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1979-12-21 第91回国会 衆議院 外務委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十四年十二月二十一日)( 金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 のとおりである。    委員長 中尾 栄一君    理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君    理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君    理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    木村 俊夫君       鯨岡 兵輔君    栗原 祐幸君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       東家 嘉幸君    中川 一郎君       中山 正暉君    宮澤 喜一君       岡田 利春君    勝間田清一君       河上 民雄君    武藤 山治君       浅井 美幸君    玉城 栄一君       金子 満広君    榊  利夫君       林  保夫君    山口 敏夫君     ————————————— 昭和五十四年十二月二十一日(金曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 中尾 栄一君    理事 稲垣 実男君 理事 奥田 敬和君    理事 佐野 嘉吉君 理事 志賀  節君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡部 一郎君 理事 野間 友一君    理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    上草 義輝君       鯨岡 兵輔君    栗原 祐幸君       小坂善太郎君    佐藤 一郎君       竹内 黎一君    東家 嘉幸君       中山 正暉君    丹羽 雄哉君       船田  元君    宮澤 喜一君       岡田 利春君    勝間田清一君       河上 民雄君    武藤 山治君       瀬野栄次郎君    玉城 栄一君       梅田  勝君    林  保夫君       田島  衞君  出席国務大臣         外 務 大 臣 大来佐武郎君         農林水産大臣  武藤 嘉文君  出席政府委員         外務政務次官  松本 十郎君         外務省欧亜局長 武藤 利昭君         外務省条約局長 伊達 宗起君         水産庁長官   今村 宣夫君  委員外出席者         外務大臣官房外         務参事官    井口 武夫君         外務委員会調査         室長      高杉 幹二君     ————————————— 委員の異動 十二月二十一日  辞任         補欠選任   木村 俊夫君     船田  元君   栗原 祐幸君     丹羽 雄哉君   小坂善太郎君     竹内 黎一君   中川 一郎君     上草 義輝君   浅井 美幸君     瀬野栄次郎君   榊  利夫君     梅田  勝君   山口 敏夫君     田島  衞君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     中川 一郎君   竹内 黎一君     小坂善太郎君   丹羽 雄哉君     栗原 祐幸君   船田  元君     木村 俊夫君   瀬野栄次郎君     浅井 美幸君   梅田  勝君     榊  利夫君   田島  衞君     山口 敏夫君     ————————————— 十二月二十一日  北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦の  地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す  る日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦  政府との間の協定有効期間延長に関する議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  一号)  日本国地先沖合における千九百七十七年の漁  業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共  和国連邦政府との間の協定有効期間延長に  関する議定書締結について承認を求めるの件  (条約第二号)  関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更  に関する第四確認書締結について承認を求め  るの件(条約第三号)  関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議  定書(千九百七十九年)の締結について承認を  求めるの件(条約第四号)  関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に  関する協定締結について承認を求めるの件  (条約第五号)  関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六  条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定  の締結について承認を求めるの件(条約第六  号)  関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に  関する協定締結について承認を求めるの件  (条約第七号)  関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に  関する協定議定書締結について承認を求め  るの件(条約第八号)  貿易技術的障害に関する協定締結について  承認を求めるの件(条約第九号)  輸入許可手続に関する協定締結について承認  を求めるの件(条約第一〇号)  民間航空機貿易に関する協定締結について承  認を求めるの件(条約第一一号)  政府調達に関する協定締結について承認を求  めるの件(条約第一二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦の  地先沖合における千九百七十七年の漁業に関す  る日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦  政府との間の協定有効期間延長に関する議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  一号)  日本国地先沖合における千九百七十七年の漁  業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共  和国連邦政府との間の協定有効期間延長に  関する議定書締結について承認を求めるの件  (条約第二号)  関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更  に関する第四確認書締結について承認を求め  るの件(条約第三号)  関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議  定書(千九百七十九年)の締結について承認を  求めるの件(条約第四号)  関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に  関する協定締結について承認を求めるの件  (条約第五号)  関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六  条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定  の締結について承認を求めるの件(条約第六  号)  関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に  関する協定締結について承認を求めるの件  (条約第七号)  関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に  関する協定議定書締結について承認を求め  るの件(条約第八号)  貿易技術的障害に関する協定締結について  承認を求めるの件(条約第九号)  輸入許可手続に関する協定締結について承認  を求めるの件(条約第一〇号)  民間航空機貿易に関する協定締結について承  認を求めるの件(条約第一一号)  政府調達に関する協定締結について承認を求  めるの件(条約第一二号)      ————◇—————
  2. 中尾栄一

    中尾委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する事項について研究調査し、わが国外交政策の樹立に資するため、関係方面からの説明聴取及び資料要求等方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 中尾栄一

    中尾委員長 本日付託になりました北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  まず、政府より提案理由説明を聴取いたします。外務大臣大佐武郎君。     —————————————
  5. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま議題となりました北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件及び日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件の二件につきまして、提案理由を御説明いたします。この二件は、それぞれ別個の案件ではありますが、経緯上も内容的にも互いに密接な関係にありますので、一括して御説明いたします。  政府は、昭和五十二年五月二十七日にモスクワで署名された北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び昭和五十二年八月四日に東京で署名された日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間は、昭和五十二年十二月十六日にモスクワで署名された二つ議定書及び昭和五十三年十二月十五日に東京で署名された二つ議定書によりそれぞれ延長されました。この有効期間は、ともに本年十二月三十一日に満了することになっておりますので、政府は、ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間にこの二つ協定有効期間をさらに延長する目的でそれぞれの議定書締結するため、本年十一月二十日以来モスクワにおいて交渉を行いました結果、本年十二月十五日にモスクワにおいて、わが方魚本駐ソ大使先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの二つ議定書の署名を行った次第でございます。  この二つ議定書は、いずれも二カ条から成っており、それぞれ右に述べました協定有効期間を明年十二月三十一日まで延長すること、両政府代表者は明後年以降の漁獲の問題に関して明年十一月二十四日までに会合し協議すること等を定めております。  この二つ議定書締結により、一方では、わが国漁船ソヴィエト社会主義共和国連邦沖合い水域において引き続き明年末まで操業することが確保されることとなり、他方では、わが国は、ソヴィエト社会主義共和国連邦漁船が明年においてもわが国漁業水域においてわが国の法令に従って操業することを認めることとなります。なお、漁獲割り当て等実体的事項につきましては、ソヴィエト社会主義共和国連邦沖合い水域におけるわが方の漁獲についての沿岸国として先方立場にはきわめて厳しいものがありましたが、政府先方と鋭意折衝を行いました結果、明年のわが方漁獲割り当て量として本年と同じく七十五万トンが定められました。他方ソヴィエト社会主義共和国連邦に対する明年の漁獲割り当て量としても、本年と同じく六十五万トンを定めた次第であります。  この二つ議定書締結は、互いに相まって、両国の二百海里水域における漁業に関する両国の間の円滑な秩序を確保するものであると考えております。  よって、ここに、これらの議定書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  6. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  7. 中尾栄一

    中尾委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  8. 岡田利春

    岡田(利)委員 いわゆる日ソソ日漁業協定交渉大変御苦労さんであります。  私は、本件に入る前に一つ政府に伺っておきたいのでありますが、すでに新しい海洋秩序については、過般来海洋法会議で継続的に審議をされておるわけです。特にその中でエコノミックゾーン、すなわち経済水域については、各国ともこの案件についてはすでに合意をしておるものと承知をいたしているわけです。したがって、いずれ草案が全面的に各国合意を得れば、経済水域に関してはわが国としても賛成の態度をとっておりますから、水産物資源のみならず専管水域内のいわゆる地下資源についても管轄権が及ぶ。しかも隣国の場合には中間線とすることがこれまた海洋法会議で決まっている、こう思うわけであります。したがって、わが国のこれからの二国間の二百海里の漁業交渉というものは、少なくともすでにわが国もこれに合意をしているこの精神に基づいて行われるものと私は理解をいたすわけですが、この点についてまず政府見解を承っておきたいと思います。
  9. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、過般来の海洋法会議におきまして、経済水域ということが議論されておりまして、経済水域についての条文の実際につきましても大方のコンセンサスが得られているという状況でございます。その経済水域と申しますのは、日本ないしはソビエト連邦がしいておりますような漁業水域とは異なるものでございまして、先生もおっしゃいましたように地下資源にも及ぶということになっているわけでございます。  ただ、日本といたしましては、二百海里の漁業水域というものはすでに国際慣習法として確立したという考えではおりますが、経済水域という概念は、今度の海洋法会議の結果できます海洋法によりまして初めて国際法として定着し得るものであって、現在はその段階に至っておらないという立場でもって交渉を進めるという考え方でございます。
  10. 岡田利春

    岡田(利)委員 今回の交渉に、この漁業協定長期協定にしたいという日本側の希望がありましたけれども、ソ連側はいわゆる海洋法会議の動向もあるのであくまでも一年間の暫定協定でいきたいということで、今回の協定も一年限りの協定になったものと承知をいたしておるわけであります。しかし、時間的にまだかかるでしょうけれども、いずれにしても経済水域の形で近い将来そういう新しい協定に達しなければならない、こういう前提があることを私は常に考えておかなければならぬと思うわけです。したがって、日ソ間の長期協定になる場合も、今日のソ連態度からすれば、海洋法会議で結論が出ればこれに基づいて今度は経済水域として二国間の協定になり、その協定の中にいわゆる水産物漁業関係についても協定される、こういう方向に私は近い将来変わっていくものと、ソ連側態度からして考えるわけですが、この点はいかがですか。
  11. 武藤利昭

    武藤政府委員 今回の交渉におきましても、この延長議定書でもう少し長い期間を設けるということを日本側主張し、ソ連がただいま先生がおっしゃいましたような理由でこれに応じなかったということはその通りでございます。  ソ連の申しております言い分は、いまも御指摘ございましたとおり、現在の協定の基本になっております最高会議幹部会令というものが暫定措置であるということで、日本との間の協定長期延長に応じなかったわけでございますが、ただいまソ連暫定措置でありますところの最高幹部会令というものは漁業等水産資源を対象としているわけでございまして、もしその海洋法締結されました結果地下資源にまで及ぶということになりますと、これはまたソ連の方で新たなことを申してくる可能性があるわけでございますが、漁業に関する限りはすでにいまの暫定協定で手当てができているし、ただいまのソ連の申し分から申しまして、海洋法会議で成立すれば長期協定化することも可能なのではなかろうかと私どもとしても考えている次第でございます。
  12. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、私は改めて質問いたしたいのでありますけれども、日ソ協定の第一条、すなわち暫定措置に関するいま述べられた幹部会令第六条及びソビエト社会主義共和国連邦政府決定、すなわちこれは閣僚会議決定ですね。この点についてわが国は、ソ連側幹部会令及び閣僚会議決定、法律を第一条で認めているわけですね。したがって、いずれにしても領土を基点にして二百海里というものが設定されている。そういう形でこのソ連閣僚会議決定についてわが国は認めるという立場に立っていると思うのです。したがって、隣接している場合には当然中間線、これも閣僚会議では名前を挙げて決定をいたしたわけですから、このことを認めておる、こういう素直な解釈でよろしいのでしょうか。
  13. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  日ソ暫定協定の第一条におきまして、ソビエト連邦最高会議幹部会令第六条及びその後に行われました連邦政府決定というものに従いまして線引きがなされているわけでございます。第一条におきましてはそのことが書いてあるわけでございますが、これは現在実効的に北方領土についてソ連施政を行っているという現実を踏まえまして、その間に日本漁業を可能ならしめるという方法を探っている過程におきまして、この第一条に基づきましたソ連線引きというものを認めたわけでございます。  ただ、お尋ね北方領土との関係におきましてどうなるかということになりますれば、これは第八条によって日本領土権主張というものは留保しているわけでございますので、別に問題はないものと考えるわけでございます。
  14. 岡田利春

    岡田(利)委員 一昨年、私も超党派の代表団の一員としてモスクワを訪れて、漁業協定締結についてわが国主張を述べてまいったわけであります。したがって、鈴木さんが最終的な段階でいま触れられた第八条を設定されて、事水産物資源に関してはソ連閣僚会議決定水域を認める、この第八条を付加することによって、わが国の従来の領土主張水産物というもの、魚というものは切り離したんだ、こういう形でこの協定国会でも承認をされたと思うのです。したがって、第一条で言う水域というものは、北方関係についても北海道から歯舞色丹国後択捉、これから測った中間線、これは明確に閣僚会議では固有名詞を挙げて設定をされたわけですから、だから事水産物に関してはこの線は厳格に認めたもの、こう素直に解釈してよろしいわけでしょう。いかがですか。
  15. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、現在北方四島におきまして現実施政を行っているのはソ連でございますので、非常に遺憾なことではありますが、ソ連による二百海里の線引きというものを認めざるを得ない。そうでなければわが国漁船による漁猟ができなくなるということを踏まえました上で、第八条の留保を行ってこの協定締結したわけでございます。したがいまして、ソ連の二百海里の線を認めたのかということになりますれば、これは認めたものであるとお答えせざるを得ないわけでございます。ただし、領土問題に関しては、先ほど来申しておりますように十分な留保をしておりますし、日本国領土主張というものは害されているものではないということでございます。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、隣接するところの場合は、領海もあればまた二百海里もあるわけですね。漁業専管水域もあるわけですね。中間線を認めたということは、いわゆる領海水域、それから二百海里の水域——中間線はいずれも連続して設定されているわけですから、だから領海に関しても、二百海里に関しても、漁業専管水域に関しても、とにかく歯舞色丹国後択捉四島と北海道との間の中間線閣僚会議決定は認めておるということになるわけでしょう。いかがですか。
  17. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  北方四島と北海道との間にソ連が引きました二百海里の線と申しますのは中間線でございます。したがって、それを認めたということになるわけであります。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで「(議定書に関連する当局間の書簡)」というのが資料で出ていますね。この第四ページ「千島太平洋側、東経百五十五度以西)」七ページ「千島(オホーツク海側、海岸線から四十海里までの範囲、北緯五十度以南)こう記されておるわけですが、この「千島」とは何を指すのでしょうか。
  19. 伊達宗起

    伊達政府委員 日ソ暫定協定延長議定書に関します付属といたしまして当局間の書簡というものがあるわけでありますが、ソ連側書簡付属といたしまして、附属書の中のIIIIIに御指摘のような表現があることは事実でございます。ただ、日ソ漁業暫定協定と申しますのは、漁業規制に関しましてはこういうソ連のいわゆる線引き前提としてできたものでございます。これは先ほども御説明申し上げたとおりでございます。したがいまして、このIIIIIの「千島」に示されている水域というものの中に北方四島周辺水域が含まれるのであるかというお尋ねでございますれば、それは含まれるものであるとお答えする次第でございます。  ただし、このことはまた再々繰り返すようでございますが、協定八条でもってわが国領土主張というものも十分に留保してあるわけでございまして、これをソ連側書簡で「千島」という言葉を使ったからといって、ソ連側北方四島占拠の法的根拠を与えたものではないし、日本としては認めるものでもないということでございます。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 書簡としては「千島」という言葉を使って、それに歯舞色丹国後択捉を含んでおるということがはっきりしたわけでありますから、事漁業協定に関しては。したがって、歯舞色丹国後択捉ソ連側の使っておる「千島」に含まれておることを認めておるわけですね、後に日本側もこれに対して感謝の書簡を出しておるわけでありますから。したがって、その点は領土の問題は別にして明確になったと思うわけです。  そうしますと、領土の問題と水産物、魚というものは切り離したわけでありますから、先ほど来の外務省見解から言えば、たとえばいわゆる領海内と言われる貝殻島のコンブ同様水産物であることは間違いがないわけですね。漁業専管水域については許可証をもらい裁判管轄権をこの協定で認めておるわけですね。だから、コンブの場合についても水産物ですから許可証をもらう、あるいはまた裁判管轄権が一応及ぶということは漁業専管水域と全く同じではないか、いまのやりとりでこう解釈せざるを得ないのですが、いかがでしょう。
  21. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  貝殻周辺コンブ漁の問題についてでございますが、これは単に二百海里の漁業専管水域の問題にとどまりませんで、領海という問題がそこに入ってくるわけでございます。領海と申しますのは国際法上も必ず領土付属するものでございまして、直ちに領土問題に直接的に密接に結びついておるというところから、向こうの許可、その領海内における先方規制を受けるということにつきましては、わが国領土主張に多大の影響がある。そういう観点から、単なる二百海里漁業水域における先方規制を認めるものとは本質的に違うものである、こういう立場で、貝殻島のコンブ漁につきましては日本政府としてソ連の言うままを認めるわけにはいかないという立場でございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 領土、領空、領海というのは決まっているわけですね。もちろん、領海の場合には地下資源一切を含んで相手の国の管轄権が及ぶわけです。漁業専管水域については、水産物資源に関して、これだけを抜き出して相手管轄権を認めておるのが今日の二百海里だと思うのですね。そうしますと、領海の場合に、話し合いによってコンブをとらせますという場合に、一定の協定をしてとるということはいいわけでしょう。問題ないわけでしょう。そうすると、魚だけに裁判管轄権許可証を発給してやるという場合、領海の場合はより厳格であるということは当然だと思うのですね。しかし、それを漁業専管水域と同じような扱いでコンブ協定を協議し協定に達するとすれば、わが国政府としてはとやかく言うべき問題ではないと思うのですが、いかがでしょうか。
  23. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  貝殻島の場合には領海の問題が入ってくるものでございますから、先ほども申し上げましたように、どうしてもそこに領土主権という問題が生じてくるわけでございます。したがって、先方の、ソ連側の言い分を認めるということになりますれば、これはわが国領海でございますから、わが国領海に対する先方規制、権限というものを認めてしまうという結果になりまして、そこに矛盾が起きますし、しかもソ連に対して北方四島に対する主権の主張法的根拠を与えるおそれがある、そういう意味におきまして漁業専管水域、二百海里の問題とは本質的に異なるという立場でございます。
  24. 岡田利春

    岡田(利)委員 コンブ交渉というのは民間でやっているわけですが、漁業協定漁業専管水域の場合においても八条によってわが国領土主張は妨げられないと政府は確信を持って国会説明し、われわれもこれを了としたわけですね。そうしますと、民間のコンブ漁業協定の場合にも、八条と同じように、わが国の固有の領土主張は妨げられないという点が双方確認されれば、八条と同じ趣旨のことが確認されればこれは問題はないと思いますが、見解はいかがですか。
  25. 伊達宗起

    伊達政府委員 お答え申し上げます。  先ほども御説明申し上げましたように、国際法上、領海というものと二百海里の漁業水域というものとは異なるものでございまして、二百海里の漁業水域につきまして、この場合の例で申し上げますと、ソ連の二百海里の線引きを認めたからといって直ちに主権の問題に及ぶものではない。したがって、第八条の留保によって先方北方四島占拠の法的根拠を与えるものにはならない。わが国領土主権というものは依然として主張し得るものである。これは明白に法律的にも言えるわけでございます。  ところが、ただいま先生がおっしゃいましたように、漁業領海につきましていまの同じような取り決めをソ連との間に行った上で第八条と類似の規定を設けたといたしましても、根本的に相入れないものでございまして、第八条の規定を設けましても、むしろ領土付属する領海という主権の範囲の及ぶところがはっきりしているものでございますから、第八条の効用、効果というものには非常に疑問が残るわけでございます。完全に先方の主権の存在を否定し得るかというところになりますと、私どもは大変疑問であると考えているわけでございます。
  26. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がないから、この問題を詰めるわけにいかぬと思うのですが、将来エコノミックゾーン、経済水域になっていきますよ。地下資源まで管轄権が及びますよ。そういう時代に入ってきている。そしてこの日ソソ日間の漁業協定締結されて、そして領土問題があり、また隣接の貝殻コンブの問題も、歴史的にいままで採取をしてきた経験がある。この問題が継続的に民間では交渉された。こういう一定の流れを外務省当局も十分認識されておると思うし、私はそういう意味でこの問題にも対応していく姿勢をきちんと確立しなければならぬのだと思うのです。  ですから、時間がございませんから、この問題を最終的に詰められませんけれども、一応いまのところはわかったと思うのですね。この点についても十分対応策を、またいずれ年が明ければ民間で交渉が開始されるわけでありますから、その点を特に強く希望をいたしておきたいと思います。  次に、暫定協定を一年間ずつ結んできて、私の手元の資料では、一九七八年のわが国の八十五万トンに対して四十六万三百トンしか漁獲を上げていないという数字が報告をされているわけです。では一体ソ連側は、クォータに対して実績はどうであったのか。  今年一月から十二月の見込みは、七十五万トンに対して十一月末までに四十五万七百トン、あと一カ月ありますからこれに追加されますけれども、この見込みはどうなのか。そして今回協定をされたわけですね。その協定は七十五万トンであるが、来年一月から十二月には、大体このクォータに対して実績は一体どの程度になるという見込みか。この点やはりある程度、協定に達するに当たって確信を持って協定されたと思いますから、この間について御説明願いたいと思います。
  27. 今村宣夫

    ○今村政府委員 漁獲実績でございますが、まだ十一月現在でございますので、全体締めくくった数字はございませんが、ソ連漁船漁獲実績といたしましては大体六〇%を超えておりまして、マイワシ、サバにつきましては大体七八%、八〇%近くとっておるというかっこうに相なっております。  わが国ソ連水域内の漁獲実績でございますが、スケトウダラは大体八〇%近くまでとっております。それからズワイガニ、ツブ、エビ等につきましては一〇〇%近くとっておりますが、そのほかの魚種全体を合わせまして、現在の状況では大体六〇%程度でございます。
  28. 岡田利春

    岡田(利)委員 わが国は八十五万トンのクォータがありながら七八年は四十六万トンという意味は、五二、三%でしょう。この数字が本当かどうかわかりませんけれども、水産庁が出した数字です。ソ連側は、答弁は六〇%というのでしょう。そうすると、クォータに対する実行率は、ソ連側が高い。そして双方のいわゆる主要な、ソ連側が希望しているサバ、マイワシ、これについては七五とか、非常に高い。わが国もスケトウについては八〇だ。だが、クォータそのものに対しては、七八年の場合にはわが国の方が実行率が悪い。間違いないですか。
  29. 今村宣夫

    ○今村政府委員 現在までの状況を見てみますと、大体同程度のものではないかというふうに推定をいたしております。
  30. 岡田利春

    岡田(利)委員 これは双方日報で漁獲については報告し合っているわけですから、正確にわかるはずなんてすね。ですから、これは魚種別に——今年は十二月で締め切っておりますから、前年度のを魚種別に提出をしないと、協定の内容というのは具体的に、水域漁獲量、全部決めるわけでありますから、この点の資料の提出を委員長として計らっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  31. 中尾栄一

    中尾委員長 はい。
  32. 岡田利春

    岡田(利)委員 よろしいですか。——では、それはお願いをいたしておきます。  そこで、今年の場合にはサバ、マイワシの漁獲について昨年実績よりも五万トン上積みして認めたわけですね。そして、わが国の最も希望すると言われるスケトウについては一万トン減という形で協定に達した。ただ私は、サバ、マイワシの資源の状況について国内でもいろいろ意見があるわけですから、この機会に承っておかなければならないと思うわけであります。いわば一方においては韓国漁船も来ておりますし、日ソ間ではこういう協定をしている。したがって、このサバ、マイワシの資源というものは、この協定の方向を見ると、まだ資源が上昇していく、こういう前提に立ってこの協定を認めたのか、この点の資源分析についてはどういう確信がおありですか。
  33. 今村宣夫

    ○今村政府委員 イワシ、サバの資源状況でございますが、私たちはソ連に対して交渉の過程では、イワシも産卵量がだんだん減っておるし、二年魚の加入量も減少傾向にある、それからサバにつきましても形が小型化をいたしておりまして、親魚の成熟の度合いも悪いということ、これは交渉でございますから、そういうことを言ってきたわけでございます。  そこで、資源状況について当方の科学者その他の意見を集約いたしまするに、マイワシの太平洋系統群の資源状況、これは大体ソビエトが太平洋のマイワシをとっておりますからその資源状況を見ますと、昭和四十七年生まれの六歳魚から昭和五十三年生まれの当歳魚に至るまで、各年の級群が高水準で出現をしておりますので、この系統群の増加傾向はここ二、三年は続くのではないかというのが一般的な見解でございます。  それから、サバの太平洋群の資源状況でございますが、大体二歳魚の未成熟魚は近年依然として横ばいの傾向にありまして、資源の動向には注意する必要がありますが、産卵親魚群については昭和五十二年、五十三年の漁獲量が近年高い水準にあることから見まして、この系統群は当分の間現状程度を維持するのではないかというふうに見られておるわけでございます。
  34. 岡田利春

    岡田(利)委員 今度の協定は、サバ、マイワシというのは分離して漁獲の量を決めてないのですね。包括的に五十万トンと決めているわけです。北海道沖において見ても、サバの資源というのはやはり漸次資源量が減っている。もちろん漁獲の状況から見てもそういう結論が出ているわけですね。それがずっと太平洋岸、房総沖、これまでについてもやはりそういう傾向がある、強まっている、こういう認識に立たなければならないと思うのです。  そうすると、サバとマイワシというものについて分離をして漁獲の量を協定しなければならぬというのが日本立場ではないのか、これが第一点であります。  それから第二点、マイワシの場合、確かに資源を活用するという場合に可食率がやはり今回の交渉でも問題になっているようですね。たとえば釧路に揚がるマイワシなんというのは可食率が四%ですから、あとは全部、九六%ミールに回されておるというのがはっきりしているわけですね。そうなってくると、確かにいまの漁業構造から言えば北転船のスケトウということが非常に注目されるけれども、資源論から言えば、同じ魚でありますから、たとえば赤身の魚ですり身をつくる、そういう一つのわが国漁業政策というものについても転換を図らなければならぬではないか。そういう対応策というものが、どうも口では言うけれども実効が上がらない。こういう点についてはわが国もやはり本腰を入れなければならないのではないか、こう思うのでありますけれども、見解はいかがでしょうか。
  35. 今村宣夫

    ○今村政府委員 イワシ、サバの資源を大切にしなければいけないことはお話しのとおりであると思います。ソビエトはその点の認識がなかなか薄うございまして、日本がイワシ、サバをたくさんとっておるけれどもちっとも食べてないじゃありませんか、私たちはイワシ、サバをとれば必ずちゃんと食べておるのであります、こういうことを言うわけでございます。それは現に御高承のとおりに非食用が大部分でございますから、そういう点につきましては御指摘のようにそういう資源の利用ということにつきましては私たちも今後十分考慮してその対策を推進しなければいかぬ。現にイワシ、サバの加工向けの試験研究その他につきまして補助をいたしまして、これの推進をいたしておるところでございます。  それから、マイワシ、サバの魚種別割り当てを行うべきではないかということは、私たちとしましてはそのとおりだと思っております。現に今回の交渉におきましても、操業形態別の割り当てだけではなしに魚種別の割り当てを行うという主張をいたしたわけでございます。ただこれは、ソビエトから見ますとことし急に飛び出してきたので、鈴木前大臣が二百海里を引くときの話と違うじゃないかとかいろいろなことを向こうが言いましたが、最終的にはイワシ、サバの漁獲量と同時的に決定をしなければいけないものですから、この主張は取り下げたかっこうになっております。ソビエトとしましても魚穂別割り当てをやるということは相当痛いところでございますから、当方としてもわざと痛いところを主張したという形にいたしたわけでございますけれども、結果的には全体的なおさまりぐあいということで、最終的にマイワシ、サバの数量を決めますときに当方はそれを撤回したというのが実情でございます。
  36. 岡田利春

    岡田(利)委員 余り突っ込んでお聞きしてもどうかと思いますからあれなんですが、そこで私の持ち時間のうち土井委員がいま関連質問します。残った時間、農林大臣が出席してから、質問することに保留したいと思います。  そこで、区切りとして一つ承っておきたいと思いますが、これからの国際漁業を見ても、あるいはまた沿岸漁業を見ても、エネルギーの高価格、供給不安の時代で八〇年代を迎えようとしているし、八〇年代は慢性的にそういう傾向になることは当然だと思うのです。ただしかし、わが国漁船構造というのはエネルギー多消費型の構造になっているわけですね。私の勉強したところでは、外国の漁船に比べると二・六倍の油をたく、そういう漁船がつくられている。そういう多消費型の構造になっているわけです。これは漁業経営の面からいってもエネルギー政策の観点からいっても、やはりエネルギーの節約型の漁船、そういう方向にいまわが国は転換しなければならないときに来ていると思うのです。それを契機にしてこれからの新海洋秩序というものを展望する場合に、いずれにしても漁業政策そのものが基本的に見直しをされなければならない時期を迎えておる、こう私は認識するのですが、見解はいかがですか。
  37. 今村宣夫

    ○今村政府委員 確かにお話しのとおり、日本漁船は油を非常にたくさん使うという形で漁業を行っておりまして、そのコストに占めます比率は非常に高うございます。今後におきます石油状況等を考えてみますれば、お話しのようにエネルギー節約型の漁業ということを十分考えてまいらなければいけないと思っております。したがいまして、私たちといたしましてもそういう観点から省エネルギーの研究会を目下開きまして、どういう形での今後の漁業漁船を考えていくべきかということについて十分検討をいたしてまいりたいと思っております。
  38. 中尾栄一

  39. 土井たか子

    ○土井委員 本日のこの審議の対象になっております日ソソ日協定関係をいたしまして、二、三外務大臣に私はお尋ねをしたいと存じます。  まず一つは、いよいよ明年度から八〇年代ということになるわけでございますが、やはり長期展望を持った対ソ外交というのが考えられる必要があると私は存じます。ソビエトに対しまして八〇年代において少なくともこういう基本姿勢で臨みたいということを外務大臣としては意中期するところがおありになるだろうと思うのですが、その辺をひとつ外務大臣からお聞かせくださいませんか。
  40. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 八〇年代が間近に来ておるわけでございますが、外交政策につきましては従来からの継続性、過去の歴史、経緯というものが同時にございまして、その経緯を踏まえつつ将来を展望していかなければならないように考えるわけでございます。  日ソ関係については、一九五六年の共同声明以来の経緯がございまして、日本としては北方の四つの島の返還ということを政策の基本としてソ連に要求し続けてきておるわけでございまして、これに対するソ連側のより前向き、友好的な態度が示されませんと、基本的な日ソ関係、平和条約締結に向かう条件が出てまいらない。もちろん経済面、通商面等につきまして可能なものは具体的に協力、処理していく。ただ、基本的には領土問題に対するソ連態度が変わってまいりませんと平和条約締結に至らない、この点は八〇年代も変わりがないものと考えております。
  41. 土井たか子

    ○土井委員 いま一九五六年の日ソ共同宣言の線に沿ってということを大前提として外務大臣はお話を進められたわけでありますが、今回の協定の第八条、「相互の関係における諸問題についても、いずれの政府立場又は見解を害するものとみなしてはならない。」という条文がここにございますけれども、御承知のとおりソビエト側は、領土問題についてはすでに済んでいる、これは解決済みであるという立場で事を進めんとされてきているわけであります。それから考えますと、いま外務大臣のおっしゃいました一九五六年の日ソ共同宣言の九項、特にその中で「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約締結された後に現実に引き渡されるものとする。」こういう項目がここに明記されているわけでありますが、これについてはソビエト側から正式に廃棄の通告が日本側に対してございましたのですか、いかがでございますか。——いや、ちょっと待ってください。大臣に言っています。
  42. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 一九六〇年のグロムイコ書簡で、領土問題解決済みということを言ってきております。
  43. 土井たか子

    ○土井委員 グロムイコ書簡はグロムイコ書簡なんですね。日ソ共同宣言というのは一九五六年、これは現在も有効でございますか、いかがでございますか。
  44. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 有効と考えております。
  45. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この日ソ共同宣言の九項については、正式にソビエト側から廃棄の通告が日本側に対してございましたですか、いかがでございますか。
  46. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 正式には全然ございません。
  47. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、ソビエト側は領土問題はすでに終わっているというふうな立場に立っているということはおかしいわけでありまして、現にソビエト側のそういう立場については、この日ソ共同宣言から考えて認められるはずはない、終わっていないというふうに考えなければならない、こうなるはずであります。いかがでございますか。
  48. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 そのように私ども考えております。
  49. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、そういう主張を強くソビエト側に対して日本としてはなすべきであります。このことに対しては強力にいままでなされているのかどうか、そしてこのことについては、日本としてはさらに強力に主張すべきポイントだと私は思うのですが、どのような取り扱い方をなされているわけでありますか。
  50. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この点はあらゆる機会に主張しておりますし、一九七三年の日本の総理の訪ソの場合にも同様な主張をいたしておるわけでございます。
  51. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、その点は少し迫力を欠くのですよ。これは日ソ共同宣言にしっかりとしたためてあるところが廃棄されない限りは、これは有効であるという立場に立って、交渉の場ではもっと強く日本としては主張すべき問題であろうかと私存じます。外務大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  52. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どももそういう態度で臨むべきだと考えます。
  53. 土井たか子

    ○土井委員 先日大来外務大臣は、わが党の高沢議員の御質問に対しましてお答えになりました中で、善隣協力条約は検討する必要があるという趣旨の御答弁をなさいました。大臣御存じだと思いますけれども、前外務大臣でございます園田さんは、この善隣協力条約については、全く中身について検討などはとんでもない、これは預かって帰ってきて金庫にしまっておく、ただそれだけなのだというふうなことを繰り返し繰り返しこの外務委員会の席で述べられたわけであります。大来外務大臣のさきの御答弁からいたしますと、金庫の中に入っていた善隣協力条約を金庫から出して、そしてほこりを払って検討してみようというふうな御趣旨も踏んまえて、あのような御答弁のかっこうになったわけでありますか。いかがですか。
  54. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま土井委員の御指摘の答弁でございますが、これは前後の文脈の関係からお読み願えれば、その前大臣の方針と変わっていないということを御了解願えると思います。
  55. 土井たか子

    ○土井委員 この点は非常に大事だと思いますから、よく読めばとおっしゃらずに、その点意のあるところをここで私ももう一度再確認をしたい気持ちですから、ひとつお述べいただきたいと思うのです。
  56. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 わが方の主張といたしましては、先ほどもお答えいたしました一九五六年の日ソ共同宣言、その趣旨のつながりの上にあるわけでございまして、ソ連側領土問題解決に前向きの姿勢を示す、それを具体的な行動で示すことが大前提でございまして、この動きが伴わないことで善隣友好条約ということの提案がありましても、日本側としてはこれに応ずることはできないというたてまえでございます。
  57. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁を承っておりましても、少し園田前外務大臣と違うのですね。  それでは、もう一度それを確認させていただいて私終わりたいと思いますけれども、領土問題について話し合いということが進めば、善隣友好条約をそれと並行して、あるいは同時にと申し上げてもいいでしょう、検討しようというふうな御趣旨なのですね。
  58. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 領土問題につきまして従来からの日本主張がございますから、その主張に対してソ連側が同意するということにならなければならないと思います。ただ、その場合には平和条約にいける可能性が開けてまいりますから、そういう状況のもとにおいては善隣友好条約が必要かどうか、必要ではなくなるのではないかということが考えられますので、いずれにしても領土問題についての展開が見られません限りは、この善隣友好条約は問題にならないということでございます。
  59. 土井たか子

    ○土井委員 これは御答弁を承っておりますと、なかなかいわく言いがたき御答弁でございますから、このところをもうちょっとはっきりさせてください。  領土問題について話し合いをするという状況が展開してくれば善隣友好条約についても検討する用意がある、このように外務大臣としてはお考えになっていらっしゃるのですか。いかがですか。
  60. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 領土問題を解決して平和条約締結するというのがわが方の基本的態度でございまして、この点については変更ございません。
  61. 土井たか子

    ○土井委員 先ほどの御答弁からすると、しかし外務大臣、領土問題について話し合いをするという条件が出てくれば善隣友好条約について検討する用意があるがごとき御答弁でございましたよ。その点はもう一度——後ろから局長ぐずぐず言わないで、これは政治問題なんだから。局長は政治問題についてぐずぐず言うべきじゃないですよ。外務大臣の御見解をひとつはっきりもう一度おっしゃっていただきたいと思います。
  62. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 前にお答えしましたことが不明確な点があったといたしますれば多少舌が足りなかったのかもしれませんが、領土問題を解決して平和条約を結ぶという方針には変わりはございません。
  63. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、もうこれを一つ確認して終わりますが、いかなる状況においても善隣友好条約について考えるという意図は全くない、このように確認をさせていただいていいんですか。
  64. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 現状においては全くないと考え  ております。
  65. 土井たか子

    ○土井委員 それがまた外務大臣おかしいんですね。現状においてはというのは、それじゃ条件が現状と変わってくれば考えるという用意もあるということも意としては含んでいらっしゃるがごとくに聞こえてまいります。その点は非常に大事なところですから、もう一たびお答えいただきたいと思います。
  66. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 世界情勢というのは決して固定しているものではございませんから、世界情勢の変化というものはいろいろな形で起こり得る。しかし、少なくとも現状において判断する限りその可能性はないというふうに申し上げたつもりでございます。
  67. 土井たか子

    ○土井委員 どういうふうに世界情勢が変わっていこうと、なしてはならないことというのはやはりあるわけですね。だから、そういうことから考えてまいりまして、いまの外務大臣の御発言というのは少し意に含みがあるということも私としては受けとめまして、時間ですから終えたいと思います。  ありがとうございました。
  68. 中尾栄一

  69. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 昭和五十五年日ソソ日漁業暫定協定について議定書承認を求める件につきまして、外務大臣、農林水産大臣並びに水産庁長官に質問をいたします。  日ソ双方の二百海里水域内での昭和五十五年の漁獲割り当て量を決める日ソソ日漁業暫定協定交渉は十一月二十日より開始され、十二月十五日に妥結したわけであります。ソ連二百海里水域内での対日漁獲割り当て量七十五万トン、日本二百海里水域内での対ソ割り当て量六十五万トンとすることで合意に達したことは御案内のとおりですが、しかし、実質的な中身を見ると多くの問題をはらんでおります。これまでの交渉経過及び合意事項を含んでの交渉の率直な感想を、まずは外務大臣からお伺いしたいと思います。農林大臣が若干おくれておりますので、大来外務大臣に感想を求めます。
  70. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいまの御指摘の点でございますが、ソ連側が主として要求しておりますマイワシ、サバが昨年に比し五万トン増加しまして、日本側主張して要求しておりますスケトウダラが昨年に比して一万トン減少していることから、日本側ソ連側に譲歩したのではないかというような印象がございますけれども、交渉の焦点は、ソ連の要求、つまりイワシ、サバを十万トン増加しスケトウダラを十万トン減少せよという要求をいかにして歩み寄るかというところにございまして、最終的にはイワシ、サバの五万トン増とスケトウダラ一万トン減少に抑え、また、総漁獲量も前年と同じにいたしましたので、一応の成果があったと考えております。
  71. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 今回の日ソ漁業交渉は、日本側ソ連の二百海里内でとるところの主力魚種でありますスケトウダラと、ソ連日本の二百海里内でとる主力魚種のイワシ、サバの割り当て量をめぐる駆け引きが一つの焦点となったことは私たちも十分理解をいたしております。ところが、日本のスケトウダラがことしの割り当て量三十万トンを一万トン下回る量すなわち二十九万トンを余儀なくされたのに対しまして、ソ連のイワシ、サバはことしの四十五万トンを五万トンも上回る結果となっております。また、日本ソ連に強く求めていたイワシとサバの割り当て量の分割も、ソ連の反対で従来どおりの一本化と決まってしまいました。  このように、わが国は、長い交渉経過から、全量的にも減少傾向で、しかも主力魚種のスケトウダラも年々削減を余儀なくされております。一方、ソ連は全量的には安定し、しかもイワシ、サバの主要魚種は逆に年々増加しておりますが、いま大来外務大臣は、一応量的な確保をして一応の成果はあったと、こういうふうにおっしゃいますけれども、これまさに私はわが国の弱腰外交である、かように国民とともに指摘せざるを得ませんが、このようにだんだんとわれわれの主要魚種であるスケトウダラが削減されていくこの状態を見て、大臣はどういうふうに思われますか、さらに外務大臣のお考えをお聞きしておきたい。
  72. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 いまの御指摘の点は、心ずしも日本側にとって十分な満足がいくことではございませんけれども、やはり相手国との交渉のことでございますし、さらに、この魚種の問題につきましては水産庁長官の方からお聞き取り願いたいと思います。
  73. 今村宣夫

    ○今村政府委員 一つ、スケトウダラの減少問題でございますが、ソ連は、スケトウダラの資源状況はきわめて悪い、したがって相当量の減船をソ連としてもせざるを得ない、したがってその一部を日本としてもスケトウダラについてしてもらいたいというのが非常に強い主張であったわけでございます。したがいまして、当初、スケトウダラにつきましては、ソ連の提示は二十万トンということでございましたが、スケトウダラの現在の三十万トンの水準を維持することは、減船を避けるということから考えてみてもぜひ必要であるということで、当方も強い主張をいたしたわけでございます。結果的に一万トン減少いたしましたことはまことに残念でございますけれども、その一万トンの減少分は、底びきが行います底魚の方をふやしましたので、全体としてみますれば、まず減船とかなんとかいうような事態は避け得たというふうに考えておるわけでございます。  一方、イワシ、サバの五万トンの増加でございますが、私たちとしましてはイワシ、サバを増加させることはしたくないのは当然でございまして、この点につきましても、イワシ、サバの資源論その他をもちましていろいろと折衝いたしたわけでございますけれども、最終的にはイワシ、サバの五万トン増という結果になったわけでございます。この点は残念でございますけれども、やはり交渉として日本が七十五万トン、ソビエト六十五万トンということで最終的に決着を見たわけでございまして、交渉を決裂させるというわけにもまいりませんので、こういう結果になったわけでございます。
  74. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 交渉を決裂させるわけにいかぬのでこういう結果になったという水産庁長官の答弁でありますが、農林水産大臣がおくれておりますので、この件については大臣が見えたら若干お尋ねすることにいたしますけれども、弱腰外交というゆえんは、御存じのように、全量的には前年並みといっても、その中身を見れば完全な後退である、かように私は指摘せざるを得ません。  ちなみに申し上げますと、日本がとるところのスケトウダラは、昭和五十二年は六八%、五十三年四一%、五十四年四〇%、そして来年の五十五年すなわち一九八〇年は三八・六%になるわけです。一方、ソ連がとるところのイワシ、サバは、五十二年が四三%、五十三年は四九%、五十四年が六九%、そして五十五年、一九八〇年は七五%と、このように逆に漁獲割り当てがふえております。こういったことを見ましても、私はまさに弱腰外交である、このように指摘せざるを得ないし、また一方、カレイとかメヌケ、マダラ等のような漁獲実績の低い方に割り当てが多く配分されておる。そして、スケトウダラのように日本が最も欲しい、しかも漁獲量を多く望んでいる魚種については、逆に昨年から一万トンも減らして二十九万トンに減ってきた、それも年々減っていく。こういうことを見ましたときに、まさに憂慮にたえないのであります。  ソ連のスケトウダラ資源に対する評価というものが、一方では最近厳しくなってきておることも事実でありますが、日本側ソ連が要求するマイワシ、サバの増量と引きかえに、今回の漁業交渉に先立つ日ソ漁業委員会でも、ソ連側はスケトウダラの許容漁獲量を従来の主張より三十万トン低い百二十ないし百三十万トンに落としていることから、来年以降の交渉でも、ソ連側がスケトウダラ削減を要求してくるのは必至である、かように私たちは見ざるを得ません。このために、わが国がスケトウダラを確保するためには、ソ連向けイワシ、サバの増量を認めるという図式が毎年繰り返されることになっていく、このように私は思われて仕方がないのです。  そういう意味で、冒頭外務大臣に弱腰外交ということも指摘し、いま皆さんも十分承知である数字を五十二年度から挙げましてるるお話を申し上げ、そして今日に至っている現状と今後の見通しについて考えてみると、こういうパターンが繰り返されていく、こういう懸念が大であります。そういった意味で私は、こういったことでは日本の将来の漁業に対して大変不安定な要素が厳しくなってくる、かように思うわけです。そういった意味で水産庁長官また外務大臣いずれからでも、これに対する所見を承りたいのであります。
  75. 今村宣夫

    ○今村政府委員 スケトウに対するソ連の資源評価というのは非常に厳しいものがあります。しかし、私たちは決してそれをそのまま受け入れたわけではございませんで、ソ連はああいう国柄でございますから、資料はFAOに提出した以上の資料を提出されない。したがって、ソ連の側において一体スケトウを幾らとっておるのか、それでどれだけ減船をしていくのか、そういうことがわからなければスケトウの資源が減っておるということを了承できないということを強く主張をいたしたわけでございます。あわせまして、イワシ、サバにつきましても、資源状態はソ連が考えておるような、そういうようなものではないということも強く主張いたしたつもりでございます。  ただ、一つ問題と考えられますことは、実は日本はイワシ、サバを三百万トンぐらいとっておりますが、大体そのうちの七割ぐらいは非食用であるということはソ連も十分承知をいたしておりまして、私たちはとったイワシ、サバは必ず食べるのであるということを先方は非常に強く主張いたしたわけでございます。  したがいまして、全体的なまとまりということからああいう結果になったわけでございますが、今後におきましてずるずるとそういうふうになるのではないかということにつきましては、私たちとしましてはそのようなことにならないように来年の交渉におきましても精いっぱいの努力をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  76. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまの問題について、外務大臣はどうですか。
  77. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 外務省といたしましても、農林水産省と十分協力しながら将来も主張を続けてまいりたいと考えております。
  78. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣がおくれておりますけれども、ここでお聞きしておきますが、日本はかって先祖が命を捨てて北方において今日の漁場を開拓して漁業実績を上げてきた歴史があるわけであります。そこで、私はいかなることがあっても、一九八〇年は、日本割り当て量が七十五万トン、ソ連割り当て量が六十五万トンとなったわけでありますが、少なくともこれを堅持していただきたい。最小限これを堅持して、一九八一年以降については万が一仮に割り当て量が削減されるようなことがあったとしても、日本七十五万トン、ソ連六十五万トンの比率で、その比率のままで縮小すべきであり、等量主義はとるべきでない、かように私は政府に申し上げたいわけです。これに対する水産庁長官並びに外務大臣の決意なり見解を承っておきたい。
  79. 今村宣夫

    ○今村政府委員 日本のソビエト二百海里内におきます漁獲割り当て量は七十五万トンでございまして、ソビエトの日本の二百海里内におきます漁獲割り当ては六十五万トン、その水準を堅持せよというお話でございますが、私たちといたしましてはそういう方針で精いっぱいの努力をいたすつもりでございます。
  80. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 私どもの方も、ただいま水産庁長官のお答えいたしましたラインで主張してまいりたいと考えます。
  81. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、先ほどお尋ねしました資源の評価の問題ですが、資源の評価をどう考えているかということでございますけれども、スケトウダラの割り当てはほとんど減る一方で、イワシ、サバは逆にふえ、沿岸・沖合い漁業者を圧迫していることは御存じのとおりです。イワシ、サバの許容漁獲量については、先ほどもちょっと触れましたが、資源的に心配がないかどうか。それと、許容漁獲量について、イワシ、サバの量は日本としてはどういうふうに許容漁獲量というものを持っているのか。  私は従来の経過から見まして、日本はどうも場当たりで根拠が薄弱である、そういったためにどうしてもソ連に対して交渉が弱い。ソ連側はスケトウダラを三十万トン減らして百二十万ないし百三十万トンというようなことで許容漁獲量というものを示してきておりますが、日本側はそういった量をはっきりとイワシ、サバについて示しておるのか、そういった根拠があるのか、この点がどうも薄弱に思えてしようがない、その点を明確にしていただきたい。それと同時に、先ほど申しましたように資源的には心配ないかということをあわせて御答弁いただきたい。
  82. 今村宣夫

    ○今村政府委員 イワシ、サバの資源を大切にしなければいけないことはお話のとおりでございます。私たちも、したがいましてイワシ、サバの資源量につきましては、これは日ソ漁業委員会の資源小委員会その他、あるいは割り当てを決めます政府交渉におきましても、その資源状態につきまして強く主張をしてきたつもりでございます。  ソビエトに対しましては、産卵量が減っておる、あるいは魚体が小さくなっておる、あるいは許容漁獲量といいますか、それは大体こういう状態であるということは申しました。したがいまして、今年におきましては、私は少なくともイワシ、サバの資源の評価につきましては強くソビエトに主張をいたしたつもりでございます。  ただ、現実といいますか、イワシ、サバの現在の資源状況はどうかということでございますが、これは学者の意見その他を総合いたしますに、大体ここ数年間は安定をしておるのではないかというのがおおむねの結論でございます。
  83. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 水産庁長官、そのイワシ、サバの許容漁獲量というものはちゃんと把握しておられますか。
  84. 今村宣夫

    ○今村政府委員 ソ連主張いたしました漁獲量は、イワシにつきましては大体八十五万トンから百十三万トンという数字を挙げて主張をいたしたわけでございます。サバにつきましては大体八十七万トンから百十六万トンであるということを数字を挙げて主張をいたしました。
  85. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 次に、イワシ、サバの割り当て量の分割についてお伺いします。時間の制約がございますが、ひとつ要点をお答えいただきたいと思います。  昭和五十四年当初はイワシ、サバの割り当て量については、四十五万トンに対してイワシをとるまき網は五〇%、サバをとるトロールは五〇%であったのが、ことしの五十四年十月になってイワシを五〇%完全に捕獲したので、ソ連側はまき網を六〇%、トロールを四〇%の比率に変更してくれということに対して、日本側はこれを認め、さらに来年度、昭和五十五年は五十万トンに対して、まき網は七〇%、トロール三〇%と、ついにソ連側に一方的に押し切られておりますが、日本はイワシ、サバの割り当て量の分割はどう提示して交渉したのか、この点について水産庁長官、お答えいただきたい。
  86. 今村宣夫

    ○今村政府委員 お話のように本年の五十万トンの内容は、まき網三十五万トン、中層トロール十五万トンということに相なっております。御承知のとおりまき網は主としてイワシをとっておりまして、中層トロールは主としてサバをとっておるわけでございます。資源状況を見てみますと、私は、イワシよりもサバの資源状況の方が比較をしますれば悪いというふうに思っております。したがいまして、まき網と中層トロールとの比率は、やはりサバをとります中層トロールの方の数字を減していく方が資源的に見ても妥当かというふうに考えておるわけでございます。
  87. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林水産大臣が見えたので、以下農林水産大臣からお答えをいただきたいのですが、時間が迫ってまいりましたので、いままでの問題でお聞きすることができなくなってまいりました。以下、引き続き大臣から御答弁をいただきたいと思います。  いまいろいろ質問してまいりましたが、わが国二百海里水域内におけるソ連向けのイワシ、サバの割り当ての年ごとの増量が、ただいまも申し上げましたように、来年はイワシが七〇%、いわゆるトロールでやるサバの方が三〇%というふうにだんだんふえてまいっております。そこでわが国沿岸・沖合い漁民の生活を脅かすことは言うまでもございません。現に北部まき網、すなわち北部太平洋漁区との競合が問題となっております。漁民の猛烈な反対運動が起きておりますけれども、農林水産大臣はこれに対してはどう考え、どう対処されるのか、お答えいただきたい。
  88. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 いろいろ今度の問題で、イワシ、サバの関係のまき網業者が、自分たちが何か犠牲を強いられているのではないかというお気持ちにおいて大変な憤りを感じておられることはよく承知をいたしております。しかしながら、実際問題といたしまして今度のソ連との交渉に当たりまして、私どもの方といたしましてはあくまで現在のイワシ、サバに対するソ連の見方というものは妥当ではない、決して資源が豊富ではないんだ、こういう形で強くこちらは主張してまいったわけでございます。しかしながら、現実の問題、イワシが必ずしも食糧だけに日本側においては使われていないという点が非常に強く向こうから言われたようでございまして、結果的に五万トンの増加、こういう形になったわけでございます。  しかしながら、その結果まき網漁業者の中にいろいろの問題ができるだけ起きてこないように、今後その対応策については十分検討を進めてまいりたいと考えております。
  89. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間がございませんのでさらにお伺いすることができませんが、いまのことについてはうがった見方をすれば、スケトウダラを確保するためにまき網業者を犠牲にしているというように漁民は叫んでおります。もちろんスケトウダラの確保もしなければなりませんが、また、わが国近海のこのイワシ、サバに対するまき網業者の犠牲はあってはならない、こういった点で十分政府の対処をしていただきたい、かように思うわけです。  さらにお伺いしますが、漁業関係者から強く要望が出ております日ソソ日漁業暫定協定長期化の問題を農林水産大臣にお伺いするわけでございます。  御存じのように、現在一年ごとの協定で非常に不安定であります。御承知のようにことしもソ連側の一方的な拒否に遭いまして実現を見なかったわけですけれども、席上日本側は同協定を、一つ、暫定協定という不安定な形を改め、長期協定にする、二つ、それが無理ならば自動延長にするということを提案したわけであります。これに対しソ連側は、ソ連最高会議幹部会令で国際海洋法会議の結論が出るまで暫定的なものとすると決められているということで、来年一年延長するだけでよいという主張を崩さず、日本側はやむなくこれに同意した、こういう経過でございますが、いずれにしても単年度ごとの延長は毎年出漁直前まで漁民を不安に陥れておりまして、少なくとも三ないし五年の中期協定とすることが不可欠であると思いますし、またさらに、漁業協定日ソ間の友好関係の上からも大きな比重を占めておることからしても、今後とも粘り強く協定長期安定化を目指していくべきであると考えるわけでございますけれども、この点について農林大臣はどのようにお考えであるか、御見解を承りたい。
  90. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 両国の漁民が安定して漁業ができるようにするためには、こういう協定長期的であるべきだと考えております。ですから、日本側としてもそれを強く主張してまいったわけでございますが、この協定が失効してしまうというぎりぎりの時間に追い込まれておりまして、また特に私どもソ連側と違うのは、日本側国会承認をいただかなければならないという事態もございまして、粘り強く交渉してきたつもりでございますけれども、一年限りのものになったことは大変遺憾に存じております。しかし、将来においてもこの協定長期のものになり得るように一層努力をしてまいりたいと考えております。
  91. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 外務大臣、この件についてお答えをいただきたい。
  92. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 外務省といたしましても、これを長期のものにいたしたいと考えております。海洋法の進展も一つの条件になり得るかと思いますが、ただいまの農林水産大臣のお答えと同様に考えております。
  93. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本年最後の委員会になりましたので、最後に、日ソソ日漁業暫定協定にも関係がなしとはしない問題でありますが、時間がございませんから、二点お伺いして、御答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。  その一点は、韓国漁船の操業問題です。  先日通告いたしておきましたが、わが国に六億の被害がありまして、国論を二分するような問題になっております。北海道周辺における韓国漁船の問題、また日本海の西日本における二百海里問題に絡む漁獲量等の問題がございます。これに対してはいわゆる南北戦争になりかねない問題がございまして、現在韓国が自主規制をしております。私は自主規制させることがベターではないかと考えておりますが、これについて政府はどのようにお考えであるか、簡潔にお答えください。  なお、武藤農林水産大臣は来年一月、韓国に今村水産庁長官を派遣するようにおっしゃっていますが、この派遣についてどういう方針かということも簡潔に承れれば幸いです。  なお、台湾の問題もございまして、これについては外務大臣からお答えいただければ結構です。  九月上旬に台湾が十二海里の領海及び二百海里の経済水域を設定したように聞いておりますが、この真相と、二百海里は相互主義と言っておりますけれども、わが国漁業者保護の立場からどのように対応していくのか、漁業者への指導方針を簡潔にお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
  94. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 韓国漁船の問題についてお答えをさせていただきます。  北海道あるいは北陸、山陰沖におきまして、韓国漁船日本側規制地域へも強引に入ってきてやることに対しては、大変遺憾に存じ、強く抗議をし、またそういうことのないようにするように、いろいろとルートを通じて話をいたしておるわけでございます。先ほど指摘のように、少し自主規制の案が出てまいりましたけれども、私どもは決してこれで十分であるとは考えておりません。ですから、今後もより強力に韓国側に反省を求めてまいりたい。一月におきましては、国会の始まる前の時期に水産庁長官を派遣したい、こう考えております。
  95. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 北海道の韓国漁船の問題につきましては、ただいまの農林水産大臣のお答えと同様でございます。  台湾につきましては、本年九月六日に、台湾は領海を十二海里に拡大するとともに−湖里経済水域を設定する旨の行政委員会の決議を発表いたしまして、十月八日、総統命令によりましてこれを実施したと聞いておるわけでございます。  台湾側は、右総統命令によりまして、十二海里領海、二百海里経済水域実施したと申しておりますけれども、現在のところまだ関係法令の整備がなされていないとのことでございまして、これまでのところ、わが国漁船が台湾当局によって取り締まりを受けたという事実は発生しておらないわけでございます。  このため、政府といたしましても、交流協会を通じまして情報収集に努める一方、台湾への出漁船に対しては、本件情報を周知徹底いたしまして注意を喚起し、安全操業の確保に努めてまいったところでございます。今後とも台湾側の措置ぶりを見きわめながら、わが国漁船の円滑な操業が確保されるよう適切に処理してまいりたいと考えておるわけでございます。
  96. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が参りましたので、以上で質問を終わります。
  97. 中尾栄一

  98. 岡田利春

    岡田(利)委員 日ソ間には、今回協定された日ソソ日漁業協定以外に、民間レベルの協定もあるわけです。いわゆる共同漁労方式五案件が今年は認められておるわけです。そして、いま交渉が中断しております貝殻コンブの問題についても、これは歴史的に民間レベルで協定をしておるわけです。  私は、政府外務省態度を見ていますと、民間協定政府が余り厳格な条件をつけてやろうとすれば、何も民間協定でやる必要はないわけです。政府協定でやればいいわけですよ。民間協定でしなければならぬという現実的な問題があるから、民間協定コンブをやり、今回の共同漁労方式が成り立ったと思うのです。そういう点について、政府はもう少し問題を整理をしてこれらに対応すべきだ、私はこういう意見を持っているわけですが、これに対しての見解と、今年認めた五案件については、相手方は従来どおり民間レベルで協定をする、こういう意思を表明しているように渡辺農林水産大臣にも漁業大臣が答えているわけですから、これは来年もそういう形で継続されるものだ、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  99. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 御指摘のとおり、政府協定で思い切って広い範囲でやり得るならば、民間の特にそういう共同事業は必要ないのかもしれません。しかしながら、そういう空気が出てきておるということは、やはり何か補足する意味でそういうものが必要だということで生まれてきたのではないかと判断をいたしておるわけであります。  しかし、日本側といたしましては、今年渡辺前大臣がソ連を訪問いたしましたときに、あくまでソ連側の了解も得てお互いの許可を得たもの、特に日本側許可をしないものについては、ソ連側許可をしない、こういう約束が取り交わされたと承知をいたしております。  そういう意味合いで、今後とも日本側といたしましては、この共同事業を認める場合には、政府協定によってある問題の中から漁業者がより不利になるようなことまで認めるわけにはいかない、こう考え、あくまで補完的なものと考えていきたいと思っております。そういう意味合いから許可をしていくつもりでございますが、いまの五つの事業につきましては、より一層事務当局で検討をしていきたい、こういう考え方のようでございまして、もし具体的に五つの事業について御質問があれば、事務当局からお答えをさせていただきます。
  100. 岡田利春

    岡田(利)委員 いま大臣が答弁された漁民の立場を尊重するということと私も全く同じ立場であります。ただしかし、アメリカ外交なんか見ていますと、やはり民間協定は民間協定のよさを積極的に活用していく、やはりこういう外交展開というものが私はあると思うのですね。そういう意味で、きょうは時間もありませんから、来年度に当たって十分ひとつ対応してほしいということを述べておきたいと思います。  いま瀬野議員からも今度の交渉は弱腰外交であるというようなお話も出ましたけれども、しかし私は、漁業関係では日韓の問題が一番問題だと思うのです。世界のいわゆる遠洋漁業国というのはわが国ソ連がその双壁であることは御承知のとおりであります。しかし、第三位は韓国であることをわれわれは忘れてはならないと思うのです。資料によってもすでに韓国水域からわが国は十五万トン程度、そして韓国側はすでに二十二万トン程度、もう七万トンくらいの数量が逆転をしておる現実を見なければならぬと思うのです。南北問題、南北問題、北海道あるいは西日本、こう言いますけれども、そういう認識自体が今日政府の誤りだと私は思うのです。もはやこれは南北問題ではないわけです。わが国漁業外交の基本的な問題になってきている。そして、水産庁はいままで言いませんでしたけれども、台風二十号のときには、わが国が禁止している刺し網でイカをとる、三杯の船が遭難したものですから、その内容が白日のもとに出てきたわけです。日本海では流し網でサケ・マスを漁獲している、そういう情報すらも今日あるわけですね。北海道の海域でサケ・マスを大型の流し網で漁獲したら一体どうなりますか。そういう事態が進んでおるのに黙って見ているのですか。  二百海里をやれば韓国側が報復をするなどという、そういう意見を水産庁でも述べる人がおるわけですね。一体なぜ報復されるのでしょうか。わが国が教えた漁法でいまマグロを十万トン程度韓国は漁獲しておりますけれども、そのほとんどは日本で輸入しているわけです。韓国人はマグロを食べないわけです。韓国人は一般家庭ではスケトウを最も好んで食べることは御承知のとおりなんです。だからお互いに欲しい魚種というものがはっきりしているわけですから、お互いの食生活を調べればそんなことはすぐ結論が出てくる。したがって、私はもはや水産庁レベルで長官が行っても、そのレベルで日韓の問題は解決しない、こう考えるわけです。  だから、もちろん韓国との間には漁業だけではなくて経済協力の問題もあるでしょう。貿易の問題もあるでしょう。そういうトータルの中でもう外交レベルとして日韓の問題は漁業協定をはっきりと締結すべきだ。相手側の体制も最近動揺、変化がありますから十分分析をしなければなりませんけれども、少なくとも新しい年は、長官レベルでいままでやってきたのですからそのレベルで解決できるのなら苦労しないのですよ、基本的な外交レベルでこの問題は私は解決すべきだ、こう思うのですが、これは外務大臣と農林水産大臣見解を承っておきたいと思います。
  101. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 水産庁長官をいずれにいたしましても一月に派遣をいたしますので、ひとつ今度行ったときにはざっくばらんに話し合って、そしてどこに問題点があるのか、いろいろその問題点を相互にひとつ本当に率直な意見の交換の中から見出しまして、そしてそれをできるだけ私どもの役所でやれるものはやる、また向こうにやってもらうものはやってもらう。しかし、どうしてもこれは外交ルートでしかうまくいかないというような問題については、ひとつ外務大臣にもお願いをいたしまして外交ルートに乗っかって正式にやっていただきたいというふうに考えておりますが、いずれにしても、水産庁長官に一遍向こうへ行ってもらったときに本当に向こうの考え方も率直に聞いてきて、いままで長いこと言われておって解決しなかったこの問題にぜひできるだけ解決の方向だけは私はつくり出したい、こう考えておるわけでございます。
  102. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、今年、昨年の予算委員会でもこの問題を積極的に取り上げておるわけです。渡辺前農林大臣は在任中にこれは解決するという、こういうはっきりしたことをわれわれに約束しておるわけです。残念ながらそうならなかったわけであります。  いまの日韓の漁業関係については相互主義の原則に立っていると思いますか。それとも相互主義ではない、問題点がある、片務的な立場にあると考えますか。いかがですか。
  103. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は、やはりお互いに相互主義の立場でやっておると考えております。確かに量的には御指摘のように日本側より韓国側の方が多いのではないかということでございますが、私の承知しておる限りでは、金額的にはやはり大体日本側の方がいいという点があるようでございますから、そういう点においては結果的には私は相互主義に立っておる、こう判断をしております。
  104. 岡田利春

    岡田(利)委員 私が質問するとすぐ金額、金額という言葉がまだいまでも出ている。二国間の漁業協定で金額で協定するのですか。日ソ間でも金額を考えて協定するのですか。こっちの方には借りもあるわけですよ。そういうことで場当たり的に答弁をされては私は困ると思うのですね。もうそういう考え方は水産庁で捨ててほしいと思うのですよ。少なくとも韓国の二百海里水域の中でわが国は共同水域では規制されているのですから、相互主義ではないでしょう。領海以外の水域でもわれわれは規制されておるわけでしょう、共同水域という漁業協定があるわけですから。実質的に見てもこの十四万六千トンのうち、七万五千トンは共同水域内でとっておるわけです。網目から、期間から、すべて規制されておるわけですよ。そしてこの協定の中には海難救助協定もあるわけでしょう。政府は結んでいないでしょう。だから北海道沖の場合に問題になったのでしょう。  対韓国の問題はそういう形で——相手国は世界第三位の遠洋漁業国ですよ。中国は遠洋漁業国ではないわけですよ。ソ連と韓国がわが国を除いて一、二位を占める遠洋漁業国なんですから、当然二百海里の協定を結ばなければいかぬでしょう。私は韓国側に魚をとらせる量を下げろということを言っているのではないですよ。当然相互的にやらなければいかぬでしょう。しかし、もうわが国の資源論から言っても、ソ連側ともクォータを結んでいる。資源論から言ってもお互いに秩序ある操業をすべきだ。それが両国の共通の利益ではないかと言っておるのですよ。そうすると、いや、報復がある。なぜ一体報復があるのですか。韓国側から日本はあらゆる面で借り勘定ばかりですか。そうではないでしょう。だから問題は政治決断なんですよ。障害があるとすれば何があるのですか。竹島問題ですか。外務大臣、いかがですか。
  105. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 竹島は本件に関係ございません。
  106. 岡田利春

    岡田(利)委員 農林大臣、どうですか。障害は何ですか。何が障害ですか。挙げてください。
  107. 武藤嘉文

    武藤国務大臣 私は障害が必ずしもあるとは思っていないので、いま御指摘のように北海道沖その他のことは私は先ほど申し上げたように大変遺憾であると思っておるわけでございまして、これが正常なノーマルな状態であるとは考えていないわけでありまして、ですから今度行ったときには向こう側の考え方も率直にひとつ聞かせてほしい。こっち側もひとつ強い主張をし、その中から本当に解決の糸をひとつ私はたぐり出していきたい、こう考えておるわけでございますので、もう少し時間をおかしいただきたいと思うわけであります。
  108. 岡田利春

    岡田(利)委員 日韓の漁業関係というと、すぐ南北問題だとか北海道沖、そういう意識自体が私は今日の日韓の漁業の状況では問題があると思うのですよ。もういま西日本だってずんずんふえているわけでしょう。日本海だってそうでしょう。そして大和堆、武蔵堆、いずれのところでも操業しておるわけでしょう。何もこれはもはや南北の問題ではないのですよ。だから認識を変えていただきたいのですね。  日本のいわゆる二百海里時代における隣国との対応はどうあるべきか。そして遠洋漁業国である韓国漁業に対して一体どう対応していくべきか。どうして相互関係を正しく確立するかという問題なんですよ、これは。そういうオーソドックスな立場に立ってこの問題を煮詰めなければ解決しないのですよ。  大臣はそう言いますけれども、では、水産庁長官は一月に行くのは、いままでも森さんが行っているのですから、次官交渉も二回やっているのですから、その延長ならば問題にならぬと私は思うのですよ。いかがですか。
  109. 今村宣夫

    ○今村政府委員 前長官が二回訪韓をいたしましていろいろと話し合いをいたしたわけでございます。私は、参りましたならば、ただいま大臣がお答え申し上げましたように、あるいはまた先生のただいまの御指摘のような点も含めて相手方と十分意見の交換をし、問題点を煮詰め、ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、水産庁あるいは農林水産省としてできるものは何か、でき得ないものは何であるかということにつきまして十分話し合いをし、意見を交換し、問題点を煮詰めてまいって大臣に御報告を申し上げたいと考えております。
  110. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから終わりますけれども、いま農林大臣、水産庁長官から答弁があったわけですね。外務省としては竹島問題は別だとかなんとか言っていますけれども、今日の日韓の漁業問題というのはそうではないですね。やはりトータルな日韓の外交関係という視点を除いてこの問題は解決できませんよ。これはもういままでも園田外務大臣と何回もやっているのですよ。いかがですか。認識をお聞きしたいですね。決意をお伺いして終わりたいと思います。
  111. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 日韓関係に種々の問題がございますので、個々の問題、たとえば漁業問題については、ぎりぎりのところまでやはり両国当事者の間で話し合いをやっていただきたいと思いますけれども、それ以上の問題について必要な場合には両国間の広い外交関係の中で検討するということも必要かと思います。
  112. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう長い話なのですから。外交関係の中でこの問題が起きているわけでしょう。何か外務大臣の答弁を聞いていると、いや、まだ水産庁にやらせておけばいいのだ、もうそういう議論は過ぎているのですよ。予算委員会でも外務委員会でも農林水産委員会でも、もう過ぎているのですよ。そういう厳しい認識がないと思うのですね。先ほど来言っているように、韓国側は遠洋漁業国なのですから、三大遠洋漁業国の一つなのですから、これに新秩序を確立しないでどうして二百海里の体制が構築できるのですか。もはや常識でしょう。そういうぎりぎりの段階に来ているという認識をお持ちかどうかなのですよ。もう一回決意を聞きたいですね。
  113. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 来年一月に水産庁長官が向こうに参られて、さらにぎりぎりの話をされるということでございますので、やはりその結果を伺った上で、またさらに全般的な外交問題の中で、どう考えるか検討したいと存じます。
  114. 中尾栄一

    中尾委員長 渡辺朗君。
  115. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 まず、このたびの日ソ交渉に当たられました関係者の方々の御労苦に感謝したいと思います。  さて、外務大臣にお聞きした方がと思います。農林大臣、何か参議院の方でのお仕事もおありのようですから、どうぞ御退席いただいて結構でございます。  外務大臣にお聞きいたしますが、このたびの日ソ交渉のさなかでございましたけれども、大平総理が訪中をしておられる。ソ連側に対して外務当局から、このたびの大平総理の中国訪問、これについての内容説明があったと聞いております。また、その際にソ連側から、大規模な経済協力は軍事協力につながるのではないかというような疑念の表明があったということも聞きました。つまり、わが国の対中姿勢に対してはソ連側としては大変深い懸念を持っているということを示しているわけであります。そうした状況の中で日ソ漁業交渉が行われたわけでありますが、ソ連側交渉態度、その中に従来とは違ったものがあったのでございましょうか。いかがでございましょう。
  116. 武藤利昭

    武藤政府委員 今回の漁業交渉はきわめて実務的な雰囲気のもとで行われまして、総理の訪中というようなものが何らかの影を差したというような気配は全然感じられませんでした。
  117. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 実務的であったというお話でございますが、議定書の調印式でカメンツェフソ連漁業相が言っておられることがあります。交渉の円満妥結は、漁業分野に限らず日ソ間のすべての問題が話し合いで解決し得ることを明らかにした、そのような発言があったやに聞いております。つまりこのことは、政治的な問題をも含んで日ソ双方が漁業以外でも他の分野においても話し合いを通じて努力すれば、両国関係というものの中にある諸問題、こういったものの改善ないしは解決が前進するというふうな呼びかけだと理解してよろしいのかどうなのか、その点をお聞きしたいと思います。
  118. 武藤利昭

    武藤政府委員 調印式のときにカメンツェフ漁業大臣がただいま御指摘のようなあいさつをされたという報告は受けております。かねがねソ連わが国との間の関係を、経済関係を初め全般的に改善強化したいということも繰り返し申しているわけでございまして、ただいま引用のございましたカメンツェフ漁業大臣の発言もそのようなコンテクストの中で行われたものと私どもは理解しております。
  119. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 漁業問題に入りますけれども、そうしますと、八〇年以降の日ソ漁業交渉という問題は、いまのカメンツェフ漁業大臣の発言をそのように受けとめるならば、新しい展望がまた出てくるのだというふうに考えてよろしゅうございますか。
  120. 武藤利昭

    武藤政府委員 協定長期化の問題につきましては先ほども御議論があったわけでございますが、先方がなぜ長期化できないかとして申し述べました理由は、その暫定協定の基本になっておりますソ連の国内法が暫定措置法であるということ、そしてこれは海洋法の結論がまだ出ていないためにそういうことになっているということでございまして、このソ連の言い分を逆にとりますと、海洋法が成立し、ソ連において海洋法に基づく新たな漁業法が制定された暁におきましては、日ソ間の漁業協定長期的なものとすることができるということであろうと私どもは理解している次第でございます。
  121. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 このことに関連して外務大臣にぜひお聞きしたいのです。  国後択捉両島の軍備の増強がございました。またソ連色丹島に軍事力を配備した。これはわが国における国民感情を逆なでするような行動であったと思いますけれども、この問題についても話し合いで解決を進めていくということが可能だから今後積極的にやっていくというお考えでございましょうか、いかがでございましょう。
  122. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 御指摘のように、北方領土問題についてはあくまでも粘り強く交渉をしていくという基本的立場でございます。
  123. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 軍備増援の問題、それから新たに軍事基地化ということが伝えられておりますけれども、この問題を解決するということについてはいかがでございましょうか。
  124. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 この問題も含めまして基地問題については、日本側からも再三ソ連側に抗議を申し入れておるわけでございまして、そのような措置を将来も続けてまいりたいと考えております。
  125. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私、もう一遍ちょっとその点確かめたいのですけれども、たしか十月ぐらいの時点であったと思いますが、日本政府の方からソ連に、駐日大使に対しまして抗議の申し入れがなされたと思います。それに対して今度はソ連大使の方から逆抗議が来てそこで中断していると思いますけれども、その後も何度か申し入れその他が行われたわけでございますか、ここら辺は確認をしたいと思います。
  126. 武藤利昭

    武藤政府委員 去る十月二日、わが方の高島外務次官からポリャンスキー大使に対しまして抗議をしたのに対し、十月十六日に至りましてソ連の方から口頭声明というものを日本側に対して行ったということは御指摘のとおりでございます。ただ、このソ連側の口頭声明を向こうが行いましたときに、直ちにわが方からは、ソ連側の言い分に理由がないということを詳細かつるると申し述べまして、そのようなソ連の抗議めいた言い分には同意できないということで対応したわけでございます。  その後、これも新聞に報道されておりまして、御記憶かと存じますが、国連の第一委員会におきまして軍縮討議が行われましたとき、その一般演説の中におきまして、軍縮の措置の一つとしてわが方の代表が北方領土におけるソ連の軍備増強問題を取り上げたということがございました。
  127. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 わかりました。  次には、漁業問題についてお聞きしたいと思います。  今回の交渉で明らかになったことは、ソ連側の要求するマイワシ、サバの増量割り当てに対しわが国が応じないと、わが国において期待しているスケトウダラの割り当て量は確保し得ないという点が明らかになったように思います。こういうような交渉の繰り返しがパターンになってくる、今後における日ソ漁業交渉の方式として定着するということは大変心配なことでありますし、私どもとしては納得できないところであります。この点、まず定着するおそれがあるのではなかろうか、こういう交渉方式でいいのかということが一つ。  第二番目に、私は、新たな交渉方式みたいなことをお考えなのかどうなのか、ここら辺をお聞きしたいと思います。たとえば、資源評価を討議する日ソ漁業委員会、これを活用する。そして日ソ双方が科学的資源評価によるところのコンセンサスを得た合理的、安定的な漁獲量の割り当てを決定し得るような何かそういう交渉方式はできないものであろうか。いかがでございましょうか。
  128. 今村宣夫

    ○今村政府委員 今年のような交渉が定着しては困るではないかというお話でございますが、来年の交渉の際にソビエトがどういう出方をするかということはなかなか予断を許さないと思いますけれども、ことしの交渉におきまして一つの特徴的なことは、お互いに実利を追求するといいますか、そういう点が非常に強かったように考えます。そうしますと、六十五万トンという総量が動かないとしますれば、イワシ、サバは大体五十万トンまできておりますから、イワシ、サバばかりということではソビエトもいけないということもありますから、ことしと同じような方式になるのかどうかということはなかなかちょっと予断を許さないと思います。したがいまして、私たちといたしましても、今回の交渉を踏まえまして、今後どういう交渉方式をとるかということにつきましては十分検討をいたしまいりたいと思います。  ただいま御指摘のように漁業委員会等で資源の状況をよく見きわめてそこで資源に立脚して数量を決めるべきではないかというお話でございますが、私たちとしましては全くそのとおりに考えておるわけでございまして、漁業委員会におきましても今年は相当資源論をやったわけでございます。そういう方向が定着していくことが今後の交渉を非常に円滑にしていくのではないか、そういう方向をどういうふうにしてさらに推し進めるべきかということにつきましても、今後十分検討してまいりたいというふうに私は考えております。
  129. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 私は、新しい交渉の方式というものをぜひ強力に進めてもらいたい、つくり出していただきたいと思います。実際のところ、毎年暮れになりますとはらはらするような気持ちで交渉を見守っている。と同時に、何か交渉のやり方は腕ずくで、力関係で決まっていくというようなことも印象づけられます。こういったことを続けるようでは将来のためによろしくない。新方式をぜひとも推進をしていただきたいと思います。  次に私はお聞きしたいのでありますが、海洋開発審議会が去る八月に「長期的展望にたつ海洋開発の基本的構想にりいて」ということで第一次答申を政府に提出済みのはずであります。すでにアメリカやフランスなど先進諸国というものは国家的な海洋開発体制を整備して進めていっております。その点でわが国は非常に出おくれの感がするわけであります。一つは、各省に分散している開発行政の統合を図ること、そしていまわが国の総合的なプロジェクトとして海洋開発を積極的に推進する時期に来ているんだと私は思いますが、その点で政府としての海洋開発についての基本方針、こういったものを示すべきだろうと思いますけれども、いかがでございましょうか。この点が一つであります。
  130. 井口武夫

    ○井口説明員 実は海洋開発審議会、これは科学技術庁が事務局でございますが、総理府で設置されておりまして、外務委員会において先生の御質問は国際的な側面からお答えするということになりますが、本年八月に第一次答申が出たことは確かでございまして、これは私どもも入っていろいろ内外の新情勢における二百海里の経済水域の開発利用とか、新しい海の秩序のもとで海洋開発をどういうふうに促進すべきかということをいろいろ答申いたしました。あくまでも二〇〇〇年における海洋開発の役割りと一九九〇年の海洋開発の目標を取りまとめたものでございますが、さらにその目標達成のために第二次答申というのを来年早々に出す予定でございます。  これはあくまでも海洋をめぐる問題が非常に国際性を持っておりますので、そういう観点からもいろいろ国際協力というものが大事でございまして、先進国、開発途上国と協力をしていかなければならないという観点から、外務省もこの答申の中にいろいろ協力しております。  先生の御質問は、実は海洋基本法とか海洋開発委員会を設置するという問題でございまして、これは関係省庁と現在いろいろ協議しているということでございまして、実は現在それ以上にお答えするという立場にはないわけでございますが、海洋開発というものをいろいろ推進する上で政府間の協議が確かに重要でございまして、そういう点はいろいろ検討しております。
  131. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 いまの答申の中で海洋生物資源については、二百海里経済水域の設定に伴って外国の沿岸海域での魚介類の生産は今後減少するんだという見通しを立てていらっしゃる。私は、今回の日ソ漁業交渉に関連いたしまして水産政策全体の見直しが行われ、その中で日ソ漁業交渉の新たな位置づけをする必要がありはしないだろうか、特に二百海里水域の再開発というものを早急にやっていく、そして、その中で日ソ漁業交渉というものが位置づけされていくのではあるまいかと思うのでございますが、その点いかがでございましょう。
  132. 今村宣夫

    ○今村政府委員 水産全体が二百海里という新しい時期を迎えておるわけでございますから、こういう事態に対応していく体制の整備というのは御指摘のとおりきわめて重要なことであると私たちは認識をいたしております。あわせまして、従来のようなとる漁業からつくる漁業といいますか、そういうことにまた重点を志向していかなければいけないことも確かでございます。  それからなお、あわせまして相手国の二百海里におきます漁獲量の確保ということに対してどういう対応をしていかなければいけないかという問題もございます。これらの問題につきましては、私たちといたしましてそういう基本的な問題を挙げて現在研究会を設けていろいろ検討いたしておるところでございます。
  133. 渡辺朗

    渡辺(朗)委員 時間が参りましたので終わります。  ありがとうございました。
  134. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて両件に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  135. 中尾栄一

    中尾委員長 これより両件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。  まず、北西太平洋ソヴィエト社会主義共和国連邦地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  136. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  次に、日本国地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定有効期間延長に関する議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  137. 中尾栄一

    中尾委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました両件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  138. 中尾栄一

    中尾委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  139. 中尾栄一

    中尾委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後五時一分開議
  140. 中尾栄一

    中尾委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  本日付託になりました関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更に関する第四確認書締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定議定書締結について承認を求めるの件、貿易技術的障害に関する協定締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定締結について承認を求めるの件及び政府調達に関する協定締結について承認を求めるの件、以上の十件を一括して議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣大佐武郎君。     —————————————
  141. 大来佐武郎

    ○大来国務大臣 ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更に関する第四確認書締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書(千九百七十九年)の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定議定書締結について承認を求めるの件、貿易技術的障害に関する協定締結について承認を求めるの件、輸入許可手続に関する協定締結について承認を求めるの件、民間航空機貿易に関する協定締結について承認を求めるの件並びに政府調達に関する協定締結について承認を求めるの件につきまして、一括して提案理由を御説明いたします。  貿易に関する障害の漸進的な撤廃を通じて、世界貿易の拡大及び一層の自由化を達成することを目的として、昭和四十八年に開始されました多角的貿易交渉すなわち東京ラウンドにおきまして、ガット史上第七回目の関税の引き下げのための交渉及び非関税面の貿易障害の軽減のための交渉が行われてまいりましたが、これらの交渉の妥結により、関税引き下げ交渉に関連してジュネーヴ議定書が、また、非関税面の貿易障害にかかわる交渉に関連して関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定を含め七の協定及び一の議定書が作成されました。また、この関税引き下げ交渉を推進する上で新たな確認書の作成が望ましいとの認識から交渉が行われました結果、第四確認書が作成されました。  これらの議定書協定等は、関税及び非関税の両面にわたる貿易障害を軽減し、今後の国際貿易を律するルールを整備するものとして、世界貿易の一層の拡大、長期にわたる開放貿易体制の基盤強化を図る上で最も基本的かつ包括的なものであります。  以下、簡潔に個々の内容について御説明いたします。  関税及び貿易に関する一般協定譲許表変更に関する第四確認書は、現在のわが国のガット税率の品目の分類を組みかえたものであり、そこで掲げられた関税率が東京ラウンドでの関税引き下げの基点となっております。  関税及び貿易に関する一般協定ジュネーヴ議定書は、各国関税引き下げを収録しておりますが、この中でわが国は、工業品約二千四百品目及び農産品約二百品目の関税引き下げを約束いたしました。参加国全体の関税引き下げ品目の貿易額は、昭和五十一年の実績によれば、工業品千百億ドル、農産品百五十億ドルとされております。  関税及び貿易に関する一般協定第六条の実施に関する協定は、ダンピング防止税について一般協定第六条の規定の解釈を明確にするとともに、この規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。  関税及び貿易に関する一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の解釈及び適用に関する協定は、相殺関税及び補助金について、一般協定第六条、第十六条及び第二十三条の規定の解釈を明確にするとともに、これらの規定の適用に関する詳細な規則を定めたものであります。  関税及び貿易に関する一般協定第七条の実施に関する協定は、一般協定第七条の規定の実施について国際的に一層画一性及び確実性を与えるため、関税評価の方法を国際的に統一するための規定を設けております。また、同協定議定書は、同協定実施について開発途上国に一定の特例を認めたものであります。  貿易技術的障害に関する協定は、産品にかかわる規格及び認証制度が国際貿易に不必要な障害とならないようにするための規則を定めたものであります。  輸入許可手続に関する協定は、輸入許可手続貿易の阻害要因とならないよう、その公正かつ公平な運用について定めています。  民間航空機貿易に関する協定は、民間航空機等の関税の撤廃その他民間航空機貿易の公正かつ平等な競争の機会を確保するための規定を置いております。  政府調達に関する協定は、政府調達にかかわる国内法令、手続等に対して、内国民待遇及び無差別待遇の原則を適用すべきことを定めています。  これらの議定書協定等は、多角的貿易交渉の枠組みの中で作成されたものとして、また、ガットの目的である関税その他の貿易障害を実質的に軽減し、及び国際通商における差別待遇を廃止することを目指したものとして、相互に実質的に密接な関係を有しております。したがって政府としては、これらの議定書協定等を同時に締結することとした次第であります。  多角的貿易交渉の成果であるジュネーヴ議密書、協定等を早期に締結し、かつ誠実に実施することの必要性につきましては、本年六月に東京で開催されました主要国首脳会議においても確認されたところであります。また、国際経済が困難な局面にある中で、保護主義の圧力を抑えて世界貿易の安定的な発展を図るためには、各国交渉成果を早く実施に移し、開放貿易体制の基盤をゆるぎないものにしておくことが急務となっております。このような意味からも、特に多角的貿易交渉の主要な推進国であるわが国の早期締結は、強く期待されているところであります。  よって、ここに、関税にかかる第四確認書及びジュネーヴ議定書並びに非関税面の貿易障害にかかる七の協定及び一の議定書締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願い申し上げます。
  142. 中尾栄一

    中尾委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会