのですけれども、金融政策それ自体が大手大企業を優先しているような政策ではないだろうか。勘ぐりだと言われればそれまでだけれども、具体的に、たとえば社会資本を充実していく、そういう中で資金が必要になってくる。そのことで都銀の協力の対応はどうなのか。地銀の協力の対応はどうなのか。地銀の独自の資金を使った場合には利率がどうであり、都銀はいわば、もっと端的に言えば公定歩合、安い金利で、預金コストは低いわけですね。都銀は六六%を借りる。その借りた金がいま言うように社会資本の投資に回らずに大手大企業の方に回っていく。大手大企業はその低利な金を利用して企業努力という名目の中で利潤を上げていく。それは法人税という形で国に還元されるのだと言ってしまえばそれまでですけれども、部分的には不公平税制だと指摘をしている優遇制度がある。片面では、地銀はいわゆるコール市場とかで運用することによって地銀の運営が成り立つというのが日銀の見解なんです。違ったらおっしゃってください。恐らく日銀はそういうお考えだと思う。本当はそうじゃないわけです。地方銀行は預金獲得に相当な資金が必要になり、コストが高くつく。高くつくから六・二五ではまかりならぬから二%高い八ないし八・二五というコール市場でそれを運用して、その差額で地銀が独自の経営を保っていく。だからそこから、たとえば地方自治体が金を借りる場合あるいは地方債を引き受けてもらう場合、いろいろな意味で金利が高いわけなんです。そういう意味で日銀の金融政策の中で一考を要するのではないだろうか。だから、社会資本に充当する資金は地銀、都銀を問わずできるだけ低利で、日銀の独自というのでしょうか、一兆二千億あるいはそのうちのたとえ二〇%でもいいから、そういう形の中で今後検討して貸し出しを十分効率的に、大企業優先にならない貸し出しをやっていくべきじゃないだろうか。その貸し出しは都銀あるいは地銀がするのですから、直接日銀の業務ではないと言えばそれまでですけれども、そういう指導というのでしょうか、そういう認識を持っていただきたい、こういうふうに思うのですが、日銀はどうなんですか。
  59. 中川幸次

    中川参考人 ただいま先生の御指摘いろいろな問題がございますが、二つちょっと数字だけ申し上げたいと思います。  第一は、一先ほども申し上げましたような理由から都市銀行に対します日本銀行の貸し出しは昭和三十七年から今日まで全くふえておりません。全体として日本銀行資金供給はふえてきましたけれども、都市銀行に対する貸出額は全くふえておりません。  それともう一つの数字でございますが、大企業に都市銀行は非常に貸すということでございますが、最近都市銀行の貸し出しの中には大企業よりも中小企業に対する貸し出しのウエートの方が大分高くなっております。  なお、日銀貸し出しをもとにして安い金を貸しているのじゃないかという御指摘に対しましては、たとえば日本銀行の貸し出しを借りますと、やはり日本銀行としてはその資金ポジションを改善するように指導を強化いたします。そういうこともございまして、たとえば都市銀行につきましては、過去一年間貸出残高が六・六%ふえたわけでございますが、地方銀行は七・三%、それから相互銀行は一〇%強、信用金庫は一四%だったと思いますが、そういうふうに貸し出しの伸び率が違っておりまして、大銀行の方が貸し出しの伸びを低く抑えられております。そういうふうに私どもといたしましては、都市銀行がどんどん貸すということを決して奨励しておるわけではございませんで、日本銀行の貸し出しが比較的多いところにはできるだけビヘーブしてもらうようにしておるつもりでございます。  なお、地方銀行にはコールを出して都市銀行には取らせるというふうな指導をしているかということでございますが、私どもといたしましてはそういうつもりで指導をしておる方針は全くございません。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 都市銀行伸び率が低いのだ、もともと都市銀行にはよけい出しておったわけです。地銀なり相互銀行なり信用金庫には少なかったわけだから、伸び率だけをもってすべてを判断するのは、言葉は悪いですけれどもやはり役人的な発想じゃないか。だから私の指摘をしたいのは、今後社会資本等に資金を充当していく場合には日銀も十分な協力をすべきではないだろうか、一こういうことを強く要望しておきます。  さらに、現在の日銀が所有する金の保有量、そして簿価、このことについて聞いておきたいと思います。
  61. 中川幸次

    中川参考人 まず第一点でございますが、私どもといたしましては、先生御指摘のように地方銀行、都市銀行あるいは相互銀行、そういった業態にかかわらずできるだけ公平に取り扱っていくつもりでやってまいりまして、今後もさらにそういうことを配慮してまいりたいというふうに考えます。  それから第二の日本銀行の保有金についてのお尋ねでございますが、日本銀行のいま保有しております金の簿価は三千五百七十七億円でございます。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 金問題がいま世界的にいろいろクローズアップされているわけなんです。時価で再評価をいたしますとどれぐらいになり、いわゆる含み益等はどれぐらいになるのですか。
  63. 中川幸次

    中川参考人 先生御承知のように時価というものはこのところものすごい乱高下をいたしておりますので、いまどの点で何を時価とするかという基準がないと思いますが、仮に一オンス七百ドルとか八百ドル、そういった水準で再評価いたしますと四兆円台の現在の評価になるかと思います。それから先ほど申し上げました三千五百七十七億円を差し引きますと、含み益と申しますか、そういうことになると思いますが、いま申し上げましたように時価がきわめて大きな乱高下いたしておりますので、それを果たして含み益と言えるかどうか若干問題はあると思いますが、数字はそういうふうになっております。
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは仮にの話ですけれども、日銀の保有金を時価で処分をした、そしてそれを国庫へ納付する、そうすると四兆円に近い額になる。これは仮にの話であって、私は、わが国が今後公的な金保有をどう考えているのであろうか、このことが一点。  それから、きょうの新聞でも、すでにIMFの方針等も報道されているのですけれども、いまの金価格の高騰に伴って問題が非常に生じているわけなんですけれども、それの対策あるいは保有の安全性あるいは日本経済全体にとっての金の保有する意義、こういうことについて、要点だけ少し答えていただきたいと思うのです。
  65. 中川幸次

    中川参考人 再評価したら確かに一応表面上には非常に大きな金(かね)が出てまいります。しかしながら、仮にそういう金(かね)を使うといたしますと、それは全く新しくそれだけの金(かね)がつぎ込まれるということになります。いわばインフレマネーの供給と申しましょうか。したがいまして、そういうことは全く危険なことではないか、私どもはそう思っております。日本銀行のそういう保有金は日本銀行が発行いたしております十五兆円ばかりの銀行券の裏づけになっているものでございます。私どもといたしましては、銀行券の価値をできるだけ安定して高いものにするためにどうしても資産は非常に健全なものでなければいかぬというふうに考えておるわけでございます。  それから金の保有をどういうふうに考えるかという点につきましては、日本銀行といたしましては、なるべく金の保有は、できればいろいろな環境ではふやすことが許されればふやしてまいりたいというふうに考えてまいりました。これからもそういうふうに考えてまいりたいと思いますが、なかなか実際にはそういう機会が少のうございまして、いま申し上げた程度の数字になっているわけでございます。  それから日本経済全体に対してどういうふうな影響と申しますか、一りこういうことがございます。金自体は日本経済にとりましてそう非常に大きな影響を持つということではないと思います。経済の運営にそう不可欠なものでもございません。たとえば物価の観点から申しますと、卸売物価の中で金が占めておりますウエートは〇・一%程度のものでございます。ただ〇・一%でも、仮にそれが二倍になったりいたしますと卸売物価全体を〇・二%ぐらい押し上げる要因になりますし、それがひいては貴金属全体の価値もそういうふうに押し上げるというふうになりますと、それでやや投機的と申しますか思惑的な心理を呼ぶ、そういう危険がある。したがって、私どもといたしましては金の価格というのはできるだけ安定したものでありたいとこいねがっているわけでございますが、何分いまの金相場の乱高下は気違いざたと言わざるを得ないような状況にあるかと思っております。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 仮の話で私が含み益が四兆円に近いということを申し上げたわけであって、私もそれを即紙幣の増発にという考え方には立たないわけです。  それで、保有がどのような形で保有されているか。むしろ世界経済の中での日本の円の安定という意味で金の持つ意義を認めたいと私は思うのです。国内経済よりもむしろ世界経済の中での金の保有、こういうことに意義があるという考えを持っているんですけれども、その点について再度聞かせてください。
  67. 中川幸次

    中川参考人 確かに、先生御指摘のように、円の価値が安定するということは世界経済に非常に大きな役割りを果たすと思います。戦後はアメリカの経済が圧倒的なウエートを占めておりまして、ドルの価値が安定してきたことが世界経済の安定につながっておったと思います。それが六〇年代の後半から七〇年代にかけましてドルの減価がだんだん進んでまいりました。それで世界は、どちらかと言えばインフレ的な傾向が強くなってまいりました。その中でドイツと日本の物価が安定しておったということが、世界的なインフレのある程度の歯どめになってまいったと思います。そういうことから私どもは、今後もできるだけ円の価値安定に努力してまいりたいと思います。ただ、それが金をたくさん保有することによって円の価値の安定が実現されるというよりも、やはり何と申しましても金融政策、ひいて申しますと経済政策全般がよろしきを得る、インフレにしないということが円の価値安定につながるものであるというふうに考えております。
  68. 井上一成

    ○井上(一)委員 ここでさらに銀行の経営について少し聞いておきたいと私は思います。  国債の値下がりが銀行経営に及ぼす影響、これは大臣からお答えをいただきたいのですが、発行者である政府、そしてその国債を引き受けた銀行の経営自身を圧迫しているのではないだろうか、こういうふうに思うのです。大臣いかがですか。
  69. 竹下登

    竹下国務大臣 国債を多額に引き受けたためにその銀行の持つ本来の機能が縮小されたという傾向を私も全く否定するものではございません。銀行経営の問題につきましては、決算方法等についてもいまいろいろなことを検討いたしましたので、それについては非常に具体的な問題でございますので、事務当局からお答えをさせていただきます。
  70. 米里恕

    ○米里政府委員 国債の評価の問題につきまして、金融機関の決算上、国債価格の市場での値下がりによりまして非常に大きな影響が生じております。具体的に数字を申し上げますと、昨年の九月期、五十四年度上期ということに相なりますが、五十四年度上期におきましては、都市銀行で約二千億円の評価損が出た、地方銀行では、これも丸めて申し上げますと、約一千億円の評価損が出ております。こういった事態に対処いたしまして、金融機関としてはそういった評価損が発生した場合の決算対策といたしまして、手持ちの有価証券、主として株式でございますが、これを売却いたしまして、その売却益で評価損対策を行う、こういうことを行っておるわけでございます。これに対しまして、実は昨年の暮れ十二月二十八日に統一経理基準銀行の経理のルールを改正いたしまして、有価証券の評価について従来とっておりました低価法とあわせまして原価法をも選択できるような措置を講じたわけでございます。  なぜこういう措置を講じましたかということを簡単に申し上げますと、一つは、いま申しましたように、評価損が巨大なものになりまして金融機関としては手持ち有価証券を売却する、その売却益で対策を講ずるということになりますと、どうしても含み益の吐き出しという形になりまして、金融機関の実態が逐次悪化していくというようなことに相なります。したがいまして、こういった金融機関の健全経営という観点から見まして評価の方法について選択制というものをとることにしたということが第一点でございます。御承知のようにこの有価証券の評価制というものは、本来商法及び企業会計原則では原価法、例外的に低価法の選択も認める、こういうやり方をとっておりますので、この際、商法及び企業会計原則に戻りましてその選択法というものを採用したわけでございますが、御承知のようにこれだけ国債の価格が市場でアップダウンしてまいりますと、長期に保有している国債、有価証券につきましては、毎期毎期多額の評価損を計上して最後の償還の時期に一挙に償還益が出てくるということになります。そういったことで、企業会計原則の期間損益から見ましても、長期に保有している有価証券についてはむしろ取得原価法の方が正しいというような考え方もございます。国債をどれだけ途中で売却するか、あるいは償還時まで保有するかということは、これは企業者の経営判断の問題になりますが、そういったビヘービアに合わせた形で評価制というものを選択できるようにするという道を構じたわけでございまして、ちょうど減価償却で申します定額法と定率法の選択を認めたということと同じような考え方でございます。ただ、企業会計原則上は継続性の原則と申しておりますが、一度採用した評価制度というものは正当の理由がなくして簡単に評価制度を変えることはできないというような枠ははめてございます。こういった措置をとりまして、ことしの三月決算から選択できるということにいたしましたので、その意味での銀行の健全経営に対する対策、一つの手段が講じられた、私ども一はそう思っております。
  71. 井上一成

    ○井上(一)委員 いま、るる説明があったんですけれども、余り時間がありませんけれども、このことは非常に問題をはらんでいると思うのですね。原価法と低価法を選択すべきだ。いろいろみ意味がここにあると思うのです。発行者側、政府にとっては、今後の引き受けについて一定の歯どめをかけるためにも低価法を最悪の場合は選択しなさい、そして、それは経営側の主体的な判断で任すんだ、それはそういうことだ。要は百円のものが八十円になりあるいは今後どうなっていくかわかりませんけれども、その評価損を株式のいわゆる含み益で補てんをしていくというのにも一定の限度があるわけです。むしろ私は、いずれ原価で百円のものは百円でということになるのですから、一定の間は確かに含み益でなく含み損である。しかし、そのことによって、原価法で試算をしていくと利益が計上されてきます。たとえば一千億の利益を出した、ところが国債を引き受けたがために二百億の損失があった、そうすると一千億の利益を二百億引いて八百億の利益、そしてそれに対する法人税の支払い、いわば税収の落ち込みというか、税収にも波及するような形になってくる。むしろ私は、大蔵当局は選択性などということじゃなく、どちらをとるのだ、低価法なら低価法のような形で指導していくべきだ。しかし、その場合には、今後本当に国債を引き受けてくれる、そういうことが十分保証されていかない、どうなるかわからないのだから。こちらの利益を吐き出してまで国債を引き受けていく、それは銀行の経営に関連をしてくる。そういうことを考えたら、政府自身の姿勢というものが、いわゆる財政金融政策というものが貧弱だからこういう結果を招いた、私はこう思うのです。そういう点について、大臣いかがなんです。どちらかとりなさい、あなた方のいい方をとりなさい、これは一見民主的で非常にいいようだけれども、発行者側としては少し無責任ではなかろうか。こうしなければ今後引き受けてくれないという背景がわかっているから、そういうことをやられたのじゃないか。そういう点について大臣から、こういう選択性がいいのかどうか。あるいはもっときっちりとした政府の姿勢というものを打ち出すべきであるというのが私の見解なんです。決して原価法、低価法どちらにこだわるということじゃないけれども、原則としては原価法でいき、そしてそれが十分保証されていくほどの、有価証券的性格を持つ国債であるのだから、もう少し権威のある、そしてしっかりとした国債であってほしい。ということは、やはり余りにも国債を乱発し過ぎるからそういう結果になる、こういうことなんです。大臣の考えを聞かせていただきます。
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的には、井上委員御指摘のように、シ団引き受けというものを逐次減らしていくという方針で対応しておるわけでございますけれども、基本的には、やはり国債発行額が多いからさまざまな問題が出ておるわけであります。したがって、これが決算におきまして、いま銀行局長から御説明申し上げましたが、いろいろ工夫した上で低価法と原価法の選択にゆだねたということでございますので、いましばらくその推移を見させていただきたいと思います。
  73. 井上一成

    ○井上(一)委員 時間が余りありませんので、このことについてもいずれ他の機会に譲ります。  さらに私はここで、輸銀の海外経済プロジェクトに対する貸出総額、そしてとりわけイラン関連に対しての貸出総額、これを聞かせてください。−答弁者が参っておりませんので、それではその間自治省に基地の交付金について若干の質問をしておきたいと思います。  地域の名前を申し上げて非常に悪いのですが、大阪府下の和泉市に基地があるわけですが、国有地あるいはそれに準ずる公社等が所有する固定資産についての交付金、この現状の実態というものに少し私は不満があるわけなんです。それで、時間がありませんから私の方から申し上げますと、せんだって自治省は、基地交付金自体、国のふところぐあいの中で毎年の総枠が決まるものなので、都市計画への負担が出ているからといって、国が直ちにめんどうを見る義務があるとは思えない。あるいは周辺の土地との評価の落差はわかるが、交付金の額決定はあくまでも国のふところぐあいの範囲内だ。超過負担を理由にした増額要求が通ると、全国的に同じような要求が出てくる。いわゆる国の予算の枠内でこれは決まっていくのだ。私はちょっとおかしいと思うのですね。固定資産税の見返りとして交付金というものが納付されるし、そういうものが支払われていく。これは大蔵にひとつ見解を聞きたいのです。金がないからこの固定資産に対しては予算の範囲内だけしか払えないのだ、こういう論理ば私は通らないと思うし、そういうことは、固定資産に対する見返りの交納付金だとは言い切れないと思うのです。大蔵省の見解を聞かせてください。
  74. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 ただいま御指摘のいわゆる基地交付金の性格でございますが、確かに沿革的と申しますか、この制度が創設されました経緯から申しますと、いわば固定資産税の代替的性格も持っているという側面があることは御指摘のとおりかと存じますが、私どもといたしましては、これはやはり固定資産税そのものではもちろんないわけでございまして、特別の法律制度によって設けられました特別の交付金というふうに考えているわけでございます。  それからもう一点、それにしても国の財政事情によって左右されるというのはおかしいではないかという御指摘でございますが、これも申し上げるまでもなく、基地交付金もいわば国の一つの財政需要、一つの歳出項目であるわけでございますから、そのときどきの一般会計、ひいては国全体の財源の事情によって、その他のもろもろの経費とのバランスを考えながら適正な金額を計上するというふうに努めるべきものであろう、こういうふうに一般的に考えております。
  75. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は大臣と少し質疑をしたいと思う。固定資産税に見返るものとして、国有地あるいは国有資産、それに準ずるものは、固定資産税という形ではなく、納付金、交付金ですね。そういうものなんですから、それの価額、価値というものに対して納付していくわけなんですね。大臣どうですか。大臣、そういう性格なんですよ。おわかりですか。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 よく実態を理解いたしておりません。正直に申し上げます。
  77. 井上一成

    ○井上(一)委員 非常に情けない話ですよ。国の持っている土地あるいは資産、それに対してどういうふうに国は義務が生じているのかということを大臣が承知していないなどということでは、ちょっとこれはお粗末過ぎると思うのですが、率直で答弁はいいと思うのですよ、お知りでないのだから。私はそういう場合に、国の資産に対する税金というのでしょうか、固定資産というものは、その資産価額、評価に見合って納付金、交付金というものがその当該の自治体に支払われる、こういうことなんです。これがぼくは非常に正しいと思う。そしてその固定資産の評価というものについては、時価もあれば、買収したときの取得価格もあるだろうし、あるいはそれの中間もあるだろうし、いろいろな基準があろうと思います。しかし、本来は資産に対する評価というのはそうあるべきだと思うのです。それで交納付金が、いわゆる固定資産税の見返りでそういうものがつくられて、そういうものが支払われているのだということも明確なんですね、さっきの答弁のように。今度は逆に国家財政が少なくなったから、あるいは窮屈だから、いわゆる予算の範囲内としてそれを削っていこう、あるいはそれを縮めていこうというのは論外なんですよ。大きな間違いなんですよ。私はそれだけを大臣から聞きたかったわけです。それは間違いだと思う。金があるから、金がないからそういうものを左右していくのじゃないのですよ。ふところぐあいで、たとえば個人の国民が、これだけの財産を持っているけれども、ことしは収入がないからこの固定資産税は半分にしてくれ、こういうわけにはいかぬのですよ。固定資産に対する評価、その資産の価値に対して当然払っていかなければいけないわけです。わかりますね。そのことを私はここで確認をしたかったわけなんです。大臣、まあ十分お知りでないのでこれ以上答弁を求めませんけれども、私はそういう意味で、現在の自治省の見解というものに少し疑問を持っている。予算の範囲内ということでは、これはおかしいじゃないか。大蔵はどんな見解なのか。  さらに簿価、いわゆる取得した価格でそれを起算しておるので非常に額が低いので、ひとつそういうことについては是正を、価額の適正化を図る意思を持ってもらいたい。このことは何も国有地のみ——あるいは公社等にも適用するわけですから、そういう公社等にもあわせて指導してもらうべきである、私はこういう見解を持っているのです。いかがですか。
  78. 竹下登

    竹下国務大臣 私の知識が乏しかったわけでございますが、私が建設大臣をしておりますときに、高速道路も国鉄と同じように納付金を出すべきだというような議論をいたしたことがございます。その程度の知識しか率直に言ってなかったわけでございますが、いま具体例を聞かしていただきましたが、私自身、正確を期するためにもよく勉強させていただきます。
  79. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、大蔵に対してこのいま申し上げた点、事業所税についての見解をここで聞いておきたいと思うのです。  本来、事業所税は、大都市圏での事業活動を営むいわゆる事業所等の集積の利益に対して課税されるものとして、昭和五十年十月一日より施行されたわけですね。このことから考えると、現状の適用というのは、人口密度三十万都市以上という一つの枠がはめられておるわけなんです。むしろ私は密度の問題ではないと思う。だから、そういう意味では、都市圏を形成している中での、圏域全体に集積の利益があるんだ、こういうふうに認められたら、その圏域の中にある地方自治体はすべて包括されて当然ではなかろうか、こういうふうに思うのですが、この点についてひとつ聞かしていただきたいと思います。
  80. 矢野浩一郎

    ○矢野説明員 事業所税、地方税でございますので、私の方の所管でございます。お答えを申し上げます。  事業所税の性格、ただいま御指摘のような趣旨で設けられたわけでございます。したがいまして、都市整備のための財源といういわば目的税ということになっておるわけでございますが、その範囲につきましては、これを当初設けましたときには、大都市とそれから大都市の周辺でいわゆる既成市街地、既成都市区域、こういったものを持っておるところの団体、それから人口五十万以上、こういうことにしておったわけでございますが、その次の年の改正におきまして、これを人口三十万まで下げたわけでございます。御指摘の趣旨は、人口三十万ということでございますが、大都市の周辺のいま既成市街地を含むような市につきましては、これは三十万未満の市であっても含まれるわけでございます。ただ、既成市街地、これは法律上の概念が首都圏整備法あるいは近畿圏整備法でございますので、それに該当しないところは御指摘のように含まれない。しかし実態としてはそういった既成市街地、法律上の既成市街地を持っていないところでもまさに大都市圏域の中に入るではないか、そういう点をどう考えるか、こういう御趣旨であろうと思います。  事業所税の課税団体の範囲をどのようにするか、さらに今後広げていくかどうかということにつきましては、その都市の性格等についていろいろ問題がございます。また、税制調査会におきましても、かつてこれを人口三十万まで下げましたときに、今後事業所税の課税団体の範囲の拡大についてはひとつ慎重に対処すべきだというような御答申もございました。私どもといたしましては、都市整備に必要な財政需要、実態というようなものを考えながらこういった問題、今後の検討課題になろうかと考えております。当面のところ直ちにこれを広げるという考えは持っておりませんが、私どもとしては、今後の一つの検討課題になるというぐあいに考えておる次第でございますので、御了承を賜りたいと存じます。
  81. 井上一成

    ○井上(一)委員 このことについては、さらに次回の委員会で質疑を続けたいと思います。  私は、もう余り時間がないのですけれども、イラン問題についてここで少し論議をしたかったわけです。ホメイニ師が入院をしたという、そういうあわただしいきょうの状態、そんな中でわが国がイランに対する合弁企業、いわゆるイランプロジェクトに対する資金がどのようにいままで流され、あるいはその結果どういう状態を生んだか、そういうことについて輸銀から聞きたかったわけでありますが、とりあえず輸銀のイランでのプロジェクトに貸し出した資金の総額を言ってください。−まだ見えてないのですか。それじゃ、大蔵に、いわゆる代金決済、送金承認、そのことについては後日、イラン関係について資料として私の方に一きょうここで答えていただく時間がありません。あと数分しかないわけで、そのことについて資料として提出をしていただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
  82. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 ただいま担当部局の者が参っておりませんので的確にお答えいたしかねますが、後刻先生と御連絡申し上げまして、提出できます資料がございますれば提出させていただくようにいたしたいと存じます。
  83. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は大蔵関係で、KDD問題で掌握している新しい事実関係があれば——あると思うのですけれども、すでにきょう犠牲者がKDDの中で出ておりますね。そういう状態の中でひとつ、警察庁は見えていませんので——大蔵の入管の担当は来ておりますか。関税……。
  84. 高田富之

    高田委員長 まだ見えていません。
  85. 井上一成

    ○井上(一)委員 それじゃ委員長、大臣に対する質問はこれで終えます。もう時間もありませんし、一応これで、留保した質問は別として、私の質問を終えます。
  86. 高田富之

    高田委員長 この際、十二時五十分まで三十分間休憩いたします。     午後零時二十一分休憩      ————◇—————     午後零時五十二分開議
  87. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上一成君。
  88. 井上一成

    ○井上(一)委員 先ほどのKDD事件に関して、関税当局がきょう何か新しい報告を受けたかどうか、まず大蔵当局に聞きたいと思います。
  89. 青木英世

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  KDDに関しましては、御承知のとおり昨年の十一月十四日、KDDの社員三名、それからこれに関連しまして、両罰規定でKDDの会社を東京地検に告発したわけでございますが、それ以後も引き続き調査中ということで、特に国会で御報告申し上げるべき新しい事実はございません。
  90. 井上一成

    ○井上(一)委員 さっき触れましたけれども、利の方の承知しているのには、きょうKDDの職員が自殺をしたという事実があったのかどうか。これは何でしたら警察庁の方から。
  91. 佐野国臣

    ○佐野説明員 御説明申し上げます。  けさほど、警視庁からの報告によりますと、KDD本社の経営調査室経営分析担当の課長であります山口清邦さん、年齢三十九歳でございますが、この方が本日の午前五時ごろ、自宅のふろ場で総死と申しますか、首をくくって自殺をしたということでございます。  なお、詳細申し上げますと、当日、奥さんが朝六時ごろ、近くに夫がいないということに気がついたということで捜したところ、ふろ場でいま言ったような状態であったということの報告が参っております。
  92. 井上一成

    ○井上(一)委員 何らかの遺書に近いもの、あるいはそういうものは書き置かれたとか言い残されたとか、そういうことはあったのでしょうか。
  93. 佐野国臣

    ○佐野説明員 現在まだ報告は入ってございませんが、その種のものはなかったかと推測されます。
  94. 井上一成

    ○井上(一)委員 昨日までの間で、この当事者を任意であるいは参考人として取り調べた事実があるのかどうか。あるとすればいつごろ、何回、そういうことについて聞かしてください。
  95. 佐野国臣

    ○佐野説明員 ごく最近におきまして二回ほど、本人につきましては参考人という立場で事情を聴取いたしております。
  96. 井上一成

    ○井上(一)委員 その事情の中身は密輸にかかわるものなのかどうか、あるいはその他の事実関係の事情聴取なのか。
  97. 佐野国臣

    ○佐野説明員 取り調べの内容はまだ詳細には入ってきてございませんが、御参考までに申し上げてみますと、山口氏は、昭和五十二年の八月ごろから五十四年の七月かと思いますが、秘書課の職員として勤務されておったという状況がございますので、調べの内容もおのずから秘書室の例の関税法違反に絡んだ問題がテーマとして上がっておったものと思われます。
  98. 井上一成

    ○井上(一)委員 事情聴取に対しては、その本人の供述の態度、あるいは何か苦にしているというような、そういう片りんは見受けられたのかどうか。
  99. 佐野国臣

    ○佐野説明員 格別変わった状況というものは報告には上がっておりませんが、取り調べの過程を申し上げますと、二回ほど参考人として事情聴取しておりますが、途中で一日かぜを引いたか体のぐあいが悪かったというような報告は入っております。ただそれ以外、こちらの事情聴取につきましては素直に応じていただいておったという状況でございます。
  100. 井上一成

    ○井上(一)委員 その関税法違反以外に何らかの事情を聴取された、たとえばKDDの社長室に勤務しておったのですから、本人以外の事柄等についても聞き及んだのかどうか。
  101. 佐野国臣

    ○佐野説明員 お答え申し上げます。  現在警視庁の方で鋭意捜査を進めておりますのは、とりあえず先般告発されました関税法違反の問題これの固めということが早急の課題かと思いますので、あくまで主体は先般の告発に絡む関税法違反に焦点を当てておったというふうに聞いてございます。
  102. 井上一成

    ○井上(一)委員 今回のKDD事件の中で、亡くなられたこの人の位置づけというのでしょうか、単なる参考人なのかあるいは重要な参考人なのか、いま少し、関税法違反の疑いということで取り調べたということであれば、被疑者的な立場での事情聴取なのか、どの辺に位置したのか、その点について……。
  103. 佐野国臣

    ○佐野説明員 あくまで本来のねらいは先般の関税法違反、これに焦点を当ててございましたので、その他の問題については、取り調べなり事情聴取が今後数回でもあるいは続く場合ですと当然その問題が出たと思いますが、まだせいぜい二回ほど、資料分析に立ち会っていただくとか、あるいは事情聴取に一度応じていただいた、そういうふうな状況でございますものですから、その他横の広がりとでも申しますか、先生が御指摘のような点にまでは立ち至っていなかったというふうに聞いております。
  104. 井上一成

    ○井上(一)委員 それじゃ関税法違反にかかわる事情聴取ということですね。
  105. 佐野国臣

    ○佐野説明員 御指摘のとおりでございます。
  106. 井上一成

    ○井上(一)委員 この人の死によってKDD事件にかかわる捜査が今後どのように影響をするのか、その点についても聞いておきたいと思います。
  107. 佐野国臣

    ○佐野説明員 実はまだ、捜査の調べた内容その他について詳細報告が上がってきてございませんが、秘書課員として勤務されておった経験がおありでございますから、その中の一人、いわば参考人なり今後の捜査の上で多少なりとも手がかりを持っておられた方が一人亡くなったという点での支障なり障害というものは考えられようかと思います。
  108. 井上一成

    ○井上(一)委員 輸銀関係については、答弁者が参っておりませんので、その点は次回の委員会ということで、きょうの私の質問はこれで終えます。
  109. 高田富之

    高田委員長 新村勝雄君。
  110. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 まず、大臣にお伺いをしたいのですが、最近のわが国の財政事情について、現在の時点でどういう認識をお持ちでございますか。
  111. 竹下登

    竹下国務大臣 現在のわが国の財政は、井上先生にもお答えいたしておりましたとおり、巨額の公債発行に依存する異常な状況にございます。したがって、今後の経済の安定成長を期するためにも、財政の公債依存体質を改善をいたしまして財政の対応力の回復を図ることがまず急務であるというふうに考えております。したがって、五十五年度予算編成に当たりましては、入るをはかって出るを制するという、まず入るをはかる前に出るを制しようという考え方に立ちまして、歳出面において徹底した経費の節減、合理化をやってきたわけであります。そして一方、歳入面におきましては、負担公平の確保の見地から租税特別措置の思い切った縮減、合理化を行うことによって対処をいたしまして、増収措置はまさに必要最小限にとどめることといたしたわけであります。  しかしながら、昭和五十五年度にこのような方向で予算が編成できました理由は、先ほど来申し上げましたが、五十三年度後半から、わが国経済が順調に回復をいたしまして、かなりの規模の税収増加が見込まれたからでございます。このような税収の伸びを今後も引き続いて期待するということは、これはかなり困難な点であることに考慮しますならば、それこそ五十六年度以降において財源事情というものはますます苦しくなってくるものではないかというふうに思うわけでございます。したがいまして、先ほど来申しましたように、サマーレビューというものがいろいろ問題点を相互に指摘をいたしまして歳出の抑制に役立ったという観点からいたしまして、それをさらにスプリングレビュー、いつからやるかは具体的にまだ検討中でございますけれども、そういう中で取り組んでいかなければならぬ、そしてまさに各界、各方面の意見に耳を傾けながら五十六年度以降に対応していかなければならぬのではないかというふうに考えております。
  112. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 大蔵省が五十四年度初めにおつくりになっております財政収支試算、これは単なる試算ではございましょう、科学的な根拠はないとは思いますけれども、これに比較をいたしますと、現在の財政事情は、五十年以降の景気後退の困難な時期から一応質的にも変化があった、新しい状況になったというふうに言われるのじゃないかと思うのですが、その一つは、相当額の年度内の自然増収があった、それから、政府の御努力もあったでありましょうけれども、とにかく公債も一兆減らすことができたということで、五十年から五十四年当初あたりまでの状況とは財政状況が違ってきたというふうに私どもは見ておるわけでありますが、これは将来はわかりませんけれども、このペースでいけば恐らく特例公債脱却も一年ないし二年早めることができるのではないかと考えるわけでありますが、そういった点を総合的に考えまして、大臣は財政的に新しい段階に入ったというふうに認識なさいますか。
  113. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに御指摘のとおりでありまして、五十三年度後半から景気が回復基調にありまして、それだけに五十五年度予算で公債の一兆円減額、そういうことも民間の努力による自然増収というものが見込み得るからこそできたわけでございます。しかしながら、いま一兆円を当初予算で減したと申しましても、累積する公債というものをながめてみますと、私は、いま委員御指摘のとおり五十九年で特例公債から脱却をしたいというのをさらに一、二年繰り上げるということに対しては、自信を持って言える状態にはまだございません。これから経済運営の適切な対応の仕方の中で財政の対応力を回復していこうということで取り組んでまいりますが、いま委員まさに試算と言っていただきましたが、今度はやはり五十五年度予算を提出いたしますにもその試算というものを提出しなければならぬと思っておりますが、現在作業中のその試算にいたしましても、やはり五十九年で脱却するという考え方に基づいてまた新しい試算をつくっておる、こういう状態でございます。
  114. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 いま大臣、状況が好転したということをお認めになったわけであります。そして、先ほどの井上委員に対する御答弁でも、増税、特に一般消費税を極力考えないで財政運営をやりたいというようなお話があったわけであります。ぜひこれは、一般消費税を初めいわゆる増税については極力抑えていただきたいと思うわけであります。選挙におきましても増税は国民によって拒否をされたわけでありますから、一般消費税はもちろんのこと、新しい税目を起こす、いわゆる増税については極力控えていただきたいと思うわけでありますが、その点についてもう一回、ひとつ大臣のお考えを伺いたいと思います。
  115. 竹下登

    竹下国務大臣 委員御指摘のとおり、五十五年は、たまたまという表現で申し上げた方が結構ですやら、とにもかくにも自然増収が見込み得たわけでございます。したがって、五十六年度以降のことを考えますと、かなり厳しい状態も予測をしなければならぬというときに、国民の皆さん方に新たなる負担は全く求めませんと言うことは、私ども厳しさからして明確にお答えするほどの自信はございません。ただ、委員御指摘のとおり、いわゆる国民が不公平感とか重圧感を感ずる増税というようなものは、まず出るを制した後国民に理解を求めるべきものであって、極力これを抑えていくという考え方は私も理解できるところでございます。ただ、一切新たなる負担を求めることはいたしませんと、それほどの自信は今日私どもにはございません。
  116. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 先ほど申し上げたように、財政的なもろもろの指標からしても、先のことはわかりませんけれども、少なくとも現在の時点では財政的に新しい段階を迎えたということが言えると思うわけであります。同時にまた政府もそれなりに、そういう御決意を持って予算編成をされたということは、これは評価できる点だと思いますけれども、そういう点で客観情勢に変化があったと同時に、当局あるいは国民の側からも財政に対する新しい心構えというか決意というか、こういうものができた、こういう両面からの新しい状況にあるというふうに考えるわけでありまして、こういう中では、何か特別の悪い状況が起こらない限り増税の必要はないというふうに私どもも考えておるわけであります。大臣もほぼそれに近いことをおっしゃっておりますけれども、ぜひそう願いたいわけであります。  なお、これは大臣と同じお立場であろうと思いますが、自民党の領袖である河本氏がこういうことをおっしゃっているわけですよ。財政再建は景気の回復による税の自然増収と行政整理の推進によって果たすべきで、増税は五十六年度も不要だ、こうおっしゃっておるわけでありまして、これが一つの現在の時点における財政の定説というかになりつつあるのではないかと考えるわけでありまして、ぜひひとつ、増税については一切お考えにならずに、政府がいま努力をされておりますけれども、行政整理等によって乗り切っていただきたいと思うわけでございます。  次に、国債の問題で若干お伺いをしたいのですが、国債の管理政策については先ほど出ましたので、国債の根拠、そうしていわゆる特例債と建設国債とに分けてお考えになっておりますけれども、この特例債と建設債とを分けたという趣旨、それから、どういう基準でこれを分けておるのか、まずそれを伺いたいと思います。
  117. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 ただいま御指摘の建設公債と特例債との問題でございますが、先生御承知かと存じますが、財政法第四条で一般的な公債発行の根拠が書いてございますが、この財政法第四条ただし書きにおきましては、公共事業費、出資金及び貸付金の財源については公債の発行ができるというふうに書いてございます。これがいわゆる建設公債。公共事業費、出資金、貸付金、いずれもいわば投資的な経費でございますので、そういう性格に着目をいたしまして私ども建設公債と俗称いたしているわけでございますが、財政法四条は、ただいま申しましたように、公債を発行する場合にあってもそれはいわゆる建設公債に限るという規定をこれはいたしているわけでございます。趣旨は当然のことながら、これがいわゆる財政の健全性という観点から、投資的な経費につきましては公債財源といたしましても健全性を損なうものでは必ずしもないという思想に立脚したものと考えているわけでございます。  ところでこれも御案内のように、五十年度以来いわゆる特例公債を発行せざるを得ない財政状況になっているわけでございます。そこで私どもは毎年、財政法でお認めいただいております建設公債だけでは財源を賄い得ない状況にございますので、毎年度年度年度に特別の公債の発行の特例に関する法律案を御提出申し上げまして国会の御審議もいただき、いわゆる建設公債以外の特例公債の発行を自来年々続けてまいっているわけでございます。  そこで、繰り返しになりますが、いわゆる四条公債、建設公債は、これは公共事業費、出資金及び貸付金の財源に充てているわけでございます。いわゆる特例公債は、ただいま申しました建設公債の対象にならざる私どもいわゆる経常部門の経費と申しておりますが、経常部門の経費財源に充てているということでございます。
  118. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 公共事業費及び貸付金は公債に見合う資産が残るからいいんだという理屈だと思いますが、そうしますと、建設公債の償還は、これは六十年というふうに聞いておりますが、六十年。そうして特例債は現金で返す。建設公債については六十年に満つるまでは借りかえができる、こういう運用のようであります。ところが公共事業、あるいは貸付金であっても六十年間その資産が見返りとして、その裏づけとして残っているかというと、これは必ずしもそうは言えない。この点がはなはだ疑問な点があるわけであります。この六十年という年限を決めたその根拠はどこにございますか。
  119. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 ただいま御指摘のように、建設公債の対象になっております公共事業費の中身を個々に洗い出してまいりますれば、もちろん六十年の耐用年数に達しないものもあることは当然でございます。ただ、私ども建設公債につきましては、四十一年以来建設公債を発行してまいったわけでございますが、その当時から、この借りか身を含めまして六十年間で償還をするという基本的なルールをつくったわけでございますが、その六十年というふうに考えました根拠は、当時建設い債の対象になります事業によってつくり出されます資産の平均的な効用の発揮期間と申しますか、まあ耐用年数と申した方がわかりやすいかと存じますが、平均的な効用発揮期間というものを私どもなりに調べたわけでございます。その場合に、公共事業の対象にはもちろんいわば永久資産でございます土地も入っているわけでございますが、土地につきましては一応百年という耐用年数を仮置きいたしまして、土地以外の償却資産につきましてはそれぞれ税法上の耐用年数に従いまして計算をしてみたわけでございます。その結果、総平均がおおむね六十年ということに算定をされたわけでございます。そこで、この六十年が建設公債の対象となります資産の平均的なる効用発揮期間であるということで六十年償還ルールというものを定めまして今日に至っているわけでございます。
  120. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 それだけの御説明ではなかなかよくわからないのですが、その計算の根拠、もっと詳しい資料をひとつ後でいただきたいと思うのですが、よろしいですか。  それから、この建設国債の対象となっておるものがここに列記をされておりますけれども、この中で明らかに不当であると思われるような——不当というのは、六十年の耐用年数ということを考えた場合に不当であるという意味ですが、そういうものがかなりあるわけですね。住宅対策費あるいは災害復旧。災害復旧というのは、これは復旧ですから、国としても資産の増加にはならないですね。それから、出資金についてはともかくとして、貸付金というのは、これは確かに貸付金という名目で資産として残るということにはなっておりますけれども、実際の運営の実態を見れば、これは補助金的なものが多いわけですね。たとえば災害援護貸付金であるとか母子福祉貸付金あるいは小企業経営改善貸付金、これは確かに貸付金ということで経理をされておりますけれども、その運用の途中における消耗も実は相当あるのではないかということを考えた場合には、むしろ補助金的な性格があると思うのですが、こういったものまで建設公債の対象とすることが果たしていいのかどうか、こういう疑問があるわけであります。  それから、平均して六十年の耐用年数と言われますが、その詳しい資料について後で拝見をいたしますが、ここに列記をされておる建設事業は価値が相当に減価するものがあるわけでありまして、六十年というと減価の期間としてはかなり甘いものではないか。こういう建設事業については、国も地方団体も同じでありますけれども、民間の経営体とは違って、毎年毎年の予算をいわば使いっ放し、どんどん使って、確かに社会資本は蓄積しますけれども、その建設された資産を計画的に維持し、そしてそれが消耗されたときにどう補充していくのか、あるいはまた再建する場合にどう財政的な配慮をしていくのかという、科学的な、組織的な規定なりあるいは体制なりというものがないような気がするわけです。しかも、財政関係、特に国債整理基金特別会計法、これらが現在の国債、特に建設債を発行する一つの目安にもなっているようでありますけれども、現在の国の経営というのは巨額の公共投資が行われ、しかもそれに数倍、数十倍する巨額の社会資本が蓄積をされていくわけであります。しかもこの社会資本は、将来において、減価を見ながら補充していかなければならない。また、消耗されればそれにかわる代替の新しい投資をしていかなければならないというわけでありますから、一種の経営であるし、民間の企業が常に自分の資産を正確に把握して、これに対する補充あるいは代替の措置を財政的に措置をしていく、そういうことと同じような配慮が公共事業の施行、それからその後の社会資本の維持管理、充実ということにおいてなければならないと思うし、そういう体制の整備が必要であると思うのですけれども、そういう点についてのどういう御配慮があるのか伺います。
  121. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 いわゆる公共事業によりましてつくり出されてまいります公共的な施設、いわゆる社会資本でございますが、これの維持管理の問題につきましては、公共事業によってつくり出されます公共施設の管理主体が施設の種類によって種々異なっております。御存じのように、道路で申しましても、いわゆる直轄の国道は国が直接に維持管理をしているわけでございますが、そのほかのものにつきましては、いわゆる補助国道あるいは地方道として地方公共団体が維持管理に当たる仕組みになっているわけでございます。いずれにいたしましても、その管理主体が国であれ、地方公共団体であれ、社会資本でございます以上、その維持管理を適正に行いまして、期待される機能を十分に発揮いたしますように心がけるべきことは当然でございます。そこで国といたしましても、予算上必要な措置はいろいろに講じてございます。これも一例を申し上げてみますと、たとえば直轄国道のいわゆる維持修繕費について見ましても、これは五十四年度の数字で大変恐縮でございますが、五十四年度予算におきましても前年度に比べまして十数%増というような維持修繕費の確保を図っているわけでございます。五十五年度予算は明日国会に御提出申し上げる予定でございますが、五十五年度予算におきましても同じように、必要な維持修繕費あるいは管理費につきましては予算上必要な措置を年々講じてまいっているわけでございます。
  122. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 要するに私の言いたいのは、建設国債の対象として考えられている事業の中に、それに適さない事業あるいは適さない部分があると推定をされる、認められるわけであります。そうなりますと、建設公債という名のもとに安易に国債が増発をされてくる、こういう傾向が過去においてなきにしもあらずと思うのであります。そういう点で、財政の絶対的な要請に基づいて公債をある程度発行するということはやむを得ないとしても、建設国債といわゆる赤字国債との区別をもっと洗い直して、厳密な意味での運営をしていかなければ、建設国債という名のもとに発行されても、実はその国債が実質的には相当部分が赤字国債であったという結果になるわけでありますので、そういう点をもう少し厳密に検討願い、また運営に適切さを加えていただきたい、こういう趣旨でありますので、十分御検討をいただきたいと思います。
  123. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 建設公債の対象になりますのは、先ほど来申し上げておりますように、公共事業費と出資金及び貸付金でございます。出資金それから貸付金につきましては、これはいわば予算上も一義的に明らかでございますが、公共事業費となりますと、先生御指摘のように、その範囲は必ずしも一義的に明確ではございません。私ども、いわゆる主要経費別で整理をいたしております公共事業関係費に属するものすべてが財政法第四条に言う公共事業費かというと、これは必ずしもそうでないわけでございます。そこで財政法におきましても公共事業費の範囲につきましては国会の議決をいただくように定められてございます。そこで公債発行以来、毎年度この建設公債の対象となるべき公共事業費の範囲につきましては、一般会計の予算総則におきまして年々国会の御議決をいただいているわけでございます。四十一年に公債を発行いたしまして以来、大筋においては公共事業費の範囲はほとんど変わってございません。  そこで、先ほど先生御指摘ございました公共事業費と言っても、たとえば住宅金融公庫関係の利子補給金がございますが、これは主要経費別の公共事業関係費には属しておりますけれども、財政法第四条にいう公共事業費には入らないという解釈を私どもいたしてございまして、年々御議決をいただいております予算総則での公共事業費の中からは外しているわけでございます。  それからまた、災害復旧費につきまして御言及がございましたが、これは私どもは、災害によりまして亡失、滅失いたしました資産をやはり新たに公費を投じまして建設をいたすものでございますから、まさしく投資的な経費という意味で、いわゆる建設公債の対象にすることに問題はないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、建設公債と特例公債との限界は明確でなければならないことはそのとおりでございます。私ども、公債発行以来年々きちっとした整理をいたしているつもりでございますが、今後ともそういう厳格な態度で公共事業費の範囲は画していきたい、こういうふうに考えております。
  124. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次の問題に移りまして、これはもう言い古された問題、古くして新しい問題でありますが、中央と地方の財源の抜本的な見直しという点についてはかなり長い間の論議が交わされておるわけであります。そして、その中で特に国と地方との関係の中核をなす交付税の問題でありますが、五十年以来の財政の窮迫、経済の落ち込みによって、国ももちろん財政的に困っておりますけれども、地方財政が非常に窮地に陥っておるわけであります。こういう中で地方交付税の交付税率の引き上げということが五十年以来論議をされております。当時から一貫して自治省あるいはその財布の元締めである大蔵省の御説明では、経済が安定をしてからこの問題については考える、過渡期の措置として交付税特会の借り入れあるいは国の負担のルール化ということでやらざるを得ない、こういう説明であったわけでありますけれども、もうそういう状況が起こってから五年以上経過をするわけであります。こういう中で交付税の税率の問題をどうお考えであるのか、また、現在の過渡的な、過渡的というのは地方に財政窮迫のしわ寄せをしておるという、こういう制度を今後どうお考えであるのか、この点を、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 委員御指摘のように地方財政が厳しい状況にあるということは、私どもも十分に承知をいたしております。しかし、国も巨額な特例公債を発行しておるという異常な財政状況のもとにありますので、現行の国の財源を地方に移譲する余裕は今日ないと言わざるを得ません。自治大臣との間におきましても、五十五年度予算の本格的大臣折衝が行われます前に幾度か二人で事前折衝をやったわけであります。そのとき自治大臣からは、いま委員御主張のような形でやはり交付税率の問題を提起されたことも事実でございます。しかし、結局のところ私どもが合意に達しましたことは、地方財源不足額について、いま御指摘がありましたとおり、臨時地方特例交付金の交付と交付税特会の借り入れ及び建設地方債の増発ということによってこれを完全に補てんをしたということで両者が合意に達し、政府一体の責任で予算を編成し、きょう午後六時にその提出閣議を終える、こういう経過になっておるわけであります。したがって、さらに御指摘がございましたとおり、将来の問題としては、もとよりお互い勉強を続けていかなければならない課題であるということは十分承知をいたしておるところでございます。
  126. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 現在の時点における合意ということは理解できますけれども、すでに五年以上にわたるびほう的な措置が続けられてきたわけでありまして、もうそろそろ抜本的な解決策がなければいけない時期ではないかと思うのであります。  それから、いま特に行政改革というようなことが言われておりますけれども、国、地方を通ずる行政機構の中で、この財源配分ということが行政改革の実は根本をなすのではないか。国が税金を徴収をして、それを使うときには実際には七割を地方で使うということに示されているその行政手続なり実施の過程におけるむだ、これは大変なものだと思うのですね。そういう点からしても、まず財政の構造を改めなければ国、地方を通ずる行政改革、実効ある行政改革はできないのではないかと思うのですが、その点については大臣いかがでしょうか。
  127. 竹下登

    竹下国務大臣 行政改革の点につきまして、地方に対しましても行政改革の実を上げていただくように期待をいたしておるところでございます。そして、その間に当然出てきますのは、まさに委員御指摘のとおり、その地方と国とのいわゆる事務配分の問題になろうかと思うのであります。ただ、その事務配分も財源をつけないままで事務配分をするというようなこともできない。そこで、国と地方とのいろいろな行政事務の分担につきましては、お互いがたゆまざる勉強をしながら、できるだけのものを地方へ移譲していくという物の考え方の上に立っておるわけでございますけれども、御指摘のとおり、それにはそれなりの財源が伴うというようなところがネックになっておる点も確かにございます。引き続き御指摘の趣旨に沿って両者で検討を続けていきたいというふうに思っております。
  128. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 事務配分ではなくて実は財源の配分、財政構造を一新しなければこの問題は解決しないと思うのですが、大臣のいまのお話とは逆の、その前に税財源の再配分ということがもとになって、その上に中央地方の行政機構が組み立てられていくわけでありますから、実効の上がる行政改革をするためにはまず税財源の配分を変えていかなければいけないと思うのでありますが、その点について特に今後の御検討と実施の中で御配慮をいただきたいわけであります。  そして、五十五年度の財政計画によりますと、地方自治体の財源不足額は二兆五百五十億ということになっております。これは昨年の四兆一千億に比較をすれば確かにその不足額は減ってはおりますけれども、まだまだ巨額であります。しかもこの二兆五百五十億は、法の精神、現在の日本の中央、地方を通ずる財政の構造、あり方からすれば、これは当然交付税で措置をされなければいけない額であります。国税三税の三二%がこの額に達しなければ税率をそこまで上げる以外にないわけであります。ところがそうしないで、ここ数年、四、五年ぐらいの間、借入金でやっておる、そしてその借入金のうち四分の一しか国は責任を持たない、こういう形でやってきておるわけでありますけれども、まず自治省に、この二兆五百五十億円の算定の基礎を伺いたいと思います。
  129. 花岡圭三

    ○花岡説明員 五十五年度財源不足額が二兆五百五十億円となったわけでありますが、この財源不足額は、現行の制度を前提としていろいろ収支の計算をしてみた場合に約二兆七千億程度の不足が生ずることになったわけであります。その後五十五年度の税制改正による増収見込み額、たとえば地方税におきましては千百六十八億円、それから国税の見積もりの増に伴います交付税の増加額が千百二十六億円、こういったものもございますし、また五十四年度の補正の見込みにかかわります国税三税の自然増収に対応する交付税の増加額、これを五十五年度に送るというふうなことを算定した場合に、結局、先ほど先生のおっしゃられましたような二兆五百五十億円になったということでございます。
  130. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 この二兆五百五十億円の算出、算定の基礎資料を後でいただきたいと思いますが、よろしいですか。二兆五百五十億がこういうふうにして出てきたのだという、その基礎資料をいただけますか。
  131. 花岡圭三

    ○花岡説明員 この二兆五百五十億円をどのように措置したか、これにつきましては、今後地方財政計画を作成いたしまして国会に提出するわけでございますが、現在まだ作業中でございまして、閣議の決定も見ておりませんので現在御提出することはできません。
  132. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 いまの時点でなくていいのです、後でもいいですからそれをいただけますかということです。
  133. 花岡圭三

    ○花岡説明員 地方財政計画において明らかにいたしたいと思います。
  134. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次に、地方財政計画の中で、当然交付税で見るべき額を特会の借り入れあるいは財源対策債ということで見ておるわけでありますが、この財源対策債、五十五年度で言えば一兆三百億、これは将来交付税で全額見ていただけるのですか。
  135. 花岡圭三

    ○花岡説明員 財源対策債につき、ましては、交付税の基準財政需要額に算入して措置をいたしております。
  136. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 その場合に、交付税の総額の決定が実は問題だと思うのです。そういう公債がいままでかなり累積をいたしておりますね。それを年度ごとに償還をする、その償還の額は基準財政需要額で見るというわけでありますけれども、交付税の総額が問題ですから、この総額のほかにそれだけ上乗せをして、特別の需要ということで別枠としてそれを見るのか、それとも交付税の総額の中でそれを見ていくのか、その点どうなんですか。
  137. 花岡圭三

    ○花岡説明員 先生のおっしゃいます趣旨は、現在の交付税の率の外で確保したらどうかということかと思いますが、現実にこの基準財政需要額に算入いたします場合に、この前提となります地方財政計画、この中には全部それを算定いたすわけでございまして、この計画の中に入っておりますものをどのように財源措置をするか。交付税の額が足りない場合に、現在では、おっしゃいますように特別会計において借り入れをいたしております。この交付税率のアップができない場合でも、借り入れをいたしまして総額を確保するという措置を講じておるわけでございます。したがいまして交付税の総額そのものは、こういった措置をするときに不足を生ずるときには総額を増額して確保いたしております。これを交付税の率のアップでやるのかあるいは借り入れでやっておるのかという違いはございますけれども、少なくとも現行の交付税の率で算定いたしました交付税の総額に足りない場合には交付税の総額を増額いたしまして、それによって措置をしておるということでございます。
  138. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 先ほど二兆五百五十億の算定の基礎を知りたいというのは実はそこに関係があるわけであります。この算定の基礎がわからないといまの議論は本当はできないわけですよ。ですから二兆五百五十億円のこの額がどういうふうにしてどう出てきたのかという資料をちょうだいしてから後でこの議論を続けたいと思いますので、一応この問題は終わります。  次に、地方債の問題であります。  この問題については大蔵省さんでも大分御苦労はされておると思いますけれども、地方債の質がかなり落ちておるわけですね。四十年代の前半には政府資金の率が六〇%を超えておった。したがってそれだけ良質の資金が供給されたということでありますけれども、五十五年度ではそれが四三%、これでもいいのです、若干よくなっているのですけれども、それでも四三%ということで、政府資金、良質の資金がわりあい少なくて、縁故債であるとか質の悪い、率の高い起債を地方団体は調達しなければならぬという窮状にあるわけです。これらの点について大臣、政府資金をもう少し地方団体に回していただくことはできないものでしょうか。
  139. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 地方債に対します政府資金比率につきましては、いま先生御指摘のとおりでございます。  五十五年度につきましては運用部あるいは財投全体の原資事情が非常に厳しい状況であったわけでございますが、その中におきまして地方債に対しましては、地方債規模全体が五%前年度に対して減額しておるのにかかわらず、政府資金の方は五・数%引き上げるというような措置をとったわけでございます。その結果、いま先生がおっしゃいましたように、五十四年度三九・三%の政府資金比率でありましたのが四三・八%というふうに向上しておるわけでございます。さらに公営公庫の分も含めて考えますと、全体としては六〇・一%というふうなことになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、きわめて乏しい原資事情のもとにおいてできるだけの努力をしたということでございます。
  140. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 次の問題に移ります。  金の問題については、この公的な保有等についてはすでに議論がありましたけれども、金の廃貨、完全に廃貨になっているかどうかわかりませんが、金廃貨に伴って金が一般私人の財産として取引をされるようになっておりますが、これが現在の金価格の乱高下に伴って一般の国民の金の取引に非常に混乱が起こっておる。また一部では悪徳業者の犠牲になっておるというようなことがたくさん報告をされておりますけれども、この金の取引について政府はどういうふうになさろうとするお考えであるのか伺います。
  141. 細川恒

    ○細川説明員 金の悪質取引の問題が出ましたので、通産省の方から別途答えさせていただきます。  まず、金のいわゆるブラックマーケットといいますか、金の延べ取引市場として被害の出ております実態につきましては、離合集散がきわめて激しい状況でございまして、当省が把握している市場数では全国で十数団体に上っておるという状況でございます。各市場にはいわゆる金取引業者が会員として参加をしている模様でございますが、詳細は不明でございます。  今後政府としてどのような対策を取引上講じていくのかということでございますが、いま御質問ございました悪質取引ということの防止のために、かねてから説明会をいたしましたり、あるいは新聞広告等々という形のPRを続けてきておるわけでございますが、加えまして昨年末十二月二十八日付で、社団法人金地金流通協会なるものを許可いたしました。この組織によりまして公正な取引の推進ということを図ってまいる所存でございます。
  142. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 主要諸国ではすでに金市場が確立をしておって、そこで安心して取引ができる、また法的な整備もなされておるというふうに聞いておるわけですが、わが国では今後、金は自由な商品として取引されるでしょうから、この金市場を整備をするお考えがあるかどうか伺います。
  143. 細川恒

    ○細川説明員 先生お話しのように、わが国の場合、現在、金の取引は完全に自由でございます。したがいまして、相対売買という形で現物市場が形成をされておる状況にございますが、わが国の金の現物市場におきまして、価格などの点では大きな問題というものが存在していないと思うわけでありますが、先ほど御説明申し上げましたようなブラックマーケットといいますか、それに伴います問題が生じておりますこともございますので、それを撲滅するためにも、金の真っ当な業者によります店舗網の拡充といったようなこと、あるいは流動性といいますか、買い戻しをたやすくできるようにする等の流通機構の整備をさらに図っていくことが必要であるというふうに通産省としても考えておるわけでございます。  そういう意味で、先ほど申し上げました社団法人金地金流通協会によりまして、流通機構整備の推進母体の役割りというものをこの協会に期待をいたしておるわけでございます。通産省としては、この機会に積極的な支援を送っていきたいというふうに考えております。  加えまして五十五年度には、金地金流通対策といたしまして委員会を設けて、今後の金流通のあり方というものを検討することにいたしております。と同時に、国民の金に関します意識調査を行いまして、さらに今後の検討を施策を立てていくに当たっての参考といたしたいというふうに考えております。  以上でございます。
  144. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 時間が参りましたので、次の問題、あと一問、まとめてお伺いしますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。  税理士法の改正案について四点お伺いしますので、まとめてお答えをいただきたいと思います。  試験免除の規定、これは現在すでにあるわけですけれども、さらにこれを拡大することは、国民の法のもとの平等、国民の機会均等に反し、人を差別し、官民の格差を拡大する方向へ改めることにならないのか。  助言義務というのがありますけれども、助言義務を加えることは税理士を権力の手先とし、大蔵省の支配下に置こうとするものではないか。次に、税目を列挙しないようにしたということは一般消費税の導入の布石ではないのか。全体として納税者の立場が守られないような方向に改めようとするのではないかという疑いがありますけれども、この四点についてお答えをいただきたいと思います。
  145. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま御指摘になりました税理士法の改正の問題でございますが、現在政府が御提案申し上げております税理士制度の改正と申しますのは、一つは、税の専門家としましての税理士の職業的な地位の明確化と申しますか、あるいは強化を図りますとともに、反面、同時に税理士という職業のあるいは職務の公共的な性格あるいは責任を明確にするという内容を持っているものでございます。  ただいま御指摘になりました四点でございますが、まず助言義務につきましては、先ほど申し上げました税理士の地位の強化を図りますと同時に、その公共的な責任を明確化するという意味で、私ども今後、日本全体の税務行政が公正にかつ円滑に行われる上では、この助言義務はぜひ必要な制度改正の要点になろうかと考えております。  それから、いろいろ順序不同でございますが、税目拡大の問題につきましては、税理士法のできました当初、日本の申告納税制度は実は直接税から出発したものでございますので、その後申告納税制度が定着化してまいりますと、現在の税理士業務の実態からいいまして、その税目の範囲を広げるということは当然の成り行きでございます。  実は昭和三十九年度に、現在御提案申し上げておりますものと同じような内容でもって当時も、残念ながら廃案に終わったわけでございますけれども、税目の拡大を提案しておりまして、そういう経緯から御承知願いますように、今回の税目改正の拡大の措置は、いわゆる一般消費税の問題しは無関係でございます。  それから、試験免除制度の問題でございますけれども、これは御承知のように、税理士という職務の内容は広範にわたりますけれども、基本的には税務官署との折衝を中心とする業務でございます。したがいまして、諸外国の立法例を見ましても、この職務の性格上、税務の実務に非常に豊富な経験を持っている者につきましては、資格付与の点でそれなりの評価をするという制度になっておりますし、税務以外の分野でも、わが国の国内法制をいろいろ見ますと、たとえば弁理士とかあるいは行政書士とか、各種の資格を要する職務がございますが、それにつきましてもそれぞれの行政実務なり経歴なりを資格付与に当たって評価するという制度がございまして、今回の税理士法の改正に当たりましても、従来特別試験の制度が附則としてあったわけでございますけれども、その資格付与に当たってそういう実務の実績をそれなりに評価するという制度を明確にするという内容を持っておるものでございます。
  146. 新村勝雄

    ○新村(勝)委員 終わります。
  147. 高田富之

    高田委員長 林孝矩君。
  148. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最初に、午前中の審議の中で大蔵大臣の答弁にありました、いわゆる一般消費税の導入問題に対する見解でございますが、重ねてこの際、この問題に関して確認をしておきたいと思います。  今回の五十五年度予算編成に当たっては、一般消費税導入という問題に対して国民の世論といいますか、あらゆる形での批判というものが示され、また本会議で決議をされた、そういう経緯がありまして一般消費税導入を断念したということがあったわけでありますが、今後の問題として大蔵大臣がこの一般消費税の導入というものに対してどのような見解をお持ちになっているかということ、そしてそれが答弁にありましたように五十六年度導入をしない旨の言明、これは間違いないかどうか、さらに将来の問題についてどのような見解をお持ちになっているか、お伺いをしておきたいと思います。
  149. 竹下登

    竹下国務大臣 午前中の井上委員の御質問に対してもお答えをいたしたところでございますが、確かに御指摘のとおり、五十五年度予算編成に際しましては、いわゆる一般消費税というものの手法をとることなく予算編成に臨んだことは御案内のとおりでございます。そして、この問題については確かに国会の議決がございます。この議決に対しましても、「政府といたしましては、採択されました御決議の趣旨に十分配意して、歳出、歳入両面にわたり、幅広い観点から財政再建を進めてまいる所存であります。」というふうに私からお答えをいたしておるところであります。したがって私が、委員に対していささか非礼でございますが、一般消費税という言葉に実は大変こだわっておったのでございます。決議が行われますときに、一般消費税というのは本来は普通名詞ではないだろうか。それでいろいろな学者の方の書籍も集めてみますと、そうも言える学説も確かにございます。そうなると、いわゆる一般消費税というものが、所得税と消費税と大別した税目のあり方としてこれ全部が否定されてしまったといたしますならば、将来の税制全体の体系そのものがおかしくなりはしないかというようなことで、議院運営委員会等に対しましても、あるいは党を通じていろいろお願いをいたしました。そこで財政再建の決議案、こういうことに相なったわけであります。したがって、学説として存在する一般消費税というものを全く否定するという表現ができないというふうに私は理解しておるわけであります。そこで、表現が適切であるかどうか、いわゆる(仮称)というふうに決議もしていただいたのでございますけれども、当初五十五年度から導入しようという運びで準備を進めておったあの手法をとるということは、国会の決議に対してもできないことではなかろうか、こういうふうに考えておる、非常に非礼な答弁でございますが、どうもそういうふうに答えざるを得ないじゃなかろうかということであります。
  150. 林孝矩

    ○林(孝)委員 したがって、大蔵大臣も当然もう御存じの上でのいまの一般消費税に対する判断だと思うのです。どういうところに批判が起こり、一般消費税のどういう内容に決議がなされたか、これはもう今日までの経緯から考えても当然御存じのわけであって、学説云々ということはそう−また大蔵大臣の立場からこういう解釈がなされたら困るとか、そういういろんな思惑があっての引用だと私は思うわけですけれども、いずれにいたしましても、五十五年度導入は断念されて、五十六年度も導入しない旨の言明があった。この導入しない旨の言明の内容というものは、いわゆる一般消費税として五十五年度において導入しなかった、そういう内容の一般消費税である。したがって五十六年度導入しない。さらに将来についてどうか、この点については大臣はどのようにお考えですか。
  151. 竹下登

    竹下国務大臣 大変お答えにくい問題でございますが、政府が五十五年度導入を目的として準備をした手法はとり得ない、こう思うのでございますけれども、ただ国民との対話の段階で、いままで答申いただいておりますのを見ても、「財政再建の進め方及びその中における税制のあり方についてさらに検討を続けることとする。」としてありますその検討の過程において、国民の側から理解を示されたとしたならば、あれと同じものではございませんにしても、消費税ということも税体系の中で考慮すべき問題である。したがって、未来永劫にいわゆる一般消費税というものは日本の税制の歴史の中から消滅してしまうという性質のものではない、こういうふうに理解をいただきたいと思うのであります。
  152. 林孝矩

    ○林(孝)委員 わかりやすく言うと、いわゆる問題になった手法での一般消費税導入というものは考えない、こう解釈して受けとめていいわけですね。
  153. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる問題とされた手法に基づくものは今日それを取り入れる環境にはない。ただ税制というものは、私は非常にむずかしい答えになるのですが、何回か林先生と私と議論をしておりましたりしている間に、国民の側から、その辺には修正をしても、この辺の形で新たなる税目というものがあり得るではないかというような環境ができることは皆無とも言えないという意味におきまして、大変しつこいようでございますが税体系全体の中から完全にぽしゃらしてしまうということに対して抵抗を感じながら、わかったようなわからぬような答弁をしておる。が、そのおっしゃる意味は非常に私には理解できます。
  154. 林孝矩

    ○林(孝)委員 では、私が申し上げた指摘というものが十分理解できるということでございますので、その理解の上に立って答弁がなされたということを私は理解したいと思います。  それで、次の問題に入りますが、電電公社の血超勤、やみ賞与、これに関する問題でございます。  この空超勤、やみ賞与支給ということがいま問題になっておるわけでございますが、この件に関して電電公社総裁が、超勤手当を賞与の上積みとして支給しているということは、これはもう国鉄や専売公社などでもやっていることで大蔵省も承知しておる、こういう発言をしておるわけでございます。私は、電電公社総裁が言うとおりこのような空超勤、やみ賞与の支給というものが果たして行われているのかどうかということをある程度調査をした感覚で申し上げますけれども、一点最初にお伺いしておきたいのですが、専売公社でもこういうことをやっておるという電電公社総裁の発言、これは専売公社、いわゆる大蔵省当局としてお認めになるかならないか、専売公社も同じように空超勤、やみ賞与というものが行われているという事実、これに関してはやがて明らかになるであろうと思いますけれども、冒頭にこういう事実を御存じかどうか、認められるか認められないかという点をお伺いしておきたいと思うのです。
  155. 名本公洲

    ○名本政府委員 専売公社のいわゆる賞与の積み上げの問題でございますが、けさほどの新聞にも出ておりましたけれども、私どもの方におきまして専売公社にただしましたところ、公社におきましては、いわゆる超過勤務につきましては職員の超過勤務の実態に応じてこれを支出しておって、いわゆる賞与の上積みというようなものはないというふうに報告聴取をいたしております。ただ、現実の問題といたしまして、実際に毎日の勤務をいたします場合に、いわゆる十分とか二十分とかそういうふうなものが仕業後あるいは仕業前、そういうふうなときに生ずる場合がございます。そういうものにつきまして、これも現実には超過勤務をいたしておるわけでございますので、これについて超過勤務といたしまして所定の手当を支払わなければならないものでございます。そういう面につきまして、これを取りまとめた形で支給しておるという実態があったようでございまして、これは支給の仕方といたしまして非常に疑惑を招く問題であろうというふうに考えます。そういう点につきましては現在はやっていないというふうにも聞いておりますが、その点、しかし現実に行った超過勤務につきましては正当の手当は支払わなければなりませんので、これにつきまして適正な方法で超過勤務手当を支払うように厳重に監督、指導を今後も続けていきたい、かように考えております。
  156. 林孝矩

    ○林(孝)委員 現在はやっていない、しかし過去はやっておったというその事実、実態というものを、現在はやっていないけれども過去はやっておった、このやっておったということは一体どういうことなのかということを、もう少し詳しく言ってくれませんか。
  157. 名本公洲

    ○名本政府委員 専売公社から聴取いたしましたところは、先ほど申し上げましたように、作業の前後におきましていわゆる超過勤務として整理をいたしていない部分があり得るわけでございまして、その部分を取りまとめて支給をいたしておる、しかしこれはたとえば十二月とか六月とか、そういうときにまとめていわゆる賞与の上積み分というようなかっこうでそういう時期にだけ支払うというようなものというふうにも聞いておりません。実際の予算の執行状況、そういうものを見ながらでございますけれども、それを取りまとめて支払っていたという事実はあるというふうに報告をもらっております。
  158. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大蔵大臣、このことは御存じですか。
  159. 竹下登

    竹下国務大臣 私も、専売監理官が林委員にお答えをいたしましたと同じ報告を受けておるというにとどまります。
  160. 林孝矩

    ○林(孝)委員 会計検査院にお伺いいたしますが、専売公社のいま答弁のございました、いまは、やっていないけれども過去にやっておったという事実関係、こうした関係が、これは非常に言葉にこだわって先ほどから答弁がございましたが、いわゆる空超勤あるいは賞与の上積み、この支給に対して会計検査上問題があるという問題意識に立って会計検査院がすでに調査をしておる、私はそのように理解をしておりますけれども、その点はいかがでしょうか。
  161. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 お答え申し上げます。  日本専売公社におきます超過勤務手当の支給に関しましては、実は個々の職員について、現実に超過勤務のあり方それからそれに関する手当の支給等につきましては、まだ十分調査してございません。そして指摘したことはございません。しかしながら、先生御指摘のように、電電公社等にも問題がございましたものでございますので、私どもといたしましては、支給の実態について早急に調査していきたいと考えている次第でございます。
  162. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、会計検査院は専売公社に対してその支給の実態を早急に調査する、いま調査するということは決まっておるけれども、至急に調査するという現時点ではまだ調査が開始されていない、こういうことなんでしょうか。そしてその調査というのはどういうところから調査が始まったというふうに考えればいいのか、その点はいかがですか。
  163. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 私どもの専売を担当しております検査課は大蔵事業検査課でございますが、実は本年の検査が今月末から行う予定にしてございますので、まだ現実に各現場に乗り込んで調査するまでに至っていないわけでございます。そしてその予定に従って私ども調査するという段取りをつけておったわけでございます。実際具体的な調査方法といたしましては、これは非常に広範囲にわたるもので、各職員にどういう勤務の実態があったのか、超過勤務の実態がどうなっていたのかということと支給の実態というのを突合しながら検討してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  164. 林孝矩

    ○林(孝)委員 専売公社の実態で、大蔵省が現在まで把握している金額、これはどれぐらいの額になりますか。
  165. 名本公洲

    ○名本政府委員 私どもの方で聴取いたしております仕業前、仕業後の、いわゆる端数時間と申しますか、そういうふうな部分で申しますと、月数時間程度ずつぐらいになるというふうに理解をいたしております。
  166. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それは、月数時間というのは一人当たりだと思いますけれども、専売公社全体でどれぐらいになるかという掌握は行われたでしょうか。
  167. 名本公洲

    ○名本政府委員 先生のおっしゃるのは金額的なものでございましょうか。これは私どもの方として、現在そういうものを総計いたしました金額が幾らになるかということにつきましては、大変恐縮でございますけれども、数字をまだ聴取いたしておりません。
  168. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大蔵省に申し上げますが、この専売公社の問題に関して、大蔵省当局として積極的にこうした支給、いまは、やっていないということでありますけれども、どういう形になっておったのか、あるいは金額がどれほどそれに支払われておったか、こういう実態を当局みずからが調査する、こういう考え方をお持ちになっておるかどうか、その点だけ確認しておきたいと思います。
  169. 名本公洲

    ○名本政府委員 その点に関しましては、実は昨年も先生御指摘になったような問題がいろいろ取り上げられました。その際にも、公社の中に監査室というのがございますけれども、そういうようなところを通じまして種々事情を聴取いたした経緯もございます。また、こういうけさほどの新聞にも出ておるような事態でもございますものですから、その実態の把握に十分努めて、いかに是正すべきかというような点につきまして、十分検討をしなければならない、さように考えております。
  170. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、鉄建公団の空出張によって捻出された資金、こういう資金大蔵省職員が接待を受けていたという問題は、すでに周知の重実になっておるわけでございますが、大蔵省当局としてこの概要をどう掌握されておるか、報告を願いたいと思います。
  171. 松下康雄

    ○松下政府委員 鉄建公団の裏経理による資金によりまして大蔵省職員が接待を受けておったという問題につきましては、私どもも昨年そういう事実が報道されまして以後、省内に委員会を設けまして、実情の調査をいたしたのでございます。調査のやり方といたしましては、関係者から話を聞き、また相手方の公団からも事情を聞きまた当時は会計検査院がお調べ中でございましたので、会計検査院の方にも御連絡をいたしまして、事実関係の確認をいたしたわけでございます。  その結果につきましては、おおむね五十三年度から五十四年度にかけまして、この裏経理を用いまして当省の職員が接待を受けておりました事実がございまして、回数にいたしまして百二十二件、金額にいたしまして、その職員の直接の金額が約百三十万円でございました。
  172. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いまの百二十二件、百三十万というのは、この百二十二件の合計金額というふうになるわけでしょうか。  そして、この一つのあらわれた問題だけとして受けとめた場合は、これは氷山の一角だと私は思いますが、諸官庁同士がこうした接待をしたりされたりという、こういうことはやはり一つの大きな綱紀粛正の問題として取り上げなければならない、こういうふうに思うわけです。そういう点から考えますと、いまの御答弁で百二十二件、そして百三十万円という金額ですけれども、大蔵省関係として、これは対鉄建公団だけではなしに、それ以外の諸官庁との関係も含めて内部の調査をされた結果がこういう数字となって掌握された、こういうことでしょうか。
  173. 松下康雄

    ○松下政府委員 ただいまお答えを申し上げました数字は、さきにもお断り申し上げましたように、鉄建公団の裏経理に係ります接待の金額合計を申し上げたわけでございます。  その他にも、昨年の秋以来いわゆる過剰接待の問題としまして、大蔵省関係省庁あるいは公社、公団等との会食の問題がいろいろ御指摘を受けてございます。私どもは、その一部につきましては事情を承知をいたしてございますけれども、個別にこれらのほかの接待につきましては、どうもそれぞれたとえば担当者の人事の交代に伴います顔合わせのための会食とか、儀礼的と申しましょうか、そういったものが、それぞれの相手先と年に一回とか二回とか行われていたように考えてございます。ただ、これらはそういう目的でございまして、特に遊興的なものでありますとか、あるいは度を過ごして回数の多いものでありますとか、そういう事実は認められませんでしたので、それらそのほかのいろいろの接待の問題につきましては、内容調査を特段いたしてなかったのでございます。
  174. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣、見解としてどういう御認識の上に立っておられるか、私この際お伺いしておきたいのですが、省内の新任の顔合わせとか、あるいは予算時期の陳情、こうしたいろいろな形が大蔵省に関してあるわけでございますが、少なくとも関係諸官庁同士の場合に、こうした接待行政といいますか、そういうことが果たして必要なのかどうか。それから、今回の鉄建公団の場合、何のためにそこまでしなければならないか、せざるを得ないような環境に置かれておったかという問題ですね、こういうことも一つの大きな今後の改善という観点から立てば考えておかなければならないことだと思いますので、大臣としてこうした問題に対してどのような認識を持っておられるか、受けとめ方をされておるか、明確に伺っておきたいと思うわけでございます。
  175. 竹下登

    竹下国務大臣 私ども就任しました早々、綱紀の粛正ということを閣議決定をいたしまして、それらはいま御指摘のありました接待行政等が大きなきっかけとなったことも事実でございます。したがって、儀礼の範囲内というような問題につきましても、いま省内におきましては、各局の総務課長に、これは出てもいいか悪いか、たとえて申しますならば、先輩が行っておりますある機関の十周年記念があるとかいうようなときの問題まで具体的に検討して出さすという姿勢になっておりますだけに、世論の背景の中に省内が受けとめてそれに対応しておる姿勢というのは、私は、これならばよくはなかろうか、こういうような認識をいたしております。
  176. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それから、一つ具体的な問題になりますけれども、厚生省の会議支出の具体例として、厚生省が五十三年九月十九日に赤坂の某高級料亭で主計局幹部を接待しておる。この出席者の当時の役職と名前等については御存じでしょうか。
  177. 大和田潔

    ○大和田政府委員 ただいま御指摘のような会合がございましたことは事実でございますが、出席者の名前等につきましては、ここで申し上げることをひとつ御容赦願いたいと思います。
  178. 林孝矩

    ○林(孝)委員 厚生省側は何人で、大蔵省側は何人かということは御存じでしょうか。
  179. 大和田潔

    ○大和田政府委員 お答えを申し上げます。  九月十九日の会合でございますが、厚生省側は五人でございます。大蔵省側は七人でございます。計十二人ということでございます。
  180. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この大蔵省七人、厚生省五人、これも私の方の資料では大蔵省側が主計局次長以下七名、厚生省は事務次官以下五人。このときの費用の支払いというものが、私、また会計検査上問題があると思うわけですが、幾らかかっておりますか。
  181. 大和田潔

    ○大和田政府委員 お答えを申し上げます。  五十三万三千二百円かかっております。
  182. 林孝矩

    ○林(孝)委員 支払いの時期を説明してください。
  183. 大和田潔

    ○大和田政府委員 支払いの時期は、五十四年の六月の十五日と同じく二十二日に二回に分けて支払っております。
  184. 林孝矩

    ○林(孝)委員 五十三年九月の費用を五十四年の六月十五日と二十二日の二回に分けて支払った。約一年足らず経過したわけですが、この二回にはそれぞれどれだけの金額をお支払いになっていますか。
  185. 大和田潔

    ○大和田政府委員 第一回目が三十万六千二百四十円、第二回目が二十二万七千四十円と支払ってございます。
  186. 林孝矩

    ○林(孝)委員 正確に言うと、先ほどの合計金額は八十円間違いなんです、答弁が。五十三万三千二百八千円、それで間違いないですね。  それで、これは二回に分けて支払ったという理由と、それから、接待が行われたのは五十三年九月ですから、五十四年の三月で五十三年度が終わるわけです。五十四年の四月一日から五十四年度会計年度になるわけですが、この五十三年九月の接待の支払いは何年度の予算からの支出として処理されておりますか。
  187. 大和田潔

    ○大和田政府委員 これは五十四年度の予算の支払いということでございます。この点につきましては、確かに経理の適正な執行ではなかったと思いますが、請求書の受理、こういった場合、請求書のおくれということがございまして、請求書の受理が大変おくれまして、事務処理上年度内の支払いがむずかしかったというようなことで、やむを得ず翌年度にお支払いをした、相手方に御猶予を願いましてお支払いをした、こういうようなことでございます。経理上の適正な執行とは言えないわけでございまして、これからは注意をいたしたいと思いますが、この関係につきましてはそのような事情であったわけでございます。
  188. 林孝矩

    ○林(孝)委員 二回に分けた理由を答弁していただいておらぬのですけれども……。
  189. 大和田潔

    ○大和田政府委員 この点につきましては、社会通念上からいたしますとやはり若干高額であるということに思われましたので、やむを得ず二回に分けて請求してもらいまして、こういう取り扱いをしたわけでございます。ただ、あくまでこれは実際に要した費用につきまして庁費の中の会議費で処理をしておるということでございますが、いずれにいたしましても経理の適正な執行とは言えませんので、今後は十分注意をいたしたいと思います。
  190. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は昨年、この委員会で庁費の使途とその中身の問題について議論をした。そして問題を指摘しておいたわけでございますが、この庁費の使われ方というものは非常にその点あい使いもことして、緩慢な形で使われておる実態があるわけですね。  いま五十三万で高額だから二回に分けて支払ったというわけでございますが、この五十三年九月より以前五月の十七日にも、やはり同じところで主計局次長以下を接待をされておりますね。これは何人と何人だったですか。
  191. 大和田潔

    ○大和田政府委員 五月につきましては、厚生省側が六人、大蔵省側が五人でございます。
  192. 林孝矩

    ○林(孝)委員 金額は幾らでしょうか。
  193. 大和田潔

    ○大和田政府委員 金額は四十七万五千二百円でございます。
  194. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、五十三年九月の場合は、これは五十三万で二回に分けて支払った。五十三年五月の場合は、ではどうだったのでしょうか。  それから、請求書が来るのが遅くなって五十四年度予算で処理したという先ほどの説明でしたが、この同じ年の五月の場合はどうだったのでしょうか。その点をお伺いしたいと思います。
  195. 大和田潔

    ○大和田政府委員 これにつきましては同年年度内に支払われております。これは請求書の受領が年度内であったからであったと存じます。
  196. 林孝矩

    ○林(孝)委員 金額は二つに分かれていない、一括支払われたのですか。
  197. 大和田潔

    ○大和田政府委員 この場合は一括支払われております。
  198. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私、会計検査院にお伺いいたしますが、請求書の受理が五十三年の五月の場合は早く来たから年度内に支払った、四カ月後の五十二年九月の接待の請求書はおくれたから翌年にした、こういうことですけれども、実際いっその請求書が来たかということについて余りにも来る期間が、片一方五十三年五月のときの請求書と五十三年九月のときの請求書と届くのがこんなに違い過ぎる。そこで、それは事実であるかどうかということは当然一つのポイントになるわけでありますけれども、接待してから九カ月の後に年度を越えて支払われる。実際のあれは五十三年度に行われておる、支払いは五十四年度に行われる。私は会計検査院としての考え方をお伺いしたいのですけれども、こういうことは全く疑問がないと言い切れるかどうか、何かそこに思惑があったのではないか、こういう点については検査院はどのような受けとめ方をされておりますか。
  199. 西川和行

    ○西川会計検査院説明員 お答えいたします。  ただいまの御指摘の接待費用の会計処理につきましては、ただいまお話しのように、厚生省は翌年度において二件に分割して支払っております。私どもといたしましては、このような会計処理は事実に即したものではございませんので、適切なものとは考えていないわけでございます。
  200. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま検査院が適切なものとは考えていないという指摘をされたわけでありますが、厚生省当局はその指摘をどうようにお考えになりますか。
  201. 大和田潔

    ○大和田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、まさしく経理の適正な執行とは言えない、適切なものとは言えないと私どもも深く反省をしております。今後はそういったようなことの全くないように、適正な執行に努めてまいりたいと強く考えておるところでございます。
  202. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣、私は予算の執行がいかになされているかという観点から、ゆゆしき事例でございますから、あえて取り上げておるわけでございますが、今回の行政改革あるいは財政再建ということ、これについては大臣が、出るを制するという意味で今回の予算編成に当たった、しかしまだ満足な状態ではない、こういう認識で話をされておったと私は思うわけです。この金額の大小はさておいて、やはり物の考え方、予算を使うということに対する姿勢、こういうものが本当に改善されるかどうか。これは一つの綱紀粛正の柱だと思うわけですけれども、いま私が指摘しました具体的な事例を通して、大臣の決意のほどを伺っておきたいと思います。
  203. 竹下登

    竹下国務大臣 就任早々、第二次大平内閣の基本的な考え方として、綱紀の粛正はもとより、そういう接待行政等々が大きな世論の背景にあったから、そのような閣議取り決めができたと思うのであります。したがって、そういうような問題は、いま委員御指摘のとおり、金額の多寡の問題は別として、やはり公務員たる者、厳正に身を律していかなければならない問題である。そうして、そうした考え方が、いま私どもが見ますところ各省庁ともに徹底しつつある。したがって、そういう世論の背景というものの中でみずからが身を律していく環境が熟しつつあるというふうに考えております。
  204. 林孝矩

    ○林(孝)委員 次に、今月の中旬ですけれども、ブラウン米国防長官が来日いたしました。そしてそのときにわが国の防衛努力の拡大を要請したわけでございます。われわれも政府の防衛費支出への対応というものを非常に注目しておるわけでございます。ちょうど大蔵大臣が十四日の講演の中でこの防衛費に触れて、対GNP比率にきわめて弾力的な考え方を示されておるわけでありますが、この発言の真意はどの辺にあるのか、お伺いしたいと思います。
  205. 竹下登

    竹下国務大臣 まずその前に、わが国の防衛力整備は大体オーソライズされたものは何かということを調べてみますと、昭和五十一年十月二十九日の国防会議、閣議決定の「防衛計画の大綱」に従い、「質的な充実向上」を基本とし、「その具体的実施に際しては、そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ」行うものとなされております。他方、昭和五十一年十一月五日、国防会議及び閣議決定の「当面の防衛力整備について」によりますと、当面防衛予算の総額はGNPの一%を超えないことをめどとすると定められておるところでございます。  したがって、私が外人記者クラブにおきまして述べました真意は、防衛予算についても、他の経費と同様、毎年度の予算編成において必要額を積み上げて決定しているものであって、その結果としてGNPの〇・九%という数字が出てくるものであって、頭から防衛予算についてはGNPの〇・九%というような固定的な決め方をするべきものでない。やはり他の予算と同じように積み上げて、そして積み上げた結果が〇・九になるべきものであって、初めから対GNP比幾らと、こうして決めてかかるべきものでないというお話をしたわけであります。  さらに付言いたしますならば、ブラウン長官の大平総理大臣に対する訪問の際、総理が申し上げましたことも、まさにわが国自体の問題として考えるべき問題であるということをさらにつけ加えて返答しておったようでございます。
  206. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、この記者クラブでの大蔵大臣の講演は、何ら弾力性を持たせたものでもない、五十一年の閣議決定の前提は堅持されておる、こういう認識でよろしいでしょうか。
  207. 竹下登

    竹下国務大臣 オーソライズされて決定しておるものはまさにそのとおりであると思っております。したがって、私も、むしろ〇・九というものが余りにも固定化したものであって——私が言っておりましたのは、たまたま〇・八九九九三の場合もあれば〇・九〇〇〇一の場合もあって、固定したものではないんだということをあえて申し上げたのが、言葉の関係もございまして、一部何か非常に弾力的に上積みするような印象を与えた書き方もあったことは事実でございますが、総じてはそういう書き方ではなかったというふうに思っております。
  208. 林孝矩

    ○林(孝)委員 じゃあ、この問題はこれでおきます。  次に、これはどちらが是か非かということは非常にむずかしい問題かもしれませんが、塩の専売制廃止の問題についてお伺いしたいと思うのです。  行政改革の一環として、昭和五十四年の十二月二十九日に閣議決定がなされておるわけです。それは「塩専売事業については、国内製塩業の自立体制の確立を促進しつつ、専売制度を廃止するとの基本方針の下に、一定量の国内塩生産確保等に必要な施策の検討を推進する。」このように閣議決定が五十四年の十二月二十九日になされておるわけでございますが、これに対して大蔵大臣の明確な見解、具体的な今後の施策、これを伺っておきたいと思うわけでございます。
  209. 名本公洲

    ○名本政府委員 塩の専売制度につきましては、御指摘のように、昨年暮れ閣議決定がございまして、廃止するとの基本方針のもとに諸施策を検討していくということになっております。現在、大蔵大臣のいわゆる私的な懇談会におきまして、七人の委員の方々にお願いいたしまして、この塩の専売の問題につきまして種々御検討をちょうだいいたしておるわけでございますけれども、塩につきましては、これは人間生活に欠くことのできない物資でございまして、一方、わが国の国内製塩業と申しますのは、外国の製塩業に比べまして、国際競争力から申しますと劣っておる現状にございます。しかし、生活に欠かすことのできない物資でありますだけに、この確保ということ、それからこれが日本全国どこででも手に入るようにしなければならないということが大変重要なことでございます。そういうことをやるのにはどういう施策が必要なのであるかということを現在その懇談会におきまして御議論をいただいておりますが、さらにこれを詰めていって、具体的に施策として打ち出すことができるかどうか、そしてそういう施策をとることによって、現在あるいは現在以上に国民の塩に対するニーズというものを満足させ得るかどうか、そういう点を十分詰めてまいるということをいたさなければならないというふうに考えております。  具体的には、たとえば国内製塩業と外国との競争を現在のまま放置いたしますと、国内製塩業は恐らく壊滅的な打撃をこうむることになるだろうと思います。そういうことを避けるためには、たとえば関税政策でございますとかその他いろいろな政策があると思いますけれども、どういう政策がとり得るのかというような点。それから、流通問題にいたしましても、これは全国津々浦々どこでも低廉な価格で消費者の手に入らなければなりませんが、それが現在と同じようにあるいは現在以上によりよい形で国民、消費者の手に渡るようになり得るのかどうか、そのためにはどういうふうにすればよろしいか。たとえば小売店の強化とかそういうような問題もございますけれども、そういう点、どのような施策がとり得るのかということを今後詰めていきたい、かように考えておるところでございます。
  210. 林孝矩

    ○林(孝)委員 懸念されるところ、全く同感でございます。今後詰めていきたいということでございますので、その結果をまたお聞かせ願いたいと思います。  それからもう一点は、今度はたばこでございますが、国内産葉たばこ過剰在庫の問題。われわれ委員会として、たばこ生産工場の視察等も過去に行ったことがあるわけでございますが、五十二年度決算検査報告指摘として、この過剰在庫の問題があります。過剰在庫の結果、非常に保管料の増加が目立ってきておると、これは五十三年度決算報告でも触れられているわけでございますが、たばこの売り上げの伸び悩み、それに対する対策、これはどのように考えたらいいか。この過剰在庫がどうして起こるのか、葉の内容がどういう方向に嗜好が移り変わっておるのか、こうした点も含めて、過剰在庫の問題に対して御答弁を願いたいと思います。
  211. 泉美之松

    泉説明員 お答えいたします。  葉たばこ過剰在庫は、五十四年度期首におきまして——正常在庫は二十四カ月ということになっておるわけでございますが、それが昨年、五十四年度の期首は三十四カ月分ございまして、約十カ月分過剰になっておったわけでございます。  なぜこのような過剰を生じたかと申しますと、いろいろな原因がございますが、一つは、製造たばこの売れ行きが、五十年に定価改定をいたしました後、大変伸び悩んでおるということ。これは、五十年定改がちょうど喫煙と健康の問題に関して——前からいろいろ言われておったのでありますけれども、その後、喫煙と健康の問題が大変やかましく言われ、そして特に五十三年の春ごろからいわゆる嫌煙権問題、たばこを吸わない人の権利といったようなことが主張されまして、たばこの売れ行きが大変落ち込んでおる、これが一つの原因でございます。  いま一つは、御承知のように、昭和四十年代、日本の農家の方がだんだん農業をやめていくという傾向のときに、同じように葉たばこ耕作についてもやめる人が非常に多くなったのでございます。そのために、昭和四十二年を頂点にどんどん生産者が減っていったわけでございます。これではいけないというので、昭和四十八年から生産対策を講じまして、生産性向上のための補助金を支出して、たばこ耕作を続けていただくようにお願いしたわけでございます。ところが、四十八年からそういう措置を講じましたけれども、四十八年、四十九年とはふえませんで、どんどん減っていったわけでございますが、ようやく五十年に入りましてその政策の効果があらわれまして、減るのがとまりました。五十一年、五十二年と今度はもっとたくさんつくらせてくれという要望に変わっていったわけでありますが、そのときには、いま申し上げたようにたばこの売れ行きが悪くなりまして、耕作をふやすわけにまいりませんので、五十三年、五十四年、五十五年と三年間は耕作面積を減少させるような方向をとらざるを得なくなったわけであります。そういった生産面でつくらせてほしいという要望が五十年、五十一年にどっと出まして、その結果でき上がった葉たばこ過剰在庫の原因になっておるわけでございます。  いま一つは、葉たばこというのは御承知のように二年間熟成させてから初めて製造たばこに巻くわけでございます。二年間熟成させる必要があるわけでございますから、その熟成に要するものとして二十四カ月の在庫が必要だと言っているわけでございますけれども、過剰在庫が特に顕著になってまいりましたのは五十二年ごろでありまして、それまでは、多少は過剰在庫でも製造たばこの売れ行きが回復すればまあ何とか解消する程度の見込みであったわけであります。その後、たばこの売れ行きが非常に伸び悩んで、回復し得ないというふうに見込まれましたので、先ほど申し上げましたように、生産面ではまず生産調整を九百ヘクタール、千百ヘクタール、千七百ヘクタールと実施いたしまして、生産を減らしていく。しかし、これでもまだいまのところは今後二年間たって使う量としては多過ぎるのでございます。しかし、農家にいままで葉たばこ生産に協力していただいたこと、また農家の経営上の問題を考えますと、そう大きく減らすわけにまいりませんので、年々労働力がないとか跡継ぎがいないということでおやめになる人の範囲内で、廃減作の範囲内で耕作を減らしていただいておるのが実情なのでございますが、このまま続けていくとまだまだ在庫が過剰になる心配がありますので、生産面で何か対策を講じなくてはならぬのではないかということをいま検討しております。  いま一つは、使用面で過剰在庫を減らしていく。これは製造たばこをつくる過程におきまして、スチームを通すとかあるいは香料を開発するとかいうことによって何とかして国産葉の使用割合を高めていく。それによって国産葉の在庫過剰——輸入葉の方は計画的に輸入しておりますので、在庫過剰はございません。国産葉だけが在庫過剰になっておりますので、国産葉の使用割合を高める。そのためにはいろいろな製造技術の研究、試験を行いまして、それによって解消していく、こういうことでやっております。ただ、何分にも在庫過剰が急激に生じて、その量が十カ月分という大きなものになっておりますので、なかなか簡単に解決できないような状態にあるわけでございます。
  212. 林孝矩

    ○林(孝)委員 終わります。
  213. 高田富之

    高田委員長 岩佐恵美君。
  214. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 KDD問題につきましては大変な不正それから乱脈、国民にとってがまんのできない出来事であるわけでございますが、KDD問題を明らかにする発端となりました密輸、脱税問題につきまして、一体日本の税関がどうなっているのかということをきょうは質問をさせてもらいたいと思います。  まず、KDDの密輸、脱税に関する調査結果が、事件が起こってからもうずいぶんたつわけでございますし出ているのではないかと思うのですが、これについて御答弁をいただきたいと思います。
  215. 米山武政

    ○米山政府委員 KDD関係につきましては、現行犯三名につきましてすでに検察庁に告発しております。なお、この三名につきましては、持ってきましたもので無申告分についてだけ告発しているわけでございまして、過少申告分につきましても、現在調査内容がそろそろ固まる段階でございまして、固まり次第追告発するつもりでございます。  なおその他、この三名に限らず相当の人数の方がこの期間に入国しまして、その際携帯品について無申告ないしは過少申告の疑いが持たれているわけでございまして、現在私どもの手持ちの資料で検討しているわけでございますが、御承知のように、告発後捜査当局がこれにつきまして同時に捜査に入りまして、現在そちらで取り調べ中でございますので、私どもはその推移を見守っている段階でございます。
  216. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この問題については、大変重大な問題ですので、推移を見守っているだけでは済まされない、税関当局として積極的に明らかにしていかなければならないのではないかと思うのです。  昨年の十一月十七日付の毎日新聞によると、税関当局は、十九人のKDD社員が最高八回、最低二回の密輸行為を行っていた、羽田空港時代を含めると過去五年間に五十回、約五千五百点の装身具類が海外から持ち込まれ、うち四十数回、四千数百点、金額にして約一億六千万円相当が無申告、過少申告だったことが判明した、こういうような報道があるわけですけれども、一部でこういうものが出されていて、実態のすべてが国民の前に明らかでないということは大変ぐあいが悪いわけで、この問題については早急に調査をし、中間報告でも発表すべきではないかと思うわけですが、その点いかがでしょうか。
  217. 米山武政

    ○米山政府委員 ただいままだ告発されてないいろいろの容疑につきましてその件数、金額、人数についての御質問でございますが、御承知のように、現在税関としましても手持ちの資料等によりまして鋭意調査中でございますし、捜査当局も現在参考人等取り調べ中でございますので、調査あるいは捜査の途中でこういうものをいろいろ申し上げるのは今後の捜査、調査上いろいろ支障がありますので、御遠慮させていただきたいと思います。
  218. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 これも調査の中身に入るような質問になるかもしれませんが、こうした事態が起こったのは、荷物をあけるいわゆる開披ですか、それが行われなかったことがずいぶん大きな原因じゃないかというふうに思われるわけですけれども、この開披の実態についてどうだったかということ、このことをお答えをいただきたいと思います。
  219. 米山武政

    ○米山政府委員 通関の手続についてでございますが、関税法の六十七条には、いかなる者も入国に当たりまして、その所持品につきましては税関当局に申告する義務がございます。これはもちろん文書によらず口頭申告でもいい、こういうことになっておりますが、この申告に基づきまして、私どもは必要と認めたものにつきまして検査、この検査は口頭のいろいろのお尋ねもございますし、開披もございますが、そういうものをやっております。ただ、御承知のように、現在成田では一日に一万人くらいの入国者がおります。ジャンボ一台着きますと五百人くらいの入国者があるわけでございまして、やはりこの者を全部開披したりしてやっておりますと何時間もかかってしまう。やはり迅速通関というのも一つの私どもの役割りでございますので、そういう点から見まして特に問題がありそうなものを開披する、こういうことでございます。したがいまして、全部開披する、こういうことではございません。問題がありそうなものを調査官がその場で挙動あるいは荷物の量、あるいは入ってくる飛行機がどこを立ってきたか等のことを判断しながら、その場その場で判断して開披検査をしておるような状況でございます。
  220. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 KDDの問題についてだけしぼって、開披についてはやられたのかやられなかったのか、そこのところをお答えいただきたいと思いす。
  221. 米山武政

    ○米山政府委員 個々のケースにつきまして、その都度どうしているかという記録がございませんので、私どもは、先ほど御指摘がありましたKDDの二十数回の問題の入国について一々全部やっているかどうか、ちょっと記録はございません。恐らくその場の状況によって開披した場合もあるし、開披しない場合もあると思います。最後の問題、現行犯でつかまったのは、もちろん開披して調査したから見つかったのだろうと思います。
  222. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 開披した場合、たとえば貴金属がざくざく出てきたり、あるいはつかまったときは何かハンドバッグが十個あったとか、そういうようなこともあるようですけれども、そういうようなことはおのずからぱっと開けば目につくようなものであるわけで、開披したものもございますというようなお答えだと、KDD問題でどうしてこういうことが起こったのかというのがよくわからないわけでございますね。その点はいかがでしょうか。
  223. 米山武政

    ○米山政府委員 先ほどお答えいたしましたように、過去の分について、KDDの社員の入国に対してどのくらい開披したかというのは、ちょっと私ども記録がございませんので何とも申し上げられません。
  224. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 成田の税関支署長の言葉というか、話した中身が新聞に紹介されているわけですけれども、その中でちょっとあれっというふうに思うことがあるわけですね。それは、成田開港と同時に赴任してこられてまずやったのは、フリーパスの廃止、大会社の社長などが、あいているブースから許可を得て、検査を受けずに出てくる顔パスをやめた、こういうようなことが紹介されているわけです。フリーパス、顔パスがこれによるとあったというふうに受け取られるわけですけれども、これは実際どうだったのかということをお伺いしたいと思います。
  225. 米山武政

    ○米山政府委員 私どももその新聞を見まして、委員と同様におやつと思ったわけでございますが、顔パスとかフリーパスという言葉、これは私どもの用語ではございませんで、そういう言葉がいつしか流布されて、私ども非常に不本意に思っておるわけでございますが、私どもが行っている便宜供与の一種としてこういうのがあるわけでございます。国賓あるいは重要な公職を帯びた者、病人その他税関の支署長が必要と認めた者に対しまして出迎え人を検査場に入れて荷物を運ばせるのを認めるとか、そういう出迎え人の検査場立ち入り許可という制度がございます。これは、申し出があったときにバッジを渡しまして、その人が中へ入る、こういう制度があります。そういう制度がございますが、フリーパスというように申告もなしに検査もなしに国内に入ってくるということはございません。ただ、先ほど申しましたように、一時的に大ぜいを通関させなければいけないという事情にございますので、その場その場で開披率というのはそう高いものではございません。現在、開披率というのは恐らく三割か四割くらいでございまして、六割から七割の方は開披せずに、口頭で申告し、口頭で質問を受けて通っておるというのが現状でございます。
  226. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 いわゆる荷物の検査を受けない、あるいは出迎えの人たちが検査場に立ち入ることができる、これは法律に基づいてそういうことができるというような人たちがいるのじゃないでしょうか。たとえば天皇だとか元首だとか、あるいは外交官だとか、いま言われた国賓だとか、そういう人たちというのは法律に基づいてあるいは条例に基づいてやられているというふうに伺っているわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
  227. 米山武政

    ○米山政府委員 法律に基づいて関税が免税されている方はございます。たとえば外交官あるいは天皇、皇族という方々は法律に基づきまして関税を免除されております。ただ、検査の免除というのは、ウィーン条約で外交官に対しましては検査を行わない、こういう条約がありますが、その他の者に対しまして特に検査を免除するというふうな規定は私は承知しておりません。それから立ち入りの許可というのも、法律的にどうということはございません。その税関の職場の長が検査をする場合に、いろいろな人が検査場に入ってきますと、いろいろ荷物がごたごたしている中に入ってきますと非常に迷惑しますので、原則としてそういうことは好ましくないということで入っていただかないけれども、先ほど申しましたような特殊の場合については、特に庁舎管理上支障がないというふうな判断から入れる場合がございます。いずれも法律に基づくものではございません。
  228. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その場合、だれがどういう判断をして、またどういう方法でそれが行われていくのかということを御説明いただきたいと思います。
  229. 米山武政

    ○米山政府委員 先ほどお答え申しましたように、検査場に部外者が入るということはやはり好ましいことではございませんので、原則的に、入ることはできるだけ制限的にやりたい、こういうふうに考えておるわけでございますが、外国の重要なお客、外交官、国の元首、総理、国務大臣、国会議員あるいは役人の中でも重要な公務を帯びて出張した者等に対して、特に支障のない者に限り、税関の支署長がいま言ったような基本的な範囲の中でケース・バイ・ケースで判断して出迎え人の立ち入りを認めている、こういう状況でございます。
  230. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、税関長の判断のいわゆる根拠といいますか、そういうものは何に基づくわけですか。
  231. 米山武政

    ○米山政府委員 税関長あるいは税関の支署長がその判断をする場合に、やはり基本的なルールがあるわけでございます。いま申しましたように、外国の重要なお客、あるいは国内の重要な地位にある人、あるいは病人、こういったような者の中で、ケース・バイ・ケースで、成田の場合では税関の支署長が判断する、こういうことになっております。そうした基本的なルールというのは私どもが決めまして、税関の方にそういう考えを伝えてあります。
  232. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 そうすると、そういうケース・バイ・ケースで判断する基本的な基準、そういうものによって、たとえば有名人あるいは民間会社とか特殊法人の関係者、役員、そういう人たちは検査が必要でないというような判断がいままであり得たというふうに考えられるわけですけれども、その点はどうだったのですか。
  233. 米山武政

    ○米山政府委員 いまの場合、二つに分けて考える必要があると思うのですが、それは羽田時代と成田時代で状況が大分変わってきておるわけでございます。  御承知のように、羽田時代は非常に通関場が手狭でございまして、しかもあそこにはカート等もほとんど備えつけていないという状況でございます。したがいまして、羽田時代は出迎え人の検査場立ち入りというのは比較的緩やかに、もちろんその場合ケース・バイ・ケースで許可という制度はとっておりました。  しかし、成田移転後は、あそこの検査場が非常に広くなりまして、そういうおそれはないので、最近はきわめて厳格にやっておりまして、民間の大きな会社の社長というような方であっても現在ほとんど認めておりません。ただ、そうした場合でも、お年寄りの社長さんというような場合に非常に荷物が多いというような場合にはケース・バイ・ケースで認めている場合がありますが、大会社の社長とか公社理事長とか、ただそういう理由だけで認めるというようなことは現在いたしておりません。
  234. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 KDDの役員や職員は羽田時代一体どうだったのか。これはちょうど朝日と読売と毎日と、新聞それぞれここのくだりがあるのですけれども、検察庁に告発された佐藤信義それから浅野氏の二人が調べの中で、「今年夏、病死した久野村欣也前社長室次長から、ある程度申告しておけば大丈夫といわれた」これは十二月十二日付の朝日の夕刊です。それから読売新聞によると、故久野村社長室次長に税関はフリーパスで通れると聞いていたのでというふうにやはり二人が言っている。毎日でも同じように、海外での購入方法あるいは成田空港での通関時の心構えなど、いずれも久野村元次長から指示されたというふうに秘書役の人が言っている。これを読むと、KDDの役員や社員はフリーパスで通れるんだという、そういうことでずっと長いこと続いていたんじゃないかということがうかがわれるわけですけれども、一体この点はどうだったんでしょうか。
  235. 米山武政

    ○米山政府委員 いまの新聞記事につきまして、直接私ども調査の過程で当人どもが申し述べておることではございませんので何とも申し上げようがございませんが、ただ、先ほども申しましたように、フリーパスの制度があるからいいというようなことは絶対ございません。羽田時代には、先ほど申しましたように、ある程度の社会的地位の方には、ああいう検査場の物理的状況もございまして、出迎え人の立ち入りというのは比較的緩やかにしていたということが一つ。それから私どもは、人数的にも職員の配置上からも一〇〇%開披検査ということはできませんし、また、国際的にも通関の迅速化ということが要望されている時代でございますので一〇〇%開披検査というものはできないというような状況から、あるいはそう言っているのかもしれないと思うわけでございます。
  236. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 先ほども基準を出しておりますということで言われたわけですけれども、私の調べによりますと、大蔵省が通達という形で昭和三十九年十一月十一日付から発効しているもので、ナンバーが一五〇一というのですか、「VIPに対する取扱い基準」というのが手元にあるわけです。これによりますと、各界を代表する有名人、著名人またはこれらの者により組織される団体、これはだから当然元郵政大臣が天下っているKDDだとかいうものもみんな入ると思うのですけれども、そういう団体で社会通念上至当と認められたものについて、本人じゃなくて代理通関はいいんだ、あるいは税関の支署の部課長の指示のあるものについてはいわゆる開披しなくてもいいんだ、それから出迎えについては若干名程度ですか、これは認められるんだ、こういうようなことが明記をされている。それから、スポーツ、芸能人でファンが殺到するおそれのある者、この人たちについても本人じゃなくて代理通関を認める、こういうふうになっているというふうに承知をしているわけです。これが五十三年の一月に改正をされて「芸能人」のところが削られているわけですね。これは週刊誌に、ちょうどこの間ビートルズのポール・マッカートニーが麻薬所持でつかまったという事件についていろいろ書いてあるわけですけれども、たとえば、ポール・マッカートニーは十四年前に日本に来ているわけです。どうも十四年前と今回の税関のやり方が違うので、それでこういうことになったのじゃないかというような記事があるわけですね。たとえば、日本ではビートルズはファンが多いのでVIP扱いで、飛行機のタラップに迎えの車が横づけにされて、そのまま宿舎に入れるとでも思ったのだろうかと書かれているのですが、十四年前そうであったと言えば、今回彼が、通達が変わったというか、取り扱いが変わったということを知らないでひっかかった、こういうようなことも言われているわけですけれども、この辺の通達の有無についてひとつお伺いしたいというふうに思うわけです。
  237. 米山武政

    ○米山政府委員 これはもちろん税関に対して某本的な考え方を知らしてあります。ただ、これは何分部内扱いということになっておりまして外へ出しておりませんが、いま御指摘のように、五十三年とおっしゃられましたが五十四年の一月に、成田空港が完成しまして税関がそちらへ移って検査場等の状況が羽田時代と変わったということで、基本的に検査場への部外者の立ち入りは好ましくないという判断のもとに、できるだけ制限的に運用するように指示を変えております。したがいまして、いま御指摘のような民間人の場合には、病人とか特別の老齢者というふうな者以外は原則としてそういうことは認めてない、こういう状況でございます。
  238. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その通達なるものが国民の前に明らかにならないので内容的にはよくわからないわけですけれども、考え方として、民間人、だれが偉くて偉くなくて、あるいは特殊法人の関係でも寿長はよくて部課長がどうでとか、そういう判断というのはなかなかむずかしいわけですし、やはりそういう点について、いま読み上げたような有名人、著名人あるいは芸能人、こういう人たちに特殊な恩典といいますか、そういうものがあるからこそいまみたいなKDDの事件が起こるわけだし、あるいは芸能人のそういう問題も引き起こってくるということが考えられますので、ぜひと八こういう犯罪に結びつくような決め方といいますか、そういうものについては今後の問題としてきちんとやっていかなければいけないし、それから過去の問題についても、そこのところはきちんとさせていただきたいというふうに思うわけです。局長の御答弁もお伺いしたいと同時に、大臣のお考えも伺わさせていただきたいというふうに思います。
  239. 米山武政

    ○米山政府委員 いまおっしゃられたとおりだと思います。そういうものは必要最小限度にし、それから、民間人等の立ち入り等については、すでに通達等によりまして、そういうものは先ほど申しましたような趣旨のものに限定するように非常に制限的に運用しておる次第でございます。
  240. 竹下登

    竹下国務大臣 いま関税局長から申し上げたとおりでありまして、私どもも、そのような姿勢で対応すべきものである、このように考えております。
  241. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それから、税関業務というのは検査をするということと同時に、やはり旅客に対するサービスといいますか、これは十分に行われていかなければいけないものだというふうに思うわけですけれども、成田が開港されましてから、先ほどから言われておるように、開披の状況も大分厳しくというがきちんとやられるというような状況の中で、それから便数も大変多いという中で、場所も広がり、現場で働いておられる方々が大変労働強化になっているというような訴えが出されているわけです。こういう問題について、行政改革ということで人を減らすばかりではなくて、やはり必要なところには必要な人員を配置をしていく、こういう必要もあると思いますので、十分調査をしていただいて、そして適切な対応をしていただきたい。このことについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  242. 米山武政

    ○米山政府委員 最近、飛行機を利用して海外に出、また外国から帰ってくる人数というのは非常にふえております。昨年一年で五百万人を超えるというふうな状況になってきております。したがいまして、私ども、できるだけ中の人員のやりくりというふうなことをしまして、そういう忙しいところにはできるだけ他の部門からも回し、あるいは内部事務合理化というふうなことによって人を浮かしたりしまして、そういう点についての重点的配置というものを心がけておる次第でございます。
  243. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 次に、低硫黄燃料油製造用原油について減免制度が昭和四十五年に発足しているわけでございますが、この制度について質問をしたいと思います。  この制度の設立の趣旨というものは公害対策の設備を建設促進をさせるということにあったと承知をしているわけですけれども、この点はいかがでしょうか。
  244. 米山武政

    ○米山政府委員 御指摘のとおり、亜硫酸ガスによる大気汚染対策が非常に叫ばれまして、緊急に何かこういうものに対する対策を講じなければならないという目的のために亜硫酸ガスの発生源となります燃料原油の低硫黄化のために、その設備を促進するために設備の償却費、金利負担等の一部を原油の関税から、その部分についてあらかじめその分を返すというふうな制度を四十五年の七月から創設したわけでございます。
  245. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 現在何基あるでしょうか。それから、そのうち償却済みの設備が何基あるか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  246. 米山武政

    ○米山政府委員 現在、重油脱硫装置は四十三基ございます。そのうち直接脱硫が十一基、間接脱硫が三十二基でございまして、耐用年数の八年を経過したものは五十四年末で十九基、四四二.一%であります。
  247. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 最近三年間の建設基数、これは三基だと承知しておるわけですけれども、この数、それから、これは過去に比較して減っているんじゃないかと考えられるのですが、この点はいかがでしょうか。
  248. 米山武政

    ○米山政府委員 現在の設備の基数を逆に五十二年の方から申しますと、五十三年はいま申し上げました四十二基、五十二年が四十二基、五十一年が四十一基、五十年が三十九基、その前の四十九年が三十二基でございます。
  249. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 それから将来の建設計画について、これは通産省に伺ったわけですが、わかっているだけではあるけれどもということで、しかしはっきりしているのが一基のみというふうな回答があったわけです。ですから、過去三年間の建設基数が三基、しかも将来、いまわかっているだけで一基というような実情である。このことについても大蔵省としては認識しておられますでしょうか。
  250. 米山武政

    ○米山政府委員 これは直接監督官庁でないので私どもよくわかりませんが、六十年末までにあと八基建設の予定があると聞いておりますが、具体的に私ども直接業界から聞いたわけではございませんので、一応そういう数字を持っているという程度でございます。
  251. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 この制度発足以来の減税額を年度別にちょっと言っていただきたいと思うのです。それから最終五十三年度末で合計が幾らになっているか、これをお答えいただきたいと思います。
  252. 米山武政

    ○米山政府委員 減税額を申し上げます。  四十九年から申し上げますと、四十九年が百三十六億三千七百万円、五十年度が百十八億八千九百万円、五十一年度が百二十八億三千二百万円、五十二年度が百二十三億八千八百万円、五十三年度が百一億五千二百万円、これはいずれも年度でございます。五十四年度はまだまとまっておりません。(岩佐委員、「制度発足から、四十五年から」と呼ぶ)申しわけありません。  それでは、四十五年から申し上げますと、四十五年度が二十七億九千五百万円、四十六年度が六十五億二千三百万円、四十七年度が百十七億七千六百万円、四十八年度が百四十一億百万円でございます。四十九年度は、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  253. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 総合計についても伺おうと思ったのですけれども、大体九百六十億以上になるわけですね、九百六十一億近いと思うのですが。このような公害規制のための優遇措置というのはほかに対してはあるでしょうか。
  254. 米山武政

    ○米山政府委員 輸入機械等につきまして、公害防止のためのものに対しまして一部ございますが、これはごく一部でございまして、従来相当多かったものがだんだん廃止されてきております。現在は、公害防止だけでなくて、公害防止兼なんとかというようなものでごく一部あるという程度でございます。
  255. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 今年度の対応になるのですか、昨年、わが党の佐藤議員が参議院の大蔵委員会で質問をしておりますけれども、この中で、大蔵省としてはこの制度そのものについて範囲を縮小していくというようなことで、いわゆる硫黄含有割合を引き上げるという措置をとって、一%から一・三%へ対象原油の枠を狭めているわけですけれども、これは公害規制との問題で実態的にどういうふうな判断をされておられるのでしょうか。
  256. 米山武政

    ○米山政府委員 公害対策につきましては、御承知のように汚染者負担の原則というのがございます。いわゆるPPPの原則と言っておりますが、やはりこういうものは汚染者自身が負担すべきである、こういう原則が確定しつつあります。  それから硫黄酸化物につきまして、環境汚染の状況が非常に改善されてきている、われわれはこういう認識を持っているわけでございまして、いま申しましたような関税の措置というのもできるだけ圧縮していくべきであるというふうに考えているわけでございまして、すでにこの方針でこの制度、低硫黄燃料製造用原油の関税減免制度につきましても、五十二年からそういう措置をそろそろとり出しております。すなわち、五十二年に原油関税が六百四十円から七百五十円に引き上げられた。当然、従来ですとこの引き上げに伴いまして減税率もふやすべきところを、これは据え置いております。また、原油関税が引き下げられたとき、七百五十円から六百四十円にもとに戻ったときに、今度はそのままにしておけば普通でございますが、引き下げの率で減税額を引き下げるというふうな措置をとっております。  また、五十四年につきましては、御指摘のように、対象の原油の硫黄含有量の割合を一.〇から一・三に引き上げております。  来年度の問題、これから御審議いただくわけでございますが、これにつきましても私どもは、いまの含有率の一・三%というのをさらに引き上げる、こういうつもりで現在検討しております。
  257. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 その一・三%をさらに引き上げるということ自体が、公害規制との関係で、一般的に言えば硫黄酸化物の含有量を何か野放しにする、放置するみたいに誤解されるというふうに思うのですけれども、その点は大蔵省としてはどう考えておられるのかということ、これもちょっとさっきの質問で伺いたかったわけです。
  258. 米山武政

    ○米山政府委員 御承知のように、最近、原油をスムーズに輸入するということが非常にむずかしくなってきておるわけでございます。とりわけ低硫黄原油というのは各国引っ張りだこでございまして、なかなか入手しがたい。輸入の中で高硫黄原油というものはこれからだんだん多くなってくるのではないかというふうな感じを持っております。また、現にそういう傾向が出てきておるわけでございまして、そういうわけで私どもは、恐らく日本の輸入者が好んで高硫黄原油を輸入しているわけではございませんが、傾向として高硫黄を含有する原油の量が多くなっているという現状にある、こういうふうに承知をしております。     〔委員長退席、井上(一)委員長代理着席〕
  259. 岩佐恵美

    ○岩佐委員 ちょっと私のいまの質問に対して適切な答えであるというふうに思われないのですけれども、いままでずっと見てきたやりとりの中で、もうすでに償却済みの設備というのが四〇%を超えている実態、あるいは汚染者負担の原則、そういう観点、そしていま財源難であるという点から、やはりこれだけの石油業界という大きな企業が自分の責任において公害規制をやっていく、これは当然の話であります。昭和四十五年からずっと続いていて、もう一千億近いお金が石油業界に支払われている、そういうことでもございますので、ぜひこの制度について、もうやめていくべきではないかというふうに思うわけです。漸次一・三を引き上げて一・五にしたり、あるいは二・〇にしたりということではなくて、この制度そのものの使命がもうすでに終わったというふうに理解をされるので、この点について、私の意見として述べておきたいと思いますし、大臣のお考えを伺わせていただきたいと思います。
  260. 米山武政

    ○米山政府委員 基本的には、先ほど申しましたようにやはり圧縮していくべきだ、こういうふうに考えておるわけでございますが、何分、低硫黄の原油というのがわりあい少なくなっている。もちろん、そういうものについてはどんどん外していきますので汚染者負担原則が貫かれておると思いますが、そうしたものによる低硫黄含有原油が非常に少なくなっている、コストが上がっているとかそういう問題もありますので、一挙にこれをやめてしまうというのはなかなかむずかしい、こういうふうに考えているわけでございますが、基本的には圧縮していくという方向で運用していきたいと思っております。
  261. 井上一成

    ○井上(一)委員長代理 庄司幸助君。
  262. 庄司幸助

    ○庄司委員 最初に、私、政治姿勢で大臣に伺っておきたいのですが、先ほどのやりとり聞いてますと、厚生省から接待を受けた金額が大体一人一晩四万三千円とか四万四千円なんですよ、割ってみたら。これは郵政省当局ともやりとりをやったのですが、郵政省あたりは、社会通念上許されるなんという、こういう考えを持っているのですね。予算編成をなさる大臣、相当苦労もしていらっしゃるわけですが、国民の血税がこういうふうに一人一晩四万三、四千円使われるということは、私はやはりいまの日本の社会通念上、これは許されないのじゃないかと思うのですが、大蔵大臣としてどうお考えなのか、まず第一点伺っておきます。
  263. 竹下登

    竹下国務大臣 庄司さんの社会通念と竹下登の社会通念は大体一緒だと思っております。おっしゃるとおりだと思います。
  264. 庄司幸助

    ○庄司委員 そういう点で、予算の編成をなさる場合、会議費やいわゆる交際費の問題で、ぜひひとつ庶民の社会的通念で組んでいただきたい。それをオーバーするようなものについては厳重に監督していただきたい。このことを要望しておきます。  さて、私、きょうは限られた時間で、地震保険制度の問題をちょっとお伺いしたいのですが、実は一昨年の六月十二日に宮城県沖地震がございました。これは初めての都市型災害で、大変な被害をもたらしたわけですが、このときの地震保険の問題をめぐって相当な物議を醸したわけです。  実は、私が聞いたところによりますと、保険会社の協会で調べたようでありますが、損害調査件数は九百四十件ほどあった。これは被保険者が損害を受けただろう件数、そしてその対象になる地震保険金額は十四億七千万程度だった、こう聞いておるのです。ところが、結局保険会社の有責であると決まったのは、最終的には百八十八件、あるいは一、二件ふえるかもしれませんが。金額にして二億五千八百万、この程度しか支払いの対象にならなかったわけですね。ですから、差し引きますと、件数にして約七百五十件、金額にして十二億二千万円程度が、いわゆる全壊に至らなかったために、制度の関係保険金が受け取れなかった。こういうことで、地震保険の改正がどうしても必要だという当時の世論になったと思うのです。  これに対して別の面で言いますと、農協の建物更生共済、これをやっているのですが、これは相当支払いが早くて、八月の十八日、二カ月後にはもう一万三千九百六十三件、金額で二十億以上払っています。地震保険はあのとおり百八十八件で二億五千八百万です。農協の建物共済は最終的には二十四億円ぐらいになるだろうと言われていますが、この農協の建物共済は制度も趣旨も違いますけれども、地震には相当役に立った。損害も五%程度の損害から支払いをやって、金額も一件当たり千二百五十円なんて細かいのもあるのです。しかし大きいのは七百万程度も払っています。いわゆる支払いの率も非常にいいのですね。そういう点で地震保険制度の改正問題が保険会社の代理店側からも相当強い声になって出てきています。被害者はもちろんであります。  そういう点で、実は地震保険の契約高の問題で大蔵省からちょうだいしたのですが、五十四年の三月末で契約件数は五百四十三万九千件、契約額は七兆八千億円ほどになっている。ところが、こういう保険金を積み立ててまいりまして、いまや八百億円ぐらいになっているわけですが、いますで支払われた保険金の額は制度発足以来三億六千万程度だ。五十三年の伊豆沖と同じ年の宮城沖、この分が二億六千八百万であります。ですから、掛金のわりには非常に支払いが少ない。そういう点で、昨年の六月十四日に保険審議会の答申が出たと思います。答申をお受けになって、法改正、それから制度運営上の改善点もあると思うのです。これは全代連といいまして代理店の集まりからも相当の意見が出ていますが、これをどう具状化する準備をなすっているのか。実は私は宮城直でありますが、被害を受けた宮城県民としては件改正を一刻も早くやってもらいたい。これは恐らく地震におびえている観測区域の方々なんかはいずれもひとしく望んでいるだろうと思うのです。その点で私は、まず第一点として、法改正に当たっては、これだけでは私はちょっと足りないような感じもしますけれども、法案審議の段階でやる問題ですから申し上げませんが、少なくとも答申の骨子はすべて盛り込まれるべきじゃないか、こういうふうに思うのです。法改正の準備の内容、その辺をひとつお答え願いたい。  二番目は、改正案はいつ国会に提案なさるのか、それから、要綱ができているとすればどんな要綱の内容なのか、その辺ひとつ簡潔に答えていただきたいのです。  三番目は制度運営上の問題ですね。これは査定を一方的にするなという強い要望があのときあったのです。あるいはまた、契約に当たって説明不足のため、被保険者が大分怒ったという問題もあります。その辺での説明の問題やら、あるいは共同調査保険会社はやりますが、関東大震災型の地震が発生した場合、東京なんかもろに食った場合、一体調査の要員が充足されるのかどうか、この点が私は心配の種だと思うのです。この辺ひとつお答え願いたいと思うのです。  それから、もう時間がありませんからまとめて質問申し上げます。  最後に私伺いたいのは、例の金融公庫の支店設置の問題でございますが、実は私、いま資料をちょうだいしてみてびっくりしたのです。一つの県に支店が一つしかないというのが七県ほどあるのですね。これは申し上げますと、宮城、山梨、奈良、徳島、香川、高知、佐賀県、あとはいずれも二つないし三つ。私の宮城県なんかの場合は、東北六県で青森が三つあります。秋田が二つあります。岩手が二つあります。山形二つ、福島四つ。人口は宮城県が東北六県ではほぼ最大の県になりつつあるのです。福島と匹敵しております。それから、支店所在地の距離をはかってみても、地域的な状況を見ましても、何ら宮城が一つであるという必要はないのですね。しかも、宮城では前から古川に支店を設置していただきたいという市町村長さんたちの要望もしたはずです。あるいは石巻にもこの要望があるのです。だから、支店設置をこれからずっと継続してなすっていかれるわけですから、ぜひ宮城——宮城だけ申し上げているつもりはありませんけれども、私の地元の県でありますから、ここに支店を増設をしていただきたい、この点、御要望と質問をするわけです。その点ひとつまとめて、それでは事務当局からお答えいただいた後で大臣からもひとつお願いしたいと思います。
  265. 松尾直良

    ○松尾説明員 地震保険制度の問題につきましては、宮城沖地震を契機といたしまして各方面からいろいろな御要望がございまして、御指摘のとおり保険審議会において検討をお願いしてまいりまして、昨年答申をいただきましたので、この答申に基づきまして鋭意作業を進めておる段階でございます。答申の中身には、先生御指摘の法律の問題のみならず、運用のあり方ということも当然いろいろ含まれておるわけでございますので、法律改正とともに運用面の制度改善についても私どもも十分改善を図っていきたい、かように考えております。
  266. 宮本保孝

    ○宮本説明員 国民公庫の支店の件でございますが、国民公庫の支店につきましては、利用者の利便ということと国民公庫側の経営の効率性、この二つの点から公庫側が御選定になられまして私どもに御要求がございます。それに対しまして予算編成過程で私どもがそれをお認めするというようなことになっておるわけでございますが、宮城県の場合、確かにおっしゃるとおり一カ店しかございません。ただ、宮城県の場合には、比較的経済活動が他の県に比べますと仙台の集中度が大きいということ、それから、古川とかいろいろ都市がございますけれども、他の設置されておる都市に比べますと、事業所の数であるとか人口であるとか、あるいは仙台への交通の利便とか、いろいろな点からいいましていまだ設置基準に達していないという感じでもっておくれているのかと思いますけれども、先生を初め地元からも多々御要望もいただいておりますので、今後の検討課題にさしていただきたい、このように思います。
  267. 竹下登

    竹下国務大臣 地震保険の問題につきましては、答申をちょうだいしました趣旨に沿って鋭意検討しておる、こういう段階であります。  それから支店設置の問題につきましては、確かに、私もたびたび参りますが、仙台に集中しておるという状態でございますので、ある意味においては庄司委員がごがまんをいただいたために青森県等が店舗の設置の数から言えば大変住民サービスにその限りにおいてなっておる、こういうふうな理解もできるのではなかろうかというふうに思っております。
  268. 庄司幸助

    ○庄司委員 答弁漏れもあるので……。  地震保険の制度改善、この法案はいつごろお出しになれる目算なのか。つまり今国会にお出しになれるのかどうか、その辺の目算を聞かしていただきたかったのです。  それからもう一つは、いま大蔵大臣から、国民金融公庫の支店設置について、何か庄司委員がごがまんなすったせいかなどという御発言がありましたが、私はがまんがなりかねている方ですから、その辺はひとつ取り消してもらいたいと思うのです。しかも、事業所の集中度合いや何かもありますけれども、住民の利便の問題があるのです。実際、仙台に古川あるいは鳴子町の方から出てくるとなると、鳴子町なんか車で二時間近くかかるのですよ。私は決して山形や何かの問題をあげつらうつもりはありませんけれども、たとえば山形−米沢間は車で三十分です。福島−郡山間だって高速道ができましたから車で三十分であります。仙台−石巻間は五十三キロあります。これも仙石線の朝夕のラッシュが非常にひどくて、あるいは車のラッシュで交通の渋滞が非常に厳しいのです。あるいは気仙沼であるとか、周辺のいろいろな町村、この辺の方がどんなに不便しているか。これは法の前に平等だというたてまえからいっても、他の地域との比較からいっても不公平だ。私はこの点で強く要望したいのです。その点ひとつ、答弁漏れとあわせて大臣から最後に……。
  269. 竹下登

    竹下国務大臣 第一の地震保険の問題でございますが、きょうこれから閣議をやりまして、そして明日の段階で予算関係法案の提出時期、予算関係でない法律案の提出時期、それを決めるわけでございますので、今国会へ提出する方向で検討を進めております。  それから第二番目の問題は、確かに失礼なことを申し上げましたが、国民金融公庫というものが従来、住民サービスという点において、必ずしも人口規模等にとらわれず、やはり政府関係機関でございますから、支店等が設置されておる実情を、私もその資料を見ながら感じておったわけでございます。しかし、いまの御要望の点につきましては、国民金融公庫の方においても検討されておるであろうと思いますが、私どもも大いに関心を持ってその検討を見守りたいと思います。
  270. 庄司幸助

    ○庄司委員 終わります。
  271. 井上一成

    ○井上(一)委員長代理 永末英一君。
  272. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣は、現在のわが国の経済動向はなお引き締め政策を続けなければならぬような状態だとお考えですか、それとも、景気はだんだん上向いてきて大いに資金の需要が起こってきて、これらに大いに資金を手当てせねばならぬというような望ましい状態にあるとお考えですか、御判断をお願いいたします。
  273. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに五十三年度の下期から、民間の自助努力によりまして、景気は逐次ではありますが拡大基調にあることは事実であります。しかしながら一方、海外原油高、円安等から卸売物価の急上昇をもたらして、これが消費者物価へのはね返りというものは警戒を要する状態に来ておることも事実であります。したがって、金融政策といたしましては、なお、いまの引き締め基調を継続すべきである、私はこのように考えております。
  274. 永末英一

    ○永末委員 私は、国債についてきょうお伺いしたいのでございますが、金融が緩んでおりまして金利が非常に下がっておるときは、政府が発行しております国債の時価もまた高い水準を保っておったと思うのです。ところが、昨年から引き締め政策が金融に対してとられて、公定歩合も上がってくる、こういうような状況の中で、一つにはこれと反射的に国債の相場はどんどん下落をしてきておる。国債の相場の下落が、何もこれだけに限りませんけれども、やはり金利とそれから国債が持っておる利子というものとの相関関係国債の相場に対して影響を及ぼしている、私はそう見ます。だといたしますと、引き締め政策が続けられるとしますと国債の価格は高くなりそうにないという判断を大蔵大臣は持っておられますか。
  275. 竹下登

    竹下国務大臣 銀行国債保有高が、いわゆるシ団の保有高が確かに多額に上っておるという印象は私も持っております。したがって、五十五年度においては少なくともシ団引受分は減らさなければならない、そういうような考え方で管理に当たっていきたいと思います。  なお、かなり具体的な管理問題等につきましては、理財局長銀行局長からお答えをすることをお許しをいただきたいと思います。
  276. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣、そんなことを聞いたのと違うのです。それはまた後で聞きますが、私の伺ったのは、経済の現況に対するあなたの判断は、なお引き締め政策を金融政策としては続けねばならぬという御判断でございましたから、その点と国債の相場との相関を歴史的にたどってみれば、金融が緩んで金利の低いときには国債の利子というのはある意味で上質のゲインでございますから国債の価格は上がる。しかし、昨年来引き締め政策に転じられ、そして公定歩合の引き上げ等もあり、金利はどんどん上がってくるということになりますと、国債の利子には魅力がないので国債の相場は一つには下がってきておる。ただし、それだけが原因ではございませんが、基本的なベースの観点からすればそういうことも考えられるとするならば、大蔵大臣国債の相場は上がりそうにないなと思っておられるかどうかということであります。
  277. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり金融機関の引受高そのものが影響も大きくあるところであると思うのであります。したがって、その引受額を総じて減らしていかなければならないということと、それから発行条件というようなものとの組み合わせによってこれを見詰めていなければならない課題であろうというふうに思います。
  278. 永末英一

    ○永末委員 日本銀行の方がお見えだと思いますが、日本銀行は利子率については重大な関心をお持ちであるし、また国債に対しましてはオペレーションをやっておられるわけでございますから、国債の値段についても重大な関心を持っておられるところだと思います。私が申しましたことを聞いておられたと思いますが、その二つの相関について、日銀としてはどうお考えですか。
  279. 中川幸次

    中川参考人 先ほど大蔵大臣が御答弁になられましたように、いまの物価、景気の情勢は、特に石油の大幅な値上がりを基点といたしまして物価が急騰いたしております。それで一月上旬の卸売物価の前年比は一八%という高さに達しておりまして、私どもはこの物価の動向をきわめて警戒しているわけでございます。そういう観点から、当面金融引き締めを堅持する姿勢をあらゆる機会に表明しておるわけであります。ただ、日本銀行が行います金利操作は公定歩合、短期金利でございまして、長期金利とは直接、短期金利が動くからすぐそのまま同じ幅で動くという筋合いのものではございませんが、長期金利あるいはその一つとしての国債金利も金利の一種でございますから、金利全般がこういうふうに上がっている状態、それから金融引き締めを堅持するという観点から申しますと、金利は一般的には当面下がらないというふうに私どもは考えております。  ただ、六・一%ものの国債の値段がどうなるかということは市場での需要がどういうふうに出てくるかとの関係もございますので、私から国債の価格はどうなるということは、ちょっとお答えするのを差し控えさせていただきたいと思います。
  280. 永末英一

    ○永末委員 昭和五十年あたりから国債の保有が大いに金融機関にされるようになりました。先ほど大蔵大臣国債引受シンジケート団のお話ございましたが、銀行国債を持たせている経済的意義を大蔵省はどう考えておりますか。
  281. 竹下登

    竹下国務大臣 一つには、資金運用部資金で引き受けるという物の考え方もございます。が、これはやはり原資におのずから制限がある。しかし、五十五年度にはそちらの方にある程度のウエートをかけていかなければならないようになるというふうに思っております。  それから、いま一つは、確かに銀行の多額な国債保有高というものが本来の銀行業務そのものに幾らかでも支障をもたらしてきて、発行等懇談会などでもそれらに対するいろいろ批判的な御意見も承っておることも事実であります。ただ、私ども大蔵省といたしまして、日本のシンジケート団である銀行そのものの引受能力というものに幾らか甘え過ぎた感があるという反省の上に立たなければならぬではなかろうかというふうには思っております。
  282. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣は、五十五年度発行の国債について、いわゆる金融機関でつくっておりますシンジケート団の引受高が昨年よりも一兆円程度少なくなっておる、それに何か配慮されたような御答弁でございましたが、つまりどうも甘え過ぎている感があるからこれからどんどん減らしていこうというお気持ちですか。
  283. 竹下登

    竹下国務大臣 まあこれをこれからどんどん計画的に減らしていこうということを言えるほどの自信は、率直に言っていまございません。実際問題として、結論から言うと、国債依存度が高いから結果としてそういうことが起こっておるのであって、基本的には発行額そのものを減らすための努力をたゆまず続けなければならないということに決着する議論ではなかろうかというふうに感じております。
  284. 永末英一

    ○永末委員 シンジケート団が国債を引き受ける場合、短期の金融機関、長期の金融機関もございますが、都市銀行を中心にした短期の金融をやっておる銀行等を頭に描きつつ質問したいのでございますが、割り当てられた国債をどういう種類の金で引き受けているのでしょうか。どう大蔵省は御判断ですか。
  285. 宮本保孝

    ○宮本説明員 短期の金融機関におきましては、これは当然一年もの定期預金とか二年もの定期預金とか、長くても二年定期でございますから、考えてみますと、十年ものの国債を長くても二年ものの短期の資金で引き受けている、こういうふうに承知しております。
  286. 永末英一

    ○永末委員 銀行は預金を受けて貸し付けをやっていくのが銀行業務のたてまえでございますが、短期の預金で長期なものを買うということになりまして、そうしてその長期なものが毎年同じように多額におっつけられてくる、こうなりますと、引き受けた国債を売り飛ばさぬと回らぬということになると思いますが、大体一年に、たとえば昨年度からことし、おととしから昨年、資金量、預金量はふえた、そのうちのどの程度までこれらの国債を買うために回していると大蔵省は御判断しておられますか。
  287. 宮本保孝

    ○宮本説明員 五十三年度の数字で申し上げますと、都市銀行と長期信用銀行を合わせまして十兆円の資金量の増加があったわけでございますが、それに対しまして国債は三兆八千億引き受けております。したがいまして約四〇%弱かと思います。
  288. 永末英一

    ○永末委員 国債は四〇%ですが、地方債その他のいろいろな政府関係の債券がございまして、これは全部合わせますとどれぐらいだと算定しておられますか。
  289. 宮本保孝

    ○宮本説明員 政府保証債の数字はございませんが、国債と地方債合わせまして五兆五千億でございますので、預金増加額に対しまして国債と地方債で五二%でございます。
  290. 永末英一

    ○永末委員 政府保証債をのけても五割以上になっておるという御判断のようでございますが、私の聞くところによりますと、この新たにふえた預金量の八割五分以上も使わないとこれは引き受けられないということをやっているところもあるようでございまして、したがって、大蔵大臣がシンジケート団の代表のところに行ってひとつこれを引き受けてくれと言えば引き受けておるようでございますが、さて具体的にそれを引き受けるためには、いままで引き受けておる国債を売り飛ばして、換金をして引き受けているようなところがあると思うのですが、大蔵省の判断はどうですか。
  291. 宮本保孝

    ○宮本説明員 銀行が有価証券を保有いたします場合は、単純に投資物件として保有する場合もございますし、これはあくまでも有価証券でございますので、貸し付けと異なりましてやはり市場がございまして、その売買というものは可能な性格のものでございます。したがいまして、短期の資金を集めまして長期の国債を買っておりまし一も、本来的に有価証券という性格からいいまして売買可能なものでございますので、いわゆる資金が固定してしまっているということは考えられませんけれども、しかし、いま先生御指摘のようなことでございまして、仮に貸し出しの需要がかなりふえてまいります場合には、その有価証券を売りまして資金をつくりまして、それをもって貸し出しをしなければいけない、あるいは場合によりましては、シンジケート団による引き受けが多額に上ります場合には、既存の持っております有価証券を売却して引き受けなければいけない場合もあろうかと思います。
  292. 永末英一

    ○永末委員 いままでこういうシンジケート団が国債を保有した場合に、それを売却したいと思った場合に、一年以内は売ってはならぬ、こういう行政指導がなされておったと聞いております。  さて、日本銀行は別途買いオペレーションをやっているのでございますが、金融機関だけにしぼって申しますと、五十二年度は保有しておる国債の高が十四兆幾ら、それに対して日本銀行が買いオペを実施した額は一億幾らである、五十三年度は二十兆幾らの国債保有を金融機関がやっておりますが、それに対して日銀が買いオペを実施したのは一億二千万円余である、こういうことですか。
  293. 中川幸次

    中川参考人 ただいま先生のお話しの一億というのは一兆のことで、(永末委員「ごめんなさい、一兆です。余り大きいので単位を間違えた」と呼ぶ)たとえば五十三年度で申し上げますと、日本銀行が一兆二千三百四十九億、五十二年度は一兆九百四十一億でございます。
  294. 永末英一

    ○永末委員 つまり日本銀行日本銀行の通貨政策の関係上、買いオペレーションをやられるわけでございます。ところが金融機関の方は、国債を持っておるが、新しい国債を割り当てられた場合に何とかこれは引き受けざるを得ない、こういうことで、一年たったらどんどん売りに出ておるということを聞くのでありますが、そうですか。
  295. 中川幸次

    中川参考人 一年以上経過したものを、特に都市銀行の場合でございますが、預金増加額に対します有価証券の引き受けが非常に多くなっておりますので、そういう債券をかなり多額に売却しているということは事実でございます。
  296. 永末英一

    ○永末委員 いわゆる六・一国債の現在におきます相場は幾らですか。
  297. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 六・一国債の、これは六・一の第十回債だろうと思いますが、一月二十三日の相場が八十五円二十三銭、利回りで申しますと九・二三八、これは上場価格でございます。
  298. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣、いま日本銀行の方から多額の債券を売っているようだという表現を伺いまして、それから、六・一国債の一月二十三日の相場は八十五円である、これを同じように六・一で十年ものを割り当てられますと、たしか九十九円五十銭払っているのではないかと思いますが、もし八十五円で売って九十五円で引き受けているということになると、えらいことですね。そうしておるという認識でありますか、そんなことはないのだという認識でありますか、大蔵大臣いかがですか。
  299. 竹下登

    竹下国務大臣 国債発行懇談会というものに出てまいりますと、いま日銀からのお答えにもございましたが、都市銀行の代表の方からは、国債引き受けの厳しさを絶えず批判あるいは主張を受けておるところであります。したがって、この新しいのを買うために他の有価証券を売りに出すというような行為が行われておることは、私どもも認識の中にはございます。  そこで、私どもといたしましても、まだ現実には決算が行われたわけでございませんけれども、決算で原価法と低価法というような選択を機関にゆだねるというような方法も一つの方法として改善をした、改正をしたということであります。
  300. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣、その改善をしたという話ですが、昨年、十二月十二日ですか、原価法で決算してよろしい、三月決算ですから。さあ、その数字はそうなっているけれども、もし資金が必要だと思ってそれを処分しようとすれば、帳じりは合っても実際に処分すれば時価でいくわけでございまして、改善という意味は一体どういう意味なんだろうか。長期の金融をやっているところな一ら、これが満期になって償還の時期に来るまで抱えておればそれで済みますから、別段いまの時価で毎期毎期の決算をする必要はない。しかし短期の金融をやっておるところで、たとえ原価法でよろしいということでやってみても、資金が苦しくなれば何ともならぬわけです。それを売り放さなければならぬ。売り放せば、自分のところの決算で書き上げた原価では買ってくれないわけでございます。したがって、いままで大蔵省は金融機関に対して、低価法でやれ、決算をしろという指導をしてこられた。しかし、いま何か苦しそうにしておるからというので、どっちをとってもよろしいという選択の方法、自主性を与えられた。改善なんでしょうか、混乱させておるのでしょうか、どっちなんでしょう。
  301. 宮本保孝

    ○宮本説明員 御指摘のように従来低価法ということでやってきたわけでございますけれども、いろいろと考えてみますると、確かに国債の時価が低落いたしまして、それに評価損を立てるというようなことになりますと、これはそのためにいままでの含み益、要するに株式であるとかそういうものの含み益を吐き出しまして決算をしなければいけない。これは考えてみると、低価法も確かに健全経営なんでございますけれども、いまのような状況でございますと、せっかくある含み益をどんどん吐き出してしまう、これはかえって健全性にそぐわないのじゃないかというような点もございます。あるいは、そのためにまた国債を売りに出すというようなことでますます国債の値段を下げてしまうとか、銀行によりましては非常に長く持っておりまして、十年間持ちまして、十年目に償還を受けるという銀行もあるわけでございます。そういう銀行につきましては、年々多額の評価損を出しまして、最後にばっと評価益が出てしまうというようなことになりますと、かえって経理の実態をあらわさないのではないかというようなこともございますので、各金融機関の経営状況あるいは経理状況等に応じまして、それぞれ適切な方法を選択願いたいということでございまして、私どもといたしましては改善した、こういうふうに考えております。
  302. 永末英一

    ○永末委員 最後にばっと評価益が出るようではかえって混乱するではないか——抱えておればそうでございますが、抱えなくてぽんと売り飛ばそうと思うかもしれません。それかあらぬか、先ほど、いままでは一年間は持っておれ、こういう行政指導をしておられたが、一年持っておらぬでよろしい、もっと短い期間で売り飛ばしてよろしいというようなことに変えられそうだ。国債が発行されて、そしてそれが上場される時期ぐらいにはもう売り飛ばしていいんだ。売り飛ばす、言葉が悪ければ、売却してよろしいというようなことに変えられると聞いておりますが、実態はどうですか。
  303. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 私ども国債の発行担当の者といたしましては、金融機関にはできるだけ安定的に国債を保有してもらいたいということを期待いたしておるわけでございます。その意味で最低一年ぐらいは持ってもらいたいという私どもの期待を、いままで金融機関に対して表明しておったわけでございます。これにつきまして金融機関の側からは、保有国債残高も累増しておる、引き受け負担も大きいというようなことで、できれば一年以内であっても売却することを許してくれという御希望があるということは、私ども、十分承知をいたしておるわけでございます。  ただ、そのために国債の市況等に非常に悪い影響を与える、あるいは今後の発行、消化等の阻害要因になるというようなことであってはならないわけでございまして、私どもはそういう期待、希望というものを受けて積極的に検討をするつもりではおりますけれども、いまの段階で、それでは結構でございますというようなことにはなっておらないわけでございます。
  304. 永末英一

    ○永末委員 いま、現段階におけるお考えを承りましたが、先ほど六・一国債の値段が八十五円であるというのは、需給関係で物の値段が定まるとすれば、売りがたくさん出ておるのだ、買い手はないのだという結果、額面百円のものが八十五円になっておると見ざるを得ない。それはどこに原因があるかと言えば、一年たっておるから、持っておるものを売りさばいてでも何とか帳じりを合わそうとしておるのではなかろうか。ほかの公社債あるいは含み資産と言われるものをさばくよりは、国債、一年たったのだから売ろう、こうしている結果ではなかろうか。だといたしますと、その期限をもし九カ月とか八カ月とか短くすれば、より早くその保有されておった国債は売りに出される。いまの御答弁では、せめて一年間ぐらいは持っていてほしい、安定的保有が望ましい。だから安定的でなくなる、こういうことになりますが、いかがですか。
  305. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 おっしゃいますように、売り圧力が非常に強い、一方買い方は買い控えというような市場の状況でございますと、一年未満の国債がどんどん売りに出ることになりますと、それは市況により悪い影響を与えるということになろうかと思いますので、そういう状況下では、なかなかこの期間を短縮していくということはむずかしいのではないかと思うわけでございます。  現在発行いたしております国債は七・七%のクーポンのものでございまして、それに一番近い過去の国債の銘柄は大体八%国債というのがございますが、これの市況は六・一のようなことではございませんで、この一月二十三日には百円を超えたというようなことで、比較的安定した状況に現在なっておるわけでございます。  今後の市況がどういうふうに動くのか、なかなか予見しがたいわけでございますが、一面におきましては、油の問題等が非常に不明確だというようなこと、物価が今後どうなっていくか、あるいは円はどういうふうに動いていくかというようなことで、市場がどうも先行きについての不透明感を持っておるような現在の状況でございますので、ここのところやや安定はしておりますが、もう少し先行きを見たいというのが私どもの気持ちでございます。
  306. 永末英一

    ○永末委員 七・七国債や八・〇というのですか、その国債が、相場が高い、それは当初申し上げたように利子が高いからだと私は思うのであります。  日銀に伺いたいのでありますが、いまのような議論から判断いたしますと、まさに需給関係国債の相場は決まっておるが、日銀が買いオペをやる場合には時価によらざるを得ない、こう思いますが、日本銀行で買いオペをやりますと、それだけお金が出ていくわけでありますので、多額に買いオペが行われればインフレのおそれがあると思われる。こちら側の、銀行保有の国債が出されておるのは、これはもともと銀行が持っておりました預金が化けておるわけでございますから、それだけ新たな貨幣創出にはなりそうにないように思いますけれども、しかしながら、現実にそれがもし現金に変わっていくとしますと、マネーサプライの観点からしますと、やはりインフレを促進するのではないかと思われる。そうしますと、なるほど苦し紛れに一年よりは短い方がと思うところもあるかもしれませんが、全体の通貨政策としては一体どうなんだろうか。その場合に、買いオペレーションというのは貨幣の供給の量を見てやっておられると思います。つまり、それぞれの金融機関が多額の国債を持ってそうして自分の資金ポジションを悪くして苦し紛れに早く売りたいと言っていることと買いオペレーションとは関連し得ないものなのかどうか、御見解を承りたい。
  307. 中川幸次

    中川参考人 日本銀行の買いオペにつきましては、ただいま先生からお話しのとおりでございまして、私どもは金融調節の一環として買っておるわけでございます。したがいまして、金融調節ということから言えば、大体その年におきます金融市場全体としての資金不足程度、長い目で見れば、大体成長通貨の額とほぼ見合っておりますが、その程度の買い入れを、返済プレッシャーのかからないという形で供給するために借りておるわけでございます。銀行券の発行高あるいは資金不足というのは、大体平均いたしますと年間にしまして一兆円ちょっとというところでございまして、ほぼそれに見合って買いオペをしておるわけでございますから、国債が十兆以上も発行されるようなときには当然国債は市中で相当高く保有されるということになりまして、国債発行額と買いオペ額とは直接の関連がないというふうにお考えいただきたいと思います。
  308. 永末英一

    ○永末委員 この辺の経済効果が一体どうなってくるか、われわれも検討いたしておりますが、売買せられる国債の量が多くない場合には大した問題ではございませんが、先ほどから申し上げておるようなことが背景にあって多額の国債が売り出されるとすると、私はやはり相当問題が起こるのではないかと思います。  さて、先ほど大蔵大臣は、資金運用部資金国債を引き受けようということをちょっと言われました。五十五年度は昨年に比べますとより多くの資金運用部資金国債を引き受けられるようでございますが、資金運用部資金でより多くの国債を引き受ける方向に進めるおつもりでございますか。
  309. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 資金運用部によります国債の引き受けにつきましては、一つは国債発行額の問題、それから市中の消化能力の問題、あるいは財政投融資の原資事情、あるいは資金需要というような問題が絡むわけでございます。さらには、経済あるいは金融情勢等の要素もございますので、それらを総合して判断をいたすべき問題かと考えておる次第でございます。
  310. 永末英一

    ○永末委員 もちろん総合ですけれども、この財政審議会の報告書を読みましたら、何が書いてあるかなと思いますと、最後には総合的に判断をして——便利な言葉でございましてね、総合というのは。しかし、方向としては資金運用部資金で引受額を相当ふやしていかなければ、市中消化と言われるけれども、市中の金融機関の国債を引き受ける能力は限界に来ておると私は判断しておるのです。大蔵大臣、まだ余裕があると思われますか、もう限界に来ておると思われますか。
  311. 竹下登

    竹下国務大臣 これは大変むずかしい判断でございまして、私も発行懇等のお話を聞いておりますと、これはやはり総合判断の結果、資金運用部で引き受けるものを少なくとも五十五年度については多くしなければならぬという判断はいたしたわけであります。されば五十六年度以降どうするかということになりますと、いまにわかに判断できる問題ではない。まさに総合的にその都度勘案をして決めなければならぬ問題だ。しかし、率直に言って、お願いすればはいはいと言って気安く聞いていただける状態ではないと思っております。
  312. 永末英一

    ○永末委員 やはり金融機関もこわいのはお上でございますから、大蔵大臣がにこにこして言われれば、にこにこする方がこわいので、はいと言って受けるけれども、だから御用金という説がございまして、痛い。したがって、資金運用部資金、これは零細な大衆資金でございますから、別に日銀が引き受けているわけではございませんので、その金融機関の能力の判定をやはりやられて、そしてその上で考えられるべき問題だと私は思います。  さて、大体問題の発足点は山ほど国債を出すからそうなっておるのであって、ことしは、国債の高が去年より少し少なくなったのでございますが、多量に国債が発行せられましてからちょうど五年目でございます。昭和六十年には、昭和五十年度から多量に発行された国債が償還される十然目に当たる。こういうことになりますと、富士山のてっぺんを越えて下り坂に行くのか、まだ富士山からエベレストに登るのか、この辺の政治的な一つの方向を明確にしていただかなければならぬときではなかろうかと思います。国債につきましては、当初均衡財政をやっておりました四十年代の初めに国債を出しましたときには、財政の国債に対する依存率は五%なんて言っておりました。三、四年前にでんとふやしたときには三〇%だと言っておった。いまやばっとそんなものを九%も超えておるのでございまして、国債依存度とか依存率とかいうたような言葉がそのときには意味ありげに語られたけれども、それは全く意味がなくなっておる。     〔井上(一)委員長代理退席、委員長着席〕 いまや、市中消化ということを言うてきた、それが一体可能なのかどうかを考えざるを得ない。こうなりますと、これからの竹下財政としましては、国債の依存率、依存度というものを一体どのようにお考えか。それはすなわち、たくさんの特例公債が、半分やってきて、これから後いよいよ後半になるというときに一度ぜひ伺っておかねばならぬ問題だと思いますので、お伺いをいたします。
  313. 竹下登

    竹下国務大臣 これは逆に見た物の考え方かとも思うのでありますが、要するに私が大蔵省に参りましたのは十一月九日であります。そのときにはまだ五十四年度の補正予算でもって、自然増収で出たもので減額をしようということが明確に決まっておった段階でなかったわけでありますから、まさに四割近い国債依存度という立場で、一番近いところを考えてみますと、昭和二十年が四二%でございます。あれは戦争の終結した年であります。そのとき率直に感じたのは、やはり四〇%に達すると金を貸してくれる人がいなくなる、逆に言えば国債が売れなくなる、こういう意味で申し上げたわけでございます。したがって、少なくとも当初予算ベースで国債を一兆以上と言いましたが、結局、以上にはなりませんでした。ちょうどになりましたけれども、それをやるということがやはり至上命題だという考え方に立たざるを得なかったわけであります。だから、胸を張って一兆円減額しましたというよりも買ってくれる人がいなくなったものですから減らしましたというような消極的な心境も私自身にはないわけではないわけです。したがって、五十九年までに特例公債からの脱却ということを考えた場合に、一体どのような仕組みでそれを検討していくかということは、なおわれわれ財政当局全体に大きな重圧として残っておる問題である。したがって、いま永末さんが、おまえ、依存度は幾らが適正かと言われたら、幾らでございますと言うだけの自信が私にはいまのところない。もう少し検討の時間をいただきたいというふうに思っております。
  314. 永末英一

    ○永末委員 五十年以降いままで年々国債の発行高はふえてきておる、もちろん全体の財政規模もふえてきておる。その傾向と五十五年度とを比べますと、全体の財政規模は少しふえたけれども国債の発行高は下がったというわけですね。だから山を越えたのかどうかというところを国民が知りたがっているのじゃないか。結果的に買う人がないからということを大蔵大臣はおっしゃったが、政治の方針、財政の立て方の方針として、ともかくこれから六十年へ向けて前年度国債よりは少なく発行していく、そういう予算を組んでいこうという決意の初年度と受け取ってよろしいかどうか。いかがでしょう。
  315. 竹下登

    竹下国務大臣 肩怒らせて、これで決意の第一歩を踏み出したのでありますと言うほど、私も自信過剰ではございません。が、精いっぱいのところで一兆円の減額をしたということを財政再建の第一歩をしるしたと評価していただければ幸いである。したがって、今後もとにかく国債政策というのは発行高が多くてはならぬという基本的な考え方に立って財政運営をしていかなければならないという考え方には変わりありません。
  316. 永末英一

    ○永末委員 政治というのは国民がわかりやすい標識をさっさとそのときどきに与えていく必要がございまして、慎重な竹下さんでございますから、肩を怒らして旗を立てたのではないとおっしゃいましたが、やはり国民によくわかってもらう、すなわち経済の問題は未来に対して相当長期に判断を要求するものでございますので、そういう方面のこともまた必要なんだということをひとつお考え願っておきたいと思います。  これらに関連をいたしまして、銀行側がもし国債を販売して資金ポジションをよくしようとしますと、いわゆる国債銀行における窓口販売の問題が議論をされているわけでございまして、これは銀行、証券それぞれ意見がございましょうが、現段階におきます大蔵省の御意見を承っておきます。
  317. 渡辺喜一

    ○渡辺(喜)政府委員 私ども国債の発行を担当いたします立場からいたしますと、銀行の窓口で国債を売るということが、いろいろ議論はございますけれども、何がしかの国債の販売の促進につながるということでもございましょうから、それははなはだ歓迎すべきことであるというふうに考えるわけでございますが、ただこの問題は国債の販売の促進という観点だけでは律し切れない問題でございまして、それぞれ金融機関の業務のあり方、あるいは公社債市場を今後どういう方向に持っていくべきかというふうな観点等、もろもろの問題が絡んでくる問題だろうと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、単に金融界あるいは証券業界というふうなそれぞれの利害の立場からこの問題を判断していくべきではない、もう少し総合的な、もっと高い観点から今後の公社債市場をどういうふうに育成していくべきか、あるいは今後の金融機関のあり方というふうな総合的な観点から判断していくべき問題であろう、こういうことでただいま検討をいたしておるというのがいまの段階でございます。
  318. 永末英一

    ○永末委員 この問題は、証券取引法には銀行が扱ってならぬとは書いてないわけでございますが、銀行法に積極的に銀行の業務の一端とはなってないことも事実でございまして、銀行国債を保有するのは商売ではなくて、やはり日本の産業が発展、拡大するために資金を集めてその資金供給をやるというのが任務でございまして、もし国債の重圧のために銀行の正常な仕事ができないということになるとこれは本末転倒であろうかと思いまして、いま理財の方からお話を伺いましたが、銀行の方も物を考えているのではないかと思いますから、銀行の御答弁をお願いします。
  319. 宮本保孝

    ○宮本説明員 お答え申し上げます。  銀行業務につきましては、確かに先生御指摘のように産業資金の供給という主な使命がございますけれども、別途やはり公共部門に対する資金供給でございますとか、あるいは個人部門に対する資金供給というふうな重要な使命をもっておるわけでございます。ただ、先ほど来御指摘のように、国債が非常に重圧になりまして銀行のいろいろな業務に支障を来すということになりますと大変でございますので、できるだけやはり個人消化を図ってもらいたいというふうな希望もあるわけでございます。そういう意味におきましては、銀行の窓口で幾らかでも販売できるようになるということを銀行側も望んでおるのではなかろうかというふうな気がいたすわけでございます。
  320. 永末英一

    ○永末委員 両方の話を伺いまして、大蔵大臣、八〇年代というのは、お金の面でもこれはなかなかむずかしい八〇年代でございますので、国債につきましては、初め発行するときにはこんなに何年も続いて多額の発行をしなくちゃならぬとは余り思わなかったかもしれませんが、いまやわれわれはそういう事態に突入いたしております。われわれも十分に検討いたしてまいりますが、あなたの財政の方針の中にこれをどうするのかということをひとつ十分に御検討を願いまして、質問を終わります。
  321. 高田富之

  322. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大蔵大臣にお伺いしますが、陸上幕僚監部第二部別室というのを御存じですか。——ちょっと待ってください。大臣に認識を聞いているのです。
  323. 竹下登

    竹下国務大臣 私が記憶しておりますことは、楢崎委員が予算委員会でその種の質問をなすったことを記憶しておる、現状はその程度の認識でございます。
  324. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実は、いまおっしゃったとおり、これは五十年二月十三日の予算委員会で陸上幕僚監部第二部別室、通称二別と言っておる、これは完全な日本におけるスパイの覆面部隊である、こういうものを承知で大蔵大臣は予算をつけておるのか、これは再検討してこういうものは認めるべきではないと当時私は大蔵大臣に要望したわけです。当時は大蔵大臣は大平さんではなかったかと思います。というのは、今回起こりました宮永等のスパイ事件、これはこの二別と非常に関係が深いわけですから、やはり私が危惧しておったような問題が起こった、こう思うわけです。これは大蔵大臣、五十五年度の予算もついている。大臣には時間があるそうですから、細かいことはおられなくなって後から聞きますけれども、ぜひこれはもう一遍再検討してもらいたいという要望があります。大臣のおられる間に聞いておきたいことだけ先に聞きます。  いま各省庁に公団、公社事業団あるいは特殊法人、一般民間会社から出向しておるのです。高級官僚が会社へ行くのは天下りと言うけれども、これは天上りと当時私は呼んだのです。これが各省庁の重要な会議に参画をしておる。その一例として、たとえば経済企画庁の幹部会でやる月例報告、毎月出しておりますけれども、こういうところの幹部会にも出ておるのです。だから情報がすぐ筒抜けです。われわれが狂乱物価のとき、四十九年問題にした価格調査官、価格Gメンですね。これの事務局にもおるのです。そうすると、何月何日あそこは倉庫を調べに行こうということが決まったら、すぐこれは筒抜けになって情報が漏れてしまうのです。こういうものはおやめなさいと私は要望した。まだ残っております。これは大蔵大臣どういう予算をつけていますか。どういう身分の者として予算をつけていらっしゃるのでしょうか。これを大臣に聞いておきたい。
  325. 竹下登

    竹下国務大臣 具体的な予算のつけ方については吉野次長からお答えをさせますが、いろいろな御指摘を受けて四十八年の十二月の事務次官会議の申し合わせをやりまして、そして、この派遣企業との関係のない職務に従事しておるという形でその後存在をしておる、こういうふうに承っております。
  326. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは、当時非常勤扱い。ところが給料を出す根拠がないのですね。これも後から担当官にお伺いしますけれども、全くやみのような形で金を出している、予算をつけている、そうでしょう、後で細かいことは聞きますけれども。そうして、これがいわゆる産官癒着と申しますか、行政と産業、企業の癒着の一つの大きな根元になっている、一つの典型的な例ですよ。問題になっていましょう、いまいろいろと。行政と企業の——KDDだってそうです。KDDの職員も天上がりしていますよ。だからこういうことはやめなさいと四十九年段階で私は言って、当時の保利官房長官は約束されたのですよ。それがまだいま続いておるのでしょう。なぜこういうことが整理されないのか、そういう姿勢が私は政治の一つの姿勢として問題にされるところであろうと思うのですね。これはぜひ是正をしていただきたい。この問題点、二点だけ大臣の頭の中でテークノートしておってもらいたいと思います。  約束の時間が来たようですから、あと担当官にお伺いをいたします。いまの二点だけひとつ、これは尾を引きますから頭にしっかりととめておっていただきたいと思います。
  327. 竹下登

    竹下国務大臣 テークノートしておきます。と同時に、予算書の提出閣議が参りましたものですから、申しわけありませんが、これで退席させていただきます。
  328. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、あと担当官に問題を詰めていきたいと思います。  この二別の問題ですけれども、現在は、陸上幕僚監部第二部というのは五十三年度ですか、調査部になった、しかし、別室は依然として続いておりますね。——ちょっと時間がありませんから一緒に聞きます。  それで、この別室というのは何で別室と言うか。これは各陸上、海上、航空全部隊がそこに集まっているのですね。一種の独立部隊でしよう。これは一体だれが指揮監督するのですか。
  329. 原徹

    ○原政府委員 おっしゃいますように、昔二別と申しましたのが五十三年の改正で調査部別室ということになって存在をいたしております。これはわが国上空に飛来いたします各種の電波を収集いたしまして、わが国周辺の軍事情勢の把握に努めているわけで、非常に重要な機能を営んでいるわけでございます。ただいまお話しのように、形は陸上幕僚監部に属しておりますけれども、海上自衛隊の関係あるいは航空自衛隊の関係も同じような機能が必要でございますので、これは陸上幕僚監部に一応属しておりますが、海上幕僚監部あるいは航空幕僚監部も一緒になって独立的に運用されているということでございます。
  330. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ここで収集された情報はまず調査部に上げるわけですか。
  331. 原徹

    ○原政府委員 そこで収集されました情報はそれぞれの幕僚監部の必要に応じ、それぞれの調査部に上がるものでございます。
  332. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 しかし、陸幕の調査部の別室になっているのでしょう。だからまず陸幕の調査部に上げるのでしょう。そうじゃないのですか。
  333. 原徹

    ○原政府委員 そこが、海上幕僚監部からも出向いたしておりますし、航空幕僚監部からも来ますものですから、したがいましてその幕僚監部の必要度を調査部別室の方で考えて、それぞれの幕僚監部の調査部に渡しているわけでございます。
  334. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうすると、当然陸幕の調査部にも一その情報は調査部は知り得る立場にありますね。
  335. 原徹

    ○原政府委員 連絡をいたしましたものにつきましては、そういう立場にございます。
  336. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今度のスパイ事件で出てまいりました宮永、大島、香椎ですか、このうち宮永元陸将補、これはこの陸幕第二部、現在の調査部に二十七年から四回ほど、二年ないし三年間、合計したら十年以上、ここに勤務したことがありますね。
  337. 夏目晴雄

    ○夏目(晴)政府委員 御指摘の元陸将補、宮永幸久につきましては、過去、陸上幕僚監部の第二部に御指摘のように四回勤務しております。第一回は昭和二十七年十二月から二十九年九月まで、それから第二回目は三十二年三月から、それから三回目は三十六年八月から、四回目は四十年七月から、御指摘のように四回、陸幕の二部に勤務しております。
  338. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 同僚諸君の聞かれるとおり、このいわゆる二別、別室が収集した資料は、宮永氏は知る立場にあった。もともとこの種の事件というのは、軍備で国を守ろうという体制である限りは当然起こり得る事件なんですね。また、日本側も相手国に対して情報を収集するためにあらゆることをしておると思う。したがって、私は日本の場合に、この種のいわゆる機密とか秘密とか言われるものがどれほどあり得るのかというのは、ぼくらとしても知りたいところですね。そして今度の宮永事件でいままで判明したところによれば、防衛庁の区分から言うと、機密、極秘、秘と、あとは取扱注意ですけれども、そのうちの極秘までが漏れているのですか。機密は漏れてないのですか。
  339. 原徹

    ○原政府委員 ただいま警察の方で調査をされておりますので、私どもで詳細はまだ承っておらないわけでございます。ごく一部の資料につきまして私どもに照会がございましたが、それは秘でございます。というところまでで、それ以上のことはまだ申し上げられる立場にございません。
  340. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 進展ぐあいでどうなるかわかりませんけれども、秘だけであれば大した秘密事項ではない、こういうことになりますね、区分から言うと。  それはともかくとして、この別室というのはエリントとコミントを一緒にやっているのでしょう。このエリントとコミントの差はどんな差があるのですか。
  341. 原徹

    ○原政府委員 コミントと申しますのは、要するにコミュニケ−ションでございますから、通信情報でございまして、エリントというのは電波関係、こういうことでございます。
  342. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 したがって、日本の場合は別室というのはインテリジェンス、情報の中核、そうですね。
  343. 原徹

    ○原政府委員 わが国の防衛にとりまして情報収集機能といたしまして、非常に大事な機能であると考えております。
  344. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 別室というのは、そのまま一つの定員をなして予算をつけているのか、それともここに出向している各自衛隊は親元から給料をもらっているのか、その辺はどうなっているのですか。
  345. 原徹

    ○原政府委員 たとえば陸上自衛隊の定員は十八万でございますが、別室におります者は、その十八万の枠内でこの定員があるわけでございますから、その実際の給料の支給の仕方はちょっとわかりませんが、その予算につけられた定員の人数に応じた予算の配分があるわけでございます。
  346. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大蔵省の方にお伺いしますが、どういう形でこの予算を出しているんですか、どういう認識で。
  347. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 先ほど来防衛局長から御説明がございましたように、この調査別室の機能は私どもといたしましても防衛庁から説明を聞きまして、現在の自衛隊の任務を遂行する上できわめて重要な任務を背負っており、必要であるというふうに考えまして、定員につきましてもあるいは経費につきましてもそれぞれ念査をいたしまして、所要の経費を予算化させていただいております。
  348. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいま五十二年度の予算の決算をやっておるわけですが、五十二年度の二別の予算はどのくらいで、そのうち給与がどのくらいになっておるか、お知らせ願いたい。
  349. 原徹

    ○原政府委員 給与は全体計算でやっておるものでございますので、ちょっといま手元にございません。  しかし、その他の維持費、それから施設費、機材費等含めまして五十二年度が約十六億円でございます。
  350. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 四十九年段階から二倍近くふえているんですね。中身としては急膨張しているわけですね。そしていまもわからぬとおっしゃる。わからぬところに問題があるのでありまして、給料がどういう形で払われているのか。つまり、いま若干、エリントとコミントと言いましたけれども、中身はさっぱり明らかになっていないんですよ。つまり、完全なスパイの覆面部隊でありまして、だからこういう点は、国会でわれわれ調査権がありますから、これは時間がありませんけれども、明確にしていっていただかないと、こういうことをやっておる限りはあの種の事件が起こるのですよ。  それから、これも私は前代未聞だと思うが、世上的に言えば、国を守る人が国を売ったなんて言われておる。しかし、そのほかに、本来この種の問題を扱うのは調査隊でしょう、別に捜査権を持った警務隊がおるでしょう。それなのに何で外部の警視庁から初めてやられたのですか、どうなっているのです。しかも、この二別の中には、たしか五十一年か五十二年度まで内閣調査室あるいは警察庁から行っておったでしょう、出向しておったでしょう。その人たちは一体、何をやっておったのです。  とにかくこれはまことに複雑怪奇でありまして、いま一つ私は問題を提起しておきますが、防衛庁は今度の三名だけとお思いですか。つまり、いま三名は調べられているけれども、ほかにもおるのじゃないかという点については、調査隊なり警務隊は動いておりますか。それをお伺いしておきたい。
  351. 原徹

    ○原政府委員 今回の事件につきましては本当に申しわけないと思います。それにつきまして、外からの働きかけがあった場合の情報収集は御指摘のように調査隊でございまして、それが発見できなかったことはまことに遺憾なことでございます。調査隊はそういう趣旨で絶えず活動を続けておるわけでございますから、もしそういう不心得な者がおれば、これは絶えず調査をいたしておるわけでございます。しかし、まだそういうことで別にあるということは承知をいたしておりません。
  352. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が聞いているのは、今度三名挙げられたけれども、いまそのほかについて調査していますかということを聞いているんですよ。
  353. 原徹

    ○原政府委員 調査隊の任務がそういう外部からの働きかけに対する情報を収集するのが任務でございますから、その任務に従って毎日仕事をしているわけでございます。
  354. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの答弁を聞いてわかりますか。今度の事件について調査隊は動いていますかということを言っているんですよ。
  355. 原徹

    ○原政府委員 今度の事件につきましてはただいま警察でお調べになっておりますわけでございまして、そういう事件になりました場合の防衛庁の中の体制は、これは警務隊がやるわけでございますが、ただいまの段階は警察の方でお調べでございますので、警務隊はこれに協力する体制にあるわけでございます。
  356. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 残念ですが時間が参りましたから、私は予告なり警告をしておきたいと思います。  あの三名だけではありませんよ。これは最も適当な機会に明らかにしたい。あの三名だけは公安部が持っていった。あと警務隊なり調査隊がじっと、てれっとしておったら大変なことになりますよ。警告だけしておきます。  以上で終わります。
  357. 高田富之

    高田委員長 森下元晴君。
  358. 森下元晴

    ○森下委員 私は、国債の問題と税金徴収の問題、それから家具の物品税の問題について御質問をしたいと思います。  国債の問題は、先ほどから各委員から非常に詳しく御質問また御答弁がございましたので、なるべく重複を避けまして御質問したいと思いますので、ひとつ簡明にお答え願いたいと思います。  この五十五年度は財政再建元年であると言われておるわけですが、なぜ財政を再建しなくてはいけないか、そのよって来るべき原因はたくさんあると思いますけれども、国債を大量に毎年発行いたしまして、その累計残額が五十五年度末には七十兆以上に達せんとしておる、こういう情勢下でございまして、財政当局は財政再建のために国債問題をどういうふうに御処理なさるのか、将来計画につきまして、時間の関係で簡単で結構でございますから、まずお答えを願いたいと思います。
  359. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 私ども当面の財政の再建の目標といたしましては、先ほど来も御議論がございましたが、とりわけ不健全で問題が多いと考えられますいわゆる特例公債の依存からできるだけ早く脱却をいたしたい。少なくとも、五十年度から特例公債を発行し始めているわけでございますが、その最初の五十年度発行の特例公債の償還期が六十年度に到来をするということも踏まえまして、その償還の余力を財政が持つためにも、その一年前でございます五十九年度には特例公債の発行をゼロにいたしたい、そういう目標を置きまして当面の財政運営をやってまいりたい、かように考えております。
  360. 森下元晴

    ○森下委員 国債というものは、どの株式よりもまた社債よりも権威がなくてはいけないし、物価に関係なしにその値打ちを保つことによって、また金利を保証しながら、国民に将来の国家の信用というものを常に持ち続けていただくのが私は国債であらなくてはいけないと思います。ただいま発行されております国債は、市民に販売しておらない、市場性のない、特定の金融機関に限られた、いわゆる統制的な金利体制の上に立っておりまして、先ほどから関係の質問、答弁を聞いておりましても、心配なのは、最後には、引き受け手がなくなった場合に日銀が買いオペに入りまして、結局は一万円札を大量に発行することによって、印刷することによってこれを処理していこう、つじつまを合わそう、そういう極端な考えでございますけれども、大インフレにつながるような結果にならないような処置を第一にとってもらいたいと私は思います。  過去の歴史を見ました場合に、一九六〇年代は池田内閣のいわゆる所得倍増経済成長で、これは非常に成功しております。油の事情等を見ましても、大体五年で倍、十年で四倍、それぐらいの油の消費量に比例いたしまして、日本の経済も倍々ゲームで成長しております。だから自然増収もどんどん入りまして、秋の臨時国会では大盤振る舞いができるほど補正予算が組めた。この時代は結構でございましたけれども、これが一九六〇年代でありました。それから、七〇年代に入りまして、まずドルショックで三百六十円レートが崩れてきた。しかし、これはうまくこなしましたけれども、ここらあたりから大体注意しなければいけなかったわけでございますけれども、これがオイルショックにつながりまして、いわゆる混乱の一九七〇年代であったわけであります。それから、いよいよ一九八〇年代、この年代が非常に明るい見通しであるのか、そうでないのか。私は余り明るい見通しでない。内外情勢を見ましても、一九六〇年代のような経済成長が年間一二%、五年間で倍々といくような情勢には決してない。したがって、自然増収も普通の状況では得られにくい。だから、国債の償還もなかなかむずかしい、実はそういう感じを持っております。  しからばどういうかっこうでこの国債償還等再建のための計画をするかということになりますと、結局は増税で償還をしていく方法、いわゆる増税で財政をできるだけ健全に賄っていく方法、もう一つは、いわゆる調整インフレというのですか、私も詳しいことはわかりませんけれども、日銀券を大量に発行してインフレの中で、ちょうど戦時中の国債発行のように、結局は気がついてみると紙切れになっておった、実はこういう心配をするわけでございます。財政当局はそういうことは絶対ないようということでやっていると思いますけれども、私はその二つの心配をしております。  もちろん、現在のところは増税の計画はないようでございますけれども、昨年あたりから、ちらちらと一般消費税の問題とか、また農民からも税金をいただかなくてはいけないとか、いろいろ増税の必要性がささやかれましたが、いまの国民的な空気の中では、増税というものはタブーになっておる。私は非常にむずかしい情勢の中で、この二つの方法以外に何かいい方法があるのかないのか、それについてお答えを願いたいと思います。
  361. 吉野良彦

    ○吉野政府委員 先ほど、少なくとも五十九年度には特例公債から脱却をしたいという目標で財政運営に当たっているというふうに申し上げました。それからまた、昭和五十五年度の予算は、これも先ほど来御論議がございましたように、前年度予算に比べましてともかくも一兆円の公債を減らすことができた、そういう意味で再建の第一歩を踏み出したというふうに考えているわけでございます。しかしたまたま、これも先ほど大臣が申しておりましたように、五十五年度は四兆数千億に上る税の自然増収があったことによりまして、先ほど申しました公債の一兆円減額ができた、税の自然増収が非常に大きな寄与をしているということを私ども率直に認めたいというふうに考えております。  そこで、五十六年度以降五十九年度まで、もう三年間しかないわけでございます。五十六年度以降の財政事情あるいは財源事情、これは将来のことでございますので的確なことは申し上げられないわけでございますが、いずれにいたしましてもただいま先生も御指摘ございましたが、従来のような高度成長は望むべくもないわけでございますから、昭和五十五年度にありましたような多額の自然増収が今後二年も三年も続くということは、私どもはとうてい期待できないであろう、また期待すべきでもないであろうというふうに考えております。  そういう厳しい財源事情のもとで、ともかくも特例公債から脱却をしていくことは、きわめて容易ならざることかと存じます。そのための方法は、端的に申し上げますれば二つあるいは三つしかあり得ない。一つは、自然増収だけに頼ることはできないといたしますれば、やはり一般的な租税負担の引き上げを考えていかざるを得ない、それは一つの方法かと存じます。もう一つの方法は、また逆に極端な考え方でございますが、ある与えられた税負担のもとで可能な行政サービスの水準にまで、表現は悪うございますが行政サービス水準のある程度の低下にも耐えていただくということがもう一つの選択の道かと思います。現実問題といたしましては、あるいはその二つの組み合わせということになろうかと存じますが、いずれにいたしましても、ある意味できわめて厳しい選択の道を探していかなければならない、かように考えております。
  362. 森下元晴

    ○森下委員 非常に厳しい道を歩まなくてはいけない、そのとおりだと思います。年々六・三%、またはそれ以上の経済成長率がなければその計画はなかなか達成しにくい、このように実は思っておるわけです。それと行政改革とか行政整理、できるだけ冗費を節約して、特に三K赤字のようなものを整理することによって財政再建のための一つの施策ともしなければいかぬと私は思います。  いまお話がございました自然増収でございますが、一九六〇年代の自然増収は、先ほど申し上げたとおりで、これはいい意味の自然増収だったと思うのですが、私、これからの自然増収というのは、増税はやりたい気持ちがありましても非常に抵抗がございまして、これはなかなか簡単にできにくい、したがって、この自然増収というものが非常に無理な徴税につながっていくのじゃないだろうかというふうに実は考えるわけなのです。卑近な例でございますけれども、ちょうどぬれタオルと同じように、しぼればしぼるほど水が出るというような税法の運営による税収の増加であってはいけないわけでございますが、国税当局にしても、やはり少しでも努力して税法の精神を損なわない程度に税収を上げていこう、これはお役目柄当然でございます。不公平税制を改正するとか、またいろいろ徴収漏れとか申告漏れとかそういうものに特に目を光らせまして、税の公平を図りながら税収を図っていくことは当然でございますけれども、それが徴税の精神が余り行き過ぎて納税者に不信を抱かすようなことになりますと、せっかくの民主的な徴税機構、いわゆる税務行政と言われてきたのを損なってはいけないと私は思います。その点、特に御注意を申し上げたいと思うわけなのですが、そこで、財政再建のために国税庁がそういう意味で徴税強化を図っているのではないかということを、国税庁の方からひとつお聞きしたいと思います。
  363. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃるとおり、税法を適正に執行いたしまして円滑な財政収入の確保を図ることがやはり税務行政の一つの課せられた使命である、このようには確かに思っております。ただ、現在どのようにいたしておるかと申しますと、申告納税制度左たてまえとする現行制度のもとにおきましては、税務行政がひとり走りすることは決してできない。やはり納税者の皆さんの適正な理解と協力によって、これが円滑な税務行政のためには絶対必要だ、このように考えております。したがいまして、現在のやり方と申しますのは、基本的には納税者の方々を指導していく、こういうことをたてまえとしながら、他面必要な調査を実施しているというのが現状でございます。こういう意味から申しますと、われわれといたしましては、自然増収が多いからといって執行を緩めたり、あるいはまた財政再建を図らなければならないからといって執行を強めることによって税収をふやす、こういうふうなことは基本的には考えておりません。そういうことをやりますと、やはり執行がもちません。したがいまして、われわれといたしましては、四囲の状況にかかわりなく常に最善を尽す、適正公平な課税を実現するために全力を常に尽くしている、こういうたてまえで行っているつもりでございます。したがいまして、財政再建の重要性は十分承知しておりますが、それを徴税強化によって実現するという考え方はただいまのところ全く持っておりません。
  364. 森下元晴

    ○森下委員 そのとおりであれば結構でございます。やはり課税、徴税はまず公平でなくてはいけないし、国民から信頼される趣旨に基づいて行政をやっていただきたい、このように実は思っておるわけでございます。  そこで、たとえば所得税法第十二条とか、法人税法第十一条実質課税の問題とか、それから法人税法百三十二条の「同族会社等の行為又は計算の否認」というような問題がございますね。これは先ほど隣に皆さん方の先輩でございます津島雄二君がおりまして、私話したら、実はちょうど私の課長のときにやったのだというようなお話がございまして、これはこの中小企業関係の同族法人をつくったときに、個人よりもできるだけ法人化をして、そしてガラス張りでやってください、いろいろ恩典も与えますよというときにつくった同族行為計算の否認等は、伝家の宝刀としてできるだけ抜かないようにやろうじゃないかというようなやりとりも実はあったようでございまして、たとえば法をつくったときの精神は非常にあたたかいものがございましても、それを執行する面で余りにも機械的にやられますと、せっかくの法の精神がなくなってしまう。言うならば、青色申告はやりなさい、またできるだけ同族の法人もつくってくださいといいながら指導してやりながら、ある時点に来て、そのガラス張りで全部資料を集めたものに対して一々否認していくとか、それを資料にしていわゆる徴税強化をやられると、後々国民、納税者は税務当局、また税務行政を信用しなくなるであろう、こういう危惧を私は持っておるわけでございまして、こういうことがないように御配慮を願いたい。そうして公平でしかも効果的な徴税をやってもらいたい、このように思っております。  それから、これからも非常に徴税、課税が複雑多岐になりまして、特に法人化が進んでおりますから、個人では仕事も忙しいとか税の知識がないためになかなかできない場面が非常に多くなります。それからいずれ将来、多少増税の方向に行かざるを得ないのじゃないだろうか。今年、来年と限定するわけではございませんけれども、そうしないとなかなか財政的にもうまくいかない点がございますから、そうなりますと、その間に立っていろいろお世話する税理士さんのような方がかなり必要でございます。また税理士の質の向上も必要でございます。幸い税理士法がまさに法案化されようとする時点になっております。われわれもこれに賛成しております。税理士の権威を向上したり、または納税が国民に理解されて公平に行われる、その世話役としての税理士の地位の向上、これは非常に結構でございますので、一日も早くこれが通るようにしていただきたい、このように思っております。  私、質問をできるだけ早く終わりたいと思いますので、あと物品税の問題を申し上げたいのですが、物品税の関係の方は第二課長さんですか、おいでになっておりますか。——実は物品税の問題は御承知のように非常に地場産業に関係しておりまして、いま地場産業が非常に沈滞して困っておるわけなのです。私の申し上げる家具というのは、大体たんすとか、たな物類、机及びいす、テーブル、長いすその他のいす及び腰かけ類ですが、これには免税点がございます。免税点も非常に低いのですが、われわれが陳情を受けておりますのは、昭和二十六年以来何と二〇%の高率の物品税がずっとかかりっ放しになっておる。免税点にいたしましても、たとえばたんすの例をとりますと、九万一千円が現行の免税点であります。木材とか製品をつくるための原料資材が非常に高騰しておる折に、免税点が非常に低いわけでございます。しかも、それは根っこから二〇%になりますから、結局家具業者にとりましては物品税が非常に生産意欲を減退せしめておる、こういうことで、私もほかの物品税関係をいろいろ調べてみますと、大体物品税は過去廃止をしたり、非常にパーセントが減っております。たとえばミシンなんか、初め、昭和二十一年四〇%が二十五年一〇%、二十六年には廃止になっておるとか、それから書画骨とう類にしても、二十一年には二〇%、二十五年には一〇%、そして三十七年には廃止になっておる。これを見ますと、家具だけが二十六年以来二〇%で据え置きされておる。建築様式を見てもすでに洋風化されまして、家具はぜいたく品でない。しかも日常生活品化されまして、ぜいたく品でないにもかかわらず物品税が取り残されておる。これはひとえに政治的な運動が足りないのか熱意が足りないのかわかりませんけれども、各木工家具の産地におきましてはこの問題が常に起こりまして、地元の税務署との間でトラブルとは言いませんけれども問題が起こっておる。たとえばたんすの場合は、新潟県の桐のたんすは百万円でも二百万円でも物品税は要りません。そこで業者はいろいろ考えまして、コアとして桐を中へ入れまして、そして桐だんす、五〇%桐材を使っております、そう言って免税をお願いしておる。これはちょっと変則なことでございますけれども、こういうことでいろいろ問題があるわけなんです。  要は、私が申し上げたいのは、物品税の税率をここらで見直して下げていただくか、免税点を少なくとも倍以上に上げていただくか。大体このたんす類にしても、物品税で徴収する額は余り多くないように聞いております。それよりもむしろ、物品税を撤廃するとか率を下げるとか、また免税点を上げるかによっていい物をつくらせて、所得税でいただく方が税収はふえるんじゃないだろうか、そういうように実は感ずるわけですね。この点、過去においてもいろいろ陳情もございましたし、そういう種類の質問もございましたので、関係の係官からお答えを願いたいと思います。
  365. 梅澤節男

    ○梅澤説明員 ただいま森下委員から家具に対する物品課税の問題について御指摘があったわけでございますが、御承知のように、現行の物品税は個別消費税の体系をとっておりまして、法律で定められました品目に限定いたしまして課税をされるわけでございます。物品税につきましては、ただいまもお話しありましたように、昭和二十年代、三十年代にかけましてずっと変遷があったわけでございますが、現在課税される品目が六十八品目ございます。そのうち三十九品目につきまして免税点が設定されております。  また、ついでに申し上げますと、現行の物品税の仕組みと申しますのは、ただいま申しました六十八品目のうち免税点を定めている品目のほかに、一種物品、それから二種物品を通じまして、税率で申しますと五%から三〇%の刻みで延べで七つの税率の区分になっておるわけです。六十八品目につきましてそれぞれ免税点と税率区分の細み合わせということで一つの現在の物品税の体系ができ上がっておるわけであります。  そこで、御指摘になりました家具の問題、とわわけたんすの問題かと存じますけれども、現在の免税点はただいまおっしゃいましたように九万一千円。これは製造段階の課税でございますので、小売段階で換算いたしますと、大体小売価格十五万前後ぐらいのもの以上に物品税がかかってきておるということになろうかと思います。そこで現在のたんすなり寝台なり机、テーブルといいました家具に対する免税点の水準でございますけれども、この免税点の水準につきましては昭和四十八年、四十九年の改正で大幅に引き上げたわけであります。特に家具類につきましては、ただいまのお話にもございましたように、日常生活用品的な性格が非常に強うございますので、先ほど申しました三十九の物品の免税点の水準をずっと比較していただきますと、家具の免税点の水準は相対的に高い水準で設定されておると私どもは考えておるわけであります。ただ、たとえば御指摘になりました桐でつくった家具とかあるいは漆塗りの家具は価格が高くても物品税はかかっていないという、その権衡の問題でございますが、これも御案内のとおり、桐の家具とか漆の家具といいますのは、手工業製品と申しますか一品作品的製品と申しますか、とにかく一品ごとに非常に長い時間をかけて手工業的手法でつくられる。したがいまして、でき上がりましたものは、市場価格は高うございますけれども、手づくりの期間ということでかなり長いという問題がございます。  同時にもう一つ、現行の税制で桐製なり漆塗りを外じておりますのは、ただいま申しましたそういう手工業技術の背景にありますものが日本の伝統的技術の流れをくむものである、そういう伝統技術の保存といったような観点も加味されまして課税物品の対象から外しておるというのがいまの制度の考え方でございます。したがいまして、桐製とか漆塗りと、いわゆる一般の機械工作でやられておりますたんす類とは同列には論じることはできないのではないかというふうに考えております。  ただ五十五年度の税制改正の過程におきまして、ただいま森下委員から御指摘になりました点も含めまして物品税の軽減あるいは免税点の引き上げとか税率の引き下げ、いろいろ問題がございました。私どももずいぶん内部で議論もし、税制調査会でも御議論願ったわけでございますけれども、税制調査会の御審議の結果は、答申にもいただいておりますように、現在の財政事情のもとでは五十五年度に税負担減少を伴うような措置をとる余地はないというふうな御結論もいただいておるわけであります。たまたま、たとえばたんすだけについて、あるいは免税点を引き上げたり税率を下げたりという措置をとるのはいかがかということも検討の課題にはしたわけでございますけれども、冒頭に申し上げましたように、現在の物品税の体系というものは、多数の物品につきましてそれぞれその物品の性格に応じました免税点なり税率区分にはめ込みましてそれ自体一つの体系をなしておるものでございますから、ある特定の物品につきまして免税点を引き上げたりあるいは税率を引き下げたりという作業では済みませんで、全課税物品についての体系の見直しということが必ず連動して起こってまいります。五十五年度の予算におきまして物品税全体といたしましては約一兆二千億円の規模の税収を持っておる税目でございますので、先ほど申しましたように、今後の検討課題として私どもも引き続き勉強はさせていただきますけれども、五十五年度の改正はひとつそういう事情で措置できなかったということを、何とぞ御了解を賜りたいと思います。
  366. 森下元晴

    ○森下委員 物品税総課税額に占める家具物品税額は、非常に低いのですね。一%ぐらいなんです。一%でも横並びがあって、そう簡単に率を変えるわけにいかないとおっしゃることもわからぬことはないのですが、とにかく木製家具製造は全国で一万三千事業、かなり大人数のように思われるのですが、九〇%が従業員二十名以下なんですね。われわれ回っていきましても。中というよりもむしろ小零細企業群によって構成されておる。このたんすの九万一千といいましても、本当に労務者の賃金プラス資材費だけでそれぐらいになっちゃうんですね。これ以下のたんすなんかといったら、ほとんど問題になりません。少なくとも娘を嫁入りさせるためには、二十万、三十万ぐらいのたんすを持たしてやりたい。鏡台は要らないのですよね。これもおかしいです。鏡台の方は要らない、たんすが要る。しかも先ほどおっしゃったように、新潟県とか香川県の漆のたんすとか桐のたんすは要らない。総理大臣が出たから要らないのかどうか知りませんけれども、そういうわけですね。われわれは一生懸命そんなことはありませんよと言いますけれども、そういう冗談めいたことも言われるほど、たんすに対しては、どうもバランスが崩れておる。やはり税率の公正を図る上に、私はこのたんすについて見直してもらいたい。伝統工芸といいますけれども、ほかに、スチールなんかにももちろんかかっていないのがたくさんございますね。だから、過去は過去といたしまして——私も税調の方へ申し込んだのですが、実はなかなか話が通じなかったということもございます。税調で通らないと税法の改正ができないというのも、何かおかしな感じで、私は、正しいことであれば税調がどう言おうと、御当局が勇気を持ってひとつ見直しをしていただきたい。この木工家具類、現状から考えて地場産業でも非常に中小零細企業でございますし、非常に悩んでおりますし、政治連盟を大々的につくって応援できるような大きな団体でございませんので、そういう小さな声でありますけれども心からの叫びである、これが今後の改正につながるようにお願いをいたしまして、私の質問はこれで全部終わります。どうもありがとうございました。
  367. 高田富之

    高田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十三分散会