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1980-04-23 第91回国会 衆議院 外務委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十五年四月二十三日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君    理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君    理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    上草 義輝君       小里 貞利君    大城 眞順君       鴨田利太郎君    木村 俊夫君       鯨岡 兵輔君    高橋 辰夫君       東家 嘉幸君    岡田 利春君       勝間田清一君    河上 民雄君       浅井 美幸君    玉城 栄一君       金子 満広君    榊  利夫君       林  保夫君    山口 敏夫君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大来佐武郎君  出席政府委員         外務政務次官  松本 十郎君         外務大臣官房長 柳谷 謙介君         外務大臣官房審         議官      三宅 和助君         外務大臣官房審         議官      山田 中正君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 浅尾新一郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省中近東ア         フリカ局長   千葉 一夫君         外務省条約局長 伊達 宗起君         外務省国際連合         局長      賀陽 治憲君  委員外出席者         外務大臣官房審         議官      関  栄次君         外務大臣官房外         務参事官    渡辺 幸治君         外務大臣官房外         務参事官    国広 道彦君         外務省北米局北         米第一課長   福田  博君         大蔵省理財局国         有財産総括課長 山口 健治君         通商産業省通商         政策局国際経済         部通商関税課長 内村 俊一君         通商産業省産業         政策局商務・         サービス産業室         長       細川  恒君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      大高 英男君         運輸省海運局監         督課長     大塚 秀夫君         運輸省船舶局検         査測度課長   石井 和也君         運輸省航空局監         理部国際課長  寺嶋  潔君         運輸省航空局飛         行場部長    山本  長君         運輸省航空局技         術部検査課長  米本 恭二君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       末永  明君         郵政省郵務局国         際業務課長   梶谷 陽一君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     高橋 辰夫君   栗原 祐幸君     大城 眞順君   小坂善太郎君     小里 貞利君   佐藤 一郎君     鴨田利太郎君   中川 一郎君     上草 義輝君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     中川 一郎君   小里 貞利君     小坂善太郎君   大城 眞順君     栗原 祐幸君   鴨田利太郎君     佐藤 一郎君   高橋 辰夫君     石原慎太郎君     ――――――――――――― 四月二十三日  原子力の平和的利用における協力のための日本  国政府とカナダ政府との間の協定を改正する議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  一三号)(参議院送付)  廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止  に関する条約締結について承認を求めるの件  (条約第一四号)(参議院送付)  廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染防止  に関する条約の紛争の解決に関する改正の受諾  について承認を求めるの件(条約第一五号)(  参議院送付) 同月二十一日  核兵器完全禁止等に関する請願木原実君紹  介)(第四二九七号)  同(柴田睦夫紹介)(第四三九八号)  ILO未批准条約等批准促進に関する請願  (勝間田清一紹介)(第四二九八号)  同(沢田広紹介)(第四二九九号)  同(多賀谷真稔紹介)(第四三九九号)  同(野間友一紹介)(第四四〇〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月十八日  朝鮮の自主的平和統一促進に関する陳情書  (  第一三一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国フィリピン共和国との間の友好通商航  海条約締結について承認を求めるの件(条約  第二三号)  航空業務に関する日本国ニュー・ジーランド  との間の協定締結について承認を求めるの件  (条約第三〇号)  航空業務に関する日本国バングラデシュ人民  共和国との間の協定締結について承認を求め  るの件(条約第三一号)  航空業務に関する日本国フィジーとの間の協  定の締結について承認を求めるの件(条約第三  二号)  航空業務に関する日本国スペインとの間の協  定の締結について承認を求めるの件(条約第三  三号)  千九百六十九年の船舶トン数測度に関する  国際条約締結について承認を求めるの件(条  約第三四号)  千九百二十八年十一月二十二日にパリ署名さ  れた国際博覧会に関する条約を改正する議定書  の締結について承認を求めるの件(条約第三五  号)  千九百七十九年の国際天然ゴム協定締結につ  いて承認を求めるの件(条約第三九号)  国際連合工業開発機関憲章締結について承認  を求めるの件(条約第四〇号)  日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約  定の締結について承認を求めるの件(条約第四  一号)  開発途上国に対する協力に関する件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  日本国フィリピン共和国との間の友好通商航海条約締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国ニュー・ジーランドとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国フィジーとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国スペインとの間の協定締結について承認を求めるの件、千九百六十九年の船舶トン数測度に関する国際条約締結について承認を求めるの件、千九百二十八年十一月二十二日にパリ署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件、千九百七十九年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件、国際連合工業開発機関憲章締結について承認を求めるの件、日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件の十件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉城栄一君。
  3. 玉城栄一

    玉城委員 私は、前回の委員会から引き継ぎまして、きょうは三本の条約憲章協定について若干の質疑をさせていただきたいと思いますが、きょうは大臣もまだいらっしゃっておりませんので、大臣にお伺いしたい点はまた留保しておきたいと思います。  最初に、千九百六十九年の船舶トン数測度に関する国際条約についてお伺いをいたしますが、提案理由説明によりますと、船舶トン数は入港した外国商船に対する課税及び手数料徴収基準として用いられているとのことでありますが、課税の対象となる税目及び税率、それから徴収する手数料の種別及び単価等はどのように現在行われているのか、実情を概略説明いただきたいと思います。
  4. 石井和也

    石井説明員 御説明いたします。  まず純トン数徴収基準としております諸税及び諸手数料には、開港に入港する外国貿易船に対しとん税法によるとん税、それから特別とん税法による特別とん税があります。さらに開港場に入港する外国貿易船に対しましては、関税法に基づき徴収されます出入許可手数料があります。それぞれ税率は、とん税は純トン数一トンごとに十六円、それから特別とん税は純トン数一トンごとに二十円を徴収することとなっております。また開港場への出入手数料は純トン数一トンごとに三十六円徴収されることになっております。  次に、手数料につきましては総トン数徴収基準とされておりまして、その主なものといたしましては、港湾法に基づく入港料港湾施設使用料等がございます。入港料につきましては、総トン数七百トン以上の船舶が入港する際に、港湾管理者外航船については一総トン当たり二円、内航船につきましては一総トン当たり一円を徴収しております。また港湾施設使用料につきましては、港湾施設を使用するごとに各港湾管理者がそれぞれ定めました使用料徴収しておりますが、一例として東京港の場合を御説明いたしますと、係船岸壁を使用いたします際、総トン数一トンにつきまして一時間未満の場合は二円、二時間以上二十四時間までごとに八円、それから係船浮標を使用する場合は一隻、二十四時間ごとに、千トン未満船舶につきましては三千二百円、それから一万五千トン以上になりますと二万八千八百円となっております。
  5. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、この条約の六条について、これも同じく運輸省の方だと思いますが、第六条の規定によってトン数算定主管庁が行うことになっておるわけです。これはわが国においては当然運輸省だと思うわけでありますが、算定の具体的な方法はどのようにやるのか、概略説明をいただきたいと思います。同時にあわせて、何らかの資格を持った職員がこのトン数算定という業務をなさるのか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  6. 石井和也

    石井説明員 御説明いたします。  船舶所有者からトン数測度申請がございましたときは、船舶積量測度官船舶に臨検いたしまして測度を行うことになっております。  まず、測度に当たりましては、事前に設計図面によりまして測度の要領を検討いたします。その上で造船所に出向きまして現物で測度を行うことになるわけであります。  現場におきましては、通常、船の進水する前に閉囲場所のうち上甲板よりも下の全容積上甲板上の貨物積載場所容積算定するに必要な寸法を、船を分割いたしまして各寸法をはかっていくわけでございますが、そういう寸法の計測をいたします。それから次に、進水後におきまして、各部屋の中の内装工事に着手する前に、上甲板上の閉囲場所容積算定いたしますのに必要な寸法を計測いたします。続きまして、計測しました非常にたくさんな数値をもとにいたしまして、全閉囲場所容積貨物積載場所容積を計算いたします。  国際トン数につきましては、この計算いたしました全閉囲場所容積条約附属書に定められております係数を掛けましてトン数を求める。また純トン数につきましては、貨物積載場所容積にこれも条約附属書で定められております係数を掛けまして純トン数を求めるということになります。  それから測度を行い、トン数算定する船舶積量測度官でございますが、これは大学あるいは高等学校において船舶関係技術系の学科を終了いたしました七等級以上の運輸技官積量測度官として任命されております。
  7. 玉城栄一

    玉城委員 次に、条約の八条によりますと、この条約締約国から要請があればその国の船舶トン数算定することができるようになっているわけでありますけれども、わが国としてこのような要請を他の締約国から受けることは今後考えられるのかどうか、その点いかがでしょうか。
  8. 石井和也

    石井説明員 わが国におきましては、従来から外国船舶積量測度規則に基づきまして、諸外国要請によりましてトン数測度を行っております。この条約発効した後におきましてもこれらの諸外国からは引き続いて要請があるものと考えております。  それから、これら他の締約国からトン数算定それから証書発給要請があれば、条約の八条に基づきましてわが国測度を行い、証書発給を行う予定であります。
  9. 玉城栄一

    玉城委員 その際の手数料についてもちょっと御説明してください。
  10. 石井和也

    石井説明員 条約の八条に基づきまして測度を行い証書発給いたしました場合は、手数料といたしましては現行外国船舶積量測度規則規定されております手数料とほぼ同額を予定いたしております。参考までに現行外国船舶積量測度規則によります手数料を申し上げますと、総トン数が千トン未満の場合は九万六千円、それから五万トン以上でございますと九十二万円、それに証書発給手数料といたしまして一通について千四百円というようになっております。
  11. 玉城栄一

    玉城委員 同じくただいまの運輸省の方にお伺いしたいのですが、十二条で、日本の港に入港した外国商船がこの十二条に言う検査を拒んだ場合、その取り扱い、いわゆる検査を拒否した場合の取り扱いはどのようになるのか、お伺いしたいと思います。     〔委員長退席志賀委員長代理着席
  12. 石井和也

    石井説明員 御説明を申し上げます。  外国船舶条約の十二条の検査を拒否いたしました場合には、当該船舶がこの条約に基づく有効な証書を備えているということが確認できませんので、当該船舶条約の十三条の規定に基づきこの条約に基づく特権を主張することができないことになります。したがいまして、わが国といたしましては当該船舶トン数確認を行うために再測度を実施することもあり得ることとなります。  なお、この条約の内容を実施するため今国会に提出いたしております船舶トン数測度に関する法律におきましては、このような船舶に対して罰則、五万円以下の罰金でございますが、これを科することといたしております。
  13. 玉城栄一

    玉城委員 ただいまの条約に基づく国内法について、いまお話がありました船舶トン数測度法案第九条によりますと、トン数証書交付申請書の受理、証書交付等事務は、外国にあっては日本領事官が行うことになっているわけでございます。そこで、これはよく私もわかりませんが、そういう資格ですね、経験のない領事官がこのような事務ができるのかどうか、あるいは資格のある方を在外公館に派遣するということなのか、そこら辺はどのようになるのでしょうか。
  14. 関栄次

    関説明員 在外におります日本領事官は、船舶法第三十二条に基づきまして、従来から外国におきまして日本船舶に対します積量測度を実施いたしております。専門的知識が必要な場合には適宜運輸省の御援助を得てこれまで実施されておりまして、特段の支障はいままで生じたことはございません。
  15. 玉城栄一

    玉城委員 最近における政府間海事協議機関IMCO活動状況、それに対する日本のかかわり合いの状況並びにわが国分担金について、御説明いただきたいと思います。
  16. 松本十郎

    松本(十)政府委員 IMCO政府間海事協議機関は、先生承知のとおり海運に影響のあるすべての事項に関する国際協力を促進することを目的といたしまして、昭和三十三年三月に設立されました国連専門機関でございます。  海上の安全、海洋汚染防止等海運に影響する技術的問題及び法律的問題につきまして、その解決のためにとるべき最も有効な措置の検討並びに条約等の作成を積極的に行ってきております。昨年末でIMCO寄託先としておる条約は三十一に上っております。  次に、わが国はこのIMCOの設立の当初から今日に至るまで理事会のメンバーとして重要な地位を占めておりますとともに、船舶設計航行安全等の技術的問題についての検討を行っている海上安全委員会船舶に起因する海洋汚染防止に関する技術的問題の検討を行っております海洋環境保護委員会等各種委員会に積極的に参加いたしまして、IMCO活動協力している次第であります。  本年、昭和五十五年のIMCOの総予算は九百三十四万千三百米ドル、このうちで日本分担金は八十九万七千六百七十四米ドルでありまして、全予算の約一〇%に当たっております。
  17. 玉城栄一

    玉城委員 次に、国際連合工業開発機関憲章について伺いたいのでありますが、この憲章の二十五条の効力発生規定がございますが、国連工業開発機関憲章効力を発生するためには、批准書受諾書等寄託した国のうち少なくとも八十カ国が協議した後この憲章発効させることについて合意する必要がある、こういう規定があるわけであります。  そこで伺いたいのは、なぜこのような効力発生規定を設けたのかが一点。二点目には、そういうことになりますとこの憲章発効するにはかなりの期間を要するのではないかと思われるわけでありますが、その見通し等について伺いたいと思います。
  18. 松本十郎

    松本(十)政府委員 現在、本機関通常予算国連予算によって賄われておりますが、専門機関になりました後は機関加盟国の負担する分担金によりまして賄われることとなっております。したがって、本機関専門機関となった暁において従来にも増して活発な活動を行うためには、これら活動を支える確固たる財政基盤を確保することがとりわけ重要でありますが、そのためには単に数の上で八十カ国以上が締結しただけでは十分ではありませんで、個々の締約国分担金支払い能力、これを十分に見きわめて、これら諸国分担金のみで本機関を運営し得るか否かにつきましてあらかじめ検討することが必要となるわけであります。発効に先立ちまして締約国の間で協議を行うことが決められたのはそのような理由によるものと承知しております。  次に、本憲章署名及び批准状況は、三月二十日現在、先進国を含めて七十九カ国が署名を終わりまして、うち七カ国が批准書等寄託を行っております。工業開発機関専門機関化を強く希望しております開発途上国、これによる批准受諾または承認、これは今後急速に増加するだろうと考えられますし、その動向を見きわめながら主要先進国も本年末から明年春にかけまして批准受諾または承認を行うことが予想され、憲章発効のための協議は早ければ本年末ないし明年春にも行われることになるのではなかろうかと考えております。
  19. 玉城栄一

    玉城委員 次にこの憲章について伺っておきたいことは、国連工業開発機関専門機関に改組することによって開発途上国に対する技術援助の強化を図っていくわけでありますけれども、それに要する財源をどのように確保し、あるいは増加せしめようとされるのか。先ほどの御説明の中にもあったかと思いますけれども、改めてその辺をちょっと伺っておきたいのです。
  20. 関栄次

    関説明員 現在UNIDO事業活動予算は、その大体七割から八割が国連開発計画、uNDPの資金で賄われております。残りの二、三割がUNIDO自前の、各国からの拠出金によります資金によって賄われているわけでございますが、この憲章発効いたしまして、UNIDO専門機関になりました場合の事業予算は、これまでどおりにUNDPとそれから自前資金、これは大部分工業開発基金から出るわけでございますが、このような資金源から賄われるということになっているわけでございまして、事業活動促進のための資金確保という点では特に問題はなかろうというふうに見通されております。
  21. 玉城栄一

    玉城委員 従来アメリカカナダなどの主要国はこの工業開発基金に対して任意拠出意向表明がなされていないと聞いておりますけれども、その理由について伺いたいのです。
  22. 関栄次

    関説明員 お答え申し上げます。  私ども、特に米国カナダがどのような理由でいままで任意拠出をしていないのか、その理由心ずしも正確には把握しておりませんけれども、アメリカ及びカナダは、一九七五年にペルーのリマで開催されましたUNIDOの第二回の総会で、工業開発基金をつくるということにつきましてはかなり消極的な態度を打ち出していたわけでございまして、ただし、これらの両国は恐らく、この活動基金が今後確立されて、どのようにUNIDO活動に資することができるか、そのあたりの見通しをつけたいというような態度をとっているんではなかろうかと見られるわけでございます。
  23. 玉城栄一

    玉城委員 そこで、この国連工業開発機関憲章によって、工業開発機関事業予算各国任意拠出等財源によって賄われることになっているわけでありますけれども、ただいまもお話のありましたアメリカカナダなどの拠出金は果たして期待はできるのかどうか、お伺いしたいと思います。
  24. 関栄次

    関説明員 米国カナダUNIDO国連専門機関になるということには異議はないようでございまして、他方また、この工業開発基金を設立することにつきましても異議を唱えておりません。米国はことしになりましてすでにこのUNIDO憲章署名いたしておりまして、この憲章発効するころには恐らくアメリカ、それと並びましてカナダにつきましても任意拠出が期待できるのではないかというふうに私ども願っているわけでございます。
  25. 玉城栄一

    玉城委員 いまの憲章について最後にもう一点伺っておきたいわけでありますが、従来の国連開発計画目的は、開発途上国技術援助を実施することによってこれら諸国の経済的、社会的開発を促進することにあるわけでありますけれども、また今回、この国連工業開発機関開発途上国に対する技術援助機関になると思われるわけでありますが、この二つの機関技術援助を実施する場合、調整をする必要性というのは全くないということでいいのかどうか。あるいは——あるいはと言いますよりは、競合関係にはないと理解していいのかどうか。その辺を伺っておきたいのです。
  26. 関栄次

    関説明員 お答え申し上げます。  先生承知のとおり、国連開発計画UNDPは、国連の特に技術分野におきます援助資金を集中的に管理する目的で設立されているわけでございまして、このUNDPから十七、八に及びます専門機関にそれぞれ資金が配分されて、UNDP自体事業には直接タッチしていないわけでございまして、それぞれの工業のみならずその他いろんな分野におきます事業執行を各専門機関に任している、そういう形になっておりまして、工業開発分野につきましてはUNIDOが主たる事業計画執行代行者というようなことでございまして、両者競合関係ではなくて、むしろ補完し協力する関係に立っているわけでございます。先生御心配のように、今後競合関係が生ずるかどうかということにつきましては、懸章にも、UNIDO工業開発分野につきましては国連の各機関の間の調整役を担当するということになっておりますので、調整という役割りにつきましてはuNIDOが主体的な役割りを演ずるのではなかろうかというふうに考えられます。     〔志賀委員長代理退席委員長着席
  27. 玉城栄一

    玉城委員 次に、千九百七十九年の国際天然ゴム協定について若干伺いたいわけであります。  まず、一次産品問題は開発途上国にとってきわめて関心の高い問題であり、この問題解決途上国は強く求めているわけであります。特に開発途上国と密接な相互依存関係にあるわが国としては、この問題の解決に関して真剣に取り組まなくてはならないと思います。まさにいま、その回答を迫られているのではないかと思うわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  28. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘のとおり、一次産品貿易安定化は、資源の主要輸入国でありますわが国にとりましても、また一次産品輸出に依存するところが多い開発途上国にとりましても、不可欠の重要性を持っております。わが国は従来から一次産品貿易の安定的発展のために、個々の産品の特性に応じまして、産消双方の利益を考慮しつつ、かつ、市場メカニズムをできるだけ生かすような適切な施策を講ずることが必要であるという立場をとってきております。一次産品につきましては、わが国は、一次産品の価格安定を主目的とする国際商品協定につきましても、このような基本的認識をもとにしまして従来から積極的に取り組みまして、いままでに成立しましたほとんどの商品協定に参加してきております。今後とも、個別産品につきましては交渉に積極的に参加したいと考えております。
  29. 玉城栄一

    玉城委員 この協定には、こういう規定があるわけです。この国際天然ゴム協定では、加盟輸出国が加盟輸入国に対して一定の品質水準の天然ゴムを継続的に提供するための努力義務を課しているわけですね。従来の商品協定ではこのような精神と申しますか趣旨の規定があったのか、そういう義務規定があったのか。もしなければ、今回どういうわけでこういう義務規定がこの協定の中に挿入されているのか、伺いたいと思います。
  30. 国広道彦

    国広説明員 この種の努力規定は従来の商品協定の中にもございます。しかしながら、天然ゴムの品質水準につきましては、特に合成ゴムの増加傾向に対抗しまして天然ゴムの消費を安定的に維持するためには、やはり品質の維持ということは決め手でございます。この点はASEANの主要産出国ともたびたび話題になることでございまして、こういう点につきまして共通の認識ができた結果、この条項は特に重みのある条項だと思います。
  31. 玉城栄一

    玉城委員 それは特にわが国要請に基づいてこういう規定が入っているというわけですか。
  32. 国広道彦

    国広説明員 実はASEANとの間では、合成ゴムの増加傾向に対しまして天然ゴムの輸出維持をどういうふうに守るかということがたびたび日本とASEANとの間で真剣な話題になっておりました。そういう背景がございましてわが国としては特に関心を持っていた次第でございますが、この協定交渉におきましては、消費国一般の強い関心事項でございました。
  33. 玉城栄一

    玉城委員 ちょっととっぴなことになるかもわかりませんが、政務次官、この天然ゴムの協定の中に、加盟輸出国は加盟輸入国に対して一定の品質水準の天然ゴムを継続的に提供するための努力義務を課している、そういう規定があるわけですね。こういう考え方を油についてはどうなんでしょうか、ちょっと話は別だと思いますけれども……。
  34. 松本十郎

    松本(十)政府委員 石油につきましては、義務というところまではいっておりませんが、産消両国間の対話ということからも、できるだけ品質についても努力しましょうというところだと思います。
  35. 玉城栄一

    玉城委員 この国際天然ゴム協定の運用上、緩衝在庫の果たす役割りはきわめて大きいと思うわけですが、天然ゴム価格の安定を確保する手段としてこの緩衝在庫のみを用いることにした理由は何でしょうか。
  36. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  国際商品協定の中には、一次産品の価格を安定するための手段としまして緩衝在庫という方法のほかに輸出規制を採用しているものもございます。しかしながら、この輸出規制は緩衝在庫と比較しました場合に、価格の下支えをする効果としましてはよろしいのですが、生産制限につながりやすいわけでございます。天然ゴムの場合は、一度ゴムの木を絶やしますと、それを育てるのにまた五年とか七年とかかかりまして、需要に応じて生産をふやす必要がある場合に、生産国としてふやしたくてもなかなか困難な状態が生じる、こういう問題がございまして、その点を話し合いました結果、緩衝在庫という方法をとったのでございます。
  37. 玉城栄一

    玉城委員 通産省の方に伺いたいのですが、最近の二、三年の天然ゴムの取引の状況概略説明をいただきたいと思います。と同時に、もう一点は、今後のわが国の需給関係見通しについてはどのように考えていらっしゃるのか、二点伺いたいと思います。
  38. 大高英男

    ○大高説明員 お答え申し上げます。  わが国におきます天然ゴムの取引所は東京と神戸と二カ所ございます。その最近の状況についてちょっと御説明申し上げます。  まず東京でございますけれども、五十三年の取引高を数量で申し上げますと約三百五十万トン、神戸の取引所につきましては二百九十万トン、それから五十四年につきましては、東京が七百九十万トン、神戸が四百七十万トン、こういう状況でございます。  なお、天然ゴムの需給状況は順調に推移しておりまして、この両取引所は十分天然ゴムの取引所の役割りを果しておる、かように存じます。
  39. 玉城栄一

    玉城委員 現在の天然ゴムの実勢価格はどのようになっておりますか。
  40. 大高英男

    ○大高説明員 天然ゴムの標準品の市中相場について御説明申し上げますと、最新のデータとしては本年三月のものがございますが、キログラム当たり三百七十一円という状況でございまして、ここ一年ぐらいの推移を見てまいりますと、前年同期、つまり五十四年三月は二百三十一円でございますから、その間徐々に上昇してきておる、かような状況でございます。
  41. 玉城栄一

    玉城委員 その徐々に上昇している原因、簡単で結構ですから御説明いただきたいのですが……。
  42. 大高英男

    ○大高説明員 お答え申し上げます。  現在のゴム相場は、昨年からのイラン危機とか中越紛争等の一連の事件を通じました国際情勢の緊迫化が反映したものというふうに考えることができると存じます。
  43. 玉城栄一

    玉城委員 それでは、時間が来ましたので外務省の方に最後に伺っておきたいのですが、この協定締結当時の基準価格についてですが、いまの実勢価格は上限をすでに超えているのですね。そうしますと、これを発足させるときには数字が合わなくなってくると思うのですが、その辺の考え方を伺っておきたいのですが……。
  44. 国広道彦

    国広説明員 確かに御指摘のとおり現在の価格はこの協定で想定している価格帯を相当大幅に超えておりまして、しかしながら、一つには、先ほども御説明がありましたように、昨年起きた急激な石油価格の上昇による一次産品全体の値上がり状況、それから合成ゴムとの対比による価格の上昇という若干特殊要因もございます。それから中越紛争というような緊張状況もございまして、これから先、半年、一年、一年半と行くうちに同じような騰勢が続くのか、それとも下落する可能性もあると思います。  しかしながら、この協定発効いたします時点におきまして依然今日のような高価格であります場合には、この協定の中で考えております弾力化では対処できないのが事実であろうと思います。したがいまして、そのときは理事会におきましてその場に対処する新しい方法を臨時的にでも考える必要があると思っております。
  45. 玉城栄一

    玉城委員 以上でございます。
  46. 中尾栄一

    中尾委員長 榊利夫君。
  47. 榊利夫

    ○榊委員 一連の航空協定の問題で質問いたします。  まず、今度の日本・バングラデシュ航空協定でありますけれども、これを読みますと、最後の方の付表がございますが、ここによると、日本がダッカから後に特定される以遠の四点については以遠権を持っておりますけれども、バングラデシュは日本に対しては東京までという一点が指定されております。この違いの理由はどういうところでしょうか。
  48. 木内昭胤

    ○木内政府委員 お答えいたします。  日本からバングラデシュ以遠権がない場合のお客さんの数というのは、現実の問題として非常に少なくなるわけでして、わが国がバングラデシュに乗り入れる以上は、どうしても以遠の各地点がない限り全然飛ぶメリットはないわけでございます。  他方、バングラデシュから日本に来るお客さんの数というのは、バングラデシュから見た場合には相当な数であり、彼らとしましては必ずしも日本以遠権がなくても航空需要を満たし得るというふうに考えられるわけでございまして、バングラデシュと日本のバランス全体を考えました場合には、バングラデシュに対して日本以遠権がなくてもバランスがとれるということで、両航空当局間は合意に達した次第でございます。
  49. 榊利夫

    ○榊委員 わが国といたしまして最初の二国間航空協定でありました日米航空協定、この場合にはアメリカ側が日本以遠の権利をほとんど無制限に持っている。ところが、日本の場合にはニューヨーク経由ヨーロッパへの以遠権しか認められていない。御承知のようにこれがこれまでもいろいろ問題になってきたわけです。わが国としてもアメリカ本位の以遠権、これは不平等じゃないかという声もありまして、それを日本政府としても問題にしてきた経緯があると思います。  今度の日本とバングラデシュ航空協定では、その逆じゃないか。日本はかなりの以遠権、四点について特定されているけれども、バングラデシュは全くない。そういう以遠権の問題で日本に偏っていないかという意見がバングラ側から出てくる心配はありませんでしょうか。あるいはこれまで出てきたことはないんでしょうか。
  50. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、日米間の航空交渉におきましては、わが方は以遠権についての不均衡の是正を強くアメリカ側に求めております。米国と申しますのは、もちろん世界の航空市場における大中心地でございますから、それ以遠の権利というのは非常に大きな価値を持っております。と同様に、日本もアジアにおける航空市場の大中心地でございますので、日本以遠の権利というのも同様に大きな価値を持っておる。したがいまして、それを公平な立場で以遠権を交換すべきである、こういう立場からその是正を求めているわけであります。  他方、バングラデシュとの関係におきましては、先ほどアジア局長から御説明ございましたように、先方のマーケットというのは規模としてはきわめて小さいものでございまして、乗り入れておる外国会社もほんの数社にすぎないという状態でございますので、これは市場の規模あるいは価値という点から見て、先方との間で以遠権に差があってもこれはやむを得ないということでございます。これは交渉の過程でもその点をわが方から説明しましたところ、先方も納得いたしまして、それで今次の協定がまとまった次第でございます。  したがいまして、今後特にバングラ側から以遠権をさらに追加してほしいという要求は恐らく出ないと思いますし、実際問題といたしましても、東京以遠にさらにバングラデシュが以遠権を行使するという事態はほとんど考えられないというふうに考えております。
  51. 榊利夫

    ○榊委員 同様の以遠権の問題では、ニュージーランドとの間の航空協定、それからフィジーとの間の協定、この場合はどうであったでしょうか。
  52. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  ニュージーランドとの関係におきましては、日本にとりましてニュージーランド以遠、あるいはニュージーランドにとりまして日本以遠の運航に特に興味を持っておりませんので、相互に以遠権なしという形で交換しております。  それからフィジーにつきましては、日本側はフィジー以遠の地点、とりわけニュージーランドへの乗り入れを希望しておりますので、日本側路線にはフィジー以遠のオークランド、すなわちニュージーランドの地点が入っております。それからフィジー側は、特に現段階では東京乗り入れの計画自体がございませんので、現実の問題としては以遠権の行使ということは全く考えられないわけでございますが、先方は形式的には一応将来の可能性として東京以遠の一地点というものを付表の上では載せておきたいという希望がございましたので、「後に合意される東京以遠の一地点」というものをフィジー側の路線に載せてございます。ただし、先ほど申し上げましたように、予見される将来においてこれが行使されるという可能性はないものと思っております。
  53. 榊利夫

    ○榊委員 この以遠権の問題は、申すまでもなく大変国益に関するという点もありますし、それから双方主権を持って平等互恵で安定した航空関係を維持していくということのためにも大変大きな意味を持っておるという趣旨で、私、いま質問させていただいているわけであります。  いま政府側の答弁の中にも出てまいりましたけれども、この以遠権の問題では、日米航空協定では先ほど申しましたように、大変これがこれまでもいろいろ論議のテーマにもなってきております。アメリカ日本以遠の運営権はほとんど無制限なのに対して、日本アメリカ以遠の運営権は実質的にニューヨークから欧州以遠にのみ制限されている。さらにまた、アメリカの場合には、自国の十九の都市から日本への路線を運営しているわけでありますけれども、日本に対しては米国内には七地点、七都市にしか乗り入れを認められていない。そういう点では、国際的に覚ましても、その内容上、不平等という点において大変異常性があります。それで、協定改正の交渉は五十三年に事実上決裂して今日に至っているというふうに理解しておりますけれども、その後のこの問題の、たとえばアメリカ側の態度とかあるいは日本政府の側として、この交渉再開の考えはあるのかないのか、そのあたりのことも関連してお聞かせ願えればと思います。
  54. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、日米交渉は五十一年十月以来すでに六回にわたって行っておりましたが、五十三年三月の第六回交渉を最後としていわば中断状態になっておるわけでございます。ただ、決裂という状態では決してございません。従来の交渉におきましては、わが方の米国乗り入れ地点や以遠権を拡大せよという要求に対しまして、米国側としてはチャーターの自由化とか低運賃の導入というようなことを求めておりまして、さらにその後におきましても非常に徹底した自由競争政策というものに基づく航空政策を推進してきております。そのような関係で双方の立場が非常に隔たっておりまして、なかなか交渉妥結の手がかりがつかめないという状態のまま交渉が中断した形になっております。  わが国といたしましては、先生御指摘のような不平等問題を早期に解決することが望ましいという立場は全く変わっておりません。それで、最近の国際航空情勢の動向をも十分に勘案しつつ、御指摘のような不均衡を是正するように粘り強く交渉を続けていく所存でございます。ただ、せっかく交渉を行いますからには意味のある話し合いをする必要がある。いたずらに決裂するために交渉するということでは意味がございませんので、もう少し時間をかけて交渉の再開の時期を待つという考えでございます。
  55. 榊利夫

    ○榊委員 もう二年たっておるわけですね。それで、近く首相も訪米される予定でございますし、外相も訪米される予定でありますけれども、こういう際にこの交渉再開ないしは是正の問題についても日本側からも問題を出してみる、そういうおつもりはないでしょうか、あるいは検討する余地はないでしょうか。  次官がいられますので、できたら次官あたりの腹づもりをお聞かせ願えればと思います。
  56. 松本十郎

    松本(十)政府委員 今度の日米首脳会談では、もう少しグローバルな立場での国際情勢あるいは経済問題等の話し合いがありますし、バイラテラルな関係におきましてもいろいろあるわけでございますが、この際に航空協定改定問題について持ち出すという考えはいまのところないというふうに聞いております。
  57. 榊利夫

    ○榊委員 この問題は政治上も従来懸案の事項でありますから、ひとつ前向きで不平等の是正、こういう方向で努力をしていただきたいと思います。  次の質問でありますが、ニュージーランドやフィジーとの航空協定、いずれも第十三条でありますが、ハイジャックなどの防止に触れた条項だと解します。たとえばフィジーとの協定を見ますと、こういうふうに書かれております。「両締約国は、民間航空の安全に対する不法な行為(飛行中の航空機の奪取又は管理の行為を含む。)が人及び財産の安全を害すること並びに航空業務の運営に深刻な影響を及ぼすことを考慮し、民間航空の安全に対する不法な行為又は不法な行為による脅迫を予防し及び防止するため緊密に協力する。」とありますが、この五年間のハイジャックの発生件数というのはどうなっておりますか。
  58. 米本恭二

    ○米本説明員 お答え申し上げます。  この五年間にわが国が関与いたしましたハイジャック事件は五件でございます。
  59. 榊利夫

    ○榊委員 五件といえば、それにかかわった人数というのは大変な数になると思いますが、依然として深刻な問題でございます。この条約では、不法な脅迫を予防し防止するため緊密に協力するというわけですが、この各国との協力の具体的な中身ですね、どういうふうな協力が予定されているのか、あるいは現在どういう協力がやられているのか、どうでしょうか。
  60. 米本恭二

    ○米本説明員 ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  このようなハイジャックに対します、ハイジャックを防止するための協力というのは、それぞれの国の責任において努力がなされておるわけでございますけれども、わが国におきましては、ダッカ事件というのが昭和五十二年にございましたが、これを契機といたしまして、政府部内にハイジャック等非人道的暴力防止対策本部というものが設置されまして、日本赤軍対策、国際協力の推進、安全検査の徹底等を内容とするハイジャック等防止対策が決定されたわけでございます。  この決定に基づきまして、関係省庁におきまして鋭意諸対策の推進を図ってきておられるところでございますけれども、当運輸省といたしましても、関係省庁と協力をいたしながら、保安検査用器具の増置、空港警備体制の強化、国内各空港におけるハイジャック防止対策の実施状況の査察、点検等の諸対策について積極的にその推進を図っておるところでございます。
  61. 榊利夫

    ○榊委員 条約でありますこのニュージーランド、フィジー、それからバングラデシュ、これとの関係ではいままでハイジャックは起きたことがありますか。必ずしも日本とという意味ではありません。
  62. 米本恭二

    ○米本説明員 私の承知いたしておる範囲におきましては、ニュージーランドとの間にはございませんけれども、バングラデシュとの関係では一件ございました。
  63. 榊利夫

    ○榊委員 ついでですが、先ほどの五件でこれに巻き込まれた犠牲者、これは日本人では何名に上っておりますか。あるいは総数では何名でしょう。
  64. 米本恭二

    ○米本説明員 ただいまの御質問に関する正確な数字はいまちょっと手元にございませんので、失礼いたします。
  65. 榊利夫

    ○榊委員 いずれにいたしましても概略でも数百名は下らない、こういうことだろうと思います。  そこでハイジャック防止の策ですけれども、これは航空協定だけではありませんが、防止の策として、機内持ち込み手荷物の数量やあるいは大きさの制限を守ることとか、出発前の地上やあるいは機内での旅客数の確認は必ずやることとかいろいろなチェック、これはやられていると思いますが、特にいろいろ調べてみますと、また関係者の声を聞いてみますと、操縦室と客室の間をすべて自動ロック方式にして、そして犯人が少なくとも操縦室に入っていけないように——いまの場合には客室乗務員が施錠するという方式になっておりますね。このあたりの改善ということは国際航空の場合、特にハイジャックとの関係で考える必要があるんじゃないかと思うのですけれども、そのあたりはどういうようにお考えでしょう。
  66. 米本恭二

    ○米本説明員 昭和五十四年十一月二十三日に日本航空のDC10型機に発生しましたハイジャック事件で、ただいま御指摘のありましたような空港側における防止対策とは別に、航行中、操縦室と客室の間のドアをけ破って犯人が操縦霊に飛び込んでしまったというような事件がございました。これはドアの構造というようなことに対しまして問題が指摘されたわけでございますけれども、運輸省といたしましては直ちに航空会社に対しましてこの対策の検討を指示いたしまして、その後それをフォローしたわけでございますけれども、その結果、ドアに関しましてはDC10型機のみがそういうけ破られる可能性のあるような構造であったということが判明いたしました。したがいまして、DC10型機につきましては、そのドアの開口部の開き方の度合いを制限するような改造を全機について実施いたしまして、完了しておるところでございます。
  67. 榊利夫

    ○榊委員 そういう点では人命資金ということで、最小限に犠牲を防ぐということのために、ぜひひとつ関係者の意見なんかも聞いていただいて、そしていま申し上げました出動ドアの方式なんかも改善方を指導していただきたいと思います。それを一つやってください。  次は、とりわけ日本の場合には成田空港が国際航空の中では非常に大きな比重を占めてくるようになっておりますけれども、成田空港の管制塔がおととしの三月でしたか、いわゆるにせ左翼の暴力集団によって破壊された事件がございました。その後、開港後も航空保安施設などを襲っているケースがあるわけですね。旅客の安全はもとより、航空従業員労働者あるいは航空施設、これらの保安体制はどういうふうになっておりますか。保安体制は確立しているというふうに言えるのか、あるいはまだ不十分なのか、そのあたり運輸省の判断を聞かしていただきたいと思います。
  68. 末永明

    ○末永説明員 お答えいたします。  ただいま先生御質問なさいました防護対策の件でございますが、成田におきましては警察当局とも密接な連絡をとりながら防護体制、それから自主防衛、たとえばガードマンの配置だとかその他防護さくもしくはとびらの強化等整備いたしまして、現在防護体制は十分であろうかと承知いたしております。
  69. 榊利夫

    ○榊委員 十分だというお答えですけれども、いろいろ聞きますと、必ずしもそうは言えないようにも思うわけであります。安全確保という点ではこれで十分ということはないので、常々いろいろな角度から可能性なんかも研究しながら改善するところは改善していく、このことが必要であろうと思うわけであります。ある日ぽかっと起こりまして、ああこういう穴があったということになりがちでございますので。  それとあわせて、一方で警備保安体制を強化すると同時に、その強化の名目で周辺や関係者が非常に不自由になると申しますか、われわれも成田空港に入っていく場合もちょっとこれは過剰ではないかと思われるくらいいろいろ調べられるようなことがあるわけですね。そういうケースが、たとえば空港従業員なんかの場合でも、従業員労働者の方が労働組合運動をやっている、保安体制ということから今度は逆にそういうことの自由も束縛するとか制限するとかいうことはやはり避けていかなければいけないというふうに思うのです。その基本点、つまり保安体制をしっかりするということと、関係者のつまり市民的な生活の自由、活動の自由、これを保障するということ、このことはしっかり理解しておかないと、やはりいろいろな問題が出てくると思いますけれども、そのあたりをどういうふうに御認識でしょう。
  70. 末永明

    ○末永説明員 先生御指摘のとおり、先ほど私は十分であると申し上げましたが、物事には十分ということはありませんで、今後とも十分、心がけて大いに努力したいと考えております。  それから保安体制を整備する余り、その他必要な個所において出入りする方々に御迷惑をかけるというふうなことのないようにガードマン等の指導を十分いたしまして、先生おっしゃられるような方向で心がけてまいりたい、こういうふうに考えております。
  71. 榊利夫

    ○榊委員 成田の関係が出ましたので一言、二言つけ加えさせていただきますが、成田空港の安全性ですね。航空機の誘導路がありますね。それで、これは日本の航空機も外国の航空機も飛ぶわけですけれども、その誘導路のわきに航空機の進路を示す標示板があるわけでありますけれども、成田の場合これは非常に小さくて見にくい。それから誘導路と並行して設置されているためにそのそばに行かないと進む方向がわからない。そういう点ではもっと適切な場所にその進路を示す標示板を設置してもらえないか、行き過ぎたり手前に行ったりする、そういうことがあるわけでありますけれども、そういう内外の搭乗員の声があるということは御存じでしょうか。
  72. 末永明

    ○末永説明員 先生ただいま御指摘の誘導路の案内板でございますが、小さくて見にくいという声があることについては承知いたしております。それで航空会社のパイロットの意見等もいろいろ承りまして、現在見やすくするような方向で対処していくべく検討中でございます。
  73. 榊利夫

    ○榊委員 そういう点では実際に現場で働いている人たち、これは日本人だけじゃありません、内外ともにそうですから、危険を防止するという点からもぜひ改善方をお願いいたします。  そこで時間があれなんでもう一つお尋ねいたします。  日本とフィリピンの小包郵便約定、これがかかっておりますけれども、この中に第十五条でありますが、両国間で交換される小包が紛失あるいは損傷または盗難などに遭った場合、責任を負わないということになっておるわけです。国際条約であります万国郵便連合の小包郵便約定によりますと、事故のあった場合は一定の額まで補償する、こうなっているわけです。こういう立場から見ますと、この責任を負わないということでは、国民の側から言いますと納得できない面があるわけです。この点はどうですか。この条約関係で改善することは考えられませんか。どうでしょう。
  74. 梶谷陽一

    ○梶谷説明員 日本・フィリピン間で今回締結されました小包郵便約定には、損害賠償の規定がございません。これはフィリピン側の事情によるものでございまして、またフィリピンと日本の間で二国間の約定を締結しなければならなかった理由の一つが、この損害賠償を受け入れることができないというフィリピン側の事情によるものでございます。  なお、わが国がほとんどの国と小包交換を行っている根拠は連合の小包郵便約定でございますが、その約定には損害賠償の規定がございます。この規定を受け入れることができないということでございますので、やむを得ず日比間で別個の小包約定を締結しているわけでございます。
  75. 榊利夫

    ○榊委員 そうしますと、それほど不安定だということになりますか、逆に言うと。つまり郵便その他事故が多過ぎてそれを一々損害補償していたら大変だという事情があるのか、あるいはまた別の国情があるためなのか、どうなのでしょうか、そのあたりは。
  76. 梶谷陽一

    ○梶谷説明員 日比間で、損害賠償をしなければならないようなケースが特に多いということではございません。また、日比間の約定のように損害賠償を行わないという規定を設けている二国間の小包郵便約定というのがほかにもございます。これは日米間、日加間それから日・南ア間の小包約定でございます。
  77. 榊利夫

    ○榊委員 ほかにもそういう補償を約束していない協約があるという話ですけれども、好ましいか好ましくないかという別の角度から見た場合には、損害が起こった場合には一定額まで補償するとかそういう安定感がなければ、国際小包を国民の側が安心して出すということができないわけです。いつも心配しておかなければいけない。そのあたりはやはりこれからの改善の問題を研究するということをやってもらいたいと思うのです。このあたりはどうですか。これでもう終わりというのではなくて、改善の方途を研究してみる、そういうことが最小限必要だと思うのです。
  78. 梶谷陽一

    ○梶谷説明員 いま先生が申されたような方向での検討というのをこれから行いたいと思いますが、何分フィリピン側の事情で損害賠償ができないということでございますので、フィリピン側に対して特に今後働きかけを行っていきたいと思っております。  なお、フィリピンが連合の小包約定に加盟すればこういう問題は解決するわけでございます。そういうことで、今後ともフィリピン側に対しまして連合小包約定に加盟するような働きかけというものはある程度行いたいと思っております。
  79. 榊利夫

    ○榊委員 時間が参りましたので、先般四月十六日の外務委員会で、フィリピン担当の方いらしていたらあれですが、フィリピンのミンドロ島に旧日本兵がいるらしい外電が入っている、それについて問い合わせたか、問い合わせてみるという話でしたが、その後問い合わせていただけましたか。
  80. 渡辺幸治

    渡辺説明員 先般の外務委員会先生から御指摘のあった件でございますけれども、在マニラ日本大使館から報告が参っておりまして、そういう情報を提供した人はいる、しかしこの点については未確認で、その情報を提供した人、ソース自身についてかなり疑問があるので、確度については遺憾ながら必ずしも高くないという状況でございます。
  81. 榊利夫

    ○榊委員 終わります。
  82. 中尾栄一

  83. 野間友一

    野間委員 天然ゴム協定について少しお伺いしたいと思います。  まず、通産省来ていますね。開発途上国に対するわが国の貿易の依存度はどうなっておるのかということ、特に米国とかあるいはECと比較してどうなのかということを概略説明をお願いしたいと思います。
  84. 内村俊一

    ○内村説明員 総合的な数字を手元に持ってまいりませんでしたが、具体的なものについて申し上げますと、たとえば鉄鉱石につきましては、わが国は……(野間委員「総合でいいのです」と呼ぶ)総合につきましてはちょっと数字を持っておりません。申しわけございません。  鉄鉱石につきましては、日本は九九%輸入に依存しているわけでございますが、オーストラリアの四三%を除きますと、ブラジル一八%、インド一二%というぐあいに非常に低開発国に依存しております。それから銅鉱石につきましては、フィリピン、パプア・ニューギニア等に大きく依存しております。両方合わせますと五〇%ぐらいになるわけでございます。ボーキサイトなどにつきましても、インドネシア、マレーシアに大きく依存しております。  したがいまして、資源の輸入につきましては発展途上国に大きく依存しておることは申すまでもないと思います。なお、石油につきましては御承知のとおり全く発展途上国に依存しているという状況でございます。
  85. 野間友一

    野間委員 外務省にお聞きしますが、同じことですが、私の方で少し調べてみますと、途上国との関係の貿易依存度ですが、日本が五〇・二〇、アメリカは二一・六五、ECは一一・五五、概略このようになっておるというふうに聞いておりますが、これは間違いありませんね。
  86. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  そういう傾向でございます。
  87. 野間友一

    野間委員 そうしますと、ECとかアメリカに比べまして日本の場合には途上国との関係、貿易の面におきましても大変依存度が高いということがうかがわれるわけであります。  そこで開発途上国の発展とわが国との関係ですが、いまの数字が示しますように、途上国の発展がわが国にとっても大変重要だというふうに私は認識しておりますが、いかがですか。
  88. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  最近OECDで発表されました将来の相互関連性に関する報告におきましても、日本は現在の先進工業国の中で将来二〇〇〇年に臨みまして伸びていく国というふうに目されておりますが、同時に開発途上国も非常に伸びる。しかし、それにはいろいろな想定がありまして、開発途上国と先進工業国の関係が悪くなりますと、日本はまた一番伸びが悪くなる国でございまして、そういう意味で、まさに御指摘のとおりに開発途上国の発展ということにわが国は非常に深いかかわり合いを持っております。
  89. 野間友一

    野間委員 情報文化局が出しております「UNCTAD」という資料、これを見ましても「七〇年代の貿易を見ると、世界経済は、ますます相互依存関係を強めており、開発途上国の経済発展は世界全体の経済の拡大につながるのみならず、それはまた日本経済の成長としてはねかえってくることも事実です。」というような記述が書かれておるわけですね。次いで「今や自国のみの繁栄を求めることは不可能となりつつあり、一つの共同体としての世界全体のバランスのとれた発展」、こういう表現があるわけで、いまあなたが言われたことが、ほぼこういう評価がこの「UNCTAD」の中にも述べられておるわけです。  そこでお聞きしたいのは、先進国と発展途上国との経済格差の解消、これを目的として第一回からUNCTADの総会が開かれまして、今日まで十五年たっておるわけですね。ところが経済格差は一向に縮まらない。特にこの資料によりましても、年間の国民所得が百ドル前後というような国すらいまだにある。十五年間一生懸命UNCTADを中心としてがんばってきたわけでありますけれども、一向にそれが是正されない。そこで途上国はいわゆる七十七カ国グループの閣僚会議、ここにおいてアルーシャ計画を採択しておるわけですが、この中で途上国先進国に対する不満は、端的に申し上げてどういうようなことに尽きるのか。特に天然ゴム協定との関係で、一次産品総合計画、これの実現について途上国がどのような不満を述べておるのか、簡単にひとつお答えいただきたいと思います。
  90. 関栄次

    関説明員 お答え申し上げます。  先生ただいま御指摘のとおりに、経済格差というものは、UNCTAD等を中心としました国連開発機構の努力にもかかわらず、むしろ拡大するような傾向がございまして、現在は、先進国開発途上国の間は大まかに見まして十一対一ぐらいの格差があるわけでございまして、開発途上国は、主要輸出産品であります一次産品の輸出拡大ということに非常に大きなウエートを置いて、いままでいろいろな会議でいろいろな要求を出してきているわけでございます。一次産品の価格の安定化の措置であるとか、それから輸出安定のための措置とか、その他もろもろの措置を、先生いまおっしゃいました、一次産品総合計画としてアルーシャ計画において強く打ち出して、先進国にそのための協力要請してきているわけでございます。
  91. 野間友一

    野間委員 大変に答弁がぼやっとしておるのですけれども、このアルーシャ計画を見ますと、「一次産品総合計画にかんする交渉で、主として大半の先進国が一貫して非妥協的態度をとり、同計画の基本的目的および目標について建設的立場をとることを拒んでいる」、いわゆる新国際経済秩序に対する無理解というのが一つの特徴として出ておると思うのです。  それからもう一つは、共通基金に関しまして、「交渉の首尾よい終結に必要とされる政治的意思をまだ明確に示していないことについて、強い不満を表明し、」これは十二項のところにあるわけですけれども、そういうようなことをこの計画の中では批判しておるわけです。  この共通基金について、第四回のUNCTADの総会以来、先進国途上国との基本的な対立点と申しますか、これは一言で言いますとどういうものであり、それからどのようにいま決着がついたのか、ちょっと簡単に報告してください。
  92. 関栄次

    関説明員 共通基金の設立のための協定締結いたします交渉が現在ジュネーブで行われているわけでございまして、大体大枠につきましては、開発途上国先進国の間にすでに合意が成立しておりまして、御承知のとおり、第一の窓、第二の窓のための融資メカニズムということができ上がりつつあるわけでございます。対立点はほぼ解消されまして、現在、協定作成のための交渉が大幅に進行しておりまして、もしできましたら、本年中にでもこの協定案につきまして合意が得られるのではないかという状況でございます。
  93. 野間友一

    野間委員 私の質問をよく聞いておいてくださいよ。対立点は何なのか、端的に言ってください、こう言っているのです。いま対立点は解消の方向にあって云々というのは、先のことでしょう。
  94. 関栄次

    関説明員 対立点の主な問題は、政府が直接拠出するかどうか、その他緩衝在庫以外の措置についてどのような措置をとるかとか、あるいはアフリカ諸国を中心といたしまして、一次産品の開発のための技術的な援助取り扱い、そのような点につきましていろいろ対立がございました。
  95. 野間友一

    野間委員 いまでは共通基金については大筋について合意がなされた。聞いてみますと、基金の規模が七億五千万ドル、そのうち第一の窓が各国の義務拠出で四億ドル、第二の窓が任意拠出三億五千万ドル、これでほぼ決まったわけでしょうかね。この金額について、決まったというふうに聞いておりますけれども、これは間違いないですね。
  96. 関栄次

    関説明員 第一の窓は四億ドルでございまして、それから第二の窓が三億五千万ドル、計七億五千万ドルというふうに合意が成立いたしております。
  97. 野間友一

    野間委員 そして、先ほどあなたも少し触れられましたが、この共通基金の協定草案がいま検討中だというふうに聞いておりますけれども、これはこのとおりなのか、そして、いつごろこの協定ができるのか、見通しはいかがですか。
  98. 関栄次

    関説明員 協定交渉は現在大詰めに近づいておりまして、五月に恐らく最終段階を迎えるのじゃないかと思われます。その来月の交渉の結果によりまして見通しはもう少しはっきりするかと思いますが、政府といたし決しては、できるだけ早くこの共通基金を発足させたいということで努力いたしております。
  99. 野間友一

    野間委員 第五回総会の際に決議されましたこの共通基金について、わが国のステートメントとして、すべての参加国がCFの早期設立のための努力を行うよう希望し、わが国もその役割りを果たしたいと、「第二の窓に対する任意拠出についいても応分の協力を行う所存」であると、第一の窓も同様に重視していくというようなステートメントがなされたようですけれども、これはこのとおりですね。
  100. 関栄次

    関説明員 そのとおりでございます。
  101. 野間友一

    野間委員 そこでお聞きしたいのは、これらの合意についての評価ですけれども、この共通基金なりあるいは第一次産品総合計画、これらについて外務省はどういう評価をされておるのか、これは産出国の利益あるいは輸入国の利益というような点も絡めて、その評価をお聞きしたいと思います。
  102. 関栄次

    関説明員 先生おっしゃいました、この開発途上国要請してきておりますことにこたえることは南北協力という観点から非常に重要ということでございまして、政府といたしましては、できるだけ政府開発援助を今後増大させまして、そのような開発途上国からの具体的な要請に積極的に応じていきたいという態度で処しているわけでございます。
  103. 野間友一

    野間委員 緩衝在庫に対する基金あるいはそれ以外の取引に関するいろいろな基金、こういうものが共通して使われると思うのですけれども、これは産出国にとっての、価格が下落したときの歯どめと申しますか救済と同時に、物が少なくて価格がアップした場合の措置として両方使えると思うのですが、輸入国にとってもこの共通基金というのは大変な利益になるというふうに私は思うのですけれども、政府というか外務省は、そういう評価をしているのかどうか、次官、いかがですか。
  104. 松本十郎

    松本(十)政府委員 文字どおり緩衝という言葉のとおりでございまして、緩衝在庫による対策というのは、産出国にとってもちろん価格の安定という利点があるのみならず、輸入する側にとりましても、急騰するような場合に緩衝的なバッファーの役目を果たすという意味において、評価したいと思っております。
  105. 野間友一

    野間委員 いま外務省は評価する、そういう答弁がありましたが、通産省に聞きますが、この効果ですね、個別の商品協定の緩衝在庫制度と同時に共通基金が生まれ、これが動きかけるということについてどういう効果をもたらすというふうに考えておるのか、ひとつ通産省にお伺いしたいと思う。
  106. 内村俊一

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  ただいま外務省からも御答弁ありましたような南北問題における意味その他ございますが、通産省といたしましてももちろんそれを大いに評価しておりますが、そのほか一次産品貿易安定化させますと、主要な輸出国でございます低開発国の経済が安定いたします。また経済基盤が強化されるというふうに期待しておりまして、私どもといたしましては、低開発国の経済基盤が強化されることはわが国の原材料の供給が安定化するという面もあるということで、大いに評価しておるわけでございます。  また共通基金につきましては、一次産品総合計画を推進する上で非常に重要なファクターであるというふうに理解しておりまして、これが早急にまとまりまして、一次産品総合計画が順調に進展することを期待しているわけでございます。
  107. 野間友一

    野間委員 いま通産省も外務省と同じような評価と申しますか、そういう見解を聞いたわけですが、ただ私正直申し上げまして、たてまえと本音というのですか、通産省のこれらに対する評価が果たしていま言われたようなことでいいのかどうかということ。  たとえば、いまいみじくも低開発国という表現をあなた使いましたね。これはあらゆる文献にはいまないですよ。開発途上国、こういう表現を政府としては使っておると思うのです。あなたの頭の中には途上国が低開発国と、こういう認識しか持ち合わせていない。通産省はそうでしょうか。この言葉を取り消しますか。どうですか。
  108. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  低開発国という言葉は適当でないと思いますので、発展途上国という言葉に変えさせていただきたいと思います。
  109. 野間友一

    野間委員 結局私は、そういう意識、認識ですね、これが問題だと思うのです。少なくとも外務省のいろんな文献を見ますと、かなり配慮して表現——これだけではありませんで、冒頭にも申し上げたように、この一次産品総合計画とかあるいは共通基金についても、あるいは南北なり途上国との格差是正についても、これは日本の利益になるというようなことを書いてあるわけですね。ところが、通産省は、いまの一言からしても、いま取り消しましたけれども、その認識の問題について私は大変疑うわけであります。  しかも「貿易政策」七七年の二月号、国際経済課飛騨さんという方がおられますね、この方が、「一次産品予備協議」というタイトルで、このuNCTADの問題について物を書かれておるわけです。これを私、見ましてびっくりしたのですけれども、途上国に対するべつ視ですね、この表現がもう充満しておるわけですね。そう思われませんか、まずお聞きしたいと思います。
  110. 内村俊一

    ○内村説明員 申しわけございませんが、その論文を読んでおりませんので、ちょっとお答えいたしかねるわけでございます。
  111. 野間友一

    野間委員 不見識ですよ。天然ゴムについて私きょう質問するということ、しかも通産省の国際経済課の人が書いておるわけなんで、いま申し上げた七七年の二月号、これに書かれておるわけであります。こういう表現があるわけですね。  たとえば、一次産品問題についてのアプローチの仕方として、一つは個別商品から入っていく、そういう仕方と、それから「多数の産品に共通に当てはまり影響を及ぼす事項に着目し、その合理的な解決策を探究する」二つの方法がある。つまり、個別商品から入る場合と、共通のそういう課題に着目して合理的な解決を図る。第一は先進国であり、第二のアプローチはこれは途上国だというふうなことから論が進められておるわけです。まあこの点については、いろんないままでの経過からしても、私はそうではないかと思うのです。  ただ問題は、途上国に対する評価、いまの低開発国という表現がありましたけれども、こういう表現がありますね。「今日政治的離陸を達成した国数が膨張し、国際社会の縦糸は相対的に弱まり、横の結びつきが強化されて、核家族化が急速に高まった。」こういうことなんです。「自我の目ざめは、幼少年時代の反抗心となり、」これはどういうことですかな。それから「もはや一つ一つの産品について解決するという生ぬるいやり方では満足しえず、成年への期待と焦躁心で一ぱいになってきた。」「特にモノカルチャー経済の発展途上国が取りうる施策はきわめて限られ効果の薄いものとならざるをえず、やがて溺れるもの藁をもつかむ国情となり利害を一にするもの同志がカルテル行為に走る。OPECは、まさに」そうだ。  こういう表現があるのですけれども、通産省はこういう見解ですか。
  112. 内村俊一

    ○内村説明員 その論文は飛騨君の個人的見解であると考えておりまして、その雑誌にも断りがあるかと思いますけれども、通産省の見解とは関係がないというふうに考えております。
  113. 野間友一

    野間委員 これは通産省が監修しておるのでしょう。そして肩書きが通商政策局国際経済部国際経済課と、こういう肩書きがちゃんと出ておるのですよ。これは個人的な問題で通産省と関係がない、こういうお答えがいまありましたけれども、こういう評価については、じゃどう考えるのですか、通産省は。考え方。
  114. 内村俊一

    ○内村説明員 お答えいたします。  通産省といたしましては、そういった見方はしておりませんで、低開発国という言い方もやめまして、発展途上国と大いに協力をし合って、また、発展途上国の発展を助ける、あるいは発展途上国からの資源の輸入によって相互に発展していく、そういった考え方で協力してやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  115. 野間友一

    野間委員 さらに共通基金についても、先ほど外務省もあなたも、産出国あるいは消費国、輸入国ですね、いずれにとっても利益だというような評価がありましたけれども、これについてもこういうひどいことが書かれてあるわけですね。「共通基金とは、」これはいろいろあるのですけれども、「まさに一次産品病に関する万能薬であるとする熱狂的支持者が多いのが事実である。この空前の高価な万能薬によって、その効能書きどおりに病が回復に向うのか、それともさらに悪化するのか、ともかく一刻も早く服用すべきと主張する者と、薬学に秀でた者との見解の差は大きく国際世論は真二つに分れているのが現状である。」  つまり、先進国が薬学に秀でた者で、途上国が一刻も早く服用すべき、つまり薬学に秀でていない者だ、こういうきめつけをやっているわけですね。どう思いますか。通産省はこういう評価をしておるのと違うのですか。もしこれがそうでないとすれば、こういうような不穏当な考え方、やり方については、これは通産省の役人としての肩書きで書いておるわけですから、これはきちっとただし、厳しく指導すべきだと思いますが、いかがですか。
  116. 内村俊一

    ○内村説明員 適当でない表現だと思いますので注意をしたいと思いますが、当時、共通基金につきましていろいろ意見の対立があったこともあり、その辺を反映してそういうことを言ったのだと思いますけれども、表現ぶりその他非常に適当じゃないと考えております。
  117. 野間友一

    野間委員 外務省、いまお聞きのとおりで、こういう通産省の一高級官僚の評価についてどう思われますか。これを最後に聞きまして、あと午後大臣が来てからさらにこの問題について質問を続けたいと思います。
  118. 松本十郎

    松本(十)政府委員 私もその論文なり、書かれてある雑誌ですか、これについてはきょう初めて聞いたわけでございますが、先生御指摘のような文章なり表現というものは、いまの段階においての認識からすれば不穏当であるという感じがいたしますので、これは個人の立場で書いたのでありましょうが、政府内部においてもしかるべき措置は必要だと思っております。
  119. 野間友一

    野間委員 一応終わります。
  120. 中尾栄一

    中尾委員長 林保夫君。
  121. 林保夫

    ○林(保)委員 大乗外相が御苦労なさって、ただいま帰国されたそうでございますので、途中でも構いませんから、委員長さん、質疑を中途にいたしまして御協力したいと思います。  本日の議題となっております十件、主として事務的な面と、条約協定の流れにつきましてお伺いしたいと思いますが、時間の制約もございますので端的にお答えいただければと思います。  第一は、一九六九年の船舶積量測度条約についてでございますが、先回の通常国会へも提出を準備されておった。考えてみますと実は十一年もかかっております。これがどうして前回見送りとなったのか、そういった関連する問題につきまして、技術的な問題が多かろうと思いますので、運輸省の方から経緯について御説明いただきたいと思います。
  122. 石井和也

    石井説明員 この条約は、国際航海に従事する船舶トン数算定に関しまして、画一的な原則と規則を設定することを目的としておりますけれども、これが国際的に定着するかどうかということを慎重に見きわめる必要がありましたことと、一それから船舶トン数が各種の法制度におきまして広く使用されておるということから、現行トン数測度基準の改正に伴います広範囲な影響につきまして、関係者と十分な調整を行う必要がありました。特に一定の総トン数、これは大体四千トン未満でございますが、そういう船舶につきましては、条約の方式で総トン数算定しました場合、現行トン数よりも大きくなるということがございまして、この点について十分な調査と検討を行いまして、その対策につきまして、各省庁それから船主関係の団体、造船関係の団体あるいは全漁連、全日海等の関係団体と十分調整を行う必要がありましたことが、おくれた原因でございます。
  123. 林保夫

    ○林(保)委員 その事情はよく理解できると思うのでございますが、各界、たとえば造船、海運、さらには乗組員の方々、業者の方々、どういう結論に到達されましたか。と同時に、日本がこれを承認することによってこの条約発効すると聞いておりますが、その間の事情につきまして御説明いただきたいと思います。
  124. 石井和也

    石井説明員 特に問題がございましたのは小型船の方でございまして、内航船とか漁船等の分野船舶でございます。したがいまして、これらについて十分な調査を行ったわけでございまして、またその方面の意見を十分聞きまして検討を行いました。これらの一定の大きさ以下の船舶につきましては、条約方式による総トン数係数を掛けることによりまして現行測度方式による総トン数に近い数字が出るようにしたものを国内で用います総トン数にするということで、国内法をつくることといたしたわけでございます。この件につきましては関係の各方面と十分調整を行いまして理解を得ておりまして、この総トン数を用いることによります法制度とか商慣習の上においては混乱がないものと考えております。(林(保)委員「もう一つ、先ほど質問しました発効の時期」と呼ぶ)  わが国批准いたしますと発効要件を満たします。したがいまして、条約ですと、発効要件を満たして二年後に発効いたすということになります。      ————◇—————
  125. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、大来外務大臣から発言を求められておりますので、これを許したいと思います。大来外務大臣
  126. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほど成田に帰りまして、ただいま官邸で総理に簡単な報告をして、直ちに当委員会に参ったわけでございますが、今回は、二十一日から二十二日まで、EC諸国の外相がECとしてとるべき対イラン措置を協議するためにルクセンブルグに集まったわけでございまして、この機会を利用して私からわが国の立場を説明するとともに、欧州側の考え方を聞きまして意見の交換を行うということで急遽参ったわけでございます。  この訪欧については、この委員会での御議論、渡辺委員お話もございましたし、総理からもぜひ行くようにという意向が示されましたので、急遽出発いたしたわけでございます。  ルクセンブルグにおきましては、現在のECの議長国がイタリアでございますので、まずイタリアのコロンボ外相に会いました。同時に、主催地でありますルクセンブルグのトルソ外相、フランソワポンセ仏外相、キャリントン英外相、ゲンシャー西独外相及びジェンキンズEC委員会委員長とそれぞれ個別に会談をいたしたわけでございます。会談はいずれも友好的かつ率直な雰囲気の中で行われ、きわめて有意義であったと存じます。  その概要につきまして簡単に御報告いたします。  一連の会談におきまして各国外相が一致して指摘しておりましたことは、イランにおける人質事件が、長期にわたり続いておりまして、米国の忍耐も限界に近づきつつあるということであり、本問題の平和的な解決のためには、イランに対し人質の早期解放の必要性を認識させるための努力を強化するとともに、米国に対しさらに自制を求めるためにも米国を孤立させてはならない、日本及びヨーロッパが協力姿勢を示すことが必要である。これは各外務大臣共通した意見でございました。これはわが方としてもそういう基本認識を持ってきておるわけでございまして、この意見が共通しておるということを確認いたしたわけでございます。  で、日本時間の本日早朝にEC外相理事会の決定が発表されました。私はECの会議の前に、昨日の朝ルクセンブルグを出発いたしたわけでございまして、あとに鹿取審議官及び加川EC大使を残しまして、その会議の結果の連絡をするように指示してまいったわけでございます。これは今朝早く外務省の方にも報告がありまして、採択された決議文が届いたわけでございます。  それで、その決議の内容は大体次のようなことでございまして、EC各国米国に対する連帯及びイランに対する深甚なる遺憾の意を表明するとともに、さきに否決された一月十日の安保理事会決議案に従い、イラン制裁を科すために必要な立法措置を五月十七日までに完了することとし、この時期までに人質解放への決定的な進展が見られない場合には、直ちに共同して制裁措置を行うとしております。また、それまでの間に、つまり五月十七日以前の間に新規の対イラン輸出または役務契約を締結しないことを考慮している。さらに、直ちにとらるべき措置として、イランとこれら諸国双方の大使館員削減、査証制度の再導入、イランへの武器輸出等の禁止を挙げており、同時に、各国大使が帰任し、本決定をイラン側に伝えるとともに、人質の生活状態の改善のための努力を行うという大体の内容でございます。さらに、他の政府に対して、本件決定に賛同するよう呼びかけているわけでございます。  今回の決定は、内容的にも、その迅速な決定ぶりからいたしましても、EC諸国が一致して米国との連帯を強く表明するとともに、人質解放を平和裏に実現するため実効性ある措置を策定したものとして、評価できるかと思います。わが国としても、これを真剣に検討していくことが必要であろうと考えるわけでございます。  以上、とりあえず今回の出張の結果を概要御報告申し上げます。      ————◇—————
  127. 中尾栄一

    中尾委員長 ただいまの問題につきましては、後刻質疑を行うこととし、条約十件に対する質疑を続行いたします。  ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  128. 中尾栄一

    中尾委員長 速記を始めて。  林君。
  129. 林保夫

    ○林(保)委員 船舶積量測度条約についてでありましたが、各界との話し合いも十分つけておられますけれども、なお一つ問題があろうかと思いますが、この条約を受け入れることによりまして、積量の問題で、たとえば船に乗る人、船員の居住設備とかあるいは作業環境、こういったものが狭められて困るんじゃないだろうかという意見もちらほら聞くわけでございますが、この点につきまして法的にあるいは行政の面でどのようなチェックをなさいますか。きちっとやっていただきたい、このように思いますが……。
  130. 石井和也

    石井説明員 船員の居住区域や作業区域が現状のように向上してまいりましたのは、一般的な生活レベルの向上とか関係者の努力によるところが非常に大きいわけでございますけれども、今回の改正によりまして条約方式をトン数測度に導入することによりまして、先生御指摘のような心配が出てくるわけでございますが、今回の改正によって、上甲板上の機関室、貨物倉、操舵室、賄室等、用途によります除外場所というのが現行ではあるわけですが、そういうものがなくなってまいりますことから、船員の居住区が狭くなったり居住性にしわ寄せが来るような事態が生ずるおそれが全然ないとは言い切れませんので、船内の居住区域とか作業区域につきまして十分な実態調査を行いまして、関係者の意見を聞きながら、またその実態を考慮して、必要な事項につきましては関係の法令の見直しについて検討してまいりたいと考えております。  また本条約発効要件を充足してから二年後に発効するということになっておりますので、その間に十分その手当てができるものと考えております。
  131. 林保夫

    ○林(保)委員 その点、念を押しまして、特に要望しておきたいと思います。  言うまでもなく、日本は造船に関しましても海運に関しましても、世界におけるリーダーシップ、模範的な国にならなければならぬという立場でもございますので、運輸省の皆さん方、さらには関係省庁の方々できっちりとそれをやっていただきますよう、特に要望しておきたいと思います。  続きまして、万博改正議定善の方に移りたいと思いますが、一九二八年の国際博覧会条約、これがこのたび改められるわけでございますが、そこにどういう相違があるのか、精神的な面と実務的な面、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
  132. 国広道彦

    国広説明員 御説明申し上げます。  一番実質的な相違は、万博の乱立を防ぐために開催頻度をより制限したというところが一番主な点でございます。その他形式的にはありますが、また御説明をさせていただきます。
  133. 林保夫

    ○林(保)委員 これは三月三十一日現在で二十八カ国が締結しており、あと一カ国、こういうことになっておりますが、日本が入るのでしょうか、ほかの国が入るのでしょうか。これの発効関係をどのように見通しておられるか、お答えいただきたいと思います。
  134. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  現時点では日本のほかにたとえばポーランドが加入するのではないかというような話もございますが、やはりこれまでの万博主催ないし参加の実績、わが国活動等もありまして、万博関係国といたしましては、ぜひ日本に早く入ってほしいということでございます。わが方の意向としましてもできるだけ早く入りたいと思いまして、御審議をお願いしている次第でございます。
  135. 林保夫

    ○林(保)委員 大変うまいタイミングで出ておりますし、ほかを見ましても大変うまいことをやっておると思いますけれども、またそのことによるよその国の不信が出てもなりませんので、その点はまた後で伺うことにいたしまして、とりあえずこれは筑波特別博覧会の開催準備が科学技術庁の方でも進められているような資料を先般もはっきりと出しておられました。これとの関係でどうしてもこの議定書批准がないとできないのかどうか、関連について承っておきたいと思います。
  136. 国広道彦

    国広説明員 簡潔に申し上げますと、絶対に不可欠ということではございません。しかしながら、先ほど申しました事情もございますし、またこの筑波博を開催するための手続の進め方等におきまして、わが国が早く締約国になっておることが何かと便利な面もございまして、ぜひとも早急に締約国になりたいと思うわけでございます。
  137. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がございませんので、続きまして天然ゴム協定ですが、これもまた日本がポイントになっているそうであります。六五%のオーケーで成立すると聞いておりますが、その間のいきさつについて御報告いただきたいと思います。
  138. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  これはこの協定にも書いてありますように、uNCTADの一次産品総合計画の中で、いままで商品協定として成立していないものの中の第一号としてめでたく発足しようとしているものでございます。関係者といたしましては本年の十月一日発足を目指しております。これの主要国がASEAN三国でございまして、このゴムの問題というのはASEANとわが国との間でもたびたび取り上げられた問題でございまして、ASEANとの関係におきましても、わが国としてはぜひとも早期に発足してほしいと思う協定でございます。
  139. 林保夫

    ○林(保)委員 ちょっと内容に入りまして、緩衝在庫通常四十万トン、緊急十五万トンというふうに決められておりますが、それ以前の交渉段階で日米間で三十、七十などの対立があったとも聞いております。その辺のいきさつ、背景について御説明いただきたい。
  140. 国広道彦

    国広説明員 緩衝在庫がどのくらいの量であるかということはそれぞれの国によって見方が違うわけでございまして、御指摘のとおり米国は七十万トン必要だということを申しまして、わが方の専門家は四十五万トンでとりあえずいけるではないかということでございました。何もこれは日本アメリカだけの対立でございませんで、いろいろな意見がございまして、その妥協案として五十一五万トンということが合意されたわけでございます。
  141. 林保夫

    ○林(保)委員 これによってゴム産出国はそれぞれに一応の満足を得たというふうに判断しておら  れるのでしょうか。
  142. 国広道彦

    国広説明員 幸いにしてそのとおりでございます。
  143. 林保夫

    ○林(保)委員 こうすることの結果といたしまして、緩衝在庫の費用の支弁、拠出の義務をうたっておりますが、これがどれぐらいになるのか、そしてまたこの機関通常の運営の予算、これもまた分担しなければならないようになっておりますが、その詳細をわかる範囲でひとつ御報告いただきたいと思います。
  144. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  これは分担金拠出金に分かれるわけでございます。分担金通常のあれでございますから、拠出金について御説明申し上げますと、この七十万トンの緩衝在庫を想定しまして、全体を運営していくのに一体幾らお金がかかるのだというめどは必要でございまして、これは議長の推定といいますか、議長がそのめどを立てまして、その額は日本円に直しまして約一千億円でございます。そのうち日本が、これは一定の計算方式がございますからいま申し上げるのは全く推定でございますけれども、日本の場合は最大限約六十七億円の拠出を予定すれば足りるということでございます。
  145. 林保夫

    ○林(保)委員 いま七十万トンとおっしゃったのですけれども、六十五万トンでございましょう。
  146. 国広道彦

    国広説明員 六十五万トンでございます。
  147. 林保夫

    ○林(保)委員 それにつきまして五十五年度予算でどのように措置されるのか、海外経済協力基金から出すようにも聞いておりますが、その辺をきっちりちょっと……。
  148. 国広道彦

    国広説明員 この緩衝在庫運営の拠出金は、御一指摘のとおり海外経済協力基金より拠出することにいたしております。各年度の分担金一につきまして各年度の歳出予算から処理することになるわけでございますが、本年度の予算には千九百六十四万円を計上させていただきました。
  149. 林保夫

    ○林(保)委員 急ぎますが、いずれにいたしましても、これは南北問題に関するわが国の外交上積極的に進めていかなければならぬ問題の一つだ、こう理解いたします。  UNCTADの一次産品十八品目の一つと聞いておりますが、これからどういう問題がほかの品目について出てまいるのか、いまやっておるのか、この辺の大局的な見通しを御説明ください。
  150. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  十八品目の中で、すず、コーヒー、砂糖、オリーブはすでに協定ができております。それからココアが、協定が存在しましたが、実はこの三月三十一日をもちまして消滅いたしました。  そこで、御質問のその他の品目でございますが、いまのところ、予備協議におきまして具体的な問題について検討に入ったものが、ジュート及びその製品、それから硬質繊維及びその製品、熱帯木材、銅、茶、綿花及び綿糸でございます。  予備協議を開催しましたが、いまだ具体的検討に入っていないものがマンガン、鉄鉱石、植物油及び油糧種子、燐鉱石、食肉でございます。  それからいまだ一回も予備協議が開催されてないものにバナナ、ボーキサイトがございます。
  151. 林保夫

    ○林(保)委員 いずれにしても大事な品目ばかりで、日本にはとても欲しいものばかりでございますので、取り決めができるならひとつしっかりやっていただいて、日本経済に資するように努力されるよう、この点を要望しておきたいと思います。  次に、国際連合工業開発機関憲章に移りたいと思いますが、これもまた、といいましてもちょっと前とは違うかもしれませんが、七十六カ国が署名でございますか、七カ国が締結。これのわが国が今回締結いたしますタイミングと発効見通しを御説明願います。
  152. 関栄次

    関説明員 現在署名国は七十六カ国で、締約国になりましたのはそのうち七カ国でございます。七十六カ国のうち七カ国でございまして、この締約国が八十カ国以上になりまして発効いたすわけでございまして、早ければことしの末あるいは来年の春ぐらいにはそのような加盟国の数が得られるのじゃなかろうか、そういう見通しでございまして、そのために今国会で御審議をお願いしておるわけでございます。
  153. 林保夫

    ○林(保)委員 締結七カ国はどこどこでございましょうか。八十カ国は大体どういう傾向のところの国々が入ってくる見込みでございましょうか。
  154. 関栄次

    関説明員 七カ国は、中華人民共和国、インド、マダガスカル、メキシコ、パキスタン、フィリピン、ユーゴスラビアでございまして、七十六カ国のうち主な国は、以上申し上げました七カ国のほかに、たとえばドイツであるとかデンマーク等のヨーロッパの国、それからアメリカ合衆国、スウェーデン、スイス、タイ、その他大部分は開発途上国でございます。
  155. 林保夫

    ○林(保)委員 この機関資金援助機関でなく技術援助機関である、このように説明されておりますが、具体的にどのような技術援助が予定されておりますのか、その中で日本の果たす役割り、決して小さくはないと思いますが、御説明願います。
  156. 関栄次

    関説明員 この機関活動の主なものを申し上げますと三つございまして、工業開発分野におきまして開発途上国工業政策及び工業計画の立案とか企画、その他これに関連いたしました具体的な実施計画について専門家が助言及び勧告を行うということでございます。  第二点は、開発途上国要請に応じまして専門家を現地に派遣いたしまして直接の技術指導を行ったり、開発途上国から中堅指導者を先進国に受け入れまして研修を行ったり、さらに、工業化計画が実際に推進されますように外国の融資の取り次ぎ等について助言を与えております。  それから第三の活動分野といたしまして、情報の収集とか資料の公表等研究調査活動でございます。
  157. 林保夫

    ○林(保)委員 この憲章締結によりわが国が負うべき義務としてやっぱり分担金の支払いがあるようでございますが、国際連合における分担率に応じた分担率、このようにも記載されておりますが、どのくらいの額になるのでございましょうか。本年あるいは来年度どういう見通しなのか、御説明願います。
  158. 関栄次

    関説明員 お答え申し上げます。  UNIDO専門機関になりますと、国連からこれまで支出されておりました予算がなくなりますので、専門機関になりましたUNIDO各国からの分担金とそれから任意の拠出金によって維持されることになるわけでございます。現在はっきりした数字はまだ申し上げる段階ではございませんけれども、おおよそのめどといたしまして、現在国連で用いられております分担率が昭和五十五年度と、五十七年度の間におきましては九・五八%でございますので、これを基礎にいたしまして計算いたしますと、おおよそのめどでございますが、大体わが国分担金の額は三百七十二万ドルになるのじゃなかろうかということでございます。
  159. 林保夫

    ○林(保)委員 いずれにいたしましても、以上多国間条約はいずれも大事なものばかりでございますが、とかく一度決めても次第におかしくなってしまうような条約協定もかつてあったことも事実でございます。もちろん日本ばかりの責任じゃございません。しかし、なお趣旨といたしまして今日の南北問題をとらえてみましても大変大事なことだろうと思います。一方において、また、金額は多寡はいろいろございますけれども、国民の負担になっている、こういうこともよくお考えいただきまして、しっかりこの面でも活躍もされ貢献もするということを、時間がございませんのでお願い申し上げて、次に移ります。  日比の小包郵便約定でございますが、第一に、わが国小包郵便の約定をどの国と結んでいるのか。本来なら万国郵便連合のもとでの約定によって規律すれば済むと思うのでございますが、フィリピンを含めまして二国間の約定を必要としているそういう国々とその理由を御説明願います。
  160. 梶谷陽一

    ○梶谷説明員 わが国は大多数の国との間では万国郵便連合の小包郵便に関する約定に基づきまして小包の交換を行っております。この連合の小包約定に加盟しておる国は現在百六カ国でございます。しかしながら、フィリピン共和国、それから米国カナダ、南ア、これらの国はこの約定に加入しておりません。そういうことで、わが国はこれらの諸国との間に個別に二国間約定を締結しておりまして、これに基づきまして小包を交換しております。  それから、なぜこれらの国と二国間約定を締結しているのかという理由のことでございますが、フィリピンを初めといたしますこれらの国は、連合の小包約定が規定しております損害賠償の責任を負う義務を受け入れがたいとしておるわけでございます。これがこの連合の小包約定に加盟していない大きな理由でございます。
  161. 林保夫

    ○林(保)委員 現行の約定を今回は改定したものと聞いておりますが、この主たる改正点及び、こういうふうに変えるのだったら、ほかの三カ国、米国カナダ、南ア、これらについても改正する必要があるのかどうか、長期になるかと思いますが、ここ二、三年の見通しを承りたいと思います。
  162. 梶谷陽一

    ○梶谷説明員 この約定と現行の約定の主な相違点でございますが、次のとおりでございます。  まず、名あて郵政庁に支払われます手数料としての収得額、これが現行の日比小包約定締結後十七年間据え置かれたままになっております。そういうことで、連合小包郵便約定、それからそのほかの二国間の小包郵便約定により交換されております小包の収得額との間に大きな不均衡が生じているわけでございます。そういうことで、今度の改正では、この関係条文の規定を他の二国間約定と同様の規定に改めまして、収得額につきましては両郵政庁間の合意によって定められるということにいたしております。  それからその次の相違点は、取り調べ請求あるいはあて名変更請求というものが外国郵便についてはできることになっておりますが、この取り調べ請求あるいはあて名の変更請求をした場合の措置ぶりについては、現行の日比約定ではこれは郵便によってしかできないことになっております。今次の改正におきまして、これを電信によっても行うことができるというふうに改めております。  それから次は返送小包に関する規定でございますが、現在の規定では航空小包についても返送するときは船便になってしまうのですが、今度の改正では航空小包についてはお客様の御希望があれば航空小包で返送するというふうに改めました。  それから、やはり外国郵便の関係では、郵便が届いてないと思われるような場合につきまして取り調べ請求というのができることになっております。現在の日比約定ではこの取り調べ請求というのは差出人しかできないことになっておりますが、今度の改正では受取人もできるということになっております。それからまた、取り調べ請求の措置ぶりについての回答、これは現行約定では郵便でしかできませんけれども、これも電信によって行うことができるというふうに改めました。  それから二番目の点でございますが、わが国カナダとの間の小包郵便約定、これにつきましては、今回改正する日比約定とほぼ同様の趣旨の改正を一年の十月すでに行っております。それから日米小包郵便約定につきましては、日比とやはり同様の改正を行うべく、目下両郵政庁間で予備的な交渉を行っております。それから日・南アの小包郵便約定でございますが、この郵便約定につきましては、主要な点につきまして今回の日比約定とほぼ同様の規定がございます。そういうことで、現在のところ改正する必要はないと考えております。
  163. 林保夫

    ○林(保)委員 片務的にならないように、また各国それぞれ同じような扱いになるように、一層の御努力をぜひ要望しておきたいと思います。  最後に、航空協定四件を一括いたしましてお尋ねしたいのでございますが、わが国がこれまでに締結した航空協定、国別に幾らあるのか、その中でわが国が乗り入れて実際に航空路線として使っておるのは何カ国になっておるか、運輸省の方から御説明願いたいと思います。
  164. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  わが国が航空協定を結んでおります国は三十一カ国ございます。このうちわが方が乗り入れをしている国は三十弱と思いますが、ただいまちょっと勘定いたしまして、すぐお答え申し上げます。
  165. 林保夫

    ○林(保)委員 今回、ニュージーランド、バングラデシュ、フィジースペインの四カ国と航空協定締結することになったわけでございますが、いまの御答弁は後から聞くといたしまして、各国の航空企業はいつからこの運航をしようとしているのか。フィジー日本に乗り入れしないとか、日本はダッカに乗り入れる計画なしと聞いておりますが、アウトライン、簡単にひとつ。
  166. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  まずニュージーランドでございますが、これはことしの夏以降、なるべく早い時期に東京に入ってきたいと申しております。  それからバングラデシュは、これはさらに早まりまして、もういつでも飛べる状態になっておりまして、日本側の国内手続終了次第、直ちに日本に乗り入れてきたい、こういうことを申しております。  それからフィジーは、ただいま先生おっしゃいましたとおり、当面運航計画を持っておりません。  それからスペインのイベリア航空でございますが、これも時期はややはっきりしておりません。若干おくれる見通しでございます。
  167. 林保夫

    ○林(保)委員 この中で、例のハイジャック条約、ハイジャック防止協力に関する取り決め、いろいろ同じように出ておると思いますが、これともう一つ、それと関連してダッカのバングラデシュとの協定でございますが、こういう片務的な協定を結ばなければならなかった事情について、はっきりと御説明を伺っておきたいと思います。
  168. 三宅和助

    ○三宅政府委員 第二点の説明をさせていただきます。  バングラデシュとの関係につきましては、御承知のように友好関係が非常に強化されておりまして、最近在留邦人数もふえてきておりまして非常に友好関係が進んでいる。片やハイジャック事件の際につきましては非常な協力をいただいたということでございまして、そういう観点から、バングラデシュとしては本件の協定に威信をかけているという友好関係を考えまして、今回さらに両国関係の一層の経済的推進のために結んだということでございます。  第一問につきましては、運輸省の方から……。
  169. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  最初のハイジャック関係でございますが、四カ国ともすべてハイジャック関係の三条約、東京、へーグ、モントリオール、加入しておりまして、この点問題はございません。
  170. 林保夫

    ○林(保)委員 ハイジャックと言えば日本人ばかりでなく、だれでもふるえ上がるのでございますが、どうかひとつ先方にもしっかりチェックをしてもらう、国内の措置も法的に、あるいは警備、さらにはまた緊急体制、こういった面でしっかりやってもらうことを要望しておきたいと思います。  続きまして航空協定でございますが、わが国協定の交渉を予定している国は現在どこどこがあるか、そしてまた日本に対しては、成田の条件がもう少し整わなければむずかしいという面もございましょうが、締結を希望する国が非常に多いと聞いておりますが、概況について運輸省
  171. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃいますように、日本に対して新規に乗り入れを希望してきておる国は大変多うございまして、ただいま国会にかかっております四件を除きましても二十九カ国に上っております。このうち、現在すでに交渉に入っておりますのはフィンランドでございまして、きょう現在、東京で交渉を続行中でございます。その他の国とは当面、交渉の予定は持っておりません。
  172. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣 お疲れのところ恐縮でございますが、航空協定はそのような状況になっておりまして、これはもう国民の足でございますので直接関係多く、いろいろ関心が大きいと思います。そうした中で、アメリカとの問題はかなり片務的といいますか従属的な条件になっておる。以遠権などほとんど行われていないという状況がありますが、この打開を外交交渉上どのようにこれから御努力していただいてなさろうとされるのかという点が第一点と、もう一つは、昨年でございましたか、小川元中国大使が御提示なさっておりました日中の航空路について朝鮮半島経由で北京へ入る、このような構想も出ておりました。これについてはすでに政府段階で下交渉の域にもあるやに聞いております。事実なのかどうか、そしてまた、これがもしできますれば、今日の朝鮮半島の南北の対話を含めまして極東の本当の意味での友好平和にも役立つ側面も大きかろうと思いますが、一括してで結構でございますが、大臣の方から御説明いただきたいと思います。
  173. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 第一の御質問ですが、日米の航空協定につきましては、現行航空協定におきます路線権及び以遠権等にかかわる日米間の航空権益の不均衡を是正することを目的といたしまして、昭和五十一年十月以来、六回にわたり米国政府と交渉を重ねてまいりました。しかしながら、これまでの交渉におきましては、わが方の求める米国乗り入れ地点や以遠権の拡大等に対し、米国はチャーターの自由化等を求め、その後においても徹底した自由競争に基づく航空政策を一層強く推進してきておりまして、双方の立場にはなお相当な隔たりがございまして、交渉は目下中断いたしておるわけでございます。  今後の交渉の見通しにつきましては、わが国といたしましては、現在の日米航空関係についての諸問題が早期に解決されることが望ましいという立場に変わりはございませんで、最近の国際航空情勢の動向をも十分勘案しつつ、前に述べましたような不均衡を是正するために粘り強く交渉をしていく所存でございます。ただ、交渉を行うからには意味のある話し合いを行うことが必要でございまして、本格交渉の再開にはいま少し時間をかけなければならないかと存じます。  第二の御質問は朝鮮半島あるいは日中航空路の問題でございまして、これは、お話しのように、小川元大使の御意見も私どもも直接伺っておるわけでございまして、実は昨年十二月に北京に参りましたときにも、先方と非公式には打診をしてみたわけでございますけれども、一つには、輝国と中国の間に国交がございませんし、中国は北の方と国交を持っておる。確かに、韓国上空を飛べば日本と北京の間の距離、時間も短縮されますし、燃料節約にもなるわけでございますけれども、現状におきましては直ちに実現は困難だという感触を得ておるわけでございます。北鮮の方も含めまして、将来の問題はあるかと思いますが、この問題につきましては、いまの朝鮮半島における南北会談がどのように今後進展いたしますか、その模様をまだ見届けなければならないという段階でございまして、この北を含みます航空の問題は、いま直ちにというわけにはまいりませんが、御指摘のような点は十分念頭に置きつつ、今後の推移を見てまいるということでまいりたいと存じます。
  174. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  175. 中尾栄一

    中尾委員長 榊利夫君。
  176. 榊利夫

    ○榊委員 それじゃ、早速質問に入らしていただきます。  大来外相、大変お疲れのところ申しわけありませんけれども、いま林議員の方から質問のありましたことを私も先ほどちょっと質問をさせていただきまして、それについてはいま大臣が申されたこととほぼ似た答弁があったわけであります。運輸の方では、かなり要求が隔たっているということ、それから是正の立場は変わっていないということ、粘り強くこれからも交渉をする、外務次官の方からは、いまのところ今回の首脳会談のテーマになるとは聞いていないということでありました。  そのことで、一言だけですが、確かにテーマにはなっていないと思いますけれども、せっかく行かれるわけで、外務大臣として、この懸案の問題を解決するという点で、時期を待つということの範囲ではなくて、積極的に交渉再開の方向で打診をすると申しますか、そういうおつもりはないかどうか。そういう点では、今度いらした機会にでも、テーマにしないということではなくて、懸案の事項について、こういう懸案もあるけれどもこれについてなるべく早い時期に再開して解決するようにしたいと、そういうことぐらいは伝えられてもいいのではないかと思うのですが、その点一言だけお尋ねいたします。
  177. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 首脳会談という御趣旨は今度の日米首脳会談かと存じますが、いま議題をいろいろ詰めておる段階でございます。私も、三月に参りましたときに、非公式にクーパー国務次官から日米間の懸案の一つとして航空問題という話も出ておったわけでございますが、今回の場合、正式の首脳会談の議題といたしますには時間の制約等もございましてあるいは困難ではないかと思いますが、もし機会があれば実務レベルでの話でこの問題に触れられれば触れるということも検討してみたいと思います。
  178. 榊利夫

    ○榊委員 要するに、いわばこれはもう二年中断しておりますので、なるべく早い時期に交渉を再開をして、しかるべき、納得し得るような方向での解決、ぜひともひとつ前向きの御努力をお願いいたします。  次に、シカゴ条約関係でございますけれども、実はいまここで審議をしている条約と直接の関係はございませんけれども、大きなバックグラウンドをなしている問題だとも思いますので、質問さしていただきたいわけでございます。このフィジー、ニュージーランドあるいはバングラ等との、航空のこの四つの案件ですが、こういう二国間の航空協定の大前提と申しますか、私は、恐らくそれは、国際法的に言うならば、国際航空に関する代表的な条約であるいわゆるシカゴ条約、国際民間航空条約であろうと思うわけであります。そういう条約が大きな前提になってそれぞれの二国間の航空条約というものがこれまで進められてきたというふうに解釈してよろしいのでしょうか、どうでしょうか。そのあたりの御判断を……。
  179. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  先生おっしゃるとおり、国際民間航空条約、いわゆるシカゴ条約と申しますのは国際民間航空のいわば土台になる条約でございまして、二国間の関係も、この土台になる条約のもとでそれぞれ二国間で締結されておるということでございます。
  180. 榊利夫

    ○榊委員 このシカゴ条約の第一条を見ますと、御承知のように、「(主権)」としまして「締約国は、各国がその領域上の空間において完全且つ排他的な主権を有することを承認する。」こういうふうに大変厳粛にうたっております。この条約規定から外れるような事態がわが国の空の場合存在していないかどうか。どうなんでしょうか。
  181. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答えいたします。  そのような事態はないと考えております。
  182. 榊利夫

    ○榊委員 つまり、ここで申しておりますのは、締約各国は自国の領空について完全かつ排他的な主権を持つんだ、大変この点では明快なわけでございます。この問題意識を念頭に置いてお尋ねするわけでございますが、たとえば東京都下の大島から横田を経て日光に至る帯状のいわゆるブルー14ですね、米軍専用空域、これは現在もあるんでしょうか。
  183. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  担当の管制課長がただいま国会に向かっておる途中でございますので、とりあえずのお答えを申し上げておきますが、ブルー14というもの自体は存在すると承知しております。     〔委員長退席志賀委員長代理着席
  184. 榊利夫

    ○榊委員 御存じのように、このブルー14は米軍の専用空域でいわば日本の飛行機は入れない、日本の空でありながら異国の空、こういう実態を持っているものだと思います。つまり主権外にあるということであります。同様の空域が沖縄の嘉手納空港の上空にもあることは広く知られております。ここにはやはり日本の航空機は入っていけないわけであります。  その結果どういう事態が起こっているかと申しますと、このブルー14の例で申し上げますと、東京から航空機が飛び立ちます、小松空港に行くのにも座間上空を通りまして名古屋に行って、それから小松に向かうわけですね。迂回するわけです。これはいろんな点でもロスでありますけれども、同じように新潟に行く場合も、東京空港を飛び立ちまして一度那須の上空に出て、それから新潟に向かうわけであります。さらにこの空域というのは、米軍機の場合は一種の臨戦体制、戦時体制、組がそういうふうに組まれておりますので、相当飛行も荒っぽい、民間機に比べればはるかに軍用機は荒っぽい、これは当然であります。そのためにそばを飛ぶ民間機が逆にひやひやしながら運航しなければならない、そういう状況があると私ども聞いております。この状態についてはどういう把握をされているんでしょうか。
  185. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 ただいまの御質問に関しましては担当の管制課長の到着を待ちましてお答え申し上げたいと思います。
  186. 榊利夫

    ○榊委員 それじゃ担当官が見えられたところでもうちょっと詳しく事情を聞くことにいたしますが、民間航空機の運航というのは年々盛んになっております。で、このブルー14が形づくられたのは戦後間もなくのころからでございますので、勢いそこにいろんな矛盾が出てくるわけであります。政府としてもそのことは十分に御承知のはずで、これまでも、私どもの理解するところでは、何回かの交渉がありまして、羽田、大阪、福岡便については米軍機の航行に支障を来さないという条件で、このブルー14を事前の許可なしで飛べるようになっていると聞いております。そのことはそれでよろしゅうございますか、こういうふうに理解して。
  187. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 この点もあわせ管制課長からお答え申し上げたいと思います。
  188. 榊利夫

    ○榊委員 それじゃまた、そのことは後で……。  しかし、いずれにいたしましても、そういう改善策、外交上で言えば付表の改正等々ですね一これはやっぱり例外的でございまして、これはむしろ外務省当局にお尋ねしたいのですけれども、政府としてこのブルー14の撤廃をアメリカ側に提起したことはこれまであるのでしょうか。
  189. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまアメリカ局の者がここにおりませんものですから、直ちにお答えできないようでございますが……。
  190. 榊利夫

    ○榊委員 それは私の方も連絡不十分だったかもしれませんが、それでは、お答えできる範囲でお尋ねいたしますが、このブルー14の法的な根拠ですね、これはどうなっていますか。
  191. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 ブルー14は、航空路の一つとして、他の航空路と同様、航空法に基づいて設定されているものと了解いたします。  ただいま、管制課長が到着いたしました。
  192. 末永明

    ○末永説明員 おくれて参りまして申しわけございません。  ブルー14は、先ほど国際課長から御説明ありましたとおり、運輸大臣が告示で公示いたしました他の一般の航空路と同じ航空路でございます。  ただ、ブルー14の西側に非常に近接いたしまして横田、厚木、入間の各飛行場がございまして、それらの飛行場に離発着する航空機のために横田が進入管制業務を行っておりますが、その進入管制業務を行うための空域がいわゆる横田エリアとして設けられておるわけでございますけれども、その横田空域の一部が航空路ブルー14と重複しております。しかし、これは進入管制のための空域でございまして、その航空路を通過する航空機の管制承認は、運輸省の東京航空交通管制部が一元的に管制承認を発しておるところでございます。  で、ブルー14は主として低高度を飛ぶプロペラ機の航空路でございまして、現在十四、五機程度の自衛隊機、プロペラ機が飛行しておりますが、民間機はジェット化されておりまして、関西地域から東北、北海道へ関東地域を縦断して行く場合には、むしろ新潟を回りまして高高度で短距離なルートを選んで飛んでいますので、ブルー14の存在そのものが民間機の運航に影響を与えるというふうなことはございません。
  193. 榊利夫

    ○榊委員 いまの説明を聞いておりますと、二点で不可解だと思うのです。  一つは、これが国内法によるという説明でありますけれども、国内法的な根拠ではなくて、もっと別に根拠があるんじゃないですか。  それからもう一つは、民間機が迷惑をこうむっていないと言うのですけれども、先ほどあなたがいらっしゃる前にちょっと私の方も言ったのですけれども、たとえば東京から石川県の小松に行くのにも、座間の上空から名古屋に出て、それから向きを変えて行かなければいけない。これはいろいろな点で大変ロスも多いわけであります。それから同じような例が、新潟に行く場合もそうだ。一度那須の上空に出て、それからまた曲って行かなければならない。だから大いに支障があるわけなんですよ。  その二点、どうですか。
  194. 末永明

    ○末永説明員 ただいま先生御質問のブルー14の航空路としての性格でございますが、航空法にのっとって告示をいたしました航空路でございます。  あと、民間機への影響を与えていないかということでございますが、座間の方を抜けていきますのは、高度処理の関係等で、富士山等がございますので一応羽田から座間の方に出しまして名古屋に持っていくということと、それから南の方に回していきますと関西方面もしくは九州方面から羽田空域へ入ってくる航空機との流れが一緒になりますので、流れを二つに分けて管制をやっておるというのが実情でございます。  それから新潟につきましては、同じようなことでございますが、現在は関宿の航空保安施設でございますが、それから真っすぐ新潟へ行くルートも設けてございまして、その部分につきましては五十二年の十一月でしたか、横田空域の北東の部分を削減いたしまして支障のないように措置してございます。
  195. 榊利夫

    ○榊委員 ブルー14の国内法的な根拠は。
  196. 末永明

    ○末永説明員 ブルー14は、航空法に従いまして運輸大臣が航空路については告示で定めることになっておりまして、その手続にのっとって定められた航空路でございます。
  197. 榊利夫

    ○榊委員 私がお尋ねしているのはそういう国内手続じゃなくて、少なくともブルー14というのは日本の民間航空機は入れない、つまり主権外に置かれているということをを尋ねているわけです。それは地位協定による取り決めじゃありませんか、日本の空域の提供じゃありませんか。
  198. 末永明

    ○末永説明員 先ほど申し上げましたとおり、航空路としては国内法で告示した航空路でございますが、その航空路に近接いたしまして横田のエリアがございます。そこでは横田が進入管制を行っておりまして、それに必要な空域として航空路ブルー14の中間部分を横田の進入管制に使える空域として指定しておるわけでございます。それは先生おっしゃいましたように、地位協定に基づく日米間の取り決めによって進入符制を横田の米軍に行わせしめておるということでございます。
  199. 榊利夫

    ○榊委員 そうなんです。おっしゃるとおりなんです。つまり、地位協定第六条によりまして日本の一定の空域がそういうふうに米側にいわば提供されている、そのために特定の空域には日本のそれが自由には行けない、空の治外法権地帯ができておる、こういうことであります。  そこでもう一度お尋ねいたしますけれども、このブルー14の撤廃について、あるいはその改善措置について、アメリカ側とはこれまでどういうふうな折衝が行われてきたでしょうか。
  200. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま照会いたしましたところ、ブルー14自体につきましては在日米軍の機能上の必要性から設定いたしておるものでございますので、その撤廃をわが方から要求したことはない由でございます。ただし、日本の航空管制への影響を最小限にとどめるよう努力しておるということでございます。
  201. 榊利夫

    ○榊委員 そこで最初の問題に戻ります。  航空協定のいわば大きな土俵、原則だというふうにさっき答弁されましたシカゴ条約、ここで述べております「締約国は、各国がその領域上の空間において完全且つ排他的な主権を有することを承認する。」 だからその完全な主権が、ブルー14やあるいは嘉手納空域についてはわが方にないということになるわけですね。  そうしますと、法的に非常に厳密に見ていきますと、わが国は完全かつ排他的な主権を空に持たないところがある。そうすると、その資格に欠けるという一つの疑惑さえ出てくるわけであります。そのあたりはどういうふうに御判断されていますか。
  202. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 お答えいたします。  シカゴ条約第一条で申しております領空についての完全かつ排他的な主権と申しますのは、その国の同意がない限り許可なくその空域に入れないという趣旨でございまして、ただいま御審議いただいております二国間の航空協定も、わが方が同意を与えなければ先方の航空機は飛んでこられないわけでございますが、それを同意によって入れるということでございます。先ほど先生が御指摘になっておられますブルー14等につきましても、これはわが国の同意なしにそういうものは設定できないということでございまして、これはわが国協議の上、同意をして設定しておるというふうに考えます。
  203. 榊利夫

    ○榊委員 最後ですが、仮にわが国が同意を与えているということを前提にいたしましても、少なくとも空のある領域が、地上でもたとえばある地域、横浜なら横浜のある一角が、法律上は体裁をとりながらも外国に提供されている、日本人立ち入るべからず、これだったらやはり、実態上主権を持たない治外法権の土地だということでいわば明治の条約改正運動が発生してきた、そういう状況と同じようなことが空にもあるわけですね。政治的にはそう見るべきだし、私はそう見ていいと思うのです。そういう点では例外的な措置としまして、個々の、たとえば羽田−福岡空路については米側の了解を得るとかそういうことで広げるというようなことはやられてきておるわけでございますけれども、このいわゆる異国の空の解消という問題、この点についてはシカゴ条約の精神にものっとりながらこの事態をなくしていく、抜本的な打開ないしは改善について前向きに考える時期に来ている、航空の安全という点からもこれは前向きで解決していかなければならない、こう思うわけでございます。  この点では大来外務大権の御所見を伺っておきたいと思います。
  204. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この日米間の地位協定に基づいて行われております取り決めは双方の合意によってできておるわけでございまして、いまこれをやめるという考えはございませんが、日本側の民間航空に与える障害をできるだけ少なくするように、そういう点では努力を続けてまいりたいと思います。
  205. 志賀節

    志賀委員長代理 野間友一君。
  206. 野間友一

    野間委員 午前中に引き続きまして天然ゴム協定に関しまして質問を続行したいと思います。  まず、午前中はいわゆる共通基金等を中心にして質問をしたわけでありますが、個別の商品協定ですが、これは八〇年末までに終了しようということで検討を進めておる、こういうふうに聞きます。ジュートあるいは硬質繊維、銅、熱帯木材、綿花、茶、こういうものがありますが、見通しは一体どうなのか、お答えいただきたいと思います。
  207. 国広道彦

    国広説明員 御説明申し上げます。  この計画のもとで過去三年にわたる協議を通じましてこの協定が採択されたほか、銅、茶について価格安定化の方策の実現に向けていま検討が進められております。また、ジュート、硬質繊維などにつきましては、研究開発、消費振興などの措置の検討に重点を置いた協議が進展をしてきておりまして、本年末までにはかなりの具体的な成果が得られるものと期待されております。わが国としましても、各種産品の交渉の早期妥結のために今後ともできる限りの貢献を果たしていく所存であります。  なお、本年末までに具体的な結論の出ない産品、これがどうしても出てくると思います。それにつきましては、この秋に開催が予定されておりますUNCTADの関係機関、たとえば貿易開発委員会会議におきまして今後の取り扱いぶりを検討することになると思っております。
  208. 野間友一

    野間委員 そう聞きまして、時間がありませんから次に進みます。  第二の窓、任意拠出についてですけれども、第五回のUNCTADの総会で、大平総理はわが国も応分の負担をする、こういう意思表示をしております。すでにフランスなども具体的な金額を提示しておりますが、わが国はまだのようですね。具体的に幾ら、いつごろ出すのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  209. 関栄次

    関説明員 お答え申し上げます。  日本の具体的な拠出額につきましては、現在関係省庁と協議中でございまして、まだ確定した数字は出てまいっておりません。
  210. 野間友一

    野間委員 条約の四十二条では共通基金、こういうものがありますが、これがいままでUNCTADあたりで論議をされてきたそのものを指すのかどうか。つまり、共通基金そのものはまだ協定の草案の段階なんですね。まだ成立をしていないわけでしょう。ところが、条約の中ではすでに共通基金というものが明文として入れてあるわけで、ないものを想定してこの条約の中に入れること、この条約、一つのスタイルだと思いますが、これはどう理解したらよいのか、この点について、つまり中身はまだないわけでしょう。
  211. 国広道彦

    国広説明員 そこに出ております共通基金は、先ほど先生が御質問になりました共通基金と同じものでございます。  御質問の後半につきましては、共通基金をつくること自身につきましてはもう政治的合意があるわけでございまして、それを法律的に確認しておりませんから若干問題はあるかと思いますが、共通基金をつくるということにつきましてはもう世界的に意見は一致をしておりますので、そこら辺はそういう判断で採用したものと思われます。
  212. 野間友一

    野間委員 大来大臣に総論の部分としてお聞きしたいと思います。  午前中にも私、聞いたわけですが、六四年に第一回のUNCTADの総会がありまして、その後十五年以上今日まで経過をしておるわけです。ところが、先進国途上国の経済格差が一向に改善されていない。午前中の答弁でもむしろ拡大しているというようなことであります。たとえば、現在、世界人口の三分の二が途上国で生活しておる。ところが、国民総生産の上では世界の六分の一を占めるにすぎないというのが実態であります。七五年現在先進国の国民一人当たりの所得は平均して五千四百七十ドル、これを超えておると言われておりますが、途上国の平均は一人当たり四百七十ドル、産油国が平均して六百六ドル、中進国が千八ドル、後発の開発途上国が百二十八ドル、こういう状況ですね。  政府はこの実態、これらをどう認識されておるのか、あるいはどうすればこの格差の是正がなされるのか、そのためには政府としてはどのような役割りを果たさねばならぬのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  213. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 南北格差と申しますか、この点につきましては、御指摘のとおり経済成長率としては南側の方が高いのでございますけれども、人口の増加率が南側が先進国に比べてかなりまた高いということで、一人当たりの所得の伸び率から見ると格差が余り縮まらないということが過去二十年くらいにわたってございます。いろいろな国連会議等でもすでにこの問題が討議されてきておるわけでございますが、一方において途上国の成長率を高める、それから他方、人口の増加率の低下をある程度期待する、その両方の面から将来一人当たり所得の伸び率でもある程度格差が縮まる可能性が考えられるのじゃないか。  それからもう一つは、南の途上国の中の格差がかなり開いてまいりまして、いわゆる中進国と言われる国々あるいは産油国等はかなり高い成長率で、こういう国々は先進国とのギャップを縮めつつあるわけでございますけれども、一番貧しい国、これはいろいろ社会的な問題、教育程度、一種の貧困の悪循環がございまして、なかなか経済発展が軌道に乗らない。そのために一人当たり所得の上昇も思うようにいかないということで、いままでのところはむしろ格差が広がる状態になっておるわけでございます。  最近、日本でもそうでございますが、先進諸国援助政策の中で、できるだけ低所得の開発途上国に対する援助にウエートを置いていくというような形で格差を縮める、あるいはそういう国々の人的な面での教育とか職業訓練、そういうものを強めることによって生産の上昇、所得の上昇を促進する。いずれにしても相当長くかかる問題でございます。また一つには、そういうごく貧しい国にはできるだけソフトなあるいはできるだけ贈与を中心にした援助を行って、一種の所得の移転を通ずる格差の縮小ということも国際的に考えられておりますし、日本としてもその方向で、たとえば低所得国の債務について事実上償還の必要をなくするような措置も講じられてきておるわけでございます。  いまのところ必ずしも十分とは言えないと思いますが、一番所得の低い国々の所得をさらに引き上げるような努力は、今後ともいろいろな形で強化する必要があると存じます。
  214. 野間友一

    野間委員 いま大臣の答弁の中でもありましたけれども、途上国の中でも非産油国の途上国あるいはOPECのような産油国の格差と申しますか、その状況ですが、経常収支をずっと調べてみましても、OECD加盟の先進二十四カ国、これについて見ますと、赤字をほぼ解消しつつある。OPEC加盟の諸国も、解消の方向へ進んでいます。ところが、非産油国の場合には収支がますます悪化しているというのが数字の上でも出ているわけですね。  この天然ゴム協定というのは、一つには共通基金にしてもあるいは個別の商品協定の一環としても、途上国と輸入国、産出国と輸入国、これらがそれぞれ相互に利益を得るためにというような役割りに寄与するということについては、私も評価するわけであります。先ほど個別の商品協定についても答弁がありましたけれども、ココア、コーヒーあるいは天然ゴムに続きましてすずとかジュート等々、まだまだ途上国が望む個別の商品協定についてこれから日本の国としても大きな役割りを果たしていかなければならぬ、そういうものはたくさんあると思います。そういう格差の是正、これに対する先進国としての日本役割り、こういうものを前提として共通基金あるいは個別の商品協定というものを見た場合に、外務省、政府としてどういう評価と申しますか、さらに今後残された個別の商品協定、これらを積極的に進めるという立場でこれからやられるのか、これを強く要求するわけですけれども、最後に外務大臣から答弁をいただきまして、終わりたいと思います。
  215. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 商品協定は、開発途上国、特に一次産品の輸出に高度に依存している国々としては、その国としての所得の安定を図るという意味で従来から強く要望されておりまして、UNCTADの場等でしばしばこの問題が取り上げられてきておるわけでございますが、わが国としては、共通基金につきましては先進国の中でも最も積極的な前向きの態度を従来からとってきておるわけでございます。個々の商品協定につきましても、日本は基本的には前向きの態度、これは輸出国と輸入国の利害の一致点を見出すことがなかなかむずかしい場合もあるわけでございますけれども、一般的には商品協定の促進に賛成の立場をとっておるわけでございます。  ただ、余り窮屈な協定になりますと、かえって需要が減ったりあるいは合成品による代替が進んでしまったりして途上国自身の利益にもならないというようなケースもございますし、個々の商品についてはそれぞれの商品のメリットといいますか、ケース・バイ・ケースの検討が必要だと存じます。
  216. 野間友一

    野間委員 終わります。
  217. 志賀節

  218. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま審議をされております航空協定四本、すなわち日本・ニュージーランド航空協定日本・バングラデシュ航空協定日本フィジー航空協定日本スペイン航空協定を一括してただいまから質問させていただきたいと思います。  まず、この条約それぞれの内容で問題にされる点に入ります前に、航空業務について一つ気がかりなことをお尋ねしたいと思うのです。  カーター大統領はことしの二月に国際航空輸送競争法に署名をされまして、同日発効したというふうに聞いておりますが、これは同大統領が七八年以来進めてこられております国際航空の自由化政策を法制化したものである、このように言われております。その内容でどういうものであるかということを、主な点だけで結構でございますから、ひとつここであらましまず御説明を受けたいと思うのです。
  219. 福田博

    ○福田説明員 ただいま先生御指摘のとおり、今回アメリカにおきまして国際航空運送競争法というものが二月十五日にカーター大統領の署名を得て即日発効しております。これは仰せのとおり従来の米国行政レベルでの国際航空政策の目標を法的に規定してこれを強化したものと承知しております。  具体的には、かいつまんで申せば、国際航空における競争の促進及び米企業の競争力強化等の目標達成のために、たとえば国際航空交渉政策の明確化、外国企業に対する規制権限の強化、標準国際航空運賃水準の設定等を規定していることと承知しております。     〔志賀委員長代理退席委員長着席
  220. 土井たか子

    ○土井委員 具体的にはそのほかにもいろいろあるようでありますが、わが国アメリカとの航空交渉を続けてまいりましたけれども、現行の航空協定の不均衡を是正することの第一段階として、シカゴ、ワシントン、シアトルへの乗り入れや中南米への以遠権というのを要求しているということが事実としてございますね。この法律によりまして、アメリカが少なくとも同等程度の権益を得るのであるならば他国に新たな権益を与えることになるのでございましょうけれども、不平等というふうなことをいまの状態のままで固定化してまいりまして、わが国の側から出す不平等是正の要求が全く入れられないというふうなかっこうになってまいりますと、どうも日米航空交渉についての意義というのもわが国の立場からするとないようであります。  この点は今後交渉の余地があるのかないのか、そして不平等是正に対して先の見通しは明るいのかどうかというあたりを聞かせてくださいませんか。
  221. 福田博

    ○福田説明員 お答えいたします。  ただいまお答えいたしました競争法が日米航空交渉あるいは日米航空関係にどういう影響を与えるかということにつきましては、今後米国内においてこの法律がどのように運用されていくか、その運用いかんに係るところが多いと思いますので、実は現時点でははっきりとした判断はできないのではないかと思っております。  しかし、いずれにいたしましても、アメリカの自由競争を旨とする航空政策が法律的に規定されたわけでございますので、今後の航空交渉においてアメリカ側が従来の主張をより強く打ち出してくるということは十分あり得るものと考えております。  ただ、その場合におきましても、わが国は従来よりわが方の考え方を主張して粘り強く交渉を続けておりますので、今後ともその方針で臨むことには変わりはございません。
  222. 土井たか子

    ○土井委員 基本的にはいまお答えになったとおりなんでしょうが、アメリカ国内法発効して意味を持つようになってくると、それに関連をして具体的な事情がいろいろ変わってこようということも考えておいていいわけなんで、アメリカ側はかねてから日本に増便要求をしてきていると聞いておりますが、その要求は具体的にはどういうものなんですか。
  223. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 お答え申し上げます。  ただいま米国企業より日本当局に申請の出ておりますのは、コンチネンタル航空の東京−サイパン線、これは現在七便運航しておりますが、これをさらに三便増便したいというものが出ております。それからノースウエスト航空も夏ダイヤ、これは四月末から変わりますが、これについても貨物便の増便を一便持ってきております。
  224. 土井たか子

    ○土井委員 これはいずれも日本側としては成田空港が問題になるわけなんです。ところが、周知の事実として成田空港の二期工事はおくれております。燃料のパイプラインについても作業は進んでおりません。したがって、こういう要求については具体的には認められないということが現実の姿形にならざるを得ないのですね。アメリカ側のこの法律によりまして米航空当局が競争上の不利益をもたらす差別を行ったというふうにこの事態について判断をされたとするならば、報復措置をとるということが当然出てくる可能性も予想しておいていい、こういうことだろうと思うのですが、わが国がこの増便拒否ということを行うことによってそういう報復措置がとられるおそれがあるのではないかという、この私が申し上げた危惧に対しては、政府はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  225. 福田博

    ○福田説明員 先ほどお答え申し上げましたとおり、競争法が具体的にどのように運用されるか、われわれも多大の関心を持って見ておるわけでございますが、その具体的な運用ぶりについては、まだもう一つ、アメリカ側の考え方というか運用ぶりについてつかむところまでは至っておりません。  いずれにいたしましても、仮定の議論ではございますが、もし従来の経緯以上にその法律の文面を非常にかたく解釈して運用するというような場合にあっては、そういう可能性も仮定の問題としては考えられないわけではございませんが、いまのところ、アメリカ側の態度、出方を見るのにはちょっとまだ早いと思っております。
  226. 土井たか子

    ○土井委員 日本側としてはそれを見るのはちょっとまだ早いというふうな御認識をいまの御答弁ではおっしゃっておるわけですが、しかし、今回のアメリカのとっておる措置、それから考えられる航空政策、こういうものに対して、一体世界はどういう受けとめ方をしているというふうに日本としては理解をされているのですか。各国のこれに対する態度、およそのところどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  227. 福田博

    ○福田説明員 いわゆる自由化政策の典型といいますか、最近の自由化政策の中で結ばれた国際協定としては、新しい米国とイギリスとの間の協定というものが一九七三年に結ばれておりますが、その後結ばれました主な協定といたしましては、アメリカとオランダの間の協定アメリカとイスラエルの間の協定、それから韓国との協定、ベルギー、西ドイツ、シンガポール等がございますが、その中におきましては、もちろん程度の差はございますが、ある程度はいわゆるチャーターの自由化等が認められ、その見返りと申しますか、それの反対側の問題として、いわゆる地点の追加獲得とか、そういうようなことが行われているようでございます。
  228. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁というのは、各国がそれに対してどう考えているかということではないので、アメリカがどういうふうな対応をいまとりつつあるかということに対して説明をされた御答弁でしょう。まるで私の質問に対する御答弁になっていないのですよ。どうですか。質問に対する御答弁をもう一度やり直してください。
  229. 福田博

    ○福田説明員 言葉が少々足りませんでしたが、アメリカとこれらの国が航空交渉をやっておりまして、これらの国がアメリカとの交渉においてどういう態度協定交渉に臨んだかという結果は、結末として協定に出てくるわけでございますが、その中におきましては、具体的な、いわゆる以遠権等あるいは着陸地点を追加獲得するというようなことが行われていることと同時並行的に、いわゆるチャーター便の自由化等についてもある程度アメリカ側の主張をのむ国が幾つかある。ただ、それだけではございませんで、アメリカ側の徹底したいわゆる自由化政策といいますか自由競争政策については、それぞれの国の程度の差はございますが、急激な変化を受け入れられないとして断っている国も幾つかあるわけでございます。
  230. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろいま御説明になったとおり、アメリカ側の要求を断っている国もあるという実情が各国の間では現実の問題としてあるようですが、アメリカにしてみますと、低運賃の実現のほかで、さらに、世界の運輸市場で市場占有率が低下することを抑えようという、航空会社の地位を挽回するという命題もあるようであります。一部では、有事に備えて軍用へ転換できるように輸送網を広げておくというふうな戦略的配慮もあるのではないかと見られている筋もあるようでありますが、政府はこれについてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  231. 福田博

    ○福田説明員 このアメリカ政府の航空問題に関するいわゆる自由化路線というのは、今回、政権を担当しておりますカーター政権が、いわゆる政権の目玉の政策の一つとして取り入れて実施しているものでございまして、少なくともアメリカは、国内においては、消費者の間の評判もなかなかいい面はあるようでございます。  他方、先生がいま御指摘になりました、そのいざというときに備えて輸送力を確保しておくというお考えは、私はいままで聞いたことがございません。
  232. 土井たか子

    ○土井委員 答弁の側に立たれる方の個人的見解ということで、聞いたことがないで答弁が済むということでもなさそうな、内容からいったら大変大事なことを意として含んでいるわけでありますけれども、これは他の機会にまた質問をするというときがあるであろうと思います。  アメリカ側が強い姿勢を続けられるということを前提に考えると、日米間の不平等是正というのはまず不可能に近いということが蓄えるのではないかと思いますが、日米間の不平等ということを是正するために、この航空協定を破棄するぐらいの強い姿勢で臨まないと、具体的には不平等を是正することもできないのじゃないかというふうな声がちまたにもございます。政府はこの不平等是正のために今後どういう対応をなすっていらっしゃるつもりですか。先ほどの御答弁では、抽象論を一般的に展開されたにすぎないのですね。どうですか。
  233. 福田博

    ○福田説明員 わが国現行協定におきまして、路線権及び以遠権等に関しまして、日米間の航空権益に不均衡があるということを主張して、昭和五十一年十月以来、計六回にわたりまして、アメリカ側と交渉をこれまで行ってきております。しかしながら、先生もよく御承知のとおり、これまでの交渉におきましては、わが方が求めるいわゆる米国への乗り入れ地点や以遠権の拡大等に対しまして、アメリカ側はチャーターの自由化等を求めておりますし、その後においてもきわめて徹底した自由政策というか、自由競争に基づく航空政策を一層強く推進しているということから、わが方とアメリカ側の間には相当な隔たりがあるために、交渉は目下中断中でございます。  今後の交渉の見通しはどうであるかということに関しましては、いずれにしましても、日米間の航空問題に関する諸案件ができるだけ早く解決されるということは望ましいという立場に変わりはございませんので、最近の国際航空情勢の動向も十分勘案しつつ、粘り強く交渉をしたいということで考えております。  先生が先ほど一つの考え方としておっしゃられたいわゆる航空協定の破棄という話につきましては、航空協定が破棄されますと一年で協定がなくなってしまうわけですが、その間にあって新協定が結ばれ、円満な日米航空関係が維持できればよろしいわけですが、双方の意見の間にはなお相当な懸隔がございますので、じみちに粘り強く進めるということが実は一番早道ではないかと考えております。
  234. 土井たか子

    ○土井委員 航空協定の改定交渉というのは、たしか五十三年の三月に中断されたままで二年以上開かれないかっこうになっているのですが、見通しはどうなんでしょう。
  235. 福田博

    ○福田説明員 見通しは、日本アメリカの間でいつごろになったら交渉が再開できるかということは、全く非公式に可能性を腹の中を探り合っているという状態でございますが、交渉を再開するからには意味のある内容の交渉を行う必要があるということを考えますと、諸般の情勢からなおしばらくの間を要するのではないかと考えております。
  236. 土井たか子

    ○土井委員 日米航空協定の問題についてはそういうところであろうと思いますが、アメリカと中国との間の定期航空路開設で基本的な問題の点で合意したということが伝えられていますね。その中で、中国は米国に定期便を飛ばすときに途中で日本に立ち寄りたいというふうな申し入れをしてこられたということもわれわれは知っているわけです。この問題についていつごろ中国と日本協議をするということになっていくのか、またアメリカ側は日本への立ち寄りの申し入れをされてきているのか、この問題はどうですか。
  237. 三宅和助

    ○三宅政府委員 現在、米中間ですでに交渉が進められておりまして、まだ具体的な内容につきましては、米中いずれからも通報を受けてないという段階でございます。政府といたしましては、適当な段階において通報を受けた上で、特にアメリカ及び中国がともに日本経由ということで運輸を希望する場合には、以遠権につきましては、わが国アメリカ、及び中国との航空権益上のバランスというものを十分考えながら、また国際間の交流、往来の進展というものを留意しながら、その段階で十分検討いたしたい、こう考えております。
  238. 土井たか子

    ○土井委員 米中航空協定取り扱いいかんによっては、米国は中国の数地点に乗り入れるというふうなことが予想されなくはないのですね。しかも東京経由というふうなことになってまいりますと、東京経由の便が増加するというかっこうが当然考えられてまいります。米中定期航空路の開設によりまして潜在的に持っているアメリカの権益が現実化するというかっこうになってまいりますと、日米航空協定の不平等性がますます増大してくるという関係にも、結論としてはなるのじゃないかと思いますが、こういうことについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  239. 福田博

    ○福田説明員 米中航空交渉等の関係で、米国からいわゆる乗り入れ地点として日本に乗り入れたいとかそういう話は、いままで具体的な意思表示を受けたことはまだございません。いずれにしましても、先ほど来申し上げておりますように、そういうことがなくても不均衡というものは日米間に存在するということは事実でございますので、米国との航空関係一般について不均衡是正という観点に立って粘り強く交渉を続けるというのが、われわれの態度でございます。
  240. 土井たか子

    ○土井委員 幾らその問題に対して質問を申し上げましても、粘り強く同じ答弁をされるであろうと思いますから、ひとつ航空協定の内容について申し上げたいと思いますが、これ四本一括して審議をするという便宜的措置と申しますか、大変無理な質問の仕方を、実は時間的制約ということでただいま実行しつつあるわけですが、これは四本見ておりまして一つだけ気にかかる点は、バングラデシュとの間の航空協定は発着点について「東京」という表現になっております。ところが、他の三本の航空協定は「日本国内の地点」という表現になっております。日本国内の地点というのは成田空港のほか、国際空港で考えていくと大阪空港しか日本にはないわけでありますが、大阪国際空港を予定していらっしゃるのですか、いかがですか。
  241. 山本長

    ○山本説明員 お答えいたします。  四つの協定で相手国企業が日本に乗り入れてくる地点というのは東京ということになっておりまして、日本の企業が日本を出ます地点につきましては、御質問のとおりバングラデシュ関係協定では東京となっておりますが、そのほかのところは日本国内の地点ということになりまして、協定上は特定されておりません。こういうふうな表現になりましたのは、日本として複数の地点を出発できるようにということにしておるためでございますけれども、現実予定しておりますのは、東京、つまり成田ということを考えております。
  242. 土井たか子

    ○土井委員 現実の問題というのは現時点の問題というふうに考えていいのかどうかというところが少し気にかかるのですね。将来にわたっても、これは現実の問題として成田以外の空港を離陸地点とは考えないというふうに御答弁の向きを理解しておいてよろしゅうございますか。
  243. 山本長

    ○山本説明員 現時点というふうに御理解を願いたいと思います。そういう意味におきまして、おっしゃるように長い将来にわたって大阪空港から出発をする可能性が絶対にないかと言われますと、協定上はそれを排除しているわけじゃございませんけれども、これまた大阪空港の現状から見まして非常に厳しい発着制限をとっておりますこと、御存じのとおりでございます。そういった意味から、大阪空港にこういった新しい便を乗り入れさせるということについてはわれわれとしては非常に避けたいという気持ちでございます。よしんば将来にわたってそういう事態が出てまいりましたときにおきましても、大阪空港の運用制限の枠の中でそれは処理していかなければならない問題であるというふうに考えております。
  244. 土井たか子

    ○土井委員 大阪空港というのは現時点におきましてという前提でお考えになっていまのような御答弁ですから、それはそれでいいわけですが、将来にわたってということになると、現にある現有空港の大阪国際空港以外にも日本としては国際空港を予想されているようでございます。その空港についてこの条約が適用されていくというふうなことも予想はしておかなければならない。だから将来は仮称関西新国際空港というものを利用するという可能性は考えておいてよいというかっこうなんですか。どうなんですか。
  245. 山本長

    ○山本説明員 先ほど私申し上げましたのは、現大阪空港の問題というものを意識に置きまして、非常に厳しい制限のもとにおいて運用いたしておりますことを頭に置いてお答え申し上げたわけでございまして、将来新しい空港が関西にできますという暁の問題といたしましては、現在のところ何とも申し上げませんけれども、これはこういう問題、四協定の国と航空を結ぶ地点として新しい空港が不適当であるというふうなことは考えられないと思います。
  246. 土井たか子

    ○土井委員 それはまた別の時点で少し質問を続けることにいたしまして、現有空港として外国便の発着陸が毎日のように行われております大阪国際空港の問題で、二つほどお尋ねをしたいことがございます。  その一つは、外国の航空会社がときどき時間帯として認められない発着陸の時間に飛ぶということがございます。これは御承知おきのはずでございますけれども、五十年の十二月八日に大阪高裁の判決が出まして、それ以後国内便については午前七時以後午後九時までを発着陸の時間帯として、現に行政指導を厳しくされているわけです。外国の航空会社に対しては、これは国内便と同じように取り扱いを行政指導ということで進めるわけにはいかないという大変むずかしい問題があることは、私は百も承知でございますけれども、先日これも衆議院の決算委員会の方でお取り上げになったという経過がございますが、国内便とは違いまして国際線に対するお取り扱いをどのようにいままでされてきているか、その御努力についてひとつ伺わせていただきたいと思います。
  247. 山本長

    ○山本説明員 お答えいたします。  五十年の十二月から国内線の発着につきまして午後九時以降翌朝の七時まで発着するダイヤを作成しないようにという強い行政指導をやっておりまして、この点につきましては、現在までのところ九時以降の発着についてトラブルを起こした事例はございません。  国際線につきましては、その後五十一年の七月から、同様に午後九時以降のダイヤを設定しないということでもって強力な指導をやっておりまして、現在そういうダイヤは設定されておりません。ただ、国際線につきましては、九時以降着陸をする、九時以降出発するという例が非常に少なくなってきてはおりますけれども、事例として現在ございまして、この点につきまして、先般の決算委員会でも御質問があり、また環境庁の方から強力な行政指導をやってくれ、こういう御要請もございまして、改めて大阪航空局長、大阪空港長あてに、今後とも強力な行政指導をやるように、指導方の通達を出したところでございます。
  248. 土井たか子

    ○土井委員 通達は幾らでも国内的にそういうかっこうでお出しになるんでしょうが、先日、具体的な名前を挙げますとPANAMが十時間近に離陸をしたという事例がございまして、私も大阪航空局まで参りました。PANAMの支店長にも会いました。種々話をする中で出てきたのは、先日決算の委員会で取り上げられた文書の問題です。PANAM側は、十時までの発着陸はこのとおり認められているといって文書を出されるんですよ。そして、飛行機が飛ぶには出発してよろしいという命令がないと飛行機は飛び立てませんから、したがって司令塔からそういう命令が下ったはずであると言ったら、そのとおりだと。その指示に従ってわれわれが飛んで何が悪いという調子なんです。その点をさらに詰めていきますと、大阪航空局では、問題が問題だけに本省に問い合わせたというふうなこともあったようです。  行政指導を文書でなさるのはいいんだけれども、具体的にそういう例があるときに、やはり乗客の便宜をおもんぱかって、またいろいろ航空会社にしてみたら営利ということもありますから都合はあるでしょうけれども、しかし、一たん決めたことに対してはやはり筋を曲げてもらっては困るのです。そういうときの中央本省の姿勢というものは、そういう具体例を通じて問いただされるということになりますから、これはよろしゅうございますか、通達を幾ら文書で出されたって、そういうときの本省の姿勢が問題なんですよ。具体的な取り扱いが問題なんです。司令塔が指示を出さないと飛行機は出ませんからね。いかがです。
  249. 山本長

    ○山本説明員 本件については、大阪空港長を中心といたしまして、九時以降のフライトがあったときに、そのたびごとに責任者を呼び、厳重な注意をしていることは事実でございます。  これにつきましては、若干説明をさせていただきますと、現在、大阪空港につきましては、九時以降翌朝の七時まで航空会社のダイヤを認めないということで行政指導をやっておるわけでございますが、こういうふうな事態になりましたのは、かつて大阪空港につきましては、午後十時以降七時までは認めないということでやっておりましたものを、先ほどおっしゃいました高等裁判所の判決がございまして、九時以降の発着は緊急やむを得ないものを除き認めないことという高等裁判所の判決がございましたのを契機といたしまして、行政指導でもって九時以降のダイヤは認めないという措置をとったわけでございます。  しかしながら、この大阪空港訴訟におきます九時以降の発着についての問題につきましては、国といたしましては現在最高裁に上告いたしまして争っておる問題でございます。したがいまして、先生がおっしゃるようにこれをぴしっと九時以降一便も飛ばせないということにするためには、いわゆる大阪の運用時間というものを九時にするということが必要になってくるわけでございますけれども、この問題につきましては最高裁で現在国として争っておる立場にございますので、大阪空港の九時以降の飛行につきましては先ほど申し上げました行政指導という形でもってやっておる、それによるところの限界というものが出てくることは事実でございますけれども、実績といたしましては非常に減っておるということは事実でございます。
  250. 土井たか子

    ○土井委員 どうもいろいろ言いわけがましい答弁をされますが、十時になる以前は十一時だったんですよ、夜。十一時から十時になったというのは、何によってなったのですか。行政指導なんです。現に十時にしたのも行政指導ですよ。閣議決定に基づく行政指導なんです。それに法律の根拠は何もありはしません。裁判所の決定があったわけではありませんよ。判決があってそうなったわけじゃないのです。十時から九時になったのも行政指導ですよ。この九時にしたということが、裁判所の判決が出るまでさらに強制的にやることはできないという論拠はどこにもないじゃないですか。十一時から十時になったという過去の経緯を振り返った場合に。いまの御論法は通用しませんよ。いかがですか。
  251. 山本長

    ○山本説明員 九時以降の発着についてこれを認めるか認めないかということについては、先ほど御説明いたしましたように、現在最高裁で争っておる状態でございます。したがいまして、運輸省といたしましては、高等裁判所の判決を受けて、その趣旨を尊重いたしまして、行政指導でもってダイヤを認めないという措置をとっておるわけでございます。おっしゃるように、その行政指導としての限界というものがございまして、九時以降についてやむを得ない便として発着をしておるというのもございますし、場合によりましては企業と空港長の間での見解の差というふうなものがございまして、現地においてはなかなか苦労をしておるわけでございますけれども、でき得る限りの措置をとりまして、九時以降の発着についてこれをなくしていくという努力をしておるというところでございます。
  252. 土井たか子

    ○土井委員 この論議は種々まだあろうかと思いますが、さらに、具体的な問題の一つとして、御承知のとおり、大阪国際空港というのは、周辺が大変他の国際空港とも違いまして、離陸直下、着陸直下に民家があるという、大変特徴を持った空港でございます。世にこれを欠陥空港とも言う。この大阪国際空港周辺については、それなりに運輸省もいままでに大変な苦労をされておりまして、騒音対策事業を進められてきているわけですが、昨年の七月に、民家の防音工事に対して新たな騒音区域を指定されると同時に、家族数に応じて最高五宝まで民家の防音装置について補助を打ち出されたということは、われわれもよく存じております。  しかし、川西であるとか伊丹であるとか、現地に行っていろいろ事情を把握してまいりますと、民家の防音工事に対していろいろ申し込まれる件数が非常に激増いたしておりまして、これを一体本当に消化できるのかどうかというのが大変注目を集めているわけでございます。五十八年までにいまの環境基準WECPNL八十というのを達成しなければならない。そういうことからすると、申し込まれているこういう件数について完全に消化できるかどうか、そこのところの見通しは、運輸省としてはどのように持っていらっしゃいますか。
  253. 山本長

    ○山本説明員 ただいま詳しい資料を持ってまいりませんでしたけれども、大阪空港周辺におきまして民家防音工事の申し込み件数が非常に多うございまして、それに対してこれを実施する実施体制が追いつかないという状態であるというふうに理解をいたしております。このために五十五年度の予算におきましては、この民家防音工事の事業を実際に実施しております大阪空港周辺機構の要員、組織というものを充実いたす措置を講じておりますと同時に、急激に事務量が増加をしてまいったものでございますので、直轄の事務体制だけではなくて外部の力をかりる。事務の委託ということも拡大をいたしまして、この増大する要望に対して何とか対処していきたいというふうに考えておるところでございます。
  254. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁は、承らなくとも当然のことをお答えになっているわけでありまして、それはお聞かせいただかなくとも運輸省としては基本的に常にお考えになっていらっしゃる線でしょう。  伊丹なんかに参りますと、防音工事というのは過去五年間に対象世帯の半分しか実施されていない。国の対策が不十分ということが伊丹の場合は行政サイドではっきり把握されているのです。したがいまして、今後の見通しというものは、そういうことからするとかなりきめ細かなものを聞かしておいていただかないと、これは対策としては十分とは言えなくなってまいりますよ。したがいまして、きょうそこに資料お持ちですか、そういうことについての——持っていらっしゃらない。それではそういうことについてひとつ具体的に私にまた時を改めて聞かせてください。よろしゅうございますね。  それから、これは予告をしておきましたから、そこに資料をお持ちになっていらっしゃるであろうことでありますが、第一種地域について民家の防音工事の対象家屋というのが、告示日に存在しているというものについてだけに限定されていますね。一つは、その告示日以降に事情がわからずに建て売り住宅などを購入して移ってきたという住民がかなりございます。それから、告示日にそこに住んではおられるんだけれども、家屋が老朽家屋であることのために、その後改築や同じ敷地内で建てかえを行わなければならないという事情を持っておられる住民の方がおられます。そういう方の民家の防音工事は一切対象から外されるということで、従来から大変これが問題になってきたことは御承知のとおりなんです。  かつて第一種指定地域というのはWECPNL八十五以上であったのが、運輸省が昨年の七月一日付の告示でWECPNL八十以上に緩和をされておりますために、そういうことでの線引きが新たになされました。これはまことに結構だと思うのです。その工事の対象部屋数も最高五室まで可能ということも結構だと思うのですが、しかし従来のWECPNL八十五以上の地域で全く対象とならない住宅がある反面、それよりも騒音の低いWECPNL八十以上のところで、しかもおくれて建築されたものにこれを対象とするという矛盾が出てまいっております。この矛盾の解消は一日も早くということが地元からも再三再四にわたって言われ続けてきているんですが、この点に対して運輸省としてはどういう努力を払われるか、これをひとつ聞かしてくださいませんか。
  255. 山本長

    ○山本説明員 お答えいたします。  航空機騒音防止法という法律によりましてわれわれは事業を実施しておるわけでございますけれども、この法律によりますと、いわゆる対象区域といいますか、言われた一種区域という区域の告示がなされましたときに、そのときに現に存する住宅について防音工事を実施する、こういうふうになっておるのでございます。この思想は、騒音のひどい区域であるということを国が決め、そこに対策を行いますという告示をしたその以後において住宅を建て、そこに入ってきた人というものについてはその対象にしない、こういう半面があるわけでございまして、これはいわゆる危険への接近理論と申しますか、危険にあえて接近してきた人に対しては対策を講じない、こういう思想でできておるわけでございます。  一般的にはそういう考え方で物事を処理しておるわけでございますが、先生のお尋ねの問題はもう一歩進んだ問題でございまして、環境基準の達成のためにその区域というものを逐次拡大をしてきている。おっしゃるように、最初は八十五のWで線を引いた。その次に八十のWの線を引いた。こうなりますと、以前の八十五のWの地域において告示日後に入ってきた人が対象にならないわけでございますけれども、一方、八十五の線引きをいたしますと、その地域はいまの八十五の線引きをした以後に中に入ってきた人よりも空港から言えばむしろ遠い地域にある人が入ってくる。その人は民家防音工事の対象になる。こういう一種の矛盾といいますか、というものが発生するわけでございます。  この問題を解決するというのは、要するに危険への接近理論というものを放棄して、ある区域内にあるところの住宅はすべて民家防音工事の対象にする、こういうことにいたしませんと解決をしない問題です。この法律の危険への接近理論というのは、運輸省でやっております航空機騒音防止法の体系も、防衛庁でやっておられます対策も同じような思想でやっておるところでございます。  おっしゃる点につきましては、区域が逐次拡大されて対象の区域が広くなってくるところに伴う一つの矛盾でございますけれども、われわれは、まだまだ現在の騒音防止対策法によりますところの対策を進めていくだけでも大変な予算と大変な労力がかかっている問題でございますので、この問題につきましては、環境基準の達成のためにさらに来年度は七十五のWの線引きをするつもりでございますけれども、そういった線引きをいたしまして環境基準の達成というものができた時点において考えていく、とりあえずは現在の法体制でもってやるべきところまでとにかくやっていくということで進む以外には方法はないんじゃないかというふうに考えておるところでございます。
  256. 土井たか子

    ○土井委員 まことに四角四面なお役所仕事に尽きておりますね。そこに住んでいる住民に対する対策になっていないのですよ、これじゃ。そこに住んでいる住民の方々の生活に対する対策があって初めて、騒音に対する対策がとられているということになるのです。空港周辺整備の実態からすると、本当に住民のためを考えているかどうかというのは、こういうことで問われるのですよ。幾らWの中身を七十に下げられたからといって、それは十分に住民のためを考えてくだすっているということにはならない、いまのような姿勢なら。もう少しそこのところの配慮があってしかるべきじゃないですか。  具体的に言うならば、この第一種区域というのは、四十九年の三月二十八日に指定されているのでしょう。その区域にあるところの伊丹市のある地点、これは南荻野なんかがそうですが、五十年の十月に、そこにある一つのマンションに入居された五十世帯の人たちがいます。五十年に入居しておりますから、四十九年の時点にはそこに住んでいなかったということで、防音工事の対象か白ずんとこれは外されている。ところが、東隣のアパートというのは全入居者が防音工事の対象にされているということで、線引きがすなわち壁と壁との間になされるというかっこうなんですが、その後、五十二年の四月二日になりまして、この周辺地域について区域の周辺が追加指定をされまして、第一種区域が拡大された。この時点だったら、いま申し上げたこの南荻野のあたりも、五十二年になるとすでに住んでいるわけですから、五十年から住んでいたわけですから、五十二年のときにはれつきとして住んでいるというわけなんですが、それでも防音工事の対象からは外されちゃって、いつまでたっても問題にならない。やがてWECPNL七十で地域をさらに拡大しようとおっしゃる。七十にさらに騒音の内容を落として対策を講ずるときにも、八十五以上のところに住んでいてなおかつ対象にされない、こんな矛盾がありますか。こういうことはやはり考えてもらわないと困りますよ。
  257. 山本長

    ○山本説明員 お答えいたします。  この問題は非常に重要な問題であり、また扱いの非常にむずかしい問題であるわけでございます。私たち行政をやっておりまして、そういった矛盾といいますか不公平というものがそこに生じていることも事実知っておるわけでございますが、この問題は、先ほど申し上げました法律がとっております危険への接近理論というものを崩すか崩さないかという問題でございます。またこの危険への接近理論は、現在大阪空港騒音訴訟で最高裁で争われておる中身の一つでもあるわけでございます。  危険への接近理論を崩すか崩さないかは非常に重大な問題でございまして、これにつきましては非常に大きな問題があるということを承知しながら鋭意検討をいたしておるわけでございますが、現在まで結論を得るに至っておらない問題でございます。運輸省だけではなく、防衛庁ともよく相談いたしまして、この点につきましてはまた相談をしていかなければならぬというふうに考えておるところでございます。
  258. 土井たか子

    ○土井委員 余り誠意あるお答えとはとても思えませんね。これについては今日ただいままで何回となく言ってきているのですから。やはり忍耐にも限界がありますよ。毎日毎日騒音の中で苦しんでおられる住民からすると、一日千秋の思いなんです。相談してみたいとか、やれ考えてみたい、これを繰り返し言われるのにも限度があるということを私は申し上げたいと思います。よろしゅうございますね。運輸省は、それはちょっと考えてくださいよ、いいかげんに。  このことは、いつまでも引っ張り続けてらちが明く問題じゃありません。問題は、指定主義とか、いまの接近理論ですね、これに問題があるようではありますけれども、たとえて言うならば、子供を持たない人は子供のことを論ずるなかれ、学校に行ってない人は教育問題に対して論ずることなかれという論法に等しいですよ。運輸省としてはもうちょっと配慮があってしかるべきです。もう一歩先んじて言うならば、こういう理論を変えないでおいて特別措置をとったらすぐできるでしょうが。莫大な費用が要るというなら問題は別ですよ。そうじゃないのです。運輸省も少々石頭ですね。どうですか。
  259. 山本長

    ○山本説明員 今後十分に検討いたしたいと思います。
  260. 土井たか子

    ○土井委員 検討が、今度は十分に検討にちょっと変わってきたのですがね。可及的速やかに検討するということを十分に検討というふうに理解をさせていただきますが、よろしいですね。そこでふんふん首を振らないで、声にして残しておいてください。
  261. 山本長

    ○山本説明員 できるだけ早く結論を得るように努力をいたしたいと思います。
  262. 土井たか子

    ○土井委員 先ほどちょっと御発言の中で、八十とおっしゃるべきところを八十五とおっしゃったように私は聞いておりますから、一度それもまた速記録を精査の上で、訂正なさるべきはひとつ訂正していただくようにお願いします。WECPNL八十とおっしゃらなければならないように私は思うところを八十五とおっしゃっているのですよ。一回また当たってみていただきたいと思います。  ほかに問題はあるでしょうけれども、以上で航空協定についての質問はひとまず終えたいと思います。  きょうは盛りだくさんなので次から次になりますが、次は、国際博覧会に関する条約改正について、その議定書取り扱いたいと思います。  この議定書は、見てまいりますと、実体的には一部の改正にすぎないのですが、形式的には全面改正になっているのですね。その改正点というのは、議定書の不可分の一部をなすというふうに考えられる附属書に新条約として規定をされているわけです。こういうことだと思いますが、この議定書には現行条約との関係について全く触れられていないのですね。  そこでお尋ねをしたいのですが、現行条約は新条約発効した後はどういうことに相なるわけでございますか。
  263. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 お答えいたします。  改正条約発効いたしました後で現行条約がどうなるかといういまの先生の御指摘でございますが、先生が仰せになりましたように、そのような場合に現行条約がどうなるかということは、現行条約にも改正条約にも明確に規定をいたしておらないわけでございます。  したがいまして、先生の御質問にどうも明快にお答えできないかと思いますが、ただ、この改正条約をつくりますときの意図と申しますのは、やはり現行条約を、先ほど先生がおっしゃいましたように付属しておる新しい条約に全面的に置きかえるという意図でつくったものでございます。したがいまして、現行条約の三十八カ国の締約国がすべて改正条約締約国になりますと、現行条約は形式的には存続いたしますけれども、実体的には改正条約のみが動いてくるということになると思います。  ただ問題は、その三十八カ国が改正条約締結いたします前に二十九カ国で改正条約発効いたしておりますので、その発効した時点から後の九カ国が入るまでの間がどうなるかという非常にむずかしい問題が残ります。その場合にも、現行条約がどうなるかという規定がございませんので、形式的には残っておる、またその条約のみにしか入っていない国についてはその条約のみが生きておるという形になるかと思いますが、ただこの条約は、単に条約ということではございませんで、その期間をも予想した条約でございますので、新条約発効いたしますと、その期間の中では大体改正条約を頭に置いて運営されていくであろうと思います。そのような形で運営されていって実体上そう大きな支障は出てこないのではないか、このように考えております。  どうも明快な答えにならなくて申しわけございませんが、規定が欠けておりますのでそういうふうにならざるを得ないと思います。
  264. 土井たか子

    ○土井委員 それは、御答弁を承っておりますと複雑怪奇でございまして、本当によくわからないので恐縮だとおっしゃるとおり、よくわからないですね。ただしかし、これはこういうことなんでしょう。この新条約というのは、二十九カ国がこれを締結いたしますと発効するということに相なっているわけですね。現在締結しているのは何カ国なんですか。
  265. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 締結の手続を終えましたのは二十八カ国でございます。
  266. 土井たか子

    ○土井委員 日本がもしこれを今回国会の承認を得て締結するということになると二十九カ国目になるわけですから、すなわち新条約発効するということになりますね。  そこでお伺いをしたいのですが、わが国現行条約についてその節は廃棄通告を行うのですか、どうですか。
  267. 山田中正

    ○山田(中)政府委員 現在までに締結をいたしました二十八カ国はいずれも現行条約の廃棄の手続をいたしておりません。いま先生御質問のわが国につきましても、当面廃棄をすることは考えておりません。と申しますのは、先ほど先生の御指摘の非常にむずかしい条約関係が生ずるわけでございますが、おくれてくる国との関係もございまして、やはり当分の間現行条約が存続していることに意味があるのだろうと思いますので、わが国としてもすぐ廃棄をすることは考えておりません。  ただ、改正条約発効いたしました後で、先生の御指摘になっております問題をどのように処理するのかが新しい条約締結国との間で話し合われることになるだろうと思います。
  268. 土井たか子

    ○土井委員 それではどれくらいの期間かわかりませんが、当分の間は、この新条約締結したという前提に立って考えると、二つの条約が並行して同時に動いていくというかっこうになるという寸法ですね。  そこで、この新しい条約を見ておりますと、国際博覧会の開催頻度を厳しく規制をするというところがその特徴であるように思われますが、現行条約の開催頻度ではどういう弊害があるわけでございますか。
  269. 国広道彦

    国広説明員 お答え申し上げます。  今回の改正で開催頻度を一層厳しく規制するということに大きな眼目があることは御指摘のとおりでございます。  一九六〇年から七二年までの間について見ましても、現行条約に基づきまして第一種一般博覧会というのが三回開かれました。特別博覧会は九回も開かれまして、十二年間に十二回という乱立の傾向が出てきております。さらに、近代社会の発展に伴いまして、年々、国際博覧会開催の規模、経費が増大する傾向にございます。参加国の負担が過重になってきております。特に発展途上国等の参加が実質面で非常に困難になっているという問題がございます。秩序ある、かつ効果的な国際博覧会の開催を確保するためには過当な競争の弊害を避ける必要がありまして、そういう考慮から行われたことでございます。
  270. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、山本飛行場部長から発言を求められておりますので、これを許します。
  271. 山本長

    ○山本説明員 先ほど土井先生からの御質問の中で、線引きの見直しにつきまして、八十五Wで線引きをしていたものを八十五でまた見直したというふうに私は言ったようでございますが、この八十五というのは八十の誤りでございますので、訂正させていただきます。
  272. 土井たか子

    ○土井委員 了承しました。やはりそうでしょう。  現行条約のもとで開催された国際博覧会が過去いろいろあるわけですが、わが国が参加した国際博覧会と、そしてわが国が負担した額、それはどの程度かというのを、この節ちょっと教えておいていただきたいと思います。それは用意されていますね。
  273. 細川恒

    ○細川説明員 わが国が参加をいたしました博覧会の数でございますが、最近の一九七四年のスポーケンの万国博覧会、特別博でございますが、それを含みまして戦後八つを数えておると確認をいたしております。  どれだけの負担をいたしたかということでございますが、それぞれの博覧会によりまして政府からの支出額が異なっておりますので、たとえば最近のスポーケン万国博覧会の例を見ますと、政府からジェトロへの委託費という形で五億六千万円を出しております。
  274. 土井たか子

    ○土井委員 この議定書第五条において、議定書発効直前の理事会で開催期日が登録された国際博覧会には新条約を適用しないということが規定されているのですが、予定されている博覧会と新条約との関係というのはどういうかっこうになるのでしょう。この辺はどうですか。
  275. 国広道彦

    国広説明員 失礼いたしました。ちょっと御質問の御趣旨がわかりませんでした。
  276. 土井たか子

    ○土井委員 もう一度言いましょう。  議定書の第五条を見ますと、議定書発効直前の理事会において開催期日が登録された国際博覧会には新条約は適用しないということになっていますね。そこで、これは日本が予定しているわけですから、具体的に言うと筑波国際科学技術博覧会と言わなけれいけない、それと新条約との関係ですね。
  277. 国広道彦

    国広説明員 御説明申し上げます。  筑波博はすでに私どもの方で開催希望の通告を出しております。したがいまして、この五条に言う期限の時点におきましてすでに予約をしている博覧会というふうに解されておりまして、したがいまして、登録の手続は現行法で行われますが、開催そのものは新法で行われるという運びになります。
  278. 土井たか子

    ○土井委員 ここに書いてあるのは「登録」と書いてあるのですが、現に日本がとっている手続は申請ですね。申請したということは登録したというふうに読みかえていいのですか。それはそうじゃないだろうと思われるのですが、いかがです。
  279. 国広道彦

    国広説明員 御説明申し上げます。  議定書の五条でございますが、五条に「予約した」とあります。この「予約」という意味がちょっと変な言葉でございまして、これにつきましてはすでに国際事務局と話し合いまして、国際事務局の見解は、開催希望の通告がなされて、そして理事会で正式にその説明が行われた時点で予約がなされたというふうに解されております。
  280. 土井たか子

    ○土井委員 それはわかりました。そのことはもう国際的に、具体的に確かめられていますね。
  281. 国広道彦

    国広説明員 国際事務局との間でそういう了解をいたしております。
  282. 土井たか子

    ○土井委員 あと、この条約に関して一点。実は大阪の万博の跡地、私もそう遠くない地点に住んでおりますから常にあの横を走りまして気にかかる問題なんですが、この跡地利用のために大阪府の方も強い要望として出していらっしゃるようですが、国立産業技術史博物館というものを考えたらどうかという問題です。これは大蔵省御出席でいらっしゃいますね。これについてどういうふうなお考えでいらっしゃるかというのを聞かせてください。
  283. 山口健治

    山口説明員 いま先生の御質問になられました産業技術史博物館ということでございますが、実はそういう要望とか計画は私どもいろいろ耳にはいたすのでございますけれども、先生が先ほど御質問でおっしゃられた、大阪府の方からそういう要望がなされているということは現在までございません。
  284. 土井たか子

    ○土井委員 現在までございませんとおっしゃるけれども、要望として強く出ているということの事実はございますよ。ただ、そのある、ないをやっているとこれは幾ら時間があったって足りないので、そういう問題についてどう思われるかということを、それじゃ御答弁いただきましょう。
  285. 山口健治

    山口説明員 大阪府の方から現在まで跡地につきまして正式に要望がなされたのは、これはけさ電話で関係筋に確かめたのでございますが、大阪の教育長から芦原万博会長あてに児童文学館をつくっていただきたいということ、それから大阪府の水道企業者から府営水道施設用地として一応使わせていただきたい、この二点は、大蔵省に対してじゃなくて万博協会の会長に対して文書でなされております。  先生御質問の産業技術史博物館につきましては、実はあの跡地につきまして昭和四十七年から五十四年まで八年間かかりまして相当多額の経費を投入いたしまして、基本計画に沿って第一次整備計画を推進してまいったわけでございます。それは一応昭和五十四年度で終わりまして、昭和五十五年度以降何をどういうふうにするかという点については、まだ実ははっきりとした明確な計画が立っておりません。現在万博協会の方からたしか民間の都市計画関係のコンサルタント会社に対しまして、第二次整備計画をいかにしたらいいかという調査を依頼しておりまして、その調査が着々と進んでいると思いますが、先日その中間報告が発表されたのですけれども、その中間報告では、そういう産業技術史博物館を建設すべきであるというアイデアが出ているのですが、これはあくまでもその中間的なものでありまして、万博協会がこれに対してどういう、正式にこれを協会の計画として取り上げて関係官庁等に対して要望するのかあるいはどうなるか、その辺についてはまだはっきりと固まっておりません。
  286. 土井たか子

    ○土井委員 その辺十分に誠意を持ってひとついろいろな要望に耳を傾けていただきまして、できる限り実現に向けての努力方を切望します。それを申し上げて、さて、先を急ぎます。ありがとうございました。  船舶トン数測度に関する国際条約、これは十一年も前に署名した条約なんですが、今日まで国会の承認を求めなかった理由というのはどの辺にあるのですか。
  287. 関栄次

    関説明員 お答え申し上げます。  この条約は国内の海事関係の制度や法令と大きな関連がございまして、また他方関係業界、水産あるいは海運、造船等の業界に及ぼす影響も重大であるということが予想されましたものですから、この条約昭和四十四年に採択されました後に、果たしてこれが国際的に多数の国によって受諾されまして定着するかどうかを慎重に見きわめる、そういう必要性がございました。  そういうことで時間がかかりましたと同時に、第二の理由といたしまして、これは運輸省の御所管になりますけれども、関係分野が多岐にわたっておりまして、関係業界との意見の調整、それから国内法令の改正に必要な基礎的な資料の収集あるいは国内法制改正作業、そういうことに時間が相当割かれたわけでございまして、そういう理由から批准の御承認をお願いするのがおくれたわけでございます。
  288. 土井たか子

    ○土井委員 海運日本という立場からしますといろいろな思惑もあるだろうと思いますけれども、外国がどれだけこれに対して締結をするかという数読みをやっておって十一年もかかったというふうなぐあいに、いまの御答弁は聞くと聞けるのですよね。これはちょっと態度として余りほめたことではなさそうです、と私は思います。  それはそれといたしまして、この条約を見てまいりますと、トン数測度方法が変わるわけですがね、このトン数測度方法が変わることによってどのように国際的に統一したというメリットがあるのか、この辺はどうですか。
  289. 石井和也

    石井説明員 まず最初に、どういうように変わったかということでございますが、現行測度方式は、船体の肋骨とか二重底などの骨組みの内側の容積をはかる、すなわち内のり容積測度する方式でございます。そしてまた、上甲板上の操舵室だとか機関室など、用途によりましてトン数に算入しない除外場所というのが認められておるわけでございますが、これに対しまして条約方式では、船体の外板の内側、すなわち外のり容積を測定する方式に変わったわけでございます。また用途によります除外場所というのは認めなくなったわけでございます。  それで、条約方式の利点でございますが、現行方式では、内部構造の部材の寸法だとか上甲板上の場所の用途が異なる場合には、外形上同じような大きさの船舶でありましても総トン数の数値が違ってくるということなんでございますが、条約方式ではこれがほぼ同じ数値が得られるという利点がございます。したがいまして、条約方式で全部測度をやりますと、どこの国の船も同じトン数が出る、国内でも同じトン数が出るという利点がございます。
  290. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、船の設計のときに従前とは少し変わってくるという部分も出てこようかと思うのですね。先日、国内法としてこの問題が運輸委員会で審議をされました節、附帯決議がつけられたようでございます。この点については日本の場合、大丈夫その附帯決議の内容は守れるでしょうね。いかがですか。
  291. 石井和也

    石井説明員 測度方式が変わりまして、部屋の用途などによります除外場所というのがなくなりました。そういうことによりまして、御指摘のように、そういう場所が、船員の居住場所とか作業場所というのが圧縮されるというおそれが、理屈の上ではございます。したがいまして、われわれといたしましては、十分実態調査をいたしまして、また関係者の意見を聞きまして、その実情を考慮した上で、必要な事項につきましては関係法令の改正、見直し等について十分検討してまいりたいと考えております。
  292. 土井たか子

    ○土井委員 十分検討してまいりたいとおっしゃるのは、言うまでもなく、附帯決議の内容を尊重するための検討でしょう。それはそうですね。
  293. 石井和也

    石井説明員 そのとおりでございます。
  294. 土井たか子

    ○土井委員 あと、この条約について一問。  ことしの三月二十五日に、海運造船合理化審議会から運輸大臣あてに、長期的な外航海運政策についての答申が出ておりますが、これに対しまして一体政府の側は今後のあり方をどのようにお進めになるおつもりであるのか、この点いかがですか。
  295. 大塚秀夫

    ○大塚説明員 ただいま先生御指摘の海運造船合理化審議会答申に述べられておりますように、最近、わが国外航海運における日本船というものが、特に船員費の高騰等によりまして国際競争力を喪失しつつあり、日本船のシェアというものが年々低下しつつございます。海外資源に多くを依存しますわが国にとって、日本船を確保するということが経済安全保障上きわめて重要でございますので、答申にございますように、われわれとしては日本船の維持、確保ということを外航海運の政策の中心的な柱としてございます。  その対策としましては、やはり日本海運のコストに最も大きなシェアを占めております資本費と船員費というものについてその合理化を図っていかなければならないということで、昨年度からわれわれ運輸省としまして外航船舶緊急整備計画を実施しておりまして、利子補給制度の復活を中心とする計画造船制度の充実強化によって、金利負担の軽減をいたしております。また一方、このような利子補給を受けます海運企業におきましては、船員費の合理化を中心とする国際競争力改善計画を実施することとし、一方で大きなコストとなっております船員費の合理化を推進する、こういう政策を今後も推進しますことによりまして、答申にもございますように、人的能力と高度の技術が結合した先進国型の産業にわが国外航海運を脱皮させまして、日本船の維持、確保を図ってまいりたい、このように考えております。
  296. 土井たか子

    ○土井委員 わかりました。  さて、前回の委員会で私は、日本国フィリピン共和国との友好通商航海条約についての質問をしたわけでございますが、きょうは残余の部分について質問をさせていただきたいと思います。  条文で言うと十三条関係がこれに関係してくると思いますけれども、ASEAN構成国に対して与える関税上の特恵その他の利益については日本に適用しない、いわゆるASEAN条項を二国間条約規定したことは、どうも考えてみるとわが国貿易に与える影響が大き過ぎるのではないか、このような考え方が成り立つと思いますが、いかがでございますか。
  297. 三宅和助

    ○三宅政府委員 お答えいたします。  まずASEAN域内の貿易量でございますが、これがASEANが全世界向けに貿易している約一五%前後ということで、域内貿易自体が少ないということが第一点でございます。  それから第二点は、その中で特恵品目のカバレージがどのくらいあるか、これはなかなかわれわれ明確にできない点がございますが、いろいろと調べてみますと、対象品目貿易額のASEAN域内貿易額に占める比率は約六%前後でないか。これは明確にしておりませんが、われわれなりの試算をいたした数字でございます。そうしますと、ASEANの全世界向け貿易量に占めるASEAN特恵対象品目というものは一%以内ぐらいになるのじゃないかというのがわれわれの推定でございます。それが一つでございます。  それから関税の引き下げ幅でございますが、平均一〇%でございます。したがいまして、こういう観点から現在のところ影響は非常に少ないということが一点でございます。  それから日本サイドから見てみますと、日本からASEANに輸出されるものはいずれも資本財中心でございますし、また品質の面、デリバリーの面から言いまして非常に競争力があるという意味におきまして、基本的には余り大きな影響を受けない、非常に軽微であるという一応の私たちの判断でございます。
  298. 土井たか子

    ○土井委員 特恵品目について特定できない、それからASEAN諸国間の経済関係の緊密化がこれからどのように強化されるか予想がつかない、なかなかつきにくい、そういうふうなことからしますと、この十三条の規定などを見てまいりまして、こういう規定を創設したことは伝統的な通商航海条約の相互主義の原則を譲り過ぎているのではないかというふうな感じがいたします。この辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  299. 三宅和助

    ○三宅政府委員 第一の点につきましては、現在の南北問題の趨勢からかんがみまして、開発途上国に対してできるだけの支援をしよう、ましてASEANの場合につきましてはこの成長を見守ってやろうということがわが国の基本的な政策でございます。したがいまして、特に開発途上国に対しましては現在必ずしも相互主義を要求しない、特恵もその一例でございますが、そういう観点からいきまして、この条項というものは決して譲り過ぎたということではない。  それから、このASEAN特恵につきましては現に昨年の一月ガットの理事会承認を得ておりまして、ガット上すでに認められているということでございます。  そういう二つの点からいきまして、いわば日本とASEAN、日本とフィリピンの経済関係、政治関係を強化するという観点から、むしろ新しいタイプの条約である、そういう観点から本条項を盛り込んだということでございます。
  300. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、いろいろ三宅さんおっしゃいますが、この現行通商航海条約の第六条、航海の規定で定める内国民待遇というのを、最恵国待遇に落とすという譲歩までしているんですね、比較したら。そうでしょう。政府はこうまでしてフィリピン政府の要請を受け入れなければならなかった何か正当な理由というのはあるのですか、いかがです。
  301. 三宅和助

    ○三宅政府委員 まず航海条項につきましては、先生御指摘のとおり現在の内国民待遇を最恵国待遇に落としたということでございます。フィリピンはいかなる国とも内国民待遇を与えないということで最恵国待遇にしようということでございます。  それから第二の点でございますが、先生御指摘のようにやはり日比の経済関係というものが非常に緊密化しております。したがいまして、この日比の経済関係というものを、条約上の基礎を与えることによって安定的にしたい。同時にそれが日本のASEANに対する支援のあらわれであるという観点から、この条約を結んだというわけでございます。
  302. 土井たか子

    ○土井委員 一たんお互い調印をすれば、何としても早く締結をしなければならないという外務省にとっては至上命題がおありになるために、いろいろ答弁を承っておりますと、何とかその場その場うまく言えばそれでよいというふうな姿勢が目立ってならないのですが、今回の日比の通商航海条約につきましては、マルコス独裁政府に対してとやかくの批判というのが国際的にも諸外国からあるわけですね。こういう中でやはり日本としてはこの国を相手に結ぶ条約なんですから、だれが聞いても不思議はないという内容でないと困るのです。相互主義という点から考えるといかがかと思われるような点については、もう少し手当てのきいた、もう少し内容についてもなるほどと、そこまで説得性を持たして言われるのならとだれしもが考えるような御答弁であってほしいなと私は思いますよ。  そのことを申し上げさせていただいて、大臣御出席ですから最後に一つ申し上げたいことは、今回のこの国会では四十三という数の条約を私たち審議をするべく国会の審議に臨んでおります。大変な数ですよ。ところが内容を見てまいりますと、二国間の条約で、しかも経済的な側面を強く持った条約が優先的に考えられているきらいが非常にあるのです。通商条約という、こういうのを早く早く一日も早くとせかされるような感じでわれわれは審議に臨むというかっこうになっているということが現実の姿だと私は言わざるを得ないのです。  片やこういう条約についてはどういうお取り扱いを今後お進めになるかということが非常に気がかりな条約が据え置きになったままです。たとえばというのをいま出しましょう。  一つは、一九五四年五月十四日にオランダのハーグで五十カ国が調印いたしました武力紛争の際の文化財保護条約というのがございます。五六年八月七日に五カ国以上がもうすでに批准をいたしまして発効しているのですが、現在これから数がふえているかもしれませんけれども、昨年あたりでは六十六カ国がもうこれに批准をしておる。二十六年も過ぎているのに日本は未批准であります。調印はしたけれども、まだ批准をしない。文化財保護について日本は熱心じゃないのかということを言われてもいたし方がない、こういう感じもいたします。  それからまた、世界の文化遺産及び自然遺産の保護条約、これは一九七二年十一月十六日にパリのユネスコの第十七回総会で採択をされました。七八年十一月現在で四十カ国がこれを批准いたしております。大臣承知のとおりに、あのストックホルムの国際環境会議、あの席を発端にいたしましてつくられた条約でもございます。このユネスコの席において日本は議長席にも席を連ねた一国でございます。にもかかわらず今日に至ってこれに対して批准の動きすらない。ちょっと問題だと思うのです。  難民条約、今国会に提案をするという前大臣のお約束でございます。いまだに外務省は音なしの構えですよ。  多国間の条約の中では、やはり文化とか人権とか自由とか平和とか、こういう問題を大事に考える姿勢というものを日本はもっと打ち出してもらいたい。そういうことを考えると、据え置きになったままの条約の中に大事な大事なのがあるのです。二国間の条約の中で経済優先の姿勢がいろいろな条約審議の中で批判をされてもいたし方がないような姿勢で本委員会に臨まれる外務省の姿勢というものを、私は遺憾としか言いようがない。  外務大臣、この条約について、据え置きになっているのを必ず国会に提出すると約束してくださいますか。いかがです。
  303. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま御指摘のような条約がまだ残っておるわけでございますが、難民条約につきましてはいま関係省と詰めをやっておるわけでございます。その他の条約につきましても、今回の国会中に提出するのが間に合うかどうか、だんだんむずかしくなってきておるわけでございますが、できるだけ早い機会にお諮りしたいというつもりでございます。
  304. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、その他の私がきょう指摘した条約についてはどのような姿勢で臨まれますか。
  305. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 確かに四十三本の条約を御審議願うというのは、非常に国会側に大きな御負担をかけておるわけでございます。一つには、多少昨年いろいろ積み残しが重なったというような事情も一面ございますけれども、いま御指摘のような文化関係条約についても早急に検討して、できるだけ早く、でき得れば次の国会の機会に提出するように取り運びたいと存じます。
  306. 土井たか子

    ○土井委員 委員長、以上で終わります。ありがとうございました。
  307. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  308. 中尾栄一

    中尾委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、航空業務に関する日本国ニュー・ジーランドとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国バングラデシュ人民共和国との間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国フィジーとの間の協定締結について承認を求めるの件、航空業務に関する日本国スペインとの間の協定締結について承認を求めるの件、千九百六十九年の船舶トン数測度に関する国際条約締結について承認を求めるの件、千九百二十八年十一月二十二日にパリ署名された国際博覧会に関する条約を改正する議定書締結について承認を求めるの件、千九百七十九年の国際天然ゴム協定締結について承認を求めるの件、国際連合工業開発機関憲章締結について承認を求めるの件、日本国フィリピン共和国との間の小包郵便約定締結について承認を求めるの件、以上九件を一括して採決いたします。  九件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  309. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって九件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国フィリピン共和国との間の友好通商航海条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  310. 中尾栄一

    中尾委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  312. 中尾栄一

    中尾委員長 午後四時委員会を再開することとし、この際休憩いたします。     午後三時三十五分休憩      ————◇—————     午後四時十四分開議
  313. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  ただいま委員長の手元に、土井たか子君から、開発途上国に対する協力に関する件について、本委員会において決議されたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。土井たか子君。
  314. 土井たか子

    ○土井委員 ただいま議題となりました動議について、その趣旨の説明をいたします。  案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。     開発途上国に対する協力に関する件(案)   開発途上国の自立的経済発展の促進に寄与するため、先進国との経済格差の是正、一次産品に関する交易条件の改善並びに健全な相互依存関係にふさわしい連帯の確保に努め、南北間のより良い均衡を達成したいとする開発途上国の期待に応えることが国際社会における先進国の責務である。   よって政府は、左記事項に留意し、開発途上国に対する施策の推進に最善の努力を払うべきである。          記  一、一次産品問題に関する開発途上国の強い要請にかんがみ、一次産品共通基金が機関としての役割を果し得るよう積極的に外交努力を推進し、一次産品市場の拡大と安定に努め、資金援助、技術移転の措置を通じ開発途上国の自助努力に活力を与えるよう努めること。  一、開発途上国の輸出振興に寄与するため、輸入拡大に努めるとともに一般特恵関税制度の改善をはかること。  一、対外経済協力の実施に当つては、開発援助資金の規模拡大と援助条件の緩和を図り、農業基盤づくりへの協力、医療、公衆衛生、教育など国民の基本的な生活条件の向上に重点をおく援助の推進に努力すること。  一、人権及び基本的自由の尊重は、国連憲章の基本目的の一つとして明示されており、これを十分認識し、人権及び基本的自由が国際社会において充分保障されることを確保されるよう我が国も積極的な外交努力をすること。  一、難民問題は、特に開発途上国において政治、経済、社会上の深刻な問題となっており、開発途上国の立場を踏まえた国際協力を積極的に推進し、人道的見地から国内への難民受け入れのための施策を一層強化すること。  一、武器輸出三原則を堅持する我が国は、開発途上国からの要請があっても武器援助は行わないものとすること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  315. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  土井たか子君提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  316. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって、土井たか子君提出の動議は本委員会の決議とすることに決しました。  この際、大来外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
  317. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま採決されました御決議につきましては、政府としては、本件決議が委員会の全会一致をもって可決されたことを十分踏まえて施策を講じてまいるべく、最善の努力を払う決心でございます。
  318. 中尾栄一

    中尾委員長 お諮りいたします。  本決議の議長に対する報告及び関係各方面に対する参考送付等の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  319. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  320. 中尾栄一

    中尾委員長 先ほどの外務大臣の発言に対し質疑の申し出がありますので、各党申し合わせの時間内でこれを許します。奥田敬和君。
  321. 奥田敬和

    ○奥田委員 大臣、どうも御苦労さまでございます。お疲れであると思いますけれども、本委員会の精力的な審議にこたえる上においても、がんばって明快な御答弁をお願いいたします。  今日の国際情勢を顧みるときに、全く想像もできないような重要外交案件が山積しております。突貫小僧みたいに、それくらいのニックネームをつけられるくらいに行動的な外務大臣であってほしいと私たちは期待をいたしております。実は十分の時間制約でございますから、質問も一本にしぼりますけれども、わかりやすく答えていただきたいと思います。  アメリカとイランの対立をめぐる緊迫した国際情勢の中でわが国民が最大に関心を持っているのは、油と戦争、これに集約されるのじゃないかと思うのです。つまり、第一に、アメリカが軍事力を発動する、そういったやむない状態に至って戦争状態に突入するのではないか、こういった不安。そして第二点は、イランからの石油はわが国の油の総需要の一〇%以上になっておるわけですから、イランからの石油供給がとだえた場合、これが長期にわたる場合、わが国の経済と国民生活にどういった重大な影響が具体的に出てくるのだろうかという二点であろうと思います。したがって、イラン情勢を見るときに、アメリカ海上封鎖から戦争状態にまで発展すれば、世界平和の脅威というだけじゃなくて、わが国自体に与える政治経済的影響はきわめて憂慮すべき事態になるわけでございます。このような情勢で、わが国政府が真のアメリカの友人として果たすべき最大の外交課題は、何としても戦争回避のために最大限の努力を傾注することであろうと思います。  そこで、大臣に率直にお伺いしたいのは、ルクセンブルクにおけるEC主要国の外務大臣との一連の会談を通じて、具体的にどのような対策を相談されたのか。主要外相メンバーの中には、非常に強硬にアメリカをサポートする、あるいはこれを冷静に、穏健派という形の中で収拾を図ろうとする、それぞれの国が微妙に絡んでおると思いますので、率直な印象を踏まえての外相自身の考え方も含めて、ひとつ御説明を願いたい。  また、イランからわが国に対する石油供給の問題について、エコノミストとしても著名な大臣でもありますから、今後の見通し等々明らかにして、わが国民の不安を少しでも取り除く努力をしていただきたいと思うわけでありますけれども、対米折衝、私たちの知らないアメリカ側との、こういったイランからの油の停止に備えるいろいろの方途を考えておられると思いますけれども、そういった対米折衝の経過も踏まえて所見をお伺いいたしたいと思います。歯切れのいい形で、すぱっと新聞の見出しになるくらいの御答弁をお願い申し上げます。
  322. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま奥田委員からの御質問の点でございますが、第一の点につきまして私ども考えましたことは、とにかくイラン問題の平和的な解決について各国が真剣な努力をしなければいけない、これが第一の目的でございます。  そのためには、現在、アメリカに出ておりますような、人質が半年近くにわたっても解放されないということから出ておりますフラストレーションと申しますか非常に強い国民感情、これを無視するわけにはまいらない。同時に、自由社会と申しますかそういう社会の連帯というものも重大な危機に面しておるというような感覚もあったわけでございます。  アメリカがこの四月七日にイランと国交を断絶いたしました際の声明等によりますと、イランの人質問題がいまだに解決しない、それに対して、友好国は従来十分な協力をしてくれなかった、もしも友好国に十分な協力をしてもらえなければ、アメリカとして独自に次の段階の措置に踏み切らざるを得ない、そういった趣旨があったわけでございまして、あくまでもイランの人質問題を平和的に解決するという立場から言えば、まず友好国の非軍事的な面での協力要請されているということになってまいったわけでございます。  そういうことで何らかの対応が必要になってきておるという認識を持ちまして、その際、条件、事情が似ておりますヨーロッパ諸国との話し合い、協力日本にとっても必要ではないかと考えておったわけでございますが、たまたまリスボン会議でEC九カ国の決議がございました。日本に対してもこれに参加してほしいという要請がございました。さらに二十二日にはルクセンブルクでECの外相会議が開かれるということでございまして、これはお座敷が別でございますので、日本はメンバーでありませんからその会議に出席することはできない。しかしその際、主要国の外務大臣が集まるわけで、できれば個別的に主要国の外務大臣との会談の機会を持つことがいいのではないかということで、総理の指示を受けまして急遽現地に参ったわけでございます。  話し合ってみますと、いまの基本的な考え方は、日本側の考え方とEC諸国の考え方とがほぼ完全に一致している。つまり、平和的な手段で解決しなければいかぬ、ところが一方アメリカにおけるいら立ちというものが相当激しい度合いに達しておる、このままでは危険な状態が出てくるおそれがある、友好諸国、西側諸国協力によってこの平和的な解決が見出せるならばあらゆる努力をいたすべきだ、一方においてイランに対して西側が共同歩調をとって人質解放についての要求をさらに強める、同時に米国に対してはあくまでも自重を求める、こういう立場をとることが必要だろうということは、EC各国、私会いましたイタリア、英国、フランス、ドイツ各国の外相、一致した気持ちであることを確認いたしたわけでございます。決議も、先ほどこの委員会で御報告申し上げたような内容の決議ができ上がったわけでございます。われわれとしては、これが解決に資することを大きく強く期待しておるわけでございます。  それから第二の御質問で、イランからの石油供給の問題がございます。これは制裁とは別のことでございまして、従来から価格値上げについてのイラン側の要求があり、日本側の会社が交渉に当たっておったわけでございますが、大幅な価格、特に国際価格を大幅に上回るような値段を受け入れることは再び石油価格一般の上昇につながるおそれがある。そのきっかけを日本がつくったということになりますと、国際的にも非常に困難な立場に置かれるわけでございまして、あくまでもこの際価格上昇に応じ得ないという態度日本の会社もとってまいった。その結果として、すでに一部の会社に対しては荷積みがストップされておるわけでございます。  いま奥田委員の御指摘のように、日本の石油輸入の一〇%、一一%、はかる期間によっても違いますが、とにかく一割強の油がイランから参っておるわけでありまして、これがとまるということは日本の経済にもいろいろ影響が出るおそれもあるわけでございますが、一つにはかなり豊富な備蓄を持っておる、九十数日分の備蓄をいまの日本が持っておりますことと、それからIEA、国際エネルギー機関の緊急融通の取り決めに日本も参加しておりますので、そういう面での国際協力の道が考えられる。さらに米国からのメジャー、石油資本の供給を一部日本に振り向けるというような可能性も考えられます。さらに、いま石油のスポット市場はやや供給過剰でだぶついておる状況がございますので、ある部分はスポット市場からの買い入れということで補うことも可能かと思うのでございます。  イランからの供給停止が非常に長期にわたりますといろいろ問題が出てまいると思いますが、もしもそれほど長期にわたらないことであれば、日本の経済に当面余り大きな影響なしにしのげるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  323. 奥田敬和

    ○奥田委員 終わります。
  324. 中尾栄一

  325. 土井たか子

    ○土井委員 大臣お疲れだと思うのですが、ひとつ端的にお答えをお願い申し上げたいと思います。  ルクセンブルクの外相会議にいらっしゃいましてEC諸国の各外務大臣、そしてECの委員長と個別会談をされたというお話をきょうお昼過ぎ、承ったわけですが、要はイランの人質解放のための話し合いをさしでなすったかどうかという問題であります。日本独自のそれに対しての案がおありになって、そのことも話し合いの中でお出しになったかどうかも含めて、ひとつこの点承りたいと思います。
  326. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本政府としてもいろいろの対応策を考えてまいりまして、今回の意見の交換を通じて日本側の考え方も各国外相にお伝えしたわけでございます。そういうことで、日本はEC九カ国の会議には出ておりませんけれども、何らかの形でECの外相会議の決定に反映しておるのではないかということを想像しておるわけであります。
  327. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、日本としては具体的な案はないけれども、ECが決めることに対して何らかの関与をしているというところに意味がある、このように外務大臣としてはお考えになっている、そういうふうに理解していいですか。
  328. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本側としての考え方は伝えたわけでございますが、ECと日本が共同の行動をとるということに重要な意味があると考えておるわけです。
  329. 土井たか子

    ○土井委員 いま日本側の考え方は伝えたとおっしゃるその考え方というのはどういうことでございますか。
  330. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 従来から日本側がとってきておる措置もございますし、日本側の国内情勢等につきましてもある程度の話をいたしたわけでございまして、この詳細な内容につきましては事の性質上申し上げかねる点もございますけれども、とにかく日本としてもとるべき方策について従来いろいろ関係の閣僚会議等もやってまいりましたので、そういうものを踏まえて一般的な考え方を中心にして意見交換を行ったわけでございます。
  331. 土井たか子

    ○土井委員 けさほど、お昼ですが、外務大臣の御報告の中に、イラン制裁への立法措置を五月十七日までにということが決定された旨のお話がございましたが、これについて、輸出抑制のために新たな措置をとる節、五月十七日までに日本といたしましても何らか新たな措置をお考えになっていらっしゃるのかどうか、これはいかがでございますか。
  332. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その問題は日本の政府部内で取り急いで検討すべき問題でございまして、各国それぞれ国内の情勢も違いますし、それに対応した仕組みというのも違うわけでございまして、日本についてどういう手がとり得るかという点も含めてもうすでに政府としても検討しつつある段階でございます。
  333. 土井たか子

    ○土井委員 それは先日来問題になってまいりました貿易管理令の発動ということも含めてお考えになるということでございますね。
  334. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その必要があるかどうかも検討事項の、一部になるわけだと思いますが、いまの段階でどちらとも申し上げるわけにはいかないと思います。
  335. 土井たか子

    ○土井委員 どうもまだいろいろ歯切れの悪いような御答弁しか続かないのですが、これは先ほども答弁の中で、また御質問の中で取り扱われた油の問題について、特にアラブ産油諸国が、いまこの問題に対してアメリカの軍事制裁が発動されればそれなりの措置を講ずるという趣で、いわば待機行動と申してもいいような状況ではないかと思いますが、いまどのような行動を整えつつあるかということについては、これもちゃんと押さえていらっしゃるのでしょうね。いかがでございますか。
  336. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 他のアラブ諸国の反応につきましてもルクセンブルグでの会談の中である程度各国の外相からの見方も聞いておりますし、また外務省自体の情報によっても検討を加えておるわけでございます。
  337. 土井たか子

    ○土井委員 けさほどニュースでソ連・イラン経済技術協定締結されたということが報道されておりますが、これは事実でございますか。
  338. 武藤利昭

    ○武藤政府委員 まだ確認いたされておりません。想像されるところでは、御承知のとおりイランのソ連に対する天然ガスの供給が価格の面で折り合いがつきませんで停止されていたわけでございまして、この問題についての話し合いが近く行われるというような報道がしばらく前にございまして、それと関連するのかどうかという問題もあるわけでございますが、協定締結されたかどうかについての確認はいまだとれておりません。
  339. 土井たか子

    ○土井委員 ただ問題としては、いままで反共路線であったイランをソビエトに押しやるということになると、これまた新たな段階を迎えることになります。  そこで、外務大臣が大変御努力をされている今回の日本とEC中心にヨーロッパの制裁措置というのは、そういうこととの関連性でどういう趣を持つというふうに大臣はお考えになりますか。
  340. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ヨーロッパ及び日本協力してさらにイラン政府に申し入れることは、人質の解放に動かす一つの条件といいますか要素になり得るのではないかと考えておるわけです。
  341. 土井たか子

    ○土井委員 もしソビエトからいろいろな物資がイランへ輸入されるということになると、制裁の効果というものはなくなるとお考えになりますか、いかがですか。
  342. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 仮にある程度の物資が供給されましても、ソ連としても無尽蔵ではございませんし、いろいろあちこちに手を広げておる事情でもございますので、西側からの供給を十分に補うということは多分むずかしいのではないかと思います。
  343. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、イランへソビエトからの物資が輸入されるというふうな現実がもし起こってまいりますと、アメリカから見れば、これは形は変わっておりますけれども、またアフガン問題と同じような意味を持ちまして、新しいソビエトに対する制裁というふうな形に発展していくということも現実の問題としてあり得るかと思います。事はエスカレートしてまいります。したがいまして、こういう問題に対しては相当慎重に考えをいたしておかなければならない、このように思いますが、外務大臣、いかがですか。
  344. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 EC諸国の一部の国では、ソ連にも人質解放の努力に協力するように呼びかける、これはドイツのゲンシャー外相がおととい演説の中でそういう呼びかけをいたしておりまして、ゲンシャー外相も、自分としてもそういう努力をしておるということを申しておりました。
  345. 土井たか子

    ○土井委員 ソビエトの政府要人、グロムイコ氏だと思いますが、フランスに行かれる、また西ドイツのシュミット氏が八月にはソビエトに行かれる、そういうことが予定としてあるようであります。片やEC諸国の中ではお互いにいまイラン問題に対しての対処をしながら、しかしソビエトとのパイプをこのようにつないでおくということを大切に考えられておるという向きが十分にあるわけです。時期が時期だけに、そして状況状況だけに、日本としてもソビエトとのパイプということが非常に問題視されるわけでありますが、これはどのような御配慮とどのような御苦労をいまなすっていらっしゃいますか。
  346. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 そういう問題についても日本とECとの協力関係が重要な意味を持つと思うわけでございます。日本としても、いろいろソ連との間の問題が現在ございますけれども、話し合いのチャネルを閉じておるわけではございませんので、可能な限りのコミュニケーション、相互の意思疎通は図ってまいるつもりでございます。
  347. 土井たか子

    ○土井委員 和田大使がいま帰国をされるかどうかということが大変問題なんですが、この帰国というのは、イランへ行かれるかどうかという問題ですね、一度イランの方へまた行かれて、EC諸国との話し合いをなさるというふうな御予定になっているかどうか、それとも日本に対して帰りっ放しというかっこうに持っていかれるのかどうか、この辺はどうなんでございますか。
  348. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 和田大使は二、三日中にイランに帰任するということにいたしたいと思います。
  349. 土井たか子

    ○土井委員 そして、かの地においてさらにEC諸国との間の折衝、話し合いというのも続けていく、そういう形になるわけでありますか。
  350. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 EC諸国各国大使も大体同じころに戻ることになるかと思いますので、お互いの話し合いと、同時に、イラン政府に対する申し入れをさらに行うことになるだろうと思います。
  351. 土井たか子

    ○土井委員 きょうお昼ごろのお話の中でも出たわけでありますが、そういたしますと、大使館の縮小という問題、これは現に日本の大使館は大使も含めまして十七名人員はあるようでありますが、具体的には縮小というとどういうかっこうになるわけでございますか。
  352. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これはECの今回のルクセンブルグにおける決定の中にも含まれている項目でございまして、外務省としても、これの全般的な協力を政府の方針としておりますので、そういう方向でどの程度のことができるか、目下検討中でございます。
  353. 土井たか子

    ○土井委員 イラン化学開発の山下社長をイランに派遣するという問題がございますが、この問題は事実としてまだ変更なしというふうに考えてよろしゅうございますか。
  354. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 山下社長が五月に入りましてから向こうに行くというふうに聞いておりますが、この辺の計画が変更になったかどうかは存じません。
  355. 土井たか子

    ○土井委員 イランに派遣をされるというふうなことで、この状態の中ではイラン石化ということについてどういうことになっていくのかというのが大変問題になります。この具体的な中身がどう進行するかということと、制裁とは別であるというふうに考えていいのであるかどうか、この辺はいかがでございますか。
  356. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 一応別の問題としてただいま検討いたしております。
  357. 土井たか子

    ○土井委員 イランの石油値上げに対しまして、日本はそれを拒否したという日本の意思表示がございますが、これに対しまして政府は純経済的だ、純商業上の問題だというふうにおっしゃっているようでありますが、外務大臣も同様にお考えになりますか。
  358. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私もそういう考えでございます。
  359. 土井たか子

    ○土井委員 しかしながら、アメリカ側は、いま外務大臣がそうおっしゃっても、同盟国の支持を示すものであり、イラン制裁の一環というふうに見ておられるようであります。外国から見ると、いかに日本の政府が、そして外務大臣が純経済的な問題である、純商業上の問題であるというふうにおっしゃっても、これ自身をイラン制裁の一環というふうに見られているようでありますけれども、これに対してはどのようにお考えになっていらっしゃるのですか。
  360. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 そういう報道もございます。外務省からはまた、これの趣旨は商業上の行動であるということを重ねて説明をいたしておるわけでございまして、そういう説明に基づいた報道も同時に出ておるわけでございます。
  361. 土井たか子

    ○土井委員 論理的な問題としてひとつ承りたいと思うのですが、純経済上の問題ということでこのことに処していらっしゃるということであるのならば、この原油の価格が値下げ、つまり現状のままになるならば、石油の輸入については従前どおりになるということになりますね。いかがですか。
  362. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 イラン側が値上げの提案を撤去するということになれば、従来の政府の方針として人質以前の数量は上回らないという方針がございますから、その方針に従ってまいるということになると思います。
  363. 土井たか子

    ○土井委員 これで終わります。
  364. 中尾栄一

    中尾委員長 高沢寅男君。
  365. 高沢寅男

    ○高沢委員 まず、大臣には大変御告労さま、こう申し上げたいと思います。お疲れのところをまたこうやって質問を申し上げて大変恐縮でありますが、重要な問題でありますので、ひとつお許しをいただきたいと思います。  初めに、やや総論のような形になりますが、私は、今度ECの外相理事会でああいうふうな措置を決定されて、行われる、日本もそれに同調して行われるということで、しかしそれで果たして相手のイランに対して、それでは人質の解放をしましょうというふうにさせる結果になると見ておられるのかどうか、その辺の大臣見通し、これをまずお聞きをいたしたいと思います。
  366. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 その見通しにつきましては、だれも確たる見通しを持ち得ない状況でございますけれども、一つの試みに値する重要な措置だろうと考えております。
  367. 高沢寅男

    ○高沢委員 新聞等の報道にも出ておりますので、こういう措置をECの外相理事会が決めた、あるいはまたわが国のそれに同調する態度をとられたねらいの中には、イランに対してというよりはもっとそれ以上にアメリカに対して、われわれはこういう措置をとるのだからこれ以上軍事的な措置をとるようなことはしないでもらいたいという、アメリカに対する自制を求める、こういう点にいわばより大きな比重を置いて今回の措置を決められた、こういう側面があるのじゃないかと私は思いますが、その点はいかがでしょうか。
  368. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま御指摘の点が重要なねらい、これは日本もECも共通しているということを今度確認したわけでございますが、それと同じウエートでイラン政府に対して人質の早期解放を求める、その両面になるかと思います。
  369. 高沢寅男

    ○高沢委員 両面ということでおっしゃったわけですが、しかしこういう措置をとられてそれでも人質の解放という結果にならなかった、そしてそれでもってまた五月あるいは六月と時間が経過していくというようになった場合に、これに対して果たしてアメリカとしてはどういう措置をとってくるだろうか、これが大変な大問題ですが、それは一応置いておいて、その場合に、ではたとえばEC諸国としてはそれに対して次に一体どういう手を打つのか、それに歩調を合わせるというわが国としてはどういう措置をとるかという当然次の問題もいまから私たちは考えておかなければならぬ。それはそのときになって考えればいいというようなその都度、場当たりではいけないと思いますが、その点は大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
  370. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 五月十七日という期限がこのECの決定の中に入っておるわけでございます。いまの予想では五月九日にイランの選挙が行われる予定になっておるわけでございまして、十七日までにイラン側からはっきりした表明がなければ、ことしの一月の国連安保理事会でソ連の拒否権で否決にはなりましたけれども、十五カ国のメンバーの安保理事会で十カ国が賛成した案でございます、これをEC諸国は実行するということを今度の決定で申しておるわけでございます。ですから、五月十七日までに人質問題が解決すればそれで目的を果たすことになりますが、解決を見ない場合には、安保理事会の決議案の線で各国共同して措置をとる、その結果がどういうふうになるか、またしばらく反応を見るという時期があるだろうと思います。  アメリカ側としては、友好国が協力してくれればその次のステップにはいかないで済むのだ、逆に協力してくれなければ単独の措置としては次のステップにいくよりほかはないという言い方をしておるわけでございますから、今度のECの決定のような方法がとられる場合には、当面の危険といいますか、直接軍事的な行動に出る危険がある程度遠のくことは考えられると思います。
  371. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま大変重要なことを大臣はおっしゃったと思うのですが、もう一度確認しますけれども、同盟諸国アメリカに対してイランに対する制裁措置に協力してくれる、このことが出てきたわけですね。このことが出てくるならば、今度はそれでもまだ人質は解放されないという事態に、それではもう一歩踏み込んで軍事的な措置をとるとかというふうなことはアメリカは単独ではやりません、こういうことの何かの言質を得ておられるのかどうか。  この間の四月八日、カーター大統領がイランに対する断交を決めた、このときには全く同盟国に対する事前の相談も同意を得るということもなしにまずアメリカで決めて、それからさあ協力してくれというふうに来たというのがこの間の四月八日の経過であったと思いますが、今度こういうふうなECの外相理事会態度が出た、日本も同調するというようになってきた場合には、アメリカとしてはいま言われた次の危険な軍事措置を一方的にとることはない、もしそういうものをやりたいと思った場合でも、あらかじめ日本に対して、あるいはECの各国に相談をして、その同意がなければしない、こういう一つの歯どめというものがここにはっきりとあるのかどうか、確認ができているのかどうか、それをひとつ、大事なポイントですからお聞きしたいと思います。
  372. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 四月七日の断交の際、先ほど申し上げましたが、友好諸国協力が得られない場合には次のステップをとらざるを得ないということをアメリカ政府は申しておるわけでございまして、それは裏返せば友好諸国協力してくれれば次のステップの必要性があるいはなくなるかもしれないということだと私どもは解釈いたしております。今回のルクセンブルグのECの決定は直ちにアメリカ側に伝えるということを決定文の中でも申しておるわけでございますし、日本としても適当な機会を通じまして申し入れを当然いたすべきことだと考えております。
  373. 高沢寅男

    ○高沢委員 いまの点が非常に重要なので、そこでこのこともひとつお聞きしたいと思いますが、その五月十七日という一つの日を切った、そこには一つには五月九日にイランの国民議会の第二回の投票が行われる、これをにらんでいるということは当然考えられますね。もう一つは十七日にまたECの外相会議がある、これも一つ五月十七日という時間を切った大きな根拠だと思いますが、そういたしますと、その五月十七日まで今度決められた措置によってやっていって、しかしまだその時点で人質の解放ができていないという段階に、ではどうするか、こういうEC諸国の相談が当然あるわけですが、この五月十七日というものは、大臣はまたヨーロッパに飛んで、ECの外相会議にいろいろな形で日本の意見も反映させる、向こうとの実質上のいろいろな意思統一を図る、それを通じてアメリカに対する軍事的措置をさせないような有効な歯どめを働かせる、こういうことをやることになるのかどうか、その五月十七日の時点を一体どういうふうに迎えられるか、それをお尋ねしたいと思います。
  374. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま御指摘のとおり、ECの外相会議、次回ナポリで五月十七日に開かれるということが予定されておるわけでありますが、そこへまた私が行くかどうかはちょっといまの段階では何とも申し上げにくいわけでございます。五月のたしか二十二、三日にパリでIEAのエネルギーの閣僚理事会がございますので、これはできれば出席しなければならないかと存じております。十七日までに人質の解放についてのイラン側のはっきりした態度が出てこないという場合には、これは先ほど申しましたような安保理の決議案が実行に移されるということだろうと思います。そのことまで予定されているということでございます。
  375. 高沢寅男

    ○高沢委員 私は、イラン側もすでに今度のECの外相理事会の決定を見て、五月十七日以降になればまたそういう次の経済的な断交措置が来るということは当然わかっておるわけです。わかっていて、しかしそれまでに人質の解放に応じないということは、その国連決議のあの線によるヨーロッパ諸国の経済制裁が行われても大丈夫だ、やっていけるというような自信や見通しがあって、人質は解放しないというイランの対応になってくるだろうと思うのです。そういたしますと、五月十七日からイランにとっては新しい段階に入るということではなくて、もういまからイランとしてはそういう段階も見通した対応を当然考えておる、こういうふうに見るべきだと思います。  そうすると、この五月十七日の欧州の外相理事会としては、ただ単に決められたとおりに経済的な措置に入りましょう、これだけの申し合わせでは済まぬ。また次をどうするかという協議が欧州の外相会議では出てくる、こう私は思います。  そういたしますと、いま外務大臣はそのときに自分が行くかどうかわからぬ、こうおっしゃったわけでありますが、今度大臣がルクセンブルクへ行かれた、こういう行動に対する一つの評価として、日本がヨーロッパ、EC諸国と一つに歩調を合わせて、そして対アメリカあるいは対イラン、問題によっては対ソ連というような形で自主的な国際政治の中で物を言っていく、こういう一つの芽が出てきたという評価がされておりますね。そういう見地に立って見れば、五月十七日の段階でまだ解決されていないというような場合には、むしろ積極的に行くべきである。そして行って日本としての見解を大いに積極的にECの外相会議へ反映させる、それを通じて世界のとにかく平和を守るということについて積極的な役割りをやるべきである、こう考えるわけですが、大臣、いかがでしょうか。
  376. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 今回ルクセンブルグで各外相、イタリアの外相は議長国でございますし全体の議長としての立場もあったわけでございますが、日本からの接触を非常に高く評価する、今後も密接な連絡を相互にとり合って協力していこう、これは議長のコロンボ外相からも話がありましたし、他の面会しました各外相も同様の趣旨のことを申しておりましたので、こういうことに対する日本の積極的な姿勢はヨーロッパ側も高く評価したのだろうと感じます。  従来からも在外公館を督励いたしまして各国の政府との話し合い、情報を得ることについての努力をいたしておるわけでございますが、今度の機会を通じまして、先方もぜひ日本側と十分な連絡をとってやっていきたいからという発言もございまして、そういう意味ではヨーロッパの動きについて従来にも増して連絡を受ける可能性が相当あると存じておりますので、十七日に私自身が行くかどうかということは、もう少し今後の推移を見てから考えたいと思います。
  377. 高沢寅男

    ○高沢委員 先ほど土井委員からもお尋ねしたのですが、ヨーロッパの各国は、こういうような対イラン、対アメリカ関係を進めながら、同時に対ソ連というルートを絶たない、話し合いの場を積極的につくるということはやっておるわけです。今度グロムイコ外相のフランス訪問、それから私、正確な日取りはちょっと忘れましたが、オーストリアの独立と中立の条約ですか、あれの二十五周年でアメリカ、イギリス、フランス、ソ連の四カ国の外相が一堂に会するというような機会も近くやってくる。あるいは西ドイツの場合はシュミット首相もソ連を訪問してソ連との首脳会談もいずれ近いうちにやるということも考えておるというようなことで、これらのヨーロッパの動きは現状打開に向かって非常に積極的な前向きな意欲が感ぜられるし、その中から発展が出てくると考えられるわけです。  そうなりますと、ヨーロッパと歩調を合わせてという一応日本の外交の一つの線が出ているわけですから、やはり日本としてもそういうものに立ちおくれることなく、日本独自の立場で対ソ連の話し合いを進める。これによってアフガン問題にせよあるいはイラン問題にせよ、そういうものの打開の道をいわば逆の面から進めていく、こういうふうな積極的な姿勢が当然あるべきだと思うのでありますが、これについてもう一度大臣の具体的な御見解をお聞きしたいと思います。
  378. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 西独のシュミット首相もソ連政府の正式の招聘を受けたようでございます。行くか行かないかまだ現在慎重に検討中だということのようでございます。西側各国といま相談をしておるという段階のようでございます。行ったことで何ら成果がないということではまた困るわけでございましょうし、フランスもいま御指摘のように、ソ連のグロムイコ外相が訪問するということが決まったようでございますので、いろいろな形での対話の道は開かれておる。  こういう世界情勢の中で、私も今度参りましての一つの感想は、第一世界といいますか、米ソという超大国がございます。それから第三世界という開発途上国もあるわけですが、ヨーロッパや日本は超大国でない先進工業国でございますが、そういう立場で今後いろいろ国際問題に果たし得る役割りが考えられるのではないか。  日本とソ連との関係につきましては、先ほども申しましたように、いまいろいろ困難な問題がございましてやや日ソの関係厳しい面があるわけでございますけれども、対話の道は閉ざさないで続けていきたいと考えておるわけでございます。先般も漁業交渉が、これも対話交渉でございまして、比較的短期間に締結されたという実績もあるわけでございます。
  379. 高沢寅男

    ○高沢委員 確かに案ずるより産むがやすしで、日ソサケ・マス交渉を見ても、当たってみれば案外進むということがあるわけですから、その点においては大いに大臣にも積極的に対ソ関係を進めていただきたいと思います。  そこで、石油の話に戻りますけれども、イランがわが国に対して原油の船積みを一応とめる、こうなりました。しかし一方、C重油の方は大いに日本の船に積み取るようにということもあると伝えられております。そういたしますと、イラン側としても、日本に対する原油の船積みをとめたのは、いわば政治レベルの問題としてとめたという姿勢はなるべくとりたくない。イラン側としても、日本とイランとの間 のこういう石油のやりとりは経済レベルの問題になるべくとどめておきたい、その枠内の問題としておきたいという気持ちがどうもあるんじゃないかという感じがいたします。  そうするとこちらの側も、実際問題としては政治問題に絡んでおることはだれが見ても明らかですけれども、しかし日本側の扱いとしては一バレル三十五ドルという値段が話が合わぬからという経済レベルの次元にとどめておけば、先ほど土井委員の質問にありましたように、それが何らかのあれで値段の話し合いがつく、つけば直ちに原油の売り買いが成立するというふうに、後へつなぐことのできる、そういうものをちゃんとわれわれの方でも確保しておくべきだ、こう考えるわけでありますが、その点についての大臣の見解をお聞きしたいと思います。
  380. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どももいま高沢委員から御指摘のようなたてまえでいくべきだと考えております。それは外でいろいろな解釈があるにいたしましても日本政府の立場はそういうことであるということで、これも今回ルクセンブルグで各国外相にも説明したことの一つでございます。
  381. 高沢寅男

    ○高沢委員 それと、石油に関連して実は私はある人からこういう心配を聞いたわけです。仮にイランがヨーロッパ諸国に対しても石油をとめるというふうになった場合、今度はヨーロッパ諸国にそれなりの石油の不足状態が当然生ずる、そうなってきた場合に、いま日本に対して石油を供給しているメジャー、まだ五〇%以上はメジャーを通ずる供給になっていますが、それらのメジャーがそういう段階が来ると日本へ回す石油をまたヨーロッパへ持っていってしまうというようなことになって、イランからの原油がとまるだけではなくて日本としてはそのほかにさらにもっと大きな石油不足の状態が出るのじゃないのか、こういうふうなメジャーの対応の仕方というものに対する心配をしておる、こういう面を、私、友人から聞いたことがあります。その点はわが国政府としてはどういう見通しを持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  382. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまの点につきましてはいろいろまだ見通しが立たない点もあるわけでございますが、仮にイランの石油の輸出がとまった場合に、完全にそれだけ世界市場に対するイラン石油供給が絶対的に減少するのか、あるいはどこかの市場を通して流れるのかという点も一つございます。それからEC諸国がいまイランから購入している石油の量は大体合計いたしまして三十万バレル・パー・デーくらいでございます。日本は五十二万バレルの契約を従来持っておるわけでございますし、ヨーロッパは量的にはそれほど大きなものではない。一般の世界の石油需給の中で見ていく必要があるのではないかと考えております。
  383. 高沢寅男

    ○高沢委員 もうそろそろ持ち時間が終わりますので最後に、この四月の末から五月初めの連休のときに総理と一緒に外務大臣も訪米されるわけですが、その際、私たちの気持ちとしては、アメリカから日本に対していろいろ要求が出るだろうということが考えられますが、そういう場合にアメリカのいろいろの要求が出る中で、こちら側としてはどうしてもこれはイエスと言うわけにはいかぬ、こういうことには必ずノーと言う、こういう一つのものをきちんと持っていってもらいたい。また逆に、こちら側から積極的にアメリカに対して、こうすべきだ、こうした方がいいじゃないか、また言うべきことも当然あるだろうと思うのです。そういう点において、大変漠然たる話で恐縮ですが、大臣のお考えとしてこれは必ずノーと言うというような問題としてはいったい何が考えられるか、今度はこちらから必ずアメリカに要求するあるいは勧告する、忠告するというふうなものとしては何が考えられるか、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  384. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは先方からどういう話が出るかまだわからない段階で、私からどういうことにイエス、どういうことにノーということは申し上げにくいわけでございますけれども、一般的に言えば、イラン問題の、平和的解決にはぜひアメリカとしても十分考慮を払ってほしいということは当然言わなければならぬことだと考えております。
  385. 高沢寅男

    ○高沢委員 アメリカに言うべきことということに実は関係いたしますけれども、私いままでもこの外務委員会の質問の中で申し上げたことがありますが、今度のイランのアメリカ大使館の人質をとっているという問題ですね、ここには実は価値観の違いがあるということを一つ見るべきだと思うのです。  いままでの国際法の常識、そこに伊達条約局長もおられますが、こういう国際法の問題というのは、大体ヨーロッパのそういういろいろな国際関係の中から形成されてきた国際法の一つの原理原則であって、その立場からすれば、他国の外交官に対する身柄の拘束とか等々のことをしてはいかぬ、これは確かに重要な外交の原則であるわけです。それをイランが犯したのはけしからぬ、こういうことになっているわけですが、今度はイランの側からすれば、彼らにとってはいま一番重要な価値観の問題はそこにあるのではなくて、二十数年間のパーレビの支配体制を乗り越えた革命を達成した、まだその革命の発展継続の段階に自分たちはある、パーレビ革命をやったその相手の背後に、とにかく終始一貫してアメリカの支配というものがあったわけですから、そのアメリカに対する一種の責任の追及といいますか、あるいはその責任を明らかにさせるというところにイランの側の最大の価値観が置かれている。この食い違いというものはなかなかいままでの措置で解決できるものではないんじゃないか、私はこういう感じがするわけです。  そこで今度のこの人質問題の解決ということを本当にやるためには、私は、むしろアメリカの側からとにかく過去二十数年にさかのぼった経過はイランに対しては申しわけなかったということが一つ当然出るべきだと思うのです。その申しわけなかったという上に立って、じゃパーレビの扱いをどうするとか何々をどうするというのはその次の問題ですが、そういう大前提が出れば、案外それでは具体的措置はどうするかということはそんなにむずかしくなくアメリカとイランの間の合意ができる、人質の解放ができるということにほぐれると実は私は思っております。そういう点においては、北風の寒い風を吹かして力で解決するというやり方よりは、太陽の暖かい熱で解決するというやり方が正しいと思います。この点が今度の訪米に当たって一つの重要な基本問題として日本側からアメリカに対して忠告する、勧告をするという一つの大きなポイントになるのじゃないかと私は思いますが、この点はひとつ向こうに行ってカーター大統領にそういう勧告をされるお考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  386. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 総理とカーター大統領の会談で当然イラン問題、アフガニスタン問題その他世界情勢についての話し合いも出てまいるかと思います。その間において、とにかく長期的な立場、中東全体の情勢あるいは世界情勢全般の立場ということについての意見交換が行われると思いますので、その過程でただいま御指摘のような問題も出てくる可能性もあるのではないかと思います。
  387. 高沢寅男

    ○高沢委員 大いにそういう意見を積極的にアメリカに述べていただきたいということを重ねて私は要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  388. 中尾栄一

    中尾委員長 渡部一郎君。
  389. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 短時間でありますのでなるべく重複部分を避けお尋ねしたいと思いますが、まずイランに関する九カ国の外相会議における決定事項、ルクセンブルクの決定事項に対して、わが国はこれに一〇〇%同調するのか、それともある部分留保して同調されるのか、その辺からまずお伺いします。
  390. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは私も各外相との話し合いの上で、各国それぞれの事情があるので、基本的な精神において協力する、しかし具体的なデテールについては違う場合もあり得るということを申し上げたわけでございます。  なお、ちょっとこの際、恐縮でございますが、いまの高沢委員の御質問に対しまして、人質問題とその前のイランの情勢、パーレビ時代の問題を含めまして、これについては理由のいかんを問わず国際法に対する違反という問題があるわけでございますので、その御趣旨の点についてはかなり細心の注意が要るだろうと考えております。この点だけちょっと補足させていただきたいと思います。どうも失礼いたしました。
  391. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 このルクセンブルクの決定の第五項に、「九カ国外相は、事態の継続が国際の平和と安全を危うくすることを深く憂慮し、自国の議会に対し、否決された一九八〇年一月十日の安保理決議案及び国際法の原則に従って対イラン制裁を課すために直ちに必要な措置をとるよう要請することを決定した。」こうぱちっと書いてありますね。あなたはこれについて、いまのお話でいけばここ、この外務委員会に対して、日本の国会に対して、それを要請するのですか、しないのですか。一番肝心なところが全然あいまいですね。
  392. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは先ほども申しましたように、早急に政府内部で検討した上で、これは国内各省庁にも関連の大きい問題でございますから、その上で日本側としての対応を考えたいという段階でございます。
  393. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは違います。日本の憲法によれば、国際法における諸協定というものを戦前の日本は守らないため、多く国際信義を破り、国際的な信用を失った経緯にかんがみ、憲法にはその条項が記されているのです。国際協定は誠実に遵守しなければいけないのです。だから、あなたが言った、いろいろな関係各方面に影響があるから、これから相談してそれからどうするか決めますなんということを言うちゃいかぬ。悪法違反です、そんな答弁は。だから当然ここに書いてあるとおりに国内諸官庁にやらなければいかぬというのをあなたは言わなければならぬ。そうしないととんでもない事態が持ち上がるから、私は心配して言っているのですよ、どうぞ。
  394. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これはEC九カ国の決定でございます。日本は呼びかけを受けておる。それに協力するということを申しておるわけでございますが、協力の対応につきましては、先ほど申しましたように、その国情がいろいろありますし、何から何まで同じというわけにはいかない。日本独自の立場で基本的な精神を生かしつつどういう形で協力をするか、これはやはり当然慎重に検討すべき問題だと思っております。
  395. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、先ほどからの御答弁を聞いていて、きわめてあいまいですね。何をするんだか全然わからないのです、あなたは。この基本精神は守ると言いながら、実際は何を、どこの部分を守るんだかがさっぱりわかりませんね。わが国会としては論議することができない。  九カ国外相会議に影響を与えるために行って、それを尊重すると公言、宣明して帰ってきて、九カ国外相会議の決定がこうやって出てきたら、その中の主要部分についてまだ決めていないと放言するのだったら、あなたは国会に対して何を説明なさっているのですか。これはとても私はうなずけません。報告にならないじゃありませんか。
  396. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 まだ実は関係閣僚にもルクセンブルグの模様を報告する時間がございませんで、明朝関係閣僚の会議がございます。  いまのECの決定にもございますように一月の安保理事会の決議案の実行ということになるわけでございまして、その決議案の内容に盛られた項目について具体的に日本がどういう協力ができるかという検討の段階に当然入っておると思います。
  397. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 そうすると、あなたの日本語はわかりにくいから私が解釈をして申しますと、九カ国の外相会議の決定にもかかわらず日本政府は対応について決めていない、まず決まっていない、これから各大臣とも相談して決めなければならない、ただし、その時間が外務委員会に余り早く駆けつけたので相談ができなかった、悪いのは外務委員会である、それで外相会議の方は、外相会議の結論に従うかのごときニュアンスを与えることによってうまく丸めてきました。こういうことでしょう、ずけずけ言えば。
  398. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 もう少し事態は深刻だと考えております。ヨーロッパ各国のこの問題の受けとめ方も非常に深刻であるという印象を受けたわけでございます。ですから、いまの御質問、具体的にどうするのだということになりますと、先ほど来基本的な精神においては共同することを政府としてもコミットしておるわけでございますから、具体的内容についてはやはり政府の内部で慎重に検討しなければ、いまの段階では言えないということでございます。
  399. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 あなたは単なる下僚としてあそこに行かれたのではなく、政府を代表して、先ほどの決議案に対するお答えも日本政府を代表しておっしゃいましたように、代表して行かれたのです。これから相談しなければ何も話せないというのでは代表して行かれたことにはならない。私は、その辺大きな不満を持っているわけであります。ただ、この問題幾ら言っても仕方ないでしょうから、次に方角を移して申し上げたい。  私は、いま高沢委員の最後の御質問を非常に興味深く拝聴しておった。それはなぜかと言うと、イラン革命というものに対して日本政府は支持するのか支持しないのか、イラン革命を否定する側に回るのか肯定する側に回るのか、一切議論しないまま、ここで論議が行われようとしている、そこに混乱と立場の異同があるのではないかと思います。  なぜかといえば、明らかにアメリカの大きな影響力の中にある日本が、アメリカの強いインタレストを無視して外交をやっていくわけにいかない局面があるのは理解することができるし、アメリカの大統領選挙においてイラン問題やアフガニスタン問題を強く取り上げることによってカ−ター民がその選挙運動の票を猛然と伸ばしてきたということは、もう客観的事実としてわれわれの目の前にありありと見えています。しかし、ありありと見えているその問題が、だからいまの段階においては人質解放がうまくいかないことで逆に滑り下がり始めようとしている。こういうときにアメリカの後ろについているだけついていて、そしてアメリカに迎合するだけで日本の外交がうまくいこうとは私は思われない。  たとえば、イランの石油積み出し港の周りを機雷で封鎖するという話が公然報道されておる。またそれに対抗してソビエトあるいは東欧圏の国々、ソ連、東ドイツ、ブルガリアの貿易使節団が来ておる、またチェコとは貿易協定ができた、ソビエトとも貿易協定ができたと報道されておる。まるで、このイランを東欧圏あるいはソビエト圏の中にけ込むためにアメリカは死にもの狂いになって駆け回っているように見える。  そういうときに、アメリカの友好国の立場としての日本が、アメリカに対して、一方ではそういう乱暴なことをやるべきじゃないよとたしなめると同時に、イランに対して、イラン革命というものを覆そうというつもりはないのだ、そのかわり五十人の人質は放せ、そして火種を取り除いて、ある意味ではカーターさんのポイントにもしてあげる、こういう交渉ができるのは、アメリカに大変影響性を持ち、これまでイランに非常に友好的な立場をとってきた日本の外交がよく果たし得るところではないか、こう思うわけなんですけれども、その辺について日本の外交は余りにも手の打ち方がか細かったように見えるのです。その点どうですか。
  400. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 イラン革命につきましては日本政府も従来これを理解する立場をとってきておるわけでございますし、日本側にイラン革命を妨げる意思はない。これは現地の大使を通じて再三先方にも伝わっていることでございます。ただ、それだからといって、人質問題を正当だと言うことはできない、これは間違っているというのが日本の立場でございます。
  401. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは何回も討議しておりますから私も存じているわけです。それはおっしゃらないでもいい答弁です。もっと大事なことを言わないためにいまそう言われたにすぎない。  ようございますか、イラン革命を支持しているのだったら、イラン革命を覆すつもりはないというアメリカ側からの保証を取りつけてイラン側に説明してあげるだけの親切さがわれわれになければならないし、そして、それは日本の利益になることなのだからやるべきじゃないだろうかと言っておるのです。  もう一つは、人質をつかまえてどうこうしてけがをさせればアメリカは戦争するしかなくなるほどの強烈な政治圧を内部から受けていて、アメリカも意外に弱いんだということをイラン側に説明しなければならない。バニサドル氏だけではなくて、その後ろにいる催促団体の親玉に対しても言わなければならないでしょう。それをやらなければいけないのじゃないですかと言っているのです。
  402. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 それはやはりEC諸国日本との協力関係でそういう役割りを果たすことがより効果的だろうと思います。
  403. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 もし経済封鎖が行われたら、一番打撃を受けるのは日本だと私は思います。日本に入ってくる油の一一%がカットされるのですから、強がりを言おうとしても、かなり大きなものです。しかも、もっとひどいことは、イランの積み出している油のうち四〇%が日本向けです。これはイランに対してもっと大きな打撃になるでありましょう。油一つをとってもこれほど大きな関係を持っているのは日本だけです。ECの国でこれほど大きな関係を持っているものはほかにありません。ぼくは、ECと結べば効果的であるという答弁は逃げだろうと思います。経済封鎖したときに最大の打撃を受ける国はむしろイランと日本ですから、ECどころの騒ぎではない、ECと調子を合わせていればいいというだけでは済まないでしょうと申し上げているのです。  だから、EC外相会議の後ろに隠れていて、同じようなイラン制裁をすることによってアメリカからの圧力をかわすという一面だけでは足らないのではないだろうかと言っているわけです。進んで火種をつぶすために、日本外交はEC外相会議に参加するだけでなく、別の手、別の取り組み、日本にも人材が多いことですし、外務省にもお人がたくさんおられることですから、その有能な人材を派遣して、この火種をつぶすためにもっと手を打つべきではないかとさつきから議論しているわけであります。いかがでしょうか。
  404. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまのような御意見は十分承って検討させていただきたいと思います。
  405. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 東京サミットの際、思い出すのでありますが、当時日本へ来られた西ドイツの首脳に対して諸外国が大変大きな賛嘆の言葉を送っておりました。それは何だったかと言いますと、イランからソビエトを経由して油を買うというやり方に直前に成功しサインをしてきたからであります。イランとソビエトの間は友好条約あるいは不可侵条約のたぐいのものが結ばれており、もしイランが石油を積み出さないと言えばソビエトが制裁するある種の権利を保有しております。そのため、ドイツはイランから恒常的にかつ非常に安定的に油を買うことができたと言われており、この協定は称賛されたものであります。日本はイランから直接油を買うためにこんなにも大きな打撃を受けているわけであります。西ドイツでは外交的な先見性のあるこういう手がとられたのに対して、日本は何もしていないではないか、こういう非難を日本外交はいま受けているわけであります。  私はドイツと同じ手が日本に通用するとは思いません。しかし、ここで注目しなければならぬのは、もしEC諸国アメリカ日本が東になって経済制裁を加え、あるいは機雷投下などという半分軍事的な制裁措置をとる段階になったときに、イランの北部に対してソビエトが出兵することはあり得る。そしてそれは前例がある。アフガニスタン問題とひっくるめて回教徒側の味方としてソビエト側が登場してくる可能性がある。そしてそういうやり方がもし行われるならば世界大戦の引き金も引いてしまう。これはアメリカ側にとってもECと組んだ日本にとっても何にもならないではないか。こういう拙劣な戦略のもとにこれ以上押すのはいかがなものか、戦略的な再考慮がいま要るときじゃないのか。アメリカに対してもその点をわれわれは説得すべきじゃないか。こう思っているのですが、いかがですか。
  406. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまのような問題点につきましては各方面で同意する方も相当多いのだろうと思います。一つのむずかしい問題は、アメリカ国内の意見が非常に高ぶっておるということで、その高ぶっている国内感情を勘定に入れてと申しますか、さらに有効な意見をアメリカに対して言い得るためには、アメリカに対して非軍事的な措置の面で協力するというたてまえを明らかにした上で申し入れをするのがいまのアメリカの国内情勢から見て必要ではないか。それなしに、ただこうしたらいいじゃないか、いまのやり方はおかしいではないかという申し入れだけでは、自分たちの友好国はアメリカがいま味わっておる苦悩といいますかグリーバンスを理解しないで説教だけするという強い反発がはね返ってきておるのがいままでの状況でございます。この点はEC諸国も十分に考えた上で、最近の措置になったのではないか。先ほど来申しましたように、それぞれの国が単独で動くよりも似たような状況に置かれておるEC諸国日本が共同して行動する、発言することがより効果的ではないかというのが現在の私どもの考え方でございます。
  407. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 いま日本外交のとる方針について外務委員会らしく討論しているわけでありますが、ぼくはECと組むことをやめろと言っているわけではございません。ECと組んで行動することは非常に大きな効果が上がる面があるのを私は認めております。しかし、ECと組んで行動する際に、イラン側の心のひだの中に入る手を打たなければ、アメリカを説得することはできてもイランを説得できない、人質をつぶしてしまえば元も子もなくなってしまうだろう、むしろイラン側から人質を取り返す先頭にわれわれは立たなければいけないのじゃないか、こういう点にポイントを置いて私はいま物を言っているわけであります。  ぼくは、アメリカを相当怒らせたとしても、人質をひったくり返して、そして人質をカバーしてアメリカ側に返すことに成功すれば、アメリカはおさまることはできると思います。その見通しをつけなければならないと思う。  そのためには——非常に妙なことですけれども、EC諸国とイラン政府との交渉を見てみますと、政府と政府間の交渉は何十回も行われ、何回か協定に達したという情報やいろいろな報告があるにもかかわらず、最後の瞬間でホメイニ師の一言でひっくり返ったとか、そうした事態がしばしば報道されております。それが本当かどうか、私ちょっと定かではありません。しかし、この革命の実質的な中心的指導部であるホメイニ師を中心とするグループによってこの判断が行われ、事態の緊張をもう一つ深めているということは明らかです。ところが、このグループとはどうやら会いにくいらしい。このグループに対してEC諸国なり日本なりの外交官なり適当な交渉員が交渉にかかったということは、私は寡聞にして聞いておらないわけであります。  私の言うのはここです。要するにバニサドル大統領あるいはまだ成立してはいないけれども実際的な内閣の形をとろうとしているこういう内閣自体に対しては何回も外交的に約束することはできるのに、実施の段階になってひっくり返ってしまう。もう一つのセンターがある。そのセンターを除いて何の交渉をしてもだめなのじゃないでしょうか。そのセンターに乗り込んだ上、先方の事情を聞きただし、要求事項を取り上げ、そしてアメリカに取り次ぐためにECとそれこそ相談しながら、その点に日本外交はもっと死にもの狂いの努力をやってみせる、何回も断られてみせる、テヘランに行って日本の外交官が苦労してみせる、それ自体がアメリカ外交、アメリカ人の高ぶった感覚というものを静め、世界戦争の火種をつぶすもとになるのではないか、日本人が苦労してみせなければいけないのではないか、日本外交が血まみれになってみせなければいけないのではないか、戦争の火種をつぶすためにはそれだけの仕事をしていいのではないか、私はそう申し上げているのですが、いかがですか。
  408. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもは、それも一つの検討に値する行き方だと存じます。同時に、ヨーロッパ諸国が持っておりますいろいろなチャネルというものも考えるべきではないか。それから一つには、ホメイニ師がこの問題は選挙された国民議会が決めるべき問題だという声明をしておるということも同時に考慮すべきことだと思います。  ただいま、いろいろな点につきまして日本自身のやるべき問題、御指摘があったわけでございますが、現段階におきましてECとの協力ということを打ち出しておるわけでございまして、この協力した努力をできるだけ効果あらしめるために日本としても努力をしていくということが当面やるべきことだろうと思っておるわけでございます。
  409. 渡部一郎

    ○渡部(一)委員 それは、ECとの間で協力ということをやっておるのだからそれを実現したいといまおっしゃいました。しかし、EC外相会議の結論について、それを支持するのか、それをどこまで実現するか、きょうは何も御発言になりませんでした。私は、その内容こそまさに討議されなければならない問題であり、遺憾ながら外務大臣はお一人でその内容についてきょうは触れられないとおっしゃるのですから、それは他の閣僚とも御相談の上、ここへ来て開陳される必要があると思います。論じなければならない。それがなければ私たちは、外相会議に行ってまいりました、いろいろお話を聞いてまいりました、だけれどもこっちでやることはわかりません、だけれども今後協力します、こういうきわめて妙な御発言を承っただけにきょうはとどまるわけであります。  大臣は私がつけつけ申し上げるので非常に困っておられるのはわかっております。もうひたすらガードを高くしてゴールキーパーのようにきょうはがんばっておられますので、私はもうこれ以上やっつけるのに忍びませんし、聞いてもだめらしいということだけはさっきからよくわかっておるわけでありますが、ぼくがどうしてもやっていただかなければならぬのは、ECと調子を合わせるということだけしか、現実の戦略しか語られないのではなくて、このイラン問題全体を片づけるために日本の外交が前へ乗り出さなければ、アメリカの興奮がよけいな戦争への引き金を引き起こすとしたら日本の被害はもう最大のものになる。  むしろ私が心配しているのは、逆から見れば、最近アメリカ日本外交に自動車の輸出入その他で非常ないら立ちを見せておりますし、失業問題にもいら立ちを見せておるが、この際イラン問題で経済封鎖をするということを決めることによって日本経済に打撃を与えるという判断がアメリカの戦略として行われるとしたら、収拾のつかない大きな打撃になるだろうと私は思います。私は現実にアメリカがやるとは言っておりませんが、国際外交ではそういうことはしばしばあることです。それまで考慮するならば、このような大きな火種を放置しておいていいはずのものではない。  私は、あなたの後列に優秀な外交官僚がきょうは首をたれて下を向いておられるのがわかっております。へたなことを言われないように下を見ておられるのか、深い思索にふけっておられるのか知らぬけれども、私は、こういうときこそ局長級を派遣し、審議官クラスを派遣して、それこそテヘランに行って帰ってくるなと言うぐらいのことはやるべきではないか。また、国会議員にもそれこそ優秀な方がおられるのでしょうから、特派大使も続々繰り出して交渉すべきではないのか。そして、そういうことをやってみせることが日米関係も安定させ、ひいては日ソ関係も安定させる。こういう湾岸諸国の紛争というものに対して油を買うだけでなく火種を消すために日本民族は本当に死にもの狂いになったということが、イスラム世界にもアラブ世界にも浸透することが、日本の平和外交のゆえんではないかと私は思うのですけれども、どうでしょうか。細かいことを伺っているのではなくて基本的な態度を伺っておるのです。
  410. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先ほども申し上げましたように、渡部委員の御意見というものは十分検討させていただきたいと存じております。
  411. 中尾栄一

  412. 野間友一

    野間委員 外務大臣お疲れさんです。ただし、やられたことあるいはその効果については、私ははなはだ疑問に思っております。  まず、土井委員の質問に対しまして外務大臣は、この九カ国外相の決定につきましてECと共同行動をとる、こういう発言がありましたけれども、これはどういう意味合いでしょうか。この決定に即して同じように行動をとるというふうに私は聞いたわけですけれども、そうでしょうか。
  413. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 基本的なラインについては協力してやるという意味で申し上げました。先ほども申しましたように、個々の具体的な措置については各国の国情がございますからある程度違いが出てくるのは当然だと思いますけれども、基本的なラインについては協力してやるという意味でございます。
  414. 野間友一

    野間委員 きょうの夕刊によりますと、これも同僚議員、土井委員の方からも質問があったわけですが、和田大使が二十六日にテヘランに帰る、そういうふうに外務大臣が指示をしたというような記事があります。午後八時成田発の日航機ということまで特定してありますけれども、これは事実かどうか。そして、テヘランへ帰られるのはどういう目的で帰られるのか、その点について伺います。
  415. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 それは事実でございます。その日直行機がございますのも一つでありますが、一つには、ルクセンブルグでの各国の動き、大体大使の帰還の時期もある程度時期を合わせるということも含めまして、そのころが適当じゃないかという判断をいたしたわけでございますが、あとはこれはルクセンブルグのいまの決定にもありますように、再度イラン側に人質解放について働きかける、それから捕虜の扱いについての状態改善についても要請する、そういうような行動に日本の大使も直接加わるということになると思います。
  416. 野間友一

    野間委員 この外相決定によりますと、六項のところに「下記措置が、未だ実施されていない場合、遅滞なく実施に移すことを決定した。」そういう中で、大使館員の削減とかあるいは外交官数の削減等ありますけれども、それは次に聞きますが、その後で七項のところで、「九カ国外相は、各々の大使に対し、本決定をイラン政府に伝達し、情勢を追求し、また、人質解放までその生活状態を改善するために全ての努力を行わしめるため間もなくテヘランに帰任するよう命じた。」 夕刊によりますと、もうすでにECはこの決定に基づいて帰任させておるようですけれども、和田大使の帰任も、この九カ国外相の決定のいま指摘をした七項、これに即してそういう指示をされたということになると思うのですけれども、そうでしょうか。
  417. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 大体そのようなことになると思います。
  418. 野間友一

    野間委員 そうしますと、この点については九カ国外相決定の中身を、先ほど共同歩調をとるというふうにおっしゃいましたけれども、すでに実施されておるということになるわけですね。  その外交官の問題ですが、六項に、いま申し上げたように、テヘランにある大使館員の数の削減あるいはイランの外交官数の削減というようなことを「遅滞なく実施に移すことを決定した。」こうありますけれども、わが国の場合、日本にあるイラン大使館の外交官の数の削減、あるいはテヘランにある大使館員の削減というようなことについては、この決定に即してもうすでに決められておるのかどうか、いかがですか。
  419. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 目下検討中でございまして、まだ決定いたしておりません。
  420. 野間友一

    野間委員 検討中ということは、削減もあり得る、削減も含めていま検討しておる、削減しなければ検討の必要はないわけで、削減も含めてあり得る、そういうことで検討中ということですか。
  421. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 あらゆる側面から検討いたしておる次第でございます。
  422. 野間友一

    野間委員 ですから、あらゆる側面というのは、いま削減も含めて検討しておるというふうに私は聞いたわけです。  さらに、外務大臣は、和田大使が帰任して申し入れをする、そういう目的もあるというような答弁があったわけですが、この申し入れというのは一体中身は何なのか。特に先ほど引用した七項のEC諸国の大使の帰任、これは「本決定をイラン政府に伝達し、情勢を追求し、」こういうことになっておりますね。そうしますと、和田大使の帰任に当たり、この申し入れについてもECに即して同じようにそれまでに、二十六日に出発するわけですけれども、日本態度を決定して、それを和田大使が持って帰る、こういうようなことになるのでしょうか、どうですか。
  423. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 先般の申し入れの際には、ECの大使と和田大使と共同で申し入れをいたしたわけでございます。今度の場合には、ECの決定とそれから日本政府の考え方、それから人質状態改善に関する申し入れ、そういうものがいろいろ考えられると思います。
  424. 野間友一

    野間委員 そうしますと、先ほど共同行動、おおむねECの決定、これを基礎にしてという話がありましたが、和田大使が持って帰られるわが国の方針、それはこの決定の中身、これを日本の国に即して決めて、それをイランに持って帰る、こういうことになるわけですね。
  425. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは先ほど来お答えいたしましたが、具体的な内容についてはいろいろ検討する必要のある事項があるわけでございますので、大使の戻る段階におきましてはまだ大綱にとどまると思います。
  426. 野間友一

    野間委員 そこで、決定の中身の問題について少しお伺いしますが、先ほど渡部委員の質問にもありましたが、まず第一の段階として、自国の議会に対して直ちに必要な措置、こういうことが決定されております。そこで考えるのに、日本の場合にこれに当てはまるようなものがあるのかないのか、先ほど検討中というふうな話がありましたけれども、考えられるとすればどういうものがあるのか、これをひとつお答えいただきたいと思います。
  427. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これは、九カ国外相会議の決定は五月十七日という期限がありまして、その後は安保理事会の決議案の実行ということになるわけでございまして、日本としても安保理事会の決議案、これは否決にはなったわけですけれども、これを実行するに伴う諸措置についての検討を早急に進めなければならないと思います。
  428. 野間友一

    野間委員 その中には、報道などによりますと、貿管令なども五月十七日をめどにして使えるような体制というようなことも報道にありますけれども、それも含めていま検討されておるということになるわけですか。
  429. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 そういう問題も検討の内容の一つの項目になり得ると思います。
  430. 野間友一

    野間委員 ところで、先ほどからの論議にもありましたけれども、わが国とEC諸国、これがイランに対する立場は相当な違いがある、こういうふうに私は思うわけです。特に油の問題がその典型的なものであります。国内のエネルギー需要に占める輸入する石油、これの比率を調べてみますと、西ドイツが五一%、イギリスが二五%、日本は実に七三%、ECに比較して比較にならない大きな比重を占めておる。そこで、このイランをとるのかアメリカをとるのかという二者択一の問題がよく出ておりますけれども、ECに比較して日本の場合は、いま申し上げた点からしても立場に相当大きな差がある。したがって、ECに同調するというようなことについてはおかしい、私はこう思うわけであります。  まず、そこで聞きたいのは、国内のエネルギー需要に占める輸入石油の割合、これはいま指摘した割合で、日本の場合にはとりわけ依存度が高い、こういうふうに私は認識しておりますけれども、その点についてはいかがですか。
  431. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いま野間委員の言われた数字は、私もそのとおりだと了承しております。石油の依存度が一次エネルギーの中で約七三%ということでございます。
  432. 野間友一

    野間委員 このECの決定、そしてこれに即して、日本の場合、制裁の中身を考えるということですけれども、果たしてこれで効果があるというふうに考えられるのか、多少の犠牲を払ってもいま当面アメリカに協調して、そしてこのような制裁に同調するということになるのか。もしこれがイランに対する敵対行為として、イランからの油が入ってこない、あるいはいろんなそういう複雑な関係が出てくるということになりますと、はかり知れない犠牲なり、あるいは打撃を私たちはこうむることになる。  そこで、そのような立場に立って、外務大臣としては、これらの行為に対していい効果があるというふうにお考えなのかどうか。
  433. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 EC諸国また日本としても期待いたしておりますことは、イランにおける人質解放が五月十七日までに何らかの意思表示が行われる、他方、アメリカに対しては平和的な交渉を超える次のステップというようなものをできるだけ自制してもらうという、両方の効果があるというふうに考えております。     〔委員長退席志賀委員長代理着席
  434. 野間友一

    野間委員 カーター大統領が、これは大統領候補の政策だというふうなことまで言われておりますけれども、選挙を目前にしてリーガンとの対立関係の中でそういう強硬な措置をというようなことも一部報道でも言われておりますけれども、とにもかくにも、EC諸国に比べまして、アメリカのとった措置に対する日本の対応を見ますと、間髪を入れずこれに協調しておるというのが特徴だと私は思うのです。先日の当委員会におきましても、いち早く日本が、外務大臣が理解を示す談話を発表した、これが一つであります。さらに伊東官房長官もいみじくもこれを認めたわけでありますけれども、あの原油の輸入、二・五ドルをめぐる、こういう値段が高いということで輸入を停止するということも広い意味における同調行動だということも言っておられるわけです。しかも外電等を見ましても、ニューヨーク・タイムズあるいはワシントン・ポストが日本に対して大変感謝する、マンスフィールド大使もそういう大きな評価をしておられる。また日本においても伊東官房長官みずからがそれを認められておる。最近軌道修正されて、これは純粋な経済問題なんだということを言われておりますけれども、しかしこれはまさにまやかしで、イランの認識も、アメリカも、そして政府の官房長官も、まさにその認識と申しますか、これの評価は一致しておるわけですね。したがいまして、ECに先駆けてアメリカの後を追っていく、しかもECへ大来さん行かれたわけですけれども、これはイランからの原油について通産省の指示のもとで輸入を中止する、それをみやげにして行かれたんじゃなかろうか、こうすら私は思うわけですね。  イタリアの外相初め幾人かの外務大臣ともお会いになっておりますけれども、新聞報道などを見ましても、何か日本の基本的な立場を示しましてそれに対して理解を示す、その後でEC九カ国の決定が出ておるという経過からして、私はどうもそういう感じがしてしようがない。  大来さんは三月にアメリカにいらっしゃいました。そしてこのECのルクセンブルクにも飛ばれたわけですが、私はアメリカとイランとの関係について見てみますと、やはり話し合いで解決する、そのためにはアメリカへ行って物を申す。高沢委員の質問に外務大臣も答えられましたけれども、やはり二十数年間パーレビ国王を通じてアメリカは民族自決あるいは天然資源の恒久主権という点からいろいろなことをやっておる。したがいまして、人質事件はけしからぬことはそのとおりでありますけれども、その背景、基礎にあるものですね、イランに対してきっちり謝罪をするということを、日本アメリカの友人であるとするならば、アメリカに対して当然そのようなことで平和的な解決を中心として説得なり勧告をする。同時にイランに行きましても、たとえば油の価格の問題あるいは人質の解放の問題等、日本の政府はもっと積極的にこれに入って、そして平和的な解決を一日も早くやっていくという立場をとることが必要ではなかろうか、私はこういうふうに思うわけですが、外務大臣いかがですか。
  435. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本の立場といたしましては、現在のアメリカとイラン、あるいは世界情勢について、率直な意見交換をすることが必要だと考えております。  イランにつきましては、先ほど来いろいろの御質問がありまして、それにお答えしたようなことでございまして、いまの段階で、ECとの協力のもとに、日本もその一つの有力なメンバーとして努力するということが必要だと思うわけでございますが、六カ月近くの間いまだに人質が解放されない、ある段階においては解放されそうな情勢に向いていった、その間いろいろな形でのイランと米国との対話もあったように聞いておりますけれども、それが結局いまだに実現を見ていないという情勢に対しては、アメリカ国民の非常ないら立ちは理解をするわけでございます。  基本的には、日米関係というのはやはり日本の外交の一つの大きな柱だと思いますし、今度ルクセンブルグに参りましても西欧諸国も対米関係、アトランティック・ソリダリティーと言っておりますが、大西洋をはさむ自由民主諸国の連帯、これが重大な危機になればなるほど重要だ、これがこわれて、ヨーロッパとアメリカ日本とばらばらな立場になれば、世界の情勢の中で自由な民主主義諸制度を守る力というものは非常に弱まってしまうという心配を持っておることは共通する考え方だと思ったわけでございます。
  436. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたので最後に、わが党はこの問題についてはすでに政府に対して申し入れをしております。それは軍事介入等を中心とするアメリカの行動がもし万一あった場合でも、日本の基地を使わせるべきでない、あるいは日本独自の立場、国益を考えて行動をするべしということ、さらにアメリカとイランの間についての話し合い解決に積極的に日本政府としても努力をする必要があるということについて申し入れをしております。  外務大臣は総理と一緒にまたアメリカに行かれますし、先ほどの答弁を聞いておりますと、五月十七日前後にまたECへ行かれるやに伺ったわけですけれども、少なくともイランに対して、和田さんを帰任させるということはいま聞いておるわけですけれども、やはり大臣が行ってそして平和的な解決をする、その仲立ちと申しますか、十分イランの立場をお聞きになる、そしてアメリカに対しても言うべきことは言うというようなことが必要ではなかろうかというように私は思うのです。高沢委員の質問に対して、謝罪する可能性ですか、何かそれに関連する答弁があったやに私は思いますけれども、そのような独自の立場をおとりになる、イランへぜひ行ってみようか、アメリカに対して説得するというようなことを当委員会においてぜひ答弁していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  437. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 五月十七日にはEC九カ国の次の外相会議がナポリであるわけでございます。日本はそのメンバーでございませんから会議に出るわけにもまいりませんが、今回は外相が集まる機会をとらえて個別的な会談をしたわけでございます。  それで、十七日に参るということは私は答弁しておらないので、二十二、三日ごろにパリでIEA、エネルギー機関の閣僚理事会があるからそれには多分出なければならないのではないかと思っておるということを申し上げたわけでございます。  それから、高沢委員日本が直接イランとの関係でもっと真剣な努力をすべきではないかという御意見は、十分承って検討いたしたいというふうにお答えしたわけでございます。
  438. 野間友一

    野間委員 終わります。
  439. 志賀節

    志賀委員長代理 渡辺朗君。
  440. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 外務大臣御苦労さまでございました。最後の質問者でございます。また持ち時間も少ないですから、お願いをいたします。  幾つか確認をさせていただきたいと思うのです。  今回外務大臣はECのメンバーではない日本の代表としてEC外相会議理事会に出られたわけでありますが、どんなステータスにするのか、あるいは今回出席されるに当たってどんなステータスであるべきか、そういう点については何らかの話し合いを先方側とされたのでございましょうか。招かれざる客ではなかったと私は思います。頼もしい客分として待遇をされたのかもわからないし、あるいはまたハムレット日本の代表という感じで受け入れられたのかもわからない。外相としてはそこら辺、どのような心証でこの外相理事会に出られたのでございましょう。御心証を聞かせていただきたい。
  441. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 まず第一に、外相理事会に出席したのではございません。ルクセンブルグで九カ国外相会議が開かれる機会にECの主要外相との個別的会談を行ったということでございます。これはECの慣例によりましてメンバー以外の国の代表がECの会議に出ることは認められていないということでございまして、従来もアメリカから出席できないかというような申し入れもあったと聞いておりますが、一切メンバー以外は理事会には出ないという慣行になっておるようでございます。  しかし、ごく短期間ルクセンブルグに参りました機会に、先ほど申し上げましたようにかなり多数の人に個別的に会うことができた。これはもちろんECの理事国でございますイタリア政府を通じてルクセンブルグに参ることの了解は出発前に取りつけて行ったわけでございますが、向こうに行きまして、会談の印象では、歓迎、そういう機会を日本側が持つ努力をしたことを非常に喜ぶ、評価するといういろいろ意見の表明がございまして、招かれざる客ではなかったなという印象は持ったわけでございます。
  442. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 この理事会ではコミュニケが出ることはあらかじめ予想しておられたと思います。その場合に、EC各国の外務大臣お話し合いをされた際に、大来外相はこれに対しては、コミュニケの中身については同調していくよということはおっしゃってお帰りになったわけでございますか。
  443. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 コミュニケが今回の会議でまとまるかどうか、今度の日曜にございますECのサミット、首脳会議で決定するのではないかという見方もございまして、各国の外相と会いました範囲でも、ある外相は一日で決めるつもりだという意見、ある外相は場合によればその首脳会議まで最後的な決定は持ち越すかもしれぬ。そこらは、私は最後までおらなかったものですから確定的にはつかんでおらなかったわけでございますが、大体の印象としては今回決めるらしいという印象は持ったわけでございます。  一般的な考え方については、一方において共同してイランに早く人質の解放を求める、他方、米国に対してはできるだけいわゆる次のステップについて自制を求める、こういうことについて日本の考え方と先方の考え方が同一であるということを確認したわけでございます。
  444. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 関連してもう一つ確認をさせていただきたい。  今回コミュニケが出ました。理事会で決定した幾つかの事項があります。同僚議員からも指摘がありました。いろいろな内容を含んでおります。大臣として、個人としてのお考えで結構でありますが、このコミュニケにあるような対イラン措置を全面的にとることがいいのでしょうか、あるいは、二番目に、選択的にその項目をやっていくという方がいいのでしょうか、同じことをやるけれども、三番目に、たまたま結果的にこのコミュニケの中に盛られているものと同じになったという形をとる方が日本としてはいいのでしょうか、外務大臣個人の御見解を知らしていただきたいと思います。
  445. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまのお尋ねのような点につきまして個人の見解というわけにもいかないんだろうと思います。  いま三つの型についてお話しございましたが、基本的な方針については同調する、これはすでに政府としてもそういう方向で意思決定をしておるわけでございます。個々の具体的な中身については、先ほど来申しましたように、ある程度違う場合もあり得る、しかし基本的な方向については共同してやるということになるかと思います。
  446. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 これはそれ以上聞かないでおきます。  次に、もう一つ関連して確認をしておきたいと思います。  先ほど外務大臣は、今回のイランの原油の値上げ問題については、日本側がこれを拒否したということについて、これは制裁措置とは別のことであるとおっしゃいました。同僚議員からも指摘がありましたように、官房長官から、いやこれは広い意味での制裁措置の一環だ、そしてまたそれを否定する。国際的に見たら何か大変玉虫色に見えるのではないでしょうか。その際に外相がおっしゃった、これは純粋に商業上の措置であるというのが政府の統一見解とみなしてよろしいですね。
  447. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 そう考えております。
  448. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 次に、原油の問題が、これからの措置がどのように進んでいきますか、対イラン措置が進行するに従っていろいろ問題が深刻になってくるかもしれない。そのときに対日補完措置、原油提供についていろいろ新聞その他では報道されております。アメリカ側の方に頼んだのか頼まないのか、あるいはまた今回ECの外務大臣、特にイギリス、そういうところの外務大臣に対して提供をしてもらうとかいうような問題、あるいはIEAというような機関に対して国際緊急融通制度の適用、これは日本政府として正式に申し込みが行われたのでございましょうか。それは単に先方がこちらのことをおもんぱかって言っているという段階でございましょうか。
  449. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日本政府としては、仮にイランからの石油がとまるような場合には、第一に九十七日分程度あります備蓄を少しずつ崩していくということ、それから節約をさらに一層強めていく、その上にIEAの緊急融通計画の発動を情勢によっては求める。  この米国の問題については、一般的な話し合いはございますけれども、日本側から正式に要請するということではなくて、一般的な話し合いとして話に出ておるということで、当面はまず備蓄あるいは節約、IEAというようなことが考えられるわけでございます。
  450. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それについても確認をしたいと思います。それでは今後アメリカに対して、あるいはEC諸国に対して、あるいはまたアラブ首長国連邦に対して——日本に向かって好意的な発言も行われたようでございますが、これに対して申し込む用意はございますか。それはどのようなときに行われますか。
  451. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 これはいまいろいろな対策の中で、先ほどお答えしていま漏らしましたのに、場合によればスポットマーケットという——一般的にいま石油の需給が緩んでおる状態でございます。それからそれ以外の産油国でも供給を増加する可能性のあるものについては今後も検討していく、そういう余地はいろいろ考えられるのじゃないかと思っております。
  452. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 今回EC外相理事会の決定がどのような反応をイラン側にもたらすのか、私どもは非常に心配をもしながら実は見守っておるわけであります。これについていますぐというわけにはならぬかもわかりませんけれども、最近におけるイラン側の反応の仕方、一連の自由世界からのさまざまな提案あるいは動き、こういうものに対しての反応の仕方を実は教えていただきたいと思っておりますが、先ほど同僚議員の方から質問がありました。こういう状態が続いていくと、イランをソ連側の方に追いやるのではないか。  それに対する一つの問題として、きょうの報道にも、イランの通信社を通じて、サリミ経済相がソ連側と何らか重要な決定を行った、経済協力といったものを含める決定を行ったというようなことがありました。それについての政府側の答弁、私は少々不親切であったと思います。どの程度そういったものの情報をいまつかまれているのか。これはもうちょっと親切に教えていただきたいと思うのです。  外相にお聞きいたしますけれども、いかがなんでしょうか、今回のEC各国の外務大臣と個別にお話し合いをされた際に、このまま行くとイランをソ連の方に追いやるのではないかという憂慮が表明されたのでございましょうか。そしてまたそれに対する対策が論議されたのでございましょうか。大臣、まずお聞きしたいと思います。
  453. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 一つはソ連側という問題、一つは他のアラブ諸国に及ぼす影響というようなことも話題の中に出ておりました。  ソ連の問題につきましては、私の向こうにおりました段階では、いまの渡辺委員の御指摘のニュースはまだ出ておりませんでしたので、それをどう考えるかということでは話はなかったわけでございますけれども、一般的には、ソ連とイランの間の条約がある。これはイラン側は失効しておるという立場をとっておるようでございますが、ソ連側がどうとっておるのかまだ明確ではございません。ルクセンブルグで私の得ました印象では、経済的措置に関する限りにおいては、他のアラブ諸国から強い反発が出るということは多分避けられるだろう、しかし軍事的措置になるとかなり反応が出てくるおそれがあるという見方が多かったわけでございます。  ソ連が経済的にイランの要請にこたえるということがどの程度できるのか、これはいまのところ私も判断がつきませんけれども、西側から失うものを全部補うということもなかなかむずかしいのじゃないか、ソ連側の供給力、輸送手段というようなものもございましょうし。それから、もし日本に供給しない油を東欧諸国に回すというような可能性も当然あるわけでございますが、ただ、東欧諸国にそれだけの外貨があるのだろうかという問題も一つございますので、これはさらにいろいろ情報を集めて検討しなければならない問題だと思います。  それから、いまお尋ねのそのことについての情報というのは、もし政府委員が特にお答えすることがあれば補足させたいと思います。
  454. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それでは政府委員の方にお願いをいたします。  いま外務大臣が言われた、ソ連とイランの間に結ばれている条約というのは確かに幾つかありますが、その中でも特に心配されるのが、一九二一年に結ばれている条約であろうと思います。日本語では修好条約と書いてありますが、英語の方ではトリーティー・オブ・フレンドシップとなっております。友好条約であります。  特にその中の五条、六条の解釈について、中近東局長あるいは条約局長から御説明いただけませんか。たとえば、アメリカが軍事行動をとった場合には、このイランとソ連の間の条約というものが援用されはしないかという懸念があるからでございます。
  455. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 御質問の条項は、イラン側は、前の王制のときでも、これは実際上効力はなくなっておるのだというようなことを言明したことは御存じかと思いますが、そのたびにソ連側はそれを否定しておりまして、いやあるのだ、こう言っておったわけでございます。今度も、革命後のイランにおきまして、同じようにこの点は、これは廃棄したのだということをイラン側で申しておりますけれども、ソ連側はそれに対して、全くそれはそうじゃないのだということを言っておるわけでございます。  そういったような次第でございますから、これは国際法上は、もとより条約局長が答弁すべき筋ではございましょうが、やはりその合意がなくては援用できないのが当然でございます。  他方、法律的に見て、果たしてそれが本当に失効したと客観的に言えるのかどうか、これはまたいろいろ問題があるわけでございますが、ともかくも一方の当事者が、これはどうも効力がないのであると言っている以上は、他方が一方的にこれを援用するというのは、まことに不自然な話ではないかと存じます。  きわめて抽象的でございますが、御質問の御趣旨はその辺にあろうかと思いまして御答弁申し上げます。
  456. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 もう一つそれについて知らせていただきたい。  この一九二一年に結ばれた条約、これには廃棄条項がないと私は聞かされております。それからまた、確かに、イラン政府あるいはかつてのパーレビ政府におきましても、これに対しては不満を表明した。しかしながら、ソ連が同意しておらない。  五、六条を読んでみると、その要旨は、ソ連国境がイランの国内からの脅威を受けた場合に、ソ連はイラン国内に駐留ができる、こういうことになっている。アメリカ側の軍事行動というのは、そういった条項をいわば援用させるような結果をももたらすのではないかという心配があるからお聞きしたわけであります。  もう一つ。一九二七年に、ソ連とペルシャ国の間の不可侵中立条約というのがありますが、これ一は現在でも存続しておりますか。それはどのようなことを規定したものでしょうか。
  457. 千葉一夫

    ○千葉政府委員 ただいま条文を持ち合わせておりませんので、条文を見ましてから御答弁申し上げたいと思います。
  458. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 それはぜひ教えておいていただきたいと思います。  時間もありませんから、最後に、外務大臣にもう一つ確認をさせていただきたい。  各国外相とお会いになった際に、いまの御報告の中にもありましたが、ドイツのゲンシャー外相が、ソ連に対してもイランの人質問題を解決するようにやっていきたい、促進をしたい、こういうことを言っていたといいます。それに対しては、日本の外務大臣としては支持をされたのでございましょうか。あるいはまた、それに加えてですが、シュミットのブレジネフとの会見の問題も御指摘がありましたけれども、外務大臣とされては、シュミットがブレジネフに会いに行く、そして話し合いをする、平和的解決の方途を探る、こういったことに対しては賛成でございましょうか。
  459. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 会談の中では、ゲンシャー外相からのそういう話がございまして、私から賛成とも反対とも特別の意見は申し述べないで、向こうの話を承ったわけでございます。
  460. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いかがでしょう、いまの時点において、外務大臣は賛成でございますか。
  461. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 対話の継続は望ましいと考えております。
  462. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 人質問題をソ連にも解決してもらうよう、そのように促進することは有意義であるとお考えでしょうか。最後に一点だけ。
  463. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この点は、現在におきまして、やはりよほど慎重に検討してみるべき問題で、即座に賛成とも反対とも申し上げかねると存じます。
  464. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 外務大臣、お疲れのところ、ありがとうございました。御苦労さまでした。
  465. 志賀節

    志賀委員長代理 次回は、来る二十五日金曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十六分散会