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1979-12-21 第91回国会 衆議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年十二月二十一日)( 金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 津島 雄二君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 永末 英一君       天野 光晴君    石田 博英君       小里 貞利君    金丸  信君       白浜 仁吉君    東家 嘉幸君       羽田  孜君    原 健三郎君       上田  哲君    藤田 高敏君       春田 重昭君    岩佐 恵美君       春日 一幸君    楢崎弥之助君       田中 角榮君     ————————————— 昭和五十四年十二月二十一日(金曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 高田 富之君    理事 井原 岸高君 理事 津島 雄二君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 林  孝矩君 理事 庄司 幸助君    理事 永末 英一君       天野 光晴君    石田 博英君       小里 貞利君    東家 嘉幸君       藤田 高敏君    春田 重昭君       岩佐 恵美君    楢崎弥之助君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 大西 正男君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)伊東 正義君  出席政府委員         法務省刑事局長 前田  宏君         厚生政務次官  今井  勇君         厚生省環境衛生         局長      榊  孝悌君         郵政大臣官房長 小山 森也君         郵政大臣官房電         気通信監理官  寺島 角夫君         郵政大臣官房電         気通信監理官  神保 健二君         郵政省郵務局長 江上 貞利君         郵政省貯金局長 河野  弘君         郵政省簡易保険         局長      浅尾  宏君         郵政省電波監理         局長      平野 正雄君         郵政省人事局長 林  乙也君         郵政省経理局長 守住 有信君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  佐野 国臣君         大蔵省主計局司         計課長     石井 直一君         大蔵省主計局給         与課長     日吉  章君         郵政大臣官房首         席監察官    吉田  実君         自治省行政局選         挙部選挙課長  岩田  脩君         会計検査院事務         総局第二局長  藤井健太郎君         会計検査院事務         総局第五局長  小野光次郎君         日本電信電話公         社総裁     秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   好本  巧君         日本電信電話公         社監査局長   小澤 春雄君         日本電信電話公         社職員局長   坂部 政夫君         日本電信電話公         社経理局長   小川  晃君         日本電信電話公         社建築局長   小野 哲男君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     救仁郷 斉君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    沢村 吉克君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 十二月二十一日  会計検査院法の一部を改正する法律案新村勝  雄君外三名提出、第九十回国会衆法第一号)  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十二年度政府関係機関決算書  昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (郵政省所管日本電信電話公社)      ————◇—————
  2. 高田富之

    高田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  すなわち、決算の適正を期するために、本会期中において  一、歳入歳出の実況に関する事項  二、国有財産増減及び現況に関する事項  三、政府関係機関経理に関する事項  四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項  五、国又は公社が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計に関する事項 以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会設置及び資料の要求等方法によりまして国政に関する調査を行うため、議長の承認を求めることにいたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 高田富之

    高田委員長 昭和五十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、郵政省所管及び日本電信電話公社について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本住宅公団理事救仁郷斉君、日本放送協会理事海林澣一郎君、以上の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 高田富之

    高田委員長 それでは、郵政大臣から概要説明を求めます。大西郵政大臣
  7. 大西正男

    大西国務大臣 一般会計郵政事業特別会計郵便貯金特別会計及び簡易生命保険及び郵便年金特別会計昭和五十二年度決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  一般会計歳出予算現額は、二百九億三千七百九十九万余円でありまして、これに対する決算額は百九十五億五百四十万余円となっております。  郵政事業特別会計歳入予算額は、二兆九千三百三十八億九千五百七十四万余円、歳出予算現額は二兆九千五百四十億六千二百三万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二兆八千五百七十五億一千九百三十一万余円、歳出では二兆八千二百十五億五千百六十一万余円となっております。  この中には、収入印紙等の売りさばきによる収入及びこれらの収入関係法令に基づき他の会計へ繰り入れる等のため必要とする支出借入金建設費等資本的収入支出が含まれていますので、これらを除きました事業運営による歳入歳出は、歳入では一兆五千五百九十二億八千十五万余円、歳出では一兆五千三十三億三千八百三十六万余円となっております。  郵便貯金特別会計歳入予算額は二兆六千九百三十五億九千九十一万余日、歳出予算現額は二兆七千百七十七億一千七百二十二万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二兆七千百七十七億一千四十九万余円、歳出では二兆七千百七十七億一千四十九万余円となっており、歳入歳出差額はありませんでした。  簡易生命保険及郵便年金特別会計につきましては、保険勘定歳入予算額は二兆六千四百八十九億二十万円、歳出予算現額は一兆二千六十億二千七百七十七万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二兆六千五百三十二億四千四百五十四万余円、歳出では一兆一千二百十三億三千九百三十九万余円となっており、差額一兆五千三百十九億五百十五万余円は法律の定めるところに従い積立金として積み立てることといたしました。  年金勘定歳入予算額は二十六億十一万余円、歳出予算現額は二十六億十一万余円でありまして、これに対する決算額は、歳入では二十一億一千七百二十一万余円、歳出では二十一億一千七百二十一万余円となっており、歳入歳出差額はありませんでした。  最後に、会計検査院昭和五十二年度決算検査報告において不当事項として、不正行為十件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種事例発生未然に防止するため、より一層指導監督の徹底を図る所存であります。  このほか、改善意見を表示されたものが一件あり、これにつきましては、表示された意見に掲げられている各種改善方策の趣旨に沿って、所要の措置を慎重に検討いたしておるところでございます。  以上をもちまして、昭和五十二年度決算概要についての説明を終わります。  引き続きまして、昭和五十二年度日本電信電話公社決算について、その概要を御説明申し上げます。  昭和五十二年度は、去る昭和五十一年十一月以降実施された電信電話料金改定の影響が、初めて全事業年度に及んだこと等により、収支状況は大幅に改善され、損益計算上、四千三百八十九億九千七百六十八万余円の当期利益金を計上するところとなり、四年ぶり黒字決算となったところであります。  収入支出決算内容を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済額は、三兆三千七百十二億九千七百四十三万余円で、予算額に比べ三百六十四億八千九百五十六万余円の減収となりました。一方、支出済額は、三兆三千三百六十二億三千百九十八万余円でありまして、支出予算現額三兆四千百十三億二千八百十九万円に比べ七百五十億九千六百二十万余円下回りました。  次に、資本勘定におきましては、収入済額は二兆三千三百三十五億二千四百五十五万余円、支出済額は二兆三千三百八十四億五百七十二万余円であり、また、建設勘定におきましては、支出済額は、一兆六千二百四十六億五千七百十七万余円であり、これにより、一般加入電話百三十三万四千加入の増設を初めとする建設工事を実施し、年度末の一般加入電話の積滞数は前年度末に比べ七万加入減少し、十五万九千加入となりました。  最後に、昭和五十二年度予算の執行につきましては、会計検査院から不当事項一件、是正改善処置を要求された事項として一件、合わせて二件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じます。  今後、この種の事例発生未然に防止するよう日本電信電話公社指導監督してまいる所存であります。  以上をもちまして、昭和五十二年度決算概要についての説明を終わります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  8. 高田富之

  9. 藤井健太郎

    藤井会計検査院説明員 昭和五十二年度郵政省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項十件及び改善意見を表示した事項一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号五一号から六〇号までの十件は、職員不正行為により損害を生じたものでございます。  これらの事態は、目黒郵便局ほか九郵便局におきまして、郵便貯金または簡易生命保険の募集及び集金事務等に従事している職員が、自己または他人の郵便貯金通帳を使用して当座預金の裏づけのない小切手による預入をし、これを現金による預入のように装って他局または自局で払い戻したり、団体保険料割引率を偽って保険料を水増しして徴収をしたりするなどの方法によりまして現金を領得したことによって生じたものでございます。  次に、改善意見を表示した事項について説明いたします。  この事態郵便局における窓口職員責任に関するものでございます。  郵便局窓口業務において、郵便貯金払戻金等を詐取され国の損害となった事例は少なくありませんが、郵政省ではそのような場合、窓口職員に対し損害額に係る弁償を命じ、その責任を追及することは全くありません。これは、郵政省の内規で、窓口業務職務分担郵便貯金等業務に関する事務を所掌する事務主任現金受け払いに関する事務を所掌する出納員である現金主任とに区分し、正当権利者確認出納員でない事務主任職務とし、かつ、現金主任は、事務主任の指示に従って保管現金を払い出すことになっているため、現金主任正当権利者以外の者に払い出しても、会計法に定める出納員としての保管現金の亡失に当たらないとしているためであります。しかし、正当権利者等確認事務は、本来出納員職務に含まれるべきものであって、これは郵便貯金等の払い出しを行っている窓口職員についても例外ではないと認められるものであります。したがいまして、正当権利者等確認出納員である現金主任に課するとか、事実上出納員としての職務を分掌している事務主任出納員とするなどして、責任体制を確立するよう改善意見を表示したものでございます。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  10. 高田富之

  11. 小野光次郎

    小野会計検査院説明員 昭和五十二年度日本電信電話公社決算につきまして検査いたしました結果の概要説明申し上げます。  検査報告掲記いたしましたものは、不当事項一件、意見を表示しまたは処置を要求した事項一件、本院の注意により当局において改善処置を講じた事項一件及び特に掲記を要すると認めた事項一件でございます。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号八六号は、プッシュ式ボタン電話装置修理当たり修理に要する作業時間の算定が適切でなかったため、契約額割り高になったものでございます。  この事態は、加入電話移転工事等により撤去したプッシュ式ボタン電話装置修理して再使用するため、それぞれの製造業者確定契約により修理を請け負わせておりますが、その修理費予定価格積算当たりまして、労務費算定基礎となる修理に要する作業時間につきましては、本件装置が新しい製品であり、作業時間を算定するにはなお不確定な要素が多いものでございますから、請負業者修理の実績や同様の修理を実施しております他の保全工事事務所における積算事例調査した上で算定すべきところ、在来型の回転式ボタン電話装置修理に要する作業時間から類推して割り増しするなどして作業時間を算定したため、積算額が過大となり、ひいて契約額割り高となったと認められるものでございます。  次に、意見を表示し、または処置を要求した事項について説明いたします。  これは、可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事工事費積算について処置を要求したものでございます。  公社では、可搬形交換装置設置するため必要な敷地造成及び同装置コンクリート基礎台等工事を行う基礎台関連工事は、原則として道路上での通信土木工事を担当施工する建設部門が施工し、その工事費積算についても、建設部門が採用している公社制定積算要領及び複合単金を適用し、さらに労務費を一律に割り増しして積算しております。そして、この複合単金現場条件が悪い道路上で施工するなどのため、主として人力で施工する場合を想定して作成されたものであり、また、労務費の割り増しをすることとしているのは、基礎台関連工事が多種多様の小規模工程の集積された工事でありますので、その補正を行うためでございます。  しかし、群馬電気通信部六合局自動改式工事ほか十九工事は、公社が取得した傾斜地等切り盛り土するなどして施工する工事で、施工場所が広く、切り盛り土等工事量も多量に上りますので、切り盛り土は機械によって施工することが可能であり、それが経済的な場合が多いのでありますから、建設部門道路上の通信土木工事で採用している複合単金を適用し、労務費を一律に割り増しして積算しているのは適切でないと判断したものでございます。  そして、公社では、建築部門局舎等の新増築に伴う各種敷地造成工事を含めて建築工事積算指針等を定めており、本件基礎台関連工事内容はこの積算指針の対象としている工事と同様のものでございますから、仮にこれにより工事費積算したとすれば積算額を低減することができたと認められるものでございまして、速やかにこの種基礎台関連工事実情を把握し、実態に即した積算ができるよう施工区分について明確にし、積算に関する基準を整備して予定価格積算の適正を期する要があると認められましたので、その是正改善について処置を要求したものでございます。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  これは、洞道工事における材料費積算に関するものでございます。  公社では、通信ケーブルを敷設する一方式として、洞道すなわちトンネル内にケーブルを収容する方式を採用しております。この洞道工事に使用していた公社複合単金内容について見ましたところ、親ぐい横矢板土め工のための横矢板及び通信ケーブル敷設用鋼材設置するためのアンカーボルト材料費積算が適切でないと認められるものがございました。  すなわち、横矢板材料費につきましては、一律に厚さ六センチメートルの松矢板を使用するものとし、長さ四メートル物の小口取引価格により算定しておりましたが、各電気通信局等では、各工事設計の際に工事に使用する松矢板の厚さ、数量等が判明しているのでございますから、これを積算基礎とすべきであると認められ、また、親ぐい間隔は一・五メートル程度となっているのでございますから、横矢板取引価格の低価な二メートル物で足り、かつ、所要量が多量に上っているのでありますから大口取引価格によるべきであると認めたものでございます。  また、アンカーボルト材料費につきましては、その所要数量は、洞道形式別種類別標準所要数量洞道形式別種類別推定施工比率を乗じるなどして、洞道設置する鋼材一トン当たりの本数を算定し、その単価は、小口価格により算定するなどしておりました。  しかし、鋼材一トン当たりアンカーボルト所要数量は、鋼材使用量が多いわりに、その所要数量が少ない立て坑や大型の特殊断面部の場合を計算基礎に含めなかったり、推定施工比率実情に沿わないものとなっておりましたが、これについても事前に実施している設計計算により数量が判明しているのでございますからこれを計算基礎とすべきであると認めたものでございます。また、単価については一工事当たり所要数量が多量に上るものにつきましては大口取引価格によるべきであると認められたので、その旨指摘いたしました。  公社では、本院の指摘に基づいて五十三年十月に積算要領及び複合単金所要の改正を加え、工事実態に.合った積み上げ積算をすることとし、同年十二月以降契約するものからこれを適用する処置を講じたものでございます。  次に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。これは日本電信電話公社直営病院運営についてでございます。  この直営病院経常収支状況について見ますと、毎年度大幅な赤字でありまして、昭和五十二年度経常収支率は二九・九%であり、決算収入に計上されていない健康診断料金相当額等を仮に収入に加えましても経常収支率三六・三%となり、これは国家公務員共済組合連合会直営病院の一〇〇・五%に比べて著しく低率となっております。  また、職員等利用状況について見ましても逐年低下の傾向を示しており、また、五十二年度における平均病床利用率六三・九%は国家公務員共済組合連合会直営病院の八〇・一%、全国病院平均七九・九%に比べて低率となっております。  このような事態診療料金保険医療機関に仕べ低廉であることや、全国的に医療水準が向上し職員が他の医療機関を利用する傾向が強くなったことによるものと認められますが、職域病院としての特殊性を考慮してもなお問題があると考えます。  今後このような状態のまま推移しますと、日本電信電話公社の多額の財政負担が依然として継続することとなりますので特に掲記いたしました。  なお、以上のほか、昭和五十一年度決算検査報告掲記しましたように、導入溝費積算について処置を要求しましたが、これに対する公社処置状況についても一掲記いたしました。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  12. 高田富之

  13. 秋草篤二

    秋草説明員 昭和五十二年度電信電話事業概要につきまして御説明申し上げます。  昭和五十二年度は、電信電話拡充第五次五カ年計画最終年度当たり、また、日本電信電話公社設立二十五周年を迎えた年でありました。この間、技術革新を図り、電話自動化電報業務改善など各種経営努力を積極的に重ねてまいりました。おかげさまで、ようやく四半世紀の努力が実り、「申し込めばすぐつく電話」「全国どこへでもすぐかかる電話」という永年の悲願をほほ達成することができました。  昭和五十二年度収支状況につきましては、前年度料金改定等により大幅に改善され、四年ぶり黒字決算となりました。  すなわち、総収益が三兆四千三十五億六千二百十四万円余となったのに対しまして、総費用は二兆九千六百四十五億六千四百四十六万円余となり、その結果四千三百八十九億九千七百六十八万円余と、ほぼ計画どおり当期利益金を計上することができました。  この利益金は、すべてサービス充実のための設備維持改善料金改定までに生じた赤字の回復に充てられました。  現在の料金のもとで健全な経営をできる限り続けていくよう、引き続き収入確保努力し、効率的な投資や業務省力化合理化に努めてまいりたいと存じます。  以下、昭和五十二年度決算内容につきまして御説明申し上げます。  損益勘定収入におきましては、予算額三兆四千七十七億八千七百万円に対しまして、収入済額は三兆三千七百十二億九千七百四十三万円余となり、三百六十四億八千九百五十六万円余下回りました。  その内訳は、電話収入等で四百六十三億八百四十三万円余の減、電信収入等で九十八億千八百八十六万円余の増となっております。  支出におきましては、予算額に前年度からの繰越額を加えた予算現額三兆四千百十三億二千八百十九万円に対しまして、支出済額は三兆三千三百六十二億三千百九十八万円余となっております。  また、建設勘定におきましては、予算額に前年度からの繰越額及び予算総則の規定による経費の増額等を加えた予算現額一兆八千百八十一億三千八百二万円余に対しまして、支出済額は一兆六千二百四十六億五千七百十七万円余となり、翌年度繰越額は千二百八十八億千三百九十四万円余となっております。  なお、建設勘定支出及び債務償還等の財源に充てるため、電信電話債券及び借入金により七千八百二十八億三千六百四十八万円余、設備料として千四百七十億五千四百二十一万円余の受け入れを行い、一方、債券及び借入金等につきまして七千二百五十五億四千七百八十三万円余の償還を行いました。  次に、昭和五十二年度に実施いたしました主な建設工程の内容につきまして御説明申し上げます。  一般加入電話は約百三十三万四千加入、地域集団電話は約三千加入、公衆電話は約五万二千個の工程をそれぞれ実施いたしました。その結果、加入電話については、沖繩地方を除いて、申し込んでからおおむね一カ月以内には架設できる状態になっております。  昭和五十二年度事業概要は以上のとおりでありますが、今日、公社事業規模は一段と巨大になり、また現代社会の根幹に組み込まれた電気通信の役割りがますます重要になっているところでありますので、公社の社会的責任を痛感し、電気通信サービスにつきまして、一層その維持、向上並びに拡充に努力を重ねてまいりたいと存じております。  最後に、昭和五十二年度決算検査報告指摘を受けました事項につきまして申し上げます。  不当事項として一件の指摘を受けましたことは、まことに遺憾に存じております。  これは、中国電気通信局管内の、中国電気通信保全工事事務所が契約いたしましたプッシュ式ボタン電話装置修理におきまして、修理に要する作業時間の算定が適切でなかったため、契約額割り高となったものでありますが、割高額につきましては請負人と協議の上徴収済みであります。  今後は十分注意いたします。  是正改善処置を要求されました可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事工事費積算につきましては、積算要領等の検討を加え改善を図りました。  以上、簡単でありますが概要説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  14. 高田富之

    高田委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  15. 高田富之

    高田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。
  16. 原田昇左右

    ○原田委員 まず、郵便財政の健全化の問題について御質問申し上げます。  さきの郵政審議会で「郵便事業財政を改善する方策について」という答申があったと聞きましたけれども、その内容において、郵便財政の現在の窮迫を打開するにはどうしても料金値上げが必要だというようになっており、たとえばはがきとか封書これの値上げが提言されておると聞いておりますが、どうなっておるか、簡単に御答弁願いたいと思います。
  17. 江上貞利

    ○江上政府委員 郵政審議会で答申をいただきました内容でございますが、概略を申し上げますと、郵便事業は現在多額の累積赤字を抱えて深刻な事態に立ち至っており、このまま推移するならば事業の円滑な運営を確保することがきわめて困難になるという認識のもとに次の提言を行っております。  第一番目に、効率的経営に徹すべきであって、事業経営の効率化、合理化等の推進に一層努力すること。  第二番目に、しかしながら、これらの施策をもってしても現在の逼迫した事業財政を改善することは困難であるので、郵便料金の改定を行うことはやむを得ないということでございます。  三番目に、料金改定内容といたしましては、さしむき昭和五十五年度から五十七年度までの三年間を基準といたしまして、少なくともその間は新しい赤字が生じることを防ぐとともに累積赤字の解消もある程度考慮をいたしまして、昭和五十五年七月一日から第一種封書は六十円に、第二種はがきは四十円とすること。ただし、第一種郵便物のうち郵便書簡、通称ミニレターと申しておるものでございますが、この料金は五十円に据え置くということでございます。また、第二種郵便物、はがきの料金は現行の料金に比べまして改定率が大幅となっておりますので、昭和五十五年七月一日から一年以内に限って改定率を緩和するための何らかの措置を考慮するよう要望するとなっております。  第四番目に、第一種及び第二種郵便物の具体的料金額を法律で定めております現行の料金決定方法について、弾力的に対処できるような方向で速やかに検討を行うことということでございます。  最後に、適切な職員管理の体制と安定した労使関係を確立して事業に従事しておりますすべての職員業務の正常運行の確保に励むこと、要約して申し上げますと以上のとおりでございます。
  18. 原田昇左右

    ○原田委員 いまの中で、はがきあるいは封書の料金が大幅に上がる、特にはがきは二十円が四十円になる、こういう御提案でございますが、これは一般の国民にとって一挙に非常に大きな負担増になることになりますので、物価対策上非常に問題があると思うのです。物価を引き上げる要因として消費者物価に何ポイントぐらい効いてくるのか、あるいはその場合物価対策を考えて慎重に私は対処しなければならぬと思いますが、この点について郵政大臣の御見解をひとつ伺いたい。
  19. 大西正男

    大西国務大臣 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のような問題は、私どもも同じように感じておるわけでございます。そこで、得ました答申の線に沿って郵便事業財政の健全化を図らねばなりませんが、同時に国民の皆さんに対して時節柄と申しますか、ショックを与えるようなやり方を避けてまいりたいということでございまして、はがきにつきましても、またその実施の時期につきましても慎重にこれに対処しよう、こういうことでございます。
  20. 原田昇左右

    ○原田委員 いまの答申に効率化、合理化を図れということが出ております。これについて具体的にどういうように考えてきておられるのか、また、これからどうしようとしておるのか。つまり、財政は赤字だ、赤字な分は全部利用者にかぶせちゃうんだというのでは、われわれ絶対に納得できません。自分で合理化努力をしていただいて赤字財政を健全化するという方向をやっていただく、それから第二には利用者にも協力してもらう、しかし国もある程度協力する、こういうようにみんなが協力して郵政事業の健全化を図るということが私は筋だと思うのです。したがいまして、郵政大臣の姿勢としてどういう方針でおやりになるのか、この際、明確に伺いたいと思います。
  21. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生御承知のとおり、郵便事業はその性質上労働集約性が非常に高うございまして、合理化に取り組むということにつきましては大変にむずかしい事業でございます。ただ、従来からそのような困難を乗り越えて効率化を進めるということについては努力をしてきたわけでございますが、郵便番号の自動読み取り区分機の開発、導入を初めといたしまして、集配作業の機動化、差し立て業務を集中して処理いたします専門局の設置、高速自動車便の開設、拠点局から拠点局へ参ります直行の輸送方式の推進など郵便の輸送方式の近代化を図るなどをいたしまして、できる限りの効率化を実施してまいったわけでございます。なお、労働集約性が高いということは、同時に職員作業性の向上ということにも努めなければなりませんので、その辺にも力を注いできているわけでございます。  御指摘の今回の答申の趣旨でございますが、前回、昭和五十二年でございますが、この郵政審議会の答申とかかわりのあることと理解しておるわけでございますけれども、前回の答申におきまして、利用者の方に御協力もしていただくという意味で、配達を一度化をしていくということなど、サービスの適正化を含めて各般にわたる御提言をいただいておるわけでございます。そこで、郵便事業運営当たりまして、引き続いて鋭意このような問題には取り組んでいるところでございます。  具体的に申し上げますと、従来から実施しております各種の施策の促進をしてまいりますほかに、中規模局に適しました小型の郵便番号の自動読み取り区分機の開発導入でありますとか、機械処理の効率をより高めますために千葉、熊本等地方都市におきます差し立て業務の集中化、配達作業の効率化を図るために集合受け箱というようなものを設置させていただきまして、これらも御利用していただく方の御協力をちょうだいしながら、効率化の施策を推進をしているところでございます。  なお、配達一度化などのサービスの合理化につきましては、郵便の利用の実態でございますとか、送達速度とか安定性の影響はどうかとか、いろいろ今後の郵便利用の影響などを考えまして、利用者の御協力を得ながら進めてまいりたいと思っております。
  22. 原田昇左右

    ○原田委員 最近五年間の生産性がどう伸びておるかということと、一体今後どこまで生産性を向上させる目標を持っておるのか、それをはっきりしてください。
  23. 江上貞利

    ○江上政府委員 最近五カ年という御指摘でございますが、手元にございます資料でお許しいただきたいと思いますが、昭和四十八年度の一年につき、郵便関係職員がどの程度の配達をしているかということを年間十万通といたしました場合、昭和五十三年度には十万三千四百通程度を処理いたしております。なお、本年度はこれがさらに向上していくというふうに存じております。今後、これらの職員の訓練等につきましても、作業性の効率化あるいは機械化等に取り組んでまいりたいと思いますが、長期的に見ましてどの程度ということにつきましては、非常に正確な数字を申し上げるに至るほどの確信をまだ得ておりませんので、お許しいただきたいと思います。
  24. 原田昇左右

    ○原田委員 いまのお話では、五年間にわずか三%増くらいの生産性だということになりますね。民間企業でこんな能率の悪い企業はありませんよ。会計検査院はいろいろ検査をされるけれども、何か細かいことばかり洗っていて、それは結構だけれども、もっと基本的な生産性の向上というのを徹底的に洗ってもらいたいと思う。わずか三%しか五年間に生産性が上がらないというのでは、こんな値上げをやってくるなどというのは、私は全然納得できないですね。もっと基本的に、これから五年間にこれだけ生産性を上げる、そういう前提に立って、これだけは値上げしなければいかぬ、これだけは国がある程度援助してほしい、こういう計画をぜひひとつつくっていただくように要望しておきます。  時間がありませんから次にいきますが、一年前にさかのぼりますけれども、年末から年始にかけて大分遅配が行われた。これの損害決算にどういうふうにあらわれてくるのですか、どの程度損害を受けたわけですか、それからだれがそれを埋めるのですか、その点について明確に答えてください。
  25. 江上貞利

    ○江上政府委員 昨年の郵便の遅配につきましては、非常勤職員の雇用等をもって対処したわけでございますが、これが通常超過勤務というような形で処理いたしました場合と、非常勤職員の賃金ということを差し引きました場合に、能率その他もございまして、二十六億円程度余分に非常勤職員の賃金として使用いたしております。これらにつきましては、年間の総収入を通じた上で処理させていただいております。
  26. 原田昇左右

    ○原田委員 これはだれによって損害が起こったのか。それをただ、こういう損害が起こったから、結局は全部利用者のはがきの値上げになるのですということになるのですか。それではおかしいじゃないですか。損害については、損害を起こした人からはっきり補償してもらうなり何なり、しっかりした措置をとらなければおかしいのじゃないですか。
  27. 江上貞利

    ○江上政府委員 昨年は労使の関係に円滑化を欠きまして、御案内のとおりの業務の混乱を生じたわけでございます。これらにつきまして損害賠償の御要求という御説明でございますが、私どもといたしましては、年間の総収入のうちから財政的には処理をさせていただきました。  なお、責任の所在については、問うべきものは問うということで、すでに処理をいたしているものというふうに存じております。
  28. 原田昇左右

    ○原田委員 この点については、労使関係の安定化ということをぜひ考えていただかなければならぬわけでございますが、とにかく損害が二十六億もできた、それは親方日の丸で何とか入ってしまうのだ、そして最後には料金にしりが来るのだ、こういうことでは国民は納得できないと思うのです。この点はぜひひとつ処理方針をどうするのか、しっかり確立していただきたいと思うのですが、大臣ひとつこの点についてどうお考えか、率直な御意見を聞かせていただきたいと思います。
  29. 大西正男

    大西国務大臣 お答え申し上げます。  いま御指摘になりましたような意見が国民の中にあることも承知をいたしておるところでございますが、労使関係というものは、お互いに相手を持っておる問題でございますので、労使関係の不正常な状態が発生をすることにつきましては、必ずしも一方的にそれを決めつけるということもなしあたわざる場合もあろうかと思います。でございますから、そういういろいろの問題を考慮しつつ考えなければならない問題ではないか、このように思っております。
  30. 原田昇左右

    ○原田委員 どうもいまの御答弁がはっきりいたしませんけれども、今後の検討を強く要望いたしまして、次に進みます。  電電公社関係について御質問いたします。  先般、行政管理庁から電話及び電報事業に関する改善勧告があったということで、その内容をちょっと読んでみますと、たとえばきょうの御説明の資料に、全国どこへでもかかる電話ということを推進されて非常に成果を上げられたことについては非常に敬意を表する次第でございますが、それに伴って、電話交換手の要員の配置転換、あるいは適正配置ということが必要になってくる。あるいは電報の配達については、電報取り扱い数が非常に少なくなったので配達要員の余剰が生ずるというようなことについて改善勧告があったようでございます。  そこで、こうした要員の合理化、能率化について電電公社はかねてからかなり取り組んでおられるように聞いておりますが、どういうように処置されるのか、またこれからどういうように合理化を進めていかれるのか、簡単にひとつ要点だけ御答弁いただきたいと思います。
  31. 坂部政夫

    ○坂部説明員 先生御指摘の電電の要員関係合理化、能率化の問題でございますが、先ほどお話に出ました行政管理庁勧告、五十三年八月でございましたが、その以前から公社で自主的にこの問題、特に電話運用要員あるいは電信部門の要員の適正配置について意図して取り組んでおりまして、最近は労働組合ともいろいろ話を詰めまして、要員の適正配置に極力努めているところでございます。もとよりその運用部門の女子の職員の配置でございますが、電電公社発足以来大体七千局に及ぶ手動から自動への自動化を進めてまいりまして、またお話にも出ましたように一〇〇%近い市外通話の即時化を大幅に実施したところでございまして、それによる要員の合理化を意図したわけでございます。また特に、電話運用部門の場合は二十四時間サービスを維持するという特殊性を持っておるわけでございますが、そのために宿直、あるいは夜勤の勤務者の確保とか、あるいは服務編成上のいろいろな問題があります。同時にまた女子職員という特色がございますので、要員流動も非常に困難なものがあるわけでございますが、労働組合との間にも話を十分詰めまして、退職者の後補充の抑制であるとか、あるいは営業部門初め他部門への要員流動を積極的に推進いたしまして、今後とも一層要員の適正配置に努めていきたい、かように思っております。  なお電信部門の方につきましても、電報中継機械化あるいは一一五受付局の統合、あるいは配達業務につきましてこれを民間委託するということも積極的に推進いたしておりまして、これも労使の間でもいろいろ詰めておりまして、なお一層の適正配置に努力する次第でございます。
  32. 原田昇左右

    ○原田委員 大変御努力なすっていることは大いに評価いたします。しかし、電電公社事業は何といっても独占事業、競争相手はありませんから、ひとつよほどがんばっていただきませんと、ほかから追いかけられる心配がないということでございますので、この点はぜひひとつ徹底的な合理化を今後とも進めていただきますように要望しておきます。  ところで、電報会計、データ通信会計というのは、収支はどうなっていますか。
  33. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  電報事業とデータ通信事業昭和五十三年度収支でございますが、概数ではなはだ恐縮でございますが、電信につきましては大体収入一〇〇に対しまして支出が四二〇、収支比率四二〇%程度でございます。データ通信事業におきましては、収入一〇〇に対しまして支出費用が大体一二〇%、その程度でございます。正確な数字、ちょっと手元にございませんので……。
  34. 原田昇左右

    ○原田委員 そうすると、こういう赤字は全部電話料金に入ってくるわけですが、電話をかける人が電報を打つ人の赤字を負わなければならぬという理由はどこにあるのですか。
  35. 好本巧

    ○好本説明員 御案内のように電電公社決算事業一本でございますので、総括的な決算でございますので、御指摘のように内部相互補助ということになりますから、赤字部門の電報事業部門あるいはデータ通信事業部門の赤字は具体的には電話事業でこれを補てんするという形になっております。
  36. 原田昇左右

    ○原田委員 相互補助はわかっていますけれども、どういう理屈でわれわれ電話をかけるのに電話料金にそれが算入されなければならないのかということを聞いているのです。
  37. 好本巧

    ○好本説明員 お答えいたします。  電報事業とデータ通信事業収支赤字を出しておる。これはいろいろな原因がございますが、データ通信事業におきましては、最大の理由といたしましては操業後まだ日がなお浅いということでございまして、逐年収支改善を図っておるところでございまして、ただいま申し上げましたようなデータ通信事業赤字の問題は、私どもの一応の目標といたしましては昭和五十六年度ごろには収支相償うようにさせていただきたいということで進んでおるわけでございます。また、データ通信事業自体は、データ通信の設備サービスといいますのは、御案内のように独占事業でございませんで、民間と競争するという形になっておりますので、これにつきましては一日も早く赤字をなくして収支相償うようにしたいということでございます。  また、電報事業につきましては、これも収支が非常に赤字が多いということでございますが、電報につきましても、電報そのものが非常に労働集約型でございますし、また、だんだんと斜陽的なサービスであるということから、世界先進国の電報事業もいずれも電報だけ取り出しますと赤字になっておるというふうな状況でございます。
  38. 原田昇左右

    ○原田委員 委員長、ちょっと答弁が長過ぎちゃって、時間がないのですよ。
  39. 高田富之

    高田委員長 答弁を要領よく簡単にやってください。
  40. 原田昇左右

    ○原田委員 聞いていることに的確に答えてください。理由は何だと聞いているのだ。
  41. 好本巧

    ○好本説明員 電報におきましては、やはり電報と電話というものはサービス上ある程度相互に相補完しておるということもございます。それからまた、電話と電報の両方の役務が、受益者から言いますと双方お互いに補完する面もあるということで、ある程度の相互補助は許されるべきではないかと思います。
  42. 原田昇左右

    ○原田委員 いまの御説明で、まず、データ通信については今後五年ぐらいたてば黒字になるんだ、こういうお話であれば、それは借金勘定で借金したらどうですか。赤字をどんぶり勘定にぶち込まないで、赤字を積み立てて借金しておく、そうすれば電話料金にはね返らないはずです。民間だってこれは、いま競合するとおっしゃいましたが、民間はみんな借金でやっているのですから、それはそういうような処理をすべきではないかと私は思います。  それから電話については、いまの御説明、私は納得できません。相互補完するところがあるということであれば、その限度はどの程度か。無限にクロサブをやっていいはずはないわけでして、この点はぜひひとつ改善事項として考え方を御検討いただきたい。要望しておきます。  次に、時間がありませんから、この点について大臣の御答弁はまた後で一括していただきますが、調達資材の関係、アメリカとの関係でカット、東京ラウンドで大変もめた問題でございますけれども、これについての今後の見通しについて簡単に総裁から伺いたいと思います。
  43. 秋草篤二

    秋草説明員 お答えします。  原田先生にもいろいろ御努力願った問題でございまして御案内のことと存じますが、六月二日にストラウス、牛場さんの会談によりまして一つのメモランダムの取り交わしが行われまして一応決着はつきました。自来そのメモの詰めを進めておりまして、この夏から秋にかけてワシントンで二回、先般、つい二、三週間前に東京で一回、都合三回専門家の会議を行いまして、この席にはわれわれ電電公社という電気通信事業を担当する者も参加したし、同時にAT&Tというアメリカの通信事業で一番大きな会社の専門家も参加いたしまして、きわめて有効な会談が行われたように記憶しております。しかし、まだ一、二回来年度になって行われると思いますが、いずれにしましても六月か七月ころまでにはこの問題を決着しなければならぬというふうに思っておりまして、大きな波はないように期待しておりますけれども、全く対外的な、外交上の、国際間の大きな問題でございますので、アメリカの現在置かれておる立場等も考えますれば、これに対してはやはり忠実に、また油断なく、関係方面の指導を得て対処していきたい、こう存じております。
  44. 原田昇左右

    ○原田委員 この点について総裁大変御腐心なさった点は大変評価いたします。今後ともひとつ日米間の友好親善関係を損なわないように、また日本の国益である電気通信関係技術革新の進展をできるだけ育成する方向で、また中小企業等の利益を守る方向で御努力いただきたいと存じます。  ところで、電気通信につきましては技術革新の一番激しい分野であり、最近の電気通信における技術革新が著しく進展しておると私は思うわけです。日本のいわば未来産業の中核である知識集約産業の花形とも言うべき産業だと思うのですが、これをどういう方向に位置づけ、施策をしていくかということは大変重要な課題だと思うのです。郵政省のいまの対応の仕方を見てみますと、現在の機構なり考え方ではなかなか対応し切れない面がかなり出てきておるんではないかと思います。これについて、こういう日本の未来を背負う知識集約産業について十分な監督体制あるいは行政の誘導体制というものをぜひ考える必要があるのではないかと思いますが、郵政大臣の御見解をひとつ聞かしていただきたいと思います。
  45. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  先生の御指摘のとおり、私も同感でございます。そこで、こういう日本の社会の将来を担っていかなければならない電気通信事業につきまして現在の体制でいいかどうか、私も就任以来まだそんなに日がたっておりませんけれども、そういうことを痛切に感じつつあるところでございます。したがいまして、これから体制の強化等を含めまして総合的な通信政策の推進ということに力を入れていきたい、このように存じております。先生におかれましても、どうかひとつ何分の御助言等をいただきたいと思います。
  46. 原田昇左右

    ○原田委員 それでは次に移ります。  KDDの問題について、実はきのうの新聞に退職金のことが出ておりましたけれども、大蔵省おられますか、いま給与とか退職金について主務大臣の承認事項になっておるものは特殊法人全体の中でどのくらいあるのですか。
  47. 日吉章

    ○日吉説明員 お尋ねでございますが、いまいわゆる特殊法人と言われておりますのが百十一ございますが、その中で、ただいま御指摘ございました役員の退職金の基準についてでございますが、これにつきまして主務大臣が承認または認可を与えなければならないのが七十三法人ございます。そのうち六十につきましては国庫大臣としての大蔵大臣が協議にあずかる、こういうふうになってございます。
  48. 原田昇左右

    ○原田委員 特殊法人の退職金については五十二年の十二月、閣議決定で、五十三年四月一日から在職期間掛ける俸給月額の百分の四十五から百分の三十六にしようということになっておるわけでございますが、KDDについて、郵政大臣はいまのところ給与、退職金等について主務大臣の承認権はないということでございますが、一般的な監督権はあると思うのですね。これについてはどういうようにお考えになっておるか。さらに、いま一例を申し上げたのですが、最近の事例は大変遺憾だと思うのです。大臣の監督のあり方、今後どのような方針で臨まれるのか、お聞かせいただきたいと思います。  なお、自民党の方では行財政調査会で、KDDは株式会社方式はそのままやった方がいいだろうけれども会計検査院が見ることにしたらどうかという意見も出ておるわけでございますが、これらについても、大臣の御見解をひとつここで聞かしていただきたい。
  49. 大西正男

    大西国務大臣 いまの退職金等の問題につきましてはすでに昭和五十二年十二月の閣議決定がございまして、それに基づきましてその後郵政省におきましてもKDDに対しましてはその趣旨を通達といいますか何といいますか、知らしてそして善処を求めてきたわけでございますけれども、遺憾ながらまだその点が実現をいたしておらないようでございます。ただ、その後におきまして、従来のやり方に基づく退職金を支給したという例は今日ございません。したがいまして、これに対しましてやはり是正を早急にするように指導をいたしていきたいということでございます。  それから、KDDが御承知のような問題を起こしまして今日国民の批判を受けておるわけでありまして、こういうことは二度と起こってはならない問題でございます。したがいまして、KDDにおける自主的な経営姿勢の刷新ということと、これと相まって今後再びそういうふうな問題が起こらないような保障といいますか、制度と申しますか、そういうものをこの際つくっておくことが必要であろう、こういうことで、いま先生御指摘の点を含めまして鋭意事務当局にその立案を急がせておるところでございます。
  50. 原田昇左右

    ○原田委員 これはしっかりひとつやっていただくように要望しておきます。  そこで、大蔵省にお聞きするのですが、先ほど百十一のうち特殊法人七十だけは主務大臣の承認事項だ、そのほかの承認事項になっていない特殊法人の給与、退職金等についてはどういうように指導しておられるのですか。
  51. 日吉章

    ○日吉説明員 いわゆる特殊法人百十一の中には性格がいろいろございまして、その性格に基づきましてやはり法的ないろいろな規制も異なってきているのだと思います。したがいまして、七十三につきまして主務大臣の承認または認可が必要になり、そのうち六十が大蔵大臣に協議をしなければならないということになっているのだと思います。ところが私たちとしましては、六十以外の十五のいわゆる政府関係機関と言われておりますものにつきましては、その予算につきまして国会でも御議決をいただいているというふうなことでもございますので、われわれは予算調整権といたしまして、国会に提出いたします予算を査定さしていただきます段階でそれらの役員の方の退職金の基準等につきましても予算査定を通じまして見せていただいております。それ以外の法人につきましては、私どもは、それぞれの法人の性格を体しましてそれぞれの主務大臣の御判断でこれに準じた形で行政指導すべきものはしていただくというふうなことがしかるべきことであろうかと思いまして、そういう形で各省にお願いをいたしてございます。
  52. 原田昇左右

    ○原田委員 十分ひとつこの点も国民の批判のないようにしっかりやっていただきたいと思います。  それから次に、国際電話料金、これがロンドンとアメリカについていまどうなっているか、向こうからかける場合とこっちからかける場合、簡単に答えてください。
  53. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  アメリカにつきましては、御案内のとおり十二月の一日から料金の引き下げを実施いたしましたので、大体近い線になっております。ただイギリスにつきましては、今回ヨーロッパを対象にいたしませんでしたので、日本円に換算をいたしまして五十数%くらいだと思っております。(原田委員「一通話幾らですか」と呼ぶ)具体的な金額でございますか、すぐお答えいたします。
  54. 原田昇左右

    ○原田委員 時間もありませんから……。  いま五割高いということでございますが、恐らくこちらからかけると一通話四千円か五千円取られて、向こうからかければ二千五百円くらいで済むのじゃないかと思うのです。ところで、こういうように向こうからかける方が非常に安い、こっちからかけるのが高いというところについては、わざわざこっちからかけておいて向こうに着払いにしてもらってお金は別に送る、こういうことをやっているのがいま商社、商売人の実態です。そういうことではおかしいじゃないかと思うのですね。そこで、料金の決定原則について、ぜひひとつこの際はっきりしてもらいたい。つまり、料金が恣意的に決められる、しかも独占企業で競争性がないということになれば、親方日の丸になるのはあたりまえなんですね。私はここでしっかりした料金の決定原則を立てる必要があると思います。この前、ちょぼちょぼと値下げをしましたけれども、これはみんなから批判されてあわててやったというようなたぐいであって、私は決して料金の適正化をやったとは思ってない。今後、国際通話料金の問題については、たとえば郵政省の郵政審議会というのがあるわけですから、それに諮問するなり第三者機関の意見を聞いたりするなど適正な方法をとって、だれにも納得いくような料金にしていただきたいと思います。もちろん為替レートは変動するわけですから、必ずしもぴしゃっと合うということはできないと思うし、相手の国によっていろいろ政策があるでしょうから、何も向こうにただ合わせるだけが能ではないと思います。基本的な決定原則というのがないからこういうことになるのじゃないかと思うのです。ひとつ、この点について大臣から御答弁いただきます。
  55. 大西正男

    大西国務大臣 先日行いました料金値下げの問題につきまして、ヨーロッパ方面をその中に取り上げてないことは御指摘のとおりでございます。これにはいろいろ理由があると聞いておりますが、ヨーロッパ内におきましても国によって非常なアンバランスがあるようでございます。でございますから、それを統一的に考えるについては、この際まだ熟さないということでああいう結果になったやに聞いております。でございますが、それと同時に、現在におきましても、たとえば郵政審議会にこれをかけることも可能だということでありますが、従来の例ではかけた例がないようでございます。そこで将来の問題としては、いま御指摘のような御意見も多々あるわけでございまして、具体的に将来そういう問題が起こりました際に十分そのことを念頭に置きながら対処したい、このように考えております。
  56. 原田昇左右

    ○原田委員 時間でございますのでこれで終わりますが、私、いろいろ御提案申し上げました。大臣、お聞きになっておられると思いますが、時間がないので余り詳しい御答弁を要求しませんでしたけれども、後ほどひとつぜひこの点について御検討いただき、御回答をいただきたいと存じます。  以上、終わります。ありがとうございました。
  57. 高田富之

    高田委員長 原田君の質疑は終了いたしました。  新村勝雄君。
  58. 新村勝雄

    新村(勝)委員 まず、郵政事業について会計検査院からの指摘があるわけですが、その中に、不正行為として「職員不正行為による損害を生じたもの」ということで何件かの指摘があるわけでございますが、こういう同種の問題が後を絶たないその原因は一体どこにあるのか、また今後のこういった問題を未然に防止をする心構えというか態勢というか、お考えをまず伺いたいと思います。
  59. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  会計検査院決算報告書で不正行為十件出ておりますけれども、その内容についてはまことに遺憾に、残念に思っておる次第でございますが、主としてその内容は、貯金、保険の外務員を中心とします郵政犯罪でございます。もちろん、郵政省は多数の職員で毎日巨額の金を扱っておるわけでございますので、特に組織の内部には郵政監察というものを独自に設けまして、その防犯措置あるいはその取り調べ等についてやっておるわけでございますが、最近におきましてもなおこういう傾向が後を絶ちませんので、あらゆる郵便局、郵政局を通じまして、防犯体制ということでいろいろな各種会議、打ち合わせ等を通じてそういう職員意識の徹底とか職場規律の確立等の徹底を図りますとともに、他方、郵政監察の方ではいろいろな意味での防犯、また逮捕にまさる予防はないという面もございますし、監察の方で強力にこれを推進しておるところでございます。
  60. 新村勝雄

    新村(勝)委員 これは単に、そういう事犯についてどうこうという問題、もちろんありますけれども、それだけではない、もっと根本的な問題がやはりあるのではないかと思うわけであります。  そして、この検査院の不当事項指摘に対して郵政省はその説明をされておるわけですが、「従来から、このような不祥事を防止するため、防犯管理の整備強化、相互けん制の励行等を強調し、」とありますが、この相互牽制というのはどういう考え方であるのか。もしもこれが職員相互の監視体制、職員相互で監視をしながらやっていく、そういう考え方であるのならば、これは間違いではないかと思います。そういうことでは決して職場体制の、特に人間関係がよくなるとは考えられないわけでありまして、かえってこれはお互いの疑心暗鬼を生む、人間関係をかえって悪化させるような結果になるのではないかと思いますが、この点について伺います。
  61. 守住有信

    守住政府委員 お答え申し上げます。  相互牽制とは、先生御心配のような職員相互間、こういうことではございませんで、相互牽制の体制ということでございまして、たとえて一例を申し上げますれば、貯金の関係でございますけれども、郵便局があるとともに、他方、地方貯金局がございます。その地方貯金局の方から、郵便局を経由することなく直接に預金者の方々へのいろいろな預入、払い戻し等の御通知を申し上げまして、そういうシステムをとることによりましてお客様の方からのそういう申告なり何なりということもあるわけでございますので、そういうシステムをとっておるということが相互牽制の意味であるそういう体制の整備であるということでございます。
  62. 新村勝雄

    新村(勝)委員 こういった事犯の防止、それから能率の向上は何といっても人間関係の向上、良好な労使の関係というか、人間関係を確立することが絶対に必要だと思います。そういう点からいたしまして、郵政省内には残念ながら先般来いわゆるマル生問題なるものがあるわけでありまして、これによって労使関係がかなりの混乱を来たした。この問題について私ども若干の調査等をいたしたわけでありますけれども、当局の組合に対する考え方なり態度なりにきわめて遺憾な点があるようであります。これが職場の体制なり、特にその本来の仕事をやる上においても悪い影響を来たしておるというふうに考えるわけでありますが、その後のこの状況はどうなっておりますか。
  63. 守住有信

    守住政府委員 人事局の所管でございますけれども、決算委員会ということで経理局長から答弁させていただきますけれども、昨年の労使間のああいう不幸な事態というものをお互いに反省しまして、その後団体交渉を中心に鋭意詰めまして、今回の場合は年末非常に早期解決ということで解決を見たところでございます。したがいまして、お互いにそれぞれの立場はございますけれども、労使間の安定ということを念頭に置いて、早期解決を目指し、また今後の労使関係も着実なものをつくっていこうということで、人事局を中心に各事業局とも取り組んでおるところでございます。
  64. 新村勝雄

    新村(勝)委員 良好な労使関係といいますか、健全な労使関係をつくる上においては、当局がまず組合あるいは組合運動に対する不当な干渉なり不信なりを除くことが絶対に必要であります。実際の実情を見ますと、組合活動に対する不当な介入といいますか、あるいはまた職員に対する不信というものがその間にあるようであります。たとえば職員が休暇を申請いたしますと、それが事実であるかどうかを一々家庭まで行って調べてみるというような、こういう職員不信あるいは組合不信という事実が職場にあるようでありますけれども、こういうことでは絶対に良好な職場、執務体制ができるはずがないわけであります。まず職員を信ずる、あるいは組合活動に対して当局はその基本的な労働者の権利を認めていくという考え方がなければいけないわけでありますけれども、この点、大臣にひとつ基本的なお考えを伺いたいと思います。
  65. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  私も基本的に委員と同じ考えでございます。労使間に意見の相違あるいは対立、これはやむを得ないことかもわかりませんが、しかし、相互にそういう相違はあっても、やはり信頼関係というものを築き上げていくということが労使関係の基本的な考え方でなければならない、このように私も考えております。  実は、せんだって全国の三局長会議がございまして、その席上におきましても、お互いに誠意を尽くして信頼関係というものをつくり上げていくことが労使関係の基本でなければならない、その上に立って意見の対立等があってもそれはやむを得ないけれども、根底には相互の信頼関係を築く上において誠意を尽くしていかなければならない、こういうことを私としても訓示をした次第でございます。
  66. 新村勝雄

    新村(勝)委員 郵政事業が国民の期待にこたえるためには、やはりいま大臣の言われたようなことを実際に実践をしていただく、そうして組合の正当な活動については十分尊重していく、そうして良好な職場体制をつくっていかなければならないと思うわけでありまして、特にその点、新大臣に御期待をし、お願いを申し上げておくわけであります。いままでの郵政の職場は残念ながら、私も幾つかの職場について実際に見聞をいたしておりますけれども、組合に対する当局の誤解というか、不信というか、あるいはまたある意味では弾圧がかなり見られたわけであります。そういった点をひとつ当局として十分検討し、反省をされ、国民の期待に沿えるような体制をひとつつくってもらうようお願いをいたしたいと思います。  次に、具体的な問題でありますが、郵便物の送達に関して、これは昭和五十二年七月十九日に行政管理庁から郵政省に勧告があったはずであります。配達区域の問題、それから郵便物の速達の区域の問題、この問題について勧告があったはずでありますけれども、これに対してその後どういうふうに対処をされておりますか。
  67. 江上貞利

    ○江上政府委員 行政管理庁の昭和五十二年の配達区域、速達区域の調整についてでございますが、従来から地域の発展状況とかあるいは道路の整備状況の進捗状況に応じまして郵便区の統合でございますとか、あるいはまた組みかえというようなことに努めてきておるわけでございますが、昭和五十年度以降現在までにおよそ百件ほどの調整を行ってきております。なお、今後におきましても送達速度の向上と経済性を主眼として対処してまいりたいというふうに思っております。  速達配達地域の設定でございますが、これまでに都市の近郊地等を中心といたしまして逐次速達配達地域に編入してきましたところが、昭和五十年度以降約十万世帯でございます。
  68. 新村勝雄

    新村(勝)委員 この勧告は二つに分かれておるわけでありまして、一つは、送達区域がきわめて不合理になっておる、これに対する合理的な配達区域の再編成という問題が一つあるわけです。  それからもう一つは、速達取り扱い区域の合理化、再編ということでありますが、区域の変更が行われた、たとえば市と市の間の区域が非常にくしの歯のように入り組んでいるというようなところについては必ずしも行政区域のとおりでなくて、別の配達に便利なような再編が必要であろう、こういうことだと思いますけれども、これについての変更が百カ所ということですか。
  69. 江上貞利

    ○江上政府委員 大変失礼いたしました。私、ただいま昭和五十年度以降と申し上げましたが、五十二年度以降でございます。  なお、先生ただいまの御質問につきましては御指摘のとおりでございます。
  70. 新村勝雄

    新村(勝)委員 そのような御努力は結構でありますけれども、現在でも特に東京近郊の人口増加地帯においてはなはだしい不合理が依然として見られておりますし、それらが全国で百カ所ということでありますけれども、たとえばこれは地域的なことになってしまいますが、千葉県北部の人口稠密地帯、これらについては全く改善が見られていないわけでありまして、たとえば、これはたとえばでありますが、柏市と流山市との関係でありますが、この市はちょっと珍しいくらいに境界が入り組んでおるわけであります。こういうところは道一つ隔てて一方は別の局が配達をするわけでありますから、一つの地域について考えてみると、二重の集配を毎日やっておるということになるわけでありまして、これらを整理すればそれだけ手間が省ける、かなり能率も上がるのじゃないかと思うわけであります。ところが依然として行政区域どおりに集配をやっておりますので、同じ地域に二度の集配をやっておるというような、そういう非能率、不合理な実態があるわけでありますけれども、これらについて至急に調査改善をされるお考えがございますか。
  71. 江上貞利

    ○江上政府委員 ただいま御指摘の問題は、いわゆる行政区と郵便区が必ずしも一致していないという問題についての御指摘と思いますが、仮に一致していない場合でも、両方の郵便局から同じ地域に二度配達するというふうなことは現在いたしておりませんで、ある他の行政区に存在いたしております郵便局が他の行政区を受け持つというふうなことは間々いたしておりますが、ただいま先生の御指摘のようなことは現在ないというふうに認識をいたしております。
  72. 新村勝雄

    新村(勝)委員 いや、そうじゃなくて、原則として行政区域に従って集配をやっておるわけですよ。ですから、行政区域が非常に入り組んでいるところは同じ地域を両方の局から行って集配をするという事態があるわけですよ。そういうむだを省いて合理化をした方がいいのじゃないかと思うのですけれども、その点どうでございますか。
  73. 江上貞利

    ○江上政府委員 私どもの認識といたしましては、御指摘のようなことはないような計画をいたしておるつもりでございますが、なお、再度の御指摘でございますので、調査をいたしてみたいというふうに思います。
  74. 新村勝雄

    新村(勝)委員 それからもう一つは、速達取り扱い区域の問題ですが、最近都市化の激しいところでは、いままで農村であったところにたちまちにして団地ができるという事態が各地にあるわけであります。そういうところでは、その団地が速達の扱いになっていないということで、非常に行政の均衡というか公平というか、こういう点からしても遺憾な地域がたくさんあるわけであります。これについてもやはり行政管理庁の勧告が同時になされたわけでありますけれども、それが余り改善をされていないようでありますけれども、速達区域の指摘に対する改善の実績はいかがですか。
  75. 江上貞利

    ○江上政府委員 御指摘の地域は、特に地況の発展の著しい大都市の近郊地が中心になろうかと思います。この地域におきまして、五十二年度以降現在までに速達配達地域に新しく編入いたしましたところは約十万世帯でございます。
  76. 新村勝雄

    新村(勝)委員 十万世帯の改善をされておるいうことでありますけれども、まだそういう不合理な点がたくさんあるわけでありまして、これも一つの例でありますが、流山市という市がございます。その中に野々下、それから長崎という地域がありますが、この地域は周りじゅうが全部速達を取り扱っておる、しかも周りはこの速達の配達されない地域よりも人口が少ないわけであります。むしろ農村地帯。そういうところに囲まれたこの団地が速達が配達されない、そして周りの豊村地帯は配達をされておるというような不合理があるわけであります。この点については流山市幕から関東郵政局長に対して、さらにまた当時の白濱大臣に対して陳情、請願がなされたわけでありますけれども、依然として改正がされないわけであります。これは一つの例でありますけれども、こういうところが現在相当に多数存在をいたしておりますが、この点について御調査、そしてまも善処をされるお考えはございましょうか。
  77. 江上貞利

    ○江上政府委員 私どもの業務改善していく上におきまして全国調査もいたしておりますが、現在の速達配達区域基準に該当する世帯数は、全国的に見ましてまだおよそ四十万世帯ほどございます。
  78. 新村勝雄

    新村(勝)委員 郵便規則によりますと、陸路四キロメートル以内の場所は速達を配達をする、また、前記以外の場所でも陸路八キロメートル以内の必要な個所については速達を扱う、こういうような規定がありますけれども、現在これがほとんど空文に等しい状態でありますけれども、これについてはいかがお考えですか。
  79. 江上貞利

    ○江上政府委員 先生の御指摘のように、速達地域に編入しなければならないという基準は持っておるわけでございます。御指摘のような地域につきましては大変に人口の増加が著しいところでございまして、住民の方々の頻繁な転出入でございますとか、あるいは地番の混乱でございますとか、道路、交通事情の悪化というようなこともございまして、郵便を運行してまいります環境は非常に困難な事情でございます。したがいまして、このようなところにつきまして私どもも前向きに取り組んでいかなければならないということは当然のことでございまして、まず普通の郵便物を正確にお届けするというようなことが第一かと存じます。  ただ、そのような地域についての業務改善でございますけれども、御承知のとおり、財政事情、要員事情等大変に厳しい環境下に置かれている郵便事業でございまして、私どもといたしましても早急にそのような措置をとりたいと思っておるわけでございますけれども、その厳しい情勢下の中で許される限り可能な努力を続け、サービスの改善に努めてまいりたいというふうに存じておるわけでございます。
  80. 新村勝雄

    新村(勝)委員 この団地で日に二十一件程度の速達が来るわけでありますけれども、これが配達されないわけですね。そうしますと、この団地だけで年間百万を超える郵便料金が——これは郵便料金を払いながら、それに対応するサービスが得られないということなんですね。全国では恐らく億を超える郵便料金がその反対給付というかサービスがないままに、いわば不当に郵便料金が徴収されておるというような、こういう実態があると思うのですが、こういう実態について当局はどうお考えですか。
  81. 江上貞利

    ○江上政府委員 速達でお出しいただきましたものにつきましては、その配達局に至りますまでの取り扱いは最先便ということで、他の速達と同じような形で取り扱わさせていただいております。しかし、ただいま先生御指摘のような問題もあるわけでございまして、私どもといたしましては、財政事情、要員事情等大変厳しいわけでございますが、その中で許される限りの措置をとり、サービスの改善に努めてまいりたいというふうに存じております。
  82. 新村勝雄

    新村(勝)委員 最先便であっても、最終的に送達をされるまでの時間は一般郵便と同じようになってしまうわけでありますから、速達料金を払いながらそれに対するサービスは適用されないということでありまして、これは非常に不合理であると思います。  そこで、郵便料金の値上げがいま論議をされておるようでありますが、この料金の値上げに伴ってこういう不合理な、当然このサービスをすべき地域について、その料金の値上げと同時にその点に特に重点的に配慮をされるというお考えがございますか。
  83. 江上貞利

    ○江上政府委員 本来的に料金にかかわりなく改善努力を続けていかなければならない地域だというふうに存じておりますが、先ほども申し上げましたように財政事情が大変厳しいという事情もございまして、非常に早急な措置もなかなか、努力しながら早急にはそういう措置がとれないというような事情にございます。ただいま御指摘のような問題も、私どもといたしましては極力サービスの改善にも相努めてまいりたいというふうに存じております。
  84. 新村勝雄

    新村(勝)委員 当然受けるべきサービスでありますし、行政の公平という点からいって、ぜひその点を御考慮いただきたいわけであります。  次に、いま論議をされております国際電信電話会社の問題でありますが、このような事態が起こったその原因についてはどうお考えでございますか。これは、大臣にひとつお伺いしたいと思います。
  85. 大西正男

    大西国務大臣 KDDの今回の問題はどういうところから起こったか、こういうお尋ねでございますが、これをめぐる刑事事件等につきましては、それぞれの検察機関で捜査を進めておるところでございまして、私どもその内容については窺知しがたいところでございますが、要するにこういう問題が起こりましたのは、これまでのKDDの経営陣内における経営姿勢というものが問題である、このことを否むことはできないんだ、このように私は把握をしておるわけでございます。  したがいまして、KDDの建て直しということにつきまして、再びこんな問題が起こらないように防止の具体策を考えるということになりますならば、まず第一に、KDD自体の自主的な経営姿勢の刷新ということが必要でございます。同時に、今後そういうことが起こらないためには、その姿勢を正してもらうとともに、そのことに対して制度的にもこれを保障していく何らかの体制が必要ではないか、こういうことでありまして、現在私といたしましては、事務当局に対しまして、現行法に基づく従来の監督のあり方についても、郵政省における監督のあり方についても至らざるところがあったのではないか、さらには、仮に十分な監督をしても法の許されておる範囲ではとうていその十分な目的は達成されないということであるならば、立法論をも含めて、法の改正をも含めて検討をするように、そういうことで、いま会計検査院検査に付してはどうかという非常に有力な御意見なども各方面にあるわけでございまして、それらを含めて早急にこの問題を煮詰めて立案をするようにということを、いま鋭意進めておるところでございます。
  86. 新村勝雄

    新村(勝)委員 KDDのやっていることは、電気通信の仕事の一部だと思います。それをなぜ株式会社にしてわざわざ分けたのか、どうしてこの電気通信全部を一括して電電公社なりにやらせないのか、この点についてはどういう理由があるんですか。
  87. 大西正男

    大西国務大臣 KDDが国際電信電話株式会社法という特殊の法律に基づきまして、株式会社としてその存在が始まった、こういうことの経過につきましては、私の知っておるところによりますというと、国際電信電話事業というものは、国際的な情勢とかあるいはまた国際的な経済情勢といったものによりまして、その需要が非常に変化する、そういう環境にあるわけでありまして、そういう中にあって国際情勢をよく把握をし、さらに、それらの変化してやまない需要に対して対応をしていくためには、どうしても自主的なあるいは臨機の処置に応じられるような、そういった体制を持たしておくことが必要だ。そういうことにするためには、民間の活力ある株式会社といったような形態にしておくことが必要だ。しかし、一方において、この事業は独占事業でもございますし、同時に、国際電信電話事業という非常に公共性の高い事業を取り扱うわけでありますから、先ほど申し上げましたような一つの柱と同時に、これに対して政府つまり郵政省がその意味において十分に監督をしていけるような体制をつくっておかなければならぬということで、二つの柱を存立の基礎としてこの株式会社が発足をした、このように私は理解をしておるわけでございます。  そこで、今日の情勢に照らしましても、最初に申し上げましたKDDが民間会社としての活力な持って、そして自主的な、また臨機応変の経営序していけるような体制というものは、今後もその必要は増しこそすれ減りはしないというふうに私は考えるわけでございます。したがいまして、KDDの株式会社法のそういった基本はそのまま存続をさせていって、そしてその中において、しかもこういう事件が起こったわけでありますから、郵政省としての監督権と申しますか、あるいは国の監督権と申しますか、そういうものを再びこういう問題が起こらないような方向に強化拡大をしていくというやり方で臨むべきではないかということで、先ほど申し上げましたようなことを検討させておる、立案をさせておる、こういうことでございます。
  88. 新村勝雄

    新村(勝)委員 いまKDDの問題で非常に国民は疑惑の目を持って見ておるわけであります。そしてその問題についてはすでに司直の手に渡っておるということでありますけれども、これが取り調べが完了した後においては、この全容全貌を、国民にすべてを発表なさるお考えがございますか。
  89. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  いわゆる司直の手によって調べが進んでおります内容は、私どもの窺知し得ざるところでございます。郵政省は、申すまでもございませんけれども、御承知のとおり一行政機関にすぎないわけでございまして、そういうことを取り扱う行政機関ではございませんので、いま御指摘のようなことについて郵政省が発表するとか公表するとかいう立場にはないと考えております。
  90. 新村勝雄

    新村(勝)委員 次に、郵政省事業として保険業務をおやりになっておるわけですけれども、この保険業務をおやりになっておる中で選挙人名簿等——選挙人名簿だけではありませんけれども、自治体が持っておるような公簿を保険業務に使っておるということが言われております。しかし、選挙人名簿を初めとするいろいろな公簿がありますけれども、選挙人名簿は選挙の厳正な執行のために、そして国民の基本的な参政権を保障するためにつくっておるわけですから、それ以外の目的にみだりに使用することは適当ではないと思いますし、それ以外の公簿にしても、プライバシーの問題もございますので、これをみだりにほかの目的に使うことは適当ではないと思います。この点についてひとつお考えを伺いたいと思います。
  91. 浅尾宏

    ○浅尾政府委員 お答えいたします。  いま御指摘のございました選挙人名簿を東京都内の数局において保険の業務に使っておった事実はございます。  そこで、選挙人名簿は先生いま御指摘のように、名簿の正確を確保するあるいは選挙の正確を確保するという意味のものでございます。この名簿自体が一般に公開されておる、あるいは閲覧されておるということはございますけれども、選挙人名簿の趣旨というものを十分体しまして、節度を持って、目的外に使うことのないように指導をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  92. 新村勝雄

    新村(勝)委員 選挙人名簿等の公簿を目的外に使うということについて、自治省さんおいでになっていらっしゃいますか、特に選挙人名簿について御見解を伺いたいと思います。
  93. 岩田脩

    ○岩田説明員 お答え申し上げます。  確かに、ただいまお話がございましたように、選挙人名簿は公開されておるのでありますけれども、これは、お話にございますようにこの名簿の正確性を維持するという趣旨に出るものでございますので、われわれとしても名簿の閲覧、さらにはそれに伴います便宜の提供などが、そういった趣旨の範囲内で、趣旨に沿った形で行われるように今後とも指導してまいりたいと考えております。
  94. 新村勝雄

    新村(勝)委員 いまの御答弁にもありましたように、選挙人名簿等をその目的以外に使うことは、たとえ行政庁といえどもみだりにやるべきでないということは明らかだと思います。ところが残念ながらそういう事態があったわけですけれども、大臣は今後の運営の指導方針等についてどうお考えでしょう。
  95. 大西正男

    大西国務大臣 選挙人名簿は、いま自治省からお答えのありましたような性質を有するものでございますので、その趣旨にのっとりまして節度を持って慎重に対処するよう指導してまいりたいと存じております。
  96. 新村勝雄

    新村(勝)委員 終わります。
  97. 高田富之

    高田委員長 新村君の質疑は終了いたしました。  この際、午後二時まで休憩いたします。     午後零時五十四分休憩      ————◇—————     午後二時四分開議
  98. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十二年度決算外二件中郵政省所管及び日本電信電話公社につきまして、午前中の決定に追加して、日本放送協会技師長沢村吉克君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 高田富之

    高田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  100. 高田富之

    高田委員長 質疑を続行いたします。井上一成君。
  101. 井上一成

    井上(一)委員 まず、私は警察庁にお伺いをいたしたいと思います。  きょうの新聞報道によりますと、警視庁は保田前社長室参与から事情聴取されたという報道がありますが、これに間違いございませんか。
  102. 佐野国臣

    ○佐野説明員 お答え申し上げます。  かねて御承知かと思いますが、捜査の過程で被疑者のお名前とか参考人のお名前とかあるいは呼び出した事実とか、そういった問題は、特に裁判上の立証の問題、そういう問題にも絡みますし、攻撃、防御の場で申しますと手のうちを示すというふうな、いろいろな捜査上微妙な問題がございますので、現段階ではお答えを差し控えさせていただけたらと、かように存じております。
  103. 井上一成

    井上(一)委員 このKDD事件に関しては当然警視庁の方では十分な事情聴取をなさっていると思うわけですけれども、その実情実態、私が指摘しているように本格的に取り組んでいるという認識を持ってよろしゅうございますか。
  104. 佐野国臣

    ○佐野説明員 先般強制捜索ということで会社その他関係のところを捜索いたしてございまして、現在押収品目が九千点を超えるというふうな膨大な資料でございますので、それの点検あるいは分析という内部的な活動をもっぱら主に置いて捜査を進めておるという状況でございます。
  105. 井上一成

    井上(一)委員 私は一般論としてここでお尋ねをしておきたいと思うんですけれども、何らかの問題が起こり、そしてその問題に少しでも犯罪を構成する要因がその中にある、その場合に、当事者はもとよりでありますけれども、いわゆる関係者からも、ときには善意である関係者もいらっしゃるかもわかりませんし、あるいは犯罪に間接的に加わる、そういう第三者もいらっしゃるかもわからぬ。そういういわゆる善意あるいは善意でない、そういうことは別にして、関係者から通常事情聴取するというのがたてまえだと私は思うのでございますが、この点について警察庁の見解を聞かしていただきたいと思います。
  106. 佐野国臣

    ○佐野説明員 捜査の遂行の過程でいわゆる関係者というものをどの程度呼ぶとかあるいは調べるというふうにお考えかという御質問かと思いますが、一般的には事案の重要性あるいは規模の大きさとか、そういったものを中心に置きまして容疑者あるいは参考人という訴訟的な、関係者はもちろんですが、それ以外にもいわゆる関係人と称される方々、あるいはわが方で情報収集すれば足りるという程度での事情を聞くというふうな関係の方、こういうふうに非常にバラエティーに富んでおります。そしてそれがそれぞれ参考人になるのかあるいは被疑者になるのかという判断は、現場の捜査の担当官が個々に事件の、先ほど申しましたように内容なりあるいは規模なり重要性といいますか、そういったものを勘案しながら格づけと申しますか、あるいはそういう位置づけで捜査を遂行していくということでございます。したがいまして、警察で何がしかの事情を聞いたという場合に、それが全部被疑者であるのかということにもなりませんし、じゃ全部参考人にとどまるのかといった場合に、参考人にとどまるだけでもない場合もございます。あるいは単に情報収集ということでいろいろ事情を聞いておるという方もあろうかと思いますが、この中のいわば区分とでも申しますか、そういうものはケース・バイ・ケースで現場の捜査官の判断によって変わっていく、かように御承知おきいただけたらと思います。
  107. 井上一成

    井上(一)委員 一般論としていまお答えをいただいたわけであります。  もう一度、このKDDの問題、この事件については、とまることなく順調にその真相究明のために取り組んでいるということは、ここで御回答としていただけますか。
  108. 佐野国臣

    ○佐野説明員 捜査の見通し的な部分につきますと、いかんとも私としては申し上げかねる立場でございますが、現在は、先般強制捜索を実施いたしました関税法の容疑なり、こういったものを鋭意固めるということに全力を挙げて捜査に従事いたしておる、かようにお答え申し上げたいと思います。
  109. 井上一成

    井上(一)委員 さて次に、郵政省当局にお尋ねをいたします。  先般の十二月七日の当委員会で、私から、郵政省部内の幹部職員がKDDとのいわゆる交友の事実があるかどうかということをお尋ねしたわけであります。その折りに、早急に調査をする、こういうことでございましたが、まず、その調査が終わったかどうかをお尋ねをしたいと思います。
  110. 小山森也

    ○小山政府委員 前回にもお答えいたしましたとおり、去る十一月十二日に省内に設置いたしました綱紀点検委員会において鋭意調査を進めておりますが、現在まだ調査を完了するという段階には至っておりません。
  111. 井上一成

    井上(一)委員 綱紀点検委員会が発足されてもう一月以上になるわけですけれども、まだ調査が完了していないということは、むしろ私は、本当に綱紀粛正に向かっての取り組む姿勢が不十分である、こういうふうに思うわけなんです。そういう姿勢では郵政省の厳粛な受けとめ方というかそういうものがあらわれてない、こういうふうに思います。それでは、最終的な結論はまだ出ないけれども、今日の時点でKDDからの接待を受けたあるいは贈答を受けたその人数について把握している数をここで報告をしていただきたいと思います。
  112. 小山森也

    ○小山政府委員 まだ調査は完了いたしておりませんけれども、昨年七月以降におきます贈答といたしまして、それぞれの時期と申しますと中元、歳暮それから五十四年の中元という段階になりますが、大体二十二、三名の者が贈答品を受けております。またKDD関係者と会食したというような者は、五十三年七月から現在に至るまで十六回受けておるということが私どもの方の申告には入っております。
  113. 井上一成

    井上(一)委員 いま昨年の七月から本年の九月までにKDDからの贈答を受けた者が二十二、三名、これは中元、歳暮等なんですけれども、同一人物が数度にわたりその贈答を受け取っておったということなのですか。
  114. 小山森也

    ○小山政府委員 同一人物でありますのは二回程度のものはございます。
  115. 井上一成

    井上(一)委員 それでは、二回以上同一人物がそのような贈答を受けておったという対象者は何人くらいいらっしゃいますか。
  116. 小山森也

    ○小山政府委員 現在の調査によりますと、二回以上というのはございません。
  117. 井上一成

    井上(一)委員 二回以上ないということはすべて一回きりだということでございますか。そうすると六十数名、少なくとも六十八、九名の人がKDDから贈答を受け取ったということになるのですが、どうなんですか。
  118. 小山森也

    ○小山政府委員 失礼いたしました。三回受けている者もあります。
  119. 井上一成

    井上(一)委員 私の調査では数回その贈答を受けておった者もおるわけであります。延べにして数十名になるわけであります。  さらにもう一点、海外出張みやげという形の中でKDDからいわゆるおみやげと称して、あるいは密輸の形で持ち帰ったものもあるかもわかりませんが、そのようなものを受け取っておった幹部職員、あなたの方で把握をされている人数はどれぐらいいらっしゃいますか。
  120. 小山森也

    ○小山政府委員 七名おります。
  121. 井上一成

    井上(一)委員 さらに接待を受けた、一年間で約十六回に及ぶわけです。これはどのような場所で接待を受けて、接待を受けた会合の趣旨、そういうことについてひとつお答えをいただきたいと思います。
  122. 小山森也

    ○小山政府委員 場所でございますが、都内のホテル、レストラン、一部料亭がございます。  どういうような内容でその会食をしたかということでございますが、ほとんどが人事異動に伴う関係者の顔合わせというのがありまして、一部年末の顔合わせというのがあります。
  123. 井上一成

    井上(一)委員 都内の料亭なりホテルなりレストランでの会合ということです。それで、これまた数十名の延べ対象者がKDDからの接待を受けておった。非常に不愉快なことなんでございます。ただここで問題は、これらの受けた接待あるいは贈答の価格、総額で結構ですから、総額大体どれくらいの金額の接持を受け、あるいは総額どれくらいの金額の贈答を受けたのか、その点についてはどういうふうにとらえていらっしゃるのか答えていただきたいと思います。
  124. 小山森也

    ○小山政府委員 私どもの調査によりますと、一件一件につきましては、それぞれの申告によりますと儀礼の範囲内と思われる金額でございます。ただ、これは申告に基づきまして私どもで推定した金額でございまして、それではどれくらいの金額のものであるかということは実際問題として不明であるということでございます。正確なところは不明でございますが、それぞれの申告に基づきますと、一応社会的儀礼の範囲の中に入るのではないかというふうに考える次第でございます。したがいまして、総額幾らかということにつきましては、お答えしかねるのが実情でございます。
  125. 井上一成

    井上(一)委員 個々の問題については社会的儀礼の範囲の中に入るということですけれども、前回の委員会でも私はそういう点について一定の見解を求めたわけでありますけれども、十分な回答が得られなかったわけであります。都内の料亭なりホテルなりで会食をすることが社会的儀礼の範疇に入るのかどうか、あるいは郵政当局はそれぐらいの範囲までは儀礼的なものだと、そのように受けとめていらっしゃるとしたら大きな間違いだと私は思うのですが、そこはどうなんでしょうか。
  126. 小山森也

    ○小山政府委員 先生御指摘のとおり、いわゆる社会的儀礼と言われますのは、その線を引くことはなかなかむずかしいわけでございます。たとえば人事異動に際しましての儀礼的な懇談の場というようなことを私ども想定しておるわけでございます。
  127. 井上一成

    井上(一)委員 さらに、海外みやげについても、巷間うわさをされる高価な物をもらっておったのかどうか、あるいはそのようなことに対しての社会的儀礼だと片づけてしまえない、そういう事例が私はあると思うのです。そういうことについて当局はどう受けとめていらっしゃいますか。
  128. 小山森也

    ○小山政府委員 従来のいわゆる社会的儀礼と申し上げましたが、これは境目を引くのはいろいろな関係によって非常にむずかしい問題だ、こう考えております。したがいまして、今後の問題といたしまして、個々の個人によってその範囲が非常に弾力的に理解されることを認めること自体がれしろ非常にあいまいになるということから、今後そういったことの贈り物とか接待とかということについては応じないことといたしまして、先般大臣の依命通達を出しまして、以後関係者から、そういうことのないようにということで、今後の問題としてそのように措置したわけでございます。
  129. 井上一成

    井上(一)委員 さらにここで、なぜ七月からに限定したのか、七月以前はどうであったのか。昨年の七月以前にもやはりこういうことがあったわけなんです。KDDが金品をばらまく、そのような経営状態に入った三年前から、さかのぼってむしろこういう実情調査すべきであって、なぜ昨年の七月からということに限定されたのか、この点についても理由があればひとつお答えをいただきたい、こういうふうに思います。
  130. 小山森也

    ○小山政府委員 実を申しますと、昨年の七月はちょうどわが郵政省において人事異動期に当たっております。その人事異動期以降ということで昨年の七月以降としたわけでございますが、なぜ七月に限定したのかと申しますと、やはり私どものこういった調査といいますのは、あくまでも調査対象者の記憶といわゆる良心というものに訴えて、ひとつ自主的に申告してくれということでございます。そうしますと、余り以前のことになりますと非常に個人差が激しくなるというようなことがございまして七月以降ということにしたわけでございます。
  131. 井上一成

    井上(一)委員 個人差が激しくなるということは理由にならないと思うのです。  ここでひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うのです。  いま大臣お聞きのように、官房長からまさに郵政省の中のKDDとの結びつきというものの一端が明確になったわけですね。私は、いま国民がKDDのこの事件に対して注目をしておる折に、郵政省の幹部職員がかかわったということで非常に大きな注目を集めていると思うのです。そのことは、むしろそれなりにひとつ、いまこそこの機会に郵政省の省内の綱紀粛正という面から明確にその対応を示していくべきだと思うのです。だから、むしろ私はその指摘をしてお答えをいただいたのですけれども、何か小さく、少なく、そして大きな面は表へ出さずにというような感を受けておるわけなんです。決してそのことが誤りであるとかあるいは事実と違うという意味じゃなく、そういう意味で金額も十分把握をしない、あるいは期限を七月からに切ってしまう、そんなことで本当に厳正な綱紀粛正という反省を込めての対応ができるのであろうか、こういうふうに思うのです。大臣がいま国民から注目を浴びているこの事実、この現実に立ってどのようにこれに対処していくか、ひとつ具体的に大臣のお考えをここでまず聞いておきたいと思います。
  132. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  綱紀の粛正につきましては、従来から機会あるごとに注意を喚起し、またその実が上がるようにと指導してきたところでございますが、いわゆるKDD問題等に関連をして特に郵政省職員職務の執行について世間の注目を浴びておりますことは、これを謙虚に受けとめておるところでございます。  この際、職員の綱紀粛正について部内全機関に徹底を図る必要があると考えられましたので、先ほど官房長がお答え申し上げましたような点検委員会をつくりまして、そしてそこでさらに十一月十六日付をもって改めて指導通達を発出いたしたわけでございます。  ただいま官房長がここで申し上げましたことは、まだ調査が終了しておるわけではないのでありますけれども、現時点で把握をしておることについて御報告を申し上げたところでございます。したがいまして、これからも調査を続けていくわけでございますが、いずれにいたしましても、郵政職員たる者はこれからさらに一層自粛自戒をして、そして公正な行政の確保に努めることは当然のことでございます。このことをさらに一層強力に指導してまいりたいと存じております。
  133. 井上一成

    井上(一)委員 私は、いま後段で一層の努力をし綱紀粛正に取り組んでいくのだ、なお、いま中間的な調査の現状では最終的な判断というものは非常にむずかしいかもわかりませんけれども、やはりこのような事実関係が出ましたのですから、大臣、この辺でいわゆる新しい年に心機一転、懸命の努力をするのだという取り組みの心構えというものをもう少し明確にしなければ、末端で郵政業務に真剣に汗を流す人たち、労働者にとって、私はまさにこれは済まぬと思うのです。  大臣、重ねてのお尋ねでございますが、本当に大臣の気持ちを私はもう一度ここで聞いておきたいと思うのです。
  134. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  郵政省職員の士気に関して御心配をいただいて大変ありがたいと思っております。そういう趣旨から申しましても、先生のその御趣旨を体して綱紀の粛正について一層努力をしてまいりたいと存じます。
  135. 井上一成

    井上(一)委員 さらに私は強く要望しておきます。  一日も早くすべての実態を明らかにし、国民の前に郵政省が大臣を先頭に真剣な真摯な気持ちで業務に取り組んでいる。郵便料金の値上げを云々する以前に、そのような姿勢を国民の前に示さない限り、郵便料金の問題なんというのは論じられない、論じる資格がない、私はこのように、大臣、思うのです。これは中間報告ですが、最終のめど、最終的には年内をめどにされているのだろうとは思いますけれども、一日も早いその終結、結論をぜひ当委員会に報告をしていただくことを、重ねてここで要望をしておきます。  さらに私は、前回も申し上げたのですけれども、幹部がKDDとこういうふうに癒着をしているという表現が当たるのか、あるいは深いかかわり合いを持っているという表現が当たるのか別として、やはり何らかの形で世間から注目を浴びるという状態、大変残念なんですけれども、同時に、郵政省の中で職員の福利厚生を図ろうとする施設だけでなく、現場での備品というのでしょうか、そういうものについてキャロムですか、という機械があるのですが、これは大臣御承知でしょうか。
  136. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  キャロムという、これはレクリエーション用具でございますけれども、私もこれがどういうふうな器具のものか詳細には存じておりませんけれども、近畿郵政局におきましてこういった用具を職場のレクリエーション用具といたしまして配備いたしておることを承知いたしております。
  137. 井上一成

    井上(一)委員 これはレクリエーション用具として現実に使われているというように把握していらっしゃいますか。そして、どれほどの台数を設置されていますか。
  138. 林乙也

    ○林政府委員 現在五十二、五十三、五十四、三カ年度におきまして、約三百八十台が郵便局に配備されたというように承知いたしております。これはあくまでもレクリエーション用具として配備いたしておるものでございます。
  139. 井上一成

    井上(一)委員 私の尋ねているのは、あなたはレクリエーション用具で配置した、それはレクリエーション用具としてレクリエーションに十分用を足しているのか、こういうことなんです。
  140. 林乙也

    ○林政府委員 お答え申し上げます。  キャロムという用具につきまして、私もいまひとつ詳細には承知いたしておりませんが、何か四、五十センチ四方の枠の中に石といいますか、玉を置いてのおはじきといいますか、何か玉突きのようなそういうようなゲームのようでございます。郵便局におきましては、限られた休憩時間あるいは勤務時間外の時間におきまして、役職者あるいは老若男女を問わずお互いに気持ちを通い合わせるための施設というようなことといたしまして、いろいろなレクリェーション用具を配備いたしておるわけでございまして、スポーツ関係の用品でございますと野球用具あるいは卓球用具、バドミントン用具というようなもの、また室内遊戯関係といたしましては、囲碁、将棋、オセロ、輪投げというようなもの、そういったものと同じような趣旨におきまして、このキャロムを郵便局の方からの配備の希望を受けまして郵政局から各郵便局に配備いたしておるというようなことでございます。このキャロムはただいま申し上げましたように、何か四、五分で一つのゲームが終わるというようなことで、ごく短時間に、しかもまことに簡便な、そういうような用具のようでございまして、郵便局の方からもこの配備について希望がございました。その希望を受けて郵政局といたしましては配備したというように聞いておるところでございます。  なお、この用具の使用につきましては、もちろん勤務時間外のいわゆるレクリエーションの許される時間において使用するというようなことで行っておるところでございます。
  141. 井上一成

    井上(一)委員 あなたはまさに実態を知らない。そしてそのことは、私がこれから指摘をすることにぴったりなんだ。郵政の犯罪の増加というのは年々ふえつつあり、そして大型化していくわけなんです。なぜそういうことになっていくのだろうか。私は精神的な荒廃をここで憂えるからですよ。それが得々と、レクリエーションで、まさに三分で終えてすべて喜んでもらっているのだ。確かに三分で終えることの喜び、あるいはそのことを使って自分たちの締めつけられた精神状態を解放する、そういうことの喜びはあるでしょう。これは機械的な労務管理あるいは労働組合対策のみを目的とするいまの労務管理が生んだ一つの大きなはけ口なんです。この職場のそういう中で——私はここに写真を持ってきております。これは賭博に利用しているのですよ。賭博の一つの道具にこのレクリエーションのあなた方の三百八十台の機械が利用されている。そんなことの実態を知らずして何が労務管理か。本当に冷たさというものが、何をしておってもそれはわれ関せずだ。とまれ仕事だけ、あるいは窮屈な労働条件だけを押しつけて事が足りるのだ、三百八十台備えたからといって、何のこれがレクリエーション、いわゆる精神的な安定を与えているのですか。そういう実態もわからずして得々と答弁をする。そういう姿勢が郵政省の省内のややもすると実情から離れていくもとである、私はこう思うわけなんです。  大臣、前回も申し上げました。単身で都市の中に勤務をし、そして厳しい労働条件の中でトイレへ行くのにもストップウォッチで何分トイレへ入るかというようなことをはかられたときがあったのですよ。そんなことで人間的な上司と部下とのかかわり合いなんて望めませんね。大臣いかがですか。望めないでしょう。そこからやはりさびしさ、精神的荒廃というのか、そういうことで犯罪が発生をしていく。前回も申し上げましたけれども、大臣、郵政はいまも得々とレクリエーション施設だというようなことを言っておるのですよ。実態も知らずに何がレクリエーション施設ですか。こういう実態をだれがっくり出したか、だれが生ましたか、これは当局なんです。だから、もう少し当局の姿勢というものを——こんなことを言えばあなた方は、また労務管理を強化しよう、それしか考えないでしょう。そういう方向に考えちゃいけないということです。もっともっと温い思いやりで部下に対する対応、あるいは職場の労働者に対する対応に取り組んでいくべきだ、こういうふうに思うのです。これは大臣からひとつ。いまの答弁では私は納得いきません。もし先ほどの答弁と同じような考えを大臣が持つならば、大臣みずから現地へ出向いて実情を見るんだというぐらいの覇気がなければ、私は、さっきの綱紀粛正なんというのはできっこない、こういうように思うのですよ。大臣いかがですか。
  142. 大西正男

    大西国務大臣 お答えいたします。  御指摘のキャロムというレクリエーション用具、私は全然存じませんですが、しかし、いま答弁の話を聞いておりますと、職場の希望によってそういうものを配置したということでございまして、きわめて善意な立場に立って、よかれと思ってしたことだと思います。ところがそれが悪用されておる実情についてお話があったわけでございますが、そのことについてさらに深く掘り下げて、労使の関係についての温い、何と申しますか、心の通いがないではないか、こういう趣旨の御指摘でございますが、私も午前中の委員の方のお尋ねに対しまして、せんだって全国局長会議がございましてその席上であいさつをしたわけであります、その中で、やはり労使の関係というものは非常に——当然のことでございまして、私がそこまで言う必要もなかったかもわかりませんけれども、特にこれは郵政省としては重視をして考えていかなければならない問題である。そこで、労使の間にいろいろと意見の違いとか、あるいは、また対立もあるかもわからないけれども、しかし、その根底にはやはり信頼関係というものが存在をしなければ労使関係は成り立たないと思う。そこでその信頼関係を築くには、双方が互いに努力をしなければならぬが、ひとつそういった相互に信頼関係の生まれるような環境といいますか、そういうものをつくるために誠意を持ってこれに臨んで、そういう環境がつくれるような努力をしてもらいたい、こういうことを訓示したわけでございます。私としては、そういう心境でこの問題にも当たりたい、このように思っておるわけでございます。
  143. 井上一成

    井上(一)委員 労使の信頼関係、まさにこれは大切な問題であります。そのことが損なわれるからこれが悪用されていく。なぜこういうことになっていったか。四、五年前に中国なり四国なり九州から人を集めてくるわけなんですね。そして四、五年で郷里へ帰してやる、こういう一つの口約束、このことはやはり受ける側に、働く側に期待がありますね。五年がんばればくにへ帰れるのだ、ところが現実は約束が守られない。そのことはホームシック、故郷に対する愛着、そんなことから精神的な障害というのでしょうか、精神的な打撃を受けるわけです。これは一つの労務管理の中で、くにへ帰りたければ全郵政なら全郵政に入ったら帰してやるのだとかいうようなことを言った。まさに当初の約束とはうらはらなことを当局はするわけなんです。だから、約束を守らない当局に対しての信頼をなくし、そして三分という短い時間だけれども、みずからのうっぷんをそこで晴らしていこう、何かそこで一つの精神的な解放感を味わっていこうということが、いまこのキャロムという機械を賭博の一つの機械に転化させておる、こういうことなんです。大臣、よく実情を承知してください。  私は何回も言うようですけれども、郵便犯罪が多くなったり、あるいは部内の綱紀が乱れたりすることも、ただ単に戒厳令——言葉が妥当でないかもわかりませんが、厳しいことをやって管理々強化していくんだということだけではもうだめだということなんですね。やはりそこには、根本的に対応の仕方を変えていかなければいけない、こういうふうに思うのです。このことについては、さらにそういう取り組みをひとつ強く要望しておきます。  次に、信書の守秘の義務、そういう現場での取り組みに非常に関心を持たなければいけないし、注意を払わなければいけないと思うのです。大平総理の守秘の義務、このことも、山村のポストを駆けめぐり山奥の山家に信書を届ける、この集配をする人の持つ信書の守秘の義務、これも私は同じだと思うのですよ。大臣、まずどうお考えですか。
  144. 大西正男

    大西国務大臣 私が申し上げるまでもなく、信書の秘密というものは、わが国の法制上それを守るべきことがすべての人に課せられておるわけでございます。ことに信書を取り扱う郵政省といたしましては、上から下という言葉がいいか悪いかは存じませんが、全員がその信書の秘密を守る精神に徹しなければならない、こう思っております。
  145. 井上一成

    井上(一)委員 それじゃ具体的に、いまおっしゃられたように、信書の秘密というものに対すす守秘の義務、これはもうまさに私と同感ですから……。いままでに郵政当局の方で機密漏洩の具体例があるのかどうか、あるならばひとつここで明らかにしておいてほしいと思うのです。
  146. 吉田実

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  私ども監察の方では、そのような事例があったということは聞いておりません。
  147. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、いま具体的な事例はまだないということです。そのことは喜ばしいことですが、私は一つの具体例と、それから郵政の取り組んでいる姿勢を申し上げて、ひとつ見解を聞かしてもらいます。  一つは、いま団地のママさんに配達を委託していることの問題、このこと自体非常に大きな問題を中に秘めていると私は思うのです。ただ単に配達先のことを何も知らないアルバイトの配達人と本質的には私は異なると思うのです。ということは、その団地の中は配達をするそのママさんは十分に承知しているわけなんですね。十分知っていらっしゃる奥さんがその団地に配達をする。中身とか内容というものはわからないでしょう、封書ですから。しかし、差し出し人はわかるわけなんですね。そして、受け取り人も十分承知している。そこに一つの広義の意味からプライバシーの侵害にならないだろうか、こういうことなんですよ。ただ単に年賀の配達だとか、通常のアルバイトの配達人と同じ位置づけを私はしないわけなんですね。このことについて当局はどういうふうにお考えなのか。これは具体的な事例です。  もう一つは、小包の拠点間移動を下請化しているわけなんですね。とりわけその中身あるいは内容というものがさつきの信書と同じようにわからないけれども、小包等についても、これは本来は下請化していくことについて若干の疑義を持つわけなんです。むしろそれの下請化は何のためにやっていくのか、ただ単に合理化だという表現で事は片づけられないと思うのです。具体的には、その下請をしている企業に郵政から役人が天下っている。まさにこれは下請企業は今後独占化されていく、そういう方向にあると思うのです。もっと極端な表現をすれば、その下請化される企業は郵政の外郭団体化されつつある、こういう実情なんです。私は、こういうことについて本当に郵政の姿勢というものを疑わざるを得ないわけです。このことについて大臣の見解を、ひとつここで承っておきたいと思います。
  148. 江上貞利

    ○江上政府委員 実態ということでございますので、私からお答えさしていただきます。  最初の団地の主婦の方々等の配達の問題でございますが、これは委託ではございませんで非常勤職員としてお願いをいたしておるものでございます。非常勤の職員でございましても国家公務員でございまして、郵便法の適用あるいはまた国家公務員法の守秘義務も課せられておるわけでございます。  なお、先生御懸念の点に関しましては、毎月業務研究会を開催することにいたしておりまして、投書でございますとか、あるいはまた申告等の具体的事例を使いまして、職員としての心得あるいはまた郵便物の取り扱いの上の心得などにつきまして具体的にいろいろと御指導をさせていただいておるわけでございます。  次の、郵便物の運送等を外部に委託をいたしておるということに関してでございますが、現在外部に委託いたします場合は、外部に委託することが経済的でかつ郵便物の運送等に関する業務に支障がない場合、他に委託ができるということになっております。
  149. 井上一成

    井上(一)委員 非常勤職員ということであれば、採用の時期だとかあるいは採用条件などは国家公務員に準じて取り組んでいるのだ。じゃ、一定の義務づけは明確にしているわけですね。  さらに下請機関、私が指摘しているように郵政の外郭団体化をする傾向があるということと、郵政からその下請企業に天下っているという事実、これはどういうことなんですか。
  150. 江上貞利

    ○江上政府委員 輸送の部門では、鉄道については大部分を国鉄に、自動車につきましては全国で二百十八社、航空につきましては日本航空外四社に委託しておりますが、中に郵政省を退職いたしました者がおります会社がございますが。詳細につきましては手元に資料がございませんので……。
  151. 井上一成

    井上(一)委員 大臣、通常天下るということについては非常な誤解なり、あるいは誤解でない場合もあるのですけれども、世間に対していろいろな問題を起こすわけなんです。そのことは傾向としてよくないと私は思うのです。大臣としてはいかがですか。
  152. 大西正男

    大西国務大臣 一般的に申しますと、そういう天下りという形の中で、関係の会社、企業等におきましてその人を有能な人物と認めて、ぜひ欲しいと言ってその職についてもらうといったこともたくさんあろうかと思います。ですけれども、それに名をかりて、いわゆる天下りといっていろいろと世間から批判の対象になることもあろうかと思います。でございますから一概には申し上げられないことではありますけれども、いわゆる天下り傾向といったものは好ましいことであるとは思いません。
  153. 井上一成

    井上(一)委員 もう時間がありませんので、私は幾つかの質問を残すわけなんですが、ここで一点だけ海底ケーブルについて、これは前回も大臣に質問したのですが十分な御認識がなかったので留保したわけです。きょう私はさらに、わが国には海底ケーブルが計七本あるわけですけれども、そのうちの一本で日本−台湾間の海底ケーブルがあるわけですが、この経緯とか現状についてはもう時間がありません。ただ、本来はKDDが敷設していく当事者になるわけですけれども、日台間については日本アジア海底ケーブル株式会社という民間会社がそれを行ったわけです。これだけが民間会社が行った。これは中国との関係でのKDDのダミー的会社だったと思うのです。そこの社長が今度KDDの社長に予定されているわけなのです。固有名詞を挙げて大変悪いのですけれども、その方は元はKDDの副社長であった。KDDの副社長が一〇〇%子会社であるアジア海底ケーブルの社長におさまり、またぞろKDDに帰ってくる。非常に斬新なようだけれども、ルーツは一緒なのです。この点については私は本当に疑義を持っているわけです。午前中も言われておりましたが、何が経営刷新なのか、何が新鮮な人事なのかということを考えたときに非常に深い疑惑と疑問を持つ、私はこう申し上げざるを得ないわけです。時間がありませんのでこれ以上の質問はできませんけれども、あえて私はこれは申し上げておきたいし、そういうことを十分承知の上で大臣は今回の一連のKDDの経営立て直しをお考えであるのかどうか、この点についてもお聞かせいただきたい。とりわけアジア海底ケーブルの日台間の問題について、御承知なのですね。
  154. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  今度のKDDの人事に関しましては、過日すでに新聞紙上に発表されておりますから、もう多くを申し上げる必要はございませんが、今度はKDDの従来の経営姿勢を刷新したいということで、これは当然KDDの自主的な選択にまつわけではございますけれども、こういう事件の起こった直後の処置でございますから郵政省としても強い指導力を発揮したい、こういうことでやったわけでありますが、それにはまず会長人事については民間から人を得よう、そういうことで民間人を起用することにしたわけでございます。そうして、その会長人事が決まりましてから、会長の意見も聞きつつ社長人事を考えたわけでありますが、私どもといたしましても、また予定される会長になられるという人も、社長人事については、KDDの業務内容等について詳しい人が欲しい、社内に詳しい人というならばKDDに従来から関係のあったということがまず考えられますが、そういう人であってしかもKDD内において大変信望のある人を得たいということで、私どもの意見もそういうことでありまして、そういうことをたどっていくならば、いまお名前は言われませんでしたが、お考えになっておる人物が最適の人物だ、こういうふうに私どもも、また将来会長に就任されるはずの財界出身の人も考えられて、それが一致したわけでございます。そういうことであの人事が生まれた、こういうことであります。
  155. 高田富之

    高田委員長 井上君の質疑は終了いたしました。  林孝姫君。
  156. 林孝矩

    ○林(孝)委員 官房長官の出席はどうなっておりますか。
  157. 高田富之

    高田委員長 いま議運に呼ばれたそうで、それが終わり次第こちらに来るそうです。議運の方にいるそうです。
  158. 林孝矩

    ○林(孝)委員 ちょっと質問に入れないのですが……。
  159. 高田富之

    高田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  160. 高田富之

    高田委員長 速記を始めてください。  林君。
  161. 林孝矩

    ○林(孝)委員 官房長官にお伺いいたします。  閣議決定ということでございますけれども、その閣議決定の意義、位置づけについてお伺いいたしますが、基本的なこととして、閣議決定というものがどういう意味を持つか、これについて、内閣を代表しての官房長官の考え方を確認しておきたいと思います。
  162. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 お答え申し上げます。  閣議決定の意義でございますが、私どもといたしましては、閣議で決定いたしましたことは行政のベースで必ずそれを実行していくということでないと閣議決定ということの権威がなくなりますので、決まったものは極力実行していくということをやっておるわけでございます。しかし、中には、過去の例を見ますと、閣議で決定し了解したことで、たとえば行政改革その他でもそのとおり実行されなかったというようなことがなきにしもあらずでございまして、閣議決定されたことが全部そのまま実行されておるというわけにはまいらぬのでありますが、大平内閣のもとにおいては、閣議決定したことは極力実行していくということでやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  163. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうしますと、閣議決定ということは政府の行動を拘束していく、閣議決定は原則として守られなければならない、こういうことだと私は理解するわけでありますが、別の面から言いますと、閣議決定するということは政府が国民に対してその実現を約束する、このようにも言えると思うわけであります。官房長官、信念としてお答え願いたいと思います。
  164. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いま御質問のことは、私もそのとおりに考えております。まず閣議決定をしまして、各省庁これでやるようにということで行政をやるわけでございますが、行政は即国民の皆さんに関係することでございますから、閣議決定になったことが国民の皆様からも実行できるようにという期待を持たれることはそのとおりでございますので、国民の皆さんにもそれを守っていくことが役目だろうというふうに思っております。
  165. 林孝矩

    ○林(孝)委員 閣議決定の具体的な問題に入ります。  昭和五十二年十二月二十三日の閣議決定、「行政改革の推進について 当面する厳しい内外の諸情勢にかんがみ、行政の合理化、効率化を図るため、差し当たり下記の措置を講ずるものとする。」というのがございます。この閣議決定が行われた背景、これについてどのように受けとめられておるか、まず伺いたいと思います。
  166. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 五十二年十二月の閣議決定でございますが、先生も御承知のように、これは行政改革の問題を中心にしました決定でございます。その中に特殊法人その他も行政改革の項目として取り上げられておるわけでございまして、五十二年十二月におきましても、この当時、補助金の問題でございますとか、特殊法人の問題でございますとか、定員の削減の問題でございますとか、国民の皆様に対しまして内閣としてこういうことに取り組もうということで、行政改革を中心にしました閣議決定でございます。
  167. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この閣議決定の中に「特殊法人の役員の給与、退職金制度」という項目があります。「特殊法人の役員の給与については、民間及び公務員との均衡を図るという基本方針の下に、昭和五十二年度の改定は、全体的に抑制ぎみに行うものとする。」それが一番。二番目に、「特殊法人の役員の退職金の支給率については、昭和五十三年度から現行の在職期間一月につき俸給月額の百分の四十五を百分の三十六に引き下げることとする。」こういう閣議決定でございます。  私は、この退職金制度の問題を議論したいと思うわけでございますが、この閣議決定の周知徹底の実態というものがどのようになっておるか。たとえば郵政省はその所管に係るところの周知徹底を行ったかどうか、この点について全体の特殊法人に対する周知徹底の問題、これは官房長官にお伺いします。それから、郵政省関係については郵政大臣にお伺いしたいと思います。
  168. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いまお話しの特殊法人でございますが、百十一ございます。いまの段階でわかっておりますのは、そのうち七十五法人がこのとおりやっているということがわかっているわけでございます。これは最低でございまして、それ以上もう幾らかあるはずでございますが、いまのところで大蔵省において調べたところでは、七十五法人がこのとおりやっております。これは、最低これだけはやっておりますというところがいまわかっているところでございます。
  169. 大西正男

    大西国務大臣 昭和五十二年十二月の閣議決定に基づきまして、それが御指摘の退職金の問題につきましては五十三年四月から実施をされることになるわけでありますが、この間郵政省におきまして、閣議決定に基づいてKDDその他に対してその趣旨を徹底させることはいたしております。ただ、具体的にいっしたかということは、事務当局からお答えいたします。
  170. 林孝矩

    ○林(孝)委員 この特殊法人の役員の退職金の支給率の第二項の項目の内容、これはどういう意味と解釈をされ、また受けとめられておりますか。
  171. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 御指摘の閣議決定の第二項でございますが、これは特殊法人の役員の退職金の支給率につきまして、昭和五十三年度から、現行の在職期間一月につき俸給月額の百分の四十五を百分の三十六に引き下げる、かような内容でございます。
  172. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その内容の意義はどこにあるか、それを聞きたいわけです。
  173. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 この閣議決定の冒頭にもございますように、「当面する厳しい内外の諸情勢にかんがみ、行政の合理化、効率化を図るため、差し当たり下記の措置を講ずる」というふうに前文でうたわれておりますように、行政全体の合理化、効率化を図るための措置、かように考えておるわけでございます。
  174. 林孝矩

    ○林(孝)委員 官房長官、この特殊法人の役員の退職金については、過去昭和四十五年二月に百分の六十五から百分の四十五に引き下げられておる。それから昭和五十三年の四月以降百分の四十五から百分の三十六に引き下げられておる。これは何を意味するかということでございますけれども、いわゆる特殊法人の役員の退職金が余りにも高過ぎる、こういうことに対する国民の声といいますか国民の受けとめ方、世論というものが非常に大きな高まりをもって沸騰してきた。常識的に考えても高過ぎる。こういうところから、その国民世論にこたえる意味で、四十五年の引き下げもまた五十三年度の引き下げも、こうした閣議決定となって決まった。私はそのように解釈するわけでありますけれども、そうじゃないのでしょうか。
  175. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 御質問の点、バックグラウンドはお説のとおりだと私は思います。  それで実は、つけ足して申すことを許してたいだければ、ことしの十一月二十八日、行政改革本部でもいろいろ特殊法人の役職員の退職金の問題等を議論したのでございますが、この退職金につきましては、現行のものも人事院に依頼しまして、民間の企業の役員の退職金の実態調査の結果を検討の上、適切な処置を講じようということで、民間の企業の退職金の実態調査を人事院にお願いしておりますので、その結果をもってまた再検討しよう、こういうような考えております。
  176. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その前に、私はこの特殊法人百十一について調査をいたしました。その調査の結果、いままで官房長官あるいは大臣に質疑をしてまいりました中での閣議決定に対する内閣の責任、また閣議決定というものは国民に対してかくあるべきだという姿勢、そういうものに反して、いま問題になっておりますKDDは——閣議決定では百分の四十五から百分の三十六に引き下げるということを明確に命じて、これは周知徹底する、あとの特殊法人はそれに従っておる、ところが、KDDだけはそれに従っていない。こういう実態が明らかになったわけであります。  この退職金の問題、それからあともう一つ、実態上明らかになったことがございますが、それは後で触れることにして、このKDDの役員の退職金というものは一体どういうふうになっているかということを申し上げますと、現在の閣議決定の百分の三十六と決定される以前の百分の四十五というこの違いがどうあらわれるか。このKDDにおいて増田元一元副社長、増森孝監査役、板野学社長、大島信太郎副社長、鶴岡副社長、こうした人たちについて計算をしてみた。そうしますと、閣議決定される前のいわゆる百分の四十五のときに、五十二年六月に増田副社長が退職しております。同じく増森監査役が退職しております。この退職金は、増田さんの場合は六千三百九十九万円、増森さんの場合は五千百九十二万円。これはいわゆる百分の四十五のときの退職金です。それから、これはまだ退職金が支払われてないということでありますけれども、いま閣議決定にかかわらず百分の四十五は消滅していないわけでありまして、KDDの内規でもってそれは厳然として生きておるわけであります。これで計算いたしますと、板野社長の退職金は一億五百八十四万円なんです。ところが、百分の三十六の比率でいいますと、八千四百六十七万円。板野さんの場合、約二千万円の開きがあるわけであります。閣議決定する前の百分の四十五の率と閣議決定後の百分の三十六とでは二千万円の開きになるわけですね。KDDという会社が今日これだけ国民の批判を買っておる、社会の追及を受けておる、反社会的な経営をやってきた、国会でもこれだけ証人喚問を要求されるような事態を招いた、そういう経営陣、そういう企業の役員の退職金が百分の四十五と百分の三十六でこれほど違う。もしこの企業に心から反省するという気持ちがあるならば、閣議決定に従って百分の三十六という形に内規を改正するのが当然のことではないかと私は思うわけです。官房長官、これは実態的に見まして、閣議決定を百十一の法人は守っておる、その中に一つだけこうして守らないという実態に対して、閣議決定というものをどう見るか、ここに大きな問題があると思うのです。守らなくてもどうしようもないという閣議決定ならば閣議決定の意味がなくなってしまう。内閣としての重大な閣議決定がKDDだけは例外になってしまっておるという、この実態ですね。これに対して内閣として責任ある措置を講じなければならないのではないか。方法はあります。官房長官、いかがでしょうか。
  177. 大西正男

    大西国務大臣 お答え申し上げます。  御指摘のように昭和五十二年十二月の閣議決定に基づきまして、郵政省としても、KDDのみならず関係の特殊法人すべてに対しましてそのことを周知徹底したことは先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、その後におけるフォローにおいて十全であったとは申し上げられません。そのためにKDDの中にはそういう取り決めがまだそのまま残っておると聞いております。しかし、幸いなことにと申しますか、この閣議決定によって定められた五十三年四月以降の退職金の支払いというものは全然ございません。いま御指摘になりました板野さんその他にしましても、まだ退職金を支払ってはおりません。そういうことでございますので、この機会にこれを速やかに改定をするような行政指導を行いたいと思っております。
  178. 林孝矩

    ○林(孝)委員 閣議決定されてから後に支払われてないからというのは、これは全く甘い考え方ですよ。大臣、この件についてKDDと接触しましたか。
  179. 大西正男

    大西国務大臣 具体的なことにつきましては事務当局からお答えを申し上げますが、先ほども申し上げましたように、内規そのものは変わっておりませんが、閣議によって適用される五十三年四月以降の退職金の支払い、該当する退職金の支払いというものは現在まで行われておらない、こういうふうに私は事務当局から聞いております。でございますから、この機会に速やかにこれが改定も行うように行政指導をいたしたい、こう申し上げた次第でございます。
  180. 林孝矩

    ○林(孝)委員 大臣がいま申された行政指導というのは内規を百分の三十六に改定するようにということでしょうか。その行政指導に対してKDDはどのようにこたえたか、ここのところは非常に大きな問題です。
  181. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、五十二年十二月の閣議決定を受けまして、直ちにKDDに対しましてその旨の指導通達を出したわけでございますが、その後のフォローと申しますか、それが十分でございませんで、現行まだ訂正されておらないということは私ども事務当局として大変責任を感じておるところでございますが、これの内規の訂正につきまして早急に指導をし、そういった措置がとられるように持ってまいりたい、かように考えております。
  182. 林孝矩

    ○林(孝)委員 まだ行政指導をなされてないわけでしょう。早急にしようという話じゃないですか、大臣。もう三人退職しておるのですよ。ですから、私が言いたいのは、これはえらいことだ、閣議決定がこんな形で、KDDだけが例外というような形で、百分の三十六にならないで前のまま内規で定められておる。内規が変わらない限りにおいては自動的にそれは実施されるわけです。ですから、KDDに対してこれを百分の三十六に変えるべきであるという、変えなさいと、ここのところの行政指導はもうすでになされてなければうそなんだ。いままで全然されてないでしょう。いま答弁で、早急にそういう話をしよう、こういうことなんだ。  ですから、KDDは現在の時点では百分の四十五だという形で頭の中はなっておるわけです。実態的にもなっておるわけです。そういう閣議決定の拘束力というか、指導力というか、そういうものはKDDに完全になめられてしまっている。ここはもう内閣として本当に腹を決めて取りかかっていかなかったら変わりませんよ。KDDに対してどういうふうにするのですか。もう観念論じゃだめなんです。それは接触したらわかります。官房長官、どうですか。
  183. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 いま御質問ありましたことはよくわかります。私は、おっしゃられるようにやはり強力に指導しまして、閣議決定のとおり直してくれということを、指導監督の立場からは当然これはやらないと、国民の皆さんがどうして閣議決定というものを守らないのだろうという非常な不信感を持ちますので、これから郵政大臣とも御協議しますが、私はぜひそういうふうに強力にやってもらうようにということをしたいと思っております。
  184. 林孝矩

    ○林(孝)委員 郵政大臣、どうですか。
  185. 大西正男

    大西国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、速やかにこれを改定さすように強力に行政指導をしたいと思っております。  それで、現実の問題としても、現行の取り決めに従って退職金が支払われることのないようにいたします。
  186. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私は当然のことだと思うのです。  それから、もう一つここに問題があります。それはどういうことかと言いますと、ここに事業報告書があります。その株主総会の議案の中で、「退任役員に対する慰労金贈呈の件」とあります、第五号議案。KDDは退職金以外にこうした功績に基づく加算金というような意味合いのお金を退職時に支払っております。郵政大臣、この実態は御存じですか。
  187. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 ただいま御指摘のありましたように、KDDは株式会社でございますので、法律に基づきまして役員の報酬、退職慰労金等につきましては株主総会の決定事項となっておるわけでございます。したがいまして、退職慰労金という名前で呼ばれておりますものが退職金としてそのような扱いになっておる、かように理解をしておるところでございます。
  188. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま説明がありました退職金、これは閣議決定のとおり。それ以外に、役員に対して、功績があったということで慰労金が加算されておる。その金額が幾ら支払われたかということを知っている人がいない。なぜかと言いますと、いま説明がありましたように、株主総会ではその金額、時期、方法等については取締役会に一任されました。株主総会は取締役会に一任するのです。取締役会はさらにそれを会長に一任するのです。ですから、それがどういう金額で支払われているかというようなことについては、多分郵政省の人も全然わかってないと私は思います。わかっておったら言ってください。たとえば……
  189. 高田富之

    高田委員長 林君、事務当局の答弁はいいですか。
  190. 林孝矩

    ○林(孝)委員 いま言った後、答弁してください。  たとえば、すでに退職した増田副社長、増森監査役、このお二方については功労金は幾ら支払われておりますか。
  191. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  通常、株式会社におきましては、役員の退職金のほかに退職慰労金というのがあるわけではございませんで、ただいま先生御指摘のように、株主総会におきまして退職慰労金を幾らにするかということを諮りました場合に、取締役会一任という決定をなされることが多いかと存じますが、その株主総会の決定を受けまして、取締役会におきまして、先ほど来問題になっております内規の適用によりまして退職慰労金が支払われるわけでございまして、退職慰労金と退職金が別ものであるというふうには理解をしておらないところでございます。
  192. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その辺がおかしいのです。  株主総会の記録を読まれたことありますか。
  193. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 株主総会におきます議案については大要承知いたしておりますが、議事録については私、目を通しておりません。
  194. 林孝矩

    ○林(孝)委員 退職金の計算はもう明確になっておるじゃありませんか。別にそれ相当のものを退職時に支払いましょうというようなぼやけた話じゃないわけです。退職するときの給料に百分の三十六を掛ける、kDDの場合は百分の四十五を掛けて、さらに、何カ月勤務しておったか月数を掛けるわけでしょう。これが算定方式として決まっておるわけです。ですからそれに基づいて退職金は支払われるわけです。私がいまここに指摘している功績による加算金というものは、性格がまた違うのです。それが支払われているという実態を知っておるかということを聞いておるわけです。支払われてないというならいいんですよ、支払われてないと言ってください。
  195. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 繰り返すようで恐縮でございますが、株主総会に諮ります退職慰労金と申しますものがすなわち退職金でございまして、退職金のほかに退職慰労金というものが払われておるというふうには考えておりません。
  196. 林孝矩

    ○林(孝)委員 私、もう一回確認しておきます。いま同じ名前で言われたですね。退職時に払われるいわゆる退職慰労金と言われるものは退職金のことでしょう、いま言われているのは。それ以外に、その役員の功績に見合った加算金が役員に支払われているのか、いないのかということについて、いないというふうに答えたと受けとめていいのですか。
  197. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、役員につきましては退職慰労金が支払われておりますが、そのほかに退職金というものは支払われておらないということを申し上げておるわけでございます。
  198. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それじゃもう一回聞きますけれども、いま言われた退職慰労金の内容は、いわゆる閣議決定で周知徹底された算定方式、すなわち退職時の俸給月額掛ける百分の四十五、掛ける在職月数、この計算方法による役員退職慰労金、こういうふうに決めておる。これはもう計算で出るわけです。先ほど私が出した数字はそれで出ているわけです。それ以外に、功績に応じて加算措置を講じる、こういうことになっていることを御存じかと言ったら、それはないと言いましたね。  現在、KDDは慣例として、慰労金贈呈の件は株主総会で取締役会一任とし、取締役会では会長一任とする、そしてこれは内規に照らして措置される、このようになっております。そして、五十二年に退職した増田、増森両氏の退任のときは、いわゆる役員退職慰労金、そしてさらに功績に応じて加算措置を講じた、これがKDDの、すでに退職した人に対しての措置とKDDは言っているわけですけれども、違うのですか。
  199. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げました退職慰労金の算定につきましては、現行百分の四十五でございますが、これを百分の三十六に早急に改めるように指導してまいりたいと考えております。  それで、ただいま御指摘の点は、それ以外に功労加算と申しますか、そういったものを内規としてKDDが持っておって、それをどう運用しておるのかという御指摘かと思いますが、そのことにつきましては、私ども承知をいたしておらないところでございます。
  200. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、ここでちょっと交通整理をしたいと思います。  いわゆる役員の退職慰労金内規というのがKDDにあります。この内規は、退職時の俸給月額掛ける百分の四十五、掛ける在職月数、この数値に、功績に応じて加算措置を講ずる、このようになっておるということ、これはそうなっているのか、なっていないのか、ここのところをはっきりしてくださいよ。郵政省から出てきた資料の中にもそれはちゃんとありますよ。それでは、うその資料を出したのですか。
  201. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 現在KDDが定めております内規によりますと、御指摘のとおり、支給額の特例といたしまして、退任役員の在任中の功績等に応じ、ただいま御指摘のような算定をいたしました金額に対しまして、一定の範囲内で加算または減算した額をもって支給することができるという内規を持っていることにつきましては、承知いたしております。
  202. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは、これははっきりしなければいけませんので、私は、このKDDのいわゆる役員退職慰労金、その内規の実態というものに対する資料を要求したいと思います。  これは、すでに退職した、先ほど来指摘しているお二方、増田元一、増森孝、この二人は五十二年の六月に退職をしております。増田さんは、六千三百九十九万円を退職金としていただいた、しかし功労金については言えない、増森さんについても、功労金については言えない、これがKDDの返事であります。言えないということとそういう実態がないということとは違うと私は思う。この点について明確にしたいと思います。  したがって、幾らの役員退職慰労金を受け取ったのか、それはどういう計算でなされたのか、また、功績に応じて加算措置を講じられたその額は言えないということでありますけれども、向こうは、それは大体慣例でプラス・マイナス判断するんだということを言っているわけです。この二方についてのことを明確にする資料を要求したいと思うのです。この増田さんは、先ほど来指摘がありましたようにKDDの社長に復帰するわけでありますから、事は重大だと私は思います。  委員長におかれまして、理事会に諮って、この資料要求を御検討いただきたい。よろしくお取り計らいのほどを願います。
  203. 高田富之

    高田委員長 ただいまの件は承知いたしました。
  204. 林孝矩

    ○林(孝)委員 官房長官、お約束の時間が来ましたので、結構です。  それから私は、全く秘密のべールに包まれておるようなこの実態に対して一つの問題として申し上げたいわけでありますが、電電公社はKDDの株を何%持っておるか、それから、電電共済組合、郵政共済組合、これは何%保有しているか、お伺いしたいと思います。
  205. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 お答えいたします。  現在、郵政省共済組合が一〇・九九%、電電公社が一〇%と記憶いたしております。
  206. 高田富之

    高田委員長 この際、暫時休憩いたします。  本会議散会後直ちに再開いたします。     午後三時五十一分休憩      ————◇—————     午後四時二十七分開議
  207. 高田富之

    高田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林孝矩君。
  208. 林孝矩

    ○林(孝)委員 休憩前に、私はKDDの退職金問題について資料要求をした段階で休憩に入りました。それから、電電公社の出資率について伺って終わったわけですが、もう一度確認をしておきます。電電公社の保有率が一〇%、電電共済が一・七%、郵政共済が一〇・九%、このパーセンテージでよろしいでしょうか。
  209. 寺島角夫

    ○寺島政府委員 そのとおりでございます。
  210. 林孝矩

    ○林(孝)委員 合計すると二二・六%の保有率であるわけでありますけれども、言ってみれば電電公社はKDDの大株主ということになるわけです。この株主総会に当たって、電電公社はどのように取り組んでいるか、事実関係をお伺いしたいと思います。
  211. 小川晃

    ○小川説明員 お答えいたします。  電電公社はKDDの株主総会に当たりましては、これまで白紙委任状を提出してまいってきております。しかし、総会の模様を把握することは大切でございますので、経理局の主管課長等を傍聴させております。
  212. 林孝矩

    ○林(孝)委員 白紙委任状をKDDに提出している。今回のKDD事件が起こって、いまの電電公社の株主総会に白紙委任状を提出しているという臨み方を今後も続けられていくのかどうか、その点はいかがですか。
  213. 秋草篤二

    秋草説明員 電電公社は、公社法によりまして、一割の株式を保有することが明記されております。従来、この株主総会につきましては、いま経理局長が申しましたように、白紙委任状と言えば無責任でございますけれども、担当課長が総会には出席しておりますけれども、一言の発言もしたことはございません。と申しますのは、本来大株主でございますから、普通の会社ならば、人事の問題とかあるいは増資とか、いろいろな事業計画なり会社の大きな問題につきましては、当然相談があるのが常套のルールだと思っております。あるいは大きな金を借りるとかそういうときには、総会と離れて、大株主には必ず相談をする。ところが、御案内のように、KDDは法律をもって、あらゆる監督を郵政大臣がすべて握っております。したがって、私どもは、一々こういうものにつきまして関与する必要は毛頭ない。ただ、KDDの設立された由来が、電電公社から分かれたものでございまして、業務上の提携、技術上の連携、共同研究、あるいは技術者を派遣するとか、そういう点につきましては、きめ細かく日夜お互いに協調し合って仕事をしていることはもちろんでございます。
  214. 林孝矩

    ○林(孝)委員 今回、KDDのこうした事件を契機にして、株主総会に白紙委任状を提出するというような取り組み方を変えられるお考えがあるかないかということについて答弁されておりませんので、その点をひとつ。
  215. 秋草篤二

    秋草説明員 白紙委任状というのは無責任のように見えますけれども、私は、株主総会に臨む態度というのは、従来と同じような態度でよろしかろうと思っております。
  216. 林孝矩

    ○林(孝)委員 KDDの経営に関してどのような受けとめ方をされているか、今回の事件を通して答弁を願いたいと思います。
  217. 秋草篤二

    秋草説明員 この半年来、KDD事件というものが新聞紙上に非常にあらわれまして、われわれは非常にびっくりしておるのでございますが、従来この会社は政治的にも何ら心配する必要のない、きわめて独占的な、また公共性の強い、内容の豊かなりっぱな会社でございますから、私は、いままでりっぱに運用されていると思っておったのでありますが、今度の事件につきましては非常に遺憾に思っております。これは、制度上の問題ではなくて、会社があるからというのではなくて、やはりマネージャーの御性格なり、人による一つの不幸な事件だと思っております。
  218. 林孝矩

    ○林(孝)委員 そうした不幸な実態というものが株主総会でも今日まで指摘されなかった、これも事実であります。したがって、こうした事件を通して、当然株主として電電公社が、今後の経営に当たって、いままでの取り組みを大きく変えて、新たな決意、新たな自覚、責任を持って、株主総会に対しても積極的に発言をし、また取り組んでいくべきである、そのように考えるわけでありますけれども、その点は反対の立場をとられますか。
  219. 秋草篤二

    秋草説明員 先生の御意見に反対ということではございませんけれども、そういう必要があれば、私は、郵政省の監督当事者あるいは大臣に私なり担当者の所見を述べて、意見を具申するのが順序だと思っております。
  220. 林孝矩

    ○林(孝)委員 それでは具体的に聞きますけれども、そうした順序を踏まれる予定がございますか。
  221. 秋草篤二

    秋草説明員 新しく今度新会長、社長を迎えていろいろと刷新が図られると思っておりますから、今後も今度の問題にかんがみまして注意深く、業務上の問題ではなくてこうした問題につきましては、私たちは十分心得て、ときどき郵政大臣なり監督の監理官等に意見を申すことを少し心がけなければいけない、こういうように思っております。  繰り返すようですが、仕事自体につきましては、両方とも通信事業をやっておりまして、特に技術的には非常に連携の深い事業でございますから、前と少しも変わらず協調し、また連絡をとって提携していきたいと思っております。
  222. 林孝矩

    ○林(孝)委員 郵政省が今回の事件を通して省内を調査しているということで、先ほど来その経過の報告があったわけでありますけれども、電電公社の幹部の中に、KDDから金品の贈与を受けているとか、そうしたことがあるかないかというような調査をされたことがございますか。
  223. 秋草篤二

    秋草説明員 特に私は調査を命じたことはございません。また、私は断じてそういうことはないと思っております。
  224. 林孝矩

    ○林(孝)委員 電電公社はKDDの大株主と言えると思うのですが、KDDの役員退職金の算定基準は当然電電公社も御存じだったと思うのですけれども、先ほど来問題にしましたように、閣議決定に違反した行為を行っておる、こうした実態についても御存じでしたか。
  225. 秋草篤二

    秋草説明員 全然存じておりませんでした。また、私自身、閣議決定のしきたりによるものかどうかというものも、きょうここで傍聴しておりまして初めて聞いたような次第でございます。
  226. 林孝矩

    ○林(孝)委員 時間がございませんので端的にお伺いいたしますが、きょうそうした実態を初めて知った。そうしますと、次の株主総会で、たとえばいま退職されておる三名の方の退職金のことが議案として諮られた場合、電電公社としては株主としてどのような取り組み方をされるか、その点はいかがですか。
  227. 秋草篤二

    秋草説明員 きょう御論議されたようなことでございますから、監理官も新しい見方で、退職全等に対しても当然KDDにもいろいろ所見を述べると思います。私は、あくまで郵政省の監督行政というものに信頼して、株主としての、そうした株主権としての発動は一切差し控えていくつもりでおります。
  228. 林孝矩

    ○林(孝)委員 その辺は株主権を行使することを一切差し控える、私はそれはおかしいと思うのですよ。株主であって株主権を放棄する、そういう物の考え方は全くおかしい。むしろそうした時期に臨時株主総会を開催することを要求して、そしてその中でこうした問題について改革していく、こういう積極的な態度に立つことがむしろ国民の負託にこたえる株主としての電電公社の立場ではないか。それを最初から、現実も白紙委任状、これからも株主としては物を言わない。そうすると、こうした実態に対して一番物を言える大きい株主である電電公社、それがその株主権を行使しない、これは一つの大きな社会問題だと私は思いますよ。いかがですか。
  229. 秋草篤二

    秋草説明員 株主としての権利を放棄するというようなことはちょっと行き過ぎでございまして、訂正させていただきます。  株主権は御案内のように配当受領の権利、また財産権もございます。また、発言権もあろうと思います。ただ、繰り返すようでございますが、この会社に対する株主としての監督権のようなことは、もっと大きな郵政大臣なり郵政省というものがあるのでございますから、いろいろの技術上の業務上の提携はこれはもう大株主として、またKDD発生の由来として、経過からして当然強力にしなければなりませんが、総会に出ていろいろ私どもが述べてみたところで、やはり事前に郵政省が全部固めておるのでございますから、そういう点につきましてはほかの一般の民間事業の大株主の立場とは大分性格が違うと私は思うのであります。そういう点を繰り返し述べまして、株主権を放棄するということは、もし私が申したようでありますれば訂正させていただきます。
  230. 林孝矩

    ○林(孝)委員 最後に大臣にお伺いして終わりますが、いま答弁がありましたように、いわゆる株主としてのこの問題に対する取り組みは郵政省の監督に基づいてということでございますけれども、株主総会の実態は、休憩前にも申し上げましたように白紙委任状を渡している、電電公社はそういう実態だそうですけれども、株主総会自体が取締役会に一任し、取締役会が会長に一任するという形で、会長が内規に基づいていわゆる役員の退職慰労金、その中に政治的な意味を持って功績のある者に対する加算金、こういうものを含めて決定する。それは取締役にも株主にもわからないような状態で、だれ一人、郵政省でも、そのことについて先ほど来議論したけれども、実態がのみ込めていない。これを明らかにするためには、やはり株主総会が何でも一任していくという形ではなくて、株主という権限を行使するという立場で、まして大株主が電電公社でありますから、郵政大臣として、この際決意を持って、勇断を持って株主総会に当たるような指示をなされるのが筋ではないかと私は思うわけでございます。  この問題についてはさらに留保した形をとらしていただきたいと思います。  大臣の答弁を伺って質問を終わらせていただきます。
  231. 大西正男

    大西国務大臣 お答えをいたします。  今朝来問題になっております退職金をめぐる問題につきましては、先刻来お答えをいたしておりますように、閣議決定の趣旨に基づきまして強力に指導してまいりたいと思います。
  232. 高田富之

    高田委員長 林君の質疑はこれにて終了いたしました。  庄司幸助君。
  233. 庄司幸助

    庄司委員 時間がございませんから、形容詞を抜きに端的にお伺いいたします。  先ほどの井上委員の質問に対する答弁で、郵政省内のKDD問題の綱紀点検委員会ですか、その中間発表らしきものがございましたが、これは内容は実は衆議院の逓信委員会に配った内容と同じですか。たとえば接待については、五十三年度七月以降延べ三十九名、それから五十四年度は延べ二十四名。それから増答品は、五十三年の中元分が二十二件それから歳暮分が二十三件、それから五十四年の中元分が二十三件、それから五十三年七月から五十四年九月までの海外出張みやげ十二件、こういう中間報告というのかどうかわかりませんが、出ておりますが、これでございますか。
  234. 小山森也

    ○小山政府委員 私の方から衆議院の逓信委員会の方に提出したということはございません。
  235. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、提出しないとすれば、このいま申し上げた数字、これは間違いございませんか。
  236. 小山森也

    ○小山政府委員 ただいま初めて聞いた数字でございます。
  237. 庄司幸助

    庄司委員 これは井上委員に対する答弁と符節が合っているのですがね。たとえば接待については五十三年七月、異動後の顔合わせでA、B、C、Dとか、いろいろ書いてあります。これは出席者です。あとは、十二月分と合わせますと、Aという人が二回出ていますから、一人で二回ですね。それからBが二回出ているとかそれからDという方が二回出ている。こういう数字とどうも符節が合っているのですが、出した覚えがないとおっしゃるならば、これはあるいは私の方の委員に対する資料としてお出しになったのかもしれません。  そこで、私、先ほどのやりとりを聞いていて、もうちょっと聞いてみたいのですが、たとえばホテル、レストラン、料亭と、こういうのがございました。このホテル、レストランはいいですから、料亭というのはどこだったのか、これをひとつ教えていただきたいのです。
  238. 小山森也

    ○小山政府委員 具体的な名前は御容赦いただきたいと存じます。
  239. 庄司幸助

    庄司委員 私は、委員長からも注意していただきたいのですが、この日本の国を揺るがしている大問題があって、しかも郵政大臣にも疑惑がかけられてみたり、しかも大西大臣はこの綱紀粛正を徹底的にやるとおっしゃっていながら、料亭の名前は申し上げられない、具体的な名前は出せない、これでは一体部内でだけ何かやりとりやっていて、国民の目の前に全然明らかになりません。ですから、こういうことは委員長からひとつ注意していただいて、答えるように促していただきたいのです。
  240. 高田富之

    高田委員長 その程度のことは新聞や何かにもどんどん出ますことですから、なるべく正直に全部言っていただかないと困ると思うのです。
  241. 小山森也

    ○小山政府委員 まことに申しわけございませんが、具体的な名前は御容赦いただきたいと存じます。
  242. 庄司幸助

    庄司委員 これは郵政大臣の指示があってそういう拒否をなさっているのですか。郵政大臣、ひとつその点、あなたの御決意を含めて答えてもらいます。
  243. 大西正男

    大西国務大臣 別に指示しておるわけではございません。
  244. 庄司幸助

    庄司委員 大臣、ひとつ官房長に答えるように要請してもらえませんか。どうですか。
  245. 高田富之

    高田委員長 私から申し上げますが、これほどまでに委員が要求している場合に言えない場合は、なぜ言えないか、その納得のいく理由を御説明願いたいと思うのです。
  246. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほども申し上げましたように、これはいままでのそれぞれの申告に基づいているものでございまして、ある意味で中間でございます。したがいまして、全体を見渡したときにまたそれぞれの、対する考え方というのが出てまいろうかと思います。いま中間であるということにおいてひとつ御容赦いただきたいと存じます。
  247. 庄司幸助

    庄司委員 私はそれに納得できません。これはいずれ理事会ででも御協議願って、具体的な料亭それから参加した者、こういうものについてひとつ資料として出していただきたい。これは委員長のお取り計らいをお願いしたいと思います。
  248. 高田富之

    高田委員長 理事会で相談したいと思います。
  249. 庄司幸助

    庄司委員 あなたの方でお答えがないから、私は、国民が疑問に思っている点、具体的に聞きますから、これについてひとつ答えていただきたいのですが、これは新聞に贈答品リストで出ているわけです。十八日の新聞です。KDDが郵政省当局に贈った贈答品リスト、これが出ておりますが、A、B、C、Dの四ランクに分けている。「Aランクには当時の郵政省の政務、事務両次官のほか、平野正雄電波監理局長、河野弘官房長、江上貞利、神保健二両電気通信監理官らが登場。Bランクには電気通信監理官室の五人の参事官の名前が出てくる。」こういうふうに新聞に報道されて、具体的な名前として国民の疑惑をこうむっているわけです。この疑惑が当たっているのかとか、こういう具体的なお名前、該当しているのかどうか、これをお答え願いたいと思うのです。
  250. 小山森也

    ○小山政府委員 具体的な人名については御容赦いただきたいと存じます。
  251. 庄司幸助

    庄司委員 それでは、国民が疑惑に思っている点については郵政省としては答えられないということになると思います。えりを正してこれから綱紀を粛正していこうという大平総理の発言や大臣の再々の御発言から見ても、そういう点までもお答えできないというような郵政省の姿勢では、大臣、私は、郵政省の姿勢が本当に変わったのかどうか、この点が疑問にたえない次第であります。  それからもう一つ伺っておきます。  接待を受けた場所として、私どもの調査の網にかかってきた具体的な名前として、歌舞伎町のウィザードというところがあります。それから銀座七丁目のブルボンという高級クラブが浮かんでおるのでありますが、この点についても場所についてはお答えできませんか。
  252. 小山森也

    ○小山政府委員 具体的な名前について存じておりません。
  253. 庄司幸助

    庄司委員 実はさっきの資料の件ですが、接待や贈答品の中間報告、出した覚えがないということですが、これは小山官房長から提出されたものに間違いありませんという、逓信委員会委員部へ問い合わせての答えなんですが、その点どうですか。
  254. 小山森也

    ○小山政府委員 私は記憶に存じません。
  255. 庄司幸助

    庄司委員 記憶にございませんというと何かロッキード事件を思い出しちゃうのですが、しかしあなたの部下が持ってきた、これはひとつ掌握していただきたいと思うのです。こんなことでは部内の意思が統一してないと思うのですが、どうですか。——これは思い出せないようですから、いま私の質問時間中に聞いて御回答願いたいと思います。
  256. 高田富之

    高田委員長 いまの点はすぐ調べてください。
  257. 庄司幸助

    庄司委員 それからもう一点伺っておきたいのです。  実はあなたの方では出した覚えがないとおっしゃっていますが、五十三年十二月の忘年会、十四名省側から出ているという資料でございます。五十三年十二月というと、私が前回の本委員会で質問申し上げた忘年会のくだりがあるわけであります。これと合致しておりませんか。
  258. 小山森也

    ○小山政府委員 まことに申しわけございませんが、前回の委員会での先生からの御質問の内容でございましょうか。
  259. 庄司幸助

    庄司委員 時間ばかり食ってかなわないのですが、歌舞伎町の日本料理店で「郵政省幹部たかる 宴会再三・ツケ回し」という新聞記事を私申し上げたのです。それで一軒で十三万七千四百七十円使った。そのうち「¥一〇〇、〇〇〇はKDD社長室診議室」、あとは「郵政省の」名前が書いてあったんですが消されて「何とか様あてに送って下さい」私、名前は申し上げませんでした。この件であります。
  260. 小山森也

    ○小山政府委員 その件でございましたら承知いたしております。
  261. 庄司幸助

    庄司委員 官房長、承知しているんなら、私前に質問しましたね、この五十三年十二月の忘年会の件というのはその件と一致しているのかどうかということを聞いたんです。
  262. 小山森也

    ○小山政府委員 具体的な日にちにつきましては御容赦願いたいと存じます。
  263. 庄司幸助

    庄司委員 じゃ、これは新聞の報道が、日にちはともかく一致していると私は認めたいと思います。そういう点、私は、郵政当局が大臣の再々の御決意の表明にかかわらず、KDDとのつながりの問題、接待や贈答品の問題についてへ本当に天下の国民に明確にして非をわびる、そしてこれから二度といたしませんという姿勢にはまだ立っていないと思うのですよ。もう時間がありませんから、それはこれぐらいにしておきますけれどもね。そういう点で、警察当局も保田リストを手に入れたとかいろいろ言っています、報道されています。私どももある程度はそういった関係を知っておりますが、いずれは白日のもとにさらされるわけですよ。そして逮捕者が出たとか贈収賄になったとかいった場合、責任をとるとかなんとかという形態はやめていただきたい。むしろ積極的にいま郵政当局がみずから明らかにしていく、この姿勢を私は強く望みたいと思います。  そこで、中間段階だから名前も出せない、場所も言えない、こうおっしゃいますが、それならば、この件についていつ調査がおしまいになるのか、終結するのか、百十名のことでありますから、私は大した時間はかからないと思います。その点で、具体的に年内なのかあるいは来年の通常国会が再開されるまでなのか、その辺に区切って言えばどの辺になりますか。
  264. 小山森也

    ○小山政府委員 最大限の努力はしたいと思っております。
  265. 庄司幸助

    庄司委員 その最大限の努力というのは、私はお役人の通り一遍の答弁の仕方だと思うのですよ、極力努力するとか。官房長、あなたは責任者で点検調査委員会か何かやっているんですから、いつごろならめどになるということは言えるんじゃないかと思うのですよ。それをひとつ答えてください。
  266. 小山森也

    ○小山政府委員 最大限努力いたします。
  267. 高田富之

    高田委員長 小山君に申し上げますが、最大限努力すればおおむねどのくらいまでにはというようなことがないと、答弁にならないんじゃないですか。もう一度小山君。
  268. 小山森也

    ○小山政府委員 当委員会で日にちを申し上げた場合に、万一それと非常に日にち等に差がございました場合のことを考えて言っております。最大限努力させていただきます。
  269. 庄司幸助

    庄司委員 私は、そういう点で非常に憶病な官僚的な御答弁だと感ぜざるを得ないのです。そういうことで時間ばかり食いますから、もうこれでやめますけれども、ひとつその最大限のめどを年内に置いてやってもらいたい、私はこれを強く要望しておきます。そしてそれが完成した暁は、必ず当決算委員会に報告していただく、この点を御要望申し上げたいと思います。  第二番目に、KDDの問題でもう一つの側面として、財界と官界の癒着の問題はいまこうやってあなた方も調べていらっしゃるわけでありますが、政界と財界の癒着の問題で、この間の衆議院の逓信委員会で服部元郵政大臣のお名前が出て、そこで関係の深い村本建設という地元の業者との癒着の疑惑について質問があったわけでありますが、この問題でもう一つ同じような性格の疑惑が提示されている。つまり村本建設をめぐってであります。それはきょうの新聞にも若干出ておるようでありますが、私どもの調査によりますと、軽井沢にKDDの社員寮ができた。この経過を見ますと、昭和四十年十月に銀座にある時計店ですか貴金属店ですかわかりませんが、ここの社長さんが二千三百五十平米を購入なすった。五十一年九月にその会社が建築申請をして村本建設が工事を請け負った。五十二年二月にこれが完成したわけです。その値段が二百六十三平米で約四千万円だった、こう言われております。翌年の五十三年九月にこの銀座の会社の方が約八千万円で土地建物を売却した、こういうふうにわれわれ調べていりわけでありますが、この状況を見ていますと、どうもあの宝塚のKDDの寮を村本建設を使ってつくらしてどこかの名前で納入させたのと同じような感じがするわけです。しかもこの値段の問題でも、土地が坪当たり大体十万円くらいだと聞いておりますから、大体八千万円くらいの土地、それから建物は約四千万で建ったわけですから、一億一千万か二千万くらいになるものが約八千万円でKDDに売却された。この辺で、KDDが宝塚の寮のように土地を買収しては村本に建てさせる、こういうことになると問題があるために、土地買収前に銀座の会社に村本を使って建てさせた、後から買収という形をとったのじゃないかという疑いが出てくるわけです。そういう点で、郵政大臣の経験者の中にこういう問題が疑惑として出されてくるとすれば、私は先ほど来郵政省の幹部の接待の問題やあるいは贈答品の問題を指摘しているわけですが、しかし上に立つ大臣がそういう点で疑惑を受けるようでは大変だなと思うのです。だからそういう点、私は、大西郵政大臣がこういった前の大臣の疑惑についても郵政省みずから明らかにする姿勢が欲しいのでありますが、この点、ひとつ大臣の決意をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  270. 大西正男

    大西国務大臣 KDDの工事の契約、そういったものは一般の民間の会社と同じようにKDDが自主的に判断をして行うものであるわけでございます。ですから郵政省としては、KDDという会社は、工事に関して、あるいは技術面あるいは金融面、そういった面の信用度とかあるいは経済性とかを勘案をした上で適切な契約をしているものと思っております。今後においてもそういった会社本来のみずから判断するべき事項について適切に対処するものと考えております。  まあ、元の郵政大臣のお名前が出たりするわけでありますけれども、そういったことについてそのこと自体と、何といいますか、いわゆる疑惑といったものとが直結するものかどうか、これも私どもがここで判断をすべき事項でもないわけでありますけれども、それにいたしましても、直結するかどうかについては私どもは何とも申し上げかねるわけでございます。
  271. 庄司幸助

    庄司委員 私は、大西郵政大臣が本当に国民の疑惑を晴らして、郵政省にかかった黒い霧を、疑惑を、ひとつ大臣の職責上からいっても晴らすことに積極的に働いていただきたい、これを強く要望したいわけであります。  それで私は電電公社にお伺いをしたいのですが、実は先ほど私が申し上げた村本建設と電電公社の請負関係の資料をちょうだいしたわけであります。これを見ると、世間の疑惑が浴びせられている服部郵政大臣が在任中の時期に、電電公社からの村本建設への発注状況が顕著にふえているのですね。この資料を見ますと、五十年度は契約なし、五十一年度は一億一千五百八十八万円の契約、それから五十二年度工事の個所名は書いてありますが、合計で五億二千百六十九万円になっている。それから五十三年度になりますと、これはジョイントベンチャーの分を含んでいますからそのままの数字にはならないと思いますけれども、十二億一千二百五十一万円、ここからジョイントベンチャーのほかの企業体に発注された部分もあるのでしょうから引きますと、何だかんだと七億円以上になっている。そういう点、村本建設と前の服部郵政大臣との政治献金の関係、これは明確にあるわけですから、こういう政治献金を差し上げて、そして注文量がふえてくる、ちょうど郵政大臣が所管している電電公社の発注量もふえてきておる、こういう因果関係がひとつ浮かび上がってくる、こう国民が思うのは当然だろうと私は思うのですね。その辺で私は電電公社にお伺いしたいのですが、村本建設の発注が急にふえてくる理由、これは那辺にあったのか。この辺、ひとつ御答弁願いたいと思います。
  272. 小野哲男

    小野説明員 最近うちから出しました仕事の量は先生のおっしゃったとおりでございます。村本建設は大体四十年ごろから指名をいたしておりまして、かなりの仕事をずっととってきております。長いつき合いでございまして、一応適合する場合に限って指名には入れてきております。五十年はたまたまございませんが、四十年以降もかなりの仕事がございました。五十一年、五十二年、五十三年とふえておりますが、そういった営業上の回り合わせのようなものがございまして、ことにジョイントベンチャー等というのは五十四年の三月末出ておりますが、これは全く他意ないものでございます。御了承願いたいと思います。
  273. 庄司幸助

    庄司委員 実は私の方に投書が参りまして、こういう概略の中身ですが、共立建設という財団法人電気通信共済会が七五%くらい出資している会社があります。これも不思議な問題ですが、そこの会社の役員さんはほとんどが電電公社の天下り——余り偉い人じゃないですから天下りという言葉はどうかわかりませんが、役員は電電公社から移られた方であります。社長さんもそのとおりです。専務さんはちょっとわかりませんが、あとの常務、取締役、十五人中十三人は電電公社の出身者であります。特に目立つのは地方の電気通信局の建築部長の方が目立つわけであります。  実はこの問題で投書の内容は——私は取締役の方のお名前は失礼ですから申し上げませんが、その方が近畿局の建築部長のころ、村本建設と組んで大分強引に仕事をとらせたという投書が入っているわけです。こうしてみますと、村本建設というのは何回も新聞でも書かれましたし、委員会でも問題にされましたが、地元業者である村本建設と深い政治献金の関係にある。その村本建設がこうやって電電公社の仕事も大分とっている。そういう点での因果関係がやはり出てくるような気がするのです。その辺、実際は大西大臣が今後ともこういう疑惑を払拭し、受けないようにするためにも、私はこの点積極的に解明されて明確にされることが郵政省のとるべき今後の大事な方策じゃないか、こういうふうに思うのです。その辺、ひとつ大臣から御答弁願いたい。  それから、電電公社の総裁でなくてもいいのですが、総裁せっかくいらしていますから。  財団法人の電気通信共済会、この事業目的は、定款というか、書いてあるとおりであります。職員の高齢者、退職者、遺族、大体そういう方の福利を図っていくという趣旨の内容だと思いますが、電気通信共済会がこういう共立建設という会社をつくる、出資する。そしてそこは電通の中程度のおえら方の余生を送る場所になる。これは電通共済会の趣旨から言えばあるいは当てはまるなどと言うかもしれませんけれども、こうやってその会社が電通関係の仕事を、私は何ぼ請け負ったかどうかわかりませんが、大体三百億円ぐらいは毎年受注しておるのじゃないか、こう思うのです。そうすると、電通内部のファミリー会社に工事請負を毎年やらしている、これは電通共済会の趣旨からいって私はいかがなものかと思うのです。しかもそういう中に村本建設とのそういううわさの出てくる方もいらっしゃる。だから、KDDは電通が出資した株式会社でありますが、こういう共立建設みたいな会社は、本当にそういう点からいっても、競争の公正を保つ意味においても、それからいわゆるファミリー会社だなどと言われないためにも、この辺すっきりさせる必要があるのじゃないかと私は思うのです。これは共済会の定款の中に——定款とは言わないでしょうけれども、何か出資についてのそういうあれがあるのかどうか。これはKDDにも出資なすっているというお話が先ほどありましたが、その辺も少しいまの事態に合わせて考えてみる必要があるのじゃないか。こういうふうに思うわけですが、ひとつ電通当局の御見解を述べていただきたいと思うのです。
  274. 秋草篤二

    秋草説明員 共済会の問題でございますが、確かに先生御指摘のように、私ども共済会が発足していまもうすでに二十数年たちますけれども、その趣旨から見まするとかなり大きくなっておりまして、当時は年間二、三十億の商売しかやってなかったのが、いまはもう七、八百億になっておると思います。いろいろな仕事をしております。御案内のように、退職者の授産業務、職を与えるとして公社と密接な関係にある売店なり清掃なり、そういうものを中心にして発足しておりますが、共立建設は、いまからもう大分前になりますけれどもできて、確かに共済会が大株主でございまして、いま先生が御指摘のような、発足のときはわかりますけれども、今日になりますとかなり大勇な建設業にまで成長しておりますので、地域社会の一般の産業界から指弾を受けないような仕事の仕方というものについては十分気をつけなければいけない、こういうふうに思っております。  いろいろ御指摘の点、私はありがたく拝聴いたしまして、今後とも十分共済会の会長、理事長等にも先生の御趣旨を伝えて改善を図っていきたいと考えております。
  275. 庄司幸助

    庄司委員 最後に、これは要望だけしておきますけれども、総裁、やはりいま地元の建設業界なり中小零細の建設業界が本当に仕事が欲しい、そういう中で大手が元請をして孫請、曽孫請と来て、ピンはねがどんどんされて、本当にやせる思いだ。こういうときに、いわゆるファミリー会社が電通の仕事をどんどん受け取って、しかもそれで余生も送らしてもらえる。これはやはり世間的に見て少し指弾を浴びるのじゃないかと思うのです。余生の問題は余生の問題でわれわれも考えるにやぶさかでありませんけれども、こういう形態で何か電通出身者が勝手に会社をつくる、しかも共済会の金でつくって、そしていい仕事をもらっていってもうけて、こっちの方にはかすしか来ないというのは、私はやはりまずいのじゃないかと思うのです。その辺でひとつ、今後の電通の発注のあり方も含めて、もっと中小零細企業がじかに潤うような発注形態を考えていただきたい。これをひとつ御要望したいのですが、御答弁をお願いして終わりたいと思います。
  276. 秋草篤二

    秋草説明員 まだ共立建設はそう大きな、日本の建築業界を荒らし回るほどの存在でなくて、微々たる存在でございますが、いま先生がおっしゃったような御注意を十分体しまして、今後しっかりと運営するように関係者に申し伝えるつもりでございます。ありがとうございました。
  277. 庄司幸助

    庄司委員 以上で終わります。
  278. 高田富之

    高田委員長 庄司君の質疑は終了いたしました。  永末英一君。
  279. 永末英一

    永末委員 五十二年度郵政省に関する決算でございますが、NHK関係についてひとつ伺います。  放送法の第九条によりますと、NHKというのは「標準放送と超短波放送とのいずれか及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」こう書いてございますが、郵政省は、このあまねくという意味はどういう意味であるとお考えですか。
  280. 平野正雄

    ○平野政府委員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、日本全土というふうに承知をいたしております。
  281. 永末英一

    永末委員 日本全国の人間ということですな。土地じゃないですね、人間ですな。
  282. 平野正雄

    ○平野政府委員 そのとおりでございます。
  283. 永末英一

    永末委員 「措置をしなければならない」、こういうことでございますが、その「しなければならない」というのは、しないときはどうなるのですか。
  284. 平野正雄

    ○平野政府委員 御承知のように、NHKといたしましては全国あまねく放送が行き届くように努力をしておるわけでございまして、郵政省といたしましては、いまだに辺地等におきまして不十分な地域があることを承知しながら、NHKが放送法の言うとおりあまねく普及を図っていくことを期待をしておるわけでございます。
  285. 永末英一

    永末委員 期待をしておると、ねばならぬというのとは日本語としては合わぬのですがね。ねばならないというこの法律の規定があって、それに基づいて郵政省はNHKの監督をしておるはずでございまして、期待をしておる態度がねばならないなのですか。郵政省は全日本人、日本国に居住する人間が受信できるにはあとどれくらい残っておると考えておりますか。人間の数、世帯の数にしておきましょう。
  286. 平野正雄

    ○平野政府委員 テレビジョン放送につきましては、ことしの三月末現在、辺地の難視聴世帯数が五十数万というふうに承知をいたしております。
  287. 永末英一

    永末委員 数は五十数万ですが、その人々に受信がうまくできるようにする個所としてはどれくらいですか。
  288. 平野正雄

    ○平野政府委員 従来NHKが努力をしてまいりました結果、現在残っております辺地というのがだんだん究極的な場所に近づきつつあるわけでございます。したがいまして、どの点に無線放送の置局をすればよろしいか、あるいは有線でもって対応すべきかということにつきまして調査をしておるわけでございますけれども、置局がだんだんとむずかしくなるという状況でございまして、地点の数につきましてはいまだにNHKの方から最終的な結論を聞いておるわけではございません。
  289. 永末英一

    永末委員 前回は五十一年に受信料が上がりまして、そのときにも難視聴対策なるものは取り上げられておりました。それからすでに三年、四年たつのでございますが、少なくとも三年計画で一応の資料を出し、そしてそれに基づく受信料の値上げをやったわけでございまして、五十一年から五十三年における——これは五十二年度決算でございますが、難視聴対策というのは何万世帯で何カ所、何をしたかということを御報告願いたい。
  290. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  五十年度末の難視世帯が約八十三万世帯ございました。五十一年度の中で約十二万世帯の解消をいたしました。一方、その同一年度内におきまして宅地造成、人口の移動等によりまして二万程度の難視世帯がふえております。その結果、五十一年度末におきまして約七十二万世帯が難視として残りました。それで五十二年度におきまして十万強の難視解消をいたしました。同様に二万弱の新たな難視が出てまいりました。五十二年度末におきまして六十四万世帯が難視として残っております。同様なことで、五十三年度におきましては八万余りの解消をいたしまして、一方一万強の新たな難視が生じました。五十三年度末におきまして約五十六万世帯が残存難視世帯として残っている次第でございます。
  291. 永末英一

    永末委員 これらの難視者の解消に要した費用というのは、それぞれの年度でどれぐらいかかっておるのですか。
  292. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  五十一年度、五十二年度、五十三年度、それぞれ五十数億、五十三年度におきましては四十九億九千万、約五十億という数字でございまして、三年間約五十億前後ずつの建設経費を投じております。
  293. 永末英一

    永末委員 それでは、あと五十万以上の難視者がございますが、これは今後どれぐらいの金をかけて何年ぐらいかかれば解消する、あまねくになるとお考えですか。
  294. 沢村吉克

    ○沢村参考人 ただいまの御質問、非常にむずかしい御質問でございまして、私どもいままで鋭意努力をしてまいりまして、いま申し上げましたような五十六万程度の難視世帯が残っておるわけでございます。ここ数年の間はまだ従来の施設の延長線で何とか解決ができようかと思っておりますが、残ります難視世帯というものがますます、いわゆる辺地、離島のようなところになってまいりまして、これの解消に要します経費が非常に膨大になってくるということが予測されるわけでございまして、しかも非常な長年月を要するということを予測いたしております。そういう面から、逓信委員会でもたびたび御指摘を受けておりますように、抜本的に、しかも効率的にこの難視を解消しようといたしますと、地上の施設のみに頼るわけにはいかぬだろうという考えでございまして、かねてから開発研究を進めておりました放送衛星のようなものがより経済的に解消できる一つの手法かと考えておりまして、これの実用化に伴いまして全国的な難視解消に充てたいという念願をいたしておる次第でございます。
  295. 永末英一

    永末委員 五十一年五月六日のわが衆議院の逓信委員会におきまして、当時のNHKの会長小野さんは、受信料算定の根拠について「絶対的、合理的根拠は残念ながらございません。」こんなことを言っておるわけです。このNHKの考え、いまも変わりませんか。
  296. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  受信料額算定の根拠といたしましては、社会情勢の見通しによる諸条件と申しますか、世帯数であるとかあるいは現在の物価上昇というような永のを勘案いたしまして、NHKの事業計画を遂行するために経営計画を策定いたしまして、その基本にのっとって全契約者に公平に分担していただくという形で受信料額を算定しております。
  297. 永末英一

    永末委員 私が難視者対策のことを伺ったのは、受信料を払っている国民側からいたしますと、自分はテレビを見、ラジオを聞いておるんだから払っておるのだと、こう思っておる。しかし、難視者対策というのは、実は自分がテレビを視聴している対価として払っている受信料は、まだ見ていない人のために工事をする、施設をつくる、そのための費用も含まれるわけですね。だといたしますと、一体NHKは今後どれだけの費用を難視者対策に使って、そうして法律が定めたようにあまねく国民が受信ができる姿、計画を持たないで受信料の算定が一体できるのかということを、受信料を払っている国民としてはきわめて不可解に思うわけです。したがって、難視者対策というものについてあと五十数万でございましょうが、  一体どういう計画でどれくらいの費用を見込んでおるか。いや、地上施設の延長だけではだめだから放送衛星だと言われるのなら、放送衛星は幾らかかるか、やはりその費用の見込みを出した上でなければ、受信者に受信料を合理的な根拠をもって説明することはできない、こう思うのですが、いかがですか。
  298. 沢村吉克

    ○沢村参考人 お答え申し上げます。  放送衛星の経費が幾らかかるかという御質問でございますけれども、実はいま、郵政省あるいは科学技術庁と御相談しながら、国産でできるだけやるべきだという国の御方針もございまして、そのかかる費用のうちどの程度までをNHKの、受信料をベースにしたNHKの負担でやるべきであるかという問題につきましては、まだ最終結論に達しませんで、御検討いただいているところでございます。  難視解消に要します経費というのが、今後とも非常に受信料との対比におきまして高くつく地域に入ってくるということから申しますと、できるだけ国の方でも御援助いただきたいということを含めまして、御相談をいたしている次第でございます。
  299. 永末英一

    永末委員 先ほど日本国内の国民が相手のようなお話がございました、あまねくの意味ですが。しかし、NHKは国際放送をやっているわけでございまして、国際放送を受信している者は受信料を払っていないわけだ、国外の者は。したがって、政府はこれに対して交付金を払っている実情にある。そういうことから考えますと、郵政大臣、要するにNHKという組織体は国民のものであり、国民の受信料を根拠にして仕事をやっていくというのでありますけれども、いまのような国際放送という別の要素でNHKに仕事をさしている分については、国民の税金によってその一部を賄っておる。いまの通信衛星の話は、私はまた別の観点からこのことが考えられておることは承知をいたしておりますけれども、難視者対策という意味においていままでは受信料で賄ってきた。しかし、政府はその部分について国民の税金でもって賄おうという意思はありますか。
  300. 平野正雄

    ○平野政府委員 現行の放送法の中で、先ほど先生がおっしゃいましたように、NHKは国民との信頼に基づく聴視料制度という制度をもってその維持運用に当たっておるわけでございます。これはNHKが報道機関であるという観点等を考慮いたしまして、できるだけ公権力から遠ざけるという考慮が払われまして、現行の放送法の聴視料制度になっておるものというふうに考えておるわけでございますので、ただいま先生御指摘の、税金をもってそれにかえるという場合には、NHKの基本的な立場と申しますか基盤と申しますか、それに相当な影響が生ずるおそれがなしとしないわけでございまして、そういった観点から、直ちに税金をもってNHKの維持運営に充てていくということにつきましては、十分に国民の御理解を得ながら対応していく必要があろうというふうに考えておるところでございます。
  301. 永末英一

    永末委員 そうしますと、先ほどNHKの方から、最終的に難視者を全部解消するためには現在のNHKの聴視料で賄っている事業ではでき得ない部分がある、こういう趣の答弁がありました。その部分については政府の何らかの行動を期待している、こういう話があったと私は聞いたわけでございます。ただ、政府の方は、何か期待されたらNHKの性格が変わるというのですか、変えてもやるつもりですか。
  302. 平野正雄

    ○平野政府委員 NHKは現在、放送法によりまして五十五年度予算並びに事業計画等郵政大臣に提出をすることによりまして、またそれが国会で審議されることによりまして聴視料が定まるということになっておるわけでございます。それでNHKは、現在、郵政大臣に五十五年度予算並びに事業計画等を提出する立場から鋭意検討中というふうに聞いておるわけでございます。したがいまして、NHKが経営の自主独立性と申しますか、そういった立場に立ちまして検討結果を提出してまいった段階におきまして、郵政大臣といたしましてはどのようにNHKの経営方針等に対応していくかということを検討してまいりたいというふうに存じておるところでございます。
  303. 永末英一

    永末委員 事業計画を国会が承認をして、それで結果的に聴視料が出てくる、割り算をすれば出てきますがね。しかし。それが一体聴視料の基本的な考え方なんだろうか。先ほど挙げました昭和五十一年五月六日の本院におきます逓信委員会では、小野NHK会長は原価という概念を持ち出しているわけですね。ラジオ、テレビ合わせて一本の聴視料にする場合に、ラジオの原価は幾ら、テレビの原価は幾ら、原価というのはコストという意味だと思いますが、その原価という観念をNHKはお持ちなんですか。
  304. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  NHKの受信料は国民の名による視聴者の方にサービスをするという意味で、その総経費を世帯数で逆算算出いたしまして受信料額を出すということでございますから、その意味では原価主義に基づいて予算の組み立てをいたしております。
  305. 永末英一

    永末委員 普通、物を製造している工場の原価計算というものの原価の総経費というのは、たとえばNHKがいまやっているような、いまは視聴することができない人々に対する施設費とか対策費、あるいは払うことをしないような国外に対する放送とかというようなものは含まれていないわけですね。したがって、なるほど事業計画はNHKが提出をし、郵政省がこれを認めて、国会に提出して、国会がそれを認めれば成り立ちますよ。しかし、それが原価になるというのは結果的に判断するだけで、私は、その五十一年の段階のときの原価の物の考え方には、何かそれまでにやっておる経費というものの観念があって原価という文字を使ったのだなと思いましたが、結局いまの御説明を承れば、逆算すればそれが原価である、こういうことですね。そうですね。
  306. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  NHKのサービスのための総経費、これを受信料の性格からして、対価論ではなしに国民の方に平等に分担していただくという形で組み立てるということで、先生のおっしゃるとおり原価主義でございます。
  307. 永末英一

    永末委員 NHKが本年十月に出しております「今後の経営について」という資料がございますが、その「テレビジョン放送の難視解消と都市受信障害の改善」という項目の中で「都市における高層建築物等による受信障害については、立法措置による制度的改善関係方面に強く要望する」云々と、こうございますが、難視というのは先ほども御説明がございましたように、辺地、離島の関係もありますが、まさに都会部におきまして高層建築による電波障害、これによる難視問題もまた毎年起こっておるわけでございまして、ここでいう「立法措置」というのは何のことを言っておるのですか。
  308. 平野正雄

    ○平野政府委員 ただいま先生申されましたように、テレビジョン放送の難視聴解消を行ってまいります場合に、辺地難視聴に対する種々の対策とあわせまして、高層建築物等によります都市受信障害の解消という問題があるわけでございます。それで、この都市受信障害の解消につきましては、すでに御承知のように、「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」を策定をいたしまして、受信障害を解消するために当事者間で協議が行われる場合の当面の基準的考え方を明らかにして、紛争が生じないように建築主等を指導するとか、あるいはSHF帯のテレビジョン放送局の実用化を図っていくとかしてまいったところでございますけれども、さらに実は昨年の七月、学識経験者からなるテレビジョン放送の受信障害に関する調査研究会議郵政省として設けまして、制度的解消方策等の検討をお願いいたしたわけでございます。その結果、本年の八月に検討結果の報告を受けたところでございまして、現在その検討結果を踏まえまして、制度的解消に取り組んでおるところでございます。関係方面、特に建設省方面と検討中でございまして、たとえば建築基準法の中に制度を入れていくような方法、あるいは紛争処理機関というようなものを考慮していく方法等につきまして、現在関係方面と鋭意相談をしておるということでございます。それで、その結果が出された場合には何らかの形で立法措置をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  309. 永末英一

    永末委員 本年八月に出されました報告書は、資料としていただけますか。
  310. 平野正雄

    ○平野政府委員 お渡しいたします。
  311. 永末英一

    永末委員 住宅公団の方が来ておられると思うのでありますが、住宅公団が都会部におきまして住宅を建てますと、それによる電波障害が起こるということで、障害を受ける住民との間にいろいろなことがございまして、私の知っておるところによりますと、郵政省の方は、電波障害を起こした原因者がそれをちゃんと費用を持って措置をするということのようでございます。したがって、住宅公団が電波障害をなくするための費用を持っておるわけでございますが、その住宅公団と電波障害を受けておる住民との関係は、古いパターンとしましては、住民側に組合をつくらせて、そして住宅公団がアンテナを立て、引き込み線等を施設して、その費用は全額を持つ、しかしあとの保守管理は、両者の契約によって電波障害を受けるその住民組合が持つということをやっておったようでございます。ところが最近は、保守管理等をすべて住宅公団で持つというやり方に変わっているようでございますが、しかし二つのやり方が併存しているために、電波障害を受けておる住民側にはいろいろな問題が起こっておるのでございます。  そこで、住宅公団に伺いたいのでありますが、あなたのところで建てた住宅によって電波障害を受けておる個所は何カ所ありますか。
  312. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 現在まで措置しております団地の数で約二百五十カ所でございます。
  313. 永末英一

    永末委員 その二百五十カ所の中で古い型、つまり、契約によって管理、保守の責任を住民側に負わせているものは幾らですか。
  314. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 公団がみずから管理しておりますものが、二百五十カ所、正確に申し上げますと二百五十一カ所でございますが、その中で五十六カ所、残りは住民の方々に組合をつくっていただいて管理していただいているということになっております。
  315. 永末英一

    永末委員 いまの御説明でございますと、二百足らずが住民側が管理、保守の責任を負っておるということですが、私の知っておる事例で申し上げますと、つまり、昭和四十八年ごろその契約ができておる、そうして建築費の半額を住宅公団が出されて組合側がその金を保管をして保守管理の責めに当たっておった。ところが、じゃんじゃかじゃんじゃか物価が騰貴して、もしアンテナの修理あるいはアンテナの改装、その他引き込み線等々の修理を要する場合に、金の価値が下がってしまいましたから預かった金では何ともならぬ。しかも、いまあなたがおっしゃったように、新しい五十幾つというのは全部住宅公団で保守管理の責任まで持っておる。たまたま私の知っている地区では、隣に新しい公団住宅ができて、そうして隣り合わせの住民が、片方は責任のある電波障害者であり、隣は何もしなくても住宅公団がやっておるということで、非常にはんぱな取り扱いを受けている感じを持っておるところがあります。あなたの方はそういうところを一本にする御意思がありますか。
  316. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 確かに、先生の御指摘のように、住宅公団では、電波障害対策としては、いろいろな政府の関係機関の中では一番早く手がけたものでございました。昭和四十二年から手がけております。したがいまして、先生御指摘のように、その間にいろいろな制度の変遷がございました。最近では電波障害対策の対象戸数等も非常に大型化しております。そういった関係で、最近では公団の自主管理というような制度もあるわけでございます。したがいまして、住民の方々が前と最近とでは扱いが違うではないかとおっしゃる気持ちは私ども十分わかります。しかしながら、そういった電波障害の対策につきましては、いろいろな変遷をしながら、当時の関係住民の方々と協議いたしまして、一応契約という形でやっているわけでございます。したがいまして、それを直ちに新しい方式に全部切りかえるということは、実際の問題としてむずかしいのではないかというような判断を私どもしております。
  317. 永末英一

    永末委員 近代社会が成り立っておるのは、契約の自由の思想の上に成り立っておる。住宅公団はいわゆる政府関係機関ではございますけれども、国民の方と自由な契約の観念に基づいて契約をしたところ、相手方のところが契約破棄をしたい、保管している金は全額利子をつけて返す、こういう場合にあなたの方が、いや、それはいやだということで突っぱねていいものでしょうか。たとえば、もし台風が来た場合とかそういうことでアンテナに障害が起きた、直さなければならぬ、あなたの方の預けたもともとの建築費の半額、それではどうにもならぬというような場合に、能力はないわけであります。その責任を住宅公団が逃れるために契約自由の原則を犯してまで、おっつけたままで過ごそうという、それが住宅公団の方針ですか。
  318. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 先生のおっしゃる意味は、私どもも十分理解しております。ただ、私どもはそういったことで契約しておりますので、そしてまた、二百五十団地のうちで公団がみずからやっておりますのは五十で、大部分は民間の方々に組合をつくって管理していただいておるという状態でございまして、私ども公団が責任を持ってこれを全部直ちにやりますと言うことは、実際上困難ではないかというふうに判断しております。
  319. 永末英一

    永末委員 私は、いま全部やれと言っているのではない。古い形式の契約状態があるところにまさにオーバーラップして新しいことがあり、あなたの方が責任を持っている状態が起こっておる、そのことを見た場合に、その住民が、障害が起こった場合になぜわれわれだけがよけいな出費をしなければならないのかと考えるのは当然ではありませんか。そういうところについても住宅公団は考える余地はないというのがあなた方の考えですか。
  320. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 やはり、全般的ないろいろなケースがあろうかと思いますが、全体的な問題としてとらえた場合には困難だというふうに私どもは判断しております。
  321. 永末英一

    永末委員 郵政大臣、住宅公団はあなたの所管と違います。しかし、もともと難視障害、電波障害の問題については、郵政省は全般的に考え、それに対する対策も考えておられるわけです。たまたま私が指摘したような問題が起こり、それに対して住宅公団は頑強に、住民に迷惑がかかってもおれは知らぬ、こういう態度で臨もうとしているわけだ。あなたはこの電波障害の全体の責任者として、いまのこの問答を聞いてどう考えますか。
  322. 大西正男

    大西国務大臣 先ほど私の方の局長から、都市における高層建築等につきましての難視聴解消に関する原因者主義に基づく何らかの立法ということを当面の問題として検討しておるところでありますが、おっしゃるような問題にまで直ちに進めるかどうかは、十分検討してみないと、いま直ちに御返答申し上げかねるわけでございます。
  323. 永末英一

    永末委員 先ほど、法律の要望が起こればそういう点もお願いしたいというようなことがNHK側の研究の過程にも出ており、そしていまのような問題について、私の知っているケースではわずか百数十戸の人々ですが、もし一たん事故が起こった場合には賄い切れないことになる。それを住宅公団が知りながら、一遍契約したのだから契約は行われるべし、こういう態度で臨むならば、われわれ民社党は住宅公団の性格そのものについて考え直さなければならぬ。それだけの決意で臨んでおります。  質問を終わります。
  324. 高田富之

    高田委員長 永末君の質疑は終了いたしました。  この際、小山官房長から発言を求められておりますので、これを許します。小山官房長。
  325. 小山森也

    ○小山政府委員 先ほど、庄司委員からの逓信委員会での資料の件につきまして、非常に突然のお話でありまして、私、内容も確かめずに記憶がないと申し上げたのですが、実はこれは逓信委員長に報告を求められておりまして、そのものと違うというように錯覚をいたしました。まことに申しわけないと思っております。陳謝いたします。
  326. 高田富之

    高田委員長 庄司幸助君の発言を許します。
  327. 庄司幸助

    庄司委員 関連してお伺いしたいのですが、私は、決算委員会に出さなくてはならないのだけれども逓信委員会の方にもお出しする必要があると言って逓信委員会の方にもお出しになった、こう伺ったのですよ。そうすると、これは決算委員会には全然出さないで——この間の論議では、中間報告でも何でも決算委員会に出しなさい、こう言われておって、決算委員会にはまだ出ていません。そして、逓信委員会の方には、決算委員会に出しますから逓信委員会の方にも出します、こういう態度、私はまことにけしからぬと思うのです。これは決算委員会軽視です。この点、答えていただきたい。  それから、天下注目の的の問題でこういう資料を求められた委員会に出さないで、私が質問したら、いや、そういう記憶がありませんとか、そんなものは覚えがありませんとか言っている、こういう官房長の態度はきわめてけしからぬと私は思うのです。その辺は大臣からも、今後十分な監督の決意を込めて発言していただきたい。  それから三つ目は、これには「(以下、副参事官、係長クラス主体のもの)」こうなって接待が三件ございますが、これから上に記載してある分は参事官なり局長なり、場合によっては政務次官なり事務次官なり大臣なりが含まれている、こういう意味合いの「(以下、副参事官、係長クラス主体のもの)」なのか。  それから最後に、こういうことがあるにつけても、これには氏名がアルファベットで書いてあるだけだ。それから、場所が全然書いてありません。だれが出席してどこでどういう接待を受けたのか、これが国民の一番知りたいところであります。これも付記して当決算委員会に完全な調査資料を提出していただくように強く要望するものであります。  以上で私の関連質問を終わります。
  328. 大西正男

    大西国務大臣 先ほど来官房長がお答えを申し上げておりましたように、現時点は中間報告のようでございます。でございますから、これからも調査が続くわけでありますが、当省としてそれが完了したと考えられる時期におきましては、全体を見渡して、そしてこれに対して綱紀粛正の面からどのような処置をしたらいいかということも当然考えなければならないと思います。したがいまして、そういう趣旨において先ほど来官房長が、特定の名前とかいうことについては申し上げにくいということを言っておったように私は思うのでございます。でありますから、そういう点につきましては、委員におかれましても官房長の意中をお察しくださいまして、現状においてはこれを御寛恕いただきたいと思います。
  329. 庄司幸助

    庄司委員 官房長の態度についてどうなのですかと私は質問しております。
  330. 高田富之

    高田委員長 官房長がいま訂正しましたね。訂正しましたことについて大変遺憾であると答えましたが、委員長としてもこれは非常に遺憾に思うのですが、その点について大臣から御発言を求めます。
  331. 大西正男

    大西国務大臣 私、内容を詳細に見てはおりませんけれども、そごしておるようでございます。でございますから、そごした内容のものが別々の委員会に出たということは、これは大変遺憾なことでございます。その点はおわびをいたしたいと思います。
  332. 高田富之

  333. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 刑事局長にお伺いをいたしますが、自分がもらったものが密輸品であるかもしれないと思いながらそれを保持しておるときのその人の刑事責任はどうなるんでしょうか。
  334. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねの点でございますが、いま条文を手元に持っておりませんが、関税法の該当条文に当たり得るものと思います。
  335. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっとわかりにくかったのですが、何ですか、もう一遍。
  336. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 ただいま条文を手元に持っておりませんので正確なことは申し上げかねますが、お尋ねの点は関税法の違反の該当条文に当たり得るものと考えております。
  337. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 警察庁の方にお伺いをいたします。  先般、衆議院逓信委員会で野党委員から要求がありましたパーティー券の配付先とか物品の配付先のリストについて、KDDの保田参与は提出すると言いながら提出されていないようでありますけれども、警察庁はそのリストを確認しておるのでしょうか。あるいは手に入れておるのでしょうか。
  338. 佐野国臣

    ○佐野説明員 警視庁の方の捜査の関係になりますので、多少つけ加えさせていただきますと、十一月十四日の東京税関成田税関支署長から東京地方検察庁に対して告発がありましたいわゆる関税法違反事件、これに関連して、警視庁は現在鋭意努力しておる次第でございますが、この過程におきまして、いま御指摘がございましたような資料の点につきまして、ございました、あるいはございません、いずれの御答弁を申し上げるにいたしましても、捜査上非常に支障がございますので、この際いかんとも御答弁を差し控えさせていただけたらと、かように存じております。
  339. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 注意をしておきますが、この種の事件は国会の国政調査権と捜査当局の捜査権とが車の両輪になって初めて解明されるのですよ。ロッキード事件のときはどうだったですか。国会の証人喚問による偽証の告発を受けて初めて捜査に乗りかかったじゃありませんか。国政調査権によって捜査に乗り込んだのでしょう。双方とも協力し合わなければだめですよ、つい最近になりますと、この種の問題について、その程度のことが言えないなんというのは、何で捜査に影響があるのですか。あるかないかと言っているのです。確認しているかどうか。中身を聞いているのじゃないのです。そういうリストがあるのですか、大体。
  340. 佐野国臣

    ○佐野説明員 現在のところ、私自身承知いたしてございません。そして警視庁の方に確認するにいたしましては、捜査上支障がないという形で警視庁の方から積極的に報告が上がってまいりませんと、私の口からその有無につきまして申し上げることは捜査上非常にぐあいが悪いということで御勘弁いただきたい、かように考えております。
  341. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 委員長にひとつお取り計らいを願いたいと思うのですが、この程度のことですら何で捜査上影響があるのですか。どういう影響があるのです。私は時間がないですから、いまの御答弁であれば警視庁の方に了解を得ればというようなニュアンスもありますから、委員長の方からひとつこれは確かめていただきたいと思います。理事会でお諮りをいただきたい。
  342. 高田富之

    高田委員長 わかりました。
  343. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それで、官房長官、お忙しい中来ていただきましたが、官房長官にお伺いしますけれども、実は昨年四月二十一日に円高問題を中心とする経済対策閣僚会議が開かれておって、いまの伊東長官には直接は関係ないのですけれども、ほかに聞きようがありませんから、あなたの見解を聞いておきたいのですけれども、この経済対策閣僚会議の座長格は経済企画庁だそうですよ。経済企画庁の方からその当日の議事メモを私は要求をし、いただいたわけです。これお持ちでしょうか。お持ちじゃないですか。そうしたらちょっとこれを……。  いまそこに折り込んでおるところですから。そこのローマ数字のIIIのところ、「円高に伴う物価対策」のうちの4ですね。4の内容はこうなっています。「国際電信電話料金については、通貨変動による影響とそれに伴う料金改訂について検討する。」こうなっていますね。これがその当日の閣僚会議のKDD料金に対する結論ですね。それで、円高に伴う物価対策ですから、この中にある「料金改訂」というのは、料金値上げじゃないですね。当然料金値下げという問題だと思いますけれども、どうですか、長官お読みになって。
  344. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 当時のこと、具体的にはわかりませんが、恐らく円高ということが前提になれば、これは当然下げるということでございます。
  345. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 したがって、その文書は、読みかえますとこうなるのですね。料金値下げについて検討する、これがそのときの結論ですよ、この文章を素直に読めば。  ところが、これはKDDの社内月報「国際通信レビュー」のことし八月号、ナンバー二十九ですが、この中で、KDDの当時の板野さんが、そのまさに昨年四月二十一日の閣僚会議に触れておるのですね。そして、こう言っているのですよ。「幸いにして、当時の郵政大臣は、そのときの経済閣僚会議で「国際通信に関する円高差益は、五億か六億円というわずかなものだから、それらを何十万という利用者に分けてもいくらにもならない。したがって、その分はサービスによって還元しなさい」ということで閣議了解が得られた。」全然違うのですね、この経済閣僚会議の結論と。これは、値下げしないでサービスに回しなさい。一体だれが板野氏にこういうことを吹き込んだのですか。きょうの質問を聞いておっても、官僚との癒着問題がここで追及された。運輸省の官僚ですか、それとも環衛議員でしょうか。これははっきりしなくちゃいけぬと思うのですよ。  しかも、こうなっておるのですよ。いま読んだとおり「ということで閣議了解が得られた。」それで、長官にお調べをいただきたいのは、この昨年四月二十一日の経済対策閣僚会議を受けて、閣議了解がその後こういうふうに確認したかどうかです。これをぜひひとつ調べていただきたいのですね。長官には当時の関係はないのだけれども、あなたにお尋ねする以外ありませんから。  それで、私はどうしてかというと、国会の議事録を読みますと、当時の服部大臣はこの閣僚対策会議のことを言って、そして自分も議論したし、それで板野さんと同じ答弁をしておるのですよ。これはおかしいのですね。だから、経済対策閣僚会議の結論と違うことを服部さんは答弁しておることになる。そして、それから四月から五月にかけて、今度は料金値上げはしません、こう変わってきたのですね。いつの間に検討したのですか。もし検討した結果とすれば、値下げしたのでしょうが。値下げしたのですよね。そうでしょうが。検討した結果、今度は値下げしたのでしょう。おかしいじゃないですか。だから私は、これはやはり御本人に聞かないとわからぬ面もあるのですね。  それで、私は証人とかそういうことは言いませんから、ぜひ理事会に服部元大臣に来ていただいてその辺の事情を理事会で明らかにしていただいたらどうか、これが私の希望ですが、委員長にお取り計らいをいただきたいと思います。
  346. 高田富之

    高田委員長 理事会で相談いたしたいと思います。
  347. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、郵便貯金に入りたいと思うのですけれども、財投は予算の大きな重要な部分を占めておるわけですけれども、財投の中で郵便貯金が占める割合は四〇%弱だと思うのですね。これが一番大きい。そしてその財投からいろんな融資がある。そのうちの一つに、環衛公庫というのがあるのですが、その環衛公庫の融資についても郵便貯金が大きく流れておる。  そこで私は、最近税理士会の政治連盟からの献金問題が起こって、告訴が行われた、これは捜査に入っているのだと思いますが、もし税理士会のこの種のことが問題になるならば、私は環衛業界も環衛法の一部改正について同じようなことが行われておるので、片手落ちになってはいけませんから、この際私は一緒に調べていただきたい、これが私の願望です。  それで、時間がありませんから内容をまず言っておきますと、そのうちの一番はっきりした例として全国美容組合の政治連盟の問題を取り上げてみたいと思うのです。これは全日本美容業環境衛生同業組合連合会、略して全美環連と申しますが、会長は安森公俊会長ですね、組織人員は九万六千人。それで、まず税理士会の問題とこの全美環連の問題が似ておって、しかも鋭くはっきりしている点はこちらの方があるのですね。税理士法の方は政府提案の改正であったですけれども、ことし三月に通りました環衛法一部改正は、これは当初議員立法で出されて、そしてその中の一部修正をして最終的には形は委員長提案になっておりますけれども、いずれにしてもそれだけの違いがある。そしてこの献金問題は、全美環連の場合ずっと続いておるのですね。そういう点で、私はむしろ税理士会問題よりもこちらの方が疑惑はより明確だと思う。そのような観点から御説明をしたいのですけれども、全美環連が出しております速報に「ぜんび速報」というのがあるのですが、五十三年一月十五日発行の第六十号、これにこういうことが書いてあるのですね。「全国各地で環衛法改正促進のための集会開かる 拠点での後援会づくり作業も展開」そういう見出しで、  環衛法改正促進のためには全国的な盛り上りがどうしても必要ですが、現在全国各地で、環衛法改正作業促進のための組織内体制づくりを協議するための理事会や支部長会が開催されています。連合会からは、政策事業推進対策本部の安森本部長を始めとする幹部会メンバーが各県からの要請に応じてこれらの会合にかけつけ、業界の現状報告とこうした状況を打破するためには環衛法改正が急務であること、又、このためには、平常から、政治意識に目覚め、組織力を活した地元有力議員への積極的支援など政治活動の必要性を説いて廻っています。又、業界はいわば美容業の危機ともいえる非常事態に直面しているため、今期通常国会での法改正実現を期した、内部体制づくりが急がれており、国会の社会労働問題を扱う社会労働委員会等での支柱をなす、橋本龍太郎(岡山二区)、相沢英之(鳥取全県一区)、戸井田三郎(兵庫四区)、斉藤十朗(三重・参院地方区)、小沢辰男(新潟一区)、斎藤邦吉(福島三区)、田中正巳(北海道三区)、戸沢政方(神奈川三区)の各先生方に対する支援活動が特に重要となっているため、これらの地区に於いては美容後援会づくりが進められています。我々の生活や業権が政治と無縁でないことを全組合員が真に理解しこれに基いた組織行動が全国的に展開されたとき、私達の営業の安定と発展が約束されるわけですが、先の全美環連第166回理事会で決議された、これら重点議員への支援あるいは各県における政治意識高揚等のために必要な政治活動資金(一組合員・千円)のカンパに対する理解を得ていただくことが当面の急務といえましよう。 こういうことが報告されておって、これはどういうわけか、名前が出ておったからかどうか知らぬけれども、この全美環連の方ですぐこれを回収したのですね。この中に出ております全美環連第百六十六回理事会で決議された重点議員への支援という点について、第百六十六回の全美環連の理事会の議事録を見ますと、安森会長がこの運動推進本部長になるための条件を出して、その中でこう言われている。「地元に種々の事情がありましようが、現美容業界の実態をご理解願い、各美環組を挙げて協力する体制をつくってほしい。特に北海道、福島、神奈川、新潟、三重、兵庫、鳥取、岡山等の各美環組については、相当無理なお願いをすることとなりますが、ご諒承願うこと。」これが本部長就任への条件ですね。いま挙げました県は、まさにさっき挙げました議員のところの県なんですね。ちょうど七つ、一致しているのですね。それで、結局そういう重点議員に対していわゆる献金がなされておる、これが実態であるのですね。そして、こういうことのやりとりは、私の調べたところでは、例によって厚生省のお役人も含めて、この環衛議員と業界の代表とのあれは、新宿の歌舞伎座の裏にありますKという高級料理店で行われておる。これもはっきりしている。いわゆる密謀と申しますか。それで私は、どういう献金状態になっておるか、それを取り急ぎ調べた点だけ申し上げますと、全美環連政治連盟支出政治資金、これは報告されておりますから、公式に明らかになっておる点ですよ。  五十二年度を挙げてみましょう。三月三十日、沢竜会、これは小沢辰男氏、三十万円。同じく五十二年十二月五日、新政治問題研究会、橋本龍太郎氏、百万円。同じく十五日、福祉経済研究会、橋本龍太郎氏、百万円。同二十三日、中野四郎東京後援会、五十万円。同二十六日、新政研究会、山崎拓氏、三十万円。同日、谷垣会、これは谷垣專一氏、三十万円。二十七日、清風政経研究会、これは戸井田三郎氏、五十万円。同二十七日、黎明会、これは竹内黎一氏、三十万円。新社会構造研究会、これは斎藤十朗氏、五十万円。政経文化研究会、小沢辰男氏、百万円。小沢さんは別に三十万円ありましたね。それから石本茂氏、三十万円。近代政治調査会、田中正巳氏、五十万円。政治経済振興会、箕輪登氏、三十万円。こういうふうに届け出があっておるのですね。  そして、これが五十三年度になるとどうなるか。全美環連の政治連盟のものですが、五十三年度は、収入が八千九百十二万円。支出が千九百五万円。そのうちの組織活動費が千百六十四万円なんです。この組織活動費というのは、先ほど申し上げたとおりそういう議員を応援するための組織づくりですね。ちゃんとそう書いてある。そのために金を使っている。そして、この五十三年度の分はこの中へ全部含まれている。そして、五十四年度、ことしはまだ最終的な報告は出ておらぬでしょうが、この安森会長は、いいですか、支出予定として政治活動費が六千三百五十万。ことしは選挙があったからかもしれません。その内訳は、政治団体への寄付が三千万円。そして、先ほど言った組織活動費が二千万円。そして、選挙応援や陣中見舞いなど、選挙関係費に七百万円、ざっとこんなふうな支出予定としてはっきり出しておるのですね。だから、私は全く税理士と同じだと思うのですよ。  そこで、私は刑事局長にお伺いしますけれども、法案成立への請託あるいは陳情でも結構です。そういうものを受けて、関係議員が政治献金を受けたときは、たとえ政治資金規正法による届け出をしていても、常識的に見て莫大な額であれば、その請託贈収賄罪を構成すると思いますけれども、その点はどうなんでしょうか、一般的に……
  348. 高田富之

    高田委員長 楢崎君に申し上げます。  すでにお約束の時間を経過しておりますので、結論を急いでください。
  349. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、もうずっとやります。
  350. 高田富之

    高田委員長 結論を急いで……。(発言する者あり)
  351. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、これでやめろとおっしゃるわけ。いいですよ、やめていいです、そんなにおっしゃるなら。ここまできておって、やめさせるのですか。あと二、三分で済みますよ。
  352. 高田富之

    高田委員長 だから、それで結構ですよ。急いでくれればいいのです。結論を……。
  353. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私、もうこれ以上早口で言えません。速記とれますか。とても早く言っているのですよ。  刑事局長にいまの点をお伺いしたいと思います。  それともう一つ刑事局長にお伺いしたいのは、この告訴がなければ捜査に入られないのでしょうか。自発的に調査するということがあり得るのか、その二点を刑事局長に。  それから、この全美環連は、これは、東原の美容環境衛生同業組合の方からですけれども、昨年総裁選挙の前に、各支部あて、一人ずつ党友をつくりなさい、そして金は個人が持つかもしくは支部で払いなさい、そう言って強制的にやっているのですね。こういうことについて私は、そういうことで、全部じゃありませんけれども、総裁が決まるなどということは一体どうなんでしょうか。しかも、私は官房長官に見解をお伺いしたいのは、この環衛中央会へ国から補助金が出ているのです。補助金が出ているそういう団体が政府・与党に献金するとは一体何でしょうか。献金するような余裕があれば補助金は要らぬじゃないですか。つまり、国民の税金が回り回って補助金の形をとっていって、そしてそこから与党に献金されておる、こういうことは私はどうだろうかと思うのですね。最後にその点の御見解だけお伺いし、私は適当な機会に安森会長を当委員会参考人として呼んでいただきたい、そのようにお願いします。
  354. 前田宏

    ○前田(宏)政府委員 お尋ねが二点あったと思いますが、第一点のことでございますが、一般論ということでございますけれども、たとえば片方で依頼事があって、片方で政治献金があるということでございますが、それだけで直ちに賄賂罪になるというふうに断定するわけにもまいらないのではないか、要するに賄賂罪につきましては、これは一般論でございますが、やはり金品の授受につきましてその趣旨がどういうところにあるかということにあるわけでございますので、お尋ねの限度で直ちに賄賂罪になるということを申すわけにはまいらないのではないか、かように思います。  また、第二点でございますが、贈収賄罪、これは、一般論でございますけれども、告訴告発というものは必ずしも要件ではないということでございます。
  355. 伊東正義

    ○伊東国務大臣 私にお尋ねでございますが、最初に、先ほどの経済閣僚対策会議の後の閣議了解事項は、私いまちょっとわかりませんから、調べて後でお答えを申し上げます。  それから、いまお話しになりました、補助金を受けている団体から政治献金があるのはおかしいじゃないかということでございます。いま先生の御指摘になりました全国環境衛生同業組合中央会というのは、確かに補助金がございます。ところが、自民党その他が献金を受けておりますのはこの中央会じゃなくて、その政治連盟でございますとか別な団体であり、あるいはこの中央会そのものじゃなくて、その構成メンバーというようなことになっていて、そのものじゃないということになっておりますので、先生のおっしゃいましたこととは実情は違っておりますので、その点だけお答え申し上げておきます。
  356. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 一問だけ。  政治連盟は、その会そのものが政治連盟、中身は。形式的に政治連盟と言っておるだけで、実態は同じなんですよ、お調べになればわかりますけれども。  じゃ、要望だけ申し上げておいて、終わります。
  357. 高田富之

    高田委員長 楢崎君の質疑は終了しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十九分散会